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1972/09/13 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第25号
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1972/09/13 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第25号

#1
第071回国会 商工委員会 第25号
昭和四十八年九月十三日(木曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐田 一郎君
    理 事
                剱木 亨弘君
                若林 正武君
                大矢  正君
                藤井 恒男君
    委 員
                植木 光教君
                小笠 公韶君
                大谷藤之助君
                林田悠紀夫君
                細川 護熙君
                安田 隆明君
                阿具根 登君
                林  虎雄君
                中尾 辰義君
                須藤 五郎君
   委員外の議員
       発  議  者  塩出 啓典君
   国務大臣
       通商産業大臣   中曽根康弘君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      高橋 俊英君
       公正取引委員会
       事務局長     吉田 文剛君
       公正取引委員会
       事務局取引部長  熊田淳一郎君
       通商産業審議官  森口 八郎君
       通商産業省産業
       政策局長     小松勇五郎君
       通商産業省立地
       公害局長     林 信太郎君
       中小企業庁指導
       部長       栗林 隆一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       環境庁大気保全
       局大気規制課長  石田  齋君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○大規模小売店舗における小売業の事業活動の調
 整に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○連合審査会に関する件
○海水淡水化法案(塩出啓典君外一名発議)
○工場立地の調査等に関する法律の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐田一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○藤井恒男君 公取委員長にお伺いいたしますが、実は公取委員長に直接きょうは、仕入れ方式と不当返品について、さらに派遣店員、俗にいう手伝い店員、この問題についてお伺いする予定であったわけですが、お時間があまりないようでございますので、かわりの方に後刻お伺いしたいと思うので、どうか後ほどよく意思の疎通をはかっていただきたいと思うわけです。
 したがって、時間の範囲内で公取委員長に最初にお伺いするわけですが、実はきょうのニュースにも大きく報道されていることなんだけど、俗にいう安売り禁止令といっている不当廉売、これは、さきに出されました再販制度の実質的な廃止ということと抱き合わせでこの不当廉売というものを出されたものなのかどうか、この辺の真意をお伺いしたいと思います。セットのものであるかどうかですね。
#4
○政府委員(高橋俊英君) いままで、現在もあるいはあります再販制度、これは、昭和二十八年に新しく法律につけ加わったものでございますが、その場合のいきさつ等を調べてみますと、概して、いわゆる不当廉売的なもの、不当廉売に悩まされた主としてメーカーの団体の要望に沿ってつくられた。それからその中には、明らかにおとり廉売の目玉商品として、自社のブランドに誇りを持っておるというメーカーが、そのイメージをこわされるということが非常に困るんだ、こういうことが多分にあった。そのほかに、他の業界においても一種の過当競争というのか、廉売競争が起こる、そういうことに対しても、場合によったら価格を安定させるという意味から必要じゃないか、こういうことで入ったらしいのです。
 今回の不当廉売防止の規定についても、いまお話がございました抱き合わせじゃないかという点につきましては、やはり関連性が強い再販制度の縮小をはかっていく過程において、これは非常にいろいろな経緯でむずかしい問題でもありますので、一方ではたたき売りといいますか、目玉商品としてとんでもない安売りをされるというふうになると困るということから、これに対しては諸外国、先進国には安売り禁止の規定がありますので、この際、特殊指定によってその防止の内容をやや具体的に示しながら、なお全部をカバーし切れませんけれども、正当な理由があるものはいいが、それ以外のものはある限界を下回っては、どうせ赤字販売でありますが、赤字販売は相当程度認めるが、度をこせばよくないと、こういうふうに定めようとするのでありまして、再販の縮小と多分に関連がございます。
#5
○藤井恒男君 私どもは、消費者というものの意思というものに視点を置いて考える場合、どうも再販制度を廃止するということについての勇断をふるうことは、これは拍手かっさいである。なかなか公取委員長よくやってくれるという拍手はある。しかし、それをやるがゆえに、今度は返す刀でこちらもいじるということで、これは一体どういうことだ、視点をどこに置いておるのだ。たとえば不当廉売ということになると、それは業界の秩序維持、業界保護にウエートがあって、いまの物価高の中で、消費者にすれば安いほどうれしい。きょうのニュースであったように、輸入牛肉におかみさん方が殺到する。あるいは東京都は、ジャガイモをじかに仕入れるための予算措置を講ずる。とにかく、いまの流通機構があまりにも複雑怪異であり、そのために小口の物価が上がっておるということに消費者は悲鳴を上げておる、それを何とかカバーしようというのが一般的な世論、動きだと思うのです。そういうときに不当廉売防止法というのは、これは私はなじまないと思うのですよ。
 前回からの論議の過程で、十分惧重に扱うし、そのための公聴会などを開くというふうにはおっしゃっておりますが、再販制度にきびしく当たるがゆえにこちらもやるのだというセットというような印象と同時に、いまの国民感情にこれは全くなじまないという点について、私は、おそらく公取委員長もこれをお出しになって、反響の大きさに戸惑っておられるのじゃないかというふうに思うのだけど、外国にあるから日本にあるという必要はないのであって、日本の実情は、いまの長い間の商習慣のもとに、いやでも物価が上がることに苦慮しておるという状況の中なんだから、その辺どういうふうにお考えであるか、パチンコの例のようにざっくばらんに私はこれを聞かしていただきたいと思うのですが。
#6
○政府委員(高橋俊英君) 私、できるだけざっくばらんに私たちの考えを述べまして、できるだけ御理解をいただきたいと思うのです。
 安ければ安いほどいいし、今日、卸売り物価がおそらくだいぶもたついてきたと私は思うのですが、消費者物価はそう簡単にいかないんです。消費者物価のほうはもっと根強く上がり続けるかもしれません。そういう時代でございますから、せっかく月給が上がりましても、消費者物価の高騰で相当程度持っていかれちゃう、こういう事情ですので、特に主婦の方々などは生計上身にしみて感じておられるから、少しでも安いものを買えればいいのになぜ公取がよけいなことをするのかと、こうおっしゃっておられるわけです。よくわかるのですけれども、しかし、私どもの不当廉売というのは、ただの廉売、つまり赤字売りですね、赤字を覚悟で売るというのを全部禁止しようというのじゃないんです。
 それは仕入れ原価プラス六%という数字ですが、これはかなりの赤字になります。平均をとりますとそれでやっていけるものはまずないと思うのです。ですから、利潤がないばかりか、相当な赤字を伴う値段だと思うのですが、それ以下にまで切り込んでやりますと、そういう商売を全面的にやったらこれは成り立たないのでございますね。その点はおわかりだと思いますが、全部の商品についてそのような安売りをするということは、いかなる大企業といえども、大きな小売り業でもそれはできない相談でございます。ですから、ごく一部の商品だけとらえまして――これをだからおとり廉売というのが普通でございますが、法律上の用語としていまだにまだおとりということばを発見できなかったものですから、おとり廉売防止とは言わないで、不当廉売にしてしまったわけです。
 これは不当景品類というふうなものがほかに法律でもございますし、不当な景品類はいかぬ、景品をつけることを全面的に禁止するんじゃないけれども、不当なものはいかぬ、行き過ぎたものはいかぬ、こういう感じで、同じような趣旨でございます。赤字販売もけっこうだけれども、行き過ぎた廉売をすることは、これはおとりとしての役割りを果たすだけであって、全体としてならしてみますと、特にそういうものを使っているのはやはり大型小売り店だと思うのです。その大型小売り店が今日相当な勢いで販売が伸び、店の数もどんどんふえておるというのは争えない事実でございます。大型のデパートの売り上げをもしのぐような、そういうものも出ておるわけでございますから、全部のスーパーがといいませんが、スーパー全体として見ますとたいへんな伸びを示しておる、しかも利益も伴っております。そういたしますと、非常に大きな赤字を覚悟で売り出すものは、当然ごく一部の商品にすぎない。そうすると、これを全商品にならしてみれば、ちゃんとした利益の確保がなされておる。
 そういたしますと、一般の消費者の目から見ましても、おとり商品の安いのが非常な魅力になってそこへ買いにいくわけですが、それだけ買っているんだったらその大型店はつぶれてしまうわけで、当然ほかの商品も適当に売れる。で、それによって経営がささえられているわけでございますから、ある一部のおとり商品だけを買ってもうけたと思っている人だけをとらえれば、なるほどそれは安売りは、非常に安ければ幾らでも安いほうがいいということは言えるかもしれませんけれども、一般の消費者というものはそうではない。平均された消費者というものを私どもは考えるわけでございます。そうすれば、そういう一部のおとりを極端に安くするよりも、ほかの商品を幾らかでも安くしてサービスしてもらったほうがむしろけっこうじゃないか。それは、一部の商品にしわ寄せしてうんと安くしたほうが値引きの形ははっきりしますけれども、しかし、それは必ずしも全消費者という立場から見ると、平均して消費者が利益を受けているんだというふうには言えないんじゃないか。そういう商法は、これは業者間の問題になりますけれども、絶対にまねのできない小売り業者が圧倒的に多い。
 とすると、小売りという業界における競争の面でちょっと資本力の強いもの、品ぞろえをたくさんしている大型店だけがわりと自由にそういう方法を使えるのに、一般の小売り店には使えない。これは消費者のためと私はあえて申しませんが、しかし、公正な競争という点から見ると、一方だけが優越した資金力でできるのに、片方はできないというのは片手落ちのような感じがする。そういうことで、やはり正常な競争を促すという意味では、むしろそういうものはある程度規制したほうがいい。全部禁止するというわけではありません。そういう趣旨でございまして、一般消費者のために一円でも安くという気持ちはわかりますけれども、平均してみればそんなふうにはなっていないんでございます。適正な利潤が確保されて、それだからこそ業績も伸びているんだ、そういう事実に目を向けてもらえば、おとり商品だけの価格を規制するという点に、それほどおかしなことはないのじゃないかと、この辺が十分に御理解いただけない、こういうことでございます。
#7
○藤井恒男君 私は理解できないんですけどね。というのは、それは大型店であろうと、スーパーであろうと、あるいは小売り店であろうと、すべてが赤字を続けていったらこれはつぶれるわけですよ。全部店を張っておるということは、何らかの形で利益を得ているということです、これは。
 それともう一つ、いまおっしゃったけど、不当に安くなっておる品物、おとり商品、たとえばめがねケースならめがねケースを不当に安くしておる、それがゆえにそこにある他の品ぞろえの商品が高いと、よそに比して高くしている、不当にマージンを得ておるんだという立証がない限り、これをおとりと言う根拠はないですよ、これは。しかも、それを選択して買うのは消費者でしょう。私はむしろ言うなら、不当にマージンを取っているところは、不当廉売じゃなくてもうけ過ぎだと、それ以上の利益をあげたらいかぬという形がとられるなら、消費者は喜びますよ。しかし、それは現在の法体系の中で、自由競争の中ではできないでしょう。それを安い品物がある、すなわち、それは他の品物は不当に高いんだというきめつけをして、それを禁止するということは、私は自由な商行為に対する不当介入じゃないだろうかという気がしますよ。
 だからやっぱり、その商品があり、安い商品がある。たとえば季節のものを謝恩セールということで、冬の品物を冬のシーズンを過ぎた場合に、いたずらにそれをかかえておることはナンセンスだ。それを倉に入れれば倉敷料がかかる、金利がかかる。したがってこれは投げたほうがいい、それは回転率を高めるためにも。この行為は私は商行為としてあると思うんですよ。その場合にはそれは出血かわからぬですよ。しかし、出血かわからぬけれども、それをもって私は、それは不当廉売だからまかりならぬ――消費者はそれを一生懸命生活指導でもやっていますわね。何も先物買わぬでもよろしい、シーズンの終わりに多少の流行の差はあっても、あとで皆さん品物を買いなさい、そのときには値が下がるんですと、一生懸命これは知恵者が消費者に指導しておることですよ。そういった商行為が自然に行なわれるし、そのことを消費者は喜ぶのに、そこに何かささえをして、それは不当廉売まかりならぬのだと言うことは、ちょっとこれはナンセンスだと思うし、いまの庶民の声のほうが正しいだろうと私は思うんです。その辺公取としてそこまで介入する、それが自由競争を妨げるんだということに結びつけることはいささかこじつけであろう。もしそれをやるなら、また別の面で、たとえば不当にもうけておること、そのことを自由行為をそこなうんだといち形にしていかなければ私は片手落ちだと思うんですが、いかがですか。
#8
○委員長(佐田一郎君) 高橋委員長――これは政府委員にお願いしますが、答弁は、非常に時間が制約されておりますから、できるだけ重点をしぼってひとつ御答弁願いたいと思います。
#9
○政府委員(高橋俊英君) では……。いまのお話の中で、たとえば流行おくれとなるようなものは早く処分したほうがいいと、値段いかんにかかわらず。そういった例は今度の不当廉売の防止規定の中に入っております。それは入っておりますが、そういう場合は不当廉売とみなさない。半額で売ってもけっこうでございます。そのほか型が古くなったもの、きずもの、はんぱものというものは当然安売りは認められる。なお、それ以外の点で肝心な点については、私どもはスーパーのようなものが安く仕入れていますから、安く売られることはけっこうであると思う。それは一般消費者が喜ぶことである。しかし、それだけでも私は、普通の小売り業に対しても十分有利であり、消費者のためにも役立っておると思いますが、さらにそのほかにおとり廉売をする必要があるのだろうか。ある程度のことはけっこうでございます。それ以上するのは流通の秩序とかいろいろな観点から見て好ましいことではないというふうに思っております。
#10
○藤井恒男君 そうしますと、不当廉売、いわゆるおとり商品があるがゆえに他の商品を必要以上に高くする、そうしなければ商いは成り立たぬのだから。だから、あなたがおっしゃったように、パチンコ屋で出る台は二、三台だ、委員長。パチンコよく御存じだけれども、あとは出ぬのだと、それにつられて出ぬ台で一生懸命打たす、これはけしからぬことだ、だましだというふうに新聞での記者会見でも委員長はおっしゃったようだけれど。だから、あなたのおっしゃることは、おとり商品を出すがゆえに、そこに他の品ぞろえしておるものは高くなるんだ、それを買わすからいけないんだということになれば、むしろ視点は、不当に利益を得ることということになるでしょう。だから、当初あなたがおっしゃった、一般の商行為の秩序を乱すということとまたこれはロジックは離れますよ。まして消費者という目から見ると、これはナンセンスですよ。これはどこにポイントがあるんだということになるんじゃないですか。いかがですか。
#11
○政府委員(高橋俊英君) まあ、申しわけでどうも相すまないんですけれども、パチンコの例というのは、私が一時間余り話した中で非常にくだけた調子で話した分と、それから非常に理論的なといいますか、私どものほうから見ると――別に私は密着して話した覚えはありません。ただ、そういうふうに書けば書かれてしまうだけであると、その点はだからパチンコの例をもってすぐ直ちにスーパーに当てはめるという気はないんでございます。おとりというものは何であるかということをただ言いたかっただけなんで、おとりを使えばその分だけほかの商品を高くしておるんだというお話でございますが、高くしなければおとりにならなぬだろうと。私はそうではなくて、スーパーの仕入れ価格から見ましても、その販売コストから見ましても、一般の小売り業よりは低いのが通常だと思います。言ってみれば、かなり全体のコストは安い。ですからこそほかの商品も比べてみれば、セルフサービスというのが主体であるという点もありますけれども、販売の経費を節約していますから、スーパーのほうがむしろ安いと思います。
 しかし、だから先ほど申し上げましたように、それだけでも十分一般の小売り業に対抗し得るという状態であるのに、一般の小売り業にはまねのできないような特別安売りをしたものを出すというのは競争政策の上で好ましくない。その意味は、不当な景品類をかなり厳格に規制をしております。それと理屈は非常に似ているんじゃないか。不当な景品で顧客を誘引するということと、おとりのような商品で顧客を誘引するということと似ている。ですから、他の商品にその辺はかぶっておるからスーパーの商品が高いなどと私は申しません。逆にやっぱり安いわけです。しかし、それならそれで、お客さんは賢明に選択するわけですから、おとりなどを極端にやらなくてもやっていけるはずである、かように思うわけであります。
#12
○藤井恒男君 どうも聞けば聞くほど私は納得いかぬのですがね。消費者ということを考えるなら、それは安ければ安いでいいじゃないですか。だから、これはいまのお話を承る範囲では、消費者ということがもう視点じゃないと。要するに、業界内の秩序維持ということになろうと思うのだけれど、業界内の秩序維持ということを考えるなら、――その業界のどこを持ち上げてどこをたたくという意味じゃないけれど、やっぱりメカニズムをもう少し検討してほしいと思うのですよ。たとえば、安いというのはセルフサービスというのもありましょうが、しかし同時に、計画的な大量仕入れということを可能ならしめるものもある。いろいろな方法を講じて、あるいはその大量仕入れをするためにはリスクを負う、あるいはそのための資金量が要る、いろんなからくりのもとに品物というものの値段が構成されておるわけなんだ。だから歯みがき粉なら歯みがき粉一つ見てみても、その仕入れの態様とその販売の技術によっては値が変わるのはあたりまえですよ、これは。
 そういった産業の、同じ小売り商の中でもいろいろなからくりのある中で、一つの現象をとらえて、それをおとり商品であり、それはまかりならぬなどということは、少なくともいまの流通を合理化し、合理化することによって安い品物を消費者に届けるということを目的として、小売商業振興法案も、また大規模百貨店の法案も、すべての法律をつくっていこうとしておるときに、どうも私は今回の公取のとられた再販制度の禁止、これはけっこうなことだけれども、それとセットに、それをつくるがゆえに不当廉売も同時に掲げていくんだというこの行為は、いまの大多数の庶民に背を向ける行為であろうというふうに私は思わざるを得ないわけです。これは幾ら論じても並行線をたどると思いますし、委員長自身おっしゃったように、公聴会なども開いて十分意思の疎通をはかって、真剣に、慎重に取り扱うということでございましたから、私が申したような声が多数あるということもどうか留意されて、慎重に扱っていただきたいと思います。それじゃ、公取委員長どうぞ。あとは事務局の方にお伺いします。
 本題に戻って、大臣にお伺いいたしますが、産構審の――その前に、私は、今回のこの百貨店法については賛成いたします。賛成いたしますが、賛成するという条件としてちょっと視点を変えて私お伺いしたいと思うんです。
 それは、産構審の流通部会の通産大臣への答申の中に、流通近代化、消費者利益の確保の視点を法の中で明らかにする、このことを第一の目的にされておるわけですが、本法は、その目的に示されているように、中小小売り業保護の立場に立って他を規制しようということになっておると思うのです。で、私はこのことは、現在のこの商業の環境の中で、大型小売り業の伸展、それから資本の自由化、物価の高騰、あるいはコンシューマリズム、わが国の経済の高度成長と、それに伴う人口の大量移動、これらの要因を、あるいはこれらの要因のもとに時代が要請しておることと遊離しておるのじゃないだろうかという気がします。このことは、結果的に消費者利益に反することになるし、また、流通近代化を阻害して、ひいては、法の本来の目的である国民経済の健全な進展に逆行するマイナス効果をもたらす、こういうふうになるんじゃないだろうかと私は思うのですけれども、この点大臣はどのようにお考えであるか、最初にお伺いしたいと思います。
#13
○国務大臣(中曽根康弘君) 御指摘のようないろいろな変動が、日本の流通界、消費者界に起こってまいりまして、それを調整することがおのおのの利益に合致するという段階に到達いたしたと判定いたしまして、産構審の流通部会の答申を尊重してこの法案をつくった次第でございます。百貨店、スーパー、それから小売り商店街等の関係を調整して、国民の願望する方向に競争的共存を行なわさせる、そういう系列化をある意味において勧告とかその他を使いながらやりつつあるわけでございます。
 それと同時に、消費者利益ということをかなり重要視いたしまして、法文の第一条にもこれを掲げましたし、そのような観点も条文の中に若干取り入れておるところであると同時に、中小企業特に零細企業に対する配慮を重んじまして、これも第一条に取り上げておるところでございます。そういうような観点から、総合的に見て、この辺をスタンダードにすべての関係を一応落ちつかせるということが現代において妥当であろうという考えに立って、この法案をつくった次第でございます。
#14
○藤井恒男君 私は、産構審の答申にあるように、いま最も必要なことは流通の近代化である。そして、その流通を近代化することによって消費者利益の確保をはかることだ、これが産構審の第一目的にあがっている。それにそぐう体制を法は施行しなければならない、これが私の第一の視点なんです。それに基づいて私はお伺いしておるのです。
 しかるに本法は、さきにも申したことだけど、業界の業者、それは大規模と中小、こういうふうに分けるなら分けられましょう。その両者の利害調整に視点を置いておる。だから産構審が出したところの流通を近代化しなさいと、いまあらゆる産業の中で流通業が一番おくれておりますよと、これを近代化しなければ消費者保護の確保はできませんよということ、ポイントから本法ははずれていやしませんかと。本法はむしろそれからはずれて、両者の利害関係の調整機能を果たすということに視点が置きかえられておる。これでは表向きは消費者利益の確保と、これは法の中にも一、二カ条入っておりますけれども、しかし、流通近代化ということについては不十分である。いまのこの国際化の進展する時代の要請に本法はこたえていない、私はそういうふうに思わざるを得ないのです。そういった視点で大臣はどういうふうにお考えであるか、お聞きしたいのです。
#15
○国務大臣(中曽根康弘君) 藤井委員御指摘のように、本法案の中には、業者間の調整的要素もまさに御指摘のようにございます。しかし、われわれは一面において、先般御審議願いました小売商業振興法という法律をもって、零細商店街等の近代化にかなり力を入れた政策を実行いたしました。それと同時に、百貨店、スーパー、それから商店というものの関係をスムーズに調整することによって、流通関係の不当なロスとか摩擦をできるだけ少なくして、そして競争的共存の中にお互いが発展し合い、近代化し合う、そういう努力をしてもらうスタートラインをつくった、そういう考えに立っておるのでございます。
#16
○藤井恒男君 いまおっしゃったように、公正な競争の中から近代化をはぐくんでいかなければならない、私もそうだと思います。いまの資本主義体制の中では、私は、経済活動というものは自由競争をたてまえにしておるわけですから、自由競争をたてまえにするということであれば、その新しく伸びてくる企業の市場参加というものをやはり歓迎しなきゃいかぬと思う。新しく時代の要請に沿った企業の市場参加というものを歓迎しなきゃならない。それとやはり古来の古い産業、それはある場合には非能率かもわからない。しかし、それに競争する体制を与えてやる。片一方シャットアウトすることによって近代化というものは生まれない。だから、伸びゆくものは伸ばす、どんどん伸ばす。そういう中から非能率なところに競争体制の基盤を与えていくという側面がなければ、私は近代化というものは促されないと思う。しかし本法では、どちらかと言えば新しい時代の要請に沿ったところの、伸びゆくものを押えることに視点がある。これは私は片手落ちじゃないだろうかと思う。だから、中小小売り商の振興法案、なるほど別な法案でありました。これはこれとして、不備な点はあるけれども、私はまあけっこうなことだと思うのだけど、しかし、少なくとも本法で産構審の答申を受けて大規模百貨店というものに視点を置いて考えようとするなら、いまの私は、競争原理というものを考えなければいささか片手落ちじゃないだろうかという気がします。
 さらに、もう一つつけ加えさしていただくなら、後ほど公取にもお伺いいたしますけれど、完全な競争体制は成り立っていない。たとえば百貨店のごときは、もう古くから派遣店員制度、あるいは仕入れ員を規制する措置が公取から勧告されておりながら、いまだに多いところでは半分近くも派遣店員を擁しながら競争体制の中にある。このことも私は片手落ちだ、こういうふうに考えるわけです。したがって、いま言ったように、伸びゆくものについてどちらかと言えば、ただいままでの本法案審議の過程でも、いまある中小零細の小売り商に視点を置いて皆さん論じておられたのだけど、私は視点を変えて、伸びゆくもの、もっとはっきり言うならば、スーパーならスーパー、そういったものを規制すること、そのことがはたしていいのか悪いのか、この辺のところをお聞きしたいと思います。
#17
○国務大臣(中曽根康弘君) 流通界に新しい要素が入ってきて、刺激を与えつつ競争していくということは、確かに近代化あるいは消費者の便宜のために有用なことであって、スーパーはそういう役目も果たしてきたと思います。しかし、最近の実態を見ますと、各地におきまして地元の小売り商店等と摩擦を非常に起こしてきている。あるいはまた、百貨店等との間においてほとんど力は互角であるにかかわらず、時間やそのほかの点におきましてスーパーは非常な、何と申しますか、アドバンテージを享有している。そういう面で百貨店との間に、ややもすれば必ずしも公正でない競争関係が生まれてきておる。これは疑似百貨店という形でそういうものが出てきたことにもよります。それは法の不備にもよります。そういうような面から考えて、スーパーの機能を生かしながら公正な競争のスタートラインについてもらう。そのスタートラインについた以上はどんなに発展してもけっこうです。ただし、もちろん地元との、商調協等による調整はございます。そういう関係に立っておるのでございまして、スーパーの機能やあるいはスーパーが出てきた意義というものは、十分これを評価しながら、それを角をためて牛を殺すというような考えに立ってやっているのではないということを申し上げたいと思います。
#18
○藤井恒男君 昭和三十七年に、通産大臣の諮問機関の産業合理化審議会というところが、このスーパー問題について一年以上にわたって検討を加えて大臣に答申をしておるわけです。その答申は、スーパーに対して新たな法規制を行なうべきではないという報告だったわけです。で、いわゆる流通革命の進展にブレーキをかけるべきじゃない、むしろわが国の流通政策は、基本的にスーパーの自由な参入を奨励することこそあれ、規制することではない、これを推進さしていくべきであるというのが、昭和三十七年の通産大臣に対する産業合理化審議会の答申であったわけです。十年経過しております。参考人の中内さんにも私お伺いしたんだけど、スーパーの中にも、現在株式上場しておる企業は三社しかない。スーパーは現在そういった状況にあるんだけど、大臣がさきにおっしゃったように、もうスーパーというのはその意味において百貨店と比肩するだけ成長し切っておる、体制もできた、むしろそのことがいたずらな不当な競争を投げかけておるがゆえに、こいつを規制するんだというところまできておるのかどうか、十年間だけの変化ですよ。そういうふうにお考えの上でいまおっしゃったのかどうかですね。
#19
○国務大臣(中曽根康弘君) スーパーの中には、もう成熟したものが十分あると思います。ダィエーのようなものは、売り上げ額を見ましても、たとえば三越が四十六年の調査でありましたか、年間二千二百億円ぐらいの年商であるに対して、ダイエースーパーは二千億円台にもう突入して、ほかの松阪屋だとか、松屋だとか、高島屋だとか、そういうものをはるかに引き抜いてきている。それで、各地で問題を越こしておるのは大体そういう特定のスーパー、力が余ってきているスーパーが多いようであります。でありまするから、あるスーパーはすでにもう完全に成熟し切ってきておる。そういうスーパーが必ずしも疑似百貨店的行為に及ぶということはないかもしれませんが、別に今度は疑似百貨店的要素を持ってきているものも、別の営業者その他で出てきているのもあるわけでございます。そういう面から見て調整すべき段階に入ってきたとわれわれは判定したわけであります。
#20
○藤井恒男君 これは事務局の方に、政府委員の方にお伺いしますが、その欧米の流通機構におけるスーパーの位置づけ、あるいはこの法の規制というものはどうなっておるか、この点をお伺いします。
 むしろ欧米ではスーパーの規制というものはあまりなされていない。なお、どちらかといえば、スーパーと中小小売り商との関係ということが摩擦を越こしていない、スーパーの進出はわが国よりさらに多いというふうに思えます。で、欧州の傾向としては、中小小売り商は漸次減少傾向にあるけれども、逆にわが国は、スーパーの進出があるものの中小小売り商は漸増傾向にまだあるというふうに思うんだけど、これらの背景のもとにいま申したようにスーパーの位置づけ、それから法の規制、あるいは中小小売り商との関係は欧米ではどうなっておるかということをお聞きいたします。
#21
○政府委員(森口八郎君) 藤井委員御指摘になりましたように、確かにわが国におきましては、小売り商はまだ漸増傾向にあります。ヨーロッパ等におきましては、やはりスーパーの比重が増大をし、中小小売り商が減少しつつあるというのは、おっしゃるとおりの数字でございます。ただ、ヨーロッパ等におきましては、確かに百貨店法のように直接大規模小売り店と中小小売り商の間を規制する法規は現在存在いたしてはおりません。ただ、ヨーロッパ各国等においてつぷさに見ますと、都市計画等との関係もありまして、小売り商の新規開店というものが何らかの形で制約をされる、大規模小売り店の進出に際しても、ある程度そういうことを効果にして押えられておるという現状はございますが、御指摘のように、大規模小売り店の進出に際して中小小売り商との間に大きなトラブルがあったというような状態は、一、二の例外を除いてはないというのが現状でございます。
#22
○藤井恒男君 そうだとすれば、欧米とわが国とは逆な状況を示しておる。そのことは、零細小売り業の存立基盤というものがわが国には依然として存在するというふうにみなしていいかどうかですね。
#23
○政府委員(森口八郎君) 御指摘のとおり、欧米と日本におきます買いもの習慣の相違、あるいは地理的習慣の相違等々から見まして、わが国においては、やはり零細小売り商の存立基盤は一般的にはまだ存在するというように考えております。いろいろな買いもの調査の結果を見ましても、やはり近隣の零細小売り商のほうが商品によっては便利であるというような調査資料がございます。
#24
○藤井恒男君 零細小売り商の近代化ということについては、中小小売商業振興法案のときにも種々御説明がありましたし、そのための融資助成措置も講ぜられておるわけだけど、中小小売り商間のいわゆる適正競争、これは価格引き下げ等良質のサービスを提供する原因になるわけだけど、適正競争はどういう形で行なわれるか、行なわそうとするのか、これはどうですか。
#25
○政府委員(森口八郎君) 商品によっていろいろ形態が異なるであろうかと存じます。商品を大きく分けてみますと、いわゆる買い回り商品と、もより商品という二つの範疇に分かれるかと存じます。やはり買い回り商品等につきましては、当然、小売り商の側における専門的な知識、経験、商品に対するいろいろな消費者へのアドバイス等々が非常に大きくものをいう点であろうかと存じます。それから、もより品等につきましては、先ほど申し上げましたような地理的な観点によって、ある程度小売り商の一つの小さいながらも商圏というような考え方が成立するというような考え方もあるわけでございますが、やはり消費者に対するサービスとか価格の低位さというのが一つの競争条件になるのではないかというように考えております。
#26
○藤井恒男君 その中小小売り商の専門店化、あるいは地理的なものですね、離れておるとか、あるいは住居に隣接しておる、こういう点はわかるわけだけど、そうでない形で、たとえば繁華街を形成しておるような場合の中小小売り商、同一品物を数店舗が別個に販売しておる、こういうところの競争条件というものを促進していこうということと、近代化という意味においてみんなが寄り合って共同仕入れを促したらどうだとか、建物をみんなでつくったらどうだとかいうようなことをお考えの向きもあるわけだけど、このことは、いま言った特殊な専門知識、技術を要する小売り商、あるいは地理的な要件を備えたところというものを除くなら、結局はそれをスーパー化する、あるいは寄り合い百貨店化していく方向になるんじゃないですか、つまるところは。どうですか、それは。
#27
○政府委員(森口八郎君) 非常にむずかしい問題でございますが、全部小売り商がスーパー化する、あるいは寄り合い化するという考え方も確かに考えられるわけでございますが、スーパー化――スーパーという定義でございますが、もより品、特に、生鮮食料品等におきまして小売り商がだんだんセルフサービス化していくという意味では、御指摘の点は正しいかと存じます。それから、買い回り品等につきましてだんだん寄り合い店舗化するというような方向も、一つの方向であるというように考えるわけですが、縦の寄り合い店舗化するというのも一つの方法であるわけですけれども、横に伸びて一つの商店街を形成して、そこでおのおの専門的な立場の商店が多数集合して客を引きつけるというのも一つの方法ではないかというように考えますので、適用の場合は、ケースによっていろいろあり得るかと存じます。
#28
○藤井恒男君 時間がないから次に移らざるを得ないわけですが、営業時間あるいは休日の規制についてお尋ねいたします。
 私は、営業時間、休日というものは、地域による日没時刻の相違あるいは立地条件、また、立地に基づく消費者の購買時間、消費生活の相違あるいは顧客数、売り上げ高、さらには従業員福祉、こういったものをミックスして調整されるべきだと思います。
 たとえば、東京などの場合を例にとっても、先般も私申し上げたわけだけど、通勤距離圏が非常に拡大されておる。まあ普通のオフィスは画一的に夕方五時ないしは五時半にしまう、それからみんな帰宅するわけです。そうすると、近距離の者と遠距離の者とで家路につく時間帯が変わってくる、しかも生活態様が変化して、共かせぎということが一般化されておる。そういったことになれば、消費者サービスということを考えるなら、この閉店時間等を画一的に規制することはナンセンスだ。また、東京と鹿児島ではおおよそ時差が一時間ぐらい、こういったところも日没時刻が違うということもあるし、あるいは駅前といなかというような、ところによって客層の流れも違う。したがって、この営業時間あるいは休日のあり方というのは、各業者間の調整機能ということであればきわめて簡単に考えられるし、操作することは可能ですが、消費者の立場から考えるならば、私は、自主調整機関による設定というものが必要であろうというふうに思うんです。したがって、その辺のところを踏まえてどのようにお考えであるか。
 さらに私、つけ加えさしていただくなら、この商調協の中にやはりそこに出店する店の従業員を入れるべきである。なぜならば、これは現実にこの例があるわけですが、たとえば、いま大分で問題になっておる例を私、ちょっと調べてみたんですけど、大分では、三店ほど出店することについて商調協でいろいろ問題が出ておるんです。その中の一つの企業においては、この九月二十八日ごろにもう開店するという運びになっておる。で、その店は当然、当初の目的に基づいて従業員を現地採用して、訓練して試用期間の状態にあるわけですね。ところが、商調協で売り場面積を三分の一に減らせということになる、そうすると、まあ、これは単純比例ではいかぬでしょうが、人員は大幅に減じなければならない、解雇という問題が出てくるわけですね。
 ところが、この地方に企業が進出しようとするときの普通の状態は、現地採用しろということが常識です。そのことによって現地の人たちに潤いを持たそうという計らいもあるわけなんです。地採をしたわ、商調協でこの問題がきまったら直ちに解雇だ、これはそこで働く人たちにとっての基本的な労働条件ですね、解雇の問題。あるいはこの開店、閉店の問題、これは労働時間を形成するわけだし、あるいは組交代、勤務態様を決定する要因になるわけです。これも労働者にとっては基本的な労働条件、労働時間、休日あるいは解雇という問題が、商調協によってきめられるということはいかがなものか。そこに労働者の介入する余地はないということにならざるを得ない。
 商調協できまったからということによって解雇という条件が出てくる。商調協できまったがゆえに労働時間、休日の設定がなされる。そうすると、そこに働く人たちの労働基本権というものはどうなるのかということにまで及ぶものと私は思うんですよ。そういう意味では、商調協にはぜひ出店する店の従業員代表を入れて、そして、そこで十分話し合いをすべきだ。そこできまったものを今度はその店なら店の中に持ち込んで、労使の間でそれを具体化するための団体交渉が行なわれるべきだというふうに私は思うんです。こういう点についていかがであるか、あわせてお伺いいたします。
#29
○政府委員(森口八郎君) まず第一の、閉店時刻の問題でございます。
 御指摘のとおり、やはり地域によって日没時間等が異なりますし、それから、その地における消費者の買いもの習慣等も異なってまいります。したがって、閉店時刻等が一体何時がいいのかというような点につきましては、基本的には、地元における中小小売り商業の実情に合致する方向で決定するということが妥当であるというように考えております。法律の第九条で、閉店時刻等については届け出の義務が課されおりまして、ただしこれは、法律で一律で定めました閉店時刻を越えるもののみが届け出の義務を課されておりますが、これを越えるものについて問題があれば、勧告、命令等が閉店時刻等について当該小売り商に出されるということになるわけです。そういう勧告、命令等を行ないます場合には、当然、先生おっしゃいましたような事情を踏まえまして、消費者の利益を害しないよう十分配慮をして運用をしてまいりたいというように考えております。
 それから第二の、商調協に労働者の代表を参加さしたらどうかという問題でございます。
 まず、その一例として出されました大分の場合でございますが、大分の場合の実際の店舗の調整率で地元できめましたものは、最高一三%の調整でございます。したがいまして、雇用関係等に決定的な影響を及ぼすほど大きな削減はこうむっておらないというように考えるわけでございます。
 それから商調協は、再々御説明申し上げておりますとおり、大規模小売り店舗と中小小売り商業者の調整をはかる場であります。当然これを行なうにあたりましては、一般消費者の利益が非常に大きな問題でございますので、商調協の中には一般消費者の代表に入っていただいておりますほか、全体の観点が公平を失わないように、学識経験者等にも相当数入っていただいておるわけでございます。こういう任務を持ちます商調協といたしましては、確かに、調整した結果が労働問題に間接的に影響するということは事実でございますが、直接的には影響いたしませんので、そういうような立場を配慮して商調協のほうでも調整を行なうというように指導をいたしてまいりたいと思いますし、なお、商業活動調整協議会あるいは大規模店舗審議会等には、利害関係人として労働者代表の方が、御意見があれば申し出るということも可能でございますので、そういうようなお申し出があれば、十分考慮した上きめていきたいというように考えております。
#30
○藤井恒男君 商調協にも、直接利害関係者という状況が発生する場合には、労働者の意見というものを取り入れる余地があるというふうにいまの御答弁で解してよろしいですか。
#31
○政府委員(森口八郎君) 商調協の中には当然、学識経験者と広く一般的な考え方を持った人がおられますので、労働者の申し入れがあればその申し入れと、それから大規模小売り商、中小小売り商の利害調整ということの両点を考えあわせて、労働者側の言い分も取り入れていきたいというように考えております。
#32
○藤井恒男君 じゃ、公取に質問しますが、この仕入れ方式の問題についてでございます。
 小売り業がその自己責任により商品を仕入れ、そして販売するのは当然の姿と思うわけですが、百貨店は、名目的には買い取り仕入れということが多く行なわれております。御存じのとおりだと思います。このことは、実質的には取引上優位な立場にあるために、特殊指定第一項第五号、これを悪用する。例で申しますと、百貨店側で納入業者の返品申請用紙というものをあらかじめ作成しておいて、納入と同時にこの用紙にサインする。このことでこの特殊第一項第五号を免れる。要するに、自由返品ということにつながるわけなんだけれども、これでは実質的に特殊指定の趣旨に反するし、不公正な取引方法ということになるわけです。で、これをどのように規制していくのか、あるいは、現在、そういった商習慣というものが百貨店に現にあるわけですが、それを御存じであるかいなか、お聞きしたい。
#33
○政府委員(吉田文剛君) 先生おっしゃるとおりのような、返品申請用紙を作成して、それに対して納入業者が記入をすれば簡単にこれは返品ができるというのは、確かにこれは問題でありまして、第一項五号の脱法行為的なにおいが強いというふうに考えますが、こちらではまだ実態を調査しておりませんので、調査をいたしましてそういう事実があれば、これはきびしく規制をしていきたいというふうに考えます。
#34
○藤井恒男君 これは事実たくさんあるんです。一ぺん調べて、これはおっしゃるように明らかに脱法行為ですから、しかも優位な者が劣位な者に強制することになる。調べていただきたいと思います。
 それから、百貨店からの返品というのは、スーパーや一般小売り店に比べて、質、量とも大きく違っております。シーズンはずれのものが多く、大量である、あるいは商品の汚染度が高い、またプライベートのブランドであるというようなことで、納入業者が処分できない、返品を受けた場合に。結局、納入業者が泣かなきゃならないということになるわけだけど、これを改善するために、限界返品率というのを設けて返品規制を具体的に行なうというような方法がとられないかどうか、あるいは百貨店のほうに、このような具体的な規制というものについて動きをとるつもりがあるかどうか。
 私、一つのこの例を申し上げますが、昭和四十七年三月――四十八年二月のおよそ一年間の東京における返品率、値引き率の実態をちょっと申し上げます。これはA社、メリヤスはだ着、セーターなどを販売しておるところが、百貨店との間に行なわれた返品値引きなんです。大丸が一四・三%の返品率、松屋が一二・九%、三越が九・五四%、松坂屋が九・四二%、西武が九・〇六、高島屋が九・〇三。およそ一割以上は返品しておるわけですね。それから値引き率においても、高いところでは西武が五・〇四%、大丸が三・四三%、三越が二・二八%、伊勢丹が四・二三%、こういった実態にあるわけなんで、いま言うところの仕入れの問題、きわめて私は重要だと思う。要するに返品という問題も、それによってリスクをカバーする、そしてそれが競争条件につながると、片方はリスクを負って大量仕入れして販売する、こうなってくると、これは適正な競争とは言えない。この辺についてのお考えをお聞きします。
#35
○政府委員(吉田文剛君) 先生がおっしゃるように、限界の返品率でございますか、返品の率は、確かにいまおあげになりましたように大体一割をこえているような状況でございますが、限界の返品率をきめて不当返品を規制するということも、確かに一つの方法であるというふうに考えますが、どの程度までの返品率を限界の返品率とするのが適当であるかどうか、また、限界返品率をきめますと、理由のいかんを問わずそこまでの返品が許容される結果にならないかどうかといったような問題がございまして、実際上、一律に限界返品率という線を引くことは困難ではないかというふうに考えております。確かに、百貨店の返品率あるいは値引率についても、好ましくないという点は認められますけれども、一律の限界返品率というのはむずかしいんではないかというふうに考えております。
#36
○藤井恒男君 これは通産省のほうででも、返品の問題については行政指導で十分注意していただきたいと思うんです。
 次に、百貨店では委託仕入れあるいは売り上げ仕入れ方式が多い、これが現実です。この委託仕入れや売り上げ仕入れという方式を採用するということは、ことばをかえて言うなら、百貨店業が小売り業ではなくて貸し店舗業というようなことにならざるを得ない。本来の小売り業のあり方にこれは反しておるというふうに思うんです。これは私、公正取引委員会から資料をいただきまして、四十八年一月現在で、人員別だけど、A店においては本店員と売り上げ仕入れ店員、手伝い店員の比率など比較してみると、もう本店員というのは半数だというようなことになってしまうわけですね。これはほんとうの小売り業という商習慣ではない、もうこうなってくると。特に衣料品の場合などは、保存のできない食料品とか、あるいは貴金属というようなものと根本的に違って一般的な商品ということになるわけなんだけど、これはやっぱり私は、百貨店側が的確なマーチャンダイスを行なって、自己責任で仕入れて販売を行なうべき商品だと思うんです。それが委託仕入れや売り上げ仕入れによって自分のリスクを回避するということは認めるべきじゃない。したがって、衣料品の場合などは、委託あるいは売り上げ仕入れ方式を具体的にきびしく規制すべきだと思うんです。
 従業員数においても、いま申したように、売り上げ仕入れ売り場の従業員は派遣店員ではないというのが公取の解釈になっておるんだけど、しかし、どのような仕入れ方式であっても、あくまでも百貨店の商品を販売するということであるなら、販売責任というのは百貨店にあるわけですから、当然これは派遣店員とみなすべきだと私は思います。公取でいただいた資料の中で、たとえばC店のごときは本店員が五四・三%、売り上げ仕入れ店員が二四・七%、手伝い店員が二一%、まさに半数。これは、売り上げ仕入れ員が手伝い店員じゃないという公取の解釈になれば、手伝い店員は二一%と、こういうことになるんだけど、実態は、本店員というのは半数の五四%しかおらぬ。こういうことになっておる。これはひとつ政府委員のほうでどのようにこの辺のところを考えておられるか、このまま放置するのかどうか、あるいは公取は、この売り上げ仕入れの従業員を手伝い店員とみなさないのかということについてお伺いします。
#37
○政府委員(森口八郎君) 百貨店はいろいろ発生形態もありまして、自分の店舗の中であらゆる商品を売らなければならない。商品を売る場合に、そこの流通経路あるいは専門的な知識、そういうものが不足であるというようなことで売り上げ仕入れ、委託仕入れというような部分が残っておるのではないかというように考えております。
 ただ、売り上げ仕入れ員の問題は別といたしまして、御指摘のありました手伝い店員の問題、特に手伝い店員の数が二〇%弱になっておるというような点は、公正取引委員会のほうでも、特殊な技術または能力を有する者以外の手伝い店員は禁止すべきであるというような御見解も出されておりますので、私どもとしては、早急に手伝い店員をなくするというような方向で百貨店業界を指導すべきであるというように考えておりまして、現に、百貨店協会の内部におきましても、手伝い店員を全廃する方向に持っていこうということで、現在その対策を検討中でありますので、近いうちにそういうような考え方が出されるということを私のほうは期待をいたしておるわけでございます。
#38
○政府委員(吉田文剛君) 確かに先生おっしゃるとおり、委託仕入れ、売り上げ仕入れというのがかなり百貨店にございます。ただ、われわれの従来の解釈としましては、売り上げ仕入れの店員は、これは手伝い店員ではないというふうな解釈をとってきております。と申しますのは、大体売り上げ仕入れというのは生鮮食料品店等、いわゆるその場所を借りてそこで店を出してやっている店舗に多いわけでございまして、その売り上げは百貨店の一応帳簿に入りますけれども、その場所代分を差し引いてあとは全部返されるというようなことでございまして、これをいわゆる手伝い店員の中に入れるのはむずかしいんじゃないかというような解釈で、従来、手伝い店員の中に入れておりません。ただしかし、これは生鮮食料品等の特殊な場合に限られるわけでございます。衣料品等の場合にこういうことは好ましくないんじゃないかというふうに考えております。また、手伝い店員の問題につきましては再三特殊指定――昭和二十九年以来改善方を指導してきておりますが、まだまだ問題は残っておりますので、これはやはり全廃の方向に向かって努力をいたしたいというふうに考えております。
#39
○藤井恒男君 そうしますと、いま局長のお話によると、保存のきかない生鮮食料品とか、あるいは高価な貴金属というような特殊ケースを除いては、一般例としちゃ衣料のごときものはその範疇に入らない、したがって、これはそういった意味で指導していくというふうに解してよろしいですね。
#40
○政府委員(吉田文剛君) その範疇に入らないかどうか、はっきりちょっと私の考えだけでは申されませんが、むずかしいんじゃないかと、ですから、そういう特殊な場合を除いて、できるだけやめさしたほうがいいんじゃないかというふうに私は考えております。
#41
○藤井恒男君 これはよく検討して処置していただきたいと思いますで
#42
○政府委員(吉田文剛君) はい。
#43
○藤井恒男君 それから、百貨店によっては取引上優位な立場を利用して、納入業者に対して中元、歳暮品の押しつけ販売を強要するという傾向が間々見られるわけだけど、劣位にある納入業者はしかたなくこれに応ずるということになりかねないんで、これは特殊指定されていないという問題ですが、明らかな不正取引ということになると私は思うんです。この辺についてどのようにお考えであるか。
#44
○政府委員(吉田文剛君) 確かに特殊指定にはございませんが、これは独禁法のいわゆる一般指定の十号、優越した地位の乱用規制という条項がございますので、場合によれば実態によって判断しなければなりませんけれども、その一般指定の十号に違反する場合もあるんじゃないかというふうに考えます。
#45
○藤井恒男君 派遣店員のことについて多くの人からも質問が出ておるので、重複するところを避けますが、公取は、この改善計画というものを四十六年一月末までに提出せよという警告を、昭和四十五年の十一月に発しておるわけです。四十六年一月末、もうさかのぼること二年余になるわけだけど、その間どうなっておるのか。いままでの範囲では、四十八年一月現在、全国百貨店での従業員数合計の一九・五%、これは公取自身が発表なさっておる数字です。この数字は、三十一年時点では四%であったわけですが、また四十年一月では一〇・五%、これが一九・五%にふえておる。二十九年十二月に公取が百貨店に対して不公正な取引方法として禁止を告示している。それから十八年経過している。先ほど申したように、さらに四十五年の十一月には、四十六年一月末までに百貨店における派遣店員を改善するように警告をしておる。警告をしておりながらどんどんふえておるという現象は一体いかがなものか。公取としてはこれを単に放置しておるのか。警告というのはもう死文になったのかということにならざるを得ないし、百貨店はそれを無視しておるのかということになるわけですが、その点はいかがですか。
#46
○政府委員(吉田文剛君) 特殊指定が二十九年の十二月に出されましてから、手伝い店員の実情は再三調査をいたしました。業界の自主的な改善努力を促してきたわけでございますが、問題はなおなお残っているというふうに考えられましたので、昭和四十五年の十一月、百貨店業者に対して改善方を警告したわけでございます。それから三回にわたりまして各百貨店業者から手伝い店員の改善計画を提出させ、また同時に、その結果を報告させるというのは四十六年の一月、四十七年の一月、それから四十八年の一月の三回にわたっておりますが、その実態を把握しまして、さらにその改善をしろということを強力に指導してまいりました。それで、先生がおっしゃいましたように、ずっと前に比べますと、一九・五というのは確かに逆にふえているような数字になっておりますけれども、四十七年の一月と四十八年の一月を比べてみますと、四十七年の一月で手伝い店員の比率か全国で二〇・三%、まあ、多少この点では改善はされてきているようでございますが、こういうふうな改善ばっかりを指導していっても、なかなかこれは根本的な対策とならないということでございまして、今後は抜本的な改善策を講じなければいけないということで、これは百貨店業界に対しても、業界のほうでも自粛的な動きはございますけれども、抜本的な改善策ということについて、現在、どういうふうに手を打ったらいいかということは考慮しているところでございまして、今後とも強力に指導してまいりたいというふうに考えております。
#47
○藤井恒男君 大臣お伺いしますけど、いまずっと論議しておるように、この百貨店業における派遣店員というものは、明らかに、いま公取がおっしゃったようにもう十何年かかっておる。その間に減るどころかふえてきておる。警告しておるが、警告も、まあ、実際数字がふえておるということから言うなら無視しておるということになるわけですね。
 これも公取から私いただいた資料だけど、地域別に見ても東京では店舗数が百一の百貨店、本店員数が五万六千人、売り上げ仕入れ人員が二万二千八百二十二人、手伝い店員が二万三百十人。明らかに本店員五万六千人に対して、売り上げ仕入れ人員と手伝い店員を加えた者との対比をするなら、もうフィフティー・フィフティーの状態だ。これは大阪においてもそうです。だからわれわれが知らずに百貨店に入っていくわけだけど、百貨店に入っていったって、半分はその百貨店の店員じゃない、こういう状況の中で営業をしておるわけです。しかも、それが特殊な技術を要する人たちをこの手伝い店員なら手伝い店員として認めるというならともかくとして、まあ販売するには一年以上ぐらいの習熟を要するという人ならこれは別だけど、そうじゃない普通の若い女性の高卒の方とか、そういった人たちが百貨店採用というような、就職先は百貨店ということで採用されて、手伝い店員としてやっておるという、これは通産省としても、それは公取の仕事だというだけでは済まされぬのじゃないかと私は思うのです。で、これはやっぱり公正な競争、公正な競争ということを言いながら、形を変えて言うなら、先ほど私が指摘したように、売り上げ仕入れの場合などを例を引くと、これは貸し席業じゃないか。本来の業は半分であって貸し席業だ、こういうことにもなるわけで、小売り商としての本来の任務からもう逸脱しておる。この辺はもっと私はきびしい行政指導が必要だと思うのだけど、いかがですか、大臣。
#48
○国務大臣(中曽根康弘君) お説のとおりであると思います。そこで、本法案が施行されます際に、あらためて百貨店に対しましていまの手伝い店員の問題不当返品の問題等については厳重に警告して、いろいろ対策を立てるように、また情勢によっては、抜き打ち的に地方の通産局の局員を派遣いたしまして監視する等の措置を講じたいと思います。
#49
○藤井恒男君 時間が参りましたので、もうこれでやめざるを得ませんが、最後に大臣にお伺いいたします。
 私は、この中小商業者と大型店舗との調整のあり方というものは大切だと思うのです。しかし、それを単に営業時間あるいは店舗の面積、建物主義ですね。あるいは施設の量的な面ということを押えて、競争条件を比較し調整していくということは、私はいかがなものかというふうに思うのです。で、むしろ商品の配給機能あるいは取り扱い商品、消費者サービス、こういった質的な面で競争条件を整備するということに着目すべきだと私は思うのです。
 遺憾ながら本法案はそうなっていない。建物主義ということになり、その面からの調整機能しか果たさないということになっておることは、産構審の本来の流通業の近化代という面にそぐわないというふうに思います。むしろこの百貨店、スーパー、中小小売り店のあり方というものは、相補完する、そして協力する、補完協力という方向で共存施策というものを先ほど言った質的な面から考えていくべきだ。また、そういった中から中小小売り商というものの安定の方向を模索するということにならなければいけない。くどいようですが、私は、いま日本の各業の中で最も立ちおくれておるのが小売り商である、流通業であるというふうに思いますし、その近代化というものを促さなければならない。しかも、小売り商に携わる方がきわめて多いというこの現実的な面に沿って、単なる調整機能ということじゃなく、もう少し前向きな流通近代化という施策を通産省としても考えていただきたいというふうに思います。この点についての大臣の御意見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#50
○国務大臣(中曽根康弘君) 確かに、量的な規制だけでなくして、サービスの内容につきましていろいろ検討する必要も出てくるだろうと思います。いろいろ御指摘の点につきましては、われわれも実態に即してその検討を加えまして、そういう改善を必要とすると思われた場合には、勇敢にやっていきたいと思います。
#51
○須藤五郎君 質問の第一は、この法案では現行百貨店法の許可制を廃止して届け出制にしておりますが、この許可制と届け出制の違いについてまず伺っておきたいと思います。
#52
○政府委員(森口八郎君) 産構審の流通部会の答申でも、大規模店舗業者と中小小売り商の利害の調整をはかる場合には、消費者の利益の確保ということを考えなければいけないというような答申が出されておるわけでございます。こういうような点から考えますと、営業を全面的に許可にかかわらしめるという点はあまりにもきつい規制でございますので、これを届け出制と改めたわけでございます。したがいまして、許可は、その効力が発生しない限り営業ができないわけでございますけれども、届け出は、一定の時日が経過をすれば営業できるという点で本質的な違いがあろうかと存じます。
#53
○須藤五郎君 そうすると、この許可制を届け出制に変えたのは、消費者の立場に立ってやったことではなく、やはり営業する人たちの立場に立って変えたということなんですか。
#54
○政府委員(森口八郎君) 先ほど申し上げましたとおり、むしろ消費者の利益の確保という点から考えますと、大規模店が出店をするということを全面的に許可という行為にかかわらしめるということはきつい規制であるというような考え方から、届け出というような点に改めたわけでございます。
#55
○須藤五郎君 あとで、質問の中で明らかにしてまいりたいと思いますが、そうすると、この許可制を届け出制にすれば消費者も便利になるし、それから中小小売り商人ですね、それもよくなると、こういう考えのもとですか。
#56
○政府委員(森口八郎君) 許可制を届け出制に変えるということは、その限度において、消費者が買いものに便利な大規模店舗ができやすくなるという面では消費者の利便になろうかと思います。ただ、中小小売り商業者の面から見ますと、届け出制によって自由に大規模店舗ができると、しかも、場合によりましては、ある地域に大規模小売り店舗が数軒一挙にできるという点は非常に問題がございますので、この法案では届け出制ではございますが、同時に、届け出した内容について通商産業省のほうで事前審査をし、問題がある場合には、その大規模店舗の出そうという面積の削減、あるいは開店日の延期というような勧告をいたし、その勧告が聞かれない場合にはさらに命令を出すというような点によって、中小小売り商業者の適正な事業機会の確保をはかるということといたしておるわけでございます。
#57
○須藤五郎君 もう一度聞いておきますが、今日まで許可制をとってきたということですね。これはどこに理由が、原因があったのですか。
#58
○政府委員(森口八郎君) 百貨店法は、実は戦前、すでに昭和十二年から百貨店については許可制をとっておったわけでございますが、戦後廃止されましたわけでございます。廃止された当初は、特に問題がなかったわけでございますけれども、経済の復興とともに大規模店舗が急激に出てくるというような状態が出てきまして、昭和三十一年に現行の百貨店法が、百貨店の営業については許可を要するというようなたてまえで立法されて、今日に至っておるわけでございます。
#59
○須藤五郎君 今日まで百貨店法の中で許可制がとられてきたことば、やはり中小小売り商を保護するたてまえで許可制を採用していたということは事実でしょう。それが今日、なぜ急に届け出制に変えなければならなくなったか。許可制を届け出制にして、はたして小売り商業の人たちの利益が、生活が守られていくかという、ここが問題だと思います。
#60
○政府委員(森口八郎君) 現在の百貨店法におきまして、百貨店営業に許可制をとっておるということは、現在の百貨店法の第一条にも明らかでございますように、中小商業の事業活動の機会を確保するということが目的であるわけでございますから、したがって、中小商業保護のために百貨店を許可にしておったということでございます。ただ、法律ができましたのは昭和三十一年、いまから十七、八年前になるわけでございます。その間いろいろな新しい形の商業方式が出てきておりますし、消費者の趣味、嗜好その他が大幅に変化をしてきておるわけでございます。そういうような事情によりまして、先ほど申し上げておりますように、一方では中小小売り商業者の事業機会を確保いたしますとともに、他方では消費者の利益を配慮するというような点から、現行の百貨店法を廃止して、現在審議をお願いいたしております大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案を提案いたしたわけでございます。
#61
○須藤五郎君 私のところには方々のいわゆる中小商業の人たちから、この法案には反対だという請願なり訴えやきておるわけですね。数年前に、米子というところですね、鳥取県の。あそこに百貨店が進出するというときにも、あの米子の商店街の人たちが非常に大きな反対運動をやった。そういう点から見れば、やはり百貨店法はこれまでの許可制を厳守していくということですね。私は、小売り商人の利益を守るという立場に立つならば、そのほうが正しいと実は思っておるわけです。それを急に届け出制に変えるという意図が私にははっきりとのみ込めないのですね。そこをわれわれが理解できるように説明をしてもらいたいと、こういうことなんです。
#62
○政府委員(森口八郎君) 確かに先生御指摘のとおり、中小小売り商業者の間では、当初百貨店法を改正するにあたりまして、ぜひ許可制を存続していただきたいというようなこと、それから、許可制こそがやはりわれわれの利益を守る一番いい方法だということを言っておったことは事実でございます。ただ、小売り業者の間にもだんだんいろいろ意見がありまして、やはり現在の消費者主権の立場を考えますと、単に自分のほうの利害のみで大規模店舗を許可制にするということはいかがかというような意見も一部出てまいったわけでございます。先ほど申し上げましたように、まあ、そういうような立場で届け出制にいたしたわけでございますけれども届け出制にいたしましても、通商産業省のほうで十分事前審査をして、その上で勧告、命令をするのだというような体系をとるということで、現在の小売り業界のほうは、この体系で十分小売り商業者の事業機会の適正な確保をはかられるというように述べております。
#63
○須藤五郎君 まだ私はあなたの答弁で納得はしかねますが、まあ、質問を次に移って、だんだんと明らかにしていきます。
 七月十一日の衆議院商工委員会で、わが党の野間議員の質問に対しまして、十分に答えておりませんので、再度私はここで確認をしてまいりたいと思いますが、届け出制になっていると、不作為の場合は訴訟の対象にならない、つまり、被害を受ける周辺の小売り業者は結局泣き寝入りしなければならないことになりますが、通産省はそれでよいというお考えなのでしょうか、どうでしょうか。
#64
○政府委員(森口八郎君) 確かに許可制の場合と異なりまして、届け出制の場合は、不作為については行政不服審査法の対象になりがたいというように考えます。ただ、そういう場合に周辺の小売り商が泣き寝入りになるというようなことはございませんので、その大規模店舗が出ます場合には公示をいたすわけでございますので、大規模店舗の申請について問題ありとする小売り商は、通産大臣あるいは大規模店舗審議会、商業活動調整協議会等に意見を申し出ることができますので、私どもといたしましては、当然私どもの内部で、そういう小売り商業者の事業活動の適正な機会が確保されますよう十分事前審査をいたすつもりでありますけれども、泣き寝入りになるというようなことは、いま言ったような意見を申し述べる機会というのが当然ございますので、あり得ないのではないかというように考えております。
#65
○須藤五郎君 それならいっそのことそういう場合は、その付近の商店街の人なり、それから消費者を交えていろいろ意見を事前に聞いてそれを参考していくという、そういう態度が私は必要だと思うんですが、そういうことは実際にやることになっておるのですか、どういうふうになっておるのですか。
#66
○政府委員(森口八郎君) 大規模店舗の届け出は、大規模店舗が開始いたす六カ月前、それから小売り業者、どういう小売り業者が入るかということは、四カ月前に通産省に届け出をいたすこととなっております。したがいまして、六カ月前に公示をいたしますし、それから通産省に届け出がありました、どういう小売り業者が入るかどうかというような点については、各地の商工会議所にこれは通知をいたしたいというように考えておりますので、当然、その地元で問題を起こすというようなケースでありますれば、地元の商業活動調整協議会が自発的に動く場合もあるでしょうし、あるいは通産省が事前審査をした結果、おかしいということで地元の意見を求めた結果動き出す場合も両方あるかと存じますが、いずれの場合でも、地元で問題があるようなケースにつきましては、商業活動調整協議会が動き得るということになるだろうと思います。商業活動調整協議会には、御案内のとおり、消費者代表等も入っておりますし、小売り業者の代表も入っておりますので、その場面において十分利害の調整は可能かというように考えております。
#67
○須藤五郎君 一昨日ですか。百貨店の代表の方、それからスーパーの代表の方、また中小小売り商の代表だという三人がここに出てみえました。そして三人の方々は、この法律を早く通してもらいたい、賛成だというような意見を持っておりました。私はその中小企業――小売り商の代表の方の意見を聞いて実は意外に思ったわけなんです。それで私は、そういう人たちの階層をよくそのあとで調べました。そうしたら、そういう人たちは、私たちが目標としておるところの中小企業の小売り商の方ではないわけなんですね。もっと上層部の、中小小売り商と言いながら、もっと大きい商いをしておるといいますか。要するに産を持った人たちで、いわゆる零細の人たちでないわけなんです。町の小さい商人ではないということが私はわかりましたので、それならばああいう意見も述べるだろうと、そういうふうに私は思ったわけです。
 私が問題にしているのはそういう階層ではなく、ほんとうの中小商業者ですね、小さい小売り商人のことを言っているわけですが、そういう人たちは、そういう場合でも発言の場とか発言の機会というものはほとんど与えられていないわけです。やはり町の大きいところですね、そういう人たちがそういう場でも出て行って発言をするということになるわけで、ほんとうのそういう小さい商売をしている人たちはそういう機会が与えられていない、そういうことだと私は思うのですね。それは通産省としても認めざるを得ないだろうと思うのですが、そういうことに立つならば、もっとほんとうのそういう小売商人の意見をよく聞くということ、それから町の消費者の声を聞くということが私は非常に重要だと思いますので、その点どういうふうにしてこれからやっていこうと考えておるのか。もしもそうでなければ、そういう方向に通産省として行くべきではないか、こういうふうに私は思っておるのですが、中曽根大臣、あなたのお考えはどうでございましょうか。
#68
○国務大臣(中曽根康弘君) 須藤委員の御指摘の点は非常に大事な点で、私も同感の点が多うございます。具体的認定、調整の場合には、地元の中小企業者、特に零細企業者の意見をよく反映させるようにしながら、円滑に調整するようにいたしたいと思います。
#69
○須藤五郎君 中曽根さん、ただ、ことばでそういうふうにおっしゃるだけではなく、どういう形でそういう反映さすことができるのでしょうか、どういう形で反映さそうとお考えになっていらっしゃいますのか、そこを伺っておきたいと思います。
#70
○国務大臣(中曽根康弘君) これは地元で商調協を開きますから、その商調協におのおの団体の方が意見を表明なすって、それを商調協が受け取って調整の材料にすると、そういういろんな意見が出てきてこなせない場合には、届け出を正式に受理してスムーズに営業開始できるような状態に立ち至ったものとは認めないと、こういう方針をとっていきたいと思います。
#71
○須藤五郎君 中曽根さんのその考えがりっぱに実現していくならばけっこうだと思うのですが、実際にやってみると、そういうほんとうの零細企業の意見というものはなかなか反映していかないということを、私はこれまでの例でもはっきり言えると思うのですね。だから、できるだけそういう人たちの声を尊重するという立場で通産省としては指導をしていってもらいたいと、こう思っております。どうぞそういうふうに心がけていただきたいと思うんです。一次の質問に移ります。
 許可制を届け出制に変更した理由は何かということをいまも少し伺ったわけですが、衆議院商工委員会の論議を見ますと、おもな理由としまして、第一に、大規模小売り店の進出に備えて小売り商が共同防衛のために寄り合い百貨店をつくって共存するような場合まで許可制にするのは、中小小売り業を擁護するという意味からも苛酷であると、これは通産省のお答えだったと思うのですが、第二は、スーパーなどの進出によって大量仕入れ、大量販売のメリットが消費者も受けられるが、きびし過ぎると消費者の利益に反する、こういうふうなことを衆議院の段階で答弁していらっしゃると思うのですが、このような理解でよろしいのでしょうか、どうでしょうか。
#72
○政府委員(森口八郎君) お説のとおりでけっこうかと思います。
#73
○須藤五郎君 この七月三日の衆議院商工委員会で、われわれのほうの神崎議員の質問に答えられまして、政府は、大型店舗の進出に対抗して地元の中小小売り業者が寄り合い百貨店をつくる場合は、それが第三条に該当する場合でも、原則としてフリーパスさせる旨の答弁がありました。この席でいま一度この点を確認しておいていただきたいと思います。
#74
○政府委員(森口八郎君) 中小企業の寄り合い店舗ができまして、それが大規模小売り店舗に該当するというような場合は、実際上これは勧告あるいは命令の対象といたすつもりはございません。ただ、衆議院でも議論があったわけでございますが、ひとしく中小企業といいましても、大企業のダミーでありますような中小企業がございます大規模店舗につきましては、これはまた別個の取り扱いをせざるを得ないかと存じます。
#75
○須藤五郎君 それじゃ私、ここでその衆議院の会議録を読みますが、これをもう一度、そのとおりだとおっしゃるならば確認しておいていただきたい。橋本政府委員の答弁です。「大型店舗の進出に対しまして、地元の中小小売商業者が寄り合い百貨店をもって対抗しようとするような場合、中小小売商業対策として積極的に考えたい……寄り合い百貨店のほうでございます。大規模小売店の進出に対しまして、地元の小売商業者が寄り合い百貨店を組織してこれに対抗しようとするような場合、しかも、そういった寄り合い百貨店が、第三条に定義いたします大規模小売店舗内にある一応の届け出義務規制対象になっておるような場合でございましても、そういったものについては原則としてフリーパスさせたい、かような意味でございます。」、こういうふうに答えてある。これは、こういう点はフリーパスだと、こういうふうににはっきり確認していいわけですね。
#76
○政府委員(森口八郎君) おっしゃいますとおり、フリーパスをさせるつもりでございます。
#77
○須藤五郎君 そうしますと、この寄り合い百貨店は当初から認める方針であるということなんですね。それならば法案は許可制にしておいて、これについては適用除外すればよいということに私はなると思うんですが、なぜ法案は許可制を届け出制に変えてしまって、そうしてフリーパスだと、こういうふうになさるのか。これならば何も法案改正しなくても、適用除外ということで処置できるんじゃないでしょうか、どうでしょう。
#78
○政府委員(森口八郎君) いま議論になっておりますのは、中小企業者が共同して寄り合い店舗をつくる場合であります。ところが、中小企業者ではなしに大手のスーパー業者が各階ごとに別会社を設立いたしまして、それを寄り合い店舗のごとき外観を呈しながら大規模店舗で営業をしておるというような実態があるわけでございます。こういうようなものを本法案によって届け出の対象にし、勧告あるいは命令の対象にいたしたいというのが一つの本法案を出した趣旨でございます。そういうようなものは当然対象になり得るということでございまして、須藤先生がおっしゃっておりますのは、全くの中小企業者が集まって寄り合い店舗をつくると、この場合には勧告あるいは命令の対象にしないということを申し上げたわけでございます。
#79
○須藤五郎君 それはこれまでの許可制にしておいてもできることじゃないですか、あなたのいまおっしゃるようなことをやろうと思えばですよ。だから法を改正しなくても、ほんとうの零細中小企業が集まってやろうとするときは、許可制の適用除外ということで処置できることじゃないですか、そういうことなら。何も法改正する必要がない、許可制を届け出制に変えてしまう必要がないと私は思うんですよ。そうじゃないですか、どうですか大臣、どうしても許可制を届け出制に変えなければこういうことができないという御見解でしょうか、どうでしょうか。
#80
○国務大臣(中曽根康弘君) これはやっぱり百貨店、スーパー、それから小売り商店、そういうようなもの全般の調整をどうするかという大局的見地から許可制を届け出制に変えたと、しかし、その届け出制というのもいわゆる事前審査制という届け出制でありまして、当局において適当でないと認める場合には、勧告とかあるいは変更、あるいは情勢によっては営業停止命令、そういうものも出せるという強い内容を持っておるわけであります。一般的にそういうような大きなワクをつくりまして、そして実情に応じて、ということは、つまり小売り零細企業擁護という面から見てわれわれが政策的に考えて、そういう面から商店街等が連合して寄り合い百貨店をつくるという場合には、それはもうフリーパスにすると、そういう関係に立って中小企業擁護という面を政策的に打ち出して実行しようとするものであります。やはり普遍性の原理から見ても、大局的な大きなたてまえをつくっておいて、そして、例外的に特に保護する必要のものについてはそれを例外的に扱うと、こういう事実上の取り扱いをきめたほうが妥当である、そう考えるわけです。
#81
○須藤五郎君 そうなると中曽根さん、私の考えとはだいぶ違うんですね。私はむしろ、百貨店や大スーパーの進出を規制するという立場に立つならば、小売り商を保護するという立場に立つならば、許可制をそのままにしておいて、そして規制をきびしくしていくということのほうが正しいように思います。そうして、小売り商が要するに集まってスーパーをつくるなりやろうとする場合には、やはり適用除外という形でそれを認めていくということのほうが正しいんではないか、そのほうが完全にやっていけるんじゃないかという、私はそういう考えを持っているんですね。そこら辺になると少し考えが対立するわけなんですが、なぜ許可制を届け出制にしなければならぬかという点で私はしっくりとしないわけなんですね。どうも私らの考えでは、やはりこれはスーパーなり百貨店の進出が、許可制よりも届け出制にしておいたほうが進出がしやすいんだと、だから許可制を解いて届け出制にしたんだという感じがするわけなんですね。そうして、それじゃというと、小売り商もこういうふうにやったらできます、それはフリーパスで認めますと、こういう一方であなたたちは逃げ穴をつくっておるわけですけれどもね。そこらどうしても私は釈然としませんがね。どうですか、その点は。
#82
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり、業界に刺激を与えて前進していくという形が大事だろうと私は思うんです。そういう意味において、許可制から届け出制という形に一応踏み切ったことはかなりの刺激でもあると思います。スーパーというものが出てきて大衆が非常に便宜になったということも事実でありますし、物価政策に協力したということも事実であります。先ほど藤井委員が、先生お見えになる前にそういう点もだいぶ強調なすったとおりであります。そういう消費者の意見、消費者の利便ということもまた考えなければならぬのでありまして、だといって、じゃ、スーパーが自由を乱用して何でもやれるということにしてよいかというとそうはいかぬ、そういう調節の非常に微妙なところをいまのような届け出制という形で適当にあんばいして、現時点に合わせるようにしているわけであります。
#83
○須藤五郎君 消費者の便利をはかるためには、別に許可制を届け出制にしなきゃならぬということはないと私は思うんですよ。許可制でも十分に消費者の利益を守ることはできると思うんですね。それで届け出制にするというと、不作為の場合は訴訟の対象にならないというような、こういうことになりまして、やはり被害を受ける周辺の小売り業者は迷惑をこうむるということにつながっていくと、私はこういうふうに思います。消費者消費者とおっしゃるならば、それは許可制でも十分守っていくことができる、そういうふうに私は考えますが、どうですか。
#84
○国務大臣(中曽根康弘君) その点はやはり須藤先生と私の認識の相違のようでございまして、われわれはそれが正しいと思いますし、大部分の皆さんもそういうお考えに立っておるのではないかと思います。
#85
○須藤五郎君 最後のところへいくというと認識の違いだということで、もの別れのような形になってしまうのは残念だと思いますが、私の意見も、あながちむちゃを言っているとは私は思っておりません。それじゃ、次の質問に移りましょう。
 そうすると、届け出制にすることが消費者の利益になるかどうか、こういうことをいま私は申し上げたわけなんですが、ところで伺いますが、規制対象売り場面積を十大都市で三千平方メートル、その他の都市では千五百平方メートル以上としました具体的な根拠はどうなのかという点を聞かしていただきたいと思います。
#86
○政府委員(森口八郎君) 百貨店法を改正するにあたりまして、従来の百貨店法では、御承知のように、十大都市では三千平米、その他の地方都市では千五百平米を規制の対象といたしておるわけでございますが、実は両論ありまして、この面積をもっと下のほうに下げろと、千五百を千ぐらいにしろというような意見、それからやはり、全体の小売り商の営業面積も増大をしておりますから、百貨店の平均の面積も、三十一年当時に比べればほぼ二倍程度に増大をしておるというような点を考えますと、この千五百、三千というものはもう少し上にすべきであるという両方の議論があったわけでございます。いずれも根拠を持った議論であるわけでございまして、両方の意見をやはり参酌いたしますと、理論的根拠はないわけでございますが、とにかく十七、八年間千五百、三千ということで規制をしてまいりましたので、特に現状を変える決定的な理由はないというような考え方から、従来の千五百、三千という規制面積をそのまま踏襲いたしたわけでございます。
#87
○須藤五郎君 別に根拠はないというお話ですが、これをもっと下げろという意見と、もっと上げろという意見とありますが、どちらが消費者の立場上便利なのか、どちらが小売り商の利益を守ることになるのか、どういうふうに通産省は考えていらっしゃいますか。
#88
○政府委員(森口八郎君) どちらかといいますと、面積を下げろという議論は小売り業者寄りでありますし、上げろという議論は消費者寄りではないかというように思うわけでございますけれども、それは比較論の話でございまして、いずれも決定的にどちらのほうがどちらだという議論ではないと思います。
#89
○須藤五郎君 それじゃ、小売り商は面積を下げたほうが賛成だというのはどういう根拠なんですか。消費者は面積を上げろという意見だというのは、どういう根拠からそういう意見が出るのですか。
#90
○政府委員(森口八郎君) 先ほど御説明申し上げましたとおり、スーパーの経営面積、経営規模をとってみますと、千ないし千五百が一番経営効率のよい店舗であるということになっております。したがって、小売り業者に脅威を与えるのは、千ないし千五百がむしろ脅威を与える。その店舗の面積が脅威を与えるから、そこを規制対象にすべきであるという議論が一つございます。
 それから、店舗面積を上げろというほうは、一般の小売り商も、それから百貨店の面積も、この百貨店法制定当時に比べまして面積が二倍になっておるという点から、平均的な面積の増大に合わせて面積を上げるべきであるということを申し上げたわけでございます。
#91
○須藤五郎君 私の聞きそこないだったかわかりませんが、さっきあなたは、面積を下げろという意見は小売り商業のほうにある、面積を広げろというのは消費者のほうにある、こういうお答えでしたから、ちょっと私はふしぎに思ったわけです。面積を下げれば小売り商のほうは反対なんでしょう。どうなんですか。賛成ならば何で賛成するかという一いまあなたの話を聞いていると、どうもおかしいと思うのですがね。
#92
○政府委員(森口八郎君) 規制の面積を下げますと、影響をこうむる店舗の規制の範囲がそれだけ拡大するわけでございます。したがいまして、現行ですと千ないし千五百の店舗は自由につくれるということですけれども、それを規制の対象の中に入れて届け出にし、あるいは勧告命令の対象にすれば、それだけ小売り商業者の利益がふえるのではないかということを、小売り商の一部の方が言われたということを申し上げたわけでございます。
#93
○須藤五郎君 十大都市と、それ以外の都市に分けまして、スーパーの上位二十社につきまして、売り場の規模別分布を数と比率で示していただきたいと思います。また、系列店についてもあわせて示していただきたいと思います。
#94
○政府委員(森口八郎君) お尋ねはスーパーであろうかと思いますけれども、スーパーマーケットで千五百方メートル以上の面積をとって申し上げます。
 千五百――三千平方メートルの間に位置しますスーパーマーケットは、全部で二百八十二店ございまして、これは十大都市にはございません。それから、三千――六千平方メートル未満の店舗は、六大都市に六十二、その他の都市に二百二ございます。それから六千平方メートル――一万平方メートルの店舗は、十大都市に二十九、その他の都市に百二十二ございます。一万平方メートル――二万平方メートル未満の店舗は、十大都市に二十、その他の都市に四十三ございます。それから二万平方メートル以上の店舗は、十大都市に三、その他の都市に四ということでございます。合わせまして、十大都市に百十四、その他の都市に六百五十三、合計七百六十七ということとなっております。
 なお、先ほど十大都市の千五百――三千平方メートル以上のものがないというように申し上げましたけれども、これは調査をいたしておりませんので、ないという意味で申し上げたわけでございます。
#95
○須藤五郎君 系列店についてはどういうことですか。
#96
○政府委員(森口八郎君) 系列店というのはどういう意味でございましょうか。
#97
○須藤五郎君 ダイエーならダイエーというスーパーがありますね、それの系列店はどういうふうになっているかということ。
#98
○政府委員(森口八郎君) ダイエー等につきまして系列店がどのくらいあるかという点は、いまちょっと手元に資料がございませんので、別途御報告申し上げます。
#99
○須藤五郎君 それじゃ、あとで出していただきたい。次の質問に入りましょう。
 産業構造審議会流通部会第十回答申によりますと、一店舗当たりの平均売場面積は八百三十二平米となっております。またダイエーを例にとりますると、九十七の店舗を持ち、各地に店舗を展開しておりますが、この他にサンコーという系列会社を持っておりまして、首都圏に二十五の店舗がありますが、その平均売り場面積は二千三百二十五平方メートルになっております。間違いがあったら言ってください。さらに、日本百貨店協会の関係小売り企業調査報告によりますと、百貨店が経営しておるスーパーは、一店舗当たり千二百四平方メートルの売り場面積であります。いずれも今回の法律の規制の対象外となる広さであります。この答申によりますと、店舗別に見れば、千平方メートルから千四百九十九平方メートルのものが売り場面積当たり、従業員当たり販売額が最も大きく、営業経費も最も低くなっております。一つの最適規模を示していると述べておりますが、このような規模のスーパーはすべて今回の法律の対象外になっておると思います。
 通産省は、今回の法律でこれまで規制の対象とならなかったスーパーを取り込むのだと説明してきましたが、実際にその網にひっかかるのは、大都市の中心にあるような一部の大きな店舗のみであり、各地でスーパーの進出で中小の小売り業者に打撃を与えている現状はほとんど改善されないと思います。そして、地元の小売り業者に被害が及ばないように通産省は指導するといいましても、冒頭の質問で明らかになりましたように、中小小売り業者を確実に守れる保証はないと思います。スーパーが、規制対象外の店舗をその力にものをいわせて各地に網の目のように展開するならば、地元の中小小売り店が大きな打撃を受けることは明らかであると考えられます。結局、この法律は、百貨店やスーパーの進出をやりやすくすることを目的としたものであるといわれてもやむを得ないと思いますが、通産大臣はどういうふうにお考えになりますか。
#100
○政府委員(森口八郎君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、確かに千ないし千五百平方メートルのスーパーマーケットは経営効率のよい店舗であります。また、相当数のスーパーマーケットが千ないし千五百の間に入ることも事実であります。ただ、本法案で問題といたしておりますのは、顧客吸引力のある大規模店舗であります。経営効率の問題ではなしに、大きな店舗をかまえまして顧客の流れを変えるような大規模店舗、顧客の流れを変えることによって、周辺の中小小売り商に非常に大きな影響を及ぼすような大規模店舗の設置についてこれを調整しようというものであります。また、現実のスーパーを見ましても、確かに千ないし千五百平方メートルのものは相当数ございますが、日本のスーパーでは、先ほど御説明申し上げましたように、わりあいに千五百平方メートルをこえる店舗のスーパーが多いわけでございます。したがいまして、本法案が通りますれば、スーパーのうちの特に大規模店舗は本法案の規制の対象になるわけでございます。その結果、先ほど申し上げましたように、顧客吸引力がきわめて強い大型スーパーが本法案の規制の対象になることによりまして、中小小売り商業者の利用機会の適正な機会が確保されるというように私のほうは考えております。
 なお、先ほどの御質問にございましたスーパーの系列の問題でございますが、御説明申し上げます。
 子会社というわけではございませんが、いわゆるダィエーグループに属しますものは、東京にございますサンコーとか、あるいは高知スーパーマーケットとか、あるいは防府にございます丸久とか、秩父にございます宝屋等々の店舗がございます。西友グループには京都のコマツストア、あるいは金沢のいとはん、東京のオーケー、長野の魚力というような店舗がございます。いずれも共同で仕入れをするということで業務提携をしておる。共同仕入れあるいは共同の商品開発というようなもので提携するというのが主たる内容となっております。
#101
○須藤五郎君 あなたのいまおっしゃったように、スーパーとして従業員と売り上げ高との比率の最も効率のいいのは大体千平米前後だということですね、これがこの法律の除外例、規制外になっているわけですね。ということは、今日、そういうスーパーがどんどんと規制外になって全国的にふえていく、そういう傾向にあるわけですね。そうしたらやはり、そこがうんともうかって効率のいい商売をするということは、付近の小売り商業が迷惑をこうむる、こういうことになるわけですね。そこがよくて、そうして小売り商もよくなるということはない。国民の購買力はある一定できまっておりますから、そこがうんともうければ、こっちはマイナスになっていくということは当然のことだと思うんですね。だから、そういうものを小売り商が希望するというのはおかしいじゃないかと思って私はさっき質問したわけなんですが、そうじゃないですか、そうでしょう。それをあなたは逆に、何だかそういうふうにすることが小売り商の利益になるようなことをおっしゃるから、私はふしぎでしょうがないですが、そこはどういうふうに説明なさったらいいですか。
#102
○政府委員(森口八郎君) 日本のスーパーマーケットの現状を考えてみますと、たとえば、四十三年八月から四十八年六月までのチェーンストア大手十社の規模別の出店状況を申し上げますと、全体で百四十三店出店をいたしておりますが、そのうち規制規模以上のものは百二十二店でございまして、規制規模以下のものが二十一店ということでございます。しかも、一番経営効率がいいと私が申し上げました千ないし千四百九十九の店はわずか九店にしかすぎないわけでございます。したがいまして、一応規制の規模を千五百といたしました場合にも、ほとんどのチェーンストアやスーパーマーケットがこの届け出の対象になるというように私どもは考えておりますので、先生がおっしゃるように、千五百以下のものが大きく小売り商の利益を害するということにはならないのではないかというように考えております。
#103
○須藤五郎君 いや、いま私は申しましたが、その程度のスーパーが最も効率をあげておるというお話だったでしょう。効率をあげておるということは、一方には効率の下がる面が出てこないと話が合わないと思うんですね。そういう効率をあげるスーパーがどんどん全国的に広まっていって――効率かいいということは、広まる性格を持っておりますよ。だから、全国的にそういうものがずっと広がっていくでしょう。そうすれば、中小小売り業者が困るという状態がだんだん深刻になってくる、こういうことも言えると思うんですね。あなた方がいかに行政指導で小売り業者が困らない、被害の及ばないようにしようといっても、現実にそういうことになってくる、私はこういうふうに思うわけです。そういう点からいったらこの法律は、やはり百貨店やスーパーの進出をやりやすくするために、それを目的としてつくられたものだというふうに言われても私はやむを得ないと思うんですが、この点、実際に困っておる小売り商の人たちにどういうふうにあなたは説明していくつもりですか、どういうふうに納得させますか。
#104
○政府委員(森口八郎君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、千ないし千五百の店舗が数字上から見ますと経営効率が高いことは事実でありますから、現実のスーパーマーケットの経営者にとって千ないし千五百の店舗をたくさんつくる計画があるかということになりますと、私が先ほど四十七年三月から四十八年六月の出店の状況について御説明申し上げたとおりであります。これは単に経営効率の問題ではなしに、大規模店が客を寄せることができるというような点を勘案して、やはり、現実の日本にございますスーパーマーケットの経営者が大規模店のほうに力を入れておる、大規模店に力を入れておるがゆえに、大規模店の周辺の小売り商との紛争が続いておる。私どもが聞いておりますところでも、現実にスーパーマーケットと小売り商との間で紛争が起こりますのは、やはり千五百平方メートル以上の店舗を主といたしておるわけであります。したがいまして、先生の御懸念のような点は、私はあまりないのではないかというように考えております。
#105
○須藤五郎君 それじゃ、むしろそういうふうな意見をとられるならば、何でそういう大規模のスーパーに対して許可制をとって規制していくというふうに考えないんですか。そこはどういうふうに……。
#106
○政府委員(森口八郎君) ここ十年来の変化を見てみますと、いろいろ消費者の趣味、嗜好に変化が起こっておるわけでございます。たとえばワンストップショッピングとか、あるいはいろんな多彩な商品を一カ所に並べておる、そういうような点に魅力を感じておるわけでございます。したがいまして、私どもが本法案を出しましたもとも、大規模店舗という形態に着目をして、大規模店舗の進出について中小小売り業者との間を調整をいたしたいというようなことを考えたわけでございます。大規模店舗の進出と中小小売り商業者との間の利害の調整という方式の問題について、許可制をとるか、届け出制をとるかということにつきましては、先ほど大臣が御説明申し上げたとおりでございまして、私どもは、届け出制のほうが現在のいろんな状況に合致しておるというような考え方のもとで、届け出制ということで大規模店舗法案を提出いたしたわけでございます。
#107
○須藤五郎君 えらいくどいようですが、それじゃ、許可制を届け出制にすることによって中小小売り業者の利益がよりよく守られるか、そして大規模のスーパーとの、百貨店との摩擦をどうしてなくしていくことができるか。今日それがあるんでしょう。これを許可制を届け出制にしたらそれがなくなるというお考えですか、どうなんですか。そこが私にはどうしてもわからないですよ、あなたたちの言っていることは。
#108
○政府委員(森口八郎君) 私どもは、再々御説明申し上げておるような考え方で届け出制をとったわけでございますけれども、小売り商業者との間のいろいろな問題もあろうかということを考えて事前審査をいたし、大規模店舗の届け出が出てきました場合には、小売り商業者の事業機会の適正な確保が、大規模店舗が進出することによってできるかどうかということを事前審査をし、問題があれば通商産業大臣が勧告をいたし、さらに、勧告が聞かれない場合には罰金を伴う命令をかけるということまで考えておるわけでございます。したがいまして、そういうような意味では、届け出制は許可制にかわったわけでございますが、小売り商業者の言っております事業機会の適正な確保ということは本法案で十分担保されておるというように考えておるわけでございます。
#109
○須藤五郎君 あなたの答弁で全国の小売り業者が納得するか、安心するかということは、これは別問題だと思うのです。なかなかみな安心し、納得はしないと思うのですね。もう一つのほうには、不作為のあれは対象にならないというようなことにもなっているし、ちゃんと逃げ道がつくられていますからね。だからそういうことでは、どうもこの問題は私は解決しないように思いますよ。しかし、これは押し問答しておってもらちのあかないことだと思いますから、問題を私はこういうふうに提起していきますよ。
 じゃ次に、これを別の側面からお尋ねしますがね。さきにあげました産構審の答申でも指摘されておりますし、現に進行しておる系列化の問題ですが、衆議院商工委員会でこの法案を審議しました際、わが党の神崎、野間両議員が、商社、スーパー等の系列化について質問しました。御存じのとおりです。その後、この状況について皆さんは調査したかどうか、調査しますというお話だった。その後調査ができておりますか。できているならば報告をしていただきたい。
#110
○政府委員(森口八郎君) 恐縮でございますが、須藤先生のおっしゃっておりますその後調査すると申し上げたものというのは、どういう意味でございましょうか。
#111
○須藤五郎君 スーパーの系列化ですね、その実態ですよ。それを尋ねたとき、まだ手元にそれはできてないから調査しますと、こういうことですね。で、調査したとすれば、どのような経過になったかを私は報告してもらいたいと思うのです。報告してほしい内容は、株式の持ち合いなどの資本面からどうなっておるかということですね。それから融資の状況はどうなっておるかという点、それから人的交流です。それから仕入れの関係、おわかりになるでしょう、そのことは。それから販売提携の問題それから設備のリースなど、こういう問題について詳しく説明をしていただきたいと思います。
#112
○政府委員(森口八郎君) スーパーの系列化の問題は、先ほどダイエーグループと西友グループについて一応例示をもって御説明申し上げたところであります。
 それから、百貨店のスーパー分野への進出の問題が次にございます。これは百貨店業界の調査によりますと、スーパーを中心に関係小売り企業を有する百貨店は五十四社を数えております。で、この五十四社が有します関係小売り企業の数は百三でありまして、五百三十七店舗がございます。百貨店とスーパーとの関係は以上のとおりであります。
     〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕
 それから、商社との小売り業系列化、特に商社とスーパーとの関係であります。これはまず、商社がどの程度スーパーに物を入れておるかということでございますが、一、二の例を申し上げますと、スーパーが仕入れております購入商品のうち、総合商社が占める比率は大体二、三%というのが現状でございます。
 それから、商社とスーパーの株式保有の関係でございますけれども、日商岩井、丸紅、三井物産、三菱商事、住友商事、伊藤忠商事等々が、ダイエー、長崎屋、いづみや、オーケーというようなところに若干の株式を持っておりますが、特に、きわめて大きい株式比率を商社がスーパーの中で占めておるというような実態はございません。大体数%程度の株式を商社が保有しておるというような実態に相なっております。
 以上でございます。
#113
○須藤五郎君 あなたは二、三%とおっしゃいますけれども、そうでないものもあるんじゃないですか。これは日経流通新聞からとった問題ですが、三菱商事が西友ストアとの契約で、西友ストアの仕入れる商品の二〇%を扱っているというようなことが出ておるんですね。それからいって二、三%というのは非常に低く見られた点じゃないかと思うんですが。
#114
○政府委員(森口八郎君) 私が先ほど申し上げました数字で、正確に申し上げたいと思います。
 まず、スーパーのN社に対しまして総合商社が占めておりますシェアというのは一・八五%であります。それから、D社に占めております仕入れ比率は三・〇一%であります。それから、御指摘のありました西友ストアの問題につきましては、確かにそういうような資料は、日経流通新聞編の「豊かな時代の流通戦略」にそういう数字は載っておりますが、私のほうで西友ストアに確認をいたしますと、この数字は高過ぎるというように述べております。私のほうには、もう少し低い数字が総合商社の比率であるということです。
#115
○須藤五郎君 低いというのはどの程度。
#116
○政府委員(森口八郎君) ちょっと差しさわりがありますが、二・二%ということを……。
#117
○須藤五郎君 二・二%。
#118
○政府委員(森口八郎君) はい、ということを言ってきております。
#119
○須藤五郎君 ここの通産省の資料のCというところだね、二・二%というのは。ちゃんとここに出ているじゃないか、A、B、Cで。わかりました。
 私が調査した資料じゃないから、それ以上私は追及することはできませんが、要するに、やはりその販売提携とかいろいろな問題で、大商社とこのこういうところは結びついているわけですね。そうして、大商社から資本も出ればいろいろな設備もする、それが全国的にどっと広がっていくと、こういう傾向にあるわけですね。いま、大臣が一時には退席をしたいという申し出がありましたから、ちょっと大臣にまず質問をいたしたいと思うんです。
 最近、物価が高くなって困る困ると言っておる。それで、この流通の近代化によりまして、物価が一体下がるのかどうかというこの問題ですよ。どうでしょうか大臣。
#120
○国務大臣(中曽根康弘君) 物価を下げる要因はほかにも幾つもありましょうけれども、近代化しないよりも、近代化したほうが下がる条件は整ってくると思います。
#121
○須藤五郎君 それはばく然たる答弁で、まあ私は、こういうふうに流通を近代化したら、こういうものが値段が下がったんだと、こういうふうな実態をもってお答え願いたいと思うんですが、どうでしょうか。
#122
○国務大臣(中曽根康弘君) 少なくとも流通段階が多過ぎたり、あるいはその過程においてマージンの取り方がひどかったりする場合には、物価は当然上がってまいります。流通段階が少なくなったり、あるいはマージンが薄くなったりすれば物価は下がってくる、これは一般論として当然言えることだろうと思います。
#123
○須藤五郎君 もうこの問題は衆議院でも問題になったわけなんですが、そのときに大臣は、こういうふうにお答えになっていると思うんですね。野間議員が、「このような大資本あるいは大商社、これらの近代化によって商品が安くなるかどうか、いわゆる消費者の保護になるかどうか、」という質問をいたしましたときに、大臣の答弁は、「これは担当するものの心がけにもよるのでありまして、べらぼうなもうけをしようと思ったら、おっしゃった垂直統合のような場合はこれが硬直してきて、おとりやえさはいいけれども、」というような答弁をしていらっしゃるのです。それは心がけ次第だというふうなことをお答えになっておると思うのですが、それでは、今日のスーパーや百貨店の人たちにその心がけを求めることができるかどうか、こういうことなんですがね。これはどういうふうにその心がけを求めていくことができるのでしょうか。心がけ次第だというんだから、心がけが直らなければ、やはり物価は、流通の近代化がなされても物価は下がらぬということになりやしませんか、どうでしょうか。
#124
○国務大臣(中曽根康弘君) 野間議員に対する私の答弁は、前といろいろ関連のある答弁であったと思うのです。単に心がけだけだという意味ではないと思うのです。設問のほうがいろいろの問題が投げかけられてあるんではないかと私は思います。
 もちろん、もうけようと思って手数料なんかをよけい取れば上がります。しかし、大衆に奉仕するという薄利多売の精神をもってすれば下がります。だから、売る人の心がけも非常に重要なファクターであるかと思います。八月、七月以来のいろいろな物資の不足で値が上がったという中には、やはり一部にそういう屯積と申しますか、先行きを見てしばらくは倉庫に置いておこうと、そういう考えを持ったんではないかと、いろいろ当時新聞や何かにも言われましたけれども、そういう精神を持たれたらこれはもう上がる。しかし、こういうときこそ大衆に放出して奉仕しようということになれば下がってくる。やっぱり思惑その他で物価は上がったり下がったりしますから、心がけも非常に大事なファクターであると思います。
#125
○須藤五郎君 その例にぴったり合うかどうかは別としまして、
  〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
流通の近代化という問題が非常にやかましく言われました。そして、それが物価との非常な関連のあるようなことが盛んに言われておるわけですね。羽田飛行場に行く少し手前の左側に、東京物流センターという大きな建物ができておりますね。私は、あそこに実は見に行きましたよ、どういうふうになっておるかということを。そうすると、ある百貨店ですね、それはワンフロアを全部借り切っておるのです。その借りる代金は敷金が何億円ですね。それから、毎月払う金も何億円という金をかけてそのワンフロアを独占しておるわけです。そしてそこに行ってみると、下からトラックで荷物がどんどんと運び込まれてくる。それがエレベーターで上に上げられる。そうしてそれがオートメーションでどんどんと整理されて、大きな倉庫にそれが納まってしまう。そうして、また出るときもオートメーションでそれがどんどんとスピーディーに運び出されるわけですね。
 さあ、こういう流通の近代化がなされて、物流の近代化と申しますか、そういうことがなされて、はたしてその百貨店の品物が値段が下がったかどうかということに私は疑問を持ったんですね。少しも下がっていない。それでその百貨店の得た利益は、物の回転が非常にスピーディーになされていくということ、いわゆる資本の回転が非常に早く何回も回転されるということで、利潤は以前よりうんと上がったと思いますね、そういう近代化する前よりは。しかし、物の値段は下がってない。こういう点をこの間私、大丸社長がここへ参考人に見えたときに質問したんですよ。そしたら、大丸の社長さんのおっしゃるのには、いま今日は、どんどんと物の値段が毎日のように上がっていく場合がある、だから、私たちはああいう大きな倉庫、ああいう設備を利用して品物をどんどんと買い込んで、そして置いておかなきゃならない、こういうお話なんです。それで私は大丸の社長に、それでは一週間前に買った品物が一週間後に非常に値が上がっている、それではあなたは一週間前の値段でその物をお売りになるんですかと、こう言ったら、そうではないと、一週間後の物の値段の上がった値段で、その一週間前に安く買った品物を一週間後には売り出すんだと、こう言うんです。どんどんと物が上がっていくから、できるだけ物は買い占めておかなきゃならぬと、こうおっしゃいますから、それじゃ、買いだめと同じじゃないですかと言ったら、向こうもちょっと返事に困ったようなことですが、私は、やはりこれも利益追求であって、あなたのおっしゃったように、商売人が物を安く売るということに努力してない一つのあらわれだと思うんです。
 ほんとうに流通の近代化をはかって物の値段を安くするというならば、そういう近代的な設備を利用してどんどんと物が動くようにして、そして物の値段を安くしていくというのが、これが私はほんとうではないかと思うんですが、そうじゃなしに、やはり自分たちめ利益のことを考えて、いわゆる消費者の利益なんというのはあまり念頭にないという感じが私はしたわけです。そういうことを私が視察に行ったときに、そこの主任の人に話をしたのです。そしたら、先生、そういうことも言えますけれども、これがなかったらもっと値が上がっているかもわかりませんよというような、そういうずるい答えなんです。それは私はずるい答えだと思うんです、すべてね。それは仮定ですからね。私は現実を言っているんです。だから、はたして流通の近代化によって物の値を下げることができるのか、下げることはできると思うのです。
 しかし、ほんとうに下げるのか、下がるのかというと、私はそうばっかりは言えない。中曽根さんも非常に理想主義的な御答弁をなさいますが、私は、よほど通産省がこれははっきりした態度で規制していかなかったら、物の値は下がらないんじゃないかと思うんですね。それでも今日のこの物価高、それじゃ、どうしたら下げることができるかという質問にも私はなろうかと思うんです。通産大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。これは国民生活と重大な関係のある、通産大臣として腕のふるいどころだと思うのですがね。通産大臣は、どういうふうに具体的にやって、そうして物の値段を下げていこうというお考えを持っていらっしゃるのか、処置なしとお考えになるのか、どうですか。
#126
○国務大臣(中曽根康弘君) いま係の者に聞いてみますと、大丸の社長さんは必ずしも高い値段で売ると言ったんではないんだそうです。その辺はあいまいな答弁であったようであります。
#127
○須藤五郎君 あいまいです。しごくあいまいです。
#128
○国務大臣(中曽根康弘君) だから、本人が直接高い値段で売りますとは言わなかったと、そういうことであります。
#129
○須藤五郎君 安く売るとも言いませんよ。
#130
○国務大臣(中曽根康弘君) そこで、やはり物価を下げるという一番の基本は、長期的に見れば物の量をふやすということが一番いい。物の量がふえて、そして競争が公正に行なわれれば自然に下がってくる。競争が公正に行なわれない、管理価格的なものになったり、特権的な強い力を持っているものが支配的な立場を持っているというような形になると、量がふえてもだめです。両方やはり同時にやらせる必要がある。これが長い目で見て一番的確に物価を安くさせる方法であると、そういう面から見ても、許可制度を届け出制度にするというのは、その面に関する限りは一歩そっちに近い方向だろう、そう私は思います。
#131
○須藤五郎君 物をたくさん生産すれば物の値段は下がるとおっしゃいますが、今日、日本の生産は、非常な高度の成長でうんと生産がされているわけですよ。そして国民はその生産の中で、高度成長政策の中で何を得たかといったら公害じゃないですか。公害だけで物価安というのは、物価、値段は一向下がらない、公害と物価高を国民は受け取っているわけですね。これは一体どういうことでしょうか。これは中曽根さんのいまおっしゃった意見とは正反対のことになってきているようなんですね。
#132
○国務大臣(中曽根康弘君) 自動車でもテレビの値段でも見ればわかることで、大量に生産されて、そして競争が自由に公正に行なわれれば下がってくるわけです。一ころは、テレビなんかとても大衆の手に入る値段じゃなかったわけですけれども、近ごろはわりあいに入るようになってきたのは、やはり大量生産、公正競争、そういうおかげだろうと思います。
#133
○須藤五郎君 あなたは、物価の問題が出ると常に自動車とテレビを例にあげられますけれどもね、しかし、その自動車が安くなった、テレビ安くなったといったって、国民生活は楽にならないんですよ。もっと早く値段を下げなくちゃならぬ問題がたくさんあると思うのですよ。自動車は安くならなくてもかまいませんよ。あんなもの高くたって、一般国民が自動車を買うわけじゃないのです。
#134
○国務大臣(中曽根康弘君) いや、そうじゃない、そんなことを言うと大衆におこられますよ。
#135
○須藤五郎君 いや、そうですよ。だから、それはもちろん自動車も下がることはいいですよ、上げろとは私は言いませんよ。上げろとは言いませんが、物価問題で、自動車が下がったじゃないか、だから物価が下がっているじゃないかとは私は受け取れないと思うのですね。そういうなら、国民に、日本の主婦たちに聞いたらわかりますよ、そんなことは。自動車は下がったから文句言うなと言ったんでは、これは物価問題は解決しませんよ。ほんとうのわれわれの生活必需品を下げるということですよ。それが一向に下がってこないじゃないですか。高度成長政策で世界に冠たる生産を上げておる日本として、それで物価がどんどん上がるし、それから公害がどんどん出てくると、これじゃ国民はたまったものじゃない、こういうふうに私は思うのですよ。その衝に当たっている中曽根さんとしては、大いにがんばってもらわなければならぬところだと思うのですが、私は、中曽根さんのひとつ物価を下げるためにどうしたらいいか、どうしようとしているかという経倫を伺っておきたいと思うのですが。
#136
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり基本は、われわれは自由経済を信奉しておるものですから、統制経済を適当でないと考えておるものでございますから、自由な創造力を発揮させて公正競争により、そして大量に生産される体系を組めば、物価は自然に下がってくる。それと同時に、国際的な関税その他の面においてもできるだけ自由貿易の原則を通して、外国の安いものは入れるような窓口を開いておいてやる、そういうことが非常に基本的に大事だろうと思います。そういう意味において公取の機能とか、通産省ができるだけ安い資材が日本に入ってくるようにめんどうを見てやるとか、そういうことも大事な仕事ではないかと思います。
#137
○須藤五郎君 そういう政府答弁は、私たちは、もうここらで聞きあきるほど聞いておるわけですね。そういう答弁をなすってからもう何年間もたってきている。しかし、一向に物価は下がらぬ、ますます物価は上がっていく、公害もどんどんと出てくる。だから私は、もうこの辺で政府当局は、物価対策には処置なしだ、お手あげでございます、だから引き下がりますと、こう出たほうが国民は納得するのではないかと思うのですが、どうでしょうか。中曽根さん、どうも田中内閣には物価問題の手はなさそうですね。
#138
○国務大臣(中曽根康弘君) 国民が信頼するようなかわり手が出たらいつでも引き下がりますが、目下、出ないようであります。
#139
○須藤五郎君 出そうになると選挙法改正を考えてみたり、何とかして、このいすにしがみついていこうというのがいまの自民党、田中内閣の姿勢じゃないですか、そうでしょう。これは中曽根さん、幾ら言ってもだめだ。それはあんたの負けですよ。いつまでもこういう論議をしておってもいけませんから、私は最後に意見を申しましょう。
 こういうふうに、私の以上述べましたような実態をそのままにしておいてこの法律を動かすならば、小売り業界における大資本の流通支配が加速度的に強まって、市場が大規模小売り業者に席巻され、中小小売り業者は大きな打撃をこうむる、消費者は独占的な価格によりましてますます苦しい生活を余儀なくされることになる。政府は、この法律を撤回して、実効のある措置をとるべきだと私は考えておりますが、どうかということを最後に意見として申し述べまして、私の質問を終わることにいたします。
#140
○国務大臣(中曽根康弘君) 本法案を提出いたしました一つの意味は、須藤委員が御主張なさいますような物価を引き下げ、消費者に奉仕するという点でもございます。いろいろ各委員の御意見を拝聴さしていただきましたが、非常に適切であると思われる御意見も多々ありました。それらの御意見を参考にいたしまして、私たちも施策に遺憾なきを期してまいりたいと思います。
#141
○委員長(佐田一郎君) これにて午後二時まで休憩いたします。
   午後一時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時六分開会
#142
○委員長(佐田一郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 この際、おはかりいたします。工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、先般、公害対策及び環境保全特別委員会からの連合審査会開会の申し入れを受諾しておりますが、このたび委員長間で協議いたしました結果、連合審査会は都合により開会をしないことにいたしました。それに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#143
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#144
○委員長(佐田一郎君) 本院議員塩出啓典君ほか一名発議にかかる海水淡水化法案を議題といたします。
 発議者より趣旨説明を聴取いたします。塩出君。
#145
○委員以外の議員(塩出啓典君) ただいま議題となりました海水淡水化法案につきまして、その提案理由並びに要旨を御説明申し上げます。
 最近における産業活動の拡大、国民生活の高度化等を反映して、水の需要は増大の一途をたどっており、産業活動が集中し、かつ人口が極度に密集している大都市地域では、水需要の増加は年率一〇%を上回るほどであります。ことに、工業集積が極限の状態に達している京浜、中京、阪神及び北九州の四大工業地帯では、水需給の逼迫は近い将来現実の問題となることは明らかであります。
 全国的な規模で水需給の逼迫が現実化するのは、昭和五十年代の半ばころからであり、建設省が昭和四十六年四月に発表した広域利水調査第一次報告書によれば、昭和六十年において、全国で年間五十五億立メートルの水不足が生じ、中でも京浜京葉地域では、年間二十一億立メートル、京阪神地域では年間十九億立メートルの水不足が生ずると言われております。この予測はやや低く見積ったもので、これを上回ることも十分考えられます。なお、すでに離島等の一部地域では、水不足は現実の事態となっております。したがいまして、この水不足問題に対して、有効な対策を講じないならば、産業活動及び国民生活の維持に重大な支障を来たすことは必至であります。
 現在、各種用水の供給は、その大半を河川水に依存しておりますが、河川利用率の増大等から、その利用も限界に近づいており、また、今後のダム建設に著しいコスト上昇が予想されることを考えた場合、新たに河川以外に水の安定的かつ低廉な供給源の確保をはかることがますます差し迫った国民的な課題となってきております。
 今日、新たな水の供給源として、最も現実的かつ有効なものとして期待されているのは、海水淡水化であり、もし海水から多量の、しかも低廉な水が安定的に供給されれば、水不足は一挙にして解決されることになるし、現在の技術水準から見て、それは実現可能なことであります。したがいまして、国は、積極的に海水淡水化技術の研究、開発を推進する必要があります。また同時に、コスト軽減に役立つ火力並びに原子力発電所から安価なスチームを得る等の問題について、早急に対策を講ずる必要があります。
 現在わが国では、工業技術院が主体となって、昭和四十四年度から七カ年計画で、五十億円の予算で、日産百万トン、トン当たりコスト三十円程度の大型淡水化プラントの研究、開発が行なわれております。
 欧米先進諸国においては、海水淡水化プラントの研究、開発は早くから着手されており、米国では一九五〇年の初めから政府が中心となって研究、開発を行ない、現在までに五百億円をこす資金を投じ、日産十九万トンの海水淡水化プラントの部分試作を行なうほどになっております。また、英、西独も同様に大型プラントの研究、開発を急速に進めています。
 しかるに、わが国の研究、開発はプラントの部分試作を行なうまでにも至らず、欧米先進諸国にかなりおくれをとっており、現在のこの研究、開発のテンポでは、水需給の逼迫が現実化する五十年代の中ごろにおける実用化はとうてい期待できません。
 したがいまして、わが国としては、海水淡水化プラントの研究、開発について、現在の開発体制を拡充、強化するとともに、これを国の重要施策として一そう推進していく必要があります。
 本法律案は、こうした最近における海水淡水化プラントの研究、開発の重要性、緊急性、さらには開発体制の立ちおくれ等にかんがみ、海水淡水化プラントの研究、開発等を行なう機構を設け、海水淡水化の実用化を促進しようとするものであります。
 次に本法律案の内容につきまして、主要な点を御説明申し上げます。
 第一に、この法律は、海水淡水化技術の開発及び海水淡水化施設の設置等を促進することによって、上水道用水並びに工業用水の安定供給を確保することを目的とするものであります。
 第二に、内閣総理大臣は、海水淡水化振興のための基本計画を策定することであります。
 第三は、総理府に海水淡水化審議会を置くことであります。
 審議会は、会長及び委員十五名から構成され、基本計画の策定、関係機関等との調整等をその所掌事務とするものであります。
 第四は、海水淡水化促進事業団を設置することであります。
 事業団は、海水淡水化に必要な技術の開発及び施設の設置等を行なうことを目的とするものであり、業務としては、海水淡水化に必要な技術の研究及び開発、海水淡水化施設の設置及び譲渡並びに設備の維持及び水道事業者への供給等を主たる業務とするものであります。なお、事業団は、通商産業大臣及び厚生大臣の監督のもとに置かれることになっております。
 以上、この法律案の提案理由並びにその内容を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#146
○委員長(佐田一郎君) 本案につきましては、本日は以上の趣旨説明にとどめます。
    ―――――――――――――
#147
○委員長(佐田一郎君) 次に、工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#148
○須藤五郎君 今回、工場立地法改正案が提出されましたが、その目的の項に、「国民の福祉の向上」などということが新しく入ってはいるものの、改正案の内容である立地における工場緑化や重度汚染規制などによって、はたして、従来地域社会の生活に破壊的役割りを果たしてきた大企業本位の工業開発が地域住民に福祉をもたらすものに変わるのであろうかどうかという点です。すでに衆議院でも、この法律上の問題点が審議され、明らかになってはおりますが、さらに掘り下げて質問をしたいと思います。
 まず第一は、産業公害事前調査について質問いたしたいと思いますが、これまでにも過去何回も事前調査が行なわれているにもかかわらず、鹿島や水島などに公害が発生してきており、その原因は、環境基準そのものが甘かったせいだと説明されておりますが、ことしの五月に、たしか環境基準はきびしくなったようでございますが、これによってもう公害は発生しなくなるというように保証されると考えてよろしいのでしょうか、どうでしょうか、その点まず質問いたしたいと思います。
#149
○政府委員(林信太郎君) お答え申し上げます。
 産業公害事前調査は四十年以降から実施いたしておりまして、現在までに約五十カ地域について実行してまいっております。この調査は、急速に工業化が進む新産業都市あるいは工業整備特別地域、あるいは大規模工業開発基地などの新規で大規模な工業地帯、あるいは新規埋め立て予定地域等を中心にいたしまして、これらの地域における工場の新増設計画を集団としてとらえまして、各種の汚染予測手法を用いまして、これらの工場群から発生する可能性のございます公害を予測いたしますとともに、これらの科学的な予測結果をもとにいたしまして、工場群に対して工場のレイアウトの改善や設備の改善、あるいは処理施設の設置、あるいは使用いたします原燃料の転換等、広範な指導を行ない、工業開発に伴う産業公害の発生を未然に防止するということを目的として行なってきたものでございます。
 手法といたしましては、現地調査、それから汚染予測、それから企業指導というふうな形をとってまいっておるわけでございます。内容といたしましては、従来環境の問題になっております大気と水質、この二つに分かれて実施してまいっております。
 特にこういった事前調査をやりながら、公害問題がなお生じているではないかという御指摘でございますが、私どもは、この実施後の工場立地につきまして検討いたしてまいっております。その後の工場の立地の状況の進展のしかたがまちまちでございます。したがいまして、一がいには断定的に申し上げられないわけでございますが、通産省といたしまして、これら調査の対象にいたしました地域の汚染状況を環境基準の範囲内に押えるように指導してまいっております。一応の成果はあがったというふうに考えておるわけでございます。にもかかわりませず、ただいま須藤先生から御指摘がございましたように、対象にいたしました地域の周辺にぜんそく病患者発生問題など、なお公害問題が深刻になっておるではないかということでございますが、そういった事柄は事実そのとおりでございます。
 これらの原因でございますが、ただいま須藤先生から御指摘がございましたように、一つは、私どもが事前調査を行ない、企業指導いたします大前提になっております環境基準そのものが、残念ながら、人の健康を保護するというたてまえで必ずしも十分な目標値ではなかったという点が、一つの反省として政府共通の問題になっており、かかる観点から、去る五月、二酸化硫黄にかかります環境基準が改定されたわけでございます。新たに設けられました、この強化されました二酸化硫黄の基準、あるいは最近新たに設定を見ました二酸化窒素等に関します環境基準は、いずれも国際的に見ますときわめてきびしいものでございます。
 ちなみに、SO2で申し上げますと、一時間値、今回日本は〇・一PPMになっておりますが、アメリカの場合は〇・一七PPMというふうに聞いております。これは申すまでもなく、人の健康の保護に万全を期するという観点から、環境庁を中心にして強化されました環境基準でございます。したがいまして、私どもはこういった新しく強化されました、あるいは拡充されました環境基準を前提にいたしまして、今後の産業公害事前調査を的確に実施してまいる予定にいたしておりますし、なお、予算面あるいは調査の精度の面、あるいは手法の面等でいろいろ経験も積んでおりますので、十分公害を起こさないような結果を保証することができるかと考えております。
#150
○須藤五郎君 まあ、煙突に例をとるならば、一本の煙突から出る基準はこうだという基準をきめても、その煙突が百本集まれば、環境はその基準の百倍汚染されてしまうわけで、私たちは公害基本法のときにもすでにもう、まず環境基準を厳密にしていかなきゃならぬ、厳重に規制するようにしていかなきゃならないということはずっと申し上げてきたわけなんです。今回、五月に環境基準をきびしくしたということでございますが、これでもう今後は被害は発生しないというような御見解なのか、今後もしもこういう規制をしてもなお被害が起こった場合は、そこ責任はどこに帰するのかという点ですね。
#151
○政府委員(林信太郎君) いまの先生の御質問の前段のほうでございますが、環境基準そのものが的確かどうかという点が第一ではなかろうかと思います。環境基準そのものは、環境庁が中心になりまして、中央公害審議会でそれぞれの一級の専門の先生方の御意見をもとにしてきめられたものでございます。私ども通産省といたしまして、工場が集団で立地いたします場合に、その地域として許容されます汚染の許容量総体、それがこの環境基準内に十分おさまり得るというふうな観点で産業公害事前調査を実施いたしております。その際には、厨房用あるいは中小企業用、あるいは自動車などの移動発生源から起こり得るものも含めまして、その地域としてどの程度の汚染が進行するであろうか、それがただいま須藤先生から御指摘の、この強化されました環境基準の中におさまるかどうかという、そういう形でしわを、立地いたします工場群の排出汚染物質の総量規制という形でやっておりますので、環境基準及びそれにリンクして運営されております排出基準を的確に実行してまいるという体制が、本法によりまして整うわけでございますので、強化されました環境基準及びそれにリンクいたしました排出基準をもととして、十分今後、公害を起こさないための万全の措置が整うというふうに考えております。
#152
○須藤五郎君 そうすると、今度政府が環境基準をきびしくしたが、これが守られていくならば、今後絶対被害は起こらないと、こういうふうに政府は考えていらっしゃるのか。要するに、その点を私ははっきりしておいていただきたい。被害が発生しないというふうに保証されるのかどうかという点ですね、どういうふうに言ったらいいんですか。
#153
○政府委員(林信太郎君) お答え申し上げます。
 環境基準及びこれにリンクいたしました排出基準につきまして、工場が的確にそれを守っていくという面につきましては、私ども通産省といたしまして責任を負って、本法の施行をてこといたしまして十分担保できると確信いたしております。
 現実の公害問題ということになりますと、企業がそれを守らなかったり、あるいはミスがあったりというふうな、この工場立地法のワク外のいろいろな現象もあるわけでございますので、その辺の事柄につきましては、本法は対象外といたしておりますので、そこまで私ども担保できるかということにつきましては、かぶとを脱がざるを得ないかと思っております。少なくとも、工場が新規地域に集団で立地いたしますその立地いたしました企業が、環境基準及び排出基準を的確に守っていくということにつきましては、万全の措置がこれでとられるものと確信いたしております。
#154
○須藤五郎君 それでは、その工場が今度の環境基準を守っていく、守っていきながらなお被害が出た場合は、それは責任は政府にあると、こういうことですか。
#155
○政府委員(林信太郎君) 企業に、本法によりまして守るべき準則を守らなかった場合に勧告、あるいは勧告を守らなければ処罰を含みます命令と、こういう形になっております。したがいまして、守らなかった場合に、その責任が企業にある場合には、企業に対する処罰と責任を問うという形で運用されるかと思います。同時に、そういう企業が出たということに対しまして、監督官庁としての監督上の責任は当然私どもにあると考えております。
#156
○須藤五郎君 くどいようですが、こことはっきりしておく必要があると思うのですがね。要するに、企業がこの基準を守っておってなお被害が出た場合は、政府の責任なのかという点ですね。それと、この基準を企業が守らなかった場合は、これは当然企業の責任としてそれが処罰されなければならぬと、こういうふうに私は考えるんですが、その前者のほうですね、企業が守らなければもちろん企業は処罰されなければならぬ。しかし、守っておってなおいろいろな面で被害が出た場合は、この責任はどこに帰するのかという点ですね。
#157
○政府委員(林信太郎君) お答え申し上げます。
 定められましたこの環境基準及びそれにリンクしております排出基準を企業が守っておりまして、なおかつ、御指摘のような著しい公害が発生するというふうな場合の責任の所在の問題でございますが、実はこの四日市裁判の例を見ますと、各個々の企業は排出基準を守っております、にもかかわわりませず、地域総体としては、御案内のようなこのぜんそく患者の多発というような事態になっております。その反省は、要するに、個々の企業からの排出基準だけでは、その地域全体としてこの公害を未然に防止するということの担保には必ずしもならないということで、したがいまして、的確な環境基準が定められ、かつそれに的確にリンクした形で排出基準がきめられておりますれば、企業がその排出基準を的確に守っていき、かっ、私どもがここで取り上げております産業公害事前調査、工場立地事前調査を十分徹底してまいりますれば、そういう事態にはまずならないのではなかろうかと考えております。
 ただ、先ほど須藤先生が御指摘になられましたように、SO2の基準一つとってみましても、ついこの五月までは、一時間値でございますが、〇・二PPMでいいとされておりました。それがいろいろな経験がもとになり、御検討の〇・一PPMが適当だというふうに変わってまいりました。こういった変わりました新しい基準からどうかということになりますと、おのずからまた別の問題になろうかと思います。で、実質的に申し上げますれば、そういった環境基準が変わる、あるいは排出基準が変わるということにつきましては、個々の企業に直接的な責任があるとは言えないのではなかろうか、むしろ、この環境基準及びそれにリンクする排出基準を的確にきめ得なかった政府サイドの責任ということになろうかと思います。
 なお、本問題につきましては、主管課が環境庁でございまして、環境庁からも担当者が参っておりますので……。
#158
○須藤五郎君 それじゃ環境庁、来ているならばついでに答えてください。
#159
○説明員(石田齋君) お答え申し上げます。
 環境基準につきましては、先生御案内のとおり、今年五月に二酸化硫黄につきましては改定をしました。それから、二酸化窒素につきましては新たに設定したわけでございます。従来の環境基準につきましては、昭和四十四年に設定されたわけでございますが、その環境基準設定時におきまして、科学的な知見をともにいたしまして設定されたわけでございます。その後、この旧環境基準につきまして、これが守られておる地域につきましても、呼吸器疾患病者が出てまいります。そういった事例が出てまいりましたので、一昨年、昨年以来この古い環境基準を改定すべく、現時点におきます科学的な知見、これが四十四年から数年たっておりますので、かなりいろいろわかってまいります、また力学的な調査も進んでまいりましたので、その調査あるいは力学的な結果を踏まえまして、現時点におきます科学的知見に基づいて、きびしい環境基準をきめたわけでございます。
 以上が新しい環境基準の設定の経緯でございまして、これにつきまして、最近、四十七年度の全国各地の大気汚染状況を調査いたしましたところ、一部を除きまして、全国的に古い環境基準には達成しておるわけでございます。これは四十四年以来硫黄酸化物につきましては、数次にわたります排出基準の改定、評価を行なってまいりました結果、こういうことになったと思いますが、また五月に新しいきびしい環境基準が設定されましたので、これにつきまして、また年々排出基準の強化を、この環境基準維持達成という目標を持ちまして、今後とも排出基準の強化、改定を行ないたい、こう考えております。
#160
○須藤五郎君 環境基準が幾らきびしく設定されておりましても、私たちの党が公害法の改正案で指摘しているように、排出基準と環境基準がリンクしてないという面があると思うんですね。そのために、個々の工場が排出基準を守っておりましても、全体としまして環境基準をオーバーすることはこれまで幾らでもあったわけです。また、それが放置されてきておったわけですね。これには政府自身が、七月三日の公害対策会議で新基本方針により部分的に認めざる直得なかったように、総排出量規制を全国で実施するようにしなければならないと、こう私たちは思うんですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
#161
○説明員(石田齋君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、従来の、たとえば硫黄酸化物の排出規制につきまして、これは施設ごとの排出基準ということでございます。こういったもので、その地域におきます施設がふえれば、これは個々の排出基準を守っておっても汚染は進行すると、そういう矛盾がございます。これにつきましては、公害発生源に対する現行の規制、これがかなり不備であるということでございますので、今後排出規制の強化の一環といたしまして、総量規制方式採用ということをできるだけ早く導入してまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
 しかし、この総量規制の導入でございますが、この地域の範囲の設定とか、あるいは地域の許容総排出総量と申しますか、地域におきまして許されるべき総量、これの設定に関する問題あるいは個別の発生源に対します排出限度の割り当ての方法、あるいは監視測定の方法、こういったいろいろ技術的な問題が残されておりますので、これの解明をいま急いでおるところでございます。
#162
○須藤五郎君 そうすると、今日の段階では、まだ政府がきめた環境基準は守られても、われわれの希望するような条件にはならないということを、政府自身も認めておられるということになるわけでございますが、あなたの話によってくると。その間に被害が出た場合は、一体だれが責任を持つのだということになるんですか。そうすると政府が持つということですね、どうなんですか、そこは。だれが責任を持って、被害の責任はどこに帰するんだということをはっきりしておかないと、その場合になって、また責任のなすり合いになるようなことになってしまって、被害を受けた者は迷惑をしなきゃならぬということなので、その点をはっきりしておきたいと思いますね。
#163
○政府委員(林信太郎君) 公害発生にかかわりまする責任の所在問題でございますが、整理して申し上げますと、企業は、公害によります健康被害に関しましては、無過失賠償責任を負うことになっております。これは行為者としての責任でございまするので、政府の環境基準なり排出基準のきめ方の適否にかかわらず、行為者としての責任が残るわけでございます。したがいまして、四日市裁判のように、排出基準につきまして各企業が的確に守っておりましても、ああいった判決になるわけでございます。しかし、いま環境庁のほうからお話がございましたように、環境基準を設定いたします際には、人の健康生活、人の生活の安全ということを基準にしてきめられるわけでございますので、それを基礎にし、かつ、あるいはそれを基礎にいたしました排出基準を守っておる限り、一般的には被害が出ないはずだと考えております。もし、いま御指摘のように、にもかかわりませず、公害被害が出た場合の責任でございますが、だいじょうぶだということできめました環境基準、あるいは排出基準のきめ方について、政府が甘かったという責めは免れないかと考えております。
#164
○須藤五郎君 だから、その場合は政府が責任を持つと、こういうことなんですね。しかし、国民が望んでいることは、そういう被害が起こった場合、政府が責任とろうと企業が責任とろうと、そんなことは第二の問題ですね、被害を起こさないようにしてもらいたいというのが、これが国民の願いなんです。だから、被害が出た場合はどうのこうのということを予測してものをきめるのじゃなしに、絶対被害が起こらぬということを前提にして環境基準なり排出基準をきめていってもらいたいと私は思うんです。それが第一。
 それで、その被害をなくすためには環境基準だけではいけないので、総排出量の規制を全国的に実施する必要があるというのが私たちの意見なんですね。ところが、環境庁の御答弁によりますと、まだそれはできていないということなんですね。その総排出量の規制が、何で、どうしてできないのかという点をひとつ環境庁に伺っておきたいと思います。
#165
○説明員(石田齋君) お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、施設ごとの排出基準ということでは不十分であるということはわれわれも考えております。したがいまして、総量規制という考え方を導入すべく、現在、先ほど申しましたようないろいろな問題点を詰めつつあるわけでございまして、この問題点等が解明できますれば、可及的すみやかに地域排出総量規制と申しますか、総量規制方式を導入してまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
#166
○須藤五郎君 できなかった理由は何ですか、そこを私は伺っているわけです。
#167
○説明員(石田齋君) 先ほども申し上げましたように、ある地域の汚染状態、この地域に工場あるいは家庭、あるいはビル等が配置されておるわけでございますので、この地域の中でどういった環境容量と申しますか、環境基準以下に常にレベルを保つというようなことでこの環境容量というのが出てまいるわけでございますが、この環境容量の算定の方法、あるいはその中で、工場等から出てまいります地域は、どういう量以下で押えればその環境基準に達成し得るかどうかといったいろいろな技術的な問題がまだ解明されておりませんので、現在それを解明中ということでございます。
#168
○須藤五郎君 総排出量規制ができなかった真の理由は、そういうふうな技術的な問題よりも、むしろ大企業の利益を代表する自民党政府が、公害発生源である大企業の規制を根本的にとれなかったということではなかったでしょうか、どうでしょうか。アメリカなどですら、もうこれ以上の環境悪化を許さないという線を打ち出しておるわけですね。これは御存じのとおりです。三日に打ち出された政府の新基本方針などは、おそきに失しておると私は思います。私たちはもっともっと以前からその点を主張しておったわけです。私たちの党が提出しておりますところの公害関係法改正案を直ちに実施に移すべきであると、私たちはそういうふうに確信しておりますが、政府当局はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。中曽根通産大臣は、どういうふうに政府当局としてお考えになっていらっしゃいますか。
#169
○国務大臣(中曽根康弘君) 何しろ公害問題というものは、発生いたしましてまだ日がそう多くない、いま原因の究明等に力を入れておるということで、科学的な解明もできておりません。したがいまして、実験のデータ、いわゆる証明された安全率というようなものは微々たる情勢で、これは日本のみならず世界的にそういう現象でございます。それから、これに対する防除技術の開発もまだまだ十分でございません。ですから、公害問題という問題は人類が取り組んでまだ日が浅い、これから解明すべき、また対策を講ずべき幾多の問題がある過渡期のように私らは思うのであります。しかし、その中にあってもできるだけ規制を厳重にしながら、日本のように特に公害の惨害のはなはだしい国にあっては人ごとでなく、人の国以上に実は規制を強めつつ、急速に公害禍から脱却しようと努力をしておるところでございます。基本方針はそういう方針を持ちまして、その中でできるだけ科学性を持った準拠をつくって、そして安心をしていけるような体制をつくるのが今日の政府の仕事であるだろうと思います。
 総量規制というような問題も望ましいことでありますけれども、いろいろ科学的に解明すべき問題点がまだありますので、まことに遺憾ではございますけれども、今日まだ行なえない状態でございますが、いずれはそういう根拠を確実にきめまして、総量規制の方向に進むべき問題であると考えます。
#170
○須藤五郎君 公害問題は最近起こった問題でというようなことでこれは、私はのがれることのできない問題だと思うのです。特に、これまで公害問題に対して手を打っていなかった政府は、やはり責任をもって一日も早くこの公害問題を解決しなければいかぬ。そのためにはそうしたらいいか。行き過ぎと言われてもいいぐらいのきびしい規制をとっていくことこそが、私はこの公害問題に取り組む姿勢だと思っておるのです。そのためには、いわゆる大企業の公害発生源でこの問題を規制していく以外にないと私は思うわけですね。
 ところが、そういう点になりますと非常に政府のやり方は手ぬるい。要するに、公害問題何一つ検討も研究もしない前に、生産第一主義でどんどん物をつくって、どんどん石炭をたいて電気をおこす、石油をたく、そういうことの結果こういうことになってきたので、ほんとうに国民の健康第一主義をとるならば、まず発電所から、石炭をどれだけたく、重油をどれだけたく、そうしたらこうこうのCOや硫黄分が出るのじゃないかということを研究して、その問題を解明して、そうして、それをちゃんと出ないように処置をして、それから電気をおこすというのが私はほんとうのやり方だと思うのですね。これこそが国民の健康を第一義的に考えた生産手段じゃないかと、私はそういうように考える。
 ところが、これまでの政府はそういうことは念頭にない。とにかくつくれつくれでどんどん石油をたき、石炭をたいて、そうして公害が一ぱいもう日本じゅうをおおってしまう。それで、これからだ、問題になったのは日が浅いから十分なことはできない、そういうことでは公害問題は解決しないと私は思うのです。だからいまとる措置は、この公害を一日も早くなくすという措置でしょう。かりに、極端なことばになりますけれども、ある発電所を建てなくてもその地域に公害を出さぬということをまず第一に考えること、それでも発電所を建てるならば、公害を出さないという研究をちゃんとして、その措置をしてからやるべきことであって、それをほっといて発電所を建てる、建てるということだけでは問題は解決していかない。何だか政府のやり方は前後が矛盾しておるようなことだと私は思うのです。だから、今日政府のとる態度は、最も厳重に規制をしていくということですね。そのためには、総合的な総排出量の規制をするということでこれに臨むのが第一だと、こういうふうに私は思っておるのですね。すると環境庁のほうでは、それは何か技術的な何かでできない、できないというようなことで逃げてしまわれるわけですがね、それではこの公害問題は解決しませんよ。通産省としても環境庁としても、その点よく考えてもらわなきゃならぬと思うのですがね。どうですか、私の言うことが無理ですか、環境庁として、通産省として。
#171
○政府委員(林信太郎君) 大臣から私どもが常に強い指示を受けておりますのは、無公害社会の建設を目ざして仕事をしろと、特に、企業に従来のような甘い姿勢は厳に慎んで厳正に行政あるいは法規を指導しろと、そういうふうに指示を受けております。公害に対します姿勢は、ただいまの大臣の答弁にもございましたように、かつ、いま須藤先生からも御指摘がありましたように、のがれられない問題であるということにつきまして全く同感でございます。行き過ぎるくらいに厳正に扱っていけという点につきましても、私ども全く同じ心づもりでやっております。
 工場立地にあたりまして最も基本的なことは、この発生源を立地段階においてつかまえて、生産第一主義に流れないようにすべきであるというお考えは、全くそのとおりでございまして、実は、四十年から実施しております産業公害総合事前調査は、そういう趣旨から行なってきたものでございます。立地段階におきまして、すでに各予定されております企業がどういう種類の汚染物質をどの程度出すかということを調査もいたします。かつ、それが海峡だとか、気象だとか、地形等々、いろんな自然、あるいは社会条件に従いましてどういうふうに拡散するか、それがその地域で融合してまいります着地地点におきます最高濃度がどのくらいになるかということまで、科学的にコンピューターを使いまして調査をしてまいります。その結果、当該地域として許容されます汚染量総体を上回らないように、各企業に汚染物質の排出の削減、及びその削減に必要な措置を指導してまいっておるわけでございます。したがいまして、御指摘のように、生産第一主義で従来やっておるということでございませんので、公害をなくするという見地で一貫してやってきております。
 なお、総量規制を的確に実施するために、環境庁のほうでも目下鋭意検討中でございます。私どものほうもそれと一体になって検討しております。総量規制そのものにつきましての考え方は、ただいま大臣答弁にもございましたように、あるいは須藤先生御指摘のように、望ましい、急ぐべき手法でございます。ただ、いかなる物質を対象にするか、あるいは総量をどういう形で配分するかとか、あるいは測定をどうするか、あるいは民間用移動発生源等のアローアンスをどうするかということになりますと初めてのことでございますので、なかなか環境庁のほうといたしましては、制度として公式に確定することが困難なようでございます。
 他方で、御案内のように四日市のような例がございますので、ああいった形での工場の集団立地を避けなければならないということも、私どもに課せられた重要な要請でございます。したがいまして、産業公害事前総合調査によりまして、ただいま御説明を申し上げましたような観点で総量規制の考え方を取り入れて、工場立地段階におきます公害防止の措置を従来講じておりますし、本法が施行になりますと、これによりまして、一そう的確に実施してまいりたいというふうに考えております。
#172
○須藤五郎君 私のほうの党で検討して、苦心の結果つくった公害関係諸法抜本改正案という問題ですね、提出しました。これを環境庁の方も通産省の方もお読みくださったでしょうか、どうでしょうか。
#173
○政府委員(林信太郎君) 私は、不勉強ではなはだ申しわけございませんが、読んでおりませんが、公害防止指導課長が、二カ月前くらいの党の案は読んだと言っております。
#174
○須藤五郎君 二、三日前に読まれたのじゃ、それはどろなわ式で、私の質問に対する答弁のために読んだというふうにすぎなくなると思うんですね。そうではなく、これは私は検討してもらいたいと思う。もしもわれわれの書いているこれが間違いがあるなら指摘してもらいたい。そうでなく、われわれの言うことが正しければそれを実行してもらいたい。これがありますか、なければ環境庁と通産省に御贈呈いたしますから、これを大いに検討して勉強してもらいたいと思うんですね。
 ここには一つこういうことがあるのですが、「日本では低平地面積当たり固定資本額でアメリカの二十三倍、同面積当たりエネルギー消費量でアメリカの八倍、同面積当たり自動車台数でアメリカの八倍であり、また全世界面積の〇・二七パーセントの国土に世界の鉄鋼生産、石油化学生産のそれぞれ一七パーセントを集中している。」、これは私のほうで計算して、ちゃんと確信を持っておる数字です。こういう状態を見ましたら、いかに日本のこの狭い国土にどれだけの資産が投入されて、資産が投入されるということは、どれだけ生産がなされているということに通ずるわけです。生産がそれほどひどくなされておるということは、いかに公害があふれているかということに通ずると私は思うのですね。
 それならば、世界各国のどの国よりもきびしい公害規制をしていくことが、私は日本の政府の義務だと思う、そうでしょう。それでなかったらこんな状態は救えないのじゃないですか。どこに行っても、日本の空のような汚れた空は見られません、飛行機で飛んでも。そういう日本をどうしていくかということが政治家の任務じゃないですか。それならば、今度のこういうやり方で問題は解決しないと思っているのです。
 今度五月に皆さんが苦労してつくった環境基準ですね。これでも絶対日本の環境はよくならぬと、こういうふうに私は思うのです。それでは困る。それじゃどうしたらいいか、もっときびしく規制して、公害発生源でこれを食いとめて、そうして日本の空をきれいに、日本の水をきれいにしてもらいたい、これが私たちの願い、それが日本の国民の願いだと思うんですよ。この点よく通産省も環境庁も腹に入れておいて問題をやっていただきたい。何だか聞いていると、すこぶる自信のないようなことで、こんなことでこの日本じゅうにはびこった公害をなくするということは容易なことではない、とてもできることではないと私たちは思います。特にこの点は強調しておきたいと思います。皆さん方の決意をこの際伺っておきたいと思います。大臣の決意からまず伺いましょう。
#175
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど局長が申し上げましたように、無公害社会の建設ということを通産省は仕事の最大重要政策の一つに取り上げまして、省をあげて各方面からその達成につとめておるところでございます。今回提案いたしました工場立地法も、そういう精神が盛られておるところでございまして、これだけでなくして、日ごろの工場の規制につきましても、通産局等を動員してやっているところでございます。もとより、まだ不十分な点はよく存じておりますが、環境庁とも連絡をとりまして、そういうような規制の強化については、会社側の準備を督促いたしまして、できるだけ早目にしていくように努力してまいりたいと思っております。
#176
○政府委員(林信太郎君) ただいま大臣の答弁どおり、私どもも厳正に公害と取り組んでまいりたいと考えております。
 補足的でございますけれども、ただいま先生から数字をあげて御指摘のございました、いわゆる日本の経済社会の高密度性、これは国土が狭いといった上に、もう一つ累加された現象でございます。したがいまして、外国よりもきびしい排出規制、あるいは公害の対策を実行しろというようなことは仰せのとおりでございます。そういった特殊事情も十分考慮して、厳正に無公害社会を目ざして行政に携わっていきたいと考えております。
#177
○説明員(石田齋君) 今年五月に、きびしい環境基準が設定されたわけでございますので、これを達成すべく環境庁といたしましても、排出規制、総量規制の導入等を十分早急にはかってまいりたいと、こう考えております。
#178
○須藤五郎君 時間が迫ってまいりますから、次の質問に移りますが、外国ではこういうことを言っておるんですよ。皆さんの耳にも入っておると思うんですが、日本は狭いところでいろいろのものをたくさんつくって、そうして物を安くわれわれに売ってくれる、それで公害を出して国民は困っている、われわれは公害に苦しまなくて、日本でつくった安いものを買えばそれで済むのだ、こういうことを外国では言っているということを私は聞きましたよ。ということは、日本が何だかばかにされて笑われているような感じがするんですね。だから、そういうことのないように、やはり日本の国民総体を考えて、一部の企業の利潤を上げることのみならず、一般国民の健康第一ということを考えてやっていただきたい、こういうふうに私はお願いしておきますよ。
 それから、次の質問に移りますが、工場立地調査簿には事業者の秘密に属する事項を記載してはならないとありますが、製造過程でどういう有害物質が出るかということは、公害対策上欠かせないことであり、無責任な大企業の公害たれ流しを取り締まるためには、わが党が提案しております公選制の公害対策委員会など、住民代表の企業への立ち入り権を認める必要がある。その際は、ノーハウなどに触れるようなことでも公害に関係がある限り、少なくとも立ち入り検査を拒むべきでない。公害問題においては住民が原告であり、大企業は被告であります。企業の秘密を理由に責任追及を回避するようなことは許されません。政府が知り得た事業者の秘密に属する事項であっても、公害に関する限り住民に報告すべきではないかと思います。住民には、大企業公害発生の原因を知り、責任を追及する権利があるはずだと思いますが、政府はどういうふうにお考えになっておりますか。
#179
○政府委員(林信太郎君) 第三条二項の秘密保持の規定でございますが、立地調査簿に秘密の事項を記載してはならないという規定を置いておりますが、この理由は、その前項に調査簿を「閲覧に供するもの」といたしておりまして、行政庁に制度として公表することを義務づけているわけでございまして、こういう措置に対応いたしまして、この行政庁に対する公表義務の規定が、企業の秘密にわたる事項まで記載し、公表することを許す趣旨ではないということを明らかにしたものでございまして、同種の規定は他の法律にも見られるところでございます。
 問題は、公害に関します企業秘密ということでございますが、法律上保護の対象となるものは、企業の生産方法その他技術に関する秘密など、社会的あるいは経済的に価値を有するものでなければならないと考えております。したがいまして、公害防止に関します調査の結果として企業秘密が含まれないと考えております。で、かりに企業秘密に当たるものがあるといたしまして、それはたとえば国際契約上技術導入をいたしまして、それに秘密保持義務があるような工業所有権あるいはノーハウといったような、ごく少数の事項に限定されるべきだと考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、この企業の製造活動から出てまいります汚染物質につきましては、必ず本法によりまして記載することになっておりますので、直接その製造方法のノーハウを知らない場合でも、企業から排出される段階で汚染物質の種類、量が明らかになってくる、それはこの三条の工場立地調査簿にも十分記載漏れのないように運用してまいりたいというふうに考えております。
 なおもう一点、須藤先生から御指摘の、住民に不安を与えないように本法を運営するという見地でございますが、工場が特定のある地域で立地いたします以上、付近住民に不安を与えないということは当然の大前提でございます。したがいまして、企業といたしましては最善の努力をして、地域住民に対する不安を与えないための措置を講ずべきかと考えております。本法ではそういう措置につきまして、届け出をいたします際に、都道府県知事を経由するというふうに定めておりますし、運用といたしまして、届け出を受理いたしました都道府県知事は関係の市町村に対しましてその概要を通知する、したがいまして、関係の府県なり市町村におきましては、届け出の概要が知り得る状態になり得るわけでございます。
 なお、準則への適否に関しまして勧告を出したりあるいは命令を出したりすることにつきまても、極力府県に委任して運用してまいりたいというふうに考えております。
#180
○須藤五郎君 簡単に答えてください。要するに、公害対策委員会など公選制による住民の代表をお認めになるのか、そうして企業への立ち入り権を認められるのかどうかという点を簡単に答えてください。
#181
○政府委員(林信太郎君) 現在の制度によりますと、知事あるいは市町村長が公選制の代表ということになっているというふうに理解しておりますので、府県知事あるいは自治体の長が審議会等のメンバーに参画を願う、あるいは、ただいま説明しましたような手続をとることによって十分意図が反映されるものと考えております。
#182
○須藤五郎君 その点は議論のあるところで、私はもっと議論したいのですが、やはり公選制の、一般の住民から選ばれた人たちが公害に対して監督するという立場に立たないと、ほんとうの成果はあがっていかないと私は考えております。そういうふうな方向で今後皆さんが検討をして、実現のために努力をしてもらいたいと要望しておきます。それでないと実際の実績はあがらないと、私はこういうふうに考えております。
 それともう一つは、私のほうの中島議員が、公害対策特別委員会でこういうことを提案しておるんですね。生産工程における物質の投入と産出、排出などを全体として明らかにする、いわゆる物質収支などの見積りなども企業に届けさせ、公表するべきではないか、こういう意見を私たちは持っておるんですが、それに対しては皆さんはどういう考えを持っていらっしゃいますか。
#183
○政府委員(林信太郎君) お答え申し上げます。
 有害物質を出さないということが公害対策の基本でございます。したがいまして、総量規制あるいは排出規制を強化する、あるいはそれを厳格に順守するというふうな形で、問題はまず第一義的に対応し得るかと考えておりますが、なお、念のためにそういった有害物質を扱います企業の手元におきまして、生産あるいは受け入れ、消費あるいは残高、あるいは滅失、あるいは廃棄物への転換といったような状況を把握しておくということは、同様の趣旨で大事なことかと考えております。したがいまして、ただいま須藤先生御指摘の公害対策特別委員会におきます御質問に対しまして、環境庁あるいは通産省等関係省庁が寄りまして、一致した形でお答え申し上げております点は、そういった物質についてとりあえず通産省関係が一等多うございますので、行政指導によりまして、一四半期ごとに企業から、ただいま申し上げました物質収支の報告を受け取る。なお、いかなる物質を対象にしていくかというふうな問題につきましては、ただいま問題になっております水銀、PCBが一等緊急な問題でございますので、これをやることについては一致いたしております。
 なお、このほうの調査の体制が整いますれば、追っかけてその他の健康物質につきましても、環境庁その他の省庁と相談いたしまして実行に移してまいりたいというふうに考えております。
 なお、これを的確に実行するために、法的な措置を検討すべきだという御主張もございまして、その辺は環境庁を中心に関係省庁が寄って相談いたしております。で、すでに劇物毒物法というような法律もございますし、あるいは、先般、当委員会でも御審議を願いました特定化学物質の審査及び製造に関する法律もございます。その他水質汚濁防止法あるいは大気汚染防止法といったような関係法令にも、こういう有害物質のことにつきましての規定がございますので、そういった既存の諸立法措置等も含めまして、的確に物質収支を把握する方法を検討してまいりたい。
 なお、企業段階だけでこの有害物質の収支を見るだけでは不十分だという事情もございます。有害なものはいろいろその先あるいはもとにつきましても、十分可能な限り監視をする必要があろうかということで、社会的な形における管理という問題がございまして、この問題もあわせて目下検討している段階でございます。
#184
○須藤五郎君 あなたの答弁、まことに御丁寧なんですが、少し御丁寧過ぎて言いわけが多過ぎるように思うのですよ。もう少し簡潔に私の尋ねたポイントにばさっとこうお答えを願わないと、時間がかかってしまって、私の質問時間よりも答弁時間が長くなってしまうようなことですから、その点考えて答弁してもらいたいと思うのですね。
 今回の工場立地法によって、工場の立地については、届け出制であって許可制にはなっていない。たとえば、政府自身が七月三日に打ち出した公害防止計画の新基本方針を実行する上でも、立地規制の強化には許可制を、市町村の同意を得て知事が許可するというようにしなければ、千葉や市原、四日市、水島など飽和状態に達している工場立地の新増設など拒むことができないのではないかという点、公害をこれ以上悪化させないためには、届け出さえすれば企業が自由に立地できるなどということはだめで、どうしても許可制にすべきであると思いますが、政府の見解はどうですか。簡単に答えてください。
#185
○政府委員(林信太郎君) お答え申し上げます。
 今回の法改正は、工場立地が周辺の生活環境に悪影響を及ぼすことにならないような基盤を整えるということをねらいにいたしております。従来のいわゆる誘導的な措置から、勧告及び体刑を含みます罰則つきの命令を発動することができるように、規制の強化を行なおうとするものでございます。このように今回の法改正は、工場の立地のあり方について規制強化を行なうものでありますが、次のような理由から許可制をとることが困難かと考えております。
 許可制をとるには、原則的に禁止、原則禁止という理由が明確な場合に限られ、かつ、法制的には特定の地域あるいは特定の施設という限定が付されるのが通常でございます。本法のねらいは、全国的に工場立地のたたずまいを直すということでございますので、許可制にはなじまないというふうに考えております。
 また、許可制をとることは実際上も一長一短がございまして、現在の大気汚染防止法等々、直罰規制を持っております法体系におきましても、公害関係施設は届け出制という形になっております。
#186
○須藤五郎君 それじゃ、許可制にしなくても届け出制で十分にやっていける、こういうことですか。こういう飽和状態に達している地域に工場を建てようというときには、どういうふうな処置をなさるのですか。
#187
○政府委員(林信太郎君) 本法律は、新規に集団で立地が予定されまする地域につきましての問題か主眼になっております。したがいまして、こういう地域につきましては、ただいまの勧告、命令という形で十分だと考えております。なお、既存の地域につきましては、これは別途の法律で、たとえば工業再配置促進法といったような別の形で推進してまいりたい。
 なお、既存の場合に新増設が行なわれるということになりますと、本法の適用を受けるということになっております。
#188
○須藤五郎君 この緑地問題なんでございますが、工場立地に伴う緑地の必要ということで第一に置くべきことは、遮断緑地であると思います。ところが、この改正案でいう緑地とは環境施設であって、それは周辺の地域の生活環境の保持に寄与するものという、抽象的、一般的な規定しかありません。また、予定されておる一五%から二〇%の緑地が、遮断緑地に必要な広さと密度を持つという保証は私は全くないと思いますが、この点は一体どういうふうに考えておるか。
 また、遮断緑地というのは、最低でも幅五百メートル以上必要であり、それを企業の責任において設置するという内容には、この改正案はなっておりません。この程度では、心理的な安心感をねらった緑の工場カムフラージュと言われてもしかたがあるまいと思います。しかも、現存の工場地帯の緑地設置については、この改正案では全く手が触れられておりません。それが実際どんなに必要かということが、この間の山口県の出光石油化学徳山工場のエチレンタンクの火災事故でも明らかになっております。あの場合でも、現場から三、四百メートルのところには住宅街が密集しており、五百メートル離れたところには国鉄山陽線櫛ケ浜駅があり、六百メートル離れたところには国道二号線、百八十八号線が通っております。現場から約二キロ離れた周南団地ですら、爆発の振動でガラスがびりびりとふるえたといわれているわけですね。このような危険な工場立地が全国に数多くあるのに、それらを放置して新しい立地のときのみ緑化するというのでは、さか立ちしておるといわれてもしかたがないと思います。現存の工場地帯の遮断地帯設置は緊急の重要事であり、災害が発生してからではおそいと思います。これについて政府はどのように責任をおとりになるつもりか。
 また、現在高圧ガス取締法で、石油コンビナートのような大規模プラントでも、民家からの距離が三十メートル離れていればよいと、こういうふうになっております。通産省が行政指導で五十メートル以上のグリーンベルトを設置するよう指導しているといいますが、こんな程度ではとてもだめだと思いますが、政府はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#189
○政府委員(林信太郎君) お答え申し上げます。
 緑地の準則の内容につきましては、審議会等の意見を聞きまして今後検討してまいりたいというふうに考えておりますが、現段階では、緑地面積比率を工場の敷地の二〇%程度というものを目途に検討いたしております。で、工場立地法では、敷地の約二〇%程度の緑地を、工場の周辺の土地の利用状況に応じまして重点的に配置することによって、相当な緑地幅を確保するたてまえにいたしております。これは現在の工場の緑地の状況から見ますと、画期的な前進になろうかと思っております。
 なお、付近周囲住民との安全を担保するための遮断帯につきましては、法律の立て方が高圧ガス取締法の領域になりまして、省令では二十メートル以上というふうな形になっております。現状は、ほとんどが百メートル以上あるいは数百メートルの距離にコンビナートの場合にはなっております。ただし、その場合でもなお十分でないという見地から、先般、暫定的な行政指導の方針といたしまして、新増設の場合には境界線から民家までの距離が二百メートル以上、それから既存のものにつきましては、施設と民家との距離が百五十メートル程度以上になるように指導してまいる方針を明らかにし、現在、その方針に従いまして指導しておる状況でございます。
#190
○須藤五郎君 これから工場を建てるところは不十分ながら――十分だと私は申しません。不十分ながらこういう距離なり緑地帯をつくるということになっておりますが、これまで既存の工場をこういう規制によってつくられていないと思うんですね。それを一体どういうふうに処理していこうということか、政府の考えを伺っておきます。
#191
○政府委員(林信太郎君) 既存工場につきましては、もし既存工場が新増設をいたします場合には、本法の適用を受けるという形になってきます。もしいじらなければ、ある意味で既得権のような形でございますので、本法をもって適用することができないというかっこうになります。ただし、既存工場の過密問題、別途重要問題でございますので、昨年協賛を得ました工場再配置促進法によりまして、目下過密しております地域から移転促進をいたしまして、過疎の地域に誘導してまいるという行政を鋭意進めている段階でございます。
#192
○須藤五郎君 これからの工場はこれで規制していくが、これまでのはやむを得ないということになれば、もう非常に危険な状態が全国的にあるということが私言えると思うんですよ。一例をあげますならば、愛媛県の松山市郊外の門樋というところに丸善の石油コンビナートがあるんです。そして、二十何戸という小さい部落ですけれども、そこに住民の部落が一つある。その片側には大きなコンビナート、製油工場があるわけです。こちらの道一つ隔ててそこには五万トンタンクという大きなタンクが三つ、四つあるわけですね。こういう危険な状態にそこの二十七戸の住民ははさまれておるわけですね。しかもここから出る油のために、魚の養殖をするために使っておった池が、油が流れ出て養殖もできなくなってしまった。
 こういう危険にさらされておるというので、住民が非常に問題にしまして、それで消防庁までこれは行きましたよ、東京に上京してきて。そして消防庁も、その事実を説明すると、これは消防法違反だということをはっきり言うのです。消防法違反ならば、丸善石油のタンクをなぜ撤去させないか、こう私が言いましたら、それは地元の消防長と交渉してもらいたいと言って本省は逃げてしまうわけですね。地元はそういうことを承知か、不注意のためか、建設を許可してしまっているわけですね、松山の。それでどうしても既得権だといって丸善石油はがんとかまえてそのタンクを撤去しようとしない。それで裁判にかけました。住民は、長年にわたった裁判で金がかかってしかたがないというところに追い込まれていくわけです。それでとうとうわずかな立ちのき料をもらって住民がそこを立ちのいて、ほかに移転してしまったという、そういう事実があるわけですね。あなたの言うように、これまであるものはやむを得ないんだというならば、おそらく、そういうことが今後も住々にしてずっと起こってくるんじゃないですか、全国的に。これは私は企業本位の考え方であって、住民を犠牲にする問題だと思うんですね。こういうことが起こった場合、本省としてどういう処置をとりますか。石油会社に移転を命じますか。
#193
○政府委員(林信太郎君) 松山の丸善コンビナートの件でございますが、消防法の適用物件ではございますけれども、企業の公害を一般的になくするという見地から、私どものほうといたしましても、前向きに強力な指導をやってまいりたいと考えております。もし新増設がございます場合には、本法の適用になりますので、その中でたたずまいを直していきたいというふうに考えております。
#194
○須藤五郎君 そんな新増設のことなど聞いているんじゃないんですよ。これまでちゃんとできているものがこの法案に合わないんでしょう。その場合にどう処置をしていくかということなんです。危険は常にあるわけでしょう。その場合どういうふうになさるのですか。
#195
○政府委員(林信太郎君) 規制の法律は、この場合たぶん消防法の適用――ただいま須藤先生御指摘のように、消防法の適用かと思います。消防庁のほうとよく連絡をとって、至急に改善方について努力してまいりたいと考えております。
#196
○須藤五郎君 それじゃ、松山のこういう場合は、これは引っ越してしまったからいま問題にならないんだが、こういう事例がほかのところにあらわれたときには、企業に対して断固たる処置をとらせますか、通産省として。
#197
○政府委員(林信太郎君) 所要の法律、規制等がございますれば、それに従いまして厳重に実行いたします。そういうものがない場合でも、行政指導の形で極力そういう方向に指導してまいりたいというふうに考えております。
#198
○須藤五郎君 あなたたちの行政指導は、常に住民を立ちのかすという行政指導しかないんです。企業に対して移転せいとか、そんなことは言わないんですよ。それは住民の何といいますか、被害によってそういう問題は常に泣き寝入りさせられていくというのがこれまでなんです。そういうことでなく、こういう法案ができたならば、企業に対して断固とした態度で通産省として臨むべきだと思うのですよ。そういうことを私は聞いているんですよ。やりますか。
#199
○政府委員(林信太郎君) 本法の適用云々につきましては、御指摘のように、厳正に運用してまいりたいと考えております。
#200
○須藤五郎君 最後の質問です。
 環境施設の設置その他で、政府は、大企業に利子補給や融資などの援助をするとのことでございますが、これはPPPの原則、いわゆる汚染者費用負担の原則からいいましても筋が通らないと思います。また、この環境施設には大企業の運動場などの厚生施設も入るとのことでございますが、まして、このようなものまで政府が援助するというのはおかしいと私は思うのです。大企業の負担で設置すべきであると思いますが、それはどういうふうにお考えになりますか。それどころか、工業開発、工場立地に伴って行政需要がふえ、現在、多くの地方自治体はそのために大きな赤字をしょい込んでおります。地方財政は危機に瀕しておるわけですが、産業基盤に関してはもちろんでありますが、生活基盤についても住宅、学校その他の公共福祉施設についても大企業は応分の費用負担をすべきであり、そういうものを法律的にも義務づけすることなくして地域社会との調和はあり得ないと思いますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
 以上、明らかにされてきましたように、今回の改正案、工場立地法が施行されても、それが国民の福祉の向上とか環境の保全などが進むとも思えません。それどころか、この改正案によりまして、従来から引き続く高度経済成長政策による列島改造が、住民の生活や健康を破壊して促進させるということになるのではないかと私は思っております。このような改正案では、地域住民との調和などは望めないであろうと私は考えておるんですが、その点についても皆さんの御意見を伺っておきたい。まあ、最後のところは意見であって、質問にはなっておりませんが、最初のほうの質問に対してお答えを願いたいと思うんです。
#201
○政府委員(林信太郎君) 前段の点につきましてお答え申し上げます。
 環境施設に対しましては、企業が原則としてみずからやるべきであるということは当然のことでございます。ただ、この今回の改正にいいます規制は、誘導的な性格を持った部分でございます。企業に緑地などの環境施設を造成させるという相当思い切った前向きの行動を求めることになりますので、それに対して、これに限定して助成を行なうということでございます。
 それから、特に現在の立地は、平均的に見ますと現状が数%というところを、本法によりまして二〇%程度に一挙に引き上げようという一大変革でもございますので、こういった方向を的確に早く実行するという見地から、御案内のような助成を考えておるわけでございます。
#202
○須藤五郎君 それじゃ、地方財政の赤字などに対して政府は全然責任を感じないんですか、何か補償するんですか、どうでしょう。
#203
○政府委員(林信太郎君) 地方財政の赤字問題あるいは御指摘の学校、病院等々の問題でございますが、それぞれの所管省庁と十分連絡をとってまいりたいと思います。
 なお、地域社会と企業との融和の問題でございますけれども、企業がその地域社会で工場を運営しています場合には、当然のことながら融和することが大前提でございますので、法律上の義務としてではなくて、当然のこととして大企業がやっていくべきでございます。私どももそういう方向で強力に行政指導を行なってまいりたいというふうに考えております。
#204
○大矢正君 ただいま審議いたしておりますこの法律案につきまして、私どもは反対の立場を表明しておるのでありますが、なぜ反対をするかと申し上げまするならば、工場立地の調査等に関する法律というものが昭和三十四年に施行されましてから、十四年という長い年月を経過いたしております。そういう意味で、工場立地の調査等に関する法律それ自身が今日の産業、経済、地域の情勢にそぐわなくなってきているという、そういう実態的な面があろうかと思いますので、法律の改正は当然のことと受けとめるのであります。が、しかし、冒頭申し上げましたとおりに、反対をしなければならないというのは、少なくとも今日の国民的な、国家的な課題であります、たとえば公害の問題、それから先般、徳山あるいは大分等において起こりました一連の工場における災害に基づく地域住民に対しての不安、こういうものをこの法律の中でやはり防止をするという内容が盛り込まれなければならないとわれわれは思っておるのでありますが、遺憾ながら、間接的にはその種のねらいがないとは申しませんが、直接的には公害防止ないしは防災上の内容というものがこの法律案の中に盛り込まれておらぬということについて、根本的に反対をしなければならぬということなのであります。
 公害問題につきましては、ただいまも環境庁を含めていろいろ議論がございました。質疑も行なわれました。また、環境庁の分野における法律において取り締まるべき内容のものはもちろんありますから、この工場立地法と環境庁との法律とを組み合わせまするならば、それなりの効果は公害防止上あがることは私も否定はいたしません。しかしながら、そういう間接的な形において公害問題をとらえようとする姿勢に、私は、まず基本的に問題があるのではないかというように考えざるを得ないわけであります。そこで、公害問題はそういうことでありますが、一たびこの工場の、製造事業場における災害を防止するという面になりますると、通産省は、高圧ガス取締法あるいは火薬類取締法、この種のものにつきましては、法律に基づく権限ないしは規制措置等によって通産省自身が取り締まることができますが、しかし、毒物あるいは劇物等、あるいはまた通産省の所管業種であります危険な製油所の保安上の問題については消防庁が監督するというようなことで、まことにふくそうをしておりまするし、それから、通産省が間接的にしか防災上、保安上関係をしないというような内容等も考えますると、私は、少なくともこの法律の中に防災上の問題が盛り込まれてしかるべきであるという判断を持っておりますか、遺憾ながら先般来の議論のあったところで、いま直ちにその内容は盛り込めないが、しかしながら、先般の徳山事故等にかんがみて、現在施行中の高圧ガス取締法に基づく一般高圧ガス保安規則等の改正によって防災措置を講じたいという積極的な御発言もございましたので、私は、そこに重点を置いて、最後の質問をさせていただきたいと、こう思うのであります。
 こまかい内容から質問をいたしまして恐縮でありますが、一般高圧ガス保安規則に基づきます第三級事業所というものがございます。これは、一級、二級事業所はまあ大臣の認定といいましょうか、認可といいましょうか、そういうことでありますが、三級事業所はそうではないという問題点もありますが、特にこの一級から三級の事業所の基準に関連をいたしまして、大臣が認める一級、二級事業所は、たとえば法律第十条一項の二号で、第一級事業所の基準には、「製造施設は、その外面から当該製造施設にかかる事業所の境界線まで二十メートル以上の距離を有すること。」と、こういうふうになっております。二級事業所も同様なことが書かれておりますが、三級事業所につきましては、これは非常にわかりづらい文章で、「製造施設は、その貯蔵設備および処理設備の外面から、第一種保安物件に対し第一種設備距離以上、第二種保安物件に対し第二種設備距離以上の距離を有すること。」と、こうなっておりまして、保安距離の問題につきましては、専門家でなければ明らかにできないような書き方になっておるわけであります。これは具体的には一体何をさしておるのか、まずお答えを願いたいと思います。
#205
○政府委員(林信太郎君) お答え申し上げます。
 三級事業所の場合の保安物件に対する距離でございますが、まず、保安の対象になります物件を一種、二種と分けておりまして、学校、病院、劇場等が第一種でございます。第二種は一般住宅という形になっております。ガスの種類といたしまして可燃性ガス及び毒性ガス、それから酸素その他、それから可燃性低温貯槽、こういう四つの分け方をいたしておりまして、それを総合して文章にいたしました関係で、ただいま大矢先生御指摘のように、わかりづらい文章になった経緯がございます。
 実態的に申し上げますと、一般民家との間は大体二十メートル以上、それから第一種保安物件の場合には、大体三十メートル以上というふうな形で御理解願えれば、大体の概念をつかんでいただけるかと思っております。
#206
○大矢正君 そこで、先般政府から提出をいただきました書類、また、大臣が先般、当委員会におきます私の一般質問に答えました内容の中で、お尋ねをいたしますが、新増設のエチレンセンターについては、高圧ガス設備とその事業所に面する一般民家との距離、一般民家に面する境界線との距離、これを二百メートル以上にさせるようにしたいということ、それから二点目は、既存のものについては、設備と一般民家との距離を百五十メートルとらせるということでありますが、この第一点の新増設というものと、第二点の既存のものとの違いというのは、五十メートルという数字上の違いだけで、ほかに違いはありませんか。
#207
○政府委員(林信太郎君) もう一点相違点がございまして、これからの新増設の場合には境界線からの距離になって、工場の境界線と民家の距離になっている。それから既存のものの場合には、施設と民家という距離になっておりますので、境界線からということになりますと。百五十メートルが食い込むという可能性が十分ございます。
#208
○大矢正君 そこで私が指摘をしなきゃならぬのは、先般も途中でやめましたから触れませんでしたが、結局新しい設備は、私がこの間申し上げたとおり、設備と境界線との距離が二百メートルである。これは二百メートルという数字がいいか悪いか、私は先般も指摘したとおりに、建設省が、関東大震災のことを考えた場合には五百メートル必要だと、こう言っておるんだから、本来私は五百メートルあったほうがいいと思う。しかし、それが一挙にできないとなれば、最大限許容し得る限度において通産省が考えられることは、いたし方のないこととは思うが、ともあれそのよしあしは別として、境界線まで二百メートルだ。ところが、既存のものについて百五十メートルというのは、設備と境界線までが百五十メートルじゃなくて、その境界線を通り越して向こうの住宅との間の距離が百五十メートルですね。これじゃ、これは何の役にも立たない。この間私が申し上げたとおりに、それは境界線から五十センチ離れていれば、土地を持った者は家を建てる権利があるわけでしょう。そうすれば、設備と境界線が二十メートルしかなくて、境界線から向こうがかりに百三十メートルあった場合に、これは家が百三十メートル向こうにあったけれども、別な家が境界線のところに建ったらは、これは二十メートルしかなくなるんじゃないですか。そうすれば、この百五十メートルという意味は何の意味もなさなくなります。これはどう考えますか。私は、実態はつまびらかにしませんから申し上げませんが、論理的にはそういうことが言えるでしょう。
#209
○政府委員(林信太郎君) お答え申し上げます。
 既存設備の場合の暫定保安距離といたしまして、民家と設備の距離が百五十メートル程度というふうな指導方針をきめたわけでございますけれども、この暫定百五十メートル程度の持っております問題は、ただいま大矢先生の御指摘のとおりでございます。なぜそういう甘い、なお不十分な暫定保安距離しかきめ得なかったかという言いわけみたいなことになろうかと思うんでございますけれども、現在は、省令で二十メートル以上というふうな形になっております。もっとも、エチレンプラントの場合には、数百メートルあるいは百メートル以上というようなことが大部でございますけれども、中には百メートル程度のところもあるわけでございます。したがいまして、指導基準の形で一挙に新増設の場合のように的確な保安距離、施設と境界線というふうな形でやることにつきましては非常な問題、特に現実的な問題がからみまして、こういった問題は抜本的な問題といたしまして、高圧ガス審議会の結論を待たざるを得ない。ただ、それを待っておったのでは、ただいまの安全についての問題ということが別途起きてまいりますので、それに少しでも接近したいという私どもの行政の姿勢から、施設と民家までの距離という、従来のパターンにおきます距離を援用した次第でございます。
#210
○大矢正君 どうもあなたの言う話だと、私は残念ながらこの法律は通すわけにはまいりませんね。それはこういうことになると思いますよ。あなたのいま言うことをそのまま引きますと、結果論的にはあなたは新増設については二百メートル云々と、こうおっしゃいますが、それは何の法律的な、あるいは規則的な根拠のないことであって、単にそういう希望をするというそれだけにすぎないわけですね。結果として。まず、新設の問題についてはその問題が残りますね。どうなりますか、新設の問題については。あなたのいままでの発言からいくと、これは規則をいますぐ当面直すという考え方がないようだから、となりますと、あくまでも期待感を持っておるにすぎないのであって、何とか何々会社さん、ひとつこの際、設備と境界線の間に二百メートルの距離を設けるだけの敷地の中に工場を建ててくれませんかと、こういうことをお願いするだけにすぎないのであって、何の規則上も法律上も根拠がないということになるとこれは私は大きな問題だと思う法律には、高圧ガス取締法――すなわち、エチレンセンターを規制する高圧ガス取締法の中には、何も二十メートルでなければならぬとか、百五十メートルあっちゃいかぬとか、二百メートルあっちゃいかぬとか書いてあるんじゃないのですから、あなた方が自分でつくられた省令の中に出ているだけにすぎない問題でしょう、どうですか。
#211
○政府委員(林信太郎君) 新増設の場合には、省令改正という手続を必要といたします。省令改正をしなければならぬわけでございますが、省令改正のためには、審議会の意見を聞くという形がどうしても必要でございますので、いまの段階で直ちに省令改正にはならないわけでございます。実質上は、新増設につきましては、二百メートルの保安距離を実行させる決意でございます。
#212
○大矢正君 それじゃ、皮肉な聞き方をするが、既存のものは百五十メートル云々ということをあなた言われるが、これはどういうふうにして百五十メートル保つつもりですか、この百五十メートルというのは。たとえば会社に、すまぬけれども、君のところは百五十メートル必要だが、百二十メートルしかないから、あと三十メートル広げるために、どっかその辺の民家を説得して買収して百五十メートルにしてくれという頼み方をするのか、それとも規則の中で、省令の中できちっと、既存のものについては百五十メートルなければならぬとか何とかということをどういう形でも盛り込もうとするのか、それはどういう形でおやりになるのですか、既存のものについては。
#213
○政府委員(林信太郎君) 既存のものにつきましても、早急に審議会の結論をいただきまして、省令改正の手続をとりたいというふうに考えております。
#214
○大矢正君 その既存のものは、もうあなた方は二十メートルあればいいと、そういうことでやったわけでしょう。そうやってしまったやつを、今度百五十メートルやれということは、法律上そういうことは、単なる規則だけでそういうことはできるの。百五十メートル絶対つくりなさい、そうでなければだめですよ、そうでなければあなたの工場はこわしてもらう以外にありませんよ、そういうことはあなた、法律でできると思うの、規則で。
#215
○政府委員(林信太郎君) 現在の高圧ガス取締法によりますと、被害防止の規定あるいは技術基準、あるいは製造方法に関する基準を通産大臣が省令で定めることになっております。省令の形で二十一メートル以上、こういう形になっておりますが、この部分をエチレンセンターの場合には百五十メートルとか、あるいは二百メートル以上という
 ような形になると思っております。なお、手続が審議会の答申を得なければなりませんので、その辺の時間はどうしてもかかるかと考えております。
#216
○大矢正君 たとえば仮定の話だが、十年前に、保安物件の距離が土十メートルあればよろしゅうございますよというあなた方がつくられた基準に基づいて、はいそうですかということでつくられた設備が、いまになってから百五十メートルなければだめですということを法律で規制して、その区間百三十メートルを取り除くことができるのかというんですよ。そういうことが現実的にできるのかと私は聞いている。
#217
○委員長(佐田一郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#218
○委員長(佐田一郎君) 速記を始めて。
#219
○政府委員(林信太郎君) 既存の百五十メートルということになりますと、先般お手元に差し上げました資料にもございますように、現実に事業所の数で四つでございます。この四つにつきましてほぼ百五十メートル程度の距離を確保させるめどを持っております。
#220
○委員長(佐田一郎君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#221
○委員長(佐田一郎君) 速記をつけて。
#222
○大矢正君 過去において認めておいて、いまになってから今度は、おまえの工場はこれはだめだから、法律改正するから直ちにそいつを直しなさいということは、法律はさかのぼらないという原則との矛盾はそこにないのか、そこはどうなんですか。
#223
○政府委員(林信太郎君) 安全問題が非常に大きな問題になっておりますような、この社会通念の変化が一つと、それからもう一つは、若干既得権的な問題もございますので、それにやや対応するような意味におきます経過措置、あるいは若干、ごく特殊事情の場合には例外的な措置が特例的に考慮される必要があるかもしれないという気がいたします。
#224
○大矢正君 そうすると、法律上も完全にできる、法律というか規則ですね、省令でできるというんですから。そうすると、百五十メートルでなければならないということは当然ないわけですな。百五十メートルなければならぬ、二百メートルでも三百メートルでもかまわぬということになりますが、その点はいいですね、どうですか。
#225
○政府委員(林信太郎君) 大矢先生のおっしゃるとおりでございます。
#226
○大矢正君 そこで、そうすると、先に一つきちっとだめ押しをしておきたいんだが、この問大臣がお読みになった百五十メートル程度の距離をとらせる、しかしこの場合には、新設の場合のように境界線まで二百メートルということじゃなしに、設備の面から人家までが百五十メートル、第一物件までが百五十メートル、こういう意味ですから、境界線から人家に幾らあるのか、あるいは境界線から設備まで幾らあるのかという問題は、これはそのケースケースによって違うと思いますが、そこであなた、工場の境界線から先は工場の用地じゃないですね、これは普通一般に。もし工場の用地だったら境界線もっと先に延ばすはずですから。これは他人の土地ですね。今度、そこに家を建てさせないで百五十メートル間隔を、それは設備からだけれども、持たせるという自信はあるんですか、それは。
#227
○政府委員(林信太郎君) 企業が、定められました特定の保安距離以上を保つためには、その間の間隔につきまして、あとから人家が来ないような措置を当然とるべきだと考えております。で、現実には道路があったり、川があったり、そういうものも含まれるような形になろうかと思いますが、そういうものも含めまして、一般民家がその距離の中に建たないような措置を企業の責任において担保すべきだと考えております。
#228
○阿具根登君 関連ですが、いまの逆の場合をひとつ考えてみたいと思うんです。民家なら民家、民有地なら民有地を買収して、百五十メートルなら百五十メートルに広げなさい、これは一応言えるかもしれません。しかし相手のあることで、売らなかった、どうしても売らないという場合は、そんなら既存の工場をこわしますか。こわした場合はどうなりますか。
#229
○政府委員(林信太郎君) その場合は設備を移動させるか、あるいはただいま申し上げましたように、特例措置として強固な十分な防護壁をつくって、それにその保安距離を事実的に代替するような措置を講ずるか、そういう措置が必要かと考えております。
#230
○阿具根登君 その場合、二十メートルの範囲内で、二十メートル以上ならつくっていいということで既存の工場はできておるわけなんです。政府が甘かったのですよ、実際。それを今日になって、これは甘かったから百五十メートルなければできないといったら、それは損害賠償に当たりゃしませんか。政府のきめたやつでつくった工場なんですよ。それで工場に民家が建たないようにせいとか、あるいは買収せいとか、そういうことは希望的な言い方であって、自分が法律をつくって、省令で出して、そして認可して、許可してつくらした工場ですよ。それをいまになってから百五十メートルなくちゃだめだとか、買収せにゃならぬとか、こわせというようになってくると、これは責任がどこにありますか。あなたは既得権と言われたが、既得権というのはどうなりますか。
#231
○政府委員(林信太郎君) 確かに、ただいま阿具根先生御指摘のような問題が通常の場合は起ころうかと思っております。ただし、現在安全問題特にコンビナートの安全問題につきましてはたいへんな危機意識と申しますか、重要性がきわめて高まっております。これが現在の社会通念かと思っております。同じような問題を他に例を求めますと、環境基準の場合でございます。先ほど質疑がございましたように、SO2の環境基準をこの五月に半分に強化いたしております。こういうふうな例もございますので、そういう考え方に立脚いたしまして、保安距離の問題も扱ってまいりたいと思っております。
#232
○大矢正君 それじゃ、境界線からの議論は、既存の工場については、してももう意味のないことですね。はっきり申し上げて、設備から一種保安物件か二種保安物件かということですから、境界線はもう意味はない、既存のものについては。
 それで、お尋ねをしますが、たとえば、あなた方のほうから提出をされた資料の中に、日本石油化学、これは三級事業所ですが、二種、すなわち住宅との距離が五十メートル、それから住友石油化学大江製造所、これは新居浜ですね。これは同じく百二十メートル、それから三井石油化学の大竹と岩国、大竹が百三メートル、それから岩国が百八メートル、この四つが百五十メートルということからいえばひっかかる、こういう問題になりますが、そこでお尋ねをしますが、この四つの工場は、百五十メートル以内に人家があるとあなた方が資料として提出されておるのだが、それはおのおのどの程度の数の人家があるのか、お答え願いたい。
#233
○政府委員(林信太郎君) お答え申し上げます。
 日本石油化学川崎の場合でございますが、工場の高圧ガスの設備から五十メートルのところに川崎市港湾局港務所がございまして、そこに勤務する職員の二家族がございます。それから住友化学の大江製造所でございますが、工場の中の設備から百二十メートルのところに一般民家が十軒ございます。それから三井石油化学の岩国、大竹でございますが、岩国の場合には、これは市街地に隣接しておりまして、多くの人家がございます。大竹も同様でございます。
#234
○大矢正君 あなたが百五十メートルというものを出してこられた時点で、私もいろいろ聞いてもみたし考えてもみたら、どうもあなた方に私は一ぱいはめられた感じだわね。二十メートルから百五十メートルというのだから、ずいぶんこれは通産省もひとつふんばったものだと、まあまあ悪口を言われても、よくもまあここまでがんばったものだと思って、よくよく考えてみたら、何のことはない、家の何軒かを動かせば済む内容なんだ、これは。百五十メートルというのはそうじゃないですか、結果としてはそうなりませんか。
#235
○政府委員(林信太郎君) 問題は、数で見ますといま申し上げたとおりでございますが、なかなか民家の移転というのは因難な問題で、長年かかってなかなか解決のつかない問題でございますが、先ほど申し上げましたような、安全に対する関心がとみに高まっております通念を背景にして、こういった長年の懸案を一挙に解決に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#236
○大矢正君 さっぱり答弁にならぬのだよ、林さん、申しわけないけれども。私が聞いているのはそんなことを聞いておるのじゃなくて、どうも百五十メートルというものを聞くと、非常に通産省もがんばったなと、二十メートルから百五十メートルだからたいしたものだ、こう実は思いたいところだが、よくよく調べてみると、結果論的には何のことはない、百五十メートルというのは、十本の指に入る程度の家を動かせばそれでおさまる内容のものだというものになりはせぬかと言っているのだ。それじゃ百五十メートルというのは、あまりにも思い切った通産省の防災対策だとか防災措置だというようなことにはならないねと私は聞いておるのだよ。
#237
○政府委員(林信太郎君) 大矢先生のおっしゃいますような面も、日本石油化学川崎の場合、あるいは住友の大江工場の場合には、数の点から見まして、大矢先生の御指摘のような判断ができようかと思いますが、三井石油化学の場合には、すぐ境界に人家が密着しております。相当たいへんな問題で、簡単に御指摘のような少数の民家の移転ではこと済まない問題を含んでいるかと思います。
#238
○阿具根登君 さっきの質問の続きになりますけれども、その場合どうしますか。民家がたくさんあってこれは買収もできない、距離は少ししかない、その場合どうしますか。
 それから大臣にひとつ、これは論争されたと思うのだけれども、新設の場合は二百メートル要るのだ、既存の場合は百五十メートルでいい。既存の場合は五十メートルだけ危険が少ないのかどうか。なぜそこで五十メートルの差がついたのか。これは大臣にお尋ねしたいと思いますね。
#239
○国務大臣(中曽根康弘君) これは科学者の意見を聞いてみますと爆発をしたというような場合に、爆風等によって死亡するというのは三十メーターの距離である。それから輻射熱で火事が起こる可能性があるのはまず百メーター、そういうことで、百メーターであるならば大体だいじょうぶであろうという科学者の見解であります。しかし、それでも心配だから五十メーターよけいふやそうというので百五十メーターにした。新設の場合は、余裕がまだこれからつくる場合あるわけですから、そこでさらに五十メーター増しまして安全度を強めておく、こういう考え方に立っておるわけであります。
#240
○政府委員(林信太郎君) 三井の二工場の場合に、境界に接近しております民家を買収することができない場合という阿具根先生の御質問でございますが、その場合には、工場の設備を移転するということが、同時にあるいは民間移転により先行して考えられるべき問題でございます。
 それから、もしそれをやり得ないということになりますと、先ほど申し上げましたように、防護壁というふうな問題あるいは防護壁の上にウォーターカーテンを十分付置するというようなことも考えられようかと思います。
#241
○阿具根登君 そういうことが簡単にできますか。政府が許可して建てておいて、それで今度買収できないからこの工場を移転せいと、そう簡単に移転する土地がありますか。なかった場合、どういう財政的補助なり、あるいは賠償的な考え方を持っておるかですね。これは政府の責任ですよ。政府が許可したからできておる工場なんです。それをばかっと変える場合に、一体これに助成措置が書いてありますか、どういうことをやろうとしておられるのか。かりにできなかった場合、この工場はもうつぶしますといったら、この従業員は行く先がないのです。そういうことが簡単にできると思いますか。あなたはどうしますか。
#242
○政府委員(林信太郎君) 御指摘のように、非常にむずかしい問題かと思いますが、そこに先ほど大臣の答弁にございましたように、安全に対する関心の非常に強まっておる時期でございます。特に出光のああいった大きな事故もあったことでもございます。この際、可能な限り安全に万全を期すということで前進をしようということでございます。
#243
○大矢正君 あなたのほうは、既存のものについては境界線までの距離を明らかにしないで人家との距離ではかろうとしているということは、根本的に誤りをおかしませんか。なぜかといいますと、結局のところ、境界線ということがあるためにその間に家が建たない、他人が建てることができないということになるわけですね。それが境界線でない限りは、すなわち、工場の用地でない限りは家は建ちますよ。それをどうやってとめるのですか。もし建てさせないとすれば、その距離七十メートル、工場のへいから七十メートルで、七十メートル外へ出たところが百五十メートルだと仮定すれば、その七十メートルの間隔の用地を買収するのか。何かその会社の取得にしない限りは、これはもう住宅を建てるとかそういう場合に防ぎようがないでしょう。まさか、その工場を守るために土地収用法なんというものは適用できませんから、そうすると結局、境界線を百五十メートル延ばすという結果になるのじゃないかと私はさっきから言っているのですよ。そうすれば、何でここで境界線ということばを使わないで、一般民家まで百五十メートルということばで逃げようとされるのか、その意味がわからない。
#244
○政府委員(林信太郎君) 既存の工場の立地の状況を見ますと、へいが工場と隣の民家との間にあるケースが相当多うございます。一般的にはそういう形になっております。もう一つは河川、それから道路といったような施設がその民家との間にございます。そういうことで民家との保安距離を保ち得ると考えております。
#245
○大矢正君 そうすると、あなたの言う説明からいくと、さしずめ川か何かが、遮蔽物あるいは空間地があるから、百五十メートルというものに該当する人家というものは特殊なもの以外にはないと、したがって、心配ないから百五十メートルを認めたんだと、百五十メートルにするんだと、こういう説明のしかたに聞こえるよ。それでいいの。
#246
○政府委員(林信太郎君) まず、企業の中で施設と自分の工場の境界までの距離をマキシマムでとっております。それで不十分な場合に、たまたまその先が隣の工場であるとか、あるいはたまたまその先に運河が入っておるというふうなことで、合算いたしまして暫定の保安距離約百五十メートルということを担保し得るわけでございます。
#247
○大矢正君 いや、だからね、あなたのほうが百五十メートルという数字を出してきたのは、実害がないから出してきたという解釈になりますねと聞いておるんだよ。だからインチキじゃないか、それは。
#248
○政府委員(林信太郎君) 決して実害がないわけではございませんで、先ほど……。
#249
○大矢正君 実害があるなら具体的に言ってくれ。
#250
○政府委員(林信太郎君) 先ほど御説明申し上げましたように、三井石油化学の岩国、大竹、この辺は境界のすぐ外が一般の民家が密集いたしております。
#251
○大矢正君 どうするんだ、それは。そんなことはあなた、立ちのけなんて言えるの、工場のために。どうするの、それは。そこなんだ、問題は。
#252
○政府委員(林信太郎君) これは基本的には、いま高圧ガス審議会で専門家の意見を聞いておるところでございますが、安全問題に対する緊要性が高まっておりますので、この際、行政ベースでの暫定基準としてこの二十メートル以上というふうな線ではなくて、可能な限り安全に設計するということでとった措置でございます。したがいまして、その際、その根拠となりますところは、ただいま大臣答弁にもございましたようなことが一つの根拠になっておりますから、これが最終的なものでございません。最終的に答申が出ますればそれに従わざるを得ないということで、暫定措置としてとった次第でございます。
 実害があるかどうかということでございますが、私どもといたしましては、関係原局あるいは原局を通じて、大いに方針をすでに示したわけでございますが、相当な反発がきておりまして、簡単に実現のできる問題ではないというふうに考えております。
#253
○委員長(佐田一郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#254
○委員長(佐田一郎君) 速記を起こしてください。
 暫時休憩をいたします。
   午後四時二十分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時三十四分開会
#255
○委員長(佐田一郎君) それでは商工委員会を再開をいたします。
 先ほどの大矢君の質疑に対しまして、通産大臣の答弁を求めます。
#256
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど来、大矢委員と政府委員との間に質疑応答がございましたが、政府委員の答弁の中に不明確な点がございまして、この点につきましては遺憾の意を表する次第でございます。
 私から正確に、かつ明確に御答弁申し上げたいと思います。
 先般、私がお答え申し上げましたように、保安距離の問題につきましては、新設の施設につきましては境界線から二百メーター、既設の設備につきましては、施設から住民の住居等まで百五十メーター程度という保安距離をとるようにいたします。これは審議会にはかりまして、省令改正をもって行ないます。
 なお、既設のものにつきまして百五十メーター程度を輪郭にとることがむずかしい場合もあるかもしれません。この場合には、やはり住民の安全を中心に考えてみまして、でき得る限りの方策を講じてその保安の万全を期したいと思います。たとえば境界線に防護壁を強固につくりまして、必要ある場合にはその上に水まき装置を、これを装置するということ、そのほか考えられる保安上の十全の措置をとりまして、住民の安全に遺憾なきを期するようにいたしたいと思います。このことは、通産省の責任におきまして誠実に実行いたしたいと思います。
#257
○委員長(佐田一郎君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#258
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#259
○委員長(佐田一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、若林君から発言を求められておりますので、これを許します。若林君。
#260
○若林正武君 ただいま可決されました工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党の四党共同提案による附帯決議案を提出いたしたいと存じますので、御賛同をお願いいたします。
 案文を朗読いたします。
  工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法施行にあたり、次の諸事項の実現につき努力すべきである。
 一、環境問題の改善に資するため、産業構造を省資源・省エネルギー型の産業構造に早急に改めるとともに、これにそった工場立地政策を進めること。
 一、公害発生源となるような工場の立地にあたつては、とくに環境の保全を全うするような本法の厳正な運用を期するなど諸般の施策の強化を図ること。
 一、工場立地に伴う公害の防止に関する調査の完ぺきを期するため、調査手段の改善、調査体制の充実等を図ること。
 一、地域社会の福祉向上に資するため、立地企業にレクリエーション施設等福利厚生施設を進んで地域住民に利用させるよう指導すること。
 一、コンビナートの災害防止に万全を期すため、コンビナートの立地条件等について再検討するとともに、保安距離の拡大、保安管理の強化等抜本的な防災体制を確立すること。
  右決議する。
 以上でございます。
#261
○委員長(佐田一郎君) ただいま若林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#262
○委員長(佐田一郎君) 全会一致と認めます。よって、若林君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し中曽根通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中曽根通産大臣。
#263
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいまの御決議の趣旨を体しまして、政策に万全を期する次第でございます。ありがとうございました。
#264
○委員長(佐田一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#265
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#266
○委員長(佐田一郎君) 次に、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案を再び議題といたします。
 質疑のある方は御発言を願います。――別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#267
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#268
○委員長(佐田一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#269
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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