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1972/07/12 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第19号
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1972/07/12 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第19号

#1
第071回国会 商工委員会 第19号
昭和四十八年七月十二日(木曜日)
   午前十時二十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月十一日
    辞任         補欠選任
     玉置 猛夫君     林田悠紀夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐田 一郎君
    理 事
                剱木 亨弘君
                若林 正武君
                大矢  正君
                藤井 恒男君
    委 員
                小笠 公韶君
                大谷藤之助君
                川上 為治君
                林田悠紀夫君
                細川 護熙君
                安田 隆明君
                小野  明君
                藤田  進君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       小坂善太郎君
   政府委員
       公正取引委員会
       事務局長     吉田 文剛君
       通商産業省企業
       局長       山下 英明君
       通商産業省企業
       局参事官     三枝 英夫君
       通商産業省公害
       保安局長     林 信太郎君
       通商産業省繊維
       雑貨局長     齋藤 英雄君
       通商産業省公益
       事業局長     井上  保君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○連合審査会に関する件
○工場立地の調査等に関する法律の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (電気及びガス料金に関する件)
 (社団法人日本建築家協会の独占禁止法違反被
 疑事件に関する件)
 (日米間の繊維問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐田一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十一日、玉置猛夫君が委員を辞任され、その補欠として林田悠紀夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(佐田一郎君) この際、連合審査会に関する件についておはかりいたします。
 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案について、公害対策及び環境保全特別委員会から連合審査会開会の申し入れがございました。これを受諾することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(佐田一郎君) 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○中尾辰義君 この法律は、公害のない緑豊かな環境保全をはかりつつ工場の建設を目ざそうと、そのためには工場立地に関する調査を行ない、立地に関する準則を公表し、並びにこれらに基づいて勧告、命令等を行なう、こういうことになっておりますが、一番最初にお伺いしたいのは、昨年は工業再配置促進法が成立したわけでありますが、それとちょっと関連をいたしましてこの土地の利用計画との関係ですね。今度国土総合開発法に、県知事が利用計画をつくることをいろいろと規定されておりますけれども、まだこちらのほうでは審議をいたしておりませんので、つまびらかなことわかりませんが、いずれにいたしましても、工場の立地は本来地域の土地利用区分に従って行なわれなければ環境の保全はむずかしいのではないか、こういうふうに思うわけであります。具体的には工場の新設を禁止する地域あるいは新規立地を許容する調整地域、積極的に推進する誘導地域、こういう地域を指定して、環境保全の観点から工場等の立地規制を強化しなければならないと、こういうように思うんです。ですから、昨年通りました工業再配置促進法と、それから県知事の行なう土地利用区分とそれと本法との関連性、この辺はどうなっておりますか、ちょっとお伺いしたいんですけれども。
#8
○国務大臣(中曽根康弘君) 工業再配置促進法は、全国的スケールでどこが工業再配置として適当であるか、それで過密と過疎を主として頭に置いて誘導地域等を設定したわけでございます。今度の工場立地に関する法律はそのどちらというとマクロの関係で、ある地点ある地点等について工場立地を行なう場合に、適正に行なわしむる具体的基準等を指示して担保しようと、そういう考えで、どちらかと申しますと、片方は国土総合開発系統の性格が非常に強い。こっちはむしろ公害規制というような面の修正を強く入れて、新しい見地から局部局部の規制ということを考えて出てきた、そういう関係になると思います。具体的には局長から御答弁いたさせます。
#9
○政府委員(山下英明君) 昨年通りました工業再配置法によりますと、いま御指摘のとおりに移転促進地域というものを指定しまして、これは大ざっぱに申し上げまして東京、大阪、名古屋の三地区でございますが、ここからは工場ができるだけ過疎地帯に出ていってほしい。それから今度過疎地帯としましては誘導地域というものを指定しまして、これは大ざっぱに申し上げて日本海沿岸及びそれから接続する過疎地帯でございますが、市町村単位で誘導地域を指定します。そうして三番目に、その移転促進でもない、誘導地域でもないものを私どもは白地地域と呼んでおりますが、日本列島の中にはそういう白地地域も残ったわけでございます。そのほか、先ほどの先生のお話ではほかの法律、都市計画法その他によります地域指定の問題も触れておられましたが、これはまた市街化区域なり調整区域なり、いろいろの区域指定がございます。農村地域工業導入促進法とか、新産都市法等によっても地域指定がございまして、それぞれの法の目的に従う指定地域というものができております。
 これに対しまして、ただいま中曾根大臣から言われましたように、今回の法律はそういった地域指定とは関係なしに、およそ今後、過疎地帯に出る場合であろうと調整地域に出る場合であろうと、工場が新しく新増設される場合には一つの環境保全、公害防止、緑地その他を持ったその地域への融和という目的のために、一つの規制条件を守ってほしいという一般法でございまして、特に去年通過しました工業再配置法との関係を申し上げれば、工業再配置法によって過密地域から過疎地域に工場が移転しますときに、過疎地域で再び工場の弊害、環境破壊とか公害を周囲にまき散らすようなことがないようにという効果を今回の法律で持っておると思います。
#10
○中尾辰義君 ですから、この工業再配置促進法によって誘導地域はきめられたわけですけれども、そうすると、今後はこの誘導地域に工場が立地をされると、そういうことになるわけですね。そうすると、この誘導地域の中で新しく工場を立地する場合は、こういうふうに公害のないようにするために本法を適用すると。それと、先ほどもちょっと申しましたけれども、この国土総合開発法によって土地利用計画、これは県知事が定めることになっておりますけれども、その土地利用計画に基づいてこういうような工場の立地を禁止する区域と調整地域、誘導地域と、こうなろうかと思うのです。ですから、やはりそういう法案にも制約されるわけですね。一般法としてはわかりますよ、一般法としてはあなたのおっしゃった答弁はわかりますけれども、結局そういう土地の利用計画というようなものができなければ、それに基づいてこの辺は工場地帯と、こうなるわけです。その工場地帯に立地をする場合には、こういうふうに本法を適用して公害のないようにやりなさいと、こういうことになるのですか。それとも、あなたはそれと関係なしに、一般法として工場は立地する場合はこれを適用してやるとおっしゃったのですがね、もうちょっと詳しくおっしゃってください。
#11
○政府委員(山下英明君) 国土総合計画なり国土総合開発の関係では、私どもは一つは、それが早く全国の土地利用を計画的に規定してくれれば、それに沿って工場指定地域に工場が行く、建てられるという意味で関係はあると思います。ですけれども、それではそれがない間はこの法律は動かないかというと、そうでございませんで、どんなところでも、企業者があそこに工場を建てたいという場合には、それが現在あります諸関連法規、都市計画法なり自然公園法なり農地調整法なり、そういう法規によって手に入れられました私有地、そこに工場を自由に建てるという場合でも、この法律が適用になります。これが第一点でございます。
 さらに第二点を申し上げれば、今回の提案申し上げております法律は、私有地の中側を規制して、一定の敷地を持ってほしい、緑地をつくってほしいという法律でございますが、そもそもが本法は、四日市裁判等によって強く反省の上で急ぎ原案をつくった法律でございまして、そういう観点からいいますと、かりにこの法律によって私有地の中が整然とされましても、その周辺が再び住宅地区が密集してきたり、あるいは道路その他私有地の周辺の土地利用が非計画的でございますと、その地域全体の総合環境保全とか総合的な公害防除ということは不十分だと思います。したがって、この法律は私有地の中についてでございますが、同時に、国総法等によって広い地域的な計画が並行して行なわれることが望ましいと、私どもは、特に通産省は、経済企画庁に対しましてそういう要望を続けております。
#12
○中尾辰義君 それじゃ次に事前調査のことで、立地調査のことでお伺いします。
 従来わが国の工業は、おもに太平洋ベルト地帯、瀬戸内海、ああいうような臨海部に立地をしておったわけでありますけれども、また環境の破壊、公害等もほとんどそういうところに出ておりますが、今後の工業立地は、二十五万都市の建設や工業再配置政策と相まって、従来人口の比較的少なかった内陸部に行なわれようと計画をされておるわけですが、そうしますと、内陸部もまた人口の増加、地域開発が進むにつれまして、自然環境や生活環境の破壊が行なわれ、四日市などの二の舞いを踏むおそれがあろうかと思われるわけですが、内陸部についても本法案の対象として公害防止事前調査が行なわれるのかどうか。
 それから四十八年度予算では、臨海部の大規模コンビナートの事前調査費が一億三千万円、これに対しまして内陸部のそれはわずか三千万円と、大体四分の一ですね、こういうふうになっておりますが、これではたして内陸地帯の公害の未然防止ができるのか、その辺お答え願いたいと思います。
#13
○国務大臣(中曽根康弘君) 結論的に申し上げますと、内陸部の工業立地調査も公害を防止するという見地から行なわれます。従来は大体、臨海地帯に工業立地が行なわれるという想念がございましたので、臨海地帯の調査が進んでおりまして、それはそれなりのきき目もあったわけでありますが、しかし最近、コンビナート等の情勢を見ますと、その管理が必ずしも予期しているように行なわれていなかったといううらみがございます。将来は、内陸部に対してもかなりの工業立地の可能性が出てまいっておるものでございますから、公害防止の見地からもこういう工業立地を内陸部に進めるということももちろん当然行なう段階になるだろうと思います。
 この予算の関係につきましては、局長から具体的に御答弁申し上げさせます。
#14
○政府委員(林信太郎君) 産業公害総合事前調査でございますが、ただいま大臣から御説明がございましたように、四十年からちょっと始めてまいりまして、四十七年まで実績で申し上げますと、大気と水を合わせまして五十地域になっております。こういった実施しました五十ヵ地点はすべて臨海地域でございます。内陸地域について行なった例はいままでのところございません。これは、大規模な工場が集中立地しているのはほとんど臨海部であったという実情に基づくものかと考えております。
 今後の予想されます大規模工場の集中地域でございますが、一般的にはやはり臨海部ではなかろうかというふうに考えられますので、産業公害総合事前調査の運用も主としてそちらに臨海型のコンビナートを中心に行なわれるかと思っております。ただし、本年度予算から、ただいま先生から御指摘がございましたように、各地方通産局で地方単位の実情に応じまして、やや規模の小さな工場の集中立地というふうな問題が起きております。この場合に内陸部という形をとるわけでございます。したがいまして、そういう場合にもやはり産業公害総合事前調査というこの手法を工場が集中的に立地実現、実施いたします前に実施いたしまして、予想されます公害の重合から起きる問題を未然に防止してまいりたいというふうに考えております。ただいま先生から御指摘を受けました内陸部関係三千万というのは、地方通産局をして実施せしめることにしておるところでございます。
#15
○中尾辰義君 あなた、もっと明確に答弁してくださいよ、聞いているほうがわかるように。さっぱり聞こえにくい点がありますからね。
 私ちょっと急ぎますんで、そこで大臣にお伺いしますが、この前から魚の汚染で問題になっております琵琶湖の周辺ですが、今後はこの周辺に立地する企業もふえている傾向にありますけれども、今後、こういったような非常に近畿の水資源として大事な琵琶湖を控えておるその周辺に対する工業立地に対しまして、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。
#16
○国務大臣(中曽根康弘君) 琵琶湖の周辺におきましては、ここ数年来特に南部を中心とした工業化が活発化しておりまして、これに伴い琵琶湖の自然環境の保全及び水資源利用等による関係住民の福祉の増進が重要な課題となってまいりました。そのため昨年、琵琶湖総合開発特別措置法が制定されましたが、それに基づく琵琶湖総合開発計画は事前に公聴会による地元住民の意見や、また関係府県知事及び市町村長の意見を聞いて滋賀県知事が作成することになっております。通産省としては、関係省庁とも協議しながら、それらの地元の意見の集積した計画に沿って施策を講じていきたいと思っております。工業再配置促進法に基づく誘導地域としては湖北の東部、彦根市外二町を除いた部分が指定されており、さらに湖北の西部が同じく指定されておる、それ以外のところは主として湖南部は白地地域になっております。
 最近の琵琶湖の情勢を見ますと、水質汚染の問題等についてわれわれも深甚の注意をしなければならぬ事態にあるように思います。したがいまして、これらの環境条件の調査につきましては的確にこれを行ない、県当局とも計画の樹立等にあたりましてはよく相談をして実行に移っていきたいと思っております。
#17
○中尾辰義君 それじゃ次に、産業公害総合事前調査につきましてお伺いしますけれども、通産省は四十年以降、大気・水質につきまして岡山県の水島、茨城県の鹿島をはじめ全国数十カ所を対象に産業公害総合事前調査を実施してきたわけですけれども、水島や鹿島を見ましてもわかるように、事前調査の効果がこれははたしてあっただろうかと非常に疑わざるを得ないわけです。そこで、産業公害総合事前調査で使用する拡散理論式といいますか、通産省がこういうのを採用しているらしいのですけれども、環境庁では、開発に伴う環境汚染を事前に把握し、予想される公害を未然に防ぐ環境事前調査の手法を確立させるために、本年度予算二千三百四十五万円を計上して地域の実情に即した地域拡散方程式というものを開発しようとしていると、まあ新聞にも出ておりますけれども、そうしますと、この通産省の拡散理論式ということとどういうふうに違うのか、その辺ちょっとお伺いしたい。
#18
○政府委員(林信太郎君) 通産省が四十年以来実施してまいっております産業公害事前調査の手法でございますが、これは地形、風向あるいは海象、潮汐といったような現地の実態調査をいたしまして、さらにそれを風洞あるいは水理模型及びコンピューターを使いまして拡散計算をするわけでございます。こういう手法で対象になっております地域の工場配置の状況や過去の汚染実績等から、通常最悪の気象を対象として予想されます汚染の状態を予測すると、こういう形になっております。
 で、環境庁でもこういった地域拡散方程式を研究しておられるやに聞いております。その手法は、年間の風向・風速の出現頻度等を考慮に入れまして、年間平均濃度を予測するというふうなやり方ではなかろうかというふうに聞いております。この二つの相違でございますけれども、汚染を予測するということでは基本的に同じような性格かと考えられますが、現在、こういった点で環境庁とも意見交換を行なっているところでございますし、通産省といたしましてもこの事前調査を今後ともなお充実し、かつ環境庁で進めておられますこの汚染予測の手法も十分参考にしてまいりたいというふうに考えております。
#19
○中尾辰義君 それからこの産業公害総合事前調査の実施につきまして、具体的にどのような構成人員からなる機関によって行なわれているのか。それと、この事前調査はおもに都市工学、衛生工学、気象等の分野からなされているようでありますけれども、生態学の立場からも調査する必要があるのではないか、そのために生態学の専門家も事前調査を実施するメンバーに入れたらどうかと、こういうふうに思うわけですが、その辺いかがですか。
#20
○政府委員(林信太郎君) ただいまの事前調査の調査体制でございますが、現在この調査体制といたしまして、通産省の本省及び通産局含めましてスタッフは二十四名になっております。この二十四名は主として調査計画及び調査の調整に当たっておるわけでございます。で、さらに実際の調査項目、手法あるいは予測、あるいは現地調査といいましたような技術的な内容になりますと、関連いたします諸事項につきましての各界の権威者、現在二十名でございますが、産業公害調査員という形で通産省から委嘱申し上げて現実の調査に参画していただいております。
 それから、実際これを実行します段階でございますが、通産省傘下に公害資源研究所を持っております。あるいは中国工業技術試験所を持っております。こういった試験研究機関を動員して行なうとともに、関連いたします地元地方公共団体からも協力を得まして、特にこの現在の環境の汚染の状況とかあるいは開発の方針だとか、あるいは土地利用の状況、方針といったような関連の資料の収集、あるいはそれの扱い方、そういう面でこういった地方の方々の協力、役割りは非常に大きなものがあると考えております。なお、こういう体制では完ぺきと申せませんので、人員あるいは予算の拡大について、一そう私どもも努力する所存でございます。
 第二点、生態系に対します影響及びそれを考慮いたしまして、生態学の専門家をこういった中に入れる必要があるのではないかという御指摘でございますけれども、生態系に対します影響調査につきましては、現在環境庁あるいは農林省等それぞれ実験あるいは理論的な形で研究が進んでおります。
 で、工場立地に伴います公害防止の調査を具体的に進める際に、こういった環境庁等々の成果を取り入れるかどうかでございますが、いままでの段階では取り入れるまでの形にはなっておりません。したがいまして、産業事前調査のあり方としましては、生態系に対します影響調査が進みまして、それが十分取り入れられるような形になってまいりますれば取り入れてまいりたいというふうに考えております。で、それが進まない段階で、それでは事前調査をギブアップするかということになりますと、別途の大きな問題を生じますので、現在の試験で得られますこの最大限の科学的なスタッフを動員して、事前調査の完ぺきを実施しております状況でございます。
#21
○中尾辰義君 それではこの工場立地の準則につきまして一括してお伺いしますけれども、まずこの準則は、工場が立地するにあたりまして望ましい生産施設、緑地、環境施設の面積比率を定めたものであり、そして立地する工場はこれらの事項を届け出をするわけでありますけれども、しかし、通産大臣が立地計画の変更等について勧告することができるのは、その届け出事項が面積率、配置等の準則に適合せず、周辺の環境の保持に支障を及ぼすおそれがあるときにすぎない。このことは、立地準則に適合しないだけでは勧告はかからず、周辺の環境の保持に支障を及ぼすおそれがあると認められなければ勧告はされない、こういうふうに解釈されるわけでありますが、これでは何のために工場立地準則を定めたのかわからないような気がするのでありますけれども、この点はどうなのか。
 二つ目は、周辺の環境保持に支障を及ぼすおそれがあるときとは、具体的にどのような基準に基づいて判断をするのか。
 それから三番目は、工場が立地しようとする場合、その地域の生活環境がどうなるかを比較的正確に判断できるのはその地域に住む住民ではないかと、こう思われるわけです。そこで、地域住民が通産大臣に対しまして、立地計画の変更等の勧告事項の意見を申し述べる措置がとられるべきではないかと思いますが、この点どうなのか。
 以上三点お伺いします。
#22
○政府委員(山下英明君) 準則がどういう形になるか、お手元に私どもが現在検討をしております案をお配りしたわけでございますが、それによってごらんいただきますとわかりますように、生産用地の比率を業種別に一〇ないし四〇%というようなものにきめたい、あるいはその敷地内に緑地をある程度つくる基準をきめたい、あるいは公害施設の配置をきめたい、こういうことでございますが、その準則は、私どもとしては実現可能な限りできるだけ理想に近いものをつくって指導方針を明確にしていきたいと、こう思っております。ところがこれは全国一本でつくります。そしてこの法律の趣旨が、その個々に建てます工場のその周辺地域と融和して環境を保全してほしいということでございますので、全国一本の準則がどこの地域……、具体的な届け出の場合には、具体的な事例の場合にはそれ相応の調整をしていかざるを得ないと思います。もし、必ず守ってほしい準則であればレベルが低くなりますし、私どもとしてはレベルを高いものにして、そしてあとは個別の事情、個別の工場環境に合わして勧告をすべきかどうか判断していきたいと、そういうことでございます。
 先生御指摘の、第九条第二項第一号もそういう点を特に配慮して書きました規定でございまして、「特定工場の周辺の地域における生活環境の保持に支障を」及ぼさないという文言を入れましたのは、そのときの判断を書いたわけでございますが、具体的にそれではどうすれば、どういう場合には周辺住民の生活環境を保持しているか、地域に融和しているか、その基準をお尋ねでございましたが、これは私どもとしては、もちろんできるだけ数量的な基準もつくってまいりますけれども、その地域地域の実情、かりに例を申し上げれば、比較的密集した住宅地域に工場を建てる場合と、本来それ以外の使用できない指定された緑地地域のそばに工場をつくる場合とでは違ってまいりますし、交通事情、周辺農村事情等を勘案して判断していくべきだと思います。法律が施行されましたら、経験を積みながら、基準を少しずつつくっていくよりほかないのではないかと思っております。
 第三点の、地域住民の意見をどうして吸収するかということは、この法律の趣旨からいいましてまことに大事な点だと思いますが、私どもはまず第一に、中央の審議会に地域住民代表を入れて十分意見を反映させる、それは全国知事会の代表の方、市町村会の代表の方等、十分に意見が反映するようにすることが一つでありますとともに、従来とも行政上やってまいりました市町村、県知事を通じての組織的な意見の聴取、かつまた個別の場合であっても、そもそもこの法律がそういうことを目的とした法律でございますので、個別の意見陳情であってもそれを十分聴取して判断していくべきものだと考えております。
#23
○藤井恒男君 中曽根通産大臣に最初にお伺いしますが、この工場立地法案は、四日市公害訴訟判決の結果を直接のきっかけとして本法を提出したというふうに大臣は答弁なさっておられるわけですが、田中総理のいわゆる日本列島改造論と本法案との関係はどのようになっておるのかということを、まず最初にお聞きしたいと思います。
#24
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本列島改造構想と今回の工場立地法との関係は、先ほども申し上げましたように、日本列島改造あるいは国土総合開発というような構想はマクロの構想でございまして、この工場立地法はミクロの局部的な処理の方法、具体化のやり方でございます。それで、日本列島改造とかあるいは国土総合開発という場合には、過密、過疎の解消であるとか、あるいは中央と地方の落差の是正であるとか、そういう全国的スケールの視野の政策的な考慮が表に出てきておりますが、工場立地の場合は、工場そのものを設定する場合に周囲との環境保全、公害の防止ということを中心に考えた局地的な局部的な処理法案、そういう性格を持っております。そして御指摘のように、昨年の四日市判決あるいはコンビナートにおける公害問題等、非常なあれによる刺激も受けまして、新しく工場をつくりあるいは増設するという場合の規制を厳格にして、ああいう四日市のような事例を再び繰り返すまいという発想に出て、こういう新しい装いをもって提出したと、こういう次第であります。
#25
○藤井恒男君 いまの大臣の御答弁の中で、改造論それ自体はマクロのものである、マクロということばに対応して本法がミクロというふうにおっしゃったと思うんだけど、ミクロという表現がはたして適切かどうか私は疑問に思うんだけど、大臣御答弁になった中で、それを具体化するということが適切な表現であろうと。要するに、局地的にそれを具体化するものであるということと私は理解しておるわけです。しかし、考えてみますと、この工場立地法案それ自体が、それ自体で効率を持つものであるかどうか。やはりまだ今回の国会では提出する段階に至らなかったんだけど、いわゆる地方中核都市の建設、うわさされておりました地方都市における市街地整備に関する法律案、これは今国会に出されなかった。
 しかし、前国会では工業再配置促進法というのが現に制定されておる。それから別な角度では、農村地域工業導入促進法というのが一昨年の六月には制定されておるわけです。そういった中で列島改造という、これはマクロと言うならマクロでもけっこうですが、列島改造という一つの構想の中におけるいま申したところの工配法、そうして本法、そうして現在まで制定されておる農村地域工業導入促進法、それらがどのように作用し合っていくと見ておられるのか。そういった中で本法というのをどのような位置づけにお考えになっておるのか。あくまでもやっぱりそれはそれだと、それはそれとして、本法は本法で今後のあるべき姿を描いておるものだというふうに単独に切り離してお考えにあくまでもなっておるのかどうか。私はさようじゃないと、全部が作用し合って、そうして新しい中核都市なり工場像というものを描いておるんであろうというふうに想像をするわけだけど、実際どういうふうに考えておられるか。
#26
○国務大臣(中曽根康弘君) 本法提出の動機になった一つの大きな刺激は四日市判決であるということを申し上げましたけれども、四日市判決におきまして、判決の理由として、立地段階の注意義務というものが指摘されておりました。今回は、立地段階の注意義務というものに対応して工場立地法案を立てて、政策的にもその責務を果たしたいと考えておるわけであります。それから第二には、操業段階の注意義務を四日市判決は指摘しております。これも公害規制立法体系でこの部面はカバーをしたい。そういう意味においては、公害規制は段階的に強化していくという方策をとりつつあるところであります。第三は連帯責任がある、こういうことでありまして、こういうようなことに注目をして本法案を提出したのでございまして、これは列島改造のいかんにかかわらず、およそ今後工場を新増設しようとする場合には、立地段階においてこういう条件を守らなければいけない、そういう趣旨でこの法案の提出ということになったので、日本列島改造の先兵であるとか、その具体化であるという考えをわれわれは必ずしもとっておりません。いかなる工場をつくるにせよ、公害防止という観点から、特に四日市判決の影響を受けまして、立地段階におけるそういう規制を行ないたいという趣旨で出してきたわけでございます。
#27
○藤井恒男君 四日市裁判の立地段階というその一点を見詰めて制定したという意味であれば、ここに助成措置としてとられておる予算、その予算の中の大きなウエートが、いわゆる一口で言うなら工場団地の緑地化、環境整備という点に力点を置いておるわけです。これは、いわゆる四日市のように複合した形の工場蝟集というものを避けようというねらいはその点ではわかるけど、ことばをかえて言うなら、それは間をとっておる、広げておるということになるわけですね。従来であれば、工場と言う場合には工場が即生活圏、極端なことを言えば、工場という一つの塀を囲うなら、その囲いの中に社宅もあればグラウンドもある。福利厚生施設もある。かりに塀の中じゃなくても、塀の外に社宅を位置し、極端に言えば幼稚園までつくり、売店もつくり、その工場のサイレンで寝起きするというのが工場像であったわけです。
 ところが、千葉県の五井などを見てもおわかりのように、工場と生活圏というものが現に離れておる。工場というものは生産の場であり、生活の場はずっと離れて、もうそれこそバスで三、四十分かかって生活圏に移動するというようなことになっておるのが現在の実情なんです。そういった中で、それは緑地も求め、インダストリアルパークというようなものも、それはいいかもわからぬけど、しかし、これはまあ皮肉なものの言い方かもわからぬけど、内陸部なら内陸部に工場地を設定する場合に、かりに幾ら緑地を求めても、あるいは地域住民にそれを開放して公園にするといっても、そこは勤務する勤務時間中は人がおるけど、勤務を終えた者はみんなさっと引き上げてしまうというような工場というものになった場合、いまいろいろな説明書によって麗々しく書かれておることと趣がやや変わるのじゃないだろうか。四日市の判決を見詰めて、あのような四日市というような状態を除却するという効果は確かに持つかもわからぬけど、新たに立地調査をやっていこうとする場合に、この種のものがどのように効率を持っていくんだろうか、ちょっとその辺のところ、現実の問題と掲げておる夢というものとの間に私は乖離があるような気がするんだけど、その辺いかがですか。
#28
○政府委員(山下英明君) 確かに七〇年代の新政策として取り組んでまだ歴史がございませんで、私どももモデルあるいはビジョンとしてはインダストリアルパークというものを幾つか書き上げてはおります。その場合の理想的な形は、とにかく工場を移転して、そこに新しく建てて産業活動をすることが文化都市づくりの起爆剤であることは間違いございませんので、工場というものは重要である、しかし、それを無公害にし、住民に被害を与えない、働く職員、労務者には働きがいのある場所にする、そして環境に調和すると。その場合のいろいろな形を考えますと、ほんとうを申せば、工場の敷地内だけをああするこうするというぐあいにしましても、その地域全体のそれでは職員、労務者は一体どこに住むのか、工場の敷地内なのか、道路で十分ドライブした先に住宅を建てるのか、工場の中はきれいになったとしても、周辺は一体緑地なのか住宅地なのか、ショッピングセンターをどこに置く、こういう多彩な問題が同時にからんでまいりまして、私どもが考えておる将来のビジョンに対してはまだ非常に道のりは遠いと思います。しかしながら、やはり各企業家というものがそれぞれ自分の敷地内に自分の工場なり生活圏というものをつくっていくんだから、それをかってほうだいにするよりも、まずそこに一つの基準を置こう、そして、先ほど御質問もございましたように、その他の諸法律で工場敷地周辺を同時に計画化して調整していくことによって理想に近づいていこうという、そういう考え方でございます。
#29
○藤井恒男君 時間の関係がありますから、先に質問を進めざるを得ませんが、さきにちょっと触れました農村地域工業導入促進法、いわゆる農工法が施行されてもう二年になろうとしておるのですが、この農工法に基づく農村地域工業導入実施計画というものの策定状況並びに工業の導入地区への企業の進出状況がどうなっておるか。四十六年の十一月に制定されました農村地域工業導入基本方針によりますと、農村地域へ導入すべき工業の業種は、公害の発生のおそれのない業種または公害防止設備を完備した企業の導入をはかるとなっておるわけでございまして、実際にそのとおりに公害のない立地が進められておるのかどうかということをお聞きしたいわけです。
#30
○政府委員(山下英明君) 実施計画の進捗状況をお答えいたしますが、四十六年度は百四十一地区、四十七年度は二百十九地区実施計画を策定いたしました。その合計面積は七千六百一ヘクタールに及びます。これは当時御審議いただきましたときも、将来の目標として昭和五十年には一万五千ヘクタールに持っていきたいんだということを申し上げましたが、その目標に対しまして約五〇%はこの二年度で策定したことになります。その中に、実際に企業がどのくらい来たかということでございますが、本年三月三十一日現在で仕切ってみますと、用地にいたしまして千七百八ヘクタールが工場用地としてきまっております。地区にいたしますと二百四地区に企業導入がきまっておりまして、企業数は三百八十一企業となっております。
#31
○藤井恒男君 これらの企業の業種はどうなっておりますか、いわゆる公害型産業でないということが定められておるわけなんだけど。
#32
○政府委員(山下英明君) 総称いたしまして内陸型産業でございます。といいますのは、電気機械、精密機械あるいはその他の産業用機械の関連工場、及び木材・木製品、食品加工といった種類の企業でございます。
#33
○藤井恒男君 いわゆる無公害産業というふうに理解していいわけですね。
 工配法については現在どのようになっておるか。工業再配置・産炭地域振興公団というのが四十七年度にどのような活動をしておるか。それらの点をお伺いいたします。
#34
○政府委員(山下英明君) いま申されました公団は、去年の十月二日に発足いたしました。また、施行令等により十月二十五日から工業再配置促進法を施行してまいったわけでございますが、まず第一に、政令で地域指定を去年の十二月の二十四日にやっております。これによって東京、大阪、名古屋を中心に三つの移転促進地域と、日本海岸から過疎地帯として連続しておる地域を誘導地域として指定いたしました。
 法律にございます工業再配置計画でございますが、これは実は現在、経済社会基本計画あるいは新全国総合開発計画が総点検に入っておりまして、私どもの工場再配置計画も昭和六十年に向かっての見通しでございますので、この政府内の別の二計画と相関連いたしますので、その討議と関連して、現在、鋭意検討中でございます。
 移転計画でございますが、これにつきましてはすでに実施通達を三月にきめて発表しております。ただし、法律に基づく政府の認定という行為はまだその段階になっておりませんで、数件について相談は受けております。
 促進補助金は、補助金交付規則を六月に発表いたしまして、現在受付を申請中でございます。
 なお、公団側の仕事は十月発足以来これまた着々進んでおりまして、ことしの二月に業務方法書を決定しまして、それに基づいて、移転融資はすでに契約額にして百四十億円、貸し付け金額では六十二億円を貸し付けております。
 問題のもう一つの、公団の仕事であります中核工業団地を造成する仕事、これのほうも着々進んでおりまして、全国の各市町村等において特に土地の先行取得の進んでおるもの、こういうものから事情を聞いて、大体二十地区ぐらいの有力候補がございますが、その中で一番適地と思われるものを三つないし四つ選ぶ作業を現在進めております。
#35
○藤井恒男君 いまの政府の認定ができていないところというのは、地元との問題があるからですか、地元との話ができていない。公団の貸し付け対象というのは、進出先の地元と話し合いがついていなければならないということになっておるわけですけど、そのところをさしておっしゃっているのですか。ちょっと聞き漏らしたような気がするのですが。
#36
○政府委員(三枝英夫君) 先生お尋ねのただいまの点でございますが、移転計画の認定と申しますのは、工場が現実に移転する段階になりまして、移転旧工場の設備等これを廃却あるいは処分をする、その際に、税法上その移転計画を国として認定いたしますと、その認定を受けたところに従いましてただいま申しましたこの加速度償却ということで、残存価格につきまして一ぺんに損金算入できる、こういう措置の適用でございます。したがいまして、それがまだ進んでおりませんので、出てきてないということでございます。それからまた移転融資のほうは、それに先行いたしまして、計画の段階で公団で審査いたしまして、ただいま先生御指摘のような公害の問題あるいは現地の受け入れ態勢、それから労働の問題、下請取引との関係を十分に審議した上で、問題なしという判断に立って、先ほど申し上げましたような数字で融資をいたしておる、こういうことでございます。
#37
○藤井恒男君 はい、わかりました。この工業再配置促進法では、過密地域周辺のいわゆる白地地域については対象外ということになっておるわけですね。そうでございますね。
#38
○政府委員(三枝英夫君) 再配置法に基づきます諸施策の恩典を受けようという場合には、移転促進地域から誘導地域への移転ないしは誘導地域におきます新増設工場というのが主対象になるわけでございまして、白地地域に移転するというケースにつきましては、工配法全体の制定の趣旨からいいまして、そういった助成対象にはしてないということでございます。
#39
○藤井恒男君 ところが、この白地地域についての問題なんですが、私が承知しておるところですけど、ある民間企業が、政府の工業再配置政策の施策とその方向づけが具体化しつつあった段階で、この移転促進地域の工場についてアンケートを行なっておる。これは四千二百二十八工場を対象に行なったわけですが、これらの工場の移転計画のアンケートの結果は、移転先はその五九%というものが神奈川、埼玉、茨城などの関東周辺群、いわゆる白地地域ということになっておるわけですね。そうしてさらにそれらの工場の業種というのは、石油化学であるし、パルプであるし、ゴムであるし、あるいは非鉄金属ということになっておるわけです。
 そうなると、これはまさしくいまいうところの公害関連産業ということになるわけなんだけど、こうなってまいりますと、この白地地域に対してよりきびしい工場立地準則というようなものを適用して、公害の未然防止というものを万全を期さなければならないと思うわけなんです。その辺について、いま言ったところのアンケートは、これは民間企業がやったものでございますから、政府がやったものじゃないといえばそれまでだけど、そういったアンケートの経過を承知しておるかどうか。あるいはそれがそのまま生きるとすれば、この白地地域へどんどん、いわゆる既成の工場周辺群に工場が移動していくということになって、たいへんこれは問題を惹起することになると思うのだけど、それらに対して措置し得るのかどうか、お聞きしたいと思います。
#40
○政府委員(山下英明君) 民間の調査を御披露をいただきましたが、その調査にあらわれましたのは、きわめて一般的な傾向であると思います。過密地域である東京、大阪、名古屋周辺の工場が、現在地から出ていきたいが、さて行く先はという場合には、やはり交通その他の事情から比較的近いところ、関東でいえば群馬、栃木から南側のほうでいいところをさがしたいというのが一般的ではございます。
 そこで、そういうところで立地する場合に、特段の準則を設けたらどうかという御意見をいただきましたが、私どもとしましては、この工業再配置法と現在提案申し上げている工場立地法との関連にもなるのですが、確かに工業再配置法では白地地域というものを残しております。あの法律は、できるだけ山の向こうの過疎地帯に行ってほしいと、それを促進しましょうという政府の施策が盛り込まれておりますが、さて、山の手前側の白地地域でとどまる人に対してどうするか、その点については、政府は特別の助成をしないというのが工業再配置法の限度でございまして、今度工場立地法を私どもで御提案申し上げておりますのは、もちろん白地の新工場についても今度の準則は適用いたしますし、守ってもらって、格別白地に公害関連工場が行く場合には、よりやかましく運用すべきだとは思います。ただ、そのために特別の準則をつくるよりも、準則自体としましては全国一本でできるだけ基準の高いものにしておいて、そして個別具体的な工場の新増設にあわせて第九条の判断をしていくべきだ、こう考えております。
#41
○藤井恒男君 この工配法を審議した本委員会で附帯決議があるわけです。それは、「誘導地域に工場を移転させる場合には、公害の発生を未然に防止するための公害事前調査を十分に行ない、最新の公害防止施設をとり入れること。」ということになっているわけですが、いま言ったことなどとも関連して今度の立地法がこれらの面を十分にカバーし得るというふうにお考えかどうか、その点お聞きしたいと思います。
#42
○政府委員(山下英明君) 私どもは、そういった附帯決議の線にも沿いまして原案をつくったわけでございまして、公表します準則、また事前調査いずれの面からも工場立地の段階で無公害工場の方向を打ち出していこうと、こういう趣旨でございます。
#43
○藤井恒男君 私は、全部の先ほど申したような既存の法体系と本法との関連性を持たした状況の中から、無公害の新しい工場というものを描き出すべきだと、出さなければならないという考えを持っておる。御答弁なさる側は、立地という点に限って具体的に現地主義で答弁なさるので話が一つもかみ合わぬわけだけど、これは法文の審議の過程でやむを得ぬと思うんですけど、通産省という立場で、私はやっぱり総合的なものの動かし方ということを考えて目的を達していただかなければならないというふうに思いますので、その点はひとつよろしく行政指導なりやっていただきたいと思うわけです。
 具体的な問題にちょっと触れさせていただきますが、衆議院で附帯決議があるわけです。その中の五に、「工場が集中して設置されることによる生物の分布等その生態系への影響について調査研究を進めること。」ということになっておるわけですが、これを附帯決議として出されておる。非常にむずかしいことだし、今日非常に脚光を浴びておる問題ではございますけど、おそらく衆議院段階でも誠心誠意これを尊重して処置するという大臣答弁があったと思うんだけど、どのように受けとめておられるか、本法の中でこれをどのように生かしていくかですね。まあ理想といえば理想だけど、私たいへんむずかしいことだなというふうに思うんだけど、聞かしてもらいたいと思うんです。
#44
○国務大臣(中曽根康弘君) 衆議院段階におきまして環境の保全という御修正がなされましたが、今回の法律改正は、工場周辺の環境保全をはかることをねらいとして工場敷地の利用方法、コンビナートにおける公害の防止等に関して規制強化を行なわせるために勧告、命令、罰則を規定しているものであります。衆議院における修正は、政府提案の法案の目的の表現ではこの点が明確になっていないとの観点から、工場立地が環境の保全をはかりつつという表現を明言したものであります。この法案の修正後、御指摘に沿った内容は本案の条文にすでに盛り込まれておるところでございます。
 すなわち、第二条の工場立地に関する公害の防止に関する調査、第四条第一項の工場立地に関する準則、それから六条五号、六号の届け出、九条二項の勧告、十条の変更命令、その他今回の改正ではもっぱら修正の趣旨に沿った条文が事実上盛られておりまして、それをさらに第一条において確認したということでございます。その中に生態系との調整という問題がございまして、生態系との問題というものはなかなかむずかしい問題であります。現在、環境庁を中心として実験や理論的研究がなされておる状態であり、工場立地に伴う公害の防止に関する調査に具体的な形でまだ取り入れるまでには至っておりません。将来、産業公害総合事前調査におきましても、将来の問題として生態系に対する影響調査を行なわなければならないと考えております。これについてはやはり科学的な知見を最大限に動員して環境基準の維持、規制をはかることを目標として実施をしていきたいと思いますが、今後よくこの問題について検討していきたいと思うところでございます。
 関東地方における最近の工業化と周囲の環境との問題について、生態系的な観点からの一つの研究が先般提示されまして、われわれも非常に関心と、その問題に対するわれわれとしての施策の重要性を察知したところでございます。それに東京湾全般を見る風の問題、塩の問題、それからくる植物の繁茂の問題、それから自然復元力の問題、そういう問題は今後大いにわれわれが検討していくべき問題点として明らかに自覚しておるところでございます。
#45
○藤井恒男君 いま詳しく大臣の御答弁をいただいたわけですが、このことは衆議院段階における修正で、「工場立地の適正化に資するため、」といのを、「工場立地が環境の保全を図りつつ適正に行なわれるようにするため、」というように改まっておるわけで、その中の環境の保全というものと一体をなしておるというふうに解釈していいわけですか。
#46
○国務大臣(中曽根康弘君) そう御解釈願ってけっこうでございます。環境保全の中の一つの重要なファクターとして生態系的、科学的見地よりの施策というものも必要であると考えております。
#47
○藤井恒男君 現在の各コンビナートでは、電気、ガス、蒸気、水などのいわゆるエネルギーというものがどのような形で供給されておるかということをお聞きしたいと思うのです。と申しますのは、今後私はこれは重要な問題と思うけど、いわゆる危険を伴う原料ですね、ガスその他これを輸送する方法というものをよく検討しなければならない。パイプラインが前国会で通過したわけですが、非常にパイプラインという問題をめぐって地元住民との間にいろいろなトラブルがあるわけだけど、しかし、安全ということを考えると、いまのような工場がずっと拡散していくということになると、危険物の原料を輸送するにあたって既往の方法を講じていけるものかどうか。やはりパイプラインならパイプラインというものの安全度というものをより高めて施設していくのか、将来を展望する形でもけっこうですが、立地法それ自体が将来を展望をしておるものですから、ひとつお考えをお聞きしておきたいと思うわけです。
#48
○国務大臣(中曽根康弘君) 石油パイプラインの問題につきましては、石油パイプライン事業法が施行されまして以来、技術上の基準の細目を定める告示を目下検討中でございまして、近く成案を得た上で、当面、関東地域における関東パイプラインの計画及び国鉄計画及び新東京国際空港公団計画の三計画を推進していきたいと考えております。やはり危険物の輸送という面を考えてみますと、トラックによる輸送、列車による輸送等とも見合わしてみて、パイプラインの輸送という問題は長短おのおのございますが、時代の動向に沿う方法で、西欧各国がすでに大規模に展開しているところでもありますので、保安上の措置を十全に行ないながら、その世界の潮流に日本もおくれない方向で進めていきたいと思っておるところでございます。しかし、この建設の進展に並行して、地元のコンセンサスを得られるということが非常に大事なことでございまして、それらについては入念な手当てを行ないながら地元の皆さんの御協力を得るようにいたしていきたいと思っております。
#49
○藤井恒男君 ことしの二月に通産省から出された「工場立地法(案)の必要性とその概要」というものによりますと、「今後の工業開発を進めるにあたって最大の問題は、地域環境と産業活動との関係であり、これを解決するため、今後の工業立地は、公害・災害等の防止に万全を期すことはもちろん、進んで工場緑化等を行ない、積極的に地域環境づくりに貢献することを基本として、進めなければならない。」といわれておるわけです。この後半の工場緑化などは、工場立地準則できめられておるというわけですが、前半の公害、災害の防止、特に災害の防止ということについて、今度の場合、工場立地法という先ほどからいろいろ説明があったような趣旨で、法文上これは載せなかったということなのかどうか、二月に通産省から出されたところの「工場立地法(案)の必要性とその概要」というものと照らしてその前半の問題はどうなるのか、その辺のところを聞いておきたいと思います。
#50
○政府委員(山下英明君) この点も本法案と他の法令との関係という点で、先ほど来先生の御指摘の一種類の問題だと思いますが、災害保安について、工場立地の段階で十分配慮すべきことはこれは当然と思います。ただ、高圧ガス取締法などの保安関係の法律が別にございまして、個別施設の設置許可あるいは操業段階での技術基準等は、そちらの法律で規制いたしておりますので、それを前提にいたしまして、工場をつくるとき公害防止施設の配置とか、あるいは敷地の観点からどうかということがこの法律の主たるねらいでございますが、そのために準則で周辺部に緑地を設けること、施設配置について審査をすることとこうなっておりますが、その際の一つの配慮事項でございまして、保安、災害防止も当然考えていかなければならないと思っております。
#51
○藤井恒男君 大臣、ちょっとお聞きしたいんですけど、本法との関連ということになれば、これは立地の上からということになってしまうのだけど、まあ重大な関係があるからお聞きするんですが、今度のコンビナートですね、コンビナートのあり方がいろいろとあらゆる場所で論議されておるわけですけど、結局四日市にしろ何にしろ問題になってきたのは、一地域、いわゆるコンビナートに複合すると、あらゆる業種が同一地域に蝟集してくるがゆえに複合コンビナートの形式を持ち、そこから複合汚染というものが出てくるわけなんで、複合汚染というものを未然に防止するという、いわゆる公害防止を事前に調査するということになるわけだけど、そういう観点からいくと、新しく開発する工場地域におけるこのコンビナート形式というものを公害防止という観点から考えていくと、これは分散しなきゃならないということになるわけですね。その分散するということは、コンビナートという形式を持たないということになるわけだし、産業効率を著しく阻害するということになる。だからといって、これを緑地を設けて工場間を少し間を取っても、問題の解決には私はつながらないと思います。この辺が非常に矛盾撞着といいますかね、むずかしい問題をはらんでおると思うのだけど、新しいコンビナート像というものを大臣は一体こういった世論の中、そうして現にああいった四日市裁判というものも起きておる状況、そういう中でさらに本法が目的とするように、あるいは工配法が目的とするように、もっと内陸部にも、いろんな方面に手を広げなきゃならないというような状況の中で、大臣としてどういうふうに考えておられるのか、この点お聞きしておきたいと思います。
#52
○国務大臣(中曽根康弘君) 昨年来のコンビナートに起きました公害等を考えてみますと、分散するという型も一つの発想として今後取り入れらるべきでありまして、あのようなコンビナートの弊害を取り除くということについて、通産省も関心を持たなければならぬと思います。しかしまた他面、いまおっしゃいましたように、産業効率あるいは局地化という面等も考えてみますと、コンビナートにおける公害をいかに芟除するかという点も重要でございまして、そのために排出基準あるいは総量規制ということが強行されておりまして、コンビナートにおける無公害という方向に政策を強力的に進めておるところでございます。この点もまた重視しなければならぬところでございまして、現在存在するものにつきましては、いまのような無公害化による努力をできるだけ早期に完成させまして、コンビナートを清潔清浄なものに早く復帰させる、その点をわれわれは努力していきたいと思います。しかし、将来の発想といたしましては、いままでの既設の観念にとらわれることなく、いままでの経験を生かしつつ、コンビナートの造成というものについて新しいアイデアを入れていく必要もあるやに思います。しかし、いずれにせよ、コンビナート自体というものを否定することは、時代に沿った考え方ではないと私は思います。
#53
○藤井恒男君 それでは最後に、徳山との関連の問題を二、三お聞きして私の質問を終わらしていただきますが、新潟の地震が起きて、石油タンクが爆発をしたわけでございますが、そのときに通産省としては、それに対応する形で、全自動式シャットダウンシステムの調査ということを手がけたやに私は聞いております。今度徳山であのような事故が起きて、これはもっと原因を究明しなければ、どの辺に問題点があったか、いまつまびらかじゃないわけだけど、とにかく既存のああいった石油化学のいわゆるコンビナートで、地震によらない――地震があればもちろんたいへんなことになるわけだけど、地震によらない偶発的な事故などが起きた場合に、全自動式シャットダウンというこのシステムがやはり私は必要であろうというふうに思うわけなんです。しかし、なかなか現在の状況の中では、それぞれの企業間にいわゆるノーハウという問題もあり、企業機密という問題もあってそう簡単にいかない問題もあるだろうし、かといって人命尊重ということを考えれば、この際もっと進んだ形の、事故が発生すると同時にすべての機能がストップして、危害を極小におさめるということを考えなければならない。衆議院の本法の修正の第二点の中にも、「当該汚染物質に係る燃料及び原材料の使用に関する計画、公害防止施設の設置その他の措置」というふうに新たに問題が出されたわけだけど、この際、いまいうところのこの措置の中に全自動式シャットダウンシステム装置というようなものを考えに入れるかどうか、その辺のところを徳山の問題に徴してお聞きしておきたいと思います。
#54
○国務大臣(中曽根康弘君) 石油化学のようないわゆる装置産業は二十四時間操業でございまして、非常に機械にたよるところが多いわけでございます。したがって、当然この防除施設として自動的シャットダウン、そのほかコンピューター制御等による自動的防除装備というものが完ぺきに行なわれていなければならぬのでありまして、今回の事故の例を見ましても、シャットダウンは非常に有効に働いた部面も他面にはございます。そういう面からこの自動制御装置というものをできるだけ各社協力し合って、いろいろノーハウや何かの問題もお説のとおりございますけれども、できるだけそういう急所の部面はお互いの保全のために相提携、協力し合って、住民の皆さんにも心配かけないように、私たちは勧誘して積極的に進めてみたいと思っております。
#55
○藤井恒男君 徳山問題を調査する段階で大臣も御答弁になったわけだけど、徳山の経験から見て、現在の高圧ガス取締法による危険装置と人家との距離規制が三十メートルでは甘い、考えなきゃいかぬというような意味の御答弁があったと思うんです。で、このような点から今回の立地法の、現在政府がお考えの生産施設用地率あるいは緑化比率という点は、新たにこの経験から照らして訂正する、あるいは訂正というかさらに検討を加えるというような考えがあるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
 最後にもう一つ、このコンビナートの火災をきっかけとして、石油化学工業の立地というものが今後私は非常にむずかしくなっていくだろうというふうに思うわけです。全国に現在十七の石油化学コンビナート工場があるし、それを総点検する、業界側もまた自主的に総点検するし、関係者を集めて保安対策に十全を期するというようなことが報道されておるわけだけど、いまの十七の石油化学コンビナート基地というものについて前回の審議以降、政府も新たに何らかの危険防止のための措置をとっておられるかどうか、業界との間に何らかのまた話し合いの進みというものがあるかどうか、その辺もお聞きしておきたいと思います。
#56
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の徳山における事件はまことに遺憾な事件で、その原因の究明をいま鋭意やっておるところでございますが、この工場立地法等とは関係なしに、高圧ガス取締法の関係において今回総点検をやらせた結果にかんがみまして、もし是正を要する部面があれば是正するにやぶさかでない、こう考えております。
 一応の書面報告等を見てみますと、民家との距離が、古いコンビナート、古い石油化学の工場においては五十メーター前後というのもございました。それはたしか境界線から五十メーターですけれども、施設からは三十メーターのあれが境界線との間には確保されておるわけであります。しかし、それにしてもあれだけのショックが出てくるという情勢を考えてみますと、今度の実地の調査を踏まえましてもう一回高圧ガス取締法を再点検して、古い型のコンビナートで、われわれが見て近接していると思われるものについてこれを是正する必要がありやいなや検討してみたいと考えております。
 なお、業界におきましても、いまのようなシャットダウンあるいは水素添加装置というような非常にバイタルなポイントについてはみんな企業の秘密があるわけでございますけれども、しかし、防御についてお互いがノーハウを公開し合い、あるいはお互いが提携し合うということは国民に対しても非常に望ましいことでありますから、通産省としてもそれを勧告、勧誘をしておりまして、業界もそれに応ずる用意があるというふうに聞いております。このことを進めていきたいと思います。
#57
○藤井恒男君 本法に照らして、いま大臣おっしゃったように、先ほど私の質問の中に出てきたのだけど、高圧ガス取締法それ自体は再点検しなければなるまいと、立地調査の結果ですね。今度本法でいうところのいわゆる緑地化率だとか、そういったものにこの問題を波及して考える用意があるかどうかということもつけ加えてお聞きしておったのですが、それはどうですか。
#58
○国務大臣(中曽根康弘君) 本法によりますと、一定のグリーンベルトの創設とか、あるいは一定の敷地の内部における建物の比率とかそういう点が規制され、準則にも指示されることになると思います。そういう面からいたしまして、特に爆発物とかあるいは周囲に影響を及ぼすものにつきましては、準則をきめる上におきましてもいろいろ考慮がもたらされることは当然でございまして、本法は、一般的な工場施設についてこれは規定しておる法律ではございますけれども、結果的にそのような保安上の効果も著しく改善される要素があると、そういうふうに考えております。
#59
○委員長(佐田一郎君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 それでは午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十六分開会
#60
○委員長(佐田一郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#61
○藤田進君 通産大臣の時間的予定等から、まず質問の順序を変えまして、通産大臣を中心にお伺いいたしたいと思います。
 きょう私が質疑をいたしますのは、協定あるいは規定等によるあるいは認可、いわゆる管理価格、こういったようなことについてお伺いをしたいということでありますが、通産省、通産大臣所管では電気、ガス、これがいま値上げ申請がきていると、あるいはガスについてはもう地方通産局長名で認可していると、こういう状況ですが、まず事務当局でもけっこうですが、現在電気、ガスについての申請がなされている会社あるいはその内容、さらにガスについてはすでに最近認可されたところ、あるいは電気、ガスについて今後少なくともここ半年以内にはくるであろう申請、これらをまずお伺いいたします。
#62
○政府委員(井上保君) 最初に電気でございますが、電気につきましては御承知のとおり、現在関西電力及び四国電力から料金値上げの申請がございます。内容は、大体改定率といたしまして、関西電力の場合には全体で二八・一三%のアップの申請でございます。四国電力の場合には二一・五四%のアップの申請でございます。なお、今後近く申請があると思われるところはございません。
 それからガスの関係でございますが、現在申請がありますものは小さなガス会社でございますが、鬼怒川瓦斯、大多喜天然瓦斯、南日本ガス、日本瓦斯、宮崎瓦斯、合同瓦斯、盛岡瓦斯等でございます。
 なお、最近認可いたしましたガスの料金申請でございますが、これは高岡瓦斯、武州瓦斯、上越市営ガス、広島ガスの四つでございまして、改定率といたしましては高岡瓦斯が一九・八%、武州瓦斯が一四・九九%上越市が二六・〇二%、広島ガスが二〇・七七%でございます。
 ごく近く申請する予定のガス会社につきましてはまだ把握いたしておりません。
#63
○藤田進君 大阪瓦斯についてはどうですか。
#64
○政府委員(井上保君) 申し落としました。大阪瓦斯は、現在申請が参っておりまして、三〇・八九%の申請率でございます。
#65
○藤田進君 大阪瓦斯を落としたのはどういう理由ですか、こんな大きな影響を持つ……。
#66
○政府委員(井上保君) つい失礼をいたしました。ガスのこまかいのに気をとられましたものですから、失念いたしまして失礼をいたしました。
#67
○藤田進君 そこで大臣、次の予定もあるようですが、ガス、電気、いわば非常に公益性の高いもの、特に電気では交通あるいは医療、教育その他非常に関係の深い、国民生活には全く空気のようにこれをなくするわけにいきません。で、私の見たところ、電力はいずれピンチ、すでにもうそういう警報を出している会社もある。こういう中でいま電源開発を含めての十社、電源開発もかなり性格が変わってきておりますね。水力に対する終戦後の開発というものが、ほとんど水資源地点というものが枯渇してきましたからね。そうすると、全体として個別料金、個別原価主義あるいは最近政策主義、あるいは企業形態そのものが九社分割でいいのか。実態的にはかなり電力は融通し合っておりますね。属地解決ができない。ですから四国からあるいは中部辺までこれを送るとか、現実の面ではかなり広域化している。だから、広域運営といったような業者では委員会をお持ちしておる。
 こういうときに料金、これが国民生活に大きな影響を持つ、ガスしかり。これを個別に認可していくということになれば、これは際限がないんじゃないだろうか。そこで、その一つとしてはこれに対する対応策、公益事業であるだけに、いきなり料金にこれを転嫁するという方法以外にも方法があるように思うし、あるいはこれを機会に、全体の経営形態なりあるいは再編成なり、そういったようなことについても十分検討する時期に来てるんじゃないだろうかといったように思われます。広範なそうして現実に即した通産大臣としてのこれらガス、電気に対する料金を含む政策について所信を伺います。
#68
○国務大臣(中曽根康弘君) まず、経営形態の問題でございますが、電気事業のような公益事業は、技術的、経済的特質から、その運営はできる限り広域的、総合的に行なうことが望ましいものであります。そのため、世界各国とも広域的地域独占事業として営まれている国が多いのでありますが、その企業体制は各国の歴史的、社会的背景の差異によって一様ではなく、それぞれの長短、特徴を持っております。たとえば公社形態または国営形態をとった場合には、公的意思の浸透ないしは公的資金の投入の面において充実する反面、企業性の希薄化、経営の機動性及び弾力性の喪失、サービス精神の低下等の短所が指摘されております。現在、わが国において九電力と電源開発の十電力体制がとられておりますが、これらは電気事業法の制定に際し、電気事業審議会による慎重な審議の結果是認されたものでありまして、私的経営の創意と柔軟性、企業相互の競争による刺激を生かすことにより、公企業の短所を回避しつつ、電源開発の有効な活用と電気事業法に基づく公益事業規制等によって、私企業としての短所を是正することとしている現行体制が適切な体制であると考えるところでございます。
 なお、融通につきましては、極力弾力的かつ協力的な融通を促進させておりますが、料金問題については、これは各社の経営の実態、経理の状況あるいは顧客の状況、電灯と電力との差、いろいろな状況がございまして、次第に格差が生まれていることは事実でございます。しかし、これらもいままでの電気事業法に基づきまして、原価主義によりまして厳密な査定を行なって認可をいままでしてきたところでございます。この原価主義による価格の決定については、今日いろいろ各方面からの御意見もございますので、この際検討すべき時期に来たと思っております。政策的考慮を中に入れた新しい価格構成政策をとるべきか、とるとしたらどの程度どういうふうにとったらいいか、そういう点については慎重に検討を続けて、できるだけ結論を早く得たいと思っております。
#69
○藤田進君 大臣には、時間的にこの辺でということですから、その会議が済み次第来ていただくということで、公益事業局長に……。
 いま大臣の答弁のように、個別原価主義、これを再検討する時期、つまり政策的なあるいは総括原価にするのかどうかは明らかではないけれども、いずれにしても、この電気事業法制定まだ間のないことなんだが、そういったことについては電気事業法の第四章にも、電気事業審議会というものが議会の承認を経て併設するようになっているんだが、これはいまどういう運営が開聞以来なされているのかお伺いします。
#70
○政府委員(井上保君) 電気事業審議会の開催状況でございますが、先生いま御指摘のとおり、昭和三十九年のたしか七月の十一日かに発足いたしたと思います。法律が通ったときでございましたけれども、それ以後現在までに四回の審議会を開催いたしております。第一回が四十年の六月でございます。第二回目が四十一年の九月でございます。第三回目が四十三年の四月でございまして、第四回目が去年の十一月でございます。昨年におきましては、電力需給と電源立地問題、公害問題、燃料問題等についていろいろと御審議をいただいております。
#71
○藤田進君 この審議会を置いた趣旨というのは、いまさら言うまでもなく、公益性の高いものであるから、したがって、官僚独自の運営ではなくて、広く有識者を集めて、かなり建議権を持ち、あるいは規則制定権を持った審議会ということでここにきめられたわけですが、しかし過去を見ると、この審議会は、いま言われるように、さっぱりどうもまま子扱いして、公益事業局長開かないと、代々ね。しかも電気事業については、その開発にしろそれは開発審議会、総理、議長のもとにある。それはそれとしても、もっと事業運営なり監督なり指導なりという面についての機能は全く立法の趣旨に反して、四十三年に開いて四十七年までも開いてない。今度内閣では、審議会が年に何回以上開かれなければこれを廃止しようという議論が出ているでしょう。開かずにおいて廃止しようという、どうもやっかい者扱いにしている。これはどういうわけです。
 今度の料金にしても、個別原価から再検討加える、いや何だかんだと、相当な電気事業あるいはガス等含めて問題が多いでしょう。しかも、この審議会が制定している運営に対する規則とかそういった内容もこれから調べなけりゃなりませんが、もっとこれを高度に活用する。あるときは通産大臣なり公益事業局長に対して気に入らないこともあるだろうし、あるときには協力関係にあるかもしれない。やはりもっと開くべきではなかったんだろうか。どういうわけでこんなにまばらになってきたのか、ひとつ説明してもらいたい。
#72
○政府委員(井上保君) 過去におきまして、先生御指摘のとおり、非常に審議会の活用において欠けるところがあったと、こういうふうに考えます。この前の、昨年の十一月二十一日におきましてはいろいろと問題点を、先ほど御紹介いたしましたようにあげまして、先生方の御意見を伺ったわけでございますが、なお、その際におきましては、現在御指摘がございました料金の算定基準等につきましてもいろいろと御意見を御指示をいただいたわけでございます。実際、審議会の意見において若干修正したようなところもございます。なお、今後におきましては、先生さっき御指摘のような、先ほど大臣もお答えいたしましたようないろいろ問題点もございますし、この審議会は大いにできるだけ活用していろいろと御指示を仰いでいかなければいかぬ、こういうふうに考えております。
#73
○藤田進君 言われれば、今後はということで、まあ私も電気事業法を制定したときのやはり審議に加わった一人ですし、特にこの辺の条章についてはかなり苦心をして各党間の調整もはかったところです。それが当時の当局者自身は、これでもうけっこうです、やると言っておいて、実際に使いものにしないということは、いかに立法府を軽視するかというふうに言わざるを得ない。指摘すれば、今後はということなんで……。
 いま何人いますか、委員は。
#74
○政府委員(井上保君) 現在十七人おられます。
#75
○藤田進君 後刻、名簿を提出いただきたいし、その開催年日時と内容を提出していただきたいと思います。よろしゅうございますか。
#76
○政府委員(井上保君) 御提出申し上げます。
#77
○藤田進君 そこで、まあ事務的なものだから、いま出されている関西、四国、それにガスを含めて、これはいつからの実施の認可になるのですか。あるいは別に方法がないのかということについては、必ずしも大臣答弁なっていないのだけれど、事務当局の補佐が悪い関係か。第一は、いきなり収支償わないとかそういったようなことで、公益事業であるだけに、料金にこれを転嫁していくという方法以外に国策として、他物価に影響も大きいし、この際どうしたいというものがなきゃならぬと思う。田中総理大臣の他の委員会における発言等から類推すると、かなり実施の時期等についても検討を加えたいというふうに伺っているわけだけれども、電気料金、それから続いてガス料金について、特に大阪瓦斯なんか大きな影響を持ちます、三〇%ね。これはいつから改定料金を認可するということになるのか、それは認可しないのか、ほかの方法で代替するのか、その辺を聞きたいです。
#78
○政府委員(井上保君) 料金の実施の時期でございますが、これにつきましては、関西電力、四国電力におきましては一応八月十五日実施、それから大阪瓦斯におきましては九月一日の実施ということを申請いたしておりますけれども、われわれのほうといたしましては、現在申請内容につきまして鋭意検討中でございまして、検討の結果、もし料金改定をするということになれば、妥当な適正な実施時期というものを検討するということになると思います。まだ検討を実施中でございまして、料金改定の実施をいつからやるかという点につきましては未確定でございます。
#79
○藤田進君 それから電気事業について、これを見ても役所から来るところのむだというものは、これはまあ全体の経費からみればウエートは非常にわずかなものだけれども、屋上屋というか、たとえば監査に名をかりた地方通産局がもう年に何回もやる、それから本省がやる、それからまたほかのほうもやって、どうしても年に二十数回の監査がありますよ。それに内部監査、内部考査。そんなに役人がそろっているならその役人を少し清掃したらいいと思う。二十数回、だからもう相当な陣容ですね、考査課とか。まああなた詳しいだろうと思うが、各社見てごらんなさい、あまりにも派生的な間接部門というか、これはもう実際に当たっている者たちもこれはたまらぬと言っていますね、監査監査でね。何回どういうふうにあるか、わかっていればこの際ひとつ披露していただきたい。
#80
○政府委員(井上保君) 現在、監査のデータはちょっと持っておりませんけれども、監査を見ます場合には、たとえば本店の監査であるとか支店の監査であるとか、あるいは建設仮勘定の監査であるとかいうようなことで、各地点につきまして監査をいたしますので、合計の回数は先生おっしゃいますとおりに相当ふえると思いますけれども、同じところで何回もやるということではございません。監査の種類、回数等につきましては、後刻報告書を提出申し上げたいと思います。
#81
○藤田進君 その実態をよくつかみ、かつこれらをもっと簡素化したらどうです。それは役所が違うといっても同じ通産省の中で、地方の通産局の中に何とか部長いますね、公益事業部かなんか。あれだこれだとあるが、これはもう少し体系的なものにしたらどうです。これは何回でも見さえすればいいというものではない。私は不正があるようなものを奨励するために言うのじゃなくて、あまりにもむだになり過ぎているんじゃないかと思うのです。その他、時間がないので指摘しませんが、機会を得て述べますけれどもね、かなりのむだがやっぱりあるのです。
 それから第三の点は、電源開発、これはまあかなり行き詰まっていると思うのです。だから総合エネルギーというものについて、なかんずく原子力なり火力発電所なりというものがなかなかプライベートな会社、民間でこれを打開していきかねているんじゃないでしょうか。すでにピンチがこようとしている需給関係のアンバランスね、どうします、これを。
#82
○政府委員(井上保君) 現在におきます将来の電気の需給見通しにつきましては、先生御指摘のとおりでございまして、昭和五十一年、五十二年になりますと相当非常に余力がなくなってくるという状況でございまして、これにつきましては鋭意電源開発を進めていきたいということでございます。
 方法といたしましては、主として問題点が二つに集約されておると思います。一つは公害対策でございまして、これにつきましては、低燃料の確保あるいは脱硫装置の問題あるいはガス化脱硫の問題、そういう問題を取り入れまして、できる限り公害を発生させないように努力していきたいということでございます。
 なおいま一つの問題は、発電県と電力消費県との間の経済的アンバランスと申しますか、発電地域における経済メリットの付与が非常に少ないという問題がございまして、そういう点につきましては、現在、発電用施設周辺地域整備法案というものを提出いたしまして、御審議をお願いしているところでございます。
#83
○藤田進君 この公益事業関係については、またあらためて機会をとることにいたします。
 それで、あと日本建築家協会関係を中心に物価等――いま小坂経企庁長官が半に来るというのがおくれているようだけれども、あと公正取引委員会、本日は公正取引委員会の高橋委員長に出席要求して、当面する問題、特に建築家協会に関連する独禁法問題等質疑をする予定でしたが、公取事務局が昨日来私のところにも来られて、特に今後の取り組み等については非常な熱意と固い決意のもとにこれから運用していきたいという意思表明もあり、本日のところは、公取の委員長でなく事務局長の出席を求めてこれから質疑をいたしたいと思いますから、はっきりと答えていただきたいと思います。
 建築家協会が協会を結成し、その定款のもとに今日運営をしているが、特にこの中で建築家の業務及び報酬規程、これを非常な鉄則にいろんな問題が出てきております。しかもこれは、その実態を私はかなり長期間にわたって調査を進めてまいりましたが、これを公取が黙って捨てておくということについて非常に大きな疑問を持ちます。かつて公取は、松下――ナショナルの再販事件について北島委員長のときにこれに手をつけようとした。時の内閣総理大臣佐藤榮作氏にさえぎられて、あげくの果てほとんど即座に北島委員長は辞任しなきゃならない、やめさせられるという、詰め腹切らされている。これは国会で問題にしました。佐藤総理にも聞いたが、やめろということは言ったことはない、北島委員長も、やめろと言われたことはありません、私の都合でやめますというような……。
 で、私はそのときに、まあまあそう言っておかなきゃ北島さんね、じっとここを忍んで黙ってりゃ――あなたもやめろと言われて無念だろうけど、あたりまえの仕事をしようとしたんだ、だけれども、まあ一年ぐらいじっとしていればいいポストが回ってきますよと言って、私はその質問やめたですがね、まさにいいいすがきて専売公社総裁でしょう、いま。今度の高橋委員長なりあなた、事務局長がそんなことをするとは思わないけれども、いかにも公取というのはわれわれはこれを高く評価し、かつ強化していきたい、こういうふうに思って、今日では党の規模においてその権限なりあるいは人員、つまり予算なりこれをやはりメカニズムとしての強化をはかっていこうというふうにさえ思うのだが、肝心の公取が動かない、意識的に動かないと思われる。
 その一つとして、昭和四十七年の一月二十三日に三島平八郎氏の名で公取に参りまして、そうしてすでにこの日本建築家協会の戒告処分等を受けていることについてどうしてもふに落ちない。そこで公取委員会の事務局官房総務課の吉田邦雄、これは窓口業務をやっていたように思われますが、八女、これは九州ですが、詳しく必要ならば、また資料は持っていますから――コンペに関連して、その建築家協会の処分を受け入れがたいので相談に行ったところ、審査部に行くようにということで、審査部に同日行って、高瀬正登――こういう人が実在するのか、吉田邦雄、高瀬正登、これも含めてお答えいただきたい。ほか一名に会って、八女のそのコンペについてどうもおかしいと、適法かどうか聞いたところ、独禁法四十五条に基づいて申告をするように言われて、同年四十七年の二月二十三日に四十五条第一項に基づく申請書を提出した。日付は二月十八日付になっておるようですね。
 それから同じく昭和四十七年、去年ですよ。七月十二日、その後の五ヵ月たっても何ら連絡もないし、高瀬正登氏に申請者はその後のことを事情を聞き、督促をしております。やはり昨年の八月、口頭をもって、これは結論を出すことは非常にむずかしいと。なぜむずかしいんですか、これ。はっきりしておるのに。その回答があった。昨年の九月二十二日に一部資料の返還を頼んだと、他に必要があってですね。そして同年、去年の九月二十七日に高瀬氏より一部資料が返されて、なおそのときに電話で、申告を取り下げるのかどうかの問い合わせがあった。そこで三日後の九月三十日に、取り下げの意思はないということをこれは書面をもって出しています。この写しがありますがね。これがまあ私がこれを中心に展開しようとする質疑の内容です。
 その八女というものは、一体実態は何かということがわからなきゃならぬでしょうが、これは要約して言えば、ある建物を建てるについてです、これは町村会館の設計者選定のことなんですがね。それで、いろんなアイデアを競争設計にするために数社を八女市町村会館の施主は集めていろいろ協議をしております。しかし、集まった業者のほうでは、これはどうも疑似コンペではないかというような疑いを持ち、さらに施主のほうでは、八女市町村会館のほうでは途中で随意契約に切りかえるということで、この三島平八郎氏社長の三笠建築事務所、これに随意で契約をした。ところがこれが建築家協会において、それはけしからぬと、せっかく談合してやり始めているのに、談合破って随意に応じるとはけしからぬと、まあ簡単に言えばそういうことですね。そこで懲戒になっておる。
 また、これよりさらに明確なものは、東京都の瀧野川団地設計入札、これはこれまた簡単に言えば、七社に対して東京都知事は発注したのです。これは昭和四十六年ころの事件ですね。いまの一年以前の問題です。この七社に対して東京都知事は設計を発注をして、この七社は完全にこの結果を見ても談合しております。第一回入札以来、公共建築設計事務所、これが最低にして、あとはこれ以上に入札をしようと。もとより第一回目の入札は落札していない。第二回目の入札をした、これもむろん談合した公共建築設計事務所が最低価格になって三百十五万、以下はもう三百五十万とか三百六十万とかいったようなちゃんとそろえて段をつけてあります。これも落札しない。第三回、談合できまった公共建築設計事務所が二百九十万円、これを最低にいこうとこうなっていたようです。
 ところがその朝、中村建築事務所のほうは二百九十万ということを、記憶ははっきりしていないで資料も持っていかないで、まあ二百九十万入れておけば大体談合の線で公共建築が取るだろうというようなことで入札をしておるのですね。したところが、二百九十万は、談合できめた公共建築と同じ価格になってしまった、中村建築事務所は。それで東京都は、同じ価格だからどうするかというので、どうもこれは抽せんのようですが、結局談合できまった公共建築ではなく中村のほうにきめることになった。それはけしからぬやつだということで、建築家協会はこれを戒告処分と、それから陳謝文を出させた。こんなことが白昼公然と行なわれて、しかも建築家協会のニュースにまで出ている、これはこらしめるために出ているのでしょう。このほかさらに私の手元には、同じようなものがやはりまだほかに二件あります、事務当局にはきのう言っておきましたがね。
 しかも、今回この建築家協会は新しい報酬規程をきめてこれを実施する、こうなっておりますね。たとえばいまここに私の調査では一億から百億までの指数が出ておりますが、かりに百億の設計金額になると、従来は設計手数料が二億二千万円だった。これが今度改定になって四億二千七百万円に設計料が変わる。この上げ幅が九四%、二億七百万上がるのです。いま百億の工事というのはかなり出ておりますね。それから二十億、五十億程度の工事はざらですね、物価が高くなっていますからね。今度はこれがかりに三十億の工事設計すると一億四千八百八十万円設計料を取るのです。高いです、これは何としても。また、高いと同時にこれが大体六〇%従来より上げるのです。しかも私は、設計事務所を数多く直接当たってみたのです。この報酬規程は絶対なりとして、もしこれに反したならばいまの制裁が加わってくるのです。戒告なりあるいはものによっては除名とか。
 そうなると、そこに加盟しなければよいのだが、これは特に自治体、地方公共団体、公社等々は、いろいろな関連からこの建築家協会に入っているメンバーにできるだけ発注するという仕組みになっておる。こういうことが今日公取があるにかかわらず行なわれ、そうして最近のいろいろなニュース等を見ますと、公正取引委員会は、これはやはり独禁法違反であると、こういう傾向のことが建築家協会のニュースの中にも出ております。四月、七月に二度文書で公取に対して、何とか独禁法違反ではないように、事業者団体ではないんだという形ですごい運動がなされている形跡なり痕跡がずっとありますね。その事実があったのかどうか。あまり長く言っても問題のポイントがつかめないでしょうから、いま申し上げたのはごく一部の例ですけれども、あまりにもこれはひどい。これに対して公取はどういうふうに取り組み、また将来どう取り組もうとしておるのか。それからいま三島・三笠建築事務所が提起した問題について全く一年たっても取り合わないと。一体何ごとですか、これは。明確なやはり正当な理由があれば、まずひとつ説明していただきたい。
 以上でとりあえずの質問といたします。
#84
○政府委員(吉田文剛君) ただいま先生おっしゃいましたことは、大体ほとんど事実でございます。昨年の昭和四十七年の二月二十三日に申告がございまして、その申告の内容と申しますのは、社団法人日本建築家協会、社団法人日本建築学会及び社団法人日本建築士連合会、これが共同して設計協議等の参加報酬の最低基準を決定し、この決定の違反者は除名するという内容の申告がございました。あとの経過は先生おっしゃったとおりでございまして、特に昨年の四月、八月の二回にわたりまして日本建築家協会から、その建築士というものが事業者でない旨の説明はございました。
 ただいままでこれが一年以上も経過しております理由としましては、建築士というものがいわゆる独禁法の規制の対象になる事業者に該当するかいなかにつきまして問題があって、その点をおもに検討していたわけでございます。いわゆる建築士と申しますのは、建築の主として設計等を行なう者でございますが、自由業に属する者、たとえば弁護士とかあるいは医者等の自由業に属する者が独禁法上の事業者になるかどうかという点につきましては、従来いろいろ意見が分かれております。しかし、自由業と申しましても、その業務の内容は多様でございまして、業務の種類だけで一がいに論ずることは適当でないと考えますが、従来の公取の考えとしては、自由業というものは、独禁法でいう事業者とはなりにくいんじゃないかと消極的に大体解釈してまいったわけでございますが、しかし、最近におきましては、自由業関係の団体で自由な事業活動を制限しあるいは排除するような行為が目立っておりますので、今後はこういうような事業につきましても、ケース・バイ・ケースで事業の実態に即して前向きに検討してまいりたいというふうに考えておりますが、本件につきましては、すでにもう正式に審査で調査をするということにきめておりまして、実態も十分調べた上でできるだけ早く結論を出したいというふうに考えております。
#85
○藤田進君 自由業といいましてもね、お医者さんや弁護士は、その医療あるいは弁護料を入札できめるというようなことはないんです。ありますか、日本に。これは建築家協会は、何か個人が入って別に価格のどうこうはないようなことを言うのでしょうが、そういうものとは実態が違いますね。しかもほとんど全部と言っていい設計事務所なりは、名前はどうあろうとも、今日、会社法人、株式会社、こういう法人組織にして、私は一つ残らずとは言いませんが、調べてみると、この建築家協会への会費なりその出席するための旅費なりあらゆるものは会社から出ておる、そして営業活動は、この建築家協会に入っている代表者名その人じゃなくて、すでに千人をこえる従業員を擁する日建設計とか、以下二百人前後というのは非常に多いですね、株式会社設計事務所。これが激しい競争の中ではあるが、お互いに建築家協会がきめたこの価格は維持せざるを得ない。それは戒告とか除名とか処分をされる、汚名を着ることになる、それをこの建築家協会はニュースでどんどん出していくんです、堂々と出していますね。さっき言った、つい間違って談合で予定しなかった者が……、それまでもやっているんですからね。これは滝野川団地の設計入札です。
 こういう状態を公取がほっておくから、ますます今度、さっき言ったような新しい大幅に九〇%も値上げをする、しかもこれを絶対守る。そこで設計事務所によってはこの建築家協会の料金は、報酬表は守らなきゃならぬ。そうしなければ制裁が非常にこわい。しかし、内々で、これは極秘だけれども、別に寄付するとかあるいはまあ具体的例もあるんですよ、会社などの建築については。庭が悪いから庭へ石を入れたりきちんとしてそれを寄付しましょう、やはり報酬表のとおりもらうけれども、別途に、これは表面出してもらっては困るけれどもというようなものも中にはそれはあります。しかし、厳密にこれは報酬表は守る、守らなければ制裁と、こういうふうになっていますね。
 だから今日の設計事務所、これが事業者でないということは言えないと私は思います。弁護士やお医者さんとはもう事態が違います、これは。その集合体である建築家協会なるものは独禁法にいう事業者ではないと。これは詭弁もはなはだしいじゃありませんか。私も、いろんなこれについて論じている学者の説も検討してみました。これは建築家協会に結集する設計事務所、これが事業者ではないという説は私は調査不足かまだ入手しておりません。建築家協会そのものが事業者団体であると、独禁法にいう事業者である。したがって、こういう価格協定してこういう制裁をする、これはもう排除さるべきだという趣旨の学説は、学者はここにこうきております、かなり詳しく、独禁法についての。時間がないのでまた必要ならあとでお見せをしますが。まあこういうときでありますし、一方物価は、必ずしも生鮮食料だけが物価ではありませんね。これほど大幅に引き上げ、かつ厳密にこれを法に反して維持しようとする、このことはもう明らかに事業者であり、しかも独禁法に反すると私は断定せざるを得ません。この辺はいかがなもんですか、事務局長。まあ個別に審査しなきゃということかもしれませんが、私がいま言った限りそれが事実だとすれば、事実なんですが、いかがですか。
#86
○政府委員(吉田文剛君) なかなか建築士が事業者かどうか、これは私だけの考えでいまここで結論を申し上げるわけにいきませんけれども、確かに先生のおっしゃいましたように、中に株式会社――会員が営利企業である株式会社がいるし、しかも入札談合的なことをやっているということから考えますと、どうもいわゆる医師、弁護士とは違った事業者的なものではないかという私自身の感じはいたします。しかし、これは正式に私どもの委員会にかけて正式な結論を出したい、できるだけ調査を早く終わりまして、結論としては委員会の結論ということで出したいというふうに考えております。
#87
○藤田進君 小坂経済企画庁長官にお伺いいたしますが、半にきちっと来てもらうということで、二度言わなくてもいいと思ったのですが、たいへんな物価の上がりぐあいですね、これはまあ公共料金を含めてですね。長官の出席までに中曽根通産大臣にも質疑をいたしましたが、電気、ガス、これはあなたに関係があるですね、物価関係の主管省ともいえるでしょう。それから国鉄運賃はいま議会に出ている。もうすべてかなり大幅、それから学校関係、特に私立学校なんかかなり大幅に上げている。父兄負担はかなりふえていく、そういう中に、いま問題の中心に取り上げられているのが日本建築家協会なるものですが、これが従来設計管理の報酬規程というものをつくって、昭和二十三年五月二十七日−二十五年ほど前にすでにできて、そのあと六回−五回ですか、改定をしております。で、最終的に四十八年、ことしの五月三十一日改定となっています。
 これを見ますと、従来いろんなランクが工事金額を基礎にきめておりますが、先ほども言ったのですが、ビルとかの百億の工事、そういうものに対して従来は二億二千万円の設計手数料、それが今度は四億二千七百万円になります。ビルがもう一つ建つぐらいの手数料ですよ。この上げ幅は九四%、こうなっております。二、三十億のビルの工事はいまそんな大きな工事じゃありませんね。これで九千三百万円だったのが、今度一億四千八百八十万円、三十億の工事で。これで六〇%の値上げになっております。だからどうも値上げ幅を見ますと、一億の場合には三三%、十億の場合は三五・四%、二十億が四九・一%、三十億が六〇%、五十億の工事になると七二.五%、それから百億になるとさっき言った九四%の値上げ、この値上げは一つの希望的なガイディングライトといいますか、そういう指標というものでは実はないんです。
 先ほど来議論をしてきたわけですが、これを守らなければ定款等に照らして懲戒しちゃうんです。非常な営業をやっている建築事務所株式会社としては不名誉なことになるものですから、やはり何とかのがれようとするし、またこの価格協定は、報酬規程をそのまま完全にこれは守るということが現状行なわれていて、しかもたまたま東京都の滝野川団地入札では七社が談合いたしまして、そして三回目の入札のときに公共建築にこの仕事はやろうと話がまとまったにかかわらず、そこの設計料と同じ設計料に偶然中村建築事務所が入札したわけです。それは最低価格が二百九十万円だよと、それ以上に入れるんだよというやつを、つい二百九十万を忘れてしまって同じ金額になったんですよ。そこで何かくじ引きで、結局談合できめたところに落ちないで中村建築事務所に落ちたと、そこで建築家協会は、けしからんやつだ、談合をせっかくしたのにそれを破って入札したということで、これはもう懲罰に付しておるんです。堂々と建築協会の機関誌にも公表して他のみせしめとすると。
 そこでその辺の、後段のことは企画庁長官よりも公取の問題中心だと私は思いますから、たっていま聞こうとは思いませんが、この報酬規程をかくも厳重に守るべき規程とし、そうして大幅な値上げ、これはどう思いますか、あなたは物価の総元締めみたいになるわけですけれどもね。今日、基準法その他から見て、設計事務所を通さないでもう木造建築だって建てることはできないでしょう、確認申請等は。やはりこれは自分自身でやってはならないことはないですけれども、しろうとじゃできないようになっていますね、一級建築士だ、二級だと。それらから見てもこれが自主的に価格がきめられ、かつ厳重に守るということになっていますけれどもね。これは問題だと思うのです。これは企画庁にも相談があったんでしょうか。どう思いますか。
#88
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいまの問題点につきまして、独禁法上の点では公取のほうが事件として取り上げられまして、目下調査検討しておられる段階ということでございますので、法律の取り扱いの問題からも、ただいま藤田委員の仰せのとおり、これは公取の問題で私どもも反省を申し上げておりますが、この前段のお話にございました建築家の設計、管理報酬というものがさような協会の方針によって決定されるということは、これは建築というものの性質からいたしまして、建築物の質にも影響するところから、単に物価問題の観点からのみ論ずることは適当でないと存じますけれども、物価問題の面に限ってお答えを申し上げますと、建築家協会がこの規程によりまして建築家の設計、管理報酬を定め、これを会員に守らせているとすれば、それは建築価格の上昇要因にもなりかねないと思いまするので、関係省庁とも、ことに建設省は関係多いわけでございますので、よく協力しながら、弊害が生ずることのないように適切に処置してまいりたいと存じます次第でございます。
#89
○藤田進君 どうでしょうか、かなり許認可にかかわるものはありますね。これはふろ賃はむろんそうですし、タクシー代だってずいぶんある。これは相当広範なものです。ことに今日建築関係はブームにもなっている時代ですがね。これが野放図に自主的にきめ、それが先ほど言ったように厳重な鉄則として守らなければ制裁を加える、そうして談合ですね、談合というものはこれ許されていないのですが、その談合を破ったからといって再三言うように制裁を加える、こうなってまいりますから、企画庁長官ね、この表が自主的にできたならば、それだけ価格は上がるどころではない、百億で四億二千七百万円の設計料になるんです、これが改定いたしますと。これはたいへんなことじゃないでしょうか。企画庁とされてもこれはやはり無関心でおれるわけではない。だから関係省庁ともよく協議して善処したいと、こういうことのようですけれども、その善処のしかたについて今後どういうふうにいたしますか。企画庁の腹として関係省庁に持ち込んで相談をされる場合に、どういうふうにされますか。これはたいへんなことです。
#90
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいまの藤田委員の御指摘でございまするが、これは御承知のように建築士法に基づくものでございませんで、また建設省もこれに直接関与しておりませんで、建築家協会自身が独自に定めておるものでございまするので、まあ私どもといたしましても、実は御指摘がございまして、これは大いに関心を持って詰めていかなけりゃならぬというように存じておる次第でございますが、まだ具体的な詰めをいたしておりません。しかし、この際でございますので、物価上昇に関係のあることでございますから、できるだけこれを適正にしてもらうように、そういう観点から詰めていかなきゃならぬと考えておる次第でございます。
#91
○藤田進君 それからまあ物価関係については、現在の各省設置法等でいう一企画庁ではなかなか問題が大き過ぎるし、実施官庁のほうが先走りもするし、むずかしいことはもうよくわかってはおりますが、しかし、物価局ができたりいろいろ一応前向きにやっているところなのですが、公取ですね、この直接の担当大臣というのはこれはだれですか。
#92
○国務大臣(小坂善太郎君) 公取は、独禁法の施行につきまして権限を持っておられるわけでございまして、公取委員長が責任を持っておられるわけでございますが、これに最も関連の深い役所といたしまして経済企画庁があるというふうに私どもは理解いたしておりまして、公取との関係につきまして十分粗漏のないように連絡を緊密にいたしておるつもりでございますし、今後も一そう緊密に連絡してまいりたいと、こう思っておる次第でございます。
#93
○藤田進君 まあ私もそう思います。ただ、直接はやはり総理直轄のように私は思いますがね。しかし、総理はああいう人ですから、委員会出席もしてくれると思いますが、まあ関係が深いのは企画庁。そこで国務大臣として物価問題を今日非常に難問処理するにあたって、公取のやはり性格なり公正取引委員会の取り組みというものは大きな役割りを持っていると思います。つまりこの間の新聞、これもどうも話し合って上げているように思うという趣旨から、企画庁長官は、上げないでくれと申し出たのじゃなかったんですかね。どうでしたでしょうか。
#94
○国務大臣(小坂善太郎君) 新聞の値上げにつきまして、私は非常に遺憾であるということを申しました。その理由は、こういう非常に国民生活に密着した問題でございまして、十分その値上げの理由等についても明らかにしなければならないし、また、それについてわれわれのほうとしても検討する余裕をほしい、しかし、まことに卒然として一片の社告でもって上げられるということははなはだ困ったことで、これは取りやめてもらいたいということを申しましたわけでございまするが、私がそういうことを言いますのは、これは世論に訴えて消費者運動その他において値上げ反対の行動をとってもらうわけでございますが、一面公取とされましては、その間に独禁法違反の問題がなかったかどうか、再販の問題もございますし、その間に共同行為がなかったかどうかということを調査していただいているわけでございます。で、公取としては非常に至公至平の立場から厳重にこの調査を行ないましたる結果、共同行為の疑いがあるということでいま調査を進められておるというふうに存じております。
#95
○藤田進君 そこでこの前は、あれは朝日麦酒が上げて、すぐもう前後して半期九億も黒字決算になっている麒麟麦酒もやはりこれに同調する。今度はどうも麒麟さん先に上げてくれと、もう朝日はあれは社長、副社長までやめましたがね、例の不買運動が出たりしてですね。ですからもうこりごりだということのように私は伝え聞いております。ことしの話ですよ。これから先の話ですよ。ところが、公取がこれを調査する場合に、やはり現状の公取では有効適切な手が打てない、権限的にも。とにかくそれらしき関係者に聞いてみると、そんな相談、いわんや協定、それは実在いたしません、そんなことはありませんと。いや、だけどいついつ集まっていたように聞くが、それはほかのことで集まったんじゃないでしょうかと、これ以上どうにもならない。もう話し合いをいたしましたと言いませんから、これ以上どうにもならない。過去そうだったんじゃないでしょうか。毎年の値上げについて同じことが国会で論じられる。どうにもならない。
 そこで企画庁長官、国務大臣とされて公取についてもっと人的にもこれは予算を伴いましょう、これは要求はしているように思いますが、これは今日の物価等から見て公取に期待すべきところも大きいし、人員を質量ともに強化する、したがって予算は増額する、それから独禁法上等のポジション、つまり公取の権限についてももうここで再検討――この国会はもう間に合いませんけれども、来たる国会あたりには、まだ時間もあることですから、公取の権限についても再検討して強化する方向にすべきじゃないでしょうか。
 私はあなたが見えるまでに申し上げたのですが、松下――ナショナルの再販価格、これを公取がやはりいろいろ周囲もやかましいし、ナショナルの松下幸之助さんのあれ、手をつけ始めましたね、北島公取委員長のときに。やはり私ども一般需要家も期待していたんです。たいへんな利益をあげているナショナル、これがもう特約店あるいは小売り店を取り消すというところまで企業的に非常な厳重な取り締まり、これに手をつけようとしたとたんに、北島さんはもう突然やめることになりましたね。そのとき議会で問題にしたです。どうも伝えられるところでは、松下幸之助さんが佐藤さんに、うちの再販だ何だって公取が手をつけるが、あれで佐藤さんいいんですかと言うた話ですが、わかりましたというような話であったらしいと。それで北島委員長がやめなきゃならぬ。それで北島さんにも追及しましたが、いや、やめいということは一言もなかったと、あなたがそう言わなきゃここ一年ほど待っているうちにいいポストがくるだろうから、黙ってね、詰め腹切らされたなんて言わないほうがいいから、あなた言わないだろう、佐藤さんどうか、私もやめいと言うたことはないと、こういう話だったです、予算委員会で。まさに私が予言したとおりですよ。一年ぐらいするかしないかで専売公社総裁ですわね。いまもそうだそうですがね。これでは、公取が本腰入れてやりかけようと思えば、もう上のほうから、事と次第ではやめさせられるというのでは、これはやり切れないでしょう。
 この建築家協会だって、こんなことが現在行なわれているけれども、本腰入れて本気にやれるかどうか、私は疑問に思います。いつかまた上のほうから――企画庁長官はそんなことしないでしょうけれども、もう一つ上のほうからまたくるかもしれない。これはとめようないでしょう。だから、やはり公取というものをもっと一般国民の中にわかりやすくしながら、そうして取り締まりといいますか、不公正取引がないような目付役として強化する必要があるんじゃないでしょうか。与党の中にもそういう話が出ているし、物価論争をする場合に、街頭演説でもずいぶん聞きましたよ、与党の方々に。あるいは選挙立ち合い演説で、公取を強化する以外にありませんとずいぶん聞いております。選挙公報に出した人もありますよ。一向これが出てこない。財界等から反対があるだろうと思うのですけれどもね。いかがなものですか、公取のあり方なり、以上申し上げた方向での強化について。
#96
○国務大臣(小坂善太郎君) 私がこの職を奉ずるまで、実ははなはだうかつでございましたが、公取委員会というのが非常に有効な物価に対する権限を行使してもらっているということをこれほど明確に存じませんでしたわけでございますが、今日、この公取の活動というものをきわめて高く評価をいたしております。先ほでもちょっと触れましたように、新聞の問題等について、公取なればこそそこまでやれるものでございまして、なかなかこうした機能を大切にせなならぬということを痛感いたしておる次第でございます。現在の公取は非常に少ない人員と予算をもって、そのわりに非常に大きな活動をしてくれておりまして、私は、藤田委員の仰せられましたように、ぜひ公取の機能というものは強化してまいらなきゃいかぬ、人員も予算もその活動にふさわしいように強化をしてまいらねばならぬというふうに考えておりまするものでございまして、私は、この職におります限り、ぜひひとつ現在の公取の陣営でさらに活動してもらえるように努力をしたいと考えておる次第でございます。
 なお、独禁法を適正に公正に運営するということは、今日の物価対策の面から非常に重要と存じますわけでございます。寡占産業における不当な価格形成について、現行の独禁法で規制する方法がない場合も実は考えられまするので、これについては、いわゆる管理価格の問題といたしまして、現在の関係機関においてその実態把握につとめておりますが、これをもとに管理価格の対策、そのあり方を十分進めてまいりたいと、こう思っておる次第でございます。
#97
○藤田進君 小坂長官、かなり明快に言うことですから、在職中はと言っても、あなたの在職がそう短いとは私思いませんし、ひとつ大いにやっていただくように期待をいたします。
 それから、重ねて公取ですが、多くの資料等について披露申し上げて、建築家協会の過去並びに将来の加盟の危険性等を指摘したいわけですが、事務局長から具体的な事案、三島氏にかかるものを含めて、これから過去に対する反省の上に立って積極的に取り組み、かつ期待に沿うようにしたいと、そういう意味の答弁があったように思います。そうでしたね。
#98
○政府委員(吉田文剛君) おっしゃるとおりでございます。
#99
○藤田進君 だとすれば、本日のところは、他の委員のほかの調査案件についての質疑も続行されるようでございますから、いまの本委員会における関係者の言明を信頼いたしまして、今後の成り行を十分監視しながら期待したいと、かように思います。
#100
○峯山昭範君 きょうは電気、ガス料金の値上げの問題についてちょっと二、三お伺いしておきたいと思います。特に大阪の関係がございますので、関西電力を中心にお伺いしたいと思います。
 特に先般大阪で参議院の補欠選挙がありましたけれども、あの補欠選挙が終わったとたんに関西電力あるいは大阪瓦斯から大幅な値上げの申請が出されたわけでありますけれども、この問題につきましては、議事録によりますと、先般衆議院の物特の委員会でも議論されているようではございますが、重ねてお伺いしたいと思います。特に大阪関係が関西電力及び大阪瓦斯以外にも四国電力が申請いたしておりますし、また新聞報道によりますと、この三社をトップバッターとしまして、今後北海道電力あるいは北陸電力ですか、そういうようなところが申請するんじゃないか、こういうぐあいに新聞で報道されております。確かに電力行政というのは現在のエネルギー危機、あるいは公害問題あるいは発電所の立地難というような問題がたくさんございますが、そういうふうな中で、私は現在の日本における物価の上昇という問題から考えてみますと、国民生活という点から考えまして、この公共料金の値上げというものは非常に重要な問題を含んでいるのじゃないか、こういうぐあいに考えます。そこで、特に初めに関西電力と四国、いま申請が出ておりますこの二、三の料金改定の問題、料金値上げの問題について、公共料金というのはどうあるべきかという基本的な姿勢も含めまして、両大臣に、具体的に公共料金の基本的な考え方について政府の姿勢としてお伺いしておきたいと思います。
#101
○国務大臣(中曽根康弘君) 公共料金というものは大体地域的独占がかかっている業態について、特に公益性の広い事業体におきまして、認可の対象になっておる料金の場合が多うございます。で、通産省といたしましては、これが物価に及ぼす影響等もありまして、政府と一体になって公共料金はできるだけ抑制する、そういう方針を堅持してまいっておるつもりであり、今後も堅持する考え方でおります。
 今般、関西電力の申請内容を見ますと、資本費の増大、あるいは公害対策費の増大、あるいはOPEC攻勢等による石油原料費の増大及び人件費等が理由の大きなものになっておるようでございます。それと同時に、十九年間据え置いてきた、そういう点で限界に到達したということが大きく主張されておるようであります。通産省としましては、申請が出ましたので、内容をしさいにいま検討しておりまして、原価が一体どういう構成になっておるか、また電灯と電力との比重の関係がどういうふうに推移しているか、今後の電力建設の負担その他等も考慮いたしまして、いま適正なる審査をやっておる段階であります。
#102
○国務大臣(小坂善太郎君) 公共料金の性格につきましては、通産大臣が仰せになりましたとおりに考えております。この料金については、その影響にかんがみまして、経企庁といたしましては極力これを抑制する、真にやむを得ざるもの以外は厳にこれを抑制するという態度をもって臨んでおります次第でございまして、これは政府の統一的な態度であると考えております。
 今回の関西電力あるいは四国電力、また大阪瓦斯の値上げの問題につきましては、申請が通産省に出されておるわけでございまして、ただいま大臣が仰せのごとく鋭意御検討中でございますので、私どもとしてはその合い議がありますのを待って、十分それの影響についてあるいは会社自身の経理の状況について検討して結論を出したい、こう思っておる次第でございます。
#103
○峯山昭範君 それでは、これは再度確認いたしますけれども、公共料金につきましては両大臣から、極力抑制するという基本的な考え方ということはいま話ございましたけれども、再度確認いたしますが、この点は間違いないですか。
#104
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう方針をもって審査いたします。
#105
○国務大臣(小坂善太郎君) 同様に考えております。
#106
○峯山昭範君 それじゃ再度中曾根大臣にお伺いしますが、いま内容を検討しておるということでございますが、その通産省としての見解はいつごろ、大体内容の検討が終わるのはいつごろでございますか。
#107
○国務大臣(中曽根康弘君) 審査を担当しております公益事業局長から答弁させます。
#108
○政府委員(井上保君) 現在出てまいりました申請書につきましては、非常に検討する分野、項目が多うございまして、それぞれ専門のエキスパートのところで手分けいたしまして、ヒヤリング等をやりまして一々作業いたして検討いたしております。従来の例によりますと非常に早いのとおそいのとありますが、大体四ヵ月くらいが従来の例でございますけれども、最近は電算機の利用が非常に行なわれておりまして、十分慎重に検討いたしたいと思いますが、できるだけ早く結論を出したい、こういうように考えております。それよりも、四カ月よりも若干早くなる可能性がある。これは電算機をだいぶん使いますので、そういうことになるのではないかと考えております。
#109
○峯山昭範君 それじゃ局長、検討する項目がたくさんあるとおっしゃいますが、具体的にどういう項目があるのか、一ぺんちょっと……。
#110
○政府委員(井上保君) たとえば給料、手当でございますが、これにつきましては人員の問題、これは人員増、これは配置転換その他を含めまして生産性のアップ等も計算いたしまして、そういうものを具体的に人員の配置計画等までにいくわけでございます。それから基準賃金がどういうふうになっているかということが問題になります。それからさらに基準外の賃金はどういうふうに考えるか。それ以外の期末手当の問題あるいは通勤手当の問題、そういう問題がございます。それからそれ以外には、厚生費の関係では法定厚生費、一般厚生費、それから検針関係では委託検針であるとか委託集金の関係。それから燃料費の関係でございますが、これは重油、原油、ナフサ、NGL、その他いろんな油種がございますが、それぞれにつきまして一定の発電計画に従いまして所要燃料の量を発電所ごとに算定いたします。なおかつその価格につきましては、現在の情勢、将来の情勢を含めまして単価を査定していくということでございます。それからあるいは潤滑油の問題、消耗品、修繕費、これもそれぞれ水力、火力とございますが、そういうものにつきまして検討いたします。
 その他水利使用料の問題、補償費の問題、諸般の賃貸料がございます。それから託送料の問題、それから保険の問題あるいは研究費の問題、その他各種の税金関係、それから減価償却の問題あるいは地帯間購入電力料の問題あるいはその単価の問題、あるいは他社からの購入電力の問題、それから公正報酬の問題、そういうものがございます。
 大体おもな項目はそういう項目でございまして、それぞれサブディビジョンでございまして、それにつきまして原価を積み上げて検討するわけでございます。
#111
○峯山昭範君 実はこれは大臣、一昨日になりますかね、私は通産省のほうへ関西電力及びいま値上げを申請されておるところの申請書の写しをちょっと見せていただきたいと申し上げましたら、持ってまいりました。私たちが見ましても非常に膨大な資料でございましてね、非常にわかりにくいんですよ。そして、いま局長から検討する項目について話ございましたけれども、その一つ一つについて一ぺん私は資料をいただきたい。要するに、いま局長おっしゃいましたね、それを資料として全部出していただきたい、これが一つ。
 それから、あとで局長に私教えてもらいたいと思っているんですが、その資料が現在の時点とどのくらいまでなったらどの程度の値上げを認めるのか、そこら辺のところのやっぱり判定のしかたというのが一ぱいあると思うんですよ。われわれ実際あの資料見ておりましても非常にわかりにくい。それで、どこがどういうぐあいに上がるのかもわかりにくい。それであんまりわかりにくいので、通産省も非常に私はいかぬと思うのは、われわれにはわからない資料しか持ってこない。私がこう言うと大臣おこるかもしれませんが、そういう感じなんですよ。何でかといいますと、この電力料金改定の申請についてという、こういう薄っぺらい要約した資料というのは、これは持ってこないんです。これは何で持ってこないんだろうかというんできのうずいぶんいろいろ検討してましたらね、今度は、先ほど大臣は、関西電力が値上げになった理由というのを燃料費の問題とか立地の問題とかいろいろ何点かあげられました。やっぱり何というか、大臣、これはうしろめたいところがあるんじゃないかと私は思うんですよ。といいますのは、「電気事業の現状」という通産省から出ております、これは大臣御存じでございますね。これはどうですか。
#112
○国務大臣(中曽根康弘君) それが出ていることは知っております。
#113
○峯山昭範君 出ておりますね。確かにこの「電気事業の現状」というこれを読んでみますと、関西電力がいわゆる今回値上げを申請した理由というのが全部で五項目あげられておりますね。この五項目というのと、確かにこれに書いている五項目というのは全く同じなんですよね。ということは、もっと逆に言いますと、もう関西電力もここら辺で値上げを申請したらどうなんだということを通産省が奨励しているみたいな感じがするんですよ。これは大臣どうですか。
#114
○国務大臣(中曽根康弘君) そういうことはございません。
#115
○峯山昭範君 それは大臣、あると言うわけにはいかないですよね。あると言うわけにはいかないですが、これは確かに大臣は比較して読まれましたですか。これはどうですか。
#116
○国務大臣(中曽根康弘君) その部分は読んだことがあります。
#117
○峯山昭範君 それで読んだことがあって、事実これは、たとえば関西電力の値上げの理由の第一項目は、「公害対策費の急増」です。こちらのほうは第一項目は、「公害防止に対する社会的要請の高まりにこたえて、」云々という公害対策費の問題ですね。第二項目は、「燃料価格の大幅な上昇」、これは関西電力のほうです。こちらのほうは、「発電用燃料価格が原油の値上げおよび使用原・重油の」云々と、こうあと同じことですね。これはやっぱり大臣は読んだことがあるとおっしゃいましたが、第三項目も「電源開発費の増嵩」。それから四番目が「社会的要因による電力輸送コストの上昇」。五番目が「工事資金のぼう大化による資金コストの高騰」。これは関西電力です。これの三番目がやっぱり「電力需要の増加に対応する」云々と、こう同じですね。それから四番目が「電源地点の確保難から発電所と需要地とがますます遠隔化するに伴い、」云々。五番目も「地中送配電線の増加等から、」云々。こういうぐあいになっていますね。そうしますと、大臣が読んだことがあるとおっしゃるここら辺のところは、結局はこういうふうなものを根幹にして関西電力はこういうふうな電力料値上げの申請を出してきたということは、これは要するに、われわれ国民の立場から見て、通産省自体がやっぱりこういうふうな企業と癒着しているといわれてもしかたがない点があるんじゃないか、そういう点から考えても私は問題があると思うんですが、どうですか。
#118
○国務大臣(中曽根康弘君) 電力料金がコストその他で次第に上がってきている、電力会社におけるコストが非常に上がってきている、そういう原因を科学的に分析し、経営的にも分析してみますと、以上のような結論に大体なるので、私がいまここで最初に御答弁申し上げたのも、そういう現状に照らして分析の結果、一般的にそういうことがいえると、関西電力も同じケースに入っていると、そういうことで申し上げてきているわけであります。別に関西電力の値上げを誘導する伏線として同じような項目をあげたという意味じゃなくして、その点は東北電力であろうが、北海道電力であろうが、北陸電力であろうが、四国であろうが、九州であろうが、同じような原因がみんな積み重なってきている。関西電力及び四国電力の場合は去年、おととしぐらいもう上げたくていろいろ当局のほうにはそういうような運動があったのを、公共料金を抑制するという方針で押えてきたというのが大体実相であります。しかし、十九年にもなってとうとうこれ以上はもう限界にきたということで、やむを得ず出したというのが実相でありまして、原因自体というものは、やはり客観的に経営分析すれば、同じような結論が今日においては各電力会社において多かれ少なかれニュアンスはありますけれども、やはり出てくるものなのであります。
#119
○峯山昭範君 大臣、そうかもわかりませんけどね、この問題につきましては、昨年すでにこの電力白書といわれるこれが出た時点で、各日本の電力会社は、通産省が編集したこれに基づいて、いわゆるこれを種にして値上げの申請をしてくるであろうということは、当時の議事録等にも明らかですよね。そういう点から考えてもやっぱりこの点については問題があると、私はこういうように考えます。
 さらに大臣は、いまそのほかの電力会社もたいして何といいますか、問題点は変わらないであろうという話がございましたけれども、確かにそのとおりでして、四国電力のほうも、これは第一番目の理由がやっぱり公害防除です。第二番目の理由が燃料費。第三番目が設備投資の増大というように、大体みんな一、二、三とそろってくるわけですね。大臣、私はなぜこういうことを申し上げるかといいますと、理由が五つあるかもわかりませんよ、理由はね。しかし、順番は違うこともあると思うのです。ところが順番まで白書のとおりなんだな。そうなってくるとやっぱり疑わざるを得ない。それは大臣のおっしゃるとおり、経営を分析していけば当然こうなると、そうかもわかりません。そのとおりかもしれませんが、しかし、内容的にはやっぱりいろんな内容もありましょうし、順番等もやっぱり違ってくる。いろんな問題があるだろうと私は思うんですがね。そういう点から考えましても、こういうふうな白書の問題も非常に今後私は慎重にやるべきじゃないか、こういうぐあいに考えます。この点はそういうぐあいにとりあえずあれしておきます。
 そこで次に、具体的な問題にちょっと入りたいと思うのですが、電力料金の料金体系ですが、これは先般からテレビやいろいろな討論会なんかでも出ておりますので、いわゆる原価主義というのが問題になっております。それで、電気事業法の第十九条の二項ですか、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」、そういうぐあいな表現でございますが、これは非常に私は問題があると思うのです。特に適正な利潤を加えた、あるいは何といいますか、そこら辺のいろいろな問題がずいぶん加わってまいりますが、原価主義というのは、非常に現在の大口需要の電力料金とそれから家庭で使うところの電気料金、こういう点がいわゆるこの法律が制定された当時と現在ではいろいろな面で変わってきているのじゃないか。今回の値上げの申請の中ではある程度是正はされつつある。しかしながら、こういうふうな原価主義の電力料金の体系というのは、これは何といっても産業優先型料金体系、こういうぐあいに言っても私は過言じゃないと思うのです。
 そこで、これは非常にいろいろな問題を含んでおりますが、特に私は関西電力のことを申し上げたいのですけれども、全国九電力の平均で、電灯料金と電力料金のいわゆる倍率というのは二・三八倍ですね。ところが、関西電力の場合は現在二・九二倍です。しかも、現在申請されたものが全部認められたとしてもその倍率は二・四二倍、こういうふうになっているわけです。そういう点から考えましても非常に私は不当なものじゃないか、こういうぐあいに思うのですが、こういう点についてはどうお考えですか。
#120
○政府委員(井上保君) 現在の電気料金の算定の方式でございますが、先生御指摘のとおり、電気事業法の十九条にそのことが書いてございまして、それに基づきまして実際の算定にあたります原価計算の基準は、昭和三十四年か五年かに一年ほどかかりまして、学識経験者の方に集まっていただきましてきめたものがございます。それをその後二回ほど見直しまして、現在もそれを適用するということになっております。そういうことで、適正な原価、公正な報酬、それから業者間の公平ということを基本にいたして算定いたしているわけでございますが、それぞれの各電力会社におきましては、その各電源の構成、あるいは需要の構成、あるいは負荷の態様等によりましてそれぞれ原価が変わってまいります。そういう原価計算の結果出てまいりました数字が各電力会社でそれぞれ違っておるわけでございます。御指摘のように、関西電力におきましては、現在の電灯料金は九電力のうちで一番安いというかっこうになっております。これはそういう需要構成から見ましてそういうかっこうに構成されているわけでございます。
#121
○峯山昭範君 そういうような構成になっているというその是認だけじゃ非常に困るわけですね。実際問題、特に関西電力の場合は、いわゆる電力料金と電灯料金というのが全国平均から考えましても、非常に三倍もあるというのはやっぱり私はいかぬと思うのですよ。そういう点から考えましても、この点もやはり相当今後検討してもらいたいと思いますし、さらに外国の場合、私の手元にある資料によりますと、アメリカが一・五七倍、カナダが一・六倍、西ドイツが一・九倍、イギリスが一・一四倍、イタリアが一・八七倍、こういうぐあいな構成になっているわけですね。これを考えてみますと、結局わが国の料金というのは、原価主義という名のもとに産業優先型の体系をとっているということは明らかじゃないか、そういうようなことが言えるわけですけれども、この辺のところはどうなんですか。
#122
○政府委員(井上保君) 先ほども御説明申し上げましたように、原価主義によりまして個別原価計算によって出すということになっておりまして、ある特定の需要の原価を切って他の原価のほうへ持っていくというようなことは一切やらないというたてまえでいま計算をいたしておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたような需要の実態、負荷の実態等から見ましてそういうような原価の配分になっておると、こういうことでございます。
#123
○峯山昭範君 これは局長、今後の問題としても私は申し上げたいんですが、従来から電力料金をこういうぐあいに原価主義にしてきたというのは、その当時はそれでよかったかもしりませんけれども、現在の時点から考えてみますと、これはやっぱり何らかの方向で再検討しなければならないときがもう来ているんじゃないか、実際そう思うんですね。現実の問題として、関西電力の場合も、これは両方込みで平均では二八・一三%の値上げになっていますね。しかし、この電灯料金が一五・七九%ですね、それから電力のほうが三五・一五%と、こういうぐあいになってはおりますけれども、これは一見原価主義の是正といいますか、あるいは局長に言わせると、是正じゃなくて発電コストのほうが最近は非常に上がってきた、だからいわゆる各一軒一軒へ送る送電コストというものに比べて、もとのほうが非常に高くつくようになってきた、だからこういうぐあいになるのだという現在の法律のワクの中での改正だろうと私は思うのですね。しかし、電気の持つ大衆性というか国民性といいますか、そういうような面から考えましても、こういうふうな原価主義というそのものについても、これは何らかの形で考え直す時期が来ているのじゃないか、こう思いますが、この点どうですか。
#124
○政府委員(井上保君) 先ほど大臣からも御答弁ございましたように、原価主義の問題につきましては、これがきまります段階におきましては、国民的な非常に広範な層からの代表者の方に集まっていただきまして、いろいろと検討いたしまして、その結果そういうものができているわけでございます。したがいまして、今後の問題といたしましては、やはり原価主義でいいのかどうかという問題まで含めまして、今後やはり検討するのが至当ではないか、こういうふうに考えております。
#125
○峯山昭範君 さらに局長、関西電力の場合、特に電力料金と電灯料金との格差があまりひど過ぎると、私はこう思うのですが、ここら辺のところは関西電力だけで解決できる問題でも私はないと思うのです。やっぱり通産省当局の行政指導というものがある程度なければどうしようもない問題でもあろうと私は思うのですが、ここら辺の問題についてはどう考えておられますか。
#126
○政府委員(井上保君) 関西電力の料金でございますが、御承知のとおり、電灯料金は全国で一番安い料金になっております。それから電力の料金は、全国で水力地帯である東北、北陸等を除きますとその次に安いということで、たしか七番目ぐらいになると思います。そういうようなことで、特にその倍率がほかの会社と比べてひどいからという問題はそう大きな問題ではないんじゃないか、こう考えます。
 それから、今度の申請に対しまして何か政策的なことを考えるかどうかという問題でございますが、これは非常にむずかしゅうございまして、一口に政策料金と申しましても、電気料金を含めましてそれ以外のところで何かいろいろなことを考える手はないのか、あるいは税制の問題はどうするのか、金融の問題はどうするのか、たとえば省資源問題にからみましては、産業政策との関係はどうするのか、こんな広範な問題がありまして、そういうものの中で電気料金というものがどういう立場を占めるか、なおかつ、電気料金に政策料金を導入いたします場合におきましても、どういう手法でどの程度政策料金を導入するかということにつきましては、これはやはり現在の料金算定基準が非常に広範な層からの御意見を集約して、いわば関係者の非常により広い範囲のコンセンサスを得たものであるという点から考えまして、やはり同様なことによって正しく考え直していかなきゃいかぬだろうと、そう急に通産省がやったらいいじゃないかということはちょっといたしかねると、こういうふうに考えております。
#127
○峯山昭範君 今回の電力料金の値上げの問題につきましては、申請のかなり前から新聞なんかにも相当報導されておりましたし、問題に出ておったんですけれども、国会でも質問があるたびに、まだ申請が出てないから現在の段階では何とも言えない、こういうような答弁が返ってきておりましたし、また申請が出たあとでも、先日も申請の内容をよく検討しないと何とも答えられない、こういうような答弁が返ってきておりましたけれども、実際問題としては、この電気事業の現状とかこういうようなものをよく見てみますと、すでに通産省では検討は済ましているんじゃないか、こういうような話も具体的にあるわけです、実際問題。
 それからさらに、もう一点お伺いしておきたいのは、この値上げの申請がいわゆる昨年の暮れの新聞報道等でもありましたように、それは関西、四国、北海道の三電力会社を第一グループとして、その後、四国電力とかそのほかの電力会社が次から次に申請をする、こういうふうなことが新聞に出ておるわけです。そのとおりにずっとなってきているわけです。これは結局、この申請の作戦というのは全部通産省の指導によってこういうようなのがやられているんじゃないか、こういうふうな新聞報道もあるわけです、現実に。こういう点については通産省はどうお考えですか。
#128
○政府委員(井上保君) 通産省は、公益企業規制の非常に中心的な問題といたしまして、各社の経営の動向等につきましては絶えずこれは分析をいたしておりますし、監査等も非常にやりまして、実態をよく把握するように努力いたしております。そういうことで大体の全体的な一般的な傾向につきましては、これは絶えず熟知しているわけでございますけれども、ただ各会社が、経営者といたしましてどういう判断をして、どういう経営をやるかということと、それからいつ申請をするかということにつきましては、これは全く申請者のほうの、会社側の自主的な判断にまかしているわけでございまして、われわれは申請が出てまいりますれば、それについて適正厳格な査定をするという態度でございます。
#129
○峯山昭範君 いずれにしても、通産省当局はそのうわさのとおりだ、そのとおりだなんて言うわけはないわけですからね。具体的にこういうぐあいに一つずつあらわれてまいりますと、通産省と電力会社との関係ということについてやはり取りざたされることもこれはやむを得ないんじゃないかと私思うんです。
 そこでさらに、もう一点突っ込んでお伺いしておきたいと思うんですが、いわゆる原価主義の根拠であるといわれておりますところのこの電気事業法第十九条ですか、この第十九条の中で電気事業の「能率的な経営」というのですかね、これが一応大前提になっているわけですね。この「能率的な経営」というのは、これは実際問題としてどういうふうなことを意味するんですか。
#130
○政府委員(井上保君) これは会社の申請の査定にあたりまして、たとえば五十万ボルトの送電線があると、ところが、これにつきましては減価償却費と一定の日割り負担が入ってくる、あるいは修繕費が入るということになりますが、それがたとえば二十七万キロボルトで運営されておるという場合には、二十七万キロボルトの資産としまして入れるわけでございます。これは経営が必ずしも五十万キロを必要としないというふうな判断をするか、あるいは非常に広大な面積の遊休地を、発電所を将来つくるということで持っているというようなものにつきましては、これは適当な資産ではないということで、そういうようなものはカットするというようなことで、原価計算の場合に適正な、真実有効と言っておりますが、真実有効な資産を適正に運転しておるという場合に考えられるような原価に持っていきたい、こういうことで査定をするわけでございます。
#131
○峯山昭範君 局長、関西電力から現況と申請が出されまして、現在の印象として関西電力の経営は非常にいいとお考えですか、それともやはり行き詰まってきていると、こうお考えですか、これはどうですか。
#132
○政府委員(井上保君) 従来からの経営の実態を見てまいりますと、相当に悪化しておると、こういうふうに判断いたしております。
#133
○峯山昭範君 従来から考えると悪化しているということは、要するにどういうことですか。もうちょっと詳しく言ってください。
#134
○政府委員(井上保君) 最近の原価の高騰と、それから収入の入り方でございますが、これをキロワットアワー当たりに見ますと、売電量がふえればふえるほどだんだんと赤字がふえていくというようなことに相なっておりまして、非常に悪くなってきておると、こういうふうに考えます。
#135
○峯山昭範君 そうしますと、もうちょっと具体的に突っ込んでお伺いしたいと思うのですがね。先ほどお話しのありました適正な原価、原価主義の中のいわゆる人件費の問題についてちょっとお伺いしておきたいのですが、関西電力の場合、人件費のいわゆる退職給与引き当て金というのがございますね。これは税法の限度一ぱいといいますと、要するに、現在のつとめている方々全員が自己都合で退職した場合の要支給額の半分というのが限度額ですね。ところが実際問題、関西電力の場合は――まあ税法限度一ぱいを原価に盛り込むというのが大体普通ですね。ところが関西電力の場合は、いまでも私たちが承知している限りにおきますと、税法限度の一八二%を積んでおりますね。昨年の昭和四十七年度決算でです。それでその超過額だけでも、一八二%の八二%だけでも二百五十億円に達しますね。こういうぐあいになっておりますが、こういう点から考えてみましても、関西電力のあなが先ほどからもう経営が悪化しているということは、それはもう一つひっくり返して言いますと、関西電力から出ているいわゆる値上げ案を認めるということをあなたは言わんとしているわけです、逆に言えば。そこまで私勘ぐっていいかどうかわかりませんけれども、そういうことになるわけです。
 私たちが実際いろんな面から調べてみますと、たった一つ調べてみても、こういうふうないわゆる二百五十億に達するとか、一八二%の八二%をとってもそうです。特に九電力の電力事業、中でも関西電力なんていうのは非常に経営状態がいい会社です。しかもその会社へつとめている人たちのいろんな問題を考えましても、私は地域独占ということもございますし、いろんな点から考えても、少なくともこの会社がこんな目一ぱいのこういうような退職引き当て金を認める必要があるかどうか、これもやはり問題だと私は思うのですね。一〇〇%認めなくてもいいんじゃないかということもあるんですが、それを一〇〇%認めたとしても、まだ八二%オーバーしているわけですね。そういう点から考えましても、関西電力は経営が悪化しているなんていうことは私たちのあれでは認められないんですが、ここら辺のところはどうですか。
#136
○政府委員(井上保君) 決算の問題と、それから原価計算の問題とあると思いますが、原価計算の問題といたしましては、まず将来三年間の費用を計算するわけでございまして、この場合には税法限度一〇〇%ということで計算いたします。
 それから決算の問題でございますが、これは株式会社の決算といたしまして退職手当の引き当ての方法は三つほど方法があると思いますが、それはそのときの会社の内容によりましてそれぞれ引き当てをやっているわけでございます。関西電力のほうは、発生額全体の引き当てをするということで従来やっておりまして、最近はそれがだんだんできなくなってまいりまして、総合が落ちてまいった結果、全体的な累積限度で一八三%になっているということでございます。これはどう言いますか、公益企業規制の一つの考え方でございますけれども、電気がその特性といたしまして自由競争をやらした場合には、非常に国民経済的な不経済な面が出てくる、非常に昔、そういう例がたくさんあったわけでございます。そういうことで国民経済的な観点から独占企業にする必要がある、こういうことでございます。
 したがいまして、独占企業である限りにおきましては、やはり独占価格で非常に不当な利益をおさめられるのは困るということで、これは料金の規制をやるということでございますけれども、やはり前提は株式会社でございます。したがいまして、株式会社という形態で公益事業を運用しておるということでございます。したがって、株式会社としてのやはり最低の限度というものを、最低といいますか、平均的といいますか、実態は平均をやや下回っておるということになっておると思いますが、そういうようなところで規制をしていくということでございます。
 したがって、料金につきましてもこれはいろんな結果、あるいは企業努力の問題もありますし、あるいはいろんな社会的な、一般的な情勢の変化もございまして経理がよくなるというときがございます。そういう場合にはたとえば償却をふやしたり、退職給与の引き当てをふやしたりすることは当然にあり得ると、こういうふうに考えます。実際問題といたしまして、そういう場合にはそういう金が金利がつかない金となりまして料金のアップを非常に抑制するという効果があるわけでございます。電気料金の問題はただ一期、一期見るのではなくて、やはり相当長い目で見る必要がございまして、簡単に申しますと、一年延ばせばその次のアップのときにはその分だけ高くなるというかっこうになるわけでございます。したがいまして、実際の料金の査定といたしましては、現在きまっておりますような将来三カ年間の原価というものを見まして、それをカバーするような料金にするというたてまえにいたしておるわけでございます。
#137
○峯山昭範君 局長、この電力料金を算定する場合の基礎として、これから三年間、いわゆる昭和四十八年から五十年の三年間ということでございますが、要するにこの三年間というのは、やっぱり特に関西電力にとりましては設備投資や何やかや、相当資金を投入しなければいけない時期じゃないかと思うんですね。いわゆる設備投資を急速にふやして何とか電力をふやさなくちゃいけない時期に当たると思うんですね。そうしますと、そういうふうな時期を対象に電気料金を値上げするということはやっぱり問題じゃないかと私は思うんですよ。何でかといいますと、その三年間を過ぎますと、今度はその投資から得るところのいわゆる何といいますか、収獲期といいますか、そういうようなものがあると私は思うんですよね。そういう点からすると、やっぱりいろんなその会社がいま投資期に当たっているかあるいは収獲期に当たっているかということで、いわゆる原価も相当変わってくると私は思うんですけれどもね。特に関西のようなところは消費が非常に密集しておりますし、原価的にもそう高くなるはずはないわけですね。そういう点から考えましても私はもっと検討すべきことがずいぶんあるんじゃないか、またそういうようなところの事情ももっと徹底的に調査し、かつ審査を厳重にやってもらいたい、こういうぐあいに思うわけです。
 そこで私は、いまの問題とさらにもう一点お伺いしておきたいのは、実際問題、これだけ申請が出てきて審査いたしますね。そして、これはやっぱりひど過ぎると、何とかちょっと修正しろとか是正しろとか、そういうようなことをしたことがいままであるんですか、過去において。それでまたそういうようなことができるのかどうか、そこら辺のところはどうですか。
#138
○政府委員(井上保君) 関西電力の設備投資の問題でございますが、これにつきましては、需要想定をまず固めまして、それから設備投資計画をつくるわけでございますけれども、これは非常に厳格な査定をいたしまして、そんな余裕投資がないように、なおかつもし余裕投資――余裕投資と申しますか、余裕設備があれば、遊休設備は全部もう原価対象から落とすということになりますし、まして新しくつくるものに遊休設備があるということはないわけでございます。
 それからいま一つ御説明申し上げたいのは、いまの原価計算のやり方は、設備投資がそのまま原価に響くのではございませんで、原則的に言いますと、それが完成して運転に入った場合にその減価償却費あるいは修繕費なりが原価に入ってまいります。ただフェアリターンといたしまして、適正フェアリターン八%と言っておりますけれども、建仮につきましては四%ということでやっておりますから、そういう意味での若干の原価負担はございますけれども、原則といたしましては、建設が完了いたして動いたときから原価に入ってくるということでございまして、今後着工いたしますようなものにつきましては原価計算期間に金が入ってくるということは非常にまれである、それは建仮の一部分のフェアリターンであると、こういうふうに考えております。
 それから申請の問題でございますけれども、申請をいたしまして、それをいろいろ査定をいたすわけでございまして、これは相当の査定をいたしております。そしていたした結果は、補正申請をいたすということであらためて申請をやり直すことに相なっております。
#139
○峯山昭範君 もう一ぺんお伺いしておきますが、過去にもそういう補正申請して是正したことがあるんですね。
#140
○政府委員(井上保君) 全部補正申請を出しております。
#141
○峯山昭範君 それから経企庁長官にお伺いしておきたいんですが、いわゆる電力、ガス料金の問題についていま通産省で相当審査をやっているそうでございますが、要するに、いわゆる電力、ガス料金がもし値上げされた場合、あるいはどうなるかわかりませんけれども、物価に及ぼす影響について大臣はどうお考えですか。さらに、この電力、ガス料金の問題について経企庁長官としては今後の方針としてどうお考えですか。
#142
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいま仰せのようにこの電力料金は目下申請中でございまして、この申請が認められるか、全く今後の問題に属しまするので、その影響について論ずることは若干無理があるわけでございますが、全くこれはその意味において仮定の推算になるということでございますが、せっかくの御質問でございますから、そういう仮定に基づいたものであるということをお断り申し上げて申し上げますると、今日関西電力は電灯一五・七九%、電力三五・一五%申請いたしておりますわけでございますが、これが直接的に消費者物価に与える影響は約〇・〇五%、これは平均いたしました全国ベースのものでございますが、さような程度じゃないかというふうに思われます。四国電力のほうは電灯料金が一二・五七%、電力料金が二六・九七%でございますが、これが消費者物価に直接与える影響は〇・〇一%平年度全国ベースで考えられます。
  〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕
この間接的な影響については的確に把握することは困難でございますが、一応の試算を行ないますと、関西電力の場合は約〇・一〇%、四国電力の場合〇・〇二%、いずれも平年度の全国ベースのものでございます。
 この間接的な影響と申しますのは、非常に長い間にわたって生ずるであろうと推測される上昇が、かりに一時点に結集してあらわれたという想定のもとにいたしました理論値でございます。したがって、これがそのまま消費者に転嫁されるかどうかということは不明でございまして、かりに転嫁されるとしても直ちに転嫁されるものではなくて、相当のタイムラグを伴うというふうに考えておる次第でございます。
#143
○峯山昭範君 大阪瓦斯のほうはどうですか。
#144
○国務大臣(小坂善太郎君) これも同様な前提で申し上げたいと存じまするが、大阪瓦斯の場合は、これは申請の改定率が三〇・八九%になっておりまして、ガスの場合は電力と異なりまして、もっぱら家庭用に使用されるものでございまして、間接的な影響はきわめて軽微であるというふうに推定せられまするが、消費者物価に与える直接的な影響は約〇・〇七%平年度全国ベースで考えます場合にさような程度となりますわけでございます。
#145
○峯山昭範君 さらにもう一点お伺いして私の質問を終わりたいと思うんですが、今回の電力料金の改定のこの値上げの申請の中で、公害防止事業というのは相当大きなファクターで入っておりますが、いわゆる排煙脱硫装置ですね。これに対するプロジェクトは相当前からやっておられますが、いわゆるこの実情はどうなっているのか、一ぺんお伺いしておきたいと思います。
 それからさらに、私たち一ぺん商工委員会でいまから二、三年前に四日市電力のほうへ見学に行ったことがございますが、相当な金額をかけてプロジェクトでやっておられるようなあれを見たんですけれども、実際問題、相当金をかけてやっておりながら、そういうような成果というものが一体どうなっているのかですね。それで、それの具体的な資料が通産省に報告が来ているのかどうかですね、ここら辺のところはどうですか。
#146
○政府委員(井上保君) 関西電力の排煙脱硫施設でございますけれども、これは今後大いにつけていくということでございまして、現在ついておりますのは、堺港の八号というのが六万二千キロワット、
  〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
それから尼東の二号が三万五千でございます。この二つがついておりますが、今後海南の四号機に十五万キロをつけるということでいまやっております。
 それからその効果でございますが、これは各地方公共団体等との間で公害防止協定ができておりまして、その公害防止協定を守るために、あるいはさらに上乗せ協定というのがございますが、そういうものを守るためにいろんな施設をつけたり、あるいは低サルファの燃料を確保したりいたしましてやっていっておりまして、その状況は絶えず見ております。それから地方通産局が立ち入り検査等もやって、使用燃料等につきましてもちゃんとこれを見ておるということになっております。
#147
○峯山昭範君 ちょっと趣旨が違いまして、たとえば、いわゆる排煙脱硫装置開発のプロジェクトとして国が委託研究なり何なりをさしておるというのは幾つありますか、実際問題。関西電力にもあるんですか。これは関西電力じゃなくて、私が言っているのは中部電力の四日市です。四日市に十四億ですか、どうですか。
#148
○政府委員(井上保君) これは工業技術院のほうから大型プロジェクトということで中部電力に、委託研究といいますか共同研究をやっておりまして、一応その成果が終わりまして、それからこれは湿式と乾式と両方やっておりましたけれども、それがもとになりまして、現在十五万であるとかそういう大きなユニットのものの設置が可能になってきておると、こういうことでございまして、現在の、どう言いますか、排煙脱硫のスケールアップの大きな契機になっておるというふうに聞いております。詳細は、工業技術院が中心でやっておりまして、大型プロジェクト研究の一環としてやっておるわけでございます。
#149
○峯山昭範君 工業技術院というのは、あれはどこの管轄のところですか、通産省でしょう。要するに、中部電力の四日市と東京電力、両方で活性酸化マンガン法とそれから活性炭法と、両方それを分けてプロジェクトを研究しているということを聞いているのです。しかも十四億円という相当なお金をかけて研究をやっている。実際問題として、そういうようなものについて通産省は具体的に知っているのかどうか。そういう報告書なり何なりが来ているのかどうか。われわれ見たことがないわけです、実際問題ですね。そういう問題についてどのくらい本格的に取り組んでいるのか。これだけのお金をつぎ込んでやりながら、実際問題そのプロジェクトでやった設備なんというものは、われわれがみな見に行きましたら、もうむちゃくちゃですよ。とにかく相当なお金をかけて研究開発をやった設備、コンピューターもあればいろいろなものが一ぱいありますが、そういうようなものを私たちは視察で見て回りましたよ。実際問題、そういうようなものは管理がされているとは言えない状態だったです。これは三、四年前の話ですよ。そういう点から考えても、実際問題、通産省に正式にこういうような問題については報告がされておるのかどうか。報告されているとすれば、その報告書は一体どうなっているのか、これはどうですか。
#150
○政府委員(井上保君) 関係のところと連絡いたしまして、よく調査をいたしてみたいと思います。
#151
○峯山昭範君 この問題についてはそれじゃ少なくとも調査してもらって……。具体的にこれだけのお金をかけてやっているわけですからね、どういうような成果があがっているのか、具体的にどういうふうにしてその開発された技術というものがそれぞれの電源、電力会社でどういうぐあいに利用されているのか、そういうようなところがはっきりしないものですからね。そういう点はやっぱりはっきりさしてもらいたいと思うし、資料としてその点は提出をお願いしたいと思います。
 いずれにしましても、大臣、私はこれで質問終わりますけれども、この問題は今後国民の生活に相当密接に関係のある問題ばっかりであります。しかも、これは新聞の報道のとおりなってもらっては私たち困るわけですけれども、今後またそのほかの電力会社から申請が出てくることも予想されるわけですね。そういう点から考えましても、経企庁長官並びに担当の中曽根大臣、ぜひともこの点慎重に検討されて、そして政府の方針であるいわゆる公共料金に対する考え方に基づいて厳格にやっていただきたい。このことを要望し、それぞれの大臣の所信をお伺いして私の質問を一応終わっておきたいと思います。
#152
○国務大臣(中曽根康弘君) 慎重に内容を審査いたします。そうして政府の方針である公共料金はできるだけ抑制するということを実践していきたいと思います。
#153
○国務大臣(小坂善太郎君) 政府の方針である公共料金は、真にやむを得ざるもの以外は厳にこれを抑制するという基本的な態度に立ちまして、十分慎重に検討いたしてみたいと、こう考えております。
#154
○藤井恒男君 まず大臣にお伺いいたしますが、十六、十七の両日、東京で日米貿易経済合同委員会が開催されます。これは一九六一年十一月の第一回の会議以来九回目で、およそ十年経過したわけでございますが、この間に、六九年の第七回会議で、アメリカがわが国に対して毛及び化合繊製品の米国への急速な輸入増大によって重大な問題が生じているという見解を表明いたしまして、国際的な解決を見出さなければならないということを強調してまいりました。その後、ニクソン大統領と佐藤総理との間に両三度にわたる会談などが持たれまして、世に言われる沖繩返還の代償に対米繊維輸出規制というものを強くニクソンが要求してまいりました。大統領が選挙に立つにあたってこのことを公約し、結果、七一年の十月に毛・化合繊の対米輸出規制ということを踏み切ったわけです。たいへん長い歴史を持った日米貿易経済合同委員会でございますが、いまのような忌まわしいできごとがあったわけでございます。その後、とにもかくにも繊維戦争とまで言われたこの問題は一応の形で落着する。
 その後、円が二回にわたって切り上げられる。ドルに対して三五%余りの実質切り上げを現に行なっておるし、日米関係の最も大きな摩擦の要因でありました貿易の不均衡という問題も、暦年でいきますとことしは二十五億ドルを割るであろう。このことは昨年のたしか四十二、三億ドルであったと思うのですが、それから見るともう半減するということでありますし、さらに、アメリカが強く主張しておりました資本の自由化についても政府は一〇〇%原則への移行を実施する。また電子計算機あるいは集積回路などにつきましても、期限を切って輸入の自由化することをきめるというようなことで、過去十年間いろいろな問題があった。ことにアメリカ側からわが国に対して強く要請されてきた問題というものはほぼ解決したという状況の中で、今度また第九回目の会議を開こうとしておるわけです。
 その面からいくと、歴代の通産大臣の中では中曽根通産大臣が一番立場が何といいますかいいわけで、胸を張って日米貿易経済合同委員会に臨まれるであろうと私は思うわけです。そういった意味で今度の経済合同委員会というのは、一つには田中総理が訪米するということについての地ならしだというような見方も報道されておりますし、また一部では、エネルギー問題について国際的な視野でひとつ話がかわされるんじゃなかろうかというようなことも論議されておるわけですが、大臣としてはこの日米貿易経済合同委員会に臨まれるにあたって、何がポイントになり、また、大臣としてはわが国の国益というものを見詰めた上でアメリカに対して何を言おうとしておるのか、何をポイントにこの委員会に臨もうとしておるのか、この辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
#155
○国務大臣(中曽根康弘君) これから役所でそういう対策を練るということで、まだ正式の腹案がきまっているわけじゃありません。
 私の個人的な考えを申し述べますと、やはり第一は、これは世界経済の問題が一つあると思うのです。それから第二は、日米間のバイラテラルの問題があると思います。世界経済の問題については、やはり何といっても通貨問題というものが安定しないと、貿易もあるいは南北問題の解決も非常にむずかしい段階になる。したがって、通貨問題の中の一番大きなファクターであるドルの安定と、そういうことに対するアメリカの責任及びこれからの考え方、施策、そういうものをよくただしてみる必要があると思うのです。この点が安定して見通しがつきませんと、貿易の面のみならず、さっき申し上げた南北問題その他あらゆる問題について世界が混乱をして、不安定な状態に置かれているということでありますし、特に発展途上国の迷惑はかなり大きなものがあるんだろうと私は思うわけです。そういう意味において、先進工業国である日本、アメリカともに発展途上国に対して責任を持つものでありますから、そういう点をよく展望なり対策を確と承ってみたい。これはまあ大蔵大臣の仕事でありましょうけれども、通商政策上これは切り離せない大きな問題であると思います。
 それから第二番目は、やはり世界経済、社会経済の問題に関係しますけれども、資源及び公害問題ですね。この点は通産省も関係している部分もありますから、公害の問題についても国際的に協力してやらぬとできない、たとえば海洋投棄その他の問題もございますし、そういう問題について三木環境庁長官が出ませんから、私らがある程度カバーしなければいかぬだろう、そう思います。
 それと、資源問題は、石油あるいはそのほかの問題についてもいま言われているとおりの情勢でもございますし、過当競争を起こして値を上げるということも避けなきゃならぬけれども、産油国と協調していくという基本方針も貫かなきゃなりません。そういう意味において、やはり日本とアメリカがよく協調し合いながら資源問題を処理するということが非常に大事であり、それにEC諸国とも協調し、あるいは共産圏諸国との東西貿易の交流という問題も非常に大きなファクターに登場しつつあります。たとえばココムの問題なんかも時代おくれの感がいたします。こういうような問題についてもわれわれの見解を述べてみたいと思います。
 それから日米両国の問題では、貿易資本の問題はある程度解決しつつありますけれども、将来の安定性という問題がいろいろあるわけです。それからもう一つは、特に食糧を主とする資源の融通問題、これはやはりバイタルな問題にお互い登場し合いまして、両国の国民がひとしく両国の親善友好のためにも善処すべき問題であるであろうと思うのです。そういうような諸般の問題についていろいろわれわれの考えも話し、先方の考えも承ってみたい。そうして友好親善の実をさらに深めていきたいと思うわけでございます。
#156
○藤井恒男君 大臣はこれで退席されるわけですね。何時までですか。
#157
○国務大臣(中曽根康弘君) もうそろそろ……。
#158
○藤井恒男君 もう時間ですか。それじゃ、あとで局長に私よく御質問申し上げるので、大臣に、これは御答弁要りませんが、局長を通じてお聞きいただきたいと思うのだけど、今度の日米貿易経済合同委員会の席、それがフォーマルな席であろうとインフォーマルな席であろうと、くれぐれも気をつけていただきたいのは、ガット繊維作業部会で問題になっておるところの多国間協定について勇み足をされないように、くれぐれも気をつけていただきたいと思うわけです。これは過去の経験に徴して、田中通産大臣のおりにも私たびたび申し上げたことだけど、非常に彼らのやり口というのはもう目に見えておるわけなんです。言質をとられないようにお願いしたいし、同時に、当然田中総理の訪米のことについても、インフォーマルな席ででも話が出ると思うのだけど、田中総理にも、かってのニクソン・佐藤という形におけるまあ問題がいろいろ惹起されたわけだけど、そのような言質をとられないようにくれぐれもひとつ注意していただきたいと思うわけです。内容等についてはこれから局長にいろいろお伺いしたいと思います。じゃどうぞ……。
 そこで私、繊維問題に限って局長に二、三御質問申し上げますが、実は私、この繊維問題については三月二十九日の本院における商工委員会で問題を提起しておきました。と申しますのは、今日見られるところの状況を想定して私はものを申したつもりでございます。今日の状況というのは、言うまでもなく、ガット繊維作業部会が二十五日から第三回の作業部会を開催いたしまして、そこで、二十九日にガット理事会に提出する繊維貿易の秩序確立に関する作業部会中間報告というものを採択したわけです。特に最終日の会議で、米国が、多国間協定の年内作成をガット理事会が作業部会に再び指示するということを多数で織り込んだ報告書を取りきめました。
 私は、この三月二十九日の委員会で中曽根通産大臣に申し上げたんですが、その時点において、それ以前田中総理との間でいろいろ質疑をかわしたときの状況を私は逐一報告いたしました。結論としてLTAの再々延長には日本は反対であるという態度、それからWPについては、新たな任務を持って設置されるということについては反対であるという田中総理の言明を確認いたしました。これについてはもっとも中曽根通産大臣は、要するにLTAの問題については、状況もずいぶん変わってきておるので四囲の状況を判断しつつ弾力的に運営していきたい旨の発言をなさったと思いますが、WPの問題についてはノン・コミッタル・ベースであれば席につくということはやむを得ぬのじゃないだろうか、それすら拒むということになれば、日本は孤立すると、しかし、いままでの論議の経過というものは十分承知しておるのであるから、今後時宜に適して十分国益を守るという精神でそのつど相談もいたしましょう、場合によっては労働組合にも相談するというような措置も講じましょうということを答弁なさっております。こういう経過を踏まえて新聞では、このジュネーブにおける作業部会の状況並びに結果を報告されておるわけでございますが、その経緯の概況と今後の進展の状況についてひとつ御報告いただきたいと思います。
#159
○政府委員(齋藤英雄君) ガットにおきます繊維作業部会の経緯でございますが、これはいま藤井先生からお話がございましたように、昨年の六月から第一ラウンドと称するものが始まりまして、事実調査をいたしまして、それから第二ラウンドが本年の五月から始まりました。両三回にわたりまして検討を重ねました結果、いまお話がございましたように、六月二十九日をもちまして報告書の作成を一応完了をいたしました。ただ六月二十九日には正式の報告書の概要をまとめたのでございまして、その報告書の詳細にわたりました点は各国にもう一回文書を出して、その意見をまとめて最終的にきめると、こういうことに相なっております。報告書には、各国がいろいろ意見を述べました、従来繊維国際貿易における問題点がどこにあるかということについての解明分析の部分、二番目に複数の解決策の部分という部分がございます。それで、いずれの部分にいたしましても、やや議事録的に相なっておりまして、たとえば解決策につきましてはいろいろな意見がそれぞれ並列をされておる、こういうことに相なっております。
 なお、今後の作業部会の取り進め方でございますけれども、これはまだこの次の理事会で一応きめる事項でございますからしてはっきりはいたしませんが、私どもが一応想定をいたしますのは、七月の末におそらくガットの理事会が開かれるであろう、そのガットの理事会におきまして報告書の文言も整いましたものが一応提出をされるであろう。そこで、そのガットの理事会ではおそらくその報告書は採択をされるであろうということが予想されます。その報告書の内容ないしはその理事会の席上において今後本問題、すなわち、繊維の国際貿易の問題についてはどういう取り進め方をしたらいいかということを議論になるであろうと思います。
 それからなお、アメリカが最終日に突如として出しました修正案と申しますか、勧告案でございますけれども、これはこの報告書の中に多角的な繊維取りきめの交渉を本年中に始めまして、三カ月間、本年末をもって終了するようにということを理事会に勧告する、レコメンドすると、こういうことを申したのでございます。それと同時に、したがいましてLTAは本年九月末で切れるわけでございますが、その九月末で切れるLTAを多国間取りきめができるまでの間、すなわち三ヵ月間延長するということを言い出したわけでございます。それで日本代表はこれに対して強く反対をいたしました。したがいまして報告書の文章、最終的にどうなるかはわかりませんが、現在におきましては、多数のWPのメンバーはこういうことをこういう意見であるというかっこうの文言になっております。
 以上が経緯と、簡単でございますが先行きの見通しでございます。
#160
○藤井恒男君 要するに、両三度にわたる作業部会の結果、七月末の理事会でこの報告書が無修正で採択されるという可能性はきわめて強い。そうなると年内合意を目ざして、LTAは三ヵ月間延長されるとしても、多国間取りきめについての実質的な委員会というものが設定されるわけで、わが国としては関頭に立たされる。要するに、その委員会に臨むからには何らかの合意を求めるための行動を現に起こさなければならないし、あるいはいままでの初志を貫こうとすれば、LTAそのものが三ヵ月間延長されることはやむる得ないとしても、その作業部会には出席しないということになろうかと思うわけですが、その点についてはいまの時点で身を処すとしたらその二つしかないと思うんだけど、どのように判断していますか。
#161
○政府委員(齋藤英雄君) この問題は、実は非常にむずかしい問題でございます。したがいまして、私どものほうはいま申し上げましたように、最終のWPの会合におきましては、日本代表はアメリカ代表のいまのレコメンドの案に対しましては反対の意向を表明して、かなり激しい論争になったように聞いております。
 まあそういう経緯から私どももいろいろ判断をしなければいけませんが、ただ、したがいまして私どものほうとしては、もちろんまだ七月末でございまして時間がございますから、現在意見あるいは態度はきめておりません。私どもも本問題につきましては、先ほど先生のお話にもございましたように、関係の業界の意見あるいは労使双方を含めての関係業界の意見を、実は先般来からもときどき聞いております。それでその御意見は、これはやはり日本の繊維貿易の世界における地位というものがだんだん変わってまいりました。
 と申しますのは、一番いい例で申しますと、たとえばことしの一月−五月の輸出入につきましては、原料を入れますと日本はすでに輸入国に相なっております。正確に申し上げますと少し長くなりますが、一月−五月では原料を含みます繊維貿易の収支は一億五千三百万ドルの赤字でございます。ちなみに去年、一九七二年暦年におきましては九億二千五百万ドルの黒字でございます。それからその前の一年飛びまして一九七〇年では十億四千六百万ドルの黒字でございます。というふうに、いま逆に年次を申しましたが、その歴史の流れに沿って考えますと、だんだんと黒字が少なくなって、本年の一月−五月では繊維の貿易収支は赤字になっておるという現状でございます。それで、ことにいわゆる縫製品関係――二次製品関係につきましては、前年度の同期の同月の比較をいたしますと、輸入は大体二次製品では二・三倍ぐらいでございます。それに比べまして輸出は全体ではおおむねドルベースで一〇%ぐらい、正確に申しますと九・八%でございますが、一〇%程度の伸びでございます。したがいまして、今後そういうふうな傾向がやはりかなり続くのではあるまいかということは当然私どもも、あるいは関係業界においても考えておるところでございます。
 したがいまして、そういうふうな情勢を考えますと、繊維の業界の中にも縫製品の業界もございます、あるいは綿関係でも、中小紡は綿糸の太番手を引いておりますことは御案内のとおりでございます。そういう観点から考えました場合には、労使を含めました業界の態度というものも、従来とは違いまして、非常に微妙なものがございます。それで私どもは、今回態度をきめますにあたりましても、そういうふうな業界の、これは労使を含めての業界でございますけれども、の御意見を十分聞いてその態度をきめるべきである。それで業界の態度自身私ども考えますに、やはり業界自身としても、日本の当然国益を考えた判断を業界もされると思います。そういう御意見を聞きまして、私どもも日本の繊維業界が発展するような方向を考えた場合には、どの道が一番いいかということを、やはり実際に即して真剣に考えなければいけない、こういうふうに考えております。
#162
○藤井恒男君 私は、いまおっしゃったように、日本の繊維業界の置かれている立場というものが、この一両年本質的に変わってきておる。これは時間の関係で私はもう問いませんが、繊維の日本のオール貿易の帳じりということじゃなくて、日米における繊維の貿易ということを対比してみてもはっきりすることだと私は思っておるのです。にもかかわらず、執拗にアメリカが今回見られるように多国間協定の実現を迫ってくるという背景は一体何であろうかと。私は二つの理由があるだろうと思うので、見解が違っておればひとつ御指摘いただきたいと思うのです。
 もっともこの問題は、ニクソン大統領が一九六八年の大統領選挙以来公約をしておる、要するに、繊維の多国間協定を実現さすんだと、それを米国の繊維業界に対して一つの目標として設定しておるということもありましょうけど、具体的に言うなら、一つはもともとガット違反であるところのLTA、それから毛・化合繊の日米協定などの二国間協定を、ガットの場における多国間協定の締結によって国際的にこれを合法化するということが一つのねらいである。
 いま一つは、ことしの九月から関税引き下げ、非関税障壁の撤廃などの貿易拡大をねらった新国際ラウンド交渉が始まるわけですが、この交渉を米国がリードするために、大統領に通商交渉の権限を委譲するための新通商法案が米議会に提出されておるわけですけど、これはいまどういう動きになっておるか私つまびらかじゃないのだけど、この法案を成立させるために、特に保護主義的な繊維業界、それから同じく繊維の労働組合、あるいは保護主義的な議員などに、多国間協定を結ぶことによってどちらかといえば大統領の立場を安定さしておく、いわゆる議会工作ということにあるんじゃないだろうかと私は思うのです。そのいずれもわれわれの立場から見れば、きわめて承服しかねる問題ばかりでございますけど、このような解釈を持っていいものかどうか。要するに、アメリカ側がいま執拗にねらってきておるこの問題について、そのバックグラウンドをどう見ておるのか、それを聞いておきたいと思います。
 それからいま一つ、ジュネーブにおいて第三回作業部会で日本と同じような態度をとった国、主としてそれは輸出国であろうと思うわけですが、どういった国があるか。あるは歴然と賛否ということじゃなくて、ニュアンスとして大体わが国と同じような歩調をとり得るであろう、あるいはそれを想定しておるであろうと思われる国々をひとつあげてもらいたいと思います。
#163
○政府委員(齋藤英雄君) アメリカが多国間協定、多国的な取りきめを非常に熱心に進めようとしている、こういう理由でございますが、いま先生から御指摘いただきました二つの点につきましては、私どももそういうことは考えられるんじゃなかろうかと思います。もちろんアメリカの代表はそういうことを言っているわけではございません。しかしながら、いろいろ四囲の状況を考えますと、そういうふうなことも考えられるのではなかろうかというふうに考えます。
 それからなおさらにつけ加えて申し上げますれば、やはり現在毛・化合繊の二国間協定がある国は日本を入れて五カ国、従来は日本を入れて四カ国でございましたが、最近一つ加わりまして五カ国でございます。それで、それ以外の国とは毛・化合繊におきましてはバイラテラルな協定というのがございません。そういう問題で、ほかの国に関しましてやはりそういうふうなことについてアメリカ側は考えておるのではなかろうかという感じもいたします。それからなお、本協定、バイラテラルな協定は、それぞれ周期がございます。三年なり、ある国は五年なりいろいろ周期がございます。それでそういう点に関しましてやはりアメリカ側としては相当不安の念を持っているのかもしれない、そういう気もいたします。
 以上私が申し上げましたことは、いずもれアメリカ側の代表が言っていることではございません。私がやや個人的にそういうふうなことも考えられるということを申し上げたわけでございます。
 それから第二点の御質問でございますが、日本と同じような態度をとった国がどこであるかということでございますが、これは実はWPの詳細な内容につきましては、これはコンフィデンシャルになっておりまして、私どももつまびらかに申し上げることをはばからしていただきたいと思いますが、一例で申しますと、たとえば先般、この複数の解決策の一つの中にセーフガードクローズを設けまして、それを国際監視機構で権限を強化して、それでそのセーフガードが乱用されないように監視をしたらどうだ、こういう案を出した国がございます。その点におきましては、日本の中でも一部そういう意見がかなり強いところがございます。したがいまして、それは北アメリカ大陸の一国が出したのでござ、います。そういうふうな国などは議論が詰まってまいりますと、その点においては日本側の意見とは一致はいたしておりませんけれども、やや近いようなことになるのかもしれないという気もいたします。
 それからなお、いろいろ多国間協定を結ぶかどうかという点に関しまして、従来ある二国間協定をいわゆるやめてしまう、フェーズアウトしよう、こういうことが解決策の中に入っております。それで、これにデッドラインを設けるべきであるか、あるいはそうじゃなくて単にフェーズアウトすべきであるというだけにすべきだという議論がございますが、これは多数の開発途上諸国はデッドラインを設けるべきである、国によって違いますが、二年ないしは三年のうちにこれはやめるべきである、こういうふうな意見を多数の国が述べたわけでございます。日本も当然そういう意見を述べたわけでございまして、そういう点におきましては多数の国が日本と同じような立場をとっておるということでございます。したがいまして、問題問題によりましてそれぞれいろいろ微妙な態度の相違がございますので、その一端申し上げたわけでございます。
#164
○藤井恒男君 問題はこれからでございますが、とにかく現状から近い将来を展望をするなら、繊維多国間協定問題については、日本は参加するか不参加するかの二者択一を迫られる。またかりに日本が参加する、不参加だということにかかわりなく、ことしの十月からは繊維の多国間交渉が進められていくということは私は確実であろうと思うんです。そうなったときに、どのような多国間協定の内容が織り込まれていくかということは、これはまだ先のことで不明でありますけれども、しかし、私たちは現にLTAというもの、それから毛・化合繊の日米協定という、われわれにとってみれば、日本にとってみればたいへん苦い経験を長い間持ってきておるし、それを背負った状態の中で多国間の包括的な取りきめということになると、これはたいへんな日本の繊維産業にとっての打撃になるというふうに思います。
 現在の日本の繊維産業がLTAあるいは日米繊維協定というようなものの中で、みずからの生くる道ということで輸出市場転換を執拗にはかっておるし、あるいは海外への企業進出によって加工基地づくりを進めて国際分業というものをつくって、それによって日本の繊維産業というものをバランスさすということに努力しているさなかでございますけど、これに追い打ちがかかって多国間協定ということになっていくと、さらに急激な構造変化というものをしいられることになり、これは思っただけでももうぞっとすると、日本の繊維産業というものがばらばらになってしまうのではないだろうかという強い危惧を持ちます。いままで何度となく申し上げてきたことだから私繰り返すことを避けますが、われわれがやはりいままで持ち続けてきたところの考え方というものをこの際くずすべきじゃないというふうに私は思うわけです。
 一方、現にある一部では輸出市場のシェアを固定化して、そのことによって競争力の低下を補う、そして国内市場を防衛するほうが得だと、こういった考えも出始めておるやに私聞きますけれども、これは全く逆であって、やはり国際協力、協調のもとに自由な貿易というものをはかっていくというわれわれの原則的な考え方をこの際変節してはいけないというふうに思うわけです。そういった意味で、私、歯どめという意味じゃないけどお願いしておきたいんだけど、確かに繊維業界の中においては今度のLTAの問題あるいは日米繊維協定の問題、今後の多国間協定の問題をめぐってその見詰め方と思惑に多少の違いがあるように私思います。したがって、ECにしてもあるいはその他の国にしても、ガットの場に出る限りにおいてはどの国といえども官民協調の形で国益を重んじて出てきておるわけですね。
 どちらかといえば、先ほど来大臣も局長も、よく関係業界のみならず労使の意見を十分徴して会議に臨むと言ってはおるものの、現にこのようなせっぱ詰まった状態の中でも、業界一つとってみても微妙な違いがある、これはいなめないと思うのです。それは必ずしも全体の意見をまとめたことにはならない、したがって、早急に私は通産省雑貨局がイニシアチブをとってもいいと思うので、繊維業界なら繊維業界の統一したものの考え方というものを設定すべきだ、その努力をやはりしなきゃいけないというふうに思うわけです。日本人的なやり方で、有無相通ずるということで、ある部落に対してはわかった、こっちの部落に対してもわかったという形で多国間協定の場に臨んでいけば、ふたを開いてみてみんなの思惑が違っておったということになるし、その意味におけるロスもあるし、損失も免れないわけですから、十分それははかっていただきたい。まず繊維産業界の意思の統一をはかるべきだ、その上に立って私は交渉に臨む作戦を練っていくべきであろうと思います。
 同時に、その場合にはそこに働く労働者の意見も十分徴すべきだ、労働者の側も公正労働基準というものを国際化の形で設定していこうという考方を持っておるわけですから、広く門戸を開放して国際的な、適正な労働基準というものを南北間にも、先進国、わが国の間にも調整していこうというわけですから、閉塞的なものの考え方じゃない、その辺のところもよく考えて私は処置していただきたいと思います。
 それから先ほども申したことですが、くれぐれも大臣並びに総理に注意しておいていただきたいことでございますが、かつてのニクソン・佐藤会談というような轍を踏まないようにやっていただきたい。何と言おうとも前回の日米繊維交渉というのは、もう旧聞に属することになったからどこでも公になってしまったわけだけど、佐藤さんとニクソンとの間にやはりそれがどういう形であったにしろ約束がかわされ、それを田中総理が――通産大臣が形をつけたということになっておるわけです。再び同じ轍を踏まないように、十分当局として注意していただきたいと思います。
 その次の問題に移らしていただきますが、綿花の輸入を仰がなければならないわけですが、ブラジルが綿花の輸出を規制するという措置が出てまいりました。このことがわが国の綿紡績業界、ひいては繊維全体にどのような波及的な効果を及ぼしておるか。また聞くところによれば、アメリカも、ブラジルがやればこれに追随するという動きもあるやに私聞いておるわけだけど、アメリカの場合、片っ方では繊維協定をやり、片っ方でまた綿花の輸出規制をやるということになれば、これはもうまさに何をか言わんやということになるわけで、全く論理は一貫しないし、きわめてけしからぬ態度だというふうに思うわけです。よもやどんなに血迷ったといえどもアメリカはそういうばかなことはやらぬと思いますが、その辺の見通し、感触などもあればこの際聞かしておいていただきたい。
#165
○政府委員(齋藤英雄君) 綿花の輸出の問題でございます。いまお話がございましたように、ブラジルは五月十日に、綿花につきまして今後の輸出契約を制限するという措置をとりました。やや詳細に申し上げますならば、その輸出契約につきましての登録制度を実施をいたしまして、一種のシーリングと申しますか、上限を設けましたのでございますが、最近になりましてそれが満ワクになりましたために登録制を打ち切りまして、実質的に今後の輸出成約を禁止するというふうなことに相なってきたわけでございます。しかしながら、五月の初めまでの輸出の既契約につきましては、輸出規制を行なわないというふうに私どもは聞いております。したがいまして、わが国は先物契約によりまして、すでに本年度分につきましてはほとんど買いつけを終了いたしております。したがいまして、少なくとも本年度につきましては直接的な影響はないというふうに私どもは考えております。
 それからアメリカの問題でございますが、アメリカの商務省は七月の六日に、アメリカの国内供給事情把握のために海外の需給を見きわめる、こういう必要があるので、綿花の輸出業者に対しまして、綿花の全銘柄につきまして輸出契約の報告を義務づけることを発表いたしました。七月の十日にその細目を発表いたしたわけでございますが、まあそういうことで報告制度ということに相なったわけでございます。しかしながら、わが国は、報告制度それ自身は輸出を調整するということまで至っておりません。したがいまして、もちろんいま影響はないわけでございますが、先行きの感触といたしまして、アメリカの今年の綿花の作付面積、これが問題になるわけでございます。もし千三百万エーカーを大きく割るようでございますと、これは規制ということもあるかもしれないということがアメリカから伝えられておりますが、この点につきましては去る七月十日に、七月一日現在の作付面積の一応予定といたしまして千三百十二万エーカーということをアメリカの農務省が発表をいたしました。こういうところから判断をいたしますと、現在のところ規制をするというふうな見通しにつきましては、私どもはそれはあるいはなくても済むのではあるまいか、おそらく輸出を規制する手段に出ることはないのではあるまいか、やや大胆な言い方ではございますけれども、私どもは一応そういうふうに考えております。
#166
○藤井恒男君 前回ドル対法を論議したおり、経済企画庁から発表された数字として、輸出関連の中小企業産地千カ所の調査によって現在の円のフロート、これはドルが二百六十五円ということであれば輸出は二〇%ダウン、二百六十円であれば三〇%ダウンということを言われ、ドル対法は二百六十円を目安にして大体設定しているんだということでございました。きのうも私、経企庁のほうに聞いてみたら、まあけさあたりの新聞でも、いろいろてこ入れなどもあってドルは大体落ちつくだろうというようなお話もあったわけですが、この中小企業産地ということになると、即これは繊維といっても過言じゃない。中小企業ですね、繊維雑貨ということになる。二百六十円がさらに二百五十五円、二百五十円ということもこれは想定されるわけです、昨今の一連の動きを見るとですね。そうなると、このドル対法それ自体も二百六十円を想定してやっておるわけなんです。ドル対法自体これは手直ししなければいかぬということになるし、それより以前にドル対法どころじゃないぞということになるわけですね。もちろんこれは繊維にも直接関係するわけだけど、繊維雑貨局長として一体どういうような見詰めをしておられるのか。これも聞かせておいていただきたい。
#167
○政府委員(齋藤英雄君) 最近の繊維の輸出の状況を見ますと、やはり成約はかなり停滞ぎみでございます。これはドルベースで一応申し上げますと、前年同期に対しまして本年の一月−五月では繊維全体で九・八%程度の伸びでございます。したがいまして、これをかりに円換算にしますと、むしろ水準より落ちているということに相なるわけでございます。したがいまして、この点は国内の業界の円の手取りについてはむしろ減っているという感じになろうかと思います。それで特にこの中で私ども非常に気になりますのは、いわゆる先ほど申し上げましたように二次製品関係でございます。二次製品はドルベースで一月−五月前年同期比で九六・四でございます。したがいまして、ドルベースでも一〇〇%にはなっていないのであります。二次製品関係は言うまでもなく中小企業の方が非常に多いわけでございます。私どもは、こういう問題について輸出の面については非常に心を痛めておるという感じでございます。
 それから雑貨につきましては、四十八年の一−四月の実績でございますが、これは全体で見ますとドルベースで一八%の増加でございます。したがいまして、円に直しましても多少の手取り増ということになると思いますが、これはやはりこの中でたとえば人造真珠でございますとか、あるいはセルロイド、プラスチック製品等ごく限られた分野ではございますけれども、それにかなり集中的に影響が出てきておるということを私どもは憂慮をいたしております。しかしながら、最近の国内の景況が現在上昇機運にございまして、国内の需要が旺盛なこともございます。したがいまして、現在までのところはごく一部を除きましては大きな混乱は生じていないというのが現状でございまして、今後、いまお話ございましたようなドルのレートがさらに変わってくるというふうなこと、あるいは国内の景気動向がまた変わってくるというふうなことになりました場合には、私どもは、これらいろいろ影響を現在は国内需要ということで一応カバーされておるような感じでございますけれども、これがあるいは表面化するということも考えられますので、この点われわれとしてもこういうふうな動きを十分見守って、そういうものが表面化するような動きが出ました場合には、これはやはり迅速に対策を講じなければいけないというふうに考えている次第でございます。
#168
○藤井恒男君 時間が参りましたので最後の質問にいたしますが、実は検査協会の問題についてでございます。
 現在、繊維の検査については全国で十カ所の本所、それから八つの支所と十一の出張所があるわけですが、一方民間の検査機関ということになりますと、現在十五の検査協会、事業所が約二百八十程度ある。これらの検査につきましては、昭和三十二年に輸出検査法に基づいて検査制度が設定されたわけでございますが、それ以降繊維というものの体質がもう大幅に変わっておる。また、輸出環境というものも非常に変わっているわけですね。したがって、私は昨年の五月三十日に当時の佐々木繊維雑貨局長にこの問題を取り上げて、これはマンネリじゃないか、一体どうなるんだと、いまの検査協会それ自体のあり方、あるいは検査の方法それ自体一ぺん再統一なり洗い直しということをやらなきゃいけないじゃないかと。ことに昨年の状態などで見ますと、民間の検査協会のごときは請負業的なもので、たとえば日米繊維交渉のあおりを食って、輸出がどかっと減れば検査業務が減る。したがって水揚げが減る。水揚げが減ればそこで働いておる者を整理しなきゃならない、こういうふうなことになってくる。
 最近の漁網関係の検査にしましても、季節的なものもある、また漁網の輸出それ自体の問題もある。漁網の検査なんて言ったって、これはもう実にナンセンスなもので、魚が入るこんな穴を持った網を一体検査するなんて何を検査するんだということになるんで、陳腐化しておるんじゃないだろうかと。しかし、そこで働いておる人たちは、その検査業務がなくなれば失職するわけなんです。業界もそこに金を払うのはもうもったいないということで検査業務を減らそうとする。しかし、法律には輸出貨物ということで検査というものを義務づけられておる。実におかしなことで、国検は国検で民間がやってない絹なら絹に限って検査やるんだというようなことで人を擁しておる。何かちぐはぐでございますし、そのとき佐々木局長も、これはもう真剣に取り上げて、早急に体系を洗い直して、一ぺん統合するなりあるいは検査そのもののあり方を検討しますという約束をしたわけです。およそ一年経過したわけだけど、その後どうなっておるのか、お聞きしておきたいと思います。
#169
○政府委員(齋藤英雄君) ただいま御指摘がございましたように、民間の検査協会の収入は、ほとんど検査手数料より輸出の検査手数料に依存をしておるわけでございますけれども、数字をあげまして御説明申し上げますと、たとえば四十六年度ではおおむね十四億二千八百万円程度のものが、四十七年度になりましては十二億四千七百万円というふうに逐次減少をしつつございます。しかしながら、その他のいわゆる検査、これはいろいろ品質の安全の検査もございますし、あるいは消費者保護のための家庭用品品質表示法の検査、これは依頼検査でございますけれども、そういう内需向けの検査、要するに消費者向けの検査、そういうものを一応委託を受けまして検査をいたしております。それはそのための、主としてそういうものの検査の手数料としまして、たとえば四十六年度は二十七億三千七百万円、四十七年度は三十一億二百万円というふうにこれは増加をいたしております。それで、言うまでもなく、繊維の輸出の伸び率が悪いことは先ほどから御指摘があり、私申し上げているとおりでございます。したがいまして、繊維の検査協会自身の全体のあり方というものは、これはやはり再検討を要することは、先般佐々木局長が申し上げたとおりでございます。
 一方支出の方は、やはりおおむねこれは検査員の方の人件費が主でございますけれども、大体経費のうちの七、八割を占めるわけでございます。やはりこれは国民所得の向上に伴ってこの人件費が多くなることは当然でございます。そういう関係から収支面は次第に苦しくなってきておる状態にございます。たとえば四十六年度の赤字協会は五つくらいございます。四十七年度ではそれが七つぐらいにふえました。そういうふうに年々経営が苦しくなってきつつあるのが現状でございます。したがいまして、これは検査体制の合理化ということを当然考えなければいけないわけでございます。そのためにはやはり検査協会自身のいまのあり方が、これは対象品目なりあるいは検査のやり方――抜き取り検査、全品検査いろいろございますが、そのやり方等これはやはり考えなければいけない点は一つございます。
 二番目には、先ほど申し上げましたように、これから国内の消費者保護のためのいろいろ品質の検査と申しますか、品質を表示をするための検査、そういうふうなことをやはり当然やらなければいけないと思いますし、いわゆる消費者保護指向型の検査機関というふうに脱皮していく必要があるのではあるまいかというふうに考えております。したがいまして、この点でいまの輸出検査法の政令指定の品目につきましても私どもはいろいろ案を持っておりますが、そういう方向で先行き進めていきたいと存じております。
 それから、なお漁網検査協会の問題で御質問が一つございましたんですが、漁網検査協会も先ほど全般的な検査協会の状況を申し上げましたと全く同じ状況でございますが、それに加えまして、漁網につきましてはやはり内需検査というものの関係がございません。したがいまして、いわゆるその他の業務収入というものはないわけでございます。しかし、その上に検査手数料の値上げというものもこれは非常にむずかしゅうございます。それからなお品質につきましても、従来は天然繊維でございましたものが、これはほとんど四十七年では漁具糸にしましても、漁網綱にしましても、おおむね九九%これは天然繊維ではございません。そういうことで、検査の必要性というのは著しく減じているというふうに思われます。
 そういう観点から考えました場合には、当然漁網検査協会の先行きの問題については考えなければいけない問題が現実に迫っております。この問題につきましては、なお漁網検査協会の内部におきましていろいろ労使双方で話し合いを現在進めておる状況のように私どもは聞いております。したがいまして、そういう問題、これは非常に重要な問題でございますので、そういうことにつきまして話し合いが成立をいたしました暁には、私どものほうはやはり方向としては廃止の方向で手続を進めるしかないのではあるまいかというふうに考えておるわけでございます。
#170
○藤井恒男君 最後にもう一つだけ。それは前回の昨年時点で佐々木局長は、「十五の検査協会を一堂に集めまして、今後の繊維製品の検査のあり方、検査協会のあり方、検査のやり方等々につきまして随時協議をいたしておる」、「昨年暮れまでに各検査協会とメーカーとの懇談会を十数回にわたりまして開いた」、「近く統合的な一つの方針を作成」すると、こういうふうに言っておるんですよ。それから一年を経過しておるわけですからね。だから私はやっぱり喫緊の問題だと思うし、これは早急にひとつ現状を何かレポートでもまとめて私のほうにいただきたいと思います。
 それから漁網について、これは収束の方向にいくというふうにお話しがありますが、簡単にこれは天然繊維が合成繊維にかわって収束すると言ったって、検査協会で働いておる人たちがおるわけですからね、これは山をつぶすみたいなことになるわけですから、その辺のところも私はやっぱり十分配慮をした形で事を処置してもらわぬといけないのじゃないだろうかというふうに思います。いままでは法令に基づいてやっておったわけだから、それをぽんともうやめてしまえというようなわけにはいかぬというふうに思います。だからその辺のところも含めて、まあ御答弁はもう時間がありませんからけっこうですから、報告書を一ぺんいただきたいと思います。
 終わります。
#171
○委員長(佐田一郎君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#172
○委員長(佐田一郎君) 速記を起こして。
 ほかに御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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