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1972/07/12 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 逓信委員会 第15号
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1972/07/12 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 逓信委員会 第15号

#1
第071回国会 逓信委員会 第15号
昭和四十八年七月十二日(木曜日)
   午後一時三十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        茜ケ久保重光君
    理 事
                今泉 正二君
                塚田十一郎君
                森  勝治君
    委 員
                植竹 春彦君
                郡  祐一君
                松岡 克由君
                松本 賢一君
                山田 徹一君
                木島 則夫君
                沓脱タケ子君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  久野 忠治君
   政府委員
       郵政大臣官房長  廣瀬  弘君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   舘野  繁君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   牧野 康夫君
       郵政省貯金局長  石井多加三君
       郵政省電波監理
       局長       齋藤 義郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹森 秋夫君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第二局長   柴崎 敏郎君
   参考人
       日本放送協会会
       長        前田 義徳君
       日本放送協会副
       会長       小野 吉郎君
       日本放送協会専
       務理事      野村 忠夫君
       日本放送協会理
       事        斎藤  清君
       日本放送協会経
       理局長      堀場 仁徳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本放送協会昭和四十五年度財産目録、貸借対
 照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書
 (第六十八回国会内閣提出)
○郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に
 関する調査
 (日中海底ケーブル建設に関する件)
 (郵便貯金の利率引上げ等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(茜ケ久保重光君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 日本放送協会昭和四十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。
 まず、本件に対し、郵政大臣から説明を聴取いたします。久野郵政大臣。
#3
○国務大臣(久野忠治君) ただいま議題となりました日本放送協会の昭和四十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。
 これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院の検査を経まして国会に提出するものであります。
 日本放送協会から提出された昭和四十五年度の貸借対照表等によりますと、昭和四十六年三月三十一日現在における資産総額は一千二百一億四千万円で、前年度に比し七十六億六千百万円の増加となっております。これに対しまして、負債総額は四百四億六千五百万円で、前年度に比し三十億五千三百万円の増加、資本総額は七百九十六億七千五百万円で、前年度に比し四十六億八百万円の増加となっております。
 資産の内容を見ますと、流動資産百三十九億四千万円、固定資産一千四十五億三千万円、特定資産十四億九千万円、繰り延べ勘定一億八千万円であり、固定資産の内容は、建物四百二億五千五百万円、土地百三十七億七千五百万円、機械三百四十四億五千九百万円、その他の固定資産百六十億四千百万円となっております。
 また、負債の内容は、流動負債九十八億九千五百万円、固定負債三百五億七千万円であり、固定負債の内容は、放送債券百四十九億円、長期借り入れ金百十五億円七千万円、退職手当引き当て金四十一億円となっております。資本の内容につきましては、資本七百五十億円、積み立て金三十一億六千百百円、当期資産充当金十二億八千九百万円、当期剰余金二億二千五百万円となっております。
 次に損益について御説明申し上げますと、事業収入は九百二十億六千二百万円で、前年度に比し七十二億六千三百万円の増加であり、事業支出は九百五億四千八百万円で、前年度に比し七十三億四百万円の増加となっております。したがいまして事業収支差金は十五億一千四百万円で、前年度に比し一億一千百万円の減少となっております。
 なお、事業収支金の内容は、資本支出充当十二億八千九百万円、当期剰余金二億二千五百万円となっております。
 以上のとおりでございますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
#4
○委員長(茜ケ久保重光君) 次に、日本放送協会会長から説明を聴取いたします。前田参考人。
#5
○参考人(前田義徳君) ただいま郵政大臣から日本放送協会の昭和四十五年度財産目録、貸借対表表及び損益計算書の概要につきまして御説明がございましたが、委員長の御指名によりまして、補足説明を申し上げることといたします。
 まず、当年度末現在の資産総額は一千二百一億四千万円で、この内訳は、流動資産百三十九億円四千万円、固定資産一千四十五億三千万円、特定資産十四億九千万円、繰り延べ勘定一億八千万円でございまして、固定資産の内容は、建物四百二億五千五百万円、土地百三十七億七千五百万円、機械三百四十四億五千九百万円、その他の固定資産百六十億円四千百万円でございます。
 この資産総額を前年度末に比較いたしますと、七十六億六千百万円の増加となっております。
 これは主として、当年度の建設計画に基づき草津等二百四十局の総合・教育両テレビジョン局の新設、京都等五十二局の超短波放送局の新設、奈良ほかの放送会館の整備、その他放送設備の整備等を行なったことによる固定資産八十一億九千三百万円の増加によるものでございます。
 一方、これに対します負債総額は四百四億六千五百万円で、この内訳は、流動負債九十八億九千五百万円、固定負債三百五億七千万円でございまして、固定負債の内容は、放送債券百四十九億円、長期借り入れ金百十五億七千円、退職手当引き当て金四十一億円でございます。
 この負債総額を前年度末に比較いたしますと、三十億五千三百万円の増加となっておりますが、これは主として、受信料前受け金等の増加により流動負債が二十億六千五百万円増加したためでございます。
 また、資本総額は七百九十六億七千五百万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積み立て金三十一億六千百万円、当期資産充当金十二億八千九百万円及び当期剰余金二億二千五百万円でございます。この資本総額を前年度末に比較いたしますと、四十六億八百万円の増加となっております。
 なお、資本につきましては、前年度末に比較して五十億円の増加となっておりますが、これは積み立て金から五十億円を資本に組み入れたためでございます。
 次に、損益計算書により事業収支について見ますと、まず受信料等の事業収入は九百二十億六千二百万円で、前年度に比較しまして七十二億六千三百万円の増助となりました。
 これは主として、総合・教育両テレピヨン放送網の建設を推進いたしますとともに、放送番組内容の充実刷新及び事業の周知、受信者の維持・開発につめました結果、有料受信契約者数が、カラー契約におきまして、当年度内に三百六十万の増加を示し、当年度末七百六十六万となったためでございます。一方、普通契約は、カラー契約受信者の増加に伴い、当年度内に二百九十五万の減少を示し、当年度末一千四百九十四万となりました。
 次に、事業文出は九百五億四千八百万円で、この内訳は、給与二百七十三億二千二百万円、国内放送費二百六十五億三千百万円、国際放送費七億四千百万円、業務費八十四億五千五百万円、管理費百二億五千八百万円、調査研究費十四億八千二百万円、減価償却費(百三十二億八千九百万円、関連経費)二十四億七千万円となっております。
 これを前年度に比較いたしますと、七十三億七千四百万円の増加となりましたが、これは主として、放送番組内容の充実刷新、カラーテレビジョン放送時関の拡充、受信者の維持・増加対策の推進及びこれらの事業規模拡大に伴う維持運用費等の増加並びに建設工事の進展に伴う減価償却費の増加によるものでございます。
 また、資本支出充当として、十二億八千九百万円計上いたしました。これは債務の償還等の資本支出に充当したもので、貸借対照表に記載されている当期資産充当金に相当するものでございます。
 以上の結果、当期剰余金は二億二千五百万円となりました。
 これをもちまして、協会の昭和四十五年度末における財政状態及び当年度の事業成績につきましての補足説明を終了了させていただきますが、今後の事業運営にあたりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一そう放送事業の発展に努力してまいりたい所存でございます。
 何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
#6
○委員長(茜ケ久保重光君) 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を聴取いたします。柴崎会計検査院第二局長。
#7
○説明員(柴崎敏郎君) 会計検査院の検査の結果について御説明いたします。
 日本放送協会の昭和四十五事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書は、昭和四十六年十月二十六日内閣から受領し、その検査を終えて、同年十一月三十日内閣に回付いたしました。
 同協会の同事業年度の会計について検査いたしました結果、特に不当と認めた事項はございません。
 以上、簡単でございますが、説明を終わらしていただきます。
#8
○委員長(茜ケ久保重光君) 前田会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。日本放送協会会長前田義徳君。
#9
○参考人(前田義徳君) この機会に、特に発言を許されまして、私として委員各位に厚くお礼を申し上げたいと思います。と申しますのは、私は来たる十六日をもって任期を満了して退任いたすこととなったからでございます。
 顧みますと、私は、NHKという事業体に参加して以来二十三年、当国会に出席することを許されてから約二十年でございます。この間、現在の茜ケ久保委員長をはじめとして歴代委員長、現在の当委員会の委員の諸先生、ただいまの郵政大臣をはじめとして歴代の郵政大臣及び事務当局――たとえば塚田先生は、私は先生が郵政大臣の末期、さらに政調会長の時代にこの国会でごやっかいになり、NHKの特に海外放送に関する強い御支援をいただいたわけでございます。
 振り返ってみまして、この長い間、私が幸いに皆さんの御支持と御教導によりまして、私なりに無事にこの日本放送協会という公共放送の執行責任者として円満に退任することができましたことについて、深くあらためて感謝を申し上げると同時に、私としてもいささか喜びをもって退任することができるということを、深く自分自身の心のうちに感じております。
 もちろん、この二十年の国会との御関係の中で、ことにここ数年、私はおそらく皆さんにとって傲慢無礼の発言を申し上げ、あるいはいろいろな意味でいろいろな御質疑に対してきわめて強硬な発言を続け、したがって当委員会をはじめ郵政大臣あるいは郵政省の幹部の方々に一方ならぬ御迷惑をかけたと考えております。しかし、これは前田義徳個人の立場で申し上げたわけではなく、放送法に明示されている公共放送としてのNHKの使命に徹するために、不敏にむちを打ちながら失礼な発言を申し上げたかもしれませんが、この点については、あらためてこの機会に深くおわびを申し上げ、今後、NHKをよろしく御指導、御教示賜わりたいと思います。
 さらに、この機会に、私としては、次期会長は私とともに苦楽をともにした、ことに九年間私の陰にあって副会長として私と一心同体、しかも舞台裏にあって強く私を支持してくれた小野さんが会長となるわけであります。小野さんとの関係も私自身にとりましては実に十四年間のつき合いでございます。よろしく、私に与えられた以上の御理解と御支援を新しい会長に賜わりたいと存じます。
 まことに、この公式の席上において、ときにおそらく私情の感懐をまじえながら、このような発言を許されたことに対し、あらためて深く御礼を申し上げるとともに、これまでの御無礼あるいはこれまでのいろいろのいきさつに対してお許しをいただけるならば、まことに幸いだと存じます。
 ありがとうございました。(拍手)
#10
○委員長(茜ケ久保重光君) この際、当委員会を代表して、委員長から一言前田会長にごあいさつ申し上げます。
 ただいま会長御自身から御発言がありましたように、二十数年の長きにわたってNHKの発展のために尽瘁をされました前田会長、しかも会長としてだけでも三期、九年間の長い間、マスコミの非常な発展と期を同じくし、またその要請せられる時期に重要な位置におられて御苦心いただいた前田会長、会長自身もおっしゃたように、いろいろございましたでしょうが、とにもかくにも日本放送協会を今日まで大きく育て、世界に冠たる実力を備え持つまでに至りましたことについては、会長の御苦心と非常に英通な御指導とが私は大きく寄与したものと考えます。
 いよいよNHKの責任重大なときに任を去られますけれども、私は、非常な御苦心の結果、あの新しい放送センターもでき上がり、宇宙中継もその実をあげ、まさに日ののぼるような勢いの今日の状態のときに、その城をお明け渡しになる会長の御心境は察するに余りありますけれども、また反面、これ以上の御退任の花道もなかろうかと思うのであります。その退任される時期を明察され、非常にきれいな、立つ鳥あとを濁さずというそのことばどおりの退任の時期を得られた前田会長の処置に、不肖私は敬意を表するものであります。
 どうかひとつ、今後とも、去られましても、前田会長にとってはわが子のようにかわいいであろうNHKに対しまして、あたたかい指導をされまして、名実ともに世界のNHKたらしめることに対する御協力を期待し、当委員会としてもいろいろと御協力いただいたことを感謝申し上げて、ことばは足りませんが、参議院逓信委員会を代表して、一言ごあいさつ申し上げます。どうぞお大事になさいますように。(拍手)
 本件に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(茜ケ久保重光君) 郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は御発言願います。
#12
○森勝治君 私は、日中海底ケーブルの問題について、若干お伺いをしたいと思うのであります。このことについては、先般のKDDの参考人招致のときにもお伺いをしたところでありますけれども、その後の事態の推移に伴うもろもろの問題がありますので、この点について御意見を聞かせていただきたいと思うのであります。
 御承知のように、去る五月四日、郵政大臣と中国の鍾夫翔電信総局長との間で、北京におきまして、日中海底ケーブル建設に関する取りきめが締結をされました。この取りきめは、私がいまさらに申し上げるまでもありませんが、日中国交正常化後のいわゆる実務協定第一号として高く評価ができるものでありまして、久野郵政大臣の労を多とするところであります。
 そこで、私は、この取りきめの内容について、お聞かせを願いたいと考えます。
#13
○国務大臣(久野忠治君) ただいま森委員御指摘のとおり、五月四日、日中海底ケーブル設置に関する取りきめが北京において署名をされたわけでございます。
 日中国交回復につきましては、各党各派を超越いたしまして、国民的合意のもとにおいてこのような国交回復が実現をし、それに基づいて各般にわたりまする実務的な取りきめ、協定などが目下協議を続けられておるような次第でございます。そういう際に、これら諸協定に先がけまして、日中海底ケーブル布設に関しまする取りきめが署名されたのも、ひとえに当委員会の各位並びに国会の各党の皆さまの非常な御協力のたまものでございまして、お答えに先立ちまして、この機会にあらためて厚くお礼を申し上げるような次第でございます。
 この取りきめの内容を要約して申し上げますと、七項目に分かれておるのでございます。
 第一はケーブルの容量でございます。第二は使用目的でございます。第三は建設当事者でございます。第四は費用の分担。第五は陸揚げ地。第六は海洋調査。第七は完成時期。こういうような七カ条にわたっておるのでございまして、これら細目について、両当事者間において署名をいたしたような次第でございます。
#14
○森勝治君 今回の協定は、いまも御説明がありましたように、七カ条からなる協定でございますが、このような国際通信回線の建設工事というものは、KDDが郵政大臣の認可を受けて相手方の建設業者と協定を結び、その協定に基づいて実施に移されることが公衆電気通信法に示されておるところでありますけれども、また現実にも従来そういうような取りきめをしてきたわけでありますが、今回のこの日中海底ケーブルの建設に限っては、いま申し上げた日中建設当事者間の協定に先立って、政府間取りきめが行なわれたのでありまして、このことは異例の措置と、こう言わなければならぬわけであります。
 したがって、この異例の措置を行なった背景というものはどこにあるのか、この点ひとつお聞かせを願いたい。
#15
○国務大臣(久野忠治君) 御指摘のとおり、このような実務的な取りきめは、法制上、郵政大臣の認可を受けまして、日本のKDDが締結することとなっておるわけでございます。しかし、このように建設保守協定の締結当事者はKDDでありますが、今回郵政省と中国の電信総局間で日中海底ケーブル建設に関する取りきめを締結いたしました背景は、中国側において具体的なケーブル建設保守協定をわがほうのKDDと締結することを取り運ぶための前提として、両国の電気通信主管庁間で基本的な了解を取りまとめておきたいという意向がございました。
 その意向に基づいて、先般、鍾夫翔電信総局長が来日をされ、私との間にある程度基本的な了解が行なわれたわけでございます。この了解に基づき、中国側の招請に応じて、去る五月、私が訪中をいたしまして、北京において話し合いが行なわれ、その話し合いに基づいて、このような取りきめの文書に署名がなされたというのが経過でございます。
#16
○森勝治君 いまお話がありましたが、その根処はどこからきておりますか。
#17
○国務大臣(久野忠治君) 郵政省設置法の第四条二十二の四の規定に基づいて、この取りきめが行なわれたわけでございます。
 御存じのとおり、この第四条二十二の四は「法令により委任された範囲において、電気通信に関する国際的取極を商議し、及び締結すること並びに国際電気通信連合その他の機関と連絡すること。」 ということが郵政省の権限として認められておるような次第でございます。この法律の規定に従って、この取りきめが行なわれたわけでございます。
#18
○森勝治君 いまの大臣のお話ですと、郵政省設置法第四条二十二の四に該当する、こういう御説明でありまして、いまのお話にもありましたように、郵政省は国際的取りきめを締結することができる、こうあるわけでありますが、国際的取りきめということになりますと、いわゆる二国間協定ということになりますか、日本と中国と二国間協定という表現になりますか。
#19
○政府委員(舘野繁君) お答え申し上げます。
 この郵政省設置法に基づきまする国際的な取りきめは、設置法に書いてありますところによりまして、通信主管庁といたしましての郵政大臣の権限でございますので、それぞれの国の外交権の発動としての国際協定とは、法律上の性質を若干異にしていると私ども理解しております。
#20
○森勝治君 ただいま、外交権の発動と若干異にして郵政省がこれを取り結んだとおっしゃるわけですが、私が二国間協定ではないかと質問しましたら、この点はそちらはそうではないともイエスとも言わないで、郵政省ができるという一本やりでおいでになりましたから、今回結んだ日本と中国とのこの国際協定というものは、いわゆる平面的な表現を用いるならば、二国間協定ということを皆さんは肯定なされて、そういうお話をされたと思うわけであります。
 もし二国間協定ということになりますならば、当然、これは国会承認が必要となり、主管は外務省ということになって、郵政省ではなくなるわけですが、そうなりますと、皆さんのいまの御説明とは若干隔たりがありますが、その辺のかね合いはどういうふうに消化され、どういうふうに結論つけられて、おやりになったのですか。
#21
○政府委員(舘野繁君) ただいま私のことばが足りませんで恐縮いたしますが、いわゆる郵政省設置法によりまするところの郵政大臣の国際的取りきめは、国の主権の発動としての両国の意思の合致としての性質ではございませんで、通信主管庁同士の取りきめ、したがいまして、先生のおことばを拝借いたしますならば、この二国間の外交上のあるいは国同士の協定ではないと私どもは理解しているわけでございます。
#22
○森勝治君 大臣、あなたがわざわざ中国まで意気込んで行って、協定なされて、お帰りになったときに、国民は――あちらの表現を用いますならば、あなたのお帰りを熱烈に歓迎をしたところでありますね。あなたもこれは御記憶に新たでありましょう。それと前後して、鍾閣下がこちらにおいでになったときのパーティのときのあなたの歓迎のことばを聞きましても、日中間の閉ざされたとびらが開けて、やっとアジアには通信という媒介体をもって新しい光がさした、こうわれわれ思ったし、大臣もそういう表現を用いられたんです。
 ところが、いまのお話だと、もうそういうのは国家間の取りきめでないというんです。単に事務的にケリのつくものだ、こういうあなたの御努力を過小評価したと思われるような発言をされているんですが、そういう評価で、大臣、いいですか。
#23
○国務大臣(久野忠治君) 私の権限で行使でき得る範囲内において、この取りきめの文書の交換が行なわれたわけでございます。これはただいま事務当局から御説明申し上げたとおりでございます。
 しかし、この取りきめの内容そのものは、私は、両国の友好親善関係に大きく前進の一歩を踏み出したというふうに理解をいたしておるわけでございます。その文書の形式はいかがあろうとも、やはり日中間の友好親善関係に大きな足跡を踏み出した第一歩である、かような認識を私は持っておるような次第でございますし、なお中国側もこれと同様な認識に基づいてこの文書に署名をされたものと、私は推察をいたしておるような次第でございます。
 でありますから、形式は外交文書ではありませんけれども、しかしながら、両国国民の受けました印象は、やはり国交回復後初めて取りかわされた両国間の関係改善のための重要な文書である、かような理解であろうかと、私は存ずるような次第でございます。
#24
○森勝治君 大臣ね、失敬でありますが、いまのお答えと前の所管の長の御説明と、私が受け取ったところでは、若干行き違いがあるような気がしてならぬのですが、その点、ちょっと話していただいて、私にのみ込めるようにもう一度説明をしてくれませんか。
#25
○政府委員(舘野繁君) 私のお答え申し上げることばが足りませんで、恐縮でございます。この日本−中国間海底ケーブル建設に関する取りきめの法律的性格はどういうふうに理解しているかということの御質問と存じまして、お答えいたしましたわけでございます。
 この取りきめの法律的性格といたしましては、通信主管庁としての郵政大臣が、設置法に定められました権限に基づきまして、中国の通信主管庁との間に締結された取りきめであって、その国際法上の法律的性格といたしましては、国の外交権に基づく両国間の協定、条約という性質は持たないと理解しているということを申し上げたつもりでございます。
#26
○森勝治君 全くこれは事務サイドのもので、そんなに高く評価することはないということですね、あなたのは。
 大臣のお答えや、当時のわれわれのこの協定から受けた印象というものは、もっと高く評価していると思うんです。ところが、あなたのいまのお答えは、この国際的な取りきめの高く評価さるべき現時点において、ことさらに郵政省の力を誇示されるあまり、事務の内容そのものをちょっと簡潔というかな、軽々しくと言っちゃまことにあなたに対して失敬でありますが、そういう扱いをされておるような気がするんですね。事務サイドでケリつくものだ、こういうようなかっこうでおっしゃると、それなら大臣が行かなくても、あなたが行ったって牧野さんが行ったっていいことになるんじゃないですか、そういうものじゃないでしょう。
 かつて国交を閉ざされた中国でありますからね、これはまさに東洋人的な表現を用いるなれば、この取りきめは世紀のできごとと表現してもいいですね。アジアにおける両国の新しい夜明けの大きなステップになるものですよ。それを事務サイドでケリつくがごときお答えであると、どうも私はその辺のところの評価の問題についてはもちろんでありますけれども、事務サイドで済むんだと軽々しく扱ってよいものだろうかどうかということになると、若干あなたのお答え――まじめにお答えになっておられるとは思うんだけれども、どうもその点が合点がいきませんな。
#27
○政府委員(舘野繁君) お答え申し上げます。
 私、事務当局といたしまして、この取りきめの法律的性格はどう理解しているかということの御質問と解しまして、先ほどのように、法律的性格についての私たちの理解だけを申し上げたのでございまして、この取りきめの政治的あるいは諸民族間の友好親善という大きな世界史的意味合いから申しまして、その価値、その効果というものに関しましては、先ほど大臣から申し上げたとおりのことを私ども事務当局も確信し、信じて疑わないところでございます。
#28
○森勝治君 あなたは信じて疑わなくても、私が疑って質問しているわけですからね。私をしてあなたの説得力を痛感するようなお答えをしていただかなければ、次に進むわけにいかぬのですから、もう少し説得力のある該博な知識をここで御披露してくれませんか。
#29
○政府委員(舘野繁君) 繰り返しになりまして恐縮でございますが、この取りきめの国際法の性格、法律的性格はどうであるかということについて、おっしゃるように、まことに事務的な答弁を申し上げましたが、これが設置法に基づきまする郵政大臣の権限内の主管庁としての取りきめ、相手も中国電信総局長という中国通信主管庁、その間の取りきめでありましても、それが重要な意味を持たない、あるいは軽いものであるというふうには、全然私どもは考えておりませんので、この点につきまして、先生の御理解をいただけませんのははなはだ残念でございますが、これ以上のことは事務当局としてはちょっとお答えいたしかねますので、御了承願いたいと思います。
#30
○森勝治君 どうも明快にお示しを願わないと、私は納得できないんですよ。
 いまの後段の最後のことばというものは三十六計兵法をもってしておりますからね、逃げるにしかずというんで、これ以上質問をしてくれるな、このままにしておいてくれというんで、昔よく使ったんですね。ゆうべのテレビでも、信長が背後から囲まれて三十六計をきめ込んで、やっと琵琶湖を見て、あっ京にのぼれると兵が叫んだテレビの画面が出てまいりましたが、そう逃げてばかりおらなくてもいいんじゃないですか。
 大臣はこれを評価し、あなたは、事務サイドで、それは外交権の発動でないからたいしたことはないんだという、そういう印象を受けるような発言に私はあなたの発言を承っておるから、これはたいへんなことと思うから、くどくど私はいま再三――これで再四になりますね、再三再四御質問をしているんですよ。
 外交権の発動のない国際間の取りきめ――あなたの話だと、大臣が行ったのは日本政府を代表したものじゃないと言っているんだね、すなわち外交権を発動したものではない。だから私が言いました、二国間協定ではないか、したがって二国間協定であれば国会の承認も必要とするし、所管が郵政省から外務省に移るんだと。これが外交権の発動になるんであって、郵政省が事務サイドでやったものだから外交権を発動しないで済むんだ、こう簡単に言われているわけですが、この辺が私どもは納得できないんですよ。
 その一つの理由は、先ほど言われました日中建設当事者間での協定の設定にあたっても、両国間で、今回のこの第何条ですか、七カ条の中の条文の一項を占めているわけですから、ですから、それは消えた。しかし、いま私が申し上げたように、これは異例の措置ではないかという質問であったが、大臣は異例な措置だという表現を用いないけれども、これでまあ認めろというお答えだったわけですね。そういうことがありますから、だから私は重ねて聞いているわけですよ。
 外交権や何かが従来なかったところとこういう折衝を初めてやるわけですから、これが後々の一つのケースにもなるであろうし、ただ外交権がなくてもいいんだと、そう片一方で言うと、大臣は、いや郵政大臣の名において鍾閣下と協定を結んできたんだから、りっぱなものだ、こう胸を張っておられる。舘野さんのほうは、いやそれは事務サイドなんだから――ちょっと私が邪推して言えば、なにそれはメモ的に判こをついたもんだという、そういう軽々しい印象を受けるようなお答えなものだから、私は、この辺はせっかく大臣が御努力されたのにかかわらず、事務サイドだということで片づけるようなしろものではなかろうと、これを申し上げているのですよ、いいですか。
 だから、私にわかるように、外交権を発動しなくても、こういう理由でありましたと、たとえば郵政省設置法の第四条二十二の四号だと大臣はおっしゃっておるけれども、それならば二国間協定になるではないかと私が言ったわけです。これで三度言いますよ、いいですか、それでは二国間協定になるではないかと、二国間協定ということになるならば、所管は郵政省ではなくして、もう外務省の所管になっていくだろう、こう申し上げているわけです。だから、その辺のことをもう少しわかりやすくひとつ教えてくれませんか。
#31
○政府委員(舘野繁君) お答えいたします。
 まず、郵政省設置法四条二十二の四によりまして、郵政大臣が商議し、及び締結する国際的取りきめというものは、いわゆる先生のおっしゃる二国間と申しまするか、外交権の発動としての商議及び協定ではないと解しているということを申し上げているつもりでございます。
 それがどうでもいいことか、軽いことかということは、これは私ども全然そのようには感じておりませんので、取りきめの法律的性質がこの設置法に基づきまして郵政大臣固有の権限として締結された取りきめであって、その法律的性質は、いわゆる通常二国間協定といわれておりまするところの外交権の発動としての協定とは、法律的に違うものであるということを申し上げているわけでございますが、どうもそれ以上、ちょっと私知恵がありませんで、御説明いたしかねますが。
#32
○委員長(茜ケ久保重光君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#33
○委員長(茜ケ久保重光君) 速記を始めて。
#34
○森勝治君 この日中ケーブルの運用については、ただに日中間の協定にとどまることなく、将来、他の諸国との間の使用にも積極的にこたえることで合意をされておるわけでありますが、したがってこの日中ケーブルの回線容量は、東南アジア、太平洋ケーブルなどに接続されることを考量しますと、今後の通信需要に十分に対応できるものでなければならぬと思うのでありますが、日中ケーブルの規模についての説明をひとつ承りたい。
#35
○国務大臣(久野忠治君) ただいま事局当局から、法律的な背景と申しますか、法律的な解釈についてるる申し上げたとおりでございます。
 しかし、この取りきめにつきましては、政治的な背景というのは非常に高く評価されたことは、森委員御指摘のとおりでございます。このような評価をしていただいたということにつきましては、私は厚く感謝を申し上げる次第でございます。
 この署名に先立ちまして、五月三日、人民大会堂において、周恩来首相と私は会見をいたしました。その会見をいたしました際に、周恩来首相はこのような表現を用いられたのであります。
 それは中国語によりまする中国側の文書の原文は、先般委員の各位に配付いたしましたように、取りきめという文字は使っていないのでございます。中国語の原文は「協議」となっておるのでございます。そこで、周恩来首相は、この日中間における海底ケーブルの布設に関する合意文書は、取りきめとか協議とかいう名称にこだわるべきものではない、要は実行である、要はこのような両国間の友好親善関係を進めるために必要な通信網の改善、このような大きな事業を進めることについての実務的な合意がなされたということは、両国国民にとって非常に意義の高いものであるし、高く評価されるべきものである、だからことばで表現すべきものではなくしてその内容である、このようなことを周恩来首相も指摘をされたのでございます。
 私もこのことばには全く同感でございまして、私も周首相のこの評価について同意をし、また感謝を申し上げたような次第でございまして、両国の友好親善関係を期待いたされます委員の各位並びに国民の各界各層、政党の関係者、こういうような方たちの今日までの努力の累積でこれが実現をしたわけでございまして、この点につきまして、いままで御努力をいただきました各位に深甚な敬意と謝意を表したい、かように存ずるような次第でございます。
 そこで、この第一条の目的でございまして、この目的には、他の諸国との間の通信にも積極的に使用されるものとすることに合意したとあるわけでございます。それはいわゆる以遠権を認めたということでございます。この以遠権を認めたということは、要するに、日中間の海底ケーブルが軸になって、上海から他の諸国間に、あるいは日本から他の諸国との間にこの海底ケーブルがつながることになるわけであります。
 そうだとすれば、これが幹線になるわけでございますから、その幹線にふさわしい容量にすべきであるというようなことで話し合いをいたしました結果、大容量のものにするということで合意に達しまして、四百八十回線ということで先般行なわれました建設当事者間の話し合いで最終的に決定をいたしたような次第でございます。
#36
○森勝治君 四月十七日のときにも私は質問したのでありますが、この協定に基づくケーブルの陸揚げ地の問題です。
 もう中国側は当初から上海ということを予定しており、第一回の日中海底ケーブル建設当事者会議でも、具体的に上海市南匯地区を決定しておるわけです。ところが日本側は海底事情の調査を待って決定する、こういっているわけです。一体、日中ケーブルの構想を持ちかけた日本側が陸揚げ地をいまもって決定できないということは、国際信義にもとるものと言わざるを得ないのです。
 先般の四月十七日の私の質問に答えても大臣は「以上のような諸点で陸揚げ地を早急に選定をいたしませんと、これはKDDと上海市電信局との間の正式契約を結ぶことができませんので、早急にこの陸揚げ地点については詰めてまいりたい、」こうお答えになっておるわけですが、もう四月十七日の時点からいきましても三ケ月も経過しようとしているわけだが、依然としてまだ明確でないんですね。これは大臣どういうわけですか。
 日本近海の海底の地形はいまあらためて調査を待つまでもなく、海上保安庁の海図などでもわかるわけだし、百歩譲ったとしても、この調査はどういう方法によるのか、その結論はいつごろの見通しなのか、ひとつこの辺も承りたいのであります。これは日タイ間の海底ケーブルの布設のときにも私はちょっと申し上げたような気がするわけでありますが、あの当時でも当然海底地形の調査はお済みになっているわけですから、いまあらためて調査をし直さなければできないなどというしろものではなかろうと思うのでありますが、どうでしょうか。
#37
○国務大臣(久野忠治君) ただいま御指摘の点、まことに私はごもっともだと思うのでございます。
 しかし、ただいま御質問の中にもございましたように、海上保安庁が作成をしました海図等においてもう十分調査はなされておるのではないかということでございますが、船舶の航路については詳しく調査されておりますが、ケーブルを布設するためのルートを選定するにあたりましては、海底の地形であるとか地質であるとか温度等の詳細な資料を得るための海洋調査を実施する必要があるわけでございます。そこで、建設当事者間の会議におきましても、この点についてるる意見の交換が行なわれたようでございますが、最終的には、日本側の陸揚げ地は海洋調査を行なった後にきめるということで合意を見たような次第でございます。
 でき得る限り、日本側の陸揚げ地を早く選定しませんと、この事業の実施の時期がおくれることになるわけでございますから、御意見のとおり、できるだけ早い機会に調査を完了いたしまして、この陸揚げ地の選定をいたしたい、かように考えておるような次第でございます。
#38
○森勝治君 その見通しはわかりませんか。
#39
○政府委員(牧野康夫君) お答え申し上げます。
 ただいま大臣からお答え申し上げましたとおり、早急に実施いたしたい、こういうふうに考えて、向こうの電信総局とこの間のKDDの当事者との間の会談におきまして、その方法等についてある程度話し合ってきたようでございます、そのように聞いております。
 そこで、おおむね陸揚げ候補地の近海のところを調べまして、候補地をきめるという段取りをまずつけるわけでございますが、それをおおむね十月ごろまでに完了して、そうしてこの候補ルートをきめて海洋調査を始めたい、こういうふうに聞いておる次第でございます。
#40
○森勝治君 どうもできるだけ、できるだけということでありまして、いつ見当がつくかわからないような気がするんです。
 このほかにも東南アジアのケーブル等についても先般若干質問したのでありますが、いわゆる新太平洋ケーブル等についても質問したのでありますが、その前の質問のとさにもなかなか私どもが聞きたいというところが明確にお示しがなかったわけですね。このように国際間の信義に基づく取りきめを急がれても、実体論としていつそれがいわゆる通信の途上に乗るかということになると、見通しがつかないということであっては、先ほども触れましたが、国際信義にもとるような気がしてなりませんから、そういうことについては可及的すみやかに実施になるようにお取り計らいを願いたい、その注文をつけて、これはお答えは要りませんから、時間の関係で次の質問に移ります。
 貯金の利率の引き上げ問題についてお伺いをしたいと思います。
 御承知のように、最近における異常な物価の上昇によって、政府の金融政策というものは景気浮揚のための低金利政策から物価抑制のための高金利政策へと百八十度転換を余儀なくされて、それに伴いまして、郵便貯金の金利についても去る七月一日から、あるいはまた銀行預金は七月十六日からそれぞれ引き上げられる、こういうことになったのであります。
 インフレによる貨幣価値の下落から少しでも預金者の利益を守るという観点から見れば、この引き上げは当然の措置かもしれません。なるほどそういう面から見ればけっこうなことでありますが、しかし、引き上げられたといいながら、最高の三年以上の定額貯金で六・五%という利子では、年間十数%という異常な物価上昇の中では、預金者の不満を解消することはできないわけでありまして、ましてやこれによっていわゆる余剰資金と称するものを吸収して消費を抑制し、物価を安定させるというような効果はとうてい期待できないと思うのでありますが、大臣の立場でどうお考えになり、これからこの問題に取り組んでいかれようとするか、お聞かせを願いたい。
#41
○国務大臣(久野忠治君) 今回の一連の預金金利の引き上げの目的は、ただいま御質問の中にもありましたように、過剰流動資金の吸収、第二番目にインフレ対策、このような観点から預金金利の引き上げを行なうのが妥当ではないかという考え方に立って、今回、定額貯金を含めまする郵便貯金の一連の金利の引き上げが行なわれたわけでございます。
 そこで、これらの措置が余剰資金を吸収し消費者物価の安定に及ぼす効果につきましては、今後の推移をしばらく見守っていきたいと私は存じます。そうしてこれらの措置は、金融・財政等経済全般にわたる諸施策をさらに強力に推進していく必要が私はあろうかと思うわけでございます。でありまして、私といたしましては、今後とも、この考え方に沿って努力をいたしてまいりたい、かように存ずるような次第でございます。
#42
○森勝治君 熱心に御努力されるということでありましょうが、インフレによる貯金の実質減価を防ぐために利子を値上げするということは、国営事業であります郵便貯金としては当然であります。
 しかし、事業経営の面から見ますと、利子の引き上げは相当の貯金コストの上昇をもたらす、こういういわば因果関係になりますが、今回の利子引き上げによる支払い利子の増加額はどの程度見込まれるのか、この点をひとつ局長からお伺いしたい。
#43
○政府委員(石井多加三君) お答えいたします。
 ただいまお話のございました、七月一日から実施いたしました新しい利率で幾ら支払い利子の増加があるかというお尋ねでございますが、昭和四十八年度について申しますと約九十五億円、四十九年度になりますと三百七十五億円、五十年、五十一年とだんだんふえてまいりまして、五十二年には一千百二十三億というふうな額に達しようかと思います。五カ年を平均いたしますと大体六百億程度、五カ年で三千億程度の支払い利子の増加ということに相なろうかと思います。
#44
○森勝治君 貯金事業というものは最近非常に好調だと、こういわれているわけで、貯金局発行の資料等を見ましても、そういう旨のことがしるされておるわけです。
 しかし、昭和四十六年度の決算を見ましても、表面上は千三百四十二億円の剰余金は確かに計上はされておりますものの、これは決算時点における計算がおくれているために、未払い利子一千十億円を含んでおりますから、いわばこの四十六年度の千三百四十二億円というものは見せかけの剰余金だと指摘せざるを得ないのであります。したがって、この一千十億円を差し引いた実質上の剰余金は三百三十一億円にすぎないのであります。したがって四十七年度の決算では、この数字というものはどういうふうに変わっていくのか、いわゆる見通しをお聞かせ願いたい。
#45
○政府委員(石井多加三君) たただいま先生御指摘のとおり、昭和四十六年度の決算の数字で申しますと、ただいまお述べになりましたとおりの数字でございまして、三百三十一億円が実質的な純剰余金であるということを私も承知いたしておるわけでございます。
 お尋ねの昭和四十七年度の決算も、すでに大体の数字が出ておりまするので、申し上げますと、ただいまお話のございましたように、四十七年度の貯金の伸びが非常に好調でございましたために、当年度の利益として二百四十九億円計上することができました。したがって先ほどお話の出ました積み立て金の累計は千五百九十一億円というふうになっているわけでございます。しかし先ほど四十六年度について御指摘がありましたと同様に、この千五百九十一億の中に未払いの利子が千百三十五億入っておりまするので、それを引いてみますと、実質的な意味の利益積み立て金は差し引き四百五十六億という数字になるわけでございます。
#46
○森勝治君 私はさっき貯金事業というものは好調であるという表現を用いましたが、好調だといわれるこの郵便貯金事業というものが、さてそれならば見通しはどうかといいますと、必ずしも楽観できる状態ではなかろうと思うのであります。今回の貯金の利率の引き上げが経営の圧迫要因となることが懸念されるからであります。したがって大蔵省の資金運用部へのいわゆる預託利率も当然引き上げてしかるべきであります。
 この件につきましては、しばしば当委員会でもその是非が云々されたところであります。したがって、郵政省は、この際、この資金運用部預託利率の引き上げについては強力に大蔵省と折衝すべきでありまして、赤字になってから大蔵省に泣きつけばよいというような経営姿勢では将来に不安を残すところであります。
 つい先般の印紙販売等にかかわる質問のときにも、例の三%の配分の問題について私は幾たびか郵政省に大蔵当局との強い交渉を求めたのでありますが、この間のお答えだと、いや、もう相当収入があるからやらないと楽観をしているわけです。私は、ここに郵政省の幹部の皆さんの国営事業といういわゆる親方日の丸的な考え方がある。
 どんなに貯金がふえても、貯金事業としての将来は楽観できないと私が申し上げましたら、担当局長はうなずいておられるわけでありますから、これはだれよりも局長はよく御承知のはずであります。ならば、大蔵省に対して、この資金運用部預託の利率の問題についても強力に交渉をしなければならぬわけでありますから、そのときになって大蔵に泣きつけばいいなんていうことであっては、事業の将来に大きな不安を残すことになりますから、いまからこの点についていまからというよりも、従来も当委員会でも論議されてきたところでありますから、この点は十分対大蔵折衝を続けて、郵政の立場を堅持することを旨としなければならぬと思うんでありますが、この点については郵政大臣と所管の長から見解をお聞かせ願いたい。
#47
○国務大臣(久野忠治君) ただいま御指摘のように、今回の利上げによりまして郵便貯金の利子負担が増大をしまして、郵貯会計の収支は従来に比べて苦しくなる見込みであります。今後における郵貯の伸びの推移なども勘案しながら、預託利率の引き上げについては対処していきたいと考えておるわけでございます。
 大蔵省当局に強い姿勢で臨めという御意見でございまして、たいへん私は感謝申し上げる次第でございますが、先般、預金金利の引き上げについて大蔵省当局と折衝をいたしました際にも、同席をいたしておりました大蔵省の事務当局の方から、この預託利率の引き上げにつきましては、これは変えないということが前提だという意味の発言がございました。そこで、私は――もちろん大蔵大臣も同席しておられましたが、御意見は御意見として承っておきます、明年度の予算編成の際にこれは討議されるべき問題であると思います、かように私は申し上げておいたような次第でございまして、ただいま森委員御指摘の点、たいへん重要な点でございまして、こうした点について大きな示唆をお与えいただきましたことについて感謝を申し上げると同時に、四十九年度の予算編成に際しましても、われわれといたしましては、この点に十分留意をいたしまして努力をいたしてみたい、かように考えておるような次第でございます。
#48
○委員長(茜ケ久保重光君) 石井局長、いまの点について。
#49
○政府委員(石井多加三君) ただいま郵政大臣から答弁がありましたとおりでございます。
#50
○森勝治君 そんな簡単な答弁を聞こうとは思わないんです。大臣は基本的な問題についてお答えいただいたわけですから、あんたは当面の具体的な問題があるでしょう。私の質問の中には、この問題についてどのくらい大蔵省と討論をしたかということの説明を求める意味が入っているんですよ。大臣の言うとおりなんて、そんなこと言ったって話にならぬじゃないか。あんたは近くいまのポストを去るからいいかしらぬが、後任は困るでしょう。
 やはり省としての的確な、事務当局――大臣のは基本的な姿勢を言っているんですから。失敬だが、あんた方より大臣のほうがよっぽど強腰だよ。大蔵省はりこうだから、ほかの問題でやったって、このことについては先手を打って、それはだめだと、こう言ってるわけだ。だから大臣がそれは予算折衝のとき考えますって、大蔵省のほこ先をかわしたんだよ。大臣にそこまで言わしといて、あんた方大臣の言うとおりですなんてわけにいかぬでしょう。大臣が直接事務折衝するんじゃないでしょう、あなた方がやるんでしょう。それはやっぱりあなた方のかたい決意のほどをこの際漏らしてもらわなきゃ、われわれが外野でやいのやいの言ったって何にもならぬですよ。私は、郵政事業の近代化ということも、あなた方のそういう将来の展望に立つ大蔵折衝等もやらぬことにはお話にならぬと、赤字になってから騒いだんじゃ間に合いませんぞと、破産状態になってから黒字の仕事はないかとさがしても何にもならないじゃないかと。
 失敬でありますが、この際、ちょっと愚見を若干述べますが、郵政省は大体郵便や保険や貯金を主体におやりなんでしょう。ところがこの部門がおもしろくないというので、失敬だけれども、電話をどうする、電波をどうするっていう話を研究会等を持ってしているでしょう。そんなのは電電公社やNHKや電波監理局にまかせいといつか言ったことがあるでしょう。もっとそういう当面する、貯金局は貯金、保険局は保険の問題、郵務局は郵務の問題で御努力を願わなければならぬのですよ。私は古い官庁のかすがまだ郵政省に残っていてならぬような気がするのです。
 したがって、局長、この点は大臣と同じだなんてそんな――えてして大臣答弁のほうがつっけんどんだといわれているのですが、大臣答弁のほうが真剣な答弁で、あげ足とりになるかしらぬが、局長の答弁は国会の本会議の答弁みたいで、ほかの大臣がただいま総理の言うとおりでありますなんて言うのと同じじゃ、地元の局としてはそれはいけませんな。もう少し当たってきたいきさつ、それから将来どうするかという――大臣は来年度の折衝でやりますよと言って、事務局はもう来年度の折衝が始まるのでしょう、その辺も聞かせてもらわなければいけませんよ。
#51
○政府委員(石井多加三君) お答えいたします。
 今度の預金の利率の引き上げに伴う支払い利子の増高につきましては、先ほど申し上げましたような数字でございまして、これが今後の郵便貯金の特別会計の財政上に非常に大きな影響を及ぼし経営を圧迫するというただいまの御指摘は、私もきわめて同感でございまして、この立場に立ちまして、大蔵省の、これは理財局のほうと折衝をすることになるわけでございますが、大臣が申されましたように、先般の郵政大臣・大蔵大臣のトップ会談が行なわれました際にも、すでに大蔵省のほうからはこれについての大蔵省の見解を示しておるわけでございます。
 私どもといたしましては、今度のような大幅な預金利子の引き上げが行なわれますと、従来の慣例から見ましても、また郵貯の財政状況から見ましても、当然、預託利率を上げてもらわないと郵貯会計の財政はもたないという主張をするつもりで、いま準備をいたしておるわけでございます。
 ただ、先ほど先生が御指摘になりましたように、四十七年度末の決算数字で申し上げましたが、最近における郵便貯金の伸びが四十六年、四十七年ときわめて好調でございましたことが非常に幸いいたしまして、累計で千数百億の黒字を持っており、その中には未払い利子がございますけれども、それを除きましても四百六十億ばかりが四十七年度末の純利益金として残っておるようなわけでございまして、その辺の情勢も財政当局も知っているわけでございまして、といって、そういった金があるからといってこの預託利率をこのままにしておくというわけにはまいりませんから、われわれとしては、できるだけ早く預託利率を、今度の預金利率にスライドしてと申しますか、同じような考え方で、上げてもらうように今後折衝をしてまいりたいと思うわけでございます。
 現在までのところ、先般のトップ会談で大蔵省の意向をそういうふうに聞いたまででございまして、どのような今後の長期見通しを立てますか、郵便貯金の伸びが四十六年度、四十七年度のように対前年比で三〇%近く伸びるというようなことは過去に例がないわけでございまして、このような好調が続きますればあるいはまだ黒字が続くかと思いますけれども、これはいつも申しますように、全国の郵便貯金の従業員の血と汗にまみれた努力によってこういった増強がはかられておるわけでございますので、あまりこれ以上無理をお願いするわけにもいかぬというふうなことで、今後の郵便貯金の伸びをかりに二七%くらいにセットした場合にはいつから赤字になるというふうなことをいま議論しておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、先生の御激励いただきましたそういった方向で、預託利率の引き上げをできるだけ早く実現するように、今後努力してまいりたいと思うわけでございます。
#52
○森勝治君 きのうの夕刊を見ますと「全国二万局オンライン化へ」という見出しで、サンケイ新聞に事務処理のスピードアップの問題が出ておりますが、これはどういうことですか。
 大体、われわれが郵政近代化その他の計画があるかとかなんとかと聞くと、何にもありませんと事務当局がどなたの部門もおっしゃって、すぐこういうのを外部にぱっぱと――これは省の方針か方針でないか、最終的な計画か何か、これはよく聞いてみなければわからぬから聞くわけですが、われわれが聞くときは知らぬ顔でほっかぶりしておいて、そうして外部にはぽっぽと構想が――これは大臣決裁は済んでないでしょう、この問題は済んでないでしょう、大臣決裁済んでないのがぽんぽんと、いままで幾たびか事例がありますね、外部にこういうものがぽんぽん出ちゃうんです、まだ構想の段階なのに。出たことが悪いというのじゃありませんけれども、何かそういうきらいがあるんですね。これは点数かせぎにおやりになったのかもしれないけれどもね。
 そのことはさておきまして、この意図するところはどういうことですか、これをひとつお聞かせ願いたい。
#53
○政府委員(石井多加三君) 指摘の新聞記事は、私たちのほうの事務的なまだ検討のほんとうの素材みたいなものが何かの理由で漏れたものと考えます。
 もちろん、これは内部的にきめたものでも何でもございませんで、御案内のように、全国の同種の金融機関と申しますか、銀行等におきましては、すでに数年前からいわゆるオンラインということでそれぞれの銀行の中での全国的な計画が行なわれておるわけでございましたが、ことしの四月からは、それぞれの銀行間を通じたインターバンクと申しますか、送金決済というふうな形のオンライン・システムがすでに発足いたしているようなわけでございます。
 そういった面に対しまして、現在までの郵便局の郵便貯金あるいは為替あるいは振替等の扱いは、この記事にも若干触れておりまするように、確かにまだ人力中心で、たいへんおくれておるということは私たちも十分認めているわけでございます。このままで放置しておきますと、国営の金融機関である郵便局が、郵便貯金というものも非常に今後の経営が苦しくなってくる、民間の金融機関等に太刀打ちできないというようなことになっては一大事でございますので、われわれといたしましても、このようなオンライン・システムというものをいつかは取り入れなければならないということで、検討は前々からしておったわけでございます。たまたま昭和四十八年度、本年度の予算に四千万ばかりの調査費というものが認められまして、こういった面についての調査研究を本年度初めて認められたものですから、現在、いろいろなところに頼みまして、今後のこういったオンラインを郵便局で取り入れる場合のやり方とか、いろいろな問題を現在調査してもらっている段階でございます。
 特に、この新聞に載っていますように、最後のところに、来年度から設備するのだというようなことが書いてございますが、これはとうていそういうことはできるわけでもございませんで、まだ調査研究を始めたという段階でございます。まあ私たちのほうの内部的な手違いから、こういった記事が、まだ消化されていないままで載りましたことを、深くおわびいたしたいと思うわけでございます。
#54
○委員長(茜ケ久保重光君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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