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1972/06/22 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会、地方行政委員会、公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会 第1号
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1972/06/22 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会、地方行政委員会、公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会 第1号

#1
第071回国会 運輸委員会、地方行政委員会、公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会 第1号
昭和四十八年六月二十二日(金曜日)
   午後一時十分開会
    ―――――――――――――
  委員氏名
   運輸委員
    委員長         長田 裕二君
    理 事         江藤  智君
    理 事         木村 睦男君
    理 事         山崎 竜男君
    理 事         小柳  勇君
                岩本 政一君
                岡本  悟君
                黒住 忠行君
                菅野 儀作君
                橘  直治君
                松平 勇雄君
                渡辺一太郎君
                伊部  真君
                杉山善太郎君
                瀬谷 英行君
                森中 守義君
                阿部 憲一君
                三木 忠雄君
                田渕 哲也君
                山田  勇君
   地方行政委員
    委員長        久次米健太郎君
    理 事         柴立 芳文君
    理 事         寺本 広作君
    理 事         占部 秀男君
    理 事         河田 賢治君
                鬼丸 勝之君
                片山 正英君
                斎藤 寿夫君
                高橋 邦雄君
                玉置 猛夫君
                原 文兵衛君
                増田  盛君
                安井  謙君
                秋山 長造君
                神沢  浄君
                戸叶  武君
                和田 静夫君
                上林繁次郎君
                藤原 房雄君
                村尾 重雄君
   公害対策及び環境保全特別委員
    委員長         森中 守義君
    理 事         金井 元彦君
    理 事         菅野 儀作君
    理 事         杉原 一雄君
    理 事         内田 善利君
                青木 一男君
                君  健男君
                斎藤 寿夫君
                田口長治郎君
                寺本 広作君
                林田悠紀夫君
                原 文兵衛君
                安井  謙君
                渡辺一太郎君
                加藤シヅエ君
                戸叶  武君
                藤田  進君
                小平 芳平君
                高山 恒雄君
                加藤  進君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
   運輸委員会
    委員長         長田 裕二君
    理 事
                江藤  智君
                木村 睦男君
                山崎 竜男君
                小柳  勇君
    委 員
                岩本 政一君
                岡本  悟君
                黒住 忠行君
                橘  直治君
                杉山善太郎君
                三木 忠雄君
                山田  勇君
   地方行政委員会
    委員長        久次米健太郎君
    理 事
                柴立 芳文君
                寺本 広作君
                河田 賢治君
    委 員
                片山 正英君
                斎藤 寿夫君
                高橋 邦雄君
                神沢  浄君
                戸叶  武君
                上林繁次郎君
                藤原 房雄君
   公害対策及び環境保全特別委員会
    委員長         森中 守義君
    理 事
                金井 元彦君
                菅野 儀作君
                杉原 一雄君
                内田 善利君
    委 員
                君  健男君
                加藤シヅエ君
                小平 芳平君
                高山 恒雄君
                加藤  進君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
       自 治 大 臣  江崎 真澄君
   政府委員
       環 境政務次官  坂本三十次君
       運輸大臣官房長  薗村 泰彦君
       運輸大臣官房審
       議官       原田昇左右君
       運輸省港湾局長  岡部  保君
       海上保安庁長官  野村 一彦君
       海上保安庁次長  紅村  武君
       自治大臣官房審
       議官       森岡  敞君
       自治省行政局長  林  忠雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       運輸省港湾局管
       理課長      鈴木  登君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
  〔運輸委員長長田裕二君委員長席に着く〕
#2
○委員長(長田裕二君) これより運輸委員会、地方行政委員会、公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会を開会いたします。
 先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。
 港湾法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。新谷運輸大臣。
#3
○国務大臣(新谷寅三郎君) ただいま議題となりました港湾法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 港湾は、海陸交通の結節点として交通の発達及び国民経済の振興に不可欠の役割りを演じてきたところであり、港湾法もまた、その基本法として重要な機能を果たしてきたところであります。
 しかしながら、港湾法は、昭和二十五年という経済基盤の強化に主力を置いた時代に制定された法律でありますので、公害防止等、港湾の環境の保全あるいは国土の適正な利用及び均衡ある発展等、現在、社会的に重大となっている諸問題に対する配慮に欠けるところなしとしません。
 このような実情にかんがみまして、港湾環境整備施設、廃棄物処理施設、港湾公害防止施設等の整備を推進することなどにより、港湾の環境の保全をはかるほか、港湾及び航路の計画的な開発、利用及び保全の体制を確立するとともに、マリーナ等、港湾区域外の港湾の諸施設の安全の確保をはかり、あわせて海洋汚染の防除体制を強化することが、本法律案の趣旨であります。
 次に、この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。
 まず、港湾法改正の内容について申し上げます。
 第一に、港湾の環境の保全をはかるため、水域の清掃、廃船の除去、廃棄物埋め立て護岸等の管理運営などを港湾管理者の業務として明示する一方、緑地等の港湾環境整備施設を港湾施設として追加し、これらの港湾施設の建設等に要する費用について、国が補助をすることといたしております。また、港湾管理者は、一定の事業者から環境整備負担金を徴収し得ることとし、さらに、港湾管理者の長は、港湾の運営上著しく支障を与える行為に対し、是正のための適正な勧告等をなし得ることといたしております。
 第二に、港湾計画の内容の充実をはかるため、運輸大臣が港湾及び航路の開発等に関する基本方針を定めることとし、港湾管理者の作成する港湾計画は、この基本方針に適合するほか、一定の基準に適合したものでなければならないことといたしております。また、そのような港湾計画を調査審議させるため、地方港湾審議会の制度を新設することといたしております。
 第三に、航路についてでありますが、従来、港湾区域外の航路の整備は、予算措置のみで行なわれておりましたが、航路予算も年々増加しておりますし、航路のしゅんせつ終了後の適正な維持管理に対する要請も強まっておりますので、そのような航路は、開発保全航路として、運輸大臣が開発し、及び保全することといたしております。
 第四に、最近、シーバース、マリーナ等の港湾の施設が港湾区域外に建設される例が多くなり、その安全の確保をはかる必要があるため、都道府県知事にこれらの施設の安全上の規制を行なわせることといたしました。
 第五に、港湾の施設についての技術上の基準に関する規定、広域的な港湾の管理運営をはかるための港湾管理者の協議会に関する規定等、所要の規定を定めることといたしております。
 次に、北海道開発のためにする港湾工事に関する法律及び沖繩振興開発特別措置法の改正の内容について申し上げます。
 これらは、北海道及び沖繩県において港湾工事として行なう港湾環境整備施設、廃棄物処理施設または港湾公害防止施設の建設または改良に要する費用について、国と港湾管理者との負担割合等を定めることを内容としたものであります。
 次に、海洋汚染防止法の改正の内容について申し上げます。
 まず第一に海洋環境の保全の観点から、海洋において排出した油に臨機応変の措置をとり得る態勢を整えるため、一定の範囲の船舶所有者、油の保管施設の設置者及び係留施設の管理者に、オイルフェンス等の油防除資材の備えつけを義務づけることといたしております。
 第二に、漁港管理者が行なう廃油処理事業を港湾管理者が行なう場合と同様に届け出制とすることといたしております。
 最後に、港湾整備緊急措置法の改正の内容について申し上げます。
 これは、運輸大臣が施行する開発保全航路の開発及び保全に関する事業並びに港湾以外の海域における海洋の汚染の防除に関する事業を港湾整備事業とすることにより、これらの事業の実施を促進することをその内容といたしております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
#4
○委員長(長田裕二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○神沢浄君 私は、いま趣旨説明をお聞きいたしました港湾法等の一部を改正する法律案につきまして、地方行政からというよりか、むしろ地方住民というサイドに立って、若干の質問をいたしたいと、こう思うのでありますが、この法案を一読してみまして、私どもがまず感じます点は、大きく分けて二つあるように思います。
 一つは、この法案のねらいとしておるところがはたして何であるのかというふうな点が、まことにどうも明瞭を欠いている点であります。
 それからもう一つは、これは地方行政サイドからすると、たいへん重大なことになると思うのでありますが、この法案施行によって、従来に比べて、中央集権的な傾向が非常に強大になって、地方がそのために押えつけられていく、支配されていってしまうのではないか、こういうような点がまず感じられるわけであります。
 そんな観点に立ちまして、これから質問を進めていきたいと思うのでありますが、まずその第一点として、この法律案の関係資料の法律案要綱というところに、第一に「要旨」としてこう掲げてあります。「港湾において緑地等の港湾環境整備施設、廃棄物処理施設等の整備を推進する等により港湾の環境の保全を図るほか、港湾の計画的な開発、利用及び保全の体制を確立し、並びに航路の開発及び保全を図ることとする等のため所要の改正を行なう」、これを見ますと、前半は緑地等の問題にも触れまして、いわゆる環境整備の施策がうたってあるわけであります。後段になりますと、港湾の計画的な開発、利用、保全体制、航路の開発、いわゆる港湾としての開発の関係が掲げてあるわけであります。大体重点は、前半に置かれておるのか、後半に置かれておるのかということによって、これはこの法律の性格というものは、大きく意味が違ってくるではないか、こう思うわけであります。したがって、まず私は、質問の最初に、大体どちらに重点が置かれておるのか、この法律の基本的な性格というものは、どういうものなのかという点をお伺いして始めたいと、こう思うのです。
#6
○国務大臣(新谷寅三郎君) どちらがということではないのでございますが、要旨にも書いてございますし、ただいま御説明いたしました提案理由でも申し述べました。またこの法律の第一条の改正案にも書いてございますとおりでございます。
 結局、一言で申し上げますと、今日までの港湾行政というものは、どんどん船がふえてくる、港湾も整備しなければならないというような観点から、非常に港湾の設備の整備ということに重点を置いてまいりましたが、最近、非常に各地で社会的な問題を起こしております環境の保全でございますとか、あるいは公害の防除でございますとかそういったものがいままで考えられておったんだと思いますけれども、法制上もはっきりいたしませんし、それについての港湾管理者のやるべき仕事、港湾の機能というようなものについても欠けるところがあったように思います。でございますから、それをまず第一に掲げたわけでございます
 しかしながら、一方におきまして、港湾の機能というものは、世界貿易が非常に拡大をいたしまして、それに伴う世界の輸出入のいわゆる荷動きというのが非常にふえてきております。ことに日本はそうでございます。そういうものに対応したやはり港湾の施設をし、運営をしなければならぬということは、これは言うまでもないのでありますが、そういたしますと、いままでの港湾行政だけでは足りない面があるということでございまして、たとえば最後にお述べになりました航路の開発、これは港湾ではないのですけれども、その港湾に至る航路を保全をし、それを維持するようにしないと、船の出入りが十分でない、安全も阻害されるというようなことがございますので、あわせてそういった、当面必要とするような改正を行なったということでございまして、このいずれが重点であって、そしてどこに第一の目的を置いているのだということになりますと、一言で申し上げますと、前半の環境の保全、公害の防除ということが主であることは間違いないのですが、それにあわせまして、当面非常に必要とするような、現在の規定では欠けておるようなものを、今度は改正案の内容として、ある部分入れたのでございます。
 ついでに申し上げておきますが、港湾法の改正というものは、これで私は万全だとは思っておりません。今後さらに検討いたしまして、場合によりましては基本的な問題から掘り下げて考え直さなければならぬという問題も幾つかあると思いますが、何しろ昭和二十五年以来、改正が逐次やられましたが、非常に古い法律でございますから、根本的な改正をするとなりますと、相当に慎重にやらなければなりませんし、また日時も要ると思いますが、今度はそれに間に合いませんので、そういった基本的な問題はあとに残しながら、当面必要とする改正目的に取り組んだということで御了承いただきたいと思います。
#7
○神沢浄君 一応の御説明だと承知をするわけでありますけれども、私どもがさらに掘り下げて不安を感じますのは、一面環境施策、一面開発施策、こういう法律になっておりますと、やはりいまの日本の政治の体質からいって、いわば資本の論理とでもいうのでしょうか、すべて資本が優先して政治を引っ張っていくような体質は、これは避けられないと思うのです。
 そうなってまいりますと、なるほど法文の作文の上におきましては、環境施策がうたわれ、非常にけっこうだと思うのですが、実際には、やはり開発の面のほうが、結局は重心を持ってしまってそしてせっかく大臣が港湾の環境施策の問題に重点を置かれようといたしましても、その結果としては、どうも環境施策のほうが主従の関係からいたしますと従にされてしまって、やはりわれわれが不安に考えておるような形に発展をしていってしまうのじゃないか。むしろこの際、この条文の明文の上におきましても、重点はこれなんだということを明らかにしておいていただくことのほうが必要じゃなかろうか。こんな私は感じを持つのです。どうも重ねてのことなんですけれども、大臣の所見を伺わしていただきたい。
#8
○国務大臣(新谷寅三郎君) この目的を一つにしぼって的確に書きますことは、そういう御理解の上には役に立つかもしれませんが、開発ということは、これはやはりいま何と言っても必要なことでございまして、これはいままでは、そう法律規定を要しないで、御承知のように港湾整備五カ年計画というようなものをやっておりまして、これは予算措置でもって大体動かしてきておったんです。ところが実際に開発に手をつけてまいりますと、やはり港湾管理者に、開発についての正しい秩序のある開発をしてもらうためには、それの基本的な考え方というものを法律にも載せておいたほうが、全国、均衡のある発展を遂げるのにいいのじゃないかというようなこともございまして、最小限度の法律規定を置いたということでございます。
 私から言うまでもなく、御承知のとおり、私の関係しております運輸委員会でも御議論があったところでありますけれども、非常にいま、海上荷動きが、さっき申し上げたようにふえておりまして、いまでも日本の主要港湾を見まして、滞船といいますか、港に来たけれども荷役ができないで待っている船が非常に多いのでございます。ということは施設が足りないということでございますね。平均して四十時間ぐらい滞船しているのです。しかも石油でございますとか鉱石でございますとか石炭でございますとか、いろいろ多様化してまいりまして、そういう専用船もできますし、雑貨についてはコンテナ船もできますし、非常に専門的な船が動くようになったと、それに応じたようなバースがないというようなことでございますから、それに応じたようなことをやはり考えていかないといけないのじゃないかということで、この開発についても、最小限度の必要な規定を置いたということでございます。
 しかし、そういうことのために、今度の改正の第一の目標にしております環境の保全あるいは公害の防除というものについては、これはおろそかにすることではございませんで、やはり今度の改正案では第一義的に考えておりまして、通過さしていただいた四十八年度の予算をごらんになりましても、今度は公害の防除あるいは環境の保全というものにつきまして、相当に大幅な財政負担をすることになっておることは御承知のとおりでございます。
#9
○神沢浄君 実は、きのう私は、地方行政の委員会の視察でもって、これは都市交通の問題の調査があったんですが、大阪市へ参りました。途中の車中でもって、週刊誌を求めまして、ばらばらっとめくって見たところ、たいへんショッキングな記事があったんですけれども、それはどういうことかというと、日本の人口というのはいずれ三千万くらいになってしまうのではないか、というのは、もう端的な言い方をすると、食糧の問題でもって、いま私どもは、知らず知らず毎日毒を食べているのだという、これは農林省のたしか食糧の関係の研究の機関の責任者であるお役人の書いたものなんですね。
 特に、その中でもってひどいのは魚の関係、もういま私ども国民は、知らない間に鉛を食ったり、水銀を食べたり、PCBを摂取したりしておるのだと、ことに同じ魚類の中でも、美味だといわれておる近海のものが、瀬戸内海であり伊良湖水道であるというふうな、そういうようなところのものが特にはなはだしい。ことに海の中の国ですから、日本人の食糧の中に占める魚類というものは非常に大きなものがありまして、これを変えていくなどということは容易ではないと思うわけなんです。週刊誌の見出しというのはとかくショッキングなものなんですけれども、私は内容を見まして、何か非常にじーんとくるようなものがあったわけであります。
 確かにこれから数年後、知らない間に、私どもは日常の食生活を通じて健康をそこね、やがては、われわれの時代にはそうひどいあらわれ方はないにしましても、私どもの子供とか、あるいはその子供とかいうようなことになってまいりますと、全く日本の人口が、やがては三千万になってしまうような、そういう波の上にいま乗せられてしまっているのではないかと、こういうふうな記事を読んだわけなんですが、内容のものを読んだわけなんです。
 そこで私は、それにつけても港湾関係の法律というようなものが、非常にいま重大に考えられるからこそ、どうも執拗にお尋ねをするわけなんですが、まあ現状におきましては、確かに法律の中に公害排除をうたい上げなければならないような、もうすでに目の前に現実があることは事実だと思います。ですから私、やっぱり当面の急務というのは、それに集中するということでなければならないのじゃないか。さらに一面的に、この開発をともにうたっておったんでは、繰り返すような言い方になりますけれども、いまの日本の政治の体質からすれば、結局はそのほうに引きずり込まれていかざるを得ないのじゃないか。やがて日本人三千万になってしまうのではないか。これでは困ると、こう思うわけでありまして、そこで大臣にさらにお伺いをするんですが、いま大臣が趣旨の御説明をなさったように、私は新谷大臣の御意向というものはそのまま受け取りたいと思います。しかし、いつまでも新谷運輸大臣というわけにはいかぬでしょうから、やがてはこの法律が心配でないものになっていなければ、次の時期におきまして、私どもが不安に感ずるような状態というものが現出してしまったんでは困ると、こういうふうに思うから申し上げるのであります。
 そこで、もし大臣の意図するような方向と食い違っていくような将来の情勢というようなものがありましたときには、これはどこで歯どめをかけるか、歯どめをかけることがこの法律の中でもってできるかどうか、こういう点を伺いたいと思うのです。
#10
○国務大臣(新谷寅三郎君) ただいまの御質問は、考えようによっては非常に広範でございまして、私、運輸大臣の立場からお答えできない問題がたくさん含まれておるんじゃないかと思うんです。しかし、これは内閣全体として取り組んでおる問題でございまして、関係閣僚の間でも、いま御心配のような食糧問題、ことにお示しになった魚の問題、そういった問題につきましては、関係省におきまして科学的にいろいろ調査をいたしておりまして、これについては、私の聞いておりますところによりますと、近い将来に水銀とかPCBとかいうようなものにつきまして、人体との関係における基準というようなものを大体お示しができるということを言っておりましたので、私たちもそれに非常に期待をしておるわけでございます。いずれにいたしましても、その種類の問題は、環境庁なり、あるいは厚生省なり、あるいは農林省なり、関係のほうから権威のある答弁をしていただくようにお願いしたいと思います。
 私、港湾に関して申し上げますが、ちょっとこの一条の書き方とか、趣旨説明で開発ということを申し上げましたが、これはいま御心配になっております公害とか、あるいは安全とか環境とかいうようなものを度外視しまして、何でもとにかく港湾の整備をしたらいいんだと、港湾の設備を拡張したらいいんだというようなことは夢にも考えていないのでございまして、今度の改正案を通読されましただけでも、その点は御認識いただけると思います。で、港湾のそういった開発計画を立てます場合にどうするか。これは地方自治団体がまず港湾の具体的な計画というものを立てまして、この場合には地方港湾審議会というものにはかりまして、これはもちろん漁業権者も含んでいると思いますが、そういった人たちのあらゆる意見を聞きまして、そうしてその計画を立てていくと、それを運輸省のほうに持ってくるわけです。その持ってきましたものを、運輸大臣としましては、これは全国的に大体日本の港湾というものはこういったものについて特に留意してもらいたいというようなことを基本方針として掲げます。その中には、もちろんいま申し上げたような環境でありますとか、あるいは安全でありますとか公害でありますとかいうようなことは、もちろんこれはまっ先に書かなければいかぬ問題でございますが、そういった基準に従って計画をつくって地方から持ってくる。それを私のほうでは港湾審議会にかけまして、そこで港湾計画をきめる。もしそれがどうもぐあいが悪いということであれば、これも地方自治体の長である港湾管理者に対しまして、この点はこうしたらどうですかというようなことで、意見を述べまして、両方で協議した上で、最終的な港湾計画というものをきめていくというような段取りになるわけでございますから、いま御心配のような点は、これは二重にも三重にも関門を通りまして実現されるものでございますから、その点については十分配慮をいたしますし、それからいままでもそれはほってあったというわけではないのでございますけれども、御心配になっておるのは、おそらく工業港なんかをごらんになりまして非常に心配しておられていますが、これは全体の港湾の問題ではございませんで、この工業港については、われわれの見地からいたしましても、多少考慮すべき問題があったんではないかということを、私どもも率直に反省をしておるわけでございまして、そういう方針をもちまして運用いたしますし、そういう方針をもちまして今度の成案を得ておるわけでございますから、その点は御安心をいただいて、将来の運輸省の措置について、ひとつまた御激励をいただきたいと思います。
#11
○神沢浄君 まあ大臣の御意向は、私は誠意を受けとめたいと、こう思うのですけれども、私がちょっとくどいくらいに言っておるのは、とにかくこれは二律背反的なものになると思うのですよ、開発と公害というものは。これはやっぱり、開発の裏側には必ず公害があるわけであって、ですからこれの扱い方いかんによって、これはもうたいへんなことになっては困るという気持ちがありますから申し上げているわけなんです。
 それで少し、それにかかわって環境庁へもお尋ねをしたいのですけれども、何か自治大臣がちょっとお急ぎのようですから、先にひとつお聞きしておきたいと思うのですが、この法案を見ますと、冒頭私が、地方行政のサイドからもう一つ問題ではなかろうかというふうに申し上げたのは、どうも今日までのものに比べて、中央の権力支配の傾向というものが非常に強まっていくのではないか。午前中の本会議の国土総合開発庁の問題の質問の中でも、同様のことが出ていたようでありますが、この法案に関しましても、たとえば港湾計画の問題をとってみても、現行のものでありますれば、地方の公共団体の樹立をするところの港湾計画を、国の考え方との調整をはかればいいという、これはむしろ主体は地方公共団体側に置かれるわけでありますが、この法案で見ますと、今度は国がちゃんと方針を定めておいて、その方針に基づいて、方針の中でもって港湾計画を樹立しなきゃならぬということになると思うわけであります。
 そうなりますと、下に主体性があったものと比べて、今度はその支配力というのが上に移ってしまうという、こういう関係が法案の施行と同時に生じてくるのではないか。これは私どももとよりでありますが、地方の自治をあずかってもらっている自治大臣の立場からいたしましても、私は重大だと、こう思うんです。そこで、まずその点の御見解をお尋ねしておきたいと思うんです。
#12
○国務大臣(江崎真澄君) 法を制定いたしまするにあたって、その点については、私どもも十分実は配意をして、事務的にも、運輸省側とはよくよく打ち合わせ、相談をして、こういうことになったわけであります。
 御承知のように、今日港と言わず、これは交通機関そのものが非常にスピードアップされてまいりました。しかも船の場合ならば大型化する。それから港湾そのものが、管理者側からいいましても数県にまたがる大規模な港になり、バースが設定されるというようなことになりまして、やはり国の根本方針というものを度外視することは、これはできないわけでございます。そうかといって、いまお示しのように、もともと地方公共団体が管理者になって管理しておったものに不当に国が介入をする。これは好ましい形ではないというふうに思います。しかし、これは法案でもうすでに御案内のように、運輸大臣が基本方針を策定いたしまするときには、自治大臣に対して十分協議を行ないます。それから港湾管理者は、率直に自分たちの思う意見を述べることになっております。これは必ずしも港だけではなくて、港を中心とした背後地の開発計画はこうなるというような主張などをいたしまして、そして運輸大臣が決定をいたしまする基本計画には、そういった港を含めた、その辺一帯の状況、実情というものをつぶさに主張、申し述べることができて、これに基づいて運輸大臣が措置をする。こういうことになっておりまするので、何も今度のこの法の制定によって、にわかに国の介入が強くなるというていのものではないというふうに、私どもは認識いたしております。
 したがいまして、地方自治体にとっても、さしたる支障がこれによって生ずるものというふうには思っておりません。
#13
○神沢浄君 同じ内閣の中ですから、ここで大臣同士の考えが食い違ったりなんというのでは、これは大きな問題になるわけでしょうけれども、私はそういうことよりか、むしろ今後の運用の上から、どうも心配になる点だと思いますので、お聞きをしておるのですけれども、従来は、主体性が地方公共団体側にあったから、国との意見の調整が困難をいたしましても、やっぱり主体的立場というものは地方側でよかったと思うわけでございます。今度は意見を言うことができると、こういうのですが、意見を言っても聞かれぬ場合にはどうなるかという問題が出てくると思うんですよ。そのときにはどうしたらいいでしょうか、自治大臣にそれをお尋ねしておきたいと思うのです。
#14
○国務大臣(江崎真澄君) 非常に地方の自治体のために意を用いていただく、私どもからすればありがたい御配慮だと感謝申し上げます。
 地方が意見を申し述べまして、その意見が運輸省側で取り入れられないというときには、当然自治大臣に地方の団体としては苦情を持ってくるでしょう。これは運輸省に苦情を持っていっても話がつかぬというわけですから。したがって直接所管をいたしまする自治大臣に話が来る。そうすれば、私はこの基本計画その他について、運輸大臣は私に意見を求められるわけでございまするから、そういう意味で、ひっくるめてこういう不満があるということで、調整に立つことは、これはもう当然立てるわけでありまするし、いま仰せられるように、今後どういう形になるにいたしましても、少なくとも地方自治体の意向というものを無視して国がいろんな計画を押しつける、こういうことは、これはもう民主主義の時代にできないことでございますし、(「あっちゃならぬ」と呼ぶ者あり)あっちゃならぬ、そのとおりです。
 ですから、十分その辺は運輸大臣におかれましても、運輸省そのものにおいても配慮していただけるものと、こういうふうに私ども思っております。もし地方と意思の疎通を欠く場合には、自治省が間に立って調整をする、こういうことで御了承願いたいと思います。
#15
○神沢浄君 しっかり記録をしておいていただくことにしまして……。
 そこで、この新しい法律になったといたしますと、計画の実施をしていくことになると思います。そこで金の問題ですけれども、国も配意をするということで、この法案で見ますと、港湾公害防止施設あるいは港湾環境整備施設というようなものについては十分の五以内であると、それから廃棄物の埋め立て護岸あるいは海洋性の廃棄物処理等々については十分の二・五以内であると、二分の一と四分の一ということになっているようでありますが、私は非常にこのことに矛盾を感じるのです。というのは、大臣も述べられましたけれども、港湾においてどうして公害排除の施設をしなければならないようになったか、あらためて緑地施設等まで考えなければならないようになったか、これは私は、地方サイドの責任じゃなかろうと思うのですよ。かつては水もきれい、空気もきれい、一幅の絵のごとき港湾だったものが、きょうは水面をよごされ、環境の保全のためにはいろいろな施設をまで講じなければならないということになってきたのは、地方の責任ではなくて、やっぱり経済の成長政策等、政府の政策の結果がそうさしていると、こういうように思います。
 そうなってまいりますと、これらの施設を講ずるのに、何か二分の一、四分の一程度国が見て、あとは地方で負担をしろということになりますと私は少し何か筋違いではないかという感じがいたしてなりません。おそらくこれは、もう地方の側からすると、その考え方というものは共通しておることだろうと思うのですが、その点どうでしょうか。自治大臣の所見を伺っておきたいんですが。
#16
○国務大臣(江崎真澄君) 港湾の汚泥のしゅんせつであるとかそういうもの、それから自治大臣が指定するもの、そういうものは二分の一の国が助成をする。しかし、あとの地元負担はけしからぬじゃないか――私はそういう意見は出ると思うんです。まあそうですが、この原因者に課税をしまして、どういうふうにしてそれを負担させるか、これは今後の問題として目下検討しておるわけでありまするが、原因者が何がしかの負担をすることによって、たれ流しはあたりまえだという、そういう感じを持つちゃいけませんね。ですから、この公害についての原因者の負担というものを税法上はどう考えるかという点は、いろいろ問題のある点だというふうに思います。これは十分検討しなければならぬと思います。
 したがって地元の負担につきましては、これは交付税等々で十分ひとつめんどうを見ていくということでありませんと、どこかの時点でやっぱり不満が爆発するということにもなりまするので、自治省としては、十分そういった配慮で対処していきたいというふうに思います。
#17
○神沢浄君 運輸大臣にお聞きしたいんですけれども、この法案にもやっぱり原因者負担の規定というものは盛られておるようであります。ただしかし、あまり強制力があるようには思えません。どういう方法をとるのか、どういうふうに負担をさせることができるのか、そういう点でのお考えをお聞きしたいと思います。
 それからもう一つは、入港料などの問題をも含めて、これは税金が私は、いま自治大臣も述べられたように、一番合理的な、合法則的な行き方だと思います。しかし、それがいま目の前でもってすぐということにならぬといたしましても、やはりそういう考え方、理念に基づいたような方途というものが講ぜられなければならないと、こう思うのですが、入港料の問題だとか、あるいは負担措置の方法だとか、政府側のお考えがありましたら、この際、伺っておきたいと、こう思うのです。
#18
○国務大臣(新谷寅三郎君) 先ほどお述べになりました原因者負担の根拠になる法令、これは政府委員からお答えさせます。
 私、御質問の趣旨を拝聴しておりまして、公害の防除ということにつきましても、環境の保全ということにつきましても、いろいろ双方が関連いたしますけれども、大体二つに分けられると思うのです。で、いまあちらこちらで起こっておりますような、先ほどお話になったようないろんな有害物質が流れて、そのために漁業権が侵されたり、あるいは各地で起こっておりますような汚泥の問題、それをどうするかというような問題この問題はもちろん一番緊急の問題であろうと思いますが、それと同時に、私どもでいま提案しておりますのは、もっと積極的に港湾の環境をよくしようということで、緑地帯をこしらえたり、いろんなことをやろうとしているわけです。そういうことがやっぱり公害というものにつながってくる部分がございますので、積極的な面と消極的な面と、両方からこれは考えておるわけでございまして、それぞれに規定が置いてあるはずでございます。
 私どものほうの港湾関係の問題については、実はさっきお尋ねなっておりました自治大臣がお答えになりましたが、もう少しこの国の補助率を高めようということで、実は四十八年度の予算編成にあたりまして、財務当局とも相談をしたのですが、どうしても今度は承認を得られなかったのです。私のほうとしては、できれば御承知のように経済社会基本計画というのができまして、五カ年間の計画になっておりますので、それに斉合性を持たしまして、これは閣議にもかけなければなりませんし、財務当局の承諾も得なければなりませんが、新しい第五次の港湾整備五カ年計画を四十九年度から立てたいと思いまして、いまその作業中でございます。その際には、もう少し現在の実情に合ったような、港湾を整備するための経費というものも、国の経費を盛るようにしなければならぬと、補助率の問題も当然一つの問題になってこう思うのです。くると思っております。
 それから、いますぐの問題でございますけれども、法律の改正案の中に入っておりますが、環境整備の負担金の制度を、今度初めてこしらえまして、これには関係の事業から負担金を取る。船をどうするかということについては、いろいろ入港料の問題等もございまして、きまっていない問題もございますけれども、関係事業からそういう負担金も取りまして、そうして港湾管理者――地方自治団体がよりよい港湾の整備をしていただけるようにという配慮もしておるわけでございまして、現在のところは、そういうことしかしようがないのですが、来年度以降われわれの希望どおりになりますと、もう少し新しい見地で、新しい観点に立ちまして、港湾整備をやらなければならぬ、環境の整備、公害の防除ということについても、もっと積極的にやろうという考え方で、いま作業を進めておるということだけ御承知おき願いたいと思います。
#19
○説明員(鈴木登君) お答えさしていただきます。
 ただいま先生御指摘の、あるいはまた大臣から概括的に御説明ございました環境整備負担金というのを、今回あらためて第四十三条の五に設けまして、それを徴収することに相なっております。徴収の具体的な方法といたしましては、地方自治法二百三十一条の三に基づきまして、地方税法と同じように強制徴収できるように措置してございます。
#20
○神沢浄君 環境庁いらっしゃってますか。先ほど続けてお尋ねをしておきたいと思ったのですが大臣の趣旨説明にも述べられましたし、その後の質疑応答の中で、特に強調されております環境施策の問題ですね。そこで、さっきも私から触れさしていただきましたように、いよいよこの新しい法律ができ上がって施行されていった場合に、どうも環境政策の面のほうが従にされてしまうのではいけない。そういう際には、やっぱり環境政策の責任の場にあられる環境庁が政治の上の責任というものを持たれるわけだろうと思うのです。そこでこの法案の中でもって、環境庁はどういうようにかかわり合っておられるかという点をお尋ねをしておきたいと思うのです。
#21
○政府委員(坂本三十次君) 先ほどから開発か、それから環境保全かという大きなテーマから、どちらにウエートを置くのかというお話がございました。
 開発は、もちろん人間社会の進歩のためには必要ではありまするけれども、過去二十年間、とりわけここ十数年間の高度成長というものを見ますると、やはり開発は人間のためにやるものでありまして、やり過ぎた場合には重大な支障を起こすおそれがあるということは、最近の公害問題を見れば、もう一目りょう然のことでございます。開発は人間のために便利でありまするけれども、もっと大切なことは、人間の健康と生命であります。
 ですから人間の健康、生命を守るという環境問題、環境政策、これが優先さるべきであることは、私は当然であると思っております。ただし、いままでの、この戦後の日本の歩みを見てまいりますれば、やはり国民的コンセンサスというものは、やっぱり高度成長にあったことは申し上げるまでもないと思いまするが、最近、非常な反省の声が出てまいりまして、そしてその声がこの環境庁の誕生にもなったわけでございます。これはもう健康と生命を守る問題でありまするから、全国民的課題でございまして、民族的な課題でございまして、人類的な問題でございます。
 そういう意味から、先ほどおっしゃったように、もう少したったら三千万人に減るんじゃないか。これはやっぱり、当然の政治家としての将来に対する見通しの上から、それだけの配慮をしなければならないというお考えだろうと思いまして、非常に敬意を表している次第でございます。ローマ報告にもそれと同じようなことが書いてございます。
 そこで環境庁といたしましては、国民世論の環境優先というこの声、いままでの経済優先をここでチェックするためには環境優先ということに切りかえないと、惰力で押し流されてしまいまするので、環境庁発足以来、いろいろな開発行為に対してはチェックをする。自動車でいえばスピードが大事だったという時代もありましょう。しかしスピードよりも人間の安全のほうが大事であるということは、もう当然なことでございまするから、エンジンよりはハンドルやブレーキのほうが大事になってくるわけであります。そういうような精神でもって、環境庁はいろいろな開発行為の行き過ぎに対してはチェックをすると、きびしい態度で臨んでおるわけでございまして、この港湾法におきましても、いままでは港湾審議会のメンバーとして、具体的計画について意見を述べるという段階でございましたが、それではおそい、もっとその以前の基本方針につきまして、運輸大臣から事前に協議をいただいて、そして私どもの環境保全、これを万遺憾なからしめるように、私どもが協議権をひとつ預かりまして、そして協議を申し上げ、チェックをしていかなければならぬ、こう思っておるわけであります。港湾法だけではございません。国土総合開発法以下十四本ぐらいにわたりまして、全部環境庁の協議権を今度は入れようという、その意気込みをひとつ御了承をいただきたい、こう思うわけでございます。
#22
○委員長(長田裕二君) これより暫時休憩いたします。
   午後二時二分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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