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1972/09/11 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 逓信委員会 第17号
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1972/09/11 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 逓信委員会 第17号

#1
第071回国会 逓信委員会 第17号
昭和四十八年九月十一日(火曜日)
   午前十時四十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月二十六日
    辞任         補欠選任
     田中 茂穂君     西村 尚治君
 八月二十一日
    辞任         補欠選任
     沓脱タケ子君     小笠原貞子君
 八月二十七日
    辞任         補欠選任
     西村 尚治君     田中 茂穂君
     塩出 啓典君     山田 徹一君
 八月二十八日
    辞任         補欠選任
     木島 則夫君     田渕 哲也君
 九月八日
    辞任         補欠選任
     田渕 哲也君     木島 則夫君
 九月十日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     野坂 参三君
     青島 幸男君     山田  勇君
 九月十一日
    辞任         補欠選任
     松本 賢一君     鈴木  強君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        茜ケ久保重光君
    理 事
                今泉 正二君
                古池 信三君
                塚田十一郎君
                森  勝治君
    委 員
                郡  祐一君
                平井 太郎君
                松岡 克由君
                鈴木  強君
                横川 正市君
                木島 則夫君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  久野 忠治君
   政府委員
       郵政省電波監理
       局長       齋藤 義郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹森 秋夫君
   説明員
       科学技術庁研究
       調整局総合研究
       課長       石渡 鷹雄君
       文部省大学学術
       局視学官     五十嵐耕一君
       建設省国土地理
       院参事官     檀原  毅君
       会計検査院事務
       総局第二局長   柴崎 敏郎君
   参考人
       日本放送協会会
       長        小野 吉郎君
       日本放送協会副
       会長       藤根井和夫君
       日本放送協会専
       務理事      松浦 隼雄君
       日本放送協会専
       務理事      野村 忠夫君
       日本放送協会専
       務理事      吉田 行範君
       日本放送協会専
       務理事      坂本 朝一君
       日本放送協会専
       務理事      斎藤  清君
       日本放送協会理
       事        山本  博君
       日本放送協会理
       事        川原 正人君
       日本放送協会経
       理局長      堀場 仁徳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本放送協会昭和四十五年度財産目録、貸借対
 照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書
 (第六十八回国会内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(茜ケ久保重光君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る八月二十一日、沓脱タケ子君が委員を辞任され、その補欠として小笠原貞子君が選任されました。
 また昨十日、小笠原貞子君及び吉島幸男君が委員を辞任され、その補欠として野坂参三君及び山田勇君がそれぞれ選任されました。
 委員の異動について、さらに追加報告をいたします。本日、松本賢一君が委員を辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(茜ケ久保重光君) 日本放送協会昭和四十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。
 前回に引き続き、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○木島則夫君 前回に引き続き、会長にお尋ねいたします。
 私はNHKの内部を知る者として、NHKの中には確かに派閥というものがあります。そんなものはありませんとおっしゃるけれど、これは確かにございます。前田前会長の仕事の一つはこの派閥を解消することだったと私は思います。そのために具体的には局制を廃止した、中央放送局制度をやめさせた、そのほかにいろいろありますけれど、NHKの体質改善のために前田前会長は機構面から改革をざれようとしてきたわけです。しかし、この点、まだ完全に機構改革が終わったわけではないと思います。
 これを受け継いで、派閥、言いかえれば壁というか、つまり開放されるためのいろいろな障害といったほうがいいでしょう、開放されたNHKになるためのいろんな障害ですね、この派閥をなくす意味で、人事面での刷新をされることが私は新しい会長の一つの大きなお仕事だと思います。具体的に機構改革を推進され、派閥を解消する意味で人事面での刷新をどう進めておいでになるか、この点お伺いしたいと思います。
#5
○参考人(小野吉郎君) NHKの内部に非常に通暁しておられます木島先生のお説であります、私はその一々について否定は申しません。
 私もそう木島先生ほどはよく知っておらないかもわかりませんけれども、セクショナリズムあるいは派閥というものがかりにありとすれば、これは経営上好ましくないことでございますので、そういったことを越えて、事業の使命に徹して国民の負託にこたえていかなきゃならぬということで、前田会長がきわめて熱心であり、またそのためにいろいろ適切な措置をとってまいられたことはそのとおりでございます。機構改正もそのとおりでありまして、何度かの機構の整備をされてまいりました。昨年も前田会長最終の機構の仕上げをせられたわけでございますけれども、まだ機構問題としてはこれが最後の整備ができ上がった、こうはあるいは申し上げられないかもわかりません。
 もちろん事業経営の上に組織の持ちます意味がきわめて大切であり、重大でありますことは申すまでもないのでありますけれども、問題は組織だけでは片づかない面がございます。やはりそこに総員がほんとうに満足し、喜びを持ち、張りを持って仕事ができる士気の高揚がなければなるまいと思います。前田会長も、機構問題だけでなしに、機構整備とあわせてもうすでに十余年前に職員制度の改革を手がけられ、いかに職員の士気を高揚するかということには心を砕いてまいられたわけでございます。その後、何回かの職員制度の改正も行なってまいり、機構の整備と両々相まって業績を向上させることに非常に御熱心でございました。私は終始その補佐の役で参画をいたしてまいったのでございますけれども、御指摘のとおり、いろいろ機構の整備としては一応前田会長のそれを私はそのまま、私も参画したことでございますし、踏襲いたします、まあこれで終われりとは申せないかもわかりませんけれども。
 次に、さらに重要な問題は、そういった人事面の刷新が必要ではないか、そのためにはどういう手段をとったか、こういうお尋ねでございますけれども、私は着任をいたしまして以来、役員人事その他一般職員の人事も行なってまいっております。すべてそれらは、そのようなことで派閥意識をこちらで持って、それでまま子扱いにするようなことはいたしておりません。一視同仁に見まして、すべて経営参加の喜びを持たれるような心持ちを持っていただくことと、そういうことによって士気の高揚をはかり、公共放送としての使命に全員が徹していくというところに心を砕いて人事を行なったわけでございます。なお人事ばかりでなく、機構の運営、管理の実情等につきましても、それぞれ何か疎外されておるというような感じを職員が持ちますことは、これは経営にとっては大きなマイナスでございます。そういうことがないように、みんな何がしか経営に参加しておるのだ、こういう誇りと喜びを持つような状況に漸次整備をしてまいりたいと思います。
#6
○木島則夫君 これは現在はそうではないと思いますけれど、私が聞き及んでおる範囲で、何というかNHKに大きな功績があったとか、過去NHKのために非常に働かれたという方でも、たいへん失礼だけれど、のんびりしたNHKの時代にお育ちになった方は現代の世の中に対応できないままで、いろいろな行きがかり上重要なポストにおつきになっている方がないではないと私は思いますね。それがNHKが現代から取り残されているというか、激しいうねりの中からNHKが外にいる、そういう目で外部から見られることにも私はつながるおそれがあると思います。
 で、これはもう少しあとで一緒にお答えをいただきたいのでありますけれど、私は前の委員会でNHK予算を審議しました際に、NHKの職員の中に言いしれぬ将来に対する不安感と申しますか、それが高じて虚脱感というか、そういうものがあることを私は指摘をしたことを覚えております。それはNHKの財政、経営面における先行きの不安からくるものが一つでしょう。それから内部的な問題としては、いい意味でも悪い意味でも、問題を起こさない職員という者が結果的には、ところてん式にと言っては失礼かもしれませんけれど、重要なポストにおつきになってしまう。そうすると何か無気力感が中に漂ってしまうわけですね。私はあるプロデューサーからこういう訴えを聞いているのです。つまりプロデューサーとして放送マンとしての良心にかけて仕事をしようとすると、いろんなそこに壁があるというのです。中でも労務の問題が一つの大きな壁だということを聞いた。といって昔のように何から何までプライベートなものを犠牲にして朝早くから夜おそくまで仕事をしろなんということは私も言っているのじゃないのです。要するに、現場のプロデューサーに例をとってみると、放送マンとして良心的な番組をつくろうとすると、いろんな壁にぶつかる。いま言ったように特に労務の問題がその一つですね。放送マンとしていい番組をつくるためにはスタジオも長く押えておかなければだめだろうし、大ぜいの人に時間外というものもしてもらわなければならないでしょう、テストも何回も何回も気に入るまでやらなければならないということになると、そこにいろいろな問題が起こってくるでしょうね。だから結局そんなことをしていろいろチェックをされるよりも、まあまあというところで妥協したほうが問題がない、そのほうが通りがいいということになる。
 したがって、そのせいかどうかはわかりませんけれど、どうもこのごろのNHKの番組を見ていると、これは私の偏見であったらお許しください、何か心にずしんとくる感動を与えるものが少ないんじゃないだろうか、言ってみれば六十点番組が私は多過ぎるような気がしますね。外部的内部的にいろんな意味でNHKが置かれている環境というものはたいへんきびしいです。その中で何か先行きも不安感があるし、内部では別にそんなに一生懸命やらなくたっていいんだと、あまり事を起こさないほうがいいんだというようなものがお互いに作用し合って出てくるものがそういう六十点平均番組であったとしたら、私はNHKの立場上これはきわめて遺憾だと思いますね。どうでしょうか、六十点番組というのはお好きですか、会長は。
#7
○参考人(小野吉郎君) お答え申し上げます。
 結論的に申しますと、六十点番組で満足すべきではないと思います。ただ、現在のNHKの番組が六十点番組であるかどうかは見方によっていろいろ違いがございましょう。私は必ずしもそうは思わないのでありますけれども、中には非常な推奨を受けておる番組もございます。どの番組もどの番組もということにはまだ至っておらないと思いますけれども、全体をおしなべてみますと、NHKの番組に対してはかなりの評価を今日でも受けております。これで私は満足をいたしておりません。よりいい番組をつくるようにしなければならないということは当然でございますけれども、六十点番組の御指摘の点については、私はさように考えます。
 それと、NHKのいわゆる人事昇進の体質からいって、事なかれ主義で、失敗がなければところてん式に上がっていくんだと、できるだけ間違いを起こさぬように安全無事にやっておればそれで栄達できる場所だ、こういうように考えられることはまことに遺憾でございます。そのようなことであれば、NHKが公共放送としての国民の負託にこたえるゆえんのものではないと思います。私は失敗をおそれずに、勇気を出しておやりなさいということを申しております。善意の失敗は決してとがめないということも申しておるのであります。思い切って仕事をやると同時に、そのかわり自分の意図しない善意の、いわゆる悪意ではありませんけれども、善意の失敗があればすなおに頭を下げなさい。この頭を下げることがいかにも権威を傷つけるように考えがちでありますけれども、そうでなく、かえって率直に非を認めることこそ将来への発展の道であり、またそのこと自体が、そのすなおさが非常に高く評価されるんではないか、このように私は考えておりますので、いまの事なかれ主義のそれは私はとっておりません。
 また、現在の職場の中に、いろいろ労働条件の関係、労働問題との関係あるいは施設の運用上の問題について非常にあきたらないものがあって、あわせて受信料等いわゆる制度の先行き等の問題について財政的な一つの壁にぶつかるんじゃないかというようなことから、非常な虚脱感あるいは危機感を持っておるようだというお話でございますけれども、これは程度の問題で、そういうことが皆無とも申しません、あるでございましょう。しかしながらそういうことであってはNHKの重大な使命を遂行するのには適当でないのでありますので、そういった面についても漸次そういった危機感のないような状況にしなければなりません。
 ものはやはり無から有を生ぜしめるということは物理的に不可能でございましょうけれども、一例をいわゆる財政の窮迫化といったような面にとってみましても、これはやはり打開する努力をしなきゃなりませんし、郵政大臣からも、あるいは予算の意見書においてあるいは業務報告書の意見等におきまして、いろいろそういった面について受信料制度の万全な運営をはかって収入についての確保をはかるようにと、こういう御意見を賜わっております。そのとおりに私どもは受け取っておるのでありまして、いろんな困難はありましょうけれども、それを乗り越えて問題の解決に当たらなければならないと思います。ただそういう困難さの前にくじけてしまって、おびえおののいておったのでは、これこそはたしてNHKをになっていく資格があるのかどうかを疑わなければなりません。
 そういうことがないように、機構の面からも、また職員の士気の高揚の面からも、いろんな面で手段を講じまして、あるいは賞罰を明らかにするとか、仕事に張りを持って働けるような下意上達の道もはかっていくというようなもろもろの手段を講じて、御指摘のような好ましくない状態を、かりにあるとすれば、脱却していかなければならないと考えております。
#8
○木島則夫君 多少抽象的なお話になって恐縮ですけれども、この辺非常に大事なものですから、もう一歩突っ込んで伺いたいと思います。
 いま失敗をおそれるなということですね、善意の失敗であるならばこれをとがめないというふうにいま会長おっしゃいましたね。これはもう私は大いにそれを推進していただきたいと思います。どうやら私がおりました当時は、失敗をしないでいいものをつくれというような雰囲気があり過ぎたんじゃないだろうか。そうすると、失敗をしないでいいものをつくるということはむずかしいから、まああまり冒険しないほうがいいやということにもなりかねない。その辺をよくひとつ御留意をいただきたい。善意の失敗はこれをおそれるな、とがめないといういまのおことばは、これは放送マンにとって私はたいへん力強いおことばだったと思いますね。
 私はたいへん皮肉な見方をしますけれども、要するに、六十点番組ばかりと言っているんじゃないんです、いい番組もたくさんあります、もちろん会長がおっしゃったとおりです。傾向としてそういうものになっていくような客観情勢があまりにも多過ぎる、その中でどういうふうに職員の士気を鼓舞していくかということをいま私は問題にしております。たいへん皮肉なこれは見方なんでありますけれどもね、海外取材番組なんかを見ていると実に伸び伸びとしていまして、時間的制約がないところでおそらくお仕事をなすっている、むしろ条件としてはきびしいんだけれども、そういうものの中に非常にいい番組がたくさんある、これは言ってみれば私はちょっと皮肉な傾向じゃないかと思いますね。だからさっきのお話にもございましたが、野球にたとえれば、三振はしないけれどホームランは絶対に打たないというんじゃ困ると思うんですね。これはもうNHKのオリジナリティー、伝統にかけてもいいものをつくっていただきたい。
 私は、現場の職員が――坂本さんにちょっとお伺いをしたい――善意の失敗をおそれるな、失敗をしてもとがめだてしないというふうな会長のお話でございましたけれども、そういう会長の意向というものが一体現場にいま徹底しているのかどうか、意欲を出すようなNHKの体制がいまはっきりあるのかどうか、よしやってやろうというようなNHKの体制、雰囲気があるのかどうか、一番現場をよく御存じの坂本さんからお伺いをいたします。
#9
○参考人(坂本朝一君) ただいま木島先生の御指摘の点につきましては、会長が申し上げましたとおり、私も現場をあずかる責任者の一人として現場に徹底したい。私自身の私的な見解で恐縮でございますけれども、現在徹底しているというふうに確信しております。
 そのために、常に番組の開発というようなことについて徹底しておりますし、機構改革等で局制を廃止することによってセクショナリズムの点を排除して、報道、教育、芸能というようなワクを越えた番組の開発をしたい、そのためにスペシャル班というようなものも設けて努力している、こういうことで、少なくとも現状においては私は徹底しているというふうに考えております。
#10
○木島則夫君 これからの番組のあり方についても、基本的なお考えを伺わしていただきます。
 さっき言った平均化ということ、これはテレビが、考え方によりますと、日常生活の中に全く自然な形で定着をしてしまったということの証拠にも私はなると思いますね。ですから、一つ一つの放送でやたらにいわゆる重いものを与えたり、荘厳なものであったり、いつも感動ばかり与えているという、まあ十年前、十五年前のテレビが果たしてきたようなものが現在のテレビの中にそうたくさんなくなったということは、いま言ったようにテレビの日常化というか、そういう私は傾向にあると思いますね。
 こういう客観的な状況を踏まえた上で、これからの番組のあり方とも関連いたしますので、基本的なNHKの編成方針、番組のあり方というものをやはり新会長の口からこの際伺っておきたいと思います。つまりNHKの番組編成、番組のつくり方の基本的な方針というものは今後こうなんだという、そのことも一応けじめとして伺っておきたいと思います。
#11
○参考人(小野吉郎君) NHKといたしましては、法律でもそのようなことを要請されておりますけれども、国民の意向を十分に吸収し、国民に非常に喜ばれ、またためになる豊かな番組を制作することが使命でございます。
 そういった意味合いから申しますと、いわゆる番組の平常化と申しましょうか、あるいは極端に言えば睡眠化と申しましょうか、惰性で流れていくということがあってはいけないと思います。常に新しい――これにはやはり番組の種別も目新しいものをそのつど取りかえることが心の入れかえにもなろうかと思いますので、そういうようなこともやらなきゃならないのではないか。また、在来、番組の改定は大体四月に大改定をやり、秋の十月あたりに小手直しをやるようでございますけれども、一度計画をした番組でも、まだその終わりにまで至らない過程においても、いろんなその実行の状況を見て機動的にこれを変更できるような編成方針でやりたい、そういう編成の姿でやりたい、このように考えておりまして、ものを固定的に考えては、先生の申されたような非常に平常化した、惰性に失するようなものになりがちでございます。そういった面は惰性から脱却をして、常に新しいものを新しいものをと目ざしていけるような基本的な気持ちに立っての編成をこそ望んでおるような次第でございます。
#12
○木島則夫君 新しいものを目ざしていくという前向きなお話、たいへんけっこうだと思います。
 私はやっぱりそこに発見がなければいけないと思いますね。発見があるということはどういうことかというと、やっぱりやる気です、やってやるんだというその発見です。
 そのためには、NHKの人たちが――こういうことを言うと、なまいきのように受け取られるといけないんでありますけれど、私は、前田会長が前におっしゃったように、経営の実態を一人一人がほんとうに把握する、NHKの置かれている非常にきびしい状況というものをきちっと踏んまえた上で、各部署でもってそれぞれ仕事をなさる、これが一番大事なことだと思いますけれども、どうもこのごろのディレクターの方とかプロデューサーの方を拝見していると、これも全部ではありませんが、少し偉くなり過ぎちゃった。世間からはやれ文化人だのと特殊の方扱いをされる、つまりもう庶民と違っちゃったんですね。その段階で。そういう方が発想をなさる企画、番組というものがほんとうの意味でNHKの公共性につながっていくか、その辺はたいへん大事だと思います。
 また、一番私がきょう申し上げたかったのは、NHKが競争の原理のワクの外に安住していやしないかということなんです。NHKなんというものは大きいからつぶれっこないよというこの考え方です。私はNHKに奉職をした者として、そういうものが何かいまあるんじゃないだろうか、これを取り払わなければ、幾らNHKが国民の皆さんの電波でございます、放送でございますと言っても、これはなかなか共感は得られない、まして積み重なるいろいろな問題の中で、NHKがこれから厳然として生きていくためには、そういうものがぜひ必要だと思います。ことばをかえて言いますと、NHKの経営の実態を認識して放送マンとして仕事に携わっているかどうか。私は全部とは申しませんけれど、こういう認識に欠けるところがあるような方もおいでになるのじゃないだろうか、ここにNHKの問題点があると思いますね。
 これは全く人づてに聞いた話ですからよくわかりませんけれど、たとえばNHKの方が、どなたでしょうか、いわゆる放送、新聞社の人と、その辺までちょっとお茶飲みにいこうよとか、パチンコでもやろうやというときに、いいよハイヤーいま伝票切るからね、この感覚がもしあったとしたならば、私はほんとうの意味でいい番組なんてできっこないと思いますね。きょう私が伺いたかった一番のポイントというのは実はそこなんです。
 ほかのことはどうでもいいと言うとしかられますけれども、NHKの四十五年度の決算をきょうは議題にしております。予算の審議にしましてもこの決算にしましても、単なる数字のごろ合わせとか、こまかいことを掘り下げてああだこうだ言ってみたってしょうがない。言ってみればNHKの生命である国民のための電波、放送、そうしてゆれ動く社会に対応した放送番組をいかにうまくつくっていくか、そうして放送文化の質的向上というものをNHKがお果たしになるか、ここにつながらなければ、いかに数字をあげつらったって、こんなものははっきり言って私は意味がないと思いますね。そこにつなげていただかなければいけないと思います。
 きょうはお名ざしをして恐縮ですけれど、人事の面にわたって職員といろいろな意味で、会長よりももっともっと現場の状況を御存じの副会長もお隣にすわっていらっしゃるので、私はその辺が一体どうなっているのか一言お伺いをしたいと思います、いかがでしょうか。
#13
○参考人(藤根井和夫君) いろいろ御指摘の点もあろうかと思いますし、また私どもとして十分反省しなきゃならぬ面もたくさんあろうかと思いますが、しかし基本的には、いま会長から申し上げたとおり、私どもの任務は、豊かでよい放送を最良の条件で国民の皆さまにサービスするということにあるわけでございまして、外に向かっても、また内に向かいましても、その任務を中心として私どもはすべてをやっていかなければならぬということで努力をいたしております。
 そういう意味におきまして、いろいろ私どもとしても反省をしなきゃならない、また部内にいろいろな問題についてさらにその趣旨を徹底しなきゃならぬ面もあろうかと思いますが、私どもとしては最大限の努力をいままでもしてまいりましたし、またそういう努力を今後も重ねていきたいということでございます。
#14
○参考人(小野吉郎君) 別段に補足することは何もないのでございますけれども、きょうの質問の中の最も重点を置いている事項だと、こうも申されました、なるほどそうであろうと思います。
 御指摘のような局内情勢というものは、私ども中におってはなかなかわからないのであります。実を申しますと、ものを中からばかり見ておったんではなかなかわかりません。先生の御指摘もさることながら、それを待つまでもなく、今日NHKに対する批判は非常に高まっております。あらゆる機会にいろいろな類似の批判を受けるわけでございます。
 私は、それに対しましては、就任以来、そういうことがあるかどうかは別として、一応そういうような批判があるということはえりを正さなければなりませんので、象牙の塔をおりろ、国民大衆の中へ溶け込みなさい、こういうことを口をすっぱくして申しております。やはり何か、プロデューサーにしてもそうでありましょう、あるいは報道の記者にしてもそうでありましょう、偉い方とつき合いますと、いかにも自分が偉くなったような気になりがちでございます。そういうような気持ちで大衆に接したのでは、いろいろな批判を受けることも無理ないことでございましょう。その辺もよくわかることでございますので、やはりいかに偉くなっても、非常に謙虚にからだを低くして大衆の中へ溶け込むような気持ちを持ってもらいたい、こういうことを申しておるわけでございます。
#15
○木島則夫君 偉くなってとか、それから地位の高いというとおかしいですけれど、そういう方とおつき合いをするということもさることながら、私が申し上げたいのは、NHKというのは今後絶対につぶれないのだという競争原理の外に安住をしてしまっているところからくる体質なんですね。そうすると、いまの世の中激しく動いている、たとえば物価の問題を取り上げるにしても公害の問題を取り上げるにしても、ほんとうにそういう実態というか、目で見た実態はおわかりになるだろうけれども、はだで感じることができるだろうかということですよ、私が申し上げたいことは。
 だからNHKの実態というものをよく知った上で、放送マンとして一人一人がNHKの経営を背中にしょっていかなければいけない、オーバーな言い方ですけれども、私はそうあるべきだというふうに主張したい。一番問題は、NHKが置かれているそういうきびしい状況の中で、御自分たちが、これも全部ではないでしょうね、一部の方かもしれない、そういうきびしさとは全く無縁の存在で番組をつくったり、しゃべったり解説をされる方があれば、これはもう私はNHKの職員じゃないとはっきり言いたい、そういうことをきょうは一番私は申し上げたかったのです。この点について、もう一回お話を聞かしてください。
#16
○参考人(小野吉郎君) NHKの存在理由は、国民のためのNHKと考えております。そういうような意味から申しますと、なるほどNHKの設立の法的基盤は放送法でございますし、またいままで発展をしてまいりましたいろいろな状況から申しますと、かなり充実したものになっております。これは絶対につぶれないのだ、世間の状況がどうなろうと一向安泰だ、こういうような気持ちから出る非常なおごった気持ち、こういうものがかりにあるとすれば、これは国民の放送機関であるNHKの存在理由と存在の現状から申しまして、非常にかけ離れた考え方ではないかと思います。そういうような気持ちの人はそうはいないと思いますけれども、そういうことがかりにあっては困るのでありまして、そういう意味からも、国民の放送機関であることを念頭から忘れてはいけない、こういうことをくどく申しておるような次第でございます。
#17
○木島則夫君 その点よくわかりましたので、そういうお気持ちでどうかおやりください。私がNHKにおりましたときに、過去のNHKであったと思いますけれど、そういうところがございましたものですから、現在もそういうものがなおかつ受け継がれたり、その残りかすとして残っていてはいけないという意味でいま申し上げたわけです。どうでしょうか、NHKの顔というものが前はあったはずですね、いまもきっとあると思います。従来は、たとえばNHKをやめられた高橋圭三氏とか現在NHKにおいでになる宮田輝氏に代表されてきましたね。現在、宮田輝氏はNHKを代表される確かに顔だと思います。しかしその宮田輝氏以後、これがNHKの顔なんだというアナウンサーなりNHKを代表される方というのははっきりした形で何か出てきていない。これは多様化の世の中ですから、むずかしいとは私も思いますね。どうなんでしょうか、これは坂木さんにお伺いをいたします、NHKというのはスターをつくらないんですか、これからは。
#18
○参考人(坂本朝一君) 木島先生のおっしゃるスターということばの意味合いをどういうふうに理解をしたらよろしいか、多少私もはっきりしない府があるんでございますが、NHKを代表する形で番組に登場する職員、これはやはりNHKの代表という形での見識、そういうものをたくわえるべきであるという意味での育成と申しますか、そういうことは今後も続けていきたいと思っておりますし、木島先生が御在職中もそうであったかと思いますが、現在はそういう点の成果がかなり私としてはあがってきているんではないかというふうに考えております。
#19
○木島則夫君 要するに、世間的な評価があって、ただ名前ばかり人気があったりということで、NHKの実態とは全く関係なしにその名声が空虚なものであってはいけないというふうに私は思うんです。NHKの財政とか経営の状況をよく、さっきから私が言っておりますように、把握をして、何かNHKの置かれている客観情勢を全くわきまえないでしゃべったり取材をしたり番組をつくっているようなものであってはいけないということは言うまでもないと思います。でNHKの経営に一人一人が参加しているという意識を持った上でのことであることは、これは当然です。前田会長がずっとおやりになり、また小野会長もそのことにさっききちっとお触れになりましたね。
 スターをつくれとかつくらないということじゃなくて、何かNHKがこう置かれている状況が非常にきびしくなってくると、あまり目立たないほうがいいやというような、半ば萎縮した気持ちから、あまりはっきりした方が出てこないというようなことであるならば、これまた困るんであって、その辺は何か二律背反、私は矛盾したようなことを言っているようにもお受け取りになれるかもしれませんけれど、この辺のバランスをどういうふうにお考えになりますか。
#20
○参考人(小野吉郎君) これは御質問の御趣旨ではないかもわかりませんが、いわゆる意図的にスターをつくるということについては、私は遺憾ながらそのようなつもりはございません。
 機関にはそれぞれ性格があり、それぞれいろんな持ち味があるものでございます。それが自然に長年の経験によってにじみ出るところに非常にいいところがあるんではないかと思うのでございまして、高橋圭三さんあたりもまた木島先生もそういうところから一つの風格をつくり上げてこられたと思います。NHKが別段にそのような意図的な教育によってそういうようにしたのではないと思います。
 私は、そういう面から申しまして、やはり世の中が漸次きびしくなる、NHKを取り巻く環境もきびしくなる、あまり目立たないほうがいいんだ、こういうような気持ちで無性格、無色彩のものになることは厳に慎むべきであろうと思います。NHKのその面における特色なり性格なり顔なりというものが大いに出てしかるべきではないかと思います。ただ、それを、スターと申しますと、これは便利な存在でございますけれども、そういうわずかなスターをつくるために一将功成って万骨枯れるような一般への心理的影響があることは、これは避けなければならぬのではないか、かように考えております。
#21
○木島則夫君 いわゆる部局制を廃止しました。いろんな意味でセクショナリズムといいますか、セクションを取り払われた、それは芸能とか報道とか社会というような一つ一つのセクションをつくっておくんではなくて、総合された中でお互いに風通しのいいものをつくる、そういう状況に置くということだったはずですね。
 そうすると、個々の番組の中では、政治、経済、社会というようなものがこん然一体となった番組というのは、もちろんないとは言いません、あるはずですね。たとえば「ふるさとの歌まつり」というものを一つとってみると、一切政治、社会、そういうものは中に入ってきていない純然たる芸能番組でしょうね。そういう取り上げ方が、これだけいろんなものが複雑に入りまじった社会の中で、そういう番組づくりというものがこれからのほんとうの意味でのNHKの番組の性格であっていいんだろうか、そういうことを言う人もいますね。
 だから、せっかく芸能、社会、報道というような内部のワクを取っ払った、しかし依然として番組の中では芸能、社会、政治というものがちゃんと画然としてある。いやそう言ったってNHKの全部の時間帯を通してみれば、こん然一体となっているから、それでいいんだというような御説明もあるいはあるかもしれない。しかし、せっかく内部でそういうものを取っ払ったんだから、もっと世の中の社会、経済、政治、文化いろんなものがこん然一体となるような立体感のある、しかも深みのあるような番組編成というものが――もちろん、ドラマに名をかりていろいろありますね、政治、経済、社会体制をその中で批判したり訴えたりというのはある。しかし、それは意外に過去のものに名前をかりたり、ドラマにかりたりということで、現実の番組になると、ちょっと遠慮をされているんじゃないだろうか、政治的な配慮をされ過ぎているんじゃないだろうか、そういう面がなきにしもあらずですね。そういう点は、これからどういうふうにお考えになりますか、いままでのとおりでいいんだというふうにお考えですか。
#22
○参考人(小野吉郎君) 昨年の機構改正で教育局、報道局、芸能局、この局の壁をなくいたしました。そしてそれぞれ班別にいたしております。どの班とどの班が組んでもいいような、自由自在に運用できるような組織になっております。そういうところから今後政治、経済、文化いろんなものがこん然一体になったような非常に立体的な幅のあるもの、厚みのあるものが出ることも期待をいたしております。
 それかといってそう一色でいいとは考えておりません。そういう意味で機構改正をいたしたわけではございません。一例をあげられました「ふるさとの歌まつり」こういったようないわば聴視者参加番組、こういうものもふやしていかなきゃならぬのではないか、聴視者にやはり番組に参加できるように、参加した喜びが持てるんだ、こういったような番組も私はかなりあっていいんじゃないかと思います。そういう意味から申しますと、やはり番組も一色に塗りつぶすんではなくて、多様性を持っていろんな国民の要望に沿うような姿でなければならないと考えております。
#23
○木島則夫君 多少こまかくなって恐縮ですけれども、たとえば「ふるさとの歌まつり」で取材をなさるその場所が、歌まつりどころか公害でもっておかされて歌も何もなくなっちゃったと、何かあの番組を拝見していると非常にNHK的なんですね、一面。やはりほんわかムードで楽しくってという――まあいいでしょう、物価高でこういろんないやなことがある世の中ですから、そういう面を強調なさるのも私はけっこうだと思います。しかし、もうそういう時代じゃなくなっている、いま。だから漁民が歌を歌うそのときにもやはり公害の問題をおそれ、お酒を飲みながら発散して歌を歌う、それがふるさとの歌であるということにもつながるわけですね。
 だからNHKがやはりもう一つNHKの壁を破るためには、私はその辺まで踏み込んでもいいんじゃないかと思うことがたびたびあるんです。たまたま「ふるさとの歌まつり」を私はいま例としてあげてしまいました、現場の坂本さんあたりどういうふうにお考えですか。
#24
○参考人(坂本朝一君) 木島先生の御指摘の点については、やはりわれわれとして研究する点の一つかと思いますけれども、ただ娯楽番組である場合にはやはり娯楽に徹するということも聴視者の要望の大きな一つではないか。ただ「ふるさとの歌まつり」がそうであっていいかどうかということの御指摘については、今後の問題として検討をしたいと思いますけれども、しかしいま報道、教育、芸能等の壁を破った番組の開発というのは「ふるさとの歌まつり」の改革とともに、あわせて新しいそういう面の開発にもっと精力を使うべきではないかというふうに私は考えております。
 その一つの例を申し上げれば、たとえば先般テレビ開始二十周年記念番組として計画し、放送いたしました国境を越えた問題として「国境のない伝記」ということで、クーデンホーフ・カレルギーさんを中心人物に吉田直哉君がつくりました番組、これはドラマありルポルタージュあり、ドキュメンタリーあり、そして内容は恋愛あり政治あり経済あり、かなり世界的な視野のもとで新しいテレビ番組の一つの芽を出したんじゃないかというふうに私自身は自負しておるわけでございますが、そういう方向での努力ということをあわせてしていくべきではないかというふうに考えております。
#25
○木島則夫君 テレビの可能性というものを大いに追求していただきたいと思います。私もマスコミにおりました、NHKそれから民放の経験を持つ者といたしまして、テレビの可能性、放送の可能性というものはまだいろいろあると思います、大いにその可能性を私は追求していただきたいと思いますね。さて、次の問題です。NHKから小野会長がお出になったことで約一万六千五百人でございますか、NHK職員が大いに私は希望を持ったと思いますね。ことに、この間申し上げましたように、財政の面、経営の面に通暁をされている小野会長がお立ちになった、前田会長のあとを襲われたということは私は非常に適切であったと思います。大いに期待もしたいと思います。だからといってNHKの役員を含めて全部NHK出身でなければいけないというような狭い門戸の閉ざし方であってもこれは困ると思います。
 ホールも開放されましたおりでもありますので、どうでしょうか、NHKの可能性、いわゆる放送テレビの可能性を追求していくためには、ホールが開放をされたと同じような意味で、外部の演出者、外部の人たちにも番組の演出、制作というものを開放なさるおつもりはないか。一部おやりになっていると思います。しかし重要な部分で外部の演出者に自由にNHKの場を開放なさるおつもりはございませんでしょうか。つまり開かれたNHK――私はNHKというものを広場と考えているんです、国民の。そういう意味では、いま坂本さんがお答えになりましたように、可能性を追求していくんだと、可能性というものはもちろんNHKの中からもたくさん出てくるでしょうね、しかしNHKの人たちだけではまた及ばない可能性というものもあるはずですね。そういう意味でどうでしょうか、外部の人たち、演出者というか、そういう人たちにNHKを大いに開放されるおつもりはございませんでしょうか。
#26
○参考人(小野吉郎君) 非常にわれわれの参考とすべき御意見だと思います。
 NHKは経営全般を通じまして、もちろん番組の制作の面から申しましても、広くいろんな大切な知恵を動員すべき筋合いのものであろうと思います。その意味においては、きわめて開放的な運営でなければならないと思います。ただ、そのプロデューサーその他いろんな関係でそういうような外へ窓を開くそれは、まあ程度問題でもあろうかと思いますけれども、そういうことにすぐ踏み切れるかどうか。この辺もやはりいろんな今日自主制作をたてまえとし、それによって非常に職員の養成にも心を砕いております、その辺に与えるいろんなフィーリングもございましょうし、そういうものとの関連において、NHKのそういった万般のそれをきわめて開放的にものを考えるということは私は大賛成でございます。そういうような見地から将来検討してまいりたいと思います。
#27
○木島則夫君 将来の検討課題として、私は大いに何か具体性が出ることを期待したいと思います。
 さっきから口をすっぱくしてNHKが置かれている環境というものは非常にきびしいんですよということを私は申し上げております。さて新会長が受信者にどう対処されていくか、つまりこういう性格がNHKにはおありになるんじゃないでしょうか。たとえば会館売却問題にしましても受信料の不払いにしましても難視聴の問題にしましても積極的におやりになっているとは思いますね、しかしどうも誤解をされたり曲折をされて視聴者、受信者に伝わっている面がなきにしもあらず。ということは、別にそんなこまかいことを言わなくたっていいんだよと、わかるときが来ればわかるんだよというのは、さっきから私が言っている競争の原理のワクの外に安住をしているところからくる殿さま気分、そういうものが私はNHKの中にあるんじゃないかと思います。
 だったら、NHKはいま窮状に立たされている、これこれこういう問題で困っているというようなことは積極的に私はNHKの電波をお使いになって、広報活動といっていいんでしょうか、そういうものをもっともっとおやりになったほうがいいと思うんです。どうも私もよくNHKを拝見しているけれど、少ないように思います。このごろはずいぶん多くなりました、多くなったけれど、何かこう遠慮がおありになるのか、国民の電波を使ってNHKの事情をあまり外に出すことはどうだろうかという御配慮のためであるかわかりませんけれど、何かもう一つすっきりしない。だから、あからさまにNHKというものを、国民の前に開かれたNHKであるならば、オープンされる。そのことについてまたNHKの体質かくあるべしという討論番組などもおつくりになっていいと思いますよ、もっともっと。だからそういう開かれたNHKであるというおことばを裏書きするような裏づけるような、つまり形にするようなものが番組の中に私はもっと出てこなければいけないと思いますが、この辺の御意向はいかがですか。
#28
○参考人(小野吉郎君) 私、全く同感でございます。広報活動にNHKの電波を使うということについては当初は非常にシビアでございました。私は率先してそうすべきだということを主張した一人でございます。それが今日の状況にまでなっておりますけれども、それは広報の内容自体にもよりますけれども、非常に聴視者の方々のためになり、また聴視者の方々の反発を買わないような意味合いにおいて、しかもNHKを理解するに役立つような、あるいは誤解を避けるのに役立つようなそういうものがあれば、現在よりも広げていいんではないか、かように考えております。
#29
○木島則夫君 きょうは新会長に対する初めての質問でございますので、もうほんとうに基本的な問題のみについて、本質的な問題だけについて私はいま質問をさしていただきました。どうかひとつ可能性をとことん追求をしていただきたい。それにはNHKの内部で職員の皆さんがやる気を起こすようなそういう体制づくりに、機構の面からも人事の面からもいろんな面でひとつ御努力をいただきたいと思います。そのことは私の要望として申し上げて、もうお答えはけっこうでございます。
 お昼までの時間ですから、私は手っとり早く残された問題に移ります。
 やたらとこのごろ東京ではいつ地震がくるんだろうか、その話題に終始をしているといってもいいと思いますね。で初めに、地震が起こったときのいわゆる地震対策について、これも簡単でけっこうです、NHKはどういう対応のしかたをされるか、その準備はどうなっているのか、概略それぞれの御担当の方に承らしていただきたい。
#30
○参考人(坂本朝一君) 協会は、気象業務法によりまして津波警報その他気象庁から連絡があった場合に、直ちに放送しなければならないということになっておりまして、そういうように手配をしておるわけでございますが、地震に際しましても、それに準じて部内的に整備してございます。したがいまして気象庁から連絡があれば、直ちにそのことについての報道を速報するということになっております。
#31
○木島則夫君 それだけでよろしいですか、ほかに技術的な面とか施設の面ではございませんか。
#32
○参考人(松浦隼雄君) テレビジョン放送につきましては、東京地区におきましては芝のテレビ塔から御承知のように出ておりますけれども、そのほかに紀尾井町に予備放送所を持っております。これは放送センターとの間が無線で連絡されておりまして、片一方がいかれたらば自動的に出る、こういうことになっております。で地震の場合を想定いたしますと、たとえば東京タワーが地震で出せなくなるというケースは、東京の受信者がテレビ受像機をごらんになっているという状況ではないというふうに判断されますけれども、そういう場合でも、火災を除いては、いま申し上げた予備放送所と二つでもってまず継続は可能であると考えております。またその二つがいかれた場合は、さらに局内に中規模の放送機一式を用意しておりまして、これを人力をもって適当なところで組み立てるという三段がまえになっております。おりますが、テレビジョンのほうにつきましては、ラジオ放送に比べますとどうしても機械設備が複雑でございますので、地震に対しては弱い。これの終局的な対策としては、やはり放送衛星というようなことを考えなければならないというふうに考えております。
 なおラジオにつきましては、川口、鳩ケ谷という二カ所がございますし、放送センターそのもので非常送出が直ちにできるようになっております。さらには大阪あるいは秋田というような遠隔地の大電力を、この場合には東京で電波がとまっておりますので、普通の受信機でも受かる、こういう何段がまえかになっております。
 なお情報の伝達につきましては、平常状態において電電公社の回線を利用しておりますけれども、これについてもループ化いたしまして、たとえば表日本がやられたときは裏日本がというようなかっこうで、従来の例からいたしましても、非常連絡についても支障を来たさないような措置が講じてございます。
 ただ、最近いわれておりますようなマグニチュードでいって八・五というような日本の地殻がこわれちゃうようなそういうものに対しては、やはり地上では非常にむずかしいというふうに考えられます。なお放送センターの建物は四百ガル、というのは加速度で申しまして、まさに日本の地殻ががたがたになっちゃうというようなときでも、だいじょうぶだというくらいにつくってございます。
#33
○木島則夫君 せんだって八月の末でしたけれど「70年代われらの世界」という番組で地震をテーマに取り上げておいでになりました。私もたいへん興味深くあれを拝見いたしました。その際地震の予知についても触れておりましたし、また予知は非常にむずかしいという点からも、別に十秒前警報体制というような問題を相当のスペースをおさきになって、これにスポットを当てておいでになりましたね。きょうは防災が主の質疑ではありませんが、この十秒前体制というものをテレビでお取り上げになっていたそのバックグラウンドとして関係者の方においでいただいているはずです。
 まず、予知というものはどうなんでしょうか、いまのところ全くだめなんでしょうか。これも簡単でけっこうですから、ちょっとその辺を伺わせていただきたい。
#34
○説明員(檀原毅君) お答え申します。
 予知が全く不可能かと申しますと、現在、地震の予知というのは大きさと場所といつという三段階が必要なのでございますが、それ全部そろってといわれますと非常に困難でございますが、大きさと場所、それはある程度現在でも予想がついている。ただ、いつということが言われないと、これは学問的には完全ではございません。
 そういった意味でまだ非常に未知の分野がございますが、現在、ナショナル・プロジェクトとしまして地震予知研究計画が第一次、第二次計画が済みまして、来年度から第三次が始まる、そういったことで第三次が終わるころには、私たちもかなり資料がたくわえられて自信が持てるんじゃないかというふうに考えております。
#35
○木島則夫君 十秒前体制というのは、もう少し説明をしていただきたいんですけれど、これはどういうものなんですか。そうしてその可能性というものについて、これは私さだかではないんですけれども、将来の問題として可能性があるんじゃないだろうかというニュアンスでこの間の番組からは私受け取ったんですけれども、地震予知とは別に研究が進められているものであるということですね。それはどういうものであって、可能性はどうなのか。
 私がきょう伺いたいと思いますことは、いわゆる地震がどこかの地殻で起こる、そこに何か計測器というものが置かれていて、それに地震波が感じる、そしてマイクロウエーブで気象庁ですかに送られてくる。気象庁でデータを分析して、これは相当大きい地震であるということがわかる。もろもろの計算をしたあと、実際の地震波が地上に伝わってくるまでに二十秒ほどあるということですね、差し引いてそこに十秒の差がある。その十秒のものをどうやって活用するか、将来の大きな可能性だという意味に私は受け取っております。もし違う、そういうものでないとするならば、ないというふうにおっしゃっていただいて、さっきの点について触れてください。
#36
○説明員(石渡鷹雄君) 十秒前警報システムにつきましての先生の御理解はそのとおりでございます。
 この計画と申しますか、プランの現状はまだ机上のプランでございます。ただ、机上のプランと申しましても決していいかげんなものではございません。数人の地震学者あるいは耐震工学者がここ二年ほど机上でずっと検討を続けてまいりまして、大いに可能性ありという結論に達し、この実現方について科学技術庁の協力を求めてこられた件でございます。現在、われわれはこの可能性を追求するために、まずハードウエアと申しますか、機器の開発から手がけなければならないということで研究計画を検討している段階でございます。
 ただ、この問題につきましては、非常に難点があるわけでございます。一つは、非常に誤報の可能性が高いということでございます。すなわち実例的に申し上げますと、たまたま海底に地震計を置いたその非常に近い場所で小さな地震が起こったという場合に、東京にこれが非常に大きく伝わるという可能性が残っているわけでございます。この約十秒を利用するわけでございますが、この十秒の利用の可能性についてもいろいろの可能性が考えられておりますが、これも研究の一つの大きなテーマといたしまして今後研究を進めてまいる予定にしております。この利用のシステムが進めば進むほど誤報による被害、逆の被害が非常に大きくなってくるという基本的な問題がございますので、これらの諸点もあわせて詰めるべく本年度から研究をスタートさせる予定で、現在、研究計画を検討しているという段階でございます。
#37
○木島則夫君 そうすると、近い将来はちょっと無理だということですね。
#38
○説明員(石渡鷹雄君) この警報システムの位置づけでございますが、先ほど国土地理院からお答え申し上げましたように、今後の第三次の地震予知計画が済みました段階で相当の確度をもって地震予知が可能になってくるということになっております。
 その場合、たとえば東京を舞台にとりました場合に、東京直下に震源がある場合、これはちょっとまだ予知は非常に困難でございますが、たとえばいまいわれております相模湾あるいは房総沖にかけての海底に震源地がある場合、これはある程度あやしいということが地震予知で大体可能になってくる。その場合に、非常に危険度の高い地域に警報システムのネットワークを張って、数秒あるいは十秒でも早くその地震の到来をキャッチするという可能性は相当出てくるのではないか、こういうふうに考えております。
#39
○木島則夫君 最後に、そういう段階であれば、いますぐ十秒前をテレビに直接つないでというようなことはまあできないことは私いまの御説明でよくわかりました。あまり地震が来る来ると言うものですから、可能性のほうを大きく追い求める、これは当然だろうと思いますね。ですから、その辺もあんまりセクショナリズム――さっきNHKの会長も盛んにおっしゃっておりましたけれども、各行政機関があんまりなわ張り争いなどなさらないように、そういうことはないと思うけれど、ひとつ大いに研究をしていただきたいということでけっこうです。
 もしいま地震が来たならば、NHKのスタジオにいろいろ用意をされているそうですね、地震のアナウンスというか伝達方法。一体どういうものがあるのか聞かしていただくと同時に、たとえばこの間「地震と大都市」という番組があった、いい番組だったと私は思いますね。そういう番組があるときに、国土地理院とか科学技術庁には関係者の方が取材にいらっしゃっている、それから新聞でその番組の予告なども出ているから、きちっと知らせなくても、いつ幾日ああいう放送があるということは関係者おわかりになっていると思いますけれど、やはりこういうものは私は総合的な観点に立って考えていかなければいけないという意味で、せっかくああいういい放送があるんですから、各関係のところへは積極的に広報活動をなすって、あしたああいう放送があるから、こういう放送があるから見てほしいというようなことを言ってほしいと思いますけれど、きょうおいでになっている国土地理院と科学技術庁にはそういうお達し、連絡がございましたか。まああまりこれは肩ひじ張ってする質問じゃないですが。
#40
○説明員(檀原毅君) 私の場合には、非常にうるさい役所でございまして、NHKに出る場合といえども上司の許可が必要でございます。したがって総務部を通しまして許可を受けまして、その点で総務部は何日に放送がありますというようなことを所内のアナウンスであらかじめ放送しているようです。
#41
○木島則夫君 ああそうですか、出演するというところからわかるわけですか。
#42
○説明員(石渡鷹雄君) 科学技術庁の場合は、当庁にもNHKの記者が詰めておられまして、日ごろそういう面でのおつき合いがございますので、たまたま私は個人的には承知をしておりました。
 なお、この十秒前システムの研究につきましては、今後、利用あるいは電波技術という面でいろいろNHKにも御協力をお願いしたいとわれわれとしては考えております。その面でも連絡を密にしてまいりたいと考えております。
#43
○木島則夫君 開かれたNHKってさっきから私が言っておりますので、そういう意味でもひとつ横の連絡を十分におとりいただきたいと思います。
 いま地震が来た、たとえばAというアナウンサーが放送中にぐらぐらと来た、その場合どういう処置をおとりになるんですか。そこに用意されたいわゆる告知文というか、予告文というようなものを二、三例をあげて説明をしていただいて、あと、こういう際でもありますので、ひとつそのほうの対策も万全を期していただきたいということで、きょうの質問を結びたいと思います。
#44
○参考人(坂本朝一君) 木島先生御指摘の点につきましては、放送センターのニュースの中心のところにすべてその告知文が用意されております。
 たとえば一、二御紹介申し上げますと――ただいま東京地方に大きな地震がありました。あわてて外に飛び出すのは危険です、落ちついて行動してください。火事を出さないために、まず火の始末をしてください、ガスや石油ストーブのせんを締めてください、火の始末をするよう声をかけ合ってください。机やベッドの下にもぐるか、じょうぶな家具に身を寄せるのが安全です。ビルにいる人はいきなり飛び出すと、ガラスや壁などが落ちてきてけがをします。外に避難するときには落下物に気をつけてください。皆さん火の始末は済みましたか、石油ストーブの火は完全に消しましたか、ガスの元せんは締めましたか、声をかけ合って火のもとを確かめてください。NHKでは詳しいことがわかり次第、直ちにお伝えします。
 こういうアナウンス告知文とテロップを用意してございまして、震度の状況によってすぐディレクターが指示して放送し、並びにこのテロップを出すというふうに処置してございます。
#45
○木島則夫君 じゃもう一つ。いま坂木さんがおっしゃったのはだいぶん長いんで、三十秒ぐらいかかっているはずですね。そうしてそういうものが画面に実際に映るかどうかということになると、これも非常にむずかしい状況の中にある。もちろんそういう中で対応策というものはお考えのはずでございますけれど、どうかひとつこういうおりでもございますので、各省庁、各関係機関との横の御連絡、そしてそれに対する万全の対策もお忘れのないよう、番組の向上、士気の高揚とあわせてひとつ私要望さしていただきたい。もうお答えはけっこうでございます。
 以上で質問を終わります。
#46
○委員長(茜ケ久保重光君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十八分開会
#47
○委員長(茜ケ久保重光君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、日本放送協会昭和四十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
#48
○鈴木強君 NHKの四十五年度の決算に関連しまして、最初に郵政大臣に若干質問をしておきたいと思います。
 その第一は、電波、放送両法の改正につきましては、私、前にもこの国会に提案すべきであるという立場から質問をいたしておりましたが、大臣も、会期はかなり進んでおりましたが、執念を燃やしてこの国会に出したいという御所信の表明がございまして、そのことを期待しておりましたが、いよいよ再度にわたる延長国会も終わりになっておるわけでありまして、大臣の御苦労が実らないように私思っておりますが、なぜ出せなかったのか、また今後どうするのか、簡単でけっこうですから、お答え願いたい。
#49
○国務大臣(久野忠治君) 電波法、放送法の改正案につきましては、でき得ることであれば今会期中にこれを提案をいたしたい、こういうことで事務当局に命じまして、成案を得られるよう鋭意努力をいたしてまいったのでございます。しかし会期末近くなりまして、まだ十分検討もなされず結論も得るに至りませんので、今国会にこれを提出をすることは残念ながらでき得ないのではないか、かように考えておるような次第でございます。
 これは表現の自由にかかわる重要な問題であることは鈴木委員もよく御承知のとおりでございます。そのために各般の広範にわたりまする意見を聴取いたしておるのでございますが、必ずしも一致を見ない点も多々ございますので、こうした点等につきまして、将来各方面の御意見を十分お聞きをいたしまして慎重に検討を行なう必要があろう、かように存ずるような次第でございまして、期日を限って見通しを申し上げることは困難な状況であるような次第でございます。
#50
○鈴木強君 もうここでこれについて長く論議をしようとは思いませんが、三十九年に放送関係法制調査会の答申が出ましてから何年たっておりますか。検討をしておるがまとまらないとか、いろいろ歴代大臣はそれらしい理由を述べて提案を次から次へと順に送っておるのでありまして、私たち非常に残念に思います。現状の電波、放送は、今日の電波、放送法から見ますと、いろいろなところに相矛盾するまたマッチしない部面があるわけですから、そういう意味において、政府が諮問をした答申も出ておるにかかわらず、毎年毎年同じようなことを言われてこれを遷延されておることはまことに私は遺憾に思います。したがって、もっとわれわれが具体的に納得できるような理由があれば別ですけれども、そうでもないように思いますので、今後ひとつすみやかにこの答申に基づく改正ができますように、郵政省をあげて取っ組んでもらいたい、これをお願いしておきます。
 それから第二番目は、来たる十一月一日に放送局の一斉再免許が行なわれることになっておりますが、その基本方針を伺いたい。
 特に東京十二チャンネルは、私が何回もこの委員会で質問をいたしておりますように、設立当初の目的からして・今日・教育放送としての性格を失っているように私は思うのであります。こういうものを便々としてさらに再免許していくということについては相当問題があります。少なくとも教育放送として認可いたしましたその基準に基づいてこの放送がやられているかいないかということは、不断に郵政省としても御研究なされておるところと思いますので、これらの十二チャンネルの免許期間についてはどうするのか、それらも含めてお尋ねいたしますから、明確にお答えいただきたい。
#51
○国務大臣(久野忠治君) ただいまの東京十二チャンネルの再免許につきましては、十月末をもってその期限が切れるわけでございます。十一月一日に再免をいたさなければならないわけでございますが、この十二チャンネルの免許にあたりましては、御承知のとおり、前回の再免許にあたりまして科学技術教育番組六〇%以上、その他の教育番組及び教養番組合計二〇%以上とすることという条件を付しておるような次第でございます。そうして今日に至っておるわけでございますが、これらの放送内容等につきまして、いろいろ世論で批判のあることはよく承知をいたしておるわけでございます。でありますから、再免にあたりましては、これらの批判を十分勘案をいたしまして処置をいたしたい、かように考えておるような次第でございます。
#52
○鈴木強君 これは設立当初からの経緯を私はここで再び申し上げようとは思いませんが、いま大臣の御答弁も前回免許した放送番組基準というものを十分に勘案して慎重に検討したいということですが、スタートした当初のような、財界その他から協力をしていただいて運営資金を調達するというそのことが行き詰まりをしたわけです。結局、スポンサーがついて業界がCMを流すということになると、それなりのメリットがあるでしょうけれども、そうでなくて応分の寄付をするということになりますと、なかなか運営がむずかしくなって、赤字赤字で従業員の首切りというようなたいへんな騒動も過去にあったわけですね。科学技術教育放送局としては日本で初めてのケースであり、この電波の免許についてはいろいろな騒動もありまして、行政訴訟も起こるというようなこともあったことは事実でございますね。
 この扱いについては私は何回も言ったんですけれども、どうも私たちの考えているところからだんだんと遠ざかって、逆の方向へ逆の方向へと行っておる。それは経常を何とか赤字から黒字にということから、勢い普通の一般民間放送局と同じような形になってしまうという、これは事実でございますね。その辺を十分勘案されまして、今度の免許のときには慎重にやってほしいと思います。
 それから、何か聞くところによりますと、十一月一日の一斉再免許の際に、難視解消のための計画については、当然電波を発射する以上は、その電波が一人でも多くの皆さんに見ていただけるということでなければならぬわけですから、いつの場合でも難視聴解消ということは当然放送局としてやらなければならぬことだと思うのですけれども、こういう点について、この免許の際に、どういうふうな義務づけといいますか、計画をしておるか、そういうことを十分に郵政省として現状を聴取して、足りないところは何かこういう点はこうしてくれというような計画をやらせようとしておられますか、その点ちょっと伺っておきたいのです。
#53
○政府委員(齋藤義郎君) 現在免許を受けております放送局は、来たる十月末をもって一斉に免許の有効期間が満了するわけでございますけれども、その数は大体五千八百局ということでございます。その中でテレビの関係が四千八百九十三と大部分を占めておるわけでございますが、いまお話しのように、テレビジョン放送につきましては辺地の難視聴解消という事柄がきわめて大きな問題になっておるわけでございますので、これに対する各社の態度あるいは計画、これを具体的に詳細にひとつお伺いして、あるいはわれわれに意見がありましたら意見を申し上げるということで対処してまいりたいと思います。
 ただ、再免許におきましても、一般放送事業者はいわば自由な企業活動ということでございますので、条件をつけたりあるいは命令をしたりという関係はでき得ないと思いますけれども、一般放送事業者も公共的な放送を担当しているわけでごいますので、できるならばひとつ難視聴解消という面について一段と御努力願いたいという意味合いから、十分にこれに対する各社の態度を承知したい、こう考えておるわけでございます。
#54
○鈴木強君 難視聴については、後ほどまた郵政省側の意見、NHK側の意見を伺いたいと思いますから、一応いまの電波監理局長のお考え方は伺っておきます。
 それから第三番目に、通信・放送衛星の打ち上げ計画については順調に進んでおると思いますけれども、昭和五十一年度にこの打ち上げを実施するという、そのことについては間違いないんでしょうか、どうでしょうか。一番問題になるのはロケットなんですが、これらのロケットはアメリカのものを借りて打ち上げるというようなことも聞いておりますが、現状どういうふうになっておりますか。その打ち上げの時期については五十一年度間違いなくやれるかどうか、それをひとつ答えてもらいたい。
#55
○国務大臣(久野忠治君) 郵政省といたしましては、宇宙衛星打ち上げのための開発の準備を着々ただいま進めておるような次第でございます。
 鈴木委員御承知のように、昭和四十八年度の予算編成の際に、一月の十三日、宇宙開発委員会から「昭和四十八年度における通信衛星および放送衛星に関する経費の見積りについて」という答申がなされたのでございますが、この基本方針の中に、御案内のとおり「実験用の中容量静止通信衛星および実験用の中型放送衛星を昭和五十一年度を目途に開発し、打ち上げることが、関係機関から強く要請されていることに鑑み、両衛星について所要の開発研究を行なう。」という見積もりについての答申がなされたのでございます。
 そこで郵政省といたしましては、宇宙開発計画の見直しに対する要請を強くいたしておりまして、宇宙開発委員会に要望書も提出をいたしました。この要望書に対しまして、去る八月の二十二日、宇宙開発委員会において次のように重要な点で改定がなされたのでございます。この「見積り方針」の決定の最初の項目の最終のところに「五十一年度に打ち上げることを目標に開発を行なう。」というふうに変わったわけでございます。でございますから、正式に宇宙開発委員会でもって五十一年度打ち上げということが決定をいたしたような次第でございまして、それに対しまする所要の開発計画をただいま進めておるような次第でございます。
#56
○鈴木強君 これは東京大学なり宇宙開発事業団なり郵政省なり、それぞれ相協力をしておやりになることだと思うんですけれども、具体的に予算がきちっとつかないことには動きがとれないわけですから、概算として五十一年度に打ち上げるためにおおよそどの程度の金が必要なのか、これが一つ。
 それからもう一つは、概念設計とか予備設計、それからミッション機器の開発に必要な技術導入、これはアメリカからやっているわけですね。今度ざらにこれからアメリカからどういう技術を導入しなければならないのか、その点がはっきりしておりましたら教えてほしいんです。
 具体的には、もうロケットはおそらく日本のものでなくてアメリカのものでやる――NASAのもりを借りるのかインテルサットになるのか、それは知りませんけれども、それらの情報もちょっと新聞等に出ておりましたけれども、ロケットは日本の国産ロケットで打ち上げるのか、他人の力によってでなきゃ打ち上げられないのか、五十一年度にロケットが間に合うのかどうか、その辺はどうなんですか。
#57
○国務大臣(久野忠治君) 宇宙衛星の打ち上げにつきましては、鈴木委員御承知のように、あくまでもわが国といたしましては宇宙空間における電波権益の確保を早急にいたしたい、かような考え方に立って今日まで作業を進めてきたような次第でございます。ただいまお話のございました基本設計並びに打ち上げのために必要なロケット、これをどう扱うかという問題等につきましては、事務当局で検討を進めておりますので、その内容につきましては事務当局から答えさせていただきたいと思います。
#58
○政府委員(齋藤義郎君) 補足して説明させていただきます。
 衛星関係、これは五十一年度に打ち上げる二つの衛星でございますけれども、これに要する総経費、これが大体大ざっぱでございますけれども約四百億ということでございます。それで今年度に成立した予算が八億七千万円でございます。ただいま大臣からも申し上げましたように、計画がきわめて順調に進んでおりまして、八億七千万円分の仕事が大体九月、今月一ぱいで終わるというかっこうになっておりますので、あと十月からわれわれとしましては基本設計に入りたい。また五十一年度に打ち上げるためには、基本設計にいま入らないとちょっと期日的に間に合わぬというおそれもあるわけですので、今年度中にある程度の予算的措置がほしいと考えておるわけでございます。
 それから来年度の予算でございますけれども、これが国庫債務を入れまして約三百億という予算をちょうだいしたい。そのうちで歳出は約五十億程度になると思いますが、あとは四十九年度からの三カ年計画でもって、歳出でもって二百五十億程度はお認め願いたいということで、大蔵省にこれから要求を提出するという段階でございます。
 それからロケットの関係でございますが、これは科学技術庁あるいは宇宙開発委員会のほうで担当する領域でございますので、郵政省としてはあれこれ申し上げるという立場にはないわけでございますけれども、ただいま宇宙開発事業団が開発しておりますNロケット、これは常識的に申し上げますと、私たちが要望しております五十一年度の衛星を打ち上げるには性能的にちょっと間に合わぬ、これで打ち上げるわけにはいかないだろうということでございますので、目下、宇宙開発委員会等でどういうぐあいにして打ち上げるか、頼むのか頼まないのか、頼むとすればどこかというような問題につきましても種々検討されておる由でございます。それでこれに要する経費――ロケット関係の経費でございますが、もしアメリカ等に依頼するといたしますと、これも大ざっぱな数字でございますけれども、約百億程度の予算が要るだろう、したがってもし頼むものだとすれば、衛星関係とそれからロケットで合わせて五百億――大ざっぱな数字でございますけれども、大体の目安がそういうところにあろうかと思います。
 それから今後の技術導入の問題でございますけれども、ことしから手をつけたわけでございますけれども、いままでアメリカの技術はきわめて円滑に導入されております。それから、これからは先ほど申し上げましたような基本設計をするという段階においてアメリカの技術がほしいということ、それから衛星の製作についても部品の組み立て等につきましてはアメリカの技術導入という事柄を期待しておるわけでございます。
 以上、概略御説明いたしました。
#59
○鈴木強君 ロケットの技術導入についてはアメリカ側がしかく簡単に応ずるかどうか若干問題があると思うのですけれども、これはあなたのところは直接の担当ではないんですけれども、それがなければ幾らあなたのほうで本体を研究してみたって上がらないわけですから、不離一体のものでしょうからね、他人事ではないと思うので、そういう意味でその可能性、見通しというのはだいじょうぶですか。
#60
○政府委員(齋藤義郎君) これは直接担当するところが科学技術庁でございますが、いままでのNロケットの開発につきましてはさしたる支障がないというぐあいに話を聞いておりますが、われわれが将来放送衛星、通信衛星を上げるような強力なロケットを導入する場合には、あるいはいまお話に出たような問題が出てくる可能性が十分に考えられると思います。
#61
○鈴木強君 したがって日本の科学技術陣営がいま精力的に研究をしていただいているわけですから、少なくとも日本が独自の力によって、国産によってロケットができ、そのロケットによって打ち上げをするというそういう姿になってほしいと思いましてね、われわれはそのことを念願しているわけですけれども、どうも政府自体も科学技術の面では力の入れ方が足りない、金の出しっぷりも悪い。そして各省ばらばらになわ張りみたいなところでいろんなことをやっているものですから、三百億、四百億の金でも一緒にすればもっといいものが、どうも効率的な成果をあげていないという点もあると思うんですよ。
 ですから、これは大臣、ひとつせっかくいま研究をし、放送衛星の打ち上げをしようと思って郵政省のほうで非常に努力を尽くしているところですから、そういう点で政府自体がもう少し本腰を入れて、この面に金の導入なり技術開発について積極的に技術員を動員して、国産におけるロケットの開発を、大型ロケット――二百とか三百キロのそういうものが打ち上げられるようにぜひひとつ本腰を入れてやってもらいたいと思うんですが、それをひとつがんばっていただきたいと思いますが、どうですか。
#62
○国務大臣(久野忠治君) 鈴木委員の御意見、まことにごもっともだと思います。思いますが、しかし現在宇宙開発事業団で計画をされておりますNロケットでは、これだけの大容量――まあ中容量といっておりますが、衛星を打ち上げるために必要なロケットの開発がはたして可能かどうか、非常に疑問視されるような段階であろうかと思います。しかし事業団におきましては、この検討が鋭意進められておるようでございますので、私たちもこれが国産ロケットによって打ち上げられることを期待をいたしておるような次第でございます。しかし万々一これが不可能であるということであるならば、他の方法、いわゆる他国のロケットに依存をいたしまして、そして五十一年度に打ち上げを実現をいたしたい、かように思っておるような次第でございます。
#63
○鈴木強君 ですから、とりあえず五十一年度打ち上げにはおそらくアメリカの力をかりなければできないだろうということはおおよそ想像がつくんですが、その後、それではさらに次の放送衛星なり通信衛星を打ち上げようとするときに、またアメリカに頼むということもおかしなことになりますよね。ですから日本が独自の開発をする場合に、それじゃその技術の面でアメリカがすなおに日本のわからない技術について導入に応じてくれるかどうかということになると、局長も言われているように、むずかしい面も出てくるだろうということですから、その面の研究を、丑十一年度はそういう形でやむを得ないとしても、いまから日本独自の国産によるロケットで打ち上げられるようなそういう研究と体制をつくっていただくということを言っているわけですから、そういう意味でひとつ今後御検討願いたいと思う。
#64
○国務大臣(久野忠治君) 鈴木委員御承知のとおり、郵政省の所管事項ではないわけでございまして、所管が違いますが、私といたしましては、やはり国産のロケット技術を開発をいたしまして、実用衛星の打ち上げについてはぜひこの技術の開発によって国産ロケットで打ち上げることが可能なように、政府全体として努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#65
○鈴木強君 それから大臣に対する最後の質問ですが、電波について、例の小林郵政大臣の当時に、VからUへの移行問題、それから中波の大電力による広域化と県域放送をFMでやるという、こういう十年計画の方針がきめられたんですけれど、まあそれから何年かたっておりますよね。しかし、この方針は不変のように聞いているんですけど、実際には動いてないような気もするんですね。一体どうなんですか、これは再検討をしてもう少し交通整理をする必要があるのじゃないかと思うんですけど、この点についてはどうお考えですか、大臣。できないことならできないで、もう少し直したらいいんですよ。
#66
○国務大臣(久野忠治君) テレビジョン放送用周波数をVからUに移行する必要性につきましては、現在もこの方針を発表しました昭和四十三年当時と変わりありませんので、この方向で検討をしている次第でございます。
 この移行につきましては、まず受信者たる国民のU放送の受信体制を整えることが必要でありまして、オールチャンネル受像機の全面的な普及と見合わせながら、その実施をはかるようにすることが肝要であると考えておるような次第でございます。そこでNHKのU放送試験局を設けまして、オールチャンネル受像機の普及をはかっておるような次第でございます。
#67
○鈴木強君 中波のほう、FMのほうはどうですか。
#68
○政府委員(齋藤義郎君) ただいまお話のありました音声放送再編成の問題でございますけれども、これは昭和四十三年当時、基本的な考え方を明らかにしたわけでございますけれども、その後、この基本的な考え方は変更する必要はないものと考えております。
 それで、その当時の考え方といたしましては、外国混信という事柄が非常に大きな要素を占めたわけでございまして、外国混信がその後もだんだん逐年増加してまいりまして、いま日本で使っております周波数は百波、百あるわけでございますけれども、そのうちで大体六割、六十波が外国混信のために多かれ少なかれ被害を受けておるというのが現状でございます。それからそのうちの約半分、三十波程度が、夜間でございますけれども、特に被害が大きい、こういうことになっておるわけでございます。局の数にいたしますと、中波の局の数が四百七十五局ということでございますけれども、このうちで混信を受けている局、先ほど申しましたように六十波を使っておる局の数、これが大体三百局でございます。そのうちで特に外国混信がひどいというところがそのうちの三分の一、約百局というぐあいになっておりまして、だんだん中波を県域放送に使う、小さな電力で県域放送に使うというようないままでの考え方、昭和四十三年以前の考え方はその後不可能になってきたわけでございます。したがいまして大電力化して強い電波で中波を使う、これが中波の大電力化による再編成でございます。それから県域放送につきましてはFM放送というものに頼らざるを得なくなるだろうということでございまして、音声放送は中波の大電力化というものとFM放送というものを合わせて一つの日本の音声放送の体系をつくり出そうという考え方に立ったわけでございますが、この基本的な考え方はいまも継続して施策を講じてまいっておるわけでございます。
 それでNHKにつきましては、全国的にその受信が可能となるような大電力放送というものを逐次実現してまいる。また民法につきましても、昭和四十六年でございますか、国際的に可能な限度におきまして、増力をはかったわけでございます。それでその局が民放につきましては十七局という数の局が増力を行なったわけであります。
 それから超短波放送につきましては、これも昭和四十三年に周波数割り当て計画を作成いたしまして、NHKにつきましては全国的にその実施が可能となるようなチャンネルプランを作成したわけでございますが、民放につきましても、さしむき東京、名古屋、大阪、福岡の四つの地区につきましてFM放送の実施が可能となるようなチャンネルプランをつくったわけでございます。超短波放送――FM放送の今後の置局につきましては、中波の放送が近隣の諸外国からの電波によって著しい混信を受けるために将来県域放送のための媒体としての機能を十分に果たし得なくなるということ、先ほど申し上げましたように、十分果たし得なくなるということも考えられますので、今後、中波放送を含めた音声放送全体のあり方を検討していく中で、必要な措置を講じてまいりたい。したがいまして民放につきましては四局がFM放送を実施しておられるわけでございますが、その他につきましては、今後、音声放送全体との関連においてひとつチャンネルプランの作成の方向を検討していきたい、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
#69
○鈴木強君 FMの県域放送の場合、いまのお話ですと、何か中波が混信やその他を受けてなかなか聞こえないところ、そういうところを逐次やっていくような話だと思いますけれども、実際に各県に民間放送、ラジオ等がございますね、そういうものを、一体、FMを県域放送に使っていこう波を切りかえていこうという方針からすれば、ただ単に混信があるからとかなんとかいう理由でなくて、やっぱりチャンネルプランをちゃんときめて、そして逐次それをどういうふうに切りかえていくかという方針をきめていると思うんですね。
 現在、全県的にFMの申請がかなり来ておる、これに対してまだ免許を与えてないということでしょう。だから最低限一県にあるいまのラジオ放送ですね、そういうものに対してFMの波を一波は必ず提供するという、そういうことも大事なことだと思いますけれども、それにいたしましても、チャンネルプランをつくったら、それに基づいて、どういう事情にあろうと、十年間で切りかえていくというなら、そういうのを逐次やっていったらどうですか。その見通しというのはどうなんですか、現状は足踏みしていませんか。
#70
○政府委員(齋藤義郎君) FM放送の将来の置局の方針ということでございますけれども、これは私が先ほど申し上げましたこと以外に、実は、来年及び再来年に国際会議がございまして、これが第一地域、アフリカとヨーロッパでございますけれども、これと第三地域、これは日本を含めた極東地域でございますが、これとの合同主管庁会議が開かれまして、それで中波放送あるいは――ヨーロッパでは長波も使っております、長波放送もあるわけでございますが、わがほうにとりましては中波放送ですから、これの再編成問題ということがその国際会議で取り上げられると、その帰趨のいかんによりましてはわがほうの音声放送にも相当な影響を覚悟しなければならないというような国際的な事情もございます。
 それから国内的な事情といたしましては、中波の局をまだ持っていない方々はきわめてFM放送に対して熱心なわけでございますけれども、いまの中波で放送をやっておられる既設の方々は、何と申しますか、FM放送というのが非常に金がかかるわけでございまして、おそらく中波ならば一局で済むところが四倍ないし五倍の置局数が要るということで、採算上の問題から必ずしもいま直ちに中波をやめてFMに切りかえるというような機運もないようにも見受けられるわけでございます。
 そういうような諸種の事情を勘案いたしまして、将来の構想を郵政省としては勉強している最中でございますけれども、そういうような、何と申しますか、必ずしも切りかえということに関しては機が十分に熟したということではないようにも見受けられるという実情でございます。
#71
○鈴木強君 ですからね、あなた方が四十三年にきめた方針はもう不変のものであり不動のものだとおっしゃるわけです。しかし、いまお話しのように、それは主管庁会議で第三ゾーンの周波数の問題についても私は知っております。それからもう一つは、民放のほうでFMになると中継所を幾つかっくる、これはテレビだってそうですよ。VからUにいった場合に、Vで三つで足りたものが五つか六つになるかもしれませんね。そういうところに民間放送からすれば設備費の問題も出てくるでしょうし、当時から郵政大臣が発表したあの方針については積極的でないし、これはテレビだってラジオだって同じですよね。そういうことに対してあなた方が自信と確信を持ってFMに切りかえていくんだ、Uに切りかえていくんだという、そういう基本の問題をきめたんですから、いまになって泣きごとを言われても私たちは聞く耳持ちませんよ。
 それなら変えりゃいいんだ、問題はね。そういう動きに何かたじろいちゃっておきながら、不変だというところにぼくらは納得できない点があるんですよ。それなら十年間といったってできやせぬでしょう。もう少しカーブを切って弾力を置いていくということにしないと、話が合わないわけですよ。どうですか、それは再検討したら。
#72
○政府委員(齋藤義郎君) 基本的な方向につきましては、昭和四十三年にきめた基本的な方針は厳守してまいりたいと思います。
 ただ、いつそれを完全に切りかえるか、その時期その他については諸外国あるいは日本のいろんな事情を十分勘案しながら慎重にきめていきたい、こういうことでございまして、四十三年当時の基本方針そのものは変えるつもりはいささかもございませんし、それに沿って中波並びにFMの全体を合わせた一つの中波放送の再編成という方向に向かっては着々と計画を立案しつつある段階
 でございます。
#73
○鈴木強君 苦しい答弁だな。十年でやるというのは、これはできないじゃないか。
#74
○政府委員(齋藤義郎君) 十年は、一応UとVとの関係で、VからUへの移行という問題のときには十年を目途にということでございましたが、中波放送の再編成ということは別に年限は限ってはいないように考えております。
#75
○鈴木強君 それは当時の小林郵政大臣の御発言というのは、VからUへの転換とそれから中波の再編成の問題は同じように考えておられたですよ、ぼくらはそう思っているんだ。だから、それだったら、VからUへの転換にしたってこれはあんた完全にできますか、十年の間に。自信ないでしょう。
 だから、強がりだけ言わないで、世の中というものは変わっていくんだから、決定したことであってもある程度弾力を置いて、民間の放送の皆さんにもやっぱり協力してやらなければできないことでしょうから、それには言い分を聞いて、設備費がかなりかかるならば、その設備費についてある程度国のほうで融資体制というものについて考えて差し上げるとか、そういう協力体制をつくらなければいけないでしょう。
 それから一面、また受信者の立場に立って、オールチャンネルの受像機というものをできるだけ保有していただくようにすることも大事でしょう。ですからアメリカのようにオールチャンネル法をつくって、受信者はオールチャンネル機を持たなければならぬというふうに法律できめるところもあるわけです。それはなかなかしかしむずかしい。ですからコンバーターからだんだんと更改期になってオールチャンネルと、まあ大体そういう方向に受像機はいっていると思いますけれどもね。
 それらの各権益にわたるVからUへの切りかえということは相当な困難性が伴っているわけですから、そういう点を計算に入れていただいて、そして無理のないところでやりませんと、ただ頭からこうだこうだという基本方針をきめられてみたって、なかなかそうはいかない場合が多いわけですね、そのことを私は言っているのですよ。ですから、ここでこの問題で深く論議を私はしようと思っておりませんけれども、どうも最近われわれが見ておって、FMの切りかえについてもいろいろな要素はありますよ、ありますけれども、何か足踏みをしているような気がしてならぬものですから、もしそうであれば、そういう事情があるならば多少の軌道修正をしてもいいんじゃないだろうか。そして実態に合えるところで国民の各位あるいは民間放送業界あるいはNHKのそういう協力体制の中で、深い理解と納得の中でやっぱりこれはやりませんといけませんので、そういう配慮を私はしてほしいということを言いたいわけです。
 ですから、大臣もちっとその辺の実情を検討していただいて、軌道修正する必要があればしてもらうし、そうでなかったら、その期間等についても弾力を置いて、いずれにしても基本的には国民の各位の協力を得る、民間放送、NHK、放送事業者の協力を得るという、そういうことが基本にあると思いますけれども、もう一回それらについてもあらためて見直す必要があるように思いますよ。
#76
○国務大臣(久野忠治君) 先ほど電波局長からお答え申し上げましたように、方針は変わってはおりませんが、ただいま御意見の点は十分配慮いたしまして、検討させていただきたいと存じます。
#77
○鈴木強君 では、あとはNHKのほうにちょっとお伺いしたいと思います。きょうは文部者からも来ていただいておりますが、若干ひとつお待ちいただきたいと思います。
 小野さんが会長に御就任されまして、おめでとうございました。今後、あなたがNHKの最高責任者として公共放送のリーダーシップをとっていただくわけですが、若干、私はあなたに対して御所信を承っておきたいのでございます。
 御承知のように、NHKは世界最大を誇る近代的な公共放送として不動の体制を築かれたと私は思います。その陰には歴代会長あるいは全職員の皆さんの不断の努力があったものと思いまして、あらためて私は敬意を表する次第でございますが、今後、この飛躍的な発展の中に出ておりますひずみですね、これは午前中に木島委員からもいろいろと会長に御質疑がありましたが、NHKの運営のあり方基本的なあり方、こういうものについて二面やはりいろいろな批判があると思いますね。私たちは新聞やテレビやラジオでも聞くのでありますが、特に新聞の投書欄なんかは相当綿密に私は拝見しておりますけれども、一つ一つの番組についてもいいとか悪いとかいう批判がもう一日ごし二日ごしには紙面に出てくるようなマスコミの時代、情報化の時代ですから、そういうことがあると思うのですね。
 小野さんが副会長当時いろいろと御苦労されたのですけれど、例の内幸町の放送会館の跡地問題とかあるいは受信料の不払い等が新聞紙上で散見される。それからたとえば銀行の振替払い込み、こういうものも何か受信者の理解を得ない間に、知らない間に銀行から振りかえしているというような記事を見るにつけましても、やはりNHKはもう少しそういう面において経営の根本的なあり方に対して反省をしてもらって、初心に戻ってやってもらう点が幾つかあると私は思います。
 そういう意味において、ちょうどこれは朝日新聞の六月二十九日の「天声人語」というのがありましてね、これちょっと参考になったものですから読み上げてみますと――
  「前田天皇」といわれて、NHKに君臨していた前田義徳会長が勇退することになったようだ。九年間、会長の座にいて、その強い個性がNHKを一つのカラーに濃く染め上げた▼NHKのことは、悪口をたたいた方が気持よいことになっている。年間予算千二百億円。この間買った世界最大級のパイプオルガンは、パイプが七千六百四十本もあった。朝の時計番組「北の家族」は二千数百万の人が見ている。その大きさに、民間放送は歯が立たない▼しかもこの民放を、NHKは「商業放送」と呼び、内部でも「商放」という言い方を守る。われわれ「公共放送」とは同列にあらず、というお高い姿勢がまた反発をよぶ。金持でツンとして、しかも人に好かれようというのは、土台、無理な話だろうから、ねたみをまじえた悪口になる▼もっともNHKのすぐれた点をいわないのは、不公平というものだろう。とくに報道、海外番組には、他の追随を許さぬものがある。ただNHKのカメラは、デモでも騒動でも、いつも遠くから撮るといわれてきた。遠景は、苦しんだり、喜んだりする人間の表情をなくし、万事をきれいごとにする▼アナウンサーも同じことで、眉(まゆ)一つ動かさず無表情でしゃべる。こうしたNHK調は、よくいえば整然、逆にいえば血が通っている感じをなくす。前田会長は、政府にも物をいうタイプの人だったが、それでもNHK全体としては、官に弱く民に強いという印象は年々強まっていた▲昨年、英国国営放送(BBC)の総支配人に会ったとき、「放送の自由とは、少数意見を人々に伝えることだ」と、ずばり語っていた。つづけて「意気地のない、政府の代弁者にはなりません」と放送人の誇りを説明しているとき、NHKのことが思い出されてならなかった。
 こう書いてありまして、これはまあ天声人語で、お書きになった人の感じだと思いますが、やはりこれを読んでみまして、国民がNHKに感じていることが端的にあらわれている部面もあると思いますね。
 会長が今度新しく就任されまして、新会長として、さっきも申し上げたように、リーダーシップをとっていただくのですけれど、若干心配になる点は、これは新聞にも端的に書いてありましたが、小野会長は田中総理大臣が郵政大臣当時の事務次官でございまして、昭和三十四年に田中郵政大臣の人事異動の際に専務理事としてNHKにお入りになりました。三十九年以来三期九年間副会長をつとめられて、前田会長とともに一番むずかしい時代のNHKをしょってきたと思うのであります。特にあなたは財務、会計、営業の面においては非常にたんのうの士でありまして、その精通ぶりには私たちこの委員会でも感銘いたしておりましたし、自他ともに認めていると思います。
 しかし、そういういきさつがありますから、世間では、いまこの最後にありましたように前田さんがかなり政府に対してものを言った。しかしだんだんと政府のほうから圧力が加わって弱まっていくのじゃないかという、そういう心配がございますね。これは公共放送でただ一つ取り柄があるのはそこにあると思いますね、何者にも介入されない、公正中立な協会であるという、ここにまあ放送法の規定があるわけでありまして、私はいろいろと論評してある点について、そんなことはないと思いますけれども、世間は実はそう見るんですね、あなたが田中さんに近いものですからね。あなたが会長になって政府の思うようになるのじゃないかという、うがった見方だと思いますけれども、私はそんなことはないと確信をいたしますけれども、そういう世論の声がありますので、このたび失礼だと思いましたけれども、その面に対してあなたがどういうふうな確固たる御所信を持っておられるのか、まずこれからちょっと伺いたい。
#78
○参考人(小野吉郎君) お説は私にも理解できます。世間の見る目はそのような見方でとかく見がちでございます、私はそれを否定いたしません。
 しかしながらNHKの運営といたしましては、放送法にも第一条、第三条にその原則が掲げてありますように、政府の御用機関ではございません。これは何人が会長に就任をいたしましても変わらない原則でございます。そのことにこそ一つの公共放送といたしましてのNHKの存在理由もあるわけでございますし、国民の幸福、社会の福祉の増進、こういった面にいまのようなNHKの原則を貫くことがかえって民主社会における国民生活の充実、社会の福祉に貢献する唯一の道なんだということでございますから、私もいろんな目で見られましょうけれども、NHKの会長といたしましては、前会長と同様に公共放送の立場を守って――これは必ずしもNHKが独善的な歩み方をしようということではございません、民主社会におけるそういう公共放送のあり方が一番理想的姿だということでございますので、その理想は曲げないように運営をしてまいりたいと思います。
#79
○鈴木強君 その点はわかりました。
 それで、先ほどの「天声人語」にもありましたように、アナウンサーの放送のしかたそのものにも何かNHKのカラーが出ておる。そのカラーが国民からちょっと見るときざなような、何というか自分たちから遠いところにあるような気がするという、そういう気持ちも一つあると思いますし、それから午前中もございましたが、いい番組を送ることがやっぱり大事なところですから、そのためには番組の編成費なりあるいは労務費というものも相当に私はかかると思いますね。しかし、あえてそれをやるところにまたNHKのいい番組が流れることになるわけですから、そういう点については当然不断の御苦労をいただいておると思いますけれども、問題は、NHKが一人一人の受信者から聴視料をいただいて、それをもとにして運営しているわけですから、私たちのNHKだ、国民のNHKだ、そしてもっとわれわれが親しめる、なじめるようなそういうところに基本を置かなきゃならぬと思うんですが、そういう点に対して、若干、やっぱりこれだけの大きな企業になり組織を持っておりますと、どうしても外から見ると、ひがみかどうかわかりませんけれども、そういうふうに感ずるところもあると思いますね。ですから、この批判にこたえるために一体どうしたらいいかということを経営の面で、運営の面で考えてほしいと思うんです。
 記者会見のときの新聞記事もちょっとここにございますが、たとえば国民の声を反映させるために局外重役というものの新設を検討したいという御意見もありました。これはどういう内容か私もよくわかりませんが、現行放送法の関係でできない場合もあるでございましょうし、それから人事管理の面でも、たとえば副会長の複数制というものもあなたは検討してみたいとおっしゃっているんですね。
 NHKには事務面と技術面とあると思います。まあ事務面の場合にはいろいろまたあれでございましょうが、大きく分けてアナウンサーの方々と経理とか庶務とかに携わる方とあると思いますが、問題は、どこの企業でも技術系と事務系というのがほんとうにこん然一体にならなければうまくいかないんですよね。そういうことが人事管理の面においても基本的にやっぱりあらなきやならぬと私は思うんです。それは能力のある人であったら、事務の人であろうと技術の人であろうと適材適所でおやりになればけっこうですけれど、そういう意味において副会長の複数制なんていうことも一つの考え方だと思いますけれど、会長が意欲的に国民の声を反映させるというために、就任早々あなたの見解を示されたことは私はけっこうなことだと思うんです。
 ですから、そういう国民になじむ、愛されるNHKになるためにいまどういうふうな組織機構にして、そして従業員の心がまえをどういうふうにしていくのか、それはすなわちやはり人事管理の面にありますね。ですからその辺をもう少し検討していただいて、なるほどNHKは小野会長になって見違えるようになったという、そういう姿が出せないものでしょうかね。いまは別に悪いとかなんとかいうんじゃありませんけれど、要するに、批判にこたえてもっと親しめるNHKになれないものだろうかということを国民は期待していると思います。ですから、これらの点について会長の抱負、所信をぜひ国民の前に示してもらいたいと思います。
#80
○参考人(小野吉郎君) 現在、NHKがいろんな批判を受けておりますことは事実であります。その中で非常に私どもが傾聴しなければならない点につきましては、謙虚にこれを受け入れて経営に反映をさしていきたい、かように考えております。
 鈴木先生も申されましたように、NHKはやはり国民とともになければなりません。国民から遊離してはNHKの存在の理由はないわけでありまして、その意味で国民から親しまれ、愛されるNHKでなければならないことは、かねがね私も専務時代からそのように申し続けてまいっております。そのためにはいろんな方法を取り入れなければならないでありましょう。記者会見でいろいろ私がしゃべりましたのも、そういう見地に端を発しての発言でございまして、いろいろ今後検討してまいらなければならないと思いますけれども、経営の万般にわたりまして、とかく国民と遊離した独善的な思い上がった立場にあるというような目で見られないように、ほんとうに親しまれ愛される身近なNHKでありたいことを望んでおります。
 その点では、先生のおっしゃいましたように、やはり人の心がけの問題でありまして、人事と申しますか、あるいは人員の研修と申しますか、そういった心がまえの点に非常な問題があろうかと思いますので、一万六千五百すべてがみんな同じような、そういった気持ちになるような具体的ないい方策を進めてまいりたいと考えております。何しろ今日の放送事業の使命と申しますか、責務と申しますか、これは非常に重大なものがございます。この責務を十分に果たしてまいりますためには、いろんな面で有効な措置を取り入れ、配意を重ねてまいらなければならないと思います。しかもそれはどこまでも公正な妥当な運営でなければならないと思います。そういうような状況にあってこそ初めて国民の理解も得られ、また親しまれもするゆえんであろうと思いますので、そういう点について全力をあげて、一万六千五百全職員とともに、そういったNHKを築いてまいりたい、このように考えております。
#81
○鈴木強君 具体的に局外重役構想というのは、どういうものなんですか。
#82
○参考人(小野吉郎君) 今日のNHKにおきましても、あるいは経営委員会のあり方、これも一つの地区制の任命になっておりますし、やはり地域の住民の意向が反映されるようにといったような気持ちが十分にくみ取られておると思います。その意味におきましては、国民の意向を十分に経営に反映させる、そういうような点において経営委員会をNHKの意思決定機関とし、しかも最高機関としてそういった配分が行なわれております。その配意はやはり国民の意向を十分に反映して公正な運営をはかっていくというところにねらいがあろうかと思います。
  その他、われわれが実際上用い得る方法といたしましては、できるだけ国民の中に溶け込むような方法におきまして、あるいはいろいろな経験豊かな学識のある方々に御依頼をいたしまして、中央、地方には懇話会も設けておりますし、また所在におきまして聴視者の代表と目される方々にきわめてひんぱんに集まっていただいて、ざっくばらんに懇談会も催しております。あるいは相談室を設けますとか、そういった窓口を通じまして国民の方々の意向が十分に吸収でき、これを経営に反映できるような努力もいたしておるわけであります。その他電話、文書を通じまして投書なり要望なり、そういったものも数多く受けておりますけれども、なおかつNHKの経営が国民の要望と離れておるのではないか、こういう批判はよく受けるわけでございます。
 そういう意味合いから、私の発言も、いわゆるNHKの内部に閉じこもった重役陣でなしに、それに広く窓をあけて非常勤の役員制度も考えていいんじゃないか、このように考えておるわけでございまして、これはいわば国民の意向を反映し、経営にそれを吸収する、こういったような趣旨から出たものでございます。
#83
○鈴木強君 これは私は、会長ね、この構想は検討をもっと深める必要があると思うのですね。いまの局外重役という構想はわかりました、新聞記事ではよくわかりませんでしたからね、非常勤の重役をつくろうということなんですが、その前に私はもっとやるべきことがあると思いますね。
 それはいまお述べになりましたように、たとえば経営委員会とか番組審議会、各種の懇談会等も持っていただいて、絶えず国民の声を聞く努力をしていただいているわけですね、機関もあるわけです。ところが、われわれがいつもこれについては意見を述べているように、たとえば経営委員会の任命にしても番組審議会の任命にしても、もう少しバラエティに富んだ、まあ学識経験者とかなんとかということにこだわらないで、ほんとうになまの、一婦人でもけっこうでしょうし、そういう意味においてもう少しいまある組織、機構というものを再検討していただいて、そうしてほんとうに国民の声がそこに集中できるような方法をまずやるべきじゃないでしょうか。ですから問題はいまの組織、機構の中で運営の妙を発揮すれば、よりよくまた国民の声が吸い上げられるよう制度、機構はあると思いますね。
 かりに局外重役をつくってみても、その人が一体いまのような形の中で、はたしてどれだけの意見が経営参加の面でできるかどうかということになりますと、これはなかなかむずかしいと私は思うのですね。考え方はよくわかりますけれども、この構想は私はにわかにちょっと賛成するということについて、私個人の考え方ですけれども、もう少しいまの機構を、内容を検討していただいて、運用の面において十分にその成果を生かし、その上に立ってこういう方法をとられるということであればわからないこともありませんけれども、いまにわかに局外重役機構をつくってみましても、なかなかそれはうまく乗らないんじゃないでしょうか。たいへん恐縮ですけれども、そういう気持ちを持っておりますから、考え方、アイデアは私はわかりますけれども、実際の運営でその成果が生きるかどうかということになると、多少問題があるように思いますから、これはひとつ再検討してもらいたいと思います。
 それから副会長の複数制、これは私はここまでまいりますと、ある程度やはり会長を補佐するという立場に立って、非常に広範になるわけですから、これは私はやったらいいと思うのです、この複数制については。そしてよき人材を登用して、NHKのより円満な運営をはかるためにはこういうことも私は一つの方法だと思いますね。これは放送法の改正にもかかわることですから、大臣のほうで、電波、放送法はちりが積もってちっとも出てこないから、これはひとつ検討していただいて――ただ、それが管理機構の強化みたいになって逆の面になってはいけませんですけれども、そういうことでなくて、実際の仕事の増大から見まして、そういうことは私は検討の余地があると思います。
 それからもう一つ、そのときに会長が申されている中に、不払いに対して訴訟も辞せずという、こういう考え方が出ております。あなたは受信料問題についてはかなり専門的にやってこられましたから、そういう気持ちになったと思いますけれども、これはしかし何か一面においておどかし文句のようにとられる危険性がありますよ。かつて小林さんのときに、罰則をつくろうじゃないかというようなことで放送法の改正の問題も若干出たことがございますけれども、いまここに書いてありますように「いたずらに不払いをあおりたてる」とか、そういう者に対しての防衛措置としてあなたが考えたことだと思いますけれども、そうはなかなかこれは受け取れないのが出てきますからね。運用いかんによっては危険な方向にいくこともあり得るわけでしてね、ここはもう少しNHKが、一人一人の会員といいますか、支持者に対して、不払いなんかをしないでいくように、もっともっと一段と努力を重ねていくのが筋であって、何か権力によって訴訟もできるというこの打ち出し方は若干私は問題のような気がしたのです。
 われわれも気持ちの中ではわかりますよ、会長がいろいろ苦労されてきておりますからね。しかしいよいよこういう形になりますと、ちょっと無理があるように思いますから、とにかく営業体制というものを十分に練り直していただいて、何としてもNHKが公共放送として見ていただいているんですから、見ていただいている以上は、やっぱり特別の難視聴とか何かのあれがない限りは支払ってもらうという、要するに気持ちよくみんなが払うということにならなければだめなんでしょう。だからそういう方面にもう一段と会長が就任をされて努力をされて、その上でまた考え方を出すのはいいと思うのですけれども、どうも就任早々からぱっと出したものですから、私は実は意外に思ったんですが、一面無理からないという気持ちも私はございましたけれども、いよいよ活字になってみますと若干その危惧があるわけです。その辺はどうなんですか、ほんとうの気持ちは。
#84
○参考人(小野吉郎君) その記事は私の気持ちを十分に尽くさぬ面もあります。いろいろ記者会員の席上で出たことばでございますけれども、そのようにその点に焦点を合わしてずばり強く言ったわけではございません。
 受信料の問題につきましても、いろいろ契約の獲得、収納の万全を期します上において非常に困難度が増しつつあることは事実であります。これはわれわれがわれわれの努力によって解決していくべきものだと思います、これが基本であろうと思います。現在の放送法第三十二条にも「契約をしなければならない。」とありますけれども、これを法律解釈をいたしますと、学者の間でも非常なやはり公権的に近いような解釈もありますが、そういう解釈を振り回す気持ちは毛頭ございません。おそらくいまの三十二条の「契約をしなければならない。」とこうありますそれも、NHKは権力団体ではございませんから、権力団体に対する権力行為として認めたものではなく、おそらく民放、NHK併存の時代におきましても、公共放送、NHKの放送が受信機を設置すれば大かた見られておるであろう、こういう実情を踏まえて、それに対して契約しなければならない、こうなっておるんだろうと思います。そういう意味から申しますと、国民に喜ばれ歓迎されるようないい番組を出して、そのかわりに受信料は円滑にお支払いをいただく、そのためにわれわれがどんな苦労がありましても努力をしなければならないことが本則でございます。
 記者会見の場合でも、在来、不払いの関係についてはこれを訴訟に訴えることはない、こういうことを前田会長も言っておりました。私もその席で申したのでありますけれども、一々やはりカラーにして月額四百六十五円、これを支払われないからというのですぐ訴訟に訴えてどうこうということはやるべきでない、いわんや経費的に見てもそれよりもよけいの訴訟費用のかかるようなものを一々取り上げることはかえって受信者全体の負担を増す結果になるので、
  〔委員長退席、理事古池信三君着席〕
それは受信者全体の利益の確保の上からいっても、そういう行為はとる意思はない、こういうことを言っております。
 そのいろんな質問の過程において、自分が自分の志向なり理由によって支払わないのでなくて、他人を扇動して、あれは契約の義務はあるが支払う義務はないんだとか、払わんでもいいんだというような、そういう点で、いわゆるNHKの受信料制度の根幹を故意にゆるがすようなそれについては何かやはりいい方法はないもんだろうか、これもやはりわれわれの努力すべき分野ではあるけれども、そういう面について一切訴訟行為もいたしません、こういうようなことを言うつもりはないと、いろんな法律要件が整えば、そのときの必要によって世論がこれを支持されるような状況であれば、訴訟もあり得るんだ、こういう程度に申したわけでございまして、それがそこに重点を置いて、新会長になって従来の方針を一てきして非常に高飛車に出た、こういうように取り上げられておりますけれども、それは私の真意とするところではありません。
#85
○鈴木強君 基本的な考え方はわかりました。しかし最後の面はもう一段とくふうを要するところではないでしょうか。NHK放送だけの当時の放送法に基づくいまの現行法ですから、その後民間放送が出てきますと、われわれが回っても、NHKのところだけ封印して、できれば聞かないということにして、他のところを見るからNHKを払わないでもいいじゃないかというような意見もありますよ。
 ひどいのになると、ホテルなんかに泊まってみますと百円入れなければ見れないようになっているんですね、あれはどうなんですか、あれは実態調査をしてみましたか。どのぐらいああいうふうな――私たちから見ると受像機があるわけでしょう、スイッチを入れれば見れるわけです。百円入れなければ見れないというのはどうも納得できないですよ、そういうことをやっていますよ。しかもそれは会社がそういう機械をつくって、くっつけて、そして見たければ入れなさい、見たくなかったら入れなきゃいいというようなやり方をしているのもあるわけですね。こういうものは腹が立ちますよね、何か放送法に違反しているんじゃないかという気もするんですけれども、これはいまここで新しく出た問題じゃなくて、他の委員からもいろいろと意見が出ておりますが、何かそういうふうなところまで乱れていっているわけです。
 ですから、そういうものに対して放送法上の何かの規定を設けてやるということも私は必要だと思うんですよ。だから新しい体制、どんどん民放と公共放送が並列してやられているわけですから、そういう意味においても、いまの現行法というものの実情にそぐわない点についてはもう少し検討する必要があると思うんだ。これは郵政当局の法律改正の問題ですから、そういう意味において私はやるところはやりなさい、こう言っているわけですね。
 それで、いまの百円入れなきゃ見られないというのはどのくらいありますかね。
#86
○参考人(小野吉郎君) これは現在放送法のたてまえでは申告の義務もありませんし、またNHKといたしましては立ち入り権もなければ調査権もございません。そういうことで、どのくらいあるかということを聞かれましてもちょっとお答えする資料を持っておりません。
 ただ、私も直接そういうものがあることはこの目で見て承知いたしておりますけれども、これは必ずしもいまの放送法に違反と、こういうようなことて問擬すべき筋合いのものでもないように思います。ただ、主として旅館等にあるんでございましょうけれども、旅館の経営者がお客さんに対してテレビの施設を設けておりますけれども、それについてはいろいろ受像機の償却等も考えておるんでございましょう。ある一定の金を入れなきゃ見られないようにしておる、金を入れれば見れる、こういうことにしておるそれは必ずしも法律違反だというように問擬する根拠もないように考えております。
#87
○鈴木強君 あれ好ましいですかね。
#88
○参考人(小野吉郎君) 好ましいか好ましくないか、これも私どもがやはりどうだと断定的に判断すべき問題でもないように思います。個人がそれぞれ用途に立てるために自分で設置したものではございませんし、ある事業の経営者がそこへ来られるお客さんに対して便宜を供与しよう、そういう意味においてやっておる問題なんで、はなはだしくそれが高価であれば社会的にはいろんな考えも出ましょうけれども、私どもがあえてそれは好ましいとか好ましくないとかいったようなことを言うべき筋合いではないと思います。
#89
○鈴木強君 これは法律論からいえば百も承知ですよね。ただ不愉快ですよね、とにかく。好ましいことじゃないでしょう、これは。好ましいか好ましくないかなんて、そういう抽象論でやるべきではないですよ。だからやはり私は、大臣ね、業者も業者だと思うのですよ、ああいうものをつくってそれをくっつけるような商売をやっているわけですね。ですから法律的にこれ違反だとか違反でないということもあるかもしれないけれども、旅館に行けばテレビがある、普通のところではちゃんと金を入れなくても見えるようになっているんですよね、多くのところは。ところが、あるところでそういうことをやっているわけですからね。もしそのテレビの損料が必要であれば、百円入れなくても、たとえば何十円か知りませんよ、それを全体の泊まり賃の中に入れるとか何かしたらいいと思う。百円はずいぶんひどいですよね、これは。一時間か二時間くらいで百円ですからね、これが何回も何回も入れなきゃならぬので相当の金になる、不当利得だと思うのです。実際に減価償却をしてどのくらいの得になるのか損になるのか、これは立ち入り検査もできないからわからないでしょうけれども、私は好ましいことじゃないと思うのです。そうであれば、やはりああいうことに対して何か良心に訴えるようなこともしなきゃならないんじゃないかと私は思うのです。
 ですから、あるとき、私は製造会社の住所を調へまして、直接電話をしたことがありますよ。そうしましたら、小野会長が言うように、これは商売で、何者にも文句を言われる筋合いはないという高飛車のお答えが返ってきましたけれどもね。非常にわれわれとしては不愉快なんです。だからその旅館の経営者等、悪徳業者といえば悪徳業者かしれませんが、そういう者と話し合いをして、たまたまそういうものを入れればもうけるんですから、もうけの手段としてやっておるというような――これは日本の旅館が全部そういう方法でいくならそれでまた国民は納得できるかしれませんが、実際は一面においてただで見せているところとそういうところとありゃ、どうも不愉快だなあと、子供なんかと一緒に行ったときは子供はテレビがないとなかなかおさまらないですから、いやおうなしに入れてしまう。たとえばあと三十分で出発するというときに、その三十分間やはり見なきゃならぬ、子供たちは。そうすると一時間半まるっきり損するようなこともあるわけですよね。これはやはり何かうまい考え方はないですかね、大臣。あなたもそういう経験にあったと思うけれどもね、不愉快でしょう、これ。
#90
○国務大臣(久野忠治君) NHKの会長としては、なかなかただいまの御質問についてお答えすることは非常にむずかしい問題かと私は存じます。その受像機はもちろんNHKの放送も受像することもできましょうし、民放の放送も受像するような設備になっておるわけでございますから、会長として、この点についてお答えをいただくということは非常に困難な問題ではないかと思うのでございます。
 ただいま鈴木委員から御指摘がございましたように、放送法上の違法行為ではないことは、これは明らかであると思います。しかし御指摘のように、私は好ましいことであるとは存じません、好ましくないと思います。でありますから、こういう受像機を取りつけることについて何らかの規制措置を講ずべきかどうか、これは今後の研究課題として、郵政省といたしましても検討さしていただきたい、かように存ずる次第でございます。
#91
○鈴木強君 わかりました。大多数の人たちがそういう不愉快な目にあっておりまして、何らかの対策を考えてもらえないだろうかという意見がたくさんありますものですから、私はその声を代表してここで申し上げたんで、これは私個人の主観ではありません。大臣のいまのお答えで御検討いただけるなら、そういうふうにひとつ進めていただきたいと思います。
 それからもう一つ、会長に伺っておきたいんですが、前会長の当時三年間受信料は値上げしないという方針がございます。この方針を小野さんも踏襲されていくと思いますが、実際に最近の経営面におけるいろんな経費の増、それからこれから予想されるカラーへの転換、新規受信者の開拓、こういうふうなことをそれぞれ思い合わせてまいりますと、たいへん困難な点もあると思いますが、国民の側から見ると、公共料金にひとしいものですから、公共料金でございましょうから、できるだけ安くしてもらいたいという願いもあると思います。それで、これについては、困難はあっても従前のような方針を踏襲して三年間は絶対に値上げはしない、こういうふうに明確に確認をしてよろしゅうございましょうか。
#92
○参考人(小野吉郎君) 経営の実態から申しますと、そうやすやすとできることではございません。もともと昭和三十七年以来二回にわたりまして受信料の改定調整を行なっておりますが、いずれも単純なる値上げでなく、いろんな料金の本質から考えまして、またNHKの機関としての性格からも考えまして、半ば値下げをも考慮しつつ料金の調整を――しかもそのことが将来の受信機の伸びあるいはカラー契約の伸びに期待をいたしまして、収入増にもなるような調整をはかってまいったわけでございます。そういう点は、いろいろ経済当局におきましても、諸種の料金の比較の上におきましてはNHKの料金は非常に低位であり、むしろ計算によっては過去の年次を一〇〇にして一〇〇を割るような計算も出ておるような実情でございます。
 そういうような実情と同時に、最近におきましては、支出の伸びはかなりあるのでございますけれども、いかに合理化をいたしましても、収入の伸びは、やはりテレビの普及ももうどうやら行きつくところに近くなっておりますし、またカラー契約の増加も年々急速に増加をいたしてまいりまして今後に期待する増加分も漸次少なくなりつつあります。そういうことから収入の絶対量は対前年比から申しましてその比率は漸次下がりつつある。一般の傾向といたしましては収入の伸び率よりも支出の伸び率が上回る、こういう状況下におきまして、四十八年度を起点に三年間値上げなしにやっていくということはいろいろ非常にむずかしい問題もあります。しかしながら、この点につきましては四十八年度の予算の御審議の際にも将来三年間は値上げなしにやってまいります、こういうことをお約束申し上げておるわけでございますので、これを破るつもりはございません。どこまでも値上げなしに、いろんな合理化なり不要不急なものの繰り延べ、整理、そういったことによって料金値上げなしにやっていく、こういう決意には変わりはございません。
#93
○鈴木強君 それからもう一つ、人事管理の面、人材の登用の面ですけれども、NHKは大きく分けて事務系統、技術系統に分かれると思いますね。この方々のたとえば昇進なんかについて、あるいはある程度管理職として登用するような場合もあると思いますが、何か基準があるんですか。課長にはどういう人をやるとか、係長とか主任とかあるいは主管とか、そういうものはどうとか、そういう何か一つの基準があるんでございますか。
#94
○参考人(小野吉郎君) これは昭和三十五年でございましたか、いわゆる経営近代化に伴う職員制度の全面的な施行をいたしまして、その中でいわゆる厳密なる考課制度を設けております。それぞれ直属の上司あるいはその上の上司、こういったそれが平素の勤務その他を見まして厳密なる考課をいたしております。しかも人事の基本は何人もうましめない、こういうことがやはり基本でございますから、その中には本人の職場希望等もちゃんと調査をしてございますし、できるだけそういう面に沿って万人うむことなく愉快に働けるような制度を設けております。そういった制度の実績を基本にいたしまして昇進の基準と、こういったようなものにいたしておるわけでございます。
 もちろん、その考課の前提には、研修制度も前提としてあるわけでございまして、一定の研修をある年数ごとに同じ人についても重ねてまいっております。と同時に、考課制度に相まちまして、そういう考課の実績を踏まえて昇進をいたしておる、このような実情であり、また昇進だけでなく、いわゆる幹部なりあるいは配置等の関係も考慮をいたしておるような次第でございます。
#95
○鈴木強君 これはあとで資料として出していただいてけっこうですけれども、事務系統とそれから技術系統から管理職にどういうふうなバランスで出ておられるか、それを一つ出していだきたいと思います。
 それから、とかくアナウンサーの場合は不遇だというふうに聞くわけですけれど、そうなんですか。
#96
○参考人(小野吉郎君) アナウンサーの場合におきましては五百人ぐらいございますけれども、あるいは勤務の場合が中央であるとか地方であるとかいろいろな面もあります、あるいは担当する番組の面におきまして社会的に非常な関心の高いものがあり、あるいはそうでないものもあるようでございます。できればそれをまんべんなくみな張りを持ってできるような状況になればいいのでありますけれども、その辺についてやはりいろんな五百数十名もおりますと、なかなかそういうことが意のごとく完全にはまいらないわけであります。と同時に、アナウンサーからほかのいわゆる職への配置がえ、そういったような問題も出てくるでございましょうし、何しろああいった声が商売の職種でございますから、ある一定の限界ということもありましょう、その後におけるやはり張りのある職場、こういった面もあわせ考えなきゃならぬと思います。そういったような面でいろいろ配意を重ねておるわけでございますけれども、その点がまだ完全十分でない面からアナウンサーの中には一部やはりそういった非常にさびしい思いをしておられる方がないではないと、これは承知をいたしております。
#97
○鈴木強君 それともう一つ、アナウンサーの方から管理職に登用するというのは比較的少ないんじゃないでしょうかね、その点はどうなんでしょう。
#98
○参考人(小野吉郎君) これは必ずしもそうでないようでございます。管理職にはアナウンサーからもずいぶん登用しておりますし、現在でも理事待遇のアナウンサーもありますし、あるいは現実に理事になったアナウンサー出身の方もあるわけでございまして、この辺には十分意を用いておるつもりでございます。
#99
○鈴木強君 技術系統でも事務系統でも、特にアナウンサーの場合でもそうでしょうけれども、やはりポスト偏重になりますとどうしても問題があると思いますね。ですから、私は、限られたポストですからね、ポストにつけない方々に対してポストについたと同じような処遇をやっぱり十分にするということが大事だと思うんですよ。必ずしも主管とかなんとかということにならなくても、それなりに待遇改善がされていきますれば、やはり一つのプライドも持つでしょうし、誇りを持って仕事をするというようなことになると思うんです。
 そういう面における給与体系とか処遇の問題等は、労働組合ともいろいろお話をしてりっぱなものをつくっておられると思いますけれども、個々のアナウンサーなり個々の事務系統あるいは技術者が、やはりNHKの職員であるという誇りの上に、日常不断に御苦労、事業に精励してもらうというのには、何といっても処遇の問題だと思いますから、大きくいえば人事管理の問題ですから、そういう点に対してなお一段と御高配をいただくようにこれはお願いをしておきたいと思います。
 それから、大臣、五月の二十五日の物価対策閣僚協議会で、小坂長官が「NHKの前田会長に会い、思惑や買占めによる物価操作を締出すため、NHK総合テレビの朝の番組“こんにちは奥さん”の前に、十分間程度消費者物価情報をやってほしいと依頼した。前田会長もこれを快諾し、早速検討してくれることになり、来週からにも開始の予定だ」こういうことを小坂長官が二十五日の物価対策閣僚協議会の席上で報告をしたそうでありまして、そのときに出席の閣僚は異議なく了承された。しかし、その席に久野郵政大臣もおられまして発言はなかったんだが、あとで気になり、法令集を取り出してみたところが「いやあ、まったくうかつでした。NHKが自主的に企画するのならともかく、政府が番組に関与するようなことは、法的に問題がありました」と、放送法第三条との関連でこの番組は一時お預けになったという記事を見ました。その後、郵政大臣が小坂長官にも電話で注意をして、お考えはよくわかった、私の行き過ぎだったということで長官も認めたと。政治的に頼んだだけで、政治的な圧力などとはとんでもないと言っておったということですが、最後にね、そういう誤解を防ぐためにも「一、二週間の冷却期間をおくことにし、あらためてNHKが自主的に番組を企画した、という形で最初は週一回程度の割りで物価情報を流すことにするそうだ。」という記事がありましたね。
 これは小坂さんが言う前に、NHKがそういうものを考えてやるのが筋だと思うんですけれども、これはどっちもどっちだと思うんだが、放送法を厳密にいえばこのとおりでしょうね、大臣のおっしゃるとおりだと思いますね。ですから、私はもう少し国民の前にこんなふうなことが出ないでできないものだろうかという気がするんです。
 これはどうなんですか、いきさつは。NHKは、まあ自主的にNHKが企画をすればできることですから、言われたからやるということでなくて、積極的にやるということにしていまおるんでございますか、これはどういうことなんでしょう、ちょっと説明をしてもらいたいんです。
#100
○国務大臣(久野忠治君) 最初に経過を私から御説明申し上げたいと存じます。
 そのときの物価閣僚協議会の日時はいま記憶をいたしておりませんが、小坂経済企画庁長官からそのような発言があったことは事実でございます。そこで私は直ちに御注意申し上げればよかったのでございますが、私もうかつでございまして、すぐ直ちにそのことは放送法上疑念がございますということは申し上げなかったのであります。ところが協議会が終わりましたあとで私は気がつきまして、立ち話でございましたが、小坂長官に実は御注意を申し上げたのでございます。放送法上それは疑念がございますと、報道の内容について政府の権限が介入するということはいかがなものかと私は存じますと、かように御注意を申し上げたわけでございます。
  〔理事古池信三君退席、委員長着席〕
そこで小坂長官もこれはわかったということで、その由を当時の前田会長にお話をなさったように私は聞き及んでおるような次第でございます。
 これはあくまでもNHKが自主的な判断に基づいて、そのような措置をなさることが当然のことであろうと思うような次第でございます。
 私は、いま毎朝早く起きるものでございますから、七時のニュースのあとのラジオ放送をずうっと八時ごろまでいつも聞いておるんでございます。毎日聞いておるんでございますが、その中に物価情報というのが出てくるんでございます。詳細にわたって魚の値段がどうであるとか、いろいろ物価の情報が毎日出てまいります。私はときどきメモをいたしまして、その数字をけさもちゃんと聞いたんでございます、おとついも聞いたんでございますが、こういうようにやはりNHK自身が、私はラジオでお聞きしておるんでございますが、放送を自主的な判断に基づいて生鮮食料品あるいはその他の物価情報について報道をなさることは、まことに時宜を得たものであると私は考えておるような次第でございまして、その当時の経過はただいま私が申し上げたとおりでございますので、御理解を賜わりたいと存じます。
#101
○参考人(坂本朝一君) 鈴木先生の御指摘の点につきましては、確かに前田会長から小坂長官からお話があったということは承りましたが、前田会長は決して小坂長官からお話があったからやれというようなことは一言も申しません。前田会長は、常々、どなたのお話でも、いいか悪いかという編集権にかかわる最終判断はNHK自身がすべきである、したがって長官からお話があったということは君に伝えるけれども、それは十分現場で検討して、やれるかやれないかということの協会としての判断は放送総局でしなさいという指示を受けたわけでございます。
 ただ、いま郵政大臣がお答えになりましたように、すでにNHKは物価情報というのは、小坂長官から御提言をいただきます前に、もうラジオでは長年やっておりまして、ことにこの四月以降の時刻改定の中でその情報の強化をいたしております。それからテレビでは午後一時過ぎのローカルアワーで各地でもってやはりこの物価情報というのを女性アナウンサーなどが中心になって実施いたしております。したがいまして協会自身としては、この問題は、御指摘を受ける前から、やはり国民に提供すべきサービスの重要な部分であるという判断でやっておるわけでございます。したがって、その後、小坂長官がお考えになっているような情報収集なるものができるようなそういう事態があれば、それに呼応してまたわれわれも番組としての取り上げ方を検討する余地はあろうかと思いますけれども、現状ではかなりこの問題について協会が本来やっておるということを御回答申し上げておる次第でございます。
#102
○鈴木強君 協会のほうの考え方は私もよくわかっているんです。
 結局、大臣ね、閣僚の中で、不用意でしょう、不勉強でしょう、少なくともこういう発言がひよこっと出るところに問題があると思うのですよ。NHKが何たるかを十分理解しない閣僚がおるから、こういう発言が出てくるのだと私は思うのですよ。ですから、その点はもう少しNHKというのは一体何かということを閣僚諸君も勉強してもらわなきゃいけないとつくづく私は思ったのです。そういうことがこうたび重なりますと、何か閣僚の言ったことが協会に対して番組に介入するような形になってくる場合が幾つかあると思う、過去においてもね。この辺は簡単なことですが大事な問題がひそんでおりますから、私はあえてきょうここで取り上げたわけです。
 どうぞ担当が郵政大臣でございますから、そういう点については、NHKが一体いま今日ラジオ、テレビでどういうものをやっておるのか――八時四十五分ですか「こんにちは奥さん」ですね、あの前に十分間だけやれと、こういうのですからね。それはいまやってないでしょう、その前には。そういうふうな時間割りまできめて――言っていることはいいのですよ、これは。確かに買い占めや売り惜しみをやって、国民に物価がどうなるかそれを知らせるということはNHK自体がいろいろな意味でやっておられるわけですから、その番組をどこに入れて一番効果的に見てもらうかということに対しての判断というものはNHKがやるわけですから、時間まで指定してやれということは、これは行き過ぎですよね、そういうところに問題があるわけですから、まあいろいろな誤解を受けないためにも、ひとつ閣僚たる者はもう少しNHKの勉強をしていただいて御注意いただくように、これは機会があったら大臣から伝えておいてもらいたいと思います。
#103
○国務大臣(久野忠治君) 御指摘の点はまことにごもっともだと思います。私もたいへん不用意でございまして、その場で直ちに御注意申し上げればよかったのでございますが、協議会が終わってから御注意申し上げたというような次第でございまして、今後とも閣議の席上等で十分放送法上の規定等につきましても皆さんに御理解をいただきまするように、閣議の前の雑談の際に皆さんによくお話を申し上げておきたい、かように存ずるような次第でございます。
 私は、毎朝、いま聞いておりますのはラジオでございまして、七時のニュースのあと七時半前後だと思うんでございますが、いろいろの物価情報が出てくるんでございます。その情報を、たいへんなつかしいものでございますし、楽しいものでございますから、近ごろくせのようになってしまいまして、七時のニュースを聞いたあとラジオでずっと八時まで私聞いておるんでございます。まあ自分の体験を申し上げてたいへん恐縮でございましたが、このようにNHK自身の判断に基づいて国民が最も知りたがっておりまする物価情報が今日伝えられておるということは、たいへん私は有意義なことである、かように理解をいたしておる次第でございます。
#104
○鈴木強君 その次に、放送大学の設立について、その後の経過と今後の方針について承りたいと思います。
 この問題につきましては、この委員会でも放送大学のあるべき姿について文部省側あるいはNHK側の基本的な考え方をお聞きいたしております。そこで、とりあえず現在NHKのUHFと日本短波放送が文部省の委託を受けて放送大学の実験放送をいたしておりますが、これはあくまでも実験放送でありまして、将来経営主体をどうするか、いろいろと大事な問題が残されたままスタートしておりますが、聞くところによりますと文部省は放送大学設置に関する調査研究会議というものをつくりまして、この問題について研究をされ検討を加えられているように聞いておりますが、いま、現在、どこまで仕事が進んでおるんでございますか、概要を最初に説明していただけますか。
#105
○説明員(五十嵐耕一君) お答えいたします。
 先生の御指摘のございましたように、文部省におきましては放送大学設置に関する調査研究会議といいますものを昨年の二月から設置してございます。その構成メンバーは、たとえば日本私立大学連盟の会長さんとか日本私立大学協会の会長さんとか、それからたとえば国立大学の学長さんとか、そういうアカデミックの人を中心として、放送大学を大学教育の面から見てどう考えたらいいかということで御検討をいただいております。
 それで本委員会約十二回、教育課程の関係の専門委員会十一回、設置形態の分科会十二回、それから通信教育協会との懇談会二回とかいう審議の過程を経まして、本年の三月に「放送大学(仮称)の基本構想」というものの「中間まとめ」を出しております。この「中間まとめ」をさらに具体化すべく、やはり本年の五月、多少委員の中に放送関係につきまして詳しい先生を二名ぐらい追加いたしまして、現在、検討を進めている段階でございます。
#106
○鈴木強君 そうしますと、まああなたに伺うのはちょっと無理かもわかりませんが、純技術的に検討を加えまして、実施の時期については、一年ごとにおくれてきているわけですけれども、大体、いつごろをめどにしているのですか、本放送する時期は。
#107
○説明員(五十嵐耕一君) 先ほど先生から御指摘ございましたように、確かに私どもの放送大学の設置の時期といいいますのは前に申し上げたよりもかなりずれ込んでいることは事実でございます。私どもの考えといたしましては、こういう新しい構想の大学を考えていくには、やはり教育・研究から見て十分自信のあるものでなくてはいけないということを考えたのでございまして、そういう意味におきましてかなり慎重な検討が必要であるというふうに考えております。
 幾ら慎重と申しましても、やはり一定の限度は確かにございますので、そういう点におきまして私どもも予算要求の内容その他につきまして一歩一歩前に前進するように、たとえば昭和四十八年度におきましては放送大学の学修体系のモデル施策というようなものを組みましたり、来年度におきましては教材、テストの開発というものを要求したり、たとえば施設整備にかんがみまして施設設計料というものを要求したいというふうに考えております。一歩一歩前進してまいりたいというふうに考えております。
#108
○鈴木強君 ちょっとね、実施の時期、目途というものはどうなんですか。
#109
○説明員(五十嵐耕一君) 実施の目途につきましては、ただいま明確には申し上げられないわけでございますが、一応、私どもといたしましては、昭和五十一年度におきまして学生の募集を開始したらどうかというようなことを目途に、現在、いろいろ準備を進めている段階でございます。
#110
○鈴木強君 そうすると、学生を募集したら、それはその翌年度ぐらいから始めたいという構想ですか。
#111
○説明員(五十嵐耕一君) 学生募集をいたしましても、これはまあ普通の大学と違いまして、かなり募集期間が要るのではないかというふうに考えられます。普通ですと、学生募集をいたしますと、すぐに三カ月ぐらいの間に開くということでございまして、それは多少時間がかかるのじゃないかというふうに考えております。
#112
○鈴木強君 多少時間がかかるでしょうけれども、一年も二年も三年も先にいくわけないでしょう、どのくらいの準備期間が必要なんですか。
#113
○説明員(五十嵐耕一君) 準備期間につきましては、これもまだ現在放送大学の基本構想の検討の中の一環ともからんでくると思いますのですが、私どもが事務的に考えておる段階におきましては、約半年ぐらいの期間がかかるんじゃないかというふうに考えております。
#114
○鈴木強君 そうすると、大体、昭和五十二年くらいを目途に考えると理解していいんだね。
#115
○説明員(五十嵐耕一君) まあ五十一年度中ということを目途に進めたいというふうに考えております。
#116
○鈴木強君 開始をね。
#117
○説明員(五十嵐耕一君) はい。
#118
○鈴木強君 それから経営の形態については、この「基本構想」の中では「特殊法人」ということになっていますが、これはどういう構想ですか。
#119
○説明員(五十嵐耕一君) これは先ほど申し上げました「放送大学(仮称)の基本構想――中間まとめ――」のところに書いてあるわけでございます。これの考え方としましては、まず第一段としまして、放送機構につきまして、放送大学を大学として進めていくためには、放送の内容にまで大学として責任を持たなくてはいけない、それはあくまでも教官が責任を持つものでなくてはいけない。そういうためには放送大学は放送局の免許をもらいまして、それでコースチームの指示のもとに番組をつくる。それで先ほど御指摘のございました設置形態にからみましては、放送大学といいますものはいまみたいな放送機構というものを持つ、それから教員組織につきましてもかなり非常勤の教員が相当数要るのではないか、そういう意味におきましてかなり弾力的な扱いを考えていかなくちゃいけない。それからまたこの放送大学といいますのは、やはり既存大学との協力というのが非常に大事なものだと思うのでございますが、そういうためには連携をはかっていく必要がある。そういうことから申しまして、どうしても既存の国立大学のワクの中にうまく入っていかないんじゃないか、そういうことから「特殊法人」ということを考えていったらどうだろうかということが「中間まとめ」に出されているわけでございます。
#120
○鈴木強君 まだ具体的にどうするということはこれからですか。
#121
○説明員(五十嵐耕一君) これは先ほど申しましたように「中間まとめ」でございまして、現在、またそういう委員会を設けておりまして、この「特殊法人」の中身についてどういうふうに考えていったらいいであろうかということを詳細に御検討いただいている段階でございます。
#122
○鈴木強君 これは正規の大学にするかとうか、学修体系はどうするとか教育課程はどうするとか授業時間はどうするとか、問題はいろいろと大事なところが残っておりますが、文部省、はたしてどの程度の学生がこれに応募するか、そこらの予想は立っておると思いますけれども、だいじょうぶですか、おたくのほうでやれますか、これ特殊法人をつくって。
#123
○説明員(五十嵐耕一君) これにつきましては、先生御指摘のように、非常に新しい構想のものでございますから、この「中間まとめ」におきましても、放送大学は、いきなり全国的な広がりを持つものとしていくのではなくて、まず試行的な段階としまして地域的なブロック程度の広がりを持つものとして初め考え、それで多少試行段階を踏まえながら全国的にやっていきたい、そういう御提言でございます。
#124
○鈴木強君 現に、いまNHKのUHFと日本短波放送が委託を受けたかっこうでしょうね、やっておりますね。ところが、先般、四十七年度の放送大学実験番組の放送効果についての世論調査といいますか、調査結果が発表されておりますが、これはNHKと日本短波放送が文部省の委託を受けて調査をやったようです。
 それを見ますと、視聴状況というのは回が進むにつれて低下している。NHK・UHFでは一月末までに視聴を中止した人は全体で約三分の一あったというのですね、それで中止者の最も多かったのは家政学。それから日本短波も同じで、中止の理由としては、ふさわしくなかったからとか、期待したものが得られなかったからとか、水準が高過ぎるからとか、こういうことのようで、視聴者は大体男女ほぼ同数、それから一回の放送時間として六十分を希望する人が全体の五一%になっておるようですね。それから一週間の放送回数は少ないほうが利用しやすいという声もあった。
 こういう世論調査の結果も出ておるんですけれど、いまNHKあるいは日本短波放送に頼んでやっていただいているこの実験的な放送というのは、いま五十一年に募集をして、五十一年度中くらいに放送開始をしたいということですけれど、そうすると四十九年、五十年、五十一年と三年間くらい、いまのNHKなり日本短波放送に頼んでやってもらっているこれはどうなるんですか。これはもっと内容的にこれらの世論も検討して、そしてみんながああいい番組だ、勉強ができるというものにする、そういう点はどうするんですか、何か考えていますか。
#125
○説明員(五十嵐耕一君) 先生の御指摘のありました放送大学が実際に開学して学生を募集するまでの全体的な経緯につきましては、今後さらに検討していかなくてはならないというふうに考えております。そういう意味におきまして、特に、私どものほうでは、放送大学設置に関する調査研究会議におきまして、その点を十分御検討いただきたいというふうに思っております。
 ただ、過去の実験放送につきましても、私どもとしましては毎年少しずつでありますけれども、それぞれ改善したあとが見えるのではないかというふうに考えております。
 それから、いま先生の御指摘のありました視聴状況が、たとえば途中の期間までになると半減するとかいう御指摘があったわけでございますが、これはこういう実験放送についてまあ指命的なものが一つあるわけでございます。と申しますのは、これはほんとうに放送大学に入るであろう学生が全部入って聞いているかということにつきましては、完全にそういうものが入っているということもまだ申し上げられない。それからもう一つは学修のモチベーションでございますけれども、これが放送大学の学生ということになりますれば、一定の単位を修得して将来学士号その他を取得するということで、モチベーションが非常に高いわけでございますが、こういうものはモニターということでございますから、そういう点はやはり多少低目に出てくるのではないかというふうに考えられます。
#126
○鈴木強君 この放送大学について、大臣、郵政省としては、社会教育審議会の答申が出ましてからいろいろとお考えもあったと思いますし、電波の割り当てについても優先的に確保するというような配慮の中で相談に乗っていると思いますが、私まだいままでの研究と今後の見通し等についてもたいへんおぼつかない不安定な要素がだいぶあるように思うのですね。本来の放送大学はいかにあるべきか、経営主体の問題も含めて、よっぽどしっかりとできませんと、たいへんな結果になるような気もするわけです。ですから私もあんまり早く早くということは言わないようにしているのです。
 そこで、郵政大臣として、これをどういうふうに持っていったらいいのか。まあ所管が学校教育法に基づくということになれば文部省の所管になるでしょうし、また一面いまNHKは実験放送を引き受けてやっておられるわけですよ。いま特殊法人をつくってやるというお話ですけれども、実際それが特殊法人に――地域的とおっしゃいますけれども、それでいいかどうかやっぱり疑問がありますね。ですからして全国的なネットワークを持ってやるのがいいかどうか、これだって簡単にあなた方が言うように地域的にということだけでは済まぬと思います。そうなると放送設備の問題から編集者の問題からほんとうに特殊法人をつくってやるだけの自信がありますか、私はちょっと疑問に思う。
 ですからNHKとしていま実験放送を請け負っているわけですけれども、将来これはどうしたらいいのか、かつて野村専務理事から基本的な考え方を私伺っておるんですが、その後、そういう基本的な考え方について、そのままNHKとしてはやっていきたいのかどうなのか、いったほうがいいと思っているのかどうなのか、現実に実験放送をやってみてですね、そこいらを含めて大臣とNHK側から、ひとつこの問題に対して考え方を聞かしてもらいたいのです。
#127
○国務大臣(久野忠治君) 先ほど来の質疑応答を通じて明らかになりましたように、文部省におきまして放送大学設置に関する調査研究会議が設置されまして、放送大学の組織、運営形態、教育課程等の基本的事項について調査検討を実施しており、郵政省からはオブザーバーとしてこの会議に職員を出席をさせておるのでございます。
 郵政省といたしましては、今後とも、文部省との連絡を密にいたしまして、文部省における放送大学に関する調査検討の推移を見ながら、その実施に遺憾のないよう対処していく考えであります。
#128
○参考人(野村忠夫君) 放送大学の問題につきましては、長年のことなので経過において幾変遷をいたしておりますが、最近の段階におきましては、先ほど来のお話のように、文部省の調査研究会議というものが中間報告をことし出しております。その中間報告は、ただいま文部省側の説明のような形で特殊法人をつくり、放送局をも含めてすべて大学側でこれを行なうという形になっておりますが、いまもってこれはまだ中間報告でございまして、最終的な結論を私どもまだ伺っておりません。
 で、協会の立場は、この放送大学ができる過程において教育番組の実験を依頼されております。この依頼につきましては、現行放送法の立場に立って御協力を申し上げて、ことしも来年の一月からことし分の実験番組を送出するというととで御協力をいたしております。最終形態がどうなるかという点はまだ先のようなので、私どもとしては、現在、それにどう対応するかというようなことはまだきめておりません。
#129
○鈴木強君 野村さん、日ははっきり覚えていませんけれども、あなたに基本的な協会側の意見を伺ったことがありますが、繰り返しませんけれども、当時の考え方というのはやはりお持ちになっているのでございますか。
#130
○参考人(野村忠夫君) 当時、放送大学につきましては、放送大学の教育機構としての大学とその教育内容を伝達する放送局とのかかわり合いがどうなるかという問題が中心でございまして、その場合は、現行放送法の立場に立ちますと、放送局の免許を持つ者が放送内容についての編集責任を負うということが現行放送法、電波法の立場でございます。
 その当時は、大学自体が放送局を持つか持たないかという点もまだ未確定でございました。したがいまして、議論の一部として、NHKは放送番組の制作、送出を担当してくれないか、そういう可能性があるかどうかという議論が出ておりまして、そういう仮定の上に立っての議論として、現行放送法の立場から、下請はNHKとしてはできない、したがって編集権の問題をどうするかという問題の解決をしない限り、その問題について安易に結論は下せないという立場を持っておりました。
#131
○鈴木強君 大臣、お聞き取りのようなことで、私実はもう少し問題が煮詰まっていくだろうと思っておりましたが、中間報告ですから大事なところはまだみんなしり抜けになっているんですね。これから詰めなければならぬと思いますが、なかなか特殊法人が放送局を持って電波を発射し番組を編集していくということになると、たいへんなことだと思うのです。その財源をどうするか、その財源の調達のしかたによりますと、またこれはたいへんな問題になるわけでして、科学技術放送一つとりましても、高邁な理想がついにくずれていつか商業放送化していくような、そういう過去にわれわれは体験を持っているわけです。頭の中の観念としてはわかりますけれども、なかなか実際にこれを実施するまでにはたいへんな困難があるし、問題点があると思うのですね。
 それぞれ研究会議等も開いて専門の方々がやっていただいていると思うのですけれども、この調査研究会議のメンバーというのは、私もちょっと見せてもらいましたけれども、NHKとか郵政省側からも入っているんですか、大体、大学の教授連中が中心ですか。
#132
○説明員(五十嵐耕一君) 先生のほうにあるいは資料がまいっておるかとも思いますですが、実は、昭和四十五年の七月に、放送大学準備調査会の「放送大学の設立について」という構想が出たわけでございますが、その当時の大学関係者の中からかなり強い批判が出たわけでございます。
 その一点と申しますのは、かなり放送という点が先に走り過ぎているのではないか、もう少し大学という面からよく考える必要があるのではないか。それからもう一点は、放送だけではたして大学というものが成り立つだろうかというような疑問が出されまして、そこで私どもといたしましては、大学教育について現在確たる地位を占めておられる団体の代表者とか、それから学長先生とか、そういう方に御参加いただいて、放送大学というものがはたして大学として成るかどうかということについて、まず御検討いただくのが本筋ではなかろうかということで、昭和四十七年の二月から御検討いただきまして、先ほどの「中間まとめ」をいただいたわけでございます。
 それで、先ほど御指摘がありましたように、これは「中間まとめ」でございますので、まだ検討すべき点が多々あるわけでございまして、そういう意味におきまして、また本年の五月から放送大学設置に関する調査研究会議というものを引き続き動かすということにいたしまして、その際、放送法制の問題といいますか、放送体制の問題がこれから入ってくるであろう、そういう意味におきまして、そちらのほうの御練達の先生に入っていただいたらどうかということで、日本電信電話公社の監事の柏木輝彦先生、それから生活映像情報システム開発協会理事長の曽山克巳先生にお入りいただいて、そちらの面からも御検討をお願いしておる次第でございます。
#133
○鈴木強君 このメンバーにもう少し、たとえばいま実際に委嘱をしておる、お願いをしておるNHK側とか郵政省側とか、そういう人たちも入ってもらっておったらどうなんですか。入る入らないは別としても、十分に接触をして御意見を承るとか、そういうふうな方法も考えてくださいよ、何かメンバーがちょっと片寄っておるように思いましてね。これはたいへんなことですけれども、時間がちょっと私急いでおりますから、大事な点がまだ残されておりますので、どうぞ慎重に御検討いただいて、ゆるぎない将来に悔いを残さない放送大学が設立されることを願っております。
 それから幾つか残りましたが、これは資料で出していただけますか、辺他の難視と都市難視。いろいろいま難視聴がありますが、たとえば辺地難視の場合に、百十四万三千世席ですか、全国でまだあるようですね。これは辺地ですから、おそらく都市難視のほうはこのほかにあると思いますが、それで恐縮ですけれども、山梨県というのはちょっと山の中で電波がなかなか伝わりにくいところですけれども、約八千世帯に辺地難視があるようですけれども、全国的にこれをどういうふうになくしていくかという方針があると思いますから、その大綱と、特に山梨県の場合の八千世帯の難視をどういうふうにして解消していくか、そういうふうな具体的な計画がありましたら、これをぜひ資料でけっこうですから、後ほど出していただきたいと思います。
 それから、最後に会長にちょっとお願いしたいんですけれども、これは大臣の認可を得なきゃならぬことだと思いますが、受信料の免許基準の中で、たとえばこういう人がいるんですね、寝たきり老人とか一人暮らしのたいへん気の毒な方がいるので、これをNHKの負担で免除するということは、これは私も筋違いだと思います、一般的な考人福祉の問題からすれば。しかし現実に何とか、これは政府とも郵政大臣とも相談して、せめて寝たきり老人とかそういう者に対して恩恵を施すことができないだろうかということを、ふと私は「敬老の日」を前にして考えたわけですよ。老人ホームの場合には免除になっていますが、その辺は受信料の関係でちょっと言いにくいのですが、検討してみてくださいませんかね。
#134
○委員長(茜ケ久保重光君) 文部省にちょっと申しますが、先ほど放送大学の「中間まとめ」が出ていますね、それに関する資料を当委員会に――だれも知らないのですね、これは放送関係でこちらの問題ですから、会議の委員のメンバー等も含めた資料をひとつ逓信委員会に出してもらいたいと思います。できますね。
#135
○説明員(五十嵐耕一君) はい、できます。
#136
○鈴木強君 それで、いまの点は大臣どうでしょうね、私はちょっといま国対の関係で急に呼び出されましたから、質疑はこれで、残念ですけれども、できなくなりましたので、これで終わりますけれども、最後にそれひとつ検討の価値がありますかね。
#137
○国務大臣(久野忠治君) ただいまの御質問、御要望の点については、十分理解のできるところでございます。寝たきり老人だけではなく、傷痍軍人会であるとか、社会福祉事業の一環として、やはり聴視料について政府全体として何らかの措置を講ずる必要があるのではないかというような意見も出ておるような次第でございまして、これは政府全体としてこの問題を検討させていただきたい、かように考えます。
#138
○鈴木強君 会長、どうですか。
#139
○参考人(小野吉郎君) いわゆる寝たきり老人、いわゆる老後の問題もありましょうし、あるいは身体障害の関係で、現在、身体障害の方々に対しましては、その人が世帯主であります場合には減免をしておりますが、これも度合いによりますけれども、少なくともそういう身体障害をかかえたような世帯は非常に気の毒な世帯なんで、世帯主であるといなとを問わず、これはやはり減免の対象にしてもらいたいという強い要望もございます。
 しかし、そうなってまいりますと、NHK限りでこれを減免いたしますには相当ばく大な経費を要するわけでございまして、現在のNHKの財政の規模の中では非常に扱いかねるような状況でございますが、幸いに福祉国家の要望も非常に強まりつつあります。そういうそれが福祉政策の一環として処理されるということになりますと、これはやはりそういう要望も満たされ、NHKとしても大いに助かるんじゃないかと思います。そういうことがかりに可能であれば、これは非常に賛意を表すべき問題ではないかと考えておる次第でございます。
#140
○鈴木強君 大臣、ひとつ検討してください。
#141
○委員長(茜ケ久保重光君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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