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1972/09/18 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第26号
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1972/09/18 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第26号

#1
第071回国会 商工委員会 第26号
昭和四十八年九月十八日(火曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐田 一郎君
    理 事
                剱木 亨弘君
                若林 正武君
                大矢  正君
                藤井 恒男君
    委 員
                稲嶺 一郎君
                植木 光教君
                小笠 公韶君
                林田悠紀夫君
                細川 護熙君
                安田 隆明君
                小野  明君
                林  虎雄君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   中曽根康弘君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        矢野  登君
       通商産業省産業
       政策局長     小松勇五郎君
       中小企業庁長官  外山  弘君
       中小企業庁次長  原山 義史君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       法務省刑事局参
       事官       根來 泰周君
       労働省労働基準
       局賃金福祉部長  大坪健一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○中小企業者の範囲の改定等のための中小企業基
 本法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐田一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 中小企業者の範囲の改定等のための中小企業基本法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○峯山昭範君 それでは、きょうは中小企業基本法の一部改正案に対しまして二、三質問したいと思います。
 中小企業基本法が制定されましてから満十年を迎えるわけでありますが、この間、わが国の経済の歩みの中で中小企業が果たした役割りというものは非常に大きいものがあると思います。しかし、現在の中小企業の立場というものを考えてみますと、何といいますか、その置かれております環境というものは非常にきびしいものがあります。そこで私は、きょうはこの基本法の改正にあたりまして二、三質問をしたいのでありますが、まず初めに、この中小企業関係の予算の問題についてちょっとお伺いしておきたいのであります。
 本年度の予算をとってみましても、中小企業関係予算は、大体八百二億円というように私の手元の数字によりますとなっておりますが、この予算のいわゆる一般会計に占める割合からいいましても、全体の一%にもなりませんし、非常に少ないんじゃないか、こういうぐあいに思います。そこで、中小企業者の数あるいはそこで働いている人たちの従業員の数、あるいは中小企業の占めるその重要性等から考えましても、この中小企業関係予算があまりに少ないんじゃないかということを初めに思うわけですが、要するに、もっと中小企業関係の予算を大幅にふやして、そして、中小企業関係の施策というものをもっともっと充実していくべきじゃないかと思うんですが、こういう点についてはどうお考えでしょうか。
#4
○国務大臣(中曽根康弘君) お示しのとおり、中小企業関係の予算は必ずしも十分でないと反省しております。特に、きめのこまかい改善指導、経営指導等をやるという面がまだ非常に微弱であると思います。農業関係の改良普及制度等と見ますと、中小企業は農業よりもさらに千差万別、あらゆる職種がありまして、しかもむずかしい要素があるわけでございます。そういう零細関係の中小企業者に親切な経営指導、あるいは税務の指導等をやってあげていくという面から見ると、はなはだ微弱な状態であると思います。その点が一番重要なポイントではないかと思います。そういう意味からも経営に関する指導員、税務の指導員、その他情報関係の伝達、あるいはそういう零細関係の集団的な共同的な企業体系、そういうような問題について思い切った人員と予算の増強を次にやらなければいけないだろうと思いますし、それから、中小企業関係が海外へ行く場合のめんどうを見ることにつきましても、従来、大企業が基金とか輸銀とかいろいろなものをバックに行ったことを見ますと、大企業と同じ系列でなかなか出られない要素もあると思いまして、そういう点についても格段の措置をしてあげなければならぬと思います。
 それから、税制につきましては、先般事業主報酬制度を創設し、また、事業税につきましてもかなりの減税をいたしました。しかし、やはり零細中小企業の税の煩瑣にたえないというところがまだ非常にあると思います。中小企業の中には、なるほど収入はあるけれども、税務署にとやかく言われたり、税務署へ行ってつつかれるのはいやだというところもあって、なかなか税務署になじまないところもあるわけです。また実際、八百屋さんや食料品の奥さん方が一々税務、あるいはだんなさんが記帳したりなんかするということは、毎日激しい労働をしている中でむずかしい点もありまして、そういう点についてもっと思いやりのある政策をやっていかなければならぬ時代に来ている。そう思いまして、税務の点につきましても、単に控除を上げるとかなんとかということでなしに、もっと実情に即した指導をやり、改革をやっていく必要がある、そういうように思うわけでございます。
#5
○峯山昭範君 大臣確かにいま大臣おっしゃったような指導員の問題、税金の問題、それからあるいは海外投資の問題等を含めまして、非常に私は重要な問題であると思いますし、当然力を入れていただきたいと思うのでありますが、初めの質問の要旨としましては、特に中小企業関係の予算が少ない、要するに、ことしの予算で八百二億ですか、こういうふうな総体的に考えましても予算が少ないから、この辺のところからまず何とかしていかぬといかぬのと違うかと、こういう点を初めにお伺いをしたわけでありますが、この辺のとことはどうなんですか。
#6
○国務大臣(中曽根康弘君) つまり、いま私が申し上げましたような事業をやろうとしますと、当然予算がふくれてくるわけでございます。いろいろ人間をふやすにしても、資金の手当てをしてやるにしても、今度の零細経営改善資金にしましても三百億円の予算ですが、二千億円くらいにふやしてあげたい、そういうこともございまして、中小企業関係の予算についても、これを拡大するように努力していくつもりであります。
#7
○峯山昭範君 それを聞いてちょっと安心しましたが、それじゃ、先ほどお話がございましたように、中小企業の海外進出という問題等につきましては、非常にむずかしい条件等があります。そこで、中小企業を取り巻く環境といいますものは非常に複雑で、非常に苦しい状況に実際あるわけですね。たとえば対外的に考えてみましても、これから円の切り上げあるいは自由化の推進、国際化への適応という問題がございますし、国内的問題といたしましても、いわゆる労働力不足や生産性向上の近代化の立ちおくれ、あるいは生産及び流通段階のマスプロ化、あるいは大企業の圧迫、そういうような問題がどんどん出てきておりますし、さらには公害問題も、これは重要な問題として中小企業にとりましては何といいますか、公害問題に対処していく、そうして公害問題を処理していく、そういうような問題を克服していくということは、非常に中小企業にとっては重要な問題になりつつあります。
 さらに、現在、景気の引き締めが行なわれておりますけれども、これがますます何といいますか、景気引き締めの影響というものは中小企業のほうにどんどんしわ寄せされてくる、そういうふうな情勢の中で、中小企業に対して実際どういうふうな政策を政府は進めていくのか。これは要するに、先ほど大臣から、税金の問題やら指導員の問題、あるいは海外投資等の問題についてもそれぞれ話がございましたけれども、いま、内外のいわゆる中小企業を取り巻く情勢というのは非常に苦しい情勢にあるわけでありますが、こういう点について基本的に大臣はどうお考えか、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。
#8
○政府委員(外山弘君) 中小企業を取り巻く環境の変化、つまり、内外諸情勢の非常に激しい変化というものは御指摘のとおりでございまして、私どもとしましては、これまでの成長過程を通じて、すぐれた適応を中小企業はしてきたと思いますけれども、今日のような多岐にわたる困難な問題に直面されてまいりますと、なかなかそういった点についてもさらに一そうの今後の施策の強化が大事である。私どもとしましては、基本法の制定十周年というふうなことにもあたりまして、一そうこれからの施策の充実につとめたいということを考えておるわけでございます。
 まず、基本的な方向の御指摘でございますが、私どもといたしましては、今後の進むべき方向ということについて、長期的なビジョンを示すということがきわめて重要であろうというふうなことから、先般、七〇年代において中小企業のあるべきビジョンということを得るために、中小企業政策審議会に検討をお願いした結果、昨年八月に、「七〇年代の中小企業のあり方と中小企業政策の方向について」と題する意見の具申をいただいたわけでございます。現在この方向に沿いまして、政府としては、それが政策に反映するように適切なビジョンの提示のもとに計画的に施策を進めたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 具体的な方向といたしましては、ただいま御審議をいただいております基本法等の一部改正によりまして、中小企業の定義の改定を初めといたしまして、先般御審議をいただきました中小小売商業振興法案の制定、それから知識集約化を中心とする近代化促進法の新しい面への発展、あるいは中小企業の資金需要にこたえるための金融の円滑化、こういったような施策を通じまして、激しくかつきびしい経済環境の変化に適応していくということを中小企業の側面から強力に援助していきたい、こう考えているわけでございます。
 第二には、特に経営基盤が弱くて、環境変化への適応が不十分と思われまする小規模企業に対しまして、大臣も先ほどおっしゃっておられましたが、経営改善普及事業の大幅な拡充をはじめ、経営改善をはかりまする小企業に対し無担保、無保証、低利で貸し付ける小企業経営改善資金融資制度というふうな金融措置の拡充、あるいは税負担の一そうの軽減、こういったようなことをはかってまいりたい、こう考えているわけでございます。
 で、このような助成にも増しまして大切なことは、中小企業が製造業あるいは商業、サービス業というふうな別なく、どうしましてもその体質が脆弱でございます。したがって、経済の急激な変動に耐えにくいというふうなおそれがあることでございます。このような脆弱さを考えますと、中小企業対策として最も大切なことは、やはり中小企業の経営活動の安定をはかるということ、その成長の確保をはかっていくということ、そして、そのためにわが国の経済運営が安定成長の路線でいくということ、こういうことが一番大事であると思います。とりわけこの場合に、成長の内容が中小企業に有利に働くものになるようにしていくことが大切であるというふうに考えるわけでございますが、今後のわが国の経済成長の方向、産業構造のあるべき姿といったようなことを考えますと、これはやはり国民福祉の一そうの充実という方向と一致するわけでございますから、このような観点で考えますと、いままでの大量生産あるいは大量消費という時代が終わりまして、所得水準の上昇につれて消費の高級化、多様化というふうな現象が出てくると。これは中小企業の活動分野がそれ自体拡大するんではないか、そういう要因になるんではないか、こういうふうな認識を私どもは持っておるわけでございます。国民の要請と、中小企業の成長、発展ということの方向が基本的に一致しているのじゃないか、そういうふうな認識に立ちまして、私どもとしては、一そう中小企業をよい方向に誘導するというふうなことに努力をしてまいりたい。
 で、直接の施策の充実をはかることもさることながら、国全体の政策に対して、それに対してもいろいろ注文をし、そういう経済政策全般の動きを踏まえて、私どもとしては中小企業の振興に懸命の努力を払ってまいりたい、こういう基本的な考え方で今後も考えてまいりたい、こう考えている次第でございます。
#9
○峯山昭範君 先ほどの長官の話の中にも、中小企業の将来のあり方につきまして話がございましたが、その中で中小企業のあり方として、特に知識集約化が必要であると、こういうような話がございましたけれども、中小企業の知識の集約化というのは、実際、具体的にいいましてどういうことなのか、ちょっと一ぺん具体的にお伺いしておきたい。
#10
○政府委員(外山弘君) 知識集約化ということばは、産業構造審議会の答申の中で先般最も強く出たことばでございますが、まあ言ってみますれば、企業活動において知的な能力が最大限に発揮されるようになること、こういうふうに考えるわけでございまして、その場合の知的な能力と申しますのは、研究の開発とかあるいはデザイン、あるいはマネージメント、こういったことのほか高度の経験、知識にささえられた技能の発揮といったようなことを含む広い意味のものと思っております。
 知識集約型産業を育てるという場合、特に中小企業政策の見地から考えますと、その重点は研究、開発集約産業と、あるいはファッション型産業というふうな中核的な知識集約的産業を考えることはもちろんでございますが、それだけではなく、広く個々の、個別の中小企業が知識集約化的な分野を広めてその発展をはかっていく、こういうことも意味するのではないかと、こういうふうに考えるわけでございます。私どもとしましては、今後、特にこういった方向を進めるための企業経営の重点でありまするマーケティング能力を含む経営情報あるいは技術情報の収集処理体制、あるいは研究技術開発体制等の整備といったことに着目しまして、これらを政策的に助成するということがまず大事だろうと思います。で、これがための施策も、振興事業団を通じましていろいろ用意なしているわけでございますが、そういったことを政策的に助成するような対象を知識集約型産業への移行といいますか、中小企業の知識集約化といいますか、そういったものを意味するのではないか、こう考えている次第でございます。
#11
○峯山昭範君 中小企業に対する現在の何というか、世間のあれは非常にきびしいわけですね、実際問題。先ほどから何回も出ておりますが、最近の中小企業の実情というものを考えてみますと、景気の引き締めとか、また金融の引き締めとかこういうものがありますと、もうすぐに中小企業にその余波がやってくるわけですね。たとえば今回の場合でもそうですが、今回の景気の引き締めがありますと、すぐ中小企業にそのあれがやってくる。今回のたとえど市中銀行にお金がだぶついているときには、これは大企業も中小企業も含めましてどんどん貸し出しが行なわれる。ちょっと引き締めが行なわれると、今度は中小企業のほうのやつをばあっとこう締めていく。そういうぐあいにして、何といいましても中小企業自身が信用力も乏しいですし、いろいろな点から中小企業のほうが先に締められるわけでありますけれども、それ以上にまた中小企業、もっと零細な下請企業、そういうようなものを含めまして、今度は金融面だけではなくて、実際は、たとえば発注量を減少したり、また発注単価を切り下げられたり、だんだんしわ寄せは、大企業にはもうほとんどいかないで、零細な中小企業にしわ寄せされる。実際問題、大企業のクッションとか防波堤とか言われておりますけれども、そういうぐあいになってくるのが現在の実情じゃないかと私は思うんです。
 先般からの公定歩合の引き上げ等によりまして、先日の新聞の報道によりますと、倒産の実情につきましても、特にこの八月は、一年九カ月ぶりに七百十九件ですか、の倒産があったと、そういうぐあいに新聞でも報道されておりましたが、その中でも、九〇%以上が零細な中小企業であるということでありますが、最近の倒産状況と今後の見通しですね、ここら辺のところはどうですか。
#12
○政府委員(外山弘君) 最近の動向をまとめて申し上げますと、まず四十七年の年間では、景気の上昇と金融緩和基調のもとで、総じて四十一年以来の低水準に推移したと思います。前年に比べまして件数、負債金額とも二、三割の減少を示しております。四十八年に入りまして、一月以降八月までの、これをトータルとして見ますと、大勢としては落ちついた動きを見せていたわけでございます。ここ数カ月、ただ御指摘のように、若干増加の傾向が見られることは事実でございますが、特殊な事情もございまして、件数では低水準に推移した前年同期をわずかに上回っているわけでございます。それから、負債金額でもやや上回っているというふうな状況かと思います。ただ、最近のぼつぼつふえつつある倒産の特徴といたしまして、原材料価格の上昇による採算割れ等の、いわゆるインフレ倒産といったようなことが若干心配でございます。で、建設業を中心としてやや増加の傾向が見られることはいま御指摘のとおりでございまして、ただ、全体の倒産件数に占めるこれらの割合というのは、まだ必ずしも多くないと思います。しかし、こういった傾向がぽつぽつ出ているということは、われわれとして注目しなければならない。今後の見通しにつきましても、金融引き締めの強化ということがもう一つ加わると思います。で、原材料価格の高騰とその金融引き締めの強化と、こういったものが続く中で、経営内容の悪化が進み、倒産が増加していくということの懸念がございます。で、私どもとしましては今後の見通しを注意深く見守っていきたい、こう考えている次第でございます。
#13
○峯山昭範君 いまのは結局インフレ倒産、あるいは品不足のために倒産するという傾向があらわれてきている。数は少なくても、現実にそういう具体的にばんとした実例はないかもしれませんが、私たちも先般から中小企業の皆さんと会って、いろんな相談を受けているのでありますけれども、実際問題、品不足による倒産ですね、塩化ビニールとか、セメントとか、鋼材とか、先般の商工委員会でも問題になりましたけれども、そういうようなものから始まって、いろいろなこまかい物資に至るまで相当品不足というような面が出てきている。こういうふうな実情というのは、やっぱり通産省としても、もっと具体的に乗り出して調査をすべきじゃないかというのがまず一。
 それからもう一つは、調査をしなくても、今度はそういうふうな中小企業の皆さんが、資材が不足しているために仕事が非常にやりにくい、あるいは倒産の寸前に追い込まれていると、そういうような場合に、たとえば通産省自身がそれぞれの通産局等に行って具体的な相談を受ける、零細な企業や中小企業が相談に乗ってもらえるというか、相談するところですね、窓口、そういうようなことについては考えてないのか、そういう点も含めてお伺いしておきます。
#14
○政府委員(外山弘君) 私どもとしましては、いろいろな全体的な統計の中で倒産の状況を見ているわけでございますが、そのほかにも金融機関、政府系の三機関が貸し出し先について定期的に調査をするというふうなことも加えまして、いろいろな総合判断をしているわけでございます。個々の件につきまして、さらに詳しく追跡調査をするというふうなところまではなかなか至りませんけれども、ただ、全体としては、やはりもっと小口の倒産傾向がどういうところに問題を持っているかというようなことも含めて調べなければならないということで、二、三年前からそういったことも重点的に予算を取りまして、調査を地域的にやっているわけでございます。いろんなことを総合しながら、個別的な事情も加味しながら全体としての傾向をつかんでまいりたい、そして、その中で問題をつかんでいくということを今後も努力してまいりたい、こう考えるわけでございます。
 それから、もう一つの御指摘でございます。実際にそういうケースが起こったときに、相談相手になるべき者が要るじゃないかと、こういう御指摘でございますが、これは実は、まだそれほど十分な活動が目に見えていないのかもしれませんが、もう前から各通産局、あるいは都道府県にはそういった意味の中小企業相談所、あるいはそういった特別の機関と申しますか、窓口を設けた機関的なものもあるわけでございます。あるいは商工会議所にもそういった相談相手になる面もございます。今後、先ほど申しましたような懸念がある際でございますから、そういった窓口に対しましても、もっとそういった相談を親切にやれるように、あるいは前向きにやれるように、私どもとしては今後も指導を強化してまいりたい、こう考える次第でございます。
#15
○峯山昭範君 この問題につきましては、私は実際問題として、中小企業の皆さん方が原材料の不足やあるいは入手難等によって、倒産とまではいかなくても、倒産のもう寸前まで至っているという人たちが非常にたくさんいる。現実に目には見えておりませんけれども、これから相当あらゆる面で手を打っていかないと、これはたいへんなことになってくるのじゃないか。こういうぐあいに考えております。したがって、それぞれの通産局に対しましても、もしそういう相談があったら親切に相談に乗るようにしてもらいたい、これは要望しておきたいと思います。
 さらに、中小企業の問題が出るたびに私は何回か申し上げてまいりましたけれども、中小企業のいわゆる行政強化といいますか、そういう点から考えましても、中小企業庁を中小企業省に昇格させると、この問題はいままで何回か出てきた問題でございますけれども、そういうふうな構想が検討されているということも聞いたことがあるんですが、ここら辺のところは大臣、どうですか。
#16
○国務大臣(中曽根康弘君) 中小企業省をつくるという発想は、田中総理にも、検討してみたらどうかという考えがありまして、私も総理からそういう意味の検討方を懇談的に話されたこともあります。確かに中小企業政策を充実させるという意味において、中小企業省ということを考えることも非常に有益な、検討に値する重要な考え方であると認識しております。
 そこで、いま省内で、どうしたら中小企業政策を充実させることができるかという観点に立って、独立の省をつくるというような考え方、あるいは省をつくることがいまかりに適切でないとすれば、どういうふうな政策を現体制において行なうかという考え方について、利害、功罪及び実施の可能性等を含めて検討さしておるというのが率直な現状でございます。しかしポイントは、いままで申し上げましたような政策を着実に実行するということがポイントなのであって、看板を掲げても微弱なものであるというなら意味ないし、看板を掲げたがゆえに各省のなわ張り争いが起こって、いままで以上に機能しないというのじゃまた意味がない。そういう点でエフェクティブにといいますか、実効性についていろいろ検討しておるという現状でございます。
#17
○峯山昭範君 その点は確かに大臣おっしゃるとおりでございまして、確かに、なわ張り争いとかそういうことになってもらってはかえって困るのでありまして、実効のある省をつくるということが、つくるとすれば大事だと私は思います。しかし、内容というものがそれ以上に重要でありますので、中小企業の対策につきましては特に力を入れてやっていただきたいと思います。
 そこで、もう一点ちょっとお伺いしておきたいのでありますが、これは法務省の方、来ていらっしゃいますか。−関係あると思いますので、ちょっと一言だけお伺いしておきたいのでありますが、計画倒産の問題であります。
 最近のように、金融引き締めがあらゆる面で強まってまいりますと、中小企業の倒産が実際問題として、戦後の倒産が猛烈にあったときみたいなことはないと思いますけれども、やはり最近ふえてきておることは確かでありますし、また、いままでと違った意味での倒産というものも先ほどから出ておりますが、実際問題として倒産には、ほんとうに経営が苦しくなってきて、またあるいは、外部的な要困でほんとうに経営が苦しくなってきて倒産する場合と、そうじゃなくて、いわゆる計画倒産とか、便乗倒産とか、そういうようなものも何回かあるようであります。最近の新聞紙上でも、ある建設会社が計画倒産を行なったというような報道が出ておりました。
 そこで、現行法によりますと、会社は、自己の財産の範囲内で責任を負えばよいということになっておるわけでありますから、経営者が会社の財産を自分の所有に移して、そうして会社が倒産に至っても、債権者は経営者の財産には手をつけることができない、そういうことになるわけでありますが、こういうような倒産を利用して計画的に債務を踏み倒す、こういう行為はもう厳に取り締まらなければいかぬ、私はこう思うのですが、ここら辺の問題については関係者はどう考えていらっしゃるか、一ぺんちょっとお伺いしておきたいと思います。
#18
○説明員(根來泰周君) 御指摘のような事案は、個人の利益を害するというのみならず、信用を基盤として成り立っております経済社会といいますか、そういう社会に対しまして不安を醸成する、ひいては取引の円滑を害するという結果を招来しますので、厳正な検察方針をもって臨んでおります。
 御設問にありましたような事案につきましては、詐欺とか業務上横領とか、あるいは窃盗とか、あるいは強制執行不正免奪、あるいは破産法違反というような罪名をもって処理すべきものと考えております。
#19
○峯山昭範君 それでは次に、法案の内容についても二、三お伺いしておきたいのでありますが、今回の法案の内容を見ますと、特に重要な点はこの法案の内容から見ますと、中小企業の範囲が、いままで五千万円の範囲が一億になったということでございますけれども、そこら辺のところは大体わかるのですが、今回、中小企業基本法を改正するに至ったいきさつについてちょっとお伺いしておきたいと思います。
#20
○政府委員(外山弘君) 現在の中小企業者の範囲でございますが、これは昭和三十八年に中小企業基本法が制定されました。それによって定められているわけでございまして、それまでいろいろな法律で不統一に規定されていたということを、統一的な基準としてあらためて示したわけでございます。その後、わが国経済の高度の成長に伴いまして、特に、まず製造業につきましては、その企業の資本装備率の向上などによりまして、中小企業者の範囲を画する資本金規模と従業員規模との関係に変化が生じてきております。また、商業につきましても、卸売り業とか小売り業との業態面の相違といったようなことなどから、一括して定義するということに対して疑問が強く出されてきていたわけでございます。
 しかしながら、この中小企業者の定義という問題は、中小企業政策の対象範囲の決定という重要な問題でございますので、政府といたしましては、一昨年、七〇年代の中小企業のあり方と政策の方向に関する検討の一環としまして、中小企業政策審議会の場での検討をお願いしたわけでございます。その結果、昨年の八月にその審議会から、「七〇年代の中小企業のあり方と中小企業政策の方向について」の意見具申がなされ、その中で、この定義問題について審議会の基本的な考え方が示され、私どもとしましてはその考え方に沿って改定案を作成し、今国会におはかりしている次第でございます。
#21
○峯山昭範君 それじゃ、もうちょっとお伺いしておきますが、今回の法律改正によって、新たに中小企業の対象となる企業はどのくらいあるわけですか。
#22
○政府委員(外山弘君) 昭和四十五年の工業統計及び商業統計に基づく試算によりますと、工業について新たに中小企業者となる企業の数は五百七十一でございます。また、卸売り業につきましては三千四百六十八となっております。
#23
○峯山昭範君 全体の数からすると、数そのものはそんなに多くないようでありますけれども、要するに、これをやることによりまして、いままで五千万円であった、それが一億円のいわゆる中堅企業が中小企業の範囲に入ってくる。そのことによりまして、たとえば中小企業金融というふうな面でいままで零細な企業に振り向けられておりました資金、そういうようなものが、いわゆる小零細企業が圧迫されて、そして中堅企業のほうに回っていっちゃう、もし、そういうようなことになるとすれば、これは今回の法律改正によりまして、かえって零細な企業が圧迫を受ける。少ない中小企業の資金のワクの中で、零細な企業がかえって今回の法律改正によって非常に痛めつけられる、そういうことにもなりかねないわけですけれども、こういう点に対する歯どめといいますか、そういうようなものはあるんですか。
#24
○政府委員(外山弘君) 御指摘のとおりでございまして、そういったことのないように私どもとしてはつとめなければならないわけでございます。小規模企業に対する施策の重要性ということは、かねがね私どもとしても考えているわけでございますが、今回の定義の改正にあたりましても、中堅企業、いわば今回新たに算入される企業が出てくることによりまして、小零細企業が圧迫されることのないように、政府関係中小企業金融機関に対し十分指導をしてまいりたい。
 で、先般もお話ししてございますような、小企業経営改善資金融資制度といったようなものを本年度から発足するということもその一助でございましょうし、来年度からは、先ほど大臣からお話がございましたように、この制度を抜本的に拡充して資金量の大幅な増大、あるいは貸し付け期間の延長、あるいは限度の引き上げ、こういったことに引き続き努力してまいりたいと思っているわけでございます。そのほかに国民金融公庫の、これはまあ零細企業が大部分でございますが、その一般融資ワクの増大、あるいは小規模企業に対する設備近代化資金及び設備貸与制度を拡充する、あるいは中小企業振興事業団の工場共同化事業に対する融資ワクの拡大と、こういった小規模企業に対する施策の充実を十分今後も配慮をしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
#25
○峯山昭範君 長官の言うことをよう聞いておりますと、確かに私はそういうふうないろんな制度で零細な企業、あるいは何というか、そういう中堅企業以外の小さな企業が非常に保護されるように思うんですがね。しかし実際は、私はこの今回の法律改正によりまして、やっぱり中堅企業が相当進出してくる、こういう中小企業の金融のワクの中にですね。たとえば信用の保証の問題一つにしても、これはもう格段の開きがあるわけですし、貸すほうにしましては、やっぱり五千万円以上一億の間の会社というのは相当しっかりしているわけだし、信用保証という問題から考えましても、貸すほうにしましては安心して貸せると私は思うのですよね。
 そういう点からいきますと、具体的には、いま長官から話ございましたけれどもね、そういうふうな一つ一つに対しての具体的な歯どめは私はないと思うんですよ、実際問題として。したがって、長官が先ほど十分な行政指導とおっしゃっておりましたけれども、ここのところはほんとうに本気になって取り組んでいただかないと、これは今回の法律改正によって小零細企業がかえって圧迫をされる、そして非常に、いままで以上にやりにくくなる、こういうことじゃないかと私は思うのですがね。ここら辺のところについては、再度もっと企業庁として基本的な考え方、そして今後のこういう面についての対策、そういう面について本気で取り組んでいただきたいと思うのですが、これはどうですか。
#26
○政府委員(外山弘君) 先ほど政府系三機関に対する指導と申しましたが、ただ口先だけの指導ではいけないわけでございまして、私どもとしましては、今般は例年よりも若干の伸び率をふやすというふうなことで、定義の改正にこたえるだけのワクの増加ということの配慮はしているわけでございます。しかし、実際問題として、それが今回算入されるような企業に全部使われてしまう、なおかつ、はみ出してしまうというふうなことでもありますれば、御指摘のような問題点がまさに生じてくるわけでございます。そういった点は十分今後も考えてまいりますが、同時に、ワクの問題が不足であるならば、やはり何としてもその点を拡大する方向で努力をしなければいけない、こう考えるわけでございまして、今後も機会を見てそういった点についての努力は引き続きやってまいりたい、こう考えるわけでございます。
 それからもう一つは、実行上はたして小企業が圧迫されるような貸し出しになっているかどうかということが問題でございます。この辺は、これらの機関が従来にも増して小規模企業に対する融資ワク並びに融資の実行ということについての配慮が、実行上あらわれているかどうかということを常に監督してまいりたい。で、いろいろな中小企業行政の中で、やはり小規模企業層にどれだけのカバレージがあるかということを、私としては常に、不断に注意しながら、先ほど御指摘のような問題がないように計らってまいりたい、こう考える次第でございます。
#27
○峯山昭範君 それでは、その点は特に真剣に取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、今回の基本法改正の中で、先ほど説明ございましたけれども、さらにもう一点お伺いしておきたいのでありますが、今回の改正は、資本金の金額の基準を五千万円から一億に引き上げたわけでありますが、これは昭和三十五年の工業統計によりますと、従業員数三百人で見ると資本金規模では大体五千万円以下、こういうぐあいになっておったものが、昭和四十四年の工業統計では、それが約一億円以下になっていると、こういうことらしいんですけれども、この考えでいきますと、従業員数三百人というのが中小企業の基準になっている、こういうように、私は思うんですが、この従業員三百人という問題ですね、これが中小企業の基本、まあ基準になるのかどうかという問題が一つです。
 それからもう一つは、今回の改正では、いわゆる製造業などの場合五千万円から一億円に引き上げられた。しかし、従業員の基準につきましては、ここにも表にございますように、現行どおりとなっておりますが、いわゆる従業員の基準については、これは変える必要ないのかどうか、こういう点についてはどうですか。
#28
○政府委員(外山弘君) まず、従業員の三百人、従業員数規模を三百人としている理由でございます。製造業の資本金基準の引き上げについては、ただいま御指摘がございましたように、従業員数規模を基礎としておるわけでございます。したがいまして、今回の改定にあたっては、従業員数基準は三百人のまま据え置きまして、結局、基本法制定時の従業員数規模を結果として基準としたことになるわけでございます。
 では、基本法制定時に従業員数三百人というのを基準としたのはどういう理由であるかということになるわけでございますが。基本法制定時以前に中小企業者として助成対象とされていた企業を最大限基本法における中小企業者として取り込むために、当時、中小企業者の定義として使われておりました最大の従業員数規模である三百人を採用したという現実論がございます。
 それから、もう一つの問題としましては、基本法制定時以前に、中小企業等協同組合法等におきまして、中小企業者の定義の基準として、従業員数三百人以下といった点が採用されております。したがいまして、三百人という数字に実定法上の根拠があったというふうなことが理由として言えるかと思います。
 それでは、今回この従業員基準を引き上げない理由はどういうことかということの御指摘でございます。で、基本法制定以来十年の間、三百人以下を中小企業としてきているわけでございますが、今回、この三百人という基準が適切であるかどうかということを検討したわけでございます。
 まず第一に、三百人を境とする企業間の生産性あるいは賃金水準といったものにおける格差を見た場合に、基本法制定時の三十八年と最近時点とではほとんど変わりがないというふうな数字が出ております。
 それからもう一つの比較としまして、一企業当たりの平均従業員数を三百人を境として比較してみましても、基本法制定時と最近時点とはほとんど変わりがない。三百人という基準の総体的な大きさに変化がないということが示されたわけでございます。
 それから三番目には、生産性とか賃金水準の数字を従業員規模別に詳しく見ますと、その格差は、確かに大規模の企業群から小規模の企業群へと連続的にあらわれてくる、これは事実でございます。で、格差の大幅な断層を示す従業員規模、すなわち、現行の三百人に積極的に代替すべき従業員規模を逆に見ますと、特にあらためて統計的に別の数字が見出されない、つまり、三百人にかわって統計的な断層がはっきり出てくるような数字がないというふうなことももう一つ理由になるかと思います。
 こういった点を考えますと、行政の継続性あるいは安定性等の理由から積極的な理由がない限り、従来の基準を採用することのほうが望ましいのではないか、こういうふうな判断で、現行の三百人という基準を維持すべしというふうな結論で、法案を提出している次第でございます。
#29
○峯山昭範君 それでは、もう一点お伺いしておきたいと思いますが、この中小企業の定義の中で、工業、それから運送業その他の業種、いわゆる製造業ですね。この製造業等の場合と、それから商業、サービス業の場合とでは相当これは基準が異なっておりますが、たとえば資本金三千万円で従業員二百人の企業の場合は、製造業では中小企業になりますけれども、商業の場合は中小企業に入らない、こういうふうに現行の製造業等の場合、資本金の基準五千万円、従業員基準三百人ですね、それから商業、サービス業の場合は、資本金の基準が一千万円、それから従業員の基準が五十人と、こういう基準になっておったわけでありますが、この商業のほうのこういうふうな基準ですね、これは一体どういうあれできめられたのか、この点もちょっとお伺いしておきたいと思います。
#30
○政府委員(外山弘君) まず、基本法制定時に製造業等における中小企業者の現行の定義が定められた根拠は、先ほど申し上げましたような理由で三百人という数字がとられたわけでございまして、資本金基準を五千万円以下としたのは、三十五年の法人企業統計によりますと、製造業等については従業員数三百人に平均的に見合う資本金額がほぼ五千万円であるということによるものでございます。
 次に、当時、商業、サービス業における中小企業者の現行の定義が定められた根拠は、大体以下のとおりだったと思います。まず、資本金基準を一千万円以下としたのは、基本法制定時以前に中小企業者として助成対象とされていた企業を最大限取り込むために、当時、中小企業者の定義として使われておりました最大の資本金規模である一千万円をまず採用したということ。そして基本法制定時以前に、中小企業等協同組合法等において、中小企業者の定義の基準として資本金規模一千万円以下が採用されておりまして、実定法上の根拠があったということは、これも製造業と同様でございます。で、従業員数を五十人以下としたのは、この昭和三十五年の法人企業統計によりますと、商業、サービス業については一千万円のほうを基準にいたしますと、これに平均的に見合う従業員数がほぼ五十人であるということがその根拠であったというふうに考えます。
#31
○峯山昭範君 そうしますと、基準の定め方が基本的には逆ですね、それでほんとうにいいのかどうかということについて、私は非常に疑問を感ずるわけです。たとえば中小企業の場合、融資を受ける場合でも何でも、製造業と商業との間にそんなに格差が設けられていいのかどうか。たとえばお金を借りる、資金を調達する、その一つの問題についても、要するに、中小企業の保護政策というのは、いわゆる零細な企業を保護するために信用力やいろんな問題を補完すると、そういうような立場でもあるわけですから、そういう点、考えてみますと、現実の問題として、たとえば現行の法律でいきましても、この製造業の場合はたとえば四千五百万円、まあ、五千万円以下ならこれは中小企業対策の保護を受けられる、そうなっているわけですね。そうしますと、商業のほうは今度はそうはいかぬわけですね。これは一千万円以下ですから、もうほんとうにこれはわずかな金額の範囲内まで、こういうぐあいになってくるわけでありますが、これでは、ちょっとおかしいんじゃないかと、そういうことを感じるわけです。実際問題として、企業が融資を受けるような場合には、その資産あるいはその資本規模、そういうようなものがやっぱり根本になるわけですね。そういう点から考えましても、ここら辺のところはもうちょっと考え直す必要があるんじゃないかということを私は感じるわけです。
 それから、もしその差が、こういうぐあいに差を設けなくちゃいけないというのであるとすれば、今度はまた、製造業そのものの中にも商業、サービス業とほとんど変わらないようなものもあるんじゃないかと、製造業そのものの中にもいろんな差が設けられてしかるべきじゃないか、こういうぐあいに考えるわけですけれども、こういう点についてはどうお考えですか。
#32
○政府委員(外山弘君) 先ほどから申し上げましたように、製造業と商業のそれぞれの定義が、当時の実定法上の根拠、あるいは実際問題として、中小企業政策の対象となっていた範囲を広範にとらえるというふうな限度において採用されていた。それがその後の情勢変化の中で、やはり人数のほうは製造業については正しいと、適切であるというふうな判断に立ち、また、卸売り業については、その後、商業の中で別扱いすべきであるというふうな判断に立って今回のような改正を御提案申し上げているわけでございます。総体として見た場合に、確かに商業、特に卸売り業、小売り業と製造業というふうな区別は私はあると思います。ただ、そういう区別をするならば、なぜ製造業のほうをもっと細分化しないのかというふうな御指摘でございます。
 この辺はまた、ほんとうに中小企業者の持っている問題を的確にとらえるということになりますと、それぞれの業種ごとにやはり中小企業者の中小企業性問題、中小企業問題というものを持っている範囲はどれだけであるかということを具体的に判断すべきかもしれません。業種によってそれぞれの層は若干ずつ違うだろうと思います。しかし、その辺をまた精細にやっておりますと、法的な簡明性と申しますか、明白性と申しますか、そういった点もなかなか問題になってまいります。
 もちろん、業種によりましては、著しくそういった点が問題になるような場合に、個別法規でそういった例外を設けております。そういう例はございますけれども、基本法の定義の基本の考えといたしましては、大きく業態面の違う製造業と卸売り業と小売り業というふうに分けまして、そして、製造業の中で業種ごとにいろいろな問題が層によって違うということが一般論から割り切れない面があれば、それを個別の法規で若干でも修正するというふうなことで、たとえば中小企業近代化促進法等におきましては、若干の業種についての例外を設けるというふうなことをやっているわけでございます。
 この辺、御指摘のような問題は、実態論としてはまことにごもっともな点であると思います。ただ、法の基本的な定義、基準としての考え方、こういった点になりますと、やはりあるところで妥協した考え方で整理をすることのほうが妥当ではないかと、こういうふうに考えた次第でございます。
#33
○峯山昭範君 それでは次に、中小企業の従業員の対策についてちょっとお伺いしておきたいと思います。
 中小企業の従業員の問題につきましては、最近、非常に重要な問題になりつつあります。従来、これは、特に戦前でありますが、零細な企業では、特に商業、サービス業、そういうようなものの従業員の魅力というのは、大体一定の年数勤務をいたしますと、のれん分けとか、そういうような形で独立することができた。店舗を、支店をほかに出すとか、そういうようなことができたわけでありますが、最近の地価の高騰あるいは建築費の上昇、まあ、いろんな問題がたくさんありますが、そういうようなところから、特に、新しく店を開いたり、またのれん分けをしたり、そういうようなことがもう非常に困難になりつつありますね、現在の実情としましては。そういう点から考えてみましても、中小企業の従業員に対する対策というものは、特にこれから重要になっていくんじゃないかと、私はそう思います。たとえば、福利厚生の面一つにしましても、大企業の場合は非常に充実しているわけですね。そういう点から考えましても、中小零細企業にいままでどんどん就職していた人たちが、いわゆる中小零細企業に入るメリットというのがもうほとんどなくなってきているわけです。現在の面でですね。そういう点から考えてみましても、従業員に対する長期的なビジョン、こういうようなものを、大企業の場合はいろんな面で与えることができる。将来に対する希望というものを、中小企業は一体どういうぐあいにして与えたらいいのか、そしてどういうぐあいにして人材を求めたらいいのか。これは、非常にこれからの零細企業あるいは中小企業にとっては重要な問題だと私は思うんです。
 そこで、実際問題として、これをそのままに野放しにしておきますと中小零細企業は非常に経営が苦しくなりますし、また、あるいはレベルの低下ということも来たします。そういう点から考えましても、中小零細企業の従業員に対して、特に将来に対する大きな希望といいますか、そういうものを与えるためにも、あるいは中小零細企業に対する、そこに働いている従業員に対する長期的なビジョンを与えるためにも、これは政府として何らかの政策なり施策を施す必要があるんじゃないかと、こう思うんですが、こういう点についてはどうお考えか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
#34
○政府委員(外山弘君) 御指摘のように、従業員にビジョンを与え、そのいわば働きがい意識と申しますか、これを満足させるような魅力のある議場づくりをするということは、これからの中小企業対策としてはきわめて必要なことと考えられます。
 で、中小企業の場合、各種の意識調査ということをやってみましても、自己の能力をフルに発揮できるとか、責任や権限のある仕事をまかせられるとか、こういった点から大企業に比して働きがいを感じるというふうなことがよく指摘されております。一方、賃金、退職金制度、休日数、企業内福祉等の面で大企業との間に少なからぬ格差が存在していることもまた事実でございます。で、私どもとしましては、関係省庁とも協力いたしまして、中小企業のための各種の福祉関係施策の充実ということにつとめるとともに、中小企業がこれら福祉の充実をはかることができるような企業基盤をつくり出す、これがやはり基本であると。そのために企業の生産性を向上させ、付加価値を高めるような、先ほどもお話が出ました知識集約化の方向に向かうこともその一つございますが、そういった方向に中小企業を誘導していくことが肝要であるというふうに考えております。これが同時に、中小企業で働く人たちに対して働きがい意識を満足させるというふうな方向にもつながっていくのではないだろうか、こう考えている次第でございます。
#35
○峯山昭範君 労働省ひとつ。――労働省、来ていますか。
#36
○説明員(大坪健一郎君) 中小企業の労働者、従業員につきましていま先生の御指摘のような問題がございますことは、私どももたいへん実は心を痛めておる問題でございます。
 御承知のように、最近のわが国の経済のあり方に関連いたしまして、福祉重視という観点が非常に出てまいっております。労働省といたしましても、わが国の勤労者の福祉を重点的に向上させていくという援助のための諸方策をいろいろ考えておりますが、週休二日制の実施でございますとか、あるいは定年制の延長でございますとか、あるいは勤労者の財産形成の制度でございますとか、あるいは中小企業の退職金を共済いたす制度でございますとかいう各種の制度を現在実施いたしておりますが、先生の申されましような中小企業の労働者につきましては、これらの制度を特に集中的に実施、援助いたしてまいるように現在施策を実施中でございます。
 先生御指摘のように、なかなか中小企業の経営の実態等もございまして、十分浸透いたしておらないうらみもございますので、私どもはなお一そう努力をいたしまして、先生の申されましたように、中小企業の従業員の福祉向上に今後ともつとめてまいりたいと考えておる次第でございます。
#37
○峯山昭範君 特に私は、先ほども申し上げましたように、中小企業に働く従業員の待遇、これが、現在の待遇そのものもあんまりいいことないのに、将来に対する希望といいますか――まあ、昔は相当のれん分けやいろんなものがあったわけですから、それはそれなりにメリットがあったわけですね。ところが実際問題、現実の問題としては、もうこれは先ほどちょっと話に出てまいりましたが、たとえば退職金制度の問題一つにしましても、やっぱり相当国のほうも応援をしてあげてもらいたいと思うし、先ほど話がございました中小企業退職金共済事業団ですか、ここでやっております退職金制度そのものにつきましても、まだまだ不十分じゃないか。
 先ほど私、実は資料を調べみたんですが、たとえば契約者の平均掛け金が月千六百円ですか、それでこの千六百円の掛け金で支給される退職金は、勤続五年で、私の調査によりますと十一万二千三百四十円、十年で三十万七百七十円、二十年で八十六万九千九百十円と、四十七年度の一人当たり平均支給額は五万七千八百四十六円と、こういうぐあいになっておりまして、非常に微々たるものでございますね。これについて国庫補助金も支給されておりますが、その率は最低掛け金額の、月額四百円ですか、四百円になっておりますね。スズメの涙と言ってもいいぐらい、非常に少ないわけでありますが、こういう点を考えてみましても、今後特にこの事業団による中小企業退職金制度というものをある面では大幅に拡充していく、こういうことも必要じゃないか。あるいは国庫補助金についても、公務員の共済組合の長期給付について一五%ですか、厚生年金については二〇%の例がありますんですが、こういう点から考えてみましても、先ほどの例からいいましても、たとえば月四百円ということでありますと、これは五%か一〇%なんですね。こういう点から考えましても、厚生年金も二〇%いっておるあれもあるわけですから、この国庫補助についても相当充実していくべきじゃないか、こういうぐあいに考えておりますんですが、こういう点はどうですか。
#38
○説明員(大坪健一郎君) ただいま先生の御指摘がございましたような問題がございます。御承知のように、中小企業の退職金共済事業と申しますのは、中小企業における従業員の福祉と中小企業の繁栄を目的といたしまして、中小企業主が共同共済をいたしまして退職金を積み立てる、それに国が援助をいたしまして、一定の期間過ぎましたならば、定められた金額の退職金が退職した従業員に払われるという制度でございまして、基本的には互助制度になっております。現在、中小企業が実際に退職金制度を持っておりますところはそうたくさんはございませんけれども、規模が三十人から九十九人程度の中小企業で見ますると、大体いま先生の御指摘がございましたような程度の額の退職金が支給されておるということになっておるわけでございます。
 しかしながら、私どもはそれで十分だとは毛頭考えておるわけではございませんで、現在の中小企業退職金共済法によりますと、九十八条でございますが、五年ごとに掛け金とか退職金の額、あるいはその支払いに要する費用等の状況の推移を見て再検討を加える、中小企業退職金のあり方に検討を加えるという条文がございます。明年がその五年目に当たりますので、私どもは、実はただいま先生が御指摘になりましたような趣旨で、そういう点を含みまして、この制度の内容をもう一ぺん洗い直して検討をいたし、できれば非常に前向きの制度に改善をいたしたいと考えておる次第でございます。
#39
○峯山昭範君 最後に、大臣にちょっとお伺いしたいんですが、中小企業の従業員対策というのは、こういう中小企業、零細な企業で働く人たちの福利厚生といいますか、そういう点については、大臣担当ではないかもしれませんけれども、こういう中小企業、零細な企業で働く従業員に対して、将来に対して大きな希望を与えて、そうしてそういう中小企業、零細企業のレベルの向上をはかっていくということは、私は非常に重要なことだと思うんですが、大臣は、この点についてどういうお考えを持っていらっしゃるか、ちょっと一ぺんお伺いしておきたいと思います。
#40
○国務大臣(中曽根康弘君) 中小企業の従業員は、数からいいましても非常に多うございますし、比較的若い青年たちがみんな就職してくるわけでございますが、そういう人たちが生きがいを感じ、日本に希望を持つということは、政治としても非常に大事なファクターであるように思います。単に厚生施設がいいとかなんとかいう問題より以上に、やはり毎日の生活に生きがいを感じさせるという精神的要素も非常に大事な要素ではないかと私は思うのでございます。そういう意味において、一面において施設その他において充実をしていくと、同時に、その人たちの人生に対する希望や何かをかなえてやるような教育とか、あるいは誘導措置を社会教育その他の面でやはりやってやる必要があると思うのであります。向学心に富んだ青年もおりますし、いろいろそういう方もおると思うんです。必ずしも人はパンのみにて生くるものにあらずという、そういう精神を持って出てきている人たちでありますから、その点は非常に大事であると私は思います。
 しかし、だからといって、厚生施設あるいはそのほかの面においてやらなくていいというものじゃなくて、これはますますやる必要があると思います。最近やはり、中小企業が地域的に結束いたしまして、労働省から補助金をいただいて、厚生施設をつくったり、あるいは文化施設や体育施設等をつくっておりますけれども、これは非常にいいことで私の郷里にもそういうものがございますから行ってみますと、非常に喜々としてプールで泳いだり何かしております。そういうようなことも私たちはさらに充実してやっていく必要があります。
 もう一つ大事な点は、中小企業に入る人たちのかなりの者は、お店を持ちたいという希望が非常にあると思うんです。八百屋さんへ入ったら、年期をつとめて自分で店を出したい、床屋さんへ入ったら、やっぱり自分で理髪店を出したい、そういう希望があるだろうと思うんです。これは非常に大事なポイントでありまして、そういう新しい店を開業する、先ほどおっしゃいましたようにのれんを分けてもらうという、形は違うでしょうけれども、そういう方向に進めるためには、金融やそのほかの面で国としてもかなり積極的に援助してやる必要がある、そういうように思います。
#41
○峯山昭範君 ぜひともいま大臣から話がございましたように、中小零細企業で働く従業員の皆さんに、特にいま大臣おっしゃいましたように、若い青年が多いわけでございますし、こういう青年に少なくとも生きがいを与える、希望をかなえてあげるというのは、今後われわれにとりましても重要な問題であると思いますので、そういう点にもぜひとも力を入れていただきたいということを私は要望しまして、私の質問を終わります。
#42
○藤井恒男君 最初に、大臣にお伺いいたしますが、私がいまさら指摘するまでもなく、わが国の経済は世界有数のものとなっております。新経済社会発展計画に描かれているような国民福祉の向上を求めて、財政主導型の経済経営を十分に行ない得るまでに到達しておるわけでありますが、この国民福祉を達成するには、これまで立ちおくれの見られた生活環境そのものを向上することがいまやきわめて緊急の課題となっておるわけです。生活環境の施設の建設及び補修などに直接携わっているものがほとんど中小企業であるということを考えるなら、福祉社会においてもますます中小企業の役割りが重要であると思うわけでありますが、最近における中小企業の置かれている経済環境は、二回にわたる国際通貨調整その他非常にきびしい環境の中にあるわけです。また、ややもすればさきの日米繊維交渉などに見られるように、国の経済政策による犠牲をしいられる、その犠牲を最も強く受けて損をするというのが、中小企業の置かれておる立場だと思うんです。
 こういった意味において、わが国経済に重要な地位を一面占めておりながら、また一面ではきびしい環境のもとにさらされているところの中小企業に対して強力な施策を推進しなければならない、予算あるいは行政機構の充実なども当然はかっていかなければならないわけなんですけれども、この点についてひとつ大臣のお考えをお聞きするわけですが、いままでの質疑の過程を通じて、この種の質問に対して大臣の御答弁は、予算は八百二億であって、遺憾ながら必ずしも十分ではない、あるいは細かい施策、すなわち経営あるいは税務指導、情報関係の伝達等においては、これを親切に行なわなければならないわけであるが、それらの施策も微弱であるという御答弁が繰り返されておるわけです。確かにそうだとは思うんですが、基本法が制定されて十年を経過しておるわけなんです。その間に、いまのような論議というのは毎年繰り返されてきたんじゃないだろうかというふうに思うわけです。したがって、過去十年を振り返り、しかも年々中小企業の置かれている立場がきわめてきびしいという状況の中にあって、抜本的にひとつ中小企業というものを見直してみる必要があるのじゃないだろうかという気がするんですが、この点についてもう少し突っ込んだ大臣の御所見を最初に承っておきたい。
#43
○国務大臣(中曽根康弘君) 予算の額からすると、最近はわりあいに伸び率からいえばいいようであります。しかし、それは過去があまりにも低かったために目に見えてくるという程度でありまして、中身を見ましたらまだまだ非常に弱いものであると私は思っております。
 先ほど来申し上げましたように、零細企業に対する経営改善の指導、誘導、そういうような面において非常にまだ足りない面がございます。そういうような面で手足に使っているのは、あるいは協同組合の中央会であるとか、あるいは商工会であるとか、あるいは商工会議所とか、そういう方々にいろいろ煩労をお願いしておるわけでございますけれども、それらの中小企業に対する密着度というものを見ますと、必ずしも十全ではないと思います。また、府県には商工部とか商工課というものがございましたし、市町村にもございますけれども、それらも、これはわれわれの力の足らざるところから、積極的に育成したり積極的に乗り込んでやるという意欲がまだ十分でないように思います。いろいろドル・ショックや何かが起きた場合に、受け身でその事務を処理するということはできますけれども、中小企業そのものを思った親身のやり方がまだ十分でないと思うのです。
 これは、農業関係と比べてみると一目瞭然としておるのでございまして、経営改善普及という面については、農業の農事指導ということはかなり徹底しておりまして、技術の改善普及ということも進んでいるわけです。しかし、中小企業について見ますと、これは各自各自の創意に期待する面がかなり多いために、そういう画一的な指導、誘導ができないといううらみはございますけども、だからといって、そういう劣位のままに置いておいていいというものではございません。そういう意味において、多面的な指導力を発揮するような体制、われわれからすれば通産の指導行政の足腰づくりということが非常に大事だろうと思うのです。
 具体的には、これは商工会議所とか商工会とか、あるいは組合の中央会とか、そういうようないろいろな面に対して経営改善指導等に関する人的強化、あるいはその方向に関する教育、啓蒙、あるいは資金的な、あるいは情報的な、そういうあらゆる面についてやはり人とチャネルをもっと強化してやらなければならぬ、そういうように一番痛感しておるところでございます。こういうことをやれば、予算的にもかなりふえてくる面があると思います。
 いままで、たとえば商工会議所あたりの経営指導員なんかは六万か七万ぐらいしかもらってないですね。それじゃいい人が来るはずがないわけです。来年度予算で八万ぐらいに上げよう、次いで十万ぐらいに上げていこう、そういう希望を持っておりますけれども、それだけにしてもかなりの額が要るわけでございまして、そういう面においてまだ非常に薄弱であると、こう思います。
#44
○藤井恒男君 いま大臣がいみじくも、農業との対比において中小企業の施策というものが、どちらかといえば受け身であるということであったわけですが、私もそれを痛切に感じておるのです。
 たとえば、グレープフルーツが日本に入ってくる、あるいはオレンジの自由化が避けられないかもわからないぞという声があがると、愛媛県などにおいては、夏ミカンはもはやこれはだめだぞということで、これを甘カンに切りかえるための指導が行なわれる。そのための農事法を一々講習する、あるいは木の植えかえを現に始めている。非常に前向きにその産業を育成し、さらに安定せしめるという施策が講ぜられておるわけだけれども、中小企業の場合には、どちらかといえばもう個人の努力にまつ。倒産すれば資金を少し回すだとか、こういったことに終始しておるようにしか思えないんですね。そういった意味で、前向きに中小企業を誘導する施策こそが中小企業庁に課せられた任務である、倒れかけたところに金を貸していくというのは、ある姿をそのまま保存するというだけの行為であって、たいしたものではないというふうに私は思っておるわけですから、どうかいまの点について、長官も十分留意して施策していただきたいと思うわけです。
 その次に、もう一つ大臣にお伺いしておきますが、当面、中小企業者が最も関心を持っておる問題は、現在の急激な、しかも広範な金融引き締めに伴う影響についてであろうと思うのです。この数カ月の間に四度の公定歩合の引き上げがありましたし、その他預金準備率の引き上げ、最近はまた予算面からもこの締め付けが非常にきつくなっておる。これによって一番被害をこうむっておるのが中小企業であろうと思うのです。要するに、金融引き締めの浸透いかんによっては仮需要が減少する、在庫の放出なども行なわれる。これらが一時期に重なってくると、きわめて短時間で需給のアンバランスを起こす。そのことがさらに需給関係をいびつなものにして、企業をして倒産に追い込むということになろうと思うんです。数字的にも明らかになっておるわけですが、インフレの時期には塩ビなどに見られるように、生産物資が不足して、多くの中小企業は倒産する。このままこれが金融引き締めという形で推移していけば、今度はデフレ倒産、年末にかけてこの種の思惑というものが中小企業の中にはびこっておるし、その思惑が思惑を生んで、さらに中小企業にとってはたいへん苦しい環境を迎えつつあるというふうに思うわけですが、この面について大臣のお考えをお聞きしたいわけです。
 ことに、前回の不況の折には、私は、思惑というものが、経済に与える影響のおそろしさというものを、お互い痛切に感じたというふうに思うわけなんです。経済というものは生きものですし、それを扱う人たちの思惑によって、ちょっとした行為が端的にあらわれる。たとえば糸なんかの場合には、糸が一トン現に足りないという問題ができれば、ばたばたっと仮需要がふえる。あるいは相場がちょっと狂うと、ばっとこれを放出していく、そうすると投げに入っていく、たちまち中小企業はそれに振られてどうしようもないということになるわけです。この種の思惑についても慎重に扱ってもらわなければならない。それをまた誘導するのが役所の大きな任務であろうというふうに思うわけなんです。この種の問題も兼ねて大臣のお考えを聞いておきたい。
#45
○国務大臣(中曽根康弘君) 中小企業のことしの動態を見てみますと、上半期はわりあいに資材難で悩みまして、八月ぐらいになると資材倒産という徴候が見えてきました。この間、非常に苦労なすったわけで、われわれとしてもたいへん申しわけない次第であると思います。今度は下半期になると、資金難という危険性が出てきております。総需要の引き締めから、われわれが特にてこを入れないというと、必然的に中小企業に金融的圧力が、しわが寄ってくるという危険性がございます。そこで中小企業庁長官をして、その金融対策については万全を期するように指示しておるところでございまして、必要あらば政府系三機関のワクを、十二月を待たずとも情勢によってはふやしていくと、そういう用意も考えておるわけであります。
 思惑という問題につきましては、お指図のとおりでございまして、一番いい例が、八月三十一日の公定歩合の引き上げを機に商品相場がみんな下落してきておるわけです。これは明らかに先行きは冷えるという印象を持って、手持ちの連中が出してくるとか、あるいはそういう思惑的な発想転換が行なわれたのではないかという感じがいたすわけでございます。しかし、そういう思惑的なことで利得をしたり、何かをするのはごく少数の人間で、大部分の中小企業者はその犠牲になるわけでございますから、われわれとしては、そういう商品関係の需給につきましては厳重に監視いたしまして、そういう思惑的な乱高下を起こさないように努力していきたいと思います。
#46
○藤井恒男君 長官にお伺いしますが、昭和三十八年に基本法が制定されて十年を経過したわけです。この間の経済はまさに高度経済成長の時代であって、規模の面でも、また構造の面でも大きな変貌を遂げてまいりました。こういった中で、中小企業もこの種の大きなうねりの中で、あるものは切り捨てられ、あるものはまた大企業の締めつけにもかかわらずこれに抗して、営々と努力を重ねているのが中小企業の現状だと思うわけですが、政府においては、こういった中小企業の置かれておる立場というものを直視をして、中小企業政策というものを、先ほども私触れたわけですが、洗い直してみる必要があると思うんです。ところが、本法案では、中小企業基本法の一部を改正するという名のもとに範囲の改定のみにとどまっておる。これでは、中小企業基本法の改定というそのことの看板に対してはあまりにもお粗末じゃないだろうかという気がします。この辺についてひとつ長官のお考えをお聞きしたいわけです。
 同時に、先ほども質疑がありましたが、中小企業政策審議会などの場でよく知識集約化ということばが出てまいります。率直に申して私は、この知識集約化ということがあまり理解できないわけなんです。先ほど長官は、中小企業の知識集約化、あるいは中小企業の知識集約産業への移行ということについて、それは企業活動において知的な能力が最大限に生かされるものであるというふうにお答えになっておったわけです。何としても生きた企業を動かす場合に、いまの定義づけというのは字引きを引いたような感じであって、技術研究開発型、あるいはファッション型産業へ移行さすんだということ、あるいは、知識集約の分野をすそ野を広げていくことが大切だというふうには言われるわけだけど、現実にいまある中小企業というものを、そのようにおっしゃる知識集約産業へ移行せしめるプロセスというものをどういうふうに考えておるんだろうか。先ほどもお話があったように、たとえば税務処理一つにおいても、それがなじまないというのが現在の中小企業、ことに中小零細企業の置かれている実態である。そういう実態のもとに誘導していこうとする場合に、一体どういうふうに具体的に、広範な中小企業層を知識集約型の方向へ持っていくのか、この辺についても少しお伺いしたいと思うわけです。
#47
○政府委員(外山弘君) 中小企業施策もこの十年の間に、時代の要請にこたえてずいぶんとその量を増してまいりましたし、また、多面的な内容を加えてきているというふうに考えます。ただ、今回は定義の改正だけに踏み切っておりまして、いま御指摘のような政策面でのいろいろな改正と申しますか、そういった点には法的には触れてないわけでございますが、これは現行の中小企業基本法による問題の把握と政策の方向づけといったものが条文を読みますと、きわめて視野の広い、弾力的なものとなっていると考えます。したがいまして、表現のしかたは若干異なりましても、今回、中小企業政策審議会がいろいろな意見具申を提起しておりますが、現行基本法の範囲で十分カバーされるというふうに考えたわけでございまして、もちろん具体的な施策の内容は、時代の要請によりましていろいろなくふうを加えていかなければならないと思います。しかし、法的には定義の改正だけで十分であるというふうに考えた次第でございます。
  〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕
 その次に、知識集約化という内容でございますし、また、それに対する指導ということと、現実に中小企業が当面している問題点との調整はどうするのか、こういう御指摘でございます。確かに、知識集約化というのは一つの国民経済の示す方向でございますし、企業が新しいビジョンのもとに今後の努力すべき方向として、一つの正しい方向だと思いますし、それに対して私どもが研究開発の助成とか、技術指導とか、あるいは情報の提供とか、そういった点でできるだけ知的能力が拡大して、個別企業としても、知識集約化の分野の広くなる方向に企業が発展する、あるいは中小企業全体の構造がそうした知識集約型産業のウエートが高くなるような方向にいくということを指導することが、私は長期の方向として非常に大事なことだと思います。
 したがいまして、そういった意味の助成を今後も強化していかなければいけない、こう考えるわけでございますが、同時に、中小企業が先ほども申しましたように、本来持っている企業的な脆弱性、体質的な弱さというふうなことからくる問題点は多々あるわけでございますし、それに伴いまする競争場裏での不利な条件というものはいろいろな面であるわけでございます。そういった面での中小企業対策としての面、こういった面は、もう一つ非常に大事な問題としていままでもございましたし、今後もあるわけでございます。
 分野の調整の問題であるとか、金融上の不利の是正の問題であるとか、指導面での強化の問題とか、そういった不利の補正の問題を含めた指導が大事であると同時に、先ほども申しましたように、新しい方向づけの中で企業が努力をしていくその自助努力を有効に実らせるために、それを育てていくために施策の強化をするということ、こういった面も大事である。両方相まって中小企業の体質が全体としてよくなるように、私どもとしては業種、業態に応じたいろいろな考え方をとっていかなければならない。方向としては、ただそういった知識集約化の方向の助成、それからもう一つは、先生御指摘がございましたように、現実面での問題についてのこれの是正、こういった両方の面が必要である、こういうふうに考えるわけでございます。
#48
○藤井恒男君 現実の問題として、基盤が脆弱な中小企業の中に知識集約化の分野を広めていくその自助努力というものが可能であるかどうか。ここで定義するところの資本金二、三千万円、従業員が四、五十人というような中小企業群がここにたくさん存在している。そうして、それが激烈な競争の中に立たされておるわけです。個々の企業がいまおっしゃるように、おのれの企業の中に自助努力によって知識集約の分野を広げていく、そういった発想がはたして適切であるかいなか。むしろ、その自助努力も当然必要であるが、そういった中小企業群から離れた立場で、たとえば一つのセンターというようなものが設定されて、そこが代替するというような方向を導き出すほうがむしろ本来的じゃないか。ある姿をそのまま描き出しておるんじゃないだろうか。
 先ほど大臣も言われた、たとえば税務処理の問題一つにしても、おやじさんが昼間の労働のあと、それはなお自助努力によってもっと法律を勉強して、税務処理を行なうべきだということももちろん必要ではあるが、それを代行して、プールーして税務処理を行なうというような方向性、そういったものがいま中小企業には必要であろうと思うわけなんだけど、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
#49
○政府委員(外山弘君) 中小企業も独立の企業でございます。したがいまして、やはり時代の変化をよくとらえて、そして自助努力のもとにいろいろな施策を利用しながら、みずからの力で育っていくということが基本としては私は大事であろうと思います。ただ、そういったことが、たとえば御指摘のように、知識集約化の面でたくさんの中小企業にそういうことをいってもから振りではないだろうか、こういうふうな御指摘であったと思います。私自身もまだ勉強が不足でございますが、最近ここ二、三年間の推移の中で、たとえば国民金融公庫の窓口におけるいろいろな事例というふうなものを耳にいたしますと、かなりいろいろな例がございます。
 で、製造業でも、あるいは販売業の面でもいろいろくふうをしながら、従業員が七人とか十人とか、あるいは二十人とかその程度の企業でも、技術的な努力と、あるいはマーケティングの努力とによりまして、格段のリードを他企業に対して示しているというふうな例も幾つかあるようでございます。そういった例がだんだんと普及していくことは、私は、これ自体いいことであると思いますし、それがまたどの程度今後みなの力になるような指標になるかどうかという点は、さらに勉強していかなければならないと思いますが、中小企業のほうがむしろそういった方向に動きやすいという面もその人たちは述べているようでございます。これは私は、希望を失わずに、やはりそういった面への努力は続けてもらわなければいけない、また、そういった面で一つでも中小企業の中にりっぱな成果をあげるものが出てくることは、それ自体非常に望ましいことであるというふうに考えるわけでございます。
 しかし反面、多数の中小企業の業種、業態に応じていろいろございますけれども、やはり共通の問題点は、先ほど御指摘のように、自助努力というべくあまりにも脆弱である。その自助努力を呼び起こす力を施策の上で与えなければいけないというふうなものも多々あると思います。そういったものに対して、やはり経営の安定というふうな角度からできるだけ手厚い助成ということも必要であると思います。それは税務の面でも金融の面でも同様でございますし、そういった面で最近はいろいろな小企業施策も充実をはかってまいりたいと、こう考えているわけでございますけれども、センターの設置という点は、まだ私もよく検討しておりませんが、先ほどのように、全体としてそういったみずからの力のない人のために代行をするということ、これも指導の一環だろうと思います。記帳指導員とか経営指導員というものが、ある意味でそういった面の機能を果たしているのではないだろうか。対象にもよりますけれもど、そういった人たちの経営指導なり記帳指導がそういった面も果たしつつあるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
#50
○政府委員(原山義史君) 藤井先生の御指摘のように、現在、主要産地四十産地でドル・ショック以後の緊急診断を実施しておりますが、この結果もほぼまとまりつつあるところでございます。それに基づきまして、私どもとしましても長期展望をしたいというふうに思っておりますが、いま出ておるのを少し見てみましても、デザイン開発センターをつくりたい、あるいは技術開発センター、新製品の開発センターをつくって、企業の事業の転換を含めて乗り切っていきたいというふうな希望が、産地からもずいぶん出ておるようでございます。これらを私どもは、県あるいはいろいろの有識者等といまディスカッションしているところでございますが、それを得まして、この計画が出てまいりますと、中小企業振興事業団の援助を強力にやってまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#51
○藤井恒男君 いま、長官と次長からそれぞれお話がありましたが、要するに、文章の上で出てくる、あるいは絵にかいたような中小企業と中小企業の実態というのは非常に違う。中小企業が一番密集しているのは大阪地域であろうと思うのだけど、たとえば堺なら堺に軒を並べている機械の製造中小企業群などを見ると、これはもうまさに企業が脆弱であって、税務処理一つすらもたいへんなことだと、したがって、ある種の団体などはその税務処理を会費制によって行なう、それが非常に中小企業にとってはありがたい存在であるというようなことになっておるわけですね。
 私はだから、金を貸してやるぞと、これも大切かわからぬけど、ほんとうに中小企業というものを育成していこうとするなら、自助努力ももちろん大切です。中小企業それ自体がおんぶにだっこということではこれは通らないわけなんだから。しかし、現実にこの知識集約化の方向へ誘導しようと、あるいはもっと簡便な税務処理をやろうというようなことになれば、自助努力もさることながら、私はやっぱりセンター的なものを設置して、そこに豊富な人材を置いて、製品開発もやれば、あるいは経営指導も診断もやれば、その代行もある場合にはやってやるというようなことが必要だと思いますので、先ほど御答弁にありましたように、センター設置の機運も高いということでございますなら、その面もあわせてひとつ今後の課題として御検討いただきたいと思います。
 それから、本法によって規定されるところによれば、資本と従業員との関係がきわめて重要になるわけですが、この規定それ自体からいけば、極端な表現かもわからぬけど、資本が数十億、そして従業員は三百人以下ということも中小企業の範疇でありましょうし、また、先ほど来申しておるような従業員七、八名のほんとうに脆弱な本来の零細企業も中小企業の範疇に入る。ことに最近は、省力化ということがきわめて重要な課題なるがゆえに、装置化された工場においては、従業員がどんどん減少して資本がふくらむという傾向にあるわけです。こういったものをいわゆる一緒くたにした形で、しかも、国の予算というものが限られておるということに去れば、勢い上位規模の中小企業に施策がシフトするということにならざるを得ない。客観的に見れば当然そうなるだろうというふうに思うわけなんで、そういった面についての歯どめといいますか、何か具体的な施策があれば聞かせておいていただきたいと思います。
#52
○政府委員(外山弘君) 今回の定義の改正にあたりましては、ただいま御指摘のようなことのないように、小規模事業者に対して十分施策の強化を拡充しておりますし、またしていきたいと、こういうふうに同時に考えているわけでございます。
 で、小規模企業対策といたしましては、今回、経営改善をはかるための小企業に対し、低金利かつ無担保、無保証の特別融資制度を創設いたしたわけでございますし、また、経営改善普及事業についてその効果的な浸透をはかるために、指導員の大幅な増員とか待遇改善、あるいは都市部における指導活動の充実といったような点に配慮をしているわけでございます。
 また、小規模企業共済制度につきましても、先国会で成立しました改正法に基づきまして制度の拡充をいたしましたが、大幅に加入者の増加をはかるための運営費の補助をやっております。
 また、小規模企業の設備の近代化についても、近代化資金あるいは設備貸与について事業規模の拡大をする。
 あるいは中小小売り業についても、先般、大規模小売り店に関する法案によりまして中小小売り業者の競争力を強化するという半面、中小小売商業振興法の制定をはかるということで、この両方によりまして積極的な助成策を講ずるというふうなことをいたしましたし、診断指導事業についても、事業転換指導の新設、あるいは診断指導日数の増加等で小企業経営改善のための指導事業の拡充をはかっているわけでございます。
 そのほか、中小企業振興事業団の工場共同化事業に対する融資ワクの拡大、あるいは国民金融公庫の一般融資の増大、そういった点の配慮もしておりますし、税制上におきましても、個人事業主報酬制度の創設、あるいは中小同族会社の留保所得加算課税制度の緩和と、こういった点で税負担の軽減をはかる、こういった小規模企業者への配慮を特にいたしましたし、また、今後もしてまいらなければならない、こう考えているわけでございます。
 さらに、こういったことをやる反面、今回新たに算入する中小企業の中の上位企業、そういったものに資金が集中するというふうなことのないように、先ほども申し上げましたけれども、一つは資金ワクを拡大することも大事でございます。それから同時に、既存のいろいろな中小企業施策がどのようなカバレージをもって、零細企業に対しても引き続きその施策の充当が行なわれているかということを不断に監視することも、一つの歯どめ的な行政指導体制かと存じます。そういった点を今後も注視いたしまして、御指摘のような点が杞憂に終わるように私どもとしては努力をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
#53
○藤井恒男君 産業政策局長がお見えですから、局長にお尋ねいたしますが、この景気の見通しについての問題です。
 日銀では、八月二十八日に景気引き締めの対策として、第四次の公定歩合の引き上げ及び金融機関に対する預金準備率の引き上げの決定を行ないました。特に、公定歩合については六〇%から七〇%というふうに、一%というかつてない大幅な引き上げになっておるわけです。この結果、公定歩合はわずか四カ月の間に二・七五%も引き上げられたわけですが、このことが、いろいろな因果関係があったにせよ、早晩この金融引き締めの効果があらわれてくる、浸透してくるというふうに見るのは常識だろうと思うんです。私は先ほど思惑ということを申しましたが、ここで思惑が介在すると非常に混乱することになるわけですけど、政策局長としてはこの景気引き締めの効果がいつあらわれてくるか、そのことによって景気の鎮静化が行なわれるのはいつごろになるだろうと判断しておられるか、また長官には、この種の鎮静化がいずれはかられてくるわけですが、それに中小企業がどのように対応していくであろうか、その見通しを御両所にお伺いしたいと思うんです。
#54
○政府委員(小松勇五郎君) たいへん微妙な問題でございますが、御案内のように、最近金融面では、銀行の貸し出し額の伸びが急速に低下いたしておりますし、企業の手元流動性の圧縮も急速に進んでいるようであります。全般的に金融引き締めの効果が次第に浸透してきておりまして、先ほど大臣からお話し申し上げましたように、繊維、ゴムその他の市況商品は最近に至りまして頭打ちのものあり、また反落に転じたものあり、全般的に次第に鎮静化のきざしをすでに見せ始めているかと思います。
 今後どうなるだろうかということでございますが、この間の公定歩合の引き上げその他の金融引き締め措置だけでなく、公共事業の繰り延べ、建築投資の抑制などもこれから講ずるわけでございまして、まだ日時が経過しておりませんので、現在の段階で具体的にいつどの水準まで景気が鎮静化するがということは、見通しはきわめて困難でございますが、現在の状態から総合勘案いたしまして、秋から年末ぐらいにかけては景気全体が鎮静化してくるのではないかというふうに私ども期待いたしております。
#55
○政府委員(外山弘君) ただいま全般の見通しを産業政策局長からお話がございましたが、私どもといたしましては、やはり最近の経済全般の動向が、金融面では銀行貸し出し額の伸びが低下している、企業の手元流動性が圧縮されているというなど、引き締めの効果が次第に浸透していくのではないか、また実体経済面でも、一部の商品の市況が頭打ちないし反落に転じているというふうなことがすでに起こっているわけでございまして、今後、中小企業の経済活動を含めまして、次第に鎮静化の方向に向かっていくのではないかと考えるわけでございます。
 その際、中小企業がたとえば時期的にほかの産業全体の中でどんな動向になるだろうかとか、あるいはその程度がどの程度著しいであろうかというふうな点は、私どもは今後最も気をつけて注意しなければならないと思いますが、また、平常のときでも年末金融というふうな点で問題のある時期でございます。そういった点をよく踏まえまして今後の動向を注意してまいりたい。いまのところ、いつどんな現象になるだろうかというふうな見通しを的確に申し上げられる時期ではないかと存じますが、私どもとしては慎重に見守ってまいりたいと、こう考えている次第でございます。
#56
○藤井恒男君 先ほどの質問にもありましたが、倒産件数が非常にふえておる。これは品不足による倒産もありましょうし、インフレ倒産もありましょうし、また、引き締めによる効果が現にあらわれたというふうなみなしもできると思うんです。この種の倒産がある。そして、いま政策局長も言われたように、秋から四月にかけて鎮静化を期待しているということになる。そして長官もおっしゃったように、そうじゃなくても年末金融というのは非常に逼迫する。
 同時に、この中小企業者がかかえ込んでおる原材料というのは、ことにこの秋冬物に対する原材料の仕入れ時期は最も物価が騰貴したときですね。毛糸でもそうだし、あるいはその他の食料品等もそうだろうし、非常に物価が騰貴したときに原料を仕入れている。そうしてそれを製品化して放出する時期、それが最も景気の鎮静化していく時期だと、金融が非常に逼迫する時期だということになると、私は、これから秋から冬にかけて倒産件数はさらに深刻なものを迎えることになろうと思うんです。したがって、それらの見通しをつけた形での施策というものを準備しておかなければいけない。これはよくない準備ではありますけれども、現実にそういうことにならなければしあわせですが、そういったことがうかがえるわけなんです。統計的にも。したがって、そのようなときにはどのようなてこ入れを考えておるのか、準備があれば、あるいは考え方があるなら聞かしておいてもらいたいと思います。
#57
○政府委員(外山弘君) 御指摘のとおりの状況を私どもも懸念をしているわけでございまして、従来も、年末金融というふうなかっこうで政府系三機関の貸し出しワクの増加を財政投融資上配慮をしてまいっているわけでございますが、それが例年、十一月の初めに大蔵当局と相談をして話をきめるのが例でございます。私どもとしましては、今後の状況を注視しながら、やはり早めに手を打たなければいけない場合もあり得るというふうに考えまして、先ほど大臣からもお話がございましたが、状況を注視しながら、やはり年末の金融対策ということを現在の状況をプラスして考えながら、その規模、時期等について慎重に考えてまいりたい、そして、できるだけ結果を見通しながら早目に手を打っていきたい、こう考えている次第でございます。
#58
○藤井恒男君 それじゃ、次の質問に移りますが、金融引き締めがきびしくなるほどに、中小企業は金融機関から資金を調達することが困難になってくるわけです。そういった意味において、中小企業には信用保証協会による保証機能が期待されるわけですが、申すまでもなく、中小企業についてはこの保証協会のフルの保証行為というものを期待しておるわけなんだけど、資料によれば昭和四十五年、四十六年、四十七年を通じて、保証申し込み金額に対して承諾の割合というのは九〇%をこえたことがないわけですね。したがって、この保証申し込みをしても一割はカットされるというのが現実になっておるわけですね。統計的に見たら四十五年も四十六年も四十七年もそうです。これはどういうことになっておるのか。件数別に見ると、なるほど九五%ぐらいはオーケー、承諾件数はあるわけです。だから、カットされるのは五%ということになるんだけど、金額は、すべてこれはもう判で押したように統計的には一割カット。全部大体八八から八九%、三年間。何か大体一割はカットされるということになっておるのか、その辺のところをちょっとお聞きしておきたい。
#59
○政府委員(原山義史君) 確かに先生の御指摘どおり、件数におきましては、大体保証承諾割合が九五%ぐらいになっておりますが、この中には実はこの保証で認めている条件に合わないものが、あるいは規模が大き過ぎたりするものも入っておりますので、そういうのは落とすかっこうに相なります。また、たとえば無担保保証を申し込む際に、実は普通保険のほうが適当だというふうなものは一応お断わりして、普通保険に入ってもらうというかっこうで落ちるかっこうに相なるわけでございます。また中には、非常にまれなケースでございますが、先般も新聞等にも出ましたけれども、幽霊会社を使って保証申し込みをするというふうなものがございますので、これらは厳にセレクトしなきゃいかぬというふうに思っておるところでございます。
 なお、申し込み件数は九五%ですが、金額では八八ないし八九というふうな状況になっている理由でございますが、本件につきましては、やはり先ほど申しましたように、実は、たとえば無担保保証を申し込む際に、三百万円にしたらどうでしょうかと、実際は五、六百万円申し込んでおるわけですが、無担保保証にする際に乗りますから、これは下げたらどうですかというふうな頭打ち制度によって落ちるものもかなりあろうかと思います。大体それが大半だろうと思います。特に保証協会の窓口で、保証についてはむしろ金額を下げなさいというふうな指導を行なうということは、きわめてまれなケースを除いてはないものと私どもは思っておるところでございます。
#60
○藤井恒男君 まあ、皮肉なものの見方はしたくないわけだけど、先ほど言ったように、金額が四十五年も八九・四、四十六年も八九・五、四十七年の場合には八八・四、全くこれ同じ、動かぬわけだから、そういった不正な申し込みをするのが大体一割おるというふうなみなししかこれはできなくなるわけです。結果的にですね。よく行政指導をして、協会が中小企業の役割りに期待されておるわけですから、的確に期待どおり機能するようにひとつ御指導いただきたいと思います。
 次に、長官に三つの点合わせてお聞きいたしますが、本法は、中小企業施策の対象となる中小企業者の範囲を改めるために、中小企業基本法以下十八の法律の中の関連規定を改めようとするものでございますが、中小企業者の範囲の改定がどのような経緯をもって提出されたものであるか。
 それからいま一つは、「七〇年代の中小企業のあり方と中小企業政策の方向について」というのが、中小企業政策審議会から意見具申されておるわけですが、要約するなら、中小企業の七〇年代におけるあり方というものは何であるか、どのようにつかんでおるか、その要約した点を聞かしてもらいたいと思う。
 それから、同じく中小企業政策審議会の意見具申は、七〇年代の中小企業政策全体の方向づけをすることをねらいとしたものなんでございますが、この法案で提案されているところの中小企業者の範囲の改定というのは、審議会から具申された七〇年代の中小企業政策全体の方向づけの中でどれほどの位置づけを持つものか。先ほどちょっと御答弁に、本法によって、いわゆる範囲を改定することですべてなれりというような御発言があったように私聞いておるんです。これは私の聞き間違いかもわからないです。そういった意味で、そういう意味での位置づけをどういうふうに考えておるか。
 以上、三点まとめてひとつお答えいただきたいと思います。
#61
○政府委員(外山弘君) まず第一の、中小企業者の範囲の改定はどのような経緯で提案されるに至ったのかという点でございます。
 現行の中小企業者の範囲は、昭和三十八年に中小企業基本法が制定されましたが、それまで各法律で不統一に規定されていた範囲について、統一的な基準として示されたものでございました。その後、わが国経済の高度成長に伴いまして、特にまず製造業につきましては、企業の資本装備率の向上などによりまして、中小企業者の範囲を画する資本金規模と従業員規模との関係に変化が生じてきております。また、商業につきましても、卸売り業と小売り業との業態面の相違など、これら一括して定義することに対して疑問が強く出されてまいったわけでございます。
 私どもとしましては、中小企業者の定義の問題は、中小企業政策の対象範囲の決定という重要な問題でございますので、一昨年、七〇年代の中小企業問題の一環として、中小企業政策審議会の場で検討をお願いしたわけでございます。その結果、昨年八月にこの審議会から、「七〇年代の中小企業のあり方と中小企業政策の方向について」の意見具申がなされ、その中でこの定義問題についての審議会の基本的な考え方が示され、私どもとしましてはその考え方に沿って改定案を作成し、今国会に提出したという経緯でございます。
 次に、この意見具申の要点は何かということでございます。今回の意見具申の内容ははなはだ多岐にわたっておりますが、その要点と申しますと、以下の三点ということになるかと思います。
 まず第一は、中小企業をめぐる情勢変化への対応策の提示でございます。この場合情勢変化とは、一つは国際化の進展でございます。それから一つは福祉社会への指向でございます。もう一つは環境問題の深刻化ということでございます。こういった情勢変化への対応策を提示するということが一つ。
 それから第二は、最も基本的な対応策としての知識集約化ということについての分析でございます。
 それから第三には、中小企業政策の対象となる中小企業者の範囲の再検討。
 この三点に要約されるかと思います。
 ところで、この定義の改正というのは、中小企業政策全体の方向の中でどのような位置づけになっているのかという御指摘でございます。今回の中小企業政策審議会でこういう審議が行なわれますに至った契機の一つが、過去数年にわたり検討課題とされていました中小企業者の範囲の見直しを行なうことであったわけでございまして、このため意見具申では、特に「中小企業政策の対象」と題する一章が設けられております。そして、詳細な検討を行なっているわけでございます。意見具申の全体的な考え方の中で、中小企業者の範囲の改定がいかに位置づけられているかということについては、私どもとしては次のように考えているわけでございます。
 すなわち、意見具申の趣旨は、中小企業問題を経済社会情勢全体の変化の中でとらえ、中小企業を取り巻く現下の状況を過去の状況と比較しつつ、将来のあるべき方向を提示することである、今回の中小企業者の範囲の改定は、過去十年間の経済規模の拡大等中小企業をめぐる情勢の変化とこれに対応した中小企業の業態面等における変化、たとえば資本装備率の向上等でございますが、等を勘案しつつ中小企業政策の対象範囲を見直すことである、こういうことでございまして、言ってみますれば、将来へ向かっての提言をなすための前提と、こういう問題意識としてこの定義の問題をとらえているのではないだろうか、こういうふうな位置づけとして定義の問題が扱われている、こういうふうに考える次第でございます。
#62
○藤井恒男君 それではその次に、これもたびたび論議されておることですが、中小企業者の定義の中で資本金額の基準と従業員数の基準、これを私は、やはりいままでの論議の経過を踏まえた場合においてもなお現在、これを「かつ」とするのではなく、「または」にすべきであろうと思うわけです。内容的なものはもう論議済みだから重複を避けますが、この点について資本金額と従業員数の関係を、「または」を「かつ」に今後変えていくというようなお考えはあるのかないのか。ここ当分はやはり「または」でいくのだということなるのか、あるいは再度これは検討していくのか、その辺のところを聞かしてもらいたいと思います。
#63
○政府委員(外山弘君) 現行の中小企業者の定義におきまして、資本金基準と従業員数基準とを「または」の関係に置いている基本的な理由は、たとえば同じ工業の中でも資本多使用型の業種と労働多使用型の業種というふうなばらつきがあるということを考えまして、これらに対しましてなるべく平等に中小企業施策の恩典を与えようということを配慮したものでございます。一部の中小企業施策、主として団地協同組合等の組織化対策につきましては、資本金あるいは従業員数の上限を若干はみ出すような企業が参加したほうがむしろ望ましいという場合があることも考えの一つに入っているかと思います。このように「または」を採用している結果、資本金ないし従業員数のいずれかが相当に大きい企業が中小企業施策の対象に入ってくるおそれがあるということは御指摘のとおりでございます。が、反面、「かつ」にいたしますと、従業員数の小さい企業が自己資本の充実のため努力した結果、中小企業施策の恩典を受けられなくなってしまうといった不都合が生じます。
 中小企業者の発展性を尊重するというたてまえから見ますと、前者のほうが弊害が少ない、というふうな感じがするわけでございます。また、資本金や従業員数の規模が極端に大きい企業につきましては、たとえば、中小企業金融公庫の融資等については、運用上対象から排除するというふうなことも配慮しております。で、現実問題として、現時点で「または」を用いた定義を、「かつ」ということで定義を変更いたしますと、現に、中小企業施策の恩典を受けている相当数の企業が、突然、施策の対象からはずれるというふうなことにもなりかねない。中小企業経営の安定を期するということから見ても必ずしも適切ではないというふうな感じもいたします。そういうふうな事情もございますので、当分は現行のままのほうがよいのではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#64
○藤井恒男君 約束の時間が参りましたので、最後に、大臣にお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
 私は、今度の法律の改正の基本となった問題は、いわゆる中小企業政策審議会からの意見具申に基づくものであろうと思うんです。したがって、この意見具申の要約は何かということを長官にお伺いしたところ、「七〇年代の中小企業のあり方と中小企業政策の方向について」というこの意見具申の要点は三点であると、その三点というのは、情勢変化への対応、これは、国際化、福祉社会化あるいは環境の変化、これらの情勢変化への対応、それから二番目が知識集約化、三番目が経済規模の変化に伴うところの範囲の改定、こういうふうに述べられました。
 ところが、今回の本法においては、中小企業者の定義の改定のみにとどまっておるということについて、いささか私は不満を持つんです。むしろ、一番目の問題であるところの情勢変化への対応、あるいは二番目の知識集約化への対応といったものこそ緊急かつ重要な問題でなかろうかと思います。そのうち、第三番目の範囲についてここで改定を試みられたわけですが、これについても、これまでの規模の定義を資本と従業員で区分するという域を出ていない。このことについても私は不満を持ちます。
 こういった資本と従業員の規模によって区分するということよりも、こういう外形的な量的な測面よりも、むしろ、もっと内的な面、すなわち中小企業それ自体の出荷額あるいは販売額、さらには収益性、こういったような中小企業の営業の動向を見定めるような指標というものを用いて中小企業というものを分類していくほうが正しいのではないだろうかという気がするんです。そういった面において私いささか、本法については賛成はいたしますけど、不満な点があるわけでございまして、将来も展望して大臣の御所見を承りたいと思います。
#65
○国務大臣(中曽根康弘君) 先般来申し上げますように、中小企業に対する対策はまだまだ不十分であると考えております。先ほどの第一の対応の問題、あるいは知識集約化の問題についても、まあ、対応の問題については経営改善等を通じていろいろ努力もしておりますが、それでもまだまだ足りないと思っておりますし、知識集約化に至ってはまだばく然たるものであって、足を一歩踏み出しているとすらも言いかねるものであるだろうと思います。それから、海外に対するいろいろな経済協力の援助等についても同じようなものであります。そういうような面、及び、いま御指摘になりました一億円というワクだけでものを片づける考え方ではなくて、収益性とかいろいろそういう問題がございます。そういう問題につきましても、この法案が通りましたらあらためて検討いたしまして、そうして、業態に応じたきめのこまかい振興策を具体的に打ち立てていきたい、こう考えております。
#66
○須藤五郎君 いまの藤井君の質問とやや似た内容の質問ですが、中小企業の範囲につきまして、今回の改正が最も妥当であるという根拠を持っていらっしゃるなら、その根拠を示していただきたいという点、また、指標としまして資本金と従業員の二つしか出ておりませんが、他の要素は考えなくとも十分だと、こういうふうに思っていられるのかどうか。
#67
○政府委員(外山弘君) 今回の改定は、十年前にできました中小企業基本法の現在の定義を時代に合わせて修正しているわけでございまして、その妥当性の根拠といたしますれば、一つは、製造業につきまして、三百人基準ということがその後も変わりなく適切であるということ、そしてそれに対応する資本金基準は、従来の五千万ではなくて、この十年間の変化の中で一億と算定されるということが一つでございます。それからもう一つは、商業、サービス業を一括して規定しておりまする現行法に対しまして、その後の卸売り業と小売り業の違いといった業態面の差に注目いたしまして、そしてこれを抜き出して定義をするということで、時代に合わせた修正をしたわけでございます。
 で、資本金と従業員基準だけでやっているという点につきましては、確かに中小企業施策は、規模の大小だけで判断しているわけではなくて、対象の中小企業の問題性ということに注目して施策をはかるわけでございます。したがいまして、厳密にいいますと、もう少しいろいろな要素、たとえば、いま藤井先生も言われましたような要素も加味していろいろ考えるべき余地も大きいかと思います。ただ、法的に見ますと、あまり景気、不景気によって動く指標、あるいは個々の企業のいろいろな動きによって不安定になる指標、そういったものを法的な定義として規定することは必ずしも適切ではないのではないだろうか。で、法的な明白性と申しますか、あるいは安定性と申しますか、そういった点を見ますと、やはりこの従業員規模と資本金規模ということを一応の基準として規定することが法的には妥当ではないだろうか、こういうふうに考えた次第でございます。
#68
○須藤五郎君 私が言いたいのは、ただそれだけのことじゃなしに、いま中小企業が当面しておるいわゆる下請代金問題などがあると思うんですね。この下請代金の支払い方法についても、一応考えていかなければならぬ問題だと思っておるんです。というのは、要するに、資本金の額によって中小企業ということを決定するんではなく、また、その義務を与えていくのではなく、資本金のいかんにかかわらず、私は下請代金の支払いについてはこの法の中でやはり義務づけていく必要があるように思うんですが、そういう点はお考えになっていらっしゃらないんですか、どうですか。
#69
○政府委員(原山義史君) 須藤先生御指摘のように、下請代金支払遅延等防止法は独占禁止法の特例法といいますか、そういうかっこうで制定されている法律でございまして、むしろ、下請関係を定型的にとらえて定型的に処理するというかっこうで成り立っている法律でございます。そこで、資本金の額だけではなくて、実質上、たとえば個人事業者でも非常に大きな企業があって、資本金はない、実際上に下請関係が存在する場合もあろうかと思いますが、これは、独占禁止法の中等で直接問題にするというかっこうで処理していくことになっておるわけでございます。
#70
○須藤五郎君 親企業と子企業の下請というような関係がありますが、それもあとで私は問題にしようと思っているのですが、何も資本金が五千万円、一億以上が親企業でなくって、親企業から下請、またその下請というような関係がたくさんあるわけなんです。そういうことに対して一番困っているのは、最も下のほうの孫といいますか、そういう辺が下請代金の支払いじゃ一番困っている層だと思うのですね。そういうところをどうするかということもやはり私は、この法改正の中で考慮していくべき問題ではないかと、こういうように思っておるのですが、そういう点は、あなたのいまおっしゃったようなことで十分いけるというお考えなんですか、どうなんですか。
#71
○政府委員(原山義史君) 先ほどの説明を補足して少し詳しくお話ししたいと思います。
 資本金一千万円以下の事業者を規制対象にするということにつきましては、親事業と下請事業者の間に取引上の力関係の差異がある、資本金の差が明白にある場合においては、資本金だけで明白にそれがわかるというふうなかっこうで、定型的に処理するというふうになっているわけでございますが、中には、非常に小さい事業に対して、ちょっとそれより大きい事業がやはり下請関係を持っておるというふうな事情もあろうかと思います。こういう問題につきましては、実はもう一つ家内労働法という体系がございまして、家内労働法でほぼ下請代金支払遅延等防止法と同じ、あるいはそれ以上の規制を加えておりますので、家内労働法の対象として処理すべき問題が大部分あるのではないかというふうに思っておるところでございます。
#72
○須藤五郎君 今回の改正によりまして、中小企業の対象が広がることになると思いますが、これによりまして、これまでの中小企業にどのような影響があるのか、何かメリットがあるのかどうかという点を伺いたいと思います。
#73
○政府委員(原山義史君) 今回の改正によりまして、工業方面においては約五百、卸売り業関係で三千五百ほど新しく中小企業として対象になるわけでございます。これらにつきまして、たとえば、新しく中小企業金融公庫の金融を受ける対象になるというふうなことになりますと、かえってそれでは、小さいところがむしろ圧迫されてはね返されるのではないか、こういうふうな御疑問だったかと思いますが、これにつきましては、前にも私どもの長官から答えておりますように、そういう金融の上位シフトがないように十分考慮しましていきたいというふうに思っておるところでございます。なお、今回のこの措置とあわせまして、小規模に対して非常に意を用いなきやいかぬというふうなことで、新しく小企業経営改善資金という無担保、無保証の金融制度も本年度から発足したいというふうに考えておるところでございます。
  〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
#74
○須藤五郎君 昨年八月八日付中政審の意見具申では、範囲の改定に際して、「施策量の確保」という項を設けまして「中小企業者の範囲が拡げられても、行財政面等の施策量がそれに伴ってふえなければ、全体としての施策効果が薄くなることが懸念され、定義拡大の意味も失われることとなる。このため、定義の拡大に応じた施策量の確保に努めるべきである。また、同時に、定義の拡大は、現在の中小企業よりも上位規模の企業層を中小企業の範囲に取り込む結果をもたらすことにもなるので、とくに小規模企業施策を質量両面で拡充することにより、中小企業施策のいわば「上位シフト」を生じることのないよう、特別の配慮をすべきである。この点は、四十四年の意見具申でも、定義改訂に伴う問題点として強く指摘されたところであり、本審議会もあらためて強調しておきたい。」こういうように施策量の拡大と上位に片寄らないように強調しておると思いますが、この点について特に新しい施策を用意しておるかどうか伺っておきたいと思います。
 また、来年度の概算要求ではどのように配慮されておるかどうか、この二点、お伺いしたいと思います。
#75
○政府委員(原山義史君) まず中小金融公庫、国民公庫の資金量でございますが、四十六年、四十七年だけにとどまらず、ここ数年来、大体当初の計画で一八%増に組んであるわけでございますが、本年度は、中小公庫については対前年一九%、一%ばかり余分に組んでございます。それから国民公庫につきましては、例年の一八%に対しまして二一%増という金額を組んでございます。なお、このことにとらわれずに、年度末におきまして、もしこの定義の改正の結果資金量がふえるというふうな事態が明らかになれば、十分補正をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、非常に小さい企業――工業については五人以下の従業員、商業、サービス業につきましては二人以下の非常に小規模な事業者に対しては、無担保、無保証の金融制度を創設いたしたところでございます。本年度は、三百億円の規模で発足したいと実は思っておるところでございますが、来年度におきましてはこれを三倍増、四倍増のかっこうにまで持っていきたいというふうに思って、大蔵省と交渉しているところでございます。
#76
○須藤五郎君 この今年度の新しい施策として、小企業経営改善資金融資制度というやつを考えていらっしゃるね。それで条件は無担保、無保証と、こういう条件でございますが、しかし、実際上、金を借りようと思えばいろいろな条件がそのほかについておるわけなんですね。一つは、商工会経営指導員の指導を受けることという条件も一つありますね。それから商工会、商工会議所の推薦を受けること、それから百万円まで、ただし、運転資金は五十万円と、こういうふうになっておりますが、こういう条件らしくない条件といいますか、こういうことのために、実際は、無担保、無保証でこういう零細業者が金を借りるということが非常に困難だということは、これは事実なんですね。これに対して政府はどういうふうに対処するお考えでしょうか。実際に借りに行った場合に、なかなかむずかしいということは事実が示しておるわけなんですね。そこはどういうふうにしていこうというお考えですか。
#77
○政府委員(原山義史君) 小企業経営改善資金融資制度の創設につきましては、先生確かに御指摘のとおり、小規模企業は経営内容が非常に不安定で業歴が浅い。特に担保、信用力が乏しいというような理由で、金融面ではきわめて困難な立場に置かれておる。これを補完しなきゃならぬという意図が一つと、それから一方、現在小規模対策の大きな柱といたしまして、商工会議所、商工会を通じて経営改善普及事業というのを実施しておりますが、指導を受けた者に対する金融措置は必ずしも十分じゃない。指導の効果はあがらないというふうな事態もございますので、経営改善普及事業の円滑な推進上、大きな問題になっておるところでございます。このため、特に小規模事業者に対して指導と金融の一体化をはかるということによりまして、経営改善普及事業の一そうの実効性を確保すると同時に、小規模事業者の経営改善を促進するということのために本制度を実施することになったわけでございます。したがって、本制度の借り入れにつきましては、商工会、商工会議所の推薦が条件になるということは言うまでもないところでございます。もともと、制度がそういう趣旨で発足したわけでございますから、そういうことになるわけでございますが、なお、こまかい手続につきましてはできるだけ簡略にいたしまして、いやしくも手続の煩瑣に流れないように、私どもは注意してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#78
○須藤五郎君 この商工会、商工会議所の推薦を受けようと思っても、大体ここにおる連中ですね、推薦をする人たちはボスであるわけなんですね。それで、こういう実際に金に困っておる商工業者が、小規模企業の人たちが金を借りに行っても、なかなか推薦をしないという事態が実際に出ておるわけなんですね。そうすると、せっかくそういう金はあっても、こういう困った人たちはその恩恵にあずかれない、金を借りられないというのが今日の実情だと思うのですね。そこをどういうふうにしていったらいいかという点なんです。政府は、そんなことには責任はないのだと、商工会議所の推薦を受けてこい、そうしたら金を出してやるということですましていらっしゃるとすれば、何だか片手落ちのような感じがしないではないわけなんですね。それかどういうふうにしていくかということ。
#79
○政府委員(原山義史君) 商工会、商工会議所の経営指導は、商工会法たしか五六条だったと思いますが、によって規定されておる指導事業でございまして、無差別平等に指導しなければならぬということは言うまでもないわけでございます。いやしくもその地区のボス的な方の、ことばは悪うございますが、意向に左右されて、指導をしたりしなかったりということはないものと私どもは信じております。
 そこで、この経営指導を受けた人に対して、さらにその経営指導を実効あらしめるために融資をするというふうなかっこうに相なっておるわけでございまして、このため一方に片寄ったり、あるいはその情実にとらわれたりするようなことは、厳重に注意してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#80
○須藤五郎君 それじゃ今後、事実そういう問題が起こったときは、政府として責任を持って処置をしていかれますか、どうですか。
#81
○政府委員(原山義史君) この推薦につきましては、無差別平等に、情実にとらわれずにやっていかなければならぬということは、十分通達によって指示していきたいというふうに思っておるところでございます。
#82
○須藤五郎君 まあ、事実そういうことがたくさんあるということだけは、やはりあなた方としても頭に置いておいてもらいたいと思うのです。それで、もしも政府が責任を持ってそれを処置していくということならば、商工会議所なり商工会で解決しないときは、政府にどんどんと要求してまいりますから、そのときはしかるべく処置をするということを、はっきりここで確約しておいていただきたい。
#83
○政府委員(原山義史君) 本制度はまだ実施しておらないわけでございます。近くこの十月の中旬からでも発足したいと思って準備中でございますが、先生御指摘のように、これはいやしくも情実にとらわれたりするということのないよう、十分通達上配慮してまいりたいと思いますが、情実にとらわれたりするような推薦人があるというふうなことが出てまいりますと、私どもも厳重に注意してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#84
○須藤五郎君 もう一つ、こういうことは今度の法改正でお考えにならなかったんでしょうか。事業主の報酬制度の問題なんですね。これは常に大蔵委員会におきましても問題になる点でございますが、そこまで政府はお考えにならなかったのか、なぜお考えにならなかったかという点を承りたいと思います。
#85
○政府委員(原山義史君) 先生御指摘の点は、税制上におけるこの事業主に対する企業所得税の控除にあたる、いわば事業主報酬制度の実施というふうなことかと思いますが、それでようございますか。
#86
○須藤五郎君 ええ。
#87
○政府委員(原山義史君) この件につきましては、本年度から実施いたしておるところでございます。これは税法上の問題でございますので、基本法の問題で直ちに関係あるという問題じゃないというふうに思っておりますが、現在、事業主報酬制度は実施間もない時期でございますが、これの普及につきましても、鋭意私ども指導してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#88
○須藤五郎君 今年度の概算要求の中身でございますが、通産省予算の中に占める中小企業対策費の比率は、四十八年度が三〇%だったと思うんですが、来年度は何%になるんでございましょうか。
#89
○政府委員(原山義史君) 来年度の中小企業関係の概算要求につきましては、一応繊維がまだ未決定でございますので、これを保留しております。それで繊維分を両方から除いて考えますと、本年度に対して来年度は、たしか五五%アップというふうなかっこうで要求しているところでございます。通産省全体が二五%アップでございますから、それの倍増程度のアップ率を考えているところでございます。
#90
○須藤五郎君 比率においても来年度は今年度よりも上がると、こういうことですか。
#91
○政府委員(原山義史君) 比率では当然大きく上げるというふうなかっこうで組んでおります。
#92
○須藤五郎君 東京商工興信所の調査によりますと、中小企業の倒産件数は、皮肉にも基本法制定の翌三十九年より急増しておると、現在も依然として高水準になっておりますが、政府は中小企業対策に万全を期すと何度も言っておるにもかかわらず、このような状態が続くのは一体何が原因なのか。どうしたら倒産をなくすことができるか。結局、政府の中小企業対策が、多数を占める諸零細業者にとって日の当たらないものだと、こういうことになるんではないかと思うんですが、なぜ倒産が続くのか、どうしたら倒産を防ぐことができるのかということを、政府の施策としてひとつ述べていただきたいと思うんです。
#93
○政府委員(原山義史君) 確かに先生御指摘のとおり、倒産件数、負債一千万円以上の推移を見ますと、三十九年に四千二百十二件、前年比二・四倍の増勢を示しておりまして、四十年代に入りましても、四十四年以降は比較的落ちついた動きは示しているものの、三十年代に比べては非常に大きいというふうな点、先生の御指摘のとおりでございます。このような事情の背景には、一つは調査対象を従前から一貫して一千万円以上というふうにはしておるものの、経済規模が拡大いたしたというふうなこと、それから企業間信用が増大したというふうなことから、対象件数が増加したというふうな傾向があるということが第一点。
 第二点では、倒産企業には比較的業歴の浅いというものが多うございますが、近年非常に新設企業が多くなったということのほか、手形交換所が非常に増設が進んだというふうなことで、これを捕捉すると、倒産件数を、捕捉する能力が非常に出てきた、こういうふうなことも背景としてあろうかと思います。確かに先生御指摘のとおり、中小企業の倒産、特に小規模事業の倒産というものにつきましては、非常に心を尽くさなきゃならぬというふうな点、おっしゃるとおりでございますので、今後も金融面等各方面の施策を通じまして、倒産がないように私ども心がけていきたいというふうに思っておるところでございます。
#94
○須藤五郎君 倒産をなくすためには、これから金融面を大いに拡大して、そしてワクを広げて、と同時に私は、金融の条件をずっとゆるめていく以外に道はないと思うんですが、無担保、無保証以外に、無利子の融資をするというようなことは考えていないんですか。そこまでいかないと、実際の実績はあがらないと私は考えておりますが、その点はどういうふうにお考えでございましょうか。
#95
○政府委員(原山義史君) 今度の小企業経営改善資金の問題につましては、特にそういう点を意を配って運用さしていきたい、先ほどの指導員の指導というふうなことも申し上げましたが、その指導につきましても、まあ経営の悪化、倒産状況に至る前に十分指導をしていく、それでまた金融につないでいくというふうな方向をとらしていきたいというふうに思っているところでございますが、この資金を無利子にしろというふうな先生の御指摘につきましては、私どもは小規模零細企業といえども独立企業でございますので、融資を行なった場合に何らかの金利を徴求するのは当然だというふうに考えておりまして、無利子貸し付けにすることは適当ではないというふうに考えておるところでございます。
 それからもう一つ、金額として、先ほども御指摘もございましたが、百万円では非常に金額としては小さ過ぎるじゃないかというふうな御指摘ございましたが、この点につきましても、来年度からはもっと金額を上げるように大蔵財務当局と交渉をいたしたいというふうに私どもは思っておるところでございます。
#96
○須藤五郎君 そうすると、来年度からも無担保、無保証ではいくけれども、無利子ということは考えていないと、こういうことでございますね。
#97
○政府委員(原山義史君) 先ほど申し上げましたような、やはり小規模企業といえども独立企業であるというふうなことを考えまして、この辺に対する融資を無利子とするというふうなことは、来年度以降も考えておりません。
#98
○須藤五郎君 それを、ひとつそのワクを突破しないと、ほんとうに零細な中小企業は救われないと、やはり倒産はなくならないというふうに私たちは考えおるんです。政府の施策、いま現在考えていらっしゃるようなことでは、今後もやはり倒産はずっとふえていくという、ふえなくともやはり続いていくという感じがするわけなんですね。だから、ぜひとも倒産ということのないような施策を政府としてはとっていく必要があると思うんです。
 それからいま、融資が百万円では少ないからもっとふやすというふうに考えているとおっしゃいましたが、どの程度考えていらっしゃるんですか。
#99
○政府委員(原山義史君) 現在、大蔵省に対する予算要求として出しておる数字は二百万円でございます。
#100
○須藤五郎君 これはおかしい質問になりますが、一ぺん倒産して、それでそれっきりでもう立ち上がれない人もあるだろうが、倒産したものの、また努力によって立ち上がるという例もあると思うんですね。そういうことが数字で説明できますか。その立ち上がる場合には、政府としてどういう援助を与えていくんですか。
#101
○政府委員(原山義史君) ここ十年間の数字を見ましても、中小企業の企業数はかえって増加しております。そういう点から考慮いたしましても、倒産いたしましても、また特異の小回りとバイタリティーを使いまして、再び戦列に参加するというふうな企業も相当数あるんじゃないかというふうに私ども思っておるところでございますが、その辺に対するどういう援助があるというふうな先生の御設問に対しましては、私どもこのたびの小企業経営改善資金の運用につきましても、まあ先ほども御説明ございましたが、倒産にもいろいろ種類ございまして、人に非常に迷惑をかけまして計画倒産的な問題はこれは論外でございますが、まじめにやっておりまして、まあやむを得ない事情で倒れた、再び浮き上がるというものにつきましては、十分商工会議所、商工会の指導員の指導のもとに新しく出発するというふうな場合には、場合によれば現在の居住条件、事業の継続条件というものを緩和いたしまして、小企業経営改善資金の資金ワクにも入れ込んでまいりたいというふうなことを現在研究しておるところでございます。
#102
○須藤五郎君 来年度の概算要求で見ますと、小企業経営改善資金で百二億増になっておりますね。振興事業団運営費で百二十億増が少し目立つ程度でありまして、抜本的なものがない。これでは小零細業者はいつまでも救われないと言わなければならぬと思うんです。中小小売商業振興法では、近代化資金八〇%まで無利子にしておる。絶えず倒産の危惧に直面しておる小零細に対する融資こそ私は無担保、無保証はもちろん、無利子の融資制度を急いで実現しなければならないと思っておりますが、その用意はないですか、どうですか。
#103
○政府委員(原山義史君) 現在、無利子の融資制度はないかどうかというふうな点につきましては、中小企業振興事業団におきまして、たとえば、非常な零細事業者が集まって、公害等からのがれるために工場アパートをつくるというふうな場合、あるいは零細商業者が寄り合い百貨店をつくるというふうな場合におきましては、これに対する無利子の貸し付けをするという制度がございます。それから、先ほど先生の御指摘ございましたように、私ども県と共同でやっております中小企業近代化施設、近代化資金につきましては、半額を無利子で貸し付けるというふうな制度がございます。しかし、これらにつきましては、いずれも政策的意図から出た制度でございますので、こういう点につきましては、無利子の融資を一〇〇%じゃございませんけれども、前者については八
〇%、後者につきましては五〇%という分を無利子で持つというふうなかっこうにしておるわけでございますが、一般的な制度としまして、小規模なるがゆえに無利子にするというふうな金融制度は、先ほども申し上げましたように私ども考えていないところでございます。
#104
○須藤五郎君 次に、下請代金の問題で質問したいと思うんですが、下請代金支払遅延等防止法の運用状況を見ますと、申告の件教が四十二年度に十二件、四十七年度に二件と非常に少ないわけでございますが、これでは世間でいわれているように、ざる法だといわれてもしかたがないんではないだろうか。一体どこに問題があるというふうにお考えになりましょう。
#105
○政府委員(原山義史君) 下請代金支払遅延等防止法の運用状況でございますが、私どもは、公正取引委員会と共同して受け持っていろいろ調査をやっているわけでございますが、中小企業庁で四十七年四月から十二月まで九千八百七十一企業について調査いたしました。そのうちから違反の疑いがある企業大体五百五十ほど抜き出しまして、立ち入り検査をやった企業が二百四十二、それから、企業を呼びまして検査したというのが十六企業、それから、文書で警告を発したというのが百七十企業で、合計四百二十八企業につきまして何らかの措置をとっておるわけでございます。このうち行政指導で大体片づきましたのが百三十二企業、それから、即時に企業のほうで改善したのが百二十六企業でございまして、確かに先生御指摘ありました、公正取引委員会から勧告するその前にわがほうから公正取引委員会に対して措置請求をしたというのは、四十七年におきましてはございませんが、その前に、大体、企業のほうで非を認めまして直したというふうなかっこうに相なっているわけでございます。
 ただ、本件につきましては、確かに先生御指摘のとおり、大企業のほうからだけ調べておりましても、いろいろやはり抜けるところがあろうというふうな点、先生御指摘のとおりでございますので、今後は、実際に中小企業のサイドからもこれを調べまして、違反のある場合はどしどし摘発し、特に悪質なものにつきましては公取委員会に措置請求し、場合によれば審判にまで持っていきたいというふうな措置をどんどんとっていきたいというふうに思っているところでございます。
#106
○須藤五郎君 私は、この数を見まして、実はふしぎにたえないんですね。こんなばかげた数ではないと思っておりますし、また、そういうこともたびたび聞いておるわけなんで、だから、よほど政府がいまおっしゃったように上のほうだけの意見を聞くんじゃなしに、やはり被害者であるほうの意見も聞き、そしてそれに強力に処置をしていくということが私は必要だと思うんですが、これからそういうような方向でやっていただきたい。それでないとやはり倒産にも関係してくることなんでございますから、その点十分やってもらいたいと思います。いいですね。
#107
○政府委員(原山義史君) 先生の御指摘のとおり、大企業サイドから大企業関係の下請を選んでもらってそれを調査するというふうなかっこうだけでは、生きたなまの声が上がってこないというふうな点、おっしゃるとおりだと思いますので、今後は広く対象を広げまして、実際になまの声をどんどん聞いていくというふうなかっこうでやってまいりたいと思っているところでございます。
#108
○須藤五郎君 白書によりますると、四十六年現在で製造業におきましては、下請中小企業は中小企業全体の五八%を占めており、下請問題はきわめて切実な問題だと思います。小零細になりますと、この比率はもっと上がります。しかも受注単価の決定のしかたを見ますると、四十七年度白書によりますと、親企業が決定する比率が一般下請企業で四八・五%、零細下請企業の場合になりますともっと大きくなって六九・五%、親企業の一方的決定がなされているということがよくわかるわけなんですね。このような実態をどう解決するのか、この点を伺っておきたいと思います。
#109
○政府委員(原山義史君) 確かに受注単価の決定を一方的に親企業が決定するというふうな傾向にあると思います。しかし、こういう点につきましては、私どもできれば親企業と下請企業とが一緒になりまして、たとえば下請振興組合をつくりまして、その振興計画の中にはっきり下請単価の決定事項をきめるなり、あるいは将来の受注量をかってに減らしてはならないという協定を結ぶなり、そういうかっこうで親企業と子企業が、ともに平等の立場で繁栄していくというふうな計画をつくるということでいくのが理想的だと、こういうふうに思っておりまして、その指導をしているところでございますが、中にはなかなか下請振興組合に乗らない企業があろうかと思います。そういう点につきましては、各県に置かれております下請振興協会の方面でいろいろ相談にあずかって、そういう単価の決定等々につきましても、それにつきまして指導してもらうというふうな体制をどんどんとっていただくようにいたしたいというふうに思っているところでございます。
#110
○須藤五郎君 これは名前をあげると差しつかえがありますから、名前はあげませんけれども、私の知っているのに下請企業をやっている人があるわけです。親企業は大きな大企業なんです。その人の話を聞きますと、下請をもらうのにまずたいへんな努力が必要だ。相当な金を使い、そしてその衝に当たっている人たちに、温泉へ連れて行くとか、飲み食いをさせるとか、また贈りものをするとか非常な金がかかる、大体その下請企業の交際費というものは全部そういう方向に使われてしまって非常に苦しいと、そうして上からはどんどん値段を値切られてくる、自分たちは生きていくことが非常にむずかしいんだという訴えを私は受けたことがあるんですね。
 それともう一つは、下請業者が非常にいろいろなくふうをして、そして成績をあげるようになると、今度はその下請企業全部取ってしまって、親企業が自分のところでそういう仕事を経営するようになってしまう、結局、自分のところは設備を入れて、そして研究した結果は全部親企業に取られてしまって、自分たちはお手あげになってしまうんだということを、私は知っておる人から聞いたことがあるんですが、政府は、そういうことは一向につかんでいらっしゃいませんか、どうですか。
#111
○政府委員(原山義史君) 確かに、親企業が一方的に単価を決定したり、先ほどおっしゃるように、せっかく下請企業が開発した商品をかってに自分の商品として内製化しているというのは、間々あるというふうに私ども聞いておりまして、こういう点につきましては不公正な取引方法でございますので、事実に即しまして、そういうことのないように行政指導してまいりたい、親子とも指導してまいりたいというふうに思っております。
 先ほども申し上げましたが、下請企業の組織化を進めることが何よりも肝要だというふうに思っておりますので、現在、事業協同組合につきまして、全国で九百くらい下請組合が結成されております。この下請組合を使いまして、一つは、集団で親と交渉するというふうなことも場合によれば必要だというふうに思いますので、そういう方向で、集団的にそういうことのないようにためていくということが一つの方法。それから第二に、先ほども申し上げましたとおり、各県に置かれております下請振興協会で、親身になってそういう問題にも相談してやるということが肝要かと思います。さらに最後に、問題があれば、どんどん独占禁止法あるいは下請代金支払遅延等防止法によって摘発していくということが肝要かと思っているところでございます。
#112
○須藤五郎君 それはあなたのおっしゃるようにいけばいいんですが、しかし、下請企業というのはあくまでも弱いわけなんですね。そういうことをした場合に、親のところが仕事をやらぬぞといってとめられてしまえば、これはゼロになってしまうわけですね。倒産以外になくなってしまうという結果がくるんですね。だから仕事をもらうためには、そこの大企業の係の人にはつけ届けをしたり、飲み食いさせたり、たいへんな金を使ってまでやはり注文をもらってくるというのが現状なんですね。そういう親企業と下請企業の力関係において、あなたのおっしゃるようなことが実際にやっていけるかどうかということは、これは非常にむずかしいことだと思うんですよ。だから、政府当局としてそれらに対してどういう対処をしていくかということは、私は、よほどあなたたちが検討し、また、強力な態度をもって親企業に臨んでいく以外にこれは解決することのできない問題だと思うんですがね。政府は、どういう決意を持ってこういう事態に対処していこうというふうに考えていらっしゃるか。どうなんですか、そこは。
#113
○政府委員(原山義史君) 先ほど私、下請のほうでどんどん問題があれば言ってきてもらう、開かれた窓口になってこの相談にあずかっていくと、そのために各県における下請振興協会あるいは中小企業庁、通産局、いろいろな面で開かれた窓口になって、そういう問題に対してお世話をするかっこうをとっていきたいというふうな気持ちで申し上げたわけでございますが、ただ、遺憾ながら下請企業者につきましては、お役所なり、たいへんことばは悪うございますが、そういうところに申し込みますと、かえってあとで逆に、非常にこわいというふうな点もあろうかと思います。なかなか言いたがらない傾向があることも事実だろうと思います。そういう体につきましては、だから私どもも、ただ開かれた窓口になりましてこれを受けていくというふうなことだけではなくて、先ほども申し上げましたように、むしろ下請業者個々に無差別的にも調査をいたしまして、違反がある企業に対してどしどし摘発していくということで、実際に摘発までいくというふうなかっこうで臨んでいく態度を示す必要があろうかと思っているところでございます。
#114
○須藤五郎君 これはあなたも、非常にむずかしいということは認めていらっしゃるとおりですね。この下請契約文書を下請振興協会に届けさせると、これをやっても、もう親企業が、あいつはそんなことをしよるからやめちゃえということでぱっとけられれば、そのままになってしまうのですね。ここのところを政府当局としてどういうふうに処置しようとするのか。それはもうどうにもならないということなのか、どうしたらいいんでしょうか。実際に下請業者はこれに一番困っているのですよ。通産大臣、これはもう処置がないのでしょうか、どうでしょうか。
#115
○国務大臣(中曽根康弘君) 処置がないということはありません。これはやはり下請のそういう苦情を商工会議所なりあるいは組合なり、あらゆる経路を通じてわれわれのところに言ってきてもらいまして、われわれのほうがその名前や何かを情勢によっては取得しながら親企業に注意を与えるとか、親の親を通じて警告をするとか、そういう事実上の指導力を発揮して、あらゆる努力を払ってそういう隠れている不満や苦難を芟除してやらなければいけない、そう思っております。それはすぐその場で即座に解決しなくても、何かの機会でそういうチャネルなり伝達の道は開いておいて、われわれとしては最大限の努力をしつつ、そういう問題をつかんでいかなければならぬ、そう思っております。
#116
○須藤五郎君 現行法では、下請法が適用され、発注者が資本金一千万円以上の会社に限定されていることをなくして、すべての発注者に適用するようにするということが私は必要だと思います。事務的に繁雑になっても、最低このことを実現すべきであると思います。また、零細業者の場合、親企業が圧倒的に一千万円以下のところが実際は多いことからいたしましても、現行法では零細業者は守れないと思うのです。この点について検討を加える用意があるかどうかを伺っておきたい。
#117
○国務大臣(中曽根康弘君) 時代に適応していくという点から見ますと、お示しの点もこれは検討する必要があるとも思われますので、よく検討してみます。
#118
○須藤五郎君 最後に私、この法案の第十七条のところに、中小企業投資育成株式会社法というのがありますね。この中小企業投資育成株式会社と中小企業金融公庫との関係は一体どういう関係なのか、私のためにちょっと聞かしておいてほしいのです。
#119
○政府委員(原山義史君) 中小企業の投資育成会社は、中小企業の自己資本の充実を目途に、中小企業の中で将来伸びるべき企業を選びまして、これに対して投資してやる、投資し、将来はできれば上場に持っていきたいというふうなことで、中小企業を援助するためにでき上がった会社でございます。三十八年十一月発足以来、四十八年三月まで新規投資が六百十八社ございます。そのうち転換社債が二百二十四社でございますが、再投資が二百九社、合計百九十七億円の投資を行なっております。これは東京、大阪、名古屋の三社ございます。中小企業投資育成株式会社法によって設立されました特殊の法人でございます。
 そこで、中小企業金融公庫との関係はどうかという第二の御指摘でございますが、これは実は、中小企業金融公庫から投資育成会社に対する出資は、中小企業金融公庫を通じて国から行なっております。したがって、中小企業金融公庫とは非常に密接な関係にある会社であるということがいえるわけでございますが、中小企業金融公庫の融資とこの投資育成会社における投資とうまくかみ合わせて、中小企業の自己資本の充実をはかっていきたいというふうに指導しているところでございます。
#120
○須藤五郎君 そうすると、金融公庫は融資する会社であり、そして、このほうは投資する会社であるということですね。
 そうすると、この投資する会社の業績状態はどういうことなんですか。
#121
○政府委員(原山義史君) 投資育成会社の発足は、三十八年十一月でございますが、先ほども申し上げましたように、いままでの新規投資額は六百十八社、再投資を含めまして百九十七億円の投資を行なっております。ただ、昨年度は異常な金融超緩慢によって、若干実績は落ちております。しかし、本年度におきましては、非常に業績は回復してきつつあるというふうなところでございます。
 そこで、これで投資育成した会社が実際に株式上場した例があるかというかっこうで、成績をあげたかどうかというふうな点でございますが、現在まで新しく上場した会社はございません。それは一つは、上場基準が三億円に引き上げられたというふうな点もございますが、なかなか小さい企業から自己資本を充実するというのは時間がかかる問題でございますので、現在、上場基準に適用する会社は十社未満でございますが、数社ございますが、それを実際に上場するに至ったものはございません。近く第一号を上場に持っていくというふうな……失礼しました。近くと申し上げましたのを訂正いたします。八月末、第一号が上場いたしました。私先ほど、まだ上場したものはないと申し上げましたのを訂正させていただきます。八月末に第一号が上場いたしました。それから次、続いて大阪の方面にも、上場するところに持っていきたいというふうな計画があるやに聞いておるところでございます。
#122
○須藤五郎君 今度の改正案によりますと、「資本の額が一億円以下の株式会社であって、その業種に属する中小企業の健全な成長発展を図ることが産業構造の高度化又は産業の国際競争力の強化の促進に寄与すると認められる業種で」云々とありますね。ところが、2の条項にいきますと、「会社は、前項第一号若しくは第二号の規定により新株を引き受ける場合において、当該引き受けに係る新株の発行後のその株式会社の資本の額が三億円」と、それをこえた場合は引き受けてはならないということになっておるんですが、これまでずっと一億円というのは、中小企業の上限のように私は受け取ってきたわけですが、こうなると、新株募集して三億円以上になったら引き受けてはならないというふうな条項があるわけですね。そうすると、新株発行してその資本金が二億五千万となった場合も、やはりこれは中小企業として認めていくのか、どういうことなんだろうという疑問が起こるわけなんですが、そこはどういうふうに解釈していったらいいんでしょうか。
#123
○政府委員(原山義史君) 中小企業の投資を育成するというふうな点につきましては、一億円以下までにつきましては、新しい改正によりまして中小企業として取り扱って、それ以上については大企業でございますので、新株を引き受けできないということに相なっているわけでございますが、これによって投資を育成しておりますと、まあアフターフォローといいますか、一度だけやりましてあとは知らないというふうなことであるとしますと、本来の目的は達成できないというふうな見地から、三億円までは続いて再投資ができると、いわば仮卒業者対策というふうな面で、これに対しての投資を行なわせるというふうなことで、三億というふうな線で一応切っておるわけでございますが、特殊の場合におきましては、通産大臣の認可を得て、それ以上につきましてもさらにアフターフォローする必要がある場合におきましては、認めてまいる場合もあろうかと思っておるところでございます。
#124
○須藤五郎君 何だか、そこらがあまりこう、融通が解釈によっていろいろどうもできるというような感じがしまして、私は項としておかしい感じがしたので質問したんですが、まあ時間がきたようですから、私、最後の質問をいたします。
 四十七年度白書も認めておりますように、全事業所の八〇%強を占める小規模問題は、多数の問題点を持っておると思います。範囲の改正もさることながら、小零細業者の経営と生活を守ることこそ、中小企業問題の中心的課題であると思います。すでに明らかになりましたように、政府の小規模対策は、依然としてきわめて不十分と言わなければなりません。政府は、このような認識に立てているかどうかを確認しまして、私は質問を終わりたいと思いますが、最後の点、通産大臣から御答弁願います。
#125
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど来申し上げておりますように、中小企業対策、特に小規模零細企業に対する対策は、まだまだ不十分、不徹底でございまして、基本法の通過を機に、われわれはさらに充実していくように努力したいと思います。
#126
○委員長(佐田一郎君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#127
○委員長(佐田一郎君) 速記をつけて。
 ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#128
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 中小企業者の範囲の改定等のための中小企業基本法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#129
○委員長(佐田一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#130
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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