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1972/09/06 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第28号
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1972/09/06 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第28号

#1
第071回国会 運輸委員会 第28号
昭和四十八年九月六日(木曜日)
   午前十時二十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月四日
    辞任         補欠選任
     鈴木  強君     伊部  真君
 九月六日
    辞任         補欠選任
     岩本 政一君     菅野 儀作君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         長田 裕二君
    理 事
                江藤  智君
                木村 睦男君
                山崎 竜男君
                小柳  勇君
    委 員
                岡本  悟君
                黒住 忠行君
                菅野 儀作君
                高橋 邦雄君
                橘  直治君
                松平 勇雄君
                杉山善太郎君
                瀬谷 英行君
                森中 守義君
                三木 忠雄君
                木島 則夫君
                山田  勇君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       小坂善太郎君
   政府委員
       内閣官房副長官  山下 元利君
       経済企画庁物価
       局長       小島 英敏君
       経済企画庁総合
       計画局長     宮崎  仁君
       大蔵政務次官   山本敬三郎君
       大蔵省主計局次
       長        田中  敬君
       運輸大臣官房長  薗村 泰彦君
       運輸大臣官房審
       議官       原田昇左右君
       運輸省鉄道監督
       局長       秋富 公正君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部長  住田 正二君
       運輸省自動車局
       長        小林 正興君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       日本国有鉄道総
       裁        磯崎  叡君
       日本国有鉄道理
       事        小林 正知君
       日本国有鉄道理
       事        内田 隆滋君
       日本国有鉄道理
       事        加賀谷徳治君
       日本国有鉄道監
       査委員会委員長  金子佐一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進
 特別措置法の一部を改正する法律案について
    ―――――――――――――
#2
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 鈴木強君、岩本政一君が委員を辞任され、その補欠として伊部真君、菅野儀作君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(長田裕二君) この際、御報告いたします。
 先ほどの理事会において協議の結果、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について、本委員会と社会労働委員会、農林水産委員会、建設委員会、公害対策及び環境保全特別委員会、交通安全対策特別委員会との連合審査会を来たる九月十二日午前十時から行なうことになりましたので、御了承願います。
#4
○委員長(長田裕二君) 前回に引き続き、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○森中守義君 きょうは少しく意見を交えながらお尋ねしたいと思います。
 その一番は、再建に取り組んでいる政府の基本姿勢及び基本目標、こういうことにいささか問題がありますので、まずその辺からお尋ねいたします。
 再建案は、これは四十四年の修正改正ですね、本来であれば、その時点で議論をすべきだったんでしょうが、この内容を見ますと、債務及び赤字の処理ということと、それと計画が混合されている。私は過去の実績等から言いますと、こういう特殊な期間、特別立法をつくったという例はあまりないんですね。かすかに記憶に残っているのは、たしか三十二、三年のように思いますが、地方自治体が非常に赤字が累積した。ために、一言でいえば国が管理するという意味の地方財政再建整備法というものが一つにはあったような気がする。あとこういう例はあまりないんですね。そこでほんとうに、今日の国鉄の財政状態というものが窮迫し、かつ緊迫しておれば、なるほど再建のためにはいろんな事業計画もしなきゃならぬだろうし、あるいは投資計画もせにゃならぬ、これはこれなりに意味はあると思いますが、しかし、さしずめ窮迫した財政をどう立て直すかということであれば、十年間という長期にわたる投資計画を込みにした再建計画というのは、一体法律のたてまえから言ってもどういうものであるか。まあ言ってしまえば、こういうやや間延びをしたもので再建計画をやろうというところに、財政の窮迫性、緊迫性というようなものがやや薄らいでいるのじゃないか、こういう気がしてしかたがないんですね。ですから私は、在来の計画よりも一歩進んで、ごく短期間に財政の再建がなし遂げられるような時限立法的なもので、たとえば債務についてはこういう処理をする、累積赤字についてはこういう処理をするという、まあそういう限定された中身の立法措置がむしろ説得力があるし、また国民及び利用者にとりましても、なるほどこういう臨時措置法でも制定しなければいかぬのかという受け取り方、感じ方というものはだいぶ違うと思うのです。
 しかも、この内容を拝見していきますと、五十七年の最終年度には、もはや債務はいまの三倍ぐらいにふえる。十一兆近くになる。しかも累積赤字は約三兆近くになる。しかもその次年度、計画終了の翌年度には一挙に三千億の黒字になるんだという、こういう数字というものが、はたして確定的な要素を持つのかどうなのか。この前マクロ的に見るのか、ミクロ的に見るかという、こういう議論も展開をされておりますけれども、私はそういったように、最終年度には十一兆近い債務を背負い、累積赤字は三兆近くになる翌年は一転して三千億の黒字になる。この辺の数字の扱いというのがどうしても合点がいかない。それだけに、いろんな情勢が変動していきましょうから、由来、十カ年間という長期性を持った計画それ自体が、現在のいろいろな意味での流動社会に対応できるかどうか、きわめて不安定要素が強過ぎる、こういう気がするんですね。ですから、やはり財政処理をしていこう、ここに短期間にまずは債務の整理あるいは累積赤字の整理をやろうというのであれば、何としても、まず三年程度を一応想定をした時限立法で債務の処理をやる、赤字の処理をやる、方々並行的にやるというならば、長期建設計画とは別途な方法でやっていけば、いま少し法案の性格あるいは再建の指標というものもおのずから変わってくるんじゃないか、こういうような見解を持つんであります。まずこの点、大臣はどうお考えでしょうか。
#6
○国務大臣(新谷寅三郎君) 森中先生のおっしゃることは私もよく理解ができるんですけれども、今度出している再建案は、ちょっとそれは考え方が違っていると思います。第一に国鉄の財政再建、これはもちろん現在累積している赤字一兆一千四百億というようなもの、それから累積している債務三兆七千億ぐらいのものを、まず消すようなことを時限立法か何かでやったらどうだと、こういう前段のお話がございましたが、御承知のように、これはそういうことになれば、その部分だけは解決するんですね。その部分だけは解決しますけれども、国鉄自身はやはり国の交通の大動脈として毎日毎日発展しておる経済社会の実情に沿って、やはり施設も整えていかなきゃならないし、輸送需要に対応する輸送をみずからやっていかなきゃならぬということがありますから、これは赤字を消しただけでは再建できないと思うんですね。あとからやっぱり設備投資もどんどんふえてきますし、それによって方法もいろいろありましょうけれども、それからまた生じる赤字というのがあるわけです。ですから、これは少し言い過ぎかもしれませんが、かりにあなたのおっしゃるような時限立法を考えるとすれば、時限立法を何回か何回かやらないと再建できないということになると思うんです。
 ですから、ここでは国鉄の、これは何度も申し上げたことですが、赤字を消して財政再建するということは、内容的にはいかにして国鉄が与えられた本来の役割りを国民のために果たすのにはどういうふうにしたらいいか、つまり国鉄の体質あるいは機能の回復というものをどうするかということが本来のねらいであるべきだと思いますが、その点については、あなたと同じ考えなのです。ただ方法論として、今度の再建案では十カ年というような長期にならないと財政再建が考えられない、実行もできない。だから十カ年という長期を見まして、あなたのおっしゃるように十年間というものをほんとうに確実に見通しができるかというと、非常に困難な要素がありますが、これについては、ただ数字を並べただけでなしに、経済社会発展計画でございますとか、あるいはそれ以後の経済予想を、社会の変化の予想というようなものを一応見まして、こういうような方法をとれば十カ年間には再建できるんだと、こういう見通しをつけて提案をしておるわけでございます。ことにこれは変えたらいいじゃないかとおっしゃればそれっきりですけれども、現行の日本国有鉄道財政再建促進特別措置法、これは四十四年に御承知のように出まして十カ年計画を立てましたが、これは見込み違いが多くて、初めに立てた計画では実行できない。しかし、ここでも短時間では再建できないから十カ年というものを目標にして再建計画を立てなさいと、こういうことになっておりますから、やはり現在の法律の趣旨に沿いまして今回も十カ年間の再建計画を立てたということでございます。
 おっしゃることはわからぬことはありませんけれども、方法論においてはいま言ったような現行法の趣旨に沿い、そして現実に国鉄の機能を十カ年間に回復して国民の期待にこたえるというには、こういう方法以外にはないという意味で、いまの提案をしておるわけでございます。
#7
○森中守義君 大臣、せっかくのお話ですが、やはり多少基礎になるものが違うと思うのです。いま大臣の言われたように、なるほど時限立法でいけば経過的にずっと赤字が出るのだから、次から次に時限立法をつくっていかなければいかぬのだという御意見ですね。そこが一体、日本国有鉄道というものは、本来的に赤字であるべきものであるのかどうなのか、これは非常に私は重要な問題だと思う。これはあとで、その辺が非常に重要なポイントになりますから、お尋ねしますけれども、私は日本国有鉄道というものはもうすごい収益をあげるべきものでもないだろうし、収支はとんとんでいいんですよ。ただし赤字を生むということを前提にした国鉄として少なくとも見るべきではなかろう。その辺に投資の問題というのが非常に大きく浮かび上がってくるわけですが、残念ながら私は、大臣の言われるように、時限立法で手当てをすれば、次から次に赤字が生まれているからしょっちゅうそのことを繰り返さなくちゃならぬという発想には同意しがたい。
 むしろ赤字をつくらなくていいような強い国鉄にするにはどうしたらいいですか。肝心の運輸大臣が、国鉄は赤字が出るものだ、次から次に同じようなことを繰り返さなければならぬというお考えはいささかどうかと思う。むしろ赤字が出ないようにするにはどうしたらいいのか。なるほど今回三つの柱が立てられているその中の一つが大きな問題じゃありませんか。そのことに論点が集中されないで、赤字が出るものだ、何回時限立法をつくってみてもそのパターンを繰り返すだけだという大臣の御所見については同意しかねる。どうなんですか、赤字をつくるべきものなのですか、つくるべきものでなければならぬのか、その見解はどうなんですか。
#8
○国務大臣(新谷寅三郎君) 全般に交通事業というものが、財政的にはどこもここも非常に苦しくなってきておることは御承知のとおりでございます。これは民営のものについては、これは単純に、政府の補助もありませんから、料金で収支を償うようにするという単純なそういう理論で今日まで終始しておりますけれども、しかし民営のいろいろな事業でも、そう公共料金あるいは認可料金というものを、収支が償わないからといって、機械的に算術的な計算をして上げるということについては、運輸省はもっと慎重な考え方を持っておるわけでございます。私鉄といわず、バス会社といわず、そういう点については相当制約をされまして政府の方針のもとに動いておる。そのために、なかなか収支が改善されないという事実はお認めになると思います。
 それで、ことに国鉄に関しましては、これはいまの法制のためまえ、法制といいますと、結局制度でございますね、制度的に見まして、御承知のように、運賃の基本賃率というものは国会の御審議を経てきめるということでございまして、非常に国民生活にも影響が多いものですから、われわれもこの運賃の改定については最も慎重にやっておるということをお認め願えると思いますけれども、そういう制約の中で考えますと、やはり国鉄の財政再建につきましては、一方では社会の輸送需要というものの非常に大きな部分を国鉄がしょっていかなければならないという、これは本来国鉄の使命でございます。それと並行して考えていきますと、並べて考えてまいりますと、国鉄がこれはもう、あなたのおっしゃったような収支とんとんになれば、こんなありがたいことはないんですけれども、なかなかそこまでいきにくい、いまのような制度を維持しておりますれば、設備投資これは公共的な意味における設備投資もずいぶん入りますから、そういったものがふえていけばいくほど、国鉄の財政はますます苦しくなるであろうということは予想されるわけでございます。
 今回出しておりますのは、とにかく国鉄が財政の赤字にあえぎながら仕事をやっておって、本来国鉄のやるべきことさえも十分やれない、そのために国民経済とか国民生活にも非常にマイナスな面が大きくなってきておるから、それを早く回復して国民の要望にこたえるようにしなきゃならないということをねらっておるわけでございます。
 それで、いまおっしゃるように、これはもう今度の再建案は、どうしても基礎的にそれをやってしまわないと、国鉄の体質の改善ができない、本来の国鉄のなそうとすることもできないということがねらいでございます。で、それならば、国鉄が本来どんなことをしても赤字であるのがあたりまえかと、こういうような御質問のように聞こえましたのですが、これはやはり今後も政府の補助も必要だと思います。またその必要に応じまして、一般の物価情勢を見ながら運賃の改定も必要だと思いますが、今度の再建案に盛っておるような、具体的な数字は別としまして、将来とも、こういったやはり制度というものは、維持していかないと、国鉄が独自の力で、あなたのおっしゃるように、収支とんとんにいくとか、あるいはむしろ多少の黒字を出すとかということは、なかなかこれは期待できないのじゃないかということを考えざるを得ないのであります。ですから、今後とも政府としましては、国鉄の財政状況を見ながら、必要な公共負担についての援助は続けていかなきゃならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
#9
○森中守義君 これは計画の内容を見ていますと、債務の問題、赤字の問題をどう処理するかということではなくて、実際は設備計画、投資計画をむしろ中心にしているという感じが非常に濃厚なんですよ。ですから私は、一体、債務及び赤字ということに対する緊迫性、緊急性というものの認識とどうも少し濃度が違うのじゃないか。そのことに藉口して、実際は公共投資をやろうとしているというような印象を非常に強く受けるのですね。ところが世間においては、そのことよりも、国鉄問題でしばしば国会でも大騒動になる、世間も非常に心配しているのは、これから先の公共投資をどうするかということよりも、むしろ今日ただいまの財政窮迫の状態をどうしてくれるのか、どうすべきかというところに、おのずから論点はあると、こう思うのですね。
 ですから最初申し上げたように、まずその処理、そして今日あるいは将来の輸送需要に対応するような、そういう計画というものは別個なものであるべきだという見解を述べているわけなんですね。しかし、まあ大臣の言われるように、仕事をやりながら、拡張、拡大をしながら、充実をさせながら債務を返していく、赤字も克服していこうと、こういうまあ所論であることはよくわかりますが、どうもやっぱり計画それ自体の内容からいきますと、債務や赤字の問題は一つの表向きの理由、実際ねらっているものは建設計画だ、こういうように見るのです。
 そこで大蔵政務次官、いま運輸大臣が言われたことを、決して私は固執してあげ足をとるわけじゃありませんけれども、本来的に国鉄は、建設計画に巨大な投資が必要である。結果的に債務をしよう、赤字が出る、こういうことが、結論として、国鉄は本来的に赤字であっていいと思われるのか。財政当局としてどうお考えですか。
#10
○政府委員(山本敬三郎君) 公共企業体として本来赤字であってはならぬという見解であります。
#11
○森中守義君 赤字であってならぬと言われるならば、もう少し財政当局としては赤字が出ないような方法を講じられないものですか。
 具体的に申し上げますと、すでに四十七年の決算で、債務が三兆八千億、それから累積赤字が約一兆二千億、しかも最終年度では、さっき申し上げたように、十一兆近い債務を持ち、三兆近い赤字を生む、こういう試算が出ているわけですね。私は赤字であってはならぬと、こう言われるならば、財政当局として、赤字でないような措置はとれなかったんですか。もっと詰めて言いますと、これはもうとても三兆八千億という現在までの債務というものは、予算の編成が行なわれるたびごとに、運輸大臣と大蔵大臣がこのことについて協議をされるんですね。しかし三兆、四兆近い債務というのは過大過ぎますよ。他にこの程度の債務を許容したようなことがありますか。ありますか、ほかに。その例が。この三兆八千億という債務がどのくらい国鉄の財政に圧迫を加えているか。まあおおよそこの辺に根源があるわけですがね。赤字を持つべきものでないと言われるならば、持たないような方法がとれなかったのかどうなのか。
 三兆八千億の債務を容易に許容されたという責任は、責任というよりもその発想に私はだいぶん問題があると思う。まあやはりその責任の半ばは財政当局にもある、こう思う。それとも、いや三兆八千億ぐらい債務を国鉄が持っていても、体力があるから、自力があるから、まあいずれこれは消せるだろう、そういう見解なのかどうなのか。国鉄にその経営の健全性、財政の健全化を要請されるということであれば、そのうらはらの関係における三兆八千億の債務というものはあまりにも過大過ぎる。これを単年ごとの予算編成の際に、やれ財投これだけ、民間からこれくらい入れてもいいだろうという、こういう発想に私は問題があるんじゃないか。だからそのことが、言いかえるならば、運輸大臣は、まあ運輸大臣はそういうつもりで言われたのじゃないだろうけれども、聞きようでは国鉄は赤字であってもいいのだ、本来的に赤字の機関なんだと、こういう聞き方もできるわけです。要するに三兆八千億の債務を生じせしめた、これを許容してきた財政当局の見解はどうですか。
#12
○政府委員(山本敬三郎君) 債務の借り入れ金の問題と、もう一つは累積赤字の問題と二つあるわけであります。他の公共企業体に比べて三兆八千億の借り入れ金というものは他に例を見ないような巨大なものだろう、そういうふうに考えます。加えて累積赤字が一兆一千数百億出ている国鉄の現状はまさしく公共企業体として根幹にかかわるような状況になっている。しかし、そのよって来たるところを考えますと、時代のモータリゼーションに対応できなかったというような問題そういった問題もありますし、あるいは人件費が予想を上回って過去四、五年間上がってきているという問題、そういうようないろいろな問題がありますので、ここで十カ年間の長期にわたって積算をして見通しを立てて国鉄の健全性を保とう、こういうことにしたわけでありまして、十年後に予想されます単年度三千八百億の黒字、累積赤字で一兆四千億、借り入れ金は十兆を上回るわけでありますけれども、ここまでこれれば国鉄の経営は健全になってきたというふうに言えるのではないか。
 したがって借り入れ金が過多であるということだけで経営が非常に危険だとばかりは言えないわけでありますが、現状における借り入れ金の状況及び累積赤字の状況は、まさしく非常に企業体として重大な欠陥を持っているというふうに考えざるを得ないと思います。
#13
○森中守義君 まあこの項を少しお尋ねしなくちゃなりませんから交互になりますが、これは運輸大臣、その三兆八千億の債務を生じたということ、それから一兆二千億近い累積赤字が生じたということですね、まあこれは非常に厳密な言い方をすれば、その責任の所在というものはどこにあったのか。もちろん法案の提案理由の説明及び補足説明の中に、いままでのことに反省を加えるという言い方をされている。けれども、その責任の所在というものは明らかにされていないのです。
 いま私が聞きたいのは、人件費が高騰した、あるいは輸送の需要測定を間違ったとか、こういう理由では、提案を受けた私ども審議の側にある国会としては、そういう安直な理由では、そうですかという、つまり説得を受けるというわけにはいかぬのです。ですから、多少きびしい言い方ですけれども、債務が生じた、累積赤字が生じたという責任は一体どこにその根源があるか、だれがその責任をになうべきであるか、これをひとつ、私はこの際明らかにしておきたいと思う。内容的に言いますと、国鉄の経営及び管理上に欠陥があったからこういう債務と赤字を生じたのか、あるいは日本国有鉄道法一条及び二条にいう基本条項を背景にした政府の措置が悪かったのか、その責任は一体どっちにあるのだ。私は、もし国鉄の経営管理に重大な欠陥があったためにこういう債務を生じたということであれば、総裁を前にして恐縮ですけれども、その責任は総裁がとるべきでしょう。その責任がないということで先般の総裁の再任ということになったのかどうなのか。たいへん議論は深刻な問題に私どもは受け取らざるを得ない。再任されたということは国鉄に責任がなかったということに帰着するのじゃないかと、こう思うのですね。
 だから要するに、債務及び赤字を生じた真の原因、その責任は何によるものであり、だれがその責任の問題をになうべきであるか。この辺を、ひとつこの際はっきりさせてもらいたいと思う。
#14
○国務大臣(新谷寅三郎君) 責任の問題はあとにいたします。
 なぜこういう赤字が累積したかという原因を探究してみますと、これはやはり国鉄の運営の問題について一つの問題がある。それからもう一つは、国鉄を総括的に指導し、監督をしている政府にも責任があるということが言えると思います。で、もう少し具体的に言いますと、これは率直に言って、昭和三十九年以来国鉄に赤字が出てまいりまして、その赤字が毎年毎年累積してきました。これは何べんも政府委員からも御答弁し、私からもお答えいたしましたように、結局日本の経済状態、社会状態というものの非常な急激な変動、それに国鉄が対応して十分な措置がとれなかったというような二とから、国鉄自身の経営について赤字がどんどんふえてきて、それを克服するような手段がとられなかったということが大きな原因であろうと思います。しかし、そういうことがわかっていながら、たとえば先般来あなたからもお尋ねがありましたいろいろな、名前は変わっておりますけれども、諮問委員会でありますとか、経営委員会でありますとか、あるいは監査委員会でありますとか、いろいろ時代によって多少の変更はありますけれども、いろいろな関係の機関から、政府がこういう点について政策的に考慮しなければならないというような建議とか意見書とかいうようなものの提出があったことも事実でございます。これを受けて、やはり政府が、その時代から、もう少し国鉄のどんどんふえてきておる公共性というものに着眼をして、事前に配慮をしておったならば、今日のような窮境に追い込まれなかったであろうということは、これは認めざるを得ないだろうと思うのです。で、そういったことが集積いたしまして、今日のような赤字が累積し、非常に長期積務がふえて、普通の企業体であればもう破産寸前というところまでいったということになると思います。
 そこで、それの責任の問題ということですが、これは非常にかた苦しい話になりますけれども、責任は運輸大臣でございます。運輸大臣としまして私も全力を尽くしておりますけれども、こういうことを今日まで――これはまあ一生懸命やって歴代の運輸大臣も努力されたと思います。しかし、そういったことについて、財務当局と、国鉄の将来の展望を掲げて処置をしなかったというようなことについては、運輸大臣は責任がある。また国鉄に対して適当な指導監督をしなかったというようなことも、やっぱりこれは国鉄を管理監督しているのは運輸大臣ですから、究極的には私は運輸大臣に責任があると思っております。
 しかし、これから先は言いわけのようになって恐縮ですが、歴代の運輸大臣はこういうことを考えて最善を尽くしたと思います。しかし、それと日本の経済状態あるいは社会状態というものの変動が非常に大きいので、どうもそういった点について運輸大臣大臣のほうも、あるいは国鉄のほうも多少見込み違いをしたというようなことで、再建計画はいろいろ立てられておりますけれども、これが十分にその成果をあげることができなくって改定をしなきゃならぬという運命にあったということが言えるわけでございまして、まあこれは責任問題ということをかた苦しいことばで言えば、もちろんこれは運輸大臣の責任であると言わざるを得ませんけれども、歴代の運輸大臣はそういった点について最大限の努力をしたけれども、社会事情の急激な変化についていくだけの措置がとれなかった、また、それを見通すのにはあまりに急激に大きな変化があったというようなことが最大の原因ではなかったかと、私はそういうふうに思っております。今日の問題については、もちろん私が全責任を持ってこの再建計画に取り組んでおるのでありまして、それによって生ずるいろいろのもし失敗があれば、これは私の責任でございます。
#15
○森中守義君 やや責任の問題で、あまりいい問い方でもありませんけれども、この点はしかしはっきりしておきませんと、何かいやがらせを言ったり、ばかに小児病的な聞き方をしてるという批判もありましょうけれども、これは私は、この辺はこの再建計画がかりに動き出すとするならば非常に重要な問題だと思う。まあ率直に申し上げて終了年度の十一兆近い債務ですね、三兆近い赤字というもの、この問題が一つ設定されてるわけですからなおさらの問題だと思う。
 で、そうなりますと、これはなるほど主務大臣としての運輸大臣がすべての責任である、まあこういうふうに言い切られましたが、それでけっこうなんです。よほどしっかりしてもらわなきゃいかぬと思うんです。ただし私どもが私どもなりにいろいろ勉強する経過の中から、あるいはこうして例年おつき合いをしてる中から、なるほど形の上で集約的には運輸大臣の責任だと言い切れても、ちょっと一切がっさいのことを名実ともにそうだと言い切るには少々酷だと思う。むしろこれは内閣一体の責任、言いかえるならば、日本国有鉄道法一条及び二条をどのように政府が踏まえているか、これが問題だと思う。たとえば今回の計画を拝見しましても、一条、二条を踏まえた原則というものがどこにもにじみ出てきていない。政府が助成をするればいい、工事の出資をやるんだ、あるいは債務の利子補給をやるんだ、そして国鉄にも引きかえにひとつ合理化をやってくれという、こういう何か内容的に一つも折り目がないんですね。ですから私は最終的にこの計画はどうかるんだと、四十四年と同じようなことを繰り返しすけど、なるほど五十二年段階まではある意味での輸送の需要も予測されておる、五十三年以降どうなるんだと――ないんですね。それと債務処理、赤字処理及び建設計画というものが併合混淆されて進められていくには、やはり一条、二条というこの辺の原則がもう少しきちんとなっていないと、ただ助成をします、合理化を要請しますということだけでは、どう考えてみても好ましい国鉄の状態に復元できるかどうか。
 私はそういう意味では、この一条、二条の問題と再建計画、債務、赤字というものは、一連のものとして折り目をつくるべきじゃないのか。四十四年がだめになった、新しいものをつくります。しかし修正せざるを得ない理由は、人件費と需要予測の見当違いであったという、これだけのことでまたやろうということは、もうおそらく議論として世間に通用しませんよ。政府は何をしているのだ、こういうことが、もはやどこに行っても聞かれるのですね。両院の審議を通じ、運賃法あるいは再建法のたびごとに国会が大混乱を起こすという最大の根源はそこにあるのです一何も野党、ことに社会党はこういう法案は運賃値上げだから、大衆収奪をやるから気に食わぬと言っているんじゃない。その前にやるべきことがないのか。計画に折り目をつけたらどうなのか。一体国鉄はどういう性格のものなのか。政府と国鉄の関係はどうなければならぬのか。大臣がすべての責任はわしにあると、こう言われたけれども、私は形はそうなんだろうが、一体のものとして政府の国鉄に対する姿勢というものは、必ずしも望ましいものではない。これ、一条でいっておりますね。国が国有鉄道特別会計としてやっているのだと、こういっているのですね。そしてさっき大蔵政務次官は赤字が出るということは好ましいことではない――あまりにも当然ですよ。当然なことでありながら当然でないようにやらしておるわけですね。
 よって大臣、どうなんです。これは立場上、主務大臣としての私の責任だと言われるのは、謙虚に私も承っておきましょう。けれども、そういうものじゃないですね。むしろこの機会に、いや内閣一体、政府全体の責任だと、ことに大蔵省にもその責任の大半があるということを言い切れませんか。
#16
○国務大臣(新谷寅三郎君) 国鉄の管理、監督ということは、いまの組織法等から言いましても、さっき申し上げたようなことに理論的にはならざるを得ないのでありますけれども、内閣制度等から考えますと、もちろん運輸大臣だけで国鉄の何もかも扱えるわけではないのでありまして、関係大臣としては、きょう御出席願っております経企庁長官もそうでございますし、大蔵大臣もそうでございます。財務当局としては、予算の編成については財務当局の承認を得なければなりませんので、その意味では非常に関係の深い大臣でございます。労働問題については労働大臣に責任を持ってもらわなければならぬという面もございまして、関係大臣としては非常に責任の重い大臣がほかにいらっしゃることは、もう御指摘のとおりでございます。
 しかし集約して考えますと、やはり運輸大臣が全体を統べてやっておるのですから運輸大臣の責任であるということを、これは非常にあなたがかたい話のようにおっしゃったので、私もかたい話として理論的に申し上げただけでございます。その点は、政治的にはいまの内閣法のたてまえからいたしましても、これは連帯責任でございますし、特に関係の深い大臣は大蔵大臣と経企庁長官あるいは労働大臣という大臣が、やはり非常に深い関係を持っているということは事実でございます。
 先ほども申し上げましたが、これはいまさらここで議論をしなくても、あなたとはもう前にもいたしましたので、繰り返しませんが、この国有鉄道法第一条に書いてありますように、まあここでは、結局立法論としては別でございますけれども、今日の法制からいきますと、日本国有鉄道というものは公共企業体でございまして、一言で言うと、一方では企業性を持っております。ですから赤字にならないようにするのがあたりまえだと、こういうふうな議論も出るわけです。しかし一方では非常に公共性の強い公共企業体でございます。これはもう現実にそうなんですね。公共企業体の中の公共性という部分が他の公共企業体に比べまして、国鉄については、いまの日本の経済状況あるいは社会状況から言いまして、公共性を要求される部分がふえてきているということは、これはもういなめない事実でございますから、そういう点に関連しては、運輸大臣ももちろん責任をもって処理しなければなりませんが、関係の当局が公共性が強くなっている部分について、これは単なる企業性だけでもって判断をして処理をすることが困難でございますから、そういった問題については、関係各大臣の理解と協力によって国鉄の運営を国民の期待するような方向に向けていくということは、当然やらなきやならぬことで、これはおっしゃるように、内閣全体として考えなきゃならぬ問題だというふうに思うわけでございます。その点はあなたのいまおっしゃった御意見と私は別に違った意見を持っておりません。そういうふうに御理解をいただいてけっこうだと思います。
#17
○森中守義君 なかなかその辺は、理解せいと、こう言われましても、そう簡単に理解できるものでもないし、私は形は運輸大臣の責任、けれども政府一体の責任、つまり国鉄に対してずいぶん本質的に異なった見解をお持ちだというように私は申し上げなきゃいかぬと、こう思うのですね。
 それで、さっきちょっと触れましたが、今日の三兆八千億という債務の問題ですね。これはさっき大蔵政務次官は、私が言ったように巨大過ぎると、こう言われたんですが、これはどうなんですか。ほんとうにこういう債務を国鉄に背負わしておいていいと思われるのか、あるいはこういうことが発生しない前にかわるべき方法、つまり政府助成ということがもっと早く検討されなかったかどうか。ことしの二月の二日の閣議了解を見ましても、政府助成ということがいわれておる。しかし、これはきわめて数字を基磯にした助成であって、原則としての助成じゃないんですね。だから私は、しばしば申し上げるように、政府と国鉄との関係は、いわば設備投資等については、あくまでも社会資本という意味で、政府が受け持つべき分野ではないのか。それで国鉄に渡してある。しかして国鉄が、その設備投資により相当期間経過じまして、いよいよメリットが生ずるようになった場合には、そのときに剰余金をどうするのかというような、こういう実は大ワクというものが原則として確定されていいんじゃないか。私は政府と国鉄の間に原則がないというのはそれなんですよ。単なる助成にすぎない。そのときそのときにおける国鉄の財政事情、それによって高めもするし低めもするという、そういう単なるコントロールでは困ると思う。これはもう非常に大事な問題だと思うんですね。設備投資は全部国が負担する、国鉄にやってもらう。それで相当期間経過しまして利潤が上がるようになった、収益がいよいよ高まってくる場合には、その収益をどうするかという、そういう方法がとられてもいいんじゃないか。三兆八千億の金利というものを国鉄に払わしておいて、足りなきゃまた出してやるよ、こういう何かちっとも仕切りのつかないようなやり方は困ると思う。
 一体どうなんですか。具体的にあとでもう一回お尋ねしなければいけませんが、今回の法案の成立がおくれております。どうなるかわからない。その間に、おおむね国鉄は、五億一千万から二千万程度の日額の欠損を生じているでしょう。あるいは先般の給与財源の問題もある。退職手当の一部変更もある。そういうものを私なりに試算してみると、概算千五百億くらいになるでしょうね。これなどの処理はどうしますか。これも財投でやりますよと、債務としてからませるつもりですか。これはあとで一つの問題としまして、官房長官が見えてから、ここで詰めなければいけませんけれども、何だってかんだって原則がない。その辺に、単なる助成という表現のもとに、政府の財政事情でこれだけ渡そうとか、国鉄の財政事情でこれだけもらおうという、ちっとも画然とした区切りのない状態で、国鉄の将来というものはどうなるのか、これが私は、政務次官の言われる赤字となるべきものではない。理想的な姿は収支とんとんでいいでしょうね。その辺に独立採算をどう見ているかという問題が当然ここに生まれてくるわけです。こういうことを含めて運輸大臣、大蔵省、それから国鉄総裁も、このことに対しては、日本国有鉄道として固有の見解をお持ちになってもいいと思う。ただ、政府の言うままに――特に今回のような場合には、なるほど国鉄から試算表が出ておりますが、大綱的には押しつけられた再建計画だと、そういう気がする。いろいろ国鉄に言い分があるんじゃないですか。固有の見解をも、この際、ひとつお述べいただきたいと思います。
#18
○国務大臣(新谷寅三郎君) 私から申し上げることは、これはいままでもたびたび申し上げたことを繰り返すようなことになりますけれども、御指摘になったような累積した長期債務ですね、これが今度の再建計画の十年目になりますと、おっしゃれように十兆をこえるような非常に大きなものになるわけでございます。こういったのを一体どうするのだと、これについてどう思うのだということでございますが、これは端的に申し上げて、決して健全な形ではないと思うのです。健全な形ではありません。したがって、こういうことが早く解消するように努力をすべきことは言うをまたないのです。しかし現在の法制、現在の制度、それから政府が国鉄の再建に対してとろうとしておる当面の方策、これでまいりますと、そういった結果が残ってはおりますが、われわれは、まあいわばもう破綻に瀕している国鉄でございますから、それをとにかくあなたのおっしゃった自力といいますか、国鉄本来の機能といいますか、そういったものをとりあえず回復させて、その上でそういった累積の債務とか、累積の赤字でありますとか、そういったものの解消について、今後とも政府は援助をしながら、国鉄の努力も加えまして、そういう事態を漸次解消していこうという方策をとらざるを得ないということで、今度の再建案を出しておるわけでして、十カ年間の再建案で、これで万事終わったんだ、これでもう国鉄は十二分の姿になったんだということを考えておるわけではございません。
 ただ一挙に、三十九年以来の長い間たまったものが今日になっておるわけですから、それをいま、まことに御鞭撻いただいてけっこうなんです、ありがたいと思いますけれども、それをいまここで一挙に解決しちまえ、こう言われましても、それは非常に現実には困難なことでございます。とにかく方向といたしましては、再建のめどをもちまして、とにかく十カ年計画を実行さしていただいて、さらにその上で、いまおっしゃったような債務の解消でありますとか、赤字の解消に努力し得るような国鉄の体力といいますか、体質といいますか、そういったものをここで回復したいということでございまして、理想としましては、あなたのおっしゃったようなことを私も考えております。しかし、いまこの際それを一挙にやろうとすると、非常にこれはたいへんな、運賃にいたしましても、政府の助成にいたしましても、相当に大きな措置をとりませんとできないものですから、とにかく関係の省とも十分に連絡をいたしまして、いま政府としてとり得る最大限の方策をここで提案しておるようなわけでございます。
 あなたのおっしゃることはよくわかりますが、そういうことに対しまして、決して私たちは無関心でおるわけでもないし、そういったものを軽く考えておるわけでもございません。同じような方向に向かって前進してまいる、その道程の一つの提案であるというふうにお考えをいただきたいのでございます。
#19
○政府委員(山本敬三郎君) 今日の国鉄経営の危殆に瀕した状況について、大蔵省は責任ありはせぬか、こういうお話でございますが、結果において、多少大蔵省の資源配分機能が十全でなかったという責任があろうかと思います。ことにモータリゼーションを引き起こすもとであります道路投資と国鉄投資とのバランスがはたして正しかったかどうかということは、今日の時点においては、まさしく反省されなければならぬ問題だと思うわけであります。
 しかし今度の十カ年計画においてはそのつどそのつど助成していくというやり方ではありませんで、十年間の再建法で国鉄の経営基盤を整備していこうという考え方に基づいて助成をしているわけでありますから、決してそのつどそのつどの助成というふうには私は考えておらないわけであります。五十七年度に運賃値上げの一〇%がありますけれども、五十六年度と比較いたしますと、九千億近い収入増になりまして、五十六年度と比較いたしました単年度の収支を見ますと、約四千五百億改善しているわけであります。したがって五十七年度において、累積赤字は十カ年間に一兆四千五百億、過去のものを入れますと二兆七千億になりますけれども、この状況のまま推移して人件費その他の経費増と収入増とがバランスを保てるようであれば、算術計算をしても七年間で実は赤字は解消する見込みも持てるわけであります。
 さらに赤字の減少を考えていきますと、もっと早く赤字を解消できるかもしれない、こういうことでありまして、五十七年度におきますと十兆五千億の投資を考えますときに、十兆を上回る借り入れ金があったとしても、それだけで国鉄財政は健全だと五十七年度においては言えないような状況が考えられると思うわけであります。しかし国鉄自体は公共企業体でございますので、やはり国の助成と、それから利用者の負担、国鉄自体の経営努力、この三つによって経営の健全化をはかっていき、能率的な経営を通じて国鉄の公共性を保つように努力していただくべき性質のものだ、こういうふうに考えておるわけでございます。
#20
○説明員(磯崎叡君) 以下、私が申し述べることは私自身の責任を回避する意味でもないし、また決して弁解をする気持ちでもございません。率直にひとつ……。
 まず第一に、先生が冒頭に御指摘になったこれだけの財政を再建しながら、しかも現在の資産の三倍に当たる投資をするということ、すなわち投資をしながら財政再建をするということ、これは非常に困難なことであるということは事実でございます。例を民間にとりましても、たとえば石炭の合理化を見ましても、これはほとんど財政再建だけでございます。スクラップ化を中心とした財政再建でございます。また、その前の海運合理化、私よく知りませんが、あの場合も財政再建をしながら、船という非常に能率のいい、投資効率のいいものをつくっていくということでもって、これは政府のやったことが結果的に非常にうまくいった。投資とそれから経営の改善、両方を非常にうまくなすったことだと思いますが、鉄道と違いますのは鉄道の投資が利益を生むまでに非常に時間がかかるということ、その点は船と本質的に違っていると思います。そういう海運の合理化あるいは石炭の合理化等の経過を見ながら、私のほうの今後の十カ年の将来の計画、これは一言に申しまして、非常に私はむずかしいと思います。決してなまやさしいもので、あぐらをかいててできるものだと思いません。非常に困難であるけれども、私は昨年の暮れに、この案が政府案としてできましたときに、一昼夜おひまをいただきました。何とかしてもう一ぺん考えさせてくれということで一昼夜考えあぐねた末、とにかくこれでやってみますということでお引き受けしたんです。現時点におきましては、私はこの十カ年計画は何とかして国鉄としてやっていくということを申し上げる段階でございます。
 しかし率直に申しますと、しからば過去の経過がどうなっているかという、先ほどの先生のいままでの累積の問題を若干分析しなければいけないというふうに思います。ちなみに昭和三十年度末の累積債務は千七百億、それから四十年度末が一兆一千億、四十七年度末がいまおっしゃった三兆八千億、すなわち三十年度から四十年度までの間に一千七百億が一兆一千億にふえた。それから四十年度から四十七年度までの間に一兆一千億が三兆八千億にふえた、こういう急激な累積債務のふえ方でございます。
 これは決してむだに食ってしまったんじゃなしに、これは全部物に変わっているわけでございますが、この膨大な累積債務、設備投資をする際にほとんど資本はふえていないということが一番私は問題だと思います。もし企業体として経営をしていく以上、もうこういう場合には増資をするのが当然でございます。増資なくして設備投資をするということは、全部借り入れ金である、全部利子がつく、こういうことになるわけでございますので、ことしの利子が二千二百億というふうな相当経営を圧迫する膨大な数字になっている。したがいまして、私どもとしましては昭和四十二、三年ごろに、政府に少なくとも通勤投資についての、非常に能率の悪い通勤投資についての援助を願いたいということをいろいろお願いをいたしました。しかし不幸にして実現いたしませんでした。実現しなかったのは私どもの力の足りなかったことと思っておりますが、少なくとも私どもといたしましては、四十年の初期においては、どうしても資本をふやさない限り、こうやって借金だけで設備投資をする、しかもその設備投資が生きて動くには十年以上かかる、こういうような非常に懐妊期間の長い設備投資を借金でやるということは、これはほとんど企業原理に反するという意味で、ぜひ増資をしてほしいということを申し上げました。
 国鉄の資本金は、御承知のとおり、当時八十九億でございました。現在は七百七億になっておりますが、その国鉄の資本金は政府以外には出せないことになっております。したがって私のほうは、株券を発行して、そうして民間から資本金を集めることは法律上禁止されております。したがって政府以外には株主がないという、これは鉄則でございます。
 したがいまして、もしこれだけの設備投資を普通の民間でするんならば、たぶんこの借金のうちの半分か半分以上は、これは当然増資でまかなっていたと私は思います。すなわち利子が要らないわけでございます。そういう意味で、この過去十年間を顧みますと、非常に急激な借金がふえた。その借金の利払いというものが非常に財政上の大きな圧迫になっている。これは事実でございます。ただ最近になりまして、いろいろ利子補給をしていただきまして、現在全部トータルいたしますと、支払い利子の約四〇%ぐらいは政府からいただいているという勘定になります。これは非常にマクロ的な見方でございます。まだ半額には満ちませんが、大体平均いたしまして七分数厘で借りている金が大体三分ちょっとになりますので、過去のもの現在のもの全部平均いたしますと、約三分前後ということになりますので、大体これは四〇%ぐらいを政府から払っていただいているということになります。
 その意味で、若干利子負担が少なくなったとは申せ、過去の債務はそのまま残っております。しかも、これは私ども返す能力がございませんので全部借りかえます。借りかえますので、そのまた借りかえ分の利子が要るということになりまして、借金は非常にふえてまいりますし、残念ながら昨年ことしの運賃のおくれたことを金部かりに借金でカバーするとしますれば、それは全部利子がつきます。したがって、この国会の御審議で運賃改定の時期がおくれる、これは私どもいかんともしがたいことでございまして、その分についても、やはり四十七年度は、あと始末は借金でいたしまして、したがって、その分だけ利子がふえていく。そういう意味で、私どもの経営外の要素というものがこの国鉄の経営には相当強いということは、率直に申し上げざるを得ないと思います。
 それが設備投資の面でございますが、今度営業収支の面から申しますと、確かに四十年度になりまして赤字に転落いたしまして以来収入の伸びが悪い。これはわれわれのほうの落ち度も相当ございます。私自身も責任を感じております。これはモータリゼーションに対する見方の甘さ、あるいは努力の不足、いろいろ原因があると思います。
 いずれにいたしましても、収入の伸び悩み、支出の異常な膨張、その中に、ことに先ほど申しました利子の膨大化ということなどが相当大きく響いておりますが、ただ営業収支の悪化、これ自身は、運賃を四十一年度、四十四年度二度上げていただきましたけれども、やはり現在の情勢で申しますれば、いまの運賃値上げは大体三年から四年しかもたないというのが偽らざる現状でございます。一般の民間ならば、利子の増大あるいは人件費のアップは収入増加で見合っているわけでございますが、収入がそう急激な大きな増加が期待できないとなれば、やはりどうしてもその分だけ経営状態が悪くなるというふうに申さざるを得ないと思いますが、ただそれが一般の私鉄その他でございますれば、ほかの事業でもって穴埋めをすることが認められている。私のほうは一切ほかの事業はできないというふうなことで、赤字の始末は全く鉄道の営業収支だけでほとんどカバーしているというところに、ほかの私鉄との違いがあるというふうに存じます。
 以上のようなことで、収支面から申しましても、これは私ども自身の努力に待つところが大きいと思いますが、設備投資の面におきましては、こういう公共事業であり、しかも非常に懐妊期間の長い事業である以上、今後とも――今度一兆五千億の出資をお願いすることになっておりますけれども、やはり設備投資につきましては、もし国鉄が設備投資をしなければならないということが前提だとすれば、これはぜひめんどうを今後とも見ていただかなくちゃいけないというふうに思います。
 さらにもう一つ、先ほどの収支のところで申し落としましたが、全体のいまの交通関係の需要から申しまして、国鉄全体の中で企業経営として成り立ち得る面と、どうしても成り立たない面がございます。これはいかに努力をし、いかに現場の職員がさか立ちして働きましてもお客さんがない、あるいは荷物がないということになりますと、いかに合理化をし、人を減らしましても、収支が成り立たない面があるわけでございます。これが現在二百六十線区の中でわずか八線区しか黒字になってない。あとの二百数十線区は全部赤字であるということにあらわれておるわけでございますが、この国鉄の企業経営の面の中で、いまやっております二万キロの鉄道の中で鉄道として当然収支の償わなければならない面、私鉄であろうと、あるいはだれがやろうとも、当然ある程度の――先ほど大蔵省がおっしゃいましたように、赤字を出してはいけない面と、それからいかにさか立ちしても赤字が出ざるを得ない面と、この二つがはっきりいたしております。これは昭和三十八、九年までは一応内部補助でもって、黒字の面でもって赤字を十分カバーできたわけでございますが、四十年度以降になりまして、結局過疎が進んだことによる赤字地域の輸送量の激減、それから幹線筋におけるモータリゼーションによる幹線輸送力の収支の悪化、この二つのために内部補助が思うにまかせず、結局赤字の面につきましては、これは輸送力の少ない面につきましてはどうしても赤字を露呈してしまう。しかし、これをじゃやめてしまったらいいかということで、これは去年ずいぶん御論議がありましたけれども、これはなかなかソシアルミニマムの維持ということで簡単にやめるわけにいかないし、私ども数年間努力いたしましたけれども、二百キロ足らずのものしかやめられない。これ以上やめることはなかなか困難だ。
 そういう意味で、どうしても道路と同じように社会生活の最低限を維持するために必要なものを国鉄がやるならば、その面と、収支の合う幹線の面とは少なくとも経営上分けて考えるというふうな考え方を認めていただきたいというふうに私は思っております。これは予算案のときにも政府によく私は申し上げております。ただ私がそう申しますと、一昨年非常に誤解を招きましたのは、国鉄は悪いほうをやめてしまいたいのだろう、そうしていいほうだけでぬくぬくといきたいのだろう、こういう非常に誤解を招きましたので、実はここ一、二年それを申してはおりませんが、そういう意味ではなくて、経理上はっきりしておく。これは商売として成り立たなければいけない面、これは成り立たなくてもしかたない面、こういうことをはっきりいたしております。その結果あるいは赤字になる場合もあれば、あるいは黒字になることもあるかもしれませんが、その際にあとのほうの、どうしても収支が成り立たない面については、これをどうしても維持しなければならないとすれば、ひとつ別の考え方が当然あるべきじゃないかというふうに思うわけでございます。
 これは私、今後の問題として政府に一応お願いいたしておりますが、やはり二万キロの鉄道をどんぶり勘定で一本に考えることは非常にむずかしい。やはり企業経営として成り立たさなければいけない面と、幾らやっても成り立たない面と、これは分けておきませんと――たとえば先般監査報告書が出ましたとき、また国鉄は赤字か。――やはり私ども四十万の職員に対する影響はたいへんなものでございます、これは。幾ら働いたっておれたちは赤字なんだ、世の中からばかなようにいわれる、総裁以下全部だらしないといわれる。これではなかなか部内の士気の高揚にはなりません。
 したがって、私どもからいたしますれば、二万キロの中でこの分は赤字でもしかたないのだ、しかし一生懸命やれと、この分は赤字じゃいけないのだからおまえたち働けと、こういうふうにいたしませんと、どんぶり勘定でとにかく四十何万いて三千億の赤字を出している。これではあまりにも部下の職員には私は気の毒だと思います。ですから、ほんとうに働かなくて赤字が出た面と、幾ら働いても赤字が出る面と、これはやはり区別してやりませんと非常にその士気に関する。いろいろ世間から御批判も受けておりますけれども、そういうことが、全然もう表現できないような深刻さでもって現場の末端職員まで響いているということは事実でございます。先般の監査報告書の三千四百億という赤字を見ただけで、やはり末端の職員までがっかりしてしまうということは、非常に私ども責任者として情けない次第でございます。これはもう少しわかりやすく、しかも世の中から誤解を招かないような姿でもって、もっと部内部外にもお話をしなければならないというふうに思っております。
 以上、たいへんお聞き苦しかったろうと思いますが、私の率直な考えを申し上げました。
#21
○森中守義君 いま三者から、それぞれ御意見を承りましたが、運輸大臣と大蔵省は、私の問いが悪かったのか、どうも次元が少し違う。ただし、いま総裁のは、まさに現状の告白だろうと思う。で、こういう国鉄の現状をおそらく認識をし、理解をした上でこういうかっこうになってきたとは思うのですけれども、一つもその告白が具体的に前向きの方向にいっていない。いま総裁の所信の表明を大臣及び大蔵省はどういうように受け取りますか。そして、それをどう対処していこうとするのか。私はあとの質問がまだこれに関連してありますけれども、あまりにも重要な総裁の告白ですから、総裁の告白に対して、どのような反応を示されるのか、この際ひとつ承っておきましょう。
#22
○国務大臣(新谷寅三郎君) 国鉄総裁から具体的にいろいろの御意見を率直に述べられたようです。しかし、国鉄総裁の意見は、運輸省としましては前々から、予算編成当時から承っておるところでございます。
 で、一つの大きな問題としましては、委員の皆さん方からもときどき御指摘がありますように、赤字線を維持する必要がある、それについては赤字が出るんだから、それについては一般の幹線の運営とは別に離そうと、いま国鉄総裁はそういう意味のことを言われましたが、そういう問題でありますとか、公共投資の、まあ公共負担といいますか、公共的な負担を課せられる部分がどんどん大きくなってきておるから、それはそれで切り離して政府がめんどう見るような制度にしたらどうか、こういうような考え方をもって言っておられると私は了解したわけですが、この問題はそういったことでいきますと、地方の各路線を見ましても、毎年毎年営業成績というのは変わってくるわけですね、その年その年で変わってくるわけです。それに対してどういう補助をするかということになりますと、非常にこまかく毎年各路線別に調べて政府の補助をどうするかということをきめていかなければならない。しかも、そういったことになってくると、制度的には――これは私もしろうとですから、会計の問題については、あるいは当を得ないかもしれませんが、前年の状況によって補助をするというようなことはなかなかできない、結局前々年の決算を見て予算を立てていかなければならぬ、こういうことになりがちだと思います。
 これは会計の点からいっても非常に困難な事情が伴うのじゃないかと思うのです。これは予算編成あるいは財政処理の技術的な問題にも関係するわけですから、私はこれはしいて主張するつもりはないんですけれども、そういう点で非常に現実的には困難が多い。それよりも、それでは国鉄総裁は士気の高揚にならないというようなことを言われますけれども、私は全体としまして、やはりこれは赤字を出しても政府が見てくれるんだというようなことでは困るので、とにかく国鉄が全体の業務について赤字を出しているんだから企業努力をしなければならぬというような、全体を通じてのそういうふうな士気高揚の方法をはかってもらいまして、政府としてはいろいろな具体的な問題を包括しまして、それについて国鉄の財政が再建できるような方法として、一方では出資もふやすし、それから政府の助成もするし、結局全体としまして包括的に考えますと、国鉄の財政が再建できるような方途を見出そうということで今度の案を出しておるわけでございます。これは再々申し上げましたから繰り返して詳しくは申し上げませんが、そういう趣旨で出しておるということでございます。
 もう一つの問題は設備投資の問題。これはさっきも申し上げましたが、非常に一方では企業性を持っておると同時に、国鉄に負わされた公共性というのがどんどん強くなってきておることは事実でございまして、その意味では、そういう公共的な色彩の強い設備、それから生じてくる利子負担でありますとか、いろいろな問題のために、国鉄の財政が悪くなっておるということも事実ですから、そういう設備投資に対しまして、政府がもっと、先ほど申し上げたように、さかのぼりまして、今度は相当思い切って設備投資をする予定ではおりますけれども、もっとさかのぼって、そういう公共性というものに見合った設備投資について、政府が自分の手で出資をしていったら、国鉄の財政がもっと改善されていくであろうということは考えられるわけです。この点は率直に先ほど申し上げたとおりですが、今度の一兆五千億の出資が適当であるかどうか、それで十分であるかどうか、これは御議論をいただきたいと思いますけれども、われわれはそういったことを考えて、いままでの規模から数倍する設備投資に対する政府出資というものを今度はやろうとしておる。これは国鉄の総裁が言われるのと私は同じ考えを持っております。
 これを今後ともそういう公共性の非常に強くなってきておる部分については、十分にこれを配慮しなければならぬという考えであることは言うまでもないのでございます。
#23
○森中守義君 ちょっと大蔵省に答えていただく前に運輸大臣、せっかくの御答弁ですが、やはり国鉄の現状認識が総裁と大臣の間にはかなり距離がありますね、どう考えてみても。本来私は、歴代のいかなる大臣よりも新谷運輸大臣が一番理解者だと、こう思っておる。であるにもかかわらず、いま総裁のお話と大臣のお話にはかなり距離がありますよ。この距離が縮まっていかなければ私は国鉄は生まれかわらぬ、こういうように思う。一ぺんひとつ大臣と総裁と立場を変えてみれば、もう少し現状認識が変化するような気もするんですが、残念ながら総裁の先刻の告白と大臣の国鉄に対する見方というものにはかなり距離がある、率直に申して。国鉄のやろうとする限界はもうこれまでだ、赤字を出すまいという努力をやってみても出ざるを得ない、こういう実は見解なんですよ。この距離をどういったように埋めていくのかというのが一つの問題。
 それからいま一つは、計画の実際問題としまして、十カ年間の投資計画というものは国鉄が求めたものですか、それとも政府がやらせようというものですか、その根拠をちょっとはっきりさせてもらいたい。この二点を大蔵省の答弁の前にもう一回大臣からお答え願いたい。
#24
○国務大臣(新谷寅三郎君) 初めのお尋ねの点は、確かにおっしゃるようにこの再建十カ年計画というものは、国鉄もこれでやりますといっておりますから、私は国鉄総裁もこの基本方針については違った考えを持っているはずがないと思いますが、ただ、あなたが御質問になって率直に国鉄総裁の気持ちを言ってみろ、こうおっしゃったので、国鉄としましては、この再建案にもちろん同意をして、これによって再建をしようとしておることはたしかでございますけれども、なお国鉄総裁のことばを借りますと、士気高揚のためにもそういったものを分けて考えてほしいんだ、こういうことを言われました。私はそれはとり方ですけれども、予算上そういったものを明確に区別をしてやることよりも、方法論として、いま出しているような方法でいったほうが、国鉄全体としては再建策にかえってプラスになるということを考えているものですから御答弁したわけですが、ただしかし、国鉄が、たとえば内部関係でこの各路線についてそういったことをやっておられると思いますが、そういうことを会計上収支を出されて、これは本来は赤字であってもしようがないのだとか、これはもう少し努力すれば赤字を解消できるのだというような、いろいろな内部関係でそういう会計上の措置をされるということについては、これはおやりになったらけっこうだと思っておるわけでございます。
 ただ、この再建案を、いま申し上げたような意味で変えることが望ましいということであるとすれば、それは国鉄もこの案について賛同して出しているわけですから、方法論としては、私は国鉄を含めまして、運輸省も国鉄もこの点については同じ意見を持っているのだというような意味で申し上げたわけでございます。その点については、なおよく国鉄総裁とも、こういういい機会ですから、十分意思の疎通をはかるようにいたします。これは実行上非常に必要なことですから、そういうことでいたしたいと思います。
 それから十兆五千億の投資規模の問題ですね、これは再建案をつくります段階で、むしろ国鉄当局から、この十カ年間に大体このくらいの投資規模、したがって工事というものを予定しておりますと、で、これを実行するための措置をとってほしいということでございますから、いまお手元に出しているような計画書をつくったのでございます。
#25
○政府委員(山本敬三郎君) ただいま国鉄総裁の率直な御意見を伺いまして、現在の再建計画のもとであります総合原価主義に対して、現場当局としての御意見があったわけであります。公共性と企業性という二つの問題、公共性が目的であって、企業性はその手段である。したがって利用者負担、国の助成、国鉄の努力、こういったものによって能率的な経営をやって、企業性を十分に発揮しつつ、その上で公共性を維持していくということに非常にむずかしい問題があるということを感じましたけれども、国鉄総裁自体も、この十カ年計画でともかく財政基盤を確立しようというお考えでありますので、将来あるいは検討すべき問題として残される点があるのではなかろうかとさえ、実は思うような状況でございます。
#26
○小柳勇君 関連。
 非常に重要な基本的な問題でありますし、私もこれはぜひ質問しなきゃならぬと思っております。きょうの森中君に対する政府の決意がどう示されるかわかりませんが、それによってまたあらためてやることもありますが、政府の姿勢が非常に不満です。運輸大臣の答弁も、大蔵政務次官の答弁も不満です。総裁がこのように言われたのは、いま初めて聞いたわけじゃないわけですね。総裁言っているように、もう四十四年の再建法を論議するときから口にしておるものです。そして昨年もそのようなことはちゃんと言っておる。あまり外国の例を言っても始まりませんが、たとえば一九六〇年にイギリスの国鉄は、借金を返済するために四分の一は帳消し、四分の二は無利子でたな上げ、四分の一だけを国鉄の借金として残して再建をしている。ドイツも大体そういうふうな方針でやっている。
 で、一九六〇年といいますと、もう十三年前ですね。そういう諸外国の例を考えながら、国鉄のこの累積する赤字をどうするかということが、いままでの国鉄の大きな課題しかも、それは日本国有鉄道です。さっき総裁も言いましたように、出資するものは政府だけではないか、そういうような国鉄の経営に対して、国鉄は国鉄総裁がやっているのだということで、一般的な、たとえば海運、航空あるいは陸運に比べてすら、よそものですよ、いままでの扱いが。したがって、もうどうしてもならぬことで今日ここにやってきた。昨年七兆円、ことしは十兆何千億になったではないかと、こういうことばも聞きますけれども、いままでずっと言い続けてきたものが、やっと政府がこれは何とかしなければならぬというふうに取り上げたのではないかという気がします。しかし、まだよそごとです、これは。
 私は運輸大臣にもいつも言っている――鉄監局長一体何をしているのかと、あるいは鉄監局の課長は一体何をしているかと、国鉄がやるだろうと、国鉄の意見を聞いて、政府部内のただパイプの役ではないかと。日本国有鉄道はもちろん国鉄総裁に営業をまかせているけれども、いわゆる日本国有鉄道ですよ、政府の鉄道でしょう。それに対しては、国鉄の総裁が言うその前に、ちゃんと大蔵省がこれを取り上げて、国会で告白させないようにやるのが日本国有鉄道じゃないか。これはまた総理にも、私はきびしく政府の姿勢を聞きたいけれども、いまの政務次官――特に政務次官の答弁などはよそごとですよ、それは。ただ法案を説明する局長の答弁ですよ、それは。そんなので大蔵省を代弁して、省の政務次官として答弁するのはもってのほかですよ。自分の問題になっていませんよ。まずひとつ運輸大臣が、国鉄は政府の日本国有鉄道であって国民の足だと、したがって国鉄総裁がああいう答弁をするけれども、もっとわれわれは真剣にこれを考えるのだと、政府の国鉄として考えるのだと、その決意を表明をしてもらい、そうして大蔵大臣は、それに対して金が、一体もっと――ただ国鉄がこれじゃやっていけぬから、これに援助するとかいうことでなくて、たとえばイギリスがやったように、いままでの借金でやっていけぬのだから、これは大蔵省としてこうしなければならぬと、方針を言ってください、ただ説明だけじゃなくて。もう一回答弁を求めます。
#27
○国務大臣(新谷寅三郎君) 私は、さっきも森中先生にお答えいたしましたように、政府の中では私が一番の責任を持っている閣僚でございますから、いまおっしゃったように、私はもちろんよそごとのようなことを考えておるわけはございません。運輸行政の中で、いまいろいろの輸送に対する需要が国民の中から出ておりますけれども、それに対処していくのには、やはり中核体である国鉄というものが立て直ってくれないと国民の需要にこたえられないという事実は、これはもう身にしみて感じておるわけでございまして、したがって国鉄が、今度のこの財政再建案によりまして立ち直ってくれて、そうして積極的に国民の輸送需要に対応するような対策をどんどん進めてもらうことを非常に期待もしておるし、それに対して必要な運輸大臣としての援助、それに対するまた関係各省との交渉というようなものについては、及ばずながら全力を尽くすという気持ちであることは、おっしゃるまでもないところでございまして、その点は御安心をいただきたいと思います。足りないとおっしやいますかもしれませんが、最大限のことをやっているつもりでございます。
#28
○政府委員(山本敬三郎君) 小柳先生からおしかりをこうむりましたけれども、私は率直に国鉄総裁の御意見を伺いますと、総合原価主義という問題についてやっぱり問題が残るということは、主計局の当局からは、そこまで話すことがいいかどうか疑問があったようでありますが、私はそういうふうに申し上げたつもりでありまして、決してよそもののように考えておるわけではありません。したがって公共性と企業性という問題について、非常にむずかしい問題を、ただいま直接に国鉄総裁から伺ったという気がいたします。抽象的には存じておりましたが、国鉄総裁からきわめて率直なお話を伺ったということで、私自身はよそもののようなつもりで国鉄を考えているのではなしに、まともに御答弁申し上げたつもりでございます。
#29
○小柳勇君 経済企画庁長官に聞きますが、いま日本の国鉄がこういうふうな借金で、地方のローカル線もどうしても廃止しなきゃならぬという線すら過去に出された事実があります。ところが最近になりまして、田中総理の列島改造論が出まして以来、運輸省の方針も国鉄方針も変わりまして、地方ローカル線も何とか生かそうという方向に変わりつつあることを私ども喜んでおりますが、全般的に、いま総裁が言ったように、どんなにかせぐにしても、旅客のないような過疎地帯の鉄道でも残していかなければならぬという国民の希望がありますね。こういうものを政府の責任としてどうするかということを検討しておるのかどうか。その点をお聞きしましょう。あと具体的には私の時間で質問しますから。経済企画庁長官に聞きましょう。
#30
○国務大臣(小坂善太郎君) 運輸大臣が御専門の立場で、いろいろ申され、また国鉄総裁の答弁があったわけでございますが、私など、むしろそういう運輸行政そのものについては、しろうとの立場で申し上げるわけでございますけれども、私は国鉄というものが約二万キロあって、そのうちの半分が地方の、いま問題になっている非常に収益の低い線であるが、地域的には非常に必要なものであるというふうなものではないかと思っておるのでございます。
 そこで問題として、その地方線の中で、地方閑散線と申しますか、全体としては過疎の影響をまともに受けているという地区があるわけだと思うんでございます。昨年の案におきましては、この閑散線を整理するということをあからさまに出して提案されたわけでございますが、国会の審議を通じまして、先生方の御意見も、非常にそういう点については、やはり地元住民の気持ちというものを強く反映するべきであるということが、与野党通じて非常に顕著であるということが明らかでありました点にかんがみまして、今年の提案はそういうことをあらかさまに出していないということは、ただいま御指摘のとおりでございます。
 そこで、この国鉄というものが国民の足として、輸送の大動脈をになっているものである、しかもこれが、大都市における通勤輸送あるいは通学の輸送あるいは地方都市との間の連絡あるいはまた、いま申し上げましたように、非常に地方によって収益的にはペイしにくいものであっても、その地元のためにどうしても必要なものであるという、いろいろな要素をかかえておりまするので、結局これを一万キロずつに分けるというようなふうに考えることではなくて、やはり国鉄というものを全般として考えていく、そしてその再建をどうするかということを考えますと、いま御提案申し上げておるような、十カ年を見通した、国も援助し利用者も負担をする、しかも国鉄自身の経営努力にも待つというこの案に戻ってくるんじゃないか。いろいろなことを考えますけれども、これについてはそういう方針のもとに、それじゃどのくらい国が出す、どのくらい利用者が負担するというふうになると、いろいろ御意見があると思いますが、それを国会の先生方の御審議によって、この法案の内容とするところのものが御支持があればそういう決定になるし、それではいかぬということになれば、決定されないというものではないかというふうに存じております次第でございます。
#31
○森中守義君 そうなりますと、少しこの項だけでも午前中に終わりたいと思いますが、もう少し中に入らせてもらうならば、一体独立採算性とは何なのか、これはしばしば、あらゆる場所であらゆる人から議論が提起されておりますね。なるほど大蔵政務次官は公共の目的を果たすのが第一義的である、独立採算はその手段だ、こういう御説明があった。ところがその手段と目的が、位置が変わるかどうかという議論はあとにしましても、手段としての独立採算というのは、はたして可能な現状に置かれているかどうか。
 言いかえるならば、私は財政当局の国鉄に対するものの見方、措置のしかた、ここに非常に大きな問題があると思う。さっき運輸大臣は、こうなったのは運輸大臣の責任だと、こう言われるけれども、私があえて財政当局もその責任の大半があるぞと、この指摘は何を意味するかといいますと、この前の委員会で、私は三十八年の国鉄に対する建議事項が出たということを中心にいろいろ申し上げたんですが、いろいろ検討を加えてみると、かなり遠因があるんですね。むしろ今日の国鉄になったのは、その遠因にさかのぼる必要がある。つまり昭和三十年代の初期における、やれ神武景気だ、あるいは天の岩戸景気だ、こういう時代の問題なんですよ。当時しきりに言われていたのは、日本の産業の中で鉄鋼、電力、国鉄、この三つが大きなネックだと言われておったんですね。しかるにその当時、財政当局は、開銀と電力には巨額の投資行なった。それで電力と鉄鋼は立ち直った。国鉄は放置されてしまった。その後池田所得倍増政策等がからんできて、非常に輸送の態様が変わってきた。
 これは偶然や偶発、そういう意味で国鉄は今日なっていない。なぜその当時に電力、鉄鋼と同じように財政の措置をとらなかったのか。これがもともとの出発だと私は見ている。ですから、そのことがいまなお国鉄に対する財政当局の発想に一つの誤りがあるじゃないか。一体独立採算とはどういうことなんです。いま申し上げるように、もう二十年近い以前そういう差別扱いがされた。一体その背景をなしたものは何であるのか。国鉄は百年の歴史を持っている。当時は八十年だったわけですね。体力がある、まあどうなったってこれがどうということはないだろうという、そういう安易さがあったのか。他にどういう政治的な背景があったのか。そこまで私はつまびらかにできませんけれども、少なくとも三十年代の初期に、今日の国鉄が逢着をすべき原因をつくっていると、こう思う。
 だとすれば、私はこの際は、運輸大臣と国鉄総裁の間にやや見解に距離がある。大蔵省に至っては、距離というより壁がある。財政当局の国鉄に対する壁を破らなければどうにもなりません。それで私は、一体独立採算ということは何なのか。収支償うものでなければならぬという原則、この原則は守られておるかどうか。守っておりますか。おそらく国鉄並びに運輸省は、毎年の予算編成にあたり、この辺のことを財政当局との大きな議論の中心にしていると思う。ところがどうなんだ、新聞等で伝えられる財政当局の単年度における予算編成の状況はどうなんですか。少なくともそういう長期性を持っているのか。この年は税収はこのくらいだから一般会計このくらいにしよう、財投このくらいにしようという、卑俗な言い方すると、予算のごろ合わせ等が中心であって、ちっとも長期性になっていないじゃないですか。しかし国鉄その他の公共企業等は、かなり長期の展望を求めながらやっていきませんと、これはどうにもなりませんよ。そういう予算編成の方針にも問題がある。まあこういうことを含めながら、さて独立採算というんだが、収支相償うような状態になっているかどうなのか。これをひとつお答え願いたい。
#32
○政府委員(山本敬三郎君) 国鉄の現状が独立採算を全うする状況になっていないことは明らかであります。その原因は、先生のおっしゃるように、昭和三十年代における国鉄に対する投資の立ちおくれというようなところに問題があったということは確かであったと思います。当時の考え方というのは、日本経済が資源のない国でありますから、国際競争力をつけようと、これが最大の実は国民のコンセンサスを得た高度成長の根幹であったわけであります。したがって鉄鋼でありますとか、そういったものを含めた根幹になります電力、そういった産業助成という方向へと国の方向が進んでおって、今日いわれますような、生活を重視するというような面に欠けていたという点は確かにあったと思うわけであります。しかし、また先生の言われるように、国鉄は表面の資本金は少ないにしても、再評価すれば相当なものもあるというような、八十年の歴史といいますか、国鉄自体の持つ体力、そういったものにオーバーな考え方を持ち過ぎていたという点があったことは事実だろうと思います。
 そこで政府の財政の上で、やっぱり資源配分機能が十全ではなかったやことにモータリゼーションのもとをなします道路投資と比較いたしますときに国鉄に対する投資は非常に立ちおくれたと、こういう点も事実あったと思うわけであります。そこで今度の場合には、十カ年間で国鉄の新しい投資をしていきながら、しかも国鉄の財政を再建しようと、国鉄総裁が言われたように、非常にむずかしい道ではありますけれども、そういった前向きの形で、独立採算制といいますか、収支を全うしていく計画を立てる、こういうわけでありますけれども、財政の問題は長期財政を直ちに取り上げるというようなところまでいっておりません。単年度主義が財政の基本になっているのは事実でありますけれども、国鉄の長期収支の試算をもとに各種の助成をやっていって、何とか総合的に国鉄財政を健全化せしめたい、こういうふうに考えてきているのでありまして、過去に比べるとかなりの大蔵省も思い切った考え方に転換しつつある、こういう点を御理解いただきたいと思うわけでございます。
#33
○森中守義君 まあ発想の転換を始めたと言われるけれども、これは三十年代を現在に引き直した場合どうなりますか。いま私は電力と鉄鋼の話を申し上げた。これは政務次官は肯定をされた。ところが企画庁長官の手元で作成をされた新しい経済基本計画、そしてまた目下提案をされている列島改造にも関連をする法、こういうかなり生産性が高まってる、在来の七・二%が九・四%に引き直される、あるいは田中理論からいけば一〇%に上げるんだと、この中に、一体運輸、交通、輸送というものが、そういう線引きの中に、どういう位置として格づけされておるのか、へたなことしますと鉄鋼、電力にいま言われたような考え方で相当思い切った投資が行なわれたので、それが産業界に非常に大きな寄与をした。
 しかし明らかに運輸に対する配慮というものがなかった。何としてもこれは政策の欠陥ですよ。その欠陥を一つ過去の歴史の中に持ちながら、いまやろうとするのは何なのか。内容が多少違っているとは言いながら、つまり政府助成という意味ですね、そういう意味で若干の進歩を見たという説明ですけれども、しかし、そのことがこれからの産業体制をどうささえていくのか、どう対応するかということになると、これは大いに問題がある。十兆五千億の投資をやる、その中に見えているのは幾らですか。まあ私は金額の多寡はこの際おきましょう。けれども、現在の国鉄がはたして独立採算を可能にするような、そういう財政環境、経営環境の中に置かれているかどうかという問題ですよ。これは運輸大臣どうなんです。はたして国鉄が、目的は別にあるけれども目的を果たすための手段だとこう言われるから、その手段において目的が果たされる、すなわち独立採算が完全にペイできるような経営環境、財政環境に置いているかどうかです。これはひとつ御両者から正確に承りたいし、また企画庁長官もせっかく来ていただきながら、まあ午後にお尋ねしようと思っているものですから、あれしておりますが、閣僚の一員でもありますし、特に経済調整の主役ですから、そういう意味から、企画庁長官はどうこの辺お考えなのか、ひとつ二大臣及び財政当局からのお答えをいただいておきたい。
#34
○国務大臣(新谷寅三郎君) この独立採算制というものについてお尋ねがあり、国鉄がはたして今日独立採算制でやっていけるのかどうかと、こういう第二弾のお尋ねがあったと思います。
 独立採算制というものは、これは非常に沿革的なものでございまして、日本国有鉄道法ができたのは昭和二十四年、これはおそらく記憶によりますとマッカーサー指令によって、公共企業体というのができまして、その趣旨をもとにして国有鉄道、それから電電公社、専売というようなのができたと私は記憶しております。その当時の状態から言いますと、公共企業体でございます、先ほど申し上げたように、一方では公共的な性格を多分に持っておるけれども、やはり企業性を持った事業であるということでございまして、それを反映するような法制が現行法としてもたくさん残っておることは事実でございます。国有鉄道法の四十一条でございますか、会計のほうはこういうふうにやれと、損失があった場合にはこうしろ、利益があった場合にはこうしろというようなことがございまして、これは企業体として会計を独立採算のたてまえでこういうふうに持っていけということが書いてあります。それから国有鉄道運賃法によりましても、これは四原則というのは解釈をし、運用するのがむずかしい規定でございますけれども、やはり底を流れているのは、収支が償うようなことを目標としてやれというように見えます。私はそういうふうに解釈しておりますが、しかし、そういった独立採算制、つまり収入をもって支出に充てる、自分の力で、というような制度が今日守られているかというと、これは先ほど来申し上げているように、今日では純粋の独立採算制というものは国鉄では行なわれていないということは、もう事実でございます。ということは、他の公共企業体と違いまして、これは外部的な事情もあったと思いますが、国鉄自身が社会に対してしょっておる役割りというもの、これが非常に公共性の強い部分が強調されてまいりまして、国民も、あるいは社会も、それに対して非常な期待を持ち、またそれを国鉄がやらざるを得ないというような状況がどんどんどんどん高まっておりまして、今後もそうだと思います。
 そういう意味におきましては、国鉄が今後とも、そういう公共性というものを自分の企業性の中に巻き込んで、独立採算制を堅持していくということは、これは私の見方ですけれども、将来とも困難であろうと思います。したがいまして、国鉄に対しては、ますます強くなってくる公共性というものに対応して、政府が十分なそれに対する助成をし、援助をするということは、これは国鉄を維持していく上からいって、当然やってもらわなきやならぬことであると考えておりまして、運輸省といたしましては、関係各省と協力をしながら、また関係各省に要請をしながら、国鉄の本来の使命を達成できるようにしなきゃならぬというのが今日の国鉄に対する一番大きなわれわれの責任であるというふうに思っております。
#35
○国務大臣(小坂善太郎君) 運輸大臣のお答えで尽きておると思いますけれども、私の立場で一言だけつけ加えてさしていただきますると、総合交通体系の中における国鉄の位置づけというものは、御承知のように、閣僚協できまっておるわけでございますが、すなわち大都市におきまする通勤通学、それから地方都市間の交通、さらに大量の貨物の輸送という問題があるわけでございます。
 まず第一点の大都市内における通勤通学というものに対する輸送関係については、これはまあ非常に、国鉄総裁も言われましたように、コストがかかるわりあいに利用者から多額の料金を取るわけにいかないという性格を持っておりまして、その面では赤字が当然出ていくような関係になるわけだと思います。
 それから大量の貨物輸送でございますが、これまた産業の動脈として非常に必要なことでございまするが、これまた物価の面で著しく料金を上げるというわけにはいかないと思います。さらには、先ほど触れました地方閑散線の問題もあります。国鉄の公共性に対する期待が大きければ大きいほど国に依存する面も多いというふうに思うわけでございます。この点では、先ほど大蔵政務次官もおっしゃいましたが、道路投資と国鉄投資との均衡、これは十分今後大きな課題として考えていかなくちゃならぬ問題であるというふうに思っておる次第でございます。
#36
○政府委員(山本敬三郎君) 両大臣の答弁と同じようなことを考えておるわけでありますが、企業性を保つためにはやっぱり受益者負担、国鉄の企業努力、政府の助成、この三つをかね合わして、適当なバランスでこの三つを強化していくことによって、公共性を保っていくという考え方をとるべきではなかろうかというふうに考えております。
#37
○森中守義君 磯崎総裁、先ほど来ずっといろいろお話を承ってきましたし、また私も多少の意見を述べているわけですが、この独立採算というのも原則ははっきりしているんですね。そこで国鉄自体としては、あれもやりたい、これもやりたいと、いろいろ計画はお持ちでしょう。ところが、いかに国鉄といえども、政府の政策あるいは方針、こういうカテゴリーの外にはない、ワクの中にあるわけですね。
 そこで、たとえば過大な設備投資をかりに政府が要請している、たとえば新線計画をやってくれとか、あるいはまた公共負担をやってくれと、いろいろな問題が介在してくるわけですね。そういう場合に、あくまでもこれは仮定の話ですけれども、総裁の決意としては、一体採算というのはどこにあるんだと、歴然とこれは赤字が出る、債務を生ずるということが非常に明確であるような場合、そのことがこれは国鉄のになっている公共性という立場からせざるを得ない、けれども、おのずから、独立採算というものを考えた場合には、おのずから限界がある、はるかにその限界を越えて、いかにも国鉄の経営が窮地に追い込まれるという、そういう事態の発生を認識した場合、もう私は、いやそう不当なことを言われても困る、やりましょう、けれども裏打ちがありますかというような、この姿勢が実は国鉄にほしい。まあいままでやってこられたとは思いますけれども、しかし結果的には、やってきたんだが押し切られたという、まあこういう実は流れの中にあるように思う。
 しかし、その姿勢を国鉄は持ちませんと、これはもういつまでたっても結着つかないと思うんですね。だから、そういう意味で私は、何としても国民の足である国民の国鉄ですから、政府に言うべきことは言う、求めるべきは求める、いやならばいたしませんという、まあこういう決意が国鉄にあってもいいように思うんですが、在来の経験に照らしてどうです。そうしていまこういう独立採算がまさに崩壊状態にある。しかも政府助成ということは一つも原則を踏まえていない。まあこれはこれからの議論にしますがね。そういう意味で、総裁の、今日四十数万人を代表する最高の責任者としてどうお考えになりますか。
#38
○説明員(磯崎叡君) いわゆる独立採算の問題は、同じ公共企業体でありながら、電電公社は政府から一銭も金をもらいませんし、財投も借りないというりっぱな仕事をしておられます。ですから独立採算ということば自身は、それは企業によってやれないことはない原則だと思います。
 しかし現在の私のほうの状況でまいりますと、すでに昭和四十三年から政府から助成をいただいております。したがって厳格な意味で、自分の収入で自分の支出をまかなうという意味の独立採算は崩壊いたしております。昭和四十三年以来崩壊いたしております。現在は相当、収入の何%という巨額な政府助成をいただいておりますので、正確な意味では、電電公社と比較いたした場合には、電電公社は純粋な独立採算制であり、国鉄はもう独立採算制が破れたということを率直に両方比較すれば申し述べられるというふうに思います。
 そういう状況のもとで、もちろん政府からも話がございます。一番よくございますのは、たとえば国会でもそうでございますが、運賃の割引でございます。まあこれらにつきましても、三十八、九年まで、とにかく収支の償っていた時代には、できるだけのことはいたしましょうという意味で、相当広範な運賃の割引にも応じておりましたけれども、もういまやできない。逆に申しますれば、貧乏な国鉄はとても社会福祉事業まで手を出せないというふうな意味もあって、もう運賃割引はぜひ関係各省で御自分でやっていただきたい。たとえば最近の身体障害者の問題でありましても、設備――車両の改造とか、あるいは駅の便所とか、これはできるだけのことを身障者にさせていただきますけれども、運賃の割引はひとつぜひ厚生省でお願いしたいというふうに、はっきり予算委員会でも申し上げております。したがって私のほうで当然設備的になす、輸送的になすべきものは、これは当然いたしますけれども、金を割り引くということだけはひとつかんべんしていただきたい、これはぜひそれぞれの主管の省でもってやっていただきたいという意味で、まあ厚生省にぜひお願いしたいというふうに申し上げた。そういう意味で、今後やはり経営の面でもってそういう御要請があった場合には、これはおのおの筋がございますので、おのおのの筋でもってひとつ御負担願って、そして私のほうは私どもなりに、輸送サービスとして提供させていただきたいというふうなことを強く申し上げるつもりでおります。
 それから設備投資の問題でございますが、これはいろいろ内容がございます。で、最近の新幹線の問題、あるいは建設公団のやっておりますABC線の問題非常に度合いは違いますが、いずれも非常に公共性の強いものでございまして、これが必要か必要でないかということは、交通業者としての、交通機関担当としての私どもが判断するよりも、国会なり政府なりという高い次元で、国民生活上そういうものが必要かどうかということを御認定になった上で、必要だとおきめになったものは、これは私どもがその仕事をすると、これは当然だと思います。したがいまして、新幹線の問題にいたしましても、新幹線の整備法ができて、あれによって国が新幹線を建設していくんだと、おまえのほうはこの仕事をやれとおっしゃれば、これはもちろんいたします。しかしながら、その際に、それが非常な財政負担にならない、国鉄財政として大きな財政負担にならないようにはぜひしていただかなければならないという意味で、今回も政府の出資をお願いし、また利子の三分という、いまちょっと考え得る最低の利子にしていただいたということなども、仕事の公共性的な必要の面と、それを実際私どもがやる場合の財政的な影響の面と、この両方を考え合わせて、そろばんをとると申しますか、きちっと目安をつけた上でお願いをしているわけでございますが、いまの新幹線の問題あるいは通勤の問題、これなども、さっき企画庁長官がおっしゃいましたけれども、実際利子にも合わないような運賃しか取れないということでは、やはり利子をよほど下げていただかなければならないということで、これも相当下げていただきましたが、私どもは昭和四十二、三年以来、通勤はもう少し政府も出資していただきたいというお願いをいたしておりますし、それらにつきましても、今後もう少しめんどうを見ていただけたらという気持ちを持っております。
 それから新線の建設でございますが、いわゆるAB線は、御承知のとおり、利子と償却費は全部政府で持っていただいておりますので、私のほうはもう経営上の赤字だけでございます。これは金額的にはさしあたりたいしたことはございませんが、今後非常に大きなAB線の建設が進められるとすれば、それから出る経営上の赤字も決してばかにならない金額だと思います。
 いま問題になっておりますのは、いわゆるC線と申しまして、建設公団がやっておりますが、有償線区というようなことでございます。これは建設公団法をつくりましたときに非常に国会で問題になりました。有償、無償の範囲はどこだということが問題になりましたが、C線はちょうどその中間にございまして、いま私どもは使用料を払っております。そういう意味で、それらの問題も今後の鉄建公団のやりますいわゆる大正十一年の鉄道敷設法に基づく鉄道建設、新幹線でない、大正十一年の法律に基づく鉄道建設、これは当然全部赤字でございますが、それらについて資本費をやはり国で負担していただかなければならないということなどについても、いろいろ事務的なお願いをいたしております。
 そういう意味で、私のほうといたしましては、設備投資につきましては、それが要るか要らないかは私のほうだけの狭い見解でなくて、やはり国全体としての高い立場から、あるいは国会としての立場から新幹線が要るなら要るとおきめになりましたら、その仕事は喜んでいたします。しかし、それが後世にわたって鉄道の財政負担にならないようにぜひしていただきたいということで、たとえば青函トンネルを掘る際にも、国がどういう条件で建設公団に金を貸すのか、それができた暁には私のほうの経営に影響してくるわけでございますので、鉄建審その他におきましても、十分それらの点について御要請はしかるべき公式の場所でお願いをし、また活字に残して、今後とも人が変わっても事柄が変わらないようにいたしておるつもりでございます。まあ個々具体的な問題になりますと、なかなか一がいに申し上げられませんが、立場といたしましては、その工事の必要性は、これは国なり国会なりが認定される。工事をやったあとの経営上の――さしあたりは大体マイナスであります。そのマイナスについてはひとつ国でもって見る。これは見る見方はいろいろ見方があると思いますが、めんどうを見ていただくというふうな考え方でやっております。
 幸い今度の十カ年計画の中には、新幹線ができると、さしあたりそれは、何べんも申し上げますように、当分利益は生みませんが、しかし、これがある時代には相当利益になって返ってくる、数年後には償却後に黒になるというふうなこともはっきりいたしておりますので、さしあたり今度御決定になった程度の利子補給でそれほど大きな財政負担なしにやっていけるという見通しの上でお引き受けした次第でございます。
#39
○森中守義君 たいへんことばはやわらかいですが、ほぼある決意を読み取りました。しかし、まだ弱いですね。むしろ私は、国鉄みずからがある種の選択権を持つぐらいの勇気がほしいと思う。それは午後、具体的に国鉄がかぶっている一つの負担というものをもうちょっと克明にやっていきたいと思う。
 そこで理事のほうから、君いつまでやるんだ、たいがいにやめぬかいと、こういう指示もありましたから、午後にまたお尋ねすることにいたしますが、これはいま答弁いただかなくてもいい。午後の初めにしてください。要するに国鉄の独立採算というのは完全に崩壊し切っている。これが完全に維持できなければ、公共の福祉の増進という目的はやや困難だと思うのですね。そこで一体、国鉄はどうなのか、政府はどうなのかという、この折り目をつけようじゃないですか。原則をはっきりさすべきだ。そこで、この原則とは何かということになりますと、ただ目安や算術計算で一兆五千億の出資をいたしますとか、あるいは金利をたな上げにする、利子補給をするというような、こういうことではやっぱりまずい。ちっとも整理できていないのですね。ですから、たとえば設備投資のこの分野については政府が持つ、公共負担のこれについては政府が全額負担するという、そういう一つのけじめをつけるために、やはりこの際は公共負担法、もしくは整備負担法、設備負担法、何かそういうように政府、国鉄間の取りきめが法律事項として確立できるような、そういう措置がこの際は必要ではないか。それをやっておきませんと、さて十年間たってどうなるか、これはやっぱり疑問が残りますよ。
 だから相なるべくは財政当局の気分次第で、お天気次第で出す出さぬというのがきまるようなことでは困るので、これはやっぱり国民の合意を得るという意味で、法律事項として投資負担法ないしは公共負担法という、そういう折り目をこの際はつける必要があろう。この問題を午前中提起いたしまして、午後の冒頭にひとつお答えをいただくことにいたしまして、午前中の質問はこれで終わります。
#40
○委員長(長田裕二君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時三十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十五分開会
#41
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
 午前中の質疑に対する答弁、新谷運輸大臣。
#42
○国務大臣(新谷寅三郎君) 午前中の森中先生の最後の御質問に対しましてお答えをいたしますが、御質問の趣旨は前々からお述べになっていることでよく了承しております。もう少し具体的に言いますと、現在われわれが提案しておりますような国鉄に対する助成方式では、今後、国鉄が国の要請に応じて行なう非採算の公共的な事業から発生する赤字を十分防止できないと思うので、公共性が強くなったということに起因して、赤字になることが初めから明瞭な、たとえば地方の赤字線であるとか、通勤通学の建設、運営であるとか、こういったものについては、その原因を分析検討して、これらについての補助の基準を明定するような、まあかりに名前をつければ、公共負担法というようなものをつくったらどうかと、こういう御所見であったように拝聴いたしました。
 これは御趣旨についてはよく私も理解ができますし、むしろそういうことが実行されるということを前提にして考えますと、国鉄の財政再建は、その部分においては非常に安定するということは事実であろうと思います。そういう意味においては、これは確かに一つの御見識であろうと思いますけれども、ただ私は、方法論といたしまして、必ずしもこの方法にすぐに賛成というわけにはいかないように思うんです。といいますことは、こういった個別的に公共負担の部分を、これについてはどこまでが公共負担であって、そうでない部分はどの部分だというような振り分けをしなければならぬ、これは私は非常にむずかしいことだと思うんです。国鉄のやっております事業全体が非常に公共的色彩の強いもので、中でも国鉄にまかせておいたのではいけない、むしろ政府が、国が責任を持たなければならぬような部分が相当強いのではないかというような部分を抽出していこう、こういう努力をしなければいけないと思うわけですけれども、どこが限界点か、たとえば午前中にお話のございました二万キロの中で一万キロというようなこと、これはほんとうに一万キロがいいのか、あるいはもっと高くなるのか低くなるのか、そういったことについての具体的な判定ということは非常に困難である。通勤通学の輸送問題にいたしましても、どの部分が公共負担の強い部分で、こういう負担法の対象になるような部分だということの判定は、なかなか困難であろうと思います。将来を考えますと、いま現在でもある程度そういうことは言えると思うのですが、かりにそういったことをいたしまして進んでいった場合に、これは特殊な現在の現象かもしれませんが、いわゆるオペレーションコストというのがございますね、オペレーションコストさえもまかなえないような現状ということを考えますと、そういう負担法によって処理しなければならぬという部分が、相当にこれはフレキシブルに考えていってやらないと、ほんとうに財政再建にはつながっていかないという心配もあるわけでございます。
 これは単に、国鉄の努力とか国鉄の設備改善とかいうことだけではなしに、やっぱり全体の経済状況、社会状況の変化というものに順応して国鉄というのはサービスしていって収益をあげていくということでございますから、そういう社会の変化というものとの対応でどうするかということになりますと、非常にこれは流動的な要素が多分にあるということでございます。そこで、これは私のほうの、これだけが唯一の意見であるということは申しませんけれども、いま提案しておるような、結局個別助成の方法ではなく、総合的な助成方法というもののほうが、かえって国鉄全体の財政再建という上からいうと効果的じゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。
 で、これはあなたがよく知っていらっしゃることですが、外国の例を見ますと、なるほどある時代には総合的な助成方法をとった国もありますし、ある時代には個別的な助成方法をとっているのもございますし、いろいろございますが、そのときの国鉄の状況、これは外国の国鉄というものは、御承知のように、わりあいに日本の国のようにどんどん新しい設備投資をして、新しい輸送ルートをふやしていこうというような努力が、最近では外国ではほとんどないことは御承知のとおりですが、日本はそれと全く逆でございます。そういうような具体的な事情も反映されると思います。そういった点を彼此考え合わせますと、私は御趣旨はよくわかりますけれども、方法論としましては、非常にむずかしい問題だと思います。
 しかし、お考えの流れておる思想というものはよく理解ができますので、私としましては、将来にわたりまして、制度的にどうするかという問題を考えます場合に、お示しになったような考え方を十分参考にし、尊重しまして検討を進めたい、こう思うわけでございます。
#43
○森中守義君 たいへん大臣のいまの御答弁、やや満足するような気もいたします。ただ、もう少し私は、こういう機会であればこそ、やはりはっきりさしておく必要があると、そう思うのですよ。
 なるほど大臣のお述べになりましたように、現状では確かに財政援助ということがあって、しかもそれには、いわゆる柔軟性もあり、あるいは弾力性もある。ただし現実的にこれを引き直してみた場合に、その柔軟さ、弾力さというものは、はたして国鉄の独立採算に対応できるのか、ささえになっているかというと、必ずしもそうでないのですね。どちらかというならば、時の財政事情あるいは大蔵省の国鉄に対する一つの観点、こういうようなことがかなり柔軟さと弾力性というものを左右してきていると思うのです。ですから、そうではなくて、何も制度化する、あるいは規律化するという必要ないくらいに、異常な配慮をしながら、在来ずっとやってきておれば、これはまた問題ない。ところが、残念ながら、実績としてそういうものがないんですよ。これは大臣も、あるいは総裁も、年々予算折衝に当たりながら、概算の要求ではこうであった、さていよいよというときにどうなのかといいますと、なかなかこれは、私どもがはたで見ていましても、しかも予算折衝の背景等を見ていてもうまくいかぬのですね。その点が実は財政当局にも、予算編成が単年主義であって、長期的しかも継続的でないじゃないか。しかも運輸省も大蔵省も、そういう意味では、やや同じでしょうが、実は四十四年のときの計画の立案者、提案者というのが、もうその後みんなかわっちまっている。大臣も二人や三人かわられましたね。局長もやっぱりそのとおり。それから大蔵省も、主計官がいても次長がいても主計局長がいても大臣がいても、やっぱり一つのものを長期的にずっと手をつけていくということが実際問題としてできない。いまの主計官は非常にものを見る目が、少なくとも公正であり、よかった。さてこの次の主計官はどうなのか。そのあとはどうなる。主計局長や次長や次官や大臣どうかといいますと、これは行政庁のことですから、そういう私見等によって次から次に一つのものごとが変えられていくとも思えませんけれども、やはりそこは人ですから、必ずしも国会の議論というものがそのまま反映されて、あのときに参議院で、あのときは衆議院でこういう意見が出た、大臣がこういう答弁をした、大蔵大臣や政務次官がこういう答えをしたということが、さてどこまで踏み絵になっているかということ、そういかぬのですね。
 ですから私は、何としても弾力性あるいは柔軟性というものが、この財政援助という意味合いの中にあるにしましても、これはやっぱりこのままにしておく必要はなかろう。私は端的に言うならば目的がある、目的を完成するための手段がある、その手段がきわめて不安定であれば目的を達成するわけにいかないということであれば、これもきわめて正確にということにはならないでしょうけれども、やはり制度として確立をして、この分野については、政府は責任をになう、義務をになうという、そういう拘束力といいますか、やや方向として確定した財源が提供できるという、そういう措置をとるべきではないか。これが一応三十年代の初期の状況をちょっと引用したわけですけれども、私は今回のこの再建計画の元素がその辺に置かるべきじゃなかったのか。
 まあこれが、正直に言って再建計画の原則的な実は不満な点なのであります。そういうことをきちんと整理されておりますと、そうなると、午前中に、いや一切の責任は私なんだと、こう大臣が言われるまでもなく、国鉄の経営管理の責任がそういう状態であれば、ある程度言えるわけですね。しかし、いま国鉄総裁に、経営管理上の責任があるかと、こう聞きましても、かりに総裁が、いや私にもその辺の一端の責任がありますと言ったらこれはたいへんですよ。私はそういう意味では、枝葉末節に至る経営管理上の責任は、これはあるでしょう。けれども基本的な今日の債務、赤字という根本においては、全然国鉄総裁に責任がない、こう思う。
 ですから、その辺の責任体制を明確にする、財政の確立をより確度の高いものにしていくには、どうしても制度化しておく必要があるんじゃないか、こういうことがこの案の中に出ておれば、おのずから私どもの二案に対する見解というものは異なったものになったでしょうね。それがないところに、繰り返すようで恐縮ですが、同じようなことを繰り返しているではないか、いつ国鉄はよくなるんだ、政府は国鉄が大事だと、こう言いながら、何をめんどう見ているんだ――元来めんどうを見るなんていう言い方それ自体あまり適当じゃありませんがね。これはやはりその辺の折り目をつける必要があるんじゃないか、こう思うんです。それで運輸大臣の御所見はわかりましたが、財政当局はどういうお考えですか。
#44
○政府委員(山本敬三郎君) 森中先生の御指摘は、個別積み上げ方式で助成をしていけ、外国にも例があるではないかと一こういうお話でございます。そのほうが国鉄の財政の健全性により資するゆえんではないか、こういうお話でございます。
 しかし、ここに提案されております国鉄の長期収支でごらんになりますように、政府の助成金、利子補給金あるいは政府の出資金等は、法案が成立いたしますれば、閣議決定されることになるわけでありますから、当然大蔵当局としては拘束されて、いわば当然増経費というふうに考えるべき性質のものだと、こういうふうに考えるわけであります。したがって、この計画で総合助成をして、十年後にある程度再建の見通しが立つというやり方も一つあるわけでありまして、運輸省及び政府としては、こういう総合助成の方法を御提案申し上げているわけでありますから、先生の御意見も十分納得できるところではありますけれども、この計画でひとつ進めさしていただけたらどうかと、こういうふうに考えておるわけであります。
#45
○森中守義君 ちょっと政務次官、とにかくこの場を何とか終わればいいというものではない、また私も、いまここで一発勝負で、さあこれで話がついたとは思いませんよ。ただここに示されている案、その内容は相当大幅な助成を財政当局はしているじゃないかというような、単なる精神論だけで済まないんですよ。だからこの計画を、いまにわかにどうするという議論までは私は発展していない。
 しかし重要な課題として、制度的なもののあり方としどとうなんだ。――よろしゅうございますか。ですからここで金額の多寡を、財政援助の箱が少ないよとか多いよとか、そういう議論が中心でないんです。結局国鉄の持ち分、国の持ち分、ここに打り目をつけようじゃないか、こういうことなんで、とにかくこれを出しておりますから、あまりむずかしいことを言わずに頼みますよというのは、これは運輸大臣がいつも言っておられるから、何もあなたに聞かなくてもいいわけだ。しかし、やっぱりある程度、私はこの問題については、この再建計画を機会に、真剣に取り組む必要がある。そうしなければ、さっきから申し上げるように、弾力性がある、柔軟性があるから、財政事情が許せばもっと出しますよとか、税収が少なければ削りますよという、こういう大蔵省のお天気次第、気分次第というのでは困るんですよ。まさかそういう単純なものできめられたわけではないでしょうが。しかし端的な表現を使えば、そういうものだと思う。
 だから国にも義務として国会は拘束したい、折り目をつけておきたい、こういうことなんですがね。これはどうでしょう、企画庁長官、やはり負担をどうするかというのが料金に非常に大きな影響がある。そういう意味で、よろしければ運輸大臣、企画庁長官――官房副長官も見えておりますし、それから大蔵省も、ひとつ御相談をいただいて、やっぱりこれは制度上の問題ですから、運輸審議会に一度諮問をする必要がありましょうね。それでどういう答えが出るのか。答申を受けて大臣がどういう判定を下されるかは後日の問題として、ここではひとつ審議会に相談してみようぐらいのことは言ってもらわなければ、これは残念ながら了承できませんな。まあどうするか、いま前向きに検討したいということでしたが、具体的にはやっぱり制度上の問題だから、審議会の諮問に値する問題だと思う。そういうことをひとつ御協議いただいて、審議会に諮問しようということであれば、この項目は終わりますよ。
#46
○国務大臣(新谷寅三郎君) どういう過程でこういった制度的な問題を、まああなたの御意見によると、改善せいと、こうおっしゃるわけですが、どういうふうな方法でこういった問題を検討するかは、これはおまかせいただきたいと思うんです。ことばじりをつかまえるわけではありませんけれども、運輸審議会とか運輸政策審議会とかいろいろあるわけです。財政審議会というのもございますね。そういったのでどういうふうに相談するか。その相談する前に、われわれ政府としましても荒固めをしないで、ただいかがでございますかというようなことだけじゃ、とてもこれは実行できるわけではありません。あなたのおっしゃったような問題もありますし、また衆参両院で今度の財政再建十カ年計画の御審議の中でいろいろな意見が出ているわけです。こういったのは、さっきおっしゃったけれども、ただ一日でも一時間でも御審議を願って、それでその時間が済んだら、もうおしまいだというような、そういう不まじめな態度では考えておりません。
 私としましては、そういうせっかく御研究の結果いただいた御意見に対しましては、真剣に取り組むつもりでございます。ただ、いますぐに返事しろとおっしゃっても、そういう制度的な問題については、そう簡単にはいかないことは御承知のとおりです。同じように、衆議院でも、一体固定資産といいますか、国鉄の土地とか、あるいは路盤とか、そういったものについては、ある学者が意見を出しておりますが、それは政府で持ったらどうか、あとの運転費といいますか、ランニングエクスペンスは運賃でまかなったらいいじゃないかというふうな意見も出ておりまして、各方面から建設的にいろいろな意見が出されておりますから、そういったのを総合しまして、それをどういうふうに処理していくか、どういうふうに政府として対応していくかということについては、もう少し時間をいただいて、慎重にわれわれも検討していく以外にはないと思います。
 ですから、せっかく具体的な、運輸審議会に諮問しろと、諮問するぐらいのことは言えと、こうおっしゃるわけですけれども、運輸審議会はちょっと違うんですね。運輸審議会というのは、これは具体的な、運賃をどうするかとか、バス料金をどうするかというような、具体的な問題をやるので、やるとすれば運輸政策審議会でしょうね。しかし、どこにどうするかというようなことは主管大臣としてはきめかねますから、そういった方法の問題についてはおまかせいただいて、この問題について真剣に、前向きに取り組んでいくということだけを申し上げておきたいと思います。これで御了承いただきたいと思います。
#47
○森中守義君 大蔵政務次官がどこかへおいでになるようなので、ちょうど副長官も見えましたから、ちょっと質問の順番をあと先にして、ひとつお尋ねしておきたいと思います。
 これは鉄監局長あるいは総裁でしょうか。大体今日までの国鉄の歳入欠陥、幾つも項目があろうかと思いますが、たとえば運賃収入上の欠陥の問題とか、それから例の給与財源の問題――何か退職手当か何か変わったんですね。そういうものなど、私もつまびらかじゃないけれども、大体いまどういうものが国鉄の歳入欠陥を生じて、そのことが長期計画にどのように影響を与えようとしているのか、それを項目別に数字がおわかりでしたらお示しいただきたい。私も試算はしておりますよ。試算はしているが、当局からお聞きするほうが正確でいいでしょう。
#48
○政府委員(秋富公正君) まず運賃改定の分を申し上げます。
 ただいま御審議いただいております運賃改定につきましては、これが現在まで御審議いただいておりますために、予期いたしました収入が得られなかったものがおよそ八百億程度ございます。それから今年度の仲裁裁定でございますが、これは完全実施いたすことにいたしておりますが、この仲裁裁定に必要な金が千二百八十六億でございます。これにつきましては、現在給与改善費といたしまして四百六十三億、五%分はすでに予算に組んでおりますが、それ以外に経費の節約あるいは予備費を二百五十億計上しておりますが、これをどのくらい使えるかどうか、と申しますのは、今後災害が起こるかどうかといったような予期できない要素もございますから、そういった予備費というものがどの程度に使用できるか、こういったことも、なお今後検討していかなければなりませんが、相当人件費が増加するということは事実でございます。こういう損益勘定におきます収入の減、それから経費の増ということ以外に、ただいま御指摘のございました、いわゆる退職手当の改善でございますが、これは二十年から三十五年の勤続した方につきましては、今国会におきまして成立いたしました退職手当改正法によりまして約二〇%の増がございます。これがおおよそ、まだこれははっきりした数字ではございませんが、百億以上必要ではないか、かように考えております。それ以外に、今後、一般的に申しまして収入減というようなものがどうなってくるか、予算との関係もございますが、こういう問題、先ほど申しました災害といったような、いろいろとまだ不確定な要素もございますが、そういったいわゆる損益勘定におきます収入減あるいは経費の増、こういうことによりまして、当初の予算におきまして損益勘定から資本勘定に繰り入れると、そういたしまして工事費に充当いたしますことを予定いたしておりました千八百四十六億、この金額が減少いたしまして、それだけ工事資金が不足する、こういう結果が予測されるわけでございまして、こういった不足額につきましては、今後さらに関係当局とその措置については十分検討を重ねていきたいと考えております。
#49
○森中守義君 秋富局長、たいへん親切過ぎる御説明だったもんですから、私もちょっと計数的に理解しかねる点がある。もうちょっと簡単におっしゃっていただきたいですね。
 運賃改定がずれてきた、そしてこの八百億というのはきょう現在をさすんですね。
#50
○政府委員(秋富公正君) さようでございます。
#51
○森中守義君 そのとおり。そこで給与関係は予算上のものとどのくらい誤差を生じたのか。要するに欠陥額は移用とか流用されているようだけれども、それが幾らなのか、退職金の水増し分は幾らなのか、そういう点、項目を整理してもらって、それが幾ら、締めて幾らと、こうおっしゃつていただければよくわかります。
#52
○政府委員(秋富公正君) 最初の運賃改定の得べかりし不足と申しますのは約八百億でございます。それから給与改定に要します金が千二百八十六億でございますが、そのうち給与改善費といたしまして四百六十三億はすでに予算に入っているわけでございます。これを差し引きますと約八百億ということになりますけれども、これにつきましては、さらに今後、国鉄自体の経費の節約と、それからもう一方におきましては予備費二百五十億の中からどの程度この給与改善に充てるかということでございます。もしまるまる充てますと二百五十億充てられるわけでございますが、これは災害その他のために備えないといけませんので、現時点におきまして、どれだけ正確に給与改善のために損益勘定におきまして不足するかと申しますことは、正確には申し上げかねますが、大体五百億程度ではないか。これは今後なお経費の節約だとか、あるいは予備費の使用のワクということによりまして、流動的でございますが、そういうことになると思います。これはさらに経費の節約をいたしていきますと四百五十億とか、いろいろ変わってまいるわけでございますが、このあたりにつきましては、まだぎりぎりと詰めた数字ではございません。それから退職手当の改善に伴います経費、これも最終的には調べておりませんが、百億をこす金額ではないか、かように考えております。
#53
○森中守義君 そうしますと、給与不足分はまだ正確でないようですが、大体そういうものをトータルすれば、おおむね千四百億ないしは千五百億、こういう見当をつけていいですか。
#54
○政府委員(秋富公正君) ただいま先生の御指摘のような数字かと思います。
#55
○森中守義君 それで大臣、いま鉄監局長は国鉄内部の節減にもかなり依存したいというお話なんですね。これは当然なことでしょうけれども、いま審議しているこの内容からいけば、節減といってどの部分が残っているのか、おそらく節減もすでに限界に来ているという見解を持たざるを得ない。そうなりますと、これは十カ年間の長期計画を政府のお考えでは一日も早くと、こう言われる。さてそれが来るのか来ないのかは、これから審議してみなきやわからない。けれども、一応仮定の考えとして、なった場合に、これはやはり歳入欠陥というものをこのまま国鉄の内部に持ち込んで、一千五百億の欠陥をあらためて内部節減でやりなさいと、こう言ってみても、なかなか簡単にいかんと思います。どうします、これは。同時に、最初に総裁からお尋ねしますが、こういう事態に対しまして、さらに経費節減ということで一千五百億というものが生み出せますか。それと御意見、御希望としては、これは国鉄内部のことだから私のほうでしますという御意見なのかどうなのか、そこら辺、ひとつ御意見を聞きましょう。
#56
○説明員(磯崎叡君) ただいまの鉄監局長のあげられました数字の中の人件費の不足分、これは若干は経費節減で出さなければいけないというふうに思っております。しかし、その経費節減した残りが、やはりいま申された四百五十億ぐらいという数字でございます。
 それから、今日まで運賃改正がおくれましたことによる約八百億の減収、これはいかんともいたしかたございません。いずれ政府にいろいろお願いしてあと始末をしていただきたいというふうに思います。
#57
○国務大臣(新谷寅三郎君) この問題は非常に重要な問題だと思っております。まあ国鉄総裁も申しましたように、人件費の問題につきましては、今度は、政府としましても、通俗的なことばで言えば、国鉄の当事者能力を越えたような労使間の賃金問題についての紛争を処理するための措置を承認いたしたわけでございますが、その結果は非常に大きな響きを与えておることは事実でございまして、若干忍びがたきを忍んで、さらに国鉄にもそういった問題について、できるだけの節約をしてもらうことは当然ではございますけれども、しかし、それにしては何しろあなたのおっしゃるように金額が大き過ぎまして、とうていこれはできないと思います。主管大臣として率直に申し上げますと、十カ年計画の初年度でございます、初年度から、いまお話しのあったような千数百億の歳入欠陥をこのままでほっておいて、それで十カ年計画を予定どおりに実行いたしますというわけにはいかないわけでございます。これに対しましては、われわれのほうも極力くふうをいたしますけれども、やはり何といいましても、財政当局に対しましては、十カ年計画をこういうふうにして政府の責任において国会に提案しているわけでございます。これを一応最小限度この計画が達成せられるような方途は政府としても講じてもらいたいと思っております。
 これにつきましては、もう少し状況を見まして、適当な時期に、そういうことについてのわれわれの要望を関係当局に出すつもりでおります。それがどういう形になってあらわれてまいりますか、これは関係大臣とも協議をしなければ、方法まではいまここで確定はできないと思いますけれども、しかし少なくとも、申し上げたように、十カ年計画の第一年度から挫折をするというようなことのないように政府が責任をもって善後措置を講ずるということは当然のことかと考えておる次第であります。
#58
○森中守義君 そこで、いま運輸大臣の、いかにもこれはもうでき上がったものだというような言い方には多少の反発は感じますが、これからのことですから、これはあくまでも仮説的な現実論と、こういうように私は言っているわけなんです。そのつもりで聞いてください。
 それで、おそらく運賃収入の八百億というのは、かさみはしても減りはしないということになりますね、これはきょう現在だという鉄監局長の話ですからね。これがどのくらい水増しされていくのか、将来のことだから何人にもわからない。それから給与財源は多少整理の方法があるということですが、大体目の子としては出ている。それから退職手当の問題大体百億を多少出るだろう、こういうことで、大蔵省ね、大体歳入欠陥の大ワクというのはもう出てきた。しかし総裁も運輸大臣も国鉄内部の問題として可能な限り処理はしていきたい。けれども、それは限界があるんだと、こう言われる。また四十四年以来、かなり過酷な合理化、企業努力、増収努力というのが払われて今日に至っているわけですが、そこでなおかつどうにもならぬというところに今日ぶつかったわけだから、これ以上国鉄に内部節減をやりなさい、こう言ってみてもなかなか簡単にいかぬと思うんですね。だから私は、この際は全額大蔵省が見る、こういう姿勢のもとにあとは計数整理をやるべきじゃないか。じゃ、どういう方法でどうするかということになれば、これはやっぱり補正でしょうね。そういうことを、今朝来の議論をずっとまともに真剣に大蔵省が聞いておったとするならば、これは二つ返事でそうしますというのがあたりまえ。御返事されるならすぐ帰っていいですよ。どうですか。
#59
○政府委員(山本敬三郎君) ただいま御指摘の運賃の収入減は、今日現在で八百億といわれますが、もしも今国会中に成立しても、九月末までになれば、それはふえることになるわけであります。
 それから国鉄が給与財源を生み出すために、あるいは節減をはかったり予備費を使おうという考えのようでありますけれども、それらは災害等の関係でまだ不確定のものもあるわけであります。事務当局においても、まだ運輸省、国鉄と数字について詰めてやっているわけではありません。あまりにも不確定要素がまだ多いわけでありますから、にわかにここでどうするかということを申し上げることができかねるのでありますが、いずれにしても、運輸大臣の言われましたように、再建計画の初年度において狂いが生ずるということは、非常に重大なことだということは、考えておりますし、さらに総理が運輸委員会で答弁された、今回案でスタートすれば、これ以上の支出すべき要素が発生したときは、値上げをせずに国がまかなう以外にないと、これに該当するかどうかということも検討しなければならぬ問題だと思うのであります。現在、ただいま直ちに先生の御指摘のように、補正予算で国が見るということを申し上げるだけの状況になっていないことは、残念でありますが、お許しをいただきたいと思うのです。
#60
○森中守義君 残念なのは、実は質問者のほうでしてね。これは論理からいっても財政負担というのは当然だと思いますよ。
 そこで、おとといも来てもらったまま一言もものを聞いていないのだが、田中主計局次長、あなたとか主計局長が腹をきめれば政務次官の言い方も変わってくると思う。それはもうわかりましたと言えませんか、どうですか。ただ財投でお茶を濁すなんということは許しませんよ。
#61
○政府委員(田中敬君) 先ほど来の関係各省の御答弁にもございますとおりに、まだ不確定要素が非常に多うございますので、その金額の問題もさることながら、補正予算の提出自体もいつのことか、あるいはこれを提出すべきかどうかということも確定いたしておりませんので、何とも申し上げられませんが、いま先生がおっしゃいました、財投でお茶を濁すということでは承知をしないというくだりでございますけれども、実は御承知のように、損益勘定から資本勘定へ工事経費として受け入れを予定をしておる額が、先ほど鉄監局長から説明がありましたように千八百数十億ございます。この千八百数十億の資本勘定への繰り入れの金額の範囲内であれば、資本勘定に繰り入れる金額が減るということは、それだけ工事勘定、工事経費が落ちるということでございますので、工事経費というものにつきましては、その分は財投からの借り入れで十分ではないか。損益勘定に実態的な資金不足、償却前赤字が生ずるということでない限りにおいては、先生はおそらくそういう意味でおっしゃったのだと思いますけれども、損益勘定へ一般会計の金をつぎ込むべしということには、私どもは現段階では当たらないのではないか。もし工事経費の削減をこうむるべきものを埋めるとすれば、財政投融資で十分であると、かように考えております。
#62
○森中守義君 どうも承知できないと言っているのに何でそんなことを言う。財投を回しちゃいけないよと、こう言っているんだからね。
 それで、副長官、実はきょう官房長官をお招きしたんですよ。ところが朝ほど電話の連絡がありまして、私よりも有能な官房副長官を回す、一切の権限を委任すると、こう言われている。官房長官を呼んだというのは総理の代行というつもりだった。ですからいま国鉄総裁、運輸大臣に、きわめて正確な答弁をいただいたわけです。ところが財政当局だけが、どうもへたすると私が一番気に食わないよと言っている方向にいきかねないような口ぶりなんですね。きめておりませんと、こう言うんですが、これはじかに財政を担当する官房じゃありませんけれども、やはり一国鉄、一運輸省あるいは大蔵省ということでなくて、少なくとも内閣一体のものごととしてこれを処理しようとするならば、これは官房長官とあなたあたりが中に入って大蔵省を説得したらどうですか。もちろん私は、いま総額約一千五百億程度のものをこの場でと、こう言っているんじゃない。大体予約をしておけば、この案の内容というものにはいま少し変わった見方もできる。仮説として、これをかりにいつからかやるということになりましても、一千五百億という重荷をまたまた欠陥を生じながらすべり出すということは、はなはだこれは遺憾千万、これは運輸大臣がはっきり言われているわけですね。まあそういう意味で、内閣一体の責任においてこれを処理いたします、国鉄の内部節減にも限界があるから、ここで政府がめんどうを見ましょうということをお答えいただければお引き取りいただいてけっこうです。
#63
○政府委員(山下元利君) 官房長官がお伺いできませんで、まことに申しわけありません。
 ただいまの問題につきましては、先ほど運輸大臣からも御答弁がございました。また財政当局からもございましたが、政府といたしましては、やはり国鉄の再建計画に協力と申しますか、十分協力して、それがうまくいくように考えていることはもちろんでございます。また仮定ではございますけれども、御審議の上、できます再建計画の場合におきましても、その点は同様でございます。ただ、その方法等につきましては、いろいろ問題もございますので、今後、関係当局の間で十分検討して事に当たりたいと思いますけれども、運輸大臣のお話しになっておりました、これから始まろうとする――御審議の結果でございますけれども、その第一年度からについての御発言につきましては、よく政府としてもわかるところでございます。その方法等につきましては、また今後部内におきまして、十分検討さしていただきたいと、こういうふうに思う次第でございます。
#64
○森中守義君 それでは、大体運輸大臣と国鉄総裁の御意見はきわめて明瞭になりましたし、あと財政当局がはっきりしませんが、これはこの委員会が今後も継続されますし、私はその問題については、できるだけ早く統一見解と申しますか、そういうものを次の委員会あたりには必ず出してくる、そういうお約束がいただけるということを前提において、この問題はお預けしておってもいいですが、どうですか。統一見解を出しますか。
#65
○政府委員(山下元利君) 私もまだ、こんなことを申してはなはだ失礼でございますけれども、個人といたしまして、まだ十分勉強の足らぬ点もございますが、ただ、いまの段階で承知しておる限りにおきましても、まだ財政の問題につきましては大蔵政務次官からも御答弁いたしましたように、不確定要素がまだあるように思っております。もちろんこうした審議の最中でございます。そうした中において早急にすべてを確定した形における見解というものは、いま先生のお示しいただいたような時間的な範囲内において出していただくのは、私は困難ではないかと思うわけでございますが、ただ将来にわたりまして、この国鉄の再建計画がうまくいきますように、政府としても十分努力さしていただきます。
#66
○森中守義君 それは副長官おかしい。いま審議しているのは十カ年計画なんですよ。この計画のらち外の事項じゃない、いまのはね。国鉄の合理化によってこれこれ、何がこれこれとちゃんと出ている。その中の一つなんです、歳入欠陥というものは。
 それで実は、けさ官房長官から私は電話をいただきました際に、一切は山下にまかしております、こう言っておられる。同時にここで非常に正確な固まった数字と、ごう言っているのじゃない。確かに鉄監局長のお話でも確定的な要素は少ないですよ。けれども方法論、措置論を私は言っている。いま額がきまらないからどうにもならぬということでは、これはちょっと答弁になりません。しかもじゃいつ返事しようというんですか。むろん今月の二十七日までありますからゆっくりいいですよ。ただし、その答えが出なければ、この再建計画の内容は狂ってくるわけだから、その限りにおいてはにわかに議了というわけにはいきますまい。どうなんですか。措置、方法をどうするのか。おおむね一千五百億と想定をされる金額、それには計数整理をしますと若干の上下幅が出てくるでしょう。金額でなくて、措置、方法をどうするのか。政府は持ちなさいと、こう言っているんだから、官房長官はあなたにまかせると言っている。しかし一人でたいへんならば、運輸大臣も総裁もおられるし、大蔵省もおいでになるわけだから、みんなで話をまとめて、できるだけ早く措置、方法のお答えをいただきましょう。ちっとも無理じゃないじゃないですか。この次ぐらい出したらどうですか。
#67
○政府委員(山下元利君) 御指摘ではございますが、ただいまもこうして答弁にもございますように、まだ今後政府としても十分お互いに打ち合わせをし、検討せねばならぬ点があると思います。率直に申しまして、政府といたしましては御審議賜わっておる法案を、何とぞ早期に御審議賜わりたいという気持ちでございます。もちろん、いま問題になっております点につきましては、今後政府といたしましても、国鉄の再建計画をうまく進ませるという、もうこの点につきましては、私どももそれこそ官房長官にかわりまして、はっきりとお答え申し上げます。十分その精神を持ちまして、今後関係当局と十分相談し、検討してその実を期するようにいたしたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
#68
○森中守義君 何とぞよろしくというのは、どうもかんべんしてくれということですか。これは非常に先急ぎをするようだけれども、この計画に重要な関係がある、影響があると、こう言っているんです。いいですか。この期間中に審議の経過において出た問題なので、この中で政府が見解を明らかにしなければ、この計画は画餅に帰す。一千五百億、これは甚大な影響がありますよ。このくらい筋の通った話はないと思う。ですから、いまこの場でと私は言っておらないわけであります。これはやっぱり早く関係者の意向を取りまとめて、それがオーバーに言えば政府の統一見解ということになればけっこうだし、少なくとも委員会にそういたしますという約束を、可能とするような措置、方法を考えてみたらどうですか。困りますとか、いまできませんという返事ばかりでは、これはちょっと質問者も、この計画の中身の一つだから、そういう問題を保留しながら先に進むというわけにいきません。なんならば、ちょっと委員長、休憩してもらって、ひとつ相談してもらいましょう。そのほうがいいかもわからぬ。どうぞ。
#69
○政府委員(山下元利君) 国鉄の再建計画に対する政府の考え方につきましては、もうるる申し上げたとおりでございます。
 問題は、その方法論につきましては、これは先生のお話にもございましたように、当然補正予算の編成にも関連するわけでございますので、これはやはり全体といたしまして、まだ不確定要素がある段階におきまして、政府といたしましても、十分慎重な検討をせねばなりませんし、まだ何とも申し上げられない段階でございます。繰り返すようでございますけれども、もちろん御指摘の点につきましては、重々承知いたしますし、そのことによりまして、国鉄の再建計画に支障のないように、今後政府は十分努力いたしますということで御了解願えればと思っているわけでございます。
#70
○森中守義君 非常に副長官、示唆に富んだお話ですね、支障のないように。一体どういう意味ですか。ですからね、これは大体意味合いは通じたはずですから、ここ五分、十分で話がつくかどうかわからぬけれども、これはやっぱり関係者の意見をちょっとまとめて答えてもらうために、あえて私は休憩を要求します。しばらく集まってやってらっしゃいよ。
#71
○委員長(長田裕二君) しばらく速記をとめて。
  〔午後二時五十五分速記中止〕
  〔午後三時七分速記開始〕
#72
○委員長(長田裕二君) 速記を起こして。
#73
○政府委員(山下元利君) 現在における歳入欠陥につきましては、その補てんについて、政府において措置いたします。
#74
○森中守義君 ぜひそのようにお願いいたします。ただし、これには先ほど来申し上げておりますように、条件がある。財投によらない、これをひとつ条件にして了承いたします。
 そこで、もう少しお尋ねいたしますが、再建計画の内容について聞いておきますけれども、
  〔委員長退席、理事江藤智君着席〕
この中の国鉄の合理化の問題ですが、せんだって総裁から提出されている計画の内容は国鉄の試案だと、こういう御答弁でしたね。これは一体いつごろ国鉄試案の域を出て成案になるのか、その点はどうでしょうか。試案から成案になるのはいつですか。
#75
○説明員(磯崎叡君) 私が試案と申し上げましたのは、十カ年間のこまかい算定でございます。
 それから十兆五千億の使い道を申し上げたんでございまして、その件名によって違うわけでございます。たとえば十兆五千億の内容は毎年度国会に提出いたしますので、そのときに確定するということになると思います。
 それから私のほうの再建努力その他につきましては、この法案が成立いたしますれば、これを具体的に、部内だけの問題につきましては部内的に努力いたしますし、それから国から措置していただくものにつきましては年度内にいただくと、こういうことになりまして、おのおのによって実施の時期が少し違ってくるというふうに思うわけでございます。
#76
○森中守義君 まあこの試案で、あるいは案全体を通して見て、はたして再建なれるやいなや、まあこの辺に一つの問題がある。そこで、その内容の一つですが、合理化の中で土地売却等一千三百億とありますね、現行案では六百億。で、これが倍以上になっているというのは一体どういう意味なのか。大体国鉄には売却し得る手持ちの財産がどのくらいあるのか。この辺があまりにも数字的に大きな飛躍をしているもんですからね、おそらく無尽蔵にあるんであろうと、一気に倍になった。そこで、いま売却し得る総資産というものはどのくらいありますか。
#77
○説明員(磯崎叡君) 数字は担当のほうから申し上げますが、全体としていま先生の御質問の、今回の土地売却全体で、十年間に千三百億ございまして、この前の案の四倍ぐらいになっております。これは実は前回の案、たとえば本年度におきましても前年度におきましてもそうでございますが、非常に財政が窮乏いたしまして、やはりさしあたり使う見込みのない財産、ことに土地でございますが、土地は大いに売るべきじゃないかという御意見が強くございまして、そうして四十七年度ごろから少し努力目標を高めまして、そして四十七年度には大体百億近いものを売却いたしました。それを基礎といたしまして、それまで実は、四十年度になってから申し上げますと、大体四十億ないし五十億、これが毎年の実績でございました。それを四十七年度から大体百億ということにいたしまして、不用資産、ことに土地の売却を相当積極的にやっております。で、それを基礎といたしまして、四十八年度から五十七年度までに約千三百億、特にこの中で、四十九年度と五十年度、この二年間が非常に財政的に苦しいもんでございますから、四十九年度が二百億、五十年度が三百億、まあ四十八、四十九、五十の三年間を通じまして約六百億の土地を売却いたしたいと思っております。ただ、この中で、詳しく後ほど申し上げますが、完全に現在さら地になっておるものもございますれば、あるいはいろいろ貨物集約等いたしまして要らなくなる土地もある。あるいは戦争中に相当各地に小さい住宅を買っております。これらを集めまして、そして高層建物にして土地をあかすというふうな、現在さら地になっておりませんが、集約して――ことに宿舎か多うございますが、宿舎を集約して土地をあけて売るというふうな、いろいろな方法によりまして、この数字を達成いたしたいと思っています。もう少しこまかい数字について担当者のほうから。
#78
○説明員(内田隆滋君) ただいま総裁からお話がございましたが、数字的に申しますと、ただいま国鉄の用地のうちで、事業の用に供せられていないもの、これが約二千三百万平米ございます。それで、そのうち事業計画があるものが三百三十万平米でございますが、しかし、これをさらに検討いたしまして、このうちからある程度のものを売却する。それから利用計画が現在ございませんものが約千五百六十万平米ございます。これは極力売却していくということでございまして、これらのものを合わせまして、現在のところ五百億程度のものは売却できるのではかいかというふうに考えております。そのほか、いま総裁が申し上げました大都市付近に散在しております木造宿舎、これをいわゆる高層化いたしますことによって相当の平米、約七十二万平米ぐらいのものが出てくるのじゃないか。これらのものを売却してまいりますれば、三年間に六百億の用地売却は十分やっていける自信があるわけです。もちろんこの中には、今後地元との折衝その他によって売れないものも出てきますので、全部が全部売れるということではございませんけれども、大体三年間の分は何とかいけるんじゃないか。
 そのほか、再建計画の中で、国鉄の用地で国または地方公共団体に無償使用させている部分、こういうようなものもできるだけ公共団体に買っていただく。それから、そのほか国鉄がいわゆる都市計画事業によりまして大きな都市でただいま高架化事業を相当進めております。そういう高架化事業をやりますと、駅付近の非常に高い土地が相当多数出てまいります。あるいは新幹線に伴いまして貨物駅の用地の、いわゆる拠点貨物駅というようなものをやってまいりますと、ただいま貨物駅の付近に用地が相当ございます。これらのものを売却していけば、十カ年間の国鉄のいわゆる資産充当はできるという見通しを立てております。
#79
○森中守義君 それでは、質問でお聞きしたかったのですが、資料の御提出をわずらわしておきたいと思う。
 用地の管理体制、実態調査をどういう方法でやられているのか。それは毎年であるかどうかわかりませんが、実態調査のために投入されている予算、人員、できるならば過去五年間、ちょっとめんどうでしょうけれども、よろしければ十年間程度を出していただければたいへんにけっこうです。それから用地図と現地との不一致なものがあるのかどうなのか、これが一つ。それから用地台帳と登記簿の照合の結果――照合の結果というよりも、照合が完了しているかどうか。それから腐敗、老朽、こういうものがそのまま放置されているような傾向もあるんじゃないか、その状況はどうなのか。それから用地管理のあくまでも基本になる帳面、台帳といいますかね、それと実際の図表が完全に整備されているかどうか。できるならば、できるだけ具体的に、どこにどういうものが漏れているとか、あるとかというものを、指摘できる範囲のものを御指摘いただきたい。それから国鉄で買収、合併をした土地あるいは運輸省などから引き継がれながら未登記であるものがあるのかないのか、それから登記が承継されたはずのものでありながら逓信省、大蔵省、運輸通信省、運輸省などから引き継ぎが終わっていないものがあるのかないのか。それから第三者に占有させている物件があるのかないのか。いずれも件数をあげていただきたい。それから用地管理等のために配置されている人員で、完全にこの種業務が遅滞なく、粗漏なく行なわれているかどうか。大体、相当の欠員を生じてその欠員等のためにこの業務が渋滞をしているのかしていないのか、この辺の実態をお示し願いたいと思います。それから第三者の占有物件で係争にかかっていたり、あるいは示談が進められたりするようなケースもあるかもしらぬ、こういうものはできるだけケースごとに御提出をいただきたい。以上のことを、この用地関係で質問として予定もしておりましたけれども、これはむしろ資料が私の手元も不十分ですから総裁のほうから御提出をいただいた上で、この内容をもう少し吟味したいと思っております。御提出いただけますか。
#80
○説明員(磯崎叡君) 承知いたしましたが、ただいま買いつつあるのについてはよろしゅうございますか。これは非常に手が足りるとか足りないとか非常に問題がございます。たとえば新幹線の用地をいま買っているとか、いろいろ問題がございますが、一応先生の御質問は、現在国鉄の所有に帰しているものということを限定をしてつくらしていただきたいと思います。いま買いかけているものはたくさんございますが、それはちょっと調査が行き届かないと存じます。したがって、いまうちの管理に属しているものにつきましては、御要求の資料を全部提出いたします。
#81
○森中守義君 ちょっと言い漏らしましたが、未登記等の物件については、その年代をずっと記録していただきます、明治何年からという。
 次に、十一万人合理化というのがありますね。そこで現行計画では二兆四千億、新しく予定されているものでは二兆四千五百億になるというわけで五百億ふえていますね。それで一昨日のお答えで、大体十一万の中から三万人はもう落としたと、あと七万数千だというような御説明ですが、これは予定どおりに実施の確証が得られますか。
#82
○説明員(磯崎叡君) すでに実施いたしました三万人につきましては、すでに人間落ちておりますが、今後の問題につきましては、各項目に従いまして、大体ことしはこのぐらいやれるだろうという見込みをつけまして組合と話をいたしておりますが、私どもといたしましては、多少順序の変動はあると思いますが、おおむねこれらの項目につきまして踏襲するものは踏襲をしながらやっていくという方法で、あと七万人ぐらいは何とか減らせるであろうというふうな自信を持っております。
#83
○森中守義君 これちょっと私、不勉強ですが、労働組合との協約事項になるのですか。
#84
○説明員(加賀谷徳治君) この合理化の問題はすべて労働組合と協定を結んでおります。
#85
○森中守義君 協定事項であれば、一方的にというわけにはいきませんね。完全な合意が成立しなければ実施しない。その協約が存在しながら一計画はもうどうもおくれそうだ、したがって強行しなきゃならぬという、そういう事態は全くあり得ないと考えてよろしいですか。
#86
○説明員(加賀谷徳治君) 原則としては、いま先生おっしゃったとおりで実行してまいりたいと思っておるわけでございますが、これはやはりそういう意味におきまして、いま申し上げた、その前提の意味におきまして、やはり労働組合の協力を得なきゃならぬというようなことでございますから、できるだけその協力体制といったようなものをとりながらやっていくということで、何とかやっていきたいというふうに考えております。
#87
○森中守義君 ちょっとお答えが少し歯切れが悪いですね。協約事項であるということは、押しつけというわけにはいかぬ、一方的に押し切るというわけにもいかないということになるでしょう、それが協約ということでしょうからね。
 で、そうなると、残余七万数千人の整理、合理化のためには、完全な合意が成立をして、初めてやり得る。押しつけてみたり強行するということはあり得ないかどうかと、こう聞いているんですがね。ただ協力を得るというだけでは答えにならない。コンセンサスが得られるかどうか。
#88
○説明員(加賀谷徳治君) だから、もちろん協約を結んで、完全な合意に基づいて協約を結んでいくと、それが原則でございます。まあ合理化をやるためには、ただ人間を減らすということじゃなくて、やはりこれは組合との話し合いの中において、妥協が生まれるためにはギブ・アンド・テイクだと、待遇改善だとか、そういったいろんな問題も伴うわけでございまして、そういった意味において、できるだけ合意の上でこういった問題を解決していきたいというふうに考えております。
#89
○森中守義君 いや、言われるような意味はわかるけれども、要するに合意がなければできないということなのか、あるいは一方的にやることがあるかどうなのかと、こう聞いているんですよ。
#90
○説明員(加賀谷徳治君) 組合の協力体制によって、これはまかなわれるということが一番大切なことでございますから、一方的にやるというような、そういう事態はなるべく避けながら問題をやっていかなきゃならぬというふうに考えております。
#91
○森中守義君 たとえば、こういうことに関連しまして、ある線区等で、まあ最近は委託駅とか、あるいは無人駅なんていうのがだいぶ方々にふえてきたようです。こういう場合には、職員はかりに同意をした。実際問題としてそういうことがあったかどうか知りませんがね。かりに同意をしたが、地元ではそれがどうもいやだというような場合にはどうなります、そういうケースは。実際問題としてあると思うんです。
#92
○説明員(加賀谷徳治君) これは線区の合理化ということになりますと、これまた、いまの当局対組合という話し合いの次元とは違いまして、また別の次元になりまして、これはもう相当利用者に影響を与えるような問題を含んでおるわけでございまして、地元の同意を得た上でやるというのがたえまえでございます。
#93
○森中守義君 そこで、その十一万人の中で、あと七万数千人ということなんですが、この十一万人というのは、新規採用などはこの中からどういう数字の因果関係を持つのでしょうか。全部そういうものを、新規採用が幾ら、自然退職が幾らという計算をして相殺したものが十一万ということですか。それとも新規採用などは別な計算ですか。
#94
○説明員(加賀谷徳治君) 三万三千ほど合理化してきましたこれまでの実績も、もちろんそうなんでございますが、私どものこの合理化計画は強制解雇をするというような、そういうことはやりませんので、五十五歳といういままでの不文律を、これも組合と話をしながらやっているわけでございますが、その線でやめるのはやめてもらうと。そのやめた者と、それから新規採用との差が現実の人間の合理化になってくるわけでございまして、これからの約七万五千人でございますが、これから五十三年までに約九万五千ぐらいの退職者というのが見込まれる。これは五十五歳だけじゃなくて、若年で、途中でやめる人間も入っております。これは自分の意思でやめていく者、それも入っておりますが、大体九万五千ぐらい見込まれる。それに対して、いろいろ中で合理化をやりまして、いろんな業務量増とか、あるいは労働者にも何か返してやらなければならぬ問題、たとえば時短の問題とか、いろいろあるわけですね。そういったようなものをまかなった上で合理化でできるだけまかなって、その足らない分は新規採用で埋める。それが私どもの計画としましては、その九万五千に対して二万人ぐらいでいけるのじゃなかろうかというように考えておるわけでございます。したがって、その差の七万五千人は、現実の合理化の人間として出てくるということになるわけでございます。
#95
○森中守義君 そうなりますと、二兆四千五百億、十一万人によって人件費が浮いてくる。これを投資計画の中に入れられるということのようですが、この二兆四千五百億というものは、もう純粋に浮いた金ということになりますかね。その辺がちょっと問題になります。この二兆四千五百億というものは、もう何もかも差し引いた残りが二兆四千五百億という意味なのかどうなのか、これはどうでしょう。
#96
○説明員(小林正知君) ただいまの御質問でございますが、二兆四千五百億、この数字はただいま加賀谷理事から御答弁申し上げましたように、残っている数約七万五千でございますが、先生御承知の長期収支試算、五十七年度まで出しておりますが、その中から要員縮減に伴う七万五千人の分ですね、それに対する人件費の節減額だけを抽出したものでございます。したがいまして、その他の分で、たとえば外注みたいなもので転稼しているものがもしあるといたしますれば、その部分は変わった形で、経費としては物件費のほうにその分が計上される、そのような結果になるわけでございまして、したがいまして、いまの二兆四千五百億、約二兆五千億の数字は人件費の節減分だけという意味で御理解をいただきたいと思います。
#97
○森中守義君 やっぱりその辺に問題があるんだな。要するにここで計上されている二兆四千五百億というのは、十一万人の見返りとして完全に純粋な節減額だ、こういう理解を最初私はしておった。いま小林理事が言われるように、いや別に外注がある、及び下請がある。これは出てくるのは別な費目からだと、こういうことになりますと、やっぱりこの辺にひっかかりがあるのですよ。浮いたものだけは計上された、出ていくものは別のほうから出ておったということになりますと、まあこれは経理の方法としてはそういうことでしょうけれども、きわめて純度の高い節減額ということには受け取れないということに私はなろうかと思う。
 そこで、いま小林理事が言われたように、外注及び下請等のために大体どのくらいの金が使われているのか。それとそのような部門の業種及び業者数及びその人員、これをひとつ統計的にずっとあげてもらいたい。
#98
○説明員(小林正知君) 外注とただいま申し上げましたが、外注ということの概念そのものが非常に問題があるかと思いますが、国鉄から外に依頼あるいは契約によって頼んだものが全部外注というわけではございませんで、まあ一応私どもといたしましては近代化、合理化という観点から部外の能力を活用するという意味での外注ということに、一応観念を整理いたしまして申し上げますと、四十六年度の実績では、約七百五十億くらいでございます。それから四十七年度では、まだ計算が出たばっかりでございますので、分析はいたしておりませんが、九百七十億程度。
 で、その中の業種は、外注にかけております内容といたしましては、先生もすでに御承知だと思いますが、駅業務で委託しているのがございます。あるいは手小荷物の業務、車両清掃の業務等、その他リネンサプライでございますとか駅舎の清掃とかいったようなものが種類として入っております。いまお尋ねのございました会社数あるいはそこでどれだけの人間がこういった業務に携わっているかということは、詳細にわたってただいま資料を持っておりませんので、この席でちょっと御答弁はいたしかねますが、決算の一応計上の実績といたしましては、ただいま申し上げましたような仕事の内容をもちまして、外注はお聞き取りのようなことになっております。
  〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
#99
○森中守義君 私はこの辺のことは少し正確に整理をしておきませんと、表で十一万人実在員は落としている。他面そのことが外注あるいは下請というかっこうに肩がわりをされたということになりますと、なるほどじかに職員をかかえておるときのように、やれベースアップだと、あるいは期末手当だと、あるいは退職金だと、年金だと、こういう長期的な人一人に対する計算からいきますと、あるいはコスト安であるかもわからない、逆にまたコスト高であるかもわからない。けれども、うたわれている二兆四千五百億、これがいかにも十一万人節減、落としたために、純度の高いものとして余ったんだという勘定のしかたが、ずばりそのとおりだとは見れないのですね。表向きには消したんだが、裏では下請、外注だというわけで、それなりに人が入ってくる。しかも出費はそれに応じて出ていっているということになりますと、この二兆四千五百億ということの計算それ自体が、歳入と歳出とその種別は違うにしても、これは内容としてはワンセットにして計算しなければまずいのじゃないか、こう思うのですよ。
 ですから外注、下請の総人員が何名、それに必要な経費が幾らであるというものを一ぺん差し引き勘定してみないと、この二兆四千五百億というものは非常に純粋な節減額ということにならないと、こう思うのですね。この点どうですか。だからここでお示しいただきたいのは、現在までの外注、下請の総人員、総支出額、これからすべり出していこうという十カ年間における同様の内容のものをやっぱりお示しいただかないと、ちょっとこの点についてはひっかかりが多いんですね。どうでしょうか。
#100
○説明員(小林正知君) ただいま御指摘のように、二兆四千五百億というそういう数字は、先ほども御答弁申し上げましたように、十一万人合理化のいわゆる国鉄といたしましての職員給として払っております、要するに職員にからむ人件費ということでの節減額を取り出して、その部分だけを書いたものでございます。くどいようでございますけれども、お手元にお持ちいただいております収支試算表におきましては、これはやはり十カ年の計算でございますので、これはマクロ計算になっております、経費のほうも。しかしながら、もとは四十七年度あるいは四十八年度の予算を基礎にいたしまして、それを一つの前提を置きまして、マクロでそれぞれ経費をはじいております。そういった意味におきましては、四十七年度時点におきましても、従来とも外注の実績があるわけでございますので、そういった意味で、物件費といたしましての将来の輸送量に対応いたしました伸びは、収支表の中では計算をしてあるわけでございます。
 しかしながら御指摘がいまございましたように、二兆四千五百億全部が、これが要するに、人件費のいわゆる経費全体という意味で先生御指摘だと思いますが、節減額かというと若干そうでない面がある。といいますのは外注等によらないで全くその業務自身が省力化されてしまって、その仕事がなくなってくる、その作業がなくなるというものもございます。しかしながら、一部外注的なものも、これはパーセントにしてそう大きなものと想定をいたしておりませんけれども、若干の外注というものも将来について見込んでおります。たとえば過去の例で申し上げますと、おおむね最近の三年――ちょっと古い実績は持っておりませんが、三年間ぐらいで、合理化人員の七ないし八%程度が外注によっております。したがって、その外注によりました部分に対応いたします人件費は、いわゆる物件費のほうに転化をしておるわけでございますから、その転化分がどのくらいかという問題の御指摘だと思います。
 それでこの試算表そのものが先ほどもお断わり申し上げましたように、十カ年間のマクロでしておりますので、どの業務について、一つずつ何人でどうだという計算には試算表としてはなっておりません。一つのためし算、見通しでございますので、そういう計算はしてございませんが、おおむね過去の趨勢が外注の一応の限界であると、パーセントの、合理化の限界であるというような前提を置いて考えまして試算をいたしますと、まあ単価等あるいは外注することによりましていろいろのメリットもございますので、国鉄としましての二兆四千五百億の中に、外注分としておおむね物件費のほうに科目が変わった形で、費目が変わった形で計上さるべきものが、これも一つのマクロの試算でございますが、約千二百億程度と、かように推定をいたしております。
#101
○森中守義君 まあこれは、国鉄の内部業務の非常にむずかしい要素を持った一つの出し方でしょうから、なかなかしろうとの私が単純に言い切ってしまうのもはなはだ危険だとは思っている。けれども、大体ここにいわれている内容からしますと、せんだって総裁が十一万人の問題の私の問いに対して、合理化を促進すると、しかもその中枢はあくまでも技術革新だと、こういう御説明があったんです。そこで十一万人というのが、ずばり技術革新による合理化の見返りであるかどうかという点が一つの問題点なんですよ。ところが最近、せんだっての鶴見事故ですとか、こういう一連の事故の発生等を見ると、どうも技術革新という名のもとに促進をされる合理化ということが、他にやっぱりすき間がある、すき間があるという言い方はよくないかわかりませんが、要するに十一万人というものが資金的に政治的に判断の結果出されたという、こういう気配が非常に濃厚なんです。
 だから無理に十一万人を落とそうとしている、技術革新でいけばあるいは三万で済むかもわからない、あと八万人というものは、実在をすべきものであったかもわからない、けれども、とにかく十一万人という大ワクの中に封じ込められてしまって、いやがおうでも十一万落としていこう、かなり無理に無理をして合理化をやろうとする。さっき小林さんの言われたように、それは国鉄の内部職員の場合でも、清掃部門の人は、早く車内業務になりたいとか、いろんな国鉄にも相当の職種があるようですからね。人間だれしも、特に若年労働力を擁しようという場合に、かっこのいい、条件のいいという、そういう選択をしますから、そういう意味では、実際的にはわからぬでもないんですよ。ところが十一万人という一つの使命を持っているものだから、技術革新ではその二分の一ないしは三分の一で済むべきものであるにかかわらず、合理化という名のもとにどんどん落とすわけです。しかしそれでは仕事が回っていかないので、結果的に外注請負というものが、かなり旺盛な、実際のその関係をしているんじゃないか、こういうように私は考える。
 ですから問題はその辺のことが一つと、一体外注を許容する限度は業務の内容としてどういうことなのか、少し理屈めいたことになりますが、外注を許容する根拠法あるいは国鉄内部の根拠規定、こういうものがあるのかないのか、この辺の事情からひとつ御説明願いたいと思います。
#102
○説明員(磯崎叡君) 総論的なことを申し上げますと、確かに昭和三十年代に始めました合理化は相当外注部分が多かったことは事実でございます。その後、先生の御指摘のように、非常に技術革新の部分がふえてまいりまして、これは実際実績を見てみますと、昭和四十五、六、七の三年ぐらいは、先ほど小林が申しましたとおり、全体のいわゆる近代化、合理化した人員のうちの一〇%以下が外注である、約九〇%は業務が要らなくなったもの、あるいは技術革新というふうな実績になっております。確かに三十年代は二割ないし三割が外注でもって出ている、それがずっと減ってまいりました。と申しますことは、これは監査委員会からも御指摘を受けたんでございますが、三十年代の人件費は相当国鉄職員と一般職員と違っておりました。したがって外注のコストは非常に安かったという点が確かにございました。
 その意味で、相当大きな違いがあったので外注のメリットが相当あったというふうなことはございました。しかし最近は非常に各職種間の格差が少なくなりまして、外注の会社の職員のレベルとうちのレベルとがそれほど違わないということになってまいりました。その他労務管理上のいろいろ問題もございまして、私どもといたしましては、外注は過去三年ぐらいの率が限界じゃないかという意味で、二兆五千億の計算の際にも外注によるものは大体一割以下と、全体の合理化人員の一割以下が外注で出るというふうな目安を持っている、それで先ほど八%と申しましたが、一割以下の目安、それから単価差、両方出しまして、せいぜい外注――この十一万人合理化して二兆五千億の金を出す中で、外注に要るいわば経費と申しますか、それが千二百億ぐらいだろうという推定をいたしております。これはもちろん正確なきちっとしたものではございませんが、過去の三年間の実績並びに現在の一般の社会の労働事情等から見て、この辺が限界じゃないかというふうに考えております。
 これは実情から見た議論でございますが、もう一つお尋ねの、一体それじゃ国鉄の仕事をどこまで外注するかというお話がございました。これは国鉄法自身にはあまり明確な規定がございませんが、地方鉄道法の中にいわゆる包括的な管理委託というものはいけないという規定があるようでございます。管理委託ということばを使っておりますが、たとえば一つの線を全部どこかの会社にまかしてしまうということがいけないということは、地方鉄道法の規定に明記されておりますので、私どもも国鉄法には何らそういう規定はございませんが、一応そういう精神を生かして、包括的な管理委託はしない。しかし個々別々の業務については管理委託をする。その限界は一応全部規定をつくりまして、そして個々の契約をつくり、相手方を厳選いたしましてやっておる実情でございます。
#103
○森中守義君 これは総裁、非常に気になる問題なんですよ。もとより私もだいぶ昨晩見てみましたが、根拠法あるいは根拠規定というようなものはないんですね。ところがさっきから申し上げておりますように、十一万人というものが閣議了解事項に入っておる。いわんや再建計画の三つの柱の一つなんですね。ですから、これはある意味では、絶対的という言い方は、あまり私はこのことばはしたくないんですけれども、国鉄の側に立てばそういう性格を持つように思う。しかし実際問題としては、やれ新しい機械の導入によろう、そういうものに依存しようと言っても、人でなければどうしようもならぬという部門がたくさんあると思うんです。
 そういうものが十一万人という一つのワクの中にはまっていって、いやでもおうでも、とにかく十一万人数合わせすればいいんだという、まさかそういうことはお考えになっておるとは思いませんが、毎年度の予算編成の際に、ことしは何人いった、来年はどのくらいだという、こういう一つのワクがはまってくるということは想像にかたくない。これは政府の助成ということが一つ一つからみ合いになってくると思うんです。おてまえのほうでは全然何もしていないじゃないか、それで援助よこせということは、ということを、あの辺におる人はすぐ言い出すわけだ。そういうことになりますと、私はこの十一万人というものは、よほど慎重な扱いをしなければたいへんだ。それがどういう方向に、じゃあ転換をするかというと外注に転換をする。
 しかも外注は根拠法、根拠規定がない。極端な言い方をすれば、一体それならば運転保安ということまでひょっとすると踏み込みかもわからぬ。そうなると、これはたいへんな問題なんですね。だれかが言っておりましたよ。最近熊本には林野庁の林間鉄道というのはなくなった。どこか北海道にあるんだそうですね。それに乗る場合は無償です。ただし人命の保障はいたしませんというのがあるんだそうです。ところが国鉄の場合には、ちょっと腰を抜かすほどの高額料金にだんだんなりつつある。そこへもってきて運転保安まで外注的なものが、もしかりに踏み込んでくるとするならば、人命の保障はどこにいく。しかも高い対価まで払って一番安全だと思って乗ったはずの国鉄が、大ごとになるということでは、これはもう元も子もなくなっちまう。
 私は少々苦労性ですから、多少苦労過ぎた言い方かもわかりませんが、これはやっぱりいまのうちに法令の整備をする、一つの根拠をきちんと踏まえておきませんと、へたすると底なしに外注が拡大、拡充されていくんじゃないだろうか。極端な言い方をしますと、正副総裁二人でいいんじゃないかということになりかねませんよ、これは。これじゃとてもじゃない。ですから、その辺の構想というものが、この中の背景にきちんとくっついていないと、私はにわかに二兆四千五百億、十一万人の整理ということは、どう考えてみても合点がいかない。
 それと最初に申し上げたように、表では二兆四千五百億浮きました。これは一般世間様はなるほど十一万人も整理をして国鉄さんも気の毒だ、二兆四千五百億も自前で出してもらうならば、それは私ども何とかしましょう、こういう言い方をするかもわからない。しかし、それがねらいであってはいけない。入るものがあれば出ていくものがある。その出入りの関係もやっぱりこれは明らかにして、話を詰めていかないと、どうもあとではえらいことになるんじゃないかというような気がしますので、その辺の、この合理化の実務的な促進をどうするのか、その周辺はどうなるか、この辺の御見解をちょっと承っておきたいと思うんです。
#104
○説明員(加賀谷徳治君) いま非常に大事な御意見を拝聴したわけでございますが、根拠規定がないから、これはまた合理化のためということで、私どもこの国鉄という輸送機関の使命にもとるようなことは、全然もちろん考えておりません。先ほど総裁がお話いたしましたように、ある一定の基準でむしろきっちり縛ってやっているということだと思います。
 それからまた今後の見通しについても、先ほどかりに過去三年の八%程度で試算をすれば、外注費としては別に千二百億ぐらい立つというふうなお話を申し上げましたが、これにつきましても、今後私どもとしては、前回総裁からの答弁もありましたように、合理化はやはり設備投資、そういうものを主体にしてやっていく、たとえばヤードの要員とか非常につらい仕事の場合は、むしろその労務を確保できないというような問題にもつながってくるわけです。当然そういったものの機械化というようなことで、そういう労働が得られるならというような方向でやっていくということをたてまえにしてやっているわけでございます。外注によって、まあしりぬぐいをしていくというような考え方は、そういったものはむしろ八%よりも、今後漸次漸減さしていくというふうに私どもは考えているわけでございます。
 それから、あとで触れられました安全の問題これにつきましても厳重なといいますか、基準を設けてやっておりまして、決してこれは、国鉄の使命は、とにかく安全があってこその国鉄の使命でございますので、そういったことには絶対ならぬように、今後ともやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#105
○森中守義君 これは加賀谷さんね、ことばではそうなんでしょうけれども、やっぱり実が伴わないと意味がない。私はいまお述べになりましたように、意識的に安全性を無視するとか、そういうことがあるとはもちろん思いませんよ。ところが寡聞にして根拠法、根拠規定もないし、公にされた成文としては、四十三年三月三十日労働組合との団体協約、これ以外にないんじゃないですか。
 そこで、そういう状態であると同時に、先般の一体鶴見事故とは、いま加賀谷さんがお述べになったようなことが正確に順守されていたかどうかどうかという問題が、具体的に提起されてきているわけですね。これは私の調査によれば、過密という特殊な条件のもとに、外注が行なわれておる。そこに立ち会うべきもの、監督すべきものがいなかったと、こういうような一つの指摘ができるようでございます。この辺はきのうでしたかおとついか、国鉄が発表された鶴見事故の原因という内容とは、やや異なった感触を私は持つんです。非常に問題ですよ、これは。それですから、さっきお示しになりました業種及び業者数、その中にいる人、それから、もちろん、さっきの提示された数ではちょっと私は合点がいきませんから、これはもっと正確なものを提出していただきたいと思うんです。
 とにもかくにも、外注した責任者にきびしい条件を付してある、拘束してあると、こう言われるけれども、全体の業者に、その中にいる人に全部チェックできますか。チェックできない。そういうチェック体制というものが、実は要員として配置される必要があるでしょうけれども、それも十一万人合理化のためにかなり難儀な状態になってくるんじゃないか。そういうところに、直営であるのか、外注がいいのかという、一つの責任体制の議論というのがどうしても巻き起こってくるんですね。できませんね、そういうことは。これは私がやるわけじゃないけれども、今日の国鉄のこの状況からいくならば容易なことではなかろう、そう思うんですよ。
 その一番いい例が鶴見の事故であろうし、その前の宇都宮の車どめにのし上がったという問題等が端的な例ではないのかというように私は思うんです。ですからこれは正確に、十一万人の裏返しとして何が必要なのか。はたして二兆四千五百億というものが額面どおりに受け取っていいのかどうかということには疑問がある。よってこの際は、この内容にそうくどく入っていきませんけれども、輪郭は私はとらえているつもりです。非常にむずかしい。それで外注をオールゼロにせよと、こういう極論を言っているんじゃありません。それには一定の限界があり限度がある。あくまでも保安上、安全上、許容していい部門と許容してならない部門がある。だからその辺が、ただ業者にきびしい条件を示した、むずかしい契約のもとにきびしい選択をしておるんだと、だからだいじょうぶということは言い切れないということなんです。だから、要約するならば、どの部門どの部門はよろしいという根拠法を求めるなり、あるいは根拠規定をきちんと求めて、そうして責任体制というものがとられなければ、これはまともなものにならぬ。そういうものが不完全である、不十分でありながらこの計画に飛び込んだところに、いささか早計ではないのか。それは、そういうものをより完全なもの、より完ぺきなものにしていくには、この計画はいささかの修正が伴ってくるんじゃないですか。二兆四千五百億というその数字と、出し前の分の計算を一ぺんしてもらわないと、この数字がきちんとのみ込めない。計算としてはわかりますが。だから根拠法、根拠規定の問題から責任体制に踏み込んでいくのかどうか。この点ひとつ、総裁のお考え、どうでしょう。
#106
○説明員(磯崎叡君) 確かに先生の御指摘のとおり、外注の範囲がはっきりいたしませんと、とかくそちらに流れがちだと存じます。したがって先般の御指摘のいろいろな事故もございまして、私といたしましては、やはりこのラフな計算としては八%、いままでの、過去三年の実績で八%、これを五%ぐらいに縮めるぐらいの一つの目安をもちまして、そうして計算をしたわけでございますが、千三百億ぐらいはどうしても外注のあれに金が出る。そのほかに設備投資いたしますので、当然、設備投資の利子その他も、正確に申しますれば、計上しなければ二兆五千億にならぬという御意見も当然あるわけでございます。すなわち外注も出る金、それからたとえばCTCをして設備投資をすれば、その設備投資のうちの幾部分かが合理化になるとすれば、その部分の利子ぐらいは、やはり裏として出さなければいけない、こういう御意見は当然あると思います。したがって十一万人の合理化の中で大体外注部分が何千人ぐらい、あるいは技術革新が何千人ぐらい、仕事が要らなくなるのは何千人ぐらい、ごくラフな一つの頭に置いているものはございますが、それを計量化できていない面があったことは確かでございます。
 したがって、その点は、十分、今後、この仕事の遂行上、裏づけをはっきりさしていかなければいけないと思いますが、一応大数的に見ますと、二兆五千億という数字と、それから外注費あるいはその他の利子、設備投資費につきましては一応全体の十兆五千億の中で試算表の中に含まれている、こういうふうに思っているわけであります。しかし、いまの御質問、非常に適切な御質問だと私は思いますので、十分、外注の範囲等につきましては、いままでの割合からもっと下げるということでもってやっていきたい、その部分は設備投資その他でもってカバーしたいというふうに考えているわけでございます。
 ことに技術革新の問題は、なかなかこれから十年先を見通せない面がございます。かりに、私ども一番現在合理化したい人員は、先般も申し上げましたが、操車場の中の連結手でございますが、これが非常に危険作業でけがが多い、死傷事故が多い、何とかあれだけは早くなくしたい、機械化したいというふうに思っておりますが、最近、いままでは新しくつくった操車場以外にはできないというふうに言われておりますものを、今度は既設の吹田とか大操車場での一部分を機械化する、そうして数十名の連結手が要らないようにするというふうな研究が大体できまして、実施の段階に取りかかりますが、そういうふうに技術革新の面が相当広がってきております。そういう意味で、極力外注面を減らして、そうして技術革新の面にウエートを置くという先生の御指摘のとおりのような方向でやってまいりたいというふうに思っている次第でございます。
#107
○森中守義君 この、さっきもマクロ的なものだと言われたが、事このことに関してはマクロではいきませんよ、外注の問題は。しかも十一万の問題は。これはあくまでもミクロでなくちゃいかぬ。事人命に関することですからね。だから私は、これはもう少し内容を精査しまして、この外注、下請の問題はもう少し突っ込んだほうがいいぐらいに思っているんですが、いまはその余裕もございませんから、大綱的な意見の表明にとどめておきますが、いま総裁のお述べになったことででも、おうむね方向としてはわかります。
 ところで、ひとつ運輸省も、この辺については一つの見解をお持ちになってもいいと思う。あるいは実際の計画の推進の過程においてお聞きになっているでしょう、いまのことは。ところが、やっぱり根拠法、根拠規定という一番基調とすべきものがないんですよ。ですから鶴見事故などは、ある意味ではそういうものの盲点がつかれているかもわからない。非常に問題ですよ、これは。そうなると、私は計画全体については総裁の、国鉄自体の経営管理上の責任はないと、こう言い切っているけれども、事こういう問題については、これは言いのがれできない。まさに総裁あるいは国鉄内部の、あるいは運輸省の監督責任ということも免れない。だから改めることに逡巡する必要はない。直ちにこういう具体的にすぐすべきことについては、検討します、善処しますでは困る。根拠法を求めるなり根拠規定をつくるなり、さっそく何かの方法で、こういう問題疑点が残らないように、直ちに措置をしてもらいたい。これはひとつ大臣なり鉄監局長から御所見を聞いておきましよう。
#108
○政府委員(秋富公正君) ただいまの先生の貴重な御意見、私ども十分参考にいたしまして、直ちにこれに対しまして措置をいたしたいと考えております。
#109
○森中守義君 監査委員長、どうもすわらしたままで相すみません。
 まあお聞きのとおりに、しろうとの私が委員長に申し上げる筋のものじゃございませんけれども、やっぱりこの辺のこともひとつ適宜に国鉄側に注意を喚起していただくことが必要でしょうし、相なるべくは、こういったような問題は当然過ぎる問題だと思う。で、私はそういう意味からしますと、ちょっと国鉄もあせり過ぎている。何とか前にいきたいという、そういう焦燥感がいまのような大事なことを、ちょっと抜かったというわけでもないでしょう、国鉄はそれなりに対応されておったと思いますけれども、言ってしまえば、やっぱりこれは一つの手抜きだと思う。そういうことで、監査委員会のほうでも常任の委員もおいでのことですから、ひとつ適宜、運輸省、国鉄と御相談をいただきながら、手抜かりのないような処理を願いたいと思いますが、いかがでございますか。
#110
○説明員(金子佐一郎君) 外注の問題につきましては、先生がいまたいへん高い立場からいろいろ御指示をいただいたわけですが、監査委員会といたしましても、すでに四十四年、四十五年、四十六年度監査報告書におきまして、この問題についていろいろ所見は述べております。これもやはり、外注にはおのずからこれを出します限界もあり、また国鉄自身がやるよりもさらに能率的に、また、さらに経費的に節減できるというふうなものを特に選んでやってもらうという点については、私どもも要望してまいったわけでございます。かつまた、この外注そのものについては、外注したからいいというものじゃなくて、結果は国鉄の責任になるということで、外注先に対します指導あるいは省力化、その他、また外注でこれに対して意欲的にやれるような契約を結ぶということについても、いままで触れてまいったわけでございます。
 ただ外注そのものが、全体の大きな国鉄の経営において、いま先生の御指摘のとおりのことはございましょうけれども、私ども、この十一万人の縮減ということと、外注に関係しておる人員の数字的なかかわりあいについては、若干の、私どもはできる限りこれを少なくして、そしていまのような近代化、合理化によって、国鉄みずから人が縮減できるような努力を払うべきであるという考えだけは持っておるのでございます。いずれにいたしましても、先生から御指摘がございましたので、監査委員会といたしましても、これに対して十分検討いたし、また所見も述べてまいりたいと思います。ありがとうございました。
#111
○森中守義君 この件は、結論的には、やはりよるべき何ものかをおつくりになる、そういったように理解していいですね。
#112
○政府委員(秋富公正君) そのとおりでございます。
#113
○森中守義君 小坂長官、せんだって監査委員会の報告を中心にしまして、いろいろ承ったんです。しかして監査報告の中に、東海道第二新幹線が必要であろう、もはや東海道新幹線の輸送能力というのは完全にマキシマムだ、こういう実は報告が出ている。監査委員長は、これは委員会として希望表明だということでありました。それに対して大臣は、いや四兆八千億の新幹線の投資額に、まあ、やや弾力性があるようにも考えるから、必要があるならば、この中で調査するなり何なりをして手をつけたいという趣旨の御答弁があったわけです。それから総裁は、これはこのままではうまくない、けれども、やるならば在来方式でなくて、超高速開発によって新しいシステムでやりたいんだと、こういうお話があったんです。
 そこで五十二年度までに策定をされている長期計画、これまでは一通り拝見しておりますからわかります。五十三年以降の需要の予測はどうなりますか。監査委員会はもう限度だと、こう言われるんだが、長期計画に基づく旅客及び貨物等の輸送の状態はどういったコースをとろうとするのか。ただし、この計画というものは五十二年までの経済計画を斉合してあるけれども、その後は、企画庁ではないから、正直なところ単なる試算程度で裏づけになるものはない。そういうことなので、企画庁長官としては、五十三年以降、一体どういったような需要予測をお持ちなのか。これを承っておきませんと四兆八千億の使い方があまりはっきりしてこない。いかがでございますか。
#114
○国務大臣(小坂善太郎君) 御承知のように、経済社会基本計画におきましては五十二年まででございますが、その後の問題については、昭和四十五年ないし五十五年の間については、おおむね成長率で見ますと九%程度。それ以後の五十五年から六十五年までにつきましては六ないし七%程度というふうに経済成長を考えておるわけでございます。この長期的な展望は、今後のわが国経済のマクロ的な運営の方向を示しているわけでございますが、昭和六十年における経済の状況がどうなっておるかということは、非常に大まかな計算を、まあ輪郭程度の考え方を参考資料として基本計画において考えておるわけでございますが、地域構造がどうなるか、あるいは輸送構造がどういう具体的な方向に向かっていくであろうかということについては試算をしておらないわけでございまして、これらについては、先般発表いたしましたが、新全総の総点検作業、これは大都市関係について特に問題を摘出して発表したわけでございますが、これらの総点検作業の進行とにらみ合わせましてまいりたいと考えておる次第でございます。
 で、輸送構造の将来という問題でございますが、これについての全般的な作業の一環として、これまた今後の作業に待たねばなりませんけれども、大体昭和六十年ごろの貨物の輸送量の見通しは、先般も、七月五日に、運輸委員会におきまして、私どもの開発局長が答弁申し上げたことでございますが、大体一兆キロと、あるいは若干それを上回るんじゃないかというように見ておるわけでございます。国鉄の財政再建計画で想定しておりまする昭和五十七年度の国鉄の輸送量の見通しは、経済社会基本計画に示しました長期展望に基づいて推計されたものでございまして、昭和六十年の貨物輸送の見通しに照らしましても、おおむねさようなことになるだろうというように企画庁としては考えております。
#115
○森中守義君 運輸大臣、長官のお話でやや企画庁の構想はわかりましたが、具体的に問いますと、企画庁では、計画の中で、五十二年度の交通需要は、四十六年度に対比して旅客で一・五倍、貨物で一・七倍の需要増が見込まれると、こう言われておる。これもマクロなのかミクロなのか。少なくとも、五十二年を出されているということは、全体が五十二年をにらんでおりますからややミクロ的だという見方が妥当だと思う。
 そこで旅客の一・五倍、貨物の一・七倍が国鉄にどのくらい吸収されるという見方をしますか。この一・五、一・七というのは交通機関全体をさしたものと私は思っている。よって一・五倍の旅客の増、一・七倍の貨物の増をどのくらい国鉄は吸収するということになるのか、その予測はどういうことでしょうか。
#116
○国務大臣(新谷寅三郎君) 具体的な数字は政府委員から御答弁申し上げます。
#117
○政府委員(原田昇左右君) 国鉄の計画によりますと、一応、再建計画では、貨物が五十七年に千四百億トンキロということになっておるわけでございますが、五十二年は経済社会基本計画の別表のほうに出ておりまして、これは八百三十億トンキロということになっておるはずでございます。全体が貨物輸送量として五千八百億トンキロでございますので、約一四・三%程度のものが国鉄に入るということでございます。
  〔委員長退席、理事江藤智君着席〕
#118
○森中守義君 旅客は。
#119
○政府委員(原田昇左右君) それでは旅客について申し上げますと、旅客は経済社会発展計画におきまして五十二年に一・五倍と申しますのは九千億人キロでございます。それに対しまして国鉄の再建計画で予想しておりますのは、その約二七%に相当します二千四百億人キロでございます。
#120
○森中守義君 ちょっといまの原田審議官の説明、大体トン数計算でいかれたので、私の言う一・五倍の何%、そういう計算をしてもらわないと、ちょっとトン数で言われてもぴんとこない。この基本計画の中で一・五倍といっているでしょう、それから貨物は一・七倍と、こういっているんだから、この中の何%を国鉄が受け持つことになるのか――受け持つというか吸収するのかと、国鉄は。それが第二新幹線、それらのネットワークとの関係が出てきますから、一・五のうちの何割、一・七の何割を国鉄が受け持つのか、そういうふうに正確に答えてください。
#121
○政府委員(原田昇左右君) 旅客で申しますと一・五倍になりまして、その一・五倍を一〇〇にいたしましたものの二七%が国鉄の輸送量と見込まれています。それから貨物について申し上げますと、一・七倍の輸送量の中の一四・三%は国鉄の分担分であるという想定でございます。
#122
○森中守義君 そうしますと、監査委員会は、希望として表明された第二新幹線がこの数字をとらえたものであるのか、あるいは実際の輸送状況から割り出されたものか、おそらく後者であろうと思うんですが、監査委員長どうなんですか。この計画上の数字として見られたのか、実際の輸送状況からはじき出されたものか、その辺どうでしょう。
#123
○説明員(金子佐一郎君) 監査委員会といたしましては、今後、ここに監査報告で申しましたように、特に東海道新幹線などを見ますと、だんだんと混雑度が高くなってまいりますことを前提といたしまして、将来これらに対して何か対策を講じておかなければ、いわゆる後手になるのではないかということを心配いたしたあまり、ここにこの問題を付記いたした形で申したのでございます。したがって、そういう数字的な合理的な論理によってこれを私どもが出したとお考えにならないでいただいたほうがよろしいかと存じます。
#124
○森中守義君 企画庁長官、先ほど、運輸大臣及び国鉄総裁のおとといの第二新幹線に対する見解を私から御紹介しておきましたが、こういうような数字から出された今日の東海道新幹線の状況から、第二新幹線の必要性をお認めになりますか。企画庁という立場からどうなのか。輸送需要ということからいったらどうですか。
#125
○国務大臣(小坂善太郎君) 実はこの新幹線網という問題につきまして、自民党のほうでもいろいろ計画を持っておりまして、政府との間あるいは鉄道建設審議会との間で、他にも、あるいは北陸新幹線であるとか、あるいは今後中央新幹線であるとか、いろいろ東京−関西間の短絡方法も考えられているように承知いたしております。その計画というものは、やはり全体の人口の推移あるいは経済活動に伴う貨物の動き等に要するトラック等の他の輸送方法との関連において、東海道線上いうものが足りなくなるという傾向にあるというようなことを考えて、やはり発議されておるものと承知しておりますので、第二新幹線という問題も、それと同様の方法で考えられておると思うのでございます。
 十年後を考えてみますると、こういう計画はやはり必要ではないかというふうに思いまするし、またその際に、さらに技術革新によって得られましたる新しい高速鉄道の考え方というものも取り入れることは妥当であると考えておるわけでございます。
#126
○森中守義君 結局、企画庁長官としても、その必要性については是認すると、こういう見解ですか。
#127
○国務大臣(小坂善太郎君) 私のほうで、まだ東海道第二新幹線そのものについて、実は非常に詳しく検討したわけではございません。大体の方向として、いまの東京−関西間の、関西間と申しますよりも、むしろ三大湾地帯と申したほうがより適切かもしれませんが、東京と名古屋と大阪と、その間の輸送量が満ぱいであると、これを何とかせねばならぬということはそうだと思うんでございます。ただ私どものほうとして、この新全総の再検討と関連して申して申し上げたいことは、いかにも過密である、三大湾地区にあまりに人口が蝟集し過ぎておるという点を、このまま認めて、その間の交通を考えたほうがいいのか、あるいはもっと他に人口を分散することを考えたほうがいいのかという点は、今後の検討に待たねばならぬことだと思う次第でございます。
#128
○森中守義君 その辺が非常に大きな実は問題だというように質問する側の者も考えている。しかし大体その方向としては運輸大臣も国鉄総裁も、また企画庁長官も、大体目標はある焦点に集約されたような気がする。しかし、これをいま審議中の計画から見た場合、一体四兆八千億がそういうものに間に合うのか間に合わないのか、もちろんこの前運輸大臣が言われましたように、この期間中にそれが間に合うかどうかはこれはわからない。ただし、この前お示しの調査五線ですね。この中の一つぐらいには入れてよさそうだというようなお話しのように聞いたんですが、もう一回確認するようですけれども、そういうように理解していいんですか。
#129
○国務大臣(新谷寅三郎君) いろいろの説明を求められたので、率直に私は御答弁したんですけれども、その間多少行き違いがあるかもしれませんから、あらためて申し上げますと、ただいま調査五線、九州方面とか北海道方面、北陸方面というふうに調査五線を予定しておりますが、
  〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
これは近いうちに私の手元に調査報告が届けられるだろうと思います。その暁には所定の手続を経まして具体的な輸送の整備計画を立てまして、工事にかからせるという段取りになるわけでございますが、このほうは、この前申し上げたように、五十三年度に完成をして五十四年度から開業するという段取りになっております。そのあとの新幹線、これは工事が、いま御審議願っておる再建計画の五十七年度までというのとは必ずしも年次から言いますとかみ合わないのです、ないのですが、新幹線計画としては、いま申し上げました調査五線ができ上がりますと、全国で三千五百キロの新幹線ができるわけでございます。さらに、それに次いで、大体三千五百キロ程度の新幹線を昭和六十年ぐらいまでには完工したいというめどで計画を立てようということに一応考えておるわけでございます。
 したがいまして、この新幹線計画というものは、その調査五線が着工されて、五十四年度から開業するという段階でございますから、それが明らかになりました場合に、その次にどこを調査したらいいかということが問題になるわけですが、これは昨年と承知しておりますが、昨年の鉄道建設審議会でも、これに続く新幹線の計画を早く調査線として考えたほうがいい、こういうような建議をいただいておるわけです。そういった点から、私は第二東海道新幹線ということを具体的に申し上げておるわけではないのですが、この間も申し上げましたように、各路線における輸送の需要というものを十分に調べまして、小坂長官の言われた過疎過密を解消するという問題もございます。都市間の輸送が非常に行き詰まっておれば、やはりそれに対応するような輸送手段を講じなければならぬという点もございます。
 あらゆる点から考えまして、どこに主力を置いて次の調査をさしたらいいかということを、これはもちろん皆さんの代表も出ておられる鉄建審において十分御審議を願いまして、そこで次の調査線というものをきめるようにしたい、このように考えておりますので、監査委員会が意見としてお出しになりました、第二東海道新幹線についても、もうそろそろ考えたほうがいいのじゃないかと、こういう趣旨の御意見でございますが、これらの点も参酌いたしまして、いま申し上げたように、各路線における輸送の需要というものを十分見て、それから日本全国土について開発計画を進めていかれるはずですから、政府全体としましては、過疎の状態、過密の状態というものをいかなる方法によって、どういうふうに具体的に解消していくかというような政策の動向、つまり新全総というようなものとの総合性を持たしてこれを決定していくような段取りにやがてなるであろうということを申し上げたわけでございまして、先般もそういう意味で申し上げたのですが、多少ことばが足りなかったかもしれませんが、そのように御理解をいただきたいと思います。
#130
○森中守義君 いま大臣の御説明で大綱的にわかりましたが、磯崎総裁、これは先ほどもお尋ねしましたように、試案ということですけれども、実際は国鉄のほうで立案をされたわけで、立案当局としての腹づもりをちょっと聞いておきたい。
 つまり、これからまいりますと山陽、東北新幹線ですね、これは大臣の御答弁で非常にはっきりしましたが、これが何年度に完了して、何年度が営業開始になるのか。それから調査新幹線が、この十カ年間に完成というように言われておりますね。これを五線と言われるけれども、どれとどれとどれが五線なのか。目下調査されているのか、これから調査に入られるのかわかりませんが、調査対象線がどれなのか、それといま問題に供しました東海道第二新幹線というのは、その他の新幹線という範疇の中に入れてもよろしいという見解であるのか。これはまた別に考えようということであるのか。その際に四兆八千億の数字は動くのか動かないのか、この点ひとつ、やや具体的なものですので、立案当局から御説明願いたい。
#131
○政府委員(秋富公正君) 国鉄総裁が答えます前に新幹線の全体の構想につきまして御説明申し上げたいと思います。
 現在、工事中でございますのは山陽新幹線でございますが、これは岡山−博多間四百キロ、四十九年の暮れに開業の予定でございます。それから、さらに工事中のものといたしまして東京−盛岡間、いわゆる東北新幹線でございます、これは日本国有鉄道が建設いたしまして五百キロでございます。それから上越新幹線、これは大宮−新潟間二百七十キロ。成田新幹線、東京−成田新空港、この二線は鉄道建設公団が工事をいたしておるわけでございますが、いま申し上げました三新幹線は、いずれも五十一年度に完成し、五十二年から開業する予定にいたしております。
 それから調査五新幹線と申しますのは、東北新幹線でございまして、盛岡から青森まで約百五十キロ、北海道新幹線、青森−札幌間約四百四十キロ、北陸新幹線、東京−富山を経まして大阪約五百五十キロ、九州新幹線の一といたしまして福岡−鹿児島間約二百六十キロ、九州新幹線の二といたしまして福岡−長崎間約百三十キロ、この調査五新幹線は、ただいま大臣が申しましたように五十三年度に完成し五十四年から営業を開始する。
 で、この調査五新幹線につきましては、ただいま日本国有鉄道、鉄道建設公団が調査中でございまして、いずれその報告が出まして鉄道建設審議会にかけまして整備計画を決定し、建設主体を決定する。これができますと五十三年度末に新幹線合わせまして三千五百キロになる、こういう構想でございます。
#132
○説明員(磯崎叡君) いま鉄監局長が言われましたとおり、私のほうの試算でまいりますと、いまはっきりきまっておりますのは、工事三線と調査五線でございます。
 調査五線につきましては、もう間もなく私のほうから政府に対してルートの結果を御報告することになっておりますので、そう遠くない期間に工事に入るのじゃないか、こういうふうに考えます。そうすると、そのあとと言ってはちょっとおかしな話になりますが、いまの調査五線が工事線になりますので、その次に調査線に入ってくる線があるわけでございます。それが全体で三千五百キロあるわけでございます。ただ、それが一年で三千五百キロきめられるのか、五年かかるのか、それはきまっていないわけでございます。かりに、ことし鉄道建設審議会があって、その調査五線が上に上がってしまいますと、そのあとあきますので、そこへ何キロの鉄道、何キロの新幹線を三千五百キロの中から入れるか、これはまだ全然きまっていないわけでございます。またその後、来年、再来年になって、どんどん格上げと申しますか、調査線から工事線になっていくのか、あるいは当分の間もう今度の調査線でしばらくストップするのか、そこがまだきまっていないわけでございます。したがって、ここに書いてございます三千五百キロというのはまだ内容は全く未定である。ただ全体として七千キロということはきまっておりますけれども、その他新幹線約三千五百キロは全く未定でございます。そこに一つ問題があるわけでございます。
 一方、東海道の現在の新幹線の行き詰まりが大体昭和五十年代の末というふうに考えております。いまでもいい時間あるいは季節によりましてはほとんど満員でございますが、まあまあ、まだ十年くらいはあのままでもつだろうということでもってやってまいりますと、大体昭和五十年代の末には、ほとんどもう現在の東海道新幹線は一ぱいになってしまう。したがって、そのころには、いまの東海道新幹線を補うべき何かができていなきゃいけないということになるわけでございます。そうすると、その際に問題は何かと申しますのが、いわゆる監査報告書でいわれた、リニアモーターによる新しい時代の運行方式を持ったものなのか、あるいは在来の電化された粘着運転の形式によるものなのか、それがきまってないわけでございます。
 しかし、かりに昭和五十年代末までに間に合わせようといたしますれば、やはり建設には、どちらにしても五年以上かかるというふうに思わなければいけません。五年以上かかるといたしますと、おそくとも昭和五十四、五年には着手しなければいけないということになります。実は名前を申し上げるのは非常にぐあいが悪いかもしれませんが、いわゆる第二東海道線と申しますときには、私どもの頭の中には、どっちかと申しますと新しい形式の、いわゆるリニアモーター形式の線が頭にあります。しかし東海道の単なる補助といいますか、補完といいますか、そういう場合には、たとえば中央道のような、中央線を通るような新幹線ということも考えられるわけでございます。
 ですから、そこがしょっちゅう話がこんがらかりまして、一応かりに昭和五十年代末までにどうしてもいまの東海道の補助線をつくらなければならないとすれば、これは在来方式でなきゃ無理じゃないかというふうに考えられるわけでございます。これは私は、部内の最新鋭の技術者諸君が勉強していることに、そういうことを言うのは非常に水をかけるようで恐縮ですが、実際これから百年使う新しい交通機関を考える以上、よほど研究をして、そして世界のどこの国にも負けないようなりっぱなものをつくらなくちゃいけないということで、私は研究している諸君に絶対あせるな、外国でどうだと言われてもあせるな、ほんとうにりっぱなものをつくってくれということで、現在研究に着手いたしておりまして、ちょっと先般申し上げましたように、いま、この次の飛躍に備えて、少し停とんということばは、ちょっと語弊がございますが、次の飛躍まで待っているときでございます。
 それらをずっとこう考えてみますと、はたして先ほど申しました昭和五十年代の末に間に合うようにできるものかどうか、実用に供し得るものかどうかということは、非常に疑問があるわけでございます。しかし私といたしましては、それは五十年代末に間に合わなくても、その次の六十年代までには必ず間に合うだろうというふうに思います。したがって、その辺がほんとうの研究の過程、勉強の過程でございますので、いまの時点で間に合わないから三千五百キロに入れないのだとか、間に合うから三千五百キロに入れるのだと言ってしまうのは非常に問題がむずかしいものでございますので、大臣のおっしゃることと私の申し上げることと、ちょっと食い違っているようにお聞きになったと存じますが、私どもといたしましては部内の実験の過程、勉強の過程をずっとよく見ておりますので、結局昭和五十年代末ということから逆算いたしまして、もし、それに間に合わせるようにするとすれば、やはり在来形式のやり方でなきゃ間に合わないのじゃないか。しかし、もしかりに実験段階が非常にうまく進む、公害の問題も土地の問題も大体やれそうだ、それから工事費のほうも大体目安がつくということになりますれば、非常にそれが早くできるということに、まああと四、五年の間に目鼻がつきますれば、あるいはそれになるかもしれないということでございまして、非常に不明確な申し上げ方でございますが、実際はそういう実情でございます。
 したがって私、責任者としまして、いま絶対にそのリニアモーターが間に合わないとか間に合うとかいうことも申しかねますが、しかし全体から見れば、慎重な上に慎重に実験研究を進めるとすれば、非常にゆっくりやるべきだ。私は決してあせっちゃいけないというふうな考え方から申しますれば、五十年代末に間に合うように実用化し、その工事をつくり上げることには相当な困難があるのじゃないかというふうな気がいたします。
 したがって結論から申しますと、第二東海道ということばでなしに、現在の東海道線の行き詰まり対策としては、あるいはいまのような形式の、同じ形式のものをつくる必要がある、いわゆるリニアモーター形式でなくて。ルートは別といたしましても、そういうものをつくる必要があって、そうしてリニアモーターは、あるいはこの計画の後に来るのじゃないかというふうな気もいたしますし、また先ほど申しましたように、その研究実験が非常に急テンポでうまく進みますれば、その計画の終わる前後に実用化するかもしれないということで、非常に不明確で申しわけございませんが、実情はそういう実情でございます。
#133
○森中守義君 たいへん大臣といい、総裁といい、慎重な御答弁ですが、そういう今日の状態というものを理解をしながらも、四兆八千億という現在の投資計画を基調にして考える場合、いまの総裁の一応の構想からいきますと、五十年代の後期だと。逆算していけば、五十四、五年くらいからは、おそくともやるならば着工せざるを得ないであろうということなんですね。そうなりますと、この期間中に着工ということになる。むろん、これから数年を出ずして実際の調査に入らざるを得ないという場合に、その他の新幹線として予想されているもの、これらと競合する可能性が出てくる。しかし第二新幹線でかなり金を食う。そうすると、どれかが落とされて第二新幹線がもぐり込んでくるのか、さもなければ、四兆八千億というものが水増しをされてくるのか。ここまで間いかけていくには、ちょっとこの時点では早いと思うのですが、しかし、その十カ年計画というものが不動のものである、今回修正などありませんというしばしばの言明なんですね。そのことを前提に置きますと、かなり現在の審査の段階において、ある程度その辺のことが明確になっておりませんと、何年かたちまして、いや実はあの当時第二新幹線というものが頭の中にあったけれども、実際実施段階に入っていなかった、ついては、それがどうも情勢が変わりましたので、もう一回修正してくれということになるのかならないのかということが、在来の経験に徴して非常に気になるわけです。
 要するに私は、今日この段階においてはこの計画は非常に好ましくない、少なくとも実行できるかどうか疑わしい、そういう一つの見方を持っている。けれども大臣が、不変のもの、不動のもの、やり遂げさしてくれと、こう言われる限りは、それならば新幹線計画の内容はどうなのか、そういう一つのネックがやっぱりここにひっかかってくるのですね。その限りにおいて、少しくどく東海道第二新幹線を承っておるわけです。
 ですから私の、こういう計画自体に対する将来の読み方あるいは大臣がこれを実施したいという決意、そこには実体的にやっぱり少しすき間がありますよ。そのすき間がないようなお答えが得られるならば、これはいいと思う。また逆な言い方をしますと、この新しいその他の幹線というものは固まったものかどうなのか。それなのに四兆八千億ということは、いかなる積算の根拠によるものかという、この辺の疑問が出てくるわけなんですね。どうなんでしょうか。
#134
○国務大臣(新谷寅三郎君) 先般申し上げたように、この新幹線の十年間大体四兆八千億という計画は、これは先ほど申し上げたように、五十四年から開業する現在の調査五線を入れまして、その工事費がもちろん入っておりますが、それから先の分は、先ほど来申し上げたように、実は私のところには全国各地から、自分のほうに早く新幹線を敷設してほしいという御要望が全国各地から来ております。しかし御要望どおりに全部工事にかかるということは、これはとうていできません。できませんから、私のほうとしては、先ほども申し上げたように、いろいろ要望がありますけれども、その中でどれが一番必要であるかということを、さっき申し上げたような新全総の見地とか、あるいは輸送需要の動向とかというようなものをにらみ合わせて、これからきめていこうとするのでありまして、そのほかの調査五線に続く新幹線について何かきまっているのかと言われますと、今日まだきまっておりません。しかし、それについては先ほど申し上げたように、鉄建審でも五十四年まで待たずに早く調査線をきめるべきものはきめたほうがいいじゃないか、こういうような建議がありますので、私どもも調査を十分にいたしまして、なるべく早く鉄建審にこういうところに新幹線をつけることはいかがでしょうということを持ち出しまして、御審議をいただきたい、こう思っておるわけでございます。
 そこで四兆八千億という数字はどうして出したんだ、こういうことかもしれませんが、来年度の新幹線に対して大体国鉄としては五千億ぐらい予定しておるんです、一年間で。一年間の工事費として五千億ぐらい予定しておるわけですね。それで十年間で必ず五千億ずつ、五千億ずっというわけじゃございませんけれども、やはり工事能力の問題もありますし、国鉄の経済という問題もありまして、大体そのぐらいの速度で新幹線というものは、今後も、必要なところには建設していかなければなるまいということで、現在の調査五線が五十四年にできますと、あと何年かまだ残りがありますから、五十七年までには。それで大体あと残っておる、新幹線に充てようという、十カ年計画の現在の試算の中における、新幹線の工事費といいますか、大体一兆五千億ぐらい余裕があるわけです。そういったものを今後重点的に、どこの線でどういうふうに使うかということを、これから、先ほど申し上げたような調査を進めながら、皆さんの御意見を聞いた上で漸次決定していこう、こういうような作業をこれからするわけでございます。
#135
○森中守義君 実は、その件については現状の認識だけはよくわかりましたが、だからといって、完全了解を得たというわけじゃありません。ただし時間が、きょうはこれでということですから、実はお見かけのように、消化した質問が全体の十分の一でまだまだだいぶ残っている。ことに運賃料金の中で大臣の認可事項、総裁の専決事項ですとか、あるいは公共負担とか、あげていけばたくさんあります。ですから次回に留保します。
 最後に資料をいただきたいのは、最終年度で十一兆の債務が生ずる、累積赤字で約三兆になる。しかして終了年度の次年度においては、三千億の黒字に転化するという、こういう実は計画上のあれになっております。どうしてたった一年間で全部債務を終わる、赤字も終わる、そして三千億の黒字になるかというその根拠を、しろうとの私がよくわかるような資料を提出していただきたいということを最後に付言をいたしまして本日はこれで質問を終わることにいたします。
#136
○三木忠雄君 そりでは経企庁長官がいらっしゃいますので、私は物価並びに公共料金あるいは公共事業の抑制の問題等に関連して、若干の質問をしたいと思うのです。
 特に、毎月毎月高騰する消費者物価の問題を考えますと、はたして政府は緊要な物価政策として、あるいは物価安定のためにどのような対策を講じているかということは、これは国民の非常に不安の的だと思うのです。この点について、経企庁として、この物価安定対策としてどのような対策を講じているのか、あるいは今後どういうふうな方向で、この高騰する物価をどういうめどで押える決意があるのかどうか、この点について、まず経企庁長官に伺いたいと思います。
#137
○国務大臣(小坂善太郎君) わが国の物価の一つのあり方といたしまして、消費者物価が上がりましても卸売り物価が上がらないというのが一つの形であったわけでございます。その形が昨年からくずれまして、卸売り物価がやはり上がり始めて、それが消費者物価をまた押し上げるということになりまして、最近まさに物価の異常なる騰貴という状況が卸売り物価、消費者物価ともにあるということでございまして、政府といたしましては、何とかしてこの燃えさかるような物価の上昇の火の手を食いとめるということに全力を傾けたい、物価の安定を政策の第一目標にするということを決定しておるわけでございます。
 去る四月の十三日に、物価閣僚協議会におきまして、十三項目決定をいたしましたが、さらにこの八月三十一日におきまして、五項目の緊急対策をきめましたわけでございます。その間に、国民生活に非常なウエートを持っております消費者米価でございますが、消費者米価を本年度中は据え置く、引き上げないということに決定いたしたわけでございますが、その八月三十一日の決定は、まず財政の執行の繰り延べということで、公共事業の執行につきまして八%繰り延べをする。しかし積寒地帯あるいは災害地帯に対しましてはこれを四%にし、あるいは生活環境施設についてもこれを四%に減らすということにいたしておりますし、また財投におきまして、中小企業金融三機関につきましては、これを除外するということにいたしております。また地方団体につきましても、国と同様の措置をとるというふうに要請をしておるわけであります。
 その他金融の引き締めを、これは四次にわたって公定歩合の引き上げをやったわけでございますが、今度は一%という、従来にない大幅の公定歩合の引き上げをいたしたわけでございます。それとあわせまして、貯蓄の奨励ということに大いに力をいたそうということにきめておるわけでございます。
 さらに民間の設備投資及び建築投資の抑制ということをいたしましたのでございますが、全般の設備投資が非常に強い状況を示しておりまするが、これを抑制すると同時に、民間の建築制限をいたそうということにいたしておりますが、さらに地方関係においても娯楽等を中心とするような建築については、三千ないし五千平米程度のものは、ひとつ繰り延べてもらうように地方にも依頼しております。
 さらに消費者信用につきまして、自動車の割賦販売等については頭金を今日二〇%でございますものを三五%にするとか、支払いの期限二十カ月を十六カ月にするというような二とにいたしまして、それぞれ所定の審議会を通して、それを決定いたしたわけでございます。
 さらに個別物資の対策でございますが、すでに御承知のように、セメントとか、一部の繊維製品、大豆、大豆油かす等については需給調整をはかっておりますが、ことに最近、非常に需給関係が逼迫しております小型の棒鋼あるいは塩化ビニール電線あるいは塩化ビニールの管等につきましては、あっせん相談所を設けまして、これの需給の確保をはかりますが、さらに板紙、灯油等につきましても同様の措置をはかりまして、特に小口の需要に応ずるような手配をいたしました。
 それから先般、本院においても決議をいただきました例の買い占め売り惜しみの規制法、これに対しまして十四品目を指定いたしておりますが、さらに灯油を追加することにいたしたわけでございます。
 また野菜が何といっても生活関連で非常に重要でございまするので、主要生産県について出荷指導を特に綿密に行なうとともに、秋、冬の重要野菜については予約出荷の確保、計画出荷の推進、なお輸入野菜の計画的な貯蔵等を積極的に推進することにいたしておるわけでございます。
 さらに四月にきめました輸入政策を強化いたしますことと、特恵関税のシーリングワクの拡大というようなこと、さらに情報を商社に提供するという措置をきめたわけでございます。
 この結果、非常に金融面では締まってまいりまして、すでに御承知のように、かなり商品市場等におきまして、一部の商品、たとえば綿糸布等の下落あるいはアズキの相場等も下がっております。また生糸につきましても、絹織物の需要が三月ごろ非常に旺盛でございましたわけですが、その後緩慢となってきており、流通在庫も増加してきているといった需給面の要因と、中国側で生糸の値下げがございましたというような関係で、少しこれか低落傾向を示しておりまして、こういうところからだんだん物価が安定してくればよろしいということをこいねがっておるわけでございます。さようなことでございまして、現今の前年同月比二けたというような上昇は、何としてもすみやかにこれを下げるような政策はとらなければならぬと思っておるわけでございます。
 なお最後に一言つけ加えさしていただきますと、消費者物価の面におきましては、前月比でございますと八月で〇・五と、季節商品を除きますと、わりあいによろしい。この点はたいへんいままでよりよくなつてきておりますが、前年同月比は非常に高いわけです。前月比でございますと、季節商品以外のものはいいんですが、季節商品がまだ非常に高いという状況であるわけでございます。
#138
○三木忠雄君 いろいろな対策は講ぜられておりますけれども、現実に物価抑制が国民の前にメリットとしてあらわれてこない。これはもう長官お認めのとおりだと思うんです。
 私は、いろいろ打つ手がいつごろまでにそのメリットが出るかどうか、この点をひとつ長官の観測を伺いたい。
#139
○国務大臣(小坂善太郎君) この春以来、四月に公定歩合を引き上げたわけでございますが、主として金融対策というものが前面に出てきておるわけでございます。金融の面からの景気抑制というのは非常に遅効性と申しますか、効果がゆっくり出てくるように思うのでございます。ボクシングで申せばボディブローのようなもので、だんだんに打撃がきいてくるというふうに、たとえ話に申しておるわけでございますが、そこへこの八月三十一日の財政面からの繰り延べを思い切ってやる。その前にも、上期の公共事業の支出を下期に移すという作業はやっておるわけでございますが、はっきり繰り延べるという措置を、ことに八%というものを繰り延べるということにしたことによりまして相当に、ここへ来てようやく効果があらわれるのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。卸売り物価につきましては私は十月ごろには相当に出てくるであろう、田中総理は秋とおっしゃいましたが、秋も深まるころには相当に効果が出るというふうに考えております。
 ただ消費者物価につきましては、これは卸売り物価高騰の影響がまた漸次回ってまいりますけれども、この点は非常に警戒的に見ていかなければならないと思いますが、全体といたしまして世界的なインフレの影響を受けておるわけでございますが、やはり最近になりまして、西ドイツの景気も天井に当たったようなことを言っておりますし、外国からの品物も多少いままでのような上がり方でないような傾向が出てまいりましたので、まあここで峠を越したのではないが、ぜひそういうふうにいたしたいものだというふうに思っておる次第でございます。
#140
○三木忠雄君 こまかな物価論争をやるつもりは毛頭ありませんけれども、公共料金の趣旨からいきましても、この国鉄運賃の値上げとからんでくるわけでありますけれども、いろいろ政府が打っている対策を考えてみれば、金融引き締めといい、あるいは公共投資の繰り延べといっても、あくまでも間接的な問題じゃないかと思うのですね。すでに物価安定政策会議等でいろいろ提案されているように、行政介入と物価といういろいろな提言がありますけれども、具体的に公共料金については価格の決定に介入できるのが政府の特権じゃないかと思うのですね。こういう点について、明確な態度を私は示すべきではないかと思うのです。間接的ないろいろな手は打たれていることは、私は了とするわけでありますけれども、もっと直接的な、政府が価格決定に介入できる公共料金を抑制するという方向にどうして踏み切れないか、この問題をお伺いしたいと思います。
#141
○国務大臣(小坂善太郎君) 公共料金につきましては、従来政府としては極力抑制的に取り扱ってまいっておりまして、真にやむを得ざるもの以外は厳にこれを抑制しようということでやっているわけでございますが、しかし公共料金といえども、やはりいろいろな経済活動の結果出てくるものでございまして、結果だけ押えておって、無理に仕事を進めよと申しましても、結果においてサービスの低下を来たすというような問題もあると存ぜられるわけでございます。ただいま御審議をいただいております国鉄の場合はまさにそれであるというふうに私ども存じておりまして、やはり長期的な計画のもとに、この状態を直していくのがよかろう、こう思っておりますわけでございます。また、ことに物価の抑制というのを、いわゆる政府の権力によってやるというような場合は、必ずそれが解除する場合に、非常に大きな値上がりをそのときにはまた来たさねばならぬという問題がございまして、そういう点を彼此勘案しながら、全体の物価政策をやってまいりたいと、こう思っておる次第でございます。
#142
○三木忠雄君 しかし、ことしのような異常な物価高騰のときに、わざわざ公共料金を値上げをする必要はないじゃないかという、これは国民の淡い期待だと思うのです。確かに国鉄の再建計画等もいろいろ問題があると思います。しかしながら、これも含めて、やはり公共料金が消費者物価の中に占める割合というと二〇%あるわけですね。
 こういう点から考えますと、もう少し公共料金の抑制という問題について、政府がもっと強力な姿勢を私は示すべきではないかと思うのです。こういう点具体的に、担当官でもけっこうでありますけれども、公共料金が消費者物価に占めるウェートはどういうふうなぐあいになっておるか、その点についての説明を伺いたい。
#143
○政府委員(小島英敏君) 公共料金という概念には広い意味も狭い意味もございまして、普通使っておりますのは狭い意味でございます。つまり料金に限っておるわけでございまして、このウェートを申しますと、四十五年基準のCPIの中で一万分の千二百五十七、つまり一二・六%ということでございます。この中には地方公共団体の定める料金というものも入っておりますから、より狭く、政府が直接行政介入できる料金ということではかりますと、一万分の一千六十七、つまり一〇・七%ということに相なります。それから先ほど申しました一番広い意味の公共料金という概念で申しますと、つまり料金以外の価格的なもの、米の政府売り渡し価格とか、食塩とか、たばことか、そういうものも含めました広い意味の公共料金は一万分の千七百八十一、先生のおっしゃいました二〇%というのが大体この概念に基づくものでございますが、一七・八%ということになるわけでございます。
#144
○三木忠雄君 そういうたとえば狭い意味に考えましても、本年度大体ガス料金あるいはその他地方公共団体の値上げの分もありますけれども、これから航空運賃の値上げが予想されている、あるいは電気代の値上げが予想されている。こういう点をいろいろ考えますと、あわせて国鉄運賃の値上げによって、やはり国民生活に与える影響というものは非常に大きなものがあるんじゃないかと思うのです。
 そういう点から考えますと、いろいろな間接的な対策を講ずるよりも、もっと具体的な、政府が直接介入できる、いわんや政策安定会議からも提言が出ているように、公共料金の抑制ということが政府の物価に対する姿勢を示しているという、こういう提言まで受けている以上、もっと明確な態度で公共料金の抑制問題に取り組んでいくべきじゃないか。なかんずく田中内閣の姿勢は公共料金の値上げの方向に向かっている姿勢だと、こう言っても私は過言ではないんじゃないかと思うのです。こういう点について、やはり物価の取り締まり役である経企庁長官が、これから予想されるであろう航空運賃とか、あるいはガス、あるいは電気代、こういう問題に対して、国鉄運賃とあわせて、国民生活にどのような影響があると考えているのかどうか、この点、お伺いしたい。
#145
○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほど申し上げましたように、公共料金といえども公共事業を営んでおる結果において出てくる問題でございまして、実は昨年から本年にかけまして、たとえば東京都の地下鉄あるいはバス、あるいは横浜におけるバス料金あるいは名古屋、京都等における同様な措置、これもみな公共料金を極力抑制的に扱いたいと思っていたのでありますが、首長等のたっての要望で、政府も理由があるというふうに認定したわけでございます。
 というのは、やはり給与、賃金、俸給、そうしたものが非常に上がっておりまするので、これを経営していく上にはやはり料金に手をつけざるを得ないという関係があるものだと思うわけでございます。国鉄についてももう全く同様の観念で、いま御審議をわずらわしておるわけでございます。ただ国鉄において違いますことは、再建十カ年計画という長期的な計画を持っておるという点が、あるいは横浜市のバスとは違う点かとも思うのでございますが、そういうことでございまして、実は公共料金は政府が握っているのだから、これはもう凍結してしまえばいいということは、一方において考えられることかもしれませんけれども、やはりそれも国鉄なりバスなり、電気なり、ガスなり、これを経営している経営体がそれぞれの経営に必要なる諸費用が非常にかさんでおるということを十分考慮いたして、その上で決定すべきものかと思っておる次第でございます。
 経企庁といたしましては、それぞれの原局からいろいろな資料の提出がございますので、それを見て、その上で先ほど申し上げましたように、公共料金というものはできるだけ抑制的に扱うという方針のもとに審査をいたしまして決定するものでございます。国鉄の場合でございますと、これは政府が財政支出をするということができるわけでございます。たとえば電気あるいはガス、そういうようなものについては、これは公共料金ではございますけれども、政府としては何らその企業に対して補助金を出すとか、そういうようなことはございませんもので、そういう点も考慮の中に入ることかと考えておるわけでございます。
#146
○三木忠雄君 まあいろいろ議論はあると思いますけれども、やはりいま田中内閣にとって一番大事なことは物価の安定の問題じゃないかと思うのですね。この時期に当たって、公共料金のうちでも、最も国民に影響が大きいといわれるこの国鉄運賃値上げについては、一時凍結するなり、あるいは大幅に財政援助をもう少し加えるなりして、この国鉄運賃値上げは少しストップをさせるという、こういう考え方をとることが物価安定という政府の政策に非常に一致するのじゃないかと思うのですね。この点については、こういう異常物価の中にあって、経企庁長官として、もっとき然たる態度を私はとるべきじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
#147
○国務大臣(小坂善太郎君) できるだけいままでさような態度をとってきているわけでございまして、たとえば公共料金と申しますか、政府が関与し得る物価といたしまして、消費者米価を据え置くというようなことは、私も非常な抵抗を排してこれを決定したつもりでございます。
#148
○三木忠雄君 それでは、間接的というか、八月三十一日に五つの対策をいろいろ講ぜられたわけでありますけれども、国鉄にちょっと伺いたいのですけれども、この公共事業の抑制が八%ですか、これを行なわれることによって、国鉄関係で大体抑制状況はどのくらいになるのか、あるいは工事の規模でどういう支障を来たすのか、どういう影響があるかについて答弁願いたい。
#149
○説明員(磯崎叡君) ただいま御質問の八%削減、まだ正式に閣議決定になっていないそうでございますので、正式に御通知はございませんが、もし閣議決定後御指示がありますれば、いまもう工事がいずれも進行中でございますので、工事の進行状況あるいはその緊急度等、それからもう一つ、八%と申しましても、寒冷地は四%というふうに承っております。それらも考えまして、たとえば踏切のように直接市民生活に関係のあるものなどには手をつけない。なるべく用地買収等が難渋しているもののほうをおくらすというふうな方法でもってやってまいりたいと思っております。金額的に申しますと、大体五百億ぐらいではないかというふうに推定されております。まだはっきりしておりませんが、大体そういうところでございます。
#150
○三木忠雄君 たとえばこの五百億ですね。大蔵省のほうに伺っておきたいのですけれども、この八%の繰り延べについては、具体的にまだ試案を持っていらっしゃいませんか。
#151
○政府委員(田中敬君) 先般、八月三十一日の閣議におきまして、先ほど企画庁長官から御説明がありました大綱といたしまして、一般的に八%、寒冷地その他生活環境については四%ということで、各省にお願いを申し上げた段階でございまして、いま各省と事務的に中身を折衝中でございまして、まだ計数的には詰まっておりません。いずれ一週間以内ぐらいには正式な数字がきまろうかと思います。
#152
○三木忠雄君 まあこれ一週間後にいろいろきまるんでしょうけれども、たとえばこれは一例ですが、国鉄がいま総裁からも答弁のあったように、約五百億の工事が繰り延べになると、工事のスケジュールがおくれると再建計画あるいは輸送量や合理化への対応がある部分ではそごを来たすのではないかという感じも受けるわけでありますけれども、この点については、総裁どうですか。
#153
○説明員(磯崎叡君) 確かに本年度の単年度だけで見ますとそういうことになると思いますが、できるだけ先生に御心配をかけないように、二年度、三年度の長期にわたって、この影響を弱めていくという方法をとりたいと思いますが、さしあたりはやはり再建計画に対するなるべく影響度の低いもの、あるいは国民生活にも直接影響するものということなどを頭に置きながら工事の一部繰り延べをいたさなければならないというふうに考えております。
#154
○三木忠雄君 大蔵省に伺いますが、具体的なことはまだきまってないでしょうけれども、この公共事業の抑制を大体いつごろまで考えているのか、この点について。
#155
○政府委員(田中敬君) これは内閣でおきめいただくことでございますけれども、先ほどの閣議決定の内容に従いますと、「今後情勢が変化しこれを解除することが適当と認められる時は、すみやかに解除するものとする。」ということが閣議決定にうたわれております。そういう意味におきまして、今後の経済情勢いかんによってその解除時期がきまるものと、かように考えております。
#156
○三木忠雄君 それで経企庁長官に伺いたいのですけれども、いつごろまでにその解除をするか、こういう見通しを持っていらっしゃるのかどらか。
#157
○国務大臣(小坂善太郎君) 財政の持つ効果というものは有効需要を造出するとまでいわれておるのでございますから、財政支出が景気に対して刺激的であるということのないようにしたいということで、予算を編成しているわけでございます。しかし最近の状況ですと、やはりこれを繰り延べたほうがいいという状況でございますので、あのようなことをお願いしたわけでございますが、その結果によって、相当景気が鎮静した、物価の騰勢がとまり、むしろ非常に不況感が生じてきたというようなときがございましたら、これは解除したほうがいいと思います。現状でございますと、いっその効果があらわれるかということを、にわかに申し上げるのはちょっと困難かと思うわけでございます。しかし繰り延べると申しましても、いま申し上げたような状況が出るのは相当まだ先ではないかというふうに思います。
#158
○三木忠雄君 これは非常にむずかしい問題になるかと思いますけれども、大体物価上昇率がどの程度まで押えられたときに公共事業の繰り延べを解除する、おおよその目安は経企庁長官の頭の中にはあるのじゃないかと思うのです。この点についてはいかがですか。
#159
○国務大臣(小坂善太郎君) 非常に明確に申し上げることはむずかしいのでございますけれども、従来、五年間ぐらいの平均で経済の成長率が一一%程度である、そういう場合には消費者物価が五%程度、卸売り物価が約二%程度というのが従来の形でございます。今日のような形が、そこいら辺にいくめどがついたというときはいかがかというふうに思います。
#160
○三木忠雄君 このように物価の高騰が非常に長引いてきますと、やはり国鉄だけじゃなしに社会資本の充実のテンポがおくれてくると思うのです。そうすると、やはり国民生活に支障を来たすことは私は非常に大きなものがあると思うのですね。こういう点で、経企庁長官として、あるいは大蔵省にも御答弁願いたいのですけれども、物価と公共事業費のかね合いをどの程度に考えているのかどうか、この点についてお伺いしたい。
#161
○政府委員(小島英敏君) 最近やはり一般的に物価が高騰しておりますけれども、特に卸売り物価の中で一番上昇率の強いのが建設関係の資材でございます。その意味で、やはりこの原因といたしましては、民間設備投資が非常に強い、予想よりも。予想が一〇%台でございましたのがいまは二〇%をこすのじゃないかということがいわれているわけでございまして、その意味から、先ほど大臣申されましたように、設備投資の規制を行なうということでございます。公共事業のほうは、当初計画に比べますと、もちろん計画に従って行なわれているわけでございますから、その関係では設備投資ほどの食い違いは出ていないわけでございますけれども、やはり民間設備投資のほうが、なかなかこれは政府の規制がむずかしい、間接的な規制しかできないわけでございますから、全体として総需要が過大である、そのためにいまの卸売り物価の暴騰が起こっているという状況に処しまして、政府の手の及ぶ、政府の手の中にある公共事業について、やはり繰り延べをするということをいたしたわけでございまして、先ほど申しました特に建設資材関係の値上がり防止という観点からは、やはりこれはかなりの効果を持つものというふうに考えております。
#162
○政府委員(田中敬君) 先ほど来御説明がございましたとおりに、あくまで今回の公共事業の繰り延べ措置というのは総需要抑制策の一環として行なっているものでございまして、ただいま企画庁から御説明のありましたように、民間設備投資との関連あるいはもっとこまかく申しますと、具体的にあらわれてまいりますボトルネック、たとえばセメント、鋼材というような資材面、労務面、そういうものを総合的に勘案して行なうべきものとは存じますけれども、お説のように、社会福祉の充実ということが目標になっております現在の公共事業の主目的であります以上、できる限りこれは抑制をせずに、総需要の中の一環として達成できるものなら十分達成していきたいというのがわれわれの念願でございます。
#163
○三木忠雄君 そうしますと、たとえば物価上昇が年度内におさまらないとすると、繰り延べされた公共事業費というものは翌年度に繰り越されることになるんじゃないかと、こういうふうに考えるんですけれども、先ほどからの経企庁長官の答弁を聞いておりましても、どう考えても年度内におさまるような感じがしない。そうすると、先般も新聞等にも報道されておりますけれども、経企庁の考え方は翌年度に繰り越すと、こういうふうな見解を持っていらっしゃるそうでありますけれども、やはり国会の審議権との問題で大蔵省は渋っているという話も私たちは聞いています。こういう点について翌年度に繰り越されるのではないかというのが、私は大方の見方ではないかと思うんです。この点については、企画庁長官どうお考えになりますか。
#164
○国務大臣(小坂善太郎君) 従来も実は繰り延べるといわないで結果においてキャリーオーバーが行なわれるという事態があるわけで、今度はひとつ繰り延べるということでございまして、先ほど私が申し上げたような景気ないしは物価の安定が見通しがつくということになれば、繰り延べを解除するわけでございますが、年度を越す場合もあり得ると思います。
#165
○三木忠雄君 そうしますと、大蔵省として年度を越した場合のこの処理のしかたですね、この点についてはどうお考えになりますか。
#166
○政府委員(田中敬君) ただいま長官から御説明のありましたように、結果的に繰り越しになることはあろうかと存じます。繰り越しになる場合には現在の財政法の規定に従いまして明許の繰り越しということで、従来の財政法、会計法の手続どおりの繰り越しが可能かと存じます。
#167
○三木忠雄君 そうしますと、この問題は、やはり公共事業の抑制という問題については、予算委員会なり、あるいはいろんな審議の場に、やはり財政当局としてもその結果を出すべきじゃないかと私は思うのですけれども、その見通しはありますか。
#168
○政府委員(田中敬君) 予算委員会の開会の問題につきましては、私どもしかとしたことは存じませんですが、繰り延べの措置と申しますのは、国会で承認された予算を経済情勢に即応しまして適切に執行するということは、そのために年度内の執行の調整、ただいま申し上げました上期の契約を下期に繰り下げることであるとか、あるいは今回のような八%の繰り延べ、留保を行なうというような調整を行ないますことは、国会で議決をいただきました予算の執行につきまして責任を持ちます政府あるいは財政当局としての当然の措置であろうと存じます。
 その時期的調整は、じゃ具体的にはどういうふうにしてやるかという点につきましても、現在の財政法の三十四条に支出負担行為の承認、認可あるいは支払い計画の認可というようなことでこまかい規定が設けられておりますので、その規定に従いまして執行します以上、特段国会の御承認を得るというような必要はないかと存じます。
#169
○三木忠雄君 そうしますと、この公共事業の抑制の問題が国鉄をはじめとする社会資本の充実のテンポのおくれ、あるいは国民生活に相当な私は影響を及ぼすんじゃないかと思うんです。そうすることはかえって、ある意味では物価の値上がりにつながってくるのじゃないかという、私たちは考えを持つんですけれども、この点、経企庁長官、どうお考えになりますか。
#170
○国務大臣(小坂善太郎君) 実は、物価が上がりますことによって公共事業の執行が困難になる、あるいは社会福祉関係でも、この基礎がくずれるということになりますので、そういう意味で、やはり福祉国家をつくるということになれば、まずもって物価を安定しなければならぬということで、今回の措置をとりました。
 いまのような状況で、実は総需要が強過ぎて、景気が過熱しているという状況のもとにおいて、このままの支出を続けていっては物価の騰勢がとめられない。そこで支出を削減して、いわゆる超過需要をとってしまう、需給のバランスをはかるということによって物価を下げるということを生ず考えておるわけでございまして、その結果によって公共事業が意図するとおりに行なわれ、福祉事業も行なわれるというふうに考えておるわけでございます。
#171
○委員長(長田裕二君) 本日の質疑はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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