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1972/04/20 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第2号
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1972/04/20 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第2号

#1
第071回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第2号
昭和四十八年四月二十日(金曜日)
   午後一時十一分開会
    ―――――――――――――
   小委員の異動
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     藤原 房雄君     峯山 昭範君
 四月十九日
    辞任          剱木 亨弘君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    小委員長        阿具根 登君
    小委員
                川上 為治君
                細川 護煕君
                若林 正武君
                小野  明君
                大矢  正君
                峯山 昭範君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   中曽根康弘君
   政府委員
       通商産業省公害
       保安局長     青木 慎三君
       通商産業省鉱山
       石炭局長     外山  弘君
       通商産業省鉱山
       石炭局石炭部長  佐伯 博蔵君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○小委員長(阿具根登君) ただいまから石炭対策に関する小委員会を開会いたします。
 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、去る十七日の委員会の決定によりまして、本小委員会において審査を行なうこととなっておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○大矢正君 最初に大臣に二、三お伺いをいたしたいと思います。
 これは石炭直接の問題ではありませんが、エネルギーという立場から見て非常に関連の深い問題点でもありますので、特にお伺いをしておきたいと思うのでありますが、最近、新聞の報ずるところによりますと、国会の今会期中の中で、四月、すなわち本月の末から来月にかけての連休期間中に通産大臣が中近東諸国、具体的に言うとペルシャ湾周辺の一帯の産油国を訪問をしてくるというような記事が載っております。これはどういう意図を持って訪問をされるのか。
 私は十五、六年間国会にいますが、国際会議等があって大臣が留守にするということは聞いたことありますが、どうもそうではない形で大臣がおられないというのは、あまり例のないことのように記憶をするわけですね。まあ理屈を言えば、連休中だからいいじゃないか、何をしようがかってじゃないかというあるいはお説も出るかもわかりませんが、しかし、何が起きるかわからないということもありまするし、私は、大臣がもし中近東諸国を訪問されるということになりますれば、それがたとえ一週間であっても国政に穴があいてはいかぬということで、当然のことながら、代理を置いて行かれることになると思うが、そういうことまでしてこの国会中に出かけられる意図というものは一体那辺にあるのか、私としては非常に不可解な気がしますね。
 まあ、大臣が就任されてから、きょうこれから議論の対象になります石炭鉱山というものもかなり閉山あるいはまた閉山と同様な休止というような炭鉱が多く出ておるにもかかわらず、大臣はそれらについて直接現地に行かれたという話も聞いておりません。しかし、事、油に関しては、議会の開会中でも、それがたまたま連休中だからということで海外にお出かけになるというその発想は、どうも私としては、国内資源の石炭にはもう完全に大臣みずから見切りをつけて、これからの時代はもう当分の間石炭抜きにして石油を中心にしていこうというような、そういう意図があって行かれるんではなかろうかという、これは多分に私なりの推測というか、憶測と申しましょうか、というものが入ることになるかもわかりませんが、どうも解しかねる点がございます。事実、連休期間中に中近東の産油国を回られるのかどうか、回られるとすれば、どういう意図と目的を持って回られるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
#4
○国務大臣(中曽根康弘君) 国会開会中たいへん恐縮でございますが、やや緊急を要すると思われますので、時間をいただきまして四ヵ国を訪問さしていただきたいと念願をしております。これは決して国内の石炭を軽視するという考えは毛頭ございません。国内の石炭につきましては、あとで申し上げますように、第五次答申を誠実に実行するために全力を傾倒してまいるつもりでございます。
 事情を申し上げますと、日本とそれらの四ヵ国との関係が少し心配なことがあるのであります。特にサウジアラビア、アブダビ、クウェート等との関係において、現職の大臣としてそれらの国々を訪問してよく御理解を願い、また御協力も願うという仕事が発生したのでございます。実は、イラン及びクウェートからは招待状が前から来ておりまして、ぜひ来てくれという強い要請がございました。またアブダビからは私的に、万博においでになった皇太子から来いという話が前にございました。
 それはそれといたしまして、それらの国々から相ついで大臣が来たり、特におととしの万国博覧会のときにはサウジアラビアからはファイサル皇帝が参りまして、それからアブダビからも皇太子が参りまして、クウェートからは外務大臣その他が参り、イランからはいろいろな大臣が実は日本を訪問しておるわけでございます。ほかの国々は、たとえばドゴール将軍のような場合は、みずからそれらの国々の一部を訪問したり、それからECの諸国あたりでは、担当大臣になるとすぐ飛んでいってあいさつをする、そういうような国もございます。ところが、幸か不幸か日本の現職大臣で行った人がまだ一人もいない。それで、万国博覧会については王さまや皇族まで来ているんだけれども、日本は大臣すら来ない、そのくせ多大の石油を買いに来て、あるいは持っていっておると、これははなはだ失礼ではないかという感情はそれらの政府にございまして、そういうことがひんぴんとしてわれわれのところへ伝えられてまいりました。
 最近、イランとの関係におきましては天然ガスの開発の問題がありまして、これは欧米諸国に回すよりもぜひ日本と提携してやったほうがいいという皇帝の特別のお考えもありまして、この話が進められておるのであります。それから今回のエカフェの会議に担当の経済大臣のアンサリという人が参りまして、いろいろ両方の国の関係について話し合いをいたしまして、ぜひ一回顔を見せてくれと、こういうことでございます。イランとの関係は、日本に非常に重要な石油の手当てをしている国でもございまして、そういう国際儀礼上の要請を長引かせることはちょっと適当でないということでもございます。
 それからクウェートとの関係は、アラビア石油が非常に世話になっておりまして、かつて、外務大臣が日本へ来ましたときに、ちょっと感情的にうまくないようなことがあったように聞いております。それで向こうからは外務大臣が何回か来ておるんですけれども、こちらからはまだ行っていない。そういうようなこともございまして、現地の石川大使からもできるだけ早目に来て、とにかく顔を見せてほしいということでございました。
 それからアブダビにつきましては、先般ジャパンラインの油の問題がございまして、日本では、アブダビ石油というのが現地で掘ってやっているところでございますが、アブダビ政府自体が非常な好意を持って、政府の保有分を日本側に全量回すというような特別の好意ある処理を実はやってくれております。それもローサルファの〇・〇一でしたか、かなりいい油が入るようになったわけで、そういう面からも、皇太子も万博でおいでになって、その上に日本にそういう好意を持った処置をしてくれておるので、お礼を兼ねて行くことは今後のためにも非常に重要な布石であるということであります。
 サウジアラビアは、王さまがおいでになりまして、大臣が行ってないということはまた当を失すると、そういういろんな情勢から見た上に、最近、エネルギー問題が非常に重要になってまいりまして、各国が中近東の国々にいろいろ政策を展開しておるようです。ある国の石油大臣をホワイトハウスが招待しているという話も聞いておりますし、ともかく一つの焦点になりつつあるわけでございます。そういうときに日本の現職大臣が一人も行ってないということは、日本のそういう政策上、国交上からも決して当を得たことではないので、すでに大臣が行っていなければならぬ筋のものであったと思います。国会の会期中たいへん恐縮に存ずる次第でございますが、時期的に見まして、あまりおそくなることは現在の情勢から見て、あまり得策でないという気がいたしまして、たいへん国会会期中恐縮ではございますが、連休中を利用してとりあえず一回りしてきて、そして友好親善を深め、また、わが国の意の存するところを理解願うと。
 おそらく、またあれらの国々はかなりドルを持っておる国でございまして、社会開発とか都市開発とか、そういう方面にかなり日本に期待している向きもあるやに聞いておるのです。それで、日本の財界人が行って、民間レベルの委員会をつくるというような発想もあるようですが、先方はそれに十分満足していないようであります。やっぱり政府が顔を出さないと、向こうはああいう国でございますから、あまり多としない。その上にあのアラビアの国々は非常に民族意識の高い、誇り高い民族でございますので、大事にしなければならぬ相手の国々であると心得ているわけでございます。そういうような調整が積み重なってまいりましたので、たいへんちゅうちょせざるを得ないのでございますけれども、この機会に、国交上の問題でもございますので、おひまをいただいて行かしていただきたいと、こう念願しておるわけでございます。
#5
○大矢正君 まあ今日の石油情勢は、かつての買い手市場から完全に売り手市場に大きく転換をしたという意味において、わが国が積極的に油の確保の努力をしなきゃならぬこと自身は私そのとおりだと思うんです。したがって、それに対応する意味で儀礼的にと申しましょうか、まあ友好親善のための訪問を大臣がなされるといういまの御発言、これも理解をできます。
 だが問題は、行かれる目的が単にそういう友好親善のためにということではなしに、一番焦点となるのはむしろサウジアラビアなり、アブダビなり、あるいはイランその他ペルシャ湾沿岸のわが国へ大部分の油を供給しているこれら地域の国々を回る、そして油に限らず、全般的な問題についていろいろと話し合いをされるということのようでありますが、やはり油問題に話が集中されると思うんです。しかし、現在の段階で、通産省自身に将来に対する一つの展望、その展望に基づいてどうすればいいか、どういう方針のもとにこれから進んでいくかというような内容のものがいまの段階では明らかになっていないんじゃないでしょうか。
 たとえば、大臣は先般、白書を出すとおっしゃいましたが、しかし、その白書すらまとまらない段階で通産省のこれからの方針というものは定まっているとは私は思われない。いまの段階は、私が申すまでもなく、部分的にたとえば備蓄量をふやすために具体面では資金を開銀等を通じてどのように精製業者に供給をするかとか、あるいは油の確保のために政府が果たせる役割りをどこでやろうかというような、個々の問題についてのことはなるほど方針としては出ているが、わが国の膨大なエネルギー、特にその中の大宗を占める油の確保の基本的な戦略体制というか、そういうものは現在通産省としてはないんじゃないでしょうかね。
 あなたが行かれることについては、これはあなたの一つの判断に基づいて行かれることでありますから、われわれがとやかく言う筋ではあるいはないかもしれないけれども、しかし、その中にどうもいま私が申し上げたように心配な点、一つは、無方針のままにあれらの諸国を回ってどういう意味や価値があるのだろうかという一つの判断と、それからもう一つの問題点は、これは昨年、田中さんがまだ総理になられる前に、通産大臣でおられたときに、私は長時間にわたって油の論争をいたしました際に、私は長年の持論として、油に限らず、まあ全体がそうでありますが、エネルギーというものは、もう空気あるいは水と同じように必要欠くべからざるものであるがゆえに、国家的な立場に立って、その量と価格の安定をはからなければならない、そういう意味においては、これを国内の精製業者にのみまかせて、足りなくなったらあわてて走り回るというような醜態を演じないためにも、国家がその機能なり役割りを常時果たせるような体制づくりをすべきではないかということを私は申し上げたんですが、残念ながら、いまその時期ではないと、こういう御答弁で、結局のところ、自由主義経済の今日の姿のままでいくことが石油政策の根本であるというお話でございました。
 しかし、最近の新聞等を見ますると、私が昨年指摘をいたしておりましたとおりに、やはりここまでくれば、その量的な確保と価格の安定のためには、通産省みずからが、法律を改正しても何らかの措置を講じなきゃならぬ。具体的には、去年私が指摘をしたとおり、いまの開発公団を、開発だけの公団にするのではなしに、国内需給の問題、あるいは国際的な契約の問題等も含め、日本の油の需要確保のための役割りもこの公団に持たせるようにしたらどうかなどというようなことが新聞紙上にごく最近出るような情勢になってきておりますね。
 いままでの情勢の中には通産省に確たる石油政策というものがないと私は思っている。通産省はあると言うかもしれぬが、私はないと、こう思っております。そういう中で、あなたがアラビア沿岸の産油国一帯を回られるということは、これは誤解を生むもとになりはしないかと私は非常に心配するんです。これは、これも同じことなんですが、昨年のやはり商工委員会で、当時、インドネシアから五千七、八百万キロリッターの油を、二億ドルの政府の借款とそれから一億ドルの民間借款という条件づきでわが国にローサルファの原油を持ち込むという、その持ち込む場合の新しい会社を設立するか、既存の会社でもってやるかといういろんな政治的なやりとりがあって、これがいまだに尾を引いて、お互いに、私が知っている限りにおきましてはその醜聞が流布されておるわけですね。こういう問題を考えますると、かなり具体的に通産省としても石油の問題については確たる一つの信念なり、方針なり、見通しなりを持って、その上でなお各国と個別にいろんな折衝の積み重ねを行なった上で、その基盤に立ってあなたが行かれるならば、私はそれなりの効果があると思うが、何かどうも思いつきのような、極論をすればそんな感じがしてならないわけですね。そういうことがあってはいけないんじゃないかというように私は思います。
 こんなことを申し上げるとあなたは腹を立てるかもしれませんが、私はこの国会の会期を終わるまでの間に、昨年、あなたが通産大臣に就任をされて以降のそれぞれ新聞記者に発表したあなたの構想なり、その他具体的な内容を克明に拾いあげて、これは数はものすごい数になると私は思います。目下その作業を私はやっておりますが、その一つずつ結果論的にそれが実行されたかどうなったかということを、この会期中に私はあなたにお尋ねをしようと思う、じかに。これは役人に聞いてもしようがない。あなたが発表された内容に限って私は聞こうかという判断もあるくらいです。私は、唐突な感じのするこのペルシャ湾沿岸一帯の諸国の訪問というものが、あなたの意図とは反対の方向で国民その他に理解をされると、あなた自身もお困りになりやしないかという感じがいたしますが、いかがでしょう。重ねてお答えをいただきたい。
#6
○国務大臣(中曽根康弘君) いろいろ誤解を与えるようなことがありますとたいへん恐縮に存じますが、私としては、まあ一生懸命な気持ちで職責を全うしようという考えでやっておるのでございます。
 石油に関する政策はないではないかと言われますが、ないことはないと私は思います。具体的には最も端的なことは、昭和六十年までには三〇%の石油は日本が自主的に支配し得る石油を獲得しようと、これが当面の一つの目標になっておりまして、それを洋の東西を問わず国境を越えて、そして国際協調をもってこれを円滑に入手する素地をいまからつくっておこうと、そういうことでもあります。でありますから、単に中近東だけに偏在しないように各方面から手当てをするという意味をもって、シベリアあるいはアラスカ、そういう各地に手を伸ばしておるわけです。石油だけでなくガスについても同じように手当てをしておるわけでございます。そして、でき得べくんば国際協調でこれをやっていく、数ヵ国でやるという国があれば一緒にやると、そういうような考えに立ってやろうとしておるわけでございます。ガスや石油の中には、ほかの国と共同してやろうというのが二、三すでにプロジェクトとしてあるわけでございます。
 それで、御指摘のように、石油業法というものはいまや再検討の時期に来たと思います。それから石油公団の機能につきましても、御指摘の方向に近づけておりますけれども、これも石油業法の再検討と同時に、石油公団自体ももう一回新しい視野に立った再検討を必要とするときではないか、そういうように思います。要するに、国の役割りあるいは公団の役割りというものがかなり大きく出てきたようにも考えられる次第でございます。そういう観点に立っていずれ石油業法も再検討して、必要あらば、この法の修正とか、あるいは追加とかいうようなことも考慮してみたいと思っておる次第でございますが、それらの政策の一環としても、将来三〇%の自主的原油を確保するという一つの布石としても、中近東のそういう国々に対してわだかまりをいま解消するということは、非常に大事な布石でもあるようにも思うわけでございます。
#7
○大矢正君 大臣、石油の話ということをさっきからやっておって、肝心の石炭に入らないので、おまえ、けしからぬじゃないかとあるいはお思いかもしれませんけれども、問題は、私は石炭対策は石油対策にありという考えを実は持っているわけです。これから逐次議論をしていきたいと思うのでありますが、どうですか、あなた自身の御判断として、最近のニクソンのエネルギー教書その他等、アメリカのエネルギーに対する考え方というものは急速に問題視されるようになってきたわけですが、これは一〇〇%ニクソンが言っていることを信用するかしないかということはいろいろあると思います。あると思いますが、従来のような安易な形でアメリカ自身がみずからの国の必要とするエネルギーを確保することはむずかしいという点においてだけは一致していると思うのですね。
 そこで、いまあなたは三〇%の自主開発原油というお話、これは前からの一つの方針でありますから私も知っておりますが、裏を返して言えば、あとの七〇%は、メージャーを中心とした国際石油資本と産油国との直接の取り引きといいましょうか、そういう形で結局確保しなきゃならぬということになると思いますね。アメリカが現実に、どうでしょう。日本の国にアメリカの石油会社のメージャーが油を供給しておりますが、自国でこのエネルギー危機が起こっても、日本にだけは必要とする量だけ供給をいたしましょうというようなことが将来ともに行なわれるとお考えでしょうか。
 それは確かに、多国籍企業というか、あるいは国際企業といいましょうか、そういうものは国内企業と違った一つの思想を持っていることは私自身わかりますが、しかし、やはりアメリカ国籍の企業であることは、これはまぎれもない事実であって、その企業が、かりにアメリカに油の不足によるエネルギー危機が招来した際に、いや、日本との間にこうこうこういう約束があって安定的に油を供給しなければならぬから、たとえ自国のエネルギーが不足して重大な事態が起こるとしても、供給を自国にすることはしないというようなことが行なわれるとは、私にはどうしても思われない。その段階にくれば、やはりメージャーから供給をされるわが国の現在の油の確保の対策というものは、非常な危険にさらされることに私はなると思います。いかがでしょう、まずこの点で、ニクソンのエネルギー教書に実際に書かれているとおりであるとすれば、わが国はその意味において非常に大きな考え方といいますか、発想の転換をしていかなければならぬということが出てまいりますが、大臣、いかがでしょうか、この点についての考え方は。
#8
○国務大臣(中曽根康弘君) あとのほうから申し上げますと、アメリカの石油会社が、自分の国民を犠牲にしてまでも外国の国民にいざというときに石油を供給する保証はなかなか得がたいと私は思います。まだアメリカの需給がそれほど逼迫しておりませんから、メージャーの外国石油会社は、パートナーシップの日本の企業に対して、共同経営の諸君に対して供給を保証する、ただし価格は変動しますよと、そういうことを言っている会社もありますし、そういうことを私に報告してきている会社もございます。それはそれなりに私は評価いたしまして、その点はがっちり長期安定供給の約束をしておきなさいよということを勧告しておりますけれども、最近、アメリカ国内自体を見ましても、メージャーの系列系のものはそうでもないようですが、一般の独立のガソリンスタンドは、ガソリンがなくなって休業しているというようなこともちらほら出てきております。そういう情勢が今後どういうふうに変化していくかわかりませんが、メージャーにまでも及んでくるというような事態になると、これは相当重大な事態になりやしないかと私らはおそれておるわけでおります。
 アメリカの今度の白書を見てみますと、国産エネルギーを非常に重要視している、そして、国産エネルギーの中でも石炭とかガスに対する評価を再評価して見直してきている。そういう点が非常に顕著でございます。それから、率直にその不足を認めて、そして節約運動を大統領自体が提唱している。また、公害については、少しはまあ規則をきびしくすることをゆるくしてもらって、そして石炭その他の消費について考えてもらわなければいかぬというようなことまで言っている。これは非常に大きな変化であります。
 で、大統領は、おそらく数年を予見してそういうことを言ってきていると思うんでありますけれども、そこまでアメリカが言うということは、需給関係上、相当深刻な数字をつかんで言ってきているんではないかと私は想像されます。それは単に商務省だけの仕事でなくて、国防省とか、あるいは環境関係の部局とか、全部と相談してあの白書は何回か書き改め書き改められて出てきているものであると考えられますから、その需給の事態というものはかなり深刻な要素があると、私はそういうふうに考えて、日本もそれを一つの頭に置いて今後のエネルギー政策をやっていかなければならない、そう思っておるわけであります。
#9
○大矢正君 あなたは頭がいいものだから先回りをして、私がこれから言おうとするところを先に答えてしまうと困るんですがね。私は、とんでもないところがら遠回りしてなぜ聞いたかと言えば、アメリカ自身が石炭を見直さなきゃならぬということを教書の中でニクソンがはっきり言っているわけですからね。ですから、問題をそこへひとつ落としてあなたの御発言を求めようと思ったら、あなたは先に、私が言わないうちに答えてしまうので、頭がよいということで有名な中曽根大臣に私はとても大刀打ちできませんね、これは。
 そこで、わが国の石炭政策に関連をして今度は言及をいたしますれば、約二千万トンを五十年度の生産、それから需要という形で押えていこうというような考え方が先般の審議会の答申で出され、今度の予算におきましても、それからきょう提出されております合理化臨時措置法におきましても、いま申し上げたことが前提となってつくられているわけですね。
 そこで、私が申し上げましたように、石炭というものを再検討してやはりこれをもっと有効に利用するという立場の表明、こういうアメリカ自体が新たな方向をたどろうとする今日の情勢、このアメリカの石炭というもののコストというものと、同じ一トン掘るにいたしましても日本の場合のコストとはかなりの開きはございます。開きはございますが、石炭を利用するという、すなわち、資源というものは無限なものではないんだから、やはり節約もしなきゃいかぬし、あるものは、これを有効に利用するという考え方、この発想が根本的になきゃならぬと私自身は思うわけですね。
 そこで、大臣いかがですか。私がこういう質問をいたしましても、せっかくそれは審議会が答申したのだからいたし方ございませんといって答えるであろうことは想像がつくのでありますが、新しいこういうアメリカの事態等もありますが、五十年度二千万トンというものを基準としたこの石炭政策をもう一回考え直す必要性がないかどうかということです。
#10
○国務大臣(中曽根康弘君) 衆議院の石炭対策特別委員会で、貴党の多賀谷さんや渡辺さんからも御質問がありまして、その際お答えしたことでもございますが、石炭というものは見直されるような時代が来ることを希望するし、また、そういう心がまえを持って検討を加えたいという趣旨の答えをしておるのであります。これはニクソンのエネルギー白書が出るだいぶ前に自分はそういうような感じを持ちまして、それでこういう表現をしました。米の問題について非常に一時余ってきたときに、これをやっかい視する考えが出てきたけれども、私は、松村謙三先生にその米の問題の話をよく聞かされて、食管会計というものは余ったときにはじゃまもの扱いにされるけれども、長い目で見たら非常に大事なものだよ、自分は長い間米穀統制法以来米の問題を扱っているけれども、少し余ってくるとすぐいやけがさすようなのが日本人の考え方で、そのときに政治家がしっかり前途を見つめなければいかぬと、そういう現象は米に一時起きました。石炭もそれに似たものがあるのではないか。やはりセキュリティーという面等も考えてみて、一定限度のものは常に自前で持っていなければならぬと。
 それで、最近、エネルギー問題の動向等を見てみるというと、食管会計とは性格も違いますけれども、それに似た一定限度というものは常々国家の存在上、政策として考えておく必要があるのではないか。そういう意味で第五次答申というものはこれはぎりぎりの線と心得て、この回を守り抜いて、そして次に希望のあるような展開ができるような考え方を検討してみたらどうかと、そういう気持ちがございまして、それでエネルギー白書というものを考え、それでその中に電力とか、石炭とか、石油とかのエネルギーの評価づけというものを、もう一回ここで通産省として反省してみて検討を加えよう、そういうことを指示したわけなのでございます。それで、第五次答申につきましては、これをわれわれとしてはぎりぎりの線として守り抜く、そういう考えに立って誠実に実行していきたいと思いますが、これを途中で改定したり何かするということば適当でない、そう思います。
#11
○大矢正君 ここで話を急転回するようでありますが、きのう、北海道の三菱大夕張炭砿が労使協議会の席上で、経営者側から、六月末日をもってこの炭鉱を閉山するという内容のものが提示されたという、新聞に報道されておりますが、私はこれは非常に重要な問題だという感じがいたします。
 と申しますことは、この山の出炭量、それからこの山の、この炭鉱を中心とする周辺の地域社会というものがあまりにも規模が大きい。それは石炭なるがゆえになくなればもう全部なくなってしまうというような、非常に地域社会にとっても重大な影響のある内容のものである。それから二千万トンを上回る需要と生産の確保という前田中大臣当時からの話は、現実にこの種の大きな炭鉱が閉山をされることによって、それ自身も不可能になるという懸念が生まれてくるのであります。
 そこで、石炭部長でけっこうですから、あなたのほうで入手をいたしております三菱大夕張炭砿の閉山提案の内容、それから通産省が今日までの間に調査した結果等を御報告願いたいと思います。
#12
○政府委員(佐伯博蔵君) 先生おっしゃられますように、三菱大夕張炭砿は、昨日、三菱大夕張炭砿の経営協議会におきまして、閉山のやむなきに至った事情を説明し、閉山の提案をしたということを私たちも昨日聞きました。
 この提案の内容でございますけれども、先生御承知のように、大夕張炭砿は昭和の二年ごろから開鉱いたしまして、ずうっと四十数年にわたりまして、きわめて優秀な原料炭を開発してまいったわけでございますが、その後、もともとここは炭質はきわめてよろしいわけでございますけれども、断層褶曲が多うございまして、かつまたそれに加えまして、メタンガスの湧出量がきわめて多い、それから地圧が多い等の問題があったわけでございますが、いろいろ技術的に克服いたしまして、今日まで年間約九十万トン程度を毎年採掘しておったわけでございますけれども、特に昨年の暮れごろから、現在採掘をいたしておりますところの地区の先にございます大きな断層が坑道掘進、それから探炭のためのボーリング等をいたしました結果、現在の採掘区域にきわめて近く寄ってきておるというふうな状況でございまして、採掘区域がきわめて少なくなっているということが判明いたしたような状況でございます。したがいまして鋭意その端のところを掘進をし、次の採掘個所を見きわめるべく努力をいたしたわけでございますが、次にかわるべき切り羽のところもなかなかいいところがないというふうなことで、閉山の提案に至ったというふうに聞いております。
 実は、私たちのほうも、主として現地の通産局を通じてでございますが、その辺の状況を把握いたしておったわけでございますが、私たちが現在把握しております状況も、炭鉱が言っておられます状況と比較的似ておりまして、最近の切り羽の状況も、四切り羽の体制でいっておりましたのが、一つの切り羽は無炭地区になってしまったということで、最近は三切り羽で採掘をいたしておったわけです。その後の採掘の代替区域といたしまして、具体的にあれでございましたら、あとで申し上げますが、いろいろ探索をいたしておりますけれども、それらのところがいずれもきわめて炭層が貧化しておる、あるいは擾乱地帯で掘りにくいところであるというふうなところになっておるというふうに判断して、最近の情勢はきわめてきびしいものがあるという情勢でございます。
 私たちといたしましては、現地の通産局を通じて、あるいは直接本社のほうを通じまして、掘進の増強をいたすように指示をいたしまして、新しい地区の開発に全力を尽くすように指示しておった次第でございますけれども、現在のところでは、ごく最近もまたもっと詳しいデータをだいぶ求めたわけでございますが、なかなかいいデータが出ておらないというのが現状でございます。なお、一部、実は来週の月曜日までに資料を持ってくるように会社のほうに依頼をしておるわけでございますが、これは先週依頼したわけでございます。それらを見ないとわからない点も若干ございますけれども、私たちが把握しております範囲では、きわめてきびしい状況にあるというふうに判断いたしておる次第でございます。
#13
○大矢正君 私どもが耳にしているうわさと申しましょうか、その種の内容では、どうも経営者が今日の時点で閉山をするということを前提にして、たとえば掘進計画を実行しなかったとか、あるいはまたその坑道の補修その他、まあ保安上の問題についても万全の策を講じないできておいて、そうして、このとおりだからもう掘るところがないからやめざるを得ないというように閉山提案をしたのではないかというようなことを感じ、あるいは述べている人たちもいるわけですが、こういうことがもしあったとすれば、これは重大問題ですわね。経営者が一、二年後にはつぶすんだという前提に立って、なすべきことをなさないで、最終的な一つの目標に向かって、すなわち悪い目標ですわね、それは閉山するという前提に立っての。そういうことがあったらこれはたいへんなんでね。もしそういうことであれば、そういう経営者に国が助成をすること自身がおかしいということになるわけですからね。私は、三菱の大夕張炭砿が必ずしもそうであったという確証はもちろんありません。ただ、世の中の人はそういうことをいろいろ言っている人が多いということなんですよね。
 そこでお伺いをいたしますが、あなたのほうで十分その種の問題について調査をしてもらいたい、そういうことがあったかないかということについてですね。まだ提案されたばかりですから、ここでもって御返事をいただくということは困難かと思いますので、私はその要望だけいたしておきますから。もし、そういうことが事実であったら、これはたいへんなことでございます。ですから、その事実関係をひとつ明らかにしてもらいたいということ。
 それから、これは保安局に関連をしての問題でありますが、山を閉じる原因の一つに、保安の維持が非常に困難である、したがって、人命を損傷する危険性が感じられるので、この際、やむを得ず閉山をするというような内容もあるやに承っておりますが、この点はいかがなものでしょう。これは監督官が常時入って、保安上の問題に関しては調べているはずでありますから、そういう事実があればすぐわかるはずですしね。まあいままでは何とか災害を防止することはできても、これから以降はほんとうの災害防止をすることが不可能だという情勢にあるのかどうかですね。この点についてお答えをいただきたいと思います。技術的な面も含みますから、もし局長が答弁しづらければ課長でもけっこうです、お答えいただきたいと思います
#14
○政府委員(佐伯博蔵君) 私たちの手元にございます資料によりますと、掘進の実績は昭和四十五年度には五・三キロメートル、四十六年度には五・二キロメートル、四十七年度は五・八キロメートルというふうになっておりますので、最近、この統計によりますと、掘進はむしろ若干ふえておるというふうな状況でございます。
 私が聞いております範囲では、昨年の暮れ以降におきましては坑道のいたみがひどうございまして、やむを得ず仕繰りのほうに、坑道の補修のほうに人が相当入った。したがって、仕繰りコースがうんとふえましたので、その結果だと思いますが、掘進がごく最近は落ちておったようでございます。年間を通じますとこういう状況でございますが、先生おっしゃられましたように、もし先生がおっしゃられますようなことがございますと、これはきわめて重要な問題でございますが、私たちのほうで十分調査をいたしたいと思います。
#15
○政府委員(青木慎三君) 先生御質問の大夕張炭砿の監督状況について概略お答えいたします。
 大夕張炭砿に対しましては、毎月一回巡回検査をしておりまして、最近の巡回検査は三月十九日から二十一日までの三日間、夕張鉱山保安監督署の鉱務監督官が実施しております。その結果は、依然として坑道の維持があまりよろしくないということでございます。
 また、まとまった炭量がないために払いの移行が速くなりまして、従前に比しまして、総体的に坑道展開のおくれ等に伴いまして、ガス抜きが十分行なえなくなるおそれがあるというような問題点を監督の結果指摘しているようでございます。
 それからまた、四月十八日から二十一日までの予定で巡回検査を実施中でございますが、これはまだ終了してないわけでございますが、現在まで入りました情報によりますと、検査の結果、坑道が全般的に狭隘化しておりまして、このため運搬、通気、自然発火等に関しまして問題が生ずるおそれがあるので、十分警戒する必要があるという旨を指摘することになるような模様でございます。
#16
○大矢正君 石炭部長、これは私の意見として申し上げておきたいと思います。
 先ほども申し上げましたとおりに、きのうのきょうでありますから、詳細その他について確たる答弁をせよと申し上げても、これはまあ、なかなかできないだろうということを私自身も考えますので、この問題についてはこれ以上こまかくはきょうの段階では、法案の審議がありますから触れませんが、しかし、そのだからといって大夕張の閉山というものは、あなたがお話しされたように原料炭であり、しかも年産九十万トン以上、まあ百万トンに近いような生産規模を持っておるものであり、この炭鉱がつぶれることによって、一万二千人の人間がそこからどっかに移動しなきゃならぬという重要な内容を含んでいるわけですからね。安易にこれについて閉山やむなしというような結論を出されると、これは地域社会にとってたいへんな問題であります。
 しかも、御存じのとおり、この炭鉱はもう山奥のどん詰まりでありまして、それより奥がないわけですからね。ですから、いやがおうでもこれはもうみな出てくる以外にないわけですね。行きどまりのところですから。それだけにまた、万が一閉山なんという事態になりますと、企業誘致などといいましても、とてもじゃないがそんなものは問題になるようなところじゃないわけですね、あなたも御存じのとおり。であるがゆえに、私は、まあ通産省もそう簡単に結論を出すとは思いませんが、十分これはひとつ地域の社会の情勢、それからまた石炭政策等を加味いたしまして、熟慮の上ひとつしかるべき結論を出してもらいたい、こう思います。
 まあ断固やれと言いましても、政策の中から出てくる助成策というものにはおのずから限界がありますから、これは、この山だけ幾ら赤字になっても継続せいということまで私は言い切れないけれども、しかし、その経営者が安易に考えて、将来まあ赤字がこの山単独で見た場合に出るんではなかろうかというような、そんなようなところだけでもってこの種の炭鉱をつぶすということは、これはやはり私は、そう軽々に判断できる内容ではございませんし、炭鉱といいましても、御存じのとおりに、あと地を有効に利用できるような地域もありまするし、この種の炭鉱のように、もうあと地などというものは全然利用するどころじゃない、もう死の町のようなかっこうになってしまうというようなところは、これはまた同列に扱うということ自身が、政策があまりにも機械的に当てはめられるという結果にもなりかねませんから、その点については十分ひとつ御検討いただきたいということを希望しておきます。
#17
○政府委員(佐伯博蔵君) 先生おっしゃりますように、この地域は、昔は、陸の孤島と言われたような地域でございますし、そこにたくさんの人がおられます。また優秀な炭質の炭がございまして、社会的影響もきわめて多うございます。私たちといたしましては、できるだけ長期に安定操業ができるような方向で検討を十分いたします。将来につきましても十分検討をさしていただきまして、うまい方法が見つかることを念願をいたしております。ただ、現実にはなかなかきびしいようでございます。その点は十分に検討をいたしたいと思っております。
#18
○大矢正君 それでは、次に大臣にお尋ねをいたしますが、石炭鉱業審議会が、昨年の三月三十一日ですからまあ一年前です。一年前に審議会決議として、石炭の昭和五十年度における需要量についての決議を行なっております。もちろんこれは、需要ということは生産も当然これはついて回るわけですからね。これにはいろいろ書いてありますが、事務局が、すなわちこの審議会の事務局が需要業界からの需要量を積み上げていくと、一千五百万トン程度にしか需要がないことになる。これではいけない。したがって、二千万トンを下らないよう最大限の努力を通産省がおやりなさいという決議なんですね。これは大臣のところにいっておると思いますから、おわかりいただけると思う。
 そこでですね、こういう決議はなるほど審議会としてはありますが、いまの総理大臣の田中さんと1当時通産大臣でありましたが、私どもとの間に話し合われた約束ごとというものがございましてですね、これは、その基本となるのはやはり生産と需要の問題でありますが、これは今次対策期間中は二千万トン以上の需要を確保するため万全の措置を講ずる、こういう約束ごとにまあなっているわけですね。審議会のほうは二千万トンを下らないということばになっているわけですね。ですから、一見見ると同じように見えるのだが、表現が与える感じというものはかなりこれ違うわけですね。
 そこで、あなたは通産大臣としてどうでございましょう。たとえば審議会の決議であります二千万トンを下らないということは、二千万トンさえ下がらなければいいんだと、こういうまあ解釈になるし、田中通産大臣との間の取りきめは二千万トン以上確保するためにやるんだというんでありますからね。そこにおのずから違いがあると思うのですよ。単なることばのやり取りじゃなしにですね。事実、これは私も隣にいる阿具根小委員長も一緒に田中通産大臣とじかに話をして、文書に取りまとめた内容のものでありますからね。これは質問する私のほうが、ある意味では石炭部長よりもこのことに関してだけは詳しいはずですわ。大臣、これをどう受けとめておられるかですね。
 大臣、もっと具体的に言うと、二千万トンさえ下がらなきゃいいんだと、すなわち、二千万トンでいいんだという意見なのか。意見でなくてあなたのお気持ちか。それとも二千万トンを上回る、二千万トン以上ですから、二千万トンを上回る需要を確保するために自分は努力するという趣旨なのか。そのいずれかということについてお尋ねをまずいたしたいと思います。
#19
○国務大臣(中曽根康弘君) 私が理解しているところは、二千万トンをぎりぎりの線として、二千万トン以上できるだけ多量の炭を確保する、二千万トン以上できるだけ上積みをしていく努力をする、そういうことであると理解しております。
#20
○大矢正君 それじゃ石炭部長ですね、私の手元に昭和四十八年度、すなわち今年度ですね、今年度の需給見通しというものがあります。それから生産見通しも、もちろん、これはまあ見通しですから完全なものではございませんが、ともあれ、一つのものさしとして質疑の中で使うとすればこれしかないわけですが、これを持っておりますが、あなた自身考えられて、この四十八年度を初年度とし、五十一年度をもって終了する第五次石炭政策の四ヵ年間の需要と、それから生産の体制をどういうふうに組んでいかれるおつもりなのか。今年度は、私の手元にある資料が間違いないといたしますれば、生産面は二千五百二十七万トンということになっておりますが、問題は、初年度の四十八年度は一体出炭はどの程度になるのか。それから、四十八年度の末であります来年の三月の時点で生産能力、出炭能力、これはどの程度にまで下がるのか。それから五十年度、五十一年度、この辺のあたりでそれがどういう数字になってあらわれるのか。
 それからもう一つは、これは、いまの申し上げているのは生産体制の問題ですが、需要問題に今度は言及いたしますと、四十八年度の末、すなわち来年の三月三十一日の時点で想定される四十九年度の需要見通し、それから五十年度の見通し、あるいは五十一年度の見通しというものがあると思いますが、この際お答えをいただきたいと思います。
#21
○政府委員(佐伯博蔵君) 当初、第五次策を検討いたします際にいろいろな試算をしたわけでございますが、その後、実際に今度は施策として実施をいたす運びになってまいったわけでございまして、実は、四十八年度以降のまず生産計画のほうにつきまして、現在、各炭鉱から計画を出してもらいまして、ヒヤリングをいたしておる最中でございます。あと一週間ぐらいでヒヤリングを一応完了し、それをもとにいたしまして四十八年度以降の生産計画をきめてまいりたいというふうに思っております。
 そこで一応私たちの案がきまりましたらこの法律、今回お願いしております法律を通していただきますと、昭和五十一年度の基本計画をつくらなきゃならないわけでございます。私たちがなるべく早く案をつくりまして石炭鉱業審議会におはかりして、昭和五十一年度の基本計画と昭和四十八年度の実施計画をきめてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。そんな状態でございますので、現在四十八年度の生産が幾らかというのは、なかなかヒヤリングの最中でございますし、また作業中でございますのではっきりいたしませんが、大体二千五百万トンぐらいになるというふうに思っております。
 それから五十一年度の基本計画の数字でございますが、これもまだはっきりわかりませんけれども、少なくとも二千万トンプラスアルファぐらいな数字になるものというふうに期待いたしております。そんな方向で検討をいたしておる次第でございます。
 それから需要のほうでございますが、これも昭和五十年度は鉄鋼八百万トン、それから九電力三百五十万トン、電発二百九十四万トンというようなことで、電力関係が八百四十五万トンというようなことは答申の中に書かれておりまして、その後、私たち、鉄鋼業界、電力業界ともいろいろ話をいたしておりますが、答申に書かれた数字は必ず確保いたしますというふうなお話でございます。この答申に書かれた数字は確実に実行できるものと思っておりますが、これも同じように、生産計画ほど詳細ではございませんけれども、昭和五十一年度の基本計画の中、あるいはそれの参考というようなことで、近く石炭鉱業審議会におはかりしてきめていただこうというふうに思っておる次第でございます。
#22
○大矢正君 通産大臣、お尋ねしますが、昭和五十年度の時点で二千万トンを下らない、五十年度ですよ。二千万トンを下らない需要の確保をしなさい。またそれをひとつ裏返しに言うと、生産がなければ需要が確保できないわけですから、それは生産を確保するという前提ですがね。そこで、田中通産大臣との間の話は先ほど申し上げたとおりに、以上のというふうに前向きに取り組んでいく。それで田中さんのことばをはっきり言えば、二千万トンというのはあくまでもかんぬきだ、したがってこれより下というものはないのだ、かんぬきをかけちゃうのだから、したがって、それから上回る部分が以上ということなんだ、こういう具体的な説明までされておるわけです。
 そこで、昭和五十年度の時点になって二千万トンを下回るような事態が発生をするようであれば、四十九年度なら四十九年度、すなわち来年度なら来年度において二千万トン以上の生産が維持できるような対策、対応策というものを考えられるのかどうか、大臣にお尋ねをいたしたいと思います。これは非常に大事なところだと思うのです。四十八年度はいま石炭部長が申しておりますからいいのですが、五十年度において二千万トンを割る心配があるかどうかというやつは、来年度に入ればわかるわけです。来年度の予算その他の中で検討しなければ、二千万トンを五十年度になったらもう自動的に割ってしまうという事態が起こり得るわけです。そんな長い先の話じゃないわけですから、いかがでしょう。
#23
○国務大臣(中曽根康弘君) 大臣発言メモにも万全の措置を講ずると、そうたしか書いてあったはずでありまして、これはあの需要の方面の答申を読んでみると、いろいろ積み上げていくと千五百万トンくらいだというようなのがたしかあったと思いますが、万全の措置を講ずると大臣メモで約束しておるのでございますから、これは行政指導、そのほか財政上、金融上、あらゆる万全の手を使ってそれをあくまで確保しなければならぬ、そういうように私は心得ます。つまり、需要家に対して通産省はかなり積極的に乗り出して需要を確保する。その場合に、再三問題が起きてくるということがあれば、財政上資金上等のめんどうも政府が積極的に乗り出してやる。そのほか考えられる可能なあらゆる措置を実行してみる、こういうことではないかと思います。
#24
○大矢正君 これは努力をしてみるというような抽象的なことでは救われないわけですよね。やはり五十年度の時点で二千万トンを下らない生産を確保するのだということ、その対策を立てるのだということ。それからもう一つありますことは、五十一年度以降をそれでは二千万トンを割ってもいいのかという議論もいたしておるわけですが、それはそういうことではない、二千万トンはずっと横すべりでいくのだ、こういうことが前提として話し合われているのです。これは御存じですか。
#25
○国務大臣(中曽根康弘君) 横すべりでいくということは私はまだよく聞いておりません。しかし、二千万トンを確保するというぎりぎりの線という意識を持ってこれをきめているのだろうと思いますから、横すべりでいくように努力すべきものであろう。昭和五十年に次の段階のいろいろな計画を、見積もりを立てなければならないと思いますが、そのときにはそういう考えを持って処すべきものではないか、私はそういうふうに考えております。
#26
○大矢正君 これはお互いに議論の分かれるところでありますから、私が幾ら主張しても、これは五十一年度以降の問題になれば、その時点であらためて考える以外にございませんと言われるとそれまでの話ですがね。
 話がちょっと変わりますが、いま北海道で、北海道電力が伊達に火力発電所を建設するということでたいへんな騒ぎになって、北海道の新聞はもうこの伊達火力騒動が載らない日がないぐらい、連日まあこれ載っているわけですね。東京紙にはそれほど問題視されてませんが、北海道では、いまやもう北海道あげてこれは注視の的になっている重大な内容のものなんです。それがゆえに、町長がリコールにかかってみたり、いま選挙中ですがね。たいへんな騒ぎが北海道電力と地域住民との間に起こっておるわけです。それに道議会が加わって、賛否それぞれに分かれて、もう上を下への大騒ぎというのが現状ですね。
 もし、これが油の専焼火力ではなしに石炭の専焼火力であれば、このような問題が起きないで済んだんです。これは、ここに公益局長は呼んでおりませんから、私はその面まで言及できませんが、私は前から何回も申し上げておるのは、私企業である北海道電力に、完全な電力の供給、すなわち地域独占を許される、その反対としての安定供給、これを私企業の北海道電力だけにまかせるということは、もう今日では非常に困難な情勢になっていると。
 したがって、地域の住民も受け入れるような内容のものでなければならないし、といたしますれば、海外から運んでくる油を使って電力を起こすのではなくて、やはり地元から産出をされまする石炭を使って発電をするということが大事なんじゃないだろうかと。そうすることによって、地域の住民からも、やはり北海道の産業を守るんだという意味で納得してもらえる、あるいは理解をしてもらえるという可能性が生まれるんだから、ですから、私企業である北海道電力に油の専焼火力を認めるのではなしに、私企業がやらないんだから、いまあります電源開発が、高砂や、あるいは竹原や磯子でやっておりまするような石炭専焼火力を、逆に北海道で政府の援助でつくることによって、あの種の摩擦は起きないで済むんじゃないかとすら実は私考えております。
 これは御存じのとおり、北海道電力にまかしておけば、勢いその将来のことを考えますから、石炭よりは油のほうがいいんだと単純にそうなってしまいます。これは私企業としての考えられる当然な帰結なんです。しかし、それを認めていたのではまた地域住民との間に摩擦が大きくなって、血の雨を降らすような騒動に発展をするわけですね。
 ですから私は、政府も思い切った助成をする。かつては、年間二十億円ずつ、電発が三つの火力発電所の建設に際しては、何年か、私、記憶しておりませんが、出資をして発電所をつくった。あれをもう一回ここで繰り返して、産炭地域であります北海道に電発による火力発電所の建設、石炭専焼の火力発電所の建設をすれば、私は、北海道におけるこの電力の予備率というものは下げないで済むんではないか、安定的な供給ができるんじゃないかという感じがいたします。もう今日では、機動隊でも出ない限りは一歩も進行しないような情勢に残念ながらいま北海道のこの伊達火力発電所の現状はなっておるわけですからね。
 これを、もし石炭専焼火力にする、しかし、私企業としては問題があるとすれば、これは従来やったような、電源開発に国がそれ相当の出資をすることによって、あるいは将来、石炭をたくわけですから、多少コスト高になると思いますが、その際に、それをある程度石炭対策の金の中から補償をしてやるというような措置を講ずることによって、北海道で石炭火力ができていけば、私は、今日のような状態は解消できるのではないか。それで、電発は電力をつくるだけで一般家庭や工場に供給する能力がないわけですから、当然これは北海道電力に売電をすることになりますが、北海道電力が買わないと言えばどうにもならぬじゃないかというような議論があるいはあるかもしれませんけれども、少なくとも、地域独占を許されて公共性を持っている電力会社が、火力発電所を一つつくったからといって、その電力の受け入れをしないというような態度は、決してこれはよくないと思います。私はそういう意味で、むしろ電源開発等に北海道において火力発電所をつくらせるということ、これを実行すべきではないかという感じがいたします。衆議院でも、何か北海道に石炭火力発電所を建設してはどうかというような発言があったと思いますが、私は長年の持論を持っておるものですから、この際、特に大臣に意見を聞いておきたい、こう思うのです。
#27
○国務大臣(中曽根康弘君) 産炭地火力をやろう、それで北海道を第一順位にしようと。それで北海道の地点、それから公害問題、つまり住民の協力を得るということが大きな問題なので、その辺を至急検討せよ、それからどの程度の容量のものがいいか、それも検討せよ、そう公益事業局に命じてありまして、いろいろ作業をやっております。それで、大体中間的に聞いておるところは、三十五万キロ程度のものを二基やったらどうかと、金額にしてたしか一基二百億円から三百億円ぐらいのものであったと思います。
 それで、問題は公害防除対策で、これを長く恒久的に各地でやろうとすれば、公害防除対策が非常に大きなものでありますから、排煙脱硫とかそのほかの公害対策を至急見きわめるように促進すると。それから、大体設置するとすればどの程度で、どの場所あたりが可能か、その辺の見当をつけて、荒ごなしなことでもいいけれども、できそうなところがあったら言ってこい、そういうふうに局長には命じてあるわけであります。
#28
○大矢正君 しばしば引き合いに出して恐縮ですが、大臣メモの中にも、産炭地における火力発電は需要確保のためにやらなければならぬということになっているわけですよ。それで、そのための最善の努力をいたしますと、こうなっておるのだが、見ているところどうも最善の努力をやったというふうには思われない。これは四十八年度予算を最終的に大蔵省との間に取りきめる際にも、とうとう産炭地火力発電のための調査費すら結局できなかったですね、大臣。これは通産省は、調査費はこの中に入っているのだと言うけれども、大蔵省に言わせると入っていないと、こう言っているのですよ。だから、金は多少ありますよ、ほんのわずかな金だが。通産省はこの中に入っているとおっしゃるが、大蔵省は入ってないとおっしゃる。まあこんな程度のものなんです。これじゃとてもこれは話になりませんからね。いまさらあらためて補正予算なんて、このために補正予算なんてできるはずのものじゃありませんからやむを得ないにいたしましても、これはぜひひとつ努力を今後一そう続けてもらいたい、こう思います。
 それから、局長から答弁いただくか、石炭部長から答弁いただくか、いずれでもけっこうでございますが、油の関税収入、この一〇%が石炭勘定として石油石炭特別会計に入ることは御存じのとおりですがね。
 そこで、先般の答申によりますれば、四十八年度から五十一年までの四ヵ年間で四千七百億円から五千億円くらいの関税収入があるであろうと、したがって、これを有効にこの石炭政策に使うんだと、こういう結果が出ておりますね。これは四ヵ年で五千億といたしますれば、当然のことながら一年に割りますると千二百五十億ですか、そういう計算になると思いますね。ところが、四十八年度は予算上から見ますると千八十億ですか、そうすると四十九年、五十年、五十一年というこの三ヵ年間というのは、かなり大幅に予算面では原資がふえるという勘定にもなると思いますね、数字からまいりますと。この金は何に使いますか。どういうところに重点を置いて使いますか。
 もちろん、今度のこの法律の中で、昭和四十五年ですか、百何十億か借りた金をあと七、八十億返さなければなりません。その金はもちろんこれは返すといたしましても、本年度のように千八十億程度のものではなしに、平均して千二百五十億くらいになるわけですから、四十九年、五十年、五十一年の段階になれば、それが千三百億なり千四百億ぐらいに年間なると思いますね。そうすると、いまから見ると、来年で借金が払い終われば、五十年度からはかなりの金額になると思います、ふえる内容が。その金はどこに使われるか、これが一つには大きな問題だと思うのです。失業対策費だとか、それから公害だとか、あるいは産炭地域振興事業団だとかいって、こういうものにその金をどんどん持っていって、政府がやらないことのしりぬぐいですよ、それを石炭の会計の中からやられたんじゃ、これはもう問題にならぬわけですね。
 で、具体的にもっと詰めますと、たしか私の数字に間違いなければ、四十七年度の時点における予算からくる対策効果というものは、トン当たり千五百九十円、これが四十八年度、すなわち今年度から新たに第五次政策が発足して新しい対策を織り込んだ段階におけるその効果というものは、トン当たり千七百三十一円といたしますると、まあ金額にしてまことにわずかなものにしかならぬわけですね。物価はものすごい勢いでいま上がっておりますでしょう。当然賃金が、給料が上がりますね。坑木も上がりますよ、木材不足で。セメントはないと、こう言っていますね。ものすごい勢いで物価が上がっているのに、対策効果が千五百九十円から千七百三十一円になったって、これでもって石炭対策が十分になされるなどということを考えること自身が私にはふしぎでならないわけですが、最初に申し上げたことといまのことを関連してどのような御判断を持っておられるか、お答えをいただきたいと思います。
#29
○政府委員(外山弘君) 答申案の最後に、御指摘のように、四千七百億円ないし五千億円程度の財源の確保につとめるということがはっきりと要請されております。これはまた、対策期間が四年でございますから、御指摘のように四分の一ずっということにしましても、ことしの千八十億をかなり上回る数字が平均的には言えるわけでございます。したがいまして、ことしよりは来年が、来年はさらに再来年へと、どんどんまあふえていくということを一応私どもも予定しているわけでございます。
 どういう内容かと申しますと、これはやはりいろいろそれぞれの項目がふえる要素を持っていると思います。しかし、肩がわりのような問題は、だんだんとやはり金がよけい要る項目の一つだろうと思います。それからあるいは、たてまえとしましても二千万トンを確保するということにこの答申の最も重要な柱があるわけでございます。したがいまして、それの努力が企業的になされることをできるだけ助長する、そういった項目にできるだけ増加分が充てられていくということが、私はそれが一番よろしいのではないかと思いますが、なお、各項目につきまして今後十分そういった趣旨で検討を進めてまいりたいと、こう考える次第でございます。
#30
○大矢正君 大臣、いま私が申し上げましたように、それから局長が私に対していま御答弁がありましたが、今年度は千八十億程度ですが、油がわが国に入ってくる量の伸びというものはかなり高いものがありますから、それに従って石特会計の原資である関税というものもふえてまいりますね。その結果が、いま申し上げたように四ヵ年間平均で五千億とすれば千二百五十億円、ことしは千八十億円ですから、五十年あたりはおそらく千四百億円くらいにまで金が伸びる。
 そこで私は、金の使い方ですが、一つの問題点は、やっぱりこの金は需要の確保の問題にまず最優先に考えるべきではないか。原料炭の場合には、鉄鋼、ガスが膨大な量を海外から入れておるわけですから、わが国の原料炭の生産がたとえば千二百万トンあるいは千三百万トンにしても、全体から見ればそれほどべらぼうな鉄鋼あるいはガスに対して負担をしいるものでは私はないと思います。したがって、やっぱり中心はどうしても一般炭であります。また、一般炭を使用する電力が中心にならざるを得ない。それ以外にこの需要を求める道はないといっても過言ではないと私は思います。それ以外には暖厨房といいましても、最近はどんどん変化いたしておりますし、国鉄はもう石炭は使っておりませんし、そのように考えてまいりますと、相手が好むと好まざるとにかかわらず、残念ながら電力にこれを使ってもらう以外にない。電力といいましても、なかなか九電力というものは渋くて、そう簡単に引き取ってくれないですよ、石炭を。とすれば、この際、この原資にある程度の余裕が生じてくる来年、再来年、その辺に目がけて、一つはさっきから申しておりますように、電源開発に、北海道なら北海道にこれは火力発電所を建設させるというような、もちろんそれに資金を使うということですが、そういうことで、需要の確保をまず一つはかることのためにこの資金を利用するということが第一の問題。
 それから第二の問題点は、いま私が申し上げましたとおりに、旧政策、旧政策といっても、現在もその政策を実行されているわけでありますが、四次政策の最終年度であります四十七年度の対策効果というものが千五百九十円に対して、四十八年度は千七百三十一円にしかならぬわけで、物価の上昇にも追いついていけないようなこういう内容では、これは金は非常に出しているように見えるが、実際上、この石炭産業の存続に大きな力を果たしたとは思われません。特に、答申の中では安定補給金というものを引き上げなさいと書いてあるのだが、ことしの予算にはそれが全然載っておらぬわけですね。これはまあいろいろ予算の配分上こうなったのだろうと私は思いますから、これ以上深くは申し上げませんが、第二の金の使い道は、私は、この答申というものを完全に実施する意味で、やはり安定補給金をできる限り引き上げる、その原資に増加分を使うというようなことを考えてもらわなければいかぬと、こう思うのですね。
 政府は、たとえば九州方面におけるこの緊急就労とかというようなものは、もうずいぶん古くから行なわれているわけですが、最近は、それが開発就労というものが新たに増加されておりまして、ずいぶん昔からこれはやっているわけですね。もうこれは石炭対策で救われるべき失業者対策じゃなしに、国の一般的な失業対策として行なわなきゃならぬものを、この石炭特別会計の中から金を引きずり出していってやっているわけですね。ずいぶんこれは昔の話ですよ。これはもう七年も八年も先に出た失業者に、石炭会計から金を出して就労事業をやらせなきゃならぬなどというようなことは、これはもうおかしいんじゃないか。したがって、一つには需要の確保、一つには現在残っている産業の安定確保のためにこの資金を使うということに積極的に取り組んでもらいたいという考え方でありますが、いかがでしょう。
#31
○政府委員(外山弘君) 先ほど二千万トンの確保が一番大事であると申し上げましたが、ということはいまもう御指摘のように、まず、それの前提としての需要の確保ということ、それからこれを供給する企業側の安定ということ、どちらも非常に大事な柱であろうと思います。この辺が中心になって今後ふえてくる要素の大きな部分ではないだろうかと、こういうふうに考える次第でございます。
#32
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり需要の確保ということが非常に、最も大事なことであると思います。その方面に予算は重点的に使われて、需要をまず確保をする、そういうことを実行いたしたいと思います。
 それから労務関係の安定のための費用というようなもの、私、つまびらかにいたしておりませんが、石炭関係から出ているそういう対策費として使われるものは、やはり石炭関係のワク内でいままで処理してきて、これはやむを得ないんではないかと、こういうように思います。
#33
○峯山昭範君 それでは、二、三質問したいと思います。
 先ほどもちょっと出てまいりましたが、きのう発表になりましたアメリカのエネルギー教書ですか、この教書について大臣の所見を初めにお伺いしたいと思います。
#34
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたが、ああいう教書が出るについて、もう少し早く出るといわれておったのがこういうふうにおくれてきたというのは、ぎりぎりのときまでアメリカの国内各省庁で調整して、そして最後に大統領の決断で出てきたんだろうと思います。
 どういう点がじゃ中で問題になったかということを想像いたしますと、私は、やはりアメリカのような国柄ですから国内の生産関係、消費関係、それから海外に対する世界政策、あるいは影響、それからやはりもう一つは安全保障とか国防、そういうさまざまなものがかみ合って、そして各省の間をくぐり抜けてくる間に時間もかかったんではないかと、そういうようにまず第一に私は感じました。
 それで、あまり極端にアメリカの石油が不足するということを表現すると、世界的な影響もあるものだから、その辺は少し抑制したんではないかという気がいたします。そして、しかし、足りないから節約運動をやろうということで、そちらのほうの間接的表現をやってきているのではないか。そして、それと同時に、国内関係のエネルギーを大事にして、これを長もちさせて使おう、そのために総合的に石油、石炭及びガス並びに原子力と、そういうように一つ一つを検討してみて、そしておのおのの位置づけをやったと、そういう苦しい事情になったんだから、あまりぜいたくを言わないでみなさんもがまんして、国産エネルギーを大量に使うという点については協力してください、そのためには、公害の基準についてもあまりきびしいことを言わないで少しはがまんしてください、そういうような態度でアメリカ国民に訴えてきた、そういうように感じました。
#35
○峯山昭範君 私はきょうは、大臣がいま最後のほうでちょっとお話がございました、特に今回の教書の中で、新聞報道等の中にも指摘がされておりますが、「国内に豊富にある石炭の有効利用につとめ、このため一九七五年に予定されている大気汚染防止期限の第二段階の適用を一時延期する。」こういうぐあいに新聞にも出ておりますが、これは私は非常に重要な問題を含んでいると、こういうように考えます。特に、この中で環境保護諭者――いわゆる資源の今回の白書を、エネルギー教書を出すことになった責任の一端は、そのいわゆる環境保護論者にある、というような書き方を一部しているわけですね。しかも、これは結局われわれが考えますと、完全な責任回避じゃないか、こういうような考え方があるわけです。また一般のマスコミの中にも、そういうふうな批判をしている人がおります。また新聞報道の中でも、これはこういうことを書いています。これは、生命を維持するため石油が必要という考えに基づいて、これまでの生命を維持するために環境を保護しようといういわゆる反公害運動に対する大資本などのゆり戻しにニクソン大統領が屈服したと、こういうふうな評価も加えているわけでありますけれども、これは非常に私は重要な問題だと思うのです。こういう点については、いわゆるこういう方向の見方については、大臣はどうお考えですか。
#36
○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカという国は日本と国情を異にいたしております。また、環境の汚染度も日本とはだいぶ違っておりまして、傷は浅いところがあるだろうと思います。その上に、アメリカ人はわりあいにプラグマチストで、特にニクソン大統領の場合は現実性の多い人ですから、柔軟性があって、したがって、自動車におけるマスキー法案も、GMやそのほかから強く要請されて一年延期するとか、そういう柔軟性を持った政策をやっておりますが、同じような考えで、エネルギーの問題についての大気汚染を一時延期すると、そういう態度に出たのではないかと思いますが、日本の場合は、ほかの国よりも汚染度が進んでいる場合が多いという状況ですから、いままでの基準をやはり守り、あるいは状況に応じては基準を締めていくと、そういうことを考えて、独自の線をやはりたどるべきであると思います。
#37
○峯山昭範君 私もいまの大臣の御意見に賛成なんですけれども、確かにアメリカとは国情も違いますし、非常にアメリカのこういうふうなものは、そう影響は及ぼさないだろうと私は思うのですけれども、しかし、実際、このアメリカのエネルギー教書が出てから財界ではいろいろなことを言っているわけです。この教書に対する感想を求められていろいろなことを発言しているわけです。
 その中で、特にある財界人は、要するに、「国民感情を逆ナデすることになるから絶対名前を出さないでほしい」という条件つきでありますけれども、非常に、まことにけしからぬことを考えているのですがね。これはそういう条件づきですけれども、「日本は公害問題について感情的になり過ぎている。」大臣はどうお考えか、あとでお伺いしたいと思うのですが、「感情的になり過ぎている。」こういうような見方がもしも財界で一般的であるというのであるならば、これは非常に重要な問題だと私は思うんです。しかも、「教書のように日本も環境規制の緩和を検討すべきだ」、こういうぐあいに語ったと、こうなっているわけです。これは非常に一こういうふうな先般のマスキー法あるいは今回の教書等に続いて、日本もこの二つのいろんな問題から影響を受けないわけはないと私は思うんです。いわゆる財界からのいろんな圧力というのもこれからますます強まってくるのではないか。われわれの立場からすれば、非常にこういう規制を緩和しろ、そういう圧力というのはいろんな面からあるんじゃないか、こういうぐあいに警戒をし、われわれも心配をしておるわけでありますけれども、しかし、現在の、いま大臣もお話ございましたように、公害の進みぐあいという点から考えましても、アメリカなんかとはもう比較にならないほどたいへんな実情にあるわけです。
 そういう点から考えて、大臣、もう一点、もう一回お伺いしたいんですが、こういうふうな、これは大臣の指導管轄下にあるわけですね。私は、どういう人がこういうことを言ったのか実際は知りませんけれども、いわゆるマスコミの皆さんの報道の中から出ているわけでありますから、それが事実であるかどうかも確認したわけじゃありませんけれども、もし、こういうような考え方が一般的であったりすれば、これは非常にたいへんな問題だと思いますし、将来の日本ということを考えて、ここら辺のことについて大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
#38
○国務大臣(中曽根康弘君) 私のところにはまだそういう圧力は全然きておりません。財界にもいろんな人がいて、まだ時代のわからない人もおるのかもしれません。私らはやはり政府がきめた環境基準及び環境政策を日本独自の線として自主的にこれを確保していく、そういう線で邁進していくつもりであります。
#39
○峯山昭範君 これは、大臣ですね、きょうは法案とは直接関係がございませんけれども、環境を守るという点から、ただいまの大臣の考え方、あるいは所見はよくわかりました。
 ただし、実は大臣、非常にこれは重要な問題で、先般から私は予算の分科会等で取り上げている問題があるんですけれども、要するに砂利の採取、採石、この両方通産省の一応管轄になっておる。許可等も全部通産省がやることになっているわけですね。しかしながら、私は、現実にこの砂利を採取している現場にも行ってまいりましたし、先般も、これは公害対策特別委員会で、京都のほうにおいて砂利採取による非常にたいへんな被害が起きている。
 それで、私が大臣に要望したいのは、こういうふうな業者、あるいは砂利の採取を許可する権限というのは都道府県知事と、その上にある通産省と、この両方になっているわけですね。そういう点から考えますと――しかも、内容があまりにもひどい内容です。というのは、トラック一台一台に積んでいる砂利の量にしても、ほとんどが積載違反ですし、また山をくずしていくそのくずし方も非常にひどいものがあります。そういう点から考えて、実際、大臣は、山砂利を採取するそういうような問題について――先般、私は、通産省が管轄であるということを知りませんでした。まことにお恥ずかしい話なんですけれども、大臣はそこら辺のところは御存じかどうか、一ぺんお伺いしたいんですけれども、実際問題、これはもう少し本格的に指導してもらいたいと思うし、こういうふうな問題が現実にはたくさん起きているわけですね。そういう点についても所轄の大臣としてやはり真剣に取り組んでもらいたいと思うんですが、この点もう一ぺんお伺いしておきたいと思います。
#40
○国務大臣(中曽根康弘君) 砂利採取関係は、採石法のもとで許可権は知事が握っておりますけれども、法律そのものは当省の所管になっております。
 先般来、先生から砂利問題をいろいろ教えられておりますが、私も同じような憂いを持っております。各地へ行ってみると、山はだが荒らされて美観を害しているということのみならず、場所によっては災害を起こす原因になっているという場所もございます。私の感じでは日本のこの国土改造というような問題は、まあセメントもさることながら、砂利問題で行き詰まるんじゃないか、そういう意味において、この砂利問題というものに本格的に取り組む必要があると、そういうように昨今痛感しているところでございます。
#41
○峯山昭範君 この問題は一問で終わろうと思ったんですけれども、大臣からちょっと一つ気になることを発言がありましたので、ちょっともう一つ聞いておきたいと思います。
 砂利問題はセメントに次いでこれは問題になると、確かに私はそうなるであろうと思うんですけれども、大臣ね、セメントと同じように不足を来たして非常に建設等重要な問題になってくる、確かにそうであろうと思うんです。先般、総理大臣が砂利の採取についてもっと規制を緩和しろと、これは川砂利の問題も含めてそうなんですが、そういう話があった。非常にいまの災害、あるいは公害の起きぐあいから考えて、重要な問題だと私は思うんです。
 私は、砂利を採取するにしても、採取のしかたがあると思うんです。また、自然環境をもとどおりにするという問題もやっぱりあります。許可条件というのがやっぱりあると思うんですね。そういうふうなきちっとした行政指導がばっちりなされておれば、私はある程度認めてもいいんじゃないかという点があるわけです。ところが、いわゆる許可条件がはっきりしない、そしてむやみやたらと山をくずしていく、許可がない前からもう採取の準備をしておる、現実にそういうようなことになっているわけですね。これは非常に重要な問題ですし、やはりセメントと同じだという、ただ簡単な考え方じゃなくて、その点はきちっとしてもらいたいと思います。
 それからもう一点、大臣がこれから言いそうですから、ちょっと前もって言いますけれども、この間、私はここでいろいろ話をしましたら、この権限は都道府県知事がほとんど握っていると、こう言うわけです。ところが、現実にそのあくる日に、私の住んでいる大阪府の知事は、こういうぐあいになったのは全部国の縦割りの責任だと、全部国の責任だという発言をしました。要するに、両方とも、これはお前のところの責任だとお互いになすり合いじゃ、実際に被害を受けている住民からしてみればたいへんな思いをすると思うんです。この点あわせて御答弁いただきたいと思います。
#42
○国務大臣(中曽根康弘君) これは地域地域によっていろいろ事情が異なるところがあると思います。まあ県によっては県会議員さんがかなり力を持っていて、知事さんに対していろいろ働きかけて許可をさせるとか、知事さんのほうでも、県会議員さんの意見を聞いてものをやってその地域の利害関係が反映されるとか、そういうようなものも見受けられますし、あるいはそうでないという場所もございます。結局は、まあ国や公共団体が十分な策をしていないから住民の皆さんに迷惑が出てくるわけでございますから、この砂利問題というのは、最初に申し上げましたように、セメント以上の大きな本質的問題に日本ではなっていくと、そういう自覚を持ちましていろいろ対策を考えていきたいと思っております。
#43
○峯山昭範君 それでは法案そのものに移りまして、特に石炭の管理体制のあり方についてちょっとお伺いしたいと思うんですが、先般から石炭については、たとえばイギリスなんかでは、相当最近の新聞報道等でもいろいろいわれておりますが、石炭を国有化しろとか、いろいろな話が――まあイギリスはもともと国有化になっているわけでありますが、しかし、問題は種々日本と同じようにあるようであります。また、今回も、どのような形にするのが最も効率的であるのか、いわゆる管理体制問題について、あるいは国有化論、あるいは全国で一社、あるいは九州と北海道の二地域に分けて二社業にするとか、あるいはその統一した管理会社、あるいは準国有にしたいわゆる石炭管理公社案、そういうぐあいにして、まあそのほか生産は各社にまかせて販売を二手にするとか、そういうふうないろいろな各種の構想があったと私たち聞いているわけでありますが、今回の第五次答申では、実際問題としてそういうようなことについては具体的に触れておりません。しかし、結論として、個別の企業の責任と努力を一応前提として、いわゆる石炭業界の自主的需給調整委員会及び石炭合理化事業団内の管理委員会の設置、そういうふうないわゆる管理体制に落ち着いたようでありますが、この間の経緯及び管理体制がよいとするその理由ですね、そういう点について聞かせていただきたいと思います。
#44
○政府委員(外山弘君) 管理体制の問題につきましては、いま御指摘のように、審議会の議論の過程におきましても種々の意見があったことは事実でございます。で、審議会におきましては、こういった各方面の意見を十分考慮に入れながら、結論としては、答申にあるように、私企業のバイタリティーと業界自身による自主的調整機能、それを基本とすること、こういう行き方等を前提として国の助成運営の面からこれを補完すると、こういう仕組みとして石炭鉱業合理化事業団に国の助成を原則として移管すると、そして同時に、同事業団に管理委員会を設置することで合意を得たわけでございます。管理体制の問題は、要は、今回のきめられたような対策の効果を最も効率的に発揮するということが大切でございますが、私どもとしましては、現段階におきましては、答申の結論を尊重いたしまして全力を尽くしていきたいと、こう考えている次第でございます。
#45
○峯山昭範君 この管理委員会の位置づけですけどね、位置づけにつきまして何か答申では、業界内需給調整委員会及び炭鉱の自主的活動に対する助言指導の機構であるという位置づけですね、そういうふうな位置づけが答申の中ではあったようでありますが、実際にこの法案の中には管理委員会そのものの位置づけといいますか、そういうようなものは――機能ですか、それは明確になっていないわけでありますが、この点については何か炭鉱関係者から強い不満が出ていると、こういうように私たち聞いておるわけでありますが、これは要するに、何か意味があるんですか。また、管理体制というからには、もう少し何らかのきちっとした強力な権限なり、そういうようなものがあってもいいんじゃないかと、こういうぐあいに思うんですが、そこら辺のところはどうですか。
#46
○政府委員(外山弘君) 御指摘のような点はないわけでございまして、実は、答申のとおりに法律案のほうはできているというふうに私どもは考えております。
 で、一つは、管理委員会の機能といったものにつきましては、大体答申のとおりでございますし、それから、管理委員会が事業団の中の組織であるということも、これもそのままでございます。で、管理委員会に期待する機能といったことも、これはまあ法律論としてはどこまで書くかという問題がございますが、実際上期待する機能という点でも、法律のたてまえと答申のたてまえとは何ら食い違っておりません。
 ただ、一つしいて申し上げますれば、管理委員会が独自に助言と指導の機能を持っておるんだというふうな表現が答申にはわりあいにはっきり書いてございますが、法律のほうではそれが一条をなす形にはなっていないという点がございます。これは法律技術論といたしまして、書いても別に問題はないと思いますが、内部組織でごさいますから、本来事業団の持っていまする助言、指導の機能が本来ございます。その中の内部組織でございますから、当然のことながら、管理委員会はその機能を持ち合わせるということになるわけでございます。要は、答申の趣旨を生かした運営が行なわれるということが非常に大事でございまして、法律のほうのたてまえは組織論、法律技術論両方のたてまえから見てこういう表現になっておるわけでございまして、内容的には何ら違っていないというふうに私どもは考えております。
#47
○峯山昭範君 といいますことは、結局答申のとおりであると、そういうぐあいにとってよろしいですね。
 それでは、次に、もう一点お伺いしたいんですが、いわゆる石炭企業の脱石炭傾向というのですかね、そういうようなのが最近いろんなところで見られるわけでありますが、まず、この石炭企業が石炭生産部門を分離して、そして別会社をつくる傾向というのが最近目立っているようでありますが、通産省で掌握しております状況を初めにお伺いしておきたいと思います。
#48
○政府委員(佐伯博蔵君) 従来ございました石炭企業が、いわゆる石炭の生産部門を分離いたしまして、一〇〇%の子会社といたしましたのは次の四社でございます。
 すなわち、三菱鉱業が四十四年の九月に生産部門を分離いたしまして、三菱大夕張炭砿株式会社と三菱高島炭砿株式会社の二つといたして分離をしたのが一件でございます。それから元常磐炭砿が分離をいたしまして、親会社のほうが常磐興産という名前に変わったわけでございますが、子のほうは昔からの名前を使っておるわけでございますが、常磐炭砿として分離をいたしました。これは四十五年の七月に分離をいたしました。それから、元太平洋炭砿株式会社が分離をいたしまして、子のほうが太平洋炭砿株式会社というのになっております。親会社のほうは太平洋興発株式会社というふうな形になっております。これは四十五年の十一月でございます。それから、最近の例でございますと、松島炭鉱がやっぱり炭鉱の生産部門を分離いたしまして、分離しましたものが前と同じ名前の松島炭鉱株式会社でございまして、親会社のほうは松島興産ということに名前が変わっております。これはことしの四月でございます。
 以上四件でございます。
#49
○峯山昭範君 そこで、この分離を断行する理由について、これはある石炭企業経営者の発言でありますが、それによりますと、膨大な赤字をかかえた石炭生産部門と、それから発展性のあるそれ以外の部門をいつまでも一緒にしておいては、伸びるものも伸びないと、しまいには共倒れに終わるのが目に見えておる、それに石炭生産部門は、昭和四十八年度から始まる第五次石炭対策で国家管理的色彩が強くなるために、非石炭部門と別々にしておいたほうが何かとよいにきまっている、まあこういうように述べています。さらに、石炭生産部門については、累積赤字は分離の際に資産の評価がえで帳消しにできるし、長期債務も第五次石炭対策による国の肩がわりで取り除かれるので、何とかやっていけるだろう、そういうふうな意味の説明をしているようであります。この分離必要論、これは非常に問題があると私は思うのですけれども、そこで、まず第一に、こういうふうに分離したほうが、いわゆる石炭生産部門と非石炭部門の双方を生き延びさせる方法である、そういうぐあいに通産省自体も思っていらっしゃるのか。あるいは、もしそうであるとすれば、その論理の筋道について説明を願いたいと思いますし、もしそうでないとすれば、今後はどういうように指導されるのか。これはこれからもまたいろいろ起きてくる問題だろうと思いますので、お伺いしておきたいと思います。
#50
○政府委員(佐伯博蔵君) 石炭対策との関連におきましては、私たちは、分離をいたしますのも分離しないのも関係はないというふうに考えております。
#51
○峯山昭範君 まああっさり片づけられましたけれども、それじゃもう一つ、この経営者の発言の中にも、第五次対策がいわゆる国家管理的色彩が強いものとなると、そういうふうな発言があるわけですけれども、通産省自体もそういうぐあいにお考えなのかどうか。また、その経営者のこの論理の中で、第五次対策の実施が分離の必要性を促進すると、まあそういうふうに考えているようですね。もしそうだとすれば、この第五次対策の意図する効果ですね。まあ第五次対策でそういうふうな効果を意図しているのかどうか、また、あるいは通産省自体はそういうように考えているのかどうか、この点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
#52
○政府委員(佐伯博蔵君) あるいは前後するかもわかりませんが、私たちは五次策が分離を促進するというふうには考えておりません。先ほど、まあ簡単に御説明申し上げましたが、五次策と分離そのものとは関係はないというふうに私は思っております。
 それから、国家管理的色彩というお話でございますが、どの辺のことをそういうふうにその経営者の方は言っておられるのかよくわかりませんが、第五次策はいろんな、たとえば第三次肩がわりをするとか、坑道補助金の補助率を上げるとか、あるいは運転資金の貸し付け制度を強化するというふうなことで、従来の施策を大勢はあまり変えずに、相当大幅な助成をするというふうな内容だと思いますので、管理的という意味がよくわかりませんけれども、私たちは、従来の方策を大幅に炭鉱に向けて助成を強化する内容だというふうに考えておる次第でございます。
 それから、先ほど、分離は第五次策と直接関係ないというふうに申しましたが、過去におきましても、今後もそうでございますが、分離を希望する会社がありました場合、また現に、先ほど申しましたような四社が分離をいたしておりますが、そういうときには、私たちは、資産とか負債の分割が公平であること、それから損益状況が分離をしない場合よりも悪化せずに安定操業が可能であるというのを原則にいたしております。それから親会社は、分かれました子会社に対しまして、必要に応じまして十分な援助を行なえるような体制になっているというふうなことを最小必要限度にいたしまして、そういう中におきまして事情の許す限り、許される場合には分離を過去にもいたしましたし、そのような方向で対処してまいりたいというふうに思っております。
#53
○峯山昭範君 通産省としては結論として、結局、分離したほうがいいと思っているわけですか、それとも、そのまま続けたほうがいいと思っているわけですか。どうなんですか。
#54
○政府委員(佐伯博蔵君) 特に分離を促進したいという気は全くございませんが、分離を希望されるような場合には、先ほど申し上げましたような基本線に沿って検討してまいりたいというふうに思っております。
#55
○峯山昭範君 そうしますと、結論として、分離された後のいわゆる石炭生産部門の企業が、実際問題として独立の企業としてやっていけるのかどうか。これは非常に重要な問題だと私は思うんですけれども、片っ方のほうは採算がとれてゆうゆうとやっていけるような状態になる。そういうような方向でやるわけですから、当然、企業としては。もし、この分離された部門のいわゆる石炭生産部門が、実際問題としてやっていけないとすれば、石炭生産部門が分離されたおかげで、結局縮小され、あるいは閉山に追い込まれていく。非石炭部門、こっちのほうは身軽になって、その効果でその会社は何らかの方向でやっていけるようになる、こういうことになってしまうわけです。ここらのことについてはどうお考えですか。
#56
○政府委員(佐伯博蔵君) 若干同じようなことを言って申しわけございませんけれども、要するに、分割に際しましては、損益状況が悪くならない、また安定操業が可能であるとか、あるいは資産、負債の分割が公平であるというふうな観点から検討いたしておりますので、そのこと自体が、分離したから行き詰まる、分離したから特にいいというふうなことはなくて、その点では同じであるというふうに判断いたしておるわけで、また、そのような形じゃなければ分離をすべきじゃないというふうに思います。
#57
○峯山昭範君 最後に一言お伺いしてもう終わりますけれども、大臣、これはいま話を聞いておられたとおり、実際問題として、この分離されたほうの片っ方の非石炭部門、こっちのほうは、大体私たち聞いておるところによりますと、不動産とか建材、あるいはレジャー、そういうような部門に進出をする例が多いようでありますけれども、結局は、そういうふうにしてその会社自体がほんとうに再生できるのかどうか。
 また、もしそうであるとするならば、何も分離しなくても、そういうふうな片っ方のほうで何とか利益をあげて、会社自体が閉山とかそういうことに追い込まれないようにするということも考えられるわけです。また、今後のわが国の産業構造のあるべき姿から見ても、これは非常に、分離するか分離しないか、そこら辺の問題というのは重要な私は問題であろうと思うんです。
 それで、ここら辺の問題についてやっぱり大臣のお考えをきょうはお伺いして、私の質問は終わりたいと思います。
#58
○国務大臣(中曽根康弘君) 分離問題は非常に重要な問題でございまして、いやしくも資産逃避をするとか、あるいは自分のほうは優位の立場で石炭部門を劣悪な条件に落として省みないとか、そういうことが行なわれないように、計画の審査にあたっては十分注意をして、かりそめにもそういうことがないように実行するつもりでございます。
 なおまた、不動産とかレジャーとか、そういう部門に進出したり、あるいはそういうふうな資産を確保したりする向きが必ずしもなくはないと思いますが、そういう点についても、ただいま申し上げました、石炭部門が十分採算がとれて経営ができるような配慮を、少なくとも分割に際しては行なうように注意すると同時に、もし、石炭部門において困難が生じた場合には、その分離された片っ方においても引き続き援助するようにと、そういう行政措置もしていきたいと思います。
#59
○須藤五郎君 石炭鉱業審議会から第四次の答申が出ましたときに、植村甲午郎さんが当委員会に見えまして審議をしました。そのときに、私は植村さんに対して、もう石炭対策はこれで終わりですかといって質問しましたら、これで最後でございますとえらい大みえを切ったことを思い出すんです。そのときに私は、植村さんに反発して、そういうわけにはまいりますまい、必ずまた次にいろいろなことが出てくると違いますかと言ったら、いや、これで終わりでございますと彼は言い切ったわけですが、私たちが言ったとおりのことにいまなってきておると思うんです。
 それで質問をするわけですが、第五次石炭対策は、昭和四十八年から五十一年の四年間で総額約四千七百億から五千億円の財源をもって行なわれようとしておりますが、この基本目標は、昭和五十年度において二千万トンを下らない国内需要を確保することにあると、こういうふうにされております。このことは、昭和五十年度において二千万トンを下らない水準に達した後は、昭和五十一年度以降も引き続き二千万トン台を確保することを意味するのかどうかという点でございます。
#60
○国務大臣(中曽根康弘君) それらの点は、昭和五十年におきまして、その年末までに次の計画について検討を加えることになっていると思いますが、少なくとも、石炭産業の重要性から考えまして、私としては、引き続き二千万トンを維持できるように努力すべきものではないかと考えます。
#61
○須藤五郎君 もしもそれができないときには、また第六次案というようなものが出てくるということなんでしょうか、どうでしょうか。
#62
○国務大臣(中曽根康弘君) 石炭企業が存する限り、石炭対策は永久に必要じゃないかと私は思います。
#63
○須藤五郎君 昭和四十七年度の石炭の生産高は二千八百万トンでありますが、五十年度二千万トンを下回らない水準まで、約八百万トンも減産しなければならないことになりますが、どのような方法、進め方をするのか、その点をお伺いしたいと思います。
#64
○政府委員(佐伯博蔵君) 昭和四十七年度の生産は約二千七百万トンでございます。先生おっしゃいますように、昭和五十年度に二千万トン以上というところに持っていきますためには、四十七年に比べまして約七百万トンの減産になるわけでございますが、それらのことにつきましては、経済的可採炭量がない山もあるわけでございまして、現在法律を通していただきますと、昭和五十一年度の基本計画をつくることになるわけでございますが、その基本計画をつくるために、現在、各社から長期の生産計画のヒヤリングをいたしております。その結果に基づきまして五十一年度の基本計画をつくってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、おおむね経済的可採炭量の少なくなるところ等で閉山をするところも出てまいるのじゃなかろうかというふうに思います。それから、一部でございますが、増産をいたしますところもございますし、また新鉱を現在開発中でございまして、それらがそのころには生産を開始するというふうなところもあるわけでございます。
#65
○須藤五郎君 私は、現在二千八百十万トンと言ったのは、「石炭時報」の四十八年二月統計をもとにしてお尋ねしたんですが、百万トンほど低くあなたはお答えになっておりますが、あなたのお答えのほうが正しいんですか、どうですか。
#66
○政府委員(佐伯博蔵君) 昭和四十七年度でございますので、つい三月末日が締め切りでございますので速報でございますが、ちょうど二千七百万トン程度が一番新しい数字でございます。
#67
○須藤五郎君 そうすると、いま現在この二千七百万トンを出炭するために働いておる労働者の数はどれだけでございましょうか。
#68
○政府委員(佐伯博蔵君) その前に、私が先ほど申しました二千七百万トンは四十七年度でございまして、先生お話になりました二千八百万トンは、四十七年の一月から十二月までの暦年の数字でございます。どちらも正しい数字かと思います。
 それから、労働者の数でございますが、これはちょっと古い数字でございますが、昭和四十七年十二月末でございますが、全国で常用労務者の方が三万四千八百五十五人でございまして、請負夫の方が全国で六千四百五十七人、臨時夫の方が千八百九十二人、職員の方が五千八百二十五人、合計いたしまして四万九千二十九人でございます。
#69
○須藤五郎君 そうすると、これを五十年度二千万トンにするとなれば、労働者を減らさなきゃならぬということはいやでもおうでも出てくる問題だと思うのですが、どのくらいの労働者にして、どれだけ労働者の数を減らそうというお考えですか。
#70
○政府委員(佐伯博蔵君) これも先ほど申しました昭和五十一年度の基本計画の中、あるいはそれの参考というようなことで五十一年度に生産量が幾らかと、それに基づきます労働者の数が幾らということは、基本計画の中ではっきりさせなきゃならないわけでございますが、現在の能率よりもそう飛躍的に能率が上昇するとは考えられませんので、これに、二千万トンに相応したような労務者の数になるのじゃなかろうかと思いますが、それはもう少し御猶予を願いまして、昭和五十一年度の基本計画の中ではっきりさすようにいたしたいと思います。
#71
○須藤五郎君 おそらく、委員の方々みなそういう点を非常に心配をしていらっしゃると思うのですね。先ほどの大矢さんの質問の中にもそういう意味が受け取れたんですが、八百万トンの石炭を減らすためには相当数の労働者を減らしてしまわなきゃならぬことになるだろうと思う。そのときにその労働者をどれだけ減らすかということは、いまあなた答えませんけれども、それをどういうふうにするかということですね。あと始末ですね。そういうこと、いま何も考えないでやっていらっしゃるのか、どういう考えを持っているか、そういう点ですね。それで私はどのような方法で進めるかということには、そのことも含まれてのことなんです。だから毎年どれぐらい石炭を減らしていく、そうして毎年どれくらいずつ労働者の数を減らしていくと、ついては、その減らしていく労働者はどういうふうにしていくんだと、そこまでやっぱり責任ある政府当局としては考えていかなきゃならぬと思うのです。それを私は聞いておるわけですね。
#72
○政府委員(佐伯博蔵君) ことばが足りませんで失礼いたしましたが、昭和五十一年度の基本計画をつくりますわけでございます。その間におそらく参考みたいな形になると思いますが、年次別のものも当然御検討願わなければならないわけでございます。
 その間に労務者の数はトータルでは減ってまいるわけでございますが、いわゆる定年退職等の自然減耗の方もおられます。それから一部よその企業にお移りになる方もおられるわけでございます。それから、特に閉山等がございますといろいろ問題がございます。そういうときには労働省のほうと十分連絡をとりまして、就職あっせんをいたすわけであります。それからまた、その地域を離れるのがいやだというような方も相当おられます。また、ほかのその地域の振興をはかるという意味から、もし閉山等ございましたら、企業誘致をいたしまして雇用につとめるというふうな、いろいろな手段を通じて雇用対策に当たってまいりたいというふうに思いまして、この件につきましては労働省とも十分連絡を――過去にもとってまいりましたが、今後ともとってまいりたいというふうに思います。
#73
○須藤五郎君 労働者は将棋のこまと違うんですよ。あっち移り、こっち移り、そんなぽつぽつと居住地を変わったり、そんなことのできる問題じゃないと思うんですね。やはり労働者には家族もあれば子供もある、子供には学校の関係もある、いろいろな関係があるわけですよ。だからあらゆる問題をよく考慮して、そうしてちゃんとした方針を立ててやらなかったら、自然に減っていくだろう、閉山して自然に減っていくだろうという、こんな安易な考え方ではこの問題は解決しないと思うのです。もっともっと働く人たちに親切に、親身になって末の末まで考えて、そして政府のほうでちゃんとした方針を立てていかないと私はいけないと思うんですよ。
 ところが、いま伺っていますと、それはあなた、何も立っていない。もうそのときになったらこうだ、ああだ、そのうち閉山で労働者は自然に減っていくだろう、定年がきて減っていくだろう、そんなことしかあなたの頭の中にないということは、労働者の立場に立ったらとても不安なことだと言わなければならぬと思うのですね。だから、もっとその点はよく考えて、労働者がいやな思いをしないでもいいように、ちゃんとこれから私は方針を立てていってもらいたい。もしもその方針が立ったら私たちに報告してください、こうこうこういうやり方でこういうふうに進めてまいりますということを報告してもらいたい。
 私たちはこの二千八百万トンですね、それを二千万トンにしていくことに反対なんです。減らすことに反対だということは、その結果いろいろな働く人たちも非常に迷惑をする、だから私たちは減らすことに反対なんです。あくまでも、もっと二千万トンを三千万トンにし、三千五百万トンにでもしていけというのが私たちの主張なんです。それをあなたたち減らすというんだから、減らす以上は責任を持ったやり方をしなきゃならぬ。ところが、まだ立っていないものを私がここで言えといっても無理だから、これ以上追及はしませんけれども、そういう方針でいっていただきたいと思うんですが、大臣、その点は間違いありませんか。
#74
○国務大臣(中曽根康弘君) 閉山の場合の労働者の対策に十全を期せなければならぬということは、御説のとおりでございます。
 ただ、閉山の場合の形態、内容が、各鉱山鉱山によって非常に違うと思うんです。北海道の場合、九州の場合、奥山の場合、里に近い場合、いろいろ違うと思います。したがいまして、そういう事態が出てきた場合に、その町の人に即したやり方、その会社の方針等もにらみ合わして立てていかなければならない――千差万別の態様があるように思います。しかし、基本的に共通しておることもあると思います。その基本的に共通していることにつきましてはお答えできると思いまして、その点については、研究した結果、先生のところへ御報告申し上げます。
#75
○須藤五郎君 石炭産業は、いま大手九社関係が二十炭鉱、それから中小三十八炭鉱、合計五十八炭鉱だと聞いておりますが、いままた大手優良炭鉱といわれておりました三菱大夕張が閉山の方向にあるというニュースが伝えられております。五十年度二千万トン体制というのは、一体幾つの炭鉱が残っているということなのか、政府はどのような見取り図を描いておるのか、伺っておきたいと思います。
#76
○政府委員(佐伯博蔵君) 全体の数字でございますが、これもおしかりを受けるかもわかりませんが、現在四十八年度以降の、昭和五十一年度までの長期生産計画をヒヤリングをいたしておる最中で、それを十分検討いたしまして昭和五十一年度の基本計画を作成をいたしたいということで努力しておる最中でございます。原案ができましたら、石炭鉱業審議会、これは御承知のように、労使、中立、需要者からなっておられるわけでございますが、その石炭鉱業審議会におはかりをいたしまして、五十一年度の基本計画をきめてまいりたいというふうに思っておる次第で、目下作業いたしておる最中でございますので、御了承願いたいと思います。
#77
○須藤五郎君 それじゃ、まだわれわれに報告するような見取り図はでき上がっていない、これからつくるんだということですね。それじゃ、これもできたら、できるだけ早く私たちに示していただきたいと思います。
 この大夕張炭砿の閉山は、単に労働者のみの問題ではないと思うんですね。夕張市鹿島地区は三千二百四十六世帯の人が住んでおる。一万一千九百三十人、三月末現在住んでおる。その九〇%の人々がこの大夕張炭砿に依存して生活しておる人たちだと、こういうことですから、もしもこれが閉山してしまったら、その一万一千人ほどの人がいろいろな問題で苦しまなきゃならぬ事態が起こるわけなんですね。それに対してどういうふうな対策を政府は現在立てていらっしゃるか、伺っておきたいと思います。
#78
○政府委員(佐伯博蔵君) 大夕張炭砿につきましては、昨日、いわゆる会社側が労働組合に閉山の提案をしたようでございます。
 先ほど大矢先生の御質問にお答えしましたように、この炭鉱は最近特に坑内の自然条件が悪くなりまして、きわめてきびしい状態にあるのは事実でございますけれども、私たちは、先ほど先生がおっしゃられますように、閉山ということになりますと社会的影響がきわめて多うございますので、最終的には、炭鉱の将来の問題につきましては企業自身が自主的に判断なさることだと思いますけれども、私たちとしては、何としてでも長期に安定操業ができるような形でいまなお検討いたしておる次第でございます。まずそれに力を入れてまいりたいというふうに思います。
 しかしまだ、先ほど申しましたように、きわめてきびしい状況でございます。検討した結果、やはりどうしても閉山をしなければいけないというふうなことに相なるような場合がございましたら、直接的には会社とも十分相談し、また労働省とも相談し、それらの対策は当然万全を期せなければならないわけでございます。長期に安定できるかどうかというところに、まず検討をしたいと思っております。
#79
○須藤五郎君 そうすると、閉山しないでもいいように政府としてはいろいろな手を打ってやっていきたいと、そういうふうに理解していいわけですね。
#80
○政府委員(佐伯博蔵君) そういうことで検討いたしたいと思いますが、先ほど申しましたように、過去数ヵ月私たちもいろいろ検討いたしましたが、きわめてきびしい状態に、状況にございます。そのようにいくかどうか、相当の疑問がある状況でございます。
#81
○須藤五郎君 まあ二十三日に、現地で労働組合と会社側との最後の交渉が持たれるように記事には出ております。どういう結論が出るかわかりませんが、政府としても、あくまでも炭鉱閉山はしないで続けていくように努力せよということをやはり炭鉱側に、企業側に私は政府から言うべきだと思いますが、その意思表示はしていらっしゃいますか。
#82
○政府委員(佐伯博蔵君) そのとおりでございます。私たちのいろいろな制度がございます。制度の範囲の助成は大いにするからということを含めまして、そのように会社のほうに言っておりますが、現状がきわめて苦しいのもまた事実でございます。
#83
○須藤五郎君 石炭鉱業審議会答申ですね、政府の資料にありますが、それによりますと「長期石炭対策について」と、こうなって、昭和五十年度二千万トン体制維持のため需要業界に一定の数量を引き取るよう要請しておるが、これについて需要業界は一体その点を確約しておるのかどうか。答申の要請数量よりも需要筋の引き取り数量が下回る場合もあり得ると思いますが、そのときは第五次対策は根底から私はくずれ去るものだと思います。そのような現実が昭和五十年に起こった場合、政府は一体どうするのか。答申の要請数量を引き取るように需要業界に対して何らかの法的強制力を持った手を打つのかどうか、伺いたい。
#84
○政府委員(佐伯博蔵君) 答申案をつくります段階ではいろいろ御意見があったように聞いておりますけれども、需要業界も含めまして十分検討した結果石炭対策ができ上がったわけでございます。私たちは、これに盛られました数字は需要業界も引き取ってもらえるというふうに確信をいたしております。
 それから万が一、先生おっしゃるような事態になった場合、あるいはなりそうな場合には、石炭鉱業審議会で御検討願ったわけでございますので、石炭鉱業審議会におはかりして対策を練ってまいりたいというふうに思っております。
#85
○須藤五郎君 先ほど大矢さんも質問されましたが、北電で伊達に重油の火力発電所をつくる、それで住民がそれに反対して、そしてデモをやっているような、きょうテレビで私はこれ見たんですが、そういう状態が起こっておる。北海道といえば、石炭が最も安く手に入る地域だと思うんですね。だから、北海道は重油の発電所なんぞやらなくて、石炭を使ってそしてどんどん発電をしたら私はよかないかと、こう思っておるのですが、北海道においてすらも石炭をやめて重油をたくというようなことなんでしょう。それに対して政府はどういうふうな手を打っていらっしゃるのですか。こういうことすらも何ら政府が打つ手がないというようなことならば、いまあなた方の考えているような需要業界を説得をすることもできなければ、もう需要業界は自由かってにやれということになってしまって、この計画そのものはとうてい私は実現していけないんじゃないかと思うんですが、この北電に対して何か手を打たれましたか。また打とうというお考えですか、どうですか。これは放置するのですか。
#86
○政府委員(外山弘君) 伊達火力自身がなぜそこに立地し、重油専焼の発電所にしたかの経緯は、私、実はよく存じません。しかし、産炭地火力を今後北海道にぜひ設置していきたいということは、先ほども大臣が御答弁なさったように、私どもとしては、電発なり北電なりそういうところを通じてその計画が進むように懸命の努力を今後払っていきたい、こう考えているわけでございます。
#87
○須藤五郎君 それは少し私は手ぬかりだと思うんですね。発電所の設置は通産省が許可しなければできないのでしょう。それならば、前もって北電から、これこれの発電所を伊達につくりたいが許可してもらいたいということは通産省に言ってきているはずですよ。そのとき通産省として、そんなばかな計画やめろ、おまえのところは安い石炭が手に入るじゃないか、石炭でやっていけということを、石炭を守っていくという熱意がもしも通産省にあるならば、それくらいのことはやるべきじゃないでしょうか。そんな手を一つも打ってないで、向こうの言いなりで判こを押してしまって、そしていまどうのこうのと言っているのじゃおかしいじゃないですか。いまからでもおそくないから、どうですか、そういうふうにやったら。そのくらいのことやらなかったら、これは守れませんよ。
#88
○政府委員(外山弘君) これは先ほどもお話が出ておりましたが、公益事業局が来ていないので、あえてそれ以上の御質問がなかったわけでございますが、私自身も、この計画を電調審が答申して公益事業局の指導のもとに行なっているということは、実を言うと鉱山石炭局のほうの関係じゃございませんものですから、それで先ほどのような御答弁を申し上げたわけでございます。
 それから、その時点におきましても、おそらく第五次答申の前にそういった計画が進んでいたのじゃないだろうか。確かに基本的にコストの問題あるいは公害の問題等がございますから、産炭地火力はよほどわれわれが努力いたしませんと、なかなか電気事業者が向いてこない。私どもも今後も公益事業局とよく相談いたしまして、産炭地火力の推進をはかりたいと思っております。大臣も先ほど、公益事業局のほうによく指示をしておるというふうにおっしゃっておられます。今回のような問題を機会に、産炭地火力の実現が一日も早く確実なものになるように、特に北海道においてはいち早くそれが実現できるように、私どももこれから努力をしてまいりたいと思っております。
#89
○須藤五郎君 いまそういうふうな言いわけをなさるでしょうけれども、事ここに至るまでに、通産省としてはやはりもっと責任を持って手を打って、そういう計画を未然になくすために私は努力していくべきだと思うんですよ。知らなかったじゃ済みませんよ、通産省が許可することになっているのですからね。だから、最後の責任は通産省にあるはずですよ。それを知らなかったとかどうのこうの言ってごまかしては、それはいけないですよ。全然これまで何にも手を打ってなかったのですか。どうですか、大臣、こういうことはやはりもっと責任を持って政府当局でやってもらいたい。それでなかったら、この計画自体もくずれ去ると私は思うのですよ。どうでしょうか、その点は。
#90
○国務大臣(中曽根康弘君) 伊達火力の問題につきましては、住民との間で問題があるということはわれわれもかねてから知っておりました。それで、できるだけ住民と調節をとって、北電が考慮するようにと、そういうことも言っておきましたし、北海道庁のほうにもそういうことを言っておきました。最近、情勢が緊迫してきたということを聞いておりまして、たいへん遺憾に思っておるところでございます。
 それで問題は、やはり先ほど大矢さんのお話がありましたように、重油専焼火力というところに問題がありそうで、われわれといたしましては産炭地火力というものにめどをつけて、そうして北海道の皆さんに安心を願うようなことを一歩でもできるだけ早く前進をさせたい、こう思っておるわけであります。
#91
○須藤五郎君 「石炭対策について」という閣議決定を見ますと、第一に「国内炭の需要の確保」を掲げております。その内容は、「電力、鉄鋼等大口需要業界における国内炭の引取りを強力に指導する」と、こういうふうにありまして、「昭和五十年度において二千万トンを下らない国内炭需要の確保に努めるものとする」こうありますね。この表現を考えてみますると、石炭は生産しようとすれば二千万トン以上生産できるのだが、多く生産しても需要家がそこまで引き取ってくれないので、石炭の生産は需要の範囲内に押える。つまり、需要が確保されれば生産をふやせるし、需要にこたえる力もある、閉山はしなくてもよいのだということを意味していると私は考えますが、どうでしょうか。石炭産業を守り、発展させるために、需要業界にもっとたくさんの石炭を使用することを義務づけるなど強力な指導を行なうべきだと考えますが、政府は、そのようにすることをはっきりとするというふうに答えてもらいたいと思いますが、通産大臣、ひとつお答えを願いたいと思います。
#92
○国務大臣(中曽根康弘君) 石炭政策の問題は需要家の確保にあり、私たちも長期的な、永続的な政策を考えると、そういうふうに考えるわけです。現にいままで衰退してきたもとは、石油に追いまくられて、需要家が石炭から石油に転換したというのが一番近い原因でございます。そういう意味において、需要家を確保するという点において、通産省としてもまず全力を注ぐべきものであると、そのように考えます。
#93
○須藤五郎君 通産省が各電力業界をたずねて、今年度はこれぐらい石炭を使ってほしいということをやっているということは私も知っているんです。しかし、業界がなかなか聞かないということも事実なんですね。そうすると、通産省が何か私はもう少し強力な法的な義務づけをするとか、強力な、より強力な指導を行なわないとなかなか思うようにいかぬものだと思っておるのですね。そこで、私は通産大臣の決意をうながして、ひとつ日本の石炭を守る立場に立って、大いに電力業界を説得して石炭を使うような方法を何らか考えて、実際やっていってもらいたいというのが私の願いなんです。ひとつ通産大臣、大いに決意を扱瀝してもらいたいと思うのですがね。
#94
○国務大臣(中曽根康弘君) いままでも努力はしてまいりましたが、さらに一そう努力してまいるつもりでございます。
 大口需要家というのは鉄鋼、電力、ガスでございます。特に電力筋が大口需要家の中に入ります。それで、毎期毎期生産者側とこれらの需要家の間で引き取り数量のけんかがございます。それから引き取り価格に関するけんかがございます。通産省はいつも乗り出しまして、私もときどき電話をかけまして、社長に対して強い要請をいたしておりまして、数量と価格の問題について努力をしてきたところでございます。今後もそういう行政指導的な力を発揮いたしまして努力していきたいと思います。
#95
○須藤五郎君 最後に伺いますが、世界の石炭生産高が昨年の七月の「石炭時報」に出ております。これを見ますると、米国――アメリカも一時減りましたけれども、まただんだんとふやしてきて、七一年度には五億九百五十六万六千トンですかね、そのぐらい掘るようになっていっています。それから、西ドイツもふえてきております。イギリスもふえてきております。ソビエトもうんとふえてきています。中国もふえてきておる。全世界合計の点でも七〇年度より七一年度はふえてきておるわけなんですね。ひとりだんだんと末細りになって減っていくのは日本だけです、大体。特に、今度はアメリカにおいても、石炭をたくさん使うようにせよという指示がニクソンから出ておるようなことも聞いておりますが、世界各国とも石炭に対してこれだけ大きな関心を払って、そして石炭の需要をだんだんとふやしておるのに、ひとり日本だけが何で石炭の需要がだんだん減ってしまっていくということになるんでしょうか。これは一体どういうことが原因なのか。
#96
○国務大臣(中曽根康弘君) やはりイギリスにしても、ドイツにしても、アメリカにいたしましても、炭質がいいということ、それからかなり多量に存在しているということ、それから掘りやすいということ、そういうようなことに加えて、内陸にございまして、工場や何かも内陸に存在すると、そういうことから輸送上の問題もあると思うのです。
 日本の場合は、それほど炭量が豊富でない。それから品質において外国に劣る。したがって炭価も高くなる。それから、使う工場が臨海工業地帯に大体集中しておりまして、大型の船で外国の安い石炭を持ってきたほうが、あるいは外国から安い石油を持ってきたほうがはるかに格安にできると、こういうことで、強粘結炭にしても石油にしても外国にどうしても手を出すと、そういう形になってだんだん押されてきたというのが実情であります。
#97
○須藤五郎君 条件が違うということなんですね。
 先ほど通産大臣は、石炭のある限り石炭対策は続けなければならぬということをおっしゃいましたが、そうすると、石炭対策に今度第五次――第四次のときもそうでしたが、毎年一千億ぐらいの金がこれにつぎ込まれていくわけですね。その金は税金だということです。そうすると、今後石炭のある限り、日本の国民は自分たちの税金を石炭山につぎ込んで、そうしてがんばっていかなきゃならぬかということにもなってくるわけなんですがね。いまのような企業のあり方で、はたして国民がそういうやり方を承知するかどうかですね。きのうも私は申しましたように、そうなるとやはり国民の納得する形をとっていく必要があると思うんですが、国民が最も納得する形といえばどういう形だと通産大臣はお考えになっていますか。
#98
○国務大臣(中曽根康弘君) この点は須藤先生と私のいつも見解の違うところでございますが、国民の側からすれば、なるたけ税金を使わないで済む、そして安く上がる、しかも石炭に従事していらっしゃる皆さんの民生や待遇がめんどうを十分見られるようにしてあげたいと、それから、あんまりわずらわしいことはやめたほうがいいと、そういうようないろいろな要望があると思うのです。
 それで、税金をなるたけ効率的に使うという面から見ると、ここが先生と違うのですが、国有化でやるのがいいのか、いまのままでやるのがいいのか、こういうと、やはり国有になると役人の数がもっとふえてきたり、あるいは能率において落ちるところがあるのではないか。それよりも、いま企業者の努力をさらに努力させるようにさせながら、ある程度自由を認めつつ効率的にやっていく、そっちのほうが役人の数も少ないし、税金の効率もいいんではないかというふうに国民がとるであろうとわれわれは考えております。先生は別のお考えをお持ちだろうと思うのです。どちらが正しいか。まあわれわれはわれわれのほうが正しいと思って一生懸命やっているところですが、われわれの政策が破綻すれば先生のお考えが正しいと、こういうことになるかもしれません。(笑声)
#99
○須藤五郎君 まあ最後は見解の相違ということになってしまうんですが、あなたは、政府のやることだから成功するときもあれば失敗するときもあるんだと、できるだけ失敗を少なくしていきたいんだと、こういうことをかつておっしゃいましたがね。その政府の仕事でも、失敗をされちゃ国民は困るんですよ。失敗したじゃ済まないんですよ、国民は。大きな被害を受けるんですから。だから、どうしたら国民に最も納得してもらえるかという点をもっと真剣に考えて、その方策を立てていっていただきたいと思うんですよ。国民も、石炭をもうやめてしまえ、外国から石油を買ってやったらそれでいいじゃないか、石炭なんかもう穴を埋めてしまえと、そんなことを言いませんよ。やはり日本の持つ唯一のエネルギー資源ですからね。これは大切にしていかなかったら、いつ何どき重油をとめられたらどうしますか、そんなことはできない。
 だからわれわれは、やはり国の資源を大切にしなきゃならぬという立場に立ってやっているんです。企業を守るという自民党の考え方ですね、資本家の利益を守っていかなきゃならぬという自民党の考え方によって、この石炭対策というものが石炭がなくなるまで続けられたら、これは国民はたまったものじゃないと思うんですね。だから、ほんとうに国民の納得する形で石炭産業というものはやっていかなきゃならぬ。それにはやはり企業にまかせるよりも国営化にして、みんなが力を合わしてやっていくという形をとるべきじゃないかというのが私の考え方です。これは何もイデオロギーの問題じゃないですよ。私たちも国民の立場に立ってこういう考えを持っておるんです。あなたも意見を述べましたから、私も意見を述べてそれで終わりにしましょう。
#100
○小委員長(阿具根登君) 他に御発言がなければ、小委員会における審査はこの程度といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○小委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 なお、商工委員会における小委員会の報告につきましては、これを小委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○小委員長(阿具根登君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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