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1972/04/12 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第6号
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1972/04/12 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第6号

#1
第071回国会 運輸委員会 第6号
昭和四十八年四月十二日(木曜日)
   午前十時十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         長田 裕二君
    理 事
                江藤  智君
                山崎 竜男君
                小柳  勇君
    委 員
                岡本  悟君
                黒住 忠行君
                菅野 儀作君
                橘  直治君
                松平 勇雄君
                渡辺一太郎君
                伊部  真君
                杉山善太郎君
                瀬谷 英行君
                森中 守義君
                阿部 憲一君
                田渕 哲也君
                山田  勇君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
   政府委員
       総理府総務副長
       官       小宮山重四郎君
       内閣総理大臣官
       房交通安全対策
       室長       須藤 博忠君
       防衛政務次官   箕輪  登君
       防衛庁参事官   大西誠一郎君
       防衛庁経理局長  小田村四郎君
       外務省アジア局
       長        吉田 健三君
       運輸政務次官   佐藤 文生君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部長  住田 正二君
       運輸省航空局長  内村 信行君
       運輸省航空局技
       術部長      金井  洋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       警察庁交通局交
       通指導課長    加野久武男君
       運輸省自動車局
       業務部長     高橋 寿夫君
       運輸省自動車局
       整備部長     景山  久君
       日本国有鉄道理
       事        原岡 幸吉君
       日本国有鉄道貨
       物局長      上林  健君
   参考人
       全日本空輸株式
       会社常務取締役  中塚良太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○運輸事情等に関する調査
 (貨物自動車の過積載の問題に関する件)
 (日本国有鉄道の貨物輸送に関する件)
 (昭和四十六年七月の自衛隊機の全日空機に対
 する空中衝突事故に関する件)
 (中華人民共和国との航空機乗入れに関する
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 運輸事情等に関する調査のため、本日、全日本空輸株式会社常務取締役中塚良太郎君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(長田裕二君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○黒住忠行君 昨年の十一月二十二日に、総理府総理大臣官房交通安全対策室長から各県知事に書類が出ておりますが、その前の十一月十日に、「大型貨物自動車に係る交通事故の防止対策について」ということで、各省の関係局長の会議で対策が決定されております。その中に大型貨物自動車にかかわる交通事故は他の車種に比較して事故率が高いということが書かれておりますが、いろいろ対策は講ぜられておりますが、その後の大型貨物自動車の交通事故の状況は横ばいであるか、あるいは減少の傾向にあるのか、警察庁のほうからお伺いしたいと思います。
#6
○説明員(加野久武男君) 大型トラックの事故の状況について御報告申し上げます。
 昭和四十七年中におきまして二万五千六百五件発生いたしております。自動車等が第一原因者となった事故、これが合計二十万三千十三件ございますけれども、ただしこのうち二輪車を除いております。その一三%に当たるということに相なっております。またこの数字を車両一万台当たりの事故率に直してみますと、大型トラックの車両一万台当たりの事故率は約二百七十四台でございまして、全車両の事故率、約百八十五台に比べましてかなり高くなっております。大体大型トラックの事故は、まあ横ばいの傾向ではないかと、かように見ております。
#7
○黒住忠行君 そうしますと、この防止対策が十分行なわれるとすれば、相当事故は減少することが期待されるわけでございますが、いまのような状況であるとすれば、早急にこの対策を実施しなければならないと思うんです。この対策は、たくさんの宿題も課せられておるわけでございますが、去年の十一月ですから、まだあまり日にちはたっていないとも思いますが、総括的に言いまして、安全対策室長のほうで各省の関係を取りまとめられているところでございますので、現在の宿題の解決といいますか、進捗の状況を御説明願いたいと思います。
#8
○政府委員(須藤博忠君) お答え申し上げます。
 ただいま警察庁のほうから大型トラックの事故について答弁がございましたが、大型車自体事故率がわりあい高いほうでございますし、またひとたび事故が起きた場合には、普通の乗用車などよりも事故の規模が大きくなる、大型車の事故自体がきわめてこれは問題があるということでございまして、実は私どものほうでは、昨年の六月ごろから、大型車対策というものを何か考えていかなければならないというふうに考えまして、いろいろこの問題に取り組んでまいったわけでございます。で、大型車対策といいましても、いろいろ各省にわたる事項が非常に多うございます。そういうようなことで、昨年の六月ごろからこの問題私ども中心となりまして取り組みまして、昨年の十一月の十日に一応の各省庁の申し合わせをして、これを実行していこうということに決定をいたした次第でございます。したがいまして、この昨年の十一月の十日の申し合わせについて概略申し上げて説明をいたしたいと思います。
 で、大型貨物自動車にかかる交通事故の防止ということは、私どものほうも取りまとめ役として関係しておりますが、それ以外に通商産業省のほうでも関係がございますし、またもちろん運輸省の自動車局あるいは運転者の労働条件というような面で労働省の労働基準局、それから建設省関係では、道路局のみならず計画局というようなところも関係ございますし、もちろん警察庁の交通局も関係があるというようなところで、こういう省庁と相談をいたしましてまとめたわけでございます。
 大体、項目別に申し上げますと、この申し合わせ事項の内容は九つばかりございます。
 それで第一が「道路運送車両の保安基準の強化等」でございます。これは大型貨物自動車の特性を勘案して制動装置とか、あるいは運転視野等について必要な道路運送車両の保安基準の強化等を検討するということでございます。これは大型自動車というものが普通の自動車と違う構造でございますし、ブレーキというようなものも非常に重要でございますので、そういった面の保安基準について運輸省のほうでさらに検討していくということでございます。
 それから二番目が「さし枠等の装着防止」、これは差しワクが過積みの原因になっておるということも否定できない事情にございまして、それにつきましては、やはり業界を指導して、こういうものを取りはずさせるようにする。そしてまた道路運送車両法の違反にもなるおそれがありますので、そういった取り締まりも強化していこうということにいたしております。
 それから三番目が「自重計等の改良」でございますが、これはやはり自重計の改良等、非常に技術的な問題もございますし、この点について、さらに引き続いて検討していく。さらにまた荷台についても何か適当な方法はないかというような面の検討も今後続けていくということにいたしております。
 それから四番目が「車扱い運賃の励行」ということでございまして、運賃問題というものが、やはり過積みの原因になるおそれも多分にございますので、やはり土砂等の輸送につきましては車扱い運賃を励行させるようにするということに業界を指導していこう、それによって過積みを防止していこうというようなことでございます。
 それから五番目が「重量計の整備による取締りの強化」ということでございまして、警察が重量違反を取り締まる場合に、やはりはかりが必要になってまいるわけでございますが、そういう固定式の重量計というものを主要な地点に道路管理者のほうでこれは整備していただく。もちろん大型車が過積みをいたしますと、道路もいたみますので、道路管理という面からもこういうことは重要になってまいりますので、固定式の重量計を道路管理者のほうで設置する。それ以外にも、また持ち運びのできる重量計というものを増強して、過積みその他重量違反の取り締まりを強化していくということをきめたわけでございます。
 それから六番目が「労働条件の改善」。これは運転者等の労働条件の改善をはかるように、これは労働省の所管でございますが、事業者に対する指導をやるということでございます。
 それから七番目が「事業者の監査、取締り」ということでございます。これは交通事故防止対策の一環として、大型貨物自動車を使用する事業者の監査、取り締まり等を実施するということでございます。
 それから八番目には、「地域連絡会等による関係者間の協議」、たとえば大規模な工事を行ないますと、いろいろその付近には問題が起きるわけでございます。交通事故の発生のおそれも多分に大きくなりますし、公害問題その他いろいろ出てまいります。そういうような大量の土砂を運ぶような大規模な事業の施行に当たっては、当然そういうものの輸送計画というものをあらかじめ作成をする、あるいは大型車はどういう道路を通っていくとか、常に安全ということを考えてやっていく。それによりまして、必要な場合におきましては、地元の地方公共団体あるいは工事関係者等とも十分協議をして、住民の間にいろいろな問題というものが起きないように安全対策を十分徹底して、また住民の納得の上でやっていくような、そういう地域連絡会というようなものをやることが望ましいということで、こういうことも問題点として、現在ある程度行なわれているわけでございます。
 それから最後の九番目が「自家用大型貨物自動車に対する措置の検討」でございますが、今後とも、私どもこういった面につきまして、いろいろな面について、あらゆる面から改善対策といいますか事故防止対策というものを引き続いて検討してまいるということでございます。
 大体、昨年の申し合わせは以上のとおりでございます。
#9
○黒住忠行君 いろいろと対策をあげられておるようですが、中でも運輸省の関係につきまして、保安基準の改正等をはじめといたしまして項目が多いわけでございます。通達等も出されております。
 で、その第一点の制動装置、運転視野等についての道路運送車両の保安基準の強化――強化というのは、おそらく改正をしなければ強化できないと思うわけですが、本件については運技審の答申も前にあったようでございますが、いつごろまでにこの保安基準の改正が準備できるのか、お伺いしたいと思います。
#10
○説明員(景山久君) お答えいたします。
 保安基準の改正につきましては、先ほどお話もございましたように、いろいろと準備中でございます。このもとになります安全長期計画、これにつきましても運輸技術審議会の答申をちょうだいいたしまして、五カ年間の長期計画ができております。それぞれ各年度何をやるかということも答申をいただいておるわけでございますが、この大型自動車の事故の実態にかんがみまして、ただいま準備をいたしております項目を少し詳しく御説明いたしたいと存ずる次第でございます。
 まず制動装置、ブレーキ回りでございますが、これにつきましては、ブレーキ装置の一部分がたとえ故障いたしました場合でも、さらにある程度のブレーキ能力が残る、特に大きい自動車のようにエネルギーの大きな車につきましては必要でございます。こういったようなことを準備をしております。
 それからもう一つ、車が大きくなりますとブレーキの操作力と申しますものも当然大きくなりがちでございますが、これも操作力を在来よりも軽減させよう、保安基準で低い数値をきめようということも盛り込んでございます。
 それからさらに、駐車時のパーキング・ブレーキでございますが、これも在来空車時の規定のみであったわけでございますが、これも積車時の駐車ブレーキの要件を設定をする、そうしてその操作力も規制をするというふうな内容のことを制動装置については考えて、いま盛り込んでおるところでございます。
 それから運転視野の確保の問題でございますが、これにつきましては、車のすぐ前を見るアンダーミラーの視界要件でございますとか、さらには、最近二、三ございましたけれども、事故その他で、あるいは駐車その他でとまっておりますトラックに、夜間あるいは薄暮のころ、ほかの車が衝突をするというような思わぬ大きな事故もあったわけでございますが、これにかんがみまして、後部反射器の性能を強化する、遠いところからはっきり見えるようにするということ、あるいは車の車幅を示します車幅反射器の規制を拡大する、さらには車幅灯でございますとか、尾灯でございますとか、制動灯、方向指示器、こういったような各種灯火類、信号灯火類につきましても視認距離を増大させるという内容の保安基準改正をただいま準備をしておるところでございます。本来ならば、いまごろもう公布されておらなければいけない時期なのでございますが、いろいろ重なりまして若干おくれておりますことを、ここにおわび申し上げたいと思いますが、鋭意急ぎまして、できるだけ早く公布をいたしたいと、こう考えておるところでございます。
 それから次に、十一月の申し合わせの二番目の差しワク等の装着防止でございますが、これにつきましては、この申し合わせにのっとりまして、再度自動車整備事業者に対しまして、ダンプカーの正規の荷台――検査のときにはきちんとした荷台になっておるわけでございます。あとで差しワク等が装着されるわけでございますが、差しワクの装着でございますとか、装着金具を取りつけるとか、そういったような工事はしないように、そういう注文があっても断わるようにという指導をいたしておるところでございます。このことにつきましては、整備関係の業界はもとより、ダンプ関係の使用者団体等にも通達をして、厳重な指示をしておるところでございます。
 次に、三番目の自重計等の改良でございます。御承知のように、土砂等を運搬いたしますいわゆるダンプ荷台を持ち上げます装置のついております車には、その持ち上げます構造を利用いたしまして、自重計をすでに装着をしておるところでございますが、ああいったダンプ以外の、ものを持ち上げるような構造になっておりませんトラックと申しますか、普通のトラックでございます。これにつきましては、荷物の積み方と申しますか、土砂のように一様な品物でございますならば、重心位置と申しますものが大体推定ができますので、ある程度の精度をもちまして、自重といいますか、積載量をはかることができますけれども、普通の荷台のトラックに、鋼材とかそういった荷物を積みますと、荷物の積んだ位置によりまして、重量の分布が大幅に変わってまいります。したがいまして、持ち上げるような構造装置の荷台でないということと、荷重の分布が、荷物の積み方によって極端に変わってしまうと、こういう二つの理由で、すぐ役に立つような実は積載重量をはかる装置が、いまのところ技術的に見つからないというのが実情でございます。これにつきましては、私どもだけではございませんで、計量器でございますので、通産省も入りまして、警察庁、工業技術院あるいは自動車ユーザー、自動車メーカー、それから私ども、こういうものから成り立ちます委員会をつくりまして、昭和四十六年の七月から現在までにワーキングパーティーを十八回、本委員会を五回実は開催をしてきておるところでございます。いまのところ、技術的にある程度の精度をもってやれるというものが見つかっておらない状況でございます。
 なお、この委員会におきましては、英国でもいろんな過積載の問題が問題になっているということがわかりまして、英国の自重計というのも、一つ輸入をいたしまして調べてみましたけれども、やはり普通の荷台にいろいろな荷物を積む場合には使えないものであるということがわかったわけでございます。英国の文献を見ておりますけれども、いまのところあちらでは、やはり道路にはかりをつけるのが一番いいんだということが実は出ております。
 話を自重計に戻しますが、自重計につきまして、そういった一般汎用に供せられるようなものがないかどうか、直接はからなくても、やや間接的なはかり方でも何かできないかということを、ただいまこの委員会で鋭意検討をいたしておる状況でございます。
 以上、車の構造に関します三点でございますが、御説明を終わらしていただきたいと思います。
#11
○黒住忠行君 いまの自重計の問題ですが、これは非常に機械的に不確実なものであれば意味がないことであると思います。これは鋭意研究をしていただくということだと思いますが、しからば、この五番目の重量計を固定式あるいは可搬式ですか、を主要な地点に配置するということのほうがむしろ迅速にやれるのではないかと思いますが、安全室長、私もそう思うんですけれども、建設省あるいは警察の問題だと思いますけれども、これはどのように進んでおるか、御存じならお答え願います。
#12
○政府委員(須藤博忠君) これは主として建設省等の道路管理者と、それから警察の所管に属するわけでございますので、建設省のほうでも、担当者はこの固定式重量計は鋭意整備したいと、大体四十八年度ぐらいまでに高速自動車国道までについても、今後、できるものは出入り口にちゃんとそういうものはつけるようにしたいと、それからいままでの名神、東名というような高速道路につきましても、できるだけ早くこういうものを設置したいと、あるいは幹線道路というようなものにもつけていきたい。ただ、重量計そのものは予算さえあればできるわけでございますが、高速自動車国道のほうはある程度用地があるけれども、一般の道路等におきましては、かなりのスペースといいますか、取り締まりをやる場合に車を誘導してはかるというようなことで、ある程度のスペースが要るんで、そういう用地買収というような問題もあるというようなことを建設省は申しておることを私承知いたしております。可搬式の重量計につきましては、かなり警察等においても購入しておられると思いますので、この程度で御容赦願いたいと思います。
#13
○説明員(加野久武男君) 警察におきます重量計の整備状況につきましては、昭和四十七年十二月一日現在におきまして、固定式重量計五十九基、可搬式重量計七百六十六セットとかなり整備が進んでおりますが、今後ともこの整備の増強につとめる方針でございます。
#14
○黒住忠行君 本件は、予算を獲得してやれば具体的に進むわけですから、スピードアップをしていただきたいと思います。
#15
○江藤智君 ちょっとそれについて関連して質問したいんです。
 このトラックの過積み問題ですね、これはたいへんに長い間問題になっておることであります。また今度のこの道路関係の順法ストの中にも入っておる問題でございますね。そこで、いまの黒住委員の御質問によって相当進めておるというようなお話ですけれども、こんだけの延長をしている道路に対して、まだ百にも足らないような設備しかできておらないようなことですが、何か計画はできておりますか、警察庁のほうの所管かどうか、御計画でもあったらお教えいただきたい。
#16
○説明員(加野久武男君) この過積みを取り締まるためには、道路に固定した重量測定器を備えつけまして、先ほど交通安全対策室長が申し上げたように、かなり広いスペースを用意いたしまして、そこへやってまいります過積みの車を選別いたしまして、誘導し、重量測定し、違反を確認さしてこれを検挙する、積み過ぎた荷物はその場へおろさせるということで、お話しにありましたとおり、かなり広い取り締まり、あるいは荷物の積みおろしのための場所、並びにそれが鋼材あるいは巨大な木材等の場合、これを積みおろしするクレーン等の装置、そういうものを必要といたすわけでございます。そこで、かなりな予算が要るわけでございますけれども、私ども警察庁の内部におきましては、全国の幹線道路網のほぼ五十キロないし六十キロごとに一カ所常設検問所を設置いたしまして、この検問所には、いま私が申し上げましたような設備を備えた過積みの取り締まりの一切の設備あるいは資材を備えたいという計画を、現在検討中でございます。
#17
○江藤智君 全部の過積みを一ぺんに取り締まるということはとてもできないと思うんです。しかし、ある場所にはそういう過積みを調べる設備があるということだけでも、相当に自粛させる力があるんじゃないか、かように私は前々から考えておるわけです。で、鉄道におきましては、もうこれは長い歴史を持って、非常にやかましく、過積みについてはできないような制限をしておりまして、大きい貨物を扱うようなところ、大きい貨物駅だとか、操車場にはそういう設備がありまして、そして、これはあやしいというものだけはそこに持っていってはかりにかけるという設備は、これは非常に長い、古い歴史を持っておるわけですね。
 そういう意味で、道路につきましても、まず重要なところにはそういう設備をやるんだ、こういうことをできるだけ早く励行していただいたら、相当な効果をあげ得るんじゃないかというふうに、私は日ごろから考えておりますので、そういうような方向で今後おやりになるのか。それから、その問題についての一番の所管庁は警察庁であるのか。それから、そことの関係のある部局はどこであるのか、そういう点をちょっとお答えを願いたいと思います。私は関連でございますから、この程度で質問を終わります。
#18
○説明員(加野久武男君) まず、方針につきましては、御趣旨の線に沿って将来とも整備を進めたいと思うわけでございますが、それから、所管官庁の点でございますけれども、道路上における交通安全の立場からは私どもが所管いたしておりますし、また道路の構造の保全の立場からは、建設省もこれを共管いたしておることに相なっておるわけであります。
#19
○江藤智君 その点は、建設省とは十分意思の疎通はできておりますか。
#20
○説明員(加野久武男君) 十分にできております。
#21
○黒住忠行君 いろいろ取り締まりその他をやっておられるようですが、しかし実態はなかなか改善をされていないのでございます。
 ところで、運輸省のほうでも業者のほうの監査をやられたようでございますし、警察は現場において過積みの取り締まりをやっておられるわけでございますが、運輸省における監査の結果あるいは警察における過積みの取り締まりのやり方、やった結果等がどういうふうに展開しているか、改善されておるのかどうかの点につきまして、お聞きしたいと思います、運輸省と警察。
#22
○説明員(加野久武男君) 警察における過積みの取り締まりについて申し上げますと、昨年中過積みで取り締まって、反則切符を切ったり、あるいは刑事手続で送致をいたしたりしたものが、全体で十一万八千四百二十八件でございます。この数字は、実際の過積みの車の数分の一にしか当たらないのじゃないかというふうに思っておりますが、今後とも過積みにつきましては、過積みの横行する路線等に重点を指向いたしまして、取り締まり技術もさらに練度を高めて、積極的に取り締まりを展開してまいりたいと、かように思います。
 なお、改善すべき点等はないかというお尋ねでございますけれども、先ほど御指摘のありましたような重量計の整備等も、今後とも積極的に進め、全体として過積みの取り締まりの効果が高まるような方向で努力いたしてまいりたいと考えております。
#23
○政府委員(佐藤文生君) 私は過積み防止に関して、五、六回現場の組合員からも陳情を受け、また、事業者に対して、したがってそういうことのないような注意も二回ほどいたしました。
 そこで、現在まで常習的に悪質な過積みをやったりしておるような事業者に対しまして、安全規定に違反するものに対しては、監査をやりまして、車両停止の処分をいたしました。現在まで何件をやったかということは、私はまだ確認をしておりませんので、その件数、そういうものについては、後刻先生に報告さしていただきたいと、こう思っております。
#24
○黒住忠行君 この過積みの問題は、一つは荷主のほうの強要といいますか、荷主の協力を得なければ解決しない面が相当あると思うわけです。
 それで、荷主の協力というか、につきましては、関係省から書類等も出ておるようでございますけれども、運送業界のほうも荷主の協力を十分求めていかなければならない、これはたいへん重要なことだと思うわけでございますが、運輸省の監査下にありますトラック業界がどのように努力をしておるか、そうして運輸省はどのようにこれを具体的に指導しているか、承りたいと思います。
#25
○説明員(高橋寿夫君) お答え申し上げます。
 いま先生の御指摘のように、トラック事業者は荷主に対しまして非常に弱い立場にあることが多うございますので、荷主の協力を得られなければ過積みの防止はなかなか実効があがらないということはそのとおりでございます。私どもも常にそういったことを業界に対して指導いたしておりますけれども、最近の例といたしましては、特に昨日、一昨日のいわゆる道路順法なるものの関連もございまして、一週間ほど前に全国のトラック協会の協会長が集まりました機会に、私どももそこに出向きまして、荷主に対しまして十分事情を説明いたしまして、過積みをさせないようにということを要請するということについて、強くお願いしました。業界の代表は、その後直ちに、荷主十七団体に対しまして、過積みに対して自分たちは一切しないという決意を固めたので、荷主からも協力をしてほしいという要請をいたしました。私どもは、この点につきましては、たいへん大事な問題でございますので、単にトラック業界から関係荷主団体に折衝するだけでなくて、事情によりましては、私どもから直接荷主、所管官庁に対しましても働きかけをするようにいま準備をいたしております。
#26
○黒住忠行君 その中で、車扱い運賃の励行ということが言われておるわけでございますが、トラックの運賃につきましての定額制の確保ということは、従来からたいへん問題になっているところでございます。車扱い運賃の収受につきましても、荷主と十分な協力を得られなければならないわけでございますが、車扱い運賃の収受につきましても、運輸省で、あとのほうの業者の監査取り締まりというようなときにおいても、運賃の現状はどうなっているか、把握されておると思うわけでございますが、いま業務部長のお話しのように、はたして前進しておるのかどうか承りたいと思います。
#27
○説明員(高橋寿夫君) トン建て運賃を車扱い運賃に変えましたのは四十六年の春でございますけれども、その実施状況につきまして、私どもも業界に対しまして、強く従来の慣行を改めまして、車扱い運賃にするように指導いたしております。かなり普及をいたしておりますけれども、まだ一部の物資につきまして、なおトン建て運賃で契約が行なわれておるものもあるように聞いております。
 それから運賃の収受の実情でございますけれども、現在のところ区域運賃につきまして、正確な数字を現在把握いたしておりません。できるだけ早く調査をいたしまして、報告申し上げたいと思います。
#28
○黒住忠行君 政務次官、いま聞いておられますように、本件はたいへん重要かつ緊急性を要することでありますが、関係の省庁が非常に多いということで、とかく責任の所在等があいまいになりやすい要素がございます。したがって、ひとつ中央におきましても、あるいは地方におきましても、関係者間の連絡を密にしていかなければならないと同時に、各省のきまっております対策につきまして、一日も早くその実行をしてもらうということでなければならないと思うわけでございますが、御所見をいただきたいと思います。
#29
○政府委員(佐藤文生君) 先生の言われたとおり、非常にこれは、過積み防止に対する重要なポイントでございますので、先生の御趣旨のとおりに、積極的に各省と連絡をとりまして、結論を出していきたい、こう考えております。
#30
○黒住忠行君 去る三月五日のトラック関係の労働組合の共闘会議から貨物輸送にかかわる要求書というのが提出されておりまして、運輸省にもいろいろと要望があったと思います。また、かねてから本件につきましては、組合のほうから要望が出されているわけでございますが、この要望を拝見いたしますというと、たいへん多方面にわたっておりますけれども、その中で改善すべき点は相当あるわけでございますので、改善すべき点はすみやかに改善していくというように取り組んでいくべきではないかと私は思います。したがいまして、まあ項目はたくさんではございますけれども、過積みの防止あるいは過労防止というようなことが中心になってもいると思いますが、運輸省のほうでは、これに対してどのような御見解であるか、承りたいと思います。
#31
○政府委員(佐藤文生君) 今回、労働組合のほうから分厚い要求が出されております。私もそれを検討いたしました。その要求の内容は非常に多岐にわたっておりまして、特に過積み、過労運転等の問題については、交通安全に重大な関係があることにかんがみまして、総理府の交通安全対策室を中心に関係機関がその内容について協議し、対策の推進をはかっている点と非常に一致した点がたくさんあります。
 運輸省としては、トラックの過積み、あるいは過労運転等の防止については、労働時間の基準を守るということ等、トラック事業者の指導に協力を行ないまして、自重計の改良、先ほど申しました、そういった改良等、具体的な過積み防止対策について、さらに先ほどから言っているとおりに検討を加えていきつつあるところであります。
 また、私が先ほど言いましたとおりに、常習的に過積みをやるような事業者に対しては、監査をどんどん行なって、行政指導を強力にやっていくというぐあいに考えております。さらに車両の保安基準の改正に関する事項あるいは道路運送法等の適用についての事項も要求の中に載っているのでございますが、その要求の趣旨等も現在検討の上に、実現可能なものについては前向きに処理しようということで、運輸省としてはその対策を考えているところであります。
#32
○黒住忠行君 貨物の輸送、道路交通につきましては、たいへん交通環境が悪くなっているところでございまして、交通環境をよくして、そして貨物輸送というものを円滑に行なうということは労働組合の要求を待つまでもなく、改善すべき重要な点であると思う次第でございまして、ひとつこれらの点につきまして、改善すべき点はすみやかに措置をしていただきたいと思います。
 去る十日、十一日の闘争が行なわれたわけでございますが、トラックは重要な物資を運んでおるわけでございますが、このいわゆる順法闘争によりますところの影響等につきまして、運輸省はどのように把握しておりますか、伺いたいと思います。
#33
○政府委員(佐藤文生君) 先ほどの道路順法闘争の影響についてお答えします。
 現在、全国の営業用トラックの総台数は約三十八万台であります。そこで今回、道路の順法闘争に参加したトラックの台数を調べたんですが、約六百台であると推定をされております。この順法闘争は、御承知のとおりに、制限速度をひとつ守っていこう、あるいは積載量の適正等を内容として四月十日から十一日に全国主要幹線道路において行なわれたのでございますが、それによって特別に滞貨などの影響が生じているということは、いまのところ、私どもの調査ではあまりないように考えております。したがって大きな混乱は生じてないんじゃなかろうかと思っております。
 なお、東京の市場にトラックで搬入された生鮮食料品でございますが、こういうものの入荷について調査をいたしましたが、平常通り入荷しているという報告を受けておる次第であります。
#34
○黒住忠行君 トラック運送は営業、自家用をプラスいたしまして、貨物輸送のたいへん大きなシェアを占めておるものでございます。トン数にしてみるともう九〇%ぐらいであろうし、あるいはトンキロにいたしましても四二、三%になっておると思います。で、そのトラック輸送の中でトン数においては営業用が二四、五%に対して自家用が七四、五%でございますけれども、トンキロということになると営業用のほうが足が長いので、おそらくフィフティー・フィフティーぐらいの自家用対営業の割合ではないかと思うわけです。
 ところで、たとえば普通車の実車率を見ますというと、営業用の場合が六四、五%であり、自家用の場合が五一%ないし五二%ぐらいであると思います。そうしますというと、営業用のほうが能率的であるということがいえるわけでございまして、空車回数等が自家用の場合は多いわけでございます。これはいろいろいままで議論もされたところでございますけれども、営業用の車を能率アップすることによって道路混雑というものも防げるのではないかというふうに考えるわけでございます。運輸省の施策として、営業車の能率ということを考えて、その方向に進むべきであると私は思いますが、どうお考えになるか、お答え願いたいと思います。
#35
○説明員(高橋寿夫君) 営業用トラックと自家用トラックの効率性の比較につきましては、いま先生のお示しいただいたとおりの数字であります。私どもも輸送政策上は、できるだけやはり営業用車を活用いたしまして、自家用車を使わないようにするということが、道路という非常に貴重な社会資本を節約する意味でもけっこうなことでございますので、そのようにいたしたいわけでございます。まあ自家用を使うという理由もいろいろございますけれども、私どもの見ておりますところでは、大型車については自家用の活躍する分野が少なくて、やはり中型、小型という、特に小型の分野で自家用車がたくさん使われております。
 これは日本の特殊事情かと思いますけれども、まだ自家用トラックというものを貨物運送だけではなくて、たとえばその辺の商店の主人が行きは荷物を運んでいって、それをおろしたあとで商業活動をして帰ってくる。あるいはまた日曜日には子供を乗っけてドライブに行くというふうなことに、乗用車の機能もあわせ持った形として使っているというふうなこともございまして、なかなか自家用車、自家用貨物自動車というものがふえていく、あるいは利用が多くなっていくのをとめにくい点もございます。けれどもやはり道路の使用効率という点から見まして、営業用車をもっと使わせるべきだということは変わりないということでございますので、営業用のトラックの側につきましても、いわゆる商店その他の零細かつ多様化した需要に対しましても、即時にこたえられるような、そういう運送屋さんのほうでも、ひとつ荷主さんたちの需要に即応できるような体制をつくるというふうなことも含めまして、営業用トラックをもっと活用してもらうような体制をつくりたいと思っております。なおまた、別に自家用車を、そういった意味で、効率的な点からいいまして、劣る自家用車を制限するという意味では、あるいは税制上これを差別するというふうなことも、将来の問題としては検討の余地があるかと思います。
 以上でございます。
#36
○黒住忠行君 ところで、営業のトラック事業の場合におきましては、中小企業が大多数を占めておるわけでございます。中小企業が力をつけまして能率をあげていくためには力を合わせて進んでいかなければならないわけでございまして、さきに近促法の指定を受けまして共同化等に対する施策が進められておるところでございますが、最近におきましては、トラック運送事業の構造改善を一刻も早く進めたいということでございます。従来の、全国単位にいろいろ計画を立てるのから県の単位等に細分いたしまして、構造改善計画等を立てていくというふうに進んできておるわけでございますが、現在、運輸省が指導されておるところのトラック事業の構造改善も進んでおると思います。きょう現在におきまして、その実態はどうであるか、お聞きしたいと思います。
#37
○説明員(高橋寿夫君) お答え申し上げます。
 トラック事業は四十一年度から四十七年度まで、近促法によります近代化事業を実施いたしておりますけれども、今度、四十八年度から新しく構造改善という、より高度な近代化計画のほうに移行させようということで努力をいたしております。今度は二つのグループに分けまして第一次グループ、第二次グループと分けまして、第一次グループにつきましては、四十八年度から五十二年度までに行ないたいと、それから第二次グループは、いま計画でございますけれども、四十九年度から五十三年度、一年ずらして行ないたいという計画でございまして、第一次グループにつきましては具体化が進んでおりまして、現在九つの県、すなわち千葉、静岡、愛知、富山、滋賀、広島、山口、愛媛、佐賀、九つの県につきまして、各県のトラック協会が中心になりまして準備を進めております。
 この内容は、いま先生お示しのような、トラック事業者が力を合わせましてお互いに取引単位を大きくする、そして荷主との交渉力を強化するというような点をはじめといたしまして、トラック事業の相互の福祉の向上、ひいては国際競争力の強化という点を目標にしているわけでございます。現在私どもの手元で各県の構造改善計画、すなわち五年間の計画及び初年度、すなわち四十八年度の実施計画、これらの検討をいたしております。そして並行いたしまして、中小企業庁と、この四十八年度から構造改善計画に入りたいという点で折衝いたしております。中小企業庁は最終的には大蔵省と協議いたしまして返事をくれるわけでございますけれども、私どもの見通しでは非常に明るいと考えております。
#38
○黒住忠行君 いまの構造改善につきまして、具体的に進んでおる県を承りましたが、ほかの県においてはどういう点が問題があって進んでいないのか、その問題点をどのようにして解決していくかという点につきましての、いろいろお考えがあると思いますが、問題は具体的にどのようにあるか、わかればお知らせいただきたいと思います。
#39
○説明員(高橋寿夫君) 具体化が進んでおります県と、まだ思うように進んでいない県との差というものがせつ然と実は分かれておりません実情でございます。その差は紙一重のものだと思いますけれども、したがいまして、いわゆる第二次グループという中でも相当進んでいるものもあるし、また中ではかなりおくれているものもございます。事情がまた県によってまちまちでございまして、なかなか一様ではございません。従来からの、その県の中のトラック団体のまとまりのよさ悪さというようなものがかなり影響しておりますし、またその県の、いわゆる業界の指導者の支配力といいますか、指導力といいますか、その大小にも関係ございましょうし、また中小企業の分布率とか、大企業との関係とかいうふうなことが、いろいろ複雑にからみ合っておるわけでございますけれども、しかしながら、私どもといたしましては、そういった点をなるべく早く調整いたしまして、必要によりましては運輸省も間に入りまして調整をつけまして、できるだけ計画どおり来年から第二次グループを始められるように努力いたしたいと思っております。
#40
○黒住忠行君 トラック輸送というものはドア・ツー・ドアの輸送ができます。したがいまして、完成した輸送ができるわけでございます。また他の交通機関等とトラックというものは必ず関連するわけでございまして、非常に重要かつ便利な輸送機関だと思う次第です。
 しかし交通環境の問題あるいは公害問題等で解決すべき問題がたくさんあるわけでございますし、一方におきましては、鉄道、海運、航空等の各輸送機関と共同して、あるいは総合して、おのおのの長所を発揮して、より能率的な輸送を行なっていかなければならぬ、こういうことがいわれているわけでございまして、いわゆる流通革新ということがいわれております。国鉄の貨物輸送につきましては、戦後いろいろと改善の努力はされましたけれども、旅客と貨物が同じ線を走っておるというふうな事情等もございまして、非常に困難な面がございますけれども、国鉄の輸送につきましても能率アップして、トラックとの共同輸送というふうなことが強く取り上げられておるわけでございまして、いわゆる総合交通体系ということの重要性が非常にクローズアップされておるところでございます。
 ところで運輸省では、かねてから、トラックターミナルはできましたけれども、総合ターミナルあるいは複合ターミナルの構想につきまして研究が進められておりますけれども、具体的な問題となってまいりますというと実現がむずかしい点もございますけれども、総合ターミナル、複合ターミナルの構想あるいは具体策につきまして、その後進捗しておるかどうか承りたいと思います。
#41
○説明員(高橋寿夫君) 複合ターミナルの話は、自動車局の所管を越える部分も若干ございますけれども、私の知っております限りのことをお答え申し上げます。
 複合ターミナルの構想が出ましたのは、いまから四年か五年前でございますが、運輸政策審議会におきまして提案されたことでございます。理想型としては、海陸空のすべての交通機関のターミナルとして機能するようなものをつくるべきじゃないかと、それに対しまして国家が助成をするというふうなことであったわけでございます。しかしながら、その主たる中心は、国鉄のフレートライナーというふうなものを一応中核にいたしまして、これをめぐる各種の交通機関のターミナルをつくるという点が主眼であったと思います。そうしてその後、実は国鉄自体としては、フレートライナー基地というふうな形で、大井とか、鳥飼とか各地で実施を進めておりますけれども、いわゆる複合ターミナルというふうなものにつきまして、どうもかけ声ばかりでさっぱり進まないというふうなこともあったわけであります。
 そこで私たちといたしましては、こんなことでは、やはり世間を騒がすだけになってしまうのじゃないだろうか。やはり複合ターミナルというものについて、もう一ぺんここでおさらいをしてみよう、そうして促進すべき点があるならば、直ちにしなければならぬじゃないかということを実は考えまして、昨年の暮れごろから運輸省の中に、公式の機関じゃございませんけれども、ターミナル調査会というようなものをつくりまして、学識経験者あるいは専門の運送関係の方々等に集まっていただきまして、ずっと検討いたしております。まだ結論は出ておりませんけれども、その会議の模様をちょっと簡単にかいつまんで申し上げますと、初めに私ども構想しておりましたような理想的な、いわゆる海陸空の各種交通機関が全部入り込むようなほんとうの総合ターミナルというものをつくることは、まだちょっと機が熟してないのじゃないかというふうなことで、これはたな上げにいたしまして、それでたとえば、フレートライナーとトラックとか、あるいはトラックと倉庫とかいうふうなものについて考えられないだろうかという点について検討いたしてみました。
 そういたしますと、出てきました結論は、フレートライナー中心のものといたしましては、現在の国鉄のフレートライナー基地、たとえば東京の大井でありますとか、南越谷あるいは大阪の鳥飼等の土地につきましては、すでに国鉄が用地も取得いたしまして建設を進めております。これにトラックが自由に出入りをするという形をとりますと、これはやはり一つの、鉄道とトラックのいわゆる共同一貫輸送をささえるところの複合ターミナルじゃないかという形でこれは進んでおります。
 それから、数年前からフェリー埠頭の整備を社会資本を投じましてやることが進められておりますけれども、これも各主要港湾におきましてフェリー埠頭ができている。これはやはりフェリーというものとトラックとの一つの共同一貫輸送ができるような複合ターミナルじゃないかというふうに考えております。
 そうやって一つ一つやってまいりますと、いま私どもの立場で整備がおくれておりますのが、いわゆるトラック輸送プラス保管機能というものでございまして、従来はトラックターミナルといわゆる倉庫というようなものは、隣合っておる場合もあるし、離れておる場合もある。隣合っておる場合でも、必ずしも有機的に使われてないという点がございますので、従来の倉庫というものを、単なる物の保管ということからもう一歩出まして、いわゆる流通途上の保管――流通保管、あるいは流通確保と申しておりますけれども、物の運送と一体となった、保管機能というものを持ったところの倉庫をつくる必要がある。そういたしますと、従来のように、ターミナルはターミナル、倉庫は倉庫ということじゃなくて、トラックターミナルと流通保管の機能を行なう倉庫というものを同じ場所につくるということで、かなり複合ターミナルの効果があるんじゃないだろうかということが出ております。そこで、方向といたしましては、従来のトラックターミナルの機能プラス流通保管機能を持ったもの、さらにはそこに国鉄のコンテナデポ、こういうようなものを備えたもの、こういったものを新しく構成いたしまして、それを全国の主要な拠点に配置をいたしたいというふうに考えております。そして全国的な物流に関係があるものにつきましては、国の力でかなり進めていく、それから地域的な物流の拠点にかかるものにつきましては、地方公共団体の財政力を導入してこれを行なうというふうなことで、いま考え方をまとめようとしております。なお、はっきり結論が出ましたら御報告申し上げたいと思います。
 経過報告でございます。
#42
○黒住忠行君 すべての交通機関は安全第一でなければならないわけでございまして、これは旅客輸送にしても貨物輸送にいたしましても全く同じだと思うわけでございます。トラックにつきまして、その安全輸送という面から過積みの問題等が取り上げられておるわけでございますが、この問題を中心としてさらに施策を強力に進めていただく。そしてまた、最近におきます流通革新の時代に、輸送というものを円滑にすることが、物価問題その他に対しましてたいへん大きな力を持つわけでございますので、安全第一をスローガンに、かつ総合的な輸送機関の発展と能率向上ということにつきまして、施策を強力に進めていく必要があると思う次第でございます。つきましては、政務次官の御見解を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
#43
○政府委員(佐藤文生君) 運輸省としては、各交通機関に対して、安全第一ということで強力に行政的な指導を推進していきたいと、こういうぐあいにかねがね一貫して考えております。特に自動車に関しましては、三月の十三日から十六日だったと思いますが、京都で安全実験車について世界各国から専門家が集まりまして討議を行ないました。運輸省も地元の最高責任者としてこの会議にも指導的な立場で出まして、国際的なレベルで安全な車両、これに関する意見を述べて、そして積極的にこれに取り組んでおります。
 なお、労働時間の厳守とか、あるいは過積みによるところの危険性とか、どういう問題につきましても、いま先生からるる御意見を拝聴いたしましたので、こういう問題につきましても、的確に行政指導をやっていくと、こういうことで今後とも指導していきたいと、こう考えております。
#44
○岡本悟君 ただいま同僚の黒住委員から、トラック輸送の問題についていろいろと御質問がありましたが、それに多分に関連する問題なんですが、私はわが国の貨物輸送の近代化につきまして、これからいろいろ質問をしてまいりたいと思うのです。特に私の眼目とするところは、まだ本院の運輸委員会では、国鉄の財政再建措置法案あるいは運賃法の一部改正法案の審議は始まっておりませんけれども、やがて本院のほうに回ってくるわけでありますが、衆参両院におきまして、この法案の審議に当たっての一つの焦点は、貨物運賃が相対的に見て安過ぎる、国鉄の財政再建についていろいろ方策はあるが、赤字の原因を見ると、貨物の赤字が非常に大きい、だから貨物が不当に安いから、これを上げれば赤字は解消できるのだというふうなことが、おそらく相当論議になるだろうと、私の想像では思うのです。
 先般いただきました「昭和四十六年度鉄道客貨別経営実績」によりますと、これは国鉄のほうからいただいた資料でありますが、旅客のほうでは、わずか十億ではあるけれどもプラスが出ている。貨物のほうで二千百五十三億ですか赤字が出ておりまして、したがって合計では二千百四十三億円の赤字が出ておる。つまり大部分は貨物の赤字だというふうに実績上出ておるわけであります。でありますので、この貨物の赤字をどういうふうにして征伐するかということが非常に大きな問題になるだろうと思うんです。
 ところが、率直に申し上げまして、私は貨物運賃をたとえばペイするように上げるとすれば、そうでなくてもシェアが横ばい、あるいは多少減っておるような国鉄の場合におきましては、おそらく貨物は激減すると思うんです。したがいまして、前提となるべき諸条件につきましていろいろ検討して、そしてしかるべき適正なる運賃を求めて増収をはかるということでないと逆効果になる、こういうふうに私は思います。こういったことについて、ずっと分析を進めていきまして、国鉄の、特に貨物輸送につきましては、財政再建に占める役割り、あるいは増収についてのウエートといいますか、そういう問題をどういうふうに考えればいいのか、将来の展望も含めて、その問題の分析をしてみて、この貨物輸送あるいは貨物運賃というものについての、できれば国会におけるコンセンサス、あるいは国民全般のコンセンサスが得られれば、事態の究明については非常に貢献できるんではないかというふうに私は思っておるんです。
 これはもちろん国鉄だけの問題ではありません。いま申し上げました前提となるべき諸条件の中には、対抗機関でありますところの、先ほど黒住委員が触れられましたトラック輸送の問題が大きくからんでおりますし、あるいは海運、最近のフェリーの問題、こういったような問題もからんでおりまして、いわゆる総合交通政策的な見地からも取り上げる必要があることは申し上げるまでもありません。
 で、後刻詳細にお尋ねをしたいと思うんですが、御承知のように、たしか四年前でありましたか、西独連邦鉄道の財政再建につきましてレーバー交通大臣が、いわゆるレーバープランというものを連邦議会に提案して、多少の修正はありましたけれども、一応総合交通政策というものを打ち出して、特に連邦鉄道の財政再建と関連して、できるだけ中長距離の重量貨物につきましては連邦鉄道を活用して、そして道路交通の渋滞なり、トラックへ偏重した輸送数量というものを連邦鉄道で輸送させようという政策を打ち出しておりましたことは、これは御承知のとおりであります。これがどの程度の効果をあげておるか、この点については、後ほど当局のほうからお聞きしたいと思っているんですが、そういうことでありまして、貨物輸送の、特にこの国鉄の実態というものを一応全部きわめてみたいというのが、私の質問の大まかな趣旨でありまして、それによって貨物運賃というものをどういうふうに考えたらいいのか、あるいは財政再建についての役割りをどういうふうに考えていったらいいのか、これを究明したいというのが私の目的でございます。
 そこで順序としまして、これはわかりきったような話で恐縮なんでありますが、国鉄の国内の貨物輸送に占めるシェアというものが、先ほど申し上げましたように、年々横ばいないしは減ってきておるということを私、言えるんでありまして、したがって総体的には経済成長がこれだけすばらしく伸びておるにもかかわらず、輸送シェアはトン数においてもトンキロにおいてもどんどん減ってきておる。お話にならぬような数値であります。試みに申し上げますと、昭和三十六年度にトン数では約二〇%、わが国のシェアにおいて占めておったものが、四十六年度ではわずかに三・六%、ほんとうに今昔の感にたえないわけなんですね。ただ輸送距離が長うございますから、輸送トンキロというような点からとらえますと、まだ昭和三十六年度が国鉄のシェアが五二%、それがしかし四十六年度では一八・四%というふうに、これも激減しております。
 こういうふうに、かつてわが国における陸上交通機関のうちにおいては最大のシェアを占めておりました国鉄の貨物輸送が、かくも激減してきたということは、一体どういうところに原因があるのか、その原因を的確につかんでおく必要があると思うのですが、その点につきまして、政務次官にはあとからいろいろ大きな問題についてお尋ねしますので、きわめて事務的な問題でありますから、運輸省住田部長、それから国鉄の原岡常務からお答えをいただきたいと思います。
#45
○政府委員(住田正二君) ただいま御指摘がありましたように、国鉄の貨物輸送のシェアというものは非常に減ってきておるわけでございますが、その一番大きな原因といいますのは、かつて国鉄の貨物輸送が独占的な地位を占めていた、それがトラック、まあ自動車輸送の伸展によりまして、独占的な地位が脅かされて自由競争市場に入ってきた、その結果、国鉄の貨物輸送の競争力がトラックと比較して非常に弱い、そういう点から、国鉄の貨物輸送がトラック輸送の伸展に逆比例いたしまして、急速に減ってきたということではないかと考えております。
#46
○説明員(原岡幸吉君) ただいま岡本先生から、国鉄の貨物輸送の推移についていろいろ御説明がございましたけれども、そのとおりでございまして、国鉄なりに、その状況をこのように理解しているわけでございます。
 一言で申し上げますと、産業構造、輸送構造に国鉄の貨物輸送がついていけなかった、こういうことに尽きると思うのであります。またそのついていけなかったゆえんのものは、国鉄の貨物輸送に対する投資といいますか、近代化が非常におくれておったと、こういうことになろうかと思います。そこで輸送構造それから産業構造の変化と申しますと、日本の産業構造が非常に第一次産業製品の、生産中心の産業構造から成長経済という時代を迎えまして、二次産業製品が非常に多くなってきたわけでございます。一番具体的な事例といたしまして、日本の鉄道の貨物の中で、約二〇%余り、四千五、六百万トンの石炭を運んでおったわけでございますけれども、これが現在では、すでに千五百万トンを割るというような状況まで落ちてきているわけでございます。それから国内の鉱石類、これも非常に落ちております。これも非常に大宗を示しておりましたけれども、どんどん減っておる、あるいはまた国内の木材資源、これも鉄道輸送が非常に大きな使命を果たしておったわけでございますけれども、国内資源の枯渇が外国の木材にとってかわっておる、そういう状況のもとで木材の輸送量が減っておる等々、いわゆる一次的な産品が非常に落ちてきておる。それに対しまして石油とかセメントとか鉄鋼とか、いわゆる現在の産業構造において非常に大量の生産が行なわれている物資、この輸送については、なるほど若干ずつ伸びてはおりますけれども、占めるシェアは非常に低いわけでございます。
 したがって、そういう新しい産業構造に基づく産業活動、あるいは産業構造が前提としている立地構造、すなわち外国から資源を日本の臨海地帯の工場に持ってきて、そしてその臨海地帯から消費地に生産して運んでいくと、こういう立地構造、こういうものに適応した輸送が十分ついていっていない。こういうことで、いま申し上げましたように、二次産業物資につきまして、一次産業物資の落ちを補って若干余りあります。確かに余りありますけれども、なかなかその二次産業物資の伸びについていくということはほど遠いというのが、現実の姿として輸送量が非常にシェアとして落ち、また輸送トンキロにおいても、きわめて微弱な、現時点においては約一八%でございますが、こういう状況になっておるわけでございます。昭和四十二、三年ころが、先ほど来申し上げました一次産品と二次産品のウエートが逆転しておるという状況でございます。
 それから近代化投資のおくれ、こういう産業構造、輸送構造、立地構造、こういう変化に対応できなかった一番の原因は、国鉄の貨物輸送に対する近代化のための積極的な投資、これがおくれておった。これは全体的には、とにかく旅客輸送を重点、中心にやっていかなければならないという環境のもとで、できるだけのことはやろうということであったわけでございますけれども、金額といたしましても非常にわずかなものである、旧態依然の輸送施設でやっておる、すなわち、鉄道がまだトラックも船もろくに一般の貨物を運ぶ能力がなく、道路も発展していなくて、いわゆる独占的な状態の輸送施設そのままでもって輸送サービスをしておる。ということはどういうことになりますかといいますと、非常にその輸送サービスの要求にこたえられない、いつ着くかわからない、非常におそい、それからまた、あるときは輸送力はあるかもしれないけれどもあてにならぬ等々、非常に欠陥だらけの輸送サービスということになりまして、これを逐次金を投入しながら整備をしていく。またそういうことは、ひとり収入が上がらない、輸送需要が減るということだけじゃなくて、そういう輸送サービスそのものが非常にコスト高の輸送になるというような状況になります。そういうような状況を踏まえまして、最近いろいろと近代化の立ちおくれを挽回し、そして現在、要求されている物流の中で、いわゆる総合一貫体制といいますか、総合交通体系の中での国鉄輸送といいますか、鉄道貨物輸送が一番特色とする輸送機能を発揮するようなかっこうで、そしてまたシステムとして、全体の中でうまく位置づけられるようなかっこうで、国鉄は国鉄なりに総合交通政策の御指導のもとにやっていこうというのが現状の姿でございます。
#47
○岡本悟君 貨物輸送がなかなかふるわないということにつきまして、原因をいろいろ教えていただいたのでありますが、運賃の問題はどういうふうにごらんになりますか。あるいは国民経済的にいうと、コストの比較、つまり先ほどあなたも触れられましたけれども、理論的な机上計算によるコスト比較になりますと、いつも国鉄の貨物輸送経費が非常に安いというふうなデータも出ているのですね。ところが実際は輸送時間の問題もあります。あるいは適確性の問題もありますが、運賃も一つの大きな要素ではないかというふうに思うんですけれどもね。先ほど来、黒住委員の質疑の中にありましたように、いわゆる表定運賃といいますか、マル公運賃といいますか、認可運賃といいますか、そういったトラック運賃というものが、一面では過積みによってゆがめられ、一面にはダンピングによってゆがめられておる。そしてそういった低運賃でやれる経営的な基盤というものが、まだやっぱりトラック業界に、あるいは自家用を含めて基盤があるということ、まあいろいろ分析すべき問題はありますけれども、一体この運賃の問題はどういうふうにお考えですか。
#48
○説明員(原岡幸吉君) 国鉄の貨物運賃でございますけれども、これは国鉄の貨物輸送が非常に独占的な時代であった運賃の制度、それを非常に残しているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、運ばれる貨物の値段、これによって運賃の多寡をきめるという税金的な考え方、いわゆる等級制というものがございます。しかも法定されておるわけでございまして、いま御指摘、御比較ございましたトラックその他、他の運輸機関と比べますと、いわゆる運賃の弾力的適用といいますか、そういう意味において非常に欠けているわけでございます。ある意味において、国鉄におきましても運賃法の適用によりまして、弾力的な適用ということはいろいろ努力いたしておりますけれども、まず基本的に等級があり、しかも弾力的適用といってもきわめて狭い限度のものでございまして、一般流通市場の中において、運賃の競争条件をもって対抗するということは、ほとんど不可能であるというような制度のもとで運賃を定めており、また運用しておる、こういうことでございます。
 なお運賃水準につきましては、これはいろいろ考え方があるわけでございますけれども、まあ現時点いろいろな比較がございますけれども、国鉄の特色が中長距離、大量輸送という観点であるわけでございまして、まあトラックと比較すると、いろいろな比較がございますけれども、非常に概括的に申しますと三百キロぐらいが一つの交差点じゃなかろうかというような制度になっておりますけれども、国鉄の場合には戸口から戸口までというのには、また末端における積みおろしとか、あるいはトラックの集配というような経費もかかりますし、非常に単純な、要するに運賃の比較はできないわけでございまして、鉄道輸送を利用した場合のトータルの流通コスト、これを考えた運賃といいますか、貨物運賃の収受を考えるという観点から運賃も考えていかなければ、単純なる比較、それから何といいますか、特別高い安いという問題は論ぜられないと、こう思うわけでございます。
#49
○岡本悟君 自動車局の業務部長さん、いまの問題、あなたの見解どうですか。つまり私が聞きたいのは、先ほど御指摘があったように、九〇%はトン数においてトラック、つまり営業、自家用含めまして、これが現在においてはシェアを持っているということなんですが、圧倒的なシェアですね。まあ自家用の場合はどういうふうに把握していくか問題があるのですが、営業用の場合をとりましても、いま触れましたように、過積み、ものによっては五割以上も過積みしているんですね。それがいわゆるダンピングができる一つの要因になっていることは御承知のとおり。それから、そうでない場合でも、帰りに荷物が積めるから、行きは多少ダンピングしてもいいんだというようなことですね。またそのようなうまいやり繰りで、低運賃で経営されていける基盤があるのですね、そこらあたりの見解ですね。これは一体物流界において、あるいは広くはわが国の産業界、経済界において、堂々と定額どおり取れるだけの経済的な地位を挽回できる、あるいは初めてそれにたどり着き得る可能性があるのかどうか、そういう点はどうなんですか。
#50
○説明員(高橋寿夫君) たいへんむずかしい問題でございまして、的確なお答えが必ずしもできるかどうか自信がございませんけれども、トラックの運賃の実収状況でございますが、路線トラックと区域トラックとかなり営業形態等も違いますので、かりに二つに分けて考えてみますと、路線トラックにつきましては、特に大手路線トラック事業者等につきましては、最近サンプル的に調べたんでありますけれども、実収状況は非常によろしゅうございます。運賃のいま上限、下限それぞれ一〇%ずつのアローアンスがございますけれども、上限目一ぱいまでとっている場合もたくさんございまして、路線トラックにつきましては、運賃ダンピングというようなものにつきましては、まあ皆無じゃございません、そういった場合でも、たとえば長期契約あるいは大口荷主という場合に若干値引きをしている点があるかもしれませんけれども、全般的には路線トラック運賃は非常に堅調でございます。ところが、区域運賃の場合についてみますと、先ほども黒住先生の御質問につきまして申しわけないとおわびしたわけでございますけれども、私ども実態を正確につかんでおりませんが、いろいろ聞いております話を総合いたしますと、品物によりましては、やはりかなり値引きをしているものもございます。特にいわゆる一見荷主と申しますか、日ごろおつき合いになっていないような荷主さんのものとか、あるいは短距離のものにつきましては、非常に両端の積みおろしの手間がかかりますので、こういったものについてはかなり高い運賃、要するにきまった運賃の上限まで取っておりますけれども、長期契約の大口荷主につきましては相当の値引きが行なわれているということもあると思います。
 ところが、このことがいわゆるトラック事業者の採算のワクの中で行なわれるというだけのことでございますれば一つのこれは競争力かと思いますけれども、しかし、その原因というものが、先ほどお話がいろいろございますように、過積みとか、あるいは超過労働というふうな、いわゆる正当な車両の運行ということではなくして、社会的な危険を及ぼす、あるいは労働者を酷使するというところにしわ寄せしまして、そして低運賃の運行ができるということでは、これは適正な輸送主体とはいえませんので、私どもといたしましては、最小限度積載量を守る、そしてまた超過労働をさせないということの上で競争するようにしなきゃならぬと思っております。しかしながら、かりにそういうふうなことになりました場合でも、過積みをしない、超過労働もしないというふうな場合になったときにおきましても、なお国鉄との関係で考えますと、ドア・ツー・ドアの輸送が可能である、あるいは荷主の要請に対して直ちに適応できるというふうな問題、これが結局、国鉄の貨物のセールスの改善とうらはらでございますけれども、そこに相対的な差がありまして、まだ荷主サイドから見まして輸送距離あるいは輸送品目によりましてはトラック輸送を使うほうが、正規の運賃を払い、過積み等をしなくてもなお都合がよろしい――これは、都合のいいという意味は、運賃が安いだけじゃなくて、ものの速達性あるいは荷づくりの簡単なを含めまして都合がいいという場合には、トラックの競争力は依然として強いかもしれません。これを人為的に押えるということは、やはり不適当じゃないかということで私どもは考えております。
 したがいまして、やはり国鉄もトラックもそれぞれ国の輸送を分担しているイコールパートナーでございますから、それぞれ合法的なワクの中で切磋琢磨をするということしかないんじゃないかと考えております。もちろん国の総合交通体系の中で、たとえば長距離輸送は国鉄とか、あるいは内航海運――フェリーのようなものにまかせて、トラックは主として短距離あるいは中距離というものの輸送、国鉄あるいは内航海運の両端のメイン輸送を担当すべきであるということにつきましては、私どもも賛成でございます。したがいまして、そういったことがはっきり打ち出されました暁には、それにまた見合うような行政指導をしたいと思っております。
 以上であります。
#51
○岡本悟君 この問題については、さらに質問をしていきたいと思っておりますが、これは後日に譲りたいと思います。
 そこで原岡さん、ずばり言いまして、運賃の問題もあるだろうし、それから特に輸送時間の問題ね、あるいは適確性――いつ着くかわからぬこういう国鉄の貨物輸送の現状では、なかなか荷主も安心して貨物輸送を頼めないということがあるんですが、この問題につきましては、私は最近労働組合によって行なわれておる頻発する違法ストによる貨物輸送の停滞、これが荷主に与えている不信感というものは絶大なものがあると思うんです。
 結局、国鉄は自分の手で自分の首を締めていっている。一たん逃げた荷主というものは再び帰らない。国鉄の最大の長所、武器は、信頼できる輸送機関であるという点であったのが、いまや最もわが国の輸送機関としては信頼のできない輸送機関という地位に転落したことは、大きく私はものをいっていると思うんですが――ものをいっているというか、逆の方向でね。このことについてはまた別途どのくらいの影響があるものか、しさいに分析してみたいと思うんですけれども、いまの時点でずばり言って、国鉄の能力で、貨物輸送の量的な限界ですね、いま大体二億トン、トンキロで六百億トンキロと、こういわれておりますが、いま持っている能力でフルにこれを活用してアッパーリミットはどのくらいですか、マキシマムはどういうふうに算定してますか。
#52
○説明員(上林健君) 現在、貨物列車の設定キロが一日六十万キロ前後でございますが、現有車両と線路を客貨に分けまして、どういうふうに列車を設定するかということによって貨物の輸送量が変わってくるわけでございます。それからもう一つは、運ぶ物資が何であるかということによっても変わってくるわけでございます。たとえば各駅に停車する列車でいろいろの物資を運ぶ場合、それから大量の物資を拠点間直行輸送をやる場合においても異なってくるわけでございますが、現在の列車キロでは相当の輸送をやっておるわけでございます。これをいかにしてマキシマムに持っていくかということは、やはり先ほど申しましたように、旅貨との関連で起こってくるわけでございます。たとえば四十八年の十月時点において貨物輸送力の増強をいたすことになっておりますが、これも原則的には現在の線路の上にどのくらいの人員と車両とそれから動力車を配置するか、これも旅客との関係においてどのくらい設定するかということによって変わってくるわけでございます。これは短期的に申し上げたわけでございます。さて、長期的に申し上げますと、やはり基本的には設備、車両の増強ということになってくるわけでございますので、この点は、今後現在の計画の段階において、やはり列車をどの程度に設定していくかということとあわせまして検討をいたしておる段階でございます。
#53
○岡本悟君 この問題を聞きましたのは、貨物輸送の改善につきまして、これからだんだん御質問もしていくわけなんですが、一体、現在私ども見るところでは、いま専門家がおっしゃって、よくわからなかったのです、実はね。私が端的に聞きたかったのは、私らの常識から見ると、貨物輸送は現時点では能力一ぱいじゃないかという感じがするんですね。そこで、相当大規模な投資をしなければ輸送時間のスピードアップもできないし、それから適確な輸送もできないし、あるいは荷主の要求にいつでも対応できる適時性といいますか、まあ表現が悪いかもしれませんが、そういう荷主を満足させるだけの体制ができないわけですね。だから現時点ではまずフル操業というふうに考えていいんじゃないかと思うのです。そのフル操業が違法なストライキによってめちゃくちゃにこわされているというのですから、泣きつらにハチだと思うのですが、まあそれは別といたしましても、そんなところじゃないでしょうか、率直に言いまして。どうなんですか。
#54
○説明員(原岡幸吉君) 現在の国鉄の貨物輸送は力一ぱいかどうかという問題でございます。なるほど運転を計画している列車キロも毎日フルには動いておりません。それから戦争中の貨車のいわゆる運用効率というものに比べますと、現在では非常に少なくなっております。しかしそれを昔のような運用効率でやったならば、鉄道に荷物を託する人がずっと減ってしまう。いわゆる輸送サービスという面から考えますと、現在の輸送施設、輸送の何といいますか、運営といいますか、こういうものは、現在要求されている輸送サービスを満たすという観点からすれば、まさにフル操業といいますか、ゆとりが全然ないというか、そういう状況でございまして、まあもう少し現象的に見ますと、いまの輸送サービスにおいてもある場所には輸送ができない、年じゅう北海道と本州の間、これはかなり輸送要請が伸びておるわけでございますけれども、これも年間じゅう一定の制限のもとでなければ輸送にこたえられないという状況で、これはフル操業かどうかというと、非常にむずかしい設問でございますけれども、おしなべて申しますならば、いま申し上げましたように、現在世の中で言っていられるような輸送サービスというものを前提とするならば、まさにフル操業、こう言って過言でないと、私考えるわけでございます。
#55
○岡本悟君 いや、私が聞きました趣旨は、やはり経済界の要請に十分こたえ得るような貨物輸送体制に改善していかなければ、貨物輸送数量を伸ばすこともできないし、あるいは新全国総合開発計画なり、あるいは新しい経済社会発展計画なりで、国鉄に期待されております輸送需要というものを果たすだけの体質が出てこないわけですよ。そこでお尋ねをしたわけなんですが、もう十二時になりますので、これからずっとこの問題を詰めていきたいと思うのです。
 きょうは時間がございませんから、これで終わらしていただきまして、これはまあ入り口のまたその入り口ということで、皮切りでやらしていただいたのでございますが、できるだけまた最近の機会にチャンスをお与えいただきますように委員長に要望しまして、きょうはこの程度にさしていただきます。
#56
○委員長(長田裕二君) それでは、本件に対する午前中の調査はこの程度といたします。
 午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十九分開会
#57
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#58
○森中守義君 三月八日のこの委員会で、例の雫石問題をかなり長時間承った。むろん非常に荒削りな質問でございましたので、十分私も得心がいっておりませんし、また政府側におかれても必ずしも十分な御答弁があったとは思っていない。つきましては、そういう経緯を考えながら、少しく本日もお尋ねしたい。
 まず第一番にお尋ねしたいのは、その日に防衛庁から、どうも報告書については釈然としないものがある、ついては山縣委員長に対して報告書の内容について少しく照会をしたいところがある、出しておるんだ、こういう実はお答えがありましたが、どういう経過になっておるのか。回答が来たのかどうか。むろん私は、考えとしては、すでにもう調査委員会というのは消滅しておりますからね、なかなかその辺を、山縣さんが個人としてお答えになるべき筋のものであるかどうかも問題だ。けれども、出されたという事実はこれはもう動かしがたいことですから、経過を少しくお答えいただきたい。
#59
○政府委員(大西誠一郎君) お答え申し上げます。
 昨年の七月二十七日に全日空機と自衛隊機との衝突事故に関しまして、総理府が委嘱いたしました委員会から報告書が提出をされまして、私どもにも報告書が参っております。それを検討をいたしておる間に委員会が解散をいたしましたので、私どもといたしましては、その報告書の中で二、三不分明な点につきまして明らかにしたいということで、たまたま総理府の交通安全対策室がその委員会の事務局をおやりになっておりましたので、御相談申し上げまして、委員長である山縣先生のほうに照会方のお取り次ぎをお願いをいたしたという経緯でございます。
#60
○森中守義君 結果は。
#61
○政府委員(大西誠一郎君) 結果につきましては、まだお答えをいただいておりません。
#62
○森中守義君 四十七年の七月の二十七日に報告書が出ていますね。この報告書が出る、つまり調査の作業段階で防衛庁に、あるいは運輸省に、さらに全日空のほうに、調査委員会が独自の立場で事情聴取を行なったことがありますか。あるいは進んで陳述を行なわれたことがあるかどうか、それぞれお答えをいただきたい。
#63
○政府委員(須藤博忠君) 日時ははっきり記憶いたしておりませんが、委員会のほうで防衛庁の担当の方、それから全日空の責任のある方から、それぞれその事故の会社なり防衛庁で調べられた結果あるいはその見解等について委員会が事情聴取されたことはございます。
#64
○森中守義君 ある。
#65
○政府委員(須藤博忠君) はいございます。
#66
○政府委員(内村信行君) 運輸省といたしましても、航空法上の解釈について御質問があり、それに対して回答したことはございます。
#67
○森中守義君 防衛庁。
#68
○政府委員(大西誠一郎君) 防衛庁といたしましては、それぞれの部局におきまして、委員会から照会がございました点について御報告を申し上げております。
#69
○森中守義君 全日空は。
#70
○参考人(中塚良太郎君) 全日空のほうも同様で、事故調査委員会のほうから質問があった場合にはお答えしております。
#71
○森中守義君 結論に至る前に、そういったように、すでに調査委員会が当然な所掌として事情聴取をすることは当然だと思う。そういう場合に、あとでその内容についてはお尋ねしますが、少なくとも山縣委員長に総理府を経由して照会をされた内容について触れておりましたか。あるいは、調査委員会のほうが触れたことがありますか。
#72
○政府委員(大西誠一郎君) 私どもはこの調査が公正な立場で行なわれることを念願いたしておりまして、したがいまして、私のほうから意見がましいことは申し上げておりません。しかしながら、専門的な事項につきまして、この点はどうかというようなことにつきましては、それぞれの担当者が技術的に御説明を申し上げたことはございます。
#73
○森中守義君 いや、ちょっと答弁が十分でないですな。
 私が聞いているのは、内容はきわめて防衛庁としては大事な点がある、そのことが、この報告書では、言い方は少しどぎついかもしれませんが、釈然としない、すっきりしないから聞いたと、こういうことでしょう。だから、私はそのことを、報告書が出る作業段階において触れたことがあるのかどうかと、こう聞いてるんです。そんなことを聞いてやしない。照会をした内容について聞いたかどうか、触れたことがあるかどうか、こう聞いてるんです。
#74
○政府委員(大西誠一郎君) 私、個々のすべてにつきまして、防衛庁の担当者から御説明をしたすべての点について承知いたしておりませんけれども、私どもが疑問に思いました点について直接お伺いするとか、あるいは意見を述べるということはなかったように記憶いたしております。
#75
○森中守義君 この点は非常に重要な点でして、照会された内容に触れたことはなかったと、前段では。だから報告書が出たあとにそのことを照会をしたと、こういうことに受け取っていいんですか。はっきりしてもらわぬと困るね。
#76
○政府委員(大西誠一郎君) 委員会はいろいろの事実を分析をされまして、その結果、その報告書にあるような結論を導かれたことと考えております。その事実の収集の段階におきまして、個々の事実をどう見るかということについては、事実を御報告申し上げる際に、あるいは御説明を申し上げたことがあるかもしれませんが、そのような事実を踏まえて、この報告書に盛られました一つの推定なり、あるいは結論を出すということに、その段階においては防衛庁は意見を述べる、あるいは照会を求められたということはございません。
#77
○森中守義君 大西さん、もう少し正確に。照会出したでしょう。疑問があって照会を出した。その事実に対して作業段階で調査委員会から聞かれたことがあるのか。あるいは進んで防衛庁が言ったことがあるのか。その事実関係はどうですか。ちょっと一般論過ぎてわからない。あったとか、なかったとか、はっきり言ってもらいたい。
#78
○政府委員(大西誠一郎君) 委員会に照会をいたしました事項は三つございますけれども、その問題点ずばりについてこう思うとか、あるいはこういう点に疑問があるということは申し上げておりません。なぜならば、この委員会の報告書が作成される筋道というものについて、私どもはうかがい知ることができなかったからでございます。
#79
○森中守義君 しかし、そのことがきわめて重要なポイントであるということは、これはもうだれが見ても理解できる。そういう問題点を、そういう事情聴取を受ける機会等々について、具体的に事実関係を述べる必要があったんじゃないですか。それが行なわれないで、出たあとでどういう意味ですかというのは、はなはだこれは私は、この事件に対する防衛庁の責任姿勢としては当を得ない。まず第一に指摘しておかなくちゃならないと、こう思う。ちょっといま書類を忘れてきましたので、そのことはあとにします。
 運輸大臣、調査委員会というのは、一体どういう権能を持つんですか。たとえば海難審判庁のように審判権はない、しかも諸外国のこれら調査機能等についても、おおむね審判権を持っていない。こういう事情はわかっている。しかし、そのことをもう一回裏返しから見たらどうなる。私は一つの意見ですけれども、因果関係、原因者関係をとことんまで突き詰めて、そこで、ちょうど刑事事件のように、黒白というものはむろんこの調査関係では明らかにはされないだろう。けれども、きわめて次元の高い、しかも権威ある立場の人あたりが、各般の事情を精密に調査をしてまとめ上げたものが報告書であれば、いわばこれは、最高裁の一つの判決あるいは判定、認定、こういう実は性格をも当然持つものだと思う。
 しかし一般的にいわれますように、航空機の事故等が未来の航空安全に単に資するという、むろんこれは非常に重要なことでしょうけれども、一つの事件をとらえて調査するわけだから、その背景をなすもの、その真実をなすもの、AとBとがあってAがいいとか悪いとかという、そういう文言は出されないまでも、やはり調査報告書というものは一つの判定を示したものである、こういうように私は理解をするんですが、運輸大臣、どういったように考えますか。
#80
○国務大臣(新谷寅三郎君) この問題は、一般の航空法によって云々するよりも、防衛庁の関係がありますので、御承知のように、これは内閣全体として取り上げて、そして事故原因を探求すると、事故原因をなぜ探求するかというと、今後こういったことは二度とあっちゃならないということで、あなたのおっしゃるように、徹底的に事故原因を究明して将来の安全対策に資するようにしよう、こういうことだと思います。対象になっている航空機が一般の民間航空機だけでございますと、これは航空法の範囲内でやることはできますけれども、片一方のほうは防衛庁というような関係があって、特別にこういう調査委員会をつくって、そこであらゆる権威を集めて、防衛庁の飛行機と民間の飛行機との関係を調査すると同時に、制度そのものについても、今後その制度をどういうふうに変えたらば、こういう事故が起こらないかということについても、事故原因と同時に究明しようというので、私は当時のことよく知りませんが、非常に次元の高い調査機関だと思います。
#81
○森中守義君 大臣、ちょっと私の申し上げたのがいけなかったのかわかりませんが、将来に資するという、もちろん、今度のことで空域が分離されるとか、あるいは航空法の不備の点がこれによって直されていくとか、非常に痛ましい犠牲を背景にしながら、一歩前進しようとしておるわけですから。この限りにおいては、あまりにも高価な犠牲であった。そういう認識を私は持つのです。けれども、調査報告のこの権威は一体どう認識をするのか。もっと具体的に言えば、前段にそれぞれから調査委員会は事情聴取をした、事実関係の調査を行なった、こう言っているわけです。ところが、出たあとで、さっき申し上げた三者は是認されたが、ひとり防衛庁だけは是認をしない。極端な言い方をすると、この報告書には承服しがたい、こういうわけで照会を出した、照会というていさいのいいことばを使っているけれども、実際は異議の申請であり、不服の申し立てですよ。これが実は問題なんですね。だから調査委員会の機能というものは、つまり複数の当事者が存在をする、その複数の中のどれかが異議あり、承服しがたいという場合に、一体調査委員会の機能として、受理すべきものであるのか、その辺をもうちょっとすっきりさしておきたいのですけれどもね。
#82
○国務大臣(新谷寅三郎君) お尋ねの点はよくわかりました。
 結局は、この調査委員会というものの法律的な位置づけというものがはっきりしない。これは御承知のように、たとえば海難審判と裁判との関係のごとく、これは必ず海難の審判というものは先決訴訟みたいになっているのですね、これは法律上そうなっている。しかし、この場合は法律上のたてまえからいいますと、これが法律的にもそういう先決訴訟のような役割りをしているかどうかということについては、私は海難審判と同じようには法律上は考えられないだろうと思います。ただしかし、こういったことを実際上の問題として、内閣がこぞってこういう機構をつくり、そこで権威者を集めてやったということですから、法律上の問題はともかくとして、実際上のこの報告書の結論に対する考え方というものは、私はこれはその当時、ここでいろいろ調査を受け、あるいは調査報告書を作成した関係者において、これはやっぱり順守してもらわないと困ると思いますね。
 その点において、お尋ねの趣旨はわかりましたが、法律的にどうかという問題、その法律的にどうかということになってくると、法律上異議があるということになれば、結局裁判に持っていかれる、これは刑事も民事もそうだろうと思います。その場合に、裁判所がこういう非常に権威のある報告書が出ていると、それを海難審判のように、先決訴訟のような実質を備えたものとしてとらえるかどうかということは、これは裁判所の問題でしょうが、おそらく裁判所におきましても、相当これは権威のあるものだというようなとらえ方をするであろうと、私はそういうふうにこの問題を考えます。これはあなたのお尋ねにあるいはぴったりいかぬかもしれませんが、この法律上の問題と、それからこれをどう評価するかという問題と分けて考えると、いま申し上げたように考えざるを得ないのであります。
#83
○森中守義君 大臣、これは決して二人の間で議論のそりが合ってないということじゃないのですよ。ただ私は、在来の主張からいたしますと、大体航空事故調査という根拠それ自体が非常にあいまい。単に、百三十二条だったかと思いますが、これを受けているわけですね。しかし実際問題としては、これはもっとやっぱり厳粛なものに見るべきじゃないですか。いま出されている、やがてその審議に入らなくちゃいけませんけれども、私はこういう重要なものを訴訟に持ち込むとか、裁判所で争うというこの姿勢に問題がありますよ。考えてごらんなさい。むろん有能な裁判官あるいは検察官がおりましょう。けれども、いやしくも航空の専門家じゃないですよ。そこに問題を持ち込んでいって、ただ判決を出し得るという機能に依存をして、こういう問題をそういうところに転嫁すること自体が間違い。やはり権威ある専門家、その任にある運輸省、この辺でやっぱり決着をつけなくちゃいかぬ。だからそういう意味で、私は、かりに諸外国には、これは調査委員会で黒白をつけ得るような制度がなくても、これからわが国の未来の航空事業を考えていけば、ある程度きちんとしたものをほんとうはつけるべきだ。そういう前提に立っている。
 今回の法案にしても、その辺がないと非常に残念ですけれども、まあこれはその時期にそのような意見を述べるようにしたいと思うのですが、結局この報告書というものは、その人それぞれの能力であるとか、実態の把握の状態であるとか、まあそういうことまでは入りませんが、一応いまわが国の航空事故に対する調査委員会、これからも恒常的なものになっていきましょうが、いままでそのつど編成をされる委員会であったにせよ、もっとこれは重視しなければいかぬのじゃないですか。
 だから要約しますと、事故調査委員会の運営、機能、権限というものをどういうようにお考えか、いままで。黒白はつけるものじゃない。これから先の改善をしていくような一つの基調にすればいいという、ただそれだけじゃ済まぬと思うのですね。だから作業の段階及び報告書が出たあとに関係当事者の意見を徴する、異議の申請、不服の申し立てを受けるべきものとして予定されておるのか、おらないのか、それをはっきりしてもらいたい。
#84
○政府委員(内村信行君) これから将来、立法論といたしましてどうするかということは別問題にいたしまして、現状を申し上げますと、現在の事故調査というものは裁判のごとくに一審、二審というふうな制度になっておりません。
 それで目的は、先ほど来大臣が申し上げましたとおりに、同種の事故の再発を防止するということが目的でございます。したがいまして、事故調査といたしましては、これは先ほど先生御指摘のように、百三十二条に事故調査という項目がございまして、運輸大臣が事故調査をやるということになっております。通常の場合は事故調査課というのが航空局の中にありまして、そこで事故調査をやって結論を出すということにいたしておりますが、今回の場合には非常に大きい事件であったものでございますから、特に総理府に事故調査委員会を置き、それに対して運輸大臣が全面的に権限を委任したということによって、問題を大きくとらまえて、かつまた客観的、公正に問題をとらえたいということがその趣旨であったわけでございます。
 そこで法律的に申しますと、今回の事故調査委員会につきましても、従来の私どもが行なっております事故調査と同様に、客観的な事実をもとにして明らかにするところまでをするということが任務でございます。したがいまして、事故調査の場合にはいろいろな説がございまして、たとえば二説ある場合もございます、原因につきまして。そういう場合は少数説、多数説というふうに両方並べまして、それに対して私どもといたしましては、両方に対する予防措置というものを考えてまいりますが、そういった意味において、簡単な事故でございますと、これは完全にその原因まではっきり究明できますが、事故によりましては若干、事実関係としてはここまで、それ以上は推論ができないというふうな場合もございます。したがいまして、事故調査の場合には、ともかく客観的な事実をもとにして、わかったまでの結論を出すということをたてまえとしておるような状態でございます。
#85
○森中守義君 異議の申請、不服申し立てについては、その辺はどうですか。
#86
○政府委員(内村信行君) したがって現在、この事故調査についての異議の申し立て、不服申請ということは行なっておりません。
#87
○森中守義君 それでややはっきりしてきましたが、防衛庁の政務次官、途中になりますが、事実関係をお尋ねいたしますけれども、事故調査の報告が総理に提出されたのが四十七年七月二十七日、これに対して防衛庁が照会を発せられたのはいつですか。
#88
○政府委員(大西誠一郎君) 昭和四十七年の十二月二十五日付の文書でございます。
#89
○森中守義君 この山縣委員会が任務を終了して、委員会を解散したのはいつですか。
#90
○政府委員(須藤博忠君) 正確な日にちは記憶いたしておりませんが、昨年の七月二十七日に総理大臣あてに報告書を提出いたしまして、それで委員会の任務を終了いたしましたので、その後間もなく解散をいたしております。たしか八月の初めには解散しておったと記憶いたしております。
#91
○森中守義君 そうしますと、防衛庁は、いまお聞きのとおりでね、二十七日に報告書が出た、おそくとも八月の上旬には委員会は解散した。その事実を認識をしながら十二月二十五日に出したということですか、いかがですか。
#92
○政府委員(大西誠一郎君) この報告書をいただきましてから、しさいにこれを検討する上において、かなり時間を要しました。その間にただいまお話がございましたように委員会が解散をされましたので、私どもとしては総理府の交通安全対策室を窓口として御照会を申し上げるという手続をとったわけでございます。
#93
○森中守義君 そのあたりがそもそもおかしいんだね、常識的に考えても。委員会が解散したという事実は知っていたんでしょう。どうですか。
#94
○政府委員(大西誠一郎君) 存じておりました。
#95
○森中守義君 知りながら総理府を経由して照会したというんだけれども、むろん報告書を出すまでのいろいろなことについては、これはやっぱり山縣さんは主宰者、総括責任者としてお答えができるでしょうね。しかし問われている内容について、委員会が消滅したあと、山縣さんに何を聞いてもコメントできますか。あなたがその立場に立ってもできますか。もう機能は喪失している、人がいないのですよ、調査委員会という、中身がない、そこに委員長これについてはどうだと、こう言ってみても、少なくとも複数の委員によって慎重に、真剣に精密に調査された報告書が出た以上、何を山縣委員長に聞いて返事ができますか。そういう認識それ自体が防衛庁間違っている。どうですか、政務次官、それが問題だよ。
#96
○政府委員(箕輪登君) 私が聞いておる限りにおいては、しさいにこの報告書を検討するのに少し手間をとってしまった。そこで、まあ二、三不分明なところを聞こうということでやったわけでありますが、時期が少しおくれたことは事実でございまして、そういう経過につきましてはまた担当の大西からお答えさせたいと思います。
#97
○政府委員(大西誠一郎君) この報告書が出まして、さっそく検討いたしましたところ二、三わからない点が出てまいりました。そこでこれをどうするかということにつきまして、総理府のほうにもお伺いをいたしたわけでございますが、解散をしたあと窓口として取り次ぐというようなお話もございましたので、私どもとしては委員会が解散をして照会先がなくなるということについての疑念はございましたけれども、そういう方法以外にございませんので、そのような手続をとったわけでございます。
 なお、先生御承知かと思いますけれども、航空事故の調査は航空法の百三十二条で運輸大臣がおやりになる、そしてその事務局として航空事故調査課というのがございますので、通常の事故調査の場合には仕事は航空事故調査課で受け継がれるというふうに私どもは理解しておりますが、今回の場合には、たいへん異例なことでございまして、まあ私どもとしては、それ以外にこの問題について照会を申し上げる手だてがなかったというのが実情でございます。
#98
○森中守義君 いまの答弁、ますますおかしい。総理府の場合、そういう疑問があれば取り次ぎましょう、だから照会したと、こう言っているわけだ。そうすると七月の二十七日に出された。総理の諮問だったと思いますよ、閣議でどういう扱いをしているんですか。しかもその閣議に防衛庁長官は出席していなかったのですか。閣議はこの報告書を了解をしたのか。防衛庁、運輸省、全日空、それぞれに疑義があるならばただしなさい、そういう閣議の趣になっているんですか、了解されているんですか。その席上に防衛庁長官いたんですか。重大な問題です。
#99
○政府委員(小宮山重四郎君) 事故調査委員会を解散するときに、閣議報告という形で閣議に総務長官から御報告いたしておりますので、全閣僚出席いたしておりました。
#100
○森中守義君 いや、だから承認されたのか、それとも不服や異議の申請を……。
#101
○政府委員(小宮山重四郎君) 報告いたしまして、それを了承したということでございます。
#102
○森中守義君 それならば副長官なのか局長かわかりませんが、防衛庁から疑問が出てきた、取り次ぐという意味はどうだ、一たん閣議が報告を了解したのに、了承したのに。了解した、了承したということはよろしい。権威あるものとして内閣は受け取りましょうということでしょう。そのあとで疑問があったから取り次ぎますというのはどういうことですか、許されますか、そういうことが。閣議というのはそんなに権威のないものですか。ここには運輸大臣おいでになるが大臣はどう思われるか。閣議の了解、了承というものはどんなものですか。問題だよ、それは。
#103
○政府委員(小宮山重四郎君) 防衛庁からそういう要請がございまして、委員会は解散いたしております。しかし、要請がございましたので各委員にこういう要請があったということはお伝えを申し上げたわけでございます。
#104
○森中守義君 閣議の内容を私は知りません。けれども全閣僚が参集をして閣議で報告を受ける、了解をする、了承したということは、少なくとも責任ある内閣の措置ですよ。それをすでにもう実体はなくなった。あとで疑問があると言ってきたからそれじゃひとつ取り次ぎましょうなんという、そういういいかげんなもんでいいんですか。これは両方問題がある。その辺に私は内閣の姿勢の問題があると思う。どうですか、いいんですか、そんなことで。いいか悪いかはっきりしなさい。一々防衛庁の言うことを聞いているからこんな問題になるんだ。
#105
○政府委員(小宮山重四郎君) 総理府といたしましては、解散した後、私たちには航空事故についての知識もございません。で、こういう要請がありましたのには、ほかに航空安全推進会議からの要請もございました。しかし終わったあとでこういう要請があったということは元の委員の方々には一応お知らせする、通知していく必要があるかと思いまして通知いたしました。
#106
○森中守義君 防衛庁の政務次官、あなたの時代だったらどうかしりませんが、お聞きのような一連の流れからいった場合、防衛庁長官も報告を受けて、総理以下全閣僚が了承した。防衛庁長官といえども了承しているはずですよ。それなのにあとで異議がある、言い分があると出していいんですか、そんなことを。だからきのうあたりまで防衛庁の文民統制の問題、シビリアンコントロールの問題等がさなきだに議論されるのはこの辺にありますよ。閣議が了承したことをあとになって異議がある、しかも聞くべき相手はもういなくなった。いいんですか防衛庁、そういう姿勢で。はっきりしてくださいよ。
#107
○政府委員(箕輪登君) これは閣議了承ということでは私ども聞いておりませんで、閣議に報告をした、また閣議がその報告を受けたということだと私どもは認識しております。
#108
○森中守義君 おかしいな。(「そういうことでいいのだよ」と呼ぶ者あり)よくないよ。何を言うのだ。委員長、私語を厳に注意してくださいよ。岡本君に聞いているんじゃないんだよ。(「私はひとり言だよ」と呼ぶ者あり)
 いま防衛庁の政務次官の言われるとおりですか。了承ですか、了解ですか、単に報告を受けたということですか。
#109
○国務大臣(新谷寅三郎君) 問題の形の上での取り扱いは私よく知りません。これは担当が総務長官が中心になってやったようですから、総理府のほうでお答えになるのが正しいと思いますが、結局私の知っている範囲では閣議決定もある、閣議了解ということもあります。閣議で報告をして、その結果、各閣員とも了承をするという形もある。また単純なる事実の報告でございますと、単なる報告もある。そういういろんな段階があると思うんですよ。これがその中のどれに当たるのか、これは総理府のほうで調べてもらわないと、私もそれはいまここであれは了解であったとか、了承であったとか、決定であったとかいうことは、ちょっと私はわかりませんが、ただ、いまそういった段階があります。
 しかし、いまあなたが言われるように、閣議ではこういう報告があったと、結論は大体こうですというようなことを言われて、それに対して各閣僚とも異議がなかったということは、この報告に対して各閣僚ともそれはもっともだということだったと、私はこう思いますけれども、しかしその当時の報告書の扱いが形の上でどういう形だったか、それは私よく知りませんから、それは総理府のほうでひとつ調べてもらってお答えしてもらう以外にないと思います。
#110
○森中守義君 これひとつ、副長官のほうでもう少し正確にしてくれませんか。しかし非常に重要な行政府における一つの扱いのかがみにもなりますから、一々閣議できまったことを、各省庁の役人があれはこうだ、ああだといってやられたんじゃとてもじゃないが、内閣は執行の責任は持てないじゃないですか。
 そこで防衛庁の場合、そういう閣議の決定の方法あるいは閣議の扱いがどうであろうと、実態が存在しなくなったものにものを問いかける、それ自体が不見識ですよ。そう思いませんか。それと、私は何としても調査委員会の構成、性格、任務、責任、こういうものからいって、冒頭に申し上げたように、きわめて次元の高い報告であり、審判が行なわれるということがないだけに、これはいわば最高の判定として服すべきですよ。そう思いませんか。運輸大臣が、通例、こういう航空事故調査の百三十二条を発動されるにおいて、また今回は、総理のほうであまりにも事件が重要であった、だから一部署としての運輸省よりも、内閣一体としてやろうというわけで、総理が委嘱したわけですね。それが出てきたのに、あれやこれや言わせるようなことがいいんですか。私は審判というものが行なわれないだけに、出された内容については率直にこれを受けとめる。おそらく問われている内容等も調査報告が出る段階には十二分に議論が尽くされに尽くされた、こういうように私は考える。
 たとえば、せんだって私がお尋ねしたとき、その答え及び今回の場合、この見張りの問題、六六ページの「推定原因」の一項にありますね。なるほどこの中には見張りの義務があるのかないのかということは触れておりませんよ。けれども、航空の専門家が航空法の七十六条を裏から読み、縦から読み、横から読み、いろんな読み方をしてこの中にきちんと整理されている。このくらいの理解のないような調査委じゃないと思う。わかりませんか、それも。そこがわからぬといって聞いているそれ自体非常識じゃありませんか。むろんこのことは、この前の委員会で、航空局長は明らかに見張りの義務がある、こう言って答えているんですよ。調査委員会がこういうような重大な問題について、一体これはどうなのか。その義務のありやいなやということを見のがすほど、私は見識のないような委員じゃないと思う。言ってみれば、こういうことはちゃんと議論済みですよ。なぜいまさらのように、こういうことをわざわざ照会の必要がありますか。こういう照会を受けた山縣さんはじめ委員の皆さんが会合して、どう扱うということはなさらぬでしょう、もう任務終わっているわけだから。まあ機会があればここに来てもらって所見を述べてもらってもいいんですけれども、第一委員に対して無礼じゃないですか、そういうことは。どうですか。
#111
○政府委員(大西誠一郎君) 先ほど申し上げましたように、私どもはこの調査によって公正な判断を仰ぐという意味で、最後の過程におきまして判断に影響を与えるようなことを申し上げることは控えたわけでございます。そこで、この報告が出ました段階で、私どもがいろんな点から想像しておりましたところから考えて疑問の点が出てまいりましたので、私どももこの報告書が将来の飛行安全のためのものであるということは十分承知しておりますので、その点に限ってみましても、疑問点を解明をいたしておくという必要があろうというふうに判断したわけです。もちろん、いま先生が御指摘になりましたように、委員会という一つの組織体がなくなりましたので、そういう意味では、たいへんその疑問についてお答えをいただくということはむずかしいということはございますけれども、先生にお取り次ぎをいただいて、少しでも疑問点を解明をして、そして正確な角度から安全対策というものを考えてまいりたいというのが趣旨でございます。
#112
○森中守義君 まあ照会を発したという意味合いは、むろん航空の安全ということに原則を置かなきゃいけません。けれども、こういうような照会ということが是認をしないという前提に立っている。だからそのことをもう少し類推していきますと、すべて防衛庁だけが責任をになうべきでない、相手方にも責任はあるんだよと、こういうような言い方じゃないですか。この前、その責任の限界の問題で、九十何%は防衛庁であるかもわからぬけれども、相手のほうにも責任があるんだというような言い方が暗にほのめかされている。むしろ航空安全というそういう面からよりも、責任の分限をこの際明らかにしておきたいというようなことが本旨じゃないですか。そのことが実体はなくなった、しかも十二月の二十五日ですからね、約三カ月余りたっている。もちろんその間にいろいろ検討の結果ということになりましょうけれども、相当期間をおいて実体のないものに意見をぶつけていくということは、これがいろんなものに影響して今日のように問題を発生しているということになると、大西さんの言われるように、航空安全のためにということには受け取れない。そのことに籍口して、ある程度責任をのがれよう、あるいは責任問題が新たな議論を巻き起こしている。こういうこと以外に受け取る方法がないんですけれどもね。あなたの考えとずいぶん違う。防衛庁の見解というのはおおむねその辺にあるんじゃないですか。政務次官どうですか、そこが問題だよ。
#113
○政府委員(箕輪登君) やはりこの検討する時間がだいぶかかり過ぎたので、先生のような疑問もわいてくると思いますが、これはもう事が重大なことでございますので、私が防衛庁に聞いている範囲におきましても、十分検討してみて、これだけはちょっとわからないんだという点が三点ほどあった、それを御照会申し上げたということでございまして、それに少し時間を取り過ぎたような感じはいたしますけれども、それだけに慎重にこちらも検討したというふうに御理解いただければありがたいと思いますが。
#114
○森中守義君 ということは、結局調査委員会の結論に対しては信頼できない、防衛庁は防衛庁独自の考えがある、こういうことですね。せんじ詰めればそういうことになると思う。
#115
○政府委員(箕輪登君) 調査委員会の報告書につきましては、やはり私どもも権威のあるものだと思っております。これはやっぱり相当な権威のある人方がつくったんだと、権威ある報告書だとは思います。それは信じていただきたいと思います。しかしながら、わがほうでしさいに検討してみますというと、どうもこれは、全然だめだということでは絶対ないんであります。確かに報告書というものは権威のあるものであるけれども、しさいに調べてみますというと、わがほうからこういう質問をしてみたいというようなものが三点ほどあったので、御質問を申し上げておるという状況でございます。
#116
○森中守義君 これは運輸大臣、それから副長官、航空事故調査委員会というものは、さっきから申し上げているように、いま意見とか照会と言われるけれども、実際は異議の申し立てですよ、不服の申し立て、そういうものをやって調査委員会の運営ができますか。この具体的な問題を照らし、あるいは将来にわたりまして、今回の事故調査委員会でも結審の制度がないんですね。あとは、さっきも述べたような裁判に問う。こういうようなことで、事故調査委員会はやっていけますか。今度は、防衛庁がそうやった。かりにこの次、もしも、あっちゃならぬけれどもあった場合、たとえば運輸省の管制上の問題であったとか、あるいは設備上の問題であったいう場合、運輸省が異議申し立てた場合、どうなりますか。そのくらいやっぱり調査委員会というものは権威を持たせると、それであればこそ結審の制度はなくてもいい、そういうように私は理解するのですがね。
#117
○国務大臣(新谷寅三郎君) おっしゃることはわかりますが、初めに申し上げたように、私は立法論の問題と、それから現在ある、こういう運輸大臣がやる調査、これは調査委員会をつくれとは書いてないんですがね、百三十二条は調査をするわけです。まあ多くの場合、運輸大臣は、非常に専門的なものですから、調査委員会をそのつどつくっています、いままでは。今度はそれじゃいかぬからというので、この恒久的な調査委員会をつくってもらいたいというふうに、いま提案をしているわけですが、いまのところは、この調査委員会は、現実に法律上の要請じゃないわけですよ。で、法的なたてまえはそうですから、私は法律を読みまして、あなたのおっしゃるのは相当立法論に触れるところがあるのでお答えしますが、立法論としては、非常にこれは欠陥があると思っているのです。これじゃいかぬと思うのです。やっぱりこれが第一審といいますか、さっき申し上げた先決訴訟のような形をとらせるというためには、それに対応するような権利義務の関係がありますから、それに対してコンプレインする人はコンプレインするという道をやっぱり開いておかないと、押しつけるわけにはいかない。それじゃ、第二審はどうするのかというような問題が、制度としては考えられなければならないと思うのですが、それは相当気をつけてやらないと、国民の権利義務の関係に大きな影響ありますから、これはまだ慎重に検討をするようにということを、航空局長以下に命じているわけなんです。
 これは立法論の問題です。その点について、運輸大臣のやる調査、今度はそれにかわるもっと次元の高いといいますか、片方は民間航空機であるけれども片方は防衛庁の飛行機だというので、少し高い視野から、内閣全体としてこういう調査委員会をつくって、それで今後こういう原因によって再発しちゃいかぬぞというので徹底的にやったと、こういうふうに受け取るべき問題だろうと私は思っているのです。それだけに、おっしゃるように、これは相当権威がある報告だと私も観念せざるを得ないのです。
 で、これに対して、事実問題として、防衛庁のおっしゃるように、何か報告書だけ見ると、自分のほうでこの点はどうだったんだろうか、調査の段階で、というような点があるので照会したとおっしゃる。それは調査の結果を決して否定するものじゃないのです。これは非常に権威のあるもので尊重するのだと、こういう政務次官の御答弁もあるので、その点は、私は大体森中先生の言われるのと――これは制度のないところにいろいろ法律的問題を持ち込むと、これお互いに角度が違って平行線になりますけれども、実際問題として見ますと、そうたいした違いはないんじゃないかなと思ってさっきから伺っておるわけなんですが、だから防衛庁のほうも、調査結果についてはこれは尊重しますと、こういう態度でいかれるなら、今後の問題は別といたしまして、いまのこの事件の処理の問題としましては、大体まあ同じような考え方をもって進んでおられるのじゃないかと私は思うのですけれども、そうじゃないでしょうかね。私は、さっきから質疑応答を聞いていまして、そういうふうにとらえているのですけれども。
#118
○森中守義君 そういう大臣の見解も理解します。決して単純な考えでお述べになっていると思いませんけれども、実はこのことがいろいろなことに影響しているのです。
 まず第一点は、回答の対象がないのにわざわざどうして回答を求めるのか、疑問が生まれるのはあたりまえでしょうね。また、いま一つは、当事者間の話し合いの中で、このことが一つのネックになって事態が前に進まない。そのために、片一方の当事者のほうでは訴訟によってものごとの処理をしよう、こういう責任の一つの限界というのがこれによって生まれてきているのですよ。
 だから私は、くどいようだけれども、すでに三カ月も経過した。しかも実体は消滅をしている。のみならず閣議では、報告を受けて、その形態が完全な了承、了解というものであるかどうかは、これはあとでまた報告してもらいますからわかるけれども、いずれにしろ、閣議が一応これで受け取ったものを、わざわざ問題を提起したところに障害が発生をした。それがわからないから実は問題にしているわけなんで、大臣のように、そうむずかしいことを言わぬでも大体さわりは同じようなものじゃないかということでは、やはり済まない現実的な形態があるのですね。だから防衛庁の出方が私は適当でない。問題を提起した、是認しないと、こう言っている。是認しないということは、照会の中に盛られている内容について疑問がある。もっとこまかく言うならば、ひとり防衛庁だけの責任じゃないのだ、全日空にも見張りを怠ったのじゃないか、あるいは回避すべき作動をしなかったのじゃないか、こういうことで、責任の一端を全日空のほうに持ち込もうとしている。これが問題だと思うのです。
 だから調査委員会は、そういう照会をわざわざ発しなければならないような不見識な調査をやったのじゃない、きわめて権威ある高い立場から見ているのだから、もはや照会の必要がないようにすべてのものは吟味されているのじゃないかと、こう私は言っているわけなんで、だいぶ大臣の見解と私の心底にあるものというのは、かなり開きがありますね。どうか、いま非常にくどく申し上げましたが、そういう見解からお答えがあるならば承りましょう。
#119
○国務大臣(新谷寅三郎君) この調査委員会でこういう結論を出しておられるので、この問題については運輸省が直接調査に当たったわけじゃありませんから、いまの具体的にいろいろおっしゃった点は、実は私も、十分に自分の責任において調査しているわけじゃありませんから、その点はあなたのおっしゃるような点があるのかと思います。
 しかし、私さっき申し上げたのは、制度的な問題はいまはもうないものですから、だからこの調査報告書というものをどういうふうに各関係者が受けとめるかという問題に帰するわけでしょうね。だから、そこのところが、これは法律問題じゃありませんね、法律ないのですから。法律がないのだから、現行法制のもとでは法律的にこれは拘束されるぞとか、これにはさらに不服があれば何か上級の機関に提訴できるとか、そういった何もないのですから、だから法律上の問題じゃない。実際、行政上、そういう調査委員会をつくって調査をして、それで閣議にまで報告した。そういったものを、関係者がどういうふうにそれを具体的に受けとめるかと、その態度の問題にかかってくると思うのですよ。だからこれは法律上の理屈の問題じゃないということを、私はさっきから言っているわけで、その内容について争点があれば、これはまたそこで、その問題について話し合いをしてもらう以外にないと思いますけれども、この調査制度というものを担当している運輸省としましては、この制度上の問題としては、いま申し上げたようなお答えしかできないと思うのです。
 ただ、将来に対して申し上げられることは、非常に法制が不備である。不備ですから、これにはできるだけ早い機会に何かの立法措置を講じまして、今後あるいは起こるかもしれないそういう事態に対して、最終的におきめになる裁判所との関係をどうするか、それから調査委員会なら調査委員会の結論というものに対して、どの程度の拘束力を法律上与えられるかというようなことを考えていかなきゃいかぬなということを、私も考え、事務当局にもそれを研究さしている段階なんです。
 だからこの問題を、そこの百三十二条と一緒にしてやりますと、百三十二条は調査をしますと、将来絶対にないよう原因調査をいたしますと、その結果を公表しますということにしかならないわけですから。だからその問題と離して、いまどうその報告書を受けとめるかということで御審議をいただくと、問題がもっと煮詰まってくるのじゃないかと私は思っているということを申し上げているわけです。
#120
○森中守義君 これは運輸大臣、だんだん話をしている間に、焦点は大体煮詰まってきているのですよ。もっと端的なことを申しますと、もう調査報告書というものは、防衛庁から問われるまでもなく、ありとあらゆるものを吟味し、チェックをし、実態を把握されて出された答えなんだから、何もいまさらのように防衛庁が聞く必要ないじゃないか、それには特定の何かの意図があったんじゃないだろうか、こういう推定を私はするわけですね。全体のいま流れからいくと、もうその必要はない。しかし現実に実体のないものに照会が出ている。その事実を防衛庁が率直に理解するならば、わかりました、出したこと自体が適当でなかったという、こういう見解に立つのか。そうでなくて、あくまでも疑義を何らかの形で解明をしたい、しかし相手はない。そうだとすれば、調査委員会を編成をした総理府が、まさにこれは軽率であったと言うべきでしょうね、取り次いだこと自体が。
 しかし、そんなこと言ったってしようがないから、ここでどういう扱いをするのか、この辺のことをこれから少し政府のほうで検討される必要がありはしませんか。同時に、この扱いの模様次第では、すでにもう任務終了されたとはいいながら、関係の委員の皆さん方は、ずいぶんいろいろな意味で心証を害するでしょうね。こういうふうにやったのが何が不足なのかという、こういう極端な意見を持つ人もおられるだろうし、その見解は必ずしも同一でないにしても、少なくともこの問題は何かの形で扱っていく必要がありますよ。この調査報告書は、防衛庁から出ました、どうもいただきかねる、もう一回やってくれということになるのか、あるいはそんなことだめだと、防衛庁よけいなこと言うなというようになるのか。だから、扱いを考えないと、すでに出されたものを、このまま未解決でほうっておく、しかも未解決のままに放置されることが当事者間の解決に重大なる障害を与えるということになると、非常にまずいと思いますよ。
 だから大臣の言われるように、百三十二条の法的根拠が何なのか、調査委員会とは何をすべきかという、その議論はもういいんです。調査委員会法の審議の際に、もっとこういう問題に触れなくちゃなりませんから、そのことは、私はこの場では非常に大きな問題にしていない。どう処理をするのか、これをひとつはっきりしてもらいたい。そうすると、当事者間の話というものも、やや具体的に前進をするんじゃないか、こう思うんです。
 まず防衛庁、私が言ったことが理解できるならば聞きましょう。理解できるけれども防衛庁では聞けない、こういう御意見なのか。あるいは政府一体のものとして、この扱いをどうするかという、そういう見解。それから副長官のほうも、むしろこれは、形の上では総理府の責任ですね、おやりになったわけだから。どうするのか、ある意味では、運輸大臣が中に入られて、関係の省庁の意見の調整をおはかりになるのが妥当だと思うのですが、まあひとつそれぞれからお答えをいただきたいと思います。
#121
○政府委員(箕輪登君) まず、先生のお考えがわかりましたが、そこでひとつだけ御理解いただきたいと思うのでありますが、先ほども述べたのでございますけれども、この調査報告が、私はやっぱり権威あるものだと思っておりますし、防衛庁全体もそういう受けとめ方をいたしておることは事実でございます。したがって、その調査報告を否定するものでは全くないのであります。しかもこの調査報告は政府に報告をされたものでありまして、私どものほうもそれは認めますが、私どもは政府のほうに向かって、こういうことはどうだろうかというような疑問の点をいま照会させていただいているというところでございます。
 結局、問題の解決はどこでするのだというようなお話だと思いますが、いま裁判に御承知のとおりかかっておりまして、すみやかに判決が出れば、それに従って処理したいというような考え方でおるわけでございます。
#122
○国務大臣(新谷寅三郎君) 各方面、まだこれ、いろいろ意見があるかもしれませんが、森中先生、これはこういうふうにしてみたらどうでしょうか。その当時、調査会を担当された総理府の関係を代表されて副長官が見えていますから、相談をしてみたんですけれども、一ぺん総務長官と防衛庁長官と、私も中に入って、どういうふうに受けとめるかということについて話し合ってみましょう。いま防衛庁のほうは訴訟にもなっていると、それは最終的に、お互いにどうしても異論があって、きめるとすれば、それは法律上は裁判所がきめる以外にないと思います。しかし問題の性質が少し私は違うように思いますから、この点は一ぺん関係閣僚と近いうちに話し合ってみます。あなたのおっしゃることもよくわかる。ことにこういう専門的な技術的な問題になりますと、もう日がたつと、当時のことがだんだん忘れられてわからなくなってしまうんです。ですから、さっきも申し上げたのですが、私も審判官、裁判官みたいなことを海難のほうは何年もやりましたが、なるべく早く事実が明確につかまえられる時点におきまして、事実を究明して、これはこうであったということを出すわけです。その場合には、関係者も十分呼んで事情を聞くわけです。そして海難審判という、一種の懲戒裁判ですね、懲戒処分をするわけです。しかし裁判所へもっていって刑事事件、民事事件になった場合は、その海難審判というものが、ちょうど先決訴訟のようなかっこうになって、内容は全部それに従うのです。ですから、いまそういう種類の制度がないものですから、いまあなたのおっしゃるような問題がいつまでたってもぐるぐる回って起こってくるわけです。
 しかし、この調査会ができたについては、おそらくこういったことは二度と起こすまい、どこに原因があったのだということを徹底的に究明するための調査会に違いなかったわけですから、やっぱりこれは、防衛庁も言っておられるように、われわれのほうもそうですが、これの結論に対しては、政府部内としては尊重する義務があると私も思います。そういう点を踏まえまして、一ぺん関係閣僚で相談してみましょうよ。そうして打開の道を発見していこうと思いますが、それでどうですか、御納得していただけませんか。その結果を見ていただけませんか。
#123
○森中守義君 いま私が申し上げたことを運輸大臣は全面的に了承されましたので、それはもう非常にけっこうだと思う。しいて、せっかくの大臣のそういう所見の表明をとやかく言う筋のものじゃもちろんありませんけれども、どちらかというなら、ちょっとおそ過ぎましたね。いまこういう航空問題に、非常に関心が世論の中に高まっていますよ、特に日本航空の連続する事故であるとか、いろんなことで。それで、そのつど、事故が発生をした瞬間に非常に大きな社会不安、社会問題を提起するんですね。時間がたてば一体あの事故はどうなったんだと、そしてまた何か起きた際に、あれはどうも結末がはっきりしないまま終わってしまった――逐次そういう不安が醸成されておる。こういうことを非常に私どもは懸念するんです。
 ですから、本来であるならば防衛庁も単独でそういうことをなさらないで、もう少し慎重に扱うべきじゃなかったんですか。特に、いま政務次官の言われる係争中だからと、この所説に私は同意しがたい。つまり是認をしない。共同不法行為があったんだと、そういうことを一つの前提に置いて当事者間の話し合いをなさるものだから、よんどころなく訴訟に発展をする、実はこういうことをどういうように評価すべきであるのか。私は毎々申し上げるように、この報告書を是認するならば、すでにもう国家賠償法が発動された、こういう段階で問題がこじれるはずはないんですよ。だから、そういう意味では、よほど防衛庁は心すべきことだと思う。こういう権威あるものに対して、まさにいんぎん無礼ですね、内容について疑問があるから聞かしてくれと、相手はいなくなった。ところが、それを一面てこにして当事者間の話し合いがもつれるというようなことは、だれが見ても好ましい方向ではない。
 そういう意味で、私は運輸大臣の言われることを全面的に信頼しましょう。ただし時期としてはおそかった。けれども、早急にいまお話がありましたような措置でこの問題の決着をつけてもらいたい。そういたしませんと、あってはならないけれども、またまた発生したような場合に、一体どなたが調査員になられるかわかりませんけれども、引き受け手がなくなりますよ、こういうことでは。そういうところまでも、やっぱり思いを及ぼすべきじゃないかと、こう思うんですね。ぜひそれはやってもらいたいと思うし、防衛庁もそのことに異論ありませんか。
#124
○政府委員(箕輪登君) 異論ございません。
 ただ私、先ほど係争中のものであるということを申し上げた趣旨は、これは防衛庁のほうは、受ける立場にございますので、お受けいたしますという意味で訴訟の問題を申し上げたわけでございまして、その前に、いま運輸大臣から御提案のあった関係三閣僚で話し合いをするということについては、防衛庁としては何の異議もございません。非常にけっこうだと思っております。
#125
○委員長(長田裕二君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#126
○委員長(長田裕二君) 速記を起こして。
#127
○政府委員(小宮山重四郎君) 先ほどの御質問の中で、閣議の報告をどうだということでございますけれども、昨年の七月の二十八日の閣議で総務長官が発言いたしております。資料ともに配付いたしまして、閣議といたしましては了承されたという形をとっております。閣議の中では、決定が一番上でございまして、その次に口頭了解、報告を了承というような形で、幾つかの形に分かれているようでございます。
#128
○森中守義君 そうなると運輸大臣、以上ではっきりしましたね、閣議も了承したということですから。防衛庁の言っておるのが間違いだということになりましょうね。
 そこで、ちょっと事実関係ですが、三月の八日のとき、私は触れなかったのですが、全日空の中塚参考人のほうから、要するに「推定原因」の二項については所見が述べられておる。これに対して運輸省からは所見の表明がなかった。あるいは私が問わなかったのかもわかりませんが、これは全日空のお考えはこれで非常にはっきりしておりますが、運輸省ではどうですか。
#129
○政府委員(内村信行君) いまの先生の御質問は、この事故調査書六六ページの「第二の原因」というところでございましょうか――そこにつきましては、ここに書かれておりますように、「全日空機操縦者にあっては、訓練機を少なくとも接触約七秒前から視認していたと推定されるが、フライト・データ・レコーダの接触前の記録に機体の反応が示されていなかったことからみて、接触直前まで回避操作が行なわれていなかったことである。このことは、全日空機操縦者が訓練機と接触すると予測しなかったためと考えられる。」、こうございます。これについては、たしかこの前、先生の御質問がございまして、私お答えしたかというように、完全ではございませんが、ちょっと記憶しておりますが、これにつきましては、私どもといたしましては、ここはその事実を述べたものでございまして、「七秒前から視認していた」というふうに推定された事実があるということと、それからその間に回避をしなかったという事実がある。ただし、この回避をしなかったということが、このあとに書いてございますように、「接触すると予測しなかったためと考えられる。」、こうございますが、これに対する価値判断は私どもちょっといたしかねます。つまり回避をすべきであったのにしなかったのか、あるいは回避をすべきではなかったのが当然なのかということについての価値判断は、私どもとしていたしかねるというように考えております。
#130
○森中守義君 この辺が防衛庁の照会の一つの焦点にもなろうが、それは中塚参考人がこの前きわめて明快に、やろうとしてもできない、物理的に物体的に。こういう実は所見が述べられている。私は、もうこれ以上きょうはこのことについて詰めませんけれども、すでに全日空はこういう所見を述べられている。防衛庁との間にここに一つの争点があるわけですから、これはひとつ三閣僚が協議される際には、よほど慎重に、全日空の意見等もこの中に十二分に採用されるような、そういう措置がとられてしかるべきであろうと、こう思うんです。どうでしょう。
#131
○政府委員(内村信行君) ただこの点につきましても、おそらく事故調査委員会でもそういうことは問題になって、問題になったけれども、これ以上については原因の究明はできないというところからこういう表現に終わったんだろうと、私どもは推測するわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、専門的な権威がたくさん集まって、数次の議論を重ねた上でこういう表現をとったわけでございますから、これに対して、積極的にこうであるとかああであるとかというふうな推定は、非常に困難ではないかというふうに私は考えております。
#132
○森中守義君 とにかく、きょうは本件についてはこの程度にしておきますが、運輸大臣、早急に御処理願うように強く要望して、この件は終わりたいと思います。
#133
○委員長(長田裕二君) 速記をちょっととめて。
  〔速記中止〕
#134
○委員長(長田裕二君) 速記を起こして。
#135
○森中守義君 せっかくアジア局長が見えていますから、中国乗り入れを予算委員会でゆっくりできなかったので少し聞かしてください。
 アジア局長、予算委員会で、こういう問題、ちょっと触れながらも十分でなかった。しかるに非常に時の問題ですし、ことに人事往来がこれからきわめて濃密になっていきますから、早く決着をつける必要がある。ついては予備交渉の経過はどうであったのか、何が問題なのか、どうすればいいのか、そういう現状を詳細に御説明願います。
#136
○政府委員(吉田健三君) 日中の航空協定につきましては、昨年の十一月に日本側の協定案というものをつくりまして、先方に届けたわけでございます。まあ中国のほうは、ICAOその他の国際機関との関係もありまして、先方も日本側の提案を非常に検討されたようでございますが、返事がおくれまして、ことしの二月の末に、先方のわがほうの案に対する回答案というようなものがもたらされたわけでございます。
 これを踏まえまして、約十日ぐらいたちましてから、わがほうの部内の検討を終えまして、予備折衝ということで、外務省の係官をヘッドとしまして、かしらとしまして、関係官が北京のほうへおもむいて予備折衝を行なったわけでございまするが、この内容は、主として協定案の事務的な詰めを行なうというのが第一目的でございました。ただこれに関連いたしまして、協定文の付属書の一部をなします路線の問題をどうするか、以遠権の問題をどうするか、あるいは現在の日台間の航空路の問題がどうなるかと、こういう高度の政策的もしくは政治的判断を要する部面もからんでおったわけでございますが、予備折衝団は、その事務的な協定文の詰めが主たる目的で、その範囲内において交渉権限を委任されておりましたので、先方の感触、いろんな問題に関する問題点というものの感触、あるいは意見の交換というものは、ある程度やってまいりましたが、第一回の政府間の予備折衝としては、私たちは非常に効果のある事務的な詰めが行なわれて帰ってきたということで、その結果を踏まえて、現在さらにこの協定を早く仕上げるように、関係官庁の間で検討中であるという状況でございます。
#137
○森中守義君 いまお示しになった路線、以遠権、台湾、この三つの課題ですね。この中で、どちらかというならば、以遠権及び路線の問題は、ある程度スムーズにいくんじゃないか、これも簡単じゃないかもわかりませんがね、以遠権の問題等は。しかし中国側といえども、日本を経由してアメリカに行くとか、いろんなコースを考えているでしょうからね。こういう問題もありましょうが、台湾の問題で、どうしてもまだ割り切れないんですよ。で、この割り出しが、ある程度外務省からきちっと出てくると、私どもは、なるほどそういうことかと言って理解できるんです。といいますのは、先日、予算委員会で、外務大臣に私はこういう質問をしたんです。声明三項、あれをずっとこう広げた議論として、台湾問題、実務関係については、過渡的なもの、経過措置的なものとして、その存続を暗黙の了解をするというようなことがしきりに言われる。私どもも、そういうことをじかに聞いたことがある。
 そこで、日台間の実務関係の存続ということのその意味合い、つまり暗黙の了解を与えたということの限界はどういうことなのか、この限界がはっきりしない。一説では、日本側は日本側でかってにこの範囲までだという理解をした。中国側はまた逆に、いやそこまではいっていないという理解をしている。こういうわけで、かなり双方に大きな開きがある、こういうことがいわれているんです。
 ですから、そのことに焦点を合わしていくならば、日台の問題は、その限界の食い違いにあるということじゃないかというように思うんです。だからまず第一点は、そういうことを、すでに双方の大使も着任をして、外交事務に入っておりますから、そういうレベルを通じて、もう少しすっきりさせる必要があると思う。一体その限界とは何なのか。しかも、そのことを航空問題について考えた場合に、何としても国際線というものは国家の象徴ですよ。これが非常に問題だと思うんです。だから一つの台湾、一つの中国、こういうことを温存をした状態で話を進めては、なかなかうまくいかぬだろう、これは主権の象徴ですから。そのことが、羽田で一緒に翼を休めることはもう絶対いかぬのだと、こういう強い表現になっているのじゃないかと思うんですね。そういうことを考えると、一体、暗黙の了解、その限界とは何なのか、これをひとつお聞かせ願いたいんですがね。
#138
○政府委員(吉田健三君) 昨年の日中国交正常化の際に、日中両首脳間におきまして、第四回目の首脳会談で台湾問題の論議が行なわれたわけでございますが、その際に日本側から、現在の台湾との関係は、外交関係はなくなる、政府間の関係はなくなる。しかし日台間というものは、非常に緊密な歴史的な、また経済的な現実の関係があるので、この関係はできるだけ維持していきたいという希望を、わがほうからるる説明されたのに対しまして、先方は特に異議を唱えなかったというのが、私は真相であると了解いたしております。
 したがいまして、その基本的な原則のからんだ幾つかの問題は論議されたようでございますが、具体的な、限界というものは何であるかということになりますと、これはなかなかむずかしい点がございまして、いわば、大同について小異を捨てるという表現が、何回か両首脳間で使われたわけでございますが、それじゃ、どこまでが大同で、どこからが小異になるのかという、その具体的な問題になるわけでございます。まさしく先生御指摘のように、この日中の航空という問題は、ある分野ではその限界がどうなるかというところにぶつかってくるというのではないかと。しかし、はっきり申し上げますが、大部分の問題、つまり日台間に現実に人の往来があって、その航空需要というものがある限りは、これは航空関係を続けていくということには、私は中国政府としては異議は持っていないというふうに了解しているわけでございます。
 しからば、どの程度のところでその問題が、その限界にひっかかってくるかというところを、実は双方で意見をお互いに交換し、お互いの感触をうかがい、また今後も、そこのところを詰めていかなきゃならないという問題があることは承知しておりますが、それをさらにいろんな方法で今後詰めていきたい。御指摘のように大使館もできましたので、そういうルートを使ったり、あるいは必要に応じて、またこちらから使節団を派遣したり、あるいは先方からまた派遣されてくるというような、チャネルその他のルートを使いまして、双方の間違いのない見解で円満に解決したい。これは中国側も希望しておることでございますが、早く結ぶという希望は日中双方ともにあるが、しかし日中間の関係というものは、今後長きにわたって友好関係を維持していかなければならないんだから、拙速は避けて、誤解のないように、両方が納得できるような線でまとめ上げたいと、こういう気持ちは双方が持っておるというふうに私は了解しているわけでございます。したがいまして、その線に沿いまして、私たちも鋭意、現在事務的にできるものを検討しておる、こういうところでございます。
#139
○森中守義君 長年の国民の願望が達せられたわけですから、将来、まさかそういうことがあり得るとは思わない。要するにそりが合わなくなるというようなことですね。しかしながら、日本のやり方次第ではそういう可能性も全然ないとはいえないんです。
 たとえば声明五項でしたか、例の請求権の問題、あれなども読み方では非常に微妙ですよ。請求権の放棄とは言ってない、請求放棄。だから、そのことは権利の放棄ではなくて権利は留保する、けれども請求行為それ自体を放棄したんだという、こういう読み方ができるんですね。だとするならば、もし日本に何かふらちなことがあった、二国間の間にまことに好ましくないような事態が発生したような場合に、請求権はおれのほうは留保している、それはすべて日本の出方ですよと、
  〔委員長退席、理事山崎竜男君着席〕
こういうようにも読み取れる。ことに前段と三項の基本原則、主権の問題等に至りましてよほど扱いを慎重にしないと、これは非常に危険な要素を持っている可能性もあるんですね。現に、廖承志氏がチュメニの油田開発の問題で、調整なしにどんどんいってごらんよ、これは日中の離婚騒ぎ以上になるのだよ、こういうことをすでにほのめかされたという事実も伝えられている。
 そうなりますと、これはいま御指摘のように、九項で早急に合意に達して締結すべき協定が幾つもありますね。しかし漁業であるとか文化協定であるとか、こういうものと航空協定は、いささか主権尊重にもろにぶつかってくる、つまり国家の象徴という問題であるだけに、他の協定と同様に論ずるべきものではないんじゃないですか。だから、この際は台湾は切る、つまりベストな方式、しかし限界がどの程度なのかというベストの方式、この二段がまえがこの際は考えられるようですね。しかし、たとえばイギリスと中国の航空協定はまだまとまっていない、香港と台湾との間にキャセイが飛んでいるから。カナダとももちろんまとまらない。アメリカも国交樹立をやる前に航空協定を結ぼうかという話もあるようですが、これもとてもじゃないが選別方式でもいくまい、それならいっそのこと台湾を切るかというような話など出ておりまして、ほかの協定と同じように見て、とにかくまあ仲よくやっていかなくちゃならぬ。共同声明の基本原則を踏まえてうまくやっていこうということだけでは、とても片づかないと私は見ているんです。その辺の自信はどうですか。これは運輸省よりも、むしろ外務省が中心になって、暗黙の了解が与えられた限界、しかもそれを完全な合意に基づいているものかどうか。もうちょっと整理する必要があると思うんですがね。どうなんですか。
#140
○政府委員(吉田健三君) 御指摘の点は、まさに問題点ではあるわけですが、私たちといたしましては、日本の国益というものも踏まえ、中国側にも中国側の利害関係があると、しかし、わがほうのみならず先方も友好関係を維持していきたいということが、共同声明の基本精神でございますので、われわれが相互に忌憚なく話し合い、交渉して円満な解決にいけるという自信は持っているわけでございます。
#141
○森中守義君 まあ外交問題は、相手のあることだから、そのままずばりという表現もむずかしいかと思いますけれども、アジア局長は自信があると、こう言われるんで、それならばやってごらんよという以外にないんですけれども、なかなかあなたが言われるように簡単にいかぬしろものだと私は見ている。
 ここはやっぱり決断の問題でしょうね。決断の問題。非常にむずかしいですよ。簡単にいかない。そういう見通しに自信があるということで、この際乗り切れますか。もっと具体的に言うならば、それじゃいつからすでに協定の詰めに入っていくか、この作文の技術は別な問題、流れる精神だと思うんですね。ほんとうに、たとえば年内一ぱいとか、あるいは来年の春先までとかという、そういう具体的な問い方は、いささか早計のきらいがないでもございませんけれども、元来、私はこの委員会で、復交以前、いち早くこの問題を提起しておりますから、きわめて重大な関心を持っている。
 そのことは航空協定という一つの事象にすぎないけれども、ほんとうは、依然として外務省の中に、二つの中国――一つの台湾、一つの中国という、こういう思想が依然として残っている。これを排除しない限り、なかなか自信をもって先に進めぬのじゃないか、こう思うんです。むろんそれは総理の決断、外務大臣の決断ということになりましょうけれども、事務当局の責任者としてはどうお考えですか。いけないという場合に決断をされますか。それとも相当長期にかかってでも、何とか話をまとめ上げたいというお考えですか。
#142
○政府委員(吉田健三君) 私たち、いろんな複雑な外交交渉を何回かやっておりますが、当初からこれはだめなんじゃないかというような考えで結んだことはございませんので、いまの段階におきましては、私たちは何とかこれをつくり上げるんだという、相当のやはり覚悟を申し上げたわけでございまして、早くつくりたいという決意を、自信を持っておるというような表現で申し上げたわけでございます。
 もちろん御指摘のように、非常に高度の政治的決断を要する分野もございまして、そこらは私たち事務方の権限能力を超える部面でございますが、しかし、できるだけ私たちの考え方を上司に申し上げて、補佐して円満な解決がいくように、日本の国益をも守り、先方の利害をよく考慮し、日中国交正常化の精神を踏まえて、外務大臣が言われましたように、それをそこなわない範囲内で、日台間の実務関係をできる限り維持していきたいと、その方法を目下一生懸命知恵をしぼって検討しておる、こういう段階でございます。
#143
○森中守義君 ちょっと具体的になりますが、第二回目の予備交渉、こういうことをお考えでしょうか。それとも、すでに着任をされた両方の大使との間で話しが進んでいるんですか、どちらでしょうか。
#144
○政府委員(吉田健三君) 第一回の予備交渉で、先ほど申し上げましたように、協定文の技術的な分野につきましては、かなり進んだ面もございますが、なお非常に専門的な分野にわたりまして、関税関係とか送金とか課税問題とか、いろんなこまかい問題が含まれてまいりますが、そういった問題は、現在外交ルートを通じて一つずつ片づけておる。したがいまして、そういう事務的なルートで片づかない問題が起こってくれば、これは予備交渉団となりますか、あるいはもう少し高度の権限を持った交渉を行なう必要があれば、その段階で、そういう交渉団を派遣するなり、あるいは先方から来てもらうなりという段階は考えられると、かように考えますが、いまの時点で、次の段階でどうするかということは、もう少し検討を進めてからお答え申し上げたいと、かように考えておる次第でございます。
#145
○森中守義君 そこで、これは実際の内容を、そうだと言い切るわけにいきませんけれども、この前の予備交渉の際の人の構成等にも、かなり相手のほうではぴんとくるものが比較的少なかったと、こういう表現を用いる人もおりますね。つまり日本から派遣をした人たちの地位の問題、相手のほうが出てきた地位の問題、かなり段差があったと、そういうところに、日本政府が航空協定の締結に取り組んでいる姿勢がいささか問題ではないのかという、こういう論評をちょっと聞いたことがありますが、よほどそういう意味では、慎重に慎重を期して、ある程度いろんなことがこなしていけるような、むろん前回もそうだったでしょうがね、しかし相手のほうはそう受け取っていないらしい。それが一つの、何とはなしに、雰囲気としてはいささかもの足りなかったという、こういう観測も生まれておるようですが、そういうことはお聞きになっていませんか。
#146
○政府委員(吉田健三君) 外交交渉は双方の合意で、このくらいで最初やりましょうということで合意してできたわけで、そのこと自体については、私は特に御指摘のようなことは、公式の論評として聞いたことはございませんし、先方側も予備交渉団の派遣を非常に評価して、これは格としては、次長クラスでございますけれども、しかし専門家としては精鋭をすぐって詰めたわけでございます。外交交渉のやり方といたしましては、おっしゃいましたように、最初に、首脳会談のように最高首脳部が出て大筋をきめてから入っていくという手もございますが、通常の場合は、やはり事務的に詰めるものをどんどん詰めていって、問題点を整理した段階で政治的な決定交渉に入っていくというのが通常の型ではなかろうか。今度の場合も、問題が複雑な面もございますので、一応慎重に、両方とも合意してそういう手順を選んだと、こういう形でございます。
#147
○森中守義君 それは一つの御参考になる意見であるかどうかわからぬけれども、私そういうことを聞いているもんだから、ちょっと念のために申し上げておきますから、十分御配慮いただきたい。
 いま一つで終わらしてもらいますが、さっきちょっと請求権の問題に触れましたが、私はいまの共同声明というものが、両国首脳の合意によったものですから、きわめて権威が高い。しかも、これを一つのよりどころに日中の外交が展開されていかなければなりませんけれども、どちらかというならば、国会で両院の支持決議が行なわれたということであって、批准が与えられたというものでないんですね。だからできるだけ早く平和友好条約というものがきちっと締約をされ、しかもそのことが、国会において批准承認をされるという、そういうことに話が進んでいかないと、万々一のことはないと思いますけれども、真の意味の国交樹立ということに名実ともになるかどうか。もし何かふらちのようなことがあったときにつまずきやすいような可能性なしとしない。私は、そういう意味で共同声明から早く条約にかさ上げできるような措置をとられるべきだと、こう思うのですが、この辺の見解。
 それから具体的に、たとえば廖承志代表が見える、あるいは田中親書によって周総理も来ようかという動きもあるようですので、こういう何か具体的な時期をとらえて、ある程度条約締結の手順を踏むべきじゃないかと、こう思うのですが、どういうふうにお考えになっておりますか。
#148
○政府委員(吉田健三君) 日中国交正常化の共同声明では、先般予算委員会で森中先生の御質問に外務大臣が答えられましたように、戦争状態あるいはそれに関連して起こった日中間の過去の問題は、一応全部解決したというたてまえを、われわれもとっており、先方もとっており、賠償の問題もその中の一つとして解決されたというふうにわれわれは考えておりますし、問題はないと思いますが、なお平和条約で、この共同声明の第八項にありますように、「両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるため」、この共同声明に盛られた幾つかの原則とか、今後に向かっての日中間の指導原則となるような点を、条約化してさらに固めるという交渉を早く行ないたいということは、双方の首脳の間で合意されたわけでございまして、私たちもこれを踏まえまして、できるだけ早い機会に平和友好条約というものをつくらなければならないということは考えておるわけでございます。
 ただ現段階では、いまの航空とか、あるいはこれから続きます漁業とか、その他いろいろな実務関係を早くつくらなければいかぬ問題がございますので、そういったものとのタイミングを勘案しつつ、必ずしもそういうものが済んでからでなければ平和友好条約ができないというわけではないのでございますが、並行してでも、あるいはそういう機が熟した段階で詰めていきたいと、かように考えております。
#149
○森中守義君 この日中の二国間の問題は、また機会がありましたらゆっくりお尋ねすることとして、最後に、航空局長、せんだって日中の航空協定はあくまでも政府間協定だ、こういうことが予算委員会で発言がありました。
 そこで、いまアジア局長は、自信がある、こういうことなので、大体そういうことだろうと思うのですが、なかなか私はそう簡単にいくものじゃない。そこで、これこそ過渡的な措置、便宜的な措置として、正確に協定成立前に、かなり時間がかかるものと一応予測した場合、かわり得べき何らかの手段方法、しかもそれは相手方の意向、わがほうの意向とが合意に達し得るような手段方法はありませんか。
#150
○政府委員(内村信行君) いま日中交渉の問題につきましては、もうかねがね森中先生御関心をお持ちでございまして、すでに今回のような事態になる前からも、チャーターできないものかどうかとか、いろいろな御質問ございまして、それが最近実現してきたわけでございます。その意味で、非常に私どもとして御卓見に敬服しておるわけでございます。
 そういう意味におきまして、今後の日中関係の航空業務、これをどうするかということについて、まあ議論としてはいろいろの考え方があるかもしれませんが、ただいまも外務省の御答弁のように、はっきりとして政府間として認め合っておる、こういう段階におきましては、やはりあくまでもオーソドックスにこれを政府間協定として結ぶというふうなことが、双方のたてまえからいっても、また面目からいってもやはり適当なのではなかろうかと、そのほかの道というものは、まあチャーターによって随時往復するということは、これは当然いままでもやっておりますし、考えられますが、それ以外の方法というのは、これはもちろん相手方の気持ちその他ございますけれども、私個人的な観測からすればむずかしいのではなかろうかというふうな気がいたします。あくまでこれは個人的な感じでございますけれども、そういう感じがいたします。
#151
○理事(山崎竜男君) ほかに御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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