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1972/06/18 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第3号
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1972/06/18 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第3号

#1
第071回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第3号
昭和四十八年六月十八日(月曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
   小委員の異動
 四月二十五日
    辞任          細川 護煕君
 六月六日
    辞任          峯山 昭範君
 六月十六日
    辞任          小野  明君
 六月十八日
    補欠選任        剱木 亨弘君
    補欠選任        細川 護煕君
    補欠選任        村田 秀三君
    補欠選任        峯山 昭範君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    小委員長        阿具根 登君
    小委員
                剱木 亨弘君
                若林 正武君
                大矢  正君
                村田 秀三君
                峯山 昭範君
                藤井 恒男君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   中曽根康弘君
   政府委員
       通商産業省公害
       保安局長     青木 慎三君
       通商産業省鉱山
       石炭局石炭部長  佐伯 博蔵君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       厚生省環境衛生
       局環境整備課長  折田 貞雄君
       通商産業省公害
       保安局石炭課長  原木 雄介君
   参考人
       常磐炭礦株式会
       社取締役社長   中村  豊君
       常磐炭礦株式会
       社取締役西部鉱
       業所所長     岡部 元治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (常磐炭礦株式会社西部炭鉱における災害に関
 する件)
    ―――――――――――――
#2
○小委員長(阿具根登君) ただいまから石炭対策に関する小委員会を開会いたします。
 小委員の異動について御報告いたします。
 本日、欠員中の小委員の補欠として剱木亨弘君、細川護煕君、村田秀三君及び峯山昭範君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○小委員長(阿具根登君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 常磐炭礦株式会社西部炭鉱における災害に関する件の調査のため、本日、参考人として常磐炭礦株式会社取締役社長中村豊君及び同社取締役西部鉱業所所長岡部元治君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○小委員長(阿具根登君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○小委員長(阿具根登君) 常磐炭礦株式会社西部炭鉱における災害に関する件を議題といたします。
 まず、本件に関し政府側から報告を聴取いたします。青木公害保安局長。
#6
○政府委員(青木慎三君) 去る五月二十九日及び六月十二日に発生いたしました、常磐炭礦株式会社西部炭鉱の災害について御報告申し上げます。
 まず最初に、当炭鉱の概要について申し上げますと、所在地は福島県いわき市渡辺町、社長は中村豊、保安統括者は岡部元治であります。
 当炭鉱は、旧常磐炭鉱西部坑の一部を昭和四十六年四月二十七日に分離して操業を開始し、今日に至っております。
 採炭作業場は一カ所で、鉱山労働者数は千百名、他に職員約百八十名で、月産四万トンの一般炭を生産し、主として常磐共同火力に納炭しているものであります。
 まず、五月二十九日の災害について申し上げます。
 この災害は、西部立て坑坑底から約六十メートル離れた第三人道坑付近で午後二時三十分ごろ発生しました坑内火災であります。この災害でなくなられた方は四名で、うち三名は一酸化炭素による中毒死であり、残りの一名の方は、消火作業中に落盤によりなくなられた方であります。
 災害の状況としては次のとおりであります。
 五月二十九日午後二時三十分ごろ、西部立て坑坑底から第一人道坑に煙が流れているのを立て坑人車の信号員が発見し、坑務所に連絡いたしました。直ちに鉱長以下十名が入坑して状況を調査したところ、排気連絡坑道より火と煙が第一人道坑に流出しており、火勢が相当に強い状況であったのを認めました。当時、坑内には五百二十九名が入坑していたので、保安統括者等は、直ちに入坑者に一斉指令装置によって避難するよう指示するとともに、消火に着手したのであります。
 入坑者は、坑内の安全と思われる個所に一時避難したあと、二十九日二十一時三十分ごろまでに五百二十六名が出坑したのでありますが、三名が一酸化炭素中毒により死亡いたしました。また、出坑した者のうち十六名が一酸化炭素中毒により入院いたしましたが、その後六月十六日までに十三名が退院し、三名入院中であります。
 一方、排気立て坑付近で消火作業中、午後九時ごろに落盤が発生し、一名が頭部に重傷を負ったので坑外へ収容し、手当てをいたしましたが、手当てのかいもなく、なくなられました。
 災害の発生後、救護隊員等による消火作業が行なわれた結果、六月二日、火薬取扱所付近を最後としてようやく鎮火いたしました。
 通商産業省といたしましては、東京鉱山保安監督部及び同平支部から鉱務監督官を派遣し、災害の処理及び原因の究明に当たらせたほか、本省としても事態を重視し、直ちに公害保安局石炭課長を現地に派遣し、入坑者の救出及び原因調査の指導に当たらせました。原因につきましては検察庁の指揮を受け、福島県警本部と協力し司法捜査を行ない、証拠品の鑑定を行なう等、災害の原因究明につとめております。
 次に、六月十二日に発生いたしました災害についてであります。
 この災害は、十二日二十二時三十分ごろ、排気坑道で煙が流れているのを巡回中の係員が発見したのが端緒でありまして、災害の発生個所は、前回の災害のありました西部立て坑の坑底から約四千メートル奥に入りました東一斜坑右一片坑道で、最初の発見者が発見しましたときは付近のワク、ベルトが燃えていたのであります。
 当時入坑しておりました二百三十名は、無事避難昇坑したのでありますが、火災現場は消火せんによる直接消火が落盤により成功せず、これを密閉しようとして作業を続けたのでありますが、たまたま排気側の板張り密閉を行なっていた作業員が、十三日午前八時過ぎに密閉から漏れて出た一酸化炭素を吸い、十二名が入院したのであります。十二名の症状は比較的軽症でありますが、十六日現在、なお入院中であります。
 当省といたしましても、前回に引き続く災害でありますので、これを重視し、東京鉱山保安監督部及び同支部から鉱務監督官を派遣すると同時に、公害保安局石炭課長を現地に派遣いたしました。
 また十三日、公害保安局に常磐炭礦社長を呼び厳重に警告したほか、西部炭鉱保安統括者及び保安技術管理者に対し、災害発生報告の遅延、災害に対する応急措置が不十分であったことについて戒告書を交付しました。
 以上でございます。
#7
○小委員長(阿具根登君) 次に、常磐炭礦株式会社社長中村豊君から説明を聴取いたします。中村参考人。
#8
○参考人(中村豊君) 常磐炭礦の社長中村豊であります。
 本日、先生方御多端のおりから、まことに恐縮に存じます。
 去る五月二十九日、坑内火災の重大なる災害を起こしまして、四名のなくなった方と十六名の負傷者を出し、御本人また御遺族に対しまことに申しわけなく、世間さまにも何とおわびのしようもないありさまでありましたのに、採炭再開の翌日六月十二日、再び坑内火災の重大事故を起こし、十二名の負傷者を出し、重ね重ねで何ともおわびのいたしかたないように相なりました。まことに申しわけありません。
 常磐炭鉱は、従来は福島県、茨城県で四山、年産三百万トンの山でありましたが、四十六年にそのうち三山を閉山し、ただいまでは福島県の西部炭鉱一山だけとなりまして、四十七年の生産は六十三万八千トンであり、人員は千二百八十名であります。
 五月二十九日、午後二時三十分、西部人気立て坑下の信号員と一番方係員がほとんど同時に坑道に煙を発見し、火の元はすぐそばの倉庫であることがわかり、直ちに坑内の放送設備であるページングをもって坑内の全員に事故を急報して避難を指令し、一方、報告を受けた鉱業所長は、直ちに救護隊を招集して発火地点の消火につとめ、発見から二時間半たった五時ころまでには大体の消火の見通しもついたので、風下の坑道を捜索したるところ、坑道に三名が倒れておるのを発見、救急法を施しても助からぬというところになっておりました。
 なお、午後九時ごろ、発火地点に残り火があることがわかったので、第一線に立って消しとめておった係員一名が、落盤のため二次災害にあって死亡する事故になって、まことに残念であります。
 また、そのころまでには消火によって通気が良好になりましたので、避難しておった五百人以上の在坑者は、一部の警戒員を残して全員の昇坑を確認いたしました。うち煙を吸ったと思われる十六名を入院させました。現在は三名だけ残っております。
 このときの火災の原因はまだ調査中でありますが、倉庫内の電灯線のスパークではないかといわれております。それにしても、古い電灯線の不断の安全点検に手落ちが考えられ、自責にたえないところであります。
 その後、当局の指示によって坑内各所の保安点検、原状回復につとめてまいって、六月十一日、事故から十四日目でありますが、操業再開の許可によって採炭を開始いたしました。
 その翌日、六月十二日午後十時半、前の火災地点から約四キロ奥の東一斜坑の採炭切り羽に近い本坑道の排気のベルト坑道で保安係員が煙を発見したので、直ちにページングをもって全員人気坑道に退避するよう指令し、全員無事でありました。担当の保安係員と防火警戒員が直ちに火元を探したところ、本坑道に連絡するすぐ下のベルト坑道に火元があることを発見したのであります。直ちに消火せんのホースで消火につとめましたが、入り口は消火できても、奥のほうは落盤の危険もあって消火が完全にいかないので、その坑道の通気を遮断するほかなく、そのため、まず板張り密閉を人気側、排気側ともに構築して、最終的にはフライアッシュ充てんをすることに決断して作業にかかり、翌十三日午前八時ごろ、この張り切り作業が終了する直前に、排気側の坑道張り分けのビニール膜の破損からCOが吹き出し、これを作業員が吸い込むという二次災害を起こした事故はまことに残念であります。幸い、入院して軽傷で済みました。
 今回の火災は、切り羽に近かったのに、ちょうど交代時で切り羽に人がいなかったことと、事故通報も早くて幸いでありましたが、この時間帯が違っていたらたいへんであったと、あとおそろしくなりました。ただいまのところ、フライアッシュ充てんも完了いたしました。しかし、事故発生後、直ちに当局に通報することなどたいへんおくれまして、不始末は重々申しわけなく存じます。この上は、ほんとうに保安の原点に立ち返って保安第一にいたします。それには監督官庁の指示によって、不断に諸設備を完全に点検し、全員の事故予防の保安体制を徹底いたします。また、各員がふだんから事故の際のおのれの任務をはっきりさせておいて、原因別に起こり得るあらゆる事故を想定し、また、時間帯を区分して災害演習を実施し、通報、連絡、避難、処置、あと始末など、落ちついた活動ができるまで訓練を続けるつもりであります。ほんとうにおくればせながら、災害を絶滅するための気力をふるいたいと思います。
 重ね重ねの不始末、あつかましいお願いで恐縮でございまするが、もう一度お許しを賜わりますようお願い申し上げる次第であります。
 以上であります。
#9
○小委員長(阿具根登君) これより質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○大矢正君 私は、長い間石炭問題に関係をしておりますし、国会に出て以来、一貫して石炭対策特別委員会、また、ただいまの石炭小委員会に籍を置きまして、石炭政策あるいはまた保安問題に取り組んで今日に至っております。私はここで前提として、私が感じておることを、政府と、本日御出席をいただいた当事者であります常磐炭礦の社長並びに保安統括者に申し上げたいと思うのでありますが、なるほど、いま社長から二度とかかる事故を起こすことのないよう最善の努力をいたしたいという話のようでありました。しかし、私はこの二度の災害を考えてみまするに、常磐炭礦という山をこのまま存続をさせておくことがはたして社会的に正しいのかどうかという根本問題に突き当たらざるを得ないということをまず申し上げたいと思う。
 若干ことばはきびしくなるかもわかりませんが、私は、政府並びに常磐炭礦の責任者に申し上げなければならないことは、私が申すまでもなく、底を流れる考え方の中に、まあいままでやってきているんだから、この程度のことをやったってたいしたことないじゃないかというような安易な過去の経験だけでものを考えようとすること、それから坑内は一種の治外法権であって、それは保安統括者に一切の権限があるんだから、外にいる者、たとえば監督署にしてもそうであるし、消防署にしてもそうであるし、そういうものは、いってみれが事が解決をしてから、終わってから説明をすればいいんじゃないかというような、そういう思想がこの二度の事故に存在をしていたのではないかということを、私はきびしいようでありますが、この際、言わざるを得ないのであります。
 そこで、まず私は政府にお尋ねをいたしますが、第一回目の、この倉庫に火災が発生をし、しかもその発生した地点というものは多量の火薬類を保管をしている位置と近接をしておりました。この問題についてただしたいと思うのであります。最も近いところに火薬の保管場所があるということを前提として考えた場合に、倉庫で火災が起きる、そういうような条件というものは、絶対にこれは前提としてつくっちゃいけないことではないかと思うのであります。すなわち、どのような事態が起きようとも、九九・九%ではない、一〇〇%その火薬が保管されている付近において火災が発生をするなどということは考えられないという条件をつくることが、まず私は炭鉱を経営していく上において、企業を経営していく上において考えなければならない根本だと思うのでありますが、どうもそういうところが見受けられない。まず、ここからお尋ねをいたしたいと思います。
#11
○政府委員(青木慎三君) 今回の火災が火薬貯蔵所の近くにあります倉庫から発生しましたことは、私ども監督の立場に立っている者といたしましても非常に遺憾でございまして、現在、規則上は直ちにこれが保安法の違反になるということではございませんが、措置といたしましては、はなはだ危険な状態でございますので、たとえ倉庫に可燃物がほとんどなかったということにいたしましても、木組みその他が燃えることもあり得ますので、先生御指摘のとおり、一〇〇%安全とはいえない状態であったと考えざるを得ないわけでございます。したがいまして、今後こういう事故の再発を防ぎますためには、私どもといたしましては、原因究明の済みました後におきまして、規則の面においてもこういう面をどういうふうに取り扱いするか、十分検討いたしたいと考えております。
 なお、こういう事故は、私どもとしましては過去しばしばあったわけではございませんので、全国の監督局部のこの方面の担当者を集めまして、現地で十分その状況を説明しまして、今後の監督につきましてはこういう点を十分注意するように会議を開く予定にもしておりますので、今回の経験を踏まえまして、今後の事故の絶滅に努力いたしたいと考えます。
#12
○大矢正君 現在の段階では、第一回目の倉庫で発生をした火災の原因というものは、警察当局の手で現在調査中でありますから、確たることは言えないと思うんでありますが、しかしながら、火災が起きたということの根本原因は、何といっても、やはりそれは電気系統によるものではないかという一般的な見方というのはできるんじゃないか、私はそう思いますが、どうでしょう。
#13
○政府委員(青木慎三君) 現在調査中でございますので、確たる結論を得ているわけではございませんが、通常火源としては、そこには電気系統以外にはございませんので、一番大きな疑いとしましては、電気系統が火源ということは考えられるというふうに思います。
#14
○大矢正君 そうすると、すなおに局長は先ほど、こういう大量の火薬を保管しているその周辺に火災が発生をするようなたとえば状況ができたということはまことに遺憾であるし、法律違反ではないにしても、その事実それ自身はもう重大災害につながり、最悪の事態においては、この山全部がすっ飛んでしまうようなたいへんな事態になり得るということは確認されたわけですね。私は、この山だけの問題ではなくて、他にもやはりこの種こういうようなことが現に行なわれているといいましょうか、見のがされているところもあるのではないかと思いますので、法律、規則の改正もさることながら、実際問題としてすみやかにこの全国的な立場で点検をするよう、私は、まずひとつ強く政府に求めておきたいと思います。
 それから、第一回目の火災もそうでありまするし、第二回目の火災もそうでありますが、通報がかなりおくれているということが報道機関等で盛んにいわれおります。大事に至らなかったのは幸いであったが、もちろん犠牲者は出ましたが、これが万一大事故になった場合には、一体だれがその責任を負うのかというような非常にきびしい報道機関等の話も私は耳にいたしております。これは先ほど、治外法権というような意識があるのではないかということを私が申し上げたのは――会社には聞きませんよ、会社に質問するのじゃなくて政府に質問するのですが、私に言わせると、たとえば第一回目の火災、第二回目の火災等、いずれも、発生をしてからかなりの時間を経過して初めて保安監督部に報告をされているという実態、それから消防署に連絡をされているという実態、こういうものを見ますると、はっきり申し上げて、保安監督部あるいは消防署というような存在については、企業の側であんまり意識がないのじゃないか、そういうものの存在について。私は自分の感じでありますが、そう思わざるを得ない。一度ならず二度までもかなりの時間をおかなければ監督部に通報しない、消防署にも連絡しないというような、こういう姿を見ますると、これはもう常磐炭鉱の坑内は治外法権でもって、統括責任者だけが一切の責任と権限を持っているのだから、おまえらいろいろなことを言ったり考えたりすることはないというような意識が底を流れて、言ってみれば、保安局や保安監督部などというようなものは無視されておるというように考えざるを得ないが、その点はどうでしょう。
#15
○政府委員(青木慎三君) 今回の事故の際に、二回にわたりまして保安監督部に対する通報が相当時間経過してから行なわれたこと、並びに消防署に対する連絡も非常におそかったということについては、きわめて遺憾のきわみでございます。私ども保安監督局部といたしましては、炭鉱内の保安が単に炭鉱自身の問題であるのみならず、法律によりまして国が直接監督をするというたてまえになっておりますし、社会的な重大な責任がある問題でございますので、政府がこういう保安監督体制をとっておるのでありまして、その点に対する認識が薄いとすれば、これはきわめて重大な問題ではないかというふうに考えます。このため第二回目の事故の際には、特に、直ちに監督部長から行政処分としての戒告書を交付するというような処置をとったわけでございますが、今後とも炭鉱の保安監督にあたりましてはそういうことのないよう、各鉱山に対して厳重な警告を発しまして、保安の確保につとめてまいりたいというふうに考えます。
#16
○大矢正君 石炭課長でけっこうですが、この報告書の7の災害の概況の(1)に、「五月二十九日十四時三十分頃、西部立坑々底から第一人道坑に煙が流れているのを立坑人車の信号員が発見し、坑務所に連絡した。」、こうなっておりますね。この火災が起きたそう遠くない地点に、私のところにも図面がありますが、火薬を保管しているわけですね。そうすると、これは火薬の保管について、火薬類を取り扱う管理者というか、そういうものはそこに常時本来的にはおるものではないのでしょうか、その点はどうですか。
#17
○説明員(原木雄介君) いまの御質問でございますが、火薬類取り扱いではちょうど交代のときでもございましたので、一番方、二番方の係員が二人火薬類取扱所におりました。
 火薬の煙の発見がおくれました理由といたしまして、最初に火薬係員が感知できましたのは、私どもの調査では最初に火薬類取扱所の電気が二度ばかり薄暗くなりました。そこで、何か異常があるかなということで、火薬係員があそこの坑道のところまで出まして見ました段階で、煙が流れておるということで、一応スリッパをはいておりましたものですから、靴にはきかえて係員が二人で出たときには、相当の煙でやっと逃げ出した、こういう話で、あそこの現場からはちょっと煙が入道しているのは見つけられない状況にあったと思っております。
#18
○大矢正君 それは近くにいる、しかも、特に火とは重要な関係のある火薬類を取り扱っている、そこにおる者が火災の発見をしないで、遠くにいる信号員が発見して、初めて連絡をとったなどというようなことは、まあ私はちょっと常識としては考えられない。しかし、あなたがそうおっしゃるのだから、それもやむを得ないことだと思いますが、いずれにしてもあなた、これは相当な量の火薬がここにあったといわれておりますね。これに火がついて大爆発を起こすというような結果となったら、これはたいへんなものですね。おそらく日本始まって以来の炭鉱の大惨事になったでしょう。そのようなおそるべき大事故を起こすような状態に一度はなりながら、何らこれは反省をすることなく、いいですか、今度は十二日の事故のときには、これを見ますると、救護隊をうしろのほうで休ませておいて、素面の人間を入れてそして密閉の作業、準備作業ですか、それをやらせたという事実は、一体これはどういうことなんですか。やることは全部さかさまじゃないですか。いいですか、これは事故が起こったときはどこだって救護隊が入って徹底的にやって、いや、これなら素面で入っても、どの程度の時間ならば作業ができる、したがって、入れてやろうじゃないかというふうにやるのがあたりまえなんだ。ところが、救護隊がうしろにおって、素面の者が前に行っているなんという、こんなばかな事故の対策は私は見たことも聞いたこともない。どうですか、これは。
#19
○説明員(原木雄介君) 救護隊の活動につきましては、午前三時過ぎに私どもの支部長が参りましたときには、板張り密閉については救護隊でやっているのを確認いたしました。したがいまして、その段階で私どもの平の支部長の判断といたしまして、当然これは救護隊で行なわれるものという判断をいたしておったと思います。しかるに、その後素面作業を行なったということにつきましては、かりに二重のうちの一重の密閉が終わって、その状態についての安易感があったのが一つあるかと思いますが、もう一つは、今回の罹災者の一人に職員組合の委員長がいたそうでございます。その方がやはり現場に行きまして、その指揮で素面作業をやった、そこで係員がとめるのも聞かなかったというような話も――これは確かかどうか確認いたしておりませんが、話がございます。その辺、やはり職員あるいは関係幹部の保安といいますものに対する認識が非常に甘かったと言わざるを得ないので、この点は私どもも指導の徹底を欠いておったということで、深く反省いたしておるところでございます。
#20
○大矢正君 労務者は、別にメタンガスをはかる検定器を持っておるわけでもないし、言われるままに、いや、だいじょうぶだから入っていってやれと言われたら、ああそうですかといって入っていかなきゃならぬのが労働者の立場でしょう。それを、これはまあ確かに起きた事故の結果というものは、COを吸って頭痛を訴えて、十二名がCO中毒として診断され入院したということになっておるが、これはこの程度――この程度と言っちゃ語弊があるが、まあまあ死亡者もなく、とにかく、これはおさまったからいいようなものの、これはさっきの私が申し上げた第一回目の火災と同じような意識で、まだまだこれを次から次にやらしておいたらどういうことになりますか。そして死亡者が出たらどうしますか。
 私は念のために申し上げますが、こういう、確かになくならなかったからよかったけれども、もし、この十二名がCOを完全に吸って再起不能もしくは殉職していたら、一体これはどういうことになるのか、だれの責任になるのか。指導に当然監督署から行っているはずですから、その際は監督署から行っているその監督官にその責任があるのか、会社の保安統括者に責任があるのか、どっちに一体責任があるのか。これはまだ入院しただけでもって済んでいるからいいようなものの、もしなくなったらどうする、仮定だけれども。そういうことは絶対にないとは言えないでしょう、素面で入れているんだから。現にCOを吸っているんだから。たまたま量が少なかったということと、早目に頭が痛いということを訴えたからすぐおそらく変えたと思うので、これは事故が大きくならないで済んだかもしらぬが、まだ仕事をさしておったり、もう少しCOが多かったら、これは完全にあなた、この中へ入れた十二名はみななくなっていますよ。その責任は監督官にあるのか、会社側の保安統括者にあるのか、どっちにあるんですか。
#21
○政府委員(青木慎三君) 幸いにしてそういう事態に至らなかったわけでございますが、もしそういう事態に立ち至ったといたしますならば、まず、第一次的な責任は会社の保安統括責任者にあると考えますが、現場で指揮に当たりました監督官の指示が不徹底であれば、監督官にもそれ相応の責任があるというふうに考えます。
#22
○大矢正君 これはね、さっき社長は、まあ二度とこういうことのないように自分は今後やりたいからという御発言がありました。それは気持ちはわかりますが、一度ならず二度までもこういうことをやっておいて、しかも私はどう考えてみてもふに落ちないのは、これはNHKのテレビででも朝私は見ました、102ですか。私は北海道を中心とした炭鉱しか知っておりませんから、その常磐における炭鉱の現状というのはつまびらかにいたしませんが、まあ炭鉱である限りはそんなに大きな違いはないと思います。で、あのテレビなんかの話を聞いてみますると、保安というものに関しての注意というか、関心というものが非常に薄いように思われてしようがないわけですね。一体、この炭鉱では会社がふだんどういう保安教育をしているんでしょうかね。
#23
○説明員(原木雄介君) 炭鉱側の指導を具体的に申し上げますと、一応やっておりますのは、係員の保安講習会につきましては、これはいわゆる一般的な、法的なものでございませんが、会社のやっておりますのが二年に一度程度の保安講習、それから一般鉱山労働者教育といたしましては、毎方繰り込み前に一応の注意その他をしております。それから新規採用者教育というのは、新規採用時にやっておるというかっこうで、組織としては、私どもはそう内容的に問題があろうとは思っておりませんが、現実問題としてああいった現状でございますので、こういった教育内容の徹底自体が非常に甘かったというように考えざるを得ないのであります。
 ちなみに、ただテレビの発言をおっしゃられましたけれども、あそこの発言では、たえば西部炭鉱での自然発火災害までいきませんが、自然発火の徴候でございます発汗、発臭といったようなものがございますが、それが昨年一年間だけで二十五回発生しておりますといったことも、これはもう坑内に消火せんがございまして全部処置をいたしておったこともございますので、そういった意味で、自然発火自体の徴候が出たことには驚かなかったというような見方を私どもはいたしましたけれども、ついでに申し添えておきます。
#24
○大矢正君 石炭部長、ちょっと済みませんが前へ出てください。
 私は、いつだったか正確に日にちは覚えておりませんし何ですが、保安に関しての補助をふやす際に、予算の検討の段階で一度委員会で私は申し上げたことがあるんですが、保安に対して積極的な姿勢をとらない炭鉱があったら、その炭鉱に対する保安上の融資あるいは補助、特に補助ですね、こういうものについては、これを助成しないという強い態度をもって臨むべきではないかということで、それは全くそのとおりだ、経営者が非常な手落ちないしはまあ無意識かあるいは意識してかわかりませんが、事故を発生せしめたり発生させるようなおそれのある場合には、もう補助金はとめるんだという強い態度で臨みますということを、委員会で明確に政府側から答弁されておるんです。今回のこのような、人命こそ大量には損傷はしていないにしても、万一間違ったらもうたいへんな事態になるような災害を起こしたこの炭鉱について、これは従来どおり、ああけっこうでございますといって保安上の補助をそのまま継続してやるんですか。
#25
○政府委員(青木慎三君) 保安に対する体制が十分整わない炭鉱に対します補助金というのは、ある場合には削減するなり取りやめるというお考えは、まことに至当なものと私どもは考えております。ただ、この西部炭鉱の今回の件に対しまして直ちに補助金を打ち切る等の措置をとります前に、十分原因の究明をいたしますと同時に、今後のあり方について会社側ともう一ぺん十分な検討を行ない、そこで、会社側の体制がどうなるかという点を十分見きわめた上で適当な処分をいたしたいというふうに考えます。
#26
○大矢正君 石炭部長、お尋ねしますが、私はこの炭鉱に行ったことはございませんから正確にはわかりませんが、世の中の人でよくこういうことを私に言う人がいるんですよ。常磐炭礦というのは、表向きは炭鉱をやっておるんだけれども、その実はあのお湯がほしくてやっておるんであって、お湯を出すのか石炭を出すのかどっちが本体なのかというような、そういう話を私に言う人がいるんですよ。話に聞くと、何か年間二億円だかお湯の代としてこのハワイアンセンターですか、どっちかからもらうというような話を聞いておりますが、石炭部長、どうですか、この炭鉱の現状はどういう状態にあり、将来はどうなのか。私は、この炭鉱の前回の合理化のときですか、一部閉山、分離、その他いろんな過程がありましたが、その時点のときにはいろいろと承りましたが、特に、最近のこの炭鉱の状態、そして政府は、この炭鉱に対して現在の段階でどういうような助成をし、過去においてどういうことをやってきておるか、この際お答えをいただきたい。
#27
○政府委員(佐伯博蔵君) お答え申し上げます。
 この常磐炭礦は、先ほど社長からもお話があったようでございますが、現在、四十七年度で申しますと、この西部炭鉱で六十万八千、それから露天掘りでございますが、中郷鉱というところから十六万三千トン、合計七十七万一千トンを生産をいたしておるわけでございます。ここは、先生御承知と思いますけれども、常磐共同火力に大部分の石炭を納めております。そんな関係で大部分は常磐共同火力のほうにいっておる。それから家庭用その他の暖厨房用炭に、最近減ってはおりますけれども、ある程度根強い需要がございます。それからまた、比較的近いところの紙・パルプ関係の一般工場等への供給、これも従来に比べますと急激に減っておりますけれども、ある程度根強い需要がずっとあるというふうなことでございまして、大部分が常磐共同火力への納炭というふうな形になっておるわけであります。
 それから、当鉱は従来は大きかったわけでございますが、だんだん坑内条件が悪くなるというふうなことで縮小して、先ほど申しましたような生産になっておるわけでございますが、今後の問題といたしましては、先ほど申しましたように、常磐共同火力への供給というのが大部分でございます。それから紙・パルプ関係、それから暖厨房用関係もある程度ございますんで、それへの供給をずっと続けていくということでございますが、一つ、若干の問題点といたしましては、この地帯は地上の開発が進みまして、地上が工業団地あるいは住宅地になるというふうな傾向がございます。それらができますと、下部の採掘制限を一部しなきゃならないというふうなことが現在も若干出ておりますし、また、今後出てまいるおそれがあるというふうなのが若干の問題点でございますけれども、常磐共同火力、その他需要が比較的安定をいたしておりますので、現在は若干生産量は減るわけでございますが、長期にそういうところに供給してまいりたいというのがこの常磐炭礦の現状でございます。ただ、露天掘りは制限がございますので、そう長くは続けられないというふうな状況でございます。
 それから、ここへの助成でございますが、四十七年度で見ますと、対策額いわゆる助成をいたしておりますのは総額で十五億五千六百万円でございます。その内訳を申し上げますと、元利補給金いわゆる第一次肩がわりでございますが、これが五億五千六百万円、再建交付金、いわゆる第二次肩がわりでございますが六億一千四百万円、それから安定補給金が二億三千七百万円、それから坑内骨格構造整備拡充補助金が七千九百万円、それから保安関係の補助金が七千万円、以上合計いたしまして十五億五千六百万円でございます。四十八年度は、まだこれから行ないますので正確にはあれでございますが、新しくこの前の法律を通していただきましたのに基づきまして、第三次肩がわりを出すことで計画し、検討いたしております。それから、あとはあまり変わりませんが、坑内骨格補助金が、従来の補助率が七〇%に引き上げになりましたし、保安補助金が、従来の七〇%の補助金が七五%の補助率になるというふうな形で、その面からは若干ふえるというふうな状況になるかと思います。
#28
○大矢正君 所長さん、さっき私、ちょっとテレビの話を申し上げましたが、あなたのところの従業員の方々は、平均年齢四十七、八歳というふうに私は承っております。したがって、かなり古い人が多いだろうし、それから坑内になれていらっしゃられる方も多いと思いますから、やっぱり過去の、自分がやってきたことで十分事は足れるんだというふうな意識が、どうしても先に立つように私は思われてなりませんね。ですから、やはりそういう意味では、働く人々に対する保安教育という問題については、やれということを何でもやるからいいあんばいだというような、そういう企業経営上けっこうだというような立場でものを考えるのじゃなしに、もっと、事故を起こしたらどうするか、人命を損傷したらどうするかという立場から、むしろ働く人が、いや、これでもいいじゃないかと言っても、やはりきびしく保安厳守のためにあなたが先頭を切って説得してでもやらせるような、そういう保安確保に対する習慣なり気持ちなりを身につけさせなきゃならぬと思うが、あなたはどう思いますか。
#29
○参考人(岡部元治君) ただいま先生の御指摘、私も今回の事故で初めて反省を強くいたしております。
 御指摘になった点はよくわかりますが、一例で申し上げますと、こういう非常事態のときにやはり課長あるいは主任、係員あるいは作業者と組みました場合に、どうしてもしっかりした上席の係員がブレーキ役となって、腕組みしながら保安上の対策をこまかく指図をするということが一番大事かと考えております。今回も、鉱長あるいは課長が陣頭指揮をとりまして、第一の遮断等は私自身も陣頭指揮をとってやりました。それから二番目という問題からして、やはり当然課長クラスはブレーキ役としてこまかい陣頭指揮をとるべきだったと、いますでにおそい反省かもしれませんが、十分反省いたしておりますし、先生御指摘のとおり、今後はこの旨を第一とした保安教育の徹底をはかってまいりたいと思っております。
#30
○大矢正君 会社が起こした事故で、政府をきびしく私が戒めたり指摘をしたりすることは本意じゃないけれども、しかし、行政官庁としてはこれはやむを得ないことだと思いますよ。経営者の責任の一半もあなた方負わなければならぬのだから、そのことはやっぱり理解してもらわなければならぬし、覚悟してもらわなければならぬと思います。
 そこで、時間もだいぶ経過してきましたから、あと二点だけお尋ねをいたしますが、その第一点は、第一回の五月二十九日に発生した事故で、対策を講じ、六月の四日から現場検証が行なわれ、そして、おそらくこの時点では監督官が坑内を巡回をして、これならばよかろうということで、利が聞いた限りでは、月曜日の六月十一日の午後一時四十分に採炭オーケーの許可を与えたというふうに聞いています。ところで、十一日の午後一時四十分に採炭オーケーをして、十二日の午後十時に今度は二度目のまた火災が起きているのですね。これは理屈はいろいろあるんだろうが、私に言わせりゃ、どこを一体監督官は巡回したのか。しかもこれは、二回目の事故は自然発火でしょう、いわれるところの。といたしますれば、前の日に採炭オーケーをして、次の日は今度はまたもや自然発火による坑内火災だ、そしてまた犠牲者を出す、こういうばかげたことを続けていたのじゃこれはどうにもなりません。もちろん、監督官がやらしたくてやらしたんだとは私は思いませんよ。思ってもいないし、それは監督官は監督官なりに私はかなり坑内も回ったろうし、いろいろ見ても歩いたでしょう。会社必ずしも事故を起こしたいなどと思っているはずはないので、そのことを私はどうのこうの言いませんが、しかし、これはあまりにもひどいじゃないですか。前の日に採炭オーケーして、もう再開していいよと言っておいたら、次の日になったらまた事故が起きた、こういうような例というのはちょっと、私も国会に十八年間おるがいままで例がない。これをどう思いますか。
#31
○政府委員(青木慎三君) ただいま御指摘の点は、まことに申しわけないと存じますが、監督部がどのような判断をしたかについて一応御説明申し上げます。
 再開に備えまして、全坑内の一斉保安点検を五名の鉱務監督官が行なっております。その結果、六月五日付で東京鉱山保安監督部の平支部長から鉱業代理人あてに、災害発生時において的確、迅速に指示、命令を行なうこと等の十七項目の監督指示書を交付いたしております。これに対しまして、鉱業代理人からは改善実施報告書が提出れまして、六月六日に受理いたしております。
 改善実施結果につきましては、五名の鉱務監督官が追跡検査を行なっておりますが、指示項目中、十七項目のうち十六項目が実施されまして、一項目が改善継続中でございました。
 一方、坑内の機電関係につきましての総点検は、六月五日の一斉保安点検とは別に、鉱務監督官四名が六月六日から九日にかけて行ないまして、改善を必要とするところは、第一人道坑の電灯線の保安状況が不良であったため張りかえるというようなこと等十一項目ありまして、これは即時改善をさせたわけでございます。
 それから六月七日には、災害の重大性にかんがみまして、監督官指示書の内容を含めまして、東京鉱山保安監督部長名で鉱業代理人あてに火災防止、消火設備の完備、指揮命令系統の確立等特に重要な十項目についてあらためて文書で指示をいたしたわけでございます。それに対する改善実施報告書を六月九日に受理して審査した結果、一応操業を再開させてもだいじょうぶという判断をいたしまして、御指摘のとおり、十一日の十三時四十分に再開を許可いたしたわけでございます。で、その後直ちにまた第二の事故が起きましたことは、監督上まことに申しわけないことと思っておりますが、一応、再開にあたりましての監督官の監督実施状況は以上のとおりでございます。
#32
○大矢正君 最後に、大臣もお見えになったから、私は大臣にこの際、決意のほどを承りたいと思うのでありますが、途中からお見えになったので、私がいままで質疑をした内容についてはお耳に達していないと思いますが、二回続けて事故をやっておるというこの常磐炭礦ですね。しかもこれは、第一回目のときに火薬を多量に集積しているその近くで火災が発生しているのですから、万が一これが爆発でもしていたら、それこそ坑内全部すっ飛んでしまうというたいへんなおそれのあった事故ですね。二回目は二回目でもって、今度は救護隊が入るべきところへ救護隊でない素面で、すなわち、何の防御もしないで入っていって、そしてCOを吸ってひっくり返って入院しなければならないという、そういうことをやらかす。この二つの事故というものは、まことに不可抗力などと言えるような内容のものではない、はっきり言って。ですから、私はこの際特に指摘をしたわけですね。
 前の保安に関係をする方々は――政府のですよ、この種のような事故があった際には、たとえば石炭小委員長とか、あるいは私どものところに、まあ事故を起こしたあとはこうこうこういうような改善策をいろいろとやりました、坑内もこういう状況でございますと、したがって、そろそろ再開をさせたらいいと思うので、というような話は別に法律に書いてあるわけでもないし何でもないが、内々そういう話は従来から行なわれてきて、私どももそうかと、そこまで今度保安に力を入れるならば、それじゃひとつ再開をさせなさいよというような、そういう話し合い、まあお互いに納得づくの話し合いをしながら従来やってきたものですよ。ところが、そういうことが最近はどうも行なわれていないのです。これはどうして行なわれないか、私はこれ以上申し上げる気はございませんが、ただ私は、この際はっきり申し上げておきたいが、この常磐炭礦の再開をもし許すとすれば、それ相当な保安に対する具体的な対策を明確にしない限り私は納得しません。それから同時に、先ほども申し上げたとおり、保安上の助成もあるし、保安以外の、石炭部長がさっきも言った第三次肩がわりをはじめとする助成が幾多ありますけれども、そういうものだけを先行させてこの問題に対し、この山に対する安全維持のための具体的な諸方策を見出さないままにこの存続を許すようなことをあなた方がおやりになったら、私は私の立場でできる限りの徹底的な、これからいろいろな意味での抵抗をするということを申し上げておきたいと思います。私の言うことが無理なのかどうか、大臣にひとつ御見解を承りたいと思います。
#33
○国務大臣(中曽根康弘君) 最近二回、ごく短い時間の間に事故を起こしまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。この事故の責任は、第一義には企業体でございますけれども、やはり監督をやっておる通産省の責任も私たちは痛感しておるところであります。おそらく第一回の事故がありまして、会社側も官庁側も一応の点検なりあるいは監督上の措置をやったとは思いますが、第二回の事故が起きているところを見ると、何らかの管理的な機構や、あるいはそれを実行する人間の間にゆるみがあったんではないかという気がいたします。第一回は電気系統のことのようだという判定で、そっちのほうにわりあい力を入れていろいろな監督事務をやったのではないかという気もいたします。それから、火薬庫を外へ出すということを一番頭に置いてやったんではないかと思いますが、それ以外に、鉱山全体としての保安上の点検なり、あるいは監視ということがゆるんでいるんではないかということを私はおそれるものであります。
 こういう状況でございますから、こういう災害を三たびと起こさせないように、私たちはいままで以上に監督を厳にいたしまして、また、再開等につきましては、監督状況を御報告いたしまして、そして、国会との緊密な連絡をとりつつこの問題に対処していきたいと思います。
#34
○村田秀三君 私は、商工委員会には所属いたしておりませんでした。したがいまして、石炭等の問題についてはあまりよく存じません。しかしながら、同じ福島県であるということで、常磐炭礦のことについてはほぼ承知をいたしております。地元の空気はほぼ承知をしておる。そしてまた、現場を調査に行ってまいりました者といたしまして、今回の二回の炭鉱火災、これに関連をいたしまして、昨年十二月七日に発生をいたしました旧鹿島坑の爆発事故に中心を置いて、その企業責任、それと同時に、また行政責任、その所在について御質問を申し上げたいと思っています。
 全くこの二つの事故、それからまた廃坑爆発の事故などというのは、まさに想定もされなかったむごたらしい事故でございまして、どうしてもこの種事故というものをこれは防止しなくてはならない。この事故にあわれました罹災者それぞれにお悔やみを申し上げ、かつはお見舞いを申し上げながら、そういう決意に立って御質問を申し上げる次第でございます。時間が短かいので、どの程度詰めることができるか不安でございますが、残りましたなら、また別に時間をいただきましてやることにいたしまして、概略について質問申し上げますので、お答えをいただきたいと思います。また、大臣には、事が事でございますから、ずうっと論議をお聞きいただきまして、最終的にひとつ御答弁をいただくと、こういうことで御了承をいただきたい、こう思います。
 まず、この旧鹿島坑の爆発事故、これにかかわる行政機関なりあるいは機能と申し上げますのは、一つは、廃坑それ自体の問題、これは鉱業権者が管理の責任を有するということ。それから、それを使用許可をとって廃坑に産業廃棄物を投入いたしました福島環境整備センター、FKCとこう略称をいたします。それと、廃坑の閉塞工事を命じました、そうして鉱業権消滅を確認をいたしました石炭当局、その保安、管理の責任を有するところの保安監督、こういう関係と、それから清掃業者が投入許可の申請をいたしました行政機関、つまり福島県庁、こういう関係に相なろうかと思うのであります。複雑な問題でございますけれども、それぞれのいわゆる行政機関、あるいは責任、そしてその手続等についても若干私は不審に思う点もございますので、その点について触れていきたいと思います。
 まず、廃坑、つまり、鉱業権消滅を確認する際に、閉塞工事を命じました石炭当局、そのときに閉塞工事の設計といいますか、実施要領、それはどういうものであったか、まずお伺いをいたします。
#35
○政府委員(青木慎三君) この廃坑いたします場合には、石炭鉱山保安規則によりましてその坑口を閉塞するように規定されておりますので、この規定に従いまして、鉱業権者は、鉱山をやめますときにその坑口を閉塞する義務をこの規則上負っているわけでございます。その規則によります坑内の閉塞のやり方につきましては、技術的問題になりますので、担当課長から御説明申し上げます。
#36
○説明員(原木雄介君) 具体的に御説明申し上げますと、大体ここの鹿島立て坑の直径は約六メートルの立て坑でございます。横に昔の排気空洞等がついておるコンクリートのでっぱり部分がございます、出た部分がございますが、これらの開口部に対しましては、いずれも当時五十センチの厚さの鉄筋コンクリートでふたをいたしております。なお、当時の状態のあとで、当時といたしましてはまだ五十センチまでは要求いたしておりませんでしたが、会社側が五十センチの厚さにいたしております。その後、さらにこれを強化いたしました運用等を流してございますが、これではやはり最低五十センチということを、その後の運用で開口部のふさぎ方でございますが、鉄筋コンクリートで五十センチ以上の厚さに充てんしなさいという指令を全部やらして、いまの閉塞を確認いたしておるのでございます。
#37
○村田秀三君 その坑底部にガスどめの工事をする、こういうことで十メートルのコンクリートを打つような、そういう設計というものは事前にはなかったわけですか。
#38
○説明員(原木雄介君) 当時はございません。むしろ、逆に五十センチメートルの鉄筋コンクリートの厚さというものを規定いたしました最大の理由は、中に、坑内に、壁にメタンガスがたまります。一番強い爆発を起こしても、それに耐え得る厚さということで設計上の許可をいたしております。
#39
○村田秀三君 それではお伺いいたしますが、この福島環境整備センターが事業許可申請の際に、その申請書の冒頭に、廃坑ののち坑底部に十メートルのコンクリートが充てんをしてある、打ち込んである、こういうふうに報告をされておるそうです、申請書の中に。その事実は知っていますか。それと、その事実がかりにあったとすれば、これは保安監督部の指示に基づくものではない、こういうことが言えますか。
#40
○説明員(原木雄介君) 私どもといたしましては、法的に坑底部に、募底部と申しますのは開口したあとで捨てたということで確認でございますので、その当時にどういったような措置をしたか、私どもとしては確認いたしておりません。ただ、常識的に、捨てます前に、いろいろなことで外からの密閉と申しますかは不可能でございますので、生コンクリートを投入した、その量が二十トン程度ではなかろうかというような連絡は受けております。
#41
○村田秀三君 それは保安監督部として別に指示はしなかったんだが、閉塞工事をする際に坑底部に二十トン程度の生コンを流し込んだということですね。
#42
○説明員(原木雄介君) そういうことでございます。
#43
○村田秀三君 これは六月一日に現場を見せていただきました。その際に、平支部の係官が説明にきておりまして、そして十メートルのコンクリートを打つということになっておったんだけれども、しかし、結果的には一メートル、そして砂を流し込んでまた上部に一メートルのコンクリを流した、こういうような説明を聞きました。それは、別に保安監督部としては何ら前もって工事の指示を与えたとかということではないということでありますか。
#44
○説明員(原木雄介君) ただいまの件でございますが、法的には私どもございません。むしろ、開口いたしまして捨てるという作業を行ないます段階で、福島県、具体的には平の保健所のほうから、こういう廃棄物の許可申請が出ておるが、坑口はどういうぐあいに処理したらいいかといったような、これは法的なものではございませんが、私的な質問、照会がございました。これに対しましては、そういった処置をしたほうがいいのではないかという回答をいたしております。作業自体というものは、当然産業廃棄物の関係の法令でございますので、県のほうがその辺は責任を持ってやっておるというふうに私どもは考えております。
#45
○村田秀三君 そうすると、いま私が申し上げております坑底部のコンクリート打ちですね、これは清掃業者が申請をいたしました段階で県が平支部に照会をしてきた、照会をしてきたときに、つまり、十メートルのコンクリートを打ってはどうかという回答をした、こういうことですね。
#46
○説明員(原木雄介君) 十メートル云々というのは何かの間違いではなかろうかと思います。私どもに参っております報告では、一応百メートルごとに厚さ一メートル程度のコンクリートを流し、あとまた土砂を流してまたコンクリートを打つといったような勧告といいますか、意見を出しておるというように考えております。
#47
○村田秀三君 どうもこうやってやりとりしていますと時間がかかりますが、新聞を見ますると、県議会でこの問題が若干問題になりました。その際に、県側は議員の質問に答えて、申請書には、閉山の後坑底に厚さ十メートルのコンクリートが打ってあると書かれていたため、県は東京鉱山保安監督部から意見を聞くなどして、さらにその上に一メートルのコンクリートを打つという意見書を添え、十一月二十一日鹿島坑について許可した、こういうふうに書かれておるわけですね。そうすると、県が許可した前提となっておるのは、十メートルのガスどめ、つまり、私が聞いておりますのはガスどめと聞いておるのでありますけれども、坑底部に十メートルの厚さのコンクリートを打ってあるというのが許可の前提になっておる、こういう意味なんですね。だから、この十メートルというのは実際にあるのかないのか、ここも私は問題だろうと思うのです。いま聞きますと、どうも県は、十メートルということを前提として、その上に一メートルまた積み上げなさい、こういう措置をとったというのでありますから、この十メートルがあるかないかということによってだいぶ内容が変わってくる。そうすると、この十メートルというガスどめのコンクリートを保安監督部が指示したにもかかわらず打ってなかったということになりますると、これは結局鉱業権者の責任という問題にもなりますし、それからまた、それを指示して、なおかつ、指示どおりの工事を現認しなかった監督部の責任、この辺のところを私はよく知りたい、こう思ったわけです。そうしますと、いまの話を聞いていますと、それはだれも指示したんじゃないんだという話になります。そうすると、会社がかってに打ったということになるのでありましょうか。このことについて会社の方に聞いてよろしいのか、どうですか、こういう質問。その辺のところがひとつ知りたいということなんです。
#48
○説明員(原木雄介君) 私どものほうとしましては、抗日をふさぐという行為だけで全部法的には完了いたしております。その物を捨てます際にどういった工事をするかということ自体はあまり関係ございません。むしろ逆に、メタンガスの関係の御質問かと思いますけれども、メタンガス自体が、かりに十メートルのコンクリートを流して、抗底から出てくるのが全部防げるかと申しますと、必ずしも技術的にそうではない場合もございます。たとえば側壁に亀裂があればそれで出てくる場合もございます。したがって、コンクリートを下に打つことまで私ども確認も何もいたしておりません。県がどういう判断をされたかも存じませんが、それが一応の目安としてお打ちになられたということではないかというふうに考えております。
#49
○村田秀三君 ここでは明らかにならないようであります。ただしかし、いままでの経過の中では、この十メートルのコンクリートがはたして直接事故に関連するかどうかということは、これはいまは論じません。論じませんが、ただ申請書には、閉山後十メートルの厚さでコンクリートを打ってあるということを書いてありながら、事故報告書には、廃抗の底には八、九メートルの厚さに砂を敷き、その上に一メートルの生コンクリートを流し込んだということの報告になっているわけです。この辺のところがどうしても私はわかりませんので、解明しなくてはならない一つの問題である、こう思っておるわけでありまして、これは後日にまた譲ります。事前にもいろいろ調査してみたいと思います。
 それから、廃坑になりました、つまり、鉱業権が消滅をいたしました、そうしますと、この廃坑の管理というのは、これはどちらに責任があるわけですか。保安監督部とは無縁のものになるのか、鉱業権者にだけそれはまかせられるのか、その辺のところを明確にしていただきたいと思います。
#50
○政府委員(青木慎三君) 鉱山保安法上は、廃坑にいたしますときに坑口を閉塞するような義務がございます。この坑口を閉塞した後にどういうことが生ずるかといいますと、その辺の管理は当然鉱業権者にあるものと思われます。この危害、鉱害防止の設備、たとえば坑口を閉塞したものに異常が生じた場合等につきまして、鉱山保安法上の関係でございますが、五年間は鉱業権者であった者に対して必要な設備を命じ得ることになっております。保安法上の関係は以上の二点でございます。ただ、今回のごとく別の法律によって一定の許可を受けまして使用している場合の監督につきましては、廃棄物処理法の系統の安全管理ということで、その労務者に対しましては、労働安全衛生法に基づきまして必要な措置がとられるものと法律関係は解釈されると思います。
#51
○村田秀三君 一つ一つこれを詰めてみたいと思ったんですが、時間がありませんからひっくるめて申し上げます。よく聞いておいていただきたいと思う、ややっこしいので。
 いま聞きますと、鉱業権者にその管理責任がある、こう言いましたね。しかしながら、閉塞工事を厳に命ずるということについては、つまり危険防止、二次鉱害、これの防止が前提であろうと思います。であるから閉塞工事を厳重にして、その完工検査を待って消滅を認定するということになるだろうと思います。しかし、その廃坑を利用するということは、また口をあけることですから、いつどういう危険が生ずるかということは予測できない。しかし、それを防止する意味においては、管理をむしろ強化するという措置が必要であろうと、こう思います。
 そこで、今回の事件を見て見ますと、常磐炭鉱の鉱業所長木山さんはFKCの社長でもあるわけです。FKCが県に申請をする際に、その鉱業所の所長の使用承諾書をとっております。これは当然だろうと、こう思いますが、使用承諾書をとって申請をするのでありますが、その使用承諾をする際に、つまり、保安監督部から管理責任を法律的に持たされたとすれば、その管理すべきもろもろの条件というものをよく承知して、そして開口する際には、かかる、このような、あのようなという注意事項を付して、その措置を待って承諾を与えるというのが通常だろうと、こう思うのですよ。そしてまた、開口それ自体は保安監督部から手が離れておるということ自体が私はおかしいと思うのです。つまり、廃坑後における鉱害防止のために一定の条件を付して管理を命じたとするならば、その管理上における状態については、やはり保安監督部と何らかの連係をとりながら、そしてこれを開口するにあたっては、どうしたらいいでしょうというような相談や何かがあってもよろしいと思うのですね、これは保安監督部で許可するかどうかは別問題といたしまして。しかし、それがされた形跡はないわけです。
 つまり、FKCが県に申請をした段階において、県が開口する登記をするためにはどういう注意がよろしかろうということで、平支部にこれは照会をしておる。平支部としては確かに、ここに文書を私は持っております。しかし、末尾に何と書かれておるかと申しますと、これは考慮して配慮するように、検討するようにと、こう書かれているわけです。これは、この処置をしなさいと書いてない。この処置をするならば許可をしてもよろしいとは書いてない。つまり、廃坑の管理、それは危険防止であるべきであるけれども、危険防止の責任をどこで持つのかということについては、これははなはだ明らかでない。それをどこで調査をして、厳重に閉塞工事をさせて、それを点検して、完工を待って鉱業権の消滅を認めたというくらいにきびしいものが、それ以降というものはもうきわめてゆるやかになって、どこに責任の所在があるのかわからないというようなあり方というのは、私は問題じゃないかと思うのですよ。この点についてはどうですか。
#52
○政府委員(青木慎三君) 坑口を閉塞させますのは、通常の危険を防止するためでございまして、たとえばその中に人が落ちるとか、あるいはメタンガスがたまっておるところに、だれかがいたずらして物を投げ込んでそれが爆発をするとか、こういうような通常の事故を防止するために坑口閉塞についてはきびしい制限を加えておるわけでございます。坑口を閉塞した後、それを清掃業に使う場合にどうすべきかという問題につきましては、鉱山保安法上は特別の権限がないわけでございます。したがいまして、産業廃棄物なり何なり廃棄物処理業のほうの監督として危険を防止する措置を十分とるのがたてまえであろうかと思います。ただ、坑口という特殊なものでございますので、保健所のほうも、特に従来鉱業の監督をしておりました鉱山保安局の出先に照会があったものと思われます。
 鉱山保安法と申しますのは、鉱業を行なっておる者に対して定められたものでございまして、鉱業を廃止した後の状態につきましては、十分これを監督できるようなたてまえになっておらないのであります。ただ、私どもはこういう鉱山行政をやっておりますので、後々の問題につきましてもしかるべき行政指導は必要かと存じますので、この事故の起こりましたあと、廃坑のあとの総点検を行ないました。このような事業を行なっておるところが常磐に数カ所ございまして、これは常磐のほうで自発的に現在はやめております。その他一カ所、市でもって廃棄物を投入しているところがございますが、これは投棄しているものがきわめて安全なものでございますので、その一点だけを把握しております。大きな坑口につきましては、大体総点検でこのような事故が起こることはないものと考えておりますが、全国至るところ非常に小さな坑口がたくさんございますので、これにつきまして私どもは全部把握しているとは申せない状況でございます。
#53
○村田秀三君 大臣、お聞きになりましてどうお感じになりますか。つまり、廃坑を処理するときにはきわめて厳重にする。しかも、危険が伴うであろうから厳重にするんですね。ところがそのあとの管理、これは産廃法であるとか何かという、いまの事例ではそうでございますけれども、あとどこでどういうふうに厳重にチェックするかということがないんじゃないでしょうか、いまのところは。私は、これは廃坑になったといえども穴はあるわけですね。まあ廃坑の重点作業を完全に行なって、そうして全く穴を掘る前と同じ状態に復元して、そうして完工検査し、それで終了というならば、あるいは責任はないということが言えるかもしれないけれども、現実穴はあるわけです。穴があるということは、その坑の特質にもよるだろうけれども、水が出たりガスが出たり、あるいは転落の危険性もあるということになるわけでありますから、それは責任の重点を移したとしても、結局、鉱山保安法の範疇から全く責任は皆無であるというような、そういうことはいかがかと私は思たのですが、大臣はどう思いますか。
#54
○小委員長(阿具根登君) ちょっと大臣、答弁の前に……。
 私も現場を見てきましたから、いまのことをちょっとかいつまんで申し上げますと、国が買い上げて廃山にした、廃坑にした、その立て坑が六百メートルの大きな立て坑なんです。その後も五年間経営者に対する責任はある、こういって密閉しておったのを、同じ会社の系列下のFKCなるものに、廃棄物を投下してよろしい、それも私の聞いた範囲内では、土砂類であると聞いておりました。ところが、実際は土砂類じゃなくて廃油をその中に捨てていった。だから爆発してトラックの運転手の首が吹っ飛んだ、そして監督をしておった人が死んだ、こういうことなんで、一体その責任はどこにあるのか。まず一番悪いのは、炭鉱を一番知っている炭鉱の社長が、自分の系列の清掃センターに、土砂を捨てるんだといって土砂じゃなくて油の排気ガスを多く含んだやつを最初二百何十トン捨てさせた、それからさらに三百何十トン捨てて爆発した。これは第一には、もう会社の責任は当然のことなんだけれども、買い上げた政府の責任はないのか。それから、わざわざふたをしたのをふたをあけて許可した県庁の責任はどうなのか。こういうことをいま村田君はついているわけですから、その点を考えに入れて御答弁願いたいと思います。
#55
○国務大臣(中曽根康弘君) いま、いろいろ御論議を拝聴いたしまして、廃坑と産業廃棄物という関係で新しい事例がここに出現しているように思います。いままでの概念では律し切れないものでありますから、これについてはやはり各省で相談をして、責任の分限をおのおのきめて、こういうことを再び起こさせないように行政措置をやる必要があるように感じました。
 第一に、廃坑について、いま小委員長が申されましたように、危険物を投下したということ自体が大きな問題でございます。ガス発生の危険性が皆無でないというころに油かすのようなものを投下するというようなことは、一番危険なことであると思います。これがまず非常識な行為である。したがいまして、そういう産業廃棄物を投下する場合の種類をやはり明らかに行政その他で明定する必要がありはしないか。
 それから第二に、その場合に、鉱山関係とそれからそういた産業廃棄物を行なう会社側との責任の問題について、どこが監督をしてだれが責任を負うか、そういう点についてもやはり各省の意思を統一して、その監督を厳重にしておかなければならぬと思います。
 まあ産業廃棄物と廃坑との関係については、もう少し科学的観点に立ってもう一回よく研究してみる必要があるように、私はいまお話を聞いて思いました。単にいままで、廃坑にするというので埋めてきた、それも坑口だけを埋めてきたというようなことでございますけれども、もう少し科学的に専門家がそういう場合に備えての処理方法を確立しておかぬといかぬではないかと、そういう気がいたします。そういう点については、政府内部におきまして会議を持ちまして、そういう新しい事態に対応する対策を立てていきたいと思います。
#56
○村田秀三君 まあ時間がなくてほんとうに困ったわけです。もうそろそろやめろと、こういうことなんですが、残った部分はまた別な機会を見てやらせていただきたいと思うのですが、いま小委員長からも話がありました廃油を投入したという問題ですね、このFKCが申請をする際には、この鹿島坑に投入する物件として、じんあい、汚泥、こうなっておるわけですね。七月二十五日、申請書が出された。それに基づいて県は平支部との協議もございましたけれども、実地調査をやっておりまして、それにはつまり「投棄する物件、検査成績書は有」となっております。ただし、「汚泥については検査依頼中」と、こうなっておりますね。その検査は公的機関で全成分分析表を出されたと、こう平支部では言っておるわけですね。
 で、ここでお伺いしたいのは、その汚泥分析表がすでに許可以前に出されたのかどうかといた問題が一つ。これは厚生省関係になろうかと思います。
 それから、結果的に投入されたのはスラッジがこれは主である。新聞等を見ますと、石こうも投入されたんではないかなどというようなことが書かれてありますけれども、いずれにいたしましても、スラッジを投入したことには間違いない。スラッジというのはじんあいなのか汚泥なのか、そこのところをひとつ明確に、どう考えるのか、お伺いしたいと思います。
#57
○説明員(折田貞雄君) 汚泥につきましては、四十七年の四月十日、分析表を出しております。それからスラッジにつきましては、廃油を含んだスラッジというものでございます。
#58
○村田秀三君 汚泥の分析表は四月十日に出ているのですね。その四月というのはいつの四月ですか。
#59
○説明員(折田貞雄君) 四十七年です。
#60
○村田秀三君 だって申請は七月二十五日に出ているのですよ。
#61
○説明員(折田貞雄君) 前の許可のときの分析表しか出ておりません。
#62
○村田秀三君 そうすると、この調査書に書かれている依頼中というのは、これは何かの間違いであったと理解いたしますが、スカッジはじんあいなのか汚泥なのかと聞いているのですよ。
#63
○説明員(折田貞雄君) スラッジは、この場合、油を含んだ汚泥であります。
#64
○村田秀三君 油を含んだ汚泥ですね。そうすると、油を含んだ汚泥すなわちスラッジを投棄してもよろしいという前提で許可をしたのかということ。
#65
○説明員(折田貞雄君) それは先ほど先生がおっしゃられましたようなことであり、廃油を含んだ汚泥は捨てることは許可していないはずでございます。
#66
○村田秀三君 しかし、許可しているんじゃないですか、結果的に。これは七月二十五日に申請書が出されて、そして、そういう許可内容調査書というのは県が作成をいたしています。それは十月の十八日、十九日に作成がされておる。そして許可したのは、これは十一月の二十一日でしょう。だから、許可されてないものの物件が投入されることを許可しているというのは、これはどういうことなんですか、だれの責任ですか。
#67
○説明員(折田貞雄君) やはりいま申し上げましたように、廃油を含んだものは許可をしていないはずでございますので、企業側だと思います。
#68
○村田秀三君 そうすると二つのことが言えるわけですね。これは現実問題としてスラッジは捨てられた、許可しないものを捨てたからこれは会社の責任であるということが一つ。それから、許可しないものが投入されている。しかも、これは許可以前に坑口の開口がなされ、かつ、投入をされていますね。だから、許可されない前に投入をしたという会社の責任は当然免れないわけですが、許可しないものを投入したということが一つ会社の責任であるということ。それからもう一つは、許可してないものが投入されているということ、それを知らずにいたという行政の責任はどうですか。しかもこの調査書には10/dとなっていますね。これは一日十トンという許可内容だろうと思うんですよ。それが一日二百七十トンも、爆発したときには四百何十トンも投入されておるということは、これは問題ですね。
#69
○説明員(折田貞雄君) いま先生のおっしゃられるとおりでございまして、許可以前に捨てていたと、それから、許可されていない産業廃棄物を捨てていたということは確かに不法投棄でございます。
 それから監視の件でございますが、許可されてからわずか二週間でございますので、常時その廃坑を監視することができないので、物理的には不可能であったことは遺憾だと私ども思っております。
#70
○村田秀三君 もう一言。
#71
○小委員長(阿具根登君) 一言でやめてください。
#72
○村田秀三君 だいぶこれは困ったわけですが、時間がございませんからやめますが、いずれにいたしましても、この爆発事故といい炭鉱の火災といい、大矢委員の質疑を通じても明らかなように、どうもこの行政責任、それから企業責任というのがきわめてあいまいなままになされておったというところに、事故の大きな原因があると私は思うのです。もちろん、科学的な検査がどうの、そういうことよりも、私は行政、企業責任、ここにむしろ責任があるような感じがいたします。まあ今後こういうことのないように厳重に要望いたしまして、私の質問を終わります。
#73
○藤井恒男君 時間がありませんから、簡潔に三点のみお伺いいたします。
 西部炭鉱の災害に関する問題ですが、坑内との連絡ですね、坑内との連絡にあたって、有線、無線の両方を現在使用しておられるようでございますが、災害が起きると使用不能になることが多い。したがって、有線の本数をふやすようにということが現場で強く要望されておる。しかし、経費の関係からそれがなかなかはかどらないということを私漏れ承っておるのですが、その辺についてどういう経緯になっているのか、所長の岡部さんにお伺いいたしたいと思います。
#74
○参考人(岡部元治君) 現場で検討いたしております点は、経費の問題はほとんど問題ございませんが、たとえば火災あるいは落盤といった場合に、二系統が全然別個に働くためにどういう設置をすべきかということで検討をいたしましたが、とりあえずの二系統は、西部斜坑本部という斜坑がございますが、そちらの系統に二十回線一系統を六月初めに増設を完了いたしております。
 以上でございます。
#75
○藤井恒男君 これは局長にお伺いいたしますが、今度の二度目の災害が発生して、東京鉱山保安監督部長は、西部炭鉱保安統括者及び保安技術管理者に対して、行政処分として戒告書を交付し、災害発生の報告が遅延したこと及び災害が発生したときの応急措置が不十分であったことについて戒告したと。ここにいわれるところの行政処分である戒告書というのは、どのような法的な効果を持っておるのか、お伺いしたいと思います。
#76
○政府委員(青木慎三君) 戒告書の交付といいますのは、原因を究明しまして十分法的な措置をとります前の行政処分でございますので、法律上特別な意義を持つものではございません。ただ、今後いろいろ取り調べまして、法的な処分の内容は固まってくるわけでございますが、緊急性にかんがみまして、とりあえず、行政的な戒告書の交付という行為をとったわけでございます。
#77
○藤井恒男君 そうすると、行政処分として戒告書を交付するというものの、それは処分という形では実際にはないわけですね。行政措置として戒告書を出したというふうに読み取るほうが正しいわけですね。どうなんですか。
#78
○政府委員(青木慎三君) 正確に言えばそういうことになると思います。
#79
○藤井恒男君 次に、社長に私ざっくばらんにお伺いするのですが、この事故があったあと、新聞報道によりますと、「旧炭鉱が、閉山の際、適当な職場が見つけられなかったり、採炭が気に入っている人だけが残った。」、いまの西部炭鉱にですね。「親子二代で働いていた人も多く、ほとんどが顔見知り。みんなが、「細々と長く掘りつづけられることを望んでいたのに。事故が起きるとまた閉山の話が出てきゃしないかと心配だ」、こういう記事が載っておる。いままでの常磐炭鉱の経緯、そうして現在置かれておる炭鉱という状況から見て、また現在常磐炭鉱で働いている人たちのことを考えるときに、私はこの心情はよくわかると思うのです。
 そこで社長さんにお伺いするわけだけれども、だからといって、企業側が安易に流れておるのじゃないだろうか。要するに、そこで働いている人たちは、自分が親子二代にわたって、あるいは二代でなくても、長年そこに働いて、山を愛し、そうしてその仕事に打ち込んできている。だから、その仕事を将来とも続けたい、また移動しようにも移動ができない、家持ちもおりましょうし、地続きの人もおるでしょう。そういった状況の中に包まれておれば、案外企業経営者というものは安易に流れがちだと私は思うのです。そういった意味で、ことにこの炭鉱という場所は、普通の生産現場より以上に災害防止、保安ということに意を用いなければならないし、一たん災害が発生すれば、それが人命にかかわる問題であり、人命尊重という点については、一般の化学工場あるいはその他の生産現場より以上に私は意を用いるべきだと思うのです。
 そのような点から、当初に申したように、そこで働いている人たちの心情というものの上に立って、案外この経営というものが、その辺のところを怠っていると言えばことばが過ぎるかもわからぬけれども、安易に流れがちだ、それが人情だと私は思う。しかし、そういったことは今度のこの二度の事故を契機にして、私は十分反省さるべきであろうし、また、そういったところであればあるほど、私は災害というものを未然に防ぐ措置を講じなければ、これはそこに働いておる人のみならず、すべての炭鉱で働く人たちに対する責任の問題であろうかと思うわけなんです。このような点に立って私は、社長さんに十分心を戒めてもらいたいと思うと同時に、今後についてのひとつ御決心のほどを承りたいと思います。
#80
○参考人(中村豊君) 御指摘の点、つくづく反省いたします。炭鉱で生れて、炭鉱に育って七十年になりますが、こんなことは初めてでございまして、まことに自分自身、何のために生きてきたかというふうに考える次第でございます。まあしかし、ほんとうに炭鉱を愛しているみんながいるということは、私は力強いものだと思います。これをいい面にひとつ導きまして、ほんとうに保安がしっかりした山をつくって、最後に炭鉱をやめるんだと、そういうふうなひとつ気力をこれからふるって、すべての点で御指摘も十分いただきまして、やり直して出直してまいりたいと思いますので、何ぶんよろしくごめんどう見ていただきたいと存じます。
#81
○須藤五郎君 もう各委員がいろいろお尋ねになりましたあとですから、私も二、三点ちょっと伺っておきたいと思うのですが、この常磐炭砿は、従来、第一次、第二次、第四次までの石炭対策で、相当金が国からは出ておるわけですが、あなたの炭鉱もそれ相当に金を受け取っておるだろうと思うのですが、これまで一次から四次までの間に合計どのぐらいの金を受け取られましたか。
#82
○参考人(中村豊君) こまかい数字は申し上げられませんけれども、大体、第一次のときに百五十億程度の借り入れ金があったように思います。ただいま百十億でございますので、過去何年間に約四十億の補助をいただいているように思います。
 以上でよろしゅうございますか。
#83
○須藤五郎君 そうすると、最初百五十億もらったと、それから今日までの合計はどれだけかということを伺ったんですが。
#84
○参考人(中村豊君) 現在が百十億ですから、差し引き四十億ちょうだいをいたしております。
#85
○須藤五郎君 相当の金がいっているわけですが、その使途はどういうふうにこの金をお使いになったか、これを説明していただきたい。
#86
○参考人(中村豊君) 大部分は旧債の償還に充てまして、これは私のほうに入ると同時に銀行のほうへ出ていく、開銀とかその他に出ていくようなことになっておりまして、先ほどもお話がありましたように、坑道補助金と保安の補助、それから安定交付金、これが大体会社に残って、毎日の生産に役に立っておるということでございます。
#87
○須藤五郎君 あなたの会社はレクリエーション的なものを経営しているということが世間で言われております。要するに、政府からいろいろな炭鉱対策としてもらった金がそういう方向に流れておるんではないだろうか、いろいろなことも言われるわけですね。それで私はこういう質問をするわけですが、その百何十億か政府からもらった金のうち、保安設備にどれだけの金をお使いになっていますか。
#88
○参考人(中村豊君) 保安設備と申しますと、これはこまかい数字は覚えておりませんけれども、やっぱり一番大きい保安というのは温泉でございます。温泉を揚げておる費用というのは、年に三百万トンも一番掘っておりましたときには十五、六億かかっておった。いまは区域が狭くなって、揚げる量も半分以下になりましたので、六、七億で済んでおると思いまするが、あとの保安は坑道を維持するとか、それから保安設備のそれぞれの機器類を備えつけ、修理をするとかということでございます。ただいま御指摘のありましたレジャー関係には、これはもう明確でございます。むしろ温泉をただ使うというわけにはいかぬのですから、先ほどもちょっと大矢先生からお話しがありましたように、毎年二億の金を炭鉱にむしろ逆にやっておるようなかっこうでございまして、レジャーに金を右左に使うというのは、会社も別でございますし、したがって、そういうことはできないことでございます。その点はひとつ御安心願いたいと存じます。
#89
○須藤五郎君 安心も心配もするわけじゃないんですけれども、しかし、何じゃないですか、保安の最大なものは温泉を揚げるということだと思うんですよ。その揚げた温泉は国の費用で揚げたんでしょう。そうでしょう。七億か八億の金を保安にかけておると、それは国からもらった金で温泉を揚げたと、こういうんでしょう。ところが、温泉はこれは営業には使っていないんですか、どうなんですか。レクリエーションとして使って、そこから何らか利益をあげているんじゃないですか。どうなんですか、そこは。
#90
○参考人(中村豊君) そう言われればなんでございますが、温泉は地上に揚げますが、出水のための補助金というのは幾らもないんです。それはもう十何億使っても七、八億使いましても、会社の費用でございます。出水の補助金というものは五千万円ほど数年前に、第一次のときにありましたけれども、すぐなくなりまして、ほとんど現在は影も形もない状態でございます。
#91
○須藤五郎君 国からもらった金は何に使っているかと質問したら、いろいろ保安にも使っていると、保安に七、八億使ったということですね。その保安というのは温泉を揚げる金だということをあなたがおっしゃったから、温泉を揚げるのは保安かもわからぬけれども、これはやはり揚げた温泉は営業に使っておるんではないかと、そうすればそこからは利潤が生まれておるはずだと、こういうことを私は……。利潤は全然ないんですか、その揚げた温泉で。
#92
○参考人(中村豊君) いや、観光会社としてはございます。六分の配当をしておりまするが、年に二億炭鉱に払っても六分の配当ができる会社でございます。炭鉱とは全然別でございます、一緒になっておりませんので。それで温泉の費用というものは、ただいま申し上げましたように、もし間違いでありまするならば訂正いたしますけれども、以前に、政府から保安の補助金としては年に五千万円ぐらいあった時代が一、二年続いただけで、あとは全部温泉の費用は炭鉱が自腹を切って持っているわけです。政府の補助で温泉を揚げているということはないわけでございます。どうぞその点を。
#93
○須藤五郎君 そういうように温泉を揚げることでそして利益かあげられるという、そういう見通しのある温泉事業ならば、国からもらった金はかりに五千万円にしろ一億にしろそういうものは、あなたの営利の目的の事業にその金は私は投入すべきじゃないと思うのです。ところが、現にそう言っているじゃないですか、前から五千万円ほどもらったこともある、何年か。それは温泉をくみ揚げるそれに入れておる、しかし、現在はその会社かこうこうだから、利潤をあげておりますからそういうことはないと、こういう意味のお答えだと思うのですが、私は、やはり国からもらった保安のお金というものは、そういう営利が目的の、かりに温泉を掘る事業であっても、営利を目的としたものには投入すべきでない、こういうことです。
#94
○参考人(中村豊君) 営利に投入していると仰せありますけれども、私から言いますれば、むしろ、温泉代として年二億を炭鉱に払っているということをひとつお認めいただきたいと存じますが。
#95
○須藤五郎君 そういうことを言っても、私は一般の疑惑は解けないと思うのですね。炭鉱会社が営利事業をやるということ自体が私はおかしいと思うのです。炭鉱は石炭を掘るというのが目的ですから、それが傍系会社のようなものをつくって、そして、国からもらった金でそのお湯を揚げて、そうしてそういう温泉事業を始めた、その温泉事業はいまはもう利潤がたくさんあがって、そうして、むしろ逆に炭鉱のほうに二億円ぐらいの金はつぎ込んでおると、こういうお話だろうと思うのですが、かりにそうであっても、そういうことは私はすべきじゃないので、やはり保安のお金というものは保安の事業に使っていくべきだと思うのですね。それで私は、国から何百億かもらった金のうち、純粋な意味で保安という問題にどれだけの金を使ったかということを質問をしておるわけです。
 それではもう時間がないから、私は非常に急ぎますから、先ほどから社会党の大矢議員も質問しておりましたが、廃坑後の鉱害について会社は全責任を負うという決意でおるのですか。よく鉱害のあと――掘るだけ掘って掘っちらかしていったあとで陥没が起こったり何かしたときでも、もう炭鉱はそれを補償しないというような事態がこれまで従来あったわけですが、あなたのところの山は、それに対しては将来にわたって十分な責任を持つというふうな体制になっておるかどうかということを聞いておきましょう。
#96
○参考人(中村豊君) 一般に陥落とか陥没とかその他の鉱害については規定がございまして、国のお指図によりまして、それぞれ被害者と実情を照らし合わせて、現在でもすでに補償はしております。また同時に、何年かたつと軽くなるのでありまするけれども、その廃坑後のあと始末についても十分責任を負っておるわけでございます。それで国からその金を基金として積み立てるように指図をされておりますので、実行しておるのでございます。
#97
○須藤五郎君 いまどのぐらい積み立てをしておりますか。
#98
○参考人(中村豊君) 現在で茨城と福島と両方ございまするが、茨城のほうが多いんでございます、浅いせいもございまして。福島のほうはマイナス七百メートル――二千百数尺もありますもんですから、わりあいに被害が少ない。それで両方合わせて四億近く現在はございます。
#99
○須藤五郎君 政府に尋ねますが、わずか四億ぐらいで今後起こる鉱害に対して十分の積み立てと言えるんですか、どうですか。
#100
○政府委員(佐伯博蔵君) 先生御承知と思いますが、地表沈下等の鉱害に対しましては、鉱業法でもって無過失賠償責任が鉱業権者にあるわけでございまして、ただ御承知のような石炭鉱業の現状でございますので、いわゆる臨鉱法を制定いたし、昨年はそれを十年間延長していただきまして、臨鉱法によりましてこれが復旧に当たっておるわけでございます。先ほど社長からお話ございましたが、交付金というような形で鉱業権者から出していただき、それに国が、田畑とか家屋とかいろいろ違いますが、それに対しまして補助率が若干違いますけれども、国が補助をいたしましてこれが復旧につとめておるわけでございまして、全国的に申しますと、現在約千七百億の鉱害がございます。これを十年間できれいに復旧するということで鋭意進めておる次第でございます。
#101
○須藤五郎君 私は全国的なことをいま聞いているんじゃないですよ。常磐炭礦関係で四億の積み立て金があるという社長のお答えだが、その常磐炭礦の範囲でですよ、四億ぐらいの積み立てで起こる鉱害が十分まかなえるということなのか、やはりそのときは政府が金を出さなきゃならないのと違うかということなんです。それならば政府が金を出すことは不当だと言うのです、私は。いま常磐炭礦は温泉事業などやってたくさんの金をもうけているんだ、傍系会社をつくってたくさんの利益をあげている常磐炭礦に、なぜ現在の時点において将来起こるであろう鉱害に対する対策を立てさせておかないかと、こういうことですよ、私の言うのは。わかりましたね。それに対してどういうふうに処置するか。
 もう一問、社長さんにぼくは質問があるからあわせて質問しておきましょう。
 社長さん、今度の死者に対してどういう処置をなさいましたか。
#102
○参考人(中村豊君) これはまず第一に、労災保険が適用されるのでございますが、それはさておきまして、各炭鉱がそれぞれ今日までの実績があり、労働組合との協約がありまして、その額をいたしますというと本人に六百五十万円、その他葬祭料を五十万円、それから各方面からいただきました香典その他を含めまして大体八百万円、一時金を支給しました。それは慣例によってやっておるわけでございます。そして、なお労災につきましては、以前は一時金でありましたが、最近に年金に変わりました。その年金は、大体私どもの該当者では四万円ないし五万円というのが月の年金の額でございます。そして、それはそれぞれ規定がありまして、子供が十八歳になったならばやめる者もあるとかいうようなことになっておるのでございます。
 さようなことでございます。
#103
○須藤五郎君 社長は規定、規定とおっしゃっていますけれども、今日、飛行機の墜落なんかで死んだ方にもやはり一千万円以下の弔慰金なんていうのはないんですね。八百万円という弔慰金は非常に少ない額だと、こういうことが言えると思うんですよ。水俣の病気やイタイイタイ病で死んだ人でも、方々でそういう公害で死んだ人でも、もっとたくさん弔慰金を出しておるわけですね。炭鉱で一生を働いて、そして最後にああいうみじめなことで死んでしまう人に対する弔慰金としては非常に少ないと思うのです。それで、あなたの会社はほかの傍系事業をやって、温泉事業をやって歓楽郷を経営して、それでそこでたくさんの金をもうけておる。ちゃんと配当のできるだけの金をもうけておる。そして死んだ労働者に対して八百万円で知らぬ顔、年金はあなたが払うんじゃないでしょう、そうでしょう。年金は会社が払うんじゃないでしょう。そうでしょう。年金なんか会社が自慢するような金じゃないですよ。年金は政府が責任を持つ金ですよ。だから、年金なんて私たちはあなたに質問してないですよ。八百万円という弔慰金が少ないじゃないか、もっとたくさん出して、そして死んだ人におわびをするのが炭鉱主としての立場じゃないかと、私はそう思うのですよ。あなたはどういうふうに考えているんですか。八百万円でもういいんだ、おれのところは八百万円以上出せないんだと、そういう財政状態ですか、あなたの会社は。そうじゃないと思う。どうですか、そこ一点で私は質問をやめます。
#104
○参考人(中村豊君) ただいまの仰せのとおりでございまして、私個人として考える場合には、仰せのとおりにまことに少ない額だと存じますが、これも各炭鉱の例もありますし、それぞれ慎重に考えないといけないと思って、いま考慮中でございます。
#105
○須藤五郎君 例、例とおっしゃるが、あなたがすばらしい例をつくられたらどうです。ほかの山と違って、あなたのところはちゃんと利潤をあげている山ですから、だから出せない山じゃないんですよ。そうしたら範をたれるという意味で、もっといい先例をつくられたらどうですか。私はそのことを要求しておきますよ。時間があれば、私は、あなたの会社の内容についてもっと質問したいことがあるんですけれども、私はもう別の委員会が、議運が始まるので、これで行かなきゃならぬから、残念ながらこれで終わりますが、どうぞそういうふうに考えてやってもらいたいと思います。
#106
○小委員長(阿具根登君) 最後に私から、質問が出なかった一点だけ局長に質問しておきます。
 坑内の火薬庫の貯蔵量、私もずいぶん調べておりますが、時間がありませんから申しわけないんですが、これは法に触れることはなかったのかどうか、その点について御説明を願います。
#107
○説明員(原木雄介君) 火薬の量でございますが、現在の使用量は約百キロから百二十キロ、百二十キロ程度でございます。存置しておりました火薬量は五百六十キロと推定されております。したがいまして、規則上は二作業日ということになっておりますので、相当程度オーバーをしているということでございます。この点はっきりした省令違反があろうかと思っております。
#108
○小委員長(阿具根登君) 火薬取締法からこれははずされて炭鉱は炭鉱、いまおっしゃったように、五百キロ以内二作業日以上置いちゃならぬということになっておるわけなんです。置かれている量も私は知っております。ですから、法違反は違反として十分な処置をとっていただきたいと、かように思います。
 ほかに御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にいたします。
 参考人の方々には、御多用中、御出席いただきましてまことにありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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