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1972/08/30 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 建設委員会 第23号
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1972/08/30 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 建設委員会 第23号

#1
第071回国会 建設委員会 第23号
昭和四十八年八月三十日(木曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         野々山一三君
    理 事
                大森 久司君
                竹内 藤男君
                山内 一郎君
                沢田 政治君
    委 員
                上田  稔君
                熊谷太三郎君
                小山邦太郎君
                中村 禎二君
                中村 英男君
                二宮 文造君
                高山 恒雄君
                春日 正一君
                嘉屋武眞榮君
   国務大臣
       建 設 大 臣  金丸  信君
   政府委員
       内閣法制局第二
       部長       林  信一君
       運輸省港湾局長  竹内 良夫君
       建設政務次官   松野 幸泰君
       建設大臣官房長  高橋 弘篤君
       建設省河川局長  松村 賢吉君
       建設省河川局次
       長        川田 陽吉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        村田 育二君
   説明員
       環境庁自然保護
       局鳥獣保護課長  仁賀 定三君
       環境庁水質保全
       局企画課長    松田豊三郎君
       外務大臣官房審
       議官       杉原 真一君
       大蔵省理財局国
       有財産総括課長  貝塚敬次郎君
       運輸省港湾局管
       理課長      鈴木  登君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公有水面埋立法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(野々山一三君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 公有水面埋立法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○二宮文造君 おはようございます。
 私は公有水面埋立法の一部を改正する法律案に関連をいたしまして若干質問をしたいと思うわけでありますが、大臣の御都合で当委員会の御出席に時間の制限がある、このようにも伺っておりますので、ちょっと話の筋道が飛び飛びになりますけれども、大臣の御所見をお伺いすることをまず最初に持ってまいりたい、このように考えます。
 まず第一番に大臣にお伺いしたいことは、なるほど今回公有水面埋立法の一部改正、これが提案をされました。しかし、聞いたところによりますと、この親法になる海域を管理するという基本姿勢について、たしか昨年の十二月六日でございましたでしょうか、沿岸海域の公共的管理に関する法律案というものの成案を見たと、こう聞いております。ところが、いかなる理由なのか、今国会にはそれが提案をされてない。親法になると考えられる海域管理法案が提出されなかった。これは今後の管理の問題でいろいろな疑念も惹起するんではないかと思いますが、せっかく成案を得たこの海域管理法案、これを一体いつ提出をされるおつもりなのか、また、その経緯についてお伺いをしたいと思います。
#4
○国務大臣(金丸信君) 海域管理法といういま御指摘の法案の案につきましては、河川局でこの問題をいろいろ取りまとめましてある程度の成案は得たということであります。なお海洋審議会等にこの問題をかけております。問題は非常に内容が広範でありまして、これをまとめるということは建設省だけでまとめるわけにいかない、各省庁にまたがるというような関係もありまして、今回国会に提出することができなかったと、こういうようないきさつでございますが、できるだけ早い機会に各省庁と連絡のもとに成案を得まして、また審議会の答申の案も得まして、御指摘のように一日も早くこの法案を提出するような方向に持っていきたいと、こう考えておる次第でございます。
#5
○二宮文造君 御承知のように、この公有水面埋立法というのは大正十年に制定をされまして、法律自体を見ますと非常に今日の感覚ではぴんとこないような表現であり、内容であり、しかも、その後ほんとうに改正らしい改正というものはほとんどやられてこなかった。ところが時代のほうはもうどんどん進みまして、いわゆる旧来の公有水面埋立法ではどうも捕捉できない、そういう面があって今回のこの改正案の提案ということになった事情はわかるんですが、しかし事情が変化したという、最近の事情というのは全国至るところで汚染が進みまして、海というのは全く死の海ということがぴったりくるような状態に変わりつつあります。したがって、そういう海の汚染というものが人体に及ぼす影響、これまた非常にやかましく昨今いわれていることでありますが、一方いわゆる生産第一主義といいますか、太平洋ベルト地帯あるいは瀬戸内海沿岸地帯、それらにかかわりませず新コンビナートの建設等工場建設が進みまして、いわゆる高度経済成長政策の影響で推進されてきました工業基地だとかあるいは工業開発が、水質汚染、海域の汚染、こういうものをもたらしてきた。こうなってまいることは現在の常識にもなっているようなことです。一体、私ども考えますのに、こういう事態を予見をしていわゆる工業開発の基本的な姿勢というものについて政府当局の綿密な行政指導が行なわれてこなかった、おそらくそういう反省に立たなければならない今日の時点ではないかと思うんですが、この海の汚染、またどんどん進められた工業開発、それに伴わなかった行政指導、こういうからみ合いでひとつ今後どういう行政運用をなさっていこうとされるのか、大臣の御所見を伺いたい。
#6
○国務大臣(金丸信君) この法律は先生の御指摘のように大正十年、ちょうど五十年たっておるわけでございますが、かたかなで書いてあるようなまことに旧態依然たる法律でありまして、そういう中で現在の社会状況あるいは環境その他公審、こういうものを考えてみますと、この法律をこの程度に改正して国会へ提出するということにつきましては、私もじくじたるものがあったわけでございますが、しかし、五十年の長きにわたる法律というものは行政の運営の上にも限界がある、こういうようなことでいろいろ考えさせられたわけでございます。先生の御指摘のように、高度成長の結果死の海も出てくれば、非常な人体に及ぼす悪い影響というものもこれは認めざるを得ない、この辺でしっかりした行政というものを確立することは当然だと私も考えておるわけでございまして、そういうことから考えると、この法案につきましてもいま一歩前進した、それにマッチした法案を提案し御審議願うべきであろうと思います。たとえて申しますれば、環境保全の問題にしても相当まだ考えさせられる点もあろうと思います。あるいは国土の適正な利用という面につきましても考えなくちゃならぬ問題もあるだろうし、あるいは土地の帰属というような問題についてもこれはほんとうに考えなければならない問題だろうと私は思います。その他公害に対する補償の問題あるいは漁業権の問題、こういうものの範囲というようなものをどうすべきかということも、これは当然この法案に織り込んで全き法律をつくるべきだ、こう考えたわけでございますが、これもなかなか思いながらその成案ができない。できないことですから、この国会に提出することを見合わせようという私は考え方をしたんですが、この程度を出してみても意義がないという考え方だったんですが、いやそうでもない、五十年の長きにわたったので行政にも限界があるから、一応一歩前進だから出しなさい、こういうような強い声もありましてあえてこの法案を出して御審議願ったわけでございますが、この法案が提案者としてほんとうに満足のものでないということだけはわかるわけでありまして、一日も早くこの法案を改正して全き法律にするように今後も努力して、近き将来に国会へ提出いたしたいと、このように考えておる次第でございます。
#7
○二宮文造君 飛び飛びになりますが、大規模な埋め立てにつきましては、いまお話があったように環境に及ぼす影響というのは非常に大きい、こう見なければなりませんので、これは国が直接免許をする、そしてその埋め立て認可の最終権限は、環境を保全するという意味で環境庁長官に保有させる、ないしはその同意を必須条件とする、こういうふうに考えれば環境破壊という問題とまつ正面から取っ組むことができるんではないか。この考えについての大臣の御所見はいかがですか。
#8
○国務大臣(金丸信君) 先ほど来から申し上げておりますように、いわゆる生産第一という方向をこの辺で転換しなければならぬことは当然であります。そういうことであれば、先生の御指摘のとおりそのような方向に持っていくことが適切であろうと私も考えておるわけでございますが、そういう問題も後日のひとつ大きな検討問題として参考にいたしてまいりたい、こう考えております。
#9
○二宮文造君 それからもう一点、先ほども大臣ちょっと、土地の帰属の問題をどうするかというふうなことでちょっと一言お触れになりました。いわゆる公有水面を埋め立てた、その埋め立て地は、費用弁済のいわゆる財源の問題もありましょうけれども、これは公有地として残す、そして一般に対しては賃貸し制度を採用する、そのかわりいわゆる公害協定といいますか、環境保全だとか、それからまた種々出てくる問題についてはきびしい条件を付して、そして賃貸し制度を採用する。もちろんこれはもうその埋め立てに要する費用弁済の財源問題とのからみ合いもありますけれども、基本的にはそういう姿勢、もともと海域というのは公共のものであり、そこを埋め立てて使用するのですから、その帰属は公有地にすべきだという考え方を私は持つわけですけれども、この点については大臣のお考えどうでしょうか。
#10
○国務大臣(金丸信君) まあ、その辺が今度の法案をつくる上においても問題の争点であったと私は思うのですが、私個人といたしましては、この問題については、公有水面を埋め立てるその土地というものは当然公有地であってしかるべきであって、私有物化すべきではない、そういう考えのもとにこれをどう処理していくかという問題については対処すべきだと、こう私は考えております。
#11
○二宮文造君 それからもう一つは、この埋め立て免許の許可にあたりまして、当該水面の漁業権者のみでなくて、周辺の漁民あるいは地域住民などの計画への参加、その周知徹底、それから異議申し立ての実効性の保証、損害補償の請求などについて、その権利が最大限に確保されなければ埋め立てば許可すべきでない、こういう基本的な考え方に立って免許、許可に当たるべきではないか、こう考えるわけですが、この点については大臣の御所見はどうですか。
#12
○政府委員(川田陽吉君) 大臣の御答弁の前に、若干事務的な面もございますので私から御答弁させていただきたいと思いますが、現行法では、公有水面の埋め立ての免許を与える際には、都道府県知事は当該埋め立て海域において権利を有する者――「其ノ公有水面二関シ権利ヲ有スル者埋立ニ同意シタルトキ」ということを一つの前提にしております。したがいまして、そういった完全な同意を得なければならない対象は限定されなければ埋め立ての免許という行為も与えることができないわけでございますので、明確な範囲をきめたわけでございます。しかし、その周辺地域においていろいろ利害関係を有する人というものもあるわけでございまして、そうした方々に対しましては今回の改正によりまして意見書の提出の機会を与えるという手続的な改正が行なわれております。
 また運用上の問題といたしましては、権利を有している人――当該海域以外の隣接海域等について権利を有している人が、その埋め立てによりまして実害をこうむる場合におきましては、民法の一般原則によりまして損害賠償の請求権を持つわけでございますから、その範囲なり額等がある程度事前において明確になる場合は、当然そういった補償、賠償についてのお打ち合わせをするわけでございますが、また、そうしたものが事前において不明確の場合において、事後においてそういった実害を受けたとすれば、そうした方々に対しては当然損害賠償ないしは補償をするということをたてまえとし運用しながら埋め立て行政を現在行なっている次第でございます。
#13
○国務大臣(金丸信君) この問題につきましては一昨日でしたか、沢田先生から質問もありまして、いわゆる埋め立てをした、観光旅館がその海面によって観光を得ておったが、埋め立てられたために観光的価値がなくなって、閉鎖しなければならぬというような状況になる、こういうものをどうするのだというような御意見もありました。そういう意味で漁業権その他それに付随する関係の人たちの補償の問題につきましては、限定という問題につきましてただいま次長からもお話がありましたが十分な配慮をして、そのために、もっと極端なことをいえば、この間沢田先生からお話がありましたように、アサリ売りまでアサリがとれないようになれば補償してやらなくちゃならぬ、私はそれまでやることが政治だろうと、こう考えておる次第であります。
#14
○二宮文造君 それではもう一つ、冒頭に返りまして、公有水面埋立法に関連する諸問題について考えられます諸問題を一応質問をしてまいりたいと思うわけでありますが、まず非常に基本的な問題になるのですが、領海の幅員問題、これは三海里説がこれまで国際間の慣行であったわけですけれども、ここ数年各国が漁業資源だとか海底資源の保護、開発、そういうもののために拡大していく方向にある。その主張も国によって相当の開きが出てきていると思いますけれども、非常に恐縮ですが、いわゆる各国の主張する領海及び一方的な漁業水域の幅員、こういうものについての概略の説明をいただきたいと思います。
#15
○政府委員(川田陽吉君) 国際法等の専門家でございませんので、先生の御質問に対する的確な御答弁になるか自信はございませんが、一応私ども公有水面の埋め立て行政及び先ほどの先生の御質問にありました沿岸海域の公共的管理に関する法律案の一応試案策定という形でいろいろ勉強している過程で、私ども領海の問題を検討した次第でございます。現在の公有水面の埋め立ての技術というような問題からまいりますと、領海がかりに――現在は日本は三海里説をとっているようでございますが、三海里の海域にわたっての埋め立ての必要性というようなことはいささか不可能かと思うわけでございます。大体二十メートルくらいの水深の埋め立てという点から私ども考えているわけでございますが、したがいまして領海が現在三海里で一応きめられているということについて、公有水面埋め立て行政の面から、あるいは沿岸海域の公共的な管理、国土保全的な管理をやる場合に、三海里で別に支障がないと思うわけでございますが、現在国際間におきましては領海十二海里という問題を検討しているというお話を伺っております。しかし、なお領海十二海里を採択した場合におきましても、領海の外側における漁業水域の問題がそれだけでは解決されない問題といたしまして、まだ相当、特に発展途上国、いろいろ数としてはたいへん多いわけでございますが、そういった国の漁業保護というような面から、領海十二海里説というものもはたして完全な姿でまとまるかどうかということについてはまだ若干問題が残されているように、まあ私つたない勉強でございますが、した結果を御報告申し上げる次第でございます。
#16
○二宮文造君 外務省の方がお見えのようですからお伺いしたいのですが、いまの河川局次長の答弁、これは概括的な御答弁でございまして、私のほうがお願いをしたのは、いわゆる三海里説、十二海里説、あるいは一方的漁業水域、こういうそれぞれその国の事情に基づいた提案があるわけです。したがって、世界の情勢がどういうふうにそれぞれの説を固持しているか、この模様をお伺いしたがったことと、それからあわせて、七月、つい先ほどジュネーブで国連拡大海底平和利用委員会、これが行なわれまして、つい先ほどいろいろな意見が並立したまま幕を閉じた、このように伺っているわけですが、その会議の模様をあらまし説明をいただきたい。
 あわせて、これは事前の予想としては、本年末から来年にかけまして開催を予定されております国連の第三次海洋法会議、このための条約草案を何とか取りまとめたい、こういうふうな意図のもとに行なわれた委員会だと聞いているわけですが、それらに関連してあらまし御説明いただきた
 いと思うのです。
#17
○説明員(杉原真一君) 私は昨日実はこの七月、八月行なわれました国連の拡大海底委員会に出席して帰ってまいったのでございますが、第一の御質問の領海の幅員の点につきましては、会議に出ております九十一カ国のうちほとんどすべての国が、特定の自国の持っておる要求が通るならば十二海里の領海の幅を認めるということに大勢がきまっておると申し上げて差しつかえないと思います。どういう条件をそれぞれがつけておるかという点につきましては、先ほども御指摘がありましたように、発展途上国及び一部の水域沿岸国、これらが非常に大きな力を持って、大体二百海里に及ぶ経済水域あるいは父祖伝来水域あるいは漁業水域、いろいろな名前をつけておるのでございますが、こういうものが通るならば十二海里の領海決定に賛成である。一部その代表者の言によれば、すでに八十カ国以上の国がそのような説に賛成するという発言がございました。これに対して先進海洋諸国、特に日本とかソ連とか、世界の海をまたにかけて漁業をやっておる国、これらがとっております立場と申しますのは、概括的に申しまして、海底資源について、海の底にある鉱物資源についてはすでに一九五八年の大陸だな条約があるという事情もございまして、大幅な沿岸国管轄権の拡張もやむを得ないだろう、しかしながら漁業については、従来からありますような国際的な諸既成組織を使った、沿岸国が単純に管轄権を拡大するというものと違った制度をくっつけるべきである、そういうものがくっついたものとしてしかわれわれは十二海里の幅員の拡張には同意できないという案を、それぞれニュアンスは異なりますが出しております。わが国ももちろんそれに即した案を幾つか出しておる次第でございます。しかしながら見通しとしては、先ほど申し上げましたように世界の国の三分の二近い数がすでに二百海里の沿岸管轄権を主張する、その条件のもとで十二海里を確保したい、先進国も条件こそ異なれ、十二海里そのものについては反対しないということから申しまして、領海は海洋法会議がもし成功するとすれば十二海里でおさまる、こういうことが大体世界の大勢であろうと存じます。
 それから海洋法会議の見通しでございますが、これは実はいろいろ今会期中議長その他とわれわれも入って非公式に話し合いをやったのでございますが、とにかく条約案文作成を過去海洋法会議準備会議だけでも三年間にわたり、かつ、それ以前の海底委員会時代から見ると六年にわたる準備をやったのでございますが、条約案としての形をとったものは結局つくることができなかった。先ほどの領海の幅員についても現在まだ十四の案があるわけであります。幅を十二海里にきめるということだけですでに十四の案があるという状況で、二つか三つの案に、この領海のみならず大陸だな経済ゾーン、海峡、群島、海洋汚染それから海底開発と全部で二十幾つかの項目があるわけですが、それについてすべて先進、後進あるいは先進漁業国あるいは後進国、いろいろな複雑な対立をはらんだまま、それら諸国あるいは諸グループ間の政治的折衝あるいは外交折衝による妥協作戦の努力がほとんど行なわれないまま現在いる。したがって、このまま海洋法会議に入り込んだ場合にははなはだしい混乱が起こる、あるいは後進諸国が数を頼んで強行採決の挙に出るかもしれない、それをどうやってわれわれとしてはとめることができるであろうかというふうないろいろの思惑が入っておりまして、ことしの国連総会で一体その準備をどうするか、そして本会議自身は来年の四月、五月サンチアゴで行なわれる予定になっておりますが、それを予定どおり開くかどうか、これらの決定をすべて国連総会でやらせることになっております。どういう結果があらわれますか、いま現在すでに非公式に主要国との舞台裏での接触を開始しておるのでございますが、結果についていま申し上げる段階ではないと思います。
#18
○二宮文造君 そこで、いま答弁を聞いておりますと、ちょっと私あっと思ったのですが、従来わが国は領海の幅員を一方的に拡大することは国際法上認められない、したがって三海里説というものをわが国はとってきたわけです。ところが、いまの委員会の模様を伺っているうちに、それぞれの国にいろいろな主張がある。また十二海里説でも条件をつけて、これまた十幾つという考え方がある。しかし、いずれにしても十二海里説ということが、いろいろな条件はあるけれども、その条件を抜きにして幅員だけをとらえてみれば、十二海里説ということが大勢のようだというふうな考え方を持っていらっしゃるようにいま報告されたと私は聞いたわけですが、それでは開かれるかどうかはわかりません、国連総会がどう運営されるか、さらにまた、来年のサンチアゴの海洋法会議が開催されるかどうかわかりませんけれども、それに臨むわが国の態勢とすれば、わが国の方針とすれば、従来固執してきた三海里説と十二海里説と、これはどういうふうな幅を持たせながらこの会議に臨む方針なのか、これをお伺いしたいと思います。
#19
○説明員(杉原真一君) これについては、実は多少歴史的な情勢をお話し申し上げた上で日本の基本的な立場を申し上げたほうがおわかりいただけるかと思います。
 御承知のように領海三海里というのは、十七世紀にオランダのグロティウスが国際海洋は自由であるという考えを出して――実はそのときからすでに国際海域は自由でなくて閉鎖されたものである、特定の国が分割して所有するものであるという説があったわけであります。しかしながら、それが結局自由説が勝って、十八世紀、十九世紀にわたって大体領海の幅というものは三海里であるということが国際法の基本的な一般慣習になったわけなんでございます。日本ももちろん、明治の初年に太政官布告でもって三海里とわが国の領海はわきまえていただきたいというふうなことを外に向かっても申し開いておるのでございますが、ところが一九五八年の第一回の海洋法会議でございますが、このときに領海の幅をそれでは三海里ときめてしまおうといたしたときには、ときすでにおそくて、十九世紀の半ばごろから、あるいは特に二十世紀にかけて、領海の幅を十二海里あるいは二百海里――これは南米の何カ国かが言っておるのでございますが、二百海里というような主張が出てまいりまして、それから第二次大戦後、後進開発諸国がそれぞれ独立いたしまして、そして領海の幅を三海里にきめようといたしたのを、どうしてもきめることができなかった。領海の幅が三分の二の多数決を、すでにそのときも三マイルをとれなかったという状況があるわけでございます。わが国としてはもちろん領海三海里を固守いたして、他の国が一方的に領海を三海里以上に拡張することは国際法の原則に反するという基本的立場はとりつつも、世界の大勢がそのように三海里以上の幅に進んできている。実は第二回海洋法会議というのは、領海の幅だけをきめる会議を一九六〇年にやったわけなんですが、このときもやはりこれは数票の差ですが、三海里ときめることができなかった。そのときは実は三海里はすでにアメリカ等の主張でおりて、領海六海里、その外の漁業専管区域六海里、合わせて十二海里という案が五十四票対二十八票という少差でもってやはり成立せず、したがって、もうすでに十数年前から領海三海里説というものは、理論として、あるいは一般慣習法という意味でもって先進諸国がまだ維持し続けてきたことは事実なんでございますが、現在御参考までに数を申し上げますと、でも領海三海里を正式の、幅員として法制的に持っておる国が二十六カ国、それから四海里、六海里、十海里等を主張している国が十七カ国、それから十二海里を主張している国が五十カ国、これはもう法制的にレクリアし、あるいは法律をつくっている国が五十カ国、これが一番多いのでございますが、それからあと十八海里、三十海里、五十海里、百海里、百三十海里、これらの主張をしておる国が八カ国、それから二百海里の領海を主張している国が八カ国、合計沿岸国九カ国という数字になっております。これでもごらんいただけますように、大勢が十二海里に集まっておるということは御了承いただけるかと思います。
 お答えになりましたかどうか、まだ足りませんでしたら、また補足させていただきます。
#20
○二宮文造君 語るに落ちたような答弁になりました。やはりそれだけの幅を持って臨まれるというふうに私は理解をいたしましたが、それでよろしゅうございますか。
#21
○説明員(杉原真一君) はい。
#22
○二宮文造君 じゃ外務省の方はけっこうです。どうもありがとうございます。
 そこで今度は国内の問題に入りたいと思います。さて、いわゆる領海というものの幅員がいま問題になったわけですが、この領海内の海底とか海面、これは当然公共財産と理解してよろしいと思いますが、現行法ではその点がどう規定されているのか、これをお伺いをしたい。
#23
○説明員(貝塚敬次郎君) 領海内の海底と海域の問題でございますけれども、これは国有財産法の問題を申しますと非常にむずかしいといいますか、かねてから非常に問題になっていたわけでございまして、ちょっと長くなりますが、御答弁させていただきます。
 国有財産法は昭和二十三年に旧法から新法に変わりました。そのときに、従来公共用財産という観念でやっておったものを公共福祉用財産と公共物と二つの概念に分けたわけでございます。その理由は、いわば道路とか河川――それから海はその当時あまり問題になりませんでしたけれども、そういうものに対して所有権の対象とするのは民主主義の原則にもとるという議論がございまして、公共物という概念と公共福祉用財産という概念が昭和二十三年にできたわけでございます。そのまま推移いたしましたが、どうも道路とか河川とか水路、ため池、こういうものを所有権の対象としないで、ただ管理しておるというのは、いかにも問題ではないか、管理が不十分ではないかということで、昭和二十八年に国有財産法を改正いたしまして、ただいまあります公共用財産というふうにいたしまして、公共福祉用財産と公共物を一緒にいたしました。そのときに初めて公共用財産という概念ができたわけでございます。
 そこで、いま申しましたように、当時問題になりましたのは、道路とか河川、それからため池、そういうものが主として問題になったわけでございまして、海ですね、領海内の海底、海面というのは当時あまり問題とならなかった。法制局のほうの話によりますと、水というのは空気みたいなものであって、当時、自然公共的な観念で、しいて入れることはなかろうということで、海というものは放置をされたわけでございます。しかし、先ほど来先生がいろいろ御質問になりましたように、海の管理というのが非常に重大な問題になってまいりましたので、これは何とか法律上もはっきりしなければいかぬということになりまして、たまたま今度七十一国会で国有財産法の改正をやりましたときにも問題になりましたし、これは非常にむずかしい問題でございまして、従来から所有権の対象とすべきかどうか、要するに私所有権説というのと、それから公所有権説というのと、それから無種別、いろいろな説がありましたので、なかなか統一的な、何といいますか取り扱いができないままに今度の法案を見送ったわけでございます。それじゃ解釈上どうしているか、大蔵省の解釈上は、これは一応海であっても支配可能性があって、かつ財産的価値があるもの、これは国が管理すべきであると、こういうふうにわれわれは解釈しております。その場合、管理というのは所有とどう結びつくか、そういう問題が一つございます。それから公共用財産について、従来の経緯から、いま申しましたように、所有権の対象とするかしないかということは従来から問題になっていると申しましたけれども、いまでも、たとえば国有財産は全部台帳、御承知のように帳簿を整備いたしますが、公共用財産は台帳を整備しなくてもよろしい、そういう法律の規定がございます。といいますのは、むしろそういう所有権に基づく管理よりも機能の面の管理、そっちのほうが重要ではないかということがよく問題になるわけでございます。これは建設省の問題でございましょうが、たとえば港湾区域ですと、港湾法、漁港区域ですと漁港法ですか、それから海岸保全区域は海岸法というふうにそれぞれ機能管理の面の法律が整備されております。そこで、われわれは国有財産法でそういうむずかしい学説その他所有権ということをはっきりいたしますと、現行のいろいろな特別法とあるいはぶつかるものがあるかもしれないということで、むしろ所有権のほうの法制よりは管理の面の法制、そういう特別法をやるべきではないかということで、はなはだ申しわけないのですが、現在のところはそういうことを目下検討していると、その必要は痛感しておりますが、目下のところいろいろ関係方面と打ち合わせながらやるべきではないか、むしろ建設省にやっていただきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。以上でございます。
#24
○二宮文造君 そうしますと、管理の面で、いわゆる運用の面で、所有権を規定するのじゃなくて管理運用の面で規制をするということになりますと、たとえばいわゆる公共用財産としての具体的な規定はないわけですね。たとえば水深は何メートルとかあるいは海岸線から距離は何メートルとか、そういうふうな具体的な法制というものはなくて、ただ領海を対象にしてそうして管理をやっていく、非常にばく然とした管理方法ではないかと私は思うんですが、したがって、それを規制する法律が必要だという考え方についてはもう痛感していらっしゃる、しかし、いろいろな事情でそこまで至っていないと、こう理解してよろしいですか。
#25
○説明員(貝塚敬次郎君) 水深とかそれから幅、私専門でございません。ちょっとわかりませんが、ただいま先生のおっしゃるように機能面の管理の立法の必要は痛感しております。
#26
○二宮文造君 じゃ、わかるところありませんか、水深とか海岸線からの距離とかということについての具体的な管理の規定はあるかどうか。
#27
○政府委員(川田陽吉君) 具体的な管理の規定があるかどうかとのお尋ねでございますが、建設省の管理している海域につきましては、そのような明確な基準はただいまのところございません。
#28
○二宮文造君 運輸省のほうはどうですか、港湾法のほうで。
#29
○説明員(鈴木登君) 港湾法につきましては、港湾区域というものがきまっておりまして、それぞれ海津、特定のみさきから特定のみさきへ、あるいは経緯度でもちまして線を引きまして個々の港湾別にきめております。それから海上安全交通法におきましては、特定の航路区域というものをやはり同様な方法できめて、それを交通の観点あるいは港湾管理の観点から管理しております。
#30
○二宮文造君 要するに伺ったところによりますと、非常に管理の根拠というものが薄弱なまま、それを規定しないまま、いま海の管理を、海域の管理をやっていると、こういう現状ではないかと私は理解します。
 で、いつでしたか、砂利の問題を取り上げましてお伺いしたときにも、早急にこれは検討せにゃならぬと――そのときに、先ほどちょっと大臣が触れました海域を管理する法律案、これを早急に検討して、そしてその規制をするというふうな答弁をいただいたわけですが、どうもその成案を得たようなかっこうでもあり、今国会に提案をされないということは、関係各省の詰めができていない、また、いま大蔵省の、いわゆる国有財産を管理する面の大蔵省の見解とすれば建設省に主導的にやってもらいたい、こういうような話なんですが、必要性に迫られながら、しかも一たびは成案を見ながら、なぜその提案をし、考え方をはっきりと討論の場に付さないのか。言いにくいこともありましょうけれども、その辺は伏せていただいてもけっこうですが、どういうところが問題点になるのか、これをお伺いしたいと思います。でなければ海の管理というものはますます複雑になってきますし、現状を追っかけ追っかけやっていても、その抜け道が幾つもございますので、管理というのは全くその意味をなさなくなってしまう、こうなると思うのです。どうしても、やはり海域を管理する法律案というものは必要になってくる、もうきまってなきゃならぬ現在だと思うのですが、そういうことを踏まえながら問題点を明らかにしていただきたい。
#31
○政府委員(川田陽吉君) 海域につきましては、近年の海洋開発技術の進歩と、それから社会的な必要性の双方からの要請によりまして、非常に海域そのものの使用というものが活発になってきているというふうに私ども考えているわけでございますが、海域そのものの一番原始的な利用形態と申しますと、船や何かの交通の便に供することと、それからまた水産資源の採集の場所である、漁業が営まれる場所であるとか、あるいは新しくは石油資源等の開発の場所でありますとか、そういったことで、面積がたいへん広いということから、いずれもそうしたそれぞれの現実的利用につきまして法的規制を必要としない、まあ一言にして言いますと、自由使用で十分それぞれの機能が発揮し得る段階であるというふうに一般的な認識が行なわれているわけでございます。しかし、ごく最近の情勢は、建設省といたしましては、先生御指摘のように、また、ただいま申し落としましたが、砂利資源の開発というような身近な問題もまた新たに起きているわけでございまして、そういった意味で、沿岸海域の相互の利用の調整あるいは計画的な開発あるいは国土の保全というような観点から、一つの法体系の中でまとめ上げる必要があるのではないかというふうに一応私ども考えまして、局内試案というような段階まで一応まとめて、各省にもいろいろ御意見を伺っている最中でございまして、私どもの説明不足によりましてまだ完全なる合意に達しておりませんが、ただいま大臣からのお答えもございましたし、今後一生懸命そういった自由使用の領域を、一体どの程度まで、どういう範囲でどういう官庁が法的規制の中に取り込んだらいいだろうかということにつきまして各省とさらに折衝を続けて法案の形にまとめたいというふうに考えております。
#32
○二宮文造君 ちょっといまの答弁では非常に、私の質疑に対する答弁にはならぬわけですが、一応は成案を見たわけです。これはなるほど案です。ですが、その成案を見て、その中でどういうところが問題になって今国会に提出ができなかったのかと、こういうことを私はお伺いしたわけです。この点もう少し具体的に御説明をいただけませんか。
#33
○政府委員(川田陽吉君) 成案ということでございますが、私どもの立場から申し上げますと、まだ河川局試案ということでございまして、すなわち個々の条文修正の具体的な打ち合わせにいまだ入っていない、つまり基本的な問題においてまだ各省と十分お打ち合わせをしなければならない段階であると私どもは認識しているわけでございます。条文のていさいといたしましては海域管理者というものを考えまして、海域管理者が特定の行為につきまして、たとえば海面、海底の占用につきまして海域管理者の許可を得るとか、それから海底における特定の工事について海域管理者の許可を得ますとか、砂利採取のような問題につきまして許可を得ますとか、あるいは海域の整備に関する事業を実施するという権限を与えたらどうかとか、いろいろな考え方も私ども持っているわけでございますが、どこをどう直したらというお打ち合わせには深くまだ入っていないという次第でございます。
#34
○二宮文造君 問題を砂利一つに限ってみましても、たとえば私は事情を知っているのは瀬戸内海、あとは知りませんがね、この瀬戸内海の海底の砂利の盗掘のために島のいわゆる護岸がくずれてしまったり――よろしいですか、小さな漁港の護岸がくずれてしまったり、あるいは漁区が荒らされてしまったり、こういうことで関係者は非常に困っているわけです。ですから、おっしゃるとおり管理者というものが明確になり、それに権限を持たし、そして必然的に規制をする、こういうことはいま次長が答弁になったようなゆうちょうな状況にはならないわけです。もうほんとうに今日的な課題になっているわけです。ですから、それはまあそれぞれ各省には各省の考え方もありましょうし、悪いことばでいえばなわ張りというものもありましょうし、しかし現状を踏まえて見たどきには、そういう各省のなわ張り根性のために地域住民が迷惑をするという事態は早急に私は解決をするのが政治ではないかと思うわけです。したがって作業をされたと、これは努力は買います。しかしそれをたなざらしにしないで、あるいは次期の国会に提出をする目標で取りまとめをするとか、そういうふうな具体的な答弁がなされないことには、幾らこの公有水面埋め立てをいじってみたって、結局、海域の管理という親法になるものがはっきりしないことには運用の面で非常にそごを来たすと、こう感ずるわけですが、この点についてはどうお考えですか。
#35
○政府委員(松村賢吉君) ただいま次長からも実際の実情を申し上げたわけでございますが、まあ、これからの方針でございます。この海域管理法、これの必要性ということにつきましては、ただいま先生からの御指摘もありましたように私どもも深く痛感しているわけでございます。したがいまして、これをたなざらしにするというようなことについては、おっしゃるようなことは毛頭考えておらない、先ほど大臣もできるだけ早くと申しましたけれども、目標としましては次の国会にも提出できるような目標を立ててやっていきたいと思います。ただし、この問題につきましては、先ほどから申し上げましたように問題が非常に広範でありまして、各省との関連事項が非常に多い、いわばなわ張りということもございます。そういうこともございまして、端的にいいますというと、この海岸の管理自体を建設省自体が全部管理するということについてもいろいろ御意見があるようです。根本的な問題もいろいろございますけれども、私どもとしてはできるだけこれを最善の努力をやりまして各省と詰めて、これはどこが管理するということでもいいのでございましょうけれども、とにかくこの管理者がないということはおかしいというようなことから、これを成文化、あるいは成文化と申しますか成案、各省との話し合いがつくような成案、これを早急につくるように努力したいと思います。
#36
○二宮文造君 大臣がいらっしゃらないので政務次官、この問題についていわゆる事務当局とすればもう当然必要性はあるんだと、鋭意努力をして次の国会にも間に合わすように煮詰めていきたいというふうな事務当局の意見なんですが、大臣いらっしゃいませんので政務次官のお考えを伺っておきたいと思います。
#37
○政府委員(松野幸泰君) もちろんこれは必要なものでございますので、できるだけ早く事務当局が煮詰まるに従って成案を得たいと思います。
#38
○二宮文造君 これはおそらく事務当局の大きな政治判断というものが必要になってくる、そういう法律案だろうと思うんです。ですから成案を得てと――私政務次官に質問をしてその答弁を期待したのは、そういう趣旨の取りまとめる努力を大臣なりあるいは政務次官なりそういうところで運んで、そして具体的にいえば次の国会にでも提出をする努力をすると、こういうふうな答弁を期待したわけですが、成案を得ますというところまででとまったんですが、これはひとつ次期の国会に間に合うように成案を得ますと、提案をできるように成案を得ますと、こういうように私は先回りして理解するんですが、よろしゅうございますか。
#39
○政府委員(松野幸泰君) けっこうです。
#40
○二宮文造君 それで、先ほども大臣が公有水面埋立法、これはもう非常に何といいますか古い法律であり、もう現状にはそぐわない、そういう趣旨の説明がございました。しかし、大正十年に制定されて、それから今日まで改正らしい改正もされてない、古いかなづかいのまま、かたかなづかいのままやっているわけですが、今日なおかつこういう表現の法律でなければならないのか、なぜこの機会に全面的に改正をしようとされないのか、これはどうでしょう。一つ一つこの法律を読んでいきますと頭にきます、かちんかちんと。ちょっとこういうかなづかいまで頭に置かないような一部改正を提案をされて便々とされている姿勢というものが理解できないんですが、この点はなぜ書きかえられなかったのか。
#41
○政府委員(川田陽吉君) 現在の公有水面埋立法は手続法というていさいでつくられておりますので、大正十年から今日まで内容的な改正を一度もやらないで運用上カバーしてやってきたわけでございますが、先ほどの大臣の御答弁にもございましたように、そういった通達や何かによる運用面の手直しでやっていくということにつきましても限界がございます。特に埋め立て地の造成に伴う環境公害の問題でありますとか、それから免許の手続について地元住民の意見を発表する意見書提出の機会を与える必要性でありますとか、それから特に、埋め立てられた土地がいろいろ売買されてある種の不当な利得をその間に生ずるというようなことについての規制をする必要性とか、それから埋め立てられた土地が他の目的に安易に使用されることとか、それから追認ということによりまして無許可、無届けで埋め立てをするというような弊害とか、いろいろ最近の情勢にかんがみまして、私どもとしても、法律の改正によりまして姿−勢を正して運用しなければもはや追いつかないというふうな考え方によりまして、一部改正で少なくとも当面ある程度の埋め立て行政の是正というものをやっていかなければならないというふうに考えた次第でございまして、しかる後に引き続きまして、全文改正につきましても、大臣からの御答弁のように、私どもも引き続きそういった重要問題につきましてさらに検討を続けまして、なるべく早い機会に全文改正に持っていきたいというふうに考えている次第でございます。
#42
○二宮文造君 せっかくの答弁ですが、法律というのは国民のためなんですね。法が運用されてきた経緯というのが大事なのは役所の感覚でして、国民のほうから言わせますと、わかりやすい、そして、いわゆる今日の表現を用いた法律でなければ国民に対するサービスというのはできないわけです。河川法だとか、港湾法だとか、あるいは都市計画法だとか、そういうこの埋立法に関連する法律は全部書きかえられたわけですね。ところが、この一部改正の機会にもかかわらず全文を書きかえられない。中身は一緒でもいいじゃありませんか。たとえば非常におかしな感じがするのは、かたかなとひらがなと両方使っているわけです。条文の表題は今日のかなづかい、ひらがなでやっているわけですが、条文の中身は相変わらずかたかな。ですから、おそらくこの条文の表題というものはあとから加えられたと思うのです。表題がひらがなで中身がかたかな、アンバランスなかなづかいというものが私はどうも奇妙に見えるわけですね。
 これは法制局にお伺いしたいのですが、こういうのは好ましくないでしょう。全文改正、中身を改正するということは、またいろいろな手続も必要でしょうけれども、現在の規定というものを今日のかなづかいに書きかえるということは、そう至難なわざでもないし、そうすることが国民の理解を深める。先ほども言いましたけれども、国民へのサービスとして政治に携わる者、行政に携わる者が考えなきゃならぬと、こう考えるのですが、なぜひらがなに法制局としてもこれは書きかえたほうがよろしいぞというふうな御意見を出されないのでしょう。見てごらんなさい。たとえば「免許ヲ受クヘシ」ですよ、「提出スベシ」ですよ、「為スヘシ」ですよ。こういう表現というのは、私はこんなことばは使いたくないのですが、ほんとうに旧帝国主義時代の命令口調、お上の口調です。それがそのまま改正案に受け継がれている。この条文を見る限りは、戦前のそういう雰囲気、それでびんぴんと国民に法律は訴えているわけですね。「免許ヲ受クヘシ」、あるいは「提出スベシ」、「為スヘシ」と、こういう精神が、このことばを通じて、埋立法を通じて国民に訴えているわけです。そういう矛盾というものをお考えになりませんか。なぜほんとうに今日らしい条文に書きかえるように法制局としても示唆をされないのか、この点が私はふしぎでしょうがないのですが、法制局の御見解を伺いたい。
#43
○政府委員(林信一君) 法令を平易に表現するという点につきましては、実は明治八年の太政官布達がございまして、非常に古いのでございますが、「諸布達ノ儀ハ事理弁知シ易キヲ旨トシ可成平易ノ文字相用候様注意可致此旨相達候事」という非常に古いものがございます。これは明治の初めでございますが、その後明治二十六年の「民法ノ編纂方針」、これを法典調査会で定めまして、そこでも「民法ノ文章用語ハ其意義ノ正確ヲ欠カザル限り通俗平易ヲ旨トスベキコト」ということがございます。またさらに、大正十五年でございますが、若槻内閣の当時の「法令形式ノ改善二関スル件」、内閣訓令というのがあります。
 戦後になりましてから、御承知のように、新しい憲法は口語ひらがなで表現しようということになりまして、そうできておるわけでございますが、それと並行いたしまして、国の国語政策といいますか、これがまた昔からいろいろ議論のあったところでございますけれども、やはり民主主義の趣旨にのっとりまして漢字を制限していく、いわゆる当用漢字表というものを昭和二十一年に定めております。さらに二十三年には音訓を制限する、漢字の読み方を制限しております。あるいは、二十四年には漢字の字体、形を制限していくというようなことによりまして、文章、特に公用文における表現は内閣が告示をもちましていろいろ指定してきたわけでございます。法令におきましては、ただいま申しましたように、憲法をそういう形で新しいスタイルで表現するその前に、すでに昭和二十一年の五月当時でございますが、そのころから、当時旧憲法下ですから勅令なんですけれども、憲法の公布が十一月三日、それより前の二十一年の五月には口語ひらがなで表現するということにしておりました。
 仰せのように、われわれといたしましても、かたかなとひらがながまざるというのは確かに読みづろうございますので、必ずしもそれでいいと思っているわけじゃございません。しかしながら、かたかな文語の文章、このかたかなの部分だけを直ちに口語ひらがなに直せばこと足りるかというと必ずしもそうまいらないわけでございます。いま申し上げましたように、漢字自体の使用の範囲も制限されておるわけでございます。古い漢語調あるいは漢文調の文語体の法文を口語に移します場合には、そういったような問題もございますし、のみならず、これはどうしても全部の改正ということになりますので、形式だけではなくして実体についての問題が伴う。長い間、古ければ古いほど判例、学説、あるいは行政上の先例なんか積み重なりまして、これらをこの際全部改正するならば中にくみ込みたい。先ほどからいろいろ建設省全部改正の用意があると仰せになっておりますが、御指摘のようにいろいろ問題もございます。そういった問題が全部解決されませんと、なかなかかたかな文語を直ちにひらがな口語に変えるというわけにはまいりません。先ほど例にあげられました当委員会に関係ございます都市計画法、これは昭和四十三年に制定されておりますが、旧都市計画法、その前の都市計画法、大正八年でございますが、これは条文は二十六カ条、本則がございました。いまのとしては九十七カ条になっております。この前の昭和三十九年にできました河川法、これは旧河川法、明治二十九年でございますが、本則六十三カ条のものが百九条というふうに伸びております。なぜそういうふうになるかということでございますが、ただいま申し上げましたように累積いたしました判例、学説、行政の先例等をこの際法律の形に取り込むということが民主的である、それから昔の法令はとかく勅令あるいは命令に委任いたしている範囲が広うございましたけれども、これらの事柄もできればなるべく法律に格上げして、国会の御審査を経た上で法律という形にしたいというようなことで法律の内容がふくらんでくる、あるいは憲法の趣旨からまいりますところのデュープロセスと申しますか、適正手続というようなことで行政手続につきましても手続規定をいろいろ付加していく、というようなことで条文がどうしてもふえるわけでございます。そのほかいろんな原因がございますが、いずれにいたしましても横文字を翻訳して縦にするというように単純にはまいらないというところが私たちの悩みでございます。
 先ほど御指摘になりましたひらがなの分、これは第一条の第三項についてのあるいはお話かと存じますが、法律の題名はわれわれ固有名詞と考えておりますので、これは形式どおりに法律の中へ引用していくということで、新しくできましたひらがなを使った題名の法律、これはどうしてもひらがなで入ってくるということにならざるを得ないわけでございます。
 それから「ベシ」というのがはなはだおかしいではないかという御指摘でございますが、文語体の法令におきましては「ベシ」 「ベカラズ」あるいは「得」、「スルコトヲ得ズ」といったようなことば、これは、いわゆる法律というものが規範であって権利義務を主体とする一つのものであるということからいたしまして、いわば文語体の法令においてはきまり文句といいますか、むしろきわめて重要な表現でございまして、むしろ「ベシ」という義務規定があることによって法律のていさいをなしておると言ってもいいぐらいでございまして、二宮委員の御年配で「ベシ」ということばが非常にかちんとくるといいますか、先ほどお話ございましたけれども、私たち民法、刑法あるいは民事訴訟法、これら基本的なものがまだかたかな、文語のままで残っておりますし、そういった基本のものがまだかたかななものですから、御指摘のように「ベシ」が非常におかしいというふうに感じておらないわけでございますけれども、文語体の法文をなるべく今後少なくしていかなければならない、これは当然でございます。ただ、それは機会がございまして、いま申し上げましたように全面改正の機会、これが一日も早く来るようにということを願っておるわけでございます。
#44
○二宮文造君 どうもいまの答弁、これは国会を通して国民に言っているわけですが、どっちに軍配が上がるかというのは、これはもう聞くまでもなく私の主張のほうが国民の支持を受けますよ。そういう姿勢の中に現在の行政がまだ国民に親しまれてないというところがあるんじゃないでしょうか。条文がふえてもいいじゃありませんか。また全面改正の必要があるならばそのときは変えればいいじゃないですか。ただ、あなたはいま刑法だとか民法だとかそういうものを例に出されましたけれども、いま国民生活の中で刑法、民法の国民に与える力と、それから公有水面埋立法が国民の生活に影響する力とを比較参照するにはあまりにも比重が違いますよ。私が言うのは、もうすでに一部改正の機会があったのだから、その一部改正の機会に国民へのサービスとしてひらがなに書きかえてもいいじゃないか、そのために条文が多くなっても影響ないじゃありませんか。全面改正をする、それは機会があります。おそらく海域管理法案等々がしっかりしないことには、そういうことも頭に置きながら全面改正の機会ということをおっしゃっているのだろうと思うのですが、そういう役所内での事務の手続が完備して法律を変えるのが国民へのサービスか、その前に国民の理解を深めるということに政府並びに行政当局が心をつかうのが政治なのか、こういう私は重大な問題があると思うのです。したがって「ベシ」というのが、われわれ年配が持つ「ベシ」という考え方と今日の青少年が受ける「ベシ」という考え方とは違うと、こういうふうにおっしゃいますが、「ベシ」ということばには違いありません。「提出スベシ」あるいは「為スヘシ」、「許可ヲ受クベシ」、これは年代に影響はないと思います。したがってこれはやりとりになりますけれども、平行線だと思います。平行線だと思いますけれども、私は重大なところを見落としているのではないか。国民の理解を深める法律というものが今日非常に必要だという皆さんの理解が進んでないから、いわば、非常に言い方が激しいかもわかりませんが、私はこれは事務当局の怠慢だと思います。そう言ってもいいと思います。そういうことで、今日の法律としてはきわめて適正な表現ではない。今回だって重要な部分の改正はあるわけですからね、その作業をされなかったということは非常に遺憾です。平行線になりますから私はこれでこの問題はとどめますけれども、早くいま言いましたような趣旨に基づく書きかえ、これに努力をしていただきたいと思うわけです。
 次の問題に入りますけれども、いろいろな試算によりますと、わが国の工業生産、これが昭和六十年には昭和四十年の四倍ないし五倍をこえる規模になって、これに要する臨海工業用地というのは約十万ヘクタール必要だと、こういうふうに試算をされております。昭和四十六年から五十年度までの臨海工業用地等造成五カ年計画、これによりますと、この五カ年間に三万三千ヘクタールの造成を見込み、このうち民間の造成分を約一〇%に押え、港湾管理者、地方公共団体の造成目標を三万ヘクタールと、このように試算、推計をされているようでありますが、昭和四十六年度及び四十七年度の実績と四十八年度の実施計画、これをあらまし御説明いただきたいと思います。
#45
○政府委員(竹内良夫君) 先生いまおっしゃいましたような臨海工業用地造成の計画と申しますのは、私ども法律の形あるいは港湾の五カ年計画をつくるというような形での純粋の計画としては持ってございません。現在臨海部の用地造成事業につきましては、港湾の管理者がそれぞれの港湾の計画に基づいて策定いたしました用地造成計画につきまして、単年度ごとに港湾審議会の議を経まして閣議の了承を得る、その事業に対しましてあっぜんを行なっていると、こういう形でございます。それで結果といたしましては、四十六年度の実績は事業費換算面積で約三千百ヘクタール、このうち埋め立てば二千三百八十ヘクタール、内陸部は七百二十ヘクタールでございます。また四十七年度の造成実績は、事業費で換算いたしました面積で約二千九百七十ヘクタール、このうち埋め立てで行ないましたものは約二千百八十ヘクタール、それから内陸部は七百九十ヘクタールでございます。
 なお、四十八年度、本年度の実施規模につきましては、先ほど各港湾の管理者の計画を全部まとめまして閣議の了承を得たのでございますが、おおむね二千八百ヘクタールを見込んでございます。先ほど申し上げましたように、三万ヘクタール、あるいは民間を含めまして三万三千ヘクタールを四十六年から五十年までの五カ年につくるということは、いわゆる正確な意味における国の計画ではございませんで、そのような見込みを立てていると、こういうことでございます。
#46
○二宮文造君 そこでまた、これあとで関連してまいりますが、もう一つお伺いしたいことは、環境庁におきましては、昨年干がたの鳥類調査を全国十カ所の地域で実施したと伺っておりますが、千がたの鳥類調査を行なった地域も今後は開発の対象になっている、こういうふうにも聞いているわけですが、この調査結果のあらまし、それからまた、開発の対象になっているそういう干がたの鳥類調査、この関連、これを環境庁としてはどうとらえていらっしゃるのか、この二点をお伺いしたい。
#47
○説明員(仁賀定三君) 私ども昨年千がた十カ所につきまして調査いたしたわけでございます。先生が御指摘のように、その地域の海面について一部開発計画等があるというのが現状でございます。干がたはその自然環境から水鳥を中心といたします鳥類にとりまして重要な生息地でございます。また一方、千がたは、そのできてきた過程から申しまして人口棚密地の近くに比較的多いというふうなこともございます。そのようなことから、過去から非常に開発の対象になってまいったわけでございます。昨年私ども日米の間で渡り鳥等の保護に関します条約の調印もいたしたことでもございますし、積極的に今後その干がたを守ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。このために、今回公有水面埋立法の改正にあたりまして、環境庁長官との協議というふうな条項が入っております。今後関係各省と十分お打ち合わせをし、また御協力をいただきまして、その保全につとめてまいりたいと考えておる次第でございます。
#48
○二宮文造君 いまお話がありましたが、ソ連との間にも渡り鳥条約があるのじゃないでしょうか。
#49
○説明員(仁賀定三君) ソ連との間には再門家会議等を持ちまして条約を煮詰めておる最中でございますが、まだ調印の段階に至っておりませんが、大筋の了解は、両国の間ですでに大筋につきましては合意を見ております。
#50
○二宮文造君 そこで、これは申すまでもなく、冒頭にお話をしたことですが、たとえば干がたで開発が進められますと、シギだとかあるいは千鳥だとか、そういうものが影響を受ける、また、そういう自然環境が影響を受けるばかりでなく、人間の生活にもきわめて強い影響がもたらされますので、埋め立てないしは埋め立て地の利用、そういうものについて地域住民あるいは関係の権利者、こういう方々の強い反対運動が起こっている、これはもう御承知のとおりであります。今後も、先ほど御説明があったように、従来同様な埋め立てが続けられていきますと、いま言った自然の環境破壊あるいは人間生活への影響、生活環境を破壊する、こういう弊害というものははかり知れないものが続いてくるわけです。そこで埋め立て、それから埋め立て地の利用、そういうものについて、やはり十分な規制というものが行なわれなければなりません。その基本姿勢あるいは規制の方針、そういうものをまず私はお伺いをして、次に入りたいと思うわけです。
#51
○政府委員(川田陽吉君) 今回の改正によりまして、免許するのは前から都道府県知事でございますが、その都道府県知事の免許する法的な基準というものを第四条の改正によって入れたわけでございまして、第一号で、その埋め立てがでございますが、「国土利用上適正且合理的ナルコト」とか、第二号で「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」とか、それから第三号で「埋立地ノ用途ガ土地利用又ハ環境保全ニ関スル国又ハ地方公共団体ノ法律ニ基ク計画ニ違背」しないことというような法的な条件を、法律上免許の基準を与えまして、その基準に全部該当する場合でないと都道府県知事は埋め立ての免許をすることができないと、こういうふうに法律上の規制をいたしております。それから申請書の中で、きちんと改正法の第二条第三項の第五号の中で、「命令ヲ以テ定ムル図書」を出しなさいということにしているわけでございますが、その命令の内容といたしましては、環境保全につきまして十分配慮されたものであることを示す文書いうものを添付させまして、そうしたものを審査して、環境保全上やはり支障がないということを確認した上で都道府県知事が免許を与えるように考えております。
#52
○二宮文造君 その運び方ですがね、おっしゃるとおり都道府県知事が埋め立て免許の権限を持っている、その議会の議決を経た市町村長の意見をそれに加える、徴するということになっておりますが、今日の実情を考えてみますと、埋め立てというのは、地方自治体と企業が話し合いをして、そして埋め立てを始めていくというケースが非常に多いわけですね。そうすると地方の市町村の自治体も、もうすでに企業との間に話ができている。免許権者である都道府県知事、これがその議会に諮問をする。何かその辺のからくりが自問自答になってくるような感じがするわけです。もうすでに自治体で始まっていますから、企業との話し合いが。こういうふうな今日の埋め立ての実情、埋め立てを推進する実情というものを考えますと、地方議会の意見を徴するということが、これが万能であってはならないと思うのですね。地方議会の意見を徴すると同じように、それと同等の力を、関係住民、地域住民、あるいは利害関係者、そういう人たちの意見を徴することを同じレベルで取り上げていくような姿勢にならなきゃならぬと思うのですが、どうも法律の中を見てみても、その辺が、意見を出すと、意見書を出すと、いわゆる承認とかなんとかいうことではないみたいに私は理解をするんですが、議会の意見を徴する、議会の議決を経た市町村長の意見を徴する、関係住民の承認とか、そういうものがないような気がする。どうもその辺の力関係が十分でない改正ではないかと思うのですが、この点はどうですか。
#53
○政府委員(川田陽吉君) 御指摘のように、今回の改正におきましては、従来は都道府県知事が免許をする場合には市町村長の意見を聞かないでいきなり地元市町村会の意見を聞くという形でございましたが、今回の改正によりまして、埋め立ての免許をする場合には地元市町村長の意見を聞くということを定めております。そうして地元市町村長は意見を出す場合には議会の議決を経なければならないというふうにしているわけでございますが、市町村という地域団体の一番の、地方自治の第一線といいますか、一番地元の住民と密着した自治体の御意見というものは、これは当然十分尊重しなければならないわけでございますが、また別途関係を有している方、その埋め立てに関し利害関係を有する人は意見書を提出することを法律で認めているわけでございますので、そうした方々が意見書をお出しになられますならば、当該意見書につきましても十分免許官庁である都道府県知事はしんしゃくをいたしまして免許をするということをこの法律はたてまえとしているわけでございます。企業との癒着云々という御指摘でございますが、公有水面の埋め立てということは、狭い国土の利用のあり方としてどのようなものが一番いいかということについては、たいへんやはりいろいろ検討しなければならない問題があるわけでございますが、港湾区域の問題あるいは都市計画区域内で埋め立てをやるような場合には、それぞれ港湾審議会とか、あるいは都市計画審議会の計画決定を経た埋め立て法というようなものもあるわけでございまして、そういった意味で地元住民の御意見というものはやっぱり都道府県知事の判断資料ということでこの法律は考えた次第でございます。
#54
○二宮文造君 機構としてはできているわけです。機構としてはできているのですけれども、私はその地域住民の意見というものが十二分に生かされるような力関係にはなってないということを言っているわけです。条文上は公正妥当な線に落ちつくようにできているわけです。しかし実態は、いわゆる市町村と企業との間の話し合いがで、きる。それから今日の各市町村の議会の勢力の構成、こういうものも考えてみたり、また審議会ということをおっしゃいましたけれども、審議会の委員の構成というものを考えてみても、審議会の委員あるいは地方の議会構成、そういうものを考えた場合には、あながち住民サイドの意見が十二分に発揮されるような現在の力関係にはなっていない、こういうことを私は心配をするわけです。
 そこでまた、次の問題に入りますけれども、埋め立て地の今度は利用の問題ですね。利用規制の効果をあげるために、埋め立て地に配置されますところの緩衝緑地などの公共施設はもちろんのこと、人工干がた、こういうものの築造というものを埋め立ての免許権者に提供することを免許を受けた者に義務づける、そういう必要がありはしないか。またあわせて、埋め立ての免許料ですね、これも今日の時点に照らして改定をするべきではないかという意見もありますが、この義務づけの問題、それから埋め立て免許料の改定の問題、この点についてはどうお考えですか。
#55
○政府委員(川田陽吉君) お尋ねの第一点の、緩衝緑地というような公共の土地、あるいは環境保全上に非常に有効なそういった公共空地等のスペースの問題でございますが、今回の改正によりまして、まず四条の二項で技術的細目に関する規定をやっております。政令にゆだねる考えでございますが、政令で規定する考えでございますが、公共空地等の公共施設につきましては、都市計画の開発基準等を参考にいたしまして、それよりもっと大幅なものにしたいと私ども考えておりますが、緑地及び空地の率をまず技術的細目の中で明確に規定するという形を一つとりまして、それから次に、本法の公共の土地の提供の義務づけは、二十四条のただし書きで、「公用又ハ公共ノ用二供スル為必要ナル埋立地ニシテ埋立ノ免許条件ヲ以テ特別ノ定ヲ為シタルモノハ此ノ限二在ラス」ということで、この土地は埋め立てられたあとでも本人には与えないで国または公共団体が保留すると、こういう制度でございますので、一応先生御指摘の第一点に関する点は、面積その他の客観的な基準は政令で定めることにいたしまして、具体的にどこにどれだけの公共空地、緩衝緑地等をつくりなさいということは、個々の処分に際して免許条件でこれを確定する、そうしてその土地は公共の土地として国または公共団体に保留されると、こういう運用になります。
 それから次のお尋ねの免許料でございますが、免許料につきましては、現在政令によりまして比隣の土地の価格の百分の三、これは政令の第十六条でございますが、「埋立地ノ価額ハ埋立ノ免許ノ日ヲ標準トシ比隣ノ土地ノ価格ヲ参酌シテ都道府県知事之ヲ認定ス」と、そしてその百分の三を埋め立ての免許料として徴収するというのが現在のやり方でございますが、最近の実情から見てまいりますと、やはり百分の三という免許料の率は相当低い率であると考えますので、これを引き上げるという考え方で目下検討いたしている最中でございます。
#56
○二宮文造君 先ほどちょっとペンディングになりましたけれども、埋め立ての結果生ずるであろういろいろな影響、それからその範囲、そういうものについてあらかじめ環境とか公害、災害、文化財の保護、そういうものに焦点を当てて、種々の面から専門家、あるいは関係住民ですね、そういう者によります審議会を設けて検討をすべきではないかと、これは参考人の意見の中にもあったわけです。こういうふうな意見が出てきておりますけれども、建設省としては、今後埋め立てというものをほんとうに種々の面から問題なくしていくためには、やっぱり一歩進めて意見を徴し、先ほどもいろいろな審議会の名前をあげましたけれども、そういうものではなくて、そのものずばりを対象にした審議会、そういうものを設けて検討するほうがいいんではないかと、こう思うんですが、この点は今後どうお考えになっていきますか。
#57
○政府委員(川田陽吉君) 公有水面の埋め立ての免許と、またその際、審議会というものが必要かどうか、まあ必要であるとの御指摘をいただいているわけでございますが、私ども現在の段階で、特に一部改正の段階ではそういった改正を織り込んでおりませんが、全文改正の段階におきましては審議会の活用ということについて十分慎重な配慮をしていきたいと考えております。ただ、従来の立法例等から見てまいりますと、個々の具体的な処分について審議会の議を経るというケースは非常に少ないわけでございますが、そうしたことを考えながらも、しかし審議会というようなものがやっぱりあったほうがよいという考え方も十分私ども検討しなければならないと考えております。
#58
○二宮文造君 それで、第一条第三項の適用除外の規定ですね、これは先ほど大臣にも質問をし、いまもずっと言ってきた観点から廃止すべきじゃないか、また改正案において経過措置として認めようとしております旧法下における埋め立てについての適用除外、これもやめて凍結をすべきではないか、こういう考え方に立つんですが、この点はいかがでしょう。
#59
○政府委員(川田陽吉君) 第一条の第三項は本法の適用除外の条文でございますが、これは一言にして申し上げますと、こういつた法律に基づく埋め立てがすべて公有水面埋立法の除外になるという趣旨ではございませんので、もっと具体的に申し上げますと、たとえば新住宅市街地開発法に基づきまして市街地の整備を一定の区域内に行なう場合に、従来からある、いわゆる国有畦畔のみぞとか、それから昔からある天水用のため池等の位置の変更をそうした事業の中で行なう必要がある場合が考えられるわけでございまして、そうした法律におきましては、いわゆる公共物の場所の変更については交換という考え方で一括処理しております。みぞの位置を別な場所へ移す場合に、もとのみぞを埋め立ててそれを一たん相手に与えて、それから今度新しいみぞを事業主体である公共団体が取得するというやり方ではなしに、この法律の中での一括交換というような形を便宜的にとらしたほうが能率的であるという考え方による除外でございますので、公有水面埋め立て行政の遂行上、特に支障はないかと考えますので、そういった措置で支障はないのではないかと事務的に考えている次第でございます。
#60
○二宮文造君 旧法の経過措置の……。
#61
○政府委員(川田陽吉君) 失礼いたしました。旧法の免許によるものの法律効果の問題でございますが、先生御承知のとおりに、この埋立法による免許というものは一種の私権という範疇に入っております。いろいろ公法上の制約は大きいわけでございますが、私権であるという大審院の判例等も一応出ております。そこで、そういった既得権に関する保護の問題というところから、やはりこの経過措置というものは、もろもろの立法例から見ましても必要ではないかと考える次第でございます。
#62
○二宮文造君 しかし、たとえば瀬戸内海に限って見ますと、瀬戸内海の汚染というのはもうほんとうに限度を越えているといいますか、もう早急に対策を立てなければならないわけです。もう汚染度が年々増しております。ところが、やっぱり公有水面の埋め立てについては既得権者もおりますし、それからまた新たにそういうことを考える面も出てまいります。したがって、瀬戸内海の汚染ということを考えてみますと、現在与えられている埋め立て免許、これはやっぱり凍結の必要があるんじゃないか、また新たな埋め立てについてはもう許可をしないと、こういうふうな非常にきびしい姿勢で望まなければ、この瀬戸内海の汚染というものを救済する方法はない、こう考えるんですが、問題を瀬戸内海に限って、現在与えられている埋め立て免許の取り扱い、さらに今度は新規の埋め立てについての許可あるいは許可しないという原則そのものについてはどうお考えですか。
#63
○政府委員(川田陽吉君) 瀬戸内海の埋め立ての問題につきましては、瀬戸内海の環境の保全に関する特別の法体制等もいろいろ検討されている次第でございますので、そういう現状をよく免許官庁であるものは認識いたしまして、新しい免許等は極力抑制すべきであるというふうに考えます。また、そのような行政指導もやっていかなければならないと考えておりますが、すでに与えました免許につきましては、できるだけ監督条項の発動等によりまして埋め立てに基づく環境の悪化を来たさないように十分指導していきたいと考えております。
#64
○二宮文造君 環境庁のお考えはどうですか、瀬戸内海の問題とそれから埋め立てとの関係について。
#65
○説明員(松田豊三郎君) ただいまも河川局次長から御答弁ありましたように、埋め立てによりまして環境の悪化を来たさないというふうな観点から、いわゆる環境アセスメントと申しますか、環境の事前評価を十分にいたしまして、埋め立てについてはきびしい態度で臨みたい、こういうのが環境庁の姿勢でございます。
#66
○二宮文造君 私、時間がきましたので、一応これで本日の質疑をとどめたいと思いますが、どうもこの海の問題を振り返ってみまして、現状が先に進んで――建設行政というのはみんなそうなんですが、現状が先に進んでしまって、規制があとから追っかける。その追っかけるときには従来のいろいろな慣行があるために、ここまで臨んでも、この程度で終わってしまう。ますます現状とそれから規制とがぐんぐんぐんぐん離れていってしまう、こういうふうな感じがしてならないわけです。だから、せっかくのこの一部改正でも、おそらく問題は、今後また汚染の問題にしましても、環境破壊の問題にしましても、生活の問題にしましても、ますます問題が複雑多岐になり、多発してくると思うんですね。ですから、いわゆる従来の公有水面の埋め立てという感覚からは完全に脱却した方針で進まなければならないんではないか。要するに、海の規制という問題について早急に基本姿勢というものをはっきりしなければ問題は解決しない。冒頭の質問に返ってしまうわけですが、どうかそういうことを、そうしてまた住民へのサービスということ、それを第一義に考えたいわゆる埋め立てあるいは公共海域の規制、そういうものに抜本的に取っ組んでもらいたい、これを私は要望いたしまして、一応質疑をきょうはとどめさせていただきたいと思いますが、そのことについて政務次官の御発言を求めて終わりにしたいと思います。
#67
○政府委員(松野幸泰君) 御趣旨に沿いますよう最善を尽くしてまいります。
#68
○委員長(野々山一三君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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