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1972/06/28 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第15号
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1972/06/28 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第15号

#1
第071回国会 商工委員会 第15号
昭和四十八年六月二十八日(木曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十七日
    辞任         補欠選任
     上田  稔君     林田悠紀夫君
 六月二十八日
    辞任         補欠選任
     大矢  正君     上田  哲君
     稲嶺 一郎君     中村 禎二君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐田 一郎君
    理 事
                剱木 亨弘君
                若林 正武君
                阿具根 登君
                藤井 恒男君
    委 員
                川上 為治君
                中村 禎二君
                林田悠紀夫君
                細川 護熙君
                安田 隆明君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   中曽根康弘君
   政府委員
       通商産業省繊維
       雑貨局長     齋藤 英雄君
       中小企業庁長官  莊   清君
       中小企業庁計画
       部長       原山 義史君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に
 対する臨時措置に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐田一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十七日、上田稔君が委員を辞任され、その補欠として林田悠紀夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(佐田一郎君) 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○藤井恒男君 最初に、大臣と長官にお伺いいたしますが、二月のドルの一〇%切り下げ及び円の変動相場制移行以来、円は一ドル二百六十円台を推移しておるわけです。このことは言うまでもなく、フロート移行前から比べると実質的に一五%以上の切り上げとなっておりますし、また、過去の一ドル三百六十円の固定相場から見ると、実に百円もの違いになっています。このことは輸出関係産業に大きな負担となっているわけですが、特に資本力の乏しい中小企業への影響はきわめて深刻であるというふうに言わざるを得ないと思います。このために現に受注が取れず、あるいは製品単価の切り下げを押しつけられて経営難に苦しんでいる中小企業も多数に及んであります。企業の経営政策の失敗によってこういう状態にあるということであるなら、それはともかくとして、今回のこの中小企業が遭遇している不況というものは、俗に言われる外圧あるいは前回私、本会議でも申し上げたことがありますが、政府のやはり施策のおくれが大きく作用して、ことに輸出関係中小企業に全く責任がないにもかかわらず、しわが寄っておるというふうに見ることができると思うのです。
 輸出がふえて外貨がたまり過ぎたのも大きな原因だというふうに言われておるのですが、輸出がふえているのはむしろ自動車、鉄鋼などといった重化学工業部門のいわゆる大企業製品が顕著であって、輸出関連の中小企業製品というものは、むしろ発展途上国の追い上げなどを受けて、そんなに外貨のたまり過ぎに寄与しておるということではないというふうに思います。にもかかわらず、これが円の切り上げという形で解決されるとするなら、切り上げを受けても競争力あるいは資本力がある大企業の場合には、自分の力でこれを乗り切ることができるけれども、中小企業についてはそれができない。被害をもろに受けざるを得ない。結局のところ、国の政策の失敗によって、大企業の行動の責任というものが中小企業にしわ寄せされておるというふうに中小企業側が受け取るのも、私は無理からぬことだろうというふうに思うわけです。したがって、通産省として、あるいは中小企業の当面の窓口として中小企業庁、それぞれの責任者である大臣、長官は、これら中小企業を犠牲にするといったある意味での矛盾というものをどう考えておるか。そうして、その上に立って本法を施行されようとなさっておることはわかるわけだけれども、今後のこれら中小企業に対する、ことに打撃を受けておる中小企業に対する施策、展望といったものをまずお聞きしたいと思います。
#5
○国務大臣(中曽根康弘君) 平価調整等と中小企業の関係というものは、まさに御指摘のとおり、非常に重大な問題でございまして、大体そういう場合にいつも圧力を食らうのは中小企業でございます。特に下請関係でもございます。
 前回のドルショックと今回のドルショックと比べてみますと、数字では前回よりも今回のほうが倒産件数その他は少なくなっております。これはおそらく、景気が上昇してきておるということによるのではないかとも思われます。しかし、最近ようやく金融引き締め等の客観情勢の変化もありまして、倒産等について少しふえてくる気配が見え始めておりまして、われわれとしても、特に中小企業に対して金融その他の措置をやらなければいけない段階にいよいよ到達したような感がいたしております。輸出と中小企業につきましては、われわれも特段の配慮をしておりまして、たとえば、先般貿管令をつくる際にも、鉄鋼とか船舶とかいうああいう大型の大量の輸出に対して、中小企業は非常に件数が多く、しかも零細な金額のものでございますから、そういう割り当てやなんかの場合におきましても、中小企業には特段の配慮を実はしたところでございますし、また特認のワクと申しますか、そういう許容分につきましても、特に配慮してきておったところでございます。
 最近の動向につきましては、具体的には長官から御答弁申し上げさせますけれども、われわれは、今後ともいよいよ輸出関係において、最近の輸出輸入の動向等を見まして、中小企業に対して真剣なまなざしで手当てをやらなければならぬときが来つつある、そういう気がいたしまして、せっかく努力いたすつもりでおります。
#6
○政府委員(莊清君) 大臣から御答弁申し上げたところで尽きておると存じまするが、若干補足をさしていただきます。
 中小企業が特に為替変動の影響を直接あるいは間接に受けるということは、まことに重大な問題でございます。中小企業の輸出は漸次比率は下がっておりまするけれども、わが国の輸出全体の三分の一を現在でも占めており、これに関係しておる企業及び従業員というのはきわめて膨大でございます。そこで、前回のドル・ショックの場合同様、今回も緊急対策を閣議決定をいたしまして、緊急の融資を行なうほか、今回御提案申し上げておりますドル対策法及び保険法で所要の法的な措置を講じておる次第でございます。
 問題は、ただいま大臣も御指摘になりましたように、前回のショックに比べまして、今回は国内経済の様相が金融情勢等でもかなり著しく変わりつつございますので、一時ショックを受けた輸出中小零細企業が二次ショックを受け、さらに引き締めの影響を受けるという三重ショックでございます。したがいまして、今後の中小企業金融対策につきましては、私ども中小企業庁といたしましても特に注意をいたしまして、引き締め政策のもとにおいても輸出関連中小企業はもちろんのこと、その他の中小企業全般につきまして健全な資金需要というものに対する資金の供給が阻害されることが絶対にないように、万全の措置を今後とも金融当局、財政当局に対して強く要請をし、その結果も十分に見まして、的確な措置を適時適切に講じてまいるよう努力をいたしたい、かように考えております。
#7
○藤井恒男君 いわゆる第二次ドル・ショックを受けた時点、もうそれからかなり日がたっておるんで、私は、本法を審議するには多小間延びしたような気がしてならないんだけれども、あの第二次のドル・ショックを受けたとき、一般の識者が抱いた感慨といいますか、見通しなどもあったわけですが、そのおりは、もっと中小企業はピンチに立ってあろう、倒産するというふうにだれもが思った。ところが、いまいみじくも大臣おっしゃったように、きわめてこれはしあわせなことであったんだけれども、景気の上昇の波に乗ったためにその倒産がカバーされたということであって、ドル・ショックそれ自体に耐え得る体質の中から中小企業が現在存在しておるとは私、見られないのじゃないだろうかという気がするんです。したがって、今度の金融引き締めというものがかなりきびしくなっており、後ほども御質問申し上げますが、中小企業はたいへんな苦しみにあっていくと思うんです。
 同時に、そういう背景の中で、この変動相場制というものが、前回の質疑のおりにも大臣のほうから御答弁ありましたように、かなり長期化するだろうというふうにおっしゃっておられる。しかも今度の法律というものは、大体二百六十円というものを想定して、その辺にひとつのにらみをつけてすべての施策を講じておるんだということですか。今後、この金融引き締めというものがどんどん過酷になって、その実効が中小企業にこれから及びつつあるという状況、そして必ずしもいまの二百六十円近辺を維持すると思われない見通しもある。さらに円高になった場合、一体どのような施策を講ずるのか、本法はこの有効期間を今度五年にしようということになっておるわけですが、それらとの関連も含めてお聞きしたいと思います。
 その次に、時間がありませんから、あわせて二つ、三つずつ御質問いたしますが、今度ドル・ショックといっても、影響の度合いが業種によって非常に違う、産地によっても非常に違うわけです。それで生産する産品のほとんどを輸出にたよっており、今回の円切り上げによって新規の輸出見込みが立たないという業種もあれば、おそらく打撃を受けるであろうと思っておった業種でありながら、さほど影響を受けていないという業種もある、これは現実の問題です。しかし、このような影響の度合いが多岐にわたっておる状況の中で、中小企業のして打たれる施策がやはり画一的だということになっておるんだけれども、これは不合理じゃないだろうか、もっと影響を受けておる業種とそうじゃないところとを識別して、きめのこまかい中小企業に対する施策というものが実際問題としてとれないのかどうか。これは業種並びに産地について言えることだと思うんですが、この辺のところいかがなものでしょうか。
#8
○国務大臣(中曽根康弘君) まず第一の御質問の、二百五十円というような円高になる傾向にあるが、そのとき中小企業はどうするかということでございまするが、変動相場は、いまの情勢では長続きする気配にやはりあると思います。これは固定相場に復帰する要員がまだ整備されていない。特にアメリカの多国籍企業の問題であるとか、インフレーションの問題であるとか、そういう要素がきわめてまだ流動的で安定しておらない情勢ですから、したがって、まだ変動相場制は当分持続すると考えざるを得ないと思います。変動相場制が持続していきますと、実勢がどうしても出てまいりますが、最近の情勢を見ますと、しかし、バランスが次第に輸出輸入で均衡してまいりまして、そういう面では、円が弱くなってドルが強くなるという傾向になるべきにもかかわらず、必ずしもまだそのほうに動いていない。私、その辺はまだふしぎに思っておるところで、究明しなければならぬところであると思います。
 しかし、いずれにせよ、日本の経済力全般を見ますと、まだかなり強い面もございますし、まだ非常に注意をしてこの平価の関係を、推移を見ながらいかなければならぬという状態であると思います。その際に、やはり受ける中小企業のほうの打撃は千差万別で、まさに御指摘のとおりでございまして、われわれのほうは各通産局に、地域別、産地別に業態調査をさきに実施いたしました。それから全国の府県の商工部長会議も招集して、府県別にまたさらに精査をさせたりいたしまして、業態の情勢は抱握しておるところでございます。それで、その業態によりましていろいろ指導を行なっておりまして、まあどうしてもやむを得ないものは転換の方途を模索する、それから可能なものは金融そのほかでそれを引き続いていく、あるいは新し品物へ、あるいは高級品へ、そういう方向に転換さして、長期的に生き延びる方策を講じさせる、そういうようなことを金融やあるいは行政措置を通じて、業態別に指導しておるところでございます。しかし、事態はだんだんさらにきびしくなりましたから、われわれとしてはさらに状態を精査いたしまして、常に現状を抱握しながら進んでいく必要があると思います。
#9
○藤井恒男君 大臣にお伺いしますが、この日本の貿易の輸出入のアンバランスというもの、そのアンバランスの大きな原因をなしておるものに、やっぱり日米の貿易収支じりというものがあろうと思うんです。もちろん、発展途上国のインドネシアと日本との関係、あるいはタイと日本との関係、これは形が全く逆ですが、たいへんなアンバランスを示しておる。しかし、アメリカほど――全体とのウエートが、日本の総貿易量のウエートが小さいからわが国には問題にならぬわけだけれども、向こうの国ではたいへん問題になっておるわけです。アメリカの場合には非常にウエートが高い、そこで問題になっておるわけですが、以前も私このことをお伺いして、的確な答弁を得られなかったのだけれども、日米の貿易のアンバランスというものは、これは構造的なものであって、私は容易にこれは解決するものじゃないというふうに思うんです。
 私、大臣に一ぺんお聞きしたいと思っておったんだけれども、と申すのは、きわめて大ざっぱに申しますと、アメリカから日本が買い得るものといえば、ジェット機だとかあるいは電算機だとか、まあ農産品であるとか、こういったものにならざるを得ないわけだれども、一方、日本の場合は資源を外国から入れて、それを加工して、いわゆる付加価値をつけてアメリカに持っていっておるわけなんで、このことは私は構造的なものであろうというふうに思うんです。したがって、その貿易じりだけを双方の国の景気の状況によって、たとえば日本は非常に好況だからアメリカからジェット機をたくさんに買うぞというわけにもこれはまいらぬわけだし、電算機をたくさん買うぞというわけにもまいらぬ、農産品をたくさん買うというわけにもいかぬ。そうだとすれば、この両国の貿易というものは構造的に、日本はひっきょうアメリカに対して黒であり、アメリカは赤であるということにならざるを得ぬのだろうというふうに思うんです。日米の経済関係は非常にむずかしい状況にあるし、そのあおりを受けて円の価値というものもいろいろ動いていくという現実の状況にあり、それが中小企業にまた問題をひき起こしていくということになるわけなんで、この辺の根本的な仕組みというものについて、やっぱり先方にもよく了解させなきゃいかぬし、われわれも、考えるところがあれば日本としても考えなければいかぬわけです。大臣がその辺のところをどういうふうにお考えになっておるのか、先方との日常の接触においてもその辺の話というものがあるのかどうか、一ぺんお聞きしたいと思っておったのですが、この際、お伺いしたいと思います。
#10
○国務大臣(中曽根康弘君) 一般的に申しまして、先生のおっしゃるような要因があるだろうと思います。ただ、その原因は、一般的な観察としましては、一つには日本の経営力、あるいは市場開拓力、あるいは生産性、あるいは労働者の賃金、そういうようないろんな面から見て、日本はアメリカに対して非常な強みがある。ところがアメリカは、一方においてはかなりのインフレーション、特にスタグフレーションの情勢にある。そういうようなことで、底力において差があるという認識がそういう考えの基本にあるわけであります。そういう点も私は否定し得ないところがあると思いますが、しかし、最近の日本の物価の情勢あるいは賃金の情勢その他を見ると、アメリカに追いついてきつつあるということで、そういう面からはインバランスは徐々に解消しているところでございます。
 本年月の時点で、積み上げによって推計したところによりますと、四十八年度の対米貿易収支は輸出が四・五%増、輸入が三二%増で、わが出超額は二十五億ドル程度まで縮小すると見られております。しかし、五月までの実績及び貿易先行指標を見ますと、さらに従来のテンポをこえるテンポでアンバランスの縮小が出てきておりまして、一−五月の数値を年率に換算して試算してみますと、日本の対米出超額は二十億ドルをかなり下回る可能性があります。そういう方向にいま動きつつあるのを見ますと、やはり円レートの問題というものが非常に大きく響いてきておる。これはいま先生お説のとおり、中小企業に対して非常なダメージを与えつつあるというところとやはり符合するところであります。今後も変動相場制ということを維持していきますと、実勢が強くなれば必然的に二百五十円という方向に近づいていくということになりまして、それは輸出がまた非常に狭まってくるという要素でもございます。そういう面から見ますと、変動相場制ということを維持している限り、次第に均衡は常に回復する方向へ向かっていくと、そういうように私考えられまして、いままでのようなアンバランスがずっと続いていくという傾向にはないと、それが変動相場制自体の性格である、そういうようにも感ぜられるところであります。
#11
○藤井恒男君 雑貨局長がお見えでございますので、繊維の現在の状況をちょっとお伺いしますが、繊維の場合にはほとんどが中小零細企業でございますので、しかもいままでは輸出産業ということになっておったわけですから、その観点からお伺いします。
 先日、通商白書が発表されましたが、その資料に基づいて申し上げますと、七二年の繊維品の輸出は二十九億二千五百八十万ドルということでございます。これは日本の総輸出量に対して一〇・二%のシェアである。繊維は御存じのように輸出産業であったわけで、一九六〇年には総輸出に占める繊維輸出のウエートは三〇・二%、六五年は実に一八・七%にダウンし、七〇年には一二・五%、そしていま七二年に一〇・二%、わずか十年足らずの間にこれほどウエートが変化してしまっている。このことはいろいろな問題がありますが、一つにて日米繊維協定というものもありましょうし、発展途上国の繊維産業の急成長ということもあろうし、また、円の切り上げ、国内の労働力不足、いろんな問題がからみ合っておると思います。
 ところが一方、注目しなければならないことは、逆に日本は、繊維輸出国であった日本の繊維品が、いま言ったように輸出がダウンしてきておる、一面輸入は急激に膨張しておるこの事実。七二年、これは白書によってもそのとおりなんだけれども、原料にして十三億、製品にして五億、そうしますと、それぞれが対前年比で実に四〇%の増加である。来年はさらにこの輸入品は増加するであろうということになるわけです。パンティストッキング業界で見られたように、一昨年、昨年にかけてイスラエルからどっとパンティストッキングが入ってきた。日本の縫製業界は、労働力不足なるがゆえに労働力を求めてどんどん京阪神、あるいは大阪阪南地区から九州に工場を持っていって、そうして地方に移転をした。そしてそこに工場を建てたとたんに町にパンティストッキングがはんらんして、石けんを買えばおまけにパンストが二枚つくというようなことになって、新設工場は軒並みに操業できない。これは産炭地関係においても、せっかく工場を誘致した、工場の建屋ができて、そうしておかみさん方も働くように訓練も受けたのに、いざとなったら全部工場はストツプ、こういうような打撃を受けたわけです。
 いま数字によってもはっきりするわけだけれども、そういったぐあいに今後も政府の一つの施策として総合的に輸出というものを抑制し、輸入を奨励するという政策をとっておるわけだし、また、いろいろなバックグラウンドがちょうど繊維の中小企業に全部ぐうっと適合していまのようなまさに変わった状態になっておる。政府は一面、それが国際分業である、水平分業だと、ある意味において発展途上国に対する施策でもあるし、まあある面では好ましい方向だということを言うと同時に、現実施策においては、競合にあえぐ中小零細企業はどうにも立ち行きならぬ、転廃業をするにしても、産地という特殊性から、そう産地の中で転廃業というものはきかぬじゃないか、どうするのだということになっておるわけなんです。したがって、この辺に関して現在の繊維の輸出減、輸入増、そしてそれが中小零細企業に及ぼす関係、そしてさらにこれがどう今後響いていくのか、この辺のところを雑貨局長にお伺いしたいと思います。
#12
○政府委員(齋藤英雄君) ただいま先生からお話がございましたとおり、最近のと申しますか、ここ二、三年来繊維の輸出に思激に縮小しつつございます。また、輸入は逆に急激に増加しつつあることはお話しのとおりでございます。たとえば本年の、ごの最近の七三年の一月−五月の繊維の貿易の状況を見ますと、繊維の原料を入れました製品、糸全部合わせました輸入量は大体十二億九千万ドルでございます。それに対しまして、同じく原料を全部込めました二次製品までの繊維製品の輸出は十一億四千二百万ドルでございます。したがいまして、原料を入れました場合には、日本の繊維産業は、すでに輸出産業ではなくて輸入のほうが多いというのが現状でございます。しかもその伸び率を見ますと、やはり、たとえば製品関係だけを見ましても、いま申し上げました七三年の一月−五月で対前年同期で二三五%、約二・三倍ということでございます。それから輸出の伸びが六・五%でございます。したがいまして、こういう傾向を見ます限り、今後も輸入のほうがさらに増加し、輸出のほうは伸び率が少ない、こういう傾向になることはほぼ明らかなように思われます。その原因につきましては、いま先生からいろいろお話ございましたとおりでございまして、私どもつけ加えることは何らございません。
 それで、しからばそういうふうな輸出入の動向が、国内の繊維産業にどういうふうな影響を及ぼしておるかということでございますけれども、いまの輸出入の動向を見ましても、一番影響の大きい部分はやはり、いわゆる二次製品と申しますか、縫製品関係のところが一番多いわけでございます。したがいまして、縫製品の関係について申し上げますと、縫製品の業者は、言うまでもなくこれは中小、場合によりましては零細の方が非常に多いわけでございます。したがいまして、こういう関係を直接受けるわけでございます。こういうふうな縫製品の輸入の主たるものは、値段がわりあい安い、品質もそれほど高級でない量産品が多いわけでございます。したがいまして、日本の縫製業界としては、これらの製品とのやはり競合を避けなければいけないということで、逐次高級品への移行をはかりつつございます。と申しましても、そう簡単に高級品に移られるわけではございません。これは非常に苦労を重ねて現在おるところでございますが、なお、幸いにいたしまして現在内需が好調でございます。したがいまして、現在のところ表面的には、倒産等の大きな声は上がっておらないのでございますけれども、先行きの傾向を見ますと、いま申し上げましたとおり、これは私どもといたしましても、あるいは縫製業界といたしましても、相当の努力を要する問題ではなかろうかと思っております。
 で、私どもは、現在やっております構造改善のあとを、どういうふうな繊維施策をやったらいいかということを、小委員会を設けていろいろ検討いたしておりますが、その中に縫製品等の問題につきまして、やはりいまのようなものをつくっておると、次第にやはりそういう関係でむずかしい事態になるおそれがありますので、したがいまして、これをもう少し違った――平たく申しますれば高級品と申しますか、付加価値の高い製品に移れるような環境をつくるように私どもも努力をする、業界のほうもそういうことで努力のしていただくというかっこうで、今後日本の縫製業界が進んでいったらどうであろうかということを、いま議論をいたしておるところでございます。
 それから、具体的にパンティストッキングの話が出たので一言。パンティストッキングはいまお話しのとおり、四十六年には非常に輸入が多うございました。前年比約六倍ぐらいの輸入がございました。四十七年は若干は減少いたしましたのでございますけれども、それでもやはりかなり多うございました。したがいまして、国内のメーカーは団体法に基づきますところの操短を二割程度実施をいたしております。本年に入りましてから、一般的にいま申し上げました業界の自主的な生産調整が次第に効力を、効果を発揮してまいりますとともに、輸入につきましてもおもな輸入先と申しますか、しておりますイスラエルからの輸入がかなり減ってまいりました。おおむねことしの一月−四月くらいで前年同期の五分の一くらいの水準に落ちてまいりました。したがいまして、最近はようやく市況回復のきざしが出てまいりました。今後、最近でございますと、やはりパンタロンからミニへという復活の動きもございますので、そういう観点から考えますと、いまパンティストッキングの業界はようやく不況を脱しつつあると、こういう感じがいたすわけでございます。
#13
○藤井恒男君 これは雑貨局長も長官も、それから大臣もよく気をつけておいていただきたいのですが、輸出縫製関連企業というものはきわめて零細なものであって、現時点では幸い好況と旺盛な内需にささえられて、表面を糊塗しているという状況にすぎないわけなんです。これが一たん引き締め等によって状況が変わってくると、直ちに今度は輸出にスイッチするということは、およそ私は不可能であろうと思うのです。したがって、件数としては零細であるがゆえにばたばたとひっくり返るということになる。いま局長おっしゃったように、さらに付加価値の高い高級品にしていくというけれども、正直申しまして、輸縫連に加盟しているところの業界というのは大体三十人から四十人−五十人もおれば大きなほうの企業に属する。そういうところでみんなミシンを踏んでやっているような状況なんです。簡単に高級品化するといっても、ミシンそれ自体を買いかえなければならない、その金をどうするんだ。また、新しいミシンを踏んでいく技術をどうやって身につけるので、そういった問題があって、そう簡単にいくものじゃない。しかも、それが何といってもわが国の輸出企業として非常に貢献してきたことも事実なんです。よくこれを気をつけて見ていただかなければ、私はたいへんな問題になる、こういうふうに思うのです。その辺のところをよく気をつけていただきたいと思います。
 それからもう一つ心配するのは、たいへん問題になりましたが、今年の三月ごろいろいろの原材料が高騰しました。羊毛もそうだし、大豆もそうだし、木材もそうだったわけですが、繊維製品の原料についても、たとえて言うならば、毛糸なども三月は大体三千四百円ぐらいの原料をみんな買い込んだわけですね。現在大体二千数百円ぐらいじゃないですか、まだ高いけれども。それでももう三カ月ぐらいの間に千円ぐらい落としている。この仕入れた原料でこれから製品化していかなければならないわけなんです。ベースアップももちろんあった。そうなると、経企庁がいみじくも申しておるように、卸売り物価が消費者物価へ波及する期間というものは、大体六カ月から九カ月だろう、そうなってまいりますと、これから製品化していくいわゆる六月、七月、八月この辺から出てくるところの製品、俗にこれは秋冬物と称するわけだけれども、毛糸なんかもまさにこれに乗っていくわけですね。これだけ高騰した原材料を製品にしていけば、おのずから猛烈な値上げをしなければこれははけないということになる。この辺のところは、私はこれからの問題としてたいへんなことになるだろうというふうに思うのですが、一体、雑貨局長はその辺の見通しをどうつけておられるか、これから先、あと二カ月後、秋冬物は、これから秋に入っていくわけですから、七月ごろから私はこういう問題が出てくるのではないだろうかというふうに思うのです。その辺についてひとつお答えいただきたい。
#14
○政府委員(齋藤英雄君) いまお話しのございましたように、毛糸に例をとりますと、私どもが三月九日に取引所をストップいたしましたが、そのときの値段が、大阪でキログラム当たり三千九十九円でございました。その後ストップしております間に、仲間の相場がございまして、買いとしては大体三千四、五百円ぐらいにいったであろうと言われておりますが、その後四月に入りまして取引所を再開いたしました。ずっと値段が下がってまいりましたのですが、最近やや少しオーストラリアの羊毛の動きを反映いたしまして、ちょっと上がってきております。昨今は大体二千五百円から二千六百円、きのうあたりはもう少し高いようですが、その前後の値段になりまして、おおむね千円弱ぐらい値段が下がったということでございます。いまの洋服をつくっております皆さんが大体秋冬物を手当てをいたしておりますのは、去年の暮れから今年の二、三月ごろまででございます。したがいまして、ちょうど上がりかかったときの糸を買っておるということでございまして、これが今後どういうふうな影響になるかということは、非常に私どもも重要な関心を持っております。
 しかしながら、いまの洋服地に占める原糸の割合というものを考えますと、そういうコストアップの要因ももちろんございますが、そういう割合も考えまして、また、洋服そのものを一例にとりましても、これは需給関係によって非常に大きく違うものでございます。それからデザインによってもまた大きく違うものでございます。単にコストだけを反映しておるものでもございません。したがいまして、私どもは先般来、たとえば毛糸につきましては需給協議会を開いて、需給の実情を生産者、流通業者、消費者に広く周知いたしまして、品物が足りないわけではないということをよく皆さま方に御納得をいただいておるわけでございます。とは申しながら、やはりコストアップの要因というのはございますものですから、私は現在の見通しを立てることは、これはそういういろいろな要因があってむずかしいことでございますけれども、秋冬物については現在でも、現在の価格のままでいるということはややむしずかしいのではなかろうかという感じがいたしております。
#15
○藤井恒男君 まあ繊維問題は非常にまだ底が深いし、現在、国際的な問題もいろいろありますが、これは本法と少し離れる面もあるので、またあらためて一ぺん審議したいというふうに思います。
 質問の内容を変えてお伺いしますが、政府の中小企業助成のための財政措置というのは、一般会計の資金あるいは財投資金を政府系の金融公庫に出資金または借り入れ金という形で投入して、中小企業はそれらの金融機関から融資を受けるという形をとっておるわけだけれども、この金融ベースに乗らないような、先ほど言った中小というより零細ですね、零細な企業などの場合はざっくばらんに言って、政府からそういった出資金というようなものが金融機関に出て、そこから融資するということじゃなくて、われわれはそういった金融ベースにも乗らないんだから、ストレートにわれわれの産地なら産地に対して助成金その他の方法を講じてもらいたいという希望を、われわれ産産地を回ると非常に聞かされるわけです。この辺のところについて、いまに始まった論議じゃないんだけれども、中小企業庁としてはどういふうにお考えか、聞かしていただきたいと思います。
#16
○政府委員(莊清君) 中小企業対策のやはり基本をなしますものは、従来の経験にかんがみましても、また中小企業界のなまの声を伺いましても、やはり金融及び税制上の対策である、この面での政府の施策の一そうの充実を要望するということであると考えてありまするが、まあこの金融につきましては、いまお話ございましたように、その主力は政府三機関を通じましての財政資金及び一般会計、たとえば商工中金に対する出資というふうな形の一般会計の金、これによる金融でございます。また、市中からの金融の円滑化をはかりますために、保険公庫に対しまして四十八年度も百五十億の出資をするというふうな形で、間接ではございまするが、総量としてはきわめて巨額の融資をしております。三機関の融資残高は、現在約四兆三千億円ぐらいに達しておりまするし、保険公庫の保険引き受け残高も二兆三千億円ぐらいということでございまして、今後私どもは、やはりこういう政府系機関を通ずる金融措置の充実、融資条件の改善及び量の確保という点に努力をいたしたいと思います。このほか直接的な手段といたしまして、政府が一般会計をもちまして零細企業に対しましては例の設備近代化資金の貸し付けという制度がございます。これは国と県とが一体になりまして、零細企業の設備資金の半額を無利子で融資をするという制度がございます。これなどはいわば一種の設備投資に対する補助制度であるというふうに御了解を賜わりたいと存じます。
 なお、小規模企業につきましては、金融税制上のそういう措置以外に、やはり個々の事業者に対しまして経営改善の指導、助言を行なうということが非常に強く要請されております。この関係で従来から努力はいたしておりまするが、特に四十八年度におきましては、小規模事業対策ということで約八十億円の予算を組んでおります。商工会とか会議所に対して補助をいたしまして、それによって個々の零細企業に対してきめのこまかい指導をするという形での直接的な助成を一般会計によって行なっておる、これを今後とも一段と強化してまいりたいと考えております。また、一般会計から三十億、その他財投の金合わせまして三百億円の規模で、無担保、無保証の融資制度の発足というふうなこともございまして、とにかく、今後とも財投及び一般会計の金を極力活用いたしまして、中小企業全般に対してはもちろんのこと、特に小規模零細企業に対しましては特段の配慮をいたしていきたい、かように考えております。
#17
○藤井恒男君 今度のドル・ショックによって転廃業に追い込まれる中小企業が非常に多いと思うのです。いろいろお聞きしたがったんだけれども、時間がありませんから一つだけこの点についてお伺いしますが、認定の中小企業からの中高年齢者層の離職について、中高年齢層雇用促進法、これは現行六カ月間、一カ月に二万五千円の就職指導手当を離職者に支給する、このことについて衆議院の商工委員会で、これは労働省の方からの答弁を私は速記録で読んだんだけれども、期間延長を講ずる用意があるということを言っておるわけです。かなりそれから日がたっておるわけだけれども、そのことはその後どうなったか。たしか三カ月ほども経過しておると思う。六カ月というものをさらに延長して、中高年齢層の雇用促進というための助成を行なうということが、この席ではっきり言えるかどうか、お聞きしたいと思います。
#18
○政府委員(莊清君) 労働省が参っておりませんので、私から御答弁申し上げます。
 求職手帳の期間延長と、その間における職業訓練給付金の交付の問題でございますが、四十五歳から五十五歳の間の離職者につきまして、いわゆる失業多発地域である特定地域につきましては六カ月のものを一年に、それから一般地域では四十五歳−五十五歳の間の人にも新規に六カ月間の交付を認めるという措置が、第一次ドル・ショック対策としてすでにとられております。これはドル対策法に基づきまして労働省におきまして、中高年齢者の雇用の促進に関する法律の施行規則の改正という形ですでに実施をいたしております。今回も、本法律案を国会で御承認いただきましたら、この措置の継続ということも実施する予定でございます。
 なお、前回のドル・ショックで一体これがどの程度適用があったかという点でございますが、私ども直接詳細にはわかりませんが、労働省から得ておる情報によりますると、比較的倒産等も小規模で済んだ、また、そういう場合においても他の事業所への転職等が円滑に行なわれたというふうなことが幸いいたしましてこ、の措置の適用を受けたケースというのはなかったようでございます。しかし、今後のことにも備えまして、この求職手帳の期間延長、それから訓練給付金の支給という制度は今後も維推をしてまいりたい、かように考えております。
#19
○藤井恒男君 もう一つ、信用保証協会の問題についてですが、工場を移転する場合に、どの保証協会から保証を受けることになるのか。現在では、同一県内に一年以上の事業実績が必要という内規があるようですが、今後同じ軽廃業をやるについても、同一県内じゃなくて移転を行なおうとした場合に一体どうなるのか。
 それから、この保証協会によってそれぞれ保証料率も異なっておるわけなんです。だから、早く保証料率を引き下げて統一してくれということを各議員からも要望されておるところなんだけれども、この辺のところですね、お聞かせいただきたいと思います。
#20
○政府委員(原山義史君) 移転企業に対する保証協会の取り扱いをどこで取り扱うか、こういうのが第一の御質問だったかと存じますが、これは、何と申しましても企業者の利便をまず考えるということが先決だと思いますので、いままで保証協会と取引のある企業者であれば、当面は移転前の地域の保証協会が保証することを原則にしておったわけでございますが、その後逐次企業者の取引の実態に応じまして、移転先の保証協会の保証というふうに切りかえるということも、どんどん進めていきたいというふうに指導しているところでございます。このようなやり方をしておりますのは、移転後直ちに移転先の保証協会で保証することになれば、新たな金融金機関との取引がまた必要になってくる、保証協会にとっても新たに調査を必要とする、日数もかかるというふうなことがあるから、従来はそうしておったわけでございますが、だんだんその企業者の利便に応じましてそれぞれ取り扱いをきめていきたいというふうに指導しておるどころでございます。
 第二の御質問は、保証料を全国統一にすべきじゃないか、こういう御質問だったかと存じますが、中小企業者の負担の公平というふうな見地からいたしますれば、保証料を全国一律にすべきだというふうな意見、非常にごもっともな御意見だと存じますが、現在までのところ、各地の保証協会のやり方は、その経営基盤あるいは地方公共団体の援助の差であるとか等々によりまして、地域の実情に即応した点を考えますと、単純に全国一律というふうなかっこうにするのにはなかなか困難があろうかと存じます。ただ、非常に差があるというのは望ましくございませんので、私どものほうとしましても、融資資金の配分等を通じましてできるだけ高いところは引き下げていく、差を小さくしていくというふうな方向で指導してまいりたいというふうに思っております。なお、ちなみに十年前までは一・四%をこえる保証協会もたくさんあったわけでございますが、本年度からは一・四をこえる保証料率は、沖繩を除きまして全部なくするという方向で、一応前の方針は貫けたというふうに感じておるところでございます。
#21
○藤井恒男君 おむね時間が参りましたので、これで質問をやめますが、保証協会が保証するにあたって、今回の例外措置は別として、原則として保証料のほかに担保を徴している。なぜ担保を取らなければならないか、保証料だけではいけないのか。結局、保証料を中小企業は払うことによって信用保証協会に保証してもらうわけなんで、もとも担保が十分にあり、信用力があれば、保証協会に行く必要もないわけなんです。結局、中小企業にとっては、保証料を払うと同時に、担保という二重の負担がかかることになるんだけれども、政府はこのことについて検討する用意があるかどうか、お聞きしたいと思う。
 それから、同じこの担保を取る場合に、担保物件の価格をどの程度に評価するのか。銀行の場合、普通の都市銀行の場合など、担保物件の価値というものにそれぞれの基準があるだろうと思うのだけれども、保証協会が行なう場合、価値基準をどの程度にするのか。もっとも目一ぱい保証協会は取りたいかわからぬけれども、中小企業の場合には、その逆の希望を持っておると思うのだけれども、その辺の行政指導がどうなっておるのか、お聞きしたいと思います。
 以上で質問を終わります。
#22
○政府委員(莊清君) 担保をなぜ取るかという点でございまするが、現状をまず申し上げたいと存じます。
 信用保険制度では、普通保険、無担保保険等五種類ございまするが、一番金額的に大きな比重を占めておる普通保険は、金額で約六五%を占めておりますが、普通保険におきましても、半分強というものは実は担保は取っておりません。保証人だけでやっております。取引関係が継続しておりまして、信用が十分あるというふうな中小企業が多数ございますので、そういうところは、実は半分強は物的担保は取らずやっておるということでございます。それから、保険残高が残りの三五%程度がいわゆる無担保保険でございます。これは名称のとおり、保証協会は物的担保を取らずに保証人だけでやっております。あと保証人も取らない特別小口保険というのがございまするが、金額的には大きなウエートを占めておりません。全体を通じて見ますと、六十数%というものはこの保険制度では物的担保なしということでございまして、残りの三四・五%というのは、普通保険の中で、組合等が相当大きな金額のものを借りる場合とか、比較相大きい中小企業が二千万とかそういう大きなものを借りる場合が中心であるというふうに御了承いただきたいと存じます。
 結局、そういう場合でもはずしていいではないかという御意見もあろうかと存じますけれども、片一方、やはり返済不可能ということになりましたときに、それが直ちに保証協会のほうの負担に全部なってくるということでは、保証協会の経営基盤も悪影響を受けまするし、それのカバーをとるために、あらかじめ保証料を高くしておくというふうなことがありましては、これまたゆゆしい問題でございます。そういうところで心要やむを得ない場合には、物的担保を取るということはやむを得ないことだと考えておる次第でございます。
 ただ、ただいま先生から御質問ございましたように、そういう担保を取る場合でも、評価のしかたというものは十分配慮しなければなりません。銀行と違いまして公的機関でございまするから、担保の掛け目も時価を基準にやるという主義で強く指導したしております。特に今回のドル・ショックに際しましては、すでに差し入れ済みの担保についても進んで再評価をして、担保の余地を広げるようにということを強く指示しておるところでございます。また担保の順位につきましても、普通政府機関は第一順位の担保を取るというのが常識でございまするけれども、保証協会は政府機関じゃございませんけれども、公的機関である、しかし、中小企業融資の円滑化という趣旨にかんがみまして、二番、三番の抵当でもどんどん取るようにということで、いま強力に指導しております。これはすでに実施をしておる点でございます。
 それからもう一つつけ加えさせていただきたいのでございますが、先ほど私理屈を述べたわけでございまするが、担保を取らざるを得ない場合があるといたしまして、取られた中小企業が不幸にして支払い不能におちいった場合に、保証協会が直ちにその担保権を実行するのかどうかという点、これがきわめて大きな点でございます。この点につきましては、やはり保証協会というの中小企業を育てるのだ、それが趣旨であるといの点にかんがみまして、銀行のように直ちに担保権を実行することなく、二年、三年の長期の返済計画というのを中小企業と保証協会とであるいは県とで、相談の上つくりまして、長期にわたって徐々に返済をしてもらう、その間担保は実行しない、やむを得ず債務者のほうに悪意がございまして、担保物件が隠匿されるとか、そういう特別の事態がある場合はやむを得ませんが、そうでない限り原則として実行しないということで現にやらておる次第でございます。今後も私ども評価の点あるいは担保権の実行の面につきましては、いろいろ現地で若干のトラブルがあるということも耳にせぬわけでございませんので、個々のケースに即しましてそういうことがもう今後絶対ないように、十分に注意をして指導を強めてまいる所存でございます。
#23
○須藤五郎君 まず最初に、私は中小企業信用保険法の改正案について質問いたしたいと思いますが、今回の改正点は、保険限度額の引き上げと公害防止保険のてん補率の引き上げということで、私たちもこれは必要なことだと思っております。しかし、前回の改正、いわゆる四十六年三月からですが、それから二年ぐらいだ早くも改正しなければならないということは、政府の対策が現実の事態の進みぐあいに比べて後手後手に回っておる、あと追い行政であることが原因だと思います。行政というものはあと追いではなく、先取りであることが私は大事だと思っております。
 前回の改正時に、てん補率引き上げにしても離別小口保険の限度額の引き上げにしましても、私たちは七〇%ではなく八〇%にすべきだと、八十万円ではなくもっと高くすべきだと、こういう主張をいたしてまいりました。そのときに政府はこの主張を聞こうといたしませんでした。今日ではどちらが正しかったのかすでに事実が明らかに証明しておると思いますが、政府は、二年余りで改めなければならない不十分な行政を行なっていることについて反省しておるのでしょうか、どうでしょうか。また、今回の改正が中小企業者の要望にこたえ得る十分なものだと考えていらっしゃるのかどうかという点をまず伺っておきたいと思います。
#24
○政府委員(莊清君) 今回の保険法改正でおはかり申し上げております点は、特別小口保険いわゆる無担保、無保証保険の八十万円から百万円への引き上げでございますが、これも前回国会で、附帯決議で百万円までということで御決議をいただいておる点を私ども鋭意実行した次第でございます。また公害防止保険、これのてん補率が七割というふうに低くなっておりましたのを八割に引き上げまして、いわゆる無担保保険とか特別小口保険と同様の水準まで引き上げることにいたしましたのも、これまた同様、国会の御決議の線に即してこれの実行につとめたわけでございます。また別途ドル対策法のほうにおきましては、ドル対策関係の無担保保険につきましては三百万ではなくて、政府原案では別ワクで五割増しの四百五十万、さらに衆議院で御修正がございまして五百五十万ということにいたしまして、ドル対策のための市中からの借り入れにつきましては、十分な保険をつけられたというふうに配慮したつもりでございます。
 お話もございましたように、どんどん先取りの形で保険限度を引き上げていくというふうなことも、これは非常におくれて引き上げているということは問題ございまするが、一つのやはり保険料率の算定等におきましても、実際にどの程度の層の金額の保険需要がどの程度あるかというふうな一応詳細な保険の計算をいたしまして、保険制度というものをつくっておるというふうな関係もございまして、あまりに大きく限度を先に上げまして、一部の中小企業がその大口のところをどんどん利用するというふうな形に偏しましても、また制度の趣旨に沿い得ない面が実はあるわけでございまして、私どもその両者を勘案いたしまして、必要かつ十分な保険というものを常につくっていくことがやはり現実問題として適当な策ではないか、かように考えております。私どもは、各種の保険につきましてやはり限度額の問題は大切な点でございますので、実際の需要に応じまして、今後も十分に検討し、是正をしていく、是正をすべきものがあれば直ちに是正をしていく、こういう弾力的な態度で臨みたいと考えております。
#25
○須藤五郎君 あなたには私の言った気持ちがほんとうにわかっていないように思うんですね。行政官として、政府として一つの法案を出したときに、附帯決議をつけられたり修正案をつけられたりすることは決して名誉なことじゃないと私は思うんですね。それはやはり行政があと追いになっておるから、附帯決議をつけたり、修正案をつけたりしなきゃならぬわけですね。この前、私たちは百万円にしろと言った。そうしたら八十万、ところがいまの答弁だと、附帯決議がついたから今度百万円にしましたと、こういうことですが、あの段階で、二年前に私たちは百万円にしなさいということを言ったわけですね。それをあなたたちは八十万円でけっこうだと言って八十万円にした。それで附帯決議がつけられた。それから二年たってやっと百万円に引き上げた。それで事足れりということではないと私は思うのです。
 今度上げたことは、私は反対しませんよ。上げたことは反対しませんが、上げ方が少ないということを私は考えておるからこういう質問をしておるんですね。修正案が出たから附帯決議が出たから、そうしましたというのは、その段階でそうすべきだったはずなんです。二年後にまた変えなきやならぬということが起こってくると思いますからそういうことばっかりやっておってはみっともないじゃないか、やはり行政というものは国民の要望にこたえて、先取りというと語弊がありますけれども、一歩前進した形をとっていくのが正しいんじゃないかと、こういう立場に立って私は言っておるんですが、どうでしょうかね、通産大臣。こういうようにいつも二年たったら変えるというような法案をしょっちゅうやって、国民の要求のあと追いをしていくというような形が好ましいことでしょうか、どうでしょうか。政治的な見解ですから、大臣がひとつお答えになっておかれたほうがいいと思うのですよ。
#26
○国務大臣(中曽根康弘君) 確かに、おっしゃるようにあと追いの感がしないでもありませんが、ちびりちびりやるよりも、やはり思い切って先を見通してやるということが大事なんだろうと思います。事務当局のおそらく説明では、大体あの当時の貸し出しの平均額が六十万円台とか七十万円とかいう数字を持っておったと思います。まあ事務当局としては、そういう根拠に基づいて大蔵省との交渉や何かでなかなかその関門を突破するのが事務的にむずかしかったのではないかと想像しますが、しかし、やはり景気というのは生きたものでありますから、経済、生きたものにするには政治的な判断で、大局的に判断をする必要があると思います。
#27
○須藤五郎君 まあこれからそういう大臣のおっしゃったような態度で時代の要求におくれないように、前へ前へと前進した方向で政治をやっていってもらいたいと私は思うんですね。そこで私、次の質問に移っていきますが、付保限度の引き上げのうち、中小企業者に関連の深い特別小口保険について質問いたします。今回、限度額八十万円を百万円に引き上げるということをおっしゃいますが、引き上げ幅が私はやはり少な過ぎると、こういうふうに思っております。
 そこで、まず質問をいたしますが、前回の改正、いわゆる四十六年三月ですが、これは不十分でありましたが、それでも五十万円から八十万円に三十万円引き上げたんですね。引き上げ幅は六〇%ということだと思うんです。今回は、この激しいインフレーションの中にもかかわらず引き上げ幅はわずか二十万円、前回よりも幅が非常に狭いと思うんですね。だから引き上げ幅をもっと何で大幅にしないか、こう思いますが、どうでございましょうか。大臣のいまのおことばを背景にして答えてくださいよ。
#28
○政府委員(莊清君) この特別小口保険は、三十七年に発足して二十万円でございました。四十年に三十万円、それからその年の暮れに五十万円にさらに上げ、四十六年至って八十万というふう六年後に三十万上げたわけでございます。今回は、その二年後にまた百万というふうに連続的に上げておるわけでございますが、先ほど大臣が仰せられましたように、私どもは、たとえば国民公庫の零細企業に対する融資の現状でございますとか、この保険制度の利用の実績の数字というものを、やはり一つの予算制度でございまするし、無視するわけにもまいりませんので、まあ今回はとりあえず百万円という線にいたしたわけでございます。先ほど私も申し上げましたように、今後も限度額というものは資金需要の実態に応じまして弾力的に考えていく、必要に応じてまた今後も引き続き改正をしていくということは当然の前提でございます。今回は、とりあえず百万ということにしたわけでございまするが、今後も資金需要の実情に応じまして、これをさらに引き上げの方向で検討をしているということでございます。
#29
○須藤五郎君 そうするとあなたの考え方は、このインフレーションのもとにおいて八十万から二十万上げて百万円にしたと、これで十分だというお考えですか、どうですか。
#30
○政府委員(莊清君) 昨年一年間のこの特別小口保険の引き受けの実情でございまするが、特別小口保険が御案内のように製造業で従業員五人以下、商業、サービス業では二人以下と、いわゆる零細層を対象にしておる制度でございます関係もあって、一件当たりの保険の金額というのはそう大きなものではございません。昨年の十二月までの一年間の実績を見ましても、平均で約五十五万円程度でございます。もちろん平均でございますから、その上下があるわけでございまするが、私どもはこれを百万円まで持っていくというこどによって、当面の限度額としては一応妥当なものだろうと思います。ただし御指摘のとおり、零細層に対します今後の施策というものは非常に大切でございまするし、物価の値上がりというふうな点も昨今の事情としてあるわけでございまするから、こういう零細層の資金需要も単位が上がっていくというこどは、これは当然考えなければならぬことでございます。先ほど来申し上げておりまするように、そういう資金需要の実情に即しまして今回百万円に上げましたけれども、今後もまた引き続きそういう点を検討いたしまして、改正すべであれば弾力的に改正をしていくという考え方でございます。
#31
○須藤五郎君 それじゃ、必要が起これば来年度でもまた百万円を上げていくというお考えですか。
#32
○政府委員(莊清君) 考え方としては御指摘のとおりでございます。
#33
○須藤五郎君 そういうすぐ目の前に上げなくちゃならぬと、これでは不足だということがわかりつつも、こういう消極的な態度しかとれないという行政態度はほめたことじゃないと、私はこういうふうに思ってこの質問をしているんですね。もう少し国民が安心していけるような、国民の要望にこたえ得る行政をやっていかれたらどうだと、国民の要求にこたえるためにあとからあとから追っかけてかけ足していかなければならぬようなことではみっともないじゃないかと、こういうように私は思うんですよ。大臣は、そのとおりだと私の意見に賛成意見をさっき述べられたわけですがね。だから大臣のみならず、やはり事務官のほうもそういう考えでやっていかれるということが私は望ましいことだと、こういうふうに思ってますよ。まあ必要になれば来年でもまたやりますと、こういうこどではおかしいんじゃないんですか。もう必要が目の前に見えているんですから、このインフレーションで。あなた、いまインフレーションがどんどん進んでいるということはおわかりでしょう。この中でこれっぱかしの二十万円ぐらい金上げだって、すぐこれは不足がくるということは、私ははっきり言えると思うんです。私はそういう立場に立ってこの質問をしておるわけですね。こういうお互いに理屈を言い合いしてもらちがあきませんから、理届はその点でとめますけれども、それじゃ次の質問に移りましょう。
 今年から実施されます小企業経営改善資金融資制度、貸し付け限度は百万円となっていますね。そうすると、この特別小口保険と比べますとどちらが手続上簡便だとお考えになりますか。
#34
○政府委員(莊清君) この特別小口保険は、市中銀行から借り入れを行なう場合の無担保、無保証人の保証でございます。いまお話のございました小企業経営改善資金貸し付けと申しますのは、政府機関でございます国民金融公庫のほうから貸し付けを行なうものでございまして、市中銀行が取り扱うわけではございません。この後者の経営改善資金でございますが、これは現在行なっております経営改善指導の一環といたしまして、この指導を受けた零細企業がそれに必要な資金というものを要求いたします場合に、それに対して融資を行なおう、こういう趣旨に出るものでございます。いずれの場合にも手続といたしましては、極力スピードを持ちまして融資を円滑に行なうということが当然必要でございます。
#35
○須藤五郎君 私は借りる側に立った場合、特別小口とそれから小企業経営改善資金融資制度とどちらが借りやすいのか、どちらが簡単に金額もたくさん借りられるのかと、こういうことなんですよ。どうなんですか、それは。この貸し付けの審査条件や手続でよりむずかしいじゃないんですか、特別小口保険は。どうなんですか。
#36
○政府委員(莊清君) 手続そのものは、経営改善資金のほうも決して繁雑であるとは考えておりません。これは経営の改善指導を小企業自身がどうしても受けたい、自分たちの知恵で努力もしておるけれども、商工会議所やその商工会におる専門の指導員の指導を個々に受けまして経営の改善をはかりたいという方式が大勢おられまして、従来からやっておるわけでございます。指導だけにどどまっておると、金融は金融で別にまた自分で努力しなければいかぬということになっておったわけでございますが、今回のこの経営改善資金というのは、指導員が指導をいたしまして、その指導を受けたところを実行する場合に、百万まで金が要るというときには会議所のほうで推薦をしていくということでございまして、借り入れの手続が非常にめんどうだというふうなことは何らないわけでございます。無担保、無保証でやるわけでございますので、保証人を連れてこなきゃいかぬわけでもないし、それから担保を出さなきゃいかぬわけでもないというわけで、借りる零細企業は別に負担はない、かように考えております。
#37
○須藤五郎君 それから、一ぺん念のために聞いておきますが、特別小口保険と小企業経営改善資金融資制度ですね、これも手続や借りる条件とかいろいろの面は同じだと、こういうことですか。そこなんです。私聞いておきたいのは。
#38
○政府委員(莊清君) 保証人も要らないし、担保も用意する必要もないという点は同じでございます。これは借りる場合に一番めんどうな事項でございますが、そういう点では全く共通に簡易迅速というごとになっているわけでございます。先ほど私が申し上げましたように、名前が示しておりますように、小企業経営改善資金の貸し付けという名称のとおり、経営改善指導を受けたいということで個別に会議所、商工会においでになるわけでございます。そして指導員の指導を受けた方に貸すわけでございますから、これはもう御本人の御希望で指導を申し上げておるというところでございまして、その線に即しての金融のあっせんをするということでございまするから、その指導を受けなくちゃいかぬということは、私どもは指導を受けておる時間というのは当然あろうと思います。会議所においでになるとか、商工会の指導員とお会いになるというふうなことは当然あるわけでございますが、これは繁雑とかなんとかいうこととは全く無関係のことと考えております。したがいまして、手続としてはこれは同じである、かように私どもは考えております。
#39
○須藤五郎君 小企業のほうは、製造業は五人以下ですね。従業員は商業、サービス業じゃ二人以下となってますね。特別小口のほうはそういう点はどうなんですか。
#40
○政府委員(莊清君) 同様でございます。
#41
○須藤五郎君 同様。――間違いないかな。
#42
○政府委員(原山義史君) 小額の特別小口保険の要件としましては、先生御存じのように、形式要件としまして居住要件というのと、それから納税要件というのを形式的な要件として運用しておりますので、形式要件が整っておれば大体一週間以内に処理しておるような状況でございます。それから、今後、本年度から考えております小規模の経営改善資金につきましても、一応居住要件、それから納税要件等やはりお願いしようかと思っておりますが、具体的内容につきまして、納税要件等については少しゆるめてもいいんじゃないか、少しですね。具体的にぴったりこれに合わせるかどうかはまだ検討しておるところでございます。そういう点におきまして、形式的要件としてはほぼ同様なものにしたいと、こういうように思っておるところでございます。
#43
○須藤五郎君 東京都は、ことしから特別小口保険の限度額を二百万円に引き上げておりますね。また、信用保証料も全額都の負担とするということをきめております。自民党都政時代には三十万円だったんですが、それが革新都政六年目で二百万円になったわけです。中小企業者の要求にこたえるというのはどういうことかという、私はこれがりっぱな証拠だと思っております。また、東京都のほかにもすでに百万円以上の保証をしている自治体もたくさんあるわけです。それはもう皆さんも御存じのはずだと思います。政府は、これらの自治体に負けない政策をなぜとろうとしないのですか。私は、国がさしあたり二百万円まで引き上げて、信用保証料も国及び自治体が負担するようにすべきだと思いますが、政府はそのようにする意思はございませんかどうですか、はっきり伺っておきたいと思います。
#44
○政府委員(莊清君) 保険制度は、各都道府県がそれぞれ出損金をもちまして逐次信用保証協会をおつくりになって運営しておられたわけでございますが、これに対する政府のバックアップの措置として、信用保険公庫を設立いたしまして、政府の金を入れまして、再保険をするという形で発足して今日に至っておるわけでございます。したがいまして、各県によりましてやはり、先ほど来お話も出ておりましたが、保証料にも若干の差がございますし、保険の引き受けの限度等につきましても地区の実情に応じましていろいろ経緯もございまして、若干のでこぼこがあるというふうな現実に相なっております。あまり著しい差異というものがないように、政府も融資基金の運用等を通じまして指導につとめておるわけでございまするけれども、やはり全国一律の制度として、この法律に基づく国の制度としての保険制度でございまするので、政府としてどこまで再保険を引き受けるかということは、やはり保険別ではなくて、一律の制度にどうしても事の性質上なってくるという面があることはひとつ御了承賜わりたいと存じます。
 ただ、先ほども申し上げておりますとおり、県によりましては、百万円以上というふうな運用で今後ともおやりになる県も東京都のほかにも出ようかと存じます。私どもは資金需要をよく見て、適時適切に弾力的に今後も処理していくという決意を申し述べました。必要なら来年もまた考えます。こういう場合にも、自治体のほうの動きということも従来から考えて措置をしておるわけでございまして、東京が二百万だから国が三百万、そうしたら東京が五百万にするというふうなことを直ちにやろうとするわけじゃございません。実情をよく見まして、全国やっぱり一本の制度でございますから、若干国の制度より上乗せして助成されるというところもあろうかと存じます。国としては、そういう東京の信用保証協会にも保証料引き下げのための融資基金等も一番巨額のものを融資もしておるというふうなこともございまして、国と県と一体になって運営しておるという点も、ひとつこの際に申し上げておきたいと存ずるところでございます。
#45
○須藤五郎君 長官の話を聞いていると、常に言いわけ言いわけみたいな非常に消極的な発言のように思うのですがね。
 中曽根大臣に私ちょっと伺いたいのですが、共産党は中小企業を認めないという意見が政府当局から出ているんですが、そういうふうにお考えになりますかどうですか。
#46
○国務大臣(中曽根康弘君) マルクス・レーニン主義というような考え方の基本から見ると、やはり大体国有、国営という原則でいくようであります。ですから、共産主義を、マルクス・レーニン主義そのものを忠実に徹底的に完成した形で実行した場合には認めないということになるんではないかと、これは浅学な勉強で恐縮ですが、そう思います。しかし、近ごろ応用編というものがかなりありまして、その応用編が千差万別で、たとえば中国のような場合は、あれはどうなっているか、一時は個人商店みたいなものがありましたけれども、だんだんなくなってきたと。ソ連の場合にはもうないですね。やっぱりみんな国営商店のようです。東欧やその他ではどうでしょうか、私あまりまだつまびらかにしておりません。日本共産党はそういう系列の中でどういう位置を占めるか、これはいろいろお考えになっておるところであると思いますが、いまのところは、中小企業を一生懸命振興するように努力なすっておられるようですけれども、ほんとうの共産主義社会を実現した場合に認めるかどうか、私らまだ疑問に思って、それは将来のことだろうと思います。
#47
○須藤五郎君 私はそんな遠い将来のことを言っているわけじゃないんですね。今日、日本の共産党が中小企業に無関心であり、日本の中小企業を認めないという、そんな暴論を吐く総理大臣が日本にあるということなんですね。総理大臣がこの間の大阪の参議院の補欠選挙に来られて、大阪のターミナルで演説をぶたれました。私もそれを聞いておるわけですが、日本共産党は中小企業を認めない政党であるというような演説をぶって帰られた。あとで大阪の商人が私にこう言って聞くのです。日本共産党が中小企業のために一生県命努力しておってくれるということはわれわれよく知っておる、そこへ来て、総理大臣があのようなでたらめな、悪意的な演説をぶって帰った、笑うべきことだと、こう大阪の商人が私に言いましたよ。その結果は、明らかに大阪の補欠選挙の勝敗にあらわれておるわけですね。いかにわれわれが、共産党が中小企業育成のために努力しているかということは、これは国民がよく知っているのですよ。私もこの審議の中でその立場に立って、日本の中小企業をどうして助けていったらいいか、よくしていったらいいか、こういう立場に立っていま質問しているわけでしょう。
 だから、あと追い行政じゃなしに、もっとりっぱな行政をなすったらどうだ、ほんとうの国民の支持を得ようと思ったら、私は自民党もそういう方向で歩むべきだと思うのです。ところが、自民党は常にあとからあとから、これでは私はほんとうの行政と言えないと思う。それではほんとうの選挙に勝てませんですよ。選挙に勝とうと思ったら、国民の支持を得るように、もっと前へ前への行政を打っていって国民に心配させない、こういう態度が私は必要だと、こう思っております。そこで私は二百万にしたらどうだということを言っているのですね。そうすると、それはできない。それで、やっとおととしの附帯決議で百万というお声がかかったから今度百万にしましたというふうな、そんなじじみっちい情けない行政ではどうも好ましくない、こういうふうに私は思っておるわけです。まあこんな理屈はやめましょう。
 そこで、公害問題の重要性をほんとうに考えていると、こういうふうにおっしゃるならば、公害防止保険のてん補率の引き上げだけではなしに、特別に無利子、無担保、無保証人の融資制度を設けて、返済期限十年の長期とすることなど、中小企業の公害防止に対して思い切った対策を実施すべきであると思いますが、政府はそのお考えはありますか、どうですか、大臣に伺っておきます。――大臣が答えなさいよ。これは政治問題ですよ。あんな一官僚が答えるべき性質の問題じゃないですよ。これは大臣の意思を伺いたいのですから。
#48
○委員長(佐田一郎君) 最初に荘長官、それから通産大臣とお二人からひとつ。
#49
○政府委員(莊清君) この今回の法律改正で公害防止保険のてん補率の引き上げをお願いしておるわけでございます。七〇%から八〇%で引き上げまして、無担保保険及び特別小口保険におきますてん補率八〇%とこの公害保険とをそろえたわけでございます。ただ、この公害防止保険は、御案内のように発足後間もないという事情もございまするけれども、利用実績が非常に微々たるものでございます。これは一つにはやはり中小企業の場合、非常に公害防止投資というものは急がれておりまするが、負担も大きいということで、現在政府が鋭意力を入れております公害防止事業団あるいは中小企業振興事業団あるいは中小企業公庫、国民公庫等を通じます特利の長期の融資というものの利用に非常に大きく依存をしておるという点でございます。
 政府といたしましても、これら政府機関を通ずる融資の量の増加、それから貸し付け条件の改善に今後とも努力をしていくということでございます。公害防止保険では十年、金利四・五%でまあ出しておりますし、公害防止事業団では共同でたとえば零細企業が集まって、これはメッキとか皮にたくさんもう実例がございまするが、いわゆる工場アパートと言っておりますが、これをつくりまして、共同でその公害を防止していくというふうなことを行ないます場合には、所要資金の八割までは無利子で十五年の融資をするというふうな、相当思い切った助成も講じております。今後これらの資金量の充実と融資条件のさらに一段の改善ということには、いま須藤先生も御指摘ございましたとおり、政府としても重要政策として努力をぜひしなければならない点であろうと、かように考えておるわけでございます。
#50
○国務大臣(中曽根康弘君) 公害防止保険につきましては、いま長官が申されたとおりでございますが、中小企業等における公害対策の非常な重要性にかんがみまして、今回はいまのような利率の問題や、あるいはカバレージの問題を一歩前進さしたわけでございます。しかし、これで満足しているわけではございませんで、これからの基礎に立ってさらに事態に備えて改善をはかるべきことは、将来もはかっていきたいと考えます。
#51
○須藤五郎君 まあ、今日公害がたいへん問題になりまして、日本の国民は大きな関心を示している。そのときに、昨日の本会議において総理が、公害にのみ目を奪われてというような発言があったために紛糾を来たしたということも御存じのはずだと思うのですね。やはり政府の姿勢に、公害問題と取り組むというこの姿勢がもう一つ不足なんじゃないかという感じがするわけですね。
 そこで、通産大臣はいま、今後大いに積極的に取り組むとおっしゃいましたが、どうかあらゆる面で、中小企業というのは数は多いし、資金がないんですから、まず、公害をなくすために中小企業には財政的な援助を、公害をなくすための施設なんかに対する援助を国が十分にしていくということが私は必要だと思いますので、そういう方向で今後も積極的な態度で進んでいっていただきたいと思いますが、通産大臣、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#52
○国務大臣(中曽根康弘君) 仰せのとおり努力してまいります。
#53
○須藤五郎君 じゃ、続きましてドル対策法について少し質問さしていただきます。
 緊急中小企業対策の実施状況につきまして私お尋ねするんですが、輸出関連中小企業者に対する緊急融資二千二百億円の利用状況は一体どうなっておるか。
#54
○政府委員(原山義史君) お答えいたします。
 三月半ばごろから発足しまして、六月十日までの累計を申し上げますと、中小公庫につきましては二千二百七件、三百億円、それから国民公庫につきましては七千四百十二件、二百三十三億円、商工中金につきましては二千三十六件、五百二十億、合計いたしまして一万一千六百五十五件、千五十三億円の実績になっております。これは六月十日までの実績でございまして、しり上がりに利用率が高まっておりますので、現在時点においては相当もっとこれを上回るというふうに了解しております。
#55
○須藤五郎君 外貨預託制度の運用状況はどうでございましょうか。円の変動制以得、三月初めごろ、神戸のある業者から私のほうに訴えが参りました。この制度が発表されて動き出した日に銀行へさっそく行ってみたが、すでにワクが一ぱいでだめだと、こう言われて帰ったという、こんなばかなことがあるかという訴えが私のところへ来たわけですが、なぜこのようなことが起こったのか。現は中小企業者の要求に十分こたえられているのかどうかという点を伺っておきます。
#56
○政府委員(莊清君) 今回の預託制度の発足の直後にはおきまして、若干の事務上の手違いであろうと存じまするが、御指摘のようなワクがないために、預託がおくれたためにその日は受けられなかったというふうな、まことに遺憾な事態があったということは事実でございます。私ども中小企業庁といたしましても、非常にこの点残念に存じまして、財政当局等にも強い申し入れを行ないました。その後、幸いに制度の本旨にのっとりましてきわめて円滞な預託が実施されておりまして、現在では若干余裕を見て預託が行なわれておるということでございます。実績もすでに十一億五千七百万ドル、これは六月中旬でございますが、なされておるということでございまして、前回の八億ドルを相当上回った規模で実行されているということでございます。今後十分注意をしてまいります。
#57
○須藤五郎君 長官がそういうふうにお答えになったから、今後はそういうことは二度と起こらないだろうと思いますが、こういうことのないように、ひとつ注意をしていっていただきたいと思います。
 それでは次の質問に移ります。
 中小企業庁の四月分ですね、産地速報調査では、今後の見通しについて、依然悪化を見込む企業の割合が高いとありますね。ここにも私持っていますが、円のフロートによる輸出成約の減少とあわせて輸出関連の産地、中小企業を取り巻く環境はきびしいことが明らかだと思います。最近の商工中金の調査によりますと、調査した四十一産地のうち、フロート後新規契約が減少したとするものが二十六、成約ストップは八産地で、うち三産地、いわゆるやすりの広島、クリスマス電球の秋田とか、ケミカルシューズの神戸、こういう地方ではそういうことが起こっておるわけですが、この成約再開の見通しは暗いという結果が出ておるわけですね、こういう地域で。成約ストップは産地の存立にかかわることであるだけに、手厚い十分な対策が必要であると思いますが、円フロートによる打撃の大きい産地に対する具体策をどのように考えていらっしゃるか、伺っておきたいと思います。
#58
○政府委員(莊清君) お話ございましたように、中小企業庁でも、約百の輸出産地について毎月輸出契約の状況を報告をとりまして、注意深くこれを調査いたしております。フロート後輸出契約がほとんどなくなったという産地、それから毎月あるけれども、やはり、対前年同月比で毎月去年よりも減った状態で細々と契約しておるというところが相当ございます。逆に、去年よりもどんどんふえておるという産地もかなりございますが、明暗の差があるということは御指摘のとおりでございます。
 そこで、どうしておるかということでございますが、第二次ドル対策によりまして二千二百億円の緊急融資とか、あるいはいま申し上げました十一億ドル以上の為替予約等の緊急措置をこれは講じておることでございまして、特に打撃の大きい産地につきましては、金融面でも重点をかけて融資を行なうというふうなことに努力いたしておるわけでございますが、これはあくまで緊急の赤字対策でございます。そこで、打撃の特に大きいと見られる約四十の産地につきましては、個々の産地ごとにいろんな事情がございます。一般対策だけでは乗り切れないと考えまして、現在、中小企業庁が各県と協力いたしまして、四十の産地について実際に診断チームを派遣いたしまして、緊急診断を実施しております。これによりまして各産地の実情を掘り下げて把握し、今後産地の君かうべき方向というものを、産地とも話し合いの上で練り上げるということでいま実施中でございます。この結果が出てまいりますれば、県からもいろいろその対策についてのきめこまかい産地ごとの要望というものがはっきり積み上がってまいります。私どもはそれを踏まえまして、財政当局とも、これは前向きの恒久対策でございます。一番大切でございまするので、十分折衝いたしまして、きめのこまかい個別具体的な産地対策というものを実行いたす所存でございます。
#59
○須藤五郎君 やむを得ず転廃業に追い込まれた業者に対しまして、政府はどういうふうな具体的対策を持っていらっしゃいますか。
#60
○政府委員(莊清君) ドル・ショックによりまして、不幸にして転廃業に追い込まれるという事態があるわけでございますが、幸いに第一次ショックのもとの一年間、それから今回のショック後現在までの間は、緊急対策の効果とそれから経済全体の上昇の過程にあるというふうなこと、それから、一部の産地では非常の輸出成約も減っておりますが、中小企業全体としては、海外の景気の非常な上昇等もございまして輸出単価も上がるとかいうふうなこともございまして、考えられたほどのパニック的な状態には、きょう現在はまだなっておらないという事態がございます。そこで、ドル・ショック倒産等も予想をはるかに下回りまして少ない状態で推移いたしているわけでございまするけれども、事業の転換ということを真剣に考えなければならない産地というのは確かにふえてきております。
 そこで、転換につきましては、先ほど四十産地というものを重点的に取り上げて、個別具体的に今後産地の実態に即して恒久対策を別途講じていくということを申し上げたわけでございますが、当面の対策としては、中小企業振興事業団を通ずる設備の配転に対する八割無利子融資制度とか、あるいは事業転換に対する長期資金の特別融資制度というふうなものもございます。私どもは、この四十産地の診断の結果に基づきまして、これらの既存の制度の融資条件、内容を当然に相当思い切って前向きに改善をすべきだろう、かように思っております。いまいろいろと検討いたしております。
 また、資金量についても、これは一応予算には計上してございますが、これは第二次ドル・ショック以前のことでもございまするので、事業団の金につきましても、本年度予算の範囲内でまず第一次的には最大限のやりくりをして、相当な増額ができるだろうというふうに私ども思っておりますが、足りなければまたその場合に補正の措置も考えるというふうに、助成策というものが及ばないということがないように、十分留意して努力をいたしたいと思います。
#61
○須藤五郎君 これは中曽根大臣に私は意見を伺いたいのですが、私たちはこういうふうに考えておるのです。こういう転廃業を余儀なくされるような方々に対しては、機械設備は適正な価格で買い上げ、その代金には課税をしない、これがまず第一ですね。
 それから第二は、業種、製品を転換する場合には、国と自治体が新たな技術の習得訓練について援助し、市場の開拓を助け、融資税制について助成の措置をとる、新しい事業経営が発足するまでの期間の生活費の貸与制度を設けるなど、こういう援助をする。
 私は、これらのことが必要だと考えておりますが、政府当局はこの考えを受け入れて実施するお考えかどうか。私は実施すべきだと思いますが、これに対して大臣の意見を伺っておきたいと思います。
#62
○国務大臣(中曽根康弘君) 転廃業をせざるを得ないという方は非常にお気の毒な方でございますから、政府としてもできるだけの措置をして、安全に確実に、新しい職務におつきになれるようにしてやることが必要であろうと思います。いまおあげになりました諸点は一つのお考えであり、思いやりのあるお考えであのと思います。われわれも大いに参考にいたしまして政策を練っていきたいと思います。
 当面、政府としてやることにつきましては、長官から答弁申し上げますが、これは行政の範囲内でできるだけのことをするということで申し上げる次第でございます。
#63
○須藤五郎君 長官の意見では私まだ不十分で、実際救われないと思いますので、私たちの考えを述べたわけです。まあ私たちの意見だといって偏見を持つことなく、やはり大臣としては日本の中小企業の立場に立って、われわれの意見も大いに聞かれてそれを政策に取り入れていっていただきたい、こういうふうに思います。大臣よろしゅうございますね。
 それじゃ次の質問に移ります。
 輸出中小企業につきましてこの商工中金調査では、フロートに伴う既契約キャンセルが三十社、百二十七件、九億五千七百万円となりました。滞貨は五十社も生じ、中には六カ月分、これは大阪のサングラスなんかですが、それから八カ月分、これは埼玉県のミュージックボックス、こういうふうに達したものもありました、こういうことを聞いておりますが、このような滞貨に対する救済策は十分行なわれておるかどうかということをお伺いします。
#64
○政府委員(莊清君) 第二次ドル・ショックに対します閣議決定に基づきます二千二百億円の緊急融資というものは、まさにいま先生が御指摘になりましたような輸出契約のキャンセルであるとか、滞貨の一時的な発生というふうなこと、あるいは為替差損というふうなことによりまして、輸出関連の中小企業が非常なショックを受ける、そこで赤字が生ずるということに対しまして緊急の運転資金を供給しようという趣旨に出るものでございます。二千二百億円のうちすでに千億は融資実行済みでございまして、引き続き早急にこれの融資を継続してまいる所存でございます。その場合に、お話しのございましたような非常に打撃の大きい産地につきまして、十分資金需要を考えましていま融資につとめておるところでございます。
#65
○須藤五郎君 以前のドル・ショックのときに、私は通産大臣にこういう質問をしたことがございました。燕の洋食器業者と私は会ったときに、そこの訴えとして、要するに、われわれはドル・ショックに対応する手段がなかったと、大資本家、大企業は手持ちのドルがたくさんあったが、われわれにはそれがなかったんで、ドルが下るとはいうことを知りながらやはりそれを早く売るということができなかった、だからこれからは、われわれがもう約束して向こうとの売買の契約ができたその金額でも政府は手持ちのドルをわれわれに一応融資してくれないか、貸してもらえないだろうかと、そうすればこういう損失からは免れることができると思うがと、こういう訴えを受けまして、そして私はこのことを中曽根通産大臣に話したことがあります。そうしたら通産大臣は、それも一つの方法ですと、こういう意味のお答えがあったと思うんですが、これからもやはりこういう問題が起こってくると思うんですが、そういう場合には通産大臣、こういうことも可能なんですが、政府としてやはり積極的におとりになるお考えですか、そこの点ちょっと伺っておきたいと思うんです。
#66
○国務大臣(中曽根康弘君) ごもっともな話であります。外貨預託という制度で先行きの予約をとると、それでいまやらしておるわけでございます。
#67
○須藤五郎君 先ほどからドルの値段がどうなるかということが問題になったようでございますが、けさの毎日新聞に日銀の総裁は、「貿易収支の実態が本質的に変わったと判断がつくまでは当分の間、現在の相場水準(一ドル=二百六十五円前後)を動かさない」と、こういうふうに注目すべき発言をされたわけなんですが、これはどういうふうに受け取っていいのでしょうか。二百六十五円は絶対動かないと、日本の中小企業者はじめ貿易業者もですが、そういうふうに考えていっていいものでしょうか、どうなんでしょうか、そこの点を伺っておきたい。大臣、どうなんでしょう。
#68
○国務大臣(中曽根康弘君) これは御本人に聞いてみませんと、私らが推測ができる範囲ではございません。特に金融関係というのは微妙なところがありますから、御本人にぜひお尋ねいただきたいと思うのでございますが、想像するに、絶対ということばは使わないんじゃないか、これは想像であります。
 それから、おそらくいまの日本の貿易バランスの動向を見て、ドルがどんどん流出して、いままでは月に十億ドルずつぐらい減って百五十億ドル台になっているのです。こういう情勢を踏まえて、その見通しの上でそういう発言をしたのではないだろうか、そういうふうに想像いたします。
#69
○須藤五郎君 中曽根通産大臣の御意見は、ドルが強くなって、それでいく方向が必ずくるということを以前にこの席でお述べになったことがあると思うのですね。それでまいりますと、ドルがだんだん暴騰して一ドルが三百円近い相場も出るかわからぬというようなこともきょうの朝の毎日にも出ているわけですね。そうかと思うと、一ドルが二百五十円ぐらいになってしまう、それもあり得るんだと、こういうふうな非常に極端な二つの意見があるわけなんですね。こういうふうになってくると、日本の業界は非常に戸惑うと思うのですね。これに対して通産省としてはどういう指導なり政策を持っていくお考えなのか、そこを伺っておきたいと思うのですが。
#70
○国務大臣(中曽根康弘君) 通産省としましては貿易の状況、外貨の減少の状況、アメリカの物価、日本の物価、そういうような資料を公表して、それを見て各自が判断をしていただく、通産省がどうなるというようなことを積極的に言うことはミスリードする危険性があります。そういう意味で、やはり自由経済ですから自分の創意とくふうにおいて判断をしていく、ただし、客観的な資料は通産省としては提出する、そういうことがやはり妥当な態度ではないかと思います。
#71
○須藤五郎君 そうすると今度ドルが上がった場合、下がった場合、円が上がった場合、下がった場合、あらゆる場合にこの法案が大いに役立つ、この法律案でそれがちゃんと対処していけるんだと、こういうふうなお考えでしょうか、中小企業に限っては。
#72
○政府委員(莊清君) 今回の法案では、ドル対策としての中小企業信用保険に対する特例あるいは事業転換に対する助成措置等が法律事項として書いてございます。それから法律の外でございますけれども、ドル対策としての閣議決定で政府機関からの緊急融資ということを行なっておるのと、それから、為替予約というのをまだ行政措置として行なっております。これら全部合わせましてドル対策でございます。
 それから、先ほどから申し上げておりますように、非常に困る度合いの高い産地についての個別具体策というものがまた恒久対策としてあるわけでございます。これらのものの中では法律になっておるものは、最初に申し上げましたいわば一部でございますけれども、法律に書いてある事項も、たとえば保険公庫に対する出資金をもっとふやすかどうかというふうな運用上の問題などというものは、法律改正と関係なしに別途の財政措置として、中身の議論としてあるわけでございますし、法律の対象外の緊急融資とか為替予約とか、あるいは問題産地に対する前向きの対策というふうなことは、これは法律には書いてございませんけれども、中身の議論としてそれらの助成策の拡充強化ということは、今後のやはり推移を十分見まして、それにミートするようにいまのものが足りなければさらに強化していくということは、これはもう閣議決定するときの当然の前提でございます。今後の推移を見まして必要な内容のものはやっていく、こういうことが基本方針でございます。
#73
○須藤五郎君 よろしゅございます。
    ―――――――――――――
#74
○委員長(佐田一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、大矢正君及び稲嶺一郎君が委員を辞任され、その補欠として上田哲君及び中村禎二君が選任されました。
    ―――――――――――――
#75
○委員長(佐田一郎君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#76
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認めます。よって、両案に対する質疑は終局いたしました。
 これより両案に対する討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。別に御発言もなければ、討論はないものと認め、これより直ちに採決に入ります。
 それではまず、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#77
○委員長(佐田一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#78
○委員長(佐田一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#80
○委員長(佐田一郎君) この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 先般、趣旨説明を聴取いたしました総合研究開発機構法案の審査のため参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#81
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#82
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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