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1972/04/19 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第6号
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1972/04/19 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第6号

#1
第071回国会 商工委員会 第6号
昭和四十八年四月十九日(木曜日)
   午前十時二十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     梶木 又三君     林田悠紀夫君
     高橋 邦雄君     赤間 文三君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     剱木 亨弘君     棚辺 四郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐田 一郎君
    理 事
                大谷藤之助君
                若林 正武君
                阿具根 登君
                藤井 恒男君
    委 員
                植木 光教君
                小笠 公韶君
                川上 為治君
                棚辺 四郎君
                林田悠紀夫君
                細川 護煕君
                安田 隆明君
                小野  明君
                大矢  正君
                林  虎雄君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   中曽根康弘君
       労 働 大 臣  加藤常太郎君
   政府委員
       環境庁企画調整
       局長       船後 正道君
       通商産業大臣官
       房参事官     濃野  滋君
       通商産業省企業
       局長       山下 英明君
       通商産業省公害
       保安局長     青木 慎三君
       通商産業省鉱山
       石炭局長     外山  弘君
       労働省職業安定
       局失業対策部長  桑原 敬一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○金属鉱業等鉱害対策特別措置法案(内閣提出、
 衆議院送付)
○消費生活用製品安全法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐田一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十八日、梶木又三君及び高橋邦雄君が委員を辞退され、その補欠として林田悠紀夫君及び赤間文三君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(佐田一郎君) 金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案及び金属鉱業等鉱害対策特別措置法案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○阿具根登君 金属の二法案についてお尋ねいたしますが、まず、政策面からお尋ねいたします。
 鉱業政策として現在のあり方に私は非常な疑問を持っているものです。第一に、地金の相場がロンドン相場できまっている、これは日本ではどうにもならない。こういうことが決定づけられてしまった形になって、その言うとおりに振り回されている。これに対して何か対策があるのかないのか。どうにもならないのだと、この地金の相場というのはロンドンできまる以外にはほかにきめるところもないし、日本の経済力からしてこれに立ち向かうことはできないんだから、日本は泣き寝入りでロンドン相場そのとおりにいくんだ、こういう考え方なのか、あるいは、これではどうにも地金の相場があまりにも著しい変動も多いし、日本として何か考えなければならないんじゃないかという考え方があるかどうか、これをまず第一にお聞きしておきます。
#5
○政府委員(外山弘君) 御指摘のように非鉄金属の、ことにいま御指摘の銅につきましては、LME相場ということでロンドンの取引所できめられた地金相場が実際の価格、鉱石等の場合にも影響するということで、基本的なそういう価格形成機構にあることは御指摘のとおりございます。私どもから見ましても、若干、そういったかっこうできめられていることに関する問題点が大いにあると思いますけれども、ただ、従来からそういったかっこうでずっときめられておる。しかも、その伝統の中でなかなかこれをこわすといいますか、日本が主体的にこれに取っ組んでいくということにはまだいろいろな手を打たなければならない。たとえば、国際的なバッファーストックというふうな問題にも新しい光を当てなければいけないと思います。それから、日本の国内におけるやはりそういった需給関係についての一つのストック論、こういった問題もこの問題に対する影響力があると思います。
 しかし、いずれにいたしましても、日本単独でいろいろ考えましても、そういった国際的な動きを左右するということはなかなかむずかしいという感じが非常にしているわけでございます。したがいまして、これで泣き寝入りするというつもりはございませんが、これに介入していくということは非常にむずかしい問題である。私どもは、将来の課題として国内的な措置、あるいは国際的な共同措置といったものにくふうを加えまして、漸次主体性が回復できるように、日本は、消費国としてはかなり大きなウエートを占めている国でございます。その国の意向が反映できる手はないものか、こういう考え方で今後取っ組んでまいりたい、こう考えておる次第でございます。
#6
○国務大臣(中曽根康弘君) 御指摘のとおりの現象がございまして、また国内工業育成の面から、それが影響をかなり受けているということも事実であると思います。やはり日本の、特に非鉄金属等につきましては、ある程度の技術力あるいは経営力というものを確保しておくということは、将来海外に伸びるためにも、非常な基礎的要件としてわれわれは培養していかなければならぬと思っておりまして、できるだけそういう国際的影響からの波及を食いとめるような姿勢で対処していきたいと考えます。
 そこで、いま考えておりますことは、非鉄金属の一部等について備蓄公団のようなものをつくって、そしてドルの外貨等を活用しながら、一定のストックを持っておりながら、それを緩衝地帯として、そして直接の波及を避けるような方法はないものか、それが国内の製品価格にも影響してくることでございますから、その点を検討してまいりたいと思っております。
#7
○阿具根登君 中曽根大臣のただいまのお考え、まことに私もけっこうだと思います。そういう備蓄公団、その他の問題はお考えいただかなければ、いまのような姿では日本の経済そのものが、私は、たとえばロンドン相場ならロンドン相場で左右されておる、こういうことになりますので、これはひとつ強力にぜひ考えていただきたいと思います。
 それから次に、地金に対しては関税がかかっておるけれども、鉱石には関税がかからない。これも調べてみますと、鉱石には世界じゅうどこでも関税がかかっておらないんだから、日本もかけることができないんだと、こういうような非常に消極的なかまえなんです。私が言う以上にもっとむずかしいことだとは思いますけれども、ただいまのロンドン相場のような点につきましても、大臣のお考えのように、いまのままじゃだめだから、少し備蓄公団でもつくって日本にストックを持っておって、そして発言していけば力もついていくんじゃないかと、こういうお考えもありますように、鉱石に対して税金が、関税がかからないということはいいことであるか、悪いことであるか、これはひとつ局長にお伺いいたします。
#8
○政府委員(外山弘君) 阿具根先生がおっしゃっておられます鉱石に関税をかけるということの目的は、国内鉱山の産出鉱石を保護するということが目的だろうと思います。私どももそういう目的で現在地金に関税をかけているわけでございます。しかし、確かに理屈から申しますと、鉱石にもかけたほうがそれだけ財源も豊富になるということは言えると思いますが、実際の機能といたしましては、地金にかけることで実質的に国内鉱石の保護に役立つということが言えると同時に、いま鉱石に新たにかけるということになりますと、これは、ガットでこれを無税にすることを約束しているという経緯もございます。そんなことから見まして、なかなかそういうことに考えを新たにいたしましても、実際上の措置としてはかなりむずかしい問題を含んでいるということになっているのが現状でございます。
#9
○阿具根登君 そうしますと、現在、国内鉱石は日本の需要の一八%ですか、一八%産出しておる。輸入鉱石は八二%輸入しておるわけなんですね。そうすると、たとえば石炭で見ますと、ちょうどこれに匹敵するよりも石炭のほうがもっと分は悪いようですけれども、しかし、これは重油関税を取って、その関税が特別会計に入って、そうして石炭の、国内産業を守っておるという形になっておるわけなんです。しかし、これは完全な監視体制の中にあるわけなんですね。そうすると、逆に、石炭のように八二%に関税をかけて、これを特別会計にして国内鉱山を守っていくというようになっていくのが私は筋だと思うんです。ところが、これは世界的な風潮で、日本だけかけるわけにはまいらぬ、こういうことをおっしゃるならば、その関税のかかっておらない三十八万五千円、トン当たり。これまでのこの関税のかかっておらないものに対する監視、監督は、一体どういう情勢になっておりますか。
#10
○政府委員(外山弘君) 地金の関税は、御指摘のように三十八万五千円を境として、関税が二万四千円かかる、かからないの境になっているわけでございます。関税だけでいまの地金の輸入問題を扱っておりますから、関税以外に、その輸入の上でこれを監督するというふうなことは特にやっていないわけでございまして、輸入は全く自由なわけでございます。
#11
○阿具根登君 そこで大臣にお尋ねいたしますが、ただいま局長から言われましたように、現在は四十数万円しておりますから、関税の問題は、これはかかっておりません。しかし、今日まで相当な関税がかかってきておるはずなんです。それが免除されておるはずなんです。そういたしますと、鉱石を免税で国内に入れてきた場合と、国内で鉱石を産出した場合の価格の比率はどのくらいになっているか、教えてください。これは品位もいろいろありましょうけれども、わかれば国内価格、国内で鉱石を産出した価格、そうすると、国外から輸入した鉱石の価格とどれだけの差があるか。
#12
○政府委員(外山弘君) 三十八万五千円を限度といたしまして関税をかける、かけないというふうなことにしているわけでございまして、それは国内鉱山の産出コストというものを頭に置いてきめている値段でございます。その点、三十八万五千円がそれでは国内鉱山の産出コストであるかということになると思いますが、その点は若干違うようでございまして、山によってもいろいろコストの差はあると思います。しかし平均しましても、若干、三十八万五千円よりも高いところにコストの内容があるというふうに私どもは聞いております。したがいまして、その三十八万五千円をいじるかいじらないかという問題が毎年議論になるわけでございますが、これは基礎的な物資でございまして、石炭と違うと言えば、年々需要も伸びていく性質の地金でございます。そういう点もございまして、広範なユーザーとの理解を得なければ、なかなか関税もいじれないという問題がございます。一方、その関税が、やはり国内の鉱山保護のためにとられているきわめて重要な保護政策の一つでもございます。したがいまして、両方をかみ合わせながら私どもとしては毎年議論をしているところでございますが、御指摘のように、国内鉱山との比較でいけば、ほぼそれに近いところに国内鉱山の生産コストはあるけれども、若干、私どもの目から見ても、国内鉱山のコストのほうが高いところにあるのじゃないか、こういうふうに感じております。
#13
○阿具根登君 確かにおっしゃるように、これはユーザーとの関係もございまして、鉱山の企業から見れば三十八万五千円を上げてくれと、これは確かに言っておると思うんです。しかし、ユーザーから見れば、これは上げられたらたまらぬと、これは上げることはまかりならぬと、これは私はわかるんです。で、何にも規制もないのであるから、行政指導によって、国内産の鉱石を輸入した鉱石に見合う金で引き取りなさいということで行政指導をやっておられると思うんですが、そうですか。
#14
○政府委員(外山弘君) 地金の関税分だけ、国内製錬はそれだけ有利な条件になるわけでございます。したがいまして、いま御指摘のように、その分だけ国内鉱山の鉱石を少しでも高く買うように、そういう行政指導はしているところでございます。
#15
○阿具根登君 そうすると、裏返せば、国内鉱石はなるべく使わないほうが製錬企業というのはもうかると、こういうわけですね。国内鉱石を使おうとすれば、ユーザーとの関係もあって、そうして地金の関税に見合う分は高く買ってやりなさいと、こうなっているわけですね。そうすると、今度は国内鉱山が減れば減るほどそれは有利になってくる、製錬企業にとっては。そういうことになりますね。
#16
○政府委員(外山弘君) 単なる価格の比較だけで申し上げますと、御指摘のとおりだと思います。ただ、それだけでは国内鉱山に対する政策が十分とは言えないわけでございましては、国内鉱山のコストが少しでも安くなるようにということで探鉱の助成費等をできるだけ強化いたしまして、そうして、そういった中心の柱をもとにしてできるだけの助成をしていると同時に、関税操作両方で国内鉱山に対する手当てをしているわけでございます。ただ、それでも御指摘のような問題点はあると思います。
 で、この辺はもう一つ、合理的な要素だけでないと申しますか、国内鉱山というものがなぜ大事であるかということの認識をわれわれも持っているつもりでありますが、国内の製錬業者にしましても、山を持っている企業にしましても強く持っているところでございまして、国内鉱山は、何と申しましても一定の安定した源でございまして、同時に、これがまた海外に開発する場合の一つの地盤にもなるわけでございます。地域社会にも影響の大きい存在になっているわけでございます。そういう点を総合的に考えますと、単なる価格の一時的な――一時的でない場合も、かなり続く場合もございますけれども、ただ値段の差だけで国内鉱山を見限る、製錬所を見限るということはしてないわけでございます。また、海外鉱石の開発につきましても、そう一切国内の問題を抜きにしたような開発ができているわけではございません。そういう意味におきまして、御指摘のような単なる合理的なベースだけで国内の製錬所が国内鉱石を退けるというふうなことは、私は何ら聞いていないわけでございますし、また、そういうことがないような指導はしてまいりたいと思います。
#17
○阿具根登君 一応、考え方としてはそういうふうに、それは業者も言われると思うのです。しかし、日本の企業や商社が、今日問題になっているように、国民のその日の生活までを犠牲にして自分の利潤に走るような日本の経済の仕組みなんです。商社や企業家なんです。それがそういうような人間的な、社会的な考えでやっていけると思いますか。私はそれは一つの精神訓話であって、そういう考えがほんとうに浸透しておるならば、なぜそれなら今日、鉱山がこんなにつぶれてきましたか。なぜこんなにつぶしましたか。特に、一番大きい日本鉱業なんか全部分離してしまうのです、全部鉱山を。なぜ分離しますか。そういう考え方を持っているなら、たとえば、中小鉱山でやれないようなやつは自分のところにかかえていきましよう、日本の経済のこれは基本になるものだ、だから、中小企業でやっておってはとてもやっていけないだろう、自分のところでかかえてあげましようというくらいの考え方が出てこなければならぬのを、日本鉱業が全部ぶった切ってしもうたじゃありませんか、いま交渉中でございますけれども。そういう人たちにそういう期待が持てますか。それを持たなければならないような何か法的な規制がありますか。何にも規制がなくて、ただそういうことだけなんです。
 これは石炭業者にしても何の業者にしても、石炭をつぶします、つぶしますと言うのはだれもおりません。何とかやっていきたい、やっていきたいと言いながらどんどんどんつぶしていくのは、利潤が伴わないからです。利潤の伴わない企業というものは日本では考えられないのです。だから私は、結局、これは日本の国内鉱山をつぶしていく政策にほかならない、こう思うのですが、それでは、日本鉱業なんかがわざわざ分離していくのは何のためなんですか。
#18
○政府委員(外山弘君) 日本鉱業の場合、これは一般管理費の減小というふうなことをねらいといたしまして、そして、鉱山分離のほうが独自にその山の経営に当たれるという判断も企業で行ないまして、そしてその分離という問題を組合と相談をしているというふうに私どもは聞いております。もともと分離の問題は、企業自体が自主的に経営体制の問題として、あるいは責任体制の問題としてきめるべき性質のものでございますが、私どもといたしましては、非鉄金属工業は他の産業と違って、労働者の問題、地域社会の問題、こういった点に不安を起こさないような企業経営でなくてはならないという立場からいろいろな指導はしておりますけれども、やはり、分離自身は企業独自できめるべき性質のものであるというたてまえから、いろいろな指導はいたしますけれども、彼らの独自の判断というものがやはり基本において大事であろうと思います。そういう意味で、日本鉱業も踏み切っていま相談をしているところであるわけでございます。
 ただ、その分離ということがすべて御指摘のようなところに結びつくかどうかということは必ずしも言えないと思いますが、ただ、従来からの経緯を見ますと、確かに分離を待つまでもなく山の閉山ということが逐次進んできている、鉱量の枯渇ということが主たる要因であったケースが多いと思います。しかし、ともかく漸次後退していることは御指摘のとおりでございます。で、実際問題として、今後の需要量の増大に対する期待ということになりますと、やはり海外開発のほうに量的なウエートがいくという傾向自体、これがここ数年来の傾向であることも御指摘のとおりでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、何と申しましても、一定量の国内鉱山の積極的な活用ということは私どもとしても鉱業政策の基本に考えまして、今後も、やはりいままでやっておりました探鉱の助成策、あるいは関税政策というものを強化すると同時に、さらにそういった過程の中で少しでも低品位から高品位の鉱山にリプレースするというふうなことで、合理的な範囲を越えないように、しかも堂々と国内鉱山が残れるように、私どもとしては助成の強化を今後とも大いにやってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
#19
○阿具根登君 助成されるのもけっこうですが、まあ、いろいろやってもボーリングぐらいのものだと思っておるわけなんです。でなければ、それではなぜ分離するかといえば、極端なことばで言えば、親、子、おじいさん、おばあさん一緒に暮しておれば、これは経費がかかってしようがない、おじいさん、おばあさんは別に自主的に暮らしてください、そうして、暮らせないようになったら国にめんどうを見てもらいなさい、養老院に行きなさい、こういうような考えも私はこの中に入っておると思うのです。でなければ、外国から来た鉱石を使えばこれは安くてできるのだ、関税がかかっておらない。そうすると、自分の同じ会社であっても、それに対する差額はこれで持たなければならぬ、中小鉱から買う場合は、この差額によってこれを買い上げなさいというような皆さんの行政指導があるわけなんです。そうすると、なるべくそれはなくなったほうがいいのです。なるべくそれがなくなれば、国内鉱山のやつを高いコストで買う必要はない、関税がかかっておらないから。だから私は、だんだんこれは減っていくのだ。ということは、そういうふうに局長はおっしゃるけれども、企業としてはなるべく国内鉱山から買わないようにしたい、そうしてなるべく外国にその鉱石を求めていく。これは関税がかかってきません。そうすると、企業としても非常に行きやすい、こういうことになってくる、私はこう思うわけなんです。
 もしもそうじゃなかったならば、通産省としてはたとえば石炭、まあ私たちも不満ではございますけれども、石炭は二千万トン以上使う、二千万トン下ってはなりませんよということが一応の目安としてきまっている。それに対する政策が立てられておるわけです。それでは鉱石に対しては、いまの一八%なら一八%が最後であるのか、あるいは三〇%なら三〇%が目標であるのか、そういうやつがなければできぬはずです。そういう基本的な姿勢があるのかどうか。どのくらい鉱石は国内鉱石を守ろうとしておられるのか。石炭は二千万トン以上ということになっております。ならば、鉱石だって、いまの一八%は最低です、だから三〇%なら三〇%は国内鉱石をどうしても使わなければならぬ、そのための探鉱にも相当な力を入れます、有力な鉱床を見つけますと、こういう一つのスケジュールがあるなら、予算が組んであるなら、それをお知らせ願いたい。
#20
○政府委員(外山弘君) 石炭と同じような数字的な、しかも、年度別の目標が私どもとしてはっきりときめられているわけではございません。ただ、まさにいま御指摘のような問題点を頭に置きまして、昨年半ばごろ、鉱業審議会の中に鉱業政策懇談会という組織を設けまして、実はそういった点についての議論をいろいろしたわけでございます。で、考え方としまして、一定量の国内鉱山の積極的な活用をはかっていこうということ、そしてその内容として、高品位鉱山へ低品位鉱山からリプレースしていこう、そのための探鉱助成を大いに強化しよう、こういう線が一つ基本的に出ているわけであります。しかしながら、今後需要がどんどんふえてくるのに対応して、国内鉱石がどんどん発見されていくというふうなことにはなかなかまいらないかと思います。
 しかし、現在、鉛、亜鉛につきましては三三、四%、銅につきましては、御指摘のように、一八%程度の国内依存になっておりまして、確かに需要量の増大の中で、その国内依存度はパーセンテージとしてはどんどん減ってまいりました。しかし、私どもとしましては、その一定量の意味を、現状程度のパーセンテージは何とか維持する方向でいろんな諸施策を考えてまいりたい。その辺を一つのめどにして今後の施策をいろいろ強化してまいりたい、こう考えているわけでございます。したがいまして、そのパーセント自体をふやすということはむずかしいと思いますが、しかし、量的にはリプレースしながらも少しずつふやしておるというふうなかっこうで、一定量の活用ははかっていきたい、こう考えている次第でございます。
#21
○国務大臣(中曽根康弘君) 御指摘のように、鉱石の値段について内外の落差が著しい場合には、企業は採算ベースでやりますから、どうしても海外のほうからの購入に重点が入って、国内鉱石というものは次第次第に衰退していくという傾向にあって、そういう傾向が確かに御指摘のように出てきて、そういう前途に対する展望等からも、いまのように、じいさん、ばあさんは養老院に預けるという現象は、正直に言ってあるんではないかと私も思われます。
 そこで、これはある意味においては、経済合理性や世界の趨勢からやむを得ないこととは思いますけれども、やはり重要な非鉄金属について、それを企業の採算ベースにのみまかせて放置していいかとなると、これはまた問題点があるように思います。したがいまして、いま局長が御答弁申し上げましたように、ぎりぎりどの程度の、限界点はやはり国産を保護して確保していかなければならないというめどが、重要な非鉄金属についてはあるべきであると私も考えます。そういう考えに立ちまして、これからもう一回よく洗ってみまして、そうして適切な対策をとるようにしていきたいと思います。その場合に、鉱石に税金を、関税をかけるということは、ガットその他の関係でむずかしいと思いますが、それ以外の国内施策において充実することによって、ある一定限の限度は守っていくと、そういう考え方に立ってやっていきたいと思います。
#22
○阿具根登君 さっき日鉱の問題出しましたけれども、日鉱で分離する場合に、論争されておるのを書類で見てみますと、分離がいやだったら閉山しますとなっておるんです、やりとりの中にですね。だから、組合としては閉山よりも分離のほうがいいじゃないかと、分離を断わったならば閉山される、だから、閉山よりも分離で泣かざるを得ぬと、こういう論争がされておるのです。ということは、いままで局長が言われた考え方と全く違うのです。私の考えは、寄らば大樹の陰で、やっぱり大きい日本鉱業なら日本鉱業におって初めてこれは生きていけるのだ、それをおまえたちは出て行って独立しなさい、自主的にやりなさい、それがいやならあなた方はつぶれますよ、こういうようなまるで追い込んで追い込んで、どうにもならぬところまで追い込むような姿になってきたのは、何も歯どめがこの法律にはないわけです。そういう世界的な風潮で、関税もかけられない、ロンドン相場も変えられない、こういう中にあって、そうして企業者だけにその幅が自由に利用できるようになっている、その金をどうするということはできないでしょう。どれくらい金額がありますか。いままで十年なら十年の間で、この差額の税金を、地金の関税に変えたら何百億になりますか、わかっておったら教えてください。
#23
○政府委員(外山弘君) 関税は、ご承知のようにスライド関税でございまして、値段が動くと関税がかかったりかからなかったりしているわけでございます。いまどれくらいの関税収入が十年間にあったかという点は、手元に資料がございませんので申し上げられないのでございますが、かつて、かからなかった時期が長かったと思います。最近三、四年でございますか、かなりこれはLME相場が低迷した関係から、かかったという経緯がございますので、少し正確な計算をしませんと、ちょっと金額の推定もできませんので、できましたらあとで調べてお話ししたいと思います。
#24
○阿具根登君 私も計算したのを持っておりますけれども、算術計算ですから、ここで申し上げたら、おそらく数字が違ってきておると思います。しかし、相当の金額になります。ならなかった場合は、一番いいときは六十何万円、七十万円近いですよ。そういういいときは、それは何もそんなことをしてやる必要はないんです。うんともうかるんです。そうして損をするときは関税がかからないと、こうなってきておるわけなんです。そういう余裕のある、余裕のあるというと語弊がありますけれども、企業に都合のいいようになっておるのに、歯どめは何もないわけなんです。何も法的にこれはどうするということは何もないわけなんです。だから、企業が少しぐあいが悪くなってくると、鉱山は、おまえたちは分離しなさい。で、できるだけ外国の鉱石を入れてきて、そうして安い鉱石で製錬をしていくと、こういうことになっていくと私は思うのです。
 それでこの前、参考人にも質問いたしましたが、一つの例をあげてお聞きしますが、たとえば、足尾銅山が最近鉱山を閉山したわけです。閉山したけれども、製錬所は残っておるわけなんです。だから、足尾の町の人は、まだ製錬所が細々としても残っておるから、足尾町を何とか過疎から食いとめたいと一生懸命になっておることは事実なんです。さらにあそこは、栃木県の古河は製銅所も持っております。だから、その関係でもうしばらくは寿命が延びるかもしれませんけれども、私は、あの製錬所もやがては臨海のほうの便利のいいところに持っていくと思うんです、あそこまで外国の鉱石を持って行くのは容易ならぬから。私はそう思うのです。だから、企業というものは、やはり都合のいいように都合のいいように、より利潤を生むようにというふうに持っていくのが、企業の私は姿だと思うのです。企業としてはそれがあたりまえだと思うんです。
 しかし、その陰の、たとえば閉山になった労働者の世話なんか一体だれがするのか。過疎地域になったのは一体だれがめんどうを見るのかというのは、これはないわけです。石炭には、これは不満もある。われわれもいつも通産大臣にも責めた質問をしておりますけれども、しかし、少なくともその残された労働者に対しては退職金が遅配しないようにとか、あるいは就職を何とかしたいとかいう努力をされておることは認めておるわけです。しかし、鉱山の場合には何も救い道がないわけです。ただ企業と組合におまかせなんです。だから、何も歯どめがなくて、そうして国から金は出しておらない。企業から金は大蔵省に吸い取っておらないけれども、その間の関税のうまみというものは、企業自体がかってにやっているのであって、何も法的な規制も何もないから、私はここに疑問を持つということを最初から言っておるわけです。だから結局、泣かされているのはこの閉山になったところの地方と、それから労働者だけである。企業はそれで何も損はしない、こういう結果になってきていると思うのですが、これはいかがですが、私の考えは間違っているでしょうか。
#25
○政府委員(外山弘君) 石炭ほどではございませんが、非鉄金属の鉱業につきましても、先ほども申しましたように、地域社会に対する非常に深い関係を持っております。また、そこに働く従業員の問題も、その地域としては非常に大きな問題になっているということも事実でございます。石炭と同様の制度的なものはございませんけれども、しかし、実質的には私どもとしましては、そのつどその二つの問題をとらえて会社側なり、あるいはそこの会社の属する都道府県知事なりに十分いろいろな要請をいたしました。また同時に、どういうふうな進み方で労働者の問題が取り運ばれているか、あるいは地域社会の過疎化に対してどういうふうな応援がわれわれも可能か、地域社会でもどう考えているかといった点を常に注視しながら、適切な指導はしているつもりでございます。石炭ほどの手厚さがないことは御指摘のとおりと思います。しかし、私どもとしてはできるだけそういった地域社会の問題、労働者の問題については、関係機関にもよく働きかけまして努力をしてまいっておるつもりでございますし、今後もやってまいるつもりでおります。
#26
○阿具根登君 私は、石炭が万全だと言っておるわけじゃないんですけれども、石炭にはそれだけ国がめんどうを見ておるかわりに、これは完全な監視体制にあるわけです。完全にこれは国家管理と同じみたいに経理面等その他全部皆さんのところに報告しなきゃならぬようになっておるし、全然企業の甘みなんかというのはいまの石炭には許されておらないわけなんです。ところが、同じような立場にあるほうは、そういうふうにおっしゃるけれども、何の規制も何にもないんです。そうして、置かれておる立場の労働者やその地方の住民は石炭と同じ立場なんです。そこに私は疑問を持っておるというわけなんです。石炭のほうには厳重な監視が届いております。一切の経理関係は皆さんがごらんになっているはずなんです。ところが、金属鉱山に対してはそういうことは一切できないようになっている。自由主義経済だからしようがないじゃないかとおっしゃるなればしかたがありません、自由主義経済だからこれは当然だとおっしゃるならば。しかし、これでは私は、今後、この前参考人も言われましたように、優秀な技術を持っておる日本の鉱山の技術者が次々に排除されていってしまって、そうして、日本の鉱山というものはますます衰微していく。そういう姿になってくると私は非常に懸念いたしておりますので、これを最後に大臣に申し上げて、次に、法案に対して質問をいたしていきます。
 この法案は二つから成っておりますが、私は、当然これは一本の法律案でなければならないと思う。同じ性格のものをなぜ二つにして出されたか、その点から質問をいたしていきます。
#27
○国務大臣(中曽根康弘君) 二つの法案をお願いしてありますが、一つは助成、一つは規制、そういう形になっております。事業団のほうは主として助成面、もう一つのほうは規制面、そういうことでございまして、まあ法の内容の性格がちょっと違うということと、それから事業団の法案は、いわゆる予算関係法案になっておりまして、法案の提出期日ということが与党内部や内閣の内部におきましてありまして、それで急いで出すという関係がありまして、これはわれわれのほうの内部関係でございますけれども、そういう両面から二つにさしていただいたということでございます。
#28
○阿具根登君 おそらく大臣のほうが穏当なんだと思うのですけれども、事業団をつくって、そうして事業団に金を出資されて、それを鉱害に回す。こういうような性格であるならば、何も二本に分ける必要は私はない、こう思うんですが、まずそれよりも、六千からあった鉱山が大部分が閉山になってきたということで、調査にも相当時間はかかると思うんですけれども、今日まで休閉山になった山の事後処理、それから今日の状態、これを一切把握されておりますか。どこまで調査は進んでおりますか。
#29
○政府委員(青木慎三君) 現在、全国の鉱山数は七千百三十九、約七千余りでございますが、そのうち稼行しております鉱山が二千百二鉱山、それから休廃止になっております鉱山が五千三十七という数字になっております。この休廃止鉱山のうち約四割の二千が休止鉱山でございまして、残りの約三千がもう鉱業権がなくなっております廃止鉱山ということになっております。
 で、この状況でございますが、稼行している鉱山は、鉱山保安法上の監督を十分いたしておりますので、十分実態は把握しております。そのほか休廃止鉱山のうち六百三十八、約六百余りでございますが、この鉱山につきましては非常に問題がございますので、定期的に巡回して鉱山保安法上の監督をやっております。残りの鉱山が、いわゆるごくわからない状態にあるわけでございますが、こういう中で重金属を出しております危険性が非常に多い千五十の鉱山につきましては、昭和四十六年から調査を始めまして、現在調査中でございます。で、その調査は今年度中に完了する予定でございますので、これが終わりますと、その千五十の非常に問題の多い鉱山については一応の調査が完了するわけでございます。
 約三千三百四十程度の山が残るわけでございますが、これもやはり調査をする必要がございますので、本年度から県に委託しまして、まず、概査をやってもらうということにいたしております。県の概査によりまして非常に問題があるということになりましたならば、その山は再び鉱山保安監督局部におきまして詳しい調査をする、こういう段取りになっておりまして、こういう調査によって全鉱山を一応全部洗い直すという計画で進んでおる次第でございます。
#30
○阿具根登君 私は先般、秋田へ参りまして、同和鉱業を見たことがございます。その途中で、おそらく明治後期か大正の初期に廃山になっただろうと思う山を見てきたんです。それだけ時がたっておるのにもかかわらず、一つも木が植わっていないんです。相当な硫黄分か何かあるのだと思うんです。たまたま天気のいい日でございましたから、行けば、もう風がちょっと吹けばもうもうたる粉じんです。雨が降ればどろどろになって流れるわけですね。これはおそらく無資力鉱山で、だれかもうこれはずいぶん昔のことでわからない。わかってもどうにもならないんですが、そういう無資力鉱山がどのくらいこの五千の中にありますか。
#31
○政府委員(青木慎三君) この五千の鉱山のうち鉱業権がすでに消滅しております廃止鉱山約三千は、おそらく、ほとんど無資力であろうと思います。残り二千でございますが、二千のうちには、大きな会社が持っておりまして、現在稼行はしてないけれども、それを保持しているという鉱山が相当数あると思いますので、このうち無資力がどのくらいあるかということは、完全に数字を把握しておりませんけれども、この二千の中に一部無資力、一部有資力というものがあるというふうに考えております。
#32
○阿具根登君 そういうように無資力の鉱山に対しては、国と自治体が八〇%、二〇%ですか、というようになっておりまして、大体鉱害を三段階に分けてあるわけですね。その場合に、地方自治体がこれで持っていけるかどうか。地方自治体からいえば、国の政策によって何十年も前に掘ったやつじゃないかと、このぐらいは国が全部持ってくれていいじゃないかという考えがあると思うんです。これに対してはどうなんですか。もう何十年も前に掘って、それも無資力どころか全然問題にするような係累もないというようなやつに対して、やはりいまのままで地方自治体は完全に鉱害を防止することはできると、こういうふうに踏んでおられますかどうか。
#33
○政府委員(青木慎三君) 無資力のものに対します対策でございますが、これは、現在の制度は、国が三分の二の補助金を出しまして、三分の一を地方公共団体が負担をいたしまして、工事を実施しておるわけでございます。これは、国が従来鉱業権を与えておったので、国が全部めんどうを見るべきだという議論が、確かに一部の市町村並びに府県にはございます。ただ、この鉱害問題は地域社会の問題でもございますし、その地域社会の人の健康の問題でもございますので、現在の制度は昭和四十六年から実施されておりまして、現在までのところ、地方自治体が負担能力がないためにその事業が実施できないという例はなかったわけでございます。
 ただ、御承知のとおり、今年度から、昨年に比べまして三倍の事業規模にいたしますし、現在の計画が、五カ年でこのこういう問題鉱山を処理することになっておりますが、漸次事業量もふえてまいると思いますので、そうした場合に、事業量の増大に伴いまして地方公共団体の財政が圧迫されるということも予想されますので、今後につきましては、その地方自治体の負担分の軽減につきまして、関係省庁と十分連絡をとりながら努力してまいりたいというふうに考えます。
#34
○阿具根登君 それから、資力のある鉱山でも、参考人の皆さんが言っておられましたように、何十年あるいは何百年と鉱山というのは長い間掘っておるんだというわけですね。何百年も掘ってきた鉱山の鉱害の蓄積を、まあ低利で金は貸してもらうけれども、とてもそれで何百年も前からさかのぼって鉱害をやれと言われても、これは無理ですよと、これはひどいじゃありませんか、こういう参考人の意見だったと私は解釈いたしております。
 これは業者もそうでしょう。業者はもちろんでしょう。組合関係の方が二人見えておりましたけれども、お二人の方とも、何百年と続いた鉱害の蓄積を、それをたとえ低利で金を貸してもらっても、とてもじゃないがやっていけませんよ、もっと国があたたかい目で見てくれませんかと、もちろん今後の鉱害については、当然これは責任持たにゃならぬですね。最近の問題については当然責任持たにゃならぬですけれども、もう何百年も前のやつを――何十年も前のやつじゃないかと。極端に言えば、国の政策によって掘れ掘れと、戦時中はもう何でもいい、掘らなきゃ非国民だといって掘らせて、そして鉱害の原因をつくってきたその山を、いまになって全部見なさい、金はそのかわり貸してあげましょうと、それじゃちょっとやっていけませんよという空気が非常に強かったと思うのです。それに対してはいかがですか。
#35
○政府委員(青木慎三君) 確かに、ただいま先生から御指摘のような意見が労働組合にもございますし、関係業界の中にもございます。ただ、一方、こういう鉱害につきましては、鉱害の原因となった事業者に負わすべきだという非常に強い意見もございます。その二つを踏まえまして、私どもとしましては、長年の蓄積鉱害でございますので、鉱業権者に処理はしてもらいますが、その処理がしやすいように、一応、通常の公害防止資金の貸し付けに比べまして、非常に有利な条件で資金を供給することにいたします。
 それからまた、事業団の融資には融資限度がございますが、その一般市中借り入れの分につきましても保証するというような制度をとりまして、事業者にやってもらうということに一応しておるわけでございます。これは、一つには、鉱業法の百九条の賠償責任の義務がございまして、この鉱業法の無過失賠償責任と申しますのは、やはり前のやった人の分につきましてもその鉱業権者が責任を連帯して負うというような、非常にきびしい制度になっております。この辺との均衡も考えまして、資力がある限り事業者にやっていただく、資力のない者につきましては国及び公共団体で始末をいたしましょう、鉱業権者にやってもらう分につきましては、先ほど申し上げましたような、非常に有利な資金を融通いたしましょうという制度に一応落ちついたわけでございます。
#36
○大矢正君 関連。
 青木局長、いまの御答弁で問題になるのは、一つは、無資力鉱害あるいは鉱業権者それ自身が存在してないというような、言うてみれば古い鉱山ですね、そこから発生をする鉱害、こういうものについては、先ほど来言われておるように、国の助成に基づき地方自治体が――これの防止のための工事を実施する主体が、地方自治体ということはわかりますがね。そこで、現存する鉱山の排出物ですね、そういうものが地域の住民に非常に大きな影響を与えるようなものがあり、しかもそれは先ほど阿具根委員もお話しなさっておりましたように、少々の資力をもってしてはとても防止することが困難だというような鉱山もあるのではないか。
 といたしますると、これはまあ趣旨としては、金属鉱山の責任において現存するものはやるべきであるという考え方はそれなりでわかります。そのためにいま金を貸そうとかいうことはわかりますが、借りる金ですから、これは当然払わなければなりませんし、排出されるその有害物質というものがあまりにも規模が大きいような場合に、やはりいま言ったような、単にある限界を設けての融資という限度にとどまるのかどうか。しかも、それが量的に膨大なものにのぼるということになれば、それに伴う融資の金額も非常にふえると思いますね。とすると、企業自体の存続の問題もありまするし、その一つの鉱山にだけ――わずかこれはまあ資料を拝見いたしますと、財投を含めて二十億程度の金額しかございませんね。といたしますると、膨大な有毒、有毒な物質を排出する大きな鉱山があった場合には、そこだけにこの金がいけばほかにいかなくなるというおそれもなしとしないわけですね。そういう問題が一つ発生してくるのではないかという問題点を、私、指摘したいと思うのです。
 それから「金属鉱物等」という、その「等」というのは何をさして言っているのか。先ほどもこれは阿具根委員おっしゃっておったが、たとえば石灰の山があって、それで石灰をクラッシャーをかけて粉砕する、ものすごい粉じんが出る、こういうものだって鉱害といえば鉱害ですね。しかし、重金属ではないわけですわね、これは。――という問題だってあるわけですね。ですから、ここに鉱害――鉱物以外に「等」ということばを入れたというものは、この表現をされております重金属に限らないというふうな解釈のもとにそれを挿入されたということなのかどうか。その点が問題点の第二です。
 それからもう一つ、これは別に皮肉で申し上げるわけじゃないが、鉱害事業は地方自治体がやる。なるほど、補助金あるいは融資の業務というものは新たに追加される。しかし、補助金の業務は、これは四十六年からやっているわけですから継続ですわね、金額的にふえる、ふえないという問題は残るといたしましても。といたしますと、新たに加わるという問題というものは、それほど私ども考えてみて、事業団それ自身が行なう業務というものは多くなったとは思われない。たとえば、無資力あるいは鉱業権者不在の場合における鉱山の実質的な鉱毒排除のための事業を事業団がやるというなら話は別だけれども、そうではないわけで、あくまでも地方自治体にまかせる、金だけは出してやりましょうと、こういうことですからね。それから資金の貸し付けも、これまた同様に事業団がそれは直接貸し付ける直接貸しもありましょうが、私は察するところ、その企業のたとえば資産内容なり力なりというものを見分けるためには、やはり銀行、金融機関等に委託をするということのほうが、より結局調査についての取り組みもできるというようなことから考えれば、これまたさほど事業量が大きくなったとも思われない。
 にもかかわらず、ここが問題なんだが、理事を二人ふやすということなんだが、これはどうも理事を二人ふやすことに目的があって、まあ言うてみれば、実態面においてはあまりそれほど大きな政策効果をあげれるというような内容のものではないんじゃないか。別に皮肉を言っているわけじゃありませんが、という感じがするんですが、これはいかがでしょうか。私の思い過ごしでしょうか。
#37
○国務大臣(中曽根康弘君) 最初の御質問は私がお答えいたしまして、あとは局長に答弁させます。
 確かに徳川時代から累積してきている公害の原因であるとか、あるいは戦時中、国家の至上目的ということで乱掘させられた結果であるとか、そういうことで現に鉱業権を持ち、経営している者の直接の責めに帰すべからざると思われるようなものもかなりあると私は思います。そういう部面について、現在経営している者に責任をしょわせるということは検討を要するところがあると思います。しかし、そこでもいま経営しているということがありますから、どこまでが現在の経営者が責任を持ち、どこまでが過去の責任のないもの、あるいは薄いものとして区別するかという分限を見きわめることは非常にむずかしいかもしれませんが、その辺はやはり調査を厳格にやってみて、そういう戦時中の至上目的によってやったものとか、過去から長い間累積して、いまの経営者にそう責任があるとは思えないというようなものについては、これはやはり別途の扱いをする必要があるように思います。その点についてはたとえば利子を無利子にするとか、あるいは補助率をもっとアップするとか、場合によっては国と公共団体でその部分は、資金面やその他は引き受けてやらなければならぬとか、そういう事態に応じた対策を新たなる対策としてひとつ研究してみたいと思います。
#38
○政府委員(青木慎三君) 第二番目の問題でございますが、「金属鉱物等」の「等」は何かという御質問でございますが、これは金属鉱物に加えまして、現在のところ硫黄と螢石を考えております。先生御指摘のケースは、石灰石鉱山でいろいろ鉱害を出しているということでございますが、これは現に操業している場合の鉱害でございますので、一般に保安法で直接取り締まっている場合でございます。これに対する鉱害防除施設につきましては、いろいろ現行の制度がございまして、それの横並びで処理してまいりたいというふうに考えております。ここで特に厚い融資制度を考えましたのは、過去の掘りました分につきましての蓄積鉱害でございまして、石灰石等につきましては、あまり蓄積鉱害ということがないというふうに思われますので、金属鉱物以外ではPHの水を出します硫黄とか弗素を出します螢石というような鉱石を追加してこれに対する蓄積鉱害の手当てをいたしたいと、こういうふうに考えております。
 それから最後の、事業団の事業と理事の関係でございますが、若干補足して御説明いたしますと、国が三分の二の補助金を出しまして地方が三分の一を負担してやります鉱害防止工事でございますが、これは府県のほうからいろいろ御注文もございまして、土木工事そのものは府県にも非常にエキスパートがおられるわけでございますが、鉱山の状態あるいは堆積物から出てまいります鉱害をどうやって防止工事をしたらいいかというあたりの専門的、技術的知識につきましては府県必ずしも詳しくないし、一部では、これを事業団で直轄事業にしてくれないかという意見もございました。ただ、私どものほうといたしましては、地方住民と地域社会と非常に関係のある問題でございますので、事業そのものは府県がやっていただくのがいいのではないかという結論に到達したわけでございます。ただ、その鉱山の状態あるいは鉱山の堆積物、あるいは坑口から出ます有害物質に対してどういう工事をすべきであるかという専門的、技術的知識につきましては、確かに府県の要望があれば十分援助しなければならないというふうに考えまして、このたびの事業団の改組の中には、そういう仕事を事業団がやるということも入っておりまして、このためには非常に技術に詳しいスタッフをそろえまして、府県の御要望があれば調査をし、あるいはそういう事業の指導をするという部門をつくらなければなりませんので、このために技術関係の理事一名を予定しているわけでございます。
 それから、融資につきましても相当膨大な量になりまして、結局、いまのところ私どもの概算で申しますと、中小企業あるいは大企業合わせまして約二百六十億くらいの事業量がございます。これだけの貸し付けをやりますためには、たとえ調査につきましては補助的に金融機関にお助け願うにいたしましても、基本的な部面で相当大きな責任を負うこともありますので、そういう関係の理事一名ということを予定しておりまして、私どもとしましては、理事のために事業団を拡充したのではなくて、やはり仕事がありまして、その仕事に必要な理事を確保したというふうに考えております。
#39
○阿具根登君 この鉱害につきまして、大手は十五年間で五%の利子で七〇%を貸し付ける、中小には十五年で三・五%で八〇%を貸し付ける、こういうことになっておるのですが、先ほども申し上げましたように、ほとんどの事業は分離を考えている。いまいわれているのは同和ぐらいが分離しないんじゃないかといわれる。確かに同和がそうでしょう、秋田県の、御承知のように黒鉱があれだけ出ているんだから、あんなにいい鉱山はないのだから、分離なんて考えないでしょうけれども、この分離された鉱山というのはほとんど中小鉱山になると思うのですが、これはいかがですか。
#40
○政府委員(青木慎三君) その鉱山の規模にもよりますが、大半のものは中小企業に属するようになると思います。
#41
○阿具根登君 そうすると、少しみみっちいようですけれども、大企業は金を借りるにしても三・五%の低利で八〇%を借りられる。そうすれば、分離してこれを中小企業にしていけば一番金も借りやすいし、安い金利でやっていける、こういうようになるわけですね。先ほど政策面でも申し上げましたように、今度はこの鉱害対策でもなるべく分離したならば安い金を借りるぞと、そしてたくさん借りられるぞということで非常に分離に便利のいいようにできている。分離されたあとはほとんど中小鉱山になってしまう。だから、何か政策面からこの鉱害対策面に至るまでわざわざ分離しなさい、中小鉱山にしてしまいなさいというような一貫した流れがあるような気がするわけなんです。で、こういうことをお聞きしたんですが、そういう点は考えられませんか。
#42
○政府委員(青木慎三君) 私どもは、分離促進という意図でこの制度をつくったわけではございませんで、一般に中小企業は大企業に比べまして経営基盤が弱い、技術力も劣っているのが通常でございますので、この制度のみならず、一般の金融制度につきましても、中小企業には特別に手厚い措置をとっているのが一般の状況でございます。今回、特にこの中小企業に対しましては低利なものをいたしましたのは、そういう分離だけが目的ではなくて、そういう中小鉱山たくさんございますので、そういう方々に対する融資というのは極力条件をよくしようと思いまして、横並びからいいまして大企業と差をつけた制度になったわけでございます。
 一方、大企本からの鉱山の分離は、この制度があるから分離をするということではやはりないんであって、企業自身の問題でございますが、企業の経営方針なり、責任体制なり、採算の見通しの観点から主として行なわれる。たまたまこれが中小企業に該当すれば、より有利な制度に乗っかれるということでございますので、基本的にこの制度によって分離が促進されるということではないように私どもは考えております。
#43
○阿具根登君 いや、もちろん法をつくられる場合に、分離が目的であり、中小企業に追い込むのが目的でないということはわかります。わかりますけれども、この鉱業政策から災害防止政策まで一貫して見てくると、結局そういうふうにしなければならないような仕組みになってきておるように私は思うんです。私が企業家であったら、おそらくそういうことをするんじゃなかろうかと、こういうような考えがするわけなんですね。先ほどの、政策面で長い時間費やしましたけれども、あの面から考えてみても、この面から考えてみても、とにかくこれは、鉱山というものはもう大企業でやるべきものじゃないんだよ、これは中小企業でやったほうがいいんだよというような一つの示唆を、さも与えられておるような気がするわけなんです。一貫してそういうものが考えられるわけなんです。
 少なくとも、やはりこれは公害の賠償問題に関しますと、たとえこれがつぶれても、今度は親会社はそれは持たなあかぬようになっているんでしょう。そうすると、つぶれた場合は親会社が持つようになっているけれども、分離して独立した場合は、政府から安い資金を貸してやるぞという、これまた一つの逆流が感じられるわけなんですよ。つぶれたならば親会社が今度は見ないかぬという場合には、その資金は低利じゃないはずなんですね、今度は大会社だから。何かそこでまた逆流しておるような、親会社がいいようになっておるような気がするわけなんです。そこはどうなんですか。たとえば中小企業でやって、安い金利で金を借りてやっておったけれども、これはつぶれたと、鉱害は親会社が持ちなさいよという場合は、今度は親会社が高い金利で――高い金利というのは、五%の金利で貸すようになるんですか、いかがですか。
#44
○政府委員(青木慎三君) 子会社ができまして、それが中小企業の場合には、もちろんその中小企業の条件でものを借りまして、鉱害防止計画に従って防止工事をやるわけでございますが、たまたまそれがつぶれまして、鉱業権を放棄したということになりますと、私どものほうとしては、保安法の二十六条の命令をかけまして、その原因行為をした鉱業権者であった者に対して工事を命ずるようになります。また、その命令に従いまして、かつ、鉱害防止計画をつくり直して親会社が実施するということになりますと、これは親会社が大企業でありますならば大企業の条件で借りる、こういうことになるというように解釈しております。
#45
○阿具根登君 最後に、鉱害防止積立金の制度が、今度設けられるやつが画期的なものであって、これは今後の鉱害に対する問題でございますが、積み立て金の算定というのですか、される場合に、有毒なものを出しておる鉱山もあるでしょうし、あるいはそうでなくて汚濁水になるおそれのやつもあるでしょうし、どういう算定でこの積み立て金の賦課をしておるのか、それを聞いておきたい。
#46
○政府委員(青木慎三君) その算定をいたします場合には、一応その鉱業が終了した際、そこに堆積物なり鉱物がございますので、これに対して鉱害防止工事が当然予想されますが、この工事に要する費用をまずはじきまして、それをあと何年間その鉱山を維持するかという年数で割ったのが、毎年の積み立て金の額となるように算定するというふうに現在考えております。これは省令で最終的にはきめますけれども、現在のところそういう方針でおります。
#47
○阿具根登君 そうすると、たとえば積み立て金制度をつくって、五年なら五年でこの山がつぶれた。そうすると、その五年間の間に鉱害を生ずるであろうものに対する対策は、その積み立て金でやられるわけですな。五年間なら五年間で閉山をした、ところが、かすだけが残った、これに対する防災措置をせなならぬ――積み立て金でやっていかれるわけですね。その積み立て金を積み立てられたやつで完全に処理できればいいけれども、処理できなかった場合は、これは国がやるのか、それとも閉山してしまったそこがやるのか、あるいは親会社がまたやるのか。
 それからもう一点は、「取りもどし」というのがありますな。一応けっこうなようでございますけれども、「取りもどし」というのは、一体どういうときに起こるのか。賦課する場合に、これは鉱害に対しては、こういう鉱害のおそれがあるからこれだけの設備をせなならぬのだということを十分に調査されて、算定されて賦課されておったはずなんです。ところが、何年かたってみたら、それはする必要がないようになったから、そのお金をおまえに返すぞというのが取り戻しだと思うんです。そういうものなのか、そこまで警戒をされるのか、あるいは調査そのものはそういうずさんなものでいいのか。裏返せば、そういうものがあるということは、もっと重大な被害を生ずるおそれもあったかもしれないということにもなるわけなんですが、この二つをひとつ御説明願って、私の質問終わります。
#48
○政府委員(青木慎三君) 最初のケースでございますが、積み立て金が積んであって、その後その会社がつぶれた場合でございますが、もちろん、その積み立て金がございますから、積み立て金でできる範囲の工事はまずそこが一番先に、第一にやるわけです。そこで十分でなくて、工事が残った場合でございますが、残った場合は、たとえつぶれた会社、やめました会社といいましても、資力がある限りその会社がやるべきであるというふうに考えます。もし、その会社が無資力になりまして、しかも親会社があります場合には、鉱業権の消滅をしたときに、二十六条命令を先ほど同様にかけまして、親会社がやった責任のある分につきましては親会社がその工事をいたすということになります。それがない場合、だれも責任者がなくなった場合には、これは先ほどの一番先の例に戻りまして、無資力の鉱害と同様に国が地方公共団体に補助金を出して、そこで工事をする、こういう段取りになるわけでございます。
 それから「取りもどし」でございますが、取り戻しは、通常は、鉱害防止工事をやるときに、その工事の費用として取り戻すのが一番普通のケースでございます。それ以外に取り戻す場合には、いろんなケースがございますが、たとえば例で申し上げますと、積み立て金を使わないで、ほかの資金ソースで自分でやってしまった場合がございます。それから過去の採掘権者あるいは第三者がかわって自分の資金でやった場合。それから、これは非常にレアケースになると思いますが、本来そこで防止工事をするはずであったのですが、何か第三者の公共事業等によりましてその堆積場が取り払われてしまうとか、あるいは道路になってしまうとか、こういうことによりまして工事自体が必要でなくなった場合、こういうケースを、取り戻しすることができるというふうになっているわけでございます。非常にまれなケースでございます。
#49
○大矢正君 ちょっと関連。
 青木さん私はしろうとだからこういう愚問をするのかもわかりませんがね、お尋ねをしてみたいと思うんですが、こういうケースがかりに出たらどうなりますか。積み立て金は、これはもちろん法律に基づいてきちっきちっと払いますね。それから、事業を実施している状態の中においてはある程度の鉱害防止の工事をやりますね。しかし、いろんな情勢でこの鉱山が閉山しなきゃならぬ、廃鉱しなきゃならぬという段階になりますね。その際です、その際に当然に鉱業権の抹消が問題に一つなりますね。鉱業権者は、当然、鉱業権の抹消届けを提出して鉱業権の抹消をまずはかりますね。さて、そうなりますと、結局、その際における鉱業鉱害はどうなるのかということなんです。そこがちょっと私わかりません。
 これは非常に愚問かもわかりませんけれども、それはなるほど過去に積み立て金は積み立てておると、しかし、それはそんなに膨大な金で私はないと思いますよ。そんな金取ったんじゃ、鉱山がやれるはずがありませんから、ですからそれほど多額なものじゃないとします。法律に基づく指示、命令等によって操業期間中の防止工事はやっていると、しかし、閉山した段階においては鉱害が残ってしまう。その段階で鉱業権者に鉱業権の抹消を認めてしまうと、これはもう完全な、責任はないということになりますね。なるほど、積み立て金は積んでおる、しかし、これはわずかなものであるということになると、結局は国と地方自治体の責任においてあとで処理をしなければならぬという問題が残りますね。この問題はどういうふうに解明すればいいんですか。
#50
○政府委員(青木慎三君) 現行の鉱山保安法によりますと、休廃止時においてこういう始末をしなさいという規定がございますので、まず、それによって第一次的には鉱業権者がやる義務があるわけでございます。たまたま鉱業権が抹消されてしまいますと、鉱業権者でなくなりますので鉱山保安法が適用なくなるわけでございますけれども、そこで二十六条命令という条項がございまして、鉱業権が消滅した後であっても、五年間は鉱害の防止に必要な工事を命ずることができるということになっておりまして、この命令が出ますと、すでにやめた人も鉱業権者とみなすという規定がございまして、鉱山保安法の適用を受けますということになりまして、結局、先生が御心配のようなケースはその二つの道でふさがれているということになっています。
#51
○大矢正君 それは、あらためていまおっしゃった二十六条ですか、この二十六条に基づいて「五年間は、鉱山保安監督局長又は鉱山保安監督部長は、鉱業権者であった者に対し、その者が鉱業を実施したことにより生ずる危害又は鉱害を防止するため必要な設備をすることを命ずることができる。」ということでありますから、命令を出した場合にはそういうことになる。で、鉱業権者として鉱業権の抹消、これは重視されるわけですね。そのほうで残しておくということが理屈ではないのだろうか。鉱業権者であると、あなたは。鉱害が残っている際には、鉱業権者の抹消は認めません、あなたはと。やはり鉱業権者として残るべき問題ではないのかという解釈になるものじゃないでしょうか。本来、鉱山保安法にいう何といいますか、保安の維持その他は、これは目的にもはっきりしているように、大体鉱山の安全維持のためということが中心なわけですね。で、ここで議論されている問題は、鉱山に人がいなくなった以降における付近の住民等に対しての影響が問題なわけですから、ですから質的に違うものを私は感ずるわけですがね。
 たとえば、五年間は命ずることができるということだけれども、それは命ぜられても、実際にその鉱業権者は鉱業権者でなくなりますから、鉱業権者ではない。前鉱業権者と申しますか、前もおかしいけれども、かつて鉱業権者であったものが結局命令を受けるということになるわけですけれども、その段階ではそれは個人ですね。もう完全な個人になっているわけですね、会社が解散してしまえば。それは幾つもの鉱山を持った大きな会社のうちの一つの鉱業所の廃鉱というなら、これはまた話は別だけれども、そうじゃなくて、私の申し上げているのは、独立した特に中小のような鉱山の場合における問題点をいま例として出しているわけですが、ここでいう、たとえば五年間はそういうことを命ずることができると、幾ら命令されたって、そのもの自身にはそれこそ資力はないでしょう。それこそ無資力じゃないですか、これは。無資力な者になぜ命令するか。それはしいて言えば、ここで出てくる、五年間命ずることができるというこの文章というものは、全体の幾つかある鉱山の中の、一つの会社の中にですよ、その部分に対して当てはまる文面であって、独立した一つの鉱山に対して当てはまる内容ではないのではないだろうかという感じがしますが、これは私の思い過ごしか、感違いでしょうかね。
#52
○政府委員(青木慎三君) 確かに、会社が解散してしまいましてそれが資力がなくなりますと、二十六条をかけても実効はないということになると思います。ただ、会社が鉱業権抹消の登記をするときに、すぐに二十六条命令をかけておきますと、会社の資産処分のときにそれは法律上の措置ができないことはないので、しかし、それもないというようなケースにつきましては、これは全く無資力になりますので、先ほどの例に返って、国と県が始末をしなければならないということになるわけでございます。そういうことが将来起きないように、極力、現在稼行している鉱山につきましては、その稼行量に応じて積み立て金を積み立てさせて、幾分かでもそういう弊害をなくそうというのが今回の積み立て金の制度の趣旨でございます。
#53
○中尾辰義君 私は最初に、この法案に関係ありますので参考にお伺いしたいのですが、例の宮崎県の土呂久の砒素被害者が、まあ一昨年の十月からずっと発生をいたしまして、全国各地で被害者が出ておるわけです。そのことに関連して、その後通産省は、まず第一に鉱業権者、これはどこにあるのか。新聞等を拝見しますと、かなり過去において移り変わりがあったようでございますし、それから、そのあと始末ですね、公害防止の施設はどのように通産省としては手を打っていらっしゃるのか。現在はどうなっておるのか。
 さらに、そういう処置をされまして砒素の排出基準というものが守られておるのかどうか。
 それから、これは環境庁にも関係がありますのでお伺いしますけれども、砒素患者の救済措置はどうなっておるのか。それと、公害病に対する認定はどうなのか。その辺のところを一括して最初にお伺いをしたい。
#54
○政府委員(青木慎三君) 先のほうの問題について私のほうからお答え申し上げます。
 土呂久鉱山の鉱業権でございますが、いろいろ移転しておりますが、現在は住友金属鉱山に属しております。
 いろいろの経過がございますので、若干詳しく御説明いたしますと、土呂久鉱山は宮崎県高千穂町にあるわけでございますが、非常に古くから稼行された鉱山でございまして、記録によりますと、慶長年間から稼行された鉱山であったというふうにいわれております。最近では、昭和六年以降主として中島鉱山がすずの採石を断続的に行なっておったわけでございますが、昭和二十九年、地元といわゆる公害防止協定を取りかわしまして、亜砒酸の製錬を行なっておるわけでございます。
 昭和四十二年に中島鉱山が経営不振に至りまして、鉱業権を現在の住友金属鉱山に譲渡いたしまして、中島鉱山株式会社は解散いたしましたわけでございます。住友金属鉱山はその後、鉱業権を持っておりますけれども、稼行は一度もしておらないというのが現状でございます。
 事柄の発端の始まりは、昭和四十六年の十一月十三日に、高千穂町の岩戸小学校の先生が、宮崎県の教育集会で土呂久地区住民の健康調査の結果を発表いたしまして、砒素による新しい型の公害ではないかという問題が起こったわけでございます。
 で、福岡鉱山保安監督局は、この問題が生ずる前に宮崎県と共同で土呂久の鉱山の調査を実質的には開始しておりまして、現在までに亜砒酸の製錬施設の除去等の措置を鉱業権者である住友金属鉱山に指示しまして、実施させております。
 その主たる措置は、まず第一は、亜砒酸製錬施設の取りこわし、覆土及び残存亜砒酸の回収でございます。第二は、製錬所のあとの覆土、植生、それから第三番目には、からみ、ズリ堆積場の流出防止工事でございます。第四番目に、からみ、ズリ堆積場の浸透水のために排水路をつくらせたということでございます。それから放置してございました坑口の閉塞工事。
 以上のような工事を指示しまして、鉱業権者である住友金属鉱山に実施させたわけでございます。
 なお、この鉱山より下流にあります東岸寺の堆積場につきましては、流出防止のための擁壁の設置、覆土、植生等の工事を休廃止鉱山鉱害防止工事費補助制度によりまして実施いたしております。これは昭和四十六年から四十七年度にかけて行ないまして、約一千七十一万円の工事をやっております。
 それから、土呂久鉱山に対します監督検査の状況でございますが、土呂久鉱山につきましては、昭和四十六年の五月から昭和四十八年の二月まで計八回の検査を実施して、必要な鉱害防止工事を実施させております。坑口から排出される坑内水の水質につきましては、最近の調査結果によりますと、排出基準以下でございます。なお、今後、鉱害防止工事の効果につきましては定期的に検査を行なう予定になっておりまして、必要があればその対策を講じさせて、今後の鉱害防止には万全を期してまいりたいというふうに考えております。
#55
○政府委員(船後正道君) 宮崎県の土呂久地区における砒素による公害の健康被害の問題でございますが、先ほど通産省から御説明がございましたような経緯を経まして、宮崎県で社会医学的な調査を進めておりましたところ、昨年七月に、亜砒酸等に暴露されたことによる慢性砒素中毒と思われる皮膚所見が地元住民に認められました。これを受けまして、環境庁といたしましては、これらの健康被害者につきまして、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法の適用を検討いたしまして、国の段階で専門委員会を設けまして、認定条件、検診方法等について検討を行なったのでございますが、そのうち、認定条件につきましては結論を得ましたので、本年二月一日に土呂久地区を特別措置法によるところの救済地域と指定し、かつ、慢性砒素中毒というものを公害病として指定したわけでございます。
 なお、その際に、慢性砒素中毒と認められました被害者が七名判明いたしておったのでございますが、これら七名の方に対する補償につきましては、その原因となりました行為は、先ほど通産省からのお話にもございましたように、現在の鉱業権者である住友金属鉱山の鉱業権を取得する以前の問題ではございますが、現在の鉱業権者である住友金属鉱山がこれらの方々に対しまして、四十七年十二月に和解をいたしまして、それぞれ補償を支払っております。
 なお、土呂久地区につきましては、このほかになお地元住民の健康に不安が持たれておりますので、現在宮崎県におきましては、全住民を対象といたしまして検診を実施しておるところでございます。
#56
○中尾辰義君 それで、通産省にお伺いいたしますがね。いまお話を聞きますというと、砒素中毒の問題が、現在の鉱山の権利者である住友鉱山に移るまでの以前の被害である、そういうことなんですがね。そうした場合に、いま通産省がいろいろと鉱害防止施設の命令をされたと、そのことについて、住友鉱山はすなおにそれを受けてやったのですか、費用はどうしたのですか。
  〔委員長退席、理事大谷藤之助君着席〕
#57
○政府委員(青木慎三君) これは鉱業権者である以上、鉱山保安法上の義務はございますので、命令を出しまして、指示をいたしまして、それにすなおに従ったということでございまして、費用は全部会社が負担しております。
#58
○中尾辰義君 まあ住友鉱山みたいに大きな大企業は、それはお金があるからすなおにいったかしれませんが、そういうようなケースがこれから出てこないとも限らないのですね。そうした場合に、現在の鉱業権者に資力がないような場合、これはどういうふうになりますか。
#59
○政府委員(青木慎三君) 鉱業法につきましては、民事の賠償責任で無過失賠償責任制度というのがございまして、鉱業法第百九条による賠償責任がございまして、ある人に被害を与えた場合には、その原因をなしたときに鉱業権者がまず責任を負うわけでございますが、その後鉱業権が転々とした場合に、その原因をなしたときの鉱業権者のみならず、その後ずっと転々とした鉱業権者がすべて連帯で責任を負うというような、非常にきつい規定になっておりますので、たとえ自分で稼行したときでないものにつきましても、連帯責任として無過失で賠償する責任を負っておるわけであります。公害防止工事そのものは保安法に基づくものでございますが、鉱業権者に資力がない場合には、それだけで鉱山保安法上の罰則はもちろん適用されるわけでございますが、その者が鉱業権を放棄いたしますと、先ほど申しましたように、放棄してから五年間の間は保安法二十六条の命令がかかりますので、かつて鉱業権者であった者、その原因行為をなした鉱業権者であった者に対しても、公害防止工事の施設をつくることを命ずることができる、こういうことになっておりまして、その場合には、最後の鉱業権者が無資力であっても、その原因をなしたときの鉱業権者に資力があれば、その者にも工事を命ずることができるような法制上のたてまえになっております。
#60
○中尾辰義君 それじゃ、次の問題でですね、いまも少し問題になりましたけれども、鉱山保安法第二十六条で、鉱業権消滅後五年間は、鉱山保安監督局長は鉱業権者であった者に対して危害防止、鉱害防止の設備をすることを命令することができると、あなたいまおっしゃったのですがね。
 そこでお伺いしたいのは、この設備が完成したときはもちろん通産省に届けをし、あなたのほうでこの設備を検査をする。それからその後ですね。この設備を管理する義務と責任というのはどうなっておるのか。鉱業権者が鉱害の防止施設をしたらそれで終わりなのか。それから先はもう責任がないのか。私のほうはちゃんといたしましたよ、鉱山監督局に検査をしていただきましたからこれで責任ありませんよと。それでおしまいなのか。それから先もあるのか、その辺のところですね。
#61
○政府委員(青木慎三君) 二十六条で設備の設置を命ずることができるわけでございますが、この命令には、その設置した設備の管理まで含んでいるというふうに現在解釈しておりますので、設備をつくってそれを管理しなさいという内容の命令を出すというのが通常でございます。
#62
○中尾辰義君 ずっとそれが将来まで管理をする、こういうことですね。
#63
○政府委員(青木慎三君) その設備が存続している限り管理をするということになると思います。
#64
○中尾辰義君 私がお伺いしたいのは、これは去年の十二月の新聞ですけどれも、常磐炭礦――福島県のいわき市の常磐炭礦です。これが廃坑の立て坑内における油かすなどの産業廃棄物を投入作業中爆発をして、大音響とともに相当なけが人が出ている。こういう新聞記事ですがね。これはもともと廃坑になってあとの処理もきちっとやった、その後ですね。これは産業廃棄物を投入するために、その防止施設のふたを破ってそこにいろいろほうり込んだ、それで、そういう事件が起っておるんですね。これはこういうふうに出ております。「常磐炭礦東部礦が閉山後、福島環境整備センター会社が管理しているが、同センターはことし八月ごろ、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づいて投棄許可を受け、ときわ急行貨物会社が請負って、廃坑に産業廃棄物を投入していた。」と、こういう記事が出ておりますが、そうすると、その廃坑にふたをしたやつを、あとから許可をもらっちゃそこに、ふたをあけて廃棄物をどんどんほうり込んでいった、こういうことがはたして許されるんですか、どうですか。
#65
○政府委員(青木慎三君) 従来の取り扱いといたしましては、こういう場合に、最後にふたをがっちりするところまでを十分監督いたしておったわけでございますが、その後の監督というのは、実はあまり十分行なっていなかったというのが実際の現状でございます。この事故が起きまして後、私どもも非常に危険な事態でございますので、こういう廃坑の一斉調査をいたしまして、今後はこういうものの取りあげはさせないという方針で行政指導を行なっていくつもりでございます。
#66
○中尾辰義君 そうしますと、これは鉱山保安法で義務づけられてありますね。あなたが最初おっしゃったように、防止設備の維持ということは五年を経過をしてもずっといつまでも続くと、こういうふうに理解してよろしいのか。
  〔理事大谷藤之助君退席、委員長着席〕
#67
○政府委員(青木慎三君) 私が先ほど申しました維持管理と申しますのは、たとえば、鉱害防止施設の沈でん池の管理というような点を中心にして申し上げたわけでございますが、坑口の場合は、通常完全にふたをいたしますと、あと特に維持管理は一般的には必要でないわけでございます。ただ、だれかがあけるときを、これを防止しなければならぬという意味で維持管理が要るんだと思いますが、従来は、その坑口を閉じるところまでは十分監督いたしておりましたが、一たん閉じたあとあけることについては特に維持管理の命令を出しているわけではなくて、かつまた、監督も必ずしも全部を見回っているという状態ではなかったわけでございます。今後は極力そういう危険を防止する意味で、なるべく使わないほうがいいという考えでございますが、現在、一斉にいろいろ危険の状態を調査している段階でございますので、その調査の結果を待って、どういう場合にのみあけさせるかというような基準をつくりまして方針をきめたいと思っております。
 なお、現在、御指摘のケースにつきましては、廃棄物処理業者としまして廃坑を廃棄物の投入場所として使用したわけでございますので、現実の法律の適用は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律という法律に基づきまして都道府県が監督、規制しているというところでございます。廃棄物の処理業者は、その規定に基づきまして別途鉱害防止の義務を負うということになっておりますので、こういう場合に、十分その坑口の危険さをこの業者に徹底させる必要はあると思いますが、明らかに都道府県の監督下にこういう事業をいたします場合には、この廃棄物処理の法律のほうで十分取り締まってもらうというのも一案かと思っております。
#68
○中尾辰義君 そうしますと、鉱害防止施設をしたあとそれを取りこわすということは、これは鉱山保安法違反にはならないのですか。
#69
○政府委員(青木慎三君) 直接違反にはならないわけでございます。通常はあけられないような状態で坑口を閉じるところまで鉱業権者の義務になっております。
#70
○中尾辰義君 違反にならないとすれば、またこういうようなケースが起こってくるのじゃないかと私は思うのですが、ひとつ答えてください。
#71
○政府委員(青木慎三君) これは、鉱業権者に対する保安法上の義務はもちろんないわけでございますが、そういう工事をする際に行政指導といたしまして、鉱業権者の所有になるわけでございますから、みだりにあけないような措置をとるように実質的な行政指導をしてまいりたいと考えております。
#72
○中尾辰義君 行政指導は当然のことですけれども、いまはいろいろな悪らつな業者がおりますよ。あんな廃坑のあとなんかにそういう産業廃棄物をどんどんほうり込むことは、これはたいへんもうかるらしいですね。大体、工場等が廃棄物に困っているのでしょうが。トラック一ぱい五百円、千円ということで、さあどうぞどうぞほうり込んでくださいと、一日何万円ももうかるそうですよ。ですから、これは廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づいて投棄の許可を受けさえすれば、これは鉱山保安法の点から見てはもう関知しないと、それでけっこうですと、そういうことになるように思いますがね。そうすると、やはりこのような危険がまたこれ起こってくるかもわからぬです。
 ですから鉱業権者が、また私は質問を繰り返しますけれども、五年間の間は通産省のほうで命令ができる、この五年間の間に一ぺん命令をして、それはすなおに受けて鉱業権者がちゃんといたしましたと、それ以後はこれは関係はないわけですね。関係がない――鉱業権者にもう管理の責任がないのか、ずっとあるのか。まあ、さっきあなたはあるとおっしゃったんですが、これはあると言いましても、一体それじゃ、もう閉山したのにどこまで管理すればいいのか、そういう問題も出てくるわけですね。その辺いかがですか。あるのかないのか、はっきりひとつおっしゃってください。
#73
○政府委員(青木慎三君) 現在の規定からまいりますと、特に坑口を閉塞したあとあけないという維持管理の特別な命令をかけない限り、鉱業権者には義務はなくなるわけです。
#74
○中尾辰義君 さっきの答弁と違うじゃないか。
#75
○政府委員(青木慎三君) ですから、かけない限りと申しましたのは、二十六条で特に危険であるということで坑口を閉塞し、かつ、それをずっと維持しなさいという命令をかければ、維持管理の義務は鉱業権者に残るわけでございます。いままでの通例では、坑口の閉塞の命令は出しまして――そういう規則になっておりますが、それをずっと維持しろという命令をかけておりませんので、先ほどのケースのような場合には、直接鉱業権者は鉱山保安法の違反にはならなかったわけでございます。
 今後、もし維持管理の命令をかけるとすれば、維持管理の義務が鉱山保安法上生ずるわけでございます。
#76
○中尾辰義君 それは法令のどこにあるんですか。
#77
○政府委員(青木慎三君) その坑口の閉塞の命令は、少しこまかい規則になりますが、石炭鉱山保安規則という省令がございまして、その二百七十五条に「坑口を有する立坑または坑道を廃止するときは、その坑口を閉そくしなければならない。」というふうに書いてございまして、この規定によりまして、鉱山をやめました場合には閉塞の義務が生ずるわけでございます。これには、直接、その後維持管理しろという命令になっておりませんので、従来の規則の適用から申しますと、あとであけた場合の適用は保安法上なかったわけでございます。今後、もしこういう事例が起こってまいりますならば、規則を改正して二十六条の維持管理の命令をかけますならば、保安法上の義務ということが残るような道は開かれておるわけでございます。
#78
○中尾辰義君 どうもあなたの答弁聞いていると、いいかげんですよ、それは。現行法ではそうなっていないけれども、今後、規則を改正して鉱害防止の処置をした以後は管理の維持ができる、そういうことですか。
#79
○政府委員(青木慎三君) この規則そのものでは維持管理まで命令することはできませんが、先ほどから問題になっております二十六条の命令を発動しまして、ここに坑口を閉鎖した上に維持管理をしろという命令をかければ、そういう道が開かれるということでございます。
#80
○中尾辰義君 まあとにかく、こういうような人命にかかわる事故が起こっているのですからね。いま非常にせちがらい世の中ですから、さっき私が申し上げましたような廃棄物の商売、これはもう非常に利潤がいいらしいので、こういうケースはあっちこっちにありますよ。その点をよくお考えになって、ひとつ規約を改正するなら改正をしてきちっとしてもらいたいですね。これはちょっと、大臣にひとつお伺いします。
#81
○国務大臣(中曽根康弘君) 廃棄物といまの鉱山との関係というのは、新しいそういう問題が起きているということを私もよく認識しております。それだけに、取り扱いについては利潤本位に堕して一般の人たちに迷惑を及ぼさないように、また、鉱山保安等について十分な措置をいつまでもやれるようにしておく必要があると思いますので、御趣旨に従いまして措置をいたします。
#82
○中尾辰義君 それから、これも先ほど問題になったのですが、鉱害防止義務者の不存在の場合の防止工事ですね、これは国が三分の二、地方が三分の一で、地方団体がやるということですが、この問題、本法を見ましても基本方針には確かに出ておるのですけれども、地方団体がやらなければならないという義務づけた法律ではないようですね。その辺が少しやっぱり問題があると思いますがね。何といいましても先立つものは金でありますし、特に、全国の県の中であまり県財政が豊かでないような県にああいう山があるのですね、大阪、東京なんかありませんね。えてして、そういうところはやっぱり県の財政も資力も少ないですね。こういう問題はちょっとあと回しだ、こういうことで、県がなかなかやらないというようなことも出てくるのじゃないかと思うのですね。その点いかがですか。
#83
○政府委員(青木慎三君) 先ほど御答弁いたしましたように、現在までのところ、県がやらないがためにこの工事ができなかったというケースはございませんでしたが、急速にこの工事量がふえてまいりますし、今後もふえてまいると思いますので、事業量がふえるに従いまして県の財政に圧迫を加えるということも考えられますので、この点につきましては、将来、県の財政負担を軽くする方向で関係省庁と折衝してまいりたいというふうに考えております。
#84
○中尾辰義君 ですからそれは、一つは法律できめるわけにはいかないのですか。義務づけるわけにはいかないのですか。
#85
○政府委員(青木慎三君) これは法律上きめることも可能なわけでございますが、実を申しますと、県のほうでは、法律上あまり明確な制度にしてもらいたくないという意向が非常に強うございまして、今後制度的には国の補助のしかた、あるいは県が負担する財政上の負担につきましても通産省のほうで努力してもらいたいという意向もございまして、特に明記はしなかったわけでございます。ただ、法律上明記いたしませんでも、従来から、四十六年から補助金制度で実際は実施しておりますので、事業の実施そのものには支障がないわけでございます。
#86
○中尾辰義君 それじゃこの地方の三分の一というのは、これは補助金でいくわけですか。
#87
○政府委員(青木慎三君) 国が三分の二の補助金を出しまして、残余を県が負担いたしまして、県の事業として鉱害防止工事を実施するわけでございます。
#88
○中尾辰義君 ですから、三分の二を国が補助金として出すとあとが問題になってくるわけですが、これは地方の一般財源から出すということになりしょうが、いま非常に公害問題は基本法もできましたし、経済との調和条項も削られておるんですからね。人間尊重がやはり第一番なんです。したがって、これはもうきちっとやってもらわないと困るわけですね。だから、どうも私はこれだけでは信頼できないんですよ。地方財政は非常に赤字ですね。ですからこういうのは、これは地方交付税なんかで何とかするというわけにはいかないんですか、その辺はいかがですか。
#89
○政府委員(青木慎三君) これは直接の算定根拠の中に入れるのはなかなかむずかしいと聞いておりますが、今後折衝してまいりたいと思います。
#90
○中尾辰義君 それではもう時間がありませんから、一番最後にこれは一つお伺いしておきます。
 海底の鉱物資源の開発のことでありますけれども、深海に存在するマンガン団塊の海底鉱物資源の開発について、欧米先進国の調査はかなり進捗をしているのですけれども、そこでわが国の民間でも、深海底鉱物資源開発に関連する有力企業二十七社が四月二日に深海底鉱物資源開発懇談会を発足させて、今後、政府への建議などをしていくことになっておりますけれども、深海底鉱物資源の開発には特に事前の地質調査が必要とされるので、金属鉱物探鉱促進事業団で海洋地質調査専用船の建造に着手したと、このように聞いているわけですが、この性能、建造計画、経費そういうのはどうなっておるのか、概要をちょっとお聞かせをお願いしたい。
#91
○政府委員(外山弘君) 御指摘のように、深海底の鉱物資源開発のために地質調査船というものを建造いたしまして、そして助成を強化したいということを考えている次第でございまして、先般の予算ですでに金属鉱物探鉱促進事業団がそれの仕事を進めております。総額は二十一億円、四十七年度に四億円、四十八年度に十七億円の産投出資を事業団に与えまして、そして現在建造を進めているところでございます。
#92
○中尾辰義君 終わります。
#93
○委員長(佐田一郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十五分開会
#94
○委員長(佐田一郎君) それではこれから再開をいたします。
 午前に引き続き金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案及び金属鉱業等鉱害対策特別措置法案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#95
○藤井恒男君 私は最初に、海外鉱物資源開発の基本方針とその見通しについてお尋ねいたしたいと思います。
 政府では、四十六年の秋に「資源問題の展望」という、いわゆる資源白書を提出されておるわけでありますが、この資源白書に示されておる政府の政策を基礎にして二、三お伺いしたいと思います。
 この白書によりますと、国内鉱物資源に乏しいわが国としては、海外資源の開発に力を注がなければならないというふうに述べておられます。そして、その基本的な方向として開発参加に主力を向けること、その際の方策として六つほどの問題点をあげておるわけでありますが、一つが、大規模開発に特化する、二つが、開発対象地域を積極的に分散する、三つ目が、資源保有国の資本と協力する、それから四つ目が、現地での加工度上昇に極力協力する、それから五つ目が、資源保有国の道路あるいは港湾、鉄道などの整備に協力する、六つ目が、他の先進国の資本との不必要な摩擦を避けるべきだ、大要このように述べていると思います。
 そこで、わが国の海外鉱物資源開発の現在の状況の中で成功しておる例としてザイールのムソシ鉱山、それからマレーシアのマムート鉱山などがあげられておるわけですが、この二つの成功例について開発の現況、それから基本的な開発方策がこの白書に照らしてどのように行なわれ、功を奏しておるのか、成功例というものと白書との関連を現況としてお聞かせいただきたいと思います。
#96
○政府委員(外山弘君) 確かに御指摘のように、「資源問題の展望」という資源白書によりまして、ただいま御指摘のようなことを私どもとしては述べたわけでございます。で、探鉱開発により生産中または開発準備中のおもな鉱山は現在十三ぐらいございますけれども、そのうちの代表的な例がいま御指摘のムソシ鉱山とマムート鉱山であると思います。
 ムソシ鉱山の場合、昭和四十一年に日本の企業が探鉱を開始いたしまして、そして四十四年に開発準備にかかりまして、昨年の十月生産に入ったわけでございます。全体の起業費は約三百億円でございまして、生産規模は年間の銅量にいたしまして約五万トンでございます。で、この鉱山の開発は日本側が八五%、ザイール共和国政府が一五%でございまして、その両者からなる現地法人が開発に当たるわけでございます。そして、生産全量は日本向けに輸出されることになっておりまして、その第一船が本年一月日本に入ってまいりました。すなわち、これは単なる買鉱ではございませんで、現地の開発参加というかっこうで、また現地も非常に歓迎するかっこうで銅鉱山が開発され、その鉱量が日本に来るということに相なったわけでございます。
 その次に、マムート鉱山でございますが、これは昭和四十二年、マレーシアのサバ州政府が探鉱開発を国際入札に付しました。そのとき、わが国の海外鉱物資源開発株式会社が落札をいたしまして、約三年間探鉱を実施したわけでございます。で、一方当鉱山を開発するために日本側が五一%、マレーシア国側が四九%からなる現地法人が設立されまして、四十五年の十月から開発準備に入っております。総起業費は約二百五十億円ぐらいの予定でございます。生産は昭和五十年の四月に開始される予定でございまして、生産規模は、年間銅量にしまして約三万トン、日本に全量向けられるということになっております。これも先ほど幾つかの基本的方面を御指摘ございましたが、その線に沿った開発であるというふうに私どもとしては考えているわけでございます。
#97
○藤井恒男君 前回の委員会で参考人にいろいろお尋ねしたわけですが、そのおり、業界の代表である河合参考人との間でも私質問をかわしましたが、どうしても海外鉱物資源開発ということになると、資源保有国のナショナリズムというものとの、まあことばが不適当かわかりませんが、対峙対決とまで言いませんが、これをある程度意識してかからなければならないわけで、いまの二つの成功例で見ると、これまでの間はきわめてスムーズに事が運んでおるというふうに私も受け取っておるし、またそのような説明でございまして、たいへんけっこうなことだと思うんですが、まあ開発途上国でナショナリズムというものが、非常に最近その動きが広範多岐にわたってきておるわけなんで、これらの問題について、この二つの成功例を大事にしていかなければならないという立場にあるわけで、今後問題が全然ないのかどうか、その辺お伺いしたいと思います。
#98
○政府委員(外山弘君) ただいまは成功している二つの例を申し上げたわけでございまして、そのほかにもいろいろな試みが行なわれているわけでございます。しかし、最近は、御指摘のような、資源保有国のナショナリズムとの関係を十分頭に入れまして各企業も取っ組んでいるというのが、著しい傾向として指摘できると思います。何と申しましても、やはりその点をきわめて慎重に、かつ、妥当に考えてまいりませんと、なかなか開発がうまくいかないということは、幾つかのいままでもいろんな事例があったようでございますが、最近では、そういった点ではかなりうまくいってきているのではないだろうか。しかし、すべてが成功しているわけではないわけでありまして、先ほどのような例が二つ特に著しい例として申し上げられたわけでございます。で、もちろん資源保有国のナショナリズムということは今後とも高まっていく傾向にあると思います。私どもから見ましても、こういった傾向をよくわまえて、いやしくも資源の略奪というふうな非難を受けるおそれがないように、少なくとも資源保有国の経済発展に寄与するというかっこうでの開発を考慮していかなければいけない、こう考えるわけでございます。
 そのための一つの方策は、先ほども申しましたような現地資本との合弁でございましょう。あるいは現地で加工度を高めるということでございましょう。それからあるいは公共事業費的な、つまり、インフラストラクチュアというものでございますが、学校とか道路とか、そういった公共施設についてもできるだけの協力をしていくということ、こういう点もひとつ大事な問題でございましょう。こういったようなことを相手国の実態に応じて考えて、そして積極的な開発に取り組む、つまり、そういった問題を積極的に考え、そして積極的に開発をしていく、これが私は非常に大事だろうと思いますし、そういうことをよく頭に入れて今後とも海外開発に取り組むよう私どもとしても指導してまいりたいと、こう考える次第でございます。
#99
○藤井恒男君 通産大臣にも以前私申し上げたわけですが、私もこの春に東南アジアを回ってまいりまして、日本が行なっておる経済協力というものが、必ずしも的確に開発途上国にすなおに受け入れられていないという面もあるわけなんで、タイにおける日貨排斥なんかの場合も、円借款を大幅にしたとたんに火をふいたというような問題もあるわけなんです。まあ、開発途上国の人たちがよく口にすることばですけれども、よその座敷で仕事をしておるということを忘れてくれるなということでございまして、非常に含蓄のあることばだと思います。いまの御説明によれば、資源略奪というようなことのないように、広範多岐にわたってやっていくのだということで、非常におことばとしてはけっこうだと思うのです。ひとつそういう面で十分御活躍いただきたいと思うわけです。
 次に、日本鉱業が、同社の主力鉱山である日立などの五鉱山を分離する、あるいは多田などの閉山をきめたわけです。で、このおり新聞の論調などで、日鉱では同社が中心になって開発してきたところのザイールのムソシ鉱山が本格的な生産を始めたと、これに思い切った手を打ったことがこれらの鉱山の分離及び閉山に結びついておるのではないかというようなものの見方をしておるわけです。で、いまもお話がありましたように、資源に乏しいわが国としては、海外資源開発に精を出さなければならない。一方、それを大規模に進めれば進めるほどわが国の非鉄金属鉱山は閉山のやむなきに至る、こうなってくると、ここら非常に矛盾したことであって、しかも、前回の委員会で四人の参考人がこもごも申されたように、これからのことを考えると、技術の問題、あるいはわが国における資源そのものの問題などを考えて、もっともっとわが国の鉱山を全滅に追いやらないような施策が必要だとるる述べておられるわけです。したがって、そういった意味で鉱山の産業的な地位といいますか、位置づけというものを真剣に考えてもらいたいというお話があったように私聞きました。
 いま言ったような、現実の問題として新聞なども、海外に出て成功したがゆえにわが国で閉山分離が行なわれたという見方をしておるのも、これは一理だと私は思うわけなんで、この辺の関係をどう見詰めておられるか。
  〔委員長退席、理事大谷藤之助君着席〕
あるいは、あなたも参考人のお話を聞いておられましたけれども、ああいった参考人のお話などともあわせて、抜本的な問題として、根本的な問題としてこの種の関係をどう調整していかれるおつもりか、その辺について承りたいと思います。これは大臣にお聞きすべきかと思いますが、お見えでございませんので、よろしくお願いします。
#100
○政府委員(外山弘君) 今後、非鉄金属の需要が増加していくに応じまして、海外開発の重要度も量的にふえていくということは言えると思いますし、また、そういう経過をたどってきておることは事実でございます。しかし同時に、一定量の国内鉱山の積極的活用をはかっていきたいということは、やはり何と申しましてもこうした安定資源であるということ、あるいは地域社会と関係の深い山が多いということ、あるいは労働者の問題もある、海外開発の技術的基盤を提供するという問題もある。いろいろなことを考えまして、やはり国内鉱山の一定量の積極的活用ということは、私どもが鉱業政策を考えていく場合のもう一つの大事な基本でございます。そういった面から今後もそれが果たせるように、そして、国内鉱山にも一つのビジョンが持てるように、今後の助成策の強化を考えていきたい、こう考えているわけでございます。
 御指摘の日本鉱業の鉱山分離、これは、鉱山分離そのものが基本的には企業の経営責任により行なわれるものでございますが、あの場合、会社の述べた理由は、一般管理費の削減ということによりまして、鉱山部門の採算を改善したいということを述べておりました。そういう理由で日本鉱業としては組合と話を進めているわけでございますが、御指摘のように、同社のムソシ鉱山からの鉱石輸入が始まったので、したがって、漸次そっちに移るということもあって分離をしたのではないかという御指摘がございますが、現在ムソシ鉱山からの鉱石輸入は、今年度この会社に対しては三万トン弱で、この日本鉱業の鉱石輸入総量二十三万トンのごく一部でございます。こういったことから見まして、これが直接分離の原因であるとは見られないのではないだろうかと思います。
 で、要するに、やはり鉱山部門の採算の改善をはかろうと、それは国内における長期的な価格の低迷、あるいは労務費等の上昇、そういったことにこたえていこうということで、経営の圧迫要因を少しでもなくそうという企業の立場の配慮だろうと思います。したがって、海外鉱石との関係は直接はないと思います。ただ、全般の傾向は、冒頭申し上げましたように、海外鉱石のウエート、海外地金のウエートはだんだんに上がってくる。しかし、同時に私どもとしては、国内鉱山の一定量の積極的活用ということも、もう一つの柱として基本的な重要さをもって考えてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#101
○藤井恒男君 海外鉱物の資源開発に対する成功払い融資についてお伺いするわけですが、先ほど申した資源白書によりますと、わが国で昭和二十八年以降、探鉱段階から手がけたいわゆる開発参加方式、これを指向したプロジェクト百二ほどのうち、結論の出ていないのが四十二プロジェクト、成功したのが十四プロジェクト、成功率は二〇%、この成功した十四プロジェクトからの鉱石輸入量は、銅量にして年間約四万トン、融資買鉱による輸入鉱量十万トンの約四〇%、わが国全体の海外依存銅量約六十五万トンの六%にすぎないということが述べられておるわけだけれど、これらの数値は間違いないかどうか。また、この数値は、先ほど申したように、百二ほどあるプロジェクトの中からきわめて低い効率にしかなっておらないわけだけれど、このことは相手側の売り込みによる小さなプロジェクトが多くて、そのために探鉱段階で失敗したり、あるいは、かりに成功したとしても、成功例が十四あるわけだけれど、成功したとしても、その規模が小さかったために問題があるということを資源白書は指摘しておると思うのです。
 そこで問題が出てくるわけでございますが、プロジェクトというものは、大規模であればそれだけスケールメリットがはかれるわけですが、探鉱というものが本来リスクを伴うものであるがゆえに、こういったときに成功払いという融資の形態があるし、それは業界も望んでいる。現在のところいま言ったようなきわめてリスクの多い状況の中にあって、成功払いというものが認められておるのはウランだけだ。業界のほうではこの実例が示すごとく、昭和二十八年から現在までの間、きわめてリスクの多いことを数字で示し、白書もそれを指摘しておるわけで、この面について金属鉱物についても、この成功払いというものをもう少し見直していくべきじゃないだろうかという気がするわけです。そういう意思があるかどうか、ひとつお聞きしたいと思います。
#102
○政府委員(外山弘君) 御指摘のように、ウランにつきましては、四十七年度から金属鉱物探鉱促進事業団による成功払い融資制度が創設されたわけでございます。私どもとしましては、今後増大する海外資源開発の重要性にかんがみまして、その促進策として成功払い制度を他の鉱種、つまり、非鉄金属類にも適用する必要性は大きいと思っております。実は、その促進方も昨年度だいぶ関係当局とやってみたわけでございます。しかし、なかなか時期が熟しませんで、まだ実現を見ていない。今後、金属鉱物探鉱促進事業団による助成策の拡充、たとえば探鉱企業に対する出資制度を創設するというふうな問題もございましょう。そういうものとの関連で、この際、成功払い制度もひとつ前向きに考えまして、そうしてぜひ今後の海外開発に対する促進策を講じてまいりたいという気は私は持っております。ただ、関係方面のほうには、ウランやるのにも相当の議論がございましたし、なかなかすぐに解決するかどうかわかりませんが、去年来の考え方を貫きまして、今後とも前向きにやってまいりたい、こう考えております。
 なお、成功率の算定につきましてのいま藤井先生の御指摘は、大体そのようだと思いますが、私の承知している限りでは、まず件数で申しますと、過去のわが国企業が海外に探鉱した例を元にはじきますと、二十八年以来実施した件数は百四十三プロジェクトのうち、十四鉱山が成功しておりますので、成功率は件数では一〇%になるかと思います。
 それから一方、金額で申しますと、初期の段階で鉱床が発見できない、そうなりますと、探鉱を断念しますので、投下資金は不成功の件数が多くても少額にとどまっているわけでございます。そうなりますと、成功したプロジェクトは投下資金が多うございます。投下に対する成功率、つまり、金額で申しますと約四〇%の成功率、こういうふうになるかと思います。
#103
○藤井恒男君 いまの数字でいきますと、件数の一〇%に比して、金額のパーセンテージはそうでもないと、失敗例は早く手を引いてしまうからだということですが、なるほどその辺はわかります。しかし、これは過去の実例ですね。今後、成功払いということも前向きに考えていかなければならないとするならば、いずれにしたって探鉱というものはリスクの多いということははっきりしていることで、しかも、海外でこれを行なうということになれば、さらにリスクは輪をかけて大きくなる。まあ成功払いというのも貴重な国家資金を投入するものだから、必要だからといって野方途にこれを運営するわけにはまいらない。過去の実例はよくわかるのでありますが、今後見通しとして、この種の問題について、私はしろうとだからよくわからないわけだけれども、成功率ですね、件数、それは件数よりも金額のほうが大切なんだけれども、こういったものが予知できるものかどうか、成功払いということをやろうと思えば、その辺の数字のそろばんをはじいて、ある程度根拠のあるものをつくっていかなければならぬわけだけれども。いまのような状況の中で、そういったものが予知できるのかどうか、この辺をちょっと教えていただきたい。
#104
○政府委員(外山弘君) 確かに、予知ができれば非常に説得力のある説明もできるかもしれませんが、やはり過去の実例から見まして、推定した予知をせざるを得ない、こういうふうに考えます。ただ、もう一つやはり成功払い融資制度を推進するにあたっての基本は、成功率の問題のほかにやはり重要性の問題があると思います。探鉱自体がリスクが大きいわけでございまして、これはリスクが大きいからやらないでいいかどうかという問題もやっぱり大きな動機になると思います。その辺も含めまして、今後関係当局とも話をしてまいりたい、こう思うわけでございます。
#105
○藤井恒男君 わかりました。
 それじゃその次に、海外鉱石の引き取りの問題について御質問したいと思うわけです。
 で、これは昨年、田中通産大臣と水田大蔵大臣のときに起きた問題でございますが、申すまでもなくて、国内鉱物資源が乏しいわけですから、海外から鉱石を輸入しなきゃならない。勢いそれは長期契約によって原料を確保するという方策を講じていくわけですが、一昨年来の景気後退、通貨調整の影響などもあって、鉱石の需要が停滞をする、在庫が急激にふえる、勢い、非鉄業界では契約数量を削減するという挙に出ざるを得ない。したがって、海外の鉱山と交渉する、海外では、それをやられると一挙にゴーストタウンが出現するというようなことで問題をかもして、当時の新聞をにぎわしたわけなんですが、それに対して政府としては、海外の資源国の対日感情の悪化を招くようなことは避けるべきであるということで、引き取り量の削減については相手国の経済ということを考えなきゃならない、そういうような前提に立って、緊急措置として、輸入代金の延べ払い期間を一年延長するという措置を田中通産大臣と水田大蔵大臣との間できめて、実行した。これは、昭和四十七年度に限ってこれを講ずるというふうに当時の新聞は報じておるわけです。これが実態として行なわれておると私は思うのですが、間違いないかどうかですね、その現在までの状況がどうなっておるかですね。この辺をお聞かせいただきたいと思います。
#106
○政府委員(外山弘君) 私も、当時貿易振興局長をしておりまして、この制度を大蔵省と折衝した一人でございますので、かなりこの制度については、当時のいろいろな経緯を承知しているわけでございます。
 ところで、御指摘のように、過剰海外鉱石の引き取り促進ということは、当時、非常に大事な問題でございまして、発展途上国との国際的摩擦を発生させないようにしよう、一方、国内の引き取り業者のほうは非常に困っておったわけでございます。したがいまして、どうしてもその当時四カ月のユーザンスというのをもう少し延ばして、そしてドル債務を持ってあげる、持つことを認めるというかっこうをとることがそれだけ引き取り促進になるということでこの制度が出たわけでございまして、当時は、一年だったらばその過剰性もだいぶ解消するのではないだろうか、国内の消費もふえて、それから同時に既存の既契約の処理も順調にいって、たぶん一年たったときにはだいぶよくなるのではないだろうか、こう見通されましたものですから、一年でやめよう、つまりことしの三月までをめどにやろうというふうなことで始まったことは、御指摘のとおりでございます。最近、若干その当時の過剰性は直ってきております。しかし、まだまだ通常在庫といわれまする一カ月半とか二カ月程度をはるかにこえるような量がまだ引き取りの対象として残っておりまして、引き続きこの制度については四十八年度もやらなければならないというふうな私どもの考えでございまして、大蔵省に対しても、制度上の改正点は若干必要かもしれないが、引き続きやる、やりたいということで現在検討を進めているところでございます。
#107
○藤井恒男君 これはドル対策というその問題もかんでおると私思うのです、正直に申し上げてですね。だから、純然たる長期に見通して、資源保有国との間の関係調整、あるいは日本の業界の保護というものだけじゃなく、ドル対策というものも側面にあるというふうに私は承知しておるのだけれど、それは実際大蔵省との感触でそういうものがあるのかどうか。
 それからいまやはりおっしゃる――これは四十七年度で終わっておるわけですね。私は四十八年度まで継続するものであろうというふうに思っておったわけです。いまのお話では、そういうふうな通産省としてはお考えを持っておるということだけれど、これを四十八年度まで継続していくという、もっと期間を延ばしていくということについて見通しがあるのかどうか、その二つの問題。
  〔理事大谷藤之助君退席、委員長着席〕
#108
○政府委員(外山弘君) ドル対策という面でこれを見ますと、輸入の引き取り促進でございますから、結局、輸入が実現することになります。時間はかかっても輸入が実現することになる。つまり、輸入削減が行なわれないから、その意味で外貨の活用になると思います。しかし、外貨の支払いが四カ月が一カ年でもいいということでありますから、短期的には支払いが少しおくれるというかっこうにはなります。しかし、基本的にはドル対策の一つと評価してもよろしいではないだろうか、こう考えます。
 それからもう一つの、四十八年度の見通しでございますが、一年前にその引き取り促進の必要性というものを、その過剰がどのくらいあるか、また、相手国との関係でそれがどう問題であるかというふうなことを判断してやったわけでございますが、その点がいまも若干程度はよくなっておりますが、解消していないというふうな実態がある限り、大蔵省としても、若干の改正点はあっても、引き続きこれは御協力いたしましょうという考えを基本には持っているようでございます。したがいまして、おそらく四十八年度も実行できると、こういうふうに考えております。
#109
○藤井恒男君 四十八年度も実行できるというようなことになると、これは業界が考えておるように、この特例ユーザンスというもの、まあ特例というものをなくして、これを恒久化するというような考えはありますか。
#110
○政府委員(外山弘君) これは重要な輸入物資に対しては、原則として四カ月のユーザンスがきめられておるわけでございまして、それをことさらにやはり延ばすということでありますと、それだけまあ金融上の配慮が加えられておるわけでございます。で、やはりそれは一時的な要因ということで考えるべきだろうと思いますから、おそらくはこのいまの過剰性、国内の在庫の過剰性という問題が解消していき、かつ、発途上国の産銅国等と契約した実情が漸次その過剰性を解消していけば、これはやはりもとに戻って四カ月のユーザンスの中で解決されるべきものだろうと思います。したがいまして、やはり特例として考えるべきであって、私は、四十八年度を終わったところでまたどんな姿になっているか、この点はよく見きわめた上で検討したいと思っております。
#111
○藤井恒男君 この海外鉱石の長期輸入契約という点についてですが、わが国の製錬所が非常に大型化したために、それに見合うだけの鉱石というものを入れなきゃならない。そういう意味で買いあさりを行なうがゆえにきわめて契約条件が悪くなっている。したがって、それを改定しておる動きが現にあります。同時にまた、長期的な安定確保ということを考えるなら、多少割り高であってもやむを得ぬのじゃないかという見方もあるように私聞いておるわけなんですが、二つこう相反する立場に立つものなんだけれど、いずれにしてもわれわれとしては、いい条件で、長期的に、しかも大量のものが入れば、わが国にとってはきわめてけっこうなことなんだけれど、政府としては、海外鉱石の輸入契約というやり方ですね、この方式についてどのように考えて業界に指導なさっておるか、お聞きしたいと思います。
#112
○政府委員(外山弘君) 先ほどの特例ユーザンス制度をやらなければならないような買い方をした事情というのが、確かに昭和三十三、四年ごろの状況から推定できるわけでございまして、当時、需要がどんどんふえていくというかっこうもございましたものですから、長期契約というかっこうでいわゆる単純輸入でございます。開発輸入ではなくて単純輸入のかっこうでどんどん契約をしたわけでございます。この際は、おそらくは売り手市場のようなかっこうでの契約が多かったと思います。したがいまして、いま先生が御指摘のように、条件があまりよくないというようなものも多い客観的な事情もあったというふうに私は考えるのでございます。その辺は私どもも最近、今度の過剰鉱石の引き取り問題等を契機といたしまして、個々の方々に契約条件あるいは買鉱条件といったものについていろいろ検討してみたわけでございますが、今後にやはり改善の余地が多分にあるのではないか、こう考えるわけです。
 もちろん単純輸入そのものを、それにあまりウエートを置く買い方はやはり基本的には直していかなければならない。先ほど冒頭にも御指摘ございましたように、海外鉱石の開発については、単なる買鉱ではなくて開発参加のかっこう、自主開発のかっこう、そういったかっこうで購入することがこれが一番いいわけでございまして、安定もするし、条件もよくなる、こういうふうに考えるわけでございます。基本的にはそういったかっこうで改善されていくことがいいと思います。しかし、単純輸入をしなきゃならぬ場合でも今回のようなことがありまして、よけい買いあさった上に条件も悪かったというふうなことが二度とないように今回の件が非常に参考になって、今後は各企業もそういった点、いま御指摘のような点についていろいろ努力をすることになるだろうと、こういうふうに私どもは考えております。
#113
○藤井恒男君 中曽根通産大臣、御退屈のようだからお伺いするわけですが、いまお聞きになっておらなかったと思いますけれども、海外鉱石の引き取りという問題がわが国においてもいろいろ経験を積んできたわけで、プロジェクトそれ自体は昭和二十八年から百四十三プロジェクトでしたね、の多きを数えておる。成功もあれば不成功もある。そしていま言ったように、日本の国内景気が悪くなれば長期契約しておるのにそれを買えない。したがって、相手国にたいへん迷惑をかける。そのための手だてを講じなければならない。一方、資源の少ないわが国はやはり海外から資源を仰がなければならない。そして、他の国に資源略奪というような悪いダメージを与えることなく、いい関係を結んでいかなきゃいかぬという立場に置かれておるわけです。そういった前提に立って鉱石の需要というものも年々増していく。私はそういう意味からこの需給、それから価格を安定さすために備蓄対策ということをどうしても考えなきゃならない。この備蓄対策というものが確立されるなら、それがわが国だけじゃなくて世界的な緩衝在庫制度というようなものにも私はつながっていくんじゃなかろうか、こういうふうに思うわけなんで、この面についてひとつ政府のお考えをお聞きしたいと思います。
#114
○国務大臣(中曽根康弘君) 御指摘のように、日本の内部の景気の動きによりまして、海外の鉱山あるいは鉱石供給の方面にいろいろしわ寄せがきたり、迷惑を与えたりして、先般来いろいろ外貨措置等も講じてやりましたけれども、やはり一つのシステムとしてそういう制度をつくっておくことが、末長い将来、日本の鉱山業の安定とか、あるいは海外との協調とかという面から好ましいし、また物価対策上からも大事な施策のように思います。そういう観点に立ちまして輸入備蓄公団、仮称でございますが、そういうような発想をもちましていま関係各省との間で協議をやらしておるところでございます。私は農林水産物とか、あるいは非鉄金属とか、そういうようなものはこれに該当するのではないかと思いまして、御趣旨に沿いまして、これを実現するために今後とも積極的に努力していきたいと思います。
#115
○藤井恒男君 私の持ち時間大かたまいりましたので、最後に、金属鉱山の労働力の問題と地域社会対策の問題について一、二お伺いして私の質問を終わります。
 わが国の金属鉱山が苦しいといわれておる原因には、鉱量が枯渇しておるということ、あるいは採掘条件が不利である、いろいろ問題があるけれども、私は別な角度から、最大の難点は労働力の確保が困難なこと、特に国内の交通網が発達し、産業も発達して、鉱山所在地から通勤可能な地域というものが近隣にふえてきた。そのために、本来鉱山で働くべき人たちもその地域から流出するという傾向が見られるのじゃないか。しかもこういった労働力の移動というものが、人為によってこれは避けることが非常にむずかしいという現状の中にあって、しかも先ほど来お話のありますように、国内資源としての鉱山を保護しなきゃならない、あるいは採鉱技術水準を維持し、向上していかなければならないという国としての大きな目的もあるわけです。このような観点から、私は何らかの労働力確保という積極的な施策、助成策というものが必要だと、これは労働省にも大きく関与する問題でございますが、この辺について一点、最初にお伺いしたいと思います。
#116
○政府委員(外山弘君) 労働力の不足問題は全般の問題でもあると思いますし、鉱山もこの影響を受けることは避けられない。また、特にいま御指摘のようなことも加わりまして、いろいろ労働力の確保ということはむずかしい問題があると思います。しかし、この点は先ほどの御指摘のようなことも頭に置きまして、関係方面ともよくお打ち合わせしてみたいと思いますが、私どもの立場から申しますと、やはり機械化、省力化を中心とする積極的な合理化努力ということがこれに対応する一つの基本的なやり方であろうと、こう思うわけでございます。
#117
○藤井恒男君 専門外だからかもわからぬけれども、あんまり満足のいく答弁じゃないわけだけれども、労働力問題は、私は今後の問題としてきわめて重要なものだと思います。ことに労働力の移動というものが一次産業から二次産業、二次産業から三次産業というふうに移行しておる現在、普通の製造業にあっても、しかも都会地における製造業であっても、なかなか労働力の確保というものはむずかしい。サービス業などの場合ですと、労働条件が比較的悪くても若い人たちはどんどん就職してくる、こういう現状にあるわけですから、よっぽどこれは心をしてかからなければならない問題だろうと思いますので、今後、せっかくの御努力をひとつお願いしたいと思います。
 最後に、私、二つだけお伺いして質問をこれで終わりますが、最近、大手の閉山があるわけで、その場合の離職者の再就職問題がどうなっておるか、こいつをお聞きしておきたいと思うんです。
 一つは古河鉱業足尾銅山の場合ですが、これも新聞や経済雑誌エコノミストなどにもこまかく報ぜられておることです。足尾の場合を見ますと、離職者七百四人のうち企業内転職八十七人、あと六百十七人が全然再就職を希望しておる。ところが、私も驚いたんだけれども、これに対する求人数が三千四百七十人、非常に多い、売り手市場ということですね。引く手あまたというこれはうれしい現象なんだけれども、しかし、実際再就職を希望している人の平均年齢が社員で四十二歳、臨時工が五十五歳、下請従業員が四十五歳、賃金も本社員と下請従業員の間にばらつきがあるものの八万五千円ないし十万円、こういうことになっておるわけなんです。こういった中高年齢層で、しかも、高額所得者という人の再就職ということが新聞だけで報ぜられる面から言えば、まあ銅山がなくなったけれども、これはよかったなという安堵の気持ちをみんな持ったわけだけど、その後このような形でうまく推移したのかどうかですね。
 それから別な角度から申しますと、新居浜の別子銅山、この場合はまあいろいろな条件のもとにこれは閉山を余儀なくされたわけだけど、私もこの新居浜、それから別子というのはよく知っているところなんです。これで見ますと、別子山村では昭和三十五年には千八百十六人おった人たちが閉山になると五百人になってしまう。したがって、学校もなくなれば、もちろん、それまで新居浜の別子銅山の病院、診療所があったけど、これもなくなってしまう。それどころか一番近い距離にある隣の町、これは伊予三島というところがあるわけだけれど、そこへ通ずるバスも赤字をかかえて通らなくなる。結局完全に陸の孤島になってしまうという状況をかもしてしまうわけですね。これなども、私は前回の参考人のお話などいろいろ聞いたり、閉山を余儀なくする条件などもそれ相応にわからぬではないけれど、そのあとの地域社会に及ぼす影響というものについて十分これは考えなければならない。これは公害の問題だけじゃなくて、このこと自体たいへんな問題になるわけですから、この二つの点についてのその後の状況、そして当局のお持ちの施策をお聞きしたいと思います。
#118
○政府委員(外山弘君) 足尾鉱山の閉山時、つまり、ことしの二月二十八日でございますが、その従業員数は八百十三人でございました。で、継続されまする製錬所等に残る約三百人を除きまする五百人が離職をしたわけでございます。この離職者は百六十人が系列企業あるいは古河グループの企業に就職をいたしまして、三十五人が職業訓練を受けております。残りの離職者についてもいま先生三千何人もとおっしゃいましたが、私の承知している限りでは約二千人の求人申し込みがあった。そのためにほとんど再就職が決定しているというふうに承知しております。
 それから別子鉱山につきましては、三月の末に閉山し、現在撤去作業が行なわれておりますが、同鉱山の、いま御指摘の別子山村、これはことしの二月で人口約八百六十人と聞いております。で、半数以上が鉱山の従業員及びその家族でございまして、この村には小中学校各一校、鉱山の診療所がございます。で、陸の孤島と御指摘ございましたが、小中学校は閉山後も存続はしておりますが、診療所につきましては、いずれ撤去したいと、ことしじゅうには撤去したいというふうな見通しが一つ出ております。私どもとしましては、それまでに何らかの方策が講じられるよう県当局にも要請をしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
#119
○藤井恒男君 足尾はこれ賃金ダウンはなかったんですか、再就職は。
#120
○政府委員(外山弘君) 再就職のケースによって賃金はばらばらのようでございます。私、いま手元に統一的な数字はございませんが、それはまたよく調べておきたいと思います。
#121
○藤井恒男君 これはやっぱり私は、企業内配転というのはきわめてスムーズにいけるわけだけれど、賃金も仕事が変わっても、そのまま引き継ぐ、退職金も引き継ぐというような形が往々にしてとられるんだけど、他産業へ移動する場合には、おおむね賃金ダウンを余儀なくするというのが通例なんですよ。だからこの辺は、仕事が得られたからそれですべて終わりという考えでは私はまいらないと、だから炭鉱の場合でも、繊維の場合でも、離職者の手帳を出てし賃金をどれぐらいは保障する、確保するというような離職カードというものも出したわけです。だからそういった点はもうちょっときめのこまかい追跡調査をなさって、私は就職先も安定した生活ができるように、いつまでもというわけにいかないまでも、ある段階まではそれまでの維持した生活水準が保持できるというような道はやっぱり講じてあげるべきじゃなかろうかと思いますので、これからもその辺のところ十分注意して処置していただきたいと思います。
 以上で終わります。
#122
○須藤五郎君 鉱害防止義務者が存在しない鉱山の鉱害というのがあるわけですが、これは地方公共団体が事業主体となって工事を行なうことになっておりますね。この工事の対象となる鉱害量は、通産省の資料で見ますると八十八億一千万円、これを五年間で一掃する予定だと、こういうふうに書いてありますが、ところが問題は、この八十八億一千万円のうちの国の負担分が三分の二、地方公共団体が三分の一負担するというふうに書かれております。これでいきますと、地方公共団体は五年間で約三十億円、年間約六億円の資金を負担しなければならない、こういうことになります。しかし、休廃止鉱山のあるところは一般に過疎が進行して財政も困難な自治体であるということが言えると思うんですね。その上に年間六億円の費用負担は決して軽いものではない、地方公共団体の負担をもっと軽減するために、国の負担をもっと大幅に引き上げるべきであると私は考えますが、通産大臣はそれに対してどういうふうなお考えを持っていらしゃいますか。
#123
○国務大臣(中曽根康弘君) 国かまたは公共団体がやらなければほかにやる人がいないという場合には、国と公共団体で協議してその費用分担をして行なうべきでありますが、この場合にあたっては、公共団体ばかりに過重な負担を負わせることは酷であるように思います。したがいまして、いまのような比率については実情をよく見まして、将来必要あらばその比率を改正するということも考えていいと思います。
#124
○須藤五郎君 では、将来はよく事情を見て、その比率を三分の一を四分の一にするとか五分の一にするとか、そういうふうにすることも通産大臣としては考えておると、こういうふうに理解していいですね。
#125
○国務大臣(中曽根康弘君) そのように思います。この法律を実施いたしまして、その状況にかんがみまして検討の余地あることと思います。
#126
○須藤五郎君 この第四条で、通産大臣は、使用済み特定施設にかかる鉱害防止事業に関する基本方針を定めることとしていらっしゃいますが、使用済み特定施設にかかる鉱害防止事業は何年間で完了させるお考えか。たとえば、地方公共団体の行なう鉱害防止事業は五年間を予定しておると思うんですが、政府はどういうふうにお考えですか。
#127
○政府委員(青木慎三君) 使用済みの施設に対する鉱害防止工事でございますが、これは総額約二百六十億ぐらいの金額になるわけでございますが、私どもは、おそくとも十年間にはこれを完全に一掃したいというふうに考えております。ただ十年間と申しましても、すべての施設を十年かかって防止工事をいたすのではございませんで、緊急な必要のあるものはどんどん早く処理してまいりまして、極力早くこれを一掃するのが目的でございますが、あまり緊急性がなくて、しかし念のために恒久工事をしておく必要があるような施設につきましても、十年間で全部を完了するという計画で処理してまいりたいというふうに考えております。
#128
○須藤五郎君 すると、十五年でなしに十年間でやろうという考えですか。そのとおりですね。
#129
○政府委員(青木慎三君) はい。
#130
○須藤五郎君 そのときの具体的な内容といいますか、やり方ですね。そういうものはお考えだったらここで述べておいていただきたいと思います。
#131
○政府委員(青木慎三君) これは、この法律が通りましたあと、大体年間どれくらいずつの工事をしていくか、それからどういう工事をすべきかというようなことを、基本方針できめてまいるつもりでございます。ただいまのところ、その基本方針の内容につきましては検討中でございまして、この法律施行後直ちに基本方針で明示してまいりたいというふうに考えております。
#132
○須藤五郎君 古河鉱業足尾銅山は閉山いたしましたが、長年にわたる蓄積鉱害は将来も相当長く続くと考えられると思います。鉱業防止の責任は古河鉱業が当然最後まで負うべきであると思いますが、その点、この特別措置法はどのように役立つのかどうかという点を伺っておきたいと思います。
#133
○政府委員(青木慎三君) 古河鉱業は、足尾鉱山を閉山いたしましたが、鉱業権を放棄しておりませんので、鉱業権者でございます。したがいまして、足尾銅山にかかわりますいろいろな施設の鉱害防止工事は、古河鉱業が責任を持って処理する義務があるわけでございます。この法律が出ますと、現在ございます足尾銅山における諸施設の鉱害防止工事に関しまして鉱害防止計画を作成して、その鉱害防止計画にのっとって、逐次、この工事を実施していくということを義務づけられるわけでございます。
#134
○須藤五郎君 そうすると、足尾銅山に限っては、この鉱害がなくなるまで足尾銅山の責任においてこれを処置していくと、こういうことなんでしょうか。
#135
○政府委員(青木慎三君) 古河鉱業が企業として存在している限り、この足尾鉱山に対する鉱害防止工事の義務は古河鉱業が負っておるわけでございます。
#136
○須藤五郎君 存在する限りとおっしゃいますが、古河鉱業が存在しなくなったあとは一体どうなるんですか。
#137
○政府委員(青木慎三君) 古河鉱業が解散いたしました場合には、その解散する際に、これこれの義務を十分果たし得るだけの資産を留保しなければならぬと思っておりますが、もし、それが留保できなくてほんとうに破産というような状態でつぶれました場合には、これは無資力の鉱山になりますので、だれも鉱害防止工事をやる義務者がなくなったと同様になりますので、これは国または地方公共団体が事業を実施するという段取りになるわけでございます。ただ、現在考えられます段階では、そういうような事態になることは予想できないというふうに私どもは思っております。
#138
○須藤五郎君 私も、古河鉱業が無資力になるというようなことは考えることはできない。だから、この足尾銅山に関しては、鉱害全般について、将来にわたっても古河鉱業が責任を持ってその処置に当たるべきだと、このように私は思いますが、政府もそういう方針で、古河鉱業に責任を持たすというその方針を貫いていくべきだと私も思います。この特別措置法によって古河鉱業のその責任を免除していくというような、そういうことはあり得ないと私も考えているんですが、そのとおりでございますね。
#139
○政府委員(青木慎三君) そのとおりでございます。
#140
○須藤五郎君 この蓄積鉱害に対して行なわれておるところの金属鉱業事業団の融資対象に、古河鉱業の足尾銅山の場合も含まれるのかどうかという点を、私はもう一ぺんはっきり聞いておきたいと思うのですが、このような大企業に対しまして金利五%、所要額の七〇%、償還期限は十五年間、うち据え置き二年というような好条件で融資することを国民は一体どう思うだろうか、こういう点ですね。古河鉱業のような大企業には自己負担させるべきであると思いますが、どうでしょうか。
#141
○政府委員(青木慎三君) 蓄積鉱害は、現在の生産から生じてきます鉱害ではございませんので、過去の長い間の事業活動によって生じた鉱害でございます。これが直ちに将来の利益に結びつくこともございませんので、各企業にとりましては相当大きな負担になるべきものでございます。こういう点を考慮しまして、大企業に対しましても、この鉱害防止計画に従って行ないます鉱害防止事業につきましては、金利五分の七〇%という融資を行なうことになっておりますので、足尾鉱山につきましても、鉱害防止事業計画に基づいて行ないます鉱害防止事業につきましては、この融資を受けられるという制度になっておるわけでございます。
 で、蓄積鉱害というものの性質上、この程度の措置を講じてやることが鉱害防止工事の円滑な実施に必要であると私どもは判断したわけでございます。
#142
○須藤五郎君 この蓄積鉱害と申しましても、足尾なんかは長い間たくさんの金をもうけてきた鉱山ですね。過去にうんとこさと金をもうけて、そうして蓄積鉱害のみならず、蓄積財産といいますか、蓄積の資産をたくさん持った鉱山だと思うのですね。だから、こういう大鉱山、蓄積財をたくさん持った鉱山に対しまして、鉱業に対しまして、何もこういう手厚いもてなしをするのではなく、おまえのところは大きな山だから自力でやれと、こういうことにはならないのでしょうか、どうでしょうか。
#143
○政府委員(青木慎三君) 蓄積鉱害の性質上、企業企業によりまして、この会社には貸す、この会社には貸さないというわけにはまいりませんので、制度といたしましては、たとえ大きな企業でございましても、優遇金利で融資をするという制度になっておるわけでございます。
#144
○須藤五郎君 まあいいですわ。しかし国民は、どうしてああいうこれまで過去にうんとこさと金をもうけてきた、そうしてその金をもうける中で蓄積鉱害というものをたくさん出した会社に、国はそこまでめんどうを見なければならぬのだろうか、やはりああいうところは自力でやらしたらいいのではないかという気持ちが、ぼくは国民の中にはあると思うのですね。一体、だれが鉱害の責任者なのでしょうか。鉱害の責任者は一体だれなんだ。
#145
○政府委員(青木慎三君) 鉱害の責任者は、第一次的にはやはりその鉱害を起こす因をなした、鉱業を営みました鉱業権者でございます。
#146
○須藤五郎君 おとといの参考人も、あなたと同じように、鉱害の責任者はやはり企業だということをはっきり言っていらっしゃいました。それならば、もう少し責任を明らかにとらしたらいいのじゃないでしょうか。そういうことにはならないでしょうか。
#147
○政府委員(青木慎三君) やはり数十年に及びます操業から出てきました蓄積鉱害というものを、一番長い場合でも十年間という期間の中に相当量の工事をして一掃するということを義務づけますので、その鉱害防止工事が円滑にいくようにするためには、ある程度の資金のめんどうなり優遇金利なりというものは必要なのではないかと私どもは考えた次第でございます。
#148
○須藤五郎君 通産大臣、私は石炭対策の費用は、これまで第一次、第二次、第三次、第四次、今度第五次ですね。これは総額相当たくさんの金を石炭につぎ込んでおるわけですね。今度は鉱害にまた金を出そうということになるんですが、石炭には何千億という金ね、それからこれにも今度二百何十億というのを出しますが、国民の受け取る感情というものは、石炭だって、うんとこさとかつてもうけておるじゃないか、鉱山だってそうじゃないか、古河なんかそのとおりじゃないか、足尾だってたくさんもうけたじゃないかと、こういうことですね。それに、企業がうまくいかなくなったからといって、国が金を出すということは、どうもふに落ちないという気持ちが国民の中にはあるんですね。この出す政府の金というのは税金でございましょう。税金から出すわけですね、そうすると、一般の市民は、おれたちの税金が何でそんな使い方をされなきゃならないんだろう、こういう気持ちがあるわけですよ。私は、それをどういうふうに説得したらよくわかってもらえるだろうかと。どうもむずかしいんですよ。通産大臣は、これはどういうふうに話したら国民は納得するとお考えになりますか。おれたちの税金じゃないかという気持ちが強いですからね。
#149
○国務大臣(中曽根康弘君) 税金を使うということは、たいへんな責任を伴うことでございますから、確かにそういう感情が発生することは自然であると思いますし、私らもそういう感情が発生しないとは言えません。しかし、一面において、まあ一部の鉱山あたりは、もうけているのもあるかもしれませんが、大部分は、最近は公害問題やその他で、非常に苦しい経営をしているのが多いと思うんです。むしろ石炭なんかは、国有にしてくれ、返上してやりたいというのが、企業者側にも意見が内部的にあると思うんです。それぐらい必ずしも楽でない情勢であるだろうと思いますが、また国民の側からすると、日本の体質で国有にしたら、お役人仕事でまたよけい金がかかってしまう、いままで以上に創意と自由がなくなって、何でも親方日の丸で国に寄っかかってくる、だからそれも考えものだ、そういう感情がまた非常にあるだろうと私は思うんです。
 そこで、やはりある程度、いままで鉱業権者が責任を持ってやってきた伝統もあり、また鉱山鉱山によってそれぞれ特有の事情も存在し、労使関係も変わって、おのおの個性を持っておる企業形態でございますから、いまの情勢で続けていってもらって、そして国ができ得べくんば援助してあげる、ただし、経理については、常識を逸脱することがないようにわれわれが監督していく、そういうことがいまのやり方としては適当ではないかと思います。
#150
○須藤五郎君 私たちも、石炭並びに銅にしろ、あらゆる地下資源ですね、それは大切に守っていかなきゃならぬと、こういう気持ちは強く持っておるわけなんです。しかし、そのわれわれの石炭を大切にする、銅を大切にするという気持ちは、これは一企業の利益を守るという立場でないんですね。国の地下資源、国民の資源だという立場に立って、私たちはこれを大切にしていかなきゃならぬと、こういうふうに思っておるんです。そういう立場に立って、この法案に私たちも実は賛成なんです。賛成をしておるわけですね。しかし、賛成はするものの、国民の立場に立って、何で大企業の利益をそ こまで守っていかなきゃならぬか、われわれの出した税金を、何でそんなにつぎ込んでいかなきゃならぬのだと、こういう反問がきたときに、なかなかそれに答えることはむずかしいんですよ。どういうふうにして答えたらよいだろうか。それで私は、おとといの参考人にその点を、皆さんの御意見を伺ってみましたよ。
 そうしたら、東京大学工学部教授の後藤さんという方は、非常にむずかしい問題で――私はそのためにはこういうふうに言ったんです。国民を説得し、納得してもらうためには、そういうある一企業の問題じゃなしに、やはりこれは国有化していく性質のものと違うかと。私は、その国有化に対してどうですかということを言いましたら、後藤さんは、それは私ははわからないとおっしゃる。それから日本鉱業協会の会長さんの河合さんは、国がそういうことができるかどうか、非常に困難だと思いますと、われわれは資本主義の社会でやっていたんだから、このままでやっていきたいと思っていますという答えでした、それから労働組合の方、原口さんは、それをやる前に、まず製錬所を統合してやっていったらどうだろうというようなお答えがありました。それから橘さんという方は、どういう形で持っていくかということが非常にむずかしい問題でございますと言って、皆さんそうおっしゃって、明確な答えは出ないわけですね。それでは国民に納得さす方法はどうでしょうかと私が言ったんですが、それもなかなかいい答えが出てこなくって、河合さんは、そう言われると私たちも非常に心苦しいですと、私たちのために国民の税金を使わしていただくということは非常に心苦しいことですと言って、深刻な顔をされるわけなんですけれども、どうも国民に納得してもらうような答えはおとといの参考人からは出てこないんですね。
 だから、私が考えられることは、私たちは、国民の財産としてこの地下資源を守っていくのだという立場で、それならば国有化にしたらどうだ、国が経営をしていったらどうだ、そしてあらゆる責任を国が持っていったらどうだ、こういうことになると思う。それならば私は国民に納得してもらえると思うのですが、今日のような状態がいつまでも続くならば、非常に私は国民を説得することがむずかしい、納得を得ることがむずかしいと思うのです。今度第五次石炭対策などもこれから審議することになるだろうと思うのですが、私は非常に苦慮するわけです、国民を説得するのに。だから、思い切って中曽根通産大臣、大いに勇気をふるって、この際、国有化に踏み切っていったらどうだ、こう思うのですが、そういうお考えはないのでございましょうか。
#151
○国務大臣(中曽根康弘君) 須藤先生のお考えではございますが、私には国有化という考えはいまのところございません。確かに、国の税金を多額に使うという場合には、使い方やその他について公共性を伴うやり方をやらなければならぬと私は思います。しかし、先ほど申し上げましたように、われわれの考えの基本が、私企業の自由というものをたてまえとしてスタートして、その上に立って公共性を加え、またそれで監督していく、そういうことで、できるだけ自由の領域を広げておくほうが、結局は国民の便益につながる、そういう基礎的な考えを持っておりますものですから、国有化ということは、短い目で見ますと、なるほどといううなずかれる要素もなくはないと私思いますけれども、しかし、長い目で見ると、結局それはまた税金がよけい要ってきて、そして不能率が起こって、国民の負担がさらに加重されるような結果になりはしないか、そういう感じが非常にいたしまして、ちゅうちょせざるを得ないのであります。
#152
○須藤五郎君 中曽根大臣のようにおっしゃるならば、日本のすべての産業が、中小企業から何から全部同じことが言えると思うんですよ。しかし、そういう中小企業、産業にはあなたは少しも金をつけない。ただやらないのだと、やめるなら、廃業するならば無利子の金も貸すが、そんなことはしないとこの間私に答弁されたばかりなんです。そうかと思うと、石炭産業には何千億という金を出している。また今度これも出していく。それは公共事業だ。それはそういう広い意味からいったら、あらゆるものがみんな国民のためになる産業ですよ、公共的な産業ですよ。だから、一方的にそういうものの考え方でこういうものにどんどん金を出していくんだということでは、国民は納得しないんじゃないかと私は思いますよ。公害は企業の責任だとまではっきり言ってらっしゃるならば、それじゃおまえらやれと、こうおっしゃったらいいんだと思うんですが、これは足尾銅山のあれでもちゃんと国がめんどうを見てやると、こういうふうなことではどうも私たち説得力に欠くと思うんですが、あなたは、どういうふうに国民の前でお話しになったら納得すると思いますか。
#153
○国務大臣(中曽根康弘君) やっぱりこれは須藤先生と私らとの哲学と申しますか、政策運営の基礎的観念の相違からきているんではないかと思います。それで国民の皆さんが、じゃ、須藤先生と私のいまの対話をお聞きになっていたらどう思われるかというと、須藤先生のお考えに合理的だと思って賛成される方もおると思いますし、まあ私の言うことのほうがなるほどそうだと思う人もおると思うんですけれども、私の感じでは、まだ私のほうの考えを支持する人のほうが多いんじゃないか。やっぱり民主主義ですから、そういう多いほうの考えに従っていくほうがいいんじゃないか、そう思います。共産党のお考えもしんしんとして伸びているようですが、まだ国民の多数を制するところまではいかないんじゃないかと思います。
#154
○須藤五郎君 これは将来、国民投票にでも問わないと雌雄を決することはできませんが、やっぱりあなたの考え方は、日本の大資本、大企業、そこに足を置いての御意見だと思うんですよ。それは、日本の企業はあなたの意見に大賛成ですよ。しかし、日本の国民はそうではない。あなたは企業の利益を守っていく守り神で、私たちは国民の利益を守る立場に立つ政党でございますから、まあ、意見の相違といえば相違になるかもわかりませんけれども、そういう点であなたと私の意見は分かれると、そう私も思いますよ。それで、まあこういう論議はこの程度にしておきましょう。
 次にお尋ねするのは、鉱害防止積立金制度についてお尋ねしますが、現在使用中の鉱山あるいは今後開発される鉱山につきまして、鉱害防止のための積み立てを行なうことにしておりますが、その積み立て金で十分鉱害防止ができるのかどうかという問題があると思うんです。積み立て金の算出基準は何をもって基準とするか。もし積み立て期間が短くて、積み立て額が鉱害防止に必要な費用に比べて少ない場合にはどうするのかという、これをお尋ねしたい。
#155
○政府委員(青木慎三君) この鉱害防止積立金は、鉱山が、採掘を終わりましたあとに残ります蓄積鉱害を防止するための防止工事に必要なだけの費用をあらかじめ積み立てるという制度でございます。したがいまして、ある山がございますと、その山が何年続くかを大体見当をつけまして、その操業が終わったときに、どれだけ恒久工事をして将来への鉱害を防止するということが必要かということを工事量で計算いたします。その工事額を今後行なうべき操業の年数で割った額を、毎年義務として鉱業権者に積み立てさせるという制度でございます。したがいまして、その掘っている間出てまいります鉱害は、従来の鉱山保安法で十分監督をいたしまして、十分防止工事をやらせます。ただ、その鉱山を掘り終わったあとに、坑口かあるいは堆積場から出てまいります鉱害というものを、恒久工事をもって防止させるための制度でございます。したがいまして、それを操業予定年数で割りますので、その操業が一応終わりましたときには、十分な工事費が積み立てられているということになるような仕組みになっておるわけでございます。
#156
○須藤五郎君 そうすると、石炭なんかは、毎年掘り出す石炭の一トンについてどれだけというような積み立て金をさしていくわけですね。そうするとこれのやり方でいくと、毎年どれだけ積み立てていくかということにはならぬわけですか。
#157
○政府委員(青木慎三君) 数年後の工事費をはじきまして、たとえばその山が五年操業するといたしますと、その五分の一ずつを毎年積み立てさせるわけでございます。この積み立てする額の算定は鉱山保安監督局部長がきめまして、その鉱業権者に通知するという仕組みになっておるわけでございます。
#158
○須藤五郎君 そうすると金額はどういう基準で、石炭なら石炭一トンについて幾らというふうにきめていくわけですね。いまのはちょっとその点明らかにならないですね。
#159
○政府委員(青木慎三君) これは、その山の終わりましたあとにどれくらいの工事が必要かということは、その山々によって違いますので、トン当たり幾らという計算ではございませんで、その山が終わりましたときに必要な工事量というものをまず計算しまして、それを操業年度で割るわけでございます。したがいまして、山々によってその金額は著しく異なるという結果になるような仕組みになっております。
#160
○須藤五郎君 わかりました。そうすると、あとの工事量を五年なら五年で割って、そうしてやっていくということですね。ちゃんとはっきりとそういうものが出し得るのでしょうかね、どうでしょうか。将来の工事量まであらかじめ割り出して、そして五年後の工事量まで割り出してことしから取っていくというようなことができるのでしょうか、どうでしょうか。私は非常にむずかしいと思うのですが、今日現在の掘り出したものに対してどれだけのものだということでやっていったほうが正鵠のような感じがしますが、そうじゃないですかね。
#161
○政府委員(青木慎三君) この金属山の状況は各山によって違いますので、一律にトン数でやりますのは非常にむずかしいわけでございます。したがいまして、従来の経験から申しまして、これだけの鉱石を掘れば大体これだけの堆積場ができるという計算ができますので、その堆積場を将来鉱害が起こらないように工事をするためにはどういう工事が必要かということは、経験上大体の見当がつくようになっております。たとえば工事としましては、その上に土をかぶせて木を植えるとか、必要な場合にはそれをコンクリートでおおうとか、あるいはその堆積場に水が流れ込まないようにわきに水路をつけるというような工事でございまして、おおよそその工事の型がきまっておりますので、堆積物の量が出てその地形がわかりますと、およその工事費用というものは計算できるようになっておるわけでございます。
#162
○須藤五郎君 これはむずかしい質問かわかりませんが、それでは足尾銅山を例にとるならば、足尾銅山もどのくらいの金額が、毎年積み立て金が要るだろうということが予測できますか。
#163
○政府委員(青木慎三君) 足尾は、大体掘り終わった山でございますので、非常に計算がむずかしいわけでございます。今後掘ります分につきましては、その鉱山から出てきます鉱物の量が大体見当がつきますので、その鉱物の量をある場所に積んでいくわけでございまして、その量の計算によりまして大体どれくらいの堆積物ができるだろうか、どれくらいの有毒物質を含んだ堆積物がどれくらいの量できるかということは計算できますので、それから計算するわけでございます。足尾のように過去数十年掘りました山につきましては、現在まである程度の工事はしておりますけれども、恒久的にどのくらいの工事をするかにつきましては、まだ試算しておりませんが、相当膨大な金額が要るのではないかというように考えられます。
#164
○須藤五郎君 いまあなたおっしゃったように、どれだけ出てくるということがあらかじめ大体わかる、それをめどに積み立て金を取っていくということをおっしゃったでしょう、私はそれを言っているのですよ。あなたは、五年たってそれの工事をやるときにどれだけの金が要るかというめどを立てて、それでそれを五年で割っていくというやり方ですね。私は、毎年出てくるものに対して、どれだけのものが出るだろうということを算定の基準にして、そうして積み立て金をかけていったほうが合理的ではないかということを言っているのですが、あなたの言うのも、いまそういう意味のことをおっしゃったように思うのですが、そうじゃないですか。
#165
○政府委員(青木慎三君) 五年間使うとして毎年どれくらい出てくるかという計算になるわけでございますが、大体平均的に出てまいりますので、毎年出てくる量に応じてということと、最後の工事量をはじいておきまして五で割ったという数字はほぼ一致するというふうに考えられますので、計算のしかたとしては同じことかと思います。ただ、工事量が山々によって非常に違いますんで、一律にこの堆積物の量にリンクして計算するわけにはいかない。したがいまして、山々によってその積み場所あるいは地形その他によりましてその工事量をはじいて計算するわけでございまして、したがいまして、この山とあの山ということになりますと、堆積の置き方自体によって積み立て金の額が違ってくるという関係になるわけでございます。
#166
○須藤五郎君 それ以上私もお尋ねしないでおきましょう。
 最後になりますが、蓄積鉱害及び今後発生する鉱害につきまして、鉱害防止義務者は、現に採掘権または租鉱権を有する者であることと、こういうふうになっておりますが、中小鉱山の場合、大手会社から分離されたものもあると思います。分離された中小鉱山の場合、長年蓄積された鉱害の防止について、その負担を中小鉱業者だけに負わせるのではなく、もとの大手会社に対しても負わせるべきだと私は思いますが、その点はどうか。かりに、その中小鉱業者が鉱害防止費用の負担にたえられない場合には、もとの親会社に肩がわりさせるべきではないか、こういうように私たちは考えますが、政府はどういうようなお考えをお持ちですか。
#167
○政府委員(青木慎三君) 親会社から分離して子会社ができました場合に、鉱業権はその子会社に移りますので、鉱害防止工事の義務者は、一時的にはその子会社に移るわけでございます。ただ、その親子の関係でございますから、ある程度親会社からの資金援助ということは考えられます。ただ、その子会社が今度一番問題になりますのは、資金負担にたえずしてつぶれた場合がございますが、その場合には鉱業権を放棄いたしますが、二十六条命令というものをかけまして、鉱害防止工事の義務を課するわけでございます。そういたしますと、親会社時代に掘った鉱害が大部分でございますから、その鉱業権者であった親会社に対して、その自分の出した鉱害分についての防止工事を命令できることになっておりますので、親会社もその限りでは鉱害防止義務を免れ得ないような制度になっておるわけでございます。
#168
○須藤五郎君 もう一言。そうすると、ここに分離した会社がたくさん書いてありますがね。日本鉱業からいろいろ分かれた分離会社、たくさんありますね。そうすると、この親会社時代に蓄積鉱害がたくさんあるわけですね。これが分離された子会社に全部負担がかかるんじゃないと、これは、そうなったら子会社はとてもやっていけないわけですね。だからその場合はもとの親会社にもその費用を分担させるんだと、責任を持たすと、こういうことですか。
#169
○政府委員(青木慎三君) そうではございませんで、まず子会社の責任になるわけでございます。ただ、子会社と親社の間でどういう契約で親会社が実質負担するかは両者の関係でございますから、それは私どもの関与するところじゃございませんが、実質的な責任は子会社に移るわけでございます。で、子会社が何かその負担にたえかねてつぶれました場合には、政府としましては、政府や地方公共団体が工事をするのではなくて、二十六条命令によって親会社にかかっていけるという制度になっておりますので、最終的には、親会社も子会社がつぶれた場合には責任を免れないという制度になっているということを御説明したわけでございます。
#170
○須藤五郎君 親子が、親がうんとこさっとこ借金をこしらえて、それで子供にそれを相続させると、何人かの子供に相続させると。そうすると、あなたの話でいくと、その親の借金は全部子供が責任を持てと、それでは子供が責任を持てない場合、子供もつぶれてしまった場合は親の責任だと。しかし、親はもうないんでしょう、その場合。親は何にも持ってないということになるでしょう。その場合、どういうふうにしてその親会社に責任を負わすんですか。
#171
○政府委員(青木慎三君) ただいま先生のお引きになりました例が日本鉱業でございますが、たとえば、日本鉱業が鉱山を分離しまして子会社に鉱山をやらした場合、鉱業権者が子会社になりますので、第一次的な法律上の責任は子会社に移るわけでございます。ただ、その子会社がつぶれました場合には、命令をかけることによりまして、日本鉱業自体に日本鉱業時代にできました蓄積鉱害についての工事をやりなさいという義務を課すことができるということで、日本鉱業がつぶれてしまった場合はまた別でございますが、日本鉱業という親会社が生きている間は、子会社がつぶれた場合の責任を免れることはできないという関係を御説明したわけでございます。
#172
○須藤五郎君 そこらがどうもすっきりしない感じがするんですね。親は蓄積鉱害をたくさん残して、それで子会社にそれを分けてやる、それで、君たち責任を持ってやれよと言うが、もともとそういうときには、そういう子会社がそれを全部果たす能力がないと見ていかなきゃならんと思うのですね、小さい会社は。その場合、それがつぶれたら親に責任を持たす。何だかその間で子と親が責任の結びつき合いみたいになっちまって、結局私は国が見ちゃおれんということで、その結果、被害を受けるのは国民だからどうにもやむを得んというようなことになって、国が責任をとって補助金を出さなきゃならんという、そういう結果がくるんじゃないかと思うのですね。だから私の言うのは、子会社がつぶれない前に、子会社が鉱害に対する責任を分担するとしても、親会社が健康な間に、まだ生きている間に親会社にも責任をとらして、そして両方でやっていくべきである、これが私の意見でございます。あなたは死んでしまってからのことを言っているからね。子が先に死ぬか、親が先に死ぬかわからないんですよね。その生きている間にそういうことをしたらどうかというのが私の意見なんです。どうでございましょう、どちらがいいでしょう。
#173
○政府委員(青木慎三君) 御説のような場合、子会社が出て、すぐつぶれてしまうようなことになっては分離した意味がございませんので、その意味で、実際上、形式的には子会社の責任にはなりますが、視会社は資金援助をして、少なくともこの鉱害防止計画に沿いますと、最長でも十年で処理することになっていますので、十年間にそういうような関係が全部一掃されるということがこの法律のねらいなわけでございます。
    ―――――――――――――
#174
○委員長(佐田一郎君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、剱木亨弘君が委員を辞任され、その補欠として棚辺四郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#175
○委員長(佐田一郎君) ほかに御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#176
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認めます。よって、両案に対する質疑は終局いたしました。
 これより両案に対する討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もなければ、討論はないものと認め、これより直ちに採決に入ります。
 金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案及び金属鉱業等鉱害対策特別措置法案。
 以上、両案を問題に供します。両案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#177
○委員長(佐田一郎君) 全会一致と認めます。よって、両案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#178
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#179
○委員長(佐田一郎君) 次に、消費生活用製品安全法案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣。
#180
○国務大臣(中曽根康弘君) 消費生活用製品安全法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 近年の所得水準の向上、技術革新の進展に伴い、複雑かつ高性能な製品が次々と開発され、国民の豊かな消費生活の改善、向上に寄与してまいりました。
 その反面、消費者はこのような製品の安全性についてみずから判断できない場合も多く、これら製品の欠陥による事故や製品の安全性に関する苦情も増加する傾向にあり、遺憾ながら全体として国民の要求にこたえ得る範囲と水準において製品の安全性が確保されているとは言いがたい現状にあります。
 このような状況にかんがみ、政府といたしましては、一昨年八月から産業構造審議会に製品の安全性確保のための施策について審議をお願いし、慎重な御検討をいただきました結果、昨年十二月に、施策の内容につき答申を得ましたので、ここにその趣旨に沿って消費生活用製品安全法案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一は、特定製品の製造及び販売の規制であります。
 主として一般消費者の生活の用に供される製品のうち、特に安全性の見地から問題のあるものを特定製品として指定し、これらについて国が安全基準を定め、これに適合したものでなければ販売してはならないこととしております。
 この規制を担保するため、特定製品についての検定及び製造事業者の登録、型式承認制度等を設けるとともに、万一危険な特定製品が出回った場合におきましては、当該製品の回収をはかる等の措置をとるべきことを命ずることができるよう、規定の整備をいたしております。なお、他法令により安全性の見地からすでに十分な規制が行なわれている製品は、本法の適用の対象としない等、他法令との二重規制を防ぐための措置を講じております。
 第二は、製品安全協会に関する規定であります。
 協会は、この法律に基づき、消費生活用製品の安全性について学識経験を有する者が発起人となり、通商産業大臣の認可を受けて設立されるものであります。
 この協会には、第一に、国の監督のもとに、特定製品の検定等の事務を行なわせることとしております。
 第二に、この協会は、製造事業者等の申し出を受けて自主的に消費生活用製品の安全性の認定を行なうこととし、万一その製品の欠陥により事故が発生した場合には、その被害者に対し損害賠償が簡易かつ確実に支払われるような被害者救済制度を設けることとしております。
 その他本法案におきましては、特定製品以外の消費生活用製品についても、一定の要件のもとに、危険な製品の回収等緊急の措置を講ずることができることとしております。
 以上申し述べました本法案に基づく施策は、製品による消費者の生命または身体に対する危害の発生を未然に防止し、安全な消費生活の実現をはかっていく上できわめて有意義なものであり、全国の消費者からもその実現につき強い要望が出されているところであります。
 このような状況にかんがみ、ぜひとも本法案の制定をはかることが必要であると信ずる次第であります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#181
○委員長(佐田一郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。山下企業局長。
#182
○政府委員(山下英明君) 消費生活用製品安全法案につきまして、提案理由の順序に従って若干の補足説明を申し上げます。
 消費生活用製品安全法案におきましては、消費生活用製品による一般消費者の生命または身体に対する危害の発生の防止をはかるため、特定製品の製造及び販売を規制するとともに、消費生活用製品の安全性の確保につき民間の自主的な活動を促進するための措置を講じ、もって一般消費者の利益を保護することを目的としております。
 このため、第一に、主として一般消費者の生活の用に供される製品のうち、特に安全性の見地から問題のあるものを特定製品として逐次政令で指定し、これらについて国が安全基準を定め、その安全基準に適合した旨の表示が付されたものでなければ販売してはならないこととしております。この規制を担保し、安全基準に適合しない危険な特定製品が販売されるのを未然に防止するため、特定製品についての検定及び製造事業者の登録型式承認制度を設け、これらにより安全基準に適合するものについては表示を付することとしており、この場合、登録製造事業者に対しては、基準適合義務、自主検査義務等を課するとともに、定期検査を受けなければならないこととしております。
 また安全基準に適合しない危険な特定製品が市中に出回ったような場合には、製造事業者等に危害防止命令を発動し、当該製品の回収をはかること等危害の拡大を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずることができるものといたしております。なお、他法令により安全性が十分確保されている製品につきましては、本法の適用の対象としない等、他法令との二重規制を防ぐための措置を講じております。
 第二に、民間における製品の安全性確保、向上に関する自主的努力を積極的に促進するための中核的機関となるべき製品安全協会に関する規定を整備しております。
 協会は、この法律に基づき、消費生活用製品の安全性について学識経験を有する者十五人以上が発起人となり、通商産業大臣の認可を受けて設立され、資本金は、政府及び民間の出資によって構成されるものでありますが、この協会には、次のような業務を行なわせるとともに、これを積極的に助成することとしております。
 すなわち、その第一は、国の監督のもとに、特定製品の検定、製造事業者の登録、型式承認等の事務を行なわせることであります。これら特定製品の検定の事務を行なうに際しては、民間の既存検査機関の能力をも十分活用してこれを行なうこととしております。
 その第二は、製造事業者等からの申し出を受けて、消費生活用製品が安全であるかどうかを認定し、認定した製品には補償マークを貼付することであります。
 その第三は、補償マークが貼付された製品の欠陥により事故が生じた場合には、その被害者またはその遺族に対し損害賠償が確実に支払われるよう保険を活用した被害者救済制度を設けるともに、特に重大な損害が生じた場合には、協会に設ける基金から簡易かつ迅速に一定額の資金を被害者または遺族に交付することであります。
 その第四は、消費生活用製品の安全性の確保をはかるために必要な試験、調査、指導及び情報の提供を行なうことであります。
 以上が、製品安全協会の主な業務でありますが、その他本法律案におきましては、特定製品以外の消費生活用製品についても、その欠陥により一般消費者の生命または身体について重大な危害が発生し、または発生する急迫した危険がある場合においては、緊急命令を発動し、当該製品の回収をはかること、販売の一時停止等危害の拡大を防止するために必要な応急の措置をとるべきことを命ずることができることとしております。
 以上、消費生活用製品安全法案の提案理由につきまして補足的な説明をいたしました。詳細な点につきましては、御質問に応じてお答えしたいと存じますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#183
○委員長(佐田一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#184
○委員長(佐田一郎君) 次に、炭鉱離職者臨時措置法の一郎を改正する法律案を議題といたします。
 まず政府から説明を聴取いたします。加藤労働大臣。
#185
○国務大臣(加藤常太郎君) ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 石炭鉱業の合理化の過程において発生する炭鉱離職者に対しましては、炭鉱離職者臨時措置法に基づき、炭鉱離職者求職手帳を発給して、特別な就職指導、就職促進手当の支給を行なうなど各般の施策を推進することにより、これらの者の再就職の促進及び生活の安定につとめてまいっております。
 政府は、さきに石炭鉱業審議会からいただきました答弁の趣旨を尊重して、石炭対策をより強力に推進することを決定したところであります。これを受けまして、このたび、炭鉱離職者求職手帳の発給要件の緩和及び雇用促進事業団の援護業務の拡充を行なうとともに、現行の離職者対策の実施期間をさらに延長する必要があると考え、この法律案を提案した次第であります。
 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
 改正の第一は、炭鉱離職者求職手帳の発給要件を緩和することであります。
 この手帳は、現行法上は、過去の一定の日に在職し、一年以上炭鉱労働者として雇用されていた者に限って発給されることになっておりますが、これらの者のみならず、昭和四十六年七月一日以降において一年以上炭鉱労働者として雇用されていた者についてもこの手帳を発給するようにいたしました。
 改正の第二は、炭鉱離職者に対して広域求職活動費の支給を新たに行なうことであります。
 雇用促進事業団は炭鉱離職者に対して各種の援護業務を行なっておりますが、新たに、その業務の一つとして、公共職業安定所の紹介により広範囲の地域にわたる求職活動を行なう炭鉱離職者に対して、その求職活動に要する費用の支給を行なうことを加えることにいたしました。
 改正の第三は、炭鉱離職者臨時措置法の廃止期限を三年間延長することであります。
 今回の石炭対策の期間が昭和五十一年度までとなっていることにかんがみ、この法律の廃止期限を昭和五十二年三月三十一日まで延長して、離職者対策についても万全を期することといたしました。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#186
○委員長(佐田一郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。桑原失業対策部長。
#187
○政府委員(桑原敬一君) 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由及びその概要につきましては、ただいま大臣から御説明がありましたとおりでございますが、なお、若干補足して御説明申し上げます。
 まず、今回の改正の第一点の炭鉱離職者求職手帳の発給要件の緩和についてであります。
 現在、第一次、第三次または第四次石炭対策が閣議決定された当時、すなわち、昭和三十七年三月三十一日、昭和四十一年八月三十一日または昭和四十三年十二月三十一日に炭鉱労働者として在職していたことが求職手帳の発給要件の一つとなっていますが、第五次石炭対策を打ち出した後に石炭鉱業の合理化により離職を余儀なくされる炭鉱離職者の中に、これらの日に炭鉱労働者として在職していなかったため求職手帳を発給することができない方がおられると予想されますため、これらの者にも求職手帳が発給できるようにしようとするものであります。
 次に、改正の第二点の広域求職活動費の支給についてであります。
 石炭鉱業以外に見るべき産業のない産炭地域においては、地元での雇用機会が少ないため、炭鉱離職者は産炭地域外に再就職の場を見出さざるを得ない状況にあります。そのため、遠隔地にある求人事業所を訪問して、その事業所の労働条件、職務の内容、福祉施設等について認識を深め、再就職の円滑化をはかる必要があり、公共職業安定所の紹介によりこのような遠隔地の求人事業所を訪問する場合の運賃及び宿泊費を広域求職活動費として支給しようとするものであります。
 改正の第三点は、炭鉱離職者臨時措置法の廃止期限の延長についてであります。
 現在、この法律の廃止期限は和昭四十九年三月三十一日となっておりますが、第五次石炭対策の期間が昭和五十一年度までとなっていることにかんがみ、これに合わせてこの法律の廃止期限を昭和五十二年三月三十一日まで延長しようとするものであります。
 以上、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を補足して御説明いたしました。
#188
○委員長(佐田一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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