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1972/06/19 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会、公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会 第1号
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1972/06/19 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会、公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会 第1号

#1
第071回国会 商工委員会、公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会 第1号
昭和四十八年六月十九日(火曜日)
   午後一時十二分開会
    ―――――――――――――
  委員氏名
   商工委員
    委員長         佐田 一郎君
    理 事         大谷藤之助君
    理 事         若林 正武君
    理 事         阿具根 登君
    理 事         藤井 恒男君
                稲嶺 一郎君
                植木 光教君
                小笠 公韶君
                川上 為治君
                剱木 亨弘君
                林田悠紀夫君
                細川 護煕君
                安田 隆明君
                大矢  正君
                林  虎雄君
                藤田  進君
                村田 秀三君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                須藤 五郎君
   公害対策及び環境保全特別委員
    委員長         大矢  正君
    理 事         金井 元彦君
    理 事         菅野 儀作君
    理 事         杉原 一雄君
    理 事         内田 善利君
                青木 一男君
                君  健男君
                斎藤 寿夫君
                田口長治郎君
                寺本 広作君
                林田悠紀夫君
                原 文兵衛君
                安井  謙君
                渡辺一太郎君
                加藤シヅエ君
                西村 関一君
                藤田  進君
                小平 芳平君
                高山 恒雄君
                加藤  進君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
   商工委員会
    委員長         佐田 一郎君
    理 事
                大谷藤之助君
                若林 正武君
                阿具根 登君
                藤井 恒男君
    委 員
                細川 護煕君
                藤田  進君
                中尾 辰義君
                須藤 五郎君
   公害対策及び環境保全特別委員会
    委員長         大矢  正君
    理 事
                金井 元彦君
                菅野 儀作君
                杉原 一雄君
                内田 善利君
    委 員
                青木 一男君
                斎藤 寿夫君
                田口長治郎君
                寺本 広作君
                原 文兵衛君
                小平 芳平君
                高山 恒雄君
                加藤  進君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  三木 武夫君
       通商産業大臣   中曽根康弘君
   政府委員
       厚生省環境衛生
       局長       浦田 純一君
       通商産業省化学
       工業局長     齋藤 太一君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  北川 俊夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       環境庁企画調整
       局審議官     橋本 道夫君
       農林省畜産局流
       通飼料課長    宮崎 武幸君
       水産庁調査研究
       部長       松下 友成君
       通商産業省重工
       業局次長     北村 昌敏君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律
 案(内閣提出)
    ―――――――――――――
  〔商工委員長佐田一郎君委員長席に着く〕
#2
○委員長(佐田一郎君) これより商工委員会、公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会を開催いたします。
 先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。
 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。杉原君。
#3
○杉原一雄君 まず第一点として、石油たん白の問題のその後の軌跡と申しますか、あと追いをしたいと思います。
 実は、きのう六月十八日午前十時、敦賀市において、原子力発電あるいは東洋紡のPCB等の視察の概況について記者団会見をし、その直後、敦賀の漁民代表から陳情じゃなくってするどい攻撃を、抗議を受けました。それは私たちの代表の発表の中に、敦賀湾のボラと、このことばがひっかかってきたわけです。漁民の理解、市民の理解としては、敦賀港のボラと、こういうのが正確であったらしいんですけれども、福井新聞等では敦賀湾のボラと、こうあったものですから、それは間違いだと、ようやく市民も落ちつき始め、魚に対する信頼感をつちかおうとする段階で、敦賀港のボラでありながら敦賀湾全体のボラという表現は、これは間違いだという攻撃を実は受けて、非常に私たちもこの公害の問題、あるいはPCB汚染の問題、水銀の問題等、全国民的な大きな関心と不安の中に、いまおののきつつあるという今日的な事情の中で、一つの法案、一つの事象につきましても非常に大切に、しかも科学的に真理をきわめ、そしてまた、すみやかなる対策をとることの必要性を痛感しております。
 そこで、石油たん白の問題でございますが、あと追いという意味は、すでに鐘化、あるいは大日本インキ等では、企業が自主的に製造を中止いたしたことは事実でありますけれども、そこでいま、私のはここに仮説を設定いたしまして、もし企業が自主的中止、規制をしなかったならば、今日の時点では各省庁はどう対応するかと、こういうことで、とても変な論の張り方でありますが、質問したいと思います。
 第一点として、まず法制上の規制力であります。従来、食品衛生法第四条の二は、人体内に入るもの、石油たん白は動物に入ると、だからこれはこの法の対象にならない、これは厚生省の当時の見解でありましたが、今日もなおその見解を堅持しているのかどうか。しからば、そういう解釈でいくならば、それ以外の法でこれを規制することが不可能なのかどうか、この点、まず冒頭にお聞きします。
#4
○政府委員(浦田純一君) 食品衛生法第四条の二で規制できるかどうかということでございます。これは、直接人体内に取り入れられる食べものというものに限って適用されるわけでございまして、先生の御指摘のように、飼料になると、動物のえさになるというものについては適用がございません。しかしながら、今回のような石油たん白をめぐる問題がございましたので、何とかして、やはりこの間の規制ができるように検討する必要があるということで、農林省その他関係省庁とこの規制の方法について御相談申し上げながら検討しておる段階でございます。
#5
○杉原一雄君 法的には全く無能力ということになるわけですから、それ以上私が追っかけてみても始まりませんが、しからば第二点として、行政上、鐘化、大日本が法規制がないからつくるということになった場合に、行政上の規制力の問題、これは目下検討中では困るんであります。実は明らかにしていただきたいのですが、まず通産は、これに対してなおかつ企業繁盛ということで奨励するかしないか、しないとするならどういう形で規制力を発揮するか。または厚生、そしてまた、公害等の問題にセンターの役割りを果たしている環境庁、それぞれが行政上においてどうい規制力、能力を持っているのかどうか。いま現にそのことについて適用のかまえがあるのかどうか、それをお聞きしたいと思います。
#6
○政府委員(齋藤太一君) 通産省といたしましては、石油たん白の企業化問題につきましては、従来から所管省、特に厚生省での安全性の確認がなされますまでは企業化をしないようにと、こういった指導をしてまいっておるところでございまして、かりに企業が、この際企業化をしたいというような話があるといたしますと、まず、その安全性の確認を前提といたしまして、その確認がされるまで企業化は行なわないように行政指導という形で指導いたしたいと、かように考えます。
#7
○説明員(橋本道夫君) いま御質問のございました石油たん白の件につきましては、私どもの環境庁の所管の事項には属しませんので、通産省、厚生省の判断を待つというところでございます。
#8
○政府委員(浦田純一君) 石油たん白を飼料として企業化するということに対しまして、この事柄の初めから厚生省としてははっきり申して、所管がそこまで及ばなかったのでございますけれども、積極的に問題を提起いたしまして、食品衛生調査会が御案内のような答申をしたわけでございます。したがいまして、かりにいまの法制では強制力がないにいたしましても、今後、いままでと同様の強い姿勢で行政指導を行なうことによりまして、事実上工業化における際の安全性というものが確認されない限りは、企業がそれを企業化するということについては、強く行政指導でもって中止方を働きかけていくということで、過去の例から考えますと、それを期待できるのじゃないかというふうに考えております。
 なお、先ほど申し上げましたように、さらに法的な規制というものについても、関係の省庁と相談しながら検討中でございます。
#9
○杉原一雄君 石油たん白の飼料化の問題ですけれども、すでに国際的に会議も五月段階、あるいはこれからも会議が十月段階に開かれようとしているわけです。そうした情勢等について通産は十分掌握していると思いますが、第一点として、すでに認可して生産をし使用している国、それから国際会議等に臨む通産の態度、そうしてまたマクロ的に見た一つの展望と申しますか、そういったものがあればお聞きしたいと思います。
#10
○政府委員(齋藤太一君) 現在、海外の諸国で石油たん白を製造中の国といたしましては、フランスが一九七二年から一万六千トンの生産を開始をいたしております。これはイギリスのBP社の技術によるものと聞いております。それからイギリスにおきましては、一九七二年から年産四千トンの規模で生産が行なわれております。それからソビエト連邦におきまして、一九七二年から一万六千トンの規模で生産中でございまして、今年中に十二万トンに増設されるという予定のように聞いております。
 それから、現在計画中のものといたしましては、イタリアが一九七五年から稼働という計画で、現在計画を立案中と聞いております。そのほかに、ルーマニアがわが国との技術提携によりまして、七五年を目途として生産を開始したいと、こういう計画がございます。
 なお、国際会議等におきます日本政府の、通産省の臨む姿勢といたしましては、あくまで石油たん白につきましては、その安全性を確認をするように十分そういった面での検討をいたしたい、確認されるまでは極力企業化は控えろと、こういう考え方で臨みたいというふうに考えております。
#11
○杉原一雄君 局長、いまのルーマニアの技術提携の問題というのはどこですか。鐘化ですか、大日本ですか。
#12
○政府委員(齋藤太一君) ルーマニアの工業省が計画をしている計画でございますが、これは大日本インキ工業でございます。それからイタリアのリッキ社が現在建設をしようという計画を持っておりますのは、鐘淵化学の技術によるものでございます。
#13
○杉原一雄君 いまの問題、すんなりとそういう形で企業が自主的にやることを、通産としてはあっさり認めているわけですね。こちらのほうでは、人道的な問題とか命にかかわる問題としてかなり国内では真剣に論議しているわけですから、そういうものをうしろに見ながら、こういう形で企業が進めていくことは通産はオーケーと、こういうことですね。そう理解していいですか。
#14
○政府委員(齋藤太一君) 鐘淵化学がイタリアのリッキ社に技術を技術援助契約の形で出しましたのは、昨年の一月でございます。その後、食品衛生調査会で安全性につきましての討議が行なわれました結果、昨年の十二月に、一応の、試験段階では安全である、実験室段階では安全と認められるというような結論が出ましたが、本年二月に厚生大臣から、かりにこれを試作するということになれば、試作品の段階で再度安全性について再審査が必要であろう、こういう御見解が出まして、その後企業が自主的に企業化を中止した、こういう経緯がございます。
 そこで、通産省としましては、イタリアの大使館当局者を通産省に招致いたしまして、わが国ではこういうふうにこの安全性についていろいろ議論があって企業化が行なわれない状態になっておる。したがって、イタリアとしてもこの問題については慎重に御検討をお願いしたい、こういう申し入れをいたしました。
 それからルーマニアの件につきましては、これも昨年仮契約が済んでおりまして、事実上商談が非常に進んでおりましたが、相手国政府の在日大使館を通じまして、ただいま申しましたようなわが国での石油たん白についての討議の概況等を同じくルーマニア政府にも伝えまして、先方での慎重な検討を要望をいたしたところでございますが、ただいまのところ、相手国政府がいかが判断されるかという相手国政府の検討を待っておるという段階でございます。
#15
○杉原一雄君 農林省から来ておられると思いますが、はからずも、六月十四日にニクソンがテレビを通じて、インフレ防止措置のために、大きな手段として農産物の輸出規制を始めたわけです。そういう中で、日本としては一番大きな影響力のある麦の問題もあるけれども、きょうは畜産に関係のある飼料――トウモロコシ、大豆その他そうした飼料の問題等をめぐって、かなりの大きな政策転換を行なわざるを得ない状態に入っているわけですが、ここでその問題を追及しようとは思わないけれども、そうした動向の中に、つまり、飼料が足りないというのは厳然たるいなめない事実だと思うのです。一方では牛や馬やということで騒いでいるわけですから、この辺の畜産奨励と飼料とのかかわり合いを考えた場合に、私は一番おそれるのは、石油たん白の必要性が潜在しているということなんです。だから、農林省から明らかにしてほしいのは、けさも内村経済局長がテレビで語っておりましたが、とにかく飼料不足、つまり国内自給度、それから他から求めるもの、きわめて近い将来、この不足分をどう補てんをしていくかということについての確信ある答弁を求めたいと思います。
#16
○説明員(宮崎武幸君) えさが非常に不足しているという見解が非常に強いわけでございますが、農林省のただいまの見通しでは、当面、非常に値段は上がっておりますが、物自体について供給が不足するという事態には直ちになるとは考えていないわけでございます。それで、長期的に見ました場合に、畜産の伸びに伴いまして飼料の需要量も非常に増大してまいるわけでございます。
 これに対処しましては、私どもといたしましては、ただいまの輸入構造、いわゆるアメリカ等特定の国から非常に大量に入れておるというのを、できるだけ輸入先を多元化しまして、特定の国の凶作、不作等によりまして大きな影響を受けないように輸入先の多元化をまずはかる。それから、現在たいした生産もないような国におきましても、いわゆる開発輸入あるいは契約栽培、こういった方途を講じましてできるだけ新しい輸入先を開発する。
 それからさらに、国内におきましては、短期的な変動に備えるために、飼料の原材料の備蓄等を検討するというふうなことを考えておりますが、さらに国内の飼料生産の問題につきましては、これは従来からもいろいろ努力はしてまいったわけでございますが、いろいろ生産性の格差の問題、あるいは輸入価格と国内価格の非常に大きな格差がある問題等々問題がございまして、なかなか思うとおりには進まなかったわけでございますが、昨今のこういった国際的な非常に窮迫した事情にかんがみまして、従来以上に国内の飼料生産につきまして努力いたしまして、国内自給率を少しでもあげるように努力したいと、こういうふうに考えております。
#17
○杉原一雄君 課長、念を押しますけれども、具体的なプログラムをつくっていますか。きょう内村経済局長がテレビで言っているのも、大体いまおっしゃったとおりです。ことばとしては、答案としてはそれでいいと思うのだけれども、行政的な作業は始まっているのか、それに対する確信があるかどうか、それをお聞きしたい。
#18
○説明員(宮崎武幸君) 具体的なプログラムを持つかというお尋ねでございますが、数字の上で何トンを開発輸入し、何トンを備蓄するという検討につきましては、いまやっておる最中でございまして、数字としてはまだ申し上げる段階ではございません。
#19
○杉原一雄君 そこで、この問題はここで締めくくりますが、最後にこの法案でありますけれども、「化学物質」として云々とあるわけですね。そこで実は五月二十三日に政府が出した覚え書きがあるわけですが、この覚え書きの四項によりますと、「その他化学合成品を含む化学物質で人の健康をそこなうおそれのあるものについて法的整備を図るため、今国会に有害物を含有する家庭用品の規制に関する法律(案)、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(案)」ということが記載されているわけですから、すでにいま審議されている法案は、このことが一つの動機にもなっているというふうに理解されるわけです。そういうことで、そういう一つの問題の流れから判断するならば、ぼくらのようなしろうとからいえば、この法律ができると石油たん白が押えられると簡単に結論は出せると思うのです。ぼくは出しているわけです。ところがどうでしょう。この法案の第二条第二項の一、二等の解釈から見て、石油たん白を押えることができるのかできないのか。食品衛生法のようにそれは考えると、こういうことになるのかどうか。その辺のところを、法解釈上適用の問題として具体例にわたるわけですけれども、明らかにしてほしい。
#20
○政府委員(齋藤太一君) 本法案は、昨年――現在もそうでございますけれども、PCBが大量に過去に使われまして、それが環境に出まして魚等の体内に蓄積をいたしまして、回りめぐって食物連鎖を経て人の健康を害すると、こういうふうな問題が起こりまして、しかも、一ぺん環境に出たものをあとからこれを回収することはなかなか容易ではない、こういう経験にかんがみまして、化学物質につきましては、製造前にこれの審査をいたしまして、環境に出た場合に分解性が悪い、あるいは蓄積性が高い、こういことで、魚等を通じまして人の健康を害することになるおそれのある物質につきましては製造を規制をする、こういう考え方で立案したわけでございます。したがいまして、産業等に使われまして一ぺん環境に捨てられました場合に、それが環境に残留して、回りめぐって人の口に入る場合の危害の防止、安全性の確保、こういうことを目的といたしておるわけでございます。
 したがいまして、そういった考え方に即した物質の審査方法等をとっておるわけでございますが、石油たん白について申しますと、これは飼料として使われまして、環境に捨てられるのではございませんで、必ず人の口に入ることがそもそもの目的としてつくられるものでございます。したがいまして、これにつきましては、まず毒性の審査が必要かと思われますし、そのほかこういうものをつくっております工場の品質管理の監督その他、常時非常にこまかい規制が必要かと存じます。そういう意味におきましては、こういった環境経由の人の健康を害する問題よりは、もっとシビアな規制が必要だと考えぬわけでございまして、そういう意味で、それに即した立法が必要であろうというふうに考えまして、今回の法案におきましては、石油たん白はその対象にいたしておりません。
 で、ただいま農林省と厚生省のほうで検討をしておられます飼料につきましての、ただいま飼料の品質改善に関する法律という飼料の監督法がございますけれども、この法律の改正ないしは単独立法によりまして、こういった石油たん白のような直接人の口に入ることをそもそも目的としたものに即した規制を、立法をする必要があろうということで、現在、そういった関係省で検討中でございますので、そちらのそれに即した法律にゆだねることにいたしまして、本法案におきましては、石油たん白は対象からはずした次第でございます。
#21
○杉原一雄君 通産大臣、いまの石油たん白の問題に論をしぼるわけですけれども、あなたはイランに行っておいでになったわけですし、特に石油の国際的な視野に立つ石油資源の問題については日本一造詣の深い方だと思います。そうしますと、石油たん白の問題、そういう資源論の立場と、もう一つは人の命を大事にするという国務大臣の視野から見て、いまのいろいろな答弁等をお聞きされて、大臣がいま直ちに国民に答えることがあるとすれば、この問題に対処する基本的な考え方をあなたの口から明らかにしてほしいと思います。
#22
○国務大臣(中曽根康弘君) 石油たん白の問題につきましていろいろ御指摘をいただきまして、私たちも非常に勉強さしていただきました。また、この問題に関する国民の認識が非常に深まったこととわれわれも考えます。
 いろいろな御指摘をいただきました結果、人間の生命は、国境を越えて同じようにとうといものでございますという認識に立ちまして、技術輸出の契約につきましては、これからの問題につきましては、安全性が認確されるまではこれを禁止する、そういう措置をいたしました。いままでありましたイタリーとルーマニアの分につきましては、それぞれ先ほど御答弁申し上げましたような処置をした次第でございます。今度の特定化学物質の中にはこれは入りません。特定化学物質の場合は、難分解性等によって外に停滞して、それが魚その他を通じて人間にまた入ってくるという場合を考慮したものであります。飼料の場合は、家畜に入って、その肉その他が人間のからだに入ってくる、そういう性格でありますから、むしろ直接危険性があるわけであります。動物自体の口に入るという意味におきまして。そういう点から、これは別途ただいま申し上げましたような飼料の品質改善に関する法律を改正するとか、あるいは特別立法によってより厳格に規制をする必要がある、そういう認識に立ちまして各省で協議しておるところでございます。石油たん白の問題を機に、こういう種類の物質についてわれわれはさらに大きな関心を持ちまして、規制を厳重にしていきたいと思います。
#23
○杉原一雄君 次の第二点に移りますが、ここにこういう書き方をしているわけですが、東京湾はクロだった。それはどういうことかと申しますと、六月四日発表の水産庁の魚介類のPCB汚染状況の精密な県調査というのは、東京湾がシロなんです。発表を読みますと、十四水域のうち、東京湾、四日市地先、水俣湾水域その他すべて三PPM以下であった、だからシロだという水産庁の発表があるわけです。ところがその後、シロでなくてクロだということが東京都あたりから出てまいったわけです。水産庁の言わんとする答弁はぼくはわかっているんですけれども、ただそれは地先だと。先ほどの敦賀湾か敦賀港かという議論と同じように、地先のほうはわしは知らぬ、そこにクロがあった、こういうことでは言いのがれにならないと思うんです。もう一度その辺の事情を簡単に明らかにしていただいて、こうした今後とも調査の時点に立つ場合に、こういう判断で、こういう計画で調査作業を進めるのかどうか、その辺のところを簡単にお願いします。
#24
○説明員(松下友成君) 先生ただいま御指摘の、東京湾の奥部におきます東京都の実施しました調査結果と水産庁の調査結果の相違の点でございますが、昨年の十二月に水産庁が発表いたしましたいわゆる概況調査、私ども概査と呼んでおりますが、この結果につきましては、東京湾からはいわゆる暫定規制値をこえる魚は発見されなかったわけでございます。なお、さらに東京都自身で自主的にPCBにつきます御調査をなさっているわけでございますけれども、その結果につきましても、いわゆる規制値をこえる魚が発見されなかったわけでございまして、そういった事情を勘案いたしまして、東京都とも十分協議をいたしまして、今回発表いたしました精密調査には東京都の分、つまり、東京都の湾奥部につきましては調査をいたさなかった次第でございます。
 なお、第二点につきまして、今後の調査でございますが、こういつた点もございますので、今後私どもとしては、従来発見されました規制値以上の水域に限りませず、今後注意すべき水域につきましても、定期的に調査を進めてまいりたいというふうに考えております。
#25
○杉原一雄君 きのう、通産の化学工業局化学第二課からデータをいただいたわけですが、これによってPCB使用工場リストというのが明らかにされたわけですね。水産庁の発表は六月四日です。この辺のところを、このリストとこの地域的に調査する対象ですね。私はちょっと時間的に点検できかねておるんですが、重なっているんですか。専門的にごらんになったらすぐわかると思いますが、重なっていますかどうか。
#26
○政府委員(齋藤太一君) PCBにつきましての魚介類の汚染状況の調査は、環境庁と水産庁が昨年の秋から暮れにかけまして全国百八水域について実施されたわけでございます。その結果、その概査によりまして汚染が認められた地域につきまして、さらにことし精査が行なわれまして、その際に、十四水域でございますか、やられまして、八水域が汚染区域というふうな発表になったわけでございますけれども、私どものほうでは、このPCBをつくっておりますメーカーの出荷リストをメーカーから水産庁のほうに提出させまして、PCBが過去に使われましたトン数も入りました工場名は、全部事前に水産庁のほうに届けてもらいました。
 なお、昨年の概査の際に、富山県水域につきましては汚染が認められませんでしたので、今回の精査にあたっては、富山県は精査区域からはずれておったように聞いております。
#27
○杉原一雄君 斎藤さん、水産庁の出した四十七年十二月の発表は、百十幾つではなくて百十となっておりますよ。それはどうでもいいんですけれども、ただ、私は望むらくは、水産庁にしろ通産省にしろ、使用工場――悪く言えばたれ流し工場というものはどこにあるかということはわかっているんです、水産庁もわかっておるわけです。その辺のところを省と庁とが緊密な連係作戦をとって徹底的に追及するという基本的なかまえが、この際非常に国民から要望され、問われるところだと思います。そういう意味で、いまの事実はどうかということを確かめるいとまがございませんので、あえてそのことを申し上げて、私はそれぞれの省庁の努力をお願いしたいということをこのくだりでひとつ明らかにしておきたい。いわんや、通産省がその後、水産庁のそれがあってからようやく六月七日にこのPCB使用工場の問題等が公にされるというような事態であって、お互いに何かちぐはぐな状況、こういう点は環境庁あたりでもしっかりしてもらいたいと思いますが、非常に重要なことだと思いますので、あえて、ここで警告を出しておきたいと思います。
 同時に、実は敦賀湾を汚染している犯人というふうにぼくらはしろうと判断をいたしますが、東洋紡ですね、きのう東洋紡に行ってまいりました。PCBを現に使っておる工場の中をずっと回ってきたわけです。だからPCB問題は、このようになってきたこの時点で、通産省がいまここに列記されておるような多くのPCB使用工場に対して、まず、使用量とかいろいろのことを調べることも大事でしょうが、とりあえず、行政指導としてそれに対する終末の処理の方法とか、あるいは点検とか、具体的な何かをきめて作業段階に入っておると思いますが、いま通産省がとっておる緊急処置と申しますか、とりあえずの処置としてPCB対策として使用工場等にとっておる行政処置、行政指導、それの骨組みだけ明らかにしてもらいたいし、中間発表まではおそらく困難でしょうが、できれば中間発表とそれに対する見解をお聞きしたいと思います。
#28
○政府委員(齋藤太一君) PCBにつきましては、一昨年の十二月をもちましていわゆる開放系と申しますか、感圧紙、塗料、接着剤等々の用途向けの新規の出荷を全部停止をいたしました。それから昨年の六月に、PCBそのものの生産を全部中止をいたしました。また、昨年の八月一ぱいで、その後は閉鎖系につきましても、必ず回収のめどがあって汚染のおそれのないものを除きましては、閉鎮系に対する新規出荷も全部停止いたしました。したがいまして、現在残っておりますのは、過去に出荷された分の使用中のものでございます。特に現在大口の使用中のものはトランス、コンデンサー、それから熱媒体でございます。
 で、昨年の暮れに、抜き取りでございましたけれども、九十一工場につきまして使用状況の調査をいたしまして、工場の排水中のPCBの濃度等々を分析をいたしましたが、その結果、排水中からPCBが検出されました工場につきましては、PCBの使用を停止するように指示をいたしまして、それから停止が困難なものにつきましては、必ず活性炭等によりまして排水中のPCBを吸着回収させるような措置を講ずるように指示をいたしますとともに、工場内の排水路の清掃、それから機器に付着しておるPCBの同じく清掃、場合によりましては土壌の入れかえ、それから、清掃いたしましたどろをコンクリートで固化して埋める、こういったことを指示をいたしますとともに、熱媒体につきましては念を入れまして、四十八年末までに全部PCBでないものに転換をするように指示をいたしまして、その転換計画を各社出すように、同じく指示をしたわけでございます。ただいまその転換計画の報告が逐次参っておりますが、この最近段階で、工場数にいたしまして大体八割くらいか非PCBに転換をいたしております。
 なお、今回水産庁のほうで八水域の汚染が発表になりましたので、この八水域を含む府県に所在いたします三百三十八工場につきまして再度現地調査を、立ち入り検査をいたしまして、現在のPCBの使用状況等につきまして調査をして、もしそれが不完全であります場合には、完全な対策を講ずるように、あるいはPCBの使用を禁止すると、こういった指示をその結果によりましていたしたいというふうに考えております。また、この調査によりまして公共水域のPCB汚染の汚染源もあわせて調べたいと、かように考えまして、来月中旬までに三百三十八工場の立ち入り検査を終了する予定でございます。
#29
○杉原一雄君 いま局長の言ったのは、PCBにかわるものにまあ切りかえさせると。品物はKSK三三〇、これはだいじょうぶということであるかどうか、その辺のところを明確にお聞きしたいということと、PCT――BとTの違いですが、これは聞くところによると過去の存在のように聞きますが、今日的な状況の中でこれも利用されていることはございませんかどうか、はっきり答弁をしていただきたいと思います。
#30
○政府委員(齋藤太一君) 熱媒体の代替品でございますけれども、幾つかの種類がございまして、一つは鉱油系のものがございます。これは、PCBが生まれる前からわが国で使われておったものでございます。そのほかにもビフェニール系あるいはアルキルナフタリン系等々幾つかの種類がございますが、御指摘のKSKは、四十五年の十一月からわが国で生産されておりますアルキルナフタリン系の熱媒体でございます。で、これの安全性でございますけれども、まず、分解性につきましては、通産省の微生物工業技術研究所で試験をいたしました結果、大体軽油と灯油の間ぐらいの分解性でございまして、分解性は非常によいという結果が出ております。それから慢性毒性試験につきましては、現在、東京歯科大学に依頼をいたしまして試験中でございますけれども、すでに六カ月の試験が終わりまして中間報告が出ておりますが、それによりますと、その毒性はPCBよりもはるかに低くて、二十五分の一という数値が報告されております。なお、この慢性毒性につきましては、さらにもう相当期間続けたいと、かように考えております。こういうことで、PCBと違いまして塩素がついておりませんので、分解性もよろしゅうございますし、慢性毒性も非常に低いということでございますので、私どもとしましては、一応安全であるというふうに考えております。
 なお、本法案が施行になりますれば、こういった化学物質は、熱媒体等代替品はすべて再度本法によりまして安全性を確認することになろうかと存じます。
 それから、PCBの御質問がございましたが、これはポリ塩化トリフェニールという品物でございまして、PCBがポリ塩化ビフェニールでございまして、フェニールが二つついたのがPCBでございます。これが三っつきましたのがPCTでございまして、非常にPCBに似た構造を持っておる品物でございます。
 これらはPCBと同じく鐘淵化学と、それから三菱モンサントが従来生産をいたしておりましたけれども、昨年の三月に生産は全部やめております。過去の生産の累計は二千六百二十トンでございまして、PCBが約六万トン生産されましたのに比べますと、量は非常に少なくなっております。このほかに輸入が百四十トンございます。販売も昨年の六月に完全に停止をされております。出荷の向け先といたしましては、四分の一が電気機器関係でございますが、四分の三は接着剤とか塗料、インキといった開放系の用途に使われております。なお感圧紙には全く使われておりません。
 PCTの毒性につきましては、厚生省が今年度予算で現在毒性試験をやっておられるように私ども伺っておりますが、いずれにしましても、PCBに非常に似た構造を持ったものでございますので、PCB同様に取り扱ったほうがよかろうというふうに考えまして、昨年の七月に製造しておりました両社に対しまして、回収をするように指示をいたしましたけれども、在庫品は一応回収いたしましたが、出荷分で使われておったものにつきましては、開放系が多い関係で回収漏れがやはり相当ございました。
#31
○杉原一雄君 これからの問題ですけれども、まあたいへん国民は不安におののいていると思うんです。また、これをもってなりわいとしている漁民にとってもたいへんに大きな問題ですが、厚生省等の権威を総動員いたしまして、どうあるべきかという、国民よ、かくすればかくなるといったようなことなどの努力も、精神面の努力ですね、これも必要だと思います。たとえば京都の衛生研究所の藤原邦達さんですか、このPCB汚染魚について、みずからを守る十カ条というのを発表しております。この表現は、この十カ条がわれわれしろうとに非常にわかりやすい。あぶらこっい魚を食べるな、はらわたを食うなというようなことで、きわめてわかりやすいのでありますが、こうしたことなども、やはりこれは行政面でどの分野でどうされるか知りませんが、やはり行き渡るようにしていただきたいということ、これは要望です。
 きのう敦賀で手にいたしました敦賀市の「広報敦賀」というので、PCB特集を一、二連続出しているわけですが、これは心配するな、心配するなという広報なんです。海水浴もキス釣りなども心配ありません、食べられないのはスズキだけですと、こういったような宣伝をこれつとめておいでになるわけです。この必死な気持ちはよくわかりますが、これでもわれわれはやっぱり疑わざるを得ない。だから問題は、もう敦賀市は福井県、敦賀市と連名で安全宣言を、安心宣言をやっているわけですね。私はこれは問題だと思うのです。だから、これほどむずかしい問題ですから、やはり厚生あるいは通産それぞれ一方は汚染源をたたき、一方は現状を把握してこの対策等について緊急な処置をとらないと、漁民にとっては耐えられないものであり、魚を食うわれわれとしてもこれまた不安でたまらない。こういうもやもやっとしたものを、過去の責任を追及するよりも、今後どうするかということについての努力を大いに要望しておきたいと思います。この問題はこれで省略いたします。
 第三の問題に移りますが、これは企画調整局ですから環境庁ですね。公害保健課の調査に基づく水銀等による環境汚染の調査状況があるわけです。これをいただいておるわけですが、これによりますと、非常にぼくは自分の県のことだからすぐそこばかり見るわけですが、神通川か調査水域になっているわけですね。これによりますと、神通川では百四十六検体を見たけれども、そのうちウグイの二検体だけはちょっと総水銀量が基準をこえている、こういう結果でありますから、県民とすれば、だいじょうぶだなと、こう思うわけです。ところが私は、実は通産と緊密な連絡をとると、神通川なんか調べているのはナンセンスですよ。本来、富山県で水銀の汚染するであろうと想定できるのは、水産庁からいただいた資料によりますと、富山県には化学工場は幾つもある。ほかの県でも言えることだと思うんですが、そうした通産と農林省とが連係作戦をとって真実を追及するという行政のかまえが私ここで非常に問題だと、そういう意味で、もう一度環境庁ですが、企画調整局が神通川を調査対象にした理由、それをひとつ明らかにしてほしいと思います。
#32
○説明員(橋本道夫君) いま先生から御質問のありました、どうしてこの神通側を対象としたかという御質問でございますが、まず、神通側の調査を始めましたのは昭和四十一年でございましたか、喜田村教授が個人で研究されたデータの中に、どうも神通川の出方がおかしいという話がありまして、それを県のほうに話をいたしまして、四十二年から環境庁が神通川を指定して調査したわけであります。その時点におきまして、一方、富山県下の小矢部川というのがございますが、こちらの川に対しまして約倍以上の水銀の汚染の度合いがある。その当時は平均いたしまして一・〇六PPMということでございます。これは非常に問題があるのではないかということでございまして、さらにその精査を四十三年に加えまして、四十三年の段階では一・七六PPMというような非常な高濃度、また、この神通川のアルキル水銀につきましては、普通はメチル水銀の問題でございますが、エチル水銀が高いというような異常なデータが出まして、四十四年に、当時厚生省の公害行政がございましたが、そのときに神通川についての警告を発してこまかな調査をいたしたわけであります。
 この昭和四十三年のデータが神通と小矢部と比べられるわけでございますが、神通が一・七六PPMに対しまして、当時、小矢部川は〇・四四ということで、神通が圧倒的にこれが高いという問題と、また、四十三年八月にきまりました水銀暫定対策要領という当時の要領でいきますと、小矢部川は一PPMをこえるものが一七%に対して、神通川は四〇%あった、こういうことで、神通川の究明に鋭意力をあげて警告を発して取り組んだわけであります。それによりまして四十五年四月、神通川の流域に、ある製薬工場がございます。非常に小さな製薬工場でございますが、そこからエチル水銀関係の排水があるということを最終的に突きとめました。それによりまして、四十五年四月にその工場の工程をストップし、四十六年二月にはこの製造権をこれは取り下げまして、もうすでにこの作業は終わっております。そういうことで、先生いま御指摘のように、四十七年におきましては平均で〇・二九というように、四十四年の一・四一に対しまして、いたく改善を見たことは事実でございます。そういう点におきまして、私どもは、この神通川をなぜ選んだのかという点につきましては、少なくとも四十七年までの経過は以上申し上げたようなことであろうということでございます。
#33
○杉原一雄君 次に、第一水俣、今度は第三水俣、まあ第二は省略いたしますが、しかし、第一と第三は水が通じているのですよ。しかも非常に至近の、距離の近い状況下にあるのですから、少なくとも第一の水俣が、不知火湾に水銀があるのだ、だからこうなったのだということがわかった時点では、ちょっと手の届くところにある有明をなぜ調べなかったのか。今日のような、熊本大学の告発がなければあわてないというような状況自体も、また行政的な態度としてはけしからぬわけですから、結局、データがなかったのじゃないかという憶測をするわけですが、この第一と第三の間、時間的なズレじゃなくて、地理的にきわめて至近距離にある同じ地点が、なぜ今日までそのことが明らかにならなかったか、その能力的な問題なのか、機構の問題なのか、その点を実ははっきりしていただきたいと思います。
 私の県など非常に不名誉なことで、先般、三木長官がテレビの中で徳山湾と富山湾だということで、かなり強い表現で徹底的に調査するという発言をされたわけですが、六百六十七トンだと、これ以上あるかもしれません。こういうような状況なども、いま唐突として水銀が富山県に使用され、それが富山湾に流れ、あるいは川に流出するという問題ではなかったと思います。そこにやはりこうした通産行政を指導する側の通産省、あるいはまた国民の健康を守る厚生省、最近できた環境庁、そうしたところに行政当局相互の協力の問題、あるいは力の限界、いろいろあると思いますが、そうしたところを正直にひとつ聞かしていただきたい。まず有明と不知火湾の問題ですね。これは一体どこにそういうズレが出てきたのか、その点を明らかにしていただかないと、今後私たちは、日本じゅう水銀があるような気がして心配でたまらない、はっきりしてほしいと思います。
#34
○政府委員(齋藤太一君) 水俣の水俣病につきましては、その原因が何であるかは非常に長い間議論のあったところでございまして、政府も、企画庁を中心に当時連絡会議を設けましていろいろ原因の究明に当たりましたが、昭和四十三年に政府の公式見解として、第一水俣病につきましてはチッソの工場排水がその原因であるということを発表をいたしたわけでございます。現在問題になっておりますいわゆる第三水俣病ということに関係が深いのじゃないかということで、現在問題になっております日本合成化学工業は、その水俣病の原因発表の四十三年をさかのぼる昭和四十年に、すでに水銀を使わない製法に転換をいたしておりまして、水俣病がそういう原因であるということがわかりました当時には、すでに水銀法によりますアセトアルデヒドの製造はその工場では営んでおりませんでした関係で、通産省といたしましては、工場が終わっておりますから、そういった懸念はなかろうというふうに当時考えておったわけでございます。ただ、水域等の汚染状況調査につきましては、関係省のほうで有明海につきましてもその後引き続き行なわれておったように聞いております。
#35
○杉原一雄君 委員長、環境庁長官はまだ出て来ないのか、ひとつ督促してください。私の時間切れが迫ってまいりましたから。
#36
○委員長(佐田一郎君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#37
○委員長(佐田一郎君) 速記始めて。
#38
○杉原一雄君 ちょっとつまらぬことを言うけれども、化学物質をAならAですね、この法によってこれは製造してよろしいと、そういう許可をおろす。そうすると、それがかりに人間の体内に入る。そうすると、またBという品物がある。これも許可されて体内に入ってくる。体内に入ってくると、化学物質と化学物質とが、AとBとが相乗作用を起こして、それが人間に被害を与えると、毒物を蓄積して、その生命に大きな危害を加えるということは科学的に、論理的にこれはないことだろうか。その辺のところをぼくらしろうとですから、専門家の立場から明らかにしてほしいと思います。
#39
○政府委員(浦田純一君) 一般的に薬物などで二種以上の薬物を同時に摂取した場合に、お互いにその薬の作用を強め合うという事例はございます。また逆に、お互いにその作用を弱め合うという事例もございます。食品添加物などの例でございますが、いままで――これはまだ実験があまり進んでおりませんけれども、いままで得た知見といたしましては、相乗作用というものははっきりとは証明されておりません。一般に、お説のような化学物質を二種以上とった場合の作用ということにつきましては、やはり不明の分野があるのでございまして、一がいに作用を強め合う、あるいは弱め合うということも、なかなか言うのにはデータが不足しているということが現状だと思います。
#40
○杉原一雄君 いまの質問はちょっと比喩的だったと思いますけれども、ただ問題は、この法自体が、厚生大臣、通商産業大臣、で、横っちょに環境庁があって、「必要があると認めるときは、」と、こう書いてあるわけですね。だからこの法案のたてまえからいえば、主たる責任は通産と厚生にあると。環境庁は横にあって、何かサゼスチョンを与える程度の存在のように書かれているわけですが、そういう受けとめ方でいいか。これを図式にあらわせば、厚生と通産と同じ形に並んで、それで横に点線を持っていって環境庁、というような形でこの法の今後の指導、行政面の移しかえをしていくというふうに理解していいのかどうか。しかもそれはそれでいいのかどうか。環境庁の――そこにも橋本さんが力んでいるのですが、それでいいのかどうか。その辺は言いにくいことですが、それぞれの省庁からの見解を聞きたいと思います。
#41
○政府委員(齋藤太一君) この法案におきましては、化学物質の安全性の審査につきましては、そういった物質の製造そのものを所管いたしております通産省と、それから国民の健康を所管されます厚生省が共管の形で一件一件の申請につきまして安全性を審査をいたすことにいたしております。ただ同時に、環境の保護と環境汚染の防止という観点から、総合的に環境庁がこれに関与される形になっておりまして、たとえば化学物質の試験をいたします際の試験の方法、試験の項目と、こういったものにつきましては、本法案の第四条の第四項によりまして、環境庁、厚生省、通産省の三省庁で共同でこういった試験項目等をつくると、こういうふうにいたしております。それから個々の申請につきましても、一件一件の申請の写しを環境庁長官に送付をいたしまして、もし環境庁長官が御意見があります際には、厚生大臣、通産大臣がシロ、クロの判定を行なうに際しまして、事前に環境庁に説明を求められたり、あるいは環境庁からその判定についての意見を述べられると、こういうことができるようにいたしておりまして、こういう形によりまして個々の案件を一応通産大臣と厚生大臣で処理をいたしますけれども、環境庁は高い立場からこれに御意見を述べられるというような仕組みにいたしまして、環境庁の御意見を十分尊重するように法案に盛り込んでおるところでございます。
#42
○杉原一雄君 そうすると、それはよろしいという、届け出、新規化学物質ということで条件を整えて決定をするという段階までは、やはり二つの省と一つの庁とがお互いに協力し合っていくということであり、でき上がったものについては、追跡についてもこれは三者とも追っかけていくというように、単純な路線を引けば――そういう理解
 のしかたでいいですか。
#43
○政府委員(齋藤太一君) 化学物質につきましての安全性の審査の最終決定等は、通産大臣と厚生大臣とで行ないますけれども、十分環境庁長官の御意見を参酌をすると、こういうような考え方で運用してまいる仕組みになっております。
#44
○杉原一雄君 それで、通産がJISマークというのを出しているわけですね。いろいろ品物に対して、ところが農林省はJASを出しているわけですね。いままで、農林省関係では、JASの法律をつくったのは最近ですから、件数が少ないと思いますけれども、現状はどれぐらいの品目、あるいは規格に対してJASマークをつけることを許したか。私は特に聞きたいのは、あとの追跡の問題ですよ。JASがついているからだいじょうぶだと思うのは国民の心理だし、当然のことだ。ただしかし、結果的には、JASをつけたけれども、あとだめだったというのがあるわけです。そういうだめだったというのが農林省サイドで、まあ農林省がやっていることですから、JASマークの問題、JAS規格の問題についてそういう実態はどうか。これは時間がありませんから簡単にお願いしますし、通産がJISマークというのを出しているわけですね。これも歴史が古いから相当件数出していると思いますけれども、現状、ただいま今日まで出したのだけれども、これはいろいろな点でこれはだめだと、製造禁止、使用禁止といったようなことなどあれば、具体的なものでお示しいただければ、ぼくら政治的判断をするのに非常にいい。いま申し上げたように、追跡をどの省庁がするかという問題とも関連いたしますから、その点をひとつ具体例としてお聞きします。
#45
○政府委員(齋藤太一君) JISにつきましては、現在、総数が七千二百五十ございます。これは三年ごとにJISの内容を見直すように法律できめられておりますが、その見直しの結果、あるいは主務大臣のほうから時勢に合わなくなった等々の理由で廃止を諮問することもございまして、昨年度中にJISを廃止した件数は五十八件でございます。なお、過去に廃止をいたしました累計件数は千六百十九件になっております。
#46
○説明員(宮崎武幸君) 私、実は担当でないので、JASについては存じておらないわけでございますが、たしか規格の数で三百数十件ぐらいではなかったかと思います。あとの数字につきましては、担当のほうから後日報告させたいと思います。
#47
○杉原一雄君 連絡をとっておかなかったかな。現に千葉ニッコー会社のやつがストップかかったわけですよね。これは人の命に関する問題ですから、あるということだけは全体が確認しておきたいと思いますし、いま申し上げたように、今度の化学物質にしましても、認可、許可したあとの追跡ですね。これは厚生省だ、通産省だ、環境庁だと言わないで、ほんとうに総力をあげて努力をしていただきたいということをあえて申し上げたいために、この具体的な数字を要求したわけです。
 最後にでありますが、先般、六月十二日の閣議で水銀等汚染対策推進会議が設定され、議長は三木環境庁長官、六月十四日午前八時から第一回の会議が行なわれた。そして新聞等によりますと、十一項目の対策が決定した。ここまでは私たち了解をしているわけです。その点で、長官も出ておいでになりましたから、非常に水銀問題で先ほどいろいろな経過質疑をやっておったわけですが、きのうも現地調査なんかをして、非常に重大な問題であり、とりわけ、長官が先般この対策会議が終わった晩にテレビに出て、富山県と徳山湾がたいへんだと、徹底的に調査をやるんだと言っておられたのですが、大いにやっていただきたいと思います。ただ、十一項目ですね、その中で、特に政府として最大の責任ある努力をすべき点は何であるかということですね。私らから言わせれば、水銀を使わないと、たれ流し以前の問題、その問題にやはりしぼってみたいと思いますが、そうしたことについて、テレビ発表じゃなくて、ここで明らかにしてほしいと思います。
#48
○国務大臣(三木武夫君) 水銀の汚染、これは一つの問題は、いままでに蓄積されている問題をどうするか、将来これ以上汚染をしないようにするためにはどうするかと、この二つの問題があるわけでありますが、一つの問題は、それと関連してどのくらい汚染されておるのかと、これはもっとやっぱりこの実情を十分に調査しなければなりませんので、いま有明海、あるいはその他富山もいろいろ問題になった地域というものの精密な環境調査をやりたい。水質、あるいはまた底質といいますか、ヘドロなんかの底、あるいは魚、プランクトン、こういうものに対して環境調査をやる。その環境調査の結果に従って、必要があるところは住民の健康調査をやる。それからまた、水俣湾などのヘドロはこれを今年中に埋め立て工事にかかる。第二次汚染を起こさないような方法で埋め立て工事をやる。一般の海域などに対しては、建設省がしゅんせつあるいは埋め立てもしなければならぬところもあるでしょうが、これは建設省が受け持って、そうして日本海域の清掃事業というものをやる。こういうふうな過去の蓄積に対して対処すべき方法というものをきめたこと。
 もう一つは、やっぱり将来これ以上汚染をしないようにするためには、いま杉原委員の御指摘になりましたように、水銀というものを出さないことが第一番ですから、これをするためには、もう来年の九月までにソーダ工業などはクローズドシステムに転換をして、水銀を外に出さぬようにする。でき得べくんば、その触媒としてもう水銀を使わないような生産工程に変えることが理想的ですからね。そうすれば水銀を使わない。そういうことで、できればそういうことに一番早くすれば、これは禍根を断つわけでありますけれども、そこへ切りかえるためには隔膜法による転換をはからなければならぬわけです。これは通産省としても、どんなに急いでも二年間の間に五〇%ぐらいしかできないと、しかし、五〇%といっても、それをもう少し努力して極力転換をはかってくれということで、この間の会議の結論は出たわけであります。
 その前に、クローズドシステムでも水銀を出さないようにするというのですから、そこで押えていますから、さらにこれをもうひとつ使わぬようにするというところまでは、この間の会議でいつまでにするという結論には達せなかったのですけれども、来年の九月までに、ソーダ工業などについては水銀を外に出さないようにクローズドシステムを採用すると、こういうことで、将来の汚染をこういう形からそのもと、一番の汚染の原因である水銀というものに直接触れて、そうしてこれを規制をしていこう。とにかく、これ以上次々に日本の海域が汚染をされるということになれば、これは漁民はもとより、地域住民に対しても非常なやっぱり社会不安を起こしますから、いままでやっている、汚染しているものを徹底的にこれを除去し、将来の汚染を防いでいくということに、これはよほど本腰を入れてやる必要があるという認識のもとに、この間の会議でそういうことをきめたわけでざごいます。
#49
○杉原一雄君 長官の発言で非常に気がかりになるし、また事実六月十四日の各新聞が十一項目の対策ということで公表したわけですが、しかしこれは、いま長官のおっしゃったことと若干食い違ってくる点が出てきたのは、四十九年の九月までにクローズドシステムをとる、五十年の九月までに水銀電極法をやめて今度は隔膜法に切りかえると、こう出ているわけです、新聞では、大臣はいま、それはちょっと通産省のほうが都合が悪いというので困ったことじゃと、こういう話なんですが、中曽根さん、ひとつがんばることはできませんかね。技術的にむずかしいのですか。
#50
○国務大臣(三木武夫君) ちょっと私から……。
 会議のときに、まあ通産としても極力やるけれども、どうもやはりここで二年後に隔膜法に全部転換するという約束はできないという発言があったわけで、「極力」という字を入れたわけで、環境庁で新聞記者会見のときに、「極力」というものを落としましたものですから、何か通産省の圧力に環境庁が屈しないという、圧力には屈しないわけで、こちらが持っておるものは生命、健康というにしきの御旗ありますから、それはやはり屈するわけじゃないんですけれども、どうしてもできないというものを、これはやはりそういうことを国民に約束するわけにはいきませんので、通産省が言ったからというのではないのです。会議のときに「極力」という字が入っておったのを、発表のときにそれを落としたということで、「極力」を入れたわけでございます。
#51
○国務大臣(中曽根康弘君) 一生懸命やってみたいと思いますが、いまの技術その他によりますと、五十年で、三年ぐらいがかりでも五〇%ぐらいが精一ぱいだろうという報告を私受けました。そういうような事態を環境庁の側にも説明したようであります。その際、会議においてはそういうことは理解されたんですが、発表の際にちょっとことばが足りなくてそれを訂正したので、ああいう結果になったようでございまして、初めから認識においては一致しておったところであります。しかし、それにしてもお互い時間がかかるなという気がいたしますから、できるだけこの期間を短くするように努力してみたいと思います。
#52
○委員長(佐田一郎君) それでは、小平君。
#53
○小平芳平君 初めに、この法律案についてお尋ねをいたしますが、第四条、厚生大臣及び通産大臣は届け出があったときは、その届け出を受理した日から三カ月以内に判定し、その結果をその届け出した者に通知しなければならないとなっておりますが、三カ月ぐらいで何をどういうように審査されるかという点、それからまた、私は、本日はPCBについてずっと質問をいたしたいと思いますが、先ほどの局長の御答弁によりますと、現在、PCBだけを考えているのか、それともKSKオイルについて先ほどお話ありましたが、そういうようなものを総括的にもう一ぺんこういう審査を出させるのか、その点お尋ねしたい。
#54
○政府委員(齋藤太一君) 本法案の第四条によりますと、新規の化学物質につきましては、製造の前に厚生大臣及び通商産業大臣に届け出をすることになっておりまして、その届け出を受理いたしました日から三カ月以内にこの化学物質につきまして、すでに得られておる知見に基づきまして、一応それがいわゆるシロであるかクロであるか、あるいはいずれともまだ判断がつかないいわゆる灰色であるか、この三種類のいずれかに該当するかどうかの判断をいたすことにいたしております。したがいまして、過去のいろいろな知見によりましての判断でございますので、明らかにこれは特定化学物質に該当するような危険な物質でないとか、明らかに危険な物質であるという場合は少なくて、どうもどちらとも判断が、過去の知見からつかない、こういう場合が多いと思います。で、その三番目の分類に属します灰色である場合には、その後試験を実施をいたしまして、その試験の結果によりまして、もう一度シロかクロかの判断をすることにいたしております。
 で、この三カ月は、届け出後三カ月間には試験をするかどうかの判断をするわけでございまして、試験をするということになりました場合には、その試験に大体二、三カ月要するかと存じます。分解性試験、蓄積性試験ということをやりまして、その結果の判断までに大体その後さらに三カ月というふうに考えております。そうしてその結果、蓄積性も高い、分解性も悪いということになりますと、今度はいわゆる毒性試験を実施をすることになります。毒性試験に回りますと、その試験の内容によりますけれども、一年ないし二年時間を要しますので、毒性試験まで回った物質につきましては、安全かどうかの結論が出るのは非常にあとになろうかというふうに考えます。ただいま申しましたように、三カ月での判定は、過去の知見によりましてのシロ、クロ灰色の判定をいたすだけでございます。
#55
○小平芳平君 それで、現在使っているPCB代替品と称するものは一切やり直すのかどうか、この点は……。
#56
○政府委員(齋藤太一君) 本法施行後五カ月以内に、一応既存化学物質というものを公示をいたすことにいたしておりまして、その公示されたもの以外が新規の化学物質ということになりまして、事前届け出、政府の審査と、こういうふうなことになりますが、新規の化学物質につきましては、政府の判断がきまるまで製造をさせないことにいたしております。で、本法施行後五カ月以内に公示をいたします既存化学物質につきましては、一応流通は認めますけれども、流通をさせながら、政府が一方でその安全性の審査をすることにいたしておりまして、大体この既存化学物質が国産もので五千種類、輸入品で二千種類約七千種の既存物質があるというふうに私ども見ておりますけれども、この七千につきまして一応一当たり安全性の審査をいたしたいというふうに考えております。ただ、これは一方で流通させながら並行して審査をしていくということでございますので、ただいま御指摘のPCBの代替品でございます熱媒体等につきましても、既存物質としての審査の対象になろうかと存じます。
#57
○小平芳平君 そうしますと、そのように国が審査判定をし、あるいは製造の許可をした場合に、その安全であるということを国が保証するための審査判定であり、製造の許可であると思います。それにもかかわらず、過去の水俣病にいたしましても、公害病の場合は、多くの場合一たん安全だといわれておりながら、しかもとんでもない被害が発生したという例が数多くあるわけです。したがって、今回も国が安全を保証すれば、その結果として企業の責任はどうなるのか、また、万一事故の生じた場合の国の責任はどうなるか、この点についてはいかがですか。
#58
○政府委員(齋藤太一君) 本法案によりまして国が事前審査をいたしまして、その結果、一応特定化学物質に該当しないということで、製造、流通が認められましたものが、あとで、それは特定化学物質に該当するような危険なものであったということが判明した場合の賠償責任の御質問でございますけれども、この審査につきまして国に過失があれば、国家賠償法の対象になりまして国が賠償責任を負うべきものと考えますが、審査について過失があったかなかったかが、問題点になろうかと存じます。
 それから企業につきましては、国の審査があって、一応シロと申しますか、特定化学物質ではないというふうに判定をされましても、企業の自己の製品に対する安全の確保についての注意義務は免れるわけではないと考えます。したがいまして、企業は、自社の製品につきまして、常にその安全性につきまして万全の注意を払い、調査をする義務があろうかと存じますので、その万全の注意、調査の義務につきまして怠りがあって故意、過失があれば、依然としてこの審査を経たものでありましても、企業の賠償責任は残るものと考えます。
#59
○小平芳平君 したがって、あまり審査判定あるいは製造の許可というものがそれほど効果はないわけですか。要するに、いまのお話では、国は責任を負わないということでしょう、結局。国は、過失があればともかく、そうでないことには、要するに、いままでの知識の範囲で審査、判定を通知し、製造の許可をした場合ですね、それは国は責任は負わないと、企業が損害賠償の責任を負うということだと、ほとんどいままでとあまり変わらないではありませんか。そうでもないんですか。
#60
○政府委員(齋藤太一君) 国といたしましては、その時点におきます最大の技術、最新の技術情報等を常にキャッチをいたしまして、そういうものを頭に置きながら審査を進める必要があろうかと存じますので、そういった意味での過失があれば、国家賠償の問題が出てまいろうかと存じます。そういう意味におきまして、最大の注意を払いまして、この審査に合格したものが、後日、事故を起こすといったようなことのないように、審査につきましては慎重を期してまいりたいと考えます。
#61
○小平芳平君 いま問題となっておりますPCBにしましても、先ほど杉原委員がおっしゃっていた東洋紡敦賀工場、ここなどでは、会社側もまた従業員も、PCBは毒があるということを知らなかったといっているんですね。ですから、この中に被害者が一人、国立療養所に入院しておられますが、この方のお話も新聞に出ておりますが、PCBをもう手に触れる、あるいはPCBのついた手でたばこを吸う、そういうことを平気でやっていた。会社は会社でまた、自動車修理工場が油を扱うくらいの程度の考えしか持っていなかったと、こういうふうに説明をしております。したがって、そういうことは、一体日本の政府なりあるいは通産省なり企業は、PCBに毒性があるということはいつからわかったんですか。
#62
○政府委員(齋藤太一君) カネミ油症事件が発生をいたしましたのが昭和四十三年の秋であったかと存じます。ただ、そのときには、これは事故であって、通常の形でこういった通常の生産を続けていく場合に、こういったことが発生するわけではないということで、事故というふうに受け取っておったのでございますけれども、その後、昭和四十五年ごろに至りまして、海外のいろいろな文献等におきまして、こういった事故の場合でなくても環境にPCBが流出しました際に、非常に分解性が悪くて、しかも魚で一万倍ぐらいに濃縮されるということで、これがしかも人間の体内に入りますと、どうも肝臓その他に害を及ぼすおそれがあると、こういったことがわかってまいりましたので、それらをいろいろ検討いたしました結果、昭和四十六年一ぱいで開放系向けの出荷を停止をさせ、四十七年の六月に生産を全面的に中止をしたわけでございます。
#63
○小平芳平君 いや、それはわかっていますが、要するに、そうするといまの局長の説明だと、昭和四十五年当時までは、PCBが毒性があるということがわからなかったんですか。そういうときの責任を私は尋ねているんです。アメリカのモンサント社では、一九三七年――昭和十二年にハーバード大学に依頼をして、そして毒性試験をしたものを報告を受け取っている。あるいは五二年、五三年ごろ、昭和二十八年ごろ、モンサント社は独自でPCBの毒性研究をしたと、その結果を報告をしているのに、そういうことを、昭和十二年とか昭和二十八年とかをまるで知らないで企業も使い、労働者にも使わせた結果、被害が発生している。こういう場合はどうなんですか。
#64
○政府委員(齋藤太一君) 通産省といたしましては、こういった物質の人の健康に対する影響につきましては、一応、厚生省の御判断をいつも仰ぎながら対処してまいったところでございます。
#65
○政府委員(浦田純一君) 確かに過去におきましては、新しい化学物質が人体に及ぼす影響について十分な知見がないままに、それが一般に工場などで使用されるといったような例があったのでございます。これらは、いままでは労働衛生とかそういったような特定の分野での問題だったと思いますが、さらにPCBのように環境汚染という問題が起こってきて、一般の健康の問題ということになってまいったわけでございます。
 私どもは、そのような事例にかんがみまして、これはやはり、これから先はいわゆるテクノロジーアセスメントと申しますか、未知の物質が大量に使用されると、工業化されるといったような場合には、事前に人体への健康についてチェックした上で、安全を確認した上で使用に踏み切る、そういうふうな方向でもって処してまいりたいと、いままでのところは、実はたとえば添加物にいたしましても、あるいは薬事法の上からいたしましても、直接の対象ということではなかったわけでございまして、その点は、私どもは将来の問題として真剣に対処してまいりたいと、今回の法案提出もそういった意味を込めているものというふうに考えております。
#66
○小平芳平君 要するに、PCBの製造にあたって、アメリカのモンサント社と提携したわけでしょう。このモンサント社で、すでに何十年も前にその毒性についてハーバード大学で、あるいは自社独自で毒性実験というものをしてわかっていたと、そういうことを知らないで政府が許可をし、あるいは企業が使って被害が発生したら、これは政府の過失責任でもあり、企業の責任でもあると、こういうことでよろしいでしょう。
#67
○政府委員(齋藤太一君) 本法案成立後におきまして、政府は、本法に基づきまして安全性の審査をしたあとで、安全と認めたものが安全でないということになりました場合には、その安全性の審査につきまして過失がありますれば国家賠償の対象になろうかと存じます。ただ、本法案成立前におきましては、PCBにつきましては、これを規制する法律が何にもございませんでしたので、そういう意味で、そういった立法を早くやるべきであったという意味での反省は私どもいたしておりますけれども、国家賠償の問題はないんじゃないかと考えます。
#68
○小平芳平君 中曽根通産大臣にお尋ねしますが、通産大臣、いま大臣も御承知のように、このPCB汚染あるいは水銀汚染によって日本国じゅう大問題になっているわけです。特に、漁業者はとれた魚を工場へ持っていく、工場はそのまま穴を掘って埋めている、現実にそれがもう各地で起きちゃっているわけですね。したがって、きょうはPCB中心に私は質問をいたしますが、こうした汚染防止にはあらゆる対策をとるべきである。その辺のひとつ通産大臣の御見解をお聞かせいただきたい。
#69
○国務大臣(中曽根康弘君) PCBの有毒性というものに関する認識が政府においても欠けており、日本全般においてこれは欠けておって、いわゆるテクノロジーアセスメントというような、事前にそのものが有毒でありやなしやということを検認する意識が政治にもなかったという反省をわれわれはしなければならぬと思っております。今日やることは、できるだけ汚染源を早く突き詰め、また汚染地帯を早くはっきりさせて、そうしてそれらに対する手当て、措置を厳格に行なって、そうしてもし被害者が出てくるならば、これらに対する救済医療の手当てを十全に行なって、また将来再びこういうことを起こさないようにやることであると考えております。
#70
○小平芳平君 まことに、いまお述べになった汚染源を突きとめるという点で、私は同感なわけです。ということは、PCBのいまなお明らかな汚染源がそのまま放置されている。それは御承知の家庭電化製品、この家庭電化製品は市町村のごみ処理場に山と積まれている。これこそ、これだけ環境汚染がきびしくなっている時期に、あらゆる手を打つべきだと考えるのは当然なわけです。ところが、きわめてこの汚染源対策ができてない。
 そこで、この法案が成立するまでもなく、現在の廃棄物処理及び清掃法では概念的に企業の責任を述べておりますが、さらに、四十六年十月十六日には厚生省次官通知が出ておりますが、こういう点で、一体このPCBの入っているテレビとかエアコンとか、そういう家庭電化製品を企業に回収させるとか、あるいは少なくともメーカーがPCBを使っているその廃棄物からPCBだけを抜き取るとか、そういうような手が打たれておりますか、どうですか。
#71
○説明員(北村昌敏君) お答えいたします。
 家庭電化製品は一般家庭から排出されるごみでございまして、廃棄物の処理及び清掃に関する法律によりますると、法第六条によりまして、一般廃棄物につきましては第一義的には市町村がこれを回収、処理するとなってございます。しかし、事業者につきましても、その社会的な責務もございますので、市町村が回収、処理する段階におきまして必要な協力を十分するよう業界に指導しておる次第でございます。現に、仙台市及び沼津市と業界との間では協定ができておりまして、その線に従って業界はその回収に協力をいたしております。また、近く三島、沼津、御殿場、清水の各市との間に協議がととのいまして、近く協力、実行の段階に入ることになっておる次第でございます。
#72
○小平芳平君 それは、市の廃棄物捨て場へ行って、メーカーがPCB入りのコンデンサーを抜いてくるというわけでしょう。それだけで十分果たせますか。あるいは、なぜそれを市へまかしておくんですか、国が何をやっているんですか。
#73
○説明員(北村昌敏君) 現在、事業者が市町村に対します協力のやり方につきましては、いま先生御指摘の、一定の個所に行ってPCBが入っておるコンデンサーを抜き取る作業、あるいは市町村からの連絡、要請に応じまして必要な情報、資料を提供する事業などが主たる協力態様でございます。
#74
○小平芳平君 ですから、市町村になぜまかしておくんですか、国がやるべきことはないんですか。
#75
○説明員(北村昌敏君) 先ほども申し上げましたように、清掃法の上では、第一義的には一般廃棄物につきましては市町村がその回収、処理に当たるという体制になっておりますので、事業者としてこれに極力協力していくということでございまするが、さらに国としてどうかという御質問でございますが、現在、国といたしましては、そのような協力につきまして業界に強く呼びかけ、指導いたしますと同時に、家庭用の電気製品のうちPCBがいささかでも入っております機器の態様は、非常に広範、複雑多岐にわたっておりまして、現在それの実態を調査中でございます。家庭用の電気製品のうちで、テレビとルームエアコンとそれから電子レンジ、この三つだけで九割五分ぐらいを占めておりますので、この三つにつきましてPCBが入っておる機種を、数百にのぼるわけでございますが、逐一現在調査をしておるような状況でございまして、調査、把握完了の上は、関係方面によく周知徹底方もいたしたいと思っておる次第でございます。
#76
○小平芳平君 いまごろ調査って、何ですか、それ。
 これは静岡県清水市でも、PCBを含んでいるコンデンサーの除去、処理についての協議書というものを家庭電気協会静岡支部と清水市長が結んだ、そして抜き取りをやってもらうことになったけれども、どうもこれじゃ不安でならない。一体、メーカーが来てほんとうに全部抜いたのか抜かないのか点検のしようもない。そこで市長から通産省、厚生省、環境庁等、関係各省に対して、こういうことは市にまかせられても安心できないから、国でしっかり対策を立ててくれと言ってきているでしょう、これについてはどういうふうに答えたんですか。
#77
○説明員(北村昌敏君) 清水市からの要望は主としまして三点ございまして、第一点は、国として処理計画を早急に立ててくれ、第二点は、工業会方面で言っておるPCB含有家庭電気製品と実態との間に食い違いがあるので再調査をやってくれ、それから第三点は、これらの必要な公表についてやってくれという三点でございますが、そのうち第一点につきましては、これは先ほどもお答え申し上げましたとおり……。
#78
○小平芳平君 いや、そんなよけいなことはいい。
#79
○説明員(北村昌敏君) で、第二点は再調査の点でございまして、工業会が言っておりますのは、テレビなりクーラーなりそれぞれの品種ごとに平均値を言っておりまして、各メーカーの型式ごとの機器によりましては、PCB入りコンデンサーの数も違っておるような状況でございますので、メーカー別、機種別、型式別に、それの実態をいま全体を把握作業中でございます。
 以上でございます。
#80
○小平芳平君 通産大臣どうですか。いつも許可するのは国が許可する。監督するのも国が監督する。あと始末は市町村でやれと言われても、それは清掃法はそうでも、市町村が第一次責任だといってますけれどもね、おかしいと思いませんか、少しは。
#81
○国務大臣(中曽根康弘君) こういうものが出てきて、これを処理しなきゃならぬということがわかったときの行政のテンポが非常におそ過ぎるように思います。さっそく省へ帰りまして対策を講じようと思います。
#82
○小平芳平君 これは、日本電機工業会でマル秘としてこういう文書を出しているのはどういうわけですか。何がマル秘ですか。PCBが入っている電気洗たく機は八十七万八千台、そうでしょう。電子レンジは八十二万一千台ですか、ルームエアコン十五万七千台――なぜこんなことがマル秘なんですか。現場で清掃事務で困っている人たちのことを考えてごらんなさい。あるいは、メーカー別にも出ているじゃないですか。メーカー別の電気洗たく機は何社とか、ルームエアコンは何社とか、どうしてこういうことをマル秘にしなきゃならないんですか。
#83
○説明員(北村昌敏君) 何ぶん電機工業会の資料のことでございますので、なぜマル秘にしたのかという御質問に対しては、あるいはお答えが的確を欠くかもしれませんのですが、何ぶん、先生がいまおっしゃった電機工業会の資料は昨年の八月ごろの資料でございまして、まだ内部調査を進めつつある、進行途上のあれでないかと思いますが、これも私推察でございます。事国民の健康に関する問題でございますので、われわれがいま的確なる機種別の調査を、作業を進めておりますが、それの把握が完了いたしたあかつきには、通産省といたしましては何ら秘すべき性質のものとは思っておりません。
#84
○小平芳平君 そういうことを言っている間にもPCB環境汚染が進行しているでしょう。そのPCB環境汚染が深刻になって、先ほど来指摘しますように、漁業者が漁獲があっても売れない。したがって、工場の中に掘った穴へ埋めちゃう、あるいはとれた魚も値段がたたかれている。こういうときに、この電気製品は市にまかせておけばいいというような、そんなことを言っている間にも、たとえば電子レンジならば何社のこれこれの製品にはPCBが入っているということを通知してくれれば、市のほうでもすぐわかるじゃないですか。そのくらいの簡単なことができないんですか。
#85
○説明員(北村昌敏君) 先生おっしゃいますとおり、全国の市町村に対しまして、メーカー別に、機種別に、型式別にPCBの入っている状況の有無をリストにして情報を提供すべく、現在作業を行なっておる次第でございます。
#86
○小平芳平君 いつ、やりますか、それを。
#87
○説明員(北村昌敏君) いまその作業中でございまするが、いまの見通しでは、あと半月あるいは一カ月以内には完了いたしまして、そのような連絡は可能と考えております。
#88
○小平芳平君 まあ通産大臣、お聞きのような状態で、実際上困り切っているわけですよ。ですから、半月か一カ月と言っておりますが、この資料によって見ても、ルームエアコンならこの会社の、このメーカーの機種は何種類ある、それで使用台数は何台ということがわかっていながら、その機種がわからないわけないじゃないですか。きょうでもわかるじゃないですか。たとえばA社のルームエアコンの機種は三十五種類と、こう出ていれば、三十五種類聞けばきょうでもわかるじゃないですか。何を調べているんですか。また、こういうものは何ら秘密にする理由がないものでしょう。ちゃんと清掃法にも協力しようと書いてあるでしょう。どうですか。
#89
○説明員(北村昌敏君) 何ぶん、家庭用の電気製品の中には中小企業の製品も種類としては数多くございまして、全貌の把握にはかなり時間をとる次第でございます。したがいまして、全貌の把握はまた追って補完していくことにして、せめて、いまの全体の九割五分を占めている三つの品物、テレビとルームエアコンとそれから電子レンジ、この三つで九割五分を占めておりますので、この三つについては急ぎ把握をして全国各市町村に連絡をすると、こういうことに切りかえて、なお、残余のものについては、把握でき次第追加してやっていくということに切りかえて現在やっておる次第でございます。
#90
○小平芳平君 まあ、押し問答しても時間がたつばかりですから……。そういうような姿勢では私はきわめて不満です。厚生省はこの次官通知では、「必要に応じて回収その他の措置によって市町村の清掃事業に協力させる等の指導を行なうことができる」という次官通知を出しておりますが、一体、私がいま指摘するような問題についてはどう考えますか。
#91
○政府委員(浦田純一君) 家庭電気製品の廃棄になったときの処理でございますが、これは先生も御案内のように、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第六条では、市町村が処理することが原則としてなっておるわけでございます。しかしながら、第三条では、第二項にはっきりと、廃品となった場合に困難になるようなものにつきましてはそのものを製造したり、販売したり、加工したりしないようにつとめるという規定があるわけでございまして、これに基づいての次官通知もなされているところでございます。私どもは本来、固形、大型のごみにつきまして、整備計画の中ではこれらが市町村でもって処理できるように、能力を付与するように補助金あるいは融資その他で考えております。しかしながら、PCBといったような問題になってまいりますと、事実上非常に適正な処分ということは困難であることもまたいなめないところでございます。したがいまして、私どもいろいろと情報がほしいのでございますけれども、これがなかなか得られない。また、処理するに当たりましては、あらかじめそのようなリストによりまして分別収集する、あるいはその製品のみを集めて処理するというふうなことでもってやることは、非常に私どもとして効率的で望ましいわけでございますが、それもなかなかいまの段階では情報に乏しいということでございます。私どもは清掃法の趣旨からいきましても、このようなことでもって業界の方の協力を得るということは、決してその趣旨に反するものではないというふうに考えております。
#92
○内田善利君 関連。
 いまの答弁聞いておりますと、結局電化製品は回収困難である、そういう意味の答弁だったと思うんですけれども、私は、このPCBが問題になりまして、一番この環境を汚染し、また、いまPCB問題が起こっておりますが、その汚染源といいますか、汚染の実態は、この家庭電化製品が問題ではなかろうか、このように思うわけです。したがって、いまあちこちでPCB汚染が問題になっておりますけれども、その汚染源を断ち切るためには、この家庭電化製品の中のルームエアコンとか、あるいはテレビ、電子レンジの中のコンデンサー、あるいはトランス、こういったものを何とか回収しなければ汚染はまだまだ続くんじゃないか、このように思うんですが、この点の回収法については清掃法によって市町村にまかせるだけでなくて、やはり国として何らかの対策を講じなければたいへんじゃないか、このように思うわけです。いまどのメーカーのどのコンデンサーに、あるいはどのメーカーのどのトランスにどれだけのPCBが入っているかということももうわかっているわけですから、それから計算しますと、これによって環境破壊していくPCBの量というものは計算ができます。その計算ができているかどうか知りませんが、これも発表していただきたいと思いますし、この回収については、家庭電化製品を取り締まらないからこのようにPCB汚染がまた再び起こってきた、このように思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
#93
○説明員(北村昌敏君) お答えいたします。
 家庭電化製品は密閉系の製品でございまして、家庭においてそれを使用しておる限りは危険のないものでございます。家庭電化製品が環境汚染問題を起こしますのは、家庭からごみとして出される段階において初めて問題になる次第でございまして、廃棄物の処理につきましては、市町村の廃棄処理作業にできる限り国及び事業者ともに協力をしていきたいと思っている次第でございます。
 以上でございます。
#94
○小平芳平君 厚生省ですね、ですから、情報が不足しているというから、そういう情報は通産省に強力に言って、それでメーカーの責任でPCBの処理をすべしと、環境庁も、とめどなくPCBで汚染されていくこの環境破壊をどう食いとめるか、そのためには通産省が先ほど来答弁しているように、だんだん調べておりますというような程度で、間に合わないじゃないですか、どうですか三木長官、あるいは厚生省からも……。
#95
○国務大臣(三木武夫君) この間の会議でも、やはり通産省は有害物質というものを工場で、水銀、PCBにしてもどのようにやっているかということを報告を受けて実情を把握しなければならぬ、こういうことで、四半期ごとに報告を求めるということをいまきめたのもそういうことにも関連があるわけです。したがって、PCBの場合は、家庭の電気製品その他にも非常に重宝な物質ですから使っているものがありますが、この問題はそういうところから、やはりPCBというものの処理というものは、そういう家庭廃棄物までも処理の方法を考えなければ禍根が断てませんから、これは地方自治体というものばかりにまかしておくといってもなかなからちがあかぬ点もありますので、厚生省、通産省その他関係の省庁もありますし、自治省も関係があるでしょう。これをどうしたらやはり早急に処理できるかということは、これは各省集めてひとつ相談をしまして、今度その処理の方法というものをできるだけ早く結論を出すようにいたします。
#96
○政府委員(浦田純一君) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、PCBなどを含む場合には、これは行政指導でございますけれども、いわゆる管理埋め立てということで、そこから溶けて流れるPCBの濃度を、これは環境庁の水質保全局長の指導通知でございますけれども、〇・〇一PPM以下に押えろというふうになっております。したがいまして、これで一応環境への悪影響は免れるたてまえではございますけれども、しかし、やはりPCBというものはもう環境へ出るのをゼロにしなくちゃならないといったような、これが理想でございますし、また一面では私は、資源としてもう一度このような廃品を再回収して使うといったような観点もございますし、いま三木長官もおっしゃったところでもございますし、私どもは市町村の清掃行政をより有効に活動していただくというためからも、PCBに関して特別の配慮をしていただくということについては歓迎するところでございます。
#97
○小平芳平君 そんな遠慮した言い方をしないで通産省に要求する、ね、そうでしょう。もう一度。
#98
○政府委員(浦田純一君) ただいま通産省のほうからも早急にリストを提出してくださるということでございますので、私どもとしても早くいただくように強くお願いいたしたいと思います。
#99
○小平芳平君 ですから、国会で言われる先に通産省に要求すべきなんですね、こういう場合は。
 それから、時間がありませんので、第二十二条。第二十二条のずっとおしまいのほうですが、「当該製品の回収を図ること」とありますが、「当該製品の回収」ということは、いま指摘しているような粗大ごみ、あるいは粗大ごみというと範囲が広くなりますが、電気洗たく機やルームエアコンをさすのか、あるいはそれは一般廃棄物として出された以上は、この第二十二条の「回収」には入らないのか。もしも「回収」に入らないとすれば、PCBを含んでいるエアコンはどうなのか、その点はどうですか。
#100
○政府委員(齋藤太一君) 第二十二条によりまして、既存の化学物質につきまして特定化学物質として指定をいたしました場合には、既存のものでございますので、すでに環境に出ておるとか、使用中のものがあろうかと存じます。こういうものが、その量とか使用の形態にもよりますけれども、そのまま放置いたしますと環境汚染がさらに進むと思われます場合には、これの回収をそのメーカーに対しまして指示をする規定がこの第二十二条でございます。ただ、ここで考えておりますのは、「製品の回収を図る」ということでございまして、あくまで現に使用中のもの等々、ごみになる前のものを考えておりますので、ごみになりました場合は廃棄物清掃法によりまして、そちらのほうで処理をしていただきますけれども、先ほど来のお話にございますように、事業者に協力をさせまして、その中からさらに事業者が回収をはかるよう行政指導等を行なうことはいろいろな場合があろうかと存じます。ただ、この法律で考えております製品は、ごみは含まないという考え方でございます。
#101
○小平芳平君 ごみといっても、ほうきではき集めたごみと違って、こんな大きなものがごみと称して出されるわけでしょう。ですから、その場合は入らないという答弁ですが、コンデンサーにPCBが使われている場合のその部分はどうですか。
#102
○政府委員(齋藤太一君) ごみとして家庭で使われたあと出されました場合には、その中の部品でございましても一応ごみというふうに考えております。
#103
○小平芳平君 やはりそういう粗大ごみについては、まあ市町村も困っているわけですよね。そこへプラスすることまたPCBなんというお供を連れたごみだもんですから、ますますもう手のつけようがないわけでしょう、実際問題。したがいまして、もっと法律上の規制として、たとえば第一には、メーカーに回収の義務を課するとか、あるいは第二には、その処理に必要な特別の設備や施設の費用を分担させるとか、あるいは第三には、識別に困難な有害物質が使用される製品については通報する義務を課するとか、この通報する義務を私は先ほど来再三言っているわけですが、そういうような法的規制をなぜやらないのですか。
#104
○政府委員(齋藤太一君) 本法案では「回収を図ることその他」「必要な措置をとるべきことを命ずることができる。」というふうに書いておりまして、この「必要な措置」の中には、たとえばそういった特定有害物質を使用しております製品名の公表でございますとか、あるいはそういうものの在庫を凍結するようなことでございますとか、いろいろな各般の措置を含んでおりますので、現実にPCBにそれを発動するかどうかは別といたしまして、いろいろな方法がこの法案によりまして条文的には発動できるかと存じます。
#105
○小平芳平君 いや通産大臣、せっかくこうした化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律という法律をここでつくって、これ以上の環境汚染や健康被害を防ごうということなんですから、私が先ほど来指摘しているような点はどう思われますか。
#106
○国務大臣(中曽根康弘君) やっぱり悩みの種はごみの処理の問題であるだろうと思います。そのごみの中にそういう特定物質が込められておるという場合の処理については、先ほど三木長官からも申されましたように、今回のPCBについては各省で至急に協議いたしまして対策をとりますが、将来、もしそういうようなものがまた起こるという場合には、今回の経験にかんがみまして、清掃法の処理を中心にして自治省やあるいは関係各省で迅速な措置をとるように、行政措置でやっていきたいと思います。
#107
○小平芳平君 では三木長官、先ほどPCBについては至急措置をとるという御答弁ですが、清掃法だと市町村にまかせるわけですわ。ですから、それでまあ行政措置とか、あるいは「その他」の中へ入れてあるとか、きわめてあいまいな答弁を繰り返されております。したがって、三木長官、先ほど来私が指摘するように、私が言うまでもなく長官も御承知のように、いま環境汚染を、健康被害を、あるいはとった魚を埋めなくてもいいような、それを実現するためにはあらゆる力をここに結集すべきなんですよね。ですから先ほど私が申しますように、回収義務を課するか、あるいは必要な費用を分担させるか、あるいは当然通報の義務を課するか、これはもう通報義務なんというのは、当然の中の当然だと思うのですが、いかがですか。
#108
○国務大臣(三木武夫君) 根本は、有毒物質というものはつくらさぬようにすることが一番ですよね。多少の生活に利便があっても、これはやっぱり製造は禁止する、その態度が必要ですよね。そうでないと、それが製造をいろいろの便利があるからといって許しておいて、そのことがいろいろな製品、PCBの場合は広く使われますからね。便利なだけにいろいろな製品に使われて、その回収に――とにかく、やはり非常に回収というものは容易でないですからね。したがって、まあ今後つくらせぬようにすることが根本でありますが、いままでのつくっておる問題がありますからね。まあ将来つくらせぬということならば、いままでそういうものをつくった善後処置というものが、あるいは通産大臣の言われるように、PCBの処理などで処理できるのかもしれませんけれども、しかし、何か私は有毒物質の製造というものに対して、これは非常にきびしい態度をとらなければいかぬという感じですよ。だから、過去のものに対しての処理というものがいま問題になっている。
 それには各省寄ってですね、いま言われた問題がやはり問題ですよ、通産省は把握しなきゃならぬわけですから。一体、どういう製品にどれだけ使っているのかということが一つでしょう。その回収をする場合に、メーカーの責任というのはどう考えるか、あるいはこれは回収の義務をメーカーに課するべきかもしれませんよ。そういうふうなことで、いま各省が寄って会議をいたしますと言ったけれども、それは非常にやっぱりいろんな問題がありますからね。まあ過去のそういう有害物質、この汚染というものの処理について、何かこういい賢明な処置を考えてみまして、そういうことで一体できるかできぬかと、それができぬということならば、これは立法的な措置も考えなきゃならぬでしょうが、とにかく、いまのようなことで各省が相談をしまして、何かこう処理の方法というものの賢明な方策を見出すことにいたします。
#109
○小平芳平君 まあ、これから相談と言われますけれども、先ほどから何回も繰り返しますがね、実際市町村で何とかしろと言われたってどうしようもないじゃないですか。ですから、それは今度のこの規制の法律によって規制されて、そういうものがこれから出てこなくなればいいですが、出た場合のことを考えれば、私が先ほど来申しますように、「その他」へなんか入れないで、ちゃんと回収なら回収、あるいは通報義務なら通報義務というものを明文化しておいたほうがよりいいじゃありませんかと言っているんですよ。いかがですか。これで終わります。
#110
○政府委員(齋藤太一君) 本法案におきましては、新しい化学物質につきましては事前審査制をとっておりまして、その結果、特定物質であるということになりました場合には、原則として製造は禁止いたします。かりに使わせます場合にも、家庭用品には一切使わせないことにいたしております。
 問題は、既存化学物質につきまして、今後の審査によりまして特定化学物質に該当するものが出た場合の問題でございますけれども、その場合には、この二十二条を活用いたしまして製品の回収を指示したり、あるいは「必要な措置」のところで、御指摘のように通報義務、あるいは識別の表示をつけさしたり、そういったことを活用してまいりたいと考えております。
 ただ、PCBにつきましては、本法案は施行が六カ月後でございますので、急の間に合いませんので、行政指導で先ほど御指摘のような点を至急に検討いたしまして、回収等について努力をいたしたいと、かように考えます。
#111
○内田善利君 いまの答弁で、既存物質について特定物質の名簿をつくるということですが、これが三カ月以内に名簿をつくるということですが、これだけの期間で既存物質の名簿ができますか。私は新規物質をチェックすることはこの法律でできると思います。しかし、いま既存物質の中には非常に危険な物質がたくさんあるわけです。そういったもののチェックが、六カ月プラス三カ月、まあ、それで異存があれば一カ月ですか、それでできるかどうか非常に心配するわけです。先ほど問題になりましたPCBとか、あるいはPCTとか、あるいはフタル酸エステルとか、それに不純物も加わっていろんな毒物があるわけですけれども、まあそういったものを期限内にチェックできるるかどうか、ちょっと心配になりましたので質問したいわけです。
#112
○政府委員(齋藤太一君) 本法の附則によりますと、附則の第二条で、この法律の公布の際に現に製造されておりますか、あるいは輸入されております化学物資につきましては、これの名簿を通産大臣が作成をいたしまして、公布の日から三カ月以内に公示をすることになっております。先ほど申し上げましたように、大体輸入品で二千種類、国産で五千種類あるように私ども予想をいたしておりまして、現在調査中でございます。で、三カ月以内に公示をいたしますと、その公示に漏れがなかったかどうか、一カ月以内に訂正の申し出を受け付けることにいたしておりまして、申し出を受け付けまして、この法律の施行前一カ月前までに最終版をつくって再公示をすると、こういうことになっておりますけれども、これは、現に法律の公布の日にわが国に存在しておった化学物資の名簿を公示するだけでございまして、この安全性の審査につきましては、この法律の施行後に、非常に生産高の多いもの、あるいは過去の知見から早く審査をしたほうがいいと思われるような物質分を先にいたしまして、安全性の審査を実施をいたします。ただ、これは何しろ七千種類もございますと、短期間にはなかなか一ぺんに終わるということは困難かと考えられまして、大体年間千トン以上の生産のあるものについて二年以内に安全性の審査を終わりたいと、さらに百トン以上のものをあと二年以内に、合計四年かけまして現在出ております七千種類の全部の審査を終わりたいと、かように考えております。
#113
○委員長(佐田一郎君) 小平、内田両君の質疑はこれで終了いたしました。
 次に、高山君の質疑に移ります。高山君。
#114
○高山恒雄君 去る六月の六日に各新聞社が取り上げておりますが、水産庁が昨年の末から要注意として十四の水域の魚介類の調査をしたと、そうしてひどいのになると別府湾等においてはウナギの一三〇PPMもあるというような発表をしたわけですが、この新聞を見て、まあ日本の国民は御承知のように、最近肉食に多少は変わっておりますけれども、まだ五十数%というものはほとんど魚介類にたよっておる国民性だと思うのです。こういうことが発表されるに至っては、全くあすの食生活に困る、何を食べて生活をしたらいいのかというような不安を与えたと私は思うのであります。したがって、これは全く重要な問題だと思うのですが、私はそういう意味から、このPCBの問題にしぼって御質問を申し上げたいと思うのです。
 なるほど政府は、通産省が出しておりますこの資料を見ますと、ノーカーボン紙、あるいはまた塗料、建設用のシート、弾性シーリング材、さらに印刷用のインクというようなふうに、ほとんど使用中止あるいは生産の中止とか、こういう通知を出しておられます。しかし、まさにこれは多様化しておりますので、一本の通知だけで、これは小平委員も御質問なさりましたが、その後の現実を掌握していくという方法について、ほとんどが都道府県あるいは市町村にまかされておるというのが現実だと思うのです。中央はこういう中止の指示をしただけで、全くあとの状態はどうなっておるのかということになると、先ほどの答弁からお伺いしてもなかなか確たる答弁がないわけです。したがって、現段階では全面的に製造あるいは輸入、使用を禁止するということに至っておらぬようでありますが、一部ではなかなか禁止できない現状のものもあるということを承っておりますが、これを絶対的に全面的にも禁止する、そしてあとの処理は全部他の新しいものに切りかえていくというような措置がとれないものか、政府の見解をお聞きしたい。
#115
○政府委員(齋藤太一君) PCBの生産高は、昭和二十九年から行なわれておりまして、約五万九千トン生産されております。そのほかに千トン輸入がございましたので、供給が約六万トンでございました。このうち約五千トン強が輸出に出ておりますので、国内で出荷されましたのが五万四千トンでございます。内訳は、電気機器関係、コンデンサー、トランスといったものに三万七千トン、熱媒体といたしまして約九千トン弱、感圧紙用に約五千トン、その他の塗料とか印刷インク、接着剤等の開放系に約三千トン、こういう出荷状況になっております。昨年の六月をもちましてPCBの生産は全部停止をして、現在はそれ以来生産はいたしておりません。
 それから、PCBを使いました製品につきましては、昨年の八月までで一切新規の出荷は停止をいたしております。ただ、どうしてもPCBでなければ他のもので代替ができないものということで、国鉄の新幹線用のトランス向けには在庫を少し残しまして、その在庫で山陽新幹線用と東北新幹線用の車両向けに現在もPCB入りのトランスを製造いたしておりますけれども、これにつきましても、明年からはシリコンオイル等に切りかえてもらうように国鉄にお願いいたしておりまして、大体今年いっぱいでPCB入りのトランスの製造は終わろうかと期待いたしております。
 そういうことで、国鉄向けを除きまして大体昨年の八月以後は新規の出荷はございません。したがいまして、過去に出荷されました以後の漏洩の問題が主でございますけれども、現在も過去に出荷されて使用中のものといたしましては、先ほどの電気関係のトランス、コンデンサー、これは大体密閉された容器に入れて使っておりますので、問題はそれが廃棄されます際の回収処理であろうかと存じます。それから熱媒体も、大体密閉された容器で使用をされておりますけれども、これは使用中に若干バルブ等から漏れる等の懸念もございますので、昨年の暮れに熱媒体を使用中の全業者に、今年末までに全部PCBでない熱媒体に転換をするように指示をいたしました。その結果、工場数にいたしますと大体八割ぐらいが現在までにすでにPCBでないものに転換をいたしておりまして、あと二割ぐらいがまだPCBを使っておるという状況でございますが、使用中のものにつきましても、全部活性炭でその排水につきまして排水中にPCBが流れ出さないように処理を行なうように指示をいたしておるところでございます。
  〔委員長退席、商工委員会理事若林正武君着席〕
 ただいままでのPCBの状況は、そういった形になっております。
#116
○高山恒雄君 とられた処置は理解できますが、実際問題として工場で使用いたしております熱媒の問題ですね、おもにそういうのが多いようですが、あるいは塗料の製造もありますけれども、大体にしてそういうのが主ではないかと思いますが、これは中止する、あるいはまたことし一ぱいに完全にしていきたい、こうおっしゃるんですが、その信頼度といいますか、一体何の確認をもってこれはだいじょうぶだという考え方にお立ちになるのか。私は変にものごとをこじらせて申し上げておるわけじゃありませんが、水産庁が出しております資料の兵庫県地域だけでも、このPCBを使っているところが約百です。そういうものはもう使っておりませんと言ったら、政府はそれで安心しておるのか。一体、使っていないという確証を、どういう方法によってこれを得ていくのかということが一番問題なのであって、いままでは使え使えと、生産のためには有効な化学材料であるし、そういうものでやるべきだと言って奨励しておきながら、今度は一方においては禁止するということになるのでありますから、ことし一ぱいにそれを禁止することをきめたと、こうおっしゃっておるけれども、実際問題としてその確認はだれがやるのか。これも都道府県におまかせされるのか、あるいは抜き打ち検査でもやってみるのか、そういう点の施策というものをどうお考えになっているのか、お聞きしておきたいんです。
#117
○政府委員(齋藤太一君) 先般、水産庁が発表になりました汚染水域が八水域ございまして、その八水域が所在します府県にあります工場で、PCBを現に使用しているか過去に使用した工場が三百三十八工場でございます。これはメーカーの出荷先リストから拾ったものでございますが、これにつきましては、来月中旬までに三百三十八全工場の立ち入り検査を実施いたしたいと考えております。
 それから、現在熱媒体に使用中の工場が、工場数にいたしますと全国で約千工場ばかりございます。これらにつきましても、ただいまの汚染水域の工場調査に引き続きまして一わたり全部現地に当たりたいと考えております。なお、まだ使用中のものにつきましては、その使用状況等を十分調査するつもりでございますが、その後も転換が終わり次第、それらの転換についての報告を企業から求めることにいたしております。
  〔委員長代理若林正武君退席、委員長着席〕
#118
○高山恒雄君 そこで私は、今回通産省で出しておられます法律の問題についてお尋ねしたいのですが、いままでの処理は、まだ質問としても十分ではございませんけれども、時間がわずかしかございませんので、私は法律の問題について御質問申し上げたいんですが、この第二章です。これも先ほど小平委員なりあるいはまた杉原委員のほうから御質問ございました。で、これは全くこの化学物質に対する、今後とっていこうというその規制をされておるわけです。この規制の中で、厚生省令と通商産業省令によってすべては決定をされるわけですが、なるほど、この届け出の写し等は環境庁に送付をするということになっております。したがって、そこでいよいよ決定する以前に疑義があれば、環境庁長官は、必要があると認めるときは厚生大臣なり通商産業大臣に必要な説明を求め、意見を述べることができる、こういうふうになっているわけです。なるほど環境庁としては、現在の段階においてはこの実務権といいますか、まあそう考えたほうが私はいいと思いますから、極端に申し上げておるわけです。が、決定をするということについてはなかなか問題もあろうかと思いますけれども、私はこの法案を見て、いまの日本の公害の実態から考えてみて、さらにまた今後の新しい化学物質に対しての規制をしようという際に、むしろ強化した姿勢がほしいではないかという考え方を私は持つわけです。強化とは一体何かと、せめて環境庁もこの討議の中に入っていただいて、そしてともに、生産を許可してもいいのか、輸入を許可してもいいのかどうかというような自信あるものにいまこそすべきじゃないかという考え方を私は持つわけですが、この点についてはどうですか、考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#119
○政府委員(齋藤太一君) 個々の案件の届け出が出ました場合の審査につきましては、その事業を所管いたしております通産大臣と、それから国民の健康をあずかっておられます厚生大臣が共同で審査をすることにいたしております。ただ、どういった試験を課し――その試験の項目でございますとか、試験の方法でございますとか、こういった共通な問題につきましては、環境庁と厚生省と通産省の共同省令でこれを定めるということになっておりまして、環境庁もその中に加わっていただきまして、こういった試験の方法等は決定をいたします。で、個々の案件の判断につきましても、ただいま御指摘のように、第四条の第五項によりまして、必要と認める場合には環境庁長官は説明を求めることもできますし、それから、安全かどうかの判断につきましても意見を述べることができることになっておりまして、当然環境庁長官の御意見があれば、通産、厚生大臣としてはその御意見を尊重して決定を下す、こういうことになろうかと存じますので、三省庁の意見の調整はそういう形で行なわれていくというふうに考えております。
#120
○高山恒雄君 なるほど、必要に応じてそれは発言権はあるわけですよ。私はまんざら死んでおるとは申し上げませんがね。けれども、結果的には、つまり新しい物質に対する審査と製造の規制をつくるわけでございますからね。
 しからば、もっと私は突っ込んだ御質問をしてみたいんですが、これは大臣が直接それに入ってやっておられるというならば、私はこれはまあ無理ないと思うんですよ。しかし、実際問題として、青写真でこれでいきたいというときには、肝心の厚生省と通産省が実際はやるわけでしょう。それでできたものの写しを環境庁に渡して、それで環境庁は異議があるときには意見を具申し、そうして述べることができるという解釈に立つわけだろうと思いますが、それでいいですね。
 そうしますと、かりにそうであるとするならば、一体、専門家の厚生省と通産省がきめたことに対して、環境庁の局長なり、あるいは企画調整課ですか研究調整課ですか、そういう方が、それではいかぬじゃないかと言えますか。私は言えないと思うんですよ。だから、最終決定権までとは申しませんけれども、研究過程においては私は当然中に参画して、環境庁、厚生、通産、この三者構成の中でできたものがこれであるという結論で大臣にこの申請を許可願う、こういうことにならなければいかぬのじゃないかという感じがするんですが、一たんきまったものに対して意見が具申できるということは、これは弱いですよ。
 それじゃ、環境庁としては何の仕事をするのかということになると、もし許可したものに対して、実際問題として今度は河川に大きな汚水として、これは今度はもう環境庁の大きな問題として取り上げざるを得ないという問題があるわけですよ。したがって、事前防止のためにもせっかくのこういう規制法案をつくるというならば、いままでの考え方とは一歩前進した三者構成の研究が必要だ。場合によっては国立研究所みたいなものをつくって、そういうもので一括してやってもいいじゃありませんか。私はいまこそそういう飛躍したやり方をしなければ、日本のこの公害に対する問題は、御承知のように、単にPCBだけではございません。その他の重金属、新しい化学物質による発ガン性だとか催奇形性だとか特殊毒性とか、こういうものはたくさんあるわけです。これも結果的にはまだ解明されていないわけです。こういう点をどうお考えになっておるのか。私は、この法律から考えてみると、もう一歩前進どころか、むしろ後退の旧態依然たるやり方ということになると思うんです。
 私はもう一つ念を押したいのは、これは通産大臣にお願いしたいんですが、こういう危険性はないかですね。通産省は、こういう化学物質を使ったということは、これは少なくとも値段が安いとか生産上に非常に効率であったとか、こういうことでこれを使うことにはやっぱり奨励したと思うんです。それで認めてきたと思うんです。ところが、いまここで一つの規制の歯どめをしようとするわけです。生産が大事か公害防止が大事かというような点を考えながら、規制措置をとろうとしているわけです。調整をしようとするわけです。そういう場合に、通産省としては、何といっても生産の伴わないものではどうにもならぬと思うんですよ、これは。そういう性質のものだと思うんですよ。だからといって通産省が入らぬというわけにはいかないけれども、やっぱりその歯どめの中心となるものは厚生省であり、環境庁でなければならぬ。通産省もよほどの研究の結果、確信があってのみ初めてこれを容認するということにもっていかなくちゃいかぬ。そのためにも三者構成が私は正しいと、あるいは先ほど私が申しましたように、環境庁としては、実務の点についてある程度参画をしておられませんから、多少の無理があるかもしれないけれども、新しくつくろうという法律の中に、私はそれがあっても別段差しつかえないんじゃないかという気がするんですが、これはひとつ通産大臣、御答弁願いたいと思います。
#121
○国務大臣(中曽根康弘君) 環境庁の御意見をよく承って尊重することは、私らも非常に大事であると思います。ただ、その物質に関するいろいろの試験研究等の設備能力等、いま当面見てますと、通産省関係の物質については通産省、厚生省関係の物質については厚生省、そういうものをやっぱり得ているだろうと思うんです。公害研究所ができますけれども、これは公害一般の要素はあると思います。そういう面から見て、もち屋はもち屋で、試験研究機関が整備しておるところでまず判定するけれども、しかし、環境庁長官にそれを通報して、まず届け出をしておく。そして環境庁においても、それをまた別個の立場からいろいろ審査していただいて、そして、法第四条の五項に、「環境庁長官は、必要があると認めるときは、厚生大臣及び通商産業大臣が第一項又は第二項の判定を行なうに際し、事前に、厚生大臣及び通商産業大臣に対し、必要な説明を求め、及び意見を述べることができる。」こういう歯どめがここにありまして、判定を行なうときに、環境庁長官の御意見というものは入ってくるわけです。この場合に、環境庁長官の意見と一致しなければ、これは前進することはできないと私は思いますし、そういうふうに環境庁の意見を尊重して私たちは進めていきたい、そういうふうに思います。
#122
○高山恒雄君 私は、現在の機構からいえば、大臣が御答弁なさったようなことにならざるを得ないとは考えているのですよ。それはそうだろうとは思っておるのですけれども、これほど社会を騒がせている公害問題に対しての今後の認可承認を与えるという、その審査過程におけるところの審議を二重に研究しなくてもいいじゃありませんか。通産省がやり、むろん厚生省もそれに対して、身体に公害があるかないかということをやるだろうし、それからその写しを環境庁に送る。環境庁は、異議の申し立てが直ちにできるわけじゃありません、参画してない限り。またおくれるわけですよ。そういう今日のようなスピード時代に二重の手間をかけて、環境庁の参加をここで避けるというよりも、ともに研究機関の中には入って、その資料に基づいて研究を各省に持って帰ってやるというなら、これは私はわかりますよ。そうじゃないですよ、この法律は。そういうところに私は矛盾があるんではないか。
 しかも、出た公害については環境庁が全責任を負わなくちゃならぬ。これですよ。公害が起こってから環境庁が動いたって、これは何にもならぬことであって、あと始末をやっておるようなものですね。けれども、新しい規制をつくろうとするんですから、私はいままでの慣例とか、機構のあり方から一歩前進した形のものがとれないかどうかということを申し上げているのですが、三木環境庁長官、これはどうお考えになりますか。そういう点については見解ございませんか。
#123
○国務大臣(三木武夫君) 届け出のときにやはり環境庁長官は、そういう新しい化学物質の製造というものに対して、届け出があったときに通報を受けるわけですから、そこで、環境庁の立場はとにかく安全性というものが新しい化学物質には一番に要求されるでしょう。健康に対し、環境に対していささかでも疑いのあるものは許さないというのが環境庁の立場でしょう。そういうわけですから、だから環境庁がそういう通報を受ければ、環境庁としての立場からこれを検討を加えて、そうして、これはだめだということを言えることば、これはそのことで何もものが言えぬわけではないと思いますよ。いま問題が起こってくれば、あと始末ばかり環境庁がやっておってもこれはつまらぬですから、やはり事前にそれだけの防止をしなければならぬわけでありますから、こういうふうな法制のたてまえでものが言えぬだろうと思っていないんですよ、これは。一番やはりきびしい立場をとらなければなりませんから、そういうことで、これで格別の不便はないと思います、環境庁長官は勧告権も持っておりますし。そういうことで、運用によって遺憾なきを期していかれると考えます。
#124
○高山恒雄君 それじゃ、専門官にちょっと聞きますが、この4の「第一項及び第二項の判定を行なうために必要な試験の項目その他の技術的な事項は、総理府令、厚生省令、通商産業省令で定める。」とくくってありますが、これは技術的なことですが、技術的な面においては、環境庁も参画をするということになるのですか、どうですかこの辺。それをはっきりしてください。
#125
○説明員(橋本道夫君) 基本的な考え方につきましては、長官が御答弁いたしたようなことでございますが、いま先生の御質問のございました4の「技術的な事項は、総理府令、厚生省令、通商産業省令で定める。」というところの総理府令とは、一体どういうものを考えておるのかというような御質問であろうかと思います。
 基本的に製造のほうと人間の影響のほうは、これは先ほどからるる御説明いたしましたように、通産省と厚生省が責任を持つわけでございますが、環境においてどういう問題がこの物質にあるかということは、これはあげて環境庁が要求する――総理府令で定める条件にこの技術的な事項が定まるわけですから、それに合った資料を出してこなければならない、こういうことになるわけであります。たとえば、どういうことを考えておるかと申しますと、これはいずれこのあとでいろいろ議論しなければ、最終的に確定しないことでございますが、生物的濃縮ということが、これは現在の化学物質で非常に大きな問題になっております。水銀にしましてもあるいはPCBにしましても、生物濃縮というものは、一体どういう濃縮係数を持っておるかということが基本でございまして、その濃縮係数を示してもらわなければ判断ができないではないかというようなことが一点あるのではないか。
 それからもう一点まいりますと、無機水銀が自然界内でメチル水銀に変わるということにつきましては、昭和四十三年ごろからこれ言い始めたわけですが、私は、やっぱりこのような問題がこの中で大きな問題になろうかと思います。ですから、自然界に出た場合にどのようなものに変わる可能性があるかということがいえるかどうか、そういう証明がきわめてむずかしいと思いますが、そういう条件が一つの条項になるのではないか、これは化学的な変化ということでございます。
 一、二例をあげましたが、そのような条件を満たしたものがこなければ、環境庁としては意見の言いようがない。意見の言いようがなければ、その次の第二条の特定化学物質を政令で指定するというところについて、閣議でイエスを言うわけにはいかない、こうなります。
#126
○高山恒雄君 労働省来ていますかな。――PCBの問題で、類似の化学物質については特定化学物質として政令で指定して製造を認めることに本法案ではなっております。このような有害の特定化学物質の生産に従事する労働者の安全衛生はどのようになっておるのかということが、やっぱり問題になるわけです。先ほど小平さんがおっしゃったように、使っておるそのものはコンデンサーに使っておっても、それが害毒があるのかないのかというようなことも知らなかったというような実態なのですね。それはそのはずでしょう。管理取り締まり体制外の生産環境の一般についての法律の範囲としては何もないわけです。したがって、この答申案でもそのことを強く否定しておりますが、労働省としては、たとえば廃棄物を工場外で始末をする場合、環境を汚染するような排出方法をやる、たとえば下水にぱっと流してしまうとかいろんな問題が起こってくるんじゃないかと思うんですよ。そういう点に対しては、私は、労働安全衛生法の中の一部をやっぱり改正していく必要がある、取り扱いについての十分なる注意をさせる必要がある、こういうふうに考えるのですが、労働省はこれについてはどうお考えになっていますか、お聞きしたい。
#127
○政府委員(北川俊夫君) 御指摘の点でございますけれども、事業場外の汚染と事業場内の作業を扱う人の労働衛生の問題というのが非常に表裏一体といいますか、緊密な関係にあると考えております。したがいまして、先生がただいま御指摘になりましたけれども、労働安全衛生法の中では、事業場の中で労働者が働きますものが、そういう有害物を取り扱います場合の作業環境の基準、あるいは健康管理のしかた、そういうものを定めますとともに、排気、廃液または残滓物による健康障害、外に捨てることが、たとえば鉛の除塵をいたします場合に、それが事業場内にまた戻ってくるというようなこともございまして、そういう意味では、事業場内と外との環境の改善というものが同一のものになります。そういう意味で、新たに条文を設けまして、排気、廃液、残滓物につきましても規制をいたす条文をつくっておりまして、現に一部の物質についてはそういう規制をいたしております。
#128
○高山恒雄君 じゃ、質問を終わります。
#129
○委員長(佐田一郎君) 高山君の質疑は終わりました。
 これから加藤君の質問に移ります。加藤君。
#130
○加藤進君 もうすでにPCBは生産が中止されたわけですけれども、いま推計するところによると、一万七千トン以上のPCBが環境を汚染し続けている、しかもこの汚染し続けているPCBの回収のめどはない、こういうふうに考えていかなければならないと思いますけれども、もしそうなれば、一体、われわれは回収できない汚染源を日日体内に摂取している、汚染された物質を食品として、あるいは魚や、あるいは米や野菜、牛乳、卵、ありとあらゆるものからPCBの有毒なるものを摂取する、こういうきわめて深刻な事態にあるわけでございまして、実は私、もうこれほどまでに一般の国民がこのPCB汚染問題に深刻な不安を持っておるかということを見たわけですが、六月十八日ですからきのうの新聞です。朝日には、あまりたくさんの問い合わせがあるために、京都市衛生研究所の藤原先生にこの問い合わせに対する答えをまとめてもらった、「魚汚染に対応する主婦のための十カ条」と、こういうのでございます。もちろん、専門家の先生のやむなく出された十カ条だと思いますけれども、こういう状態を今後環境庁にしろ政府にしろいつまで放置されるのか、ある一定の時期には、こういう魚をはじめとする食品の安全性について明確に国民に責任のある公表をされるのはいつなのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
#131
○政府委員(浦田純一君) 食品を通じて体内に取り入れられるPCBの影響につきましては、私どもは、いまのようにPCBによって、製造等は禁止されましたけれども、すでに環境は汚染されてしまった、魚などを通じても体内に入ってくる可能性があるということで、やはり人体に入ってくる最後の関門としてどうしても規制をしなくてはならないということで、昨年の八月に食品衛生調査会の意見を聞きまして、暫定規制値ということでございますが、一応規制値を定めたわけでございます。この考え方は、暫定という名前がついておりますけれども、それまでにやられました最新の知見というものに基づきまして、また日本人の食生活の向上というものを考えまして、十分な安全率を見込んできめられたものでございます。したがいまして、この規制値を守る、それ以上の汚染魚が市場に入らないという措置が十分に講ぜられますれば、一般の国民の方は、市場に出ている魚を何ら心配なく買われて食べてもこれは健康上の障害は起こらないわけでございます。
 ただ、今後の問題として、食品の汚染はどういうふうになっていくかということにつきましては、これはまたいろいろと御意見がございまして、大もとを断ったのであるから日ならずして下がっていくかもしれない、いや、DDTの例のごとくここ数年はむしろ多少ふえていくかもしれないといったようないろいろと意見もございますが、これは確固たる見通しじゃございません。定期的に今後汚染状況を的確に把握していくということによって見ていくよりしようがないかと考えております。
#132
○加藤進君 専門家によりましても、この汚染はおそらく今後数年間さらに進行するであろう、こう言われていますね。先ほど答弁によりますと、暫定安全基準ではあるけれども、これは科学的にしっかりした根拠があると、こういうふうに言われたわけですが、これが魚の中での三PPMという数値でしょう。
#133
○政府委員(浦田純一君) 濃度規制といたしましては、近海魚については三PPM、遠海ものについては〇・五PPMということでございますが、その根底になっておりますのは、日々摂取するPCBの量をいかに押えるかということでございまして、これは成人五十キロの体重の場合二百五十マイクログラム、そのうち約七十マイクログラムは魚介類以外から、たとえば野菜とか米とか、あるいは乳肉といったものから入るであろうというものの最大限を予想いたしまして、残りについて魚介類に割り当てたということでございますので、濃度規制の形としては、近海ものは三PPMということになっております。しかしながら、これを守ることによりまして人体内に入ってくるPCBの総量は、常に二百五十マイクログラム以下に通常の場合は押えられるということが言えると思います。
#134
○加藤進君 三PPMにつきましては専門家は非常に疑問を持っていますね。それは、一定の科学的な追究はやられておるにかかわらず、あるところで突然日本人の食生活からいうと近海ものが一、遠海ものが三の割合で摂取しているというようなきわめて非科学的な、常識的なものがぼっと介入する、そうして三PPMという数値が出る、これはきわめて非科学的な数値である、こういう批判が出ています。この点が一つございます。
 もう一つ私はこの機会に聞きたいのは、はたしてそのような暫定的でも安全基準が出されて、これに基づく魚介類をはじめとする調査が全国的にやられてきたわけでございますけれども、この全国的にやられた調査、この調査というものからほんとうの意味の安全性をはじき出すような数値が出るのかどうか、こういう点も私はいまのところ疑問に思っています。責任上国がやられたのは魚であって、それ以外の米、野菜、肉、牛乳、卵等等はこれは都道府県にまかされている、この都道府県にまかされたところがさらに下部のほうにいきまして、一体どういう事態が起こっているか、こういいますと、現在、日本のこのような検査体制と申しますか、調査体制がきわめて不備な状態のもとで数値が全部集約、集計されるわけです。
 私は、一つの例でございますけれども、京都市の例を聞きました。すると、ここでの研究員は六名、年間予算は五十万、そしてほかの仕事を全部ほうっておいて、てんてこ舞いでこの数値をはじき出した、こう言っています。京都でそのような状態ですから、一体全国的に見たら全く寒けがすると、こういわれておるわけであります。こういう状態を抜本的に改善するために、環境庁あるいは政府当局が是が非でもこのような調査研究、監視体制、これに万全を期していただきたい。そのための人員の増員、そのための予算の増額等々を至急やるというくらいの決意をぜひ示してもらいたいと思いますけれども、その点はどうでしょうか。
#135
○国務大臣(三木武夫君) 環境の保全という中で食品の安全衛生というものは第一番の問題ですから、そういう意味で、食品衛生に対しての厚生省の機構は弱体だと私は思う。これはよほどやはり、まあ予算とも関連しますが、強化して、食べものに対しては安全であるという確信を国民に与えなければ非常な不安が起こりますから、これはやっぱり強化いたします。そして、できる限りそういう食べるものに対しての安全というものは、国民の信頼のあるデータが得られるような強化された体制を持たなければならぬ、そういうふうに考えています。
#136
○加藤進君 ぜひ長官の言われたような方向で努力していただきたいと思います。そして、専門科学者が、これなら自分が全力をあげてりっぱな結果を出すことができると、こういうやっぱり安心できるような体制、安心できるような予算措置をぜひお願いしたいと思います。
 そこで、今度の法案の問題に入っていくわけですけれども、PCBはとにかく生産が中止され、あるいはその使用が禁止された。そこで、ノーカーボン紙の代替品が二種類出ておるわけでありますけれども、ノーカーボン紙のPCB代替品であるKMC、そしてSASという二種類の新しい化学物質についての安全性ははたしてどのように確認されているのか、どういう方法でこれが確認されたのか、その点を御説明いただきたいと思います。
#137
○政府委員(齋藤太一君) ノンカーボン紙は、一昨年の十二月をもちましてPCBの使用を禁止をいたしておりまして、その代替品といたしまして、御指摘のように現在二種類の化学物質が使われております。一つは、化学物質名としてはアルキルナフタリンでございます。もう一つはジアリールエタンという合成品でございます。これの安全性につきましては、それぞれ、たとえばアルキルナフタリンは東京歯科大学、ジアリールエタンにつきましては現在日本大学で慢性毒性試験を実施中でございます。アルキルナフタリンにつきましては、先般、六カ月の中間試験の結果が出ておりますが、それによりますと、PCBの毒性に比べまして二十五分の一という中間報告を受けております。ジアリールエタンにつきましてはまだ実施中でございまして、中間報告が出ておりません。
 それから生分解性につきましては、通産省の微生物工業技術研究所におきまして試験をいたしました結果、大体灯軽油のまん中くらいの分解性でございまして、重油よりもずっと分解性はよろしい、こういった結果が出ております。それから亜急性毒性試験も行なわれておりますが、これもPCBよりずっと少ない、こういう結果が出ておりまして、そういう意味で、このPCBと違いまして構造的に塩素がついておりませんために分解しやすいといったような点とか、体内の代謝機構等につきましても学者の意見では、構造から見まして生体内に蓄積しにくいのではないか、そういった御意見もございまして、ただいまの段階では、私どもはPBCと違いましてこの二種類の代替品は安全ではなかろうかというふうに推定をいたしておるところでございます。
#138
○加藤進君 時間の関係上あわせて聞きますけれども、この毒性の試験あるいは慢性毒性の試験、私もその書類を持っておりますが、これは企業側が大学研究室に委託してやられたものであるか、それとも政府がこのような大学研究室に委託して直接これを研究させたのか、その点をまず第一にお聞きしたいと思います。
 それから第二に、この安全性については、まず第一に分解性という問題があると思います。はたして分解が容易にできる物質であるかどうかという問題、それから蓄積性の検査が必要であると思います。
 それから第三番目に、毒性ですけれども、この毒性にもさまざまな毒性の傾向がありまして、急性毒性、慢性毒性、発ガン性の毒性、あるいは奇型が生まれるような催奇性の毒性等々の毒性があって、これをほんとうに綿密に研究するのには少なくとも二カ年以上を要する、こういうふうに専門家は強調しておるわけでございますけれども、そういういま申し上げましたような過程の一つ一つについてどのような安全性の確認がやられたのか、簡潔でよろしゅうございますけれども、その結果を御報告願いたいと思います。
#139
○政府委員(齋藤太一君) ただいま私が申し上げました東京歯科大学あるいは日本大学におきます慢性毒性試験は、企業から大学に委託をして試験を行なっておるものでございます。
 それから、慢性毒性試験のほかに発ガン性、催奇性等々はいかがか、こういう御質問でございましたが、これらにつきましても現在試験を大学におきまして実施中でございます。
#140
○加藤進君 もう一つ聞きますけれども、生体実験はどうでしょうか。
#141
○政府委員(齋藤太一君) マウス、ラットその他の動物実験でございまして、人のからだを使っての実験はやっておらないようでございます。
#142
○加藤進君 第一に、私は、この化学物質の安全性について企業側が委託した結果しか持っていないというところに重大な疑問を持ちます。
 それから第二に、先ほど申し上げましたような個々について詳しく正確に実験を行なわなくてはならぬ、検査を行なわなくてはならぬわけでございます。生体実験の問題をなぜ私が申し上げたかというと、私は何も人体に実験をせよということを言っているわけではなしに、科学者は、ラットによる実験だけでは出ない結果がサルの場合には出ると言っておるわけでありまして、サルを使う実験までやらなければほんとうの安全性の保証はない、こういうふうに言わなくてはならぬと思いますけれども、その点はどう御判断になりましょうか。
#143
○政府委員(齋藤太一君) 感圧紙の代替品の試験につきましては、先ほど私言い漏らしましたけれども、現在、労働省の労働衛生研究所におきましても慢性毒性試験を実施中というふうに聞いております。
 それから、企業が資金を出したものは結果について公正さが問題ではないかという御指摘でございますけれども、企業が委託したものでございましても、大学が試験をやっておるものでございますので、その結論につきましては学者等に判断をいただけば、その結果の公正さについては御判断願えるんじゃないかというふうに私ども考えるわけでございますけれども、本法施行後におきましては、既存の化学物質の審査は国の費用で行ないたいと、かように考えております。
#144
○加藤進君 私が企業にまかせるだけでは心配だと言うのは、サリドマイドの問題が最も端的にわれわれに教えたことだと思います。したがって、私は、安全性は国の責任においてやるべきであるということを強調したいわけです。
 そこで、今度の法案では、ともかく企業から届け出をさせて、届け出に基づいて事前の審査を行なうからその安全性については保証つきだと、こういうふうにやっぱり法案の内容が読み取れるわけでございますけれども、しかし、事前審査がやられ、届け出が出されたからといって、それだけではどうしても安心できないというのが、これが今日までの長い私たちの経験の中から出てきておる感じ、だと思います。
 そこで、事前審査をほんとうに確実、安全性を保証するものとしてやるためには、私はその方法についてもう少し正確な取りきめを行なわなくてはならぬのではなかろうか。その点について審査方法は法案でこういっていますね、「省令で定める」というだけで、何も内容については具体的に示しておりません。これは関係省庁におきまして具体的にどのような順序を経て審査を完ぺきなものにしていくのか、その順序と手だてを明確にしてもらわないと、事前審査をやるから、届け出があるからということだけではわれわれは安全性の保証にはならぬと、こう考えますけれども、その点の説明をお願いしたいと思います。
#145
○政府委員(齋藤太一君) 届け出がございました場合には、まず、法案で今度つくられることになっております化学品審議会、ここに審査分科会のようなものを設けまして、専門の学者先生にその委員になっていただきまして、そこでまずこの法律でいう特定化学物質に該当するかしないかの判断をしていただくつもりでございます。また、過去の知見だけでは判断がつかない場合には、試験をさせることになりますけれども、どういった試験を実施するかという試験の項目なり試験の方法等につきましては、本法の第四条第四項によりまして、環境庁、厚生省、通産省で、共同で省令で試験方法等をきめることにいたしております。この方法に従いまして試験をやりますが、その試験そのものは原則として第三者機関にやらせるということで、私どもただいま財団法人化学品検査協会の試験データを使いたいと、これは財団法人でございますので、十分第三者機関として公正さが監督できると、かように考えております。そしてその試験のデータが出ましたところでもう一ぺん化学品審議会にはかりまして、その上で審議会の意見を参酌しながら、厚生大臣と通産大臣が環境庁の御意見も聞きながら決定をすると、こういう段取りを踏んで審査が行なわれることになります。
#146
○加藤進君 説明を聞きましたけれども、ちょっと確かめますが、まず、企業が新規化学物質を届け出る際には、分解性、蓄積性だけでなしに、毒性についても急性、慢性の別なくこれを審査する。毒性の結果についてこれを届け出させる義務というのは、義務づけはこの法案にはあるでしょうか。
#147
○政府委員(齋藤太一君) この化学物質は、産業用等に使われまして環境に出ました場合に、環境で分解をしないで残留をし、また、魚等で、濃縮率が高くて魚の体内等に濃縮されまして、それが回りめぐって、食物連鎖を経て人の口に入って人の健康を害すると、こういうものを防ぎたいと、こういう趣旨でございまして、薬品でございますとか、あるいは食品のように直ちに人の口に入るというものではございません。そういう意味合いにおきまして、全化学物質につきまして毒性試験を強制はいたしておりません。分解性、蓄積性等の結果によりまして、必要に応じて毒性試験を命ずると、こういうたてまえをとっております。
#148
○加藤進君 そうしますと、毒性に関してはこれを明確にして、その結果を届け出させるという義務はここにはないと、こういうことですね、一つは。
 それでは、もう一つ聞きますけれども、こういう企業の出したデータについて、それを追試するということを国の責任において行なうと、こういうことがこの法案の中からはっきりと読み取れるんでしょうか。
#149
○政府委員(齋藤太一君) たてまえといたしまして、試験は、財団法人化学品検査協会に付置いたします化学品安全センターで試験をいたしまして、そのデータを採用いたしたいと考えておりまして、企業自身の資料は極力使わないつもりでございます。
#150
○加藤進君 そうしますと、国は、この企業の出したデータについても慎重に追試をして、そしてその安全を確認するということですね。
 そこで、もう一つ私はお聞きしたいのは、こういうデータは公開されるのかどうか。全国の科学者の前に公開され、十分な科学者の検査を経るものであるかどうか。この点についての規定はこの法案の中にはあるでしょうか。
#151
○政府委員(齋藤太一君) 試験のデータは、化学品審議会にかけまして、ただいま申しました判定の委員会あたりで学識経験者が公正な立場からそのデータを見て議論をされることになろうかと存じます。こういった試験のデータは、この委員が安全性の検討を客観的に、また慎重に行なうための内部の資料でございますので、それをそのまま全部公表するということは考えておりませんが、秘密にしておかなければならないという性質のものでもございませんので、専門家等でその内容について知りたいといったような申し出がございますれば、供覧に供することにやぶさかではございません。
#152
○加藤進君 むしろ私は、国がこれほど追試もやり、これほど審査して、安全性は確実だというような内容なら、積極的にこれは全国の専門科学者あるいは技術者に公開するのが適切ではないかという意見を持ちます。
 それから化学品審議会の問題でございますけれども、この審議会について附則第五条では、「新規の化学品の安全性の確保に関する事項その他化学品に関する重要事項を調査審議する」とありますけれども、これは新規の化学物質が届け出られた場合に、その個々の一つ一つについて審議会にかけられて審査されるのか。こういう機構になっておるかどうかということをお聞きしたい。
#153
○政府委員(齋藤太一君) この法律によりまして生まれます化学品審議会は、新規化学物質の試験の方法、それから判定の基準、それから御指摘の具体的な判定、それから特定化学物質の指定、それの使わせる場合の用途の指定、それから製造業者につきましての設備の基準、使用者についての使用の技術基準、こういった問題を御審議願うように考えておりまして、そういう意味で共通的な問題の審議と、それから分科会等におきましての個別の案件についての審査と、二種類の仕事をお願いしようというふうに考えております。
#154
○加藤進君 そういう重大な任務を持つ審議会ですから、審議会には、言うまでもなく専門の科学者はもちろん入られるであろうと思いますが、消費者代表をこれに加える、そうして安全性についての消費者の側からの確認を経る、こういうことはこの審議会の構成内容の中には出ておるんでしょうか。
#155
○政府委員(齋藤太一君) 審議会は広く各界のメンバーで構成いたしまして、この問題について広く御討議を願おうというふうに考えておりまして、学識経験者、学者のほかに言論界、あるいは御指摘の消費者代表等々も加えまして構成するようにいたしたいと考えておりますけれども、個々の申請案件の判定の分科会につきましてはなるべく専門家のみにいたしたいと、かように考えております。
#156
○加藤進君 この問題について、六月十四日の商工委員会でわが党の須藤議員が質問いたしましたところ、この審議会に企業代表も加えるという答弁があったわけでございますけれども、化学物質の安全性を審査する委員会に企業代表をわざわざ加えなくてはならぬという理由は一体どこにあるんでしょうか。
#157
○政府委員(齋藤太一君) 企業も、自社の製品を出すにつきましては、その安全性を確保する義務が企業に私は課せられておると存じます。そういう意味で、企業側のこういった問題についての意見を聴取することも、総合的にこの問題を判定する場合の一つの要因であろうというふうに考えるわけでございます。同様な意味におきまして、消費者代表、あるいは言論界、そういった各界の方方を構成メンバーといたしまして、いわゆる総会的な場におきましては広く各界の御意見を承りたいと、かように考えておりますが、もちろん、いろいろな問題の決定は政府がいたしますので、参考意見ということでございますし、それから企業代表のと申しますか、業界の意見を述べる委員の数は全体の中の少数部分にいたしたい、かように考えております。
#158
○加藤進君 いま言われたような趣旨なら、何も企業の代表を正規の委員に入れる必要まではないと私は思います。そういう場合、参考人程度で呼んだらいいじゃないですか、意見を聞くために。何がゆえに化学品の新しい物質の安全性を審議するための委員会に企業代表を加えるのか、その理由が私には納得できません。
 もう一つ、この委員会は秘密会であるかどうかという問題です。と申しますのは、従来の食品衛生調査会でいろいろ専門家の中にも疑惑を呼んでいる面があります。それは、審議される内容がきわめて重要だけれども、その内容はほとんど公表されない、こういう事態が起こってきておりまして、これは一番最初に私が申し上げました、三PPMをきめた根拠は科学的には何かという点でも強い疑惑がこれに関連して起こっていることは、皆さんの御承知のとおりだと思います。そういう点から言うなら、事柄は国民の健康と命に関する問題、この問題に関連しての化学物質の審査をやるわけでありますから、もちろん、これに大ぜい押しかけてくるなどというような事態を考えるのではなしに、国民の代表あるいは科学者の代表等等をこれに傍聴として参加させる、こういう公開性を私は原則とすべきではないか。こうしなければ、ほんとうの国民の納得のいく安全性の保証には欠けるじゃないか、こういうふうに考えますけれども、その点についての御意見はどうでしょうか。
#159
○政府委員(齋藤太一君) 各委員の自由な発言を期待いたし、客観的で公正な判断を期待するという立場から申しますと、この種の他の審議会の例にならいまして、一応審議会は非公開といたしたい、かように考えております。
#160
○加藤進君 その点に関しまして通産大臣、それから三木環境庁長官に御所見を承りたいと思います。と申しますのは、こういう審議会が秘密裏に行なわれて、そうして有害な物質や有害な薬品であるにもかかわらず、これが今日まで有害と知りつつ汚染を続けてきた、こういう私たちには痛い教訓があるわけでございますから、そういうことをなくするための歯どめとしても、少なくともそのような公開性を原則として審議会にとるべきではないか、こう考えるわけですけれども、両大臣の御所見をお聞きいたしまして私の質問を終わります。
#161
○国務大臣(中曽根康弘君) 御質問の御趣旨はよくわかりますが、公開、非公開おのおの長短があるだろうと思います。しかし、やはり言論の自由を保障したやり方というものは、投票と同じように秘密投票ということになっておりますように、原則的にはやはり非公開にしておいて、機宜により公開することもあり得る、そういうほうが適当であろうと思います。
#162
○国務大臣(三木武夫君) 通産省も、特に秘密を守らんならぬ必要はないと言っているんですから、できる限りそれはみなに周知徹底さすような方法は必要だと思いますね。
#163
○加藤進君 いま通産大臣がおっしゃいました、特定の専門家がぜひとも審議会の傍聴をしたい、こういうような要請があった場合に、こういう点くらいは私は認めてしかるべきだと思いますけれども、その点、最後に重ねてお聞きしておきます。
#164
○国務大臣(中曽根康弘君) 一応原則的に非公開としておいて、この審議会の委員の皆さんの御意見によって公開にすべき場合にはしたらいい、そのように思います。
#165
○委員長(佐田一郎君) 加藤君の質疑は終了いたしました。
 ほかに御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#166
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。
 これにて散会いたします。
   午後四時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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