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1972/03/29 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第5号
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1972/03/29 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第5号

#1
第071回国会 運輸委員会 第5号
昭和四十八年三月二十九日(木曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         長田 裕二君
    理 事
                江藤  智君
                木村 睦男君
                山崎 竜男君
                小柳  勇君
    委 員
                岡本  悟君
                黒住 忠行君
                菅野 儀作君
                橘  直治君
                伊部  真君
                瀬谷 英行君
                阿部 憲一君
                三木 忠雄君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
       労 働 大 臣  加藤常太郎君
   政府委員
       環境庁大気保全
       局長       山形 操六君
       運輸政務次官   佐藤 文生君
       運輸大臣官房長  薗村 泰彦君
       運輸省鉄道監督
       局長       秋富 公正君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部長  住田 正二君
       運輸省自動車局
       長        小林 正興君
       労働省労政局長  石黒 拓爾君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       警察庁交通局交
       通指導課長    加野久武男君
       運輸省自動車局
       整備部長     景山  久君
       日本国有鉄道総
       裁        磯崎  叡君
       日本国有鉄道理
       事        阪田 貞之君
       日本国有鉄道理
       事        加賀谷徳治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○運輸事情等に関する調査
 (自動車排出ガス対策に関する件)
 (自動車事故対策に関する件)
 (自動車損害賠償責任保険金の運用に関する
 件)
 (日本国有鉄道の運営に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○阿部憲一君 主として自動車公害のことについてお伺いしたいと思っていますが、まず環境庁にお尋ねしたいと思います。
 四十五年の七月に運輸技術審議会がありまして、その答申によりますと、大気汚染現象の把握のために観測網の整備と環境汚染の実態を把握する体制の確立があげられておりますが、光化学スモッグの原因の科学的究明について、どのように計画並びに実施が進んでおりますか。
#4
○政府委員(山形操六君) 光化学スモッグの件でございますが、この発生機構と影響等がまだ十分に解明されておらなくて、問題がたくさんに残っております。私ども環境庁が四十六年の七月に発足以来、直ちにこの問題に関しまして、総合的な研究を進めようということで、本日までやってまいったことでありますが、まず実態把握の点に力を入れまして、四十六年には、その実態把握の研究をやりましたが、四十七年度、昨年の夏に、東京湾地域を対象といたしまして、一都三県の関係公共団体と共同で総合的な実態調査をやりました。この発生条件等に関して貴重な資料を得たものと思っております。
 四十八年度、来年度におきましても、さらに国の試験研究機関を中心として、総合的な研究を継続して行ないます。今年度実施しました東京湾だけでなしに、最近大阪地区にも出ておりますので、大阪湾地域、その二カ所を対象として、総合的な実態調査を実施することを予定しております。これらにつきましては、低層大気と申しますか、その辺の気象条件が非常に関係いたしますので、逆転層とか風系等の気象条件の問題、それと各種汚染物質が光化学反応にどう影響して二次生成物をつくるか、こういったところに主力を置いていま研究を進めておる最中でございます。
#5
○阿部憲一君 いま、環境汚染の実態を把握するためにいろいろ研究段階だということがわかりましたが、それにつきましては、光化学スモッグの発生原因物質の発生寄与率についてどのようにお考えになっておられますか。それからまた、CO以外の物質の有害度の究明というのはどのようになっていますか。
#6
○政府委員(山形操六君) 光化学スモッグの主要な原因物質といわれておりますのは、窒素酸化物及び炭化水素でございますが、この窒素酸化物と炭化水素が空中で紫外線の照射に会って新たな二次生成物をつくるということが推定されております。ただその二次的にできる大部分のものはオゾンだといわれておりますが、オゾン以外にいろいろなPANとか、その他いろいろな物質をつくっておるといわれております。で、それらの中身については研究班がいろいろやっておりますが、それと健康被害との直接の結びつきについては、まだ十分な解明ができておりません。
 それから、先生御指摘の、窒素酸化物、炭化水素がどのくらい影響しておるか、寄与しておるかという点でございますが、これは四十五年度に東京湾周辺地域におきまして、汚染物質の発生源別排出総量を推定して計算したことがございます。それについて、もしこれを寄与率という意味で解釈いたしますと、窒素酸化物には工場、事業場等の固定発生源、これから出るものが六一%、それから自動車、飛行機等移動発生源、これが三八%となっております。それから炭化水素につきましては、固定発生源が四三%、移動発生源が五七%の寄与率ということになっております。
#7
○阿部憲一君 この発生源対策について、どのような規制を行なっていくのかお伺いしたい。
 それから、特に東京都におきますNOxの発生源を見てみますと、約六割が工場になっておりますが、工場に対する規制、固定発生源対策はどのようになっております。
 もう一つつけ加えますと、とりあえず、ことしの夏の光化学スモッグ対策は万全であるかどうか。またもう一つ、これにつきまして、長期的な対策はどうなっているか、あわせて御返答願いたいと思います。
#8
○政府委員(山形操六君) 発生源に対するいろいろな対策をどうされておるかという御質問に先にお答えいたしますが、先ほど申しました窒素酸化物と炭化水素対策になります。その窒素酸化物の対策でございますが、窒素酸化物に関しましては、残念ながらまだ環境基準ができておりません。したがって現在、私ども中央公害対策審議会において環境基準をつくり、それに従って、それを維持達成するための排出規制、排出基準をつくろうという作業に入っております。現在、窒素酸化物の環境基準に関しましては、中央公害対策審議会大気部会のうちの専門委員会において学問的な究明をされ、一応このくらいのものならばよかろうという環境基準の数値は出ました。それを今度どういうふうにして工場、事業所等にこれを達成目途ができるであろうか、達成目途及び達成の方法等について現在議論をしておる最中でございます。
 御承知のとおり、窒素酸化物は完全燃焼をしております現在のボイラー、炉等の燃焼に関しましては、煙突から出る窒素酸化物は非常に多く出ておりまして、これに関する防御装置と申しますか、たとえば硫黄酸化物の場合でございましたら脱硫装置というものがございましたが、そのような防御手段が現在世界的に解明されておりません。したがって、この環境基準を達成するために、いかに防御装置を施して、これを何年ぐらいの目途でやれるであろうかという点が非常にむずかしいことになっておりますので、環境基準の学者の数値はできましたが、その達成方途等についていま審議を重ねておりますが、これも間もなく結論を得るべく見通しが出てまいりましたので、それができ次第、早期に排出規制の準備に入ろう、こういう段階でございます。
 もう一つ、窒素酸化物に関しましては、自動車の排出ガスの問題がございますが、これに関しましては、御承知のとおり、自動車の排気ガス対策を非常に強めてまいっておりますが、ことに五十年度以降の新車からは、いわゆる米国のマスキー法と同程度のきびしい規制を行なうということで、その防御技術の確立を進め、そして使用過程車についても排出ガス浄化装置を取りつける等、これは所要の措置を次々打っておりますので、移動発生源に関する規制は強くやっておりますが、工場のほうがちょっとおくれておりますが、これは防御技術が非常にむずかしいという点が問題でございます。
 それから炭化水素に関しましては、これも炭化水素は、まだ全く環境基準も排出規制も出ておりません。したがって炭化水素に関しましても、今年度中に中央公害対策審議会において、炭化水素の環境基準をつくるべく専門委員会を設置して、それらの環境基準並びに、それができましたならば、その排出規制をつくるべく、いま準備に入っております。で、炭化水素の、それは工場等に関する問題でございますが、自動車に関しましては、先ほど申し上げましたように、五十年以降の、いわゆるマスキー並みの規制とともに、順次、炭化水素対策はとってきておりますので、移動発生源につきましては、炭化水素に関しましても、次々と手を打ってまいった次第でございます。
 それから、ことしの夏及び長期的に光化学対策、スモッグ対策は準備ができておるかという御指摘でございますが、昨年度、光化学対策に関しましては、関係十省庁からなります光化学スモッグ対策推進会議というのを開いて、暫定的な措置と、それから基礎的な対策というのをつくって、それに対する各省庁の協力を得てまいりました。現在、四十八年度の光化学対策の総合的な施策を取りまとめ中でございます。近くこれについて発表できると思いますが、四十八年度、特に強くやる問題あるいは引き続き長期にやる問題とを分けて目下作業を進めておる最中でございます。
#9
○阿部憲一君 そうするとあれですね、ことしの夏の光化学スモッグ対策というのは、まだまだ十分な、万全な対策は講ぜられないということなんですね。
#10
○政府委員(山形操六君) ことしの夏、去年と比べてどのように光化学スモッグ事例が出るかという点になりますと、残念ながら去年よりもうんと少なくすることができるというふうなことは私の口から申し上げられませんが、しかし光化学対策の根本になります窒素酸化物と炭化水素を発生源から押える方法と、それからそれを間接的に押えていく方法、いろいろな手がございますので、総合的な施策として未然防止対策に特に力を入れてまいろうと思っておりますが、具体的には自動車の交通対策等も大きな問題になってまいりますし、それから保健対策等に関しましても、四十八年度は特に重症な症状を起こされる健康被害に関して、私ども力を入れようと思っておりますので、これらにつきましては、いわゆる光化学スモッグといわれる二次生成物で起きておる症状なのか、あるいはほかの原因でできておるものなのか、こういった根本的なものはまだよくわかっておりませんので、それらに強く力を入れてその解明に努力いたすつもりでございますので、根本的な解決は四十八年度にできないかもしれませんが、着々とその攻めていく方向が定まってまいると思いますので、万全を期して少しでも事例の少なく出るように、あるいはまた、前もって事前調査をして、早期にその予測ができるような対策を進めてまいっていきたいと考えております。
#11
○阿部憲一君 運輸省にCV車のことでちょっと伺いたいと思いますが、今回の使用過程車に対する排出ガス対策として、点火時期制御装置、それから点火時期遅角方法を実施されるわけですが、それによって汚染物質の減少がどの程度はかられる予定であるか、どのくらいの効果があがるか、お伺いしたい。
#12
○政府委員(小林正興君) 今回、使用過程車の排出ガス規制を実施することにいたしたわけでございますが、その効果について一応試算したわけでございます。ガソリン自動車からの排出量の減少率は、まず炭化水素につきましては約一割、それから窒素酸化物につきましては一八%でありまして、東京都の自動車の数、これと関連して計算してみますと、炭化水素につきましては一・六年分、窒素酸化物につきましては二・八年分車がふえないというのと同じ効果になると、こう推定いたしております。
 ただ先ほど環境庁からの御説明がありましたとおり、光化学スモッグ対策につきましては、固定発生源からの問題もございますので、自動車だけについて申しますと、先ほど申し上げましたような効果があるわけでございますが、全体として万全であるかどうかという点については、なお疑問が残るかと思います。
#13
○阿部憲一君 いまのようにHC、NOxがそれぞれ減るというメリットがあることがわかりましたが、それに伴って当然ほかの物質がふえるわけですね。どのような物質が増加するか、また実験データはありますか。もしCOが増加するとしたら、現在のアイドリング規制の四・五%をオーバーする心配はありませんかどうか、お伺いいたします。
#14
○説明員(景山久君) お答えいたします。
 その件につきましては、昨年、使用過程車の光化学スモッグ対策をきめますときに、運輸技術審議会のほうに諮問をいたしまして、技術的な検討、いま先生がおっしゃいましたような心配もございますので、そういった技術的な検討をお願いいたしまして、その経過におきまして、光化学スモッグ対策としましてだけ考えますと、いろいろな方式も理論的には考えられるわけでございますが、一酸化炭素のふえないということも、あわせて十分技術的な御審議をお願いいたしました。その結果、技術審議会の先生方から答申をちょうだいしたわけでございますが、そのときに出てまいりましたのが、いまお話のございました点火時期の制御方式のものと、それから触媒反応方式のものと、この二つならば一酸化炭素のふえる心配はないということに答申をいただきましたので、それでやることにいたしております。
 なお、私どもそれぞれの装置を規定いたしますときに、一酸化炭素がふえないという証拠もとりまして、万全を期しているところでございます。
#15
○阿部憲一君 環境庁にお伺いしますが、現在、一酸化炭素対策について、四十五年の二月の閣議決定によって環境基準がきめられているわけですが、現在、都内百七のおもな交差点のうちで、三十四交差点はCO濃度が一〇PPMを超過しそうだと言いましょうか、超過する危険がある、このように聞いておりますけれども、今後このCO対策について、どのように取り組んでいくつもりですか。
 また、あわせて伺いますが、HCとかNOxについても環境基準を設けるべきだと思いますけれども、どのようにお考えになっていますか。
#16
○政府委員(山形操六君) 先生御指摘の、一酸化炭素規制の効果が十分あがっておるかどうかという点でございますが、一応私どものほうにもデータがございますが、やはりCOの排出問題に関しましては、大原交差点とか、あるいはその他非常に交差の多いところにおいては、しばしば一〇PPMをオーバーする時点が報告されております。ただし、よその場所のいろいろな経年、経時的な変化を見てまいりますと、COに関しましては、必ずしも毎年毎年増加するというデータは出ておりません。だんだんと山が下がっていく、あるいは少しも変わらないという状態でございまして、これをどう解釈するかという点になりますと、私どもまだ十分解明はできませんが、一応の解釈としては、実際問題として飽和状態になっておるのではなかろうか。これ以上CO対策については、そう増加する傾向は見られないと見てよろしいのではないかと解釈しております。ことに外国等と比較をいたしますと、日本はCOに対しては非常にきつい規制をしておりまして、外国ではもっとオーバーしておるデータが出ておるわけでございますが、これらを見ましても、COに対しては、先ほど言いましたように、少し過飽和みたいになって、これ以上ふえることはまずなかろうというような解釈でございます。
 それからCOとHCは、規制においては同様な態度をとりますが、それを強くすればするほど、逆に今度はNOxがふえていくという逆現象を来たしますが、現在、私どもが五十年、五十一年、マスキー法に準じてやっていこうという方向も、NOxのほうは非常にむずかしゅうございますので、先にCOとHC対策をし、そのあとNOxをやっていこうと、こういう方向でいま施策を進めてまいっておる最中でございます。
#17
○阿部憲一君 自動車局の方にお伺いしますけれども、今回の中古車に対する規制は五月一日からで、あと余すところ一カ月でございますけれども、装置の生産体制並びに調整、取りつけの進行状況はどうなっておりますか。五月一日までに十分間に合わせられますか。
#18
○説明員(景山久君) 実はこの問題につきまして、私どもも、いまあります日本じゅうの中古車全部、二千万台を措置しますというのは世界で初めてでございますので、その点は非常に気にしたところでございます。気にいたしまして、具体的な、取りつけをきめます場合に、やはりその装置の供給体制を考えなければいかぬということで、地域別あるいは車の大きさ別というような区分を実は考えまして、そうして段階的に規制をしていく。特に装置の取りつけのほうは段階的にやっていくというふうに考えたところでございます。
 それで現在のところ、いま先生の御指摘のございました東京都、大阪府につきましては、私ども装置の取りつけ対象車両数が約三十四万台と推定をいたしております。すでに現在のところ、三月十五日現在でございますが、三十六万台分の装置が生産されまして、そのうち約三十万台分が出荷されているということを確認いたしております。
 なお全車に及ぼします点火時期の調整作業のほうでございますが、これも調整の作業の実施状況を、整備関係等の機関を通じまして、定期的に報告を聴取いたすようにしておりますが、三月十五日現在では一五%――大体三月の初めからスタートしたということでございますが、二週間後の三月十五日現在で一五%のものが完了いたしております。今後とも取りつけ及び調整作業の進捗状況につきましては、実態を定期的に把握いたしまして、四月一ぱいに間違いなくいけるように、関係方面の督促及び御協力を得ましてやっていくようにいたしたいと思っております。なお、これに必要な広報措置もいろいろやっておるところでございます。
#19
○阿部憲一君 そうすると、一応四月一ぱいに間に合うというふうに考えてよろしゅうございますね。
 私は、ただしかし、この装置、調整についての問題ですけれども、今回の規制で指定されております装置及び調整について、技術的な検討はどのように行なわれているかということでございます。またその結果の効果、それからエンジントラブル等について、具体的な実験データはありますか、お伺いします。
#20
○説明員(景山久君) 今度とりました方策の技術的な信頼性の問題でございますが、先ほどちょっと御説明いたしましたように、運輸技術審議会のほうでかなり具体的な技術審議を実はお願いしてございます。そうして、それによって選んでいただきました方策でございまして、その審議の際にも、学識経験者の方々あるいは東京都の公害研究所の部長さん、そういったいろいろな方に技術的な数字についても全部審議をしていただいて、これならいいというふうに実は答申いただいたところでございます。したがいまして、技術的にこういった装置の取りつけにつきましての信頼性と申しますか、これにつきましては、万々問題がないものと、こういうふうに思っております。
 なお、装置の指定につきまして、それぞれ技術的なデータをとりまして、さらに遺漏のないようにしておりますので、御心配ないものと思います。
#21
○阿部憲一君 整備部長はそういうお話ですけれども、あなたのほうで出された、運輸省で出されましたこの「点火装置の調整方法」ですか、これをちょっと拝見しますと、たとえば同じデータの中でも、三菱の乗用車については、「燃料消費率の低下、夏季にオーバーヒートぎみになることがある、キーを切ってもエンジンが自転する場合がある」、こんなようなことを書いてありますけれども、ユーザーは、やっぱりそういうことを見ると、心配、不安を感ずるわけですが、技術的な裏づけをいま運輸技術審議会でおやりになっていると言いますけれども、これはメーカーがやっているだけで、現実に運輸省が直接実験するというようなことはまだなさっておりませんですね。その点、確実性といいましょうか、ユーザーを安心させるような裏づけというものは、まだ不足のような感じがしますが、その点いかがですか。
#22
○説明員(景山久君) いま先生のお話のございました、こういった排気ガス対策をいたしますと、いろいろな今度は副作用が出てくるという点でございますが、実は原理的に申しますと、いままでは自動車のエンジン調整あるいは装置、設計、こういったものにつきましては、できるだけ、何といいますか、自動車そのものの性能といいますか、小さなエンジンで大きな馬力が出て、ガソリンも食わないで、というような設計、実はこれで長年、自動車ができましてからきたわけでございます。したがいまして、つい最近までそういったかっこうでまいっておるわけでございますが、そういった、いわゆる狭い意味での自動車の技術的性能というのを追求いたしました結果と申しますか、排気ガスの状態が悪くなったというのが結果でございます。
 これを、排気ガスをきれいにするというふうになりますと、まあ何と申しますか、若干技術的に逆行と言うのはおかしいのでございますが、狭い意味の技術的には逆行するというような対策をとらなければいけない、ゆっくり燃やしてやって、あまり大きな馬力を出さないで走る、こういうことに実はなるわけでございます。そういった対策を、やはり排気ガス対策としては技術上とらざるを得ませんので、傾向といたしましては、実はこの資料に書いてありますことは、すでに技術審議会の審議で出てきたところでございますが、燃料消費量が若干ふえるとか、あるいは加速が少し悪くなるとか、オーバーヒートを起こしやすくたる、そういった問題が実はございます。ただこれも、お使いになる方が、いろいろな方がございますので、定期点検整備をきちんとやっておいていただければ、ほとんどといいますか、問題はないわけなのでございます。
 私も実はこういった装置をつけました車に乗ってみまして、自分でもうちの研究所の構内で運転をしてみましたけれども、ほとんどわかりません。乗車定員六人の車に六人乗りまして、トランクに一ぱい荷物を入れまして、そして坂を登るというようなことをいたしますと、あるいは出足が悪くなったという感じがわかるかもしれませんが、普通の都市内におきます使用体系、一人とか二人とか乗っておられる状態で、私、運転してみましたけれども、これはわかりません。でございますので、整備さえちゃんとすれば全然問題ないと思いますが、先生御指摘のように、ユーザーの方、いろいろな方がおられますので、こういった点も考えられるから、十分注意して取り扱っていただきたいという意味で、実はこれは少しはっきり書いているということでございます。
 それからなお、装置の効果とか副作用について、自分のほうで確認したかというお話でございますが、これは私どものほうの研究所で、このうちの幾つかのものにつきましては、やはりきちんと確認をいたしております。そういう状況でございますので、実際にお使いになる方がこれでたいへんだというようなことはないと思います。
#23
○阿部憲一君 整備部長のお話わかりましたけれども、私らユーザーの側から見ますと、まだまだPRが非常に足りないような気がいたします。運輸省で具体的なデータを示して、装置あるいは調整のメリットとかデメリットをもう少し明確にしてユーザーに協力を訴えるということは、さらに必要じゃないかと思いますが、この運輸省から出されたパンフレットなんかも、ただ何といいましょうか、お上から出たというような感じで、これだけの義務があるぞと、こういうふうな、一方的にユーザーに押しつけたような感じがして、配慮に欠けたような感じがしますが、政務次官のお考えいかがですか。
#24
○政府委員(佐藤文生君) この問題につきましては、私は運輸省の欠点と申しますか、一つの行政を進展させるのにユーザー、あるいは利用者あるいは検査体系、そういったものについて的確によく内容を説明するという、そういう点が、従来、どちらかというと運輸省は不得手のように私は感じられております。
 そこで私、政務次官になりましてから大臣と御相談いたしまして、なるべく、行政を推進する場合においては懇切丁寧に、理解ができるような資料を配布して、そうして協力体制ができるような、そういう行政に転化すべきである、こういうことで大臣と御相談して指導していきたいと、こう考えている次第であります。
#25
○阿部憲一君 この点火装置の調整方法には、外車に対して記載がされていませんが、たとえばフォルクスワーゲンなどの外車に対する規制はどのようになっているのか、お伺いしたいと思うんですが。
#26
○説明員(景山久君) 外車につきましては、メーカーが近くにおりませんので、実は少し作業がおくれておりましたけれども、ほとんど作業を終了いたしまして、間もなく皆さん方に御連絡が、それぞれの車の取り扱い工場から御連絡が参るように処置をいたしたところでございます。四月一ぱいに間違いなく、それぞれの車をお持ちの方が、外車の場合にもやっていただけるように措置をいたしております。
#27
○阿部憲一君 そういうふうにおっしゃいますけれども、二〇〇〇CC以上の大型の外車というのは、年式や車種の違いによって非常にたくさんあるわけです。また構造も非常に多種多様であるわけですが、それに制御装置を取りつけるというふうになります。これは国産車と違うと思いますが、これについてもディーラーでもだいぶお困りになっているように私らも聞いております。特にベンツなんかは装置そのものもないということでございますけれども、いまお話しだと、大体間に合わせるというようなことですけれども、このような特殊な車に対してはどういうふうにお扱いになっていますか。
#28
○説明員(景山久君) いま先生の御指摘のような理由で、実はいままで非常に時間がかかっておったわけでございます。ようやく外車の輸入組合のほう、その他を通じまして、ベンツのほうもドイツのほうと連絡をいたしまして、これでいくという答えが参ったところでございます。これは先生御指摘のように、実はそういった問題、車種も非常に多くて、いままで実は時間がかかっていたと、こういうことでございます。
#29
○阿部憲一君 さて次に、この検査のことですけれども、HC、NOxの規制を行なうにあたりまして、これらの物質の排出の検査体系を早急に確立する必要があると思いますが、どのような体制をお考えになっていますか。それからCOに準ずる体制を考えておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#30
○政府委員(佐藤文生君) 使用過程車の車両検査の際、COの検査についてはすでに実施しているけれども、HC及びNOxについても可及的すみやかに車検体制を整備する、こういう考え方でおります。
#31
○阿部憲一君 いまお答えになりましたけれども、HC、NOxの検査測定器については、まだ軽便なものが開発されていないというんですけれども、これはだいじょうぶですか。
#32
○説明員(景山久君) 先ほど政務次官から御説明いたしましたが、COにつきましては検査場でも実用的な装置でやっております。
 HCにつきましては、ぼつぼつ実用的なものが出てまいりましたので、四十九年度以降におきまして、ただいま政務次官から申し上げましたように車検でやることを考えていきたい、こういうふうに思っております。
 それから、先生御指摘のように、NOxの実用的な検査装置、これにつきましても技術的にまだまだ問題がございます。まだ最終的にきめておりませんが、私どものほうの科学技術研究補助金というのがございます。これを用いまして、何かそういったいいものがあれば研究補助をして、できるだけ早い機会に、そういった実用的な検査装置をつくりたいというふうに思っているところでございます。
#33
○阿部憲一君 ステッカーのことについてちょっとお伺いしたいのですけれども、ここにありますこのステッカーですね。これは今度対策済みのステッカーだと思いますが、このステッカーは日本自動車整備振興会連合会で発行しておりますね。ディーラーは、このステッカーを、この社団法人から一枚十円で買って、それで工賃を上乗せして五十円ぐらいで張りつけているというふうに聞いていますけれども、これ、たったこんなもんですけどね。これはどうですかね、本来は運輸省が無料でユーザーに配るべきじゃないかと思いますけれども。
#34
○説明員(景山久君) このステッカーの配布につきまして、いま先生からお話がございましたが、実費については、と思いますが、工賃を上乗せしてというのは、私どもそういったことは実は聞いておりませんし、もしそういうことがあれば、これは当然やめさせるべきことであろう、こう思っております。
 なお、ステッカーの管理につきましては、それぞれの工場に管理責任者を設けさせまして、そして出納をきちんとし、間違いのないようにきちんと、装置がついた、あるいは調整をした車について、そういったステッカーの装着が行なわれるように十分指導をしておるつもりでございます。
#35
○阿部憲一君 この日本自動車整備振興会連合会という、これは公益法人ですね。この公益法人が、こまかいことですけれども、おそらくこの原価というものは一、二円のもんだと思うのですけれども、十円で、何といいますか、ディーラーに売るわけですね。ということは、結局ユーザーのほうへ転嫁されるわけですが、こういった利益を、もうけをあげるというようなことは感心したことじゃないと思いますが、次官、どう思われますか。
#36
○政府委員(佐藤文生君) 私は、その価格の点については先生から初めて聞きました。したがって、それは私、いまここで的確な御返答ができませんけれども、一応検討してみたいと思います。
#37
○阿部憲一君 まあ、あまり好ましいことじゃないと思うのですけれども、御検討の上、できればこういうもので、さらにユーザーの上に負担をかけるということは、運輸省当局としてもやるべきじゃないと私は思います。ひとつ、なるべくこのようなことをさせないように御指示願いたいと思います。
 それから私、これは大臣に伺おうと思っていましたが、ちょうど政務次官がおいでになりますので、ちょっとお伺いいたしますが、最近の自動車交通におきまして、いまお尋ねしたような原因であります排気ガス、それから騒音、振動等の交通公害、さらにまた慢性的な交通渋滞等が現出しておりまして、一刻もそれを早く解決しなきゃならぬ、これは国民的な課題になっています。したがいまして、私がいまさら申し上げるまでもないのですが、このような都市交通に対する自動車交通の弊害というものを除去する、これには排気ガスの除去等に対する技術的開発、いま問題としてお伺いしたようなことを、これを急ぐことはもちろんでございますが、都市交通の円滑化という観点から、当面、自動車交通のあり方というものを早急に検討して対策を立てていかなきゃならぬ、こう思うわけでございます。
 その有効な手段としては、自動車交通を抑制する、これはまあ第一番でございますけれども、しかし、それにかわるべき交通機関というようなものを考えなきゃならぬ。そうすると、大量で、しかも高速の輸送機関というものを整備するにはどうしたらいいかということになりますと、結局、私は自動車以外の、また同じ自動車でも大量に多くの人たちを運べるもの、あるいは大きな、人を一台一台でなくて運べる、いわゆる乗り合い自動車――バスというようなものの増発ということを考えなきゃならぬと思うんですが、もう一つは、この間の経済社会発展計画によりますと、都市交通においては大量公共輸送機関の整備を最優先すると、こういうふうにうたっておられますけれども、これについて、私、具体的にあまり運輸当局は対策を持っていないのではないか、このようにも考えられます。
 といいますのは、国鉄の今度の基本的な改革案におきましても、もちろん都市交通の重要さというものは認識しておる、対策は緊急を要するということは唱えておりますが、しかし、それならば国鉄が都市交通、特に通勤者対策というものに対して、新しく路線を敷くとか、東京について言うならば、現在の山手線等々のほかに、さらに輸送機関を設けるというようなことも、残念ながら聞いておりませんし、また地下鉄なんかの計画でも、一本か二本が計画されているにすぎない。このようなことであって、非常に自動車の渋滞だとか公害の問題について、大きな世論が起きており、また国民が非常に困っておる、都民が非常に困っておる、都民が非常に難渋しておるにもかかわらず、その対策自体が非常に、何といいますか、はっきりと樹立されていないということは非常に残念に思います。せっかく政府が経済社会発展計画を御発表になった以上、何らかこれを裏づけるような具体的な対策というものはないものか、またはどのようなことをお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
#38
○政府委員(佐藤文生君) 都市交通の問題については、これは私は、交通政策上一番力を入れなければならない問題だと基本的に考えております。
 そこでまず、国鉄に関しましては、先生もう御承知と思いますけれども、東京を例にとりまして、各線別に調査をいたしました結果、過去数年間、混雑度が大体四百七、八十度ぐらいの混雑度になっておったのが、だんだんと四百五十度ぐらいの混雑度に下がってきておることは事実でございます。しかし線によっては逆に混雑度が増加してきておる、こういう線もあるのが現在の状態であります。
 そこで、このたびの国鉄再建法の案の中にも盛られておりますけれども、昭和五十二年ないし五十三年を目標に混雑度を二百度ぐらいに持っていく、二〇〇%ぐらい、大体二〇〇%といいますと、週刊誌を持って読める程度の混雑度でありますけれども、そのためには線路を増したり、あるいはホームを延ばしたり、あるいは車両を増加するとか、こういう措置を講じてやっていこう、しかし先般、上尾事件も起こりましたが、ああいったような背景にはいろいろな原因がありますけれども、急激に住宅がふえて、それに交通が間に合わない。こういうような面もございますので、個所的に重点的にその対策をとっておるというのが現状であります。
 一方、自動車の問題ですけれども、都市の中における貨物の状態を見ますというと、非常に大型のトラックが都市のまっただ中に入ってくるということは、これはよろしくない、これは他の交通機関に非常な大きな影響を与えるということで、トラックターミナルを東京の周辺の三地区に設けまして、そうしてそのところまでは大型のトラックは地方からやってくるけれども、そこでもって貨物の積みかえをやりまして、そして大都市圏内における中央の混雑を緩和していく、そういう措置をいたしております。
 なお民鉄関係、地下鉄関係を緩和するために、鉄建公団を通じまして、助成金を出しながら、補助金を出しながら、地下鉄の建設については、十分に都市の圏内におけるところの地下鉄の混雑度というものを避けていくような政策も展開をしているわけであります。
 なお自動車の問題につきましては、大型の低公害のバスの開発をやることが、私は大切だと考えます。運輸省としては、大型低公害のバスの運行をして、いわゆる他の普通車の混雑の緩和をはかっていく、こういうような考え方で指導しておるわけであります。
 なお先般、警察庁とも連絡もとりまして、東京都内においては、交通の制限ということも、車種によっては行なっていくというようなことで、都市圏内におけるところの交通の緩和をはかっていく、こういうような考え方で指導してまいっております。
#39
○阿部憲一君 時間もありませんので、最後に一言だけお伺いしまして質問をやめたいと思いますが、先ほどもちょっとお話に出ましたけれども、例のマスキー法ですね。これは一年延期するというようなことがほぼ確実視されておりますけれども、もしアメリカがこのマスキー法を延期した場合でも、日本版のマスキー法、いわゆる日本版のマスキー法は五十年規制ですか、この目標はアメリカの延期に関係なく実施されますか。これをお伺いしたいのですが、環境庁と、それからまた運輸次官のお考えを伺いたいと思います。
#40
○政府委員(山形操六君) わが国は、わが国の方向を堅持してやっていきたいと考えております。
#41
○政府委員(佐藤文生君) マスキー法並みというか、マスキー法よりかさらに私は、最終目標は強化されるようなことになるのじゃないかと思うんですが、炭化水素については五十年の四月に、六%のマスキー法並みの実施が可能であるということで、その目標に向かって作業を進めておるし、それから窒素酸化物については五十一年の四月までには一〇%、あるいは一酸化炭素については五十年の四月には五%、こういったような目標を立てまして、それを一挙にやるか、あるいは四十九年、五十年、あるいは五十一年というぐあいに、順次にやっていくかということをいま検討中でございますけれども、そこに目標は置いて、マスキー法並み、ある一部の面においてはそれ以上の規制が可能であるということで指導しておるわけであります。
#42
○岡本悟君 ただいま自動車の排気ガス等の公害についての御質問が阿部委員からございましたが、それに関連しまして一、二お尋ねをしてみたいと思います。
 一つは、いま国会へ提案されております租税特別措置法の一部改正で、低公害車をできるだけすみやかに普及させる、そして排気ガス等による公害の防除に役立てようということで、この低公害車を優遇するということにつきましての改正法案が出ております。これは御承知のとおりでありますが、この租税特別措置法の一部改正の第八十八条の四で「昭和五十年四月一日以降に適用されるべきものとして定める自動車排出ガスに係る保安上の技術基準に適合するもののうち、大蔵省令で定めるものに係る」云々と、こうありますね。課税標準を四分の一に引き下げようということなんですね。
 もうすでに御承知のように、アメリカのマスキー法の定める基準に合致するような、合格するような低公害車も一、二出ておるわけであります、市販されております。で、この物品税の軽減の措置がすみやかに適用されれば、この普及には相当効果があるというふうに思うんでございます。そこで、いまの保安上の技術基準が一体いつごろできるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。整備部長どうぞ。
#43
○説明員(景山久君) ただいま先生から御質問がございましたインセンティブ・タックスの問題でございますが、いまのところ、何というんですか、アメリカのマスキー法に合った車というのができたということは、話が出てございません。実は先ほど来お話ございましたように、日本の場合の現在の規制、中央公害対策審議会でもお話が出ておるところでございますが、日本での公害規制を行なってまいります場合には、日本の都市内の走り方に合った走り方ではかりまして、そしてきれいであるという必要があるわけでございます。現在も、そういった規制で実はやってきております。アメリカの場合は、向こうの規制のモードでございますと、平均速度が三十一・五キロ、最高速度九十二キロメートルというような速さで走った場合に、これまでの基準に合うことということになっております。現在、一、二のメーカーで向こうの規制に合うものが出たと申しておりますが、実はそのはかり方で合うということでございます。
 それで、私どものいまの国内での規制、あるいは中央公害対策審議会での五十年の規制方針にございます走り方と申しますのは、最高速度が四十キロ、平均速度が十七・七キロという、日本の混雑いたしました都市内での走行状態ではかって規制をする、こういうことでございます。こういったはかり方でといいますか、こういった試験条件の場合でございますと、エンジンの温度が上がりませんので、炭化水素とか一酸化炭素、これにつきましては、非常にエンジン側から、車側からいいますとつらくなる、こういうことでございます。現在まで、私どもが承知いたしております範囲では、いま申し上げましたはかり方ではかった場合に、中央公害対策審議会の規制方針というのに出ております数字に合った車は、実は私たちまだ確認しておりません。
 しかしながら、逐次こちらの日本の規制に合ったものができてくるということでございます。私どものほうにも、最近、申請が日本のに合うからということで、申請が参ろとしております。したがいまして、こういったものがいよいよ出てまいろうということでございますので、この税制が施行――まだ通りませんが、施行されますに伴いまして、こういったものをインセンティブに受け入れていくということを、先生御指摘のように講じなければいけませんので、私どもと環境庁のほうと、この法律の八十八条の四の二項にございますような方法で、環境庁長官と協議をいたしまして、指定を進めていこうということで、いまそれを受け入れます技術的な準備を進めているところでございます。そういう状況でございます。
#44
○岡本悟君 いや、私がお尋ねしたのは、大体いつごろ技術基準ができる見込みか、その時期をお尋ねしたわけなんです。と申しますのは、政務次官、せっかく物品税を軽減する法案が成立しまして、低公害車を税制上も優遇しようということが可能になりましても、それを具体化できる技術基準ができませんと、から振りになるわけですね。ですから、これは四十八年度からさっそく四分の一に軽減できるわけなんです。それが技術基準の制定がもたもたしましておくれましたら、四十八年度中、実際にこの税法上の恩典を受けるものは一台もないという事態が出てくるかもしれませんね。ですから私は、せっかく低公害車を普及させようという趣旨でありますから、肝心かなめの技術基準というものを、できるだけ早く制定してもらうように、関係省庁の打ち合わせをすみやかにやってもらいたい。そのためには、やはり政務次官の政治的な御配慮をぜひともわずらわしたいと思うのです。そのことにつきまして、もう一度ひとつ、これは政務次官から。
#45
○政府委員(佐藤文生君) 先生の御質問は、実は経過がございまして、低公害車をつくるために、いろいろの装置をする。そうすれば需要者はそれだけ高い自動車を買わなくちゃならぬ。したがって物品税の軽減によって、需要者に価格によるところの負担をかけぬようにしたい、こういう趣旨から考えられたものだと思います。ちょうど通産大臣からも運輸省に連絡がありまして、そういう面についてやるので、運輸省も技術基準というものを明確に早くして、歩調を合わせてやらなければならぬ、こういう横の連絡もございました。したがって技術基準の時期というものを、四十八年度のこの物品税の軽減に間に合うようにこれはできると思います。そうするように努力したいと、こう考えております。
#46
○岡本悟君 それからもう一つ。
 先ほど阿部委員から自動車の公害を少しでも軽減するために、大都市における大量、高速の輸送機関の強化につきましてお尋ねがあったのでありますが、私も全く同感でありまして、運輸省も政府全体としてもその方向で進んでおられることは十分承知しておりますが、地方の実情を申しますと、東京とか名古屋とか大阪とか、そういう大都市のみならず、人口五十万前後の都市にありましても、人口の都市集中の現象によりまして、どんどん団地が造成されておりますことは御承知のとおりなんです。その団地がほとんどすべて足なし団地でございまして、しようがないからみんなマイカーで通勤するというようなことになる。それが非常な渋滞、混雑に拍車をかけまして、騒音なり排気ガスをまき散らし、しかも、そのために肝心の公共交通機関というものは非常に効率が落ちまして、公共交通機関の経営者の経営にも甚大な影響を与えておることは言うまでもございません。
 そこで、私が申し上げたいのは、一つは大都市のみならず、いま運輸省、政府がやっております大都市の大量な交通機関に対する助成のみならず、こういった地方の中核都市に対しましても、そういう方法を講ずる必要があると思います。進める必要があると思います。
 地下鉄は建設費も高うございますし、でありますから、人口五十万前後のところにアプライする場合の最適の交通システムであるかどうかわかりません。むしろ私は、昨年、臨時国会で成立しましたモノレール整備促進法によりまして、モノレールのほうが建設費が安うございますから、そういったものを助成する道を講ずるとか、さらに最近、それこそたくさんの都市交通機関としての新交通システムの範疇に入るような新しいものが出ていることも御承知のとおりであります。一部には、アメリカのモーガンタウンでいま使用に供されておりますし、それから最近、ダラスの空港とダラス市内とを結ぶ新しい交通機関が建設途上であります。
 で、都市の性格なり実情に応じて、新しい交通システムを選択さして、そしてできるだけ大量に運ぶ。そうして個々のマイカーによる通勤をやめさせるという方向に進むことが、望ましいことは言うまでもないことでありますので、そういうふうな新しい交通システムもすみやかに検討されて、そうしてこの都市にはどういう大量の交通機関を与えるかどうか。またそれに対しまして、建設する場合には思い切った補助をする。こういう方法を講じないと、これはもう大都市のみならず、そういう中堅都市も全部窒息状態です。これは御承知のとおりなんですが、そういう点について留意していただきたいし、ぜひとも四十九年度の予算措置におきましては、そういう道を開いてもらいたいと思うわけです。特に、これは政務次官にもお願い申し上げておきます。
 それからもう一つは、局長、本年度の予算に、これはまだ成立しておりませんが、いわゆるニュータウンに対して、足がありませんから鉄道建設公団方式によりまして、鉄道による便宜を供与しようという方法も講じられておりますが、もう一つ、あなたの所管の分野で、団地に対するバスの輸送力を提供しようというので、命令路線的な方式をとられて、そうして、それに対しては赤字をある程度補てんしてやろうという予算を獲得されておるわけなんですね。これはまだ、どういうふうに実行に移すか、詳細には私も承知しておりませんが、いま地方の実情を申し上げますと、先ほど申し上げました中堅都市におきましては、足の問題は非常に切実な問題になっているわけなんです。団地がどんどんできる、足がない。したがってバスのぜひとも路線を開設してもらいたいという要望が非常に強い、どこでも。ある陸運局長の話によりますと、もう朝から晩まで、この問題で陳情に応対しておるというふうな目にあっているケースも相当あるようですね。それは無理もないんです。足がありませんから非常に通勤に時間がかかる。しかたなしにマイカーによって通勤するというようなことになりますので、それは無理もないと思うのです。
 ところが受けるほうのバス事業者からいいますと、これは御案内のとおりでありまして、非常に経営が悪化している。したがって、むしろ路線を新しく開設するというよりか、もうできるだけ路線の整理といいますか、路線を縮少していきたいという方向にあることも、これもまたやむを得ないところだと思うのです。
 そこで、これも来年度の予算にはぜひとも、いま四十八年度予算で初めて顔を出しました命令路線的な方法をなるべく数多くの地域に適用してもらって、救済しないとたいへんなことになると思うのです。その点につきまして、局長が当面の責任者でありますから、あなたの決意を聞いておきたい。地域の実情は非常に急迫してきておるということですね。もうとにかく足がないのですから、バス路線をとりあえずここにつけてくれという要求がたくさんあるんです。だから事態は非常に急迫しておるということをあらためて認識してもらわないと、そういった新しい予算折衝についての情熱がわいてこないと思うんですが、そのことを強く訴えまして、あなたの決意をお聞きしたいと思います。
#47
○政府委員(小林正興君) 大都市交通におきまして、ただいま御指摘のとおり、根幹は鉄道輸送によるかと思いますが、大都市と申しましてもその周辺部、ただいま御指摘の団地が次々に造成されているような地区、それから前段に岡本先生の申されました中都市方面におきましては、私はバス輸送がむしろ主力になるんではないかと思っております。大都市の周辺部における団地輸送対策という点につきまして、きわめて大規模の、たとえば多摩ニュータウン程度の大規模団地につきましては、これは輸送量から申しまして鉄道輸送に適するかと思いますが、それ以外の多くの団地におきましてはバス輸送が当然主力になる。現在各バス会社はそれぞれの地域を担当しておるわけでございますが、なかなか現在の路線を維持することすら経営上やっとであるという状況でございます。
 したがいまして四十八年度からは新しい団地に対して補助制度を確立いたしまして、そして団地に新路線の開設を促進するという方策を明らかにしたわけでございます。初年度でございまして、予算の規模もまだまだ不十分かと思いますけれども、今後この方策をぜひ実らしたいと思っておるわけでございます。
 郊外団地につきましては、それ以外に、補助制度だけではなかなか解決いたさない面もあろうかと思います。たとえば鉄道の駅との間の道路の問題あるいは駅前広場の問題等ございますが、そういった点につきましては、建設省その他関係の方面とも、十分日常の連絡を密にいたしまして、団地の輸送対策に万全を期したいと思っております。
#48
○木村睦男君 警察庁来てますか――もう一カ月たちますが、先月の二十六日の午後に、ちょうど自民党の前にあります永田町小学校、ちょうど正門のところにバスの停留所がある。そこで都バスに、正門を出て学校から帰る児童たちが乗って帰るわけですが、そこであの小学校の八つになる児童が、ドアにランドセルにつけてあったハーモニカの袋がひっかかって、運転手がそれを知らないでドアを締めて、その児童が二十メートルばかり引きずられて、ついに左前輪の下敷きとなってなくなったという、まことにどうも、度を越しておる運転手の不注意、そして犠牲になった児童が非常にかわいそうだということで、私、当時一刻も早くこの委員会で真相を究明をいたし、また同時に、この問題はいろんな面で、運輸行政あるいはバス事業の管理者側の管理体制あるいは道路交通の面、いろいろ問題をたくさん含んでおりますので、早くこの問題に関連して交通事故の問題をお尋ねしたいと、こう思っておったのですが、なかなか機会が与えられませんで、とうとう一カ月たったわけです。きょうは時間もございませんが、この問題を中心に質問をしてみたいと思うわけでございます。
 その前提といたしまして、最近わが国の自動車もずいぶんふえまして、二千万両をこして、二千二、三百万両になろうとしている。したがって至るところで交通事故が起こっております。バスの、あるいは自動車の両数がふえてきますので、事故もふえるのは、ある意味においてはやむを得ぬ点があろうと思いますが、一体、この自動車事故の趨勢というものはどういうふうになっておるか。特に市街地の道路上の自動車事故、まあこれが日本の場合あるいは同じような外国の大都市の場合、どういうふうに状況が違っておるか。また特に、その中で人を運んでおりますところのバス車両による事故が、わが国においてどういう傾向になっておるか。それから事故の中で、ことに死傷事故、これがどういう傾向になっておるか、そういうふうな点にしぼって、前提として、その概要、趨勢をお聞きいたしたいと思います。これは警察庁が適当か運輸省が適当か、どちらかから御答弁願いたいと思います。
#49
○説明員(加野久武男君) 昭和四十六年並びに四十七年中におきますところの、道路上におきます交通事故の件数につきまして申し上げますと、四十六年中が七十万二百九十件となっております。四十七年中が六十五万八千七百四十二件ということに相なっております。
 このうち、特にバスによる事故がどの程度であるかということにつきましては、恐縮でございますが、きょうは調査してまいっておりませんので、あるいは運輸省のほうからお答えをお願いしたいと思います。
#50
○説明員(景山久君) 私どものほうで、バスの重大事故――バスに限りませんが、車の重大事故ということで報告を聴取いたしております。これの件数でございますが、四十四年は千五百九十一件、四十五年が千五百四十四件、四十六年が千三百八十九件と、ごくわずかではございますが、少し減っているという傾向にはございます。ということでございます。
#51
○木村睦男君 バスの車両数そのものは、最近路線拡張とか、そういったものはあまり見受けられませんので、おそらくバス車両数は極度にふえておるという傾向ではないと思います。しかし両数が減っておるわけじゃないので、勘案をいたしますというと、事故件数そのものが減ってきておるということは非常に喜ぶべきことではありますけれども、いま御説明のあったように、年々千件以上の事故がまだ続いておるというふうな状況でありますが、特に知りたいのは、市街地におけるバスの死傷事故、こういうことがわかれば御説明願いたい。
#52
○説明員(景山久君) 市街地と実は郊外部――地方部と申しますか、それを分けた数字はただいま手持ちがございませんので、まことに申しわけございませんが御説明できないわけであります。
#53
○木村睦男君 おそらく、バスの事故ですから、転覆したりなどして一挙に大量の死傷者が出るという場合は、私の見るところでは、市街地というよりも、むしろ郊外か地方に多いのじゃないか。したがって死者の人数その他からいうと、地方的なものが多いと思いますが、件数からいうと、かなり市街地にあるのじゃないかというふうにいま想像されるわけです。
 きょうお聞きしようといたしておりますこの事故も、まさに市街地のどまん中の事故でございますが、この二十六日の永田町小学校前の事故につきまして、私は新聞で承知しておる程度でございますので、この事故の概要をひとつ御説明願いたいと思います。
#54
○政府委員(小林正興君) 去る二月二十六日、永田町小学校の前で、東京都交通局のバスが、乗車しようといたしました学童をドアにはさんで引きずり、その結果死亡させた事故が起きたわけでございます。
 運輸省あるいは陸運局といたしまして、直ちに係官をして調査させましたところ、運転者が基本的な安全運転の確認を怠っておったという、いわば注意不足による事故であったわけでございます。直ちに東京都の責任者を陸運局に呼びまして厳重に警告いたしますとともに、その後、三月一日には、東京都に対しまして特別監査も実施いたしたわけでございます。
#55
○木村睦男君 いまの説明によりますと、新聞の記事でも同じでございますけれども、全く初歩といいますか、初歩にも至らない不注意による事故であったことには間違いないわけなんですが、新聞によりますと、この運転者は年齢四十一歳というふうに出ておりますが、かなり運転者としての経験も積んでおると思うのですが、当該運転者の経歴あるいは当日の勤務状況その他がわかっておりましたら、お知らせいただきたいと思います。
#56
○説明員(景山久君) 経歴につきましては、交通局の運転手を十四年と十カ月やっておりますので、いま先生のお話のように、経歴としては相当長いわけでございます。
 それから免許でございますが、大型第一種の免許を取得いたしましたのが昭和二十八年の七月でございます。同時に、第二種も同日で取得をいたしております。
 その他、私ども調べました経歴で、特別な事故でございますとか、そういった特記すべき事故はございません。
 なお、当日といいますか、過去一カ月間の勤務をとってございますけれども、まあ私ども見ましたところでは、大体一日の実働時間が一番短い日で五時間二十一分、長い日で七時間五十六分ということでございます。走行距離も、おおむね六、七十キロというところ、長い日で九十一キロということがございますが、そういった状況でございます。
 なお本人は、二十三日は公休でございまして、二十四日、一日出勤をいたしまして二十五日が年次有給休暇をとっている、こういうかっこうになっております。
#57
○木村睦男君 経験年数が十四年以上ということでありますというと、もう相当な運転者の中ではベテランの運転者と、こう考えて差しつかえないと思うのですが、そういう非常に経験があり、しかも年齢的にも四十歳をこして、十分円熟した年齢にあるこの運転者が、こんな簡単な不注意でこれだけの事故を起こした。
 私は、どうも最近いろいろなことを聞くのですが、その管理体制というものがどうもゆるみ過ぎているのじゃないか。ことに東京都の場合は、しばしば耳にするところによると規律が確立されていないようである、こういうことを聞くのであります。これだけ客観的には運転経験もあり年齢も十分な運転者が、こういう簡単な不注意による事故を起こすということは、やはりその辺に、目に見えぬ非常に大きな欠陥があるのじゃないかという感じがするのでございます。一体、こういった運転者に対する都のほうの管理の状況あるいは事業体としては運行管理者等もきちんとして、そして第一線の運転者の指導等にも当たらなければならないように規則の上できちんとしておるわけでございますが、平素の東京都交通局のこういった運行管理体制はどういうふうになっておるか。先ほどのお話によれば、この事件を契機として特別監査をやったということでございますが、その特別監査を通じてどういうふうな状況であったかということを、ひとつ御報告願いたいと思います。
#58
○政府委員(小林正興君) 運送事業者、特にバスのような人命に関連いたします事業につきましては、運行管理というものが事故防止上最も必要かと思うわけでございます。現在、道路運送法におきまして、各営業所ごとに運行管理者を選任させまして、安全運転のために乗務員の指導、監督をするという体制をとらしておるわけでございます。東京都におきましても、当然営業所ごとに定められた運行管理者は選任されておりますが、この運行管理の業務につきまして、ただいま先生御指摘のとおり、十分な乗務員の指導、監督をやっていたかどうかということについて、先般の立ち入り監査におきまして詳細に調べたわけでございます。
 その結果、東京都の管理体制につきまして、二つの点について、きわめて問題があるということで、改善命令の措置をいたしたわけでございますが、その第一点は指導教育でございます。個々の運転者に対する指導教育というようなものを十分やっていたかどうかということを記録に徴して監査いたしたわけでございますが、この点について、きわめて不十分であるということで、第一点は運転者に対する安全運転に対しての指導教育というものを完全に実施することという点を命令いたしたわけでございます。
 それから第二点でございますが、日常の管理のうちで最も重要なのは、始業時におきます点呼、この際に、いろいろ当該運転手の健康状態あるいは過労になっていないかどうかというような点、あるいは路線ごとの特殊な状況等についての注意というようなものを点呼時にいたすわけでございますが、そういった点呼のしかた、点呼の内容というような点につきましても、これまたきわめて不十分であるというようなことから、厳正な確実な点呼を実施するということにつきまして、これまた改善命令をいたしたわけでございます。
#59
○木村睦男君 運行管理制度をつくって、そして営業所ごとに運行管理者を置くという最も大切なねらいは、実はいま局長が指摘されたように、指導教育、それからいよいよ勤務につく前の、スタートするときの始業の点呼、これが私は一番生命じゃないかと思うんです。せっかく運行管理者という制度を形だけはつくっておいても、一番基本的に大切な指導教育も十分していない、また運転者がいよいよ出発するときの始業点呼、これも特に重要なものです。これが十分に行なわれていないということは、これすなわち、全く運行管理なんかできていない、こう私は極論してもいいと思うんです。ですから、今回のこの事故は、当該の運転者も十分責められてしかるべきでございますけれども、そのもとでこれらの監督、指導の衝に当たる運行管理者、また企業体――東京都、これが生命の安全ということについてどの程度の強い認識があって交通事業を担当しておるかということに、私は非常な疑いを持たざるを得ぬという感じがするわけでございます。こういうふうな特別監査の結果、こういうふうな事情がわかった以上は、ひとつ監査のしっぱなしにしないで、今後、大いにこの点が着実に実行されておるかどうかということについては、常に監督官庁として気を配っていただきたいと思うわけでございます。
 なお、当該運転手に対して、管理者側であるところの東京都はどういう措置をしておるのか、そのこともお聞きしたいと思います。
#60
○政府委員(小林正興君) 先ほど来御説明いたしました特別監査につきましては、三月十日付をもまして、東京陸運局長から東京都知事に対して改善命令書の形で命令を出しております。これは道路運送法三十条第二項の規定に基づく命令でございまして、この命令に対する東京都のとった具体的な措置につきましては、四十八年四月十二日までに報告するということを命じております。私どもといたしましては、その後、東京都がとられた改善の具体的な措置につきましては、十分内容を見届けまして改善の結果が適正でないというようなときには、またあらためて必要な措置も講ずるつもりでございます。
 なお、最後に申されました当該運行管理者に対するその後の東京都のとった措置ということについても、あわせて報告するようにさしております。
#61
○木村睦男君 政務次官、お聞きのように交通事業というものは特に生命の安全ということを最優先に考えるべき問題であると思うわけです。そういう意味においては、安全運転ということは最も重要なことでございます。
 近ごろ安全運転ということばが非常に誤って使用されておりますけれども、ことにこういった交通事業の管理体制というものは、少なくとも規律の厳正な点においては昔の軍隊にも匹敵するような厳正な規律が一番の基本になると思うのですが、そういう点で、どうも私は、公営企業のこういった方面が非常に最近抜けておるのじゃないか。いわば規律が弛緩しておるんじゃないかということを非常に強く感ずるわけでございますが、こういう点は特に運輸省として、十分、今後注意をしていただきたいと思うのですが、その点、政務次官の御決意を聞きたいと思います。
#62
○政府委員(佐藤文生君) バスとかタクシーとか、こういう事業免許をする際に、運行管理者の人格、識見、能力、そういったような点を十分やることが必要であるということで、免許をする際に十分それは考えておるわけです。
 ところが、いま先生が御指摘になりましたとおりに、事故が起こるそういったようなケースをよく検討してみますというと、バスでもタクシーの会社でも、運行管理者が非常に厳正にやっているところはわりあいに私は事故が少ないということが出てきておると思います。
 そこで、この運行管理者に対する教育あるいは指導あるいは講習会を開く。こういったような面について欠けているところがあるんじゃないかということで、先般、自動車局長あるいはその関係者と私、相談をいたしまして、その点について、一体どのくらい運行管理者を集めて、年に何回くらいそういう指導を運輸省としてやっているだろうか、こういう調査をしましたのですが、各地域ごとによって違っておりますけれども、年に、私の記憶では、二回前後くらいなことじゃないかと思うのです。
 そういうことで、もちろん完全にやっていけばけっこうでございますけれども、それが形骸化しているじゃないかということで、さらに突っ込んで、徹底して運行管理者の指導をやるためにはどうしたらいいかということで、近い将来にぜひとも先生方に御審議願いたいと思って出したのが、自動車事故対策センターの設置に関する法律でございます。これを各都道府県に設立することにおいて、運行管理者を中心にした教育、それから運転手に対するところの適格性、そういうものについて十分な指導ができるように、行政指導ができるようにということで、自動車事故対策センターというものを設けたいという趣旨の法案を提出いたしました。こういうようなことで、事故の未然防止のための措置を十分に、さらに徹底してやっていきたい、こういうことで考えておる次第であります。
#63
○木村睦男君 今国会で審議をされます、お話の事故対策センター、私も非常にいい法案であると思っておりますけれども、ただこれに魂が入らぬといけません。これが通過した暁におきましては、この実施にあたってほんとうにりっぱな運営ができるように、ぜひやってもらいたいと思うわけでございますが、とりわけ私が要望いたしたいのは、えてして公営企業というものは親方日の丸的な思想が多分にありまして、そういう点で非常に規律が十分維持されていない。ことに最高責任者のものの考え方等が非常に影響をしてくるという場合が、私、非常に多いと思うんです。したがいまして、特にそういう点は問題の根本にかかわることでございますので、今後、特に自動車行政の上では十分注意をしていただきたいと思うわけでございます。
 なお、この事件は、たまたま停留所が小学校のすぐ前にある。したがって、そこで乗るのは小学校の児童が大半であるということがわかっておるわけですよ。ですから、それだけでも特別の注意をしなきゃいかぬ。ところがこの運転者は、ちょうどあそこ――いまでもやっておりますが、地下鉄の工事を道路のまん中でやっておる。そのほうに気をとられたんで、子供が乗って、全部終わってドアが締まったかどうかという確認をしないままに発車をしたというところに、大きな原因があったわけですが、いま東京都内はいろんなところで地下鉄の工事もやっておりますし、また下水道の工事もやっておりまして、普通なら広い道路だけれども、まん中をそういう工事に占領されますと、たかだか一車線しか片道使えないというふうなところが非常に多いわけでございます。こういうところの道路交通については、交通取り締まりの警察庁としても、よほどいろいろ注意をしてもらわなきゃいかぬと思いますし、それから、たまたまそういうところに停留所があるような場合には、ことに私は危険だと思うんですよ。一時的に工事等でその前がふさがれるような場合には、もうすぐに停留所の移動をするというふうな措置も、これはやっぱりやっておかなきゃならぬ。こういうふうなことについて、いままで警察庁としてどういうふうな対策を立て、またどういうふうな実施のしかたをしてこられたか、その点御説明願います。
#64
○説明員(加野久武男君) まず、一般的に道路におきまして工事を行なう場合には、警察署長の道路使用の許可を要することに道路交通法七十七条で定められておるところでございます。警察といたしましては、工事について道路使用の許可申請がございました場合は、警察署長といたしましては、その工事が交通に及ぼす影響をしさいに検討いたしまして、許可、不許可の判断をいたすわけでございますが、許可をいたします場合におきましても、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑をはかるため必要な条件、たとえば警戒灯を設置するとか、防護さくを設置するとか等の条件を付して工事施行に伴う危険防止上の措置をとらせております。
 また警察といたしましても、独自に、その工事のため道路条件が悪くなること等によりまして、危険が予想されるような場合におきましては、その危険を防止するために必要な交通規制などの措置をとっておるところでございます。
#65
○木村睦男君 停留所の移動の問題はどうですか。
#66
○説明員(加野久武男君) 停留所の移動等につきましても、この御指摘のあったケースにつきましては、地下鉄工事のために車道の幅が幾分か狭くなりますので、臨時的に歩道の側を少し削りまして、車道上における交通の流れを円滑にする措置等を行ない、その際、停留所の位置を移動したかどうかにつきましては、いまつまびらかにいたしておりませんけれども、もし、そういう措置が望ましい場合は、そういう措置をとるよう、関係者に協力方を依頼いたしておるのが一般の例でございます。
#67
○木村睦男君 停留所の移動等は、これは警察も十分注意をして、そういうふうな措置をとって承らわなければいけませんし、また、バス事業を監督しておられる運輸省陸運局においても、この点は十分注意をしなければならぬと思います。さらに事業者自体も、しょちゅうこういうことは見て回って、そして非常に危険になった、欠陥になったと、停留所のところがそういうことで。とすれば、成規の手続をとって、直ちに十メートルでも、二十メートルでもいいから、どっちかに停留所を移動するとか、そういう措置を機敏にとるように、ひとつぜひ、今後のこともありますから。特に市街地、また道路工事のひんぱんに行なわれておるような道路を走っておるバス事業者に対しては、そういう指導をぜひやっていただきたいと思いますが、その点どうですか。
#68
○政府委員(小林正興君) 御指摘の点、まことにごもっともでございますので、なるべく早急に、そういった点が、それぞれの事業者に徹底するような措置をとりたいと思います。
#69
○木村睦男君 それから、このバスが実はワンマンバスであったということで、ワンマンバスだからこういう事故が起きたのだということを一部言っているような向きもあるように、私は聞いておるけれども、これはワンマンであろうと、ツーマンであろうと、スリーマンであろうと、こんな不注意な、初歩的な注意心もないような乗務員が何人乗ったって、私はこういう事故は起こると思うんですよ。
 そこで、ワンマンバスにはワンマンバスとしての、それにかわるいろんな車両としての装置はできておると思うんですが、この当該車両の場合には、うしろにはブザーがついておったと、前にはブザーがついていなかったということは、一体どういうことになっておるわけですか。前はそのブザーをつけなくても、別に支障がないように乗降が監視できるという仕組みになっておったんですか、車の構造はどういうようになっておったのですか。
#70
○説明員(景山久君) 先生御指摘のワンマンカーにつきましては、かねてから構造規格というものを設けまして、安全性の確保をとってきておるところでございます。また、実は最近も見直しをいたしまして、この一月三十一日に、さらに構造の改善をいたしたところでございます。
 うしろのドアには、実はもちろん鏡を通じましては、運転手がうしろのドアの内外の状況を見るようにできておりますけれども、距離がございますので、直接自分の目で見られないということで、それを補うという意味で、実はうしろのとびらが締まったかどうか、締まるときにはブザーが鳴って、締まればランプがつくという措置をしておりますし、また、締まり切ってしまわなければ車が発進できないという構造をとっております。
 前の、運転車のすぐ横のとびらにつきましては、そういった間接的な機械方法で確認をするよりも、自分の目で直接見るというのが一番いい方法であるということで、前のすぐ左のかどのところにバックミラーも設け、またとびらのすそのほうもガラスにいたしまして、車外を見通せるようにという規格にしてあるところでございます。こういった点につきまして、視野の確保につきまして十分考慮をいたしております。また今後とも、こういった点につきまして、技術的な検討を進めていきたい、こう思っております。
#71
○木村睦男君 私は、この具体的な事故に関連して、いろいろ市街地における道路交通の安全という問題で考えさせられる点が多々あったわけでございますが、特に、こういう問題について監督をされておる運輸省あるいは警察庁一体となって、ひとつ事業者の指導監督ということをさらに徹底すると同時に、その指導が十分に行なわれておるかどうかというそのチェックですね、これを機会あるごとにやってもらわなければ、どうしても大ざっぱになって、そしてこういった、ほんとうにちょっと注意すれば一人の生命が失われなくて済むのを、簡単に生命を奪うというふうな悲劇が次から次へ起こってくると思うわけでございます。
 特にこの事故は、運転従事者のまことに驚くべき不注意ということが一番大きな原因になっておるわけでございますから、そういう運転従事者の教育、人間養成の面においても十分注意をしていただきたいと思いますが、そういう点について、政務次官の御決意を聞きまして、時間がありません、もう一人質問者がございますから、私の質問は終わります。
#72
○政府委員(佐藤文生君) 停留所の環境整備あるいは車の技術改良あるいは運転手自身の基本的な態度、こういったような問題について御指摘がありましたので、十分にきょう先生の御意見を拝聴いたしましたから、バス、あるいはトラック、あるいはタクシーにかかわらず、とにかく運輸行政全般にわたりまして、安全問題については、さらに的確に行政指導ができるようにしていきたいと、こう考えておる次第でございます。
#73
○黒住忠行君 自賠責等につきまして若干お聞きしたいと思います。
 自賠責保険ができた昭和三十年当時は百五十万台の車でございました。現在では二千三百万台、そのほかに原付自転車が約八百万台あると思います。四十八年度の自賠責営業保険料につきまして、義務保険料が四千三百八十六億、付加保険料が三百五十六億、これを、昭和三十年のときは合計約四十億ぐらいであったと思います。いまの営業保険料の四十八年度の予想数字に間違いないかどうか、まずお聞きしたいと思います。
#74
○政府委員(小林正興君) そのとおりでございます。
#75
○黒住忠行君 そうしますと、百倍以上のスケールになってきたわけでございます。したがいまして、制度の基本的な問題をこの際検討する必要があるということになるわけでございますが、四十四年の十月七日の自賠責審議会の答申がございまして、その後に、必要といいますか、まあでき得るものは法律改正その他の措置をしたわけでございますが、医療の問題でありますとか、メリット制、デメリット制の問題でありますとかいうふうな、たいへん重要な大きな問題につきましてはいま検討中であると思います。で、現在の検討の状況と、今後どのように措置するかということにつきましての見通し等を承りたいと思います。
#76
○政府委員(小林正興君) ただいま御指摘の昭和四十四年十月七日に自賠責審議会から自賠責全体の制度改善について意見が出されておるわけでございます。
 非常に根本的なむずかしい問題がたくさんあるわけでございますが、まず第一点の医療費の支払いの適正化でございます。保険収支に非常に影響を与えるこの医療費の査定の問題でございますが、これについて、その後運輸省といたしましても、関係方面と十分連絡をとって、そうしてある程度の改善は進めておるわけでございます。たとえば、必要な場合には保険会社の指定医の診断書の提出を求めるということをいたすとか、あるいは診療報酬明細書の提出は全般的に義務づけるということ。それから自動車料率算定会に医療費の調査室を設けまして、そこで医療費の分析、調査をいたし、過剰診療であると思われるような場合には当該病院に対して問い合わせを励行するというようなこと。あるいはそれぞれの地区で医師会と十分懇談、協議するというような機会を設ける。それからまた公的医療機関の救急患者の受け入れ体制の整備ということにつきまして、その後救急病院の指定をふやしていくというようなこともいたしておりますし、またさらに、若干の救急ベッドの増備をはかるための補助を行なうというように、いろいろな具体的な措置も講じてきておるわけでございますが、医療費が完全に適正であるかどうかというようなことにつきましては、根本的には医療行政全般に関係いたすわけでございまして、基本的な問題については今後も引き続き検討をしていきたいという段階でございます。
 それから二番目に、メリット・デメリット制の導入でございます。これにつきまして、いろいろ問題点があろうかと思いますが、一つは、いわゆる事故歴というものを車ごとに把握するというようなことにつきましては、技術的な問題もございまして、なかなか、これを直ちに導入するかどうかというような点については困難な問題が多いわけでございますが、事柄の性質上、現在各方面から非常に要望、要請もあるようでございます。したがいまして、この点については、できるだけ関係方面の協力を得て実施できるように、またなるべく早く結論を得るように今後努力したいと思っております。
 それから免許証保険、いわゆるドライバー保険でございますが、この制度も検討すべきであるということになっておるわけでございますが、これは自動車事故による損害賠償責任者として運転者を直接引き出すというようなことにつきまして、法理論のたてまえから若干問題もあるのでございます。また労使間の責任関係のあり方というような問題にも触れてくるというようなことでございまして、この点につきましては、さきに述べましたメリット・デメリット制の導入というような方向で考えるほうがむしろ現実的ではないかというようなことでございまして、なお今後、引き続き検討はいたしますが、非常に困難な問題が多いようでございます。
 それから最後に、滞留資金の運用益を活用すべきであるという答申がなされておるわけでございますが、この点につきましては、従来交通事故相談事業あるいは育英事業等に対しましても、保障勘定から補助金を出してきておりますが、先ほど先生御指摘のように、保険の規模全体が非常に大きくなりまして、したがって滞留資金の規模も大きくなってきておるわけでございます。四十七年度におきましては約百億をこえる運用益が見込まれておるわけでございますので、これの一部を活用いたしまして、今国会に提案しております自動車事故対策センターという形でこの運用益を活用してまいりたい。これによりまして、一つは事故防止をはかりまして、保険の収支にも裨益し、また自賠責の保険でカバーされます被害者の保護に対しましても、この本来の制度と相まって、より被害者の福祉の増進に当たりたい、こういうことでございます。したがいまして、運用益の点につきましては、新しい一つの結論が出てまいっておるわけでございます。
#77
○黒住忠行君 ただいま課題につきまして御説明がございましたが、これはたいへん重要な問題でございます。したがいまして、政務次官の本件に対する御決意を承りたいと思います。
#78
○政府委員(佐藤文生君) 最近、自動車事故がおかげでだんだんと減ってきまして、事故率の低下ということは、これは非常に喜ばしいことであります。
 そこで、この事故率の低下をわれわれは期待をしながら、この自賠責の保険の問題をちょっと検討してみますと、従来の赤字が、昭和四十六年現在で調査したんですけれども、千四百億円ぐらいまでに減少してきております。したがって今後この傾向がずっと持続していきますというと、昭和四十八年度中にはこの赤字というものはすべて償却できるんではないかという期待が持たれるわけであります。しかし今後の事故というものは、非常にまだ流動的でありますんで、この現象をとらえながら、なお自賠責の収支の動向を見守って、そして将来、この料率とか、あるいは給付内容の充実とか限度額、こういったような問題について、さらに検討をずっと加えていきたい。こういうことで、自賠責の問題について注意深く今後のあり方を見ていきたい、こういうぐあいに考えておる次第であります。
#79
○黒住忠行君 自賠責保険の収支は最近よくなったというお話がございました。おそらく四十八年度からは黒になるであろう、また運用益も四十八年度は百三十億ですか、といわれております。で、これらを踏んまえてみますと、先ほどの話と総合しますというと、この制度の改善の問題、それから現在の保険金額あるいは保険料率、これがこれでいいのかどうかという問題があるかと思います。
 それからもう一つ、運用益等の利用につきまして、事故防止対策、被害者の救済対策等につきまして、いろいろ努力をされておるところでございますが、さらに積極的には、たとえば事業用運転手の養成――事故防止の観点からする養成というふうなものにも金を回す必要があるのではないかと思うわけでございます。運用益のたとえば百億ないし百三十億につきまして、もう少し利用の方法を考えていく必要があるので、このものをただ単に積み上げておくということは意味がないわけでございますし、自動車から取った金でございまするので、もう少し、今度の事故対策センターはまあできましたけれども、このようなものを、さらに大きなスケールで、ひとつ具体的に検討をしていただきたいと思います。で、その件に関しまして具体的な何か考えがあるかどうか承っておきたいと思います。
#80
○政府委員(小林正興君) まあ保険収支が、事故率の低下によりまして黒字化いたしまして、累積赤字も四十八年度中には消えると、こういう一般の情勢になってきておるわけでございますが、運用益の規模が百億あるいは百三十億ということになってまいりましても、これはやはり全体の収支の一環でございます。したがいまして、全体の収支の動向というものの中で、この百億以上の運用益をどの程度まで活用することがいいかということについても、これまた自賠責の保険料あるいは限度額の問題と同様に、やはり慎重に考えねばならないと思うわけでございます。したがいまして、そういった点を踏まえまして、事故対策センターに出します特別会計からの金額も、全体の運用益の約一割相当額の十億程度をとりあえずのめどといたしまして事業計画を組んでおるわけでございます。
 なお、先ほどもちょっとお答えいたしましたが、従来、保障勘定から出しておる補助金、これにつきましても、現在四億数千万という金額になっておるわけでございまして、こういった点をあわせお考え願いますと、全体としましては二十億近い金がこの運用益から今後支出されると、補助制度によって、いろいろ運用益を活用して、そうして事故防止あるいは被害者の救済、こういったものに資する方策と、それから直接事故センターというような実施機関をつくりまして、そうしてやるものと、大きく分けて二本立てになるわけでございますが、その前段の、従来からやっております補助金によって、民間のいろいろな安全関係の事業あるいは援助関係の事業というものに対して、なお一そう今後充実していく、いわば補助等を増額していくというようなことについては、それぞれの計画内容というようなものをよく審査いたしまして、ふやす方向で対処してまいりたいと思っております。
#81
○黒住忠行君 このスケールがたいへん大きくなったことでございますから、それに即応した積極的な施策をお願いすることを指摘いたしまして次に移ります。
 自賠責ができました当時の考え方というのは、車と歩行者。車対人の事故というのが中心であったわけでございますが、最近におきましては車対車の事故が非常に多くなっておるわけです。で、警察庁の調査によりましても、四十七年の一年間の死者の中で、車に乗っておって死んだ人の数と歩行者の数が、約五千六百人余りでございまして、ほとんど同数でございます。それから類型別の件数を見ましても、自動車、原付相互――車相互のものによる死亡者が四千二百九十人で、対歩行者の場合におきまして五千五百七十七人。歩行者の事故と匹敵するように、車対車の事故による負傷者、死者というものがふえておるわけでございまして、これがまあ、最近における自動車がふえてまいったことによりますところの現象だと思うわけですが、そういう現象をひっくるめまして、いろいろ対策を練らなきゃならぬと思うんです。警察庁におかれましては、こういう現象に対して、どのように考えておられるか承りたいと思います。
#82
○説明員(加野久武男君) 御指摘のとおり、最近におきましては車対車の交通事故が非常にふえてまいったわけでございます。
 その原因といたしましては、もちろん車両台数の増加ということが根底にあることは否定できないわけでございますけれども、私どもはそういう車両台数、交通量の増大にもかかわらず、なおかつ車両対車両の交通事故をなるべく防ぎとめようという努力をいたしておりますが、その対策といたしましては、たとえば最近非常にふえてまいりました高速道路上における交通事故がまず考えられるわけでございます。百キロあるいは八十キロ、七十キロのハイスピードで、しかもかなり大型のバス、乗用車等が通行いたしておりまして、ここで一たん交通事故が起きますと、おびただしい死傷が発生いたすわけでございますので、警察庁といたしましては、発展する高速道路網に比例いたしました高速道路交通警察体制を築くということを第一に取り上げております。
 さらに、特に自動車交通量の多い路線別に交通取り締まりパトロールの密度――さっき申し上げました高速道路を除いた一般道路でございますが、この密度を高める。あるいは特に交通事故多発地点におきましては、警察職員等を多数街頭に配置し、街頭監視活動を強めて交通事故を防止する。さらに一般の方々に対しましては、特に多数の車両をお使いになる道路運送関係の業者の方々につきまして、最近のこういう交通事故の状況を御説明いたしまして、従業員に対する教育、特に運行の管理について細心の注意を払われるようお願いいたしておるなど、そういう施策を講じつつあるところでございます。
#83
○黒住忠行君 車対車の事故の場合に、いわゆる共同不法行為が成立いたします。共同不法行為の場合に、フィフティー・フィフティーの責任の場合はまああれですが、そうでなくて、責任の度合いが第一原因者、第二原因者というように異なる場合があるわけでございますけれども、たとえば死者につきましては保険金額が五百万円、けがにつきましては五十万円ということになっておりますというと、共同不法行為の場合に、たとえば一千万円を両方から払ったとすれば、将来の保険料算定の場合におきましてはフィフティー・フィフティーになるわけでございます。ところが責任の度合いがそうでないという場合におきまして、将来の保険料の算定の基礎としては問題があるんじゃないか。ただ、これをどのようにして将来の保険料の算定に反映するかということは、技術的にはいろいろと問題があるかと思いますけれども、将来の研究課題として研究をしていただきたいと思いますけれども、見解を承っておきます。
#84
○政府委員(小林正興君) そういった事故の形態が変わってきておる状況にかんがみまして、今後の保険料の問題等につきましても、十分その点を検討してまいっていきたいと思います。
#85
○黒住忠行君 さきに東京と大阪で、タクシーのメーターの時間距離併用制を採用いたしました。その結果が非常にいいということで、その後ほかの六大都市にも採用をいたしております。東京、大阪等におきましては、自賠責の保険料のランクづけが下がってきておる。すなわち保険料が安くなっているわけでございまして、これは事故が減っているということに相なるわけでございます。
 警察の調査によりますと、昭和四十六年と四十七年を比較した場合に、死者の数を見た場合に、営業用自動車におきましてはマイナス四十一人ということになっております。それから自家用の乗用の場合にはプラス百九十一人、これは第一原因者別でございます。これは営業用のあれが少なくなっているということ、特に大都市において少なくなっているということだと思います。いろいろ原因はあると思いますけれども、時間距離併用メーターというもののメリットというものも、私は相当考えられるのではないかと思うわけでございますが、その点どう考えられるかお聞きしたいと思います。
#86
○政府委員(小林正興君) 御承知のとおり、大都市交通が、非常に混雑が激化して渋滞しておるわけでございまして、そのためにタクシーが、一つはただいま御指摘のように飛び出すというようなこと、あるいは非常に速度を速めるというようなことで、事故が多く起きておったわけでございます。それからもう一つは、非常に混雑地帯にタクシーが入りたがらないと、まあこういうようなことから、いわゆる乗車拒否問題が多発しておったわけでございます。この事故防止の観点と、それから乗車拒否を防止しようと、この二つのねらいから、運賃制度といたしましてはきわめて異例の形かと思うわけでございますが、先般、最初は四十五年に東京、大阪につきましてこの時間距離併用メーター制度というものを採用いたしたわけでございまして、ただいま申し上げましたような事故防止と、それから乗車拒否の防止対策と、この二点からこの制度を考えたわけでございます。
#87
○黒住忠行君 これは運賃制度の内容の問題でございまして、これを採用することが即値上げというものではございません。この点の誤解がときにあるわけでございますが、運賃制度を事故防止の観点から改善するということでございますし、いまお話しのようなメリットがあるわけでございますので、今後はさらに拡張して、六大都市に限らず、地方都市におきましてもたいへん混雑もしてまいっておりますので、事故防止、いらいら運転というものをなくしていくというような観点から、これを拡張していただきたいと思うわけでございますが、政務次官どうお考えになりますか。
#88
○政府委員(佐藤文生君) 先般、タクシーの関係者と安全問題について話したときに、時間距離併用メーターをつけて非常に効果があがったということを報告しておりました。これができたことが、もう非常に、運転士自身も気分的に、神風タクシーという汚名を返上する、気分的に非常に効果あったということを高く評価しておりました。
 そこで東京、大阪に続きまして、四十七年度は横浜、名古屋、京都、神戸、福岡、北九州というぐあいに、四十七年度からこれは実施いたしております。そこで今後、この効果をよく検討しながら他の都市にも採用ができるよう前向きで検討していくべきである、こういうぐあいに考えております。
#89
○黒住忠行君 そのような方向にお願いしたいと思います。
 次に、いよいよこの秋から軽自動車の検査が始まるわけでございまして、前国会におきまして法律改正等が行なわれたわけでございますが、近く四十八年度にも入りますし、四十八年度の予算との関連もございますけれども、すでに着々と準備をされておることと思います。
 この準備におきましては、一つは土地を入手して施設をつくっていくということと、要員を確保していくということであると思うわけでございますが、現在の準備の進捗模様と、それから今後の見通し、はたして十月一日までに完全に開始できるように準備ができるかどうかという見通しにつきまして、御説明をお願いしたいと思います。
#90
○政府委員(小林正興君) 軽自動車の検査につきましては、今年の十月から検査を開始いたすわけでございまして、ただいま御指摘のありましたとおり、一つは用地、検査設備の整備でございます。この点、非常に時節柄と申しますか、今日の状況で、用地確保に難渋したわけでございますが、今日までのところ、関係者の努力によりまして、一、二の例外を除きまして、各県それぞれ所定の検査場の用地を確保いたしております。したがいまして一ほとんどこの点については年度内に問題なく全部完了すると思います。その上の検査設備――建屋あるいは機械の設置でございますが、これにつきましては引き続き整備いたしまして、十月一日に間に合うように、現在推進をいたしております。
 次に、二番目に問題になりますのは、検査の要員でございますが、この点につきましては、一般的に非常に要員不足でございまして、私どもといたしましては、現在、運輸省陸運局、陸運事務所でやっておりますこの検査関係の要員のうちから、ある程度の人間を出向させまして、新しい軽自動車の検査体制のほうも、従来の検査と質的にも劣らないような検査をいたしたいと思っておるわけでございまして、そういった点、国からの出向制度というようなことも配慮いたしますとともに、新しい検査員の確保につきましても、陸運局と検査協会と協力協同いたしまして、新規卒業者の採用、またその後の講習、研修というようなことにつきましても、現在ほぼ計画を固めた段階でございまして、これにつきましては、新年度、四月以降この点に最重点を置いて、十月の検査開始にぜひとも万全の体制で臨みたいと思っております。
#91
○黒住忠行君 検査はきわめて技術的なものでございますので、陸運事務所のほうからの出向その他の応援体制が必要であることは申すまでもないところでございますが、逆に陸運事務所のほうの検査要員の確保、それらについては、四十八年度の見通しは的確に持っておられるかどうか、承りたいと思います。
#92
○政府委員(小林正興君) 現在まだ正確に新規採用者の数等について、私まだ把握しておりませんが、この点につきましては、本年三月卒業者について、できるだけ前広に要員を確保するという基本方針を昨年中に立てまして、先ほどもちょっと触れましたが、陸運局の要員の確保と軽自動車協会における要員の確保とを、できれば協同協調いたしまして、そして学校、関係方面にも協力を要請するような手配を昨年中に整えまして、現在、それぞれ各地におきまして選考中でございます。
#93
○黒住忠行君 軽自動車もたいへんな数でございますし、新しい制度でございますので、これらの出発のときが肝心だと思います。したがいまして、なるべく早く体制を完備をして、十月一日からはスムーズに出発できるようにお願いしたいと思います。
 以上です。
#94
○委員長(長田裕二君) それでは、本件に対する午前中の調査はこの程度といたします。
 午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十九分開会
#95
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#96
○江藤智君 去る三月五日から十日までと、一日置きまして十二日から十七日までの間、実に十二日間に及ぶ違法なる動力車労働組合の争議行為のために、国民は物心両面にわたってきわめて重大な損害を受けました。ついには上尾駅を占拠するというような不祥事件まで起こったのでございます。
 この争議が起こりました翌日の新聞の社説も一斉にこの問題を取り上げております。六大新聞の社説の題を見ますと、「安易にすぎる国鉄の順法闘争」「黙視できない国鉄の順法闘争」「動き出した春闘に望む」「労組は指導性を失うな」「国民は国鉄に不信感を抱いている」、非常に強いことばでこの順法闘争を批判をいたしております。内容を一読いたしますと、きわめてはっきり出ておりますことは、一貫して動労に対しまして、国民の迷惑というものを考えて反省をしてほしいという点がきわめて明瞭に出ておることは、注意すべきことであります。
 また、ストが終わりました翌々日になりますか、毎日新聞が社説を出しております。それは「国鉄労使は紛争の教訓を生かせ」、これはまさに国民の声じゃないか。これだけの迷惑を発生したのでありますから、何とかこういう紛争の教訓を生かしまして、二度とこういうことがないようにということでございますから、これはまさに国民の声であるというふうに思います。特にその中に、「それにしても、二週間にわたった労使の激しい紛争で、何を得たのか。高崎線上尾駅の“暴動”」――これはカッコしてございますが、「“暴動”騒ぎを誘発するような状態にまで、国民を苦しめた責任をどう考えているのか。双方の責任者に聞いてみたい。」という項目がございます。私も、実際同感でございます。二度とこういうことは起こしたくない。また、どういうような実態であったのかということを実は聞いてみたいという気持ちで、この質問に立ったような次第でございます。
 そこでまず第一に、国鉄に伺いたいと思います。まず争議行為の方法、それによって列車がどういうふうに混乱したかという実態であります。また、その結果、旅客、貨物にどういう影響を及ぼしたのか。また、国民の損害などははかり知るべからざるものがありますが、国鉄の受けた損害はどういうものであるか。国鉄のこういうときの説明は非常に事務的でありまして、貨物列車、旅客列車が何本運休し、何人が影響を受けた、というようなものが出やすうございます。
 しかし直接私が苦情を受けました。郷里の山口県から出てきた人は、広島付近の踏切で列車が一々とまる、とうとう四時間以上もおくれたと、全くどうしたことかという苦情を、私は直接受けましたし、通勤者からは、満員電車のままで、次の電車が来ない、何のためかよくわかりませんが、次の電車が来ないからというので、十五分も待たされた。しかも向かい側のホームを見ると、からの電車がどんどん走っている、全く頭に来た。こういう話も、直接私聞いて、私自身が責められておる。
 また、十八日はたしか日曜日でございます。すでにストが終わっておるんですけれども、たまたま私は新幹線に乗って東京駅でおりましたけれども、払い戻しの混雑状態は見るに忍びない。なるほど払い戻しの窓口などは相当ふやしまして、努力のあとは見えますけれども、あの混乱状態というものに対して、私も運輸委員の一員といたしまして、まことにこれは申しわけないことだという感じを受けましたので、そういうような国民の側に立った考え方で、今度の争議の結果というものについて、御説明を願いたいと思います。
#97
○説明員(磯崎叡君) 御答弁申し上げます前に、今回の動労のいわゆる順法闘争によりまして、多数のお客さん、また荷主の方々に御迷惑をかけ、さらに十七日には、半日以上にわたるストライキというような違法な状態のもとに、その結果に拍車をかけるに至った。旅客輸送が平常に復したのはその後三日、貨物輸送に至っては約一週間から十日にわたって混乱を続けた事態というものを惹起し、その間には、上尾の駅におけるあの騒ぎが起こりまして、これは原因のいかんを問わず、国鉄内部の問題であって、天災、不可抗力の問題ではない。したがって国鉄の最高責任者である私の責任と考えます。その点で、深く国民各位におわびを申し上げます。
 さて、ただいま御質問の、今回の影響でございますが、一応いままでどおりの報告をさしていただきまして、その後少し詳しく申し上げたいと思います。
 まず運休いたしました列車は、旅客一万二千本、これは全体の五%に当たります。貨物列車が実に二万一千本でございまして、これは全体の三〇%に当たります。すなわち五日から十七日までの全体の中で、実に貨物は三分の二しか動かなかった。三分の一は休んでしまった、こういう状況でございます。したがって影響を受けました旅客の推定数は、延べで八千四百万人、ほとんど日本の人口に匹敵するような多数の旅客に影響が及び、また貨物につきましても、これを単にトン数に換算いたしましても二百六十万トンというばく大な数字になっております。しかも、その間負傷された旅客が実に九十二人という多数にのぼっておりまして、いまだかつてこういう大きな影響のあらわれたことはございません。
 これの金銭上の影響でございますが、旅客の減収が約五十三億、貨物が四十八億で、合計約百億の、これは予定に対する減収でございます。その中で、旅客につきましては、現実に十億の払い戻しをいたしておりますが、これは実際に私どものほうの損害でございます。そのほかに、上尾におきます車両の破損あるいは駅舎の破損等で、これが三千万円。それからバスを全国で約七百五十台ほどチャーターいたしました。また北海道のバレイショ、タマネギ等の輸送のために、トラック、あるいは船をチャーターいたしました。こういった代替輸送に要した費用が約八千万円でございます。それから、お客さまに差し上げた粗末な弁当でございますが、これが五万人分、一個二百円といたしまして約一千万円ということで、合計いたしますと一億数千万円にのぼる国鉄の損害でございますが、これに加えて、さっきの八千数百万人のお客さんが受けられた有形無形の損害というものは、ちょっと計量ができない数字になろうというふうに思います。約束の時間におくれた方、あるいは会合におくれた方などは数知れず、また朝の通勤におきましても、非常な肉体的、精神的な苦痛を受けられたことと思いますが、これらは私どもとしては、なかなか数字にならない数字であって、まことに残念なことでございます。
 また貨物につきましては、ことに生鮮食料品並びにちょうど時期が寒さの終わりごろで、何と申しますか、非常に油類の需給の変動の激しいときでありまして、これらごく数品目だけ申し上げますと、水産品、これは東京市場に入るものでございますが、大体平常ならば七千八百トンぐらい、これは五日から十九日までですが、七千八百トンぐらい入らなければいけないものが、到着実績が千五百トン、差し引き六千トンはトラックその他で来たことは来たと存じますが、鉄道輸送としては約六千トンが貨車には乗らずに、一部はトラックに、あるいは一部は送れないままでもって市場に到着しなかったという数字だというふうに思います。すなわち計画の約二〇%しか東京市場に入っていなかったわけでございます。
 それから野菜につきましては、これもこの期間、約一万トン入る予定のものが四千五百トン、すなわち四〇数%しか入ってないということで、これはことに北海道産のバレイショ、タマネギ、これが鉄道輸送のシニアがほとんど大部分でございますので、非常にバレイショ、タマネギに対する影響が多かったわけでございまして、これは東京市場、汐留、秋葉、その他東京都内の大きな貨物駅に到着する野菜の総量の約半分以下であったということでございます。
 また、くだもの、これはミカンでございますが、もうミカンの時期は過ぎましたので、数量としてはそれほど影響はなく、八四%ぐらいが入っております。これも一万三千トンの計画に対して一万一千トンしか入ってない。約二千トンの減送であったということです。
 それから石油類でございますが、東京都内の石油はこれは国鉄に乗っておりません。しかし八王子付近並びに北関東、福島、長野、この辺はほとんど鉄道輸送による灯油の供給をしているところでございまして、ほとんど九〇%が鉄道に依存している地域でございます。これらにつきましては、私のほうの郡山、宇都宮、高崎、上田、松本等に油の基地がございますが、油の基地に入りました数量を見ますと、期間中に十二万トンの油が入らなければいけないものが、七万トンしか入ってない。したがって数字から申しますと、約六〇%の入荷しかなかったというわけでございまして、一時灯油の値上がり等を来たしたというふうにいわれましたが、現時点ではすっかりもとに復しておりますが、なおそういったものの有形、無形の後遺が残っているのかとも思いますが、灯油にいたしましても、野菜類にいたしましても、なかなか、一たん上がったものは下がってないというふうな実情じゃないかというふうに思っております。
 たいへんこまかくなりましたが、一応御報告申し上げます。
#98
○江藤智君 貨物輸送の混乱のために、非常な影響を受けておるようでありますが、私が国民の側に立ってと言うのは、国民生活、すなわち最近の非常に大きな政治問題である物価の問題にもどの程度響いておるか。
 たとえば生鮮食料もこのストの混乱があってからどれぐらい上がったとか、あるいは私が聞いておるところでは、たいへんにセメントが最近ショートしておる。そのショートの一因も、私も詳しくは知りませんが、しばしば耳にするのは、その一因として国鉄のストのために重油がうまく入らないために生産が減っておる、あるいは原材料を輸送するのに動労のストが響いておるために、いまのようなセメントショートを来たしておるというふうにも聞いておりますが、そういうことについて、国鉄当局としては調べられておったかどうか、もしおわかりならば御説明願いたい。
#99
○説明員(磯崎叡君) 生鮮食料品の価格のほうは一品一品申し上げなきゃいけませんが、大体、私のほうで一番運んでおりますタマネギ並びにバレイショ、これは一時、その当時までの価格の約倍の値上がりをしたようでございまして、まだ、いま時点で以前の姿に戻っていないようでございます。
 それからセメントでございますが、これは実は、全体のセメントの生産量の中で、国鉄に乗っておるセメントは約十数%でございます。会社によりましては、全く鉄道利用になっていないセメントもございます。したがって最近のセメント高というのは、いま先生もおっしゃいましたが、まあ私のほうは、これは一因であって、わりに遠因じゃないかというふうに思っておりますが、非常に暖冬でもって、工事がことしは非常に三月末に集中しているというふうなこと、それからまあ若干操短があるんじゃないかというふうな話もございますが、セメントそのものは、ごく特殊な会社を除きましては鉄道輸送が非常に少ない品種でございます。セメントそのものの値上がりはいろいろいわれております。私のほうで買うセメントも相当高くなっておりますが、直接の影響ではないんじゃないかというふうに思っておるわけであります。
#100
○江藤智君 いずれにしましても、いま国鉄総裁が説明されたような、たいへんな影響を及ぼしておるということは事実であります。また新聞なども非常に強くこの点は指摘をされております。
 こういう国民生活、すなわち国民の経済とか福祉に重大な影響がございますからこそ、国鉄の労使関係に対しましては、一般の企業――一般の企業でございますと労働組合法あるいは労働関係調整法というようなものを適用しておるわけでございますけれども、そういうものでなくて、公労法を適用いたしまして、こういう争議行為そのものを禁止いたしますとともに、争議があった場合には関係者が一致して、その不一致の点を調整するために、「最大限の」と書いてあります。「最大限の努力を尽さなければならない。」こういうことになっておるわけであります。したがいまして、本日御列席の政府並びに国鉄の責任者の方々は、最大限の御努力をなさったはずですし、なさったと承っておりますが、その間のひとつ事情を承りたいと思います。
 そういうことになりますと、関係者については動労の委員長が当然入ってまいります。私も動労の委員長を招致しようかどうかとも思いましたけれども、まあ労使の対立した意見の方々をここにお招きすることはいかがかということで、差し控えましたので、国鉄側としては、ひとつ、できるだけ客観的にその間の事情というものを、しかも簡単明瞭に要点を御説明願いたい、かように思います。
#101
○説明員(加賀谷徳治君) もともと今度の問題は、運転保安に関する問題だということでございまして、この運転保安問題につきましては、従来とも、動労のみならず、国労、鉄労、そういった組合と私どもも安全第一主義ということでやっておりますので、年々の保安設備、それから運転の扱い方、そういった点について話し合いという形をもちましてやってきたんですが、動労の場合は、ほかの国労、鉄労と違いまして、ふだんからすべて団体交渉であるという、いわば話し合いというムードじゃなくて対決の場で事を処するというような言い分がもともとあったことは事実でございますが、ただしかし、事実問題としては国労、鉄労がやっていると同じようなペースで話し合いをやってきたということでございます。
 今度の問題に入りますときにも、動労はかねてからかなり膨大な資料を組織的に勉強したと、これは組合としても、こんなに組織的に調べてきたのは初めてだと思うので、そういった点につきましては、三月の五日から話し合いに入ってやろうということでおったのですが、その五日の最初から闘争の態勢に入って話しをしようと、こういうことでやってまいりました。
 で、私どもとしましても非常に意外なことだったのでございますが、ともかく運転保安の本来の問題でございます安全施設を中心といたしました、しかも動労も相当膨大な資料を持っておりますので、私どものほうの計画なんかと照らし合わせまして、そういう施設を中心にした話し合いをとにかく持とうということでやってまいりましたが、実際問題は、非常に膨大な要求がそれにからんでおりまして、まず闘争――安全問題そのものの性質からいいまして、闘争をかまえて話し合うというような問題でまずないということ、
 それからもう一つは、なかなか膨大な問題をはらんでおりますので、すぐに闘争をやめられるような条件がなかなかそろわない、見通しがなかなかないというようなこともありましたので、私どもとしましては、本来の問題について連日連夜話し合いを進めるとともに、まず闘争を解いた態勢でこの話はすべきだという説得を、あわせて、これも連日連夜やってきたということでございます。
 その間に、なかなか、先ほども申しましたように、見通しがつきにくい問題でございますので、公労委なんかにもあっせんをお願いしまして、とにかく闘争態勢を解くということについては、いろいろ努力したわけでございます。それからまた、第二波に入る時点におきまして、労働大臣も出ていただいたというようなかっこうになりますが、そういったようなこともありますし、前後二回にわたって労働大臣からも、労使双方に要望があったということでございます。それから私どもとしましても、総裁自身で説得してもらったという機会も二回も持ったということでございます。
 ただ、公労委の段階で、残念ながらその戦いの態勢を解くという努力が実らなかった、それが一つ。それから第二波に入るときに、労働大臣の要望なんかを受けて、ちょうどそのときに国労が共闘態勢に入るかどうかというようなこともありましたので、その国労との共闘態勢のからみの中で何とか解決しようということで努力しましたが、国労のほうは労働大臣の要望を受けて共闘態勢はとにかくやめるということで済んだのでございますが、動労がなかなかそれを聞き入れないという形になってまいりました。その時期が非常に大きなチャンスであったんですが、これも残念ながらできなかった。
 それから上尾の事件が起きた直後に、また総裁と動労の委員長とトップ会談を持っていただきまして、いままでの、本来の保安設備の問題、それからまた、動労がかねてから言っております下部の、現場の意見が上へ通ってこないということについての問題、そういった二つの問題について大体話を合わせまして、普通の常識で言いますと、いわば手ごたえがあるというような感じであったんですが、これも闘争態勢を完全に解くというところまで至らずに、大幅な戦術ダウンという形はとられましたが、そのままで進んだ。
 最後の十七日のストの段階におきましても、膨大なものの中から、ほぼ問題としては、夜の勤務回数をせめて減らしていく方向に当局もやってくれればというようなことで、問題がほぼそれにしぼられたというふうに見られた問題につきまして、これはいろいろないきさつがございまして、国労あるいは鉄労その他の関係もあったんですが、その辺の調整はいたしまして、夜の回数については、希望に沿えるよう前向きに取り組もうということでやったのでございますが、これにつきましても、最後は結局、四十四年あるいは昨年、深夜乗務につきましては昨年の四十七年の五月でございますが、組合と協定を結んで実施しております一人乗務の問題を、結局もう一ぺん二人乗務に戻すという話でなければやはりだめだというようなことで、とうとう十七日のストライキに至ったということでございます。
 私どもとしましては、できるだけの、最大限の努力をしたというふうに考えているわけでございますが、結果としては、そういうことになったことにつきましては、たいへん申しわけないというふうに考えるのでございます。
#102
○江藤智君 運輸省のほうの、その間の御努力をひとつ承りたいと思います。
#103
○国務大臣(新谷寅三郎君) 運輸省としましては、法律上国鉄を全面的に監督する立場にあるものですから、いま国鉄の労使関係の紛争から国民に非常に大きな迷惑をかけるということは、どうしてもこれは避けたほうがいいという観点に立ちまして、国鉄の総裁とは絶えず連絡をしておりまして、よくあることですが、労使間の紛争があまり感情的になったり、行き過ぎをいたしまして、本来妥結のできるところでも妥結しないというような例がままありますから、そういうことのないように、とにかく国鉄も、大乗的な立場で、主張するのはいいけれども、結果については、十分国民的な立場からものを考えてほしいのだということを絶えず国鉄には申しておったのであります。毎日のように国鉄側からは御報告がございました。
 いま国鉄の当局から御説明があったような経過をたどりまして、私たちが非常に努力をし、毎日熱望しておりましたような結果を生まなかったことについては、われわれも非常に遺憾に思っておる次第でございます。
 一方、政府部内の問題としましては、現在の労働法制の中で、一体何をすべきかということが非常に問題でございますが、やはり公共企業体でございますから、公労法の運用によりまして、労使間の協定が、双方の協議の結果どうしてもこれは前進しないという場合には、やはり公労法があるわけですから、公労法によって、第三者である公平な機関が何かこれに介入をして円満な結論を見出すことができないだろうかという考えをもちまして、労働大臣とはほとんど毎日のように打ち合わせをいたしております。労働大臣もその意向でございまして、自分としてはできるだけの努力をしてみるということで、いろいろ努力をしていただいたのでございますが、先ほど国鉄側から御説明がありましたような結果で、相当われわれは、両者を通じまして、労働大臣との話し合い、あるいは国鉄当局と労働組合との話し合い、そういう状態で、今度はいい結果を得られるんじゃないかということを再三実は感じておったのでありますが、結論としては、最後になって、どうしても組合のほうの上部機構が、組合に持って帰って相談した結果は、いつでも期待が裏切られたというようなことになりまして、とうとう最悪の事態に突入せざるを得なかったということでございます。
 この点は、運輸大臣としましては、輸送を担当しておりますから、こういうふうな労使関係がいつまでも続くということは、非常にお互いに不幸であるし、国民に対しては大きな迷惑をかけることでありますから、何とかして避けたいという気持ちは、これは絶えず念頭に置いておった次第でございますけれども、労使関係の紛争に対しまして、運輸大臣がみずからその中に入って調停をするというようなことはできませんし、これは自主的に労使関係で話し合いをすべき問題であると思いますので、この点は非常に残念でございますけれども、みずから中に入って調停をするということが、いまの法制ではむずかしい、また政治的に考えましても、これは避けたほうがいいということで、国鉄当局あるいは労働大臣を通じまして、そういった点について、間違いのない正しい方向で両者に指導をしてもらうように、あるいは両者の協議を進めてもらうように努力をしたわけでございます。結果については、先ほど申し上げましたように、非常に遺憾な結果になりまして、われわれもこの責任を感じておる次第でございます。
#104
○江藤智君 次に、労働大臣にお伺いいたしますが、言うまでもなく、労働問題についての政府の責任官庁は、最終的には労働省になっておりますが、また労働大臣が、この間において、非常に努力をされたことは、新聞紙上などでも見ておりますけれども、その間の経過を順序立てては私は存じないので、労働省としてとった措置を、公労委の動きも含めて、事務当局からでもけっこうですから、ひとつお話を聞いて、そしてこの間に、私は労働大臣としては、おそらくいろいろな御感想なり、こうあるべきだというお気持ちもお持ちになったのじゃないかと思いますので、そういう点で、ひとつ話したいというような点があれば、労働大臣からお話をお聞きしたい。
#105
○国務大臣(加藤常太郎君) この問題は、国鉄の労使の紛争の中でも、かつて見ざる影響を与え、国民全体に不安と、ひいては物価の騰貴までを引き起こし、私は事が、あの当時の事情は、国鉄の安全保安の問題だと、こういうふうに承りましたが、この問題に労働大臣が立ち入ることはちょっと行き過ぎでありますが、国鉄当局から公労委にあっせんの申請があったと、公労委があっせんに入ったと。ところがどうも、あっせんは強制的な能力を持っておりませんので、全委員が一致して、もうこれはいたしかたないというので、あっせんを打ち切ったのでありますが、それが九日の日であって、どうもこのまま推移したら――そのときには上尾の事件が起きておらなかったのでありますが、これは大問題になる、国民のふんまんは相当なものであるというので、従来から、御承知のように、もう専門家であります江藤委員には言わなくても、やはり当事者がかような問題は自主的に解決すべきが労働行政においても本来の姿であります。
 その上に、主務官庁として運輸大臣がおると、労働関係の福祉の問題、いろいろなことに関して労働大臣がおると、これは労働大臣の管轄とか、そういうことじゃなく、政府がこれに対して傍観するわけにはいかないと、こういう見地から、運輸大臣とも連絡いたしまして、打ち切りがきまったのは九日でありますから、これからまた主務大臣なり当事者なりが、公労委に調停、仲裁のあっせんをすると、こういうような時間の余裕もありませんので、私が二回にわたりまして、大体こういう問題は、やはり根回しをする必要がありますので、相当いけるというやや確信をもって勧告というか要請というか、世間でいう、法規によらないあっせんというか仲裁というか仲介というか、のような形で労使を招聘いたしまして、いろいろ懇談して、これはうまくいくというような感じがしたんでありますが、結果はああいうようなかっこうになって、続いて上尾の事件が起きたと、こういうので、さっそくその日、また再度にわたって労使の代表を呼び――最初は委員長が旅行中でおらなかったのですが、委員長も緊急事態はわかった、何とか善処しようと、こういうので、国労のほうは初回のときに納得いたしましたが、動労のほうもやや納得して、これも収拾をすると思ったのが、ああいうような結果を生んだのであります。
 しかし今後とも、やはりこれに対しまして、労使がまだ話し合いの余地があるかないか、私の考え方ではやはりこれは、行政であろうが、政治であろうが、会社の経営であろうが、やはり国民の意向を尊重する、国民の意思を大いにわきまえる、これが大事でありますので、なお一そう、今後とも引き続いて労使が話をして、かかる不祥事が起きないように、私はなお真剣に関係者がやらなくちゃならぬと思います。
 以上、現在までの御報告をいたしましたが、あとはまた江藤委員の御質問に対してお答えいたしたいと思います。
#106
○江藤智君 関係者、それぞれ非常な御努力をなすったようですけれども、遺憾ながら結果は、あれだけのとにかく損害を国民に与えた。だから私は、一番最初に、国民に与えた被害の甚大さを質問したのはそのためなんです。
 言うまでもなく、労使双方で話し合いをすることが基本であることは言うまでもない。それがまとまらないときにどうするかという、その歯どめが一番問題なんです。これが公労法によって、公労委によるあっせん、調停、仲裁をやるということになっておるわけですね。ですから、その問題について、少しこれから掘り下げたいと思うのです。
 まず両大臣にお伺いいたしたいことは、いわゆる順法闘争という名における争議行為が頻発をいたしております。今度に限らない、今度は最もはなはだしい、しかし順法闘争という名前であろうとも、これは明らかに違法である。これはこの中にたくさんありますよ、新聞の論調を見ましても。とにかく法律を守れば列車が大混乱だ、それじゃ平生の運行というものは違法なのか、こんなべらぼうな、世の中がさかさまになったようなことはないというようなことが、たくさん出ております。私もそう思います。もっと理論的に言えば、私はここに、久しぶりに運転従事員の規則を持ってまいっております。第何条と言ってもいいんですけれども、列車運転士というのは列車ダイヤを守って運行せい、もしもそれからはずれたならば、できるだけ許容された速度の範囲内においてダイヤに合わせるようにやりなさい、信号は確認をせなけりゃいけませんと、はっきり明文にあるんですね。ところが順法闘争ということになれば、列車は大混乱する、これはやはり不当労働行為である――不当労働行為というのは違法な労働行為である、というふうに私は思いますが、政府の一番責任者であられる運輸大臣並びに労働大臣は、この順法闘争について、違法であるかどうか、まずこの判断をひとつはっきりお示しを願いたいと思います。
#107
○国務大臣(新谷寅三郎君) 一般的、抽象的に、順法闘争というのは一体何だということが第一に問題だと思います。したがいまして、いわゆる順法闘争というものはこういうもんだということの観念がはっきりしない以上は、それを抽象論で、何でもかんでも順法闘争と名前がついたものはみんな違法なんだ、こういうことは私は言えないと思いますが、しかし少なくとも、今度の動労のやりました行為につきましては、順法闘争という名前がついておりましても、これは詳細に私は国鉄当局から、どういうふうな運転をしているんだ、どういう態度であるんだということを詳細に聞きましたが、これは江藤議員のおっしゃるように、これは公労法十七条によって禁止せられた争議行為であるということを私も信じて、そういうふうに確信をしておるのでございます。
#108
○国務大臣(加藤常太郎君) 労働大臣からというお話がありましたから、重複をいたしますけれども、衆議院の本会議でも、私はっきり述べましたが、これはケース・バイ・ケースの場合もときにはありましょう。しかし現在の、名前は順法闘争でありますが、これは法規を恣意的というか、平たく言うと、かってに解釈して、業務をいろいろかってに行なって、そして運用を阻害する、国民に迷惑をかけると、これが先ほどの十七条の違反でないとは、これは言えません。これは違反であることは間違いない、断定を下しております。
#109
○江藤智君 私の質問がちょっとことば足らずであったかもしれませんが、実際がすべてそういうふうになっているから、すぐ順法闘争は違法じゃないかと言いましたけれども、これは確かに結果論だと思うんですよね。たいして旅客に影響を及ぼさないような場合にまで十七条違反とは私はむろん申しません。しかし、従来行なわれており、しかも世論を巻き起こしておる順法闘争がたくさんあります。これらは明らかに、故意に運転規定に定められておるような事柄の解釈、これは詳しく言いますと、こういう運転規則の解釈というのは当局がやるんですよ、はっきりしないときは。そういう問題なんです。
 ところが順法という名前であると、いかにもこれは違法でないがごとき印象が、もしも政府当局、両大臣がお持ちであったならばたいへんなことだと思いましたので、いま念を押したわけなんでございますけれども、これははっきり違法であるということをおっしゃった。もちろん、その結果によって国民が納得するものでなければいけませんよ、これは。しかし、そういうようなことをはっきりおっしゃったということは、これはくどいようですけれども、私は非常に大切なことである。
 で、今度のようなストが五日から始まった。ストといいますか、争議が五日から始まった。両大臣、私は、もう五日の日にも、結果はわかっているんですから、運輸大臣あるいは労働大臣は、国鉄を呼んで、どういう結果になるんだと、これはたいへんだと、それならこれは明らかに違法じゃないかというようなことは、少なくとも政府としても計画を出すべきだろうと思うんですが、運輸大臣が違法であるということを明確になすったのはいつであり、労働大臣がそういう意思を明確にされたのはいつであるか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。
#110
○国務大臣(新谷寅三郎君) 先ほど申し上げましたように、国鉄から今度の動労の順法闘争というものの内容を直ちに報告を受けました。直ちに報告を受けて、それをもとにして判断をいたしますと、これは公労法十七条によって禁止されている行為だということを判断をいたしました。
#111
○政府委員(石黒拓爾君) 順法闘争は五日から始まったわけでございますが、その日には、国鉄総裁から動労に対して警告をいたし、闘争中止を申し入れたと承知をいたしております。その後の順法闘争の経過につきましては、私どももいろいろなルートからフォローをいたしまして、進行を見守り、打つべき手を検討しておったという状態でございます。
#112
○岡本悟君 関連。
 労働省御当局にもう一度確認しておきますが、このいわゆる順法闘争というものは、公労法十七条によって禁止されておる争議行為に該当するかどうかということは、すでに十六年前ですか、昭和三十二年九月二十七日の閣議了解で、「公共企業体等の職員の労働組合の争議行為について」という了解において、「従来の業務運営の慣行が法令又は業務上の規程の合理的な解釈から正当と認められてきている場合に」云々とありまして、「業務の正常な運営を阻害する行為であるから、争議行為である。」というふうになっておりますね。この閣議了解は、依然として、これは同一の態度と解釈してよろしいかどうか。
 それから今回の事態は、この閣議了解に該当する違法行為である、禁ぜられた争議行為であるというふうに認められるかどうか、もう一回確認しておきます。
#113
○政府委員(石黒拓爾君) 昭和三十二年でございましたか、当時の閣議了解の公労法に関する解釈は今日も変わっておりません。そして順法闘争にも、先ほどからお話のございますように、いろいろのものがございますが、今回、動労によって行なわれました順法闘争は、この閣議了解の趣旨から申しましても、違法行為に当たると考えております。
#114
○江藤智君 そこまで政府がはっきり腹をきめておられるならば、私はひとつ要望したいんです。とにかく五日からこういうような争議行為が行なわれれば、政府としてもはっきりと運輸省あるいは労働大臣の談話でも出して、これは違法行為なんだと、もう明らかに公労法違反を行なっておるんだ、だから極力話し合いなり、あるいは公労委によって調停、あっせんをさせるんだけれども、ひとつ国民もその点は御理解願って、そして一日も早くこういうような争議はやめるように御協力を願いたい――これぐらいのことは、労使労使と言って国鉄に幾らまかしたって限度がありますよ。やっぱりそういう助太刀をしてやらなければうまくいかないと私は思うんですが、その点についての御所見を承りたい。
#115
○国務大臣(加藤常太郎君) まあその当時、新聞を通じて違法であるということも申し上げましたし、やはりこれは、事は労働大臣でなく、国務大臣として述べたと、政府という関係で、官房長官にも話して、官房長官から、これは違法なんだということは発表したのでありまして、なお今後……。
#116
○江藤智君 何日にですか。
#117
○国務大臣(加藤常太郎君) 十三日です。それはちょっとおそいようでありますが、まあ紛争の最中でありますから、これは世俗に言う仲介というかっこうで、本人がその相手方にやっかいかけるということもそれはわかっておるが、やはり解決するためには多少言えない点もありまして、労働大臣としては発表し得なかったのでありますけれども、官房長官が政府を代表して話したと、こういうので、今後必要があった場合には、これは私なり運輸大臣なり、また官房長官とか総理とかいう発表が、今後、御趣旨に沿うことが、国民に十分違法であることを知らすことが必要なんでございますから、今後はそういう意味においては、そういう趣旨に沿って善処いたしたいと思います。
#118
○国務大臣(新谷寅三郎君) 私も、その点は、途中の経過から見まして非常に考えさせられた問題でございます。先ほども私から申し上げ、また国鉄の当局からも説明をいたしましたように、最悪の事態にならないで何とか打開できるのじゃないかというような機会が何回かございました。結果的にはそれがうまくいかなかったわけですが、そういう際でありますから、この違法行為であるということを発表することはわけないことです。まあ当然のことかもしれません。しかし、いままさに両者の話し合いができるかもしれぬという段階において、そういうことをやることが、はたして結果的にいいかどうかということについては、ずいぶん政治的な判断に迷ったこともございました。
 結局、多少おくれましたけれども、官房長官のところで、労働大臣と一緒に三者で相談をいたしまして、政府の見解として、これは違法であるという意味のことを官房長官が発表したということになったわけでございます。この点は、こういう問題の処理にあたりまして、あとから見ると、あのときにこうしておけばよかったとか、こういうことができたはずだということは、あとから振り返るとあると思います。しかし実際に、具体的にいろいろな問題が進行している途上におきまして、とにかく言いたいことを言い、やりたいことをやるというようなことが、はたしてよい結果を招くかどうかということについては、やはりこれは慎重に考えたほうがいいというような配慮を、私はしておったのでございます。この点は、おわかりいただけると思います。
#119
○政府委員(石黒拓爾君) 労働大臣の御答弁、補足いたしますが、当事者につきましては、三月十日と十三日の両回にわたり、実力行使の中止を大臣より申し入れたのは御承知のとおりでございますが、その前に、三月八日に、衆議院の本会議におきまして、労働大臣から、現在行なわれている順法闘争は違法と考えるということを、はっきり国民の皆さまにもおわかりになるように御答弁申し上げました。以後、予算委員会その他におきまして、しばしば労働大臣の公労法の解釈は明らかにしているところでございます。
#120
○江藤智君 私は、この問題を多少しつこくお話ししましたのは、やはり国民の判断を得たいということですね。そういう意味で、私の気持ちとしては、やはり早くそういう判断を下して、違法であるならばこれは違法なんだ、できるだけ努力はするけれども、国民の方々もそういう内容は御理解くださいというようなことをよく知らせる必要がある、こういう意味から実はお尋ねをしたわけなんでございます。
 そこで、公労法にこういう争議がよっておる以上は、どうしてもまとまらないときには、やはり最後にたよりになるのは、私は公労委だと思うんですね。そういう不法行為は禁止した、しかし禁止しっぱなしじゃいけないから、公平な公労委があって、これは労のほうにも片寄らないし、使のほうにも片寄らない、公平に判断をして、あっせんをし、調停をし、最後には必要があれば仲裁する。仲裁すれば、これは服さなければいかぬ。今度の場合に、仲裁まですぐいけるとは思わない。いろいろ時間もかけなきゃいけない問題もたくさんあるんですから、仲裁ができるものもあれば、できないものもあることは確かでございます。
 しかし少なくとも、もう一番最悪の違法な争議行為に入っておるんですから、これは公労委の責任というのは重大問題だと思うんですよ。仲裁とかあっせんとか調停は、もうこれは争議に入りそうだからあっせんをするんである、あるいは争議に入ることを避けるために仲裁をすることなんですね。ところが逆に争議に入っているんでしょう。そうなれば、公労委としても何とかこれを落ち着けよう、まとめようということについては、最大限の努力をする責任を持っていると思うんです。私はきょうは公労委を呼びたいと思いましたけれども、これは労働大臣なり政府から一応きょうは聞いておきまして、公労委と議論をするということもおだやかでないと思いましたから、公労委は呼んでおりませんけれども、私は、一番ここで責任を感じて努力をすべき機関は公労委じゃないかというふうに考えますが、その点はどうでございましょう。
#121
○国務大臣(加藤常太郎君) この問題は、いろいろの角度で、いろいろの法規で、政府のやり方をいろいろ研究いたしましたが、歯どめとしては、もう江藤委員がおっしゃるとおり、公労委のあっせん案も、当事者が反対すればだめでありますから、結局、緊急的な仲裁に持ち込む以外に解決の方法がないことは当然であります。あの当時、九日にあっせんを打ち切った、これも、労使公益の三者代表が満場一致で打ち切った。ところが私が要請に入ったのが十日でありまして、打ち切ってすぐに仲裁というのも困難でありましたので、これは当事者双方から、または主務大臣の運輸大臣なり労働大臣が請求してやればやれるのでありますが、あの当時は、ちょっと諸般の事情でなかなか困難であった。今後は、当然やはり公労委が、公労委も一つの機関でありますから、国民あっての公務委でありますから、真剣に当事者、政府、公労委も一体となって、国民的要請にこたえて善処するのが当然と思います。
 そういう意味で、今後とも、公労委は労働省の外局のような関係でありますから、その後局長なり、私も懇談いたしまして、いままでのような、これはちょっと言いにくいのでありますが、機に臨み変に即応したようなやり方を特に要望いたしておるのであります。あのときでも、いろいろ、来たらすぐにあっせんを断わるというのも、というような議論もありましたが、公労委の立場で、ああいうような満場一致でやったのでありますが、今後は、なお一そうこれを活用するようにひとつやりたい所存であります。
#122
○江藤智君 労働大臣は、公労委は機に臨み変に応ずる、臨機応変に機能を発揮すべきだとおっしゃったわけですけれども、どうも今度の経過で、私は公労委の機能というものについていささか疑問があるのです。先ほどからお話があったように、三月八日の十二時に、国鉄はもうどうにもならぬから、事態収拾をはかるためにあっせんを申請しておりますね。先ほど申したように、きわめて重大な問題ですから、公労委としては、ほんとうに努力に努力を積み重ねてしかるべきだと思うのに、何とぞの翌日の朝、臨時総会を開き、十一時二十分、あっせん打ち切りを決定しております。その間一日もたっていない。この問題について、私は公労委がその機能を十分に発揮しておるとはどうしても思えない。その点について、労働省の御所見を承りたい。
#123
○国務大臣(加藤常太郎君) 公労委は独立機関で、労働大臣がこれに対していろいろの指示を与えるのは、なかなか困難でありますが、あの当時の模様、これはやはり独立機関であるから、関係ある大臣としてどうだこうだという批判は避けたいのでありますが、今後、よくこの歯どめの機関を生かせるように、先ほど言ったように、国民的要望にこたえるようにやってもらいたいという私の意見であります。
#124
○江藤智君 もちろん労働大臣が公労委に指示や何かしたらこれはたいへんですよ。たいへんですけれども、やっぱりそこは、労働大臣は政府の労働行政の責任者でございますから、そういうことのない範囲においては、やはり十分なる関心は持っておられるべきだと思うんですね。そういう意味でお尋ねをしたのでございます。決して、公労委に介入をしてしかるべきだというような意味で申したのではありませんけれども、いかさまこれだけのとにかく大問題で、そうして国鉄当局は、もう連日とにかく打ち合わせをやっているんですね。それで、これはどうにもならぬというので、最後のたよりどころとして公労委に申し入れている、その公労委が、とにかく一日もたたぬうちに、おまえらしかるべくやれと返しちゃったというんですね。これであなた、こういう争議が解決するとお思いになりますか、御所見だけ承りたい。
#125
○国務大臣(加藤常太郎君) この問題につきましては、なかなかデリケートなところがありまして、御承知のような関係で。総理も江藤委員と同じような気持ちで、ちょっと新聞に出たような点がありますが、やはり私は、先ほども申し上げたように、私から指示とか、これに対してとやかく言うことは、独立機関でありますから、裁判所のような機能もありますから、労働大臣、政府からきびしくいろいろ要請することはできませんが、要は国に存在いたしますあらゆる機関は、国民あっての機関でありますから、やはりどの機関も国民の気持ち、国民の要請、これに即応したような対処をすることが、私は当然と思いますので、いま御指摘の点は、これはいろいろな見地から、そういうように私は運営されると、今後は期待しておるものであります。
#126
○政府委員(石黒拓爾君) 公労委は、大臣がしばしばおっしゃっておりますように、独立してその機能を行なう独立機関でございますので、労働省といたしまして、これに干渉し、あるいはそれにまで批判がましいことを申せる立場でないことを御了承いただきたいと思います。
 それから公労委のあっせんにつきましては、結果といたしましていろいろ御批判もあろうかと存じますが、争議のあっせんというものは、またいろいろ微妙な、時期、当事者の気分というようなものがございまして、がむしゃらに何が何でもあっせんすれば片づくというものでもございません。この場合のあっせんに乗り出した時期が、はたして十分機が熟している時期であったかどうかという問題もございます。そしてまた金子委員があっせん委員に指名せられまして、そして深夜にわたって当事者から事情聴取をいたしたわけでございますが、その際、動力車労組からは四カ条の質問書というものを公労委に出しまして、そしてこれに対する文書回答をくれと。それがなければあっせんに応ずることはできないというような、非常に異例な態度をとったことでもございます。そして同時にまた、争点である保安問題につきましても、当事者間は毎日話し合いをされておったようでございますが、非常に範囲の広い問題が全然煮詰まっておらない状態で持ち込まれたということにつきまして、そのような状況におきましては、あっせんによって解決をはかるということが非常に困難な状況にあったのだろうと私ども推察するわけでございます。
 公労委のあっせん委員が簡単に投げ出したということではなくて、緊急総会を開きまして、総会におきまして十分御相談いただいたのでありますけれども、その場におきまして、あっせん委員――公益委員のみならず労使の委員ともが、この場で乗り出してもまだ無理であるという判断に至りましたので、私どもといたしましては、公労委としてああいう態度に出ましたことはやむを得なかったのじゃないかというふうに考えております。
#127
○江藤智君 私は、大体この程度で次にいこうと思ったんです。しかしですよ、これだけの重大な問題が目前にありまして、そうして、一日も足らずに投げ出したのが妥当だと君らが考えておるんだったら、ぼくは納得できませんよ。それじゃ、まず四カ条の動労の質問書を読み上げてください。一、二でいいです、三、四はあれだから。
#128
○政府委員(石黒拓爾君) 動労の三月八日付の質問書はたいへん長いものでございますが、一点、二点を読み上げます。「一、今回の国鉄当局の申請内容は、当面の問題解決についての直接的なあっせんを求めているものとは考えられず、問題解決を外において、組合が行なっている自衛的安全行動を一方的に規制しようとすると考えるがどうか。二、公労法の真の趣旨は、労働者が憲法に保障されている労働基本権、スト権の代償としての調整機関であると考えているが、国鉄当局が労働者側の団体行動を規制することをもって、目的とする今次申請と考えるが、このような問題は、あっせん事案としてなじまないと考えるがどうか。」
#129
○江藤智君 そこまででいい。あとは安全問題だから……。
 そこで私は、公労委のいろいろな内容についてはきょうは触れません。だからして労働大臣なり労働省の意見を聞きたい。意見は言えるでしょう。そこでこの質問書が出たから公労委は投げ出したと世間では思っておるんですよ。だからこの質問書というものが非常に大切なんです。この第一、いいですか、組合が行なっている自衛的安全行動を一方的に規制しようとする考えであるが、これはけしからぬじゃないかという質問でしょう。冒頭に私がお伺いしたのは、この安全行動が違法であるかどうかということを聞いたのはそこなんですよ。これは普通の労働組合法のような場合には、それは確かに組合法によって保障された権利であるかもしれないけれども、自衛的安全行動ということは、これはすなわち違法なことじゃないですか。それについて調停することがこれはどうかと言われたら、いやとてもそういうことじゃありませんと、やっぱりそうでしょうというので、言うことを聞いたんじゃないかというふうに思わざるを得ないですよ。この点が一点。
 第二点、国鉄当局が労働者側の団体行動を規制することをもって目的とする今度の申請というものはけしからぬと言ってるんだけれども、これは当然の権利のような言い方をしている、団体行動を。これは冒頭に大臣が話されたように違法行為だということがはっきりしているんでしょう。だからそれを規制しようとするために国鉄側から申請をした場合に、いやこれは、やっぱりそういうものは自分の――しかもそれになじまないと書いてある。これはなじまないんだということで、そういうような調停を打ち切ったということは、明らかにこれは違法行為であるという考え方を持っておらぬのじゃないかと私は思うんですよ、公労委側が。こう思わざるを得ない。
 しかし、これはそのときの様子を知っているわけじゃないし、一応裁判所的な機関でありますから、私はそういう議論はしないけれども、ここで労働大臣としては、とにかくこの質問書が出たから一応引っ込んだというふうにうわさされているんですよ。これを私が取り寄せて読んでみたら、まるで堂々と違法のことをやっておりながら、それについてどうぞあっせんしてくださいというようなことはなじまぬじゃないか、これはおかしいじゃないかというようなことで、これをぽんと出しておる、一日もかからず。そこが私はどうも、私の気持ちとしては、公労委が十分の機能を果たしておらぬというような印象を受けるがどうだと。しかし、それを果たしておらぬなどと言わずに、大臣はもう少し、やっぱり公労委に活躍をしてもらいたいと思うのだというぐらいのことはお考え――ぼくは誘導するわけじゃないですよ、だけれども、そのくらいのことは、労政局長が言うような、これは適当であったというようなことでは、ぼくは承知できないのです。
#130
○国務大臣(加藤常太郎君) 先ほどから、この点は独立機関であるし、いろいろ言いにくいので、あっちを引っ張り出し、こっちを引っ張り出し、私の思う点も、やや少しどこかに出てきておるんでありますが、総理の話なども引っ張り出してありますから、これはもう先ほどから何回も申しておるように、あの当時は、公労委は、結局もうこれはとてもあかんと、いろいろ労使の関係で、これは言いにくいのでありますが、やったってこれはもう望みないと、内容はともかく、そこでなかったかと世間は――私ではありません。世間は思ってそう言っておるのでありますが、そこに私は、最終の難問題を見通してちょっと早く打ち切ったような感じがいたしますが、そこにあると思います。
 あれから、当事者並びに政府を代表して私が入っても、根回しをしてできそうで、もう瞬間までできると思うのが、いわゆる二転、三転、逆転というようなかっこうでありますので、この問題は、きょうは公労委もおりませんし、局長はやはり専門家でありますから、いろいろ理論上からいきますが、私は、まあ政治的立場で、大体大まかに江藤委員の意見に沿うように、言いにくい点はこうぼかしてと、こういうようなかっこうでありますから、まあこの点でひとつ御了察いただきたいと思います。
#131
○江藤智君 じゃ次にまいりましょう。労調法ですね、労働関係調整法、これによりますと、民間の運輸事業、これが公益事業として第一に載っていることは、これは御承知のとおりです、第八条に。一地方の交通を担当する一地方鉄道でさえ、公益事業の第一に載っておるわけです。ですから争議に入る場合でも十日前に予告をして、そうしてできるだけ民衆に対する損害を軽減しようという措置をとっておるわけです。三十七条です。また事態がいよいよ重大になったような場合、私鉄で事態がいよいよ重大だということは、とても、国鉄なんかのことを考えると、私らどういう場合か想像がつかないぐらいですよ。ですけれども、それでも事態が重大になった場合には、内閣総理大臣が緊急調整権を発動することができるんです。三十五条の二です。そうすると、五十日間の争議行為を停止することが命じられます。予告を励行しなくても罰則があります。内閣総理大臣の調整権に従わなくても、もっと重い罰則がついておりますね。これだけの歯どめをしておるんですね。
 ところが、とにかく一地方の交通を預かっておる民鉄とは、およそ比較もできないほど重大な国有鉄道に対しまして、こういうようなかっこう、いまの御答弁のようなことでは、国民は不満でしょうがないと私は思うんですね。これにつきまして、私が、公安委について、もっとしっかりやってもらわにゃいかぬじゃないかと言っているのは、そういう気持ちがあるからです。
 で、こういう問題につきまして、実際問題は、非常に安易に国鉄の争議が行なわれておる。これについて、たいへんに強い批判が、もう前から、もう去年から起こっておることは御承知のことと思います。しかも国家機関でございますから、どっちもとにかくたいした損害がない。いわゆる親方日の丸と盛んに出ておるのは、私よくわかりますよ、国民の間から。こういう事柄が積もり積もってくるというと、国民の不満が爆発して、上尾事件のようなことが再び起こらないということは保証できない。こういう心配があるから、私はあえてきょうは質問に立っておるわけでございますけれども、この問題につきまして、労働大臣あるいは運輸大臣はどういうふうに考えておられるか。
#132
○国務大臣(新谷寅三郎君) 公労委の問題は労働大臣の主管に属する問題でございますから、この問題についての政府の見解を私から述べることは控えたほうがいいんじゃないかと思います。
 ただ、そういうかたい話ではなしに、考えてみますと、この公労法ができました当時には、いまとだいぶ情勢が変わっておったんじゃないかと思うんですね。ということは、いまは、だいぶその当時とは事情が違うということが言えるのじゃないかと思うんですね。公共企業体は公労法で規律されるわけでございますが、十八条でございましたかに、そういう争議行為に該当したような行為をやりますと、当然これは解雇されるのだと、こういうことが規定されております。ですから、その組合といいますか、職員から排除されるということが当時はもうそれで十分であって、それで十分効果を達成できるのだというような考え方に立っての規定ではなかったかと思うのですけれども、今日ではその状態が非常に変わってきておるのじゃないかと思うのです。でございますから、立法論としてどれがいい、これがいいということは、私から言うべき問題じゃありませんけれども、そういう事情をよくかみしめまして、今後、あるいは制度の問題についても検討する必要があるかもしれませんし、あるいはいまの公労法の運用につきましても、公労法ができた当時とは非常に事情が変わってきておって、もう専従職員なんかになりますと、ほとんど組合の幹部の方は職員の身分を失っているというふうな状況でございますから、職員から排除するのだといういわば制裁的な規定がどこまで生きておるのだ、どこまで効果を発揮しているのだということになりますと、その当時とだいぶこれは変わった状況になっているという事実を考えまして、この解釈、適用というふうなものにつきましても、いまの状態に合うように配慮をしていかなければならぬのではないかということを考える次第でございますが、いずれにしましても、公労法なり労働関係調整法の解釈、運用につきましては、これは労働大臣の御所管でございますから、これ以上私から個人的な見解を申し上げることは控えたほうがいいのじゃないかと思います。
#133
○江藤智君 とにかく、これだけ重要な国鉄の労使問題のたよるところは、現行法におきましては公労法。公労法につきましても、いま運輸大臣のお話にもありましたように、ILO八十七号条約に伴って――かつては組合幹部、専従職員は全部職員でなければいけなかった、首を切られたら労働組合員からはずれておったのですが、いまはそうではない。いまは、労働組合の幹部は、お調べになればわかるように、ほとんどが国鉄に籍のない人たちであります。そこにおいても、労働組合の体質も変わってきておることは事実であります。
 ですから、そういうような現実をよく踏まえて、きわめて重要な問題でございますから、政府におきましても深刻にこの問題と取っ組まれて、次の時期に対処していただきたいということを要望いたします。
 それから国鉄総裁に対しましても、何といっても、基本は労使のとにかく信頼関係でございますから、そういう点については格段のひとつ御努力を願うように要望をいたしまして、この問題は切り上げます。
#134
○瀬谷英行君 ちょっといまの問題に関連して質問したいと思うのです。
 いま江藤議員の質問に対して、公労委の果たした役割り、いろいろ聞いてみますと、結局、今回の動労の問題、今回のこの闘争について、公労委が全然無力だったということになりますね、結果的には。何も役に立たなかったということになるわけですね、結果的に。しかし、だからといって、公労委そのものは怠慢であったのか、あるいは違法であったのかということになると、決して怠慢だったというわけじゃないのだ、しかたがないのだというふうに労政局長は答えましたね、そうでしょう。そうすると、公労委自体が無力であったけれども、これはいたしかたなかったのだ、違法でもなかったのだということになると、公労法そのものが、こういったような紛争に対して、もはや役に立ってないということになるのじゃないですか。
 つまり、さびついた機械みたいなものである、あるいはこわれたラジオみたいなものであって、幾らたたかれても音(ね)が出ない。だから、ここでこのこわれたラジオのような、この公労法そのものをもう少し検討してみる必要があるんじゃないかということになってくるんじゃないですか。十分に三月にはいろんなことを経験したわけです。公労法あるいは公労委がどんな役割りを果たしたか経験したわけですから、このままでいけば、今後同じような紛争が起きてもやはり無力で何もできないということになっちゃう、これでいいのかという問題が出てくるわけです。そうすると、やはり法のあり方として、あるいは労使紛争の解決の手段として、どういうことがいいのかということは、これはあらためて考え直す必要がある。二十何年前にできた法律そのままを金科玉条にしておったんじゃ、これからものの役には立たぬということになってくる、その点はどのようにお考えですか。
#135
○政府委員(石黒拓爾君) 公労委が八日、九日のあっせんにおきまして、あっせん不調に終わりまして、結果として、今回の問題の解決に公労委が積極的な役割りを果たし得なかったことは御指摘のとおりでございます。さればといって、それじゃ今後とも一切の争議行為について公労委が無力であるかと申しますと、従来とも、公労委というのは非常に大きな機能を発揮しておりますし、過去の春闘におきましても、公労委が常に出て解決しておるのであります。同時にまた、公労委を活用する道において、われわれの側で欠けるところがなかったかという反省もしなければならないと思います。今回一回限りの事象をもって、公労委はもう一切役に立たないというふうにきめつけていただくのはいささか早計ではないかと思います。
 いずれにいたしましても、公労法の問題は、現在公制審で検討中の問題でございますから、全然ほったらかしておいていいんだというふうには割り切っておるわけではございませんが、公労委が全然無力であるというふうにはお考えいただかないようにお願いしたいと思います。
#136
○瀬谷英行君 いま私は、公労委が一切役に立たないときめつけてはいませんよ。しかし今回は、まるきり役に立たなかったでしょう。それは否定できないですからね。今回まるきり役に立たなかったが、しかしこれからは役に立つかもしれない、負けがこんだ横綱みたいなものでね。それはもう期待できるかどうかわかりませんよ。だから今後の問題として再検討する値打ちだけはあるんじゃないですか。
#137
○政府委員(石黒拓爾君) 公労委が機能を発揮するためには、関係者のほうの御協力も非常に必要なことでございます。で、今回のことはさておきまして、公労委につきましては、私どもは非常にりっぱな機関であると考えておりますけれども、しかし公企体等の労使関係の基本問題につきましては、公制審で検討しておりますことも御承知のとおりでございます。
#138
○岡本悟君 関連。
 どうも論議がかみ合ってないと申しますか、特に、私は労政の専門家であります労政局長の御答弁を願いたいんですが、先ほどから公労委が争議のあっせんだとか争議の解決だとか、こういうことばをお用いになっておりますが、公労関係におきましては争議は禁止されておるんでしょう。紛争、苦情の処理ですよ、どういうことなんですか、それは。だから争議行為は禁止されているというたてまえでこの労使の紛争なり苦情のあっせん、調停、仲裁の機関として、公労委の機関が設けられているんです。
 ですから、先ほど来、労働大臣、特に運輸大臣は労使の紛争には積極的に介入しないとおっしゃっておりますけれども、それはいわゆる公労法に定められた正常な労使間の団体交渉が行なわれている場合に限って言えることなんです。正常な団体交渉じゃないでしょう、これは。違法な行為によって、脅迫して、その脅迫のもとで国民全体の利便を人質にとって、言うなれば週刊誌の一部が伝えておりますように、かのパレスチナゲリラがスーダンのハルツームにおきまして、アメリカの大使とか、そういった人質をとって脅迫した事態と同じなんですよ。肝心の専門家の労政局長が争議のあっせんだとかなんとか、なっちゃいないじゃないですか。政府の認識というものはどういうことなんですか、これは一体。
#139
○政府委員(石黒拓爾君) 私、いささか専門に首を突っ込み過ぎまして、御説明することばが足らなかった点をおわび申し上げます。
 労働争議と争議行為というのは労働法上の用語として厳格に区別をしております。労働争議と、ただ争議というのは、これは紛争というのと同義でございます。争議行為は、これはストライキ、あるいはサボタージュというような行為でございます。公労委は争議行為を解決する機関ではございません。争議行為はそもそもの初めから公労法によって全面的に禁止されております。しかし労働争議というのは、これは普通のことばでいう、あるいは公労法でも使っておりますが紛争という意味でございまして、私が争議と申しましたのは争議行為という意味ではございません。紛争という意味の争議でございましたので、その点御了承いただきたいと思います。
#140
○岡本悟君 それはあまりへ理屈過ぎますよ。これはやはり公労法にいうところの紛争または苦情とか、そういったことばをお使いにならないと、そうでなくても、世間一般では、実情を知らない国民は、国鉄の労働組合というのは当然ストライキ権があるというぐらいに思っているのです。そうなんですよ、実情は。争議行為というものは公労法によって禁止されておる行為であるということを知らない人がたくさんおるのです。ですから最も責任のある立場にあられるあなたが、この争議は争議行為とは言わなかったのだから間違ってはいないのだと強弁されているけれども、これはやはり慎んでもらわなければいかぬですよ。
 だから、先ほど来の江藤委員の御質問には非常に敬意を表しているのですが、事態が正しく把握されないのは、まずいまの公労法の仕組みというものは、この争議行為が禁止されておるという前提で組み立てられておるのです。それが無視されてじゃんじゃんじゃんじゃん法治国家においてやられている、このことが問題なんですよ。これをどうして防止するか、組合にかってほうだいにやらしておる現状を改めることができぬのか、ここに私はポイントがあると思う。
 争議行為が禁止される前提があって、はじめてあっせんとか調停とか、あるいは仲裁という公労委の機能が十分に発揮されるのです。それ以前の問題なんだから、だから労使紛争に介入しないとかなんとかいろいろおっしゃることはよくわかりますが、これは正常なる団体交渉ではないのです。その結果の紛争ではないのです。まるであいくちを突きつけて、おまえ、おれの言うことを聞かなければ国民の全体の利便を犠牲にするぞと、おどかしているわけです。だからよほど慎んでもらいませんと、私は非常な誤解を与えると思いますね。
#141
○政府委員(石黒拓爾君) 争議ということばを不用意に使いまして……。おっしゃるとおり一般の国民というのは労働争議と争議行為と、労働法上の技術的な区別ということは御存じない場合が多いかと存じますので、ことばづかいにつきましては十分慎みたいと存じております。私といたしましても、争議行為が全面的に禁止されておるというのが公労法の大前提であるということは十分に承知しており、また当事者にもそのことはしばしば申しておるつもりでございます。今後、用語につきましては十分気をつけたいと思います。
#142
○岡本悟君 私はたまりかねていま発言を求めたのですが、争議ということばはたくさんありますよ、労政局長の答弁を聞くと。だからこれは、政府当局が御同意ならば、そういう誤解を与えるような――それは法律上は明確に争議行為と争議というのは区別されているというようにおっしゃいますけれども、非常に誤解を与えますから、ひとつ紛争または苦情の処理というふうに訂正してもらいたいのです、速記録を。よろしくお願いいたします。
#143
○江藤智君 いま岡本さんが非常に明快にお話しになったけれども、私が終始質問したのもそういう気持ちなんですよ。だから違法であるかどうか、それから調停とかなんとかというけれども、すでにそういう行為が行なわれておる、違法な争議が行なわれているんじゃないですか。そういう重大な事件に、たよりにするところは公労委じゃないか。その公労委がとにかく一日足らずに投げ出すというのは、これは処理機能を、責任の重大さをいささかわきまえていないんじゃないかということを言っているわけです。考え方は、岡本委員の考え方と全く同じことでございます。
 それから瀬谷委員のお話も、公共企業体の労働関係についての問題は、この運輸委員会で関係の各大臣集まられまして、政府の統一見解が出ております。これはこれとして、私はきょうは触れておらない。しかし、いまあるのは公労法ですから、これをいかに運用して、再びこういう不祥事故が起こらないように政府がやるかということについて、十分ひとつやっていただきたい、こういう要望をしたのがこれまでのいきさつですから、ひとつその点はよく御了解願いたい、かように思います。
 次に、そこでこういう争議になった原因は、もう時間の都合ではしょりますけれども、まず二人乗務の問題と運転保安の問題であるということですね。ですから、この問題についていささかお尋ねをしたいんですが、運転保安の問題ということは、これは国鉄として当然、最大の問題なんです。労使の問題とかなんとかというよりも、とにかく国鉄を運営する上においては、これほど大事なことはない。この問題が、やはりいろいろと問題になっているということは、これは私としてもいささか心配でございます。ですから私は、そういう意味で、最近は踏切の問題につきましても、相当に国鉄は力を入れておると思うんです。あるいは防災の問題につきましても、これは当然努力をしておるんであって、いまさらこういう問題が、今度のストの原因になるというようなことについては、実際不可解にすら思う。ですから最近どういうふうに運転保安の問題については、国鉄当局は配意をしておるかという点について一言お尋ねをしたい。
#144
○説明員(阪田貞之君) ただいま御指摘のように、私どものいろいろな努力が、必ずしも国民の皆さま方に御理解願うような、そういう意味の努力が欠けておりましたことについては、いろいろ反省しておりますが、また事実、北陸の火災事故とか、新幹線の事故とかいうものが現実に生じまして、たいへん弁解がましくなりますが、私どもといたしましては、一件でも事故を少なくするように努力するという立場をとっております。今後もそういうふうにやってまいるわけでございますが、いままでここ十年間にばく大な、数千億円の金を保安関係に投じておりまして、全般の事故件数は毎年毎年、非常に輸送が増大していくにもかかわらず、実件数そのものは減ってきております。
 ただ、踏切におきましては、自動車の大きさが、ダンプカーとか非常に大型化してまいりまして、一件の事故のそのものの内容が、件数は少なくなりましたが、一件自体の被害の度が非常に大きくなっております。また先般の北陸の事故のように、国鉄部内に起因する問題にいたしましても、いざ事故起こったときの被害というものはたいへん大きくなっておりますので、再建計画の中におきましても、一兆円以上の金を保安に使うべく計画されているような状態でございます。
 特に踏切事故につきましては、もうここ約十年間に、前に四万二千カ所ございました踏切を、だんだんだんだん除去してまいりまして、ただいま三万二千カ所に減っております。三万二千カ所のうちの約半分が、まだ信号も何もない踏切でございますが、そのうちの約六千カ所は、もうすでに車両通行を禁止しておりまして、耕うん機とか、あるいは通行人の方々とかのみが通るように規制しております。以下、今後少なくともこれら自動車が通る踏切につきましては、立体交差並びに一種の踏切を――一種と申します警報装置と、それから遮断機をつけまして、少なくとも、自動車の通るような踏切は全部遮断機と警報機とがあるというような形に、できるだけ早い機会に統一してまいりたいと思います。
 また、防災につきましても、毎年二百億ぐらいずつ毎年かけておりますが、ただ、防災というのは、御承知のように四十年に一度の被害を想定したり、あるいは七十年に一度の被害を想定したり、いろいろ想定いたしますが、その時点において、われわれの想像以上の災害がくることもまた現実でございますので、そういう防災工事を施すとともに、いかにして早く災害をキャッチし、いかにして早く列車の運転を規制いたしまして、お客さま方が被害をこうむらないようにすべきかというほうの、防災管理的な意味の体制も、より以上に強化してまいりたいと考えております。
 その他、乗務員に対しましては、ATSでありますとか、それから駅の従事員に対しましてはCTCという、指令を一カ所に集めまして、現場の扱いを電気的にするとか、継電連動化するとか、種々やっておりますが、ただいまお話の中の踏切と防災につきましては、大体以上のようなことで、今後とも強化してまいりたいと思います。
#145
○江藤智君 この問題は、国鉄としては最も大切な問題でございますから、今後とも一そう努力をしていただきたいと思います。特に、その問題につきましては、現場、第一線で働いておる労働組合の諸君の意見というものは、私は貴重な点もあると思いますから、そういう点は、ひとつ労使相談し合って、参考になるべきものは十分に取り入れてやってもらいたいということにつきましては、私としても要望いたします。
 しかし、いまお話があったように、たいへんな踏切があるし、二万キロに及ぶ鉄道線路の防災というような問題は、これは団体交渉というようなことで、一気にイエスかノーかということできめられることでないことは、これは明らかなんです。だからして、私はこれを理由にすぐ争議に入るというようなことがもしあったとしたら、全くふしぎである、そういうことは不当だと思いますが、これは団体交渉の結果においては、労使ともに、ひとつ話し合いでやろうということは解決ついたんですか、どうですか。
#146
○説明員(加賀谷徳治君) 先ほどの闘争の経過の際に、前提の問題としてちょっと触れたわけでございますが、今度の問題の対立点といたしまして、本来の、動労が非常に組織的に勉強してきた運転保安の設備の問題、これが一つあると思います。それからそれの裏――裏の問題というと、非常にことばは悪うございますが、裏づけの問題として、個々の乗務員の待遇改善の問題、二人乗務にまた戻してくれという話とか、それから、そういった設備が一ぺんにできないだろうから、その間において多額の危険手当を出せと、人の問題とお金の問題がついてきた。これが非常に膨大な要求になっております。というような、仕組みになっておりまして、私どもとしましては、前々からそういう保安の設備の問題、運転の扱いの問題、現場のいろんな扱いの問題、こういったようなことにつきましては、ただいま江藤先生がお話しになりましたように、組合ともいろいろ話し合いをいたしまして、もっともと思う点についてはできるだけ組合員の意見もいれる、またこの闘争に入りましてからも、せっかくのそういう膨大なデータを持ってきたんで、これは非常に私どもとしては評価すべき点でございますので、これに基づきまして、できるだけ組合員の意思をくんでやろうということで、詳細な話を煮詰めておった。これが本旨の問題で、これについてのお互いの腹合わせができたわけです。闘争をかまえてやるような問題じゃないじゃないかというようなことでやっておったわけでございます。しかし先ほども経過で申し上げましたように、最後に待遇の問題――労使の問題というのは、必ず待遇の問題がついてくるわけでございます、解決の段階で。最後しぼられたと思った問題が深夜交番の問題でしたが、これについてはいろいろ問題があったんですが、前向きに、とにかく深夜交番がそんなに多いのはやはり問題があろう、だからだんだん縮める方向でこれから話ししていこうということであれしたんでございますが、しかしそれではやはりだめなんで、結局その裏になる金と人をよこせという問題に返ってしまったというのが実情でございまして、ただいま江藤先生のおっしゃいました保安設備を中心にした問題につきましては、もう連日連夜やっておりまして、相当突っ込んだ話の煮詰めはしたということになっております。
#147
○江藤智君 それから二人乗務の問題が一今度の闘争に突入するときの大きな問題になって、一つの条件になっておるようですが、どうも私はよくわからないんですが、この問題は、とにかく相当長い間、専門家も入れて労使の間で話し合いをやって、それからまず入れかえ駅からやってみて、そうしてとにかく合意に達した問題でしょう。しかも、ある部分については、それによってまたいま進みつつある問題ですね。その問題を理由にして、これほどの大きいとにかく迷惑を国民に与え、国鉄に打撃を与えるというような争議に入ったということについて、私は全くわからないんです。もう少し言い分なり、あなた方の考え方を聞かしてもらいたいと思います。
#148
○説明員(加賀谷徳治君) ただいまの御質問でございますが、結局二人乗務の問題につきましては、いま江藤先生おっしゃいましたとおりに、何年もかかりまして、しかも専門家も入れまして御意見も十分聞いて、実地に見聞もしてもらったという上で、労使双方いろいろな話し合いをし、また一人乗務にするためのいろんな保安設備、特に運転台のいろんな設備を施して、これならだいじょうぶだ、安全についてもまず問題ないということでやりまして、しかも、これも一ぺんに全列車にやったというんじゃなくて、おっしゃいましたように、入れかえとかやりやすいものからやってきたということになると思います。四十四年の十一月にまず手始めの協定ができて、その協定に基づいた部分についてはやってきている。
 それから今度非常に問題になりました深夜の一人乗務、この問題につきましても、その後またさらにいろいろ安全設備、EB装置なんかもつけ加えまして、それからいろいろな議論もいたしまして、昨年の五月に協定を結びまして、目下実施中というような形をとってきているわけでございます。
 それで、今度の向こうの申し入れの二人乗務に関する問題の部分をちょっと申し上げますと、深夜乗務を二人に戻せと、これは実施してしまっているんですから、戻せという話になりますが、それが一つありましたということと、それから二キロぐらいのトンネルの含まれる区間、その他多少線区によって勾配だとか何かいろいろあるんですが、そういった区間にわたる乗務をするものについても二人乗務にしろと、こういうことになりますと、非常にその程度のあれですとたくさんございますので、かなり広範囲になるということ。それからもう一つは、これは私鉄なんかでも昔から電車区間というのは一人乗務でやっております。それからまた国鉄も、御承知のように電車区間というのは一人乗務でやっておるんですが、そういったようなものにつきましても、最近通勤の乗客が多いという意味で、通勤のヘッドをかなり詰めてやっておるという面もございますが、そういった面につきまして二人乗務を認めろというような、これは新しい問題が出てきているというようなかっこうでございまして、ただいま申し上げましたように、一般的にいいますと、私どもの合理化全般の問題に非常に影響する問題であるということが一点と、それから、かなり論議を経て協定を結んでやってきている問題をすぐにまたひっくり返すというようなことですと、やはり労使の慣行上はなはだおかしいと、国労、鉄労ではまだそういうような論旨の要求はないというような形でございます。そういった点につきまして、結局最後までの対立点になってしまったということでございます。
#149
○江藤智君 この問題については、もう少し私は実は掘り下げたいのですが、時間の都合上はしょります。
 最後に、あと始末問題なんですけれども、一つは、これは総裁の非常な苦労になることだろうと思うのですけれども、国民の迷惑は別としましても、先ほどの御説明では、百億になんなんとする損失が出たと、ただいまの国鉄の財政の状態、特に大幅な国家助成もひとつ入れてもらいたいと、これは国民の血税なんです。そういうような状態におきまして、こういうような減収になったということは、これは労使双方にとってたいへんな問題だ。一体、どういう基本的な考え方でその穴埋めをされるのか、これをひとつ総裁にお伺いをいたしたい。
 もう一つは、これだけの損害を国鉄に与えた。しかもそれが違法である。合法な争議に対しては、これは損害賠償を取るわけにいきませんけれども、明らかに違法であるということはすでにはっきりしたわけでありますから、損害の賠償を請求すべきである。当然これは国民に対する義務であると私は考えるのでございますが、その点についてどうお考えになりますか、お伺いしたいと思います。
#150
○説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問の初めのほうの損害の回復の問題でございますが、約百億にのぼる減収、年度末ぎりぎりになりまして、なかなかこれを回復することは非常にむずかしいと思いますが、その後三月の中旬以降になりましてから、懸命にいま回復の努力をしている最中でございます。客貨、ことに貨物輸送の年度予算に対する影響は相当免れないというふうに思っております。結局、この百億の中でも、たとえば、一たん旅行をおくらして、いずれの機会にまた鉄道に乗ってくださる方もあれば、もうそれでやめてしまう方もあるということで、いろいろなケースがございますけれども、いずれにしても、もう年度末ぎりぎりでこれを回復することは非常にむずかしいというふうに思っております。
 それから損害賠償の問題でございますが、実はこういうようなケースでございましても、損害賠償を請求する際には、個人個人の実行行為が全部チェックされなければ損害賠償請求できないわけでございます。すなわちAという運転士がどことどこでサボったと、Bという運転士はどこでとまったというようなことを全部いま調べております。それを調べたそれの集計によりまして、それをまとめて動力車労働組合に請求するという形になりますので、いま、その実行行為者の実行行為をすべて徹底的に調べております。ただその中で、本質的な、たとえば雪の降ったことと重なるという、非常に選別のしにくい問題がありますが、極力、現在各管理局に命じまして、実行行為者の行為と、それから損害との結びつきをいま洗っている最中でございますが、それができ次第債権が確定いたしますから、債権が確定いたしますれば、当然これは損害賠償を請求するということになると思います。
#151
○江藤智君 あとは私の要望にいたします。
 いまお話しになったように、損害賠償を請求するにしても、列車の運行を一本一本確認しなければいかぬ。これはいまの法律ではそうです。私は法務省を呼んで聞いてみましたら、やはりそうです。そうなりますと、特に安全保安の面からいいましても、各列車がどう動いたかということを、時々刻々の運行状態を知る必要があると思うのですよ。飛行機におきましては、御承知のようにフライトレコーダーがあるし、キャビンの中で話をしたのは全部録音されるボイスレコーダーもついておりますね。それからタクシーだって、これは神風タクシーなんかの問題も契機になりまして、全部タコメーターがついておりますね。したがいまして、国鉄におきましても、まだついてないものがあります。私は聞こうと思ったけれども、もう要望に変えましたから、ついておらない部分もございますから、これはやっぱり至急につけられたほうがいいというふうに要望いたします。
 それから最後に、今後の対策でございますけれども、私は、このような争議が頻発いたしますと、ほんとうに国鉄の存立にも響く問題ではないか。国民の信を失ったならば、国鉄というものは成り立たないですからね。ですから、私はその点を非常に心配をいたしておりますが、しかし聞くところによると、また動労は、これだけの世論を受けておるにもかかわらず、また次のストをやろうということをきめておるというふうにも聞いておるのでございますから、こういう点につきまして、国鉄並びに政府は、十分にひとつ対処をする御決意を固めていただきたい。これまでも十分にそういう点は御心配になっておると思いますけれども、これはほんとうにむずかしい問題ですけれども、やっぱり腹がまえだと思うのです。その基礎はやっぱり違法である、明らかな法律違反の問題であるということを、まず国民に知らせる必要があると思います。しかし、こういう問題は、法的処置ということはもちろん必要でございますけれども、根本的には、これは労働大臣と全く同意見でございますけれども、しょせんは世論の支持によって決せられるものである。これはやっぱり民主主義の国でございますから、世論というものがきわめて大切である、かように思います。
 そういう意味で、やはり争議の真相を国民の前に明らかにしてもらいたい。きょう私が質問いたしましたのもそれが目的なんです。いろいろと報道もされておりますし、各委員会や本会議でもこの問題は取り上げられておりますけれども、一貫して、初めから終わりまで、ずっと私が質問いたしましたのは、この場を通じまして、争議の実態を国民の前に明らかにしたいということでこの質問を行なったものでございますが、どうも私の見るところでは、労組のほうは宣伝が行き届いておりますよ。今度の動労の危険白書というのでも、みな知っております。これは多種多岐にわたっていると思われますけれども、三千数百カ所の踏切がどうだ、これはどうだということはみんな新聞に載っておりますね。しかし当局側につきましては、どうもそういう点の、国民に対するPRが足らないように思います。今後は、ひとつ政府並びに国鉄においても、そういう方面にも努力せられまして、できるだけ世論の支持、国民の支持というものを背景にして、労使間の健全な状態をつくり出しいくように御努力を願いたいということを要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
#152
○国務大臣(加藤常太郎君) 要望でありますから、御答弁しなくてもいいのでありますけれども、もう同感であります。岡本議員の言われたように、これはもう控えたいのでありますけれども、ここまで出てきますから、押え切れずに言いますが、やはりこれは、何ぼ法律つくったって、結局無法地帯になってくると、いまの法規では。総理の私鉄の場合の調整権、またこの公労法の十七条、十八条、これでさあやると言っても、公労法では罰則規定がない。中郵事件などで、どうもこういうことは刑事罰がないと、ただいいほうばかりの面を宣伝いたしまして、中郵事件でも、委員長は専門家でありますが、これはケース・バイ・ケースのことを言ったんで、やはり刑事事件も残っておるのであります。また公労法でも、行政措置だけではありますけれども、解雇以外にも、やはり鉄道営業法で刑事事件によるべき点があるのであります。やはり私は、組合であろうが、もう当局であろうが、政治家であろうが、国民の動向というのを考えず成功したことはありません、いかなる場合でも。そういう意味からいっても、やはりこれは、いまの段階で歯どめ――公労委の調停仲裁と、さあそれが出たからといってどうなるか、こうなってきますと、これはなかなか困難であります。
 昨日も予算委員会で、私、御答弁したんであります。組合の四十万の中で五万のむちゃな者がいる、どう思うか――私はむちゃであると言えないんであります。たとえたのでありますが、子供が四、五人おったら、じょうぶなのもおれば弱いのもおる、乱暴者も、だだっ子もあると、やはり広い意味で、国民的視野に立って労使がやっぱり話し合いしてもらう。そうして政府は、これに対していろいろな対策を、労働大臣とかいう面からでなく、広域的な国民の立場に立ってしんぼうできないところもしんぼうする。この席をかりて皆さんにかようなことを申すのはいかがかと思うのでありますけれども、国鉄当局も私は反省してもらいたい、組合側もひとつ反省してもらいたい。政府も反省いたしておるのであります。労働大臣は開口一番反省と。責任がないようであるけれどもあると、政府はあると。国鉄当局も反省いたしておるのであります。ところが組合は、反省どころか、また二十日ごろからやると言って、勝利だと、こう言う。これは私は、組合全体から見ましても、総評その他、発表はいたしておりませんが、これはむちゃだと。端的に申しますと、私そのときにも申したんでありますが、これは私の意見でありません、世評でありますが、これでスト権を禁止しておる組合でもこんなことやるんだからスト権やれぬというような世論があることを私は聞いたと、こう言ったんでありますが、私も聞きました。
 しからば、国鉄当局にとっても得であったかというと、いま重大な運賃の値上げ問題をやらなくちゃならぬと、もうそんな、国民はわかりません、国民は。もうこんなにむちゃくちゃだったら、運賃値上げどころかというような、これはまずかったかもわかりませんが、そういう世論がある。そういうような関係で、われわれどろ沼に足を突っ込んでおりますが、国鉄当局なり運輸大臣なり労働大臣なり、また労働省の政府委員も、やはり政治的立場に立って、何とか打開の道を見出したいと。そうして今後、かようなことがないように、万一これが引き続いてやるような場合には、やはりこれは国会の意思に従って、いろいろな歯どめを、これ以上やらなくちゃならぬ事態も私は起こるかわかりませんが、いまこの点については、私は責任ある御答弁できませんが、きょうも大臣とここの席でやったんでありますが、もう少し連絡を密にして、ひとつ大いにやらなくちゃならぬという決意をいたしておりますので、はなはだもう、答弁要らないのに駄弁を弄しましたが、以上、今後とも一生懸命やりますことを皆さんに申し上げまして、御答弁にかえたいと思います。
#153
○木村睦男君 関連。
 二点ほど、簡単に国鉄総裁にお聞きしたいのですが、先ほど来損害賠償のお話がいろいろ出ております。なるほど訴訟の問題で非常にむずかしいと思います。いままでも、争議というものは禁止せられたその中で、同じような行為がもう十年、十数年、二十年と繰り返してきたわけですね。過去の同じような紛争というか、争議というか、こういう形態の中で、まあ今回は、特にきのうも予算委員会で、民社の木島委員が損害賠償の質問をいたしておりまして、総裁もやりたいんだという答弁ございましたが、いままでのこういった争議について、損害賠償を実際起こされたことがあるかどうか、あるいは起こそうとしても常に挙証がむずかしかったから起こすまでに至らなかったのかどうか。また、もし起こされておったら、その経過はどうなっておるか、その一点聞きたい。
#154
○説明員(磯崎叡君) 過去の違法なストライキによります損害賠償につきましては、過去二回賠償請求した例がございます。
 一回はだいぶ古い話、昭和二十四年ごろでございましたが、これはまだ動労、国労に別れる前の損害賠償で、これは私のほうが請求いたしました結果、組合側はもう勝訴の見込みがないということで、組合が出廷いたしませんで、結局私どもが勝ちました。しかし、これは最後には和解のかっこうで一応認容判決をやっております。民事訴訟ではございますが、組合側が口頭弁論に出頭いたさなかった。いわゆる組合側が、この裁判は負けるということで出頭しなかったので、いわゆる自白になるわけでございますね。そして二十六年の四月に認容判決があって、そして二審でもって和解したということになっております。第二審で和解しております。
 それからもう一回のは、昭和四十四年の動労の問題で、これはいま訴訟を係属中でございます。
 それから、いま正確に調べのでき上がっておりますのは、おととしでございますか、おととしの五月の二十日のストライキ、これは大体全部資料がまとまっておりますので、一般の情勢を見ているわけでございますが、それと今度のと。たとえば去る二月十日のいわゆるスト権奪還ストというのも、これ非常に広範だったわけでございますけれども、ちょうど雪が降ったり、それから踏切事故があったりいたしまして、非常にその辺の選別がむずかしいわけでございます。動労と国労と一緒にやっているというふうなことで非常にむずかしいので、いま調べていますが、むしろそちらをあとにして今度のやつを先にしようということで、いまやっておりますが、過去の例は二度でございます。あまりやってないわけでございますが、今度はぜひ債権を確定してやっていきたいというふうに思っております。
#155
○木村睦男君 もう一点は、こういった争議類似行為、つまり紛争行為といいますか、こういうのがたびたび繰り返されてきておる。で、これが一応一段落したときには必ず処分というのがいままであるわけですね。で、その処分というものは、やるべからざる争議行為をやったということで、いわゆる公労法に違反しておるということでそれぞれ処分を受けております。
 私よくわからないのは、もともと違法な行為である、アウトローである、そうすると、現実に個々の運転従事員が運行に従事する場合に、いろいろきめられた内規なり規則なりに当然違反するわけですね。たとえば、この区間は時速六十キロで走るんだということをきめてあるのを十キロにするというのは、内部の規則違反でしょう。そういう出先の個々の従業員が違反行為をやることについて、国鉄としては違反行為として制裁の対象になるのかならぬのか。また対象になって処罰したことがあるのかどうか。要するに上部からの命令でやっておるから違法性を阻却するんだという考え方があるのかないのかという問題。もし合法的な争議行為だということであれば、争議行為そのものを認められておるから、そういうことは当然問題になりませんが、全く違法ですからね。だからボスから命令があろうとなかろうと強制力で無理やりにいろんなことをされれば違法性は阻却されますけれども、単なる、指令が出たということで一人の運転者がタイムテーブルどおりに運行しなかった、それは一つの内規に違反するというようなこと、その積み重ねがこういった混乱状況だと思うのですが、その個々に対する制裁というものはできないんですか、あるいはやることが間違いなのか、その点をはっきり教えていただきたい。
#156
○説明員(加賀谷徳治君) ただいまの、指令があったからそういうものができないかどうかという問題につきましては、そういうことはありませんし、これまでもそういうふうに考えて行政処分を考えてきたことはないということを言えると思うのですが、ただ、ただいま例にあげられたような問題につきましても、当然そういった行為が、はっきりサボとして行なわれたということであれば、就業規則違反といいますか、三十一条、三十二条によって、その態様に応じて処分はできるというふうになるわけでございますが、ただ実際問題として、ほんとうにサボ行為としてやられたかどうかという、いわゆる順法というやつはなかなか確認がむずかしいという面がございます。しかし私どもは、そういった面をできるだけ確認して、これまでも態様に応じて行政処分をやっておるというのが実情でございます。
#157
○木村睦男君 いままで、そういう出先の個々の運転従事員を、いまあなたがお話しのように、実際処分したことがあるわけですか。
#158
○説明員(加賀谷徳治君) ございます。
#159
○木村睦男君 これは違法な行為ですからね、根元を押さえることが非常に肝心ですが、やはり個々の違法性を押さえていくということを根気よくやらなければ回避できぬと思うのです、もともとは違法な行為ですから。だからこういう点、今後さらに一そう力を入れてやってもらうことが、私一番いいんじゃないかと、従事員だってもともと合法でやっておるという意識なしにやっておるわけです。それで個々に制裁を受けるということになれば、やっぱりわが身がかわいいからだんだん消極的になってくる。ですからその点を、今後、いままでよりもっと力を入れてやってもらうことが非常に必要じゃないかとこう思ったものですからひとつお聞きしたわけです。
#160
○委員長(長田裕二君) ほかに御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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