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1972/06/19 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 逓信委員会 第11号
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1972/06/19 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 逓信委員会 第11号

#1
第071回国会 逓信委員会 第11号
昭和四十八年六月十九日(火曜日)
   午前十時二十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十八日
    辞任         補欠選任
     山田 徹一君     塩出 啓典君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        茜ケ久保重光君
    理 事
                今泉 正二君
                古池 信三君
                塚田十一郎君
                森  勝治君
    委 員
                白井  勇君
                西村 尚治君
                横川 正市君
                塩出 啓典君
                木島 則夫君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  久野 忠治君
   政府委員
       郵政大臣官房長  廣瀬  弘君
       郵政省郵務局長  溝呂木 繁君
       郵政省簡易保険
       局長       野田誠二郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹森 秋夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(茜ケ久保重光君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十八日、山田徹一君が委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(茜ケ久保重光君) 理事の辞任についておはかりいたします。
 本日、西村尚治君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、それでは理事に塚田十一郎君を指名いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○委員長(茜ケ久保重光君) 簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○西村尚治君 それでは、私から、数点につきまして、お尋ねいたしたいと思います。
 最近、生命保険に対する国民の需要動向、こういうものを見ますと、ずいぶん大きな変化が見られるように思うのでございます。従来の貯蓄重点型から死亡保障重点型に移行しておるということが、いろいろな資料を見まして、はっきりわかるわけでございますが、こういう際にあたりまして、郵政省で死亡保障のための定期保険、この制度を新しく始めようということで法律改正案を出された。まことに時宜にかなった措置だと思うのでございます。
 ところで、ひとつここでお聞きしたいのは、民間生命保険業界におきまして、この定期保険というのがどの程度普及しておるものなのか、新規契約の中で何%ぐらいを占めておるのか、その状況がおわかりでしたら、件数あるいは金額別に、まずお教えを願いたいと思います。
#8
○政府委員(野田誠二郎君) 定期保険の普及状況でございますけれども、昭和四十六年度の民間で発売をいたしております個人定期保険の新規契約件数――まず件数から申し上げますと、四十六年度個人定期は十六万件でございまして、保険金額は三千七百九十三億円でございます。この個人の定期保険が個人の保険中に占めます割合は、件数、保険金額ともに一・六%、こういうことになっております。また四十六年度末におきます保有契約件数は、個人定期は七十九万件、保険金額は八千九百八十三億円でございまして、個人保険中に占めます割合は、件数、保険金額とも大体一・二%程度でございまして、その普及状況はまだ十分とは申せないわけでございます。
 これに反しまして、四十六年度の団体定期保険につきましては、四十六年度被保険者が七百二十七万、保険金額が三兆八千六百九十六億ということでございます。保有契約におきましては、被保険者が四千六百三十三万人、保険金額は二十三兆六千二百七十九億円ということで、年々増加をたどっておる、こういう状況にございます。
#9
○西村尚治君 そうしますと、民間では、この定期については、団体扱いが中心を占めているということがはっきりわかるわけですが、聞くところによりますと、郵政省で今度発売されようとするこの定期保険というものは、バラ売りを中心にという御意向であるやに聞いたわけであります。
 しかし、私どもしろうと考えで考えてみますと、バラ売りよりか団体扱いのほうがどうもコストが割り安になるのじゃないか、したがって保険料も格安になるはずじゃないかという気がするのです。にもかかわらず郵政省においては、定期保険を売り出されることについては大賛成ですけれども、有利というか格安というか、そういう団体保険でなくてバラ売りを中心になさるのは、どういう御趣旨、どういう理由なのか、その点をひとつお聞かせ願いたい。
#10
○政府委員(野田誠二郎君) 御指摘のように、団体保険にいたしますほうが相当程度保険料も低減されるわけでございますが、簡易保険が今回団体定期にいたしませんで個人のバラ売りの定期にいたしました理由といたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、わが国の個人定期保険の普及状況はまだ十分とは申しがたい状況にあることに反しまして、団体の定期保険は民間生命保険におきまして、先ほど申し上げましたように、かなり普及をしておるわけでございまして、すでに民間保険が相当普及をさしておりますこの分野に簡易保険が新たに割り込むといいますか、進出をしていくということに、まず第一の問題点があろうかと、このように考えます。
 第二点といたしまして、団体定期保険は民間の生保会社がそれぞれ資本系列等に従って販売をいたしておるわけでありまして、大きな企業体、まあそういうものを中心に動いておるというのが実情でございまして、そういう中に簡易保険が進出していくのはなかなか実際問題として困難ではなかろうかという判断に立ったのが第二点でございます。
 第三点といたしまして、同じ定期保険ということばは使いますけれども、団体定期保険と個人の定期保険というものは全然、何といいますか、理論なり構成というものが違うわけでございまして、簡易保険といたしましては個別の保険を扱っておるのでありますが、団体保険というのはいままで扱っておりませんで、これを発売するといたしましても、準備――外務員の訓練等々相当の課題が残されておる、この三点の理由によりまして、今回は個人の定期保険の発売ということにとどめたのでございます。
 この今回発売いたします定期保険におきましても、団体の取り扱いをすることによりまして、団体定期保険に準じた取り扱いが一応できるだろう、こういうように見込んでおるわけであります。
#11
○西村尚治君 団体に準じた扱いをすることは拒むもんじゃないということですからわかりましたが、ところでもう一つ、ちょっと気になることは、定期保険となりますとこれは短期間ですが、簡易保険は申すまでもなく無診査ですので、どうも病気になってぐあいが悪いというような人がかえって逆に進んでこの無診査の定期保険に入る、いわゆる逆選択、そういう危険性はないものかどうか。
 従来の簡易保険にだってそういうおそれがあったわけですけれども、定期となると、どうも一そうそれが強くなるような気がするのですが、そういうものについては何かしっかりした歯どめといいますか、対策を考えていらっしゃいますか。
#12
○政府委員(野田誠二郎君) この定期保険の販売にあたりまして、従来の保険種類と同様に、面接観査をいたすことにいたしておりますし、さらに被保険者に告知義務を課しておりまして、私ども、いままで従来の保険種類を扱っておりました以上に、この面接観査並びに告知の受領というものを励行いたしてまいりたい、このように考えております。
 なお、経営の悪化等々いろいろ予想されることも懸念されますので、法律の上では、保険金の支払いに関しまして、それぞれ削減の条項を設けておりまして、逆選択を予防する、こういうことにいたしておるわけであります。
#13
○西村尚治君 それから、先日日曜日でありましたか、新聞を見ていましたら、民間保険では来春から新しい生命表を採用する、そして新規契約者については保険料を引き下げる、既契約者については配当金の増配という形でこれを還元するというような記事が出ておりました。
 ところが、従来、簡易保険は、民間保険に比べまして、どちらかというと正味保険料が若干割り高だということがいわれておるわけです。これは運用利回りが非常に低いところに押えられておりますから、やむを得ずそうなっておるわけですけれども、しかしいずれにしましても来春から民間保険が保険料を下げる、したがって正味保険料も下がるわけですが、引き下げるということになりますれば、簡保としても何らか手を打つべきではないかというふうに思われるのでありますけれども、郵政省にはこれに対して何か対案がありますか、ありましたらひとつお聞かせ願いたいと思います。
#14
○政府委員(野田誠二郎君) 御指摘のように、ごく最近の新聞によりますと、民間の生命保険におきまして来春から新しい経験生命表を採用いたすと、このことによりまして保険料を引き下げるということが報じられております。そのほか契約者に対します利益の還元、配当につきましてもいろいろ新しい方策がとられるように予報せられておるわけであります。
 確かに、最近の国民の声の中にも、配当よりも保険料の安い保険を望むという声が相当出てきておるわけでございます。これらの事態に対処しまして、簡易保険では、まず、こういうふうに考えております。
 現在、保険料計算基礎として採用しております生命表は第十二回の生命表を使っておるわけでありますが、四十五年の国勢調査に基づきますところの第十三回の生命表、これが近いうちに厚生省から発表される、このように予定をされておるわけでございますが、十二回生命表から十三回の一番新しい生命表を採用するということが一つ。
 第二点といたしましては、事務の合理化及び機械化ということを推進いたしまして、事業運営の効率化をはかるということ、これが第二点でございます。
 第三点といたしましては、ただいま御指摘もございましたように、簡易保険の資金の運用というものが相当制約がきびしくて低利に回っておるのでございますが、これを法律改正その他の各般の手段によりまして、運用利回りの向上をはかるということによりまして、できるだけこれが保険料に反映をいたしまして、安い保険料で保険を国民に提供する、こういうことで対処していきたい、このように考えております。
#15
○西村尚治君 次に、保険金額についてですけれども、最近郵政省でまとめられました需要動向調査、この結果を見ますと、国民が生命保険に期待する保障額というものはもう完全に一千万円時代に入っておるということが言えると思うわけです。ですから、現行の三百万円という最高制限額では、これはとうてい国民の期待といいますか、需要に応じ得ないということが言えるかとも思うわけです。
 今国会では無理でしょうけれども、私は、ぜひ、早い機会に制限額の引き上げを断行していただきたいと思います。もちろん簡易保険は無診査――面接はしますけれども、無診査で加入できるわけですから、一挙に一千万円までということは無理かと思いますけれども、せめて五百万円、七百万円ぐらいのところまで、ぜひひとつ踏み切って、実現方の努力をしていただきたいと思うわけですが、これはかなり政治力の要ることでもありますので、ひとつ大臣のほうから御答弁をお願いできたらと思います、いかがでしょう。
#16
○国務大臣(久野忠治君) ただいま御指摘の点には、全く私も同感でございます。
 現在の保険金の最高制限額が三百万円に改められましたのは昨年でございまして、これは民保、農協の無診査の最高限度額を勘案いたしました。今回、これをさらに引き上げるかどうかということにつきましては、内部でいろいろ検討いたしてみましたが、断念をいたした次第でございます。
 そのかわりと申し上げてもあれですが、定期保険及び疾病傷害特約の制度を創設することに重点を置くことといたしたような次第でございますが、ただいま御質問の点、私といたしましても十分理解のできるところでございますので、できるだけ早い機会にその引き上げを実現させたい、かように考えている次第でございます。
#17
○西村尚治君 次に、積み立て金の運用につきまして、ひとつ御質問申し上げたいんですが、本年度の簡保の運用計画を見ますと、電力債への運用が四百億円認められております。この電力債への運用というものはずっと前から道は開かれておるんですけれども、郵政省・大蔵省両者間に覚え書きがありまして、ワクがはめられておって、どうにも動きがとれなかった。それが今回撤廃されまして、財投計画外に資金を四百億運用されたということ、これは私はたいへんけっこうなことで、ちょっと大げさな表現になるかもしれませんけれども、簡保積み立て金運用史上画期的な壮挙だと、快事だと思うのでありまして、心から皆さんの御努力に敬意を表する次第であります。
 でありますが、ただ四百億という金額、――なかなか最初からぜいたく言うわけにはまいらぬかもしれませんけれども、資金総額がそろそろ四兆円に達しようといった現状を考えますと、決して大きいものじゃない、むしろどうもやはり少ないなあという感じを免れぬわけでございます。これはせめてこの次あたりには、この運用法で認められております積み立て金の総額の一〇%までは金融債に投資していい、また五%までは電力債に投資していいという道が開かれているわけですから、運用法ではっきり認められておるわけですから、その限度まではできるだけ早い機会にひとつ運用できるように実現方を御努力願いたいと思うわけです。これについては保険局長からでも、どうです、感触、見込み、その辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#18
○政府委員(野田誠二郎君) ただいま西村先生から非常な御激励を受けまして、われわれ非常に感激をいたしている次第でございます。
 御指摘のように、金融債につきましては法律上資金総額の一〇%まで、電力債につきましては五%までというワクが認められておるわけでございますが、本年度運用計画の電力債、金融債の運用の四百億円は、本年度の運用計画の約五%程度にすぎないわけでございます。現在資金総額は三兆八千億になっておりますが、これに比べますと非常に微々たる数字であるということは御指摘のとおりでありますが、いずれにいたしましても財投計画外としての運用がことし初めて行なわれた、こういう状況を考えますと、いま申し上げましたワクまでの増額といいますか、こういうものは相当われわれ努力をしていかなければなるまい、このように考えます。
 また、電力債の発行及び消化の状況というような債券市場等々の実情といいますか、現実もいろいろあるわけでございます。いずれにいたしましても四十九年度以降できるだけわれわれも努力をいたしまして、この法律のワクまで、さらには昭和四十年の郵政審議会の簡易保険事業の近代化に関する答申が郵政大臣あてに出されておりますが、これには資金の三割程度までは持つべきであると、こういう高利回りの金融債なり電力債というようなものを持つべきであると、どういう答申をいただいておるのでありますが、そういう方向に向かって努力をしていきたい、このように考えております。
#19
○西村尚治君 まあ努力をするということでありますし、本年度四百億でもとにかく財投計画外に融資することの実現をはかられたわけですから、その努力のほどに期待したいところですけれども、どうも従来の経緯から見ますと、大蔵省というところは案外簡保資金の運用ということに理解がない、私どもよくわかっております。法律でせっかく道が開かれているにもかかわらず、どうもこの大蔵省の連中は簡保の積み立て金というものを一般の政府資金というふうに単純に考えておる。簡保資金の特殊性というものに対する配慮、理解というものがほとんどないわけです。法律で道が開かれているにもかかわらず、何といいますか、特権意識といいますか、そういったようなものに基づいてこの郵政省の努力、皆さん方の申し出に対して理解を示さない。はなはだ私はけしからぬことだと思っているわけでございます。
 少なくとも早い機会にいま申しました法律で認められております範囲内までは投資できる、そしてさらに進んで、いま保険局長がおっしゃったように、四十年の近代化の答申にありましたように、ここにもありますが「新規運用原資の少なくとも三割」これは一般事業社債や株式などへの運用もできる、そういう道も開いてもらいたい、もう切に要望するわけですけれども、私は、何でしたら、今回の法律とは切り離しても、一度場合によっては大蔵省の人に来てもらって、ここでそういう点について質疑をしたいぐらいに思っているわけでございますが、ひとつこの運用利回りを向上さすために――向上させませんと、大臣、簡易生命保険法の第一条に、確実な経営をしてなるべく安い保険料でこの簡易保険というものを国民に提供して云々という目的がはっきり示してありますけれども、その目的にこたえることができないわけでございまして、何としてもこの運用利回りの向上、したがって有利な面への運用範囲の拡大ということは非常に大事な問題だと思うわけでございます。
 しかし、これまたなかなか大蔵省との折衝その他におきまして政治力を必要とすることだろうと思います。この点につきまして、ひとつ大臣の御決意のほどを承っておきたいと思います。
#20
○国務大臣(久野忠治君) ただいま御指摘のとおり、本年度から新しく運用につきましての制度が設けられようとしておるわけでございます。しかし、今後、さらにこの積み立て金の運用範囲を拡大いたしまして、運用利回りの向上をはかっていくことは当然であろうと思いますので、その点につきまして十分関係当局とも話し合いを進めまして、そしてこれが実現いたしますように努力をいたしたいと存じます。
#21
○西村尚治君 次に、福祉施設の関係につきまして若干お尋ねいたしたいと思いますけれども、現在、福祉事業団というものがありまして、加入者ホーム、保養センターの経営をされております。あれは非常に利用者にとって評判がよろしい。たいへんこれはけっこうなことだと思うのですけれども、ただ、昨年の通常国会でも質問いたしましたが、評判はよろしいのですけれども、何しろ施設の数が少ない。収容力が十分でありませんために利用者が申し込んでもなかなかすぐ応じてもらえない、そういう声をしきりに聞くわけです。いつまでもそういうことでは、何といいますか、羊頭を掲げて狗肉を売るような結果にもなりかねないと思いますので、ぜひひとつこの福祉施設というものを拡充してもらいたいと思うわけです。
 どうも最近の様子を見ておりますと、年々二、三カ所しか増設が認められていないようですけれども、こんなことではもう全く焼け石に水だと思います。もっと思い切った施設の増強をやっていただきたいと思うんですが、郵政省のほうには大体の青写真、今後の計画というものがあろうかと思うんですけれども、ありましたら、それをまずとりあえずちょっとお聞かせを願いたい。
#22
○政府委員(野田誠二郎君) 簡易保険事業としましては、従来から、加入者の福祉施設の拡充につきましては、一応、力を注いできておるようにわれわれ考えているわけでございますが、最近におきます国民生活水準の向上なりあるいは余暇時間の増大に伴うレジャーの高度化、多様化というようなものにはなかなか対応し切れない、こういう実情でございます。現実の問題として、非常に施設が満員である、あるいは利用の申し込みに対して応じ切れない、こういう実情でございます。
 そこで、簡易保険事業としましては、好調な経営状況を背景にしまして、地域開発にも資することを目的として、大体――
  〔委員長退席、理事森勝治君着席〕
これはもうほんとうの大体の計画でございますが、総額約六百億円程度の資金を投入いたしまして、できるだけ早く加入者福祉施設の飛躍的な増大をはかるということを予定いたしております。この拡充計画によりますと、利用人員は大体現在年間三百万人でございますが、これを一千五百万人というふうに五倍程度にふやす、こういう基本的な計画を持っておりますが、施設といたしましては、現在ございます保養センターそれから加入者ホーム、これの拡充整備のほかに、新しくキャンプセンターというようなものを全国各地につくる、あるいは簡易保険会館、青少年の体育のスポーツセンターというようなものを主要都市につくっていきたい、大体こういう構想で進めてまいりたい、このように考えております。
#23
○西村尚治君 ぜひひとつ積極的に推進をしていただきたいと思います。
 簡易生命保険事業が、皆さんはじめ全国の全職員の非常な努力によって、最近、比較的順調に業績が伸びておるということは、たいへんけっこうなことだと思います。思いますけれども、今後、生命保険業界の競争というものはますます激しくなると思うんです。外資の上陸もすでに決定したわけでして、これから民間生命保険、農協共済ですか、それから外国資本入り乱れて、それこそまことに競争が激烈をきわめるだろうと思われますが、その中にあって、簡易生命保険というものが、保険法第一条の精神にのっとって、堅実な経営をしていく、業績を伸ばしていくには、やはり簡保としての特色を発揮していくことをねらっていかなきゃいかぬのじゃないかと思うわけです。そのためには今回のこの定期保険の創設もけっこうですし、それから先ほどちょっと触れました正味保険料の引き下げ、これも大事であります。
 でありますが、同時に、私は、加入者の皆さんに喜ばれるような特色を発揮していく、すなわちいろんな福祉施設というものを増設、整備していって、自由にいつでも利用してくださいというような姿にまで持っていってもらうことが大事であると思うわけでして、私は、ですからね、正味保険料の切り下げも大事だけれども、年によっては年間の剰余金の半分くらいはひとつ福祉センターにつぎ込むくらいな気がまえで取り組んでいただくべきじゃないかと思うわけですけれども、その点はどうですか、重ねてひとつお聞かせ願いたい。
#24
○政府委員(野田誠二郎君) お話しのように、加入者の福祉施設という施設は、簡易保険の非常な特色、あるいはユニークといってもいいくらいの施設でございまして、今後の生命保険業界の動向あるいは国民の保険に対します期待というようなものを考えました場合、いままでのテンポで、年々少しずつではございますが、加入者福祉施設等を増設する、あるいは新しい施設を手がける、こういうことではなくて、四十九年度以降予算面におきましても画期的な努力をわれわれとしても必要とする、このように考えておるわけでございまして、おことばの趣旨を受けまして、大いに努力をいたしたい、このように考えております。
#25
○西村尚治君 あまり私ばかりで時間をとってもあれですが、この福祉施設の関係で、もう少し数をふやすこともぜひやってもらわなければいかぬですけれども、ただ、これがあまりマンネリ化しないように、キャンプセンターとかその他いまおっしゃいました、私もいろいろ申し上げたいことももう少しありますが、バラエティに富んだひとつ施設をつくってもらいたい。詳しいことはいずれまた別の機会にいたします。
 最後に、一つ提案をいたしたいことは、住宅資金の貸し付けを加入者に始めていただきたいということでございまして、マイホームを持ちたいというのは庶民共通の夢であり願いであるわけです。しかしなかなか資金が足らないですね。住宅建てたいけれども、土地も高い、材料も高いというようなことで皆さん困っておるわけですが、そういう加入者に対して資金を貸し付けてもらうという制度を始めてもらいたいということです。いま契約者貸し付けというものがありますが、あれじゃとても足らぬわけですから、そうでなくて、私が申し上げたいのは、積み立て金運用計画の中に住宅貸し付け資金として別のワクを設定しておいて、これを申し出た人に貸し付けてもらうという提案であります。
 実は、厚生省の所管の年金福祉事業団ですか、そちらのほうでいままではずうっと会社などに資金を貸し付けて、そこの従業員の住宅建設にあの事業団は協力をしてきておったわけです。ところが、これはこれでよろしいのですけれども、四十八年度から被保険者に直接住宅資金を貸し付けるという制度を始めまして、そのために、ここに資料がありますが、予算上三百六十五億円という資金を確保しておるのです。これは非常に私はいい制度だと思うわけで、何もこれをまねるというわけじゃありませんけれども、簡保の特殊性を発揮するというねらいからも、またマイホームの夢をかなえてあげる、国の住宅政策に協力するという意味からも、あらゆる面から見まして非常に有意義な施策だと思うわけでありますので、ぜひひとつ簡易保険のほうでも加入者に対する住宅資金貸し付け制度というものを創設してもらいたいと思います。
 これは事業団でやらしてもよろしいし、年金福祉事業団のほうでは――これはちょっとくどくなりますけれども、一般の人が住宅金融公庫から金を何がしか借り入れますね、しかしこれだけでは十分じゃないのです。それで年金の被保険者は、住宅金融公庫から借りた上に、さらに上のせして何がしか、最高二百五十万円までと言っておりましたけれども、借りられるということで、たいへん福音だと思います。そういったようなことで、こちらにも福祉事業団があるわけですから、事業団で直接やるかどうか、その辺のところはよく検討していただくことにいたしまして――年金事業団のほうは、窓口は市中銀行を利用するつもりだと、さらにまた住宅金融公庫の窓口も利用するつもりだと、あわせてやっておると、そういうようなことを言っておりました。それから貸し付け利率は六分二厘程度にしたいけれども、場合によったら六分五厘くらいになるかもしれませんということも言っておりましたが、それにしましても銀行ローンなんかから見ますとずっと割り安になるわけです。
 非常な恩典になろうかと思いまするし、簡保事業としての特色を発揮するのにたいへん妙味ある方法だとも思いますので、ぜひひとつこの問題の実現方につきまして、積極的に取り組んでいただきたいことを最後に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思いますが、これにつきましてもひとつ大臣の御決意のほどをお聞かせ願えたらと思います。
#26
○国務大臣(久野忠治君) 住宅政策につきましては、国民から切実に転換を要望されているところでございます。当然、何らかの形において国民のこの要望にこたえるということは、政策として取り上げるべきであろうかと存ずる次第でございまして、ただいま御指摘の案につきましては、私も非常に賛成でございます。
 運用の新しい方向といたしまして、加入者に対する直接還元融資制度を設けるということであろうかと思いますが、その直接還元融資の中に住宅ローンを加えるということであるわけでございます。この問題につきましては、もちろんこれは法律の改正を必要といたしますが、十分、西村委員の御意見が生かされまするように検討し、努力をいたしたいと思う次第でございます。
 さらに、住宅建設資金を長期安定的に融資し、持ち家制度の拡充をはかる方策だけではなくして、加入者の不時の出費に際しまして、消費者ローン的な直接融資ができる道はないものかどうか、こういう点につきましても、ただいま検討をいたしておるような次第でございまして、御意見の点は十分配慮いたしまして、今後努力をいたしたいと存じます。
#27
○横川正市君 まず、簡易生命保険の創設から今日までの間に、一般市民階層に保険思想というものを普及させる、そういう役割りというのは非常に大きな役割りを果たしてきましたし、実効をあげてきたと思うのですが、しかし保険思想は、この社会情勢の変化に伴って、一貫性ではなしに、やはり変わるべくして変わる方策が伴って初めて実効があがるんだと思うのですが、現状ですね、私どもやはり保険に対して、たとえば第一線で働いております保険の募集の実務者が家庭訪問をいたしますと、相当保険思想が普及しているにもかかわらず、保険普及員の訪問をあまり歓迎しない、こういう傾向が非常に強く出てきているんではないかと思うのです。
 それは普及した当時の変化が、実際上は、保険の中に具体的に生かされて相手側を説得するだけの力をだんだん減殺してきているからじゃないかというふうに思いますが、大体、この保険思想の普及という問題で、保険当局は、日常どういう方策をとりながら、その実効があがるように努力をしているのか、まず、その点を第一点お聞かせいただきたいと思います。
#28
○政府委員(野田誠二郎君) ただいま御指摘のように、確かにこの保険を普及させていく保険思想の問題もさることながら、現実に保険を売り込んでいくという仕事というのは、御指摘のように、なかなか歓迎――少なくも一般の国民から思想のいかんにかかわらず、なかなか歓迎されにくい仕事であることは御指摘のとおりであるわけでありまして、また長期間にわたって継続する契約でございますので、これが現下の経済情勢からいいますと、非常に保障力が低下していく、こういうこともまた間違いないことでありますが、いずれにいたしましても、そういう経済の態勢といいますか、長い期間の経済の見通しの中で、個人の国民生活としての安定なりあるいは福祉の向上ということのために、この保障力がどのようにかして低下をさせないような努力を、保険者としてどういう努力によってこれを実現させていくかということが、末端の現業局なりあるいはそこで働いております保険の外務の人たちを通じて、国民に理解がいくようにしていく、こういうところに基本的な姿勢というものがあるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#29
○横川正市君 いまの説明は、この提案の理由の非常にかいつまんだ中に、「社会経済事情の推移及び保険需要の動向」というようなことがいろいろ検討されて、改正案というのがつくられたことになっているわけなんですが、要は、やっぱりいま局長の説明されているように、保障力というものが一体どういうふうに国民一般から掌握されているのかという点を的確に把握していかないと、私はやはり保険の持っておりますこれから売り込もうとするそういうものに対しての国民の理解力というものは、そう簡単には解決しないのじゃないかと思うのですよ。だからその点が私ども国会でこの問題を論議するときに、実は社会経済の事情の推移などというものは、創設以来の推移の中で、今日ほど著しい変わり方をしている時期というものはないわけですね。
 そういう変わり方に対応して、今度の改正案というのはあるいは改善案というのは出てきたんだろうと思うのですけれども、なお一体この改正案、改善案というのが、私どもの考え方ではこれでいいというふうには思わないわけですが、何となくもの足りない思いがするわけなんですが、保険局の当局としては、この段階でこれを出したということで、ほぼ国民の保険に対する考え方というものにこたえたと、こうお考えでしょうか。それともなお改善すべき余地というものがあると判断をされて、自後に、もし用意されておるものがあるとすれば、どういうものがあるのかですね、その点をひとつ明らかにしてほしいと思うんです。
#30
○政府委員(野田誠二郎君) ただいまのお話しのように、社会経済情勢というものは非常に急速にしかも大幅に動いておる、こういう状況下にありまして、またそういう情勢の中で生活をいたしております国民の考え方あるいは需要動向というようなものも急速に変わっていっておる、このように考えるわけでありますが、ただいま御指摘のような、たとえば生命保険契約のごとき長期間継続するというこの債権債務の関係、給付に対する反対給付というのが、結局、十五年先あるいは二十年先においては、逐次原価を保障し得ないという、こういう実情に対しまして、現在の保険のニーズとしては、そういう抜本的な解決を求める声も非常に強いわけでございますが、そのほかに、できるだけ安い保険料でできるだけ大きな保障を得たい、こういう考え方がこの両三年来非常に強くなってきておりまして、まあ民間保険でもいろいろな新種を発売いたしております。
 簡易保険におきましても、御承知のとおり、死亡の場合の支払い保険金を二倍あるいは三倍にするというような特別養老型の保険を発売いたしておるのでございます。今回、この法律の改正案としてお願いをいたしております定期保険につきましては、掛け捨ての保険として、できるだけ安い保険料でできるだけ大きな保障ということにはまさにぴったりする、そういう意味では国民の需要に合った保険かと、このように考えるのでございます。
 ただいま御指摘のように、これをもって満足しておるかというおことばに対しましては、われわれといたしまして、ただこの定期保険がこれらの経済情勢に対応し、あるいは国民のニーズにマッチはしておっても、これをもって十分というふうに非常に大それた考えを持っているわけではございません。
 今後、なお、これらの情勢というようなものを十分踏まえまして、抜本的な対策になりますか、あるいは実現にはいろいろの障害というものがあるのは十分承知をいたしておるのでございますが、さらに配当のない保険料の非常に低い低料保険なり、あるいはインフレに強い保険――これはまあ具体的には、保険金の逓増保険といいますか、保険金増額保険というようなことも考えられます。さらになお物価なり何なりにスライドする変額保険というようなものもすでに外国では発売をされておりますが、こういうものに取り組んでこの実現を期していきたい、このように考えておるわけでございます。
#31
○横川正市君 私は、この簡易生命保険法の第二条で、この保険は営利を目的としない事業で、国がそれをつかさどることになっているわけなんですが、この第二条の存在理由というのは一体何かといろいろ考えてみたわけなんですけれども、この保険法が制定された当時のこの思想と現状とはまるっきり変わってきているというふうに思うんですよ。
 たとえば、これは民保との競争力の問題から考えてみて、当時の状況から勘案してみますと、零細所得者に対するいわばサービス的な発想だったわけですね。しかし、いまは民保と国営との間では競合、競争をし、そして生き残るという、そういう性格に変わってきているわけでして、それをこの第二条の趣旨でとらえてみますと、非常に事務費、経費その他をたくさんかけて、そして保険未加入者で保険思想がまだ普及いたしておらないところに浸透していって小額な保険に加入してもらって、それが経営基盤の基本になるんだという、そういうことからは、最近の動向から見ますと、だいぶん逸脱いたしておるような気がいたします。
 だから民保とほんとうに競合して競争して打ち勝っていくとするならば、私は、実は、この第二条というのはその意味では相当勝てる要素というのを持っているんだろうと思うんですが、しかしいまの日本の自由主義経済の中での民営保護というのが一枚加わっておりまして、ふっ切っていかれない、こういう問題に頭打ちをするわけなんです。だから、その簡易保険のいわゆる生きていく道筋というのは、一体、どういう道筋をたどろうとするのか、この点、非常に私どもとしては疑問な点がまず一つそこにあるわけです。これは民保との関係です。
 それからもう一つは、福祉社会へ移行することになったわけです。福祉社会へ移行をいたしますと、保険的な保障を必要とするそういう社会とはおおよそ違った、日常のいわば構造とか機構とか、そういう中で保険的保障を必要とするようなものを保障していこうという福祉社会というのがひとつ想像されて、それが具体的に実現をされていくわけなんです。そういう中での簡易保険というものあるいは保険事業というものの生きていく道というのは、これまた私は一つの問題にぶつかっているだろうと思うんですね。
 だから、いま西村委員の質問を聞いておりまして、私ども、現状においてできる範囲内の、より努力をしてもらいたい問題としてはわかるわけですけれども、しかしそれだけでは今日保険そのものの存在ということは私は頭打ちをしておるから、これを何か打破していく必要というものがあるんじゃないだろうか。
 だから、第一面では、民保との競合についてはどうするか、第二では、社会保障との問題の中にどういう生き残り方を保険はするのか、この二つのことが私はやはり一つの保険事業への魅力になるんだろうと思うんですけれども、そういった点での当局の考え方はどうでしょうか。
#32
○政府委員(野田誠二郎君) 非常に簡易保険事業のあり方の根幹に触れます問題で、われわれ、普通、事業を運営していきます上で、ほんとうにそういう点に注目し、常に思いを新たにして考えていかなければならない課題のはずでありますけれども、日常なかなかそういうところまで考えが回りませんで、ただ業務運行の安泰といいますか、あるいは新規契約の増高という目前の事象にだけ追われて、はなはだお恥ずかしい次第であるわけであります。
 御指摘の、簡易保険が創業されました当時におきますあり方というのはまきに国家独占の時代であったのでありますが、戦後、この独占が廃止されました後におきまして、簡易保険の進路というのはどういうもんだろうか、民間との競合といいますか、現実に民間と競合を同じ分野でしてきておるわけでありますけれども、さらに新しい、たとえばいろんな共済制度というものが簇生をしてきておるわけでありますが、そういう中におきます簡易保険のあり方というもの、これはなかなかむずかしいといいますか、ある意味におきましてはやはり独占時代におきますような社会政策的な性格がどんどん薄れてきて、さらに社会保障制度が漸次整備拡充されるにつれて、この国営の任意保険のあり方というものはどういうふうに持っていかるべきかということが直接の御質問かと、このように考えるわけであります。
 われわれ考えますに、社会保障制度が今後さらに充実し発展するというような事態になりましても、その給付というのは、国の財政的制約等のために、ただそれだけでは十全を期待するということは困難なわけでありまして、経済生活の安定と福祉の確保ということは、国が保障する社会保障以上に、貯蓄その他の個人の自己責任による各種の対応策が必要かとこのように考えるわけでありまして、ここに任意保険の充実を待たなければならぬという余地が十分にあろうかとこのように考えるわけであります。
 さらに、この任意保険の中におきます民間の保険と簡易保険のあり方といたしましては、やはり簡易保険は非常に多くの郵便局を窓口としておりまして、そういう意味から非常に強い浸透力、国家の信用を背景にしました浸透力、また大規模経営によるいろいろな利点というようなもの、さらに非常に整備されました膨大な外野組織等いろいろなものを持っておる、そういう国営保険としての特色といいますか、こういうものを生かして、ただいま御指摘のありました第二条の営利保険でないということから、たとえば北海道というふうに非常に広大な地域で人口が比較的少ない、あるいは離島、僻村というようなところにまで、くまなく集金網なり簡易保険の組織が浸透しておる、こういうことから、営利を目的とする民間保険とおのずから違ったあり方というのが期待されるんではないか。われわれはそういう国営の特色に着目をいたしまして、この法律の第一条で規定をしております目的に従って、今後とも努力をしていくところに簡易保険の今後の活路といいますか、発展のあり方がある、このようにわれわれは考えておる次第でございます。
#33
○横川正市君 実は、一番大切な保障力というようなもの、これはまあ犠牲的に慈善心でやっているわけではないんですから、加入者が幾らかぐらいならば慈善的に奉仕してもいいという金と、その金の質がまず違うんですね。ですから保障力というものを非常に強く求めているわけですよ。
 一般庶民は、たとえば郵便貯金をしたら何ぼ金利がつきますかというようなことで金利計算をして預貯金をしていないんですね。だからそれと同じように、保険料を掛けるときに、これをやったら幾ら金利がついて幾らになるからということをもうこまかく計算をして加入していないという、そういう層に対して、国営保険というのはどういう責任と義務を負うのかという点では、私は、いままで国営保険とは何か、それからそういう責任と義務とは何であったかというのを果たしてきていないと思うのですよ。
 戦前はこれは戦争協力資金であって、しかも戦後はこれは一回全く破産したわけですね。しかしその破産をしたということから、国営保険だけれども補償を求めないということで、これは逐次事業が再建されてきたわけですよ。そうして、いま、戦争に負けたときと同じように、経済が今日ほどこんなに貨幣価値を失い、膨張する時期というのはないわけですね。だから、もうこれは第二のいわば保険加入者への被害になってきておるというふうに私どもは見ていいんじゃないかと思うのです。だから国営保険というのは、そういうことを国民にしいないとか、国民の利益を守るのですと、これは国が当然行なうことですという考え方に立てば、私は、戦争に負けたときと、いまのような膨張経済、貨幣価値の下落という時期は、同じような時期だと見ていいんじゃないかと思うのですよ。
 そこで、国営保険というのは、民保と違って、生き残る道は何か。これはたとえば満州から引き揚げてきた、樺太から引き揚げてきた、民間銀行に預けておった預金は出せなかったけれども、郵便貯金はおろされた、これが生活の基盤になったというような、これは一つの例ですけれども、特色が保険の中に創設されて初めて簡易保険というものは生きていくんだと思うのですよね。その点がどうもやはりあいまいで、いま民保と競争することだけにきゅうきゅうとするなら、簡易保険というのは存在価値を失うだろう。そうでなしに、また別な国民の利益を守る、そういう国の立場ということで、いわば損得、営利を目的としない、そういうことで存在価値というものが国民に普及されていくことが簡保としては必要なんじゃないかと、私はそういうふうに思うのですね。
 だから、その点は、これはいまの時期をどう見るか。たとえば下村さんの意見でいえば、膨張すれば膨張しただけ通貨を発行し、通貨を発行されただけ所得がふえるんだから、これはかまわないんだという考え方で、単に保険の加入者の保険金がどんどん高くなって保険料が保障されていくということであればいいんだという漫然とした経営のしかたというのは、私はやはり改める時期が来ているのじゃないか。
 私は、一時は、こういう年限の長い保険というのはもうやめてしまって、そうして国の行くべき道というのは何かといったら、傷害保険だというふうに思ったんですよ。たとえば全体の国民が千円かけて何百万か保障できる、そういう保障のしかたの中に簡易保険の生きる道というのを考えたらどうかと、全部の国民が加入した中でお互いに互助組織をつくっていく、そういうものが考えられていいんじゃないかというふうに思いましたけれどもね。
 しかし、それではなしに、国の行き足らない――たとえば災害保険とか傷害保険とか、こういった面では、いま三百万になったんですかね、ところが自動車その他の死傷その他に対しては一千万台の補償がされるという非常に違いがあります。その違いを保険事業が埋めていくというような行き方もあるのじゃないかというふうに思いますが、いずれにしても、いまのこのままでいけば、簡易保険の存在理由というのは特色を失ってしまって、事業全体の経営は非常に心配すべき状態になるのじゃないだろうかというふうに思いますので、これは私どもの危惧か、実際そういう状態が起こってきているが、解決方策が別に考えられていればそれでいいわけですけれども、その点はぜひ検討する素材にしておいていただきたい、こう思います。
 そこで、前段ですが、今度の改正法案がつくられるまでに、新制度が創設されるあるいは制度の改善をはかるという場合に、この改善をはかろうとする基礎的なものは、資料の面では何が要素になって改善をされたんでしょう。
 それから実務者ですね、いわゆる外野の実務者が、実際上、保険のいわば基盤であります新陳代謝のうちの積み重ねを毎日毎日やっているわけですけれども、そういう人たちの意見というのはこの中にどういう反映をしているのか、この点ひとつお聞かせいただきたいと思う。
#34
○政府委員(野田誠二郎君) ただいまの御指摘でございますが、簡易保険といたしましては、国民一般の保険に対します需要というものがどういうふうに動いておるかということにつきまして、一応統計的に信頼できる手法によりまして保険需要動向調査というものを行なっておるわけでございます。その調査結果というものが今回の新しい保険の種類を売り出します際、一つの大きな根拠になっております。また民間生命保険の動向というようなものも当然これは考えておるわけでございます。
 そのほか、御承知のとおり、簡易保険は、加入者の組織体としまして、全国に加入者の会というのを持っております。これは集配郵便局単位、さらに府県単位、郵政局単位に加入者の会というものを持っておりまして、これが全国的に集約されまして、中央連合簡易保険加入者の会というものを組織しておりまして、これによって一応加入者の声というものが事業の運営にまんべんなく反映をせられるということで、たとえば今回提案申し上げておりますこの新種保険につきましても、この加入者の声というものが相当広く出てきております。
 さらに、先生御指摘の、しからば現実に現場の第一線で、国民大衆、見込み客なりあるいは契約者の皆さん方と接触をしておる外務員の声などがどういう形で反映をしておるかという御質問でございますが、これにつきましては、われわれ外務員のいろいろな会議というものを持っております。そういう機会を通じまして、本省といたしましては郵政局の外務課、あるいは郵政局の外務課としましては現業の局長なり保険課長、そういう組織を通じまして、また先ほど申し上げました外務員のいろいろな会がございますが、そういう会を通じまして、こういう動向なり何なりの掌握を一応しておると、こういうつもりになっております。
#35
○横川正市君 この新種をつくられるまでの動向として、そういう問題が検討をされて新種になったというのですが、いま民保が、先ほど局長も言うような、一つの変わり方というものをしているわけなんですが、一体、その進み方と簡易保険の進み方とは、これは一つの方向としては同一方向をたどっているわけですか、それとも民保が先行しているのか、あるいは簡易保険が先行しているのか、現況としてはどういうふうに把握していますか。
#36
○政府委員(野田誠二郎君) 民間生命保険と簡易保険との、たとえば新種保険におきます先後関係でございますが、それぞれ立場がありますし、簡易保険におきましては、これは全部が無診査保険であります。さらに最高制限額のワクというようなものがございますので、なかなかわれわれ、民間が非常にいいということで手をつけましたものも、現実にいまでもできないというような制度もございますが、たとえて申し上げますと、今回の個人のバラ売りの定期保険というようなもの、それからこれはだいぶ前になりますが、また今回改正をお願いしようとしております家族保険というような保険種類、それから尋常終身といいますか、ほんとうの意味での終身保険契約というような保険種類につきましては、簡易保険が非常にユニークな制度として持っておる保険だと思います。
 そのほかの保険種類につきましては大同小異、民保が大体先に始めておる、このように言ってよかろうかと思います。
#37
○横川正市君 私は具体的な例で申し上げるわけじゃないんですけれども、非常に国営保険としてはその品位――国営保険だか民保だからといって品位が別に別だとは思わないんですね、これは言ってみれば契約であり信用の問題ですから。しかし保険業務での信用が非常に著しくそこなわれるような募集のしかたが、かつては民保の中に非常に多かったわけですね。しかしある時期から簡易保険のほうに非常に残念ながら移ってきていると、そういう保険契約の不信を買うような事態が起こってくるのには二つの要素があると思うんです。
 一つは、募集が非常に困難で、義務が大きく負わされたときに無理をする場合が一つあるわけです。それからもう一つは、これは第一の例に入ると思いますけれども、同時に非常にたくさん保険を募集する人が勇み足をするという場合もあるようです。これは第一の例になると思いますね。それから第二の例は、やっぱり保障力というものが劣っているために起こってくる無理だと。もっと保障力が他にまさっておれば無理をしないでスムーズな業務ができるだろうと、こういう二つの問題があると思うんですが、局長は実際実務に当たっておって、ただ国会とかあるいは第三者からの投書とかそういうのに対しては、これから注意をしますというのじゃなくて、具体的にこういう方策をとれば、信用を失うようなことはなくすることができると、こういう具体的な何か考え方を持って方針を立てられておりますかどうですかね。
 で、何人かいればそこに犯罪を犯す者も何%かいるのが社会通念で、私のところも組織ですからそういう不心得者が何%いてもしかたありませんと、そういう投げやりな状態ではなしに、もう一つも事故が起こらない、不信を買うようなことが起きないという、そういう努力をすることを方針としていまの問題にどう対応していくか、非常に私は必要だと思うんですよ。ことに国営保険――国営だからといってべっ視するわけじゃありませんが、より確実であり不信を買うようなものではないという中に、そういう不祥事が起こってくるということを非常に憂慮して、それの対応策というのは一体どう立てられているのか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
#38
○政府委員(野田誠二郎君) ただいま御指摘のように、確かに、最近、簡易保険の特に募集をめぐります国民の指弾といいますか、マスコミの批判というものが大きくなってきておること、これは事実でございまして、われわれはなはだ遺憾に思いますし、また申しわけなく思うわけでありますが、これはいろんな情勢もあろうかと思いますが、一つは、先生御指摘のような、簡易保険の中に包蔵しておりますいろんな原因、もう一つは、やはり国民大衆の側におきます消費者意識といいますか、これの高まり――たとえ国営であってもそうそう黙っておるわけにはいかんという考え方、要するに消費者意識の高揚というようなことが一つの大きな原因になっておろうかと思います。
 先生御指摘の、民間の生命保険と比べて多いか少ないかという点、われわれそうつまびらかにいたしませんけれども、確かにマスコミあたりで取り上げられておりますほど、私は内容的には悪化をしておる――二万六千の簡易保険の外務員諸君がそれほど本質的に堕落をし、あるいは国民の皆さんをいいかげんな形で保険契約にいざなう、こういう姿勢で仕事をしでいるというふうには考えておりませんし、また見ていないわけでありまして、ただやはりごく一部の少数の人たちの中に少し勇み足がある、あるいは行き過ぎがある、こういうことは事実でございます。
 私どもの指導方針といたしましては、いずれにいたしましてもこの簡易保険が国民のためにある保険である、国民あっての、利用者あっての保険でございますので、少なくとも利用者不在の保険でない、自分たちのためにある保険である、こういう意識を持たないように、また保険契約は御承知のとおり非常に長期にわたります継続する契約であります。したがってその基盤というのは信用であります。したがって一時的にうまく成功をいたしましても、これは功をあせるあまり、いろんな手練手管がありますと、結局、長続きをする契約関係というものにとってはマイナスになることは明瞭であります。そういう保険の関係におきましては、あくまでも信用ということが基盤であるということを強調して指導していく。
 特に、毎年度、募集維持方針というものをきめまして、これを簡易保険の下部機構全般に令達といいますか、示達をするわけでありますが、その中でも、高い信用を基盤とする国営事業としての品位を保ちながら、規律ある外野活動に徹して加入者サービスの向上をはかる、こういうことを特にここ数年うたっているわけでありまして、保険事業が信用を基盤とすることは申し上げたとおりでありますが、さらに国営事業として高い信用というものが基盤になっておるわけでありますから、しかもこれは長期にわたる契約であるということから、あくまでも信用をそこなうことのないように、功をあせるというようなことのないようにということで指導をいたしております。
 先生御指摘の、無理をするということにつきましても、目標額等々の関係からわれわれ決して従業員に叱咤督励をし無理をさせておる、こういうふうにはわれわれ現在のところ理解をいたしておりません。
 また保険種類、商品内容として保障力が劣るという点につきまして、いろいろ民間の保険種類と簡易保険の保険種類につきましておのおの長短もあろうかと思いますが、御指摘のように一義的に商品内容として保障力が落ちる――確かにいろいろな点で劣っている点もありますが、さらに国営保険としては私は進んでいる面もあろうかと思いますが、そういう点から、いま御指摘の、こういう無理が起こるということにつきましては、やはり何といいますか、非常に功をあせるというようなことが一番の大きな原因になっておるんじゃないか、このように理解をいたしております。
#39
○横川正市君 私は、強制か強制でないかというのは――経営の基盤ですから、募集というのは。ですから、ことしは幾ら必要だという、それを人頭あるいは地域あるいは経済、そういったものを基礎に置いて算出されて、それぞれの局へ配分されるんだろうと思うのです。そしてまた個人割り当てができるんだろうと思うのです。その形式について、無理だとか無理でないとかということを私は言っているんじゃないんですよ。
 いま無理だというのは、どういう形で無理が出てくるかといいますと、貨幣価値が下落して、そして経済の流通関係が膨張しますと、その膨張に対応できる体質と対応できない体質とがあるわけですね。私は、簡易保険というのは対応できない体質を持ちつつあるんじゃないか、だからそこに外野の人たちが人一倍無理をする傾向が出てくるんじゃないか、こう思うのですよ。で一般の経済市場の中で、大企業は膨張し、中小零細企業は倒産をするのは、いわゆる膨張経済の中で経済に対応する体質と対応できない体質とがあるから、その対応できない体質のものは結局脱落していくわけですね。それと同じような傾向が簡易保険のいまの経営の体質の中に出てきているわけだから、この点をもう少し勘案してやらないといけないんじゃないかというのが一般論なんです。
 それからもう一つは、民保の場合の外野というのは新陳代謝がきわめて激しいですね。簡易保険の場合には永年勤続でほとんどもう三十年近いような人が実務についているわけですよ。百メートル走るのに十三秒で走った者とそれから三十秒も四十秒もかかる者とが出てくるように、募集でも個人能力というのは非常に対応性で著しい差が出てくるわけですね。それを長期勤務したという、いわゆる頭数はそろっているけれども、そういう職員の体質上の問題から対応のできないという、そういうものも私はあるんじゃないかと思うんですがね。
 だから、そんな点も相当これは綿密な注意を払っていかないといけないんだと思うんですが、いままで郵政省がこれに対してどういう対応策をやったかというと、結局、局長や課長の言うことをまじめに聞いているということだけで、これを主任にするとか主事にするとかというような、いわゆる労務政策をやって、そして保険の外野の中に混乱を起こさせたというぐらいなことしか、実は、しりたたきをやらなかったと思うんです。そうでなしに、やはり経済の動向に合って、それに対応できるような知識とか能力を持たせるようなそういう努力をし、あるいは構造的に変化をしていくものに対応するような変化というものを常に下部へ与えていって、保険事業の生き生きとした経営の基盤にするようなことはあまりやらなかったんじゃないかと思うんですね。それが欠けている点だろうと思うんですが、どうでしょうか。私の考え方はちょっと近視眼的ですかね。
#40
○政府委員(野田誠二郎君) 確かに、先生御指摘のように、ここ二、三年来の言うなれば外野関係におきます混乱といいますか、特に一昨昨年あたりからの、たとえば募集話法におきます経営者労災の話法というようなものの使い方等につきまして、非常に大きくなります経済発展につきまして、簡易保険の外野陣がこれに対する適応というのがやはり少しずつずれがあったんじゃないかということは、私ども先生の御指摘のとおりだろうと思います。
 これに対応する対策としまして、やはり制度的には、最高制限額の引き上げなり、あるいはこういう新種の発売というようなことで対抗していかなければいかぬわけでありますが、外務員の指導等につきましても、新しい募集技術の習得なりあるいは話法の練摩というような点につきまして、なかなかこれが末端まで浸透をしない、したがって手段としてはある意味で安易な方法についてしまう、確かにこういう点があったろうか、このように思いますが、最近におきましては、むしろいろんな起こります事象に対して規制をする方向に進んでおりまして、ここしばらくの間、やはりもう少しわれわれは本質というものをよく見ていく、こういう時期に入っておる、こういうふうにわれわれ考えております。したがって、現在、簡易保険の新規契約の伸びなり何なりというものは一応停滞するといいますか、そういうことで一応もう少しよく事態を見きわめて、これに対応する対策というものを、たとえばこれは募集にしましても、あるいは払い込み団体の、何といいますか、整序、規制というような問題につきましても、要するに外野全体がうまく落ちついてあるべき姿になるまで、やはりある程度の時間がかかるんではないか、こういうふうな考えを持っている次第でございます。
#41
○横川正市君 保険局長としては、浅野さんが次官のときに、大体、いまいろいろな対応策というものを考えているが、国営事業ではこれは対応し切らぬから、これは郵便も含めてですね、公社にしたらどうか、公社で保険とかそれから貯金とか郵便はどうかという意見もありましたが、含めてということだったんですが、保険事業から考えてみて、国営事業というかっこうのいまのままで対応策をいろいろ出していく、その対応策は十分できる、公社へ切りかえる必要はないと、こうお考えですか。公社に切りかえれば、もっと対応することのできる方策ができる、こういう考え方に立つか。立場としてはどういう立場でしょうか、いまは。
#42
○政府委員(野田誠二郎君) 非常にむずかしい御質問でございますが、確かに国営事業としては、先ほども御指摘ありましたように、たとえば要員の問題につきましてもいろんな制約がございますし、あるいは予算、会計の制度におきましてもいろいろ問題があろうかと思います。こういう面だけについては確かに特別会計制度をとっておりますので、一般会計下におけるよりははるかにフリーといいますか、ある程度企業的な運営ができると、このように考えておるわけでありますが、これをさらに一歩進めて公社制度になりました場合でも、やはり簡易保険としてはいろんな制約があろうかと思います。
 たとえば、窓口が郵便局であるということから、これは郵政審議会の答申にもありましたように、郵政事業の公社化としては郵便と郵便貯金及び簡易保険は三者一体として運営さるべきであるという一つの大きなワクがございますと、やはりこれは簡易保険だけが単独で公社になります場合を想定した条件と、私いろいろ変わってくるだろうと思います。そのほかたとえば資金の運用等についてはどうなるかというような問題、いろいろ公社になりました際のメリット、デメリットというもの、これは比較考量しますと非常に困難な問題であろうかと思います。
 私ども、いまの態度といたしましては、一応公社化が企図しておりますような、何といいますか、企業の効率化あるいは機動性の発揮というようなことと、もう一つはやはり国民に対するサービスの向上ということが公社化のねらいとしますならば、いまの時点では、そういう公社化の手段によらないで、いまの国営のワクの中でそういう公社化が目ざすものをできるだけ早く実現をしていく、こういう態度に徹すべきではないか、こういうように考えております。
#43
○横川正市君 非常に早い速度で経済態勢というものも変わっているわけですから、そういう変わった中で、どうもやっぱり国営事業では対応できないというそういうことを察知して、そしてその察知をした時点で浅野さんが次官のときに公社への移行ということを打ち出して、そして具体的な委員会までつくって走り出したわけですね。そのときに移行することがいいか悪いかということについてはいろいろ論議があったと思うんですよ、取り扱いとしては。しかし、いまはもうその当時から見るとだいぶ後退をしているわけですね。後退したということは、その変化に対応できる体質になったから必要なかったというんじゃなくて、依然として非常に強い対応する体質への移行ということが必要なのに、努力が非常に消極的になってきたと、こういうふうに私どもは見るわけなんですけれどもね。
 それで、いまの電電公社が公社に移行するときにもいろいろ意見が分かれまして、そして公社に移行してからの電電公社というものは目ざましい発展をしましたが、あれは公社になったから発展したのか、経済状態が変わったから発展したのか、まあこれはいろんな要素というものがあると思うんだけれども、あれと同じように郵政省がいくかどうかは、これは体質上もありますから別だと思うんですけれども、しかし一応歩き出したことが消極的になったという事実は今日あるわけですよ。
 経済状態は変化をしている、そしてまた郵政省は依然として解決策というものを持たない、こういうことだとちょっと私どもは非常にむだをやったのか、それともむだでなくて教訓だったのか、ちょっとつかみにくいわけですがね。ことに簡易保険のような体質は、私は、国営事業で民営と全く特色が違って独自性が出てくるだろうという期待感をなかなか持てないものだから、そうなってきますと、当然変わるべくして変わるものがあっていいんじゃないか、こう思うんですけれども、その点はどうですか。
#44
○政府委員(野田誠二郎君) 公社化の問題につきまして、御指摘のように、四十四年に公社化に関します郵政審議会の答申が出ておるわけでございますが、あの答申の中身も、必ずしも現在の郵政事業をめぐる諸般の問題を解決するについて公社化することだけがオールマイティではなくて、一つの方法であるという趣旨の答申になっておったかと思います。
 ただ、諸外国で郵便事業を中心としますいろんな事業が国営から公社化されておることはもう御承知のとおりでございますけれども、ほかの、たとえばイギリス、アメリカ、ドイツ、いろんな国の事業をとりましても、あるいは郵便と電信電話事業が一体となって公社になる、あるいは郵便単独で公社になる、こういう形がほとんどでございまして、わが国におけるような形での郵便と郵便貯金及び簡易保険の三つの事業が一体となった事業というのは実はございませんで、そういうもので諸外国における経験なり、それに範をとるというのがなかなか困難、というよりも事実上不可能ということで、これはわが国はわが国としての独自の道をさがさにゃいかぬ、こういうことになろうかと思います。
 冒頭申し上げましたように、公社化だけがオールマイティでなくて、やはり全従業員の事業を改善していこうという意欲なり努力というものが一番大事な問題なんだという御指摘があったとおりでありまして、一応、いまの体制としましては、あの公社化の答申を受けまして、いまの形のままでひとまずできるだけ努力をしよう、こういう形になっておる、われわれはこういうふうに承知をし、理解をしているわけでございます。
#45
○横川正市君 保険事業としては、民保と簡保というものが存在するということについては、確信を持って意義があると判断をするわけでしょう。民保と簡保とどっちかがつぶれて、どっちが発展するということじゃないと思うんですよね。そういう中で簡保としては存在価値があるわけだから、その簡保の生きる道はこういう道ですよと、道筋の中に、私は、国営事業という多くの制限をより強く持っている場合と、公社で制限がゆるんだ場合とでは、対応策というものは的確に出されるような気がするんです。
 そういう期待を持つわけなんだけれども、それは国営であっても、公社になっても、あるいは民営であっても、全く同じだというふうに見ますか。国営よりかは、公社のほうがいわゆる対応策としては思い切った手段というのがとれるんじゃないかと私は期待するわけなんだけれども、その点はどうでしょうか。
#46
○政府委員(野田誠二郎君) 保険の形といたしまして、一番はっきりしました形は国でやります強制保険の形、これはもう国でほんとうに全部管理をする形、それから一番フリーな形といいますのはいまの民営保険、これも大蔵省の監督といいますか、保険業法あるいはその他の法律に基づきます規制というのがやはり相当あろうと思います。これは当然に契約者保護ということを主眼にしたところから出発しておると思うのであります。
 私考えますに、いまの純粋な国営の形――特別会計によります簡易保険の運営に比べて、公社になりましたほうが確かに相当いろんな面でフリーな運営ができると、こういうふうに考えておりますけれども、これが簡易保険としてほんとうにいいのかどうか。特に、先ほど申し上げましたような郵便局を中心としました郵便と郵便貯金と一体として運営をするということが大前提になっております簡易保険というものの立場に立ちます限り、どちらがいいかということについては、私はにわかにはやはり即断できないのではないか。これはやはりいろんな条件というのがほんとうに複雑に入りまじっておる。私はいまの形でやはり簡易保険としては自信を持ってやっていくべきだと、こういうふうに考えております。
#47
○横川正市君 いまのは簡易保険局長としては適切な答えかもしれませんね。
 ただ、私どもの期待するのは、国営でやり得ないものを公社というようなのは持っているだろう。それは郵便というような体質とは違って、簡易保険のような場合は、国営よりか公社のほうがいろいろな対応策というものを出す可能性というものがあるんじゃないか、それは期待感として持っている。ただ、簡易保険の存在理由というのは、これはもう事務費あるいは要員確保、窓口、いろいろなものが非常に網の目のように張りめぐらされておって、吸い口がたくさんあるから、それをどう生かすかということは、ぼくは方法論としてあると思うのです、このかっこうは。
 いま簡易保険の持っておりますそういうような体質の中で、私が先ほどちょっと聞いたように、民保と同じレベルでもってものを考えた場合に、おくれていますか進んでいますかというそういう質問をしたのは、実は、保障力そのものをもう少しつけたほうがいいんじゃないかと。これは外野の人たちのいま一番大きな悩みは何かといいますと、計算をしまして年数をかけて出た数字という簡単なものに、何だこれは金利にもならないじゃないかと、こういうことにやられているわけですよ。だからそれに対応できるようなものがあれば、私は非常に簡単な計算なんだけれども、外野の人たちがある意味では容易に募集の成果をあげることができるという、そういう体質だと思うのですよ、日々接触しているわけですから。そういうことをやるだけでも、いまの国営と公社にした場合とでは違わないかなと、公社にしたら何らかの形でそういったものが出てこないかなと。
 たとえば運用関係ですね、それから民間との競合問題、その制限はやや緩和するんじゃないですか。緩和しませんか、これは国営の場合と公社の場合とで。緩和すると私は思うんだけれども、どうですか。
#48
○政府委員(野田誠二郎君) 公社をどういう形で実現するか――たとえば最高経営機関というものがどういう形になりますか、あるいは公社に対する監督機関というのはどういうふうになりますか。
 ただ、簡易保険なり、あるいは郵政三事業が現在のところ直接郵政大臣の所掌のもとにあるということでの政治的な形での発言力とか、そういうものは公社になった場合より現状のままのほうが――私は、いま先生おっしゃいました、たとえば運用の問題にいたしましても、むしろ公社になった場合のほうが、簡易保険の契約者の側に立ちました発言よりも、より政策的な観点から動かされていく可能性のほうがあるいは多いのではないかという、実はこれは杞憂ならば私問題ないと思うのでございますけれども、そういう可能性のほうがより強いのではないかと、これは一例でございますが、そういうふうな実は感じがいたすわけでございます。
 公社の日本の行政の機構なり組織の中での位置づけ、これは郵政公社がいまの三公社と同じようなレベルに並ぶのか、あるいはもっと特別な公社になるのか、そういうところとの関連もあろうかと思いますが、一応の考えとしましては、そういう考えでおるわけであります。
#49
○横川正市君 あまり例を出してあれするのはなんだけれども、たとえば逓信委員会に呼ばれて、大臣と米澤総裁とが並んだときには、まあ大臣が中にすわって、米澤総裁は右か左にすわりますよね。それはいわゆる国会の中での一つの形式ですよね。しかし対社会の、いまの電電公社が持っている能力をまあ米灘総裁が総代表するわけじゃありませんけれども、電電公社といういわゆる発展した、もうこれ以上――まあもっと発展するとしても、いまの状態というものを見たときに、これが大臣がいるからどうだ、いないからどうだという評価でものを言うことは私はできないと思うのですよ、実際には。
 しかし、電電公社が、先ほど言うように、経済その他ああいうふうに広がっていく要素というものは他の要素としてあるわけですから、郵政省と比較するわけじゃありませんけれども、私はやはり国営といういままでの考え方からすると、野田さんの言う国営というのは権威主義ですよね、一つの。ところが簡易保険というのはもう権威じゃ運営しないですよ、実際には。これはやっぱり経済の中にどれほどの浸透力を持つか、保障力をより高めるか、そういうことでなければ発展する能力というものはないのだと思うんですね、まあそう私は思うのですよ。
 だから、いまのような状態の中に、経済の一つの動向の中に的確な方針というものを立てられるとするならば、国営よりか公社のほうがいいのじゃないかな。いわゆる権威主義でなしに、もっと経済に対応する体質に変わるんじゃないかなと、こういうふうに私は思うのですよね。
 それは考え方とか何かが現状こういうことですから、私は公社化が何か足踏みして、後退して、いまに消えてなくなりそうだと言ったが、それは対応策があってそうなるのか、無策でそうなっていくのかということになると、どうも心配のほうが多いもんですからね、その点で指摘をしたわけなんです。
 一応、午前は以上で総体問題、午後は個々の内容で質問いたしたいと思います。
#50
○理事(森勝治君) 暫時休憩をします。
   午後零時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十分開会
#51
○委員長(茜ケ久保重光君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
#52
○塩出啓典君 それでは簡易生命保険法の一部を改正する法律案についての質問をいたしたいと思います。
 まず最初に、簡易保険の精神というものは一体いずこにあるのか、簡易保険の存在理由、あるいは簡易保険というものが一体どういう対象を目ざし、どういう特徴があるのか、そのあたりについて郵政省の見解を聞いておきたいと思います。
#53
○国務大臣(久野忠治君) 簡易生命保険法の第一条の目的に明記してありますように「国民に、簡易に利用できる生命保険を、確実な経営により、なるべく安い保険料で提供し、もって国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」こういう法律の趣旨に従いまして、この簡易生命保険が今日運営されておるような次第でございまして、国営事業として国民の皆さんの福祉の増進のために、私たちは今後とも努力を続けていきたい、かように存ずる次第でございます。
#54
○塩出啓典君 ということは、言うなればたくさんお金を持っている人よりも、やはり庶民を対象にした簡易保険であると、そのように考えていいわけですね。
#55
○国務大臣(久野忠治君) お説のとおりでございます。
#56
○塩出啓典君 そこで、私は、簡易保険の募集のあり方あるいはまた払い込み団体の組成のあり方等について、これは昭和四十五年の十二月でございますが、いろいろ具体例をあげてその改善を要望してまいったわけでありますが、ところがこういう簡易保険の募集のあり方について、その後も問題があとを断たない、そしてそういうようなさまざまな問題が新聞紙上あるいはまた組合内部からもそういう行き過ぎを是正しなきゃならない、そういうような声がかなり出てきているように思うわけであります。
 そういう点で、私は、昭和四十五年十二月以降あまり前進をしていない、むしろ簡易保険の本来のあり方とは違った方向に行っているんじゃないか、そのように感ずるんでございますが、そういう点において、保険局長としては、今日までどういう指導をしてきたのか、またそういう最近のさまざまな問題についてどういう感じを持っておられるのか、そのあたりを伺っておきたいと思います。
#57
○政府委員(野田誠二郎君) 御指摘のように、四十五年の十二月、特に保険の払い込み団体をめぐります問題につきまして、先生からいろいろ御指摘を受けたことを思い出すわけでございますが、それ以後、現実の問題としまして募集のあり方あるいは団体の組成なり運営のあり方等々につきまして、累次にわたってわれわれ指導、矯正あるいは規制の通達を現場に流す、あるいは会議ごとにいろいろ指導いたしてまいっておるのでございますが、ただ遺憾ながら、本省なり郵政局の指導と現場の募集の実態あるいは保険の集金の実態との間にいささかズレがありまして、思いますに、大多数の局、大多数の職員につきましては、われわれの指導の趣旨をよく了解をいたしまして、そのとおりに行動しておると思うのでありますが、一部のごく少数の職員によりまして、あるいは募集の行き過ぎが生ずる、それによって契約者との間にトラブルが起こったと、こういう事例がございます。
 これにつきまして、私判断いたしますに、二万六千もおります保険の外務職員のうちのごく一部の者に行き過ぎがあったということ、もう一つは、募集なり何なりにつきまして十分契約者との間に話し合いがつかなかったといいますか、十分な了解が得られなくて、将来の紛争の種を残したまま契約の締結に至ったという事例、こういうことじゃなかろうかと、このように思いますし、もう一つの原因としましては、これはやはり契約者の方々の目ざめといいますか、消費者としての自覚というようなことから、こういう問題があるいは新聞の投書になり、あるいは私どもの企業の中の組合の問題としても取り上げられてきておる、こういうことではなかろうかと思うのでありますが、大体の傾向としては、私は、そう先ほど大臣が申されました簡易保険の基本的なあり方の線からはずれていった方向に動いておる、こういうように判断をいたしていないわけであります。
#58
○塩出啓典君 私はやはりそういう新聞等に出るとかいうのは、よく言われているのは、新聞の投書一通ということはその裏に一万人のそういう人がいることだと言われているんですね。そういう点で、やはりそれが一部の外務員だけの行き過ぎではなしに、これは簡易保険に対する郵政省自体の行き方に私は問題があるんじゃないか、そういう気がしてならないわけなんですけれどもね。
 ここに、いろいろかなり内部から「団体組成は正規な取扱いで」とか、あるいは「正しい簡易保険にするための要求書」とか、これは六月十五日のある新聞に「簡保勧誘”暴走”」とか、あるいは「違法募集を絶滅しよう」あるいは「簡易生命保険の行過ぎ勧誘被害者対策の会 国営保険の原点に帰えそう!!」そういうことで江戸川区の鈴木善次郎という人が準備委員となって、こういうチラシも配っている。あるいはまた「簡易保険公害を告発する! 不正募集に目をつぶる郵政省 国民の利益を守り、正しい保険普及に立上りました。」「不正募集を告発し、正しい簡易保険を守る決議文(案)」とか、各地においてこういうような問題が起きておるわけでありまして、だから私はそれは決して一部の者だけではなしに、やはり全体的にそういう動きがあるんではないか、そういう点を非常に心配をするわけですね。
 こういうたくさんのものが出ているということに対して、郵政大臣としては、どういう感じを持っていますか。
#59
○国務大臣(久野忠治君) ただいまお示しになりましたような具体的な事例につきましては、はなはだ私は遺憾に存ずるような次第でございます。
 たとえ一部であっても、たとえ少数でありましても、そのような事実が指摘されたということは、私たちとしては、たいへん遺憾なことであり、将来これは反省をいたし、検討をいたさなければならない、かように存ずるような次第でございまして、そのような事態が起きないように、絶無になるように、今後とも指導いたしてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
#60
○塩出啓典君 そこで、いわゆる簡易保険における団体でございますが、第五十三条に「官公署、学校、事務所、営業所、工場、事業場又はその他の団体に属する者が十五個以上の基本契約の申込をしようとする場合において、各基本契約を一団として保険料の併合払込をするものにあっては、保険料の払込について団体取扱の請求をすることができます。」この場合には、保険料の七%を割り引く、そういう団体割引の制度があるわけでありますが、五十三条の「官公署、学校、事務所、営業所、工場、事業場」これはおもに職場でございますが、「又はその他の団体に属する」「その他」というのは、一体、どういう定義なのか、これを説明願いたいと思います。
#61
○政府委員(野田誠二郎君) 私ども簡易生命保険約款の五十三条の解釈につきまして、先生がおっしゃいますように、学校とか営業所、工場というふうに列挙してございますが、これは私ども例示的な列挙と、こういうふうに見ているわけでございまして、「その他の団体」ということにつきましては、一応列挙してございますのが職域の団体としますと、例示をされておりません職域の団体及び地域団体、この二つが「その他の団体」に属する、このように読んでおるわけでございます。
#62
○塩出啓典君 いろいろな団体があると思うんですね、たとえば旅行をやっていこうという趣味の団体もあるかもしれない、あるいは町内も一つの団体だと思いますね、あるいはある小学校の一つのクラスの父兄がまとまって一つの団体となっている場合、こういうようなやっぱりいろいろな団体があると思うんですけれども、この団体割引の団体というのは、そういうように自主的にもとから団体がある、そういうのが団体であって、たとえばここに一つの地域に全然横のつながりもない何人かの人がいると、そういうところを全部それぞれ勧誘をして、じゃ旅行に行きましょう、あるいは観劇ができるんだから入りなさい、あるいは人間ドックに入れるからと、そういう形でそういう人を募集して、それで一つの団体をつくる、そういうようなやり方がかなり私はやられているように思うんですけれども、こういう団体はやはり郵政省の方針として好ましくないのか、あるいはこれは推進しているのか、その点はどうなんですか。
#63
○政府委員(野田誠二郎君) 私ども、好ましくない団体としましては、団体構成員各自に、団体を組成し、これを維持、運営していこうという共通の意思がない場合、及び団体はあっても、団体意思としての共通の行動、こういうものが伴わない団体につきまして、これは好ましくない団体と、こういうふうに判定をいたしておるわけでありまして、構成員各自に団体に参加する意思があり、かつ共同の行事に参画をする、こういう団体につきましては、別にこれを好ましくない団体というふうには認めていないわけでございます。
#64
○塩出啓典君 いま、たとえば観劇ということで簡易保険を募集していますね、劇を見に行けるんですよということで。それでやっぱり郵政省が、外務員が行って勧誘しなければわからないわけですよ。そうしてそこで観劇ということを理由に保険を勧誘して、そうしてそういう人で郵政省が音頭をとって観劇の団体をつくるというやり方がいいのかどうかということを聞いているんですよ。
 ここにもともと趣味のグループがあって、その人たちはいつも年に一回なり二回なり観劇をしている、そういう団体がそれぞれの自主的な判断に基づいてやっていく場合は、それはまた別になるわけですよね。
 さっき言ったようなやり方というのは、郵政省としては、大いに推進をしているものなのか、あるいは精神からいって好ましくないのか、そのあたりどうなんですか。
#65
○政府委員(野田誠二郎君) 先生から具体的にそういうふうにお話を受けますと、われわれも現実に即してお答えをしなければいかぬと思うのでございますが、確かに、本来は簡易保険の契約を締結する、契約を申し込むということが、見込み客といいますか、お客さん側の立場だと思うのでございますけれども、その際に、契約をされる方がたまたま趣味として芝居を見ることが趣味である、あるいは旅行が趣味である、こういうことをその目的として意識して持っておられる方が十五人以上簡易保険の契約に入られますと、一つの団体がそこで構成される。しかもその旅行に要する費用なりあるいは観劇に要する費用を、団体払い込み保険料の割引額を利用して、あるいは国内の旅行をされるあるいは観劇をされるということは、これは契約者にとっても私は有利なことだと、こういうふうに思うわけでございます。あるいは旅行団体の中には、満期になりました保険金をもって海外に旅行しよう、こういうふうな考え方を持っておられる方がおると思うのでございますが、こういう方が、確かに外務員の勧奨といいますか、勧誘を契機として団体をつくられることは、私は一向差しつかえないことであると思います。
 ただ、何といいますか、簡易保険の契約を締結することの前に、旅行とかあるいは観劇というようなことの話が先に、それだけが先にいきますと、確かに先生おっしゃるような話になろうと思いますが、あくまで問題の本質は簡易保険の契約をいただくということがやはり一番の眼目であろうかと思うわけでありますが、私ども、特段に、そういう同趣同好団体を大いにやれというふうにも実は奨励を本省としてはいたしておりません。
 ただ、現場の実情に応じて、たとえば旅行団体にいたしましても、東京と大阪の契約者を組み合わせて団体をつくるというわけにはいきませんし、やはり一定の地域、言いますならば集配局なり何なりを単位としたそういう同趣同好につきましては、原則的にそういう地域内のお客さん方を集めて団体をつくる。あとはその団体にどんどん、たとえば旅行に行きたい、あるいは人間ドックに入りたいという方に参加していただく、そういう形になろうかと実は思っております。
#66
○塩出啓典君 これは組合のチラシですけれども、こう書いているんですよ。「保険関係法規に定められた契約者の自主的な意志でつくった払込団体以外の任意性なく郵便局が率先指導してつくった同趣、同好と称するネーミング団体(旅行団体、人間ドック、歌舞伎等)単に割引額を目あてにして組成された団体(当局では地域団体と称するリベード団体)は全廃すること。」と、そうあるわけですよね。私は正直言ってこの主張は正しいと思うんですけれども、局長はどう思いますか、この主張は正しいと思いますか、それともここまで厳格にやる必要はないという、どうなんですか、そのあたりは。
#67
○政府委員(野田誠二郎君) 私その文章は存じませんけれども、ただネーミングだけで、旅行あるいは人間ドックあるいは観劇に名をかりた、何といいますか、その割引額をリベートする団体というものを目ざしておるのだとしたら、そこの文章に書いてあるとおりだと思うのでございますけれども、その名前のとおりに団体に入っております構成員の方々が旅行に行くという、同じ趣味なり同じ趣向を持たれた方々が団体をつくる、かつ、その共同意思のあらわれとして二年に一回なり、年に一回なり旅行をされる、そういう共同の行動を伴う団体でありましたならば、いまの文章と私ちょっといささか違う、こういうふうに思うわけです。
#68
○塩出啓典君 局長は、いま、保険勧誘が先で、あとからいろいろ聞いてみると、その人が旅行に行きたいという趣味を持っておったと、たまたま。じゃあなたこういう団体に入れば行けますよと、そうしてできたある一つの団体に入ると、これならばいいと言うわけですね、たまたま向こうからそういう申し出があって。けれども、観劇とか人間ドックとか、そういうものを表に出して勧誘するということは好ましくないと、そう言われましたですね、それはそれでいいわけですか。
#69
○政府委員(野田誠二郎君) 何といいますか、旅行なり観劇を表に出すということ自体ではなくて、お客さん、その保険契約を締結される方が、保険契約締結と同時かあるいはそのあとか、その辺の非常にきわどいところでございますが、入られると同時に、御自分がそういう旅行なら旅行を目的とする団体に入るんだという意思を持って入られる、そういう方を――保険契約と同時に、この簡易保険に入られますと、団体割引で旅行ができますよと、年に一回なり二年に一回くらいできますよと、こういう形での勧奨は特段に私どもは悪いと、こういうふうには認識はいたしておりません。
#70
○塩出啓典君 だから、郵政省が結局そういう話をして集めなければ、そういう団体というのは――もとからあった団体は別ですよ、そうやってできる団体というのは、もともと一人一人は全く知らないわけですよ。それは同じ一つの何とか局の局内にあっても、いまは東京なんというのは隣の人でも知らぬ人がおるわけだからね。そういうような人たちを全部集めてきて、そうしてまあ劇を見るのが好きだからというわけで、そういう人だけを集めてきて、そうして一つの団体をつくると、そういうやり方は、私はやはりそういう集金等においてもだれが責任を持つかというと、そういう団体については、これは郵政省が責任を持つ団体ではないわけでしょう、そういうのは、そうでしょう。そうやってできた団体というのは郵政省の責任のある団体ではなしに、これはそういう契約者の任意の団体でしょう、結局。そういうものを無理してつくれば、そこからやっぱり事故が起きるんじゃないかと、私は、そういう点から、そういうような団体は好ましくないんじゃないか、そういう考えなんですけれどもね。そういう点、どうですか、郵政大臣。いまの話で大体のあれはわかっていただけたと思うんですけれどもね。
 私は、簡易保険でいうところの団体取り扱いの団体というのは、これは簡易保険があろうがなかろうが、やはりそこにある一つの職場の長なり、のもとにお互いに知り合った団体である。それであれば、そこが全部給料から天引いて集めるとか、そういう知り合った町内なり、いわゆるお互いに知り合った仲ですから、そこで中心をきめてやっても差しつかえないわけですけれども、全然一人一人知らないものを二十人集めて、あるいは五十人集めてきて、そうしてそこに観劇の団体をつくるとか、人間ドックの団体をつくるとか、そういうことは私は非常に危険性もあると思うんですよね。だから、そういうものはあまり好ましくないと思うんですけれども、その点どうですか。
#71
○国務大臣(久野忠治君) 保険募集の手段として同趣同好団体をつくりまして、そしていろいろ簡易生命保険の成績をあげる、そういうようなあり方については、いろいろ私は議論のあるところだと思います。
 この行き過ぎについては、私は好ましいことではないと思いますが、しかしお互いにこの同趣同好について皆さんが自身の判断でそういう団体をつくって、その団体によってこの保険事業のために御協力をいただき、また皆さん自身がこれによって利益を受けるということは、これは当然あってしかるべきじゃないかと思うのでございまして、その運営のやり方いかんによると思いますので、これが好ましいとが好ましくないとかいうような判断を下すことは、いかがなものかと私は存じます。
#72
○政府委員(野田誠二郎君) 確かに先生おっしゃいますように、この地域団体というのは、職場を一緒にしておるいわゆる職域団体に比べますと、その構成員の結びつきというのは特に希薄だろうと、このように思います。また地域団体の中でも、たとえば町内会の自治会とかあるいはPTAというようなものに比べても、この同趣同好団体というようなものは、さらにいわゆる団体性といいますか、あるいは団体構成員相互の結びつきというのは非常に希薄だろうと、こういうふうに思うわけであります。
 そういう意味から、いま大臣が申されましたように、実は、この団体の組成なり運営というものを、団体性がはっきりしておるものだけに限定して、またそういうふうな形でわれわれ運営をしていきたいということで、たとえば旅行団体なら旅行団体に入っておる人が、その人がほんとうに旅行に行きたい、それから一体だれが団体代表者になっておるか、そういうことについて十分認識がある、それからその団体の決定事項については、たとえばどこに旅行しようというようなことを決定するにはどういうかっこうで決定されるのか、また保険料の割引額はどうなっているか、その手数料はどうなっているかということの日常の団体の運営がはっきりしておる団体、こういうものだけに限って私どもは認めていきたい、こういうふうに思っているわけでございまして、先生おっしゃいますように、ほとんど実体のない、ただ名前だけの――旅行にしてもあるいは観劇にしても、要するにその名目だけで実際の行動は何にもしていないんだと、こういうふうな団体というのは、おっしゃるとおり、ほんとうに好ましくない団体だと、私どもこのように考えております。
#73
○塩出啓典君 じゃ私が外交員としますね、それで一つの担当の区域がある。そういうところへ行って、この簡易保険に月額何ぼ以上入れば年に一回旅行ができますよと、これ以上入れば人間ドックに一年間に一回入れますよと、そしてその人を勧誘する、またこっちに行って勧誘する、そしてこっちも勧誘する。そしてそこで十五人以上できればそこに一つの団体ができるわけですね。その一人一人はお互いに全然知らないわけですよ。そこでまあ適当にあなたひとつ町内会長だから、あなた肩書きあるんだから、あなたひとつ責任者でやってくださいと。そうしてそこに団体をつくり、そして一つの観劇なら観劇に行かせる。それは彼らは自主的な気持ちは全然ないわけです、お互に知らないんですから。言うなれば郵政省がリーダーシップを発揮してそこに一つの団体をつくったわけですね。
 これはやはり大いに推進をしていくべきである、そう考えていいわけですか。実際には観劇には行くわけだと。どうなんですか、そういうのは。
#74
○政府委員(野田誠二郎君) いまおっしゃいました構成員同士が全然連絡がないということには私いくまいと思うんです。その団体としては、やはりその団体の結成の趣意書なり、運営についての基本的な規約というようなものがない限りは、その団体というのは本来的に運営されないはずでございます。たとえばいわゆる代表者なるものが一方的に今度はここの芝居だというふうにめきましても、参加者がほとんどなかったら、これは団体としての行動としては意味をなさないわけでありますので、いまおっしゃいましたような、ほんとうにただ名前だけのようなかっこうの団体というものは、私ども決して好ましい団体とは思っておりません。
#75
○塩出啓典君 それで、もともと一つのサークルがあって、そういう自主的な趣味の団体、これは問題ないんですよ。けれども、その団体をつくるために郵政省の外務員がそうやって一軒一軒回って、そしてそういう者同士をつなぎ合わして無理やりつくるというやり方は一それはうまくやればうまくいくでしょう、しかしそういうところにはやっぱり当然危険な問題があるわけですね。じゃ実際集金はだれがやるのか、そういう集金に来た人はこれは郵政省の人ではないわけでしょう、その人は。じゃその人はどこのだれかわからない。それは郵政省があっせんをして、元職員で退職した人の信頼ある人というので、あるいはそれは間違いはないかもしれないけれども、そういうところに非常な危険性があるのではないか。
 そういうことで、現実にこれは五月九日の新聞ですけれども、これは衆議院で問題になったと聞いておりますが、渋谷区の滝口さんという人が「保険契約すれば年一回、歌舞伎がみられます」と、そうやって入ったというんですよ。保険金額は二百万円、保険料は月額五千三百円の三十年満期養老保険に入った。一向に招待されない。抗議すると、去る二月末、集金人がたずねてきて「あなたは観劇会を脱会していました」と、そして三千円もらったというその三千円の領収証がこの新聞に載っております。私は、これは本人に直接当たったわけじゃありませんが、おそらくこの問題については、郵政局あるいは郵政監察局において当然つかんでいると思うのですけれども、まああなたは簡易保険歌舞伎座観劇会に入っていたけれども、観劇の機会がなかったんで昨年十月に発足した別の団体に変更しておいたと。そういうようなことが当然起こる可能性は多分にあるわけですね。これはまあ一件ですけれども、私はこういうものが一件出るという陰にはやはり一万件はそれに似たものがあるのではないか。
 そういう点で、私の主張したいのは、そういう自主的な団体ではなしに、郵政省がリーダーシップをとって無理やり引きつけるような団体は、事故が起きると、集金の事故をだれが責任を持つか。観劇のときや旅行に行っていて事故が起きた場合、だれが責任を持ちますか。これは郵政省がやるのじゃないのでしょう、旅行に行くのは任意の団体の意思で行くわけでしょう。観劇に行かなくてもいいわけでしょう、要は七%の割引額をみんな分けたっていいわけでしょう。集金だって郵政省は関係ない、ただそういう個人が集金するわけですから。そういうような事故が起きるという危険性があるんじゃないかということを私は言いたいのですけれどもね。このことはどうなんですか。まずこのことは事実なのかどうか、それといま言った二点について、お答えをいただきたいと思います。
#76
○政府委員(野田誠二郎君) 数々の御指摘でございますけれども、確かに同趣同好団体については先生御指摘のような危険性といいますか、そういうものを確かに内包しております。これは職域団体あるいはその他の地域団体と違いまして、相当危険でございます。
 そこで、われわれたびたび申し上げておりますように、同趣同好団体の中ではこれは釣りを楽しむ会とか、あるいは野球を見る会、これはもう数限りなくあるわけでございますが、私どもとしては、一番団体としてまとまる旅行、観劇、それから人間ドック、この三つだけについて認めるといいますか、団体としての組成を認め、これのまた運営を規制して、りっぱにいくようにしていきたいということで、そのほかのただ名前だけの団体とか、あるいは釣りを一緒にする団体とか、こういうものは認めない、こういう立場をとりまして、非常に限定的に運営をしております。確かに先生おっしゃられるように、非常にその中身はいろいろ危険性があるのは十分承知しておりますが、これを厳重に規制することによって運営の全きを期したい、こういうように考えておるわけでございます。その辺ひとつよろしく御勘案をお願いしたいと思います。
 御指摘の、五月九日の新聞、読売でしたかの代々木局の滝口さんの事件ですが、この方は簡易保険局に見えられまして、いろいろお話し合いをいたしました。このような事実はございました。しかし必ずしも全部が新聞で報道されておるとおりというふうに私どものほうも認識はいたしておりませんけれども、外務員といいますか、集金人の主張は、別な集金人のほうに回しますよという趣旨のことについてこの滝口さんのほうの了解を得たと、こういうふうなことも言っておりますが、いずれにいたしましても結果としては、あの新聞の記事になったようなことでありまして、この真実というものはなかなか私どもとして掌握できませんけれども、契約者に迷惑をかけたことは事実でございまして、これは簡易保険局としても――また、東京の郵政局にもいろいろ連絡をとっておられたようでございますけれども、これは私のほうが十分行き届かない、不行き届きの点がございましたので、契約者のほうにあやまりまして、しかるべく措置をとって一応了解をいただいた、このように考えております。
#77
○塩出啓典君 郵政大臣ですね、私は観劇とか人間ドックとか、それから何でも団体が自主的にあれば――まあぼくは釣りが好きで、釣りの仲間が二十人ぐらいいると、そういうことで話し合って、じゃひとつみんな簡易保険に入って団体取り扱いになれば七%の割引があるから、それでひとつ今度は四国のほうに釣りに行こうじゃないかと、これはそれでもいいと思うのですよ。それがいけないというようなことは言えないでしょう、法律の立場からいえば。それからまた、まあわれわれはふところもさみしいからお互いに二十人――ゴルフでもいいですよ、ゴルフじゃちょっと階級が上ですけれども、碁の仲間だと、そういうことで一人一人簡易保険に入るよりも、団体取り扱いで、お互いにみんな集まるときに持ってきて納めれば七%割引があるのだから、その七%でまた子供に小づかいもやれるからという、そういう目的の団体でも、これはやっぱりその人たちが自主的な団体であれば、それがいけないということは言えないでしょう。
 あなたはいま観劇と人間ドックと旅行だけはいいけれども、ほかのはいけないと言う。それは庶民のほうの側からできた団体であれば、これはどういう団体であろうとも、皆さんが責任者をきめて納得してやったことですから、その中で使い込みがあろうとも、これはもう郵政省は関係のない彼らの中の問題ですからね、そういう団体はいいわけでしょうか、いけないですか、それも。
#78
○政府委員(野田誠二郎君) まさにその御指摘のとおりでございまして、その辺に微妙なところが私はあると思うのでございますけれども、確かに釣りの好きな人が二十人くらい集まりまして、全部規約もりっぱに整っておる、代表者もりっぱに選任しておる、しかも月に一ぺんずつくらいはそういう保険料の割引額で魚釣りに行ける、こういうような団体、これは問題ないわけなんですが、ただ、そういうことに藉口して外務員の諸君が先生御指摘のようにかってに契約をかき集めたりする、そういうことについてはいろいろ批判もあるし、また実際運営上非常に心もとない点もある、こういうところから、私どもは、そういう外務員が契約者の方々の間の仲立ちになってといいますか、媒介をするような形で、こういう団体を組成といいますか、契約者の共通意思を集約して一つの団体をつくる、そういう形の団体についてはいろいろな条件をつけて認めるわけですが、その剛体については一番形のはっきりしている旅行と観劇と人間ドック、この三つを認めておるということで、言われましたような団体、これはむしろ同趣同好団体ということじゃなくて、われわれいまあります地域団体のような形で認めることも可能でありますし、その点は私は一向差しつかえない。
 ただ、先生言われる募集の手段として集められた団体というようなものは、私は排除していきたい。ただ団体構成員が共通の意思を持って、同一の共通の行動をとる、そういうものは三つの団体に限るのだ、こういう形にしておるわけなんですけれども、おっしゃいますように、非常にその辺の取り扱い、特に現場での取り扱いというのは非常に微妙なものがあろうかと思うのですけれども、私どもの真意の存するところは、いま申し上げたようなところでございます。
#79
○塩出啓典君 だから、郵政大臣、いま保険局長のお話では、旅行と人間ドックと観劇は、いわゆる皆さんの自主的な団体でなしに、外務員のほうが啓蒙してそこに団体をつくる、そういうことはいいということなんですよ。それはまあ観劇に行くなんというのは、それはやっぱりあすの生活に困っている人は行かぬでしょう。人間ドックに行く人だって、庶民はなかなか人間ドックに行くにしたってだいぶん金がかかるわけですね、実際には。旅行するったって、かなりふところの豊かな人でないと、掛け金もだいぶ払わなきゃ旅行はできないですよ。そういうところで、まあ言うならば一つはお金持ちをねらっているわけですね、こういうやり方はね。
 これはまあ勧誘のチラシです。「人間ドック」と書いていますよ。これには「簡易保険に加入された方で団体を結成します」団体があるんじゃないですよ、郵政省が率先して人間ドックに入る人を集めて団体をつくろうというのです。「旅行」――これはもう旅行という字が一番大きいですよ、これはね。いまさっき、あなたは勧誘が先だと、加入が先だと言うが、旅行が先ですよ、字が大きいんですもの。これだってやっぱりそうでしょう「観劇」のだって「簡易保険に加入された方で団体を結成します」そういうのはやはり私はちょっと行き過ぎではないかということをいま言いたいわけです。
 そこでお尋ねしますが「人間ドック」というこういうのを東京郵政局で出しているわけですけれども、一年に一回人間ドックあるいは旅行、観劇すれば、やはりかなり金が要ると思うのですね。大体、人間ドックに入るには掛け金は最低何ぼですか。一カ月の掛け金は何ぼ以上でないと――千円や二千円じゃ人間ドックに行けないでしょう、最低幾らになりますか。人間ドックに入るには、どれぐらい金がかかるんですか。
#80
○政府委員(野田誠二郎君) 人間ドックの所要経費、そのやり方はいろいろあろうと思いますけれども、最低でもやっぱり一万五千円ぐらいはかかるんじゃないか、こういうふうに考えます。
#81
○塩出啓典君 それなら旅行はどうですか、旅行は。旅行は、大体、年に一回の旅行をやっていますね。これは最高、最低どれぐらいの旅行ですか、団体は。
#82
○政府委員(野田誠二郎君) 普通、毎月払い込みます割引額を積み立てまして年に一回ぐらい行く旅行でしたら、これは一泊旅行で最低一万円ちょっとぐらいから行けると思いますけれども、海外旅行とかそういうことは、むしろ割引額の利用ではなくて、五十万なら五十万、百万なら百万の養老保険の満期保険金を利用して海外旅行をいかがですかと、こういうことになっておろうかと思います。
#83
○塩出啓典君 どうも一泊で一万円、それも一万円よりもっと要るかもしれない――そのあたりは、もう少しはっきりつかんでおいてもらわないと困りますよ、やっぱりね。ということは、たとえば一万円としましょう、一年に一回一万円を出すとすれば、これは言うなれば五%でしょう、七%が割引だけれども、二%が手数料ですから。そうすると五%が一万円になる、その掛け金といえば何ぼになりますか、一年間に。これちょっと計算してくださいよ。
#84
○政府委員(野田誠二郎君) 御指摘のように五%でございますから、保険料が二万円でございますと、月千円ということで年間一万二千円の割引額の集積ができるということで、これで年に一回やる。あるいは二年に一回の旅行ということになりますと、一万円の保険料で一万二千円を積み立てるためには二年に一回しか旅行ができない、もし一万二千円が必要だとすれば。こういうことになろうかと思います。
#85
○塩出啓典君 だから結局あれでしょう、たとえば年に一万二千円とすれば、一カ月二万円の掛け金であれば毎月千円ですから一万二千円できますね、二万円であれば。毎月二万円を掛け金するというのは、かなりの高額ですよね、これはね。
 いま私もらいました資料で計算しますと、簡易保険の平均の毎月の掛け金の数というのはだんだん上がってきていますけれども、大体、団体払い込みの平均が二千三百円ですね。それからいわゆる個人の場合は、大体、一カ月の払い込み金額は千五百九十円ですね。これがまあ平均です。
 ところが、そういう中で、この観劇や旅行というのは少なくとも二万円でしょう。これは浅草簡易保険加入者の会ですが、人間ドックの会というのをつくろうとしている。それにはこう書いてあるんですよ。Aコース、Bコース、Cコースとあるわけですね、Aコースは八万五千円以上ですよ。一カ月に掛けるのが八万五千円以上なんです。Bコースは四万円以上、Cコースは二万五千円以上ですよ。少なくとも最低の人間ドックに入ろうと思えば、やっぱり一カ月二万五千円以上、一番いいAコースだったら八万五千円以上毎月掛け金を掛けなければいけない。
 そういう毎月二万五千円とか八万五千円とか納めるような対象というのは、これは私は本来簡易保険が対象とすべき――まあそういうものもあって悪いというわけではありませんけれども、ちょっとやはり本来の趣旨から逸脱をしているんじゃないかと思うんですけれどもね。そういう点で、私は、こういう観劇とか人間ドックあるいは旅行というものは対象が庶民ではない。最初に郵政大臣が言われたように、庶民を対象にする簡易保険で本来ありながら、お金をたくさん持っている人を対象とするそういうところへだんだん重点がいっているわけですね。もう個人の、非常に生活の苦しい中でがんばっているそういう人たちのほうの契約はあまりふえない。一方においては、そういうたくさんの収入を持っている人を対象にしてきている。そういうことは私は簡易保険の本来の方向としてあまりにも営利の方向にいっているんじゃないか、そういう方向は私は是正すべきだと思うんですけれども、その点どうでしょう、郵政大臣。
#86
○国務大臣(久野忠治君) ただいま具体的な事例につきまして、いろいろ御指摘がございました。
 その中に非常に貴重な御意見もあったわけでございますが、やはり加入のための勧誘あるいはまた運営等について行き過ぎがあるとするならば、これはたいへん遺憾なことだと存じますので、そのようなことのないように今後とも指導してまいりたい、かように存じます。
#87
○政府委員(野田誠二郎君) 御指摘の浅草郵便局の人間ドックの会でございますけれども、これは、御指摘のように、確かに行き過ぎがございましたので、私どもとして中止、再検討させることにいたしました。
 また、人間ドックの会といいますか、人間ドックはどこででもできるということではございませんし、またたとえば共済制度が利用できる方だとか、あるいは共済病院などを持たない中小企業の経営者といいますか、こういう方が対象であって初めて実現可能ということで、この人間ドックをどこででもわれわれ推し進める、こういうふうなことは全然ございませんので、一言申し上げたいと思います。
 また、こういう人間ドックにしましても、あるいは旅行にしましても、本来、保険としては、保障性の強い長期の契約ではございませんで、非常に貯蓄性の強い十年満期、こういう短い保険、したがって保険金も相当大きい、保険料も相当高い、こういう契約が主ということでございまして、たとえば十年払い込みの十五年養老保険というような非常に貯蓄性の強い保険種類ですと、これは全国的に申しましても、新規契約の平均保険料は一万円弱、大体、現在はそういうふうな状況になっております。
#88
○塩出啓典君 いま、この浅草のは行き過ぎだというのは、どこが行き過ぎなんですか、どういう点が行き過ぎなんですか。
#89
○政府委員(野田誠二郎君) いまちょっと申し上げましたように、たとえ十年払い込みの十五年養老保険というような非常に保険料としても大型なものでも、全国的に平均一万円程度というような保険料でありますが、たとえば月に十万円にも及ぶような、八万数千円というような保険料というのは、やはりこういうもので団体をつくるのはどこかに無理がある。
 もう端的に申し上げまして、たとえば最高制限額が三百万という形で運営されておる限りは、月額八万五千円というのは家族全部――少なくもその中小企業の御主人一人だけの契約からはなかなか生まれてこない保険料になろうかと思います。まあ家族の方五人なら五人全部を最高額まで入れて、それで出てくるかどうかというような割引額なり保険料になろうかと思います。要するに、相当無理があるというふうに私ども見ておりましたので、これは一応中止をして、もう少しいろんな批判にもたえ得るようなものに検討し直せということを命令したわけでございます。
#90
○塩出啓典君 けれどもね、人間ドックというのをちゃんとやっているんだから、やはり人間ドックというのを推進すれば、当然、結果としてそうなりますよ。人間ドックを千円でやっているところはないんだから、そうでしょう。
 そういうチラシがたまたまわれわれの手に入れば、これは証拠になりますよ。けれども、このチラシがなしに黙ってやれば、これはわからない。これなんか見ると、実際五人家族全部入って、そうしてドックを受けるのは一人しか受けることはできないわけでしょう、結局は。ほんとうにこういう人間ドックをやろうとすれば、当然そういう無理が出てくるわけですよ。
 だから人間ドックも必要ですけれども、ほんとうに郵政省が厚生省にかわって人間ドックをして、みんなの健康管理をするということは悪いことじゃないですけれども、このこと自体が行き過ぎじゃないですか、その点どうなんですか。人間ドックはいいけれども、これが行き過ぎなのか。私に言わしたら、これがあるからこうなるんです、やはり。これはこういうビラができるできないにかかわらず、現実においては、この内容どおりいかなければ人間ドックは実現しないと思うんですけれども、その点どうですかね。
#91
○政府委員(野田誠二郎君) 先ほど来申し上げておりますように、簡易保険の保険契約におきましても非常に契約も大型化してきておりますし、三百万の十年養老というような保険契約になりますと、これは保険料も相当大型になります。そういうことと同時に、やはり国民の側におきます需要も一ただわれわれが人間ドックだからということを声を大にして言っただけでは、決して私は人間ドックというような形でのこういう同趣同好団体に入っていただく方もないと思いますけれども、たとえば旅行にしましても観劇にいたしましても、国民の保険に対する需要と同時に、余暇生活に対する国民の、何といいますか、趣向なり要望ということがやはりそういう形になってあらわれてくる。
 したがって、いま東京郵政局の勧奨のビラを先生お持ちでございますけれども、それ自体私は決して非常に行き過ぎだとか、そういうふうに思いません。ただ、現実のやり方が浅草局におけるような形で発現してきた場合に初めて、これはいかぬというようなことで、そういう行き過ぎを上局から矯正する、こういう性格のものだろうと私は思います。
#92
○塩出啓典君 じゃ郵政大臣にお伺いしますが、簡易保険の本来の趣旨からいって、やはりいわゆる庶民を対象にすべきであって――これはもちろんやってはいけないと言うんじゃない、そういう希望者がおれば、それはやってもいいと思うのですよ。ただ、月に三万、五万の掛け金が払える人も庶民の一人には間違いないわけですけれども、あくまでも簡易保険の趣旨というのは、こういう方向ばかりに力を入れるべきではないと、これは、郵政大臣、認めますか。
#93
○国務大臣(久野忠治君) 行き過ぎの点については十分注意するように指導してまいりたい、かように存じますが、ただいま御指摘の点につきましては、やや行き過ぎの点があるように私は拝察をいたしますので、今後とも十分その点を配慮いたしまして、指導してまいりたいと存じます。
#94
○塩出啓典君 そういう点、ひとつあくまでも庶民対象の本来の趣旨をたがわないようにやっていただかないとね。やはり局長のここにおける答弁は、われわれから見ると、非常によろしくないと思うのですよ。そのあたりのズレが下のほうにだんだん大きくなっていくわけですね。
 それで、昨年の暮れに、簡易保険局長名で通達を出しましたね「保険料払込団体の組織運営について」これはおそらくもとからある職域団体とかあるいは同好会の団体というのは、当然、集金はそれぞれの団体の自主的な判断のもとにできるわけですね。ところが、郵政省がそうやって一人一人同好者を集めてつくった団体であれば、そこにお互いのつながりもないし、もし集金において事故があった場合困ると、そういうことで、そういう集金をするためのいわゆる公益法人をつくる、そういう意図で私はこの通達が出たんじゃないかと思うのですけれども、これはどうですか、簡易保険局長。
 こういう払い込み団体の組織運営について通達を出して、集金をするのにわざわざ公益法人をつくって、それで郵政省が監督をしてやっていこう、そういう趣旨のようですけれども、そういうことなんですか。これは、結局、いまのままいけば事故が起こる危険性があるから、こういうものをつくったわけでしょう。
#95
○政府委員(野田誠二郎君) おっしゃいますように、別にこの集金を委託する団体は郵政省が監督している公益法人をしてやらしめるということ自体に目的があるわけでございませんで、現在の同趣同好団体の組成、運営の現状を見ますと、確かに先生おっしゃいますように、いろいろ憂うべき点があるわけでございますので、これの整序といいますか、秩序づけをするということが昨年の十二月の通達のねらいでございます。
#96
○塩出啓典君 だから、結局、自分たちがかってにみんなを啓蒙して団体をつくっておいて、当然そういう皆さんの自主的な意思に基づかない団体というのはお互いに横のつながりもないわけですから、集金人がだれになるか、そういう人とのつながりもない、そういうことで非常に事故の起こる危険性もある、そういうことで公益法人をつくる、そういうものをまた局をまとめて、あるいは地方郵政局をまとめて一つの組織をつくっていく、そういうことまでやらなければならぬ理由がどこにあるのか、私は非常に理解に苦しむわけですけれどもね。
 公益法人は郵政省が監督するわけでしょう、そういうような仕事を郵政省がふやしていくわけだ。郵政省はよっぽどひまなんですか。簡易保険の本来の趣旨に返れば、そういうようなややこしいことをすることもないと思うんですけれども、こういう方向は私は非常に危険じゃないかと思うのです。郵政大臣、どう思いますか。公益法人をつくって、それで郵政省の外務員が無理してつくった団体の集金をやらして――じゃ公益法人が実際に事故を起こした場合は、あれですか、これは結局郵政省が責任を持つんですか。
#97
○政府委員(野田誠二郎君) 先ほど申し上げましたように、委託先を公益法人とするということが目的ではございませんで、この団体を秩序づけよう、こういうことが実は目的であるわけでございます。
 その前に、現在の簡易生命保険法なり約款のたてまえからいきますと、十五人の人たちが集まりまして、契約も被保険者も十五人以上なければいかぬわけでございますが、一定の様式の整いました届けを出しますと、これは団体として認めて、かつ団体割引を行なわざるを得ない、こういうシステムになっております。したがって現在の簡易保険の払い込み団体の運営というのは、実は、そういう形で出てきておりまして、契約自由といいますか、こういう形で、出てきたものは全部受け付ける、こういうことであります。また団体代表者が今度は現実に保険料の取りまとめを第三者に委託する、あるいはそのほかに法人等に委託する、これもまた自由でございまして、そういうあれからいいますと、契約の現場での実際の管理をする郵便局といたしましては、その団体の中に介入し、いろいろタッチする権能とか、そういうものは全然ないわけでございます。せいぜいあるとすれば、指導する権能ぐらいしかないわけです。
 現在の約款の規定でも、その団体の保険料がスムーズに払い込まれない場合と、それから、あまりに契約の団体構成員の異動といいますか、消滅とか新規加入あるいは地域的な異動というのがひんぱんで、その煩にたえないときだけ、この団体取り扱いを停止することができると、こういう規定になっておりまして、なかなかその団体自治の中に郵便局として入り込むことができない、こういうことに対しまして、昨年の十二月の指導の通達は、郵便局がもう少し積極的に乗り出して、その内容等についてまで運営がスムーズにいくように、十分指導をしろということを一つ出しております。
 それから、先ほど申し上げました団体代表者が集金の取りまとめを委託する第三者としては、これは単なる個人の場合もありましょうし、あるいいは法人の場合もあろうかと思うのでありますが、身元のしっかりした人、一番端的に申し上げますと、郵政大臣の十分監督の行き届く公益法人にこの集金等を委託したら一番安全だろう、こういう趣旨で団体を指導するようにということを打ち出したわけでありまして、これは一応指導の文書でありまして、これは契約とかあるいは団体構成等自由でありますので、団体代表者があくまでがえんじないで第三者のほうがいいという判断でしたら、やはりそういう形にならざるを得ない。あくまで郵便局としての指導の姿勢をここで一応打ち出したと、しかもこれは対象としてはいままで団体の中でも同趣同好団体だけに限定をしている、こういう趣旨の通達でございます。
#98
○塩出啓典君 公益法人を郵政省が監督するとなれば、これはやはり郵政省設置法を改正する必要があるんじゃないですか、そういう職務が入ってくるわけですからね。
 それと、そういう公益法人が事故を起こした場合、これはやはり郵政省が責任を持つわけですね、そういう場合は。
#99
○政府委員(野田誠二郎君) 現在の公益法人と同じように、現在の設置法なり何なりの法体系のもとでそういうことを行なえる公益法人というのはできるはずでありますし、別にいまの法律あるいはそのほかの規定をいじる、こういうことは必要なかろうかと、このように思います。
 また、公益法人が事故を起こしました際の処理につきましては、これは事故の態様によろうかと思いますが、場合によっては、郵政省の監督不行き届きという場合には郵政省が責任を負わなければいかぬと思いますが、ほとんどの場合は公益法人自体の責任になろうかと、こういうふうに思います。
#100
○塩出啓典君 では時間もありませんので、この問題はこの程度にとどめますが、いずれにしても、いま払い込み保険契約の状況を見ましても、団体払い込みのほうがどんどんふえてきているわけですね。しかも、団体払い込みにおいて、職域団体よりもいわゆる地域団体、同趣同好団体が非常にふえております。私が四十五年に質問したときは、たしか職域団体は三〇%でありました。しかしいまは二三・八%ということは、ほかがふえているから、割合が下がってきているわけですね。それから保険契約の中の団体保険の払い込みが四十三年は二六・七%であったのに、いまは三三・三%と件数においてはもう三分の一がそうなっている。金額においては四二%ですね。金額は非常に団体のほうが高いわけですから、そういうことでいわゆる個人の加入件数というのは全然伸びていないわけですね。これは昭和四十三年から四十四年、四十五年、四十六年、四十七年、全く三万一千ということで平行線をたどっているわけです。ところが団体のほうがどんどんふえているわけですね。
 団体は、いま言ったように、そういう庶民が対象じゃなしに、観劇とか旅行とかそういうことのできる階層が対象になっている。そういう方向に簡易保険が向いているということは、私は本来の趣旨からやはりよろしくないと思うのです。そういう点でもっと本来の趣旨に戻ってもらいたいという先ほどの質問になるわけですが、そのことをひとつきょうはこの程度にとどめて、この問題につきましては郵政大臣、保険局長に要望しておきます。これはいずれこまかい問題につきましては、具体例をあげて、次の機会にまた質問したいと思います。
 それで、今回の法案について二、三お聞きしておきたいと思うんでありますが、最近十カ年の失効解約率、これが非常にここ数年上がってきているわけですね。郵政省はその原因をどのように分析しているのか、最近はどういうぐあいに失効解約率が上がっているのか。
#101
○政府委員(野田誠二郎君) 最近の失効解約率の推移でございますけれども、御指摘のように過去十年間、三十八年以降をとりますと、三十八年が一・四%、以下件数率でございますが、三十九年が一・三五、四十、四十一が一・四六というふうにどんどん上がってきておりまして、四十六年に失効率が一・九五ということでございます。これがピークでございまして、幸いなことに昨四十七年度は一・八八ということで、ずっと過去十年近く増加傾向にありました失効解約が四十七年度に初めて前年度よりもいささか下降してきたということで、改善されてきておるというふうにわれわれは判断をいたしております。
 なお、失効解約の原因でございますが、これは、実は、四十五年の七月から八月の二カ月間に失効解約となりました簡易保険の旧契約につきまして、個別面接聴取法ということで、郵政省でないほかの調査機関に依頼をいたしまして調査をいたしました失効解約原因調査というのがございます。
 これは経済的な理由による失効解約、それから制度的な理由によるもの、それから募集・集金時の適切な措置を欠いたものという内部の運営を理由とする失効解約、こういうふうに失効解約の理由が大別できょうかと思うのでございますが、一応、私どもが掌握しておる限りでは、やはり経済的な理由で掛け金が払えなくなった、あるいは困ったときに金が必要になったという経済的な理由というのが一番大きくて三八・四%、次に期間が長いからいやになったとか、ほかの預貯金が有利と思うからとか、あるいは保険料が高過ぎるからというような制度に対する嫌悪といいますか、制度的なものに原因をする失効解約、これが二八・二%、両方合わせまして約六七%近く、三分の二以上がいま申しました経済的な理由及び制度的なものに対する嫌悪、こういうのが失効解約の原因になっております。
#102
○塩出啓典君 それで、大蔵省は、民間生保の責任準備金の積み立て方式を、従来のいわゆるチルメル方式から純保険料方式へ移行する――そういうことにすれば、短期で解約した場合は保険会社が損をするわけですね、そういうことで保険会社のほうもいいかげんな契約はしない、そういうことでやはり失効解約率が高いということは募集において十分徹底しなかった点もあるわけですしね。そういうことからチルメル方式から純保険料方式へ移行する準備を進めているわけでありますが、これは簡易保険においても、このように消費者保護と申しますか、そういう方向でやはり検討すべきじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
#103
○政府委員(野田誠二郎君) 大蔵省の民間保険に対します指導につきましては、私ども理解しておる限りにおきましては、やはり資本の自由化あるいは外国生保の進出等に備えて、民間保険の経営基盤を強固にするための責任準備金の積み立て金の厚い純保険料方式への移行、大蔵省の指導はそういうところにあろうかと、このように考えておりますが、私どもの簡易保険につきましては、まあ従来から経営基盤が非常に強固であるということが一つ。二点としましては、民間保険が非常に長期保険に片寄っておりますが、簡易保険におきましては短期の貯蓄性保険が契約の中心でありますために、もともと積み立て金の額が非常に厚くなっておりまして、さらに失効解約率につきましても民間生命保険の実に三分の一以下という非常に堅実な経営内容、こういうふうなことから、私ども、さしむきはこの積み立て方式を現在のチルメル方式のままにいたしておきまして、純保険料方式に改める必要はないのではないか、このように考えているわけであります。
 しかしながら、御承知のように、非常に国民の保険需要も変わってきておりまして、昨年の九月には第二種特別養老保険というようなものを創設しております。さらにまた今回の法案といいますか、法律の改正で定期保険の創設ということで御審議をお願いしておるわけでありまして、簡易保険におきましても、今後は、やはり保障性の高い保険種類の比重というものが相当高くなる、こういうふうに予想されるわけであります。したがって、先ほど申しました、現在は経営基盤というのは相当強いわけでありますが、今後、もう少し推移を見まして、積み立て方式につきましても検討を進めていきたいと、このように考えているわけであります。
#104
○塩出啓典君 それから、いま解約の理由は経済的な理由が三八%――四割近くだというお話ですが、いわゆる失効解約防止のために振替貸し付け制度ですね、これがございますが、民間保険の場合は自動振替貸し付けということで、自動的に、しかもその期間というのはいつまでも――まあある一定以上掛けたあとであれば、これはもう満期までも自動振替貸し付け制度が続く。けれども、この簡易保険の場合は、払えなくなった場合に、いわゆる郵政省が六%の金利で金を貸して掛け金をかわって掛ける、そういう振替貸し付け制度は申し出をしなければ振りかえない、しかもその期間は一年以内の保険料しか立てかえない。
 庶民を対象にする保険ですから、そういう点で、私はやはり一般の生保並みにこの保険料振替貸し付け制度を自動振替貸し付け制度として、期間も一年というんじゃなしに、これは希望があればもっと長く貸し付けると、そのようにすべきだと思うんですが、その点はどうですか。
#105
○政府委員(野田誠二郎君) ただいま保険料自動振替制度を設けたらどうかというお話でございましたが、確かにそういう御意見があるのをわれわれ承知をいたしておりますし、国会にも請願として何回か出されたことも承知をいたしておるわけでございますが、御承知のとおり、簡易保険の保険契約の保全につきましては、もともと月掛け集金制ということ、これが大原則であるわけでございまして、その点で私民間の保険といささか違っているのではないかと、こういうふうに思います。
 また民間保険につきましては、確かに保険料自動振替貸し付け制度というのがございます。しかし、民間と違いまして、簡易保険は三カ月間の保険料払い込み猶予期間を設けておりまして、これは民間は原則として一カ月であります。
 二番目といたしまして、保険契約者の意思を個別に問う保険料振替貸し付け制度がございますが、これは先生一年とおっしゃいましたけれども、なおそれで足りない場合には更新ができる、こういうことになっておりますので、契約者の意思表示があります際には、保険料に振りかえるべく、その積み立て金を取りくずしていく、こういう保険料振替貸し付けの制度がございます。
 さらに天災その他避けることのできない事変、やむを得ない事由によって保険料の払い込みが困難となった場合には、保険料の払い込み猶予期間の延伸の制度がございます。台風、地震等々災害のありました場合には、半年なりあるいは一年なり、この保険料払い込み猶予制度を三カ月の期間をこえまして特別に延伸を認めておる制度がございます。
 このように、簡易保険の場合におきましては、契約保全につきまして十分配意ができておるということで、いままでのところ、このことによって加入者に御迷惑をかけておるというようなことはなかろうかと、このように考えておるわけでございます。
 もしかりに、おっしゃいますような保険料の自動振替貸し付け制度を設けたといたしますと、保険契約者の特段の意思表示のない限り、ずうっとこの解約還付金は自動的に取りくずされると、こういうことになりまして、気がついてみたら全然保険があとかたもなかったと、こういうことにもなりかねないかと思いまして、事後に国と加入者との間でいろいろ契約をめぐっての紛争というようなことが起こるような気もいたすわけでございまして、現在の時点におきましては、いま設けておりますこれらの制度で一応用が足りておるのではないか、このように判断をいたしております。
#106
○塩出啓典君 それから、そういう民保の場合でも、最近は解約の六割がいわゆる新種保険への切りかえということが多いわけですね。そういうわけで、今後、簡易保険においてもそういう新種保険への、今回もこういう提案を出されましたけれども、切りかえがあると思うんです。
 保険じゃ解約すればもう大損するわけですけれども、切りかえの場合は非常に合理的に損失なく転換できる、そういうようなこともぼくは検討すべきじゃないかと思うんですが、そういう検討する用意があるのかどうか、簡単でいいですから。
#107
○政府委員(野田誠二郎君) おっしゃいますように、これは総理大臣の諮問機関でございます国民生活審議会の中の消費者保護部会の答申の中にも、既契約が合理的に新種保険に転換される方式などが開発されることが望ましい、こういうことがございます。
 私どもといたしましても、確かに簡易保険におきましては、たとえば保険金額の中途増額等につきましては、逆選択の危険が伴いますので、いろいろ問題もあろうかと思うわけでありますが、既契約を新種保険の契約に切りかえる方法につきまして、取り扱いが簡便で、しかも有効な方式が見出されます場合には、こういう方法も十分実現の可能性がございますので、今後検討を進めていきたい、このように考えております。
#108
○塩出啓典君 最後に、いわゆる銀行口座等からの自動振り込み制度ですね、NHKの受信料はたしか自動振り込みとか、あるいは一括して納めれば割引制度がある。やはりこの自動振り込み制度になればそれだけ集金の手数料というのは省けるわけですから、そういう点でまとめて納める割引はあるようですけれども、こちらから自動振り込みをする、そういうような制度をもっとやっぱり伸ばしていくべきじゃないかと思うんです。
 それで、いわゆる団体払い込みの場合は七%結局まけるわけでしょう。ということは、そういう集金の手数料というものに金がかかるから、それは向こうがまとめて預けてくれればそれだけ手数料が省けるということで七%まけてくれるわけですけれども、こういう自動振り込み制度というものを拡充して、被保険者が自発的に銀行送金してくれれば、たとえば五%保険料をまけるとか、そういうふうにして、こちらを私はもっと推進すべべきだと思うんですね。劇を見るのも旅行するのも別に悪くはありませんけれども、しかしそういうことをPRするより、もっと安い料金でいいんだと、こっちのほうにもつと力を入れるべきだと思うんですけれども、この自動振り込み制度というのは、いまどのくらいあるんですか、どうなっているんですか。
#109
○政府委員(野田誠二郎君) 簡易保険の場合におきましては、ほとんどが個別の払い込み及び団体の集金ということでございまして、法律上認めておりますのは、郵便振替によります払い込み制度これだけでございますが、これはもうほとんど申し上げるほどの件数になっておりません。
 それから民間におきます自動振替制度、これは民間でも地域あるいは契約の種類等相当限定をしておりまして、御指摘のような電電公社なりNHK等で自動振り込み制度は相当普及しておりますが、これらに比べて格段に少なく、ということはほとんどの会社が一%以下、こういう実態になっておるようでございます。
 簡易保険につきましても、確かに御指摘の点あるわけでございますが、一つとしては、現在、簡易保険の体制が集金即募集という、集金網を全部広げておる、こういうふうな外野の体制をとっておる。団体払い込みにつきましても、団体保険料の取りまとめ人が集金人に交付するというのが原則的な形といいますか、そういう集金網の一端と、こういうことになっております。そういうものとの関連並びに現在の会計法令等、会計制度を相当大幅に改正をしなければいかぬ、これにはまた相当の準備を必要とすると、こういう関係にあるわけでありまして、この自動振替制度の実施という面につきまして、会計法令を別にいたしましても、簡易保険自体といたしまして募集のあり方、集金組織等の上から十分検討を進めませんと、なかなか結論の出ない問題かと思いますが、今後検討を進めてまいりたいと、このように考えております。
#110
○委員長(茜ケ久保重光君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#111
○委員長(茜ケ久保重光君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。――別に御発言もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#112
○委員長(茜ケ久保重光君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 簡易生命保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#113
○委員長(茜ケ久保重光君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#114
○委員長(茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
    ―――――――――――――
#115
○委員長(茜ケ久保重光君) 郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。久野郵政大臣。
#116
○国務大臣(久野忠治君) ただいま議題となりました郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 郵便切手類及び印紙の売りさばき人に対して支払う現行の売りさばき手数料の率は、昭和四十六年一月に改正されて今日に至ったものでありますが、その後における労賃の増加傾向を勘案いたしまして、適正なものに改めようとするものであります。
 改正内容は、売りさばき人の買い受け月額のうち、一万円をこえ五万円以下の金額に対する手数料の率を百分の六から百分の七に、五万円をこえ十万円以下の金額に対する手数料の率を百分の五から百分の六に引き上げようとするものであります。これによりまして買い受け月額が一万円をこえ十万円以下の売りさばき人はもちろん、十万円をこえる売りさばき人につきましても、買い受け月額のうち一万円をこえ十万円以下の金額に対する手数料は増加することになります。
 以上が、この法律案の提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#117
○委員長(茜ケ久保重光君) 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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