くにさくロゴ
1972/06/07 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第11号
姉妹サイト
 
1972/06/07 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第11号

#1
第071回国会 商工委員会 第11号
昭和四十八年六月七日(木曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月六日
    辞任         補欠選任
     峯山 昭範君     藤原 房雄君
 六月七日
    辞任        補欠選任
     藤原 房雄君     黒柳  明君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐田 一郎君
    理 事
                大谷藤之助君
                若林 正武君
                藤井 恒男君
    委 員
                植木 光教君
                川上 為治君
                剱木 亨弘君
                林田悠紀夫君
                細川 護煕君
                安田 隆明君
                小野  明君
                林  虎雄君
                藤田  進君
                中尾 辰義君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   中曽根康弘君
   政府委員
       環境庁企画調整
       局長       船後 正道君
       厚生省薬務局長  松下 廉蔵君
       通商産業省公害
       保安局長     青木 慎三君
       通商産業省化学
       工業局長     齋藤 太一君
  事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
  説明員
       厚生省環境衛生
       局食品化学課長  小島 康平君
       水産庁長官官房
       参事官      前田  優君
       通商産業省化学
       工業局化学第二
       課長       小幡 八郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律
 案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐田一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 委員の移動について御報告いたします。
 昨六日、峯山昭範君が委員を辞任され、その補欠として藤原房雄君が選任されました。
 また、本日、藤原房雄君が委員を辞任され、その補欠として黒柳明君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(佐田一郎君) 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案を議題といたします。
 本案については趣旨説明はすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○藤田進君 本院商工委員会は、本日から化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案について審議を進めますが、まず最初に、水産庁から、先般発表になりましたPCB汚染についての詳細な事実関係についてお述べいただきたいと思います。
#5
○説明員(前田優君) お答えいたします。
 魚介類のPCBの精密な調査をやっておりましたところ、今般、まとまりましたので発表したわけでございますが、この精密調査につきましては、昨年の十二月に、昨年中に行ないましたいわゆる私どもでは概査ということばで呼んでおりますけれども、全国百十水域につきまして環境庁と水産庁が協力いたしましてやりましたその結果があるわけでございます。この調査をやりました際に、厚生省がきめていらっしゃいますところの暫定基準量をこえました魚介類が発見されました水域につきまして、十四水域ございましたものですから、この十四水域につきまして精密調査をやったわけでございます。
 で、その結果について簡単に申し上げますと、総検体数は二千七百八十検体でございます。で、そのうち水質二百六検体につきましてはすべてPCBの検出がございませんでした。底質、いわゆるどろでございますが、これは三百一検体やりまして、出なかったものが五十三検体、検出されたものが二百四十八検体ございます。このうち一〇PPMをこえるものは三検体ございましたが、一〇〇PPMをこえるものはなかったわけでございます。
 魚介類につきましては、先ほど申し上げました十四水域につきまして二千二百七十三検体調査をいたしました。このうち、海産魚介類千六百七十七検体の中で三PPMをこえましたものは九十八検体、淡水産魚介類の五百九十六検体中三PPMをこえましたものは五十五検体出たわけでございます。
 で、これら三PPMをこえた水域について、その場所について申し上げますと、新潟県の関川という川がございますが、この関川のウグイとオイカワ。
 それから福井県の敦賀湾の水域でございますが、ここでは、敦賀湾の中央部につきましてはスズキ、それから湾の奥につきましてもこれまたスズキでございます。あと敦賀港という港がございますが、この中の魚はどれをとりましても全部ガイドラインを越えているという状況でございます。
 それから兵庫県でございますけれども、兵庫県の和田岬沖の三キロメーター以内でございますが、ここでコノシロとサバについて出ております。
 それから播磨灘関係では高砂地元、これはボラもコノシロもスズキも全部汚染されているということになるわけでございます。姫路市の白浜という場所がございますが、ここの沖合い五百メーター以内に限りましてコノシロとスズキから出ております。
 それから山口県につきましては、岩国地先でボラ、アナゴ、コノシロ、それからタナゴでございます。
 それから大分県は、大分川の河口から二百メーターほどのぼったところでございますが、これはウナギから非常に大きな一三〇という数字が出ております。
 次に、京都府でございますが、これは内水面でございます。宇治川、淀川から一これは場所は隠元橋、観月橋、淀大橋というところでございますけれども、オイカワとフナから出ております。
 それから滋賀県につきましては、矢橋というところがあるわけですが、矢橋ではこれは銀ブナでございますけれども、銀ブナとナマズ、それから瀬田の唐橋のところのオイカワから、こえたものが出ております。
 場所的に申し上げますと、ただいま申し上げたような状況でございますが、なお、エビとかカニとかイカとかタコとか、そういう軟体動物からは発見されなかったわけでございます。
 以上でございます。
#6
○藤田進君 要するに、瀬戸内海、それに淡水湖である琵琶湖、さらに日本海、日本列島周辺を取り巻いておりますが、この発生源についてそれぞれ個所別にお答えをいただきたいと思います。
#7
○説明員(前田優君) ただいま御報告申し上げました汚染水域につきましては、実は、私どもで昨年の十二月末に調査いたしましたものが、何々水域という非常に広い範囲の中でわずかな検体しかとらなかったという点があったわけでございますが、今回につきましては、一体、どの水域のどういう魚が汚染されているのであろうかというところに焦点をしぼりまして調査したわけでございます。
 したがって、先ほど触れましたように、例を山口県なら山口県一県にとってみますと、山口県の岩国地先の門前川河口から五キロメーター以内、並びに五キロメーターから七・五キロ、七・五キロから十キロというような形で、地域がある程度はっきりできるようにという配慮を払いまして調査したわけでございます。したがいまして、この汚染の水域というものは限られてまいりましたものですから、ここに排出しておりますところの工場というものは、おのずから大体わかってくるという考え方をとっておりますけれども、ただ、一つの工場と申しますか、特定の一つの工場の場合はよろしいかと思いますけれども、一つの工場以外に三つ四つの工場があって、この発表と同時に漁業者がそれらの工場にいろいろとお話を申し上げているわけでございます。まだどこどこの工場ということを水産庁のほうで申し上げる段階には至っていないわけです。
#8
○藤田進君 そうすると農林省は、漁民がそれぞれ自主的に調査をし、そして発生源に対しての諸般の補償なりそういうことはすべてどこにどのようなことをするか、一切をこれにゆだねると、そうとっていいんでしょうか。
#9
○説明員(前田優君) 先ほどから申し上げておりますように、漁業者があえて調査をしませんでも、この汚染された水域並びにどういう魚種の魚かということは明確になったわけでございます。したがって、これらの補償につきましては、あくまで原因者負担の原則ということがございますので、その線に沿いまして県が間に立って漁業者と、疑わしい、現在のところまだ疑わしい企業ということになるわけです。その疑わしいであろう企業に対する折衝ということを強く行なうように、私どもも十分指導しているところでございます。
#10
○藤田進君 じゃ、その疑わしき事業所、これをひとつ出していただきたいと思います。それから複数は、その程度なり発生源がはたしてどちらかという判断はむずかしいようにいま答弁があったわけ、だけれども、そうでなくて単純に問題になっているものもかなりあるように思うのです。すでに昨日来、各新聞も水産庁の発表に関連して詳しく出しているものもある。しかし、これがはたしてすべてであるのかどうなのか、われわれにとってはPCBを規制しようとする主たるねらいで今度法規制、立法しようとしているときであるので、ぜひひとつ水産庁が今日まで調査した結論というものをいま出してもらいたいと思います。
#11
○説明員(前田優君) 先生からそういう疑わしき工場を出すようにというお話でございますが、先ほど申し上げておりますように、今回の調査につきましては、なかなかその工場の立ち入り権が……。
 この調査に連続した工場の立ち入りというところまでやっておりませんということが一つございます。それからもう一つは、いま水産庁が申し上けることが、はたして漁業者にとってプラスになる場合とマイナスになる場合といろいろ考えられるわけです。たとえば、疑わしい工場が三つあった、それで漁業者がいま盛んにやっております、そのときに、特に多く使っているであろう工場をもし水産庁が発表したといたしますと、他の二工場なら二工場が横を向いてしまうというような危検性もあるわけでございます。現在の段階で、どこどこの工場でございますということは差し控えさしていただきたいと思うわけです。
#12
○藤田進君 わかってはいるが差し控えたいと、そういうことなんですか。
#13
○説明員(前田優君) はい。疑わしい工場につきましては、県等の情報もときどき入ってまいりまして状況報告もあるわけでございます。県がいろんな企業と折衝して、漁業者も折衝しているということは聞いておりますが、まだどこどこというふうな断定もいたしておりませんし、漁業者自体現在折衝中なものでございますから、その点ひとつ御理解いただきたいと思います。
#14
○藤田進君 それはおかしいじゃないですか。水産庁は漁民のためにもやっていかなければならぬ。疑わしいとか、正真正銘これだと突きとめていても議会でそれが発表はできないが、現地においては漁民が直接交渉し、あるものは漁獲量全部を買い上げると話がついておりますよ、各地で。逃げているものもある。わかっている、それがなぜ言えないんですか。これは出すべきですよ。
#15
○説明員(前田優君) ただいま先生がおっしゃいましたように、全量買い取りますという企業もございます。ですが、そうでないところもいろいろあるわけでございまして、全量買い取りますと言っております企業も、それ以外の企業もあるわけです。そことの漁業者との交渉のまだ過程にあるものですからということを申し上げたわけです。
#16
○藤田進君 あなたは立ち入り調査が非常に困難だと言うが、いまの政府機構、組織法等から見てどこがやるべきだと思いますか。
#17
○説明員(前田優君) 水産庁はその権限は持っておりません。したがいまして、環境庁なり通産省のほうでそういう調査はおやりになっていると承知しております。
#18
○藤田進君 ちょっと水産庁は保留して、通産大臣にお伺いいたしますが、この法律のねらっているのは、どうも読んでみて、当面出てきているものはPCBというふうにいえるように思います。これはあとで各章条にわたってお伺いをいたしますから明らかになるかと思いますが、いまのやりとりをお聞きになっていて、もうすでに水産庁の発表を待つまでもなく、PCB汚染というものは問題になってきて非常におくればせではあるけれども、ここに政府提出として出てきたわけであります。しかし、実態はもう非常な緊急を要する対策、これが望まれております。環境デー、たまたま五日には三木環境庁長官も、いままで怠慢であった、非常に放置していた、このことは強く責められるべきだということで、深く反省をしている発言を見受けるわけであります。きょうは残念ながら大阪のほうに行かれたようで、またあらためて出席を求めたいと思いますけれども、立ち入り権等についてはいま水産庁はかようなことを言うわけで、発生源を押えていくということが非常に大切であるし、同時にいま回収しつつあるというけれども、これが問題です、時間的に見て。
 さらに、たれ流してきた今日の瀬戸内海その他列島周辺ですね。琵琶湖はおそらくここ数年で死滅するという科学者の発表ですね。こういう実態を、長年、戦後政権を持ち、保守自民党政権には一貫して枢要なポストを占めてこられた通産大臣としても、これをどうしようとされているのか。そしていま問うておりますことについて、ここでちゅうちょすることはない、ちゃんと発生源となる、あるいは疑わしいものについては、市民にも公表すべきときがきているように思うのです。市民は自己防衛しなければなりません。ここで通産省が持っている資料をひとつお出しいただきたいと思います。
#19
○国務大臣(中曽根康弘君) PCBの問題は、国民保険上も非常に重要な問題でございまして、政府全体としてもこの問題につきましては、真剣に対策を勇断をふるって打たなければならぬと思っております。
 現在までに、PCBメーカーを指導いたしまして、その販売先リストの整備を行なってまいりましたが、判明したところでは、PCBを使用した工場あるいはPCBを取り扱った工場は全国で約千二百工場にのぼっております。これらの工場のうち、今回の調査の結果、魚介類の汚染が問題となった地域内に関係する府県内にあるものについては、PCBメーカーに指示して、すでに使用工場リストを水産庁に提出させてあります。これは同庁から関係地方自治体にも連絡されていると聞いております。この工場リストから汚染源を割り出すためには、さらに工場におけるPCBの保管状況、水系への排出状況の実態、水系との汚染関係等、工場ごとの実態を調査した上で、環境汚染との因果関係について検討する必要があります。したがって、今後は関係府県を中心として汚染源割り出し作業が行なわれることになりますが、通産省といたしましても、できるだけこれに協力してまいりたいと思っております。必要、御要望があれば、そのような関係リストは当委員会に提出いたします。
 それで問題は、いわゆるPPPの原則に基づきまして、ある水系に工場が数カ所あったという場合に、どの工場がどの程度責任を負担すべきか、そういうものはいわゆる水系に流し出した排出量を基準にして一応割りかけるとか、そういう関係でいかざるを得ないと思うのであります。それらは通産省とそれから地元の府県とが協力しまして、大体どの程度の責任をおのおのの工場が持つべきかという作業をいまやらせようとしておるところであります。で、それらの作業の決着を待ちまして、補償関係につきましては通産省あるいは環境庁あるいは府県が間に入って、できるだけ補償関係も適切に解決するように努力いたしたいと思っております。
#20
○藤田進君 じゃ、いまの千二百工場、あるいはそのうちでもPCBの使用工場についてのリスト、これは水産庁から県に渡っているということで、いま水産庁の前田参事官は、立ち入り検査もできないし、どうもわかっていないようなことを言っているが、あなたのところへ来ていないんですか。
#21
○説明員(前田優君) お答えいたします。
 通産省からこの汚染されている八水域の県に所在するところのPCBを使用した工場のリストはいただいております。で、これはいま大臣からお話がございましたように、私どものほうから県のほうへ原因者追及のための資料として手渡してございます。ただ、兵庫県なら兵庫県にこれだけのPCBを使った工場がございますということだけでは、なかなか原因究明のきめ手にはなり得ない問願でございます。どこどこの水系にどの工場がどの程度PCBを含んだものを流したかというところがきめ手になるのではなかろうか、そのように考えておりますので、先ほどのような答弁を申し上げたわけでございます。
#22
○藤田進君 岩国のごときは、県のほうに連絡があり、県が若干の調査を進めたところ、驚いて、まずもって企業に内通して、そして現地を調べてみたところ、内通の結果、急遽、これが対策らしき装置を設けたりというような事態さえ発生しておるじゃありませんか。これはまずリストをいただいて、一々の指摘を事実に基づいてしてみたいと思いますので、委員長、資料をひとつ提出していただくようにお願いします。
#23
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいま問題になっております八水域のある府県に所在する工場は三百三十八工場でございまして、リストは提出いたします。
#24
○委員長(佐田一郎君) 内容はひとつ……。すぐ出せぬですか、きょうは。
#25
○国務大臣(中曽根康弘君) 準備でき次第提出いたします。
#26
○藤田進君 いつですか。
#27
○委員長(佐田一郎君) いつごろになりますか。
#28
○藤田進君 準備といったって、農林省に渡しているんでしょう。
#29
○国務大臣(中曽根康弘君) 印刷する時間……。
#30
○藤田進君 いや、そんなに多数じゃなくて、とりあえず審議に……。
#31
○国務大臣(中曽根康弘君) 委員の皆さんに全部出しますから……。
#32
○藤田進君 それは後刻でいいんじゃないですか。いうになるのですか、それは。事実関係を保留することになっちゃう。
#33
○国務大臣(中曽根康弘君) いま一部手元にあります。それをお見せいたします。
#34
○藤田進君 どうですか、三十分以内ならゼロックスでとったら。
#35
○国務大臣(中曽根康弘君) じゃ、工場名読みましょう、何県のどこ……。
#36
○委員長(佐田一郎君) では、それをつくってもらおうか、委員全部に。
#37
○藤田進君 読んでもいいですよ、とりあえず。読んだ上で書いた資料をくださいよ。
#38
○説明員(小幡八郎君) 全部で三百三十八工場、問題八水域を含みます府県でございます。したがって、全部をお読みしますと非常に時間がかかるように思いますので、比較的数の少ないところを全部読ましていただいて、数の非常に多い、一つの府県で百以上というようなところは一々読み上げるのを省略さしていただきたいと思います。
#39
○藤田進君 それでは意味がないから、じゃどうしますか。もらおうか、資料、大至急……。
#40
○委員長(佐田一郎君) それじゃ化学第二課長、そういうことでいいかな。
#41
○藤田進君 その資料ができるということは、いろいろ現地へ踏み込んでの調査も進められたと思うのですが、その資料についてもどの程度のものか見ていないので、工場名だけではなくて、どの程度の量を使い、あるいはどの程度を放出し、たれ流されたとみなすか、そういったものが出ておりますか。
#42
○政府委員(齋藤太一君) このリストは、PCBのメーカーでございました鐘淵化学工業とそれから三菱モンサント化成の出荷先リストでございまして、出荷先の会社名と所在地名、それから出荷数量が載っておりますけれども、工場のほうでのそれを使用した結果の工場外への排出量といったようなものは載っておりません。
#43
○藤田進君 これはリストを見た上で私のほうの調査と照らし合わせてまたお伺いしたいと思いますが、総括的に言えることは、まず第一には、これだけ問題があり、すでに魚介類から人間へと重大な問題を提起してしまっているわけですね。これはかつては四十三年ですか、カネミ油症事件が起きて、そうしてすでに五年ですが、この間にもPCBにかわるビフェニール等で千葉ニッコー等々重大な問題を起こしているわけです。それが今日まで、これは私どもを含めてですが、ことに、調査機能を持ち膨大な組織を持っている監督官庁である、特にこれを製造し使用しているところを指導しなければならぬ、監督しなければならない通産省あるいは厚生省や環境庁、こういったところがどういうわけでここまて放置してきたか、それぞれその理由を聞きたいと思います。
#44
○政府委員(齋藤太一君) PCBにつきましては、先生御指摘のように、昭和四十三年にカネミ油症事件という事件が起こったのでございますが、これは食用油の製造工程におきまして、熱媒体として使われておりましたPCBが、パイプに穴があいておりまして、そこから漏れまして製造中の食用油の原料に混入いたしまして、それが販売されて被害者が出たと、こういう事件でございました。このときには非常に急性な毒性と申しますか、皮膚障害その他の現象が出まして問題になったわけでございますが、その事故の形態が、本来あくべきでない穴が製造工程での熱媒体のパイプにあきまして漏れたということで、まあ一種のこれは事故であると、本来の形態に従って使われておればこういう問題は起こらないということで、当然、十分使用上の工場の工程としましての注意は厚生省、農林省のほうで、食用油の監督官庁のほうでいたされたわけでございますけれども、一応、工程での事故であるということで終わったわけでございます。
 ところが、その後これがいろいろな形で使用されまして、たとえば紙のノンカーボン紙に使われましたり、塗料に使われましたり、あるいは接着剤に使われましたりいたしまして、それが最後に捨てられまして、環境に出て環境を汚染して、その結果魚の体内に蓄積され、食物連鎖を通じまして人の体内に蓄積をする、その結果としてどうも慢性毒性を起こすおそれが非常に強い、こういうことが次第に世界各地で判明をしてまいりまして、これの生産、出荷を押える必要があるのではないかというような声がその後の問題として起こったわけでございます。
 わが国におきましては、昭和四十六年の暮れに、一応、ただいま申しましたような開放系と申しますか、回収の困難なような用途に使われるPCBにつきましては、全部出荷停止をさせたのでございます。たとえばノンカーボン紙向け、塗料、接着剤向け、こういった用途でございます。それからさらに、昭和四十七年、昨年の六月でございますけれども、閉鎖系向け、これは電気関係のコンデンサー、トランス、それから熱媒体の関係、これらは容器の中に密閉されておりまして、漏れる懇念はないというふうに考えられたわけでございますけれども、こういったものにつきましても、確実に回収のめどが立つもの以外は出荷はしないようにという行政指導をいたしまして、その結果、わが国でPCBを製造いたしておりましたメーカーは、当時、鐘淵化学と三菱モンサント化成の二社でございましたけれども、六月に全部全面的に生産を停止をいたしました。それで、生産が停止されましたので、その関係を使いました製品の製造も、一応現在は全部とめられておりますけれども、ごく一部の用途につきまして、たとえば新幹線向けのトランス等につきましては、まだ代替品がないという関係で、若干の在庫をもちまして製造が続けられておりますが、それ以外は閉鎖系の関係も全部生産がストップされております。
 そういうことで、新規の出荷関係は、昨年の六月をもちまして全部とまったわけでございますが一さらにこれまで出荷されました分の回収につきまして、通産省としましては、計画的に回収をはかる必要があるというふうに考えまして、まず熱媒体の関係でございますけれども、熱媒体は一応容器に密閉されておりますけれども、使用の途中におきまして若干漏れる懸念がございますので、昨年の暮れに、ことし一ぱいで全部非PCB系に転換をするように指示をいたしまして、今年末までに回収を終わることにいたしております。
 それから、電気機器関係のコンデンサー、トランス等につきましては、約二十万件のトランスにこれは使用されておりますが、これは完全に密閉された容器で使われておりまして、使用の途中におきましては漏れる懸念はございません。問題は、これが廃棄されます場合に環境に流出するおそれがございますので、ただいま耐用年数が尽きました分から順次回収をすると、こういう計画で、二十万件につきましての所在の確認と回収計画の策定をいたしておるところでございます。
 それから感圧紙につきましては、ほとんど出荷を終わっておりましたので、若干ありました在庫の回収につとめますと同時に、ただいまユーザーのほうに使用済みの感圧紙が約六千トンばかりございますので、それの保管方をお願いしますと同時に、文書保存期間の切れますと同時に、それをメーカーが回収をするということで計画的な回収をはかることにいたしております。
 それ以外の塗料とか接着剤といった開放系に出ました分につきましては、ただいまのところ回収はきわめて困難だというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、ただいま申しましたように、行政指導によりまして、昨年の六月までに生産を全部やめまして、以後、過去の出荷分につきましては計画的な回収をはかる、こういうふうな措置をとっておるところでございます。
#45
○政府委員(船後正道君) 環境庁が発足いたしましたのは四十六年の七月でございますが、当時、一方におきましてはカネミ油症事件があり、これは環境を経由した人体被害ではございませんけれども、PCBの人体被害というものが急性あるいは亜急性の中毒事件として大きく浮かび上がっておりまして、他方におきまして、このPCBの環境中における難分解性、あるいは生物体内における濃縮性ということが問題になっておりまして、早急に何らかの手を打たねばならないという状況にあったわけでございますが、四十七年の春に、PCBにつきましては、関係する省庁が非常に広範囲にわたっておりますので、これらの施策を総合する目的を持ってPCBの汚染対策の推進会議を持ちまして、所要の調査研究、あるいは規制等、連絡をとりつつ進めてまいることにしたわけでございます。
 先ほど通産省から御説明がございましたPCBの製造、輸入あるいは使用等の規制、それから今回水産庁から発表のございましたPCBによる魚介類の汚染、こういった問題は、この推進会議で各省連絡の上進めてまいったわけでございますが、確かに四十三年にカネミ油症が発見されまして以来、行政の打つ手が後手に回っておった事実はございますけれども、今後PCBの問題、環境中に排出されました分につきましては、これの除去は非常に困難な問題になっております。その問題とか、補償の問題、むずかしい問題がございますが、この対策会議を中心に各省相談の上進めてまいると同時に、こういうPCBのような問題が再び起こることのないように、今回通産省からお願いいたしております特定化学物質についての規制という方向につきましてなお一そう努力いたしたいと、かように考えております。
#46
○説明員(小島康平君) 厚生省といたしましては、食品衛生の関係を担当いたしておりますので、当初北九州市よりカネミ油症の報告がございました際、直ちに私どもといたしましては、その中毒事件の究明に当たりました。その事件は、カネミの油の中への有害物の混入ということが判明いたしましたので、中毒患者の把握、あるいはその治療の研究ということに取り組んでおったわけでございます。また同時に、その原因といたしまして、熱媒体が油中に混入したという原因が判明いたしました段階におきまして、関係各省とも御連絡をとりまして、全国にございます油工場における熱媒体の使用状況等も調査をいたしまして、今後、PCBの汚染による事故を防ぐという立場からこの熱媒体の切りかえにつきましては御考慮をいただくということで、この件につきましては、当時、農林省のほうで御指導をいただきまして切りかえが進んだわけでございます。
 それから、私どもといたしましては、このPCBは当初中毒事件という形で取り上げたわけでございますが、その後全国的な汚染という問題が起きてまいりまして、この問題については環境庁が中心となりまして対策を立てられて、われわれもそれに参加しておったわけでございますが、私ども食品衛生をお預かりいたします立場では、問題になりますのは魚介類の汚染の問題でございまして、これらにつきましては専門家の御意見を徴しまして、暫定的な使用基準といいますか、暫定的な汚染基準、つまり、内海魚につきましては三PPM、外洋魚につきましては〇・五PPMというような基準を設定したわけでございますが、この基準につきましては、なお、専門家の御意見といたしましては、妊産婦あるいは幼児等につきましては別途さらに考慮すべきであるということでございまして、私どもとしてはさらにこの基準について現在検討を加えておる段階でございます。
 それからまた、こういった熱媒体等を工場で取り扱う問題につきまして、PCBについてはすでに切りかえられましたが、さらにそれが代替された物質につきましても工場内での取り扱い等をさらにきびしく徹底するために、食品衛生法十九条の十八によります工場内の管理基準というものを厳重に定めまして、定期点検等も実施させるように現在その基準を作成中でございまして、近くこれを指示することができるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#47
○藤田進君 中曽根通産大臣にお尋ねいたしますが、お聞きのように、私がお尋ねしているポイントにむしろ触れないで、これから先のことを若干語っているにすぎないわけですが、いま出されているこの法案、きわめて不徹底なものとは思うけれども、ないよりはましでしょう。しかし、それにしてもこの国会でいまここに出てきた、しかし、すでに事態は進んでしまっている、取り返しのつかない状態になっている、この認識が私と違うのかもしれませんが、私どもの調査では、これは水産庁が言う以上に問題は急迫した状態にあるように思うんです。いまの国家行政の組織なり、それが運営なり、あるいは対人関係を含めてなぜここまで放置されてきたのか、いまごろになってこの程度のものを出さざるを得ない。なぜもっとこういう事態に進展するその前に、後手後手ではなくて手を打つべきではなかったんだろうか。これは三木さんがもう率直に反省して、政府の怠慢それ自体もやはり責めを負うべきだと言っておりますがね。怠慢なのか、気がつかなかったのか、どこに盲点があったのか。
 通産省では、石原産業で見られるようにややもすると企業との癒着、あるいは全体からはよく指摘されるように、政治資金その他そういったことから当然監督すべき事柄が放置されて、そして企業優先、こういったようなことが言われてきたわけですが、確かにそう言われればそうかと国民も思うでしょう。具体的になぜここまで放置されてきたのか。もうすでにまる焼けになって、どうもマッチをどこかへ始末しましたというような感じを受けるわけですね。ひとつ大所高所から見た、今後もあり得ることだと思う新しい化学物質についてお答えいただきたいと思います。
#48
○国務大臣(中曽根康弘君) 確かに政治の手がおくれているということはわれわれも反省しなければならぬと思いますが、PCBに関しましては、カネミの事件以来PCBを非常に注目いたしまして、製造の禁止、出荷の禁止、そのほかいろいろ手を打ってきて、回収等についても鋭意努力しておるところでございますし、そういう面から見ますと、行政措置は先行してやっておるわけであります。ただ、PCBのような品物がまた将来出てくるかもしれぬ、そういうところもありますから、今回、こういう法案を提出いたしまして、PCBを含めてこういう類似の蓄積性を持つ、人体に有害なるものについての規制を行なう法的用意をしておこう、こういうことでございます。調べたところによりますと、欧米においてはまだPCBの生産も許しておりますし、閉鎖系については出荷もやらしておりますけれども、そういう点については、われわれはさらにきびしい措置をいま現にやっているところであります。
 それから、いま起こっている問題は、過去のすでに出してしまったものの蓄積が魚介類に転移して、そうしてそれが人間に作用を及ぼすというポイントでありまして、過去のあと始末をいま一生懸命やっているところであります。ポイントは、どういうふうにして存在しているPCBを消滅せしめるかというところでありますが、いまのところ千四百度以上の熱で焼かないとできないようです。化学物質による溶解その他によることはまだできていないようでございます。それで兵庫県におきまして焼却炉が一つ、鐘淵化学の技術だと思いますができておりますが、住民の反対でそれを燃やすことができない、そういうことが一つございます。また、工業技術院を中心にしまして、ことしも八千万円の予算をとりまして、その能率的焼却処理についていろいろ技術開発をいまやらしているところでございます。大体活性炭素に吸着させてそれを焼却する、そういう方向でいま研究が進められておるのが現状でございますが、ともかく、いまPCBの問題は、事人体に関する大きな問題でありますから、至急にこれの処理をやらなければならぬと思っております。
#49
○藤田進君 じゃお答えは、PCBについてもすでに先手先手でもうやっているのだ、こう言われたように思うのです。私の認識ではそう思わない。そうだとすれば、こういう事態を引き起こすわけはないでしょう。いま回収しているというものがすでにここ数年前、少なくともカネミの四十三年ごろこれが行なわれていたらここまでこなかったのではないでしょうか。それが違うとすれば、魚介を汚染し、人体にいま影響を及ぼそうとしている事態というものが、水産庁やあるいはその関係省庁で、いつごろからこれがそういう方面あるいは海底に、あるいはヘドロに浸透してきたのか、こういう調査は、むろんできているでしょうから、その辺から割り出していきましても、確かに行政の後手あるいは立法の後手、これはもう責めを免れないと思うのです。それでもやはり先手で先取りしていったとおっしゃるのでしょうか。
#50
○国務大臣(中曽根康弘君) これは被害が出てきてから応急措置をやったということでありまして、決してそれはほめられるべきことではありませんし、そういう応急措置ということ自体が、行政としてはおくれをとっているということを意味しているだろうと思います。それより先に、そういう被害を予防するということが行政としての責任であるだろうと思います。遺憾ながらPCBの性格というものの究明がなされておらなかった、こういう特定化学物質が出てくることを許したという点に、いわゆるテクノロジーアセスメントということが怠慢だったというふうに私たちは思います。そういう点は今後についてこれを一つのいい材料にいたしまして、大いに反省を加えるとともに、ほかの類似の物質その他についても予防するということを、われわれは真剣に取り上げていかなければならぬと思います。
#51
○藤田進君 これは軽工業生産技術審議会の答申、四十七年の十二月二十一日を見ても、アメリカでもこれは成立はまだ見ていないようですが、一九七二年にすでに同様なものが議会へ提案されておるし、それからスウェーデンではすでに立法化されております。こう見てまいりますと、どうも日本のように急速に高度経済成長、企業優先という形で新しい物質を大量に製造し、これを使用するという国情から見て、何としてもこれは後手に回ってしまった。応急措置は、なるほど気がついてかなり後になされていることは事実でしょうけれども、これは一体どこがやるべきだったのか。過去を反省しながら今後に備える必要があろうかと思うのです。新しいそういった物質の開発されるたびごとに、これが人畜への影響とかいったようなことは、当然これは検討をいまの行政組織の中ででもなされる義務があるし、通産大臣としては、非常に広範にわたっていて、この法律もそうなんですが、かえってこの焦点をぼかして責任が回避され、そしてその結果、重大な事態に対して打つ手が後手後手というような感じがあるわけです。PCBに関してだけこれを論ずるならば、もっと打つべき手が打たれていない、この行政上の責任、これは内閣総理大臣にあるといえばそうでしょうが、そのもとにおけるそれぞれの分担をしている組織についてどこがやるべきだったんでしょうか。
#52
○国務大臣(中曽根康弘君) 環境庁はまだできておりませんでしたから、やはり第一義的には通産省と厚生省であると思います。
#53
○藤田進君 その所管されている通産省は、いま局長の話では、どうも過去についてのこうすべきだったというものが何もない。これでは前進はないです。率直に言って、やはりこうすべきだったということについてのこれは大臣から、これから新しいものも出てくるはずで、これはあとでまたお伺いいたしますが、その辺を率直にひとつ所信を述べていただきたい。
#54
○国務大臣(中曽根康弘君) やはりこういう被害が発見され、人体に対する毒性というようなものが発見されましたら、直ちにこれを生産している実態を究明して、そして、それを取り扱っている全国の工場等について調査を行なって、その排出自体を水系ごとに克明に究明すべきであったと私は思います。それで、それによってどの地帯にどの程度のPCBが外へ出たかという数字を明らかにして、そして県及び地元、あるいはそれに関係する団体や個人に対してそれを知悉させる。またそれによって、それに対応するいろいろな措置をこれからそれと同時に講じていく、そういう措置をやるべきであったと思いますし、それから回収についてももっと的確、迅速に行なうべきであったというように感じます。
#55
○藤田進君 水産庁について先ほど保留いたしましたが、疑わしきものを含めてたいへん小手先細工になっているんです。環境庁長官の、まあきょうは残念ですが見えておりませんが、発言の内容を検討しても、これから先これらの化学物質を含む環境の汚染、ひいては人体への重大な危機、これは何といってもやはり市民、地元民の協力がなければ、この根源を断つことはできないという趣旨の発言をしているわけですが、私もそうだと思うのです。もし発表すればかえって不利かもしれない、そういうことは全く旧態依然たる小手先の細工である。疑わしいものもこれもやはり徹底的に調査をする、そういう意味で水産庁調査にかかる個所別の汚染源、疑わしきものを含めてこれはぜひ出してもらいたい。局長一存でいけなければ、暫時休憩いたしますから、大臣と相談されてもけっこうです。PCBの保安についてわれわれはこのままでいいのかどうかということは、事実に徴してこれを検討してみたいと思っております。これが第一です。
 それから、これは通産大臣、あるいはまあ水産庁になればそれでけっこうですが、いま現実にかように汚染されているという、これは主としてPCBについてですね。この歴史的な日程について調査結果を発表していただきたい。いつごろからじわじわと出てPCBヘドロになり、そうしていまや魚介類、さらに人間へと、これは製造過程等からもうはっきりと割り出せるものだと思います。
#56
○説明員(前田優君) 先ほど来申し上げておりますように、私どもは、庁内でも長官以下この問題についていろいろ検討してまいったわけでございますが、疑わしいと思われるという段階でございまして、これがそうだというきめ手も私どもとしてはまだ持っていないわけです。したがいまして、こういう段階でそういう企業名を出すということはどうかということが一点と、先ほど来申し上げておりますように、現在、漁業団体のほうでいろいろとその疑わしきと思われる企業に対して折衝しているわけでございます。そういう関連もございまして、それらの企業が、先ほど先生が通産省のほうへ御要求になりました、各県におけるPCBを使用いたしました工場のリストの中に入っているわけでございます。それが水系別にはなかなかまだ判然としない面等もございますので、いましばらくお待ちいただければと思います。
#57
○政府委員(齋藤太一君) わが国でPCBの製造が始まりましたのは、鐘淵化学の場合には昭和二十九年からでございまして、約二十年経過をいたしております。三菱モンサントは、おくれまして昭和四十四年からでございます。で、これは製造当初におきましては、戦後の化学物質のヒット商品であるといわれるように、絶縁性、それから不燃性等におきまして非常にすぐれた物質でございます。そのために急速に需要が伸びまして、いろいろな用途に使われておったわけでございまして、世界的に、欧米各国でも需要が非常に伸びておったわけでございますが、これの毒性問題が世界的に話題になり始めましたのが昭和四十五年ころからでございまして、それまではこの毒性についてあまり知られてなかったわけでございます。そういうことで、先ほど申し上げましたように、昭和四十六年に開放系を全部出荷をとめまして、四十七年の六月からはメーカーの生産そのものを全面的にとめて、閉鎖系の出荷もとめたわけでございます。
 それで、いつごろからこれの汚染が始まったかということになりますと、ただいま申しましたように、昭和二十九年からすでに出荷が行なわれておりますので、これまでの二十年間の期間に逐次その環境をじわじわと汚染していったのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
#58
○藤田進君 それでは、PCBがそれほどの有毒があるものだということがわかったのはいつですか。
#59
○政府委員(齋藤太一君) 昭和四十五年ごろからいろいろ学者等の学説等が雑誌等に発表されるようになったように聞いております。
#60
○藤田進君 四十五年――いま四十八年、で、PCBの規制が何らなされないで三年間というのは、どういう理由でそうなったんですか。
#61
○政府委員(齋藤太一君) 行政指導によりまして、昭和四十六年一ぱいで開放系向けの出荷を全部やめまして、それから四十七年の六月にメーカーの製造そのものをやめさせまして、同時に閉鎖系向けの出荷も原則としてやめさしたわけでございます。その間約一年ないし一年半ほど時間がございますけれども、これは生産をとめるほどの毒性のあるものかどうかということにつきましての国内でのいろいろ議論もございましたし、それの検討の時間があったわけでございます。
#62
○藤田進君 だから当初、行政指導で四十五年以来やろうとしたけれども、それがうまくいかないから今度こういう立法の要請になったと、こういうわけですか。
#63
○政府委員(齋藤太一君) PCBにつきましては、ただいま申しましたように、行政指導で大体生産、出荷は昨年の夏までで全部とまっております。ただ、この経緯で私どもが痛感いたしましたのは、こういった環境を汚染して慢性毒性を起こすような物質というのは、こういうふうに環境に出ましてからあとから追っかけて回収をはかるのでは汚染を防止できない。いかに完ぺきに回収しようと思いましても、特に開放系は回収が非常に困難でございます。したがいまして、こういう物質につきましては、製造される前にその安全性につきまして審査をいたしまして、安全性に疑いのあるものはそもそも生産をさせない、こういう事前審査と申しますか、事前のアセスメントの仕組みをつくる必要があるということを痛感いたしまして、今回の法案をお願いすることにいたした次第でございまして、いわば、PCBに類似するものが今後あらわれます場合にそれを防止したいというのが主たるねらいでございます。が、同時に、PCBにつきましても、これまですべて行政指導という形で法律の根拠なしに行なってまいっておりますので、この際、法律の根拠を与えるということも一つの目的でございます。
#64
○藤田進君 それで先ほどの水産庁ね、これはあなた方行政府が持っていて、疑わしきもの、具体的にもう漁民が騒いでいる、うまくいかないところがある。各県ごとにはそれぞれ問題があるのに、本省である農林省、水産庁にそういうものがむろんあることは当然なことで、これがいま当面審議し、どうするかというこのPCBを含む化学物質、この沈染資源を問題に供している委員会、国会に出せないなんということですらかろうとしたって、絶対それはだめですよ。これはぜひ出してもらいたい。何と心得ている、一体。私は、出すまでは審議をこれ以上進めるわけにはいかない。
#65
○説明員(前田優君) 先生からの強いおことばでございますが、水産庁がこのリストを持っているということではございませんで、この汚染水域を限定したと申しますか、はっきりいたしました関係から、各県のほうでといいますか、県のほうはより地元の事情に詳しいわけでございます。したがって、このはっきりしましたところの汚染水域に排出していると思われておりますところの工場に対して、現在、漁業団体が折衝を行なっているわけでございまして、水産庁はまだそのリストといいますか、その情報を、漁業者のほうからこういうところと折衝しておりますという話は聞いておりますが、水産庁としてはリストを持っているわけではございません。したがいまして、別に水産庁として隠すというような覚えは毛頭ないわけでございます。その点御理解をいただきたいと思います。
#66
○藤田進君 いや、それならますますそれはもう怠慢もはなはだしいじゃないですか。国民はその魚介を知らずして摂取する。重大な人体への危険がこれはもう当然出てくる。水産庁は、それを知らぬ顔をして漁民にとらせ、これを市販させる。問題になったところ、だけは、表面化したところだけは漁民と汚染源との間の相談で魚介類を全部買い占めるとか、そういうことはこれは無政府主義です。何のために水産庁があるのか。徹底的に調査して出しなさい。
#67
○説明員(前田優君) 今回の発表いたしました八水域につきましては、汚染された魚が市場に出回りませんように、これは漁業団体のほうで全部自主規制、または疑わしき企業が買い取るというような方向で現在実施中でございまして、私どもといたしましては、実は漁業法の面で、いわゆる完全な禁止措置というものは法的にはとれないというような点もございまして、漁業団体と県と国といろいろお話しいたしまして、それで発表と同時に直ちに自主規制――魚が市場に流れないようにという対策を立てておるわけであります。先ほど私のことばが足りませんで、その点の御説明を申し上げなかったことは申しわけないと思っております。
#68
○藤田進君 これはPCBが中心で、その他メチル水銀とか、第三水俣とか問題がたくさんあるときです。こういうすでに累積している汚染、あるいはすでに水俣ではもうどうしようもない現実が出てきている。それなのに、まだいまごろ水産庁は自主規制でやる――効果があがるはずはない。自主規制の結果、漁民の生活、これは一体どうなるのですか。あるいはそれが個々の魚介についての日常的な検査体制、そういうものはどうなるか。いまどうもそういう法律がないからと、そんなことでずらかるわけにはいきません。したがって、現在入っているもの、そして、まだ本法案はきょうで審議結了するわけではないので、早急に県のもの、直接調査したもの、先般発表したものの裏づけとしてそれぞれ汚染源を水産庁は当然これを調べて、この水域、しかもその汚染源を早く押えていく。水産庁だけでできなければ、通産省その他関連省庁にも協力を求めてやっていかなければ、市場には魚にそれぞれレッテルがついているわけではない。これを調べたものを出してもらいたい、あくまでも。
#69
○説明員(前田優君) ただいまの先生のお話しのように、水産庁だけではなかなか汚染源の確定と申しますか、それをつかむことは非常にむずかしい問題等もございます。したがいまして、環境庁、通産省の御協力を得まして、できるだけ早くつかむように努力いたしたいと思います。
#70
○藤田進君 厚生省、通産省はどうなんですか。ここまで問題がきているのに、通産大臣、さて、汚染源はどこだろうか、そんなことは、すでに事後処置については、回収をはじめかなり徹底してやっているという段階だとすれば、おくればせながら今日これはもう厚生省も、それは環境庁もむろんでしょうが、ことに直接、製造あるいは使用について工場を監督指導している通産省としてわかっていなければならないのです。しかも、それを一刻も早く国民に知らせることです。そのために企業が非常に苦しい立場に立っても、これはしかたがないじゃないですか。なぜならば、国民の生命のほうがより大切だからです。何か発表するとその工場が非常に困るだろう、利益に大きな欠陥を来期は来たすだろう、そういうことはもう毛頭考える時期ではない、私はそう思うのです。いかがですか。
#71
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回、魚の検査によりまして排出の事実がよく明瞭になりましたので、そこで、いまどの工場からどの程度排出されているかということの実態を究明する段階に来ているわけでございます。しかし、ある水系に工場が一つとか二つとかいう場合にはかなり明らかでありますけれども、二十とか三十ぐらいあるのもある由であります。そうすると、どの工場からどの程度出たかということをやはり究明することが、補償問題その他に関しても非常に重要な要素にもなりますので、いま県当局と協力してその究明につとめているという状態であります。
#72
○説明員(小島康平君) 厚生省といたしましては、この汚染の問題につきましては国民の健康という立場から、やはり国民が摂取いたします魚介類の安全性ということが基本的な問題でございますので、これらにつきましてカネミの油症事件以来その中毒原因の解明及び治療研究、それから同時に、PCBの毒性につきましての代謝実験等をいろいろ専門家の先生方にお願いしてきておるところでございます。それらのいろいろな資料をもとといたしまして、暫定的ではございますが基準を定めまして、何とかこの基準以内に、またそしてさらに、その基準より低くその汚染を下げていくようにということを願っているものでございまして、これらにつきましては関係各省にも御連絡をいたしまして、国民の食品の安全な確保ということについてお願いをしている次第でございます。
 また、全国的な汚染問題の調査の一環といたしまして、私どもといたしましては、市場に出回っております魚介類の調査等も環境庁の調査の一環に御協力をいたしまして、それらの調査結果もお出しをしている次第でございますが、先生からいろいろ御指摘のように、この問題につきましては汚染が先行いたしまして、そして魚介類の汚染が広く起こっているということでございますので、私どもとしては、この暫定的な許容基準が守られるように関係各省とも御協力をいたしまして対策を推進すると同時に、今後は、さらにこの汚染を減少させるというような面についても努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#73
○政府委員(船後正道君) 問題になっております今回の水産庁の調査でございますが、これは昨年実施いたしました魚介類についての一斉点検に基づきまして、特に汚染の著しい地域についての精密調査をいたしております。これはそういった地域、水域につきまして、厚生省で定めました食品の暫定許容基準を上回るような魚介類が国民の、消費者の口に入らないというための調査でございます。したがいまして、暫定許容基準を越えるような水域につきましては、当然、魚介類の漁獲の停止ということが必要になってくるわけでございます。
 そうなりますと、次の問題は、それでは漁民の生活はどうなるかといったような補償問題に発展していくのは当然でございます。で、その点につきましては、もちろん、理屈の上では先ほど通産大臣も申し上げておりましたようにPPPでございまして、汚染原因者が負担するという理屈になるわけでございますが、ただ、水産庁の調査では、一つの水域についての魚介類のPCB含有量の調査、それを汚染源とどのように結びつけるかということになりますと、これはまた汚染源サイドからの調査とのつき合わせが必要でございます。かつまた、汚染源と目されるものにつきましては、PCBのメーカーもございますれば、あるいはそれを源料といたしまして製品をつくっておったものもございます。あるいは開放系からの流出ということも考えられるわけでございます。非常に困難な作業がある水域があろうと思います。これらにつきましては、やはり都道府県が中心となりまして行政指導の一環としてこの汚染源の究明をしていかなければならない。これにつきましては、当然のことながら、通産、水産庁、あるいは環境庁といったところにおきまして十分の指導協力をしていくということでもって、今後の作業を進めてまいりたいと考えております。
#74
○藤田進君 どうもいま皆さんも聞き、私も聞いていると、どこが一体このかなめとなっていま問題になっている事態に対処するのか。たとえば汚染源を突きとめていく、それから、取り返しのつかない状態だが、ヘドロをどう処理していくか、これはこのまま人類の生活に放置するわけにいかない難分解物質です。したがって、通産大臣、これはどこが中心で汚染源を的確に突きとめて、そうしてこれが自主規制というけれども、漁民の生活保障、これは県だと、しかし、すでにかなり広域化していて、特定単独府県でどうしようもないというのが瀬戸内海をはじめ問題があることは御承知のとおりなんですよ。そうして国政の上で立法化していく、PCBを含む今後の化学物質についての規制をしようという場合に、どうも主体は県庁であるように言う。しかし、われわれとしては、今日の憲法上国政の上でこれはやはり処理される性質のものである。県知事をここへ呼んで審議すべき性質のものではない。参考人としてはこれは必要な場合もありましょう。そうすると、一体いまの政府の中で、水産庁は独自にどうにもならない。環境庁しかり、厚生省しかり。どうなりますか。
#75
○国務大臣(中曽根康弘君) この問題は、環境庁が中心になりまして通産省あるいは農林省、各省が協力して、そして地方自治体ともよく緊密に連絡をして処理すべきものであると思います。
#76
○藤田進君 漁民そのものの救済あるいは発生源そのものをどうするか。それから個々の、先ほど触れた日常の魚介類についての検査をどうするか。これはすべて環境庁の責任処理というふうに理解してよろしゅうございますか。
#77
○政府委員(船後正道君) 委員長……。
#78
○藤田進君 いや、通産大臣のいまの発言のことを確かめているのです。
#79
○政府委員(船後正道君) 先ほど申しましたように、PCBに関係する省庁は広いわけでございますので、環境庁が中心になりまして汚染対策推進会議を持って、ここで各省で行ないますいろいろな施策の総合調整をいたしておるわけであります。そういう意味では、今後のPCB対策はその対策会議を通じ環境庁が中心になって進めてまいりたい、かように考えておりますが、ただ、具体的な調査あるいは分折、測定、指導ということになりますと、これはそれぞれ各省の機構を通じて実施するわけでございます。たとえば、今回、水産庁が行ないました精密調査も、漁獲される魚介類のPCBの含有量が暫定許容基準を上回るかいないかという点につきましては、水産庁が責任を持ってこれを調査していく、漁業を指導していくということになっておるわけでありますから、環境庁が中心になって対策は進めてまいる、具体的には各省の行政措置で進めてまいるということになります。
#80
○藤田進君 いま、一部水産庁だというのはわかったが、そのほかにこれはどこ、これはどこというふうに例示してください。
#81
○政府委員(船後正道君) PCBの回収処理、これは主として通産省において実施することにいたしております。
 それからPCBの排出規制でございます。これは現在、もうPCBの使用は原則として禁止になっておりますけれども、水質基準そのものといたしましては、環境庁で暫定的なガイドラインを設定したところでございます。
 次に、人体影響の問題につきましては、基本的な慢性毒性の研究がございますが、これは厚生省が中心になりまして、科学技術庁、労働省、環境庁等が協力してまいるという体制になるわけでございます。食品中の安全基準の問題でございますが、これは厚生省が策定してまいるわけでございます。その他PCBに関連する人体問題といたしましては、母乳の汚染対策、これは厚生省、また労働安全衛生の見地からの検討は労働省ということになっております。
 なお、PCBに関する種々の基本的な調査研究−が残っておるわけでございますが、これは各省庁にまたがるわけでございますので、環境庁が中心になりまして、環境中におけるPCBの挙動あるいは汚染のメカニズム、生物体内における濃縮といったような研究を進めていく、このような段階に達しております。
#82
○藤田進君 いま問題になっているこの自主規制しかないということなんだが、これを二つに分けて、一つは、法規制についていまどういう準備なり考え方を持っているか。その二つは、自主規制による漁民のいわゆる救済、補償、これはどこがやるのか。それから、どういうふうに対処しようとしているのか。
#83
○政府委員(船後正道君) 漁獲のいろいろな規制の問題、それに伴うところの補償の問題、これは水産庁の所管でございます。
#84
○藤田進君 自主規制しかないということなんだが、自主規制がそううまくいくはずもないし、しかし、それしか現行法上どうにもならないというんだが、だとすればいまのままでいくのか。これについて現行諸般の実定法でどうにもならないとすれば、新しい法律をつくるかどうかについての検討なり、これはどこがやるか一また、どういうふうに現在考えているかという点が答えてない。
#85
○政府委員(船後正道君) 私は、それも含めまして水産庁で所管しておると申したつもりでございますが、現在、漁獲禁止につきましては法律的な担保手段がないということでございまして、これをどのように進めていくかにつきましては、水産庁のほうで御検討願っているところでございます。
#86
○藤田進君 じゃ、この点を水産庁から答えてもらいましょう。
#87
○説明員(前田優君) 先ほど、漁業法の規定といたしまして法律的に禁止する方法はございませんと、こう申し上げました。
 もう一点、禁止する規定といたしましては、これは厚生省の所管でございますが、食品衛生法の規定、この食品衛生法の規定では、いわゆる食品衛生法に基づきますところの基準がなければならないわけでございます。したがって、今回のこのPCBにつきましてはまだ暫定的規制ということでございまして、この法律の発動もそこまでは及ばないわけでございます。したがいまして、先生御指摘のように、何らかの法的制度が必要ではないかというお話もございました。きのう、実はほかの委員会で、農林大臣または水産庁長官が御説明申し上げたところでございますけれども、この問題につきましては、現在、何らかの制度をつくろうじゃないかということで内部的に検討している過程でございます。
#88
○藤田進君 それから漁業の補償、いま自主規制に対する漁民への損害補償、生活保障、これは水産庁だということだが、具体的にひとつ。
#89
○説明員(前田優君) 自主規制、または魚を取り上げて処分するということになりますと、当然、漁業者に対する漁業補償の問題が出てくるわけでございます。これにつきましては、先ほども申し上げたかと思いますが、あくまで原因者負担の原則ということで、それを排出したところの企業にに対する補償要求という形になってくるわけでございますが、ただ、それには先ほど来先生御心配のように、加害企業が明確になるまで一体どうするんだという問題が出てくるわけでございます。この点につきましては、実は、四十八年度から農林漁業金融公庫のほうで、こういう場合に漁業者の生活安定のための融資ができるようになりましたので、その資金によりましていわゆる原因者がはっきりするまでの手当てをしてまいりたい、このように考えております。
#90
○藤田進君 いまの対処する姿勢を見ると、水産庁は、これはなかなか困難だ、発表すらできないと言う。漁業者は取りつくしまがないんじゃないですか。金融公庫の融資の道がかりに開かれているというけれども、その融資というものが当面の場つなぎにはなるかもしれないが、これをいつ、だれが補償するかというその見通し、保証がない。だから、やはり問題は、どの企業がその汚染の源であるかということを早く行政庁は、県も協力しなければならぬでしょう、その大元締めである農林省、水産庁がこれを的確に突きとめる。これはやはり国の規模で、国の経費で、そして漁民のそういう補償についての一環として手を打たなきゃならぬでしょう。どうなんですか。
#91
○説明員(前田優君) まさに御指摘のとおりと思いますが、その原因工場の究明の問題につきましては、先ほど来通産大臣からも環境庁のほうからもお話ございましたように、関係各省が協力いたしましてできるだけ早く原因を究明いたしまして、漁業者に安心していただけるような方途を講じてまいりたい、このように考えております。
#92
○藤田進君 これは逐次わかって、すでに現在、その上流に数多い発生源工場もあるだろうし、そうでないものもありますね。かなりの報道もされております。数ももう出ている。わかっているか、わからないか、本省だけが言わないということになっているわけですが、現在わかったもの、わからないものに分けてどの程度の割合になっていますか、数が。
#93
○説明員(前田優君) 大体過半数と申しますか、複合汚染地帯を除きまして漁業者が交渉開始しておりますところの企業、八つのうちの六つまでは現在交渉を開始しているように聞いております。
#94
○藤田進君 六つや八つじゃなくて、これは相当の数にのぼっているじゃありませんか。北は日本曹達、あるいはダイセル、信越半導体、そして南は大分製紙等ですね。相当な数にのぼっていて、すでに新聞などでも報道されているんです。もっと詳しく、それからいまわかってないもの、これらを含めて率直な答弁を私は求めている。
#95
○説明員(前田優君) 私が八つのうち六つ程度と申し上げましたのは、八つの水域の中の六つの水域程度という意味で申し上げましたので、企業の数で申し上げたわけではございません。
#96
○藤田進君 ぼくが聞いているのは、水域等はもう承知しているんです。その数を聞いている。わかっているものとわかっていないものと。
#97
○説明員(前田優君) わかっているものというのは、まだ各省も私どももつかんでおりませんものですから、よくわからないわけでございます。漁業者が現在交渉しておりますところの数、こう申し上げますのは、いまちょっと手元に合計額が出ておりませんですが、いまちょっとお時間をいただきたいと思います。
#98
○藤田進君 それは漁民の力では複合汚染源についてはなかなか、これは漁法、漁業についてはくろうとであっても、PCBの汚染、あるいはその基準量をどの程度こえているかといったようなことは、これは漁民には求めても不可能なことだ。それがやはり公共の機関である政府機関ということになるんで、これがいまのようなさっぱり企業の側に向いてしまって、なるべくくさいものにはふたをするというようにしかとれない。県庁が何とかするだろう。環境庁もそういうような状態。しかし、岩国の場合でも川一つ隔てて広島県と山口県に分かれておる。両方に関係を持っている。これは兵庫県の場合でも言える、瀬戸内海全域が。こういう状態なんです。通産大臣、先ほど、すみやかにこれらの疑わしきを含めて汚染源についてはこれが的確な調査を進めますということでありましたが、これはいつまでに終わりますか。あるいは現在わかっているものもあろうかと思います。お答えいただきたい。
#99
○国務大臣(中曽根康弘君) できるだけすみやかにやりたいと思いますが、県庁等と連絡をとりまして、それから関係各省、建設省やその他の問題もあると思います。各省とも連絡をとって、環境庁を主体にいたしまして、その汚染源の究明につとめていきたいと思います。補償その他の問題もございますから、できるだけ早く究明してまいりたいと思います。
#100
○藤田進君 いや、だからできるだけ早くと言っても、現実に実施される官庁としては大臣から逐次、これをいつまでにはこうしろという努力目標を立てて指示をし、督励をしなければならないのじゃないでしょうか。できるだけ早くやれと、もうそんな状態じゃないですよ、これは。漁民はかなりみずからの生活に追われ、そして、特に大衆向きの魚介類、アジとかサバとかいったようなもの等が最も汚染されているということのようですね。瀬戸内海などではコノシロ、この辺では何といいますか、そういったものが非常に被害を受けておる状況です。そうなりますと、とにかくわが国では、水産たん白というものに大きな依存度のシェアを持っている国民としては、これはそうゆうちょうに構えられたのでは困るのではないでしょうか。もっと具体的日程を設定して、汚染源のもうすでにわかっているものから世に明らかにして、みんなでその被害が人体にまでは及ばないように防衛しなければならぬでしょう。逐次これは公表されるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
#101
○国務大臣(中曽根康弘君) 各工場ごとに排出量を見きわめるということはかなり技術的な要素もございまして、水系に工場が一つか二つという場合にはわりあいに簡単にできるかもしれませんが、三十、四十とあるような場合には、なかなか複合したむずかしい問題もございますので、いまいつというふうに時間を申し上げることができないのは非常に残念でございますが、ともかく、できるものからできるだけ早く公表していこう、こういうふうに思います。
#102
○藤田進君 そういう数多い場合にはなかなか突きとめられない、水かけ論になる。現在そうなっているんですよ、漁民との間でも。みな逃げを打っているんです。そうでないものは、逃げようのないものは、これは漁獲全部を買い取りましょうと。これとてもその買い取る価格、その他派生的に問題がいろいろ出ておるように聞いておりますが、そうなりますと結局突きとめられない。みな逃げを打って水かけ論。しかし、現実にその魚をとらないか、とっても持っていきようがない。そうすれば、検査体制がいまの状態では、自然、もよりかあるいは遠隔の地の市場に出ていくということもこれはあり得るんじゃないでしょうか。あるいはいま韓国等からもかなり下関などに入ってきております。しかし、これなども必ずしも韓国周辺、沿岸部のものに限ったことはない。海上での取引がどうも行なわれておるようにも言われております。
 こういうふうに考えてくると、一般消費生活、家庭においてのチェックというものが非常にむずかしくなってくる。これにはしたがって、第一には漁民関係の補償というものがかなり完全でないと、相当汚染は拡散されていく可能性がある。あわせてまた検査の体制、これはどうしても水かけ論で、現地でやっていたのでは解決しないことになる。また、今度できるPCBのこの法律、PCBを含む化学物質の審査法では及ばないのじゃないかと私は思います。どういたしますか。
#103
○国務大臣(中曽根康弘君) 排出量というものを正確に把握することはなかなか困難な作業であると思います。しかし、いま局長に聞いてみますと、兵庫県のような場合には、各社で使用量をまず確定して、その使用量に応じて比率をきめて補償の場合には分担しょう、そういうことを県が間に入っていま努力しているよしでございます。どうしても見つからない、わからないという場合に一は、早く解決するためにはそれも一つの方法であると思います。
#104
○藤田進君 そういたしますと、そういう場合に国が積極的に乗り出していくという姿勢はやはりとらないのですか。県が企業者との、あるいは漁民とのといったようなことで、中央指導としてはどういうかまえ、姿勢なんでしょうか。
#105
○国務大臣(中曽根康弘君) 環境庁を中心にいたしまして、問題が早く解決するように国も積極的に督促をして早く解決案をつくるように努力すべきであると思います。しかし、第一義的には、県庁当局が間に入っていろいろあっせんしているようでございますから、県庁当局ともよく打ち合わせして、問題の解決を早めるように一体になってやるべきものであると思います。
#106
○藤田進君 それから、先ほど要求したあのリストはどうなりましたか、あれから二時間足らずですが。――それで、これは製造とその出荷先というふうにさっき聞いたように思うんですが、しかし、製造、出荷先ことごとくが汚染源になったのかどうかもこれは疑わしいと思う。
 そこで水産庁も、いまお聞きのようにやりとりが私との間になされているわけですが、これも早急に出していただくように委員長にもお願いしますが、この生産管理あるいはその他の監督をしている通産省としても、いま言われるリストの内容を見なけりゃわかりませんが、おそらく汚染源かどうかについてじゃないように思われる。いま必要なのは、どの工場からどの程度――複合等についてはそれはなかなか数字はむずかしいということの答弁はありましたが、しかし、さっきも兵庫の例を言われたように、その使用量ですか、そういうものに案分比例してというようなことなんでしょうから、その基準となる使用量、あるいは現実に一般に報道もされているわけですけれども、それ以外にもあるかと思うんだが、やはり権威のある何工場でどういう、その下流では水産庁が指摘しているようにどうという関連のあるものがほしいと思います。それをやはり議会の審議を通じて国民が知ることが、今後のみずからの生活の防衛をそれぞれまた緊急に、政府の手おくれの前に考えるでしょうから、これをひとつ出していただきたいと思いますが、いかがですか。
#107
○政府委員(青木慎三君) 昨年の十二月に環境庁のほうで総合的に取りまとめましたPCBの総合調査がございますが、その中の通産省分担分といたしましては、サンプル調査でございますが、九十一工場について実態調査をした結果がございまして、これは昨年の十二月二十一日に公表しております。その資料は現在ございますが、その他の工場につきましては、国なり県が直接調査した資料はございませんで、各企業が自発的に調査した資料がございますが、通産省として直接調査いたしましたのは、現在この資料のみでございます。
#108
○藤田進君 いや、すでに発表になっているものはいいんですよ、私のほうでももらっているし。問題になって、その後すでに六カ月。この間に、水産庁が自主規制をさせる、これのはね返りとしての、しからば一体、どこがどの程度の汚染源になったのか、これはもう間髪を入れず、やはり水産庁だけではどうにもならぬというのですから、調べなければなりません。やってないのですか、それを。
#109
○政府委員(青木慎三君) 昨年の調査をしました段階から、各企業に対しましては、その工場の汚染の状況を調査して、それに対して適当な処理をするような指示をいたしておりますが、今回、特にまだ調査をこの水域に限っては始めておりません。
#110
○藤田進君 やる気はないんですか。やらなければいかぬじゃないですか、これだけ問題になっているのですから。そうしてあと、まず汚染源、これがあんがいもうやめているかもしれないけれども、しかし、その実態を早く知って、そしてそういういわば加害者負担というか、PPPならばこれに対応する裏づけが必要でしょうし、まだやっておりませんじゃ、どうなんですか。それからあとそのヘドロ等の処理をどうするか。このままもう未来永劫ほっておくのか。
#111
○政府委員(青木慎三君) 水産庁の発表いたしました水域の連絡がありましたのは最近でございますので、今後、県当局のほうと十分相談いたしまして、こういう調査は県に委託して調査をいたしますので、汚染源の追及にあたりましては県と協力をいたしますし、また、各企業に対しても十分県の調査に協力をするように指導してまいりたいと思っております。
#112
○藤田進君 そういう調査について端的に言えるのは、その経費の負担、これも県が全面的に負担するのですか。それから二府県ないしそれ以上にまたがるものについてはどうするのか。
#113
○政府委員(青木慎三君) 先般、全般的な調査をいたしましたときには、環境庁のほうで総合的に予算の手当てをいたしまして、国の費用で検査をしたわけでございますが、今般の調査につきましては、いまだ予算その他の手段につきましては十分検討しておりませんが、県当局のほうと十分連絡をとりまして、今後相談してまいりたいと思います。
#114
○藤田進君 どうもこれから、これからが多過ぎるんじゃないですか、これは。もっと促進しなければ……。環境庁長官が五日に言っているのは、全く何か表面だけを言っている。これはその裏づけというのは何にもないですね。いずれ三木長官に来てもらって――ただ、はったりの演誠をそこらでして、国民にあたかもやってくれるなあという期待を持たせるだけじゃ、これは何にもならない。かえって弊害を伴う。何でもこれから、これからではまことに遺憾であると思うんです。
 それから、いままでPCBが生産され、今度回収する、一部を除いては停止するということのようですが、これはわが国でどのくらい量的に生産されたのか。それから、輸入されたというふうにも聞きますが、この輸入についての量、お聞きします。
#115
○政府委員(齋藤太一君) PCBの生産量でございますが、鐘淵化学が昭和二十九年から、三菱モンサント化成が昭和四十四年から生産を開始いたしまして、中止をいたしました昨年六月までに両社で五万九千トン生産をいたしております。それから輸入は一千トンでございます。
#116
○藤田進君 どこからですか。
#117
○政府委員(齋藤太一君) 主としてアメリカからでございます。したがいまして、供給の合計が約六万トンということになっております。
#118
○藤田進君 それは使用された一これは非常にまあ多くにわたっていれば、その資料、表で出していただいてもいいのですが。どういう方面に使われているか、分布状態等を含めて。
#119
○政府委員(齋藤太一君) 六万トンの供給に対しまして五千トン輸出をいたしております。したがいまして、五万四千トン強が国内で消費されております。
 その内訳でございますけれども、電気機器関係、これはトランスでございますとか、コンデンサーといったようなものの絶縁具として使われておりますが、それが約三万七千トンでございます。それから熱交換器の熱媒体といたしまして約九千トン、それからノンカーボン紙と申しまして、カーボンを敷かないで裏に字が写ります、感圧紙とも呼んでおりますが、感圧紙用に約五千トン、それからその他の開放系用途、これは塗料でございますとか、接着剤、あるいは燃えないようにきれいに塗布いたします防炎剤、こういうもので約三千トンでございます。
#120
○藤田進君 これは使用した企業別に資料を出していただきたいのです、いま数が多いでしょうから。これはわかりますね。
#121
○政府委員(齋藤太一君) 後ほど提出することにいたしております出荷リスト、これは企業別の出荷リスト、これは企業別の出荷リストになっておりますが、この古いほうは昭和二十九年から出荷をいたしておりますので、非常に古いころの出荷リストが実は企業のほうですでに処理をいたしまして、欠落をいたしております。大体昭和四十年以後ぐらいの出荷のリストが残っておりますので、これから提出いたします出荷リストは大体四十年以後の出荷分でございます。ただ、それ以前の出荷分につきましては、トータルとしてのどういう用途向けというのは合計数が企業のほうに残っておりますけれども、個々の企業向けの伝票がすでに廃棄処分になっておりまして、内訳がわかりません。そういう意味で、この五万四千トン全体につきましての企業別の内訳というのが現在完備したものがございませんので、その点は御了承いただきたいと思います。
#122
○藤田進君 それはまた御提示を見た上でまた検討します。
 で、先ほど来回収は済んでいるということですが、回収状況についてもっと詳しく承りたい。いまどの程度の回収――過去輸出を除いても五万五千トン、それからいわゆるたれ流しというものの推定がどの程度、こういったようなこともお答え一いただきたいし、それから回収について、回収したものをどういう安全的な処理をされているのか、そういう方法、こういったものをお伺いしたいと思います。
#123
○政府委員(齋藤太一君) 現在までの回収分は、主として熱媒体の関係でございまして、九千トン出荷をいたしました熱媒体につきまして、ことしの四月末で三千五百トン回収をいたしておりますす。この回収いたしました三千五百トンの熱媒体でありますPCBは、一部百二十トンはすでに焼却炉で焼却済みでございまして、残りの三千四百トン弱が現在返却先であります鐘淵化学と三菱モンサント化成のタンクに貯蔵されております。
 それから、一番大口の電気機器の関係でございますけれども、これにつきましては、たとえば大型トランスで約二十万件ぐらいございます。ただいまそれの所在リストを作成中でございまして、これは密閉された容器でございますので、使用中に関しましては漏洩のおそれがございません。そこで、耐用命数が尽きまして廃棄するときに計画的に回収をするということにいたしておりまして、ただいまその回収計画を策定中のところでございます。すでに耐用命数が尽きました分につきましては、その企業にお願いをしまして倉庫等にPCBという表示をつけまして保管をしていただいておりまして、計画的に今後回収をはかるということにいたしております。私どもの見通しでは、大体三万一千トン回収が可能かというふうに考えております。
 それから感圧紙は、紙の量にいたしまして約千二百トン回収をいたしました。これは感圧紙のメーカーの倉庫に一般の紙と区別をいたしまして、現在厳重に保管中でございます。なお、ユーザーのほうでPCB入りの感圧紙を使用いたしまして、使用済みのものは約五千トンほどでございますが、これは会社の書類の保存期間等の関係もございます。官庁等にもまだございますが、保存期間の関係がございますので、保存期間の切れましたものからメーカーが回収をいたすことにいたしております。
 その他の開放系につきましては、ほとんど回収ができませんでした。なお、PCBを組み込みました機器という形で輸出されましたものが約三千トンございます。そういうことでございまして、合計いたしますと五万四千トンの国内出荷の中で回収見込みを大体三万七千トンというふうに考えております。今後の回収分を含めまして三万七千トンを回収し、それから機械の形で輸出されましたものが三千トンでございますので、合計四万トン、回収困難なものが一万四千トン、こういうふうに推定をいたしております。
#124
○藤田進君 その困難なという一万四千トン、これが主としてたれ流しになったと見ていいのですか。
#125
○政府委員(齋藤太一君) さようでございます。
#126
○藤田進君 それでこの法律によりますと、特定化学物質にPCBがこれは指定されるだろうと思う。で、指定されても、この法律のたてまえは、許可を得れば製造し、使用するということになるようですが、しかし、せっかくいまこうして回収途上にあるというのですから、今後出てくる化学物質についてはこれは一応別にいたしますが、PCBについては、申請があってもその製造なり使用の許可をするということはないと見ていいんですか。
#127
○政府委員(齋藤太一君) 本法案の十四条によりますと、特定化学物質の指定をいたしました場合には、政令で定める特定の用途に限って使用を認めることにいたしております。その用途をどうやって定めるかということでございますが、ほかのもので「代替が困難であること。」というのが一つの要件でございます。それからもう一つは、必ず回収のめどがあって、しかも使われる期間に漏洩のおそれがないというような意味合いで、「環境の汚染が生じるおそれがないことと。」いうのが要件になっております。
 で、御指摘のPCBをこの法案で特定化学物質と指定したといたしまして、この法律で指定したあとも特定の用途について使用を認めるかどうかという点でございますけれども、現在、昨年の六月に製造、出荷の停止を命じましてから、どうしてもPCBでなければならない用途で、しかも回収が確実なものということで、例外的に認めてまいっておりますのが新幹線に使います変圧器と整流器でございます。これは高速で走ります関係で非常に熱がかかりまして、PCBでないと火災のおそれがある、こういう国鉄当局のお話で、特に現在でも山陽新幹線向けあるいは東北新幹線向けと、これからできます新幹線に使います車両用のトランスにつきましては、現在もPCBによるトランスの製造を認めております。
 で、この法律によりまして指定しました場合に考えられますのはそういった向きでございますけれども、ただ私どもとしましては、新幹線用につきましても、できれば代替品を開発をしていただいてPCBを使ってほしくないと、こういうふうに考えまして、国鉄当局に代替品の開発の研究をお願いをいたしておりまして、現在、シリコンオイルという油を使いましてPCBの代替品にならないかどうか国鉄で検討中でございますので、もし、これの開発がこの法律の施行日までにできますれば、PCBにつきましては、原則として本法施行後は大体新規の用途は認めない方向でいけるのではないか、こういうふうにただいまのところ考えているところでございます。
#128
○藤田進君 通産大臣は何か他の委員会から要請があるようでありますから、あと一問だけお尋ねをして、次回以後に私の質疑は譲りたいと、かように思います。
 シリコンオイルはかなり古くから変圧器の劣化防止とかに使われてきて、これを代替にといわれているようですけれども、これはそれの検討に譲るとして、この法律の適用が予想されるものは現在はPCB、これなんだろうと思うのですが、それは特定ごく最小限に限って、たとえば新幹線、これも代替物質にという方向はわかりましたが、そのほかに、私どもよくわかりませんので、この道の専門学者等にいろいろ検討をゆだね、先般、研究会もやってみましたが、どうもこの法律はあいまいであって、現行のアメリカにおける有害物質規制法の考え方、それから現行日本におけるそれ等から見ても、どうもこの法律にもひっかかるし、従来の特定毒物にもどうも関連が持たれるようにも思われるし、それからDDTとかBHCですね、そういうものは一体どっちに……。これはいま農薬取締法ですが、特定化学品、つまり、本法の新しいものは、なるほど文句では蓄積有害物とかその他の表現をしてありますが、さて、それでは現在PCB、それから何、それから将来こういうものが予想されるというようなことについてどうもはっきりしておりません。この点をお伺いいたしまして、きょうの質疑は割り当て時間がまいりましたので、次回に譲ります。
#129
○国務大臣(中曽根康弘君) 非常に技術的な、専門的な御質問でもございますので、正確に局長から答弁さしていただきます。
#130
○政府委員(齋藤太一君) この法律は、化学物質がいろいろ使用されまして環境に廃棄されました場合に、環境におきまして残留をいたしまして、魚等の体内に蓄積をして、それが食物連鎖によりまして人の健康をおかすおそれのある、そういった物質をあらかじめ環境に出ないように取り締まりをしようと、こういう趣旨の法律でございます。
 環境にそういう形で投与されますものにつきましては、たとえば農薬がございますけれども、農薬は、農薬取締法で現在取り締まりが行なわれております。それから肥料がございますが、これも肥料取締法で取り締まりが行なわれております。それからそのほかに、いわゆる公害諸法によりまして、たとえば水質汚染濁防止法、大気汚染防止法、海洋汚染防止法、こういったものによりまして工場の生産過程での排水、あるいは大気への排気ガス等々にまじります有害物質の規制は行なわれておるわけでございます。
 本法は、主としてそういった工場の生産工程での排水等に流れ込むものを規制するということよりは、工場から製品として出荷をされまして、それが使われてあとで捨てられて環境を汚染すると、こういうものを取り締まるのが主たるねらいでございます。そういう意味で申しますと、PCBは農薬でも肥料でもございませんために、そういった取り締まりの穴場になっておったわけでございます。それから直接に人が触れまして、直接作用としての毒性を持つ化学物質の取り締まりは、毒物劇物取締法、あるいは労働者に関する安全、健康の問題としましては労働安全衛生法等々がございます。また、薬事法、食品衛生法等もあるわけでございますが、ただいま申しましたように、これは化学物質で食品という形でございませんで、一般に使われまして環境を汚染するおそれのあるものと、こういうものを取り締まるわけでございます。
 どういうものが対象に今後出てくるかという御質問でございますが、おそらく第一号としましては、PCBが指定の第一号になろうかと存じます。で、そのほかには、これからこの法律を適用しまして化学物質を審査をしてまいりますが、環境での分解性が悪い、魚等への蓄積性が高い、そしてなおかつ慢性毒性を起こすような毒性を持っておるものと。こういう基準でまいりますと、一番危険性があるものとして考えられますのは、PCBに類似をいたしましたハロゲン化合物で多環物質、つまりベンゼン環がたくさんついておりますような系統のもの、これは過去には農薬の関係ではDDT、BHCというものがございましたし、産業関係の製品としてはPCBがあったわけでございます。この塩素あるいは臭素、弗素といったような系統のハロゲン化合物がそういう意味での基準から見ますと危険性が高いように思います。
 それからもう一つのグループは、重金属を含みます化合物のグループでございまして、たとえば水銀化合物等につきましてはその環境汚染のおそれが高いかと存じますので、至急にこの法律施行後そういった化合物の審査を急ぎたいというふうに考えております。
#131
○委員長(佐田一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめて、午後一時四十分ごろまで休憩いたします。
   午後零時三十六分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト