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1972/04/17 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第7号
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1972/04/17 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第7号

#1
第071回国会 運輸委員会 第7号
昭和四十八年四月十七日(火曜日)
   午前十時四十六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         長田 裕二君
    理 事
                江藤  智君
                木村 睦男君
                小柳  勇君
    委 員
                岡本  悟君
                黒住 忠行君
                菅野 儀作君
                松平 勇雄君
                杉山善太郎君
                瀬谷 英行君
                森中 守義君
                阿部 憲一君
                三木 忠雄君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       坪川 信三君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長兼内閣総
       理大臣官房審議
       室長       亘理  彰君
       人事院事務総局
       職員局長     中村  博君
       総理府人事局長  皆川 迪夫君
       大蔵政務次官   山本敬三郎君
       大蔵省主計局次
       長        辻  敬一君
       厚生省年金局長  横田 陽吉君
       運輸政務次官   佐藤 文生君
       運輸大臣官房長  薗村 泰彦君
       運輸大臣官房審
       議官       原田昇左右君
       運輸省鉄道監督
       局長       秋富 公正君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部長  住田 正二君
       運輸省航空局長  内村 信行君
       労働政務次官   葉梨 信行君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       労働省労政局労
       働法規課長    岸  良明君
       日本国有鉄道理
       事        加賀谷徳治君
       日本国有鉄道共
       済事務局長    清水  晋君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○運輸事情等に関する調査
 (鉄道関係労働者のいわゆる年金統一ストライ
 キに関する件)
 (日本航空株式会社の運営に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○森中守義君 招致をした閣僚及び関係者の出席がありませんので、一体これは今日の事態をどう政府は考えているのか。まことに遺憾ですよ、これは。先ほど理事会のいきさつなども横でいろいろ聞いておりますけれども、これは理事諸君及び委員長にも、特に委員という側からお願いというよりも、よほどしっかりしてもらわないと困る。ことに今日のこの事態を、運輸大臣に何を聞こうとしても、少し権限外のことが非常に多い。しかし、そのことは運輸・交通のきわめて焦点でもある。だからこの際、運輸大臣に一切の収拾策を内閣が一任をする、これならば運輸大臣にもある程度聞ける。なかなか、在来の経過からいって、そうもいきますまい。
 したがって、きょうこの委員会は、そういう意味においては、本日のストライキ、あるいは二十七日に予定をされている新しい事態に対しては、何ら進展が期待できない。言いかえるならば、国民が混乱、困惑するのも、何ら政府が国会を通じて具体的な対策を示さない、前進をあえてはかろうとしない、こういうところに私は責任があろうかと思う。したがって閣僚である新谷運輸大臣におかれては、すみやかに閣議等で、この運輸委員会の運行の状態あるいは関係閣僚の出席を要求されながらなぜ出れなかったのか、理由はいろいろあるでしょう、しかし、少なくとも憲法あるいは内閣法、国家行政組織法、一連の問題から考えれば、すべからく国会優先でなければならぬ。内閣一体の責任において国会に責任をになうというこの権利義務というものを、あるいはこれへ、かってな理屈をつけて、国会への出席を拒まれたのでは困る。こういう意味で、できるだけ早急な機会に、総理以下、呼ばれていた関係諸君に十二分に伝達をしてほしいし、また一人の閣僚として、そういうことがないように、まず配慮を求めておきたいと思います。
 同時に、委員長はじめ理事諸君におかれても、この辺の事情は十二分に考えてもらいたい。これはひとり本日の委員会だけではございません。あと幾つかの法案が参りましょう。法案のときにばかり一生懸命になって、ほかのときにいいかげんなことでいいという、与党の理事諸君の姿勢であるならば、これはわれわれも考えがある。このことを私は一言付言をしておく。
 そこで、質問を続けます。
 運輸大臣、きょうこの事態というのは、降ってわいたように、突然ストライキがあったわけでない。こういう事態を回避するためには、当然内閣として打つべき手が打たれる、つまり回避の努力というものが行なわれてしかるべきだったと思うのですが、その辺の内閣の事情はどうですか。少なくとも本朝に至る経過を見れば、打つべき手が打たれていない、当事者間の話というものが具体的に進展をしていない、こういうことは非常に遺憾に思う。なるがままに、やるがままに、少なくとも誠意をもって事態の収拾に当たろうという意思はどこにも発見できません。ただ一つあった。それは幾つかの省庁において、過去の闘争に対する処分を行なう。処分を行なっただけであって、他に見るべきものはない。
 しかも、この処分というものが、かえって闘争を誘発をし、激化をする。つまり刺激効果はあっても収拾のほうにいったとは思えない。もちろん、今日の田中内閣を、ほとんどの者が、無能であり、無策であり、短命であると言っている。こういう内閣に大きな期待は持てませんけれども、しかしながら、内閣を組織する限り、こういう事態に対しては、それなりに対策がとられて当然であろうと思う。何かとりましたか。私がいま申し上げたように、処分が行なわれたというだけであって、具体的に解決の方向に導いていくという、こういう措置がとられているとは思われぬ。いかがですか。
#4
○国務大臣(新谷寅三郎君) 御承知のように、国務大臣という地位をみな持っておりますから、国政全般にわたって国務大臣という立場においては、お互いに共同の責任を負っているということは言うまでもありません。ありませんが、こういう事務につきましては、仕事につきましては、御承知のように、それぞれ各大臣が担当を持っております。それは法律によってもきめられておるところであります。
 したがいまして、運輸大臣に、今日の事態について政府を代表して、どうしたか、どんな考えかと言われましても、私は、この点については責任をもってお答えする立場にありません。ですから担当大臣にこの点はお聞きいただきたいと思います。
 ただ、私の知っている範囲で申し上げますと、先般来、こういうような事態は、お話しのように、前からわかっておった問題でありますから、関係閣僚といいますと総務長官と労働大臣で、これが中心になって、特にきょうの問題は年金問題であるということで、厚生大臣も一緒になられまして、協議をされた上で、組合側の代表と会われまして、いろいろお互いに意見を交換して、こういう事態にならないようにという努力をされたということを聞いております。そういう報告が閣議でもあったことは事実でございます。
 しかし両方で意見の交換があっただけで、結論には達し得なかったということで、きょうのような事態になったということを聞いておるのでありまして、この具体的な会見の内容、それから結果等につきましては、担当の閣僚からお聞きを願う以外にはないと思います。
#5
○森中守義君 これはさっきも申し上げたように、運輸大臣としては非常に無理であるが、しかし来ないからしようがない。
 それで、あと具体的に入りますが、これは担当の大臣と相手側という、当事者間の話、これもけっこうですけれども、問題が問題ですよ。当然、内閣一体のものとしてどう処理するか、こういうことが検討されないと、たとえ所管大臣であったにしても、これまた荷が重いじゃないですか、これが私は問題だ、そこに田中内閣の姿勢がある、こういうことを閣僚としてどう思いますか。運輸関係については運輸大臣、年金関係については厚生大臣、そこで処理すれば片がつくというものなのか。いまの政府の組織というものを考えれば、一所管大臣の裁量にも限界がありましょうね。それは閣僚としてどう思いますか。
#6
○国務大臣(新谷寅三郎君) 考え方はいろいろあると思うんです。関係各省がそれぞれ自分の所管の事項について、それぞれの意見を述べたり、あるいは交渉をしたり、結論を出したりいたしますと、省によって非常に違ってくると思います。違ってくる場合が予想されます、これでは困るということでしょう。したがって問題によりまして、各省を通ずるような問題、一省だけの問題は別ですが、各省を通ずるような問題については、従来とも内閣の組織というものの中で、こういう問題についてはどの大臣、どの大臣が主管をしてもらいたい。この問題についてはだれが主管をして各省の意見をまとめてもらいたい、こういうことをやるのは、これはむしろ、仕事を進める上からいって、進捗させるという意味からいって、必要でもあり、それが妥当ではないかと考えます。どんな組織でもそうだと思います。たとえばいろいろの組織の中で、たくさんの部があって、その各部に関係するようなものは、どこかがやはり中心になってまとめていかなければいけないでしょう。
 そういう意味で、内閣の運営につきましても、総理から特に指名をせられる場合もあるし、法律によってきめられておる場合もあるし、いろいろな場合があると思いますが、それに従って、各省に関係があれば、それはもちろん相談は受けましょう、相談を受けるのは事実でございます。それから協力を求められれば一緒に協力をして、協議にも参加し、意見を述べて、その解決に向かってお互い努力するということは、それはもちろんやっております。また同じ問題についても、各省がばらばらに、各省大臣の権限内で処理すると、かえって紛糾して各省の扱いがばらばらになり、その結果、まとまるものもまとまらない結果になる、だろうと思います。
 そういう意味で、いまのやり方はこれはきわめて実際的であり、それから内閣制度というものの中から見ましても、そういうふうにしていかないとまとまらないというので、こういう制度をとっておられるものと私は考えておるんです。この点は、私からお答えする限りではないかもしれません、総理なり官房長官からお答え願ったほうが内閣全体の方向としては、そのほうが正しいと思いますが、私の意見を求められたから、個人的意見ですけれども、私はそういうふうにとらえておりますということだけ、お答えしておきます。
#7
○森中守義君 それから運輸大臣、きょうこのことが閣議で議論されましたか、どうですか。きょうは全国的な規模で大ごとになるようだ、じゃどうしようかということが閣議の議題になったことがありますか。
#8
○国務大臣(新谷寅三郎君) 私の記憶では、さっき申し上げた総務長官とか、労働大臣とか、厚生大臣――年金問題に関して特に関係が深いからというので、厚生大臣。その三人の閣僚に、政府を代表して収拾に当たってもらおうじゃないかということは、閣議の議題になった結果、そういうことになったと思っています。
 それから、その結果については、きょうの閣議でも主管大臣から報告がありました。
#9
○森中守義君 おかしいじゃないですか。全国的な規模の中に運輸関係が入っておる。しかも年金にしても、これは財源が問題ですから、大蔵省も入らなけりゃいかぬ。そういう運輸あるいは大蔵という二閣僚が入らないで、一体話ができますか。総務、労働、厚生、三人の閣僚に本日の事態収拾はまかしてあったということですか。
#10
○国務大臣(新谷寅三郎君) まかされたかどうか、それは主管大臣にさっきも申し上げたように、お聞き願いたいと思うんです。閣議でどんなことがあったかというお尋ねがあったので、事実を私は御説明しているだけでございまして、これについては関係各省がたくさんございますから、それについてどういうふうな考えでどう措置したかということは、私の所管ではございません。だから、それについては主管大臣をお呼びになって、そこでよく内閣全体の意向を聞いていただく以外にはないと思います。
#11
○森中守義君 運輸大臣がそのことをあずかり知らない、どうもそういうことのようだということであれば、内閣一体のものとして対策が立てられていなかったということに、私のほうで判断する以外にない。
 言いかえるならば、田中内閣は、本日のこの事態に対して、関係の少数閣僚にある種の収拾をゆだねておった、こういう解釈でいいですね、解釈ができますね。内閣一体としてのものではない、関係の少数閣僚に事態の収拾を一任をしてあったと、いま運輸大臣の答弁から、そういう以外にとれないんですけれども。もちろん聞きますよ、どういうことなんだと聞きますけれども、一応閣議の責任ある対策、収拾策としては、そういうものであるというように認識をしておいてよろしゅうございますね。
#12
○国務大臣(新谷寅三郎君) いま申し上げたとおりでございます。これをどういうふうに森中さんがおとりになるかということは、これは森中さんのお考え次第でございまして、これは運輸にも関係があります、郵政にも関係があります、これは公企体を持っておるところはみんなそうでしょう、ことにそれだけじゃありません、今度の問題は。一般のそういう企業体でない公務員全体にも関係がある問題だと思います。
 そういうのですから、さっき申し上げたように、各省がこれについてばらばらになっちゃいけない。これはひとつ政府で窓口を一本にして、一番関係の深い、また責任のある大臣がこの衝に当たって解決策を講じてくれ、これは、その結果が出ました場合には、関係各省ともその方向でお互いに協力し、努力をしていこうと、こういうことだと思います。だから、全閣僚は関係あると思いますね、この問題は。全閣僚がそれぞれの意見を持ち寄って、どうしたらいいかということよりも、全体の公務員の問題でありますから、さっき申し上げた三閣僚が中心になって、政府を代表して折衝に当たり、解決策を見出だすという努力をしたということだと思います。
#13
○森中守義君 要するに、私のほうで判断をいたしますが、内閣一体のものとしては何ら手が打たれていない、こういう認識の上に立って話を進めましょう。同時に、官房長官の談話の中にある、年金闘争ということはきわめて違法性が強い、こういう談話が出ておるようですね。一体、年金を労働組合が要求に掲げて、それが満たされない、いままで満たされていなかったから、力によってでもその実現をはかろうということが、はたして違法性になるのかどうか。言いかえるならば、今日の年金の制度及びその内容がどういったように評価されるのか。また、年金というものは経済要求のワク外であるかどうか。この辺に実は官房長官の言う、年金は組合の要求の対象外だ。この言われておる内容からいけば、国会の議決に属するものを、労働組合が特殊の手段によって要求を貫こうということは違法だという、こういう言い方のようですけれども、談話がかなり刺激しておりますよ。違法性であるかどうか、この辺の見解を――これは年金局長ではこういう判断はできないね。労働省の政務次官、見えていますが、どう思いますか。年金は労働運動のワク外、そう思いますか。
#14
○政府委員(葉梨信行君) 年金問題は、これは個個の労働条件の交渉の対象とは考えません。これはやはり国会できめるべき事項であると考えております。
#15
○森中守義君 もうちょっとこまかに。それだけじゃわからない。
#16
○説明員(岸良明君) お尋ねの件につきまして、法律の解釈問題にわたりますので、私から申し上げてみたいと思います。
 先生も御承知のとおり、現在、憲法二十八条下におきまして、労組法、労調法、その他労働法のもとに保護を受けますのは、これはあくまでも労働条件に関する事項でございます。
 そこで、事、労働条件に関する事項につきましては、先ほど先生の御指摘のとおり、厚生年金とか、あるいは健保というような問題は、確かに大きな労働条件の一つでございますが、問題は、その対使用者との関係において、当事者能力をもって処理できる事項というのが、これは団体交渉の対象であり、またしたがって、スト権の対象になるわけでございます。
 そこで、いわゆる年金ストというものについて、全体的に考えてみますと、一つは、現在のわが国における年金制度というのが、労働組合の観点から見ると、よりこれを向上させると、こういう強い要求があることは、私どもよく承知しているわけでございます。そういう要求を実現をする意味において、今回の年金ストというものが統一的に行なわれたというふうに、私どもは理解をするわけでございます。そこですでに御承知のとおり、最高裁の判決の中におきましても、やはり使用者に対する経済的地位の維持、改善に直接関係があるといえない政治的な目的、こういうものをもって行なうところの争議行為は、政治ストと言わざるを得ないのじゃないか、こういうような最高裁の判決がございますし、また地裁の判決等においても、大体同じような態度をとっておると私どもは承知をしておるわけでございます。
 ただ問題は、政治的な事項を目的とする争議行為が政治ストであるということは、これは一般的にはいえるわけでございますが、具体的に個々のいわゆる事項について、はたしてこれは政治目的を対象とするストであるのか、あるいは経済目的を対象とするストであるのかということは、これは個々のケースによって判断しなければならないと思うわけでございます。
 今回の年金ストにつきまして、私どもは、一がいにこれは全部政治ストであるというふうに断定しておるわけではございませんが、ただ全般的に見まして、年金の改善、制度改善という国会がおきめになるべき事項についてのストライキであるとするならば、これはやはり労組法、労調法上にいうところの争議行為という概念からははずれてくるのではなかろうか、かように思うわけでございます。
#17
○森中守義君 いまのお話を聞いていると、ずいぶん問題がありますね。もともと年金の制度を確立しようというものは、政府が出してきたんじゃないんですよ。過去の沿革を見てごらんなさい。労働組合が要求を出して、それが逐次集積をされて今日の年金という制度ができ上がっている。そのときに、いまのようなことを言ったことはありませんよ。年金が組合の要求として出た、これは政治的なものだからだめである、こういうことは過去の歴史の中に聞いたことがない。今日の年金という制度の始まり、その発端は労働組合の要求にあったわけだ。今日になってこれは違法だとは何ですか。
 しかも年金の制度ができ上がって、中身が不十分である、けれどもこれはきわめて高密な生活条件、経済条件に非常に大きな比重がかかっておる。これをもってして政治ストだ、団交の対象外だ、これはいずれ法制局あたりも中に交えながら、もう少しきちんとする必要がありましょう。けれども、いま言われる最高裁の判決等持ち出しても問題にならない。いま言われたようなことを中心に、年金問題というものは団交の対象外だ、よって違法であるという、こういう認識で対処しておるんですね。それならば、なぜ組合の代表とこの問題を中心にして会うのですか。会っているじゃないですか、労働省は。会っているという事実は、これはその要求、その目標が正当であるという認識に立っているんじゃないですか。取り消しなさいよ、いまのことは。
#18
○説明員(岸良明君) 私のお答えが、少しことばが足らない点があったと思いますが、これは先生よく御承知と思いますけれども、労働組合がそういうような制度改善の要求をするためにいろいろ活動をされるということは……
#19
○森中守義君 表現の自由だよ、それは。
#20
○説明員(岸良明君) これはもう労働組合の目的の中に当然含まれるべきことでございます。ただそういう制度改善の要求を対象としてストライキを打つということになりますと、これはそれこそ使用者の処理能力という点からいいますと、むしろそういうような年金制度の改善ということは、制度改善の問題でございますし、当然これは国会でおきめいただく事項である。したがいまして、そういう要請のアプローチに対しては、政府としては、やはり組合のほうから御要請があれば、当然関係の大臣がそういう御要求に対してお話をするということはあり得るわけでございます。ですから労働大臣、厚生大臣、関係大臣が今回お会いいたしましたのも、そういう御要請に対して、政府としてそれを受けとめてお話し合いをする、こういう意味でお会いをしたわけでございます。
 ただ、ストライキをするということになりますと、個々の使用者がそれに対して処理能力がなければ、これはちょっと問題がある、そういう意味で私は申し上げたわけでございます。
#21
○森中守義君 言わんとするのはわからぬでもないが、その考えは間違いですよ。それならば、たとえば賃金等でも、場合によっては当事者能力のない場合がありますよ。それでもやっている。むろんそれは国会がやることだからということで言われるならば、これはまた話は別です。しかし、そういう政府と組合、政府と国会という一つのルールがあるわけだから、むろん場合によっては、要求する側が国会に請願をするということもあるでしょう。現に、この請願も行なわれておりますよ。いきなり政府が扱うことじゃない、きめるのは国会だからというようなことで、この問題に臨もうという考え方それ自体が間違いだ。さっきから言うように、年金の始まりは何なんだ、そういう沿革を考えていく必要があるでしょう。
 しかし、この問題にそう時間もとれませんが、要するに違法ではない、もう少し勉強してもらいたい。それと、なぜこういう年金というものがにわかに問題にならざるを得ないのか、私は問題だと思う。年金の制度がつくられたのは、日本は決して早いほうじゃありません。むろん戦後、年金問題を労働組合が出す、また社会党が問題を提起した際に、当時の政府・与党は何と言ったか、年金なんておかしくて話にならぬ、湖に映ったお月さんをこけザルが取るようなものだ、こう言って年金の問題には全然目を向けなかった、そういう事態があった。それでも関係者の長年の忍耐と努力、そうして世論に押されて、やっと今日の年金という制度がまあまあここまできたわけですよ。しかし内容においては問題にならない。
 ですから、この際聞いておきたいのは、一体年金を持っておる諸国の中で、日本はどういう地位にランクづけられますか。これは私のほうから言ってもいいけれども、国際的な年金の水準はどうあるのか、これを具体的にお示しを願いたい。
#22
○政府委員(横田陽吉君) わが国の年金制度が、世界的に見てどのような地位にあるかという点につきましては、いろいろ比べ方等がございまして、簡単にどうであるということは申し上げられない問題でございますが、少なくとも現行の年金制度というものが、十分年金としての役割りを果たすようなものからは相当距離の遠いものであるというふうな認識をいたしております。したがいまして、今回そのような地位を改めまして、一口で申しますと、世界の最高のレベルに属するような、そういった地位までわが国の年金制度を高めたいというような観点から、今回この年金制度に関しましての大幅な法改制を国会に御審議をお願いしているような次第でございます。
 なお、この原案を作成するにつきましては、先生から御指摘のように、この関係者は被保険者、事業主、そのほかいろいろな関係者があるわけでございますので、私どものほうで、これら各側の代表でもって構成されております審議会で、非常に長時間時間をかけていただきまして、いろいろ御審議をいただき、その内容を政府原案に盛り込んで御審議をお願いしておる、こういったことになっております。
#23
○森中守義君 もう少し具体的に、国際水準として一番がどこ、二番がどこ、日本は何番目、そういうふうに内容を示してもらわないと、いまの答弁ではわからない。
#24
○政府委員(横田陽吉君) この国際的な比較になりますと、まず支給開始年齢がどうであるか、それから被保険者期間がどうであるか、それから年金の給付水準がどうであるか、保険料負担がどうであるか、いろんなこういった要素がございます。
 大体、支給開始年齢の点から申しますと、世界各国は六十五歳を支給開始年齢といたしておりますが、わが国の年金の場合は、厚生年金の場合は六十歳、それから国民年金の場合は六十五歳、大体年金の大宗をなしております厚生年金につきましては、受給開始年齢の点からいけば一番有利な年金になっております。
 それから被保険者期間の問題でございますが、これは制度によっていろいろでございますけれども、大体拠出制年金をとっております場合には、年金水準がいかなるものであるかという場合の、標準的な被保険者期間は、世界各国は三十年が通例でございます。わが国の場合は、年金の受給を受けるに必要な被保険者期間は、厚生年金の場合は二十年、国民年金の場合は二十五年でございますけれども、今回の年金水準、御承知の標準報酬について六〇%、大まかにいって、いわゆる五万円年金というものを受給するに足る必要な被保険者期間というものは、法律的には二十年でございますけれども、どういう標準をとった場合にこの五万円年金になるかという、その年限は二十七年でございます。したがいまして、年金の受給額の高い低いを比べます際には、片方は三十年であり、こちらのほうは二十七年をモデルにとっておるという問題がございます。
 それから年金め大まかな給付の水準でございますが、一番年金制度が整っておるといわれておりますのは、通常、被用者年金につきましては西ドイツがその例にされておりますが、西ドイツの場合には、年金の月額が一九七〇年の場合で、大体十万八千円でございます。ただこれは職員年金でございまして、労働者年金と職員年金とは、西ドイツの場合には相当格差がございます。こういった点から比べますと、年金の絶対額自体は、今回の五万円年金が必ずしも高くないということがありますけれども、これは基礎になる――失礼いたしました、年金の月額自体は七〇年で三万三千円でございます。ですから現行のわが国の二万円年金と比べますと相当高いわけでございますけれども、これが五万円年金になりますと、おそらく基礎になる俸給との関係等から申しまして、西ドイツに近い水準になる、こういうことだろうと思います。
 それから保険料の点につきましては、西ドイツの場合は労使折半でございまして、保険料が月給に対しまして千分の百七十でございますが、現行のわが国は千分の六十四、今回の改正案が千分の七十九、こういうふうなことになっております。
#25
○森中守義君 これはその対比のしかたが、要素が非常に複雑だし、簡単に何番目というわけにもいくまいけれども、しかし大体の水準はこれは出てくる。
 そこで、あえてその水準をもとにして、ものをいえとは言わないけれども、少なくともわが国の今日の年金というものは、いかなる種類をもってしても、決して国際水準を上回っていない。
 そこで、実は二、三日前、私は郷里の郵政退職者連盟の会合に出た。毎回この年金の問題について、非常にきびしい意見が出る。それと同じようなことなんだけれども、熊本県庁退職者連盟の臨時総会というものが三月の二十五日に開かれ、その決議を送ってきておる。この内容が今日の年金の概略をつかんでいるように思いますから、ちょっと披露しておきます。「恩給、年金の増額改定を確固たるものにするため、公務員給与の上昇率にあわせたスライド制を実施するとともに、公務員給与の上昇に対する一・五年の遅れの是正措置を講ずること。」二番が、「恩給、年金額の最低引上げと格差の是正及び遺族扶助料(年金)支給率の増率を図ること。」三番が、「六十五才以上医療の無差別無料化及び退職後六十五才までの共済組合医療資格の延長を図ること。」四番が、「高齢者に適した就職の方途を講ずること。」五番が、「恩給、年金及び退職金を全額非課税とすること。」
 これは、全国的に常にいわれるものですよ。十年前にやめた人、たとえば公社職員あるいは公務員を例にとった場合、去年やめた人との間にはたいへんな開きがありますね。いまはスライドよりも格差是正だ、こういうことなどが非常に強く叫ばれる。いま私が決議として送られたものを述べたこの内容をどう思っておりますか。むしろ今日の年金の内容充実をはかろう、こういう世論を背景にした運動というものは、こういう角度からとらえてみてもきわめて妥当であります。本来なら、もっと早目に政府が実現をはかるべきものだったと思います。
 しかも考えてみれば、今日の高成長、高生産、ついては国際収支があまりにもでか過ぎる、交換比率の問題に発展をした、この際福祉政策に転換をしよう。そこに田中総理が出してきたのが年金制度の充実であり、寝たきり老人の対策であったわけです。むろん今日の組合をはじめ、世論の中には年金の制度をもっと拡充しなければいかぬ、充実しなければいかぬという声がある。しかし田中総理が出したのでしょうこの問題は。ところが残念ながら四十八年度の施策の中に見るべきものがない。こういうわけで、それならば約束が違うじゃないか。話が違うじゃないかというわけで、やる。
 ここで、どの人に聞いていいのか、これは全く答弁を求めようがないのですけれども、いま言ったような見方からして、年金運動の妥当性、国際的な立ちおくれ、しかも現下のインフレ、生活の困窮、GNPが世界で二番目と言ってみてもちっとも国民の生活がよくなっていない。年金受給者の生活というものは、まことに気の毒のような状態である。こういうことを考えた場合に、これは運輸大臣どう思われますか。労働省どう思う。厚生省どう思う。それぞれ当の責任者であるかどうか、ちょっと判断がつかないけれども、一応このことを、それぞれからお答え願っておきたい。
#26
○政府委員(横田陽吉君) ただいま御指摘の、年金に対するいろいろな問題でございますが、年金の場合、私ども一番中心に考えておりますことは、長期にわたっての給付でございますので……
#27
○森中守義君 内容が拡充されているかどうかということを言っている。
#28
○政府委員(横田陽吉君) 経済変動に応じましての実質価値をどのように維持するか、この点が一番大きい問題でございます。
 第二番目には、いま御指摘いただきました中にございましたように、いままではどちらかと申しますと、年金の一つの宿命というふうに考えられておりましたが、既裁定者に対する年金が、新規裁定者に比べて非常に不利であるという新規裁定、既裁定の格差の問題でございます。
 実は、今回の年金制度の改正にあたりましても、この二つの点は相当大幅に改善をする必要があるというふうなことで、スライドの問題につきましては、まず消費者物価指数が五%以上になりました場合には、毎年自動的に物価上昇に即応したスライドをするという、そういったスライド制を導入いたしましたし、それからまた、この格差の是正の問題につきましては、厚生年金の場合には標準報酬制度というものがございますので、その標準報酬制度の当てはめにつきまして、古いものは新しい時点でのものに読み直しをするというような手法を取り入れることにいたしたわけでございまして、今回改正が実施されますと、新規裁定、既裁定者の格差の問題というものはほとんど解消されると、こういうふうな内容になっておるわけでございます。
 それから課税の問題等につきましては、大蔵省の所管でございますが、今回老齢年金の非課税対象につきましても、相当大幅な改善をしていただくことになっております。
#29
○森中守義君 労働省ね、今回の春闘に対して、その厚み、幅、まあ言ってしまえば姿勢といいますか、従前と違ったようなものとして受け取っておりますか。簡単な言い方をすると、昨年及び一昨年が何がしかのアップは行なわれた。けれども今日のとどまるところを知らない物価の高騰あるいは過剰流動性、商品投機、こういう客観的なものの中から、今回はひとつ、ぎりぎりの闘争をやろうという、こういうきわめてきびしい姿勢に私は受け取っておる。労働省どう認識しておりますか。
#30
○政府委員(葉梨信行君) ことしの春闘に対しましては、組合側は大幅賃上げのほかに、年金あるいは時間短縮など制度要求をあわせて掲げておるというのが特徴でございます。また物価の値上げがたいへん激しくなってまいります。人手不足などの理由もございまして、かなり盛り上がるのではないかと考えております。
#31
○森中守義君 そこで、そういう認識に立ちながら、どう対処しようとしておりますか。
#32
○政府委員(葉梨信行君) 春闘要求の内容につきましては、個々の組合側と当事者間におきまして、自主的な話し合いによりまして解決されることを労働省は希望しております。
#33
○森中守義君 いままでに幾つかが妥結を見たようです。妥結を見たベースアップの最高の金額、昨年に比べてどの程度の上昇の率になるのか、すでにきのうも何か、海員かどこか片づいておりますね。そういうものを全部示してください。解決したものがどのくらいあるのか。
#34
○説明員(岸良明君) こまかい事項でございますので、私から申し上げたいと思います。
 実はまだ私どものほう、全体的な集計というか、そういうものはできておりません。ただ非常に解決が全般的におくれておりまして、いま御指摘になりましたように、海員はすでに解決を見ておるわけでございます。まだ漁船でありますとか、あるいは一部が残っておりますけれども、海員の例を申し上げますと、内航関係は一万七千五百七十円、これは前年に比べまして四千七百六十円のアップでございます。それから外航関係は一万八千五百円、前年に比べますと四千六百八十八円プラスになっております。そういう状況でございます。あと全般的に、まだ主要単産については解決ができておりませんが、マスコミの一部、讀賣でございますが、一万五千四百六十円、前年に比べまして四千七百八十五円のアップ、こういうふうになっております。
 そのほかは、第一次回答、第二次回答、第三次回答という形で、まだ最終的な結論は出ておらないわけでございます。
#35
○森中守義君 例年のように、鉄鋼が春闘相場づくりなどと、こう呼ばれておるのですが、これの回答の出るのは、おおむねいつごろと想定しておりますか。
#36
○説明員(岸良明君) これにつきましては、昨日の第四回の中賃闘におきまして、回答指定日が四月の二十五日というふうに鉄鋼労連が発表いたしております。
#37
○森中守義君 政務次官、春闘の全体の進展から、この鉄鋼の回答、むろんこれは、経営者側では春闘のたたき台にはならないということで、だいぶしり込みをされているようですけれども、いまの話からいけば二十五日だ、私どももそう思います。で、これが一つの起点になるという認識をしておりますか。
#38
○政府委員(葉梨信行君) おっしゃるとおりでございます。
#39
○森中守義君 そうしますと、おのずから二十五日鉄鋼が出た、同時に総評が二十七日に大規模なものを予定する。この辺に一つの最高の山場に入るであろうということなんですが、労働省としては、この春闘収拾の方法として、二十五日から二十七日にかけては、どういったようにやっていこうと思っておるのですか。
#40
○説明員(岸良明君) たいへんむずかしい御質問でございまして、私ども過般来、この問題で、局長はじめ関係者全員が鋭意努力しているわけでございます。
 しかしながら、いずれにいたしましても、鉄鋼の回答にいたしましても、それに関連をいたします大どころの決定にいたしましても、民間の自主的なやはり労使交渉の上できめられてまいるわけでございます。そこら辺のところを、やはりその後続といたしまして、御指摘のような、二十六日以降、総評全体の統一行動がまたあるということで、労働省としては鋭意関係方面にいろいろと接触をいたしまして、情報その他を収集しつつ、いま状況を、非常に重大な関心をもって見ておるところでございます。
 ただ、これに対して労働省としてどうするかということについては、率直に申し上げまして、いま鋭意いろいろと手を打っている、こういうことを申し上げる以外にないと思います。
#41
○森中守義君 この辺が、実は労働省あるいは労働政務次官や、法規課長ではちょっと荷が重過ぎる。いまのことが、運輸大臣、どうしても総理か官房長官が出てこなきゃ片がつかぬのですよ。労働省では鋭意手を打っているというが、どういう手を打っているのか、手の内をちょっと見せてもらいましょう。どういう手を打っているのか。
#42
○説明員(岸良明君) これはどうも、ことばがあれでございますけれども、これはいずれにいたしましても、こういう民間賃金の形成、これは主体は民間の労使がおきめいただく、まあそれに関連いたしまして、総評全般、労働組合全般において、四月の末に統一的な行動がある、それに対しましていろいろと問題が起きてまいるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、具体的にどうということはございませんが、いろいろな情報を収集し、またそれに応じて関係方面ともいろいろ打ち合わせをして、できる限り、そういう問題について、賃金決定についての摩擦が生じないように、そういうことを配慮しているわけでございます。具体的に手を打つということについては、ちょっとことばが適切でなかったかと思いますが、そういうことでございます。
#43
○森中守義君 参考までにお聞きしておきますが、さっきも申し上げたように、GNPが世界で第二位になったと、これは公知の事実、賃金水準及び国民の生活水準は、諸外国に比べてどうなっておりますか。
#44
○説明員(岸良明君) どうも私ども明確な答弁能力がないかと心配をしておりますけれども、ただ賃金水準に関しましては、御承知のとおり、最近相当に上昇をしてまいりまして、西欧との対比から見ますと、イタリアの水準を追い抜くというような状態まで来ておるということは承知をいたしております。ただ正確に、手元のほうに数字がございませんので、どうも全くしろうとのような答弁で申しわけないんですが、そういうことでございます。
#45
○森中守義君 これはもう春闘の一つの発想の基礎をなすものですよ。つまり労働組合の要求というものが、当を得ているのか得ていないのか、政府としてそれが一つの判断でなくちゃいかぬのじゃないですか。その基礎的なものを持ち合わせないなんてばかな話はない。あまりにも低過ぎますよ。政務次官わかっておりますか。
#46
○政府委員(葉梨信行君) 概略の数字でございますが、四十七年度の日本の勤労者の賃金水準は、大体アメリカの三分の一でございます。それからドイツの六割ぐらい、イギリスの八割ぐらい、そうしましてフランスと大体同じになりまして、まあイタリアよりは五%ぐらいよけいの数字になりました。
 過去十年の統計を見ますと、日本の賃金は、約年率一二%の率で上昇いたしまして、まあ十年前に比べると飛躍的に賃金水準は上がってきたと承知しております。
#47
○森中守義君 多少これは議論になりますが、いま政務次官のお示しになったのは、ほぼそのとおり、私もそう思う。
 そこで問題は、GNPが一六%上がっている、追っつかないんですね。むろんGNPの二八%というふうなものは、内容的に、賃金と同一の比較は非常に困難であるけれども、いましきりに経済大国だというわけで、大国意識を政府のほうでは吹聴する。それならば一六%GNPが前年比で上昇しているのに、賃金は御指摘のように一二%、しかも諸外国に比べて、いまアメリカの三分の一と言われたけれども、これは四分の一が正当ですよ。あるいはヨーロッパとは大体三分の一の差がある。かなり経済力がついておりながら、GNPに追っつかない。諸外国に比べては依然として低率な状態にある。こう見てくると、日本のあらゆる職場におる皆さんが、賃金要求をするのはあたりまえだ。しかも経済環境等など考えますと、きわめて合理的であり妥当性があるというような認識を持てませんが、どうですか。
#48
○政府委員(葉梨信行君) 勤労者の賃金水準が上昇することは、もとより労働省としても希望するところでございますけれども、それもやはり国民経済の伸長に伴って妥当な水準をもって上昇していかなければ経済は破綻するわけでございます。そのように認識しております。
#49
○森中守義君 それは間違いですよ。今日の日本の経済成長を促してきた中で、一体労働者の貢献の度合いをどういったように見ておりますか。それを抜きにして、ただ賃金をよこしてやっているという、これだけでは事が済まない。日本経済をここまで発展をさしてきた土台をなしたものはだれなのか、どういう役割りを果たしてきたか、この認識はどうですか。
 もっと極端に言えば、何か賃金闘争をやる、年金闘争をやるということになると、政府の認識からいくならば、きわめて反社会的であり、ある意味では犯罪行為でもやっているような、そういう認識が非常に強い。ここにそもそもの間違いがある。GNP一六%、経済大国なんだ、こういうことを政府はしきりに言われるけれども、ひとり経営者の能力、ひとり経営者の計画、使用者の計画や能力によって今日の日本経済がつくり上げられておるんですか、それをどう思いますか。
#50
○政府委員(葉梨信行君) 私は経済の専門家でございませんので、深い議論はできませんけれども、勤労者の皆さん方のたいへんなお力によって日本の経済が伸びてきたのはおっしゃるとおりでございます。同時に経営者の経営努力あるいは技術革新がたいへん盛んに行なわれたというような、いろいろな要因があると考えるのでございます。
#51
○森中守義君 いや、要因というよりも労働者の果たしてきた役割りをどう見るか、それを答えてもらわなければ困る。
#52
○政府委員(葉梨信行君) 労働省としましては、勤労者の皆さん方の役割りは、もう十分に評価しなければいけないと考えております。
 ただ、勤労者の勤勉さだけで日本の経済が伸びてきたとはいえないと思います。で、勤労者の勤勉さに対しまして、勤労に対しまして正当な賃金を払う、また正当な賃金の上昇をはかるということは、もうこれは、労働省としても大いに賛成すべきことであると考えております。ただ、それが生産性の上昇を越えてまでも一気に伸びるということが、日本の経済の発展にとって、妥当であるかどうかということについては、議論が存すると考えるものでございます。
#53
○森中守義君 果たしている役割りに対して対価が薄過ぎる、今日の経済成長というものは、労働者の果たしてきた役割りというものを抜きにしては考えられない、この認識を持たないところに問題がある。
 ちなみに、昨年の九月に外務省が発行した「ピーターソン報告」。いまの財務長官ですね、この人が日本の今日の経済及び労働、こういうものをこうまとめて大統領に報告している。かなり真髄をついておりますよ。一ぺん読みなさい。何と言っているかといいますと、「日本については「安価な労働力」という根強い神話がある。」、安価な労働力という神話があるという見方をしておりますね。「日本経済の成長が主として低労働コストを基盤としていることは一般に仮定されていることである。多くのアジア諸国は日本に比べて労働コストの低さや原材料の豊富さの点で遥かにまさっているが、どの国も日本のような労働ならびに資本・資源配分、効率的な使用およびその結合、成長を促進するための政府・企業間のパートナーシップを備えていない。」、こう言っているわけです。これが問題でしょうね。非常に低コストである、神話だと、こう言っているわけです。これを脱却しなければ、いつまでたってもこういう紛争は解決しませんよ。これは肝に銘じてもらいたい。そこに労働運動を通じて、正当な対価の要求ということは、政府としてあまりにも当然なことじゃないか、政府のみならず、企業者という側に立つものも、今日の成長を促してきた最大の原動力は労働にあった。しかもその労働は、ピーターソンが言うように、低コストが神話だということを一つの基調に踏まえている。こういう意味では、決して私は先進国とは言えないと思う。きわめて労働条件の後進性を持っている。この後進性の脱却をやろう、脱却をしなければいかぬ、ここにほんとうの日本の近代化あるいは経済がちんばな状態、ひずみを消滅する。もう少し根強い、底の深い私は経済の運営というものが、将来に、脱却するならば確立ができる、こういうように思うんですが、どう見られますか。ピーターソンの報告をどう認識されますか。
#54
○政府委員(葉梨信行君) いまの現況は、日本の勤労者の賃金が非常に低い状態から先進国並みに上昇している過程であると思います。その上昇過程はたいへんけっこうなことであって、今後もさらに勤労者の分け前がふえることを希望するわけでございます。
 ただ問題は、その過程を合理的に行なっていただきたいということを、先ほど申し上げたわけでございます。
#55
○森中守義君 いまのことは、一つの原則に触れる問題ですし、やはり労働行政を進められていく上に、また運輸大臣にも運輸省及び国鉄等々の労使関係の際には、一つの基調として考えていただきたいと思う。むろんこのことは、これからの議論もまだあることですから、そのつど申し上げたいと思うんです。
 そこで、国労それから動労が要求している今日の賃金要求は幾らですか。
#56
○説明員(加賀谷徳治君) 国労、動労の要求している賃金は、国労は三月九日に申し入れがございまして、二万四千円の引き上げ、それから動労が要求しておりますのは、動労もやはり三月九日でございますが、同じく二万四千円の引き上げということになっております。
#57
○森中守義君 新しい、成立をした予算の中で、定期昇給及びベースアップの予算はどのくらい見ておりますか。
#58
○説明員(加賀谷徳治君) 定期昇給、ベースアップの予算は、パーセンテージにいたしまして七・五%。定期昇給が二・五%で、ベースアップが五%でございます。
#59
○森中守義君 いまの御説明による、定期昇給二・五%、ベースアップ五%、これは二万四千円の要求に対してどういう比率になりますか。
#60
○説明員(加賀谷徳治君) 正確な数字は出ておりませんが、おそらく三分の一以下の数字であると思います。
#61
○森中守義君 いま示された定期昇給の二・五%というのは、これはもう別ものに考えなくちゃいけませんね、当然やらなきゃいかぬのだから。あるいは、これから調停とか裁定という段階にかりに移行した場合に、定期昇給込みかどうかという問題もありましょうが、要求としては定期昇給は言っていないわけだ、ベースアップ二万四千円と、こう言っているわけですから。したがって、ベースアップの五%が二万四千円に対して三分の一弱ということですか、それとも七・五%をして三分の一弱ということですか、どっちですか。
#62
○説明員(加賀谷徳治君) 両方合わせて大体三分の一程度だと思います。これは、ちょっと正確な数字をはじいておりませんので、正確には申し上げられませんが、大体そのくらいだと思います。
#63
○森中守義君 そうしますと、二万四千円の要求に対して定昇二・五%、ベア五%。これを充当しようとすれば、三分の一弱であるということになりますね。――ということですね。
 そこで、いま交渉が進展の過程でしょうけれども、いつ回答を出すつもりですか。
#64
○説明員(加賀谷徳治君) ベースアップの交渉――おのおのの組合と数回にわたっていま交渉を続けておるわけでございますが、現在の段階、先ほど労働省からも話もありましたように、いろいろ民間賃金、その他、それから特に私どもに関係あります私鉄の賃金問題、そういったようなものの進展がまだ思うようにいっておりませんので、そういった点を見ながら、そういったものが出そろった時点において検討していきたいと思っております。
#65
○森中守義君 いまいわれる私鉄や関連産業等々があるので、そのときまで待ちたい――進んで出そうという意思はありませんか。いつも国鉄の場合にはしんがりになってしまって、不必要な紛争をずっと長期化する傾向がある。もうこのあたりで少し発想の転換をはかる、他に先んじて国鉄がひとつ出してみよう、そういうことを考えておりませんか。
#66
○説明員(加賀谷徳治君) 国鉄賃金は、御承知のように、公務員あるいは生計調査あるいは最近では民間賃金なんかの均衡を見ながら、調停あるいは仲裁裁定といったような段階を経て決定されておるというのが実情でございます。
 私どもとしましては、鋭意組合との話はいま進めておりますが、先ほども申しましたように、あまりにもかけ離れた要求でございますので、そういった点についての組合のほんとうのあれはどの辺にあるのかというようなこと、あるいは中身の問題、そういったものについて、現在、団体交渉の中で話を進めているという段階でございます。
#67
○森中守義君 ここは団体交渉の場ではありませんから、あまりこの時点で深追いはどうかと思いますが、一言お聞きしておきますと、ゼロ回答なのか有額回答なのか。まあその辺の大体の見解はまとまっているんでしょうね、いかがですか。
#68
○説明員(加賀谷徳治君) 御承知のように、予算は衆議院を通過しておるわけでございますが、収入予算の財源になる運賃の値上げ法案並びに財政再建法案が、現在、国会で御審議を願っている最中でございまして、そういったいろいろな事情が国鉄としましてはございますので、なお組合といろいろ話し合いをした進展の状況、あるいは他の公社、それから民間賃金、そういったものの出そろう時期、そういったものをいろいろ見て、その時点でいろいろ考えた上に判断してみたいと、こういうふうに考えております。
#69
○森中守義君 それはおかしいじゃないですか。
 昨年は、まだ運賃の問題等々が決着のつかない状態で、ある程度合意に達した。昨年できてことしできないという理由はない。同時にまた、さっき言われたように、定昇二・五、ベア五だから、要求には三分の二以上足りないにしても、これをもってゼロ回答ということはないでしょう。定期昇給込みで七・五%だ、こういう出方は当然できるんじゃないですか、財源ゼロじゃないんだから。現実に七・五%確保しているわけだから、定期昇給込みで七・五%出します、つまり有額回答ということに当然なると私は思う。できませんか、それも。だから、ここで率までは私は言っていない。有額かゼロ回答か、そのくらいのことは考えられるであろう、こう言っているんですよ。どうですか。
#70
○説明員(加賀谷徳治君) 昨年は、実はゼロ回答ということじゃございませんが、現在おかれてます国鉄の財政事情、そういった関係。それからまた、国会でことしと同じように二つの法案が審議されておりました。そういったような情勢にありましたので、現在の状態においては、何とも申し上げられないという形、いわゆるゼロではございませんが、無回答という形で調停に持ち込まれておりまして、調停の段階におきまして、調停に入る直前に、他公社並みのことは私どもとしても考えたいというふうなことで、調停が出ておるというような事情でございます。
#71
○森中守義君 まだ調停だとか、あるいは仲裁なんというところまでは、時間もありますから、そこまで議論を発展させたくはない。しかし、いま言われるように、他の三公社五現業並みのことはしたい。これだけはいま言われたので、確認しておいてよろしいですね。
#72
○説明員(加賀谷徳治君) 国鉄の業務は非常に責任のあるたいへんな業務でございますし、いまやっぱり財政再建の線に沿いまして、労働者にもいろいろ御協力を願っておるというのが現状でございますので、まあ他公社並みのものは確保したいという気持ちは持っております。
#73
○森中守義君 確保したいということは、確保するということに裏返しとすればできるでしょうから、そのことをひとつ大いに認識をしておきましょう。
 そこで、もう一つで終わりますが、これは運輸大臣それから労働省ですね、いずれさっき運輸大臣が言われたように、関係の閣僚で云々ということでなくて、やっぱり二十五日に鉄鋼の回答が出る、そこで二十七日に大規模なうねりが立つという、こういうことを想定するならば、当然その時点あるいはその前後に、どうしてもそれぞれの閣僚にまかせるというのでは限界がありますから、そういう意味で、私は総理が相手の代表と当然会見をして、そこで収拾をはかる、政府の方針を提示する、こういうようにいかないと、これはなかなか簡単に収拾できないんじゃないか、こう思うんです。むろんこれは年金、賃金あるいは週休二日制、時間短縮と、当面をしている重要な幾つかの問題がありますが、こういうものを中心に、俗にいわれるトップ会談というようなものが設定をされてしかるべきだと、こう思うんですが、どうお考えになっておりますか。閣僚として促進されますか。
#74
○国務大臣(新谷寅三郎君) 例年の春闘の問題、労使間の賃金の問題、賃金その他待遇の問題等の処理でありますと、例年のように、これは法律がございますから、それのルールに従って行なわれてしかるべきだと思いますが、いろいろ今度の春闘の問題で、組合が考えている要求の中には、労使間の関係だけでは解決できないような政治的な問題が入っていると考えております。
 したがって、いまおっしゃるような何かの政治的配慮が必要かと思います。その点について、内閣としては、私は担当大臣でありませんから、さっき申し上げたように、どうするんですと、どれが一番いいんですということは、私は言う権限も何もありません。ただ、そういうことを考えるから、さっき申し上げたように、関係三大臣が組合側の代表と会って、むしろこれは具体的な待遇問題というような問題よりも、そういうような政治問題が含まれているので、そういった問題にお互いに意思を疎通をして、考え方を、何とかして合意に達せられるものなら合意に達しようという努力をされたんだと、私はそういうふうに理解をしております。
 したがって、この問題が今後どういうふうに進展するか、その模様によりましては、あるいはここに労働省関係もおられますから、労働大臣の意向もわかるかもしれませんが、そういう扱い方をせられる可能性はあるんじゃないかと、私はそういうふうに観測をしておりますが、これはしかし、主管大臣じゃありませんから、政府としてこういたしますということじゃないんです。その点明らかにしておいてもらわぬと困りますが、そういうふうなことは考えられる方法であるというふうに、私は観測しております。
#75
○政府委員(葉梨信行君) 政府といたしましては、関係労使当事者の誠意と良識によって事態が平和的に解決されることを期待しておるところでございまして、特に関係組合及び組合員が良識をもって臨まれることを切望しているところでございます。ただいまのところ、総理と総評議長云々という御提案につきましては、考えておりません。
#76
○森中守義君 まあこれは、考えていないということは、どういう状態になってもしかたがない、つまり、収拾能力がない、収拾の意思はない、こういうことにもなろうかと思うんで、まあ、そう簡単に、考えていないということではおさまりますまい。しかし、これは事態の推移を見ましょう。むしろ、私は、建設的なものの考え方として、そのような措置をとるべきだという一つの提言でもあるわけですから、お持ち帰りになって、よく検討してみてください。
 あと、公務員制度審議会等々の問題もお尋ねしなくちゃなりませんが、小柳君からもだいぶ意見があるようですから譲ることにしまして、大蔵省政務次官見えていますから、ちょっと聞いておきますが、いまの年金制度というのは、先ほど年金局長からやや専門的な話もありました。
 ところが、こういう見方を私はしている。由来、年金は、内容を充実さすべきものだということが政策的にはいわれている。しかし、これを一たん実態として洗い直す場合に、年金それ自体が目標ではない、年金という手段を通じて財源を確保する、こういうことにかなり力点が置かれていると、こう思う。非常に問題ですね。そこで、この財投問題をまた別な機会にもう少しじっくりとお尋ねしなくちゃなりませんが、たとえば、年金もいろいろありますけれども、これを完全に国家管掌にしなきゃならぬものですか。私は、国家管掌から年金をはずすべきだ、財投の財源にすべきでない、こういう従前からの主張を持っている。
 そこで、年金の制度、これをいろいろと検討する機会に、財投の財源として、年金をどう掛け金を確保してこれを運用するか、こういうことを考えていけば、少しく問題が、財源と年金という、まことに、これまた基本的な議論として検討が必要だと思うんですけれども、大蔵省はどういうふうにお考えになっているんですか。意外にほんとうなことじゃないんですか、財投の財源にしよう、そのためには年金をいじり回そうとか。年金それ自体が目標でなく、年金をえさにして財源を集める、こういう発想を持っているんじゃありませんか、いかがですか。
#77
○政府委員(山本敬三郎君) 財投の資金は四つの特別会計の資金として、しかもそれは利息をつけて確実に運用しなければならぬという形で長らく運用してきたわけでありまして、年金資金を財投に確保しようというような特別な意図を持っているわけではありません。
#78
○森中守義君 そこで、その特殊な機関の設定をするとか、いろいろ検討しながら、少なくとも財投の財源になっているわけですからね、国がそういうものを干渉すべきでない。年金は年金として別に扱ったらどうだと、こういうことなんですが、どうですか。
#79
○政府委員(山本敬三郎君) 還元融資のことをあるいはさしておられるのかもしれませんけれども、いまの財投の運営は、かつてのように、日本経済の国際競争力を飛躍的に向上をさせるために、産業奨励に使うというようなことから、逆に変わりまして、福祉に重点を置くと。一六分類といわれます財投の事項別分類の資金に充当するたてまえをとっております。
 ことに年金資金や郵貯資金については、かなりのパーセントをそちらへ持っていくという形をとっておりますので、還元融資というような形で特別やるのも、いまの財投資金のワクの中でそういうやり方をやるのも本質的にはそう大きな違いはないんではないか、こういうように考えております。
#80
○江藤智君 私は、今回のストにつきまして、運輸省関係の問題についてお話を聞きたい、かように考えます。
 で、もともと今度のストは年金ストと銘打っておりますから、ただいまはいわゆる五万円年金。これまでは二万円年金といわれておったものを相当大幅に増額をした年金の法案も出ておるわけでございます。また、労働問題全体にも関係をいたしますから、むしろそういう問題につきましては、社労委員会で取り上げて十分に検討をすべき問題であろう。しかし国民生活に非常な影響を及ぼす問題でございますから、運輸委員会といたしましても、いささかその経過をはっきりさしていただきたい、かように考えるわけでございます。
 で、国民に対する影響につきましては、この前の三月五日の動労のストにおきまして、非常な迷惑を国民に与えておることは言うまでもありません。上尾事件が起こりましたり、貨物列車は三分の一もとまってしまいまして、はかり知れない国民生活に影響を及ぼしておるということも言うまでもないわけでございます。
 したがって、世の中の関心というものは、この交通関係のストに非常にしぼられておる。新聞記事などを見ましても、ほとんどがこの運輸・交通関係にしぼられておることは言うまでもないわけです。
 そこで、今度のストにつきましては、私の聞いておるところでは、けさの零時から大体七時間程度というふうに聞いておるんですけれでも、国鉄並びに東京付近の大手私鉄だけでございますが、どういうストをかまえ、またどういう経過をたどったかということを、簡単にひとつ御説明願いたいと思います。鉄監局長。
#81
○政府委員(秋富公正君) 大手私鉄について申し上げますと、これは全国的に申しますと、十組合が今回のストに参加いたしました。で、これは東京付近におきましては、東武鉄道、京成、京王、営団でございます。いずれも六時三十分までのストでございましたが、東武あるいは京王、営団、京成、早いところで六時四十分、おそいところで八時にはすっかり平常に回復いたしております。
 国鉄につきましては、まことに遺憾でございますが、ストに突入いたしまして、たいへん御迷惑をかけておりましたのですが、十時三十分に妥結いたしまして、その後漸次平常に復しつつあるわけでございます。
#82
○江藤智君 そこで、私が焦点を当てて承りたいのは、国鉄のストの問題、これは国鉄当局に伺いますけれども、国鉄は当初の計画はまる二日にわたって争議行為をやるというふうにいわれておった。幸い労使の協調によって、きょう十時半に解決したことは非常にけっこうですけれども、昨日一日だけでも六十二万人の足を奪っておる、こういうような影響を及ぼしておるわけですね。そこでどういう理由で、この一日前から始まって、それから六時半にいわゆる大手私鉄は終わっているのに、当初聞くところによると、きょう一ぱいも長引くようなことになったのか、そこのところを説明してもらいたい、かように思います。
#83
○説明員(加賀谷徳治君) 総評全般のスケジュールの中の闘争ではございますが、ただいま御指摘のように、利用者に多大な御迷惑をおかけしたことにつきましては、たいへん申しわけなく思っております。
 ただいまの御質問でございますが、ものの見方によっていろいろあると思うのでございますが、国労が総評の中での位置と申しますか、これまでのいろいろな実績と申しますか、そういった点の意識があるわけでございまして、まあ今回の総評のスケジェール全般についての方針に対する、積極的な参加の意思を示したというような程度のお答えしかできないというような感じがいたしております。
#84
○江藤智君 どうもたいへんに簡単でよくわからないんですが、総評の今度の春闘に積極的な態度をとったから、まる二日にも及ぶ争議行為をやると。どうもこの点が国民としても納得がいかないんじゃないか、かように考えるわけです。もう少し詳しく説明してくれませんか、どういう折衝をなすったか。もちろん国鉄としては、精力的にこの数日間というものは折衝を続けられたと思うんですが、もうちょっと詳しく御説明願いたい。
#85
○説明員(加賀谷徳治君) 今度の問題の中身について多少申し上げますが、全般的に、まあ年金ストというようなことでございまするが、年金問題につきまして、いろいろな話があったと。これはしかし、話の内容としましては、大部分法律問題に属する問題であるというようなことでございます。しかし当事者同士である程度解決できる問題、それもある程度ございまして、そういったようなものについてはいろいろ話を煮詰めて、意見の一致するものは妥結するというような運びになったということは言えるんですが、ただ、国鉄は御承知のように、財政再建の一つの柱としまして合理化を推進しておる。十一万人の合理化を推進しておるというようなことでございまして、大体四十八年度の合理化に関係いたします大きなめどをこの時点でつけるというような問題もございまして、そういったものにつきましての折衝もいろいろあったということでございまして、私どもは十七日のストライキについては、そういった問題がありましても、できるだけ避けたいということで、もうその以前から、土曜、日曜、全部つぶして折衝を続けておりましたわけでございますが、残念ながら、最後に時短の問題――時短と申しますのは勤務時間の短縮の問題でございますが、この問題で大きく対立いたしまして、多少私鉄なんかのスト中止の時間を少しこえるというような事態になったことは、非常に残念なことだったと思っておる次第でございます。
 その時間短縮の問題は、私どもこれはまあ天下の趨勢から申しまして、積極的に取り組むという姿勢で臨んでおるのでございますが、これまで第一次、第二次、二回にわたって段階的に時短を進めてきておるということで、さらにもう第三次の時短に取り組もうということで、昨年の秋以来、いろいろ話し合いをしている。その時点におきましては段階的に取り組んでいく――もともと時短の問題は、やっぱり企業の一つの力といいますか、そういったもので、のりを越えないといいますか、全般の合理化の中からまあお返しをする、ある程度時間短縮でお返しをするというような問題になるわけでございまして、段階的にやろうということで話を進めてきたのですが、この時点で、国労は一ぺんにやれ、一挙にこれをやってほしいというようなことになりまして、まあ一挙にやるということになりますと約二万人ぐらいの人間が要るというようなことになって、とうてい不可能な問題でございますので、そういった点につきましての意思の通じ合いといいますか、そういったものに非常に手間がかかった。そういったことで、多少、十時半までストの収拾がおくれたということでございます。
#86
○江藤智君 そこで、私はひとつ運輸大臣にお伺いしたいのですが、前回の委員会におきまして、相当長時間、いわゆる順法闘争なるものの違法性ということについて論議をいたしました。明らかに、その結果によって、やはり順法闘争という名前のものでも違法なものであるということは、はっきり運輸大臣も労働大臣も明言をされた。
 それはなぜかといいますと、交通機関は全般に非常に影響を及ぼすところが大きいのです。だから私鉄でも公益事業として予告の制度もあれば、緊急の総理大臣の調停の処置もあるわけですが、国鉄の場合にはもっともっと影響が大きいからストは明らかに禁止と。しかし今度の場合も、六十二万人もの影響を及ぼすということになれば、これは確かに違法ですよ。そういう違法が、しかも一般の私鉄よりも大っぴらに大きくまかり通っておるということに非常な問題がある、私はかように考えます。
 運輸大臣も、そういう問題については、労働大臣とも十分に相談をして、何とかそういうことのないように努力をしたいということは、ついこの前もお話があったわけですが、今度は一体こういう問題について、運輸大臣はどうお考えになり、あるいはどういう措置をおとりになるか、お話をお聞きしたいと思います。
#87
○国務大臣(新谷寅三郎君) 今度の国鉄のスト行為、これは先ほど労働省の側からも申しておりましたように、国鉄の労使間だけで解決できる問題ではないのであります。そういった問題につきましては、これは政府全体としまして見解がきまっております。
 一言で申し上げると、ことばが不十分かもしれませんが、政治的な問題についてのそういう行為は、これは違法であるということは、前々から申し上げておるとおりでございます。それならば、これをどういうふうに対処したら避けられるかという問題でありますが、先ほど労働省側からも申しましたし、私も森中委員の質問に対してお答えいたしましたように、そういう政治的な色彩を持った問題が中心でありますから、これは運輸省とか、あるいは郵政省とか、公共企業体を担当しておる大臣は、それぞれの立場でそれぞれのことを言っておったんじゃ、これは解決をかえって混乱させるということが明瞭でありますから、関係閣僚の間で――これはさっき申し上げたように、閣議でもそういう話が出まして、とにかく三大臣がこれの失面に立って政府を代表してこれの収拾に当たってほしい、また当たりましょうということで、三大臣が代表とお会いになったのであります。
 しかし運輸省関係のものとしまして、われわれの立場としましても、やはり国鉄から御報告がありましたように、労使間において解決のできる問題も、つまり労働条件に関する問題もありますから、これについては国鉄とは非常に前々から密接な関連をもちまして事態の収拾につとめるようにということで、具体的ないろいろの相談をさしておったのであります。問題によりましては、いま国鉄のほうから御報告いたしましたように、すぐに全部の合意に達するというような点までいき得ない問題もあることは事実であります。
 この点については、これも当事者間がお互いに誠意をもって、相手方の考え方あるいは方向というものについてお互いに理解を持ちさえすれば、これは合意に達することができないことはないということで、私どもは国鉄の総裁を通して、そういう方向であらゆる努力をするようにということを強く要請してきたのであります。先生方からごらんになりまして、よく言われるのです、運輸大臣、自分でやったらどうだ、というようなお気持ちもあるかもしれません。しかし運輸大臣が労働組合の幹部と直ちに会うことの可否、それによってどういう結果が出るかということは、これは非常に慎重にあらゆる角度から検討しなければならぬ問題だと考えます。
 しかし場合によりまして、公労法の規定によって、調停ないし仲裁の申請を公労委に対してなし得るということは規定されておりますから、事態に応じましては、そういうことも考えなきゃならぬと思いますが、今回は、直ちに組合の方々と私は会うことはしませんでした、しませんでしたが、その点は先ほど申し上げたように、前々から国鉄の関係は国鉄で可能な限り処理をするように、それから内閣全体の問題にわたりましては、関係大臣を通じて当事者間で、代表との間で話をしてもらいたいということで処理をしてきたというのが実情でございます。
#88
○江藤智君 年金の折衝につきましては、これは国鉄の労使で話し合いをするということは、もう明らかに無理だと思います。
 しかし、私がいま指摘しておるのは、それと抱き合わせと申しますか、そういうことで、いわゆる年金ストよりもはるかに長い間一般国民に迷惑を及ぼしておるという事実ですね。私、常識的に考えますと、前回もずいぶんここでやりましたけれども、違法なストで非常な迷惑を及ぼしており、国民もたいへんに憤激しております。しかも国鉄労使に対してまた不信を持っております。まあ新聞論調を見ましても、親方日の丸じゃないか、私企業でございましたらたちまち会社の経営に影響がある、またベースアップの財源にも影響がある。国鉄の場合はそういうことがないから、労使ともにそういう問題について親方日の丸的な考えがあるんじゃないかという、こういう不信を受けることが一番こわい。
 ですからして、今度の場合なども常識的に言えば、国民側の感情から言えば――これはもともとストしちゃいけませんよ、いけませんけれども、かりに春闘に加わるとしてもできるだけやはり国民に対しては遠慮した姿でそういう行為もすべきじゃないか、かように考えられますのに、もっと大きいこういうストをやって国民に迷惑かけるということは、これは労使ともに考えなきゃいかぬことじゃないか。ですから、そういうような問題について、国鉄当局は十分に事を分けて話し合いをされたのかどうか。ただもう勤務時間や何かのことだけでドライにいったのか、腹を割って対国民というものを考えて話し合いをされたかどうか。私はそういう点に重点を置いて話し合いをしてもらいたい、かように思いますが、そういう経過を国鉄当局から聞かしてもらいたいと思います。
#89
○説明員(加賀谷徳治君) ただいま御指摘のとおりでございまして、まあ私どももそういう印象を国民、利用者に与えるという形になっておりますことにつきましては非常に残念に思っておるわけでございまして、またあわせて私どももいろいろ反省しなければならぬというふうに考えているわけでございますが、今回の問題につきましては私ども、交渉すべき事項につきましては誠心誠意やってまいったつもりでございまして、またストに入るという――サボ、それからストに入るという段階で、総裁からも警告してもらっておりますし、また、じかに総裁にも会ってそういう違法行為はやめてほしいという説得をしてもらっておるわけでございますが、残念ながら形としてはそういうぐあいに、国民に御迷惑をかけるような形になったということでございます。
 ただ、例の合理化の問題につきましては、本日の朝の早い時点で一応片づいたわけでございまして、以後すぐにそのストライキの態勢を解くことを私どもも要望し、期待したんでございますが、やはり年金ストというものに対する、まあ先ほどもちょっと申し上げましたが、総評の行事に対する積極的な参加の意思のあらわれとでも申しましょうか、そういったようなことで、積極的に収拾されなかったという点につきましては、非常に遺憾であったというふうに考えておる次第でございます。
#90
○江藤智君 私は基本的にはやはり労使が話し合って、しかもどちらもが譲り合って、そうして事を処する、そして考えるのはいつも国民です。特に国有鉄道というようなときは、これはもう国民をいつも意識しながら話し合いをしなけりゃいけない。しかも、そういう点において欠けるところがあって、国民の不信を受けるようなことになれば、ただいま公務員制度審議会でいろいろと検討しておりましても、これはやっぱり世論の支持というものがなければいい結論は得られないということを心配してるわけです。
 したがって、今後そういう、特に国有鉄道の争議行為というものについては、国民を意識しながら進める、こういうことで、政府並びに国鉄は一段と努力をしてもらいたい、かように考えます。
 特に、この月末のまたストにおきましても、私鉄は聞くところによりますと四十八時間、国労、動労はそれよりもはるかに長時間の七十二時間というような予定が組まれておるやに聞いておる。これなども、いま私がお話をした気持ちとは全く逆なんですね。ですから、できるだけひとつ国鉄も事前に話し合いを詰めて、また運輸大臣も、よく相談に乗られて、できるだけ月末のストにおいては、これを短い期間に切り上げる、できればそれに入らなくても――私鉄のほうが早く賃金のベースも出るようでございまして、何とか話し合いを進めて、この七十二時間というようなストは回避するように、ひとつ努力をしていただきたい、かように念願しておるものでございますが、運輸大臣、労働大臣並びに国鉄当局の御意見を承って、私の質問を終わりたいと、かように考えます。
#91
○国務大臣(新谷寅三郎君) 江藤先生の御希望といいますか、私も全然同じように考えております。その方向で努力をしなければならぬことは、もうおっしゃるまでもなく当然のことだと思います。
 しかし、この問題につきましては、国鉄の問題であるからといって、御承知のように、春闘というものの性格が国鉄との間でもって当事者双方が解決し得る問題以外の問題が相当含まれておりますので、これについては努力はいたしますが、また政府部内においても、そういう事態を避けるための最大限の努力を関係各大臣でやってもらうように、これも努力はいたします。いまおっしゃるような結果を、何といいますか、早急に生み出すということにつきましては、非常に困難な点があることは、これも御承知のとおりでございますが、決して労を惜しむわけでもありませんし、これは熱意がないのでもありません。そういうふうな結果を招来するための努力を、主管大臣としても、これは当然しなければなりませんし、関係の閣僚とも十分打ち合わせまして、最大限の努力をしたいと思っております。
#92
○政府委員(葉梨信行君) 四月十四日の三大臣の春闘共闘委員会の代表との会見におきましても、労働大臣はさようなことを希望しておりますし、あらゆる機会をとらえて、これまでもそういう申し入れをしておるところでございます。ただいま先生のおっしゃいましたような御趣旨に従いまして、これからもできるだけの努力を払いたいと存じます。
#93
○説明員(加賀谷徳治君) ただいま先生御指摘のとおりでございまして、賃金問題につきましては、私どももいずれ第三者機関、その他にもかかっていくというような段階も経ることになると思うわけでございますが、できるだけ早くそういった決着をつけて、この七十二時間といういまだかってない大きな闘争を組んでおりますので、そういったことを、できるだけ入らない、また国民に迷惑かけないという形をつくっていかなければならぬというふうに考えております。
#94
○委員長(長田裕二君) それでは、本件に対する午前中の調査はこの程度といたします。
 午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時三十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十五分開会
#95
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#96
○小柳勇君 総務長官には官房長官のかわりに来ていただきました。したがって、ます初めのほうは、政府としての官房長官にかわってのお答えを願いたいのであります。
 きのうきょう、いわゆる年金ストで国民の足が相当とまっています。組合は世間に、これはもう前から宣言をして行動しております。なぜ政府が誠意をもってこのような事態が起こらないように、前もって解決する努力をされなかったか。特に、けさ森中委員が、閣議でこの問題が論議されましたか、と質問いたしましたら、運輸大臣のほうからは、具体的にこの問題が論議されたことはないような答弁がありましたが、それも含んで、政府の今日までとった誠意ある努力を御披瀝願います。
#97
○国務大臣(坪川信三君) 今般のこうした事態というものは、国民も非常に憂慮いたしており、また国民生活に重大な影響を与える問題でもございますので、政府といたしましては、これらの事態の到来せざるよう、最善の配意もいたしてまいったようなわけでございます。
 御承知のとおりに、加藤労働大臣もそれぞれの立場から談話を発表され、また自治大臣あるいは文部大臣もそれぞれの立場から、所管の立場からの声明を出され、また総務長官におきましても、政府を代表しましての声明あるいは警告等も発しておったわけでございます。さらに、春闘の議長並びに事務局長から、政府側との、閣僚クラスとの協議も持ちたいという話もありましたので、私を含めまして、三人の閣僚が一時間有余にわたりまして、それぞれの御意見も聞き、また政府といたしましても、意のあるところを開陳もいたし、そして国民的な立場から、ぜひともストの中止をお願いするということで、政府といたしましては、小柳委員御承知のとおりに、あらゆる角度から十分努力も、また折衝も、それぞれの立場も申し述べてきたことは、ひとつ御理解を賜わりたいと思うのでございます。
#98
○小柳勇君 昭和四十二年の六月二十一日に社会保障制度審議会が、総理に対しまして、年金法の抜本改正を申し入れております。その内容は四つありまして、一つは年金は生活保障的であり、かつスライド制を確立すること。第二は各省庁の調整が必要である。第三は各種年金の通算関係の不備を直すこと。第四は各種年金の総合調整が焦眉の急務である。この申し入れをやりまして、昭和四十二年の七月に公的年金調整の連絡会議ができました。これの責任者は総務長官であるし、具体的な事務局は審議室です。
 審議室にはあとで聞きますが、このように、年金問題については昭和四十二年に社会保障制度審議会が総理に対して抜本改正の要求をしています。これには、いままでの政府がこたえていない。公的年金制度の調整については、昨年の四月、私は予算委員会で、一日、この問題だけ質問いたしましたが、昨年の秋には一応の結論が出るという答弁が当時の山中貞則長官からあって、今日まだ全然そのめどがない、そういうことが今日のこのいわゆる年金ストという、こういう非常事態に訴えなければ、労働者の晩年の生活の安定がないということで、せっぱ詰まって年金ストをやっている。それはもう公に宣言しておることです。警告とか注意とか、そういうことだけでなくて、こういう昭和四十二年六月の社会保障制度審議会の申し入れにこたえようとしなかったか。しかもそれには、二年ぐらいの間にこれやりなさいと、はっきり書いてある。したがって四十四年、四十五年ごろには年金の抜本改正ができておらなければならぬ。それができないから、しようがないから、ああいう非常手段に訴えている。そういう問題をとらえてないですね。
 けさからの森中君の質問に対する各省の答弁を聞くと、そういう問題をちっとも把握していない。ただ末梢的な、表面的なものだけとらえている。したがって年金ストは違法だとか――この問題はあとでまた労働省に聞きますけれども、経済的な要求ですよ。自分が掛け金を掛けて、そして短期給付、長期給付を出して、そして晩年の生活を安定する、労働者の最も経済的な要求ですよ。したがって、この昭和四十二年の社会保障制度審議会が総理に申し入れた問題について、どう解決しようとされているか、長官の見解を聞きます。
#99
○国務大臣(坪川信三君) 公的年金制度は、それぞれ制度の沿革や被用者と自営業者との区分に応じて組み立てられた制度であることは、もう小柳委員よく御了承のとおりでございます。その間の統一的調整を行なうことも、しかしなかなか困難なところも御理解いただけるのじゃないかと思うのでございますが、そうした立場を踏まえまして、公的年金制度の調整連絡会議を持ちまして、四十六年度以降、民間、公務員、私学・農林、労災の四つのグループに分かれまして鋭意検討を行なってまいっているところであります。
 その中で、民間グループでありますところの厚生年金、国民年金等の年金額改定の問題については、いわゆる物価による自動スライド制を採用することになり、その所要の改正措置を今国会に提案申し上げていることは、御承知のとおりでございます。
 公務員等の他のグループも、この民間グループの動きに応じまして検討を重ねましたが、まだ結論を得るに至っていないわけでございます。すなわち、あとの二つがまだ出ていないというようなことでもございますので、当面の措置としては、昭和四十八年度の各種共済組合の年金額の改定には、恩給の改定方式に準じて、昭和四十六年度及び四十七年度のアップ率二三・四%を適用することとしております。この会議としましては、今後、公務員グループ等の検討結果を待って、さらに検討を進めてまいりたいという所存でございますので、各グループにおきまして十分検討も続けておりますので、これらの具体的な状況につきましては、政府委員から答弁をいたさせますが、いま小柳委員御叱正のとおりではございますが、政府は、鋭意これにつきまして努力もいたしており、また総理府といたしましては、こうした立場に立っての調整役をいたしておるということも、御理解おき願いたいと思うのであります。
#100
○小柳勇君 この問題で、もう一つ財源問題などあります、しかも各省庁ばらばらです。八つの省庁に分かれていましてばらばらですから、総理府が本気になって、ちゃんと長官が拍車をかけませんとこの問題はできない。
 特に第三項の各種年金の通算関係の不備を直すこと、第四の各種年金の総合調整が焦眉の急務であるということ、これは長官が決心しないとできないことですから、さらに拍車をかけて早急に結論を出すこと、お約束できますか。
#101
○国務大臣(坪川信三君) 御指摘になりました点等を含めまして、各省庁との間に、ぜひとも調整をはかってまいりたい考えであります。
#102
○小柳勇君 最後の問題は、事務当局に聞きます。
 スト権回復の問題ですが、今月の二十四日から、あと一週間です、二十四日から月末まで、いわゆるスト権回復ということでまたきょうのような情勢、これ以上の情勢が発生する。そこで昨年からも、私ども何回も論議しておりまするが、公務員制度審議会が論議中ですからということで政府は逃げていますよ。ところが、けさの某新聞の社説にありますように、公務員制度審議会で論議中ですからと言って逃げるべきでないというのが一般の言い方ですね。識者はいろいろ言っています、ほとんどの人が。したがって政府としては公務員制度審議会の論議を促進する、これが一つ。
 それから独自にこの月末のいわゆるスト権回復の実力行使なるものはやめさせるように、具体的に行動しなきゃならぬ、それは明らかに言っているでしょう。かつての池田・太田会談のように、総評あるいは各単産の首脳と政府の首脳が会って、具体的に前向きに話してもらいたいという提案もしておるから、総務長官としては、この月末の国民の足を守るために、公務員制度審議会の審議も促進させると同時に、政府として独自に、解決のために、この足をストップさせぬために、前もって努力する約束ができますか。
#103
○国務大臣(坪川信三君) 二点にわたっての重要な問題でございます。
 公制審の問題につきましては、御承知のとおりに、いま三者がそれぞれの立場で十分討議を続けられ、そうして総会もお開きになり、また昨日も協議の総会をお開きになって、正式に記録にもとどめられるという会も持たれたことも、新聞紙上、私も承知いたしておるような次第でございます。したがいまして、政府といたしましては、これらの公制審の答申が行なわれることを期待いたしておりますような次第でございますので、政府が、いま審議が続けられているさなかに、政府としてのとやかくの見解を申し述べるということは遠慮いたすべきであり、また遠慮することが当然であると考えておりますとともに、それらに対するところの、いわゆるリミットといいますか、制約とか、あるいは拘束とかいうようなことも、私は公正を期する意味において避けてまいりたいと考えておるような次第でございますので、全く国民的重要な課題であるこの問題につきましては、公制審の公正な結論を待ちました上、政府はこれをそんたくいたしてまいりたいという、累次にわたる政府の見解を申し上げましたことで、御理解を願いたいと思うのでございます。
 また二番目の問題として、予想されますところの二十七日からのスト、あらゆるものを含めてのストということは、非常に憂慮にたえない次第でありますとともに、政府といたしましても、重大な関心をもって、きのう官房長官談話をもって政府声明を発しているのも事実でありますとともに、閣議におきましても、田中総理が事態の推移を非常に憂慮され、各省庁、各関係閣僚の連絡を密にして、真剣に取り組むべしという指示をなされたのも、こうしたゆえんであることを思うときに、われわれといたしましては、国民に重大な影響を与えるストを、ぜひとも回避をお願いしたい、切望をいたしておるというようなことでございます。いまの御指摘になりましたトップ会談の問題につきましては、過般の三閣僚と総評トップ会談におきましても、総評からその旨の要望が行なわれましたことは事実でございます。この問題につきましては、私がいまの段階において、かくあるべき、かく願いたい、かく――と言うようなことは、私は避けたいという、いわゆるいま申し上げる段階ではないと、こう考えておるような次第であります。
#104
○小柳勇君 警告や弾圧だけでは絶対にもういまの実力行動は阻止できません。これは運輸大臣にも労働大臣にも言っておかなければなりません。
 そこで、最後ですが、これを具体的に質問しておきます。これは某紙の社説の一節ですけれども、「政府としては「スト権問題については第三次公務員制度審議会の結論待ち」という従来の答えを一歩進め、改正、非改正の方向は別にして「この審議会で必ず結論を出してもらう」との決意を明らかにすることが望まれる。」と、このことが第一段階にこの非常事態を解決する一つの糸口であると書いてある。この問題について、長官の見解を聞くと同時に、重ねてトップ会談など前向きに、もうあと一週間しかありませんから、前向きに閣議で論議される、論議するということをお約束できるかどうか、御答弁を求めます。
#105
○国務大臣(坪川信三君) 小柳委員御指摘の某新聞の社説は、私も拝読いたしたわけでございます。したがいまして、公制審に対する政府の態度は、先ほど申し上げましたことで御理解を願いたいと、こう考えておる次第であります。
 二番目の問題につきましては、私といたしましては、お聞きいたしておきますということで御理解を願いたいと思うのであります。
#106
○小柳勇君 希望条件だけ言っておきます。
 ただいまの長官の答弁では納得できません。この非常事態といいましょうか、国民が非常に不安を持っているこの月末の国民的な紛争に対して、もう少し政府が前向きに誠意をもって具体的に解決する意欲、行動を起こさなければ、この問題は解決いたしませんので、官房長官なり総理大臣に、きょうの運輸委員会の私どもの主張をお伝え願いたいと思います。
#107
○国務大臣(坪川信三君) 大事なことでございますから、政府の態度をはっきり申し上げておかなければなりませんが、昨日の官房長官談話、また先日の総務長官談話で申し上げましたごとく、ストはぜひとも回避を願いたいということ。また、法を犯してこれをなされた場合には、やはり法によって、法の命ずるところに従ってもらわなければならぬということだけは、ひとつはっきりと申し上げておき、御理解もいただかなければならぬと、こう考えており、御指摘になりました点は、十分胸に含めておきたいと思っております。
#108
○瀬谷英行君 総理府総務長官に、時間もないようでありますから、簡単にお聞きしたいと思います。
 恩給、年金の問題は、非常に日本の場合、多岐にわたって複雑になっている、アンバランスがある、不合理になっている。そこで、いま小柳委員からも御指摘がありましたとおり、社会保障制度審議会の答申というもので、早くこれを統一をしろ、まとめろ、内容を改めろ、こういうことになっているわけでしょう。そうなっているにもかかわらず、答えが出ていないわけですね。答えが出ていないということは、さっきの公制審の答申と同じでね、これは答えが出ていないということは、幾ら言いわけしてもだめなんですよ。紛争が起きたところで、これは政府としては、あそこの答申待ちなんだからと腕組みをしているわけにいかないと思うのです。だから、政府としてはまかせてあるじゃなくて、政府自身の責任になってくるわけです、結局は。だから答申を出すものは早く出させる、出せないならば、なぜ出せないかということについて、問題を究明する必要があると思うんです。
 そこで具体的な問題を一つ申し上げますけれども、この各種年金の問題、年金局長は社労委員会のほうへ出席をされたということでありますし、運輸委員会としては、公共企業体の問題にひとつしぼって、私はこの際申し上げたいと思うんです。たとえば国鉄のOBの同志会にいろいろと聞いてみました。三十八年勤続をして一体年額どのくらいか、三十万円に満たない、こういう話です。二万幾らですからね。そういうことをお聞きしました。
 それからさらに、もっと具体的に申し上げますけれども、実は私は、自分の父親に、一体恩給幾らもらっておるんだか証書を見せてくれといって見てきたんです。そうしましたら、明治四十年から昭和二十年まで四十年勤続をした、郵政職員として四十年ほど勤続をして、郵便局長でやめたんですが、年額三十三万円です。三十三万円ということは、月に三万に満たないわけです。これは必ずしも同じ仲間の中で悪いほうではないんですよ、悪いほうではなくて三十三万円です。先ほどの国鉄のOB同志会から聞いた話を総合しましても、これは問題にならないわけです。今日、月額にして二万何千円というのは一人で暮らしちゃいけませんよ。
 こういうわずかな金額しか現実には支給されてないということ。だから、こういう問題に対して、いま働いている労働者が、将来おれたちもあんなわずかな目くされ金でもってほうり出されるのかという心配をするのは当然でしょう。その点を考えたならば、この年金ストがいいとか悪いとかいう現象面だけでもって批判をするんじゃなくて、もっと政府としては真剣に考える必要があるじゃないかという気がいたします。だから私は具体的な例を申し上げたわけなんですけれども、この具体的な例を申し上げて、大臣の見解を承って、どういうふうにしていただけるのか、そのことをお答えを願いたいと思います。
#109
○国務大臣(坪川信三君) 先ほど小柳委員にもお答えいたしましたごとく、非常に重要な問題でございますので、政府といたしましては、決してこの問題を放置しているわけではございません。先ほど申しましたような、それぞれの沿革、それぞれの制度、いろいろの問題点の相違もございますので、それらを踏まえながら、各グループごとにおいての結論を待っており、また政府といたしましても、促進をいたしているような次第でございますので、そうした点を促進いたしながら、いま御指摘になりました点等に対する、積極的なる態勢を固めてまいりたいと考えておることで、御了解いただき、事務的な内容につきましては、政府委員から答弁させます。
#110
○政府委員(亘理彰君) 両先生から御質問のございました公的年金制度の調整連絡会議における検討の状況につきまして御報告申し上げます。
 御承知のとおり、この調整連絡会議におきましては、経済的諸条件の変動によりまして、国民の生活水準あるいは物価、給与等に著しい変動を生じた場合には、これらを総合的に勘案して、年金額の改定を行なう必要があるということについては、考え方が一致しているわけでありますけれども、それぞれの制度はみな違った沿革を持ち、目的を持っておるということのために、すべての制度に共通する年金額改定の基準及び方式を求めることは、当面の問題としてはきわめて困難であるということになったわけでございます。
 そこで、四十六年の一月に、中間的に審議経過を整理いたしまして、中間的な取りまとめを行ないまして、とりあえず各種の公的年金制度の目的、沿革、給付体系の類似性に照らしまして、共通性を持ちました四つのグループに分けましてそれぞれのグループごとに年金額改定の基準及び方式について検討を行なうことにして現在に至っておるわけでございます。
 昨年の春以降、四十七年中を通じましてこの連絡会議の本会議といたしましては、総会一回、幹事会一回、幹事会の小委員会二回を開催しております。各グループはまた別個にそれぞれの会合を持っておりますが、全体会議としましては、こういう会議を開催いたしまして、グループごとの検討状況を聴取し、意見交換等必要な連絡調整をはかっておるわけでございます。
 まず、民間グループでございますが、民間グループは厚生省の担当でございまして、厚生年金、国民年金、船員保険を扱っておるわけでございますが、この連絡会議におきましても、制度全般についての審議の中での重要な一環として検討してきたわけでありますが、さらに社会保険審議会、国民年金審議会等の議を経まして、その結論によりまして、現在、制度改正に必要な法案が国会に提出されておることは、御承知のとおりでございます。この民間グループにつきましては、年金額改定の資料としまして、消費者物価指数が一年度または継続して二年度以上の期間に百分の五をこえて変動した場合に、その変動した比率を基準として、政令の定めるところにより、保険給付の額を改定するという、いわゆる自動スライド制をとることにしておるわけでございます。それからまた、財政再計算期におきましては、従来どおり国民の生活水準、賃金の上昇などを含めまして、総合的な見地から年金額全体につきまして、政策的改定措置を講ずることとしておるわけでございます。
 それから公務員グループにつきましては、これは国家公務員、それから地方公務員、公企体共済組合、それぞれを含めまして、関係各省は多岐にわたっておりますが、現在大蔵省を幹事官庁としまして検討をしておるわけでございますが、ただいまのように、民間グループにつきまして消費者物価による自動スライド制を導入するということに関連いたしまして、この公務員グループの各種共済におきましても、消費者物価による自動スライド制を規定することの適否について検討したわけでございますが、全体として結論が得られなかったわけでございます。そこで当面、本年は従来どおり恩給年額の改定にならいまして、昭和四十六年度及び四十七年度の公務員給与の改善率により共済年金額の改定を行なうこととしておるわけでございます。なお、このスライド問題につきましては、公務員グループ内の、また各制度の間の相違点の調整などを含めまして、今後の共済年金制度のあり方についての基本的な問題として、検討を続けていくこととしておるわけでございます。
 それから、三番目が私学・農林グループでございますが、これは現在文部省を幹事官庁としまして、私立学校の教職員及び農林漁業団体職員の共済制度につきまして検討しておるわけでございますが、これらの職員の給与体系が公務員に準ずることになっておりますので、公務員グループの検討状況を見守りながら、さらに検討を進めるということにしております。
 それからなお、ちょっと性質は異なりますが、四番目の労災の関係につきましては、労働省を幹事官庁としまして検討をしておりまして、これは制度の性格から見まして、賃金水準の変動を基準にした自動スライド制をとるべきである、その意味で現行制度はおおむね妥当であるということでございますが、なお、いろいろ細部の点につきまして検討を要する点もございますし、本年の一月の労災保険審議会に設置されました労災保険基本問題懇談会においても検討が行なわれることになっておりますので、これらの状況も参考にしながら、災害補償としての検討を進めることにしておるわけでございます。
 御指摘のとおり、四十二年以来、五年有余になりましても調整が遅々として進んでいないというおしかりはごもっともでございますが、なかなかそれぞれの制度の沿革も異なり、目的の異なるところもあり、具体的な財政状況、財源負担の仕組み等々も異なっておりまして、これを法律的に調整することは非常にむずかしい点が多いわけでございます。なかなか早急にこれが解決を見るということは容易ではないと思っておりますが、各グループの検討体制を続けまして、本年は民間グループについて一つの制度的な大きな前進を見たわけでございますが、逐次その問題点の解明をはかって努力を続けてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
#111
○瀬谷英行君 まるで同じ国の中でありながら違った国の、外国の制度と比較しているみたいな話ですよ。これじゃもう話にならぬと思うのですね。理屈はどうあれ、現実には、今日の物価の中で、月額にして二万ないし三万足らずの金しか支給されないという現実は、これは非常に問題になるだろうと思うのですよ。したがって、まず金額の問題にしても、これはいろいろと制度上調整をしなければならない数多くの問題があるのはわかっているけれども、金額の問題にしても、中学卒の初任給にも及ばないような金しか出ていないという現実をどういうふうにお考えになるか。大臣としては、これは自分のところの所管の問題だけではないと思うのですけれども、この現実を一体どのようにしたらよろしいというふうにお考えになっているのか、その点をお伺いしたいと思います。
#112
○国務大臣(新谷寅三郎君) 全般の問題は、いま総理府のほうからお答えしたような経過、それから実情であると思いますが、申し上げるまでもなく、今度の予算におきましても、総理は、予算全体が今度は社会福祉国家を推進するのだというのを一つの柱にしておりますと言っておられますから、これはなかなか、社会福祉の問題は一挙にして理想的なところへ到達するということはできないと思います、漸進的にいかなきゃいかぬと思いますが、そういうことを柱にして予算の編成をしてきたことは事実でございまして、社会福祉関係の いろいろの各省にわたっての予算というものもだんだん充実されていることは事実ですから、いまお話しのような点、現実の問題として運輸省だけどうするというわけにはいきません、いきませんが、各省とも、いま総理が方針として述べられたような方向で、これからも大いに努力をしなければならぬことは事実でございましょうから、そういう意味におきまして、われわれのほうでも、総理府あたりが、各省の調整機関ですから、そういったものとも連絡をとりながら、社会福祉国家にふさわしいような実質を備えた制度を早く樹立するように、私も考えなきゃならぬと思っております。
#113
○瀬谷英行君 労働省関係です。労働省にお伺いをしたいが、ことしの春闘の大幅賃上げの要求として二万円台が出ているわけですね。二万円台のベースアップというものを要求しておる。また実現をしているというところすらあるわけでしょう。その中にあって、ベースアップの金額が二万円というのだけれども、もともとが二万円かそこらしか支給されていないという現実があるわけです。労働者が将来のことを考えてみた場合、今日の物価水準の中で、二万か三万程度の恩給、年金しか自分のふところに入らないということであれば、老後の設計も何も立つもんじゃないということで、これは年金ストということが全国的に盛り上がるというのは当然のことと思わなきゃならぬです。
 だから、労働省自体が労働問題として考えてみた場合、いろいろとむずかしさはあるかもしれない、あるかもしれないけれども、現実にこんなような金額しか出ていないということを考えた場合に、いかにすべきであるかという結論もおのずから出ていいんじゃないかと思うんですが、どのようにお考えになりますか。
#114
○政府委員(葉梨信行君) ただいま運輸大臣からも申し上げたとおりで、私どもも年金等については早く改善し、老後は安心して暮らせるような額に持っていかなければいけない、このように考えておりまして、関係省庁とも協議をいたしまして、できるだけ早くそういう要望が実現できるように努力をしていきたいと考えます。
#115
○瀬谷英行君 きょうはストライキがあったということで、自民党の江藤さんのほうからも、これは違法じゃないかといったような意見が出ました。しかし、ストライキというのは違法であるとかないとかということで片のつく問題じゃないのですよね。法律のワクの中に、ものさしの中に入れてはかれる問題であれば、何も大きな事件になりゃしません。したがって、このストライキということ、全国的に多くの各職種別のストライキが行なわれるという背景というものを、もっと真剣に考えてみる必要があると思うんです。
 そこで、先般、動労の闘争と関連するのですけれども、上尾の駅で非常に大きな事件が起きたわけなんですけれども、NHKの「町から村から」という放送があって、上尾駅事件に関連をして取材をしているわけです。それをいろいろ聞いてみたわけですけれども、この中ではっきりしたことは、社会問題となった大事件であったにもかかわらず、策がちっとも講じられていない。こういう現実が露呈をしているわけです。
 たとえば、アナウンサーが、上尾駅事件の反映がないのではないかという意味の質問をしたのに対して、国鉄の高崎鉄道管理局の答弁としては、車両がないからしかたがないんだと、こういう答え。それから、じゃあ具体的にいつになったらよくなるのか――十月の時刻改正時点で車両の増備ができると思うから、そのときには少しよくなるだろうということなんですね。つまり、当分の間、上尾事件が起きようと何が起きようと、そのために輸送力を増強しようという手だては少しも講じないという意味のことを、国鉄の責任者が答えているわけです。一体これでいいのかという疑問は、取材のアナウンサーでなくたって、当然抱くだろうと思うのですがね。その問題について、国鉄としては、そういう指導をしているのかどうかということをまずお伺いしたい。
#116
○説明員(加賀谷徳治君) ただいまの件、私直接担当じゃございませんが、あの辺の線区は非常に線路容量が密になっておりますので、やはり車両の問題もあると思いますが、一つのかなり大きな――時刻改正ですか、そういった時期でないと、先生がおっしゃるような抜本的な輸送の改善とか、そういったものはなかなかできにくい感じになっておりますので、十月の時刻改正を期して、いろいろ計画を組んでおりますというふうな意味のことを申したと思います。さしあたりは、駅のホーム要員とか、そういったような問題につきまして、多少は増員などをして、朝のラッシュの非常にピークの時間につきましては対処するというような方法を講じておるわけでございます。
#117
○瀬谷英行君 朝のラッシュに、しり押しか何かの人間を多少配置をするという程度の話が、国鉄労働組合との団体交渉の中で出てきた。それで、まあその程度のことしか考えられていないのかということで、労働組合側もたいへんに憤慨をしたということを私聞きました。
 さらに、いまのこのNHKの放映に関連をして申し上げますと、アナウンサーのほうから、具体的にはじゃあ十月の時刻改正の時点でどういうことができるのかということを聞いたら、ドアの二つある電車を三つある車両に置きかえることができると、こう言った。それから十二両編成のものをできるところから十五両編成にすると、こう言った。つまりドアがいままで二つだったのを三つのドアの電車にすれば幾らか乗りおりが楽になるだろうというだけの話で、これはしり押し部隊と発想の点ではたいして変わりはないわけですね。具体的には、何ら根本的な対策は講じないということと同じわけです。それでいいのかと、こういうことですね。
 そこでさらに、一番じゃあ気づかっていることは何かという質問に対しては、これも問題なんですけれども、管理局の営業部長ですかの答弁では、お客さまとのトラブルを最小限にしていくということが大事だと思っておりますと、職員の中でも必ずしもいい印象を与えている職員ばかりではないと思うから、職員の教育を一生懸命にやっていくことである、こう答えたということですね。そこで今度はアナウンサーのほうから、それじゃあ問題の根本的な解決策は何もないじゃないかというふうにたしなめられておるのです。職員の教育以前に、根本的に国鉄としてやらなければならないことが多々あるのじゃないか、こういう指摘を受けている。それに対して、ちっとも前向きの答えが出ていないのです。
 これじゃあ、国鉄本社の方針がそのまま管理局の部長の答弁に出ているかどうか、それはわかりませんけれども、世間一般の見る目としては、これは国鉄本社の方針というものを管理局の部長は代弁をしているものと見ますからね。あれだけの大きな騒動が起きながら、国有鉄道は根本的な解決策を何一つ考えていない、ほったらかしにしていると、こういう印象しか与えておりません。それでもいいということになるのかどうか。これはおそらく視聴者のだれもが抱いた疑問じゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
#118
○説明員(加賀谷徳治君) ただいま御指摘の営業部長の発言は、私は直接聞いておりませんのですが、まあ先生のおっしゃるとおりだと思います。そういう点につきましては、たいへん不適当な点があるんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 ただ輸送力の問題も、いま申し上げましたように、非常に線区の容量がむずかしいところ、それからまた東京方面に入ってまいります根っこのほうが、またかなり列車の混んでおるところでございますので、そういった点では非常にこれから根本的に検討をしなければならぬ線区であるわけでございますが、ただその車両がそういう三つドアの構造になりますと、中の構造も非常に違ってまいりまして、そういった意味では、かなりラッシュ時に対応できるたぐいの車が入ると。それからいま十二両を十五両に、編成を一応長くするというような問題につきましても、かなり輸送力がふえているというようなことでございますので、そういったことで、とりあえず対処していくということだと思います。
 それから営業部長の申しました、職員の印象が悪いというのはたいへん不適当なことばだと思うんですが、私の察しますところ、不幸にしてああいう事件が起きた駅でございますので、特に気をつかってこれに対処をするというような、普通以上にいろいろサービス面に心をいたさなければならぬというような意味での教育といいますか、そういったような意味で申したんじゃないかと思います。
#119
○瀬谷英行君 これはやはり気をつけてもらいたいと思うんですよ。私もこの録音を聞かしてもらいました。そうしたら、その一番肝心な質問者の質問に答えないで、職員の中でも必ずしもいい印象を与える職員ばかりじゃないと思うから、だから職員の教育を一生懸命にやっていくんだというふうなことを言っているわけですね。そんなことは何もこの上尾の問題の、解決策の中での重要な問題ではありません。そんなことは日常的なことなんです。日常的なことであって、こういう事件が起きた。それにはいろんな問題がある。利用者の求めに応じ切れない状態があるんだということなんだから、この取材の中で、この問題を取り上げた人は、じゃあ国鉄としてもいままでは手を抜いていたんだから、もう少し手を加えて、利用者の求めに応ぜられるようにしようという答えか何か出てくるというように期待をして取材をしたに違いないと思う。ところが妙な言いのがればかりして、やれ車両が足りないとか、十月のダイヤ改正になったら何とかできるかもしれないと、そういったような言いのがればかりやっておる。しかも最後には、職員の中で客に悪い印象を与えているような者がいるといけないから一生懸命に指導します、そういうふうな言い方。かりに現場の職員がいくらもみ手をしてみたところで、にやにやしてみたところで、不便な状態をそのままにして現場の職員にへらへらさしてみたところでしようがないと思うんですよ。そんなことは本末転倒だと思うんです。つまり幹部の職員が、きわめて不便なダイヤを組んで、しかも多くの迷惑を三百六十五日与えておいて、それでそれを現場の職員にもみ手をしながらおあいそうを言いなさいということで、ごまかそうというのは、私は間違いだと思うんですね。そうは思いませんか。
#120
○説明員(加賀谷徳治君) ただいま御指摘のとおりでございまして、本来は抜本的な増発計画といいますか、そういったようなもので対処するということでなければいかぬと思いますが、先ほど来申し上げましたいろんな事情がございまして、目下そういった点につきましては、前向きで検討している段階でございます。
 また職員の問題につきましては、やはりいま仰せのとおりでございまして、そういったことだけで補てんするということではございませんけれども、そういうことであっては、これは本末転倒だということになるわけでございまして、今後とも、御注意を承って対処してまいりたいと思います。
#121
○瀬谷英行君 このNHKの放送を聞いた限りでは、高崎線を担当する管理者としては落第ですよ。この程度の答えしか出せないのは全く落第ですよ。もし根本的に解決しようと思えば、策が全然ないのかというと、そんなことはないと思うんですね。私はほかにもいろいろ聞いてみました。輸送力を増強するためにたとえばどういう方法があるか。それは上野の構内の問題、あるいは尾久、王子の線増の問題、こういうことにある程度の金をかけて輸送力の増強をやろうと思えばできるのだ。その金はどのくらいか、四十億もかければできるのじゃないか。これは現場長の中で、それらの問題を手がけていた人に私は当たって聞いてみました。そういう答えが出てくる。だから、それならば四十億かかるか五十億かかるかわからぬけれども、ほったらかしにしているということは無責任なことなんだ、四十億かけようと五十億かけようと、もっと輸送力を増強する、利用者の求めに応ずるということを考えるのがほんとうじゃないのか。それを一切しない。車両が足りないからだめでございますということで、幹部の答弁として、はたしていいと思うのかどうか。これは政務次官に率直にその見解を伺いたいと思います。
#122
○政府委員(佐藤文生君) ただいまの、先生が言われました都市圏内あるいは都市近郊の圏内における交通の非常に混雑しているという現況から脱却して、一日も早く、少なくとも混雑度が百九十ないし百八十くらいのところまで持っていきたいということが、先般来より、運輸省と国鉄当局との予算編成の過程を通じまして論議した点でございます。
 したがって、今後の都市圏内あるいはその近郊におけるところの通勤あるいは通学の、あるいは一般の方々に対して、先ほど言ったような目標を達成するためには、どうしたらいいかということで、まず年次計画を立てまして、近い将来に衆議院から参議院の皆さん方に御審議を願う国鉄再建の法律あるいは運賃法、そういった関連の中にそれを織り込んであるわけでございます。
 その概要は、いうまでもなく年次計画を立てまして、そうして五十二年ないし五十三年くらいまでの間には、少なくとも先ほど言ったような目標を達成するために、車両数の増、たとえば十二両編成を十五両にすること、それに伴ってホームの延長あるいは線路増あるいは先般開通しました武蔵野線の開通、これによって、貨物が、その武蔵野線によって受け入れ態勢ができますので、したがって先ほど言いました高崎線あるいは東北線、こういったような地点における旅客の面が少しでも緩和されるように、こういったような都市圏を中心にした国鉄の計画ある路線の建設なり、あるいは線路増、プラットホームの改造あるいは車両編成の増加、こういったようなことを、年次的に計画を立てまして、五十二年ないし五十三年には、先ほど言ったような混雑度に持っていくというのが、現在運輸省なり国鉄の考えている方針であります。
 しかし先般、上尾において、順法闘争中に起こりましたあの事件は、その背景としては、予想外の住宅増のために、たくさんな通勤あるいは通学の方々がお住いである。その方々が、ラッシュ時に毎日のように詰めかけているという、その実態をいますぐどうするかという問題になると、先ほど言いましたようなことくらいしかできないという、残念な状態であることだけを認めざるを得ません。しかし通勤通学の方々に対してこのまま放置するわけにいきませんので、ダイヤ改定において、少しでも緩和ができるような方法を考えたり、あるいは車両の種別を変えてみたり、こういうようなことで緩和をするようにということで、国鉄当局に行政指導をした次第であります。
#123
○瀬谷英行君 私が問題にしましたことは、テレビでもって、わざわざローカルの問題ではあるけれども、上尾事件というのは日本国中に知れわたった社会的大事件なんです。社会的大事件だから、その背景というものは確かにある。住宅がどんどん建ってしまった。通勤者が急にふえた。こういう問題は、なるほどそれは国鉄の責任じゃないかもしれない。しかし、ふえちゃった通勤者は運ばないわけにいかないわけです。これはほっとくわけにいかないのですね、どうしても。だから国鉄としてもしかたがないでは済まされない。
 しかもああいう問題が起きた、それにもかかわらず、高崎鉄道管理局の責任者が出てきてのアナウンサーに対する答弁は、具体的に言うと何もしませんということなんです。何もする気もございませんということなんです。二つドアを三つドアにするということは、十月のダイヤ改正ごろにはできましょうという程度なんですね。きわめて無責任でうしろ向きなんです。そういう姿勢でいいのかどうかという疑問がまず出てきます。
 これはアナウンサーでなくても、視聴者のだれもが抱いた感じじゃないかと思うんです。だから、それはやはり幹部の心がまえとしたら私は間違っているのじゃないかと思うんですね。特に具体策が全然ないかというとそうじゃない。武蔵野線ができた、じゃ武蔵野線ができたのだから武蔵野線を利用して、たとえば新宿方面へ電車を乗り入れることを考えてみましょうとか、あるいは上野の構内あるいは王子等にもう少し設備投資をして、輸送力をふやす方法を考えてみましょうということが、国鉄の幹部から当然出てこなきゃならない答えなんです。そういう答えは一切出てこない。これは無責任と言われてもしかたがないと思う。そういう責任感のない者は幹部としての資格がないと言われてもしようがないと思う。現場の指導はお客にあいそうよくしますなんというようなことを言っているけれども、そういう幹部に対する指導が現状ではたしていいかどうかという疑問が出てきます。だからこれは次官として、そのような幹部の心がまえに対してどのようにお考えになっておるのか。もっと私は意欲的な幹部でないと、こういう問題は解決する能力がないというふうに判断せざるを得ないと思うんですが、どうでしょうか。
#124
○政府委員(佐藤文生君) 国鉄だけに限らず、私は航空にしても、あるいは海運にしても、陸上交通機関にいたしましても、この数年間、私は社会情勢が非常に変化してきたと思います。
 たとえば安全あるいはスピード性、これだけを求めていった時代から、やはり安全、スピード性、それから公害、振動対策あるいは住民の意思を十分に尊重した運輸行政に変わる、こういったようなぐあいに、私は社会情勢が変わったと思うんです。したがって国鉄部内におけるところの幹部クラスは、少なくともそういった社会情勢の変化を受けとめるだけの能力を持ち、またそういう意欲を持った者が国鉄部内における幹部の地位、リーダーシップを握る地位を占めることが、私は必要になってきたと強く考えております。
 したがって上尾事件、あの一事を見ましても、その地域に住んでおられる住民の方々が連日、牛や馬を乗せる場合は制限するけれども、人の場合においては無制限に乗せておるというこの実態から一日も早く脱却するために、建設的な意見がどんどん国鉄の部内に起こって、それが行政面にあらわれていくという、そういうことに私は運輸行政は変わっていかなくちゃならぬと、こう考えていますので、幹部が、先生の言われたようなことをすらすらともしも言ったとするならば、私は社会情勢の変化を知らない発言だと言わざるを得ません。
 したがって、そういう社会情勢の変化なり、今後の運輸行政のあり方についての時代の流れをキャッチして、そうして住民にサービスする国鉄、国民の国鉄になるような発言が随所に行なわれていく、そしてそれが実行段階に入っていく、そういうエネルギーになる、そういうぐあいに指導していきたいし、考えるべきだと、こう考えておる次第でございます。
#125
○瀬谷英行君 十五日に上尾の市長選挙が行なわれたのですが、上尾の市長選挙では革新の統一候補が当選したのですけれども、その際に、私もいろいろなビラを見ました。そうしたら保守党のほうのビラは、革新はあの順法闘争やら何やら、ああいう国鉄の闘争をバックアップしている勢力ではないか、こういう連中にまかせられるか、こういう意味のチラシを多量に配布しておる。しかし結果的には革新の市長候補のほうが当選したわけです。
 私はむしろ、上尾であるとか桶川であるとか、桶川というのは上尾の一つ高崎寄りですが、上尾であるとか桶川であるとか、こういうところで革新の市長が当選をしたことの中には、国鉄があの近辺の東京方面に対する大量の通勤者に対して、きわめて冷淡で無責任で投げやりな態度をとっていたということが、逆に作用している面もあるんじゃないかと思うのです。これは結果論であるからわかりませんけれどもね。それだけではないのです。しかしそういうふんまんというものは、やはり革新の市長を当選させる一つの力にはなっているんじゃないかという気がしますよ。だからこういう問題を考えてみた場合は、もう少しこの地域住民の気持ちというものを謙虚にくむ必要があると思う。
 そこで、こういう気持ちをくめない以上は、私は新幹線はできないと思う。新幹線を建設することを急ぐ、なるほど新幹線ができれば遠距離客は新幹線に吸収するから、在来線はよくなるという論法はあるかもしれません。しかし、それは新幹線が完成したあとの話になるのですね。さしあたって焦眉の急は何か。この焦眉の急の問題については、何にも手だてを講じない。それで新幹線だけ急いで、農地買収に応じてもらいたい、協力してもらいたい――これでは地域住民が納得するわけはないのです。
 そこで、この番組の中でもテーマにしたのは、新幹線が大事なのか通勤輸送が大事なのか、政府としてはどちらに優先順位をつけるのかということもテーマにあったらしいですね。ところがそれらの問題について、国鉄側は、新幹線をやはり先にするという考え方しか出していないようですね。この新幹線の問題に直接触れてはいないのです。いままでの態度はそうでしょう。新幹線をつくろうとする場合には、もちろんいろいろな障害があるわけですが、その障害を克服しなければ新幹線はできませんよ。
 ところが、これから先の問題として、私はあえて申し上げるんだけれども、こういうさしあたっての問題を、しかも国鉄自体がその気になればできる問題を知らぬ顔をして、腕組みをしてながめておる、こういう姿勢がある限りは、新幹線なんかは地元が協力するわけはないと思うんですね。それでもよろしいかどうかという問題があります。もし新幹線を政府が促進したいということであれば、さしあたっての問題を、当面の問題を一つ一つ解決するという熱意を示すことが必要じゃないかと思うのですけれども、その点どうでしょう。
#126
○政府委員(佐藤文生君) 東京−新大阪を走っておる新幹線、あの当時の建設時代のことを私は思い起こしてみますと、私はあの当時、やはり先ほど言いましたとおりに、安全とスピード性、この二つを中心に考えてあの新幹線というのは完成したんだと思います。ただ先ほど言ったように、非常に社会情勢が変わってきたこと、それを受けた今後の新幹線の建設というのは、いま先生が言われましたとおりに、地域の住民の意思というものを十分にそんたくし、それに新幹線が地域住民に与えるいろんな騒音とか、あるいは振動とか、そういった問題について、十分な配慮がなかったら、新幹線建設というものは、私はできないと、先生と同じような意見を持ちます。そこで四つの柱――安全、それからスピード性、それから公害対策、住民の意思を十分に尊重するといったような、こういった考え方で新幹線建設をやっていくということ、そしてあわせて住民の意思を十分に尊重するということになれば、東京近郊の新幹線というのは、私は通勤線というものを、十分に、並行的に考えていかなければ住民が納得しないと、こう思わざるを得ません。先般、埼玉県知事を中心にいたしまして、あるいは東京の一部の区長さんも、あるいは関連の市長さんあたりも一緒になりまして陳情に来られました。その中に、新幹線建設と同時に通勤線というものも並行して考えるべきであるという貴重な意見を承りましたので、それを受けまして、かねてからそれを考えておりましたので、当然考えるべきであろうということで、現在部内でその検討を始めておる次第であります。
 こういうことで、新幹線と通勤線というものを、この都市近郊における方策としては並行して考えるべきじゃなかろうか、こういうことを、いまわれわれ省内で検討を始めておる段階でございます。
#127
○瀬谷英行君 もう一度、今度は国鉄に質問したいんですけれども、新幹線を建設をするにあたって上越新幹線、東北新幹線さらに北陸新幹線というものが出てきたと、したがって武蔵野線が完成をすることによって、あきの出てくるはずの貨物線は、この新幹線のどれか一つを使わせるという構想になってきた感に聞いたわけなんです。そうなると、武蔵野線の完成に伴う在来線の輸送力の強化ということは、新幹線の目鼻がつくまでまたお預けになってしまうわけですね。それじゃますます地域住民は納得しないと思うんです。だからやはり新幹線より先んじて、現在の通勤地獄を解消するための策を講じて、それを発表するという用意があるのかないのかですね。これは具体的に言うと、先ほど私が何点か指摘したような問題です。
 それからもう一つ、上尾駅事件の際に、かなり駅側に被害が出ております。その被害については、磯崎総裁から予算委員会等でも報告がありましたけれども、私が駅へ行っていろいろと調べてみましたら、個人個人の職員がロッカーをこじあけられて、中にあった私物の服であるとか、あるいは現金の入ったさいふであるとか腕時計であるとか、トランジスタラジオであるとか万年筆であるとか、金目のものはみんな持っていかれたというんですよ、こういうのは、一体補償しているのかどうかという問題を、ひとつお伺いしたいと思います。
 それから、この種の被害というのは、金目のものをみんな持っていったんですから、しかもおどかして持っていったんですから、行為としては完全に強盗行為ですよ。こっそり持っていくのは窃盗だけれども、大っぴらに来て、おどかして人を追っ払って金銭、物品を持っていくということになれば、これは強盗ですよ。こういう行為が現実に行なわれているわけなんです。
 それに対して、先般予算委員会で私が質問したときに、警察庁のほうは、これは偶発的な事件だと、こう言ったんですけれども、調べてみると偶発的事件とは言いがたい。何名かの人間はかなり計画的にやったということがいえるわけです。偶発的事件なら、たとえば電車に石をぶっつけるとか、たんつぼをけっ飛ばすとか、そういうのは偶発的事件と言っていいかもしらぬ。しかしかぎのかってある部屋をガラス窓を破って中に押し込んで、そして中の職員を追い出しておいて、それでさいふから金から腕時計から、あるいは自動券売機の現金から定期から切符から、さらに切符の日付印からスタンプから、そういうもの一式を全部さらっていったんですね、これが一体犯罪行為でないとはいえないと思うんですよ。自民党の機関紙の中には、社会党はお客のことを強盗呼ばわりしたというようなことを書いておりますけれども、そういう言い方をしていいのかどうか。駅では現実に物を持っていかれておるわけですね。これはおどかされて物を持っていかれる、金を持っていかれたというのは強盗行為なんです、これは、自民党が何と言おうとも。だからこれらの行為に対しては、それはごく一部の人間だろうと思うんです。一部の人間だろうとは思うけれども、こういう犯人に対する捜索というものはゆるがせにしてはいかぬと思うんです。公安なり警察なりがこれらの犯人の捜査をやっているのかどうか、偶発的事件としてうっちゃらかしにしているのかどうか、この点もこの機会にあわせてお伺いしたいと思います。
#128
○説明員(加賀谷徳治君) 最初の通勤の問題でございますが、先ほど先生から新幹線が大事か通勤が大事かというようなお話もありましたが、私どもとしては、どちらも大事にしなければならぬというふうな気持ちでやっておるわけでございまして、特にただいま政務次官からもお答えありましたように、新幹線をつくるにあたってはやはり住民感情をくみ取っていくというような精神がなければいかぬといったような点につきましても、私ども十分これは考えてやってまいらなければならない問題でございますので、先ほど来申し上げておりますように、むずかしい線区ではございますが、何とか前向きに検討をしていきたいという気持ちは持っている次第でございます。その点で御了承願いたいと思います。
 それからあとの問題でございますが、実は私、詳しく存じておりませんので、まあそういった事態がありますと、おそらく調査その他もいろいろできておるはずだと思うんですが、その点につきましては、きょう資料もございません、詳しく存じておりませんので、後刻また御報告申し上げたいと思います。
#129
○瀬谷英行君 じゃ最後に、いまの上尾事件の被害、これは私はじかに駅へ行って調べてきたんです。で個人個人から事情も聞いてきました。だからこれは間違いない。ただこういう被害、それから悪質な犯罪、これに対して、いままでのところは、まあしかたがないというようなことで、見過ごしているように見受けられたから、それはいけないと思うんですよ、そういうことは。これは一万人のお客があふれたといっても、それはわずかの人間でもって、あそこで電車をとめてしまえば、十五両編成の電車が三本あそこでとまってしまえば約一万人の人間があふれるような仕組みになっておるわけですからね。だからその一万人がみんな悪事を働いたわけではこれは決してない。しかし部屋をこじあけて、わざわざロッカーをあけて、あり金みんなさらっていったといったような、こういう行為は許しちゃいかぬと思うんですよ。犯人の顔を知っている職員もいるわけなんですから、徹底的に捜査をする必要があると思うから、その点、国鉄のほうで全然調べもしないということは、これはいかぬと思いますから、これは十分に内容を調べて、そして対処するようにしてほしい、こういうことを要望したいと思います。
 それからもう一つ、私は在来線の輸送力の強化の問題についていろいろ注文を出しましたけれども、あしたからでもやろうと思えばできることとできないこととあると思います。しかし、ダイヤ改正の際にちょっと配慮をすれば、できることだってあると思いますよ。たとえば高崎線なんかの場合は、夕方の六時台、七時台、こういう通勤時間の時間帯には、通勤電車よりも急行、特急のほうが数が多いんです。しかも各駅停車に乗っていきますと、上尾でとまって特急をやり過ごし、またしばらく行ってどこそこでとまって特急をやり過ごしと、こういう状態で、満員の通勤電車が特急や急行をやり過ごすために、五分も十分も待たされるという仕組みになっているんです。こういうダイヤそのものが、すでに通勤者に対してきわめて不親切だということがいえると思うんです。それから朝のダイヤにしてもそうですけれども、何も組合が闘争をやらなくたって混雑のために必ずおくれるというのが現状ですよ。三百六十五日、組合の闘争以外は、慢性的な順法闘争になっているわけですね、これは。
 で私も、自分の体験したこを申し上げると、六時台あるいは七時台の通勤電車というのは、熊谷で座席が一ぱいになります。一般の座席は熊谷で一ぱいになる。それからグリーン車はどうかというと、グリーン車も、北本から桶川へ行かないうちに大体満員になる。上尾では通路まで一ぱいになる。そういう状態ですよ。こういう状態は、何か事があればたちまち利用者の足が奪われるという事態につながっているわけなんです。高鉄の幹部のように、のんびりしたかまえを国鉄が見せておったのでは、これはどういう問題がこれからも生ずるかわかりませんからね。その点は、ことばの上で何とかしますということじゃなくて、現実の問題として、必ず現在のこの状況を打開するためにこうしますということを、国鉄としてははっきりと打ち出すべきであるというふうに考えますので、その点についても、私としては再度強く要望をいたしまして、できれば具体策というものをここで明らかにしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
#130
○説明員(加賀谷徳治君) 先ほど来申しましたように、いまこの線区は非常にいろんな役目を果たしておると申しますか、先生御指摘のように、急行列車がたくさん走る、そういう時間帯があるとか、いろんなことがありまして、非常に容量の詰まったむずかしい線区なものでございますから、目下検討しているという段階だとしか申し上げられないんですが、なお先生のおっしゃる点につきましても、ごもっともな点も多々あるわけでございまして、ただいまの御趣旨を踏まえて、できるだけ御意思に沿うように検討したいと思います。
#131
○小柳勇君 労働次官、この年金ストというものが、まだ問題解決になっていません。したがって質問いたしますが、政府自体が、この年金ストというものは、これは違法だという感覚で対処しておられるように思います。言うならば、年金問題というのを政府みずからの問題として解決しようという意欲がないのではないかと、そういう気がいたします。さっき法規課長からの答弁聞きましても、最高裁の判例を出されて、経済的な要求でないのにストライキやるのは違法だという、もうストレートに結びつけている。
 で、さっきも総務長官に言いましたように、そもそもの出発は、昭和四十二年六月から出発している。社会保障制度審議会が、いまの年金制度では、もうばらばらでどうしようもないから、総合して、そしてふえる年金に二年以内に抜本改正しなさいといって総理に申し入れた。そこから問題が出発しているんですからね。そして直ちに総理府で、審議室長が担当で、各省庁集まって総合調整に乗り出したけれども、なかなか問題がたいへんだから四つのグループに分けてずっと論議してきたことは、さっきの審議室長の答弁のとおりです。
 で、審議室長にはあとで聞きますけれども、そういうのをわきまえながら、労働省としては、このいわゆるストライキに対処しておられるかどうかということですね、問題は。
 年金問題は、労働者の一番これは基本的な、経済的な要求なんです、晩年食えないんですからね。このような物価上昇の状態では、賃金では食えないから年金で晩年何とかひとつ食い継いでいこうというのが、切なる要求でしょう。それで、年金制度の調整については、まだばらばらで何ともならぬから、この際、この春闘で賃金と一緒に解決しようというのが、今回のいわゆる実力行使に出たものであるが、そういうものとするならば、労働省としては、労働組合のほうを何か罰則などで押えるということではなくて、政府の中で、たとえば閣議で、あるいは内閣総理府に行って、年金問題の早期解決のために努力されるのが当然ではないかと思うが、そういう努力を労働省としてやったのかどうか、お聞きいたします。
#132
○政府委員(葉梨信行君) 年金制度の改善につきましては、労働組合側からの御要望に対しまして、何度も労働大臣がお目にかかりまして、そのお申し入れの内容につきましては、関係省庁に連絡をして、その実現方を要望しておるところでございます。
#133
○小柳勇君 審議室長、さっき四つのグループの審議状態についてはわかりました。問題は、この四つのグループの審議状態が進んでもどうにもならぬのです。この四つのグループが、どういうふうにして総合的に結びついて調整できるかということが一番基本的な問題ですね。でないと、厚生年金は厚生年金、国年は国年、共済は共済、ばらばらです。いまこういっているでしょう。そのアンバランスがありますからこの問題は解決しないのです。したがって、さっきの四つのグループの審議状況はわかりましたが、審議室長などが調整をして、各省庁の意見をまとめようとされているその成果はいつ出ますか。
#134
○政府委員(亘理彰君) 初めに申し上げますが、四十二年の六月に社会保障制度審議会の申し入れが、お話しのようにあったわけでございますが、政府は政府として、この各種公的年金制度の調整をはかる必要があるということで、連絡協議会を持つことになったわけでございます。
 その最初のころの会議におきまして、社会保障制度審議会の申し入れの趣旨は何であるかということを、社会保障制度審議会の今井委員から伺っておるわけでありますが、その際の今井委員の御説明によりますと、この申し入れば決して各種の年金制度を全く社会保障制度的な趣旨で統一するという立場ではない、また各制度を統合するという考えでもない。統合ではなくて相互に連絡をとって調整整備をはかってほしいということであるということであったわけであります。そういうお申し入れの趣旨も踏まえまして検討を続けておるわけでございますが、いろいろ年金額の改定の基準等につきまして、全体として統一のある仕組みがくふうできればそれにこしたことはないわけでございますが、先ほども申し上げましたとおり、各種年金の沿革、目的、仕組み等は非常に異なっておるわけでございます。中には戦前からの制度もございますし、戦後比較的早く発足した制度もあり、それから最近になって始まった制度もあるわけであります。それぞれの財政状況あるいは財源負担の仕組み等々も非常に差があるわけでございまして、これを一挙に共通の方式にまとめるということは困難であるということで、とりあえず類似点のあるグループごとに検討をするのが実際的であろうということで検討をしつつあるわけでございます。
 で、御承知のとおり、今回、民間グループにつきましては、消費者物価指数を基準とするスライド制の改定につきまして結論を得まして、法律改正の御審議をお願いしておるところであるわけでございます。
 それから公務員グループにつきましては、これに準じた制度化の問題も検討いたしたわけでございますが、結論を得るに至りませんで、当面は恩給年額の改定にならってやっていくということで、今回は四十六、四十七両年度の公務員給与の改善率によって共済年金の改定を行なうということになったわけでございます。
 私学・農林グループは、公務員の取り扱いに準じておるわけでございまして、労災はちょっと性格の違うものでございますから、おおむね民間グループと、それから公務員の制度を中心にしますグループと二つのやり方になったと。片方は消費者物価の指数によるスライドの制度化がはかられて御審議をお願いしておる、もう一方の公務員グループにつきましては、当面制度化はまとまらず、結論を得るに至らなかったわけでございますが、今年におきましては、公務員給与の改善率によって改定を行なうというふうになったわけでございまして、御指摘のとおり、なかなか、一両年内に結論を得るということで発足したわけでございますが、非常に調整は容易ではございません。この年金の問題は、たいへん専門的、技術的な面にかかわる点も多いわけでございまして、私ども調整連絡の役をつとめておりますけれども、専門的、技術的な分野になりますと、それぞれそのグループごとにまとめて結論を生み出していくというのが、実際的な進め方であろうというふうに思っているわけでございます。
 いつまでに全体としての結論を得るかということでございますが、必ずしも全体が統合されるということになるのかどうか、その点は、先ほども申し上げましたとおり、必ずしも社会保障制度審議会の申し入れの趣旨に盛られたものでないというふうに理解しておりますが、できるだけ努力はいたしますが、なかなか御満足のいくような解決を早急に得ることは、容易ではないというふうに感じておりますが、一生懸命努力してまいりたいと存じます。
#135
○小柳勇君 私、時間がないものですから急いでるんでしてね、大体三十分ぐらいで質問終わろうと思っておるんです、あとで待っていますから。内容は私、全部わかっているんです、もうずうっと何年もやっているんですから。だから私が聞くことだけ答弁してもらえばいい。
 で、審議室長の権限は――さっきのことばですけれども、何も統合とかなんとか言ってないんです。私、さっき言いましたように、四項目、特にあとの二つ、各種年金の通算関係の不備を直す。それから各種年金の総合調整が焦眉の急務であると、これですよ、私が要求しているのは。何も統合せいなんて言ってないんです。また、政府への申し入れも、これだけ、四つの項目ありますから、だからその最後のほうの、通算関係とか、あるいは総合調整とかを進めるのがあなたの役目なんですよ。そこで聞くけれども、あなたの権限――各省庁、なかなかそれは進まないんだ、財源関係があるから。それをあなたが集めて早く結論を出そうと、この二つの方向、通算関係とか総合調整とか、早く結論を出そうと努力するのがあなたの役目だが、それだけの権限を自覚してやっておられますか。そのことだけ聞いておきましょう。
#136
○政府委員(亘理彰君) 私どもの立場で、各省に指揮命令する権限はないわけでございます。御承知のとおり、各種の公的年金につきましては、それぞれの主管官庁があり、法律が異なり、それぞれまた主管大臣の審議会があり、法律を出します場合にもおはかりする委員会が異なるというふうなことで、それぞれの主管省が最終的な権限を持っておるわけでございまして、私どもがそれについて最終的に調整をしいる権限はないわけでございます。あくまで関係各省集めまして、話し合いによって、ざっくばらんな意見交換を通じて考え方の統一、思想の統一をはかって、その結果を各省のまたそれぞれ持っておられる審議会等にもその意見を反映して、できるだけまとめていきたいと、こういう立場でございます。
#137
○小柳勇君 そういうことでありますから、この年金ストライキというのが起こるわけですよ。たとえば、私は言いたくないけれども、かつて仲裁裁定というものが出ましたけれども、政府はこれを八年ぐらい実施しなかった。ついに国鉄労働組合が実力行使をやりまして――私も汽車をとめましたけれども……。そして、やっと裁定が実施されるようになった。これはいまから十八年前です。
 したがって、いま年金制度を抜本的に改正しなさいと。何も統合せよと言ってないですよ、社会保障制度審議会は。各年金の通算制度及び各年金の総合調整だけを急ぎなさいと言っている。それを二年ぐらいでやってくださいと言って、おたくのほうでは総理府に公的年金制度調整連絡会議を設置されたんです。その事務局長があなたですよ。二年ぐらいでやろうとして出発したんだから、審議室長が本気になってやるならば、各省のけつをたたくぐらいなことはできますよ。審議室長というのは総理大臣の命令でつくっているんですからね。それを、あなたが事務屋みたいに、横の意見を聞いてただここに並べて報告するだけなら、あなた、それは要らないですよ。私は去年の予算委員会で一日これをやり、各省庁に聞いているんだから、その後の経過も全部知っています。そんなのでもたもたしているからこの年金ストライキをやっている。
 運輸大臣に質問いたしますけれども、あなたは、いま三公社五現業の年金制度の中心は、運輸省の財政課長が、いまの連絡会議でいろいろ発言しているということを御存じですか。
#138
○国務大臣(新谷寅三郎君) そのように承知しています。
#139
○小柳勇君 それでは、三公社の年金制度で一つだけ――まだたくさんありますけれども、大臣に質問しておきますが、国庫負担の問題を一つやりましょう。国家公務員共済や地方公務員共済には一五%国庫が負担しています。それから私学が一八%、厚生年金が二〇%、船員保険は二五%国庫負担しています。三公社五現業には国庫負担は全然ありません。企業が二割を負担しています。その金額、国鉄だけで昭和三十一年から昨年度まで百四十二億七千二百万円負担しています。御存じでしょうか。
#140
○政府委員(住田正二君) ただいま先生から御指摘ありましたように、三公社につきましては、いわゆる国庫負担というものはございません。ただいま、昭和三十一年から昨年度まで百四十二億というお話であったのでございますが、四十七年度だけで国鉄が負担いたしております金は百十三億でございます。
#141
○小柳勇君 大蔵省政務次官、私、さっきから政府がこの年金ストを自分の問題として考えていないと、政治ストは違法だということだけしか頭にないということを言いました。このように各省ばらばらの年金です。そして自分が掛け金を掛けるのです。国鉄の場合はあとで言いますけれども、千分の四九・五掛けています。一番最高の掛け金を掛けています。しかも国庫負担が全然ありません。ほかの年金では一八%ないし二五%の国庫負担がありますね。しかも最低保障もございません。そういうようなものを自分たちの老後のために解決しようとすることは、経済的な労働者の要求だとお考えであるかどうか、まず、それだけ端的に聞きましょう。
#142
○政府委員(山本敬三郎君) 国庫負担がないとおっしゃいますけれども、公共企業体の場合には、公経済の主体として負担する分及び使用主として負担する分。一般の保険の国庫負担に準ずるものが公経済の主体として国鉄が負担する、こういう制度に昭和三十一年以来なっていると、こういうふうに理解いたしております。
#143
○小柳勇君 じゃ、もう少し説明しましょう。公経済と言いますけれども、国鉄の場合は営業収入から払っています。それから、たとえば私学とか厚年とか船保とか国公とか地公は、これは税金からですよ。地方公務員共済は地方税から払っていますよ。国家公務員共済は国の税から払っていますよ。いわゆる税金から払うのか、あるいは営業収入から払うのか。三公社の場合は営業収入から一五%を、国が負担するものを払っています。何も公経済なんというものじゃないんですよ。公経済ということばは、狭義にしますならば、営業収入から払っています、それを国民の払った運賃収入だからとおっしゃいますが、それはまた別問題でしょう。そういうへ理屈はつきませんね。したがって、そういうものを、みずから掛け金を掛け、よその共済年金よりも高く掛けて、そして給付はよくない、そういうのを改善することは経済的要求と思いませんか、いかがですか。その最後だけ答弁してください。
#144
○政府委員(山本敬三郎君) 国鉄は公共企業体として国に準ずる活動を、もと国がやっておった業務をしているわけでありますし、それから公共企業体として企業的な経営をやるというたてまえにはなっておりますけれども、いわゆる公共的性格を持ちますし、独占的な色彩も持っておりますし、また全額政府出資でもありますし、予算決算とも国会の審議にかかわる、こういうふうになっておりますので、公経済の主体として費用を負担している、こういうふうに私は理解しております。
#145
○小柳勇君 それじゃ、私学とか農林とかは一八%国庫負担しています。厚生年金も二割、船員保険に至っては二五%負担しています。これもそうですか、これはどうですか。
#146
○政府委員(山本敬三郎君) 厚生年金や船員保険、私学共済等の場合、国庫で負担しておりますのは、全国的な勤労者一般または私学教職員一般等を対象として保険を推進するという公経済の主体は国以外にないから、そこで国が国庫負担する、こういうたてまえになっております。
#147
○小柳勇君 それでは、いま現在、いわゆる年金ストライキといって、みんなが年金の改善を要求して戦っています心これは経済的な要求でないと御判断ですか。
#148
○政府委員(山本敬三郎君) 広い意味では経済的な要求だと考えます。
#149
○小柳勇君 じゃ鉄道部長、国鉄から国庫負担の要求など一回も過去にないのですか。
#150
○政府委員(住田正二君) いわゆる国庫負担の問題につきまして、国鉄のみならず三公社から毎年要求は聞いております。
#151
○小柳勇君 大臣、これは具体的な問題ですが、国鉄共済組合収支計画策定審議会というのがあります。この策定審議会が昭和四十五年八月六日に第二次答申を出しまして、他の国公や地公やその他の年金と同じように国庫負担をしてもらうべきであるという答申が出ています。それから第六十五国会の参議院の内閣委員会の附帯決議でも、三公社の共済組合だけが掛け金の負担が多過ぎるから、したがって負担の軽減について検討しろという附帯決議がついているのです。そういうものを全然検討してありません。昭和四十五年ですよ。もう三年たってますね。両方ともそうですね。そういうのをほったらかしておいて、年金ストライキやるなんてけしからぬ、それだけ言えるでしょうかね。大臣の見解を聞きます。
#152
○国務大臣(新谷寅三郎君) そういった問題について、おそらく私がおりません間に、各省庁からいろいろ実情を申し上げたと思いますが、午前中にも申し上げましたように、そういった問題について、いまの田中総理も、ひとつ福祉方面に力を入れるのだ、こう言っておられますから、私は知らない問題が相当ございますけれども、そういう問題については、われわれのほうとしましては、少し前向きに調査をし、検討をしたいと思っております。各省庁がやっぱり連絡をして、その調整がとれませんと、なかなかこれは実現できませんから、そういう意味では、きょう列席しておられる各省庁のほかにもやっぱり関係省庁があると思いますから、こういった方面には、こういう問題の、何といいますか、閣僚協議会の中でも幹事役がおられますから、そういう閣僚にも十分話しまして、ひとつ前向きに検討するように、私も意見を申し述べたいと思います。
#153
○小柳勇君 住田部長、あなたのほうから大蔵省に要求されたことがあるかどうか。それから亘室長、この年金の問題、公務員グループなどでそういう話が出て、大蔵省にお話になったことがあるかどうか、御答弁願います。
#154
○政府委員(住田正二君) 三公社の共済年金につきまして、いわゆる国庫負担をするかしないかという問題につきましては、先ほど申し上げましたように、三公社のほうから毎年話を聞いておりますし、また先ほどお話の出ました国鉄総裁の諮問機関である収支計画策定審議会からも答申が出ておりますし、また内閣委員会の附帯決議もございますので、大蔵省のほうとこれまで毎年話をいたしております。
 ただ問題は、現在国鉄の財政再建計画をつくっておりまして、これから実施をいたしたいということで、国会のほうにお願いしておるわけでございますが、国鉄に対して国がどういうような補助金を出すかという問題の一環として考える必要があるのではないかというように考えております。先ほど大蔵省のほうから答弁ございましたように、現在の三公社のいわゆる国庫負担というものが、公経済の主体として国鉄が負担している、三公社が負担しているというたてまえをとっておりますので、問題は国鉄財政をどういうふうに健全化していくかという点から考えるべきではないかということで、御承知のように、国鉄に対しまして毎年大きな額の助成をいたしておりまして、四十八年度では千七百億円を計上いたしております。再建期間の十カ年間では一般会計から三兆六千億円、財政投融資で九兆三千億円という非常に大きな助成を考えております。これは御承知のように、三本柱ということを前提に国の助成をするということでございまして、運賃の値上げ、国鉄自身の合理化努力、そういうものを合わせまして国鉄を再建させるということが、現在のねらいでございまして、その範囲内で国鉄の財政が共済年金の負担、いわゆる公経済の主体としての負担にたえられるかどうかということを今後見ていかなければいかぬ、そのように考えておるわけでございます。
#155
○小柳勇君 大蔵省、三年前からいろいろ論議されておるようです。公経済の主体として国が持つのか、公共企業体――国鉄あるいは三公社が持つのが妥当か、相当論議されておるようでありますが、いますぐ具体的に、ここに汽車をとめている労働者の諸君が行っていないのですが、私どもがいま代弁すると思って聞いてもらわなければ困ります。ただ抽象論議じゃありません。もしそういうものが聞き入れられないならまた同じこういう事態が起こるでしょう。したがって、いわゆる年金ストと銘打った以上は、どういうところに問題があるといって、大蔵省として、やっぱり自分の問題として検討してもらわなければ困るでしょう。過去三年も国鉄から大蔵省に予算編成ごとに問題を提起しているようですが、いま運輸大臣は、前向きに検討するとおっしゃいました。大蔵省としても、いまのような赤字の国鉄を運賃値上げなどで、いわゆる国民の受益者負担に頼っていくもっとその前に、こういう目の前の問題がありますから、こういう問題で十分にひとつ前向きに検討してもらいたいと思いますが、いかがですか。
#156
○政府委員(山本敬三郎君) たてまえは、公経済の主体として費用を負担するということになっているわけでありますが、その負担にたえるかどうかということが、国鉄の経営の問題になってくるわけであります。そういう点について、慎重に検討さしていただきたいと思います。
#157
○小柳勇君 負担にたえていないわけです、いろいろ問題があるのは。そんな国会答弁でなくて……。
 次の問題は、掛け金も国鉄が一番高いわけです。国鉄が千分の四九・五、年間一人当たり十八万五千二百円、専売は四六・五、電電が四六、国家公務員が四四、地方公務員が四四から四五、郵政省が四二・五。で、国家公務員の場合は九万四千九百三十八円、地方公務員の場合は十万六千二百三十一円、国鉄職員の場合は十八万五千二百円、こういう負担がありますね。そういう負担が高いから最高限度をきめるべきであるという見解もあります。この点について、国鉄共済事務局長から聞きましょう。
#158
○説明員(清水晋君) ただいま御指摘がありましたとおり、国鉄の共済組合の掛け金が他の国家公務員あるいは三公社の中でも最も国鉄が高いわけでありますが、ただいま先生十八万何がしとおっしゃいましたが、その数字はあるいはお間違いではなかろうかと存じますが、四十五年度におきます一人当たりの平均掛け金は六万六千円でございまして、昭和四十六年度につきまして七万六千円。なぜ他の共済組合に比べて高いのであろうかと、考えられます点につきましては、国家公務員の共済組合と比較いたしますと、国家公務員は退職三年前の平均俸給で年金額を算定いたします。三公社につきましては最終俸給で年金額を決定いたしております。この辺の差が一つあろうかと思います。
 また次には、三公社の中で、国鉄の要員構成を見ておりますと、男子の組合員が非常に多い。他の三公社が大体七〇ないし八〇%が男子でございますが、国鉄の場合には九八%が男子。したがって、その関係から若干高くなっておるんではなかろうか。
 最後にもう一つ、国鉄では通常退職年齢を五十五歳ということにいたしておりますが、この点、国家公務員あるいは他公社では二、三年私どもより退職年齢が長いというような点で差が出てきておると、かように考えております。
#159
○小柳勇君 それじゃ事務局長ね、国鉄の共済制度あるいは年金制度は、他の年金整度に比べてもう満足でございますということですか。
#160
○説明員(清水晋君) いや、決してさように考えておるわけではございませんで、先ほどお話もございましたように、国庫負担につきましても、関係各省に十分お願い申し上げておりますし、さらに最近では、厚生年金、その他いろいろ、私どもと別の面ではすぐれた点が出てまいっておりますので、そういう点を勘案しまして、私どもさらに職員の福祉のための改善について、十分努力していくつもりでございます。決して他公社より高いというふうには考えておりません。
#161
○小柳勇君 十分改善していきたいと言うけれども、なかなか財源を伴うものだから、国鉄だけではできないでしょうが。たくさんここに書いておるけれども、いま一番問題になっているものをずっと列挙してみてください、六つか五つばかり。国鉄共済のほうで財源があればこうしたいとか、たとえば満鉄引き揚げ者などの恩給法に匹敵する財源措置、あるいはベースアップがあった場合の国庫補助、あるいはこれから十一万人合理化するというけれども、財源が減少するでしょう。それから受給期間にいたしましても、警察監獄職員の場合は十二年。国鉄だって警察に匹敵するような仕事があるでしょう、危険な仕事も。それがやはり二十年になっておりますね、そういう問題。それから最低保障というのがありません。廃疾年金など、若くてけがする場合もありますが、少ないですね、最低年金保障がないですね。いろいろたくさん書いてありますけれども、いまあなたが一番問題にしているもの、あるいは労働組合などがこれだけぜひやらなきゃならぬ、あるいは共済組合法の改定、これだけは何とかしなきゃならぬ、しかし財源がないからできぬと、こういう問題もありましょう。それをちょっと言ってください。
#162
○説明員(清水晋君) けさほど来、瀬谷先生からも御指摘がございましたとおり、他の年金と比べまして非常に低いクラスがあることは事実でございます。最低保障等できるだけ早く制度化していただきまして、これを実現していただきたい。底辺にあります多くの方々を何とか救いたいというような点を大きく考えております。
 それから、先生御指摘の廃疾年金につきましても、現在御審議いただいております法案の中では、組合員期間一年である場合には遺族年金がもらえるというようなことからしましても、若干バランスを失するというようなことからも、こういった点を救済していきたいというふうに考えております。
#163
○小柳勇君 いずれにいたしましても、たくさんこれはありますけれども、時間が参りましたが、年金の問題がこれだけ大きくなりましたということは、賃金を幾らベースアップいたしましても、いまのような物価上昇では晩年が不安だから、この際、年金を何とかしようというのが、この年金ストの一番大きな原因ではないかと思うわけです。同時に、年金に格差があっては国民の中に不満が出るわけですね。せめてこの公的年金の相互調整ぐらい早急にやらなければならぬということで、去年から私も取り組んでいるわけです。この際に、この問題については、ひとつ審議室長、うんと馬力をかけてもらいたいと思いますと同時に、このストライキというものを、単に政治闘争をやってけしからぬという、そういう組合、労働者側を威圧するような態度ではなくて、一緒になって解決するような態勢で、この問題を処理してもらいたいと思いますが、運輸大臣と労働政務次官及び大蔵政務次官から見解をひとつお聞きいたします。
 そのあともう一問ございます。
#164
○国務大臣(新谷寅三郎君) この問題についての私の考え方は、先ほど申し上げたとおりでございます。
 ただ、こう思います。先ほど総務長官も申しましたように、まあ正当なといいますか、もっともな事由がありましても、その方法論で間違うとやっぱりいけないと思うんですね。ですから、その方法論も誤らないようにしてもらいたいというのが、先ほどの総務長官の発言だったと思います。でありますから、これはいろいろ考え方もあるでしょうと思いますけれども、われわれは法秩序をやっぱり守らなければいかぬだろうと思います。でありますから、私もさっき申し上げたように、この問題については、とにかく職員の老後の福祉という問題に非常に関係が深いですから、さっき申し上げたような姿勢でこれから取り組まなければいかぬと、いままでもそうだったと思いますけれども、足りないということであれば、そういう姿勢で取り組んでいくつもりでございますから、いま申し上げたようなこともお考えを願って、これはあなたは十分おわかりのことですから、そういう意味で、御協力をぜひしていただきたいと思います。
#165
○政府委員(葉梨信行君) 年金問題につきましては、ただいま運輸大臣から申し上げましたように、経済要求でもございますが、同時にまた、制度的な要求でございますので、労働組合側からの御要望については、先ほども申し上げましたように、これからも機会をとらえてはお話を承り、御要望が実現できるように努力をしてまいる所存でございます。
#166
○政府委員(山本敬三郎君) 現在の年金制度は、国民の感覚的な受け取り方からいって、必ずしも満足すべきものにはなっていないというふうに考えられますので、長期計画の中等で、やはり福祉国家を実現する一翼として積極的に考えていくべきだと思います。
#167
○小柳勇君 最後は、これから先の問題、月末に対する問題でありますから、運輸大臣と労働政務次官にお願いいたしますが、さっきも言いましたように、公務員制度審議会がスト権の問題をいま論議いたしておりますが、なかなか月末まで、とても結論が出そうにありません。したがいまして、運輸大臣は法を守れとおっしゃいました。法を破るとか、あるいは国民の足を奪うとか思ってやってる者は一人もいません。その段階になりまして、それ以外にはもう解決の方法がないと思い込んで、しかもそれを大衆討議にかけた上でやってるわけです。で、そういうものがずうっと歴史をもって、現在の、さっきの話ではありませんが、仲裁裁定完全実施もできるようになった。やらなければ今日までも裁定完全実施はできなかったと思うのです。
 そこで、公務員制度審議会がまだもたもたしておりまするが、それよりほかに、この二十七日からのいわゆるスト権の問題については、前向きに、内閣一体となって、ひとつこれを解決するように――国民に迷惑をかけないと、そして労働者にある程度の満足を与える方向で、前向きに処理するという決意を披瀝していただきたいと思います。運輸大臣と労働政務次官、お願いいたします。
#168
○国務大臣(新谷寅三郎君) 私の担当しておるのは、この交通関係だけでございますが、全般の問題は、先ほど来話にありましたように、内閣としましては総務長官と労働大臣が担当しておられるのであります。これらの大臣とは、いつもこういった問題について協議をしておりますが、今度の問題につきましては、非常に結果が重大でございますから、この上とも関係大臣と十分な連絡をとりまして、そういった国民にとって非常に迷惑な結果にならないように、できるだけ労働大臣を通じまして、そういう方向で処理ができるように、あらゆる努力をしてもらいたいと考えております。
 運輸大臣といたしましてなすべきこと、あるいは私としてやれることは決して労を惜しむわけではありません、最大限の努力をしたいと思っております。
#169
○政府委員(葉梨信行君) 二十七日に行なわれる予定のストライキにつきましては、いろいろ困難な事態が予想されておりますが、ただいま運輸大臣が申し上げましたように、関係大臣と十分に協議をいたしまして、円満な解決をみるように、できるだけの努力を払う所存でございます。
#170
○小柳勇君 質問終わります。
#171
○杉山善太郎君 ちょっと関連して一言。
 運輸大臣、それから大蔵、労働関係の大臣はおられなくても次官がおられまするから………。複合重層ということがありまするけれども、いまのこの年金問題に関する生活要求という側面もありましょうし、それから経済要求という側面もありましょうし、それから政治的な要素も持つ側面もあろうと思います。
 したがって四十八年の春闘が一体どういう性格のもので、どういう位置づけであるかということについては、いろいろの視点がございましょうが、歴史の流れの中では、四十八年には四十八年春闘というものがあるのだと。したがって、いま当面における年金というものは、春闘といえば賃上げだということが一つの通念であったけれども、しかし一つのナショナルセンターとしての総評なら総評、中立、少なくとも頭数で八百万、中立を含めて八百五十万。そういう要求の戦いが政治的な要素を持っても、その中身は、老後の人生街道の終着駅であるところのこの年齢構造の重層複合の中で、年金に厚みと幅を持たしていくという要求は正当な要求ですよ。
 したがって、ことしをステップとして、来年の四十九年春闘の中では、よほど田中内閣が姿勢を改めないと、来年は土地をよこせという要求が複合重層してきますよ、自然の結果として。考えてごらんなさい、人間は生きる上において、食うことと、空気と水と、そして土地というものは――そういう問題まで出て、また複合重層のストライキが起きてきたのだと。それも収拾しきれないということになれば、経済にしても政治にしても、生活なんですよ。だから四十八年は何とかこれで済むのだと、来年は来年のことだと――私、かつて逓信委員長やっておりましたけれども、私が一年委員長をやる間に郵政大臣が三人かわっておられます。何人かわられても、それは内閣がかえられることはかってで自由でありますけれども、そんな薄っぺらなことじゃとても政治というものはできるものじゃない。
 だからいま、この四八春闘の中には、プラスアルファ年金要求というようななまやさしいものでなくて、人生街道の終着駅である、やっぱり年齢構造が老人大国といわれるようなそういう中で、幅と厚みのある年金が、まじめな政治要求、経済要求、生きる要求として出てくるのは当然なんですよ。この要求の取り組みについて、ほんとうに内閣全体としてこれが消化できないような結果が出るならば、それはプラスアルファじゃない、今度は土地もよこせ、そういう運動が起きなければ自分たちは住むことができないじゃないかということになってくるのだ。そういう展望の中で、十分ひとつ意識して消化してもらいたいということを、私はいま小柳委員の要求――これはやはり政治的なそういう要求じゃないのだ、生活要求なんだ。
 それからスト権奪還奪還といいますけれども、これは奪還をするということは、もとあったものを奪われておるから、奪還ということをだれかが言い出しておるわけであるけれども、これはむしろある権利を復権したいという切実な、スト権を奪われている人の復権要求であります。そういう点で、これは政治的な要求であるから、あるいは政治ストであるというふうな十ぱ一からげのとらえ方では、問題はその場のがれで片づけることはできても、ことしやればまた来年にはもっと幅と厚みのあるうねりを起こしてくる問題である。また処分してやろう――処分が悪循還するだけでは問題の解決にはなりはしませんよ。まあ補足でありますけれども、そういうことを含めて、答弁に要りませんけれども、真剣な問題として、この年金の問題に対する四八春闘の扱い方がいいかげんに扱われるとするならば、あるいは公務員制度審議会の答申待ちという形でスト問題を扱おうとするような態度であるならば、やはり生きる切実な要求として、土地問題が複合重層して物情騒然として大きなうねりを起こし、もはや保守政権ではそれを食いとめることはできなくなってしまうというようなことになることを私は信じておりますよ。
 以上申し上げまして、関連でありまするし、まだ長いちょう場でありまするから、ちょいちょいとしゃべらしてもらいますけれども、十分ひとつ姿勢をただしてもらいたいと思います。
#172
○委員長(長田裕二君) 答弁要しませんね。
#173
○杉山善太郎君 要りません。
#174
○森中守義君 これより航空問題に入ってまいりますが、どうしても運輸大臣のお答えが必要なことが多うございますから、かってに退席をされないように、最後までおつき合いを願いたい。またこのことは、ひとつ理事諸君も十分に御配慮願いたいと思います。
 最近の日本航空は、言うまでもなくニューデリー、あるいはモスクワと、非常に短い期間で重大な事故が発生をし、かつまたそのような事故がきわめて多発傾向にあります。いままでどちらかといえば、この委員会でも日本航空プロパーとした議論というものは比較的少なかった。そのことは無事故であったということもありますし、かつまたその企業の健全性というものが概念的に私どもの頭にありましたから、さして日本航空を問題に供する機会が少なかった。しかし結果的には、そういったように、委員会で問題にしなかったことが、今日の状態を引き起こしたのではないかという、ある意味での責任を感じております。
 しかし、ここまでまいりますると、もはや在来の日本航空に対する観念、概念というものを依然として温存するわけにはまいりません。一言でいえば、運航の安全性を一〇〇%、一五〇%にするためには、日本航空の内容にかなり峻烈なメスを入れる必要がある。これが私の今日の見解である。
 したがいまして、そういう意味で、まず運輸大臣から、日本航空とは何なのか。政府と日航との関係は、むろん日本航空法という法律によっての関係はわかりますけれども、もう少し具体的に政府と日本航空との関係をお述べいただきたいし、同時に、日本航空の性格というものが、必ずしも日本航空法によって正確ではありません。一体、公共機関なのか、半官半民なのか、株の持ち合い等ではそういうことがある程度わかりますけれども、もう少し企業の性格というものを明らかにしてもらいたい。それと、とかく日本航空の内部に、首脳の人事をめぐる対立抗争というものが日増しにエスカレートしているという話がある。これは否定できない事実のようである。以上四点について、まず運輸大臣から今日の日本航空に対してどういう認識をお持ちであるか。まずそれからひとつお聞かせ願いたいと思う。
#175
○国務大臣(新谷寅三郎君) 四つの問題をおあげになりましたが、初めのほうの問題は相関連する問題ですから、関連させながら一緒にお答えさせていただきます。
 日本航空という会社がどんな性格かということは、はっきりしないとおっしゃったけれども、これは日本航空の関係の法律に規定してあるので尽きておると思いますが、それをもっと通俗的に考えてみますと、非常に公共性の強い企業体だということになると思います。その企業体も、公共企業体のような形をとらずに、株式会社の形態をとっておるということだと考えます
 日本航空ができた当時のことは、私も詳しくは知りませんけれども、おそらく対外航路というものが国のシンボルのように考えられまして、非常にこれは重大であったのだろうと思います。今日でもそうですが、その当時はなおさらそうだったと思います。したがいまして、日本航空が経営の安定を期するということになりますと、どうしても政府が相当の財政援助をしないとそういう結果をもたらせないということで、政府出資というもが考えられたものと考えます。したがって航空協定は、御承知のように、一面におきましては、これは外交交渉によって、国と国との間の協定によってでき上がるものでありまして、その航空協定に従って日本航空は飛行機を飛ばして、航空路を維持し発展させていくという責務を持っておるわけでございます。そういう外交交渉を基盤とした各国間の航空協定の上に乗って、それを実行する機関であるということになりますと、非常に公的な色彩の強い会社であるということは、これは当然だろうと思います。この点は、今日の海運会社等とはだいぶ違う独性、特性を持っていると言っていいのではないかと思います。
 それではなぜ株式会社にしたんだということですが、株式会社にしたことは、これは公共企業体でもある程度そういうことが言えるのでしょうが、何しろ世界の航空会社を相手にして航空事業というものを企業として経営していかなければならぬ非常に自由濶達な経済活動が必要であるということは、もうこれは明瞭でございますから、その企業性といいますか、自由濶達な企業性というものを維持するのには、やはり株式会社のような制度のほうがいいのだということを当時も考えられたと思います。そういう方向で日本航空はできたと思いますけれども、結果といたしまして、それが私は結局よかったと思います。今日の日本航空の状態を見、日本の対外航空路の発展の状況を見まして、結果的にはそれは成功だったんじゃないかと私は認識しておるのでございます。
 それから、そういう会社であるにかかわらず、たいへんな事故を頻発させたと。日本航空としては非常に責任を感じなければならぬ、これは当然のことであろうと思います。先般も申し上げましたように、これは日本航空の会社が社全体として責任を負ってもらわなければならぬ問題だと思います。私たち監督の責任を持っておる運輸省も責任を免れることはできないというふうに私は認識しております。
 それならその責任をどうして果たすかということですね。どうして果たしたらいいか、何がいま一番必要かということでございます。私はあの事故のあとで運輸大臣の席についたわけですが、とにかくいま国民の側から見まして一番大事なことは、安全運航が確保されるということだと思います。したがいまして、何はおいても国民が安心して日航の飛行機には乗れるというような体制を早く整備をするということが何よりも大事でございまして、その意味において、実は、あるいは御承知かもしれませんが、何回となくそういう調査をしたり、検査をしたり、警告をしたり、報告をとったりいたしまして、だんだんその体制が固まってきているように思います。いま日航で上から下までといいますか、ことばは悪いのですが、上から下まで縦横の各部とも連絡協力しまして、安全運航第一ということで、懸命に取り組んでおる姿を見まして、私は非常に喜んでおるわけでございますし、またその方向に向かって今後さらに努力を続けてもらわなければならぬ、これはもう一時的のものではなくて、そういう安全運航体制というのが身について、日航自体のこれは体質なんだというようにならないと困るわけです。だからそういう意味では、単に重役だけの問題でなくて、部長から課長から職員に至りますまで、すべてそういうところに努力を集中して、安全運航体制の確立のためにはあらゆる努力をしてもらいたいと、将来に対しても、そういう方向で指導をしておるわけでございます。
 ところが、日航の役員の改選期が五月末ということでございます。そういったものに関連いたしまして、いまお話しのような、内部でもこれはこうしたらいい、ああしたらいいというような、人事問題がある程度話にのぼっておるということも聞かぬではございません。しかし私の捕捉しているところでは、これは十二分かどうかわかりませんけれども、このごろの日航の体制につきましては、われわれのさっき申し上げたような非常に強い指導、われわれの非常に強い意見というのが全社に反映しておりまして、とにかく何はおいても安全運航体制確立だということで、非常にその点については目標を一つにして、だんだんみんなの努力が結集されているように、私は認識をしておるのでありまして、いろんな意見は個人的にはあるかもしれません。あるかもしれませんが、そういうことのために内部抗争をやって、安全運航体制を阻害するようなことは、われわれとしては絶対許しませんし、そういった事実はいまのところは私の耳には入っていないのでありまして、私は、とにかく初めに申し上げましたが、ああいう事故を起こした責任をどうしてとるか、その責任をまずとってもらわなければならないのは、これはだれがやってもそうなんですが、安全運航体制を確立するということであるということを第一義的にして、今日まで指導をし、だんだんそれが実を結んできておるんじゃないかというふうに、いまとらえておるのでございます。
#176
○森中守義君 おことばですけれども、実はその改善命令を出された。これに対する対応策がとられる。まことに二つの痛ましい事故を考えますと、あまりにも犠牲が大きい。この辺をやはりもう少し深く掘り下げる必要がある。そこで、日本航空の性格とは何ぞやという答えが明確でないんですね。つまり大臣の言われるのは、政策的な立場でいまのようなお話だ。それなら、一体日本航空法を制定した当時の法律効果は何を予定しておったのか、何を目的にしておったのか。こういうこと、制定をされた日本航空法というものからにじみ出るものは何なのか、何にもないんですよ。
 私は、いま手元に昭和二十八年三月五日、当時の運輸大臣が石井光次郎さん、この人のときに日本航空法案の実は国会審議が行なわれた。この提案理由を一読しますと、性格はやはりこの中でもはっきりしていない。何のために日本航空という特殊法人をつくるのか。ここでは戦時中の問題が述べられている。戦前のわが国の航空事業というものはおおむね国際水準にあった。ところが戦時中並びに講和条約ができるまで十数年の空白がある。この間にわが国の航空事業というものはたいへんな立ちおくれをしている。しかし、これからあと、しかも四面海に囲まれている日本では、これからの航空事業、航空産業を考えるならば、一日も早く立ちおくれを挽回する必要がある。そのために政府及び民間があらゆる力を結集して、強固な航空会社をつくる必要がある。そのために国際線が重要なんだが、国内線も国際線を充実をする一つの踏まえ台になるから、この法律をつくるんだということなんですね。立ちおくれを挽回するというのが、いわゆる日本航空法制定の目的であるし、この中には、さっき私が申し上げたように、性格というものがはっきりしておりません。これはひとつ大臣のほうでも、もう一度提案理由の説明を見ていただきたい。何にもありませんよ、そういうのは。立ちおくれをとにかく取り戻すんだ。そのために当時十億の金も、三十四億六千何百万かの借り入れ金の保証もしようじゃないか。こういうことが言われているだけであって、一体日本航空というものは何なのかという答えが出されていないのですね。
 立ちおくれをとにかく取り戻すんだ。だから言ってしまえば、この辺に実は日本航空の性格がきわめてあいまいもことした状態で今日に至っている。まさにそうです。だからいま大臣が政策次元から、政策意図からそういうお話であるならば、もう一回、日本航空の性格をあらためて問い直す必要が出てくる。性格というものを明らかにしなければ、この立法の意図というものとはだいぶ離れておりますね。
 私は、本来ならば、こういうことがもっと早く議論されてもよかったなというような気がするんですけれども、いままで、一体日本航空とは何なのか、何ぞやという解明ができずにいた。しかし、これでよくわかりました。これは新たな問題提起でもあるし、大臣の言われるように、意図的な政策を展開をする。そのために、日本航空というものがどうなければならぬのか。少なくとも二十八年から二十年経過した。世界各国の五つの中に入るところまで、いわば航空界の名門といわれるところまで伸びてきた日本航空であれば、この日本航空の立法精神、その後の進展で、少なくとも今日では事情がだいぶ違うわけですから、もう一回あらためて日本航空の性格というものをはっきりさせる必要がある。少なくとも、私は立法の精神と今日の置かれている日本航空、しかも政府がそういうようなお考えであるならば、問い直されてもいい時期になってきている、こう思うのですが、どうでしょう。
#177
○国務大臣(新谷寅三郎君) 私は、政策問題についても、これは非常にかたくとらわれては考えていないのです。これは政府全体がそうだと思います。いま、どんどん進展しているのですからね。だからよい意見があれば、それを謙虚に取り入れて考え直すということは、政策担当の政府としては当然のことだと思います。
 したがいまして、日本航空につきましても、私は、そのいまあなたのお持ちの提案理由から、その当時の両院の速記録は十分見ておりません。見てみましょう。ただ言えることは、これは決していまの日航法にとらわれて言うわけじゅありませんけれども、航空事業というものは、どこの国でもそうだと思いますが、アメリカのように民間で自由奔放にやっている国もありますし、それから国の直接間接の補助のもとに指導を受けて、さっき申し上げたような外交交渉の上に乗っけて運航する航空機ですから、そういったものを踏まえてやっている国も相当あるわけです。どういう制度がいいのだということは、今日、日航法ができてから相当日がたちますから、それについてよくまた考えてみて、将来に対して間違いのないような方策をとるということはけっこうです、これは。そういう意味において、私自身も、提案した当時の状況から歴史を振り返ってみて、研究するのはけっこうだと思いますから、やってみましょう。
 ただ今日、先ほどちょっと申し上げましたが、初めは、おそらく日本航空ができたときには、外国航路なんというものは維持できるのだろうか。たとえば太平洋航路にしましてもヨーロッパ航路にしても、どうしたらこれはやっていけるのだろうかと心配をしながらつくったのだと思うのです。御承知のように、戦争の結果、航空事業というのは壊滅してしまったのです、日本は。飛行機もありませんし事業そのものも壊滅してしまった。そこで、ここに立て直しということを言われたのですけれども、立て直すのじゃなくて、ほとんど無から当時は出発したようなものだったと思います。ですから政府も国の一つのシンボルとして維持をしようというのには、非常に多くの出資もしてやらなければだめだし、援助もしなければならぬということで、そういったことが土台になって日本航空法というものはできたのだろうと思うのです。
 しかし、今日は、私さっきこれは大体初めの計画は成功したように思いますと申し上げましたが、今日のような状態に日本航空がなるということは、おそらくその当時は予想もできなかった、予想以上に今日は伸展しておるというふうに私はとらえておるわけです。そこでさっき申し上げましたように、これはひとつ勉強してみます。ひとつお互いに勉強しまして、よい意見があったら出し合って、そうしてよりよい方向に日本航空事業を持っていくことは、きわめてけっこうだと思いますから、やってみます。
#178
○森中守義君 大臣、お手元に会議録を差し上げておりますから、一ぺん読んでみてください。非常に興味がある。
 そこで、いま大臣の言われるように、他の航空事業と並べてみた場合に、特徴的なものは国際線だけなんですね。ところが、航空法あるいは日航法、こういう一連の関連法を見ても、国際線では何も規定したものがない。どこにもありませんね。国際線は日本航空一社でなければならぬとはどこにもない。それが必要であるとするならば、政策上の問題でなくて、よるべき根拠というものをはっきりさせる必要があります。しかし私の見解からいくならば、国際線を在来のように日本航空にまかせておくならおくように、措置はちゃんと日航法でとれているんですね。つまり補助金制度がある。これは日航法の中にちゃんと制定されてありますよ。こういうものが十分活用されていけば、私はこと足りるんじゃないかと思う。いままで国際線というのは日本航空一社に限るという概念は根拠を持ったものじゃないんですよ。それが必要とするなら必要とするように、きちんと所定の手続をとるべきでしょうね。じゃあ、国内線を見た場合どうなのか。日本航空に四六%、二百六十数億の出資がされている。日本航空と他の航空事業と比べてどういうところが特典でしょうか、政府の金が入りながら利用者にどういうメリットがありますか。これはひとつ具体的にお答え願いたいと思います。
#179
○政府委員(内村信行君) 日本航空株式会社法に基づきまして、大体日航のと申しますか、日航を利用する人たちがどういうメリットを持つかというふうな御質問かと思います。
#180
○森中守義君 国際線の問題、法的な根拠ですね。
#181
○政府委員(内村信行君) はい。法的な根拠といたしましては、日航法の第一条に「日本航空株式会社は、国際路線及び国内幹線における定期航空運送業並びにこれに附帯する事業を経営することを目的とする株式会社とする。」とございまして、あとは先生のおっしゃいましたように、補助規定といたしましては、まず三条に「政府の出資」というのがございます。で、政府の出資をいたしまして、もちろんこれは予算の範囲内でございますけれども、この政府出資につきましては後配株になっておりまして、八分配当までは政府は配当をもらわないというふうなことになっております。さらに、先ほど先生も御指摘になりましたような補助金の制度あるいは債務保証、そういったような制度が助成の規定かと思います。
#182
○森中守義君 いま理事のほうが私語を言っておるものだから、ちょっと答弁がよく聞こえなかった。もう一回やり直してください。よくわからない、妨害があったから。
#183
○政府委員(内村信行君) それではもう一回申し上げます。
 日航法に基づきまして、まず日航に対する助成と申します点におきましては、まず第一に政府の出資がございます。で、第三条におきまして「政府は、予算の範囲内において、会社に対して出資することができる。」とございます。そしてその出資に対する配当、これは政府所有株式につきましては後配株になっておりまして、八分配当になるまでは民間だけで、政府は配当をもらわないというふうな規定がございます。それからさらに、先ほど先生も御指摘になりました第八条の「補助金の交付」の規定、それからさらに第九条において「債務保証」の規定、こういったようなものが日航に対する補助、助成の点であろうかと思います。
#184
○森中守義君 それでは少し具体的にお尋ねしましょう。
 日本航空の二十八年創立から現在に至る資本金は幾らですか。ずっと変わっておるようですが。
#185
○政府委員(内村信行君) 日航創立が二十八年の十月一日でございます。この場合払い込みされましたのが政府出資十億と民間出資十億、合わせて二十億、それが発足の当時でございます。それがずっとだんだん増してまいりまして、昭和四十八年三月三十一日、つまり四十七年度末でございますが、ここにおきましての資本金の額は四百七十一億六千一百万ということになっております。
#186
○森中守義君 私の手元に四十一年から四十八年までの資本金の推移表というのがあるのですが、これでいきますと、四十一年が百九十八億三千四百万の資本金で、政府出資が百十五億、四十二年までは五八%のシェアであって、その後五三%、四六%、これは特別な取りきめ等によって政府の出資金がきまっておるのですか。ただ日航法では予算の範囲内でという表現が用いられておる。予算の範井内といっても、非常に予算は膨張していますからね。だから単に予算の範囲内という抽象的な表現では、これは理解できないですね。大体政府としては、全体のどの程度のシェアを占めるのかと、まあこういうことが一つの取りきめなり、あるいは日航が資金計画、事業計画、予算の収支を求める場合に財政当局を交えての結論になっておるのかどうなのか、どの程度持つのが一番妥当だということですか。
#187
○政府委員(内村信行君) 結論から申し上げますと、何%が妥当という数字はいまだに持っておりません。ただ先生御指摘のように、最初は五〇・五〇で発足したわけでございますが、そのうちに政府の持ち株比率が若干高まってまいりました。六九・八%まで高まっておりますが、これが一番おそらく高い時期であったろうと思います。と申しますのは、先ほど大臣からも御説明申し上げましたが、日航創立当初は、これはとてももうけなどというものは考えられない、赤字の連続であるというふうなこともございまして、民間出資がなかなか集まらない。しかし、やはり航空事業というものはやっていく必要があるということから、そこで政府としては相当大きなてこ入れをするという意味から、民間出資がついてこない場合にも政府として出資するという方向でまいったわけでございます。しかし、その後、これも先生御指摘があったかもしれませんが、三十三年の十月一日、これまでが六九・八%でございまして、それから逐次六三・九%あるいは五九・六%、それから五〇%、それから五〇%を割るようになりまして、現在四六%というふうに低下してまいりました。
 と申しますのは、一つにはこれはだいぶん世界航空の情勢というものが発足当時とは変わってまいりまして、だんだんペイするようになってまいりました。そういたしますと、それに対しまして、民間も増資をしてもついてくるというふうなこともございます。そういうふうなこともございまして、これは政府の出資というのは国民の税金でございますから、民間資本の活用できる部分については活用するというふうな趣旨もございまして、政府資本の出資比率を若干下げて民間資本が多くなったということでございます。しかし、これは大臣から先ほどもお話がございましたように、やはり日本航空というものは、ある意味では日本国のシンボルというふうなものでございます。必ずしも営業利益というものにとらわれないで、あるいは不採算路線というものも国全体のためにやらせなければいかぬというふうなこともございましたので、政府としてある一定の持ち株数、これは抽象的に申し上げて申しわけないわけでございますが、やはり政府の意思というものがきちっと浸透できる程度の持ち株数というものはやはり持っているべきであろうというふうに考えております。
#188
○森中守義君 そうしますと、その立法の時代及び現在に至るまで、どうしても国際線が重視される。そこでずっと非常にひんぱんな増資が行なわれる、あるいは政府の出資も四十一年から、約百十億に対して二百十六億ですから百億余りふえていますね。こういうものは主として国際線に用いられているのが、これが一つ。それから国際線への政府の補助金、これは大体累計して幾らぐらいになっておりますか。増資、それからいまの助成金、こういうものはどこに大体充てられているんでしょうか。
#189
○政府委員(内村信行君) 大体増資は国際線のほうに主として充てられていると思います。もちろん金に色分けはございませんけれども、主として国際線に充てられているというふうに考えております。それから補助金でございますけれども、補助金は昭和二十八年から三十九年までの間に十億四千五百万、四十年に三億一千五百万、累計十三億六千万ということになっておりますが、これは国際路線における定期航空運送事業を推持するための乗員訓練費補助がその内容でございます。
#190
○森中守義君 総計幾らですか。
#191
○政府委員(内村信行君) 総計いたしますと十三億六千万でございます。
#192
○森中守義君 そうすると大臣、やっぱり問題は国際線ですね。ただ助成金がもう少し投入されているかと思ったら累計して十三億六千万と、こういうことですから。
 そこで問題は、いま航空局長が言われ、私も常常言っておりますように国際線が国家主権の象徴である、こういう意味では大いに重視しなければいかぬ。しかし投入されていく経費というものは何と言っても税金ですから、だからこの際は国内線と国際線というものを依然としてこの状態に置いていいのか悪いのか。私は端的なことを言うならば国内線については高額な資本金が入れられながら、国民に還元されるものはないんですよ。そう思いませんか。他の事業と大体同じような状態に置かれている。この辺のことがやっぱり一つの問題になってくると思うんですが、お考えどうですか。
#193
○国務大臣(新谷寅三郎君) 私は、他の方面でも長い間交通関係の仕事を見てきた経験がございますが、こういう航空路に限らず船のほうでも、陸上交通の問題でも、非常に公の立場から見て、公共的立場から見て、どうしても必要であると、しかし力がないという場合は、暫定的にでも国が助成をして、その路線を維持させるという以外にいままでのところは方法はなかったんだろうと思うんです。それが程度が強くなってくるとこういう会社に出資をするというふうなものまでも入ってくるわけです。これはいずれ問題にしていただきますが、国鉄でもそういったもので、財政援助もしながら一方では出資もするというようなことをやっているわけです。船なんかも全くそうですね。これでもその当時、いま局長から御説明したように国際線というものは非常に赤字が多かったんだろうと思います。準備も何もないで世界じゅうの非常に長いキャリアを持っている航空会社と渡り合うんですから、非常に助成してやらなきゃいけなかったんだと思うんです。
 そういう意味で、当初は航空路に対して助成したと、しかしだんだんそれが成績があがってきて、そんなに助成しなくてもペイするようになったという場合はどんどんそれは下げていっていいわけです。今日では、あなたがいま言われたように、そんなに補助金が少なかったのかと言われるくらい、わりあいに早く企業としての成績をあげることができたんじゃないかと思うんです。その場合に、そんなら国内線と国際線と完全に分けたほうがいいのかという問題になりますと、これはまた別の見方で考えなきゃならぬと思うんです。国内線というものは、場合によりまして、国際線の培養線になるわけです。だからそういったものは全然異質のものではないんです。したがって、そういったものを一緒に経営していてもちっともこれは、理論的にも実際的にもおかしくはないし、各国の航空会社を見ましても、やはり国内線も持っておるし国際線も持っておるというのが通例です。ですから、初めに助成をしたり出資をしたり、いろいろ手厚い保護を加えたということは、まあ一言で言いますと、どうしても力以上の国際線を維持し経営しようというところに主眼があったから、そういうことをしたんでしょうが、それがだんだん状況が変わってきて今日のようになると、そんなにひどい助成をしなくてもやっていけるということになってきたと、その場合に、国際線と国内線との問題をどう考えるかということで、今日では私は、まあこの国内線をやる特別の会社が他にもありますから、そういったものとの調整をはかりながら――で、これは法律とか何かできっぱりきめますよりも、これこそ政策の範囲だと思います。どちらが利用される国民のためにいいかと、利益になるかという見地から考えていくべき問題でありまして、森中先生はどうもメリットがあまりないじゃないかと、こういうふうなことをさっき言われたけれども、そういうふうに考えますと、交通機関というのはえらいメリットがないといえばない、しかし、これがないと一体どうなるかということを考えますと、これは国民経済の上でも国民生活の上でもなきゃならないものだと私は思うんです。
 そういう点からいうと、単に航空事業だけじゃなしに、交通機関というものはそれぞれ半ばそういうふうな、公のために奉仕するというような見方からいえば、メリットはあるというふうにお考え願ったほうがいいんじゃないかと私は思うんです。
#194
○森中守義君 意見はだいぶ違いますがね。航空局長、いま国内線と国際線を分離した経理状態じゃないと思うんだけれどもね。国鉄も似たようなものですよ、在来線と新幹線の分離はできない、けれども在来線を維持していくためにはどうしても新幹線が必要だという、こういう関係と似たようなものだと。そこで国内線は国内線単独でペイできておるのか、国際線はどうなのか、その収支状況をわかったらちょっと教えてもらいたい。
#195
○政府委員(内村信行君) 国際線と国内線の分家は一応できております。現在手元にございませんので、ちょっとさがしておりますが、後ほど参りましたら御説明いたしたいと思います。いずれにせよ、現段階におきましては、たしかいずれも黒というふうに記憶しております。
#196
○森中守義君 それではちょっとこまかなことですが、やはり経理問題で、いま日本航空はどのくらい借り入れ金していますか。ついては政府がその債務保証をやるようになっているんだけれども、どのくらいの債務保証をやっていますか。
#197
○政府委員(内村信行君) 借り入れ金となりますと、これは相当いろんな種類もございますので、全額はわかりかねますが、債務保証をいたしております額は、昭和二十八年から三十年にかけまして七十九億五千万円、それから四十二年に百十二億五千百万円、それから四十三年が百五十一億三千三百万、四十四年が百一億八百万、それから四十五年が九十一億八千二百万、四十六年が二百八十二億、累計いたしますと八百十八億二千四百万、これが債務保証額でございます。
 それで、この債務保証の使い方は、国際線用の航空機の機材購入のために米国の輸出入銀行から借り入れた額について債務保証しているということでございます。
#198
○森中守義君 これがちょっと驚きですね。資本金が四百七十一億二千万であるのに、債務保証が八百十八億ですか。
#199
○政府委員(内村信行君) 八百十八億二千四百万でございます。
#200
○森中守義君 これでは、国鉄じゃないけれども、政府保証とはいいながら、実際の日本航空の債務負担は相当過大なものになりますね。大体金利はどのくらいになりますか、どこから借り入れた、こんな金。
#201
○政府委員(内村信行君) 私もはっきりした数字は確認しておりませんが、米国の輸出入銀行、それから米国の市中銀行、これを合わせまして、平均大体六分ちょっとか六分前後だったかと思います。
#202
○森中守義君 大臣、いま申し上げましたように、四十八年の総資本金が四百七十一億、これで明らかになったんですが、助成はわずかに十三億六千万、そのかわりに債務保証が異常に高率ですね。資本金の倍ですよ。
 一般的に、企業として、こういうような借り入れ金というものは成り立ちますか。経営上健全と思いますか。
#203
○国務大臣(新谷寅三郎君) これは国によって非常に違うと思います。たとえばイギリスなんかのいろんな企業を見ますと、自己資本というのは非常に多いんですね。これは健全です。しかし日本は、戦争の結果、非常に多くの資本を焼いてしまったんですね。だから戦後立ち直った企業は、自己資本で立ち直ったというのはほとんどありません。もっとひどいのは船でしょう。あれはもう大部分借り入れ金です。計画造船の借り入れ金です。
 で、もっと自己資本の率をふやさなければならぬ、もう少しいわゆる社内で資本を蓄積して、それを今度は新しい投資に向けるというような方向で考えなければならぬということは、日本の企業一般についていわれていることだと思います。ですから、これはおそらく、そのスタートのときには、資本金を幾らか集めた、設備投資というのはそれで全部やれといったってやれませんから、やっぱり借り入れ金をしてきたということだろうと思います。
 それから企業の規模が非常に急速に伸びた、それを一々資本の増資でまかなえない、したがって、いまのような借り入れ金を比較的有利な条件で、つまり一言で言うと、金利の安い長期の金が借りられるところがあればということで借りたのが、いま局長がお示ししたような数字になっているんだと思います。しかし、いまので大体二対一ぐらいの割合でございましょう、借り入れ金とそれから自己資本というのは。
#204
○森中守義君 倍です。
#205
○国務大臣(新谷寅三郎君) 倍ぐらいでしょうね、二対一ぐらいでしょう。こういう企業は非常に多いと思います。もっと多いでしょうね。だから、それが望ましい姿かどうかということは、これは私は、なるべく自己資本率が高いほうが健全な企業であるということは、一般的にはいえると思います。ただ、船にしたって航空機にしたって、非常に急激に伸びたような場合、これはある程度やむを得ない措置だと思うんです。
 で、望ましい姿でないにしても、終戦後今日までの三十年近くの間でここまで伸びたんですから、今日までの状況を見ると、これが不健全で非常に経済的にあぶない企業だというわけには、私はいかぬだろうと思います。だから今後、そういった問題については、おっしゃるように、なるべく財政基礎を健全化するために、いろいろわれわれとしても考えなければならぬ問題があるということは事実です。事実でございますが、今日の状態を見て、だから非常にこれは不健全だという折り紙をつけるのには、私はちょっとにわかに、日本航空の現状というものを見てそれには賛成はできない。まあこれでよくいっているほうじゃないかという気がするんです。しかし将来は別です、将来またいろいろ健全化のために考えるべき問題はあると思います。いまのところは、その程度に御理解をいただきたいと思います。
#206
○森中守義君 これは大臣、非常に議論がありますね。私は、いま大臣も望ましいものでないというお話で、大体同じ意見ですがね、一般論としまして、日本の企業の資本比を見てみた場合、自己資本と他人資本にあまりにも開きがある。結果的に、他人資本が過大であれば利子の支払いに困るであろう。それならば、不必要に生産性を高めなければならぬ、労働コストを低めなければいかぬ、こういう一般的な議論が成り立つ。
 そのことを日本航空に当てはめた場合、なるほど法律上政府が債務保証をやる、こういうわけで安易に借り込んだものとも思いませんけれども、しかし金利が六分ということになると、決してこれは安くはないですね。高利とは言わないけれども、やっぱり一般的なものじゃないんですか。そこで、こういったように資本金の約倍額近い借り入れをしておりますと、どうしても安全性をある程度遠慮するような状態でダイヤを組まなければならぬだろうし、不当に運ばなければならぬだろう。つまり収益性にかなり大きな影響をもたらしている、こういう見方が私は一つ生まれてくると思うんです。
 今日の日本のGNPを高めたこと、生産性が異常に高いということ、こういうことが資本比の問題で一部にはだいぶやかましく議論されている。これは何も日本航空に限った問題ではもちろんありませんけれども、やはり政府の財政政策として、極力資本比は――アメリカが三七と六三でしたかね、まあかなり五〇・五〇ぐらいをイギリスもドイツも保っているわけです。むろんそういうところから物価の問題等にも影響しましょうし、日本が高生産、高成長というのは、この資本比が非常に大きなギャップがあるという一面があると私は思う。だから日本航空の安全性をより高めようとするには、借り入れ金は極力軽減をする。こういうところに安全性の問題も、一つの遠因があるように思う。
 そこで、大蔵省おられますが、いま日本の二次産業における自己資本と他人資本の比率は、おおむねどういうことになっておりましょうか。
#207
○政府委員(山本敬三郎君) 用意がございませんので、二次産業と特定されると、私、記憶がございませんが、私の記憶では、日本の一般的な民間企業の場合、自己資本比率はすでに二〇%を割っているんではないかというように考えます。
#208
○森中守義君 四十五年の大蔵省が出された統計では、自己資本が一四、他人資本八六ですよ。もうたいへんな開きである。それと日本航空を比べてみると、大体倍額だから、大臣は、まだいいんじゃないかと、こういうことなのかわからないけれども、しかしこれは、好ましいものではない。しかも安全運航ということが最大の目標であれば、できるだけこういう借り入れ金等は他の方法で処理できるように、さっき航空局長は、予算の範囲内ということは必ずしも比率を定めてない、こういうことですしね。一時は六九%とか言われました。こういう時代もあったということなんですね。ところが、傾向としては、四十五年の五〇%から、四十七年以降ぐっと低減の方向にある。この辺もう少し検討する必要があると思うんですが、大臣どうですか。むろん、これは日本航空の性格論争とは別な時点から私は言っておるんですがね。
#209
○国務大臣(新谷寅三郎君) さっき申し上げたように、それは自己資本率が高くなるということは、企業体としては非常に財政基礎が確立して健全だという一つの証拠ですから、そういう意味においてはおっしゃることもよくわかるんです。ただ経営者として見ますと、何といいますか、何年間かに償却してどんどんリプレースしていくというようなものですから、それを自己資本で全部まかなえということよりも、金利の状態とか金融市場の状況によりまして、自己資本でございますと――どっちが高いか安いかこれはわかりませんが、配当をするとしますね、配当を八分やれば、いまの六分で借りたら六分のが安いということにもなりますし、それから非常に低金利の時代からいきますと、おそらくこれは長期債務でしょうから、長期債務を設定した場合に、金利の高騰がありますから、よかったか悪かったか、これはあとにならないとわからないでしょうから、まあ大体十年なら十年というものを見通しまして、経営者としては、これは増資のほうがいいか、あるいは借り入れ金のほうがいいかというような判断を普通するんだろうと私は思うんです。ですから、一がいには言えないと思いますけれども、しかし一般論としては、おっしゃることはよくわかります。だから私も、これが一番健全な姿だということはさっきから申し上げてないんです。
 ですから、できるだけ資本の蓄積をやって、償却なりうんとやって、そして自己資本をふやして、それで新しい投資にも振り向けていくという姿が、あるいはそういう努力が、こういう特殊な会社ですから特に望ましいということは先ほど申し上げたとおりでございますが、まあ、あんまりそれを、何か法律、規則に書いてあるように非常にぎこちなくやりますと、かえって企業経営の上で非常に障害が起こるようなケースがないとも限らないということを、ひとつお考えいただきたいと思います。
#210
○森中守義君 それでは、営業年度ごとに、事業計画、資金計画、収支予算が大臣の手元に届きますね。それを審査される場合、この借り入れというものが、全体の資金上、予算上にかなり私は重みを加えているような気がする。しかもそのことが、実際の社内の経営上にどういう影響をもたらしているのか。いま大臣の言われるように、まあひとつ前向きに検討の必要あるけれども、さしずめ安全性がこれによって失われるとか、あるいは営業上さしたる障害はないという判断なのかどうなのか、その点はどうでしょう。
#211
○国務大臣(新谷寅三郎君) 日航の何といいますか、事業計画とか収支の予算とかいうふうなものは、これは国会に出ているんです。これは財政法何条かの規定の関係で毎年国会に出ているようです。そういうことで、一応この予算の場合に資料としてお手元に差し上げてあるようです。だから、国会でもある場合には御議論になったことがあるかもしれません。
 しかし、いまお尋ねの要点の安全運航との関係ということになりますと、私は、自己資本率が低くて借り入れ金の率が高いことが安全運航体制を確立するのに障害になるとは考えないんです。安全運航体制の確立というのは、日航が金を借りようが自己資本でいこうが、当然、日航の本来の第一義的な責務でございますから、運輸省としましては、その点に主眼を置いて、あらゆる面から安全運航体制の確立を指導もし勧告もし、許認可にあたってはそれを見ているわけです。
 実は、これはお尋ねになかったのですけれども、実情を申し上げますと、今度、四十八年度の事業計画を持ってきました。いままでですと、おそらくそういう点にはあまり重点を置かずに、ただ、いまおっしゃった収支計算とか資本構成とか、そういった問題を主にして審査したと思います。私は、今度はそれでは困る、といいますのは、先ほどから申し上げておりますように、安全運航体制が第一義だということを言っておりますので、安全運航体制でわれわれも日航に指示をし、それに対して日航は具体的に各項目についてこういたしますという数十項目にわたってわれわれに答申を出しているわけです。それがこの事業計画、収支のもくろみの中で、これが具体的にどうあらわれているんだと、具体的にどこにあるんですかと、それを全部チェックしなさいということをやかましく言ったわけです。で、数日間かかりました。かかりましたが、日航も約束どおりに、あらゆる項目につきましてこまかい資料を出してきまして、ここの点はこういうふうに考えております、この点はここでこういうふうにあらわれておりますということを、非常に詳しい、安全運航体制確立のために彼らがとった措置を、この事業計画の中であらわしてきたわけです。それで認可しました。
 ですから、これは行政運用といえば運用だと思います、ある意味で。行政の運用のしかたにもよりますが、借り入れ金が多いから安全対策の上で困るんじゃないかといういまの御懸念は、これはしていただかなくってもやれます。いまの日航法のもとに、われわれに与えられた権限内で、そういうことは十分確認もし実行もできるというように御理解をいただきたいと思います。
#212
○政府委員(内村信行君) 先ほど収支予算にお触れでしたので、よろしければ御説明いたします。
 四十五年、四十六年、四十七年――四十七年度はまだ見込みでございます。四十五年が、国際・国内を一緒にいたしまして、全体で百五十二億六千六百万、これは経常利益でございます。そのうちの内訳が、これは実は決算書類が出ていないと思いますが、会社のほうで一応内訳いたしますと、国内線のほうが約百億、国際線のほうが五十二億何がしということ。それから四十六年のほうは、合計が九十二億。その内訳は、国内線が約八十一億、国際線が約十億ちょっと。それから四十七年度、これは見込みでございますからまだはっきりはわかりません。しかし、大体八十四億程度の経常利益をあげるんではなかろうかという一応の見込みでございます。これをしいて分けますと、国内線が約四十九億、国際線が約三十五億程度ではないかという数字でございます。
#213
○森中守義君 いまの局長の説明からいくと、これは完全に国際線は持ち出しだね。ほとんど国内線でかせいでいるという、こういう数字ですね。まあしかし、それはそれでいいでしょう。
 そこで大臣、いま非常に重大な安全性に、借り入れ金がどういう影響を与えるかということは、ある程度一般論も当てはめてみる必要もありますよ。予算上八百数十億の元本支払いに資金上影響がないということは、私はないと思う。そのことが、うんと収益の面でカバーしていかなくちゃならぬということになるならば、賃金にも影響しようし、便数にも影響しようし、これはあんまり楽観的に見るべきものじゃない、私はこういうように思うんです。
 しかし数字を基礎にした安全性の問題は、別途またお尋ねする予定にしておりますから、きょうはそこまで触れませんが、いま一つは、さっき航空局長が言っておられたように、百分の八を云々という、政府はもう後配でいいんだ、その条項から援用されて、二十八年以来どのくらい国庫として配当を受けたことがあるのですか。
#214
○政府委員(内村信行君) 国庫としては、いまだ配当を受けたことはございません。
#215
○森中守義君 まだこの経営状態では出資に対する利益配当の段階ではないということですね。
#216
○政府委員(内村信行君) 民間には八分配当しておりますが、国庫のほうには入っておりません。
#217
○森中守義君 いやいや、民間の記名株式の皆さんにはそうでしょう。国にはまだ入っていないということですね。
 それと、記名の株の所有者で最高は全体の何%保有しておりますか、特徴的なものを五つか六つぐらいあげてください。
#218
○政府委員(内村信行君) これは日本航空の株主構成の問題だと思いますけれども、御承知のとおり、国が四六%、その次が小佐野賢治さんで二・四%、東京海上火災が二%、日本興業銀行一・八%、同和火災海上保険一・八%、それから第一勧業銀行一・三%、近畿日本鉄道一・二%、京阪神急行電鉄一・二%、安田火災保険一・二%、東海銀行一%、これが上位の十社、これで大体全体の六〇%を占めております。
#219
○森中守義君 いま出されている株の総数、それから流通はどうなっておりましょうか。一般の市中で出しておるのですか。
#220
○政府委員(内村信行君) 現在の発行総数は九千四百三十二万二千株でございます。
#221
○森中守義君 流通はどうなっているか。一般の市場に出している……。
#222
○政府委員(内村信行君) 第一部に上場されております。
#223
○森中守義君 あと二問ほど。できるだけ御希望に沿いたいと思っておりますから……。
 日航法の十二条で、航空機を有償で取得しようとする場合には大臣の認可がいると、こうなっておりますね。これは資金上、予算上、事業計画上、大臣認可を求めてくる際に、新しく新機種を購入する、もちろんそういうものは、計画上上がってくると思います。そこで大臣の認可があれば、それで機種購入の方向がきまる。したがって、あとどういう機種を決定をするのか、全部そのことは日本航空にまかしてあるのですか、それとも計画の認可、さらには機種決定の認可まで大臣が持つのかどうなのか、その取り扱いはどうなっておりますか。
#224
○政府委員(内村信行君) 十二条に書いてございますように、日本航空が新機種を有償で購入する場合、この場合には運輸大臣の認可を受けることになっております。ただ、機種とか機数につきましては、同社が申請してきますとこれを審査をしまして、よろしければ認可するということでございまして、直接大臣のほうからこれこれにせよと、こういうふうなことはないわけでございます。
#225
○森中守義君 そうすると、購入計画に対して認可をするのであって、機種の決定については大臣は認可しない、こういうことですね。
#226
○政府委員(内村信行君) 機種につきまして、新機種をどういうふうに何機入れるということについては、やっぱり認可が要ります。
#227
○森中守義君 機種の決定を大臣がされるとこういうことですか、ちょっとその辺があいまいだね。
#228
○政府委員(内村信行君) 事業計画の中では、包括的に認可いたしますけれども、個別的に新機種を採用いたします場合には、たとえばこの機種を採用したいという申請がございますれば、それを認可すれば効力が発生する、こういうことでございます。
#229
○森中守義君 そうすると、新たな機材の選択、それは日本航空でやるのだが、いよいよ日本航空が意思をきめて、こういう機材を入れたいんだというそのことは、大臣にまた認可を求めてくるということですね。
#230
○政府委員(内村信行君) そのとおりでございます。
#231
○森中守義君 そうすると、機材の購入に至る権限はわかりましたが、この道程としてはどういうコースをとるのですか。たとえば新たな機材の選択をするとか、それから製造メーカーと話をするとか、そういうものは一切がっさい日本航空がやるんですか。あるいはどこかエージェントでも入るのですか。
#232
○政府委員(内村信行君) 大体日本航空がやっておるようでございます。
#233
○森中守義君 大体ではちょっとぐあいが悪い。商社が介入するんですか。
#234
○政府委員(内村信行君) ちょっとこの辺つまびらかでございませんが、大体私の記憶では入ってないと思いますけれども、あるいは商社が入っておるかもしれません。いずれにせよ大臣がこれを決定するというふうなことではございません。
#235
○森中守義君 大臣の決定はわかった。そこで日本航空が実際の機材を購入しようという場合に、たとえばダグラスならダグラスともろに交渉するのか、あるいは交渉は成立した、実際の商談がまとまって買い取りやろうという場合に商社が入るのかどうなのか、商社が介入するかどうか。非常に大事なことだからはっきりしておいてもらいましょう。
#236
○政府委員(内村信行君) 契約は少なくともじかに、航空機会社との契約は商社は入っておりません。
#237
○森中守義君 そうすると、機材の選択、それから大臣の認可、いよいよ取引、一切がっさい商社は入らない、こういうように確認しておいていいのですか。
#238
○政府委員(内村信行君) 私、おそらくそう思いますが、この点、先生としても非常に重要な御質問でしょうし、はっきりする必要がございますから、後刻また確認します。いまのところおそらく入っていないとは思いますが、後刻確認します。
#239
○森中守義君 これは非常に大事な問題であるし、事実関係をはっきりさしてもらいます。実はここでは言いにくいけれども、ちょっとそういう関係、私も知っておる、事実関係はっきりさしてください。
 それから取締役の選任の問題ですが、大臣、これは法律上の規定等もありますが、大体決定に至る作業としてはどういう段取りになるのですか。
#240
○国務大臣(新谷寅三郎君) 私は、まだ就任してからそういうことをやったことがないものですから、どんな段取りでやるのかよくわかりませんが、日航の重役陣も近いうちに、来月の末ですか、任期が来ますから、これは段取りを考えなければいかぬと思いますけれども、法律面でいうと株式総会できめ、これをこうしたいというものを日航から持ってきて、それに対して主管大臣としての認可をするわけですね。これは非常に強い規定で、運輸大臣の認可がないと総会の決議もその効力を生じないというような規定があるくらいでございますから、これはそういうことを日航でやるにしましても、ただ形式だけの手続で、どうなるかわからぬのに持ってくるというようなことは万あるまいと思っているんです。これについては、私もどういうふうな手続をいままでしているのか、そういったことも具体的に検討しなきゃならぬと思っているところでございます。
#241
○森中守義君 非常にこのあたりが大事な問題でして、いま大臣がお話しになったように、確かに株主総会できめる、それから二名の代表権者並びに常勤すべき役員の、取締役会の決議に基づく。しかし、いかに決議があっても、大臣の認可がなければ効力を持たない、こう言っているんですね。逆説的に言うならば、大臣任命という言い方のほうが私は正しいと思う。いかに株主総会が意思を結集して、この人を社長にと言ってみましても、大臣がいやだと言えば、これは成立しない。非常にそういう意味では強烈な権限がある。
 そこで、その議論はあと回しにしますが、現在各省出身が、十二名の役職の中に何人おりますか。
#242
○政府委員(内村信行君) 四名おられます。
#243
○森中守義君 ちょっと出身省庁別に、具体的に言ってください。
#244
○政府委員(内村信行君) 社長の朝田社長が運輸省出身、それから専務取締役の稲益さんが大蔵省出身、同じく田中さんが郵政省出身、それから新井さん、これは常務取締役、これが警察庁出身でございます。
#245
○森中守義君 二十八年の法律制定、つまり日本航空創立以来、この大蔵、運輸、郵政、警察というものは固有のポストとしてきまっておるんですか。
#246
○政府委員(内村信行君) 別にきまっておりません。
#247
○森中守義君 そうしますと、これは役員の選出の基盤は総会にあるわけですね。総会でこういう人がほしいと、たいへんやぼな質問だけれども、総会で意思がまとまってきたものですか、それとも事前に協議をして、大蔵省から、運輸省から、郵政省から、警察庁からもらおうじゃないかということで、話が事前協議の中できまったのか、どっちですか。
#248
○政府委員(内村信行君) 取締役は株主総会できめられたものと思います。
#249
○森中守義君 株主総会でこういうのがきめられたと言うならば、議事録等も拝見したい。
 そこで、人事院は見えていますね。人事院の場合、ことしは百七十七名、この中で大蔵省が五十七名と最高ですね。これは財投の受け入れ機関等が大半だと思う。しかも、この日本航空とはちょっと離れた意見になりますが、大体天下りと騒がれている、しかも内閣及び国会に報告するという、これ自体が歯どめという意味にもなるんですが、一向に減少しない。この状態を人事院としてはどう見ておりますか。ことに大蔵省が毎年のように五十数名に及んでいるという事実をどう見ますか。
#250
○政府委員(中村博君) これは先生御承知のように、国公法の百三条で、離職前五年間に在職した職務と密接な関係のある営利企業の地位には離職後二年間ついてはならぬ、こういう規定があるわけでございます。しかし、このような就職制限は、憲法二十二条の職業選択の自由との関連におきましていろいろな問題がございます。
 したがいまして、人事院の承認にかかわらしめるということが、この百三条の三項にきめられているわけでございます。私どもといたしましては、ただいま申し上げましたような、密接な関連がある場合でも、そのつかれる方が、五年間の在職中に、当該営利企業と、何といいますか、その職権を利用いたしまして、特殊な情実関係を結んで、そして離職後に天下りをする、いわゆる天下りをするということで、そのために公務の適正執行が阻害されるというようなことを禁止したのが百三条の二項の趣旨だと理解いたしております。
 したがいまして、そのような公務の適正執行と同時に、いま申し上げましたような基本的人権の職業選択の自由、その双方の調和を考えまして、過去在職しました五年間の職業上の地位、それからおつきになる営利企業の地位、その相互関連を見まして、そしていま申し上げました精神に立脚しまして、承認するかいなかをきめているわけでございます。したがいまして、たとえば銀行関係の仕事をしておられる方が、いかに在職中適正に公務を執行されても、それは銀行関係についての事務を所管していたということだけで、それはもうだめなんでございます。
 しかし一方におきまして、たとえば地域的な管轄を持っておりますような場合、たとえば北海道で五年間おられた方が、九州のほうに第二の人生を求められるというような場合には、やはり全然所管関係がございません、事業監督関係がないわけでございますので、したがいまして、そういうような場合には、これは特殊な事情がなければ、大体これを承認をする。こういうような線で承認、不承認をきめているわけでございます。
#251
○森中守義君 これは人事院の場合、もう少し次元を変えて見なければいけないんじゃないですか。いま各省の状態を見ると、ずばり人事院の百三条に抵触をするような、そういうものは出しませんよ。全部抜け道つくっておるわけだ。これは大蔵省に聞いてごらんなさい。個人をほしいというのでなくて、一省単位、一庁単位で、できるだけ百三条に抵触しないような、そういう人たちをいわば各省が推薦しておるわけだ。明らかに百三条に抜け道がありますよ。実態としてそういう方法でやっておる。だから審査をしても、審査に抵触するような者はいないんだ。ここが実はやっぱりみそだと思うんですね。五年間の問題、二年間の問題、全部それは裏返しをして、ずばりそれにひっかかるような人は出さないんだよ。けれども、平均五十三歳ぐらいで一応引かしておいて、これは人事院規則に触れないようなところに持っていこうというわけで、各省でやっておるわけだから、ある意味では人事院は完全に裏をかかれておる。それを承知の上で個々に審査をする。言うならば、まさにこれはサル芝居ではないですか。
 そういう意味で、新聞の論調もここにある。人事院それ自体がなめられている。同じ穴の何とかだと、こう言っておる。いいですか、これで。だから審査の方向というのを個別審査からむしろ各省庁を単位にした審査の方向に変えていく必要があると思う。いかがですか。
#252
○政府委員(中村博君) 先生のただいまの御意見も一つの御意見かと思います。しかし私が、先ほど申し上げましたように、やはり公務員にとって離職後二年間、離職後におきましては憲法二十二条の基本的人権は働くわけでございます。その調和の規定が百三条の三項でございますので、そのような精神と、それから先ほど申し上げました公務の適正執行という観点に着目してただいまのような方針をとっておるわけでございます。
 なお、百三条二項は、あくまでも五年間の地位と、それから、そのような地位について情実関係をつくってそしてその営利企業にいわゆる天下りをしようというようなことは、離職後二年間はまかりならぬと、こういう規定でございまして、したがって在職中に、たとえば当該営利企業に対して、公務の不適正執行をして特殊な利益を与えるという行為がございますれば、これはもう所管大臣がまず第一に懲戒処分なさると思います、ある場合には免職なさると思います。
 したがって、そういうような場合には、これはそのような前歴があるならば、まあ免職の場合は関係ございませんが、処分を受けたというような事由がございます場合には、私のほうではいかなる意味においても、これは承認をいたさない、こういうことになっております。
#253
○森中守義君 ちょっと大臣、定款と法律にだいぶ食い違いがある。つまりさっきお示しになった、大臣が認可をして効力を発するという条項。ところが日航の定款では、たとえば役職員の兼職等は大臣の認可が要ると、こう言っておりますよ、主務官庁の認可が要る。しかし全体を通しまして、第四章の中では大臣の認可、全然触れていない。つまり日本航空が自由に決定できるという、こういう実は定款になっているのですね。これは定款と法律にたいへんな食い違いがある。これはどういうことですか。それが一つ。
 それと、さっきお示しになった、大蔵、運輸、郵政、警察庁、こういう官僚の天下りというものが、いまなお日本航空に必要なのかどうなのか。さっき航空局長でしたか、株主総会できまったものだと思うという、まことにどうかと思う答弁がありましたが、事前にこういうようなものが協議をされてきまるのかどうなのか、これはっきりしてもらいましょう。
#254
○国務大臣(新谷寅三郎君) 問題が二つあったように思いますが、その法律によって、会長、社長、副社長というような限定された重役については、さっき申し上げたように、大臣の認可がなければ効力を生じないというのですから、これはあなたが言われるように、相当主管大臣が発言権があるということは事実でございますが、その他の重役については、そういう規定がございませんから、これは運輸大臣には認可申請もないということで、そういったことはない。これは会社の株主総会が自主的にきめる問題である。いまの法律並びに定款ではそうなってると思います。
 それから、いまでもこういうふうにあっちこっちから引っぱってくるのがいいかどうかと、こういうことですが、私は、さっきお尋ねがあったので局長からもお答えいたしましたが、大臣としては、そういった認可権を持っているのですから、ある種の重役に関しては相当発言権があることは事実でございますけれども、しかし一方では、手続上は株主総会が選任してくるわけですね。それについて認可というのは同意ですね、命令じゃないのです、これは同意です。株主総会で選任してきたものに対して同意を与えるかどうかというのが、私の仕事でございます。株主総会が全然承知しないものを命令だと言っても、これは筋違いでございます。ですから株主総会のそういう意向というものと、主管大臣としての私の意向というものが、そこで一緒にならないと成立はしないということでございます。
 だから、あなたが初めにおっしゃったが、どういう手続でやるのだと、これは実際問題としては、なかなか大事な問題だと思いますから、私は経験がありませんが、間違いのないような方法を、いままでも講じているかもしれませんが、十分考えたいと思っているのでございます。
 そういうことですから、株主総会で、この人はほしいとか、この人はこういうところに適当とかというので選任されたものに対しまして、主管大臣としては、これ以上に何も権限がないのに、それはいいとか悪いとか言うチャンスも何もないわけです。おそらくいままでにもそんなことを言ったことはないと思います。しかしこれは、常識的に考えてもおわかりになるように、航空企業、こういうふうな飛行機を飛ばして航空路をやっているというような、こういう企業は日本にもそうないわけですね。これについて、非常に何といいますか、経験もあったり、あるいはこれに対して深い造詣を持ったりという人がたくさんいるかというと、これはなかなかそうはいかぬだろうと思うのです。でございますから、株主総会あたりでは、いろいろな角度から見て、こういう人が適当である、たとえば労務管理はこうとか、財務管理はどうとかという面から見て、それぞれ適当な人を選んでくるであろうということを考えるのでして、私のほうでもいろいろ調べてみますが、株主総会の意に反して、あなたがおっしゃったような、いわゆる押しつけの天下りというと――官庁の人が民間会社に入るのを天下りと言っておりますけれども、さらに程度を越えて、官庁から押しつけて、ぜひこれをとれというような、そういうような人事はいままでにやったことはあまり聞いておりません。
 でございますから、これはやっぱり株主総会というものと、私を中心にして、運輸省の航空局もありますが、そういったのが一緒になって、今後の日航の本来の使命を果たさせるために、どういう人がいいのだということを、これは両方の意見が調整されて、そこできまってくるというのが実態だと、私は思っておるのであります。
#255
○委員長(長田裕二君) 大臣に対する質問はできるだけ……。
#256
○森中守義君 これは、いま言われる同意と認可は同じようなものだというお考えだと思いますが、やっぱり違いますよ。同意は対等のものであって、認可は最終の決定、権限ですよ、私はそう思う。ただ実態として、何もおれは認可権を持っているのだから、気に食わなければいやだよということを言わないだけのもので、しかし権限としては同意と認可というものは相当違う。少なくとも、役員人事の最終の決定権であり、最高のの決定権であると私は思う。それが恒常的に、あたりまえのこととして言われないだけのことじゃないか。少なくとも事前協議等がありましょうから。
 そこで、またまた法律をたてにして恐縮ですが、この前朝田社長にここに来てもらったことがあった。せんだって予算の分科会にも出席を求めまして、隣席の小柳君からいろいろ質問があった。そのときに朝田社長は、進退については、私も十分考えているつもりです、まあ手っ取り早くいうと、私の意思によってきめたい、こういう実は意見の開陳があった。で、これはどのようにもとれるわけですね、どのようにもとれる。ところが全日空及び東亜国内航空、あの事故の責任をとって幹部が辞職した例が幾つもある。モスクワといい、ニューデリーといい、短期間の間にこういう事件を引き起こしている。私の自由な意思によってきめさしてくれと、はなはだこれは聞いていて、どういうものかなあという、小首をかしげる面が非常に多い。むろん責任のとり方は、東洋的、儒教的という、こういう実は責任論を持つ人もおります。いろいろですよ。けれども、今日日本の社会に通用する一般論としては何なのか。今回の事件も、その通念のカテゴリーの外にあっていいと私は思わない。よって、四条三項で、大臣の認可によった社長であるならば、むろん当人の自由な意思によって進退を決せられることもけっこう。けれども、もっと重要なことは、認可権者として大臣はどう思われますか。大臣としての固有な意見はどうでしょうか、権限を持つ人として。いわば日本航空の社長は、この認可権の発動によって効力を持っているわけですからね、朝田社長の自由な意思によるべきものじゃないと私は思う。大臣としてどう思われますか。
#257
○国務大臣(新谷寅三郎君) 他の機会にも申し上げたことですが、現在この人事問題についてはまだ白紙でございます。
 先ほど申し上げたように、日本航空として一番大事なことは、事故を起こしましてから今日に至りますまで、今日もまだその状態は続いておりまますが、どこまでも運航の安全を期するための社全体をあげての体制をつくりあげることが一番でございます。それに向かって邁進さしております。任期の来る時点におきまして、私が最終的にどうするかということをきめなきゃならぬと思います。現在のところは、運航安全体制を確立するために最大限の努力をさせ、邁進をさしておる状態でございまして、いまの時点において、この認可権によって具体的に社長をどうするかということについては、いま白紙でございます。しかし、初めに申し上げましたように、あれだけの事故を起こしたのでありますから、日航全体も、その責任は免れるわけにはいかない。運輸省も責任がございますと言っておるのでございます。
 それならその責任をどうして果たすかという問題が残っております。これにつきましては、将来の日航というものを考えまして、一番いい体制で国民に対して安心できるような安全運航体制を提供してくれるようなことを第一義として考えたいと思っておりますが、具体的な人事問題については今日まだ白紙でございます。
#258
○森中守義君 白紙であると言われるのを、さらに深追いするのもはなはだ見識のない話ですけれども、さっき申し上げたように、責任の一般論として免れるものではない。それならば形はどうなのか、いま大臣も、実は自分自身の意思によって、何とか株主総会できめなくちゃならぬと、こう言われるのだが、日航の安全ということは、余人をもってかえがたいということでもないでしょう、だから騒がせたことはもちろん、人の生命を奪ったということ、いろいろ日航の内部に要因があると思う。そんなものをせんじ詰めていけばどっかに行き当たるんじゃないですか。だから、明言するならば、この際心機一転をする、あるべき日本航空の本来の姿に返っていくというには、もはや人心一新以外にないんじゃないですか。そういう意味で、白紙と言われるのだが、もうそう遠くありませんしね、そろそろ意思を決定されてもいいと、こう思うのですが、一体事前協議等があるとするならば、社長の進退及び天下っている四名の官僚、いまの日本航空にそういうものが必要であるかどうか、慎重に検討される必要があろうと思いますが、いかがですか。
#259
○国務大臣(新谷寅三郎君) 森中さんの御意見は、貴重な御意見として拝聴いたしておきます。
#260
○森中守義君 航空局長、政務次官おられますね。
 これは在来の慣例として、人事問題等はあらかじめ運輸省が案をつくる、もしくは日本航空みずからが案をつくる、そういうように事前の協議をやるような慣例になっておりますか。
#261
○政府委員(内村信行君) 少なくとも、私ども事務当局には、そういった御相談はございません。
#262
○森中守義君 人事院の場合、その出されてきたものを審査する、まあ、そういう審査権にとどまっておりますが、この際少し、人事院もしくは、やるとするならば行政管理庁ということになりましょうが、天下りがとかく問題になる今日ですが、もう少し人事院の所掌の範囲を広げる、あるいは行政管理庁などと打ち合わせをするというようなことで、こういう問題にいま少し歯どめをするようなことはお考えになりませんか。
#263
○政府委員(中村博君) 貴重な御提案だと思いますが、私どもは、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、基本的人権にかかわる問題でございますし、それからまた、先生御指摘のように、世論のいろいろな批判もあるわけでございます。したがいまして、その間に処してどういうふうにしていくかという問題は、確かに御指摘のようにあると思います。
 しかし、私どもとしましては、現行法を前提といたしまして、その適正運用をはかるということを現在考えておるわけでございまして、いろいろな御批判あるいは御意見等々を十分参考とさせていただきまして、その運用の適正をはかりたい、かように考えております。
#264
○森中守義君 これはなるほど基本的な人権と言われると、これは何をか言うところはない。しかし、それも限度がありますからね。そのことがやはり逃げ口上になっちゃ困るのですよ。
 たとえば行政管理庁が昭和四十二年の八月、例の特殊法人等について監理委員会が洗い直しをやってだいぶつぶしましたよ。片やつぶしながらすぐつくり上げる、そこに大蔵省を中心にどんどん入っていく、こういうパターンをずっと繰り返している。もう一回行政監理委員会が目を開いて、四十二年英断をふるったようなことが実は必要な時期に来ておる。むろんこれは各省庁の自発的な自粛ということが前提になりましょうが、いま公然というのか、あるいはそれがあたかも既得権のような状態で天下りがどんどんつくられている。いま国民の批判と言われるけれども、せんだってでしたか、出された四十七年の年次報告、これが出たとたんに一斉に世論が反撃している。新聞の論調を見てみなさい、ひどいものですよ。そのくらい国民の目にはいまいましいものに映っているわけですよ。しかも昨年よりもことしはふえた、来年はことしよりももっとふえるでしょう。こういう傾向がどんどん増大していくならば、一体人事院は何のためにチェックしているのか、その意味を喪失することになるでしょう。
 そうでなくても、午前中、私はある外国の報告書を例に引きまして、政界、官界、財界の癒着というものが、官僚を一つの媒介体にしている。それが日本の経済の成長を促した。こういう一つの側面をとらえている。ところが現在における新聞の論調は、もうそういう時代ではない、福祉政策への転換の時期なんだ、官僚を媒介体にして日本の企業が発展をする時期ではないんだ、おそらく人事院もこれをごらんになったと思う。どの新聞でも同じようなとらえ方ですよ。そこで、いま申し上げるように、行政管理庁あたりともう一回協議をされて、現行法による人事院のチェックだけではもうもの足りない。さっき申し上げたように、各省庁が一つの単位になって、百三条に触れないように、これならばあそこへ持っていってよかろうということでどんどんやっているわけだ。それを承知の上でチェックするというのだから、サル芝居もいいところですよ。それじゃ国民の負託にこたえるわけにはいきませんよ。だから、この際は、行管あたりともっと相談をされて、もう少し多角的、多面的な立場から天下りをチェックする必要があると思う。検討していますか、そういうことを。
#265
○政府委員(中村博君) 貴重な御示唆をいただきましたので、私どもも確かに世論の批判というものは十分考え、あるいは仕事をしていきます上において、十分配慮しなければならぬと思います。したがいまして、ただいまの御意見は謙虚に承りまして、検討をいたしたいと、かように考えます。
#266
○森中守義君 それから、さっきのところにちょっと戻りますが、機種の決定の場合、私は商社が媒介しているというように聞いているのですが、いままで運輸省のほうにこういう機種を買います、そういうときに、これはどの商社にあてがうとか、そういったような話は全然なかったのですか。
#267
○政府委員(内村信行君) そういう話は、私の記憶する限りでは聞いていないように思います。
#268
○森中守義君 それから、これは現認したわけじゃありませんが、日本航空の場合には、機種がDCですか遊ばしている飛行機がありますか。飛ばしていないもの。
#269
○政府委員(内村信行君) いま日航で持っております飛行機は、DC8とジャンボ、それからボーイング727、この三機種でございますが、予備機あるいは整備のための機のほかには、遊ばしているものは特にないと思っております。
#270
○森中守義君 いま申し上げたように、現認したわけじゃないと、こういう前置きをしているのですが、私が最近聞いた範囲では、すでに飛ばせられる飛行機を飛ばさないで遊ばしている。こういう話をちょっと聞いているのですが、一ぺんこの事実確認をやってみたらどうですか。
#271
○政府委員(内村信行君) 確認いたしてみます。
#272
○森中守義君 それからモスクワ及びニューデリーの補償問題で、非常にもつれておるようですね。これは諸外国の例等を見れば、なるほど各国ともワルシャワ条約であれ、ヘーグ条約であれ批准をした。しかし、それは国内の実態に合わないから、国内法で不足する分を補っている。こういう例が幾つかあるようですが、その実例をお示しいただきたい。
 同時に日本の場合には、批准されている条約、これをもとにして約款ができておる。そうなると遺族の要求と、企業が出そうというものには相当な隔たりがある。これが実は紛争のもとであって、依然として解決できない。で、そうなると当然なこととして運送約款を変えなくちゃいけない、根拠法を変えなくちゃならない、こういうことになろうかと思う。そういう配慮があってもいいと思うのですが、どうですか。
#273
○政府委員(内村信行君) ちょっと、外国の例で、国内法で補足的にきめている例は、私はいまのところ承知しておりませんから、これは調べます。
 それから約款の関係でございますが、確かに約款によりますと、ヘーグ条約あるいはワルシャワ条約がございまして、いま高いほうの六百万ということを約款上は採用しています。しかし現実の問題といたしましては、先般のばんだい号事故とか、あるいはその他のものに比べまして、その約款どおりでは日本の国情に沿わないということから、私どもといたしましても、できる限り誠意をもって御遺族の御期待にこたえられるような方法をとるべきだろうということを考えまして、それを日航に対して指示しておるわけでございますが、日航も約款のとおりではなくて、それに上のせをいたしまして、現在提示をしておるというふうな状況でございます。
#274
○小柳勇君 関連しまして。
 ニューデリーの事故七十五名中ヘーグ条約が五十八名、モントリオール協定が十七名、モスクワ事故で五十三名中ヘーグ条約が三十名、モントリオール協定が二十三名というふうになってますね。そこで、片や六百万、片や二千三百万以内ということで格段の差があるし、それはあとで聞きますが、特別見舞い金なるものを六百万円、一応提示してある。これは一体どういう根拠で出されたものであるのか、これが第一の質問です。これをプラスして、あとさらに何十万かプラスいたしまして、一千三百二十万ばかり一応提案してある。この六百万の特別見舞い金なるものは何か。
 それから明らかに違うようなものを、国際的にそのまま見過ごしておるのであろうか。たとえば日本の政府など、運輸省などは、これを改定する方向に今日まで動いたのかどうか、この点を御説明願いたいと思います。
#275
○政府委員(内村信行君) まず第一点のお尋ねの、約款では六百万であるけれども、あと上積みを六百万やっている、その根拠は何かと。これは法的根拠はございません。ただ、御遺族に対するお見舞い金として差し上げるということでございます。法的根拠は何もございません。
 それから今後の問題でございますが、確かに先生が御指摘のように、一方の条約の加入国から乗った人は三百万であるとか、あるいは六百万であるとか、場合によっては、アメリカから乗った者はもっと多い、そういうふうに非常に差がございます。これは確かに不合理なことと私も思います。そこで現在グアテマラ条約というのが審議されておりまして、それについては、まだ各国、署名、批准済んでおりませんが、将来はやはりその方向で進んで、全体を統一することが望ましいと、私ども考えております。
#276
○小柳勇君 日本の政府からは、まだそういうような積極的な動きはないように承っておるのですが、同時にこの乗務員の災害補償が、社内規程では、給与平均日額の六百日分または六百万円いずれか高いほう。ニューデリー、モスクワ事故については規程外見舞い金五十万円と、こういうふうになっているようです。で、同じ飛行機でなくなりまして、たとえば乗務員の方では六百五十万というのが一つの限界になりますね。片やモントリオール協定などで、やっぱり二千三百万円というように、これだけの差が、同じ飛行機で一緒に死んで、人の命にこんなに差があっては、これは問題ではないかと思うが、この点について、運輸省として、どういうふうにお考えになっておるか、お聞かせ願いたい。
#277
○政府委員(内村信行君) これは非常に実はむずかしい問題だと思います。確かに常識的に言いますと、同じ事故にあって、片一方が六百万、片一方が二千万以上というのはおかしいじゃないかという御意見も、気持ちとしてよくわかるのでございますが、やはり企業内のものにつきましては、大体労災上の契約とか、そういうふうなものによりまして、一定の率がきまっております。これは私どもについても、公務傷害の場合は沿革的にきまっているのと同様な意味におきまして、企業内の約束としてきまっているものでございますから、それについて、特に企業の中でまた別個の考えをすればともかくでございますけれども、しいて、それについて、こちらからどうこうせいということも、事実上なかなか困難ではないかというふうに思っているわけでございます。
#278
○小柳勇君 モントリオール協定、私もまだ勉強不足なんですが、その根本精神にありますものは何であろうか。たとえば飛行機というのは非常に危険である。飛行機のお客というのは危険であるから保険契約なども最高限度に考えようというのが、たぶんこの協定の精神ではないかと思うんです。
 そういたしますと、飛行機塔乗員についても、大体同じような精神で労災補償なども考えなければならぬのではないかと思うわけですね。そういうものについて、労災補償の審議会などではまだ出ていないと思うんだけれども、運輸省として、何か働きかけたことはありますか。
#279
○政府委員(内村信行君) これは、モントリオール協定につきましても、やはり同様に旅客に関する問題でございまして、乗員ないしクルーの問題、そういった問題につきましては、もっぱら社内の問題としてゆだねておるようでございまして、私どもといたしましては、特段に働きかけたことはございませんと申し上げるのが、実情でございます。
#280
○小柳勇君 もう一つ、それじゃ具体的に提案します。検討されたと思うんだけれども、たとえばわれわれ旅行するときに保険にかかりますね、保険料を払いまして。そういうものを、たとえばパイロット組合などがきめて、そして給料の中からその保険料をかける、その場合、お客でないから、これがかけられるかどうかわかりませんが、そういうものをお考えになったことがありますか。
#281
○政府委員(内村信行君) 実は、まだ考えておりませんでした。
#282
○小柳勇君 パイロットにつきましても、あるいはスチュワーデスにつきましても、お客と運命をともにしている者が、こういうふうになくなりまして、これだけの差があるということについては、ちょっと納得できないですね。
 で、いま論議されたのが幸いでありますから、たとえば給料の中から、特に保険に入っていくとかいうようなことまで、検討したらあるいはできるかもわかりませんから、運輸省として早急に検討してもらいたいと思いますが、いかがですか。
#283
○政府委員(内村信行君) この点につきましては、会社のほうに十分検討するようにさしたいと思います。
#284
○小柳勇君 わかりました。
#285
○森中守義君 それから、日航法で運輸省には監査権があるわけですね。これは随時やるのですか。それとも恒常的に、計画的にやるのですか。あるいは抜き打ちなどもあるだろうけれども、どういう仕組みになっていますか。
#286
○政府委員(内村信行君) これは必ずしも定期的にやっておりません。と申しますのは、日本航空は御存じのとおり、政府出資の入った特殊法人でございますので、会計検査もやっていただいているわけでございます。そういう点もございまして、私どものほうといたしましては、特に定期的にはいたしておりません。おりに触れて、必要な際に監査をするということにしております。
#287
○森中守義君 これらは、さっきお話があったように、約五〇%近い、二百数十億の金が入っているわけだから、よほど慎重に吟味される必要がありますね。むしろ私が進んで申し上げたいのは、先ほどちょっと、私も不勉強だけれども、事業計画、資金計画、それから予算の収支、こういうものは国会に出されておりますか。私は、それはないと思うんだ。同時に監査権による監査した結果は、やはり委員会には報告してもらいたいと思う、定期的にでもね。
#288
○政府委員(内村信行君) 先ほどの収支計画、資金計画、事業計画の問題でございますが、資金計画とそれから収支計画、これは財政法によりまして国会の添付資料として、調査資料と申しますか、提出されておるはずでございます。
 それから事業計画はこれは提出されてございません。これにつきましては、むしろ相当こまかくなりますので、事務的にいろいろしんしゃくするというふうなこともございまして、提出していないというふうなことだと思います。
#289
○森中守義君 それからその監査について……。
#290
○政府委員(内村信行君) 監査につきましては、先ほど申し上げましたように、会計検査院のほうでこれは相当厳重なチェックを毎年やっていただいておりますので、一応それにおまかせしておりますが、何らかの場合におきましては、こちらにおいても、先生御指摘のように、監査をするといったような場合には、要すればできると、こう考えております。
#291
○森中守義君 これはその必要ありやいなやという問題もさることながら、やはりその監督、指導の立場にある、しかも、かなりきびしい一つの規制を持っているわけですからね。こういうものは計画的に監査体制を強化する必要がありますよ。ただもう、あの人たちにまかしておけばいいと、そういうことじゃ困る。税金が入っているわけですからね。
 ただ、冒頭に申し上げたように、何とはなしに日本航空は信頼すべきものだ、そういう概念が私どもにもあったものだから、このことを中心にした議論というのは比較的に少なかった。しかし、これからはこれじゃいかぬ。そういう意味で、なるほど財政法に基づく資金計画あるいは収支計画というものは、これは私の不勉強で申しわけないけれども、それと同時に所定の監査計画をもって監査を実施してくださいよ。これは四半期ごとぐらいにやるべきでしょうね。その監査経過というものは必ず出してもらいたい。むろん検査院が非違事項を指摘したとか、あるいは不正事項を指摘したとか、そういうことがあったかどうかは十分ではございません。けれども、それはそれなりに一つのチェックになりますし、運輸省も所定の権限を持つわけだから、その権限を大いに発動してもらいたい。厳重に監視されるように、私はお願いしておきたいし、ぜひ国会の委員会に監査経過は報告してもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#292
○政府委員(内村信行君) ただいま先生の御指摘、ごもっともな点があると思います。ただ私どもといたしましては、航空法に基づきまして、安全の面、これは先ほども大臣申し上げましたけれども、まず安全を第一というふうに考えておりますので、その安全の面につきましては、これは日航法ではなくて航空法による立ち入り検査を、これは定期的に毎年やっております。毎年やっておりまして、そういう点にも重点を置いているというのが実情でございます。
 さらに日航法に基づく経理監査でございますけれども、これもおっしゃるとおり、必要性がないわけではございませんけれども、実際にこれをやるとなりますと、相当の人数とかスタッフが、先生が先ほどおっしゃいましたように要るわけでございます。そういった点もあわせまして、先生の御趣旨に沿って検討はいたしたいと思います。
#293
○森中守義君 それは局長、何も安全運航の指導や指示を差しおいてでもこれをやれと、こういうわけじゃない。それは最もきびしくやってもらわなければ困る。けれども航空局の総力をあげて経理監査をやらなければならないような体制でもないでしょうから、それはどういう範囲のもの、どういう内容のものということは、大体日本航空の資金計画や事業計画、予算計画等で把握できておりましょうからね。要するに、常時監査の計画的なものを実行してもらいたい、こういうことですよ。で、その結果というものは国会に報告してもらいたい。
 それからもう一つ、日航法では付帯事業ということがありますね。やっているのは保険事業だと、こうなっておりますが、現在の付帯事業というのは法律どおりのものですか、あるいは法律を越えるような付帯事業というのか、系列事業というのか、そういうところへ手を出しておるのじゃありませんか。
#294
○政府委員(内村信行君) 私も、現実に一つ一つ当たったわけではございませんが、おそらく法律の範囲内の付帯事業であろうと考えております。
#295
○森中守義君 何か、銀座に日航ホテルというのがある。あれは法律のワク内のものですか。
#296
○政府委員(内村信行君) やはり、航空機に乗られる方につきましては、ホテルというものが必ず関連してまいりまして、せっかくお客さまがいらしても、ホテルがなくて困るというふうな場合もございますので、そういったものの用意として、ホテルもやっているようでございます。
#297
○森中守義君 これは厳密にいうと、法律を越えるものだね。東京都内にたくさんのホテルもあるし、日航ホテルにどのくらい資本が投下されているかわかりませんけれども、これは明らかに法律を越えている。こういうものを一ぺん洗ってみたらどうですか。さっき局長が言われるように、八百八十億もの借り入れ金をしている、政府も逐次増資をしている、二百六十数億も出している。こういう経理状態にあるわけですね。しかも法律では、付帯事業というものはきちんとワクがはめられているんですよ。日航ホテルは一つの例だけれども、持ち出している資金は一体幾らなのか。そこに配置している人は何人いるのか。これは安全運航には関係ないですから、そういう経理状態を考えたり、きちんと付帯事業というものもワクがはめられているわけだから、これはちょっと行き過ぎのような気がしますが、どうですか。
#298
○政府委員(内村信行君) ただいまの御議論でございますけれども、これは日航が直接やっている付帯事業ではございませんで、日航が出資をいたしました別法人がやっているわけでございます。資本金の一部を日航が出資しておるというかっこうのものでございます。
#299
○森中守義君 そうなると、これはますます穏やかでないわけだ。たとえば特殊法人等で余裕金があれば、関連産業等に融資がよろしい、出資差しつかえないというのがありますが、日航法のどこにもそういうものはない、ありますか。付帯事業というのはきちんと一条でワクがはめられておりますよ。他の関連産業とか、系列部門に出資してよろしいという条項がありますか。おそらくないはずだ、ますますもっておかしい。
#300
○政府委員(内村信行君) たいへんきびしい御質問でございますけれども、特に日航法の中では、出資をしてはいけないという規定はございませんので、実は事業計画を審査いたします際に、一定の基準によって、これならば、たとえばホテルにいたしましても、先ほどのような関係のものでよろしい、あるいは空港グランドサービスとか、たとえば地上の荷物のハンドリングとか、そういうふうな会社、そういったものに対する出資というものは認めておるのが現状でございます。
#301
○森中守義君 ちょっと局長、問題だね。日航法の中で出資していい、悪いと書いてないということは、おそらく立法の趣旨、これはもうちょっと読んでみますが、ないと思う。そういうことも、立法時における見解としてもないということは、立ちおくれた航空産業を国際レベルに引き上げるという趣旨だから。だから、余裕金が出るということも予定しない。さっきのお話しのように、かなり政府保証もしなくちゃならぬ、増資もしなければならぬということで、無理しておりますね。そこで系列会社等に、たとえ五〇%であろうと、四〇%であろうと、いいとも悪いとも日航法でいっていないことは、そういうことを予定していないということですよ、予定していないことはやってはならぬということです。というように私は解釈をする。よけいなことでしょうね。最近の流行を日航もやっているかどうか知りませんけれども、土地を買ってみたり、幾つも幾つも系列会社をつくって、そういうところに持ち込んでいるんじゃないですか。そのために経理監査をやりなさいと、こう言っているわけだ。
 いままで経理監査等をやられた際に、あるいは機会があれば検査院も来てもらいましょうが、別会社であったとしても、日本航空の直営でないにしても、日航ホテル等は銀座のどまん中、相当でかいですよ。おそらく一千万、二千万という少額じゃないでしょうね、相当の金が入っているわけだ。そういうことが、はたして許容できるものかできないものか。もし検査院が指摘しなかったならば、これは検査院の見落とし、あるいは運輸省も経理監査をやるべき任務を持ちながらやらなかったから、目にとまらなかったのか、やったけれども見過ごしたのか、この辺はまことに釈然としませんね。大体あそこの資産をどのくらい評価しますか、日航ホテルは。銀座のどまん中、坪どのくらいするのだろう。概算はじき出してみませんか。
#302
○政府委員(内村信行君) ちょっと私、見当つきかねますので、かんべん願いたいと思います。
#303
○森中守義君 とにかく、おそらく経理監査をやってみれば、法律で許容されている以外のものが相当ある、こういうように見ざるを得ない。どっかの観光事業あたりと共同出資共同経営のものもあるでしょう。ひとつ、できるだけ早い機会に洗い上げてみて、出してください。非常に重大な問題。
#304
○政府委員(内村信行君) お説のとおりいたしたいと思います。ただ、ちょっと念のため申し上げておきますと、いわゆる出資をしていいかどうかというのは、いわゆる日航の本来の業務と健全関係いかんということになると思います。したがいまして、本来ならば、日航のほうでグランドハンドリングをやるのを特に別会社をつくってやるとか、あるいはモーターサービスをするのを別会社をつくってやるとか、本来ならば自分でやっているようなものを別会社をつくってやる、こういうふうな場合については、必ずしも悪くはないかと思いますが、先生御指摘のように、いろんな問題もございますから、私どももある程度は整備したつもりでございますけれども、なお検討してみたいと思います。
#305
○森中守義君 私は全面的にそれを否定するのじゃない。たとえば国鉄の場合、予算規模の何%の範囲内で関連事業に出資してよろしいという条項があるのです。その他、農林中金であると、いろんなところに余裕金があればやっていい、そういう条項があるんですよ。ところが日航法というものは、株式の発行、政府保証、かなりきびしいそういう経理上のワクがはめられている。確かに主体となる事業がいろいろ関連性を持つ、それは現実において肯定しますよ。それならば、そのようにきちんと法律を整備すべきである。ただ、何とはなしに出されたんじゃ、これは困るということですよ。
 しかも、さっきのお話しのように、国際線に持ち出しが非常に多い。国内線はまあまあという状態、しかも毎年のように増資というものが行なわれる。国の金も二百六十数億も入っている、政府保証も八百八十億もある、こういう状態の中で、かってに日本航空が判断をして、これが必要だから、これこれ出しますということでは、これは困る。だから、そこに日本航空の性格を明らかに実はすべき性質もありますよ。完全な民間企業であれば、これはまた別です。しかし、そうじゃなくて、かなり国が規制をする、そのかわりにめんどうもみる、こういう特殊法人に対しては余裕金の運用制度あたりも、きちんと法律の中で整備する必要がある。いまどんなものに出しているのかわからない。おそらくもっとたくさんあるのでしょうね。そういうものをチェックして、合理性、合法性を持たせるならば持たしてくれ、こう言っている。ないから困る、こう言うのですよ。何も局長のお話を全面的に否定はしませんけれども、やはり筋は筋できちんとしておく必要がありはしませんか。
#306
○政府委員(内村信行君) 先生の御趣旨よくわかりますので、御趣旨を体して検討いたしたいと思います。
#307
○森中守義君 きょうはこれで。
#308
○木村睦男君 たいへん時間がおそくなりまして、私も二、三ぜひ聞きたいことがございましたけれども、政務次官もお忙しいようでございますので、多くの問題は、また機会を得て御質問申し上げることにして、一点だけごく短時間でお尋ねいたしたいと思います。
 それは、国際航空のチャーター便の問題なんです。実は、最近わが国の海外旅行、あるいは海外からわが国へ来る人、そういう人が多くチャーター便を使って旅行をしておるという事実、だんだんこれがひどくなってきまして、チャーター便といいますと結局不定期の貨し切りでございますが、これが運賃が安い、非常にまあ格安旅行ということで利用者にも便利であるということで、非常に盛んになってきた。
 そこで、ごく数日前の新聞でございますけれども、この空のチャーター便がいよいよ空の戦国時代を迎えてきたと。運輸省の航空行政、航空政策というものも今後転換を迫られるのではないかという意味のことを書いておるわけであります。これをずっと見ますというと、確かに不定期の貸し切りを利用しての旅客はふえてきた。それで、定期便でない不定期貸し切り便というものに対する管理あるいは行政、こういうものが、わが国の航空法上またIATAの関係でどういうふうに定期便との関係でなっておるかということを、最初にごくかいつまんでお聞きしたいと思います。
#309
○政府委員(内村信行君) 現在、日本に発着いたします国際線のチャーター便には二つの種類を認めております。
 一つはアフィニティーチャーターと申しておりまして、これは本来旅行を目的としない何らかの団体のためのチャーター、たとえば参加者が負担を分担する、たとえば全国商工連合というふうな、本来旅行目的のためにつくられたものじゃない団体がございます。そういうふうな団体の人がチャーターをしてやるとか、あるいは個人がチャーターをする――これをオンユースチャーターと申しておりますが、この二つの方法だけを認めております。
 逆に申しますと、いわゆる特定の一時期だけ、一つの観光旅客を集めて、何月何日にどこそこへ行く便がございますから、どなたでも来て乗ってくださいと、こういうふうな意味のチャーターは認めていないというのが現状でございます。
#310
○木村睦男君 そこで、そういうチャーター便が入ったり出たりするときには、結局許可が要ると思いますけれども、これはどういう方針で許可をしたり、あるいは許可しなかったり、その原則というか方針、何かありますか。
#311
○政府委員(内村信行君) 一つは、いま申し上げましたようなアフィニティーチャーターあるいはオンユースチャーターであるかどうかという点が一つ。
 それからもう一つは、チャーター料金、これが不当にダンピングされてやしないかというふうな点が一つ。
 それからもう一つは、これは特にアメリカとの場合に問題になりますけれども、日本の場合には比較的チャーターに使う機材が少ないのでございます。それに対しまして、アメリカあたりは、どんどんと、いわゆるベトナムあたりから不必要になった機材が出てまいるということで、チャーター機材が非常に多いというふうなことから、アメリカあたりは非常にチャーターを多く要望してきておりますけれども、こちらとのバランスからいいまして、これについてはある程度便数を制限するというふうなことをやっております。
 あとはケース・バイ・ケースでもって考えております。
#312
○木村睦男君 そうしますと、運賃の問題、これが一番でしょうけれども、いまお話を聞いておれば、かなりチャーター便に対してはゆるい、何といいますか、姿勢といいますか、そういうふうな状況で今後運営されるんじゃないかという感じがするんです。そうしますと、いままでこれはほとんど定期便に限っての航空行政であったと思います。そこで日本も、定期便の国際線というのは日本航空一本にして、全日空は国内という二つの方向で航空行政をやってきたわけですが、こういうふうに、チャーター便もわりに需要も多いし、またゆるやかに認めるということになれば、海外からのチャーター便がどんどん入ってくることもさることながら、わが国の、国際線一社、国内線一社というあの原則、ことに国内線を担当しておるところの全日空が、定期便は無理だということであれば、不定期便でチャーター便として海外にも出るというふうな道が開け得るわけですね。
 そうしますと、そこで問題になりますのは、いまの国際線一社、国内線一社という一つの基本方針と、それからもっぱら国内飛行ということで訓練をし、なれてきた会社が、急に国際線に飛び出すということについての安全性の問題、そういうような問題があると思うんです。
 それから先ほどちょっと触れましたが、海外からどんどんチャーター便が入ってくるために、日本の航空事業が相当な影響を受ける。そこで聞くところによりますと、航空局でもプロジェクトチームをつくって、この問題についてのいま研究をしておられるということでございます。そこで、どういうふうな方向でどういうふうな結果を得ようとしてのプロジェクトチームの検討、研究をやっておられるかということと、それからその結果、わが国の航空政策というものが相当変わってくるのではないかと思いますが、これは非常に大きな基本的な問題でございますので、政務次官から、これからのわが国の航空政策というものが、このチャーター便の国際航空業界における非常な変化というものを受けて、どういうふうにわが国の国際航空政策というものを、今後方向づけていかなければいけないのか、この二つの点について、まず航空局長から前段の問題でお聞きしいし、基本政策について政務次官からお聞きいたします。
 あといろいろありますが、あまりにも時間がございませんから、後日に譲って、この御答弁を聞いて、私の質問は終わります。
#313
○政府委員(内村信行君) ただいまの先生の御質問は、チャーター便というものをどんどんこれからフリー化していくと、現在の国内一社、国際一社というふうなものに対する影響もありはしないか、それから、あるいは安全の面から見てもやたらな会社ができたら困るではないか、それから、いわゆる定期である日航との競争関係、こういったところに問題がありゃしないか、そういうふな点であろうと思います。
 私どもも、確かにそういう点を十分考えなければいかぬと思っております。現在、いわゆる一つのグループ、プロジェクトチームをつくってやっておりますのは、最近におきまして、大西洋あるいは欧州、欧米間、そういうところでは従来のアフィニティーチャーター、あるいはオンユースチャーターのほかに、もっとフリーに、あるいはトラベル・グループ・チャーターとか、あるいはアドバンスチャーターと申しまして、前もって、九十日前からファイルしておけばできる、そういうふうな方向を出すというふうなことに、一つの世界の傾向として、チャーターというものがフリー化されていっているというふうなことも一つの現象でございます。したがいまして、その現実をとらえ、なおかつわが国の特殊な立場を一体どう考えるかというふうな問題になってまいりますけれども、現在日本から飛ばしておりますチャーターは、結局全日空とそれから日航だけでございまして、そのほかにはチャーター会社というものは、国際線のチャーター会社というものは全然ございません。したがいまして、そういう点については安心ができるわけでございますが、そういった安全の面から見ますと、新たにそういうお客さまを運ぶチャーター会社をつくるという点については、これは相当大きな問題だろう、そう簡単な問題ではなかろうというふうに考えます。
 それからあと、今後フリー化するかどうかということにつきましては、これも世界の情勢を勘案しながら、やはりわが国の特殊事情、先ほど先生のおっしゃったようなことを、十分勘案していきたいと思っておりますが、そのプロジェクトチームのほうは、別段に特にこういう目的を目標としてねらっているということではなくて、客観情勢を、事実をまず分析するということによって、どう対処するかというふうなために研究さしておる段階でございまして、いま直ちに結論を得るという性質のものではないわけでございます。
 あと政策的なことは政務次官から。
#314
○政府委員(佐藤文生君) 羽田の例をとりましても、現在、一日四百四十回離着陸ということで、ひとつチェックいたしております。その内容は、御承知のとおりに、外国航路が百四十八便、それから国内線が二百九十二便、こういうぐあいになっております。ところが、諸外国の――ただいま航空局長が言いましたように、チャーター制度について、新しいいろんな状況が生まれてまいりましたので、この問題については、積極的に取り組んで考えていかねばならない重要な問題であると私は思います。
 そこで、現在の羽田なり伊丹の国際空港の実態から見て、こういう問題と取り組むためには、どうしてもやはり、成田の国際空港の一日も早い開港というのをやらなければ、この問題に対処できない、こういうことであります。したがって、現在のままずっといきますというと、国際的な大きな問題が起こってくるわけであります。したがって、こういう問題を踏まえて、成田空港の一日も早く開港ができるように努力するとともに、チャーター制度そのものの内容について検討を加えていきたい、こう考えている次第でございます。
#315
○委員長(長田裕二君) ほかに御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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