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1972/09/14 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第31号
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1972/09/14 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第31号

#1
第071回国会 運輸委員会 第31号
昭和四十八年九月十四日(金曜日)
   午後零時四十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月十四日
    辞任         補欠選任
     竹内 藤男君     菅野 儀作君
     田渕 哲也君     栗林 卓司君
     川村 清一君     伊部  真君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         長田 裕二君
    理 事
                江藤  智君
                木村 睦男君
                山崎 竜男君
                小柳  勇君
    委 員
                岡本  悟君
                黒住 忠行君
                菅野 儀作君
                高橋 邦雄君
                橘  直治君
                松平 勇雄君
                渡辺一太郎君
                川村 清一君
                杉山善太郎君
                瀬谷 英行君
                森中 守義君
                阿部 憲一君
                三木 忠雄君
                栗林 卓司君
                青島 幸男君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
   政府委員
       運輸大臣官房長  薗村 泰彦君
       運輸大臣官房審
       議官       原田昇左右君
       運輸省鉄道監督
       局長       秋富 公正君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部長  住田 正二君
       運輸省自動車局
       長        小林 正興君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       日本国有鉄道総
       裁        磯崎  叡君
       日本国有鉄道副
       総裁       井上 邦之君
       日本国有鉄道理
       事        内田 隆滋君
       日本国有鉄道理
       事        加賀谷徳治君
       日本国有鉄道理
       事        速水 信一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進
 特別措置法の一部を改正する法律案について
    ―――――――――――――
#2
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。竹内藤男君、田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として菅野儀作君、栗林卓司君が選任されました。
 午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時四十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十五分開会
#3
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○小柳勇君 昨日、新線建設の問題で論議をいたしました。特にいままで投資をして、りっぱな農地を通って、今日までもう八割もでき上がったような線路がくさりかかっておる。最近の列島改造論を除外いたしまして考えなくても、地域的な変化が相当起こっています。昨日質問したので、地方から昨晩からけさにかけてじゃんじゃん電話がかかりまして、筑豊炭田に、御承知のように、油須原線というのが、もう竣工直前でいま押えられてあります。御存じのように、苅田港はこれから特定港湾になる。あすこに日立が進出いたしまして、数十社の下請け産業があの辺一帯に配置されることになります。田川から苅田港一帯に日立の工業がこれから根を張ってまいりますが、そういう産業的、地域的な変化もありまして、油須原線の竣工について、相当地元からの要請がありまして、夕べとけさも代表から、この際ひとつ予算編成期であるから、建設について明るい見通しを立ててくれ、こういうような要請があったのであります。必要があれば上京すると言われたが、上京はとめました。したがいまして、きのう運輸大臣は、地域の変化その他を考えて、取捨選択して整理する、こういうようなお話がありましたが、この油須原線の建設については、昨日おっしゃいましたような方向に、理解していいかどうか、御見解を聞きます。
#5
○国務大臣(新谷寅三郎君) 具体的に油須原線の問題について、運輸省の方針をお聞きになりましたので、お答えいたしますが、全体の方針としては、きのう申し上げたとおりでございまして、一つ一つにつきまして経済状況、社会状況の変化を十分調査しながら、それに対応するようなやはり新線というものは建設することが必要であるというふうに考えております。油須原線については、運輸省におきましても調査を続けております。いまお話しになりましたような方向で、非常に新しい産業が沿線に起こりつつあるように、われわれの調査の結果も出ております。でございますから、そういう実情を踏まえまして、われわれといたしましては、この予算配分にあたりまして、四十八年度におきましても、できるだけこの実情に沿うように、処理をしたいというふうに考えております。
#6
○小柳勇君 いまの発言で、地元の人もたいへん喜ぶと思いまするが、早急にこれが竣工いたしまして、筑豊炭田から苅田港に至る一帯が、一つの工業地帯として、あるいは港に直結した機械生産地として発展できますように、国鉄としてもひとつ御援助願いたいと思うところであります。
 第二の問題は、これも昨日からけさにかけて陳情がございました、きのう私が小学校、中学校児童の通学及び旅行の全額国庫負担を要求いたしましたその直後、身体障害者の団体から陳情があったのでありますが、単独で旅行する場合は百キロ以上しか半額割引がない、それから介護人がつく場合、短距離でも半額はつくが、その介護人は二級以上の障害者に一人つく、それから急行までが半額で、特急やグリーン車の乗った場合は割り引かない。それから推算して、厚生省の予算で四十七年度は三億ぐらいありましたでしょうと、手続が障害者手帳を福祉事務所に持っていくと割引証をくれる、障害者手帳に割引証を国鉄の窓口に持っていくと、切符にマル身、マル介というゴム印を押してくれると。そこで問題は、半額でなく全額にしていただけないか、これが第一でございます。それから単独で旅行する場合、百キロ以上でないと恩典がないと、半額にならない、これを、介護人は短距離でもつくのであるから、単独旅行の場合も百キロ以上でつけてくれないか。それから特急やグリーンの場合も対象にしてもらえないものであろうか、特急券の場合、グリーンに乗った場合。それから介護人は一人でなく、必要な場合には二人でなければならぬようなこともありますから、それもお考え願えないであろうかと。いま一つは、この手続が福祉事務所に行きまして障害者手帳を見せて、そしてこれに印判を押してもらわなきゃならぬが、何とか手続が簡便にならぬものでございましょうかという御相談がございました。きのうの公共割引の問題もございますけれども、この点について国鉄と運輸省の両方から御答弁を伺います。
#7
○政府委員(秋富公正君) 国有鉄道運賃法におきましては、ただいまの身体障害者につきましては、介護者を必要とする者につき半額これを割り引くというふうな規定があるわけでございますが、現在、国鉄並びに私鉄におきましては、いわゆる介護者つきでない単独の身体障害者につきましても、これを割引の対象にしておるわけでございまして、現在、国鉄におきましては八キロをこえる場合は、単独者についても割引をしているわけでございます。それから法律にはございませんけれども、急行料金につきましても、これを割引にしているわけでございます。ただ先生いま御指摘の特急あるいはグリーン車についても、その割引の対象にしていただきたいと、あるいは単独で旅行する人についても、百キロの距離の制限を撤廃してもらいたい、こういう御要望が来ておることは、私たちもよく承知いたしておるところでございます。
 ただ御承知のような国鉄の財政状況でございますので、これ以上国鉄の負担におきまして、こういった助成の拡大ということをいたしますのはいかがかと思いまして、これはむしろ社会政策といたしまして、所管しておられる厚生省のほうにおいて、全般的な社会政策の一環として御検討いただきたいと、厚生省のほうにも申し入れをしている次第でございます。ただ運輸省、国鉄といたしましては、身体障害者の輸送上の便宜につきましては、たとえば現在上野におきましても、すでにいろいろと改善の施設を行なっておるわけでございまするが、これをさらに広げてまいりたいと思っております。また私鉄におきましてもそういった便宜の改善を行なっておる次第でございます。
 並びに、いま手続の問題がございましたが、この点につきましても、国鉄におきましては、ことしの八月からこれを改善いたしまして、できるだけ御本人がお書きになる手間を省くため、表の紙に書いてございまして、あとは単に行き先だけを記入するというふうに簡単にいたしまして、枚数につきましても、十枚を一つづりというふうな改善を行なっておりますけれども、これにつきましては、私鉄におきましても同様に改善をいろいろと検討している次第でございます。
#8
○小柳勇君 ちょっと前のほうがわかりませんでしたが、単独で旅行する場合、百キロ以上でないとだめだというけれども、この点はどうかと、それから特急券の割引もありますかと、それでオーケーとおっしゃったような――ちょっとここのところ明確にしてください。
#9
○政府委員(秋富公正君) 現在の法律以上に、単独者につきましても割引の対象にいたしておりますが、ただいま御指摘の百キロでございます。これは百キロの距離制限を撤廃してもらいたいという御要望あるいは現在は急行も、法律にはございませんが、割引の対象にしておるわけでございますが、これをさらに特急まで割引の対象にしてもらいたい、こういう御要望があるわけでございます。しかし、これを国鉄の負担におきましてこれ以上行ないますということは、国鉄の財政状況からいたしまして、運輸省といたしましても、それを国鉄に負担させるということは酷でございますし、これにつきましては、社会政策全般としまして、社会政策所管の厚生省のほうに御検討いただきたいということで、厚生省のほうにも申し入れをしている状況でございます。
#10
○小柳勇君 じゃあ私の発言の前のほうは修正いたしますが、百キロ以上も適用しているということですね。
#11
○政府委員(秋富公正君) はい。
#12
○小柳勇君 わかりました。
 厚生省に申し出て、社会政策で何とかやりますでは回答になりませんがね、この点、ひとつ前向きに運輸省として、積極的に検討する用意はありませんか。補足いたしますと、全体で大体概算三億円ぐらいであろうと、ここに書いてございます、大体ですね。だからいまは百キロ以上を適用しても、あるいは特急券の半額にしても、たとえばいま新幹線などには乗れないそうです、乗りたくないそうですね、特急券割引がないから。だから新幹線がこれだけできるんですから、新幹線にも乗れるように特急券を半額にするように、ということは、厚生省におまかせいたしますじゃなくて、運輸省が積極的にそれじゃひとつ考えましょうということになりませんか。
#13
○政府委員(秋富公正君) たとえて申し上げますと、現在身体障害者といたしまして対象範囲になっている方は百七十六万人おりますが、その方方がいま申しました距離の制限を撤去いたしますと、約四億の増額となるわけでございます。それから、ただいまお尋ねがございませんでしたけれども、いわば内部疾患者、これは約十万人おられますが、これは現在対象でございませんが、この方々を範囲を、現行制度で広げましても約六千万でございます。それでさらにこれの距離撤廃ということをいたしますと、すべての制限を撤去いたしますと、約五億近くの金になるわけでございます。で、これを国鉄の負担で行なうということは、たとえて申しますと、老人に対する運賃割引の問題だとか、いろいろと要望があるわけでございます。あるいは現在の学生割引につきましても、海外から日本に来ている留学生もその割引の対象にしていただきたいとか、あるいは精薄者に対する割引の問題とか、いろいろと御要望はあるわけでございますが、そういったもので、一体身体障害者を特に取り上げるべきか、あるいは老人の方々の割引を取り上げるべきか、あるいは精薄者の方を取り上げるべきかということは、むしろ社会政策全般としてそれを所管している厚生省において御検討いただき、またそれに対する助成、これは国鉄、私鉄両方でございますが、さらにバスにつきましてもそういう問題があるわけでございまして、そういった問題は全般的に社会政策として御検討いただきたいということで、私のほうは厚生省のほうにもそういった御要望は強く伝達してございますし、厚生省のほうと、いろいろと協議をしている段階でございます。
#14
○小柳勇君 厚生省のほうだけではちょっと解決しないでしょうね、汽車に乗るときの具体的な問題ですから。全般的な社会政策の問題はわかります。これはあとで、ちょっとまた話が出ておりますから、質問を、通告に加えていきますけれども、その具体的な問題なんです。もう少し言いますと、半額でなく全額にしてくださいと、これはやっぱり社会政策の問題でしょうね、半額でなく全額にしなさいという問題……。それからこの半額を全額にするということは、きのうの論議のように、たとえば通学手当を全額国庫負担と同じでしょうけれども、現在単独旅行の場合、百キロですから、百キロ以上もというならば、それじゃひとつこれ二百キロまでとか、三百キロまでとか、具体的な話になる、そういうのを厚生省に持っていかなきゃならぬのかどうか、たとえば、どこからこれが申請されて、運輸省が許可しておるのか。国鉄と運輸省の関係はいかがですか、これは。
#15
○説明員(磯崎叡君) この問題は、実は先般の予算委員会でも、ほとんど各党の先生からお話が出まして、その際にうちの大臣と、それから厚生省の局長が出られまして、大臣からも、私のほうでいまこれほど財政窮迫しているときに、これ以上の公共負担を国鉄でしょうことは非常に無理だ、しかしながら国鉄としてやるべきもの、たとえば輸送上の諸施設の改善は、これは思い切ってやってまいりましょうということで、たとえば身障者用の便所、それから改札口あるいは目の悪い方々のためにホームの標識、それからできれば将来車両が、現在国鉄の車両は国際規格の車が入れない、車と申しますか、身障者の使われる車が入らない、幅が狭くて。それを今度つくるものにつきましては、その国際規格の車が、手車でございますね、手車が入るような規格にしようじゃないか、あるいは中でそのまま自分の座席まで行けるようにできるかどうか、なるべく車両の設計についても、手押し車のままで、おりないで座席近くに行けるようにしたいというふうな問題。それから目の悪い方々にとって言えば・乗車券の点字の発売機、それから先ほど申しましたホームの、つえでさわる標識がございます。そういう物的なものについては、ぜひ私のほうでやってまいりたい。それから、たとえばいま新幹線を博多までつくっておりますが、たとえば北九州市は身障者のための特別な指定の地域になっております。そういう市については、初めから新幹線の駅に身障者用の便所だとか改札口だとか、あるいはエレベーターとか、初めからつくってしまうというふうな、輸送設備としては、できるだけ心の行き届いた設備をしたいというふうに思っております。
 したがって、お金のほうはぜひ厚生省としてめんどうみていただきたい、その運賃のほうはですね。しかし私どものほうとしては、できるだけの輸送サービスいたしますというふうなことで、うちの大臣からも、それから厚生省の局長からも正式に答弁されました。いままで厚生省は、もうほとんどこういう問題は全部国鉄にいわば押しつけて、国鉄やってくれという調子だったんですが、ことしの予算委員会で、諸先生方からのお話で、ひとつ厚生省としても考えてみようというふうなことでございました。たしか一昨日の連合審査におきましても、厚生省の課長が出ておられまして、それに近い答弁をしておられましたので、私どもといたしましては、ぜひ厚生省でめんどう見ていただきたい、そういうことを考えております。
#16
○小柳勇君 私、まことに不勉強ですが、現在百キロ以上の割引になっておるのを、百キロ未満にも適用してくださいということです。
 そこで私の近所に御老人がおられまして、目が悪いものですから、証明書を持っておられると、汽車は半額で、駅でその証明書だけ見せておられたように思うんですけれども、福祉事務所にわざわざ行って割引証をもらわぬでも、身体障害者証というような、障害者手帳にはちゃんと証明がありますから、障害者手帳を出せば、いまの制度をそのまま適用するとするならば、特急券にも急行券と同じように割引するというような手続はとれないものであろうかというのが一つと、あと要求は、まだたくさん問題があるものですから、この問題だけにかかっておれませんが、要求は半額でなく全額にしてください、それから特急やグリーン券も対象にしてください、介護人は一人でなく必要な場合は二人も許してください、それから手続を簡単にしてくださいと、これだけの四つの項目の要求が私のところに来てますから、これをちょっといますぐ結論も出ないでしょうが、この四つの問題について、前向きに検討していただきたいと思うが、いかがでしょうか。
#17
○政府委員(秋富公正君) たとえて申し上げますと、現行で百七十六万人でございまして、これで国鉄が負担いたしております金額が約十二億四千万でございます。これを全額無料といたしますということは、さらに約十二億四千万の負担になるわけでございます。それから距離の撤廃につきましては、先ほど申し上げましたとおり、現在の対象の方でございましても四億の国鉄の負担増になるわけでございます。
#18
○小柳勇君 どうしたらですか。
#19
○政府委員(秋富公正君) 現在、単独で御旅行の方は百キロ以上の場合は五割引きにいたしておりますけれども、百キロ未満の場合にはこれを割引の対象にしていないわけでございます。これをたとえて申し上げますと、五キロお乗りになられましても三十キロお乗りになっても割引の対象とするというふうに、百キロ未満の方についても割引の対象にするということにいたしますと、四億の負担増ということになるわけでございます。それから、ただいま手元に一人の介護者を二人にした場合どうなるかということ、ちょっと数字を持っておりませんが、これも負担増になることはもちろんでございます。こういったことにつきましては、先ほど申し上げましたように、全般的にこの新しい助成の対象というものにつきましては、所管省である厚生省において、その問題を取り上げていただいて、どれが一番緊急度が高いかということは、やはり厚生省が社会政策として御検討いただくべき問題だと思いますし、そういった面につきまして、新しい助成は厚生省のほうでこれを一般会計から国鉄あるいは私鉄に、あるいはバスに助成していただきたいということを、厚生省に申し上げておるわけでございます。
 それから施設の面につきましては、ただいま国鉄総裁からお答え申し上げましたように、いろいろと国鉄につきましても改善をいたしておりますが、私鉄につきましても、あるいはバスにおきましても、そういった改善策を積極的に進めておる現状でございます。
#20
○小柳勇君 どうもよくわからぬのですが、たとえば国鉄なり、あるいは厚生省なり発議して、これは料金の割引ですから運輸省が認可するわけでしょう。どうですかね、厚生省でやらせるとおっしゃるのは、発議するのも決定するのも厚生省でございますという意味ですか。運輸省には何にも許可する権限がないから、認可する権限がないから厚生省に言っておるとおっしゃるのですか。ちょっとそこのところがはっきりわかりませんものですからね。社会政策のことは、この運輸委員会で論議せぬでもいいわけです、予算委員会か社会労働委員会でやりますから。ただここで、この国鉄運賃をいま論議しておるから具体的に問題を提起しておるわけですよ。現在、単独で旅行する場合、百キロ以上だから割引するとか、以下だから割引しないとかということは、ちょっと不合理じゃないか。身体障害者だから割引するんでしょう。百キロ以上だから割引するという意味がわかりませんがね。からだが不自由だからということもありましょうし、社会福祉の面から割引しておるんでしょうが。まことにこの考えが、百キロ以上は割引するけれども、それ以下はやりませんということはわからぬのですが、どういうことですか。
#21
○政府委員(秋富公正君) これは法的な権限から申し上げますと、国有鉄道運賃法第八条に基づきまして、いわゆる「軽微な変更」という第八条で、国鉄総裁限りの問題でございます。それから、いわば社会政策といいますよりも、そのいま申し上げました予算的な問題は、もし国鉄総裁が割引きますと、たとえて申し上げますと、いま現行では半額でございますのを全額無料ということにいたしますと、さらに十二億国鉄の負担になるわけでございますが、これを国鉄のこういったきわめて緊迫した財政状況におきまして、さらにそういった公共負担を、国鉄の責任において行なわせることは苛酷でございますので、これは一般会計から国鉄に補てんすべきであると、そういたしますと、それは所管省でございます厚生省がそういった予算を取りまして、これを国鉄に補助すべきであると、かように考えておるのでございます。
#22
○小柳勇君 まあ金額が多くなることはあたりまえですね。百キロまでの人を加えますと四億円ふえますとおっしゃいます。その他特急券の半額など現状でも、たとえば半額にしますとふえますことはわかりますが、金がふえますからやらぬというんじゃなくて、厚生省が考えるでしょうといまおっしゃっているようですね。最終的に決定するのはどこですか。たとえば金があったとして、それじゃやりましょうというのはどこですか。
#23
○説明員(磯崎叡君) それは私のほうでございます。私のほうが厚生省と相談いたしまして、厚生省は、国鉄は設備をやってくれと、運賃の負担はおれのほうでめんどう見るということで話がつきますれば、うちのほうが割引をする、実際にはこういう手続になるわけでございます。現在、八月から回数券式にしてしまったわけです。身障者の人が一々福祉事務所に行くのはたいへんですから、その回数券を一枚ちぎって窓口へ出していただければ運賃を割引すると、非常に簡便な手続にいたしました、八月からですね。その回数券式の紙が全部うちへたまるわけです。それを今度はまとめて厚生省へ請求すれば、厚生省からうちへ金が回ってくる、こういう手続にしたいというふうに思っているわけです。厚生省も今度負担増になる分は、先般の局長の御説明では、ひとつ前向きに検討しましょうというふうに言われましたので、私のほうはもう実は手続のほうだけ先にやってしまいまして、そしていつでも私のほうにあります割引証を集めて厚生省へ請求すればいいように、手続は全部そこまで進んでしまいました。したがって、もし割引の範囲を広げるということで、厚生省が三億なり四億の予算をお取りくだすって、来年度からやろうということになれば、いつでもできるように態勢がしてございます。そういうお金の面はぜひ国でもってめんどう見ていただきたい、設備なり手続の簡易化は私のほうでやりますと、こういう話でございますが、まあ予算委員会のときに、私の印象では、厚生省も相当積極的に考えるような印象を受けておりますが、いままでは全部何でも国鉄国鉄とおっしゃっていましたが、今度は身障者問題は少し積極的に考えるように私は印象を受け、それで手続だけは簡単にできるように進めてしまったわけでございます。
#24
○小柳勇君 回数券でやるのもまたちょっとおかしいものでしてね、ほんとうは社会福祉ですから、身体障害者はそれだけ普通の健康人よりも活動能力は落ちておられるから、一般的に、全般的な生活全部を見ていくというのが社会福祉でしょうしね。収入が少ないから割引しましょうというような、いわゆる恩典的なものじゃないと思うんですね、社会保障というのは。したがって証明書を持っていけば、半額ときまったものは半額だと、あるいは全額ときまったものは全額だという非常に簡単な社会福祉制度でしょうか、そういうものをやらなきゃならぬと思いますが、いま国鉄総裁を責めましてもしようがありません。したがって、こういう問題が出ておるということは御記憶いただきまして、新たにまた予算委員会などで論議しまして、国鉄だけに財政的な負担をかけないようにわれわれもしなきゃならぬと思います。
 それから、監督局長が一生懸命答弁されるから、一切の権限があると思って、私もここで質問しておったわけですが、あなたが答弁されるとこちらもちゃんと聞くのに……。
#25
○説明員(磯崎叡君) ちょっと私のことばが足りませんで……。回数券と申しましたのは、割引証の回数券です。いままでは福祉事務所に行って一回一回ばらのやつをもらってこられたやつを、十枚つづりの一冊に、割引証を回数券式にしたわけです。一冊ごとお渡ししてしまうわけです、御本人に。ですから御本人は福祉事務所に行かないで、いま先生お手持ちの証明書それから回数券式になった割引証ですね、それを持って駅の窓口へ行って一枚ちぎって証明書と一緒に見せて、ちょうど学割の割引券がございますですね、あれを冊子にいたしまして、十枚一つづりにいたしまして、それをじかに身障者に差し上げてしまってあるわけです。行く先だけ書けばいいようにしてあります。ですから手続は非常に簡単になって喜ばれておるはずでございます。
#26
○小柳勇君 国鉄に、乗車券のかわりに厚生省から金が出ますからそういうシステムにしたのだと思います。わかりました。
 ただこの四つの要求が出ておることを両者とも御記憶ください。また予算委員会で少し論議します。国の予算からしましたらわずかでしてね、十数億のものでたいへん不自由な目にあっておられるようですから、また別の場所できちっとして、国鉄にだけ損させないような方向をとらなきゃならぬと思います。
 それから、この種の公共負担は、累積分が十年間で約八千億ばかりたまっておるようですが、いままでの公共負担の累積分については、この国鉄再建措置法ではどういうようにお考えですか。
#27
○政府委員(秋富公正君) この問題につきましては、先般もお答え申し上げましたことでございますが、確かに十カ年間におきましては八千億という公共負担もあったわけでございます。これは国鉄が、いわば三十九年までの黒字の状態におきましては、これも負担していたわけでございますが、三十九年に赤字になって以来、こういった公共負担といいますものは、極力是正すべきであると思いまして、たとえて申し上げますと、二十五年にできました貨物の暫定割引、あるいは四十一年にできました特別割引も、四十六年度、四十七年度二カ年間にわたりまして、約五十億のものでございましたが、これを廃止さしていただいたわけでございます。また通勤手当につきましても、これを今回、現在平均五三・一%の割引でございますものを、五二・一%までこの割引額を減じさせるということで現在御審議いただいている状況でございます。
 そういうふうに、極力公共負担の是正ということははかってきておるわけでございますが、一方、御指摘の八千億というものに対して、一体政府は再建計画においてどういうふうに扱ったかという問題でございますが、私たちといたしましては、過去債務につきましては、これを四十四年の再建計画におきましては、四十三年度末の政府管掌債務だけにいたしておりましたものを、今回は四十七年度末の政府管掌債務、政府保証債務その他の一般債務全額というふうに拡大化しまして、これを十カ年間たな上げにするというふうにいたしまして、過去の債務を大幅にたな上げをするという措置をとったわけでございます。あるいは今後の政府出資あるいは工事費補助金、こういった包括的な意味におきましての助成をいたしまして、個々の項目をとらえての助成ということは、今回の再建策におきましてはとらなかった、全般としての助成をはかったものでございます。
#28
○小柳勇君 割引制度とか、あるいは地方納付金制度とか、あるいは踏切道の国鉄負担とか、いろいろ公共負担がございますが、もう衆議院、参議院で各委員が質問しておりますから、その問題は論議しませんが、こういう問題は各省庁に協議をしたり、国鉄だけに負担させないようにしようやとか、そういうような機運が出てきたのかどうか、といいますのは、昨年から二年がかりの運賃論議ですね、この中で、これは本会議でも委員会でも、もう何人か何十人か、公共負担を国鉄だけに押しつけるなと、こう言っているわけでしょう。そういう中で、運輸省が各省庁に対して、国鉄も赤字だから、ひとつあなたのほうはこれだけと、各省庁で分担するとか、あるいは大蔵省から一括して何か考えるとか――いまおっしゃったことはわかりますよ、補助金として一括出しましたというのはわかりますけれども、各省庁としては、もう当然、大蔵省側の補助金で、それで済んだというような考えであるのかどうか。
 それはなぜかといいますと、公共負担がいろいろ各省庁にわたっているわけです。私がさっき言いました身体障害者の場合は厚生省あるいは労災の場合は労働省ですね、各省庁にわたっておりますね、問題が。したがって各省庁が、もう証明書さえ出せばあとは国鉄がするのだというような考えでいままで来たのではないかと思う。それがここに八千億という累積赤字になっているものと思うわけです。さあここまで来たからびっくりして、それならひとつ大蔵省から補助しましょうというような考えになったと思うけれども、それではなくて、将来、社会福祉国家として建設するには、まだ公共負担的なものが発生すると思うんです。しかも、増額しなきゃならぬと思うんです。それを一切国鉄に赤字を累積させておきまして、これだけたまったから、それじゃひとつ政府がこれだけ補助しましょう。こういう考えは、この際変えなきゃならぬのではないかと思いますね。したがって、たとえば何か証明書を出すときには、ちゃんと関係省庁がその分は予算化して、年度当初から国鉄にやっておくとか、あるいは決算のときにこれを支払うとか、何か法規的なルールをやっておかなくちゃならぬと思うんですね。でないと、またこの次、国鉄運賃法なりの論議をするとき同じような論議が出ると思うんです。だから、いい機会ですから、省庁集まりまして、これだけ何回も公共負担が論議されたんだから、ひとつこういうルールをつくろうとか、こういう会合が持たれたのかどうか、お聞きいたします。
#29
○政府委員(秋富公正君) 公共負担の問題は、しばしば論議いただいておるわけでございまして、私たちといたしましては、極力これの是正すべきものは是正するということで、ただいま申しました貨物の暫定割引、これは昭和二十五年でございますが、あるいは特別割引、昭和四十一年から。こういう長い歴史のあったものでございましたが、これはおもに農林物資、通産物資でございますが、農林省、通産省とも話し合いまして、あるいは経済企画庁とも話し合いまして、これを入れる場合にさしていただいたわけでございます。それから通勤割引につきましては、これは現在またその割引額の軽減をはかっておるわけでございます。これ以外に新聞、雑誌、これも割引いたしておりますが、これにつきましては、国鉄におきまして新聞協会あるいは雑誌協会、販売協会と、非常に熱心に交渉を続けてまいりまして、それぞれその割引額を軽減していただくという努力をいたしております。
 一方、昨日先生から文部省にお尋ねがございました通学割引のような問題あるいは学生割引のような問題あるいは身体障害者割引あるいは戦没者の御遺族の割引、こういったような、いろいろの割引がございますが、この点は率直に申し上げて、現在まで各省におきましては長い歴史がございまして、国鉄がこれを負担していくのが当然だというふうな御認識ではなかったかと、率直に思っておるわけでございます。こういった問題はなかなか金額も大きい問題でございますが、やはり国鉄の財政の状況から見まして、これにつきまして、今後やはりわれわれといたしましても、その改善について努力していかなきゃいけないと思います。ことに今後、社会福祉あるいは社会政策、労働政策という意味におきまして、助成を拡大する、公共負担の拡大というような問題につきましては、これは少なくともそれを所管しておられる各省におきまして、その予算措置をとって、そうしてこれを実施するというふうに私たちは強く要望し、関係各省とも話し合いをいたしております状況でございます。
#30
○小柳勇君 関係各省庁のお話も具体的に進みつつあるようでありますけれども、何かルールをつくりまして、大臣が、あるいは局長がおかわりになりましても、もう公共負担については各省庁ともこうするのですというような、きちっとしたルールをきめておかなければならないと思うんですね。国鉄の赤字がこれだけだから、今度はひとつ大蔵省からこれだけ補助しますとかというようなことでは、恩恵的なものになってしまいますね。何かこう国鉄が頭を下げてもらう、あるいは運輸省が大蔵省に頭を下げて赤字の補てんをしてもらうという、これは実際は当然取らなければならぬことでしょう。運送しているのですから、運賃ですから、運賃の割引ですから。それを各省庁間で何か規約をもうけ、あるいは大蔵省なりの事務取り扱いの規定といいましょうか、がちっと印鑑を押したときには、さっきの切符の話じゃありませんけれども、一枚発行したらちゃんとこれだけは返ってくるというような、そういうようなものが必要じゃないかと思うのですが、そういう問題についても閣僚間でもお話合い願いたいと思うのですが、大臣いかがでしょうかね。
#31
○国務大臣(新谷寅三郎君) いわゆる公共負担といわれております中に、いろいろの種類があると思います。運賃関係などは、昨日も御質問があって、国鉄総裁から詳しく御答弁申し上げたのでございますが、今日基本賃率は法律できまりますけれども、なお運輸大臣の認可運賃もあるし、国鉄総裁のきめられる運賃もございまして、こういったものにつきましては、いままでのいわゆる政策的な割引というものを、なるべくこれを公正な割引率にしようという努力をこの数年間続けてきております。この点は今後ともそうしたい。しかしながら、やはり一挙に非常な変動を与えることは無理でございますから、貨物運賃については、できるだけ関係各省庁と打ち合わせながら、あまり急激な無理が生じないようにということで、お互いに協議をしながら進めているということは御承知のとおりです。
 ただ旅客のほうにつきましては、これは実はいろいろ考え方があると思います。おっしゃるようなことも将来にわたっては考えなければならぬと思いますけれども、いまとにかく法律でああいうふうに割引率も割引をしなければならぬ対象もはっきりきめておるわけですね。これを今度の十カ年計画にあたって、われわれが本来あるべき姿に戻して、おっしゃるように、これは当然一般会計から負担すべきであるということになりますと、非常に問題を刺激いたしますので、これはいま現在法律に規定されておって、長い間この法律の規定に従って、行なわれておったというものにつきましては、この十カ年計画の策定にあたりましては、一応これは改定を見合わしたわけでございます。しかし先ほど鉄監局長も言っておりましたが、要するに、これはもう一応きめられているから、法律できめられておって、両院の御意見もそこにあるのだから、これは現在のところはやむを得ない。しかし、これ以上さらに拡大していくことは、これは国鉄のいまの財政から見ても困るんだ、これについては国鉄総裁が申しましたように、設備方面については、これは当然に国鉄がやらなければならぬことでございますから、設備方面は担当いたします。サービス面も同様でございます。しかし運賃率そのものについては、これ以上拡大するということになりますと、これはどうも国鉄の財政では背負い切れないから、その点は一般会計でめんどうを見てもらうように、関係各省庁で自分の所管事項についてはやっていただきたい、こういう主張をしているわけでございます。
 この点、私は関係各省のほうにも事務的にも話をさしておりますし、関係の閣僚にもそういう意思表示をいたしております。今度の四十九年度予算に、各省の予算でそれがどこまであらわれますか、私たち非常に期待をいたしておるわけでございます。決して運輸省が門戸を閉ざすというような消極的な態度ではございません。さっき御了承いただいたように、そういう新しいものは、これはもうなるべく関係各省で、一般会計で予算を取ってくだされば、いつでも私のほうはお受けしてサービスをいたします。こういう態度でございます。将来にわたりましては、もう少し関係各省との関係がございますから、あまり一挙にこれはできませんけれども、本来のあるべき姿になるべく戻すような交渉を進めなければならぬとは思っております。
#32
○小柳勇君 各委員が言っておりますように、今度のこの再建法を見てみますと、いままでまとまった赤字がこれだけありますが、今度は政府出資はこれだけふえました、利子補給はこれだけいたします、で、これから十年いけばこれこれになりますというような話だけでありまして、たとえば制度の変更などというものがどうなって一あと基本計画が出ましょうけれども、その基本計画も、私は四十五年に出ましたのを見ましても、そういう制度の変革などというものがあまり出ていないわけですよ。
 そこで、たとえば通学割引にいたしましても、約二、三百億円の金ですが、さっきおっしゃったような身障者割引の割引回数券みたいなものがありますと、学校から学割証明を出したものが半切れがあったら、文部省から国鉄に返すというようなことを考えれば、公共割引もそうあまり国鉄だけにしわ寄せぬでもできるんではないかという、知恵を出せば考えられるんじゃないかと。また、そうしていかなければ、この十年間のうちに、黒字なんかとってもできないと、私どもは思っているわけです。野党の議員はみんなそう思っております。与党の議員だって、あるいはそう思っている人もたくさんいると思うんですがね。いまのままいったら物価はどんどん上がりますし、とてものこと、それは再建どころじゃないんじゃないかというのが私どもの見解なんですよ。だから、中のほうから、もちろん政府出資をふやさなきゃならぬ、同時に中のほうの制度を変えていって、独立採算なら独立採算できるような仕組みをみんなで考えなきゃならぬという立場でいま私話しています。
 そこで、この問題だけやりませんが、もう一つ、いまのに似た問題ですけれども、これもたびたび地方議員団が上京しまして、地方納付金の問題を論議しますが、どっかで結論を出しませんと、毎年陳情団が来ますね。地方自治体は貧乏なものですから国鉄から金をもらいたい、国鉄は、公益事業なのになぜ地方に金を出さなきゃならぬかと、しょっちゅうこんな論争を、こういう論争があるものは運輸省が中心になって一つ一つやっぱりつぶしていかなきゃならぬと思うんですよ、こういう機会に。いい機会ですからね、二年間がかりの国鉄再建論議だから。また来年も同じようなことを論議するのは、これはもうばかの骨頂ですよ。この問題についても、自治省とよく話をしたことがありますか。
#33
○政府委員(秋富公正君) 御指摘の納付金の問題ですが、これは国鉄におきましても、大体百二十五億程度のものを毎年納めておるわけでございます。今後さらに新しい工事を進めてまいりますと、この納付金の金額はいよいよ大きくなるわけでございまして、これが最初できましたのは、地方財政の悪化に対しまして、一つの公共企業体も、これに対して固定資産税相当額を納入するということでできたわけでございますが、現在は国鉄は非常に財政状況が悪化しておりますので、これの廃止あるいは軽減ということは、絶えず私たちといたしましても努力しておるわけでございます。
 現在までに、いわゆるAB線につきましては、これは納付金の対象から除外するというふうになったわけでございます。また四十四、五年にかけまして、この納付金の軽減措置をはかったわけでございます。その後、現在また新しくいろいろと工事いたしまして、いわゆる納付金の対象となる範囲が拡大するわけでございまして、この問題はいろいろと自治省財政当局とも詰めておりますけれども、いま御指摘のように、いわゆるそれを受けます地方におきましては、非常にそれを財源にしているというような問題もございまして、自治省の財政局もなかなかこの問題につきましては強い姿勢でございまして、現在さらに新しい交渉はいたしておりますけれども、事実におきましてはなかなか話がまとまらないという状況でございます。
#34
○小柳勇君 もう具体的な話は各委員から再々出てますから言いませんが、ただ私が言いたいのは、こういう機会に論争を将来に残さないように一つ一つやっぱりけりをつけていくべきであろうという立場から言っていますから、一応自治省ともよく相談されて、あまり国鉄対地方自治体とが論争が起こりませんように処理してもらいたいと思います。
 次は、質問通告しておりました問題であります。国鉄の付帯事業の問題について入ります。
 国鉄の付帯事業の問題も種々論議されておりますが、ここまでまいりますと、私鉄みたいにはまいりませんけれども、国鉄の付帯事業というものを拡大する必要があるのではないか。いろいろ議論はありましょう。議論はありましょうけれども、あまりにも片寄り過ぎていないかという気がするのでありますが、日本国有鉄道法第三条のほかに付帯事業を拡大する必要がないか。現在行なっている付帯事業の実態はどうか、この点について、御説明を求めます。
#35
○説明員(磯崎叡君) 私から総論的に申し上げます。いわゆる先生のおっしゃった付帯事業というもの、これは国有鉄道法第三条に基づくものでございますが、これは昔からやっておった駅の構内の売店とか、そういうものを全部いわゆる付帯事業ということに言っております。この事業と、それからもう一つは、最近法律改正をお願いいたしました国鉄法の第六条に基づく国鉄が出資をいたします、そうしてその事業をするという、まあ民間との協同経営の事業をする。私のほうではこれを出資事業と申しております。その出資事業と付帯事業とあわせまして広い意味の付帯事業というふうな表現をいたしております。
 そのうちで、三条のほうの付帯事業は、これはもう昔からこまかいことをいろいろやっておりましたが、大体やるべき内容としては、ほとんど限度に来ている。むしろ、たとえば付帯事業であったものを出資事業にしたほうがいいというふうなものもございましたが、いずれにいたしましても、付帯事業としてはそれほど大きな、何と申しますか、これから非常に拡張していくということはあんまりないような気がいたします。
 これは総論でございますが、しかし第六条の出資事業につきましては、これは国鉄が若干の出資をすることによって、民間資金を活用すると同時に、たくさんの民間の有能な人に入っていただく、そうして国鉄を退職した職員とともに仕事をしていくという意味で、今後、出資事業につきましては相当範囲が広がると思います。現在私鉄の状況を見ますと、会社によって非常に違いますが、私鉄の会社プロパーで、たとえば百貨店事業をやっている会社もありますけれども、大体最近はもう分けまして、いわゆる出資事業的な概念でやっているようでございます。これは企業の採算を明白にするという意味もあると思いますが、そういう形でもって、あんまりどんぶり勘定で一本にしないで、なるべく責任体制をとるという意味で出資をして、おのおのの仕事をさせるという体制のようでございますが、私のほうといたしましても、大体ばく然たる方向といたしましては、やはり出資事業のほうに将来重点がいくというふうに考えられます。
 将来考えられる――これはまあやるという意味じゃございませんが、一番私鉄と私のほうと比較いたしまして違っておりますこの事業の範囲は、大体三つあると思います。一つはいわゆる土地事業でございます。それから一つは住宅事業でございます。もう一つは百貨店を含めた流通部門の事業でございます。この三つは非常にその範囲も大きいし、規模も大きいし、これはやり方によっては非常に大きな利益を上げることもあると思いますが、一方なかなか経験がなければできない仕事でございます。また一方、国鉄の性格として、いまの三つ申しましたことを、はたしてやるべきかどうかということも、相当考えなければならないということもあると思います。大きな残された範囲としてはその三つございますが、これらにつきましては、将来、十分運輸省とも御相談し、拡張して差しつかえないものについては拡張してまいりたいというふうに思っておりますが、いま具体的には何も案を持っておりませんので、以下数字につきまして、関係の者から御説明申し上げます。
#36
○小柳勇君 ちょっと概数。
#37
○説明員(速水信一君) それではいま総裁が申しました出資事業と、それから付帯事業に分けて申し上げさしていただきます。
 出資事業のほうは、現在、四十七年度末におきまして三十七社でございます。出資金額が八十二億六千万円。それからもう一つの付帯事業のほうでございます。これは非常に社数多岐にわたっております。現在中心はほとんど民間に委託してやっておりまして、その社数多岐にわたっておりますが、国鉄がそれによって得ております収入を申し上げますと、約百五十七億の収入を、これは料金の形で取っておりますが、国鉄が委託しておるところから取っております。こういう状態であります。
#38
○小柳勇君 その付帯事業や出資事業から利益の還元があるのかどうかですね、出資はするわ、付帯事業は許しておるけれども、一体国鉄はどのくらいもうけておるのかという点、いかがですか。
#39
○説明員(速水信一君) ただいまの出資のメリットについてでございますが、現在三十七社会社ができておりますが、実は出資ができるようになりました歴史が浅いものでございますので、現在まだ開業を準備しております会社十一社ございます。このうち開業して三年以上経過したものが十八社ございます。これは大半単年度黒字になっておりまして、現在まだ単年度で赤字は二社、わずかな赤字があるだけでございます。それから開業三年未満の会社が八社ありまして、これは現在まだ一社を除いて黒字になっておりません。
 それから、これによる国鉄のメリットはどうかという御質問でございますけれども、現在いま申し上げたように、まだ歴史が浅いものでございますから、配当している会社は五社でございます。これが五社で約六千万の配当をして国鉄が取っております。
 それから出資会社のうち、駅を再開発してターミナルビルというのをいま開発しております。これはその場所を貸して商売させ、その売り上げから料金を取るという仕組みを考えております。これも大半いま工事中あるいは設立準備中という段階でございます。これがおおよそ開業いたしますと、五十一年度におきましては八億五千万円ぐらいの収入が得られる予定でございます。
 そのほか既設の会社で旅客関係、たとえば切符を交通公社等に代売さしている。それから貨物では臨海鉄道等の会社、こういうたとえば交通公社等に切符を代売させることによって、国鉄といたしましては、従来駅だけで売っているほかにそういう場所によっての切符の売り上げ、これが約一千七百七十四億円の売り上げ、非常に大きな売り上げをそこでさしております。
 それから、また貨物におきましても、いま伸びております臨海工業地帯等に鉄道を敷いた臨海鉄道あるいは物資別輸送ということによって百八十六億の貨物収入をあげております。
 それから、さらにメリットといたしましては、いま申し上げた切符の代売とか臨海鉄道というようなものを、かりに国鉄で直営したとしたら、非常に国鉄がいろんな新しい線を敷くとか設備改良をするという資金をそっちに回さなきゃいけない。それを回さないで済んだ金額が約五百八十億ぐらいの金、これがまあ非常に部外資金を活用したと、こういうことになるかと思います。おおよそメリットを申し上げますと以上のことに尽きるかと思います。
#40
○小柳勇君 国鉄総裁、いまのような話でありますが、この出資会社なり付帯事業につきましては、将来とももう少し広くめんどうを見たいというような方針でございますか。あるいはあまりもうメリットがないから、この辺でひとつブレーキかけようという方針でございますか。
#41
○説明員(速水信一君) 今後につきましては、これはもういまの時世は非常に動いておりますので、いろんな旅客の要望、ニーズと申しますか、あるいは便益と申しますか、そういうものに応じていろんな仕事が今後また出てくる可能性がございます。したがって、いまどうこうという結論をつけることは、なかなかむずかしゅうございまして、今後のそういう情勢によって国鉄が直接やることが適切なもの、こういう場合には適宜検討さしてやらしていただきたい。ここで今後、絶対しないとかするとかいうことはなかなか申し上げにくい段階ではないかと思っております。
#42
○小柳勇君 運輸大臣に質問しますが、この国鉄の付帯事業なり、あるいは出資事業がいま国鉄の説明では八十二億六千万円を出資しておるわけです。そして三十七社の出資会社が動いています。私鉄では百貨店、特に不動産部など活発な付帯事業で鉄道部門の赤字をカバーして、総合経営のもとでは黒字になっておる。だから運賃収入が赤字になりましても、他の事業で黒字になって、これでもうけておるという現状です。国鉄の場合は、日本国有鉄道法でがちっとしぼっておりますが、将来を考えましても、世界の鉄道事業を考えましても、運賃収入でやっていくということは、なかなかたいへんではないかと思うのですが、その赤字を政府で全部これからめんどうを見ていくという腹になるのか、あるいはもう少し日本国有鉄道法というものを広く解釈して、関連事業なり出資事業というものをふやしながら、たとえば私鉄ほどはいきませんでも、事業にも少し力を用いたらどうかと、どういう方向を運輸省としては考えておられますか。
#43
○国務大臣(新谷寅三郎君) 国鉄は何といっても公共企業体でございますから、その性格上やはり民間の企業と違いまして、付帯事業につきましても投資事業につきましても、おのずから限界があると思います。先ほど国鉄総裁から申されましたように、私も方向としては大賛成なんですが、いろいろ考えてみましても、付帯事業として考える部分は、わりあいに狭い。しかし投資事業としましては、これはまだ今後、公共企業体である国鉄として、こういった方面に少し投資をして、それによって国鉄が本来やらなければならないこともございましょうし、あるいは国鉄の事業活動を間接的に非常に援護をしてくれるような意味の投資事業というものもあるわけでございますから、そういったものに国鉄が自分の力でフルに資本を出してやるよりも、民間の資本あるいは技術者を動員して、そういう何といいますか、関連した事業に投資をして、国鉄の事業をもっと有効に経済的にやらせるというようなことについては、積極的にやってもらったほうが、結果といたしまして非常に国鉄の収支にも役立つものではないかと考えておるわけです。
 ただ収入を目的としまして、とにかく収入が上がればいいんだというんで、民間企業のように、何に対しても投資をしていくというような態度は、これは公共企業体の本来の性格からいって適当ではないと思いますが、そういった仕事がどういう方面にありますか、これは国鉄自身が考えられる問題であると思いますが、私はきつき国鉄総裁が申しましたような方向で国鉄が考えていかれる限りにおきましては、運輸省も援助をしたいと思っております。
#44
○小柳勇君 まあ俗論ですけれども、操車場など、土地の広いところを管理していますから、その空間はがらあきだから、空間にビルを建てたり、あるいはホテル事業なども、ホテル事業に限っては許すとかいたしますと、きのうも連合審査で話が出ていました、駅前の官舎街が一階建てで広く土地をとっておる。広くもありませんが、平面をとっておるから、これをまとめて高くしたらほかにも貸せるんではないかと、あるいはホテルでもできるんではないかという意見もあったようでありますが、たとえばホテルまではよろしいとか、旅行業だからホテルまではよろしいとか、何かそういう具体的な構想などありませんか。
#45
○国務大臣(新谷寅三郎君) さっき申し上げましたように、これは自然に限度があると思いますが、限度内において、こういうこと、こういうことということは、これは考えられると思います。これは詳細に国鉄のほうで検討をしてもらいたいと思いますが、ただ申すまでもありませんが、いろいろ経済事情が変わります。社会事情も変わっていきますから、それにやっぱり応じて、あるいは将来とも身動きのとれないようなきめ方はこれは考えものだと思います。やっぱり一つのその地域に応じて、それから社会事情の変化に応じた、そういった投資事業、付帯事業というものが考えられると、こう思います。
#46
○小柳勇君 次は開発利益の問題です。先般も武蔵野線を視察いたしました。あの農村地帯に武蔵野線ができまして、駅の付近など非常な土地の値上がりのようでありますが、国鉄はちっともこれに利益が還元されていない、建設費だけ投じているという実態でございます。総合交通体系についての答申でも、受益者負担は求めておるようでありますが、この開発利益の還元については何にも知恵はないものであるかどうか、この点いかがですか。
#47
○政府委員(原田昇左右君) 総合交通体系という政府できめました方針におきましては、開発利益につきまして、これを交通社会資本の利用と直接結びつかない、主として時価上昇という形であらわれます利益をいうように定義してございます。そこで開発利益を、極力その提供者でございます事業主体に還元することはきわめて望ましいことでございますが、開発利益につきましては、現在その受益の範囲とか程度の評価方法等が確立されていないわけでございまして、これらについて、なお慎重に検討する必要があろうかと思います。
 なお開発利益還元そのものではございませんけれども、大規模な宅地開発に伴って必要とする鉄道やバスの路線整備に必要な用地の確保につきましては、当該宅地の開発者に負担を求めるという、いわゆる開発者負担制度というものが一部できておりまして、現在、私どもとしては、極力この方向で開発者に負担を求めるという形で、団地開発の場合のバス、鉄道の整備を進めてまいりたいと考えております。
#48
○小柳勇君 いま国鉄のほうでは、不用地ではないけれども、鉄道事業に直接関係のない土地というのはどのくらい持っておられますか。
#49
○説明員(磯崎叡君) 私のほうで持っております全体の土地の面積が六億六千七百万平米ございます。そのうちで、現在実際に使っておる、たとえば線路とか停車場で使っておりますものが約六億四千万平米ございます。したがって残りの二千数百万平米ほどは直接事業に使ってないものでございます。その中で、いまは使ってないけれども、さしあたりすぐ使う計画のあるもの、当分利用計画のないものと両方あるわけでございます。それを分けますと、いま事業計画のあるものが約三百万平米、それから事業計画のないものが、あと貸し付けがございますから、千五百万平米ぐらいございますが、そのうちで、すでに処分しようと、部外に売ってしまおうと決定したものが約七百万平米ございます。これは、たとえば線路敷のあとだとか、それから鉄道林のあとだとかで、なかなか売れるものと売れないものとがございまして、むしろどちらかと申しますれば、これはいなかのほうに多い土地でございますが、これが約七百万平米、そのほかに約九百万平米、これはさしあたり利用計画がないので、逐次処分をしたいというものが約九百万平米ございます。これでもって、今度の計画の中で約十年間で千三百億ほど売ることにいたしております。
 これはほとんど土地だけでございます。これでは少し足りませんので、現在、先ほど先生のおっしゃった、たとえば大都市付近の木造家屋を集約いたしまして、そして土地をあけてその土地を売るというふうな方法あるいは現在、国並びに市町村に道路敷として無償でお貸ししている土地がございます。たとえば東京駅の前の土地、あれは国鉄用地でございますが、東京都に道路として無償でお貸ししておるわけでございます。そういう国や公共団体に対して道路敷として無償でお使いいただいているものがございます。これを大蔵省が実は非常に乗り気になっていただきまして、ぜひひとつ地方に買わせようじゃないか、建設省あるいは都道府県に買わせようじゃないかということで、主計局が中心になって、国鉄の土地を無償で地方が使っているものは、ぜひ地方に予算をつけて買わせようというところにまでいっておりますけれども、そういう意味で、道路敷を使っている方にお売りするとか、いろいろな方法を考えて、現在、先ほど申しました数字のほかに相当な土地を考えております。
 それからさらに、貨物の集約等によるあと地の利用等もございますが、それらを全部合わせまして、大体十年間で千三百億ぐらい売りたいと思います。いままでの実績が、大体年間五十億でございますが、昨年ぐらいから非常に努力いたしまして、大体百億の土地を売っております。今後、平均いたしまして百二、三十億平均で売ってまいりたいというふうに思います。もちろん駅付近の、将来開発の可能な場所は売りませんが、なるべく駅から離れた場所あるいは当分利用のないもの等につきましては、いま申しましたような基準によりまして売ってまいりたい。売る先といたしましては、優先的にやはり公共機関に売りたい。市町村等が買いたいというところはぜひ売りたい。たとえば東京付近におきましても、各区の児童遊園地あるいはその他――ごみ焼却場ほど広い場所はございませんが、大体児童遊園地あるいは自転車置き場等に使いたいというところは、これはなるべく高く買っていただくということで、なるべく一般地価と同じ程度で区あるいは都に買っていただく。それから、そういうところでないところにつきましては、思い切って高く売る。かと申しまして、いろいろな問題を起こしたNHKなどの例もございますので、そうべらぼうなことはできませんが、一応公開入札をして極力高く売りたいと思っております。
 それらの土地につきましては、いまほとんど東京、名古屋、大阪でございますが、戦争中に買いました宿舎のあとなどがばらばらしておりますので、それらを総合的に利用する価値がございませんので、これらはいま申しましたように、一般の民有地に開放するという意味もあって、一般に広く公開入札にいたしたい。しかし優先的にはやっぱり公共団体にお売りしたい、こういう考え方で今後とも処分してまいりたいというふうに思っております。
#50
○小柳勇君 そういう土地を売る場合、いわゆる財産を売る場合は、いま大蔵省の認可とおっしゃいましたけれども、承認などが、もちろん運輸省の承認も必要でしょうけれども、何か規定、基準がありますか。
#51
○説明員(磯崎叡君) これは大蔵省の認可でなくて、運輸省だけの認可でよろしゅうございます。規定、基準と申しますのは、私どものほうでは土地等の価格評価委員会をつくっております。これは御承知のとおりの不動産研究所とか、あるいは銀行だとか、こういう信用の置ける専門家、これを常置の機関として持っております。大体、大きな管理局はみんな持っております。その専門家に評価してもらいまして、そうして大体三とおりぐらいの評価をもらいます。そうしてそれによりまして値段をつけまして売るということで、価格につきましては一般の市価等も参酌いたしまして、われわれがきめないで専門家の意見によってきめるというふうなやり方でやっております。
#52
○小柳勇君 買う場合、たとえば武蔵野線の沿線など、将来ここには駅をつくりますとか、あるいは付帯事業をしようとかいうことで買う場合は、どういう手続が必要なんですか。
#53
○説明員(磯崎叡君) 買う場合には、もちろん予算の制約が第一にございますが、その次に、やはり事業上必要な最小限度の土地しか買わないという、これはたてまえでございます。別に法律はございませんが、当然のことといたしまして、たとえば線路なら線路幅だけとか、駅なら駅だけとかいうような広さで買っております。したがって、そういう意味の広さの制限はございませんが、おのずから土地の広さはその事業の内容によってきまってまいります。ただ、どうしてもこの部分がなくなってしまえば土地全体の価値が減るのだ、だから全部買ってくれというような場合もございます。たとえば十坪取られてしまったら百坪の土地の価値がなくなるというような場合も確かにございます。そういう場合には、ごく例外的に上のほうの機関の承認を得て、若干増し用地でもって買うという場合もございますけれども、原則は、買う場合は事業上必要な最小限度、ただし価格につきましては、これは一昨日もしかられましたが、建設省の土地公示価格がございます。これらと、それから先ほど申しました評価委員会の評価を経まして買っておるわけでございますが、買う値段は、最後は相対の金になりますので一律には申し上げられませんが、基準はやはり建設省の公示価格と、それからそれを参酌した評価委員会の評価、こういうことで買っておるわけでございます。
#54
○小柳勇君 いま、現状で、たとえば私鉄の不動産部門みたいなことはできないでございましょう。たとえばホテル事業など関連事業というのは、われわれの常識では、そういうものが一番常識ではないかと思いますけれども、いずれにいたしましても、いまの国鉄というものが体質を改善しなければ、永久の再建というものはなかなか困難ではないかと思うものですから、その小さい一つのアイデアとしていま申し上げているようなわけです。したがって内部体制の変革と同時に、外にも少しずつ変革しながら、永久的な国鉄再建の方策が立てられますように期待をいたします。
 次は、きのうもちょっと言いました下請企業の話でございますけれども、不請企業には工事あるいは作業などを委託してございます。まず、この法的基準といいましょうか、規定といいましょうか、どういうところまでは下請にやらせると、そういう基準がありましたら、それをお教え願いたいと思います。
#55
○説明員(磯崎叡君) これは先般、森中先生から御質問のあった点でございますが、率直に申しましてそういう基準はございません。ただ地方鉄道法の中で、鉄道の管理を包括的に委任してはいけない、こういう法律がございます。したがいまして、当然その精神は私どものほうにも準用さるべきだということで、たとえば何々線なら何々線を全部包括的に下請する、これはもう許されないことだと思います。結局いままではある程度の常識の範囲内で直接客貨の輸送に影響ないというところをやっておったわけでございます。清掃とか、あるいはその他の単純業務の下請、これは当然でございますが、その他若干仕事の面に立ち入って下請をさしております。
#56
○小柳勇君 いまここにたくさんの資料を持っておりますけれども、下請企業がありまして、たとえば入れかえ運転などまで下請に出ています。もちろんそれは退職者もありましょうし、訓練もしてありましょうけれども、どこまで一体下請作業というものが許せるものかということを考えるわけです。
 きのうも十一万人合理化の話をいたしましたけれども、まずワクが初めにきまりますと、各局に振り割りながら、競争とは言いませんけれども、本社内の各局が競争みたいに合理化政策を進めてまいりますと、もうこの辺までひとつ下請にやっちゃおうかということになりはせぬか。その結果事故を発生しはせぬかという懸念がございます。入れかえ運転などをやりますと、これはやはり視力も必要でありますし、勘も必要であります。そこまでやってよろしいものであろうかという、少なくとも動力車が動いて列車編成するような作業は、やっぱり鉄道がやらなければ、一番大事な仕事ではないかという気がするのでありまするが、こういう問題についての見解はいかがですか。
#57
○説明員(磯崎叡君) 確かにお説のとおりだと存じます。いまやっております構内の入れかえ等につきましては、いろいろ調べてみますと、非常に人員がない、と申しますことは、適任者がないというふうなことで、やはりいままでうちにいた人をぜひ使いたいというような気持ちもあってやっておるところもあるようでございますが、やはり全体として、いま先生のおっしゃったとおり、直接列車運転に携わるということは、かりに側線であってもよくないことであると私は考えます。あるいは先般問題になりました線路の保守にいたしましても、非常に限界はむずかしゅうございますし、それからそれをやる会社あるいは個人には厳格なもちろん基準をするにいたしましても、いま先生のおっしゃったように、これから合理化の進展等で、私どもの各管理局が競争になる、その競争になった結果、それを競争して下請に出すというようなことでは、これは非常に危険であるし、よくないことであるというふうに思います。
 したがって先般御答弁申し上げましたように、一つの基準をぜひつくりたい。これは大臣の御認可も経た上で正式なものにいたしたいというふうな気持ちを持っております。根拠法規は、法律上は別に禁止したり強要したりする規定はございませんが、それはそれといたしまして、私どもの下請に出す基準というものをひとつつくりまして、それを大臣の御認可を経てきちんとしたものにしておきたいというふうに、先般御答弁申し上げましたが、ぜひそういう方向で進みたいというふうに思っております。
#58
○小柳勇君 いろいろの面がございますが、まあ一つは、下請に出したために、一体年間予算でどのくらいもうかるであろうかということを考えるわけです。たとえば整備産業という会社に下請いたします。それにはそれに相当する金を国鉄が払ってやらなければならぬ。その会社はその中からやっぱりもうけなければならぬですね、会社ですから。そうしますと、結局は国鉄のワクというものを広げてやりませんと、もうけは少ない、もうけが少ないと無理します。無理しますと、未熟練者といいましょうか、労働力を安い人件費で雇う、あるいは人間をなるべく少なくする。そうしますと、国鉄が直轄でやっていました作業と下請に出しました作業というのは、格段の差異があるんじゃないかと思うわけですよ。たとえば客車清掃一つとりましても、かつての客貨車清掃掛というのがやっていたのと、いま清掃会社でやっているのと比べてみましても、そういう気がいたします。また、そうでないともうからぬわけですね。もうからなければ何も会社をやる必要ないんですからね、もうほうり出せばいいですから。そういう矛盾を私は職場を回るたびに常に考えるわけです。
 したがって下請に出したために、もちろん人間はそれだけ減りますが、予算としては一体どのくらいもうかるのであるか、お教え願いたいと思います。
#59
○説明員(加賀谷徳治君) ただいま御指摘の件でございますが、予算の点はあとからまたあれするといたしまして、メリットにつきましては、各局でいろいろやっておりまして、全体の数字は、実際問題として、そういうメリットといった面では的確にまだ把握できないのですが、それはメリットがあることは事実でございますが、事例的に一つサンプル的に申し上げますと、いま出ました車両清掃の問題、そういったようなものにつきましても、大体六割ないし七割ぐらいの費用でやれているというようなことははっきり出ておるわけでございます。
#60
○小柳勇君 費用が六割でありますと、作業がやっぱりそれだけ下がるんじゃないでしょうか。六割にも減りますとたいへんなことではないかと思うのですけれども、下請産業というのが生れましてから相当歴史もたちますが、決算上統計的なものを出したことはありませんか。
#61
○説明員(磯崎叡君) いままでの下請作業と申しますのは、御承知のとおり、国鉄の人件費と地方の一般人件費に大きな差異があった、そしてその人件費が違うことによって下請に出したほうが有利であるという場合が多かったわけでございますが、先生御承知のとおり、最近は非常に一般の企業のベースも上がっております。したがって全体といたしまして、最近私のほうの下請に出す分野はずっと減ってきてしまっている。ということは、先生おっしゃったとおり、あまりメリットがなくなっている面があるわけでございます。しかし昔は非常に人件費の差が大きかったからメリットがあったわけでございますが、だんだんそれがなくなってきているということはいなめない事実でございます。
 したがって過去三年ぐらいのいわゆる合理化人数の中の下請による合理化人数というものは、全体のいわゆる合理化人数、投資その他をして合理化した合理化人数の中の八%ぐらいしか下請でもってかせいだ人数がないわけでございます。昔は御承知のとおり、半分ぐらいは下請でもって合理化をしたわけでございますが、下請の範囲が非常に狭まらざるを得ない。その狭まった理由としては、業種もだんだん少なくなってきているし、下請のメリットそのものも減ってきておる、その二つの点から申しまして、過去三年の実績で調べますと、全体の合理化人員のうちで下請でもって合理化した人員が一割に足りない、八%程度ということでございます。
 したがって、いわゆる今後の問題といたしまして、そう下請によけい出せるという範囲はないというふうに考えます。たとえば清掃事業はもうほとんど下請に出してしまったわけでございますから、これ以上ない、あるいは宿舎の管理ですね、ああいうものも下請に出してしまっているということで、今後下請に出せる範囲というものは非常に狭まってきているという外部的な事情、それから下請に出しても、いま申しましたとおり、それほど大きな財政的なメリットがないという二点でもって、おのずから狭まらざるを得ないというふうに考えております。いま手元で、どのくらいの実績ということはちょっと申し上げられませんが、全体の方向として、そういう方向で考えていかなければいけないというふうに思っております。
#62
○小柳勇君 ひとつ心配いたしますのは、たとえば具体的な例を出しますと、国労とか動労とか労働運動の面で強い抵抗闘争をやるから、この際ひとつこの職種は下請に出そうというようなことを、もしも考えたといたしますと、将来、低賃金で、たとえば下請産業をほんとうに締めつけてきますと、今度はそのほうが爆発してきます。だから、もしもそういう面――まあそれはないと思いますよ、これは労組の面で下請に出そうなんという、そんなことはないと思いますけれども、ひとつこの面だけは確保したいから、これはひとつ会社にというようなことでは、今度はそこが爆発しますとそこが麻痺しまして、列車全体、鉄道全体がとまりますね。
 だから下請に出す基準というものはたいへんむずかしいのではないか。たとえば機関車を掃除する作業とかありますが、これはそれをやりますことによって機関車乗務員の訓練を昔はしておったわけです。非常によごれる仕事でありますけれども、いまそういうものはなかなか入ってまいりません。
 それから、きのうも問題にいたしましたたとえば線路の軌道掛にいたしましても、なかなかなり手はないとおっしゃいますけれども、だから、それじゃこれを下請出そうかと、そうしますとやっぱり熟練度は落ちますし、会社に入りましても将来それで自分が管理者になるような希望がありませんと、勉強するものはありませんね。昔はちゃんと――まあいまでもそうでしょうが、現場で勉強しています。たとえば軌道掛にしましても、試験を受けるために、あるいは技術者になるために勉強していました。下請会社の人はおそらくそんなことはしないと思うんですよ。監督者一人が勉強しまして監督しますと、監督の目が届かぬところで事故が発生することもありましょう。そういうものを考えますと、この下請企業の基準なんという非常にきびしいものがあろうと思うし、あるいはいま下請に出しているものでも、ある場合には吸収しなければならぬ面もあるんじゃないかと思うんです。もう一度総裁の見解を聞いておきたいんです。
#63
○説明員(磯崎叡君) 確かにいまおっしゃるように、私どももかりに労働対策として下請に出すなんということをしましても、それはその部分が麻痺する可能性もございますので、そういうことはもちろんいたしませんし、いままでもいたしませんし、もちろん今後もする意思はございません。今後、下請問題、先ほども申し上げましたが、やはり下請自身の能力の問題あるいは私のほうの仕事といたしまして、もう下請に出す範囲というのは非常に狭まってきている現状、それからいたしまして、下請自身が人を獲得できないという問題がございます。下請のような中小企業ではなかなか人がとれない、とるとしても老齢者しかいないというふうなことにもだんだんなってくると思います。したがいまして、下請の作業、下請の範囲というのは、おのずから縮減せざるを得ないし、またそういうたてまえで考えないと非常に途中でもってそごを来たすことになるというふうに思います。したがって先般の事故のことも十分頭に置きました上で、今後の下請の問題につきましては、きちんとした基準をつくりまして縮小の方向におのずから向かっていくというふうに考えておるわけでございます。
#64
○小柳勇君 蛇足でありましょうが、もう一問これについて質問いたしますのは、いま下請はほとんどOBの人が重役、指導者ですね、管理者です。そこで、たとえば二百人、三百人この会社の社員がふえますと、自分がやはり管理者になりたいという人がたくさん出てくるわけですが、その栄進の道が閉ざされますと、またそこに職場の不満が出てまいります。そういうことに対して、たとえば国鉄からも年々歳々退職者も出ますから退職者をどこかへ入れたいですね、国鉄としては入れたい。ところがそれをやりますと今度はその会社の若い社員が抜てきされないという矛盾も、相当いま不満としてあるようです。これは交通公社にもありましょうし弘済会にもありましょうし、そういう問題については国鉄として指導――弘済会などはいいです、これは歴史が古いから、新しくできましたそういう会社などの、全般的な組織もありましょうが、指導状態などはいかがになっておりましょうか。
#65
○説明員(磯崎叡君) 率直な話、そこまで目が届いておりますということをちょっと申し上げかねるわけでございますが、確かにそういう問題がこれから出てまいると思います、歴史の古くなった会社もあるのでございますから。そういう意味で、今後これは各主管局、主管部になりますので、その方面におきまして、十分そういった会社の人事の問題――やはり人事問題が全般の運用の基礎になりますから、そういう点につきまして、やはり会社内部の沈滞した空気などが醸成されないような、人事につきましても、もう少し積極的に口をきいてやるというふうな体制もとってまいりたいというふうに思います。いま先生のおっしゃっているようなことがないということを、私はちょっと断言できませんので、方向といたしましては、確かにそういうことを考えなければいけないと思いますので、そういう方向で、ぜひ部内の各主管部局に注意するように申したいと思っております。
#66
○小柳勇君 もう一つは、これもわかり切ったことでありましょう、要らないことでありましょうが、退職者の就職のお世話をしておられますが、たとえば現場長以上の方あるいは局の管理者などはよく世話してもらうけれども、現場に一生おって退職する場合は、みずから仕事を求めていって月に三万ぐらいの給料があればいいほうだというような話がありまして、たとえば退職者などの組織がございますけれども、現場でやめた、たとえば助役さんや、あるいは管理者にならないでやめたような人は、その退職者の組合にも入ってきません。国鉄を退職されたあとすらちゃんと差別されたようなものがありますが、そういうものがあってはならぬと思うのです。したがって私は定年制の問題についても聞いておきたいのですけれども、退職した人たちのあとのお世話などを、管理者だけを世話してあとは知らぬというようなことではいかぬと思うのです。それといまの弘済会の就職とか、ほかの関連産業への就職と関連してまいりますけれども、それぞれのお世話のしかたがあろうかと思うのですけれども、その点について配慮されたことがあるのかどうか。
#67
○説明員(磯崎叡君) 先般申し上げましたように、今後やはり当分の間、年間一万人以上の人がやめますので、やはりスムーズに国鉄を去っていくというために、ぜひできるだけのことをしてやらなくちゃいけないというふうに思っております。もちろんできる限界もございますけれども、決して先生のおっしゃったように、上の人だけということでなくて、一般的にめんどうを見なければ、やはり自然減耗のうまい回転ができない。最近つくりました平塚のステーションビルでございますが、これで例を申しますと、全体で八十人ほどの人を使っておりますが、そのうち五十人は鉄道の関係者でございます。そのうち十名が現場岳以上、あと四十名は現場の職員でやめた人を使いまして、これは相当積極的に、もう保安要員あるいは設備要員というものは、これは国鉄職員をやめた人たちで十分じゃないか、まじめに働くからぜひということで五十人のうち四十人は現場の職員、職名で申しますと信号掛、貨物掛あるいは運輸掛、機関士、電車検査掛、こういうほんとうの第一線でやめた人、これを使いまして、主として保安要員あるいは設備要員、これらにはぜひ優先して国鉄の職員を使うというようにいたしまして、幸い平塚におきましては、非常にその意味ではいい例ができたと思っております。これもいままでのステーションビルでございますと、うちのほうはただ土地を貸しているだけで、あまり発言権はございませんですが、今度は株主でございますから、堂々と、経営者として国鉄の職員を使うんだというふうに、もう正面からまいりまして、そうして八十人のうち五十人はうちから出した。それも上の人だけでない、第一線の人を使うというふうにして、これは一つの例でございますが、今後もこういうふうなことでもって人間の消化をぜひ考えてもらいたいというふうに思う次第でございます。
#68
○小柳勇君 局長会議などのときに、ひとつこういう話題が出たということをお告げ願いまして、下級職の人も退職したあとはひとつめんどうを見てやるようにという、あたたかい思いやりをお願いいたします。
 それから定年制についてはどう考えていますか。
#69
○説明員(磯崎叡君) これも昨日申し上げましたが、週休二日問題と定年問題と二つあるわけでございます。私のほうは週休二日だけは多少おくれてもぜひやりたいというふうに思っておりますが、定年延長はなかなかむずかしいと思います。これは定年延長をいまの国鉄の平均年齢四十歳という年齢構成から申しますと、非常に頭でっかちでございます。そして、もしこれらの定年を延ばしますれば、昨日先生の御心配になった新規採用が減ってくる、そうすると部内の空気が非常に沈滞してしまう、若い人がいつまでたっても上にいかないというふうなことも実はあるわけでございます。そういう意味から申しまして、私のほうでは当分現在の定年制を、もちろん労働協約等によってきまったものではございませんが、慣習上ある五十五歳という定年制は当分このまま維持してまいりたい。もう少し人員構成がなだらかになり、もう少し普通の人員構成に近いものになった場合には考えなきゃいけませんが、いましばらく非常に頭でっかちの人員構成で若い人が少ない、そして若い空気が少ないというときには、やはり当分の間、定年制を維持してまいりたい、そのかわりには、いま先生の御心配いただいたように、やめる人についてはできるだけのめんどうを見るというふうな方向でいきたいというふうに思う次第でございます。
#70
○小柳勇君 週休二日制については、いま下準備はできておるんですね。
#71
○説明員(加賀谷徳治君) 週休二日制と申しましても、国鉄の場合は三百六十五日、一昼夜動いておりますから、要するに世間一般の二日まとまって休むというような形になりません。つまり一週間の勤務時間を週休二日制に当たる時間まで短縮していくという問題になると思います。これはいままで一次、二次とかなり早い時期から、昔の四十八時間時代から二回ほどの経過を経まして、いま現在四十五時間になってきておるわけでございます。それを十カ年計画におきましては、目標を一応五十年ないし五十一年あたりというふうに置いておりますが、さらに二時間短縮してまいりたい、合理化の進展と見合ってということになりますが、短縮してまいりたいというふうに考えておるわけでありまして、いわゆる週休二日制の四十時間にはまだ達しないのですが、それはまたその後の問題として、さらに前進していきたいというふうな考え方を持っております。
#72
○小柳勇君 週休二日制は日本の労働者全体的な問題ですから、国鉄だけ孤立するわけにはまいりませんでしょうし、体制に順応するような方向で、御検討願いたいと思います。
 大蔵省の主計官がおられますから、通告をしておきませんでしたけれども、国鉄の共済組合員には国庫負担がないわけです。ほかのほうの共済組合員には国庫負担があるのに、どうして国鉄だけないかということで、この前も問題にしたんですが、いままでどういうふうに話し合いがなっておるのか、この機会ですから聞いておきたいです。
#73
○政府委員(秋富公正君) この問題は毎国会いろいろと御審議いただいておる問題でございまして、国鉄だけでなく、三公社共通した問題かと思います。で、これにつきましては、直接私のほうの所管でなくて、これは大蔵省のほうの問題でございますが、国鉄につきましては、公経済という立場において、これはいわば国と同様なものであるという点につきまして、他の一般の民間企業と違いまして、国の負担というものを特別に扱ってない、かように承知いたしております。
#74
○小柳勇君 きょうは主計局長が見えてないからいいです。国鉄の共済組合だけが国庫負担がないものですから、これはまた別途問題にしましょう。
 次は、国鉄再建対策ですが、結論的な質問を二、三いたしたいと思います。これはもう衆参でずっと長く論議されたことです。国鉄の赤字というのが決して国鉄の幹部の怠慢であるとは思いません。また運輸省の監督不十分とも思いません。私は一番大きな原因は、何といっても物価上昇だと思っています。十年来の物価上昇、これが大きく資材なり建設費にはね返りまして、赤字の原因になっていると思っております。その他にもいろいろございます。また過去の建設の赤字あるいは赤字線を運転した負担、いわゆる公益事業としての負担、そういうものだと思う。したがって、いま論議されております国鉄再建法の、赤字だから政府が出資をふやす、あるいは利子の補給をしようというような埋め合わせ的なものではなくて、根本的に過去の赤字を政府が肩がわりする、いうならばたな上げするというそういう姿勢、そして新たな出発点から国鉄再建対策を考えなきゃならぬというのが私どもの考えです。これはみんないままで話を聞いてみますとそのとおりであります。
 かつて私、商工委員会に所属しておりましたころ、私企業である炭鉱企業に四千八百億ばかり金を出して、借金をたな上げしたことがございました。そして石炭産業の再建をはかったことがございました。それから世界各国の例を見ましても、ここに例がずっとありますけれども、ほとんど政府がめんどうを見て鉄道再建をしておる。したがって今回のこのような再建方式では抜本的な真の国鉄再建はないのではないか、先般来から再々言われておりますように、十年すると、なお累積赤字が十兆円ぐらい国鉄の肩にかかるんではないか、こういうことを考えますと、根本的に再建策を考えなければならぬのではないか、内部体制の変革と、それから外に対する考え方、そういうものを根本的に考えると同時に、過去の赤字については、これは政府の責任でありますと、そう考えるのが当然ではないかと思うんです。きょうは総理がおられませんから、重ねて私は運輸大臣にその見解を聞いておきたいと思うんです。
#75
○国務大臣(新谷寅三郎君) この問題については、考え方をいままでも再々申し上げたんですが、今日の国鉄の累積赤字、それから累積債務、こういったものをたな上げして再出発するような考え方はどうか、こういうことでございますが、そうなれば国鉄の財政再建というのはきわめて簡単にいくと思います。
 しかし過去の債務あるいは累積赤字を解消するといいましても、ただことばだけではいけないので、やはりそれには税収入から、一般会計から必要経費を出さなきゃならぬということになると思います。それができるかできないか、またそれが妥当かどうかということにつきましては、これは実際ただいまの国の財政状態も考えなきゃなりませんし、それからこういう債務については、全部税収入で、一般の徴税によって得た収入でまかなうのが適当であるということについては、理論的には、私は必ずしもこれは賛成できないと思います。そういうことがございますから、私どもは今度のような提案をしているわけでございまして、るる申し上げましたように、過去何年間かの間に、今度とっておりますようなこういう再建策をもっと早目に出しておったならば、こういうところまでは追い込まれなかったろうということも、これは考えなきゃならぬと思います。
 そういう点について、十分の反省をいたしまして、今度の再建策をつくったということでございまして、私は、これについては、国鉄の赤字を解消するんだ、過去の債務をこれは帳消しにするんだという点からだけ見ますと、小柳先生のおっしゃることは、これはもう実に簡明直蔵でございますけれども、政策的に見ますと、にわかにこれには賛成しがたい。非常に苦しゅうございますけれども、いま提案しておりますようなこういう案で国鉄の再建をはかることが、国の財政かちいきましても、また公共企業体としての国鉄の性格からいきましても、これがふさわしい案である、このように考えておる次第でございます。
#76
○小柳勇君 きのうも議論をいたしましたが、計算を突き合わしていませんので、ついに討論ができませんでしたけれども、基礎施設を国が負担をして、管理運営費用について運賃収入でまかなってまいるという、これは都営交通事業の独立採算制についての答申でございますけれども、これはいま新しい一つの方向は示されています。もちろん少数意見もございます。少数意見もございますけれども、そういうような一つの考え方ですね。したがって今回、これから十年間国鉄再建をするためにはこうしますというこの案、これが昨年からことしにかけて論議されましたたくさんの問題点がございます。これで一つの転機をつくって、新しい方向で再建するんだというには、いままでとあまりにも考え方が同じではないかと、ずっと同じカーブの上にあるのではないかという気がするわけです。どっかでやっぱり、これこれはもう基本的に変わりましたと、転換期にしなければならぬと思うわけですね。
 したがって、きょうはこの法律も上がるんですが、いままでの政府の答弁、これは私どもはこうですという、そのままの考えでいきますと、また十年を待たずして、この再建法というものが改正されなきやならぬのじゃないかということを心配するわけです。したがって、あとこれに沿う実施計画が出るでしょう、あるいは基本方針が出るでしょう。その基本方針や実施計画をつくられるときに、どういうところに一番大きく主眼を置いて基本方針をおつくりになるか、あるいは基本計画をお立てになるか、この点をお聞きいたします。
#77
○国務大臣(新谷寅三郎君) ただいま出しております十カ年間の再建計画、これでいままでるる御説明を申し上げましたようなことを骨子にいたしまして、今度は基本計画をつくるということになるわけでございます。
 ただ小柳先生、いろいろの方面から御指示をいただきまして、非常に私ども考えなきゃならぬ点がたくさんあると思っております。せんだってもお話がございましたが、こういう非常な長期にわたる大きな問題と取り組む場合に、いまきめたこの案、これをどこまでも金科玉条として推し進めるというような態度でいいのかというようなことを、各委員からも御質問がございまして、お答えしたんですけれども、私どもは今度の、両院を通じまして、国鉄再建案についていろんな角度から御議論いただいたことは、これはもうほんとうに大事な御意見だと思いまして、これは一つ一つ、今後慎重に検討をしていかなきゃならぬ問題だと考えております。したがいまして、この再建案に盛っております方針、こういう計画というようなものにつきまして、皆さんのお示しくださったような御意見を、十分に検討し、そしゃくしまして、そして計画の途中でございましても、よりよい結果を得るということでございましたならば、これはわれわれも勇敢に、そういう政策を実施するために取り組んでいかなきゃならない、こういうふうな姿勢で、この十カ年計画に臨みたいという覚悟をしておりますので、この点は十分、政府の意のあるところも御了承いただきたいと考える次第でございます。
 ただ現在までのと、かわりばえがしないじゃないかとおっしゃいますけれども、現在の国の財政状態、国鉄の置かれている危機、そういったものを考えますると、やはりいま、この十カ年計画を策定するにあたりましては、いま提案しておりますようなことを骨子にして、再建するほかには現在のところは方法がないんじゃないかと、これが一番賢明であろうと、こういうことで出しておるのでございまして、この点は、私たちも謙虚に反省いたしまして、将来に対処したいと考えておる次第でございます。
#78
○説明員(磯崎叡君) ただいま大臣がおっしゃったとおりでございますが、この両院の審議を通じまして、いろいろ諸先生から賜わりました御注意、御指摘等、もういずれもごもっともなことばかりだと私どもは思っております。ただ私から見ますと、この計画は決してなまやさしいものではございません。非常に内外ともに困難を伴うものだというふうに肝に銘じております。したがって今後、政府及び国会の御指示のもとに、できるだけその方針に沿いまして、全力をあげてこの実行にあたってまいりたいというふうに思う次第でございます。
#79
○小柳勇君 きょう総理大臣に来ていただきまして、総括的な政府の方針を聞きたかったんでありますが、残念ながら首相の都合で出席できないのでありますが、ただ、きのうから私が総括的に総合交通体系の樹立あるいは交通基本法の確立など、他の省にわたる多くの問題を提起いたしました。国鉄だけでどんなに歯がみしましても、この国鉄の再建はできぬのじゃないかと思うわけですね、政府が、あるいは大きく言えば、足を使う国民の支持もなきやなりません。したがいまして、総理は出席できませんでしたけれども、総理に対してと考えて質問いたしましたことは、一番早い機会に、ひとつ閣議などで話題にしていただきまして、そうして国鉄再建のために、具体的に政府の方針を出してもらいたいと思います。また近く臨時国会も開かれるそうでありますから、予算委員会などで、これに引き続いて、この残りました問題は、そういう場で質問してまいりまして、各省各庁の意見も聞きながら、国鉄再建をしていかなきゃならぬと思っています。
 ただ一番大事なことは、金だけでは国鉄再建は私はできぬと思います。四十六万の国鉄職員が一体となって国鉄をどうするかという、本気になりませんと、国民の支持もありませんし、またその使命も達成できないと思います。それで公制審も論議いたしました。また国鉄の紛争などという、けさの新聞でも見ました。けさ組合のほうにも電話いたしましたが、いや、それは中央委員会の決定でございますと言っておりますから、国民からひんしゅくされるような紛争は、もう公制審も出たことでありますから、なるべく少し最小にとどめて、国鉄の国民に対する信頼をひとつ回復していただいて、そうしてこの法律が通りましたあと、ひとつこれを契機にして、ほんとうの再建の方途をつくり、見出していただきたいと思います。
 いま運輸大臣からも国鉄総裁からも決意の表明がございましたけれども、外側だけではなくて、この職員の今後の処遇なり、あるいは意欲なり、そういうものをどういうふうに指導していかれるのか、物の面でなくて、職員に対する今後の指導方針といいましょうか、そういうものについて、大臣と総裁からお聞きいたします。
#80
○国務大臣(新谷寅三郎君) おっしゃること、まことにごもっともでございまして、これはいろいろ紛争が続くからということではなしに、私はやっぱり国鉄というものは公共企業体といたしまして、管理者のほうも、それから職員のほうも、国民に対しましては、大体同じ方向で仕事をしてもらわなきゃならないし、同じような意識をもって国民に対して奉仕をしてもらわなきゃならぬと考えております。その点で、労使間で、まあ従立のいろいろの経過がございまして、いかにも対立的な関係が生じておる、それがなかなか解消したい、不信感がふえるというようなことから、ただいま御指摘になっておりますような、労使関係が十分正常化されていないということは、国鉄再建の上における非常なネックになる問題であろうと私も考えております。
 この点につきましては、これは主として国鉄当局におきまして、職員との間の不信感を回復し、それからあらゆる問題について、絶えず意思を交換して、問題の所在を縮めていくという努力を、ふだんからしっかりやってもらわなきゃならぬと思っておる次第でございまして、そういう意味におきまして、政府といたしましても、側面からではありますけれども、そういう方向であらゆる努力をしていきたいと思っておる次第でございます。
#81
○説明員(磯崎叡君) ただいま先生がおっしゃいましたとおり、国鉄の再建という大問題は、決して財政問題だけで片がつく問題ではないと思います。財政問題と表裏一体となって、やはり労使一体の問題あるいは四十万職員がほんとうに力を出し合って再建に邁進することがぜひ必要である。それにはやはり新しい気分になって、新しい目標に向かって進むということに対して、全力をあげてあらゆる措置を講じてまいりたいというふうに考える次第でございます。
#82
○小柳勇君 いま一つは、国民に対するものでありますが、きのう私は、たとえば新駅の設置とか、団地ができましたら裏駅をつくってくださいよとか言いました。どうしても市民の皆さんが言うのは、国鉄のほうはかたいといいましょうか、気どっておるといいましょうか、敷居が高いという感情あるわけです。やっぱり昔の国鉄ですね、そういうものを感じておられるようです。私鉄のほうはさっと土足で行けるけれども、国鉄は靴を脱がなきゃならぬというような印象があるように感じてなりません。したがって市民の運動なりで陳情がありましょう。あるいは市長や市議会などの陳情もありましょう。そういうときは、ひとつそれをすなおに聞いて、それが直ちに実施できるような仕組みにしてもらいたいと思います。陳情書がうんとたまりまして、三年なり五年ぶりにこれが解決したではちっともありがたくないわけです。この法案を論議するときに、たくさんの運輸省なり国鉄の幹部の皆さんが見えています。その熱意に感謝しておりまするが、その熱意を今度は国民、市民のほうに向けて、早急に市民からの陳情を解消して、そしてほんとうに国民に愛される国鉄をつくってもらう。そのことが一番国鉄再建の柱ではないかと私は思います。したがって運輸省でも国鉄でも、陳情のありましたものは、それをすなおに受けて、そしてできるものはできる、できぬものはできぬと、何回も足を運ばせぬようにして、そしてできると言ったものはすぐやると、そういうような国鉄をつくってもらいたいと思います。
 これはまあ希望になりますけれども、もう答弁は要りません。そういうことを申し上げて、今後、国民の国鉄としての再建への意欲を切に切望いたしまして、私の質問を終わります。
#83
○森中守義君 ちょっと関連して二、三問。
 せんだって私の質問のときに二、三項目ちょっと大事な点を残しておきましたので、この機会に再建法に関係のあることですからお尋ねしておきたいと思う。
 再建計画の試案の中に、安全公害対策合理化一兆五千億というのが一応試算されている。この中で騒音その他公害対策、それと、おそらく公害対策ということになれば、技術開発ということも関係してこようかと思うんですが、おおむね一兆五千億の中に、どのくらい公害対策の予算として見るんですか。大体大まかな数字でけっこうですが、一兆五千億円の中身ですね、公害対策にどのくらい使われるのか。
#84
○説明員(内田隆滋君) 一応、一兆五千億の中には東海道新幹線並びに山陽新幹線の公害対策ということで、東海道のほうは五百五十億、それから山陽のほうは五億ということで入っております。それで今後の新しい新幹線、これに対する公害対策といたしましては、四兆八千億の中に約二千億ということで考えております。
#85
○森中守義君 約一月ほど前に、日弁連から新幹線の公害実態調査というものが出ているんですね、これをちょっと荒読みしてみたんですが、まことにどうも手きびしい指摘に終始していますね。大臣お読みになったかどうかわかりませんが、私はこの日弁連といえば、いうまでもなく、人権擁護を基調にしまして、随時政府の施策に対しきびしい批判を加え、あるいは行政上の欠陥を指摘するというように、きわめて重大な指摘がある。ですからこの日弁連の新幹線公害調査の実態把握については、おそらく新たな建設計画の中に、かなり重要な問題として採用される価値があると、こう思う。
 ただし、この実態把握というのは、名古屋等を中心にしたものが中心になっているようですが、現在における新幹線の事公害に対する一つの焦点を合わしている。だから名古屋で特定な団体が特定な動きを持つという、そういうとらえ方で国鉄は、私は見るべきじゃない。むしろこれからの新たな建設計画の中に、公害対策というものを抜きにしては考えられない、こういうことを言っているわけですね。非常にこれは貴重な指摘だと思う。
 しかし参議院におけるこういう問題の審議の経過を通じ、政府あるいは国鉄から、将来の建設計画というものは、公害はきわめて重要な問題であるという概念の披露はありましたけれども、具体的に大臣に申請が出た、あるいは諮問をされる、許可をするという段階に、この公害問題というのは、ほとんど内容的なものとして指摘されていない。伺っていない。一体この新幹線公害というものを、日弁連が指摘している事項に対してのみについてでも、何かの見解があってもいいのじゃないだろうか。施策の中にどういうものが採用されているか。このことを大臣及び総裁からそれぞれ承っておきたいと思う。
#86
○国務大臣(新谷寅三郎君) 森中先生は公害のほうの委員長でいらっしゃるから、特にこれは御勉強になっているかと思います。私も新聞に出ましたので、これは読みました。いままた思い返すために、新聞を取り寄せて読んだんですが、これは主として名古屋方面の新幹線の被害状況といいますか、影響を主として調べられたものを基礎にしておられるようです。森中先生が言われるのは、こういった名古屋のほうの具体的な問題は別といたしまして、今後の新幹線建設にあたって、公害というものについてどういうふうに政府が取り組む姿勢でいるのかと、こういうことじゃないかと思いますが、もしそういうことだとしますと、先般来申し上げておりますように、これはただ抽象的に環境庁から騒音公害の基準が一応出されておるから、それを順守するために、あらゆる方法を講じますということだけでは、これはまだ足りないと思うんです。
 御承知のように、東海道新幹線については、これは何べんも申し上げておりますけれども、どうも早く完工しようということが先に立ったものでございましょう、非常に公害というものにつきまして、もっと配慮してほしかったと思います。この点は、われわれも何べんも申し上げておりますように、謙虚にこれを反省し、現在起こっておる公害の防除に対しまして、少し経費はかかりますけれども、それはもう当然のことであるとして、公害防除のためにあらゆる手段を講じてもらいたいということを国鉄に指示しておる次第でございますが、それ以後の山陽新幹線あるいは今後建設しようとする新幹線につきましては、あなたのおっしゃるように、公害というものを、ただ工事をやっただけで電車が通るというだけではこれはいけないんだ。やっぱり公害を防除し得るような体制において、そういう交通路を確保するということをモットーとしております。国鉄総裁も何べんも申し上げている、これから公害というものを度外視しては新幹線の建設というものはあり得ないんだと、こういうことを言っております。私もそのとおりだと思います。
 でございますから、従来のただ鉄橋をこしらえるとか、隧道を掘るとかいうことのいわゆる工事費のほかに、ただいまも御説明をいたしましたように、工事そのものの中にどうしたら公害を防除し得るかというようなものも十分に含めて計画をさしておりますし、それについては相当大きな公害対策費というものを計上しておるということでございます。これはしかし一方からいいますと、各地の新幹線が通過する都市からいいますと、どうしたってやっぱり一番便利なよいところ、町のまん中を通ってくれと、こういうことになるわけですが、これは非常な公害をまき散らすということになりますから、これはやはり地元の、市町村あるいは県というような地方公共団体とも連絡しまして、どうして騒音公害、振動公害というものを防止するかということについての、都市計画その他の方面における協力を具体的に求めながら工事を施行しておりますということでございまして、ただいまの山陽新幹線等においては、そういったもので、非常に効果があがっておる点がたくさんございます。そういう配慮をしながら、国鉄に公害の、再公害を最小限度に押えるような新幹線をつくってもらいたい、こういうことを、われわれとしては指導方針としておるわけでございます。
#87
○森中守義君 総裁のお答えの前にちょっと触れておきたいんですが、日弁連は国鉄に数項目にわたって具体的な指摘をしている。これは私から総裁に申し上げるまでもないことでしょうが、参考までに申し上げますと、新幹線の建設に先立って事前に公害の予測調査をしていない、やるべきだと、こういうんですね。それから二番目が、乗客の安全の調査をしながら地域住民への配慮がなされていない、これをどうするのか。それから新幹線の用地は両側に広い緩衝地帯を設ける必要があるのに最小限の土地しか買収していない。これではまずい。いままでこのことは二、三回この委員会でも他の委員から指摘があったと思うのです。これも指摘しているのですね。それから新幹線公害を騒音だけの問題に矮小化し、振動、日照それから通風、眺望、電波障害などに対する対策に欠けている、これも行なうべしと、こういっています。それから国鉄には公共事業である新幹線の建設のために住民の環境が破壊されてもやむを得ないという考え方が支配的である、つまり姿勢の問題、これが非常に重要だと私は思う。開発に対する環境の優位性確立、公共事業に対する住民の健康の優位性の確立が急務である。それから新幹線は新全国総合開発計画と日本列島改造構想の中で主要な地位を与えられているが、既設線の公害に対し十分な対策を立てられない限り新しい路線の建設は許さるべきでない、速ければ速いほどよいという経済効率性本位の考え方は反省すべきだ、当面被害者には補償をせよ、こういう非常に重大な指摘をしているのですね。
 だから、経済効率、投資効率に走るあまり、公害というものは発生した時点においてこれに対策を立てるという、何か場当たり的なものだという指摘に終始していると思う。ですから、これはもう一カ月ほど経過しておりますから、当然今回のこの二案の審議の際には、いや、これにはこういう対応策をとったと、この問題にはこうするという、そういうケースケースの対応のしかたがいいのか、もっと基本的な構想を練り上げて新線建設に踏みだしていくのがいいのか、おのずからこれは議論ははっきりしているところだ。
 残念ながら、いまの大臣のお答えによりましても、あくまでも概念の域を出ない。具体的に投資計画、政策を展開していこうという際に、日弁連が具体的に指摘した問題あるいは昨年以来、一連の鉄道公害に対する両院の意見などというものは、構想として固まったものになっていない。これは私は非常に一つの欠陥じゃないかと、こう思うんですね。これを非常に憂慮しますのは、なるほど十兆五千億の新しい投資計画が促進をされる、ところがさっきお示しになったように、一兆五千億の中に約五百六十億程度の予算をもって、この日弁連が指摘したような重大な問題に対処できるかどうか。おそらくこのまま促進していきますと、随時随所に公害問題に立ち往生するようなことがある。計画それ自体に相当大きな誤差を生じてくるようなことも懸念されるのですね。
 これもあるし、やはり国鉄の近代化というものは、単に合理化という、こういうものへのみ依存すべきではなくて、近代化、合理化というものは、やはり一般国民への協力がなくちゃならない、こういうように思うんです。こういったようなことを背景に踏まえながらやっていこう、ただし、予算が足りないから利用者負担ということで、公害対策の費用も新幹線料金に含めたらどうかという意見なども間々聞かされるという話があるんですね。こういうことになってきますと、事柄は一段とややっこしくなってくると思う。ですから私が申し上げたいのは、やはり今日あるいは将来における公害対策ということは、新しい投資計画、新線計画の一つの軸をなすべき要素を十分に持っておらなきゃいかぬ、こういうように思う。それはあるのかないのか。残念ながらいままでありませんね。観念、概念としてはお答えがありました。あるいは何か問題が起きた場合に、いや、それはこうしますという答えがありましたけれども、一連の長期的な展望に立つ構想というものは示されていない。これは私は非常に遺憾だと思うのですが、そういうようなことを考えますと、やはり鉄道敷設法の改正をやるとか、そういう制度をこの際きちんと確立しておかなければ、どうもこういうものへの基本的な対応策にならぬと、こう思うんですが、もう一回、大臣及び総裁から具体的な指摘を含めながらお答えいただきたい。
#88
○国務大臣(新谷寅三郎君) いまのお尋ね、非常にもっともだと思います。ただ答えとしては、十分御納得いくような答えができるかできぬかわかりませんが、いまおっしゃったように、私は騒音とか振動というものの問題についてお答えしたんですけれども、たとえば電波障害、日照権の問題、いろいろございましょう。こういった問題について、おっしゃったように、できるだけそういうような公害を防ぐ方法で新幹線は建設しなきゃならぬということは、これは言うまでもないことだと思うんです。一つは一兆五千億、これで公害対策費がまかなえるのか、あまりにも少ないじゃないかというように聞こえます。
 しかし、さっき申し上げましたように、名古屋方面におけるように、とにかく非常に人家の密集地を突っ走ったということになりますと、これは非常に経費もかかると思いますが、今後つくろうとしている新幹線につきましては、あなたのおっしゃるとおりなんです。初めから公害というものについて非常な配慮をしておりまして、そういう、どのルートを通ったらいいか、それについては公害がどうなるか、それによって防げるか防げないかというようなことを十分考えながらきめていくわけでございまして、したがって、いままでの東海道新幹線のような、公害対策費というものは、できるだけこれはなくするようにしなきゃならぬ。初めから、生まれつき、そういうような新幹線はつくらないようにするというたてまえですから、いまの計画で十年間やっていける、こういうことでございます。
 そのためには、これは繰り返しになりますけれども、あなたもお通りになったと思うから御存じだと思いますけれども、岡山その他におきまして、非常に地方自治団体の協力を得まして、道路と並行してやるとか、側道をつくってもらうとか、いろんな都市計画の上でも新幹線が通ったほうがいいという府県におきましては、協力してくれているわけです。そういうことによりまして、そこに家が並んでいるのと側道があるのと、これはたいへんな違いでございますから、初めからそういうことを具体的に各地域地域に応じまして、計画をし、それを実行していくということによりまして、お話しのような点は軽減もできるし、また初めから、そういった問題が起こらないように、努力することによって、公害対策費というむのも、これは十分考えはしておりますが、それをあまり東海道新幹線のようには使わなくても済むような形において、新幹線が実現されるだろう、こういう見込みでおるわけでございます。
 もう一つお答えしなきゃならぬと思いますことは、あらゆる問題について、たとえば騒音については環境庁が一応の暫定基準を出しております。私どもは、もう何べんも申し上げましたが、これは暫定の基準でありまして、さらに技術開発によって、あるいはいろいろの施設を整備することによって、いまいっております八十ホン以下に何とかして持っていこうという努力を国鉄にさしておることでございます。
 そのほかに振動の問題がありましたり、たとえば電波の問題がありましたり、日照権の問題がありましたり、いろんな問題がございます。しかし、これから新幹線とか、高速道路とか、いろいろのものが社会の需要に応じてできてまいります。できることはいいのですけれども、そういった問題が一方に残される。これを制度的にどうしたらいいかということでございますけれども、これにつきましては、いま関係省庁の間で、非常にこの点は真剣に取り組んでおりまして、あなたも御承知の、たとえば電波障害のごとく、これはいままでは、たとえばNHKはどういうふうにするとか、いろいろのことをやっておりますけれども、制度として確立するのにはどうしたらいいかということで、本年度予算に、郵政省も電波障害を、これは新幹線も、それから高速道路もございますが、どうしたらいいかということについて、衆知を集めて一つの制度化したものをつくろうということで、調査費を計上しております。
 そういったような各公害につきまして、各省庁がそれぞれの立場でいまそれを制度化すべく努力をしている最中でございます。現在まだ整っていないものもたくさんございます。まだ制度としては十分整っていないものがたくさんございますけれども、それに対しては、政府としては各省庁のそれぞれの担当において、責任において最大限、いまおっしゃったようなことを制度化して、そうして公害を防除するための施策を講じ、国民に安心をしてもらうような方向で協力をして進めておる、こういう状況でございます。
#89
○説明員(磯崎叡君) 先ほど先生から御指摘がございました新幹線の公害の問題でございますが、私はいろいろなことをいままで申し上げましたが、要するに私どもといたしましては、新しい鉄道の一つの哲学と申しますか、その哲学の中に公害対策がなければいけない、こういうことだと思います。実はほとんど、御審議の間、連日にわたって私どもの幹部が全部こちらに参っております。そうして先生方の公害に対する御意見等はなまで伺っております。国民の声としてなまで私どもの幹部が全部伺っております。
 そういう意味で、私はこの公害問題というものは、単に国会の場で論議されたというだけの問題ではなくて、私どもの日常の仕事の中に完全に浸透しなければならないということは、もう幹部が全部からだでじかに感じておるというふうに私は思います。したがって、いままでとかくありがちだった公害問題を避けて通るというような気持ちは、私どもの幹部には一人もいないということを断言してはばかりません。ただ公害対策は日進月歩でございます。そういう意味で、以下ごく端的に申し上げますと、国鉄だけでできるものと、国鉄だけでできないものと二つに分けて考えられると思います。
 国鉄だけでできるものは、これは大臣おっしゃいました騒音の対策、振動の対策、これはわれわれのほうだけで何とでもできる問題で、またしなければいかぬ問題だと思います。たとえば単に出た音を防ぐという意味の音響対策ではなくて、コンクリートの構造物自身から音を発しないように、あるいは振動の少ないような設計そのものをするという、コンクリートの柱一本立てるについても、そういうことから頭に置かなければ、なかなか、つくってしまったあとの対策だけでは間に合わないというふうに思います。そういう意味で、土木の技術者はたくさん来ておりますが、土木の技術者としてみれば、これからの鉄橋はもちろんのこと、鉄橋はつくらずコンクリート橋にする、こういう単純なことはもちろんのこと、その構造物を、コンストラクションの設計そのものについても、公害問題――騒音振動ということは初めから頭に置いてつくるという考えに、私は徐々になってきていると思います。
 柱一本つくるにしましても、工事中の騒音はもちろんのこと、できたあとの騒音振動等を初めから頭に置いて、どうしたらそういうものを減らせるということを頭に入れた設計をこれからやっていくというふうになると思います。
 また車両技術者にしてみれば、どうしたら車両と線路の間の音を減らせるか、車の構造をどうするか、車体のカバーをどうするかということについても、やはりこれは従来の速度、安全性のほかに、環境との調和という角度から車両そのものも考えなければならないという考え方になってきたと確信いたします。
 また電気の技術者にいたしますれば、パンタグラフ一つ、架線一本張るにいたしましても、単にいままでのように電力をどうしてスムーズに通すという角度以外に、どうしたら音を出さないで済むかということを当然考えるようになってきたと思います。私はそういう意味で、まだ発展過程ではございますが、国鉄のあらゆる技術の角度から、この問題に真剣に取り組む態勢というものは、少なくとも私の部内ではできたということを私は確信いたします。したがって今後はそれをどう推進していくか、どう実行していくかという問題になってくると思います。
 もちろん、いろいろの技術の内容はまだまだ未開の分野が多うございます。たとえば現在明石の方面でやっております、騒音防止の意味で、かきねをほとんど窓の高さまで持っていってしまう、そうして逆L字形に折り曲げるというような、思い切った構造の現在試験をやっておりますが、そういう考え方だとか、あるいは鉄橋を全部カバーしてしまう、トンネルでカバーしてしまうというふうな、いままでおよそ土木技術者の考えなかったようなことを、いま考えて試験をいたしておりますが、私はそういうものが全部成功するとは思いませんが、相当大きく成功するだろうと私は思っております。そういう基礎構造自身の変化の問題が、今後必ず起こり得ると思います。これらは国鉄として、今後、技術開発の面で処理いたしてまいりますし、また二十一世紀の鉄道をつくるには絶対必要なものだということを考えております。
 こういう国鉄内部の問題としては、今後騒音だけに限らず、振動にいたしましても、テレビ障害にいたしましても、あらゆる分野でもって公害を減らす、そして八十ホンとかなんとかという形式的な問題でなしに、取り組み方の哲学として考えていくというふうな気持ちになっておることは、おかげさまで、今度の衆参両院の審議を通じまして、直接先生方からいろいろ伺いましたので、非常にみんなの気分もその方向になってきている。この際、これを予算でもって裏づけしながら前進させていくということが、私どもの仕事だというふうに思っております。
 ただ予算の先ほどの五百六十億と申しますのは、東京−岡山間だけでございまして、あとは四兆八千億のほうに入っておりますので、これは約二千億ということで、これはごくラフな計算でございます。六百キロくらいの間で五百六十億でございますから、金額としてはまあまあ相当なものではないかという、一応いま考え得る対策を講ずる金額としては足りるもので、むしろ金の問題よりも、どれをしたらどれだけきくかということについて、まだ暗中模索の面があるということだけは率直に申し上げられますが、これは私は、私どもの技術者は良心的に必ずやり遂げるという確信を持っております。
 それから、そういう国鉄内部だけでやらなければならない問題と、やはりどうしても外の方にお願いしなければならない問題、これは幸いに、鉄道の騒音公害と申しますのは、端的に申しますれば、美観とかその他を離れますれば、結局線路から住宅が離れればいいわけでございます。したがって、もちろんさっき大臣がおっしゃいましたように、線路そのものをなるべく市街地につくらないということも一つの方法でございますが、しかし地元の御要求は、なるべく市街地につくれという御要求が大部分でございまして、そういたします場合には、やはり地元との御協力によって、初めから都市計画でもって線路の位置をきめていただく、端的に申しますれば、両側二十メートルあればほとんど公害問題は消えてしまうわけでございます。そういう意味で、現在北九州では両側十五メートルの道路のまん中に新幹線を置く工事を現在いたしております。
 こういうことが、私は、ただ新幹線を来い来いとおっしゃるだけではなしに、来たらおれのほうではこれだけの協力をしてやるという市町村が相当最近出てきております。その意味で、どうしても地元あるいは都道府県あるいは建設省の御協力を得まして、そして線路と住宅を離す、距離を置くということによって、相当程度の公害が、いわゆる公害が除去されるというふうに思います。そういう意味におきまして、私は今後とも建設省その他にいろいろお願いいたすつもりでございますが、在来の東海道線、家の軒下を走っている新幹線の問題につきましても、やはり根本はその問題に立ち返る時期が必ず来ると思います。結局ある程度の対策はやっても、これは根本的解決にならない。したがって相当幅の道路を両側につくるというふうな時代が必ずくると思います。
 現に私どもは名古屋の一地区では、ぜひそういうことをやってみたい。もちろんこれは強制収用はできません。すでに鉄道ができております。強制収用することでなしに、地元の沿線の方の御協力を得まして、何メーターぐらいの近所の方はどっか適地をさがして移っていただくというふうなことについて、いろいろ補償するというふうな方法でもって根本解決をする以外にないと思っておりますが、やはり私どもといたしましては、部外の力を拝借いたしまして、鉄道と民家を離す。どうしても市街地を通れという場所につきましては、やはり鉄道と民家を離す。そうでないところは市街地を通らないというロケーションそのもの、線路の選定そのものについて、初めから公害の少ないところ、そういうものを発生しないところを選んで通るということも考えなければならないと思います。そういう意味で、今後のいわゆる新幹線の誘致運動などにつきましても、十分公害問題とあわせ考えなければいけないというふうに思っておる次第でございます。
 以上、いろいろ申し上げましたが、要はこの日弁連の御指摘のとおり、私どもとしては決して避けるつもりもございませんし、未来の鉄道の一番大事なことは、いままでなかったこの問題であるということを、胸に体しまして、この問題を具体的に処理してまいりたい。ただ、申しましたとおり、現在非常に発展過程の技術がたくさんございます。その意味で、いますぐ一〇〇%のことをお答えができないのは残念でございますが、もうしばらく時をおかしくだされば、私は必ず新幹線公害というものは相当程度減らし得るという信念をもって、今後みんなでやってまいるつもりでございます。
#90
○森中守義君 大臣が新しい制度化を、四十九年度の予算で、関係の省庁と相談していると、こういうことですから、大いにそのことを期待をし関心を持ちたいと思います。またこの委員会でも、これから先もこの問題については、随時いろいろお尋ねする機会もあろうかと思いますから、一生懸命これはやってもらいたいと思う。
 ただ総裁に申し上げておきたいと思いますのは、ここでお述べになるようなことが、さてその全体にどこまで理解されているのか。要するに日弁連が現地に出かけて行った、実態を把握をした、その答えがこういうものにあらわれていると思うのですね。一体日弁連と国鉄の間にどういう会話があったのか、あるいは国鉄側の説明があったのか、その背景は私はよく知りません。けれども、日弁連といいますと、これは何といっても社会的に非常に高い見識を持った一つの機関です。むろん行政機関じゃありませんけれども、しかし、こういう機関がこういった指摘をするということは、やはりこれは貴重だと思う。
 いま言われるようなことがだれにも理解される、いますぐ解消しなくても、いずれはそういう方向に向かっているんだという、そういう認識が、この際とられているならば、こういう指摘にならないと思うのですね。ですから私は、いま総裁の言われるのは、今日のことであり、あるいは長い将来にかけた一つの発展開発をも含めた答弁ですけれども、なかなかその辺のことが証拠に示せといっても非常にむずかしいことはよくわかりますが、しかし、この日弁連の指摘というのは、そういう意味では非常に示唆に富んだかつ具体的な問題ですから、一ぺんこれはひとつ日弁連とよく国鉄も話し合ってもらいたい。具体的に項目をあげて、まあいわば一つの改善を要請しているわけですから、一ぺん話して、早急に措置できるものは措置していただく。また予算的にも、さっきの御説明ですと、まあさして窮迫していないということのようですから、そういうことを強く要請しておきたいと思います。
#91
○瀬谷英行君 いまの問題について関連して質問したいと思うのです。
 新幹線の問題ですがね。現実に知事会議等でも問題になっているわけですね。いま総裁の答弁によれば、この新幹線公害については十分な配慮をしたいという趣旨のことなんですけれども、いままでの委員会において質疑をやってきた過程の中では、新幹線の公害対策というものが必ずしも十分ではなかったように聞き取れるわけです。ずいぶんこまかく質問しましたけれどもね。そこで私も、前に質問していたことは、新幹線の幅十一メーター五十というのはぎりぎり一ぱいだろう。そのぎりぎり一ぱいのところへもってきて、せいぜい国道が四メートル、そのままの規格でいけば民家の鼻先、軒先を新幹線が通過するということになるのだ。そうではなくて、少なくともある程度の距離を置く、民家との間には。したがって線路用地から二十メーターなら二十メーター程度の道路あるいは緑地帯といったようなものを置いて、グリーンベルトといったようなものを置いて、相当の間隔を持つということが、ある程度できれば、相当程度、それでも万全とはいかないと思いますけれども、相当程度の騒音公害、振動公害というものを避けられると思う。そういう騒音公害なり振動公害を避けられるために必要な面積を確保するという方向でもって、今後国鉄が、あるいは運輸省が、新幹線建設について配慮するということが約束できるかどうかです。
 これはいままでの予算とはだいぶ違ってくると思うんです、土地の問題がひっかかってきますから。しかし私は、高速自動車道路に必要なだけの用地を新幹線用地に取得をしていくということができれば、問題はある程度解決するんじゃないかと思うんでありますけれども、その程度の配慮というものがおありになるのかどうか、その点を運輸大臣並びに国鉄総裁からお伺いしておきたいと思います。
#92
○説明員(磯崎叡君) いまの御質問でございますが、岡山以西に現在つくっております新幹線の場所をごらんくださいますと、一番広いところで両側十五メートル、これは北九州市でございますが、これは北九州市と相談いたしまして両側十五メートルのうち四メートルずつは国鉄で買う、あと十一メートルずつは市の都市計画事業としてやってやるということで、初めから幅四十メートル道路の上へ鉄道をつくるということをいたしております。また山口県、広島県におきましても、おのおのそういう場所がございます。いずれ今後、結局先ほど森中先生にも御答弁申しましたように、そういう形でなければ、本質的な公害問題は解消しないと思います。
 ただ私のほうから申しましても、国鉄の金でもって、いま先生のおっしゃいますようにかりに約二十メートルといたしますと、両側四十メートル、それにうちが十一メートル、五十メートルの幅。五十メートルの幅を国鉄が全部自分の金で買って、それを道路に開放するということには、なかなかいまここでもって御答弁できることはむずかしいんじゃないかと思いますが、やはり将来その場所は道路に使われる、あるいは緑地帯に使われるということになりますれば、そこで地元が道路計画があれば新幹線と一緒にしていただくというふうなことでもって、地元、建設省、都道府県と国鉄と一緒になった道路並びに新幹線計画をやっていけば、いま先生のおっしゃったことに近いものが徐々にでき上がってくるんじゃないか。現に岡山以西では、東海道では一カ所もなかったものが数カ所できているということなどは、やはりそういう話し合いの進展の具体的な例だというふうに私は思っております。
 もちろん二十メートルがいいか五十メートルがいいか、それはまあ別といたしまして、私のほうはいままで一応四メートルしかとっておりませんが、その四メートルグラスアルファは、大体地元でもって同時に買っていただいております。しかし、その金は私のほうが一時お立てかえをするというふうな、こまかい芸当もやっておりますが、いずれにいたしましても、新幹線の両側に相当程度の幅をとればほとんど公害は解消するということは非常にはっきりいたしておりますので、ぜひ私は国鉄だけの力でなくて、よその力も拝借して、そういう方向に進んで、そして地元からきらわれないりっぱな新幹線にしたいというふうに思っているわけです。要はそういう方面の御協力を得るように私どもが努力することであるというふうに思う次第でございます。
#93
○国務大臣(新谷寅三郎君) ただいま国鉄総裁からお答えしたとおり、私も考えております。結局道路を主管する建設省とか、あるいは地方自治体、こういったのがほんとうに一体になって協力することによりまして、いまお述べになりましたような趣旨が実現できると思っております。もう現実にそういう方向で具体的に取り組んでおります。ただ問題は、土地によりまして、どういう方法を講じるのが一番効果的かということは、これは具体的な各地の土地の事情によって変わりますから、この点は関係の方面と十分協議をし、協力をして実行に移すのが一番よいと考えております。
#94
○瀬谷英行君 新幹線にだけ目を奪われて、在来線のことが忘れられてもいけないと思うんです。たとえば在来線の貨物線なんというのは新幹線以上の騒音振動があるわけです。したがって在来線のほうが従来と同じということであっちゃならないと思うので、この機会に、新幹線と同時に在来線、つまり狭軌の鉄道の新線を建設するという場合にも、同じような騒音公害対策というものを考えられてしかるべきであるというふうに思うのでありますが、その点、もう一度念を押してお伺いしておきたいと思うのです。
#95
○説明員(磯崎叡君) 在来線については、主として新線建設の際の話だと思いますが、武蔵野線の例をお考えになっていると思います。確かに武蔵野線の用地買収につきましては非常に幅が狭くてだいぶ文句があるというふうに承っております。今後ともやはり建設公団におきましても、かりにああいう都市内の線路をつくる場合には、十分その点を考えてやってもらうというふうにいたしたいと思っております。
#96
○委員長(長田裕二君) 以上で質疑は全部終了いたしました。
 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について、意見を表明するため発言を求められております。
 順次これを許します。
#97
○瀬谷英行君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案に反対の討論を行ないます。
 公共料金の引き上げというのは、物価対策上好ましくないということは、一般論として、あらためて私から申し上げるまでもないと思います。
 しかし、この法案に反対をする何よりの理由は、今日までの衆参両院における審議によって明らかになりましたように、これでは国鉄の財政の立て直しというものはできないということであります。国鉄の赤字の累積が、すでに一兆をこえているということは、周知のとおりでありますが、その赤字の原因は、政府が必要な、また当然行なうべき今日までの投資を怠って、債務が雪だるま式にふくらんできたということが、大きな原因でありますが、その赤字の原因にメスを入れずに、いたずらに人件費の増加だけを強調してきたということは、見当違いもはなはだしいと思います。国鉄の人件費が他に比較をして特に高いわけでもなく、また人員増という事実もないのであります。これは政府の意識的な宣伝でないのかというふうに疑われてもしかたがないと思います。
 特に、独立採算制を堅持しながら、公共負担から赤字ローカル線を保持し、さては新幹線をはじめとする新線建設に投資を続けているということでは、黒字になる道理がないのであります。高利貸しから借金をしながら慈善事業をやっておったのでは金が残らないということになるわけです。
 真に財政の健全化をはかるつもりだったならば、まずこの膨大な債務を整理しなければならないと思うのでありますが、当面を糊塗する小手先細工のみで、問題の解決にはほど遠く、再建計画の終わる五十七年度に至っても、なお十一兆に及ぶ借金あるいはまた二兆以上の累積赤字というものが、そのままの状態で、一体、何の財政健全化ということが言えるでしょうか。
 さらに、十一万人の合理化計画に至っては、さたの限りだと思います。総理がしばしば放言をしているように、新幹線は全国に及び、さらに国鉄の輸送需要は、第二東海道新幹線をはじめとする、各地域における輸送需要の増大によって、人員の削減ということは考えられないので、これは利用者に不便をもたらすのみであります。合理化の実態は、十月のダイヤ改正にも露骨にあらわれております。つまり特急のみが増発をされて、通勤通学に対する配慮は全然行なわれておりません。通勤地獄をそのままにして、特急、急行を増発をして、いたずらに料金かせぎに精を出しているということは、公共的使命を忘れたものと言わなければならないと思います。
 また、貨物と旅客の運賃のアンバランスをそのままにして、運賃値上げだけは、今後も、オリンピックよりも早くめぐってくるということが、利用者にとってはがまんのならないことであろうと思います。
 政府、国鉄の答弁によれば、今日の政府の補助は画期的であるということでありますけれども、しかし、いままでがほとんどゼロにひとしかったのでありますから、いまさら、新幹線の建設費にもはるかに及ばない政府出資があったとしても、それはスズメの涙がカラスの涙になった程度でありまして、このようなその場しのぎのやり方が、何にもならないということを指摘し、真に国鉄を国民の足として、十分その機能を発揮せしめるよう、政府の再考を促しまして、反対討論を終わります。(拍手)
#98
○岡本悟君 私は、自由民主党を代表して、本案に対する賛成の意見を表明するものであります。
 今回の再建計画は、現行の再建計画と同じように、政府の助成、国有鉄道自体の合理化あるいは増収努力、それと利用者負担、この三本柱でありますことは、変わりはないのでありますが、その第一の政府助成におきまして、長時間にわたる政府側あるいは国鉄側の懇切丁寧な説明でもわかりますように、大幅な助成が行なわれております。
 現行の計画におきましては、十年間で、過去債務に対する利子補給あるいは将来に対する利子補給はわずかに千億であった。また事実上、過去債務の、政府保証債のたな上げを事実上行なおうとする再建債の利子補給にいたしましても、わずかに千億、合計二千億円であります。
 すでに御承知のように、今回の再建計画におきましては、政府助成が何と五兆円になんなんとする巨額にのぼっております。これはもちろん、多年の懸案でありました政府出資を大幅に増加して、一兆五千億をこえるばく大な出資をしようということでありますし、また財政再建につきまして、ガンでありました過去債務の、あるいは将来、これから投資しようとするこの借り入れ金の利子の補給にいたしましても、過去債務につきましては、昭和四十三年度にさかのぼりまして、三分五厘までの利子補給。将来の借り入れ金につきましては、出資と合わせまして三分の利子になるような、そういう負担の大軽減を行なおうとするものでございます。
 あるいは、この再建債のほうにいたしましても、過去債務のうち、従来までは、この政府保証債だけでありましたけれども、これを全債務に対象を拡大したというような点から見ましても、私は、非常な思い切った助成策であるというふうに評価をいたしておるわけであります。
 それから第二は、現行の計画におきましては、やはり人件費の伸びにつきまして、増大につきましての見通しが多少過小であったということが言えるのでありまして、これが年々増加するばく大な人件費をまかなうには、あまりにも少なかったということでありまして、これを十分ではございませんけれども、相当訂正しておることは、これも過去の審議の経過において明らかにされておるところであります。
 この運賃値上げでありますが、これは先ほど申し上げました三本柱の一つでありまして、利用者に負担していただくということは、物価政策上の問題はありますけれども、やむを得ない必要最小限度の値上げでありますから、忍んでいただかなければならぬと、こう考えております。むしろ、それによりまして、サービスの改善あるいは貨物輸送の徹底的な近代化によって、物価の安定という面にも寄与できることが期待できるのでありますから、十分、この利用者に対する恩恵が返ってくるということは言えると思うのでございます。
 この委員会におきましての審議で明らかなように、特に委員の皆さん方におかれましては、包括助成といういまの政府の出しておるやり方は、どうしても賛成できない、個別補助で徹底的に補助の算定根拠というものを明らかにして、大福帳的なやり方は困るという意見がありました。非常に貴重な御意見であるとは思いますけれども、私どもは、やはりこの国有鉄道の今後の歴史的な展望におきまして、今後十年間に十兆五千億の投資をして、徹底的に近代化すれば、公共企業体として、まだまだ生命があるというふうに、現時点においては判断をいたしておるのでございまして、いわゆる公共財としての日本国有鉄道を、最も国民経済的な見地から、効率的に運用するということになれば、この包括助成が最も適切な措置であるというふうに確信をいたしております。
 なお、私の要望でございますが、特に政府側に対してお願い申し上げたいのは、総合交通政策を至急強力に展開することであります。これは野党の皆さん方も強く要望されましたが、私もこの再建計画がうまくいくかどうかは、総合交通政策を、まさに、強力に政府が展開するかどうかにかかっておると言っても過言ではないと思うのでありまして、この点を強く要望しておきます。
 それから、もう一つは、先ほど委員会の審議におきまして、小柳委員あるいはその他の方々から指摘があったのでありますが、労使の正常化であります。これはまさに再建の基本的な命題と言うべきでありまして、どうかこの点につきましては、十分留意をしていただきたいと思うのでございます。
 それから最後に、再建計画のもう一つの問題は、収入の見込みでございます。これはとかく大きく狂うのでありまして、私はこの新しい再建計画におきましても、収入の見積もり、これは多少の危惧を持っておるのでございます、率直に申し上げまして。したがいまして、この近代化を急ぐと同時に、増収努力をよほどやりませんと、これは大きく狂ってくる心配もありますので、この点は特にお願いを申し上げたいと存じます。
 以上で賛成意見を終わります。(拍手)
#99
○阿部憲一君 私は、公明党を代表いたしまして、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案に対しまして、反対の討論を行なうものであります。
 反対の第一の理由は、いままでの審議を通して明らかになったように、国鉄の再建は国鉄だけを見ての単純な再建案では不可能であるということであります。まず、総合交通政策を樹立すること、これが先決であります。その中で、航空、海運、陸運等の交通機関の中に国鉄の位置づけを行ない、そうしてそれに適応した再建を行なうべきであると思うのでございます。しかるに、政府は、強力な総合交通政策を確立して推進していこうという姿勢が全く欠如している。加えて国鉄は、交通機関の輸送構造の変化にうとく、放漫経営に終始していたのであります。
 したがって、われわれが再三指摘したごとく、総合交通政策の確立をはかり、その中に占める国鉄の地位について明確な計画図を確立することが最も肝要なことなのにもかかわらず、政府は、その責任を放置し、本案のごときは、単に運賃値上げをもって国民に犠牲をしいる国鉄再建策でしかないのであります。したがって、このような無責任きわまる再建案に対して、断じて反対するものであります。
 反対の第二の理由は、この再建案のささえになっています運賃値上げについてであります。旅客二三・二%、貨物二四・一%の大幅値上げは、直接に国民にとって多大な負担となるだけではなく、物価騰貴を引き起こす引き金となることは必定でございます。すでに国鉄運賃の値上げが、他の物価や交通料金の値上げに波及することは明らかであり、中でも、国鉄運賃の値上げによって格差が大きくなる私鉄運賃につきましては、各社ともすでに手ぐすねを引いて値上げを待っている状態でございます。
 政府は、物価対策の上からも、国民生活を圧迫する値上げ案を即時撤回して、物価抑制に積極的な姿勢を示すべきであると思います。
 反対する第三の理由は、国鉄の独立採算制の問題でございます。この独立採算制という前提は、国鉄が独占的輸送機関であった時代に成り立つもので、現在のような、総合交通政策を必要とするような時代におきましては、かえってみずからの足かせになるだけで、国鉄の財政危機を深めるだけであります。いままでの独立採算制が膨大な借り入れ金を発生し、その支払い利子の増加が赤字経営の要因になってきたのであります。また、この独立採算制を維持するために大幅な運賃値上げが必要になったり、また国鉄従業員の大幅な整理を前提とする再建案になったのでございます。したがって、独立採算制に固執して、肝心の政府の財政援助を回避するような本再建案には根本的に反対でございます。
 反対する第四の理由は、この再建案は、見通しも甘く、結局のところ財政再建十カ年計画は、ただ単なる数字合わせのペーパープランでしかないと言わざるを得ないのであります。過去三カ年の事業費を見ましても、計画に対し、実績が常に超過しております。四十五年度には三百三十五億円、四十六年度は五百二十七億円、四十七年度は一千百五十億円と、毎年支出増となっております。また、たとえば長期試算におきまして、初期には人件費は一二・三%、物件費は三%と、それぞれ上昇率を見込んでおりまするけれども、これでは、とうてい今後の賃金、労働条件や物価の動向等からいっても、亀裂を生じたり、また破綻を生ずることは必至であります。このようなお粗末な案であり、また国民生活を脅かす悪法案であるにもかかわらず、十分な審議もせずに、さきの七月十七日でございますが、当委員会では強行採油までやって、そうして無理やりに押し通そうとした行為は断じて許すことができないのであります。
 以上申し述べましたように、私は、国民の犠牲の上に成り立つこの悪法を、すみやかに撤回し、国民生活の安定と充実に寄与する国鉄再建の抜本的な対策の樹立に努力すべきであることを、強く要求いたしまして、反対討論を終わります。(拍手)
#100
○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、政府提出の国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行ないます。
 私は、反対理由を二つにしぼって申し上げたいと思います。
 その第一点は、政府に関する問題点であります。現在、わが国政治の最大の関心がインフレ対策であることは、いまさら申し上げるまでもありません。今日、オーバーキルの危険をもおかしながら、金融引き締めが強行されているのも、そのためであります。しかし、われわれの悩みは、金融政策だけでインフレを食いとめることが不可能だという点にあると思います。この困難なインフレ問題を解決するためには、国の内外にわたる広範かつ多面的な取り組みが必須であります。しかも、その対策は、単に経済政策のみにとどまらず、社会政策、教育政策、さらには国民一人一人の生活態度、ものの考え方にも及ぶものでなければならないと思います。
 この意味で、インフレ対策の重要な部分が、インフレマインドの解消にあると指摘されてきたことは正しいと思います。しかし現状を見ると、インフレマインドは日とともに高まり、しかも、それを裏づけるかのごとくに、物価の高騰は速度を早めつつあるかに見えます。このときにあたって、政府のなすべき緊急対策は何かと申しますと、物価抑制に対する決意を国民に明らかにすることだと思います。
 すなわち、物価抑制という問題を何ものにも優先する課題であることを、はっきりと国民に示すことだと思います。しかるに今回、政府が国民に明らかにしようとしていることは、インフレ対策よりも、国鉄の経営のほうが重要だと考えていること、さらに、今後十年間に、数次の値上げを予定しても、社会的に許容されると考えているということだと思います。
 政府のこの態度が、今後のインフレ対策にどのような悪影響を及ぼすか、はかり知れないものがあると思います。一体政府は、今後、私企業がインフレ問題よりも企業経営が重大だと考え、数次にわたる値上げを計画した場合に、どのような根拠でこれを非難されるつもりでございますか。私はここで、政府がいまおかしつつある誤りの重大さを指摘しながら、反対の第一点といたします。
 第二点は、国鉄の経営に関する問題であります。国鉄の再建をささえるものが、国鉄労使の自助の努力であることは、あらためて申し上げるまでもありません。その認識が、国鉄労使双方に欠如してきたことが、約二年間にわたって国民的議論を巻き起こした問題の出発点でありました。もし国鉄労使が、自助の努力を怠らず、国民が感謝と敬意をもって、その努力を認めていたとしたら、国鉄再建に関する国民的議論は、おのずから別な筋道をたどったでありましょう。
 もちろん私は、国鉄が国鉄なるがゆえに宿命的制約を受け、健全な経営体としての発展を阻害されてきたことを否定するつもりはありません。しかし、だからといって、責任をほかに転嫁し、赤字の口実あさりだけ終始していたのでは、国鉄の前進はございません。
 私は、国民を代表する立場から、国鉄労使の責任の自覚と、自助の努力を強く要望したいと思います。しかし問題は、この要望が、はたして受け入れられるかどうかであります。過去二年間の実績について見る限り、私は、残念ながら、この問題について楽観的に考えることはできません。したがって、今日現在の判断としては、自助の努力を欠いた運賃引き上げは誤りであるという立場をとらざるを得ません。反対の第二点にあげた理由であります。
 最後に、私は、政府、国鉄の双方に要望したいと思います。国鉄の経営悪化の大きな原因は、産業社会の変化に国鉄が対応してこれなかったことだと思います。民間の私企業の場合には、産業社会の変化に対応し得るかいなかが企業存立の条件であり、対応し得ない企業あるいは事業は、競争を通じて淘汰され、その結果、資源の有効利用がはかられてまいりました。しかし国鉄の場合は、公的企業なるがゆえに、競争によって自己改革することを期待しがたい状況にあります。
 したがって、国鉄が産業社会の変化に対応していくためには、将来を洞察し、これに対応する努力を自発的に進めていくことが不可欠であります。この意味で、国鉄の今後に必要なものは、広範な視野と、これに対する政策の確立でありましょう。さらに言えば、変化に挑戦する英知と勇気を国鉄労使のすみずみにまで養うことであると思いますし、またそれが可能な環境を政府みずからがつくり出すことだと思います。
 この意味で、国鉄及び政府に対して、格段の努力を要望するとともに、また国鉄再建十カ年計画を提示しながら、その基礎となるべき総合交通体系が、今日なお空文化に終わっている現状に強い不満を表明して、反対の討論を終わります。(拍手)
#101
○青島幸男君 私は、第二院クラブを代表いたしまして、ただいま議題となっております二法案につきまして、反対の立場から、意見を表明さしていただくものであります。
 田中内閣発足以来、急激な物価の上昇によりまして、国民は怨嗟の声をあげており、一刻も早く物価の上昇を終えんせしむるために、一切の公共料金凍結をさえ望んでいるのであります。おりもおり、このようなときにあたりまして、国鉄赤字整理のためとは言い条、十年間に四回もの運賃値上げを試みんとする国鉄運賃法の改正は、庶民の願望を踏みにじり、国民生活を破壊するにひとしい無謀な考え方と言わなければならないと思います。
 また、長年国鉄に勤務し、国民に奉仕してまいりました勤労者に対する冷酷な仕打ちを前提としている点も見のがしがたく、断じて同意できるものではございません。
 そもそも国鉄赤字の原因は、地域開発のための赤字線の維持、新幹線網の拡大等、最初から採算を度外視して投資維持せざるを得ないような、公共的要請によるものが大でありまして、採算を度外視せざるを得ない事業体に、一方では独立採算をしいておるということ自体が、矛盾していることは、だれの目にも明らかであります。
 となりますれば、国鉄再建の方途を考えるとき、日本国有鉄道公社のあり方そのものを問題としなければならないはずでございます。根本的な原因にメスを入れることなくして、当面の問題を安易に解決しようというようなことき発想で糊塗していこうとする、こういうやり方を本旨としております今回の再建案では、十年たった後も、また再び、再建案が論議されること必至であります。
 以上のような立場から、私は、この二法案に対して、反対の意をあらわし、撤回を要求するものでございます。(拍手)
#102
○委員長(長田裕二君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#103
○委員長(長田裕二君) 速記を起こして。
 この際、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について、さらに採決をいたします。
 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#104
○委員長(長田裕二君) 多数と認めます。よって、同法律案は多数をもって可決されました。
 したがって、本案の採決は明確になりました。
 この際、新谷運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。新谷運輸大臣。
#105
○国務大臣(新谷寅三郎君) 両法律案につきまして、長時間にわたり、慎重御審議をいただきまして、まことにありがとうございました。お礼を申し上げます。
#106
○委員長(長田裕二君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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