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1972/08/30 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第26号
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1972/08/30 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第26号

#1
第071回国会 運輸委員会 第26号
昭和四十八年八月三十日(木曜日)
   午前十一時一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         長田 裕二君
    理 事
                江藤  智君
                木村 睦男君
                山崎 竜男君
                小柳  勇君
    委 員
                岡本  悟君
                黒住 忠行君
                高橋 邦雄君
                橘  直治君
                松平 勇雄君
                加瀬  完君
                瀬谷 英行君
                森中 守義君
                三木 忠雄君
                木島 則夫君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
   政府委員
       経済企画政務次
       官        橋口  隆君
       経済企画庁物価
       局長       小島 英敏君
       大蔵政務次官   山本敬三郎君
       運輸大臣官房長  薗村 泰彦君
       運輸大臣官房審
       議官       原田昇左右君
       運輸省鉄道監督
       局長       秋富 公正君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部長  住田 正二君
       運輸省自動車局
       長        小林 正興君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       日本国有鉄道総
       裁        磯崎  叡君
       日本国有鉄道理
       事        内田 隆滋君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進
 特別措置法の一部を改正する法律案について
    ―――――――――――――
#2
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
 順次発言を許します。
#3
○加瀬完君 この前にいろいろと、特に物価問題に運賃関係は非常に影響がございますので、物価問題あるいは国の財政問題について、大蔵省なり経済企画庁なりに伺いましたけれども、必ずしも的確な答えが得られませんでしたので、この次はそれぞれの責任者を出していただきたいという要望を申し上げておいたわけでございますが、経済企画庁の長官なり大蔵大臣なりはお出ましにはいただけないということになったわけですか。
#4
○委員長(長田裕二君) 関係のほうから加瀬委員にも御連絡申し上げていると思いますけれども、大蔵大臣は午前中も、それから午後も、対外関係あるいは財政制度審議会などの関係で、どうしても出ることができないようでございます。山本政務次官が代理をいたしますので、御了承願います。
#5
○加瀬完君 大蔵のほうからは、私のほうには何にも御連絡がございません。経済企画庁のほうからは物価特別委員会か何かがあるので、そちらのほうに出るということでございましたが、時間を切っても、こちらに出ていただきたいという再依頼をいたしたわけでございますが、それについての返事はございませんが、これは委員長と理事においてお取り計らいをいただきたいわけでございますが、こういう国鉄運賃の値上げ、あるいは再建計画というものは、国の財政の上から、あるいは物価対策の上からは非常に大きな問題でありますので、衆議院の委員会には出るけれども、こちらの委員会には出ない、こういうことでは、これは万全な審議ができないわけです。これは参議院の軽視ですよ。私の質問に対して、時間を延ばすというならわかりますけれども、いつでも、単に運輸委員会に限らずあらゆる委員会において経済閣僚は出ない、こういうことでは困ると思うんです。いま主管大臣だというお話がございましたが、再建計画については、大蔵大臣は、これは協議をしてきめるという、やっぱり一方の二分の一の主管ですよ。特に物価対策ということになれば、経済企画庁の長官は、これは担当官ですよね、当然の。私がなぜこういうことを申し上げるかと申しますと、去る二十八日のこの委員会で、私は四十八年の四月二十二日、こういう日にちを切って、総理は消費者物価が十月−十二月には下がると発言をしておりますが間違いございませんでしょうと伺いましたら、物価局長は、総理がおっしゃったのは消費者物価ではなくて卸売り物価が下がるとの御発言でございますと、こういう御説明がございました。これ間違っておりませんか。
#6
○政府委員(小島英敏君) 私の推測するところ、そういう意味であろうと思いますというお答えをしたつもりでございます。
#7
○加瀬完君 推測でありますから、当然これはお帰りになってお確かめになったと思いますが、御確認をした結果は、やはり御発言が間違っておらないという御確認ですか。
#8
○政府委員(小島英敏君) 特に確認はいたしておりません。
#9
○加瀬完君 こういう無責任なことでは、大臣が出なければ私どもは質問はできないということになるわけですよ。これは確認してもらってから答えてもらわないと質問できませんよ。少なくとも物価担当の責任者が、総理の発言がこうではないかと質問をされたならば、そうでないと答えているわけですから、確かにそうでないかそうであるか、これは確認をあとであろうとして、もう一回再質問されたときには、間違いない答弁ができるというぐらいの、答弁者としては当然の責任でしょう。あなたのおっしゃっていること間違っていますよ。確認してから私は質問を進めます。
#10
○委員長(長田裕二君) 加瀬委員、橋口政務次官が見えております。
#11
○加瀬完君 政務次官が答える必要はない。あの物価局長が答えた。いまも確認をしておらないと答えた。そんな無責任な答弁に対して、次の質問を繰り返していったってどうにもなりませんよ。あなた方は、一体こういう委員会の席での議員の質問というものをどう考えているのですか。大体あいつらしろうとでわからないから、その場その場で適当な話をすれば終わると考えているのですか。物価が安定して、そんな総理大臣の発言のささいなことは取り上げなくても、国民生活は心配ありませんということなら、私も何をか言わんや、いまの政府では物価対策はないと、こう一部から批判をされているような状況でしょう。そういうときに、あなた方の発言というものは、まして総理の発言を確認されているわけですから慎重でなければなりませんよ。確認してからお答えをいただきましょう。
#12
○委員長(長田裕二君) 橋口政務次官が大臣の代理で来ておりますから、答えさせます。
#13
○政府委員(橋口隆君) 加瀬委員のおっしゃるとおりであろうと思いますので、この次の機会までに大臣の真意を確かめまして、うちの長官からお答えを申し上げます。
#14
○加瀬完君 それ答えになりますか。長官がどうこうの、大蔵大臣がどうこうのという質問、私はしていませんよ。
 もう一回言いましょうか。この前の委員会で、四十八年四月の二十二日の記者会見で、総理大臣は消費者物価は十月−十二月には下がると、こういう御発言をしておりますが、間違いございませんかと、こういう質問をしたわけです。そうしましたら、物価局長が、いやそれは消費者物価ではございません、総理が答えたのは卸売り物価が下がるということでございますと、こうお答えになった。消費者物価ではございませんかと私は念を押した――卸売り物価でございますと二回も言った。ですから、そうお答えになったからには、間違いがないかどうかお帰りになって確認をしているでしょうと、いま念を押したら、確認をしておりませんということだった。せっかく政務次官お答えをいただきましたけれども、私がいま伺っていることはそういうことなんですよ。言ったか言わないかということではない。そんなうかつな答弁をして物価対策がこういう問題のときに答弁になりますかと、その場その場でいいかげんな答えをされては質問ができませんので、総理の発言はどういうものであったかということを御確認の上もう一回答弁を願いたい、こう申し上げておるわけです。
#15
○政府委員(小島英敏君) 総理の真意を確認いたしました上で、御返事申し上げたいと思います。
#16
○委員長(長田裕二君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#17
○委員長(長田裕二君) 速記を起こして。
#18
○加瀬完君 説明員に聞かなければどうこうの問題じゃないのですよ。これは四十八年四月二十二日の日経にきちんと出ている、総理は、「消費者物価は第三四半期(十−十二月)には下がるし、下げなければならない。」と、こう言っているのです。卸売り物価はどうこうと言ってはいないですよ。こういうことすら明確にしないでいいかげんな答えをされては困るということを私は申し上げているわけであります。
 そこで、さらに確認をしてもらいます。経済企画庁の矢野前次官の発言についても、お答えは明瞭を欠いておりましたので、矢野発言の内容をもう一度明確にしておきたいと思います。
 これは日本生産性本部主催のトップセミナーでの講演でございます。その中で矢野さんは、十月ごろには前年比で一四−一五%消費者物価はアップ、わが国のインフレはスパイラル現象に陥る危機に直面をしている、政府が公共料金だけでなく、これに準ずるものについても、これを凍結させるくらいの気がまえが特に必要だと、こう話したと、同じく日経では報じられておる。これは経済企画庁の政務次官でけっこうです、あなたのほうの前次官は、日本の現在の経済状態はインフレという認定をしておるわけです。しかも、これは公共料金だけでなく、これに準ずるものにストップをかけなければ、なかなかこれは解決できないだろうという、講演ではございますけれども、経済企画庁の次官としての講演でこう明瞭に指摘をしている。こういう点を、この間局長に伺いました。局長のお答えは、必ずしもこの点も明確ではございません。そこで政務次官に伺いますが、こう矢野前企画庁の次官が警告をされておることはお認めになりますね。
#19
○政府委員(橋口隆君) ただいまの矢野発言は、退官をされてからの発言でございまして、経済企画庁事務次官としての発言ではないと考えております。また、その内容につきましては、新聞で報ぜられておるところでございまして、私ども直接それを確認をしておりませんので、本人に確認をいたしまして、適当な機会にあらためてお答え申し上げたいと思います。
#20
○加瀬完君 いや、御確認をいただかなくてもけっこうです。この二つの指摘の点については、政務次官としてはどうお考えになりますか。
#21
○政府委員(橋口隆君) 私も率直に申し上げますと、消費者物価はなお多少上がる懸念があるのではないか、こう考えております。ただ公共料金をストップしたほうがいいという点につきましては、特に国鉄の現状を考えますというと、そう軽々に判断するわけにはいかない、どうしても政府提案どおりにひとつ御審議いただきたい、こう考えておる次第でございます。
#22
○加瀬完君 これはあとで伺いますが、経済企画庁は、国鉄あるいはその他のいわゆる公共料金、これに準ずべきものについての基本的な態度というものは、国鉄運賃のきまる前、どういう御態度であったですか。あなたのいまおっしゃるような御態度であったですか。上げるべきものは上げなければならないという前提で物価対策の基本が考えられておったですか。
#23
○政府委員(橋口隆君) 経済企画庁の方針は一貫をしておると考えておりますが、公共料金はこれをきびしく抑制しなければならない、真にやむを得ないものについては別であるけれども、全般的にはこれをどうしてもきびしく抑制することが必要である、こういう方針でございます。ただ国鉄につきましては、真にやむを得ないものと判断をしておる次第でございます。
#24
○加瀬完君 それはね、いま結局経済閣僚の決定で国鉄料金を上げる、運賃を上げるということになったから、そういう答弁をせざるを得なかったわけですけれども、それまでには経済企画庁としては、物価対策上、国鉄運賃そのものにも相当論議が集中をされたわけですね、それをここであげつらおうとは思いません。
 そこで問題を前に返しますが、この前、再建計画の第四条では、国鉄がきめて運輸大臣の承認を受ける、そして運輸大臣は大蔵大臣に協議をするということになっておりますが、経済企画庁長官との協議というものは別にありません、それは経済閣僚の懇談会等で基本的な話し合いがされます、こういうことであった。しかし運賃値上げというような公共料金の問題については、単に国鉄に限らず、経済企画庁というものが政府の大きな方針のかなめですね。そうなりますと、国鉄の再建計画という長期計画についても、将来の経済見通しというものに立たなければ、この長期計画というものも成立をしないわけですね、将来の経済見通しということであれば、経済企画庁の考え方というものが大きな根底になりますわね。しかし、この再建計画の作成については、経済企画庁の公的な発言力というものは何もないわけです。それでいいかという点を私どもは一つ問題にしました。
 もう一つは、これはおたくのほうに直接関係のあることではございませんが、大蔵省と運輸省というものの話い合いであれば、運輸省の要求が大蔵省で一〇〇%認められるということは慣例上あり得ない。運輸省の要求というものは何%か歩減りをされた形で大蔵省にきめられると、こういうことになってくれば、運輸省自身が考えている再建計画というものは、どこかでやはり割引をされることになるのではないか、そうあってはならないという歯どめがどこにもない。これは経済見通しというものを十分心得ている経済企画庁が、国の財政負担はかくかくであるべきだ、運賃の値上げはかくかくであるべきだ、あるいは物価対策上ここの年度での運賃値上げというものはこれは考えるべきでない、こういう御発言がなければ、これからの日本の経済の動向に即した再建計画というものは成り立たないと思うのです。しかし今度のこの再建計画というのは、こういうたてまえはとられておらない。それでも経済企画庁は、運賃のこれから四回の値上げについては、別に物価対策には何らの影響がございませんと、心配はありませんという保証はどこでつけるのか、つけようがないではないか、こういう疑問を持っておりますが、運賃値上げが物価に影響をしないという保証が、この第四条のような計画で進められて、物価に全然影響しないという保証が心配なく取りつけられていると、こう御判定になりますか。
#25
○政府委員(橋口隆君) 確かに再建整備法の第四条には大蔵大臣だけは協議の対象になっておりまして、経企庁長官はなっておりません。ただいま加瀬委員の御発言の趣旨によりますというと、やはり法的には経済企画庁長官も入ったほうが望ましいとは考えておりますが、現状でも十分に運輸省からも協議を受けておりますので、その点不便はないと考えておりますし、また必要があれば物価対策閣僚協議会におきましても、あるいは閣議においても経済企画庁長官は十分な発言ができるわけでございますので、現状でもそう不便は感じていない次第でございます。また国鉄再建の十カ年計画によりますと、四回にわたって値上げをするわけでございますが、その場合におきましても、現在のやり方でわれわれは十分やっていけるのではないか、こう考えておる次第でございます。
#26
○加瀬完君 いままでの国鉄の再建計画というのは、そのときにはいつでもこれでやっていける、これで再建計画ができるということであった。しかしいつもできなかった。それで新しい十カ年計画というものができた、新しい十カ年計画の基礎になるものが、総理の発言を、私はこの間申し上げましたけれども、利用者負担だけではやれないものだ、独立採算制というものでは押していけないと、国鉄の経営というものは。国の財政負担というものを当然伴うべきだと、国が財政負担をする、こういう総理の御発言もありましたし、皆さんもそういう前提で十カ年計画というものをおつくりになっているわけです。しかし、それでは利用者負担がどれぐらいだと、財政負担はここでは幾ら出すんだということについての基準というものが一つもまだ話し合われてもおりませんければ、もちろん基準の決定についての法律、規則というものもありませんね。
 再建計画というものをほんとうにつくって、いままでのよりも国が財政負担をするというならば、その財政負担は大蔵省にとっては当然国鉄の赤字が解消になり、再建計画が進むという、そういう目的にかなったものでなければならないわけでしょう。経済変動が激しいわけです。経済の見通しというものをはっきり立てないで、どういう物価の上昇カーブが描かれるかということもはじかないで、どれだけの金を出せば妥当であるかという判断はつけられませんね。
 ですから、計画としては当然経済企画庁の意見というのをいれられて、物価動向というものも十分加味された上で、国鉄の財政再建計画というものの政府の出し分というものがきめられなければ、妥当な決定ということには私はならないと思うんです。しかし今度の法律は、そういうことになっておらない。それで、これから大臣がかわりましても、経済閣僚懇談会というのがあるんだし、運輸省なり大蔵省なり経済企画庁というものの連絡が密だからうまくやっていけるでしょうということで、さようでございますかと私どもは承知するわけにはいかない。そういうお話は何回か聞いてきたけれども、みんなうそであった。だからここで、繰り返すようですけれども、政府が金を出すならば、金の出し方というものを、経済動向の見通しの一番はっきりしている経済企画庁がこれだけの金を出すべきものだというものを示さなければ、妥当な国の財政支出というものは裏づけられないと私は思うんですが、政務次官としてはいかがですか。
#27
○政府委員(橋口隆君) 確かに加瀬委員が言われますとおりに、一応の明確な基準をつくるべきであると思いますが、今回のこの計画におきましても、一応の基準はきまっていると思いますけれども、明確な基準というものはまだ確立されていないのは仰せのとおりでございます。
 そこで経済企画庁でも、これを十分反省をいたしまして、各省と相談いたしました経済社会基本計画におきましては、こういうような公共料金の法則をきめております。それは今後公共料金の決定にあたっては、その基本的な原則というものを両三年内に再検討してこれを確立する、また財政負担の範囲あるいはまた料金決定の方法等については、その際にこれを明確にする、そういうことで、これからの課題として、これから取り組むつもりにいたしております。
#28
○加瀬完君 そうすると、現状のこの法案審議の過程で出されている内容については、やはり不備だと、したがって今後については、経済企画庁としても政府としても、これは運賃のきめ方あるいは政府の財政支出の合理性、こういうものは何らかの機関をつくって十分な検討をしてそごのないようにする、それは両三年を待ってそういう形に運んでいきたいんだ、こういうことですか。
#29
○政府委員(橋口隆君) 現在の財政負担のあり方につきましても、私は決してでたらめではなくて、一応の方針はきまってやっていると思います。また財政負担というのは、かなりやはり弾力性をもってきめるべきものでございますから、具体的な事情を勘案することも必要でございますが、私どもが考えておりますのは、公共料金は国鉄のほかにも郵便料金とか専売とかいろいろございますので、それらを通ずる一貫した一つの原則というものを確立したほうがいいのではないか、そしてただいまいろいろと御質疑がありましたような疑義をなくして、明確な基準をつくったほうがいいのではないかと、こう考えておる次第でございます。
#30
○加瀬完君 けっこうですよ。しかし、そういうお考えが具体的に運輸省なり大蔵省なり、もらうほうと与えるほうに、それぞれ基準として示されないままに再建計画というものが出発をするわけです。そうすると、昭和四十八年度なら昭和四十八年度の財政負担が、だれが考えてもこれが合理的だという判定をする基準なり基礎なりというものは現状においては何もありませんね。
 それから、いままで国鉄は何回か、これだけは国がまかなってくれてもいいのではないか、これをまかなってもらえるならば、われわれの赤字というものはこういうふうに解消するという幾つかの案が出されましたよね。一つも取り上げられておりませんよ。そうなってくれば、政府の財政負担の負担義務のワクというものは何にもないわけですよ。ですから、理解のある大蔵大臣が出ればワクは広まるかもしれんけれども、別の条件が出て国鉄までには金が出せないということになると、国鉄負担金というか財政支出金というものは減らされる、こういうことでは非常に不安定だという議論が昭和三十年ごろからあった。で、これは経済企画庁も大蔵省も御存じでございましょうが、昭和三十年の十月に「国鉄経営改善に関する意見」というものが、学者グループの間から出されておりますね。これを御存じですか。
#31
○政府委員(橋口隆君) ただいまの御指摘の点は、国鉄経営改善に関する意見書でございますね。
#32
○加瀬完君 そうです。
#33
○政府委員(橋口隆君) これにつきましては、はなはだ申しわけございませんが、私あまり存じておりません。
#34
○加瀬完君 「国鉄経営改善に関する意見」として、日本交通学会に属する会員の間において、研究をされた結果として報告をされたわけですね。研究参加者は早稲田大学の教授の島田さん、運輸調査局の理事長片岡さん、神奈川大学教授大森さん、中央大学教授細野さん、その他明治、慶応、学習院、関東短期大学の教授、助教授たちによりまして、「国鉄経営改善に関する意見」というのが出ております。これは運輸省は御存じですね。
#35
○政府委員(秋富公正君) 承知いたしております。
#36
○加瀬完君 その要旨はどういうことと、特に国鉄運賃をきめるきめ方についての報告もあるわけですから、この内容はおわかりでしょうね。
#37
○政府委員(秋富公正君) 承知いたしております。
 で、この意見の中の一つでございますが、「収入の大宗たる運賃について国会が最終の決定権を持っていることは、国鉄の経済的合理的な運営を困難にするものである。」ということをまず冒頭にいっております。それから次に、「運賃が物価政策社会政策等一般政策の具に供せられ、国鉄企業の経済性を軽視し国鉄経営の合理化を阻害する傾向にあることを認めないわけにはいかない。」と、こういうような問題がございまして、「財政法第三条とこれに基づく運賃法の如き法律はこれを廃止し、法律をもって厳正中立な運賃に関する審判所を設けて、これに公正監督を委すべきであると信ずる。」、こういうようなこともございます。それからさらに、「運賃決定の基礎とすべき原価に算入すべき費用の内容をも明らかに示す必要がある。」、こういった点もございます。
#38
○加瀬完君 結局、三十年現在において、いままでの国鉄運賃のきめ方は必ずしも合理的でないという点で幾つかを指摘されましたね。おっしゃるような点もございます。さらに「合理的な国鉄運賃(われわれはそれを上述のように運賃審判所の判定すべきものと考えるが)」、あなたのおっしゃった運賃審判所というものを設けて、ここで「判定すべきものと考えるが)に対し、国家が高度の国家的利益の見地からこれに承認を与えず、あるいは特に運賃の引下げを要求するような事態を生じた場合においては、国家はこれによって生ずる国鉄の損失に対して、補償の義務を有することを国有鉄道法中に明示すべきである。」、こういう点も指摘をされておりますね。そして運賃審判所の構想というものがいろいろ述べられております。
 これはちょっとわれわれも非難の的になっておるわけでありますが、国会の中で与党野党という形で、いつも政府原案が何ら国民世論の背景に基づかないままに決定をされるということは不合理だと、ですからむしろ、公正な運賃審判所というものを設けて、そこの判定にまかしたらどうだという、これは着想ですね。私も国会議員の端くれですから、国会が要らないと自分の口から言うわけにはいきませんけれども、指摘をされているところは、確かに政府与党の出す法案というものは、それぞれ理由があります。理由がありますが、その出された法案が全部国民世論に沿って可決決定されるとばかりは限りません。そこでもっと国民世論に従った判定というもので、政府が出すべきものは出す、利用者負担にさすべきものはさせると、こういういまの政府方針をいれて判断の対象とするならば、そういう権威のある審判所というもので国鉄運賃というものをきめるなら、上げるべきか、上げてはならないか、あるいは政府の出す金を幾らにすべきか、こういうことが合理的にきめられるんではないか、そうでない限りは、三十年現在を考えてみては、国鉄運賃というものは合理的にきめられておらない、こういう趣旨を内容とした意見書というものでございます。
 総裁、そういう第三者機関みたいなものがあって、国鉄運賃はかくかくすべきだというもし判定が下されるとするならば、これは国鉄にとってはこのほうがはっきりしていると思いますが、この構想についての総裁としての御所見はいかがですか。
#39
○説明員(磯崎叡君) この構想をちょうど二十年ほど前でございましたが、私どもいろいろ、何と申しますか教えていただいたことがございます。やはりほかのことはともかくといたしまして、運賃関係の問題につきましては、やはりいま先生のお読みになった一三ページのところが一番のみそであったというふうに思います。すなわち当時ドイツにおきましてもフランスにおきましても、いろいろ国家政策から国鉄の運賃値上げを押さえる、あるいはそれを認めないというようなときがあったときには、その分を一般会計から補うという制度がドイツとフランスにすでにあったものでございますから、ぜひそういうことを考えるべきだ、ことに昭和三十年代――二十九年の末期ころから、私どもの二割程度の運賃値上げのお願いを一割に切ると、まあいろいろなことがございましたので、経営上困るというようなことから、その分は政府でめんどうを見るべきだという非常に卓越した御意見が当時からあったわけでございます。これがなかなか……、もっともその一三ページの前のほうに運賃とは一体何であるかということが書いてございます。減価償却費まで入れろと、まあいろいろ議論のあったところでございますが、一三ページのまん中からちょっと前のほうに、運賃とは一体何であるかということで小さい字で書いてございます。これもずいぶん論議されたところであります。すなわち原価に算入すべき費用というものはイギリスの運賃法においては云々というふうに、たとえばこのころは退職積み立て金も運賃で見るべきだという、まだ非常に鉄道の独占性の強かった時分でございますので、いまから見ますと運賃の構成要素としては、まあいわばぜいたくな構成要素であったと思います。しかし一つの理論としてこういう理論を立て、そしてそれを全然鉄道経営と違う理由でもって認めない場合には、これは一般会計で見るべきだ、こういう端的に申しますと御意見でございます。
 それを行政機関以外のこういう特別な機関をつくれという御意見でございますが、私どもも概括的にこれはいい悪いは申し上げられませんが、非常に意見としてすばらしい御意見であるというふうに思いますし、私どもも事に触れおりに触れて、こういうことがあると、現にフランスやドイツでは実行されているということをるる申し上げたこともございます。当時まだ非常に独占性の強い時分でございまして、わりあいに財政状態もよろしかったものですから、あまり実は問題にしていただけなかったのでございますが、昭和四十年度ぐらいから、またこの古いものを実は持ち出しまして、十年前からこういう御意見があるんだということを申し上げておった次第でございます。
#40
○加瀬完君 運輸大臣に伺いますが、今度の再建計画法の策定にあたりまして、いま国鉄総裁からもお話のありました、一応有力な参考意見として、当時からも注目を浴びておった、こういう運賃審判所あるいは運賃審判所によって与える国鉄財政へのもろもろの条件、こういうものを御検討はなさいましたか。
#41
○国務大臣(新谷寅三郎君) 私の就任前のことはよく存じませんが、私が就任いたしましてからは、これはもう予算編成期に入っておりまして、最終段階でございましたが、そういう点は特に議論をされたことはなかったと思います。
#42
○加瀬完君 これは大臣に聞くのは妥当を欠いたかもしれませんが、運輸省の鉄監局としては、この積もりに積もって、どうにも身動きのならなくなった国鉄財政というものについて、私がいま提示をいたしましたような「国鉄経営改善に関する意見」というようなものは、どう特に今度の法律制定について参考にされましたか。またいままで、これがどういうように運輸省当局としては扱われてまいりましたか。
#43
○政府委員(秋富公正君) ただいま先生の御指摘のございました、こういった構想につきましては、私たちといたしましても検討いたしたわけでございます。ただ、この骨子の中の一つでございます国会の審議からはずすということにつきましては、これはうらはらに、その欠損分については財政当局がこれを負担するということとうらはらの関係でございますが、この問題はあまりにも事が重要でございまして、しかも昨年、廃案になりまして国鉄の財政状況がきわめて緊迫化しておるときにそういった根本的な問題を提起いたしますには、あまりにも率直に申しましてゆとりがないということで、今回は昨年の廃案、これを根本にして進めていく。ただ、その際にも一五%というものを上げるべきではないかということも議論されたのでございますが、先般の委員会におきまして御報告申し上げましたように、物価というものに対する影響も考えまして、そういった点は財政助成の強化ということをもって補うということで、運賃の改定率は昨年同様に据え置くということで、今回は提案いたしている次第でございます。
#44
○加瀬完君 去年とことしでは政府当局の国鉄財政に対する考え方というのは大きく違ってきているわけですね。いままではあくまでも独立採算制というものを基礎にして、これに何か合わせていこうという点にウエートがありましたけれども、たびたび申し上げますように、総理大臣ははっきりと、利用者負担だけでは国鉄はまかなえないんだから、当然政府の財政負担というものをすべきだというふうに踏み切ったわけですね。そうすると、財政負担をするということになったならば、その財政負担は、政府のこれから出す財政負担によって国鉄の再建計画なり累積赤字なりというものは解消するという内容がなければならないわけですね。じゃ解消するかしないかという基準はどこできめるかということになったら、そのきめ方はどこにもない。不足額を要求して、トータルとしてこのくらいということで運輸大臣と大蔵大臣の間で話がされるだけにすぎない。ということであれば、政府が金を出すというならば、その金の出し方が公平妥当なものであるためには、国会にかけるかけないというのはこれは論外だ。運賃審判所の考え方というものは、ここでもう一回息を吹き返してきていいものなんですね。運賃審判所をつくるということじゃなくて、運賃審判所のような、ある程度の機関、これだけは財政負担にすべきだ、これは国鉄でまかなうべきだと、これだけは上げてもいいと、これ以上上げてはならないという判断があれば、これは国鉄は、悪いことばで言えば、金が取りやすい。また大蔵省とすれば、そういう機関できめられたものに従って出すという法律になっていれば、これは出しやすいということになる。しかし、それは現状においてはない。どうして運輸省あるいは国鉄当局は、そういうものをつくらなければ合理的に金はこっちには来ないという危惧の念を持たなかったかと私はふしぎなんです。
 新谷さんは有能な大臣でありますから、折衝よろしく、あるいはほしいものよりアルファをつけてもらってこられるかもしれません。しかし有力な大臣ならもらってくると、少し足りない大臣が、悪いけれども、出れば、大蔵省に押えられて一つも金が取れないということでは法律にはならない。大臣や国鉄総裁のいかんにかかわらず、来るだけの金は来るということにならなければ、制度としてはこれは完全なものとは言えませんわね。そこで、運費値上げなどについていまチェックする役割りをするのは、これは運輸審議会だけでしょう。しかし運輸審議会は幾ら大蔵省に金を出せというそういう権限も能力もありませんね、これは。あとで審議会の内容には触れますけれども、どうして、大蔵省が適当に配分をするとか、配分できると、こういう点をきちんとチェックして、大蔵省もどんなに切ろうと思ったってこれだけのものは、これは国鉄関係に出さなければならないんだという条件なり基準なりをつくるか、あるいは条件なり基準なりを示す機関というものをつくるか、こういう方法を考えなかったのですかね。私はそこがふしぎでならないですよ、政府が金を出すと言ったんだから。どういう場合にどれだけ出すかということをきちんときめなければ、ほしいものだけ、不足額だけ、要求額だけ取るということにならない。そこまできめなければ再建計画というものは完全にこれは目鼻が入ったというわけにはいかないと思うんですよ。
 逆に言うなら、いまのように税金がたくさん入って、少しくらい大きい要求もこなせるという財政事情であればいいですよね。経済成長が渋滞して租税収入が少なくなって、国そのものがやりくりがつかなくなったというときに、それでもこれだけのものは国鉄に出さなけりゃならないという保証はどこにもこのままでは出てこないでしょう。なぜ私は、国鉄というよりは、運輸省当局が出すべき条件と出すべき場合というものをきちんときめるか、あるいはきめさせる機関というものを、繰り返して恐縮ですが、要求をしてこの法律の中に入れなかったかとふしぎでならない。話し合いでうまくいきますよということでは、これは法律じゃないですよね。話し合いでうまくいきますよ、うまくいきますよと言ったって、うまくいかなかった場合どうすると言ったら、うまくいかなかった場合はそれはしかたがありませんから、もう一回運賃をその分上げるんですということになっては、国が財政負担をして再建計画をいたしましょうという総理の趣旨にも合わないでしょう。この点もう少し解明してくれませんか。
#45
○国務大臣(新谷寅三郎君) あなたのおっしゃるように、公共負担というのが相当多くなって総理がそういう答弁をせられたことも事実であります。その点については、私も全然同感でございます。今日の国鉄が公共企業体として発足した当時、独立採算制だけで運営しようとしておりましたが、その独立採算制だけでは運営できないということは、これはもう現実の事実でありますから、それに対応いたしまして、政府が相当の公共負担に見合うような財政援助をしなきゃならぬという方針をきめたことは、これは事実でございます。それは、ことばを返すようですけれども、これはたいしたことじゃありませんが、何も今度の四十八年度に始まったわけじゃないんです。いままでにもこれは非常に足りなかったと思いますけれども、やはり同じような趣旨でもって現在の再建計画におきましても若干の政府助成をやっていることは事実でございます。
 しかし、その点はおきまして、今度の十カ年の再建計画で、いかにも公共負担について、あなたの一昨日言われたどんぶり勘定みたいなもので補助しているじゃないかというような御質問のように承りますけれども、そうじゃないんですね。われわれはとにかく国鉄の財政の再建をはかりまして、何度も申し上げたわけですけれども、それによって国鉄の本来背負っておる機能を回復させると、体質を回復させるというのがねらいでございますから、これはもう終局的な目的でございまして、それ以外にはございません。ですから、それを成就するのにはどれだけの政府が助成をしたらいいかということは、これは当然考えなきゃならぬことでございます。その間、運賃の引き上げというものにつきましては、これは事務当局から説明さしてもいいんですけれども、本来政府がそういう助成をしない場合に、運賃だけにたよりますと高率の引き上げをしなきゃならない。これは実際上できない。でありますから、必要最小限の運賃の引き上げということをお願いすると同時に、政府は十カ年間において財政の再建をするというためにはどういう助成をしたらいいかということにつきまして、これは十分財務当局とも話し合いをいたしまして、いま提案しているような結果を得たわけでございます。
 したがって他のいろいろな公共事業に対する補助率、三分の一は補助しようとか二分の一は補助しようとかいうような、率でもって補助のしかたをきめようというようなことは考えておりません。しかし国鉄の機能を回復するために必要であろうと思われる財政援助は惜しみなくやろう、こういうことで、財政当局とも協議をしていま提案しているような結果を得たというように御了解をいただきたいと思います。
#46
○加瀬完君 御説明は別に異論ありません。よくわかります。しかし、そのとおりなるという保証はどこにもないわけです。私がたびたび繰り返して申し上げますのは、ことしの国鉄の再建計画というものについては、政府の態度ががらっと変わった。二つある。一つは政府が財政負担をしよう、独立採算制というものの考え方はとらない上いうことですね。もう一つは、いままでは財政投資が道路に非常に大きかったけれども、むしろ国鉄を交通の主体にしてこれから考えていくということを総理はおっしゃっている。いままでも助成はあった。ありましたけれども、それはこの前も指摘をいたしましたように、道路よりもはるかに何分の一と低い。国家機関でもない基幹産業の補助金よりも国鉄の補助金のほうがはるかに低い、こういう状態であった。それが赤字の原因になった。今度はそうはしませんよど。財政負担の責任も少なくも二分の一以上政府が持つんです。道路よりもむしろ国鉄をこれからは大事にしていきますところおっしゃった。そうであれば、いままでのように政府助成のない場合どうしようかという考え方はもうしなくてもいいことになった。逆に言うならば運賃の値上げだけで国鉄財政のバランスをとろうという考え方はとらなくていいわけです。
 それで大臣のおっしゃるように、政府としてはどう助成しようかということなんだから、一昨年度なり昨年度なりの赤字に対して、トータルとして助成をするという方法を考えるという考え方もありましょう。しかしイギリスのように、要求したものがそのまま財政当局がのむというような状態ではない、日本の財政当局の国鉄に対するいままでのやり方は。それから経済変動が非常に激しいわけですから、出せるときは出しますが、出せないときは出し方は小幅になりますよということでは、これは国鉄の財政再建ということにはならない。それならば最低限こういう条件の場合は出してくれなきゃ困るんじゃないかと、出すべきであると。こういうドイツ式の累積計算で赤字分を埋めてもらうということのほうが国鉄財政からすればはっきりしているんじゃないか。日本の現状からすれば、ドイツ方式をとったほうが有利だと私は思うわけでございますが、そういう助成を受ける基準というものは、むしろ運輸省から要求すべきものであろうと思いますが、要求されておらないのは不完全ではないかという点を指摘をしたいのでございます。
 質問をさらに進めます。それでは国鉄に幾ら政府が金を出すべきだということをきめる機関はいまございますか。
#47
○国務大臣(新谷寅三郎君) それは政府の責任において決定するわけでございます。
#48
○瀬谷英行君 ちょっと関連して。
 政府の機関でもって国鉄に対して幾ら出すかということを判断をすると、こういうお話なんですが、国鉄に対する政府のいままでの出資というものが極端に少な過ぎたということから加瀬さんの質問がいろいろと展開されているわけなんです。具体的に言いますと、新幹線の問題、この間私も言いましたけれども、総理大臣は、東北新幹線が今度八戸回りにきまったと、八戸経由で青森に抜けるようにきまるということであれば、日本海新幹線を考えなきゃならぬという考え方を打ち出されているようですね。こういう考え方が具体化されるという可能性があるのかどうかという問題が一つあります。いままで出されておる新幹線の構想の中には日本海新幹線というのはまだなかったわけです。ところが、おそらく東北新幹線も盛岡でもって津軽のほうを回るのか、あるいは太平洋のほうを回るのかということでいろいろと問題があったあげく、八戸のほうを回るということにきまったんだろうと思うんだけれども、そうなると、そちらのほうのバランスを考えて奥羽線経由の新幹線をつくらなければならぬという考え方になったんだろうと思うんです。その考え方というものは一応わかるような気がするんです。わかるような気がするけれども、さてそうなると、新たな新幹線は、東北新幹線と同時に、羽越線のほうの新幹線ということになるわけですから、これもまた相当な建設資金を要するのだろうと思う。建設資金を要するけれども、じゃ現在の羽越線といったようなものを考えてみると、それが直ちに黒字路線というふうに収入をあげる可能性ありとは判断されないわけです。これは当然そうだろうと思うんです。その点は国鉄総裁にも、羽越線に新幹線を持っていった場合、上越新幹線からさらに青森まで持っていった場合の一つの見通しも聞きたいと思うんです。
 そうなりますと、収入にならない新幹線をさらに総理の構想で、つくっていいとか悪いというのじゃないけれども、新たな構想として出てきたわけでしょう。さらに新幹線の建設プランというものが大きくなるわけです。これだけでも、いまここで政府が考えている政府出資じゃ間に合わないわけです。国鉄にとってかなりの財政的な負担になるだろうと思う。重荷になるだろうと思う。そうなれば、これらの重荷を政府のほうで、少なくとも、たとえば新幹線なら新幹線に要する費用だけは政府のほうで支出をするということをやらない限りは、これは将来、国鉄にとって必ず相当の負担になるということを考えないわけにいかないと思うんです。その点は一体考えているのかどうか。考えるならば、当然その面についても、政府出資というものを増額しなければ、これは国鉄自身がやっていけなくなるのじゃないかというふうに思われるんですけれども、その点の政府としての考え方をお伺いしたいと思います。
#49
○国務大臣(新谷寅三郎君) 一つは現在の再建計画の中で、いまの新幹線の問題をどう扱っているかという問題と、もう一つは将来の見通しの問題であると思います。御承知のように、新幹線につきましてはいろいろの経緯を経てまいりましたが、いま調査五線を対象にいたしまして、国鉄と鉄建公団で調査を進めております。まだ私のところへは報告書が参っておりません。報告書が来ましたらば、早く具体的な計画を立てまして、鉄道建設審議会にはかりまして、今度は具体的な工事に着手するような段階になるわけですが、昨年の十一月だったと思いますけれども、昨年の十一月の鉄道建設審議会におきまして、これは全部調査線が完成いたしまして三千五百キロですね、その三千五百キロでとめないで、これは今度の十カ年計画にも入っておりますが、大体昭和六十年に完成することをめどにして、あと三千五百キロ程度の新幹線を建設すべきであるという意見がございました。ある程度その費用も、年次は違いますけれども、私どものほうの十カ年計画は五十七年ですが、昭和六十年までに建設をしていく分は、今度の十カ年計画にもその経費が入っております。で、そのあとの分につきまして、これは昨年の十一月に鉄建審で審議をされました際に建議がされました。その内容は、一口で申し上げると、調査五線のあとの新幹線については、至急にどの線を採用するか、それについて検討をすべきであると、こういう建議がありました。でございますから、運輸省としましては、この建議に基づきまして、どういう路線が次の段階で必要であるか、またそれがどういう経済効果があるかというようなことについて、検討を始めておるのでございます。その総理が言われたのは、私はじかに聞いたわけではありません。おそらく、新聞で拝見したのですから、どっかの新聞の担当者にそういう話をされたものだと私は了解しておりますが、これはまだきまったわけではございませんで、皆さんの中からも各党から代表者が出ておられます、鉄建審でございます。この鉄建審にかけまして、もし、そういった新しい調査線を選ぶにつきましては、そういう調査が運輸省としてできたり、あるいは鉄建審自身が調査をして、またさらに、いまの調査五線のように、運輸省に建議をするというケースもあり得るわけです。いずれの方法かで、そういう具体的な路線が出てまいりました場合に、それをどう処理するかということを、まあ次の段階において考えなきゃならぬと、こういうことになっておるわけでございます。
 それから新幹線の、将来できるであろう、あるいはいま建設しつつある新幹線の収支の関係でございますけれども、五十七年度までの分は一応試算はしてあるのでございます。五十七年度までの今度の十カ年計画の中には入っております。
 で、一般的に言いまして、将来のいろいろの社会事情、経済事情の変動は別といたしまして、いま予測せられるような推移をもとにして考えますと、大体、新幹線については、先般来御説明しておりますように、投資額の一五%は政府が出資しよう。それから、その金利はできるだけ軽減をしまして、三分五厘のところまで政府が助成をしていこう、それをこえる分はですね。こういうたてまえをとっておるのでございます。これによってでき上がって、そのときに、十年先ですから、各地域の状況がどういうふうに変わってくるか、それはいまから的確な予想はできないのは当然でございますけれども、予想し得る限りのデータによりましてそういった状況を予想して、一応十カ年計画の中に、五十七年度までの分は入っておりますということを申し上げておきたいと思います。
 足りないところは、国鉄のほうから御説明をさしていただきます。
#50
○説明員(磯崎叡君) いま大臣がおっしゃいましたように、いわゆる日本海の縦貫の新幹線は、まだ実は調査線に入っておりませんので、私のほう、詳しく調査いたしておりませんが、現在調査いたしております調査五線の中で一番収支状況がむずかしいであろう、悪いであろうというのが大体九州でございます。これは、できましたあと、かりに昭和五十四年にできますと、約十年ぐらいは償却前でも黒にならないという計算でございます。したがいまして、かりに裏縦貫、日本海縦貫をやりますと、それより少し悪いというふうにいたしますと、やはり完成後十年ぐらいは償却費計上前赤、すなわち償却費は払いませんで、人件費、物件費、利子だけでも、その収入でカバーできないというような、これはごく推定でございます、そういうことではないかというふうに考えます。
#51
○瀬谷英行君 いまの大臣の御答弁だと、政府で一五%出資、金利三分五厘程度、それはいままでに比べればこの程度のことも画期的なことかもしれません。しかし、それはいままでがあまり何もやらなさ過ぎたのですよ。これじゃ結局はスズメの涙程度にしかならないのじゃないでしょうか。いま総裁の話によれば、九州の新幹線でも十年ぐらいは償却前でも黒にならぬというのです。日本海新幹線だって、似たり寄ったりじゃないかと思うのです。そうすると、国鉄の財政にとってこの新幹線の計画は、日本海の場合はまだ調査線の部類に入っていないそうですけれども、やがてこれもその一つの目標になってくるのじゃないかと思うのですね。そうなれば、いまの政府の考え方程度の、一五%程度の出資ということでは、どっちみちこさえたって黒字にならないのですからね。一五%であろうと、三分五厘が三分であろうと、これはやはり間に合わないということは同じじゃないですか。スズメの涙じゃないけれども、まあ従来と比べればちょっといいからといって、やっぱりカラスの涙程度です。それじゃ間に合わないということは、はっきりしているでしょう。だから私は、スズメの涙からカラスの涙程度に前進したということは認めるけれども、しょせんは問題の解決にはならぬ。これはやはり少なくも、一五%というのじゃなくて、これから計画をされる新幹線は、一〇〇%何らかの形でもって政府が資金的なめんどうを見るということにしないと、財政の再建は私はできないと思う。
 今後の新幹線は、まさかいなかのほうだからといって、単線の新幹線ということはあり得ないでしょう。やはり複線電化ということになる。そうすると、建設資金も、いかに過疎地域であろうと、相当程度これはかかるということを考えなければいかぬ。それを考えると、やはりいまの政府の考え方では、これはどうにもならぬということがはっきりしてくるのじゃないですか。少なくとも、抽象的な問題じゃなくて新幹線に限定をして考えてみた場合でも、これは政府の出資というものを、これじゃ間に合わないということは明確になるのじゃないですか。この点はどうですか。
#52
○国務大臣(新谷寅三郎君) こういう説明をすると、いつもその点を非常に何といいますか、御理解いただけなくて非難をされるわけなんですが、さっき申し上げておりますように、五十七年までに開業いたします新幹線につきましては、各線区別に、それが非常に正確であるかないかは、これはまた問題があると思いますけれども、いまなし得る限りのデータをそろえまして、国鉄当局に各線の採算をとらしているわけです。それの足りない分を、もちろんこれは穴埋めしなきゃならぬと思います。そういった問題をすべて含めましてこの十カ年間の計画を立てておる。で、いま提案いたしておりますような再建策を御承認願いますと、五七年には予定どおりにまいりますと、国鉄の財政再建は可能である、こういう計算をもとにいたしまして提案をしておるわけでございまして、これから調査線がどうなるかわからない。ほっておいたらもっと赤字がふえてくるんじゃないかということでございますけれども、そうじゃない。十カ年間の計画の中には、そういったものも織り込んで計算をしてございますから、ただいま予想しておりますものにつきましては計算済みでございます。こういうことを先般来御説明をしておるわけでございます。
#53
○加瀬完君 私もその問題はあとで触れようと思いましたが、いま瀬谷委員から指摘をされましたから申し上げますが、国鉄はほんとうなら清算団体のような段階ですよね、赤字解消ということから考えれば。しかし社会的機能というものがありますから、仕事を続けてやらなきゃならないから、そのマイナス分を国が財政負担をしようということですよね。しかし国鉄自体から考えれば、やはり独立採算的な運営というものがたてまえでありますから、いま国鉄総裁がおっしゃるように、つくってももうからないようなものをつくりたいはずはないと思う。これは国の方針なり政治的要求で新幹線構想というものは、国鉄からすればかぶせられてきているわけですよ。そうならば、そういうものを含めて将来出る赤字をトータルで幾ら埋めるかということであってはならないわけで、国鉄の独立採算的な経営というものを助成する。あるいはこれを発展させるというたてまえを政府はとるべきなんで、これにマイナスするような、いまのような新幹線建設の資本というものは、これは政府がまるまる持つとか、あるいは別の団体で政府がそこに出資をして仕事を進めるとかいうことで、国鉄に少なくも赤字の穴埋めをさせぬという形をとらなければ、国鉄財政というものはどうにもならないと思うんですよ。
 そこで、そういう意味合いもありますから、政府の財政負担の基準というものはドイツ式にきちんときめたほうがいいのではないかと主張を申し上げているわけです。国鉄も運賃審判所――いろいろ欠点もありますけれども、運賃審判所のようなものができて、これだけ政府が国鉄に金を出すべきだときめてもらえれば、きめてくれるものがあったほうがいいということは、先ほどそういうはっきりしたことはおっしゃいませんが、そういう意味のお答えがあった。ところが、いまはそういう機関はないわけですね、何にも。政府は将来赤字のもとになるような新幹線は国鉄にやらせる、ところが赤字にならないような財政負担のワクすらもきちんときめないということでは、これは将来の財政再建というものはどうなるものか見当がつきませんよ。
 で、私は、政府の計画であり国鉄の計画だけで国鉄の運営というものが行なわれておって、世論なり国民なりの考え方というものを取り入れる取り入れ方が非常に少ないと思うのですよ。この前もいろいろ各界の意見を申し上げました。それは御承知にはなっておりますけれども、形の上でそういう世論を吸い上げなければならないという法的なきまりは何にもないわけです。
 そこで私は、国鉄再建財政審議会――仮称ですが、国鉄再建をするための財政をどうするかということを審議をする審議会というようなものをつくって、その意見を政府が取り上げるという方法をとったらどうか。たとえば再建計画の法案の第二条に、再建計画の作成及び実施にあたっては、国鉄再建財政審議会の意見を聞かなければならない、国鉄再建財政審議会は再建計画に関し政府に意見を述べることができる、政府は前項の意見に基づいて再建計画に関し財政上の必要な措置を講じなければならない、こういう条項を入れることは簡単だ、これは。そうすればいまよりも国鉄は確実な世論を受けての財政審議会の発言によって、政府負担というものを、ある程度必要なだけ受け取るということは可能だということになろうかと思うのです。運輸大臣と大蔵大臣の話し合いというだけでは、現在の大蔵大臣と運輸大臣であれば話し合いがつきますよと言われれば、ごもっともでございますと答える以外に何にもありませんけれども、いつでもつくという保証はどこにもないわけだ。そこで国鉄再建財政審議会というものをつくって、世論を受けてその財政審議会が政府に意見を申し述べることができると、その意見を政府が聞いて財政支出をする。こういう組織をつくることは、国鉄の運営なり運輸省なり大蔵省なりのそれぞれの機構に何にも支障を来たすことではないと思うのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
#54
○国務大臣(新谷寅三郎君) ただいまお述べになりました問題、これは非常に高度の政治的な問題であると思いますし、また日本のそういった問題についての非常に中心的な制度論であるだろうと思います。一昨日の加瀬先生の私に対する宿題のある部分であるかとも思いますので、これは私だけの意見ではございませんから、その点、一昨日お約束したとおりに、関係各省で一応相談をし、私も経企庁長官にはじかに御意見を聞いたのでございますけれども、その点をあわせましてお答えをしたいと思います。
 非常にわれわれにとっては、何といいますか、国鉄の運賃決定について、趣旨は、非常に御好意のある御質問でございまして、その点はありがたく思っているのですけれども、先ほど申し上げましたような政治的な観点から見てみますと、これは関係各省の大臣もそう言っておりますけれども、国鉄に対する財政負担の決定というものにつきましては、これは申すまでもありませんが、国鉄の再建の根本になる問題でございますから、その決定にあたりましては、これは単に、国鉄だけの収支を見まして、それがプラスになるかマイナスになるかということだけではなしに、あなたがこの間から非常に高度の立場から御議論くださっているように、経済社会政策、物価政策、その他の政府のあらゆる政策の上に立ちましてこれをきめていかなければならないということはもちろんでございまして、そういう点から見ますと、これは内閣全体が国会に対しまして、そういう責任を負っているという問題であろうと思います。したがいまして、内閣としましては、これは申すまでもありませんが、内閣法にもありますように、内閣が行政権を持っておりまして、その責任者でございますから、内閣全体としてこういう問題については責任を負わなきゃならんということになるわけでございます。こういう問題につきまして、この点は必ずしも加瀬さんの御意見がそれに執着しておられるとは考えませんけれども、この間お尋ねしましたら、そういうふうなお答えがはね返ってきましたので、それだけについて申し上げると、これがいまおっしゃったような決議機関であって政府を拘束するんだというふうなことになりますと、権限のないところには責任がないんですから、政府が責任の負いようがないわけです。でございますから、これは外国にもいろいろな例がございます。日本にもかってそういった機関もあったこともございます。それから現在でも公取とか、あるいは二、三の委員会においてそういった例はないことはございませんけれども、こういった行政の全般にわたりまして、内閣が全体として責任を負うべきような問題につきまして、決議機関で、その委員会がきめた場合にはそれに政府が拘束されるんだというようなものは、この国鉄に関しましては適当ではないというふうに考えざるを得ないのであります。
 ことにこういった制度を採用することになりますと、これは単に国鉄だけではないと思います。他の公共料金、これは米価等含めまして、やはり同じようなことが考えられなければならないということになるんでありまして、これはいまの内閣制度との関係におきまして重大な問題であろうと思いますので、この点は簡単にきめるわけにはいかないと思います。
 そういったことを各省大臣も考えておりますが、以下申し上げますことは、これは私の責任において、私の考えを申し上げるわけでございますけれども、御承知のように、運輸省として考えてみますと、運輸省は国鉄だけじゃございません。民鉄もございますし、自動車もございます。航空もございます。そういうあらゆる交通機関におきまして責任を持っておる役所でございます。そのほかの国鉄以外の、かりに料金だけにいたしましても、自動車とか民鉄とか航空とか海運とか、そういったものの料金決定にあたりましては、これは運輸大臣が当然現在の法令によりまして、責任をもって料金の決定をしなきゃならないわけでございますが、国鉄に関して、かりにそういった、かりにですね、これは決議機関であるというようなことを前提にして考えますと、国鉄だけは運輸大臣は責任はないんだと、これは委員会で別にきめるんだということになってまいりますと、その間の調整を一体だれがどこでやるかという問題が起こってまいります。これはかえって行政運営を混乱せしめるもとではないか、私はこのように考えておる次第でございます。
 いろいろこういう問題については、過去の各行政分野において、いろいろな経過を経てきているわけでございまして、先ほど申し上げておりましたように、一部の行政においては終戦後そういった制度をとったところもないことはないのでございまして、御趣旨はわかります。御趣旨はわかりますけれども、今日そういうことをいたしませんでも、まああなたも先般来、非常に気にしていただいております運輸審議会、こういったものの運用がもう少し改善されないかというようなことにつきましては、これは私は、いま法律によって動かされておりますから、いまの運輸審議会が非常に非能率であって非民主的であるなんていうことは申しませんが、しかしあなたのおっしゃったようなことを考えながらこれを運用すると、もう少し御趣旨に近いものになってくるのじゃないかということを考えるわけです。
 それから一般の国民の方の意見を十分に取り入れよと、こうおっしゃる、これもごもっともです。一般国民に関係のあることですから、それは当然しなきやならんわけですけれども、私はこの点については、衆議院における御質問でも申し上げたんですけれども、それを一番徹底的に実現しようと思うからこそ、この国鉄の運賃に関しましては、国会の御審議を願っているわけですね。国会の御審議です。ほかの国の例をごらんになりましても、たとえば主管大臣の認可制にしているところが多いのですが、これは国会のほうにかけておりません。日本は国会のほうにかけているわけです。国会では、これはあたりまえなことを申し上げるようで恐縮ですけれども、国民の直接選挙によりまして、国民の代表として選ばれた方々の中で十分に御審議をいただくわけですから、私はこれ以上の民主的なものはないと思います。ここで非常にこの問題についても長時間かけて御審議を願っておりますように、各委員の方々からは国民の意見を代表して、あらゆる角度から御審議をいただいているわけでございます。また審議の際に、公聴会を開かれたり、あるいは現地視察をされたり、あらゆる方法で国民の意向をくみながら審議を進めていただいておるわけでございますから、私はこれはいまおっしゃったような、民主的に国民の意向を十分反映さしてきめるべきだということは、この国会の審議を経なければ、これはもう政府としてはどうにもならないんだ、政府の意見だけではきまらないという制度ですね、国会にかけているというこの制度、これはほかの国でも私はあまりないところだと思いますけれども、これが最終的には一番民主的で、一番国民に直結している審議の方法であるというふうに考えざるを得ないんです。この点は衆議院でも同じことを申し上げましたが、これは非常にわかり切ったことでたいへん失礼でありますけれども、私も議員として率直に考えると、中には国会にかけないほうがいいんだというような意見もないことはありません。しかし、それよりもいまのこの制度が、あなたのおっしゃるような、国民の理解を得るのに一番いい方法ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#55
○加瀬完君 この国鉄の再建問題というのを政治的観点で見ていくというのは、私は誤りだと思う。県済的観点で見ていくべきだと思う。いろいろ言っても、じゃ国会の審議があるんじゃないか、これ以上民主的なものはないではないかと言うけれども、民主的な国会が強行採決なんていうことをときとしてやるんだ。こういうように、与党が強ければ原案は通す、野党が強くなった場合は、これは原案つぶれますよ。現状の日本の国会というものはそういう仕組みの中に置かれている。それでいいかと言うんですよ。可能性としては参議院において野党が強くなることがあり得る、可能性としては。その場合今度は野党が強いんだからぶっつぶせというので、当然国民生活の上では解決しなきゃならない経済法案であり、生活法案であり、国鉄の運賃というものが、与野党のかけ引きによって上がったり落ちたりするというようなことがあっていいか、私はそういうことを考える。そうではなくて、反対しようが賛成しようが、これだけのワクはお互いに国鉄の再建のためには、国鉄の経営の安定のためにはやっていかなければならないという基準があってしかるべきではないかと、それにはおっしゃるように運輸審議会等がそれぞれの能力を持っていればけっこうだ。しかし、いまの運輸審議会は、あとでも触れますけれども、能力を持っていないので、あらためて財政の権威者が集まって十分国民世論を反映して、参考意見というものを出すということは決して悪いことではないじゃないかと、こう思うわけでございます。内閣が責任を持つのは当然ですよ。内閣が責任持つということは、何にも聞かないで内閣が思ったとおりやっていいということではない。責任のある内閣なら当然世論を聞かなきゃならない。
 いまの国鉄運賃について、あるいは再建計画について、内閣が十分に世論を反映してやっているという証拠はどこにもありませんよ。世論が一番反映されるであろうところの運輸審議会があのとおりでしょう。私は内閣制度をこわすようなものをつくれとか、内閣に非常な拘束力を与えるものをつくれというふうなことを言っているわけではない。決議機関で悪いというなら諮問機関でもけっこうだ。いずれにしても、こういうところで十分討議されたものが意見として出されて、その意見を十分消化して財政支出を幾らにすべきか、運賃値上げを幾らにすべきかということが講じられるほうが、現状においては合理的だと指摘をしているわけですよ。
 運輸審議会が問題になりましたけれども、運輸審議会の構成は現在どうなっていますか。ほとんどこれは運輸省の関係者ではございませんか。運輸省設置法の第九条には「三十五年以上で」「広い経験と高い識見を有する者」が運輸審議会の委員に選ばれるとなっている。いま選ばれている者をかれこれ言うわけではありませんが、運輸省の関係者でなければ「高い識見」を持っている者はいない、「広い経験」を持っている者はいないということになりますか。ダイヤをどう組もうとか、電車の構造をどうしようかということも「広い経験」かもしれないけれども、いま国民が欲している「広い経験」というものは、これは財政再建をどうしてやってくれるかという財政の経験者ですよ。しかし、そういう観点から運輸審議会委員が一人でも選ばれておりますか。一体ここで言う「広い経験」とは何ですか。「高い識見」とは何ですか。その「広い経験」、「高い識見」が、運輸官僚の経験者でなければ備えてはいないという理由は一体何ですか。まずそこから伺いましょう。
#56
○国務大臣(新谷寅三郎君) いまおっしゃったようなことは考えておりません。これは法律に基づいてできておる委員会でございます。こういうふうな構成ということも法律に書いてあります。それから委員の一人一人は国会の御承認を得ているんです。ですから、各党ともこういう人を選んでしかるべきだということで御同意を得ていると思います。
 いま法律の解釈について御質問がございましたが、「広い経験」と「高い識見」というようなことは、これはもう当然のことでありますが、もちろん交通問題についての経験、あるいはそういうふうなことについての、従来の、何といいますか研究、そういったものを十分にしている人という中から政府が提案をいたしまして、国会の御同意を得た上で任命をしている委員でございますから、そういうことにつきましては、われわれも考えながら処理をしているつもりでございます。で、おっしゃったように、運輸官僚出身でないと、そういう経験も知識もないんじゃないかというようなことは毛頭考えておりません。ただある時点でこれは任期が違いますから、ある時点で欠員ができた、そこでだれかを選任しなきゃならぬという場合に、運輸省としては、各界各方面から適任者はないかというので選考いたしますが、その場合に、いま申し上げたような要素を加味しようとしますと、結果的にこうなってきているということでございます。この中で、運輸省の官僚も――七人でございますね、事務次官を除いて六人でございますが、その中でこれは二人でございましょう……。
#57
○加瀬完君 四人ですよ、関係者は。
#58
○国務大臣(新谷寅三郎君) ああそうですか、そういうことになってきておるわけでございまして、別に運輸官僚からなるべくたくさん出して、そこで簡単にまとめてしまおうというような気持ちはないんです。だから選任につきまして、また御注意があれば御注意を十分承っておきたいと思います。
 ただ、こういう審議会でございますから、これは一人一人か――これは言うまでもないことなんですが、こういう審議会では一人一人の委員が、どこにもとらわれないで、いわゆる利益代表ではないというような観点で、広く運輸行政に通暁しておって、運輸事業に通暁しておって、それに対して適当な判断ができるというような人を選んでおるわけで、一人一人があらゆる問題についてそういう立場をとれる人ということが大事なことではないかと思っておるわけでございます。
#59
○加瀬完君 七人のうち、中心に現役の事務次官が入るわけですね。そして運輸省関係の方が三人、国鉄労組から出た者もおりましょう、あと検事長……。いま、赤字再建をするというときに、運輸審議会で一番要求されるのは、経済の識見の高い人でしょう。しかし、そういう選考で入っている者は一人もおりませんね。これは入り過ぎるくらい公団公社というものには大蔵省が入っていますけれども、ここにはさすが大蔵省は一人も入っていない。
 それで問題は、だれが入っているかということを私は言ってるんじゃない。運輸審議会というのは、最初構想されたような効力を一つも発揮していないじゃないか。たとえばこの運輸審議会の一般規則の第一章第一条の規定の趣旨は、公聴会主義を原則としているんでしょう。そうして公平で合理的な決定をすることを目的としているでしょう。公聴会がどう扱われていますか。今回の運賃審議の公聴会で最大の問題は物価への影響や、インフレムードの配慮と、こういうことでしょう。ところが、公聴会を積極的に審議会はやっておりませんね。去年やって聞いておったから大体同じだろうと、こういう発言をする委員もおりましたね。やっても、形式的に賛否両論を聞きおく、こういうやり方ですね。公聴会主義という、ひとつのきめられた基準というものは、一つも守られておりませんよ。
 しかも、この審議会の会長は、運輸大臣の出されたものにたてつくわけにはいかないという放言をしているでしょう。制度はりっぱなものであっても、制度の効果は何にもあげてないのが現状の運輸審議会です。国鉄再建の必要が叫ばれたのはことしになってからじゃない。去年、おととしから赤字になったわけじゃない。赤字の解消なり再建計画の確立なりというのは一番大事でありますのに、そういうベテランを一人も委員としては選定されておらないですよ。運輸省の怠慢だ。そして仲間だけだ、集まったのは。事務次官が出て、今度は運賃の値上げの法案を出しますと、こう言われたときにそれは反対だと言えますか、もとの仲間が三人も四人も集まって。国民世論が反映されないような仕組みになってますよ。そうではないという反論ができますか。できるというなら、なぜ公聴会主義というのがきまっているなら公聴会をたびたびやらないんだ。公聴会の意見というものを、なぜ国鉄なり運輸省なりにこの委員会は反映しないのか。一つも反映しておらない。これは一体どうしたことだと聞きたくなる。
#60
○国務大臣(新谷寅三郎君) 具体的なこまかい問題については政府委員から答弁させます。
 ただ御質問の中で一、二申し上げておきたいと思いますことは、法律によって構成されておる委員会でございますから、その法律の範囲内でわれわれとしては選考するわけでございます。で、その場合に、いま現在、たとえば前の法務事務次官が入っておられますが、これは一般的に法曹界といいますか、弁護士界といいますか、そういった方面の方も入れたほうがいいというんで、こういう人が入っておるのでございまして、その他は、いま一人欠員があるようですが、その他はさっき申し上げたような考え方でもって選考いたしまして、国会の御承認を得ているということでございまして、何も運輸関係の官僚に限定をしてやろうという趣旨でもないし、いまの審議会の委員はそういうふうな構成になっておりますけれども、必要に応じまして、そういった問題については、これからさらに私も検討してみましょう、考えたいと思います。
 それからもう一つ、今年の二月でございましたが、会長が運輸大臣に迷惑になるようなことをしたくないんだというようなことを言われたということが、新聞に出ておりました。私どもびっくりしたんですけれども、これはもう運輸大臣に、そういう意味で、何も特別にここで配慮をしてもらおうというような委員会ではないし、私からは会ったこともないし、電話をかけたこともありません。そういったことを頼んだことももちろんありません。ただこれは事務的に進めていただきまして、国鉄財政の再建についての計画の中の主要部分である運賃問題について御審議をいただいて、そして相当に時間的にも制約されておったものですから、そういう意味で非常に御審議を急いでいただきまして御答申をいただいたということにすぎませんので、あれがいかにも運輸省に何か関係があるように誤解をされては困りますから、そういうことは絶対にございませんということを申し上げておきます。
#61
○加瀬完君 誤解はしておりません。事実を申し上げておる。運輸省の元官僚なり運輸省の事務次官が入って審議をしている過程で、現職の事務次官がいろいろ説明に当ったり審議の中心になったりする段階で、運輸省案そのものにまっこうから反対できるという、そういう形はなかなか人間としてはとりにくいですよ。そういう機構になっているということを私は指摘をしておるわけです。
 それから、いま経済再建の問題が一番重要でありますのに、そういう経験者は入っておらない。これも事実です。大臣はいろいろおっしゃいますが、それならばあらためて伺いますが、この運輸審議会が国鉄なり運輸省なりの運賃改定などの問題で、これをひるがえさせた、変更をさせたという事実が一回でもございますか。唯々諾々じゃないですか。ですからいまの委員がどうこうと言っているわけじゃない。一般には、運輸審議会は国鉄運賃を上げる運輸省の隠れみのだと言っている。そういう批判もあるくらい全くこれは役をしておらない。だから運輸審議会というものを重視するなら、運輸審議会が十分世論を受けて、そして国鉄運賃の改定なら改定、再建計画なら再建計画に十分国民の世論を受けた意思を反映させるようにしてくれるならば、私どもは何をかいわんやです。
 しかし現実においては、そういう効果を何にもあらわしておりませんから、この再建計画なり赤字解消なりということに限って再建財政審議会のようなものをつくって、そういう専門家によって国民の世論も反映させるし、そして具体的な方法をも答申をするようにした機関をつくったらよろしいのではないか、こう申し上げておるわけです。
 私が前に長々と聞きましたのは、大蔵省と運輸大臣の間で、これだけのものは国が出します。これだけは国鉄が自前でやりますという基準がきちんとできているというなら何にも言いません。できていないというならば、大臣の力関係によって上がったり下がったりするということでは、国鉄の再建という見通しは全く安定を欠くものになる。そこで第三者機関みたいなものを置いて、そこできちんとしたものを出さして、それに政府がある程度の拘束をされるということにならなければ、始末がつかないではないですかということを申し上げている。まあここで国鉄総裁を引っぱり出して、あなたは私の意見に賛成でしょうと聞くのは酷ですからやめますけれども、これは国鉄側からすれば私はそう思うと思うんですよ。どれくらい出してくれるんだということが初めからはっきりしていれば心配ないけれども、たとえばさっき瀬谷委員のほうから指摘された、新幹線みたいな新線についての費用は全部政府が出しますよ、赤字路線についての赤字は、閑散線についての赤字は政治路線ですから、これは政府が負担しますよ、公共サービスの負担分は政府が持ちますよ。こういう大まかでもいい、いままでの国鉄の赤字をつくった原因であるそういう幾つかの大きなものだけでもきちんと政府がきめて、それでも運営費の上でも赤字が出るでしょうと、そういう場合はどういう割合で政府が出して、どういう割合で利用者負担にするか。こういう大ワクがきちんときまっておれば、私はいまよりもはるかに国鉄は、安心して国鉄経営に専念できると思うんですよ。
 毎年毎年赤字、首切らなくてもいいような首切りをやってストライキ、そして国鉄一家といわれた労使関係はみぞが入ってどうにもならなくなった。それが国鉄の能力そのものを低下さしている。毎年毎年、国鉄総裁になったものはここへ引っぱり出される。こういう政治論争のまっただ中に国鉄運賃というものを置いてはならない。国鉄経営というものを置いてはならない。与党になろうが野党になろうが、どういうことになろうとも、政府としてはこれだけのことは国鉄にやってやるんだ、こういうきめ方をしなければ、国鉄再建なんというのはちゃんちゃらおかしいですよ。再建なんかできっこない。ごまかしだ、これ。幾らか出しますが、大部分はまた運賃を値上げしますということに決着していく、そんな再建計画では賛成はできかねます。討論ではありませんが、結論を言うと、そう私は思うんです。
 私どもはいた野党ですから、反対のための反対の質問をしていると受け取られるかもしれませんが、そうではないですよ。私が言うような方向で政府の負担分というものを明確にしなければ、国鉄の支出について当然国が負担をすべきものは何かという区分けをきちんとしなければ、運賃値上げというものを何回も繰り返して、時の総裁なり副総裁なり国鉄当局なりというものは四苦八苦を繰り返してどうにもならないということにならざるを得ないんです。再建計画を十年やるというなら、ここでそれを改めて、もう心配ありませんという方策をきちんと立つべきだ。しかも総理大臣は、これから国が金を出しますと言う。じゃ、どう出してくれますか、どう出してもらえばいいんだという当然質問がはね返ってくるでしょう。
 そこで、これは閣僚協議会でも何でもいい、国鉄なり運輸省としてはこういう基準で金を出してくださいよ、これは無理だろう、これだけは出そう、こういう詰めた話が前提として行なわれて、一つの基準ができて、不満足ながら最低限こういう形でこれからの再建計画は進みますということにならなければ、責任を持った政府の再建計画が、企画庁も加わってやらないと、政府の責任として合意に達したということにならない。そうではありませんか。私はけちをつけているんじゃない。あなた方の計画が国鉄側にとれば、まだ不安でたまらないと思うのではないかと推測しますから、私は国鉄財政というものを再建させるなら、もっとはっきりしたそれらのワクをきちんときめなさいと、こう申し上げておるわけです。いまきまっていないものをきめなさい、きめなさいと言ってもどうにもならないでしょうけれども、これは運輸大臣、私の考えに、こまかいことはとにかくとして、趣旨は御賛成をいただけるでしょう。またこういう詰め方が必要だとお考えになりませんか。
#62
○国務大臣(新谷寅三郎君) おっしゃる趣旨は、さっき申し上げましたように私もわかるんです。ただ方法論には賛成できません。ですから先ほど申し上げましたように、たとえば運輸審議会の問題等につきましては、今後さらに検討をしてみたいと思っておる次第でございます。
 それからいまお話しになった、何か委員会のようなものをつくるとか、何か方法を講じて国鉄が安心して建設をやれるようにということですが、この点はさっきから何べんも申し上げておるんですが、御理解いただけないんですね、あなたに。私たちは、たとえばさっきおっしゃったように、新幹線はどうだとか、地方の閑散線はどうだとかいうような個別的には考えておりませんということを申し上げているわけです。今度は、あらためてことし出しております全体の十カ年計画の中では、さっきからもくどくどしく申し上げておりますように、新幹線の問題につきましても、閑散線の問題につきましても、これはもう赤字になるにきまっておりますから、それを一応いまの状態で考えられるようなデータをもとにいたしまして、国鉄に試算をさしているわけです。で、そういったものを積み上げまして、しかも十カ年たてば、こういう方法によれば再建可能でございますから、ひとつ再建をするために、この程度のことを御承認を願いたいというので国会に提案をしているわけでございます。国鉄も、これはこのほうが便利だと、さらにこうしたほうが国鉄にとっては都合がいいというものがあるかもしれません。しかし政府の中で、やはり各省に関係をいたしまして、関係各省の協力を得てこういうふうな案ができておるわけでございますから、国鉄といたしましても、そういうような体制を考えると、今度の十カ年計画、これで、これならば再建もできますということを言っておるから私たちは出しておるのでありまして、十分とはいかなくとも、これで国鉄当局は満足をして、この案を通していただくと再建に懸命の努力をするだろうと思っておるわけでございます。あなたのおっしゃる趣旨は私もよくわかります。
 ただ制度的にどうしろとかいうことになりますと、これはなかなか簡単にはまいりません。方法論としては必ずしも賛成はできませんが、御趣旨はよくわかりますし、また国鉄の再建について非常に熱意をもって鞭撻をしていただいていることもよく承知しておりますので、今後この国鉄の再建に関しまして、関係各省との交渉なり、あるいは関係の運輸審議会その他の運営というようなものにつきましては、十分そういう点を考慮しながら、万全を期するように努力をしたいと思います。
#63
○加瀬完君 議論ふっかけるみたいになりまして恐縮ですが、大臣は認識を欠いていますよ。もっというなら、いままでの国鉄の赤字がどういう原因、どういう経過によって出たかという認識と、それに対して政府がどういう態度で財政的措置をしたかということの認識を欠いていますよ。その認識があれば、いまのような希望的観測は述べられるはずのものではございません。お話のことばじりをつかまえるわけではありませんが、おっしゃることは赤字のトータルで、それに対して政府の助成をもらうという形になりますね。しかし赤字のトータルを積み上げる積算の基礎というものが当然あるわけでしょう。それならばその積算の基礎について政府の財政負担というものをきちんときめたほうがはっきりするという議論も私は成り立つと思うのです。トータルというものは、積み上げた積算が確実に一〇〇%満たされた形で補助がおりるという形には、トータルを対象とする場合にはあり得ませんよ。あり得ないことが現状においては大勢です。ですと、お話のように、まあことしはこの程度、ことしはこの程度ということになる。
 この程度ということは、国鉄負担で赤字を解消しなければならない部分が若干残るということです。ですから、今度の財政再建計画でも、十年たった結果赤字が残るじゃないですか。これは午後聞きますが、今度の財政再建計画で国鉄が負担しなければならない公害対策というのは一体入っていますか。こういうふうに見ていくと、これで国鉄は確実に赤字が解消します、再建計画は成り立ちますということになりません一から、私は声を荒らげて質問をしているわけです。もう二、三年たつと、いま新谷さんのお答えになったことはやはりだめだと――運賃審判所というものをもう少し考える必要があったのではないかというのが二十年たってから。そのとき国鉄はもう火の車になっている。
 もっと、政治的にまあまあということではなくて、合理的に経済的に判断をすべきですよ。それはもう総合交通体系からも問題がたくさんあろうと思います。これは意見がましくなりますから。私の意見を大臣も聞かれないそうですが、大臣の答弁も全然私は受けつけられません。
 一応これで休憩にさせていただきます。
#64
○政府委員(小島英敏君) 先ほどの件についてお答え申し上げます。
 新聞記事はいろいろな表現があるようでございますので、問題は総理が下半期の物価動向につきましてどのような真意で発言をされたかということでございますが、たまたま六月二十七日の参議院物価対策特別委員会におきまして、竹田委員から同種の御質問がございまして、これに対して総理が答弁されておりますので、それを申し上げます。
 その内容は、第一に物価を引き下げるべく政府が最大の努力を目下しておるということ、それから第二に、したがって物価は本年度下半期には安定的な方向をたどるであろうという趣旨でございます。また、ここで物価と述べておりますのは、卸、消費者物価両方を含めた一般物価動向ということであると思います。
 以上申し上げましたように、総理の真意は卸、消費者物価を総合いたしました一般物価動向が下半期には安定的方向をたどるであろう、またそうしなければならない、そういう決意を述べられたとのことでございます。私が前回加瀬委員の御質問に対しまして、総理の御発言は卸売り物価のことではないかと申し上げましたのは、秋には物価が下がるかという御質問でございましたので、通念として卸売り物価ではないかという私限りの推測を申し上げたわけでございまして、御質問に対しまして配慮が至りませんでしたことを深くおわびをいたします。
#65
○加瀬完君 そんなことやりとりしたくないのですけれどもね、私は、四十八年四月二十二日という日にちを指定をして、記者会見における総理の発言は、消費者物価は第三四半期十−十二月には下がるし、下げなければならない、こう書いてありますことを指摘をしたわけです。個人的な発表ではない、記者会見という公的な発表を総理がしましたので、十−十二月には消費者物価が下がると言っているけれども下がらないじゃないかと、これは前経済企画庁の次官が言ったように、一四、五%上がるというような傾向になってきている、こういう見通しは一体どうなんだということで伺った。
 いずれにしても、いま物価問題が一番やかましいときですから、経済企画庁としての答えとしては確実な答えをしてくれることを希望します。
#66
○委員長(長田裕二君) ほかに御発言もなければ、午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。
   午後一時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時十九分開会
#67
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 この際、御報告いたします。理事会において協議の結果、武蔵野線の輸送状況の現地調査を、来たる九月五日に行なうことになりましたので、御了承願います。
    ―――――――――――――
#68
○委員長(長田裕二君) 午前に引き続き、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
#69
○加瀬完君 午前中も、瀬谷委員のほうから、新幹線計画というものを野放しにしておいて、国鉄の財政再建というものを考えても問題の解決にはならないではないかという意味の御質問があったわけでございますが、国鉄財政をアンバランスにしているものに新幹線建設があることは、現状において私は認めざるを得ないと思いますが、いかがですか。
#70
○国務大臣(新谷寅三郎君) 加瀬さんの言われるアンバランスという意味がよくわかりませんけれども、国鉄の新幹線が他に比べまして非常に設備投資が大きいということは事実だろうと思います。
 そのほかの収支に関しましては、これは現在までのところ、御承知のように新幹線の収支が他の路線と比べましていいということは言えると思います。しかし今後建設される予定の新幹線については、必ずしも短時日の間に現在の東海道線のようにはいかないということは当然予測せられるところでございまして、そういう点につきましても、今度の十カ年計画におきましては、先ほど申し上げたように、予想し得る出る赤字に対しましては国鉄の全体の助成において配慮をしてあるのでございます。
#71
○加瀬完君 いままでの新幹線は別としまして、これから計画されるものは、ことしの公共事業などでも明らかなように、最初の計画のとおりには、このような物価上昇の機運というものがピリオドを打たない限り、やはり資金難におちいらざるを得ないわけですね。資金難と言って悪ければ資金との調整がどうしたってアンバランスにならざるを得ない。こういうことになりますと、再建計画というものを基本に考えれば必ずしも再建計画にプラスにならない、マッチしないという面が出てくると思うのですよ、これからの新幹線計画というものは。国鉄の赤字解消問題とこれからの新幹線計画というものをどういう選択基準によって計画をしていくのか、この点は再建計画ではどういうことになっていますか。
#72
○説明員(磯崎叡君) このたびの再建計画では、すでに申し上げましたとおり、昭和五十二年度に現在工事をやっております東北、上越等が開業いたす予定であります。さらに五十四年度に現在調査線になっております五線が工事を竣工して、開業するという予定にいたしております。
 それの収支その他を全部一応試算しておりますが、線別は省略いたしまして、たとえば工事三線――現在やっております東北、上越等につきまして申し上げますと、昭和五十二年度に償却前黒になります。これは東北地方の収入が非常に強いために、昭和五十二年度、開業初年度から償却前黒になりますが、償却費を計上した後の黒は昭和五十四年度ということになります。
  〔委員長退席、理事江藤智君着席〕
それから現在の調査いたしております五線、これにつきましては、先ほど先生の御指摘のとおり、だんだんいなかのほうに、輸送量の少ないほうにまいりますので、現在は、昭和五十四年に開業いたしまして、昭和六十年度に償却前の黒、それから六十九年度に償却後の黒、こういう大体の試算でございます。以上でございます。
#73
○加瀬完君 御説明を承りますと、国民生活領域の拡大に資することを目的とするというような内容が述べられておるわけでございますが、国民生活領域の拡大ということは具体的にどういうことですか。
#74
○説明員(磯崎叡君) これは私のほうから申し上げるのが適当かどうか別といたしまして、一応私から申し上げますと、たとえば例を東海道新幹線にとってみますと、東京−名古屋あるいは東京−大阪というものが非常に時間距離的に近くなったということで、一日の行動圏が非常に広くなったという意味におきまして、文化生活から申しましても経済生活から申しましても、国民の生活領域というものは時間距離的に見て広くなったというふうな見方を用語として使っておるというふうに思いますが、将来全国的に延びてまいりますと、主として都市間交通の時間距離の短縮ということによって、たとえば都市に住まないで地方におっても都市に簡単に日帰りができる、あるいは文化生活を都市に行って味わって、そして自分の住みかに帰ってくるというふうに、経済的社会的なあるいは文化的な生活というものの範囲が実質上広くなってくる、こういう意味にそのことばとしては使っているつもりでございます。
#75
○加瀬完君 それはわかるんですよ。しかし交通体系としては、飛行機もあれば自動車もあれば既設の鉄道もあれば、これから計画される新幹線もあるということになりますね。そうすると確かに大都市と、過疎地といいますか、僻遠の地とのいわゆる時間的短縮というのはできますけれども、はたしてその地域は新幹線によらなければならないものか、たとえば新幹線をつくることによって新幹線が黒になるほどのいわゆる交通量というものを確保できることなのか、航空機でやったほうが交通経済上は妥当なのか、こういう検討というものが十分されまして、それでこれが新幹線という形には私は計画はされておらないと思う。新幹線は新幹線、航空路は航空路、自動車道路は自動車道路とまちまちな形で、競合する形でそれぞれ交通施設というものが投資をされておると思うんですよ。これは実にむだではないか。
 しかも国鉄はいまどうして赤字を解消しようかということなんですから、黒字になる保証のない新幹線というものをどうして赤字をかかえている国鉄がつくらなきやならないのか。午前中も言いましたけれども、一体、国鉄のねらいは、あるいは運輸省として考える国鉄再建計画というもののねらいは、現状の赤字を解消して健全財政にするということにねらいがあるのか。そうであるなら、必要であろうとも、健全財政に立ち直るまでは黒字が保証されない新幹線というものをつくることは差し控えるべきじゃないか。どうしても交通体系上新幹線を必要とするというなら、繰り返しになりますが、国鉄に赤字負担をさせないような形で新幹線というものをつくらなければおかしいじゃないか。しかしそういう保証はどこにも政府としての態度として出ておらない。ですから、このままやっていくと、新幹線をつくるために赤字をかかえ込まなきゃならないという悪循環をもう一回繰り返さなきゃならないことになりますが、これらを政府としてはどうお考えになって、いわゆる黒字にならない新幹線計画というのをお進めになるのか。
#76
○国務大臣(新谷寅三郎君) その点については、十年先あるいは十五年先ということになりますから、いまからこの場合の経済事情、社会事情の変化というものについて非常に的確な予想をすることはできませんし、それはどこの機関でも困難であろうと思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、新幹線につきましても、ただいま手元にありますできるだけの資料を基礎にいたしまして推定をいたしておるのでございまして、必ずこれは未来永劫に赤字であって黒字にはならないというような考え方ではないわけです。これは輸送需要が御承知のように非常に伸びてきておりますし、それに応じたような計画を進めさせるつもりでおります。
 ただ、基本的にもう一つ申し上げたいことは、なるほど国鉄は赤字でいま困っております、そのために財政再建をしなければなりません。そういう状況であるから、非常に公共性が強くても、赤字になるところをあえてやる必要はないじゃないかと、こういうように聞こえますけれども、おそらくそういう意味じゃないんじゃないかと私は思うのですけれども、そこのところが不明確ですけれども、国鉄はやはり公共企業体として、公共性の非常に強い日本の交通ネットワークの中の中核体でございますから、そのために国鉄としては、かりに赤字になるということでありましても、当然公共的な見地から施設を拡充していかなきゃたらぬという使命を持っておると思います。で、そのために必要な赤字対策といいますか、欠損といいますか、こういったものにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、政府としては、その収支の赤を補充するということを当然政策として考えていくという態度でございます。
#77
○加瀬完君 いま政治的に必要ないわゆる政治路線の赤までしょい込むほど、国鉄には余裕はないと思うのですよ。財政再建計画というものをつくって長期にわたって赤字解消をしようというときに、赤字がふえる分まで国鉄に背負わせるということは財政再建計画の趣旨に反しますね。
 おっしゃるように、いやそれは必要を見込んでやるというならば、それは国の責任でやればいい。国鉄に事業を負担させるとしても、財政的責任は国が負担をすればいい。しかし、けさほどから言っているように、一〇〇%財政負担の責任というものに国は応じているわけではない。若干残っている赤字というのはまた国鉄が背負わなければならない、こういうことになる。これは私は非常に不合理だと思う。
 だから、そういうことであれば、政策的路線として必要なものであれば、その財政は国が一切持つという財政負担の法則というものを前提としてきめなければ、国鉄が赤字の一部をかぶるということは、これはどうしたって繰り返されざるを得ない、こういう心配があるから申し上げているのですよ。この点はそういうことでしょう。
#78
○国務大臣(新谷寅三郎君) その新幹線にいたしましても地方閑散線にいたしましても、いま建設を予定しておりますものあるいは現在もう動いておりますもの、そういったものを含めまして、先ほど国鉄総裁が述べましたような新幹線ももちろん含んでのことでありますが、それによって生ずる欠損、赤字というものに対しては、国鉄だけが責任を負って、政府は知らぬ顔しているわけではありません。
 全体を通じまして、十カ年間にそういった赤字も含めて財政の再建ができるようにということで今度の提案をしておるということでございますから、いまおっしゃったような御心配の分は、五十七年度までについては政府の助成の中に包含されておるのだというふうにお考えをいただきたいと思います。
#79
○加瀬完君 それは地方交付税制度と同じだと言うのですよ。説明を聞けば包含されている、勘定してみると足りない、こういう結果にならないという裏づけは何にもないわけですよ、それを申し上げているわけです。
 大体、こういう計画というものは国鉄そのものにまかせたらいいじゃないですか。国鉄が十分検討をして、これは現状の赤字路線であるが、いま社会的要因として当然必要があるからつくらざるを得ない、これはこういうふうに計算をしていけば国鉄の赤字を累増することにならないというような、財政的にも社会的要求からも検討をして、国鉄自身がきめられるという形でならいい。しかし新幹線計画というのは国鉄自身で全部きめられるわけじゃないでしょう。きめるところは別なところにあって、それできめられたものを国鉄が引き受けるという形にさせられているのでしょう、そうじゃありませんか。
#80
○国務大臣(新谷寅三郎君) これも両院で御審議の上御決定になりました全国新幹線鉄道整備法というものによってルールがきまっておりまして、それによってきめられておるわけでございます。国鉄がこれはやってもいい、これはやらんでおこうというように、国鉄の採算上の理由からだけできめるわけじゃございません。そういうことがございますから、先般来お尋ねのように、国鉄については公共的な負担というのがふえてきているのだ、だからそれに見合ったような政府の助成を今度の十カ年計画でも考えておりますということをるる申し上げているわけでございます。
#81
○加瀬完君 逆に申しますと、それに見合ったものが確実に国鉄に入るという保証は、何回も繰り返しますが、どこにもないのですよ。運輸大臣と大蔵大臣の折衝によってきめられるということになれば、これは場合によっては歩減りのされたものを国鉄は押しつけられるということにもなりかねない。そういう法律によって新幹線計画というものはつくられて、押しつけられるような形になるわけです。事業はそういうふうに別の法律に基づいて国鉄が背負わされる、ところが当然国鉄が受けなければならない、受けるべき財政的な国の支出というものについては法律できまっているわけでもない。
 午前中から申し上げましたとおり、ある審議会みたいなものがあって、政府にある程度のワクをはめて、不足のない形で金だけは国鉄にやるという形になっていない。仕事だけは押しつけられる、金は何%か引かれたような形で、ことによれば少しずつもらわざるを得ない、これは不合理ではありませんかと、新幹線計画をつくるようなそういう法律ができるならば、財政負担――当然これだけは国鉄にやらなければならないというワクをきめる審議会だってつくられないわけはないわけです。
  〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
そういうところの詰めが私は国鉄の財政再建ということからすれば足りないと思うのです。これは十分御検討をいただきたいと思います。
 それで、さらに、地方団体は、新幹線については、建設のため必要な資金の援助、その建設に要する土地の取得のあっせんその他必要な措置をとるようにつとめなければならないということが、地方公共団体の財政上の義務としてきめられておりますね。これは私は憲法上非常に疑義があると思うのですよ。
 具体的に申し上げますと、東京都の江戸川区は新幹線が通られては住民の福祉にも非常にマイナスの面が出る、こういう状況にある。しかしながらその自治体は、法律できめられておるところによりまして、住民の反対する、住民の福祉にはマイナスである新幹線計画に物心両面から責任を持たせられておる。地方自治というのは地方住民の福祉を増進しなければならないと自治法にきめられておりましても、福祉を増進することのできない逆な形で締めつけられている。これは地方自治法と新幹線の法律とは非常に矛盾しますね、これを政府としてどう解釈するんですか。
#82
○国務大臣(新谷寅三郎君) 新幹線の関係法律の十三条の二項の問題を御指摘だと思うんですが、これは国会でも御審議になりまして、別に憲法違反だというようなそういう御議論はなかったと思います。
#83
○加瀬完君 私は出しているんです、いま。
#84
○国務大臣(新谷寅三郎君) だから、ここにきまっているわけです。
 私どもは、この運用につきましては、おっしゃるように、新幹線はただ通るだけで何も地元のほうに利益がないというような場所が相当多いですから、そういう府県や市町村に対しまして地方債なんかで、何といいますか、利用者負担というようなものを割り当てていることはないんです。これは具体的には国鉄のほうから説明してもらいますが、現在建設中のものでありましても、精神的にこういうことを国としては要望するということでございまして、必ずしも非常に大きな地方自治体が負担し切れないようなものを無理やりに押しつけて割り当てているというようなことはありませんし、そういうことをしましてもこれは実行できないんです。
 ですから地方の自治体のほうと話し合いをして、これならば自分たちのほうも受益をするからこのくらいの利用債を負担しようじゃないかというような話し合いのもとに実行されておるのが通例でございまして、いま御心配のように、地方自治体の状況いかんにかかわらず、これを無理やりに割り当てをするというようなことは現実にはいたしていないと思っております。ただ大いに協力しようじゃないかというところは協力してもらっていることは事実です。
#85
○加瀬完君 協力するにも協力の理由はないですね。あるA地点からB地点へと新幹線は結ぶわけですね、まん中は全く新幹線の利用は不可能です。そして騒音とか振動とかいう公害その他に生活上マイナスの面というのはたくさん与えられる。
 そうなってまいりますと、この法律ができたのは憲法違反でないと言うけれども、憲法違反だと思われる法律をたくさんつくっているわけです、いままでは。憲法十一条は「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」とありましょう。基本的人権を大いに侵害されるわけですよ、新幹線の新設によって。それでも地方団体は義務として新幹線の建設に協力しなければならないということになりますと、これは住民のみならず、それぞれの首長は大きなジレンマにおちいらざるを得ない、現におちいっておっていろいろ問題が起こっている。
 こういう点で、運輸省当局は住民の福祉というものをどうお考えになっておるんですか。もっと言うならば、住民の福祉というものと新幹線による住民の福祉に対する侵害というものと、どういう一体選択をおとりになったのですか。
#86
○国務大臣(新谷寅三郎君) これはもちろん、全国的に見まして国土の開発でありますとか、全国民的な見地から見ました場合の国民の福祉というものにつながるだろうということで、新幹線だけではございません、鉄道もそうでございますし道路もそうでございますし、そういった公共的な施設が進められておるわけでございまして、新幹線もその一つでございます。
 ただ、新幹線の場合に、いま最後に御指摘のありましたような、たとえば騒音公害とかいうようなものが非常に各地で起こっていることは事実でございます。これは全般的に言いますと、さっき申し上げたような意味で国民全体の福祉にもつながっていくという考え方で公共的な施設をしているわけでありますけれども、それによって生ずる個々の国民の、あるいは地域の国民の方々の受ける不利益については、これは国鉄当局はそれに対してできるだけのそういう災害の防除措置を講じていかなければならない。この騒音対策なんかの中身についてはいろいろな方法があると思いますから、ここでいま詳しくは申し上げませんけれども、そういうことをやりながら住民の被害を最小限度にとどめながら、全国的な国土の開発という、国民の福利というものを念頭に置いて、こういう工事を進めておるということでございます。これは別に新幹線だけではございませんで、ほかの公共事業も全然同様だと考えております。
#87
○加瀬完君 運輸省は、新幹線による公共福祉への貢献度と公共福祉の侵害度というものをどのような検討の結果、新幹線計画というものを進められたわけですか。公共福祉に対する侵害度というものを十分調査をされて、これは侵害度は非常に少ない、貢献度のほうが大きいというところだけ新幹線というものが計画されたという結果になっておりますか。
 具体的に申し上げましょう。財政的にもおかしいと思う。成田新幹線計画というのがあります。どれだけの乗降客があるかはまだ未知数でありますが、その成田空港の乗降客を輸送するという目的で新幹線計画がつくられました、高速道路もつくられました、総武線も通っています、成田線や京成電鉄も上野から行っています、そこへ県営鉄道もつくるわけです。道路は別として、一体どれだけの人口が乗降するにしても、滑走路一本に離着陸する航空客を送迎するために、四本の鉄道があるのにもう一本新幹線をつくらなければならない理由がどこにありますか。経済バランスというものを一体考えているのかどうかという一つの問題がある。
 それから人口密集地を通るわけだ、新幹線計画というのは。全部沿線は反対している。地域社会に対するマイナス面、侵害度というものを十分検討すれば、こんな新幹線計画というのは経済的にも社会的にもどう考えたって成立の要素はない、こう各市町村は判断をして、それでみんな反対決議をしている、よろしゅうございますか、高速道路が新しく一本できて、それから総武線、成田線、京成電車というものがそれぞれ電化や交速化して、しかも県営鉄道もできる、認可をするというお話ですが、そこへ新幹線という。それでも新幹線は採算がとれるという計算はどこから出ているのですか。
 初めの成田空港が問題になりましたとき、国鉄当局、運輸省当局に伺ったら、どれぐらいの乗降客か判断がつかないとき新幹線計画は国鉄としては持ちませんと、こう答えた。それがいつか新幹線計画が表にあらわれた。政治新幹線ですよ。十二分にこれで採算がとれるもいう調査の結果、国鉄財政にもプラスだという結論によって計画をされたものではありませんよ。こういうものをやたらにつくって国鉄財政にプラスをしようといったって無理ですよ。どういう判断に基づいて成田新幹線などというものを御計画なさったか。東京都も千葉県も反対していますよ、これは。
#88
○政府委員(秋富公正君) ただいま先生の御指摘の、幾つもの線路があるではないか、あるいはまた県営鉄道あるいは北総鉄道というようなものがまた免許になるんではないかというお話ございますが、まず第一の、現在ございます総武線あるいは成田線あるいは現在免許申請中の県営鉄道あるいは北総鉄道というふうなものは、県営鉄道あるいは北総鉄道と申しますものは現在千葉県が開発いたしております北総ニュータウン、この通勤通学輸送を目的といたすものでございます。また国鉄の総武線、成田線あるいは京成電鉄と申しますものも幾つもの駅がございまして、現在の在来線と申しますか、通勤通学、こういったような目的のために建設され、あるいはまた現在経営されておるものでございます。
 それで、いわゆる成田新幹線でございますが、これは主といたしまして成田空港の乗降客あるいはその空港の従業員といったようなものの輸送ということを使命とするものでございまして、国鉄の在来線で参りますと東京−成田空港間が九十分を要するわけでございます。また京成電鉄でございますと八十五分というようなものでございますが、新幹線は現在三十分という構想でございまして、これは都心と成田空港の間をいわば直結していくという目的でございます。確かに高速道路もできる予定でございますが、高速道路が今後の道路交通の混雑ということを考えますとき、やはり国際空港の使命をさらに生かすために、新幹線によります都心との間の高速輸送ということは、広く国民経済的に見ましてもあるいは国民生活的に見ましても必要であると思いまして、この設立を認可いたし、現在その建設に鉄建公団が携わっておる次第でございます。
#89
○加瀬完君 数年前のこの委員会では、輸送当局も国鉄当局も採算の計算ができない新幹線を成田空港に対してつくるわけにいかないという御見解であったんですよ。そのときには滑走路は二本であった。ところがいまは一本しかできないということになった。したがって、そのときよりも二分の一に、まあ算術計算すれば乗降客は減ったわけです。そういう状態の中で経済的にこの新幹線がプラスになるという保証はどこにもないわけです。
 それから、なぜ成田空港に乗降する者だけに特殊便宜を与えて、その途中の地域住民には大きな被害を与えてもいいという判断がつくんですか。あなたはこれは三十分で東京都の都心まで来るけれども、ほかの鉄道を使えば九十分だと言うけれども、総武線は複々線になりましたし、成田の近辺も複線になりつつあるわけですから、急行の発着というのは可能ですよ。京成電車は当然急行を出す、九十分じゃないです。京成電車にしたって、それから県営鉄道にしたって成田までみんな入る計画になっているんです。それから途中のたくさんの団地その他新しい住宅地に住む者には何にも便益が与えられないで、航空機の乗客と飛行場に勤務する者だけに便益を与えなきゃならない理由がどこにあるのですか。国民の税金をそう一方的な対象にだけ投資しなきゃならない理由がどこにありますか。
 しかもその途中はみんな反対しているんですよ、これは。都県にまたがる住民の反対を受けながら、成田空港の乗降客を運ぶだけのためにこれだけの地域の犠牲を払って新幹線をつくらなきゃならない理由がどこにある。しかもその新幹線は絶対に黒字にはならない、当分の間は。空港が二倍にも三倍にも拡張されたならいざ知らず、そういう計算をあなた方は出しておったじゃないですか、いままで。急にもうかるという計算がどこから出たんです、飛行場が半分になってもうかるという理由はどこです、御説明をいただきましょう。
#90
○国務大臣(新谷寅三郎君) あとの採算の問題とか数字の問題は政府委員からお答えさせます。
 いまお話の中で、多少誤解があると思いますけれども、そういう新幹線をつくって、諸外国から来る人たちを――ほかの国にもありますように、国際空港から首都に行く場合には非常にいい道路が整備されており、わりあいに早く到達できる。ところが成田からになりますと相当距離がありますから、おそらくその当時新幹線によりましてできるだけ短時間に運ぶという計画を立てたものと思われます。
 そういうことで、いま鉄監局長がお答えしたような趣旨で、成田の新幹線というものは認可をしているのでございますけれども、いまおっしゃるように江戸川のほうでもあるいは千葉県各地におきましても、反対の空気が出ておることは知っております。でございますから、これは土地収用法にかけて強制的にやるというようなことは考えておりません。やはりどこまでも地元のほうと話し合いをして、地元の納得を得た上でこれはつくろうということで、現在計画はありますけれども、まだ着手する段階には至っていないのでありまして、地元と折衝中であるということでございます。
 それから成田の空港のことでございますけれども、もう滑走路は二つはできないんだとおっしゃいますけれども、計画としてはそうじゃございません。やはり既定の計画によって首都の国際空港というものは整備しようという計画は変えてはおりません。そこの関係だけを見ましても、私は数字はよくわかりませんけれども、一日に少なくとも三万人ぐらいの往復はあるだろうということを考えておるんであります。
 私も先般成田へ行ってみました。首都高速から――あなたは千葉ですからもっとよく御存じなんですが、京葉道路を通ってみましても、たいへんな混雑ですね。それは道路はありますよ。高速道路はありますよ、それから京成もございますし、それから国鉄もございますけれども、非常に混雑するんです。
 でございますから、空港に乗りおりする人が相当大きなやはり荷物を持って往復しなきゃならないということになりますと、やはり成田空港のアクセスの問題につきましては特別の配慮をしなきゃならぬと考えております。しかし当初の予定より新幹線の実現がおくれておりますから、いまは他の方法によりまして当面対処せざるを得ないという状況でございます。これは非常にいま混雑を予想されておるのでありまして、空港ができました場合にも、このアクセスをどうするかという問題は成田空港の全体の問題の中の一つの大きな問題として検討されておることでございます。
#91
○加瀬完君 空港のことは私は地元ですから、一、二回ごらんいただいた大臣よりは詳しいわけです。五年たって飛行機が飛べないんです。もう一本の滑走路なんかというのは知事はやれないと言っているんですから、それは御計画はありましょうけれども、なかなか実現は困難です。しかしいま航空法をやっているんじゃないから、そんなことは私は質問しているわけじゃない。
 運輸省は成田空港ができても採算がとれないから新幹線計画なんかというのはやりませんと、こうおっしゃったんだ、そういう説があった、政治的には。そんなことはできませんとおっしゃった。それが急にできるようになった。なっても、これはお客さんが急にふえるということが予想されたわけではありませんし、二十四時間離発着を成田空港は認めるということにもならないわけですから、お客さんの変化があったわけじゃない。そうすると、これは赤字を当然国鉄が負担しなければならないような新幹線の一つの例になりますよ。そういう政治路線みたいなものばっかりをみんな国鉄に押しつけるような形をして、一体、再建計画なんといったってそんなものはうそっぱちだ、こう文句をつけたいんです。
 もう一つ、新幹線新幹線ということを盛んに進めてまいりますが、騒音なり振動なりという公害対策というものがありますか、運輸省に、あるいは国鉄に。至るところでいま新幹線公害が問題になっているんでしょう。それを一番の密集地を――一体、この沿線の人口は幾らになりますか。しかも東京ゼロメートル地帯というところを通るわけですから、上を通ろうが下を通ろうが、災害なんかのときには当然の被害が予想される、危険度が非常に高い。そういうところをよりによって何で空港のお客だけを運ぶために新幹線計画をつくって、赤字を出して、国鉄にもう一回赤字のしりぬぐいをさせるという計画を運輸省もしなければならないのか、そこをひとつ御説明してください。
#92
○政府委員(秋富公正君) 新幹線につきましては、たびたび御説明申し上げておりますが、今回の再建計画におきましては一五%の政府出資、それから三・五%までの工事費の金利助成、それから出資以外の資金につきましては七〇%財政融資、三〇%自己調達、こういう助成方策を今般確立いたしておるわけでございます。
 先ほど大臣から申しましたように、この成田新幹線の構想でございますが、私たちの計画でまいりますと、五十四年におきましては一日当たりの断面交通量が二万九千人、五十七年度におきましては一日当たりの断面交通量三万七千人と想定いたしておりまして、その収支の問題でございますが、償却前の計算でまいりますと、黒字に転化いたしますのが六十一年、償却後でございますと、黒字に転換いたしますのは六十五年、このように考えておりまして、盛岡までの東北新幹線あるいは新潟までの上越新幹線に比べますと、収支の状態がよくないことは事実でございますが、しかし私たちとしましては、やはり国際空港という大きな使命を持っています空港、これの活用。それからもう一つは、先ほど申し忘れましたが、千葉ニュータウンの中にも一駅つくりまして、ニュータウンと空港、この両方の利便に供しようと思っているわけでございます。
#93
○加瀬完君 われわれしろうとでもおかしいなと思うような御説明をしてくだすっても、うなずけませんよ。ニュータンの中から定期券で新幹線を乗るわけにいかぬでしょう、これは。
 それから、あなたは大きな前提で錯誤があるんですよ。成田空港というものは、いた専門家の間では、これが二本の滑走路ができようが三本の滑走路ができようが、空域が百里基地それから羽田の空域と重なっておるので、進入路からいっても十二分にフルにここを使うことはできないんではないかという問題になっている。百里基地を移すなら別ですよ。百里基地と下総基地と羽田の空域を避けて成田空港というのは入らなきゃならないし、出なきゃならない。そうなると、これは不完全空港で、あぶなくて離着陸できないんじゃないかという心配すらも専門家の間に出ている。しかし、ここでこんなことをやっていると時間をとってしまいますからね。いずれにしてもだ、十分にもうかる当てのないものを国鉄に押しつけるような計画はやめてもらいたい。
 それからもう一つ、私がこれから問題にしたいのは、美濃部さんがこう言っているんでしょう「知事としては都民の生活や環境を守る義務があります。事前に相談がなく、いきなり賛成せよといわれても納得できません」しかしながら法律によれば「通過予定地の所有者は、調査、測量を拒み、土地などの現状を変えてはならない」こういうことになっていますからね、これは法律でどうにも動かしがたいようなものになっている。非常に圧制的ですよね、新幹線の法律というものは、道路よりもきびしいものだ。しかしあれだけ東京部なり千葉県なりが反対をし、それぞれの機関が決議をしているような状態の中で――これは私は成田を問題にしているんじゃないですよ、この新幹線ができますか、全然住民の理解がなくこの新幹線をあなた方は建設しようというおつもりですか。
#94
○政府委員(秋富公正君) 現在までに工事がおくれていることは事実でございます。しかしこれは強制的に無理じいをしていくということは絶対避けるべきである、あくまでも地元の住民との話し合いによって工事を進めていきたい、こう思っておりまして、現在、鉄道建設公団におきまして、鋭意、地元の公共団体あるいは地元の住民と種々話し合いをいたしておる段階でございます。
#95
○加瀬完君 話し合いはどうなっていますか。各市議会なり区議会なりで新幹線反対の決議がされている。この決議が取り消されるような状態ですか。
#96
○政府委員(秋富公正君) 現在、いろんな面から話し合いをいたしております段階でございまして、ただいま現段階におきましては、先生御指摘のように取り下げ、そういった事態までは進んでおりません。
#97
○加瀬完君 いわゆる新幹線公害といわれる騒音、振動、これらに対する基本的な対策はどういうことですか。
#98
○説明員(磯崎叡君) いろいろ新幹線の公害につきまして御心配をおかけしまして、まことに申しわけないと思っております。実は、私どもにもほとんど連日のようにいろいろの各地からお話がございまして、大体私も事情は知っておるつもりでございます。
 ただ、私はうちの部内の技術者に言っておりますことは、新幹線には幸いに大気汚染というものがない、音と振動なんだ、だからひとつ何とか技術的に考えてこれを克服しようじゃないかということで、いろんな角度から勉強いたしておりますが、要するに、たとえば線路からある一定の距離をとれば、もう騒音も振動も非常に低くなってくる、もうきわめて簡単なことでございますが、こういうことを実際今後各地で行なうことができますれば、非常に本質的に新幹線の公害というのはなくなる、まあゼロとは申しませんが、非常に少なくなっていくというふうに思います。現在一番問題になっております東海道線、これは確かに先生のおっしゃるとおり建設の当時そういうことを考えずにやったことは事実でございます。場所によりましては軒先に近いところを通っております。これらにつきましてはやはり根本的ないまいろんな考え方を持っております。いわゆる普通の騒音対策、振動対策ではまかない切れない面がございます。これはこれでもってひとつ全然構想を新たにして考えようということで、いま実は案をつくっております。
 それから騒音と振動につきましては、できるだけのことをいまやっておりまして、各地でもって試験をやっておりますけれども、何とか私のほうの国鉄の技術の面目にかけても騒音も環境庁の基準以下にしたいということをいま考えております。決してこれは口頭だけでなしに私どもの面目にかけてもやっていきたいと思っておりますが、やはり本質的に申しますれば、建設省その他の御協力を得まして、今回岡山以西でやりましたように初めから道路と一緒につくってしまう、そして新幹線の両側を十五メートルなり二十メートルあけてしまうということができれば、非常にこれは私は地域住民に対してもじゃまにもなりませんし、そのガード下をまた公共に開放するというふうな方法で今後はまいれると思います。いま一番の問題はやっぱり東海道の在来線の問題でございまして、これは場所によって具体的な問題が違いますので、全力をあげて私どもの良心に誓ってやってまいりたいというふうに思っております。
#99
○加瀬完君 中央公害対策審議会というものの中に特殊騒音専門委員会というのができまして、ここで新幹線騒音の環境基準作成作業を進めておりますね、これは御存じですか。
#100
○説明員(磯崎叡君) 昨年の暮れに中間的な基準が出まして、またいま本格的なことを作業していらっしゃるというふうに承っております。
#101
○加瀬完君 既設新幹線の公害については当局もお認めのようでございますが、この特殊騒音専門委員会はその基準を六十五ホンに近い線できめたいと静岡県の視察で発表しておりますが、六十五ホンで騒音の基準を押える、こういう考え方についてはどうですか。
#102
○説明員(磯崎叡君) 具体的な数値につきましてはいろいろ問題があると存じますが、六十五と申しますのは相当低いというふうに私は考えます。したがいまして、いまの技術でもって六十五まで下げ得るかどうか。問題は、結局、新幹線のレールがら住宅までどのくらい離すかという問題とも関連してまいると思います。したがいまして、これは不可能ではないと存じますが、六十五と申します基準は、現在が八十以下でございますので、もしそのままきまるといたしますれば、相当低い基準と申しますか、基準としては高い、ホンとしては低いホンであるというふうに考えております。非常に技術的にはむずかしいのじゃないかと思います。
#103
○加瀬完君 国鉄も運輸省も、航空機なり新幹線なりには騒音は当然つきものだと、そんなぜいたくなことを言ったってどうにもしかたがないんだ、まあがまんしろと、いままでこういう態度であった。六十五ホンくらいならがまんの領域だと、いまでもそうお考えですか。
#104
○説明員(磯崎叡君) まあ私どもといたしましても、そういう気持ちは全然持っておりません。どうして今後の新幹線――私はよく部内に申しますのは、公害問題というのはこれからの鉄道の将来を左右する問題だ、したがって本質的に鉄道の総合技術の一翼としてその騒音なり振動問題を考えていこうじゃないかという、鉄道技術にその公害問題を取り入れた考え方でやるというふうな方針でおります。したがいまして、もちろん騒音、振動をゼロにすることはできないにいたしましても、これを極力減らしていくということは本質的な鉄道事業としてやっていかなければいけないというふうに思っておりますが、ただ、いま突如として六十五というお話になりますと、それじゃ一体両側を何メートルとるのかというふうなこととも関連いたします。六十五というのは、もし普通の基準といたしますれば、非常にむずかしい基準ではないかというふうに考えられます。
#105
○加瀬完君 じゃこれはお認めになりますか。浜松市の公害課の調査によりますと、東海道新幹線で平均して「ひかり」の上りが百十三・六ホン、同下りが百七・五ホン、「こだま」の上りが百九・九ホン、同下りが百四・ニホン、こういう記録を報告しております。振動も最高は〇・六五S分のMM、しかも半経は百五十メートルと伝えておりますね、これはお認めになりますか。
#106
○説明員(磯崎叡君) ただいまの御指摘の点は浜松市の森田架道橋というところでございまして、実はそういう橋が二カ所ございます、浜松と名古屋でございます。
 これはいわゆる無道床鉄けたと申しまして、鉄けたの上にすぐ線路が乗っているという非常にシンプルな構造でございますが、これの騒音が一番大きいわけでございます。まあほかのは大体有道床と申しまして、下にバラスを入れて非常に騒音が低くなっております。無道床鉄けただけはいかんともしがたいということで、現在、柳井と申しまして場所は西明石の付近で鉄橋を全部おおう、何と申しますか、鉄橋を全部トンネルみたいにしておおうという工事をいまやっております。そういうふうにいたしませんと、根本的にはかけかえることは不可能でございますので、ただ普通の防音防振の工事ではとても低くすることができませんので、思い切って橋染全部をカバーするというような工事を現在やっております。これはじかに浜松、名古屋でやるわけにまいりませんので、いま申しました西明石の付近のたんぼの中で人家に影響のないところで鉄けたを全部おおう工事をいたしております。それで一体どのくらいホシが下がるかということをやっておりますが、その問題の鉄けたは小さいのを除きますと浜松と名古屋の二カ所でございます。この点はよく存じております。
#107
○加瀬完君 この騒音専門委員会の楠本委員長が、いま御指摘の森田架橋の場合、騒音は百ホンをこえ、振動も激しく人の住める状態ではない、しかし新幹線公害は防音対策に技術的限界があり、これを二十ホン下げるのはなかなか困難だとこういう見解を発表しておりますね。人の住んでいるところを走る以上、その騒音基準は道路基準と同じであるべきだと同氏は言っておりますけれども、これに対する御見解はどうですか。
#108
○説明員(磯崎叡君) 御指摘の無道床鉄けたは非常にむずかしい問題でございますが、私どもといたしましては、いま申しましたとおり、普通のほかの地域の防振防音対策ではとてもカバーできないことはよくわかっておりますので、根本的な防音対策でさっき申しましたように全部カバーしてしまう、あるいはこれはまだ具体的に申し上げるまでに至っておりませんが、実際お住みになれない方につきましては別途全然別な意味の補償なり何なりを考えなくちゃならないというふうな少し違った方法でまいりませんと、なかなか普通の方法でその音を七十とか八十にすることは非常にむずかしいというふうに考えておりますが、いずれもできるだけの対策を現在講じている次第でございます。
#109
○加瀬完君 前の山田副総裁は、ことしから五年間で大体二百億くらいの金をつぎ込んで、いろいろ新幹線を中心に国鉄の騒音防止をするんだけれども、八十から八十五ホン以下にはとても下がらない、こういう御見解をおっしゃっておりますね。そうすると国鉄の騒音基準というのは八十から八十五ホンでしかたがないと、こういうことですか。
#110
○説明員(磯崎叡君) それは環境庁の基準にもございますとおり、八十五以上の場合には、実際の補償的な措置をとるということで対策をとっております。それから極力全体を八十以下にするけれども、八十から八十五の区間についてはこれをできるだけ八十以下に下げるという現在工事をやっておりますが、金額その他につきましてはもっと実際にはかかるというふうに思っております。やはり環境庁が示された八十以下というのを絶対に私ども基準としてやってまいりたいと思っておりますが、いわゆる消音技術というものがまだ日本では非常に未発達の点がございます。逆に申しますれば、日進月歩で技術が進歩いたしております。したがって方々でいろんなテストを現在やっておりますので、私どもといたしましては、少なくともこれからつくるものにつきましては八十以下に押えるという方針でやってまいりますし、すでにつくりましたものにつきましてもいろんな工事をやって極力下げるという努力、これは私ども鉄道の使命としてやってまいりたいというふうに考えております。
#111
○加瀬完君 一体、八十ホンというのはどのくらいの程度だという御認識ですか、御専門ですからおわかりでしょうけれども。各都道府県でも、それから地方団体でも騒音の環境基準というものをつくっておりますが、八十ホンを最低の基準としているところは一カ所もありませんよ。工場地帯でも七十ホン。八十ホンというところはありません。そこでいま問題の東海道の森田地区の住民は、騒音はない、公害は認めるが直接賠償はしない、公害対策は国鉄の責任ではないが努力はする、防音壁をつくるなど何らかの手を打つ、こういうように国鉄は言っておるけれども、少なくも初めから住民に被害は与えないという態度ではなかった。いまでも基本的には積極的に公害の責任を果たすという考え方は国鉄にはない。こう不平を述べておりますけれども、これに対してはどうお考えになりますか。
#112
○説明員(磯崎叡君) 住民の方からそういう批判をいただいていることは、私どもの態度そのものに問題があるということを率直に反省いたします。しかし私どもといたしましても、いわゆる公害問題の起きました当初、五、六年前といまとは相当根本的に考え方が違っております。したがいまして、現在各地におきましていろんな御要求が出ておりますが、一件、一件、たとえばテレビの問題にいたしましても、あるいは音の問題にいたしましても、シラミつぶしにやっていくということ以外にないと思っております。ただ非常にエリアが、地域が長いということで、また関係の戸数も多いというふうなことで、なかなか手が回りかねていることは申しわけないことでございますけれども、私どもはほんとうに誠心誠意、窓口もつくりまして――また私は本社の中にあえて公害の部局をつくらなかったのは、えてしてそういうものをつくりますと、そこだけで安心してしまう。私は、各私どもの主管局、土木、電気あるいは車、この連中がほんとうに自分の仕事として、公害問題に取り組むという意味で、一切部内には公害課をつくらない、プロパーの仕事だというような意味で、部内でも各系統の技術者が全知全能をあげてやっておりますが、ただいかにもいままで未開の分野でございまして、テンポがおそいことはたいへん申しわけないのでございますが、決して、私のほうといたしましては八十五でいいのだとか八十でいいのだとかいうふうな気持ちは持っておりません。いまの森田架道橋も最近全部下をおおいまして、そうして七十九くらいにまで一応下げておりますけれども、しかし、まだまだ地元の方々の御納得を得ていないことはよく存じております。しかし各地各地で非常に御要望が違いますので、やはり土地につきまして具体的な方法を講ずるというような考え方で、私どももずいぶん各地の方にお目にかかりました。できるだけやってまいりたいと思っております。
#113
○加瀬完君 いや、私は総裁が何もしないということを、ここで洗い立てしょうとは思っていない。これからも幾つか例をあげますが、新幹線というものに、こういう騒音なり振動なりという公害というものが相当多い。そうすると、これから新しく計画される新幹線には再びこういう公害の原因というものを残してはならないと思う。そうするならば、公害の起らないように、公害を防止できるようにということになると、さっきおっしゃったように、新幹線から幅何メートルを森林地帯で残すとか、あるいは道路のような空間地帯で残すとか、こういうことになりますと、鉄道敷そのものでも二倍も三倍もの買収をしなければならないということになるでしょう。あるいはいまのような特殊装置をなければならない鉄橋、トンネルというようなことになりますと、これも費用がかかる。国鉄再建計画というものの中に新幹線計画があるけれども、こういう費用まで十分計算済みで計画されておるか。もっと率直に言うならば、公害対策費というものを十分に盛った内容で新幹線計画というものがつくられていないと私は思う。この点は運輸当局に伺いますが、そうであるならば、再建計画というものをどう立てたところで、水増し赤字がまたまたふえてくるということになる。緻密な計算であれば、いま問題になっている新幹線の騒音対策というものは当然新しい計画に盛られなければならないと思う。これが盛られておりましょうか。
#114
○説明員(磯崎叡君) こまかい点は担当の者から御答弁させますけれども……
#115
○加瀬完君 いやいや、私は運輸省に聞いているのだから、運輸省。鉄監局長でもだれでもいい。
#116
○国務大臣(新谷寅三郎君) この十年計画の中には、新幹線のそういう騒音公害等につきましての経費というのは盛ってございます。東海道及び山陽線については、私この数字が間違っておればあとで訂正させますが、大体八百億ぐらい盛っておるということを聞いておりますし、今後のものにつきましては、工事費の大体五%ぐらいを公害の、新幹線の騒音公害の防除費というものに充てる予定であるというふうに聞いておるのでございまして、いまおっしゃったような点は、これは国鉄総裁から申し上げたように、そういうことを基準にいたしますけれども運輸当局といたしましても、何も八十ホンで、かりに環境庁が言ったから八十ホンでいいのだということではございません。何とかしてそれ以下に下げるというあらゆる努力をしてほしい。これは経費もかかりますが、経費をかけたらいいというだけじゃございませんで、やはり技術的な開発も必要でございますから、両者相まってやってほしいと思います。
 それから東海道線のほうは、これは言いわけのようになりますけれども、これはもうほんとうに早くつくろうということで、騒音公害についての配慮が足りなかったことは事実だと思います。これはいま総裁も言いましたように、あとでそれを防ぐための、多少金がかかりましても、それを防ぐための努力をしているわけですが、いま計画中であったり、あるいは工事中であったりするものにつきましては、これはやはり地元のほうも新幹線を早くつけてほしいという要望が府県には多いのです。ですから、ここを通してくれという場合に、それが市街地をかりに通るとしますと、やはり鉄道に必要とする土地だけではもうとうてい足りないわけですから、側道をつくってほしいとか、あるいは都市計画の中でこれを処理するようにしてほしいというようなことで、道路もありますし、あるいは緑地帯もありますし、そういったものとお互いに協議をして、騒音公害がなるべく住民に及ばないような方法を、具体的に各地と相談をしながらやっておりますから、今後の問題については、東海道のようなことはないことは確実でございますが、しかし、やはりそれと並行して国鉄の公害防除に対する姿勢というものが必要でございますから、これについては極力勉強するように、われわれのほうも督励をしておるわけでございます。
#117
○加瀬完君 それでは航空騒音の関係もありますから運輸省に伺いますが、仙台の騒音専門委員会の報告というものを御存じですか。
#118
○政府委員(秋富公正君) 承知いたしております。
  〔委員長退席、理事江藤智君着席〕
#119
○加瀬完君 さっき八十ホンというのが出ましたけれども、それでは七十ホンと八十ホンの違いをどう御判断をしていらっしゃいますか。
#120
○政府委員(秋富公正君) 仙台におきまして七十ホンという問題が議論されたことも、私、承知いたしております。で、これにつきましては、先ほど国鉄総裁から申しましたように、あらゆる技術の動員をいたしまして、今後の新幹線につきましては、極力ホンの低減ということに努力し、またその開発に全力を国鉄の技術陣が投入しているという現状でございます。
#121
○加瀬完君 それではこの八十ホンと七十ホンの間の音圧はどう検討されましたか。
#122
○説明員(内田隆滋君) これは音のエネルギーでまいりますと非常に差がございまして、ログできいてきますので、約十分の一でございます。
#123
○加瀬完君 八十ホンに相当する音圧は七十ホンに相当する音圧の約三倍、したがって八十ホンは地下鉄の車内、七十ホンはざわめいているオフィス程度ということにいわれておりますけれども、十ホン違うことによって音圧が三倍にもなるわけですから、生活環境としてはたかが十ホンの違いということにはならないわけですね。そこで、国鉄が七十ホンで押えるか八十ホンで押えるかについては、これは住む環境条件としては非常な大きな違いがある。それで仙台の専門委員会は、八十ホンという押え方は、これは一メートルくらい離れてはなかなか会話も困難だという状態でありますので、最高七十ホンに押えるべきだと、こういう報告書を出しているわけです。妨害を受けていると感ずるのは、七十ホンの音圧を受けている人たちはみんな何かの形で妨害を受けていると答えています。妨害を受けているということは、日常生活に支障があるということですね。支障があるということを知りながら、それより十ホン近い八十ホンで押えようということは、これはちょっと錯誤ではないか、こういう批判もこの人たちは加えているわけですね。人間の住む環境条件としては七十ホン以下でなけりゃ困る、結論はこう言っているわけですけれども、これについて国鉄の御見解はどうですか。
#124
○説明員(内田隆滋君) いまの音圧では確かに先生のおっしゃるとおり三分の一でございます。エネルギーで十分の一でございます。それで、いわゆる幾らに音を規制すべきかということにつきましては、仙台の二村先生がそういう結論を出しておられますけれども、これについては、まだいわゆる一定した、まあ低いほうがよろしいにきまっておりますけれども、それならば何ホンが受忍の範囲であるかということは、先生も御承知のように、現在環境庁で環境基準の中で検討していくということになっておるわけでございます。それで、八十ホンときめられた根拠というのは、いろいろのデータから、会話が妨害される限度のぎりぎりということで、かりにきまったわけでございまして、今後、いわゆる全体の環境基準の中で適正と思われる基準がきめられていくと思うわけでございます。
 で、国鉄といたしましては、そういうものがきまりましたら、それに従って必要な措置をしてまいりたいというふうに考えております。
#125
○加瀬完君 その委員会は、指針決定のもととして、人の健康にかかわる障害、日常生活における睡眠妨害、会話妨害、不快感などを基本にすべきであると、こう規定しておりますがね。運輸大臣としても人の健康にかかる問題であったり、日常生活の睡眠妨害というような程度まで許容するという形で八十ホンというものを基準にするというお考えはないでしょうね。
#126
○国務大臣(新谷寅三郎君) そのほうの専門家じゃありませんが、私たちは専門家の集まりである環境庁の基準、それを守っていくようにしなきゃならぬと思っております。
#127
○加瀬完君 環境庁は、どういうことなのか、外国よりははるかに高い基準というものをきめておりますね。私がこういうことを言うのは、新幹線計画というものができても、騒音なり振動なりをどういう低いところに押えるかということをきめなければ、なかなか新幹線の協力というものを住民から得られることにはならないと思う。八十ホンということで、地下鉄の車内にいるような、二十四時間というものを許容する住民は一人もいませんよ。そこで新幹線計画というものに賛成をさせようと思うならば、せめて新幹線公害を除去する基準というものをきちんときめなければ、話はなかなか進まないじゃないかということが一つ。
 それから、当然これはいま八十ホンと言ったって、七十五ホンにも、七十ホンにも、このように公害問題がやかましくなれば、基準は下がってくるということが予想されるわけですから、下がった基準で計画を進めた場合、一体建設費なり施設に要する費用なりというものはどうなるかという検討がなければ、新幹線計画の数字というのは出てこない。しかし、そういう計算によって新幹線計画の数字というものを出しておらないのではないか、こういう心配がありますので伺っている。八十ホンなんかというのを基準になさるというならば、外国は大体どういう基準ですか。外国と比べて八十ホンが妥当だということになりますかどうですか、その点もあわせて伺います。
#128
○国務大臣(新谷寅三郎君) これは公害関係の基本法もございますから、そういう基本法に基づきまして専門家、権威者が集まっておる中央公害対策審議会でございますか、それの専門部会等において権威のある数字を示されるものと考えておりますから、先ほど申し上げましたように、その標準値によってわれわれは処理する以外には方法はないと考えております。しかし、それは先ほど国鉄総裁が申しましたように、そこまで下がればいいんだということではなくって、あらゆる技術を動員し、そうしてなし得るだけの基準以下の騒音に持っていくための努力は絶えずしなきゃならぬということを考えておるわけでございます。
 それから外国との問題でございますが、これはおそらくそういった外国との関係につきましては、航空騒音なんかというものが最近問題になっておりますけれども、鉄道に関しましてはそういう騒音の基準を設けているところはいま外国にはないと聞いております。これは間違っておれば政府委員のほうから答弁させます。
#129
○加瀬完君 それでは、航空騒音専門委員会資料の「NNIと影響の訴え率」という報告がありますが、御存じですか。横田、大阪各空港等の状況を調べておりますね。これは空港でありますから、新幹線騒音とは違いますけれども、一応の基準になりますから、こういう調査は御承知ですね。
#130
○国務大臣(新谷寅三郎君) 私どもの航空局でそういったものはすべて調べていると思います。
#131
○加瀬完君 鉄監局長は御存じないですか。――私が言うのは、航空騒音というのはこのごろ大きく取り上げられて、いろいろ問題になって、航空騒音防止法とかなんとかいう法律まで出ようとしておりますわね。しかし騒音の被害度というものは、航空騒音よりは振動が加わるだけ場所によっては新幹線公害のほうが大きいんです。ですから当然運輸省なり国鉄なりは新幹線の同じ問題を十分調査をしていなければならないと思いまして、なお、さっき申したとおり、これから新幹線についての反対というのはやっぱり公害ですよ。公害対策というものが十分でなきゃ新幹線計画は進みませんので申し上げている。
 そうすると、フランスでもオランダでも日本よりはるかに低い基準で、ドイツでもそうでありますが、この騒音の基準度というものを押えているわけですよ。八十ホンなんというのはどこにもありませんよ。そういう中で、八十ホンで住民にこれを基準の限度として説得しようと思ったって、なかなか新幹線騒音に対してがまんをしようという世論は起こってこない。あまりにも騒音対策というものに対して不十分ではないかと思いますので、こまかく伺っているのです。これで説得できますか。
#132
○国務大臣(新谷寅三郎君) 航空局の者がおりませんが、いまお話しのように、新幹線とそれから航空の関係の騒音についての陳情なりコンブレイントというのは非常にたくさん私のところに来ております。私は一々お目にかかっております。で、具体的に事情をお聞きしておりますが、これは非常に場所によりまして、具体的に処理していかないと、事情が違うと、たとえば何メートル離れておるからこれでいいだろうといいましても、状況が違うと被害が大きいというようなことが明らかでございますから、具体的に処理をしてもらいたいということで、新幹線に関する問題は、すべて国鉄が自分の手で調査をし、その場合には住民の方々のいろいろな機関が調べておるデーターも国鉄のほうで集めまして、それに対処するようにしてもらっております。
 で、今日まで新幹線騒音に対する対策というのが必ずしも十分でなかったと思いますが、先ほど国鉄の総裁の言われたとおりでございますけれども、これは放置できませんので、われわれも国鉄に対しまして、もっと具体的に、非常に被害の大きい個所というのは大体わかっておりますから、これをほんとうに一件一件当たって、その被害の防除につとめる。場合によりましては、もう移転補償を出して、かえ地を与えて住居の移転をしてもらうというような方法を考えざるを得ないということで、国鉄も最近非常に積極的にやっておるわけです。これは航空についても同様でございまして、やがて御審議をいただけると思いますけれども、いま提案しております公共飛行場周辺の整備について、これは主として騒音対策でございますが、そういう際にも詳しく申し上げたいと思いますけれども、同じような方針で具体的に調査をし、具体的な措置を進めていこうということで航空当局も懸命に努力をしておるのでございまして、決して騒音問題を簡単に扱っているわけでもないし、むしろ、あなたがおっしゃったように、これは今後の飛行場それから新幹線における一番の問題であるというふうに認識をしておりますので、最大限の努力をいたします。
#133
○加瀬完君 御誠意はよくわかりますけれども、あまり認識不足ですから、もう少し率直に申し上げますが、飛行場の問題が起きましたとき、運輸省の航空局には騒音関係を担当する課というのはなかった。騒音はどうだという質問をすると、わからない、防衛庁の者を連れて来なかったら騒音がわからないという状態であった。それくらい運輸省の航空局も騒音に対しては神経がこまかくなかった。このごろは騒音対策が一つの課になってできましたけれども、それは航空局としてのワクの中での動きで、運輸省としての新幹線等も含めての騒音対策ということになると全然やっておらない。
 そこで、これは大臣にも認識を改めて、ひとつ新しい方針を御決定をいただかなければならないのでありますが、この許容し得る内容というものを、大体外国では生活様式を変更する必要のない状態という、非常に低いところへ押えております。電車の中だとか、それから込んでいるオフィスの中だということでなくて、生活様式を特に変更をする必要のない程度、それでNNIで二十九から三十五程度をどこでも目標にしております。これは日本でも使っているWECPNLですか、なおすと六十から六十五です。ですから大体六十五ホン程度を最高の基準としておるわけです。それに対して日本は八十です。これでは騒音対策で先進国並みだということにはならないと思うんです。しかも、この公害問題に関しては条例が法律を越えても、法律の趣旨の伸長である限りは尊重をされると、昭和四十六年の国会で、当時の山中国務大臣が答弁をしているはずでありますから、各地方団体は騒音規制というものは、あるいは公害規制というものの基準は、国の法律よりもはるかにきびしい、そういう地域ではきびしい騒音基準というものをつくって、新幹線というものに臨むということになると、これは八十を基準とする運輸省とは話がかみ合わない、これがいまの騒音対策についての現状です。
 大体、地下鉄の電車の中の騒音程度ならよろしいという考え方で、私は運輸省がこれから臨んでいくということであっては、これは地域との矛盾は解決できませんよ。もっときびしい条件というものに改めていくというお考えはありませんか。
#134
○政府委員(秋富公正君) この新幹線の騒音問題につきましては、昨年の暮れ環境庁から勧告がございまして、運輸省といたしましては、直ちにこれを真剣に取り組みまして、国鉄といろいろこの問題を検討いたしまして、ことしの二月十五日には運輸大臣命をもちまして、新幹線鉄道騒音の緊急対策、これをきめたわけでございます。しかし、これは先ほど大臣から申しましたように、現在の新幹線につきましての対策でございまして、今後つくります新幹線につきましては、八十ホンをさらに下げるように努力いたしておる次第でございますが、この新しい環境基準につきましては、環境庁におきまして、実は昨日第一回の会議が催されましたわけでございまして、今後、各方面、いろいろな面から環境庁において検討され、新しい基準が決定されることと考えております。
#135
○加瀬完君 とにかく新幹線計画というものには二つの問題がある。いま言ったように、新幹線計画によって出る赤字というものを十分、国鉄には負担させないでカバーするような予算措置が講じられるかどうかということが一つ。
 それから新幹線計画というものを住民に納得させるためには、いまの騒音なり振動なりの公害対策というものに十分な説明がつかない限りどうにもならない。ならない顕著な例は成田新幹線。ですから、新幹線建設そのものも環境破壊を伴うような条件のところに新幹線建設をするということについての当否も、十分私は検討をしてもらいたいと思う。
 質問を終わるに当たりまして、冒頭にも申し上げましたが、新幹線でここはまかなうのか、自動車でまかなうのか、普通の列車でまかなうのか、航空機でまかなうのかという総合対策というものが私は非常に欠けていると思う。特に国鉄の財政というものを裏づけるためにも、総合対策として国鉄がもうかるような、もう少しはっきりした方針というものを政府は出すべきではないかと思う。そこで、どうして国鉄の貨物が損をするのか、どうして国鉄は通勤線のような大きな投資をしても、それだけ利益が上がってこないのか、こういう国鉄財政のあり方というものを、もう一回洗い直してみる必要があるんじゃないか。そして、その洗い直しについて、もう一回ほんとうの意味の国鉄財政というものを黒字にするのは、どうしたらいいかという対策というものを考えてみる必要があるんじゃないか。その洗い直しが十分私はできていないと思うんです。沈い直しができておらないから対策も十分立っておらない。こういうように、おか目八目と申しますか、外側から見ていると考えられるわけでありますが、それぞれ御担当の方、いかがですか。
#136
○国務大臣(新谷寅三郎君) 初めにお述べになった総合交通体系下における各機関の分担関係といいますか、いま御承知のように、経済状況、社会状況が非常に変わってきておりまして、輸送需要はふえるばかりでございます。ことしの夏の国内における人の動き、国から外国に行く人の動きをごらんになりましても明らかでございますが、予想をはるかに上回っておるわけなんです。そういうことでございますから、たとえばいまお話がありましたように、高速道路ができたからそこはもう鉄道は要らないんだとか、あるいは航空路があるから新幹線は要らないとかいうような、簡単にはまいらないと思います。やっぱりそういった輸送需要というものをにらみ合わせまして、そこにはやはり国民の選択も考えなければいけません。一時間でも早く行かなければならないという人もありますから、そういった人には航空機を利用してもらうということも必要でございましょう。また日帰りで行きたいという人には新幹線でけっこうじゃないかということにもなりましょう。そういった需要者の選択というものを考えながら、輸送需要というものをどう見ていくかということについての、これはおっしゃるように、十分な調査も必要でございましょうし、将来についての見通しも必要だろうと思います。
 そういったものの上に立って、これから総合交通体系下における新幹線あるいは在来線の強化、その他を考えていくということはおっしゃるとおりだと思います。その点は、いままでもその方向でやっておりましたけれども、何しろ十カ年となりますと、非常に先のことでございまして、十カ年先に確実にどうなるかということについては、なかなか見通しがつかない。ですから、いろいろの前提条件を置きまして、これが一番確実性があるという、そういう、何といいますか、推定によって十カ年計画を立てておるのでございまして、全然そういったことも何も考えないで、ただむやみにやっているというわけではございませんで、なし得る限りの研究と考慮を払いながら計画を立てたというように御了解をいただきたい。
 しかし、いまおっしゃったように、非常に示唆に富んだ御質問でございまして、なおそれをやりながら、われわれとしては社会情勢、経済情勢の変化というものを絶えず把握しながら、それに実際に対応できるような全国交通ネットワークというものを形成していかなければなりませんから、今後ともそういう実態の把握にはもっと力を入れて努力をして、あなたのおっしゃったような、あまりにむだな投資さっき申し上げたように公共機関ですから、赤字になるともうやらないのだというわけにいきません。いきませんけれども、あまりにむだな投資にならないように、輸送の需要にこたえて、各交通機関ともそれに対応して、できるだけ便利な、そうして安い料金でいけるような方法は、当然運輸省としては考えなきゃならぬ問題であるというふうに認識するわけでございます。そういうふうに御了解いただきたいと思います。
#137
○加瀬完君 その御説明が、総合交通対策が全然ないということに私はなると思うんですよ。触覚的経営ですよ。チョウチョウみたいに触覚だけでやっているような形ですね。空港ができる。二万人ぐらい乗るだろうといって新幹線をつくる。しかし常磐線でも総武線でも一日五万から六万人の乗降客のあるところにも快速電車をとめていないですよ。われわれの税金をわれわれの便益のためにはあまり使われないで、特殊な者の便益のためには使われているということであれば、これは思いつきとしか言えないでしょう。私はきょうは時間制限がありますから触れませんでしたけれども、国鉄というものが私鉄よりも高いという、こんなべらぼうな話はないでしょう。ところが私鉄のほうが安くて国鉄のほうが高くなっちゃった、昔と逆だ。そういう競合するところに、お客は一定しかない競合するところに、新幹線もつくるわ、道路もつくるわ、航空路もつくるわということになったら、国鉄が確実に黒字になりますよという保証はどこにもない。ところがそういうことをやっているじゃないですか。さっきも例を出しましたけれども、一日に二万人の乗降客があるからといって、そこに四本も五本も道路をつくり、鉄道をつくる。二重投資、三重投資、余ればいいでしょう。しかし、それだけの財源なり資材があるなら、別のところで国民サービスをするという方法が当然出てこなければならない。
 中距離なり遠距離なりは鉄道貨物にしたいというけれども、鉄道貨物にたよるよりも道路のトラックにたよったほうがいいというので道路だけにうんと投資をする。鉄道貨物にお客がこないのは当然ですよ。国鉄に金を出した出したと言っても、思い切って金を出したと思う国鉄よりも、その九倍も道路には金を出しているんじゃないですか。そしてその道路から公害、交通事故、プラスばかりは出てこないですよ。それなら、ここらで総理の言うように国鉄を重視するというのなら、国鉄優先の交通体系というものを考えるべきだ。
 しかし、そういう考えのもとに十年、二十年先の見通しの計画のもとに再建計画というものが進められてきているわけじゃない。足りなかったら適当に出しましょう、これでは国鉄財政を十二分に黒字にする、再建をするという、そういう保証や裏づけというのは全然ないと、こう言わざるを私は得ない。
 しかも、いまは物価対策をどうするかというときでしょう。先ほどもちょっと述べましたが、おやめになったと言い条、経済企画庁の次官をおやりになった方が、こういうインフレのときには公共料金並びにこれに準ずるものはストップをするくらいの強い姿勢がなければ物価対策は成り立たないと、こうおっしゃっているでしょう。それならば、財政負担を政府がするというならば、物価対策の上からも国鉄運賃の値上げというものをどうすべきか。河野あっせん案は一年据え置きと出たんですけれども、そういう具体的な方策というものが当然出てきてしかるべきですよ。五・五%で押えたものが一四、五%に上がっちゃっているのですから、それならば、初めの運賃値上げの率なり幅なりというものも、あるいは時期なりというものも検討しなければならないという政府の新しい態度が出てきて当然だと私は思う。しかし、そういうものはさっぱりない。ただ、いままでよりも幾らか金を出したと、これはまた国鉄に二重三重の赤字を重ねる原因ですよ。なぜならば事業はさっぱり押えてないんですから。事業は国鉄にノルマのように、新幹線計画とか何々計画というものを押しつけるわけです。財政の一部は負担をしますけれども、帳じりを受け持たなければならないのは国鉄ですから、国鉄が必ずそこで黒字を生じてプラスになるという保証はどこにもない。こんな再建計画がありますか。
 まあこういう点を、私は優秀な新谷大臣でありますから、まあ他山の石としてお聞き取りいただきまして、あなたのおっしゃるように、国会審議の場が国民の意見も十分代表する一番いい場所じゃないかというならば、それならばたまにいい意見があったら、それを吸い上げてくれなけりゃ、言いたいだけ言えと、そろそろ時間も来たからやめるだろう、あと何人だと、もう何回かで終わると、こういうことで既定方針には変わりありませんと、まあ言うだけは言わせましょうと、こういう国会論議をしておっては、国会論議は空転するだけで意味ありませんよ。
 私は、何もさっき運賃審判所をつくれと言ったんじゃない。運賃審判所という構想があったが、そのように第三者機関で、政府に十分金を出す根拠を与えるようなものを、あるいは運賃値上げなら運賃値上げをストップさせるような、上げ幅を制限するような、根拠を与えるような機関というものがなければ、健全な国鉄の赤字の解消なり再建計画はできない、そういう点を御考慮をいただけませんかと申し上げたわけであります。しかし、それはおまえの言うことはだめだということになりましたが、まあだめであっても趣旨は幾らか聞きいれるというなら、少なくも国鉄にあてがいぶちを与えて、あとはおまえらかってにやれということだけは、運輸大臣としてやめてもらいたい。経営ができなかったら、そろそろ時期が来たから総裁かえろと、まあ磯崎さんは気がいいから長くやっていますけれども、普通の人ならやめますよ、こんなばがばがしいものは。運輸審議会の委員になったほうがよっぽどいい。
 どうか、かってなことを申しましたが、よほど運輸大臣にしっかりしてもらわなければ、この計画というものを実行するわけにはまいりませんので、そういう意味で、新谷大臣のさらに御活躍を期待して――賛成はしませんよ、こんな法案、賛成はしませんけれども、われわれの言ったことを少し生かしてくれるように希望をして、質問をやめましょう。
#138
○理事(江藤智君) これにて加瀬君の質疑は終了いたしました。
#139
○国務大臣(新谷寅三郎君) 長い時間にわたって、いろいろの角度から御審議をいただいて、まことにありがとうございました。
 私は加瀬先生とは長い間のつき合いだし、何でも言える仲ですから、できないものはできないと申しました。また、これは非常にいい示唆に富む御意見だから、これは今後の運営について十分考えさしていただきますということも、率直に申し上げたつもりでございます。一々の問題については、いまお答えはいたしませんけれども、あなたのおっしゃってくださっている意味もよくわかるんです。
 ただ今度の再建計画の中では、何べんも言いましたけれども、そういう数字は確かであるかどうかは別といたしまして、計画をするときに、長年の問題でございまして、今後の十年間の国鉄の盛衰をきめる重大な提案でございますから、おっしゃったような問題につきましては、時間は少のうございましたけれども、われわれも及ばずながら、これはほんとうに昼夜兼行でこの案に取り組んだわけでございまして、そういう点については、一応の配慮はしてあるつもりでございますけれども、しかし、なお最後に御激励をいただきましたので、それに対してお礼を申し上げますと同時に、私も努力いたしますが、これはもう与野党を問わず、国民生活、国民経済全体に大きな影響を及ぼすもんでございますから、そういう角度から、なおいろいろ御協力もいただきたいし、御激励もいただきたいと存じます。
 ありがとうございました。
#140
○加瀬完君 委員長どうもありがとうございました。
#141
○森中守義君 いままで関係の同僚諸君から、多方面にわたっていろいろと格調の高いお尋ねがありました。
 そこで問題が事重大ですし、非常に急迫した状態にありますので、極力重複しないようにとは思いますが、中には重複したお尋ねになるかもわかりません。けれども問題が問題ですので、私も慎重に相当の時間をいただきながら、少しく大臣の御所見を承りながらお尋をしたいと思います。ところが、きょうは小柳理事のほうから、君のきょうの時間は大体五時ぐらいでやめるようにという、非常に強い指示がありますので、たいへん残念ですけれども、多少手続的な点を中心にお尋ねしたいと思います。時間が余りましたならば少しく内容に入ることにいたします。
 まず第一は、現行の特別措置法の第八条で、再建計画の実施状況の報告という条項がありますね。これは再建期間中に、毎年次ごとに国鉄は監査委員会の意見書を添えて運輸大臣に報告をすべしと、まあこういうことになっております。そこで、これの実施が四十四年からですから、現在に至るまで三回ないし四回の報告書が提出されたと思います。その内容はどういうものであったのか。少なくとも、今回あらためて特別措置法の改正が出されたということは、要するに国鉄の報告の内容からいたしましても、少なくとも再建の方向にいっていない、まあこういうことに相なろうかと思う。
 もとより、そういう報告を受けて、国鉄のやり方が好ましくないという場合には、運輸大臣は改善命令が出されるという、こういう手はずになっておるようであります。でありまするから、わざわざ今回のように、昨年、ことしというように、連続をして異常な執念を燃やしながら、この二案の成立をしたいということは、言いかえるならば、再建計画が計画になっていない、勢いその間において、数回にわたり改善命令等が出されたものであろう、こういうふうに実務的に私は考えるんであります。その間の経過がどういうことになっているのかということを、まず最初にお尋ねしたいと思います。
#142
○国務大臣(新谷寅三郎君) 過去の四十四年からの問題でございますから、政府委員のほうからお答えさせます。
#143
○政府委員(秋富公正君) 先生の御指摘のとおり、毎年この法律に基づきまして、国鉄といたしましても、実施状況の報告書を出すと同時に、監査報告書が提出されておりますが、その御指摘の第九条の改善命令でございますが、これはこの法律に基づきます改善命令といいますものは、ただいま一度もまだ出しておりません。
#144
○森中守義君 報告は出されたの。もっとよく話を聞いてて答えてください。
#145
○政府委員(秋富公正君) 監査報告書は毎年出されておりますが、改善命令と申しますものを運輸大臣が出したということはございません。
#146
○森中守義君 ない……。そうしますと、やっぱり四十四年から相当の年数がたっていますからね、いきなりこういったように、法改正という前には、国鉄の監査委員会の報告書が添付された意見書が添えられたものが出ている、そういう経過の中で、まあこれは国鉄がみずからつくっている基本計画並びに運輸省が閣議の決定を見ている基本方針、こういうものに正確に沿っているかどうか、そういう判定をする立場に私は運輸大臣、運輸省はあると思うんですよ。ただ出てきたから、それ受け取って読んだ、見た、まあけっこうだということであれば、法律改正にはならぬわけだ、実施状況というものが、少なくとも再建の方向に行っていない。しかるがゆえに、ここであらためてもう一回措置法の改正をやろう、ないしは運賃の改定をせにゃならぬということになったのでしょうから、この間における報告書の扱いがどういうような措置になっておるのか、こういうことを私は聞いている。それが法律改正のいわば一つの根拠になっているという判断を持つから、あえて聞いているわけだ。
#147
○政府委員(秋富公正君) 御指摘のとおり、国鉄の監査報告書、これは実施状況とともに、いかにして、四十四年につくりました再建計画が実際の計画と実際の状況が食い違ってきているか、また、その理由はどこにあるかという点につきましては、各面から鋭くこの点は指摘し、また追及しているわけでございます。
 で、どういった点が、一番現在の再建計画が狂ってきたかと申しますと、まず第一は、輸送量の見通しというものが狂ったわけでございます。この点につきましては、いわゆる私たちといたしましても、いろいろと四十四年におきまして、基本計画をきめ、さらに基本方針をきめ、また再建計画を承認したわけでございますが、そのときに比べまして、モータリゼーションというものの発達がさらに急激であったこと、あるいは一次産品その他の産業構造の変化というものが予期以上であったということによりまして、特に貨物の輸送量が伸びなかったこと、ひいてはまた、全体の運輸収入が伸び悩んだということが一つの大きな原因でございます。それからもう一つは、人件費の上昇率を九%ということで想定いたしておりましたのですが、これが四十四年、四十五年、四十六年さらに四十七年と、予期以上に人件費のアップ率が大きかったという点が、再建計画と実際の実施状況で食い違った大きな点でございます。もちろん資本費の圧迫というような問題これはございましたが、これは当初から計算いたしておりましたものと実情といいますものは違っておりませんが、いま申しました運輸収入の伸び悩み、
  〔理事江藤智君退席、理事木村睦男君着席〕
それから経費、特に人件費の見通しというものが、実際に比べまして小さかったという二つの原因によりまして、国鉄の財政状況は急速に悪化してきたわけでございます。
 で、こういった点につきまして、まず第一の輸送力の増強がどうしてできなかったかという点につきましても、監督報告書は種々指摘をしておるわけでございますが、それにつきましては、やはり国鉄の体質の改善と近代化ということに対する投資不足、システムチェンジのスピードのおそさというようなことが、私たちとしましても大きく反省しておる点でございます。また人件費につきましても、九%という伸び率で見たことは、これは甘かったと、率直に反省しておるわけでございまして、この人件費の伸び率というものにつきましても、これを改定した。あるいは過去の債務に対する資本費の圧迫というものを軽減する、あるいは今後の工事費に対する資本費の負担、こういうことを考えまして、現在の再建計画におきましては、二千億といいますものを、出資一兆五千億を含めまして、国鉄だけで三兆六千億、鉄建公団の借料の軽減という意味におきまして、鉄建公団に一兆の助成と合わせまして四兆六千億の助成ということをもちまして、過去の、四十四年以降、現在までの再建計画の失敗という点を反省いたしまして、新しい再建計画を御審議いただいておる次第でございます。
#148
○森中守義君 いま鉄監局長のお述べになりましたのは、提案理由の説明の中に大体うたわれておるのですね。
 それで私は、端的に言いまして、運輸省がつくられている四十四年の基本方針、それから国鉄がこれを受けてつくられた基本計画、このいずれの中にも、輸送需要の問題及び人件費の問題は、あまり計画の根幹になっていないのですね。この中のどこもないのだ。ただし、四十四年、この案を審議する際に――企画庁見えていますか。
#149
○政府委員(橋口隆君) はい。
#150
○森中守義君 その際に、そのことはかなりきびしく議論になった。ことに当時、現在に至るまで異常な上昇を続ける物価事情及び生産指数の向上、こういうものからしまして、これはあぶないと毎回私は申し上げているわけですが、数年を出ずして手直しの時期が来るであろう、こういうことをしきりに強調したのです。ところが、いよいよ法案が成立をした、しかして運輸省の基本方針ができ上がる、閣議の決定も行なわれる、これを受けて国鉄が基本計画をつくる。その中に需要の見通し――ただ体制を強化するということは、双方に一つの柱として出ておる。が、その見通しはどうなのかという最も重要な輸送の根幹に触れるような問題については、もちろん双方の経営分析の中には、こういうものは出ないにしても、案があったと思うのですよ。第一、輸送機関が輸送の需給の見通しに狂いを生ずるという経営が一体あっていいものかどうなのか、これは大臣どう思われますか。これはやっぱり経営能力の問題であるし、経営の実態というものに疑いを持ちますよ。事業の本体なんですね。需給を正確に把握できるかどうか。むろん変化が激しいときです。けれども、上限、下限、その変動の幅をどのくらい持つかぐらいの推定は、当然行なわれてしかるべきだったと思うのだな。そういうことが、残念ながら振幅がどのくらいのものであるかというようなのが出てこなかった。
 また、いま一つ、局長も言われたように、人件費九%というものは、労使の当事者間で本来ならば決定すべきものでしょうけれども、いま第三者機関が介入する。むろん、これは年々変化していきますから、容易にとらえることは困難でしょうね。けれども、これもまた、上下の振幅等をある程度把握はできると思う。たとえば民間との格差がどのくらいあるのか、年率物価がどのくらい上昇していくのか。大体これは、運輸省、国鉄といえども、そういう権威ある専門家がおいでになると思う。ただし九%というアップの率というものが、この計画の中に見られてよかったかどうかという、この辺に私は非常に大きな問題があったのじゃないか、こう思うのですよ。だから、いまになって言いますと、多少口ぎたない言い方ですけれども、それ見たかと、四十四年言ったとおりだというように、私は当時の質問に立った一人として、まことに気の毒ですけれども申し上げざるを得ない。そのことは、裏返して言うならば、今回あらためて出されてきたものについても、やや同様なことになりはしないのか。いままで加瀬質問に至るまで、両院の審議を通じて、再建計画ははたして再建になるのかならぬのか――ならないよというのが一致した意見なんですね。なるよというのは大臣と総裁だけ、その辺に並んでいるどっかの党の皆さんだけ、大多数は、ならない、因ると、こういう意見なんです。(「総裁もなるとは言わないぞ」と呼ぶ者あり)総裁は、なるとはおっしゃっていないようですな。ですから、これはやっぱりこの法案の、ただもう先を見て、十年間とにかくこれでいきたいという先を急ぐだけじゃだめですよ、これは。この辺のことを、私はまず最初に、この提案理由の説明の中に、「現行の財政再建対策が十分にその目的を達成できなかった原因について反省し、」と、こういっているわけだ。この反省とは一体何なのか。いま私が言うようなことが正しい意味の反省でなければならぬと、こう思うのですが、どうですか。
 四十四年に間違っておったということになりますか。そのときはそのとき、今日は今日という見解であるのかどうなのか。やはり物事は過去の体験、経験を無視して、ただいたずらにやみくもに前へ前へというわけにもいきませんからね。そういう意味で、ひとつこの反省というのは何なのかということをお聞かせ願いたい。
#151
○国務大臣(新谷寅三郎君) 率直に言いますと、見込みが違っていたということでございます。それには、まあ言いわけを言うといろいろあります、鉄監局長が言いましたようないろいろなことがあります。経済事情の変化があまりにも著しかったというようなこともあると思います。それに伴って人件費あるいは物件費の高騰率が予想以上に高かったということにもなると思います。それから局長も言ったと思いますけれども、収入が伸びなかったという原因が、先ほども局長から言ったように、旅客もある程度そうですけれども、貨物部門において、非常に自動車のほうに食われたということも事実です。現に結果的に見ると、そういう統計が示しておるわけでございます。とにかくそういったことで、どの点から見ても、非常に変化の多い経済というものに国鉄が追いついていけなかったということだけは、これは言えると思うのです。このために収入も伸びなかったし、逆に支出がふえたというようなことで、この再建計画をもう一ぺん再検討せざるを得ないというような状況になったので、昨年廃案になりましたけれども、十カ年計画を提案したということだと思います。
 で、今度出しました場合に、反省とは何だと、こうおっしゃる。ことばどおりに反省をしておるのです。いま申し上げたような収入、支出、これは両面から国鉄の財政を悪化さした原因になっておりますから、そういった点について、それならば収入をふやすためにはどういう対策をとったらいいんだということ、
  〔理事木村睦男君退席、委員長着席〕
それから支出面においても、どういうふうにすれば経費の節減ができるだろうか、可能であるか、これは大きいか小さいか別としまして、あらゆる方面から節約をし、工事費なんかにつきましても、できるだけ工事費を節減をして所定の工事を進めるにはどうするかというようなことも技術的に検討したと思います。そういったことをすべて含めまして反省ということばであらわしておるのでありまして、収入、支出ともに、これは前に提案をした四十四年の再建計画というのが三年ぐらいで、どうもこれは実行できないというめどがついたものですから、これは早くやり直そうということで、昨年来、新しい計画を樹立することに踏み切ったものでございまして、今度は、昨年の提案のときは、三年目でございますね、三年目に提案をしたわけでしょうが、その際に、両院を通じまして、やはり四十四年当時に御審議を願った方がたくさんおられまして、こういう点はこうなると思うんだがどうだとか、この点についての考慮が足りないのじゃないかというような点について、具体的な御指示があったわけでございまして、そういった点も、今度の新しい再建計画にあたりましては、十分に取り入れるべく努力をいたしまして、おっしゃったようなところで、政府の案の中に取り入れられるものは取り入れるようにいたしまして、そうしていま提案をしておるような再建計画をつくったということでございます。
 これは一言で言うと、どなたの時代にどうやったということは別といたしまして、とにかく四十四年の現行の再建計画というものが非常な見込み違いをやって、あのままではとうてい再建はできないということが明らかになりましたので、いろいろな面から反省を加えて、今度の案を提案するに至ったんだということで、御了解をいただきたいのでございます。
#152
○森中守義君 これは大臣ね、簡単に了解してくれと言われても、そうはまいりません。
 そこで、もうちょっと内容的にお尋ねしますが、たとえば人件費の場合には九%を予定したと、しかし実際はどう違ったのか、それから輸送需要の見通しに狂いが生じたと、こう言われるのだが、予測をした需要はどのくらいであったか、それが実際はどのくらいダウンしたのか、その辺もちょっと数字的に発表してみてください。
#153
○説明員(磯崎叡君) 私は、前回副総裁としていろいろ御答弁申し上げたので、あまり今度は答弁する資格がないかもしれませんが、一応数字でございますので、私から申し上げます。
 いま先生の御質問でございますが、非常に原計画と大いに食い違ったということでございます。どのぐらい食い違ったかと申しますと、輸送量よりも収入のほうがはっきりいたしますので、四十四年から四十七年――これは四十七年度はまだ正確なものが出ておりませんが、一応推定できる数字でまいりますと、四年間の収入の合計の食い違いが二・二%でございます。四年間で二・二%でございます。金額といたしまして千四十七億、これは収入減でございます。すなわち四兆七千億ほどの収入を予定したものが四兆六千、ちょうど千億食い違ってきた、二%の食い違いでございます。それから、人件費のほうはあとで申し上げますが、支出のほうがやはり二・〇%の食い違いでございまして、これが五兆四千億の予定が五兆五千億と約千億の食い違いでございます。すなわち四カ年間の収入が二%の食い違い、支出が二%の食い違い、合計いたしまして、差し引きプラスになりますので、約二千数百億の食い違い。ですから割合から申しますと、四カ年間で二%でございますので、食い違いの率としては一般の民間と違って非常に大きいということにはなりませんが、非常に実額が多いわけでございます。
 普通の企業でございますれば、よくいろいろな方にお目にかかって聞きますが、やはり商売していらっしゃる方でも、二、三%の食い違いはあるのだと。しかし、それがいいほうへ食い違う場合もあれば悪いほうへ食い違う場合もある。私のほうは、収入も悪いほうへ食い違い、支出も悪いほうへ食い違っておるということで、パーセンテージは二%ということで、一般企業の規模から見ればそう大きな率の違いじゃないけれども、実額が千億、二千億ということで、ちょっと財産を売って埋めるというふうなわけにいかないわけでございます。
 そういう意味で、この点、私のほうも、いわば天気相手の商売の点もございまして、なかなか輸送量の的確な数字はむずかしいのでございますが、この前のいわゆる最小二乗法的な伸ばし方に対しまして、今度の十カ年間は少なくとも手前の三分の一ないし二分の一は実績を基調として積み上げていくという収入の見方をとりまして、それから支出につきましても、やはり先ほど申しました二%の食い違いは、やはり人件費でございます。したがって人件費につきましても、当時――去年のいまごろでございますが、考えられた経済社会発展計画あるいは当時作案中の基本計画等の国民総収入の伸び等を勘案いたしまして、一二・一%というふうな数字をつくったわけでございます。
 したがいまして、先生の御質問に対しまして、食い違いの率としてはこの程度でございますが、非常に実額が大きかったということと、これらを基礎にした上で今度の数字は相当かためにと申しますか、収入をかために、経費は多少、人件費などにつきましては考え得る高いところというふうなかっこうでとったつもりでございます。
#154
○森中守義君 そうしますと、大体これは、経営上おおむね何%ぐらいの流動率は財政を圧迫しないということになるんでしょうか。いま総裁がお述べになりましたのでは、本率に割ってみるといずれも〇・五%若干ということになりますね。合わせて金額にして約二千億、これが国鉄の今日のこういう窮迫した状態に致命的な打撃になったかどうかということになると、残念ながら、私は、いずれもが年率〇・五%、合わして二千億というものが決定的な致命傷になったとは思えない。
 そこで鉄監局長が言われる人件費の高騰、需要予測の見通しが狂ったという二つのことが法律改正の主要な要因だというファクターになるかどうか。残念ながら、私はそのことには同意しかねる。むしろ他にその要因があったんじゃないか、あり得るんじゃないか、これはこれから逐次解明するためにお尋ねしていきたいと思うんですが、いま言われている二つのことが法律改正の主要な要因である、ただしいずれもが〇・五%である、年率に引き直せば。そうなると、大体国鉄の経営上、年率どの程度の流動率というか、その辺は何%ぐらいにとらえておけばいいんですか。いろいろ情勢が変化していくことは事実ですから、これはもうぴちっとしたものでなきゃならぬとは、これはやっぱり言いにくい。ただしマクロなのかミクロなのかという議論では、やっぱり法案というものはそうはいきませんよ。ある程度、この程度の流動性があってもやっていけるという最高の率はどの程度なのか。ここではいま〇・五%という数字になった、これが急激に圧迫を加えた、こういう総裁の答弁ですが、一体〇・五%を年間に非常な圧迫を加えたという言い方が妥当なのか。大体どのくらいの幅ならばいいというのか、その点が将来の十カ年間の見通しとして、かなり重要な影響を私は持つと思う、どういうように判断されますか。
#155
○説明員(磯崎叡君) 非常にむずかしい御質問でございます。やはり企業でございますので、収入と支出と両方の面である程度のアローアンスがなければいけないというふうに考えます。いまの国鉄の企業全体から見ますと、収入が急激にふえるということはまず期待できない。急激にふえることは。いままでの過去の経験率を多少なりとも上回るということならばいいほうであるというふうに一応考えなければいけない。それから経費のほうは急激に減るということも考えられません。やはり過去の一つの傾向値をたどっていくということになりますと、一番問題は、予期せざる経費の増、たとえ二%であっても予期せざる経費の増と収入の減とがプラスマイナスに響いてくるわけです。したがって、かりに一般の企業でございますれば、収入が減れば経費が減るというのが普通の常識だと存じます。しかしながら、私のほうでは収入が減るといっても一定の事業をかかえ、一定の物的設備を持っておりますと、収入が減っても支出が減らないという事態がございます。それから逆に、支出が減っても必ずしもそれが収入に響かないということもございます。
 そういう意味で、一がいに先生の御質問のように、計量化するのは非常にむずかしいと思いますが、かりにいま四年間で二千億と申しましても、これが十年になるともう五千億以上の食い違いになってまいります。そうすると、やはりこれはすぐに累積赤字の増になって出てまいります。したがいまして、私がパーセンテージは少ないが実額が多いと申しましたのは、そういう意味でございまして、かりに過去四十四年から今年までの二千億というものが、四十八年から五十三年までの六年間続いたといたしますと、やはり五千億近い違いになってまいります。もしこの程度の違いが続くといたしますと、そうすると、累積赤字がもうそれだけ五千億ふえてくる。そうすると、やはり結果的に見れば、これは計画の失敗であったというように言わざるを得ないと思います。
 したがいまして、非常にむずかしいのは、収入はなるべくかために押えておいて、そして支出はどちらかと申しますれば余裕を持たせるというその辺のかね合いになりまして、それが運賃改正のときもございますので、運賃改正によるいわゆる収入の弾性値と申しますか、そういう問題も考えなければいけませんし、それらを勘案いたしまして、端的に各年度何%ということは非常に申し上げにくいのでございますが、むしろ実額的に見て、現在の累積赤字をとにかくべらぼうにふえないというふうに持っていく。当分はふえざるを得ないかもしれませんけれども、十年間で減る傾向に持っていくというふうなことを頭に置いた上での収入、支出の計量のしかたということ以外にないんじゃないか。非常に間遠い答弁を申しましたけれども、なかなか端的に一種のゆとりを計量化して申し上げることは非常にむずかしいんじゃないか。とどのつまり、やはり出てきました帳じりを見て、それが累積赤字がふえるのか減るのかというような見方以外に手はないんじゃないかというふうに考えます。
#156
○森中守義君 これは大臣、たいへん私はこだわっておりますのは、やはりこれからの計画もおおむねこの辺が一つのポイントだと思う。そうなりますと、閣議了解である最後の三項ですね、五十一年、五十四年、これは閣議了解ということだから、筋論としては十カ年間生きていると思う。ところがいま総裁がお話しのように、これは非常に捕捉しにくい問題であるとは思うのですよ。ところがある程度固めておきませんと、ただ総裁が言われるように、実額が非常に高いんだということだけではやはり計画に非常に不確定要素が強くなる。たとえば、ではこれから先の人件費の年率のアップを一五%に見るのか一六%に見るのか、これは非常にむずかしい問題とはいいながら、これも需要予測と同じように、上下限くらいのある
 一定の目測はつけておかないとたいへんなことになると思う。だからどうなんです。これは五十一年、五十四年と、あと逐次言われておりますが、このときにもう一回見直すのですか、経理状態を見直すのですか、再建計画を見直すのですか、どうですか。
#157
○国務大臣(新谷寅三郎君) 非常に大きな変化がありますれば、これは見直さざるを得ないと思います。しかし、ただいまのところは第一回の再建計画というのはくずれてしまいまして、いまあなたの御指摘のように、これはいろいろな要因があったと思いますけれども、それを今度の再建計画を立てる場合にはずいぶん検討したわけです。その当時からもそういう計算はあったのでしょうけれども、今度企画庁で立てられました経済社会基本計画、この中で、この五年間の計画というものにつきましては、これもいろいろな条件を前提にしているとは思いますけれども、大体経済成長というものをどういうふうに見るか、そうしますと、消費者物価はどうなるか、あるいは雇用者の賃金はどういうふうになっていくか、輸送の需要もどうなっていくかというようなことについて、
 一応の見通しを立てておるわけでございます。そういったものを踏まえてやっておりますので、ただいまのところはきわめて短期間で目の前だけの問題ではなしに、五年間全体を見ますと、経企庁としてはそういう計画を一応立てておりまして、見通しをつけておりますから、経企庁が中心になって、各省ともそれに協力をして、それを実現するための政策というものを各省で実行していくという、そういうかまえ方でございますから、いまのところは、私どものほうは、この経済社会基本計画の五カ年間につきましては、将来の経済社会状況の変動というものを相当考えながら計画をしておると、非常にこれは経企庁もおられますから伺ってもいいんですが、とにかくあらゆる角度から電算機なんかを駆使して、そして指針を出したということだと思っております。
 でございますから、前の四十四年のときとは、この点は計画の立て方、それから将来の見通しのしかた、そういったものにつきまして、相当改善もされている。したがって、これも生きている社会ですから、絶対これが確実だとは申しませんが、しかし相当の確率の高い予測をしているんだというふうにわれわれは受け取っておるわけでございます。だからそういった点を考えながら、五年から先は一体どうするかということになりますが、この五年間はこういうふうにして進む、これは日本全体の経済の計画はそうあるべきだということでございますから、それから先というものは、その五年間の歩みというものを基礎にいたしまして、それに考え得るいろんな条件を加えて、関係方面とも相談をしながら、その先の五年間というものについては、ある種の幾つかの条件のもとに輸送需要を推定し、それからその間の経済成長率あるいは何といいますか、賃金の上昇率というようなものも見通しまして、そして計画を立てたいということでございまして、三年後にどうするんだ、こういう趣旨のお尋ねでございますから、それに端的にお答えしなかったわけですけれども、三年ごとにいまの計画では運賃の改定をしていただきたい。その場合には、閣議の了解にもございますように、そのときの経済情勢、社会情勢というようなものによって検討しますということを書いてございますので、いま考えております実質一五%の運賃の改定ということは、それによって十カ年計画ができておることは確かなんですけれども、そのときの情勢によりまして、その点についてはさらに検討をする機会があると、私はそういうふうに考えておるわけでございます。
 全体の計画を三年ごとにやり直すのかと言われますが、そうではないんでございます。いまの計画は計画として十カ年間の長期にわたっての計画をしておりまして、その間の十カ年間には新幹線はこういたします、在来線はこういたします、貨物輸送はこういたします、大都市の交通はこういたしますということをきめておりまして、それに見合う財政投資はどうするとか政府の補助はどうするとかということは一応きめてございますから、これはそのとおりに実行するのが当然だと思います。しかし運賃改定率につきましては、いま申し上げましたような状況の変化というものに応じて、そのときに見直していこうということを、閣議の了解事項にも書いてあるのでございます。
#158
○森中守義君 きょうはそこまで入るつもりはありませんし、大蔵大臣、企画庁長官もこの次はぜひおいでいただかなきゃなりませんから、その際もう少し詰めてみたいと思うんです。
 ただ大臣の、とにかく見直さざるを得ないであろうと、こういうさっきの答弁もありますし、ただ私は、十カ年間大筋としては動かさないんだ、こう言われるんだが、取り込むほうだけをきめておいて、あとのほうはよろしくというんじゃちょっと困りますからね。それはいつ次回私はやれるかわかりませんけれども、この次に楽しみにひとつとっておきます。
 そこで、いまのような議論が展開されていくということになりますと、当然なことだと思うのですが、すでに四十四年の九月十二日に決定を見ている運輸省の基本方針、それから四十五年の二月十九日に決定を見ている国鉄の基本計画、これは、この法案がどうなるかは別として、一応の筋論としては、これは当然修正される、新しいものができ上がるということですか。
#159
○国務大臣(新谷寅三郎君) いま出しております法律案が通過いたしますと、それに基づいて現在の国有鉄道の財政再建促進特別措置法が変わってまいりますから、それに応じまして運輸省から第三条に基づいて閣議に基本方針を出すわけでございまして、閣議決定をいたしました上で、今度は国鉄のほうからいま申し上げたような計画を出してまいりまして、それに対して運輸大臣が承認を与えるという段取りになるわけでございます。したがって現在の四十四年の計画は全面改定をされるということになるわけです。
#160
○森中守義君 これはあまり変な言い方じゃなくて、私は本来ならば、まだ法案であるのにいろんなことを用意するのはおかしいという議論も、ものごと次第ではあります。けれども、この際は、やはり原案的なものはお示しいただいたほうがいいんじゃないか。やはりこの法案を審議するにあたりまして、一体十カ年間という長期計画をすべり出そうという意思である限り、この法案の裏づけとなる一つの基本方針はこういう実は見解のもとにいきたいとか、あるいは国鉄はこういう基本計画のもとにいきたいという、いわば一つの試案的なものが、当然法案の審議の材料として御提出いただいてもおかしくはなかろう、こう思うのですが、大体原案的なものをお持ちになっているんじゃないですか。実は前回はその審議さえなかったんです、これが。たしかいまの自民党の国対委員長の原田憲さんが大臣のときでしたよ、おかしいと、これは。当時は法案ができ上がった上でこういうのをつくるんだということで、とうとう話し合いがまとまらないであとでこれを拝見した。何だこれは、ということになったわけなんですね。
 だから私は、きょうはさっきから申し上げるように、法案の手続上の問題を中心に承っているわけですから、あえてそのことを申し上げるんですけれども、完全な成案じゃなくても、少なくとも、つくられた基本方針及び基本計画というものが、一言で言うならば不調に終わったわけですね。画餅に帰したわけだから、そういう反省の上に立って新たな出発をしようということであれば、法案はかくかくである、この法案を受ける運輸省の再建基本方針はこうである、国鉄はこういう基本計画を持っているんだというようなことを、法案の審議の材料にお出しいただいても、何ら法案がまだ案であるのに、こんなものをつくってということはこれは申しませんが、あったら出したらどうです。これは非常に重要な問題なんです。これがないということは、一体、ここで論争しながら、一通り大臣の非常に率直な御答弁、あるいは総裁の真剣な答弁で、耳ではよくわかるが、何か一定の方針、一定の計画というものがほしいんです。それがないと、なるほどこれならば十カ年間安定をした計画として促進できるとか、あるいはまた、こういうのがなければ、四十四年のを見てごらんなさい、すでにたいへんな狂いを生じて崩壊してしまったではないか、今度も同じだよというような言い方になるのも無理ないと思うんですね。なければ至急におつくりになれませんか。まだ会期は二十七日までですから二十日余りありますよ、ゆっくり審議しますからお出しになったらどうですか。
#161
○国務大臣(新谷寅三郎君) 基本方針のようなものを出しても、別に小言を言わないということですから……
#162
○森中守義君 小言は言いませんよ、必要なんだから。
#163
○国務大臣(新谷寅三郎君) そういうことで、考えますと、これは実は、お手元に基本方針という名前でないですけれども、この案をつくります場合に、閣議了解事項で大体の方針をきめておるわけです。その閣議了解事項というのはお手元に差し上げていると思います。いってませんか。
#164
○森中守義君 来ています。
#165
○国務大臣(新谷寅三郎君) いっていますね。だから結局、この閣議了解事項がこの基本方針になるわけです。別にこの国会で修正もなくこのまま通していただければそのままになるわけです。ですからことばの使用字句が変わりましたり、多少説明的なものが入るかもしれませんが、根本は先般閣議で了解いたしましたあの項目が基本方針になるわけでございます。だから名前はどちらでもいいんですけれども、大体お出しするとすれば、閣議了解事項を方針らしいものに変えて出すということでございますから、内容はお手元にある閣議了解、これが基本方針だというふうに御理解いただいてけっこうでございます。
#166
○森中守義君 大臣のそういう御意見であれば、これが基本方針だというように受け取っておきましょう。ただし衆議院の議論を通じ、あるいは参議院の議論を通じまして、かなり重要な問題が指摘されていると思うんです。残念ながら、私は全然会議録を見ておりませんので、どういう内容のものかということまでは一々理解できませんけれども、少なくとも再建のための骨格になる、つまり閣議了解以前のもの、以外のもの、こういう重要な政策論争があったと、そういうものが当然なこととして網羅されて、何も飾りことばをつけるという、そういう意味ではありませんけれども、この閣議了解だけが基本方針だ、あるいは基本計画だということにはなりかねると思うんです。いわばこれは骨格にすぎませんよ。たとえばこの中でいわれている三原則というのか、三つの柱といいますか、政府助成、それから国鉄内部の合理化、それと利用者負担、この三つだけがいわば中心なんですね。この三つというのはあくまでも柱であって、これはちょっと基本方針、基本計画というには少し舌足らずであり、国会はこれらのことを中心にして、いろんな角度から詰めてきているわけですから、そういうものが、相なるべくは別におつくりになるほうがよろしかろう。まさかこの江律の改正によりましても、基本方針と基本計画は出さぬでよろしいということになっていないわけだから、当然つくらざるを得ないでしょう。九月の二十七日まで間に合えばお出しになったらどうですか。これは無理にとは言いません、ただ手続的にはこういうものがあってしかるべきではないのか、こういう主張をこの際は申し述べているわけですがね。
#167
○国務大臣(新谷寅三郎君) おっしゃることはわかります。大体いま申し上げたような、基本的には閣議了解事項、あれが骨でございます。ただ、この前の四十四年のを見てみますと、だいぶこう、これは当然のことでありますけれども、いろいろなことが多少つけ加えて書いてありますから、そういったことについて、まあどこまで――閣議の出す方針を、ここで関係省庁と打ち合わして、どこまで書き上げられるか、これは多少時間がかかりますけれども、一ぺん事務当局に言いつけて努力してみます。
 それから基本計画のほうは、これは閣議決定になりました場合に、これは国鉄のほうがつくるんですよ。ですから国鉄のほうで前に出された基本計画のようなものが、そんなにすぐできるかどうか、これは相当これ数字も入れて付表も入れまして、相当これは時間のかかるものだと思います。これははたしてできるかどうか、総裁のほうから答えてもらいましょう。
#168
○説明員(磯崎叡君) いま大臣のおっしゃいましたように、実は四十四年のをごらんくださいますと、閣議決定して、実は四カ月かかりました。そのあと非常に部内でも議論いたしましたと同時に、やはりこれは非常に具体的な問題になりますので、やはり関係省庁の御意見も聞かなければいけない、また、もちろん国会の御審議の過程のいろいろな御意見も入れなくちゃいけないということで、実はあれほど長くかかるつもりじゃなかったのでございますが、たしか閣議決定が十月か九月でもっと、私どもが政府に出したのは二月でございます。非常に時間がかかりました。今度はそれほどのことはないといたしましても、よほどやはり新しい考え方を織り込まなくちゃいけないと思っておりますので、草案がないわけではございませんけれども、やはり諸先生方の御意見を承った上で、慎重に関係各省と相談してやったほうが私はいいんじゃないかというふうに思っておりますので、この前非常に苦労いたしましてつくりましたので、それを思い出しまして、簡単にちょっとつくれないのじゃないかというふうに思っておりますが、考え方は一応私なりに持っておりますけれども、ちょっとまだ申し上げるだけにまとまっておりませんので、私のほうでは、政府案ができましてから、しばらく時日を拝借いたしまして、具体的な問題になりますので、ごらんのとおり、三条の二項には非常に具体的な問題がいろいろ書いてございます。それがすぐもう翌日から現場の末端の仕事に響いてまいりますので、よほど慎重に具体的なことを考えてやらなくちゃならないということでございますので、ちょっと今度の国会中にまとめ上げるのは、少し無理じゃないかと、率直に申し上げまして……。
#169
○森中守義君 実際問題として、私は決して無理解なことは申しておりません。ただ四十四年段階のものを見ますと、かなり内容的には重要な点がある。ここで一つの例を出しますと、政策割引、これらも非常に注目をしているんですよ。一応中にいわれている、つまり、いまどこで、どういうようなことでそうなったのか、経過は後刻お尋ねするといたしましても、たとえば学割りの制度、これはきちんと百分の五十だと、こういっているわけですね、運賃法では。それを百分の八十六になっている。たしか現行法ではそうなんですね、百分の五十こえているでしょう。そういうものがかなり財政圧迫を加えている。ところがこの計画の中では、ややそれに似たようなことをいってるんですよ。そこにも国鉄の財政を圧迫する要因の一つがあるので、これをどういったように処理していくのか、どこかでだれかが議論したかもわかりませんが。百分の五十と押えられているものを、百分の八十六いっているならば、明らかに三六%はこえているのだと、それをどうするのか、政府が持つのか、あるいは文部省が持つのか、あるいは通勤はどうするのか、これは労働省が受け持つのか、あるいは各省庁がいま通勤手当などというものを出しているようですからね、こういうことでやっていくのかという問題ですとか、かなり内容に注目すべき点があります。
 ところが、ちょっと総裁には言いにくいんですけれども、こういうものがつくられておりながら、実際四年間の間、何が行なわれてきたのか、実施されたかどうかということが問題なんですね。そういう意味では、これは金科玉条という意味では理解できるが、結果的に作文で終わっている。たとえば、いま一つの例をとりますと、基本方針及び基本計画の中にも、運賃料金制度の合理化というのが入っておりますよ。一体、運賃料金制度の合理化とは何を意味するのか。本来四十四年、五年にこういうものが出ているということは、当然その後に改正措置がとられるとか、あるいは一つの議論に発展してもいいと思う。いま三段がまえなんですね。この三段方式をどう整備していくのか。ことに運賃法でいう、軽微な、しかも総収入に顕著な影響を与えないものについては総裁が専決できる。あるいはある部分については大臣に申請をして、大臣が審議会に諮問をして認可する、こういうことがある。あるいは法定事項もある。一体この中にいわれている運賃料金の合理化とは何を意味しているのか。こういうことなども、ちゃんとうたわれておるんだが、さて作業として、あるいは政策問題として、どこまで詰められてきたかということが寡聞にして聞いたことがない。
 そういう意味で、私は非常にこれは重要である。そういう意味で、いわば一つの手続論としまして、法案の審査については、これらのものも、いわば付属書類として出すべきじゃないだろうか。こういうことなので、大臣は出すと、こうおっしゃっている。総裁も九月の二十七日までありますからね、かなり時間はありますよ。ひとつ大綱的なものでもいいですから、用意だけはしてみていただいて、無理には言いません。ゲラ刷りでも何でもかまいませんよ。これとこれとこれに重点を置いて基本計画をつくるんだという程度のものでもけっこうですから、お出しいただけるならばお出しいただきたい、こう思いますが、どうでしょうか。
 それといま私が申し上げた運賃料金制度の合理化とは一体何をさしているのか。むろん作業の経過等も、まあ私はなかったと、こう言っているんですが、手をつけられたということであれば、それらのこともお示し願いたいと思う。
#170
○説明員(磯崎叡君) その中の、私も詳しいこと、ちょっと覚えておりませんが、いま先生の御指摘になったことは大体覚えております。たとえば運賃料金制度の合理化につきましては、一番実施いたしましたのは、去年の新幹線の岡山開業のときに相当思い切って特急料金を全部制度的に直しました。これは新幹線の利用者と、特に当時の大阪以西あるいは米原以西等の乗りかえの制度が非常にむずかしかったということで、実は四十四年のころもちょっとそういうお話がございまして、簡明なものにしたいということを申し上げたことがございますが、それが一番大きな問題だったと思います。
 それからあとは、もう一つ御指摘の割引の問題でございますが、これはついに政府の補助をいただくまでに至りませんでした。しかし私どもといたしましては、先生の御指摘の百分の五十でいいやつを百分の八十六まで引いている。その百分の三十六は何とか政府その他から補給していただきたいということは、その後お願いいたしましたけれども、残念ながら実現いたしておりません。
 それから貨物の公共割引の是正でございます。これはおしかりを受けるかもしれませんが、結局政府でしょっていただくことができずに、制度としてやめましたために、利用者に負担をかけました。しかし国鉄としてはその制度はやめていただきました。これは二年がかりで、四十六年と四十五年でございましたか、二年がかりでこれを廃止いたしました。これは私どもとしては約五十億ぐらいのメリットになっております。そういう意味で、たまたま例をかりに運賃問題だけとりますと、やはりこれを一つのバイブルのようなものにいたしまして、そして関係各省庁にも、こういうことで閣議に御報告もしているのだから、ぜひ協力してほしいということで、私のほうの再建計画を一つの柱として、関係各省庁にいろいろお願いをしてまいった次第でございます。いま今度のやつを出せとおっしゃっておりますが、ちょっといまここで即答いたしかねますので、次回まで答弁を保留さしていただきたいと思います。
#171
○森中守義君 もうそろそろどうだと、こういう話ですが、ちょっと区切りがつきませんから、あと十分ほど。
 総裁が言われるように、まああといつ私がやるのか、まだわかりませんから、ゆっくりひとつ検討していただきまして、私の質問中に何ぶんのお答えだけはいただきたいと思う。
 そこで、いまの割引問題とか運賃制度については、ただこれだけの答弁で終わりというわけにいかぬです。もう少し機会がいずれか来ましょうから、もうちょっと掘り下げさしてもらいたいと思う。
 さて、もう一つですがね。結局去年といい、ことしといい、在来のやり方を同じように繰り返しているにすぎないんですね、大臣。つまり手詰りになりました、料金を上げてくれ、再建計画を変えてくれ、これだけのことなんですね。ただ政府助成がふえましたと、こう言われるけれども、昨年の計画では、建設勘定でしたか、七兆が十兆五千億になった、三兆五千億ふえた、けれどもこれはこれで非常に問題がある。要するに提案のしかたとしては金がありません、国鉄は火の車です、だから再建計画を変えたい、運賃を改定したいんだというようなことなんです。
 それで、一体こういうようなパターンをいつまで繰り返していくのか。十年後は償却前黒字にするんだ、完全に赤字は解消するんだと言われるんだが、これはやっぱり疑問があります。後日、これももう少しお尋ねしなければなりませんがね。
 それで私は、昭和三十八年国鉄が赤字に変化お始めたころ、当時は総裁が十河さんだったようですね。まあいわば国鉄が歴史的な転換期を迎えた。そのことを憂慮のあまり、総裁の諮問機関である日本国有鉄道諮問委員会に、国鉄経営のあり方についてという諮問をされた。これは答申が出ている。三十八年の五月十日にこの答申が出ているんです。むろんこの諮問委員会というのは国鉄内部の機関なんですね。いまあるかどうか知りませんけれども、このメンバーからいきますと、約三十名近い人、まさに各界の権威者を網羅しております。しかもこの内容といい、非常に国鉄の当時の状態を憂えている。憂うるのあまり、十年後の国鉄はどうなるかということをこの中で指摘しているんですね。しかも用いている文言といい、あるいは内容といい、ずばり言い切っております。しかも言い切っているだけではない。言い当てておりますよ、赤字になると。それで、この全体の文脈から感ずるもの、内容というものは、当時磯崎総裁が局長か理事であられたと思うんですが、異常に近いような真剣味というものがこの中に出ている。これはやや文献に近いようなものになっているようですが、いまでも生きていると思うんですよ。本来ならば、こういうようなことがもっと事前に手当てをされておったなら、今日の国鉄にはならなかったであろうと、それを指摘している、この中で。言ったとおりになっているんですよ。きょうは時間がありませんから、後日この内容について、とっくりと御意見を承りたいと思います。
 一体こういうものを、運輸省並びに国鉄はどういっただように扱ったのか。ただ伺いましたよということでこの貴重な答申というものを残念ながら放置しておったという、こういう言い方をしてもいいんじゃないかと思うんです。内容的にも非常に峻烈であるし、国鉄の当時と未来を展望しておりますよ。よって、こういうようなことが三十八年、国鉄が赤字になったときに、当時の国鉄の首脳部は心痛のあまり、こういうものを、いかにあるべきかという答えを求めている。こういうものを放置したために今日のパターンを繰り返している。だからこれは、今日の磯崎総裁あるいは歴代の運輸大臣、鉄監局長も当然責任があると思う。このとおり実施しておったなら、今日の国鉄はもうとつくの昔に解消していたと思う。こういうふうに私は思っております。内容は、きょうは短い時間でやるにはちょっともったいない。この次ひとつゆっくりと聞かしてもらいましょう。こういうのがあったにかかわらず手をつけなかったところに、改定だ、大騒動だ、つぶれた、出したというふうなことが繰り返されておるんですね。国会としても、こういうことがあったということが過去の歴史の中にあるんですから、いまこんなこと繰り返しているのはあまり好ましいとは思いませんよ。しかし一言で言うならば、これにかけられている国鉄の、国家経済、社会に対する貢献の度合い、それに思いをいたせと、こう書いているんですね。当時の総裁も、おそらく十分吟味されたと思うんですが、非常に貴重なものだと思う。私は、いまなお脈々と生きているし、いまからでも、これを実施するにはおそくはない。
 今回の二月二日の閣議了解などというものは、どだい踏み出しが違う、発想が違うんですね。出発点が違っておりますよ。だから、この法案、さらりとあきらめておいて、閣議決定を、これによってもう一回やり直したらどうですか、大臣。これがほんとうの国鉄の再建ですよ。したがって今回の手続的にも、半ぺらの閣議了解を原則として出されたということは、必ずしも当を得たものとは思っておりません。将来にわたりまして、また困った、また改正だというようなことを繰り返さないように、これは新谷大臣の政治家としての終生の仕事として一ぺんやってもらいたい。この法案をいさぎよく撤回をしてやり直してみたらどうですか。
#172
○国務大臣(新谷寅三郎君) 撤回をしろとおっしゃるんですけれども、政府としては撤回をする考えはございません。いま提案しております法律案、これは過ぎましたが予算案、それからいま申し上げました閣議の了解事項の基本の方針になる部分でございますが、そういった点につきましては、十分御意見を伺いたいと思っております。十分御意見を伺うことについては、決して私はやぶさかではございませんで、虚心たんかいに皆さんの御意見を伺っておるつもりでございます。自分の思っておるところは率直に御答弁を申し上げておるつもりでございます。どうぞ御審議をいただきたいと思います。
#173
○森中守義君 まあきょうはこれで終わりますので、これ以上いたしませんが、要するに、根気強くこの中身を議論し合っていきますと、これは閣議了解はいけなかったと、三十八年の、国鉄経営のあり方、いかにあるべきかというこの原則に立ち戻らざるを得ないというように私は大臣、総裁を説得したいと思う。
 ついては、きょうはこれで終わりますが、資料をちょっとお願いしておきたいと思います。国鉄のバスの問題ですが、大体沿革的なものですね、いつの時代からこの制度が始まったのか、従事する職員の総数は何名であるのか、全国で拠点になる営業所はどのくらいなのか、収支状況はどうであるか、保有台数はどのくらいか、こういうことをひとつ次の委員会までに要約して御提出をいただければ、たいへんありがたいと思います。
#174
○説明員(磯崎叡君) 承知いたしました。
#175
○森中守義君 きょうは時間がおそくなって恐縮ですが、このくらいで。
#176
○委員長(長田裕二君) 他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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