くにさくロゴ
1972/03/29 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第7号
姉妹サイト
 
1972/03/29 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第7号

#1
第071回国会 農林水産委員会 第7号
昭和四十八年三月二十九日(木曜日)
   午前十時三十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     塩出 啓典君     山田 徹一君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     山田 徹一君     塩出 啓典君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀井 善彰君
    理 事
                初村滝一郎君
                工藤 良平君
                中村 波男君
    委 員
                梶木 又三君
                河口 陽一君
                佐藤  隆君
                田口長治郎君
                高橋雄之助君
                鍋島 直紹君
                温水 三郎君
                堀本 宜実君
                杉原 一雄君
                辻  一彦君
                村田 秀三君
                吉田忠三郎君
                塩出 啓典君
                山田 徹一君
                中沢伊登子君
                塚田 大願君
   国務大臣
       農 林 大 臣  櫻内 義雄君
   政府委員
       農林政務次官   鈴木 省吾君
       農林大臣官房長  三善 信二君
       農林省農林経済
       局長       内村 良英君
       農林省構造改善
       局長       小沼  勇君
       農林省農蚕園芸
       局長       伊藤 俊三君
       食糧庁長官    中野 和仁君
       水産庁長官    荒勝  巖君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       農林省畜産局審
       議官       下浦 静平君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法
 及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の
 一部を改正する法律案(内閣提出)
○漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整
 備計画の変更について承認を求めるの件(内閣
 提出、衆議院送付)
○農林水産政策に関する調査
 (飼料対策に関する件)
 (昭和四十八年度農林省関係の施策及び予算に
 関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十八日、塩出啓典君が委員を辞任され、その補欠として山田徹一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(亀井善彰君) 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案は、前回説明を聴取しておりますので、これより質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○工藤良平君 先日、大臣のほうからこの両案に対する提案理由の説明がございましたが、この両法案が、南九州につきましては四十三年に成立をみたわけでありますけれども、マル寒資金につきましては、過去四十三年を合わせまして、三回にわたって期間の延長をいたしてきておるわけであります。ところで、まだ今回それをさらに五カ年間延長しなければならないということは、この資金の需要というものが一体どういう程度あるのか、さらに今回まで再三にわたって延長したにもかかわらず、なお所期の目的を達成し得ないということは一体どこに原因があるのか、そういう点についてまずお聞きをいたしたいと思います。
#5
○国務大臣(櫻内義雄君) マル寒、マル南ともにほぼ目標の五〇%程度、すなわちマル寒の場合でいきますと、四十三年度から四十七年度までの五カ年間で融資対象戸数を一万二千五百戸といたしましたが、その実績は約六千五百戸でございまするので五二%の達成率でございます。マル南のほうは計画農家戸数を二万四千戸といたしましたが、その実績は約一万一千三百戸で四七%、大まかに言って両方とも半分ぐらいの達成率でございますが、これはそれらの地域の冷害、台風等の災害発生、あるいは米の生産調整等、農業情勢の変化、あるいは畑作物、畜産物価格の問題等によって、目標どおりにいかなかったのではないかと思うんでありますが、ただ資金の所要のほうにつきましては、マル寒は七七・二%の達成率、マル南のほうは九七%、こういうようなふうに予算額に対しては相当な達成率になっておるような次第でございます。これが現在の実情でございます。
#6
○工藤良平君 この法律が制定をされた趣旨については私がいまさら申し上げるまでもないと思いますけれども、特に北海道、さらに南九州の特殊な条件のもとに営まれている農業というものを、どのように振興さしていくかということが、その法律の制定の趣旨であったと思うわけでありまして、それだけに、やはりこの種の資金需要という問題につきましては、特に私どもが目をかけていかなければならない事項ではないかと、このように思っておるわけであります。今日までこの融資制度を実施いたしまして、北海道なりあるいは南九州の農業経営というものが一体どのように変化をしてきているのか、そういう点についても若干御説明をいただきたいと思います。
#7
○国務大臣(櫻内義雄君) お話のように、この資金は自然的、経済的に不利な条件にある北海道や南九州の畑作地帯における経営改善を目的としたものでございまするが、北海道におきましては、農用地の面積の拡大、家畜の導入、農舎、農機具の整備等がはかられて、農業所得も増大しておると思います。ひいては地域全体としても畑作経営あるいは田畑作経営から酪農経営ないし酪農畑作経営へと移行して主産地形成に寄与しておるものと考えられます。
 また、南九州におきましても、農業所得の向上も、ミカン等その効果発生に期待を要するものを除き、一般農家に比べて大きく地域全体としての最近の畜産、果樹、野菜等の増大に寄与しておるものと思います。
 先ほど申し上げましたように、予算額に対して資金需要も相当に活発でございまして、ただいま申し上げたような北海道あるいは南九州にそれぞれ畑作経営に大きく寄与したものと、かように見ておる次第でございます。
#8
○工藤良平君 いまお話のように、たとえば北海道地域におきましては主としてこの畜産を中心にして相当成果があがったと、私もそのとおりだと思うわけでありまして、特に現在のように濃厚飼料、あるいは輸入飼料がきわめて高騰しておる現在の状態の中においては、特に北海道の自給飼料を中心とした畜産開発というものが、いまこういう時点に立ってみますと、私は、きわめて効果的な要素を持つというように思うわけでありまして、そういう点から言いましても、やはりこの資金の果たした役割りというものは私は無視できないものだと思っているわけであります。
 一方、南九州の状態を見ますと、特にこの地帯は火山性不良土壌という特殊な地域でありまして、今日までの農業の実態を見ましても、たとえば作目のごときも、カンショとかあるいはお茶とかという、こういう台風やあるいはそういう火山性土壌、不良土壌からどのようにして守っていくかというような作目が、従来から栽培されてきたのではないかと思っておるわけでありまして、したがって、特に南九州の場合には、まだ――この制度が実施されまして五カ年ということでありまして、まだ全体的な判断というのはきわめてむずかしい状態であろうと思いますけれども、南九州の場合に、一体この作目等について従来の農業経営の方式から大きく変化を来たしているのかどうか、そういう点についてもひとつ御説明いただきたいと思います。
#9
○国務大臣(櫻内義雄君) 酪農あるいは野菜、肉用牛等につきまして、それぞれ借り入れ時とそれから現在の時点、これは昭和四十六年二月でございまするが、いずれも相当な伸び率を見せておると思うんであります。酪農の場合でございますると一七七%、野菜、肉用牛の場合でございますと一八五%、肉用牛だけの農家の場合でまいりますると一三二%というように、それぞれただいまの御指摘のように南九州畑作農家の経営改善に非常に役立っていると思います。
 なお、詳しい農家の所得などについては局長のほうから申し上げます。
#10
○政府委員(小沼勇君) いま大臣からお答え申し上げましたように、経営改善の状況はかなり顕著なものがあるというふうに考えておりますが、南九州の農業生産状況で見ますと、大体昭和四十年度生産額千二百五十九億でございましたが、この中で米が一番多いという状況でございました。さらに次いで畜産、イモ類、工芸作物、野菜という順序でございましたが、昭和四十五年度におきましては、生産額で千九百三十四億ということで、米が二六%に下がり、野菜、肉用牛、工芸作物、養豚、イモというような順序に変わってきておりますが、かなり地域の生産状況がこういう資金も手伝って改善されてきておるというふうに私ども見ているわけでございます。
#11
○工藤良平君 この制度ができましてから、四十一年、四十二年に農林省としてその実態を調査をし、幾つかの項目をあげましてその改善の方策というものが検討され、この法案が制定され、また北海道については期間の延長がなされるということは、先ほども申し上げましたような経緯をたどっているわけでありますが、その四十一年、二年の調査の幾つかの項目の中で、その後改善をされた事項というのは、具体的に一体どういう形にあらわれてきているのか、それに基づいて、当然全国的な日本農業の中に占めていたこの地域の農業の役割りなり、あるいは個々の農家の所得水準なり、そういうものが一体どういう変化を来たしているのか、その格差は縮まってきたのか、そういう点についてもう少し具体的に示していただきたいと思います。
#12
○政府委員(小沼勇君) 南北の資金制度の経過から若干申し上げますと、マル寒制度につきましては、三十一年の冷害を契機に三十四年にこの法律が制定されたわけでございます。その後何回か改正をし、延長してきておるわけでございますが、その間に当然対象農業者の所得の基準、目標等につきまして改定を加えますとともに、その貸し付け条件等につきましても漸次改善を加えてきております。時に、据え置き期間あるいは貸し付け限度額というものにつきましても、くふうをこらしてまいっております。たとえばこの償還期限につきましては、当初は二十年でございましたが、二十五年以内というふうに改善をいたしましたし、据え置き期間につきましても、当初は五年でございましたが、それを八年以内、また、貸し付けの限度額につきましては、当初百万円のものを、現在は、酪農を主体とするもの五百万、その他三百万というふうに限度額を上げてきております。そういうふうな、くふうをこらしながら改善をはかって現在に至っているわけでございます。ただいまのは、北海道が先にスタートいたしましたので、北海道の経過を申し上げたわけでございます。
 マル南につきましでも、三十五年、それから三十六年から四十二年、四十三年から四十八年という現在までの間に、それぞれ改善をくふうしてまいっているわけでございます。
#13
○工藤良平君 私は、各種農業資金制度のうちでいろいろな改善というものが行なわれてきているだろうと思います。それに並行して、おそらくこの二つの融資制度も改善もされてきていると、したがって、格差というものが一体どの程度縮まってきたのか、格差を縮めるということが一つの私は、目的でなかったのか、その格差を縮めるために、この特殊な条件の地域でありますから、その地域に対して特殊の制度をつくりますよということであろうと思うんですけれども、今回のこの期限延長にあたって、全体的な四十三年当時の格差と今日の格差というものが一体どの程度縮まってきたのか、効果をあげてきたのかということを実はお聞きをしたいわけなんです。
#14
○政府委員(小沼勇君) 先ほどちょっと大臣から御説明申し上げたわけでございますが、四十三年から四十五年、農業所得事例調査では、北海道の場合に、この資金によります経営改善の状況は酪農では一八六%、それから畑作と酪農を加えた経営では二七〇%、畑と肉牛を組み合わせてやっている経営では一五六%という状況でございます。また南九州では、同じ時点で、酪農で一七七%、野菜、肉牛の経営では一八五%、肉用牛では一三二%という状況で、若干差はございますけれども、相当の農業所得で伸び率を示しておりまして、この点から見ますならば一般の農業所得よりもかなり改善をされて格差が縮まっていると、御承知のとおり大体貸し付け対象農家の経営の水準を一応想定いたしまして、やや中以下のところが上昇していくということをねらいとしているわけでございますが、これによりまして相当の改善がなされているというふうに思います。もちろん、この資金制度だけではないと思いますけれども、この資金があずかって力があるというふうに評価をしているわけでございます。
#15
○工藤良平君 そこで、南九州の当時のこの対象地域内における農家の平均農業所得、それが今日一体どういう程度に伸びているか。
#16
○政府委員(小沼勇君) 四十三年、四十五年、それからその伸び率でございますが、農業所得、南九州の借り入れ資金農家と一般農家との経営比較で申しますならば、四十三年、一般は農業所得で四十八万二千円が四十五年には四十五万九千円ということで、やや落ちております。これは宮崎県の場合でございまして、割合でいきますと九一・五%、これはおそらく生産調整の影響等が入っているかと思います。その同じ時点でマル南の資金を借りた農家ということで比較しますと、四十三年に四十二万九千円というのが、四十五年には七十一万ということでございまして、伸び率で一六五・五%ということになっております。これは宮崎県の例でございまして、同様のことが、鹿児島県におきましては、一般農家の農業所得の伸びが九〇・七%でございますのに対して、同じ時点でマル南を借りた農家は一四一・八%というふうになっているわけでございます。
#17
○工藤良平君 この資金を利用いたしました農家がかなりの成果をあげているという御報告であります。この点については、まことにけっこうだと思うんですが、先ほど大臣からもお話がありましたように、今日までの、そういう要望にこたえた資金量というものが、もちろんいろいろな事情はありましょうけれども、大体五〇%程度達成することができたと、こういうことでございます。もちろんこれ、残された五〇%の人たちは、おそらくこの資金を使えれば使って、やはりよりいい経営の方向にということを願っているのではないかと思うんですが、そういう点についての把握はどういうことでございましょうか。
#18
○政府委員(小沼勇君) おそらく残された農家もいろいろの事情でなかなか借りるところまで至らなかったということがあろうかと思います。生産調整の問題もございますし、また、災害を個別に受けたという場合もあろうかと思います。いろいろ個別の事情があろうかと思いますが、その点では、今後残された農家は、やはり機会があれば経営規模を拡大し、農業を本格的にやっていきたいという、そういう意図が十分あるんだろうということで想定をしていたわけでございますし、今後、改正に伴う融資条件の改善等もくふうしながら、そういう農家がますますこれを活用していくということを期待をしておりますし、指導をしなければならないというふうに考えております。金額では、大体、先ほど申しましたように、南九州でございますと資金計画の約九〇%にいっているわけでございますが、実態として、農家数ではまだまだ残っておりますので、その農家の指導を十分進めていきたいというふうに考えております。
#19
○工藤良平君 そこで、さらにお尋ねをいたしたいと思いますが、先ほどから私、再三この効果についてお聞きをいたしているわけですけれども、かなりの成果をあげている、しかし一方においては、やはり依然として、農村からは多くの人たちが農村をあとにしているということは、これは一般的な傾向であります。この特殊地域の農村の皆さんが、いまのこの経済状態に対応した農業の経営実態の中で、一体どういうような変化を起こしているのか、そういう点についての把握についてお伺いをいたしたいと思います。たとえば、具体的に言いますと、農家戸数なり農家人口の減少傾向というものは、この地域には、以前と同じように、やはり非常に減少傾向にあると、このように理解をしてよろしいでしょうか。具体的にお示しをいただきたいと思います。
#20
○政府委員(小沼勇君) 資料に基づいて申し上げますと、南九州の場合でございますが、総農家人口は四年間に約二十七万人減少しておりまして、それで全体が百三十二万九千人というふうになっております。したがいまして、その減少率は一七・二%ということでございます。全国に比べますと、五年間、全国が一二・六%でございますから、かなり農家人口の都市への流出は激しいということが考えられます。その結果、農家二戸当たりの世帯員が南九州で四・五人から四・一人に減少をしております。総人口に占める農家人口の割合では、昭和四十年に南九州は五四・七%でございまして、それが四七・八%とやや減少をしているという状況でございます。依然として農家人口が多いというか、占める割合が高い地域でございますが、こういう減少の傾向はいなめない。しかし、また従来から経済の成長の過程で、この地域は、非常に流出が多かった地域でございますし、そういう点では、その傾向が続いているというふうに見てよろしいんじゃないかと思います。
#21
○工藤良平君 この南九州、北海道の場合でもそうですけれども、この特殊地帯といわれるところは、やはり全国的に見ても農業に対する依存度が、非常に零細ではありますけれども農業に対する依存度というのは大きかったし、現在もかなりやっぱり大きいと見なければならぬ。そうすると、この両法案の期限の延長をする場合に、これから何回やっていくかわかりませんけれども、一応これは期限のついた時限立法でありますから、これからの五年間そういう申し込みの期限を延ばすということでありますから、この五年間に一体それでは両地域の対象農家がどういう程度、これを充足できるような手だてを講じていこうとしているのか、残された五〇%の農家を全部この段階でやはり何とかして実現をさしたいということなのか、ある程度、これは農家自身の問題でもありますから、成り行きにまかしてということになるのか、その点はどのようにお考えでございますか。
#22
○政府委員(小沼勇君) 北海道の畑作地帯で借り入れを、計画では残されている農家が大体五千戸ある、南九州のほうでは対象農家が一万二千戸あるというふうに一応想定をしております。これらの農家は大体畑作が中心の農家でございますが、現在は経営改善の目標を百十万から百三十万というふうに想定を、現計画ではしておりますけれども、さらに情勢が変わってきておりますので、今後はおおむね北海道では百八十万から二百十万、南九州では百二十万から百五十万というふうにこう上げていく、そういうことで対象の目標を設定しながらそれに接近していくというくふうをしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#23
○工藤良平君 いま御説明がありましたように、やはりさっきから私、再三申し上げますけれども、かなりの成果があがってきた、このように私は理解をしたいと思っているわけであります。そこで問題は、この貸し付けの条件をさらに改善をしてやるということが必要ではないだろうか。これが需要のない資金であれば別ですけれども、かなりなやっぱり需要があり成果があがったということになると、その条件の改善ということが必要になってくるだろうと思います。そこで、先ほどちょっと局長触れたようでありますけれども、この貸し付けの条件というのは一体どういう程度今後改善をしていかれるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#24
○政府委員(小沼勇君) これ自体は法律事項ではございませんけれども、この延長に際しまして、貸し付けの条件を有利にしていきたいというふうに考えて、いろいろと政府部内で折衝しました結果、大体いま考えておりますのは、北海道では現行が五百万円、酪農地帯の経営は五百万円の貸し付け限度額でございますけれども、これを六百万円に引き上げる。その他の経営では、現行三百万円のを四百万に上げる。それから南九州におきましては、酪農、肉用牛主体の経営で三百万が現行でございますが、これを四百万に引き上げる。それからその他の経営につきましては、二百万円の限度額を三百万円に引き上げるというふうにいたしたいというふうに考えております。また、融資率の引き上げでございますが、現行一律八〇%でございますが、特認につきましては九〇%まで引き上げるというふうなことを考えております。
 それから実は据え置き期間でございますが、マル寒の場合には八年でございますけれども、これは総合施設資金が実は十年になっておりますので、このマル寒、マル南資金についても十年にすべきじゃないかという意見がございます。これにつきましては、実行上は借り入れ内容によりまして差がございますが、実質上十年にいたしたいというふうに考えているところでございます。いずれにしましても、できるだけこの融資条件を改善して、農家が借りやすくする、また負担が軽減されるというふうにいたしたいということで努力をしているところでございます。
#25
○工藤良平君 私ちょうど四十三年のこの法案が出ましたときに議論をする機会がありまして、私、貸し付け条件の改善の問題でいろいろと農林省に御意見を申し上げたわけでありますが、特に私は、その際にも、総合資金との関連の中で、貸し付け条件の中の一つである金利、それから償還期限、据え置き期間、この比較を議論いたしまして、当時、総合資金制度がちょうど発足をする法案が一緒に出されたときでありまして、私は据え置き期間の問題を八年と十年ということでおかしいじゃないかという指摘をいたしました。当時の局長も、まあ確かにそのとおりだ、できればやはりこれは法律の改正なりそういう機会には、そういう前向きの姿勢で取り扱いたいという議論をいただいたわけであります。そこで、私は貸し付け条件の中で、総合資金制度は、発足当時たしか八百万円の限度額であったと思いますけれども、現在限度額は一体幾らになっておりますか。
#26
○政府委員(内村良英君) 総合資金は一般が八百万円、特認が二千四百万円でございます。
#27
○工藤良平君 そうしますと、このマル寒と南九州の資金が発足いたしました当時の限度額と、本年度もし六百万円ということになりますと、その倍率はどういうことになりますか。
#28
○政府委員(小沼勇君) マル寒資金、マル南資金のほうは大体五〇%アップということになるわけでございます。
#29
○工藤良平君 私は、この貸し付け限度額を見た場合に、その倍率によって改善されたかどうかということは、一がいにいえないと思いますけれども、しかし、当時も議論をいたしましたように、農業をやる最低の条件にあるこの地帯に対する措置として、総合資金制度に比較して、やはりその条件というものは、より有利にするのが当然ではないか、という御指摘を申し上げてきたわけでありまして、現在の、総合資金制度の限度額の倍率、発足当時から今日の倍率というものと、それからこの両資金の倍率というものを見てみますと、必ずしも改善をされたという意味には受け取れない。全体的にそういう資金の限度額、ワクの限度額というものがふえておりますから。しかし、まあ特殊の地域でありますから、一気に総合資金並みに何千万円もといいましても、それは営農形態からいたしましても無理だと思いますけれども、しかし、やはり非常にこの農業所得の低い、経営の小さいところでありますから、改善をはかるとするならば、やはり特殊な扱いというものは、ある程度していく必要があるのではないかということを私は思うわけでありますが、そういう点からいたしまして、この限度額の引き上げというものが、改善措置ということに一体となっているのかどうか。
 いまお話がありましたように、たとえば据え置き期間の問題は、わずか二カ年間の違いでありますけれども、もちろん金利なり償還期限等によって違いますが、構造改善資金等につきましても、やはり果樹等につきましては、十カ年という据え置き期間が認められている資金もあるわけでありますから、せめてこれはささやかなものでありますけれども、据え置き期間がやはり二年長いということは、金利の関係にいたしましても、返済の条件にいたしましても有利になるわけでありますので、当然私は、この改正の際には、そういうものをあわせてなされるべきではないか、このように考えるわけでありますが、そういう点についてはどうでしょう。
#30
○政府委員(小沼勇君) ただいま据え置き期間の問題をお話になりましたのですが、おっしゃるとおり、たてまえでは総合資金十年以内、それからマル寒資金、マル南資金は八年以内ということになっておりますが、実行の実績をみて見ますと、四十六年度の場合に、南北の資金は据え置きが、酪農では実績では六年、それからこれはマル寒でございまして、それから宮崎県の場合ですと五年くらいになっております。それから総合資金のほうは大体七年、総合資金の北海道の場合、それから南九州の場合は大体六・一年というふうな状況でございまして、かなり接近しております。上限据え置き期間の限度一ぱいということになりますと、いまの差がございますけれども、制度的には差がございますが、実行では大体同じぐらいのところにいっているというのが実情でございます。しかし、いずれにしましても、先生御指摘のような問題がございます。とにかく中よりちょっと下のところの農家を、これから引き上げていくというのがこの地域の制度の特徴でございますから、そういう意味では、総合資金の大規模な経営というのとはかなり様相が違いますけれども、今後この中下層の農家を引き上げていくという、その役割りに照らして、こういう資金についての、できるだけ改善措置をはかっていくべきであるという点については、御質問の点、全くそのとおりであるというふうに思っております。
#31
○工藤良平君 いま実際の法律の規定と、それから運用の段階で、実績というものは、必ずしもその限度一ぱいにはいっていないと、こういうような御説明のようですけれども、もちろんそれは貸し付け金額の決定や、償還期限の決定につきましては、それぞれの営農改善計画に基づいて、作目なり形態によってきめられていくということになっておると思いますけれども、しかしその運用の範囲というものは、やはり最高限度まではこれはできるのではないかと私は思うわけでありますが、そういう点については、むしろ据え置き期間を長くしてほしいという要請が私は、強いと思うんですが、たとえば今度のミカンのように、不作が出てきて、一番問題になるのは、やはり償還期限の問題になってくるわけであります。その償還の期間を、据え置き期間を延ばしてくれというのが強い要請として出てくるわけでありますけれども、だから、八年なり十年という規定がありながら、実質は七年あるいは六年という形、あるいは五年という形で運営をされているというところに、むしろ私は、問題があるのではないか。もちろん、全く野菜をつくるものと果樹をつくるものが、据え置き期間が同じでよろしいということは毛頭考えておりませんけれども、しかし、法律の許される範囲内で、やはり最高度にそれを利用してあげるということがむしろ親切な指導ではないかというように私は思うわけでありまして、そういう意味から、実績を見ても、このマル寒やあるいは南九州の資金よりも、総合資金のほうが、むしろ据え置き期間も実際としても長く運用されている。もちろん、これは総合資金のほうには土地取得資金などが入っておりますから、そういう意味もわかりますけれども、しかし、できるだけそういうような措置を講じていくということは、この資金をつくった、いわゆるそれ以降のアフターケアとしても私は大切ではないかと思うんですが、その点についてもう一度、明確に御答弁をいただきたいと思います。
#32
○政府委員(小沼勇君) 御指摘の点、確かにそういう点では総合資金制度に比べまして据え置き期間では差がございます。土地改良の場合に、実はこのマル寒資金では四分五厘、マル南資金も四分五厘ということでおりますし、またそれ以外は五分でございますが、据え置き期間中は四分五厘というふうな措置を設けております。で、いろいろそういうくふうをいたしておりますけれども、いま御指摘の点につきましては、私どもも今後十分努力をし、実際にいまそこまで実績ではいっておりませんけれども、限度一ぱい据え置きもできる道があるわけでございますし、その点は十分指導してまいりたいと思います。
 また、制度的な面におきまして、十年以内という総合資金もございますので、できるだけそれに近づけるように私どもも努力をいたしたい、こう考えております。
#33
○工藤良平君 この点大臣にお伺いいたしますが、いまのわずかな、金額的にすればわずかな問題だと思います。もちろん、いま直ちにこれが据え置き期間が八年が十年になったからといって、財政的に影響はないと思いますけれども、ただやはり農民に対する農林省の気持ちとして、せめて総合資金制度並みに据え置き期間を十年にしてあげるということは、私は、可能ではないだろうかと思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。ぜひそういう措置を私は、講じていただきたいと思います。
#34
○国務大臣(櫻内義雄君) 御意見のとおりに、実績でお話を申し上げましたけれども、制度として十年と八年の差がある。そこでマル寒、マル南についてもっと据え置き期間を考えろということはよくわかります。この融資制度は具体的には行政措置にまかされておる面が多いのでございまするから、先ほどから局長からもお答えを申し上げておるとおりに、また、今回も改善措置は多少なりともいたしておるのでございまするから、御趣旨の線に沿いまして、据え置き期間につきましてもできるだけ考慮をしてまいりたいと思います。
#35
○工藤良平君 若干日程が変更になったようですから、まあ早々にこの問題については切り上げたいと思うんですけれども、いまの据え置き期間の問題については、大臣から非常に前向きの御答弁をいただきました。ぜひ、私は、せめて据え置き期間でも、農業のいろいろな資金についてのやはり最高のものを適用していただくように、この点は特に要望しておきたいと思います。従来からも再三にわたってこの融資条件の改善ということについては、衆参両委員会におきましての決議もあるようでありますので、私はその点を特に要望いたしておきたいと思います。
 そこで、さっきも私問題に出しましたが、なかなか当初のやはり所期の目的を達成していない。しかし、また反面非常にまあ前進もしておるということを私認めたいと思うんです。ただ問題は、一体どのようにしてそれをこの資金が使えるような誘導策を講ずるかということが私は、必要ではないかと思います。実質的に農家の方から申し込みがあった、それに伴ってその需要にこたえていく方法も一つの方法でしょうけれども、一体どういうようにしてこの格差を縮小し、さらに全体的にこの特殊地域の農業改善をはかっていくかということは、それに対するやはり行政的な誘導というものも必要ではないかと思います。誘導ということは一体どういうことかというと、これはもちろん他の農業構造改善なり、そういうものを積極的にこの地域に対して導入することによって、その資金の融通につきましても誘導し得るのではないか、こういうように思うわけでありまして、そういう点に対する今日までの経過なり、これからの特にこれは構造改善局に重要な任務があろうと思うわけでありますけれども、そういう点についてのかね合いをひとつ御説明いただきたいと思います。
#36
○政府委員(小沼勇君) 先生十分御案内のように、指導の体制でございますけれども、これにつきましては、従来からこの新営農方式例と言いますが、そういうモデルをきめたして、そういう方向に持っていく幾つかの類型をきめて、それをその農家に普及いたしまして、それを目標に資金計画、改善計画、経営計画を立てなさいということを北海道は道、それから宮崎県、鹿児島県等もそれぞれございますが、マル寒、マル南の地域について県の段階では、対策委員会を組織してやっております。また御承知のとおり、普及事業でそれぞれ普及員がおりますので、普及員と、それからその専門の部分では、専門技術員の指導班を編成してやるというふうなことにつきまして、次官通達を出して進めてきておるわけでございます。現在道県におきます専門職員、改良普及員等の設置状況を見ますと、北海道では専門技術員が四十一人に普及員が八百四十人と、それからたとえば宮崎県では十七名の専技に百九十二名の普及員がこれに当たるという、そういう体制をもって現在進めております。
 なお、今後いろいろ情勢が変化してきておりますので、さらにこの普及指導とかね合いながら、こういう資金融通についての指導を濃密にやっていく必要があろうというふうに思います。同時に、他の資金との関係の調整も必要でございますので、それらを含めてやはり総合的に指導をしていく必要があろうというふうに思っております。
 今後、このマル寒、マル南という制度がございますので、やはりそれを十分現地に対応させながら活用していくということが重要であろうと思いますので、御指摘のような指導についても万全を期してまいりたい、かように考えております。
#37
○工藤良平君 これで終わりますが、先ほどからごくこの地域の特殊の一端を私は指摘をしながら、この制度を存続をしていく以上、それをどのように農家の皆さんが有効に活用できるか、さらにその活用のための改善の方策というものを検討して、万全の態勢をとることが必要だということを指摘をしてまいったわけでありまして、とりわけ、日本の農業が、いま非常に農産物というものが投機の材料にされて、その犠牲が農家の皆さんにかかってきているという状態であります。で、しかもこの特殊の地域が、営々としてやはり農業に依存をしながら、その中から一つの壁を破っていこうという努力をしているわけでありますから、私は、そういう熱心な農家の皆さんにこたえていくためにも、ささやかでありますけれども、そういう心づけというものが非常に大切になってくるのではないか。そういうことが、やはり営農に打ち込んでいく後継者を引きとめることにもなるんではないかという気がするわけであります。非常に小さな問題のようでありますこの法案でありますが、私は私なりに、やはりこの法案について真剣に、ものを考え、その対策をぜひ講じていただくように要望いたしたい、このように思っているわけであります。特に、大臣に対しまして、これら地域に対する万全の対策を講じていただきますように、特に最後に注文をいたしまして、私の質問を終わりたいと思いますが、ぜひ大臣の再度の熱意をお伺いいたしまして終わりたいと思います。
#38
○国務大臣(櫻内義雄君) まことに貴重な御意見をちょうだいいたしましてありがとうございます。このマル寒、マル南に伴う資金面のお世話ももとよりでございます。確かにささやかなことでございまするけれども、これらの地域の畑作経営向上のために大いに役立つものと思いまするが、同時に、全般的な畑作経営というものについての施策もあわせ行なっていく。本年度、畑作経営確立対策事業、高能率なものをやろうということで予算の上でもお願いをしておるような次第でございまするが、ただいまの御意見を踏まえまして、この両地域の畑作振興はもとよりでございまするが、国全般の畑作経営につきましても、さらに一そうの努力をしてまいりたいと思います。
#39
○委員長(亀井善彰君) 他に御発言もなければ、質疑は一応この程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#40
○委員長(亀井善彰君) 次に、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件を議題といたします。
 本件は前回説明を聴取しておりますので、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#41
○辻一彦君 私、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件について、若干の質問を行ないたいと思います。
 まあ第五次の漁港整備計画は、漁港修築費の四千八百億円をはじめとして、総額は七千五百億という事業費で策定された。こういうことは、全般的に見れば漁港の整備という点から大きな前進であると思います。これを積極的に推進する必要がある。そういう観点から二、三ただしたいと思います。
 第一は、昨年の五月に、この委員会で私は、漁港問題についてもかなり触れたことがございます。その中でも論議をされましたが、国の補助率が特定第三種港については、昨年六〇%から七〇%に引き上げられた。しかし、漁港としては非常に大事な役割りを果たし、しかも公共的な性格の強い第三種港が、依然として五〇%にとどまっている。この点については、全国の漁港大会をはじめあらゆる機会に、非常にこの補助率引き上げの要望が多いわけであります。また、去年の漁港法一部改正案を承認するにあたっても、この参議院の農林水産委員会におきまして、附帯決議としても第三種港の補助率引き上げを決議をいたしておる。しかし、第五次の今度の計画を見ますと、依然として五〇%にとどまっておるように思いますが、この点どういう努力をされてきたか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
#42
○国務大臣(櫻内義雄君) 昨年の六月八日に本委員会におきまして、ただいま御指摘の附帯決議がなされております。その二に第三種漁港についての補助率の引き上げということが触れられておるわけでございまするが、農林省といたしましてこの第三種漁港の補助率引き上げについては鋭意努力をいたしておるところでございまするが、辻委員はよく御承知のことと思うのでありまするが、類似の公共事業の関係で、どうしてもいまのところむずかしい。たとえば港湾でちょうど第三種漁港に見合う地方港湾が百分の四十である、また重要港湾が百分の五十である。こういうようなことで、現在のところ、私どもの努力にもかかわらず、財政当局はこういう関連からいたしまして、非常に消極的であるということはいかにも残念でございまするが、いまの御意見については、今後におきましても、引き続き努力をさしていただくことで御了承いただきたいと思います。
#43
○辻一彦君 まあ特定第三種、そうしてまた第三種港、それぞれこの整備計画の中に入ってきておりますが、たとえば第三種港を見ても、これは北陸・日本海筋の第三種の小浜の漁港を見ても、大体十五億程度の修築費がほぼ考えられる。そういう場合に、半額の負担であれば、地元といいますか、市町村は、県や農協等含めますが、七億五千万の負担、特三のようにいわゆる七〇%の補助で三割負担であれば四億五千万、その差は三億にはつくわけですね。地方の第三種港を持つ市町村は、必ずしも大きな自治体ではない。そういう小さな自治体が――国全体の漁港整備計画が非常に拡大をして五カ年計画が出発する。それは非常にけっこうだけれども――貧弱な自治体の負担が、この場合、非常に重くなるという点があります。こういう点を水産庁長官は十分考慮されておるのか。
 たとえば昨年五月二十三の本委員会で太田前長官は、こういう質疑に対しまして、来年から出発する第五次漁港整備計画の検討をいま進めていると、そういう過程において、第三種漁港の国の負担割合の引き上げという点についてはすでに前からの附帯決議の趣旨もあるので十分前向きに検討したいと、こういうことを発言されておりますが、こういう点を踏まえて特に全般的に拡大されたこの整備計画の中で貧弱な自治体の負担が非常に重くなる。こういう点をどういうふうに見ておられるのか。この点をちょっと長官から伺いたい。
#44
○政府委員(荒勝巖君) 先ほど大臣から御答弁がありましたように、水産庁といたしましては第三種漁港の補助率の引き上げにつきましても、非常に、一応努力はいたしたわけでございますが、これについては他の法案との並びで、結果的にははなはだ申しわけのない結果に終わっております。太田前長官のお話といたしまして、引き上げに努力するという趣旨の答弁があったようでありますが、実際そのとおりで、一応予算の要求といたしましては、いまさら言いわけするわけではございませんが、補助率を六割に引き上げ要求はいたしたといういきさつだけはございます。しかし結果的には、当委員会の御要望に沿うようなかっこうにならなかったということについては、あらためて遺憾の意を表明せざるを得ないと思います。
 また、補助率の引き上げが行なわれなかったために、どの程度といいますか、非常に貧弱な市町村なり県の財政負担がたいへんなことになるんではないか、という御質問でございますが、私たちのこの第五次漁港整備計画を提出するにあたりまして、当然大蔵省とは打ち合わせ完了でございますが、自治省とも十分に事前打ち合わせをいたしまして、今回の漁港整備計画が多少大きくふくれ上がったといういきさつもこれあり、国の補助金といたしましてこういうふうに出すわけでありますが、その結果に伴う地方の財政負担については、十分にそのあと始末について打ち合わせは行なっておりまして、この漁港計画については、公共事業でございますので、当然に起債の対象にこれをお願いするということで、地方財政計画の中には、まあ十分今後織り込まれていくことになるのではなかろうか、こういうふうに思っております。起債の対象になりますと、あとそれが返済期の前後から、いわゆる交付税の対象というかっこうで、別途自治省のほうから国の交付税が回っていくというふうなことで、漁港の規模が大きくなりましても、それほど県なり市町村の財政負担が非常に過大になるというふうには理解いたしておりませんで、補助金のほうで引き上げたほうが非常に手っとり早く的確ではあるわけですが、少し回りくどい財政負担でございますが、ある程度弾力的に吸収できるんではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#45
○辻一彦君 第四次の整備計画と第五次の事業量を比較すると、漁港修築事業では三・二倍、漁港改修事業では三・七五倍、漁港の局部改良事業では二・五倍と、こういうように三倍以上というように額としては非常に大きくなっている。この大きくなった割合だけ市町村の、自治体の負担が、それは起債という問題がありますが、実際としてはかなり大きなものになると、こういう点を考えて、当面起債等において十分な手当てを考えてもらうと同時に、さらに三倍以上にこの額がふえた場合に、五〇%負担というのはかなり大きな額であるということを十分考えてもらって、来年度を目ざして、多年の漁港関係の願いであります第三種港についての補助率のパーセントを引き上げる努力を今後強力にやっていただきたい。この点について今後どういう努力をされるか、大臣のお考えをひとつ聞いておきたいと思います。
#46
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほども申し上げたように関連公共事業の関係もございまするが、お話のように、せっかくの新漁港整備計画が、地方自治体の実質的な負担増というようなものが伴うということでは、計画遂行上いかがかと思われます。これに対応する起債のことも申し上げておりまするが、昨年の決議の場合にも、担当者から努力をするということを申し上げ、われわれとしても、その熱意を持っておるのでございまするが、それが実現を見なかったことはまことに遺憾でありますが、しかし今後も努力をいたしまして、かりに地方港湾のほうが障害になると、こういうことであれば、これもまた引き上げるほうが好ましいことは言うまでもないのでありまするから、漁港のほうの補助率の引き上げによって、そういう誘導効果もあってもいいことと思いまするので、一そう努力をいたしまして、負担の軽減については十分配慮をしてまいりたいと思います。
#47
○辻一彦君 この第五次の計画の中で、沖繩県における漁港の状況は――私は一、二回現地の糸満等も見ましたが、全体として非常に整備がおくれておる、こういうように思えます。第五次整備計画の中で、沖繩県における漁港の整備計画は大体どういうふうになっておるか、その点簡単に御報告願いたい。
#48
○政府委員(荒勝巖君) 沖繩には現在漁港法に基づいて指定された漁港が六十港ございます。そのうち十港が第五次漁港整備計画において修築事業に採択される予定でございまして、このほかに、改修事業として十二港が別途採択予定でございます。したがいまして、沖繩におきます基幹的な漁業基地として重点的に整備するものといたしましては、糸満、石垣、名護、泊等の漁港を考えておる次第でございます。
#49
○辻一彦君 糸満漁港や石垣、名護、こういうものを重点的に考えるということですが、名護は第一種ですか。それから糸満、石垣は第二種のように思いますが、どうですか。
#50
○政府委員(荒勝巖君) 名護は一種でございまして、あとが二種になっております。
#51
○辻一彦君 重点的に名護、糸満、石垣を考えるということですが、一種港というのは、まことに町村のごく限界された小さな漁港、それを一種港と指定しているし、二種港は公共性を持つ第三種に属さないのが第二種と、こういわれておりますが、重点的にするには、沖繩のこの名護、糸満、石垣は一種、二種というのでは非常に計画内容が小さいというように思いますが、この点どうですか。
#52
○政府委員(荒勝巖君) 従来、非常に沖繩の漁港が、戦後、整備がおくれておりましたいきさつもありまして、同じ一種漁港でも、内地に比べますと相当立ちおくれている面もあるわけでございまして、さらに第四種のような漁港が非常に多いのに、この一種あるいは二種というふうに指定いたしますことは、指定というか、そういうふうなことで事業計画をつくりますことは、非常に事業費としても大幅なことで 漁港としては相当改善されていくものと私たちは考えている次第でございます。
#53
○辻一彦君 糸満を一つ例にとって見ても、私も糸満漁港を見ましたが、これは沖繩県の漁船だけじゃなくして、本土のほうから南のほうに漁労に出る船がいろいろ立ち寄る。そういう意味で、すでに中身としては、全国的な公共性をきわめて帯びた漁港基地としての性格を持ちつつある、こういうふうに思うのです。しかし第二種、第一種ということになれば、事業計画の内容も、一種二種の中では、大きく取り上げられているかもしれぬけれども、しかし、もともと全体としては、そう大きくならないのではないか。こういう点で、沖繩県における漁港基地として、糸満等は、もう少し昇格をさして、そうして本土から行った漁船が、そこに寄って、十分いろいろな手当てができる。こういう内容に考え直す必要があるのではないか、こう思いますが、沖繩県の開発の問題とからめてこの点どう考えますか。
#54
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘のように、特に糸満漁港につきましては、単に県内漁船のみならず内地の各県からの沖繩周辺への出漁漁船の水揚げ、あるいはは中継基地または前進根拠地としての機能を果たすようわれわれとしても考えておりまして、その線に沿って整備をはかってまいりたいと思っておりますし、また、沖繩におきます水産業の振興のための流通あるいは加工の拠点としての整備も必要ではなかろうかということで、現在計画を検討中でございまして、御指摘のように、三種漁港への一つのスタート台というふうにわれわれとしては考えておる次第でございますが、ただいまの規模としましては、第二種という形で、今回は計画を設定いたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#55
○辻一彦君 大臣に伺いたいのですが、いま長官の答弁のように、沖繩県における糸満等のこの漁港は、本土の船もずいぶん、より南の、南方への漁業の基地としての役割りもずいぶん果たしておる。そういう点で、当面第二種港としての出発であっても、早急に第三種、あるいは漁業開発という意味を含めれば第四種ということも考え得るが、そういう昇格をして、そして本格的な漁港整備への充実をはかるべきではないかと思いますが、将来をひとつ考えてこの点についての見解を伺いたい。
#56
○国務大臣(櫻内義雄君) 糸満漁港について、その利用価値は本土側においても十分認めていかなきゃならないということについては、これはもうそのとおりだと思うのであります。そこで、この漁港計画に、お話のように二種を三種にするかどうかということにつきましては、沖繩県復帰早々のことでございまして、十分手が届いておらないかと思いまするが、そのような計画をつくって本省のほうへお出し願う、また、われわれもそのように行政指導していくということで、準備が整いますれば三種への昇格というものは可能だと思います。
#57
○辻一彦君 これはひとつなるべく早くこちらのほうから積極的にいろんな意味の助言、指導によって十分拡充されるようにお願いしたいと思います。
 もう一つは、去年もここで指摘したんですが、特定第三種港が十一港あります。日本海側では浜田一港に限られておった。しかしイカ釣り等の非常に漁船の混雑等考えて日本海側に特定第三種港を拡充せよと、こういう私は質問したことがありますが、今度、境港が入っておりますが、これは非常にいいことだと思いますが、境港同様に、日本海のほうにはようやく二つになりました。境港のようにもう少し日本海の側の漁業を考えた場合に、特三への将来の昇格、拡充が必要であると思いますが、この点どうですか。
#58
○国務大臣(櫻内義雄君) 現在特定三種へ昇格と申し上げていいと思いますが、昇格を要望しておる日本海沿岸の漁港がどこどこにあるかを私、まことに恐縮ですが、いま承知しておりません。私も日本海側でございまして、浜田漁港に続いて今回境漁港の指定を受けたことによりまして非常に喜んでおる一人でございまするが、それぞれの漁港の実態に応じまして検討すべき問題だと思うのでございまするので、いま正直に申し上げたとおり、どこで要望し、どこが適応する可能性があるのかということについて十分承知しておりませんので、ただ原則論的に申し上げれば、日本海側の沿岸は非常に長いことでもございまするし、日本海側の沖合い漁業や沿岸漁業の振興の上から考えまして、よい漁港施設を持つということは好ましいことでございまするので、具体的な事例によってよく検討さしていただきたいと思います。
#59
○政府委員(荒勝巖君) ただいま大臣がお述べになりましたことに対しまして、さらに私のほうから事務的に補足説明させていただきますと、この特定第三種漁港の昇格の基準というものが一応私たちには私たちのほうなりに尺度がございまして、その尺度に基づいて地域の重要性を総合勘案してきめているわけでありますが、まず第一番に、一つの基準としましては、最近三カ年間における年間漁獲物の水揚げの平均が五万トン以上ということが一つの基準、五万トン以上の水揚げ高があるということが基準の一つでございます。それから第二点といたしまして、これも三ヵ年間でございますが、年間の入港動力漁船のトン数の平均が二十五万トン以上ということが一つの基準になっております。さらに大型漁船の接岸可能な水深四メートル以上の岸壁の延長が百五十メートル以上ないと困ると――、まあ困るというか、百五十メートル以上であるということ、こういう以上の三つを条件にして、特定第三種の基準を設定しておりますので、こういった三つの条件を備えるような計画なり実績が積み上げられてまいりますならば、特定第三種への昇格は十分に検討に値すると思います。
#60
○辻一彦君 その基準はわかりますが、そういう基準に到達するような努力をする中で、第三種、特三が可能になってくると思いますから、そういう条件を、放任しておいてはなかなかできないのであって、具体的に第三種、特三を可能にするような条件を積み上げるためにぜひ努力を願いたいと思います。
 あと、私、ちょっと流通関係の質問もありますから、あとは簡単に二、三点だけ伺いたいと思います。
 一つは、特三や第三種漁港が充実されることはけっこうですけれども、その陰に一種、二種港あるいは四種港というように小さな漁港がしわ寄せを受けるという心配もかなりまああると思います。この点は前回においても政府答弁で具体的に第五次の計画を進める中で、そういうようないろいろな矛盾が起これば十分検討して計画の変更等をしながら、しわ寄せが起きないようにしたい、こういう答弁がありましたが、これらをひとつ具体的に含めて、第五次整備計画を策定されたか、あるいはこれからそういう問題が起きたときにどうされるか、この点について伺いたい。
#61
○政府委員(荒勝巖君) 今回の漁港整備計画に当たりまして、整備の対象となります漁港は四百二十港でございますが、そのうち第一種、第二種の小さな漁港は二百六十四港でございまして、その全体に対する港数の割合は約六三%が第一種、第二種で占めておるわけでございます。さらに第一種、第二種漁港は第四種漁港に比べまして、一般に事業規模が小さいので整備計画に定める修築事業のほか、別途改修事業並びに局部改良事業によって並行して整備を行ないたいと思っております。すなわち改修事業として計画しておりまするのは、現在おおむね六百六十五港ありますが、このうち第一種、第二種漁港は六百四十二港を予定いたしておりまして、また局部改良事業といたしましては、整備計画と同一期間内に実施される港数はおおむね千二百ないし千四百港になる予定でございまして、これらを合わせますと、第一種第二種漁港の指定総数のおおよそ七〇ないし八〇%程度が整備されるものと考えておりまして、小漁港につきましても、その利用の実情に応じまして十分配慮してまいりたい、こういうように考えている次第でございます。
#62
○辻一彦君 じゃ次に漁港の基本的な整備計画というものが非常に大事でありますが、それと同時に、それに関連して機能施設を充実さすということも、漁港の機能を十分に生かす上において非常に大事である。そこで機能施設にもいろいろありますが、特に水産物の流通加工センター形成事業など、こういうものが立ちおくれがちになっておる、こういうように思いますが、この点についても十分考えておるのかどうか、これはひとつ時間の点もありますから簡単に。
#63
○政府委員(荒勝巖君) この流通加工施設等を含む漁港の機能設備につきましては、沿岸漁業構造改善事業または、水産物流通加工センター形成事業等によりまして、各地方の漁業の実態に応じ整備しております。今後ともこれらの事業により、その充実をはかってまいりたいと考えております。また、こういった流通加工施設のうち、公共の用に供される施設の用地につきましては、漁港整備事業の対象として事業を実施することとして、第五次漁港整備計画におきましては、全計画の約四倍程度の用地造成をはかり、各種機能設備の整備に支障のないよう留意してまいりたい、こういうように考えている次第でございます。
#64
○辻一彦君 そこで、最近における流通の問題について若干の質問をしたいと思います。
 御存じのように、最近大手商社の、大豆、小豆、モチ米、生糸、綿糸、羊毛、木材、セメント等、広範な面に投機買いあるいは商品の買い占めが問題にされております。同じような事実が、水産面で、マグロの一般買いという中に非常にあらわれておるというように考えます。私は、昨年の五月二十三日のこの委員会で、マグロの一船買いがすでに起こっているじゃないか、どうするかといって、問題を取り上げたことがありますが、あれからあと、特に年末からこの冬にかけて、急速にこういう傾向が強くなっている。で、簡単にですね、今日における焼津、清水、三崎、四日市、勝浦あるいは東京築地市場等におけるマグロ一船買いの実態を簡単に、農林省が把握しているならば報告をお願いしたい。
#65
○政府委員(荒勝巖君) 御説明申し上げます。
 最近マグロの一船買いの状況が、新聞等で報道されておりますが、やはりこのマグロの一船買いの状況は、年々逐次ふえてきておるというふうに御理解願いたいと思います。
 私たちの手元で、さしあたり用意いたしております数字によりますと、まず三崎でございますが、四十五年には約総水揚げ量が五万五千トンでございますが、五万五千トンのうち一船買いが約五千六百トン、約一〇%でございました。それに対しまして四十六年が、三崎の場合、今度総水揚げ量が五万六千に対しまして、一万七千トンということで約三〇%になっております。それから四十七年度になりますと、非常にふえまして、全体が四万八千トンのうち一般買いの量が二万八千トンということで約六〇%、こういうことで、非常に年々この一船買いの量がふえてきておることは事実でございまして、金額にいたしますと、一船買いの数量が四十五年は十八億円、四十六年は七十一億円、四十七年は百五億円というふうに飛躍的に増加してきております。ところがこれに対しまして、清水のほうは四十五年から、これは特に清水の場合はパッカーに入れるマグロが多いということ、あるいは輸出用のマグロが多かったというようなこともありまして、四十五年のときに五万九千トンの水揚げに対しまして、一船買いが三万九千トンということで六五%、それから、四十六年が五万六千トンに対しまして三万五千トンの六一%、四十七年が八万三千トンの総水揚げ量に対しまして六万一千トンで七三%というふうに、これも多少ではございますが、一船買いはふえておりますけれども、これはおおむねスローカーブというふうになっております。
 さらに焼津でございますが、これは四十五年、四十六年とも約四万二千トンの水揚げがございましたが、ほとんど一船買いはなかったわけでございますが、四十七年に入りますと、多少、三万五千トンの水揚げ量があったわけでありますが、これが四千五百トンというふうに一船買いの量がふえてまいりまして、約一二%ということになっているわけでございます。
 これらのデータ等につきまして、私どもの判断いたしますところでは、こういった一船買いの量がふえてきていることにつきましては、最近のマグロの漁業の実態からいたしまして、相当長期間を要するという、航海の日数が従来は三、四カ月だったのが、九カ月前後平均になってまいりまして、非常に長期航海を要し、また、とってまいりますマグロの量も非常に金額的にふえてきたということでございます。帰りましてから従来のような水揚げの方法をとっておりますと、非常に水揚げに日数を食うというようなことで、それよりも途中で価格を値ぎめして、一船で買ったほうが生産者にとっても、あるいは水揚げ側にとりましても、いずれにとりましても、非常に都合がいいということから、最近こういった傾向がふえてきているように聞いております。ただ、私たちの調べました中では、大手の商社が直接介入しているか、ということになりますと、どうもその辺ははっきりしないので、むしろ表に出てきますのは、一船買いの買い主は、やはり大型の仲買い人が中心になって出てきている。ただ、清水のように、パッカーに、工場へ振り向けるマグロとか、あるいは輸出に振り向けるマグロということになりますと、どうしても大手商社あるいは大手水産会社が表へ出てくるというふうに御理解願いたいと思います。
#66
○辻一彦君 いま把握されている実態を報告になりましたが、三崎についても、たとえば一月の水揚げが四千五百八十三トン、二月は集計中でまだはっきりしないということですが、ごく大まかにいえば、大体焼津と同量ぐらいは入ったとすると考えて、九千トン程度。三崎の魚市場の管理事務所で――トラックスケール、いわゆるトラックが出るときに重さをはかるのがありますが、これによると、一、二月末まで七千二百トンのマグロがごく一部の特定のところから出ている。こういうようにいわれておりますが、この実態を見れば、おそらく八割程度は、ごく一部のところによって買い占められているという事実が推定をされる。あるいはこの焼津については、(清水も)私は、この間行って調べてきましたが、焼津の場合は、いまの報告によれば、四十七年は一船買いは一二%という御報告でありますが、たとえば数字をあげてみると、昭和四十七年の一月は水揚げのマグロは二千九百四十八トン、隻数が三十八隻、一船買いが百六十トン、隻数は一隻であった。ところが四十八年の一月に一年たつと、量は大体二千八百二十トンで変わりがないが隻数は三十二隻で、一船買いが七百九十四トンで六隻になっている。二月を見ると、四十七年が二千九百九十トン、四十三隻、一船売りはなかった。ところがことしの二月では三千百トンのマグロの水揚げに対して四十隻分、うち二千七十トン、一四隻で、マグロが一船買いされている。しかもこれは冷凍もの二千七百四十二トンに比べますと約八〇%といわなくてはならない。この実態と、いま御報告のあった一二%というのは非常に食い違いがある。現地の漁業協同組合の、あるいは市場の皆さんに聞いても、四十八年になっては、大体一船買いは九〇%に及んでいるといわれておりますが、さっき水産長官のあれは一二%は四十七年ですか。
#67
○政府委員(荒勝巖君) 四十七年です。
#68
○辻一彦君 それじゃ、四十八年についてどういう実態か、私の申し上げているのとあわせて御報告願いたい。
#69
○政府委員(荒勝巖君) 一応四十八年に入りましてからの数字もございますが、三崎から申し上げますと、四十八年の一月につきましてマグロの水揚げ量が一月だけで四千五百八十三トン。それに対しまして一船買いの数量が三千六百六十七トンで、その一船買いの比率は八〇%になっております。で、これは一船買いの金額は十八億円。それから焼津でございますが、焼津の一月は総水揚げ高が二千八百二十トンに対しまして一船買いが七百九十四トンでこれは二八・二%、一月でございます。五億円。それから二月になりますと非常にふえまして、水揚げ高が三千百一トンに対しまして一船買いが二千七十トンで、その比率は六六・八%、十六億円になっております。で、清水はどうもまだ一月、二月の数字を私たち手当ていたしておりませんので御了承願いたいと思います。以上でございます。
#70
○辻一彦君 じゃ、その数字の傾向からすれば、この間私が調べた数字と、こまかい数字は別として、傾向としては四十八年に入って急速に一船買いがふえている、こういうことは明確になっておると思います。清水についても四十六年が水揚げが市場に八十七億、四十七年が七十七億というふうに十億減っておりますが、これも逆に言えば一船買いによって買い占められる量が非常に多くなっている、こういうことを裏づけをしておると思うわけです。
 そこで、こういうようにマグロがほとんど冷凍もので入って、それがいまこの四十八年に入ってからは、七〇ないし八〇%というのが一船買いが行なわれている。こういう事実を確認するならば、一体こういう川船買いの方向、買い占めの方向というものが望ましい方向と考えられるのか、あるいはどういうふうに考えられるのか、その点さっき生産者の立場で望ましいという点もありましたが、いろんな問題が私はあると思いますが、この点についての見解をまずお聞きしたいと思います。
#71
○国務大臣(櫻内義雄君) まだ確信を持っていろいろ申し上げるには、先ほどからのお示しの状況あるいは水産庁のほうから申し上げた状況からいたしますると、なかなかむずかしいと思うんですね。ことしになってから一船買いは非常にふえておる。それで大型仲買い人が中心ではあるが、こういう傾向ということになると、商社がやはり動いておるという予測もできるとは思うのでありますが、しかし、そういうことをはっきりまだ確認をせずしていろいろ申し上げることはどうかと思いまするが、お尋ねの生産者側でない立場と、こう言えば消費者、一般国民生活との関連でどうかということに注目していかなければならないと思うのでございます。その点につきましては、この価格動向をずっと見ておりまするが、一月は季節的な関係、需要も活発であったか、入荷が多少減っておったかと思うのでありまするが、やや高かったようでございまするが、二月になりましてからは、昨年の十一月、十二月の水準になっておりまするので、そういう点からは特にいま憂慮するような事態のようには思えません。
 それから一体マグロのようなものがこれが投機対象になり得るものかどうかということについて、まあ常識的な見方でございまするが、そう長期な在庫ということには困難性があるのではないかというようなことを考えていきますると、先ほど水産庁長官が御説明申し上げましたように、無線で出先で取引をする、荷揚げなどを短期間にやって労務者の休養期間を長くとるというようなことで、だんだんその一船買いが便利だということであろうかとも思うのでありますが、しかしいま申し上げましたような、いろんな状況をこれからよく検討いたしまして、いやしくも食料品などで投機の対象であるとか、あるいはこれが商社の異常な利潤追求のために、もしそれに伴う弊害があるといたしますならば、これは十分注意しなければならないと、かように思っておる段階でございます。
#72
○辻一彦君 まあ大手商社の介入はないというように思われるということでありますが、清水の私市場に行っていろいろ聞いた内容によると、たとえば三菱商事は名前は東洋冷蔵というのでやっていますね。港へ行きますと、大きな冷凍用のトラックには、三菱商事と大きく出て、その横に小さく東洋冷蔵と名前がついている。実質は三菱がやっているということはこれは当然事実なことであります。そこで当初、普通の仲買い人などが手が出ないような価格で魚を高く買うとか、あるいは三井系では船を契約をして系列化の方向をいろいろと進めている。あるいは丸紅については、古い船が韓国に輸出されて、その韓国の船を四十隻ほど契約をして、これを冷蔵庫に買い入れているとか、こういう形でやはり大手の手が私はだんだんと伸びつつあると、こういうように思います。特に三菱商事では、現地の話では居直った感じで、魚は三菱がとってからさしみまでやると、こういうことを広言してはばからないといわれておりますが、こういうような傾向にあるということをどういうように長官把握されておるか、いかがですか。
#73
○政府委員(荒勝巖君) 先ほど御説明のときにお話ししましたように、清水につきましては、非常に冷凍マグロの輸出が始まった前後からこの一船買いが急に進んでまいりまして、非常に、逆に六、七〇%の一船買いの率で最近数年間動いておるわけでございます。したがいまして、さらにまた冷凍マグロの輸出のみならず、あの辺にはパッカーもありまして、かねてからマグロの水揚げそれからパッカーへの売り込みということが非常に大型化しておりまして、またあの辺には工場群も乱立しているようなことから、自然と一船買いが一番取引の中心の形になっていっている次第でございます。これに対しまして、ただいま御指摘のように、したがいまして大手の商社の方々が、ここにはわりあいに早くから入り込んでおりまして、先ほども申し上げましたように、私たちの見方でも、大手の水産会社の関係と思われるものが三社、あるいは大手の商社の関係と思われるものが五社と、計八社ぐらいがここに入り込んでおりますが、この冷凍マグロの輸出あるいはかん詰め用への売り込み、あるいはその間にありまして、さらに生食用の分も相当また逐次手を加えてきたというようなこともありまして、これらのことにつきまして、先ほど大臣からお話がありましたように、不当にこれが消費者に悪影響をもたらすような形でいくならば、われわれとしましても重大な関心を持っておりますが、過去の三年ぐらいの経緯からいたしますと、むしろ乱高下が少なかったと、価格が比較的安定しておったということで、生産者も、それからまた仲買い人のほうもこれで喜んでおった、と言うと失礼ですけれども、安心しておったというのが従来ありまして、われわれとしましても、そういう目で見ておったんでありますが、もし万が一、今後異常な暴騰を来たすというようなこと、あるいは買い占めというような事態がはっきりしてくるならば、これについてはそれなりに対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
#74
○辻一彦君 生産者の点からいえば、確かに一船買いを希望されておった、そういう動きがあったということも承知をしております。しかし、最近、船主の関係の方に私会って話を聞くと、いまは一船買いということによってある程度まとまったお金が入り、そういう点ではいいが、これは資金繰り等を通して、いま商社関係が、あるいは特定の大きな仲買い人が系列化するために金を貸すから約束をしろと、こういう形で系列化の方向にずいぶん動いている。だから、いままとまってお金が入ることでいいとは思うけれども、長い目で見ると、この問題は、大手の系列化を進めるという心配が非常にあると、こういう点で船主としてもこの状態がいいとは言い切れないということを私は率直な意見として聞いたわけでございます。これが一つ。
 それから、あまり乱高下がないと言いますが、価格が上がったところで、とまっていくという傾向は、これは出ているんじゃないか。私も、焼津の漁業協同組合が持つ千八百トンの超低温倉庫、その中に入ってみましたが、零下四十五度以上で急速冷凍、冷蔵している。だから五分間もおると鼻がひしひしするほど、非常な低い温度でやっておりますね。ああいう中で、これは漁業協同組合の場合は、船主やあるいは仲買い人から預かるだけで、しかし大手の商社やあるいは大きな仲買い人が持つ冷蔵庫というのは、これはここに全部一つ船ごと入れてしまえば、産地の荷受け機関と結びつけば、容易に価格を一定のところにつり上げる、あるいは管理価格を形成する可能性というものが非常に私は、強いと思うんですが、この点についてどう考えるか、いかがですか。
#75
○政府委員(荒勝巖君) いま御指摘のように、まず第一番目の系列化の点でございますが、私たちといたしまして、やはりこのマグロの漁業船が、系列化に入らないように、自前で独立してこの漁業事業を営まれることを、私たちとしては、非常に好ましく思っておる次第でございますが、最近、一般的な物価高、あるいはそれに伴う資金の手当てということがなかなか困難なことから、おのずから多少大手の資金力の豊かな人と結びつくことによって、系列化が自然と深まっていくんではなかろうかということは非常に心配しているわけでございます。これらにつきましては、われわれといたしましては、今後事業が独立してやっていけるように、資金運用の面でも応援いたしてまいりたいと、こう考えておりますが、問題は、さらにこの水揚げ後の仲買い人あるいは問屋のほうが、こういうふうにマグロの値段が非常に上がってまいりますと、従来のように大量のマグロが揚がったときと違いまして、非常に単価が高いものですから、これを買い取ることが非常にむずかしいと、資金能力的に、経営能力的にこれをこなすということが非常にむずかしいということで、むしろ問屋側にこの問題が、非常にむずかしい問題が出てきておりまして、私たちも関係者を集めまして、いろいろお話聞いておりますと、関係者の間では、むしろ仲買い人あるいは問屋さんの資金力といいますか、今後合併なり何かすることによって、経営規模を拡大して、大商社と太刀打ちできるように、資金能力の付与ということのほうが大事ではなかろうか、というふうな見解が最近出されておりまして、従来のような小さな方だけで太刀打ちしようと思っても、なかなかむずかしい問題が出てきておる、こういうふうに聞かされている次第でございます。
#76
○辻一彦君 仲買い人の問題についても、かえって喜んでおるというような御発言がありましたが、焼津の実態を見ても、五十トンから六十トンぐらいの小さな船は、これは市場へ揚げられて公開入札あるいはせりが行なわれる。しかし二百トン以上の大型船はほとんどと言っていいほど一船買い、こういうふうな中で、一日に二十トンか三十トンぐらいが市場に揚げられておるんですが、何百人かの仲買い人の人が、この状況ではもうどうにもならない、こういうことで、一船買いを何らかの形でやはり考えてほしいという声が強いんですが、いま長官言われる、仲買い人もいいと思っているというのと非常に実態が食い違うと私は思いますが、この点どうですか。
#77
○政府委員(荒勝巖君) 一船買いということではなくて、むしろ、ある漁船が入港した場合に、それを市場で十分こなせるような資金能力の付与ができるように、仲買い人あるいは問屋の資金能力なり信用力を付与するようにわれわれとしては指導してまいりたいし、またこういう仲買い人の方たちも、そういうふうに何らかの形で、もっと自分たちの経営能力をあげていきたいというお気持ちのようなので、そういう面でわれわれとしては指導してまいりたいというふうに申し上げたつもりでございます。
#78
○辻一彦君 いまの発言はそうでしたが、その前に、仲買い人が何か一船買いのほうがいい、というような点の趣旨と、ちょっと聞いたんですが、それは違いであればいいです。
 そこで、いま大臣のほうからも、長官のほうからも、あまり心配したことがないと、そう懸念がいままでもされないというようなお考えのようですが、これは、あれだけの冷蔵庫にほとんど船ごと買い取って、そしてそれを二年も長期にわたって保存ができる。しかもマグロの漁獲を見れば、これはもう年々残念ながら全体の量というものが落ちている。こういう中で、マグロの希少価値というか、そういうものが非常に高くなる。それがごく少数のところに数年間保存できるという形で管理された場合に、容易にこれはやはり管理価格というか値段をつり上げる可能性のほうに動く懸念が私は非常に多いと思うんですね。
 そこで、この問題について去年ここで私は、五月二十三日ですが、これを指摘したときに、前長官は政府答弁で、一船買いは輸出ものについて行なわれておると、だから私は、輸出ものならばこれは水銀の量とかいろいろかん詰めのむずかしい問題があるから、船ではまとめて買うのはやむを得ないだろう、しかし問題は輸出用じゃなくして、国内市場に一船買いが入ってきた場合に非常に問題がある、こういうことを指摘をして、それが出たときにどうするかということについてただしたんですが、そのときの政府答弁において、はっきりと、「当然お説のような場合には、」――ということは、一船買いが、輸出だけに限らずに、一般の国内の消費の方向に一船買いが介入し行なわれていくということであれば、「私どもはやはり中央卸売り市場法を制定いたしまして、原則としての取引は、卸売り市場を通じての取引ということを奨励をいたしているわけでございますから、そういった指導につとめたいと思います。」、これが政府答弁で行なわれておりますが、いま大臣なり長官の答弁を聞くと、こういう輸出以外に、広範な一船買いが行なわれているにもかかわらず、まあ模様を見て、あまり心配がないんじゃないかと、非常に楽観的に考えておられるけれども、私は昨年の流れからして、消費の中に、こういう一船買いがどんどんふえていく、この場合に、農林省として、水産庁として何らかの私は、行政的な指導をいままでやってくるべきでなかったか、こう思いますが、一年前の政府答弁と比べて一体どう考えるか、この点長官並びに大臣に伺いたい。
#79
○政府委員(荒勝巖君) 先ほど大臣からもお答えがありましたが、最近非常に一船買いがふえてきておることは事実でございますが、しかし、この一般魚価の上昇に比べまして、このマグロの価格が非常に不当に騰貴したというようには私たち見ておらないんで、価格の動き等からいたしまして、この不当な買い占め等というようなことはいまのところない。したがいまして、消費者にも非常な悪影響はないという判断の上に立ちまして、一船買いにつきましてはそれほどきびしい姿勢はとっていなかったということは事実でございまして、非常に注意深くこの成り行きを見ておったようないきさつでございます。
 ただいま御指摘のように、市場法に基づく違反となるような取引がありますれば、これにつきましては厳重に取り締まりをすることについては、われわれとしましても当然でございますが、問題はその清水の場合を例に取り上げますと、市場外の取引、いわゆる沖合いとこの沿岸、沿岸といいますか、陸上部との間で電報の取引で、市場外でこの冷凍魚が取引されておる。それで市場に上場されるのは生鮮のいわゆるマグロを取引しておりまして、これは一船買いではないというようなことで、市場外での取引なものですから、これらにつきましては、今後とも法律上の問題等含めまして、担当の部局とも相談いたしまして検討さしていただきたいと、こう思っております。
#80
○辻一彦君 あまり心配がないからいままで見守っておったということで、これについては介入しなかった、やっていなかったということであると思います。しかし、モチ米にしても、生糸にしても、大豆にしても、気がついたときには、もう手がつけられぬ状況になっているということは、十分御承知のとおりで、体験済みだと。だから、そういう実態が出る、国民の生活、暮らしに、あるいは物価の上に、具体的な形で影響が出る前に、やはり私は何らかの形の行政指導を考えてみるべきではないかと、こう思いますが、その点どうですか。
#81
○国務大臣(櫻内義雄君) 辻委員から、いち早くこの問題について御指摘をいただきましたのは、たいへん私は、ありがたい御意見だったと思うのであります。私どもとしては、この一、二月の情勢がきょうお示しのような傾向をとっておるということで、現在注意深くいろんな情報をとっておるわけでございます。ただ、私も責任ある立場にございまするので、先ほど非常に注意深くお答えを申し上げておるわけでございまするが、きょうの御提起になりましたいろんな御意見の中で、特に私が関心を持ちましたのは、確かに管理価格の形成をするとか、あるいは価格操作をしておるとかいうような事態になってまいりますれば、現在マグロの価格というものが落ち着いてはおるとは言いながら、いっそのようなことで消費者に対して大きな影響を与えるような事態が起きないとも限らないのでありまするから、その辺につきましては、さらに一そう注意を払いたいと思うのであります。決していまの情勢を楽観をしているわけでもないし、また、こういう事態を放置しようというわけではございませんが、現在はいろんな情報がありまして、十分にこういうことに原因があるとか、こういう影響があるというふうにつかみ切れない。たとえば長官から御説明申しておるように、また、先生もこういう場合はやむを得ないというふうにお認めになっておるような、清水港の場合の輸出向けのようなこともございまするし、あるいは工業向けのやむを得ざる経緯というものもあるかと思うのでございまするが、しかし、お話のとおりに、いよいよ気がついてみたらば、たいへんなことになっておったということではいけないのでございまするから、この上とも十分注意をいたし、特に、価格操作をするとか、あるいは管理価格的なことになっておるというようなことについては、これはそれぞれ取り締まる方法があると、こう思いまするので、きょうの御意見は十分尊重してまいりたいと思います。
#82
○辻一彦君 その点は、十分努力を願いたいと思います。
 長官、さっき問題を出されましたが、確かに一船買いの問題点として、一つは市場法の改正によって、公開のせりあるいは入札以外に相対取引ができるようになったということが、この一船買いをずっとふやしている一つの大きな問題点に私は、なっておると思います。これは市場に乗った場合、市場に上場された場合です。
 そこで、一つはマグロ等は、ほとんどもう冷凍もので二年も貯蔵できる、こういう状況になった中で、冷凍物は市場において相対でいいということであれば、これからの可能性として、一船買い等によって、あまりほんとうの意味の市場に乗ってこないというか、公開のせりやあるいは入札がほとんど行なわれなくなって、一船買いがほとんどを占める。こういう可能性がありますが、これは私は一つの市場法の問題点だと思いますが、この点はどうか。これが一つ。
 もう一つは、先ほどのように、市場の外で、法律の規制の及ばないところで大量の一船買いが行なわれている。アフリカや豪州のほうに行って、マグロを満載して帰ってくることになれば、数カ月かかる、何十日かかかる。その場合、無電で連絡をする。そうすると、市場にも全然乗らずにほかの場所に行って、冷蔵庫にだけは入ってしまう、こういう市場外の取引がどんどん拡大をしていくという可能性がある。これも私は法律上の問題点であると思いますが、いまいろんな点で、この問題について内部で検討していると言われますが、これらの点どういうような見解を持っておられるのか。この二点について伺います。
#83
○政府委員(荒勝巖君) マグロのみならず、一般的に最近、魚に対します冷凍方法が非常に技術的に向上してまいりまして、またコールドチェーンというようなことで、農林省も非常に奨励いたしておりますし、それから、従来からこういった冷凍魚の普及等も行なわれてきておりまして、具体的に数字をちょっと申し上げますと、四十六年におきましては百九十四万二千トンの総魚が六大都市の中央卸売市場に入荷されておるわけでございますが、そのうち六十三万八千トン、約六十四万トンが冷凍魚でございます。この比率が三二・九%――約三三%というふうに非常に伸びてきておりまして、年々この比率は今後とも増大していくというふうに思っております。
 これらのことを勘案いたしますと、現在の市場というものがあくまで鮮魚を前提にいたしまして、せりで行なわれてきたのでありますが、冷凍品は市場相対取引でかまわないという法体系になっておりますし、またこういった冷凍品は、市場外で一種の倉庫を見た上で、現物を見ただけで市場外での取引が、十分法律を必要とせずに、市場外で取引ができるということになっておりまして、これを法律上規制することはできないということで、こういったことにつきまして今後市場法のあり方が、あるいはさらに問題になってくるのではなかろうかと、ある面では市場を通ぜずに一つの産直といいますか、産地直結という意味で、産地と消費者との直結という議論もありますけれども、市場というところは、やはりそれはそれなりに、せりの効果ということで、非常に公平な価格形成が行なわれるということも、そのメリットは認めざるを得ない面もございますので、これらの点につきましては、経済局なり食品流通局ともよく相談をいたしまして、この辺は今後検討さしていただきたいと思っております。
#84
○辻一彦君 これで終わりますが、私は、この二点は、非常にこれからは問題になることではないかと思います。そういう意味で、農林省の中で十分ひとつ検討をしてもらって、生産者にも、もちろんプラスにあっていかなければならない。しかし、消費者の面にも、マイナスの面にならないような、十分な対策を検討する必要がある。そういう意味で市場法の一つの問題点であろうと思います。そういうことで、一つは、大臣のほうから、市場法の問題点について十分な検討を加えるのかどうか、この点についての考え方を伺い、さらに締めくくりとして、この全体の漁港整備計画が七千五百億で、非常に大きな額でありますが、景気の変動の中で、これを五年間に完全に実現をするということもそう簡単でないと思う。そこでひとつ予算を十分確保しながら、この五次計画を、問題点があれば逐次修正をして、強力に実現をする決意があるか、この二点を大臣から伺って終わりたいと思います。
#85
○国務大臣(櫻内義雄君) 市場法改正に対する御意見はしかと承りました。大事なことでございますので省内でよく検討をさせたいと思います。
 なお、新漁港計画につきましては、確かに従来のものと比較して額も大きくなっておりまするが、本年度の予算の計上の割合程度でずっとまいりますれば、この計画遂行には支障がないと、こういう考えに立っておりまするが、なお、きょうの御意見の中で、地方自治体に非常な財政負担を来たすようなことを、できるだけ避けるよう考えるべきだということでございましたが、それらも念頭におきまして、この漁港整備計画が円滑に遂行のできるよう配慮してまいりたいと思っております。
#86
○委員長(亀井善彰君) 他に御発言もなければ質疑は終局したものと認めます。
    ―――――――――――――
#87
○委員長(亀井善彰君) 次に再び北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、先ほど質疑を行ないましたので、これより討論に入りますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですから、これより採決を行ないます。
 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#89
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 ただいま可決されました北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案に対する付帯決議案が、先ほどの理事会においてまとまっておりますので、便宜、私から提案いたします。
 案文を朗読いたします。
   北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行にあたり、自然条件等の劣悪な寒冷地及び南九州畑作振興地域の現状にかんがみ、総合的振興対策を一層拡充強化するとともに、左記事項の実現に努めるべきである。
      記
 一、畑作振興対策の基礎となる土地改良事業、農地保全事業を促進し、地域の実態に即応した助成指導等に努めること。
 一、本法に基づく資金の金利、償還期間、貸付限度額等の融資条件については、今後できる限りの改善措置を講ずるよう努めること。
 一、果樹等の植栽、肉牛、乳牛等の導入にあたっては、将来の需給を十分考慮し、計画的行なわれるよう指導すること。
 一、本地域における農産物の流通合理化を促進するため、カー・フエリー、コンテナ輸送等に対応した集出荷の円滑な実施に関し、一層の助成、援助を行なうこと。
  右決議する。
 以上であります。
 それでは、本附帯決議案の採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#90
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、櫻内農林大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。
 櫻内農林大臣。
#91
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、今後とも北海道及び南九州の畑作振興に努力いたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
#92
○委員長(亀井善彰君) 次に、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件の討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。−別に御発言もなければ、これより採決を行ないます。
 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認する、ことに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#93
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 ただいま可決されました漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件に対する附帯決議案が、先ほどの理事会においてまとまっておりますので、便宜、私から提案をいたします。
 案文を朗読いたします。
   漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
  政府は、新整備計画を計画期間内に完全実施するため、必要にして十分な予算の確保を図るとともに、左記事項の実現に努めるべきである。
      記
 一、新整備計画の実施にともない、地方公共団体等の負担が増大するので、国事負担率の是正を検討すること。
 二、漁港機能施設の整備のたちおくれは、漁港機能の十分な発揮を阻害する要因でもあるので、水産物の流通保管施設その他漁港における機能施設の整備拡充を図ること。
 三、漁港を中核とする漁村の生活環境の改善に資するため、漁港の整備とともに、漁村における道路の改良新設等総合的な施策を強力に推進すること。
 四、漁港の維持管理の適正化に資するため、漁港管理者の漁港種類別の明確化について検討すること。
  右決議する。
 以上であります。
 それでは、本附帯決議案の採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#94
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、櫻内農林大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。
 櫻内農林大臣。
#95
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後極力努力をいたしてまいります。
#96
○委員長(亀井善彰君) なお、二案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#98
○委員長(亀井善彰君) 次に、飼料対策に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、先ほどの理事会において協議いたしました結果、当委員会として決議を行なう必要があるということに意見が一致いたしました。
 案文がまとまっておりますので、便宜、私から提案いたします。
 案文を朗読いたします。
  飼料緊急対策に関する決議(案)
 最近における配合飼料価格の急激な高騰は、成長が鈍化する傾向にあるわが国畜産業にきわめて深刻な打撃を与えている。
 よつて政府は、早急に価格の上昇を抑制するため、過剰米及び政府操作飼料の払下げ価格を大巾に引き下げて速かに払下げるよう緊急に措置すべきである。
  右決議する。
 以上であります。
 それでは、これより採決を行ないます。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#99
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、櫻内農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。櫻内農林大臣。
#100
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、極力努力してまいる所存であります。
#101
○委員長(亀井善彰君) 暫時休憩をいたします。
   午後零時四十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時四十八分開会
#102
○委員長(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、山田徹一君が委員を辞任せられ、その補欠として塩出啓典君が選任されました。
    ―――――――――――――
#103
○委員長(亀井善彰君) 昭和四十八年度農林省関係の施策及び予算に関する件を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#104
○中村波男君 最初に、米の流通問題を中心に若干聞いてみたいと思うのでありますが、食糧庁は二月二十四日以来出先の食糧事務所を総動員されまして、全国約二千の食糧倉庫の立ち入り検査を実施された。そのことはモチ米の異常高騰というものが、大手商社の買い占めが原因ではないかという世論に押されて、食管法による伝家の宝刀を抜いたと思うのでありますが、そこで、その調査の結果をできるだけ具体的に説明を求めたいと思います。
#105
○政府委員(中野和仁君) 御指摘のように、二月二十四日にモチ米につきまして、主要生産県、消費県の食糧事務所長を招集いたしまして、今回のモチ米を中心にしました在庫調査を実施したわけでございます。その結果でございますが、二俵とか、五俵とかいうような少数のものを除きまして八十九件、五千八百七十三トンのモチ米の在庫が発見されたわけでございます。そこで、この調査のやり方といたしましても、未検米がありそうなところを優先的にやってまいったのであります。御指摘のように、二千というお話がございましたが、それは中途で私が記者クラブで言った数字でございます。その後もいろいろ調査を進めておりまして、五千五百カ所の倉庫を調査をしたということになっております。その調べました結果は、大部分は米菓業者等の実需者が、自分の原材料用の手当として持っておったというふうに見受けられるわけでございます。流通業者といいましょうか、自由米業者といいましょうか、そういうものが持っておるものは非常に少なかったということになっております。そこで、発見されました未検査米につきましては、モチ米の需給が非常に引き締まっているというようなことでありましたので、原材料用の不足に困っている実需者が適正な価格で入手できるような措置を講ずるということで、すでに手を打っておるわけでございまして、実需者の手にあるものにおきましても、適正在庫を上回ると認められる数量、あるいはそうでないものでありましても、非常に大量に持っておるものにつきましては、たとえば――たとえばでありますが、五十トンをこえるものにつきましては、その二割は、主として、その県内に倉庫のあります、県内の零細な業者のほうに配分をし直すというようなことをやっておりまして、すでにそれを実施をしておるところでございます。
 以上概要を申し上げた次第でございます。
#106
○中村波男君 五千七百トン以上をいわゆる摘発をされたと言われますが、これはほとんどモチ米でありますか。
  〔委員長退席、理事初村瀧一郎君着席〕
#107
○政府委員(中野和仁君) いま申し上げました五千八百七十三トンは全部モチ米でございます。
#108
○中村波男君 新聞の報道によりますと、そのうちの五件を食管法違反事件として告発された。そういうことでありますが、食管法を厳密に考えれば、五千八百七十三トン全部が食管法違反の米ではないかと思うわけですが、その中で五件だけ告発をされたということですが、どこで区分けをされたか。摘発しないもの、摘発するもの、その基準というものがあると思うのでありますが、その考え方をまずお聞きしたいと思います。
#109
○政府委員(中野和仁君) いま五件というお話でございましたが、現地の食糧事務所で告発をいたしましたのは三件で、ございます。
 どうして五千八百トンの中でそれだけやったかというお尋ねでございますが、御指摘がありましたように、食管法を厳密に適用いたしますれば、全部すべきだと私も思うわけでございますが、今回やりました調査のねらいは、当時二月になりまして、かなりモチ米の価格が上がってまいりまして、当時、投機があるんではないかといういろんなお話がありましたものですから、調査に入ったわけでございますが、むしろねらいは在庫調査をいたしますことによりまして、中間段階で滞留しているものを全部はかしてしまう。非常に食管法を厳密に適用すればおかしい話じゃないかという御指摘もあろうかと思いますが、当時私たちが見通しましたのは、そういうことであったわけです。しかし、食糧庁が食管法に基づきまして調査をいたしました以上、やはりその中で、ある程度といいましょうか、食管法に照らしまして、これはよろしくないというようなものを若干告発したことになるわけでございますが、その基準といたしましては、われわれが在庫調査をいたしました結果、非常に大量に持っておるということと、それから、持っておるのが実需者であるのかどうかわかりにくい。それから実需者の工場の倉庫にあれば、これはもう本人が持っていることがはっきりしますけれども、実需者が持っておると言っておりましても、よその県の倉庫に置いてあるというなら、これは本来持っておるかどうかは、なかなかよくわからないというようなことがありましたし、それからまた、その実需者の入手経路についても、やはり問題があるものがあるわけでございます。まあ全部が問題と言えばそれまでなんですけれども、問題がありそうだというふうに思いましたものにつきまして、私が先ほど申し上げておりますような考え方でやりましたものですから、一罰百戒ということばが当たるかどうかわかりませんけれども、そういうような気持ちからこの三件を告発したというふうになっておるわけです。
#110
○中村波男君 そうしますと、行政のレベルで一つの、食糧庁は食糧庁としての基準みたいなものを考えられまして、三件だけを告発したと言うのでありますが、今後も、銘柄米を中心にした買い占めがとかく言われております中で、このような事件というのが起きないという保証はないと思うんです。むしろどんどんやみ米の流通が公然化しております中で、三件告発されたようなものが、今後も発見されれば摘発をする、告発をするが、その他はもう、食管法は食管法として違反事項であるけれども、告発はしないんだと、こういうふうに理解していいわけですか
#111
○政府委員(中野和仁君) 必ずしもそういうふうにきめてしまっておるわけではございません。私先ほど申し上げましたのは、今回モチ米を中心にやりました調査との関連で申し上げたわけでございます。御指摘のように、そういうことのないことを願っておるわけでございますが、将来コシヒカリとか、ササニシキとか、そういう超一流銘柄の、そういうようなことがありますれば、やはりこれは食糧庁が今回モチ米について実施しましたようなことは、あるいはやる場合もあるかと思っております。その場合にまた、悪質ということばがいいかどうかわかりませんが、そういうようなものにつきましては、告発することもあり得るわけでございます。
#112
○中村波男君 食糧庁が告発された三件の筆頭と言われております東京都のあられ工業協同組合の関係でありますが、これは新聞にも出ておりますが、明らかに丸紅が集荷をして、そうして東京都のあられ工業協同組合へ売却したということは歴然としておるというふうに思うわけです。これは東京都あられ工業協同組合も認めておるようであります。したがって、私たちが疑問に思いますのは、そういう大手は告発しないで、小さな業者だけいじめていく、告発するかということです。こういう素朴な国民の疑問も、強い今度の食糧庁のとった措置について不信感を強く持っておると思うのでありますが、なぜ丸紅については告発をしないのか。この点どういうお考えですか。
#113
○政府委員(中野和仁君) 具体的な御指摘でございますので、若干経過を申し上げたいと思いますが、私たちが先ほど御説明申し上げました経過で、御指摘の、東京あられ組合の茨城県にあった分が、たしか新聞に出た、いま御指摘の事件だと思いますが、当時われわれとしましても、どうも前所有者が丸紅であるかもしらぬ、しかしそれは前所有者であるのか、金を貸しておるだけであるかわからないというようなことから、告発をいたさなかったわけでございますが、この東京あられ組合を告発する際に、流通過程に問題がありそうだという基準を一つつくったといいますか、基準を置いておると申し上げましたが、その際に、どうも丸紅が関与をしておるということは、すでに警察当局に通報をしておるわけでございます。
 それから、御指摘はありませんでしたが、ついでにちょっと申し上げますと、北海道の場合は、われわれが告発いたしましたのは、やはり所有者は東京あられ組合でございましたけれども、どうもこれはその前所有者が北集連ではないか――北海道の集荷組合でございますが。そういうふうに言ったわけでございますが、そのあと新聞報道によりますれば、丸紅も関与しておるというようなことがあるわけでございまして、当時、われわれは、現場での所有者の確認ということで精一ぱいでございまして、取引関係まではなかなか調べにくいというようなことから――官公庁の告発といたしましては、やはり刑事訴訟法に基づいて手続をやるわけでございますから、明確な事実に即して行なうという考え方でやったわけでございます。
#114
○中村波男君 その問題はもう少しあとにするといたしまして、モチ米の消費者向けの流通量はどれくらいだと見ていらっしゃいますか。
#115
○政府委員(中野和仁君) 四十八米穀年度、四十七年産米で申し上げますと、消費量は約六十三万トンというふうに見込まれます。
#116
○中村波男君 六十三万トンというのは、生産者を含めてですか、消費者だけですか。
#117
○政府委員(中野和仁君) 全部でございまして、その内訳になってまいりますと、政府が、その六十三万トンの消費量があると見ております中で、政府が持っておりましたのは当時三万トンでございます。で、いま三万トンの輸入を進めておるところでございますが、これで約六万トンになる。それから、自主流通米として出回っておりますのが十三万三千トンぐらいでございます。それ以外が、それ以外となりますと、約四十三、四万トンになるかと思いますが、これが農家の消費とそれから自由米ということになるわけです。
 なお、つけ加えて恐縮でございますが、モチ米につきましては、主食といろいろ用途等も違っておる関係で、以前から大体農家の消費が三分の一、それから正規の流通が三分の一、あとの三分の一がいわゆる自由な自由米というふうになっておった実情であるわけでございます。
#118
○中村波男君 大ざっぱな言い方をすれば、消費者向けの流通量というものは四十数万トン内外ではないかと思うんでありますが――三分の一といたしますれば四十万トンということになりますが、そこで、自主流通米はどれだけ四十七年産米は集荷しておりますか。
#119
○政府委員(中野和仁君) いまの中村先生の消費者向けというのは、いわゆる個人の家庭での消費者という意味でございましょうか、せんべい屋さんとか、みそ屋さんとかいうものも含めて、消費者と言っておられるのじゃないかと私、思いまして先ほど数字を申し上げたわけでございますが……。
#120
○中村波男君 ええ、ええ。
#121
○政府委員(中野和仁君) 自主流通米に回っておりますのは、先ほど御報告申し上げましたように、十三万三千トンでございます。
#122
○中村波男君 そこでですね、まあこまかい数字はとかく言わないことにいたしまして、かりに生産者の自家消費は別にして、四十万トンといたしますと、十三万三千トンが自主流通米でありまするから、二十七万トン程度がいわゆるやみ米で流通しておると。これは認めざるを得ないでしょう、食糧庁、どうですか。
#123
○政府委員(中野和仁君) 大量にやみ米が出回っておることは認めますが、ちょっといまの数字は、二十七万トンではなくて、そのほかに政府の在庫放出、それから輸入したものの放出というものがございますから、正規に出回っておるものは十三万三千トン。これから米穀年度の終わりまでいきますれば、約六万トン政府の関与、政府の出すものがございますから、正規に出回るものが十九万二千トンということになりまして、農家の自家消費するもの、それからやみに出回っているものを合わせまして四十三、四万トンということをさっき申し上げたわけです。農家が自分で食う分とそれからやみに出回っておるものとを正確に区分けすることはむずかしいわけでございまするが、私が先ほど申し上げましたように、大体昔からその三分の一ずつになっておるということからいたしますと、四十三、四万トンの半分ぐらいはやみ米ということになろうかと思います。
#124
○中村波男君 モチ米が特に投機の対象になった理由といいますか、こうならざるを得なかった背景と申しますか、それはどう見ていらっしゃいますか。
#125
○政府委員(中野和仁君) 投機の定義でございますが、モチ米が投機の対象になるんではないかという、いろいろなうわさはございましたけれども、現実には、先ほど私――食糧庁の調査が全部をおおっておるとは思いませんけれども、おおむね実需者の手に入っておりますし、それから自由米価格も当時二月になりまして、自主流通米価格に比べまして、二千円か二千円ちょっと上がりまして、きょう現在で日本経済新聞等の自由米相場を見ましても、一万三千五百円から二万四千円ということになっておるわけでございます。まあ投機という場合に、値段はどれくらいなら投機かというようなことにもなるかと思いますけれども、どうも私たちは実態調査の結果、その他のいろいろなことから考えまして、投機までになったというふうにはまだ考えてないわけです。
#126
○中村波男君 投機になったか、ならないかの議論は、時間が要りますから、これ以上申し上げませんけれども、少なくとも、大手商社が、いわゆるやみ米として、数量は的確に調査はできておりませんけれども、扱っておるという事実は認めざるを得ないと思うのですね。そうなったのは、根本的には、モチ米が不足しておったというところにあるんじゃないですか。
#127
○政府委員(中野和仁君) 先ほど六十三万トンぐらい消費があるというふうに考えておると申し上げました。一方、生産は五十七万トンぐらいと思
 います。したがいまして、これはかなりの推定を入れての数字でございますけれども、約六万トンの不足であるというようなことで、政府としましては、三万トンの在庫の放出ということを――去年の暮れに一万数千トン放出しまして、主食用をまかなったわけでございます。あと順次輸入が入ってまいります。それによりまして、需給バランスをとろうとしたわけでございます。
#128
○中村波男君 したがって、食糧庁の四十七年度のもち米の需給計画では、とんとんだと、不足することがないんだと、こういう見通しの上に、従来タイからもち米を輸入しておったのでありますが、四十七年度に限っては、輸入計画というものを需給計画から削ったと、この事実はあるんですか。
#129
○政府委員(中野和仁君) 予算上組みまして、輸入をやっておりましたのは四十五米穀年度まででございます。若干、四十六米穀年度にずれて輸入はいたしておりますが、四十七米穀年度は生産調整下にありますので輸入をいたしておりません。それから四十八年米穀年度におきましても、当初は輸入の計画は持っておりませんでした。ただ、去年の秋になりまして、モチ米の全体の需給を推測して見ますと、若干不足するんではないかということがありましたので、去年の暮れに生産調整下ではありますが、タイから輸入をするということに踏み切りまして、そして手続を開始したわけでございます。ただ、残念ながら、普通でありますれば、すぐに買えるわけでございますが、タイのモチ米の作がおくれておりまして、二月まではバンコクにまだ到着していなかったということで輸入がおくれております。そのために、どうも外米の輸入が少ないのじゃないかということから、あるいは二月に、若干の思惑が入って急に上がったというふうには考えられます。
#130
○中村波男君 とにかく、もち米を自主流通米に移したことから、正確な消費量もつかめないが、また正確な生産量もつかめておらない。結果的に、私は、不足をしたところに異常な高騰、あるいは投機へ走らせた原因があると思うんですよ。したがって、少なくとも、そういう見通しを誤らなかったならば、タイから緊急輸入するとおっしゃいますけれども、しかしまだ今日まで現物は届いておらない。しかし、モチ米は不足をして、岐阜県にも、せんべいその他の加工業者が相当おりますが、その手当てに狂奔しておる。こういう異常な事態が続いておるわけでありますが、したがって、できたことは取り返しがつきませんけれども、少なくとも、四十八年産米の需給計画においては的確な見通しを立てて、かかる混乱のないような、いわゆる適切な需給計画というものを立てるべきだと思いますが、いかがですか。それを認めますか。
#131
○政府委員(中野和仁君) その点はまさに御指摘のとおりでございます。すでにことしの経験にかんがみまして、これではいけないということで主食用と違いまして、自主流通制度に乗せること自体は私はそれでよろしいかと思っておりますが、それだけではかなり問題があるということが、今回の経験でわかりました。われわれとしましては、四十八年産米につきましては、正規流通に乗せるのを、できるだけふやすという趣旨から、契約栽培方式をとろうということで、全農、全集連、それからもちの需要者側と契約栽培をいたしまして、それをただいま県の段階におろしておるところでございます。そういうようなことで、ことしは四十八年産米につきましては、正規流通に乗せるものをふやすということと、そのふやし方を契約栽培の方式を使いまして、できるだけそういうことで確保したい。と同時に、やはり作の豊凶がございますから、政府としてもある程度の適正な在庫を持っておる必要があるわけでございます。輸入につきましても、万全の措置を講じておきたいと考えております。それからなお、契約栽培をやりました場合に、モチ米というのは、大体いままでの経験だと一年おきにふえることがあるわけでございます。もし契約栽培やりました結果、非常にふえ過ぎた場合、余って困るじゃないかという場合には、政府が、自主流通米のUターンと申しております、それを買い入れるという方向で、検討も進めておるわけです。
#132
○中村波男君 農作物は天候に支配されますから、計画どおりにいかないことは、私もよく存じております。したがって、いま長官が指摘をされたような契約栽培をやり、幸い豊作でその絶対量が消費を上回るような場合には、私は、少なくとも――あとからお聞きしたいと思いますが、われわれ社会党は一貫して、米の備蓄米制度をつくれということを政府に迫ってきたわけでありますが、モチ米の五万トンや十万トンはもち貯蔵という方法をもって、いつでも、非常な事態には放出できるという体制を考えたらどうか、農林大臣いかがですか。
#133
○国務大臣(櫻内義雄君) 先般、代表の皆さんからも御意見を承っておりますし、ただいま食糧庁長官よりお答えをいたしましたように、今後契約栽培でいこう、余るものがあれば、それは備蓄をも考えまして、それはみな買い上げようと、こういうことでございまして、本年のような、異常な需給の不均衡から問題を起こさないように、若干の備蓄を持つということについて、モチ米の場合も考えるということは、これはそのように今後の方針をとってまいりたいと思います。
#134
○中村波男君 新聞の報道によりますと、千葉県の松戸市で、株式会社みずほ糧穀というのが、やみ米を、公然と看板を掲げて扱っておる。したがって、地元の警察や、食糧事務所も調査に当たった結果、忠告もしたという記事がありますが、これは事実でありますか。
#135
○政府委員(中野和仁君) たしか私、日本農業新聞でしたか、数日前でしたか、ちょっと見たような気がします。食糧庁といたしましては、まだ確認をいたしておりません。
#136
○中村波男君 農業新聞で見ますと、月間七千俵程度、五百店舗が扱っておるというような、月間七千俵も流しておるというようなのが書いてあるわけであります。しかも、いま指摘をいたしましたように、堂々とやみ米問屋の看板や、ポスターを掲げておるという、これはゆゆしい問題だと思うのでありますが、事ほどさように、すでに食管法は死んでおる。そういう流通血における食管法違反というようなものは、実際には追及されておらない。こういう現状の中で、最初に御質問をいたしましたように、わずか食糧庁が告発したのは、三件である。あとは情状酌量といいまするか、食管法違反としては追及をしない。こういうことで今後運用されるということになれば、ますます流通は混乱を続けるのではないか。こういうように私は考えるのでありますが、いかがですか。
#137
○政府委員(中野和仁君) ただいまの千葉の例、そのほか、そういう例はわれわれも耳にしておるわけであります。と申しますのは、こういう席で自由米の話を私からするのはいかがかという気もいたしますけれども、ずっと過去から見ましても、九十万トンから百万トンくらいの自由米が、政府の管理米、自主流通米のほかに出回っておった、それが若干去年からことしにかけてふえておるというのが実態でございます。こういうことで、過去では、そういうことであったわけでございますが、それほど問題にならなかったわけでございますが、ことしに至りまして、先ほど御指摘がありましたように、やはり資本のある者が、そういう自由米業者を組織化する、いろいろな事態が出てきているんじゃないかという気はいたします、率直に申しまして。そういうことができますれば、これは食管法を幾ら守れと言っても、なかなか守れないということでございますので、微力ではありましたけれども、食管法を動かしたような次第でございます。われわれとしましては、今後とも、やはり政府米を主力にいたしまして、自主流通米を正規流通に乗せるということをやっていかなければならないと考えております。いま御指摘もありましたように、やみ米がふえている。それが組織化されていくということは、できるだけつぶしていくという、ことばは大きい――言い過ぎかもしれませんが、ことばとしては、きついかもしれませんけれども、なくするような方向へ持っていきたいと考えております。
#138
○中村波男君 私たちは昭和四十四年に、自主流通米制度を政府が発足させたときから、これは食管制度に大きな風穴をあけたものであると。商社等々も、もう食管制度の命脈というのは遠からず尽きるんだ、だから、いまから日用品商品といわれておる米に手を出さなければならぬというので、準備をおさおさ怠りなく今日の事態を迎えたと思うんであります。したがって、このことは政府の食管制度運用に大きなあやまちがあったのでありまして、いわばみずからまいた種だと思うのであります。これをどう刈り取って国民に安定した食糧を、主食としての米を供給するかということについて、食管制度をどう今後運用していこうとしておられるのかということについて、農林大臣からお聞かせいただきたいと思うわけです。
#139
○国務大臣(櫻内義雄君) モチ米が先ほどから御指摘のとおりに、需給関係で六万トン不足する。こういうことから今回投機の動きも出る、こういうような現実を直視したわけでございます。私は、前農林大臣当時から、現在の食管制度の今後の運営などについての改善について、研究をされてきておるその事実は、十分認識をしておるわけでございまして、現行制度の中で、改めるべきものがあれば、それをないがしろにする考えはないのでございまするが、ただモチ米に始まった、また、国際的な食糧事情の逼迫ということから考えると、就任して以来終始申し上げておるように、ここで一応食管制度というものを、一方においていい意見がありましても、これを守っていくということのほうが、これからの行政をやる上にいいんではないかということで、あえてこの食管制度改正は、自分は考えないということを申し上げてきたわけであります。また、今回の調査にいたしましても、先ほどからのお話で、このモチ米、酒米の自主流通米としての経緯は四十四年からのことでございまして、その間に、言うまでもない非常な需給が緩和された時期もございまして、そういうような経緯のもとに、現在の自主流通米がある。あるいは実需者の代行買い付けがあるということでありまするから、調査はしたが、目に余るものは、これはひとつ司直の手にゆだねる。しかし現実には、そのモチ米というものが足らざるところへ回っていくようにするがよろしいと、こういうことで八十九件、五千八百トンというものが把握されたわけでございまするが、その大部分は実需者の不足しているところへ回るようにという行政指導につとめてまいったわけでございます。
 こういうようなことをひとつ御勘案いただきますると、これからどうしていくかということに大体見当をつけていただけると思うんでありますが、私はそもそもこの食管制度は米の不足しているときに乏しきを分ち合うと、こういう気持ちで発足したと思うんであります。その食管制度というものは、本来そういうようなときに効果が出る制度である。したがいまして、いまのように多少でも不安感があるとするならば、この制度は維持していかなければならない。また、その制度を効果あらしめるように行政面で考えていきたいということで現在臨んでいるような次第でございます。
#140
○中村波男君 大臣は、就任以来一貫して食管制度の根幹を堅持するといいますか、いまのところ手をつける考えはないと言っていらっしゃったわけですが、前農林大臣の足立さんは、委員会で私の質問に答えて、食糧管理制度調査会設置法を――昨年でありますが、来国会に提案をすると、こういう発言をされていたのであります。そこで、こういう事態を招いたので、食管制度の運用については、現在どおりにいくのだというふうに受けとってよろしいのかどうかですね。その点どうですか。
#141
○国務大臣(櫻内義雄君) 前大臣と私との間に食い違いがあるように皆さんから御指摘をしばしば受けます。その前大臣当時の状況と、本年になりましてからの状況が著しく違っていることは御了承いただけると思うのであります。私も、ほんとうに改善すべきいい点があるとするならば、それは考慮するにやぶさかでないということを申し上げております。しかし、現状においては、そのことよりも、なおいまの制度を、これをいじらないというたてまえでいくほうが、よりメリットが私はある。また、今後の見通しを考えましても、こういう方針で臨んでいくほうが農政上いいというふうに、私は判断をしているわけでございまして、現在のところ、食管制度を改正するというようなことについては、私としては考えておりません。
#142
○中村波男君 まあ大臣の御答弁をお聞きいたしますと、いまの運用よりも、さらによい方法がみつかれば、改正も考えなければならぬけれども、いまのところ改正する考えはない。こういう御答弁だったと思うのでありますが、聞くところによると、食糧庁としては、食管制度の改正をあきらめておらないのじゃないか、昨年末の米穀管理研究会の答申をさらに具体化するために、新しい機関をつくる方針が固まりつつある。こういうことを聞くのでありますが、食糧庁長官としてはいま大臣の答弁のとおりで、いわゆる米穀管理研究会の答申は凍結をする、さらにこれを具体化については、食糧庁としては検討研究は続ける考えはない、こういうふうに受けとってよろしいかどうか。
#143
○政府委員(中野和仁君) いまお尋ねの中で、食糧庁がまた新しい機関をつくって、というお話でございましたが、そういうことは全然ございません。現在米穀管理研究会を一昨年からやっておりまして、先生も御承知のように、昨年の三月に、四つの項の試案と申しますか、その方向を出しました。その四つの方向を圧縮といいましょうか、一つの方向に持っていくようなことで検討を続けてまいりまして、昨年の秋でございましたか、素案を出したわけです。その素案をめぐって民間の学識経験者等を呼びまして、いろいろの御意見を拝聴したのが、昨年の暮れまででございます。それからあとは予算の編成、それから国会のいろいろな御審議ということになっておりまして、現在中断をいたしております。それじゃ、いますぐやめるかという、こういうお話でございますが、これは前々大臣から御依頼を申し上げまして、せっかく学識経験者をお呼びしてやっておるわけでございます。むしろ、私の考えといたしましては、昨年までの生産調整、過剰米――生産過剰基調から、こういうような世界的な状況の変化等もありますので、この次、もし開くといたしますれば、そういう状況、また、特にモチ米の話等の実態を申し上げまして、御審議の参考に供したらいかがかというふうに考えております。
#144
○中村波男君 そこで、もう一度質問を戻しまして、食糧庁は、いわゆる第三の米として、やみ米というのを、認知はできなかったところでありますが、黙認をして、そうしてやみ米の流通というのは、ほおかぶりで見過ごしてきたと思うんです。そして今度モチ米の不足、それに伴う大幅な値上がり、商社等の買い占め云々が取りざたされて、世論の圧力に屈しまして、おそまきながら腰を上げたと、その調査の結果としては、さっき御報告のあったような結果が出たわけであります。そこで、新聞は五件と報道しておりますが、お聞きすると、三件だけ告発したんだそうですが、やみ業者は、いまさら何を言うんだと、いままで食糧庁は、カビがはえたような米を買ってくれないかといえば、おれたちは買ってさばいてやったじゃないかと、こういうことを公然と、やみ業者が語っておるという、この実態というのを私たちとしては、見のがすわけにはまいらんと思うのです。
 それから卸、小売りへの流通だけでなくして、小売り段階における食管法違反というのは、これは、公然と行なわれておることは、私が指摘するまでもなく、食糧庁も認めざるを得ないのではないかと思うのであります。そういう点からいいますと、取り締まりをやれば、食管法違反はあとを断つなどという、そういう観点で、ものを言っておるんではありません。問題は、いわゆる自主流通米制度を開いたところに一番原因をつくったと思うんであります。
 それから御承知のように、政府米の買い入れ制限、小売り価格の物価統制令適用除外と、農林省は、次々に米の流通自由化への道を歩いてきたといいまするか、進めてきたと思うのであります。したがって、今日の流通混乱をやはり正常な方法に戻す道というのは、やはり私は、自主流通米制度に対しまして再検討をする必要がある。それから私たちが、あれほど反対いたしました小売り価格の物価統制令適用除外というものをやったところに、取り締まりのきめ手を失ったという点もあるわけでありまするから、そういう点について、再検討をなされるべきであると思いますが、いかがですか。
#145
○政府委員(中野和仁君) 御指摘がありましたやみ米、これは、私どもといたしましても、できるだけ少ないほうがいいと思います。しかし、先ほども申し上げましたように、百万トン前後のものが回っておるということでございまして、これを取り締まるかどうかの判断でございますが、非常に終戦後のように、食糧不足のときは、買い出しまで取り締まった時代もありましたけれども、やはり需給が緩和してまいりますと、農家の未検米から始まりまして、未端の小売り屋さんに至るまで全部取り締まるということは、もうとうていできません。やはり需給緩和をしてきた社会情勢の中では、悪質大量のものを取り締まるということでしか対応できないというのが実態であるわけでございます。
 そこで、そういうことをやってきた一つの原因が自主流通米制度ではないかというただいま御指摘でございます。ただ、この制度に移す前後のこともお考えいただきますと、やはり米が非常に不足をしておりまして、良質米も非常にまずい米も画一的な値段で統制しておって、それがきちっと終戦後からだんだん守られなくなってまいりました。弁解するようでありますけれども、四十年に入りまして食生活の向上から見ますと、やはり良質米を要求するということになってまいりますと、米の品種の指導にいたしましても、やはり良質米をつくる方向に持っていくと、そうしますと、それは農家から見ましても、高く売りたいと、こういうことになってまいりますので、やはりそういう量から質への時代ということになりますと、自主流通米制度は一つの新しい制度であったと思うわけでございます。それが四十四年から本年まで四年間やってまいりました。代行は順調に私は進んでまいったと思います。初めにどうなるかと思っておったトン数が、いまでは二百万トンをこえるということになってまいりました。おおむねは正規のルートで回っておるわけでございます。この限りにおいては、これは私は否定すべきじゃないと思います。ただ、御指摘にもありましたように、この制度の陰に隠れてといいましょうか、そういう問題がいろいろ発生してきております。これはやはり規制をすべきだと考えております。現に予算委員会等におきましても、代行制度についての御議論等もございました。その点につきましても、謙虚に反省をいたしまして、この自主流通米制度に合わさったいろいろなものが出てくるようなことは、これは規制をしたい、そういうことで進めるべきではないかというふうに考えております。それから物統令の廃止の問題につきましても、やはり同じような考え方でございまして、私からこういうことを申し上げるのはあれでございますが、すでに昨年の四月物統令廃止直前におきましては、良質米であります自主流通米につきましては物統令適用を除外しておったわけでございますが、その後を見ましても、主食につきましては物統令廃止をしますとともに、標準価格米制度をつくりまして、それは大体守られておりますし、それから上の米につきましても、大体上米、中米ということで、昨年十月に政府の売り渡し価格を上げました際に、かなりの水準訂正がございましたが、その後、いまに至るまで大体安定をしておるということを見ましても、いまさら、また物統令をもとに戻すということは必要ではないんではないかというふうに考えております。
#146
○中村波男君 大体適正に消費者米価は動いておるというお話でありますが、その問題もありますので、需給関係についてお尋ねをいたしたいと思うわけでありますが、四十七年産米の買い入れ数量、まあ計画でありますが、たしか私、五百八十万トンであったと記憶いたしますが、実際に今日まで買い入れられた数量は幾らになっておりますか。
#147
○政府委員(中野和仁君) 現在まで五百四十万五千トンだと思います。あとまだ若干買い入れがあるかと思っております。
#148
○中村波男君 今後の見込み若干というのは、どれくらいと見ておりますか。
#149
○政府委員(中野和仁君) 年によって、三月以降の買い入れが、非常にフレがあるわけでございまして、的確にはつかめませんが、過去、たとえば四十四年では四万一千トン、四十五年では二万七千トン、四十六年は一万五千トン、これは凶作でございましたから少ないかと思います。そういうようなことになっておりますので、あと数万トンの買い入れになるんではないかと思っております。
#150
○中村波男君 次は、自主流通米の計画は二百三十五万トンでありますが、これはどれだけ集荷できておりますか。
#151
○政府委員(中野和仁君) 自主流通米は二百十五万トンでございます。二百三十五万トンは四十八年産米についての計画でございますから、二百十五万トンでございます。これの買い入れは――買い入れといいましょうか、自主流通で、全農、全集連が把握しておりますのは、約二百万トンでございます。
#152
○中村波男君 この二つの数字から推定できますことは、政府の買い入れ数量は四十万トン前後下回る、自主流通米は十五万トン程度下回る、それで合計五十五万トン、計画よりは下回っておるわけでありますが、そうなりますと、政府の責任において、いわゆる消費者に供給する米というのは、五十数万トン計画より下回るので、計画に狂いが出るということになると思うんでありますが、それを、どう今後需給の安定をはかるために措置をされようとしておりますか。
#153
○政府委員(中野和仁君) ただいまの御質問にお答えする前に、ちょっと補足させていただきますが、そのほかに、いわゆる御承知の、余り米制度というのがございまして、その余り米を当初われわれは四十五万トンと、こう見ておったわけでございます、去年農作でございましたから。それが、現在までは、四十五万トン全部正規の余り米になってまいりませんで、二十四、五万トンが正規の余り米ということで出てまいっております。したがいまして、いま御指摘の五十七万トンどうしたんだということではありませんで、その分は引いてお考えいただくということになるわけでございます。
 ただ、そういう前提を置きまして申し上げたいと思いますが、一応そういう、去年、今度の米穀年度を送る際に立てました計画では、当初はわれわれ、七百七十万トンというふうに需要を見ておったわけでございます。ところが、もう少しふえるんじゃないかということで、七百九十万トンというふうに押えました。これは先ほど私が申し上げました数字を足しますと、約七百六十数万トンということになるかと思います。そうしますと若干足りません。それから、まして需要を七百九十万トンと押えますれば約三十万トン近くが足りないということになるわけでございます。いま御指摘のように。しかしながら、これは、当時そういう需給計画を立てます際にそう見たわけでございますが、すでに五カ月、今米穀年度は、たっておりますが、その後の食糧庁の売却量、それから自主流通の出回り量を見ますと、当初われわれが見ましたほど大きくございません。昨年よりいたしまして、かなり落ち込んでおりまして、たとえば今米穀年度の最初から申し上げますと、去年の十一月が九万六千トン減、十二月が二万二千トン減、それから一月が三万六千トン減、それから二月が一万七千トン減ということで、落ちてきております。で、このままあと七カ月間、こういう状況で推定をいたしますと、どうも、食糧庁の五十万トン繰り越すといっておったのは、百万トン近く繰り越しになりそうな気配でございます。そういうような計算も――これからはやや需要がふえると思いますが、少なくともこの傾向が急に五割増しになるというようなことは見受けられないために、私が前回もこの委員会でお答え申し上げましたように、この十月末までの米穀年度については五十万トンの持ち越しは、政府の売却、自主流通米の出回りを入れまして、だいじょうぶであるということを申し上げたわけでございます。
#154
○中村波男君 政府の立場からいえば喜ぶべき現象かもしれませんけれども、そこでお聞きしたいのは、政府の売り渡し米が相当計画よりも下回って、減ってきたと。このことは、消費の絶対量が減ったと見ておられるんですか。
#155
○政府委員(中野和仁君) その原因はいろいろ分析をしなければなりませんが、私の見ておるところでは、やはり一人当たり消費量の減と、それから先ほどいろいろ御指摘がありました、いわゆる自由米がふだんの年よりは若干よけい出ておる、その分が回っておるということだと思っております。
#156
○中村波男君 私は、そのことを、言いかえれば、やみ米がふえて、政府の売り渡し米が減ったんだと、消費の絶対量というのは多少毎年、傾向としては減っておりますが、しかし二、三年前から比べれば、微増だという報告を聞いておったことからいいましても、絶対量が減ったというふうには考えられぬわけでありますが、その点どうですか。
#157
○政府委員(中野和仁君) 絶対量が微増だと申し上げたことは私ないと思いますが、ことしの生産調整を考えます際に、全体の需要量としましては、いままでずっと微減でございましたけれどもこれを据え置きにいたしました――千百五十万トンですが。そういうふうに見ておるわけでございます。それは、主として人口増がありまして、一人当たり減をカバーしまして人口増でちょうどとんとんではないかというふうに見ておりました。ところが、いまも御指摘のように、私もまた申し上げましたように、一人当たりは微減もあるいはあるかと思っておりますが、それと同時に、やはり例年に比べて若干やみ米の出回りが多い。それが回っておって政府の売り渡しも減っておるんではないかということを申し上げたわけであります。
#158
○中村波男君 そこで、政府の売り渡し米の中で徳用米、徳用上米、標準価格米、銘柄米のまあ三種類あると思うんでありますが、このパーセントといいますか、割合はどうなっておりますか。
#159
○政府委員(中野和仁君) 政府の売り渡し米の中では、指定銘柄の一−四等が二四%、非銘柄の一―四等、これが、標準価格米の原料になるのが四五%、それから徳用上米になります五等が八%というふうになっております。
#160
○中村波男君 そうすると、一〇〇%にならぬですね、これ。あとどうなるんですか。
#161
○政府委員(中野和仁君) 失礼いたしました。自主流通米が二三%、自主流通も入れまして一〇〇と置いたわけでございます。
 それで、政府だけのパーセントでいきますと、非銘柄米一−四等、標準価格米の原料は約六割になっているわけでございます。
#162
○中村波男君 私の調査が誤っておったかと思うんでありますが、標準価格米というのは六五%ぐらいいわゆる回るんだと。政府米のうちの標準価格米として六五%ぐらいいわゆる小売りへ回るんだと、こういうふうに聞いておるわけなんですよ。これは、誤りであれば御指摘いただきたいと思いますが。
#163
○政府委員(中野和仁君) 先生の御指摘は、銘柄米と非銘柄米がございまして、その五等を除きましてのパーセントなら、六割五分になると思います。
#164
○中村波男君 そこで、実際に標準価格米というのはどの程度配給されておるか、調査されたことがありますか。
#165
○政府委員(中野和仁君) 食糧庁で調査いたしておるわけでございますが、いま申し上げました、非銘柄米一−四等四五%と申し上げましたこのパーセントに対応する末端におきます標準価格米で売られておりますのは三六%でございます。
#166
○中村波男君 それは間違いじゃないですか。それは、三六%というのは、総理府の家計調査で三六%であって、実際に食糧庁が卸しておるのは、小売店に回しておるのはもっと高いんじゃないですか。
#167
○政府委員(中野和仁君) 先ほど申し上げましたように、政府が卸売り業者に売す場合は自主流通を含めてのパーセントでございますが、四五%でございます。先ほど申し上げましたとおりでございます。それが末端では三六%分標準価格米で売られているということでございます。
#168
○中村波男君 これはどうも私の調査と長官の答弁と違っておるように思うんですが、時間がありませんから、また係官の方にでも来ていただいて、もう少し詳しく、納得のいく資料を出してもらいたいというふうに思うわけであります。
 そこで、櫻内農林大臣は適地適作を来年は認めてお米の生産調整は弾力的にやりたいと、こういう発言をなすっておられるようでありますが、その具体的な考え方をこの機会にお聞きしておきたいと、こう思うわけです。
#169
○国務大臣(櫻内義雄君) 本年度二百五万トンの生産調整をするということは、これは公表しておるところでございます。ただ私は、一方において、高能率の農業、適地適作をやろうと、こういうことを言っておる際に、生産調整の過去の過程を考えてみまするときに、ことしは三年目でございまするが、当初画一的にやらざるを得なかった、そのことは一体適地適作や能率のいい米づくりということとはどうなるかと、こういう大まかなことで考えていきましたときに、この目標は目標として、やはり一方で大きな柱として高能率、高福祉の農業だと、適地適作だと言っておるんであれば、それはそれなりにいまの米穀需給事情からすれば、私の見ておるところをここに勘案してもいいんじゃないか。そして、ことし生産調整をきめますときに、また生産目標を立てまするときに、いま申し上げた適地適作的な構想も入れて、その要素は、これは後ほど長官から詳しく補足していただいていいと思うんでありますが、過去の実績のほうが三分の一ぐらい、そしていま申し述べた適地適作的な考えは三分の二ぐらいなところでことしの計画を立ててもらったと思うんであります。しかし同時に、各県のそれぞれの事情もあるだろうと。従来でも生産調整が非常に目標以上にいっておるところもあるし、そうでないところもあるとすれば、いま私の申し上げげたような考え方も、各県が取り入れて、それをまた本省のほうで、ある段階において調整をしていくならば、そのほうがより合理的ではないかと、こういうことを申し上げておるわけでございまして、すなわち適地適作の、いわゆる生産圏からいえば、私の言っていることが、生産調整が非常に弾力的に受け取られるということでございましても、それは私としてけっこうなことだと思っておるわけでございます。
#170
○中村波男君 きょうの朝日新聞によりますと、生産調整を気にせずに休耕田で米をどんどんつくろうという、農協が、余れば、引き取りますよという宣伝ビラを六万枚配った。青森県にも、休耕をやめて米をつくれば補助金を出すと、こういう動きが――これは全国に私はさらに波及していくんじゃないかと思うわけでありますが、したがって、需給関係とにらみ合わせて、政府としては買い入れ制限というのはもうやらないんだというところまで踏み切る意思があるのかどうか。その意思がなかったならば、こういう県単位で、県なり農協なりがこういう方針でどんどん米をつくらせようとするのに、どう対応されようとするのか、これは重大な問題でありますから、明らかにしておいていただきたい、こう思うわけです。
#171
○国務大臣(櫻内義雄君) これは先生もよく、お詳しいと思うんですが、生産調整をやりましたときに、余り米が出たらどうするか、こういうことで、当時、倉石農林大臣と生産者代表との間で、一応の話し合いをしておる事実がございます。そこで、余り米が出ますれば、それは引き取って自主流通に乗せると、こういうことになっておりまするので、いまのような各県の動きが、最終的に相当量の余り米が出てくると、こういうことになりますれば、倉石農林大臣の当時の措置を前提に考えてみたいと、こういうふうに思っておる次第でございます。
#172
○中村波男君 そうしますと、余り米が出れば、その県なり農協なりの責任で自主流通米として扱えば政府は認めていくんだ、こういうことですか、言いかえますと。
#173
○国務大臣(櫻内義雄君) そのとおりであります。
#174
○中村波男君 そうすると、生産制限というのは事実上外れたと見なしてもいいという実態ですね、実態は。
#175
○国務大臣(櫻内義雄君) これはなかなかデリケートなところだと思うんですね。それはやはり全国の各県の担当部長、課長もお出かけをいただいて生産目標を指示して協力を求めておる。また、各農業団体にもそのことをお願いをしておるわけであります。全般的の仕組みで言えば、先ほど申し上げたように、生産調整の計画以上にいっているところもあれば、へこむところもある。そのへこんでおるところがあれば、これとにらみ合わせて調整をとっていこうと、こういうことで私が申し上げておるのでございまするから、いま、もうそれは生産目標なんかはおかまいなしだというような、全くのノーズロ的なことを申しておるわけではございません。ただ、御指摘のように、結果としてそういうことがあったらどうかと、こう言われれば、それは前にも生産調整をやったときに、すでにそのことは問題になっておったので、自主流通米として扱うということを申し上げておるのでございまして、ここでもう何もかも御破算だと、そこまではちょっと私としては言いかねることでございます。
#176
○中村波男君 まあ事実問題として割り当てを各都道府県別におやりになる。ふえるところもある、減るところもある。そのふえた量が、幸い山口とか、青森とかというように、ふえるところと、とんとんなら問題ありませんわね。需給計画からいえば問題ありません。しかし、それを大きく越えても、自主流通米として扱うのであれば、政府は認めましょうと、こういうふうに理解していいわけですね。
#177
○国務大臣(櫻内義雄君) おっしゃるように御理解願っていいと思います。
 ただ、私どもも、私が、何か非常に大まかな見当で申し上げておるようでございまするが、現在の農村の実情からいたしまして、労働力の不足のこともあり、また休耕地の実情というものが、青森県などが、何か県自体の施策でも講じようというような動きのあるがごとく、なかなか実態というものは、これはもう先生のほうがよく御承知であろうと思うんであります。まあ私のこの程度を申し上げておることが、すなわち、ことしの米穀年度の終わりに大体いい見当が出てくるのではないかと。そして、その見当を踏まえて、明年、明後年が生産調整の残りの二年でございまするから、そこにもっと合理的な方針を立てていきたい。こういうことでございまするので、まあ非常に私自身も微妙なところを申し上げながらきておるということを御了承いただきたいと思います。
#178
○中村波男君 まだまだ米の流通を中心にした問題に質問を予定しておったのですが、時間が割り当てられたのが残り少なくなりましたから、加工原料乳の政府保証価格について若干お尋ねをいたしたいと思うわけであります。
 第一問は、すでに配合飼料が一月トン当たり二千五百円、三月四千九百円上がっておりますが、政府は全農に対して、四月の値上げを行なわないようにという強力な申し入れをしておられるようでありますが、四月の値上げと申しますか今後の値上げですね、これは絶対に避けられるというふうに御判断ですか。
#179
○国務大臣(櫻内義雄君) 飼料の値上げの影響が非常に各方面にあると、こういうことで、願わくは四月後降の値上げは中止してもらいたい、こういうことで、農林省は農林省なりのそれに対応する作業はいたしておるわけでございます。しかし、何ぶんにも、財政当局との間で話を詰めていきますると、なかなか厚い壁でございまして、現在のところ、まだはっきりした見通しには立っておりませんけれども、しかし、私の姿勢としては、何としても、値上げを避ける結論に持っていきたいということで鋭意努力をいたしており、また皆様にも御支援を賜わっておるわけでございまして、いまにわかにここ一両日中にその見当が出るか、出ないかということについては、私としてもお答えしにくい、判断に迷うところがございますが、何としても、この後の値上げについては避けたいと、こういうことで努力中であることを申し上げておきます。
#180
○中村波男君 まあ政府としては、これ以上値上げをするということが、いかに畜産の危機につながるかという立場で、苦慮しておられることは理解できますが、しかし、値上げ必至の情勢にありまして、畜産団体をはじめ畜産農家は、これ以上飼料の値上げが行なわれるならば、やめざるを得ないというところへ追い込まれておる状況の中で、まだ今日、政府の手持ち飼料並びに古々米の放出が、時期も価格もきまらない。政府は、いち早く緊急対策なるものを打ち出しましたけれども、四月から六月に集中的に払い下げるということは方針にはきまっておりますが、あさっては四月一日でありまするから、そこで言い方は悪いんでありますが、衆参両院の農林水産委員会で、全会一致で、いわば議院としては、業を煮やしまして、さいぜん決議をいたしたようなわけであります。
 そこで加工原料乳の保証価格に関連してお尋ねをいたすわけでありますが、飼料が千円上がりますと、生産費は幾ら上がるというふうな試算がありますか。
#181
○説明員(下浦静平君) お答え申し上げます。
 何と申しますか、公式に試算をしたということはないのでございますけれども、と申しますのは非常にむずかしい要素が実はございます。と申しますのは、工場建て値が改定をされまして、これは値上げの場合も値下げの場合も同様でございますけれども、その場合に、それが末端まで逐次届くわけでございますが、末端の小売りの段階で、どのぐらい引き上げになったかという点を比較してみますと、かなりの開きがあるというような事実がございます。したがいまして、その辺の事情もございまして、なかなかきめ手というのはないのじゃないかと思うんでございますが、まあ一応の試算をしてみますと、千円、配合飼料価格が上がりました場合には、大体十銭から二十銭ぐらいの見当になろうかと存じております。
#182
○中村波男君 大体生産者は卸で買っておるわけじゃないですから、小売価格が千円上がれば十銭から二十銭というその数字は、あまりにも開きがあり過ぎて、そんな数字じゃなしに出ませんか。
#183
○説明員(下浦静平君) 昨年の十二月に、実は農協系以外の各メーカーの値上げが行なわれたわけでございまして、そのときにも一応の試算をしてみましたけれども、おおむねそのような見当でございます。なお、私申し上げましたのは、工場建て値が千円引き上げられました場合に、乳価にどのくらい響くか、こういうことでございます。
#184
○中村波男君 農業団体等々が調査をしておるのを見ますと、大体千円上がれば、乳価に一キロ当たり二十五銭上がるんだと、こう言っておるわけであります。したがって、すでに七千四百円現実に上がったわけでありますから、政府がかりに、私たちが要求しておるように五十万トンの古々米を現在の二万一千六百円でありますか、その半額で払い下げたといたしましても、今後の飼料の値上げは絶対に押え得られない状況にあるんじゃないか、こう思うわけであります。かりにある程度の値上げを押えたといたしましても、飼料が一万円上がれば農業団体の試算によれば二円五十銭というのが上がるんだと、こういう計算が成り立つわけであります。――時間もありませんから、十円から二十円の根拠についてもう少し詳しくお聞きしたいのでありますけれども、私は私なりに農業団体の試算をもとにしてやはり検討してみたのでありますが、二円五十銭前後、値上がりするということははっきりいたすわけであります。
 そこで、きょう畜産審議会に資料として試算をお出しになったわけでありますが、その価格は四十八円五十一銭、昨年を上回ることわずか三円三銭というようにお聞きしておるのでありますが、間違いありませんか。
#185
○説明員(下浦静平君) そのとおりでございます。
#186
○中村波男君 ちょっと大臣にお尋ねしたいと思うんでありますが、酪農が、四十七年の秋以来縮小均衝型になりまして、その結果としては、なま乳生産が伸び悩んで、その反対に飲用牛乳の消費というものはかなり旺盛でありますから、牛乳不足という状況が今後続くのではないかというふうに私は予測をいたしておるわけであります。こういう酪農がせっかく毎年順調に相当高い伸びを示してきながら、昨年来伸びがほとんど横ばいだと、停滞をしたと。この原因はどこにあるかというふうに農林省は判断をしていらっしゃるか、お聞きをいたします。
#187
○説明員(下浦静平君) 酪農経営の問題点というような御質問かと存じますが、御指摘のように、戦後のわが国の酪農というのは非常に順調に伸びてまいりまして、多頭化飼育もかなり進んでまいったという現状でございます。ただ昨今、いま御指摘のような現象があらわれておるということでございますが、これはやはり多頭化飼育が進むにつれまして土地なり、資本なりの制約というようなものが、かなりネックとして出てくるということではないかと存じております。それから、多頭化飼育が進みますと同時に、ただいま申し上げましたこととあるいはうらはらになろうかと存じますけれども、かなりの資本を要する問題でございますので、借り入れ金にたよる比率が非常に大きくなってまいる。一方におきましては、資産もふえることではございますが、さらに他方、都会の生活水準その他が農村のほうにまで及んでまいるというようなことがございまして、所得の面で、かなり苦しい面があるのではないか、そのような点がネックになっておるのではないかということでございます。
#188
○中村波男君 いわゆる酪農の不振、停滞、横ばい、落ち込みとなるわけでありますが、その原因を多頭飼育にあるんだと、多頭飼育するためには、相当な投資がかさみますから、その金利的な負担と申しますか、圧力等があって停滞しているんだと、こういう私は認識というのはおかしいと思うんですが。乳価は大体適正であったんだと、乳価が安いから酪農は停滞した、落ち込んだということはないという認識ですか。これは重大ですよ。
#189
○説明員(下浦静平君) 全国的に申し上げますれば、乳牛の使用頭数も昨年二月現在の数字でございますが、若干の落ち込みを生じておるということでございますが、加工原料乳地帯についてこれを見ます場合には、増加の傾向がなお見られておるわけでございます。したがいまして、全体の酪農の不振といいますものは、必ずしもこの価格問題ばかりではないのではないかと存じておるわけでございます。
#190
○中村波男君 停滞の原因というのは、もちろんいろいろな理由が重なっておりますが、価格というものは、そんなに大きな原因にはなっていないのだ、こういう認識ですね。
#191
○説明員(下浦静平君) もちろん価格の問題等もいろいろとからむ話ではございましょうが、直接の原因ではないのではないかと、こう存じております。
#192
○中村波男君 これは私は、根本的に酪農家の経営状況、あるいは収支実態というものを、畜産局として調査をして、実態を把握をしてもらわぬと、とんでもない認識の上に立って乳価の決定をされることになる。そのことがわずか三円三銭上げるという諮問になったのだ、こういうように私は考え、まことに憤りを感ずるわけであります。
 時間もありませんから、具体的な内容については、質問は次の機会に譲りたいと思うのでありますが、そこで大臣にお伺いしますが酪農がたいへん伸び悩んで停滞をいたしておるということでありますが、政府の「酪農近代化基本方針」あるいは「農産物需給の展望と生産目標の試案」等を読んでみますと、大体昭和五十七年には、倍近い生産をあげるという計画になっておるのでありますが、それがこのような状況の中で達成できるという見通しがあるのかどうか、この点どうお考えですか。
#193
○国務大臣(櫻内義雄君) 私は、昨年十月の試案に基づきまして、これからの努力次第で、その目標を達成できると思いますし、また、達成させたいと念願をするものでございます。
 そこでちょっと先生の御質問に私なりの見解を申し上げたいのでございまするが、先ほどから御質問にありますように、いまの酪農の停滞というものに、各種の要素があるということはお認めいただいておるようでございます。ただ、先生からは価格というものが最も大きい要素であると、こういう御指摘に対し事務当局の説明が、ややもの足らないものであったように、私もここで聞いておったわけでありますが、まあ私の立場から申し上げますと、御承知のように、四十四年から四十七年の合計の上げ幅が二円九十六銭と、こういう従来の経緯の上に乗って、そしてまあ昨日ぎりぎりまで衆議院の農水でも私ずいぶん問い詰められたのでございまするが、きょうの審議会までのぎりぎりまでに詰めていって、一応財政当局との了解の上で三円三銭の上げ幅で諮問すると。これはそれなりの、やはりわれわれとしても価格というものを重視し、また、今回の上げ幅というものは、従来の経緯から言えば相当努力をしたつもりなんです。もちろん、それは団体側の要望等から比較していきますれば、申しわけないような数字になっているとは思いますけれども、いろいろないきさつから言えば、この諮問というものについては、ある程度の御理解はちょうだいできるんではないか。そしてさらに間もなく答申も出るでありましょうから、その答申に基づいてさらにその努力をいたしたい。価格決定の基本としては、経済事情も勘案して再生産のできるようにつとめるということにもなっておるんでありまするから、まあどういうふうに審議会が御検討くださったか、結論を出していただくか、それを受けまして、もうひとつ努力をしようと、こういうことでございまするので、この辺はひとつ御理解をいただきたいと思います。
#194
○中村波男君 いろいろ私、内容的にわたってお尋ねしたいと思ったのでありますが、すでに時間も食い込んでおりますので、二、三の点だけ、重要だと思う点をお尋ねしてみたいと思うのでありますが、第一は、労賃の評価ですね。これは、五人規模以上の製造業の、しかも加工乳産地におきかえて算定されておると思うのでありますが、そのとおりですか。
#195
○説明員(下浦静平君) そのとおりでございます。
#196
○中村波男君 大臣にお尋ねいたしますが、農業基本法第一条に、「農業従事者が所得を増大して他産業従事者と均衡する生活を営むことを期することができることを目途として、農業の発展と農業従事者の地位の向上を図ることにあるものとする。」と、こういうふうに第一条にうたってあるわけでありますが、政府、農林省が考えておる他産業従事者と均衡する生活を営むということは、五人規模以上の産業労働者の賃金と均衡するということが目安ですか。
#197
○国務大臣(櫻内義雄君) たいへん微妙なところでございまするが、基本法第一条の説いておるところも、目途としてやれと、それからまた、御質問もそういうことが目安かと、こう言われれば、私は、正直に加工原料乳地帯の工場労銀との均衡を考えて、今回の試算をしたということについては、一応御了承いただけるものと思っております。
#198
○中村波男君 御了承はできないわけですが、そういうところに基礎を置きますから、私たちが主要農産物についての価格支持制をつくれと、この根底にあるいわゆる算定基礎になる労賃というのは、やはり全国的に見まして三十人以上――少なくとも三十人以上、できたら五十人以上の産業労働者の平均賃金で計算をすべきだと、こう主張をいたすわけでありますが、これではいつまでたっても、他の産業従事者と均衡のある所得を保障するという労賃というのは確保されないんじゃないか。されないんじゃないかではなしに、されないと思うのであります。したがってこういう点についても十分ひとつ考え直していただきたいと、強く御要求を申し上げるわけであります。
 それからもう一つは、飲料向けの乳価と加工原料乳価格との差がいま幾らぐらいになっておるか、ちょっとお尋ねいたします。
#199
○説明員(下浦静平君) 本年の一月十六日から原料乳価が引き上げられまして、これは七円五十銭引き上げられたわけでございますが、それと現在の加工原料乳価格四十五円四十八銭でございますが、これと比較いたしました場合の差額は二十一円ちょっとをこえる程度だと思っております。
#200
○中村波男君 大臣、いま下浦審議官から御答弁がありましたように、市乳と加工原料乳とのキロあたり価格が二十一円以上に開いている。同じ乳牛からしぼった同じなま乳が、飲料向けになるのと加工向けになるのとでは、二十一円も差があるということについて問題があると思うのですね。加工原料乳の生産地帯というのは、大都市を控えておらない、飲料用としての販路が狭い、そのために常に低乳価の中で苦労をしなければならぬ。したがって、これだけ飼料が急騰した中では、北海道等々では五十頭、七十頭の農家が全部肉牛に振り向けて、せっかく築いた苦労を転業という形で生産をしておるという実態が出てきておると思うのであります。そういう点から考えても、あまりにもこの開きが大き過ぎる。三円三銭の値上げでは、おそらく来年度の今日を迎ればはっきり出てくると思うのでありますが、いわゆる乳牛の頭数というのは大きく減るのではないか。そのことは生産が大きく落ち込みまして、飲料用牛乳の不足という状態の中でたいへんなことになるのではないかということを私は心配をするのでありますが、この点について大臣として、不合理ではないのだ、これはこれでうまみもあるのだ、甘みもあるのだという、そういう認識をお持ちでございましょうか。
#201
○国務大臣(櫻内義雄君) おっしゃっておることについては私としてもよくわかる点がございます。この試算は財政当局との関係でまあいろいろ努力した結果、詰めての結論、諮問案になったと思うのでございまするが、いずれ、ここ三十一日までに最終的な結論が出なきゃならないのでございまするので、その結果、また御検討いただきたいと思いまするが、やはり私どもこういう行政の衝にある場合に、たとえば四十二年にある程度上げ幅をよくした年がございまするが、しかしそれが四十三年、四十四年にすぐ影響をいたしまして過剰になったという過去のにがい経験も私はうろ覚えながら持っておるのでございます。そこで、そういうようなことも考えながら、いまの酪農農民の皆さんに最も適切なところ、まあ、この程度でがまんしていただき、生産意欲も落ちないというところへ持っていきたいということで、鋭意努力をしておるわけでございまするが、現在の経営状況からいたしまして負債による影響というものは相当なものであるということは認識をしております。したがって、北海道庁の早く実態調査の報告を受けて、そしてそれにはそれなりの対応した施策をとりたいと考えておるわけでございまして、まあ、この価格以外のことにつきましても配慮しながら、生産意欲が落ちないようにつとめたい。
 また飲用乳との比較につきましてはこれはもう数字ではっきり出ておるのでございまして、それを否定する何ものもございませんが、飲用乳については飲用乳についてそれなりの価格形成の事情があることも御承知のことと思うのでございまして、でき得る限り、その間に大きなそこのないようには、これはわれわれとしてつとめなければならないと思っております。
#202
○中村波男君 もう時間がたいへん超過いたしておりますので、もう一問だけ質問をしてやめたいと思いますが、試算の中で、平均頭数、さらに搾乳量ですね、どういうふうに見たんですか。
#203
○説明員(下浦静平君) 平均頭数でございますが、これは八・五頭でございます。それから平均乳量でございますが、五千百九十九キログラム、こういうことになっております。
#204
○中村波男君 去年はたしか三・二、脂肪三.二換算で五千二百九十八だったと思うんですが、ことし下げたのですか。私の記憶の間違いですか。
#205
○説明員(下浦静平君) ただいま御指摘の数字のとおりのようでございまして、いささか下がっておるということでございます。
#206
○中村波男君 いささか下がったということは、搾乳量が全国的に減ったということですね。
#207
○説明員(下浦静平君) 調査期間につきましてはそのとおりでございます。
#208
○中村波男君 私が指摘いたしたいのは、平均頭数を八・五に見ておられるわけでありますが、ここで問題があると思いますのは、乾涸牛を除くべきだと思うのですよ。そういうのが見てないということ、それから一頭当たりの乳量は昨年よりもわずか下げたようでありますが、昨年の五千二百九十八キロというのは、これは全く実態とは大きくかけ離れた数字を持って計算をいたしましたから、問題があったわけでありますが、まだまだ私は五千百九十九にわずかでも減らしましても、実際の数量に比べますと高過ぎる、これは何としても乳価を低く押えるために作為的な数字を当てはめたと言いたくなるわけであります。農林省はそうではないと言い切るでありましょうけれども、実態とはだいぶん違うと思うのであります。まあ世界最高の酪農国といわれておるオランダでも、大体五千キロ程度だというふうに聞いておるわけでありますが、それをさらに百九十九も上回るというのは――これが平均値であるかどうかということについては問題がある。だからこの点は再検討をひとつしていただきたいというふうに思うわけであります。
 まあいろいろ具体的にまだまだ聞きたいことが残っておるわけでありますが、時間がまいりましたので、最後に、農林大臣に強く要請をいたしたいと思うのでありますが、この最終決定を、政府決定をいつおやりになるか、その最終決定の段階で、試算は試算として実態に即した価格を決定されるように、少なくとも三円や五円というような値上がりでは、酪農をますます崩壊の道へ追いやる結果になるというふうに思うわけであります。したがって、生産者団体が要求しておりますように、七十四円以上の価格というのを私たちは妥当であると、これを支持しておるわけでありますが、その上に立って御検討をいただきたいということを強くお願いをいたしまして質問を終わりたいと思います。
#209
○国務大臣(櫻内義雄君) これは言うまでもないことでございますが、きょう答申が得られるものと想像しておるんでありますが、それを得ましてから最善の努力をいたしまして、この三十一日までに、まあこれそう早くやるというよりも、やれるだけ粘らなきゃならぬと、こういう私の気持ちでございます。まあ何ぶんにも、きょうこうやってずっと委員会、本会議で全く外の情勢はわかりませんが、最後まで努力するということを申し上げておきたいと思います。
#210
○塩出啓典君 それでは時間もだいぶたちましたので、二、三の点について農林大臣の考えをお聞きしておきたいと思うのでございますが、先般「農産物需給の展望と生産目標」の試案について田中総理は、これは内閣としては認めていない、そういうようなお話でありました。私は、農業というのは農業だけで成り立つものではない。やはり自由化の問題一つとってみても、当然農業というものの今後の方針については、やはり田中内閣、政府全体の施策の一環として推進をしていくのは理の当然じゃないかと思うんです。そういう点でやはり当然農林省として、こういう大事な長期の見通し、あるいは生産目標等は、早急にやはりはっきりしたものをつくって、そうして内閣の責任のもとにおいて、やっぱり了承さしていくのが私はもう農林大臣の大きな責任じゃないかと思うんでありますが、その点についての考えをお伺いします。
#211
○国務大臣(櫻内義雄君) お尋ねのように、もっとしっかりした内閣の基本方針にすべきだと、これはその考えについては私もよくわかるところでございます。
 ところで、昨年、十月にできました試案は、それまでの諸情勢と申しましても、常識的に考えて三カ月ぐらいまでのいろんな情勢を織り込んで、そして結論を出しておると、こう思うんですね。
 私が十二月の下旬に就任いたしまして、最初に、これからの農林行政で、これは大事なことであると聞いたときにも、私のように突然農林省に就任をして、その時に思いましたことは、ちょうどそのころ国際的な食糧の需給の逼迫ということで、その面からいろいろ検討しなければならないと、まあ私はこれもいいけれども、もう少し飼料だけは需給率を上げるか、あるいはこの目標でテンポを早めたいというようなことを思い、そのことを率直に口にしたりして本日に至っておるわけであります。この三カ月の間を考えましても、相当いろんな変化がございます。しかし他面、その時点は別といたしまして、この試案が生産者団体の皆さん方にも参画願い、その地域地域の事情も積み重ねて、そしてその結論に至っておると、その作業過程を考えますると、非常な労作であるということで、私はこれは尊重していくべきものである、これからの農政の方針としてよろしいと、自分の若干の意見はちょっと言いたいなというようなことでまいりました。そのために先般来しばしばこれをもう一つしっかりした方針にすべしと、こういうことでございますが、私は、こういうふうな形であるほうがかえっていいんではないかと、がんじがらめな方針になっておるというよりも、少し弾力の残っておるところがいいんではないかという素朴な気持ちがしておるわけでございます。総理としても、別にこれをないがしろにするようなことを委員会で御答弁になってはおらないと思うんであります。これはこれとしての価値を認めていくということははっきり言われておったと思います。
 それで、いま私として申し上げられますのは、皆さんから、もう一つこれはしっかりしたものにせいと、こういうことで考えてみますると、農政審議会にも御相談がしてないという点から御批判もちょうだいしておりますので、いろんな情勢の推移なども考えながら、これをそういう機関でもう一つ見てもらうのも、これはいいことではないかと、そのことによって、農林省としての大きな指針としての価値を高めるということであれば、それはまあいいんじゃないかというようなふうにいま考えておる次第でございますが、ただいまの御意見については、まあそういうことで私としての一応の御返事を申し上げたいと思います。
#212
○塩出啓典君 まあ私、いまのお話は、よく理解できないようですけれどもね。まあ確かにいま農業をめぐる情勢というのは、非常に、去年と現在では大きく変わっております。まあそれだけに、やはり一人一人の農民の人に――今後たとえば何をつくったらいいのか、どうするか、まあそういう判断を一人一人の農民の人にまかせるというのでは、農林省がある価値はないと私は思うのですね。そういう点で、農林大臣は、いまのような非常に情勢の変化の激しいときには、あまりがんじがらめじゃなしに、常に情勢に応じて変更できるような、そういうまあ一つの試案、試みの案みたいなほうが、農林省としては、責任がなくて、いいと、そういういまのお話でございますけれどもね、それはやっぱり私は農林省として、また農林大臣として無責任じゃないかと思うのですね。そういう流動する情勢であればこそ、国としては、こういう方向に農業を持っていくのだ、だからみんなついてこいと、そういうことで、そこに長期の見通しなり、農業の目標というものを、その時点時点で定めなければ、まあ農民としては一体どうしていいのかわからない。そういうことになるのじゃないかと私は思うのですね。そういう点で、これはやはりちゃんと、農業基本法にも、農政審議会にかけなきゃいけないということもありますが、しかし、現実の面においては、四十三年の閣議決定したものを、結局、四十五年の地域分担や、あるいは昨年のそういう「需給の展望と生産目標の試案」において、農林省はかってに変更していくと、手続の上から言えばそういうことになると思うのですね。それで私は、農林省だけが独走じゃなしに、やはり内閣のその一つの方針の中において農業をもっと推進していく、言うなれば、農林省の立場というものを、田中内閣の姿勢の上に反映さしていくと、そういう強い姿勢に農林省が立たなければ、私は何のための農林大臣かと言わざるを得ないと思うのですけれどもね。まあそういう点で先般田中総理も、当然そういうものは、内閣でもつくるということを、予算委員会でも言っているわけですから、農林大臣としても、積極的に、内閣としての農業の見通しあるいは目標というものを私は、まあこれでいいのかどうかね、これは別としても、これは早急に検討すべきではないか、私はそう思うのですけれどもね。
#213
○国務大臣(櫻内義雄君) 私はね、いまちょっとことばが不十分であったと思うのですが、こういう形でおるほうが、よりいいということは、私としてこれを決して軽視しておるものではないのです。私はもう国会答弁で、もう何十回か、この十月の試案によれば、ということを申し上げて、もうこれはおそらく聞いておられる方は、
  〔理事初村瀧一郎君退席、委員長着席〕
櫻内がこれをほんとうに土台にしていろいろのことを言っておるということは、明白な事実でございます。
 そこで、これも何回か御答弁申し上げまして、ただいまちょうどそれにお触れいただいたわけでございまするが、一方において、長期計画の閣議決定は持っておるわけですね。そしてこの試案が出ておる。しかしながら、その決定と、この試案の中に矛盾があるかというと、そう矛盾はない。要するに、これを、この試案の上に置けば、中間的なところへ数字がちょうど合うようになっております。そうすると、片方で長期計画の閣議決定を持っておるのに、もう一つこの試案を閣議決定に持っていくのはどうかということもありまして――そういうと、何かこっちの試案がおっしゃるような軽くなるようなこともありますから、こっちのほうはあまり私は口にはしておりませんが、しかし、委員会でもそういう点の指摘もございまして――閣議決定はございます。しかし、団体の代表の方も加わられて、せっかくこれができて、それでこれとそう矛盾するものでございませんから、これを尊重しておりますと、さらに、しかしもう一つ考えてみたらどうかということもございますので、それはひとつ農政審議会には、いい機会に、その後の諸情勢もあるので、これも加えながらいろいろ御意見はちょうだいしていいと私は思いますと、こういうことでございますので、そういうふうな点もひとつ御勘案いただきたい。これを軽視するということは一つもない。私としては、この試案を中心にこれからの農政上の行政の衝に当たりたい、こういう考えでございます。
#214
○塩出啓典君 かなり――四十三年と現在とはだいぶ変わってきているわけですね。内容を見ましても、かなり食い違いが出てきているわけです。だから、四十三年のそういう閣議決定した方針でよろしいならば――農林大臣はいま、大体その延長にあるというようなお話ですけれども、内容を見れば、だいぶ違ってきておる。すでに四十五年の地域分担という試案を発表した。そのときも、だいぶ食い違いが出てきているわけですからね。やっぱりそういう点は、いやしくも農林省として出す以上は、閣議決定したものをかってに変更するというようなことは私はよろしくないと思うんですね。そういう点はちゃんと改めるべきである。このことを要望しておきます。これはあまり押し問答しても前へ進みそうにもありませんので、また次の機会にいたします。
 それで、五十七年を目ざして自給率というものを八〇%ぐらいを目標にいく。そういうことで、いろいろ米の場合、あるいは大豆の場合、それぞれ目標を立てておりますけれども、その生産目標を達成するためには、農地というのは一体幾らあればそれを達成できるのか、それはどうなんですか。
#215
○政府委員(三善信二君) この「生産目標の試案」で、私どもが、十年後の五十七年に、一応農地の要確保面積として計算いたしておりますのは、耕地面積として、四十六年が五百七十四万ヘクタールございますが、それを五百二十万ヘクタール、それから草地面積は、二十七万ヘクタール四十六年にございますが、これを六十四万ヘクタールにふやしたいということで、耕地面積と草地面積トータルからいきますれば、五十七年は五百八十四万ヘクタールで、四十六年より多少下がっている。これだけの農地を確保すれば――この期間にやはり、農地といいましても、相当壊廃の問題もございますし、また当然壊廃をした場合に、私どもは、それを造成していくというようなこともあり、そういう差し引き勘定も加えまして、要確保面積を五十七年に、いま申し上げました耕地を五百二十万ヘクタール、草地を六十四万ヘクタール、そのように一応考えております。
#216
○塩出啓典君 これには、こう書いてあるんですよ。「五十七年には五百二十万ヘクタール程度となり、また草地面積は六十万ヘクタール程度になると見込まれる。」と、単なるこれは予想なんですね。実は、この前も言いましたように、農林省の予想はだいぶ狂ってきているわけです、いままで。四十三年の計画も大幅に狂い、そして四十五年の地域分担の計画も狂って、単なる予想屋になっているわけですよ。その予想よりもはるかに農地は急速に減ってきているわけなんです。これも、われわれ見る限りには、単なる予想にすぎないわけですね。けれども、これは農林省としては、五十七年度にここに盛られた目標を達成するのには、これだけはやはり断じて確保しなければいけないという、そういう積極的なものなのか。単なる予想で、まあ減ったときは減ったときで、またそのときはそのときの風が吹くよ、そのときはまた目標を変えればいいんだよと、そういうものなのか。これを見る限りには、大体後者のような気がするのですけれどもね。そういう農林省の姿勢で、はたしていいのかどうか、この点はどうですか。
#217
○政府委員(三善信二君) 文章を読みますと、何か先生おっしゃるように、単なる予想じゃないかというような解釈も出ようかと思いますが、私どもがこれを考えておりますのは、ここにいろいろ計算をしてございますこれだけの生産目標を達成するためには、どうしてもやはりこの農地が要るんだ、五百二十万ヘクタールが要るんだ、草地にしては六十四万ヘクタールが要るんだ、ということで考えておりますので、何とか、これは有用農地として確保したい、また足らざる分は造成したいということで、この数字は出しているというふうにひとつ御理解いただきたいと思います。
#218
○塩出啓典君 それで、実はこれを読みますと、米の場合ですね、十アール当たりの生産量は四百九十キロと、こうなっているわけですね。それで面積を計算しているわけなんですよ。私は、はたして五十七年度においてそういう十アール当たり四百九十キログラム、そういうものがはたして可能であるかどうか。というのは、いま、先ほども話がありましたように、だんだん米というのは非常にうまい米にいくわけでしょう。そしてまた最近の調査では、米の生産調整を実施してから、反当たりの収量というものはだんだん非常に下がってきているわけですよ。そしてまた、いまどんどん兼業農家がふえている。しかも、第二種兼業農家というものが昭和五十七年には六割になるだろう、これはこの予想に書いているわけですよ。ところが、現在、米の十アール当たりの生産量というものを見ると、――農業白書では、昭和四十六年のデータですけれども、第一種兼業が一番多い。その次は専業農家だ。第三番目に一番収量が悪いのは第二種兼業農家ですね。農業に対する今後の方針として、はたして四百九十キログラムを見込めるような、そういう今後の農業の方向にあるのかどうか、われわれはそのあたりが非常に疑問なんですけれども、これはどう考えていますか。
#219
○政府委員(三善信二君) 十アール当たりの米の生産収量につきましてはいろいろ御議論もあろうかと思います。しかし、私どもの一つの観点は、従来の水稲の十アール当たりの収量の伸び、過去の一つの伸び方、これを考えてみますと、大体四百九十二キロ、この程度はいけるという技術的な検討をいたしました。それからもう一点は、いま先生御指摘のように、だんだんうまい米つくりをやっていくと、収量はかえって減るんじゃないかという、そういう意見を持っておられる方もこれはございます、現実に。しかし、その点も技術的に、今後の技術の進歩等を考えて、その辺も克服できるのではないかというような検討も技術者の間で検討をいたしました。それからもう一つは、やはり現在でも専業農家が一番これは収量が高いんじゃないか、一つのこれは常識であるし、現実もそういうふうになっている。先生のおっしゃるとおりでございます。この現状のまま放置しておきますと、やはりその経営というのが、水稲あるいは農業の経営というのが非常に乱れてくるといいますか、非常にはっきりした経営がなかなかできにくくなるということで、将来私どもが十年後の見通しとして考えておりますのは、農業就業人口もこれは年率五%ぐらいで減っていくであろう、そういう場合に、やはりそこに今度は第二種兼業みたいな、そういう農家の方がやはり集団的な生産組織、一つの経営のやり方、それを確立していけば、収量が極端に落ちるとか、収量が現在より落ちるというようなことは考えられないし、また、それを落とさないようなかっこうで今後の対策の面で、それを経営面にもひとつ対策の面で、カバーするように拡充、充実をしていかなければいけないというふうに考えたわけであります。
 そういういろんな面で検討をいたしました結果、四百九十キロというのは多少オーバーじゃないかという御意見も中にはございます。技術者の中にも、正直に言ってちょっとオーバーじゃないかという意見もございますが、相当期間これ検討を重ねまして、大体この程度はいける、また、いかさなきゃいかぬと、いかすように今後の政策も持っていこうということで省内では、この点一致して、こういう一つの目標に掲げた数字になっているわけでございます。
#220
○塩出啓典君 こういう問題は先のことで、われわれはわかりませんから、専門家がそう言われれば、やっぱりそういうことも反論はできないわけですけれども、このデータを見ますと、昭和四十二年が四百五十三、四十三年が四百四十九、四十四年が四百三十五、四十五年が四百四十二、四十六年は四百十一と、こういうように非常に下がってきているわけですね。これは農政調査委員会が、減反と米作農民という題で、この中に書いているのは、やはりそういうように米の収量がどんどん減ってきているということは結局は、農地というものに対する農民の意欲というものが減退をして、もうできるだけ、あまり農業には手間をかけないで、手間を省いて、そうして、ほかの仕事へいかなきゃいかぬと、結局そういう形でなってきているわけですね。これを言うならば、四百九十なんということは、われわれは、とてもそういう傾向からするならば不可能である。このデータから言えば、どう見たって、そうはいかないわけですよね。その点はどうなんですか。
#221
○政府委員(三善信二君) 先ほど私申し上げましたように、たとえば一つの観点から過去の傾向が一体どうなっているか、いま先生おっしゃいました数字も、一つのその傾向の中の数字だろうと思いますけれども、大体いままでこれまでの傾向として、一%ないし〇・九%ぐらい従来の長い目で見た傾向としては伸びてきております。そういう〇・九%程度伸びるという傾向をとっても、この程度の収量にはなるというのが、一つの過去の傾向でございます。それからやはり粗放経営になるとおっしゃいましたけれども、私、先ほど申し上げましたように、ほうっておけば粗放経営になりやすいと、しかも、ちょうどいま米の生産調整をやっておる最中でもございますし、そういう傾向も私は若干あることは否定できない。だから、そういう粗放経営にならないようなやり方で経営もやっていくということがこの目標の一つの大きなねらいでございます。そういう点を専門家の間で検討をさして、それからもう一つの観点は、地域ごとにやはり相当違ってまいりますことはこれはあれでございますが、そういう地域的に見た場合の検討も、専門家の間では十分いたした結果でございますが、そういう意味で四百九十キログラム程度は何とかやりたいし、一応技術的に検討してもいけるだろうという一つの数字として御了解願ったらいかがかと思います。
#222
○塩出啓典君 それは決して不可能な数ではないかと思いますけれども、ただ、米の反当たり収量がいままで伸びてきた、それはやはり米が足りないということで増産をしていこうという、そこに全体の意欲というものが結集されて今日まで伸びてきたと思うんですね。だから、当然今後の農業のあり方としても、そういう意欲的な姿勢で、農民が取り組めるような体制に当然持っていかなければいけないのじゃないかと思うんですね。けれども、いまは、そうなってないわけでしょう、米はあまりつくるなということで。結局つくれば、つくり過ぎということになるわけですから。それを四十八年に向かって農民の皆さんがほんとうにやっぱり一生懸命反当たり収量をあげる意欲を持ってやれるようにするには、これは農林省としては一体どういうことを考えておるんですか、これから。
#223
○政府委員(三善信二君) 対策でございますけれども、やはり何と申しましても、一番必要なのは、基盤を整備していくということが一番大事だということで、御承知のように、土地改良十ヵ年計画をつくりまして、従来の十カ年計画を相当大幅に上回る十三兆という額を一応きめていただいておるようなわけでございます。こういう基盤整備をやっていきますれば、先ほど申し上げました大体必要な面積の八割程度は十年間にやりたいという計画を考えているわけです。基盤整備と同時に、今後、先ほど申し上げました、一番また重要なのは生産組織と申しますか、そういう経営体、組織づくりを考えていこう、先ほども先生言われましたように、この生産目標の試案にも書いてございますように、集団的生産組織が大体六割ぐらいになっていくんじゃなかろうか、その程度におそらくなるであろうという見通しを持っておりますが、それの育成ということを考えていかなければいけないと思っております。そのためには、やはりいろいろの施策を講じていかなきゃいけない。たとえば農地の規模拡大、そういう問題でも、農地の流動化を促進していくというような大きな問題もございますし、また、その価格対策等もやはり作物に応じて現在のままでいいのかどうかというようなことも、やはり今後の検討としてやっていく必要があろうかというようなことも、大きな問題としては、いろいろあるわけでございますが、そういうことも今後目標を達成するために、きめこまかく具体的に、しかも、これを地域的におろしながら考えていく必要が、基本的にはあるということを考えているわけでございます。
#224
○塩出啓典君 農林大臣にお聞きしますが、日本の農業は将来どういう形になっていくのですかね。これは非常に幼稚な質問かもしれませんが、農村工業導入等によって兼業化が進んでいくと、そういう点も言われているし、一方においては、作業というものは、土地はやはりそれぞれ別個に持っても、作業はやはり協業化して、土地を貸して、そして、それはまあ結局、専業農家を育成していこうという、そういう方向でもあるわけですね。いろいろなそういう意見があるわけですが、大体農林省としては、昭和五十七年、あるいは将来の日本の農業というものは、一体どういう――専業を推進していくのか、兼業を推進していくのか、そのあたりはどういうことになっているのですかね、これは。
#225
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどから、第一種兼業、第二種兼業のこれからの兼業別の割合についての一問一答をされておったようでございますが、そのパーセンテージからいいますと、五十七年には、専業は一一%、第一種兼業は二七%、第二種兼業は六二%と、こういうことに、この試案はなっておるのでございまするから、その限りにおきましては、兼業が進んでいくと、こういうことを言わざるを得ないと思うんであります。
 それから、農業就業人口にいたしましても、四十五年、八百十一万人を五十七年には四百三十万人、年率にして約五%ぐらいずつの減少と、こういうことになっておりますから、この農業就業人口をもって農業生産を営むということになりますれば、少なくとも、この専業農家が中核となっての農業形態、まあわれわれとしては、これからの農業を高能率農業にしたい、集団的な経営というものを、これを大いに奨励しなければならないということを申し上げておるわけでございますが、この割合からいえば、専業は一一%と、こういうことになりますが、この専業を中核としての経営というものを考えていかなければならないんではないかというように思うのでございます。
 そこで、一体これからの農業がどんなふうになるかという前段のほうの御質問について、私なりのこの考えをちょっと申し上げまするならば、高度成長経済に対する批判があり、それに対する反省もあり、そして過密過疎のこういう状況がいけないということから、均衡ある国土の発展を求めていくというときに、一体これからの産業の重点をどこに求めるかということを考えますときに、何といっても、この農業とか、林業とか、漁業というものは、これは日本の固有の資源、固有の産業だと思うのですね。こういうものが、私どもの立場からいえば、中心になることが日本の将来のためにもなると。まあ高度成長の批判から考えていくと、またいまの公害問題などを頭に置いて考えまするならば、この自然の浄化機能を持っておる農業とか、林業、こういうものは大事であるということで、ここ数年来、どちらかというと、米の生産調整から農家の皆さんの生産意欲を低下せしめるような問題が多うございましたが、これではいけないと、そして国際的な需給逼迫の状況などを考えたときに、この辺でひとつ考えを新たにしてと申しましょうか、原点に立ち返ってと申しましょうか、そうして――農業とか、林業とか、漁業というものが、やはりこれは大事であると、これをどちらかというと、少しここをおろそかにしてきたんではないか。で、この機会に大いに農林漁業を一生懸命やるべきであると、こういう、ちょっと素朴な意見を申し上げて恐縮でございますが、考えに立っておるということを一言付け加えさせていただきます。
#226
○塩出啓典君 それでは、時間も非常におそいので、答弁のほうもひとつ要点だけでいいですから。
 それで先ほど農林大臣は、結局、昭和五十七年には六二%と、ということは、第二種兼業はどんどんふえていく、しかも米の収量というものは、現在よりもかなり五十七年には上げなければ、これはもう農地が計画どおり――いまもっと減っているわけですから、われわれ非常に心配するわけですよね。もし計画どおり五百二十万になったにしても、やはり四百九十キロしなければ米は足りない、こういうことになってきますね。そのためにはやはり作業というものは協業化していかなければいかぬ。そういうお話でございますが、しかし、この農業白書で見る限りは、この一四二ページにございますが、水稲の集団栽培組織数というのは、昭和四十四年をピークとしてだんだん下がっておる。ともかく集団でやろうという意欲はなくなってきているわけですね。さらに協業経営体にしても、これは昭和四十一年からもうだんだんだんだん四十三年、四十五年と異常に下がってきているわけですね。やはり農民が、できるだけ協業化してコストを下げていこうという意欲もだんだんなくなってきているわけですね。だから、農林省が言っていることと、実際に動いてきていることというのは全く別な方向にいっておるわけですね。そういう点は農林省としてはどう考えているのですか。
#227
○国務大臣(櫻内義雄君) 白書でそういうことが指摘された、これは御指摘のように、そういう実績を踏まえてのことでございまするから、これを否定することはできないわけでございます。したがって、この試案の上で申し上げておることは、高能率機械を効率的に利用する集団的生産組織の育成ということを、先ほどから御指摘の十アール当たりの四百九十キロをあげるための生産性向上の手段として指摘をしております。われわれとしても実績はそういうことになっておりまするが、この試案で示されておる方向を実現するようにあらゆる努力をしなければならないと思っておる次第でございます。
#228
○塩出啓典君 いまの、農林大臣が努力しなければならぬということは、それはそのとおりですけれども、しかし、ものごとというのは、だれが見ても、これならできるという、そういうものでなければ、ただ、客観的に見ても、全然不可能なことを幾らやる、やるといっても、これでは、やはりわれわれでも納得はできないと思うのですね。じゃ、いまたとえば大豆にいたしましても、自由化いたしまして、だんだんだんだん――いま自給率四%ですね。それを五七年には一二%にするというわけでしょう。それはできるんですか。どうやって一二%まで上げる方針なんですか。
#229
○政府委員(三善信二君) 具体的なそういう一二%まで自給率を上げるという場合に、十年という一つの今後の目標でございますが、これからやっていかなきゃいかぬ問題もいろいろだくさんございます。しかし方向としては、基本的にはやはり現在生産調整をやっておりますし、その一つの転作の対象として大豆を現在でも進めております。それがもっと農民がひとつ喜んで大豆をつくるような、一口に言えば、そういう対策をもっとやっていくべきではないかというのが一つあろうと思います。それは土地改良の基盤整備の問題もございますし、それから先ほど私、申し上げました価格対策の問題もございますし、それからそういう大豆に対して、一つは収量が大豆は少ない。したがって、反当たりの収量が少ないためにその所得も少ない、こういう問題もございます。そういう収量をいかにして上げていくかとか、そういういろんな問題がございますし、その意味では試験研究みたいなのをもっと大豆について充実していくということも考えているわけでございます。一口に何をやればすぐ上がる、目標が達成できるということじゃなく、私は、やはり総合的にそれを考えて、それを具体的に、着実にやっていくということが必要だというふうに考えております。いま申し上げましたようなことを、地道に今後やっていくということによって、この目標の達成を考えていきたいというふうに思っております。
#230
○塩出啓典君 まあひとつ五十七年までまだ九年ございますからね。そのころになると、もう農林大臣も当然変わっているかもしれないし、どんなことを言っても、これは責任は問われぬわけですけれどもね。しかし、結局は、価格というものが、やっぱり一生懸命つくっただけの収入がなきゃだれだってしませんよ、そんなに。農民だけが、ほかの産業より比べて安い賃金で働かなければならないという、そういうことはやっぱりよくないと思うんですよ。だから、当然基盤整備も必要です。あるいはまた、生産収量も上げていく、それも農民の一つの意欲というものがなければならない。そのためには、そういう生産費に見合う価格というものをあらゆる農産物についてそれを定める。そうすれば、日本の農業というのは、決して一いまのような減りぐあいでいくならば、それぞれ米だけ全部つくれば過剰になりますけれども、それは現在は米ぐらいしか、もちろん不十分ながらも、ある程度の収入が上がるものはないから、みんな米に集中しているわけで、それを、ほかの米以外の作物についても価格補償というものを実現していけば、当然全国の耕作地というものはそれぞれの作物必要量に適しただけの面積をそこで栽培をする。そしてやはり全力を上げてそれぞれの立場で生産にいそしめる、そういう体制に私は、持っていかなければいけないと思うのですけれどもね。そういう点を、やはり農林省としても、もっと本格的にぼくはやるべきじゃないかと思うのですけれどもね。なぜそういう点に熱意がないのか、この理由は何ですか。
#231
○国務大臣(櫻内義雄君) 価格政策に対する熱意はないわけではないと思うんです。いまの農業総算出額が四兆三千二百九十五億円、四十六年度の概数ですが。その中の三兆一千四百六十億円、七二・七%は価格政策の対象にしてやってきておるわけでございますが、これにはそれぞれの品目が、いろんな事情によって価格政策がとられてきましたので、しばしば御批判も受けておるわけでございますが、それにしても、米、麦、たばこ、甘蔗、バレイショ、てん菜、サトウキビ、大豆、菜種、繭、豚、生乳、鶏卵、肉用牛、野菜、それも野菜は対象九品目あるいは加工原料用果実まで及んでおるのでございまするから、私はそれは評価していただきたい。ただ、一つ一つを見たときに、それじゃ農村の皆さんに御満足をしていただけるかどうかというところに問題があるとは思います。しかし価格政策についてはいま申し上げたようなことで、われわれは相当積極的に臨んでまいったということを御了承いただきたいと思います。
#232
○塩出啓典君 じゃ、もうこの程度でやめますけれども、価格政策にしても、結局そういう支持価格というものが非常に低いわけであって、それはやっぱりある程度上げていかなければいけない。そうしなければ、低い価格で幾らそういうのがあっても、これはやはり農民の人の意欲を高めることにはならないと思うのですよ。そういう点で私は、農林大臣というのは、農民の立場に当然立つわけなんですから、もう少し道理の通ったそういう政策を進めてもらいたいと思うのですね。非常に農業はいろいろなむずかしい問題がございまして、われわれとしても、はたしてどうなっていくのか、なかなか判断もつかないようなことも多いわけですけれども、それだけに、農林省というのは、優秀な専門家を集めているわけですからね。やはり農林省は、もっと農業の将来についてもう少し責任を持って、おれについて来いと、それぐらいのひとつ決意でやってもらわないと、なんとなく農林省というのは、もうふらふらしていると、そういう感じがしてならないわけですね。そういう点で今後とも農林大臣も、ただ自分の任期が終わればいいというのではなしに、やはり国家百年の大計の上に立って、しっかりやってもらいたい。そういうことをひとつ要望いたしまして質問を終わりたいと思います。
#233
○塚田大願君 私はまず第一に、米の買い占め問題について質問したいと思います。
 御承知のとおり、今回は、商品の投機の問題が非常にやかましい問題になりまして、木材から始まりまして、大豆、生糸、マグロ、そしてしまいには木綿、ガーゼまでが品不足と、こういう重大な社会問題、政治問題が起きているわけでありますが、この商品投機が、いわば国民の主食であります米にまで及んだというところに、やはり米の買い占めの問題の特別な重大性があると思うのです、普通の商品と違いますから。ところが、この米というのは、大臣の専門でありますけれども、食管法に基づいて政府の直接統制下にあるというしろものであります。ほかの商品とはだいぶ性質が違うわけであります。だからこの場合に、この今度のモチ米の買い占めが、これはモチ米の不足からきているとか、あるいは過剰流動性が原因である。こういう一般的な言いわけでは片がつかないと思うのです。そこで政府も確かに二月二十四日からでございましたか、全国十都道府県を対象にモチ米の在庫調査を行なわれた、こういうのですが、大体その調査の結果、未検査米を摘発をし、告発も行なったというのでありますが、その結果につきまして、簡単でよろしゅうございますから御説明を願いたいと思います。
#234
○政府委員(中野和仁君) 食糧庁が今回在庫調査をいたしました結果を簡単に申し上げます。
 今回の調査はモチ米を主として、それも未検査米に重点を置きまして在庫調査をやりました。主要なモチ米の生産県と消費県、十九県を中心にしてやりました。それも全部で五千ぐらいの倉庫を結果としては調査したわけでございます。その結果といたしまして、まあ三俵、五俵のこまかなものは若干あったわけでございますが、それは除きまして、件数で八十九件、五千八百七十三トンという未検査米が発見されました。その所有関係でございますが、大部分は米菓業者等、実需者が自分の原材料として手当てしているというふうに推定ができるわけでございます。若干でございますが、いわゆる自由米業者といいますか、そういう流通業者の手にあったものも若干あったわけでございます。
 以上でございます。
#235
○塚田大願君 まあいまのような調査をされて、摘発されたのは、告発されたのは六業者ということのようでありますけれども、しかし、この摘発は、また一般のマスコミでもやかましく報道しておりましたが、いわば非常に小さいものだ、小さいものばかりだと。まあ三十トンから四十トンやみでやっておるという加工業者などがだいぶある。その業者が大体六つくらいですか、三十トンから六十トンぐらいなのが。ですから、結果から見ると、非常に、農林省の調査というのが、弱い者いじめだ、表面的な調査でしかないじゃないか、大企業はいわば保護してやった、片手落ちの摘発ではないか、こういうふうに言われておるわけでございますが、私どもが見ましても、やはりそういう感じがするわけであります。まああられ業者なんというのは、ほんとうの中小企業といいますか、ある意味では零細企業といってもいいわけであります。そういうものを摘発して、大きな商社がこぼれておる。この点は、一体どういうふうに理解したらよろしいのか、御説明を願いたいと思います。
#236
○政府委員(中野和仁君) 今回われわれ告発いたしましたのは、業者の数は御指摘のように六業者でございますが、件数としては三件。まあ告発いたしましたのは、われわれは在庫調査をやるのに、一つの倉庫にまとまって大量にあるという観点から、現在の所有者と見られるものを告発したわけでございますが、といいますのは、役所がやはり告発する場合には、刑事訴訟法の手続でやるわけでございます。明確な事実に即して行なうということであるわけでございますが、特に今回の場合は、そういう現在の所有者を告発しておりますけれども、そういうことでありますれば、今度の調査したものは全部未検米でございますから、食管法でいけば全部告発しなければなりませんけれども、そういう大量であると同時に、たとえば実需者が、おれのものだと言いながら、それが遠方の県にあるということで、流通過程に問題があるということ、しかも、それには別の自由米業者なり、あるいは御指摘の商社等も介入してやせぬか、そういう疑いといいましょうか、そういうふうに思われるものについてやったわけでございまして、なお、その零細業者だけいじめるんじゃないかというようなお話もございましたけれども、これはいま申し上げました所有関係からそうなったわけでございますが、告発する際にも、警察当局には、この流通過程にはこういう問題があるということは、われわれ見た範囲の情報は、同時に通告をしてあるわけでありまして、決してあられ業者の零細のものだけをいじめるためにやったというふうにはわれわれ考えておりません。
#237
○塚田大願君 いまの説明ですと、いわゆる所有者をまず押えると。確かに法律論的にはそういうことになるかもしれないのですが、これはもう常識としまして、あれだけの資金を動かすということになれば、大商社がうしろにいることは明らかでありまして、やはり一般国民が期待したのは、そういう、うしろであやつっておる黒い幕をやはりはっきりさせなければ、買い占めというもの、商品投機というものはとまらないんではないか、こういう感じだったと思うのであります。
 そこで、この問題が論ぜられましてから、二月二十三日でございますが、参議院のこの当農水委員会で、大臣はこういうふうに答弁されたと思うんであります。警察の手入れの問題でありますが、杉原委員の質問に答えて、「具体的には警察が直接に手入れしたとかというような事実は私の知っている限りではございません。それは、食管法に基づいて農林省のほうで調査等のできるものでございまするから、そのほうを考えたわけでございます。」と、こうはっきり農林省としてやれるんだということをおっしゃったのでございますけれども、したがって、私どもも、当然今度の農林省のほうの在庫調査というのは、農林省が、積極的に手を打って、大手商社の買い占めの実態も把握するのではないかというふうに期待したわけでございますが、その辺、農林大臣どういうことなんでございましょうか。
#238
○国務大臣(櫻内義雄君) モチ米に対して投機の疑いもある、また流通の混乱も認められる。食管法第何条というようなことについては、後ほど長官のほうから補足をして申し上げたいと思いますが、食管法によって倉庫の立ち入り調査ができまするから、そこで生産県、消費県のおも立ったモチ米の関係都県に対しての、食糧事務所を通じての在庫調査をいたした。その結果が、先ほど御報告申し上げたように、八十九件、五千八百トンの未検査米を発見したと。これはこれで私どもは、食管法のたてまえからする一応の目的を果たしたわけでございます。その場合に、これも先ほどから御説明を申し上げておるように、その中で大量で、しかもあられ屋さんなんかが持っておるのではない。まだ流通過程であるいわゆるやみ米的なもの、こういうものについては、われわれから見ても、どうも悪質である、そういうものはひとつ警察のほうへ告発をしようではないかと、こういうことで三件の告発に踏み切ったわけであります。それで、そのあられ屋さんなんかに影響がもしあるとすれば、ほんとうはそれは、われわれの目的と違うわけですね。いまモチ米が非常に需給が逼迫しておると、何とかそのモチ米をさがして、所要のところにモチ米が行くようにしたいということから、そこでもうあられ屋さんが持っているものであって、未検査米ということでありましても、それはもういいんだ、しかし、少しよけい持っておるようなところは、不足しているところへ回すような指導はしてもらいたい。しかし大量に持っておって、一応あられ屋さんのもののようにはなっておるけれども、どう見てもこれは投機筋が動いたと思われるような数量、これは告発をしよう。その告発以降は、あるいは私どもが調査した後の、いろいろせんさくというような、そういう立場にございませんから、――そういう不当のものについては告発をして、司直の手にゆだねたと、こういう経緯にあるわけであります。だから、お尋ねのように、調査できるなら、どうして大商社や何かを調べないんだということになりますが、そうでなく、倉庫にあるものを調査して、その結果に基づいて、どうもこれは疑わしいというものについては、これを司直の手に告発をした、こういう経緯でございます。
#239
○塚田大願君 それならお聞きしたいんですが、東京都あられ工業協同組合に、丸紅が二万俵のモチ米をあっせんして、代金として金額二億三千四百万円余りの手形二枚を受け取っているという証拠が、これが朝日新聞にも三月二十一日付で、写真づけで領収書が出ました。これは、ちょうどそのころ、参議院の予算委員会があって、その総括質問で、わが党の渡辺委員が大臣に質問をしました、そのちょうど翌日でございますけれども、はたせるかな、こういう証拠品までこれが出ているわけでありますが、農林省としては、とにかく調査の過程で、丸紅の名前が浮かんだので、当局には詳しく報告した。こういうわけでありますけれども、しかしこの段階におきまして、すでにはっきり丸紅がこれに介入していたということが明確でございますが、これに対してはどういう処置をおとりになったのな、それをお伺いしたいと思います。
#240
○政府委員(中野和仁君) 先ほど御答弁申し上げましたように、茨城の場合は、茨城県の集荷組合の水戸倉庫に三百四十四トンあったわけでございます。そして、それの所有者は、東京都あられ工業協同組合外四名ということで、どうもそれは丸紅から入手したんではないか、あるいは金融だけを受けたのかもわかりません。そういうこともありまして、その事態を調べた上で告発いたしましたのは、茨城食糧事務所からで三月十七日でございます。そのあと私ども新聞でも見ましたし、それからあられ工業協同組合の理事長も呼びましてその事情を伺いました。あられ工業組合の理事長は大体この新聞にあるようなことを申しておりまして、これを否定はいたしておりません。しかしそれ以上追及するということになりますと、一体これが前所有者として、かつて持っておったのか、あるいは融資しておったのか、その辺もわれわれはよくわからない。いま大臣が御答弁申し上げましたように、それから先は司直の手で明確にしていただくことでございます、ということで、われわれ現在きておるわけでございます。
#241
○塚田大願君 当時、この問題は新聞にもずいぶんいろいろ報道されましたが、要するに、事実は、東京あられ工業協同組合が、丸紅に二万俵頼んだ。しかしその二万俵のうち、正規のルートで入ったのが一〇%、二千俵でしかない。残りの一万八千俵はやむを得ず、やみで買っておさめたということが、事実の経過としてすでに新聞などでも発表されているわけであります。ですから、前の所有者がだれであったかということは、これはもう明確でありますし、おそらく茨集――茨城の集荷業者をお呼びになったとすれば、その辺の事情もはっきりしていたと思うんでありますが、もう事実は非常に私は明確だと思うんです。ですから、この段階において丸紅に対してどのような処置をするか、これはやはり非常に国民が注目しているところであります。依然としてああでもない、こうでもないといって処置をおくらせるということになりますと、やはり農林省、食糧庁に対する不信も生まれてまいりましょうし、また、政治全般に対する不信というものも生まれる可能性がある。それで、この問題が起きましたときに、食糧庁の森総務部長は、食管法違反がはっきりすれば、小麦などの政府所管物資の輸入代行商社の指定を取り消すこともあり得るというようなことも、はっきり言明されておりますから、その点でもう一度はっきりさせていただきたいと思うのですが。
#242
○政府委員(中野和仁君) 丸紅のいまのお尋ねは、おそらく丸紅に対しましての食糧庁としての措置をどうするかということだと思います。ただ、これはいま私が申し上げましたように、現に捜査当局が捜査をやっておりまして、どの程度どうやっていたかということを判断いたしませんと、ただ、ああ丸紅だということだけで、それじゃいきなり輸入代行商社取り消しというふうにはなかなかまいらないわけでございます。森総務部長が、どういうふうに言ったか、新聞にも、ああいうふうに書いてあったそうでございますが、それは一つの可能性として、よほどのことをやっておれば、そういうこともあり得るということであるわけでございます。したがって、私もそういうことがあるということは否定はいたしませんが、現在まだ捜査にかかったばかりのところで、どの程度どうなっているかということを判断しませんと、その後の丸紅に対する全体的な判断ができないわけでございます。いま、そういう段階でございますので、食糧庁としましては、その全体がわかりましたあと、判断をいたしたいと思っているわけでございます。
#243
○塚田大願君 それじゃ、その食管法違反ということが、捜査の段階で明確になれば、処置をするということでございますが、大体それは、もちろん捜査当局の捜査の事情もありましょうけれども、大体いつごろそういう結果が出ることになるのでしょうか。もしおわかりでしたら……。
#244
○政府委員(中野和仁君) まだ、告発いたしましたのが三月十七日で、いま警察当局で調べておられるようでございますので、それがいつごろどういうふうに済むか、まだわかりませんので、いま現在、いつごろだということはなかなか申し上げにくい段階でございます。
#245
○塚田大願君 じゃあ、時期については、そのとおりだろうと思うのですが、しかし、少くとも、捜査の結果、食管法違反だということがわかれば、先ほど森総務部長が言われているような筋で処分されるのかどうかお聞きしたいと思います。
#246
○政府委員(中野和仁君) ただいまのお話につきまして、森総務部長の、まあ新聞で議論するのもおかしいわけでございますが、「小麦など政府所管物資の輸入代行商社の指定をはずすことも含めて処分を検討する」と、こういっている。したがいまして、私からあらためて申し上げれば、こういうこともあり得ますし、それから取り消しまで至らない程度のものは、また一時的に業務停止をする、いろんなことがあるわけでございます。そういうようなことを、今度の事件が大体見当がつきました際に、全体として判断をいたしたいと考えております。
#247
○塚田大願君 私は、やはりこういう商社が、単に米だけではなくて、一般の商品、あらゆるものに投機をしている、いわば元凶だとまでいわれているわけでありますが、まず私は農林省として、特に国民の食糧を確保するという重大な責任を持っている食糧庁でございますから、私は今度の場合につきましては、非常にきびしい措置をすべきではないか。また、これが国民の声だということを私は申し上げておきたいと思います。
 この大商社と関連いたしまして先ほども申しましたが、この小さな業者、あるいは農民が、今度の農林省の調査摘発について、どのように感じているかという問題でありますが、一般の農民あるいは小さな業者の中では、何をいまさら食管法違反だといって、ばたばたしているのだ、政府が大体いままでやみ業者の横行を黙認してきたではないか。それが今日こういう結果になったのであって、政府のやり方はまことに片手落ちである。こういう批判が非常に強いということは農林省も御存じだと思うんです。また、農家の話を聞きましても、もうこれは一般の農家の中で、やみ米を売るということは、そんなに悪いことをやったという感じではないんですね。あたりまえのことをやっただけじゃないかというふうな印象を持っておりますが、私はこれは非常に重大な問題だと思うんですね。少なくとも、一国の法律を無視することがあたりまえのように思っているという、その事実は重大だと思います。が、しかし、こういうふうに農民やあるいは業者が考えてしまったと、こういう考えを持つに至ったという点につきましては、私は、政府がやはり非常に重要な責任を持たなければならないと思うんです。それは何といっても、政府が食管制度をなしくずしにしてきたということであります。自主流通米制度をつくる、物統令をはずす、こういうふうにして米を間接統制、自由化の方向へ進めてきたわけでありますから、これが今日のこの事態の一番大きな原因になったのではないか。悪いことをしたから、つかまえればいいということでは、私は片づかないと思うんです。やはりもっと根本的な原因を突き詰めていく必要があると思うんですが、そういう意味で、やはり政府の責任というものを、特に食管制度をなしくずしの問題は、当委員会でももう毎度毎度論ぜられてきたことでございますだけに、私は、これに対する農林省、大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
#248
○国務大臣(櫻内義雄君) お話の御指摘は、われわれとして、過去を振り返ってよく考えなければならない大事な所見であったと思います。過剰米を倉庫にあふれるほどかかえておった、そういう――食糧需給の緩和しておる情勢下のときに起きた問題が、現在、今度はモチ米が端緒となりまして、そういう需給が今度は逆に不足しておると、そのために投機筋も動くというような逆の現象が出てきた。こういうことで、その間に、行政上のいき方に現実に沿ったある程度の差異が生じてくるということは、政治の上においても、あまりこれはしゃくし定木に、画一的にはいかないことであると、この辺は御理解をしていただけると思うのであります。ただ、非常に重要なことは、いまは食管制度による調査などもすると、いまさら何だと、しかし、いまさら何だという御批判は出るといたしましても、先ほど申したように、私としては、就任以来、国際的な食糧事情の悪化、あるいはモチ米の状況等を考えたときに、この際は、いろいろあっても、現行の食管制度を、これをいじるようなことなく、そしてこの食管制度を牛かしながら、しかも需給緩和当時のそのような事情というものを考えながら、ここでひとつ姿勢を正していこうという行き方、これは皆さん方に、どうもいま農林省おかしいぞということでなく、御理解をいただけることではないかと思うんであります。それで私どもとしては、今後におきましても、いまの流通の混乱ということが、すみやかに立て直って、正常な姿にいくように、つとめて行政指導をしてまいりたい。その間に、もしかりにも片手落ちである、弱い者いじめであるという御批判が出るとするならば、そのことについては、十分注意しながら臨んでいきたいと思う次第でございます。
#249
○塚田大願君 いま大臣がお答えになりました第一点でございますが、確かに政治でございますから一〇〇%言ったとおりになるとは私どもも考えておりません。当然そこには誤差があってもこれはふしぎではない、神様でない限り。しかし今度の問題は単なる誤差ではありません。私ども、政策的にこの食管制をくずしていったら、これはたいへんなことになる。特に昨年、物統令か問題になりましたとき、私は、この委員会でも、こういう物統令をはずしていったら、これはやみ米が必ず出てきますよ。やみになったらどうするんですと、主食が。こういう質問をしましたら、そのときの農林省の答弁は、いやそんなことはありませんと、標準価格米をつくりまして、ちゃんと主食は確保いたしますから、そういうやみのようなことはございませんと、ぬけぬけと答弁をされた。しかし、現実に一年たってみましたら、やはりこういった状態が起きた。でございますから、そういう点で、私は、単に誤差ではないということをここではっきりさせておきたい。したがって、私どもは、問題を単にしゃくし定木に取り上げようという、そんなけちな考えではないということであります。日本の経済にとりまして、非常に重大な問題が起きておるから私どもは問題にしているということであります。
 それから二番目に、大臣がおっしゃいましたが、櫻内大臣は確かにいろいろ主観的には、良心的にやりたいというふうにお考えになっているだろうと思います。それは非常にけっこうなことだと思っておりますが、問題は、単に大臣の主観というようなことではございません。客観的な冷厳な経済法則が働いておるわけでありますから、その中でやはり政府において政策をどのように正確な路線に持っていくかという問題だと思います。まあそれが私の大臣の答弁に対する考え方でございますが、質問を続けます。
 で、私は、農家がとにかく現実にやみ米、未検査米を売っているということは、これは事実でございますが、なぜ、では農民が、そういうことをするのかという問題であります。私は、その一つの大きな要素として、具体的には政府が生産調整を非常に強制的に進められる、そして買い入れ制限を行なわれた。その結果、余り米というものが非常にたくさんつくり出された、ここに一つ大きな原因があるのではないかと思うのであります。で、余り米の問題でございますが、たとえば、この間、問題になりました新潟県の京ケ瀬村の問題でございます。これはモチ米ではございません、その前の問題でございました。私も新潟の出身でありますから、この辺の農家のことはよく知っております。この辺は、昭和四十二年、四十三年に二年続いて大水害を受けました。ちょうどこの政府の減反政策、買い入れ制限の政策の基準がきめられたころでございまして、したがって、非常に基準が低かったわけです。そのために、今日になりますと、かなり余り米が出てきた。そこで農民はひとつ農協で何とかこれを処分してくれないかといって、農民自身が農協を突き上げていったのであります。そこで、今度は農協が、農協自身がヤミ米を扱ったと。そこで幹部がつかまるというふうなことになりましたけれども、こういう事例から見ましても、やはりこの余り米というものが非常に出た。しかもその余り米が自主流通米と同じだといっても国からの助成金がつかない、手取りが低くなると。おまけに政府は四十七年産米からは念入りにマルアという表示までもきめてきた。ますますもって買いたたかれる。こういうことで、結局ブローカーに庭先売りをするという、こういう結果になったと思うのでありますが、その点につきましては、食糧庁はどういうふうにお考えでしょうか。
#250
○政府委員(中野和仁君) ただいまお話しの新潟の事件でございますが、まだ警察当局が捜査中でございまして、結論もわれわれ最終的には伺っておりませんが、われわれの承知している範囲では、昨年の秋に――まだ余り米とか何とかという前でございます。まだ昨年の秋でございます。その際に、この未検査米を京ケ瀬農協ほか四つの農協が新潟米穀という会社等に売り渡したと、こういうことでございます。その場合に食糧庁の出先の食糧事務所ではその一部を発見をしまして、そういうことはしてはいけないということで始末書を取り、もとへ戻さして正規の自主流通へやるように指示をしたわけです。そしてわれわれの承知している範囲では、この京ヶ瀬農協等からはそういうふうにいたしますという文書まで受け取っておるわけであります。
 なお、これは新聞の報道でありますが、ことしになりまして減額申請をしまして、政府の義務数量の減額をしまして、この分を出しておるというふうにも何か出ておるようでございまして、まだ真相はよくわかりません。これはこういうことでございますので、もう少し明確になってからお答えすべきだと思いますが、一般的に余り米の話につきましては生産調整の実効を確保するという観点からいきますと、政府の大体生産調整をやる前の買い入れ数量から生産調整の目標数量を引いた残りを買い入れ限度数量にしておるわけです。その場合に余り米が出る原因といいますのは、一つには生産調整を目標の数量どおりやらなかったために余り米が出ることはあり得ます。それからもう一つは、やはり豊凶がございますので、豊作になりますと、生産調整をびしっとやっておりましても、余り米が出るということでございます。その分につきましては、そういうふうにいろんなかっこうで出てまいります余り米につきましては、これは自主流通のルートに乗せるということで処置をしておるわけでございます。
 で、おととしは凶作であった関係か、余り米もそうございません。たしか十九万トンでございました。ところが、本年は非常な豊作でございまして、われわれの見たところでも、どうも余り米は四十五万トンぐらい出そうだというふうに見たのでございますが、いまおっしゃいました余り米というしるしをつけて正規の自主流通に乗っておりますのは四十五万トンはないわけでございます。それの半分――半分ということはありませんけれども、二十四、五万トンと、いまのところ見ております。そうしますと、やはり二十万トン程度がいわゆる御指摘の自由米に回っておるというふうにもうかがわれるわけでございまして、われわれとしましてはこういうことはやはりよくないと思っております。
 そこで、今回四十八年の生産調整にあたりましては、生産調整の目標を示すと同時に、買い入れ限度数量を示したわけでございますけれども、県によりましては生産調整を一〇〇%か、そのぐらいやった。けれども買い入れ限度数量がまだ足りないというところ、それから生産調整が行き過ぎてしまって、買い入れ限度を余したところが出てまいりますので、そういう見当をつけまして、この五月、六月ごろに買い入れ限度調整の再調整をしたいというところまでやりまして、できるだけそういうまあ妙な余り米といいますとおかしいんですが、そういう自由米的なものが発生しないような方向をひとつとりたいと考えておるわけでございます。
#251
○塚田大願君 次に、余り米ではありません、自主流通米のことですけれども、この流通米というのは確かに価格は自由だと、しかし流通量も、流通ルートも、政府の管理下にあるのだというふうにおっしゃられておるわけですけれども、しかしこの流通米をつくられたということが、要するに、この食管法の改正をしないで、しかも政府の手を通さない米をつくり出したということだと思うのです。ですから、さっきの丸紅のお話ではございませんけれども、結局こういう商社が米を扱うことができると、そういう買い付け業務の代行ができるというふうなそういう道をおつくりになったと思うのです。こういうことを一つとりましても、結局、今回の投機というものが、投機というものの基礎をつくったことになるのじゃないかと思いますけれども、この自主流通米制度につきましては政府はどういうふうにお考えでしょうか。
#252
○政府委員(中野和仁君) 昭和四十四年に自主流通米制度をつくりましたけれども、これは全国農業協同組合連合会とそれから全国主食集荷協同組合連合会、これが指定法人になりまして、末端の農家から順次委託を受けて、そして卸売り業者なり実需者に売り渡していくわけでございますが、この制度がきちっとやられておりますれば、これで何ら乱れがないわけでございます。で、現に大部分はそういうふうになっておるわけでございます。それじゃ、なぜ自主流通米の制度にしたかと申しますと、やはり国民の食生活が向上してまいりまして、昔の米の足らない時代のように、非常にうまい米も、まずい米も同じ値段で同じに流通させるということがもう無理になってまいります。したがいまして、物統合廃止以前あるいは自主流通制度以前でも相当量のやみで良質米が売られておったような現状でごさいますが――やはりそれはそういうやみがはびこるよりも、きちっとした制度にすべきだということから見ましても、私はこの制度の方向というのは間違っていないと思っております。ただ、いま御指摘もありましたように、この制度の陰に隠れてといいましょうか、この制度を使いながらあわせて未検米を扱うというようなことになってまいりますと、これは問題であります。で、それが四十四年から自主流通が発足してこれで四年目になりますが、だんだんそういう傾向がひとつ出てきた、その前提としまして申し上げておきたいことは、この代行制度でございますが、これは酒屋さんにしましても、せんべい屋さん、あるいはお菓子屋さんにしましても、零細なものですから、その間に入りまして、金融あるいは販売力を、商社の販売力を生かしてやるという場合の代行が出てきたわけでございます。で、このこと自体を、正規の自主流通米を扱う代行であれば、これはやはり経済原則としても否定はできないと思います。そのほうがお互いに便利だと、金融あるいは販売力を持ってもらうわけですから。そういうことでありますけれども、やはりこれが行き過ぎまして未検米に手を出すということになればこれは問題であるというふうに考えております。
#253
○塚田大願君 自主流通米がきちっと行なわれていれば問題がないと、こうおっしゃるのですが、この自主流通米制度が実際はきちっと行なわれてないところに問題があるのじゃないですか。たとえばもち米の場合、加工業者、あられ屋さんがとにかく二万俵ほしいといっても、二千俵しか手に入らない。したがって、あとの九割はやみで買わなければいけない、まあこういう結果になっているんじゃないかと思うのですが、そこはどういうことですか。
#254
○政府委員(中野和仁君) いまの何割かということはいろいろまた後ほど申し上げてもよろしいかと思いますが、もち米に関します自主流通制度につきましては、昨年はたしか十八万トン自主流通に乗りました政府在庫が六万五千トンありましたものですから、十分正規流通としては平穏に過ぎたわけでございます。ことしは、ことしの米穀年度の始まる際、政府は三万トンの在庫を持っておりました。これでは若干足りないなという気持ちがいたしましたものですから、年末に輸入をしようという計画を立てましたわけでございますが、残念ながらタイの事情が、作がおくれておりまして、なかなか入ってまいりません。その間、食糧庁といいたしましては、特にモチの需要というのは、お正月前に多いものですから、食糧庁の在庫を放出しまして、その際はまだ値段が上がっていなかったわけでございます。二月に入りまして一俵当たり二千円かあるいは二千数百円上がってきたわけでございます。これがはたして投機であったかどうかはよくわからないわけでございますが、そういう状況になっておりまして、結局は、去年十八万トンありました正規の自主流通が、十三万トン台に落ちたという、この五万トンの差でやっぱり問題になったというふうに私は認識しておるわけでございます。
#255
○塚田大願君 この自主流通米の制度が発足する前に、つまり自主流通米制度は昭和四十四年の五月から発足したと思うんですが、その以前に実はもう米の相場というものが始まっていたという事実がここにあるわけであります。それはこの日本経済新聞でありますが、日経の昭和四十四年三月二十七日付であります。ですから、自主流通制度が発足する前でありますが、この日経に、すでに、主要市中相場という米の相場が新聞に発表されておるわけであります。長官も御存じだろうと思うんですが、まあこれを見ますと、とにかくもう自由米というところで、新潟のコシヒカリ一万一千三百円から一万一千五百円、宮城の県北、ササニシキ一万二百円から一万四百円、モチ玄米無検査三、四等格水稲で一万三千五百円から一万四千五百円、陸稲で一万二千円から一万二千五百円、こういうふうに相場が新聞にもうはっきり出ておるわけですね。で、この新聞、日経に発表されるにあたりまして日経は、こういうふうに言っているんですね。自由米、つまりやみ米のことです。「自由米取引が重視されるようになったので、きょうから自由米相場を掲載します。」こういうふうに、もう大新聞が堂々と、「自由米がいよいよ発足するんだ」と、だから「相場が立ちます。」と、こういうふうに新聞が書いておるわけでありますが、これを見ましても、いわば自主流通米制度というものが、この法律違反のやみ取引をいわば公然化する一つの契機といいますか、その基礎といいますか、そういうものをつくったんじゃないかと思うんです。この点についてはどうでしょうか。
#256
○政府委員(中野和仁君) いまの日本経済新聞の四十四年の時期のことはちょっと別にいたしまして、われわれ推定をしておるわけでございますが、ここ十数年大体毎年やみ米というのが九十万トンから百万トン、年の豊凶によってフレておりますが、それがあったことは事実でございます。それにつきましてそれじゃ全部取り締まらないかということになりますと、非常に食糧のないときは買い出しを取り締まるようなこともやったわけでございますが、もうそのころになりますと、非常に需給が緩和しておりましたので、逐一取り締まることはできません。それで大量悪質なものについては、警察当局とも御連絡しまして、警察当局も毎年百件とか、百数十件とかいう取り締まりは、悪質なものについてはやってきたわけでございますが、何しろいま申し上げましたように、九十万トンから百万トンのやみ米があるとしますれば、そういう市場が、どういうふうにあるかということはなかなか把握しがたいわけでございまして、何となしにやみ相場が立つということであります。そういうことと自主流通制度との関係のお尋ねでございますが、やはりそういうことが以前からありまして、それと同時に、自主流通ができておりましても、自主流通につきましては、私が先ほど申し上げましたように、全国農業協同組合連合会等の指定法人、御売業者、実需者がしっかりしておりますければ、それは、そこでの話し合いの値段で値ぎめをいたしますから、そのやみ相場にはとらわれないことになるわけでございます。と同時に、そこでの自主流通での値段がまだいわゆる自由米取引の値段を左右するというようなこともあるかと思います。そういうようなことでございまして、われわれ食糧庁としましては、そういう相場が立たないほうが当然望ましいわけでございますが、残念ながら、いま申し上げましたように相当前からあって、いまも続いておるということでございます。
#257
○塚田大願君 問題は、そういうやみ相場というものがすでにあったということを、もう何年も前から食糧庁では知っていらっしゃったということなんですね。これに対して、なぜもうちょっと早く手を打たれなかったのか。今日こういう事態になりましてから、あわれてて、やれ立ち入り検査だ、やれ摘発だといったようなことでは、これはもうやはり農政として、特に食糧、国民の主食を扱ってる農林省といたしましては、非常に大きな立ちおくれではないかと思うんですが、その点ではどうでしょうか。
#258
○政府委員(中野和仁君) 先ほども申し上げましたように、非常に需給が緩和しておりますと、個々の農家から始まりました少量のやみ取引というのは、なかなか全部を取り締まるということは困難でありますし、また、社会的な条件から見ましても、そこまではやることはなかろう、むしろやっぱりそういう中にありまして、大量悪質のものは取り締まるべきだという観点から、司法当局、食糧庁ともそういう態度できたわけでございます。ところが、今回投機であったかどうかは、われわれの調査に関する限りは、大部分実需者の手に渡っておりまして、買い占めであったかどうかはちょっと疑わしいわけでございますが、やはりそういううわさが立った際に、もし万一主食にそういう手が伸びておりますれば、これはたいへんなことでございます。われわれとしましては、先ほども御批判がありましたように、おそ過ぎたじゃないかということもありましたけれども、われわれとしましては、食管法に基づく調査をやりまして、流通段階にものが滞留しないようにやったわけでございます。その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
#259
○塚田大願君 まあ何かと食糧庁は弁明をされているわけでありますけれども、しかし、国民感情からいいまして、これはやはり大きな失態だとこれは認めぎるを得ないだろうと思うんです。しかし、まあとにかく起きたことでございますから、これはこれとしまして、今後こういうことが起きないように抜本的にやはり政府としては、手を打っていただかなければいけない、それには、やはり何といっても、こういう大きな大手業者が米をはじめあらゆる物資を買い占めておる、これがやはり大きな原因でございますから、私は、やはりそこにはっきりこの目標を置いて、今後こういうことの二度と起きないような措置を講じていただきたい、こういうふうに思うわけであります。だいぶ時間も経過いたしまして、いろいろまだ質問したいところがございますが、物統令の問題につきましても質問したいと思っておりましたが、まあこれは先ほどももうすでに若干出ましたので、この問題は飛びまして、次に、生産調整の問題についてお伺いしたいと思うのであります。
 生産調整の問題につきましては、田中総理が、去る二十二日の参議院の予算委員会に一おきまして、強制割り当てはしないと、目標に達しなければ備蓄米になるので地域の実情にまかせたいと、こういうふうな発言をされました。これはどういうことなんでございましょうか。これはつまり四十八年産の生産調整目標二百五万トンを変更するという意味にとってよろしいのでございますか。その点、大臣どういうふうに考えたらよろしゅうございますか。
#260
○国務大臣(櫻内義雄君) 総理も、この二百五万トンの生産調整をしておることは十分念頭に置かれておってのお答えだったと思うんであります。私がいろいろ申し上げたあとのことでございまするから、私はそういうふうに判断をするのでございまして、きようもしばしばお答えをしておりますように、また食糧庁長官のほうからも申し上げましたように、この生産調整の実態というものが県によっては、目標を上回る場合も出てくる。それから県によっては、目標を下回る場合も出てくる、いろいろでございます。
 そこへ私がいつも口にしておりますのは、この生産調整というものが、そもそも始まったときは、御承知のように、やむを得ざる事情から画一的にやった。それでそのために、いわゆる虫食い状態のような状況もあちこちにあるんだと、農政の行き方として、能率のよい農業、あるいは適地適作ということを言っておるときに、こういう点は解消していきたい、こういうことから、その辺をことしの生産調整の場合は、目標は二百五万トンであるけれども、地域地域の事情を勘案して、そして食糧庁においても調整をとったらばどうかと、こういうふうに申し上げておるわけでございます。それを総理の御発言を、私いま思い起こしてみるに、県によっては生産調整を強制するものでない、こういうことにもなると思うのであります。その辺のことを発言をされたように、私は理解をするわけでございまするし、また、ただいま申し上げたようなことで、本年は、その適地適作の考え方を十分入れてはおるんでございまするが、三年目のことでございまして、実情に沿わないところがあれば、全体の中で十分その調整ができると、かように見ておるわけでございます。
#261
○塚田大願君 田中総理の発言というのは、農林大臣がしばしばここでも説明されましたあとでやられたので、私は、これは農林省として一歩政策を前進さしたのかというふうに理解したわけでございますが、いま聞いてみますと、必ずしもそうでもなさそうでもあり、また、そうでもあるように、どうも私ははっきりしないのですけれども、そうすると目標は変えないと、しかし地域の実情を考慮してと、こういうのは買い入れ制限はしないということなんですか。その買い入れ制限の問題についてはどういうことなんですか。
#262
○国務大臣(櫻内義雄君) 調整の結果、買い入れ制限を手直しする場合も起きてくると思います。それでまた、先ほどから、余り米の問題などでいろいろ問題があるということでございまするから、できればそういう手直しによって、正規のルートに乗るようにするようにつとめたい、こういうことでございます。
#263
○塚田大願君 この問題は、しかし非常にいままでも論議されてまいった問題でございまして、特にこの生産調整、買い入れ制限というのは、そして結局余り米というような差別まで行なわれてしまった。なるほど政府は、生産調整の目標を達成したかもしれませんが、しかしその結果、農民が非常に、先ほど塩出委員も指摘しましたが、生産意欲を減退さしてきている。そして農政不信を非常に強めてきておるという結果になったと思うのです。今日の農民の農政に対する不信は、私、赤城農林大臣のときにも批判をいたしました。あのときには、一般の世論は、農政というのはイエス、ノーのノーだと、つまり政治がないんだ。こういう形で批判しましたが、最近の農民の声というのは、いまの田中内閣の農政は場当たり農政だ、いろんなことを言って、いろんな宣伝をする。しかしこれといって信用できるようなそういう政策は出てこない、米をつくるな、つくるなというけれども、じゃ農民何つくればいいのかということが、必ずしも出てこないではないか。こういう点で、やはり農政不信を非常に強めていると思うのであります。したがって、私は、ここで大臣が積極的に農政に取り組んでいくということでございますけれども、何か少し勘ぐって聞けば、生産調整の緩和というふうな発言というものが政治的である。来年は休耕奨励金を打ち切る時期になった、したがってまあそういう事態に対応した政治的な発言ともとれるわけでございますけれども、私はやはり生産調整という方向を転換するならば、まず何よりもいままでの減反政策について徹底した総括、まとめをする必要があるのではないか。何かなしくずしに、場当たり的な発言、政策というふうな、そういう印象を払拭するためにも、やはりいままでの生産調整がどういう結果を生んだか、どういうことになったのかという点でのまとめをおやりになる必要があるんじゃないかと思いますが、その点ではどうでございましょうか。
#264
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの御意見私非常に参考になりました。私もここでしばしば申し上げましたが、ことしの作柄の模様あるいは生産調整の推移などを見て、一体どうなるのか、本年が、生産調整は、御承知のように、三年目のことでございます。そこで明年からは、休耕奨励金をなくすという、こういう段階でありまするので、ことしは転作を奨励し、また一方におきまして、国際的な食糧需給の逼迫の反映から、飼料作物などについて大いにつくるがいいという、そういう世論でもございます。また、転作がぜひ定着するような方向に他の施策をも考えつつやりたい。こういうところでございまするので、ただいまの御意見につきましては、明年度以降の生産調整をどういうふうにもっていくかというときに、参考にさしていただきたいと思います。
 なお、先ほど、買い入れ制限の手直しという御質問に応じてお答えを申し上げておりますが、予約限度数量の県別の手直しというふうに申し上げるのが正しいかと思いますので、その点御了承いただきたいと思います。
#265
○塚田大願君 その買い入れ制限の問題では、まだ問題が残っておりますから、いずれこれはまた機会をみてお尋ねしていきたいと思います。ただまあ農政に対して、農林省が、大臣が積極的にひとつやりたいという意欲を持っていらっしゃることは理解することができますので、ひとつそれを大いに今後も注目していきたいと思います。
 最後に私もう時間がまいりましたので、酪農、乳価の問題で一言質問をしたいのでございますが、先ほどの中村委員の質問で、大臣は乳価の問題を、まあ農民の要求する方向で、また、審議会の答申を待って取り組みたいというお話でございましたが、実は先ほどの私の聞いたところによりますと、結論が出たそうでございます。何でも三円三銭アップということだそうでございます。農民の要求が二十八円六十九銭という要求でございますが、これに対して三円三銭ということでは、農民が納得しないのではないかと思います。ひとつこの点では、やはりなぜ、酪農民がこの問題で真剣に取り組んでいるかという根本的な時点に返って、この農林省の政策をきめていただく必要があると思いますが、まずこの乳価の問題について大臣どういうふうにお考えでございますか。
#266
○国務大臣(櫻内義雄君) いまお話の点は、農林省としての試算をしたその諮問の三円三銭ということを言われたと思うんであります。答申としては、従来、それを受けまして、留意すべき事項を答申をしていくのが慣例でございまして、実はもう時間的にいえば、おっしゃるとおりに、答申が、きそうなものだと思っておるんでございまするが、私ずっと委員会、本会議、委員会と出て、役所のほうを離れておるんで――いまも審議官のほうに答申のそれが、きているかと、こう申しましたところ、いままだここに、手元にはないと、まだきてないということでございまするので、ちょっとお答えがしにくいことをお許しいただきたいと思います。
#267
○塚田大願君 私の聞いたところでは、もう答申が出たと、こういうことなんですが。その結果によっては、農民が、農林省に押しかけて、十円になるまでは絶対に動かないと、いま、こう言ってがんばっておるそうですが、この辺もよく考えておきめ願いたいと思います。いずれにしましても、私が会いました北海道の酪農民が、とにかくこの酪農が生きる最後の道だと、もう酪農がだめになったら、自殺でもするよりしようがないと、こういうふうに、非常に深刻に問題を考えておるわけでございまして、そういう点でひとつこの農民の声を、十分大臣も頭に入れていただきまして、やはり酪農政策を立てていただきたい。このことを最後に質問しまして、私の質問を終わります。
#268
○国務大臣(櫻内義雄君) 私としても、もう期限ぎりぎりまで、皆さんの意を体して、最後の努力をいたしたいと思います。
#269
○委員長(亀井善彰君) 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後六時三十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト