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1972/07/03 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第16号
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1972/07/03 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第16号

#1
第071回国会 商工委員会 第16号
昭和四十八年七月三日(火曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月二日
    辞任         補欠選任
     上田  哲君     大矢  正君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐田 一郎君
    理 事
                剱木 亨弘君
                若林 正武君
                阿具根 登君
                藤井 恒男君
    委 員
                小笠 公韶君
                大谷藤之助君
                川上 為治君
                林田悠紀夫君
                細川 護熙君
                安田 隆明君
                小野  明君
                林  虎雄君
                藤田  進君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                須藤 五郎君
   衆議院議員
       修正案提出者   田中 六助君
   国務大臣
       通商産業大臣   中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       小坂善太郎君
   政府委員
       経済企画庁総合
       計画局長     宮崎  仁君
       通商産業省企業
       局長       山下 英明君
       通商産業省化学
       工業局長     齋藤 太一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   参考人
       株式会社三菱総
       合研究所常務取
       締役       牧野  昇君
       東京大学工学部
       教授       渡辺  茂君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○総合研究開発機構法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○工場立地の調査等に関する法律の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○輸出硫安売掛金経理臨時措置法を廃止する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐田一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二日、上田哲君が委員を辞任され、その補欠として大矢正君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(佐田一郎君) 総合研究開発機構法案を議題といたします。
 本日は、本案について参考人から御意見を承ることになっております。
 参考人として、株式会社三菱総合研究所常務取締役牧野昇君、東京大学工学部教授渡辺茂君、以上二名の方々の御出席を願っております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、皆さまには御多用中のところ、本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、ただいま議題となりました本法案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承りまして、本委員会における審査の参考にいたしたいと存じておりますので、何とぞよろしくお願いをいたします。
 なお、参考人の方々には、まずそれぞれ十五分程度の陳述をお願いし、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、まず牧野参考人からお願いをいたしたいと思います。
#4
○参考人(牧野昇君) 三菱総合研究所の牧野でございます。今回の総合研究開発機構法案につきまして、簡単に私の意見を述べさしていただきます。
 この法案は、シンクタンク的な総合研究を実施し、助成し、あるいは情報を集め、人材を教育する、そういうような研究活動をする機構というふうに私、この法案を見て内容を理解したわけでございますけれども、原則的には賛成でございます。私もシンクタンクを三年ばかりやっております。シンクタンクの成立の意義というのは、大体三つの条件でささえられているというふうにわれわれは見ているわけでございます。その三つの条件というのは三つのIN、これが基本的な条件になっているわけでございます。
 第一のインというのは、インターディシプリナリーということでございまして、専門領域を越えた協力研究といいますか、総合研究ということがまず基本にあるわけでございます。総合的な研究開発の立場はどうして必要かということを二つばかり例をあげて御説明をしたいと思います。
 皆さんも御存じだと思いますが、有名なアスワンハイダムというのがございます。これはいわゆるいままでのアスワンダムの南につくりました世界最大のダムでございまして、ナイル川です。ダムの建設に約四億ポンドを使いまして、ナセル・アラブの連合政府がこれをやりまして、九年かかっております。私も建設中に行ってまいりまして、非常に大きな期待が世界じゅう、あるいはナイル地区の人から集まっていたわけでございます。これによりまして農地がかんがいいたしますから、大体農地が三〇%ふえるんだと、そして、八十億キロリットルアワーの電力が出るためにこれで肥料工場ができるんだと、そしていわゆる国民所得というのが何と二〇%ふえるのだと、非常にいいことづくめであったし、確かにいいことが多かったわけです。ところが、これが実際に稼働した状態においてどういうことが起きたか。昨年の有名なスウェーデンでやりました、いわゆる国連の人間環境会議の中にこれについてのリポートがあるわけでございます。
 どういうことが起きたかというと、まず、いわゆるいままでの状態といろんな条件で変わってまいりますので、保菌性を持ったカタツムリが非常に増殖いたしまして、流行病、風土病がはやったということがあるわけでございます。それから、地下の水脈が当然のことでございますけれども変わってまいります。これによってあの周辺の何と一五%の人々のいわゆる飲料水というものが枯渇した、手に入らなくなった、こういうことが起きたわけでございます。それから、当然土砂の堆積、あるいはデルタ地帯の海岸の変形が起きまして、いわゆる全くエコロジー的なバランスがこわれてきた、こういう報告が出されているわけでございます。
 それから、カール・ジョージのやはりこれに対する報告によりますと、沿岸のイワシが――あの辺では毎年一万八千トンのイワシがとれた。これがあの地方の全水産物の四八%をまかなっていたわけでございます。これが全く壊滅してしまったということでございます。言いかえますと、二つの理由があるわけです。
 一つは、あの辺でとれるイワシというのは、洪水期に流れた水があの沿岸の塩分を薄めて、そのときにいわゆる卵を生む、こういうことがあるわけです。二番目に、豊富なナイル地区の栄養物というのが洪水で川に流れ込んで、これが非常にえさといいますか、いわゆる養育に役に立った。この二つがこわれたことによってイワシが壊滅してしまったわけでございますね。
 これで見てもわかりますように、実は研究というのは、いままでは土木屋さん、建築屋さんが一つの専門領域から最も効率的な建設物を建てるという研究でよかったけれども、いまはそうはいかないのだ。一つの専門領域を越えた地質学者、海洋物理学者あるいは水産学者、あるいはお医者さん、そういう人たちがこれに参加して研究活動をしていく、こういうことが現在非常に重要なこととしてあげられてきているのだ、こういうことが言えるわけでございます。
 二番目の例としてあげるのは、政府に関することなんで、あるいは私の民間から見た意見として適切でないかもしれませんけれども、いまインフレが非常に進んでいる。インフレというのは幾つかの要因があるわけでございます。そのインフレの要因の分析は現在いたしませんけれども、その一つの要因に、いわゆる需要と供給のギャップ、バランスを失っているということが一つあるわけでございます。セメントが足りない、鋼材が足りない、木材が足りない、これがどうして起きたかというと、昨年の政府の出資を見ると非常によくわかります。昨年、政府が、大蔵省では公共投資をどんどん出していたということですね、対前年度比率で二九%、三〇%近く出しておる。それから、住宅の補助金融資が対前年当たり七千億円よけい出している。大蔵省ではお金をどんどん出している。しかし、通産ではそのときにどういうことをやったかというと、通産では、鉄鋼のカルテルをやって生産をとめているわけです。木材の輸入量も調整しているわけです。あるいはセメントに対しても調整している。片方ではどんどん出すが、片方では調整しているという、いわゆる各省間のばらばらの一つの操作といいますか、そういうものがあった。私がここで言いたいのは、実は省庁を越えた広い分野からの研究開発、あるいはそれに対する調査活動というものが現在どうしても要請されているのだ、こういうことがいわゆるインターディシプリナリーという一つの基本的な現在の研究態度の条件という形でいわれるわけでございます。
 実は、私たちの三菱総合研究所は日本で一番大きなシンクタンクといわれているわけでございまして、約三百五十名の研究員がおります。この三百五十名の研究員というのは非常に広い分野でございまして、エンジニアもおりますしエコノミストもいる、あるいは海洋物理学者もいるし、曹洞宗の坊主からいわゆるカトリックの神父さんまで集めているわけでございます。現在そういうような広い分野からのアプローチといいますか、研究活動というのが、これがいわゆるインターディシプリナリーといいますか、総合的といいますか、いわゆる境界、領域を越えた研究開発の必要性、そういうような一つの形でこういうような研究所の必要性というものが実は出ているわけでございます。そういう意味では、縦割り的な局地主義的な専門だけにこだわった研究開発についてはかなりいま問題点が出ているのだと、こういうことが言えるのじゃなかろうかと思うわけでございまして、そういう意味で総合的な研究開発ということを条件とした、そして、研究機関の交流調整というものを一つの役割りとしたこの新しい研究開発の機構法案について、私は賛成する次第でございます。
 さて、二番目のインでございますが、これはインデペンデントということでございますね。言いかえますと、独立的な自主的な立場を持たなければ研究というのは非常にむずかしいだろうということでございます。シンクタンクというのは、特定の官庁に付属しているとか、あるいは特定の企業に付属しているということは実はまずいわけでございます。なぜかといいますと、これは一つの企業で、このあき地を一千坪あるから開発しろと、開発しろということはさまっているわけですね。それに対していかにうまく経済的にもうかるように開発したらいいかということが、これは研究所に下ってくる命令であり指示であるわけですね。そういう形では、もうノーとは言えないのですね。イエスであるけれども、イエスの中でどうやるかということを、実は一つの企業の中あるいは一つの官庁でいえばこういうことがきまったのだと、知識集約産業というものはきまった、それに対して、いわゆるいかにそれをうまく説明するかということにその研究所の一つの役割りというものが規定されてしまうのだ、実はそうじゃまずいのですね。実は、イエスということも自由だし、ノーということも自由だという自主的で独立的であるということが非常に大きな条件なんです。
 言いかえますと、われわれが研究開発において一つの与えられたものをいかにうまくやるかということではなくて、それがはたしていいことかどうかという基本的な立場に立って、それに対してノーでありゴーでありストップでありということを言えるような、そういう立場のいわゆるインデペンデント、自主的な独立的な研究機関というものがいまは非常に必要になってきている。したがって、アメリカのシンクタンクでも全部そうでございます。プロフィットであれノン・プロフィットであれ、独立的な一つの運営というものが第一の一つの条件としてあげられているわけでございます。そういう意味で、いわゆる総合研究開発機構というものが官庁にも民間にも属さない独立的な中立的な立場の運営をとると、こういう形では非常によろしいのでございますけれども、ただ問題は、私もシンクタンクをやりまして非常に感じるのは、自立的である、独立的であるということは、言いかえますと非常に経済基盤が弱いということですね。一つの省庁に予算をとってもらう、あるいは一つの企業の一つの附属機関ということでは、これは運営はかなり楽でございますけれども、独立的であり、相手の気にいらないことも自由で言うという立場は、言いかえますと、かなり経営的には、経済的には基盤が弱いということが当然出てくるわけでございます。そういう意味で、この機構が、いわゆる無色の研究資金というものを投じてシンクタンクというこの一つの独立的な自由な立場でものを言える研究機関の助成をはかる、こういう形ではたいへん意義があるのじゃなかろうか、こういうふうに思っているわけでございます。
 さて、三番目のインでございますけれども、インフォーメーションオリエンテッドということでございまして、いわゆる情報を商品、製品あるいは成果として産出するところの機関である、こういうことが一つの条件になるわけでございます。この情報というものの価値というものが、日本ではまだ評価が低いわけでございまして、情報に対する評価というのは日本では、物はお金を出してもいいけれども、情報というものに対してはお金は要らないのじゃないか、知恵やお金は要らないのじゃないか、これは日本の一つの風土でございまして、たとえばここにコップがある。コップを持っていくことについては非常に罪悪感を感じるわけでございますけれども、コップのデザインについては自由にまねをしてもいいのじゃないかと、そういう一つのしきたりがあるわけでございますね。いわゆる一つの知恵というものはただ、物はお金払うのだ。ところが、これからは情報というものの価値が上がり、情報化社会だということをいわれておりますけれども、なかなか日本ではまだまだ情報にお金を払うという習慣は定着していないわけでございます。
 私のところの三菱総合研究所、いま最大のシンクタンクとして運営しておりますけれども、ざっくばらんに言いますと、第一年度は三億数千万の赤字でございます。二年度において約一億ちょっとの赤字になった。だんだんと情報を価値と認める、そういう傾向は強くなってはおりますけれども、やはり情報産業はこれから育成していくものであるというふうに考えるわけでございます。これは現在の市場風土というものは、情報を金で買わないということもございますけれども、逆に言うと、われわれシンクタンクの人材というものが不足して、相手がお金で買うというような、そういう気持ちを起こさせる情報を出してない、こういうわれわれのほうの当然弱みなり欠陥なりがあるわけでございます。
 これは情報をつくっていく、そしてそれを相手が価値ありと認めるような、そういう情報をつくり出せるような人材というものが日本ではまだほとんどない、不足しているんだ。物をうまくつくる人は非常に大ぜいいるけれども、価値ある研究として相手が対価を払うような情報を加工し、そうしてそれをリファイニングして出すという、そういう人材というものがほとんど日本では育っていなかった、こういうことだと思います。そういう意味では、今後こういう分野における人材というものをどんどん養成していかなければならない。この総合研究開発機構法案の中に人材の養成、特に地方のこういうことに対する人材、これはいわゆる情報都市  東京でも不足しておりますが、地方ではもっと不足している。そういう者を教育していくというような一つの役割りもこの中に入っておりまして、そういう意味では私はたいへん賛成でございまして、情報化時代における一つのトリガーといいますか、引き金としてこういうような法案というものの価値というものを私は評価したい、こういうふうに思っているわけでございます。
 ただ、一つだけ条件を申し上げたいのでございますけれども、私、シンクタンク評議会という、現在、日本の代表的なシンクタンクが集まっているシンクタンク評議会の代表幹事としてこの二年間これを運用したわけでございますけれども、非常に感ずるのは、まだ基盤が弱い。基盤が弱いところに政府がかなり金を出す、そうして民間も金を大きく出した、そうしてかなり資金豊富な研究機関というのができて、それがコンペティターとして、せっかくわれわれがいままで苦心惨たんして育ててきたシンクタンクの基盤を脅かすような、そういう形でこれが発展することについては非常にわれわれとしてはこわいわけでございます。したがって、このシンクタンクというものは、いまある民間企業のコンペティターとしての役割りよりも、むしろそれの総合的な調整機関という形でこれが発展することを願うわけでございます。
 私の説明、以上で終わります。どうもありがとうございました。
#5
○委員長(佐田一郎君) どうもありがとうございました。
 次に、渡辺参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(渡辺茂君) 私、東京大学の工学部におりまして、機械というようなかたいものの基礎研究をしている渡辺でございますが、私がこのシンクタンクにかかわりを持ち始めましたのは、いわゆる技術革新が急速に進展してまいりまして、私の専門である機械そのものを基本的に変えるというのみならず、さらにその機械が量と質とを変えまして社会に出ていく、そうしてその社会自身を根本的に変えていくというこの事実にりつ然としたような次第でございます。
 そこで、社会的、経済的な研究開発というものに対しても、科学技術的な要素を取り入れて行なう必要があるんではないかということを痛感したような次第でございまして、シンクタンクの設立や運営に協力してまいりました。このたび、総合研究開発機構法案の御提案を聞きまして非常にけっこうなことであると、全面的に賛成をいたしているような次第でございますが、この機会に日ごろ考えておりますシンクタンクのイメージというようなものを七つばかりあげさせていただきまして、そしてそれに対して、総合研究開発機構法案に対する考え方についてやはり七つばかりお話を申し上げて、御批判を得たいというふうに思います。
 まず第一に、シンクタンクと申しましても、各人各様の受け取り方があろうと思いますが、シンクタンクというからには、国民全体にかかわるものを審議、研究されるべきであるというふうに考えております。これは当然のことであろうと思います。
 第二の条件といたしましては、それが緊急であり、かつ、実際的な問題でなければならない。それを具体的に解決する案を提出するということが、シンクタンク全般に対する要請ではないかというふうに考えております。
 第三番目といたしましては、単に緊急的な、今日的な問題に対処するだけではなくて、その方法論というものの開発もこういうところでやるべきであろうというふうに思っております。
 さらに、第四番目として考えられますことは、私どもの属しております大学は何かというと、百年――長い間に不変の基礎研究をやるということが私たちの立場でありますが、シンクタンクは基礎研究ばかりやってもしかたがないので、これは応用研究であるということが大きな特徴ではないかと思います。
 第五番目といたしましては、無色中立であることということでありまして、無色中立という意味はいろんな方向があって、まず、思想的に無色中立でなければならない。第二には、官公庁のワク、官公庁の目的意識からもそれを越えて無色中立でなければならない。第三には、学問的にも片寄ったものであってはならない。学問的にも公正で、お互いに矛盾しないということが必要であろうというふうに考えます。したがいまして、それぞれの学問としては自主性を貫きますが、国際的にも通用するような論旨がなければならないというふうに考えます。
 第六には、牧野さんが第一にあげられました学問を横断するもの、つまりインターディシプリナリーとも――日本では最近、国際に対して学際的というようなことを申しておりますが、学際的でなければならないというふうに考えます。つまり、経済的、社会的急激な変化を科学技術的な焦点から、あるいは経済的焦点、あるいは医学的焦点、あるいは心理学的焦点、あらゆるものに焦点を当てて、そこから公正に解明するものでなければならないというふうに考えます。まあ具体的には都市問題あるいは公害問題、さらには技術予測とか交通問題、あるいはエネルギー、食糧、種々の問題がそこに控えているというふうに思っております。
 第七番目としましては、こういうものは国をあげて協力する体制が必要である。つまり、学界、官界、それから公共団体、民間団体、この四者が協力して正当な発展をすべきものであろうというふうに考える次第でございます。
 以上申し述べました七つの観点がシンクタンクに望まれる要件ではなかろうかと思いますが、今回、総合研究開発機構というものの、出されましたこの法案の意義を考えますときに、そういうものをある意味においては正常に発展させるということでありまして、非常に意義が深い法案であろうと思います。
 と申しますのは、現在、わが国には多くのシンクタンクがあり、その最大のものの一つが牧野さんのところであろうかと思いますけれども、それにいたしましても、われわれのシンクタンクの先輩であるアメリカの状況から見ると、非常に小さなものがあると、アメリカには代表的なシンクタンクは三つございまして、一つをバッテル・メモリアルといいます。それからスタンフォード・リサーチ・インスティチュート――SRIと申します。それからイットリーですね、IITRIと書きましてイットリーといっておりますが、この三つはいずれも数千人の研究者を擁しておりまして、バッテル・メモリアルは一九七〇年の調べですが、約五千八百人、SRIが約三千人、イットリーが約二千人というような大きな規模でありますが、アメリカにおいても千人以上の規模のシンクタンクはその三社に限られるわけでございますけれども、それから考えますと、わが国のシンクタンクは、シンクタンクではなくてシンクポイントであるというようなことを言った人もありますが、まあ大きな二、三はともかくとして、あとは非常に小さなシンクタンクが存在している。それをこの法案によっていい意味におけるシステムを形成するということになれば、ほんとうに幸いなことであるというふうに思います。
 それから第二に、シンクタンクはいろいろございますけれども、あるものは株式会社組織、あるものは財団法人、あるいは社団法人、あるいは学会それ自身、あるいは官庁の中にもシンクタンク――それをシンクタンクとは申さないかもれませんけれども、そういうシンクタンク的な仕事をしておられるところがあると、まああらゆるところにシンクタンクがあるんですけれども、元来、シンクタンクの仕事は、初めに申しましたように無色中立でなければならないものですけれども、実際ほんとうに無色中立であるかというと、そうではないわけでございます。それがこの総合研究開発機構というような法案によって統一的にそれを再組織といいますか、ほんとうに必要なものの結合、協力によって研究が進められていくときに、ほんとうの意味において無色になると思います。にじは七色ありますが、それぞれの色があってもそれを合わせると無色になるがように、まあそれ自身、現在あるシンクタンクの無色化ということは非常にむずかしいけれども、有機的に結合することによって無色になり得るものであろうというふうに思います。しかし、それぞれのシンクタンクにおける自主性というものは絶えず尊重されなければなりませんけれども、その自主性を侵害しない意味において、この総合研究開発機構というものは十分存在し得るものであろうというふうに考えております。
 それから第三には、そういうような次第でございますから、この機構は、当然、真に学際的なものを盛り上げるものに違いないと、つまり、現在いろんな方面における専門家というのはなかなかわが国においても得られにくうございますので、その得られにくい人材の交流ということに、この法案がさらに機能することができれば非常にいいことではないかというふうに考えます。
 それから第四に、したがいまして、現在、そういうシンクタンクというのは縦社会に属するものでありますけれども、それを横に組織化するという意味において意義があるというふうに考えます。
 それから第五には、ここのお仕事の一つである人材の養成、つまりシンクタンク人、真のシンクタンク人をこういうものを契機として養成されるということは非常に力強い限りであるというふうに思います。
 それから第六には、シンクタンクといいますと、先ほどのお話のように情報ということが主体になりますけれども、情報をソフトと解釈いたしますと、情報を突き詰めていくとついにハード、つまり具体的なものができ上がることがあります。そのソフトとハードとの接点をこういう機構でお受け持ちになりますと、そのソフトからハードへの受け渡しが非常にスムーズにいきまして、非常に効果のある成果が得られるのではないかというふうに考えます。
 それから第七には、その情報オリエンテッドでございまして、この法案に盛られておりますように、従来発表されましたシンクタンクのレポートというのは、すでに山なす程度多いものがございますけれども、あるものはその提出先で埋もれてしまうとか、あるものはもうほとんど日の目を見ないというようなものがございます。それは非常にもったいない話でございまして、こういうものを機会に情報のデータバンクというようなものがつくられるならば、すでにできたもの、あるいはこれから考えられるものに対して目的指向型のまとめ方ができて、いろんな方面に利用できるのではなかろうかというふうに考えるような次第でございます。
 以上、簡単でございますが、私の陳述を終わります。
#7
○委員長(佐田一郎君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。
 これから参考人の方々に対する質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○阿具根登君 牧野さんに最初お尋ねいたしますが、私ども、きょうからこの審議に入るんですが、非常にむずかしい問題だと思っております。ぜひ必要だということも考えておりますが、実際、皆さんから述べられたような非常に公正であって中立である、いずれにも偏しないというようなことがこれはほんとうに望まれるだろうか、こういうことを考えるわけなんです。
 たとえば、いま公害問題が非常にやかましくなっております。ところが、これは十五年前、私が社労の委員長をやっておるときに問題になったやつなんです。そうすると、熊本大学ではこれは公害だということをはっきり言われた。それで大学の先生からいろいろ資料をもらって私は質問いたしました。ところが、会社側は会社側で、今度は学者を立てて公害じゃないという論争をされるわけなんです。そうすると、私たちは学者でないわけなんです。専門家の意見がぱっと二つに割れてきておるわけなんです。それで政府においても、厚生省はこれは公害だというようにまあ半分認めておったんですけれども、通産省は、今度は通産関係の専門家の話をどうしても正しいんだと、こういうふうに見て、ついに十五年間たってしまったわけです。そしていま世論でこうなっておるわけです。そうしますと、こういうのをつくっても結局は利害関係がつながるんじゃなかろうか。たとえば牧野さんがおっしゃいましたように、情報産業が価値あるものでなからねばならないんだと、当然これは認められておる、世界でも認められてきたんだと、日本がまだ認められておらないんだということになって、当然これは認められてくると思うんですが、そうなると、やはり企業のほうがそれに手を出すのが大きくなりはしないか。利潤がある、価値が認められたということになってくれば、やっぱり企業自体でシンクタンクを持ちたい、それに力を注いでいく、私はこうなってくると思うんです。
 これが逆な場合は――今度の場合は三十億政府が出資し、寄付金を三十億と、これでやるということになっておりますが、これが大きくなると、これは政府の一つの機関になってしまう。これから審議に入るんですが、この役職員の方もおそらく政府のお役人の方が私は大半を占めるんじゃないかと心配しておるわけなんです。そうすると、これもちゃんと政府側の色がついておるじゃないか。それで、いずれにしてもどこかが自分の利益になるような色をつけたがると。そうすると、両先生がおっしゃられましたようなことがなかなかできない。いまアメリカのお話もしていただきましたけれども、私の手元にあるやつでも、一番大きいバッテル研究所ですか、ここは非営利ではありますけれども、資金はゼロックス社からどんどん出ておりますですね。そういうふうに結局なるんじゃなかろうか。特に日本の財閥企業というのは、今日、国民を踏みつけても自分さえもうけりゃいいというような投機でさんざん悩ましておるわけなんです。とすると、とにかく、日本の企業というのはアニマルと言われるくらいに、金もうけならもう自分の国の国民だって犠牲にしてもかまわぬぞというようなことをやられる日本の金もうけ主義でいくならば、私は、逆に悪用される心配はなかろうか、こういうことを考えるんですが、いかがでしょうか。
#9
○参考人(牧野昇君) いまの御意見、たいへん重要な御意見だと思います。問題は、悪用されるかどうかということについては、これはそれを使う人の意思にあるわけでございまして、問題は、悪用する善用するということよりももっと基本的には、その意思決定のための必要な情報があまりに少なかったんじゃないかということに問題があるんじゃないかと私は思うんです。
 たとえば、これは例を引いていいかどうかあれでございますけれども、実は水俣病の場合でも、あれは昭和三十一年に問題になっていたわけでございますけれども、水俣病のあの水銀をとめる装置はたった百五十万円の金額でできるのに四十一年についた、こういうことでございます。そのときに  現在、岩波新書に宇井純氏の意見も出ていますが、それは、その当時における化学工業の技術水準の罪だったんだと、みんながわからなかったんだと、こういうことだと思うんです。私は、色がつく色がつかないということよりは、むしろもっと情報がほしかったんだと、そのときにおいても。ですから意思決定がおくれたんだというふうに見ているわけでございます。そのときにおいて、もしいまわかっているようなことがもう十年、十五年前にわかったら、これは企業であろうと政府であろうとあるいは地方公共団体であろうと、当然そのときに意思決定をしていたと思います。しかし、わからなかったことが多かったということが実は意思決定をおくらしているわけです。
 ですから、シンクタンクの役割りというのはわからない問題――これはなぜかというと一つの領域ではわからない問題なんですね。化学工業の人が疫病のことはわからない。ところが、疫病の人は水銀とか何を出しているか化学物質のことはわからない。これが総合して少しでも早く豊富な情報を与えるということがどうしても役割りじゃないかと。しかし、その情報をどういうふうに使うかということはその人の意思なんですね。ですから、豊富な情報を提供すると、それは逆に少し色がついているということをある人は言うかもしれぬ。しかし、情報の豊富さというものを手元に置いた場合に、その意思決定前においてその人がその色を見破って意思決定をする、これが意思決定なんですね。ですから、情報を出すシンクタンクの役割りというのは決して意思決定をするんではないんであって、その人が意思決定をするために必要な、いわゆる総合的な情報をなるべく豊富にお出しするんだと、それを、意思決定者がその幾つかを見て、にらんでこれじゃないかというふうにきめていくんだと。
 これはケネディが、実はキューバの例のソビエトのミサイル基地を防ぐときに、これは軍事の問題でございますからここと関係ないけれども、意思決定の一つのメカニズムとして御説明したいんでございますけれども、そのときにどういう意思決定をしているかというと、三つの違ったシンクタンクから出た三つのレポートを集約してものを目の前に置きまして、それをもとにして――そしてそれにこだわらないんですね、ケネディは。この三つの情報をもとにしてケネディはケネディ自身のその意思決定をそのかわりしているわけです。ですから私は、やはり基本的にあるのは、意思決定者というのは、これはあくまでも政治家でありあるいは企業トップであるけれども、しかし、政治家なり企業トップがあまりにも事実を知らないということを、少なくともそのギャップというものを埋めるという役割りにシンクタンクがあるんだと。シンクタンクは決して意思決定はしないんだというふうにわれわれは解釈しているわけでございます。よろしゅうございますか。
#10
○阿具根登君 もう一問だけお願いしたいんですが、先ほどの水俣病の問題でも、たとえばこういう問題があるんです。十五年前に私が行ったときに、飼いネコが狂っておった。頭をばちんとたたけばぱっと走っていく。そして壁がわからない。壁にがあんと行き当たって、また回れ右して走ってきてまた次の壁に行き当たる。そうすると私たちは、これも魚を食ったから水俣病にかかっておるんだということを言うわけなんです。政治的にですね。そうすると、学者の先生方から見れば、これはこのネコを一ぺん解剖せにゃならぬ、あるいはネコに対して有機水銀をどのくらい与えたらどうなるかということをずっと一ぺん研究しなければネコが有機水銀でやられたということは言えないんだと。そうすると、われわれはしろうとだから、なるほどそうですねと、こうなるわけです。と、それに数年をかけてそしてネコを試し験てみたところが、これはりっぱな水俣病であった。ところが私たちが現場で見れば、もう試験される前に水俣病のネコを見ているわけですね。これは水俣病でしょうがと、こう言ったわけです。しかし、私みたいにしろうとはそういうことが言えるけれども、専門家はなかなか言えないわけなんです。これは調査しなければ、実験してみなければわからない。その間にどんどん蚕食されてくる。
 これが逆に、大学の先生でさえもそうであるとすれば、今度は工場側の学者の方になってみると、なるべく公害じゃないような理論をどんどん展開されていくわけですな。だから両方の理論が対立してくるわけなんです。そうすると、先ほど申し上げたように両方とも専門の方、専門の方が、一応は自分は会社の利益代表である、とするならば、会社に不利なことは言えないんだ、だから会社に利益のあるようなことをやられてきた。そうするとこのシンクタンクだって、先ほど御心配で言われましたように、自分のところが三億も赤字だったのが、去年が二億で、ことしは一億で、ぼちぼち認められて赤字もなくなるだろうと、やっと研究も実を結んできたんだ、そうなってきたときに、国がどかっと金を出して、そしてシンクタンクをつくって、その上にばあっとかぶせてしまって動きのとれないようしてもらうのは心配なんだと、こうおっしゃっておりましたけれども、私もそのとおりだと思うんです。
 いまシンクタンクのこの法律案ができまして、できたとしても、皆さんの研究所を追い抜くようなことは当分なれないと思うんです。おっしゃいましたように人材ができない。だからそういう点は一体どうすればいいのかですね。シンクタンクのこの法案ができて、政府もいよいよ三十億出しましょう、これは予算はもう組んであります。寄付金も三十億もらいましょう、そのほかにもいろいろ出資もいただきましょう、できる場合、一体、当初のときの人材はどこから求めたら一番いいのか、そしていわゆる政府の息のかかっておらない民間のシンクタンクとどう調和とっていったらいいのか、その点をお教えいただきたいと思います。
#11
○参考人(牧野昇君) 二つに分けてお答えいたします。
 最初のお話は、いわゆるネコが狂ったときにおいて、実はその結論に五年かかると、実際に出たのは十数年かかって判決が出た。ここに問題があるわけでございます。しかし、時間がたつことによっていわゆる問題点がはっきりしたということでございます。言いかえますと、なぜ五年たたなければ出ないかという問題は、それは学者のほうから見ると、やっぱり解剖しないと、見ただけじゃわからないということは当然だと思うんですね。その五年を一年にしていくということが情報の研究機関の水準、言いかえますと豊富な情報を早く出すという、こういう一つの研究機構というものがどうしても必要なんだ。それも一つのお医者さんだけではなく、非常に総合的なものを早くアクションをとる。これが国民のために最も幸福なんであって、五年たってやっとわかり、十五年たってアクションがとられたということが実は不幸なんでございます。これが二年なり一年半でできれば、あんな悲惨なことはなかったんだ。それは基本的にいうと五年のものを一年にするという、そういう研究のアクティビティーを高めるということが必要なんだということで、こういう一つの研究機関の必要性があるんだ、こう見ています。
 もう一ついまのに付随してお話しするのは、これは一つのフィードバック機構のおそさということがあったと思うんです。言いかえますと、研究機関が非常に進んでデータが出ても、それに対してフィードバックが出なければ意味がないわけですね。たとえばPCBでも同じようなことが起きているんです。PCBがこれだけになる、年間一一万二千トンになる前に、すでに例のカネミ油症事件であの有害性がわかっていたわけです。その二年前に長崎県でダーク油事件といいまして、あのPCBの入ったダーク油という終わりの油を食べたニワトリが数千羽死んでいるんです。そのときにアクションをとればああいう問題は起きなかった。それはむしろ情報の不足ということと、現在のいわゆる縦割りの機構におけるアクションのおそさ、こういうことが問題になるわけでございます。したがって、そのアクションをいかに、いわゆる柔軟なフィードバック体制をどうとるか、これがむしろシンクタンクそのものの研究アクティビティーの問題ではなくて、日本の持っている非常に必然的な縦割り組織をもう少し柔軟にしていくという問題につながるのじゃないかと思います。
 さて、第二のほうでございますけれども、人材の問題でございます。私は、この総合研究開発機構ができることによって、われわれシンクタンクはいわゆるマイナス面といいますか、それをかぶせられてたがを締められるおそれはないというふうに私は実は申し上げたつもりでございます。ただ問題は、いわゆるコンペティターとしてやるよりは調整作用としての役割りを強く出してくれ、こういうことを言っているわけでございます。おっしゃるように人材の問題でございます。実は人材がないわけでございます。したがって、ないから、いわゆる大規模のシンクタンクをこういう形で人を引っこ抜くというような形でやらざるを得ないということに対して、非常に問題があるわけでございますからそういうことはやめてくれと、むしろ、いまある人材というものがいかに総合的にうまく動くかというような、そういうような役割りにこれがなっていただくと、現在ある人材の最適配分ができる。その最適配分をどうやるかと、こういうことにこのシンクタンクが一つの役割りを示していただければ、現在の人材というものが、ないはないなりに、いまは分散している、それをむしろ生かすということにこれが役割りを持ってくれれば、いままで七しか力がなかったやつが、いわゆるお互いの相乗作用で少なくても九・五まで上げられる、そういうことにこれが役立つという形でやっていただけるのを私はたいへん望むわけでございます。これがどこかから人材を引っぱってくる、これも引っぱった、そしてまた引き抜いて集めるということは私は非常に不賛成でございまして、野にある、言いかえますと、現在あるその位置づけを調整し、最も適当な組み合わせをはかっていくという、そういうまあ引き金みたいな形でこれが役割りを示していただくと私はたいへんいいんじゃないかと、こういうふうに考えております。
#12
○阿具根登君 ありがとうございました。
 渡辺先生にお尋ねいたしますが、いまの問題から考えまして、いまは政府がこういうものをつくっても人材はおらないんだと、そして既存のシンクタンクから人材を引き抜いてもらうのは困ります。こういうことになってまいりますと、逆に言えば、いまあるシンクタンクに政府がもっと出資をしてやって、そこにうんと力をつけさしてやったほうがいいんじゃないか、こういう論も出てくると思うんです。先ほどのアメリカの問題でもそうなんですが、まあバッテル研究所が一番大きいんですが、ゼロックス社から資金が出ておる。ところが、スタンフォード研究所は大体大学でやられておったんですが、ことしの初めから大学とはもう分離すると、こういうことが書かれておりますですね。
 そうすると、結局はやっぱり資金面その他で資金面の豊かなほうに行くのじゃなかろうか。そのほうが研究も豊富にできる。何も自分が金もうけをするとか利益を得るとかじゃなくて、自分に研究のためにそれだけの資金を出してくれるところがいいんじゃないかということになってくる。そうすると、結局はその大学の一つの研究機関であったものでさえも大学から別れて、そしてどこかの資金をいただくようになってくる、こういうふうになるんじゃないかと思いますのと、こういうのができれば、大学の先生方に一番これはごやっかいになるし、お知恵も借りなければいかぬし、やっていかねば私はできないんだと、こう思っておるわけですが、こういう点はどうでしょうか。これは非営利ですからおそらく営利目的でやっておらない、いまの二つの大きなシンクタンクは。非営利でやっておるにもかかわらず、これの財源の出どころが財閥であるということに対して少し矛盾を感ずるんですが、いかがでしょう。
#13
○参考人(渡辺茂君) 確かにおっしゃるとおりでございまして、すでによく御存じのアメリカのシンクタンクの発達も、やはり初めは地域産業育成というようなところから発達してきたようでございまして、財閥が、金持ちが寄付したというようなところで、もう出発点においては必ずしもいい出発点ではなかったように思うのです。それからさらに、アメリカの目的というようなこともあって、軍事目的とかそういうことにシンクタンクは大いに寄与した一時代があったと思います。しかしながら、まあアポロ以降ということで、月よりも地上を見ろというようなことで、アメリカもだいぶん考え直して、地上の福祉政策に対してシンクタンクが最近は非常に力を入れて寄与しつつあるというのが、よく御存じのように現状でございます。
 そういう機会にわが国のシンクタンクを見渡しますと、これまでは株式会社組織とか財団法人とかいろんな形態がございますけれども、いずれにしましても、そこの仕事をしていると御主人がいらっしゃるわけですね、まあ財団法人でも所轄官庁がございますから。で、まあそういうような日本のシンクタンクの現状と、それからアメリカの成り立ちとはまあ違うと言えば非常に違いますけれども、ある意味で、色がついているという意味では非常に似ていると思うんです。
 そこにおいて今後どういうふうにすればいいだろうかと。元来、シンクタンクは国民全体のものであるべきであって、しかもそれを無色透明なものに再編成といいますか、再組織しなければならないというような目的を考えてみますと、各シンクタンクにただ国家から金をやるということよりも、ある意味においては、先ほど申し述べましたシンクポイントを集めて、全体として無色透明にするというような行き方のほうがよろしいんではないかというような気がいたしまして、それでまあこの法案を支持させていただきたいというような気がいたすような次第でございます。ほんとうにこう無色透明だということになりますと、腰の重い大学人もいろいろお手伝いするというような気がまただんだん出てくる方もおられまして、それぞれの専門としては非常にりっぱであるけれども、より重要な社会の一つの仕事に寄与するということがなかった大学のまあ縦社会の学者ども、私もその一人でございますけれども、もう大いにお手伝いさしていただきたいというような気になるんではないか。そういうような意味において、ある意味においては人材の確保ということが行なわれるんじゃないかというように考えております。
#14
○阿具根登君 これでやめます。
 このシンクタンクは、これもあとで政府に質問するんですが、大体自民党側からは、政府出資百億、それから民間出資百億、二百億、その他寄付金その他で大体三百億円ぐらいの計画はあったんです。それがどういう経過で六十億ぐらいになったかわかりませんけれども、これだけの大きな計画だったら、一つの大学みたいなのが、完全なやつができるんじゃなかろうかと、それなら非常にこれはまた一つの見方だと思う。これは中途はんぱになってしまうと、もうちょっと――まあこれはこれ一ぺんぎりじゃないんでしょうから、まだ大きくはなるでしょうけれども、何か中途はんぱで、家はつくったけれども住む人は非常に少ないと。民間のほうとかその他大学でもどんどん進んでいるけれども、家だけはりっぱな家に行ったけれども、ちっとも仕事はならぬじゃないかというような、逆にいまできておるシンクタンクから見れば、何だ、政府は金を三十億も出してあそこは何をしているんだ、一切おれのところのやつをみんな習いにくるだけじゃないか、こういうお粗末なものになりやせぬかと、こう思うわけなんですが、いかがでしょうか。自民党から、百億の百億、二百億と、寄付金その他で大体三百億ぐらいの案が出ておったと私は見ておりますが。
#15
○参考人(渡辺茂君) 大学におりますと金にうとくてよくわからないんですけれども、確かに多ければ多いほどいいという気はいたしますが、そういうぜいたくなことも申しておられないという気がいたします。まあここに基金三十億とか五十億とかというようなことがございましたら、現在政府から年々出されているいわゆるシンクタンク予算を上回るものであろうというふうに拝察しているような次第でございますけれども、そういうことであれば一歩前進ではなかろうかということで、ぜひお願いしたいというふうに考えているような次第でございますけれども。
#16
○藤田進君 両先生にお伺いしてみたいのですが、内容がまだ詳しく私ども政府の考えを伺っておりませんので、参考人のお二人から特にお伺いいたしたい点を指摘してみたいと思います。
 この種研究機関というものは、今日かなり数はあるように思うんです。中央、地方を通じ、あるいは公的、あるいはまた大学その他におけるもの。ところがわが国の場合、いまも触れられておりましたが、いわゆる知能、頭脳の輸出といいますかね、結局役に立つ者は諸外国へのある程度のあこがれもありましょうし、それからかなり労働条件もいいしといったようなことで、一たび参りますと帰ってこないです。私のところにも十年籍は置きながらどうしても帰ってこないというようなことが現状ですね。きのう解禁になっていますが、今年の入社試験なんか見ましても、外国に行けるなというのはかなり魅力で応募者もふえている。それやこれやで、したがって、ロイアルティーを相当払っているという逆輸入という現象が出ている。それから、国内研究機関を私もかなり調べておりますが、どうもほんとうの成果があがっていない面がかなりあります。人的な面からですね。名前は言いませんが、ある機関なんかは学位をとればもう出ちゃうですね。学位をとるためにそこへ入っちゃう。そしてまあ大学へ行ったり、これは役所のものもあります。私がめんどうをみた者も私に内緒でもうほかへ出たりね。
 それから、剱木さんが文部大臣のときに問題になった、これは人的ともう一つは資金的な問題ですけれども、どうも研究室、実験室に閉じこもってこつこつやるというのは、やはり学者もいまどききらうです。ですからどうしても外に出ようとするし、外界との連係を持つようになってきましてね。たとえば大学の場合に、どこの大学とは申し上げませんが、あるいはアメリカの生物化学の委託研究、あるいは若戸大橋の委託研究、それぞれ膨大な委託研究費をもらいますが、これはその研究者のトップ、キャップが受け入れて、そして弟子たちに適当に分けて研究が進められていくということで、当時、やはり国立の大学の場合は国の予算に入れて、必要なものは支出すべきだということでございましたが、それほどいま改善されておるとは思いません。ある意味では、極端な例では脱税機関に研究所がなっている。研究所の領収書でいや旅費だ、あるいは消耗品だ、機材だという形で支出したことになっている、かなりこういう面が多い。したがって、本研究機関ができたとしても、第一は人的な面、特に、いまのような外国へあるいは国内へ分散する一つの人材養成のみにとどまる可能性、しかし、これが極端にまいりますと、人材の養成自身が危うくなるでしょう。それから第二は、先ほど触れたそういったいわゆる個人研究の。ハートになってしまう。これをどうして防いでいけるかという危惧を私は持っておりますが、いかがなものでしょう。
#17
○参考人(牧野昇君) いま貴重な御意見がございましたのですけれども、二、三お答えいたしたいと思います。
 シンクタンクというのは、私も東京大学に十数年間実は籍がございます。講義をしていたことがございますので、両方の違いをよく知っているつもりでございますけれども、大学のほうは、どちらかというと一つのまだ知識の少ない人を上げていく、いわゆる育成ですね。ところが、シンクタンクの場合には活用、そのできたものを活用していくと、こういうような形ととったらよろしいのじゃないかと思います。
 それで、人材が動くという点でございますけれども、私は人材が動いたほうがいいという意見なんでございます。言いかえますと、日本からアメリカに行っている方は確かにあるわけでございます。私の仲間もいますけれども、しかし、イギリスからアメリカに行っているそういう人たちに比べると十分の一しかないんだと、だから彼らがどんどん他流試合していって向こうでがんばっていただいてもけっこうですし、あるいはそのうちの何人かはたいがい帰ってまいりますけれども、そういう形でこそ初めて私はなるんじゃないか。国内の中でも、日本の社会というのは縦割りでございますから横に動かないわけですね。実はもう少しモビリティーを上げないと、いわゆるこういう総合的な研究の一つのメカニズムというのはうまく作動しないんだと、これはランドとかバッテルがはっきり、シンクタンクにいる人間というのはこういう条件だということを言っているわけです。
 それはどういう条件かといいますと、まずドクターをとったくらいの研究で一つの仕事をした人間であること、二番目に、官庁ないしそれに相応するところに数年間いて、いわゆる官庁、公共団体のメカニズムに長い間、数年いてもらうこと、三番目に、民間企業にやはり数年間いること、こういう経験、この三つの条件を一つのいわゆるシンクタンクのリーダーの条件としてあげているわけです。そういう意味では、私はやはり横に動くということが非常に必要なんじゃないかと、こういうふうに思っているわけでございます。
 二番目でございますけれども、いわゆる一つのシンクタンクにいてドクターをとる、そしてそのドクターというもので終わったらよそへ行くんじゃなかろうかという形でございますけれども、シンクタンクとそれから大学でのドクターとの違いというのは、シンクタンクというのは、一年とか半年とかいうような一つの期限のついた、いわゆるその情報をつくり出すということが最大の命令でございまして、一つの仕事を数年間、ドクターをとるために数年間必要ですから、自分の好きな形でやれるということはできないわけでございますね。これはつまり、シンクタンクというものは一つの与えられた情報にみんなが集まってやる。おれ一人がやるというような。パターンじゃない。音楽でいうと交響楽団タイプでございまして、いわゆるピアノの独奏を自分でひくというタイプでございませんから、みんなの仕事になるというのがシンクタンクでございます。そういう形では私、もちろん例外はございますけれども、シンクタンクの中で自分でドクターをとるだけの仕事をして、そして終わったら行くという形はあまり見られない形ではなかろうかと、こういうふうに考えているわけでございます。
#18
○参考人(渡辺茂君) 確かにおっしゃるような点は全然もう心配ないかというと、あるんじゃないかという気はいたしますけれども、今後の努力によっていろいろそれはいいほうに変えられるんではないかと思うような次第でございます。実はそう申しますのも、いま牧野さんがおっしゃったことと大体似たようなことになるかもしれませんが、学位というものの性格が、これはもう一つの専門分野の中に閉じこもって、そして社会と隔絶して、とにかくその学問的な知的なレベルをひとつ向上すればいいんだということだけで学位というのはとられるわけです。ですから、その大部分の人はそれだけに満足しないでほかに職を求めるということになりまして、それでアメリカとか外国とかというふうにいわゆる頭脳流出、ブレーンドレインということが起こるんではないかと思いますけれども、まあ別に言って、いい朗報というようなこともございまして、日本でこういうシンクタンクが非常にでき始めましたので、アメリカに行った日本人がまた日本へ帰ってきているというような現象もあるんではないか。そういうことを二、三存じておりますが、たしか三菱総研の方にも、アメリカに七、八年いて、今回日本に帰ってきて三菱総研に就職して、わが国のシンクタンク発展のために大いに寄与しようとして現在がんばっておられる方を、名前はあげませんが現によく存じております。そういうような意味において、わが国にシンクタンクができたということは、おっしゃるような欠点は十分考えなければならないと思いますけれども、プラスの面も出てきているんではないかというふうに存ずるような次第でございます。
 それから、そういうシンクタンクを個人研究の場にするのじゃないかということ、まさにそういう話を私も全然聞いていないことはないのでございまして、それはむしろシンクタンクといいますよりも、大学とか研究所の外郭団体というような少し正体がはっきりしない外郭団体がありまして、その外郭団体にいろいろな資金を導入することによって学者が潤うというような話を、間々私も仄聞しているような次第でございます。これも学問というもの、いまの学位の問題と同じでございまして、知的な要求というものと社会的なニーズというものが一致していないというところに起こる矛盾ではないかというふうに私はかねがね考えているような次第でございまして、むしろ現在のような意味におけるシンクタンク、つまり、国民全体のために奉仕するシンクタンクというものができますと、そういう目的意識のもとに仕事を評価されますから、その個人プレーとかそういう陰湿なことというものは影をひそめるのじゃないかというように私自身は期待しておるような次第でございます。
#19
○藤田進君 牧野さんの場合、比較的陽性といいますか、ソフトウエアという非常な大きなウエートに持てば、それは私もそう心配いたしませんが、この目的等から見ますと、必ずしもそうではない。渡辺先生の言われたように、ハード部分も相当期待されておるわけですね。そこで、これから運営ということが大切でしょうけれども、私どもの経験では、研究マンというのはやはりここにあるような、会長があったり理事長があったりして専従が三人ですか、理事がですね。それから非専従二名以内、そういったようなものの統制というものはおよそきかないというか、やはり学問、研究の自由という思想が非常に強いのです。したがって、ここにあるような情報の提供や収集とか、そういうもの程度でしたらあれですけれども、社会科学、自然科学全般にわたっての研究成果を国民に与えていこうとするならば、今後の運営という面から見て、設備はしたもののどれほどの成果があがるだろうかということはかなり心配しております。
 それは三菱とかいわゆる財閥系の資本、今日、非常な独占段階にもう到達しているぐらいなわが国の企業でございますから、アメリカから帰ってきても、すぐに復職するかもわかりませんけれども、大体医学なりすべての社会科学等を見まして非常に異動が激しいです。大学自体が、もう助手でいれば講師でとるし、講師でいればもうすぐ助教授でとる。国立大学でもいまなかなかスカウトしていけませんね。すぐ助教授は教授でとるからというような形で……。その逆もありますよ、むろん。そういういわば即物的な、いま学者といえども研究労働者であるという観念が強いですし、したがって、かなりの条件がこのシンクタンクに、研究並びにいわゆる労働条件すべてがですね、よほどのものが与えられない限り、やはり単なるソフトウエアに終わってしまうのじゃないか。これをどうするかということについて政府はどう考えているか、まだ聞いておりませんけれども、それらしきりっぱな先生方が主任としてその部門片々で専従してくださるような状態になるのだろうかどうだろうかという心配がございます。何か具体的に、いや、これはこうなんだということがあればお教えをいただきたいですね。
#20
○参考人(牧野昇君) たいへん鋭い御指摘でございます。おっしゃるとおり、いろいろな点から私も懸念している点でございます。二つばかりお答えを申し上げたいと思います。
 一つは、ハードな部門をかなり大きくこれにウエートを置くかということについては、やや問題があるんではなかろうかと私は思っているわけでございます。私は、実はついこの間、政府の研究機関、ハードな研究機関ですね、電気もございますし、機械もございますし、材料もございます。それの方々の研究所長さんだけが集まった会合に出て、私、ちょっと一つのプロジェクトの司会を皆さんからさしていただいて、約一日実はおつき合いしたわけでございます。私、そのとき驚いたのは、政府が持っているハードな研究機関というものがいかに多いかということですね。それにもう一つどんな形かは別としてハードなものをまたつけ加えるということは、実は資金の効率的な運営からいってややむだがあるんじゃなかろうか。あらゆるものが現在、もはや政府の研究機関としてあるんだと。したがって、この場合にはどちらかというと電気と機械、あるいは資源と経済というところのものを橋渡しするようなメカニズム、あるいは一つの総合的な機関というふうなそういう研究活動の機関と、第一条に書いてございますように「総合的な研究開発」と、ここの第一番目にうたってあります「実施及び助成、」、こういうことが基本的にあったほうがよろしいんじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。そういう意味で、実はこの持っているハードサイエンス的な方向づけというような形ではない運営というものが、もちろんハードもある程度あるかもしれませんけれども、メインの運営になるんじゃなかろうか、こういう感じがするわけでございます。
 それから人材の点でございますけれども、おっしゃるように、即物的というおことばをいただきましたが、いわゆる待遇によってかなり動いていく。これはもう人間ですから、労働者ですから同じだと思います。そういう意味では、やはりこういう貴重な人材であるだけに相当待遇面で――これは私も自分が研究者だから言うわけじゃございませんけれども、どちらかというと、研究する人というのは待遇面でやや低いんじゃないかということでございます。これは国によって、たとえばソビエトみたいなところは、私もこの間行ってまいったんですけれども、圧倒的に研究者というのは高いんですね。バレリーナと研究者が高いんでございまして、工場長なんというのは非常に低い。ああいうような国もございますし、日本ではどちらかというと、工場長はたいがい大金をもらって研究者は貧困だと、こういう形でございますので、そういう意味では、やはり研究者というものがこの総合研究開発機構を含めてもう少し報われてもいいんじゃないかということは、私も常日ごろ考えておる次第でございまして、そういう点で諸先生方のまたひとつプッシュをお願いできたらと、こう思ったわけでございます。
 以上でございます。
#21
○参考人(渡辺茂君) 先ほどハードのことも申し上げましたが、いま牧野さんがおっしゃいましたと同じで、ハードとソフトの接点もこの機構の中で十分お考えいただきたいという意味を申し上げましたので、基金三十億円というようなスケールから考えまして、ハードがここに入り込むのは少し無理ではないかというふうに私も考えておりすす。ただ、ソフトだけでソフト倒れになってしまうのはもったいないというような気がいたしましたので、ハードとソフトの接点も、つまり、ソフトからハードへ受け渡すというような仕事もここでおやりいただければというような趣旨で申し上げたような次第でございます。
 それからもう一つ、人材の件でございますけれども、確かにおっしゃるとおりでございますが、これは御存じのこととは思いますけれども、アメリカにおいてNASAが一九六〇年の前後に発足するにあたって、急に前人未踏の人工衛星というような事業を始めるにあたって、組織化する上で一番困った点が、やはり人材がいないということであったと聞いております。特に、その研究を全部統合して非常に公正に運営していくような人材がいないということにまず最初に気づきまして、それで、そのために人材養成計画、人材養成のプログラムというものをつくりまして、GREMEXといっておりますけれども、GREMEXのGはゴダードのGで、ゴダード・リサーチ・エンジニアリング・マネージメト・エクササイズの頭文字を取ってGREMEXという人材養成プログラムをつくって、その。プログラムのもとに早急にそういう人をつくっていったということでございます。この機構においても、研修とか人材養成について意欲的な法案であると存じますので、たとえばそういうような養成計画をおつくりになるのも一つの考え方ではないかというように思っております。
#22
○峯山昭範君 それでは、参考人に二、三質問いたします。
 この法案はきょうから審議が始まるわけでございますが、政府のほうに直接質問をまだいたしておりませんので明らかになっていない点がずいぶんありますけれども、衆議院のほうでずいぶん議論をいたしておりまして、大体問題点はもうすでに出ておりますように、やっぱり人の問題、それから中立性の問題、それから資金の問題等が大体中心だろうと思うんです。
 そこで私は、初めに牧野参考人にお伺いしたいんですが、この今回の法律の中でも、特に第一条で「自主的な立場」ということがうたわれておりますし、それから第二十五条でも「国は、機構の事業に関しその自立性を尊重するとともに、」というふうなことがうたわれております。先ほど話がございましたように、独立性、自主性、これは非常に重要な問題なわけです。そこで、実際問題として、日本の代表的なシンクタンクを経営していらっしゃる牧野さんが、実際に自分のところでやるにあたって、この独立性とか自主性とか、あるいは中立性というような問題に対してどういうぐあいに悩み、あるいはどういうような考え方でその問題に取り組んでいらっしゃるかということがまず第一点です。
 それから第二点の問題としまして、研究員の問題があるわけでありますが、人がいないという話がずいぶんいま出てまいりましたけれども、今回できるこの総合研究開発機構としては、先ほどちょっと総合調整機関としての機能を果たしてもらいたいという話がございました。ということは、要するに、現在のシンクタンクに対する応援ですね、そちらのほうへ力を注いでもらいたい。そうでないと、やっぱりいまあるシンクタンク自体がいろんな恐慌をこうむるというふうなことになってくるのではないか、そこらの問題については、非常にこれは重要な問題でありますし、それだけでは済まないということも出てくると思うんです。その点が第二番目です。
 第三番目として、これは関連があるんですけれども、研究所のいわゆる実態として、この総合調整機能というのも大事でありますけれども、今回の総合研究開発機構自体も、要するに、このシンクタンクの研究員を常時確保しておいたほうがいいか、あるいはプロジェクトを組むにあたって人材を集めたほうがいいかという問題があるわけですね。これは私たちこれから議論しなくちゃいけない問題ですけれども、そのプロジェクトの問題ごとに人を集めて、そうして研究開発をやっていくという考え方もあるわけです。しかし、実際問題、こういうふうな法案ができてこれから運用していく場合に、非常に重要な問題だと思いますし、この点についてはどういうぐあいにお考えか、これは三番目としてお伺いしたいと思います。
 それから四番目に、実際問題、シンクタンクを運営していらっしゃって、たとえばテーマの決定――小さい、こまかい問題を申し上げて申しわけないですが  実際、牧野さんのところの研究所でテーマを決定する場合にはそう問題にはならないと私は思うんですね。ところが、実際問題、今回の法律でできたこの研究開発機構がテーマを決定するということは、非常に重要な問題になってくるわけです。その場合に、実際問題として皆さんは、これはどういうぐあいにして運用していらっしゃるか、そのテーマを決定する際にいろんな問題は起きてこないか、そういうふうな点について、まず初めに牧野参考人にお伺いしたいと思います。
#23
○参考人(牧野昇君) 四つの点でございますので、順次お答えいたしたいと思います。
 第一の、私自身の研究所における自主性の問題でございます。実は、三菱という名前がついておりますので、何か三菱という一つのかさの中で自主性が失われているのではなかろうかという御懸念もあると思います。これは創立のときに、実は三菱グループのための仕事とともに広く社会的に貢献する、こういうことがあったわけでございまして、最初にバッテルの基金でできたという、そのスタートは外国のシンクタンクに似ておりますけれども、運営においては自主的な運営をしているというふうに考えているわけでございます。したがって、仕事の内容もコンピューターの計算を除きますと、いわゆるシンクタンク的な研究開発でいきますと、政府の仕事が二割、三菱系が四割で、三菱系以外がやや多くてやはり四割、こういう形でございまして、三菱に密着した形では運営していない。
 またそこにいる人間も、たとえば三菱だから保守的だということもないわけでございまして、私なんかも実はどちらかというと、投票のときには決して保守的なところに出すということではないということもございます。これはあくまでも、そこの人間というのはそれぞれ自主的な形でレポートを出す、またそれがないと実は情報価値が相手にとって認められないということがあるわけでございまして、われわれよくそういう点を、おたくの意思とは違いますよということを言っておりますし、また、たまたまそういうためにわれわれとはずいぶん違った結果だと、しかし、これは非常にそういう意味でありがたいんだということばもいただいております。そういう自主的という点では私たちも私たちなりに自主性というものを持っている、こう思っております。まあ当然こういう機構になりますと、そういう点では自主的な、インディペンデントな性格というのはかなり強く発揮できるんじゃないか、こういうふうに考えております。
 さて、二番目でございますけれども、人材でございます。人材というものは、私の意見ではこれは現在人材が数としては限られております。したがって、十年先にかなり人材がふえた状態は別といたしまして、現在この少ない人材を一つのところに、たとえば研究開発機構が人材を確保するという形でこれを入れますと必ず問題が起きます。少ないのをただ移すだけですから。そういう意味では私は、この組織というのは現在ある人間をうまく利用して研究成果を活用し、最適化していくというような、そういう動きというもので始められたほうがよろしいんじゃないか、それは私は決して自分の、あるいは自分の研究じゃなくて国家的な立場で言うと、資源の最も最適な使い方がそういう形であります。こういうことを言っているわけでございます。
 それから研究員の確保、そしてそれの体制、仕事の進め方でございます。これはお話ございましたように、このところがある程度の研究者というのは必要だ、ただ、研究者というものにいろんなタイプがあるわけでございます。先ほど渡辺さんも話したように、個々の研究を統括する、いわゆる広い意味でのゼネラルな立場の人というのは非常に少ないわけでございます。それが全部を統括するのに非常に苦労している、これが現在の日大における一番大きな問題だと私は思うんです。おそらくこの研究開発総合機構における研究者というのはそういう統括的な橋をかける、そういう見識を持った、あるいは知識内容を持った、そういう研究者がある程度ここにいるということは当然必要だと思います。そういう意味では研究員というものがこの中にある程度確保されるということについては私は賛成でございますけれども、その人たちというのはそういうタイプでございまして、あるところに非常に詳しいというタイプではむしろ逆の成果というものが出てくる可能性がある、こういうふうに思っておるわけでございます。したがって、お話ございましたように、いわゆる人間を一つ置きまして、そしていろんなところから応援をいただいて、そしてプロジェクトチームでやって終わったら完済ですよ、こういうようなやり方は当然とられてしかるべきじゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。そういう点では先生の御意見と全く同じでございます。
 さて、最後にテーマの決定でございます。テーマの決定は、これはシンクタンクの条件として、特にこのシンクタンクはポリシーオリエンテッドであるべきだと私は考えております。言いかえますと、いわゆる民間に比べて非常に狭義であるけれども非常に大きい、しかも国の政策に何らかの関係を持つような非常に大きな政策の一つの決定に役立つような情報をわれわれが分析、解析していく、こういうふうに機構の人たちは考えている、おそらくそういうふうな役割りだというふうに考えているんじゃなかろうかと思うわけでございます。そういう意味では、研究テーマの決定というのは私は議会から出てもいいし、政府から出てもいいし、いろんな形である、しかし、それが国家大局の政策に役に立つようなテーマという形で、その種というものは実はいろんな方面から出てくる、それをこの理事会なり運営委員会が選んでいく、こんなような形がよろしいんじゃなかろうか、こういうふうに思っているわけでございます。
 以上であります。
#24
○峯山昭範君 それでは渡辺参考人にちょっとお伺いいたします。多少ダブる点もございますけれども新たに申し上げたいと思います。
 まず第一点は、先生が先ほど七項目をおっしゃいました五番目に、無色中立という話がございました。これは非常に私は重要な問題だと思いますし、先生のおっしゃった、思想的あるいは官公庁のワクをはずれたあるいは学問的に公正である、これも非常に重要な問題だと思うのです。実際問題、今回のこの研究開発機構の法律をよく読んでみますと、そういう点、ちょっと先生がおっしゃる無色中立という意味とは多少やっぱりひっかかりがあるところが出てくるのではないか。法律の中でもずいぶんいろいろ出てまいります。総理大臣の認可を受けなくちゃいけないとか、たとえば協議の事項、三十九条なんかでは相当ひっかかりが出てまいります。それから三十九条の二項では、関係行政機関の長に協議しなければならないということで、これはたとえば先ほどのテーマの問題とひっかかるわけでありますが、これは衆議院における議論の中でも、要するにテーマ等を決定する場合に、各省庁の役人が出てきて協議をするというふうなことになっているわけですね。そうなってくると、やっぱり各省庁の利害にかかわりが出てきて、いろいろの問題が出てくるのではないかということを非常に心配をするわけです。まずその点が第一点です。
 それからもう一点は、先ほどありました同じく中立あるいは独立性の問題と資金との関係ですね、これをどうお考えか、この点もお願いしたいと思います。
 それから三番目に、先ほど中立の問題とからんでテーマの問題を申し上げましたが、テーマの決定ということは、たとえば牧野さんのところでは、われわれから見ればやっぱり色がついているように見えるわけですよ。この点については牧野さんにもお伺いしたいのですけれども、要するに、自分のところでは独立してちゃんと独自でそれこそ中立でやらないといけないということは、これは当然わかるわけですけれども、われわれから見ればやっぱり色がついているということは、そう見えるわけですね。それに対する克服ということはどういうようにやっていらっしゃるかという意味で、あとでその点もお伺いしたいと思います。
 それから、先ほどの研究員の問題の中で、渡辺先生にお伺いしたいのですが、特に最近はプロジェクトチームを組む場合に、研究者がいろいろな意味で集まってくるけれども、プロジェクトチームのリーダーですね、そのリーダーがなかなか集まらないという話もあるわけですけれども、こういう点については現状は一体どうなっているのか、ここら辺のところもちょっとお伺いしておきたいと思います。
 それから、先生が先ほどおっしゃった中で、私は特にシンクタンクのイメージの中で、七つの中の第一、第二、先生おっしゃったですね。これは非常に国民全体にかかわるべきもの、これは非常に重要な問題だと思いますし、その次にありました緊急であり、かつ実際的であるもの、あるいは具体的なもの。われわれのイメージの中にシンクタンクといいますと、非常にわれわれの考え方がおかしいのかもわかりませんが、こういうようなイメージはなかったわけです。どうも未来指向のものとか、われわれの生活とかけ離れただいぶ先のことを究究するようなという考え方があったわけです。しかしながら、先生のおっしゃった第一、第二のことを聞いて、われわれこういう点から言いますと、確かにこういう点は現在の社会情勢から考えても、非常に重要な問題であろうと思うのです。そういう点も考え合わせて、特に第一、第二の点についてもう少し具体的に教えていただければと思います。
#25
○参考人(渡辺茂君) 一つずつお答えいたしますが、まず無色中立ということは、これはシンクタンク、特にこの機構の基本的条件であろうと私は思っているわけでございますけれども、じゃ、そういうものをつくるときにどうすればいいかということを具体的に考えていくということになりますと、やはりなかなかむずかしいことであろうということを思いまして、私、工学部のほうでございますから、法律とかそういうことにはうといのでございますけれども、やっぱりできるだけ無色透明であるように努力されているかどうかということが最も大初なことではないかと思います。で、元来、無色というものはないんで、いろんな色があって、それを合わせることによって無色にするというのが具体的、実際的な方法ではなかろうかということを考えてみますと、やはり一省だけの意思決定で一つのことが行なわれるというのは、確かに無色透明ではございませんけれども、各省庁が集まってそこで合議の上、まあここにはいろんないい意味、悪い意味のワク、なわ張りというようなことがありましょうけれども、そこでしぼり出された一つの方針というのは、やはりこういう立場においては無色透明に近いものであると考えてよろしいのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
 それから次に、資金でございますけれども、国から三十億、それから民間からも集めるというように承っておりますけれども、これもそれぞれに対しては無色というものは決してあり得ない。だけれども、適正な合体による資金の集め方をしていただくならば、一度集めて、そしてそれはあと資金に比例したような研究のしかたをするんではなくて、国民全体のために奉仕するための研究基金であるというふうに考えていただくならば、これも現実問題としては無色透明に近いものになるのではなかろうか。ほかに方法はないのでそうせざるを得ないんではなかろうかというふうに考えております。
 次に、テーマの選定でございますけれども、そのテーマを決定する場合に、確かにいろいろむずかしい問題がございまして、他の機関から与えられた研究テーマと、それから自分自身で自主的に考え出した研究テーマと両方あると思うのでございますが、他から与えられた研究テーマでも、自分がやりたくないのに押えつけられてやるというのは決して自主的なものではない。やりたくないもの、あるいは非常に意に介さないものは、これはき然としてリジェクトすべきであろうというふうに考えますけれども、かねがね自分の研究分野であって、その与えられたテーマの一環をやると役に立つかもわからないというときには、自主性をそこなわないでそのテーマに参加できるのではないかというふうに考えております。
 それからもう一つは、自主的なテーマは、これはほかの方に、ほかへいって研究費を出してくれと言ってもなかなか出してもらえない場合が多いので、研究費が非常に少ないかもしれないけれども、各シンクタンクの中で乏しい金を用いて研究して、ある程度育てばこういう機構のところへ持ち込んで、ぜひ採用していただくというふうにやっていけばよろしいのではないかというふうに考えるような次第でございます。
 それから次に、研究員でございますけれども、先ほど牧野さんもおっしゃったように、プロジェクトを組んで、いわゆるタスクフォース的に、その仕事ができたら解散するというようなやり方が非常にこういう研究のためにはいいと思いますけれども、一方において、日本の国の風土といいますか、年功序列の非常に抜きがたい社会慣習というものもございまして、それとどうマッチさせるかということが非常に大きな問題であろうかと思いますけれども、研究ということを主体に考えてみると、やはりプロジェクト制ということを採用せざるを得ないので、そういうことをいかに他の勤務状態と矛盾しないように進めていくべきかということは、今後十分考えられなければなりませんし、当事者の方もあたたかい目をもって見守っていただきたいというふうに考えております。で、そういうふうにあたたかく見守っていただくということによって有能な人が育ち、まありっぱなリーダーも出ていくんだろうと思います。
 じゃ、現在そういうリーダーはほとんどいないかといいますと、これは全然いないことはないのじゃないかというふうに考えております。現に、小規模といえど多くのシンクタンクもございまして、それぞれの長たる者は、乏しいながらその予算をひっさげまして御活躍になっていらっしゃいますし、それぞれその道では評価されていらっしゃる方も多うございますので、そういう方をうまく御活用なさいましたら、いいあり方が出てくるのではないかというふうに考えております。
 それから最後の、シンクタンクの元来の仕事は、私は先ほど申し上げましたように、国民全体にかかわる仕事であることと、それから緊急かつ実際的な問題をやるべきであるというふうに考えておりまして、これは私がこれまでやってきましたのは、三年ばかり前に資源循環の問題をある省から委託を受けましてやりましたが、それは廃棄物とかという問題にもつながってまいりまして、そういう問題をこそやるべきであろうというふうに考えておりました。それから昨年は、この政策科学研究所のほうで老人問題を取り上げまして、いろいろ勉強させていただいてレポートを出しましたけれども、一年前われわれがそれを取り上げようとしましたときには、現在ほど老人問題は強く叫ばれておりませんで、研究所のほうでも、いろいろ政策研究所でそういうことをやる必要はないのじゃないかという声もあったのですけれども、強く要望しましたので、まあ自画自賛でございますけれども、いま喜ばれている研究の一つではないかというふうに考えているような次第でございます。
 まあそういうことをはじめとしまして、最近ではわが国のエネルギー問題、資源問題、あるいは物価の問題というような緊急な問題が出てまいっておりますけれども、これはやはりシンクタンクにおいてその方向を少しでも、一刻でも早く出していくということが緊急なものであろうと。まあエネルギー問題にいたしましても食糧問題にしましても、多くの指摘はされていますけれども、さてそれをどう解決すればいいかという提案が新聞その他でもわりに少ないのではないかと、まあ口幅ったいようでございますけれども、思っているような次第でございます。そういうものを具体的に案として出すということが今日ほど望まれることはございませんで、そういうことこそシンクタンクの一つの仕事ではなかろうかというふうに考えているような次第でございます。
#26
○参考人(牧野昇君) それじゃ一言だけ。
 私のほうに御質問がございましたのは、色がついているかということでございます。それについてどういう克服の努力をしているかということでございました。色というのが実は非常に微妙な日本語でございまして、非常に特色のある一つの進め方をしているという点では、確かにいろいろな意味で特色がないとまずいわけでございますけれども、おそらく色というのは、意識的な思想的な立場あるいは利益の立場から事実を無理に曲げていくというふうな、そういう傾向があるかどうかというふうにとってよろしいのではないだろうかと思うのです。そういう点では、基本的にいうとやはりそれをマネージする人間の中正さということになってしまう。組織でありますから、結局それをマネージする人間の一つの本質的なものが一番問題になるわけでございます。
 しかし、具体的にいいますと、どういう形をとるかというと、まずはっきりしていることは、結局出されたデータに対して、あるいは出された案に対して事実が回答してくれるわけですね。一つの予測をする、しかしそれに違っていたとなると、わざとこれがこうでございますと言っても、事実がこれを違うというふうに答えてくれるわけであります。そういう意味では、意識的に歪曲するということは実際にできない。できたとすれば、これはうちの評価というものが下がってきて、うちの存立そのものがあぶなくなる。ですから、事実があくまでもこれは証明してくれるんだというふうに私たちはいつも部下に言っているつもりでございます。
 それから二番目に、シンクタンクの一つのいわゆる回答の出し方というのは、いつもオールターナティブですね。一つの案ではなくて、この案だとこうなりますけれども、この案ではこうなりますと、これは、シンクタンクの最も代表的な方法論であるところのシステムズアナリシスというのは必ずオールターナティブの比較になるわけでございます。そういう意味で、ただ一つのこれでございますという案ではなくて、メリット、デメリット、あるいは他の案というものをいつもお出しするように心がけている、具体的に言うとこんなような動きをしているわけでございます。
#27
○峯山昭範君 最後に一つだけお伺いして終わります。
 両参考人にお伺いしたいんですけれども、これは私のあれかもしれませんが、要するに、この開発機構が発足をいたしまして実際に機能を開始したときの話でございますけれども、この第一条の目的の中にも、「総合的な研究開発に関する情報の収集、整理及び提供」とあるわけですね。特にこの中の提供ということで私はちょっとお伺いしておきたいのでありますが、先ほどから質問の中でずっと出てまいりましたように、プロジェクトチームを編成する、そうしますと、たとえばたとえばの話ですが、これは牧野さんのところの研究員が一人出てくる、まあいろいろなところから集まって一つのプロジェクトチームができる、その成果をどういうぐあいにして活用されるかという問題が出てくるわけですね。これは、非常に私は重要な問題であると思うんですが、その成果については、当然これは総合研究開発機構のものとしてちゃんとした成果として出てくるわけですね。ところが実際問題、それを提供する段階になりますと、その研究の成果そのものは、これは研究開発機構のものであったにしても、そのプロジェクトチームが解散いたしますと、その研究員は、たとえば一つの出向をしていたわけですから、そこへ帰るわけですね。そうすると頭脳が帰るわけですから、そこでは、たとえば研究開発機構ではどういうことをやってどういうような成果が出たということはもう筒抜けでわかるわけですね。といたしますと、先ほどから問題になっております中立あるいは独立、そういうふうな点から考えてみましても、やはりその中立性あるいはそういうような独立性というのが失われるんじゃないか、ある特定の企業と結びついて、いわゆる特残な研究開発が行なわれるんじゃないかということが懸念されるわけですね。ここら辺のところは両参考人はどうお考えでしょうか、この点をお伺いして私の質問を終わっておきたいと思います。
#28
○参考人(牧野昇君) たいへんいい質問でございまして、実はその点が非常に問題なんです。結局この研究開発機構の場合には、研究成果がすべて公開ということがございますので、研究員が持ち帰って、それでその中ですげえなあと、この成果は全部国民の前に公開されるということがうたってありますので、この点についてはむしろいろんな研究者のレベルを上げたという、そういう人材養成というもう一つの業務の内容からいって非常にいいんじゃないかと思います。ただ、本質的なシンクタンクといいますか、いわゆるある企業が特定な一つのストラテジーを立てると、それについてはこれはプロジェクトチームを解散してしまうということはできないわけですね。ですから、それはやはりかなりの人間を備えたシンクタンクが、その中の人間で特に一つのグループをつくってそしてやる。そしてそれについての情報については十分な保管をしていくということを当然しなきゃまずいと、これは自動車会社が自動車の設計をするのと同じでございますね。そういう意味では、やや民間の独立的なシンクタンクとそれからこういう研究開発総合機構とはかなり性格的に違うんじゃないかと思います。ただ私、ここに盛られている内容は、公開ということを非常にはっきりうたっておりますので、プロジェクトチームが集まっていくと、こういう点ではあまり問題はなかろうかと、こういうふうに思っております。
#29
○参考人(渡辺茂君) 確かに公開という原則がございますので、その点はいいかと思いますけれども、それにしてもやはり特定の苦労をした成果を各シンクタンクに持ち帰るという点は、若干しこりとして残るのじゃないかと思います。これはやはり世界的にもいろいろ問題がありまして、そういう短期契約の人を解雇したときに、社の秘密をどこまで持って帰らすとか、あるいはあとの黙秘義務があるかというようなことはいろいろ伺っておりますけれども、そのときは書類は一切持ち出さない。だけれども、それによって得られたノーハウというのは、やはりその人の能力が向上したものとしてやむを得ないというようなことになっているように伺っております。しかし、この場合は公開が原則でございますから、書類も当然持ち帰るというようなことが起こるのじゃないかと思いますけれども、それはそれなりにやむを得ないことであろうというように考えております。
#30
○須藤五郎君 お二方にお尋ねしますが、先ほどから政治的、学問的に無色中立ということばが盛んに論じられておりますが、はたして政治的、学問的に無色中立ということがあり得るのかどうかという点をお二方に一応伺っておきたいと思います。
#31
○参考人(牧野昇君) これは見方によっていろいろあると思います。完全に無色中立というのは、それぞれの人間の個性というものがあります。あるいはその人の持って生まれた履歴なり、あるいはそれが育ったときの風土というのがございますから、完全に無色中立ということはおそらくあり得ないかもしれません。むしろ無色中立であるという努力をしなければいかぬということはあると思います。しかし、その人、その人をとった場合に、どちらから見ても何かしらどちらかに色がついているということはあり得ると思います。これはその基準の立て方というものが絶対的なものでないということから言えるのではなかろうかと思います。
#32
○参考人(渡辺茂君) 確かにおっしゃるとおりで、先ほどから申し上げておりますように、色も七色一緒にすれば白色になるというような意味で、完全な無色というものは各個人においてはあり得ない。けれども、それを十分注意してシステム化すると申しますか、結合することによって無色になることがあるというように考えております。ただ、その場合にはどういう観点に立って無色かということでありまして、その観点というのは人間それぞれの価値観の問題になってくるだろうと思います。それで、そのある一つの価値観に立ってその一つのことの是非を論ずるときには、それぞれの立場、立場がありまして、その立場、立場が一つの要エレメントとして存在するときにはむしろ問題はないと思うのですけれども、それがお互いに矛盾する立場として対立するときに一番大きな問題になってくるのだろうと思います。そういう対立関係にあるときにその議論をどうするかということが、こういう問題のシンクタンクで非常に中性な道を歩まなければならないというときに一番大きな問題であろうかと思います。ではそういう対立を融和するための手段というのが現にあるのかということになりますと、これはいろいろ試みはありますけれども、私は完全にあるとはまだ思っておらないのでございまして、それはある意味においては永遠に残る疑問でもありましょうが、それは永遠に残ると安心をしないで、大いに努力をして方法論を確立しなければならないとは思ってはおりますけれども、たいへんむずかしい御指摘かと思います。
#33
○須藤五郎君 研究委員の選定の問題ですが、いま日本には学術会議という学者の集まった団体があると思いますが、そこにこういう問題をまかしたらどうだという意見もあるわけです。そうすると現在の政府当局にしますと、あそこには少し色がついていると、こういうような意見を述べる人があるわけですね。しかし、私は学問というものは常に発展して進歩していくものだと思うのです。だから無色とか中立というようなことばを使うこと自体が私は学問的にはおかしいのじゃないかと思うのです。かりにマルクスの経済学を持ち出せば、あれは一つのいま学問ですね。それでもう経済学として将来性のずうっとある学問として生きている。ところがある人は、あれを非常に政治的な色彩の濃いものとして否定する人たちもあるというようなことなんですが、このシンクタンクの研究員の課題がただ一つの機械だけに限るならば、そこにはそれは政治色も思想色も学問色もないかもわかりませんけれども、しかし、ほんとうにもっと深い広い範囲のものだと思うんですね、この総合研究というものは。そうなってくると、やはりそこに思想の面も入ってくるし、いろいろなものが入ってくる、こざるを得ないと思うんです。そのときに、政治的、学問的に無色中立というようなことは、これはもう絶対あり得ないことだと思うんです。人間の進歩に役立つものならばそれでいいんじゃないかと、こう私は思っておるんですが、そうなると、それをつかさどっていく人たちの頭に問題が起こってくると言わざるを得ないわけですね。その間の関係をどういうふうに先生たちは割り切って考えていらっしゃるか、ちょっと伺っておきたいんですね。
#34
○参考人(牧野昇君) 先ほどちょっと述べたんでございますけれども、発表される一つの研究レポートというものは、別の立場から見ると色がついたということはあり得るわけでございます。たとえば一つの公害の問題が起きる、あるいはある土地で一つの発電所の問題が起きる。そうすると住民から出ているいろんなデータは、こちらの企業側からは色がついていると。企業側の出したデータは、こちらからは色がついていると。こういうことがあるわけです。しかし問題は、データが出たということのほうが貴重なんですね。色がついているから出ないということのほうが実はもっと悪いことでございまして、あるいはある程度色がついているかどうかという議論はあっても、しかし、いろんな事実というものを突き合わせることによって、初めてわれわれがほんとうの事実というものを得ることができるわけです。そういう意味では、やはりそういうようなデータというものをどんどん出してもらう。しかし、そのデータを出す人が意思決定者でないということを忘れちゃいけないわけですね。
 結局、意思決定者というのは、たとえば個々の一つの何とか会――まあ名前は別にあれしますけれども、そこからいろんなのが出てまいりますね、それを意思決定者がよくのみ込んで自分の中に取り入れる、これが意思決定者でございまして、出たものをああそうですかと実行するものではないということですね。そういう意味では、意思決定者といわゆるこういうシンクタンク、あるいは情報を出す、提言を出すそのメカニズムとは全く別個のものである、意思決定者というのは、いろんな色がついたとある人は言うかもしれぬそういう情報をもとにして、それをベースにしてその人が意思決定を下していくわけでございまして、決してそこから出てくるものが意思決定じゃないという形でそれを使うというふうに考えたらよろしいんじゃないかと思います。
#35
○参考人(渡辺茂君) 確かにむずかしい問題でございまして、結局価値観にさかのぼるんではないかと思います。
 ただ、シンクタンクという一つのテーマが与えられますと、そのテーマの目的が明確になっておりましたら、たとえば国民福祉のある一つに対する研究ということになりますと、それ自身はもちろん一つのテーマでありますから、題目でありますから、全然無色なものであると考えることができますね。それに対する答えとして、先ほど牧野さんもおっしゃいましたけれども、一つの考え方を一つだけ出すんではなくて、代替案を幾つか出すということによって、できるだけ無色への努力をすることができるんじゃないかというように考えております。
#36
○須藤五郎君 きょうは、参考人の御意見を伺う会ですから、議論は差し控えたいと思いますが、先ほど牧野さんがおっしゃいましたが、いろいろなデータが出る、それを理事会が選ぶというようなお話があったと思うんですが、そうなると、この理事会そのものがまた問題になってくるし、まず最初は、研究員そのものにいろいろな問題があると思うんです。総理大臣が任命するとかなんとか、そういう形にやはり問題が起こってくる。これは峯山議員もそういう点には触れておったように思うんですが、それと、理事会が選ぶとなれば、その理事会の構成とかいろいろなものに問題が起こってくるというふうに私は考えるんですが、そういう点はこの法案どおりで済むことだとお考えになりますか、どうですか。
#37
○参考人(牧野昇君) 私の説明が悪かったかもしれません。私が言っているのは、研究テーマの選択ということではなく、そのシンクタンクの研究開発機構が出したその研究レポートが一つ公にされますね、それが色がついているかどうかということに対しては、意思決定者がそれを一つの資料として意思決定をしていくんだということでございまして、研究委員会がそれを意思決定するんじゃないということ。ただ、どういうテーマを選ぶかということは、これは研究委員会がやるわけでございますから、そういう意味では、この研究を進めていく委員会の色がつくということは当然だと思うんですね。ですから問題は、色がつかないような選び方がどうあるべきかということのほうがこの場合には問題になる、こう思います。
#38
○参考人(渡辺茂君) 大体同じ意見でございまして、つけ加えることはございませんけれども。
#39
○須藤五郎君 私も、その選ぶこと自体が非常に問題があるというふうに考えておるわけですね。
 それからもう一つ、開発したノーハウですね、これの人格権及び財産権という問題が起こってくると思うんですね。それをどういうふうに扱っていこうというお考えですか。現在もうすでに牧野さんのところではそういう問題は起こっているわけだろうと思いますが、どういうふうにこれを処置していらっしゃいますか。
#40
○参考人(牧野昇君) ソフトウエアとかこういう研究成果については、実はそれを保護する法律はまずいまのところないというふうに考えられているわけでございまして、その点が実はシンクタンクの一つの財産そのものの評価の悩みであるわけでございます。
 たとえば、一つの私たちの研究所を評価してもらうと、机はどんなぼろでもまあ二千円に評価してくれますけれども、人間は、ものすごく高度な研究をやった、頭の中に入っていくその非常な人間的な情報というものは、実は全然評価ができないんですね。これは非常にむずかしい問題がございまして、特許みたいな形のもの、たとえばシンクタンクで言うと、ハードサイエンスというものは、これは特許が取れるわけでございます。したがって、さっきお話ししたようなバッテルの中の資金にかなりゼロックスの資金が出ているというのは、そういうゼロックスも、もともとあれはバッテルが開発したもんですから、当然資金が入ってくるのはまあやむを得ない。それは一つの特許というもののバックがあったわけでございますけれども、もう一つのソフトなもの、あるいは研究成果というものは、これは実は財産として認められないし、権威として非常に認めにくいわけでございます。ですから、それをどういう形で認めていくかということが、いわゆるこの情報の産業における一つの課題というふうに現在は私たち考えておるわけでございます。
#41
○参考人(渡辺茂君) そういう研究成果ですけれども、そのソフトの場合もやはり著作権というものがあると思うんです。著作権というのは元来個人に属するけれども、個人が法人の中に入っていますので、その法人との間のネゴシエーションといいますか、で、その法人に属することもあるということではないかというふうに思います。
#42
○須藤五郎君 実は二年ほど前の国会に、情報関係の法案が出たんですね。そのときの審議にあたりまして、私は、このソフトウエアに著作権を認めるべきだという意見を述べたことがあるんです。そのとき宮澤通産大臣でしたが、現在はありませんと、しかし、将来は考えなければならなくなるときが来はしないかということを宮澤通産大臣がそのとき述べておったんですが、私も、やはり人間の頭の中から生まれた問題ですから、当然これに対しては芸術の創作品と同じように著作権をもって守っていくべきだと、こういうふうに私は思っておるわけなんです。両先生ともそれに対しては御賛成か。
 それともう一つは、牧野さんのところではもうすでにそういう問題が実際問題として出ておるわけなんですが、その場合、あなたのところの研究員のそういう問題に対して著作権的な人格権、財産権というものをどういうふうに処理していらっしゃるか、具体的な例として伺いたい。
#43
○参考人(牧野昇君) まず一つでございますが、渡辺先生のおっしゃったのも一理があるわけでございまして、たとえばレポートのそれをそのまま転写する場合には、これは明らかに抗議の対象になるわけでございますけれども、問題は、その中における「こうすべきである」あるいは「こうある」ということを使った場合には実は何の制約もないということでございますから、使うほうとしては、それを転写してどっかに公刊物として出すという形でそれを使ってしまうというところに、非常に押えにくい点があるわけでございます。ただ、内容の中において一つのコンピューターの。プログラムとか、一つのシステム、手法というものを開発した場合に、その開発したところとうちが契約を結びまして、それを使って売り上げた場合には何%かをそこに出すというような、それは両方とも情報的な産業でございますのでそういう契約を結んだことがあるわけでございます。そういう形では、だんだんとそういう一つの無形の財というものを評価するというようなしきたりが一般慣習として出てくるんじゃなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#44
○参考人(渡辺茂君) 先生のおっしゃるとおり、私は全面的に賛成でございます。
#45
○須藤五郎君 あまり時間をとりますと御迷惑だろうと思いますが、最後に伺っておきたいのですが、こういう仕事がどんどん進んでいくならば、ソフトウエアなどによって社会の思想的な面の指導ということも私はできるようになってくるような感じがするんですね。それから芸術作品ですね、そういうものもここから生まれてくる可能性があると思うんですが、そういうことは可能なんですかどうなんですか、実際としまして。
#46
○参考人(牧野昇君) たとえば芸術みたいなものでも、絵とかそういうものについては可能であると同じように、あるいはハードの研究でもそういうものが可能であるように、こういうような一つの仕事の中にもそういうような可能性というのは私はなければいけないというふうに考えております。しかし、実際はまだやや時間が必要じゃないかというふうに考えております。
#47
○須藤五郎君 そうすると、将来そこから社会の思想的ないわゆる指導といいますか、そういう問題が私は起こってくるように思うのですね。それだけにこの問題を扱うのは非常に重大な注意を要するように私は感ずるわけなんですが、そういうことも起こり得るということは言えるんじゃないでしょうか、どうでしょうか。渡辺先生どうでしょうか。
#48
○参考人(渡辺茂君) それは牧野さんがしばしばおっしゃっておられますように、情報提供ということにシンクタンクが徹して、実際のその意思決定は国会とかそういうところにまかせる、あるいは各企業にまかせるということにすれば、その欠点は防げ得るのではないかというように思うのです。つまり情報だけを出す、決定はシンクタンク自身はやらないということだと思うのですけれども。
#49
○須藤五郎君 この問題は非常にデリケートな問題なので、ここでお二人と議論することはこれで私はやめまして、私の質問はこれで終わります。どうもありがとうございました。
#50
○委員長(佐田一郎君) これにて参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位には、御多用中長時間にわたり御出席をいただき、また、貴重なる御意見を拝聴さしていただきまして、まことにありがとうございました。委員一同を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 これにて午後一時三十分まで休憩をいたします。
   午後零時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十三分開会
#51
○委員長(佐田一郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣。
#52
○国務大臣(中曽根康弘君) 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 工場立地の調査等に関する法律は、工場立地の適正化に資することを目的として昭和三十四年に制定されたものであります。
 近時、工業再配置対策や農村工業導入対策などによる国土の均衡ある発展のための諸策施が講じられておりますが、今後の工業開発を進めるにあたって最大の問題は、地域環境と産業活動との関係であります。
 この問題を解決するため、今後の工業立地に際しては、公害、災害等の防止に万全を期することはもちろんのこと、進んで工場緑化等を行ない積極的に地域環境づくりに貢献することを基本として進めることが不可欠であります。
 これを実現するためには、公害に関する規制の強化、防止技術の開発等と並んで、工場立地の段階から、企業みずから周辺の生活環境との調和を保ち得る基盤を整備し、社会的責任としての注意義務を全うするよう誘導、規制していくことが必要であります。このような新たな観点を加えて工場立地の適正化を推進するため、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。
 第一は、工場立地に際しての敷地利用のあり方に関する規制の強化であります。
 まず、工場の生産施設、緑地等の面積の敷地面積に占める割合並びに緑地等及び特定の施設の配置に関する準則を公表するとともに、工場の設置前にこの準則にかかる事項についても届け出なければならないこととしております。
 次に、その届出の内容が公表された準則に適合せず、周辺の生活環境の保持の観点から問題があると認められるときは、必要な勧告、命令を行なうことができることとしております。
 第二は、大規模な工場が集中して設置されると予想される地域についての特別の規制であります。
 かかる地域は、公害の防止につき、特に配慮をする必要があることにかんがみ、まず工場立地に伴う公害の防止のための調査を実施することとしております。
 さらに、このような地域に設置される工場については、大気または水質に関する公害の防止のための措置の届け出を義務づけるとともに、重合汚染を生ずるおそれがあると認めるときは、必要な勧告、命令を行なうことができることとしております。
 その他本法律案におきましては、所要の助成措置、罰則、権限の委任等について規定を整備しております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同下さいますようお願い申し上げます。
#53
○委員長(佐田一郎君) 次に、本案については衆議院において修正が加えられておりますので、この際、衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員田中六助君から説明を聴取いたします。
#54
○衆議院議員(田中六助君) 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案の衆議院における修正点につきまして、御説明申し上げます。
 修正の第一点は、第一条の目的の規定におきまして、「工場立地の適正化に資するため」とありましたのを、「工場立地が環境の保全を図りつつ適正に行なわれるようにするため」に改めたことであります。
 第二点は、第六条の「届出」の規定中、第一項第六号による届け出事項が汚染物質の最大排出予定量及びその予定量をこえないこととするための措置となっておりましたが、その「措置」を「当該汚染物質に係る燃料及び原材料の使用に関する計画、公害防止施設の設置その他の措置」に改めたことであります。
 以上の修正は、本法が環境の保全を特に重視するものであることを明らかにするとともに、この観点から、工場立地にあたり、公害防止のための具体的措置を届け出るべきことを義務づける趣旨でございます。
 よろしく御審議をお願い申し上げます。
#55
○委員長(佐田一郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。山下企業局長。
#56
○政府委員(山下英明君) 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下現行の工場立地の調査等に関する法律と対比しつつ改正の内容について若干補足させていただきます。
 まず、本法のねらいとしましては、現行法が主として立地条件的観点から工場立地の適正化をはかることとしているのに対しまして、今回の改正におきましては、周辺地域の環境の保全の観点から、適正な工場立地を行なわせようとするものであります。
 このため、第一に、業種の区分に応じ工場の生産施設、緑地、環境施設のそれぞれの面積の敷地面積に対する比率等工場立地に際しての敷地利用のあり方を新たに準則として定め、公表することとしております。
 第二に、現行法により実施しております工場適地調査、工場立地動向調査に加えまして、大規模な工場の集中立地が予想される地域について、重合汚染の発生を防止するため科学的な手法を用いて、工場立地に伴う公害の防止に関する調査を実施することとしております。
 第三は、届け出、勧告制の拡充であります。今回の改正により、その届け出事項として新たに生産施設、緑地の面積等準則にかかる事項を加えますとともに、大規模な工場の集中立地が予想される地区に立地する場合につきましては、さらに汚染物質の最大排出予定量や公害防止のための措置を届け出なければならないこととしております。
 次に、勧告につきまして、準則に適合せず、工場の周辺の生活環境の保持の上で問題がある場合や重合汚染の生じるおそれのある場合も勧告できることとするとともに、勧告に従わない場合につきましては、変更命令及び体刑を含む罰則の規定を設け、規制内容を強化拡充いたしました。
 以上、工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして補足的な説明をいたしました。詳細などにつきましては、御質問に応じてお答えしたいと存じますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#57
○委員長(佐田一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#58
○委員長(佐田一郎君) 次に、輸出硫安売掛金経理臨時措置法を廃止する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣。
#59
○国務大臣(中曽根康弘君) 輸出硫安売掛金経理臨時措置法を廃止する法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
 輸出硫安売掛金経理臨時措置法は、昭和三十八年六月に、当時懸案とされた輸出硫安売り掛け金問題を解決して硫安工業の再建の基礎を確立するため制定された法律であります。
 硫安につきましては、昭和二十九年以来、肥料二法すなわち臨時肥料需給安定法、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法に基づき、政府が国内価格を決定するとともに、日本硫安輸出株式会社を通ずる一手輸出体制をとってまいったのでありますが、その際、硫安生産業者が日本硫安輸出株式会社に売り渡す価格は、国内公定価格とすることとされたため、実際の輸出価格が国内価格より低い場合は、その差額が硫安生産業者の輸出会社に対する売り掛け金として処理されてまいったのであります。
 しかるに、国際競争の激化により硫安の輸出価格が下落するに伴い、この売り掛け金は年々増加し、昭和三十七年十二月末において二百十五億円に達したため、これを商法の規定に基づき、回収の見込みのない売り掛け金として一期に償却させることとすると硫安生産業者の経営上大きな負担となって、その再建にも支障を来たすおそれが生ずるに至りました。
 そこで、昭和三十七年十二月に閣議決定されました硫安工業対策の一環として、輸出硫安売り掛け金を貸借対照表の資産の部に計上し、十年以内に繰り延べ償却することができることとする輸出硫安売掛金経理臨時措置法を制定したのであります。
 その後、同法に基づき、輸出硫安売り掛け金は繰り延べ損失として逐次償却が行なわれ、本年三月末をもってすべて完了することとなり、この間、硫安工業は、同法の施行を含めた政府の施策と関係業界の努力により、アンモニアの多角的利用等、所期の目的である体質改善を達成したのであります。
 同法は、施行の日から十年以内に廃止するものとするとされていますが、以上申し上げたように、その目的が達せられるに至ったと考えられますので、ここに同法を廃止する法律案を提案いたした次第であります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#60
○委員長(佐田一郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。齋藤化学工業局長。
#61
○政府委員(齋藤太一君) 輸出硫安売掛金経理臨時措置法を廃止する法律案につきましては、ただいま大臣が申し述べましたとおりでございますが、以下その背景等につきまして若干補足させていただきます。
 輸出硫安売り掛け金問題を抜本的に解決するため、昭和三十七年十二月に閣議決定されました硫安工業対策に基づき、昭和三十七年十二月末日現在において回収不能の輸出硫安売り掛け金につき、十年間の繰り延べ償却ができる旨の法的措置をとると同時に、輸出硫安売り掛け金問題が再度発生しないよう、昭和三十八年一月一日以降、日本硫安輸出株式会社に対する売り渡し価格は、実際の輸出FOB価格とすることとしました。一方、硫安工業の再建と体質改善を進めるため、日本開発銀行から百三億円の肩がわり融資を行ない、また、肥料形態の転換、アンモニアの多角的利用等を促進することにより、硫安工業の合理化、近代化をはかることとして、このための設備資金百六億円を日本開発銀行等から融資することとしたのであります。
 輸出硫安売り掛け金の繰り延べ償却は、輸出硫安売掛金経理臨時措置法による規定に基づき、本年三月末日をもってすべて完了いたしましたが、一方、硫安工業をはじめとする化学肥料工業の体質改善についても、アンモニア設備の大型化による生産体制の整備、経営の多角化による経営基盤の強化策が、業界の努力と政府の助成により順調に遂行された結果、硫安、尿素の国内販売価格は一貫して低下してまいりました。また、最近においては、化学肥料は、従来の硫安生産会社十八社の総売り上げ高の八%を占めるものにすぎないものとなり、いわゆる硫安生産業者は、総合化学企業へと成長を見、わが国農業の要請にこたえるとともに国際経済の発展にも寄与しているのであります。
 以上、簡単ではございますが、この法律案の背景等の補足説明を申し上げました。よろしく御審議賜わりたくお願い申しあげます。
#62
○委員長(佐田一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#63
○委員長(佐田一郎君) 次に、午前に引き続き総合研究開発機構法案を議題といたします。
 本案についての趣旨説明はすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#64
○阿具根登君 まず最初に、シンクタンクというのが今度初めて政府から提案されましたが、今日まで政府が何らかの関与をしておるこの種のシンクタンクは何々があるか、どれだけ出資をしておるのか、どれだけ補助をしておるのか、どういう指導をしておるのか、一切の御説明を願います。
#65
○政府委員(宮崎仁君) いわゆるシンクタンクといわれておりますもので、現在私どもが手元で調べたもので見てまいりますと、民間機関として約二十ございます。で、こういったシンクタンクに対しては政府関係の仕事として委託等が行なわれている面もあると思いますが、大体民間の各種の需要に応じてむしろ成立したというような経過でございます。したがいまして、政府関係の占める分野は比較的少ないと、このように考えております。
 毎年度の予算でどのような委託費が出ておるかということについては、詳細いま手元に資料を持っておりませんけれども、そういった形で各省予算等においてある程度の委託等が行なわれておると、こう承知をいたしております。
 なお、経済企画庁におきましては、四十六年度、四十七年度、ともに一億五千万円の予算を計上いたしました。これは一部通産省、科学技術庁に支出委任をいたしたものがございますが、こういったものを通じまして民間のシンクタンク等に対して委託研究を行なっております。これは、主として今回御審議をいただきます総合研究開発機構、これをどういうような形でつくっていくのがいいのかと、こういうことを調べてまいりますために、具体的な問題についてもひとつ研究をやっていこうと、こういうことで実は通産省、科学技術庁等と御相談の上で実施をしたものでございます。その内容等は必要があれば詳細申し上げてみたいと思います。
#66
○阿具根登君 いまのやつですね、詳細資料としていただきたいと思います。できますね。
 民間の委託もさることながら、一応政府が直接関与しておるものに産業政策科学センターというのがありますね。これは通産省、経済企画庁、科学技術庁がこれに入っておられる。まあこれは金額はわずか一億五千万ぐらいなんですが、その他科学技術庁でソフトサイエンス総合研究所ですか、それから日本ソフトウエア、政府、民間、学界の協力、こういう直接政府が出資したりあるいは補助したりしておるのがあるわけなんです。そういうものは皆さんの手元にいまないわけじゃないでしよう。それに幾ら出資してあるのか、どういうことをこれに研究さしておるのか、そういうやつをひとつ詳細に教えていただかぬと、ばらばらで、それは通産省もありますし、それから科学技術庁もありますから、なかなか困難でしょうけれども、しかし、総合研究所が所管となります皆さんのところだから一応の書類はととのっておる、こう思いますので教えていただきたいと思います。
#67
○政府委員(宮崎仁君) ただいま御指摘がございました産業政策科学センター、それからソフトサイエンス総合研究所というような構想が、前者は、これは通産省の産業構造審議会シンクタンク委員会での御提案でございます。それから後者は、科学技術庁の政策としていずれも四十五年度に打ち出されたわけでございます。そういった動きもございまして、公的なシンクタンクというのをどのようにしてつくっていったらいいだろうかということが政府部内でも問題になりまして、そして先ほど申しましたように、経済企画庁に予算を計上して四十六、四十七年度と検討を進めてまいった、こういう経過でございます。したがいまして、産業政策科学センター、ソフトサイエンス総合研究所というようなものは、提案はされておりますけれども、まだそういう形で成立したものではございません。むしろ、そういう考え方を取り入れて今回の総合研究開発機構というものをつくろう、こういうことで御審議を願っておる次第でございます。
#68
○阿具根登君 これは私ら知らなかったのが悪いんですけれども、一九七一年に設立されたということになっておるし、一千五百億のうち政府、民間で二対一の比率で出資した、こうなっておりますね。さらに、日本ソフトウエアは一九六六年十月一日に設立した、こうなっておりますよ。このところは一体どうなっているんですか。これは国策会社的性格が非常に強い。資本金七千万円、さらに年間収入が十四億、三百二十二人、このうち研究員が二百五十人、これはどういう関係になっておるかわかりませんけれども、資本金が七千万円で年間収入は十四億ということは、これはどういうことなのか、少しわかるように説明してもらわぬと中に入れませんがね、これじゃ。
#69
○政府委員(宮崎仁君) ただいま具体的な数字でを示しを願った点は、私どもの手元にそういった資料はいただいておりませんけれども、これは先ほど申しましたように、こういった研究機関をつくったらいいではないか、こういう具体的な提案があったわけでございまして、特に産業政策科学センターについては予算の要求も行なわれた、こう承知しておりますから、そのときの数字ではないかと思います。現実には、そういったいろいろな考え方をひっくるめまして今回の政府としての総合研究開発機構をつくるということになったわけでございまして、そういった機構ができておるわけではございません。
#70
○阿具根登君 そうしますと、私が借りておるこのものを見ますと、長官おられますので、長官が一番御存じのはずですからお尋ねいたしますが、日本政策科学総合研究所というものを自民党のシンクタンク制度特別委員会案として出されましたですね。これは五年計画で出資金が百億、民間出資金がまた百億、計二百億円、初年度は一九七一年、政府二十億、補助金十億、委託費十億の支出、民間からも二十億円の出資を求める、ここにぴしゃっと出ておるわけなんですね。これは自民党案だから、これをああだこうだというわけじゃないのですけれども、自民党案でも二百億、全部の出資まで入れたら約三百億になります。それだけの大がかりな、まだ大がかりじゃないでしょうが、ということを与党でも考えておられる。それに政府は三十億の出資で今度のやつを出されておるが、さらに民間で研究開発推進財団というのが計画されておる。これは具体案の作成中となっておりますが、これは日本経済調査協議会の特別委員会であって、当初百億の資金ですが、五年後一千億、スタッフは五百人、その中に専門家が三百人、代表幹事植村甲午郎、中山伊知郎、こういうそうそうたる人が一千億の金を使ってシンクタンクつくろうとしているんです。政府はこのくらいのものをつくって一体何になるんですか。もう民間がここにまで大きなことを考えてやっておるのに、いま時分に三十億の三十億、こういうことでほんとうの研究ができると思いますか。
   〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕
#71
○政府委員(宮崎仁君) ただいま御指摘をいただいたものは、特に最初の自民党におきまして、シンクタンク委員会とわれわれ称しておりましたが、政調会におけるそういった特別委員会においてそういう構想がつくられたことは承知をいたしております。こういう形のものを政府としてつくってはどうか、こういうことが提案された、こういうことでございますが、そういったお考えももちろんわれわれとしては十分検討させていただきまして、そうして先ほど申した通産省あるいはは科学技術庁その他のお考えも聞きながら、今回のような形のものをつくろうということに四十八年度の予算の段階で踏み切った、こういう経過でございます。
 なお、民間のいわゆる一千億財団といわれるものが一昨年提案せられております。これはやはりわが国がこれだけ大きな経済の規模になっておりますので、いろいろな問題に対して取り組んでいくのに対しては、このくらいの規模のシンクタンクを持つことが必要である、こういう御提案が財界の一部の方々から出されたということでございますが、そういったような背景ということもわれわれはある程度頭にとめながら今回の構想を考えておるわけでございまして、そういう意味で、今回の構想は当面三ないし五年の間に約三百億の基金をつくろうという構想を持っておりますが、それでは小さいということがあるいは出てくるかもしれません。そういう場合には、これは法律上は追加出資ができるようになっておりますので、さらに構想を大きくしていくということももちろん議論になると思いますけれども、当面、三百億というところを一応の目安にして進めてまいりたい、こういうことで政府部内では一応考え方をまとめてあるわけでございます。
#72
○阿具根登君 三年ないし五年のうちに大体三百億、そうするとスタッフはどういうふうに考えておられますか。
#73
○政府委員(宮崎仁君) 大体、この機構の運営にあたりましては、民間のシンクタンクに対する助成または委託というふうなことを相当やっていこうということに考えておりまして、機構がみずからスタッフをかかえて研究をするということは、原則としてはやらないというつもりでございます。そうして、委託等でうまくいかない場合にはプロジェクトチームというかっこうで、民間の方々に機構に集まっていただきまして、そうして仕事をやっていく、こういうことも考えていきたい、そういうことでございますので、スタッフといたしましては、役員は別にいたしまして、若干のプロジェクトリーダー等も含めて二十名程度ということを一応の目安として考えております。初年度は、これは年度の途中から発足でございますから、大体十名程度で出発したらどうか、非常に少数でございますけれども、そういう形で、定着した人員をあまり持たないでやっていこう、こういう一応考え方でございます。
#74
○阿具根登君 非常にわからなくなったんですが、もう一ぺん初歩から、初めからひとつ質問し直します。
 シンクタンクとは一体何なのか、総合研究所とは一体何をやろうとするのか。最初からひとつ説明してください。そうしませんと、金は組んだわ、委託をするんだ、――委託をするんならこんなことする必要はないと私は思うんだ。だからひとつ最初から、どういうものをやろうとするんだ、それはどういう効果があるんだ、どういう国民に利益をもたらすんだというものを聞きませんと、いま私がざっと外をなぜただけでも、十人ぐらいのスタッフでやられて、現在ある民間のシンクタンクにどうして太刀打ちしようとするんですか。おそらく、もう民間のシンクタンクに何でもお尋ねにいかれるのが関の山だと思うんです。だから最初から、シンクタンクとは何ぞやということからひとつ御説明願います。
#75
○政府委員(宮崎仁君) いわゆる総合研究開発機構としてここにつくろうとしておるものの内容につきましては、この法案の第一条等に書いてあるとおりでございますが、要するに、午前中の参考人の御意見にもございましたように、最近起こっておりますいろいろの社会的、経済的な諸問題、こういう問題に対応して対策を打ち出していくというためには、ある程度学際的な面での人を動員して研究をしていかなければならぬというような問題がございます。
 それからさらに、問題の選び方、研究のしかたについて自主性を持ってやっていくということが必要である。さらに、課題の選び方につきましても、ある程度政策指向的と申しますか、その成果が政策としてとり得るような、そういう考え方のものを課題としてとっていく。そういうような研究というものを必要としておるわけでございまして、こういうものに取り組める機構というものが、いわゆるシンクタンクとしてアメリカ等で相当たくさんできておる。またわが国でも、先ほど申したように若干できておるという状況でございます。
 そこで、わが国の場合に、二十幾つかのものができておりますから、これを強化していくということも確かに一つの考えでございますけれども、しかし、政府としてやはり取り組むべきような非常に広範な、若干公共的な問題と申しますか、そういうものがいろいろ出ております。たとえば環境問題でございますとか、あるいはインフレの問題でございますとか、そういった問題につきましても取り組んでいきたい。そういうためには、広く各方面の専門家を動員してやっていけるような、そういう機構をつくっていくのが一番いいんではないか。そういう意味で、今回の機構が言ってみれば基金構想をとりまして、確かに固有の人員は少ないんでございますけれども、相当の資金を持ちますから、これによりまして、民間のシンクタンクを相当動員をしてネットワークを組むということができると思いますし、また、各官庁、大学その他各方面の専門家を、課題によりましていわゆるプロジェクトチームとして組織をしまして、そうして問題を解明していく、こういうことをやっていこうとしておるわけでございます。
 したがいまして、その業務といたしましては、第二十三条に書いてありますとおりでございますけれども、要するに、一つは民間研究機関とのネットワークを組み、相互に交流しながらこれをうまく調整していくという意味で、研究開発のための助成あるいは実施ということを考えておりますし、さらに情報の収集、整理、提供、あるいはこういった人たちが非常に少ないということも考えまして、特にプロジェクトリーダー等は少ないわけでございますが、研修とか養成というようなこともやっていきたい、そしてさらに、将来には相当りっぱな設備を持った研究施設というものも付置してつくりまして、そうして、そういうことによりましていろいろの部面にこれを提供し、こういった研究を盛んにしていく、こういうこともやってまいりたい。
 その他いろいろのことが書いてございますが、そういった意味で今回の機構を考えた次第でございます。
#76
○阿具根登君 そうすると、たとえば、午前中おいででおったならば午前中のやつ御存じでしょうから御質問に入りますが、三菱総合研究所は大体百八十人、そのうち専門家が六十人から八十人おると、こういうことですね。まあ日本で大きいほうでしょう。そうすると、こういう三菱のきょうの参考人の話を聞いても、国がこうやっても人材がありませんよと、だから既成の研究所から人材をぽかっぽかっと引き抜かれちゃ困りますよと、こういうことを言っているわけなんですよ。そうですね。そういう人材がおるかどうか。おらないから十人というかもしれませんが、十人ぐらいでこういうところと太刀打ちが今後できていくかどうかという問題と、しょせんは企業内の研究機関なんですよ、こっちは。だから、これは利潤をこの研究機関だけで生む生まないは別としても、その企業全体から見て大きな利潤を生むから、これは金をかけてやっているわけなんです。そうすると、そういう企業は、その企業によって研究が進められておるならば、その企業に都合のいいように研究もされていくに違いないと、こう私は思うわけなんです。
 午前中の質問もお聞き願ったと思うんですけれども、アメリカで二番か三番だという大きなところだって、いままで大学の研究機関であったのが、これが今度は企業からお金をもらうように大学と別れていった、こういうことになっていっておるわけですよ。それで、日本でこのくらいのやつをおつくりになっても、私は企業の使い走りになるのが関の山じゃないかと思うんです。先ほども申し上げましたように、一千億からの企業を持ってこられる。どうせこのスタッフを持ってこられるとするならば、企業の中の専門家を引き抜くか、大学から来てもらうか、それしかないでしょう。そうですな。そうして、頂点にすわられる理事長とかあるいは総裁というものを、政治的にどこからか連れてこられるでしょう。これはおそらく政府のお役人でしょう。
 そうなってくると、何かわざわざこんなことをしなくても、それなら大学なら大学の研究室に五年後三百億なら三百億、その金を五年間なら五年間で組んで大学でこれをやってもらう。こうしたら一番中正で公正な――いわゆるこの法律案の心臓というものはそうなんでしょう。決して利潤に走らない、一部の者の利益に供しない、それから必ずもう公正であり中正であるということがこの柱になっていると思うんですよ。そうするなら、政府がつくるやつに大体私は色がついてきておると思う。これだけ金をかける、これだけのものをやる、五年後に三百億にするんだと、あるいは年々これはまだふやしてもいくんだというならば、一つの大学なら大学の研究室をうんと援助してやって、そうしてやったほうがいいんじゃないか。
 なぜ私がこういうことを言うかと申しますと、午前中でも言いましたが、私はもういやと言うほど体験させられたんです。いま問題になっておる水俣病、十五年前私がやるときに、熊本大学は大学としての公正な考え方から、これは公害だと、有機水銀だという断定をしたわけですよ。私はそれを持って国会で質問したわけなんです。ところが、通産省が持ってきたのは通産省の指定した学者の書いたものなんです。そうすると、その人は会社に雇われておる人なんです。だから、どこから金が出ておっても学者の理論に色がつくわけはないんだけれども、しかし、やはりそれは逆なんです。熊本はこれは公害だと言うし、通産省が考えた、企業が出した学者の意見はまるきり反対で、これは公害じゃないんだと出したわけなんです。だから十五年間ほったらかされて、そしていまこんなわんわん騒いでおるんですよ。
 これは十五年前に私らがやったんです。それを大学はほんとうのことを言ってくれた。いまになってくればもうだれだって否定できない。しかし、十五年前は政府がそれを否定したんです。企業の代表の言うことを正しいと見たわけです。同じ学者でも。われわれは学者じゃないから、双方の学者の言うやつをわれわれがどちらがいいんだ、悪いんだとはなかなか言えない。そういう経験をしてきておりますので、おそらく私はこういうものをおつくりになっても、まあ屋上屋とまでいかなくても、それはもう逆に民間から使われるようなことになるんじゃないか。まあ使われても、それは公正であったらけっこうですよ。何も国でつくったやつを民間が使っちゃならぬということにもならぬでしょうし、皆さんもそれからいろいろお聞きになるでしょうから。
 そういう点で、きょうも午前中各委員からいろいろの質問が出まして、にじの問題まで出てきました。出てきましたけれども、どうも私はこういうふうに利潤につながったのが優先されていくような気がしてしようがないんです。先ほど申し上げましたように、公害であるとわかっておるのを、公害じゃないように学者にどう理論づけさすかというのがあの人たちの考えだったわけなんです。通産省も政府もこれは公害だと知っておりながら、公害と言ったらたいへんなことになるから、公害と言わない学者はだれかと、これに奔走したわけなんです。だから出発点が違っておるわけです。それで、今度の場合でも私はそういうおそれが多分にあると思うんです。だからこういうことを言っているんですが、どうですか、これだけの金を出すなら、何もあなた、これをつくらぬでも、いまできておるあるいは大学なら大学にりっぱな研究所をつくってやって、そしてそこでほんとうに公正にやってもらっちゃどうかと、私はこう思うんですがね。どうせ意見を聞くんでしょう。
#77
○政府委員(宮崎仁君) 何点か御質問がございましたが、まず最後の、大学を主としてやっていったならば大体目的が達せられるのではないかと、こういう御意見でございましたけれども、この点は、もう私から申し上げるのもやや釈迦に説法のようなことで恐縮でございますけれども、現在の大学の講座制というようなことから考えてまいりましても、やはり専門分野について深く掘り下げていくということには大学というものは非常に適した組織でございますけれども、いろいろの関係の学者の方々を一つの目的のために集めてそして問題の解明をしていくということにつきましては、どうもこういう大学という組織ではなかなかうまくいかないということで、アメリカ等でたくさんできておりますようないわゆるシンクタンクというものができておるということはもう御承知のとおりでございます。
 そういう意味で、一体、わが国にふさわしい、わが国の場合に最も望ましい形はどんなものかということで、四十六年、四十七年度いろいろ議論をしたわけでございますけれども、一方では、確かにこの民間の機関が育ってはおりますが人材は不足しておるという面からいきまして、こういった人材の養成ということも一方にははかりながら、しかし、一方考えてみますと、いわゆる各方面のそれぞれの分野での専門家、学者というような面でみますと、わが国の場合には非常にたくさんのりっぱな学者の方々がおられますし、専門家もおられるわけであります。こういった方々は、大学におったり官庁におったりあるいはいろいろの研究所におったりということでございますけれども、そういう方々を課題によりましてうまく組織しそして動員をしていく、こういうことが今回の機構の一つの特色となるわけでございます。
 したがいまして、十人ということを申し上げました、あるいは二十人と申しましたが、それは大体、この基金を運営していくための庶務的、経理的なような人が大部分でございまして、研究を実施する人たちはその課題ごとによそから集まっていただく。これは出向その他の形をとっていただくことになると思います。その数は、この機構の研究活動の大きさによりまして、百人になりますか二百人になりますか、相当の人数になると思います。で、そういう方々を、いわゆる常勤の職員としてここに置く、いわゆる研究者の形をとらないで、むしろ、これは民間の各シンクタンクとも交流をし、あるいは官庁、大学その他からも参加をしていただくという形によりまして弾力的にその辺の運営をはかっていくと、これが現在の段階では一番望ましいのではないか、こういうことで今回のような構想をまとめた次第でございます。
 もちろん、御質問のような心配がないかと言われますと、これからやるわけでございますから、いろいろまた問題が生ずる可能性なしとは申しませんけれども、各国の事例その他をいろいろ調べて、結局、こういう形で比較的自由に人が出入りできるような機構でやっていくことがわが国の場合には最も望ましいんじゃないか。何といいましても企業の終身雇用制、各省の縦割りその他いろいろ言われておりますような特殊の事情もございますので、そういったことを一方には考えながら有能な方々に参加をしていただくというために考えた知恵でございまして、そういう点についてひとつ御理解を願いたいと、こう思う次第でございます。
#78
○阿具根登君 おっしゃることはわからぬではないんですが、その有能な方々は大体全部既設のシンクタンクにおられる方だと私は思うんです。それか大学関係の方々だと、こう思うわけなんです。そうするとその方々は、たとえば企業だって三井、三菱全部ありますね。そういうところの研究したやつを今度は持ち寄って集まってください、ここでまたやってください、こういうことにしか私はならないと思うんですよ、これでいけば。しかも先ほど申し上げましたように、一千億の業者代表というのは、植村さんといえば業界のトップです。また学者のほうでは、茅誠司先生なんか学者のトップの方々が日本総合研究所というものを持っておられるわけなんです。そうすると、このスタッフをこう見る場合でも、まあ、ここで大臣はどなたも会長――私は会長制は反対なんですけれども、会長に思っておられるか知りませんけれども、よそには植村甲午郎さんとか茅誠司先生とかいう日本でそうそうたる方々がおって、ちゃんと機構を持っておられるわけなんですよ。そうすると、教わりに行くのかそれを援助するのかわからぬような結果になりはしないかと思うんですがね。
 政府が半分出資してやるならば、やはりこれは政府が研究をして、人材も養成しなければならぬけれども、政府は人材を養成するどころじゃない、人材養成は民間がしておる。その民間が養成した人材を政府が借りてくるというような逆な形になってきておるじゃありませんか。どうもそう見えてしかたがないんですがね。申し上げましたように、それは人物が名前が売れておるとか、いいとか悪いとかいうことじゃなくて、まず業界のトップの方、学者のトップの方だと私は思うんですが、そういう方々がちゃんと別にシンクタンクをつくっておられるわけなんです。そうすると、いずれその方々に関係のある方がこっちにまた来られると私は思うんですが、どうでしょうかね。何か影が小さいような気がしてしようがないんです。考え方はわかるんですよ。しかし、民間のほうがうんと先行してきやしないかと。そうすると、このスタッフの顔ぶれから見ていっても、この人たちは別にしても、何か政府のつくった機関のほうが二流になってくるような感じがするわけなんです。これは実際トップでしょう、いまから先の。そういう気がするんですが、いかがですか、こういうところと太刀打ちしてやっていけますか。
#79
○国務大臣(小坂善太郎君) シンクタンクの問題につきまして、阿具根委員も非常に御研究いただきましてありがたく思っておる次第でございます。御承知のようにわが国のシンクタンクは、先ほど局長から御説明申し上げましたように二十からあるのでございますが、その中でおもなものでも大体十ぐらいは相当しっかりしたものがあるというふうにいわれております。たとえば野村の総合研究所であるとか、あるいは三菱総合研究所であるとか、日本リサーチセンターであるとか、未来工学研究所だとかいろいろございますわけでございますが、財界のほうにおきましても、先ほどお話がございましたように、やはりそういうものをひとつ統合して権威のあるものをつくろうではないかというような議が起きたわけでございます。一方また学界のほうにおきましてもさような機運がある。
 そこで、先ほど局長から申し上げましたように、このたび日本でただ一つのものとして総合研究開発機構というものをつくろうではないか、こういうことになりましたわけでございます。したがいまして、この機構の会長あるいは理事長というものは、そうしたもの全体を通じて目の届くような人になってもらうことが望ましいと存じまするが、また、このいろいろできております機構がどういう方法で研究するかということは、それぞれの機関で研究はしているわけでございますけれども、やはりこれが一番いい形であるというようなものを、いま御審議をいただいておりまする研究機構によってつくりまして、非常に指導的な役割りを果たしていきたい、こう思っておるわけでございます。何ぶんにも研究者が少ないんであるから、こういうものをつくっても結局教わりにいくだけではないかというような御疑念も私わからぬわけではございませんけれども、しかし、そうだからといってばらばらな形でそのままほっておきますよりも、ただいま申し上げましたようなことで、ほんとうに日本の頭脳たり得るような人に集まってもらいましてこの機構をつくろうというのが趣旨でございます。
 この機構の二十条に、研究評議会というものを考えておるわけでございますが、これは二十五人以内で組織することになっております。この研究評議会にはそういういろいろな面からの頭脳を集中いたしまして、この見識を有する者の中からどういうふうにしていったらいいかということを割り出していきたい。研究評議会というものの機構を非常に重視しておりますわけでございます。私はただいま御疑念の点は十分頭に置きながら、指導的な役割りを持つ、また、日本にただ一つの機関をつくるということによりまして、これから非常に複雑かつ広範な問題をかかえておりまするわが国といたしまして必要なこれらに対する解明をすることができると、かように信じまして、この法律を御制定いただきたくお願いいたしておる次第でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
#80
○阿具根登君 そうすると、評議員が二十五名、これはもちろん内閣総理大臣の許しを得てですか、会長が任命される、こういうことになっている。おそらくそういう方々は研究所につとめておられる方々、専門の方々ばかりが二十五名だと思うのですね。それは当然そうなると思うのですけれども、そうすると十名の方々はどういう方々が来られるのですか。それから役員はどういう方々が来られますか、理事が三名ですか二名ですか。
#81
○政府委員(宮崎仁君) まず最初に、研究評議会の委員でございますが、これは二十五名以内で「内閣総理大臣の認可を受けて、会長が任命する。」ということになっておりますが、この研究評議会にはできるだけ各方面の代表的な方々で視野の広い方に入っていただこう、こう思っております。したがって、こういったシンクタンク関係のようなお仕事をしておる方も入るかもしれませんが、必ずしもそういった専門家だけではなく、こういう問題全体について御判断をいただけるような視野の広い方々に御参加いただいて、そうして御指導をいただくのがいいのではないか、こう思っております。
 それから機構の役員でございますが、会長、理事長はこの法律に書いてあるとおりでございますが、どちらかと申しますと、会長は、非常に広い視野の方で、国際的な部面もやっていただけるというような方をある程度考えておりますし、理事長は、部内の統制ということを中心にやっていただくわけでございますので、そういった実行力を備え、そうして十分なこういう問題に関する熱意と理解を持っておる方になっていただきたい、こう思っております。
 それから職員につきましては、これは先ほどから申し上げておりますように、基金として運営をしてまいります際のいろいろの庶務的な仕事がございまして、そういった事務職員的な方々がおそらく中心になるだろうと思いますが、一部はいわゆる研究についてのプロジェクトリーダーというような形でやっていただけるような専門の方も何人か入っていただければ非常にけっこうだ、こう思っておるのでございます。なかなかしかし、そういう方々は現にいまいるかというと、やはり民間のシンクタンクその他でやっておられる方が多うございますので、その辺いろいろ御相談をしながらやらなければならないと思っておりますが、やはり機構の性格から見まして若干そういう方々の参加をいただかなければなるまい、こういうふうに考えておる次第でございます。全体としては基金構想でございますから、この研究評議会の運営ということを通じましていろいろ各方面の意見もうまく反映するように考えまして、そうして機構の適正な運用をはかってまいりたい、こう思っておる次第でございます。
#82
○阿具根登君 そうすると、機構のほうにあまり入りたくなかったんですけれども、会長は世界的な視野から広範な知識のある方をお願いしたいと、こうおっしゃっておられる。理事長は部内を統率する能力のある方だ、こういうふうに言われておるんですがね。そうすると、会長はどこからお求めになるかちょっとわかりませんけれども、理事長のほうはおそらく高級官僚の方が天下りされるのではないか、こういうふうに考えられるわけです。その目的は先ほどもおっしゃったように、「経済社会及び国民生活の」と書いてございますが、いまそれではこのシンクタンクで何をやろうとされるのか。たとえばPCBならPCBでいま世論がわくほどわいて、国民がもうほんとうに戸惑っておるような時期に、いまからこういうものをシンクタンクで研究されようとするのか。一体、差し迫ってシンクタンクでやらなければいかぬ問題とは何がありますか。
#83
○政府委員(宮崎仁君) これは機構がつくられて実際に考えるということでございますけれども、四十六年度、四十七年度と準備段階でいろいろ調査をしてまいった過程を通じまして、いわゆる現代経済社会の諸問題といわれるような問題、環境問題でありますとか、あるいは資源問題でありますとかインフレの問題でありますとかいろいろの問題がございます。こういったものを全部取り上げていってもそれはなかなか実際問題としてはできないわけでございまして、いま一応考えております点は、こういうことはどうかというようなことがある程度試論的に議論されておる点を申し上げてみますと、一つは石油という問題とわれわれの文明あるいは社会との関連、これも非常に広範な問題でございますが、エネルギー問題、環境問題その他いろいろの面から石油という問題と社会文明とのかかわりあいというものをテーマとして取り上げてみてはどうかということが一つございます。
 さらに、価値観の変化とこれに対する対応、非常にばく然としておって恐縮でございますが、この価値観の変化ということにつきましてはいろいろの面でいま現に議論が行なわれておりますが、これに対する対応策というのは、今度の経済計画等でもいろいろ議論がございましたけれども、あまりはっきりした方向づけはできませんでした。そういうことから、こういう問題をぜひこのシンクタンクあたりで考えてもらってはどうかというようなことが議論になっております。
 さらに、余暇と教育との問題。これもいろいろ最近議論が多い問題でございますが、こういったことも場合によっては取り上げてみてはどうか。
 もう少し具体的な問題ではというようなことになりますと、たとえば東京の地震対策というようなことを取り上げてみてはどうか、こういう意見もございます。
 そういった課題は実はたくさんあるわけでございまして、この課題の選定ということにつきましては、これはこの関係各省からもいろいろとこの意見がございます。それから、民間のシンクタンクで取り上げておるもので、それを伸ばしていったらいいんじゃないかと思うものもいろいろございます。そういったものを十分調べまして、そして具体的に選定し、研究評議会等できめていただくと、こういうような方向に持ってまいりたいと思う次第でございます。
#84
○阿具根登君 そういう社会全般の問題を研究していくということ、これはもう私も当然必要だと思うんです。そう思うのですけれども、たとえばインフレの問題をいまちょっと言われましたけれども、大臣がおられますけれども、このインフレの問題一つ取り上げてこれをシンクタンクでやる場合、政府はそれを取り入れますか。インフレの一つの見方でも、これは私たちのような立場の人の見方と、それから大臣のような立場の方の見方と、私はまた違ってくると思うのです。そういう場合はどういうふうにしてこれをやっていくのか。これは油の問題もそうなんですね。いまから油の問題を研究するのはこれは間違いじゃないかと。間違いじゃないんです。研究せにゃならぬけれども、研究の成果が出るころは油はどうにもならなくなっておりはせぬか。一生懸命ああでもない、こうでもないといっている間にもうどうにもならぬように経済はなってしまいはせぬかと、こういう考え方があるわけですよ。
 これも午前中に言ったのですけれども、水俣病のネコが発病しておったのを、十五年前に私は行って見てきたのです。そしてそのネコを私はさわったんです。そのネコをパチンとたたけば、ネコがくるくる舞いするんです。向こうへ行っては行き当たり、こっちへ行っては行き当たりするんです。私は、これは水俣病じゃないか、公害病じゃないかということを主張するわけなんです。そうすると学者の方も、確かにそうだと思うけれども、今度は学者の見方としてはこれは解剖してみなければわからぬとか、あるいは実際有機水銀を飲ませてみて、そしてその変化を見た上でなければわからぬということで十年かかったわけなんです。その間に病気は広がってしもうた、こんなになってしまったわけです。だから、その前にやるべき仕事がありはしないか。こういう専門家の方に見てもらう、研究してもらうのは、それはけっこうなんです。しかし、それが一つの政府の隠れみのになって、これはシンクタンクでいま調査してもらっております。研究してもらっておりますと、そういうことで、いまのインフレどうするかというのに、シンクタンクに研究してもらいますと。油がいよいよ、これは世界の経済が油でどうなるかわからぬというようなときに、いまからシンクタンクにひとつ調査してくださいで、これで間に合うだろうかと私は思うのですがね。そういうことは一体どういうふうになりますか、そういう場合は。
#85
○政府委員(宮崎仁君) 確かに御質問の点は私ども十分理解ができます。非常にむずかしい問題に対して時間を切って、そして対応策が出るかということになると、相当これは困難だろうという感じがいたしますが、しかし、シンクタンクをつくってやっていこうというのは、むしろそういう困難があるからこそ必要だという面もあるわけでございます。
 いま公害のお話がございましたが、こういった問題もたとえば工場の技術を持った方だけで議論をすれば、排水はこうすればいいというようなことが問題になりましょうし、それから医学の関係あるいは生物学の関係、そういったそれぞれの分野ではこの研究が行なわれるわけでありますが、これをうまくプロジェクトとして動員をし、各方面の方々が集まって取り組んでいただければ、成果の出るのはもっとずっと早かったのではないかということを、きょう午前中でも牧野参考人からおっしゃっておられましたが、そういった問題がいろいろあるということを考えておるわけでございます。しかし、たとえばインフレ問題というようなことになりますと、これはもちろん政府の政策としてもう取り上げなければならない緊急の問題があるわけでございますから、そういうことについては、経済企画庁というような役所が責任をもってやるわけでございますけれども、しかし、このインフレのメカニズム、さらにその背景になるいろいろの問題ということについて検討し、そしてこれに対する対応策を、一つではなく幾つかの政策としてオールターナティブを含めて出してもらう。そういうことを頼んでそしてやってもらうということは十分考え得ることでございます。そういう場合に、どういうふうにその結果をとっていくか、採用し実施するかということは、これは政府あるいは経済企画庁長官の御判断で、責任でやっていただくというのが、この機構の運用の方法でございます。
 石油の問題についても、確かに同じように非常にむずかしい多くの問題がございます。そして各方面の分野の方が取り組んでおられますけれども、それをさらに広く動員をして取り組んだら、比較的早く方向性を持った結論が出やせぬかと、こういうことで実は当面の課題として一つの候補に考えておる、こういう状況でございまして、まあそのほかいろいろの問題もございますけれども、大体考え方はそういうようなことでございますので、御理解を願いたいと思います。
#86
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいまの局長の答弁で尽きておりますけれども、ちょっと私の考えをさらにこうかみ砕いて申し上げたいと思うんでございますが、いま政府のやっておりますことで、阿具根委員のおことばを借りますと、隠れみのということで一番問題になっているのは各種の審議会であろうかと思うんでございます。この審議会が出す結論というものよりも、かりにこのシンクタンクというものが結論を出す場合を考えてみますると、このほうがまあもっと具体的な、あれもいいがこれもいい、これも悪いがあれも悪いというようなことでなくて、こういうものであるという非常に具体的な結論を出し得るのではないかということが一つと、それから第一条に修正をしていただきまして「公開」するということがございますが、シンクタンクは研究の結果、この問題についてはこういう結論を出したということを公開いたしますと、これは政府がそれを採用するしないは政府の問題でございますけれども、それに対する批判は、政府はこういういい案ができたのに採用しなかったではないかと、したがって責任は重大であるというようなことで、批判はされ得る材料にはなるわけでございます。そういう意味で私は、従来よりもまた違った意味の効果があるんではないか。いろいろな政策を総合的に非常に解明をしてまいりまして、国民の皆さんの判断の指針となり得る、そういう効果があるんではないか、かように考える次第でございます。
#87
○阿具根登君 いや、大臣のおっしゃるとおりだと思うんですけれどもね。いつも審議会をつくる場合でも、まあ何々委員会をつくる場合でも、みんな政府はそう答弁されるわけなんですね。たとえばスト権をとって人事院の裁定が出る場合は、人事院の裁定は公表されますよ、それを守らないことはできませんよと、こうおっしゃっておったけれども、もう最近になるまでほとんど守られることはなかったわけなんです。審議会のやつもそうなんです。シンクタンクというのは、これをしなさいというところではないんですからね、いま皆さんおっしゃるように。こうあったほうがいいでしょう、自分たちの結論としてはこう出ました、あとはおとりになろうとおとりになるまいとそれは皆さんがきめることです。こうなるんでしょう、政府から言わせれば。その場合、政府が自分たちの予算ともにらみ合わせて、自分たちというのは語弊がありますけれども、予算ともにらみ合わせねばならぬし、政策ともにらみ合わせればならぬので、せっかくいいのが出てもこれはお取り上げにならないことが多いわけなんです。
 まずそのためには、このシンクタンクというのはもうこれは完全に独立していなくちゃならぬ。政府の圧力に屈して、そうして政府の思うような結果を出すということはまかりならぬ。ただ、未来に対して指向的でなからねばならぬ、しかもこれだけの大きな研究をやるのに、これは単独じゃできっこないから組織的でなからねばならぬ、こういうような条件が次々にあると思うのですが、こういう条件がこの機構で満たされるかどうかですね。非常に構想としては、また外国でもやっておりますからやれないことはないと思うのですけれども、実際でき上がったのはそうじゃないものにでき上がりはしないか、こういうことが全部条件が満たされるかどうかというものを考えてまいりますと、私はどうもまだ心配があるんですが、いかがでしょうか。
#88
○国務大臣(小坂善太郎君) 私はその御心配を否定するものではございません。それは心配は現実にあると思います。しかし、われわれといたしましては、この研究成果の中立性、独立性、それにつきましてこれが確保できるような組織運営の形態を持つように極力つとめたい、こう思っておる次第でございます。
#89
○阿具根登君 さらに、先ほども申し上げましたように、大体この種の問題は通産省あるいは経済企画庁、科学技術庁というのがいままで構想それぞれ計画してやってまいったわけなんですね。そうすると、この総合研究開発機構に集約されて、これでやっていくんだということで今回提案されておりますが、それだけに今度は各省のエゴがまた出てくる。役所というところはなわ張りがいかにもこれははっきりしているところなんです。そこからまたエゴが出てきて、そして自分の所管の役人がどういうふうな態度をとるか、どこに入るかというような問題が相当また問題になってくる、私はこう思うんですが、大臣、各省のエゴというのですか、こういうものについてはどういうふうな対策を立てておられますか。
#90
○国務大臣(小坂善太郎君) この機構の中にはできるだけ各省のいわゆるOB、高級官僚が入ってきてその役所の利益をのみ主張する、そういうようなことは極力排除しなきゃならぬというふうに思っておりまして、特に必要なのはこれは人的な構成でございますので、そういうおそれのあるような人的な構成を排除するというふうに考えておる次第でございます。
#91
○阿具根登君 大臣にそういう御答弁をいただこうと思っていなかったんです。大臣は、はっきりもうそういうとにかくOBと、そういうふうに見られる官庁のOBは一切入れません、これは完全な独立だ、何もわれわれのひもはつかない、人からそんな色目で見られたくない、だからOBは入れませんと、こうお答えはできませんか。
#92
○国務大臣(小坂善太郎君) 官庁のOBの中にも、全くそういう自分の官庁の利益の代弁というふうなことを考えないような人も何人かおると思うわけでございますし、それと同時に、やはり役人で長年苦労してきた者はそれなりの長所を持っておりますので、できる限りその長所をとって短所を捨てるような、そういう方針でいきたいと思う次第でございまして、一人もOBを入れぬというようなことを申し上げることはちょっと私にも戸惑いを感じられるわけで、その点は、ひとつそういうような妙なエゴを持った役人のOBは排除するという程度にしていただきたいと思っております。
#93
○阿具根登君 いや、私は役人のOBが全部色がついておる、こういうことは申し上げたくもないし、そうも思っておりませんが、こういう新しい発想で、しかもほんとうにこれは何というか、頭脳のかたまりみたいな人たちが集まるところだと思うのですよね。ここにだけは役所からもどこからもひものつかないように、また人からそう見られないように、人からそう見られないようなほんとうに独立したりっぱなものを、どうせつくるならつくっていただきたいのだ。そうしませんと、また役人の天下りと、何かつくれば役人の天下りじゃないか、こういうことに私はまたやられると思うのです。またこれもそういうりっぱな方々が集まりますから、私らみたいな者ばかりだったら、まあ右だ左だとわんころわんころ言いますけれども、なかなかこういう方々は慎重に研究もされ、あわてないと思うのですよ。そうすると、いろいろまた批判も出てくると思うのです。だからそういう批判も出てこないように、やはりこれはほんとうの研究なら研究をやられるのだから、そういう外部から色目で見られるような人はなんぼりっぱでもこれはお断わりするのだ、私はそのくらいやってこれはやっと歩き出すのじゃなかろうかと、こう思うわけなんですよ。
 たとえば学者なんかも、きょうも藤田君も言っておりましたけれども、いい学者はよそへ行ってしまうじゃないかと、外国へ行った学者は帰ってこぬじゃないかと、こういうことを言っておられるわけですよ。そうすると、これだって先ほどから何回も言っているように、これは財界や企業が木川田さんとか植村さんとか幾つもまた企業の中でつくっておられるのもおかしいと思う。野村研究所もそうですね。三井、三菱、丸紅ですか、飯田、こういうのもつくっておるわけなんですね。そうすると、そういうところの待遇はいいと思うのですよ。だからそういうところにいい人たちは行かれるのじゃなかろうか。だれだって何も研究する人は、金が少し多いからそっちへ行くんぞというようなさもしいことじゃなくて、研究が十分にできるところに行きたいという気持ちは皆さんおありだと思うのですよ。そういう点から考えても、これはひとつ従来の政府がつくった機構じゃありませんよ、外郭団体じゃありませんよ、金は半分出しておりますけれども、これは国民の研究場所ですよ、何も政府がそれを指導したりあるいは圧力を加えたり、そんなことをするのじゃないのだという純然たるものをひとつつくってもらいたかったのですが、これはだめですか。
#94
○国務大臣(小坂善太郎君) 阿具根委員の仰せられることはよく理解できるわけでございまして、極力そういうつもりでやってまいりたいと思いますが、ただわが国の場合、政府というものは非常にたくさん資料を持っておるわけでございまして、この資料を十分使いこなせるような点をこの機構としてひとつ考えなければならぬ点かと思いますので、そういう点で、政府と対立するような印象を与える点もいかがかと思います。そうかといって、ただいま仰せられるように、何か政府の二義的な機関が別にできたようなそういう印象を与えることも、これもいけないと思うわけでございます。要は、非常に国民的な信頼を得られる、あの人がやってるならと思われるような人を会長として選びまして、その会長が十分手腕をふるってもらえるような、そういう人選が望ましいのではないかというふうにも思う次第でございます。いずれにいたしましても、待遇もよくなければなりませんし、先ほど局長のほうから初年度は十名程度ということを申し上げましたが、それもやはり少数精鋭でそこへ入られる方は相当な研究費をもって自由濶達に研究ができるような、そういう環境をつくりたいというふうに考えて申し上げておる次第でございます。
#95
○阿具根登君 初年度の予算というのが、これが通って発足したら一億八千万でしたか、今年は。
#96
○政府委員(宮崎仁君) 一応本年度として予定いたしておりますのは、民間出資も含めまして、政府出資三十億、民間も同額と考えまして六十億になりますが……。
#97
○阿具根登君 それはわかっているのだが……。
#98
○政府委員(宮崎仁君) これを六分五厘ぐらいに運用いたしまして一億九千五百万ぐらいの予算でやってまいりたい。そのうち、管理的な経費が四千万ぐらいと思っております。あと研究開発の事業費というものに使いたい、一応そんな構想でございます。
#99
○阿具根登君 そうすると、まあ出発早々だからこれはなかなか何もできないんでしょうが、一倍九千五百万円で十人ですな。十人はすぐ発足と同時に採用されるんでしょう。そうすると、これでやっていけますか。
#100
○政府委員(宮崎仁君) 先ほどから申し上げておりますように、具体的な研究テーマに従事する方はこのほかに出向していただいてやるわけでございまして、基金の運用という面を中心に考えますと、本年度半年間でございますが、十人程度で大体やっていけるのではないか。少数精鋭主義でまいりたい、こう思っておる次第でございます。
#101
○阿具根登君 そうすると、政府が三十億、半分出資される。そうしてきた場合に、スタッフの人選、おそらくほとんど政府がやられるでしょうね。そうすると半分は民間が出し、半分は政府が出したけれども、スタッフの選定なんかは政府がやられるんじゃないかと思うんですが、民間にこれはまかせますか。どちらがやりますか。
#102
○政府委員(宮崎仁君) これは法律上のたてまえといたしましては、十五人の発起人会で定款を定めて、そして認可法人として内閣総理大臣の認可を受けるという形になりますから、その際に会長となるべき者の人選その他も同時に行なって、その認可を申請をしていただくということになるわけでございますが、現実問題として半額政府が出資をするということもございますし、最初のところの段階では、いままで経済企画庁が中心になりまして、通産省、科学技術庁その他関係省と相談をして進めてきた、法律もつくった、こういうたてまえから見まして、そういった発起人になるべき方々と御相談をしながら最初の段階はスタートしていく、こういうことになろうかと思います。
#103
○阿具根登君 そうすると、もう発起人の十五人の方は大体きまっているんですね。そうすると、スタッフも大体考え方があるんですね。一応、いまの話でもわかるように、それは発起人の方、だれだれ発起人になってください、いやわしはやるのやらぬの、もう大体話は済んでいるんでしょう。その発起人十五人の方、だれだれですか。発表してくださいよ。
#104
○政府委員(宮崎仁君) これはまだ法律も御審議をいただいている最中でございますので、発起人になるべき方々にはこういう方ということを具体的にきめておるわけではございません。これはやはりこういった機構というものを御賛成をいただき、そしてまた各方面にも相当影響力のあるりっぱな方になっていただきたいとわれわれ考えております。もちろん、四十六年以来調査をやっておる段階で、先ほどから御指摘もございますように、民間におけるシンクタンクの構想等もございます。そういう方々といろいろとお話をいたしまして、そしてこの法律が通りましたならば、またいろいろひとつ具体的な御相談に乗っていただきたいということは、これはお願いをしてございますけれども、発起人十五人以上という場合に、どういうところからどういう人に具体的に入っていただくかということは、全然まだきめておりません。
#105
○阿具根登君 まあ、それは全員の人間がきまっておるわけじゃないでしょうけれども――これはなぜそんなことをするかと言っているわけじゃないんです。そうしなければやっていけないんです。私たちも、組織をつくるときにはちゃんとやっぱり下相談するんです。そして組織をつくっていくんだから。それは役員の方を全部きめてするのかというと、これはできないけれども、一応のやっぱりスタッフの方は頭に入れて話をするから、皆さんもやっておられると思うのです。こういう場所で名前を言いなさいと言うのがむちゃであって、そんなことは言いませんけれども、大体もう皆さんの腹の中ではみなでき上がっているのですな。それでなくちゃやっぱりいけないと私は思うのです。それにしても、これは最初委託だとおっしゃられたから、私はそれじゃなくちゃできないとは思うのですけれども、まあ機構ができた、当面何をするかという質問を私はさっきしたわけですけれども、これはいままで民間のシンクタンク等がこうやってきている、三萩さんは三年やったと言う。そういうところに委託をして徐々にやっていかなければ、何ぼいいスタッフを集めたといっても、これはとても十人の方でうまく私はいかないと思うのですよね。
   〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
だから、委託はと、こうおっしゃったから、また最初に戻るわけにはいかないけれども、委託はされると。そして金は流れるのは流れるでしょう、委託するからそれは出すでしょうけれどもね。まあそこにちょっとひっかかるのは、それならそういう民間のシンクタンクを助長してやって、そうしてそれをこっちに持ってきたほうがいいのじゃないか、結局同じことになるのじゃないかという気もするわけなんですよ。この法律が通っても、シンクタンクだけで研究が進むということは私はここ当分は当然考えられない、こう思うわけです。そうすると先ほどは大学の問題が出しましたけれども、民間にもその問題は適用されるのではないか。私は大学が一番公正だからということを、まあ水俣の例で言いましたけれども、しかし、やはり進んでおるというならば、いま民間のシンクタンクだってそんなにおくれたものじゃない。アメリカから見ればずいぶんおくれているかもしれませんけれども、日本ではやはり相当進んでおるじゃないかと、こう思うのです。その点いかがですか。
#106
○政府委員(宮崎仁君) 確かにお考えのような点もあるわけでございまして、この民間のシンクタンクのうちで、全部ではないと思いますが、大体のものが入ったシンクタンク協議会というようなものがございまして、そしてそういうところで相互に協力をし、共同研究もやるというようなこともいろいろ行なわれております。今度のこの機構ができますると、これはこういった民間のシンクタンクに対してはそういう課題の、言ってみれば総合調整をやるというような仕事も出てくると思います。つまり、この機構が持ちまする予算によりまして委託をし、あるいは場合によっては助成をするということも出てまいりますから、研究評議会でこれはきめていただくことが中心になりますけれども、しかし、そういった意味で非常に民間のシンクタンクとの関係は密接になる、こういうことになってまいります。そういうことで、課題によりましてそれぞれ民間シンクタンクも得意の分野がございますから、そういう得意な分野をうまく利用させていただきまして、そしてネットワークを組んでいく、こういうことが必要になってくるだろうと思います。また、そういうことではまかなえない分野というのもこれも相当あるだろうと思います。ことに公共的な分野がはそういうことが考えられるわけでございますが、そういうものにつきましては、このシンクタンク以外の大学とかあるいは官庁とかその他の研究機関というようなところから専門の方を動員をいたしまして、そしてチームをつくっていく、こういうことで課題の解明に対処してまいりたい。そういうことでいろいろの形を考えながら運営してまいりたいと思う次第でございます。
#107
○阿具根登君 それで委託のほうばかりいま進んできましたけれども、もちろんこの機構は非営利法人ですから、だから資金面はそれで問題ないかもしれませんけれども、収支は一体どうやっていかれるつもりですか、この点についてお尋ねしたい。
#108
○政府委員(宮崎仁君) 大体基金構想ということを申し上げておりますので、でき上がりの姿では三百億ぐらいを考えておりますが、その際には平年度十九億程度の収入が、これは基金の成果として出てまいるわけでございます。約二十億でございますが、これを委託、助成というような面に中心に使ってまいりたいと思っておる次第でございます。
 それから、課題によりましては政府各省、地方公共団体、あるいは場合によりましては民間機関からの委託を受けるということもあり得ると思います。この場合には必要なコストに相当する今を委託費としていただく、そしてやっていきたい、こう思っておる次第でございまして、当面はそう大きく委託を受けるということはできないと思いますけれども、原則は、ただいま申しましたような形で運用してまいりたいと思います。
#109
○阿具根登君 そうすると、たとえば今日問題になっております情報、まあ情報はいままで価値のないもの、非常に必要ではあるけれども、情報がどれだけ価値があるかということはなかなか問題だったんですけれども、これから相当な価値が出てくると思うのです。そういう問題についてもやはり代金を取ると、たとえば今度は研究するための機構を使用させると、そういう場合には使用料を取ると、民間から委託をされた場合は委託料を取ると、一切これは金を取るようになるんですか。
#110
○政府委員(宮崎仁君) そういった、特に情報、頭脳のコストと申しますか、こういう点の評価は非常にむずかしゅうございますが、しかし、動員をいたしました研究者の方々の報酬といいますか、そういったものを一応原価的に考えたものをコストとしていただこうと、こういうことで考えていったらどうかと思っております。その場合には、この委託調査を受けたもの全体について原則として料金をいただくということでやっていきたいと思っております。
#111
○阿具根登君 そのほかに、まあこれは人材の養成というのが一つの大きな目的でもございますね。そうすると、そういう人たちの研修あるいは人材の養成、こういう人たちからも金を取るのか。特に、何というのですか、プロジェクトマネージャーとでもいいますかな、そういう人の養成については、いまから養成されるのだけれども、特別な機関をおつくりになるのか、専門的な機関をおつくりになるかどうか、そういう点はどういうふうにお考えになっておりますか。
#112
○政府委員(宮崎仁君) 後段のほうからお答えを申し上げますが、プロジェクトマネージャーというのは確かに不足をいたしておりまして、この養成は非常に重要でございますが、しかし、当面この機構に専門の養成機関をつくるという考えはございません。
 そこで、この養成のやり方はどういうふうにするかということでございますが、これは、オン・ザ・ジョブ・トレーニングというようなことをいうようでございますが、具体的な問題に対して取り組んでいただきまして、そういう過程を通じてこのトレーニングをやっていくと、こういう方式をとることがいいということのようでございます。その場合のこの研修に対する費用でございますが、これはやはり原則は、こういった養成をいたす場合にはそれに応じた対価を取るということでございますが、オン・ザ・ジョブ・トレーニングということからもわかりますように、実際の仕事もしていただくわけでございますから、その辺はある程度相殺的と申しますか、そういうことで運用されるのではなかろうかと思っております。しかし、原則は養成費もいただくと、こういうことでございます。
#113
○阿具根登君 まあ時間もだんだん過ぎてきましたが、上のほうばっかり言っておったので、大臣は、会長の話をすると何か考えがあるようですけれども、世界的な視野のある人が会長というとどういうところになりますかな。政治家でいえば外務大臣でもやった方ですかな。財界でいえばどこか経済界の重鎮ですかな。学界でいえば大学の総長さんですかな。そういうところに上がった人――一体どういう方がこのキャップになられるか、どうも私にはわからないのですが、これは一体どうなんですか。
 それからこれがきまれば、四十八年度に予定されている十人はこれはもうすぐ要りますから、この十人は一体どういうことで、これもまあ一応きまっておるかもしれませんけれども、どういうところからおとりになるか。
#114
○政府委員(宮崎仁君) 会長としては、この全体の業務を掌理していただく方でございますから、視野が広く、海外的にもかなりの活動がしていただけるような方々ということで考えております。そういうことでございますから、いま具体的におあげになりましたような方々、いずれもそういうりっぱな方がおられると思います。具体的にはそういう各方面の分野の方から最もいい方を選んでいただきまして、そうして会長になっていただきたいと、こう思っておる次第でございます。
 それから事務方の問題でございますが、これについては、やはりさっそくにも準備をいろいろ始めなければならないわけでございますので、一部は官庁でこういう仕事を若干タッチしてきた人たちということも、出向で行っていただくことも考えなければならないと思いますし、また、場合によってはシンクタンク協議会あたりとのお打ち合わせもいたしまして、具体的にそういう業務に練達をしておられる方に入っていただくということも考えていきたいと、こういうことをいま思っております。もちろん、これ以外にも適当な方があれば入っていただくことはやぶさかでございませんけれども、当面人数もわずかでございますので、そういったことを中心に考えていってはどうかと思っております。
#115
○阿具根登君 それから、さっきも評議員は総理大臣の認可を受けて会長がきめるのだと、評議員の方が中心になると思うのですけれども、しかし、この方々は全部非常勤でしょう。全部非常勤だとすると、ほんとうの評議員になってしまうのではないか。たとえば半数なら半数は常勤であっていつも仕事をしているのだと、そうしないと非常勤の方を二十五人きめておっても、必要なときに集まってきて意見を聞くだけだということになってくると、悪いことばで言えばおざなりになりはせぬか。こういうところだから、そんなつまらぬ人がおるわけではないのだけれども、やはりある程度の人は常勤でなからねばほんとうのことができぬのじゃないかと、こう思うのですがね。これは全部非常勤でしょう、評議員の二十五名は。
#116
○政府委員(宮崎仁君) 御指摘のとおり、この研究評議会の委員は非常勤の方になっていただこうと思っております。これは確かに非常に重要な仕事をしていただくわけでございますけれども、この機構の役員、職員がつくります事業計画と予算あるいは研究調整のための具体的な方針というようなものにつきまして御審議をいただく、そうしていろいろ御意見をいただき、必要があればその修正をするという形でやってまいるわけでございます。そういうことでございますので、最初はなかなかたいへんでございますけれども、しかし、そうひんぱんにこの評議会を開いていただくということはこれは必要ないのではないか。また、非常に視野の広い各方面の重要な分野をやっておられる方々に評議員になっていただきたいと思っておりますので、常勤ということになりますと、なかなかそういう方に実際問題として御就任いただくということが困難になります。そういうことも考えまして、評議員というのは非常勤でそして御指導をいただくと、こういう形で運用していくのがいいのではないかと思っておる次第でございます。
#117
○阿具根登君 これはほかの問題なんですけれども、小坂長官も鉄道審議会の会長をやられた。私も鉄道審議会に出たわけなんです。これはもう確かに忙しい人たちばかりです。それで、これは大体一時間か二時間で終わっちゃうんです。それが日本の鉄道をどうするかということをきめるところなんですね。だから私はこれをおそれるわけなんです。忙しいりっぱな学者先生ばかりを非常勤で、おそらくこれは一年のうち何回かしかないと思うのです。この評議委員会は。毎月なんておそらくないでしょう。そうすると、ちょうど審議会のように、自分のシンクタンクのほうが忙しいと、自分の大学のほうが忙しいという方々がちょこちょこと集まってこられて、事務局がつくった案を、これをひっくり返した、やあどうだこうだということはほとんどもうないようになってしまいはせぬかと、こう思うわけです。それで審議会に行っても、私が発言をしたら、ここはあまり発言せぬのにあなたうんと発言しますなと私は言われたことがあるんですよ。大体そういうようなしきたりが私はこわいんです。だからこの評議委員会というのは、もう一つの名誉というのか、まあ偉い方ばかりでしょうけれども、何か自分がそこに行かぬでも、自分らりっぱな職場があるわけなんですな。第一、この人たちはどのくらい待遇しようと思っておられますか。
#118
○政府委員(宮崎仁君) 御指摘のようなむずかしさは若干あるわけでございますけれども、しかし、今回の機構については、民間にもシンクタンクはあるわけでございまして、そういうところの方も入っていただけるということも考えられますし、また、各方面でこういう機構をつくったらどうかというようなことで、非常に熱心な御提案もあるくらいでございますから、そういった各方面の方々が御参加をいただげれば、御心配のように、単に形式的に議案を審議するだけというようなことではなく、熱心にこれはやっていただけるんじゃないか、そういう運営をぜひやっていただかなければならぬ、こう思っておる次第でございます。
 なお、この評議員の待遇でございますけれども、これは非常勤ということでございますから、給与体系というような形にはならないと思いますが、機構の予算というものの範囲内におきましてできるだけ優遇をしてまいりたいと、こう思っております。
#119
○阿具根登君 もうこれ一問でちょっと質問保留して、きょうはやめたいと思いますが、研究開発が今度国が半分出資してやるようになるというのですが、民間でいまやっておるもの、また民間が都合のいいもの、あるいはこの法律ができた場合、これを国が半分出資しておるこれで研究したほうがいいのといろいろ出てくると思うのですね。そういう場合はどういうふうにしてこれはきめられるか。確かに、民間でしたら、たとえば総合研究ということじゃなくて、非常に専門化されておる民間がございますですね。そういうところにこれは頼んだほうがうんといいんだ、あるいはこれは完全に総合研究所じゃなくちゃ困るのだというようないろいろなものがあると思うのですが、そういう活動分野といいますか、この調整はどういうふうにお考えになっておられますか。
#120
○国務大臣(小坂善太郎君) 今日の非常に複雑な社会経済の変化に応じましていろいろ問題を解明するためには、やはりこういう機関が必要であると、しかし、これは二つはつくらない唯一の機関であるというのが、このシンクタンクの構想でございますが、従来ございまする民間の各種のシンクタンクについては、それぞれその特徴を生かして大いにやっていってもらおうということで、これをこのシンクタンクができたからどうしてもらいたいというような考え方は持たないつもりでございます。また、そのシンクタンクによって非常に得意な研究分野があるわけでもございますから、ものによってはそういうところに委託して、そうしてこの研究機構がその成果を吸い上げる、あるいはプロジェクトチームをつくる場合に、そうしたシンクタンクから人を供出してもらってやっていくというようなことも考えてよろしいかと考えておる次第でございます。要しまするに、わが国の頭脳集団としてこの機構が最高の権威であって、そうして最もここにおいてなされた結論が権威のあるものであるということに持ってまいりたいと考えておる次第でございます。
#121
○阿具根登君 これは質問じゃありませんけれども、わが国の最高の頭脳集団をつくる法律案を、最高でもない最低の頭を持っておるわれわれが審議するのだから、なかなかこれはむずかしくてわかりにくいのですけれども、いままで約二時間ですか一時間半ですか質問しましたが、どうも何か一壁あって、くつの裏からかくみたいな、どうもすっきりしないわけなんですね。何かどの質問にもああなるほどだというのがどうしてもないわけなんです。考え方としてはわかります。考え方としてはわかるけれども、ああそれならこれはけっこうだと、これはやらにゃならぬというところまでどうしてもいかないうらみがあるわけなんです。
 それで、これ以後は今度はいろいろ小さい問題になりますから保留しておきまして、きょうの質問はこれで終わります。
#122
○委員長(佐田一郎君) ほかに御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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