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1972/07/17 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 逓信委員会 第16号
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1972/07/17 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 逓信委員会 第16号

#1
第071回国会 逓信委員会 第16号
昭和四十八年七月十七日(火曜日)
   午前十時十九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月十七日
    辞任         補欠選任
     山田 徹一君     塩出 啓典君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        茜ケ久保重光君
    理 事
                今泉 正二君
                古池 信三君
                塚田十一郎君
                森  勝治君
    委 員
                植竹 春彦君
                郡  祐一君
                松岡 克由君
                松本 賢一君
                横川 正市君
                塩出 啓典君
                木島 則夫君
                沓脱タケ子君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  久野 忠治君
   政府委員
       郵政省電波監理
       局長       齋藤 義郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹森 秋夫君
   説明員
       厚生省社会局老
       人福祉課長    山崎  卓君
       会計検査院事務
       総局第二局長   柴崎 敏郎君
   参考人
       日本放送協会会
       長        小野 吉郎君
       日本放送協会専
       務理事      藤島 克己君
       日本放送協会専
       務理事      松浦 隼雄君
       日本放送協会専
       務理事      藤根井和夫君
       日本放送協会専
       務理事      野村 忠夫君
       日本放送協会理
       事        吉田 行範君
       日本放送協会理
       事        坂本 朝一君
       日本放送協会理
       事        斎藤  清君
       日本放送協会経
       理局長      堀場 仁徳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本放送協会昭和四十五年度財産目録、貸借対
 照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書
 (第六十八回国会内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(茜ケ久保重光君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、山田徹一君が委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(茜ケ久保重光君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#4
○委員長(茜ケ久保重光君) 速記を起こして。
 日本放送協会昭和四十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。
 日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小野日本放送協会会長。
#5
○参考人(小野吉郎君) 私、前田前会長のあとを受けまして、本日付をもちましてNHK会長に就任をいたしました。
 もとより浅学非才の身でございまして、ますます重要度を加えつつあります放送事業をになうのにはあるいはふさわしくないかもわかりませんけれども、お引き受けをいたしました以上は、私の全身全霊を注いでこの大任にこたえてまいりたいと思います。
 そのためには、やはり当院の絶大なるお導き、御教導、御鞭撻がなければとうていこの任を果たし得ないと考えておりますので、何ぶんどうぞよろしくお願いを申し上げまして、この大任を全うしたい、このように考えております。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
#6
○委員長(茜ケ久保重光君) 一言申し上げますがこれは異例かもしれませんけれども、非常に重要な段階にあります日本放送協会の会長として就任されました以上は、あらゆる力に屈服しないで、世界的な頂点に立つ日本放送協会の会長として、またマスコミの先端にある日本放送協会の会長として、勇気と英知をもって、胸を張って前進してもらいたい、こう考えます。
 その意味において、当委員会も御協力いたしたいと思います。ひとつ元気でがんばってください。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○松岡克由君 いま決意のほどと、それから過日も当委員会において茜ケ久保委員長からおめでとうと、それから前田会長に対して御苦労さまということばがありましたけれども、ほんとうに、いろいろ問題はあったけれども、すばらしい会長であった、私はこう信じております。
 このあとをおそらく踏襲していかれると思いますけれども、とりあえず、会長就任になった今日、NHKのすべての運営、経営に対して、どのような方針で臨むか、一応抱負を一言。
#8
○参考人(小野吉郎君) 私は、漱石の草枕のことばを引用するわけではありませんけれども、かどのない、しかも押し流されない、窮屈でないNHKをつくることをモットーとし、これを信条といたしております。
 そのためには、やはり百家争鳴と申しますか、会長が指令を下すばかりではなしに、一万六千五百すべてが経営参加の意識を強く持ちまして、その総和と総力の上にNHKの業務を運営していかなければならないと思います。
 先ほども委員長からありがたいおことばがありましたように、今日のこの放送事業の姿勢を正し、これを守っていきますためには、絶大な勇気と謙虚さが同時になければ、これはなし得ないと思います。私もそのようなつもりで運営をいたしてまいるつもりでございます。何ぶんよろしくお願いいたします。
#9
○松岡克由君 さて、具体的な質問に入りたいんですけれども、番組の内容の向上につとめるということ、これは放送関係者すべての義務だと思うんです。この辺いかがでしょうか。
#10
○参考人(小野吉郎君) お説のとおりに考えております。
#11
○松岡克由君 でしょうな。その向上をはかるためには、どういうことが必要なのか、具体的にひとつ聞かせていただきたいと思います。
#12
○参考人(小野吉郎君) やはり番組の質の向上をはかりますためには、現在の国民の意欲に沿うことはもちろんでありますけれども、それだけに迎合しておってはいい番組はできないと思います。やはり高く理想を持ちまして、将来の明るい国民生活、住みよい社会を建設するような、そういう理想を前提に置きまして、個々の番組に対して企画、制作その他を緻密に考えてまいらなければならないと考えております。
#13
○松岡克由君 ということは、番組を通じて日本国民を啓蒙していこうということ、それからある意味においては向こうに合わせなければならないその辺のバランスというのはどの分野においてもたいへんむずかしいことなんですけれども、それに最も力を入れて持っていこう、こう解釈してよろしいですね。
#14
○参考人(小野吉郎君) 啓蒙と申してはいささかあるいはことばが適当でないかもわかりませんけれども、今日の社会の実態から申しまして、この激動する社会で、やはり一面には進歩、動を志向しつつ、やはりその中に安定と申しますか、静を求めるのは人情の常であろうと思います。そのような意味合いにおきまして、激動する社会の行くえがどういうところにあるだろうか、どういう方向に向くであろうか、国民の皆さまとともに手を携えてそういった面を模索していきたい、こういう姿勢であろうと思います。
#15
○松岡克由君 われわれの考えでは、いい番組をつくるということは、まず企画がすぐれているということ、それから出演者の魅力といいますか、演技力というか、芸というか、いろいろ含めたもの、こういったものがマッチしていってはじめて番組が充実する、こう考えておる。
 ということは、やはり企画もさることながら、出演者の魅力というものが多分に大きいと、こう思いますが、この点いかがですか。
#16
○参考人(小野吉郎君) 私も同様に考えます。出演者の魅力と申しますか、キャラクターと申しますか、その演技力がいかに番組に強い影響を持つか、これが番組の質に与える影響が非常に大きいことを痛感いたしております。
#17
○松岡克由君 そうですが、ありがとうございます。
 では、その内容といいますかね、企画、そしていま言った出演者、こういったものの内容を充実させるためには、出演者の待遇、これはもちろん十分な配慮をすべきだと、こう素朴に感じますがよろしゅうございますか。
#18
○参考人(小野吉郎君) 一面には経営の事情もございますし、そういう面が許す限りにおきましては、先生のおっしゃるとおりな姿勢で臨むべきものだ、こう考えます。
#19
○松岡克由君 許す限りということばがたいへんくせものというか微妙な会話なんですけれども、まあそれはそれとしまして、四十八年度の予算案承認のときに、たしかこの委員会で五項目の附帯決議を決議しましたですね。その中に「番組の質的向上に直接関係する出演者の処遇についてさらに配意すること。」というのがこの五項目の中にありますけれども、これはどのように反映し、また具体的な改善策がとられているのか、これを聞かせてほしいんです。
#20
○参考人(小野吉郎君) ただいま仰せのような附帯決議をいただきましたことは、強く銘記いたしております。
 そういうために具体的にどういう措置がとり得るであろうかという面につきましては、関係の当局におきまして鋭意検討を進めておりますので、まことに失礼でございますけれども、関係当局であります放送総局長からお答えさしていただきたいと思います。
#21
○参考人(坂本朝一君) 先般の委員会で資料として御提出いたしました出演料の点でございますけれども、その資料にもございますように、協会の出演料の基準といたしましては、三十分の番組一回の出演料の算定基準、それをテレビ、ラジオおのおの別々に定めております。
 そして三十分をこえます番組出演に対しましては、三十分ごとに基準料金の五割を加算する。それから出演のためのリハーサルを要する場合には時間の長短に関係なくリハーサル一日につき基準料金の二割相当額を加算する。また再放送を行なう場合には、再放送一回につき基準料金の三割相当額を加算するというのが出演料の算出の基準でございます。
 そして出演料そのものといたしましては、テレビ出演料の金額は三万円から四千円の範囲内で十一ランク、ラジオ出演料の場合は二万五千円から三千円の範囲内で十一ランクをもって構成しておりましたが、先般の当院の御決議等によりましてそれを改善いたしまして、テレビにおきましては三万円から五千円というふうに低額出演料金の改定もいたしました。そしてランクづけといたしましては、十一ランクを十ランクにいたしました。それからラジオ出演料は二万五千円から三千円というのを、同じく二万五千円から五千円という範囲で九ランクに改めまして、いずれも低額の出演料の改善をいたしました。
 個々の出演者の方の個人別の適用につきましては、御本人の技能であるとか、芸能界におきます実績あるいは劇団の内部などの序列などを総合的に検討いたしまして、個別にきめておるわけでございます。
 この改善によりまして、四十八年度におきましては三千円から五千円ということでラジオの出演料の最低は六七%の増、こういうことになったわけでございます。
#22
○松岡克由君 改善される前のランクが十一ランク、それは具体的に言えますか、発表できますか。
#23
○参考人(坂本朝一君) はい。
#24
○松岡克由君 そうすると、テレビの場合四千円五千円、六千円、七、八、一万、一万二千、一万五千、二万、二万五千、三万。ラジオにおいて三千四千、五千、六千、七、八、十、十二、十五、二十、二十五、こうなっていたんですね。これがいま言うとおり、最低線をテレビでは五千円、それからラジオでも五千円、両方五千円に改めた、こういうわけですね。
 それは最低線を上げたのであって、三千円が五千円になっただけであって、過去五千円だった人たち、過去六千円だった人たちははたしてそれに伴って上がっているのかどうか、この辺を聞かしてほしい。
#25
○参考人(坂本朝一君) 概略でございますけれども、一万二千五百名くらいの方々がNHKの芸能番組に御出演いただいているわけでございますけれども、その中で最低の額を改善することによって改善されました方々が六千名でございます。そして個人のランクの移動によって内容が改善されるということになりました方が四千名でございまして、おおむね一万二千五百名の方々のうち一万名の方の改善を行ないましたので、総ワクにいたしますと大体八割方の改善をした、こういうことになるわけでございます。
#26
○松岡克由君 その最低の基準というのはどの辺に置いてあるのですか、芸人の基準。
#27
○参考人(坂本朝一君) これは芸をもって専門とするという方々の低額基準でございまして、お子さんであるとか、そう言っちゃ失礼ですが、通行人であるとか、そういうような方々は入っておりませんで、芸をもって一応一派をなすという方々の最低を五千円、こういうことにしたわけでございます。
#28
○松岡克由君 政治家が出演しますと、どのくらいのランクに入りますか。この旧ランクの十一ランクのうち、政治家は、ここにいる諸先生方はどの辺のランクに入りますか。
#29
○参考人(坂本朝一君) それは大体中以上というふうにお考えいただいてよろしいのじゃないかと思いますけれども。
#30
○松岡克由君 いや、その九以上、つまり昔のランクでどの辺のランクに入るのですか。中以上と言ったんですか、九以上と言ったんですか。
#31
○参考人(坂本朝一君) 大体、まん中から上というふうにお考えいただいてけっこうだと思います。(「政治家は芸能人じゃない」と呼ぶ者あり)
#32
○松岡克由君 ああそうですか。そうするといま横やりが入りましたけれども、すべてをひっくるめた意味での出演者、こう言っている、こう解釈してよろしいわけですか。
#33
○参考人(坂本朝一君) いま私が申し上げましたのは、芸能関係の出演者ということでございます。
#34
○松岡克由君 いま芸能として答えてくれたわけですか、ぼくに対して。
#35
○参考人(坂本朝一君) そうです。
#36
○松岡克由君 そうすると、政治のほうとかまたはいろいろなもろもろの部分で参加した部分というのは、このランクとは全く違うのですね。
#37
○参考人(坂本朝一君) 全く別でございます。
#38
○松岡克由君 ぼくはちょっとお遊びというと悪いですけれども、事のついでに――たとえば国会討論会へ出ると、どのくらいのランクが払われているのかちょっと聞きたかったので、それは答えられませんか。
#39
○委員長(茜ケ久保重光君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#40
○委員長(茜ケ久保重光君) 速記を起こして。
#41
○参考人(坂本朝一君) 前言を取り消させていただきます。まことに申しわけありませんでした。
#42
○松岡克由君 話をまたもとへ戻しますけれどもそうすると最低ランクが上がったということにおいて中の人たちも上の人たちもそれぞれ上がっていると解釈してよろしゅうございますね。
#43
○参考人(坂本朝一君) さようでございます。
#44
○松岡克由君 今回の結果を見ていると、何かたいへんひがんだ見方で申しわけないのですけれども、言われてから上げたという結果であって、そうでなく、こうこうこういうふうにして上げたんだと、ほかの放送局に先がけてNHKが一つの文化に対する見解というものの基準をはっきりして、こちらから言われるまでもなく、今後ともそういった問題、この附帯決議にあったようなことを進めてほしいと素朴に希望しますが、このことについてどうですか。
#45
○参考人(坂本朝一君) それは前半に小野会長が申し上げました精神からいって、当然、そうあるべきだというふうに考えております。
#46
○松岡克由君 ありがとうございます。
 さて過日といいますか、青島さんも質問したんですけれども、NHKの収支推移といいますか、あれを見てみますと、昭和三十七年度、これは国内放送費というのを見ていまして、これが一〇〇としますと四十八年には二倍の伸びなんですね。それに対して給与の伸びが三・八といいますから約四倍弱ですね。これはいろいろベースアップだとか、人員が増したり、またはいろいろ定期昇給もありましょう、いろんな意味において給料のほうに金がかかるというのはわかりますけれども、何か国内放送費というものにしわ寄せが来ているんじゃないか。上がり方のバランスがちょっとおかしいのではないかという気がしますが、この辺の答弁を。
#47
○参考人(小野吉郎君) その面につきましては、そういう御印象を持たれる節もあろうかと思います。
 NHKは、ここ数年、非常にきびしい合理化と経費の節約をいたしております。ものごとはやはり金があればそれはいいものができるのは当然でありますけれども、そこに金を多く使わずして質を高めていくこと、これは経営の理想として考えるべき問題ではないかと思います。
 しかもNHKの過去の歴史を見ましても、単純に料金を値上げするという態度はとっておりません。昭和三十七年度におきましても、テレビ、ラジオ別料金立てでありまして、大方はテレビと同時にラジオを持っておられる。その当時ではテレビの三百円の料金とラジオの八十五円の料金を払ってもらわなければならないたてまえでありましたけれども、それを一本化しまして三百三十円と、かなりの値下げをいたしております。またラジオについては八十五円を五十円に値下げをいたしまして、そういうようなバランスの上に、しかもテレビがだんだん伸びていく過程において財政がもてると、こういうような非常に苦心の策をいたしております。昭和四十三年におきましてもカラー料金は設定をいたしましたけれども、他面白黒の料金は値下げをいたして、この辺のいろんな苦心のあるところはひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
 それにいたしましても、年々上がっていきます物価、賃金、こういった関係から申しまして、収入の伸びはどうやら――テレビの普及も限界とは申しませんけれども、一時から見れば非常に鈍化いたしてまいっております。こういう面から得られる収入のそれは年々伸び率が縮まってまいっておる。そこに経営上の非常な努力が必要でございまして、いろんな労働情勢等の関係からきます人件費のアップにつきましては、これは社会の一般水準もありましょう、こういうようなことからそういった水準にこたえていかなければ、おそらく今日の経営で最も重要な眼目であります労使の協調は得られないと思います。そういう面をいたしながら、きびしい経費の中でいろんな配分をいたしておるわけでございまして、もっとふやすべき番組費のほうが多少そういう面で伸びおくれがあるということは否定できないと思います。
 そういう事情の中で、いまお感じになったような姿が決算の中でもあらわれておろうと思いますけれども、そういう事情のもとに協会としての万全な運営を心がけて、金額の多寡にかかわらず、ここは人間の英知をもって質を落とさないようにむしろ向上していくように努力をいたしておるような次第でございます。
#48
○松岡克由君 現在のカラー放送の放送時間というのは何時間ぐらいありますか。
#49
○参考人(小野吉郎君) 総合放送におきましては全時間でございます。全時間――十八時間でございます。教育テレビにおきましては四時間半でございます。
#50
○松岡克由君 モノクロと俗に言っておりますけれども、白黒テレビ――モノとカラーテレビの制作費の比較といいますか違いといいますか、三十分番組一本についてどれくらいの――会長ばかりでなくていいですよ、どなたか。
#51
○参考人(坂本朝一君) 大体、平均いたしまして三割の差があるというふうに考えております。カラーのほうが白黒よりか三割方制作費が高いというふうに考えています。
#52
○松岡克由君 一本の制作費の平均値といいますか、具体的に聞かせてください、カラー及びモノの。
#53
○参考人(坂本朝一君) 番組が非常に多うございますので、平均とおっしゃられてもむずかしいかとも思いますけれども、たとえばモノクロで百万円かかるというものであれば、カラー化すれば百三十万円というように概略そういうことが言えるのではないかというふうに思います。
#54
○松岡克由君 昭和三十七年におきましてのカラーテレビというのは、ほとんどなかったように解釈しておりますが、間違ったら教えてくれませんか、どなたでもいいですよ。
#55
○参考人(小野吉郎君) 三十七年当時には、全然なかったことはございませんけれども、非常に微々たるものであったことは確かでございます。
#56
○松岡克由君 ということは、カラーテレビがどんどんふえてきた、カラーの制作費が当然ふえるということになりますね、なぜならばモノクロより三割高いんですから。と、このふえてきた放送費の移りを見ていますと、そのカラーをつくるために上がったのであって、出演者の充実ということは置き去りになっていると解釈せざるを得なくなってくるのですが、そうでないことを祈りたいのですけれどもね、その辺の返答を。
#57
○参考人(坂本朝一君) それはやっぱり並行して努力しておるつもりでございます。
#58
○松岡克由君 木で鼻をくくったような答弁をされると、たいへんに腹も立つのですけれども、だって考えてごらんなさい。
 全くなかったとは言わないが、ほとんどないにひとしかったものが――カラーというのはたいへんに金がかかる、金がかかるからこそ伸びているしたがって出演料といいますか、そういった番組充実に対する金額までいかないと、数字に出てきているでしょう、現在、これでは困るということなんですね。この数字が端的に物語っているわけなんです。どう解釈したってそうでしょう、給料はこれだけ上がっていて――カラーテレビがふえているのだから、当然カラーに金がかかる、カラーに金がかかっている分だけ、少なくなると。したがって十年間――いま幾らか二千円か何か上げたけど、全く上がっていない、こう解釈せざるを得ないんですがね。
#59
○参考人(坂本朝一君) 放送料の改定は一応年度を追って実施しております。三十七年からのデータをいまここに持ち合わせておらないのでございますけれども、ここ三、四年の間のことを御説明……
#60
○松岡克由君 上がっていないよ、三、四年の間でも。
#61
○参考人(坂本朝一君) 御説明申し上げますと、昭和四十六年度においてはテレビの最低出演料の基準料金について二千五百円から三千円、それから四十七年度においては三千円から四千円というふうに、まあここ数年は努力して最低基準額を上げておるわけでございます。
#62
○松岡克由君 いみじくも本音を吐いたように、数年は努力している、その数年以前はあまり努力していないということになりました。――まあいいでしょう。
 これからひとつ、その辺を考慮していただきたい、一応私も芸人のほうから支持を受けています関係上。
 さて、このランク以外にマル特というのが俗にありましてね、特別ランク、こいつも何か週刊誌にすっぱ抜かれていましたけれども、民放によると、たとえば美空ひばりが五十万とかどうのこうの、NHKにおいてはこういうことというのはあり得るのですか。
#63
○参考人(坂本朝一君) 提出いたしました資料にもございますように「このほか、テレビ・ラジオともその都度、出演の態様に応じ、別途個別の出演料を取り決めている出演者もある。」というふうに記載してありますのは、たとえば年間を通じてかなりの拘束をするというような場合に、基準の額ではなしに、いわば契約料というような形で基準を越えてお払いするというケースがございます。
#64
○松岡克由君 ちょっと私事にわたって申しわけないですけれども、この十一ランクの中でわれわれの最高峰である話芸の名人三遊亭円生氏はどの辺のランクにおられますか、坂本さん。
#65
○参考人(坂本朝一君) まことに申しわけございませんけれども、個人のランクづけにつきましては、ひとつ公開の席での御答弁を御容赦いただけないかと思うんでございますが。
#66
○松岡克由君 それでは、なぜこんなことを聞きたいかというと、歌舞伎の役者との差を、大衆芸能とのあれをちょっと聞きたいので。
 では、一から十までとしまして、われらが名人と解釈している円生師匠を一とすると、歌舞伎の役者はどのぐらいにいっていますか。
#67
○参考人(坂本朝一君) まことに申しわけありませんが、ここへデータを持ってきておりませんので、御容赦いただけないでございましょうか。
#68
○松岡克由君 できない理由は何ですか。できないということは、こうこうこういうわけだから言えないんだからかんべんしてくれと、ただ個人を出すことは困るというだけではなくて、出すとこうこうなるから、それだけはやめてくれと、そういうのならわかるのだけれども、ただかんべんしてくれというんでは、ちょっと困る。
#69
○参考人(坂本朝一君) 松岡先生の御指摘のように、この問題は出演者の個々のいわばプライバシーにかかわる問題になるものですから、一般的な御質問ではございますけれども、たとえば落語の世界と歌舞伎の世界というふうな形でも、この席で御答弁することは御容赦願えないかと、こういうことでございます。
#70
○松岡克由君 武士の情けということばもありますんで、混乱を来たすといけませんから、その辺はこの辺でやめておきますけれども、あまりにも差が激し過ぎるので、それは歌舞伎座で幾ら取ろうが大衆演芸が寄席で幾ら取ろうがかってだけれども、一つの視聴率というものを中心における芸人の魅力となると、そんなに私はブラウン管の中では差がないと思う。
 その差を、一つの芸または文化という意味にしぼってもかまいません。なるたけ大局的に、歌舞伎は歌舞伎、寄席演芸は寄席演芸、歌謡曲は歌謡曲クラシックは――ということでなくて、総合的な個人の魅力、総合的な芸の差というのがあるはずですから、そこからものごとを出発させてほしいというのがこの質問のねらいなんです。それについて一言答えてほしい、会長。
#71
○参考人(小野吉郎君) 御質問の趣旨は、よく私も理解することができます。
 ただ、そういう文化の向上の面に非常に役立っておられる各界の芸能の方たちのそれを、あるいはランクづけでこれをどうこうするのは非常に間違いではないかと思います。やはり名人はどこまでも名人であって、落語の世界の名人は歌舞伎の世界の名人に劣るものではないと思います。そのような気持ちを持っておりますけれども、現実の具体的な取り扱いの面につきましては、これを洗いざらいいたしますと、先ほど坂本総局長も困った末申しましたように、個人のプライバシーにも影響いたしましょうし、またそのプライドにも関係を持ってこようかと思います。基本的には先生と同じような気持ちを私は持っているつもりでございます。そういうことで、ひとつごかんべんをいただきたいと思います。
#72
○森勝治君 関連。
 NHKに申し上げておきたいのですが、いま個人の問題云々と、従来、ややもするとそこに逃避を求めておられるのです。われわれは皆さんのおやりになった四十五年度の決算についての内容をつまびらかにして、一つ一つの個々の問題で議論をするわけですから、そう去年もそうであった、ことしもそうであった、また来年もそうであろうというそしりを受けぬように、芸能人の社会的名誉だとかそういうことに逃げ道をさがされないでもうそろそろ公開すべき時期が来たと、そしてNHKが薄謝協会という汚名をそそげるかどうかということも、そういう点の秘密主義というのも排除していかなきゃならぬ。
 これは皆さんがないしょにしたって、税務署で一千万円以上の所得は収入源を明らかにすることになって公表するわけですからね。NHKが幾ら隠しても頭隠してしり隠さずになるのですよ。そこにNHKへの批判が集中され、先般の当委員会でもこの点に論議が集まってきたわけですから、もうそろそろ公開される時期が来たと思うのです。
 その辺のことは、まあ御質問の御本人がきょうのところはと言って、もっと聞きたいところを松岡さんだいぶ御遠慮されておられるわけでありますが、松岡さんの質問されようとする中身というものは、われわれがかねてからただしてきたところであるし、これを明らかにしたい。そうでなければ、NHKの正確な決算のよき結果を求め得るすべがないわけですから。
 どうもこの秘密主義というもの、これはNHKは官僚群ではないが、官僚群の秘密主義にやや相通ずるものという世の指弾というものを避けることができないのではないか。ですから、従来はいざ知らず、あなたが新しい会長になられたわけですから、この辺でひとつよろいを脱いでもらいたい。
 それから、この際でありますから一言ふえんしておきますが、先ほどの松岡さんの発言の中で、カラーテレビと白黒の問題があった。カラーテレビに出演したからといって芸能人のギャラが上がったわけではないんですよ。その点は総局長ははぐらかされておりますが、白黒のときと確かに同じなんですよ。カラーに出演したからギャラが上がったというわけではないのです。
 その辺のところももう少し歯切れのよいお答えをしていただかないと、これは決算ですからね、予算の質問とわけが違うのですから、微に入り細をうがつのが決算の当委員会としての使命を全うすることになるわけですからね。どうかひとつ世間ていをはばかる、はばかるということにのみやすきを求められないようにしていただきたい。このことを私のほうから、私の質問からもそういうものが出てくるでありましょうから、かねてからひとつ御注意申し上げておきたいのです。
#73
○松岡克由君 こんなことを言うと、まことにしり馬に乗るようですけどね、ちょっぴり私も芸人である以上、森先生ほど強い意見が吐けなかったので、ほんとうの気持ちはそういうことなんですわ。
 調べればわかるんです。早い話が円生師匠と松本幸四郎が二人で話し合えばわかっちゃうことなんです。プライバシーもへったくれもないんです。ですから、いみじくも私の意見といいますか、森先生の意見とイコールだったのを押してくれたんですよ。
 こちらも言いにくい、言いにくいんです、やっぱり芸人である以上、それはいけないんですけれどね、やっぱり人間というのは心理的なものがありますからね。それに乗って適当に言われると、それは困るのであって、だから私は言わず語らずのうちにわかってほしいとね。だから、あのときはこう言ったけど、わかったわかったと、談志君の言うことよくわかるから結果を見てくれというようなこともほしいわけですよ。またそれを問い詰めなければ、追い詰めなければ、そっちのほうでうまく逃げてそれっきりになってしまうというなら、こっちももっともっと強いことばで言わなければならないと。長年、坂本さんも芸能関係であって、われわれを使ってくれた人間として、そこをひとつ、いま言ったことを全部含めて、会長から一言手短くお願いします。
#74
○参考人(小野吉郎君) 御趣旨はよく理解できます。
 そのような面もいろいろと検討さしていただきまして、先ほど、いろいろプライバシーの陰に隠れて、決算の重要な審議に十分役立つような答弁をしないじゃないか、こういうおしかりも受けました。あるいはNHKの官僚性云々ということもありました。まあNHKに私は官僚性がそう強いとは思いませんけれども、とかくそういうような目でも見られます。私は、声を高くして、象牙の塔からおりろ、国民聴視者に溶け込んで、ともに手を携えて歩めと、こういうことを言いたいのであります。
 ただいま関連質問で申されました、森先生の言われるような、今日そういうことを公開する段階に至っておるかどうかは、これはひとつNHKにおいても検討をいたしてみたいと思いますので、課題として検討さしていただきたい、かように考えます。
#75
○松岡克由君 いいほうに向くことを祈ります。いじめるのが質問ではなくて、育てるのが質問だと私は思っておりますんで。
 放送法第四十四条によりますと「豊かで、かつ、よい放送番組を放送することによって公衆の要望を満たすとともに」云々とあります。したがってNHKは放送法によって「公衆の要望」にこたえるような番組を提供する義務があるわけなんですが、具体的にお聞きしたいんですけれども、去る七月の十日、十一日のプロ野球のロッテ−日拓戦をなぜテレビ中継しなかったんですか。
#76
○参考人(坂本朝一君) 野球の中継につきましては、年間を通じまして大体予定を立てておるわけでございますが、先生御指摘のロッテ−日拓につきましては、まさに優勝を決する勝負でございますので、私どものほうも何とか中継したいというふうに検討したわけでございますけれども、テレビの場合には、何と申しましても、いろいろ予定しております番組とのかかわりなどもございまして、この日できまるんだというのであれば多少の無理もきくわけでございますが、あれは三連戦ということになったもんですから、それでテレビのほうの措置をあきらめまして、ラジオで火水木というふうに三連戦を中継いたしました。そしてたまたまその二日目で優勝がきまったのをラジオで実況放送した、こういういきさつでございます。
#77
○松岡克由君 この日できまるんですよ、第一戦目で。ロッテが負けちゃったらそれできまっちゃうんです、優勝が。この日できまらないと言ったでしょう――きまるんですよ。
#78
○参考人(坂本朝一君) おっしゃるとおりなんですけれども、もしロッテが勝てばあくる日ということになるわけでございます、追わなければならないということになるわけでございます。
#79
○松岡克由君 追ったらいいじゃないですか、そんなもの、その日できまるんだもの。追わなかったらできないんですよ、その日できまっちゃうんですよ、あとできないんですよ――そんなばかなこと、冗談じゃない。
#80
○参考人(坂本朝一君) それはおっしゃるとおりなんですけれども、少なくとも三連戦は追うという態勢をとらなければならぬだろう、こう考えましたので、その場合に、ラジオ、テレビの編成の関係で、ラジオのほうでそれを取り上げるということにしたわけでございます。
#81
○松岡克由君 あのね、これはごく一部分から例をとっているんですけれども、すべてそういうところに関連してくるんで、あえてロッテ−日拓戦を出して言っているんですけれどもね。ラジオでやりゃいいと言うんならね――そんなはかげた言い方はないんです、ラジオでやりゃいいなら、テレビ要らないじゃないか、要らないでしょう、テレビなんか。オリンピックでも何でも全部ラジオでやりゃいいじゃないですか――冗談じゃない、テレビで見たいんですよ、テレビがないからしようがないからラジオなんだ。
 NHKにテレビあるでしょう、一チャンネルと三チャンネル持っているでしょう。どうしてみんなが見たがる――うそだと思ったら聞いてごらんなさい、町へ行って。どれだけあれが見たかったか、連中が。五万三千の観客がはいっちゃっている、はいれないんだ、テレビがないんだ。二試合目には、二元放送で他局がやりましたけれどもね
 ぼくは、最もほしがっているところ――いま他の番組にかんがみて云々と言いましたけれども、他の番組にはたいした番組はないんだね、言っちゃ悪いけれども。大体、七時から見ると「ニュース」――「ニュース」はまあ必要でしょう。それと「NHK特派員報告」というんだね「ベルトコンベアーとの訣別(スウェーデン)」の巻というんだね、こんなことはその日でなくてもいいんだね。翌日になると「フランス料理の伝統」というんだね、これはその日でなくてもいいと思った。それはまあともかくとしても、十日の日には「歌のゴールデンステージ」というんですね「布施明、山本リンダ、フランク永井」というんですね、これ。まあ「山本リンダ」なんかが出れば公明党喜ぶかもしれないけれどもね「森昌子」とか――それほどたいした番組じゃないとも思うし、まあけっこうな番組と解釈しているんならばそれはまた違うけれども。十一日になると「銀座わが町」というので「中村玉緒、島田陽子、フランキー堺」なんて書いてあるね――談志は出ていないんだな、これ見ると。
 私はね、これはまあけっこうな番組かもしれませんよ、だけれどもNHKが中継を技術的にできないわけはないんでしょう、だったら私はやるべきだと思うしね、こういうところに私はずさんさというかな、歯がゆいというかな――これからやってください、どうですか。
#82
○参考人(小野吉郎君) やはり国民の方々が非常に要望せられるものを御提供申し上げることは、NHKの義務であろうと思います。
#83
○松岡克由君 要望しているんですよ、義務を怠っているわけですよ。
#84
○参考人(小野吉郎君) まあこれが義務を怠っておるかどうかは別といたしまして、将来は、やはりそういったような考えで番組の編成を考えてまいりたいと思います。
#85
○松岡克由君 それじゃこの件に関しては、さほど思わないということですね、将来はやるけれども、この件に関しては何のあれもないと、ひっかかりも感じないと――。
#86
○参考人(小野吉郎君) 私も本来非常に野球が好きでありまして、これはぜひ見たい番組ではありました。そういうような面で、あったらいいなという感じはいたします。将来、そのような面も十分にしんしゃくいたしまして、慎重に扱ってまいりたいと思います。
#87
○松岡克由君 事のついでに伺いたいんですけれども、そういうところに配慮がないといかんです。NHKは視聴率ということもやっぱりある程度気にしなければならないだろうし、いかん。
 逆に言うと、私ね、相撲放送なぞをどういう理由でやっているのかわからない。おそらく国技だからと言うかもしれませんですね、国技を中継しているのはNHKだけなんです。最初のうちは民放も全部相撲やっていました。だけれども見る人が少ないから、だんだん視聴率が落ちるから民放はおりちゃったんです。NHKだけがやっているんです。――やってもけっこうですよ。国技というのは、その競技、スポーツを土台にして国民全体の体力の向上をはかる。だからこそ相撲法人とかいわれて、あれ財団法人ですか、つまり税金も安くなっているわけですね。NHKも国技だから中継している。ところが、あの相撲を見ていると国技だなあと思わせるところは全くない。
 いまの若いもんでは、サッカーが国技だと思っている、ぼくらの年代は野球が国技だと思っている。昔はどの学校にも土俵というのがありましてね、そこでもっておれは神風だ、おれは九州山だおれは双葉山だと言ってぼくらやった記憶がある。いまそんなのない。また力士たちも学校や会社へ行って体力向上のためにやったなんて話を聞いたこともない。本来ならそれをやって、そのデモンストレーションのために国技館で相撲をとっているというのが理想的な姿なんです。だから国技なんですよ。全く国技を怠っている。
 そして見ているとね、それはまあそちらの責任じゃないですけれども、見ていると、いかがわしい勝負が幾らもある。これは八百長だろうと質問したら、八百長でないと言った、答えはね。おれ八百長と言うなら許そうと思ったんです。――だらしのない勝負していますね。すいません、あれ八百長なんですからかんべんしてくれと言うんならわかる。あんなだらしのない勝負をしても、八百長でないと言うから腹が立ったわけです、ぼくはよけいにね。
 なぜ、あんなものを――あんなものと言っちゃ悪いけれども、あれを六場所、あの大事な時間をとって、みんなが見たがらない――いまNHKのおかげで見るようになったんですよ、逆に。NHKのおかげで見るようになった。けれども力士たちは相変わらずのうのうと暮らしている。ただ花相撲を打ったりなんかして興行だけをやっている。あれに対して、それじゃNHKもきびしい態度で臨んで、ただ国技だからといって中継はしないぞロッテ−日拓戦をやっちゃうぞと、そのぐらいの覚悟があってしかりだと思うが、その辺のことをどう考えますか、このぼくの意見に対して、会長。
#88
○参考人(小野吉郎君) 相撲の中継につきましては、一時、各社がやっておりました。現在では、ほとんど各社はやらないでNHKだけがやっております。これはかなりやっぱり聴視者の層としては厚いものがありますので、やる必要があると私は考えております。
#89
○松岡克由君 もうやめますけどね、厚いというのは、NHKがやってきたから厚くなったんであって、NHKがやらなければ薄くなっちゃうの、逆に言うと。そのぐらいの感覚がわれわれにあるんですよ。それに気がつかないから、厚いから厚いからとやっている。相撲場へ行ってごらんなさい、若い子なんかほとんどいないから。若い者を相手にしなくもいいといえばそれっきりかもしれませんけれどもね、そういう現状を見てないとやっぱり困る。
 やってくれるのはありがたいんですよ、相撲ファンは。ぼくも見たいときもある。だけれどもやっぱり現状を――スポーツに対する、また芸能いろんなものを考えていかないと全くいかない。だから、あぐらかいちゃっていますよ、全くあぐらかいている。あの相撲なんか見ていると、NHKがおだててくれるからもっているので、一度やめてごらんなさい、一場所でも二場所でも、一年間切ってごらんなさい、もう少し向上するから。逆にNHKが相撲界を甘やかしているという部分があるんですよ、そういうことを注意してほしいということなんです。
 その一例として、ロッテ−日拓戦をやるとか、そのぐらいのあれがないと、さっき言ったように啓蒙とまでいかないけれども、そういったことをしたいというのは、何も視聴者ばかりでなく、いろんな意味においてすべてのもの、国技にまで及ぶ。いろんなところをNHKは報道できるというすばらしいものを持っているんですから、それをもっと重要に使ってほしいというのがこの質問の趣旨なんです。わかっていただきたいと思うんです。
#90
○参考人(小野吉郎君) 質問の御趣旨はよく理解いたしております。
#91
○松岡克由君 あの紅白歌合戦なんか何であんなものをやっているのですか、意図を聞かしてほしいのですがね。
#92
○参考人(坂本朝一君) これもおかげさまでたいへん聴視者の方々に喜ばれておりまして、年の暮れの一つの行事というふうに定着しつつございますので、私どもとしては、続けてやっていきたいというふうに考えております。
#93
○松岡克由君 見ているというのと支持しているのとまた違うんでしてね、その辺の考慮がないとたいへんに私は困るんです。
 紅白歌合戦に出ることに歌手たちが命をすりへらしている。なぜならば紅白歌合戦に出ることによって来年のランクがきまる、出演料がきまるんですよ。出演料がきまるということは、NHKの格というもの、NHKに権威があるんです。ただあれを娯楽番組として片づけられると実情は困る。あれは番組としては非常にくだらぬ、つまらぬ、ばかばかしい、見たくもない番組ですよ。見ません、現に私は。はっきり言います、見ません。おそらくそういう方もいらっしゃるでしょう。あれを見るのは、要するに女子供の番組です。しかしその女子供の番組に権威が出てしまったんです。その権威は、歌謡界といういまの太平の世の中の最も関心があるところにいっちゃっているのです。
 権威というのを持ってもいいんですがね、ぼくは、逆に言うと、NHKというのは権威を持つべきだと思う、いい意味において。その権威を持たなければならないのが、紅白歌合戦だけにしか感じないんだ、ほかの番組にあまり権威を感じないのです。昔、一例をあげますと、ラジオ寄席という番組に出ることによって、芸人は演芸の権威あるところへ出られたという一つの励みになった。ほかのものにない、ただあるのは紅白歌合戦一本、その歌合戦も全くくだらない。言っちゃ悪いけれど、くだらない。あんなもの、見てみなさい、あんなくだらないもの――くだらないのをやるのはいいけれども、NHKがやるとくだらないものに権威がついちゃうの。したがってその権威というものを大事にしてくれないと困るんだね。
 ぼくの質問は具体的でなくて非常に心情的な質問だから、適当に済むかもしれないけれども、これ済まされると困るんです。それは視聴率が上がっているといえばそれまでですけれども、違うんですよ。あんなの見たくない、ほかに見るものがないからしようがないから見ているんですよ。そういう事実を踏んまえた上で、もう少しやっぱり権威というものを大事に使っていただきたい。これはお願いしたいですがね、坂本さん、どうですか。
#94
○参考人(坂本朝一君) その点につきましては、松岡先生の御指摘のとおり、NHKとしては十分配慮していかなければいかぬだろうというふうに思いますが、紅白歌合戦の番組の御批判につきましては、私どもとしては、現状で、まあたわいがないと言ってしまえばそれまででございますけれども、それなりの喜ばれ方をしているというふうに理解しておるわけでございます。
#95
○松岡克由君 喜ばれるようにしちゃったのさ、NHKが。
 ファン投票かなんかにしたらどうですかね、すっきりしますから。選考の基準がわからぬですからね。
#96
○参考人(坂本朝一君) そういう歌手の選考の問題につきましては、これにいろいろ御批判があろうかと思いますが、現状では、最終的には私どもの責任で選考するということで、それに至ります経緯において各地方局の営業部長、放送部長のアンケート並びに受信者懇談会等におきます御意見それから各界の有識者の方々にお集まりいただいて、この原案を提示して御意見を承りまして、最終的には私どもの責任において決定するという形式をとっておるわけでございます。
#97
○松岡克由君 放送法の同じく第四十四条に「わが国の過去のすぐれた文化の保存」が書かれておりますけれども、そういった保存ということで、どのような配慮が行なわれておりますか。
#98
○参考人(坂本朝一君) 保存と申しますのは、放送番組そのものを録音なりあるいはVTRなりあるいはフィルムなりにとって保存するという方法と、それから保存のために新しく撮影してライブラリーに入れるという二つの方法、それからさらに市販されておりますものないしは個人で持って保存されておりますものでNHKに分けてもいいというような文化財があれば、それをいただくというような形で、いろいろ番組保存、文化財保存をしておるわけでございます。
#99
○松岡克由君 その決定はだれがしているのですか。
#100
○参考人(坂本朝一君) 最終的には、放送総局長がいたします。
#101
○松岡克由君 そのライブラリーですが、ライブラリーはたしかNHKにありましたね。ライブラリーの現状というのを簡単に説明していただけませんか。
#102
○参考人(坂本朝一君) 現在、四十七年度末の集計でございますけれども、フィルム関係で千三百二十八件、それから録音関係で六千二百五十五件、文化財ライブラリーに保存しておる次第でございます。
#103
○松岡克由君 私もかいま見たんですけれども、たいへん少ないんです。これが大NHKにあるまじきほど少ないんです。
 少ないということは、まして伝統を伝える芸能のジャンルにおける参考にするには、個々にやっている状態ですから、私は予算をさいて――具体的にたとえばこの人のこれをなぜとっておかないのかということが一ぱいあるのです。それは坂本さん御自身御承知でいらっしゃると思いますのであえて言いませんけれども、これから、いまのそれこそ三倍四倍じゃきかないぐらいの配慮をしていただきたい、していただかないと困ってしまうのです。それはそういったものに興味のある人たちの代表がすごく言うのですからね。過去をなつかしむ――それが証拠にNHKでも過去の放送を出すとけつこうそれなりの反応が――けっこうじゃない、たいへんにある事実を見るにかんがみて、私は配慮をしてほしいと思いますが、この辺の気持ちをNHK側から一言聞きたいんです。
#104
○参考人(坂本朝一君) 全く松岡先生のおっしゃるとおりでございまして、私どももそういう趣旨で、最近は、毎月放送いたしました番組の中で何を保存するかという保存委員会なるものを局内に設定いたしましてセレクトしておるわけでございますが、これは例の著作権法の改正で、昭和四十六年二月以降は、文化庁の告示によりましてNHKの放送博物館とそれから文化財ライブラリーが公共の保存所の指定を受けましたので、そういう趣旨に合うように内容の充実に努力したいというふうに考えております。
#105
○松岡克由君 四十五年度のNHKの業務報告の中で、国民生活の時間調査をしているのですね。あれは五年おきぐらいにやっているのですね、そうすると前回はたしか四十年でございました。今度は四十五年にやっておりますね。それによると寝るときまた起きるときが非常におそくなっているというデータが出ているのですね、NHKの報告によりますと。
 ということは、夜行型の人間がふえているということなんですね。民放では深夜放送というのをやっておるのです。NHKはやっておりませんですね。やっていないということは、何のために調査をしたのか。調査するだけしたんで、あとはいいのか。調査の結果に対する配慮がないような気がします。具体的に言うと、深夜放送について、どういう意見を持っているか、会長。
#106
○参考人(小野吉郎君) 深夜放送につきましては、NHKとしては、やるべきでない、こう考えております。
#107
○松岡克由君 なぜですか。
#108
○参考人(小野吉郎君) やはりテレビがあれば、いまのような四十年から四十五年のような傾向が助長されるだろうと思います。これが自然の国民生活の実態としてふえていくんなら好ましいと思いますけれども、テレビがあるからもう休むところを休まんで見ているという、こういうてとは翌日の活動に非常に支障を来たすのではないかとも思いますので、社会一般の活動の態様ともあわせて考えなければなりません。そういう面から見て深夜放送は今日の段階においてやるべきでない、かように考えております。
#109
○松岡克由君 そうすると、調べた結果が夜行性がふえてきたというからやるべきじゃないと、こういうことになると何のために調べたか、自分たちがやらないために調べたんですな。向こうに合わせるんでなくて、ただ単に参考として調べただけということですね。
#110
○参考人(小野吉郎君) そのようなわけではないのでありますけれども、確かに夜行性がふえておることは確かであります。そして朝の起床の時間が多少おそくなっておる、こういうことでありますけれども、それは十二時以後においてそのような状態があるんではなく、全体のそれが在来は十一時ごろに休んだものが三十分ぐらい延びているこういうようなことで、およそ今日のNHKの放送の終わりの時間は十二時でございますけれども十二時が放送の終わりであれば、これをさらに延長してやるほどのデータも出ておらない、こういうことでございます。
#111
○松岡克由君 現に民放は深夜放送をやっていますよね、眠い目をこすって見ているんですね。事実見ている。みんながおそらくNHKでやれば見てしまうだろう、こういうんですけれども、私はそれだったら、この意見を最後まで通してほしいと、こう思います。途中でどんどん夜行型がふえてきたからと前言をひるがえすことなく、絶対NHKは十二時でやらぬのだと、やってはよくないんだと、いま会長は言いましたね、それ断言できますか。
#112
○参考人(小野吉郎君) 私、先ほど申し上げましたとおり、そのように考えております。
#113
○松岡克由君 考えておりますね、そういうことですね。
#114
○参考人(坂本朝一君) 会長が申し上げましたとおり、十二時で深夜放送を実施する考えはございません。
 ただし、国民生活に非常に影響がある台風時であるとか、あるいは災害時であるとか、あるいは選挙等のことであるとか、そういう場合には、そういうことの要望に応じまして放送時間を延長する。これは国民の生活、財産にかかわりがあるという場合でございますので、一般的な形で深夜放送を実施するという考えはないということを付言させていただきます。
#115
○松岡克由君 私は、そう言い切った以上、深夜放送はやらないでほしい、こう思います。
 それから、選挙放送について、どういう考えを持っているのか。衆議院、参議院の選挙放送、いまのやり方で、あれでよろしゅうございますか。それともこうやったらいいということをいろいろと考えておりますか。たとえば座談会をやるとか、インタビューするとかいうことが可能になりますか。いまの状態でいくようですか、その辺のこれからの見通しをちょっと聞かしてほしいのです。
#116
○参考人(坂本朝一君) 選挙放送の場合には、何と申しましても、公平の原則というのが絶対の条件になりますので、現状、私どもが考えさしていただく限りにおいては、現在の方式が一番公平の原則にはまるんではないかというふうに考えております。
#117
○松岡克由君 ここに四十八年の七月十二日にNHKホールのことが出ているんですね。NHKホールは全部埋まらない、しかし埋まらなくてもさほど気にすることはないという小野会長の談なんですけれども、しかし現に埋まらないと一日に六、七十万、要するに赤字といいますか、置いておくと。逆に使えばそれが埋められるということですね。
 これは大臣の許可がないと、また大臣も衆参両議院の許可がないと、それが貸せないというようなことなんですけれども、どうですか、大臣、この際、借りにくることもずいぶんあるでしょうから、もう少しお手やわらかに、こんなあんまり手数を踏まないでホール――たいへんいいホールができました、御承知だと思いますが、あれを貸してやるような御配慮はどうですか、大臣。
#118
○国務大臣(久野忠治君) 放送法上の規定がございますので、この規定をはずれて貸与するということはでき得ない、かように私は考えております
#119
○参考人(小野吉郎君) 大臣と所見を異にいたしまするので、非常に言いづらいのでありますけれども、私は、NHKホール、これはNHKの放送に役立てるためにつくったホールであります。したがいまして一〇〇%NHKの放送に使えればこれが理想でありますけれども、なかなか事実はそうはまいりません。やはり年間少なくとも六十日ないし七十日のあきはできるようであります。
 これを一ぱい一ぱい使えないので、遊んだ日があってもやむを得ないのだ、このようなことを私は申したつもりはないのでありまして、そういうあき時間があれば、あいた日があれば、これを広く公共の福祉に合致するような、また国民の幸福にもつながるようなそういった意味合いの使用者があれば、そういう面に使わせていいのではないか、このように考えております。
 そのためには、いま申されましたように、厳格に法律の根拠をもって論じますと、放送法四十七条は、放送設備は賃貸借あるいは譲渡その他いろいろな名目にかかわらず、他人の支配に属せしめるようなことをする場合には、大臣の認可を受けろ、大臣が認可を与えられるためには両院の同意を得ろ、こういう厳格な規定になっております。
 問題は、ホール全体が放送設備と定義すべきものかどうか、ここは非常に疑問だと思っております。たとえば歌舞伎の中継等をいたします場合にこれは放送設備をあすこに持ち込みまして中継をいたします。その際に歌舞伎座全体を放送設備と観念するのは非常に常識に反するのじゃないだろうか、こう考えます。
 あのホールも、やはりそういう客席の部分と放送設備の部分があるのでありまして、この放送設備の部分はまさに四十七条該当のことでありましょうけれども、その他の問題しかもそれを使うことによって放送設備の使用に何ら制約を与えない、他人の支配に属せしめるような行為でないこういったような形態のものであれば、むしろこれを一般に開放いたしまして、社会福祉の増進、国民生活の向上、これに役立つようなきわめて公共性の高い用途に使ってもらうことがいいのではないか、このように考えておるわけであります。
#120
○政府委員(齋藤義郎君) 先ほど郵政大臣が申し上げたとおりでございますけれども、法律的に若干付言いたしますと、NHKのホール、これは放送設備であるということにつきましては、郵政省並びに法制局の見解が一致しております。
 したがってあれは放送設備ではあるだろう、こういうことでありますけれども、ただ、放送設備を他人の支配に属させるか属させないかという事柄は、NHKが他人に借す場合の態様いかんにある、必ずしもそれが放送法四十七条の規定による他人の支配に属させることになるとは一がいには言い切れないということで、いま郵政省と法制局の間で法律的な詰めを行なっている段階でございまして、早急にこれは結論を出して、NHKにわがほうの見解を提示したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#121
○今泉正二君 私は、松岡さんのお話を先ほどから聞いておりまして、なかなか言いにくいこともよく言っておられますし、またそれがこの人の売りものでございますが、前田会長と小野会長の違いを――名会長であられました前田さんがずうっとおやりになったとおりを小野会長が踏襲されるのか――私は一応されると言いながらも、人間でございますから、大体、日本人は前の人のやったとおりそのとおりやるということはなかなか承服できない国民性がございますし、前田会長は、私、木でいうと松の木のような気がいたします。小野会長のほうは柳のような気がいたしまして、しんは強いけれども見せかけはやわらかいということはお人柄からもそういう感じがいたします。
 前田会長と、しいて言えば、どういうところが違ってくるかということを、私もっと冒頭に、松岡さんが聞いたときにすぐ関連すればよかったのですが、それを聞いておきませんと、これからいろいろ御質問が出てきたときに、前田さんとここのところは私違うようにいきたいというところを伺っておきたいと思いまして、これはあらゆることに波及してくるので、ちょっと私前後しましたけれども、新会長からお伺いしたいと思います。
#122
○参考人(小野吉郎君) 人間のことでありますから、いろいろ性格、キャラクターは違うと思います。しかしNHK会長の立場といたしましては、放送法の原則を厳守する、こういう点については前田会長も私も違いはない、こう考えております。
#123
○今泉正二君 そうすると、いままでおやりになったNHKのやり方はどこも改めないということもそれに含まれますか。
#124
○参考人(小野吉郎君) 世の中は動いておりますし、前田会長の時代と私の会長時代にはまたいろいろ社会動向も変わってまいろうかと思います。常に変化してやまないと思いますので、その変化に即応する具体的なあらわれ方といたしましてはあるいは変わっているではないかというようなことがあり得るということは当然ではないかと思います。
 基本の姿勢といたしましては、先ほど申し上げましたように、何らの変更がないことを断言いたします。
#125
○今泉正二君 基本は変わっちゃ困るわけですけれども、基本を変えることが国民の望みじゃなくて、末節枝葉にわたることで誤解を生むことが基本もゆがめられて見られるということを私は申し上げたいのです。
 剛よく柔を制するかどうか知りませんけれども、剛時代が長く続きましたので、私も放送総局長の坂本氏にたいへんお世話になりまして、約四代の会長に仕えたつもりでおります。私、昭和十三年から芸能界におりましたから、いろいろ放送局にも入りましたし、放送もさせていただいた記憶もいろいろございますけれども、何かやっぱりかたい時代が続いたような気がいたします。今度やわらかい柔軟なお人柄から見ても、基本を踏まえながら進まれていただくのですが、これからの御答弁で、各委員の先生方が御質問なさるときにも、前田会長と同じならば変わった意味は何にもないということを申し上げたいので、顔が変わってからだつきが変わっただけならば、私は新会長の意味はないということを言いたいわけです。
 数々の不満を、私は禄をはんでいた者として非常に言いたいのでございます。ということは、午後、男のアナウンサーと女のアナウンサーがお二人でやられる番組、ディスクジョッキー、あすこに非常に新しいNHKがあるような気がして、私はいつも感激して聞いております。ああいうNHKがない。やっぱり宮内庁御用達みたいな感じでどうしてもかたいNHKタイプというものが話術をつかさどるものがあります。
 それから、あとで木島先生も御質問があると思いますけれども、いまはアナウンサーの方が芸能人に近くなられ、高橋圭三さんにしてもほかの方にしても――それで芸能人の方がアナウンサー化してくる時代で、ちょうど火花が出るような時代で、大橋巨泉さんとか前田武彦さんのように話術の修業をしない方がユニークに、不作法に――われわれは司会を二十五年やってきました、講談三十三年やってきましたけれども、いままでの概念でいくと、ああいうしゃべり方は司会者としては不適当なようなのが、聞くほうの側もそういう修業をしてない人が聞きますから、あれがユニークということばに置きかえられるような気がいたしますが、これからNHKもどんどんいい意味でやわらかくなられて、いつも詰めえりを着ているような感じでないような――これはアナウンサーだけのことじゃなくて、全体の姿勢に私ほしいような気がいたします。
 そこで給料をもらって、番組契約者でありました私があえてこれを、言うことにつきましては、私としてもいろんな意味を含めていま申し上げていることでございますので、御留意をいただきたいと思います。ありがとうございました。
#126
○参考人(小野吉郎君) 先ほど、冒頭に松岡先生の御質問にお答えして申し上げましたように、私が信条といたしますところは、かどのない、しかもそれによって押し流されない、窮屈でないNHKをつくっていきたい、こういうのが信条であります。
 そういう面にお唐ましては、これはそう言っては非常に悪いのでありますけれども、あるいは前田会長と多少のニュアンスの違いが出ようかとも思います。基本の姿勢は先ほど申し上げましたとおりでありますけれども、人間にはそれぞれ持ち味とキャラクターがありますから、そういう面が出て、多少従来と変わった面が目に映られることもあろうかと思います。しかし、しんのほうは変わらないのでありますから、どうぞよろしくお願いします。
#127
○松岡克由君 ホールのことをもう一言聞きますけども、実際的には、厳密に言うと、あいているところを使わしてほしいといっても無理だというのが答えなんですよね。そこをひとつ――ということは、せっかく国民から集めた聴視料のむだづかいということにつながりますので、ひとつ大臣、これ法律を変えるわけにはいかぬでしょうけど、配慮を頭のどこかに置いといてやっていただきたい、こう思うのは私ばかりではないと思うので、おそらく小野会長もそういう部分があると思うのです。何を言っているかわかりますか。
#128
○国務大臣(久野忠治君) 私は、日ごろ、法律一点ばりでかたくななことはあまり申し上げていないと思うのです。そういうことを信条として今日まで私はこの職をつとめてきた一人でございます。
 ただいまいみじくも御指摘がありましたように、日本放送協会というのは国民の聴視料によってささえられておるのであります、まかなわれておるのであります。であるだけに、国民の側から見ますると、あのような高価なホールをつくったことはいかがなものかという批判があることも私はよく耳にするのであります。でありまするが、できた以上は――まあできない前のことならばいさ知らずでございますが、できた以上は、これを有効に国民の皆さまに、聴視者の皆さんに還元するような使い方は当然あってしかるべきではないか、私もさように考えます。
 でありますから、先ほど事務当局からお答えいたしましたように、あれが放送設備の一部であるという考え方に立つべきか、あるいはその貸与のしかたによっては何らかの考えるべき余地はないものか検討すると答えたわけでございまして、私も、できた以上は、やはりこれを聴視者の皆さんに有意義に活用していただき、皆さんにお報いすることができるような使い方、方策はないものか今後、検討さしていただきたい、かように考える次第でございます。
#129
○松岡克由君 けっこうだと思います。
 四十八年度のNHK予算の質疑の中で、辺地難視の問題がありまして、これがNHKの推定によりますと、四十六年度が六十二万世帯、四十七年度が四十七万世帯となっているが、実際には四十六年度はその倍以上の百三十三万世帯、四十七年年度もやはり同じように百十七万世帯という、要するにけた違いの難視があるということがわかったわけでございますが、都市難視の実態はどうでしょうか。
#130
○参考人(松浦隼雄君) 都市難視の実態につきましては、辺地難視の把握以上に困難がございます。
 四十六年度中に、これはサンプルの調査並びに消防庁その他の建造物の統計等を参考にいたしまして、サンプル調査の結果から推定いたしますと、全国でいわゆる建造物の受信障害による難視の程度の激しいものは、約三十三万というふうに推定しております。
#131
○松岡克由君 その見込みというのは確かですか、それとも予想以上のものがあると考えられるんじゃないか。
#132
○参考人(松浦隼雄君) これは障害の程度というものによって非常に違ってまいります。若干見づらい、ゴーストが見えるというようなものを入れますと、そのほかに当時約九十万世帯というものがいわゆるきたない電波を受けているというふうにわれわれは推定しております。
#133
○松岡克由君 ということは、このいまの三十三万という数字は全然見えないということなんですか。
#134
○参考人(松浦隼雄君) 辺地の場合でもそうでございますが、特に都市の場合には全然見えないというケースもございますが、むしろいままで見えていたのが見づらくなるとか、あるいはこういうことばがあるかどうか、重度の難視というものが三十三万、軽度の難視まで含めますとそのほかに九十万、こういう見方をしております。
#135
○松岡克由君 このデータによりますと、建物が十一階以上のビルの増加率というのが一年間に五五%というたいへんな伸びをしているわけなんですよ。したがってこれに対する対策というものを郵政当局またNHK両方からちょっと伺いたいと思います。
#136
○参考人(松浦隼雄君) NHKの場合を先に申し上げます。
 四十三年度までは受信者から受信障害についての苦情がありましたときに、個々の受信者のお宅あるいは設備を伺いまして、われわれのことばでいわゆる技術指導ということで、アンテナの改善その他をやっておりましたけれども、四十四年度から改善促進というようなことで、アンテナそのものをもっと改善していく、あるいは共同受信方式を採用するというようなことで、従来の受信指導にあわせて改善促進という策を併用しております。これは原因者がはっきりしております場合ですけれども、四十四年あるいは現在、新造の建造物でなくて、その前からあった建造物が白黒はよかったけれども、カラーは見えなくなった、このようなケースにも対応すべく、どちらかというと既設の建造物に対する難視の問題を解決していこうということで、改善促進ということを四十四年度から加えたわけです。
 四十五年度からは、さらに特別改善促進――ことばはあまりよくありませんが、内部のことばで特別改善促進ということで、新造建築物に対してもその建築途中において、その原因者の建造物の施主の方と住民の間に立って仲介を申し上げるとか、あるいは技術的にどうしたらいいかという調査をするとか、あるいは進んで設計まで行なうとか、あるいは原因者が複合していて、必ずしも全額をその原因者が御負担いただけないというような場合には、共聴設置についての一部現物の援助を申し上げる、こんなようなことで特別改善促進という策を用いまして、極力難視の解消につとめておりますけれども、一方、ビルの建造あるいは都市の構造の複雑化ということが日々増大しておりますので、難視の数がなかなか減らないという状況が同時にございます。
  〔委員長退席、理事森勝治君着席〕
#137
○政府委員(齋藤義郎君) 郵政省といたしましては、主として原因者が特定できるビル陰難視につきましては、ビルの持ち主等に接触いたしまして、その負担において共同聴視施設をつくるという行政指導をいたしまして相当な成果はあげておると思いますけれども、いま御指摘がありましたように、ビルの増加率というものが非常に高いわけでございまして、必ずしも十分とは考えられません。
 それから原因者が特定できない難視、反射等によるゴースト、こういうものにつきましては、難視解消の方策というものがなかなか困難なわけでございますけれども、幸いにして昭和四十八年度予算におきまして調査会の設置が認められまして、それで最近におきましてテレビジョン放送難視対策調査会というものが郵政省内に設けられまして、これは各界の権威者の方々、約十九名でございますけれども、この方々にお集まりを願いまして、難視解消を要する実態、どれぐらい難視があるものか、あるいはどの程度のところの難視を救済すべきかというような実態調査、それからそれに対する技術的なやり方、難視解消の方策、あるいは経済的な負担の問題、だれの負担で難視を解消するか、あるいは法制的な問題……
#138
○松岡克由君 時間がないから、手短でいいです。
#139
○政府委員(齋藤義郎君) 法制的な問題、そういうことで多魚的な立場からひとつ検討していただく、約一年間で結論を出していただきたい、それをもって施策を講じてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
#140
○松岡克由君 私の記憶では、NHK側としては、前田会長が――間違っていたら申しわけないんですけれども、NHKはとにかく見えるような電波を出しているのだから、こっちはあまり責任がないというようなことを最初言っていて、有線テレビ法案が上がってきましたので、それじゃ困るということになって、精一ぱい応援しようということに変わってきた。変わってきたはけっこうです悪いことというのはどんどん変えたほうがいいのです。
 変わってきたというのはけっこうなんですが、具体的に四十七年度ですね、要するに建築側の全額負担が五二・九%、それから両方の分担が四・五とかいろいろあるわけですね、交渉中はどうのこうのという。この払っている法的根拠というのはどこにあるんですか、ないでしょう。
#141
○政府委員(齋藤義郎君) ただいま行政的な指導でございます。
#142
○松岡克由君 そうでしょう。ところが行政的な指導で間に合わなくなってきておるのが現状なんです、どうにもこうにも間に合わない、どんどんふえているわけです。したがって、もう速急にほんとうに抜本的に法的なものをこしらえていかないと、どうしようもなくなってしまうのではないか。
 もっと露骨に言えば、NHKが見えない――見えないものを払うことはない。大臣だって払いたくないでしょう、見えないものを。私はそうなってくると、NHKなんかつぶれちまうならつぶれてしまってもいいというならいいでしょうが、それは困るでしょう、いま会長になったばっかりで二年や三年やっぱりやりたいだろうしね、そうなってくると、私はたいへんな問題がいま現に起きている。これを具体的にどうやるのかということなんです。
 つまり、どこへ持ち込めば何とかなる、どこへ行けば何とかなるというようなことを、どんどんふえていますからね、たとえば行政指導にしてももっと具体的にこうなったときはここへ行きなさい、これはここへ行きなさいというのをPRすると同時に、法的根拠をきめていかないと、めちゃくちゃになっちゃうと思うんですけれども、この見通しについてどうでしょう。
#143
○政府委員(齋藤義郎君) いまお話のありました点につきましては、当委員会でもしばしば御指摘を受けまして、それで先ほど申し上げましたように、調査会を設けまして、それで根本的に検討していく、それが結論が出たら早急にひとつ立法措置その他の施策を講じてまいりたい、こういうことでございます。
#144
○参考人(松浦隼雄君) 先ほど先生から前田会長の当時に、都市の難視についてはNHKの責任ではないというようなことを申し上げたかのごとき御発言がございましたけれども、NHKといたしましては都市、辺地を問わず、受信者に良好な電波を届け、番組を届けるのを義務と心得ておりますので、そういうような発言はなかったものと信じます。
 ただ、都市の問題につきましては、辺地のように電波が届かない地形難視というようなことで、NHKの責任において全部の施設をするという状況にございませんので、むしろ原因者責任ということで、NHKはそれを技術的に援助するあるいは仲立ちになるというような立場をとっておりますことを付言させていただきます。
#145
○松岡克由君 この前もちょっと話題になったんですけれども、一対一で見えないとか、ここに建物が立ったからそれで見えなくなったというならまだ話し合いがつきますわね、いまはそんな段階でない。
 それこそ電波があっちへ飛んで、こっちへ飛んでひっかかっているという、そんなような状態ですよ。落語にもありますわね、鐘の音が自分のうちの長屋へ来るまでに、はばかりにはね返ったり、ごみためにぶつかったり、鐘の音も濁らあなって、いみじくも古典落語というのはずっと昔そんなことをいっているんですね。と同じようになってきたんですけれども、私はほんとうにこれは速急にいまあなたの言っていることを実行していただいて、法的な根拠、つまり何メートル以上何階以上はどこへ、そうしてつまりNHKとかそういったものをすべて含めて、ひとつ速急にやらないと混乱を来たすということを銘記していただいて、それを、大臣、約束していただきたいと思います。
#146
○国務大臣(久野忠治君) 都市難視をも含め辺地の難視をもすべて含めまして、難視聴の対策はきわめて重要な施策であろうかと思うのでございます。
 でありますだけに、先ほど事務当局よりお答え申し上げましたように、本年度、調査会を設けましてその実態を調査すると同時に、その対策についていろいろ検討を始めておるような次第でございまして、この検討が早急に結論を出していただきまして、そしてこれを実施に移していきたい、かように考えている次第でございます。
#147
○松岡克由君 最後に一つだけ、これちょっとアイデアなんですけれども、一回小野会長に聞いたら、小野会長ちょっと質問を曲解したのではないかと思われる節があったので、もう一ぺん聞くんですけれども、NHKの問題をこうやって討議していることは、NHKを通じて、私は全国に知らせるべきではないのかという気がするのです。
  〔理事森勝治君退席、委員長着席〕
 すると、ほかの委員会から文句が出るかもしれませんよ、みんなテレビに映りたいですからね。そんなけちなことでなくて、NHKの問題を審議しているときは、問題の細部までいく、あるときはたいへんに根本的、あるものは非常にバラエティに富んだもの、いろいろ質問している。これをビデオテープでもいいしフィルムでもいいし、カットできますからね、それを重要なところを国民に知らせる。わきの委員会から文句が出るかもしれませんよ、なぜこっちをやらないんだと、おまえたちばっかりということがあるかもしれないが、そんなことでなくて、私はそのぐらいの英断があっていいし、またそれを知らせるのもNHKの義務の一つではないかと思いますが、このアイデアといいますか、意見に対して、どうでしょう。
#148
○参考人(小野吉郎君) 松岡先生のそのアイデアに対しては、私ども同感できます。
 NHKはやはりNHKの運営の実態を聴視者の方々に知っていただく必要があろうかと思います、そのためには、国会でいろんな審議を賜わっておりますけれども、速記録を読めばわかるわけでありますけれども、国民としてはそこまでの手段はなかなか講じ得ないと思います。そういう意味合いにおきまして、NHKの運営上最も重要な問題で聴視者の方々に知っていただかなきやならないような問題は、中継方式はともかくとして、これはあるいはある重要な質疑の断面を放送を通じて国民に知っていただくということは必要であり、またやるべきことではないかと考えております。そのためにどのくらいの時間をとるかということになりますと、いろんな問題が出てくると思いますけれども、基本的には、そういう方法についてはその必要を痛感いたします。
#149
○松岡克由君 そうですが、それを聞いてたいへんけっこうなことだと思うし、そうなりましたら大臣もそっちのほうに参加――参加はもちろんするんですから、ぜひ協力をして、テレビでなければラジオでもけっこう、この質疑しているところをひとつ全国の皆さんに、NHKはかくあるということを知らせることが早く実現するように祈ります。
 いままで聞きましたランクのこと、ホールのこと、そして中継すること――NHKという権威のあるものが一つのものを起こすと、一介の無名の者が大スターになれるんです。町を歩いている女の子でも、もちろん素質があるからでしょうけれども、大スターになれる。ほんとうは素質のない子もなっちゃうんですよ。なぜならばNHKがおっ放すとそこでばあんとだめになっちゃうんです、だめになる例があるんですよ。
 そのぐらいNHKというものは権威を持てる、また信頼のおけるものですから、芸人といいますか、出演者に対する使い方、またはロッテ−日拓戦にあらわれたような、または相撲にあらわれているような、そういった国民の総意というものに意を配っていただいて、もちろん情報網はあると思いますから、ぜひぜひそういったことを実現していただいて、みんなのやっぱり見たいもの、ほんとうを言えばプロレスも見たければキックボクシングも見たいんです、そこまではあえて言いません、ですけれども、やはりみんなの見たいものを、そして見せながら権威づけていく。みんなが見たいけど、これはいいものなのである、これを味わってほしいという、その権威づけるための努力が少なくも私の芸能関係ではあまり見当たらないような気がして、たいへんに不満なのでございます。
 そういったものを全部――たいへん心情的な聞き方をして申しわけなかったですけれども、あまり数字は出しませんでしたけれども、また私の言わんとすることをひとつ頭のどこかにしっかりと入れていただいて、それに加えて辺地難視がNHKをゆさぶるような問題にならないように、この四点、ランクのことを含めたこと、それから一例をあげると小さなホールのことかもしれない、そして中継の問題、そしていま言う辺地難視または都市難視、そういったものを含めて、ひとつ下々にまで至るように、柔軟な柳のような精神でやっていただきたい、またそれを側面から大いに援助してやっていただきたい。
 大臣と会長、お二方から聞いて、質問を終わりたいと思います。
#150
○参考人(小野吉郎君) 御質問の趣旨、いろいろ教えられるところが多うございます。この趣旨を体して、今後の運営に当たってまいりたいと思います。
#151
○国務大臣(久野忠治君) 貴重な、しかも具体的な示唆に富む御意見を拝聴いたしまして、しかし番組の編成につきましては、これは自主的に協会自身が決定されるべき事柄でございますので、これに関与することはできませんが、御意見のところは十分私の理解のできるところでございます。
 今後とも、NHKが国民の公共放送としての使命に徹し、りっぱにその使命を果たされることを期待をいたし、また法制上の問題等につきまして問題点があれば、皆さんの御意見をも拝聴いたしまして、今後とも検討さしていただきたい、かように考える次第でございます。
#152
○松岡克由君 どうもありがとうございました。
#153
○委員長(茜ケ久保重光君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします
   午前十一時五十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十一分開会
#154
○委員長(茜ケ久保重光君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、日本放送協会昭和四十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#155
○塩出啓典君 それでは最初に、このたび小野さんがNHKの会長になられまして、いままでの副会長のときよりも一段と責任は非常に重大になってきていると思うのでありますが、今後ますますNHKの使命が重大になってくるときにかんがみて、新会長としてどういう決意を持っておられるのか、それをまず最初に伺っておきたいと思います。
#156
○参考人(小野吉郎君) 不肖選ばれまして、NHKの会長に就任をいたしました。
 御指摘のとおり、ときまさに日一日放送事業の重大性を加えつつあるときであります。その任務たるやまことに重大であると思います。私も就任をいたしました以上、一身をNHKにささげまして、公共放送の使命達成のために専心努力をしてまいりたいと思います。
#157
○塩出啓典君 特に、放送の自主性というものをますます堅持してがんばってもらいたい、そのことを要望しておきます。
 それで、まず最初に、受信料の回収状況の問題でございますが、これはいつも決算、予算のたびに問題になることでございますけれども、これが年々増加しておる。たとえば昭和四十五年度の決算におきましても、受信料未収金というのは十八億余ある。さらに未収受信料の欠損引き当て金というのは七億八千五百万、これが年々向上しているわけですね。いい成績が向上するならいいのでありますが、毎回毎回NHKとしては全力をあげてこの解消に努力をしているといいながら、これが非常に増大をしているわけですけれども、これは一体NHKとしてはどういう考えでいるのか、これを承っておきたいと思います。
#158
○参考人(小野吉郎君) 御指摘のとおり、社会環境の非常にきびしさが増しつつありますさなかにおきまして、未収受信料がふえつつありますことはまことに残念に思い、遺憾に考えております。この面につきましても、漸次成績が向上いたしまして、未収金が少なくなるような傾向をたどることが望ましいと思います。
 ただ、NHKをめぐります客観情勢は激動いたしておりますし、その未収受信料の中身の問題にいたしますと、これは支払いの意思がないから未収になるというものはそう多くはないのでございまして、あるいは移転によりますとか転居によりますとか、あるいは不在で――これは現在の勤務体制にも問題がありましょうけれども、そういった勤労体制からまいります不在がちな世帯、あるいは国民福祉の向上に関連をいたしましたレジャーの増進に伴いまして、なかなか集金に参りましてもお会いできない、こういうような事態が増加しつつありますさなかにおいて、いまのような現象が出てまいるわけであります。
 しかし、そういう現象が出るからというので、われわれのほうは処置なしということであきらめるわけにはまいりません。御指摘のとおり、かなりの未収受信料は出ておりますけれども、そのうちできるだけ低い率におきましてこれを欠損金として償却をいたし、あとはこれを回収すべく懸命の努力をいたしておるような次第でございまして、いろいろその辺の具体的な問題につきましては担当の理事から御答弁を申し上げますけれども、大勢から申しますと、方針といたしましては、NHKはそういった未収受信料のないことを理想といたしておりますし、そういうことに懸命の努力を将来ともささげてまいりたいと思います。
 この関係につきましては、毎たび御指摘を受け、御示教を受け、御鞭撻を受けておるわけでございまして、私ども十分その趣旨は体しておるつもりでございますし、将来とも一そうの努力を尽くしてまいりたいと思います。
#159
○塩出啓典君 それで、この決算は四十五年でございますが、四十六年、四十七年ですね、四十八年はまだ途中でございますが、そのあたりのいわゆる未収受信料というのはどういう傾向になっておりますか。
#160
○参考人(吉田行範君) ただいま御質問の未収受信料につきましては、簡単に申しますと、四十四年度は一・一%の欠損率であったわけでございますが、御指摘のとおり四十五年度は一・一九と、四十四年度に比べまして〇・〇九%未収金の率が上がっているわけでございます。そうして四十六年度は一・一%にやや成績が向上しているというのが実態でございます。
 それから四十六年度のをひっくるめて申し上げますと、四十六年度の分につきましては、ただいま、本年の五月、つまり第二年度の二カ月月でございますけれども、これが前年度に比べて一億円余りよけいに未収金の回収が取れているという実情でございますから、私どもも、ただいま会長が申しましたように、この未収金というのはあんまりかっこうのいいものではありませんので、できるだけ努力して、なくしたいと思っております。
 ただ、四十五年度一・一九%という若干前後に比べて率が上がっておりますのは、ただいま会長から申し上げましたように、不在世帯とかあるいは移動とかあるいは電波公害とか、一般的にはそういうことが次第にふえてきているという実情もございますし、と同時に、この四十五年度は、年度末の未収金を追い込むという時期においてカラー受像機の爆発的な流通があったということで私どもは内外勤の総力をあげてカラー契約の獲得というのに全力をあげた、その結果としてカラーの獲得が予算の場合には二百四十万であったものが三百六十六万という五割アップの成績はあげられたわけでありますけれども、片やその受信料の収納において、ただいま申し上げましたようなマイナスになってきた、そういうふうなちょっと特殊な事情もあろうか、そういうふうに考えております。
#161
○塩出啓典君 それで、ちょっとこれは初歩的な質問かもしれませんが、この決算で受信料の未収金がいわゆる十八億ですね、それで欠損引き当て金が七億八千五百万。
 これは私の理解するところでは、十八億の未収金のうち七億八千五百万は、これはもうだめだ、取れる見込みがない、そういうことであきらめていると思うのですね。そうすると、十億余りが未収金として来年度に持ち越されるわけだと思うのですね。そうしますと四十五年度の決算における十八億という未収金は、前年度からのいわゆる持ち越しの未収金、それと当年度発生した未収金、その両方を合わしたものじゃないかと思うのですけれども、これは間違いないのかどうか。もしそうであるとするならば、この十八億は先年度持ち越しのやっと当年度発生のやっと、これはどうなりますか。
#162
○参考人(斎藤清君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の受信料未収金の決算上のシステムの点でございますが、ただいま十八億百十九万、千四百九十九円、この受信料未収金の内容の点でございます。
 これは現在私どものほうでやっておりますシステムから申しますと、当年度の分で、当年度の受信料の調定額のうち、三月三十一日現在でまだ収納未済になっているものでございます。これはいわば財務上の用語で申しますと債権額でございますから、その債権額として取るべきものであるという数字の整理でございまして、したがいまして翌年度に持ち越しまして四月、五月、六月と順次これを追ってまいりまして、一年間の経過のうちでどれだけ取れたかという実績が出るわけでございます。
 その実績の処理の点につきましては、われわれとしては、この年度におきまして欠損として落ちるであろうと推定できるものが七億八千五百万、それから十億一千六百万が取れるという見込みを立てて、あとを追うわけでございます。その意味で整理されておりますので、十億一千六百万円がその翌年度一年の間に実際に幾ら取れたか、予定どおり取れれば、これは債権としての増減がないという結果になります。予定どおり取れない場合には、結局、収入金が不足するという事態が出ます。その場合にはいかがするかと申しますと、決算上は従来残っております剰余金と相殺をいたしまして、欠損の処分ということで相殺をいたします。
 さような形で、一年間の受信料の債権につきまして、翌一年間これを営業上の活動の対象として追ってまいりまして、一年経過後全部整理する。ただし営業の現場におきましては、個人の受信者の方とNHKとの契約でございますから、その意味での収納をさしていただくという活動はさらに継続いたします。その場合、もしそのあとで継続いたしましたものの収納があれば、これは雑収入の中の雑入金という科目で受け入れをするということでございまして、これは二年経過後の過去へさかのぼりました受信料の収納でございます。これが大体年間三千万円程度になってございます。
#163
○塩出啓典君 そうしますと、四十五年度における決算で、四十六年度において未収金のうち十億何がしかは取れるであろう、そういうことでこれは締めているわけですね。四十六年の未収金の回収状況というのは、予定どおり十億何ぼいったのかどうか、その点はどうなんですか。
#164
○参考人(斎藤清君) ここで出ました数字は四十五年度の分でございます。四十六年度とあわせて申し上げますと、四十五年度の場合には、実際にどのくらい取れるかというのは、過去の実績から推定いたして見積もりで立てるわけでございますが、その結果は、四十六年度中に実際に収納し得たものは七億二千二百四万七千円でございます。したがいまして予定よりも二億九千四百万円だけ少なかったという結果になってございます。これの処理は、四十六年度決算におきまして、過去の剰余金の相殺ということをやっております。
 なお四十六年度につきましては、同様な予測で九億一千二百万という回収予定額を立てましたところ、回収実績は八億六千二百万ということで、ほぼ近い数字に相なりました。
 以上でございます。
#165
○塩出啓典君 私はそこまでは聞いていなかったのです。四十五年の分について聞いたところが、結局、過去の実績による回収見込みよりも二億何ぼ下だったわけですね。ところが、その次のほうは回収見込みを下げたからそのパーセントはよくなったのじゃないかと思うのですけれども、四十五年度の未収金の回収については、四十六年度ですね、これはやはり過去よりも一歩後退をした。数字からいえば、そう言わざるを得ないと思うのですね。
 四十七年は、それはまあ見込みが低かったのかしれませんけれども、そういう点どうなんですか。やっぱり四十六年は一歩後退をした。四十七年も、その差が近づいてきたというけれども、受信料未収金の中でいわゆる欠損引き当て金のパーセントがどうなったかということとも関連してくると思うのです。ちょっと質問がややこしくなりましたけれども、ひとつ答弁のほうは明快にお願いします。
#166
○参考人(斎藤清君) お答え申し上げます。
 まず引き当て金の立て方、これは過去実績によるものでございますが、これの立て方によって欠損処分額と回収実績との間の差額が詰まるというような関係、これは先生御指摘のとおりでございます。
 で、実際に総体をつかみます上で最も便利な方法でお話を申し上げますと、単年度だけにとらわれずに二年間を通算しまして、総体の収入の中で欠損として落ちたものがどうか、こういう角度でつかまえますと、総体の成績がそのままわかるというふうになろうかと思います。
 その意味で申し上げますと、最初に営業担当からもお答えいたしましたように、四十五年度分の総体の欠損の額は十億七千九百万円で、これが営業担当から申し上げた一・一九%という数字になります。別な言い方をいたしますと、九八・八一%の収納があがっているということでございます。そして四十六年度はどうかと申しますと、総体に対する欠損処分額は十億九千三十九万九千円でございまして、これの率は一・一〇%でございます。すなわち四十五年度よりも、四十六年度分の四十七年度末までの実績は〇・〇九%向上いたしておるということが、この二年間の比較においては申し上げられるわけであります。
#167
○塩出啓典君 わかりました。
 そうしますと、いずれにしても四十六年度は四十五年度よりは一歩前進をしている。四十七年度分についてはまだ四十八年度で未回収が終わっていないわけですから、それは言えないわけですね、その点は了解いたしました。
 それで、私たちは負担の公平という立場から、やっぱり納めるべきものは納めてもらわなければいかぬ。しかし納めなくてもいい人が納めなければならぬようになっても、これはいかぬわけでございますしね、そういう点で、いわゆる契約をしながら納めないそういう人の内訳がどうなっているか。
 これは今年三月のNHKの予算のときにも、森先生の質問に吉田さんが答えておるわけでありますが、この未収金の内訳、たとえば航空機騒音による難視聴のために納めない、それからいわゆるビル陰障害、ビルができてうちはテレビが見えないんだから納めない、そういうような理由、それから経済的に非常にお金がなくて納めることができないというそういう人、それからいわゆる無理解ですね、うちはNHKを見てない、民放しか見てないんだからNHKの受信料を納めないんだ、そういう人もいると思うんですね。それから、先ほども申しましたように、いわゆる住所がわからなくて取るにも取りようがない、そういうような理由があると思うんですけれども、そういうようなのはNHKとしてはおそらくコンピューターシステムでやっておるわけですから、そういうコンピューターの未収の項目を分類してやれば正確にわかると思うんです。
 私は七まず一つは、そういう未収の内訳について、事こまかにコンピューターを利用して分析できるような体制になっておるのかどうかという点がまず一つ。もしそうなっているならば、さっき述べたような理由による世帯数というのは一体どの程度なのか、これをちょっと御報告願いたい。
#168
○参考人(吉田行範君) ただいま塩出先生の御質問の意味できわめて正確に分類してどれが何件というのは、ちょっと不可能でございます。
 というのは、これらの理由が入りまじっているものが非常に多いことと、もう一つは、ある時点において三十万なら三十万というのが次の時点には解決していってまた新しいのがふえるというふうに、非常に実態が把握しにくいわけでございまして、私どもが航空騒音とかいろいろなふうに大まかに分類いたしておりますのは、実際に受信者の方々に接しているうちの受信料の取り扱い人の報告に基づいて分類しているわけでございまして、これをさらに分析するというのは非常にぼくはむずかしいのじゃないかと思います。
 それからもう一点、ただいま御質問の何件あるかということにつきましては、昨年度末つまり四十七年度末現在で三十五万余りでございます。
#169
○塩出啓典君 そうしますと、吉田さんが答弁されているのでは、四十七年度上半期の九月末、これは三十二万九千だと。航空騒音による難視聴は三万五千、それから新幹線その他の問題もあるが、受信障害による難視聴が二万三千、それから無理解というのは五万六千、あとの二十万余りは経済的な理由、面接不能、留守とかそういうようなのを合わせて三十二万九千だとおっしゃっているわけですね。
 ところが、私これはNHKからいただ春ました資料でございますが、昭和四十七年三月二十三日新谷寅三郎委員から要求のあった日本放送協会から出している参議院逓信委員会提出資料、これの六ページを見ますと、四十六年度上半期末においてはいわゆる航空騒音による難視聴は一万二千になっているわけですね、ところが一年後には実に三万五千にふえておる、まさにふえ方が急であります。受信障害等による難視聴も一万二千であったのが二万三千と一躍一年間に倍増しておる。その他恒常的な不在等が十二万四千、あるいは支払い遅延の契約者数が十二万四千、そういうわけであまりにも一年間に増大が激しい。
 私は先般の予算のときにもNHKのいわゆる難視聴の世帯が幾らかという質問をいたしましたところが、これもいままでは難視聴世帯は四十七年末四十七万と言っていたんですね、四十六年末に六十二万、四十七年末に四十七万世帯、辺地難視ですね、ところがこれが一躍百十七万にふえておる。
 そういうことでこのあたりを期してNHKの報告というものは一躍みな変更しているわけで、どうもNHKの国会で答弁をするデータというのはその場限りの、適当に言っておけばいいんじゃないかと、非常に根拠の薄い推定みたいな数字を言っているんじゃないか、そういう気がしてはなはだ理解に苦しむわけですけれども、なぜ一年間にこのように数字が変更したのか、そのあたりを説明願いたいと思うのです。
#170
○参考人(吉田行範君) ただいま塩出先生御指摘の初めの二点についてお答えいたします。
 御指摘のとおり、航空騒音による滞納といいますか、それは激増しているのが事実でございますこれは伊丹空港を中心にしていろいろの運動が現在起こっておりまして、その結果これだけふえたというのが実績でございます。
 それからもう一点につきましては、これはやはり新幹線の障害とかそれからビル陰の問題、これではっきり数字がふえてきている。私どももこれが非常にふえたということをはっきり自覚しているわけでございます。
#171
○塩出啓典君 そうしますと、この資料では四十三年度は航空騒音一万七千、四十四年度一万五千、四十五年度一万五千――もちろん発生件数と解決件数があって、その差し引きが一万五千。ところが四十六年度上半期では発生件数三千件で解決が六千件で一万二千、かなり解決のほうが努力して、むしろ発生件数よりも解決のほうが多いからそれで一万二千、こうなっておる。
 ところが四十七年度においては発生件数のほうがはるかに多くて解決の件数のほうが少ない。受信障害等による難視聴、これは新幹線のことですが、そちらのほうも発生件数が多くて解決件数のほうが少ない、そのアンバランスが非常に大きくなって看ておる、そういうわけで難視聴が非常にふえてきておる、そう理解していいわけですか。
#172
○参考人(吉田行範君) おっしゃるとおりでございます。
 ことに、航空騒音につきましては、いろいろ地元で問題がございまして、これの解決については非常に難航しているというのが実態でございます。
#173
○塩出啓典君 それで、私は、そういう航空機の騒音によってテレビの画像が見えなかったりあるいは聞こえない、そういうことで納めないというそういう人の気持ちもわかるし、それをやはり解決していかなければいけないと思うんですね。
 ということは、四十七年度以降において極端に発生件数がふえたとすれば、その解決の体制もより一そう強固にしていかなければ受信料の未収金というものはふえる一方ではないかと思うんですが、それに対してNHKとしてはどう対処していくのか、いままでのやり方と同じではますますふえていく一方ですから、それを減らしていくにはいままでのやり方より一歩前進したやり方をしていかなければいけないと思う、それはどう考えておりますか。
#174
○参考人(吉田行範君) それらの点につきましては、大阪の近畿本部を中心にして人間的にも大量の投入を行なっておりますけれども、ただ、この飛行場周辺の騒音の問題というのは、NHKだけの力をもってする解決の方法には限度がございまして、極端に申しますと飛行場が引っ越さない限りはどうにも解決がつかないという部分が大部分でございます。
 つまり、私どもとしては、いろいろなことで絵がちらつくとか、そういうことについてはアンテナ対策とかいろんな方法を技術的な力を動員していたしますけれども、音がうるさくて聞こえないというのは防ぎようがないわけでございまして、NHKとしては、音を防ぐモデルハウスというようなものを私どものほうの専門家がいろいろくふうしてつくって、こういう家をおつくりになれば比較的音は防げますというようなことはできますけれども、しかしその空港周辺の被害を受けている何千、何万の世帯に対して、NHKがその家を全部そういうふうに建てかえてあげるということは実行上不可能だと思いますので、そこでこの空港の問題はきわめて解決がむずかしいということを先ほど申し上げたわけでございます。
#175
○塩出啓典君 そうするとお手あげということですか、NHKの会長にお聞きしたいんですけれどもね、それはもうやむを得ないと、NHKとしてはもうお手あげだと、そういうことですか。
#176
○参考人(小野吉郎君) 事態を非常にそのように悲観視いたしまして、これはお手あげで処置なしと、このようには考えておりません。
 ただ、いろいろ現地には現地でいろんな事情がおありだろうと思います。そういうことでなかなか収納に至らないのでありますけれども、これはやはりもみ手のみによるいろんな折衝交渉だけでは問題は解決しないと思います。そのような事態が起きますもとには、騒音に悩まされて十分にテレビを享受することができないようなものもあろうかと思います。あるいはこれが地域的にはどこでという区切りが非常にむずかしいわけでありますけれども、たとえば伊丹市あたりは全市あげてのような運動になっておりますが、行き過ぎもあろうかと思います。
 そういう面から、実際の実態が、どこが処置するかは別といたしまして、ほんとうにそのように受信料支払いを拒否しなければならないような納得できる実態があるかどうかをNHKも把握いたしまして、そのために原因者責任主義を貫くんなら、そのように関係のところに向かって行動を起こすということを片面といたしまして、行き過ぎの面については、これは騒音に籍口した行き過ぎの支払い拒否である、こういう面についてははっきりと反省を促すような行動をとるべきじゃないかということを私も就任いたしまして指示いたしております。そのようなことがどこまで現実に効果を生みますかどうですか、やはりものは努力してみなければならないと思いますので、そういうことで今後努力をしてまいりたいと思います。
#177
○塩出啓典君 そうしますと、航空機の騒音が四十六年から四十七年の一年間に徐々にはふえているでしょう、しかしおそらく飛行機の便数にしても一躍二倍になったわけではない。新幹線の建設も進んでおるが、一躍一ぺんに二倍できたわけではない。おそらくある一定の傾向で伸びてきているわけです、それは多少加速度されるとしてもですね。
 ということは、このように急激に一万二千件が実に三万五千、三倍にもふえたということは、結局、いままでは航空機でやかましくてもがまんして納めておった人が目ざめて、これは納めるわけにはいかぬと、そういう一つの住民運動の成果としてこのように急激に伸びたと、そう判断していいわけですか。
#178
○参考人(吉田行範君) おっしゃるとおりでございます。御指摘のとおり、騒音が倍になったということでは必ずしもないわけでございまして、それが一種の政治問題化して、いろいろ住民運動とか、そういうことに発展しつつあるわけでございます。
 ただ、もう一つ、新幹線につきましては、これは国鉄当局等と協力して、このほうはまだ防ぐ余地がいろいろ残されておりまして、共同アンテナを立ててテレビを見やすくするとか、そういうことは十分に努力しておりますし、そういう面では飛行場周辺よりは新幹線のほうがずっと解決がしやすいということでございます。
#179
○塩出啓典君 そうしますと、四十六年度上半期末の航空機騒音による難視聴、それから受信障害等による難視聴が四十七年度の上半期において急にふえましたね。それを地域別にどこが急速にふえているのか資料として御提出願いたい、これをお願いしたいと思うのです。
#180
○参考人(吉田行範君) はい。
#181
○塩出啓典君 それと、これは郵政大臣にお聞きいたしますが、そういう未納の人たちがふえているということは、これはやっぱり無視できない問題であると思うのですね。これは住民の皆さん、国民から見て納得のできる一つの基準を設けていま自衛隊の基地周辺等には半額免除とか、そういうような点もあるわけでありますが、民間航空等にはそういうものはない。そのあたりもわれわれから見れば、これは自衛隊であろうと民間機であろうとその違いはないわけですから、そういう点で納得のいく一つの線をきめて、受信料免除のワクを拡大するという、そういう点が一つ。
 それからもう一つは、一番大事なことはそういうような受信障害のないように、新幹線の場合であるならば国鉄当局あるいは運輸省、まあ航空機の場合もこれは運輸省になるわけですけれどもねそういう点に対して郵政大臣としても積極的に働きかけて、そういうような意味における受信障害のないように――払わんでいいものは払わんでいい、払うものは払う、そのあたりをやっぱり法治国家として私ははっきり納得できる線を出して、きちっとすべきじゃないかと思うのですけれどもね。何か払わぬ者は払わんで得するんだ、まじめに払っている人は払って損するのだ、これではやはり非常に不公平だと思うのです。以上の二点について郵政大臣の考えを聞いておきたいと思うのです。
#182
○国務大臣(久野忠治君) 御趣旨の点につきましては、十分配慮いたしまして、将来検討さしていただきたいと存じます。
 最初の、受信料の免除基準を何か設定してはどうか、改定してはどうかというような御意見でございました。この点につきましては、現在一定の基準が設けられまして、これに基づいて運営をされておるわけでございますが、しかし、この基準を拡大するということにつきましては、十分実情を調査の上、検討さしていただきたいと思うのでございます。
 それから電波障害その他、障害によりまして未収受信料が大幅にふえつつあるということは、まことに私も遺憾に存ずる次第でございます。NHKにおきましては、受信料の徴収について特に努力は払っておられるわけでございます。受信料制度の基本であります受信者相互の公平な負担という点からも、私は憂慮すべきことでありますから、NHKにおきましてはこの点に特に留意して、受信料の徴収に格段の努力をしてもらいたい、かように考えておるような次第でございます。
#183
○塩出啓典君 そうしますと、受信料免除の範囲については、さらに検討を進めていく、そういうことですね。
 それから、そういう航空機騒音あるいは新幹線等による受信障害の解決については、やはり郵政省、NHKともにもっと確固たる姿勢で臨んでもらいたいと思うのですよ。
 というのは、原則は原因者負担という原則でありながら、実際は、新幹線の受信障害等についてはかなりNHKからも金を出している。これはまあだんだんその割合は減っているけれども、現在でもかなり出している。これはものごとの性質からいって、そういうものは出すべきところはちゃんと出さなければいけない。そしてある面からいえば、受信料をもっと下げるとか、これがやっぱり私は負担公平の原則からいってもものごとの道理じゃないかと思うのですね。NHKが国鉄や運輸省がやらないからといって費用を負担するということは、私はこれは筋からいっても一歩後退じゃないかと思うのです。だからといってNHKがあれは運輸省のことだからというので全然無責任に逃げてしまうその姿勢はよくないにしても、根本の姿勢としては、そういう姿でなければいけないと思うのですね。そういう点について郵政大臣はどう考えるのか。
 私は、郵政大臣は田中内閣の閣僚として国民に鮮明な電波を確保するために、各省に対してもっともっと強硬にこれを主張していかなければいけない、そう思うんですけれども、そういう点はどうでしょうか。
#184
○国務大臣(久野忠治君) 午前中の質疑にもございましたように、難視聴対策につきましてはいろいろの原因があるわけでございます。行政措置といたしまして、原因者負担の制度でこれがある程度カバーされておることは御承知のとおりでございます。
 ただいま新幹線の電波障害についてお話がございました。これはさきの予算委員会の際にも同様の質問がございまして、この点についてなお国鉄当局のひとつ努力を期待する旨私は答弁をいたしたのでございますが、その際国鉄総裁は国鉄は赤字で悩んでおることであるから、ひとつNHKさんに助けてもらいたいというような答弁がございました。私はたいへん遺憾に思っておる次第でございまして、やはり国鉄自身が原因者でございますから、国鉄が中心になってこの電波障害について抜本的な解決策を考えるべきではないか、かように思っておる次第でございます。
 さらに、午前中の御質疑にも事務当局からお答え申し上げましたように、この電波障害を起こします原因につきましては非常に複雑な要素が今日含まれておるわけでございます。この原因を究明し、さらにそれに対する対策を考究するために調査会を設けることにいたしまして、ただいま検討中でございますので、できる限り早くこの調査の結論を得まして、その結論に基づいて対策を講じたい、かように考えておるような次第でございます。
#185
○塩出啓典君 こういう難視聴がふえるということはもう前々から予想されて、この委員会においても幾たびか問題になったわけでございまして、われわれからすれば、いまごろから調査会を設けて、また新たなる立法措置を考える、そういうのは非常におそきに失するように思います。
 しかし、これはいずれにしても、すみやかに一人一人の個人を電波障害から守るために確固たる処置を、できるだけ新幹線等にしても法的に庶民を守る道を早くやらなければいけない、このことを要望しておきたいと思います。
  〔委員長退席、理事古池信三君着席〕
 それで、いま未払い、不払いの問題をいろいろ御質問したわけでありますが、やはりそういう未払い、不払いの防止につとめるとともに、いわゆる契約者の普及、開拓、なかんずくホテルとかそういうような非世帯の契約をやっていかなければいけないと思うんですね。これについては四十八年度の予算編成以降マスコミにも多く取り上げられてきている問題でございますが、こういう問題についてはNHKとしてはどういう努力をし、いま成果があがっているのか、それをお聞かせいただきたい。
#186
○参考人(吉田行範君) いわゆる非世帯につきましては、いろいろ国会でも御意見をいただきまして、私どもも鋭意努力をいたしておりまして、現時点で申し上げますと、全国の放送局あるいは営業所に非世帯の基礎となる資料を全部配付いたしております。それと同時に、全国的に共通して重点目標とするもの、たとえばただいまもお話がありましたようなホテルとかあるいは役所とかそういうもの、それから各地域ごとに特殊事情によって重点を置くもの、そういうふうに分けていろいろ指示をしております。
 で、ただいま現在で申し上げますと、御承知のとおり、予算の時点におきましては四十八年度中に非世帯を三万ふやすという目標でございましたが、五月の下旬においてすでに六千余りの増加を見ているので、これから推定いたしますと年度末にはおそらく三万をずっとこえるであろうというふうに考えているわけでございます。
#187
○塩出啓典君 ひとつ会長に要望しておきますがNHKは弱い者から取り立てて強い者から取らない、そういうようなことも先般ある新聞に載っておりましたけれども、そういうような批判を受けるということはやはりNHKの放送の中立性という点からも非常に好ましくない。
 そういう点で、そういうことの絶対ないように取るべきところからひとつ厳重に取ってもらいたい。免除すべきところは、向こうが払うと言っても、もう払わんでもよろしいと、その辺をはっきりしてやってもらいたい。この点を要望しておきます。
#188
○参考人(小野吉郎君) お説ごもっともと思います。特に、非世帯の関係につきましては、弱いところからは取り上げるけれども、強いところには手が出ないというようなことがあっては受信料負担の公平を期するわけにはまいりません。ひいてはこれは受信料制度が崩壊するもとにもなろうかと思います。まことにゆゆしい問題だと思います。
 ただ、非世帯の問題について、世帯以外に独立して非世帯として徴収することがいいかどうか、可能かどうか、この点については現在の非世帯基準について再検討を加える必要があると私は考えております。
 と申しますのは、放送法第三十二条によりますと、NHKの放送を受信することのできる設備を設置した者はNHKと契約しなければならない。後段の条文には、それによってきめた料金は郵政大臣の認可なくして減免してはならないということになっておりまして、巷間おれには支払い義務がないとかどうとか、いろいろな論議を呼んでおるようでありますけれども、法律の全体解釈からいえば契約しなければならない、しかも減免してはならない、こういうことがあれば支払いの義務があるのと同様だと思います。
 ただ、そこにはNHKの放送を受信できる設備を設置した者はとありますことは、その裏には、現実に聞かれるであろう状況を想定しての規定だと思います。全然聞かれない、聞くことのできない、ただ受信機を設置したからということでこれが契約対象になり、支払いを強要するということになりますと、受信料制度に対する十分な協力を得るゆえんではないと思いますので、そういった面から申しまして、もう世帯と区別のつかないような非世帯、これも今日非世帯と観念しておりますけれども、そのようなそれは世帯でももらい、また非世帯だからということでそこでも取るということは、これはやはり支払う側の住民感情としては非常に反発を買う問題があろうと思います。そういう面から見れば、非世帯概念なるものをもっと明確にする必要があろうかと思います。
 たとえばホテル、旅館等の状況から申しましても、あるいは妥協によって何割払ってもらえばいい、設置台数の何割をもらえばいい、これはいけないということをおしかりを受けております。一般的にそういう原則をとりますことは当然だろうと思いますけれども、あるいは季節的なお客の利用の状況にある旅館等においては、一定期間には設置してあっても全然利用しないというようなものもあろうかと思います。またしょっちゅう満席でなくてある程度の空席がある、こういうような実情もあろうかと思います。そういう面は個々にケース・バイ・ケースでそういう実態に即して、設置台数全部でなく、そのうちのある程度の割合が妥当だということになれば、放送法三十二条の設置し、しかもそれが聞き得る状態、また現実に聞かれるであろう、こういうことを前提にした契約の把握、こういう面をすることが私は非世帯契約に対してとかくのいろいろな非難、論議を受けることを避け得る道ではないかと思いますので、こういう面を今後十分に検討してまいりたいと思います。
#189
○塩出啓典君 ただいまの会長の御趣旨は私も当然だと思いますし、そういう点やはりはっきりさして、NHKは何か借金取りみたいに非常にがめついという印象を与えてもいけないわけですしその点は実情に照らして、国民の納得のできる一つの基準を設けて、それをひとつやってもらいたいと思います。
 それから、沖繩関係が非常に契約、収納ともによくない、そういうようなことを聞いておるわけでありますが、その実情がどうなっているのか、特に本島と離島との違いがどういうふうになっているのか、それがわかれば教えていただきたいと思います。
#190
○参考人(吉田行範君) ちょっといまこまかい資料を持っておりませんので、私の記憶した範囲でとりあえず申し上げます。
 沖繩につきましては、復帰以後、NHKとしても営業対策に非常に大きな力点を置いておりまして、同様の県と比べては大体倍近い営業関係の人間を配置してやっておるわけでございます。そのためかどうか、私どもが期待していたよりは契約率はいいようでございます。四十七年度のカラーの契約も、私が十月以降一万程度と考えておりましたのが二万ぐらいの契約増になっております。
 ただ、沖繩の問題は、収納率がきわめて悪いということでございまして、先ほども申し上げましたように、本土においては――いま本土ということばはもう使いませんけれども、つまり沖繩以外の他府県においては九〇数%、九九%近い収納率でございますけれども、沖繩の場合は四七%強というふうな実情にありますので、この収納の面においてさらに一そうの努力をして、できるだけ早く他府県並みに近づけたいということを考えているわけでございます。
#191
○塩出啓典君 私は先般もいろいろ質問したわけでありますが、沖繩のいわゆる離島については、NHKは総合放送しかない、一本しかないわけですね。特に離島等においては教育の効果、テレビの効果という点から考えれば、やはり教育放送を早く充実すべきである。ところがNHKは離島においても教育放送より前にテレビのカラー化を促進している。これはあまりに――カラー化になればテレビ屋さんはカラーになってもうかるし、NHKも受信料がふえるわけですからね、そういう姿勢はあまりにも利益本意の考え方であって、一刻も早く離島における総合、教育の二放送化を実現すべきである。
 これについては、前田会長は時期を早くするように検討するというようにこの逓信委員会でも答弁いただいておるわけですが、特に離島は受信料も沖繩本島と同じですね。だけれども放送の内容においては大きな格差がある。放送の内容に格差がありながら受信料は同じである。これでは私がもし離島にいても払う気になれないと思うのですね。沖繩の受信料の収納率を上げるためには、やはり放送サービスというものも早く上げていかなければいけないと思うのですね。そういう点で、沖繩の離島における教育テレビの実施開通の時期というものは、当初の予定より早くなるのかどうか。
 それと、そのための一つの前提条件として、沖繩本島と離島とを海底ケーブルで結ぶ、これはいろいろ公社等においても研究はしていると思うのですけれども、この見通しはどうなのか、予定どおり進んでいるのかどうか、あるいは少しでも早くできる見通しがあるのかどうか、このあたりをお聞きしたいと思うのです。
#192
○参考人(小野吉郎君) お説のとおり、離島に対しましてはサービスの度合いは本島より劣っております。しかも同額の受信料をいただいているわけでございます。にもかかわらず、徴収の成績から申しますと本島よりも離島のほうが成績がいいようでございます。この御協力にこたえる意味から申しましても、先生御指摘の教育テレビ、これを当初の計画よりも繰り上げて早期に実施する必要があろうかと思います。
 現在の総合テレビの関係は、あるいは衛星あるいは海底のケーブルがなければ同時放送はできません。教育放送こそ箱詰めにしてやっても十分効果をあげ得るものだと思います。そういうような面から前田会長がお約束をいたしましたとおり、これは計画をできるだけ早く切り上げて教育テレビを実施できますように検討してまいりたいと思います。
#193
○塩出啓典君 これはひとつ郵政大臣にも、離島の教育の格差をなくするという点からも非常に大事なことでありますし、そういうことこそ採算を度外視してやるのがNHKのNHKたるゆえんじゃないかと思いますので、そういう点はひとつ郵政大臣としても今後とも厳重に気を配って、一刻も早くできますように、ここでいま会長も早めると言われたわけでありますが、ただ答弁だけではなしに、実際にそれが結果の出るまで責任を持ってやってもらいたい、そのことを大臣に要望します。
#194
○国務大臣(久野忠治君) 御意見まことにごもっともだと存じます。御趣旨の点を十分生かすことができまするように、私たちといたしましても、今後ともNHKの努力に期待すると同時に、また郵政省として考えるべき点があれば検討させていただきたい、かように考える次第でございます。
#195
○塩出啓典君 次に、いままでは取り立てというんですか、受信料を納めてもらうほうの問題を質問したわけですが、今度はいわゆる免除のほうですね。これは四十五年度におきましては重要施策の一つとして免除範囲の拡大措置がとられたわけですね。
  〔理事古池信三君退席、委員長着席〕
 それでNHKといたしましては、この実施状況がどういう状況であるか、それからまたどういう理由から免除範囲の拡大措置をとったのか、これをお聞きしておきたいと思います。
#196
○参考人(吉田行範君) 四十五年度に御指摘のとおり免除範囲を拡大いたしました。
 この拡大した内容は、全額受信料免除につきましては、社会教育法上、公民館などと同等の取り扱いを受ける青年の家、児童文化センター――つまり従来公民館は免除していたわけでございますから、同等の取り扱いを受けるものに対して拡大した、そういう意味でございます。それから社会的経済的な特殊事情に照らして、老人ホーム、母子寮などの社会福祉事業施設に入居している方々及び市町村民税非課税の重度の精神薄弱者、こういう方々に対して新たに全額免除を拡大いたしました。
 それから半額免除につきましては、やはり社会的経済的な特殊事情に照らしまして、重度の肢体不自由の方及び重度の戦傷病者の方、これらの方々に対して半額免除の措置をとったわけでございます。
 なお、それ以外には、すでに現時点においては一応解決しているわけでありますけれども、いわゆるジェット航空機の大型化、そういうふうな騒音対策、そういうことに伴いまして基地周辺の受信者について、従来一キロ−二キロの範囲で免除していたものを一キロ−五キロの範囲に広げたということがございます。また、それとあわせて射爆場周辺の受信者に対しても半額免除をするようにいたしたということがございます。
 毎年、これらは数としてはふえておりますが、ただいま御質問の点に関しましては、免除件数が全額免除につきましては二十一万七千、それから半額免除については三十四万六千。ただし、ただいま申し上げた拡大したという点につきましては全額免除で千七百八十一、それから半額免除で七万という数でございます。これは四十五年のことでございます。
#197
○塩出啓典君 NHKからいただきました、郵政省の四十五年三月三十一日、日本放送協会放送受信料免除基準の一部変更について、これは新聞資料として出しておりますが、それによりますと、いわゆる免除による拡大分として全額免除は一万五千件、半額免除が十万七千件、合計十二万二千件の免除の拡大をする、このようになっておるわけであります。
 その実施状況でございますが、私の調査によりますと、たとえば重度の肢体不自由者の半額免除につきましては一万一千件ですね、ところが二千七百二十六件しか半額免除が行なわれていない。あるいは全額免除の社会福祉事業施設入居者等は九千件の予定でありながら、実際には一千五百二十七件、これはもう六分の一であります。それから市町村民税非課税の重度の精神薄弱者は五千件の予定でありながら、実際に免除されたのは八十八件、これなどは実に一%余りしか行なわれていない。社会教育施設も予算は千件でありながら、実際には百六十六件。
 こういう半額免除、全額免除の拡大をされながら、それが周知徹底をされていないではないか、私はそのように思うわけでありますが、なぜこのようにせっかくの制度がありながら、それが適用されていないのか、これは最初の予定が間違っておったのか、PR不足でこういうふうになってきたのか、その点はどう考えていますか。
#198
○参考人(吉田行範君) ただいまの御指摘の点は私も最近痛感している点であって、ただ誤解のないように申し上げますが、このやり方は、それぞれの厚生省あるいは社会福祉の事務所あるいは役場、そういうところで証明書をつけてお届けになるという規則になっておりまして、そういう手続をある方々についてはとるのを好まれないという実態もあるようでございます。そういう人たちからは、しからば受信料を取っているかといえば、決して取っているわけではございません。実態的には免除になっているわけですけれども、手続をされてない。
 この前、いま思い出したんですけれども、予算のときに塩出先生が御質問になって、社会福祉関係の数がふえたのはどういうわけかと、そのとき私は、学校関係それから公民館関係、そういうのがふえたんだと、しかもそれの中の大部分は従来も免除になっていたんだけれども、その手続をされてなかった、それがはっきりした形で手続をしていただいたんだというふうにお答えしたと思いますが、そういうことでございます。
 したがって、私どもとしても、せっかくこういう制度がございますし、それからいまお話がございましたPRの関係につきましては、ラジオやテレビでいたしますと同時に、そういう社会福祉関係を取り扱っていられる事務所とか役場とか、そういうところへは私ども毎年十五万部ぐらいの解説書をお送りして、ぜひそういう手続をおとりになるようにということを毎年やっているわけでございます。
#199
○塩出啓典君 そうしますと、いまの話では、この数字では目標よりは非常に少ない、予定はいま言ったように重度の精神薄弱者は五千件あるであろうというのを八十八件しか免除になっていないけれども、これは手続をしたのが八十八件で、実際はもう免除になるべき人は全部納めてないんだと、そう言われるわけですけれども、そう言う根拠は何なのか、実際に調査してみたんですか。五千件のうち八十八件だけが手続して、あとの四千九百十二件は手続はしないけれども受信料は払っていないんだと、そうあなたが言われる根拠は調査の結果に基づいたことなのか、そこはどうなんですか。
#200
○参考人(吉田行範君) 大部分につきましては、それぞれの所管のお役所と申しますか、そういうところで当たって調べることができますけれども、数の上で、厚生省などで認めていらっしゃる方でどこにいるかわからないという実態もございます。したがって、いま先生の御指摘のように、全部そうかとおっしゃられると、しまいのほうは若干必ずしもそうでないんじゃないかという気もいたします。
 ただ、先ほど、私も最近はそういうことを考えていると申し上げたのは、先方からの届け出を待つのでなくて、こちらからさがしにいって、無理にというとぐあい悪いんですけれども、そういう手続をしてもらったらどうかということを考えているわけでございます。
#201
○塩出啓典君 だから、結局、結論的に言えば、吉田さんがいま言われたように、免除を受けるべき人は全部納めていないのではなくて、そういう中にも知らないで納めている人もいるということは当然考えられるわけですから、そういう点はひとつよく徹底をしていただいて、こういう基準がきまった以上は、一人も漏れなく、納めなくていい人は納めなくていいように、はっきりしなきゃいけないと思うんです。そういう点のひとつ努力をしてもらいたいと思う。
 それで、テレビでもそういうのをやっていますか。たとえば生活保護を受けている人は受信料を払わなくていいんだというようなことをテレビで宣伝したことはあるんですか。
#202
○参考人(吉田行範君) テレビ、ラジオでやっておりますけれども、もっとひんぱんにやらなきゃいかぬと、いま私が申しましたような施策の観点からもやらなきゃいかぬと思いますし、私どもの事務処理としても、そういう方を契約はしていられるけれども免除しているということをはっきりさせる必要があるということを痛感しておりますので、そういう観点からもぜひそういうことを活発にやりたい、そう考えております。
#203
○塩出啓典君 そういうのをテレビで徹底するというのは、大体、年間に何回ぐらいやっているのですか、いままでは。
#204
○参考人(吉田行範君) 年間何回とおっしゃられますと、テレビ、ラジオではおそらく年間五回とか六回とか、そういうしかるべき季節というのはおかしいんですけれども、しかるべき場合に、何かに結びつけてやっている。
 ただ、先ほども申しましたように、そういう事務を取り扱っておいでになるそういう当局に対しては、印刷物で毎年勧奨しているわけでございます。
#205
○塩出啓典君 厚生省の方もお見えになっていると思います。
 たとえば、いわゆる生活保護を受けている人はもう受信料免除になっていますね。先ほどの未納の方の中にはだいぶ経済的に困っている方もかなりいらっしゃるわけなんですよ。そういう点で、確かに現在日本全体で生活保護を受けている数と、NHKが生活保護を受けているからという理由で受信料を免除している数には、大きな差があるわけですね。
 そういう点から、私は、そういうのが不徹底で、本来免除になるべき人が知らないで契約をして払わなければならぬようになっている。ところが生活が苦しいためになかなか払えない。それは結局未収の中に入っていく。考えてみれば、非常に矛盾していると思うんですね。そういうような点が非常にあるんではないかということを心配しているわけですけれども、これはそういうような点、厚生省としても、徹底しているのかどうか、その点はどうなんですか。
#206
○説明員(山崎卓君) 老人福祉課長でございますので、生活保護あるいは児童の関係全般的について必ずしも詳しくございませんので、恐縮に存じます。
 例の免除基準の一部改正の行なわれました四十五年には、社会局長並びに児童家庭局長名をもちまして、各都道府県知事並びに指定都市市長あてに、改正の趣旨並びにその周知徹底方について通達をしております。
 なお、そういうような周知徹底が行き届いていないということの御批判もございますれば、今後とも十分に努力してまいりたい、かように考えております。
#207
○塩出啓典君 いまの点については、NHKとしてはどう考えていますか。たとえば生活保護を受けている人の受信料免除というのは、かなり徹底していると考えているのかどうか、その点どうなんですか。
#208
○参考人(小野吉郎君) NHKといたしましては今日、あらゆる機会をつかまえまして、そのような基準を設定をいたしておるのでぜひ御利用願いたい、このような呼びかけをいたしております。
 これは先ほど吉田理事からお答え申し上げましたとおりでありまして、ただ、非常に端的にわかりやすいテレビの画面を通じてそれを訴えるのはそう回数が多くないことはまことに遺憾と思いますけれども、所在の事務取り扱いの機関には、そのような面についてぜひ御勧奨を願いたいということは、相当に努力をいたしておるつもりでございます。
#209
○塩出啓典君 そういう点は、取るべきところから取って、払わんでいいところはやっぱり払わないでいいようにちゃんとしていただかないと、NHKは取るほうばかりに力を入れて、免除するほうはいいかげんだと、それではあまりにもよろしくないと思うんですね。そういう点、ひとつ慎重にやってもらいたいと思うんです。
 それで、いま非常にお年寄りの医療の無料化、あるいはまた電電公社のほうではお年寄りの方々に老人用の電話の設置とか、そういうようなこともいわれているわけでありますが、お年寄りだけしかいないような世帯、あるいはまた年寄りと子供だけしかいないような世帯、そういうようなところもやはり受信料を免除するとか、これは当然国自体がお年寄りに対するあたたかい施策をしていかなければならないそういう時代でございますので、当然、私はそういうことも考えていくべきではないか。これは郵政大臣にお聞きしたいと思うんです。それが一つですね。
 それともう一つは、私は、こういう経費の負担をNHKが――非常にカラー化が進んで財政が豊かだからといって、先ほど新幹線の難視聴の解消にも、本来国鉄が担当すべきところをNHKが負担していく。今回のこういう社会福祉の人たちに対する受信料の免除は、本来、厚生省が出すべきものだと思うんですね。
 国鉄の法案がいま問題になっておりますけれども、国鉄等においても、いわゆる学割とか通勤の定期とかあるいはいろいろな物資の輸送の割引を全部国鉄の負担のもとにやってきておる。それはやはり本来の原則からいえば、学割であれば文部省が担当する、通勤定期であれば労働省が担当するとか、これがやはり本来の筋であって、NHKとしても、いまはそれは財政的にも放送会館を売っていいかもしれませんけれども、長い将来を考えた場合には、そういう点の費用はやはりしかるべき省庁が担当すべきであって、NHKがそれだけの財政の余裕があるならば、すべからく受信料を安くするとか、カラー化が進んでくればもう白黒のほうは受信料をただにするとか、そのようにいくのが私は筋ではないかと思うんです。
 そういう点で、いままでのNHKのあり方はあまりにも本来の筋からはずれているような、ほかの省の言いなりになり過ぎているような、そういう傾向があるんじゃないかと思うんですけれどもこの二点について、郵政大臣に見解を承っておきたいと思います。
#210
○国務大臣(久野忠治君) 御提案の趣旨につきましては、福祉対策の充実強化が要請されております今日、傾聴すべき一つの考え方であると私は存じます。
 しかしながら、先ほど来御議論がございましたように、NHKはもっぱら受信料収入を基礎として運営される事業体でありますから、受信料免除の範囲を拡大するかいなかについては、NHKの財政への影響及び受信料負担の公平の見地から、慎重に検討しなければならない問題を含んでいると考えております。
 受信料免除につきましては、先ほどの質疑応答を通じまして明らかにされましたとおり、現在は受信料免除基準によりまして、社会福祉施設及び教育施設等を中心として免除が行なわれているわけでございます。御提案によりますれば、老人福祉対策強化の一環として、一定の年齢以上のすべての老人世帯に対して受信料を免除し、これによるNHKの収入の減収分は国が負担してはどうかとの御意見でございますが、そのような御提案につきましては、また別の角度から検討する必要があるのではないか、かように考えているような次第でございます。
#211
○塩出啓典君 いまの後段の、NHKが新幹線のいわゆる難視聴対策に金を出す、これは本来運輸省が出すべきである、それからいま言った生活保護世帯の免除、そういうのも本来厚生省が出すべきである、それをNHKの受信料で負担をする。これは考えてみれば、どちらも国民のお金ではありますけれども、将来、そういうことでNHKの財政が非常に緊迫して受信料の値上げをすることになれば、受信料の値上げというのは松下幸之助も一庶民も全部同じように負担していかなければいけないわけですね。そういう点から、私は、今後はやっぱり受信料を下げていかなければならない、もう白黒をただにするとかですね。そうなってくると、やはりいま言った、ほかの省が担当すべきものまでもNHKがいま財政がいいからといって負担するということは、これは本来をはずれていると思うんですね。
 そういう点で、今後の方向としては、やはりNHKが負担すべきものとそれから各省が負担すべきものとはおのずとはっきり分かれるものがあるわけですから、それを混同すると、現在の国鉄のように、また運賃値上げをして、結局国民のあらゆる階層の人に平等に負担をかけていくということは、お金のある人がたくさん出して、ない人はだだにしていくというそういう原則からもはずれるのじゃないかと思うのです。そういういまのNHKのあり方をぼくは是正すべきだと、こういう主張なんですけれども、それに対する大臣の見解、これを承っておきたいと思います。
#212
○国務大臣(久野忠治君) 御趣旨の点は、私といたしましては十分理解のできるところでございます。
 やはり国がある程度の財政負担をして、そのような生活保護を受けておられますお年寄りのお方あるいは困窮者のお方、こういうような方たちあるいはまた心身重度傷害者の方たち、こういうような方たちに対しまする受信料の全額免除は国が当然福祉対策の一環として処置すべきものではないか、こういう御意見のようでございます。まことにごもっともだと思いますので、今後、これらの点を含めまして、関係諸官庁との間に十分連絡をとりまして検討さしていただきたいと存じます。
#213
○塩出啓典君 そういう点は、NHKの姿勢として、今後、ここだけでは結論の出ない問題だと思いますので、慎重にひとつ検討していただいて、また次の機会にこのことについてはお尋ねをしたいと思います。
 それから、過日、小坂長官が消費者物価情報をやってほしいと、そういうことが新聞で伝えられたわけでありますが、NHKは、こういうことをすぐやると政府がいわゆる放送に関与したと、そういうことで非常に時期を待っているような、そういうようなことを新聞の報道で拝見したわけでありますが、私は、別にそういう形式的なものではなくして、やっぱりいいものはだれが言おうとも、いいと思ったことはどんどんNHKがやっていく、これがほんとうの自主性じゃないかと思いますね。そういう点で、NHKがいろいろな各地の物価の情報を報道することはそれだけ物価安定にも役立っていくんじゃないかと思うんですけれども、こういう物価情報等はぜひともNHKの判断に基づいて積極的にやるべきである、この点はどうですか。
#214
○参考人(小野吉郎君) ただいまのお話ごもっともでございまして、いま物価の問題は国民生活上非常に大きな問題でございます。これに対しましていろいろな物価情報、国民の消費態度、その他生活上に役立つような情報は現在も放送で取り上げておりますし、将来も取り上げるつもりでございます。
 ただ、政府の要路からお話があったからそれをやるというような考えは持っておりません。NHKが自発的に、必要であるものにつきましては積極的にこれを取り上げて放送に出していきたい、かように考えております。
#215
○塩出啓典君 難視対策の問題につきまして、これは先般のNHKの予算のときにもいろいろ質問したわけでありますが、先ほども話がありましたように、いわゆる辺地難視の世帯がが然ふえてきたわけですね。四十七年度末四十七万世帯であったのが百十七万世帯にふえた。そういう点で、私は難視に対するいままでのNHKの姿勢というものが真剣でなかった、そのように思うわけでありますが、そういう点はNHKとしてはほんとうに反省しているのかどうか。
#216
○参考人(小野吉郎君) 在来、相当前の年度の推定難視世帯を冒頭に置きまして、年々経費を投じてこれを解消してまいりました。十八万解消したから、その冒頭の数字から十八万引いた残りが次の年度初頭の難視世帯、これを何年か続けてまいりまして、ちょうど昭和四十六年度末には六十二万世帯ぐらいの難視世帯があるだろうと、こういうきわめて方式化した運用をいたしておったことは事実でございます。
 その不合理であることを認識いたしまして、私が難視対策本部長といたしまして就任をいたしまして、難視の実態は年々刻々動いておるはずである、それを全然動かないものとして静的につかまえて年々の解消の数を引いたその残りが六十二万、こういったことは非常に実情と離れておるし、これでは難視対策に真剣に取り組む姿勢ではない、こういうことを指摘いたし、また当院におきましても、われわれのそういった数字に対しまして、実情はそんなものではないぞと、こういうお教え、おしかりも受けておりました。そういうことで四十七年度当初から鋭意検討をいたして調査をいたしました結果、四十七年の秋ごろには、そういう数字でなく、百三十三万の難視世帯がある。
 しかも、それは将来に向けてまいりますと、現在良視地帯でありますところにもいろいろな問題を生じてまいります。また難視地域のそれに団地その他が造成されまして、そこに住民が新たに生じる、これは難視世帯になるわけでありまして、常にそのように難視の世帯は動きつつあります。そういうような状況を見きわめながら、百三十三万のそれは四十七年度末のそれとして一応想定をいたしておりますが、将来のそれは、これがまたその推定が当たるかどうかは問題でございまして、これが実情に沿わないとなれば修正をいたさなければなりませんが、年間三万ぐらいずつは難視世帯が宅地造成等によってふえるであろう、こういうような見地に立ち、それから四十八年度中には約十九万の世帯を解消いたしますので、これが百十七万になるとかいうような計算をいたしておりますし、今後は、定型化した静的な計算の状況において満足するわけでなく、動く動態の中で難視世帯を常に把握しつつ難視解消につとめてまいりたい、このように考えております。
#217
○塩出啓典君 一番大事な難視の問題につきまして、NHKがそういうような静的な数字をやっぱりこの委員会でも述べておったと、そういうことになりますと、われわれは一事をもって万事を――NHKのこの委員会における報告は全部そういうものじゃないかと、そう疑わざるを得ないようになってまいりますので、そういう点は実情に照らして責任ある回答をしていただきたい、このことを要望しておきたいと思うんです。
 それで、第四次の長期構想では、四十七年から五十一年度まで行なって、五十一年度末にはカバレージは置局やあるいは共聴の設置により九九・五%になる、したがって難視世帯はわずか十五万ないし十六万世帯に減少する、そういうようにいままで説明をしてきたわけでありますが、当然、これも再検討しなければいけない、そういうように思うんですけれども、そのあたり、今後第四次長期構想等は検討するのかどうか、そして難視解消の長期的な計画というのはつくるのかどうか、その点はどうですか。
#218
○参考人(松浦隼雄君) 結論的に申しますと、つくります。
 五十一年までに、先生御指摘の数字で十数万というようなことでございましたけれども、これは地形的にまとまった地区を基礎にしてつくった数字でございます。これをさらに細分化すると数がふえてきたという状況でございますが、実態といたしまして現在約二十万世帯というふうに想定されますけれども、これは非常に分散された世帯――現在電波の届いていない地域に五軒六軒というふうに分散されておる世帯に対する施策というものは、五十一年になっても残るであろうというふうに想定されます。
 それ以外の地区については、万難を排して解消するように施策を進めてまいる所存でございますけれども、従来ございます置局という手段、中継局という手段並びに共聴という手段、この両方の手段の有効性というものが率直に申しまして漸次低下しております。従来は、一つの置局をすれば五百世帯とか、少なくとも三百世帯とかというものの難視が解消いたしましたけれども、現在その数はきわめて少なくなっております。一つの中継局を設置することによって解消される世帯数というものが漸次減少しつつございます。同時に、共聴についても同じような事情がございます。一方世帯あたりの単価というものは漸次漸増してまいります。そうすると、NHKが第七条のあまねく全国に受信できるよう放送するという基本目的を達成するために、いわゆる採算を度外視して進めるという点については従来どおりでございますが打つ手の効果というものが漸次少なくなってくるという事情も率直に申し上げてございます。
 そういう点から、受信アンテナの改善ということで、感度のいい、ゴーストを受けつけないようなものの開発とか、あるいはいわゆる無線共聴ということで、より微力な無線局を開発することによって効果をよりあげようという努力はいたしておりますけれども、たとえば後者におきましてはこれは幾ら微小であっても電波法上は放送局であるということになりますと、大きな局と同じような一つのいろいろな手続、あるいは民放さんとNHKとの関係というような周波数の割り当ての問題が起こってまいりまして、ものの理屈からいえばこれで解消できるところも現実にはなかなか適用できないという事情も出てまいります。そうすると、おそらく五十一年までは従来の中継局あるいは共聴という手段がやはりメインの解消手段になるんではなかろうかと思っております。
 こういう点で、従来ももちろん精神はそうでございましたけれども、ややともすればいま会長が申し上げましたような形式あるいは基準にのっとってものをやるということがございましたけれども、今後は、従来にも増して受信者の立場から受信者の要望があるところに対しては万難を排して施策をするということに、本年度、より積極的に切りかえて、五十一年、少なくとも五十一年までにかなり、先ほど申し上げた二十数万を除いて解消していきたいというふうに考えておりますがこういう努力をしておりますと同時に、都市並びに都市の周辺の宅地造成等によってまた難視の数がふえてまいります。こういうようなことをいろいろ考えますと、従来四十六年末までに九八%のカバレージを得るためにNHKが投資いたしました総額が四百三十億でございますけれども、これに相当する額を残りの数%に投入いたしてもそれだけの効果があげ得ないという事情も予測されます。
 その点から、これも万能薬ではございませんけれども、一つの難視救済の手段として放送衛星を早期に実現したいということを提唱申し上げたわけです。で、現在、宇宙開発計画というものは国が行なうという方針になっておりますので、これは直ちにNHKだけの問題として扱うことができませんし、また技術的にいかに高い周波数を使っても、これは全国放送には役に立つけれどもローカル・カバーということについてはまた別のむずかしい問題が出てくるとか、いろいろ単純な万能薬ではございませんけれども、難視解消策の将来ということを長期に見たときに、私どもとしてはやはりここにかなり抜本的な新しい方策というものを考えていかないと、単にケーブルというようなことだけでこれをやっていこうとすれば、たとえば東京都内において四十万のものをケーブルによって解消しようとしても、現在一世帯最低見積もっても五万円かかるとすればこれで二百億かかるということになります。先ほど申し上げましたように、私どもが二千数百万に及ぶ世帯をカバーするのに投資いたしました額が四日何十億であるということとの対比におきまして、やはり私どもとしてはさらに抜本的な策というものをできるだけ早期に、少なくとも数年のうちに確立しなければならないというふうに考えておる次第でございます。
#219
○塩出啓典君 四十八年度から五十年度の建設費の総額をいままでよりも百二十三億減額をする、そういうような資料をここにいただいておるわけでありますが、それに伴って難視対策において減額するようなことがあってはならないと思うんでありますが、その点はどうでございますか。
#220
○参考人(松浦隼雄君) 第四次構想におきましては、その中で総額二百十億を難視解消に投入するという予定でございましたけれども、いま先生御指摘の総額を減らした中でも、いま先ほど申し上げました総額は二百十億を上回り二百三十億程度になるというふうに考えております。
#221
○塩出啓典君 じゃひとつ最後に、郵政大臣に、過疎・過密を解消するための過疎地域対策緊急措置法の中にも処置がありますように、辺地難視の解消ということは、これはもう非常に急がれる問題でありまして、先ほど松浦さんから話があったように、これはNHKだけでは解決できない問題、国全体で推進をしていかなければならない大きな課題じゃないかと思うんですね。そしてさらに都市難視の問題、こういう問題についてもNHKだけでは解消できない、やはり国の何らかの立法措置をしていかなければできない問題でございますので、そういう問題についても、郵政大臣として、今後とも国民の立場に立って、さらに強力に推進をしてもらいたい、このことを最後に要望して、質問を終わります。
#222
○国務大臣(久野忠治君) 御趣旨の点は十分意を体しまして、今後とも努力をいたしたいと存じます。
 先ほどNHK側からお話がございましたように、放送衛星を打ち上げることによってこの難視解消の一助たらしめたいという御意見が出ました。これは前々から私たち郵政省の関係者が申し上げております点もこの一点にあるわけでございます。そのために五十一年度を目途にいたしまして、中容量の放送衛星を打ち上げたい、かように考えておるような次第でございまして、本年度その初年度分の予算が計上されておるような次第でございます。
 近く見直し計画が出まして、その計画に基づきまして、今後、五十一年度を目途にして打ち上げるという点についての検討が行なわれるやに伺っておるのでございます。この検討後、何らかの形において前進を見ることになろうかと思うのでございまして、私たちといたしましては、やはり電波障害あるいはまたは辺地における難視解消は至上命令である、これの技術的な解決の方法はいろいろあろうかと思うのでございますか、その一つとして放送衛星の打ち上げということも一つの方策である、かように考えておるような次第でございまして、今後とも皆さんの御協力、御支援を得て、これが一日も早く実現いたしまするように微力を尽くしたい、かように考えておる次第でございます。
#223
○木島則夫君 NHKを取り巻く状況は非常にきびしいということは、ほかの委員の方々からもるるお述べになったとおりです。したがって、こういうきびしい中で新会長に就任された小野さんに対して、私はおめでとうと申し上げることにやぶさかではございませんけれど、同時にほんとうに御苦労さまですねと、これから先たいへんですねというのが私の偽らぬ感想です。
 で、NHKを取り巻くなみなみならぬ状況は、この決算書からもよくうかがえるわけですね。特に都市構造の変化に伴う難視、これに対する対策、またこれから起こる聴視料の未収あるいは不払い、未払い者、未契約者の拡大の傾向、さらに経済状況の悪化の中での聴視料の値上げの凍結、これがNHKの財政に及ぼす影響など、数え上げたらほんとうに切りがないくらいたくさん難問が山積をしているわけです。
  〔委員長退席、理事森勝治君着席〕
 他の委員が質問をされた点について、私はきょうは重複を避けます。重複を避けるといって決してこういった問題を私は軽視しているわけではございません。なお一そうの努力をされるように冒頭にまず申し上げておきたい。
 ほかの委員からもNHK会長就任の決意と今後のNHKの経営方針についてお尋ねがあったんですけれど、あらためて私からこの点だけはお伺いをしておきたい。なお、補足される点がございましたら、おっしゃっていただきたい。
#224
○参考人(小野吉郎君) 本朝来、いろいろ御質問に対しまして、私の決意のほどをお答え申し上げたわけでありますけれども、御指摘のとおりNHKを取り巻く環境、この中にはきわめてきびしいものがあります。これはますますきびしさを増しても緩和されることはないと思います。またNHK内部におきましても幾多困難な問題を内包いたしておりまして、経営の実をあげますためにはなみなみならぬ努力が必要であろうと思います。
 私は、荒い波風に対しまして、公共放送の使命達成のため、NHKを守り抜く上におきましてあらん限りの勇気をふるい起こし、あわせてものごとを謙虚に踏まえて善処してまいりたいと思いますし、NHK内部の問題につきましては、これは何と申しましても一万六千五百全職員が経営参加の強い意欲と意思を持たない限り、ものごとは成功をおさめないと思います。そこに経営上疎外感を持ち、あるいは経営の外に立たされておるんだと、こういう不満感があったんでは大きな力は出てこないと思います。
 私は会長室にかきを立てるつもりもありませんし、関所を設けるつもりもありません。だれでも自由に入っていただいて、対話を通して全職員の和と総力発揮ができるような環境をつくってまいりたいと思います。これこそ私がNHK会長としてのむずかしい使命を達成できるゆえんではないかと、かたく意を決しているような次第でございます。
#225
○木島則夫君 私、たいへんけっこうだと思いますね。
 私も前にNHKにおりました。はっきり言って会長室というのは入りにくい。あそこの前に行って何回もちゅうちょしたことを私も覚えております。ですから、かきをつくるつもりはないとおっしゃるけれど、現実に職員の一人一人になってみると、なかなかそこをたたいて、会長どうですかこういう問題についてはこれこれですよと言って助言をしたり、アドバイスをしたり、世間話をしたりということは、会長がおっしゃるほど私は楽じゃないと思う。
 そういう意味で、何も姿、形を変えれば内容まですぐ変わるというふうに私は思いませんけれど入りやすいように何かアイデアでもお持ちですか具体的に。おっしゃることは簡単なんです、これは。入りやすいように、たとえば会長室をかえるとか――あらためてかえなくたっていいでしょう、何かそういうお考えございますか。
#226
○参考人(小野吉郎君) 会長室を模様がえするつもりはございませんけれども、私の意のあるところは口をきわめて全職員に徹底するように努力をいたしてまいりたいと思いますし、また私だけがそのような態度でおりましても、全職員の総力が盛り上がってくるものではありません。私の配下には要所要所にそれぞれ責任の地位にある方がおられます。この方々がすべて配下にあります職員に対しまして同様な気持ちでもって、百家争鳴と申しましょうか、自由にものが言えるような環境をつくり出すことが、やはりNHKの総和、総力結集をもたらすゆえんだと思います。
#227
○木島則夫君 先ほど、かどのない、しかも押し流されないNHK会長、そして国民の意欲に沿うことはもちろんですけれど、逆に国民に迎合はしないんだという意味のことをたしかおっしゃったと思います。そしてNHKはビジョンを持たなければいけない、こういうこともお述べになったと思います。
 そこで、ちょっとこれは意地悪な質問かと思いますけれど、このNHKの持つピジョンの中には政治、社会、経済体制というものももちろん含まれるのでしょうか、それをちょっと伺っておきたい。
#228
○参考人(小野吉郎君) これは政治、社会、経済文化、あらゆる面におきまして、NHKはその使命を尽くしてまいらなければなりません。もちろんNHKは政治母体ではございません。日本には厳然と政治体制があるわけでありますけれども、国民生活と緊密なつながりのある政治体制につきましては、これが国民生活に日々影響を持ち、国民の幸、不幸を決定する要因でございますので、これの十分なる周知徹底、あるいはそこに、政治になおこうしてもらいたい、欠けるところがあると判断いたしましたならば、そういった批判の関係の精神も高揚してまいりたい。
 しかし、ものは批判だけで解決するものではありません。これだけで能といたしませんで、やはりそこに政治も理想を追求していかれるでありましょう。そういった姿と相まちまして、一つのビジョンのもとに国民の現在の段階における要望にこたえるばかりでなしに、国民すべて、あすの日あさっての幸福と繁栄を願っておられるわけでありますので、その幸福と繁栄を実現するゆえんのものは何であるかということを、これは啓蒙と申してはまことにおこがましいのでありますけれども、国民とともに考え、模索してまいりたい、このように考えておる次第であります。
#229
○木島則夫君 もう少しその問題を突っ込んで伺わさしていただきたい。
 NHKが考えるビジョン、こうあってほしいという社会、世の中と現実的な政治的状況、結論づけた状況とが食い違うことというのはあるんですか。こういう政治状況のもとに入っては困るというような政治状況というのはNHKのビジョンの中にあるんですか。
#230
○参考人(小野吉郎君) NHKが理想と考えますあるいは国民が理想として考えますその点と、現実の政治の段階のそれにある種のギャップが生ずることは、もう有史以来どこの歴史にもあることであります、これは否定できないと思います。しかし、政治もやはりそういう段階で満足しておられないので、要は世界の平和、人類の繁栄、日本国民の幸福と繁栄と平和、これを願っておられると思いますので、ある段階段階では多少のギャップはありましょうけれども、流れ着くところは大海であることは間違いないと思います。
 その流れに沿って、政治関係につきましても、やはり国民の意向、意欲、現在における意識、こういうものが十分に政治に反映することが結局はそういう目的を達成するゆえんでもありましょうので、そういう面における提案と申しますか、あるいはデータの提供と申しますか、そういうような役割りを果たしてまいりたいと思いますし、ある終局のビジョンに向かっての構想を考えてまいりたい、このように思います。
#231
○木島則夫君 はっきりさしておく意味で、政治的中立というものをNHKはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
#232
○参考人(小野吉郎君) これは現在いかなる国においてもそうでありましょうけれども、政党政治の国におきましてはいろんな政党があります。そこにはやはり掲げておられます政綱も政策もそれぞれニュアンスに違いがあります。そういった意味合いの中において、どこかの一党に偏することなく、あらゆる党の政策を世上に紹介をしながら、一方へ片寄ったではないか、こういう印象を持たれないような立場が政治的中立と申しますか、中正と申しますか、放送法のNHKに要請をいたしております道ではないかと考えております。
#233
○木島則夫君 いま政治的中立という立場でNHKの見解を述べられましたけれど、大臣は御不満はございませんね。
#234
○国務大臣(久野忠治君) 放送法上の規定に従って運営されることは、
  〔理事森勝治君退席、委員長着席〕
妥当であると私は考えます。
#235
○木島則夫君 さて、あんまり時間がございませんので、また他日その放送の中立性ということについては伺うことにいたしまして、前田体制を継承されるというふうに伺っております。この前田体制の継承ということは、具体的にどういうことなのか。
 前田前会長は、私の聞き及んでいる範囲では、権力に屈しない、人事、財政、番組の編成、放送という内容面で、終始一貫自主性を貫いてこられたのが特徴であったと私は伺っております。今度の小野新会長の就任という人事について、私は大いに歓迎をしたいんですね。それは前田前会長のもとで九年間、それこそ一心同体に仕事をされていらっしった。特に財政、営業面に明るいという強みは、NHKが置かれている現在の状況に徴しても私は非常にいいことだというふうに思います。
 ただ、巷間こういうことがよくいわれている。その一つは、田中総理の郵政大臣当時の事務次官が小野さんでおありになったという意味で、政府与党にちょっと受けがよ過ぎるんじゃないだろうかと、その先は私は言いません。つまりいろいろ勘ぐる向きがある。その辺は小野さんとしてはどういうふうに割り切っていらっしゃるか、お考えになっていらっしゃるか。
#236
○参考人(小野吉郎君) 巷間、そのようなことはよくいわれます。おそらく日本的土壌においては当然に出て来る一つの思考方式ではないかと思います。
 私が田中大臣に事務次官として仕えましたことは厳然たる事実でございます。と同時に、現在の放送法は世界にもまれな、例を見ない最高の法制ではないかと考えております、その基本精神におきまして。表現の自由はこれを保障する、何人も干渉してはならない、規律してはならない、この二大原則にささえられた放送法はおそらく世界に例を見ないりっぱな民主平和時代における放送法ではないかと思います。
 三十四年に改正をされましたこの放送法の改正案につきましては、当時、田中郵政大臣、私の心血をしぼっての労作と私はいまもって考えております。その意味合いにおいて、私もこの放送法が理想であり、この線に沿ってNHKは運営さるべきだとかたい信念を持っておりますし、また同様に、この放送法に心血を注がれました田中総理大臣は、当時郵政大臣でありますけれども、やはり今日といえどもそのような気持ちであられると思います。そういう面から、私がかって田中総理に郵政大臣当時仕えたという一端の事実をもって、私がNHK会長になることが政府干渉を呼ぶとかあるいはいろんな面において放送法上好ましくないような現象が生ずるのではないかといったような杞憂は、ほんの杞憂にすぎないことであって、私はそのようなことはないと確信をいたしております。
#237
○委員長(茜ケ久保重光君) 暫時休憩いたします。
   午後三時四十三分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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