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1972/08/28 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 建設委員会 第22号
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1972/08/28 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 建設委員会 第22号

#1
第071回国会 建設委員会 第22号
昭和四十八年八月二十八日(火曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月二十三日
    辞任         補欠選任
     中村 禎二君     岩本 政一君
 八月二十四日
    辞任         補欠選任
     岩本 政一君     中村 禎二君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         野々山一三君
    理 事
                大森 久司君
                竹内 藤男君
                山内 一郎君
                沢田 政治君
    委 員
                上田  稔君
                熊谷太三郎君
                小山邦太郎君
                古賀雷四郎君
                中津井 真君
                中村 禎二君
                米田 正文君
                中村 英男君
                高山 恒雄君
                春日 正一君
   国務大臣
       建 設 大 臣  金丸  信君
   政府委員
       運輸省港湾局長  竹内 良夫君
       建設大臣官房長  高橋 弘篤君
       建設省河川局長  松村 賢吉君
       建設省河川局次
       長        川田 陽吉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        村田 育二君
   説明員
       環境庁企画調整
       局企画調整課長  青木 英世君
       農林省構造改善
       局建設部参事官  京谷 昭夫君
       水産庁漁政部沿
       岸漁業課長    渡辺  武君
       運輸省港湾局管
       理課長      鈴木  登君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公有水面埋立法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(野々山一三君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 公有水面埋立法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○沢田政治君 公有水面埋立法ですが、大正十年に法が成立してから相当時代の背景が大きな変革をしておるわけです。俗にいうかたかな法案で、当時の状況と今日的な状況は全く、これは環境もいろいろな面が違っているわけですね。そういうことで、この法律の内容を見ますと、今日的な要請にこたえるような改正じゃないんですね。たとえば願書とか図面を縦覧するとか、それを三週間以内に異議があったならば意見の提出ができるとか、あるいはまた用途変更に若干の規定を加えるとか、そういう非常に小手先の改正だけで、はたして今日的な国民の要請や――ましてや埋め立て地というのは公害の元凶になっているわけです。しかも、これが公の土地を埋め立てて、これは国の領土ですね、それを今度は個人の所有に帰して、そこで利潤追求がされる、国民にもたらされるものはこれは公害だと、こういうことでいいかどうかということですね。いまの田中内閣も言っているでしょう、土地問題で行き詰まって私権を制限しなくちゃならぬなんということは、これは言っておるわけですね、まあどういう意味の私権制限かわかりませんが。ところが反面においては、公有地を埋め立てて所有権を私のものに移す、これは非常に、私は、言っておることと、現にこの法律改正に見られるように、やらんとしておることは逆じゃないかと思うんだけれども、大臣どうですか。
#4
○国務大臣(金丸信君) この法案につきまして、ただいま先生から御指摘がありました。私もそう思います。大正十年以来きょうまで法の改正をやらずに、その法文の内容はかたかなで出ておる。実はこの法案を国会へ提案するにつきましても、実は私はちゅうちょいたしたわけでございます。この程度の改正で、いまの経済情勢の変化あるいは公害、環境保全というような面、また土地の問題について、私有権の抑制というような問題が強くいわれておるとき、この程度の改正でよろしかろうかということに私は疑義を抱いたわけでございますが、しかしまた反面、大正十年以来のこの法律を行政の面から考えてみますと限界もあると。まことに、この法案を抜本的に改正することができないということは建設省だけでないと、運輸省も関係があると。なかなか共管というところに問題点もあるわけでありまして、実は、私はこの法案を出すにつきましては、全くこの程度の法案を出して御審議願うという、そうしていまの時代に合うかということになると、まことに微々たる改正にすぎぬじゃないかと、そんなことでこの時代の社会情勢に対応できるかという反論は、当然もうおしかりをいただかなくちゃならぬ。しかしまた行政にも限界があるというようなことも考えて、土地問題あるいは許可の問題等につきましては、一部前進だという考え方、そして与党の中にも野党の中にも、この際、法案はこの程度であっても出しなさいというような強い要請もありまして、私も提案に踏み切ったわけですが、この程度の法案の内容で十分だとは私も考えてはおりません。今後あらゆる努力をして、近い将来にこれを全面的に改正をしなくちゃならぬということだけは心にきめておるわけでございます。
#5
○沢田政治君 大臣もこの程度の改正で今日的な要請にこたえることができぬというか、矛盾をお認めのようですから、これ以上この問題には私は触れません。が、しかしながら、これだけで公有水面埋立法が今日的な要請にこたえるということじゃ、私はやっぱりここでもう審議に値しないんですよ、こんな小手先だけの問題では。だけれども、やはりこれだけではこれはいかぬと、最も近い将来に抜本的な、今日的な要請にこたえるような改正をすべきだと大臣が言っておるんで、そういう意味で私は信用するわけですが、どだいこの法律の、何というか、誕生した立法当時の背景を見ますと、埋め立てをする、促進をするというのがこれは主になっているわけだね。その阻害要因というもの、埋め立ての阻害要因というものを排除をしょう、埋め立てすることが前提だと、今日的だと、こういう法律になっているわけだ。今日的な要請とは全く逆なわけですね。
 たとえば大正十年に、この法律が制定されたときの提案趣旨が述べられていますね。若干時間かかりますが、読んでみますが、「現行法ハ公有水面埋立ニ関シマシテハ至テ不備デアリマス。即チ明治二十三年ノ勅令デ官有地取扱規則中ニ僅ニ一箇条アルノミデアリマス。其条文ハ「官ニ属スル公有水面ヲ埋立テ民有地トナサンコトヲ請フモノアルトキハ公衆ノ妨害トナラザル部分ニ限リ之ヲ許スコトヲ得」ト云フ一箇条デアリマス。ソレデ内務省ニ於テハ其不備ヲ補足スベク訓令等ヲ以テソレゾレ取扱手続等ヲ拵へ今日マデヤツテ参りマシタケレドモ、如何ニモ規定が不備、不完全デアリマスカラ、其企業ノ円滑ニ行ハルル事モ困難デアリマス。殊ニ埋立区域内ニ他人ノ権利ガ存在シマス場合ニハ、一々権利者ノ同意承諾ヲ得ルニ非ザレバ埋立ヲ為ス事ガ出来ナイト云フヤウナコトニナツテ居リマスカラ勢ヒトシテ有利有益ナル所ノ埋立事業モ、埋立区域内ニ於ケル所ノ既設ノ権利ノ為二、遂二阻碍サレテ出来ナイ。若シ然ズバ不相当ナル冗費ヲ負担シナケレバナラヌ」云々と、こう言っているわけだ。企業のために埋め立てさしてやろうと。しかも、その既存の埋め立て地内の権利、漁業権とか、そういうものをさしていると思うのだけれども、こういうものを極力排除していこうと――排除ということばは適当かどうかわからぬけれども――解消さしていこうと、こういうことでありまして、埋め立てさせることに目的があるわけだ。ところが今日は、埋め立てによって、その結果起こる自然破壊、環境破壊、生活権の圧迫、一方においては利潤追求の場になっている。さらにはまた、投機の対象にもなって、地価の高騰の原因にもなっている。これは逆な立場に今日立たなくちゃならぬわけですね。そういうことでありますから、まあ大臣がいま程度の改正じゃとても今日的な要請にこたえ得られぬということを言っておりましたから、大臣はその程度でいいですが、これは事務当局のほうとしても、最も近い将来にやっぱり作業をしていかなくちゃならぬと思いますね。いまの大臣の言を受けて、事務当局は、これだけで糊塗してもう五、六年やっていくということじゃ、私としてはこれは重大な問題だと思うんですよ。各方面からこの問題に対していろいろな意見を提起されているわけだ、現行法の矛盾というものを。どうですか、河川局長。
#6
○政府委員(松村賢吉君) この公有水面埋立法につきましては、先ほど大臣から申されたとおり、私どもも完全なものとは今度の改正は思っていないわけでございます。ただし、この改正の内容につきまして、埋め立て地の所属の問題、その他根本的な問題が非常にあります。それで関係各省も、いろいろ関係するところも多い。こういうところから、この問題を詰めるには、かなりの日にちを要するということから、まあ不満足ではありますけれども、この一部を改正いたしまして、今日の要請に対しましても、一歩前進ということを考えておるわけでございます。したがいまして、今後ともこの抜本的改正につきましては、この内容の検討あるいは打ち合わせ、必要に応じては委員会等を設けまして、いろいろ結論を出す必要もあろうと思います。こういうことによりまして完全な抜本改正を行なおうということで、今後引き続きましてこの努力をしていく所存でございます。
#7
○沢田政治君 局長が一歩前進と、こう言っているわけですが、私も一歩も前進しておらぬということは言っておりませんが、しかし一歩前進といっても、今日的な要請から見たならば、そういう視点から見たならば前進しておりませんよ、これは。若干手直しをして、色合いをつけたと、こういう程度に私はすぎないと思うんです。たとえば先ほど申し上げましたように、埋め立ての免許、あるいは埋め立て地の権利の移動、用途の変更等については若干の手直しをしていると、これだけじゃもう今日的な要請にこたえておらぬわけでありますよ。でありますから、最もいま公有水面の埋め立てにとって、それをめぐる問題で一番解決しなくちゃならぬ緊急な、しかも重要な問題と思う点は何かですね。その現状把握、現状の矛盾、今日的な要請の内容というものをどういうように受けとめているか。将来抜本改正の際、いま程度の改正で若干の前進だということじゃこれは大きな期待持てないわけだから、どういう問題が今日起こっておるのか、その現状理解というのが、現状認識というものが重要な私はポイントになると思うんですよ。また事務的な若干の改正をして、これ一歩前進だということじゃ、これはたいへんだと思いますね。私は何も公有水面を埋め立てるなということを言ってるんじゃないんですよ。必要な場合には埋め立ててもいいでしょう。それによってもたらされるメリットとデメリットですね、これを検討してみなくちゃならぬと思いますね。法制定当時のように企業の利潤追求という視点ではないんですよ。国民的な視野に立ってメリット、デメリットをどう判断するかということが大きな問題だと思いますね。ただやみくもに反対しているわけじゃないわけです。そういう立場に立って何が今日問題なのか。一応、将来法案をまた手直しする際に、抜本改正する際にこれは重要なかなめになりますので、現状認識、理解、どう考えておるのか、何がいま問題なのか、この点から御見解をお伺いしておきたいと思います。
#8
○政府委員(川田陽吉君) お答え申し上げます。
 法案の体系の問題として、体裁の問題として一つございます。御承知のように、現在の大正十年の公有水面埋立法は全くの手続法という体裁で法案が、法文が整えられておりますが、また、そのために長い寿命を今日まで続けてきたわけでございますが、単なる手続法、純粋の手続法ということでいいのかどうか。すなわち計画法、埋め立てについての一つのビジョンというようなものがはっきり出てくるような、そういう計画法というようなものを加味する必要があるのではないかというような点が一つ形式の問題として大きな問題だと思っております。
 それから内容の問題につきましては、先生たびたび御指摘のように、公有水面の埋め立て、海面の埋め立てというような問題に伴います環境上のもろもろの問題、それから埋め立てられた土地の利用のあり方についての問題。住宅用地あるいは公共用地としての利用のほかに、工業用地その他のいろんな、農業用地はもちろんのこと、いろいろな目的に供されておりますが、今後埋め立て地の利用のあり方としてはどういうのが望ましいかというような点。それから現在長い歴史のもとに、公有水面を埋め立てた場合には埋め立てた人に所有権を原始取得させるという法体系になっておりますが、そういう考え方でいいのかどうか、いろいろ土地所有権は与えないで利用権だけ与えるという考え方もあるではないかというような御指摘もいただいております。それから、そういった所有権を認めないとすればこういう問題は解決するわけでございますが、かりに所有権を認めた場合には、その埋め立てられた土地が転々売買されるということに対する規制のあり方、今回の改正では、この点については十分私どもとしては配慮したつもりでございますが、なお、さらに検討を続ける必要もあろうかと思います。それから埋め立てられた土地の利用につきましてどれだけの期間、一体利用規制について官庁として関与し得るかというようないろいろ基本的な問題がたくさんございます。そのような問題につきまして各方面の意見も十分聞きながら、また私どもとしても資料等十分準備いたしまして、引き続き常に全文改正というものに対する努力を怠らないでやっていかなければならないというふうに考えております。
#9
○沢田政治君 川田次長、あんた内容を知っているんだよ。つまり、なぜやらぬかということですね。自然環境が破壊されるということも言っておりますし、また自然環境の破壊と同じ意味を持つわけですが、海域、湖沼等の汚染公害等の発生ですね、まあ内水面漁業等の破綻ですね、ハマチが何ぼ死んだとか、瀬戸内海なんかでたいへんなことになっているわけですね。一方においては、埋め立て地がコンビナートになるわけだから、過疎過密の一つの原動力になっていると、こういうことも知っておるし、しかもこれは私有権に移すことがどうかと、また利用権を与えたとしても、それを変更する場合にどうかという矛盾ですね。十年ということを一応規定しておりますね、それでいいのかどうかということも知っているわけだ。だから、問題点知っているわけですね、あんたのほうも。その意味においては、今日的な要請というものは何かということは知っているわけだ。それをあえて今度やらなかった理由ですね。特に建設省等では、土地問題解決の場合には私権の制限もあえて辞さないと、こういうことを言っておるでしょう。まあ、しかし憲法の私有財産権もありますから、そう簡単にはいくまいと思いますが、この場合は憲法も何もないわけだよ、国の公有水面なんだからね。もう頭でこれはだめですと、今度埋め立てた土地は、利用権は与えますけれども、もう私有権という財産権は与えませんと言ったらそれで終わりでしょう。憲法との関連なんというものはないわけだ。憲法との関連あるものも、公共の立場に立って考えなくちゃならぬという今日にですね、憲法との関連が全然出てこないこういう問題を、私有権を与えるということを容認するということは、言っていることと考えていることと違うと、たてまえと本音と違うと、こう言われてもちょっと弁解の余地ないでしょう。大臣が先ほど言ったことばの中には、もっと抜本的に改正しなくちゃならぬと言ってますから、私の言っていることを含めて考えていると思うわけだ。だから、事務当局はなぜそれを踏み切れなかったか、踏み切れない要素がどこにあったのか、財界が反対するのかどうか、利害関係者の特に大もののほうが反対するのかどうかですね。そこまで踏み切れなかった理由ですね。いままで立法の作業をしてきたんだから、どういうことでこれ踏み切れなかったのか、川田次長、あんたがこの担当者らしいから、ちょっと答えてください。
#10
○政府委員(川田陽吉君) 大正十年に制定されましてからこの公有水面埋立法は一度も改正されておらないわけでございます。そうした中で一度に全文改正に飛び込むというためにはやはり相当の期間を要するわけでございます。しかしながら、一方において最近の社会、経済環境の変化に伴いまして、環境保全上の見地から、現行法――行政運用だけでカバーし切れない面もございます。また権利転々売買等についても法律をもってはっきりとして規制したほうがよろしいというような、まあ先生からは小手先改正との御指摘をいただきましたが、一挙に全文改正に飛び込む前に、やはりその予備的な段階としまして、一度、一部改正という形によりまして、とにかく現実にある程度即した解決も一歩前進と私ども考えているわけですが、そういう法案の全体の姿を抜本的に変えることなく、できるならば一部の手直しである程度現状の、何と申しますか、解決をはかったほうがよろしいではないかという考えでやったわけでございます。
 また、特に所有権付与の問題でございますが、公有水面埋立法のまたその前身である官有地取扱規則の第十二条の条文を先生が御披露されましたが、そのように長い歴史のもとに埋め立てに対する所有権付与という、そういう現実もございますので、一部改正の段階としてはなかなかそこまで踏み切れないという点がございました。また、もうちょっと事務的にお答え申し上げますと、現在国有財産の払い下げという制度があるわけでございますが、そういった意味でこの公有水面の埋め立てについて全くその所有権の付与を認めないという、これはまあいろいろな形の埋め立てがございますので、すべての埋め立てについて全部所有権付与を認めないということが現状に即しているかどうかという点についても私どもとしてはなかなか踏み切れないという問題がございます。所有権を国に保有するのか、あるいは公共団体に保留するのかというような問題もございますし、管理上のそういった使用権だけを与えて、底地権と申しますか、所有権を国または公共団体に保有した場合の管理上のいろいろな問題等についてのさらに慎重な検討を必要とするというようなことで、一部改正でございますので、その点まではなかなか踏み込むことができなかったということでございます。
#11
○沢田政治君 まあ、いろいろなことを言っていますが、今日の土地問題、地価問題見たらわかるでしょう。これが、この土地を私権に属させておいたと。これは外国でも資本主義国家は私有権があるわけですが、特にそれが投機の対象になる、こういうところが土地の大きな隘路になっていることはもう御承知のとおりですね。でありますから、土地問題にメスを入れるためには、いつかこれは避けて通ることのできない一つの道程だと思いますね。が、しかしながら、大正十年来大きな改正をしないで今日まできたので、一回にやるならば、これはショック死するから、徐々に薬にならしていこうというような適当なことを言っていますが、だれがショック死するのか私はわかりませんがね。まあ、その苦心のほどもわかりますよ、そういう立場に立てば。私は別の立場に立っているものだから、そういうショックとかなんとかじゃない国民のショックのほうが大きいと思うから、思い切ってこの際改正しなさい、こう言っているわけだね。しかし、これはあなたとこの種の応酬をしても解決する問題じゃない。しかしながら、五、六年この模様を見てということになると、土地問題と関連して、やがては――今国会は来ないだろうと思いますが、国総法等も来るわけだ。必ずこれはやっぱり問題になりますね。だから、あと五年とか六年じゃなく、来年の通常国会にでも出すような準備はぜひともこれは進めてもらいたい。そうでなければ、いろいろな関連法案が出た場合でも、この問題が大きな目になることだけは私は警告しておきたいと思います。
 そこで今度まあ願書とか図面ですね、これを地域住民に縦覧する、しかも三週間以内に、まあ意見があった場合は意見を、何というか述べろと。この三週間というのはどういう観点から三週間――三週間で周知徹底するというふうに考えたのか、この三週間という期限を区切ったその三週間の求めどころは、これはどういう根拠があるわけですか。
#12
○政府委員(川田陽吉君) 縦覧期間の三週間という考え方につきましては、一般の立法例によりますと大体二週間でございます。まあ何週間が一番適当であるかということにつきましては、私どもとしては他の立法例等との均衡も考えまして本来二週間でいいのではないかと考えたわけでございますが、特に三週間にいたしました理由は、今回の改正によりまして、公有水面埋め立ての願書が都道府県知事に提出された場合には、都道府県知事は告示をする、受け付けた都道府県知事はまず直ちに告示をするわけでございますが、告示をしたときは遅滞なくその旨を関係都道府県知事に通知すべしということで、関係県の都道府県知事にもそれを通知する、そうして関係県の都道府県知事はその通知を受け取って、またそれを告示するというふうにしてございますので、二週間のほかにさらに関係都道府県知事に対する連絡、そして告示という期間等も配慮いたしまして、さらに一週間加えまして三週間というふうにした次第でございます。
#13
○沢田政治君 まあ三週間、二週間の問題はそれとして、しからば、地域住民が、ここを埋め立てられたんでは自然環境が大きく破壊されると、保全できぬと、生活にも影響すると、こういうことで反対の意見を提出した場合はどう扱いますか。それは法文の中には何もないわけだ。意見の出しつばなしだ。これどういうように締めくくって、どういうように生かすのか、判断の材料にするのかさだかでないわけだ。まあ一応意見ぐらい聞いておかなくちゃ、やっぱり反対のパワーが強くなるから、ひとつクッションを置いて意見書くらい提出させようというような軽い意味なのか。そうだとするならば、やっぱり現状認識に欠けていると思うのですよね。どう扱うのですか。扱うとすれば、どの条文で、どの政令で、どういうふうに扱うのか。幾らこれを読んでみても、改正案読んでみても、その扱いというものは明確じゃないのですね。どうなりますか、この意見書は。
#14
○政府委員(川田陽吉君) 今回の意見書の提出の制度は、本来免許を下す都道府県知事の判断の資料として必要であるという考え方で、免許処分にしかるべき意見書は反映させなければならないという考え方でございますが、法律上の直接のつながりはございませんけれども、しかし今回の改正によりまして、第四条に免許基準を法律上入れてございます。で、都道府県知事は免許の申請があった場合に、出願事項が左の各号に適合すると認める場合のほか「埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ズ」ということで、法律上の免許基準を定めております。「国土利用上適正且合理的ナルコト」とか、「其ノ埋立が環環保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」とか、それから「埋立地ノ用途が土地利用又ハ環境保全ニ関スル国又ハ地方公共団体ノ法律ニ基ク計画ニ違背セザルコト」とか、「埋立地ノ用途ニ照シ公共施設ノ配置及規模が適正ナルコト」とか、それから分譲用の埋め立てにつきましては、「出願人が公共団体其ノ他政令ヲ以テ定ムル者ナルコト」とか、「出願人が其ノ埋立ヲ遂行スルニ足ル資力及信用ヲ有スルコト」とか、いろんなそういう都道府県知事の免許基準を法律上与えております。そうした免許基準の背景となる具体的な意見として都道府県知事はその意見書をしんしゃくするわけでございまして、先生御指摘のように直接法律上のつながりは持たせておりませんが、運用上そういうことでこの意見書というものが取り扱われるわけでございます。
#15
○沢田政治君 この免許基準はわかっております。しかし、この免許基準というのも非常に抽象的ですね。知事がこれはもう自然環境に大きい影響を来たさないというように、こう主観で考えればいいのだからね。そこには科学的な、どうなってどうなるというところまで調査する必要もないし、そう思ったということでいいんだからね。だから、これは私は知事に全部この権限を集中するということはどうかと思うんですよ。免許権者も知事でしょう、また、県知事が事業を行なう場合には、これはもう事業主体でもあるわな。そうしてまた補償する場合の裁定者でもあるわね。立法、司法、行政一手に握っているわけだ、この場合ね。これで公正な地域住民の意見というものは吸収されないですよ、実際問題としてですね。なぜ、たとえば免許する場合なら免許する場合、それを審議する第三者的な審議会なんかの答申を得て最終的にこれは知事が認可するとか、あるいはまた補償する場合ですね、漁業等におけるそういう場合、第三者的な公正なものを置いてその機関でこれを裁定すると、こういうようにしないんですか。これおかしいですよ、他の法案から見ても。一人の地方長官、昔でいえば地方長官、いま知事ですね。それが全部自分の判断でやるという、こんな代官政治的な、こういうやっぱり手法というのはないんですよね。これもやっぱりかたかな、何というか法律のこれは弊害ですわ、最たるものですわね。こういうことぐらい、こういう矛盾というものをあなた方は知っているはずですよ。知っているけれども、このほうがやりやすいということだと思うんですよ、あなた方からいえば。埋め立てを促進させてやろうという立場に立つ限りは、一人の人間が全部判断してやるんだから、これは非常にスムーズにいくわね。だから、こういう矛盾考えないんですか。建設省の他の法案でもいろいろな法案あるけれども、まだ他の別の法案ありますけれども、大体そういうのを分けてやっていますわな。一つのものが認可して事業もやり補償もするという、こんなばかなことはないんですものね。そういう矛盾考えたんですか。考えたならば、なぜこういうような形に依然としてなっているのか、この点はいかがですか。
#16
○政府委員(川田陽吉君) まあ都道府県知事にそういった権限を集中しているということは先生御指摘のとおりでございますが、審議会というものの性格というようなものから考えまして、公害対策の審議会もありますれば、また地方開発的な審議会もありますし、一体どのような性格の審議会が一番ふさわしいかというようなこともいろいろ問題になるわけでございます。知事そのものの行動というのはいろいろ多くの人格に分かれておりますので、いろんな法律によってそれぞれの役割りを持たされているわけでございますが、同時に県会とか、いろいろなそういった委員会というようなものの規制も現実の問題として受けております。そこで今回の改正におきましては、知事というものの地位を旧法、本法のスタイルのままに残しておいたわけでございます。それから補償の裁定の問題につきましては、いろいろな立法例等でいろんなまだ行き方をしておられることは先生の御指摘のとおりでございますが、一言にして申し上げますと、都道府県知事というものの性格を地域社会における一番そうした実情について詳しい存在であるということから、今回の改正においても旧法のままにしておいたわけでございますが、現実的な運用を、かりに不服がある人の不服を押し切って強行するというような法律の運用であるとすれば、これはなかなかやはり問題が大きいかと思いますが、そのような運用も現実的には行なわれておりませんので、今回の改正においてはその点には触れなかった次第でございます。
#17
○沢田政治君 あなたの言うことを聞いていますと、知事というものはその地域のすべてに精通しておるんだから万々間違いがなかろうと、こういうことに尽きるわけだ。まあ他の立法例もあるからということをつけ加えておりますが、要約しますと、知事は全部知っているんだからそう地域住民とかけ離れた判断とかそういうものを示さぬだろうというような、人間性善説というような意味のそういうような抽象的なこと言っているわけですが、どんなに英邁な人間でも間違いというものはありますよね、主観というものはね。でありますから、あなたの論法でいくならば、頭のいい独裁者の政治のほうが民主主義よりいいということになるわけだ、これはね。やっぱり一人の人間というのは間違いをおかしやすいんですよ、これはね。だから遠道かもわからないけれども、みんな衆知を集めて甲論乙駁して出る結論がいいということになっているでしょう、今日の議会制度でも。根拠にならぬと思いますよね。弁解としては、私は一つの弁解としては受け取りますけれども、特に利害が相錯綜して地域住民が被害を受ける政治の焦点になっている問題でありますから、知事は何でも知っているんだからそのほうがいいというのは、これは弁解とか一つの答弁にはなるけれども、やっぱり今日的な実態というものを理解してない証拠だと思いますよ。
 まあ、それを言っておってもしようがありませんから他に移りますが、第三条第三項の「利害関係ヲ有スル者」という利害関係者というのはどういう範囲ですか、これは。まあ「利害関係ヲ有スル者」ということになると、ある場合は国民全部、その地域に住んでおる者は全部利害関係者だと思いますね。これはどこでどうしぼっているんですか。一応利害関係者の範囲というものをあなたがいま考えておる、また政令にある利害関係者はどういうものか、ここに明らかにしてもらいたいと思います。
#18
○政府委員(川田陽吉君) 「其ノ埋立ニ関シ利害関係ヲ有スル者」の概念についてのお尋ねでございますが、これは意見書を提出することができる人のまあいわば資格を書いたわけでございますが、たいへんばくとした答えでございますが、自分自身が「利害関係ヲ有スル」と考える人は意見書を提出することができると、したがいまして、これを特に限定的に、制限的に考える必要はないと考えております。
#19
○沢田政治君 そうなると自分の主観で、おれは利害関係があると、こう自分で自認できる者は全部意見書を出せるわけですね、そうでしょう。
#20
○政府委員(川田陽吉君) はい、さようでございます。
#21
○沢田政治君 たとえばこういう場合どうなりますか。漁協で――漁業組合ですね、これは公有水面を埋め立てるということになりますと漁業権との相関連が出てくるわけだから、一番先に利害関係が大きくクローズアップされるのはやっぱり漁業権の問題だと思いますね。魚の問題だと思います。その場合、漁業協同組合によって、ひとつこれは協力してやろうということで、組合長さんが多数派工作をして、三分の二ぐらいでこれはいいと、よろしいと、こう承諾しますね。その場合個々の組合員が何というか利害関係あるんだからね、組合というものよりも組合員があるんだから。単に漁協が三分の二でそういう決議をした場合でも、個々の組合員というものは当然意見書を出せるわけですか、この場合。
#22
○政府委員(川田陽吉君) 漁業権との関連につきましてお答え申し上げますと、都道府県知事が埋め立ての免許をおろす前に一番大事な要件は、当該埋め立てられる公有水面に関して権利を有する者が埋め立てに同意したときでなければ免許をおろすことはできないということでございます。そこで漁業権を持っているものは漁業協同組合でございますから、漁業協同組合が成規の手続によりまして漁業権の放棄に同意するとか、埋め立てに同意するとかという手続がとられた場合には、まず公有水面埋立法第四条の重要な要件が充足されるわけでございますが、そのほかにこの意見書を提出することを認めている趣旨は、直接の権利者以外でその埋め立てに関し利害関係を有していると考えている人は意見書を出すことができるわけでございますから、組合員としての資格以外で、住民の立場で当然意見書を反対なら反対ということで提出することができるわけでございます。
#23
○沢田政治君 質問の内容をあまり整理しておりませんので、あちこち飛ぶと思いますが、その点は整理して聞いていただきたいと思います。
 干拓も埋め立ての中に含まっておるわけですね。法律のタイトルは公有水面埋立法ですが、これは立法のときも干拓がどうかということは議論になったようです、当時の議事録を見ますとですね。いずれにしても、水を埋めるか、水をこのままで干すかして土地をつくるんだから、これは埋め立てだということで今日のように適用になっておるようですが、特に八郎潟の干拓ですが、これは農林省の京谷さんですか、来ていますね、これも相当の国費を投じて干拓を終わったわけですが、この計画がどの段階まで進んで、どうなって、将来どうなるのか、私の地元でありますが、あまり精細なこまかいことはわかりませんので、ひとつこの際お聞きしておきたいと思います。
#24
○説明員(京谷昭夫君) ただいま御質問のございました八郎潟におきます私どものほうで行なっております干拓事業の状況について若干御説明いたします。
 御承知のとおり、八郎潟におきます干拓事業でございますが、昭和三十二年に農林省の直轄事業といたしまして干拓事業に着手したわけでございますが、現在なお事業は継続中でございます。で、三十二年以降事業に着手して進められてきておるわけですが、御承知のとおり、この干拓事業の構想は、八郎潟におきまして干拓を行ないまして約一万五千ヘクタールを若干上回る土地を造成しまして、ここに大規模で生産性の高い農業経営を多数育成していくという、いわば新農村の建設ということを基本的な目標にいたしまして仕事を進めてきておるわけでございます。この国営の干拓事業と並行しまして、でき上がった土地の上をりっぱな農地にし、あるいは農業者等の構成する新しい村での生活環境整備といったような仕事を国営事業と並行的に進めるために、先生御案内のとおりでございますが、昭和四十年に八郎潟新農村建設事業団という特殊法人をつくりまして、先ほど来申し上げております国営の干拓事業と並行しまして、でき上がった土地の上でいろいろな施設整備を行なう、あるいは選定されました農家に対しまして営農上の訓練あるいは指導をするというような業務を行なってきておるわけでございます。この冒頭に申し上げました国営の干拓事業あるいはただいま申し上げました事業団の各種の業務は、それなりのテンポで進んでおりまして、昭和四十七年度末には一万五千ヘクタールの造成土地のうち約半数、七千八百ヘクタールほどについては一応所要の工事が完了したと、こういう状況に相なっております。それで、この完了した土地につきましては、すでに現実の土地利用、農地として利用される状態が生じておりまして、全国から募集されました入植農家約四百六十戸のほかに、地元の増反用地として配分された土地について農業がすでに行なわれているところであります。それで残余の土地につきましても、若干なお補足的な工事が残っておりますので、四十八年度以降数カ年をかけまして所要の工事を行ないまして、御承知のとおりでございましょうが、四十八年度に残った土地の利用計画を立てまして、新規入植者を募集選考の上、土地利用をはかってまいりたい、かような状況になっております。
#25
○沢田政治君 一万五千ヘクタールの農地といいますか土地を造成して、七千八百ヘクタールですか、四百六十戸ですか入植を完了しているわけですね。まだ残存の土地があるわけですね。これはいま何次までですか。ことしで四十八年度ですか、これで入植は完了すると、まあ一応終わると、こういう話を聞いているわけです。そうすると、いま現在七千八百ヘクタールだから、まだ残存地があるわけですね。だから、これを将来どうするのかという問題点が一つ。
 それと、ここの八郎潟というのは、湖岸の方々が半農半漁で生活しておったわけだ。ところが当時の食糧事情からいって、食糧増産というものは至上課題だと、こういうことで、漁業権を放棄したわけだね、放棄というか、補償は何がしかはあったわけですけれども。したがって、時代の要請に自分が犠牲になろうと、こういう気持ちで漁業権を放棄したと思いますよね。相当反対運動もあったわけですが、最終的にはそういう国家的な要請だからということで納得せしめられたわけですね。しかし一面においては、これは国費で土地を造成しているわけでありますから、これは秋田県のものだけじゃないから、今日までは全国的にこれを募集してきたという背景もこれはわかります。しかし今度で最終だと、こういうことになっておるわけでありますから、何とかやっぱりこの地元の人方を優先してもらわなければ困ると、こういう意向も一面これは強くなってきているのも無理からぬことだと思うわけだ。だれに言われたわけじゃない、だれに許可されたわけじゃない、徳川時代から自分で魚をとってきたところだから、やっぱりそれを放棄したのだから、そこで生活をして半農半漁でやってきた方々は、これはやっぱり地先増反もしてもらいたいし、また一ヘクタールぐらいの土地を全部手放して整理して、そして全部あそこへ移りたいという方もたくさんおるわけですね。でありますから、質問を要約しますと、残っておる土地を将来何に使うのか、それと今年最終といわれるこの入植について、地元優先というようなそういう声があるわけだから、そういう声にこたえてどういう選考方法でやるのか、この点はどうなっていますか。
#26
○説明員(京谷昭夫君) ただいまの御質問にお答えいたします。
 先ほどお答えしました八郎潟新農村建設事業に伴います造成地の未竣功部分、約七千八百ヘクタール確かにございます。これの自後の土地利用計画につきましては、なお詳細につきまして、地元の秋田県当局ともいろいろ詳細に詰めていかなければいかぬ面が残っておりますけれども、私どもの基本的な考え方としては、やはり大部分は農地として、意欲、能力のある農家の方々へ配分をして、その利用をはかってまいりたい、と同時に相当大量の農家が入植することになりますので、これらの人々が生活するために必要な公用、公共用施設の用地として必要な面積を確保していくというようなことを考えておるわけでございます。
 それで、さすればその農地として利用する部分について、今後どういうふうな配分をしていくかということでございますが、これも先生御案内のとおり、実は過去四回にわたりまして入植者を選考し、土地の配分を行なってきたわけでございます。それで、この入植者の選考にあたりましては、一部地元増反用地もございますけれども、大部分につきましては、この八郎潟の新農村建設事業という性格からしまして、全国的な視野から、それなりの意欲、能力を持った優秀な農家の方々を全国的に募集しまして、選考を経た後、ほかの地域では求められない条件の整った八郎潟で新しい農業経営をやっていく状態にするという考え方で選考してきたわけでございますが、四十八年度に予定しております入植者の募集、選考にあたりましても基本的には従来の考え方を踏襲いたしたい、かように思っておるわけでございます。確かに、先生御指摘のように、地元秋田県の御事情から県当局からも、今回の入植者の選考にあたっては地元優先という考え方をとってくれという要望をたいへん強く私ども受けております。ただ、先ほど申し上げましたように、この八郎潟新農村建設事業は全国的な観点で始めた仕事であり、私どもとしては、先ほど申し上げました基本方針はこの今回行なわれる最終の入植者募集にあたっても貫きたい、かように思っておるわけでございます。ただ、実際問題としまして、過去の入植者の選考にあたりましても、結果的には非常に関心が深いあるいは非常に能力の高い方々がおられるということもありまして、秋田県出身者のウエートが、入植募集をしまして、現在、入植選考で選ばれまして入っている方々の約半数を占めております。したがいまして、基本的に従来方式の募集選考方法をとることであっても、地元優先と申しましょうか、あるいは地元の方々が選考を経てそれなりのシェアを確保するという結果は十分期待できるのではなかろうか、かように思っております。いずれにいたしましても、この入植者募集、選考の問題につきましては、将来それぞれ地元の秋田県民あるいは大潟村の村民として定住される方々の選定の問題でございますので、私どもの一存だけではなく秋田県当局の御意向等十分調整しながら進めてまいりたい、かように思っております。
#27
○沢田政治君 残存農地というのか、残存造成地ですね、いままでのやり方はやはり所有権を個人のものに帰属するわけだ。そうじゃなく、いま土地問題こんなに叫ばれておるし、深刻な問題になっておるわけですから、土地の使用権のみを与えるということを将来考えるべきだと私は思いますね。やはり土地の所有権というものもいろいろな土地問題の根になっていますから、まあモデル農村をつくるという目的でやったわけですが、将来十年、十五年後に転売しちゃって業者が買い占めて、あそこは国定公園のそばでありますが、スモッグが立ち込める日もなしとは言えないと思います。そういう意味もありますから、一そうこの際いままで所有権に帰属せしめたものはこれはしようがないとして、将来は利用権だけ与えてやる、こういう方法が考えられないかどうか。これも政府の土地政策の大きな一環になると思いますね。そういう関連もあると思いますが、そういうことの検討をしたことがあるのかないのか。
 もう一つは、残存造成地が工業地帯になるんじゃないかといったうわさも出ているわけだ。これはうわさの域を出ないと思います。一時は飛行場とか自衛隊で目をつけたということで、盛んに上を自衛隊のジェット機が飛んで、これは何か飛行場にされるんじゃないか、こういう警戒の念を地域住民が持ったことも一時あります。まあ秋田県が民間飛行場をあそこじゃない別のほうに選んだようですから、民間飛行場についてはあの地点じゃないということはこれは明らかになりました。飛行場もしくは工業地帯にあそこをするという考えがあったならば私はたいへんだと思います。なぜならば、あそこの半農半漁の方々が漁業権を放棄する際には、国家的な食糧増産だということでこれを手放したわけでありますから、また利潤追求の場になる工業用地になるということになると、これは事情が違うわけだ。もう一回補償し直さなくちゃならぬということがこれは出てくると思いますね。でありますから、あくまでもあそこは当初の目的どおり日本のモデル農村を建設するんだ、生産性の高い一つの模範的な農業地帯にするんだという線をくずしておらぬのかどうか、この点はいかがですか。
#28
○説明員(京谷昭夫君) まず御質問のあとの部分でございますが、八郎潟の新農村建設事業ででき上がった土地を将来工業用地として使う可能性はないのかという御質問でございます。これは私どもといたしましては、先生から御指摘いただきましたように、あくまでも私どもがこの事業に着手した当初に考えておりました模範的な新農村をつくるという目的を逸脱することのないような土地利用をはかりたい、かように考えております。現実にそれを担保する手段としましては、御承知のとおり、農地利用が始まりますれば、農地法による利用規制あるいは土地改良法に基づきます目的規制がそれぞ働くことになりますので、そういった諸制度を十分活用いたしまして、新農村建設という大目的に反するような事態を招かぬようにつとめてまいりたいと思います。
 それから御質問の前段の、一般的に干拓事業としてでき上がった土地の処分の形態として、所有権を個々の農家に与えるという方式ではなくて、利用権を設定するという方式が考えられないかという点でございますが、御指摘のとおり農業自身におきましても土地問題、たいへん私どもにも大きな課題でございます。そこで、干拓事業によってでき上がった土地を利用権を設定するという方式で処分してはどうかという議論は、実は内部でも率直に申しまして数次にわたっていろいろ検討してございます。ただ御承知のとおり、現在の土地改良法の背景に従って行なわれている干拓事業の造成地の処分のしかたというのは、原則的にはやはり個々の農家に所有権を持たせ、その所有権に基づいて耕作の業務を営む、そういう農業形態を基本としておりますので、一般的に利用権設定方式に切りかえるということは非常に現制度のもとではむずかしいであろうということで、実は八郎潟の未竣功地――竣功地はすでに個人配分しておるわけですけれども、残っておる部分についても個人配分を原則として進めてまいりたい。ただ、これも先生御案内のことでございますが、各都道府県に農地保有合理化法人というのが設立されておりまして、農地保有合理化法人の業務といたしまして、農地の売買業務を行なうほかに、土地の貸し付け業務をやる、購入した土地を一定期間貸し付けるというような業務を行なう特別の法人が設けられております。まだこの農地保有合理化法人の活動は、発足して間もないこともありまして、必ずしも円滑に動いておりませんけれども、将来そういった農地保有合理化法人の活動を干拓地の処分にあたって考えていくというようなこともあり得るのではないかということで、いろいろ内部での議論はございますけれども、具体的にそういったものをどういうふうに利用していくか、活用していくかということについてはなお若干の検討の期間をいただきたいと思っております。
#29
○沢田政治君 私は、利用権のみを与えて所有権を与えないほうがいいと、こういうのは別の面からも考えているんです。今日、一般の地価の高騰によって農地にもこれは波及しているわけです。でありますから、零細農からこれはもっと量的に拡大された農業に切りかえるということになっても、今日的には地価の問題、農地の問題から不可能です。これは。そうでしょう。ちょっと何かができるということになると坪一万円ぐらいする、農地であってさえもですね。こういうことでは、たとえば米を例にとっても十アール当たり六百キロぐらいですか、よくとれて六百キロですね。その価格から推算していくならば、とても十アール三百万円なんという土地を買った場合は、小学生の算術ではじいても、農業は成り立たぬですわね。でありますから、日本は零細農業だ、これをもう少し大型の農業にしなくちゃならぬということになっても、農地価格の面がブレーキになっていることは、これは事実であるわけです。そういうことでありますから、あそこをモデル農村にするならば、やはり所有権というものは県が持つか国が持つか、これは別ですよ、公で持っておって、利用権を与える、何というか一つの道しるべをつくったほうがいいじゃないかと、こういうふうに考えておりますので、この面についてはひとつ研究していただきたいと思っております。まあ農林省はそれでけっこうです。
 それから一体この公有水面の埋め立て権という権利が、これは公権であるか私権であるかですね。まあ私は私なりの議論はしません。いろいろいわれていますね。どっちにもとれるわけだね。どっちにもそれぞれの理由がある、法的にはね、事実に照らしてみるならば。これは一体建設省としては公権だと考えているのか、私権だと考えているのか、また、ある部分、ある段階まで公権であって、ある現実は私権だと考えているのか、これはどっちですか。どういう見地とどういう定説に立って考えているのか、この点をお聞きしたいと思うんです。
#30
○政府委員(川田陽吉君) 埋め立て権が公権であるかあるいは私権であるかという問題はたいへんこれはむずかしい問題でございますが、大正六年の大審院の判例におきましては「埋立権ハ、其ノ埋立ヲ条件トシテ之が所有権ヲ取得スルモノナレバ私権ノ範疇二属スルモノトス」という判例がございます。もちろん現在の公有水面埋立法が制定されましたのが大正十年でございますから、その前の判例ということになりますが、この法律の考え方自体といたしましても、やはり一種の財産権的な扱いをしているというふうに考えられます。しかしながら、完全な私権であるかどうかということになりますと、非常に公権的な色彩が強いというふうに私ども考えております。埋め立て権の母体となるような昔からの古い一種の埋め立て権、これを大なわ権とか、なわとかいうことで関東から西のほうでは大体法律制度が制定される前にそういう扱いが古くからされておりますが、そういう段階においては私権的な性格が非常に強いと思いますが、公有水面埋立法が制定されてから後の埋め立て権は私権ではありますけれども、公権的な色彩が非常に強い。すなわち埋め立て権の発生そのものが行政官庁の免許であり、その譲渡については行政官庁の許可が必要であるとか、それから埋め立て権の行使にあたっては相当強い行政権力を与えられて保護されているというような実態から逆に公権としての性格が非常に強い私権である。こういうふうに私どもは解して取り扱っておる次第でございます。
#31
○沢田政治君 私は別に法律論争好んでここでやるためにこの問題提起しておるのではなく、ただ、ここをきちんとしておかなければ――たとえば埋め立て免許にあたってこれは私有に属するわけですね、この土地がですね。そういう前提に立っているわけだ。その際でも公用または公共の用に供するために必要な土地もあるわけですね。これは私権であるということになると、個人的な財産を公のために使う場合には、簡単なことばでいえば適正な補償がなければそれを収用できないわけですね。その場合あくまでもこれは私権説ということになると何かの代償を与えなくちゃならぬでしょう。そうなると思うんですよね。この点は法律的にはこれは明確じゃないわけだ。だから、この点をやっぱり法律的に明確にしなければならぬじゃないかと思いますね。たとえば埋め立てた土地は何に使うかですね、これはわかりませんよ。わかりませんけれども、一般的に考えられる場合は、たとえば港の付近であるならば物揚げ場とか係船岸壁とか護岸とか堤塘とか道路その他の公共の用に何というか役立てなくちゃならぬ土地もあるわけですね。でありますから、こういう場合はどういう解釈でどうするのか。これはやはりきちんとしておかなければ争いが起こった場合これはたいへんになるわけだね。ただ大審院の大正六年ですか、判断どおりこれは私権だということでいくのか、これはやはり法律的にきちんとしておかなければならぬと思いますが、どうですか。
#32
○政府委員(川田陽吉君) 公有水面の埋め立て権は権利の分類、公権か、私権か、どちらの分類に入るかということになりますと、やはり私権であるというのが定説かと思いますが、しかし非常に公権に基づく制約が大きい私権である。もう純粋の私権ではなくては非常に公権的な色彩の強い私権であるというふうに私ども考えて運用いたしております。
#33
○沢田政治君 この点については私非常にまだ議論があるわけだ。だけれども、これは少し長くなりますから、私の質問きょうこれで終わるわけじゃないから、ひとつ残しておきたいと思ってます。
 それで今度免許されて埋め立てて個人の土地になったと、そういう場合、用途変更はどうなるんですか、今度の法改正において。
#34
○政府委員(川田陽吉君) 今回の改正におきましては二十九条の改正を行なっております。そうして二十九条では「第二十四条第一項ノ規定ニ依リ埋立地ノ所得権ヲ取得シタル者又ハ其ノ一般承継人ハ第二十二条第二項ノ告示ノ日ヨリ起算シ十年内二埋立地ヲ第十一条又ハ第十三条ノ二第二項ノ規定ニ依リ告示シタル用途ト異ル用途ニ供セムトスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ都道府県知事ノ許可ヲ受クベシ」、こういう原則が法律で規定されておりまして、ただし書きで「但シ公用又ハ公共ノ用ニ供セムトスルトキハ此ノ限ニ在ラズ」と、こういう規制をしております。すなわち埋め立て地が竣功いたしまして竣功認可の告示が出ますと所有権は埋め立てた人のところに原始取得されるわけでございますが、そうなったあとでも十年間は、埋め立て地を免許をもらった埋め立て用途以外の用途に使おうとするときには都道府県知事の許可が必要である、こういうことでございます。そして、どういう場合に許可するかということにつきましては各号の規定がございまして、一号は申請手続が形式要件にかなっていることということでございます、二号におきましては、埋め立て地を他の用途に使うということがほんとうにやむを得ざる事情があるかどうかということが一つ判断要素でございます。それからもう一つは、その埋め立て地の利用上適正かつ合理的な用途に供するものであるかどうかということ。それから新しい用途が土地利用または環境保全に関する国または地方公共団体の法律に基づく計画に違背していないことというような形式要件と実質要件が三つ全部かなっていなければ都道府県知事は許可することができないと、こういう法律の改正を行なっております。
#35
○沢田政治君 これはどうですか、たとえば住宅なら住宅をつくる、工場なら工場をつくる、こういうことで許可になるわけですね。また農地という場合もあるでしょう。それをですね、土地を取得した私人が許可の当時の条件以外の――その用はもう終わったと、こういう場合は当然国がその所有権というものを戻してもらう。こういうことはできぬものですか。私はここがくせものだと思うんですね。こういう用途に使うんだということで当初は許可を受ける。将来、これを売ったほうが得だと、転売ですね、これがやっぱり土地投機を生む一つの原因にもなっていくんじゃないかと思いますね。しかも、この変更の許可基準といいますか、これも非常に抽象的であいまいだ、厳密じゃない。こういう用に土地を使った場合非常に合理的だと小理屈をこねて別の用途に変更される可能性もあるわけだね。公の土地が投機の対象になる可能性ですね、非常にあるわけですね。したがって、許可条件、免許条件と違って使用する場合には国が一たんそれを戻してもらうと。利用権さえ与えておけばこれ問題ないけれども、所有権を与えるものだから、そういう措置でも講じて歯どめをかけなくちゃ、やはりこれは土地投機の一つの手段として使われる可能性があると思うんで、その点を考えてみましたか。
#36
○政府委員(川田陽吉君) 先生御指摘の点は、形式論から申し上げますと買い戻しの特約ということになるわけでございます。公有地をなるべく取得しておいたほうがいいということは一般的に私ども考えられるわけでございますが、同時に、いまの地方公共団体の実情としまして、積極的に何らかの行政目的あるいは公用目的に供するという計画がある場合には土地の取得をやってるわけでございます。一般的な保有地というものそのものを大規模な土地については考えられるわけでございますが、小口に分割された土地というものにつきましてそうしたことを全部やるかどうか、これも実行可能かどうかという点につきましてはやはり問題が残ると思うわけでございます。やはり基本的には大規模ないろいろ埋め立てがございます。五十ヘクタール以上の埋め立てというようなものについて、一括して国または地方公共団体が所有権をやっぱり最後まで保有しておくのがいいかどうかという問題としてこの問題は検討しなければならないのではないかというふうに私どもは考えております。
#37
○沢田政治君 埋め立てた土地の売却にあたって、従来は原価方式でおそらくなされてきたところが多いのじゃないかと思いますね。ところが実際の時価はそれとの相当の差があるわけです。そういうことから非常に仮需要なんということも出てくると思いますね。だから、原価が安ければその付近の地価を下げるんじゃなくて、逆に、時価が高いんだからそういうギャップが出てくると思いますね。そういうことで特定の買受者が膨大な利益をもたらすと、それがまたこの埋め立て熱を盛んにあおっておると、こういう一つの悪循環が今日的な現象として出てると思うのですよね。でありますから、従来の原価方式から時価方式、埋め立てて許可を得たけれどもあまりうまみがねえと、こういうようにやっぱり投機をあおる原因というものに水をかけておく必要があると思いますね。そういうことを考えておるかどうか。もちろんこれは公有地としたり利用権のみを貸与するという方式なら問題が起こらぬわけだけれども、あくまでも私有権ということになりますと、特に、何というか、投機の対象とか地価高騰の一つの原因になるものは一つ一つやっぱりチェックしていかなくちゃならぬと思いますね。この点についてどう考えていますか。
#38
○政府委員(川田陽吉君) 埋め立ての形態には大きく分けて二つの形態がございます。直接埋め立てた人が自分の用途のために使う場合、一番端的な場合は、港湾管理者が埋め立てて港湾の埠頭に使う場合とか、あるいは製鉄工場等が自分の庭先を直接埋め立ててそこに工場施設をつくる場合とか、そういう埋め立てをやった人が直接その土地を使うという場合と、それから県の企業局等が行なう埋め立てでございますが、大規模な埋め立てをやって、そうしてその埋め立て地を直接じゃなくて、国民と申しますか、そこをある目的で使いたいという人に分譲してやるという、そういう分譲の埋め立てと二種類あるわけでございますが、先生御指摘のとおりに、分譲用の埋め立てにつきまして造成原価で――造成原価プラスアルファの利息から事務管理費等を加えたそういう額で分譲するということにつきましては、まことに御指摘のとおりな弊害が従来ございます。埋め立ての事業計画がまず立てられまして、そこで、ひもつきでそうした進出企業等から資金を集めまして、でき上がりましたら原価計算をやって土地を割り当てるというようなことですと・最近の地価の値上がりから見てまいりますと、非常にその間に大きな地価の値上がり等がありまして、不当な利潤が発生しているのではないかというような御指摘を各方面から受けるわけでございますが、今回の改正におきましては四条の五号で、分譲用の埋め立てにつきましては「出願人が公共団体其ノ他政令ヲ以テ定ムル者ナルコト並埋立地ノ処分方法及予定対価ノ額が適正ナルコト」という法律の条文にいたしまして、その政令におきましては、処分方法については公正なやり方で処分しなければならないとか、それから予定対価の額につきましてただいま先生から直接の御質問をいただいたわけでございますが、営利企業と非営利企業の二種類に分けて予定対価というものをきめたらどうだろうかということをただいま私ども考えております。すなわち非常利企業、直接国民が住宅の用に供しようとするような場合においては造成原価プラスアルファでよろしいのではないかと考えますし、また相手が営利企業である場合には時価でこれを売却するのが妥当ではないかというふうに御指摘のとおりに考えている次第でございます。
#39
○沢田政治君 だから、免許を与えて、私に言わした場合は、妥当な価格とかなんとかいったって、どこが妥当か、ものさしがないのだから、もうけに限度がないと同じように、そういうことじゃ、結局ぼろもうけされる可能性があるわけです。だから免許を与える前に、たとえば自分が使うのはこれはすぐ売るわけじゃないから、これはその限りにおいては問題ないとして、明らかにそこを埋め立てて宅地にして分譲するという場合は問題なわけです。こういう場合に、免許をする前に――ともかく原価にプラスアルファといったってどこが限度だか、ないでしょう。あなた適当なプラスアルファって言うのだけれども、これは業者に言わせれば、それこそ適当なプラスアルファの利潤を取るわけだから。でありますから、地価が今日ほどたいへんな問題になっているのだから、免許する前に、これだけの値段で売れと、それ以上高く売った場合はこれは許可しないというような事前にやっぱり歯どめというものは必要だと思いますよ。適当なプラスアルファじゃなく、そのプラスアルファというものはこういうものであるということをなぜ明らかにしないか。そうしないことによって、あなた方はなるべく高く売ってもらいたくないという一つの願望があったとしても、その願望が現実の問題として生きてこないのですよ。国が許可して埋め立てて宅地を造成さしたと、だから、そこがぼろ安いなんということはあまり聞いたことがない。ほとんど高い。でありますから、そういう歯どめを現実的にこれはかけたほうがいいのじゃないですか、抽象的じゃなく。許可の条件にするわけですよ。そうでなければ許可を与えないと、こういう約束をさせるわけですね。それほどぐらいしなければ、何のためにこの埋め立てをするのか、たれがために鐘が鳴るということになるわけだ、私が冒頭に言ったように。どうですか。
#40
○政府委員(川田陽吉君) 公有水面の埋め立ての申請書の中におきまして、分譲用の埋め立てである場合においては埋め立て地の処分の方法とか予定対価、売却の価格を明記させまして、それを審査対象にした上で埋め立ての免許を下すということにいたしたいと考えております。
#41
○沢田政治君 いままでの実例が、これは全部というわけにはいきませんからね、どうなっていますか、どれだけの利潤を得ているものでしょうか、業者が。ただ何というか、安く売らせるように予定価格をきめますと言うのだけれども、結局私どもの巷間聞いているところによると、国が許可して埋め立てて分譲したところはものすごく安いという話、聞いたことないのですね。だから、あんたの一つの主観だけで言ったんじゃ、この法律の効用というものは及ばぬわけだから、そういう主観的な態度で、うまくいっているだろうということで追跡調査もしないでこういう法律をつくられたんじゃ、国民はありがた迷惑で、これはもう迷惑千万だと思うのですよね。だから過去の追跡、現状把握をどうしているのか、その実例があったらここでちょっとお聞かせ願いたいと思います。まあ諸方どこでもということにいきませんから、こういうような面もあったんだと、最もいい面の、そういう面の例があったらひとつ出してください。
#42
○説明員(鈴木登君) お答えいたします。
 実は土地の売却の場合は二つ種類ございまして、一種類は、先ほどから河川局の次長のお答えになっておりますとおり、公共団体が埋め立てまして、それを公共団体が直接民間に払い下げる場合、それから第二番目の方法は、民間の私企業に埋め立て権を与えまして、その私企業が第三者にさらに売却するという二つのケースがございます。最初のケースのほうは、実は私は直接いままで地方の管理者としてやってまいりましたけれども、具体的には不動産研究所とか、あるいは審議会とか、あるいは銀行とかそういうかなり公共的な機関の意見を聞きまして、そこで価格をきめていただいて、それで売却するという方法を現実にとっております。これは大体すべての県におきましても、あるいは港湾管理者におきましても、その方法を採用をしております。これが一般に国有の土地を売る場合あるいは公共団体所有の土地を売る場合という形でそういう手続をとってございます。それから民間が埋め立てまして、それを民間が第三者に売却をいたします際には、これは実は御存じのとおり、まだまだ土地の価格規制の問題がなされておりませんので、それはある程度自由に民間の判断によって近隣地価と比較いたしまして売却しておるようでございます。ただ、今回の新しい法改正におきましては、その後者のほう、二番目のほうはある程度そういうふうな自由な売却をさせないということから、いま河川局の次長のお答えになりましたとおり、第四条の第五号という条文を含めまして予定価格をはっきりさせるというふうにしたわけでございます。ただ、その際におきましても、御存じのとおりあまり原価ばかりで――原価で売りますと、買ったほうに非常に利点を与える、特殊な非常にメリットを与える、利得を与えるということになりますし、そうかといいまして、時価あるいはそれ以上に売りますと地価をつり上げるような変なまあ作用をもたらすということもございますので、いま河川局次長のお答えになりましたとおり、やはり相手が公共団体であるか私人であるかということも念頭に置かなければいけませんし、それから時価と原価との中間というような点も念頭に置いて予定価格がきめられるということになろうかと思います。
#43
○沢田政治君 局長、ちょっと聞いておいていただきたいんですが、まあ、こういう法律をつくったと、何とかなるだろうと、こういう安易な気持ちじゃいかぬと思いますね。でありますから、きのうも建設省の方が参りましていろいろお話を聞いたわけですが、過去に埋め立てられた土地がどういうように利用されて、何がどうできて、そうしてどういう経済的な位置を占めておるのか、それがまた地域住民にどういう影響を来たしているのか、この点を――過去の埋め立て地ですね、まあ五年くらいでもいいからね、どういう功罪をもたらしているのかですね、ひとつこれを委員会で答弁してもらいたいと、こういう話し合いをしたわけだが、それはとってもわがほうでは把握していませんと、これは通産省でも呼んできて聞かなくちゃしようがありませんと、こういうわけですね。法律をつくって、あとはだれかが何とかするだろうって、こんなことで法律をつくられたんじゃ、現状把握、現状理解しないで法律をつくられたんじゃこれたいへんですよ。でありますから、これはもう来年でも抜本的な改正をしなくちゃならぬと思いますが、この法律で私人が土地を埋め立てて分譲した場合どういう価格になっているのか、詳細にこの委員会に報告してもらいたいと思うんですよ。そうしてそれを把握しておくべきですよ。現状も過去も把握、理解、評価しないで法律を起草するなんておこがましい話だと思いますよね、私は。でありますから、そういう点はやっぱり心がまえですから、基礎になりますから、どういうように法律改正するかという、そういうことを将来把握しておいてもらいたいと思いますね。
 それともう一つは、中身には入りません、時間がありませんので。私はこの法律の提出者、起草者が、また主管官庁が経済企画庁であるべきだと思うんですよね。まあ、この法律の制定当時は、冒頭に申し上げましたように、土地を埋め立てて領土をふやすのだと、一種の国盗り物語のように領土をふやすんだと、うまく使ってもうけるんだというところに一つの目的と使命があったと思います。ただ今日においてはメリット、デメリット、地域住民の生活にどう影響するかという観点から、価値観がこれは逆になってきているわけですね。そういうことだから、むしろ環境庁がこれを規制していくと、メリット、デメリットの目方をはかっていくと、その結果これを認めていくということにならなければならぬと私は考えるわけだね。ところが、この法律で環境庁の影響というのはきわめて薄いわけですね。どっかに意見を聞くというくらいの調子で同意権がないのですよ。でありますから、埋め立て地をめぐる今日的な大きな問題は、やはり自然の破壊、環境が悪化すると、こういうところに大きな何というか問題点がしぼられてきているわけで、これは環境庁として、その程度でいいのかどうか。この法律を起草する際に環境庁がこれに参加したと思いますが、どういう意見を吐いてどういうことでどうなったのか。この程度でいいんですか、これは。ほとんどの公害、全部とは言えないにしても、その発生源というのは臨海埋め立て地帯から出ていることは事実なわけだ。でありますから、ちょっとぐらい環境庁が意見を述べたぐらいでこれは解消されますか。片一方はこれはもう免許規定でありますから、手続規定でありますから、まあ何とかかんとか歯どめがあるようでないようだけれども、これはもうこの法律によってはどうにもならぬですよね。でありますから、ここでやっぱり環境庁が原因をつくってから対策を講ずるよりも、そういう発生源を起こさないために事前の何といいますか、調査をして、ここで歯どめをするということになると、出てからアフターケアをやるよりはずっと楽だと思いますね。でありますから、環境庁はこれをどう考えたのか、これをするすると意見を環境庁長官が述べるぐらいでいいと思うのかどうかね、この点は私は疑問を持つんですよ。どなたか環境庁から来ていますか。
#44
○説明員(青木英世君) 今回提案されております公有水面埋立法につきましては、御案内のとおり、都道府県知事が免許をするに際しまして環境の保全ということについて大きくうたっておるわけでございます。この際に私どもといたしましては、都道府県知事が免許をいたします場合に、その開発等が環境に対してどういう影響を与えるのか、いわゆる環境のアセスメントを十分やっていただきたい、こういうことを要請しておる次第でございます。
 それから特定の案件につきましては、主務大臣から環境庁長官に対しまして環境保全についての意見を求められるわけでございますが、私どもこの際それらの埋め立てあるいは埋め立て地の利用が環境に悪影響のないよう十分チュックして環境保全に万全を期してまいりたい、このように考えている次第でございます。
#45
○沢田政治君 万全を期してまいりたいと言うんだけれども、事実はそうじゃないわけだね。今日は。瀬戸内海の何というか、あの海がもう死ぬところでしょう。たいへんなことになっているわけだ。何も万全を期したあとは全然見られないわけですね。でありますから、埋め立てにあたっては二年でも三年でも徹底して事前の調査をして、海流とかあるいは汚濁、汚染、こういうものを徹底調査して、最後にやっぱりこれは同意を与えると、こういうようにしなければ、いままでのやり方じゃ、ここの答弁は非常に適当な答弁していますが、どうにもならぬですわ、これはね。まあ、これは抜本改正という問題も経ますから、ここであまり強く言っても始まりませんから、あとでこれは論議したいと思っています。
 それと、まあ水産庁もきょうおいで願っているので一つだけ、せっかくおいで願ったんで、私の質問の多くは次に持ち越すわけでありますが、この際お聞きしたいと思いますが、漁業権の補償の場合ですね。これは従来まあ多くそういう例があったかどうか私知りませんが、聞くところによると、結局漁協単位で補償するわけですから、まあ漁業というのは何も封建的だと言うわけじゃないけれども、案外有力者支配がまだきいているところが多いわけですね。そういうことで漁業補償の配分等においても非常に不公平があると、こういうように私もある程度聞いているわけです。でありますから、あくまでもこれは個人に対して、個人の失われる権利に対して支払うものだと私は解釈しますね。そういうことでありますから、本人のそれによって失われるところの権利に対する補償という観点から不公平のないような配分をしなければならぬと思いますね。その点について漁業権との関係でどういうように考えていますか。
#46
○説明員(渡辺武君) お答え申し上げます。
 公有水面の埋め立てが行なわれます場合の補償につきましては、関係漁協が漁民の代表というような立場で事業者のほうと補償交渉をやりまして契約を締結するというような事例が一般的でございます。その場合、その補償契約に基づきまして一括受領しました補償金につきましては、組合の内部におきまして関係する漁民の納得に基づいたような配分が行なわれるように、私たちとしても四十五年でございますけれども、別途、補償金の配分についての通達というものを出しまして、適正な配分が行なわれるようにするために配分委員会をその漁協の中につくれとか、あるいは明確な配分の基準を決定しろというようなことを内容といたしまして指導してきておるわけでございまして、そのような運用が行なわれているものと信じておるわけでございます。
#47
○沢田政治君 たとえば最初は総額できめると思いますね。総額でですね。
#48
○説明員(渡辺武君) はい。
#49
○沢田政治君 個々の漁業権が侵害され制限されるものに対する対価はどれだけだと、総額だと思いますよね。それを配分することになるわけなんで、したがって三分の二ということできまりますかどうかわかりませんが、よしやと、これでいいだろうということで妥結をする、その際に、配分してみてどういう関係になったのかと、自分にどれだけくるかと、全員の同意をとるような方法でなければこれはやっぱり問題が尾を引くと思いますね。おれが少ない、多いということでですね。でありますから、総額をきめる際には全員の納得の上に――全員が納得した総額だからあとは内部が配分するだけで、争いがあったとしても問題ないと思いますね。だから総額をきめる際には全員がほとんど納得しない限りはやっぱり妥結させないと、こういう方法でなければならぬと思うんですけれども、どうですか。これはどういう指導していますか、将来。
#50
○説明員(渡辺武君) 漁業権の放棄にあたりましては、それの見返りと申しますか、補償金額いかんというものが大きな影響を持つと思います。そのような交渉の過程で出ました金額等を見合いにいたしまして共同漁業権――これは漁業権の中にはいろいろ種類がございますけれども、共同漁業権と申します漁業権が一番多いわけでございますが、この場合にはこれは組合が持っておりますものですから、組合の議決ということになりまして、これは水産業協同組合法に基づきまして総会で議決することになっております。そこで総会の議決につきましての特別議決ということになりますので、三分の二以上の同意が、賛成者があればそれは議決するということになり、それに基づいて漁業権が放棄されるということになっておるわけでございます。もちろん運用上の話といたしましては関係する漁民のすべてが納得するという形で運営されていることが通例でございます。
#51
○沢田政治君 やはり補償、まあ漁業権はどこにあろうが、生活の犠牲をしいられるのは個々の組合員だと思いますね。でありますから対象というのはやっぱりあくまでも受ける本人であると、こういうように理解すべきだと思いますね。でありますから将来この問題は研究してもらいたいと思いますよね。不満でありながら、これはもう全体できまったんだから認めざるを得ない、大多数がそうだからということじゃ厳密な意味の個人に対する補償ということでは相当なやっぱり問題点と疑義が残ってくると思いますね、これはね。
 それと被害者といいますか、犠牲者といいますか、こういうものの範囲は単に漁業権だけですか。そうじゃないと思いますね。この範囲どう考えていますか。公有水面を埋め立てられて異議あるものはこれはだれでも異議を出せるということになったわけだけれども、補償要求すべきものの対象はだれですか。これはいま漁業権だけここでクローズアップさせてきたわけでありますが、私はそれだけじゃないと思いますよ。たとえば非常に風致地区のいい海岸で、そこで何といいますか、観光を兼ねて旅館業を経営しておったという方もあるでしょうね。ところが、それが公有水面を埋め立てられることによって、これは観光的な価値、風致的な価値は全然ゼロになったと、そういうことでさっぱり人が来ないと、宿泊者もないと、こういうことで、結局はその旅館業なら旅館業ですね、食堂なら食堂というものを閉鎖せざるを得ないという場合も、これは被害者の一人なわけだ。もっとあると思いますよね。たとえば千葉県でアサリを養殖か何かしますね。あれを埋め立てることによって、アサリを養殖しておる業者は、これはもちろんストレートに犠牲になる。ところが、あのアサリを小売り人が買ってきて、あそこの船橋の駅前で細々として売っておると、それもアサリがなくなることによって商売が上がったりでしょう。これは流通とかそういうものに非常に影響していくわけですね。でありますから、今日までは漁業権というもののみにしぼっておったと思いますが、将来はその範囲じゃとてもおさまらぬと思いますね。でありますから、その範囲というものをどう考えているのか、どういうふうにしぼっているのか、どこで明らかにしておるのか、これは明らかにしておく必要がありますよ。どう考えていますか。
#52
○政府委員(川田陽吉君) ただいまお話に出ました漁業協同組合、この漁業権の問題は、水面に関して権利を有している人、すなわち公有水面の埋め立ての免許が与えられる際にまず解決しておかなければならない問題でございますが、そのほかに公有水面の埋め立てに伴って実際上の権利を侵害される人がいろいろ出てくる場合がもちろん考えられるわけでございます。しかし、まず埋め立て免許の前提として同意をとらなければならないという人の範囲は法律上まぎれのないものでなければなりませんので、埋め立て地先に関して直接権利を――まあ漁業権のほかに水面権とかいろいろな権利があるわけですが、そういう権利を持っている人は、まず埋め立て免許を与える前に完全に同意をとるなり解決しておかなければならないものとして法律で規定しているわけですが、実際に埋め立てが行なわれた場合に、さらに権利侵害等があるかもしれませんし、また、そうした場合には、民法の一般原則によりまして不法行為の規定が発動されまして損害賠償をしなければならない、それは範囲がもしも法律的に事実的に明確にきめられるなら、法律の条文として書かなければならないのでございますが、いまのところその範囲というものが書かれませんので、運用上、民法の条件等を背景といたしまして、ときには個別の折衝等によりまして解決しながら埋め立てをやっていくというようなことでございます。
#53
○沢田政治君 きょうはこの程度にとどめて、保留しておきます。
#54
○委員長(野々山一三君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午前十一時五十四分散会
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ソース: 国立国会図書館
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