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1972/09/11 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第29号
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1972/09/11 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第29号

#1
第071回国会 運輸委員会 第29号
昭和四十八年九月十一日(火曜日)
   午前十時二十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月八日
    辞任         補欠選任
     木島 則夫君     田渕 哲也君
 九月十日
    辞任         補欠選任
     山田  勇君     青島 幸男君
 九月十一日
    辞任         補欠選任
     橘  直治君     初村瀧一郎君
     菅野 儀作君     中村 禎二君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         長田 裕二君
    理 事
                江藤  智君
                木村 睦男君
                山崎 竜男君
                小柳  勇君
    委 員
                岡本  悟君
                黒住 忠行君
                高橋 邦雄君
                中村 禎二君
                初村瀧一郎君
                松平 勇雄君
                杉山善太郎君
                瀬谷 英行君
                森中 守義君
                阿部 憲一君
                三木 忠雄君
                田渕 哲也君
                青島 幸男君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
   政府委員
       首都圏整備委員
       会事務局長    小林 忠雄君
       大蔵政務次官   山本敬三郎君
       運輸大臣官房長  薗村 泰彦君
       運輸大臣官房審
       議官       原田昇左右君
       運輸省鉄道監督
       局長       秋富 公正君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部長  住田 正二君
       運輸省自動車局
       長        小林 正興君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       宮本 保孝君
       労働省労働基準
       局賃金課長    小林哉也雄君
       日本国有鉄道総
       裁        磯崎  叡君
       日本国有鉄道理
       事        原岡 幸吉君
       日本国有鉄道理
       事        阪田 貞之君
       日本国有鉄道理
       事        加賀谷徳治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進
 特別措置法の一部を改正する法律案について
○派遣委員の報告
    ―――――――――――――
#2
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 木島則夫君、山田勇君、橘直治君が委員を辞任され、その補欠として田渕哲也君、青島幸男君、初村瀧一郎君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(長田裕二君) 前回に引き続き、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。三木君。
#4
○三木忠雄君 それでは前回に引き続いて、特にきょうは大蔵省に、財政助成問題について若干質問したいと思います。
 今回の国鉄再建案を見ますと、特に財政助成については、過去の債務、これに対する利子補給と、あるいは工事に対する補助に、厳格に見てみれば限定されているのではないかと思います。こういう点を考えますと、国鉄は実際に赤字の原因を分析しますと、いろいろな問題点はあると思いますが、特にやはり運賃上の公共負担あるいは地方の赤字線の問題とか、あるいは納付金の問題とか、各種の国鉄が負わされているいろいろな公共的義務というものは相当あると思うのです。こういう問題についてやはり財政当局はどのように認識をし、そうしてこの再建案を完成させようとしているのかどうか、この点についての財政面から伺いたいと思います。
#5
○政府委員(山本敬三郎君) 国鉄の財政助成のやり方につきましては、この前、国鉄総裁からこの委員会でお伺いいたしましたが、イギリス的なやり方、ドイツ的なやり方、いろいろあります。いまおっしゃいますように、広い意味での公共負担に着目して個別的に助成するというやり方もありますし、総合的に長期にわたって国鉄財政の健全な基盤をつくる、総合主義に基づく助成のやり方もある。今回の場合には総合主義に基づく助成のやり方というものをとっているわけであります。
#6
○三木忠雄君 この個別補償と総合補償の問題について、私、これから論議を進めますけれども、大蔵省としてヨーロッパ各国の、たとえば西ドイツ、あるいはイギリス、あるいはフランス、こういう各国の国鉄の財政助成のあり方については、どういう見識を持っていらっしゃいますか。
#7
○政府委員(秋富公正君) 具体的な例でございますので、私からお答え申し上げます。
 御指摘のように、ヨーロッパの諸国、特にいわゆる国有鉄道の存在しております国につきまして、その助成の現状を申し上げます。たとえて申し上げますと、まずイギリスでございますが、イギリスは非採算性の旅客輸送に対する補償あるいは余剰の軌道及び信号施設に対する補助、これを行なっておりまして、一九七一年におきます補助金額は六百十億円でございます。西ドイツにおきましては、通勤通学等の公共負担に対する補償、踏切の保安運営に関する国庫負担、退職年金の一部に対する国庫負担、引き揚げ者、戦争犠牲者に対する割引の国庫負担あるいは累積欠損に対する国庫負担、こういった助成策を講じておりまして、同じく一九七一年度の助成額は二千六百四十四億でございます。それからフランスについて見ますると、新聞、石炭等の特定輸送に対する補償、無賃あるいは割引強制等に対する補償、非採算旅客輸送に対する補償、線路、工作物、保安施設の保守に対する国庫負担、踏切警手に対する国庫負担、退職年金の一部に対する国庫負担、こういった助成が行なわれておりまして、同じく一九七一年度の助成額は三千九百三十六億円でございます。
 こういった各国は、ただいま申し上げましたように具体的な項目とらえましてその助成をしておるわけでございますが、この結果、たとえばイギリスでございますが、一九七一年は六百十億円の補助金でございますが、その前年の一九七〇年は六百三十六億と、さらにその前年は六百五十七億と申しますように、補助金額は必ずしもふえていない、その年々によって行なわれておるわけでございまして、むしろ減少してきているわけでございます。西ドイツを見ましても、一九七一年は、ただいま申しました二千六百四十四億でございますが、その前年の一九七〇年は三千七百三十六億、その前年の六九年は三千百八十七億とございまして、必ずしもふえていない、むしろ約一千億減ったという実情でございます。それからフランスにつきまして見ますと、ただいま申しました一九七一年は三千九百三十六億でございます。その前年は三千五百六十億となっております。六九年は三千七百八十一億とありまして、必ずしもふえていない、過去の実情に応じましての助成、こういう点がヨーロッパ諸国の数字でございます。
#8
○三木忠雄君 さかのぼればふえてないと言いますけれども、安定して補助金あるいは公共負担に対するいろいろな助成が行なわれているわけですね。その結果、イギリスにおいても、あるいは西ドイツにおいてもフランスにおいても、私も昨年ヨーロッパへ行ったとき、各交通関係者にいろいろ聞きました。これのいろいろ状況を見ますと、ヨーロッパ各国の財政助成のあり方と日本における国鉄に対する財政助成のあり方というものは、すいぶん大きなへだたりがあるということは、これは私は大蔵省自身がお認めになっているんじゃないかと思うのです。
 したがって今回の再建案に出されているような、いろいろな問題点は、そういういろいろ国鉄か実際に負わされているこの公共負担的な問題を、これをはっきりと清算しなければ、一時的な財政再建計画は成り立つかもしれない、机上のプラン的には。しかし五年後あるいは七年後には必ず破綻をしてしまう、あるいは早いときには三年後に破綻するんじゃないかと私は思うのです。それを何とか運賃で肩がわりしようというようなやり方、あるいはそれを総括的な補助でやるというようなやり方については、これはちょっと国民も納得できないような問題じゃないかと思うのです。それは昨年あるいは前回のこの再建計画よりは少しはベターになったということで、国民にいろいろなPRはしているけれども、
  〔委員長退席、理事山崎竜男君着席〕
根本的な国鉄の財政再建にはならないと思うのです。こういう点について、具体的に大蔵省としてはこの公共負担に対してもう少し肩がわりをするなり、あるいは明確な線をこの十年間の再建計画ではっきりしなければ、これは何の再建案でもないと思うのです。その点について、どう考えていらっしゃいますか。
#9
○政府委員(山本敬三郎君) ただいまの御意見、ヨーロッパ諸国と日本との違いでありますけれども、その原因はどこ、理由はどこだろうかと考えますと、国鉄輸送そのものに対する、一方では地形的にも人口の密度からも、あるいは経済の成長のぐあいからも、多様化しつつあることを認めているような、そういう立場と、日本のように、モータリゼーションから、むしろ国鉄の機能をもう一ぺん見直すべきだと、したがって国鉄の投資を大胆にやっていく中で、いろいろな公共負担等を解消していくという道を考えるほうが非常に向いているのではないか、そういう考え方との違いがあろうかと思うわけであります。日本では国鉄に対するいままで投資が不足しており、時代の要請にマッチし得なかったというところに、実際一番大きな原因があったということを考えますと、国鉄が本来果たし得る機能を十分に果たさせることによって財政の総合的な健全化をはかろうという、いまの私たちの考え方というものを、ヨーロッパと同じではありませんけれども、その立地条件や経済の実態に応じて、国鉄機能をいかに重視するかという観点の違いではなかろうかと、こういうふうにも考えておるわけでございます。
#10
○三木忠雄君 そうしますと、国鉄の機能を十二分に果たさそうと、こういうふうに大蔵当局は考えていらっしゃるそうでありますけれども、どういう角度から現在国鉄が置かれている立場を、十分な機能を果たさそうとお考えになっていらっしゃいますか。
#11
○政府委員(山本敬三郎君) いまの国鉄の赤字の基本的な原因というのは、やっぱり国鉄の収入の減が一つの原因であり、一方では人件費やその他のアンプによる支出の増ということであります。収入減の最大の原因は何かといいますと、やっぱりモータリゼーションに対応するような国鉄に対する大胆な投資が行なわれなかった、過去において。これは最近の道路投資と国鉄投資とを比較してみればわかることでありますけれども、そういった点に着目して、国鉄の積極的な投資の中で、財政基盤を健全に守っていくという考え方を立てていくというわけであります。
#12
○三木忠雄君 しかし、このモータリゼーションの問題にしましても、やはり私は、これはあとで個々の問題について伺いたいと思っておりますけれども、たとえば一つの地方における、閑散線の問題と並行して建設省は道路をつくっておると、これには大蔵省から財政助成をしっかりされている。国鉄のほうは地方閑散線でほんとうに赤字路線を運営しなきゃならないと、こういう問題についても、やはりモータリゼーションの影響とは言いながら、片一方には過度な財政助成が行なわれる。国鉄のほうは赤字でひいひい言いながら、それを運営していかなきゃならない。
 これは一例でありますけれども、こういう点を明確にしなければ、国鉄の背負わされているこの負担というものは、私は解消しないんじゃないかと思うんです。これはあとでAB線、CD線との問題で私はこまかくお伺いしたいと思っておりますけれども、こういう点を、あるいは公共負担が一兆二千億ですか、二十四年ぐらいから国鉄に負わされている公共負担が約一兆二千億あるわけですね。こういう問題について、もし、これがヨーロッパのような方法でいろいろ補助が行なわれておったならば、この一兆二千億のこの公共負担の負担額というものは解消されていたんじゃないかと思うんです。
 こういう点についての、まあいままではいままでとしましても、これからのやはり財政助成のあり方というものは、もう少しそういう点は明確にしていかなければ、国鉄の収入源が断たれているという、この問題もやはり時代的な背景が私はあると思うんです。そういう観点に立って財政当局も考えるべきではないかと思うんです。この点はいかがですか。
#13
○政府委員(山本敬三郎君) 確かに赤字閑散線のそばに道路ができてくるという問題、具体的にはそういう問題がかなりあろうかと思います。しかしまあ、いま現在、私たちは大きな問題としては、いままでのような高度成長が許されるかどうかということが、私見にわたりますけれども、議論をされていかなければならぬ時代に入ってきつつある。それは資源の問題を考えても、公害の問題を考えても、高度成長が、経済的な潜在的エネルギーがあるから、このまま続けていいかどうかという重大な時期に来ているんではなかろうか、そういった際に、一体全国的な新幹線網を考えるべきか、高速道路網を考えるべきか、どちらを優先すべきかというような問題は、これから議論していくべき問題でありますので、そういった点で考えますと、個々には確かに閑散線の赤字が非常な負担になってきているという点はありましょうけれども、やっぱり国鉄の機能というのは、日本にとっては一番合った輸送体系、総合交通体系の中で、国鉄機能というものを十分に見直していく、そういう立場でやっていきさえすれば、そういった問題は総合的に十年後には解決つけ得るのではなかろうかと、こういうふうにも考えられるわけであります。
#14
○三木忠雄君 それにどうも大蔵省の答弁は、何でも総括的な補助でひっくるんでしまって、そうして解決しようという、いわば助成の理由づけをいろいろ形をひっくるめて総合補助の形をとっているわけです。しかしながら総合補助の形からいろいろ考えてみた場合に、やはり工事とか、過去の債務だけをとって、それで将来十年間、国鉄が再建がなるんだという、そういう総合助成のあり方では、今回の問題を考えてみても、ちょっとおかしいんではないかと思うんですよ。じゃあ過去の債務あるいは工事の問題に限定して、本年は再建策を組んでおられますけれども、実質的に、じゃあ公共負担や、あるいは地方閑散線あるいはその他予想されるいろいろ国鉄が収入減になるような問題について、具体的な個別補償をじゃあ実際行なっているかどうかということなんです。
 この問題を明確にしなければ、これはどんどんどんどんふえる一方だと私は思うんです。あるいは時代の波に乗って、ますますそういう点で国鉄の収入というものは私は減ってくるのじゃないかと思う。あるいは関連事業の拡大ということも、国鉄としてはやっぱり民間企業との関係があってできない。あらゆるところが手をとられてしまって、そうして孫利子補給とか、あるいは工事の問題だけに限定した助成に限って、そうして何か国鉄が十年間には再建できるんじゃないかという大蔵当局の見通しは、これはだれが考えても納得できないような問題じゃないかと思うんです。それじゃむしろ公共負担はどうする、あるいは閑散線はどうするとか、こういう問題を具体的に煮詰めなけりゃならない問題じゃないかと私は思うんです。この点についてどうですか。
#15
○政府委員(山本敬三郎君) 先ほどから申し上げておりますけれども、この国鉄の持つ機能の将来における役割りというものに対して、私は詳しく知りませんけれども、ヨーロッパと日本との違いがあるのではないかと、それから過去において道路投資等に比べて国鉄投資というものが少なかった。それが今日の原因になっている一つであるという点に考えて着目していきますと、先生のおっしゃるように、個別的な赤字に対して補償していくというやり方、そうではなしに、過去の債務につきましては、孫利子補給という形でたな上げしていきながら、一方では積極的な投資をはかって、その投資の中から金利は三%ぐらいにしていって、道路投資の六%よりもより有利な立場をとりながら、その投資による採算というものによって総合原価主義を貫いていこう、こういう考え方は、私はヨーロッパと日本との鉄道輸送に対する将来の役割りというものについて、どちらが大きく考えているか、一方では斜陽をこのまま認めるようなやり方と、そうではなしに、モータリゼーションよりはもっと優先して国鉄機能を発揮させる、その機能の発揮の中で問題を解決していく、こういう立場との違いであろうかと思うわけであります。
  〔理事山崎竜男君退席、理事江藤智君着席〕
#16
○三木忠雄君 これはのれんに腕押しみたいな、大蔵当局の総括補助みたいな感じであります。じゃあはたしてこの十年間、この再建計画でたとえばうまくいったとしても、国鉄のこの健全財政というものは、これは成り立たないと思うんですよ。二兆六千億、十年後にもまだ赤字が残るような原因になるわけですね。これではたして国鉄の健全財政が確立されたと言えるかどうかという問題なんです。
 こういう点を考えますと、非常に基盤の弱い、あるいはそういう問題が、負担がまた国民にしわ寄せの来るような状態であるし、それはやはり過去の債務のいろんな孫利子補給というようなことはやっているけれども、根本的な解決にはなっていないという点ですね、この点をやはり大蔵当局として、ヨーロッパと国土の事情が違うとか、いろんな、逃げては言われるけれども、こういう問題は、私は理由にはならぬと思うんですよ。やはりもう少し明確な態度を示して、そうして国民が負担すべき問題あるいは国がほんとうに負担すべき問題、こういう点を明確にしなければ、何ぼ論議したってこれは同じだと思うんです。その点について、もう少し私は大蔵当局として明確にすべきじゃないかと思うんです。
#17
○政府委員(山本敬三郎君) この資料にあります長期収支の五十七年度をごらんいただきますと、五十七年度に一〇%の運賃値上げをするわけでありますが、単年度で三千八百億円の黒字が出てくるわけであります。ただしその前提としては五十七年度に財政補助金三千百二十四億というものが入っているわけでありますから、それが五十八年度以降すぐ打ち切られるということになりますと、この単年度黒字というものは五十八年度にはもっと大きな形で出てくるとは言えないわけであります。それが満たされるならば、収支のバランスについて、あるいは国がさらに助成すべきであるというような考え方に立ってバランスさえとれるならば、二兆六千億の累積赤字をかかえたとしても、単年度三千八百億の償却後黒字を生むという形は、私は負債が十兆を上回りましても財政の健全化の段階へ入っていけると、こういうふうに考えたわけであります。
#18
○三木忠雄君 これは私たちはそういう見方はとらないわけですけれどもね。いろんな具体的な問題は先般からいろいろ論議されておりますから私は重複を避けますけれども、はたして国鉄に対する財政助成の、補助の限界ですね、限度はどういうふうな根拠でこの程度まで政府が助成をするんだと、あるいはここまでいくんだという国鉄財政助成に対する根拠ですね、あるいは限界点というか、そういう点はどういうふうに大蔵省としては判断していますか。
#19
○政府委員(山本敬三郎君) たいへんむずかしい問題でございますが、国鉄はやっぱり公共企業体でありますから、目的としての公共性を追求しながら、その前提としては手段としての企業性、採算性ということを無視することはできない。そこで国鉄の財政を再建するためにはやっぱり国の助成、国鉄の企業努力、さらに公共料金としての利用者の負担、この三つの間のバランスを考えて運輸当局とも十分相談の上で今回の再建案をつくり上げ、総合原価主義に基づいて財政助成を行なうという形にいたしたわけであります。
#20
○三木忠雄君 しかし国鉄の諮問委員会から出ているいろいろな案を読みましても、やはり運賃の値上げで実際に国鉄の再建をいろいろ考えるとしても、これはもう限界ではないかと、やはり国の助成というものをもう少し明確な線を引かないと、あるいはどういう根拠で財政助成というものをしていくかということを、やはり国民の前でもう少し私は明確にしなければならないと思うんですね。先ほどから言っているように、総合助成策でおおい隠してしまって、そして国鉄の負わされている問題、そういう点をいろいろ議論の余地をはさまないようないろいろな点に包括してしまっているというやり方では、これは国民は納得できないんじゃないかと思うんですね。
 したがって大蔵省として、これからの国鉄の助成に対してはこういう根拠のもとに行なっていくんだという、もう少しそういう限界というか、根拠というか、そういうものをやはり私は明確にしておくべきではないかと思うんです。この点についてもう一度。
#21
○政府委員(山本敬三郎君) たいへんむずかしい問題でございますが、個別助成と総合助成との問題でありますが、確かに国民的立場から言いますと、個別補償のほうがわかりやすいという点は、先生のおっしゃるとおり、私もそのとおりだと思うわけであります。しかし先ほど来申し上げますように、いままで等閑視されがちであった国鉄の機能というものを重視して、その機能を発揮していけば、総合原価主義に基づいて国の助成と利用者の負担と国鉄の企業努力、三者相まっていけば健全財政にいけると、そういう見通しが立ってきたわけでありまして、その点について運輸当局と相談の結果、今日の十年間の長期収支というものをつくり上げたわけであります。
 もちろん自由主義国家における長期収支でありますから、経済の実態が違ってくれば、これ自体このまま確実にいけるという、そういう性質のものではなかろうかとは思います。――これは私見にわたる点であります。しかし私は、国鉄の機能というものを重視するという、見直すという観点に立ちますと、わかりにくいかもしれませんけれども、やはり公共企業体である限り、こういった総合助成によって国鉄の機能を十二分に発揮させながら経営の健全化をはかるというやり方は一つあり得るのではなかろうか、そういう点で個別助成のほうが国民的立場ではわかりやすいということは重々御理解申し上げられるわけでありますけれども、今回は総合助成という国鉄の経営の健全化を総合的にはかる、こういうたてまえをとったわけであります。
#22
○三木忠雄君 これは運輸省に伺いたいのですけれども、今回の助成がいろいろな観点から見て相当大幅な助成であるという点は運輸省も認めているらしいのですけれども、この国鉄の再建計画の中における総合助成のあり方というものが、私は健全じゃないような感じがするのです。個別的に、もう少し国民にわかりやすい助成のあり方というか、こういうもの、やはり国鉄が赤字になるのは公共負担なんか負わされているからあたりまえじゃないかと考えられるような、あるいはこういう時代的な背景も考えれば、閑散線とか、あるいはこれから採算に合うかどうかわからないような新幹線をどんどんつくっていくわけです。決して私、国鉄総裁がここにいますけれども、おそらく総裁も望まないような、口に言えないような問題が一ぱいあるのじゃないかと私は思うのです。どんどん敷かれて片やどんどん運行される、あるいは、午後からでもAB線の問題をこまかく聞きたいと思っていますけれども、どんどんかってに敷かれる、そういう問題を国民は背負わされる、こういう形になってくれば、私は幾ら総合助成だ、工事の三%だと、こんなことを言ったって始まらない問題じゃないかと思うのです。
 国鉄は片足全部取られて、そうして片肺飛行をやっているみたいな感じで、それで赤字を何とかしりぬぐいしろ、企業努力しろと言っても、かえって私は、あと落下公害とかいろいろな事故の問題で質問したいと思っておりますけれども、やはりそういうふうな問題があらゆるところに顕著にあらわれてくるのじゃないかと私は思うのです。そういう問題について、運輸当局として、もっと強い姿勢で私は財政当局との交渉に当たるべきじゃないかと思うのです。この点についてはどうお考えですか。
#23
○国務大臣(新谷寅三郎君) 三木先生の御意見は一つの御見識だと思っております。その方法によるか、いま大蔵政務次官から御答弁がございましたが、総合的に国鉄の全体の財政状態を見ながら、全体として赤字を解消して、国鉄の機能を回復させるような手段方法をとるのがいいかという問題でございますが、私は両方とも一つの政策としては考え方があると思うのです。なるほど外国でいろいろの制度をとっておりますが、これにはやはりそれだけの各国の具体的な事情があると思います。わが国でも昭和四十四年以来、こういうふうな国鉄に対する助成方式をとってまいりまして再建計画を進めてきた、不幸にして現在の再建計画というのは、いろいろの理由によりまして成功しなかった。
 今度改定案を出しているわけでございますが、それには、単に政府の補助のしかたが悪かったからこわれたのだということではなくて、いろいろ日本の経済事情、社会事情の変遷、それから輸送機関の移り変わり等が影響いたしましてこのような結果になったことでありまして、これはまことに遺憾に存じておりますけれども、今回も、第一次の、つまり現行の再建計画を立てたときに、いろいろ検討いたしましたその方式を受けまして、今回も、いま御指摘のような非常にわかりにくいといいますか、非常に明瞭を欠くような方法でありますけれども、総合的な助成の方法をとったということでございますが、ただこれは、考えようによりますけれども、たとえばこういう問題については、これは決算補助になるか何になるか知りませんけれども、とにかく政府がめんどう見るのだ、こういう方式をとりますと、それについて、やはり一方では企業体でございますから、大いに最後まで企業意識を発揮してもらって国鉄も努力をしなければならぬということは言うまでもないのですが、そういうことになってくると、企業努力というものについて欠ける点が出てこやしないかというようなことも、これは考えなきゃならぬと思います。
 それからお話しのように、国鉄のやっている仕事ではほとんど公共の福祉というものに結びつかないものはないと思います。ほとんどすべてのものが公共的な見地から経営していると言ってもいいと思います。そういたしますと、この部分は当然赤字が出るからこの部分だけ補助しようとか、この部分は特に公共的な要求が強いからこの部分だけ補助しようというようなことでは、これは具体的に考えますと、線の引きようがないということもございます。ですから、私どもはやはり国鉄に対しましてはあらゆる節約もやり、企業努力もしてもらって、なおかつどうしても赤字になるという部分をやはり最後は国が背負っていかなきゃならない、こういうような考え方のもとに今度の案を提案しておるようなわけでございまして、これは両方とも一長一短が私はあると思います。必ずしも三木先生言われるように、これはもう絶対に理論的にも実際的にもこれは受け入れられないというようなことを申しているわけじゃありませんけれども、今度出しております提案では、いま申し上げたようなことも考えながら、現行の再建計画の線に沿いまして、国鉄の赤字が解消するような程度まで国がめんどうを見るということで、相当に財政当局にも今度は無理をしてもらって、われわれの要求の大半をいれてもらって、この提案をしておるということでございます。将来の問題については、いろいろまだ考えなければならない点がございましょうと思いますが、今度提案している趣旨はそういうことでございますから、御了承いただきたいと思います。
#24
○三木忠雄君 そうしますと、確かにいろんな論議は先般からもずっと続けてこられているわけですけれども、大蔵省がこの再建十カ年計画の中に、やはり今回の運輸省当局で言わしてみれば大幅助成と、こう言っているわけですけれども、実際に財政の限度というこの根拠ですね。この十年間大蔵省が今回利子補給をした、あるいは工事費の補給をするという、この点のやはり財政の限度という、この根拠はどういうふうにお考えになっていますか。これから歳入も超過してくると思うんですね、四十八年度も。こうなった場合に、やはりどんどん公共的な、いろんな国鉄の負担分を考えますと、歳入超過分をやはり、この十年計画も、これを動かしがたい事実だというこの原点にとめられないで、もう少し私は個別補償まではいかなくても、そういう方向に考慮をいたすべきではないかと思うんです。こういう点についてはいかがですか。
#25
○政府委員(山本敬三郎君) おっしゃいますように、本年度は税収の増がかなり見込めるかもしれませんけれども、しかし一面、当然経費が相当にふえてくる。ですから財政の硬直化現象は、ある意味においてはかえって強くなるかもしれない。こういうときでありまして、財政についてはおのずから限界というものがありますので、いまにわかに将来を展望して、さらに是正せよとおっしゃっても、お答えすることが不可能な状況でございますけれども、しかし、ともかくこういったものをつくりまして、これで十年後には再建をはかっていこうという考え方でありますし、自由主義経済の体制をとっております限り、経済状況は非常な変化をしていくわけでありますから、そういった際に、一切十年間これ以上見ないというようなことは常識的に考えてあり得ない。そのときそのときの状況に応じて、さらに助成とかというような場合もあり得るのではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけであります。
#26
○三木忠雄君 そこで今後、国策としていろいろ新幹線とか、あるいは今回の再建計画の中には、積極的に赤字路線を整理するというようなことは、ことばではうたわれていないけれども、実質的には実態はない。こういう問題についての運営費とか、あるいは経常費とか、こういう問題について、やはり大蔵省がもう少しメスを入れ、あるいは補助を強化していくべきではないかと思う。この点についてはどうお考えですか。
#27
○政府委員(山本敬三郎君) 御意見でございますけれども、ただいまのところそういった個別助成のたてまえをとっておりませんで、総合助成という形をとっているわけであります。しかし将来そういった問題が非常な重大な計画上のそごを来たしたというような場合があります場合には、考えられる可能性はあるかもしれませんけれども、とりあえず、この十年間の長期収支で財政の健全をはかっていこうというたてまえをとっているわけでありますから、いま直ちに個別助成方式に変えていくというようなことはお答えできかねるということになります。
#28
○三木忠雄君 政務次官が時間がないそうですから、おるときに一緒にあわせて運輸省に聞いていただきたいのですが、この間私も鉄道建設審議会でAB´線のこの工事が、おそらく再建期間中にはやらなければならないのじゃないかと思うのです、おそらく。これは高千穂線を見ましても、午後からちょっとこまかくお聞きしたいと思っておりますけれども、そういう再建計画中に新線は、どんどん八十キロ、九十キロで走れるような、そういう新線はAB線でできている。ところがAB´線は在来の簡易線になって、四十キロか四十五キロしか走れない。こういう点では非常に運営上かり言っても非能率的ではないかと思う、効果も非常に少ないと思うのです。こういう点についても、この十年間にAB´線の工事をしなければならないというところが相当あるのではないかと思うんです。こういう点に対する助成のあり方、あるいは工事の進め方というものについては、運輸省はどういうふうにお考えですか。
#29
○政府委員(秋富公正君) AB線の前後、いわゆるAB´線と申しておりますが、これを強化すべきであることは先生の御指摘のとおりであります。せっかくつくりましたAB線を生かすためにも、その前後の在来線の改良を行なうべきでありますが、これにつきましては二つの考え方がございます。一つは、現在の鉄建公団の法律を改正しまして、その前後についての改良までこれを行なわせるという方法でございます。それからもう一つは、これはやはり二万一千キロの国鉄の在来線でございまして、どこに急行を走らせるか、どこに長大貨物列車を走らせるか、そういう二万一千キロ全体の中で新しくできますAB線も含めまして、その前後に重点的に行なうべきかどうか、これは現在二万一千キロ行なっている国鉄といたしまして、全体からにらみまして、そこで事の濃淡といいますか、緊急性を考えまして、国鉄自身が行なうべきかどうか、こういう二つのやり方がございまして、現在なおその必要性は私たち痛感しておりますが、どういう方法をもってこれを補強すべきか、在来線の改良を行なうべきかという具体的問題について、なお検討をいたしておる段階でございます。
#30
○三木忠雄君 この検討段階で、この再建期間中にはいずれにしてもそれはやらなければならない問題だと思うのです。これは大体いつごろを目途にし、現地からも、私たちはいろいろな陳情も受けたり、いろいろの要望を聞くわけです。そうなりますと、大蔵当局の財政助成の問題は、また新たな問題になってくるわけですね。この点については、この十年計画の再建計画の中に、それを含めて実際になし得るのかどうか。
#31
○政府委員(秋富公正君) 私が検討中というのは、何もだらだら長いという意味ではなくて、非常に急いでおりますけれども、現在検討中という意味でございます。それから、これにつきましては、国鉄の十兆五千億、これにつきましては先般来、国鉄といたしましては、新幹線に四兆八千億、在来線に、さらに大都市交通に幾らというような案が出ておりますが、その点国鉄総裁からもたびたび申し上げておりますように、国鉄の案でございまして、それを十兆五千億をどういうふうに使うかという具体的なことは、さらに今後運輸省といたしましても詰めていく問題でございます。したがいまして、いまの在来線の改良ということも直ちにそれが十兆五千億のワク外であるという問題ではございません。
 それからもう一つの問題は鉄建公団が行なう場合はもちろんのこと、これは鉄建公団の予算でございますので、国鉄財政再建の問題とは直接関係はございません。
#32
○三木忠雄君 私はこの問題を、運輸大臣から意見を聞いておきたいのですけれども、やはり具体的な再建計画、十兆五千億の国鉄の投資のあり方は具体的にはきまってないかもしれませんけれども、これもまた新しい一つの背負わされる、国民の要望にこたえた一つの線路の増強だと思うんですね。こういう点がどんどん積み重なってきますと、確かにそういう地域は閑散線が私は多いんじゃないかと思うんですね。その点、どんどん工事を始めてきますと、これは十兆五千億のこの予算の範囲内で私はとうてい入り切れない問題じゃないかと思うんです、この十年間に起こさなければならない工事量というものは。こういう点については、やはり財政助成というか、この問題を明確に早く打ち出さなければならないんじゃないかと私は思っているんです。この点についてはどうお考えになりますか。
#33
○国務大臣(新谷寅三郎君) 投資規模の問題から言いましても、これは鉄監局長も御説明したように、まあ十年間の間に具体的にこれとこれをやるのだということをきめているわけじゃないんです。新幹線は大体何千キロとか、在来線の複線電化はどうとか、いまお話しのようなAB線はどうとかというようなことは、大体マクロ計算でこの計算の中に入っております。ですから、この投資規模十兆五千億の中でまかなえないじゃないかということじゃございませんで、これはまかなえるという計算に立っているわけです。それによって大体毎年毎年の年度別の投資規模というものも一応計画をしているわけでございます。
 そういたしますと、結局AB線あるいはAB´線というようなものにつきましても、これはまあおっしゃるように赤字になることは必然だと思います。そういったものにつきましては、そのキロ数とかそういったものによりまして、現在いま想定し得るようなあらゆる要素を加えまして、一応その赤字というものを想定しているわけでございます。だから、さっき申し上げたような全体の中に公共的な要求によって生じるであろうこの財政上の欠陥というものを一応全部包含している。そういうことなしには収支計算はできないわけです。収支計算をやっております中には、そういうAB線あるいはAB´線というようなものをどこまで織り込んでいくかというようなことにつきましては、数字の問題ですから担当者から説明さしてもよろしいのでございますが、各年度の収支の予想の中にこれは考慮済みでございます。ですから、それが具体的にやって予期しない事情でうんと赤字がふえたとかということになりますと、また特別の考慮をしなければならない事態が生じるかもしれません。いま考え得る問題は、一応非常に精密な計算をして入れてあるというふうに御了解いただきたいと思います。
#34
○三木忠雄君 じゃ、国鉄総裁にちょっと伺いたいんですけれども、このAB´線は実際に十兆五千億のこういう計画の中に具体的に入って工事をやり切っていける自信がおありなのかどうか、この点について伺いたい。
#35
○説明員(磯崎叡君) このAB´線は、御承知のとおり、非常に全国で問題になっているところでございます。AB´線というこの名称は仮称でございますが、私どもといたしましては、全体で数百億、三百億から五百億ぐらいじゃないかというふうな気がいたします、全体計画でですね。そうすると、まあ十年といたしますと年間三十億ぐらいでございます。ですから、いわゆる在来線の改良でやつてやれない金ではございませんが、かりにこれを鉄建公団でやるとすれば、もう十兆五千億の外でございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、やはり新線建設と付帯して起こることであるから、まあ全体の十兆五千億からいえば大した金じゃないにいたしましても、一応やはり外ワクで考えて新線建設と付帯した一体のものだというふうに考えて予算を取り、ただその仕事は非常にいろいろ問題があると思う。鉄建がやるかこっちがやるかはございますが、予算の考え方としてはやっぱり新線建設と関連したものだというふうに考えるほうが筋が通っているんじゃないかというふうに思います。
#36
○三木忠雄君 ここで大蔵当局に、私はこの問題、要望もかねて。やはりこういう新しい一つの問題出てくると思うんですね、たとえば社会的な要求といいますか、その地域の住民の要求というものはやはり時代の波に乗っていろんな問題点が出てくると思うんです。こういうところに対しては、具体的にこれは十年計画の中に含まれてないからとか、あるいは総合的にその問題が含まれているからといって実際にこの問題というものは分けられないというような状態が私は今後出てくるのじゃないかと思うんです。
 したがって、これは一例でありますけれども、AB線みたいなやはり社会的な要求というか、国民の要求によってどうしてもつくらなければならない線、こういう問題がどんどん出てくると思うんです。それは十兆五千億のワクの中にはめてしまえばますますこの再建計画というものはむずかしいような問題が出てくるんじゃないかと思うんです。したがって個別補助には踏み切らないという大蔵省の当局の考え方かもしれませんけれども、そういう固定的な頭ではなしに、やはりもっと弾力性をもってこれを広げていくという見解を持っていかなければ、この十年の再建計画の要望を満たすことはできないのじゃないかと思うんです。これについての私は大蔵当局の見解を伺っておきたいと思います。
#37
○政府委員(山本敬三郎君) 三木先生のおっしゃることはよくわかりますので、先ほど来申し上げましたように、長期収支というものは自由主義経済体制でこのまま絶対フィックスしたものであって動かすべからざるものだというふうに考えるわけにはいかない。時代の推移とともに国民の要望も変わってまいりますし、経済の実態も変わってまいりますので、途中においてある程度の変更、見直し等が必要になってくる性質のものだというふうに考えておりますので、決して硬直的にすべてこの計画でそれは除外すると、国民的要望があってもそれは受けられない、そういう態度で終始すべきものではないというふうに考えておるわけでございます。
#38
○三木忠雄君 それでは大都市交通の問題について次に伺いたいと思います。
 特に四十六年の十二月に総合交通体系が発表されておりますけれども、運輸省としてこの総合交通体系において国鉄の役割りをどのように位置づけているのかどうか、この点について、まずお伺いしたい。
#39
○政府委員(原田昇左右君) 先生御承知のとおり、都市高速鉄道は大量性、迅速性、定時性の特性から、大都市におきます交通機関としては中心的な役割を果たしておるわけでございます。たとえば首都圏の現状を見ますと、国鉄は約三〇%弱の一日の平均輸送量を占めておりまして、その基幹的な部分を受け持っておるわけでございます。同時に、地下鉄、私鉄等につきましても、私どもは大量交通機関としての役割りにかんがみまして、国鉄とともに通勤通学輸送をはじめとする大都市交通に今後とも中心的な役割りを果たすようにいろいろ措置しておるわけでございます。
#40
○三木忠雄君 しかし、この総合交通体系のいろいろのものを読んでみますと、実際に大都市の通勤通学輸送については地下でありますか、こういう方向に重きを私は置いているのじゃないかと思うんです。そういう点から考えますと、新線建設あるいは線路の増設をいろいろ地下鉄のほうに推進が向けられているのじゃないか。そうしますと、大都市の通勤通学輸送に占める国鉄の役割りというものは何かこう矛盾しているのじゃないかと私は思うんですね。運輸省が進めている方向と国鉄に課せられた大都市交通輸送の使命というか、役割りというものと一見矛盾した方向に進んでいるのではないかと思うんですけれども、この点についてはどう考えますか。
#41
○政府委員(原田昇左右君) お答え申し上げます。
 大都市におきましては交通空間の制限がございますので、路面交通が非常に混雑してまいりますと、第二の道路と申しますか、道路の下に地下鉄を掘りまして、市街地においては地下鉄を通して交通を確保するという必要があるわけでございます。したがって市街化の進んでおります中心地域において地下鉄を整備するということは、現在の大都市交通の現状から見てやむを得ないものであろうと思います。しかしながら、同時に、この地下鉄を整備いたしましても、それをさらに郊外に延伸するということがなければ、郊外に在住する人々が通勤に非常に不便になりますので、これを郊外に延伸する鉄道との連絡を考えておるわけでございます。そこで、地下鉄と国鉄の相互乗り入れ、あるいは地下鉄と私鉄との相互乗り入れということを考えておるわけでございます。
 なお、国鉄につきましては、現在の国鉄の路線は郊外からずっと中心にまで入ってくるような交通体系になっておりますので、非常に遠くから通勤するのに便利がいいわけでございまして、これを複々線化する、あるいは三複々線化する、そして、その車両数も増結し、さらに運転間隔も短縮するという形で輸送力の増強をはかっておるわけでございます。
#42
○三木忠雄君 しかし、たとえば一例が、東西線が開通してからの東京都内における輸送状況はずいぶん変わってきたのじゃないかと思うのですね。あるいは地下鉄の各線の開通に伴って、やはり通勤通学輸送体系というものはだいぶ変わってきたのじゃないか。この点について進めていきますと、大都市の通勤通学輸送、こういう問題は国鉄の占める分野ではなくなってくるのではないか、あるいは高速鉄道、地下鉄のほうに主力は入ってくるのではないかと私は思うのです。
 そういう点を考えますと、この総合交通体系の国鉄の役割りというこの分野から考えましても、ちょっと私は、先ほどから言っているように、矛盾を考えるわけでありますね。この点についてはどうお考えですか。
#43
○国務大臣(新谷寅三郎君) ちょっとこれは整理をしなければいかぬと思うのですが、大都市における交通体系をどうするかということですけれども、大都市における交通体系といいますのは、大都市に対する通勤通学をどうするかという問題と、都内、まあ東京なら首都圏の都内における交通をどうするかという問題と、これは二つあるのですね。それはどうもいろいろの御意見を拝聴していると、それが一緒になる傾向がありますけれども、大体いままでの統計でいきますと、都心に流れて、東京で言いますと、都心に流れてくる通勤通学関係、こういったものを見ますと、これはやっぱり国鉄の比重が非常に重いのですね。それから私鉄でございます。そこへいくと、地下鉄というものは非常に少ないわけですが、都内における交通ということになりますと、地下鉄とかバスとかいうものが、非常に比重が重くなってきていると思います。
 で、これを一緒に考えていいのかどうか、一緒の統計の中で当てはめていいのかどうか、これは問題だと思いますけれども、しかし両方含めて考えますと、今後の大都市圏における交通体系では両方一緒に含めまして、やはり国鉄、私鉄、地下鉄それからバス等、それぞれこれは特色のある交通機関ですから、その特色を生かしながら適当な交通施設を整備していくということ以外にはないと思うのですが、この総合交通体系でも書いてございますように、通勤通学が大事であるとかいうようなことが、大都市交通圏に関してあるわけでございますが、これはやっぱり国鉄も非常に大きないま役割りをしておるし、これからもたとえば半径五十キロ圏というようなものを考えますと、国鉄の役割りはさらに私は大きなものが出てくるのじゃないかと思うのです。そういう意味で、私は現在大都市圏といわれております首都圏あるいは近畿圏あるいは中京圏というふうなものにつきまして、この総合交通体系に書いてありますような方針を受けて国鉄は具体的に何をすべきか、あるいは私鉄はどうすべきか、地下鉄はどうすべきかというふうなことを、いま具体的に詰めております。
 これはまだもう少し時間がかかると思いますけれども、何とかして四十九年度の予算では、そういったものを具体的に含めたものを、この総合交通体系に書いてありますような基本線に沿いまして出したいという努力をいましておるわけでございます。そういうふうに御了解いただくと、いまわれわれのやっておりますことが、総合交通体系における大都市交通のあり方というふうな線から、これははずれちゃいないということが御理解いただけるのじゃないかと思うわけでございます。
#44
○三木忠雄君 具体的には、四十九年度にいろいろ発表されるそうでありますけれども、たとえば東京圏――関東圏ですね、あるいは中京圏あるいは近畿圏ですね、これを考えた場合に、いろいろ各周辺に団地がたくさんできている。こういう問題についての、やはり新線建設とか、いろいろな問題がこれから出てくるのじゃないかと思うのです。こういう問題に対して、経営主体ですね。それをどういうふうに持っていこうとされているのか。どうも私は、首尾一貫しないような感じがするわけですね。町田のニュータウンなんかも、私鉄がやるとか、あるいはいろいろな問題点をあげればあるわけでありますけれども、やはりたとえば三圏ですね、この三圏内の総合交通体系に基づくいろいろな輸送体系を考えていらっしゃるでしょうけれども、私は高速鉄道のほうに主力を置いて、やはり運営主体がそっちのほうにゆだねられているような感じがするわけです。この点は、私もう少し明確にしていかなければならないのじゃないかと思うのです。この点についていかがですか。
#45
○国務大臣(新谷寅三郎君) これは、具体的な交通需要がどうなるかということによってきめるべきだと思います。でございますから、この三大都市圏におきまして、一律の経営主体をきめるというふうなことは、これはできないだろうと思います。しかし、いまお示しになったような、相当都心から距離のある、あるいは市の中心から距離のある通勤通学というふうなものを考えますと、やはり国鉄が主力になってもらわぬとできないの、じゃないかと思います。そういった問題につきましては、現在の再建計画の中でも包括的には考えられておる問題でございますが、それをただ抽象論ではなしに、もっと具体的に早くやろうということで、いま具体的な計画を進めさしております。
 それから各大都市圏で、周辺に住宅団地の造成の計画があることは、御承知のとおりでございます。その場合にも、これは関係各省に対して、決して非難するわけじゃないですけれども、いままでともしますと、そういう住宅団地をつくられる場合に、足をどうして確保するかということの配慮が足りない場合があったのではないかと思うのです。私は、関係各省に対しまして、やはり輸送機関をどうするかということを具体的に考えてくださらないと、運輸省としては責任のある通勤通学輸送というのはできませんということを、強く申しておるわけでございます。
 したがいまして、現在、各省庁の間で計画をし、進行中の大きな住宅団地等につきましては、その輸送のための公共用地というものを初めから用意してもらうというような配慮をしてもらっているわけでございます。そこで、この経営主体というお話がございましたが、それは具体的には事情によって、これは地元とも、関係地方団体とも相談してきめなければなりませんが、そういうことで、今後は住宅団地ができて足がないというふうなことはないような政策をとってもらいたいということを、強く要望し、各省ともそれを理解しておりますので、今後の問題については、各省庁協力のもとに、いままでのように非常な、ことばは悪いですけれども、混乱するような状態は避けるようになるだろうし、またそれを実現しなければならぬというように考えておる次第でございます。
#46
○三木忠雄君 もう少し事務当局のほうに伺いたいんですけれども、だいぶこの問題は検討されているんじゃないかと私は思うんです。実際に大都市の通勤通学輸送について新線を建設する場合について、国鉄あるいは公営企業あるいは営団地下鉄とか、あるいは私鉄等のいろんな関係分野ですね、この点についてはどういうように総合調整しながらこの大都市の通勤通学輸送を進めていこうとされているのか。いま大臣から遠距離のほうは国鉄という、そういういろんな案が示されましたけれども、たとえば愛知県のいろんな例をとりましても、国鉄の線というのはなかなか進まないわけですね。地下鉄は幾ぶんなりとも進みつつありますけれども、こういう点についても近畿圏あるいは中京圏、東京圏の通勤通学輸送の総合調整というか、総合対策というものが非常に私はおくれているような感じがするんです。この点について政策審議会のほうでいろいろ練っているんだと思うんですけれども、この構想をわかる範囲で教えてもらいたいと思うんです。
#47
○政府委員(原田昇左右君) 大都市交通におきます将来の施設整備のあり方につきましては、運輸省にございます都市交通審議会、現在は運輸政策審議会の都市交通部会に吸収されておりますが、そこで御審議願いまして答申が出ております。昭和六十年におきます大都市交通のあり方というのがございます。それによりますと、たとえば首都圏で申し上げますと、現在東京の郊外から区部を横切って中心部に入ってくる路線が二十二路線ございます。これは全部複線でございますが、これを六十年までに混雑を緩和して大体一五〇%を目標に考えておりますが、人口の推移によってはそこまでは若干無理かと思いますが、大体三十四本、複線を十二本ふやすという計画になっております。その場合中心部は地下鉄と、それから郊外部は地下鉄の延伸という形で私鉄の複線化、複々線化等と連絡する。同時に国鉄の路線につきましても複々線化あるいは三複線化というように計画が進んでおるわけでございます。
#48
○三木忠雄君 そこで、だいぶ前ですか、通勤新幹線構想、これは国鉄総裁……。角本構想というんですか、通勤新幹線構想というのがその後立ち消えになっているような感じがするんですけれども、通勤新幹線構想は今後も推し進めていく計画なのかどうかですね、これは非常にむずかしい問題だと私は思うんです。おそらくもう立ち消えになっていく方向にあるんじゃないかと思うんですけれども、この点については、どうですか。
#49
○説明員(磯崎叡君) 通勤新幹線構想は、私どもといたしましては相当通勤輸送の根本的改善という意味で画期的な考え方であったつもりでございます。ただ、これは国鉄、運輸省だけでなしに、新都市をつくるという意味で建設省あるいは政府全体の計画でないといけないわけでございますが、ただ私どもとしましては成田新幹線についていろいろ勉強しましたときには、あの成田新幹線が単に成田空港のお客さんだけでなくて、あの途中にできます千葉の北総ニュータウン、これの典型的な通勤新幹線構想をあそこで実現したいという気持ちも実はあったわけでございます。大体それでまいりますと、あの付近から約二十分ないし三十分で東京の鍛冶橋まで来る。これはまさに通勤新幹線じゃないかという気持ちもあったわけでございまして、その意味であのルートをきめていただいたわけでございます。
 したがって現時点におきましては成田新幹線で若干の通勤新幹線構想を実現さすということ以外にいまさしあたりの具体的な構想はございません。しかし場合によりましては、たとえば現在でもすでに静岡、熱海等がいわゆるある意味では広い通勤圏に入っております。そういう意味で、将来東北新幹線あるいは北陸、上越等ができました際に、百キロ圏くらいのところでもって、いわゆるある意味の通勤的なものに使えないかどうか、いまの新幹線をでございますね。運賃料金の問題は別といたしまして、輸送の手段として考えられないかどうかということは、私どもなりの勉強をいたしております。
 具体的な構想といたしましては、私ども何とかして成田新幹線でもってそういう意味の少しでも具体化をしたいという気持ちはいまもって持っております。
#50
○三木忠雄君 これは運輸省はどういうように考えておりますか。私は成田新幹線を総裁の言うこの通勤新幹線にするということは、私は成田新幹線反対ですから、そういう方向では私はまずいと思うのです。しかし、いまの国鉄総裁の言ったいろいろな構想もありますけれども、この大都市通勤輸送と兼ねてこの通勤新幹線構想というものは運輸省として進めていく考えがあるのかどうか。
#51
○政府委員(秋富公正君) いわゆる新幹線という定義の問題もあるわけでございますし、またそれの運賃料金制度の問題もありまして、一律に通勤新幹線と申しましてもいろいろとまた幅のある問題でございます。しかし、そういったこととは別に、今後新しい大きな宅地開発公団とか、あるいはニュータウンとかいうようなものができました場合は、とても現在の国鉄あるいは現在の私鉄においてそれの途中にまで引っぱっていって、あとは在来線を使うというような余力がございません。それで今後の新しい問題としましては、やはり大都市の都心まで乗り入れる新線をつくる必要があると、かように考えておりまして、ただいまもお話ございました建設省あるいは各省におきましていろいろと新しい団地構想がある場合には、それと通勤通学等いわゆる大都市の都心に結ぶ新線の建設というものが必要である、かように考えております。
  〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
#52
○三木忠雄君 それでは次にAB線、CD線の問題について伺いたいと思います。
 鉄建公団が三十九年に発足して以来、AB線あるいはCD線別に見た収支状況あるいは経営状況についてお伺いしたいと思います。
#53
○政府委員(秋富公正君) 御承知のように、AB線は全部国が出資いたしまして、無償の金でございます。またその償却費も国が鉄建公団にこれを補給しておるわけでございます。また、いわゆる固定資産税に当たる地方納付金、これも免除されておるものでございます。しかしながら同時に、これはいわば先行投資と申しますか、地域住民の利便の確保という意味でございまして、その輸送量が少ないという現状でございます。こういった関係で現在三十九年に公団が発足して以来、現在まで開業いたしましたいわゆるAB線、これは合わせまして二十一線、三百八十九キロでございます。それの四十六年度におきます収支でございますが、総体で七億二千八百万の赤字でございます。
 それからCD線でございますが、これは有償で国鉄に貸しておるものでございます。これも最初の発足当時におきましては、工事費の六・五%までを国が助成しておりましたが、今回はそれを四・五%まで助成する。さらに貸与期間が二十五年間でございましたものを今回は三十年に延ばす。そういったいろいろの方策を講じておるわけでございますが、公団発足以来、現在までに開業いたしました線は、C線が七線、百十七キロ、D線が一線、七十四キロでございます。これの四十六年度におきます収支でございますが、合わせまして三十一億七千万の赤字でございます。
#54
○三木忠雄君 鉄建公団が国鉄に貸し付ける場合、運輸大臣がいろいろ有償無償の認定をするわけでありますけれども、この認定根拠ですね、もうCD線は全部有償ですか。
#55
○政府委員(秋富公正君) 鉄建公団が国鉄新線を建設いたしておりますが、これは公団法の二十三条の規定によりまして、原則といたしましてこれは「有償で、」「貸し付け、又は譲渡する」ということでございます。ただ、「後進地域その他特定の地域の開発等のため無償とする特別の必要があると認め」まして、運輸大臣が指定いたしました際は、その路線に限りましては「無償で貸し付けることができる。」と、こういうことでございまして、公団法のたてまえとしましては有償で貸し付けるということは原則でございます。
#56
○三木忠雄君 原則は有償でありますけれども、地域の事情、いろんな点で、無償で貸し付けられている線がだいぶあると思うんですね、この線については具体的にどういう線がございますか。
#57
○政府委員(秋富公正君) 御指摘のとおりでございまして、有償が原則でございますが、現在鉄建公団が建設いたしております、これは新幹線まで含めまして五十二線ございます。その中でAB線が三十九線、すなわち約七五%、無償の工事線が約七五%ということでございます。C線が六線、D線が四線、青函が一線、新幹線二線、合わせて五十二線と、こういう状況でAB線、いわゆる無償で国鉄が運営いたしますものは、現在三十九線建設中でございます。
#58
○三木忠雄君 いままで運営している中で、具体的に無償で貸し付けられたCD線等はありますか。
#59
○政府委員(秋富公正君) 現在までに無償で貸し付けておりますものは、合わせまして十八線でございまして、具体的な名前を……
#60
○三木忠雄君 ちょっと言ってください。
#61
○政府委員(秋富公正君) はい。神岡線、生橋線、気仙沼線、本郷線、盛線、中村線、鷹角線、嬬恋線、只見中線、小本線、久慈線、高千穂線、国分線、越美線、以上でございます。
#62
○三木忠雄君 それはAB線でしょう。
#63
○政府委員(秋富公正君) AB線でございます。
#64
○三木忠雄君 CD線で無償はないわけですね。
#65
○政府委員(秋富公正君) CD線はすべて有償でございます。
#66
○三木忠雄君 有償でしょう。おかしなことを言うなと思ってそれで……。
 それで、このAB線のいろいろ建設が進められておりますけれども、私は鉄建公団からもらった資料によりますと、たとえば四十年からずっと投資をしておりながら、四十七年あるいは四十六年あたりから、たとえば小本線とか、あるいは阪本線というのですか、あるいは油須原線とか、芦別線等は、これはすでに工事をやめたのか、あるいは五千万未満としてあるんで、百万が二百万に変わったのか、今日まで毎年二億ないし三億投資をしておりながら、最近になってやめた線がずいぶん出てきているわけですね。こういう点は何か特別な理由を考慮しての上のことですか。
#67
○政府委員(秋富公正君) これは国会におきましてもしばしば御指摘がございましたし、また会計検査院においても御指摘があったんでございますが、AB線を総花的に工事を行なっていて、しかもその全工事に対しましてわずかな金を細々とやっているんでは、いつまでたっても開業できないんではないか、そういったような指摘はたびたびございましたわけでございますが、私たちといたしましても、鋭意その投資の効率化ということは考えておったわけでございますが、そういった国会におきます昨年のいろいろな御審議あるいは会計検査院、行政管理庁等の指摘もありまして、さらにこの重点化ということを昨年以来強化してまいりまして、いわば重点的に、早くでき上がるものはさらにその工期を繰り上げても開業できるようにすると同時に、現在その開発計画あるいは地元の具体的な開発計画というようなものが変わっておりますものについては、この際一時その工事をストップするということをいたしまして、非常にいわば濃淡を強くしたわけでございます。そういうわけで、現在AB線の中で九線、これは工事を行なっていない線があるわけでございます。
    ―――――――――――――
#68
○委員長(長田裕二君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 菅野儀作君が委員を辞任され、その補欠として中村禎二君が選任されました。
    ―――――――――――――
#69
○三木忠雄君 そうしますと、たとえばその九線ですね、これはやはり時代的ないろんな関係といいますか、あるいは地域のいろいろな特殊性もあったんだろうと思うんですけれども、いままで考えてみれば、その九線を合わしてみても数十億ですね、やはりむだ金になったというか、あるいはそういう点が考慮されるのじゃないかと思うんです。会計検査院からもいろいろ指摘をされているように、よしんばこれをつくっても、これを今度国鉄に貸し付ければ、それが赤字線がどんどん、どんどんふえてくるという結果になってくるわけですね。こういう問題について、私はもう少ししっかりした――この再建計画の間に、あるいはこの再建計画を審議している段階において、このAB線の問題については、明確な線を示しておくべきではないかと思うんです。そうしませんと、これはつくったわ、また赤字がふえてくるわ、こういう問題で、この再建計画にそごを来たすんじゃないかと思うんです。この点については、どう決断を下されようとしているのかどうか。
#70
○政府委員(秋富公正君) AB線につきましては、これはやはり将来の地域の開発あるいは地元の利便の確保という意味におきまして、今後もこれは積極的に行なっていくべきものだと思っております。ただ、いわゆる総合交通という見地からの検討は、私たちとしましても十分行なわなきゃいけないと思いまして、現在重点的に行なっておりますのは、将来やはり国鉄のネットワークをなすというような、一つの鉄道網を形成するというものにつきまして、これを重点的に行なっておるわけでございます。
#71
○三木忠雄君 これは運輸大臣に伺いたいんですけれども、こういう形で重点的にいろいろAB線は建設されていらっしゃるわけでありますけれども、たとえばいまの九線ですね、途中で工事がストップになっているわけです。おそらくいままで投資したものは私はむだになってしまうのじゃないかと思うんですね。こういう点等も含めて、私は洗い直しをすべきじゃないかと思うんです。もう一度、この再建計画を審議するにあたって、私たちはこれを明確にしなければ、やはりまずいんじゃないかと思うんですね。これをそのまま、いままで投資した分は投資した分としてあれにしましても、今後このAB線の問題については、どういうふうな方向で持っていくのか、ただ国鉄敷設法できまっているとおりに、いつまでも同じような形態で、少しずつの投資によって、そうしてその線を維持していくみたいな、走らない線に投資していくようなやり方ということは、これはちょっとまずいんじゃないかと思うんですけれどもね、この点についてはいかがですか。
#72
○国務大臣(新谷寅三郎君) おっしゃることはよくわかります。鉄道敷設法の別表に具体的な路線を指定しておりまして、これをやめるとかなんとかということになりますと、やっぱり法律改正をしなきゃならない。しかし一方から言いますと、御承知のような、社会的な事情、経済的な事情が非常にかわってきておるわけですね。いまも全国的には、全国の国土開発を総合的にやろうというので、新全総というようなものをいま立案中でございます。そういった点からいいますと、いまかりに、もとは炭鉱関係でこれは非常に急いだのだと、途中までやったけれども、今度は炭鉱関係じゃないけれども、あるいは工業都市を建設するのにどうしてもこれが必要だというようなものも出てきております、いまも現実に出てきておるものもあるのです。ですからもう、初めに考えられておった当時、つまり敷設法の別表の改正をされた時期とだいぶずれて、もうこれはいまのところはこれの建設を進めることはむだだというようなものにつきましては、運用によりましてそこにはあまり費用はつけておりません。しかし、それをいまやめてしまうとなりますと、さっき申し上げたように、新全総等の関係におきまして、また新しい目的を持った開発計画というのが出てくるわけです。
 そういうふうな地方的にも希望もあり、国としてもそれを受け入れるような態勢にあるものも相当ありますので、こういったものについては新しい見地から見直して、それにふさわしいような建設費をつけていくということはやっぱりこれ考えていかなきゃならぬと思うんですが、内容的にもいまおっしゃるように見直しているんです。毎年それを、AB線等につきましては鉄建公団の建設費をどういうふうに配分するかという場合に、具体的に一本一本調べましてそれで見直しながら、さっき局長が言いましたように、なるべく早く経済効果を発揮させるようにという意味で、重点的に建設費をつけているのは事実でございますが、そういう方向でいまもうこれは急がないというようなものは、それはほとんどつけておりませんし、これは運用によっていまはあんばいしているわけでございますから、御趣旨は運輸省におきまして十分調査いたしまして、いまもその方向で実現をはかっておると、今後もそういうような方向で処理をしていく以外にないと、こういうふうに考えておるわけです。
#73
○三木忠雄君 まあ運用でいろいろ手かげんはされているんでしょうけれども、こういう問題はやはり私はもう少し国民的な見地から考えましても、いろいろ新聞等でもたとえば北海道の白糠線みたいに草がぼうぼうはえておってそのまま何億も投資したけれども実際に血税がむだになっておるという、そういう事実が各所に見受けられるわけですね。片や満員電車にゆられて、そうして運賃を値上げをすると。これは国民感情から考えましても私は納得できないような問題だと思うんです。その際、やはりこういう問題は再建十カ年の間に、これを審議するんですから、具体的にAB線の問題についてはどうしても新全総あるいは国の発展計画の考え方からして、どうしても必要であれば、その分については国が別途財政助成をするとか、いろんな面を考えなければならないんじゃないかと思うんです。これはしかし新線の場合は鉄建公団でやるけれども、それをまた国鉄におおいかぶせてくるわけですね。実際に百数十億の赤字をAB線等の、あるいはCD線等の態様によって国鉄は赤字を背負わされているわけですよ。今後これをまたどんどん建設をしていけば、この分はまた国鉄が赤字をしいられるという結果になってくると思うんです。
 こういう点について、やはりこの再建計画の中で、どうしても社会的に、あるいは国民的見地から見て、必要な部分については、これは国から助成をするんだと、こういう点――大蔵省がおれはもう一つ言っておきたい点もあったのですけれども、こういう点をやはりはっきりしないと、これは再建計画をいろいろつくってみても絵にかいたもちにすぎないんじゃないかという点が、もう随所、突っついてみても、われわれしろうとが考えてもそういう問題うなずける点が一ぱいあるわけですよ。あとは政府の腹でいろいろきめているという感じで、背負わされた当局や、あるいはそういう関係者というのは、いつまでたっても、あるいはそれを受ける国民というものは耐えられないんじゃないかと私思うんです。
 こういう点は、やはりこのAB線の問題も、投資効果から考えて、この鉄道はもう一ぺん洗い直すとか、あるいはこういう点については検討するとか、あるいはどうしても必要な場合は国がめんどう見ましょうと、地域開発のためにどうしても必要なものだと、こういう点については補助をすると、こういう点をやはりここで明確にすべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでございますか。
#74
○国務大臣(新谷寅三郎君) 三木先生のいまおっしゃったことに全然異論はないのですよ。ただ制度的に、現在はもう初めに鉄道敷設法の別表を改正したときのような必要性はない、それならもう消してしまったらいいじゃないかと、こういうふうな制度的な問題になりますと、さっき申し上げたようなことをお答えする以外にないのです。それはもう毎年、これは実情に合ったことをやっておるつもりでございまして、あまり必要でないけれども、やはり継続してやっていこうとか、それからある部分でき上がったのもありますから、さっきお示しになったようなところですね、こういったものは、一ぺんできたからどんな赤字があっても何でもかんでもそれは継続していくのだというような考えは持っていないのです。やはり昨年御説明したと同じように、代替輸送が可能なところは住民の方々の意見を聞きながら、代替輸送のほうに肩がわりしていく。それに対しては国も別途自動車等の購入についても、あるいは運営についても補助をいたしましょうということで、これは別にそれを去年御説明した案をやめているわけではなくて、方針は同じことなんです。
 ただ今度は、いま新全総等について立案中でございますから、そういったものとの関連において、現在の予定線をどういうふうに扱っていくかということは、そういう総体的な全体の政策から見て見直していかなきゃならぬと、こういうふうに思っておりますので、見直し作業というものは、これはもう毎年毎年やっておるわけです。だから、いまおっしゃったように、法律をつくったり制度を変えたりということじゃなしに、私たちはいまのところ運用でおっしゃるような趣旨を達成するような努力をしておるというように御了解いただきたいと思うのであります。
#75
○三木忠雄君 国民から言ってみれば、やはり運賃値上げをしいられれば、こういう問題が私は一番先に目につくと思うのですよ。運用にまかしてくれと言われましても、なかなか運用にまかし切れないのですよ。まあ鉄道を敷くのは政治家が敷くのだという、いろいろ過去の悪いイメージがあるわけですよ。こういう点を払拭しなければいけないと思うのですね。国民にも負担をさせる以上は、やはり政府としても、あるいは当局としても努力すべきものは努力すると、こういう姿がはっきりなければ、私は運賃の値上げを国民にお願いするようなこと自体が非常に不見識じゃないかと思うのですよ。運賃だけははっきり二三・四%なら二三・四%値上げをする、しかし整理すべき問題あるいは解決すべき問題は包括的に、あるいは何か包み込んで、国民からベールに閉ざされたような形にしてしまって、またあと四回値上げしてくれという感じでは、これは国民は納得しないのじゃないかと思うのですよ。
 したがって、やはりこういう運用だけにたよらずに、たとえばローカル線の廃止の問題は代替輸送でいろいろ財政補助あるいはバスの購入等についていろいろやっているかもしれませんけれども、こういうAB線があらためてつくられているわけですよ。片一方は廃止している、片一方は同じところでつくられているということですね。この問題はやはり少し明確にしなければならないのじゃないかと、これはもう少し国民がわかるようなこういう整理のしかたというもの、これをしなければ、運賃値上げに対する国民の感情は解決されないと思うのです。この点についてもう一度。
#76
○国務大臣(新谷寅三郎君) いままで、悪いことばですが、AB線は政治路線だというようなイメージがございますけれども、いま私ども担当しております行政の中では、そういうことはもう極力避けておるわけでございます。で、赤字線でございましても新しく建設してはいかぬということはないので、これは国鉄が日本の交通を、しかも全国ネットワークで交通輸送の中核体として責任をもってやるのですから、そういう公共性から申しまして、赤字だからやってはいけないというのじゃなしに、赤字であっても当然国鉄がそれをしょってやらなければならぬというのは、これは国鉄の生まれつきの性格だと私は思うのです。そういう点からいって、赤字ではあるけれども、国鉄にやらせなければならぬ、それについて国が財政援助等でどれほど国の立場から国鉄に対する援助をするかということが問題であろうと思います。その点については、先ほど来鉄監局長からも御説明をいたしておりましたように、そういった問題については毎年毎年具体的な問題は検討はいたしますけれども、包括的にはこの十年計画の中で大体AB線はこのくらい、CD線はこのくらいということがわかっておりますから、それに応じまして、財政上の欠陥、損失というものについては、各年度別に大体予想し得るだけの予想をいたしまして、最終的な政府の助成というものの中にはそういったものを含めて考えておるということでございます。どこまでいっても平行線になりますのは、おっしゃるように、個別的な助成にするか、包括的な助成でそれでもいいのかということになるわけでございますね。この点は、今度も出しております再建計画案というのは、さっきもちょっと申し上げましたが、一利一害がある、それぞれ一長一短がございますから、私どもの考え方では、いま出しておるような案のほうが国鉄の再建には国鉄の全体の企業努力というようなものと結び合わせまして、かえってそのほうがよい結果をあげるんじゃないかというので、包括的な助成方法をとったということでございます。この点は必ずしも御意見と一致しませんけれども、政府の意のあるところはそういうところであるということで、御了承いただきたいと思います。
#77
○三木忠雄君 私は納得できないものなんですけれどもね。具体的にこの十年間の間に、じゃあ再建期間中にAB線が、どれが開通して、どの程度国鉄が赤字を背負う形になるのかどうか、その試算はございますか。
#78
○政府委員(秋富公正君) AB線につきましては、長期計画と申しますものはまだつくっていないわけでございまして、これは今後のやはり地域開発計画あるいは全体的な交通網という見地から検討していくべきものでございまして、現在十カ年計画というようなものは、AB線についてはつくっておりません。
 それから、今後のAB線の収支のいかんでございますが、これはいま申しました今後のその地域の経済発展計画あるいは社会情勢といったようなもの、あるいはそこにおきます運行ダイヤといったことによって大きく変わるものでございまして、これを一がいに想定するわけにもまいりませんが、先ほどお答えいたしましたように、現在のAB線のいわゆる国鉄に対する負担という赤字は約七億でございます。ところが、これに対しまして、CD線、いわゆる大都市交通線あるいは主要幹線でございますCD線のほうの赤字は約三十一億でございます。またことしのCD線の借料でございますが、武蔵野線も開業いたしまして、その借料もふえたということもございまして、最初の予定では百五十億の借料を国鉄は払わなければならないという情勢でございましたが、今回CD線につきましても、四・五%あまりの工事費の補助をする、あるいは二十五年を三十年に延ばして、均等に返すというようなことをいたしまして、本年だけでも約二十億、国鉄の借料を軽減するという助成措置をとったわけでございます。今後やはり国鉄の財政面から申しますと、AB線の負担よりも、実はC線、あるいはD線、これのいわゆる借料の支払いと申しますものが国鉄の負担に大きく響くと思いまして、そういう意味で今後は十カ年間に一兆、鉄建公団に助成いたしまして、ひいてはそれが国鉄に二千億の借料の節減というふうな助成策を講じた次第でございます。
#79
○三木忠雄君 AB線の話からCD線のほうにちょっとずれちゃったのですが、CD線はあとでその点聞こうと思っているのですが、十年間でAB線がこれだけの分散投資をしながらやっておるわけです。たとえば最初に投資したその金額あるいは一億、二億分散投資をしている。これはまあ設計とか、鉄道の敷設とかいろいろの問題が出てきますので、いつになったらこの新線が実際にでき上がるのだろうかという、ある意味では問題があると思うのですね。そのマイナス効果から考えても、あるいはいろいろこういうAB線のいつ完成するかわからないというこの実態から考えましても、再建計画の、たとえばいま七億という話が出ましたが、これは七億の問題ではないと思うのです、おそらく国鉄が背負わされる赤字というものは。とにかくいま建設しているAB線が全部開通すれば、この十年間に国鉄が背負わされる赤字というものは七億では済まないと思う。これはやはり包括的にやっておるからいいんだというやり方、これはちょっとうなずけないのじゃないかと思うのです。
 これはやはりもう少し突っ込んだこのAB線に対する見解を持たなければならないのではないかと思うのですが、この点についてどうですか。
#80
○政府委員(秋富公正君) これはくどいようでございますが、結局個々の項目をつかまえて助成すべきか、包括的に助成すべきかというもとに戻るわけでございますが、この点につきましては、大臣からすでにお答え申し上げたとおりでございます。
#81
○三木忠雄君 なかなか答弁がしずらい問題だと思うのですけれどもね。私はあえて言う問題は、こういうことはやはり合意は得られないんですよ、いつまでたっても、こういう問題が。確かに運用次第あるいは政治家の腹次第とか、大臣の腹次第とか、そういう形で再建計画が包括的に助成されて、十年後には何とかなるだろうという、こういうやり方では、やはり国鉄に働いている人たちだって、力が入ってこないと思うんですよ。片一方では赤字線を廃していって、片一方では一生懸命工事をやっている。こういう状況で、はたしてこれで十年間で再建が成り立つのだろうかどうか、こういう問題をやっている本人自身が、あるいは働いている労働者自身が、そういう見解に立つのではないかと思うのですよ。
 その点はやはりもう少しAB線の問題等についても、どういうふうに運用していくのかということを、やはり明確にこの再建計画を立てられるときに、AB線の問題あるいはCD線の問題こういう点についても、まあ包括補助になっているのかもしれませんけれども、個別的にどういう見通しを十年間で立てているんだということを、やはりあからさまにしていかなければならない時期だと思うのです。この点についてはどうですか、運輸大臣くどいようですが。
#82
○国務大臣(新谷寅三郎君) 御答弁を繰り返すことはやめますが、根本的にはさっき申し上げたとおりでございます。ただ申し落としましたので、いまお尋ねに関連しましてお答えいたしますが、だれが考えましても十年間日本の全国土にわたりまして、地域がどういうふうに変化していくだろうかということについて、具体的に的確に見通して、あらゆる計画を立てていくということはなかなか困難なことだろうと思います。
 しかし私どもは、いま考え得る考え方、それから集め得る資料、そういったものをもとにいたしまして、この再建計画を立てておるということは、るる申し上げたとおりでございます。したがって、十カ年間の計画の進行途中において、いま申し上げたような意味で、一方では、いまたとえば予定線になっておりましても、むしろこれは将来にわたってやめたほうがいいというものも出てくるかもしれません。そういったものはやめてもけっこうでございます。それから、また新しくどうしてもこれが必要だというものも出てくるかもしれません。そういったものはやはり追加したほうがいいだろうと思います。結局、国鉄が最後に引き受けるわけですから、運営について。その負担を最小限にするために、AB線につきましては特に鉄建公団に出資をしたり、いろいろの助成をいたしまして、国鉄に対する負担を最小限度に軽減しようという措置は講じているわけですが、なおそれでも全体として国鉄が赤字を背負う結果になった場合には――なるにきまっているわけですが、なる問題については全体としてとにかく十カ年間に国鉄がそういうものを含めまして、赤字解消ができるようなあらゆる財政援助をしようというふうに締めくくっているわけでございますからね。おっしゃることはわかるのですけれども、方法論としてそういう方法をとらなかったと、しかし、おっしゃるような事柄については、十カ年計画の中でそれを十分消化して中に組み入れておるんだと、こういうことをさっきから御説明をしておるわけですが、繰り返しましたけれども、この辺で御了解いただきたいと思います。
#83
○三木忠雄君 それからCD線ですね、今度はCD線の問題で実際に運営して黒字になった線区はありますか、具体的に。
#84
○説明員(磯崎叡君) CD線でいま私のほうでできましたものをお引き受けしたのは、根岸線と狩勝、根室本線、丸森線と岡多線、それから最近の武蔵野線、いずれも相当な赤字でございます。
#85
○三木忠雄君 このCD線について、まあ国鉄当局いろいろ計算してみまして、大体黒字になる線はどれですか。
#86
○説明員(磯崎叡君) 何と申しましてもD線、最近ごらんいただいた武蔵野線でございます。これはいずれ山手貨物線の貨物がみんなあちらに参りますと、これはいずれ黒字にならなければいけない線だと思います。しかし現在使用料を七十億払っておりますので、全体の収入から申しますとまだまだたいへんな負担でございますが、これはなると思います。それからもう一つ根岸線でございます。これは例の大船と横浜の間を結んでいる線で、これは最近全部開業いたしましたが、これも相当大きな七億ほどの使用料を払っております。これも通勤線でございますので、いずれそう遠くない機会に黒字にならなければいけない線じゃないかというふうに思っています。いまのところこの二つは、私のほうから申しましても当然黒字にならなければならない線だと。片方Cで片方Dでございます。
 そのほかの、たとえば長崎本線の喜々津−浦上間、あるいは最近開業いたしました伊勢線でございますとか、それからもう一つ北海道の狩勝、これは上落合−新得間、これは二十四キロほどでございます。それから宮城県の丸森線、これらはもうほとんどAB線と同じ性格であって、いわゆるこのABCDを区別いたしましたときのC線の性格と変わってきている線じゃないか。私ども個人的に言わせていただければ、C線はもうABとDに分解してしまって、そしてはっきり将来の鉄道の幹線的なものと、あるいは通勤輸送をやるものと、それからAB線と同じ地域開発のものというふうに分けて、片方は無償、片方は有償というふうにしていただいたほうがいいのではないかというふうな気持ちを持っております。これは私の個人的な考えでございます。
#87
○三木忠雄君 私もそれを実際言いたかったわけです。具体的にいつも社会的発展計画によっていろいろ操作をされるわけでありますけれども、これこそもっと考えなければならない具体的な私は問題じゃないかと思うんですね。確かに五年前あるいは十年前建設途上においてはCD線は有償にしても何とか黒字にいけるんじゃないかという見通しのもとにCD線という線をきめたんじゃないかと思うんです。しかし、やはりこの社会的な情勢によって、こういうふうなCD線ですら、いま総裁が言ったように、私はこの赤字が永久というか、この線路はもう黒字に転化する見込みがないという線が私はCD線の中に、たとえば丸森線なんか見れば、これは明確な事実じゃないかと思うんです。こういう点について、やはり収支均衡が見込まれないような線区については早く無償で提供するという方向へ切りかえるべきじゃないかと思うんですけれども、この点はどうですか。
#88
○政府委員(秋富公正君) 御指摘の丸森線でございますが、これは大体は東北本線の貨物の輸送力増強という意味で、いわゆるC線として有償の金を投入したわけでございますが、その後現在の東北線のほうを強化いたしましたために、丸森線のいわば機能が変わってきたという点があるわけでございます。このC線、D線、いわゆる有償の線につきましては、鉄建公団発足当初、国鉄と鉄道建設公団におきまして協議いたしまして、それぞれの線の性格、あるいは線の機能ということに上りまして有償、無償という一つの基準を具体的にきめたわけでございますが、その後御指摘のような、いわばいろんな情勢の変化ということがありまして、丸森線なんかはその借料の非常に大きな負担がこうじて営業係数も非常に悪いという状態でございますが、いわばC線の見直しの問題につきましては、運輸省といたしましても、その点十分その必要性も考えておるわけであります。
 ただ、これにつきましては有償の金がすでに入っておるという問題がございますものですから、この点につきましては今後さらに検討さしていただきたいと思います。
#89
○三木忠雄君 これは運輸大臣、もう少しはっきりこの問題はしておかなければいけないと思います。これはまだ総括的な補助という感じでこう包んじゃうのですけれども、こういう問題はいろいろ各所にあるわけですね。この点はやはり再建計画を進めるにあたっては、はっきりとスタートから見直しておかなければいけないと思うんです。財政当局にいろいろ問題があって総括的ないろんな隘路があると思いますけれども、見直すべき面は、はっきりとこういう点は変更すべきであるとかいう、そのスタート線上でこの問題は明確にしておかなければいけないと思うんです。どうですか。
#90
○国務大臣(新谷寅三郎君) おっしゃるように、これは全体としては私のほうはやっぱり個別的な補助はしないほうがいいと思っておりますが、その中でいまのような点、国鉄総裁も言っておりましたが、C線のような問題、初めの考え方とだいぶ状況が変わってきておる。この状況はおそらく続くであろうというふうな問題につきましては、これは実は関係当局でちゃんとした覚え書きがありまして、それでもうセットしているんです、一応は。しかしそういった問題についてはおっしゃるように見直しをして、関係当局とさらに折衝をするというようなことは、われわれもやらなければならぬことだと思います。そういう方向でひとつこれは十分検討してみたいと思います。
#91
○三木忠雄君 それからもう一つ伺っておきたいのは、地方閑散線の問題です。廃案になった再建案では三千四百キロを廃止するということを明確にうたっておったんですね。ところが今度は積極的にやるというようなことは言っておるけれども、具体的な地方閑散線の整理計画は示されないままにこの再建計画が提案されているわけです。この点についてはいかがですか。
#92
○国務大臣(新谷寅三郎君) 私も昨年の議事録等をよく読んでみたんですけれども、どうも去年御説明をした構想が必ずしも適当ではないと思うのです。実行もできないだろうと思うのであります。それで趣旨は変わりませんけれどもやり方を変えましたということです。今度は。つまり三千四百キロぐらいのものを予定いたしまして、国鉄の財政が赤字になる、赤字になるということだけで、運輸大臣が三千四百キロというものを認定いたしまして、それでこれは廃止すべきものだというようなことをきめるということは、これは非常に地方問題としては、あらゆる地方開発あるいは地方の住民の足を確保するというような点から見まして問題じゃないかと思うんです。
 でございますから、そういうような状態、つまり地方のほうでも代替輸送の方法が見出されて、それに対して国も補助をして、もう国鉄としては使命が達成されたからやめてもいいのだというような状況になれば、これはもうわれわれも遠慮なしにやめさしてもらいます。しかし、そうじゃなくて、地方の足がないというにかかわらず、これは赤字が多いからやめるんだということで、地方住民の意思を無視してまで強行するというような態度はとらないほうがいいというようにきめておるわけでございまして、趣旨は変わらないのです。趣旨は変わらないのですが、やり方において昨年の案を修正をしたということでございまして、これはなるべく早く代替輸送の道路もできてまいりますから、そういった点を考えて、具体的に個々の問題として、同じような方向でこれは検討も進め、交渉もしなきゃならぬ、こう思っておるわけでございます。
#93
○三木忠雄君 いまの答弁伺っておりまして、やはり地方閑散線の整理問題というものは前回よりもだいぶ後退しているわけですよ、すでに。それで地方のいろんな問題点はあるかと思いますけれども、はたしてこの地方閑散線の整理はだれが責任をもってやるのか。結局は国鉄にこの地方閑散線の整理の問題を押しつけているのではないかという感じが私しているわけですね。そうすれば、採算ベース、やはり赤字の大きいところから切っていかざるを得ないという、こういう状況に、企業の採算面からいけばそうならざるを得ない。そうなると、やはりいろんな圧力でなかなかそれはできないということになりますと、結論的には、この再建計画を発足するにあたって、赤字線の問題はもうたな上げにされたと、こう了解していいですか。
#94
○国務大臣(新谷寅三郎君) そういうふうに了解されちゃ困るのです。さっき申し上げましたように、別に趣旨が変わっているわけじゃございませんので、ただ、ちょっと実際のやり方が、――運輸大臣が、これはもうどこまでいっても運輸大臣の責任でございます、国鉄に実行してもらいますけれども、運輸大臣の責任においてやるわけでございます。その運輸大臣が、非常にまあことばは悪うございますけれども、一方的に、ただこれは赤字が多いからやめるぞと、そういうきめ方は、これは地方にとっては非常に大きな問題になりますし、そういうことはやるべきではない。もともと国鉄というものの性格上、赤字があってもなくっても、公共的な使命を帯びてやるべきものはやるべきだ、こういうことでございましょうから、そういった点を踏まえまして、地方との間で、代替輸送ができ、地方の了解も得られるというものはどんどんやめていく方向で、さっき申し上げたように検討も進めておりますし、交渉もしております。そのよって生じる赤字というものについては、お気に召さぬかもしれませんけれども、全体として十カ年間に、そういう赤字も含めて再建できるような道を講じておりますと、こういうことを御説明したわけでございますから、おっしゃることは、極端に言うと、やめたのかと言われますが、やめたわけではない。だから、おっしゃるような趣旨で、やはり公共的な使命を果たしながら、こういう赤字閑散線については整理の方向をやっぱり進めてまいります、こういう趣旨でございますから、御了解いただきたい。
#95
○三木忠雄君 もう一歩伺っておきたいのですけれども、運輸大臣の胸三寸で赤字線が全部廃止になるか、継続するかきまるようないまの答弁ですね。実権はそこにあるのだろうと思いますけれども、この整理のプロセスですよ。どういう状況になったときにこの赤字閑散線は廃止するという基準ですね、国民がだれもが考えても大体うなずけるという、そういうやはりプロセスを明確にしなきゃいけないのじゃないかと私思うのです。そうしなければ、このままじゃ、地方閑散線というものは、もうだれが考えてもないよりはあったほうがいいんですから、国鉄に走ってもらったほうがいい、やはり赤字であろうと何であろうと、国民は関係ないのですから、走ってもらったほうがいいんですから、廃止やということはだれも言い出さないと思うのですよ。
 しかし、そのために全体の経営バランスがうまくなくって、運賃値上げを絶えずしいられるほうはかなわぬというわけですね。そのためにも、やはり社会的ないろんな状況もあるでしょうけれども、廃止すべきものはどういう方向のどういう過程を通ってその廃止に踏み切るのかという、そのプロセスを私はひとつ伺っておきたい。
#96
○国務大臣(新谷寅三郎君) 具体的なことですから、政府委員なり国鉄から答えますが、おそらくこれは常識的に考えましても、イニシアチブを上るのは国鉄だと思います。国鉄がそういうイニシアチブをとって申し出ました場合に、はたしてその代替輸送の道があるのかないのか、それにはたとえばレールをはずしましてそのあとを整備して、たとえば舗装なら舗装をして自動車を通すのにはどのくらい経費がかかるかというふうな問題。それから、ここで自動車の輸送の問題となりますと、運輸省が車両購入とか、あるいは運営の補助なんかに対してどのくらいまでやれるかというふうな問題。地元のほうでも関係の市町村が、どういう計画でどのくらいの輸送力を確保したらいいのだというふうなことについて、各市町村がそれぞれの立場から自分のところの住民のために、自分のほうはこのぐらいの支出はしてもいいのだというふうなことも出てくるでしょう。そういった問題を煮詰めまして、運輸省としましては、最終的に地元の了解が得られれば国鉄の申し出を承認をして、そうしてそれをやめさせるというような段階になるのじゃないかと思うのです。これは単に国鉄だけじゃなしに、御承知のように民鉄にもあるのです。いまたくさんあります。御承知のように、私の立場としましては、経営上は非常に苦しいだろうと思います。しかし、せっかくそれを足として地方住民が生活しておられるのですから、ただ赤字だというだけではやめてもらっては困る。公共機関の当然のこれは使命だと思います。
 ただ、それをほうっておくわけにはいきませんから、国鉄に対しては、さっきから申し上げているような助成方法をとる、民鉄に対しましても同じような意味で、若干のそれに対する財政措置というものはいままでもとっておりますし、これからももっと強化していこうというふうなことを考えております。
 具体的な問題になると、プロセスのことは国鉄総裁からお答えをいたします。
#97
○説明員(磯崎叡君) いままでの過去の廃止いたしました基準を申し上げますと、こまかいことは省略いたしますが、先生のおっしゃったように、やはり国鉄から言い出しますので、国鉄サイドから見た考え方からいたしまして、まず沿線人口が大体減っていく傾向にあるかどうかということ。それからその線路自体が百キロ以内でもって、盲腸線と申しますか、行きどまり線であるか、いわゆる一つの交通系路をなしていない盲腸線的なものであるかどうか。それから旅客の輸送量がバス輸送にたえ得るかどうか。大体ラッシュでもって断面交通量が一日三千人以下ならばバスでやれるというような計算のもとに、大体断面交通量十五キロ以上の区間であって三千人以内であること。それから貨物をやっております場合には、貨物が一日六百トン以下であること。それから冬の雪の状況あるいはもちろん沿線の道路、並んでいる道路の状況等も考える、それらを考えました上で、最終的に非常に公衆の利便が著しく阻害されないかどうかということと、それから将来国土開発計画その他で非常に具体的な計画がないかどうか。それから新幹線建設の中で、先ほど来の御質問の中で、将来の交通網の一環としてつくらなければならない新線とリンクしているかどうかという問題なども頭に入れまして、そしていままで約二百キロのものを廃止してきたという経過でございます。
#98
○委員長(長田裕二君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十二分開会
#99
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
#100
○三木忠雄君 それでは午前中に引き続いて、もう一、二問閑散線の問題で伺っておきたいと思います。地方閑散線の認定後五年以内に廃止させるという方向で前回の問題はあったわけですけれども、これは先ほどからもいろいろ質問しているとおりに、ちょっと一歩後退して、国鉄がそれの採択を迫られているような感じになるわけです。具体的に先ほどプロセスを伺いましたけれども、この赤字線を廃止した場合の代行輸送ですね、これの問題が非常に私は最近では大きな問題になってくるのではないかと思うんです。御存じのとおり、採算の合うところは民間バスが入るけれども、採算の合わないところは国鉄バスがやらざるを得ないというこういうような代替輸送の形態が一、二見受けられるのじゃないかと思うんですが、こういう問題についての煮詰めをもう少し明確にしておかないと、やはりバスで輸送するにしても国鉄のほうの負担になってくる。いいところは民間バスがやると、あるいは民間バスがやってもサービス機関としての機能を果たさないような結果を招くのではないかと思うんですね。こういう点についての見解はどう思っていらっしゃいますか。
#101
○政府委員(秋富公正君) 御指摘のとおり、国鉄を廃止したあとの輸送機関の確保ということは、運輸省といたしましてこれはきわめて重大な問題でございます。また必ずこれは確保しなければいけない問題でございます。で、国鉄を廃止いたしました場合の代行のバスの輸送機関の問題でございますが、この問題につきましては、運輸省の自動車局とも十分打ち合わせをしているわけでございますが、かりにそこに民間のバスがありまして、その民間バスがそのエリアをカバーしている場合に、民間バスが自分がその代行輸送をやりたいという場合には民間バスにやらせる方針でございます。またそのエリアが国鉄バスがありますところでございますと、これは国鉄バスにやらせるわけでございます。しかし、いま先生の御指摘のように、赤字であって引き受け手がないという場合、たとえばかりに民間バスのエリアでございましても、民間バスは引き受けないというような場合でございますと、これは国鉄バスがそこに新しく免許申請をいたしまして、国鉄がそこの代行輸送を行なう、こういう方針で現在まで進んでおります。また必ずその方針にいたしまして、地元の方に代行輸送の不便がないようにいたしたいと思います。
  〔委員長退席、理事江藤智君着席〕
#102
○三木忠雄君 具体的に伺いたいんですけれども、この国鉄赤字線の閑散線の廃止後における国鉄バスの運行状況ですね、あるいはそういう実態について一、二伺いたいと思います。
#103
○説明員(磯崎叡君) 昭和四十六年以来廃止いたしました十一線につきまして、そのうちの六線は国鉄バスが代行輸送いたしております。五線はその付近の私鉄のバスでございます。国鉄バスのやっております六線のうち国鉄バスだけでやっておりますのが二線でございます。あとの四線はその付近の民間バスと共同でやっております。したがいまして、廃止いたしました十一線のうち六線が国鉄バスということで、その六線のうち二線だけが国鉄バスだけでございます。あと四線は民間バスと一緒にやっております。そういう状況でございます。
#104
○三木忠雄君 具体的に営業成績なんかわかりますか。
#105
○説明員(磯崎叡君) 六線でございますから具体的に申し上げます。
 徳島県の鍛冶屋原線、四十七年、これは営業係数二百九十二で赤字が三百万円、鉄道時代が赤字か四千二百万円。――ずっと列記しております。次に福井県の三国線、これも四十七年、これは係数が二百十七、赤字が千八百万円、鉄道時代の赤字が七千九百万円でございます。次に丘庫県の篠山線、これは国鉄バスだけでやっております。これは営業係数が三百三十九でございます。赤字が三千二百万円、鉄道時代の赤字が七千七百万円。それから福島県の川俣線、これは松川の近所です。昭和四十七年、これは民間バスと両方でやっております。それで国鉄バスの営業係数は百四十八でございます。赤字が二千二百万円、鉄道時代の赤字が六千五百万円。次に札沼線、これは北海道の札幌の北の札沼線、昭和四十七年、これは係数が二百四十九、赤字が二千三百万円、鉄道時代の赤字が一億五千百万円。最後に吾妻線でございます。これは群馬県でございます。昭和四十六年、これは営業係数が百三十、これが一番よろしゅうございます。百三十、赤字が一千万円、それから鉄道時代の赤字が三千七百万円。
 最後に、先ほどの十一のほかに一昨日から北海道に千歳線というのがあります。これは札幌付近の改良工事ができまして線路をやめましたもので、苗穂と北広島の間であります。これはおとといからやり始めたばかりでまだ成績が出ておりませんが、これはローカル線ではございませんが、幹線の関係でバス代行しております。
 以上で、四十七年度の平均の営業係数が国鉄バス百五十一でございますので、まあ六つのうちの二つは営業係数が平均よりいい、あとの四つは営業係数が平均より悪い、こういう実態でございます。
 以上でございます。
#106
○三木忠雄君 これは運輸大臣にこの地方閑散線、いろいろ地元の状況は変わると思うんですけれども、やはりバス輸送にかえて私はサービスが落ちなければ、地元住民がある意味では喜ぶような結果が、たとえば徳島にしても、あるいは福島の川俣線、いろんな例を私も聞いておりますけれども、やはりどんどんこういう線が進んできますと、やはり赤字の累積はふえてくると思うんですね。バスにしても、いいところは民間バスと並行しても、これは当然経営は成り立たないような、線別に見た場合。こうなってきますと、やはり住民の要望としては確かに線があったほうが私はいいと思うんです。しかしながら、それよりももっとサービスのいいバス、あるいは民間バスを含めた代行機関があれば、ある意味じゃコンセンサスが得られる問題があると思いますね。しかしながら、当初はよくても、ますます経営状態が悪化すれば、民間バスに至っては、ますます間引き運転とか、すでにそういう点がいろいろ見受けられると思うんですね。こうなってこないように、やはりバスに対する財政助成とか、その問題は私は明確にしておかなければ、地方閑散線の整理の問題と含めて一歩も進まないのではないかと思うんです。この点についてはどう考えますか。
#107
○国務大臣(新谷寅三郎君) このバスで代替させるという方針ですね。これは地元の協力が得られれば、いま国鉄総裁から申し上げたように、総体的に赤字が減るという結果になっておりますから、で、そういう意味で、地方の了解を得てバスのほうに切りかえていくということは、国鉄自身が地元のほうと十分打ち合わせてやるだろうと思いますから、運輸省としてもそれに対してはさっきも申し上げたように、これは決してそれをチェックするような考えもありませんし、そのほうがよければ、なおさらに進めるような方向で考えなきゃならぬと思うんです。で、民間のバスについては、自動車局長がいますから、自動車局長から説明させますけれども、いろいろ助成の方法もございまして、それを推進していこうと思います。
 しかし、そういったことをやりましても、なおかつ赤字であるということは、これはもういなめない事実でございますから、それについては方法は別として、運輸省としましては、全体の計画の中でそういう赤字というものについても配慮し得るような財政措置を考えておるのでございます。
#108
○政府委員(小林正興君) 国鉄ローカル線が撤去されまして、バスに代行いたしました結果は、先ほど国鉄総裁が言われましたとおり、相当の経費の節減になるということでございます。バスに転換したのちも、さらに赤字があるではないかという、そういった場合の対処策はあるかということかと思いますが、これにつきましては、バス事業も全体として御指摘のとおり、赤字線については、やはり非常にコスト高でございます結果、財政援助をしなきゃならぬという状況になっておるわけでございまして、こういった点については、具体的なバスの路線ごとにそういったひどい極端な赤字のバス路線については補助をやっていくということでございます。ただ、鉄道をバスに転位させるというような場合に、バスの側から見ますと、バス全体から見ますと、まだ相当な輸送需要もあるような地区のようでございまして、鉄道事業自体の合理化というような点に非常に大きなメリットがあるのではないかというふうに見ておるわけでございます。
 バス転換後のバスの問題につきましては、私どものほうといたしましては、先ほど申し上げましたように、具体的な線ごとに乗車密度を見まして、そして補助制度を設けておるわけでございます。
#109
○三木忠雄君 大蔵省いらっしゃいますか。いろいろ赤字線の問題とか、AB線、あるいはC線、D線の問題を私も一時論議したのですが、この再建計画では総括補助という形でいろいろしぼってあるわけです。確かに今回の法案に対しては、いま大蔵省当局も云々できない問題ではないかと思うのです、正直な話が。譲ることができないと思うのです。しかしながら、こういう論議の問題点となっている点は、やはり補助すべきものは補助をする。あるいはそういう明確な線を早目に打ち出さないと、結局三年後の運賃値上げのときに、こういう問題をまた蒸し返さなければならない問題。あるいはまた、そういう問題が、たとえば国民に運賃をしいても、まだ国鉄の再建というものはなかなか成り立たない。あるいは見通しが立たない。あるいはそれどころか、運賃値上げと労働者の首切りだけの、合理化の問題だけでぼかされてしまう結果になってくるのではないかと思うのです。やはり地方閑散線、AB線、C線、D線等の問題を考えても、もっと財政的な援助を私はしなければならぬのじゃないかと思うのです。こういう点についての今後の財政当局の考え方、これは大蔵大臣がいらっしゃれば一番いいのですが、当局として非常に答弁しずらい問題かと思いますけれども、やはりこういう論議された問題を大蔵省はしぼるだけしぼって、なるべく出さないような方向にするということが大蔵省当局の考え方だと思います。しかしながら、こういう、だれが考えても財政助成をしなければならない問題点というものは、浮き彫りにされていると思うのですね。この点については、明確にしていかないと、やはり国民の不信感はつのる一方だと思うのです。その点で、国民が負担すべき問題はどういう点か、あるいは国が財政助成をしなければならぬ問題はこれとこれとこれだと、こういうふうにやはり明確にわかるように、そういう方向に私は一歩進んでいかなければならないのではないかと思うのです。その点についての御答弁を伺います。
#110
○説明員(宮本保孝君) その点に関しましては、午前中政務次官が御答弁申し上げましたが、われわれといたしましても、今回の計画につきましては、確かにいろいろと運輸当局あるいは政府全体といたしまして、総合主義に立ったほうが、まだまだ国鉄としましては近代化ということがはかられますし、諸外国のように鉄道というウエートが非常に低くなった国におきましては別でございますけれども、今日鉄道の効能等が見直されております現段階におきまして、また将来におきます鉄道に対します需給関係とか、いろいろと勘案いたしますと、国鉄に対しまする近代化投資というものが、今後の国鉄の経営にとりましては非常に効果を発揮いたしまして、そうして全体といたしまして、国鉄が立ち直りますれば、その全体の中で公共的な使命とか、公共的な要請にこたえ得るような状態になるのではなかろうか、こういう判断のもとに、今回は実は十カ年計画を立てて御審議願っておるわけでございますけれども、しかし先生御指摘のように、いろいろと個別の問題もございます。
 ただ国鉄全体の助成につきまして、いろいろの積み上げをいたしまして、ここでどうするということはちょっと申し上げられませんけれども、いまいろいろございます代替のバスの話とか、あるいは前回か前々回にもいろいろ出ました過疎バスの問題とか、いろいろと個別の問題がございますので、そういう点についてはいろいろと国民全体の立場から、われわれとしましても、十分な配慮をいたしまして考えていきたいと考えております。
 また午前中政務次官から御答弁がありましたけれども、やはり十カ年計画それ自体の中で改めるべき点もまた出てまいるかと思います。そういう点につきまして、個々個別のケースにつきまして、いろいろと財政措置なり何なりを考えていきたい、こういう姿勢で考えておるわけでございます。
#111
○三木忠雄君 では次に、新幹線の問題で伺いたいのですが、特に先般、報告書が出されました国有鉄道監査報告書によりますと、現在工事中の山陽、東北、上越各線区のこの問題についての建設を積極的に進めることが肝要である、こういわれておるわけですけれども、その他の新幹線について経済効果を十分検討の上重点的に整備を進めることが必要だ、これは当然の話だと思うのです。将来の新幹線のこの経済効果を十分検討の上、こういう指摘を受けておる実態の中にあって、運輸省としてどういう方向でこの新幹線の整備計画を進めていくのかどうか、この点について伺いたい。
#112
○政府委員(秋富公正君) ただいま鉄道建設審議会の御答申をいただきまして、新しい五線、いわゆる調査新幹線と申しておりますが、これにつきましては、国鉄、鉄建公団におきまして、現在ソフト面におきましても、またハード面におきましても綿密な調査をいたしておる段階でございます。いずれこれは報告書が出ますと、運輸大臣から鉄道建設審議会に諮問いたしまして整備計画を決定し、工事に着工するという予定でございます。
 で、御指摘のように、採算性の問題がございますので、今回御審議いただいております十カ年計画におきましては、国鉄、鉄建公団の新幹線、さらに本四架橋公団がいたしております本四架橋につきましても、いずれもその工事費の一五%を政府出資する。それから工事費の金利を三・五%までは工事費補助金として出します。さらに資金につきましても、その確保のために出資金以外はその七〇%を財政融資、残りの三〇%を公団債あるいは鉄道債券というふうな形で資金の確保ということをいたしまして、今後の新幹線と申しますものは、現在の東海道新幹線あるいは山陽新幹線のような高収益を必ずしも予期できない線も出てくるかと思われますので、そういった面につきまして、国鉄の負担を軽減するような財政措置を講じた次第でございます。
#113
○三木忠雄君 それで、経済採算性の面からいっても、これはまあ先般も森中委員からも第二東海道新幹線の問題が出ましたので重複する部分は避けますけれども、再建十カ年計画の間に、まあ国鉄総裁の答弁から伺いましても、リニアモーター式の東海道第二新幹線、これは不可能のような話を伺いましたのですけれども、実際にいま東海道新幹線が公害問題で住民から非常な苦情が出ている。いろいろな問題点かある。こういう点から考えて、第二東海道新幹線をある場合には早くつくって、そちらのほうにいまの「ひかり」とか、そういう問題を移して、スピードダウンをした現在の東海道新幹線にしたらどうかという意見もあるんですね。こういう点についてのお考えはどうですか。
#114
○国務大臣(新谷寅三郎君) 第二東海道新幹線というものについて、これはこの監査報告書にもちょっと触れておられます。しかし、これはどの路線をどういうふうにして通るのがいいかということは、具体的にはどこもまだ考えてないと思うんです。ただ、この監査報告にありますように、数年のうちには現在の東海道新幹線も飽和点に達するのではないか、こういう見込みでございますが、この点、私たちもそうなるだろうと思います。それに対応して輸送需要があるのですから、何か方法を考えなければいかぬということでございまして、現在の東海道新幹線の体制をすっかり変えて、第二東海道新幹線というものをつくって、そこに全部新幹線としての機能を移しかえて、いまの東海道新幹線というものを現在と違った体制で持っていこうということは、ちょっとこれ考えられないと思うんです。
 で、この騒音公害の問題は、これはまあ現在の東海道新幹線は御承知のように、経過的に見ましても配慮が十分でなかったということを率直に言わなければならぬと思いますが、そのために国鉄当局にも申しまして、特に名古屋方面の騒音対策についてはもっと積極的に移転補償などを実行して公害の防除にはもちろんのこと、どうしても公害が除去できないような部分については補償を出してでも周辺の整備をしようというようにやっておりますので、公害の点とからめてお考えになるとそういうふうな考えも出るのですけれども、ただいま考えられるとすれば、東海道のほうで輸送の需要が非常にふえると、それをどうしてさばくかという問題でございまして、これにはいまの東海道線に並行してということもお考えになる方もあるでしょうし、もっと北のほうの中央道を通ったらどうかというような意見も出るでしょうし、これは彼此勘案して経済的にも最も効果があり、そして利用者の便宜も十分はかられるというような方法を考えていかなければならぬと思っておりますが、具体的にはまだ申し上げる段階じゃございません。
#115
○三木忠雄君 これは国鉄に伺いたいんですけれども、現在の新幹線、これが東京−大阪間、いつごろに飽和点というか、もう輸送力の限界と認められているのかどうか。
#116
○説明員(磯崎叡君) いろいろの計算のしかたがございますが、一応結論といたしましては昭和五十年代の末期と、非常に不明確でございますが、大体昭和五十年代の末期というふうな時点だと考えます。
#117
○三木忠雄君 運輸大臣、これは総裁の、国鉄側の見解かもしれませんけれども、たとえば五十年代の末期といういまの話だとしますと、五十七年までの再建計画の中に入るか入らないかは論議しても始まらないと思いますが、やはりそれ以前に、この再建十カ年計画の間に、東海道第二新幹線のいろんな問題についての着手あるいは計画、調査というふうな点については始めなければならない・のじゃないかと思うのですが、この点についていかがですか。
#118
○国務大臣(新谷寅三郎君) そのとおりだと思います。工事に着手いたしましてから、相当路線の距離か長いですから、やはり十年近く――まあそんなにかからないかもしれませんが、それに近いものがかかるだろうと思うのですね。そういたしますと、輸送需要と対応して考えますと、十カ年計画の中でやはり工事に着手していかなければならぬということになると思います。
 御承知のように、国鉄からそういった資料を出していると思いますが、この十カ年計画でも大体現在のところ調査線ができましても三千五百キロです。七千キロまでは計画をするというたてまえでございますから、まだ投資規模からいっても余力があるわけでございます。それを今後どういうふうにどこを優先してやっていくかということについては、先ほど申し上げましたように、一番重点的に輸送の需要がふえてきてどうにもならぬというような点もありますし、それからまだ現在の新幹線というのは日本全国カバーするというようにはなっておりませんので、まだ残った地点でやらなければならぬ点もございますから、そういったことを勘案しながら、これからどこに手をつけるかということをだんだん調査をしながらきめていく、こういう考え方でございます。
#119
○三木忠雄君 これは採算点だけできめられないと思いますけれども、全国の新幹線網を敷く、これは私いろいろ計画があると思うんですけれども、それ以前に、やはり調査五線はいま進行中でありますけれども、それよりもまっ先にあげられる問題は第二東海道新幹線のほうが大事な問題になってくるのじゃないかと思います。したがって運輸大臣個人というか、これは発表できないような問題ではあると思いますけれども、やはり第二東海道新幹線に着手するというか、あるいは手始めるというのは大体いつごろと見通しているのか、この点について。
#120
○国務大臣(新谷寅三郎君) まだいつごろといってここで具体的に申し上げる段階ではございませんから、そのお答えはいたしかねます。ですが、輸送需要がそういうふうにふえてきますから、それに対応する意味では、そんなに長い間待っているわけにはいかぬだろうと私は思っております。
#121
○三木忠雄君 それから監査報告書の中に新幹線の車両の経年変化の問題が指摘されております。「新幹線の高速、大量輸送という条件のもとにおける設備、車両等の経年変化は、国鉄にとって新しい経験であるので、これらに対して全般的に技術的検討を加えるべき時期に至ったものと認められる。したがって、従来からとられてきた技術的管理の深度化をはかるとともに、これらを総合的に管理する体制を強化し、十分な対策を講ずる必要がある。」、こういうふうに指摘されているわけです。この新幹線の経年変化の問題について、これは国鉄として非常に新しい技術的ないろいろな問題があるのではないかと思うのですよ。この問題に対してどのように、三十九年ですか、新幹線がスタートしてから今日までもうだいぶたつわけでありますけれども、この問題に対する技術的な解明というか、この問題についてはどういうふうにお考えですか。
#122
○説明員(磯崎叡君) ただいま先生の御指摘がございまして、また監査報告書でも指摘されております。ちょうど十年たちましたが、いろいろな面からそういう問題を真剣に考えなければならないときだと思うのです。たまたまことしの二月の事故を契機といたしまして、大臣から全面的な監査と申しますか、の命令が出ましたので、非常にそれを、そのチャンスをつかまえまして、全面的な現在再検討と申しますか、再点検と申しますか、それを現在やっている最中で、ほぼ大体終わっております。
 多少詳しくなりますが、ちょっとこまかくなりますが、少し具体的に――車両でございますが、車両は昭和三十九年につくりましたものがちょうど十年になります。一応十年が減価償却の時期になっておりますが、現在までに三十九年のものがそのまま現在走っているわけではございませんで、その中で当時からいままで使用しておりますものは、車体――車のボディでございます。それから台車のワク、それから主電動機、連結器、配管、これらだけはもとのままでございますが、あと車とかその他のものは全部十年間の間に姿が変わって、新しいものに変わっている。すなわち、こういうほんとうにつくりつけではずせないものだけを残しておりまして、あとは全部中身は変わっております。したがいまして、全般検査いたしますときには、これらの廃車するまで変わらないところを徹底的に見ますと同時に、車その他動く部分などにつきましては、取りかえの期限どおり取りかえているわけでございますので、かりに三十九年の第一列車を走った列車が現在走っておりますけれども、これは中身はすっかり変わっているというふうにおぼしめしていただきたいと思います。したがいまして、たとえば車体とか台車のワクそのものが老朽するという場合には、もちろんこれは全部廃車いたします。まだ具体的に廃車をきめておりませんが、そろそろ三十九年、四十年の車両を全部もう一ぺん点検いたしまして、もし廃車すべきものがあれば廃車するというふうにいたしますが、走る部分については一切御心配はないというふうに申し上げさしていただきます。ただ、窓ガラスとかヒューズとかこまかい点につきましては、だいぶ使っておりますので、そういう点がございまして、これも各新しい形式のものに現在徐々に取りかえ中でございます。一番大事な車輪、車軸、ブレーキ、軸受け等につきましては、そのつど新しいものに全部取りかえてしまっているというふうにおぼしめしていただきたいというふうに存じます。
 それから線路でございますが、これは昭和四十七年度すなわち昨年度から全部五十キロのレールを六十キロに現在取りかえ中でございます。すでに百キロメートルは完了いたしました。大体五年間で全線取りかえてまいるということで、摩滅の激しいところから取りかえるという工事を現在いたしておる。このために、浜松に大きなレール関係の工場をつくったわけでございます。これも現在進行中でございます。これはかたがた公害防止、騒音防止にも非常に役立ちますので、ぜひ早くやってまいりたいというふうに考えております。
 それから、線路の下の道床でございますが、これも四十七年度から計画的に取りかえ、現在百七十キロ完了いたしました。これはやはり公害の関係で、道床を交換いたします際に道床の下にマットを敷きます。ゴムのマットでございます。そうしますと、非常に振動、騒音に効果がございますので、このマットを敷くことの工事と一緒に道床の取りかえをやっておるところでございます。現在進行中でございます。一番問題なのは溶接部、線路の溶接部分でございます。これは一時、三十九年の開業の際に、いわゆるテルミット溶接をいたしましたものでございますが、これは亀裂を生ずるおそれがございます。したがいまして、現在新しい溶接方法に取りかえ中でございまして、これは四十九年度末に完了をいたします。それまでに現在のまだ取りかえの間に合わないものがございますが、これはその側に当て板を当てまして、それで万一テルミット溶接部が折れましても脱線することのないというふうにやっておる次第でございます。
 最後に、信号、通信の関係、これも生命でございますが、これらを、ことにケーブルがやはり十年たちますと相当経年いたしますので、詳細は省略いたしますが、現在計画的に取りかえを実施中でございます。
 以上、要しまするに、車両、線路、電気、その他構造物につきまして、ちょっと先生の御指摘のとおり、十年たちますとやはりこの辺でもう一ぺん見直す必要があるということで、実はこの春からずっとこれに取りかかっておる次第でございます。国民の御心配のないように、全力を尽くしてやってまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
#123
○三木忠雄君 二月の事故あるいは先般新横浜でやはり「こだま」の事故がありましてそうして乗客は全部おりた、こういうふうに報道されているわけです。あるいは私が聞くと、新神戸から大阪までブレーキか何かの故障のまま、何かちょっと事故のまま走ったような例があったそうでありますけれども、いずれにしても、そういう点が最近ひんぱんに出ているのじゃないかと思うのです。こういう点について、やはりどこにそういう原因があったのかということは、もういろいろ当局では原因を突き詰められておると思いますけれども、端的にいって、この横浜の「こだま」の事故を起こした原因について、これはどういうふうな見解を持っていらっしゃいますか。具体的に、当局でけっこうです。
#124
○説明員(阪田貞之君) 八月二十六日に新横浜―小田原間、横浜寄りで、進行中に動揺が激しいというので、車をとめまして調べました。その結果、ボルスターアンカーと称しまして、車体と台車とをつなぐ一つのバーがございます。そのバーの受けのところにゴムがございます。そのゴムが熱的に変化いたしまして、そこが摩耗いたしまして、したがいまして摩耗いたしますためにがたがたになった。それで、車体の振動と台車の振動とが若干ちぐはぐになって、動揺がその車だけがひどくなったという事故でございます。なお、このゴムは、一年ずつに、やはり台車検査のときに悪いものは全部取りかえておりまして、この前後のボルスターアンカーのゴムは正常になっておりますので、ただいまこういう熱的変化がどういう理由によってこの部分だけに起こったのか、研究所に持ってまいりまして研究をしておりますが、まだ解明はできておりませんが、そのような結果でございます。
#125
○三木忠雄君 まあ、新幹線が在来線と違って、新しい技術的な問題がいろいろあろうかと私は思いますけれども、やはり国民の側から見れば、非常に新幹線の便利さを考える――必要以上にやはり新幹線の危険感というものを最近いろいろ感じているのじゃないかと思うのです。私はそういう点で、この裂罅の問題に対して、もっと究明すべき問題は徹底的に究明して、いつまでに、たとえばいま総裁の御答弁によりますと四十八年とか四十九年にいろいろでき上がる、総点検の部門が完成するわけでありますけれども、こういうものをもう少し国民にやはりわかりやすい、たとえばこの「こだま」の事故があった場合に、そういう点に対する不安感というのは非常に私は大きいと思うのですね。万が一新幹線の脱線事故あるいはそういう問題につながったらたいへんなことになってくる問題でありますし、こういう技術的な解明については、私は相当な予算をかけていろいろ解明されていると思いますけれども、もっと国民に不安をつのらすことのな、ような万全な対策を私はしいてもらいたいと思います。総合的な研究機関の問題については、どういうふうな対策をやっておられますか。
#126
○説明員(磯崎叡君) 現在、新幹線総局におきまして、実際オペレートしながらそれをやっているわけでございますが、ただ、たとえば総点検のときなどは全部本社から関係官を指定いたしまして、そうしてそれらと共同してやらせまして、正式な責任者の報告書を総裁に提出するというふうな形でやっております。いわゆる特別な機関はつくっておりませんが、本社の関係部局の関係者を全部現地に張りつけまして、そうしてそれらから正式の書面による報告をとる、これを私どものほうといたしましては、いずれ大臣に御提出するという、きちっとした形で整えておきたいというふうに考えている次第でございます。
#127
○三木忠雄君 運輸大臣、事故が起こるといつも総点検を命ずるわけですね。飛行機が落ちたら飛行機の総点検をやる。具体的にこの総点検をした結果というものを、どういうふうに認識されておりますか。ほんとうにその総点検が、私はなされていないとは言いませんけれども、何かこう事故が起こると総点検、こういうことばが出るんですけれども、はたしてほんとうに技術的な解明あるいはそういう分析が行なわれて、次の事故抑制のために役立っていないといったら語弊があるかもしれませんけれども、そういう点がどうも総点検ということばで濁されているような感じを受けるわけです。もっと積極的な解明を当局はやるべきじゃないかと思うんですがね。
#128
○国務大臣(新谷寅三郎君) そういうふうにおとりになることは非常に残念なんです。交通機関は一にも二にも安全確保が大事だと思います。でございますから、新幹線だけじゃございません。航空機に対しましても総点検ということばは別といたしまして、事故の原因を究明してそれに対する具体的な対策を立てさしておるわけでございます。これはそういったいまおっしゃったような事故のあります前に、大阪でことしの二月でございましたか、原因がよくわからなかったと言っておりますけれども、あとでわかったんですが、そういう事故がありまして、いまおっしゃったように、新幹線も開業してから相当日がたっておりますから、やはりこの際にもう全部洗ってみて不安のないようにしてくださいということで、これはもう公式に総裁に指示いたしまして、その後国鉄のほうではそれに従っていまお話しのような、レールから車両から、あらゆるものについて全部点検を具体的にいたしまして、その結果をいままとめつつあるようです。まとまりましたらそれを拝見して、私として指示すべき点は厳重に指示し、さらに考慮すべき点は考慮する、改むべき点は改めさせるという方法をとるわけでございます。
 過去の例で、航空機についても、昨年事故がございまして、立ち入り検査をしたりいろいろなことで、どこに原因があったか、どうしたらいいかというようなことを会社から意見を出させまして、それに基づいてわれわれのほうは逐一それを検討いたしまして、私から指示すべき点は指示したわけです。で、非常に改善されました、安全の問題についてはですね。現在でも航空機の異常の運航がございますと、必ず即座に報告してまいります。それを見まして――私も見ております、見まして、具体的に航空会社に対して、たとえば整備に欠陥があるのじゃないかといろいろ指示するのは、そのつど必要な指示を与えておりますということでございまして、いまおっしゃったように、ただおざなりで、何かいうと総点検だと、それでもうごまかしているんだろうというようなことはいやしくもいたしておりませんから、御安心いただきたいと思います。
#129
○三木忠雄君 それで、新幹線の公害といえば騒音とかあるいは振動の公害にいろいろいままで限られておったわけですけれども、最近人命に直接影響を及ぼすような落下公害がいろいろな問題に私なっていると思うんです。こういう問題について、国鉄の技術研究所ですね、新幹線が三十九年に発足してから、問題点をいろいろ解明されていると思いますけれども、この落下公害についてどういうふうに国鉄の技術研究陣は研究をされ、あるいは解明されているのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
#130
○説明員(磯崎叡君) 私から総論的に申し上げます。
 いわゆる落下物、線路外への飛来物でございますが、これを大きく分けますと、線路関係の品物それから車両関係の品物それから手すりでございますね、いわゆる高欄と申しますが、この三つに大体区別できると思います。このうちの高欄関係、これはコンクリートブロックで手すりがつくってございます。現在遮音板等をつけた防音装置にいたしましたところはその上にあれをしておりますので、新しい防音板を張ったりいたしておりますので、その部分はもう心配ございませんが、コンクリートブロックの高欄だけのがまだたくさんございます。これらにつきましては、実は相当落下いたします。開業から今日までの間に十六件、高欄コンクリートブロックが下へ落ちております。したがって、それは現在七億ほどの予算を取りまして、四十八年、四十九年でもう一年ぐらいかかりまして全部修繕するというふうにいたしておりますが、現にその十六件のうちの六件だけはいま先生のおっしゃったような被害がございましたので、これは補償の道を講じておる次第でございます。
 それから次に、線路上のもので、これは線路の外に、いわゆる高架のガードから外へ出るもの、外へ出ませんけれども線路に落下するもの二種類ございます。それは主として線路関係のものは石と線路のいろいろな部品でございます。この石は、御承知かと存じますが、開業当初は非常に石が飛びまして、これは関ケ原でもって雪を抱いた列車がそのまま東へ上がってまいります。東海道であたたかくなりますとその雪が解けて落ちるわけでございます。その落ちたのが砕石に当たってその砕石が民家に飛び込んだという事例が相当三十九年、四十年にはございます。これは全部関ケ原のほうのスプリンクラーでもって直しましたので、これはいまほとんど雪の関係はございませんが、なお現在でも石が飛ぶ事態はございます。どうもこの原因がはっきりわかりませんので、いまいろいろ石に色をつけたり、あるいはカメラによる調査あるいは石とかレールとかの相互の圧力じゃないかというようなことで、これは研究所等でもっていまいろいろ検査さしておりますが、ただ道床とか砕石の整備にも注意いたしまして件数は減っております。また線路関係のいろいろなちょっとした部品でございますが、これがやはり四十五年から四十八年までの間で二件ほど線路の外へ落下いたしました。
 それから車両の部品でございますが、これがやはり四十五年、四十八年で車の下に抱いておりますブレーキライニングの破片とか、あるいはタイヤの研摩子の破片だとか、そういった部品の破片がやはり落下いたしまして、それが線路の外へ、すなわち高架の下へ飛びまして、そして御迷惑をかけている実績がございます。それらを合わせますと四十五年から四十八年までの間に約五十件の報告があがっております。もちろんこれはこのまま済ませるわけにはまいりませんので、いまの線路の状態あるいは車両につきましては車両設計事務所におきましてその具体的な事例につきまして対策を講じておる次第でございますが、一方、被害を受けられました方々に対しましてはもちろん補償の道を講じておるわけでございます。
 車両の部品の物的対策につきましては、非常にこまかくなりますから省略いたしますが、主としてカバー類――機器をカバーしておりますカバー類の落下が多いようでございますが、これらも車両設計のほうに申しまして、ネジがゆるんで落ちるというようなことなどないように二重ボルトかするとかいうふうなことを、いろいろ現在やらしておるわけでございます。また人的にもできるだけ綿密な作業をするように注意を払っている次第でございます。
 したがいまして、総体から申しますと、昭和四十六年度百万キロ当たり〇・〇二件だったものが現在昭和四十七年度は〇・〇一件というふうに減っております。車両の走行キロがふえておりますので、件数はございますが、走行キロ当たりの事故は減っております。しかし、こういうものは当然ゼロに近いものにしなければいかぬということで、今後とも技術研究所並びに車両設計のほうにおきまして十分検討して、こういった事例を少しでも減らすようにいたしたいというように考えておる次第でございます。
#131
○三木忠雄君 これは総裁の手元に届いている資料は私は数少ないと思うのです。現場でだいぶ処理されたり、あるいは運転関係とかいろいろな問題で処理されている問題がこの中に数倍あると思うのです。こういう点はやはりもう少し明確にしておきませんと、上に上がってこないまま中間でふさがってしまって、とんだ事故を起こすような問題に私はなりかねないと思う。これはいろいろは機関あるいは問題もいろいろあると思いますけれども、こういう点はもう少し私は解明しておかなければ、自後いろいろな問題が起こってくるのではないかと思います。その点は強く私は要望しておきたいと思います。
 特に先般、私は二百キロで走るところの線路沿いを歩いてみたのです。そうしますと、たいへんなものなんですね。特に高欄ブロックは相当こわれておりますね。あれが飛び散る、あるいは落下するという問題はこれは早急に直さないと、やはり民家に影響が出てくると思うのです。これはいままで技術的にも、そうならないと予測してあの高欄ブロックをつくったと私は思うのです。これは責めてもどうにもならないと思うのですが、この事後策として、やはり大至急やらないと、そこで働いている人たち、あるいは落ちて民家に影響を及ぼすということが、これは当然、いまは件数少ないですけれども、これは月日がたつに従って、私はこれはたいへんな問題になってくると思うんです。この点についていろいろ予算上の関係もあるかもしれませんけれども、この高欄ブロックの修繕は大至急やりませんと、いろいろ被害がますます大きくなってくるんじゃないかと思うんです。この点についてはどうですか。
#132
○説明員(磯崎叡君) 確かに高欄のブロックは設計上の際に、あのままでいいというつもりでつくったんだと思います。現在、高欄ブロックは全体で百四キロございますが、そのうちで、いま先生の御指摘のように、取りかえなきゃいけないとか、あるいは落ちる危険性のあるという個所は七十七キロでございます。これは場所によって違いますが、実は大阪付近が一番多いんでございますが、大阪付近が約五十キロございます。これは重点的に金を入れまして、いま五億ぐらいの予算を計上いたしておりますか、なるべく早く――そうむずかしい工事じゃございませんのでやってまいりたいと思います。全体として七億四千万でございますが、そのうちすでに四十八、四十九で一億四千万ぐらい使いました。しかしまだキロ当たり約一千万円ぐらいかかりますので、むしろ工事能力の問題もございますが、これはもういま先生の御指摘のとおり、至急、予算は別に取ってございますので、至急やりたいというふうに思っている次第でございます。それまでいろいろ補強を、いま、いたさしておりますが、それだけでは足りませんので、根本的に直していきたいというふうに思っております。
#133
○三木忠雄君 それで、たとえばこの新幹線の沿線住民に、こういう高欄ブロックとか、いろいろ車両部品の落下等で被害が出ているわけですね。この国鉄当局の陣容は、そう予想しなかったのかどうか知りませんけれども、非常に補償措置が相当おくれているわけですね。これは新しいいろんな事実が明るみに出てきておりますので、こういう点に対しては、やはり手を加えて、あるいは陣容を整えて沿線住民あるいは線路巡回者とか、車両部品の落下等において被害を受ける人たちに対する補償措置とか、あるいは原因究明を明確にしていかないと、あるいはそれが法制化して、もう少し明確に、こういう事故が起こった場合にどういう処理をするかということを、法制化というか、明確にしておかないと、これはもういつまでたっても手が足りませんでしたとか、あるいは解決ができませんでしたと、これが変な、こじれた問題に私は発展するんではないかと思うんです。こういう点を義務づけるというか、あるいは明確にして、当局として対策を講じておくべきではないかと思うんですけれど、どうですか。
#134
○説明員(磯崎叡君) 先ほど先生のおっしゃいましたとおり、必ずしもこういう報告は全部私どものほうに上がっているということは申し上げられないと思います。したがって極力、こまかい点につきましても、いやしくも人家に御迷惑をかけたようなことについては必ず報告を求める、そして、それに対して補償をすみやかに申し上げるという体制を整えなければいけない。現在までの経過から申しますと、高欄の関係でもって約九万円、それからほかの一般の線路外被害でもって約五十万円の金を払っておりますが、これの多寡は別といたしましても、やはり陣容を早く整えるということが一番大事だというふうに考えております。昔、蒸気時代にはよく沿線火災と申しまして、石炭の燃えがらでずいぶん火事を実は起こしたことがございますが、それと若干似ている点もありますので、十分気をつけてやってまいりたいというふうに思います。
#135
○三木忠雄君 それからもう一つ伺いたいんですが、車両部品の落下公害ですね、これはどういう原因で――まあカバーが落ちたとか、いろいろいわれているわけでありますけれども、この車両の検査方法、これはやはり抜本的に検討すべき問題じゃないかと私は思うんですけれども、この点についてはいかがですか。
#136
○説明員(阪田貞之君) 非常に新幹線の車両に対する検査規定は在来線よりきびしくやっておりまして、ふだんの仕業は、四十八時間ごとに一回は必ずやります。したがいまして、一回大阪往復し、まあその日によって二往復する場合もございますが、それをいたしますと、必ずまず運転所でその検査をいたします。それからその次に交番検査というのがございまして、その上にさらに台車検査、その上に全般検査をやっておりますが、これらも在来よりも非常に限度をきびしくしておりまして、非常に気をつかっておりますが、ただいまのこういう落下の問題は、わからない異物が当たったりする場合もございますし、まあ残念ながら人のやることでございますので、ボルトを完全に締めるべきところを若干ゆるめてしまったということもございますし、そういう点につきまして、物が当たって非常にこわれやすい部分につきましては、先ほど総裁が申し上げましたように、強化策をそれぞれに、とめ金だとか、ちょうつがいだとか、それからその他もろもろの対策を、一つの落下事故が起こるたびごとに、それに対する対策を今日まで打ってまいりました。
 また職員に対しましても、かりにこれがボルトのゆるみであった場合には、そのつどその作業員に対しまして、このような――あと特にダブルチェック方式を採用いたしまして、一回人のやったことをもう一ぺん関係のない第三者が見るという方式を逐次とってまいりまして、少しずつ件数は減ってきてはおるのでございますが、残念ながらまだ一〇〇%これをなくすわけには至っておりません。さらに、そういう引き金とか、とめ金とか、ボルトとか、そういうものに対しましては、車両設計事務所を中心といたしまして、今後も一そうの研究をしてまいりたいと考えております。
#137
○三木忠雄君 私はこういう問題が、車両の部品の落下がいろいろあるということ、これは線路で働いている人たちにそういう問題が、まあ件数は少ないですけれども、いまのところは。しかし、この車両の検査方法に幾分手抜かりがあるのじゃないかという、私はいろいろ感ずるわけです。
 たとえば夏の臨時便の増発等がありますと、どうしても点検ができないという、こういうふうな時間的な制約といいますかね、あるいは車両数の問題というか、こういう点でいろいろ、あっちゃいけない問題が、現実にこの車両の検査体制が手抜かりされているのじゃないかという、こういう点、私もこれはしろうと考えでありますけれども、そういう点があるんではないかと思うんですね。こういう点、私はもう少し厳格にしておかないと、これはいま件数は少ない、幸いそういうことで死亡事故は出ておりませんけれども、沿線住民に大きな被害を及ぼすことがあったらこれはたいへんだし、それだけではなしに、それは線路の上とか、あるいは新幹線走行中にいろんな問題が出てくれば、これはたいへんな問題につながると思うんです。この点については、幾らきびし過ぎでもいいんじゃないかと私は思うんですね。この点について、特に私心配するのは、臨時増便等を出した場合に、いつの間に検査するのだろうという、しろうと考えを持つわけですけれども、これは国民も不安の的になるのじゃないかと私は思うんですけれども、この点についてはいかがでございますか。
#138
○説明員(磯崎叡君) 確かに忙しいときになりますと、無理して車を動かしているのじゃないかというふうな御疑問があると思いますが、この点は私どもの生命でございますので、やはり車の整備のできてないようなものはもう絶対に動かさないというたてまえでやらしております。しかし先生の御忠告、確かにそういうことがないと断言できるかどうかは別といたしますので、十分検討してまいりたいと存じます。
#139
○三木忠雄君 それで私、一つ提案ですけれども、この問題については、運転のほうと、施設のほうと、それから当局のほうとの連絡会議か何かで、一つ一つどういうふうに処理したかということを、明確にわかるようにしておくべきじゃないかと思うんですね、こういう連携はとれないものかどうか、いろいろ組織があって、非常にむずかしい問題があるかもしれませんけれども、こういう点は、たとえばいついつにどういうものが落ちたと、こういうときにはお互いに連携を取り合って、こういう事後の処理をしたと、こういう点はもう手抜かりなく打ったと、こういう具体的な協議会みたいなものを当局で――まあ組織的な問題だと私は云々できませんけれども、そういう機構なり、お互いに連絡をし合う場をつくるべきじゃないかと思う。お互いに不信感を持って、あちらがやってないじゃないかと、すでに何かどうもそういう落下物があるという事実は、これはもういなめない現実の姿ですから、こういう点は改良すべき問題点ではないかと思うんですけれども、いかがでございますか。
#140
○説明員(磯崎叡君) 確かに現在の新幹線の運営組織が、東京から岡山まで一本で新幹線総局というところでやらしておりますので、やはり縦割り的な仕事になりますので、どうしても縦同士の連絡がよくないということは、先生の御指摘の点が確かにあると思います。したがって、組合問題は一応除きまして、私どものプロパーの仕事をする体制から申しましても、いまの御指摘のような相互の連絡が絶対必要でございます。したがって、新幹線総局そのものの組織の問題も実はいま検討いたしております。今後博多まで延びたときに、いまのような組織でやれるかどうかという問題もございますので、それらと一緒にいたしまして、十分検討してまいりたいというふうに考えております。
#141
○三木忠雄君 それからやはり車両の問題でありますけれども、特に危険物の輸送の問題ですね。先般も山陰において危険物輸送の問題が問題になって、住民に不安を与えた一つの例があるわけでありますけれども、この危険物輸送の安全対策についてはどういうふうに進められているのか。
#142
○説明員(磯崎叡君) 非常に国鉄では新しい危険物を方々から輸送をお頼まれいたします。したがって私のほうもなかなか全部化学的知識がございませんので、私のほうの中に、実はもう三年前になりますか、化成品等の輸送調査会というものをつくっております。これは日本の学界のこういう方面の最高権威者並びに消防庁、通産省、科学技術庁等のほんとうの専門の方々にお集まり願いまして、ほとんど鉄道で輸送している危険品は――あらゆる日本じゅうの危険品は全部うちに来ているというふうに思いますので、ことに一番心配なのは新製品でございます。なかなか知識がございませんでわかりませんので、一時、三年ほど前にやはり国会で御指摘を受けまして、ことに新しい危険品というものはなかなか的確に把握できないというようなことで、この委員会をつくりまして、この委員会でもっていろいろ検討していただきまして、この委員会の御指示に従った車両構造あるいは輸送方法、ことに途中で火事が起きた場合にはどことどういうふうに連絡するか。たとえば消防も化学消防でないとなかなか消せないというものなどもございますので、その危険品の通るルート、そのルート上における消火、消防能力等も一応全部一冊の本に、マニュアルにしてやっと最近でき上がりました。これによりまして危険輸送そのものの安全対策につきましては一応形としては整ったというふうに考えておりますが、私どももその委員会を解散いたしませんで、そのまま現在常置いたしております。先般の御指摘の事故の際にも、すぐこの委員会の先生方にお願いいたしまして、そうして対策を講じたということでございまして、あの山陰線の場合には、こことここにああいうものを消す力を持っているというリストが実はこの本に、一冊に全部入っておりまして、これを全部現場に渡しまして、そうして危険品輸送の安全対策をやっておりますが、それに伴いまして車両構造等についても万全を期しておるつもりでございますが、先般のような事故に対しまして、やはり私のほうでも、車の走行性能としては完全に検査できますけれども、いわゆる化学性能というものは、なかなか私のほうで検査できませんので、あの事故にかんがみまして、関係会社、四十数社ございますけれども、その人を集めまして、そして一年に一回、大体一番ああいう事故が起こるのはやっぱり夏でございます。非常に温度が上がります夏でございますので、できれば夏前に全部点検するということをお互いの契約で義務づけようというふうなことも実は考えて、現在、私有車の持ち主の方々と御相談をしている最中でございますが、何と申しましても、御指摘のとおり、国鉄で送っております危険品は非常に種類が多い、ほとんどありとあらゆるものをお引き受けいたしておりますので、私ども自体の自衛策としても十分考えていかなければならないというふうに思っております。
#143
○三木忠雄君 いま総裁から新しい薬品に対する問題が一番たいへんだと言われたのですが、これは具体的にどういうふうな機構になって、たとえばこれからいろいろ新しい薬品あるいは輸入製品等がどんどん入ってくれば、現在の解明している危険物という範囲を越えた、まだ技術研究が及んでないような問題がいろいろこれから出てくるんじゃないかと思うんですけれども、これが私有貨車で運ばれるとなれば、これはますます検査体制というか、そういうチェックはなおざりにされるんではないかと思う。これの研究体制を私はもう少し進めなければならないんじゃないかと思うんですけれども、これについて。
#144
○説明員(阪田貞之君) ただいまの危険品に対しましては、御質問のような取り扱い上の問題、それから車両をつくるときの問題あるいは積みつけの問題等、各部に分かれましていろいろなこまかい規定をつくって配っておりますが、新しい製品ができましてそれを国鉄が受ける場合には、必ずその駅に積む品名と物を持ってまいります。その品名が国鉄側でつまびらかでない場合には、これをはたして送っていいのかどうかというのを駅から局に上げて、局でもなお判断できない場合には本社に持ってまいります。従来までですと、大体本社でほとんどそれが解明できたのでございますが、ただいまのお話しのように、だんだん科学が進歩いたしまして、その判定ができない場合にはたいへん困りますので、そこでいま仰せられた化成品等輸送調査会というのがございまして、この調査会にかけまして、こういうものが来たけれども、これは一体、人体にはどういう被害があって、燃えやすいのか、そういうこまごまとしたのが全部載っておりますが、それに一ぺんかけて、全部専門の先生方にきめていただく。この化成品等輸送調査会というのも、大体本年度一ぱいであるいは解散するかもわかりません。その場合には、やはりそういう組織が当然必要でございますので、これまたいま化成品等輸送調査会の議題といたしまして、この会が終わったあと、国鉄内にそういう新製品に対する輸送方法などを判断する組織をやはり部外の先生方に入っていただいてつくらなければなりませんので、どういうような組織にするかということも化成品等輸送調査会が終わったあとの問題として調査会そのもので検討していただき、そのような確実な組織はぜひ今後とも続けてまいりたいと思っております。
#145
○三木忠雄君 この私有貨車ですね、一万二千両ですか、三千両かあるそうですね。この私有貨車を、この間事故が起こったから総点検をされておるそうでありますけれども、この修理の点検方法ですね、これは私有貨車でありますから、国鉄はどこまでこの修理の点検をやっているのか、あるいはそれだけのものを修理の点検ができるのかどうか、こういう点について。
#146
○説明員(阪田貞之君) 私有貨車と名前がつきましても、原則はもうすべて国鉄の車両管理規程によってこれを処置しております。したがいまして、従来の国鉄で経験しております車体とか台車とかいうものにつきましては、完全に国鉄の車両と全く同じ制約を受け、かつ国鉄側で検査をしております。ただ一部特殊な装置がございます。これは国鉄自体がその装置に対する技術を必ずしも一〇〇%持っておりません。したがいまして、その特殊な装置に対しましては、一応の全般検査で国鉄は外観的な検査はいたしますが、修繕につきましては所有者の責任において修理をしてもらうようにしております。
 修理し終えまして、その修理が完全かどうかということにつきましても、これは非常に特殊な技術を要するものなので、一応は国鉄側でも見ることになっておりますが、先般の山陰線の江津のことにもかんがみまして、修繕のチェックに対しまして、ほんとうの効果的なやり方はどうしたらいいのかということをただいまやっております点検がもう間もなく終わりまして、いろいろなデータがそろいますので、その時点におきまして所有者と一緒になりまして、
  〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
この特殊な装置の点検方法、また現在のような検査機関でいいのかどうか、また検査のやり方も現在のままでいいのかどうか、これをぜひとも再検討いたしまして、この点を明確にして万遺漏なきを期したいと思っておるわけでございます。
#147
○三木忠雄君 具体的に、これは私有貨車の点検が現在国鉄の陣容でできるのかどうかですね。専門的な、たとえば危険物の中でも特殊な装置がいろいろある。いまの御答弁のように、やはりなかなか入って、国鉄の現在の陣容では、点検するということは不可能ではないかという問題があるわけですね。また、数量的にいっても非常に複雑多岐にわたっているし、全国的に非常にそういう私有貨車を持っている企業が多いわけです。
 こういう点についての点検方法というものはなかなかできかねるのじゃないかと思うのですね。しかしながら国民の側から言わせれば、これはもう夜中でも危険物はどんどん走りでいるのですから、こういう点についての明確な検査方法、きびしいチェック方法をとっていなければならないと思うのですね。これについての予算というか、あるいは改善方法というか、チェック方法というか、こういうものを具体的にもう一歩進めなきゃならないように私は気がするんです。その点についてどうですか。
#148
○説明員(阪田貞之君) 現在主要なところの基地には客貨車区の派出がございます。そこに私有貨車を見る検査係がございます。そこで問題は、点検するかどうかじゃなくて、特殊な技術で点検して、これが正しいかどうかという判断能力の問題があると思います。そこで高圧ガスや何かにつきましては、通産省で指定の工場というものをきめておりまして、同じように国鉄側にいたしましても、信用の置ける、これはまかしてやっていただいてもだいじょうぶだというところを、いまも指定工場を示して、ここで工場で指定しなさいということは全部しておりますが、そのような指定のしかたとか、先ほど申し上げましたような、あとの検査のしかた、あるいはもう一回まん中で検査をすべきではないかというような点につきまして、いま先生から御指摘のとおり、さらに一歩進んだ綿密な検査方法を早急に立てたい、早急と申しますと、また期限があれでございますが、中旬以降に大体点検が終わりましたら、さっそく手をつけるつもりでございます。
#149
○三木忠雄君 部分的な問題ですけれども、企業は一万二、三千の車両を持っております。ところが、なかなか車両を廃棄しないと思うんですね、古くなった車両を。それが硫酸が漏れたとか塩酸が漏れたとか、いろいろな問題に私は発展してくると思うんです。車両の廃棄は、大体どの程度になれば廃棄するとかいうことで国鉄は勧告するんですか。企業とすればなかなか捨てたがらないと思うんですね。古くなっても、とにかく目一ぱい走らすと思うんです。こういう私有貨車の問題に対する規制というか、あるいは廃棄の問題はどういう対策を講じられておりますか。
#150
○説明員(阪田貞之君) 国鉄が廃車すべきだと判断いたしましたときは、はっきり所有者側にこれを廃棄しろということを言っております。若干問題になりますのは、たとえば下のほうの台車はよくて、車体が相当悪いというときに、どうしても企業側の考え方からいたしますと、上だけをかえて、下はそのまま使わせてくれという事態も起こりかねない。こういうことは更新修繕的な手段によって修繕をして、それで使わしてもらいたいという意見がとかく出がちでございます。たとえその場合が起こりましても、検査後の検査というものは綿密にやっておりますから、脱線事故は生じないんでございますが、今後は、そういう技術もだんだん進歩してきておるときでございますので、古い車はできるだけ廃車して、更新修繕よりも新しい車にするよう、今後所有者側等と協議して、そういう方向に、何といいますか、おこがましいですが、指導と申しますか、管理と申しますか、そういう道をより一そう開いてまいりたいと思います。
#151
○三木忠雄君 これは国鉄当局はなかなか通告しずらいらしいですね、立場上。大企業のほうにはいろいろの関係があるのかどうかしれませんけれども、やはり安全問題を私は最優先すべきだと思うんですよ。貨物の問題について山陰で事故が起こった。これは一例ですけれども、きのうですか、PCBの問題がまた起こっておりますね。いろいろそういう点が車両の廃棄の問題に私はからんでくるのではないかと思うのです。そういう点でやはり廃棄問題は、言うべきことははっきり、早目に対策を講じていかないと、国民に被害を与える大きな問題になってくるのじゃないかと思うのです。この点は、これは強く要望しておきたいと思います。
 それと同じように私有貨車をまた貸しする会社があるんですね。企業自身が私有貨車を持っているのではなしに、車両をまた貸しをする会社がまたいろいろあるわけですね。この問題はどういうふうに解決されておるわけですか。
#152
○説明員(阪田貞之君) 私有貨車のまた貸しは、第三者使用として相当制限を設けて制度的にこれは承認しております。具体的になりますが、所有者とそれを借り受ける者とが連名で所管の管理局長に申請をいたします。申請を受けた局長は、借り受けるほうの借り受け者が専用線を持っているかどうか、それから一体その使用者はどういう使い方をするのか等を審査いたしまして、一年間なら一年間、三カ月なら三カ月期限をつけてこれの使用承認を与える。その承認を受けました借り受け者は、タンクの使用のような場合ですと、使用に先立ちまして、タンクの回りに、実際についておりますが、借り受け者の名前、それからそれの常備駅、それから借り受け期間を原車に表示するようにしております。そのような制限をもちまして、第三者使用というものを規制しております。
#153
○三木忠雄君 たとえば具体的に、また貸し車両というか、そういう車両を持っている会社、たとえば五両か六両ぐらいで会社組織になって、また貸し車両を運営しているというところがあるのですか、どうですか、大体どの程度あるのですか。
#154
○説明員(阪田貞之君) これは管理局長権限でございまして、私どもの本社として一々報告をとっておりませんので、つまびらかなことはちょっとわかりませんけれども。
#155
○三木忠雄君 きょうのところは、こまかなところは必要ございませんけれども、こういう例が非常に各地にあるそうですね。四両か五両ぐらい持って、企業のほうに車両だけを貸すと。ところか企業のほうは貸りたものですから、どんどん危険物であろうと何であろうと、そこまで極端なことはないかもしれませんけれども積み込む。責任はまた貸し車両のほうの会社にあるわけですね。そうしますと、また貸し会社のほうに全部責任が転嫁できるために、いろいろな危険物がまた貸し会社の了解というか、そういう点に達しなくても、危険物をどんどん積み込んで運んでおるという例か、私はなきにしもあらずだと思いますね。こういう点はもう少しまた貸し車両の会社問題これはいろいろ権利をとっているのだと思いますけれども、危険物の輸送についての的確な判断をしておきませんと、こういう小さな三両、五両のまた貸しをしている会社、私は全部が悪いとは言いませんけれども、そういうところからいろいろのトラブルが起こり、あるいは危険物輸送につながってくるという、あるいは国民の安全性から考えても、非常に不安を来たすような結果になってくるのではないかと思うのです。こういう点については、もう少しまた貸し会社についてはメスを入れておくべきではないかと思いますよ。いかがでしょうか。
#156
○説明員(阪田貞之君) 第三者使用というところには、御指摘のような危険性というものが多分にございます。早急に各管理局長に対しまして指示をいたしまして、処置いたしたいと思います。
#157
○三木忠雄君 それから、全体的な危険物輸送について、総裁にもう一つ伺っておきたいのですが、この危険物輸送の問題は、これはだれも手の届かないいろいろなところで処理されておるわけですね、極端に言えば。だからこれは総合的な見地からこの危険物輸送の問題はやはり国鉄当局が真剣になって取り組みませんと、たいへんな問題になってくるのじゃないかと思います。私もいろいろ話は聞いておりますけれども、米軍の輸送の問題で、いろいろ弾薬輸送の問題で、過去にも問題になった。しかしながら、それ以上に新製品あるいはいろいろな問題が出てきておりますので、この危険物輸送の安全対策の問題あるいはこの危険物輸送における働いている職員の安全確保の問題について、やはり明確な基準を示しておかないといけないと思うのです。この点についての総裁の見解を伺いたい。
#158
○説明員(磯崎叡君) 従来あまり危険物というものはカテゴリーがきまっておりません。最近非常に新しいものが出てまいりましたので、先生の御指摘のとおり、輸送の方法にしましても、設備にいたしましても、あるいはそれを取り扱う職員の問題にいたしましても、いろいろ問題がございます。十分関係各方面の意見を聞いた上で、この問題をどういうふうに組織的にやっていくか考えさしていただきたいと思います。
#159
○三木忠雄君 それでは十兆五千億の投資をして再建計画の線が出ているわけでありますけれども、具体的に国民の側からいえば、今回のこの再建計画にどういうふうなサービスがあるのか、あるいは工事にいろいろ財政補助があった、あるいは利子補給があるというけれども、国民に対してのサービスというのは考えられないわけですね。運賃だけです。まあ、いろいろなことがあるんでしょうけれども、具体的な姿で、この十兆五千億の投資に対して国民的な、まあ目に見えるというと語弊があるかもしれませんけれども、全般的にいろいろサービス効果をねらっての財政投資だということはわかりますけれども、もっと国民に、この再建計画の間にこういうものをサービスをする、あるいは提供するのだという具体的なものは何なんですか。この点について伺いたい。
#160
○国務大臣(新谷寅三郎君) いまのお尋ねと同じようなことを衆議院でも聞かれましたし、私自身もこの点については検討してもらったわけなんです。こまかい点は政府委員なり国鉄のほうから御答弁すると思いますけれども、一応私の手元に来ておりますのだけちょっと拾っておもなことを申し上げましても、たとえば新幹線で、五十年ごろになりますと、大体人口からいってカバー率が、現在は五〇%ぐらいだけれども八〇%までカバーできるというようなこと、それからもちろん、これは新幹線のついたところには時間短縮ができますね。これは非常にいま喜んで使っていただいているから、その状況をごらんになってもおわかりだと思います。それから在来線関係では、複線化しているのが二四%ぐらいですけれども、十年後になると三三%ぐらいになる。それから電化のほうも三二%ぐらいでありますけれども、これが四八%ぐらいに上がるだろうということでございます。これも当然複線なり電化になりますと時間短縮が相当に考えられるわけでございます。それから、これも説明があったかと思いますが、車両の冷房化ですね。いまのところは二七%ぐらいだけれども、八〇%まで十年間には冷房化いたしますというような計画が出ております。
 それから大都市における、これはいろいろ議論になるところですが、混雑率ですね。これも国鉄ではただいまでは二五〇%ぐらいだったけれども一九〇%ぐらいを目標にして十カ年間に計画いたします、こういうことでございます。それから大都市圏においては、さっき申し上げた冷房化も一〇〇%までいたします、こういう計画を実は持っております。それからエスカレーターなども、これはこまかい話になりますけれども、できるだけ各主要駅にはこれをつけましょうということでございます。
 それから、これは三木先生必ずしも賛成なさらないようですけれども、ABCD等の開業もずっとふえまして、十年後には二千キロぐらいにしたい。これは考えようですが、国鉄の財政から見ると、それはマイナスになるかもしれませんが、地方の開発あるいは地方住民の足の確保ということになると、非常に便利に使っていただけるんじゃないかと思います。
 それから貨物輸送のほうを見ますと、これはるる御説明申し上げているように、たとえば時間短縮ですけれども、東京−札幌間を例にとってみると、いま大体五十時間ぐらいかかりますけれども、二十一時間ぐらいで到達するようにいたしますというようなこと、それから到達の時間は一〇〇%までこれは明確になるようにいたしますということをいっております。
 その他、いろいろこまかい点がございますけれども、国民の皆さんからごらんになりましても、こういった点は御説明申し上げているのですけれども、十分PRされないうらみがございます。まあ、このほかにも、こまかい点についてはいろいろ複合している点があると思いますから、残りの問題は国鉄総裁から答弁をしていただきますけれども、とにかくわれわれとしましては安全を第一にし、それから国土の開発、地域の開発ということを考えながら、豊かで便利なサービスを国民に提供するというのが十年計画のねらっておるところでございます。そのように御了承をいただきたいと思います。
#161
○説明員(磯崎叡君) いま大綱は大臣がおっしゃいましたので特に申し上げませんが、やはり私どもといたしましては、旅客面でも貨物面でもとにかくよくなったなと、変わったなということは認識していただく程度のことはしなきゃいけないというふうにはっきり思っております。ただ通勤輸送などにつきましては、相当昭和四十年以来やっておりますが、やはりお客さんの伸びが多くて、なかなか目に見えてこないのは残念でございますが、しかし全体から申しますれば、やはり金をかけてやっただけのことがあるというふうに国民から言っていただくようなことはぜひやりたいというふうに考えております。
#162
○三木忠雄君 たとえば新幹線が建設される区域内、この十年間にですね、この区域内の人たちに対してはいろいろサービスになるように思うのです。ところが新幹線が建設されない遠距離の人たちに対する具体的なこの十年間のサービスというか、そういう問題についてはいかがですか。
#163
○説明員(磯崎叡君) たとえば同じ遠距離でも鹿児島−長崎になりますと、一応今度新幹線ができますが、やはり日本海側あるいは北海道などにつきましては、お説のように何もいいことないじゃないかというふうな御批判が出てはいけないというふうに思います。したがって、まずその地方地方のローカル輸送を充実させることはもちろんでございますが、やはり新幹線のできたところまで早く行けるという、たとえば釧路からでも、稚内からでも、とにかく札幌まで早く着けるということをすることによりまして新幹線を利用していただく。あるいはその地域地域の通勤輸送、ローカル輸送についてもできるだけの輸送改善をしていくというふうな方法によりまして、新幹線の及ばないところについてもできるだけのサービスをしたいというふうに考えております。
#164
○三木忠雄君 いま運輸大臣から、通勤輸送について二五〇%が一九〇%になる。これは国鉄として大都市、特に東京あるいは名古屋、大阪等を含めた大都市周辺の通勤通学輸送、全面冷房になるということは賛成でありますけれども、混雑の緩和はいつごろと見通しをされておるか。これは一九〇%というのは十年後だろうと思うんですけれども、もっとこれは具体的にてこ入れをし、もう冬がくればあの新宿の駅でいつも押し込まれなければ乗れないという、こういう通勤地獄をいつを目途にして解決をするのか。それでもまだ国鉄運賃の値上げかと、こういう、やはりこの問題は、もっと積極的な抜本策を考えなければならない問題じゃないかと思うんです。
 先般、当委員会でも、新宿駅はりっぱにするという、総裁から構想は発表されたんですけれども、私はそれよりももう一つ、いま現在の通勤、特に冬における通勤の混雑状態を一日も早く解決できないもんだろうかという強い考えを持つわけでありますけれども、この点についての改善策あるいは見通し、この点について伺いたいと思います。
#165
○国務大臣(新谷寅三郎君) 大都市圏のそういう通勤通学の交通の混雑を緩和しようということは、これは午前中にも申し上げましたが、国鉄がやはり非常に大きなシェアを持っておることは事実でございますけれども、そのほかに私鉄もございますし、バスもございますから、その土地の状況に応じまして、そういったものをからみ合わせまして、そしてできるだけ、いまおっしゃったような混雑率を緩和するという努力をしているわけでございます。不幸にして今日まで若干は――これはまだ混雑しているじゃないかとおっしゃいますだろうと思いますけれども、若干は緩和しているんですね。統計を見ますと若干緩和しております。しかし、そういう努力を絶えず続けることによりまして、いま大都市圏の人口がどんどんふえつつありますから、それに対応できるようにしようと思っております。
 午前中申し上げたように、私は、特にこの三大都市圏におきます通勤通学輸送のいまおっしゃったような抜本的な対策というものを立てたいと思いまして、いま具体的に、現在の路線なんかについて多少手を加えると、もっと輸送能力がふえるのじゃないかというようなことも考え、あるいは貨物輸送と旅客輸送とをどういうふうにあんばいしたらいいかというようなこと、それから新しい施設として、どういう施設をしたら全体が生きてくるかというようなこと、そういったものを総合的に考えるようにというふうに、さっき申し上げたように、具体的に計画をきめるようにということで、いま盛んに検討さしておるわけでございます。もう少しお待ちくださると、この三大都市圏について、ある程度そういう方向に向かっての新しい考え方が生まれてくるかと思います。
#166
○三木忠雄君 待つほうはたいへんでありまして、やはり電車に乗ってみると、これは実感として感じられると思うのです。したがいまして、いろいろ構想を示しても、具体的に通勤輸送がどういうように解決できるのだというもっと明確なビジョン、あるいはたとえば東京なら東京に一つの例をとって、この五年間でこういうふうな、いま二五〇%だけれども一九〇%にするために、こういう手を打つのだという具体的な私はスケジュールを聞かしてほしいと思うのです。国鉄総裁どうでしょう、東京圏の通勤輸送のこの混雑状況を、どういうふうにして解決されようとしているのか。
#167
○説明員(磯崎叡君) これは第三次長期計画をやりますときに、非常にその御議論が出まして、あのときは一番東京付近に金を入れたときでございますが、いわゆる五方面作戦と称しまして、東海道線、中央線、東北線、常盤線、総武線と、東京に入ってまいります五つの放射線を全部複々線にするということを計画にあげたわけでございます。そして、現在までにできましたのは、東海道を除きましては一応全線ともできた。したがって、あのときはいわゆる五方面作戦ということで、五年以内にこうなりますということをはっきり申し上げた。また現実に、そのうちの東海道以外は大体できてしまったということになるわけです。
 いま、これから先になりますと、東京につきましては、もうわれわれのいまの放射線をこれ以上よくすることは不可能でございます。実際問題といたしまして。したがって大臣がおっしゃったように、また新しい線路をつくる、また新しい地下のルートをつくるというふうな構想でもってやらない限り、私どもといたしましては、いまの東京の、ことに都区部の通勤輸送はなかなかいま以上にはよくならないけれども、しかし通勤圏は延びておりますので、五十キロ圏、百キロ圏につきましては、中距離電車あるいはいままで顧みられなかった、たとえば川越線だとか、あるいは相模線だとか、そういうこれからどんどん発展してきます新興住宅地の複線化、電化計画をやっていくということによって、百キロ、五十キロ圏の輸送をよくしていくということも考えなければいけないというふうに思っております。
 それから、ことにいままで私は非常に東京を重点にやってまいりましたので、大阪がほとんど国鉄は実は手が入っておりません。現在、おくればせながら、間もなく関西線の電化が完成いたします。来月になると完成いたしますが、そのほかに福知山線の電化あるいは片町線の強化等、いろいろおくればせながら、大阪付近でも金を入れつつございます。そういうふうにいたしまして、具体的に東京と大阪は非常に条件が違いますので、一律には申し上げかねますが、いままで東京重点であったものを、今度は大阪にも相当重点を置いて通勤輸送を改善いたしたいというふうな方向で進みたいと思います。
#168
○三木忠雄君 運輸大臣、別な構想というのは、やっぱりぼくは地下鉄の構想ではないかと思っているのですね。午前中に大都市輸送の問題でいろいろ論議しましたけれども、そうしますと、いまの、たとえば東京を一つの例にとった場合に、国鉄ではいま総裁の答弁のように、通勤地獄を解消する国鉄の策としてはもうない。どうか遠くへ人口は移ってくれという、長距離輸送で何とか緩和するという他力本願的な考え方しかないわけですよ。運輸省としまして、都市交通審議会でいろいろ検討もされていると思うのですけれども、結局めどですね、私は主力は地下鉄に移すような計画ではないかと思うのですが、こう考えた場合に、まあ国鉄の東西線の開通によって、少し定期旅客が減ったと同じように、やはり相当な分散輸送というか、そういう形も私は将来出てくるのではないかと思うのですけれども、新しい構想というのは、運輸大臣の構想はどういうふうに描いているのですか、それについて伺っておきたいと思います。
#169
○政府委員(秋富公正君) ただいま大臣の申しましたように、大都市交通は、国鉄、私鉄、地下鉄と、こういう総合的にやらなければいけないわけでございまして、現在の国鉄のほうは、国鉄総裁から御説明申し上げたとおりでございますが、私鉄につきましては、四十七年度から五十一年度までの第四次五カ年計画におきまして、大手私鉄十四社でございますが、それで七千百億を五カ年間に輸送力増強に投入するという予定でございます。現在、私鉄の混雑度は四十六年度におきまして二〇七%でございますが、これを五十一年度に一八〇%に持っていく予定でございます。
 それから、いま御指摘の地下鉄の問題でございますが、現在東京におきましては、東京都営と帝都高速度交通営団、それから大阪、名古屋におきましてはそれぞれ公営でいたしておりますが、四十八年度から五十二年度までの五カ年間に一兆円の工事を行なう予定でございます。これは現在いたしております線以外に新しい免許も考えておるわけでございますが、これと私鉄と国鉄と相まちまして、総合的に混雑時の緩和をはかりたいと考えて具体的に検討いたしております。
#170
○三木忠雄君 それから国鉄総裁に伺いたいです。
 これはサービス面の問題ですけれども、九月十五日は老人の日です。老人医療の問題で無料化が叫ばれて、だいぶ実施されてきているわけでありますけれども、国鉄の老人サービス、こういう問題についてどういうふうに考えていらっしゃるか。できれば九月十五日、ことしは間に合わないけれども、九月十五日の老人の日には国鉄はただにする、こういう方向の線でも打ち出すと私、非常にいいと思うのですけれども、いかがですか。
#171
○説明員(磯崎叡君) 私のほうでも、最近やっと身体障害者に対することはだいぶ手が届いてきたように思います。たとえば身障者の便所の問題とか、あるいは車の設計を車いすのまま入れるようにするとか、あるいは目の悪い方々に対して高田馬場とか特殊の駅を指定いたしまして、そうしてホームのラインをつくるとか、多少そちらに心が回るような、サービスのまだまだはしりみたいなものでございますが、やっと始めたわけでございますが、まだ老人にまで至っておりません。まあ無料の問題もございますが、八百万人おられるそうでございますので、とても――財政上の問題もございますが、ただこれも新聞に多少からかわれぎみで書かれましたけれども、八月一ぱいで婦人子供専用車をやめまして、そうして九月十五日から各電車に数両ずつ老人専用席をつくることにいたしました。それはシートの色を変えまして、そうしてその上に、これは老人あるいはからだの悪い方の優先的にすわる席ですということを、はっきり明示いたしました。またホームにも、この場所にそういう電車がとまりますということを、九月十五日を期してささやかながらやりたいと思っております。これはさしあたり中央線でやってまいります。しかし、たぶん成績がいいと思いますので、それをできるだけ各線に及ぼしてまいりたい。私どもがそれを発表いたしましたら、伊豆急がすぐ同じことを一緒にやろうというふうに言っておりますので、そういう貧乏人としての心の届いたようなことを少しでもしなければいかぬという気持ちでもって、老人問題も一歩一歩前進してまいりたい。さしあたり、無料はともかくといたしまして、老人席をつくるということをことしはやってまいりたいというふうに思っております。
#172
○三木忠雄君 まあ老人、身体障害者、特に中央線なんか高架ホームですね、こういう所に上がる方々は非常にたいへんなんです。こういう問題についての改善策ですね、あるいは何といいますか、よりベターな方向をやはり打ち出さなければならないと思うのです。特に身体障害者は一番困っているし、あるいは老人がいままではすぐにホームに上がれたのに、高架化したために、中央線なんかは相当上がらなければならないという問題、こういう点についてはどうお考えになっておりますか。
#173
○説明員(磯崎叡君) 中央線も大体九十段ぐらいの階段がございますので、やはりこれはエスカレーターをつくらなければいけないというふうに思っておりますが、この間やっと東京の新幹線のホームにつくりましたが、通勤地帯につきましても、できるだけエスカレーター等の設備をしてまいりたいというふうに思っております。
#174
○三木忠雄君 これは投資効果の中で、多客駅でのエスカレーターの設置というのは、これはたとえば中央線みたいなところも全部含んでのことですか。
#175
○説明員(磯崎叡君) さようでございます。
#176
○三木忠雄君 それでは最後に、私いつも夏が来ると盆暮れの帰省客の混雑ぶりをいつもまのあたりに見るわけです。私たちも一緒にその中に乗り込んだことが何回もあります。この問題を解決する方法は永久にないのかどうかですね、実際に盆暮れになると、あるいは年末年始、当然これは乗客が多い、この点はわかりますけれども、もっとスムーズに、あるいは解決できる方法として国鉄当局としては考える余地はないのかどうか。
#177
○説明員(磯崎叡君) それは一つございます。それはやはり早く新幹線をつくることだと思います。ことしのお盆を見ましても、東海道の込み方と東北、上越の込み方と全然違います。東海道はちょっと待ってさえいただければ必ずすわれるという状況で、子供を連れましてもわりあいに楽にみんな家族も帰っておられます。東北、上越は、現在のようにあの多数のお客さんが出られたのでは、いまの輸送力ではほんとうに一ぱいでございます。しかし、かといってそれを日をならすこともなかなか皆さんできないということになれば、やはり根本的には輸送力をふやすということが第一だと存じます。したがって、いま車などで帰られる方がおりますけれども、やはり東海道並みの旅行をぜひ東北、上越の方にもしていただきたいという意味でも、ひとつ新幹線をぜひ早くつくりたいというふうに思っておる次第でございます。
#178
○青島幸男君 私は、当委員会に出席させていただきますのは初めてでございまして、何ぶんにもしろうとでございますので、幼稚な質問が飛び出しまして御専門の方々には笑止にたえぬというような事態にもなりかねないと思いますけれども、その辺のところをひとつ御了承いただきまして、御答弁をいただきたいと思います。
 まず大臣と総裁にお伺いしたいんですけれども、国鉄を公共企業体としてどういうふうに受けとめていらっしゃるかというところから御説明いただきたいと思います。
#179
○国務大臣(新谷寅三郎君) 国鉄が公共企業体であるということは、日本国有鉄道法ができまして以来、そういう性格を法律によってしょわされておるということでございます。公共企業体ということは、御説明するまでもありませんが、一方では非常に企業性を持っております。事業をやっておりまして企業性を持っておるということ、一方においては非常に公共性が強いということで、一言で言いますと非常に公共性の強い企業を営んでおるんだと、こういうことだと思います。国鉄はそういう、法律によって与えられた役割りを法律のもとに行なっておる企業である、こういうふうに考える以外にはないんじゃないかと思います。
#180
○説明員(磯崎叡君) ただいま大臣のおっしゃったとおりでございますが、私どもちょうど昭和二十四年に運輸省から国鉄になりましたときに、公共企業体とは何ぞやという議論をずいぶんいたしました。結局、必ずしも正確な知識は得られませんでしたが、目的はあくまでも公共事業にある。しかし、その方法においては従来の官僚的なやり方でなくて、あくまでも能率的な民間企業的な運営をすべきであるということで、目的は公共事業であり、公共の福祉である、しかし方向はあくまでも能率第一だというふうなことが公共企業体としてのやり方じゃないかというふうに結論づけて、これをつくったということになったと思います。
#181
○青島幸男君 公社といいまして、すぐ私ども感じますのは、三公社――ほかに専売と電電があるわけですけれども、同じ公社、公共企業体でありながら、専売と電電のほうは、専売は言うに及ばずですけれども、かなりの収益といいますか、国家に寄与するものがたくさんあると思いますけれども、私は大臣が郵政のほうにもたいへん詳しいことも承知しておりますが、電電のほうも健全であると認められておりますし、おのずと収支相償うように運営がなされておりまして、三公社の中で同じように公共企業体としての性格を持ちながら、ひとり国鉄だけが慢性的な赤字をかかえておいでになるということは、どうも国民の一人としてたいへん疑問に思うのですけれども、ほかの公社との比較におきまして、そういう国鉄だけが慢性的赤字をかかえ込むのはなぜかというようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
#182
○国務大臣(新谷寅三郎君) 三公社の中で、専売は特別なものでございますから別にいたします。電電公社のほうは、青島先生よく御承知のように、いままでのところはとにかく借り入れ金をやりまして設備拡張をやって、どうにか収支が償うような経営をいまの料金制度のもとでは続けておるわけでございます。私はいまのままの料金制度では、これももう一、二年のうちには必ず赤字を出すだろうと思います。というのは、御承知のように、電信電話――電信のほうはもうたいへんな赤字です。電話のほうも、だんだん農山村のほうに広がってまいります。ほとんど収益力のない電話が、このごろ住宅電話としてついてきておりますから、これが多くなればなるほど赤字がふえるわけです。いままでのところは大都市中心で、非常に収益力のある電話が多かったのですが、これからはそうでない、まあここ一、二年のうちには必ず赤字が出るだろう、私はそう思っております。
 国鉄のほうは、そういうような専売とか電電と違いまして、専売、電電のほうは独占性の非常に強いところです。国鉄のほうは、輸送機関としては民鉄もあるし地下鉄もあるしバスもあるし、このごろのように自家用車がふえてまいりまして、独占性がだんだん薄れてきたわけですね。これが第一の問題。
 それから、国鉄といえども三十八年までは黒字だったのですね。しかし、そういうふうに非常に独占性が失われてきた。そこで自動車の輸送が、自家用車もありますしトラックもあるしバスもあるしということで、自動車の輸送手段としての利用がふえてきたものですから、それにどんどん輸送のシェアも奪われてしまって、ますます国鉄の財政は窮迫するようになった。それから、それに加えて、そういう赤字になってくるものですから、本来、国鉄が企業体として、こうやればもっと収支がよくなるだろう、競争相手があってもそれに打ち勝っていけるだろうというような意味の設備がなし遂げられなかったということで、どんどん赤字が累積していく。そのほかに皆さんの御指摘のように、輸送機関としての国鉄に対しましては、採算を度外視して、非常に公共的な方面からの役目を強く負わされてしまいまして、いわゆる公共負担というのがどんどん重なるばかりであるというようなことが原因となりまして、国鉄は三十九年以来赤字を続けてきたという状況だと思います。
#183
○説明員(磯崎叡君) ただいまの大臣のおっしゃったことを若干補足さしていただきます。
 多少自己弁護みたいになってお聞き苦しいかとは存じますが、いま大臣がおっしゃったような中で、やはり独占性の喪失ということ、これは逆に申しますと、独占性があった昭和三十八年まではとにもかくにも黒字だったということは、やはり電電公社――専売は別といたしまして、電電と比較いたしまして非常にハンディキャップがあったんだというように考えます。その次に人員構成の問題がある。人の構成でございます。これは私のほうは実は戦争中の入営、応召でいわゆる兵隊さんに行っておったのが二十一万人おった。これが終戦後昭和二十年から二十五までの間に十九万人帰ってまいりまして、これは全部うちへ採用しております。さらにまた外地鉄道の引き揚げ者もおりまして、昭和二十三年には実に六十万をこしたわけです。その後行政整理等もやりましたけれども、その当時ちょうどおった二十歳から二十五歳までの連中が、いまちょうど四十歳から五十歳の間にある。したがって非常に人員構成が頭でっかちになっている。その点電電公社は平均年齢三十二歳、私どものほうは四十二歳で十年違います。同じ仲裁裁定が出ましても、率が同じでも実額が非常に違ってきているというふうな意味で、非常に国鉄の人件費が多い多いといわれますのは、そういう若干まだ戦時中のひずみが取れてないという点もございます。と同時に、いわゆる企業の内容から申しまして、やはり鉄道事業と申しますのは、フロントサービスの仕事でございますので、なかなか人が減らない、いわゆる省力化はできにくい。電電公社ならば、ほとんどもう電話のサービスでもって機械的にできてしまうが、その点は非常に人間が減りにくいという意味で、すでに電電公社は二十万人台になっておりますが、私どものほうは四十五万人というようなことでございます。これは仕事の内容そのものと同時に、やはり企業の持っている、企業そのものの年齢と申しますか、私どもは百年たっております。それから電電公社は本格的になりましてからまだ数十年でございます。その意味で、非常にまだまだ進歩の余地がある電電公社の仕事と、ある程度までいってしまったうちの仕事とでは、多少の企業としての性格が違っておりまして、またその意味で近代化、合理化のテンポが非常に電電公社は速いということは率直に認めぎるを得ない点であるというふうに思います。
 いろいろ申し上げましたが、大体大臣の御答弁に補足いたしますと、そういう点でございます。
#184
○青島幸男君 御説明を承りましてよくわかりますし、そのとおりたいへんな事情をかかえていらっしゃることも同情にたえないわけですけれども、何よりも、大臣先ほど言われましたように、独占性が薄れたということに実は一番問題があるんではなかろうかという気がするんですけれども、たとえば電電の場合は独占ですね、ですから、収支相償うように公債あるいは債券を買っていただくと――利用者の方に債券を買っていただいて加入していただくと、それから基本料金をいただいた上で、また使用料をもらうというようなかっこうで、原価というものと――あるいはたばこの場合などを考えますともっとわかりやすいですが、十円でできたものを七十円で売ってもだれも何にも文句を言わないというのは、やっぱりそれだけの独占性を持っておるということが問題ですし、電電公社の場合もそうなわけです。ですから国鉄も健全な運営をするために収支相償わなきゃならぬというんだったら、利用者に加入していただいて、そのときに債券を買っていただいて、あるいは利用者に月額幾らか基本料金を払っていただいて、そのつど使用料をいただくというようなかっこうになれば、これは絶対できるわけですけれども、公共企業体ということで、総裁が先ほどおっしゃられました事情は、公共企業体であるからこそ持っておられる悩みもたいへん多いわけで、企業の中に。そういうことからしますと、まして他の企業と競合していかなきゃなりませんですね、国鉄の場合は。その場合、電電公社ですと、そういうことはかってにできる、原価に見合おうと見合うまいと、こちらでかってに相償うような料金が算定できるわけですけれども、国鉄はそうはまいりません。といいますのは、競合する商社あるいは競合する企業があるわけですね、私鉄か。そうすると、競合していかなきゃならない、それは私企業として競争していかなきゃいけないんだという一つの宿命と、それからもう一つは、公共企業体としてやらなきゃならない使命というものとが二つ相重なっておりますけれども、いいところは全部できないと、悪いところだけ全部しょわかきゃならないという宿命を持っていると思います。その辺のところはたいへん違うんですけれども。
 もう一つは、道路とか港湾とか空港というものは国がつくりますね、あるいは地方自治体が幾らか出してつくる、道路ができますとそこはだれの使用も可能である、これはほとんどただ走れるわけですね、それはガソリン税であるとか、重量税であるとかという料金で間接的に支払うこともあるかもしれませんけれども、しかし道路に沿って国鉄がある。その国鉄は始終保線をして、安全確保のために多くの人員を費して鉄道を保持しなきゃならない。一方では道路をほとんどただ同然に車が走る。しかもその輸送するトラックと国鉄が競合して競争していかなければならないという宿命、これだけのハンディキャップを負って、このどちらかを犠牲にしなければ成り立たないのは当然だと思うんですよ。
 企業体としてやっていくのか、あるいは公共性を重んじていくのか、その辺のところ、いつも相半ばしているのが、皆さん御議論の的ではないかという気がするんですけれども、こんな大きなハンディキャップをしょっている国鉄に、もともと企業体として独立採算でやっていけという考え方のほうが、実は無理なんではなかろうかと、いまとなっては……。諸般の事情が変わってまいりました。昔は乗せてやるんだから文句を言うなというかっこうで鉄道もありましたころは、のんきにやっておられましたけれども、いまはこういう実情になりますと、あまりにもハンディキャップが大き過ぎる、しょわされている公共性というものの使命があまりにも大き過ぎるわりあいには、収益が上がらないようにしかけができておりますね。ですから、その辺どのようにお考えになっていらっしゃるか、もう一度承りたいと思います。
#185
○国務大臣(新谷寅三郎君) 非常によく国鉄の置かれている財政状況、国鉄の公共企業体としての、側といいますか、役割り等について御理解をいただいて、ありがたいと思うんですが、お尋ねの中で、たとえば道路でございますとか、あるいは空港でございますとか、こういったのは、実は内容的に見ますと、非常にこれはたとえばガソリン税とか、空港使用料等で利用者が負担している比率が、これは五〇%以上になっているわけですね、といって、私たちいま国鉄のこの実質一五%の値上げ案を出しておりましても、これでもしかられているのですから――これをどうしていただきたいと言うのじゃありませんけれども、やはりこういった交通機関というものの特性としまして、国がめんどうを見、地方公共団もめんどうを見るわけですけれども、しかし、やはり利用者にある程度負担していただかないと、何もかも全部国が出すというわけにはこれはいかないし、また現実もそうなっておるわけでございます。
 で、私どもはそういう点から考えると、国鉄の運賃というものが、総体的に見てはたしてこれでいいだろうかと、いままでの運賃の改定の経過を見ましても、ほんとうにこれはもっと早く――一ぺんに上げるといけませんから、もっと早い時期から国民の了解を得て上げるような手段をとっておけば、こんなことにはならなかったろうという気もいたしますし、これは経企庁あたりで説明しておられますけれども、昭和十年、十一年という、非常に経済の安定した時点を標準年次にとることは、これは議論があるかもしれませんが、その辺の物価の情勢と、いまの情勢と比較いたしますと、国鉄の料金の値上がり方が、ほかのものに比べると非常な違いかあるんですね――これはあとで政府委員から御説明させます、非常な違いがあります。
 そういった点もございますし、今日まで皆さんに御指摘いただいているように、そういう赤字に転じてきたと、それには国鉄の役割りも変わってきたと、置かれている格づけも違うと、そういうので、もう少し早く政府もそういう点に着目をして、助成措置を強化していれば、こんなことにはならなかったと言われることも、率直にわれわれもそのとおりだと思うんですが、そういうことがございますから、今度の案について御説明いたしますと、そういうことを踏まえまして、何とかして国鉄の交通機関の中核体としての機能を回復さすか、財政投資をやったり、あるいは補助を出しましたりいたしまして、国鉄に対しては、できるだけの財政の援助を、総体的にはいたしておると
 いうことでございまして、これでまいりますと、道路や空港等の比較をなさいましたが、それと比較いたしましても、そう政府の財政援助も見劣りのするものではないというふうに考えておるわけでございます。これで何とか国鉄の企業努力と、それから利用者の方々にもある程度の御負担を願って、この案を通していただければ、そうしてこれが国鉄が、国鉄らしい国鉄、国民の期待するような国鉄に体質の改善ができるんじゃないかと、こういうふうに考えておるわけです。
#186
○青島幸男君 別にいま出されている法案について非難がましいことを申し上げようと思って言ったわけではございませんので、ただ、ひとり日本ばかりではないですね、国鉄が斜陽になっておるということは。ヨーロッパの各国、あるいはアメリカなんかを見ましても、アメリカは特に資源の問題なともありまして、私鉄が――アメリカは私鉄ですけれども、私鉄が倒産しかける、廃線しようかということになる。同じ路線を走るトランスポーテーションとしての機能から考えれば、それをトラック輸送にかえれば六倍のエネルギーが要るということになりますと、エネルギー資源の問題からいたしまして、これは鉄路を廃止してしまって道路にしてしまうのはちょっと国家的な規模から考えて考えもんだそういう世論が起きまして、国家の援助でこの線を残しておこうではなかろうかというような議論も出ているというふうにも承っておりますし、これから先どういうふうにエネルギー不足がわが国にも起こるかわかりませんし、世界的にもそういうエネルギー不足から鉄道の力というものはもう一回見直されつつあるという事実もありますし、ひとり日本ばかりではないんですが、ほかの国で、国が運営している鉄道を持っているところでは、どういうふうに国の援助が差し向けられているかということを、もしつまびらかに御存じでしたら、お伺いしたいと思います。
#187
○政府委員(秋富公正君) ただいまペンシルベニア鉄道、アメリカでございますが、これは民営鉄道でございますが、ただいま御指摘のような国の助成を新しく投入されておる。これはまさにアメリカとしては画期的なことでございます。
 で、御指摘の、日本と同じような国有鉄道の制度でございますが、これはヨーロッパの主要国は国有鉄道でございますが、その代表的なものについて申し上げますと、イギリスあるいはフランス、西ドイツというところでございます。
 これらの国々におきましては、たとえて申しますと、イギリスでございますが、イギリスは非採算旅客輸送に対します補償あるいはすでに余剰になりました軌道あるいは信号施設に対する補助ということで、一九七一年におきましてはその補助額は六百十億円でございます。
 それから西ドイツにおきましても、やはり個々の項目についてでございますが、通勤通学等の公共負担に対する補償あるいは踏切の保守運営に対する国庫負担あるいは退職年金の一部に対する国庫負担あるいは引き揚げ者、戦争犠牲者に対する割引の国庫負担、こういったことにつきましての助成でございますが、一九七一年におきましての助成額は二千六百四十四億円でございます。
 次に、フランスでございますが、フランスにおきましては新聞、石炭等の特定輸送に対する補償あるいは無賃あるいは強制割引に対する補償、非採算旅客輸送に対する補償あるいは踏切警手に対する国庫負担、こういったことでございまして、同じく一九七一年度におきます助成額は三千九百三十六億円、こういった実態でございます。
#188
○青島幸男君 世界各国の認識のしかたは公共企業体としての認識のしかたが、政府の考えとは多少違うんではなかろうかという気がするんです。もともと非採算的なものであると、鉄道というものは。しかし公共性にかんがみて、どんどん国庫で援助するべきだというような認識の上に立って私はやっていると思うんです。その辺のところの認識がかなり違っているんではなかろうかという感じがします。
 というのは、国鉄で私鉄が行なうような付帯事業みたいなものをやって、採算に合うもので、法律上許される範囲というのはどの程度のものなんですか。
#189
○政府委員(秋富公正君) 国鉄と私鉄との対照でございまして、国鉄がせっかく有為なる人材を多数かかえ、あるいは広大な土地を持ちながらこれを活用できないかという御指摘かと思うわけでございます。日本国有鉄道法におきましては、昭和三十四年から投資条項を入れまして、国有鉄道が出資することができるようになったわけでございます。で、現在投資しております会社は、たとえて申し上げますと、臨海鉄道あるいはターミナル事業であるとか、あるいは倉庫業等ございますが、特に一昨年の十一月にこの対象範囲を広げまして、旅客駅の駅ビルをつくりまして、そこにおきます旅客の利便を増進するとともに、そこの土地の有効活用ということ、あるいはそこに職員を退職後派遣するというようなことも積極的にいたしてきたわけでございまして、現在三十六社に日本国有鉄道は投資しております。
#190
○青島幸男君 そういう趣旨の質問をしたつもりではなかったのですけれどもね。たとえば、私鉄のあり方ですと、A点からB点へ鉄道を敷きました、しかし、その企業は同時に不動産部門も持っておれば、レジャー施設も持っておれば、あるいはホテル、商店その他も持っておる。総合して利益が上がれば、多少トランスポーテーションによる運賃収入によって相償わなくとも、同系列の資本にもたらす効果は大きい、だからそれで相償うのだというかっこうでやっているところもあるかと思います。ほとんどの私鉄の利益の実態というのは私はその辺にあると思います。
 それで国鉄不動産というものがもしあって、この辺をあらかじめ買っておいて、それから国鉄レジャーセンターなり、ボーリング場なりができて、多角的な運営ができれば、企業採算としては十分にできるはずだと思います。しかし、それはできません。そういうことで、鉄道が一本敷けたということによって生ずるであろうところのあらゆる付加価値がそのまま流出してしまうかっこうで国鉄は対処していかなきゃならないし、ましてや付加価値が何にもないであろうと思われるところの線までも保持していかなきゃならないという宿命を持っているわけですね。
 ですから、私どもよく見ますけれども、広告なんかにこれが顕者にあらわれていると思うのですね。ディスカバー・ジャパンなんて、たいへん美しいポスターが出ておりまして、どこか遠くへ行こうとか、旅の雰囲気を誘うような、ただばく然とどこかへ行こうよというポスターですね。そのことによって収益が上がるであろう、周遊クーポン券とか、あるいはトランスポーテーションによって生ずる運賃収入、どこの線にだれがどう乗るかよくわからない、非常に明確でないですね。それがどの程度に効力があるのかというと、おそらく鉄道の皆さんだってわかっていらっしゃらないのじゃないかと思うわけです。そういうふうに、これが公共事業体であるという性格を非常に大事になさっていらっしゃる。そのことは決して悪いとは申しませんけれども、そのことが収益に結びつかなくなっているわけです。
 たとえば青島鉄道というのがあれば、同じポスターにしても違います。青島鉄道を御利用ください、青島レジャーランドがあります、ボーリングセンターがあります、ゴルフ場があります、場合によっては分譲住宅地もございます。――そういう多角経営のもとにおいて相償わない部分をあがなってあまりある。まあ老化してしまって、ついには採算がとれなくなった。――ほうり出してしまうことも可能ですし、私企業でしたら。しかしほうり出した線は結局どうなるかといいますと、国鉄が吸収合併しなきゃならないような事態にだって立ち至るかもしれませんね。そうなりますと、全く企業体として、得るところなく、することだけしいられているわけですね。それをもって、独立採算をして、みずからあがなっていけという考え方をお持ちになることが、私は実は間違いではなかろうかという気がします。
 とにかく、現在提出されました法案を見ましても、まあ企業努力もしていこう、国庫の補助も受けよう、そのかわり御利用いただく皆さんにも多少のがまんはしていただこう、御協力いただこうと、三方一両損というようなかっこうで、厳密には五・五・八ですか、その割合でいくわけでしょうけれども、この辺のところが、まあ平均的で、どなたにも御理解いただける線ではなかろうかというような潜在的な考え方がおありになって、この案をつくられたように拝察いたします。これは、では十年後の五十七年になって、この予定にありますように収支相償うような形で国鉄が存在し得るかどうか、はなはだ私は疑問に思います。これだけの諸条件の中でですね。しかも私鉄は、これはここに線を敷いてあることは他関連事業に利益をもたらす、だからこれは安くていいのだという線と国鉄の線が並んでいなきやならぬわけですね。そうして運賃で競争しなきゃならないという、こういうハンディキャップを負わされて、損なことばかり国鉄がやって、利益になる何一つないという状態の中で、相償っていけるわけがないじゃないかという常識的な考え方を持つのです。ですから、やがては五十七年には相償うように、他の公社と同じように相償っていくであろうと、ですからこそ再建計画とこれは呼ばれているのだろうと思いますが、そういうふうになるであろうということを想定なさるのがそもそも間違いで、こういう公共企業体的性格のものは赤字が出るのが当然であるという認識に基づいて、発案なされたのと基本的には私は考えを異にするわけですよ。その辺のところを、大臣並びに総裁の御意見を承りたいと思います。
#191
○国務大臣(新谷寅三郎君) ごもっともだと思いますが、五十七年にどういう状態になるか、これはわれわれ出しております提案では、現在予期し得ない経済状態の変化あるいは社会状態の変化がありますれば別でございますけれども、そうでない限り、現在予見し得るような状態のもとにおきましては、現在非常にあえいでおる赤字の問題、それも五十七年度になりますと、採算は黒字に転じ得るであろう。そういう基礎ができますと、それからいままでのような赤字赤字でもって苦しまなくてもいいような状態になるから、さらにその時点において、いろいろ各方面から分析をし、将来の国鉄というものを考えてまいりますと、今後は国鉄が健全に、国鉄の本来の使命を達成できるような仕事を成し得るような体制になるだろう、こういうことをねらっておるわけでございまして、本来が、何かやっぱり政府が考えてやらないと、もう生まれつき電電公社と違って、これはもう赤字になるのはあたりまえのことなんだと、こういうお説、現在の状況から見るとそのとおりなんですけれども、それをいかにして変えるか、体質を変え、そしていま赤字にあえいで、やるべきこともやれないというような状態をどうして変えたらいいかというのが今度の再建計画なんでございます。
 でございますから、それは信用できぬとおっしゃればやむを得ぬですけれども、われわれは現在集め得るあらゆる資料を集めまして、データを集めて、そうして年次ごとに計画を立ててまいりまして、大体こういうふうに経済は伸びていく、輸送量もこういうふうに伸びていく、この運賃制度で、やむを得ませんがいまの運賃制度で三回値上げいたしまして、最終年度には一〇%ぐらいの値上げをさしてもらえれば、そこまで到達し得るであろうということを、相当綿密に調査研究をいたしました結果、結論を出しておるわけでございます。
 その間、十年間先になってどうするかというようなことは、これは的確にはだれも判断できません。そのときそのときのことでございますけれども、いまの予想し得る状態では、十年間たてば、いまのようにもう赤字であえいでおるという状態から逸脱して、黒字になって、なすべきこともやれるような状態になるということを確信するものですから、今度のような提案をしておるわけでございます。
#192
○説明員(磯崎叡君) 確かにいまの国鉄の財政再建だけを考えれば、もう赤字の部分は全部切ってしまう、そして、もうかるところだけを残す、これは一般の民間企業で一番やる財政再建策で、それは私は簡単だと思います。しかし、それがなかなか切れない、商売になってない面も全部維持しなければならないというところに非常に問題があるわけですが、それを切り捨てないでもって新しい体質に変えていくということで、十年間で何とか生き延びていきたいというのが今度のやり方でございます。私も簡単にできるとは思っておりません。非常にむずかしいと思っております。いろんな状況から見まして、なまやさしいことではないと思っておりますが、やはり企業として縮小再生産してはいけない、あくまで拡大再生産をすべき企業ということになれば、やはりこれ以外に方法はないじゃないかという意味で、私も非常にむずかしい簡単にできるとは思っておりませんが、この道以外にないと思っております。
#193
○青島幸男君 たいへん詳細な計算に基づいて、あるいは綿密な資料を集め、その上にのっとった予測に基づいて行なわれるということは、私も拝察いたします。値上げがけしからぬとか、国庫補助もいかぬとか、個別にせにゃいかぬとかという議論は私はいたしません。当然経済がこれだけの進展を見せておりますし、年十何%に近い実質値上がりが、消費者物価の値上がりがありますし、三、四%見込んでいらっしゃるし、一二%のべースアップみたいなものも、そういう予測から立てていらっしゃることでしょうし、いまの経済のあり方では、値上げしなければならなくなるのは当然のあり方だと思います。
 この計画が綿密に行なわれておることも私は承知しております。しかし、きわめて基本的に、初めから国鉄の公共企業体としての使命は、当然赤子になってもしかたがないんだから、これは相償うようにしなくてもいいのではないかという発想のもとに行なわれたのと、やがては相償うようになるのだ、一時補てんするんだという考え方とは明らかに違うと思います。この計画自体には反対はいたしませんけれども、そういう考え方が基本的に違うことは大問題だと思います。外国の国有鉄道の場合、援助がわりあい気軽に行なわれておるという実情から見ますと、外国の考え方は公共企業体としての性格を、政府の考えとかなり違ったもので認識をしていると思います。
 と申しますのは、国鉄の方々があちらにおいでになって、実情なんかを調査なさったときにも、赤字が出てしようがないんだと、相償うようにしたいんだと言うと、何で国からもらわないんだということを平気で言うはずです。かの国では消防と同じように考えて、赤字が出てもいいのじゃないかという考え方だと思います。しかし私は何が何でも赤字が出たら国庫からもらえばいいんだと、親方日の丸だという考え方でいたのでは、それは従事している人たちの創作意欲とか、勤労意欲とかというものを著しく助するということは承知しております。ですから、いかにしたら赤字を少なくできるだろうかという努力は十分認めてまいりたいと思いますし、そういう合理化の努力はするべきだと思います。だからといって、当然相償うような性格をもともと持っておるのだから、そういうふうにしていかなければならないのだという考え方は、基本的に相いれないので、私はなかなか納得できないのですけれども、その点御説明いただきたいと思います。
#194
○国務大臣(新谷寅三郎君) この国鉄の今度の十カ年計画、これは一言でいうと、国鉄の累積赤字をなくしよう、黒字にしようと、こういうことに言われがちでございます。そのとおりに違いないのですけれども、一体国鉄の赤字をなくすることが国民にとってどんなメリットがあるのかということを考えなければならぬと思うのですね。今日まで国鉄の、さっき申し上げたように、三十八年までは黒字だったんですね。それが三十九年から非常に自動車の輸送がふえたりしまして、さっき申し上げたようなことで赤字に転じてしまって、それ以来、国鉄は赤字にあえいでおりまして、先ほど来申し上げておりますように、旅客輸送の面におきましても、貨物輸送の面におきましても、国鉄が日本の交通機関の最も中心になって、大事な公共機関である。それには国民はこういう期待をしているというにかかわらず、そういった期待を十分に、期待に報いられるような設備ができなかった、サービスができなかったということが、これが問題だと思いますね。これは平たい話で、家庭の問題を取り上げましても、一生懸命やって努力しても、赤字でしようがないという場合に、さらに積極的に子供を大学にやろうとか、どうしようというような積極的な方面が、どうもこれは意欲があってもなかなかできないということだと思います。国鉄につきまして旅客面でも貨物面でも国鉄の本来の使命として、さっきあなたがおっしゃったような、公共的な面から見ても、なすべきことはたくさんあると思んです、まだ。しかし、それができないということは、やはり赤字赤字であえいでおって、やるべきこともやれなかったという点か率直に言えば、これはないことはないと思うのですね。私たちは、その点を非常に心配しているわけなんです。
 この法律の、国鉄の財政再建法ですね、これをごらんになりましてもわかりますように、一方で赤字を解消するのだ、同時に国鉄が本来交通機関として公共交通機関として果たすべき使命を十分に果たせるような、そういう体質を早く回復させることが大事だと、こういうことを法律にもうたってあるわけです。私はその点が国民にとっては一番大事な問題だというふうに考えるわけなんです。ですから何とかして赤字をなくするような体質にしまして、それによって国民に対して期待されるようなサービスを提供し、交通機関としての貨物及び旅客の輸送に、国民に満足を与えるようなサービスを提供するような国鉄に早くなってもらいたい。そのためには、一ぺんにできませんから、十カ年かかりますよ。十カ年たちますとようやく黒字になりまして、その間になすべきことも政府の補助によってやりましょう。それによって将来とも国鉄が自分の本来の使命を果たせるような設備投資もやり、サービスも充実いたしまして、国鉄らしい国鉄に、国民の期待するような国鉄になってもらう、こういうことをねらいにしておるわけでございます。あなたのおっしゃった、もう今後は国鉄が、どんなことをしたって赤字にきまっているんだと、こういうような前提では私たちはまだ考えておりません。しかも日本の輸送需要というものが非常にふえてまいりますし、変化もございます。多様化してまいります。そういう中で国鉄が、競争相手はございます、ございますけれども、その中でやはりみんなが努力をし、若干運賃も上げてもらう、政府もあと押しをしてやりますれば、いま申し上げたような結果を招来することは、これはあえて不可能ではないだろう、こういうふうに認識しているわけです。
#195
○青島幸男君 まさに計画どおりいけばそうなるかもしれませんけれども、それにしてはこの計画に盛り込まれている要素があまりにも不確定要素が多過ぎるような気がするんですよ。というのは、一二%のベースアップで押えるかどうかということも実に問題が残りますし、それから十一万人の合理化問題にしましても、これから週休二日制になるとか、あるいは定年の延長とか、その他もろもろの事態が生じてきたおりに、向こう十年間に、考えてみますと四人に一人、まあ平たく言いますと、そこに働いている人たちの考え方からいけば、四人に一人はいなくなっちゃうんだという考え方はたいへん脅迫的だと思うんですね。ですから、あらためて整理するんではなくて、そういう形で新陳代謝してもらうんだという考え方は、かなりおそろしい感じを与えると思いますよ、一般に従事している方たちに。その問題にかなり抵抗を持ってくるでしょうし、大臣が先ほども言われましたように、十年後の計画が綿密に立てられて、それがそのように完全に動くんだということは、それはだれも保証し得ません。
 私も、先ほども話が出ましたが、夏の帰省客ですね、あれを見ておりまして、ほんの二、三日でしたけれども東京に青空が見えました。ということは、あれだけの人間がやっぱり動くのだなということですね。そうすると、あの自動車のエネルギーというものはたいへんなものだと思います。あのまま野放しにしておけば、いまの自動車の伸び率と道路の占有率なんかを考えますと、それから資源の問題もあります。これがどこまでも行き着いて、モータリゼーションがこのままの勢いで発展するとは夢にも考えませんが、ある時点で鉄道が全く根本的に見直される時期が来るかもしれません。それは三年後か五年後か、あるいはおっしゃるように十年後かもわかりませんし、そんなことはいまから予測できませんがね。しかし、それにしてもちょっと不確定要素が多過ぎるのではなかろうか。その点、十万人合理化というのは、この予定表にあるようにスケジュールどおりに円滑に行なわれるとはちょっと考えにくいんですけれども、総裁はどうお考えになっていらっしゃいますか。
#196
○説明員(磯崎叡君) この十一万人の合理化問題、まず第一にこのうちの三万人はすでにもう合理化いたしておるわけでございます。実際には七万強でございます。先ほどちょっと申し上げましたが、私のほうの人員構成は非常に頭でっかちであります。したがって今後、毎年、一応定年を五十五ということにいたしておきますと、五十五歳でもって大体一万ないし一万二千の職員が自然にやめてまいります。もちろんやめたあと補充しなければ仕事ができませんので、かといって全部は補充しない。一万人ないし一万二千人やめれば三千ないし四千は補充しなければならないという形でもって、毎年七、八千ずつ落としていくというふうなやり方になるわけでございまして、別に首を切る方法ではございませんが、結局人の合理化をはかって、そうして減耗の補充を全部しないという方法によって人を減らしていくつもりでございます。したがって十一万人という数字が初めから出たのではなくて、今度の十兆五千億の中でいわゆる合理化、近代化をどういうふうにするかということを先にきめます。もちろんいままでのように、ただ仕事を切り捨てるだけでは人が減りませんので、設備投資をした上で人を減らしていくというふうなやり方になりますので、結局一人減らすのに何百万円投資する、それによって人が減るというふうな仕事のやり方で、その集積が十兆五千億の中に一兆五千億ぐらい入っているわけです。したがって一応近代化、合理化、これは金の裏づけのある近代化、合理化をしていくというふうな考え方でやっております。
 もちろん、これは労働問題でございますので、毎年毎年必ず組合と団体交渉をいたします。したがいまして、数十項目の項目がございますが、どれからやるかはこれは毎年組合と話をしてきめてまいります。幸い、いままではわりあいに順調にまいっておりますけれども、まあ今後はいろいろな組合にもトラブルもあると思います。私どもといたしましては一応今後七万人ぐらいの数字は減っていけるという、一つの仕事の面から見た上で、数が先にくるのではなくて、仕事の減らし方が先にくるわけです。そういう面から見てこのぐらいの人間は減っていくだろうという推定でございます。
 ただ先生の御質問の週休二日制問題と定年の問題がございます。これは私どものほうでは、何べんも御答弁いたしましたけれども、週休二日の問題はぜひ私は人並みにしたいというふうに思っております。ただなかなか一挙にはできません。週休二日は御承知のとおり四十時間労働でございます。私どもはいま四十四時間ないし四十五時間でございます。これをまず第一段階として、二時間ないし二時間少しよけいに勤務時間を短縮するということによって二段に分けてこれをやっていきたい。まず第一段は昭和五十年ないし五十一年までには四十二、三時間制にもっていきたい。その後に四十時間になるということになるわけでございます。若干よそさまより時間はおくれるかもしれませんが、この問題はぜひ取り上げたい、実施してまいりたいということで、できればことしの秋からその一部分について組合と話をしてまいりたいと思っております。
 ただ定年延長の問題これはあくまでもいまのたてまえで五十五歳ということを前提といたしております。これは何べんも申し上げましたが、一応いま、ここ数年に限りまして、定年延長はいたさないということで、五十五歳ということを堅持してまいりたいというふうに思っております。
#197
○青島幸男君 それはそうあるといいと私も思います。というのは、欧米の先進国で、特に社会保障制度のすぐれた国に参りますと、五十五歳定年で、最終就労賃金の八〇%は年金が受けられるというような状態であれば、五十五歳定年を五十にしてくれというデモが行なわれておるということを聞き及んでおります。そういうふうな形になりさえすれば、それは安心して職場を去っていかれる方が大ぜいおいでになるでしょうし、そこまで国の施策が充実するとは思いませんし、そうなることを私は期待しておりますけれどもそうはなりません。そうなりますと、やっぱり五十五歳でやめていくということにかなりの抵抗が残るのではなかろうか。
 それから機械化をするために、それだけの投資をして人を減らすんだと、だからただ無人化してしまうのではないのだというおことばですけれども、人件費が実は一番ネックですね、どこの企業体にいたしましても。電電なんかの場合でも機械化できる、省力化できるところは最近はエレクトロニクスが日々進歩しておりますから、いままで考えられなかったようなケーブルによる方法だとか、送信の施設が変わりまして、かなり省力化ができるようになりました。しかし電報等の郵便物の配達はやっぱり手でやりませんとできませんから、あの辺はたいへんネックで、その辺大臣よく御存じのはずですし、そういうことで省力化してしまう、無人駅にしてしまえばそれで済むんだということではないと思います。コインを入れまして自動キップ販売機というものができた時点におきましても、あれはかなり抵抗がありました。新幹線の予約などにおけるコンピュータの使用などみたいに万人が認めるものがそう幾つもあれば問題はないと思いますけれども、たとえばコインで出てくる自動販売機では子供が買えないじゃないか、お年寄りはだめじゃないかというようなことで、人がいなければサービスの欠除になるのだ、減らせば安全を確保できないのじゃないかというネックが必ずや出てまいりまして、その辺のネックに対処するのはかなり骨の折れることではなかろうかという気がいたしますが、その辺をどうお考えになりますか。
#198
○説明員(磯崎叡君) 確かに金を投資しただけでは人は浮かないと思います。もちろんいまおっしゃったとおり、安全の限界の問題、サービスの限界の問題というものがあると思います。したがいまして、安全の限界につきましては、これはもう絶対に侵すことはまかりならぬ限界でございます。しかし逆に、たとえば私のほうで申しますれば、いままで、駅員が手でいじっていた信号機を全部機械化してしまうということによって、非常に安全度が高くなる、一方いままで駅でそういうことをやっていた人は要らなくなるというふうな、投資によって安全度が高くなると同時に、省力化できる面が相当やはりございます。これはサービス面でなくて、鉄道部内の安全の保持あるいはその他の仕事をやっていく上におきましての機械化、これがほんとうの近代化だというように考えます。
 したがってそういう面は今後ともどんどんやってまいります。たとえば新幹線でも、あらゆる線路のポイント、信号機は全部東京で一カ所でやります。わずか数名の人間がやっておるということでございまして、これは昔には考えられなかったことでございます。こういうようなことで、機械化、近代化によって安全をそこなわないで、しかも人が減るという面はまだあると思います。
 それからもう一つは、固定設備そのものをよくしておくことでございます。よくごらんの、いままで保線作業と申しまして、つるはしでもって砂利をつっついておりました。あれを最終的には全部やめてしまう。やめるためには、単に機械的なつるはしでなくて、もう一つそういうものをしない線路をつくってしまう。今度新幹線では初めからもうソリッドベットでもって、将来ともそういう保線作業の要らないベットをつくって、そこへ線路を敷くというふうな考え方もいたしております。一、二これを実施いたしております。
 そういう面で安全との限界は非常に守られながら、しかも人を減らすということはそうむずかしいことではございませんが、むしろ逆にサービスとの接点の問題が非常にむずかしいことと思います。これはやはりある程度は人が減るということは、人がいるよりは確かにサービスが減るということはあると思います。これはある時期、ある程度には利用者の方々にも御迷惑をかける点があると思います。しかし最終のサービスとしては、やはり輸送をちゃんとする、便利な列車をつくるという意味の人間のサービスをほかの面で補うということをしなければいけないというふうに考えます。いままでのように、ただ人がいるということかサービスだということでなしに、ほんとうのいい輸送をすることによってサービスを提供するというふうな考え方に、多少これは理屈に走りますか、そういうふうな角度から考えていってこの問題を処理してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
#199
○青島幸男君 それから、その新設線のうち増収、収益増なんというのも見込まれておりますけれども、ざっと見渡したところ貨物にしても旅客にしてもすべて赤字で、単に新幹線だけ黒字というようなふうに国民も受け取っておると思います。なら、今後一切赤字路線はふやさないでいけるかということですね。いままで延々問題になっておりました、これは。もう二十年来、いや十年来ですか、赤字路線が確かに地域住民に福祉をもたらすことは確かであるが、これはかなり政治的な判断でなされたりする結果、国鉄に押しつけられるわけですけれども、いままでそんなことが明るみに出るたんびに世論はわき立っておりましたし、そのことにかなり憤りを感じておりましたけれども、それは一切排除してくることはいままでできませんでした。今後この十年の間にこの予定表にありますように、一切そういうものを排除していける自信がおありになるかどうか。これはかなり政治的な問題なので、ちょっとお話がむずかしいと思いますけれども、これは、担当の大臣がよほど英断をもって臨まれるというようなことがなければ、ますますふえていく傾向にあるのではないかというふうに感じますが、大臣も総裁もその点を明らかにしていただきたいと思います。
#200
○国務大臣(新谷寅三郎君) 赤字路線の問題でございますが、これは十年間で財政の再建ができると言っておりますけれども、路線別にすべての路線が黒字になるということは考えておりません。国鉄が公共輸送機関といたしまして、採算がとれないからもうやめるというようなことは、これは許されるべくもないと思いますが、でございますから、今後も必要な路線は赤字でも続けてもらわなきやならないし、新しい路線でございましても、これは赤字覚悟で国土の開発、あるいは地域住民の輸送対策としましては、当然これはやっていかなきゃならぬ問題だと考えております。ただ総体といたしまして、何べんもここでも御議論を願ったわけですが、総合原価主義というので全体を通じまして、これは青島先生の御承知の電電でも同様です、いなかのほうはもうマイナスにきまっているわけです。都会でやっと息をついているということでございましょう。
 ですから、赤字路線はもうやめるのだということではなしに、全体として総合的に考えて、黒字に転じるようにしようというのがねらいでございまして、赤字路線につきましては、もちろん一般にいわれておりますように、ただこの政治的な路線であって、地域住民とは無関係にこれはつけるのだと、こういうようなことは、私どもとしてはこれはもう絶対にさせないつもりでおりますけれども、しかし赤字、黒字という問題になりますと、これはもちろん地方の路線は大体黒字になるということは非常にむずかしいだろうと思うのです。こういったのは、やっぱり国本位、国民本位ということで、私としてはできるだけそういう立場に立っての判断をいたしまして、新線についても考慮をしなきゃならぬと思っております。
#201
○説明員(磯崎叡君) 結局、赤字線、黒字線の問題は、部内の内部補助と申しますか、どうしても、いま大臣がおっしゃったとおり、地方閑散線あるいは地方交通線は黒字になりません。私どもで試算いたしましても、昭和五十七年度末までに一万キロの赤字線をそのまま維持いたしますと、それだけで約六千五百億ぐらい赤になります。しかし、一方、幹線系のほうの収益率が非常に高くなってくるということによりまして、差し引き黒になるという意味でございますので、結局、地方交通線のほうがよほど産業の変化、人口配置の変化がない限り黒字になりませんので、それは赤字は赤字として置いて、そのかわり幹線系の収益率は高めるということによって、全体としての差し引き黒になるという計算をせざるを得ないと思います。
 したがって今後まあいわゆる新線建設でまた赤字が多少ふえてまいるかもしれませんが、それらを一応計算いたしました上で、五十七年度にもやはり一万キロのうちから六千五、六百億の赤字が出るだろうということを推定した上で、全体としてとんとんより少しよくなるという計算でございまして、決して全体が黒になるというようないい時代は参らないというふうに考えております。
#202
○青島幸男君 新幹線が収益率が高いから、じゃ新幹線に即飛びつこうというようなかっこうで、新幹線を方々張りめぐらされるというような考え方をお持ちなのではなかろうかと思われる議論が一部にあるように思います。何でももうかるものを設備投資してやればいいじゃないか――しかし東京−大阪間のように収益率が高い路線が、たとえば東京−仙台を別にする考え方だったら、あまりないと思います、私は。どこまでその収益率を把握していらっしゃるか。それは綿密に計算なすっての上でしょうけれども、それがはたして国民生活に至福をもたらすかというと、これはまた別の問題ですし、早く行けばそれだけしあわせになるのだという考え方はもう時代おくれだという時代になって、コンコードがつぶれたのもその辺にあるのだと思いますけれども、そうなればそうなったで新しい公害が生まれてくるでしょうし、安全性の問題などから考えますと、どんな事態があらわれてくるかわかりません。それこそ、地震その他の不慮の災害というものは全く考慮に入れなくても、機械のことですし人間が動かすことですから、安全度を見込んでいったら、百円の実収をあげるのに百二十円かかるというような、そういうものですね、鉄道というのは。
 ですから、そういう宿命を先ほどからるる私述べ立てておりますように、一方では全く安全に、しかも適確に運ばなければならないという使命がある。一方では、赤字であれ何であれ、国民の用に供するためのものは保持していなければならないという宿命がありますね。それでその上に、企業的な活動を効率的に行なってはいけないという制約がありますね。こういう制約の中で、国民に愛される国鉄であるためには、一つの企業がやるように利潤追求型的な考え方で運営なさるのは基本的に間違いではなかろうかという、先ほどの話に戻るわけですけれども、諸外国が国鉄に対する認識のしかたと、大臣その他政府の方々のお考えになっている考え方とは違うのだということにまた戻るわけですけれども、ですから、初めから赤字になる宿命を持っているのだからこれは国民が負担して当然だと、利用するしないにかかわらず。これは私ども日常の生活をしておりまして、国鉄の恩恵をこうむらないものは一つもないと言っていいくらいですね。原材料の端々まで考えたら、おそらく全部恩恵を受けておると思います。日々の食事にしても、器物にしても、必ず国鉄で運ばれておると思います。そういう意味合いから考えますと、国民が負担してもいいのではないかという認識を持つ時期が必ず来ると思います。だから、独立採算でやっていかなければならないのだという考え方をお捨てになってみてはどうでしょうかという御議論を先ほどから申し上げているわけですけれども、いかがでしょうか。
#203
○国務大臣(新谷寅三郎君) 公共企業体につきましては、成立の当初から、これは電電公社といわず国鉄といわず、やはり企業体として独立採算制を基本にするという精神は、どの法令を見ても貫かれておると思うのです。ただ今日の国鉄の状況は、現実の問題として独立採算制をいかに固守しようとしましても、もうできないのです。それには、いまおっしゃったようないろいろな原因、また私が述べましたようないろいろな原因、それが錯綜いたしまして現実にできないし、あまりにも社会の需要というものが、公共的な方面からの要望が強くて、国鉄の独立採算制というものを堅持しておったのじゃしょい切れないというのが、これはいまの姿だと思うのです。この点は、おそらく将来とももっと高くなるにしても低くなることはあるまいと思うのです。その点は私も同感です。
 ですから、そういった点を踏まえまして、政府のほうも思い切った助成策を講じようじゃないかというので、昨年一年間でございますけれども、昨年出しました案とは非常に助成のしかたも角度も違うしというんで、思い切った助成方法を財政当局にも話ししまして、いま提案をしているわけでございまして、こういった点は、おっしゃることと私の言っていることにあまり開きがないんです。ないんですが、そういうふうにいたしまして、それならば独立採算制を捨てて、何でもとにかく公共性の強いものは政府で出したらいいじゃないかと、こういうことに議論が飛んでしまいますと、それではいけますまい。公共料金というものについては、もちろんわれわれも慎重に扱わないと他に波及するようなおそれもございますから、慎重にやりますけれども国鉄の運賃といいましても、物価体系の中の一つの問題でございますから、これだけいつまでも固定しておくということは、これはかえって物価体系全体からいいまして、それを乱すようなもとになりかねない。やはり適当な値上げというものは、物価情勢に応じまして考えていってもらいたい。しかし、それは最低限にいたしますと、そのかわりに政府もうんと助成いたしますというような考え方をもって今日進んでおるわけでございまして、あなたのおっしゃることに根本的に反対するわけでもございませんが、そういうふうな政策的な見地で今度の提案をしておるということについての御理解をいただきたいと思います。
#204
○青島幸男君 私も値上げがどうしてもけしからぬということではないし、基本的には大臣と同じところに近づきつつあると思いますけれども、補助の金額がどうの、国庫補助の金額がどうの、利用者の負担の割合がどうのということを論じ合っているつもりはございませんで、ただ基本的な姿勢が、国鉄が一防歩きをするまでの間ちょっと補てんをして助けてやるんだという考え方ではなくて、基本的にもうそういう宿命を持っておるんだから、それはもうそういうふうに考えようじゃないか、企業努力をしてもらおう、それから国民の皆さんにも御理解をいただこう、物価が上がるんだからこれはしようがないという考え方を基本的にお持ちになるのは別の問題だと思いますし、そういう基本的な論議がもっとなされてから先々のことが詳細に論じられてしかるべきだという気が私いたしますし、公共企業体としての国鉄の性格というものが、きわめてあいまいなうちに、何となく現状を取りつくろう形でこういう法案ができているというような感じがしてしかたがありませんが、実際の担当者といたしまして、総裁はどういうふうにお考えになりますか。
#205
○説明員(磯崎叡君) 確かに公共企業体というものが、昭和二十四年にできましてから、いろいろな変遷を経まして非常にそういう議論がたくさんありました。ことに先ほど大臣が言われましたとおり、昭和三十七、八年まではわりあいに調子がよくて、累積黒字が二千億に近くなったことがございます。したがって昭和二十八年でございましたか、企業ベースの法律を改めまして、そして毎年もうかったらそれは蓄積しようと、損したら赤字で計上していくと、それまでは損をしたら国が補うと、もうけたらそのかわり国へ出すと、こういう法律であったものが、二十八年に変わりまして一般の企業体と同じようになったわけでございます。
 したがって、その時点までは、むしろ企業経営的な角度から公共企業体を経営しようというふうな時代が昭和三十年代末期まであったわけでございますが、その後、先ほどの御議論のごとく、いわゆる競争にさらされてもうやっていけなくなった。むしろ今度は公共企業体じゃないんだというふうな議論でございます。その辺で非常にそのときどきの外の空気によって変わってくるわけでございまして、また先ほどここでおっしゃったように、エネルギーの問題から考えても、あるいは公害の問題から考えても、もう一ぺん鉄道を見直すということになったときに、やはりもう少し考え方がまた昔に戻るという意味でなくて、新しい角度でもって考えてもしかるべきじゃないかというようなのが、私どもこの法案に対する一つの大きな抱負と申しますか期待と申しますか、そういうものがございまして、過去二十年間の公共企業体としての移り変わりを見てまいりますと、いかにも外の空気でもって議論が変わってきております。今度はひとつ何とかりっぱなものをつくり上げたい、またつくられるだろう、鉄道の見直され方ということと関連してそういうことを念頭に置いた上でこの案をつくっていったということでございます。
#206
○青島幸男君 どうもこの案がつけ焼き刃的であるとか、あるいは基本的な発想の点でそごを生じているということがあるのは、基本的には道路は建設省の管轄であるし、港湾は運輸省ですか、鉄道は国鉄であるというようなことで、先ほども議論になりましたけれども、どうも道路建設のあり方と鉄道に対する援助のあり方、鉄道のあり方を考慮に入れないで先走ってしまう面もあるのではなかろうか。そういうことから考えますと、最も理想的には、いますぐどうこうということではないのですけれども、建設省とか運輸省とかいう立場を離れまして、総合的な運輸政策というようなものが打ち立てられて、その中であらためて公共企業体としての性格を、先ほど申し上げましたような話を踏まえた上で、その中で組み込んでいくというようなことが行なわれれば理想的に事が運ぶのではなかろうかという気がいたしますけれども、そういうような将来的な展望についてはどういうお考えでいらっしゃいますか。
#207
○国務大臣(新谷寅三郎君) なかなかむずかしい御質問ですから御満足のいくようなお答えができないかもしれませんが、初めに申し上げましたように、私ども国鉄の問題にいたしましても、運輸省所管の航空の問題にしても自動車の問題にしましても、これはやはり閣僚協議会できめました総合交通体系というような中で、国鉄というものはどういうふうに考えていくか、将来はどうしたらいいかということを考えるわけです。今日、道路は建設省の所管でございます。道路以外の交通関係のものは大体運輸省の所管でございます。いまおっしゃるようなことは、一応総合交通体系の中で、もちろんこれは真剣に考えておりまして、将来についてもそういう中で、どういうふうな分担で輸送を担当したらいいか、したがって、そういう役目を負わされた各交通機関について、航空なら航空、自動車は自動車、国鉄は国鉄につきまして、どういうことをすればその役目を果たし得るかというようなことを考えながら政策の立案をしておるわけでございます。いまおっしゃったような、あるいはこれはあなたのお尋ねになっている質問から少しはずれるかもしれませんが、われわれとしては、そういう考え方で、今日まで各方面の各交通機関のそれぞれの特色を生かしながら、将来の政策をきめてまいりたい、こういうことでございます。なお何か答弁が足りなければ、お尋ねくだされば、あらためて答弁いたします。
#208
○青島幸男君 大体けっこうでございます。総合運輸政策というようなものが、案はあっても、具体的に政策として持っていくまでに立ち至らないというのが実情かと思います。体系はできていても政策がないというのが実情じゃないかという気がいたします。
 これも押し詰めていけば、都市計画とか、その他交通に付随するすべての問題から解決していかなければなかなかすっきりとはいかない問題だと思います。いまみたいな質問で、なかなか明快な御回答がいただけるとは私も思っておりませんけれども、その意味から申しますと、前に総裁の予算委員会の御答弁の中にあったと思うのですけれども、あれはたしか上尾の駅にちょっとしたトラブルがあった事件がありました。あのときに、大体あそこはもう無理なんだ、輸送が限界に来ているんだ、なるべくならあの沿線に家を建てないでほしいというようなことを、たいへん苦しそうにおっしゃっておられた。どこどこに家を建ててほしくないんだというようなことをおっしゃる境地は、私は察して余りあると思うのです。しかし、そうせざるを得ないほど都市政策と鉄道のあり方とアンバランスが考えられるわけです。とにかくそこに電車が通ったんだからということで、ぴょこぴょこ団地が建ったり、宅地造成が行なわれるようには鉄道はまいりません。輸送力はそんなに増強できません。ですから、その辺から考えますと、どういうふうに運輸政策を立てたらいいのかというのは、都市政策などと相からめていかなければならない問題で、この問題を論議していた日には一々私は切りがないと思います。
 ですから、ひるがえって戻りますけれども、公共企業体という重責をになっている国鉄がやがていつかは一人立ちするんだ、それまでの補助政策としていまの考え方はあるわけですね。その考え方に基本的には私は反対だと申し上げているわけですけれども、その辺につきまして明確な御回答をいただいておりませんけれども、あらためてお尋ねをいたします。
#209
○説明員(磯崎叡君) 先般予算委員会でそういうことを申したことは事実でございます。私どもは、ですからいま宅地開発事業団、あれをつくるときも運輸省にぜひ入っていただきたいというふうに申しております。自明の理ですけれども、たとえば宅地ができますと、いま問題になっているのは、宅地から駅までの交通は皆さんおっしゃる、新しい乗り物だ、何だと。しかし、そうでなしに、もう駅から東京までの輸送力がないんだということを頭に置いて宅地造成をしていただきたいということを私は申し上げたわけです。いまの先生の御質問でございますが、私は結局いまの国鉄の中に企業採算としてやっていけるもの、またやっていかなきゃならない部分がございます。それから先ほどおっしゃったように、全く企業採算に乗らない面がございます。この二つをどんぶり勘定にしていくことに非常に私は問題があると思います。したがって、できれば少なくとも部内的には、この部分だけはきちっと独立採算でやれるんだと、またやらなければいけないんだという部分と、それからもうこっちは赤字でもしかたないんだという部分、この二つにはっきり分けまして、そして何とかして内部補助でもって償うようにしていきたいというふうな考え方でございまして、現に昭和三十八年まではそれでやってきたんです。今度、昭和四十六年からそういうふうな財務決算をいたしておりますので、今後そういう角度から国鉄を見ていただき、そうして企業努力はよくやっていると、こちらはだめでも赤字でもしようがないんだというふうな面を浮き彫りにしまして、いろいろ世の中の御批判を得ていきたいというふうに思う次第でございます。
#210
○青島幸男君 その辺で大体明確になりまして――ですから企業として収支相償っていかなきゃいけないんだという前提がありますと、どうしても、私どもから考えて無理なんではなかろうかというような料金値上げもしなきゃなりません。その辺が国民的な合意があれば、これはもう赤字でもしかたがないんだという合意があれば、私はそんなに無理して運賃は上げなくても済む分も必ず出てきますし、そういう合意に基づいて、この法案が立案され、提出されたとはゆめゆめ思えませんので、その辺のところがかなり疑問に思えてひっかかっていた部分でございますけれども、この問題をいつまで論じ合っておりましても、認識の違いというものは相埋めない部分が必ず出てくるんではなかろうか。大臣もかなり懇切丁寧に御答弁いただきましたけれども、どうもやっぱり納得いかない部分がございます。
 これ、もう時間もあまりないようでございますけれども、もう一度、私が申し上げている趣旨ですね、何でもかんでも赤字は国庫補てんしてもらえばいいんだという考え方ではなくて、これを立案するときの基本的な考え方が、国の財産なんだと、国鉄は。だから相償わなきゃいけないんだという考え方は、むしろ持つのが間違いだという認識を私は持っているわけです。ですから、この部分はもうかる、この部分はもうからない、しかし、もうからないのもやっていかなきゃならないのだと、それで相互に相償えばいいんじゃないかという総裁のお考え方も私はちょっと納得いきかねるんです。
 いずれにしても国民の財産である、これをみんなで、国民で守っていこうじゃないかと、そのためには従業員の立場も守っていかなきゃならない、従事する人たちの立場も。そうなってくれば、無理な料金体系をつくり上げて、さあ皆さん方御理解いただきたいと言って、テーブルの上に乗せるというようなかっこうをなさらなくても済むはずですし、そういうふうに、国民のこれは財産なんだという認識をもう少し平たくPRする、あるいは理解を求めるという姿勢があれば、赤字を出してあたりまえなんだという認識が国民の中にあってしかるべきだと思いますし、そういう状況に必ずなると思いますけれども、その辺のことを、くどいようですが、どう御理解になっていらっしゃいますか伺います。
#211
○国務大臣(新谷寅三郎君) 少し考え方に青島先生とは食い違いがあるように思います。先ほど来申し上げておりますように、これはあまりに独立採算制というものに私はこだわっては考えておりません。今日それをすることは不可能でございます。したがって公共性を維持していくんだという要求が強くなればなるほど、独立採算制というものは具体的にはくずれてくるわけです。しかし公共企業体としての本来の性格からいいますと、独立採算制を失って、足りないところは国が負担すりゃいいんじゃないかというだけでは、これはいかぬと思います。でございますから、いまの法律制度が根本的に変わりまして、いまの日本国有鉄道法というようなものの、いわゆる公共企業体としての性格、法的性格というようなものがすっかり変わりました場合は別でございますが、いまの法律制度のもとにおきましては、やはり公共企業体としては独立採算制というものは持っていると、しかし、それが現実には行なわれない、したがって、その部分については、国がめんどう見ていく以外に国鉄の機能を果たすよすがはないというような考え方でございまして、理屈は理屈として、大体最終的にねらっているところは同じかもしれません。
 今度の提案もそういう意味で現行の制度をもとにいたしまして提案をしているものですから、こういうことを申し上げなきゃならぬわけでございますが、具体的には十年たって国鉄が財政を回復いたしまして、国鉄の機能が発揮できるような体質になった場合に、さてそこで累積赤字もありますし、たまった債務をどうするかという問題もございますし、これはいまの状態と違って、黒字に転じますから、非常にこれは楽になると思いますけれども、その場合にどうするかということは、十年たった時点において、世の中の変化もございますから、その時点において、十分これは皆さんの御議論をいただいて、考え直していかなきゃならぬと思っておる次第でございます。
#212
○説明員(磯崎叡君) 先ほど先生がちょっとおっしゃいましたように、やはり赤字でございますと、全体の職員の士気にも相当影響いたします。したがって私どもといたしましては、企業体として成り立つ面に従事している職員はこれは大いに働きなさいと、そうしてうんと黒字を出しなさい、一万、赤字のほうにいる職員に対しては、これはもうおまえのところは幾ら働いても赤字でもしかたかないのだと、だから一生懸命やれというふうな言い方をいたしませんと、一緒にして、おまえたちは赤字でけしからぬということも、これは困りますので、そういう意味で、これはなかなか形式的に分けることはできませんが、少なくとも部内的にはその点ははっきりさせて、そうして職員が希望を持って仕事ができるようにしなきゃいかぬというふうに思っている次第でございます。
#213
○青島幸男君 いろいろ、るる御説明をいただきましたけれども、どうもやっぱり最終的に、ああこれでいいんだというところに落ち着きませんで、どうも提出されておりますアイデア、それ自体にたいへん不確定要素が多い。このまま進行していって、五十七年度、もくろみどおりに事が行なわれれば、国鉄が一人歩きするようにできることを私も望んでおりますけれども、しかし私の立場から申し上げるのは、ちょっとその計画は甘過ぎるんではなかろうかという気がいたしますし、これでこのまま国民に了解を求めようとなさることは、かなりむずかしいんではないかという認識をまたきょう新たにいたしました。
 どうもありがとうございました。質問を終わります。
#214
○委員長(長田裕二君) 速記をちょっととめてください。
  〔速記中止〕
#215
○委員長(長田裕二君) 速記を起こして。
#216
○田渕哲也君 前に、私の質問の大綱についてはほぼ終わったわけですけれども、前にもお断わりしましたように、若干の質問が残っておりますので、この際に少し時間をいただきましてお答えを願いたいと思います。すでに私の前に各委員がかなり質問やっておられますので、なるべく重複は避けたいと思っておりますけれども、ただ質問の順位なり関連上、若干ダブる面もあろうかと思いますけれども、その点は御了承をいただきたいと思います。
 まず初めに、都市交通の問題について質問をしたいと思いますけれども、これは先ほど三木委員からもいろいろ質問されました。私もそれに関連して若干質問さしていただきたいと思いますけれども、まず初めに、総合交通体系によりますと、国鉄の役割りの重要な部分としまして三つがあげられております。その一つが都市間の旅客輸送である。それからもう一つが中長距離の大量貨物輸送、第三点としまして大都市通勤通学輸送、したがって総合交通体系によりますと、都市の通勤通学輸送というものが国鉄の主要な役割りとしてあげられておるわけです。そこで、初めに大臣にこの都市交通に対する国鉄の取り組み方の基本方針というものについて、お伺いをしたいと思います。
#217
○国務大臣(新谷寅三郎君) 先ほど三木先生の御質問に対してお答えしたと同じようなことになるわけですが、やはり私はいまの輸送シェアから見ましても、都市交通におきましても、国鉄の輸送機関としての役割りは非常に大きいと思います。さっきは都市の周辺、たとえば東京で申しますと五十キロ圏なら五十キロ圏の中で都心との交通つまり通勤通学輸送をどうするかという問題と、都市の中の交通というものと、多少種類の違ったものがあると思いますけれども、それを総括して考えましても、都市交通の非常に大きなシェアを国鉄が占めているということは、統計によりましても明らかでございます。
 そこで国鉄の本来の使命から言いまして、この都市交通の中で今後具体的にどういう役割りを果たさしたらいいかということが当面の問題だと思います。抽象的にはいまお述べになりましたような総合交通体系の中で国鉄に課せられている使命、それを果たしていけばいいということになるんですが、さて具体的になりますと、首都圏と近畿圏と中京圏、それぞれ特色がありまして、一がいにはこれは申せないと思います。でございますから、私はいま関係の当局に指示をいたしまして、具体的に首都圏は首都圏、近畿圏は近畿圏で、どういうふうな各交通機関との調和をはかりながら国鉄がどういうふうな仕事を具体的にしたらいいか、建設計画はどうかというふうなことを、具体的にいま研究をさしておる状態でございまして、これはやがて結論が出てくると思いますが、その際には、きょうは間に合いませんけれども、その際には詳しく申し上げたいと思います。
 しかし抽象的に考えられますことは、地下鉄との関係、それからバスとの、何といいますか、協力体制といいますか、一貫輸送といいますか、そういう関係をどうするかというふうなこと、それから民鉄との接続関係をどうしたらいいか、それから国鉄が今日まで建設してまいりました路線について、旅客、貨物と並べまして、それをどういうふうに活用するのがいいか、それにはどういうふうな設備をしたらいいかというふうなこと、こういったことを具体的に研究させようということで、いま勉強さしているわけでございます。
#218
○田渕哲也君 運輸省としての大都市交通に対するビジョンとか基本計画というものは、まだでき上がっていないわけですか。
#219
○政府委員(原田昇左右君) 運輸省に設置してございます都市交通審議会、現在は運輸政策審議会の都市交通部会でございますが、そこで昨年の三月に昭和六十年を目標年次としまして、大都市交通施設の整備のあり方についてという答申が出ております。この答申は、歳来の六十年時点の輸送需要を想定いたしまして、大都市間における都市高速鉄道の整備の目標を示したものでございまして、私どもとしては目下のところこの目標に従いまして整備計画を立てておるわけでございます。
#220
○田渕哲也君 昨年の都市交通審議会の答申の線に沿って大都市交通の政策を考えておられるとすると、今回の国鉄の再建計画も、当然これとの関連というものがなければならないと思います、これ具体的にどういう関連があるのか、お答えをいただきたいと思います。
#221
○政府委員(原田昇左右君) 国鉄につきましては、実はこの大都市交通のビジョンの中にも織り込んでございますが、大体それをベースに再建計画の投資を、少なくとも答申の線に沿った内容を一応織り込んで立てていただいておるはずでございますが、なお情勢の変化によって若干の弾力性を持たせる必要がございますので、その分も織り込んで再建計画の投資計画を策定しておると了解しております。
#222
○田渕哲也君 昨年の都市交通審議会の答申によりますと、この昭和六十年の首都圏の人口は二千九百万人、四十年時点で二千万人、それから就業人口が一千四百万、それから就学人口が二百万、こういう数字が出ておるわけです。それから東京の都区部に流入する人口が、就業人口で二百九十万ないし三百二十万、就学人口で四十五万、これは昭和四十年に比べて約倍増ということになっております。そしてこれだけの就業就学人口を運搬するに足る輸送機関の設備投資に要する資金量は一兆七千億という数字が出ておりますけれども、この一兆七千億という数字は、これ当然国鉄の投資分も含まれてのことだと思いますけれども、これはいかがですか。
#223
○政府委員(原田昇左右君) この計画によります各種の路線整備計画につきましては、私鉄、民鉄、地下鉄、国鉄、全部を包括いたしておるわけでございます。その数字がおそらくいまおっしゃいました一兆七千億であろうと思います。
#224
○田渕哲也君 この一兆七千億というのは、実は前に私が質問した質問に対する答弁としていただいた数字です。これには出ていないかもわかりません。
 それから再建計画による国鉄の投資計画の中で、大都市圏輸送として七千億という数字がありますけれども、これと一兆七千億との関連づけというのはあるのかないのか。この点どうですか。
#225
○政府委員(原田昇左右君) たいへん恐縮でございますが、一兆七千億という数字につきましては、私、いま御指摘のように都市交通審議会の答申には出ておりませんで、おそらく事務当局で何か試算したものであろうと思いますので、物価ベースその他によって必ずしもそのとおりであるかどうか、ちょっと捕捉いたさなければならないと思いますが、要するに国鉄の都市交通の輸送力増強計画は大都市圏として、東京だけでなくて、大阪圏も含んでおると了解しております。
#226
○田渕哲也君 私が申し上げたいことは、再建計画にあらわれた国鉄の都市交通に対する取り組み方が若干弱いのではなかろうかという気がするものですから、この質問を申し上げておるわけです。一兆七千億というのは、大体首都圏だけでそれだけの投資が要るとされているわけです。もちろんこれは昭和六十年までで、国鉄の再建計画は五十七年までで、若干のズレはございますけれども、それにしても国鉄の大都市交通に対する投資額というのは少し過小ではなかろうか、こういう気がするわけですけれども、この点はいかがですか。
#227
○政府委員(秋富公正君) 私もちょっと一兆七千億の根拠がはっきりいたしませんが、御指摘のように、私といたしましてもやや少ない数字ではないかと思っているわけでございます。と申し上げますのは、四十二年から四十六年の五カ年間におきます国鉄、私鉄、地下鉄合わせました年平均投資額が約千八百億でございます。それから四十八年度の単年度におきましての数字でございますか、これを合わせますと約二千八百億でございます。すなわち国鉄の四十八年度の計画が四百九十億でございます。それから鉄建公団が国鉄分、いわゆる将来CD線でございますが、これが二百八億。それから鉄建公団の民鉄線分が三百六十億。それから地下鉄の工事が八百六十億。私鉄の工事か八百七十億でございまして、これを合計いたしますと、四十八年度単年度におきましても約二千八百億でございます。そういったことから考えましても、いまの一兆七千億という数字はやや過小な数字じゃないかと、私も考えます。
#228
○田渕哲也君 一兆七千億の数字は、ちょっと私、議事録を忘れましたのであれですが、私の記憶によりますと、鉄建公団の改正法案、いわゆる私鉄に対する補助、建設の肩がわりをすると、その審議のときに当時の鉄監局長のお答えだったと思います。
 そうすると、また一兆七千億は過小としても、その過小な額に比べても国鉄の大都市投資計画の七千億というのは、これはもちろん近畿圏、中部圏も含んだ数字ですから、私はさらに過小ではないかと思うわけです。これは将来の大都市交通における国鉄の役割りというものと関連があるわけですね。将来の大都市交通が国鉄に重点を置くよりも私鉄とか地下鉄に重点を置くんだと、だんだん国鉄のシェアというものが小さくなるんだという考え方に立っておられるのかどうか。そうすれば、この数字も納得がいくわけですけれども、将来とも国鉄が大都市輸送の中で大きなウエートを占めていこうとするならば、再建計画にあらわれた投資額というのは過小ではないか。もちろん最近の過去十年間ぐらいの傾向を見てみますと、国鉄のシェアというものはだんだん下がってきております、首都圏においては。この点について、将来の見通しとしましてどう考えておられるか、お伺いをしたいと思います。
#229
○政府委員(秋富公正君) この問題につきましては、先ほど国鉄総裁からも他の委員に御答弁いたしておりますが、東京、いわゆる首都方面におきましての五方面作戦というのが一応完了したわけでございますが、これのさらに輸送力強化、これをさらに複々線化というようなことがなかなか事実上むずかしい問題でございまして、国鉄といたしましては、首都圏におきましてはその周辺の川越線だとか成田線だとか八高線だとか、そういったさらに周辺部におきます大都市通勤輸送という意味の複線化あるいは電化、こういったことは今後さらに強化していくわけでございますが、在来線の強化ということにつきましてはある程度物理的な限度があるわけでございます。これに対しまして、関西方面におきましてはこれはいまだ投資が不十分でございまして、今後の十カ年計画におきましては、国鉄といたしましてもその輸送力増強、通勤通学輸送をはかるという考えでございます。
 ただ、御指摘のように、将来それでは首都圏におきましては私鉄あるいは地下鉄にまかして、国鉄はこれ以上のシェアをしないかという問題でございますが、私たちとしましては依然として国鉄のになう大都市通勤輸送の使命は大きいと考えておるわけでございまして、ただ、これが在来線の強化というだけではもう限度があるという意味におきまして、今後国鉄がいたしますためには、新しいD線と申しますものを鉄建公団に建設させまして、これを国鉄が運営していくという方策をとるべきではないか。すでに、今後新しい宅地が、ニュータウンができましても、在来線の既存の駅まで線を持っていくというだけではとても輸送力はまかない切れないわけでございまして、今後五十キロ圏内まで大きな団地あるいは宅地が開発される場合には、都心まで新しい鉄道を建設してこれを国鉄が運営していくという方向で、今後といえども国鉄のになう使命は大きいと思うわけでございますが、ただその点が関東と関西あるいは中京ではややその性格を異にしているという点がございます。
#230
○田渕哲也君 そうすると、再建計画の七千億の投資額は過小だと私は思うんですけれども、これはそうではないということですか。
#231
○政府委員(秋富公正君) この七千億と申しますものは、現在一応国鉄といたしまして十兆五千億をいわば試算したものでございまして、まだ正式に運輸省がこれを認めたとかいうものでもございませんで、この点につきましてはさらに検討していかなけりゃいけないと、かように考えておる数字でございます。
#232
○田渕哲也君 それから、先ほどの答弁の中で、これから鉄建公団がD線というものに力を入れていくというお話しです。ところが、四十八年度予算を見る限りでは、D線についての予算が昨年度に比べて四六%減となっております。ここらも非常にこれちょっとつじつまが合わないという気がするわけですけれども、この理由はどこにあるわけですか。
#233
○政府委員(秋富公正君) 運輸省といたしましては、D線には最も力を注いでおるわけでございますが、現在までに、運輸省が指示し、鉄建公団が建設いたしておりますD線すべての工事費の、現在四十八年度におきましてその総事業量の九〇%をすでに達成しておりまして、今年四月に武蔵野線も一部開業したわけでございますが、残りの武蔵野線も来年の六月に開業いたします。また同じく関西にございますD線の湖西線、これも来年の七月には開業するという状態でございます。そういった関係で、いわばあとは京葉線と小金線がD線としては残っているだけという関係で、御指摘の数字が下がったわけは、いわば残工事的になってきたという関係で予算金額が減少した次第でございまして、実際は、非常に九〇%、すでに四十八年度において総事業量を達成するという状況でございます。
#234
○田渕哲也君 それから、大都市交通の中では私鉄というものがかなりのウエートを占めておることは事実だと思うんです。昨年鉄建公団法の改正によりまして、私鉄の路線建設も鉄建公団が行なうということになったわけですけれども、この場合の金利負担が六・五%というふうになっております。国鉄の場合はこれはどうなるわけですか。
#235
○政府委員(秋富公正君) 昨年国会において御審議いただきまして、四十七年度から鉄建公団におきましても、大都市における民営鉄道の線を、かわりましてこれを建設するということができるようになったわけでございます。そのときの金利の助成は、いわば財投の金利と一般金利との差額、これを国と地方が折半するということでございまして、実際におきましては約六・二%までの金利を助成ということでございました。これを四十八年度から五%までその金利を助成するというふうに強化したものでございます。
#236
○田渕哲也君 それから、都市交通について基本的に考えなければならない点があると思うんです。これは単に運輸問題としての論議じゃなくて、都市計画との関係ですね。これは総合交通体系の中にも、基本的には都市機能の多角化、分散化を推進することが必要であると、こういうことが書いてあるわけで、幾ら交通政策だけで解決しようと思っても、この基本的な問題が解決されなければ、これはむずかしいのではなかろうかと思います。特に都市の過度の集中をこれ以上ひどくしないこと、あるいは、そのほかいろいろの点が都市政策としてなければ、ますます過大な投資額にかかわらず、効率が悪くなるとか、幾らあとから追っかけても追いつかないという問題が出てくると思うんです。
 私は、過度の集中を排除する問題としまして、まず第一点は流入人口の抑制ということを考えなければ、都市交通問題はこれは解決しないのではなかろうか。現在流入人口、これは首都圏整備委員会のほうでやっておられるかもしれませんけれども、この流入人口の抑制についての具体策としてどういうことを考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
#237
○政府委員(小林忠雄君) 首都圏への流入人口の原因でございますが、これは大きく分けますと就業と就学と二つあるわけでございます。昭和三十年代におきまして、一番流入人口の中で大きな数字を占めましたのは、工場への新規就職者のための人口増と、大学等に入学をする学生が入ってくるというのが大きな原因でございました。それで首都圏におきましては、首都圏の既成市街地につきまして、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律という法律によりまして、五百平方メートルの工場と、千五百平方メートルの大学の教室の新増設を原則として禁止をしております。これは従来この工場が千平方メートル以上でございましたが、さきの通常国会におきまして、法律改正をして、さらにきつくして、五百平方メートル以上にしたわけです。さらに従来埋め立て地が制限対象外でございましたのを、昨年の暮れから、この法律改正によりまして、埋め立て地を制限対象に入れたわけでございます。このことによりまして、工場の新増設というのが既成市街地については、事実上不可能となっております。それから大学の教室の新増設もほとんどできないという状態にまで現在なっております。残る問題はサラリーマン――ホワイトカラー人口の増加か四十年代に入ってから非常にふえてきたということでございまして、この原因は集中管理機能の東京への集中、各企業の本社が東京に集中するということに大きな原因があるわけでございますので、第二段目の問題といたしまして、これ以上さらに集中原因を除くためには、事務所について工場と同じような何らかの規制をする必要があるのではないかということで、現在検討をしておるところでございます。
#238
○田渕哲也君 いまおっしゃったように、私はこの事務所の人口の占める比率がだんだん大きくなってきていると思うんですね。工場等を幾ら規制しても、事務所がしり抜けになっておったのでは何にもならない。ところが事務所人口の制限ということは、前から言われているにもかかわらず、非常に具体化がおくれておると思うんです。これは具体的に現在そういう作業が進行しているのかどうか、どうなんですか。
#239
○政府委員(小林忠雄君) 実は昨年の春、首都圏整備審議会から事務所規制の答申が首都圏整備委員長に出されたわけでございますが、その答申の内容は、一つは事務所の建設を、中心部につきましては、許可制にして押える、周辺部につきましては、事務所の床面積あたりに課徴金を取ることによってこれを抑制しよう、こういう答申があったわけでございますが、その後事務ベースでいろいろ検討しておりますが、中枢管理機能と申しますのが大都市本来の機能と非常に深くかかわっている。特に政府行政機能とのかかわり合いで集まってくる、こういう面が非常に多いわけでありますので、法会でもって禁止するということが、はたして可能であるかどうかという点については、まだ踏み切る段階に来ておらないわけでございます。そこで課徴金というものの変形といたしまして、何らか事務所について経済的な負担をしていただく、これは事務所を追い出すとか制限するという意味のほかに、企業が社会的費用を応分に持っていただく、こういうような意味におきまして、まず課税を強化するという方面から接近をいたしまして、そのことによって価格機構を通じて抑制する、こういう方向に現在進んでおるわけでございまして、現在、政府各省の間で、事務所税、事業所税等についての構想がいろいろ検討されておるわけであります。
#240
○田渕哲也君 それから第二点は、都市が外側にどんどんふくれ上がっていくという問題があるわけですね。これをやはり防がなければならない。現在通勤圏というものも、交通施設がどんどんできるに従って、だんだん広がっているわけですけれども、これが実は非常に問題だと思うのです。特に住宅とか、団地というものは、土地の安いところを求めてだんだん遠くにできるようになって、また交通がそれを追っかけて、便利になればなるほど遠くに行く、これではイタチごっこではないかと思うのですね。ですから、私は都市交通ということを考える場合に、あらかじめ通勤圏というものを設定して、五十キロ圏とか百キロ圏とか、六十でも七十でも、適当なところを設定して、それ以内ならば政府は責任をもって通勤交通施設をつくるけれども、それ以外はつくらないということをはっきりすべきではないかと思うのです。そうして、たとえば団地をつくる場合もそれ以内につくる。こういうことをしないと、だんだん遠くへ、土地の安いところを求めて団地ができる。そうすると中心に来れば来るほど混雑して、にっちもさっちもいかなくなる。現在複線化の問題が出ておりますけれども、これは立ちのきの問題にしても、土地の問題にしてもなかなか解決しない、こういう政策が必要かと思いますけれども、これはいかがですか。
#241
○政府委員(小林忠雄君) ただいま御指摘のスプロールの現象でございますが、これは平面的に都市が外側にどんどん拡大していく、そのことが交通その他の都市施設の整備との間に非常な不均衡を生ずるということが問題になったわけでございます。そこで数年前に都市計画法が改正されました際に、市街化調整区域という制度をつくりまして、市街化区域につきましては、原則として十年以内に市街化をする。そのための公共施設の整備は公共団体が責任をもって行なう。しかし市街化調整区域につきましては、原則として市街化を抑制する、こういう制度をつくったわけでございます。
 これにからみまして、市街化区域内の宅地並み課税等の問題がいろいろございまして、その線引きそのものがかなり難航したわけでございますが、現在首都圏五十キロ圏につきましては、全部線引きが完了いたしておりまして、市街化調整区域について、不動産業者その他が相当土地を手当てして開発の要望が強いわけでございますが、各県知事とも法律の趣旨にのっとりまして、市街化調整区域については現在開発を許しておりません。そういう意味で、ただいま御指摘の点についてある程度の施策がなされているのではないかと思います。
 それから市街化区域の中につきましても、政令で定める規模以上の大団地の開発につきましては、道路、鉄道等による輸送の便からみて支障がないと認められるという場合でなければ許可をしてはいけないということになっておりまして、これは政令によって四十ヘクタール以上の団地開発については、輸送当局と協議をした後でなければ、知事が開発許可をしないというたてまえになっているわけでございます。これがまあ逆に申しますと、首都圏の近隣三県におきまして、団地お断わりその他の問題が出てきて、住宅政策上は、非常に別の意味で困っておるわけでございますが、しかしスプロールを抑制するという点におきましては、相当な効果を発揮しているのではないかと思っております。
#242
○田渕哲也君 それから都市交通政策で、その基本的な第三点は、現在はあとから追っかけているわけですね。これはやっぱり先行投資的に考えなければならないと思うのです。東京ではもうすでに、首都圏では手おくれかもわかりませんけれども、あらかじめ通勤圏を設定して、あるいは住宅圏というものを設定して、先行投資で交通機関をつくる、それからあとにその周辺に団地ができるというのが理想だと思うのですね。現在は団地をどんどんつくったあとで複線化をやったり線路を延ばしたりしなければならない。こういう点がこれから基本的に考えていかなければ、とうていこの大都市交通というものを円滑にすることはできないと思うのですが、それはいかがですか。
#243
○政府委員(原田昇左右君) 大都市交通では、御承知のように、最大の問題は通勤通学輸送の混雑緩和の問題でございますが、これに対しまして、現在の輸送機関の能力が、人口の大都市集中に伴いましてなかなか追いつかない状況でございます。したがって混雑緩和という点から申しますと、私どもは先行的に整備するよりは、むしろ現在の混雑を何とかして解決する方策はないかということで、複々線化あるいは三複線化等を進め、また車両の増結、車両運転間隔の短縮といったような対策に追われておるわけでございますが、御指摘のとおり、新しく大規模な団地等を開発する必要も今後さらに出てまいりますので、そういった場合には、輸送と団地を一体として整備するという観点から、輸送力の先行整備ということを、私どもとしては推進してまいりたいと考えております。
#244
○田渕哲也君 それから、この大都市交通のあり方として、いわゆるマイカー締め出し、大量交通機関優先というのが最近の課題になっておると思います。私はこれを否定するものではありませんけれども、もう少しこの問題を深く考えてみる必要があるのではなかろうか。
 といいますのは、現在の大都市というのはやっぱり何といっても過度の過密集中になっておるわけです。それでなぜこういう過密集中があらわれたかというと、やはり企業の利益、集中の利益というものを享受するために集まってくる。そうすると会社ができただけでなくて、それに必要な労働力が必要である。ところが住宅は近くに土地がないから建たないけれども、ずうっとまわりの遠くに住宅を建てなければならない。それを運ぶための必要性というものが出てくるわけですね。それでマイカー締め出し、大量交通機関優先ということも、効率の面から見ればそのとおりですけれども、一歩、居住性とか快適性とかいう面から見た場合に、これはきわめて問題がある。
 どういうことかというと、結局企業の利益のために労働者が犠牲になって、できるだけ低コストで悪条件の中で運搬をして、必要な労働力を調達する、これがいまの都市周辺の大量公共輸送のあり方ではないかと思うのです。したがって私は、だから大量公共輸送機関優先がいけないというわけではありません。もっと大量公共輸送機関の質の向上を考えるべきではなかろうか。すし詰めで、冷房も完備してない中で長時間立ちどおしで通わなければならないという悪条件を労働者にしいておる状態を改善すべきではなかろうかと思うのです。もちろんそれを改善するためには多額の費用が要るかもわかりません。その費用はどうすればいいかというと、やはり集中の利益を受けておる企業から出させればいいと思うのです。先ほど首都圏整備委員会のほうから事業所に対する課税の問題、これは集中排除の観点から言われましたけれども、私はこの交通機関の質的向上をはかるためにも、その利益を受けておる企業からそれを取るべきではなかろうかと思うわけです。この点はどう思われますか。
#245
○政府委員(原田昇左右君) 全く御指摘のとおりでございまして、前向きにそういう方向に沿って考えていきたいと思います。
#246
○田渕哲也君 それは具体的にはどういうことになるか。結局、都市交通機関を整備するための税制とか、そういうものを考えるという意味ですか。
#247
○国務大臣(新谷寅三郎君) おっしゃるとおりだと思うのです。ただ、いまマイカーを締め出すとか、締め出さぬとかいう問題につきましては、いろいろの意見がありまして、政府内でもまだまとまったものはでき上がっておりません。しかし一人が一台ずつ車を動かしておりまして、いまの道路にもおのずから限度がありますから、この公共の輸送ということになりますと、マイカーも、程度を越えていまのような状態でどんどんふえていくということについては、何らかの政策をここでとらなきやならぬという意見は有力でございます。その反面において、もしそれを実行するとなると、おっしゃるように、大量公共輸送機関をもっと市民が快適に利用できるような対策を並行してやらないと、ただ締め出すというだけでは、政策としてはあまりにも貧困になると思うのです。
 でございますから、もしもそういうことが行なわれるとすれば、たとえば国鉄でございますとか民鉄でございますとか、あるいはバスでありますとか、そういったような大量公共輸送機関の利用を市民が期待するように、まあ設備も変えるし、あるいはスピードなんかにつきましても、いまのようなバスでございますと、とうてい利用ができないということですから、従来から唱えられております、たとえば専用レーンとかいうようなものにつきましても、それが所期のとおりに効果をあげられるように、これはあらゆる方法を講じなきゃならぬ。これはもちろん運輸省だけでできることではございませんで、関係各省と協力しなければできませんけれども、そういった問題も並行いたしまして考えながら、この問題に対処しようということで、おそらくいま関係各省の間で、いろいろ具体的に話が進んでおるのじゃないかと思います。いまの御質問に対して、大体その程度のところでございます。
#248
○田渕哲也君 事情所に対して、そういう課税をして徴収するという問題と同時に、私は通勤費の会社負担という問題があると思うのです。今度の案によりましても、かなりの値上げになります。その分が労働者の負担になるというのは、やっぱり納得がいかない。それからもう一つ、現在山手線にしても京浜東北線にしても、一応黒字かもわかりませんけれども、将来どんどん投資をやっていれば、とうてい採算がとれないと思うのですね。そうすると、その分の赤字をまた全般に割りがけして地方の人に負担させるとか、あるいは一般的な国民の税金で負担するというのも、私は不合理だと思うのです。したがって、それは当然この通勤費の値上げになるか、別のかっこうで取らなければならない。この場合、通勤費の負担ということですけれども、これは企業が負担するなら問題がないと思うのですね。企業は集積の利益を得るために集まってきているわけですから、それだけの労働者を集めるためのコストがかかるのは、企業が負担するなら問題はない。ところが現在は、全額企業負担にはなっていないと思うんですね。この状況はどうなっているか、労働省にお伺いをしたいと思います。
#249
○説明員(小林哉也雄君) お答えいたします。
 現在企業で通勤費に関しまして何らかの形で支給をいたしております企業が全体の八九・二%、約九割になっております。そのうち全額を支給しているもの、約九割の事業所のうち全額を支給しているものが四六・九%、約四七%でございます。残りの企業は何らかの形で一部制限とかそういう形をとっております。
#250
○田渕哲也君 したがって、このようにどんどん通勤費が上がってくるという現状では、私は少なくとも大都市の企業については全額通勤費企業負担制というのを採用したらどうか、こう思うわけですけれども、この点はいかがですか。
#251
○説明員(小林哉也雄君) 通勤手当は、現実におきましては、あくまで賃金の一項目として支給去れているのが実情でございます。
  〔委員長退席、理事江藤智君着席〕通勤手当をどのように支給するかというものは、あくまで賃金制度の問題でございます。通勤手当を含めまして賃金をどうするか、あるいはその配分をどういうふうにいたすかというのは、あくまで労使が自主的にきめるというのがたてまえになっております。したがいまして、私どもといたしましては、労使がその事業の労働者の通勤状況、そういう実情をよく勘案いたしまして合理的にきめられるというのを期待しているわけでございます。しかし実態について見てまいりますと、先ほど申しましたのは四十七年の数字でございますけれども、数年前に同じような調査がございましたけれども、その当時全額支給が約四割そこそこ、最近は先ほど申し上げましたとおり四七%というふうに、徐々ではありますけれども、全額支給が大体先生御指摘の方向で進んでいるというふうに見ております。
#252
○田渕哲也君 一般的には賃金課長の言われたとおりだと思いますけれども、大都市交通という観点から見れば、これはもう少し別の観点から考える必要があるのではなかろうか。やはり大都市交通に必要な資金調達とか、そういうことを考えなければならないわけですね。それが国鉄の場合なら全般の赤字に割りがけされるというようなことでは、どうもおかしいと思います。それから一般的な税金から調達するのもおかしい。そうすると、やっぱり大都市にあって利益を享受しておる企業負担にすべきではないか。そうすると、通勤費を全額企業負担制にするというのは当然ではないかと思うんですがね。
#253
○政府委員(秋富公正君) その点、まさに御指摘のとおりでございまして、私たちといたしましても現在通勤の割引率は五三・一%でございます。法定限度は御承知の五〇%でございますが、今回の御審議いただいております改正案におきましては、これを五二・一%まで一%さらに国鉄の負担単を下げるという方向にいっております。現在まで二十キロまでは通勤定期は法定の五〇%までの割引にしておるわけでございますが、今回御審議いただいております運賃法におきましては二十一キロから二十五キロまでも五〇%の割引率に是正するというふうにいたしております。
#254
○田渕哲也君 私が言っておるのは、そのようにだんだん上がってくるわけですね。これは社会的に負担すべきものをだんだんなくしてきている。社会政策上いままで負担してきた分をなくしてきているわけです。そのなくしてきた分を労働者に肩がわりするのはいけない。肩がわりするんなら企業に肩がわりをすべきではないか。だから、これは労働省の問題かもしれませんけれども、運輸省として、そういうことを閣議の中でも出していただいて、それで通勤の割引率はこのようにするけれども全部企業全額負担制を採用しろというようなことをやっていただくべきではなかろうかと思うわけですが、大臣はどう思われますか。
#255
○国務大臣(新谷寅三郎君) 御意見だと思いますが、これは十分検討さしていただきます。
#256
○田渕哲也君 これは先ほどの質的向上の問題とも関係があると思うんです。先ほど三木委員の御答弁の中で、現在冷房化率は二四%であるけれども十年計画で一〇〇%にするということを言われておりますね。私は十年もかかるというのはおそ過ぎると思うんです。現在の通勤の冷房のない状況を見たらまさに非人間的状態で、限度を越えておると思うのです。それを十年も待てというのはちょっと酷ではなかろうか。だからせめてこれをもっとスピードアップしてもらいたい。その資金はどうすればいいかというと、先ほど言った事業所から何か税金で取るか、あるいは通勤費をもっと上げても企業負担にするか、そういう方法を講じるべきではなかろうかと思うんです。この点どう考えられますか。
#257
○国務大臣(新谷寅三郎君) 先ほど三木先生にお答えしたのは、私のところへ出してきた資料によりまして、十年後にはどうなるかというので、十年後の状況を御報告したんです。十年かかるかどうかということにつきましては、これはあるいは鉄監局長から国鉄なり民鉄の関係等について、さらに御説明をさせます。
#258
○政府委員(秋富公正君) まず国鉄について申し上げますが、現在大都市における国鉄の冷房化率は、率直に申しまして私鉄に対しまして劣っているわけでございますが、本年度より冷房化を一段と促進してまいりまして、前半の五十二年度におきましては五五%にいたしまして、再建計画の最終年度におきましては、先ほど大臣申しましたように一〇〇%冷房化するという予定でございます。
 それから大手私鉄の冷房化でございますが、これは四十六年度末におきましては一六・二%でございます。で、これにつきましては現在の第四次五カ年計画におきまして、大手私鉄におきましては五十一年度末に四九・二%にする。また、これに対しましては、運輸省といたしましても大手私鉄の冷房化の促進のために開発銀行の融資いわゆる冷房化工事を新しく特利の対象工事にいたしまして促進をはかっておる次第でございます。
#259
○田渕哲也君 私が申し上げておるのはそのテンポをもっと速めてほしいということなんです。それから冷房だけじゃなくて暖房も必ずしも十分とは言えないと思います。たとえば京浜東北線にしても長いいすがありますね。暖房のきいているのはまん中の一カ所だけなんです、すわったときにあったかいのは。ほかのところにすわると冷たいんです。だからすべてについて居住性というのはきわめてお粗末な状態のまま放置されているわけです。だからこういう点について、もっと配慮できないだろうか。財政的な問題が原因ならば、先ほど言ったような措置を考えられないだろうかということを申し上げておるわけです。これについて、考え方を聞かしていただきたい。
#260
○説明員(磯崎叡君) 冷房はいま運輸省から言われましたように、一応私どもの計画では昭和五十七年度に一〇〇%ということになっております。いろいろな非常に社会生活の高度化もございますので、これはもう少し実情を見ました上で繰り上げる必要があれば繰り上げたいというふうに思っております。
 暖房の御質問がございましたが、全部各車両には一応つけてございます。ただ混雑時には非常に温度が上がりますので、一つおきにつけておるそうでございます。端のほうでもちゃんと設備があるそうでございますが、実際つけてるのはラッシュアワーだけは一つおきだというふうな指導をしておるそうでございます。
#261
○田渕哲也君 それから混雑率の問題ですが、先ほど三木委員に対する答弁では、何%ですか、目標は。一九〇%と言われたと思いますが、現在が二〇〇%ちょっとこえているぐらいでしょう。それが一九〇というのはあまり改善されないということですね。どうですか。
#262
○政府委員(秋富公正君) 現在国鉄の平均混雑率が二五〇でございまして、これを一九〇%にするという計画でございます。
#263
○田渕哲也君 昨年のこの審議会の答申では、六十年の目標で一五〇%ということが出ておるわけですけれども、これとの関連はどうなんですか。
#264
○政府委員(原田昇左右君) 一五〇%を目標にしたいということでございますが、そこにございますように、現在二十二本でプラス十二本の新線の建設をした段階では必ずしも一五〇にならないというように出ておると思いますが、一応われわれとしては目標として一五〇にしたいと、しかし首都交通圏で人口を二千九百万の前提といたしますと、必ずしもそこには到達できないというような形になっております。
#265
○田渕哲也君 そこで私は、最初の大都市に対する投資計画が過小ではないかと申し上げたい点があると思うんですね。やはり昭和六十年、もう少しこれ改善してほしいと思うんです。できないならその大都市交通に対する投資額をふやしてでも、それをやるべきではなかろうかと思うんですが、投資額そのものが、まだ決定されたものではないと言われましたけれども、決定されたものでないならば、もっとこれをふやして、もっとスピードアップをして、少なくとも十年後には一五〇%ぐらいの混雑率になるようにできないことはないと思うんですが、これはいかがですか。
#266
○政府委員(秋富公正君) 先ほども申し上げましたように、国鉄の七千億といいますものは未確定でございますが、私鉄におきましては第四次五カ年計画におきまして、五十一年度までに七千百億投入いたしまして、私鉄におきましては五十一年度の混雑率を一八〇%に持っていくということであります。それから地下鉄でございますが、東京、大阪、名古屋で一兆円、やはり四十八年度からの五カ年間に投入するという計画でございます。それからこれ以外に先ほどございました新しいD線というものをやはり建設していくべきではないか、これによりまして国鉄の在来線の輸送力の増強の限度がございます。あるいは私鉄の輸送力の限度、こういったものを補完する意味におきまして、新しい大都市交通線というものを建設いたしまして、こういったものを相補完いたしまして、都市交通審議会におきまして指示いたしました一五〇%という目標に持っていきたいというふうに思っておりまして、五十二年度までの計画、これは大手私鉄、それから地下鉄につきましては具体的に詰めてきた数字でございます。
#267
○田渕哲也君 まあ、いろいろこれ理屈はあるでしょうけれども、今回の運賃値上げが国民に不評なというところはこういう点にあると思うんですね。運賃ばかりどんどん上がる、定期も上がる。それも会社負担してくれるなら自分は痛くないけれども、会社負担でないところもある。それにもかかわらず混雑はいつまでたっても解消できないし、冷房もなかなか進まない。これでは感情的になかなか納得できないと思うんですよ。だから運賃を上げるとか、そういう点するなら、サービスの面でももっと考えるべきではなかろうか、もっとスピードアップして居住性もよくするべきではなかろうか。そういう面を考えた場合にやっぱり非常に不親切な計画だと思うんですよ。これだけ運賃も上げ、通勤定期も上げるんなら、これだけのことをしますということがなければなかなか納得できないと思うんです。ただ単に赤字だから上げるんだというだけでは感情的に納得できるものじゃないと思います。だからこういう点について、もう少し配慮をしてもらいたいと思いますけれども、大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。
#268
○国務大臣(新谷寅三郎君) 先ほど三木先生にもお答えしておったんですけれども、いまおっしゃることはごもっともでございます。実は私も全体の総合交通体系の中でまず一番力を入れてやらなきゃならぬことは何かということについていろいろ検討いたしましたが、大都市圏における交通政策をもっと内容的に充実しようということを一つの基本的な目標にいたしまして、先ほどもちょっと御披露いたしましたが、国鉄だけじゃございません、あらゆる交通機関につきまして総合的に、抽象論ではなしに、具体的に計画を立てるようにということを関係当局に指示をいたしておりまして、いま作業中でございます。方向としてはおっしゃるようなことを考えながら、今後具体的な計画を打ち出しまして、四十九年度の予算編成にあたりましては、計画のある部分を実現するような予算を出したい、こう思っていま努力をしているわけでございます。
#269
○田渕哲也君 次に国鉄の合理化の問題についてお伺いをしたいと思いますけれども、外国の鉄道もやはり同じような問題をかかえておるわけですけれども、ただ外国の鉄道に比べて言えることは、日本の場合には合理化が非常におくれておるのではなかろうかと思うのです。これはこまかな点はなかなか私もわかりませんけれども、大ざっぱに見てイギリス、ドイツ、フランス、それと日本と比べてみますと、まず営業キロの短縮というものを英、独、仏ではやっておるわけです。大体この二、三十年ぐらいに英、独、仏においては営業キロは従来の半分あるいは三分の二ぐらいに短縮されております。これは鉄道がその役割りを十分に果たし得なくなったと、いわゆる赤字路線、赤字ローカル線、そういったところの整理縮小だと思うのです。それに比べますと日本の場合には営業キロは二〇%ほどアップされております、この三十年ぐらいに。それから人員はどうかというと、先ほどあげた国では大体半分、三十年ぐらいの間に半分に人員が減っております。日本の場合には逆に二倍にふえております。この辺の理由はどこにあるのか、お伺いをしたいと思います。
#270
○説明員(磯崎叡君) まず物的な面で営業キロ、これによって大体代表されると思いますが、営業キロにつきまして英、独、仏は非常に縮減いたしております。これはたとえば耕地面積その他あたりの鉄道の普及率などから申しますと、やはり日本よりも英、独、仏のほうが相当歴史も古いせいでございますか、密度が高い。と同時に、自動車の発達が非常に多いので、結局鉄道の要らなくなった可能性が強かったというふうな意味で、実はドイツのレーバー運輸相が見えましたときに、じかにいろいろお話を承りましたけれども、数字的に見ましても日本の耕地面積あたりの普及率から見ますと、非常にヨーロッパのほうが密度が高いわけでございます。その意味で、わりあいに簡単ではないようでございますが、相当思い切って営業を縮減したということだったと存じます。したがいまして、営業を縮減すれば当然人員が減ってくるわけでございますが、たとえばイギリスが五十五万が二十七万になったというのは、これはいろいろな人員の計算のしかたがあるようでございまして、たとえば何と申しますか、外に委託してしまうとか、あるいはノンレギュラーと申しますか、そういうふうにしてしまう、いろいろな仕事のやり方でもって頭数を減らしていくというふうなやり方もあるようでございますが、しかし、やはり要は合理化、近代化に尽きるというふうに思います。
 私のほうの営業キロがほとんど減っておりませんのは、これは御承知のとおり、この間に新幹線の開業が約五百キロございます。
  〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
これを除きますと、大体毎年できます新線の程度でございますが、やはりよその国では新線建設はもう全然やっておりません。その違い、それから新幹線の違い、まあこの二つではないかと存じます。したがいまして、人員のほうも三十五年と比較いたしまして現在四十四万台と下がっておりますが、ほとんど横ばいであるということにつきましては、やはりその後のたとえば勤務時間の問題、いわゆる四十八時間労働から四十五時間労働になったとか、そういう勤務時間の問題が一番大きな問題である。あとやっておりますことはそう外国と私どもとは違っておりませんで、たとえば閑散線を無人化するとか、あるいは貨物を集約するとか、大体同じことをやっておりますが、やはり問題は勤務体制、労働条件の本質的な違いがあって、そしてその間イギリス、ドイツ、フランスにおきましては、あまりそれの改善がなかった、改善と申しますか、すでにそういうふうになっていたということではなかったかと存じます。
 まあ以上のことによりまして、営業キロ、職員数、合理化としては日本は非常におくれているということでございますが、結果的にそれじゃ一人当たりの輸送の人トンキロなどから見ますと、これは決して比較いたしまして、そう外国に劣るものだとは私は考えておりません。収入の面は非常に換算のしかたがございますが、輸送量から申しますと、人トンキロから申しますと、日本の人トンキロは相当多うございます。しかし、これも今度外国に言わせますと、おまえのところは非常にラッシュがきびしいじゃないか、それとおれのところと違うのだとよく申しますので、なかなか一律には申し上げられませんが、結果の数字だけ見ますと、職員一人当たりの輸送量から申しますと、そう劣ったものではない。結局英独仏等におきましては、非常に輸送密度の低い鉄道が、ことに昭和三十年代になって思い切って廃止されたということの結果ではないかというふうに考えます。
#271
○田渕哲也君 それから輸送シェアの比較ですけれども、日本の場合には、ここ十年間ぐらいをとりましても、旅客の場合で一九六〇年で五一%のシェアを持っておったのが、七〇年では三二%と激減しております。西ドイツの場合を見てみますと、大体この間四五%前後で横ばいである。それから貨物については三九%が一八%、半分以下に減っておるわけですね。これも西ドイツをとってみますと四六%前後で横ばい。この差はどこにあるとお考えですか。
#272
○説明員(磯崎叡君) これも若干、英、独、仏によって少し事情が違うようですが、まず旅客のほうから申し上げますと、すでに西ドイツにおきましては、戦争中からアウトバーンが非常に発達いたしておりまして、自動車の進歩というものは日本と二十五年ぐらいのギャップがあるわけでございます。したがって自動車の影響はもうすでに受けてしまった、そうして、その比較の年次から申しますと、影響後の鉄道利用者に落ちついたところの数字と現在の比較になっているというふうに考えます。基準年次に直すときに、もう先生よく御承知でございますが、すでにヨーロッパにおきましては、自動車の保有数が非常に日本と比較にならないほど当時ふえておるということではないかというふうに考えます。
 それから貨物のほうでは、これも多少事情が英独仏によって違いますが、一番大きな理由は、イギリス及びドイツにおきましては、ほとんど石炭産業の影響がそれほどない。ことにイギリスにおきましては、製鉄業は相変わらず山の中にある。あるいはそのほかの重要産業も日本と違いまして、非常に古い時代の産業配置のままである。またドイツにおきましては、ほとんどやはり石炭の出炭が減ってないというふうなことで、費目別に見ますと、英、独、仏と比較いたしまして、日本の鉄道の一番大きく変わったのは石炭の減でございます。そういう意味におきまして、全体のトン数のシェアから見ますと、非常に日本が落ちております。もう一つは、やはり自動車の発達が向こうのほうが早かったということで、基準年次の取り方で非常に大きな違いが出てくるというふうな概数、概観的な見方をしております。
#273
○田渕哲也君 それから日本の場合、特に貨物が問題視されているわけですけれども、貨物に対する設備投資というものがいままで少なかったのではなかろうか、旅客優先ではなかったのだろうか。これはこの数字を見ましても、大体旅客の投資額の半分ぐらいしか貨物には投資していない、この点はどうですか。
#274
○説明員(磯崎叡君) 私どもで実際設備投資を始めましたのは昭和三十二年からの第一次五カ年計画からが初めてでございますが、第一次は非常に規模が小さいものでございますが、第二次以降は、第二次の五カ年計画の中には東海道新幹線が入っております。それから第三次は、これは客貨両用でございますが、在来線の複線電化をやりました。それと同時に第三次には、先ほど申しました通勤輸送に非常に大きな金を入れております。そういう意味で、昭和三十年代の中ごろから現在までにかけまして、旅客輸送、ことに都市間の旅客輸送並びに通勤輸送に対する投資が非常に大きかったために、貨物に実は、率直に申しますれば手が回らなかったというふうなことが言えると存じます。したがって、ごらんのとおり、結果的に見ますと貨物輸送に対する設備投資が非常におくれているという意味で、昭和四十四年代以降の貨物輸送の伸びがほとんどない、石炭の減を補うのがやっとであったというふうに申し上げられると思います。
#275
○田渕哲也君 それから再建計画では、十一万人の人員削減ということを出しておられますけれども、この削減の要員といいますか、いまの仕事そのものは変えずに合理化によって削減するのか、あるいは事業というものを若干整理縮小して削減するのか。どういう要員で、どれが、どの部分ぐらいになるかということをお聞きしたいと思います。
#276
○説明員(磯崎叡君) 十一万人の中で、先ほどもちょっと申し上げましたが、すでに三万人ほどは実施済みでございますので、残りは七万強でございます。
 この内容でございますが、先ほども申し上げましたが、初めから十一万人を減らすというふうな数字が出てきたのじゃなくて、各系統別に大体こういう仕事をこういうふうにしよう、あるいはこれだけの設備投資をしようというような、ごくラフなプランをつくりまして、そうしてその結果十一万人ぐらいの人が減らせるだろうというふうなやり方でいたしております。いわゆる合理化の初めのころは、むしろ仕事の外注とか、あるいは切り捨てとかいうふうな面が多かったわけでございますが、今度の計画、すなわち三年前からやっております現計画の中身にいたしましては、むしろ設備投資による人員の削減あるいは管理部門の徹底的縮減というふうなことに重点を置いているわけでございます。たとえば、一番人が減りますのはCTCとか、あるいは自動信号機とかいうことで、保安度を高めながら一方人が要らなくなっていくというふうな設備投資、いままであまり複線区間のCTCなどをやっておりませんでしたが、最近自信がつきましたのでそういうものもやる。
 あるいは一番問題になっております私のほうの労務獲得の困難な操車場におきます連結手の作業を思い切って機械化するということで、いままではそういうヤードの機械化と申しますのは、初めから新設のヤードでなければできなかったということで、いま国鉄にありますヤード、郡山のヤードなどが典型的な自動化といわれておりますが、これはほとんど新設に近いものでございます。その後いろいろ研究いたしまして、そうでなしに、現在ある三百三十くらいの大きなヤードにつきまして、現在仕事をしながらこれを自動化するということにおおむね自信ができまして、最近、吹田の操車場に手をつけるというふうなことをいたしておりますが、これによりまして相当大幅な危険作業がなくなるということでございます。
 あるいは保線、電気等につきましては、線路そのものを初めから手のかからない線路をつくる。いままでは手作業で直しておったものを、機械化で――やはりやり方を機械にするというだけであったものを、もう今後は手を入れないで済む線路を初めからつくるというふうなように、考え方を変えてきたわけでございます。その他いろいろございますが、思い切ってやりたいと申しますのが、そのほかに管理部門の縮減を――とかく管理部門というのは人がふえやすいところでございます。これは思い切って、大体半分ぐらいに目標を置きまして減らしてまいりたいというふうに思っておりますが、これは仕事の切り捨て等の面もございますれば、あるいはコンピューター等によるところの機械化、近代化等のやり方もあるわけでございます。
 以上、大ざっぱに約十一万人の内容を申し上げましたが、これは系統別に相当こまかく積み上げておりますが、ただこれの実施につきましては、実はこれはほとんど労働条件の問題になってまいります。したがって、必ず組合との団体交渉を伴うわけでございますので、いままでのやり方といたしましては、たとえば本年度なら本年度、大体年度初めごろに、組合と、ことしはこれとこれとこれをやろうという提案をいたします。それによって本社と本部の間でいろいろ折衝いたしまして、いろいろ条件が出てまいります。その条件等を十分検討した上で、それじゃこういうことでことしはいこうじゃないかというふうな、年度当初に年度計画を労使でつくりまして、それを現場でもって実施に移す、そういうやり方をいたしておりますので、どれが先になる、どれがあとになるということは、なかなか申し上げかねますが、毎年組合との間で具体的な項目について折衝して実施に移していく、こういうやり方で十カ年計画でもって計画した程度の数字は減員できるというふうに考えている次第であります。
#277
○田渕哲也君 それから定年延長と週休二日制は、大体時代の流れだと思いますけれども、そういう要求は織り込み済みで十一万人の計画を立てているわけですか。
#278
○説明員(磯崎叡君) この点は、週休二日制のほうは、ぜひ私は一般並みに実施いたしたいと考えております。私のほうでは約一時間で一万人人が要ります。いわゆるシフト制の仕事をいたしておりますので、机の上の勤務と違いまして、一日休みをふやしますれば、それだけ人が大体ふえるということで、一時間で一万人というのが概略でございます。そうすると、いま四十五時間でございますが、これを四十時間にしなければならぬわけです、週休二日でございますから。それを四十二時間のワンステップを置きまして、それから四十時間というふうに考えておりますが、四十二時間のワンステップをなるべく昭和五十年ごろまでには実施いたしたいということで、ことしから徐々にいま折衝を始めておるわけでございます。したがって、この週休二日のほうの問題は、世間さまより多少おくれますけれども、この計画期間中にはやってしまいたいというふうに考えております。
 しかし一方、定年延長のほうは、これは非常に困難でございまして、私のほうは現在十一万人の合理化という、その出どころはやはり毎年の減耗人員でございます。毎年現在では一万から一万二、三千の人がやめますが、その人たちのあと埋めのしかたによって人が減ってくるわけでございますけれども、定年をかりに一年延ばすということは、それだけ減耗が減ってくるわけでございます。私のほうでは、残念ながら、定年延長は当分いたさないということで、いまの五十五歳ということを当分の間推し進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。これはいろいろ組合との間でも定年延長の話もございますが、私どもといたしまして、現在毎年年度末に五十五になったからやめないかという退職の勧奨をいたしております。いまのところわりあいに勧奨に応じてくれまして、四十四万の中で現在五十五歳をこしている者は千人ぐらいしかおりません。でありますので、大体やれると思っておりますが、なかなか今後、よそさまがどんどん定年延長されますと、非常にむずかしくなると思いますが、しかし、この計画の中で定年延長することは、ほとんど計画を御破算にするにひとしいのでございまして、ぜひとも定年延長はやらないでやっていきたい、そのかわり週休二日制はぜひ実施したいというふうな考え方でおるわけでございます。
#279
○田渕哲也君 現在は定年制というのはあるわけですか。
#280
○説明員(磯崎叡君) 正式な労働協約はございません、慣行上五十五歳でございます。
#281
○田渕哲也君 そうすると、労働協約ではないけれども、説得して無理やりやめさせるということですか。
#282
○説明員(磯崎叡君) 勧奨と申しておりますが、そういうことでございます。
#283
○田渕哲也君 世間の定年が現在では五十五歳が大体五十七歳ぐらいに延びる傾向があります。それから平均年齢がどんどん伸びておりますから、近いうちにこれは六十歳ぐらいになるおそれがある。再建計画は十カ年計画ですから、十年の間にかなりの変化があるだろうと思います。だから、それを全然考えないで五十五歳で押し通せるというのは、ちょっと見通しとしては問題ではなかろうかと思いますが、いかがですか。
#284
○説明員(磯崎叡君) 確かに問題はあると存じます。しかし一方、私のほうといたしましても、現在の年齢構成がどの企業にもその類例を見ないほど非常に高年齢化いたしております。年齢別で申しましても四十歳以上の年齢の者が非常に多い。たとえばことし現在で申しますれば、四十歳以上の者が実に六〇%おります。それからこれが五十七年になりましても四十歳以上が四六%でございます。したがいまして、この非常に多い老齢者をかかえまして、それでさらに定年を延長するということは、ほとんど企業経営を不可能にするということになります。かりにこれが六十年度までになりますと、わりあいにほかの企業と同じように、大体四十歳以上が三四%、四十五歳以上が二一%ということで大体形はよくなりますが、いまの年齢別のこの形は非常に異例な形でございます。ほとんど日本のどの企業にもこういう異例な形はないといわれております。それだけは何とかいたしませんと、将来の企業運営にも非常に大きな影響を来たしてまいりますので、やはり五十五歳という定年は維持してまいりたいというふうに考えております。
#285
○田渕哲也君 他の企業ですね、特に関連の深い私鉄との比較において、平均賃金、平均年齢の比較はどうなっておりますか。
#286
○説明員(加賀谷徳治君) ただいまの御質問の詳細な資料はないのでございますが、平均年齢で申しまして、私鉄が大体三十四・八歳、それから国鉄の場合には三十九・六歳ということになっておりまして、賃金の比較がこれはむずかしいのですが、一応基準賃金といったようなもので見ますと、今度のベアをやりましたあとの姿が、私鉄が約九万円をこえる、国鉄の場合は十万円をこすということで、金額の面ではあれでございますが、平均年齢がこれだけ違っておりますから、比較としましては大体ちょぼちょぼといいますか、そういうような感じでなかろうかと思います。
#287
○田渕哲也君 いまの御答弁によりましても、平均年齢は大体五歳ぐらい高くて、賃金ベースで一万円ぐらい違うということですから、いまの日本のような年功賃金でいうと、それほど国鉄が高いとは言えないと思います。高いとは言えないけれども、平均年齢が高いから賃金コストとしては高くつく、これが月一万高ければ、国鉄の従業員四十五万ですか、そうすると、月四十五億円違うわけですね。年間にしますと、これだけで大体五百億か六百億ぐらいの差が出る。だからこういう年齢構成上の体質を何かこれは解決策を早く考えないと、年間五ないし六百億の賃金コストの差が出るわけですから、これはどうしようもないと思いますが、これに対する対策は何か考えておられるわけですか。
#288
○説明員(磯崎叡君) 一番これはむずかしい問題でございまして、私どもといたしましても、いわゆる首を切るということは一切しないということを前提として考えております。そういたしますと、結局先ほどの五十五歳の問題を一応おきまして、かりに定年が五十五といたしましても、相当まだ毎年毎年の人件費の実額のアップ率は非常に高い、率は同じでございますが、実額が非常に高いということで、数百億の毎年の自然増収をほとんどベースアップで食ってしまうということになるわけです。したがいまして、これにつきましていろいろ考えておりますが、なかなか名案はございません。私鉄のように非常に関連事業が多岐にわたっておりまして、そちらへ出向さすとかいう制度がわりあいに楽にとられておるところならばできますけれども、それも現在やっている程度のものでは、ほとんど出向はできないということになってまいりますと、大幅に、たとえば千人、二千人とまとまって外へ出すということはほとんど不可能に近いことではないかというふうに考えます。かといってベースアップを予想以下に押えることもこれもできませんので、しばらくの間はやはり定年制の維持いうことでもって逐次、この計画の終わったころからはよくなるということに目標を置きまして、人員の縮減につとめていくということで、ねらい撃ちで四十歳以上だけをやめさすというようなことは、よほど第二の就職先としていいところがない限り非常にむずかしいんじゃないか。一般の民間企業ならば、やはり関連事業にお出しになるというのが大体通例でございましょうが、なかなかそれができない、受け皿がほとんどないという現状でございまして、非常にその点は一番頭を悩ましている点でございます。
#289
○田渕哲也君 こういう点、非常に問題だと思いますが、いまの定年制の問題だけでは非常に消極的なやり方だと思うのですね。ことばをかえれば、一種の年寄り首切り制だと思うのです。これをもっと前向きに解決するために、事業範囲を拡大をして、国鉄がもっと他分野に手を出して、そちらへ配置転換をする、そして足りなくなった分は新規採用を増加する、こういうことが一つ考えられると思うのです。
 それからもう一つは、現在の賃金体系をもっと職務給化することが考えられないだろうか。もちろん日本の一つの社会慣行がありますから、欧米式の職務給化ということに一挙にするわけにいかなくても、比較的職務給的要素を強くするということはできるのではなかろうか、こういう点についてどう考えておられますか。
#290
○説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問の初めのいわゆる関連事業でございますが、これはっとにその必要性を感じましていろいろお願いしておったんでございますが、何せ法律の制度が非常にきびしくてなかなかできませんでした。やっと二、三年前から国鉄法第六条に基づく範囲を相当広げていただきまして、そして若干の付帯事業をやっておりますが、まだまだほんとうに緒についたばかりで、多数の職員を受け入れるだけの付帯事業をまだやっておりません。したがって将来、これはいま御指摘のとおり、若年退職の行き先として考えられる点でございますけれども、いまさしあたりすぐ千、二千という数を吸収するだけの付帯事業になっておりません。しかし、これはいずれもう少し拡張さしていただければそういう財源になるというふうに考えます。職務給につきましては加賀谷理事から……。
#291
○説明員(加賀谷徳治君) 御承知のように、私どもの企業の中には非常にたくさんの職種をかかえておりまして、一応勤続給の概念からじゃなくて、ある程度職務制度といったようなものを加味いたしまして、そういった姿はある程度表にあらわしているということは一応言えるかと思いますが、しかしいま先生のおっしゃるような意味から申しますと、まだ非常に不十分だと思います。賃金問題は組合とすべて話し合いの上できめていく、しかも組合によりましては、国労、鉄労といった総合的な職種を持つ組合、それからまた比較的職能別的な組合、動労あるいは施設労、そういったようなものがありまして、いろいろ利害が反する面かありまして、確かにいまおっしゃるように、職務給的な要望も一部にはあるというふうなこともありまして、いろいろ何といいますか、十一万人の合理化をやっていきます場合にも、合理化をやりますと、一つの問題についてやるわけでございますから、一つの職種に当たっていくというようなことになりまして、もちろんこれはギブ・アンド・テイクの関係でこの合理化問題は解決していくということになりまして、そのつどそのつど実は話をして、ある程度のそういった意味の改善と申しますか、そういったようなことはそのつど行なわれているという面もあるんだというふうに御理解願いたいと思います。
#292
○田渕哲也君 事業範囲の拡大は、これはなかなかむずかしいというお話でしたけれども、もう少しこれは積極的にやっていただける方法はないものでしょうか。というのは、国鉄の赤字の問題というのは、一つはこういう年齢構成が高いという点も原因となっておるわけですね。だからそれを放置したまま、赤字のしわ寄せで運賃値上げをされるというのはかなわないと思うんです。だから、この辺のところは、政府として、国鉄だけではなかなか解決できない問題ですから、政府として何らかの対策を出してもらわないと、必要以上の運賃値上げを国民がかぶらなければならない、こういうことになろうかと思います。この点いかがですか。
#293
○政府委員(秋富公正君) 御指摘のとおり、人件費に占める比率というのは非常に大きいものでございまして、ことにこのベースアップの改定が大きい際には特にその問題が顕著でございまして、この問題につきましては運輸省といたしましても、いろいろと一昨年、昨年と検討をしてきた問題でございます。ことに御指摘のような、いわば中ぶくれの四十歳以上の職員を五十五までにどこか他の企業に出す方法はできないか、あるいは一種の出向制というようなことはできないかというような問題も検討してみたのでございます。ただ国鉄という公共企業体と一般の民間企業との関係につきましては、いろいろと福祉関係等につきましても調整を要するような問題もございまして、出向制という問題、一部国鉄が給与を負担いたしまして出向させるというような問題もいろいろと検討したわけではございますが、なかなかそういう点がうまくいかない状態でございました。
 それから、いわば投資を拡大することによってそういう面に吸収できないかという面でございますが、一昨年の一月に政令を改正いたしまして、国鉄の投資対象事業を大幅に拡大したわけでございます。これに基づきまして、現在ターミナルにおきます旅客駅の設備、あるいはそれに伴ったいろいろの事業につきましても国鉄が新しく投資ができるようになったわけでございますが、こういった面におきましては、いわば土地の有効活用あるいは民間資金の導入による活用という面はできるわけでございますが、そこに国鉄の職員を導入するというような業種というのはなかなかむずかしくて、現在、私たちも大いに悩んでいる状態でございます。
 総裁が申しましたように、今後こういった投資事業がさらに根を張ってまいりますと、たとえば臨海鉄道につきましても、あるいはその他の関連事業におきましても相当吸収できるかと思いますが、まだ何ぶん緒についたばかりでございまして、現在までのところ十分そういった吸収ができないわけでございます。そうしていかなる業種が、四十代の国鉄職員を吸収できるような一体業種があるだろうか、こういう問題についての私たちといたしましても、いろいろと検討を重ねているところでございますが、現在までまだ十分な成案を得ていない状態であります。
#294
○田渕哲也君 私は、こういう問題がむずかしいのはわかりますけれども、問題は、これに対する政府の力の入れ方いかんだと思うのですね。むずかしいからといって消極的ならば、これはなかなか進まないと思うのです。最近個人でも脱サラとか何とかいって、四十過ぎれば職業をかえようかというようなことを言っている時代ですから、私は国鉄の職員でもほかに使って能力を発揮できる人がないとは思えないわけですよ。問題は、政府がその受け皿を積極的につくるかつくらないかの問題だと思うのです。だからその姿勢を改めるべきではなかろうかと思うのです。これに手をこまねいておって運賃値上げ運賃値上げではかなわないと思いますが、いかがでしょうか。
#295
○国務大臣(新谷寅三郎君) 国鉄職員の人員構成の問題は、国鉄総裁から申し上げたとおりで、非常に高年齢であるということが一つの大きな問題になっていることは事実でございますけれども、私はこう考えているのですが、国鉄職員のそういう状態でございますけれども、それをさばくためには、ことばは悪いのでございますけれども、さばくために投資事業をやってみたり、関連事業をやってみたりということは、これは私はあまり感心しないと思うのです。
 ただ国鉄の財政再建に役立つような問題であって、国鉄がいま持っておりますたとえば他に利用し得るものというと、一番しろうと目にもはっきりするのは土地でございましょうね。土地とか設備そういったものを他にも活用してもらって、それによって収益をあげていくということ、これが一番考えられる問題でございますけれども、そういった点については、具体的にその道が開かれておりまして、今日まで各地においてそういう土地を利用しての関連事業あるいは投資事業というのが行なわれているわけでございます。それについて非常に困難な問題ではございますけれども、できるだけ総裁も申しますように、そこに関係の従業員を吸収できればそれにこしたことはないと思うのですが、ただ結果的に見てみますと、国鉄の職員の給与はわりあいに民間企業に比べて高いようです。そういうことから、具体的な問題になってまいりますと、いまわれわれがいろいろ意図しましても、それが具体的には阻止されるような傾向にあるということでございまして、この点はもういろいろな条件が重なりあってなかなか困難な点かありますけれども、おっしゃる方向は私たちもできるだけそういった方面で国鉄の関連事業というものを拡張して、そこにできるだけの従業員も吸収できるような姿勢をとっていくということはこれは非常にけっこうだと思っております。
#296
○田渕哲也君 磯崎総裁は去年マル生運動が非常に問題になって以来、いろいろこういう論議が出ていたわけですけれども、生産性向上運動の再開ということ、それから機構の簡素化、学閥打破による人事刷新、乗客サービスの質的向上、こういうことをやると言われておりまして、その後これはどうなっておりますか。
#297
○説明員(磯崎叡君) まず生産性向上の運動でございますが、これはもう一昨年になりますが、いろいろ部内で問題を起こしまして、非常に申しわけなく、また残念に思っております。その後これの再開問題これは結局国鉄の再建に通ずる問題だというふうに考えております。私どもいろいろ考えました結果、やはり精神と財政というものはたての両面でなきゃいけないということで、何とか昨年の国会におきまして、この財政再建という問題を具体化していただく、それに伴ってわれわれの将来は働けば明るいんだというふうな確信をみんなに持たせなきゃいけないということで、昨年の予算委員会でお答えいたしましたことは、いま御審議願っている法案が通るころに、ひとつ私どもとしてももう一ぺん考えるということを申し上げたわけでございますが、不幸にしてああいう事態になりまして、ことしになったわけでございますが、今後とも私どもといたしましてはいわゆる生産性の向上あるいは国鉄再建運動、いろいろ名称はございます。必ずしも名称にこだわることはございませんが、そういう運動というものは単に運動だけの運動ではいけないので、運動して自分で一生懸命やれば実を結ぶんだという客観条件をつくってやらなければ、やはり単に運動のための運動に終わるというふうに思います。したがいまして、幸い現在御審議願っている法案が通していただけますれば、これはある意味の国鉄の将来に一つのあかりが出たというふうに考えます。そういたしますれば、そのあかりに向かってわれわれとしては全職員を引っぱってまいりたいというふうに考えておるわけでございますので、ただ、いままでといたしましてそういう全般的な大衆運動は一応やめておりますが、やはり問題は今後の管理者の問題だと考えております。やはり非常に地道な管理者に対して地道な再建教育と申しますか、国鉄のいろいろの実態を明らかにいたしまして、そして管理者がほんとうにしっかりとやってくれるような方向の教育をずっと地道に続けてまいったわけでございまして、したがいまして、それは今後、すぐ簡単には花を開かないかもしれませんが、これはいずれ管理者というものはしっかりして、そして現場の職員と一体になって再建問題を考えるという時期が必ず来るというふうな確信を持っております。
 それから機構の簡素化につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、相当いまいろいろやっております。本社、前の地方の支社、それから管理局、現場という四段階制をやめまして、本社、管理局、現場というきわめて簡素な形にいたしまして、しかも一方九州と北海道と四国につきましては、もう本社の権限をなるべく譲ってしまう、そして簡素な機構にするという意味で、九州総局、北海道総局、四国総局というものをつくりまして、総局長に相当の権限を委譲いたしております。すなわち国内を一つのまとまった組織にしないで、本州はいわば本社直轄にする、そして三つの島はもう総局長に相当思い切った権限をまかせるというふうな多様的な組織に変えたわけでございまして、現在そのまま運営いたしておりますが、それなりの効果はあがりつつあるというふうに考えております。
 今後、いろいろまだ問題はたくさんこれについてはございます。先ほどの御質問にありますとおり、管理部門の仕事そのものをやめてしまっていいものもありますれば、それを機械化するものもある、あるいは整理統合するものもあるということで、いろいろ具体的に考えております。ことに、たとえば新幹線の運営組織なんかになりますと、現在東京−岡山間を本社の中にあります新幹線総局一本でやっております。これが将来九州に延びるといった場合に、はたしてやれるのかどうかというようなことにつきましては相当むずかしい問題がいろいろございます。それと現在の管理局というようなものをどうするかというようなことなどもございまして、現在私の直属で責任者を置きまして、そういった機構問題を真剣に検討させている最中でございます。
 それからいわゆる学閥の打破問題につきましては、非常に国鉄が一塊の、一握りの学閥の左右するところになっているというふうにいわれておりますが、実際私ども見ますと、そういう御批判もあるかとも存じますが、いま私のほうでは極力、野に遺賢なからしむといいますか、組織的な登用ということを考えております。そして単にあの一人の人が、あの人がいいから上げるということではいけないので、やはり数代にわたってだれが見てもりっぱだという人を上に上げるという形にいたしたいということで、いわば人事の考課組織と申しますか、考課システムと申しますか、これを制度化いたしております。そして四十歳前後になった場合、四十歳近くになったときに、この人は将来幹部にできるという人を選抜いたしまして、それを特殊なリストに載せて、そして特殊に使っていくというふうな方法を現在考えております。いわゆる人事の考課を相当組織的に始めたわけで、同時にいわゆる学校を出て入った連中に対しましても、決して諸君はエスカレーターに乗ったんではない、実力次第でどうにでもなるぞということを徹底させまして、そして信賞必罰によって、単に学校を出て入ったからエスカレーターで偉くなるということはないということを、身をもってわかるような人事のやり方を相当やっております。いままでのような、単に年次を追ってやっていくというふうなことでなしに、若い人を抜てきする、老朽は淘汰するというふうな考え方で、実際運営をやり始めたところでございまして、以上、三点につきまして非常に重大な問題でございますが、昨年来、予算委員会等で申し上げたことの経過を御報告申し上げました。
#298
○田渕哲也君 この中で、生産性向上運動の再開は去年やると言っておられたんですが、それが延びた原因は何ですか。
#299
○説明員(磯崎叡君) それは先ほど申しましたとおり、去年大体、この国鉄再建法が国会を通るであろうということを考えまして、そしてこの再建法を通していただいて、財政的な見通しがついたそのときに、私どもといたしましては、ひとつ部内の、そういう精神に対する立て直し、こういうふうに申し上げました。それだけということでなしに、財政再建問題とからんでこれをやらなきゃいけないというふうに申したと記憶いたしております。
#300
○田渕哲也君 これは運賃値上げは財政再建法が通る通らないということと別問題だと思うのですがね。やはり国鉄自体で、そういうふうな努力がされるということが、一方では運賃の値上げについて国民の理解が得られることになると思うのです。運賃の値上げが通らなければできないというのは、私には理解ができないのですが、いかがですか。
#301
○説明員(磯崎叡君) その点は、先ほども申し上げましたとおり、いわゆる以前やっておりましたような、大衆にじかにぶつかるということはやっておりません。しかし将来大衆を率い、そしてほんとうの意味の国鉄の中堅になって働く中堅幹部の養成、これはずっとやっております。いわゆる名前は生産性教育という名前を使っておりませんけれども、やはり中堅教育、中堅管理者の教育というのは、これはずっと地道な教育を続けております。この連中が将来必ず国鉄の中枢になってやっていくというふうに考えております。私どもといたしましては、その運賃を上げてくれなければそういうことをしないというのじゃなしに、方向をあのとき変えまして、そしてとりあえず中堅幹部の教育に精神を集中するというふうな方向で進んでおります。
#302
○田渕哲也君 私はマル生運動その後の経過というものについて若干疑問を持っているわけです。もちろんこのマル生運動のやり方については、いろいろ国会でも問題が指摘されました、また中労委でも指摘をされたとおり、やり方は誤りだったと思います。しかし生産性向上なんていうことは当然のことだと思うのですね。ところが、それについての姿勢がまるっきりうしろ向きになったような印象を一般に与えると思うのです。したがって国鉄は何をしているんだというようなことが一般からもやはり見られておる。しかも、それが運賃値上げが通らなければ、大衆運動としてできないんだということはどうしても理解しがたいわけですね。運動があやまっておったなら誤りをただせばいいわけで、それを全部やめてしまって今日まで来られたというのは、私はあまりにも経営理念として事なかれ主義、ほんとうに国鉄を再建しようという意欲があるのかないのか非常に疑問だと思うのです。そういう印象を少なくともわれわれは持ったわけですけれども、この点に関して、総裁の再度の御答弁を求めたいと思います。
#303
○説明員(磯崎叡君) 私はおととしの国会におきますあの問題の論議につきましても、ずっと終始一貫同じことを申し上げております。ただ実際問題として、ちょうどおととしのいまごろ始まった問題で、国会その他で論議された問題でございますが、やはり問題は一方に財政問題をかかえておったわけでございます。したがって私どもといたしましてはやはり国鉄再建には精神と物質と両方あるというたてまえで、いろいろ考えております。不幸にして、ずっと大体去年の国会審議におきまして、まずまずこの問題は国会を通過するだろうという前提のもとにいろいろ考えておりましたけれども、ああいうことになりまして、そして私どもといたしましては、いわゆる大衆的な運動はこれは無理だということで、さっき申しましたとおり管理者教育に専念してやっておったわけでございます。まあやはりあれほどの問題になりますと、すぐ右から左に手の裏を返したのうなことは、なかなかこれは、人間関係でむずかしいことでございます。実態を見きわめながら、しかも全体としてはマイナスにならないように、後遺症の残らないように、いろいろな角度から考えまして、とりあえず中堅幹部の教育に専念したと、こういう事態でございます。何も運賃が上がらなかったらどうこうということでなしに、やはりこういう問題は物心両面で考えなければいけないというふうに考えております。したがって、いまもし、今度の問題が幸いに御了承を得ますならば、われわれとしてもいろいろ腹案を持っております。これはどういう形で出るか、いわゆる生産性というような、何となく名前に傷がついたような名前を使うかどうか、そういうことは一応別といたしまして、国鉄の精神面で何らかのことが起こらなければならないということは確かでございます。
 そういう意味で、私どもといたしましては、今後とも物心両面の国鉄の再建というものを考えていかなければならない。この方法につきましては、まず中堅幹部の教育ということに重点を置いてやろうというようなのが私の趣旨で、ございます。
#304
○田渕哲也君 次に順法闘争について質問をしたいと思います。
 最近は国鉄の順法闘争に対する国民の世論の批判が高まっております。しかし、この順法闘争の状況を見てみますと、年々エスカレートしてくる。これは件数においても、それから処分者数もまたふえてきておるわけですね。この順法闘争に対する対策について、どう考えておられるか、お伺いをします。
#305
○説明員(加賀谷徳治君) ただいま先生御指摘のように、残念ながらこの一年を顧みまして、春闘に至るまでは非常に順法闘争が回数が多く、国民に非常に迷惑をかけたという事態が多かったわけでございますが、御承知のように、組合がひとつのやはり運動方針として、残念ながら実力行使というようなものをずっと長い間とっているということもありまして、私どもとしては、できるだけいろいろな労使の問題を話し合いのベースで解決していく、いろんな努力をしているわけでございますが、またそこに一つの相対関係がありまして、また特にただいま先生から御指摘ありましたように、一昨年以来、生産性向上問題でいろいろ紛争がございまして、昨年そういった問題が一つの組合の組織の問題にもなってまいりましたので、終止符を打とうというようなことで、そのために設けられました紛争委員会といったようなものも、そのかわりに、かえって全部廃止したという経緯がございます。その間、これまでもすでに敵対関係といったようなことではなくて、いろんな私どもの労使の関係でも、長い間のいい慣行もあるわけでございまして、そういったいい慣行を育てる、これからいろいろ合理化問題にも取り組んでいくというようなことにもなりますので、ますます一つの協力体制と申しますか、そういったものも必要となってまいるわけでございまして、労使のいい慣行を育てていこうという話をいろいろ続けておるわけでございますが、そういったようなものによって、できるだけそういったいわゆる順法闘争というようなものを避けていかなきゃならぬと思っておるわけでございますが、この春闘に至るまでは残念ながら御指摘のとおりであったというふうに思っております。
 ただ、春闘に至るまで、かなりきつい具体的な世論の批判もあったというようなこともございまして、これは今後の問題として、まだいろいろ、どういうふうに展開されるか予想がつきませんが、同じく順法をやるという組合の間でも、多少そのニュアンスの違った、順法というものに対するものの考え方といいますか、やはり国民生活に対する影響、迷惑といいますか、そういったものに対する認識の差異が出てきているといったような点につきましても、私ども非常に希望が持てるんじゃないかというふうに考えている次第でございますけれども、今後とも、これも基本は何といいましても、私ども組合にそういうことはするなと申し入れるということとか、あるいは職員一人一人にそういうことはいけない、すべき問題じゃないというふうに訴えることも必要ではございますが、やはり基本はどうしても労使の間のいい慣行をつくり上げていくということが大事なことじゃなかろうかと思いますので、そういった点に大いに努力してまいりたいというふうに考えております。
#306
○田渕哲也君 この順法闘争の目的を調べてみますと、たとえば運賃値上げ反対、ベトナム反戦、それからスト権奪還、きわめて政治的なものがあるわけですね。これは極端に言うならば、国鉄の使用者側に要求しても解決のつかない問題であって、こういう政治的な問題がかなりあります。それからもう一つは、ダイヤの改正反対、合理化反対、これはむしろ経営のあり方についての労使の話し合いが十分に行なわれていないがために出るのではなかろうかと、いわゆる経営合理化の課題がかなりあります。それからそのあとは処分反対、組合員逮捕抗議、この辺は悪循環ですね、労使関係上の問題。それで純粋に労使の間の賃金闘争とか、その他の問題でやられておるのは、そのうちのごくわずかなんです。ここらに非常に大きな問題があると思うんですね。だから、この辺の問題を、もう少しこの労働組合との関係を調整することによって数を減らせないものだろうか。ほんとうは順法闘争というようなものは一つもないのが望ましいと思いますけれども、少なくともこの目的を見た場合に、労使の話し合いで、もう少し減らせないものだろうかという気がするわけですけれども、この点はいかがですか。
#307
○説明員(加賀谷徳治君) 御指摘のとおり、当事者ではどうにもならない問題、しかし、それはいろいろ当事者のそもそものこれまでの労使の関係というものに根ざす面もあるかもしれませんが、非常にどうにもならないといったような問題もかなり多うございます。私どもとしましては、そのつど、そういうことはあるべきことじゃないということでやっているわけでございますが、残念ながら数を減らすという事態にまだ立ち至っていない。先ほど申しましたように、やはり基本的には一つの、これは組合の問題だけだというふうにも言い切らぬ面がございますから、やはり労使の間の問題として、よき慣行でもって、この労使の関係というものをつくり上げていくというようなところに立ち至らしめていかなきゃならぬ、そういう努力をしていかなきゃならぬというふうに考えております。
#308
○田渕哲也君 それから昨年、処分の軽減をやられましたですね、その効果はどうなんですか、効果はあがったのか、あがっらなかったのか。
#309
○説明員(加賀谷徳治君) 昨年もこの席上で、当時の国鉄のやりました処置を御説明いたしたわけでございまして、軽減措置と申しましても、処分を全部なくしたというようなことじゃございませんが、一応そういう措置を、百年を記念して、一応労使の、正常化に戻すというような契機になればというようなことで、思い切った措置をしたということでございますが、私どもとしましては、形にあらわれた――その後、じゃあ非常に違法闘争は少なくなったのかどうかというようなことを言われますと、なかなかそういうふうになったとは言い切らない面があるわけでございますが、私どもの一応の労使の間の感じといたしましては、そういった時期に、いろいろな意味で約束もする、気持ちを合わせると申しますか、そういったようなこともありまして、約束したものはやはりいろいろ守られておるという面も、これははっきりありますし、だんだん、漸次ではございますが、いい慣行づくりには役に立っているというふうに考えております。
#310
○田渕哲也君 昨年処分の軽減をされたときに、これから大量処分またその抗議の順法闘争、こういうような悪循環を断ち切るんだというようなことも言われたと思います。ところがことしの八月四日に一万四千八百四十人の大量処分をやられているわけですね。それからそのあと、また抗議の順法闘争が行なわれておるわけです。これでは相変わらず悪循環ではないかと思うんですが、いかかでしょうか。
#311
○説明員(加賀谷徳治君) ただいま御指摘のことは、新聞、マスコミなどにもよくいわれるわけでございますが、私どもとしましては、これはストライキが禁止されている現行法体系のもとにおきましては、これは違法行為は違法行為であるというようなことでございまして、特に私どもの仕事は職場の規律と申しますか、そういったようなものが非常に大事な職場であるというふうな観点に立ちますと、やはりけじめはけじめとして違法行為に対する当然の措置はしなければならぬというふうに考えておりますが、昨年、実は百年を期して一つの労使の間の紛争関係を断ちたいということで、あるいはそういうことを申し上げたかとも思いますが、私どもとしては、あくまでもそういった悪循環になるべき性質のものじゃないと、本来やはり一つのけじめとしてやられるものですから、そういう悪循環になるべきものではないということの念願も込めた意味で申し上げたと御理解願いたいと思います。
#312
○田渕哲也君 結局あまりたくさん処分すると処分しきれなくなるわけですね。それで適当なところで御破算にせざるを得なくなる。それでまた大量処分してまたそれを繰り返す。こういうものは決して労使関係の改善につながらないと思うんです。それで処分しきれなくなるような大量処分することに意味がないという考え方もできると思うんですね。だから昨年、処分軽減されたときの私が聞いた話では、これはここでの答弁でなかったかもわかりませんけれども、聞いた話では、これからは責任者を重点に処分をするんだ、一般大衆まで全部処分すると、処分された者はあたりまえで、されない者がおかしいというようなことになる、そういうふうに切りかえるんだというようなこともちょっと聞いたことがあるわけです。その辺はどうなんですか。
#313
○説明員(加賀谷徳治君) ただいまの先生の御意見、非常にごもっともなんでございまして、昨年の正常化の際、思い切った提案をして軽減の措置をしたというようなことも、やはり職員に対する一つの全般的な効果と申しますか、効果と言っちゃ非常にことばが悪いかもしれませんが、そういったようなことなども今後の問題として考えた上でやったわけでございまして、十分に先生のいまおっしゃる意味は私どもわかりますし、私ども今後とも、けじめはけじめとしてただすんだという場合には、やはり職員にそういうことがはっきり認識される、わかるというような意味の処分といったようなことを常に考えていかなきゃならぬというふうに考えております。
#314
○田渕哲也君 私は、いまの順法闘争の問題は職場においても順法闘争が悪いという意識がないと思うんです。順法闘争をやる組合のほうが、あるいは勢力関係において強いからかもわかりませんけれども、やらないのが悪いんだと、そういう空気が職場にある限りは、これは大量処分をやっても何ら意味がないのではなかろうか、こういう気がします。
 それから現に、私は国鉄の管理者にも問題があると思うんですが、順法闘争の期間中にかなり暴力事件あるいは拉致事件というものが起こっております。こういうものに対する管理者の態度は大体において傍観的であります。その理由としては、組合間の争いに立ち入るべきではない、ところがもし順法闘争を違法だとするならば、違法な闘争に参加しないものが参加する側に暴力をふるわれる、拉致をされる、いやがらせをされる、これは労使間の問題だと言って傍観しておるのが正しいのかどうか。これはいかがですか。
#315
○説明員(加賀谷徳治君) 前段の先生のおっしゃいました処分についての考え方、これは先ほどもちょっと触れましたが、御趣旨は非常によくわかると思いますので、今後とも、私どももそういうことに重点を置いてやっていきたいと思っております。それから順法闘争についての罪悪感がなくなっている、こういう点につきましても、私ども非常におそれるところでございまして、今後とも管理者に十分にその取り締まりの面を強化しなきゃなりませんし、また各個々の職員についても、自覚をさらに促さなきゃならぬというようなことになると思いますが、特に闘争時にいろいろ争いが起こるといったような場合につきましては、はっきりやはり違法行為というものの問題を浮き彫りにできるといったような面もあるわけでございますので、私どもとしましては傍観しておってはいけない、事、仕事の面に関する限りは管理者としてのはっきりした態度をとるべきであるという指導を常にしておる次第でございます。
#316
○田渕哲也君 それから今度は、またちょっと話題が変わりますけれども、国鉄のいわゆる外部に対する発注の方式に非常に問題があると思うんです。私が調べた範囲では非常に随契が多いわけですね。全契約数のうちの八二%が随契である。公開競争契約は一六%、指名競争契約は二%、八二%は随契であります。これは建設省なんかの例を見ますとほとんどが指名入札というのが一番多いわけです。こういうものとの比較から言っても、国鉄の外部に対する発注のしかたには非常に問題があると思いますが、この点はいかがですか。
#317
○説明員(磯崎叡君) 随意契約と申しますのは法律用語と存じますが、私どもでは見積もり合わせ競争契約という契約になっております。いわゆる随意契約と申しますのは、はっきり相手方をきめまして、おまえと契約すると、これが随意契約でございますが、私どもは見積もりをとりまして、そしてその中で競争さしてきめるということで、一種の指名競争の簡単なものということに考えております。
 実際に、なぜそれじゃ国鉄の工事の関係で随意契約が多いかと申しますと、建設省と違いまして一件当たりの単価が非常に安いわけでございます。すなわち私のほうが見積もり合わせ競争契約でいいときめております場合は、予定価格が百五十万円以下の場合あるいは事故の際の応急復旧のように緊急な必要があって、とても競争見積もり合わせがとれないというふうな場合あるいは競争入札しても落札者がなかった、それから現に工事しているものと関連している工事と、そういうふうに非常に限定いたしておりまして、これが高いのは結局非常に小さい工事をやらなきゃいかぬということでございます。一件一件が非常にまとまりが悪くて、平均いたしますと、実際昨年の一件当たりの平均契約金額は四十万円でございます。
  〔委員長退席、理事木村睦男君着席〕
そして普通の競争契約の場合は、九百五十万円でございますので、約四十万円程度のものを一々指名競争入札はとてもできませんので、これを見積もり合わせでもってやっているということでございます。したがって件数は、先生のおっしゃったいわゆる随意契約、私のほうで申します見積もり合わせ競争契約の件数は非常に多うございます。確かに八割でございますが、金額は一四%でございます。あとは全部建設省などでやっておられる指名競争入札というふうになっておりまして、指名競争入札の件数が一九・五%、金額は八五%ということになっております。これは国鉄の工事は非常に小さい工事が多くてばらばらであるというふうなことで、結果的に見ましても平均契約金額は四十万円という非常に小さい工事が多いということでございますので、先生のおっしゃったとおり、件数から見ますと八割が随意契約のような形になっているということでございます。実際はほとんど金額的に申しますれば、大工事は建設省と同じように指名競争入札というふうに考えております。
#318
○田渕哲也君 次に鉱石運賃の問題についてお伺いをしますけれども、昨年の九月に鉱石については公共政策割引が廃止されました。これは六・五%。今回の改定で三級から新等級の二級に格上げされました。それから一般率のアップが二五・四%、合計しますと、等級の改定と賃率アップだけで二九・二%。昨年の公共政策割引の廃止を入れますと三六%のアップになるわけです。特に金については従来の一八%の割引がさらにこれ廃止されておりますから、去年から比べると約六〇%の値上げになる。鉱石の場合は、国際商品で海外価格に左右されますから、運賃の上がった分を鉱石の価格に転化できない。特に日本の場合は中小鉱山が多いから中小鉱山はこの運賃値上げによってきわめて大きな打撃を受けている。軒並みに倒産ということになりかねないと思います。これについて、何か配慮をされないのかどうか。
#319
○政府委員(秋富公正君) 御指摘のとおり、鉱石につきましては、その多くは国際商品であるということも事実でございます。また一昨年、昨年と公共割引の制度、これを廃止いたしまして、運賃を上げまして、また現在今度のアップ率が二九%余ということも事実でございます。しかし賃物の運賃につきましては、昭和四十一年に改定以来七年ぶりの改定ということでございまして、この程度のアップ率につきましては、予定どおり実施させていただきたい、こう思っております。なお具体的なことにつきましては関係者の間でなお具体的にいろいろと検討はいたしておりますが、現段階におきましては、はっきりしたことは言えない段階でございますが、一応私たちといたしましては、やはり七年ぶりでございますし、できましたら実施さしていただきたいと、かように考えておるわけでございます。
#320
○田渕哲也君 鉱石の場合はちょっと特殊性があると思うんですね。一つは、国鉄に対する依存度が非常に大きいから運賃を上げても他に転換する可能性がきわめて少ない。だから今回一五%増収を目的とするならば鉱石の場合は二五%も上げなくてもいいじゃないかという論議もされると思います。
 それから等級のきめ方において、若干の弾力性というものは持たせられないのだろうか。たとえば二等級に上げなくても、三等級据え置きというわけにいかないだろうか、この点はいかがなんですか。
#321
○政府委員(秋富公正君) いわゆる等級制を四等級を三等級にいたします際に、その間で品目について操作ができないかという第二の問題でございますが、この点につきましては四十五年におきましても、いわゆる価格というもの、商品価格については現に国鉄のほうで調査したわけでございまして、多少個々の品目におきましては変わったものもございますが、大体においてはこの等級制度をつくりました以来の性格がそのまま踏襲して妥当なものだと考えております。この際一部の品目を変更するということは、結局すべての問題を洗い直すことに及びますところでございますので、私どもといたしましては、これは国鉄にまかしている問題ではございますが、現行の分類をそのまま踏襲していきたいと考えております。
 それからその前の第一の、国鉄依存度が大きくて利用減が少ないので、実収一五%のためには、鉱石については、他の貨物に比べまして改定率を変えなくてもいいのではないかという御指摘でございますが、この点、鉱石の輸送が国鉄の依存度が比較的大きいということは御指摘のとおりでございます。でございますが、これを個々の品目全部を洗ってまいりますと、非常に利用減の大きい、ものと利用減の少ないものがございまして、今回二四・一%という改定率にいたしましたのも、過去におきます改定率、その実績、それから個々の品目につきまして国鉄のほうにおいて調査いたしました、その平均的な利用減率を個々に出したものでございまして、個々の品目について見ますと、逆にほかのものについてもまた改定率を変えなくてはいけない、こういったようなはね返りの問題が出てくるのでありますので、鉱石類につきましては国鉄の依存度が大きいということは事実でございますが、平均いたしました改定率ということで一律に行ないたいと、かように考えております。
#322
○田渕哲也君 これは等級の基準というのは何できまったわけですか。製品の価格とか、そういうものですか。
#323
○説明員(原岡幸吉君) 等級はある一定の時期の発駅の貨車乗り渡しのときのトン当たりの価格、これをもってきめているわけでございます。
#324
○田渕哲也君 トン当たり価格の高いもの安いもの、それだけの条件できめているわけですか、ほかの要素は一切入れずに。
#325
○説明員(原岡幸吉君) 原則として全部それできめているわけでございまして、そのほかにいわゆる政策等級というものがございます。現在一級、二級、三級、四級と、こうなっておりますけれども、本来三級のものを四級にし、本来二級のものを四級にするという政策等級がございます。これは非常に生活に密着した物資、それから社会政策的にそういうことを要求される物資というようなもの六十一品目につきまして、いわゆる価格だけじゃない、価格を下げた形における等級の決定、そういうことをやっております。
#326
○田渕哲也君 その場合の基準か何かあるわけですか。
#327
○説明員(原岡幸吉君) 基準につきましては、価格が幾らだからどうこうということではなくて、先ほど申し上げましたように、生活必需物資といいますか、社会生活上非常に重要である、こういう観点から関係の農林省あるいは通産省、こういうようなところと協議をしてそういうような政策等級というものはきまっておるわけでございます。
#328
○田渕哲也君 鉱石の場合はそれには該当はできないわけですか。
#329
○説明員(原岡幸吉君) 鉱石の場合には、それには該当いたしておりません。先ほどいろいろ御指摘がございましたけれども、なるほど、一般的に申しまして鉱石類は鉄道に依存度が非常に高いわけでございます。しかし鉱石によってもいろいろございまして、また値幅もいろいろ動くわけでございます。現に国鉄に非常に依存しておりますけれども、昭和三十五、六年ごろは千三百万トンぐらい鉱石類として輸送しておりましたものが、最近では一千万トンを割りまして九百何万トン、こういうことで、いろいろ輸送事情、需給事情、これによって変動いたしておるわけでございます。
#330
○田渕哲也君 日本の鉱山の場合は非常に規模が小さくて、通産省のほうで補助――探鉱資金とかいろいろ補助をもらっているが、補助の金額は大体十億円余りですね。今回の運賃値上げによる負担増は十三億円になるわけです。だからきわめて運賃の占める比率がいかに高いかということがこれでわかると思うのですが、いままで国から出ている補助が全部すっ飛ぶくらいの運賃値上げになる、こういう状況をぜひ配慮していただきまして、何か便法を考えていただきたいと思いますが。
#331
○説明員(原岡幸吉君) その点につきましては、先ほど運輸省の鉄監局長から御答弁申し上げたとおりでございますが、ただ等級につきまして、たとえばいまの等級が三級でございますけれども、これが二級になるわけでございます。そのこと自体については、ほとんど等級の指数は変わらないと、こういうことでございます。
 それから公共政策の観点からの割引の問題でございますけれども、これは先ほど鉄監局長から御説明申し上げたとおりのことでございまして、現時点で国鉄がこれを負担するということは非常に困難といいますか、不可能であるという考え方に立っておるわけでございまして、なお先ほど鉄監局長が申し上げましたとおり、これから運輸省のいろいろな御指導を得ながら具体的には考えていかなけりゃならない問題であると、こう思います。
#332
○田渕哲也君 ちょっと速記をとめてください。
#333
○理事(木村睦男君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#334
○理事(木村睦男君) 速記を起こして。
#335
○田渕哲也君 次に、新幹線の問題で少しお伺いをします。新幹線の建設計画は次々にできておるわけですけれども、新幹線の投資の基準というものはどうなっておるかお伺いします。
#336
○政府委員(秋富公正君) 新幹線鉄道の基準でございますが、これは全国新幹線鉄道整備法の施行令におきまして、その第二条の第一におきまして「新幹線鉄道の輸送需要量の見通し」、第二に「新幹線鉄道の整備による所要輸送時間の短縮及び輸送力の増加がもたらす経済的効果」、第三に「新幹線鉄道の収支の見通し及び新幹線鉄道の整備が日本国有鉄道の経営する他の鉄道の収支に及ぼす影響」、これを調査いたしまして、そうして、そういった調査に基づきまして総合的に検討したものにつきまして鉄道建設審議会に諮問いたしまして、ここで基本計画を決定するという段階でございまして、基準といたしますと、いま申しました政令第二条に列記してございます問題が鉄道建設審議会において審議いただきます際の法令上の一つの基準というべきものかと考えております。
#337
○田渕哲也君 いまの基準というのは、きわめて抽象的で、そういうものが判断の基準としても、具体的にちょっと当てはめにくいと思うんです。それで新幹線を建設する場合の資料として、鉄道建設審議会に出される資料としましても、断面交通量とか、投資効率とか、収支とか、現在線の関係とかいろいろあげられております。数字があげられておっても、数字を判断する基準がなければ意味がないと思うんですがね。その辺はどうなんですか。
#338
○政府委員(秋富公正君) 新幹線鉄道整備法の第一条「(目的)」にございますように、国土の普遍的な開発と国土の均衡ある発達、こういったようなことがございまして、単に経済的な効果と国鉄に及ぼす収支ということのみをもってこれを判断できる。いろいろと高度のいろんな面から総合的にこの法律は新幹線鉄道の建設を整備する規定をいたしているものと考えております。これは議員立法でございまして、私のほうからこまかくその趣旨を申し述べるのもいかがかと思いますけれども、実際の運用におきまして広く国土の総合開発と、あるいは国民生活領域の拡大、こういうことに資するようにやっておりますので、具体的な個々の数字的な基準というものをもちまして判断するということはなかなかむずかしいかと思います。またそういった具体的な数字というものは、基準と申しますものは別に規定されていないものでございます。
#339
○田渕哲也君 そうすると、私はその鉄道建設審議会の審議がいかにもおざなりであるということを前の質問の際に指摘したわけです。そこにいろんな資料も出して検討されておると言いますけれども、それを判断する根拠は何もなくて、審議のしようがないと思うのです。たとえば平均断面交通量という数字も出ておりますね。これは東京−盛岡間の東北新幹線では六十年度一日九万人という数字が出ておるわけです。片っ方では、九州の福岡−長崎の新幹線では同じ六十年度で二万一千人という数字が出ておるわけです。非常にこの数字の差が大きいわけですね。それから投資効率を見ましても、今度は福岡−長崎の投資効率は一・四九、福岡−鹿児島の投資効率が〇・二六、こういうものの数字が非常に差があるのに、判断の基準も何にもなくてこんな資料を出されても、鉄道建設審議会にしましても、私は専門家ばかりじゃないと思うのですけどね、どういう判断でこの新幹線はいいとか悪いとかやっておるのか疑問だと思うのですね。この数字に対する基準がないなら、何のためにこういう数字――この数字はどういう意味があるのかお伺いをしたいと思います。
#340
○国務大臣(新谷寅三郎君) こういう非常に大きなプロジェクトを判定をいたしますのには、もちろん基礎になる数字というものもあると思います。数字で出せるものもあると思います。しかし数字では出せないものもあると思うのですね。結局それは全般的に、政策的にきめていく以外にはないと思うのです。そういうことでございますから、数字だけではじき出して機械的に出るもんならば、そういう鉄道建設審議会というようなものもあまり必要でないかと思うのですが、ここには御承知のように、各党の代表も出ておられまして、各党の代表がそれぞれその政策的な見地から、新幹線の整備法に書いてありますような目的を達成するために、どれが必要であるか、どれが不必要であるかというようなことについて、少し高度の、政策的な判断をされるわけでございますから、基準とおっしゃっても、必ずしも私は全部が数字であらわせるものではないというふうなことでございまして、数字で出すものもありますし、数字で出せないものは関係の委員の方々が政治的な判断あるいは政策的な判断というものによっておきめいただくということだと思います。
#341
○田渕哲也君 私はそこに非常に大きな問題があると思うんですね。何でもかんでも数字できめられるというものはなかなかむずかしくて出せないと思うのです。しかし総合的に判断する場合の一つの根拠として、断面交通量もあれば投資効率もあるし、収支もあれば、在来線との関係もあるし、あるいはそれが国鉄以外のものに与える経済的利益、こういうものもあると思うのですね。そういうものを総合的に判断して結論が出るわけでしょう。その中の一つの要素として、たとえば平均断面交通量なんという数字が出ておると思うのです。ところが、これに対する見方、判断の基準も何にもなければこんな数字を出す必要は何にもないわけです。投資効率が〇・二六もあれば、一・四九もある。これに対する判断基準がないといえば、こんなものを出す必要はないということになるのですね。私はこの辺のことをちょっと教えてもらいたいわけですよ。断面交通量というものは何のために出しておるのか、投資効率というものは何のためにこの数字を出しているのか、また、これがどういうふうに勘案されて新幹線の建設が決定されるのか、この点をお伺いしているわけです。
#342
○政府委員(秋富公正君) 申すまでもなく断面交通量が大きいということは、収支の面において大きな影響があるわけでございます。また投資効果の問題、これは投資効率の面において大きな影響があるわけでございまして、そういった数字は、いま申しました国鉄の収支採算という面でどういうことをあらわすか、あるいは投資効果にどういうものがこたえるかという意味におきまして、一つの客観的な数字であることは事実でございます。で、これが現在いたします工事三新幹線あるいは調査五新幹線、それぞれそういった客観的数字は出してあるわけでございます。これを基準といたしまして、私たちはいわばものさしといたして御判断の材料には提供しておるわけでございますが、そういった数字だけで御判断をいただくことでなく、もう少し各般についての高度の政策的な御検討というものもあるかと思いますが、私たちといたしましては、一つの数字としてあらわせるものをそこに御判断いただく際のデータとして提供しているものでございます。
#343
○田渕哲也君 もちろん私は、この数字だけでいい悪いをきめるべきだということを一つも言ってないわけです。この数字も一つの要素である以上は、判断の基準があるだろう。たとえば福岡と鹿児島の間は断面交通量は二万六千人にすぎません、投資効率は〇・二六、収支においてはかなり長期間赤字だということが書いてあるわけですね。
 何でもかんでも、悪い要素がそろっておるのに、なぜこの新幹線を建設しなければならないのか、これはこれ以外のよっぽど重要な要素があるからでしょう。それはどういう要素があるんですか。
#344
○国務大臣(新谷寅三郎君) 鉄監局長も御答弁したようなことでございますけれども、私もさっき申し上げたように、そういう最終的に総合的に判断をされる場合の、これは非常に重要な参考資料でございますから、
  〔理事木村睦男君退席、委員長着席〕
そういう意味で提出して、間違いのない判断をしていただくというために出しているものでございます。で、それならば、たとえばいまお述べになったある路線ではこういう数字が出ている、他の路線ではこういう数字が出ている、それを数字だけを比較いたしますと甲乙がつけられるじゃないか、こういうことでございましょうが、それはさっき申し上げたように、どこまでも総合的な判断をされる場合の材料にすぎないわけですから、全体的に全国新幹線鉄道整備法に書いてございますように、「国民経済の発展と国民生活領域の拡大に資する」というような目的から言いまして、総合的な判断をしていただくということでございますから、目標はどこまでもやっぱり新幹線の整備法の一条に書いてありますような方向に従って皆さんに判断をしていただく、そのための判断材料の一つにすぎないということであろうと思います。
#345
○田渕哲也君 私はね、国鉄が独立採算制でやる以上は、そんないいかげんな判断で新線がきめられたらおかしいと思うのです。やはりいやしくも一つの投資をして多額の金をつぎ込んで、それがどれだけの投資効率があり、どれだけの採算がとれるかということが重要な要素になるわけですね。それ以外の要素もあっていいと思うのです、国鉄の使命から見て。とにかくもうからないところは全然だめだという姿勢はとるべきではないと思いますけれども、重要な要素としてそれは考えなければならないと思うのです。それがこういう数字で見る限りでは、赤字線を無差別に無秩序につくっているとしか思えないわけですね。新幹線だから、つくればつくるほどいいというものじゃないと思うのです。この新幹線が将来これ全国にもっともっとできると思います。またできるべきだと思いますけれども、いまからこの新線の建設にあたって、その投資態度について、もっとシビアに考えていかないと、再び現在の国鉄の轍を踏むことになりかねない。新幹線だからいつでももうかるとは限らないわけですね。それが赤字の原因になることもあるわけです。だからその辺のことをもっと真剣にシビアに考えるべきじゃないだろうか。そのためにこういう数字まで出されておるんだから、この数字がどのように決定の場合に生かされておるのか、その辺の問題が、いまのようなばく然とした答えでは、私は不安を覚えざるを得ないわけですよ。
#346
○国務大臣(新谷寅三郎君) そういう数字をもとにしてどういう判断をされるかということは、これは委員各位各位によって違うと思います。しかし、それをどの委員にも共通な、これはこういう基準ですよということで、審議会委員の判断を拘束することはこれは不適当だと思います。で、今日調査をしたり、あるいは計画をしております新幹線、これは東海道新幹線のように非常に収益力が強いものばかりじゃございません。これは国鉄総裁から御答弁すると思いますけれども、調査五線につきましても相当の長い間黒字にはなるまい、こういうことでございますけれども、この新幹線の整備促進法のたてまえから言いますと、そういう赤字が多少続きましても、この法律の趣旨に沿って交通網を整備しようといたしますと、やはり九州にも北海道にも新幹線を整備していくことが適当である、こういう判断に立って私たちも諮問をしたり、あるいは建設審議会におきましても、そういう判断のもとに御決定を願っておるということでございまして、これは別に無方針で秩序もなく、ただいたずらにきめているということでは私はないと考えております。もう少し各党の代表もお出になっている審議会で最終的な決定をしていただいているんですから、非常に私は権威のある、また政策的にも政治的にも相当の責任を持った御判断をいただいておるものと、こういうふうに考えております。
 それから、いま十カ年だけをごらんになりましても、開業いたします新幹線につきましては黒字になるところもあるし、赤字になるところもありましょう。それにつきましては、これはくどくどしく申し上げるまでもないんですが、全体といたしまして、包括的に政府としましては助成の方法を考えておるわけでございまして、足りないところは、あるいは出資をいたしましたり、あるいは収支の面でプラスになるように利子の補給をいたしましたり、そういったことによりまして、考えられておる新幹線については政府の助成によって黒字を生むような、そういう体質の改善をしようということでございまして、そういう赤字についても十分考慮をしてあるつもりでございます。
#347
○田渕哲也君 いま大臣の答弁の中で、各委員がそれぞれ判断されると言われましたけれども、鉄道審議会の審議というのは、私は実質的にはきわめて空疎なものだと思うのです。この間も指摘いたしましたように、福岡−長崎間の新幹線の審議はわずか四十分ぐらいでしょう。それでしかもその発言の議事録がありますけれども、内容を見ましても、この新幹線のいろいろな角度から論議をされておりません。そして参加しておる委員自身が、こんな審議会じゃ意味がないという意味の発言をしておるわけです。だから実質的には私は鉄道審議会できまるんじゃなくて、もっとほかのところでおぜん立てをされて、審議会は形式をつけるだけではないかと思うのですよ。どこかでそのおぜん立てをされるところでは、もう少しこまかく検討されておるんじゃないかと思いますけれども、それなら先ほどこのあげた数字だけを見ますと、私はなかなか理解に苦しむわけだから、なぜ福岡−長崎をきめたのか、なぜ福岡−鹿児島をきめたのか、その根拠を聞かしてもらいたいということを言っているわけです。抽象的なことばだけではなくて、もっと突っ込んで検討されておると思うんですね。それはどうなんですか。
#348
○国務大臣(新谷寅三郎君) いま御指摘の九州の新幹線について、その当時どういう準備をして、どんな数字を出してきめたか私よく存じませんから、担当の局長からでも御答弁させたいと思いますけれども、いまお述べになったように、鉄道建設審議会のほうは、そんなに空虚なものではないと思います。最近におきましても、本四架橋の三線についていろいろ御審議をいただきましたが、これは相当に影響が大きいというので小委員会をこしらえまして、そしていろんなデータをもとにして小委員の間で数時間やはり議論をされました。その際に資料の要求もございまして、要求した資料をもとにしていろいろ御検討になったと聞いております。
 最終的には、それをもとにいたしまして、各党の代表も、いろいろの御希望の意見等も開陳がございましたけれども、結論として、これは着工すべきだというような御結論をいただいたわけでございまして、ただ審議会で諮問をいたしたものを非常に無批判に、簡単に審議を素通りしてきめたというようなことではなかったんです、最近の審議会では。非常に各方面からいろいろな意見が出ておりまして、いまおっしゃるような御心配は、いまの審議会の運営についてはないと、私は信じております。
#349
○田渕哲也君 私は、これは国鉄が独立採算制でなければ、国民が納得するなら、その赤字を国民の税金で埋めようという前提に立っているならいいと思いますよ。ところが一応独立採算制でやって、赤字になれば運賃値上げで国民はしわ寄せを受けるわけですから、だからやっぱり民間の企業でも、もっと設備投資には慎重だと思うんですね。あらゆる面から、角度から検討して慎重に考えると思うんです、将来の収支ということも。それで収支ということはこれは一つの要素にすぎませんけれども、私はそれが一つの経済的効果の一つのバロメーターだと思うんですね。だから国鉄は公営企業だから収支はどうでもいいということにならない。独立採算制をとっておるというのは収支はやっぱり経済効率の一つのバロメーターだからこういう制度がとれると思うんですよ。だから収支を全く無視するというのは経済効果を無視してもいいということになるわけです。経済効果を無視してもどうしても必要な場合もあると思います、公共企業だから。それにはよっぽど重大な要素がなければならないわけですね。だから何でも総合的に判断してということばでうやむやにするというのはよくないと思うんです。やっぱり一つ一つについて理由がなければならない。それで新幹線というような大きな投資に対しては、まあいうなら国民の資本をそこに使うわけですから、それだけの慎重な配慮が必要ではないかと思うんです。だから全国どこでも新幹線をつくればいいというものじゃなくて、いまの時期につくるべきところはどこかということを、きめてかからなければならないと思うんです。そういう点で、いままでの説明ではなかなか納得がいきません。
 それから特に、最近は騒音とか公害面で新幹線に対するいろんなクレームが出ております。またこれを除去するような建設をしようと思えばもっと金がかかる。それだけのことですから、私は何でもかんでも新幹線はつくればいいものだという発想はやめるべきではなかろうかと思います。ほんとうに必要なところに経済的効果のあるところに選択をしてつくる、そういう面から見れば、いままできめられた新幹線のきめ方については、いまのところ大臣からも鉄監局長からも、私は納得のいく答弁を受けておりません。もしこれにつけ加えて答弁することがあればおっしゃっていただいてけっこうですけれども、なければ私は納得できないと思うんですね。
#350
○国務大臣(新谷寅三郎君) もちろん採算を度外視してというようなことは考えてはいないわけです。しかし採算面だけから判断するということもできない。あなたのおっしゃっていることも、私の申し上げていることも同じようなことを言っていると思うんです。一方では公共機関でございますから、公共の要求といいますか、需要があれば、それに対応するような施設は当然すべきだと思います。これは赤字であっても何であってもしなければならぬ場合が生じるでしょう。あなたもそれをおっしゃっています。私もそう思うんです。ですから、その点をどう調和するかということが問題でございましょう。だからそれは数字だけではあらわせません。非常に数字も大事なことでございますけれども、数字と同時に政策的、政治的に判断をしていただくような方々にお集まりを願って、日本の国土の開発でございますとか、ここに新幹線の整備法の一条に書いてありますような目的に沿って、この路線が必要であるかどうかということを御判断を願っておるのでございまして、その点から言うと田渕さんのおっしゃることと私、別に違ったことを言っているつもりはないんです。私どももやっぱり同じようなことを、いまおっしゃったようなことを、それを両方の要求がございますから、それをどう調和していくか、それを政策的、政治的に判断をするのが鉄建審だということでございます。そういうふうに御理解いただけませんか。
#351
○田渕哲也君 私は言っておることに非常に大きな差があると思うんですね。大臣の言われるのは総合的に判断するということで何もかもうやむやにしておる感じなんです。公共的なものだから採算とかいろいろなことも要素だけれども、それ以外の要素もあるから、何かうやむやになっているという感じですね。私の言っているのは公共物だから採算だけを考えるわけにはいかないだろうという点では同じです。そういう点では同じですけれども、採算が悪いものをつくる場合には、それ以外の特殊なよほど重要な要素がなければならない。それを明らかにするべきであるということを言っておるわけですね。たとえば東京−盛岡の断面交通量が九万人もあるところでは、またこれは収支の面でも開業後六年度では大体黒字になるとされております。こんなところは採算ベースに合うわけですから、ほかに重要な要素がなくてもつくればいいと思うのですよ。ところが福岡−鹿児島とか、福岡−長崎のようなところでは、かなり長期間にわたって赤字だ、いつ黒字になるかということばわからない、こういうところは、ほかによほど重要な、それを埋めるだけの要素がなければつくるべきではない。それはやはり明らかにしなければいかぬと思うのですね。それは公共物だからということで、うやむやにするところに私は今日の国鉄の問題があると思うのです。
#352
○国務大臣(新谷寅三郎君) 九州の新幹線について非常に御疑問があるようでございますから、これがいまのあなたの御心配になっている採算面でいつどうなるだろうかという見通しについて国鉄の総裁が非常に詳しく調べておられますから、それは答えていただきます。しかし、それはさっき申し上げたように、数字であらわれるものじゃないですね、そういう御判断というものは。数字でまたはじき出せるものでも、性質上そんなものでもないと思うのですね。だから、さっきも申し上げておりますように、一条に書いてあるように「国民経済の発展と国民生活領域の拡大に資することを目的とする。」と、こう書いてあるのですから、ですからそういう点からいいまして、この九州新幹線というものは採算的にはいまお述べになった東北新幹線と比べまして非常に採算が悪いかもしれないけれども、こういう目的に沿ってこれは建設すべきであると、こういうふうな判断を委員の方がされたのだと思うのであります。
 この目的は抽象的でございますけれども、こういうふうに方向だけは示しておるわけです。その方向に合うかどうかということを皆さんで判断をしていただくということでございます。
#353
○田渕哲也君 私は九州の新幹線をやめろと言っているわけじゃないのですよ。この数字がこういうふうにあらわれておるから、これはどういう意味なのかわからないから聞いておるわけなんです。どういう意味かわからないのに、いいのか悪いのかもわからないから聞いておるわけです。その聞いておるのに対して、こんな数字だけで判断できないのだというだけの答えでは答えにならないと思うのですね。九州の新幹線、私は鹿児島にしても長崎にしてもそれなりの理由はあると思うんですが、それを聞かしてほしいと言っているわけです。これは数字から見ると非常に悪いように思うけれども、なぜこれがきまったのか、それならそれなりの理由があるだろう、それを明らかにしてもらいたい。九州をあげたのは、これは一例であるからあげたので、ほかにも一ぱい疑問があるわけですね。北陸にしたって投資効率は〇・二八となっておる。この数字は一体何を意味するのか。これがもし非常に投資効率が悪いということを意味するのならば、なぜこの新幹線をつくるのか。だから、九州はやめろといっている意味では決してありません。ただ、この数字でこういうふうにあらわしてあるから疑問がわくわけです。
#354
○政府委員(原田昇左右君) 総合的に全国の新幹線網を考える際に、私どもは全国新幹線鉄道整備法にもございますが、高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ全国的な開発に果たす役割が重要であるということから、経済社会基本計画におきましても、国土を縦貫する新幹線というもの、あるいは主要な都市を横断する新幹線といったようなものについては、優先的に整備をすべきであるという考え方から、鹿児島−福岡間というのは、北海道から鹿児島までの日本列島の南北を縦断する新幹線として、国土の総合的な開発整備にきわめて重要な役割を演ずるという観点から、これを推進すべきであると考えたわけでございます。
#355
○説明員(磯崎叡君) いま運輸省から言われました、いわゆる交通政策的な見地を一応別といたしまして、先生の御質問の収支のほうを、数字を申し上げてみたいと思います。工事線のほうは別といたしまして、いま一応先生の御疑問になった調査線のほうについて申し上げますと、各線別にかりに申し上げますと、盛岡−札幌間、これは昭和五十七年度で償却前の黒になると思います。それから北陸新幹線、これは昭和五十九年度、九州の二線は先生の御指摘のとおり当分黒字にならない、こういう数字でございます。それで私どもは調査線の四線を調査線グループとして一つの段階、いわゆる新幹線整備の段階の第三段階としてこういうものだというふうに考えまして、調査新幹線の四線を一つのグループとして考えますと、償却前の収支が昭和六十年度には黒になります。それをちなみにもう少し具体的な数字で申し上げますと、この四線、すなわち東北線とそれから北海道の幹線、函館−札幌間の幹線あるいは北陸の現在の信越線と北陸線、それから鹿児島本線と長崎本線、これらの昭和五十二年度におきます償却前の損益は百八十四億の赤と推定されます。それが五十四年度で現在のこれらが一応開業いたすといたしますと、すなわち調査四線は昭和五十四年の開業になっております。先ほど申しますとおり、当分昭和五十七年度まで黒になりませんが、五十七年度になりますと、先ほど申しました五十三年度の償却前の赤の百八十四億が五十七年度では償却前三十億、大体とんとんでございます。三十億の黒になるということになります。これは主として盛岡−札幌間の輸送量が非常に大きいということで、このグループとして見ますと、昭和五十七年度には盛岡−札幌間は非常によくなるが、北陸はまだ赤である。九州ももちろんまだ赤である。しかし四線を一つのグループとして見た場合には、五十三年度の百八十四億の在来線の赤が五十七年度には三十億の黒になる、こういう計算を調査四線の一つのグループとして見た場合にはできておる。
 したがって私どもといたしましては開業後四年目には一応四線まとめれば黒になる。したがって、それに付帯的な貨物の輸送力の増強を見れば、一応五十七年度までには経営上マイナスにならないであろう、こういう数字の基礎に立って一応賛成したわけでございまして、それの政治的な交通系絡的な整備の必要、これは運輸省で判断されたわけでございますが、私どもといたしましては国鉄経営上も一応数字的に検討してやったわけでございます。
 ただ疑問として、四線一つのグループにすることのよしあしの疑問はございますが、一応これは新幹線整備法に基づく新幹線整備の段階を三段階ぐらいに――東海、山陽、これは現在われわれやっております整備法によらない新幹線のつくり方、それからその次に新幹線整備法に基づく一番初めのは、東北、上越でございます。これは第一段階。第二段階がいまの調査線の四線でございます。いわゆる新幹線整備法に基づく第二段階の四線としては一応三年、四年目には黒になる、こういう経済的に見てもやるだけの価値があるだろうと、こういう推定をしたわけでございます。それに対してさらに運輸省として交通網的な考え方をつけ加えられたと、こういうふうに判断するわけでございます。
#356
○田渕哲也君 終わります。
#357
○委員長(長田裕二君) 本日の質疑はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#358
○委員長(長田裕二君) 次に、派遣委員の報告を聴取いたします。江藤君。
#359
○江藤智君 武蔵野線現地調査の派遣報告をいたします。
 派遣されました委員、小柳理事、岡本委員、高橋委員、瀬谷委員、木島委員と私の六人で、九月五日、武蔵野線の武蔵野操車場、越谷貨物ターミナル、南越谷駅等を視察してまいりました。
 御承知のとおり、武蔵野線は松戸市小金から、浦和、国分寺を経て、川崎市小倉に至る九十六キロメートルに及ぶ鉄道でありますが、現在、工事が進められております小金線、京葉線とあわせ、東京外環状線を形成するものであります。
 去る四月一日、武蔵野線の府中本町−新松戸間五十七・五キロメートルが開業されたのでありますが、この外環状線が全通いたしますと、現在、山手線、京浜東北線などを走っております貨物列車が、外環状線を走るようになり、在来の貨物線を通勤輸送に振り向けることができること、外環状線に沿って、貨物拠点駅を整備し、自動化された貨車操車場を新設することによって、フレートライナー、地域間急行等の直行輸送体制を確立し、貨物輸送のシステムチェンジを行なうこと、さらには、外郭衛星都市相互の旅客輸送をはかる等、幾多の効果が期待されております。
 今回の視察にあたりましては、まず最初に、武蔵野操車場の建設状況を見てまいりましたが、武蔵野操車場は全国的な地域間急行輸送と一般貨物輸送の基幹ヤードとしての使命と、総蔵、常磐、江東地区の貨車操配を行なう地区ヤードの使命を兼ね備えたもので、高能率で安全性の高いヤードとするため、自動化システム等の導入をはかり、現在、鋭意、建設工事が進められております。
 次に、越谷貨物ターミナルは、コンテナ荷役設備等、近代化された貨物ターミナルとして整備されており、山手及び周辺線区の貨物集約をはかり、首都圏貨物輸送に大きく寄与しております。さらに将来は、越谷流通センターなどの完成と相まって、物的流通活動の中核的拠点としての役割りを果たすよう整備するとのことでございました。
 また、南越谷駅は、自動出改札装置などが整備され、駅業務の合理化がはかられておりました。
 以上、簡単でございますが、御報告申し上げます。
#360
○委員長(長田裕二君) 以上で派遣委員の報告は終わります。本日はこれにて散会いたします。
   午後七時十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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