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1972/06/05 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第10号
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1972/06/05 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第10号

#1
第071回国会 農林水産委員会 第10号
昭和四十八年六月五日(火曜日)
  午前十時二十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀井 善彰君
    理 事
                佐藤  隆君
                初村滝一郎君
                工藤 良平君
                中村 波男君
                塩出 啓典君
    委 員
                梶木 又三君
                田口長治郎君
                高橋雄之助君
                棚辺 四郎君
                平泉  渉君
                堀本 宜実君
                足鹿  覺君
                杉原 一雄君
                辻  一彦君
                沢田  実君
                塚田 大願君
   国務大臣
       農 林 大 臣  櫻内 義雄君
   政府委員
       農林政務次官   鈴木 省吾君
       農林大臣官房長  三善 信二君
       農林省農林経済
       局長       内村 良英君
       農林省農蚕園芸
       局長       伊藤 俊三君
       農林省食品流通
       局長       池田 正範君
       農林水産技術会
       議事務局長    中澤 三郎君
       水産庁長官    荒勝  巖君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       環境庁水質保全
       局水質管理課長  山村 勝美君
       厚生省環境衛生
       局食品衛生課長  三浦 大助君
       厚生省環境衛生
       局乳肉衛生課長  岡部 祥治君
       通商産業省繊維
       雑貨局原料紡績
       課長       堺   司君
       運輸省港湾局技
       術参事官     大久保喜市君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○日本てん菜振興会の解散に関する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○農水産業協同組合貯金保険法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○農林中央金庫法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 理事の辞任についておはかりいたします。
 園田清充君から文書をもって都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(亀井善彰君) この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に佐藤隆君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(亀井善彰君) 日本てん菜振興会の解散に関する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○塩出啓典君 それでは最初に、三十四年二月五日の政府の「甘味資源の自給力強化総合対策」では昭和四十三年の砂糖の需要量百五十二万トン、そういうような予想を立てておったわけでありますが、実際には、三十六年で百五十二万トンを突破して非常に需要量が大幅に狂ったわけでありますが、大体農林省の予想は狂うことが非常に多いわけですね。いつもそれを、あとから何だかんだといって理由づけをするわけですが、やっぱり農林省のそういういろいろな予測というのは、農民の指針になるわけですから、そういう基礎になる数字がこのように狂うということは非常に問題だと思うんですけれども、どういうわけでこんなに狂ったんですか。
#8
○政府委員(伊藤俊三君) ただいま先生御指摘のように、四十三年の需要の見通しというものがかなり違いが生じたことは事実でございます。これは昭和三十年代から四十年代の初めにかけての日本経済の急速な成長というようなものに伴いまして国内の消費というものが伸びたというように私どもは考えておるわけであります。砂糖の消費というのは、大体国民所得の伸びに伴って伸びてくるというようなことでございますが、この間における国民所得の伸びというものが非常に大きかったというようなことにもよるのではないかと思う次第でございます。
#9
○塩出啓典君 非常に国民経済が予想以上に発展をしたということでございますが、昨年の「農産物需給の展望と生産目標の試案」、これを見ますと昭和五十七年には約四百万トンになると。これは一体どういう根拠で、四百万トン、いわゆる三百九十七万四千トンになるという、そういう計算になりますか、その計算の根拠を示してください。
#10
○政府委員(伊藤俊三君) 国民生活の必需物資である砂糖の需要の見通しにつきましては、先ほど申し上げましたように、所得の伸びというようなことにも関連するわけでございまして、五十七年度の砂糖の需要というようなことにつきましては、過去の伸びと、それから実質消費支出の傾向等から推定をいたしまして、四十五年の約一・四倍というようなことで推定をいたした次第でございます。
#11
○塩出啓典君 それで、この砂糖の国際的ないわゆる需給関係ですね、非常に砂糖の国際価格もだんだん上がってきておる。そのように聞いておるわけでございますが、今後のやはり見通しといいますか、そういうものについては農林省としてはどのように考えておるのか。
#12
○政府委員(池田正範君) 国際糖価でございますので私からお答え申し上げます。
 最近の世界の砂糖の消費量は大体三%ぐらいの率で毎年伸びてまいっておりますが、一九七一年から七二年までの間の砂糖の消費量は、七千六百万トン、これを上回る水準に達しております。ところが、砂糖の生産のほうは足踏み傾向でございまして、特に一九七〇年から七一年にかけてのキューバの減産が非常に大きく響いておるわけでございます。同じ七一年〜七二年におきますところの砂糖の生産量が七千三百五十万トンということで、ここ数年間それから先もしばらくの間はかなり窮屈な状況に置かれるのではないかと。ただ、最近の情勢によりますと、キューバの増産対策が多少実を結びまして、前年よりはさらに増産が見込まれるといった情報が入っております。したがって、供給力といたしましては、前年の七千三百万トンをこえる供給力が見込まれる。しかし、消費量のほうは、大体七千六百万トンをべースにしてさらに伸びていくと。FAOの統計等でも大体年率二・八%で伸びていくというような見込みを立てておりますので、需給状況全体としてはやはりタイトで進まざるを得ないだろう、こういうように見込んでおるわけでございます。
 そこで、御承知のように、昭和四十四年に国際的な砂糖相場の中心――ロンドンの相場を申し上げますと、ポンド当たりで、三十七ポンド三十七でございましたのが、四十六年にはこれが六四・四九ポンド、四十七年に入りまして急激に上がり始めまして、最近では九十ポンドをこえて百ポンドをこえるというような瞬間的な風速も出ております。したがって、従来から見ますと、国際的な相場というものはかなり高目に推移をするということを見越していいかと思います。
 そこで、農林省といたしましては、これらの高目の相場をそのままで現在は買っておるわけではございませんで、砂糖協定を国際的に現在結んでおりますが、本年一ぱいで現在の砂糖協定の年限が切れるわけでございますけれども、これは、つい先般まで――昨年まではポンド当たりで六セント九十五でこの協定国間の取り引きが行なわれておりましたが、最近に至りまして、御承知のドルの切り下げが行なわれました。約一〇%の切り下げに伴いまして、御承知のように血として供給国側は発展途上国でございますので、したがって、ドルの価値の低下した分だけふやしてくれと。これは石油の場合と同じようなものでございます。そこで七セント六十というふうに現在上げて取り引きをいたしておるわけでございます。したがいまして、全体といたしましては、大体七十ポンドをちょっとこえたところというふうなところで、しばらくの間は供給力の大部分がまかなえる。問題は、ことしの末までにこの協定の改定をいたします。その際の改定の中身のいかんによって日本の買いますところの砂糖の価格というものは変わってくると、こういうふうなことになろうかと考えます。
#13
○塩出啓典君 そうすると、おそらく、新しい砂糖協定の内容は、大体、いままでは値段よりも下がることはない、だんだん値段は上がっていく方向にあると、そういうように判断していいわけですか。
#14
○政府委員(池田正範君) 現在のところ、具体的に上がるか下がるかを想定することはむずかしゅうございますが、いま御指摘のように下がることはなかなかない。これはやはり上がる傾向でしばらくはいくであろうというふうに考えております。
#15
○塩出啓典君 それで、農林大臣にお聞きしておきたいんでございますが、今後のそういう日本の農業におけるいわゆるてん菜の占める位置でございますが、特に北海道を中心に現在はあるわけでございますが、今後、そういうてん菜の作付等についてはどういう方向でいくのか。おそらく、砂糖の自給率を高めると、そういう点から、やはり、この北海道を中心としててん菜の生産をふやすように作付面積もどんどんふやしていく。そういう方向にあるんではないかと思うのでございますが、そういう日本農業の中において、てん菜というものをどういう位置づけに考えておるのか、それを聞いておきたいと思います。
#16
○国務大臣(櫻内義雄君) 御質問にもございましたように、甘味資源の国内生産の振興については、国民の必需物資でもあるわけでございまして、そこで五十七年を目標に自給率を二八ないし二六%ぐらいにしたい。その中で、てん菜につきましても、昭和四十五年の作付面積が五万四千ヘクタールでございますが、これを七万七千ヘクタールぐらいに拡充をしてまいりたい。そして十アール当たりの収穫量を、四十五年で四トン三一でございますが、これを四トン九七、約五トンに引き上げていこう。その結果、昭和五十七年におきましては、生産量が三百八十二万七千トンというようなふうに目標を置いておるわけであります。そのためには、四十八年の予算関係をごらんいただきましてもおわかりのように、てん菜大規模集団産地推進事業とか、あるいはてん菜畑多目的散水施設の整備事業であるとか、てん菜輪作畑改良事業であるとか、てん菜共同育苗施設設置事業であるとか、こういうような各種の事業を遂行しながら、ただいま申し上げたような目標に向かってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#17
○塩出啓典君 それで、今日まで砂糖の自給率を高めるという方向できたわけでございますが、しかし最近は、年々自給率も低下しているわけですね。また作付面積も、昭和三十年から昭和四十年ぐらいまではふえておりますが、四十年代になってはあまり作付面積もふえてない。まあそういうような現在の状況の中で、こういうような、なぜ作付面積等がふえないのか。まず、農林省はそれはどういうように考えておりますか。
#18
○政府委員(伊藤俊三君) てん菜につきましては、ただいま大臣からお答えがありましたように、従来からその生産の振興をはかっておるわけでございますが、てん菜の生産の一番の問題というのは、やはり何といいましても、労働力を非常に多く必要とする作物であるということであります。十アールあたりの労働時間が、小麦だとか、豆類の二倍以上の労働時間でございます。こういったことが、やはりてん菜の作付面積の伸び悩みの最大の原因になっておるということでございます。そういう意味で、私どもといたしましては、てん菜を今後伸ばしていく上から省力的な技術体系というものが必要であるということを考えておるわけでございます。で、てん菜振興会のほうでいろいろつくり出しました品種というものも、単胚品種、Tの一〇一三――この前も御説明申し上げましたが、一〇一三という単胚品種は省力的な品種でございます。また、この省力的品種をもとにしながら、その普及をはかりながら、機械化を進めていくということ、これが一番重要なことであろうというふうに考えておりまして、そういう方向でてん菜の振興をはかっていくことが一番必要である、かように考えておる次第でございます。
#19
○塩出啓典君 そうしますと、そういう方向は大体わかりました。
 それで、いわゆる省力化のできる非常に手間のかからない品種を普及していく、それから機械化をして省力化していく、それで四十七年十月の「農産物需給の展望と生産目標の試案」にも「十年後のてん菜生産は、中・大型機械化体系の導入、普及により、」「集団的生産組織によって行なわれることとなろう。」と、そういうようなことが書いてありますが、これはおそらく「なろう」ということは、そういう方向に、農林省としても当然目標ですから、力を入れていくということなんですね。単なる競輪の予想みたいに、こうなるであろうということを、客観的に予想するのでは、農林省としてはまことに無責任でありまして、こういう文章は全くわれわれはよろしくないと思うのでありますが、意図するところは、やっぱり十年後のてん菜の生産は、このように全面的に集団的な生産組織になるように推進をしていくと、そのように考えていいわけですか。
#20
○政府委員(伊藤俊三君) そういった方向で私ども努力すべきものと考えております。
#21
○塩出啓典君 そういたしますと、現在はどうなんでしょうか。中・大型機械化体系の導入とか、あるいは集団的生産組織になると、そういっても、これは十年後に一ぺんになるわけではなくて、やはり毎年毎年、ことしはどの線、ことしはどの線までいくと、そういう作業の集団化に対しては、当然、土地の基盤整備というものを並行して行なわなければならないわけでございますが、その双方相まって、やはり十年後の目標に対して、具体的な年次計画――先ほど農林大臣は、今年度は、いろいろなこういうてん菜についての項目をやっておると。項目をやっているからいいというのではなくて、そういう一つ一つの項目が、来年はこれだけいって、再来年はこれだけいって、十年後にはここまでいくんだという、そういう見通しのもとになされていかなければいけないと思うのですが、そういう点、こういう大型機械化の導入、集団的生産組織の姿というのは、現状ではどの程度まで進行しているのか、そうして十年後にはこうなっていくという大体の計画はどうなっていますか。
#22
○政府委員(伊藤俊三君) てん菜の栽培の機械化というようなことにつきましては、従来からも努力をいたしておりますが、最近の生産費調査というようなものを見ますと、てん菜の十アール当たりの労働時間が四十三・六時間でございます。私どもが考えております大型の体系によりますと、十・五時間ぐらいにそれを切り詰めたいということでございます。で、そういうように労働時間を短縮いたしますためには、かなり大きな機械を入れていくということが中心になるわけでございます。私どもの試験研究の過程で、最近大型の機械の導入というものが可能である、こういったものが機械の導入によって深耕の効果も出る、それから融雪直後の耕起の能率が高められるというようなことも考えて、大型機械の導入ということをやるように努力をしたいと思っておるわけでございます。もちろん全部が大型機械になるというわけでもないというように考えておりますが、そういった大型機械の導入の困難なようなところでは、四十ないし六十馬力ぐらいのトラクターを中心とする中型の機械というようなことも考え、両方並行してやっていくというふうなことでございます。大型化につきましては、四十七年からの一応五カ年計画で三十二地区、一地区が百ヘクタールぐらいのもの三十二地区、まず四十七年から五カ年計画で導入をしていきたいというような考え方を私どもでは持っておるというようなことでございます。
#23
○塩出啓典君 そうすると、いまいわゆる全国の一五万何千ヘクタールのうちで大型機械を進めているのがいま何ヘクタールぐらい、中型機械が何ヘクタールぐらい、その他がどれぐらい。それから十年後には集団的な栽培にしていくということでございますが、現状では大体集団的な栽培というのはどうなっていますかね。どの程度までいっているわけなんですか。
#24
○政府委員(伊藤俊三君) 従来から入っております機械、いろいろな機械が入っておるわけでございますが、三十馬力以上のものをとりますと、約九百台ぐらい四十六年ぐらいまでの間に入ってきております。百馬力ぐらいのものがまだ一台ぐらいでございますが、現在までに大型で入っておりますものが六十四地区になっているそうで、いずれもこれは集団的利用ということで入ってきておるわけでございます。これを今後必要に応じながら逐次増加していきたいというふうに考えておるわけでございます。
#25
○塩出啓典君 だから、私は面積を、台数じゃなしに、大体五万七千ヘクタールのその面積、結局四十一年から五カ年計画で、五カ年計画であったら、四十一年から六年で終わるわけですからね。
#26
○政府委員(伊藤俊三君) 四十七年。
#27
○塩出啓典君 四十七年から……。だから、これから始めるわけですね。そうしますと、まず現状ではすでに大型機械が入っている。そういう大型機械を導入して集団的な栽培をやっている面積というのは全体の大体何%ぐらいを占めているかという、そしてこの五カ年計画が済んだ場合には大体それが何%ぐらいまで上昇していくか、それを知りたいわけですよ。大体の目安でいいですよ。
#28
○政府委員(伊藤俊三君) 私ども現在まで、先ほど申し上げたように六十四台入っておりますが、百ヘクタールにいたしますと、六千四百ヘクタール程度になるわけでございます。将来大型で考えておりますものは一万六千二百ヘクタール程度、大型による機械化ということを考えております。
#29
○塩出啓典君 これはじゃ、将来というが、いわゆる五カ年計画が済んだ段階で……。
#30
○政府委員(伊藤俊三君) そういうことです。
#31
○塩出啓典君 そうしますと、五カ年計画だと五十二年ぐらいですね。さらにそれからあと五十七年までに七万七千の半分ですから、いわゆる三万何千ヘクタールまで持っていくと、そういうように理解していいわけですね。――そういう点、ひとつただ単なる目標ではなしに、やはりその目標の達成に至る土地の基盤の整備とか、機械の導入とか、そういうようなことが並行して行なわれなければいけないのじゃないかと思うのですね。
 そこでちょっと私お聞きしたいのですが、北海道でも、非常に、全域ではなしにてん菜がいわゆる十勝地域とか、あるいは網走地域ですか、そういうところに非常に集中しているわけですね。で、やはりてん菜というものは天候にも非常に強い。まあ最近お米もだんだんそういういい米をつくるということになってまいりますと、天候に対しても非常に弱いわけでございまして、しかも単位時間当たりの収入ということから考えれば、かなりてん菜がいい。これは農林省の説明ですからら、真偽のほどは私わかりませんけれども。そういうことであるならば、やはり今後国際的なそういう砂糖の値段も上がっていくという時代を背策にして、かなり北海道等においてはほかの地域もてん菜をもっと伸ばしていくべきではないか。当然そうふえてこなければならぬと思うのでありますが、しかし、実際には、ほかのところはあまりふえてない。これはやはり何か特別な理由があるのですか。
#32
○政府委員(伊藤俊三君) やはりてん菜というのは、ある程度の経営規模を持たないと、なかなかやりにくいような点もあるわけでございます。でで、従来いろいろな地域でいろいろ努力もなされたわけでありますが、やはりいままでのところでも適地、大規模な経営というようなものが可能なところということで、先ほどお話がございました十勝でありますとか、網走、そういった畑作地帯でてん菜が非常に伸び、着実な地盤を持っている、こういうことであろうかと思います。私どもとしましては、やはり今後てん菜を伸ばしていく上からいって、われわれが努力をすべき対象としては、水田地帯もあるのではないか。特に米作紙換というようなことを私ども考えておりますので、水田地帯にもいろいろ伸ばす努力をいたしております。水田転換で、現在までに、四十七年までに二千四百ヘクタール程度すでに転換できておりますが、こういったものをさらに伸ばしていくというための必要な施策も講じたいと思っております。ただ、排水が不良でございますと、なかなかてん菜が入りにくいというようなこともございますので、そういったことも考えあわせまして、てん菜の作付を伸ばしていくための努力を傾けたいと思っております。
#33
○塩出啓典君 それから沖繩のサトウキビが、私がもらいました資料ではだんだん減っておるように思うわけでありますが、国全体としては、砂糖の自給率を高めるという方向において、沖繩のサトウキビについては、農林省としてはどう考えているのか、やはり沖繩のサトウキビは今後、沖繩等においては、農業といえばもうサトウキビあるいはパインと、そういうものしかないわけでありますが、やはりわれわれの考えとしては、サトウキビやパインがそこの畜産と一緒になれば、サトウキビの穂先とかあるいはパインのかすとか、そういうのは飼料にして非常に将来有望ではないか。そういうような印象を持っておるわけでありますが、この最近の状況を見ますと、沖繩のサトウキビはだんだんだんだん生産量も減ってきておる。これはどうするつもりなんですか、沖繩のサトウキビは。
#34
○政府委員(伊藤俊三君) 先生御指摘のように、沖繩県における農業の基幹作物としてサトウキビがきわめて重要な地位を占めております。四十五年の資料でありますが、作付率が六三%、農業粗生産額に占めるウエートが三九%、そういうようなサトウキビの重要性というようなことにかんがみまして、私どもとしましては、沖繩を九州の南西諸島と同様に生産振興地域に指定をいたしまして、その生産の振興のためのいろんな施策というものを講じておるわけでございます。サトウキビの省力化パイロット事業でございますとか、サトウキビの刈り取り機の開発事業、あるいは土壌改良用機械の導入事業というようなことをやりますと同時に、さらに土地基盤の整備というようなことにも相当の努力をいたしておるような次第でございます。ただ、最近サトウキビにつきましては干ばつがございまして、そういったことでかなり減ったということと、最近の労働力不足というようなことで、サトウキビの生産が停滞ぎみであるということも事実でございます。私どもとしましてはてん菜と同じように、サトウキビもかなり収穫に労働力がかかります。その収穫の労働力をもっと節約するようなかっこうでの収穫の機械化というものに努力をいたしておる農業機械研究所というものがございますが、そういった研究所で最近いい機械が、小型の機械ができてまいりまして、そういったものの導入をはかってサトウキビの生産の振興を、――もちろんそれには当然基盤整備ということも同時に並行して行なっていかなければならない、かように考えてる次第でございます。
#35
○塩出啓典君 それと、今回この特殊法人が解消になりまして、そこに働いておる人たちの給料がいままでよりも公務員になって下がると。それは大体一〇%下がるとか、一五%ぐらい下がるとか――衆議院の会議録では一五%ぐらいとか、こちらでは一〇%ぐらいというような話で、大体これは実際はどうなんですか。一人一人に見た場合に、一番よけい下がる人で何%ぐらい、逆に上がる人もいるんじゃないかと思うんですが、その点はどうなんですかね。
#36
○政府委員(伊藤俊三君) 一五%ないし二〇%ぐらいというところで人事院が格づけをするということになっております。大体そのくらいの水準で、同様の学歴、経験年数等で、現在国の試験場におられる方がそういった条件で勤務しているということでございますので、それとのバランスというものを考えまして格づけをしていくということになろうかと思います。
#37
○塩出啓典君 いまのは、説明がよくわからなかったんですが、結局、人事院が、この人がまあ何号になると、そういうことをきめるわけですね、同年代の学歴と研究歴で。だから、それはまだやられてないわけですが。けれども、大体そういうことはいま考えればわかるわけですけれども。そうすると、それは一五彩から二〇%ぐらい減俸になるということなんですか、そういういま説明ですか。――そうしますとかなりやっぱり大きな金額ですけどね。そこに働いてる人たちは少々月給下がっても、国のやっぱり公務員のほうが、将来の年金の問題等考えて非常にいいとかいうような、そういうような説明を私は受けてるわけなんですけどね。しかし、二〇%も給料が減るということはかなりショックじゃないかと思うんですけどね、そういう点はみんなそれぞれ喜んでるんですか。
#38
○政府委員(伊藤俊三君) 給与の問題につきましては、国家公務員になるわけでございますので、ある程度いま申し上げたような程度の低下ということもやむを得ないと思います。ただ、特殊法人の職員が国家公務員になります場合には、当然身分が安定をいたします、年金の額も多うございます、健康保険が有利にもなるというようなことで、かなり別の面では非常に有利な点もございまして、たとえば年金の問題でございますけれども、加入期間二十年ということをとりますと、老齢年金と退職年金を比較いたしますと、老齢年金の場合には一万六千円、それから国の退職年金の場合には四万四千五百円というようなことになりまして、三倍近く――二・五倍くらいでございましょうか、そのくらいまでになります。それから三十年というようなことをとりますと、従来のてん菜振興会でございますと二万四千円でございますけれども、国家公務員になりますと六万一千六百円になるというようなこともございまして、そういう面でもかなり私は有利になる点があろうかと思います。そういう点もお考えの上で、いまの研究所の職員が国の職員になるというようなことを強く御希望になっていらっしゃるというように私どもは承っております。私どものところにも、しばしばその研究所の職員の方がお見えになりまして早く移管をしてほしい、自分たちも国の職員になりたいということを言っておられるというような状況でございます。
#39
○塩出啓典君 では最後に、農林大臣に要望しておきたいのでありますが、ひとつてん菜も、特に北海道においてはこれは重要な農産物でありますし、一方では、米が余って休耕しているような全国的なそういう状況にあるわけですから、やはり砂糖の国際的な生産の不足という点から考えても、このてん菜の生産量の増大、自給率の上昇というものについては、農林省も単なる目標じゃなしに、実際のその目標に達成できるようにその施策を強力に推進をしてもらいたい。
 それともう一つは、先ほどの、いろいろ研究員の人たちの今後身分が変わっていくわけでありますが、まだまだそういうてん菜の品種改良等においてもますます改善していかなければならない問題もたくさんあるわけでございまして、そのためには、そこに働く研究員の人たちが、いままで以上に良好な研究環境の中で意欲と情熱を持って研究できるような、そういう体制でなければ私はてん菜の振興はいけないと思うのです。そういう点でそういう研究員の人たちの給料がだいぶ減るわけでありますけれども、そのためにいろいろなショックを受けたり、そういうことのないように万全の配慮をしていただきたい。
 この二点を農林大臣に要望してきょうは質問を終わりたいと思います。
#40
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの御要望の点につきましては、これからの施策の上におきまして私どもとしても万全を尽くしてまいりたいと思います。
#41
○塚田大願君 私は、まずこの日本てん菜振興会の解散並びにその経過について質問をしたいと思いますが、第一に、この解散の理由でありますけれども、このたびの提出されました法案の提案理由の中には、「日本てん菜振興会による試験研究は一応当初の目的を達成するに至っており、」云々と、こうなっております。そこで、これはこの間から他の委員からも質問がございまして、その答弁を聞いておりますと、先ほども出ましたけれども、T一〇一三というふうな非常に優良な品種が育成された。これがいわばこの解散の一つの根拠であると、こういうふうな説明でございましたので、私はあらためてこの点をまずひとつ確認しておきたいと思いますが、いかがですか。
#42
○政府委員(伊藤俊三君) 日本てん菜振興会というのを設立いたしました目的は、研究者と資金を集中をいたしまして、諸外国に比較しまして、かなり立ちおくれておりましたわが国のてん菜に関する試験研究というものを早急に向上させる。それからわが国に適した優良品種を育成する。こういうことがてん菜振興会設立の目標であったわけでございまして、で、三十四年に設立されましたが、今日までに品種の育成を中心といたしますいろんな試験研究、それのまずは基礎的条件の整備が必要であったわけでありまして、高糖性でありますとか、多収性、耐病性あるいは早熟性といったいろいろな特殊性を有します三百六十一の育種素材というものをつくりあげました。そしてその育種素材の組み合わせによって新品種を育成するというような基礎的な条件をまず整備いたしました。それから最近は、国際的に見ても新しい方向であります単胚品種、先ほども御説明申し上げましたけれども、非常に省力的な品種であるわけでありますが、そういった単胚品種につきまして優良なものの育成をする、できる甲通しが出てきました。こういったものの幾つかの系統のうち、まずTの一〇一三というものが出てきました。これが本年将励品種となりまして、指定されまして、普及段階に入ることになったわけでございます。このほか、まだあとに続くような品種も出てきておるわけでございまして、そういうようないい品種を育てあげる、非常に短い期間でございまして、本来てん菜の品種の育成ということにはかなりの長年月を要するわけでございますけれども、比較的短い期間にこれだけの品種をつくりあげるというようなことができたと、またもう一つ、栽培技術の改善の面あるいは病虫害の防除技術の確立の面でもかなりの成果をあげております。わが国の、従来てん菜の栽培で一番大きな問題になっておりましたものは褐斑病という病気がございます。この褐斑病につきましても、非常に効果の高い防除法というものが開発されました。そういったことと相まちまして、てん菜振興会というものの仕事というものがある段階まで到達をした。欧米の水難に、かなり負けないような水準まで到達をいたしました。こういうようなこともございまして、この際てん菜振興会を解散して国が引き継いだらいかがかと、こういうようなことを考えた次第でございます。
#43
○塚田大願君 一般的なことはよくわかっておるので……。私が、質問をしたのは、T一〇一三というふうな、具体的なこういった成果があがったと、これは確かに私も評価していいんではないかと思うわけでございます。それで、このたびのこういう解散という措置になったわけですが、そこでお聞きしたいんですが――このT一〇一三、これはことし一月十九日でありますか、北海道の奨励品種と決定された。そこでお伺いしたいのは、じゃあこの日本てん菜振興会の解散というのは、一体いつきめられたのか、その時期ですね。この解散を方針としてきめられたのはいつであったのかということをお聞きしたい。
#44
○政府委員(伊藤俊三君) 昨年の予算編成の段階で、昨年といいますか、本年、四十八年度の予算編成の段階できまったということでございます。
#45
○塚田大願君 私が聞いているのは、それは農林省として決定されたかもしれないんだが、昨年の予算編成の時期に。しかし少し話が違うんじゃないかと思うんです。
 私、ここに行管から出されました、昭和四十二年十月十一日付閣議口頭了解という文書がございます。つまり五年前であります。この五年前の閣議口頭了解の文書に、これははっきり書いてある、五番目に。「日本てん菜振興会は、優良国内品種の完成する昭和四七年をもって廃止し、じ後国で行なうべき業務は、国立の試験研究機関において行なうこととする。なお、てん菜研究所支所はすみやかに廃止する。」五年前にこういう方針はきまっておったのじゃないですか。そのことをお聞きしたのですが、それはどうですか。
#46
○政府委員(伊藤俊三君) ただいま塚田先生の御指摘のような閣議の了解というものがあったことは事実でございますけれども、最終的に、てん菜振興会を解散するということの政府の方針が最終的にきまりましたのは、本年度の予算編成の過程であるということでございます。もちろん四十二年にそういう閣議の了解というものがなされます際には、てん菜に関する試験研究なりあるいは育種の問題について、かなりの進展が見られつつあることも考える。そういった育種の過程で出てきますものが、どういうものが期待できるかというようなことも、ある程度考えた上での閣議了解であったろうと思います。
#47
○塚田大願君 何か歯切れの悪い答弁なんですね。それはだれが聞いていてもちょっとはっきりしない。わからない。ここにちゃんと文書がはっきり出ているのですから、五年前に。昭和四十七年にこれを廃止すると、日本てん菜振興会、こうまあはっきり閣議口頭了解でありますけれども、これが出ておる。そこで私は申し上げたいのは、品種の育成というふうな問題、つまり研究というふうな問題というのは、まあ一つの品種を開発するのに、十年や十五母かかると、さっき局長は非常に早い時期に、この今度の研究の成果はあがったと言われたのですが、実際そうだろうかと思うのですね。まず十年、二十年かかるのが常識だろうと思う。ですから、研究というものはもうしょっちゅう試行錯誤をやりながら、改良改善がされているわけですから、五年前にこの優良品種がもうできるのだと、こうきめてしまって、もう解散の方針をきめておるというのは、私はこれは行政の姿勢としては間違っているのじゃないかと思う。さっきも話が出ましたが、まあ農林省は何か競馬の予想屋か、あるいは予言者か、あるいは千里眼でも持っているかと思われるような、そういった行政サイドからの予想ですね。こういうものを立てて、もう解散をきめていたということは、私は行政の姿勢として問題があるのじゃないか。これは大臣にお聞きしたいのですけれども、はたしてこういう姿勢でいいのかどうか、このことをお聞きしたい。
#48
○国務大臣(櫻内義雄君) 純粋の試験研究という見地からいたしますると、ただいま塚田委員の御質問の御趣旨は私もよく理解のできるところでございます。ただ、ただいま御指摘がございました四十二年十月の閣議で、口頭了解がされ、そうしてさらにもう一段階四十五年の十一月の閣議において、さらに同機の趣旨のことが確認されながら、そうしてことしの予算の編成期を迎えたと思うのであります。当時の了解の趣旨と現実とが、先ほどから局長より御説明を申し上げておるように、T一〇一三が本年奨励品種となると、優良国内品種が完成を見た、一つの段階を踏んだと、こういうことでまあその純粋試験研究をそういう措置ができたということからは御批判があると思いまするが、同時に、事実としてはっきりしてまいりましたので、本年七月末をもってこの試験研究機関は国において継承するということを予算編成のときに決定をした。こういうことでございますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
#49
○塚田大願君 確かに大臣がおっしゃるように、事実としてT一〇一三ができて、これが奨励品種になった。この事実がございますから、今日のこの時点においては、それは了解できるんですね。ただ、それがことしの一月奨励品種にならなかった場合に、一体この閣議了解とどういう関係になるのか、これが問題がございましたので、私は御質問したわけでありますが、大体いまのお話で了解いたしました。しかし、ただ研究に対する姿勢としては、これは質問が何回もございましたけれども、今後支障がないのか、研究上。こういう不安といいますか、疑問もあるわけでありますけれども、これに対しては支障がない、質は落とさない。こういう答弁も何回か聞きましたが、今後やはり試験研究が、道や国に移管されましても、この研究者の意欲というものをそぐような指導であってはいけないんではないか、やはり行政と技術研究というものは常に両々相まちませんと、ほんとうに正しい政治のあり方というものは生まれてこないと私は考えておるんで、そういう点で、今度のこの問題というのは今後の行政のあり方といたしましては、私は注意していただきたいと思うんですが、これもひとつ大臣から御答弁願いたいと思います。
#50
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの御指摘の点はもうおっしゃるとおりだと私も思います。試験研究の重要性は言うまでもないのでございまして、ただ、一品種ができたということだけで、事が足りるものではございません。幸いにして、続いて丁一〇一七、丁一〇二一等がほぼ完成の時期にもまいってきておるような次第でございまするが、さらに一そう研究を進めていく、そういう点から予算の面におきましても、行政機構の上におきましても、欠くることのないように十分注意していかなければならない、そのように私も考えておる次第でございます。
#51
○塚田大願君 じゃ、続いて研究体制の問題を具体的に御質問したいと思うんですが、まあ研究体制といっても、要するに、人員、それから予算、こういう問題になります。
 そこで、まず人員のほうからお伺いしますが、農林省からいただきました資料によりますと、大体現在三十二名の研究者がおられる、てん菜振興会には。これは畑作の中では、わりあいに充実したほうだろうと思っておりますが、これが国立の試験場に移管された場合でも、これは人員というものは減らさないということを確認できるでしょうか、この点をお伺いします。
#52
○政府委員(中澤三郎君) お答え申し上げます。
 ただいまお話にございましたように、てん菜振興会のてん菜研究職員は三十二名おりまして、国に引き継ぐに当たりましては、北海道農業試験場のてん菜部といたしまして、この三十二名に相当する定員増を行ないますとともに、研究プロパーの部門に従事する職員をそのまま研究に従事させ得る措置を講じておりますので、従来の規模をそのまま移管する。こういう措置をとっているわけでございます。
#53
○塚田大願君 いま、てん菜の研究者のほうは減らさないというお話でございましたが、しかし、農林省としてみれば、政府の方針、いわゆるこの定員削減の方針を具体的に実施しておられるわけであります。そこで、この試験研究の場合もこれは例外ではないのでございまして、やはりこの資料を見ましても、比率は他の部門よりも少し低いようでありますけれども、現実にやはり毎年少しずつ減っておる。この定員削減の問題につきましては、農林省としてはどんなふうにお考えなんでしょうか。
#54
○政府委員(中澤三郎君) 御案内のことと存じますが、国家公務員の定員削減につきましては、現在第二次定員削減が進行中でございます。四十七年、八年、九年と、三カ年計画で、行政機関各部局が定員の削減を受けているわけでございますが、研究機関も同様でございます。しかし、研究ということの特殊性を考慮されまして、その削減率か一般行政部局の職員よりも小さく定められておるわけでございます。農林省におきましては、この小さく定められております削減率をさらに研究の特殊性、重要性から特殊な配慮をいたしまして、大幅な軽減をはかっているわけでございまして、いま申し上げました通常の削減でいきますなれば一これは推定の数字でございますが、現在まで約八十名ほどの定員が削減されるべきところを現在三十名足らずで押えているというふうな努力はしているわけでございます。といいましても、絶対数が今後少しずつでも減らないというわけにはいきませんので、これまでの研究のあり方自身に再検討を加える。つまり単なる経常研究による研究体制ということのほかに、プロジェクト研究あるいは大学とか民間の予算をとりまして、研究部門の協力を求めるというようなこと、あるいはまた先ほど御質問の趣旨にもございましたような、研究意欲の向上をはかるための研究環境の整備とか、あるいは研修、留学というふうな措置を講じまして、この研究の実質的な成果の水準が下がるというふうなことのないように努力しておるわけでございます。
#55
○塚田大願君 確かに農林省としても一生懸命にいろいろ努力されているんだと思うんですけれども、しかしやはりこの現実ではかなり減っておるんですね。たとえば地域農業試験場、これは七つございますか、これの研究機関の定員の推移を見ますと、この地域農業試験場におきましては四十年から四十七年の間、つまり七年間で一五・一%減っておる。北海道農業試験場におきましては、この七年間で一五・九%減っておる。こういうぐあいでこの試験場を具体的に見ますと、この七年間という期間ですけれども、やはり相当減っておる。あるいは分野別の推移の状況を見ましても、畜産、園芸部門におきましては、これはふえています。これはけっこうなことでありますけれども、それに反して農事に関しては減ってきておるる。三十六年度に比較いたしまして四十七年度は百五十五人減っておる、こういう数字がございます。まだあります。年齢別構成を見ましても、たとえば二十歳代の研究者というのは毎年減っております、四十五年度から四十七年度にかけまして。それから三十歳代の研究者もやはり減っております。ただ、四十歳以上の研究者はふえておる。つまり新しく研究者を採用しない。こういうことからこの年齢構成の変化というものが生まれておると思うんですけれども、こういうふうに見ますと、やはり研究の将来、技術研究の将来というのは、私は非常に問題があるんではないか。こういうことでは、しりつぼみになりまして、ほんとうのいい研究はできない。やっぱり研究なんというものは、むしろ日進月歩ですから、人間はどんどんふえていかなければ理屈に合わないんじゃないかと思うんですが、逆に減っておる。そういう関係から見まして、私はいまの定員削減の問題は、これはやっぱり総合農政推進のための一つの研究体制の再編成というふうなものではないのかという疑問を私は持つわけであります。
 しかし、一方考えてみますと、たとえば米の減反問題が最近問題になりまして、やはり今度はももっと米もつくらなきゃいかぬとか、食糧は不足してきた。こういうことで、日本の農政の転換もあらためて再検討されなければならないという時点にきているときに、いままでの研究をもっと発展させるのではなくて、これがしりつぼみになるようなことであっては、日本の農政にとりましても、日本の農業の発展にとりましても、一大事ではないかという感じがするわけであります。
 そこで、私、研究者の意見もいろいろお聞きいたしましたし、農林水産技術会議から出ております「研究情報」を毎号拝見しておりますけれども、この研究者の御意見を聞きますといろいろある。たとえば稲作減反以来、がくんときてしまった、研究者自身の研究意欲が落ちてしまっていることが非常に気になる、というふうな御意見であるとか、十年もほかのことをやってきた研究者に、新しいことをやれ言われても、そう急に変身はできるものではない。いろいろ悩みといいますか、苦情といいますか、不満といいますか、そういうものが、この雑誌一つ拝見をいたしましても、たくさん出ておるわけでございますけれども、こういう問題をやはり真剣に受けとめていただいて、科学技術の発展、研究の発展というものにひとつ農林省としては努力していただかなければいけないんじゃないかと思います。しかし、これは一般論としてでございますから答弁はけっこうであります。
 次に予算のつけ方の問題についてお伺いしたいのですが、予算のつけ方も資料を拝見いたしますと、最近、経常研究費というものはそれほどふえていないのでありますけれども、プロジェクト研究費というのは相当比率が毎年高まってきておる。これは現在経常研究とプロジェクト研究の比率が二対一ぐらいになっておるんですね。――もっと高いようで、四十七年度の数字を見ますとと、六四%と三六%でありますから、二対一以上の比率になってきておりますが、しかしこの研究者の意見などを聞きますと、やはり研究というものは、経常研究が基礎なんだから、経常研究が八〇%ぐらいでなきゃいけない。いわゆる特殊研究――プロジェクト研究というのは二〇%ぐらい。これが大体妥当な比率なんだ、こういうふうに一般にいわれております。私もそうではないかと思う。やはり基礎的な研究というものは、目に見えるようにすぐ効果があらわれるとかどうとかいうものではありませんけれども、しかしやっぱりこういう基礎があって初めて非常に優秀な成果を生むことができるのではないか、こう思います。もちろん私、特殊研究――プロジェクト研究を否定するわけではありませんけれども、ただ全体としての研究はそうあるべきではないかというふうに考えておりますが、その点はどうでしょうか。
#56
○政府委員(中澤三郎君) 試験研究費に占めます最近の経常研究費とプロジェクト研究費の割合の推移は、ただいま先生御指摘のとおりでございますが、四十八年度で申し上げますと、ほぼ六−四の割合になっておるわけでございます。逐年プロジェクト研究費の占める割合がふえてきておるのは事実でございます。ただ、これがどのくらいの割合が適当かというふうになりますと、まあ勘で申し上げますと、いまの私の個人的な勘でございますが、六−四ぐらいが限度ではないかという感じは持っております。したがいまして、理想的な観点から言いますと、あるいは先生がおっしゃられるような八−二というような割合があるいは理想に近い割合なのかもしれないと存ずるわけでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、全体の研究勢力そのものはなかなか拡大し得ないという現状でございまするばかりでなくって、研究部門に課せられる研究課題というものは、やはり農業の変化なり、社会の変化に伴いまして急に多くなっているわけでございます。ライフサイエンスとか、あるいは公害の問題もそうでございます。一部門だけの研究ではなかなかできないので、いわゆる学際的な研究に乗り出さなければ研究としていかがというような問題も数多く出てきておるわけでございます。したがいまして、従来行なってまいりました経常研究費というのは、御案内のように、人頭当たりの研究費で行なうものでございまして、現在のところ百万円未満でございますので、こういう性格の規模あるいは範囲のものでは、ただいま申し上げましたような多方面にわたる大きな課題に対処できないというようなことて、プロジェクト研究を含むというふうになってきたわけでございます。ただ、これがプロジェクト研究と申しましても、経常研究の成果の上に立ってプロジェクト研究そのものは進められる、つまり基礎研究があってはじめて進められるというものでありますので、おのずから経常研究の成果の制約を受けますと同時に、実際問題といたしましては、このプロジェクト研究を含む場合に、各試験場の研究者の発案を経てというような手続をとっているものでございますので、いま御指摘のような問題点は、実際問題そこで回避といいますか、限度を設けることができていると、こういうふうに考えるわけでございます。しかし、そうかといいましても、現実にできてくる問題を研究者自身が考えまして課題を組む場合に、研究者自身から出てくればプロジェクト研究はどこまでも伸ばしていいものであるというふうには考えておりません。御指摘の点は十分に注意してまいりたい、こういうふうに考えております。
#57
○塚田大願君 研究の問題でありますけれども、やっぱり私は研究者の自主性というものが尊重されるかどうか、これがまず根本じゃないか、私はこういうふうに考えているわけです。そこで、経常研究とプロジェクト研究というようなものの問題が出てくるわけでありますけれども、そこで、しかし私、先ほど申しましたように、特殊研究を否定するわけでもないし、またいまの御答弁でで、その研究者の発案を経ていろいろ計画を立てておられると――これならば私はけっこうだと思っているのですが、しかし現実的には、研究者の発案と自主性といったようなものはあまり実施されない。どっちかというと、当面の行政上の必要の面から仕事は、研究面の課題が出てくる、こういうことだろうと思うのです。
 そこで、私は特別研究の場合でも、これを民主的におやりになるということがやはり重要ではないか。研究者というものはやはりみんなこれはもう一国一城でありまして、自分の信念というものを持っておるわけでありますから、研究者自身がプロジェクトをつくって必要なことをやっていく、それで必要な研究に対しては金を出す。これは金は出すが、口は出さないという本来の研究に対する姿勢の問題ではないかと思うんですね。行政の必要から研究というものを押しつけるのではなくて、やはり科学技術の研究というものは、それぞれの専門的な立場からいろいろ計画を立てて自主的に進めていく、これが大局的に見れば天下国家に非常に大きくプラスする、こういうものでなければいけないんではないかと思うんです。つまり、金は出すが、口は出さない、こういう基本姿勢について今後、農林省はひとつ前向きにやっていただきたいということですが、この問題についてはひとつ大臣から御答弁願いたいと思います。
#58
○国務大臣(櫻内義雄君) 試験研究費は出すが、あまり口をはさまない。お話よくわかるところでございます。試験研究に従事する者が心魂を傾けて試験研究ができるようにしむけていく、行政面では必要な予算を十分確保していくことが、これがまず第一であろうと思うんであります。ただ、いろいろ試験過程において不必要な口出しをするということはいかがかと思いまするが、しかしまた、この試験研究を大いに発揚していくと申しましょうか、高揚していくと申しましょうか、そういう面から扇動的な、啓発的な発言、内容ではなくて、そういうような面はまた忘れてはいけないことではないかと、かように思うのであります。しかし、ただいまいろいろ御意見をちょうだいいたしましたが、それらの御意見は十分踏まえて、今後の研究体制の上に役立ててまいりたいと思います。
#59
○塚田大願君 いまの問題はものの考え方、研究に対する基本的な姿勢の問題を私は申し上げたんで、全く行政が何の発言もしないということではないわけでありまして、これは常識的に理解していただけるところだろうと思うんです。そんなでたらめな研究というものがあるということを考えて、前提にして申し上げているんではなくて、みんな一生懸命に研究を、よりよいものをつくろうといって私は、研究者の方はやっていらっしゃると思うんですね、今日。ですから、そういうものを前提にして、いまのような基本的な考え方の上に立って、ひとつ積極的な援助、指導、協力はしていただかなければいけないと思うんです。
 時間も参りましたから最後に一つだけ質問いたしますが、これは普及の問題であります、優良品種の普及の問題。今後T一〇一三をどういうふうにして普及していくかという問題でありますけれども、これは、この間からの各委員の質問によりまして、当然今後とも、国が、道農業団体と相談をしてやっていくというお話でございましたが、当然私は、これは一番大事な問題ではないかと思うんですね、普及の問題。せっかくいい優良品種ができた、しかしこれが普及されないのでは、これは問題にならないので、今日ようやく第一歩を踏み出したばかりでありますから、これをどうやって普及するか、ここに政治のやはり一番大きな課題があろうかと思うのです。
 そこで私、大臣にひとつ提案を申し上げたいんですけれども、国でやる、やると、口先だけでは、これはしようがないのでありまして、具体的なひとつ措置をとるべきではないかという提案でありますが、これは大臣も御承知のとおり、主要農作物種子法というものが今日ございます。昭和二十七年に制定された法律でありますけれども。今日この主要農作物種子法に適用されているのは稲、大麦、裸麦、小麦、大豆――その後大豆が追加されました。この五品目がこの種子法によって補助金を受けているわけであります。この原種原々種の種子の普及ということはこういうやはり法的にも裏づけていくという必要があるのではないか。特にこのてん菜法、先ほど甘味資源の重要性も出ましたが、これは私の提案というのは根拠がございまして、これは昭和二十八年に大豆ががこの種子法に追加適用を受けましたときの衆議院の農林水産委員会におきまして、これは附帯決議として出ておるところでございます。つまり、今後政府は「本法の対象農作物を甘藷、馬鈴薯、玉蜀黍、菜種等の主要農作物にまで拡大する」云々と、こういう附帯決議が当時採択されておるわであります。今日このてん菜の問題が非常に重要だということでございますから、私は当然この際このてん菜に対する種子法の適用も私は研究されてしかるべきだと思うのですが、この点について最後に御答弁を願って私の質問を終わります。
#60
○国務大臣(櫻内義雄君) 私、正直に申し上げまして、主要農作物種子法にこのてん菜を加えるべきかどうか、いまここに専門的な資料をちょうだいしたのでありまするが、なまはんかなことを申し上げてもたいへん失礼でございますから、局長のほうから答弁さしていただきます。
#61
○政府委員(伊藤俊三君) お答え申し上げます。
 主要農作物種子法は「主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進するため、種子の生産についてほ場審査その他助成の措置を行なうことを目的」としまして昭和二十七年に制定されているわけであります。先生ただいまお話ございましたように、大豆なんか途中で追加指定をされているような次第でございます。で、この法律の対象となっておりますものは稲、大麦、裸麦、小麦、大豆ということで、大体全国的に普及しているものが対象になっているわけでございますが、これは自殖性の一年生作物でございます。白花受粉できるわけでございます。てん菜は他殖性と申しますか、他花受粉の二年生の作物でございますために、原種管理でございますとか、採種等が技術的に非常にむずかしい点がございます。で、諸外国でも耕作者がみずから行なっているというようなことでございませんで、公的な機関でありますとか、あるいは製糖会社、特定の種子会社等が専門的に担当をするというようなかっこうに相なっているわけでございます。しかし農家に優良な種子を確実に供給するというようなことは、やはりてん菜についても同様でございますので、従来から採種間の設置につきましては道の条例がございまして、適正な運営が行なわれるように措置をいたしておるわけであります。で、採種間等の設置につきましては技術的水準でありますとか、立地でありますとか、種子の需給ということを考えながら、道がこういったものについての認可をするとかいう措置を講じておりまして、そういうような意味で、てん菜の種子というものが適正に供給をされておるというよりに私どもは考えておる次第でございます。したがいまして、これについていま主要農作物種子法の適用をすべきてあるかどうかということについてはなお問題があると思います。
#62
○委員長(亀井善彰君) 他に御発言もなければ質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより採決を行ないます。
 日本てん菜振興会の解散に関する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#63
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 ただいま可決されました日本てん菜振興会の解散に関する法律案に対する附帯決議案が、先ほどの理事会においてまとまっておりますので、便宜、私から提案をいたします。
 案文を朗続いたします。
  日本てん菜振興会の解散に関する法律案に対
  する附帯決議(案)
 政府は、本法施行にあたり、左記事項について
 遺憾なきを期すべきである。
     記
 一、てん菜の寒冷地適作物としての重要性にか
  んがみ、てん菜生産者及びてん菜糖製造業者
  の意見を十分反映させ、てん菜の生産振興を
  図ること。
 一、てん菜に関する試験研究費等の確保を図
  り、試験研究の向上に努め、かつ、優良国内
  品種の普及対策に万全を期すること。
 一、日本てん菜振興会の廃止にあたり、その職
  員の処遇について万全の措置をとること。
  右決議する。
 以上であります。
 それでは本附帯決議案の採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#64
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、櫻内農林大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。櫻内農林大臣。
#65
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして慎重に対処してまいる所存であります。
#66
○委員長(亀井善彰君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#68
○委員長(亀井善彰君) 次に、農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案、農水産業協同組合貯金保険法案、農林中央金庫法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案、
 以上四葉を一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。櫻内農林大臣。
#69
○国務大臣(櫻内義雄君) 農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農業近代化資金制度は、昭和三十六年に制定された農業近代化資金助成法に基づき、農業者等に対する長期低利資金の融通を円滑にするため、主として農業協同組合系資金の活用をはかりつつ、運用されてきておりますが、現在その融資残高はおおよそ四千七百億円にのぼっており、農業者等の資本装備の高度化及び経営の近代化の推進に大きく寄与しているところであります。
 また、農業信用保証保険制度は、農業者等の信用力を補完し、農業近代化資金等の融通の円滑化をはかるために創設されたのでありますが、現在農業信用基金協会の債務保証残高はおおよそ三千六百億円、農業信用保険協会の保険引き受け残高はおおよそ二千四百億円にのぼっており、この制度創設以来今日まで、農業の生産性の向上と農業経営の改善に大きな役割りを果たしてきたところであります。
 これら両制度につきましては、制度創設以来、逐年制度の内容及び運用につき改善をはかってきたところでありますが、最近における農業者等の資金需要の大口化、多様化の動向等に即応して、農業近代化資金その他農業者等の必要とする資金の融通の円滑化をはかり、あわせて最近における組合系統金融をめぐる諸情勢のもとにおいて組合系統資金の一そうの活用に資するため、農業近代化資金制度及び農業信用保証保険制度について、所要の改善措置を講じて制度運営に遺憾なきを期することとし、本法律案を提出した次第であります。
 次に主要な改正点について御説明いたします。
 まず、農業近代化資金制度の改善でありますが、これは農業者等の資本装備の高度化及び経営の近代化を推進するために行なうものであります。
 改正の第一点は、貸し付け対象者の範囲の拡大であります。すなわち、農業者等または地方公共団体が主たる出資者、構成員または基本財産の主たる拠出者となっている法人で政令で定めるものを貸し付け対象者に加えることといたしております。
 改正の第二点は、貸し付けの最高限度額を現行の五倍に引き上げることであります。現在、貸し付け限度額については、個人農業者は二百万円、農事組合法人等は一千万円、農業協同組合等は五千万円とされておりますが、これらについて、個人農業者は一千万円、農事組合法人等は五千万円、農業協同組合等は二億五千万円にすることといたしております。
 次に、農業信用保証保険制度の改善でありますが、これは農業近代化資金等の融通の円滑化をはかるために行なうものであります。
 改正の第一点は、農業信用基金協会の会員資格の拡大であります。今回農業近代化資金助成法の改正により新たに農業近代化資金の貸し付け対象者とされる者に、同基金協会の会員資格を付与し、同基金協会の債務保証を受けることができることといたしております。
 改正の第二点は、保証保険制度の改善でありますが、その一は、農業信用保険協会の保険に付することのできる資金の範囲の拡大であります。現在、同保険協会の保険に付することのできる資金は、農業近代化資金及び総合資金制度にかかる運転資金に限定されておりますが、今回、この資金の範囲を拡大して、農業者等の事業または生活に必要な資金であって農業経営の改善に資するものもその対象とすることといたしております。
 その二は、保証保険にかかる保険価額の範囲の拡大であります。すなわち、現在保証保険にかかる保険価額は借り入れ金元本に限られていますが、これを改め、借り入れ期間が政令で定める期間以上である借り入れ金については、借り入れ金元本のほか遅延利息以外の利息を含めた額とすることといたしております。
 改正の第三点は、融資保険制度の改善であります。
 その一は、保険の対象となる資金の範囲の拡大であり、融資保険の対象となる資金を保証保険の場合と同じく拡大することといたしております。
 その二は、保険の対象者の範囲の拡大であります。現在、融資保険の対象者は農林中央金庫のみとなっておりますが、新たに、信用農業協同組合連合会も融資保険の対象者とすることといたしております。
 その三は、保険方式の改善であります。融資保険の対象となる資金の範囲を拡大すること等に伴い、現行の包括保険及び選択保険の区分を廃止し、選択保険方式に統一することといたしております。
 改正の第四点は、融資資金制度の改善であります。今回、農業近代化資金以外の資金で農業経営の改善に資するものを保険の対象に加えることに伴い、農業信用保険協会は農業信用基金協会に対して同基金協会のこれら資金にかかる保証業務に必要な資金の貸し付けを行なうことができることといたしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
 農水産業協同組合貯金保険法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、すでに銀行、信用金庫等の金融機関につきましては、預金者保護の観点から預金保険法が制定され、昭和四十六年四月一日からその施行をみたのでありますが、信用事業を行なう農協、漁業等につきましては、信用事業以外の事業も兼営することができる等事業内容において他の金融機関と異なる面があることから、この法律の対象とされなかったのであります。
 しかしながら、今日、農業、漁協等の貯金量は全国の預貯金量の約一割に及んでおり、しかも、個人の雰細貯金がその大部分を占める実情を考慮すれば、農協、漁協等についても、万一の場合に備えて貯金者の保護に遺憾なきを期し得るよう制度の整備をはかることが当然必要であると考えられますので、今般、預金保険法に準じてこの法律案を提出することといたした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、貯金保険制度を運営する主体としての農水産業協同組合貯金保険機構の設立等について定めております。
 すなわち、機構の設立については、農業または水産業及び金融に関して専門的な知識と経験を有する者七人以上が発起人となり、主務大臣の認可を受けて、機構を設立することができることといたしました。
 この機構に対しては、政府及び農林中央金庫その他の政府以外の者が、それぞれ出資を行なうことを予定しておりますが、このうち政府出資につきましては、四十八年度予算に七千五百万円を計上しております。
 また、機構の組織につきましては、役員を最小限にとどめる等できるだけ簡素にするとともに、機構の運営に関する重要事項の議決機関として運営委員会を設けることとしております。
 第二に、貯金保険の保険関係について定めております。
 まず、この制度の対象となるのは、信用事業を行なう農協、漁協及び水産加工業協同組合としております。
 次に、貯金保険の保険関係は、貯金者のために、機構とこれらの組合との間に当然に成立するものとし、この保険関係に基づき、これらの組合が貯金等の払い戻しを停止し、解散し、あるいは破産の宣告を受けた場合に、機構が、貯金者等に対し、その請求に基づいて、一定の金額を限度として保険金を支払うこととしております。
 また、保険料の額は、毎年三月末日における農協、漁協等の貯金等の額を基礎とし、これに機構が運営委員会の議決を経、主務大臣の認可を受けて定める保政料率を乗じた額とすることとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに、御可決いただきますようお願い申し上げます。
 農林中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農林中央金庫は、大正十二年に産業組合中央金庫として設立されまして以来、幾多の変遷を経つつ、今日まで五十年にわたり、農林水産業者の組織する協同組合等の中央金融機関として重要な役割りを果たしてきたのであります。
 農林中央金庫の業務の運営は、当初は政府の出資及び債券の政府引き受け等の助成のもとに、組合系統内部へ資金を導入することが中心となっておりましたが、所属団体の事業活動の充実に伴い、次第に所属団体から預金が集中するようになり、その運用のため、所属団体への貸し付けのほか、まず有価証券の取得が認められ、次いで昭和十年代に時代の要請により、所属団体の発達をはかるための施設法人や農林水産業に関連する事業法人に貸し付けを行なうことができることとなりました。これらの資金運用の方途は、特に昭和三十年代に入り、所属団体の預金の量が増大するにつれて、金庫業務の重要な内容をなすに至ったのであります。
 また、出資につきましては、当初資本金の半分を政府が出資しておりましたが、昭和三十五年度以後は、民間資金のみを資本金とする金融機関となり、役員の任命につきましても、昭和三十六年の法改正により従来の政府任命制を改め、理事長及び監事につきましては出資者総会における選任に、副理事長及び理事につきましては理事長の任命によることといたしたのであります。
 その後、農協系統を中心とする信用事業の伸長に伴い、年々農林中央金庫に集積される資金は増大し、昭和四十七年九月末には、農林中央金庫の預金残高は約二兆六千七百億円に達するに至りました。他方近年における一般金融情勢は著しく変化しており、系統金融としてもこれに対応するための体質の改善強化をはかる必要に迫られており、
 また、農林漁業及びこれを取り巻く環境の変化にも対応いたしまして、系統資金の活用につきまして従来のあり方を強化し、かかる変化に対応することが要請されているのであります。
 農林中央金庫は、その存立期間を設立許可の日から五十年と法定されており、その期日が本年十月に到来することとなっているのでありますが、現下の系統金融をめぐるきびしい情勢に対応し、系統金融の円滑化をはかるためには、系統金融の全国中央機関であります農林中央金庫が果たすべき役割はますます重要度を増しつつありますので、その存立期間に関する制限をはずすこととするとともに、その業務権能の拡充強化をはかる見地から、本法律案を提出したした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 改正点の第一は、その存立期間の制限に関する規定を削除して、農林中央金庫の存続をはかることであります。
 第二は、今後の系統金融全体のあり方及び農林中央金庫の業務権能の拡充強化とも関連して、農林中央金庫とその所属団体との一層緊密な連携を確保するため、理事長が補助機関たる副理事長及び理事を任命するにあたり、出資者総会の同意を得ることとすることであります。
 第三は、農林中央金庫の業務権能の拡充強化をはかることであります。
 その一は、所属団体の経常活動の多様化と農林中央金庫の取引範囲の拡大に対処して、内国為替業務を一般的に行なえるようにするとともに、新たに外国為替業務を行なうことができるようにすることであります。
 その二は、農林中央金庫がその資金を貸し付けることのできる範囲を拡大することであります。まず、新たに、農林水産業を営む者に対して貸し付けが行なえるようにすることであります。これは、系統金融の実情から見て、規模が大きく生産性の高い経営を育成するためには、系統組織全体としてこれらの経営が必要とする資金を円滑に供給する必要があるので農林中央金庫においても単位組合または県段階の連合会の機能を補完して貸し付けが行なえる道を開くものであります。次に主務大臣の認可を受けて、農山漁村において産業基盤または生活環境の整備の事業を行なう地方公共団体、その他の法人に対し貸し付けができるようにすることであります。これは、系統資金を公共的性格の強い地域開発のための資金に活用できるようにすべしとの要請にこたえようとするものであります。さらに、農林中央金庫に集積した資金の有効な活用をはかるため、主務大臣の認可を受けて経済社会の発展をはかる見地から農林中央金庫が貸し付けを行なうことが適切と認められる法人に対しても貸し付けが行なえるようにすることといたしております。
 その三は、農林中央金庫の業務の円滑な遂行をはかるため、業務実施にあたり必要とされる預金の受け入れ業務、保護預り業務、その他の付随業務につきまして、所要の整備を行なうことといたしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
 農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農業協同組合は、農業生産力の増進と農民の経済的、社会的地位の向上をはかることを目的とする農民の協同組織として、昭和二十二年に発足して以来、わが国経済及び農業の推移、発展とともにその活発な活動を展開してきたところであります。
 申すまでもなく、最近のわが国の農業をめぐる情勢はきびしいものがありますが、このような局面の打開をはかり、農業の発展と農民の地位の一そうの向上を期する上で、農業協同組合の役割りに待つところきわめて大なるものがあり、農業協同組合がその期待に十全にこたえ得る体制を整えることが重要な課題となっております。
 このような情勢のもとで、政府としては、昭和三十六年に農業協同組合合併助成法を制定し、以来、これに基づいて農業協同組合の合併を推進し、その経営基盤の充実、強化につとめる一方、昭和四十五年には、農業協同組合法の一部改正を行ない、集団的生産組織に関連する制度面の改善、組合の事業範囲の拡大、総代会制度の整備等の措置を講じたのでありますが、さらに、その後の一般金融情勢の変化をはじめ、農協系統金融をめぐる内外の情勢変化に即応し、また農協系統金融のあり方についての農政審議会をはじめとする各方面の御意見の趣旨をもくんで、他の農業金融制度の改善とも相まって、農業協同組合の信用事業に関する制度的改善措置を講ずることが緊要の課題となっており、これとあわせてその他にも、当面、早急に措置を要する点がありますので、今般、農業協同組合法の一部改正を提案することとした次第であります。
 以下、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 改正の第一点は、組合の金融機能の拡充をはかることであります。
 これは、最近における組合員の経済活動の多様化と組合の事業規模の拡大等に対応しまして、信用事業を行なう農業協同組合に対し、手形の割引、組合員の債務の保証、内国為替取引、有価証券の払い込み金の受け入れ等の取り扱い及び金融機関の業務代理等の事業能力を、また信用事業を行なう農業協同組合連合会に対し、有価証券の払い込み金の受け入れ等の取り扱いの事業能力を、それぞれ賦与しようとするものであります。
 改正の第二点は、資金の貸し付け範囲の拡大をはかることであります。
 これは、増大する系統資金を地域開発関係資金として活用することとし、そのため、一つには、地方公共団体を主たる構成員等とする非営利法人に対する資金の貸し付け、二つには、農村地域における産業基盤または生活環境の整備のために必要な資金の貸し付けを、組合が、それぞれ員外利用の制限のワク外で行なうことができるようにするものであります。
 改正の第三点は、組合の行なう宅地等供給事業の事業範囲の拡大をはかることであります。
 農地の転用を計画化し、土地利用の調整をはかるとともに組合員の生活の安定をはかるため、組合は、従来から農地等処分事業を行なっているところでありますが、組合員の多様な要請にこたえるため、この際この事業の事業範囲を拡大して、新たに、結合員から委託を受け、組合員から借り入れ、または組合員から買い入れてする土地の貸し付けを行なうことができるようにするとともに、この事業の円滑な実施と土地利用の効率化をはかるため、住宅その他の施設の建設もあわせ行なうことができるようにするものであります。
 改正の第四点は、共済規程の変更手続の簡素化をはかることであります。
 すなわち、系統の各段階を通じ、全国的に統一的な仕組みのもとに実施している共済事業につきまして、その事業の仕組みの特殊性を考慮して合理的と認められる範囲内において、共済規程の変更は、定款で、総会付議を要しないものとすることができるようにするものであります。
 最後に、農業協同組合連合会の権利義務の包括承継の道を開くことであります。
 これは、最近における郡市単位の広域合併等の進展に伴い、農業協同組合連合会が、会員数が減少したことにより法定解散する場合におきまして、その会員たる組合が当該農業協同組合連合会の機能を円滑に承継することができるよう、合併に準ずる手続により、その権利義務を包括承継することができるようにするものであります。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#70
○委員長(亀井善彰君) なお、四案に対する補足説明の聴取は、議事の都合によりこれを省略し、その資料を本日の会議録に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#71
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより四案の質疑に入ります。質疑のある方は順次御発表御発言願います。
#72
○辻一彦君 じゃ、私先ほど提案説明ありました農水産業協同組合貯金保険法案について三点だけちょっと伺っておきたいと思います。この詳細はあとの質疑に譲ることにして、その前提になる預金の対策という点から、特に預金面、貯金面で漁協が非常におくれていると、その実態について三点だけ簡潔に伺いたいと思います。
 一つは、漁業協同組合の貯金総額がまず幾らで、漁協で信用事業を営んでおる組合の数はどのくらいか。それを農協と比較した場合にどういうように評価できるか、簡単でけっこうでありますから一言答えてほしいと思います。
#73
○政府委員(荒勝巖君) いま御質問いただくと思ってなかったものですから実は資料を持ってこなかったものですから、申しわけございませんが、あとで資料で答弁いたしたいと思います。
#74
○辻一彦君 じゃあ、それは数字はあとで知らしてもらえばいいです。
 それから全般としてこの漁業協同組合の預金とか貯金が、農協に比べてかなりおくれておるのですけれども、これをごく大まかに考えてこれを評価をするにどういうようにするか、このことについてちょっと所見を伺いたいと思います。
#75
○政府委員(荒勝巖君) 私が、まあ農協についてあとで局長からお話があると思いますが、農協の場合は、非常に農産物の販売代金のほかに多少最近の不動産等の値上がりもありまして、それの値上がりによる売却分が、多少どころか非常に貯金としてふえておられるのではなかろうかというふうに私のほうは判断しておりますが、水産の場合には、ほとんど不動産というものがございませんで、実際問題としましては、水産物の売り上げ代金のうち、所得に属する部分の相当分が貯金されておる、預金されておるということで、そういう意味で、多少魚の値上がりはございますが、預貯金としての歩どまりは農業ほど高くはなっていないというふうに理解しておる次第でございます。
#76
○辻一彦君 もう一つ銀行等を対象にする預金保険制度が一昨年発足したのですが、農漁協を対象にする制度の提案が今日に至ったその事情というものをひとつ御説明していただきたいと思います。
  〔委員長退席、理事初村瀧一郎君着席〕
#77
○政府委員(内村良英君) 一般の金融機関に対する預金保険機構は、ただいま先生から御指摘がございましたように、昭和四十六年から発足したわけでございます。その際農協あるいは漁協、あるいは水産加工協同組合についての預金について、いかなる保護措置をとるかということが議論になりまして、この一般の預金保険機構に加入させるかどうかということが論議の対象になったわけでございます。その場合、一つの論議といたしまして、一般の金融機関は金融そのものしかやっていない。ところが、協同組合の場合には、金融事業以外に経済事業をやっておる。そこで、経済事業で経営が破綻して、金融事業に影響が出てくるというような場合に、一般の保険機構の中に入れておきますと、そういったリスクについて他の金融機関もそれを負担することはどうかというような議論が出たわけでございます。そういったこともございまして、一般の預金保険機構をつくる際には、協同組合につきましては、これを別だてとするというようなことになりまして、たしか国会の附帯決議でも、協同組合につきましては、すみやかに預金保険機構を整備せよというような附帯決議がついたわけでございます。その後政府部内でいろいろ検討いたしまして、今般この国会に提案をしているという次第でございます。
#78
○辻一彦君 この問題については、いずれあとに詳細にまた質疑を続けたいと思います。
 そこで、私、きのう水産庁がPCB汚染による魚の、汚染問題について精密調査の結果を発表しておりますが、これについて若干の質問を行ないたいと思います。
 まず第一に、長官から昨日発表されました魚のPCB汚染に関する精密な調査について、簡潔に精密調査の結果とその対策、要点をちょっとお伺いしたいと思います。
#79
○政府委員(荒勝巖君) 最近来PCBの魚介類に対する汚染問題が非常に問題になってきておりますので、昨年の十二月に環境庁と一緒に全国の水域百十水域につきまして、PCBの汚染状態の概査といいますか、そういった調査をしたのでありますが、そのうちこれは汚染されていると思われる地区十四水域につきまして、あらためてことしの二月から一地域について二百検体の魚介類を調査するということで、各都道府県に調査をお願いいたしまして、その調査結果がまとまりましたので、その結果につきまして昨日発表した次第でございます。
 簡単にその内容を申し上げますと、十四水域につきまして二千二百七十三検体を調査しました次第でございますが、そのうち、三PPMという厚生省がおきめになっておられます暫定的基準というものをこえるものについては九十八検体。二千二百七十三検体のうち九十八検体の調査結果が三PPMをこえまして、そしてそのうち淡水魚は――先ほど申し上げましたのは海でございまして、淡水魚につきましては、さらに五百九十六検体調べましたうち、三PPMをこえるものが五十五検体出た、こういうことでございます。今回調べましたうちで、十四水域のうち東京湾、四日市、それから水俣湾水域、それから日和佐港水域――これは徳島県でございますが、この地域は三PPM以下でございましたので、これは全然被害が、汚染状況が一応ないという判断をいたしまして、その結果を発表さしていただいた次第でございます。
#80
○辻一彦君 その概要はそれで一応伺いましたが、私の福井県敦賀湾のほうでは五月の上旬ぐらいからこの港内あるいは湾内の魚がかなり高度に汚染をされておる、そういううわさが流れて、漁民の人が非常に不安感を持っておりまして、また住民の間にもそういういろんな話がずいぶん出て、早くそれを知りたいという声が非常に強かったわけですが、県のほうではこの新聞を見ますと、水産庁が六月の半ばくらいに公表予定である、こういうふうに言っておりましたですね。昨日発表されたそのいきさつについてはどういうふうであるか、その点ちょっと伺いたい。
#81
○政府委員(荒勝巖君) 私たちの手元で大体二月、三月というふうに調査のほうは一応技術的にというか、技術的には調査を終えまして、その後まあ各県とそれぞれその内容につきまして、事務的に担当者と話し合いを詰めておりまして、その間、県によりましては、非常に早くいろいろと対策も含めて検討が進んだようでございますが、県によりましては最後まていろいろと問題が残りまして、それで五月を終えましてもなおいろいろ問題が残っておりまして、全国一斉に発表ということにつきましては、私たちとしては最後まで一日も早くいたしたい、こう思っておった次第でございますが、多少、県による県別の準備が一斉に整わなかったということが、多少おくれたような結果になっておりまして、たまたま今週から環境週間というようなこともありまして、この際発表に踏み切らしていただいた、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#82
○辻一彦君 で、福井県では五月の三十一日に一応発表しているわけですね。これは御存じのとおりでありますが、私の耳にもどうも一〇〇PPMをこえた魚の汚染がある、こういうことでどうだろうかという心配がずいぶんあるということが聞こえてきましたですね。それから現場では、いわゆるスズキ等の漁業シーズンになるし、それから御存じのように、夏になりますと、釣りなんかによって多くの遊漁の方が見える、こういう点からしても早く結果を知って対策を立てたい、こういう声が非常に強かったんですね。ところがこれは六月二日に、たとえば読売の中央紙にも出ておりますが、水産庁と県は、その結果を一カ月余隠しておった、こういうような表現が使われておりますですね。私は、漁民にとっては、非常に暮らししの上にも及ぼす深刻な影響なので、一刻も早く知りたいという、こういう要望が強かったんですが、事実この四月の二十日ごろに結果がわかり、五月の上旬ぐらいにはそういううわさが流れ、以来一カ月こういうものを、新聞に表現されるように、隠しておったという事実があったのかどうなのか、この点はいかがですか。
#83
○政府委員(荒勝巖君) 私といたしましては、昨年年末に、今度は水産庁で調査をする、全国一斉に十四水域については調査するということを外部にも発表いたしておりまして、またその調査につきましては、各関係県に調査をお願いしたようないきさつもありまして、この調査結果につきまして、私といたしましては、全国的な形で中央で一本で発表したかった。したがいまして、県別に、成果といいますか、調査結果がまとまったところから県別に発表するという方法も、あるいはあったかもわかりませんが、なるべく中央で統一して発表したいというふうに考えまして、全国の話が、調整がつくまで多少おくれてまいったということは、先ほど答弁申し上げたとおりでございまして、福井県の場合は、早く調査結果なり、県の姿勢がまとまられたので、発表されたという御意向もありましたので、これはまあやむを得ないのではないかということで、福井のほうにも発表されても差しつかえございませんという形で――福井県単独で発表されることにつきましては、私としては何ら異論はなく、またその間隠す気は毛頭なかったので、県から発表したいというお話がありました際には、県だけで単独で発表されても差しつかえございませんということは、はっきりこれは私から副知事さんに電話で申し上げたのでありまして、決して隠す気はなかった。ただ、全国的な調整が多少手間どりまして、早くまとまった県に対しましては、あるいは御迷惑をかけたかとも思いますけれども、その点は、当初から私は全国的に中央で一本で発表するという姿勢できたことにつきましては御了解願いたいと、こういうふうに思う次第でございます。
#84
○辻一彦君 全国的な調査ですから、水産庁が大体全般を把握をして、そしてまとめて報告と、これは私はわかります。ただ、かなり高い濃度の汚染をされた魚が、たとえばすでに発表のように、大分で一四〇PPM、福井が一一〇、山口が七九、兵庫のほうで四四PPMというように、これは全部ではないんですが、一部にしましても、非常に高い汚染があります。そこで、厚生省の暫定基準では三PPMに、先ほどのようになっておりますね。これに比べて、これらはいずれも十倍以上のいわゆる汚染度ということになりますが、こういうものは事実が明らかになったときに放任をしておけば、それはあるいは市場に流れて一般の消費者の口に入るし、あるいはまた釣りにいけば、それを釣って自家用にする、あるいは漁民の人はそれを自家用に、食用にする。こういう形で実際としてそれぞれの、それは消費者であれ、漁民であれ、あるいは釣りの遊漁に来られた人にかかわらず、やっぱり実際に口の中に入っていくという、こういう事実がありますね。そうしますと、私は、こういう高度の汚染ということがはっきりしたときに、かなり出たときに、何かそういう場所に対しては特別な対策というものが必要ではないのか。この問題が出なければ、おそらく六月の半ば、あるいは以降に二カ月とか、あるいはそれ以上延びるかもわからない。そういうことで放任をされておくということは、人間優先というこの公害対策からして問題がなかったか、こう思いますが、この点、長官いかがですか。
#85
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘がありましたように、あるいは今後も私のほうといたしましては、PCBにつきましては定期的に点検を行なうという姿勢でございまして、あるいはまた、夏場から秋にかけまして調査いたしまして、発表をまたさしていただくという考え方でおるわけでございますが、その際、あるいは全国的に一斉に発表するというために、あるいは多少発表がおくれてしまうということの結果、ただいま御指摘のように汚染された魚介類を不当に人間が、国民が食べてしまって、健康に悪影響を及ぼすかもしれないというような問題等がございますので、あるいは今後の発表のしかたにつきましては、わかり次第そのつど県別にあるいは発表していくこと等につきましても、一応次の機会の発表のしぶりにつきましては、再検討といいますか、もう一ぺん考えさしていただきたいというふうに私自身考えております。
 今回の発表の中でも、十分に県とは各県別にこれは非常に連絡調整をとった次第でございまして、私のほうで今回抜き打ち的にしたのではありませんで、県の担当者並びに知事さんは十分に事前に御承知のことではあったと思います。しかし、県として、その間のいろいろな対策につきまして、それぞれの県の特殊な事情もありまして、まあ早く意見がまとまった県と、なかなかまとまらない県等もありましたし、また県によりましては、被害というか、原因がはっきりしている県と、複合的な汚染の状況等もあって、何がほんとうの原因であるかということにつきましても十分わからない県もありまして、その辺の調査の結果、県別に早いもの、おそいものというものが出てまいったようないきさつがありますが、今後その調査結果の発表のしぶりについては、そういうことの考慮なしにあるいは発表するということも一つの考え方でございますが、やはりこの問題はあまりショックな話でございますので、よほどやはり取り扱いについてはいろいろとまた今後考えさしていただきたいというふうに思う次第でございます。
#86
○辻一彦君 いまの長官の答弁ですね、発表のやり方については十分考えるということでわかりました。
 そこで、私はこう思うのですが、高濃度の汚染が発見された。それが一つか二つの検体であった場合に、この数字がどうかといういろいろな判断が科学的にあると思うのですね。そういう問題のところは集中的に再調査をやって、そして早く結論を出すというか、そういうようにして対策を立てる。こういうことが私は大事だと思うのですね。というのは、いま繰り返しませんが、要するに、知らなければそれを食べてしまうといういまの状況ですから、やっぱり高い濃度の汚染があれば、早くそれに対して結論をつけて、分析の点においてもなかなかむずかしい点もあろうと思いますが、集中的にやっていくということ、こういうことが大事と思いますが、そういう点をこれからの精密調査等においてさらに考えていかれる用意があるか、この点いかがですか。
#87
○政府委員(荒勝巖君) 実は申しわけないようでございますが、水産庁として独自に今回調査をした。当然各方面の御協力はいただいたわけでございますが、その調査結果に基づいてこういう形で発表さしていただいた過程で、やはり初めてのことだったせいもありまして、ふなれな点もございまして、いろいろとその間私自身考えさせられている点も相当ございます。特に今回初めてでありましたのでございますが、今後の発表のしぶりにつきまして、あるいは対策の打ち方等につきましては、ただいま御指摘のように、高濃度なものといいますか、まず調査といたしましては逐次精度を高めてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
 昨年十二月に発表したのは、非常にまあふわっとした全国的な概査でございましたが、これはこれなりにまた全国の漁民なり消費者の方に非常に不安感をもたらせましたので、今回の調査にあたりましては、十四水域に特に限定したという点が第一点、それから単に何々県のボラはPCBがあるというふうな表現はとりませずに、非常に地先を限定いたしまして、しかも魚種と地先を限定いたしまして発表さしていただいたかっこうで、その意味では、その問題点はある程度はっきりしたと思いますけれども、その中でさらに、ただいま御指摘のように、まあ魚種によっては非常にPCBのPPMの存在のあり方がばらついておりまして、非常に汚染の強い魚種とあまり汚染が出ていない魚種、二通り、いろいろな形で出ておりますので、こういった点につきまして、汚染度の高いものを、あるいはさらに集中的に調査をさしていただくとか、そういったことも含めまして、一日も早く不安感の解消というところに、これは生産者にとりましても、消費者にとりましても、不安感の解消という観点からこの問題を明らかにしてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#88
○辻一彦君 こういう問題が出ますと、生産漁民の立場、消費者の立場、いろいろ私はあると思いますが、どうしても食べるほうの住民の健康といいますか、これはやっぱり一番優先しなくちゃいかない。この点で、いまの長官の答弁のように、十分ひとつこれからとも対策を強化をしてやっていただきたいと思います。
 そこで、二つ目に、先ほど御報告がありましたが、この調査の中に、五つの地区は、まあ灰色というか、十二月では問題が、汚染があったが、今回の調査ではシロになっているということでありまして、その中にたとえば東京湾がありますね。こういう東京湾の汚染というのはいろいろな方面からいろいろ調べられておるわけですが、ここはPCBで、汚染地域といいますか、魚が汚染されていないというのはちょっと納得が私もいきかねますが、こういう点で、調査の方法等に問題はないか。この点はいかがですか。
#89
○政府委員(荒勝巖君) 今回発表いたしました中に、まあ私自身、最初に、原稿といいますか、原案が上がってまいりましたときに、この東京湾、あるいは伊勢湾というふうに、従来から汚染が非常に強い、何もPCBだけでなくて非常に汚染が強いというふうに、常識的にそう思っておりました地区につきまして、今回の調査結果では三PPMをこえるような汚染体の魚種が出てこなかったのみならず、私たちの見た範囲では非常にPCBの含有率といいますか、汚染率は少ない。しかも魚体の数につきましては、今回の東京湾水域で、千葉県の場合にも魚介類は百六十体、それから神奈川県の西部水域でも百六十体、あるいは三重県の四日市地元では魚介類では百七十体というふうに、相当やはり多くの検体をとっておるわけでございますが、およそ三PPMをこえるようなものは全然存在しなかったということで、これは私自身予想外に、まあ逆に言えば、いい結果といいますか、ほっとしたようないきさつになっておるような次第でございます。しかし、今後の調査につきまして、今回まあシロであるという分析にはなっておりますけれども、私といたしましては、この十四水域につきましては、今後の、次のさらに定期的に調査する場合にもやはり調査は継続してなお確認をいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#90
○辻一彦君 五地区について、定期検査を待たずして再調査をする用意はないのですか。
#91
○政府委員(荒勝巖君) ちょっと当委員会で私きょうここで申し上げるのはあるいは早過ぎるかもわかりませんが、実は水銀の全国汚濁状況調査に正直なところ忙殺されておりまして、これを全力をあげて至急早く調査いたしたいということで環境庁といま折衝中でございまして、あるいはこれと、事務量といいますか、ダブりますとなかなか問題がありますので、あるいは、水銀のほうに最優先的にまずやりたいと私は思っておりますので、御要望は十分に頭に入れながら、一応内部で検討さしていただきたいと、こういうふうに思っております。
#92
○辻一彦君 まあ今日の時点で、水銀汚染の重要さも十分わかります。しかし、この五つの地区がPCB汚染がないということもなかなか納得のいかないことですから、十分ひとつ検討されて再調査をなるべく早くやってもらうようにしたいと思うんです。
 そこで、規制についての、あるいは漁獲とか、あるいは流通に対する対策について通達を近く出すということがきのう報告されておりますが、いつ出す考えですか。
#93
○政府委員(荒勝巖君) そんなにおそい時点ではなくて、実はまあきのうも調査とともに一緒に発表しようかというほど一応用意はさしていただいたんですけれども、これはほんとうに事務的な関係方面の決裁といいますか、手続きが少しおくれた関係で発表しなかったんですけれども、近日中に発表さしていただきたい、こういうふうに思っております。
#94
○辻一彦君 そこで住民の、あるいは漁民の健康の問題について二、三伺いたいんですが、暫定基準では厚生省は三PPMを近海魚について出しておりますが、これでは法的な規制はできないと思うんですが、今後、残念ながらこういう汚染というものがある意味においてはいろいろと出てくると、こういう中で漁獲、流通についての法的な規制は必要はないのかどうか、この点、長官どうですか。
#95
○政府委員(荒勝巖君) 私のほうといたしましては、やはり人間に影響力――PCBの人間に対する影響力につきましては、私たちのほうでは独自の判断が非常にいたしかねますので、これは常に厚生省のおきめになる一つの基準というものを判断の材料にしながら、これは今後取り進めてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
 ただ、本来のPCBの問題につきましては、厚生省自身でも十分検討はされておられまして、三PPMという基準はきめられたようでございますが、三PPMのきめ方としましては暫定的という表現がついておりまして、その暫定的ということにつきましての意味につきましても、われわれはこれがどう今後強くなっていくのか、さらに、あるいはもう少し基準が甘くなるのか、これらの点につきましても非常に関心を持っているわけでございますが、われわれといたしましては、今回の三PPMを一応のよるべき行政の基準といたしまして、まあ県とも協議に多少今回の場合時間をとったと、これはまあ法的な不備もありますけれども、直ちに水産庁として漁業法の漁獲禁止という処分には、法律的な根拠から、水産庁にはそういう根拠がないというふうなこともございまして、県と十分御相談いたしまして、県のほうで自主規制という措置を知事の名前のもとにやっていただきまして、ほぼ各県ともそういう形で了解が得られたというところで今回の発表に踏み切ったと、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#96
○辻一彦君 各県ごとにそれぞれ自主規制をかなり広範な幾つかの県でやるわけですが、将来これについての何か法的な規制は考えていませんか。その必要はまだないと思っていますか。
#97
○政府委員(荒勝巖君) この漁類といいますか、水産物につきましての非常な人体に悪影響のある公害問題が今後さらに乱発といいますか、不幸にして非常にふえていくというようなことになりますれば、私どものほうとしても漁業者の立場からも、また消費者の立場からも、これらについては十分ひとつ検討せざるを得ないのではなかろうかというふうにただいま判断いたしましていろいろ研究さしていただいておる。いま直ちに踏み切るということにつきましてはひとつ御了解願いたいと、こういうふうに思っている次第でございます。
#98
○辻一彦君 厚生省に伺いますが、食品衛生上の点から言うと、暫定基準三PPMでどのぐらいの規制力があるのですか。
#99
○説明員(岡部祥治君) 現在、御指摘のように、食品中のPCBの基準につきましては暫定基準でございまして、これは食品中のPCBによる汚染をこれ以上汚染させないように防止し、かつ低下させるための行政上の指標としてきめたものでございます。したがいまして、特に内海内湾の魚介類について三PPMというのも、これも十分に安全量を見込んだものではございますけれども、一応この基準をこえるものにつきましてはその流通を中止せしめる、あるいはその生産地域対策をとりまして流通させないことが好ましい数字でございます。
#100
○辻一彦君 こういう点は、将来食品衛生上の問題としては法的には暫定基準というのはまだ考えてないのですが、法的規制としては。
#101
○説明員(三浦大助君) ただいま乳肉衛生課長からお答えありましたように、いまのところ暫定的規制値ということになっておりますが、なお、昨年この規制値をきめたときに、この規制値は、平均のおとなの体重を標準にしてきめた規制値でございます。したがって多食者、漁民のような多食者、あるいは乳幼児、あるいは妊婦、こういうものに対する規制もしなければいかぬじゃないかということもございまして、これらにつきましてはいま検討の最中でございます。したがって、これらの結果が全部出たところで私どもといたしましてはやはり正式な規制値はこれはきめなければいかぬ。そうなりますと、食品衛生法の七条の規格にこの規制値があがってまいります。この時期については、いま検討の段階ですので、ここで明確には申し上げられませんが、三PPMという数字は、いま検討の段階で、将来変わる可能性はあるということでございます。
#102
○辻一彦君 おとなの平均体重を何キロに見ておられるかわからないですが、魚を食べるのはおとなに限らず子供も食べるわけですね。そして、規制されているこのPCBは、三PPMですね、これが小さな子供には「魚を食べろ」と言ってて、普通食べさせますが、その場合に、成人の三PPMを子供の場合にあてはめると、非常に問題があると思うんですが、この点早く検討する必要があると思いますが、その点どうですか。
#103
○説明員(三浦大助君) ただいま先生御指摘のとおり、食品衛生調査会のPCB特別部会というのがございまして、特に魚は赤ちゃんの離乳食に非常に使われるわけでございます。そういう意味で特に乳幼児の問題については別個に検討するようにということで、いま妊婦と乳幼児のこのPCBの規制という問題についてPCB特別部会にはかっておるわけでございまして、あと一回か二回のPCB部会が開かれますと、ここで正式に規制値がきまってくると思います。
#104
○辻一彦君 おそらくその結論が出れば、私は、三PPMはもっと乳幼児、小さな子供についてはこの基準はきびしくなると思うんですが、そういう点を受けて水産庁では、その基準が強くなればさらに規制を強化する必要がありますが、これは十分やられる用意ありますね。
#105
○政府委員(荒勝巖君) 人間の健康にかかわる問題でございますので、私どものほうといたしましては、厚生省の御結論が出次第それについてのまた対応策は十分に対処いたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#106
○辻一彦君 じゃ、厚生省に。これは小さな子供の場合に非常に私大事だと思うのです。いろいろな研究や学説がありますが、ある学者が新聞にも、これ京都のある大学の先生が出ていますが、白ネズミにこのPCBの供与によって、いろいろな生殖サイクルに異常がきている、こういう問題も出ておりますから、小さな子供に与える影響は非常に大きい。この点から早く結論を出して対処してもらうように願いたいと思います。
 そこでこの高汚染というか、かなり高い濃度の魚がとれている地区における漁民の健康診断ということをやる必要があるのではないか。消費者のほうへいけばかなり分散されるけれども、毎日食べるのは、魚を毎日とっているむしろ漁民に多いわけですから、そういう問題の地域の漁民の健康診断をやる必要があると思いますが、その点、厚生省どう考えられますか。
#107
○説明員(三浦大助君) 先ほどちょっとお答え申し上げましたが、昨年のPCBの規制値をつくる食品衛生調査会の検討の最中におきまして、今回の暫定的規制値は標準的なおとなのための規制値だと、したがって、多食者については、別途あらためて健康診断をしてその影響調査をすべきであると、こういう委員の見解が出されたわけでございます。それに基づきまして私ども特にPCB汚染の問題になりそうな地域、八県・八地区ですが、八地区を選びまして、対象四千名に対しまして健康調査を目下やっております。この健康調査が終わりまして、いま集計をしておるわけでございます。その結果が近く出てまいりますので、それを参考にしてこの多食者問題に対処したいというふうに考えております。
#108
○辻一彦君 いつ大体調査報告はまとまりますか。
#109
○説明員(三浦大助君) いま集計中でございますので、一カ月ぐらいはこれかかるかと思いますが、はっきりここで日にちは申し上げられません。
#110
○辻一彦君 八地区には、今度たとえば非常に問題になった大分の一三〇PPMのウナギの地区、あるいは敦賀湾のスズキ、これは一一〇出ました。それから岩国の七九という数字、あるいは兵庫の四四という数字がありますが、こういう地区はいまの調査の対象になっておりますか。
#111
○説明員(三浦大助君) この八地区は三重県、滋賀県、兵庫県、島根県、香川県、広島県、大分県というふうになっておりますが、その中の地区につきまして、私ちょっとここに資料持って参りませんでしたが、一番この県でも汚染の非常に疑わしいところの地域を選んだということになっておりますが、ちょっとここに資料ございませんので、後ほど先生のほうに資料を御提出いたしたいと思います。
#112
○辻一彦君 いままで八地区を調査されたのはけっこうですが、新たにすでに水産庁の調査によってこういう汚染地域がかなり濃度の高いところが出ているとすれば、私はこの地区の調査もやる必要があると思いますが、厚生省と水産庁のほうから、そういう地域の漁民についての調査をやる考えがあるのかどうか、この点いかがですか。
#113
○説明員(三浦大助君) 厚生省といたしましては、現在の漁民のいわゆる多食者調査、この結果を待って考えたいと思います。ただ、PCB問題はカネミの油症患者に一つの事例があるわけでございますが、カネミ患者の場合には二〇〇〇PPMから三〇OOPPMのものを百二十日間かかって食べたために起こったということでございまして、今回の規制値につきましては、かなり安全性を見てございます。直接的な急性的な障害はないものと私ども判断しております。ただ、先ほど先生御指摘のように乳幼児あるいは妊婦という非常に鋭敏な問題がございます。したがって全く懸念なしとはこの高い数字から私も断定できません。したがって、こういう場合には、健康調査、これはもちろんしなければならぬと思いますけれども、ただ、いま多食者調査の集計のまつ最中でございます。なるべくこれを早く結論を出しまして、これに対処したいというふうに考えております。
#114
○辻一彦君 この間土曜日に敦賀市の議会が開かれて、その内容を聞きますと、やはり漁村とかこういう心配のある地区については健康診断等をやってもらいたいと、こういう要求が強く出ておるんですね。県のほうはいろんな調査を待ってと、こういうことでありますが、もちろん厚生省はいまやっておられるそういう集計を待つということはたいへん大事ですが、問題になるところの漁民の精密な調査というよりも健康診断等ですね、これに私は手をつける必要があると思うんですが、この点は問題地域について幾つかいまやることはできませんか。
#115
○説明員(三浦大助君) もちろん私ども新しく問題が出たところは調査をしたほうがいいと思います。しかし、いま一般健康調査といいましても、なかなかいろんな疾病の判別というむずかしい問題があるわけでございます。私ども昨年多食者調査のときにやはりきめ手になるのは血液中のPCBの濃度でございます。この結果が一番診断のきめ手になるのであります。あといろいろ自覚症状その他伺いましても、ほかの疾病との判別というむずかしい問題がございますので、その点の分析も今度の集計結果からわかってまいります。で、どういうことをやったら一番効果的にPCBの影響がわかるか、こういうことをつくるための健康調査でございますので、ひとつその結果を待ってからということで御了解をいただきたいと思います。
#116
○辻一彦君 それをなるべく早く集計をして結論を出して、そして問題地域についてはぜひその集計した結論に基づいてしかるべき調査、診散等をお願いしたいと思うんです。
 それから敦賀ですね、いま福井県は市場にあががった魚がどういう経路を通って消費者の口に入ったかという喫食調査というのを――これは正確な言い方かどうかわかりませんが、喫食調査というのをやっておりますが、こういうやり方をほかの汚染地域についても調査をする必要はないか、この点どうですか。
#117
○説明員(三浦大助君) 私どもの調査は健康調査だけではなくて、そういう摂食状況といいますか、一日にどのくらい魚を食べておるかということも栄養士を動員しましてやっておりますが、そういう日常の調査と、それと健康調査、これに血液検査等のいろんな検査も加えてやっておりますす。
#118
○辻一彦君 じゃあ、いずれにしても、厚生省のほうはその調査を早く集計してその上に基づいて対策をぜひ強化してもらいたいと思います。
 次に私は、公害源の問題について二、三点伺いたいんですが、今度の精密調査の報告によるとかなり高汚染の地域はほぼ公害源が推定されると思うんですが、この報告には公害源については明らかにされていませんが、この点はどういう考えなのか、長官いかがですか。
#119
○政府委員(荒勝巖君) 私のほうが昨年末の一般的な概査の結果に基づきまして、今回二月、三月と調査いたします調査の方法論といたしましては、あくまで魚体にPCBがどの程度汚染しておるかどうかということの精密調査に近い調査方法でございまして、そういう形で主としてあやしい地区の魚を追いかけてその結果を捕捉したという方法論をとっておりまして、どこから原因者というか、原因があるかということの捕捉の方法はとっておりませんし、また私たちの水産庁の調査では、工場への立ち入りというふうな形のものが法律根拠として何も私たちには持ち合わせてなかったというようなこともありまして、今回の調査の発表からははずさしていただいたという結果になっております。しかし、私たちとしましては、こういう調査も精度を高める過程でおのずから、原因の因果関係というものがおのずから明確になってくるものというふうに考えている次第でございます。
#120
○辻一彦君 六月二日に朝日、毎日、読売等中央紙もたとえば福井県の敦賀湾においては東洋紡績に公害の、原因がある。あるいはきょう六月五日目、毎日のこれを見ますと、山口の岩国についてはやはり同様沿岸の東紡岩国工場等が考えられる。あるいは大分の汚染源については大分製紙、あるいは兵庫についてはここに鐘淵化学、三菱製紙こういうふうに一応ここにあげておりますが、水産庁は大体七割か八割はわかっているということですが、これについては大体わかっておるのですか。ほぼ見当つけておるのですか。
#121
○政府委員(荒勝巖君) 年末こういう調査を進めてきました過程におきましてどうしてこういうふうにPCBがこの地区は出るのだろうかということから、PCBを使っておられたであろうと思われる企業につきましては、常識的な形ではある程度全然知らぬというわけにはいかないと思いますが、しかしわれわれとしましては、的確にその企業であるというふうなところまで突きとめるような調査方法はとっていなかった。またわれわれといたしましては、今後そういった問題も含めまして関係方面と協議して進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#122
○辻一彦君 それでは水産庁が通達を出して、このPPP、いわゆる原因者負担の原則によって知事、県がその企業と交渉して補償問題を解決せよというような通達を出すときに、そういう通達を出すのですか。
#123
○政府委員(荒勝巖君) 私たちといたしましては、この公害問題の処理につきましては政府の一つの方針でございまして、この原因者負担の原則という原則は、今回の調査結果に基づきましてもやはり進めざるを得ないのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#124
○辻一彦君 いやそれならば公害源の企業を明らかにしなければ、その通達が出ても交渉ができない、補償さすことはできないと思うのですね。そういう点でそれは一体どこの判断にゆだねるのですか、水産庁が判断するのか、県が判断するのか、その点はどうなんですか。
#125
○政府委員(荒勝巖君) 私たちといたしましては、被害の状況を明確にするということが非常に大事だと思ったわけでありますが、今回の調査で発表いたしましたように、特に地元を明確にした。単なる何々県の魚というのではなくて、何々県のどこどこの地元の沖合いの魚というふうに限定いたしましたので、おのずからその加害者といいますか、原因者は逐次明確になると私たちは考えている次第でございます。で、そういう発表のしぶりをいたしました結果、県におきましては相当その辺の問題は十分掌握されておられるのではなかろうか、こういうふうに期待いたしておりまして、当然県がその辺の明確な原因者につきまして、原因者負担の原則で今後折衝と並びに指導を行なわれるものというふうに考えまして、またそういう方針で指導をいたしておる次第でございます。
#126
○辻一彦君 その場合に県が原因者をはっきりさす場合に、水産庁はかなり強力な行政指導をやる考えはあるのですか、もう県にまかしっぱなしですか、その点はどうですか。
#127
○政府委員(荒勝巖君) 私たちといたしましては、その点につきましては、原因者負担の原則ということで、県は十分に指導するつもりでございます。ただ問題なのは、今回の発表からはずさしていただいたようなことについて、私たちも十分企業のことについては調査する能力がなかったことのほか、さらに複合汚染という問題等もからんでおりまして、ほんとうにだれが原因者なのかという問題も疑問の余地が相当残っておったというふうにも調査の過程で推論されましたので、今回からの発表では、そういったことは一切はずさしていただいたというふうに御理解願いたいと思います。
#128
○辻一彦君 重ねて伺いますが、県の判断にまかすのですか、水産庁あるいはこの問題については環境庁、通産省、いろいろ連絡をとってそれぞれ取り組んでいるわけですから、そこらで合同のような会議によって判断をして、かなり行政指導をやるとかそういうことがあるのですか。全く県のPPPという、原因者負担という原則だけを示せば、あとは県の判断でやれと、そういうふうに考えておられるのか、その点どうなんですか。
#129
○政府委員(荒勝巖君) 今後の先の将来の問題は別といたしまして、今回の発表結果につきましては、県を中心として指導をいたしてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#130
○辻一彦君 県を中心にして指導をするということは、行政指導も十分やるということですね。
#131
○政府委員(荒勝巖君) はい。
#132
○辻一彦君 では次に、私、これに関連して環境庁に伺っておきたいのですが、公害源から出る汚染源というのは結局工場排水、それがヘドロという形で堆積をしていると、こう思いますが、このいま精密調査が進められたこの地域、これらの汚染源と目される企業等について、工場排水あるいはヘドロの規制についてどういうような対策を打ってきたか、簡単にちょっと報告願いたいと思います。
#133
○説明員(山村勝美君) まず一つは、PCBというものは、大体底質化いたしますヘドロが主体でございます。で、もう一点は、その前に工場排水から出る水の問題とヘドロの問題がございます。水の排水につきましては、昨年の七月十七日に排水に対する暫定基準と申しますか、そういうものを指導指針として出しております。それから、ヘドロにつきましては、とりあえず一OOPPM以上含むものについて周辺の精密な分布調査を行なって除去することを検討しなさいという指示をいたしております。
#134
○辻一彦君 具体的にこれは全部もうヘドロの除去というものは大体行なわれておりますか。
#135
○説明員(山村勝美君) まだ現在調査中のものもあるようでございまして、かなり実施しているものもございます。
#136
○辻一彦君 このけさの新聞を見ても、大分の地区あるいは福井の敦賀については、ヘドロの除去に取りかかっていると、こういうことが報道されておりますが、簡潔に状況がわかりますか。
#137
○説明員(山村勝美君) 現在ちょっと調査中でもございますが、たとえば播磨灘の高砂周辺では、それをしゅんせつすることによって二次公害のおそれがあるという漁民側の要請等もあったために、別の工事方法はないかという検討をしておるということを聞いております。山口については、現在調査中であるというように理解いたしております。その他については、ちょっと私、――瀬田川、琵琶湖につきましてはすでに一部工事に着手しておるはずでございます。ちょっと資料持ち合わせありませんので、私の知っている範囲だけ申し上げました。
#138
○辻一彦君 その状況はあとで資料で報告をいただきたい。
#139
○説明員(山村勝美君) はい。
#140
○辻一彦君 そこで、たとえば一つの例として敦賀湾においては運輸省がしゅんせつをやっておりますね。運輸省のほうから、どの程度のことが行なわれているか、簡単でいいですがちょっと報告してください。
#141
○説明員(大久保喜市君) 敦賀湾におきまして、いわゆる港湾工事としてのしゅんせつは運輸省でやっておりますが、今回のこのPCB汚染に関連いたしましてのしゅんせつというのは直接的には運輸省はタッチしておりません。
 ただ、私ども県当局に状況を問い合わせましたところによりますれば、先ほど環境庁からのお答えがございましたように、一〇〇PPM以上PCBを含んでいるヘドロにつきましては、環境庁のPCB対策指導によりまして、県といたしましては、県の公害規制課が、県の港湾管理者であります、事務当局でありますところの県の港湾課とも連絡をとりながら、港湾区域内の一〇〇PPM以上のところについての本年二月に、土量にいたしまして約一千立米程度でございますが、取り除いたということを回答を得ております。それで、新聞に、まだ工事中であるというような報道も出た点につきまして、問い合わせいたしましたところ、実はこの敦賀湾の場合は、このPCBを含むヘドロの堆積している場所が敦賀港の中の旧筌野川の河ロー現在筆野川運河といっておりますが、その口の辺でわりあいにPCBの含有量の高いヘドロがございまして、そこのところは取ったわけでございます。ところが、そが運河の上流のところ、これまあ河川区域になるわけでございますが、奥のほうがまだ若干除去が終わってない。これはいま除去することにしているというふうに聞いております。
 なお、この除去に当たりましては、これは県が先ほど申しましたように、公害規制課が港湾課と連絡をとりながら、まあ一応、東洋紡の排水口の付近にこういうものが多かったものですから、東洋紡にその除去を命じて除去さしている。それであとを確認している。そういうことでございます。
#142
○辻一彦君 大体、そうするとこの種のヘドロは、まあ各地に、いま調査中のようでありますが、だいぶありますが、原因者でヘドロ除去と、これはもうはっきりさしていいんですか、しているんですか。これは環境庁からもひとつ伺いたい、
#143
○説明員(山村勝美君) そのとおりでございます。
#144
○辻一彦君 じゃ、さっきの調査の資料を出していただくと同時に、もういうまでもなくヘドロの中にPCBがたまっている状況が非常に多いと思いますから、これをひとつ十分に早く除去して漁業のこの公害といいますか、原因を取り除いていただくように願いたいと思います。
 最後に私、通産省は、こういう公害源と考えるこの企業に対して、いろいろな指導をやっていると思うのですが、たとえば福井の東紡敦賀工場ですね、ここでのカネクロール・オイルというのを使っておりますね。これが大体六月ぐらいで切りかえるとこういわれておりますが、切りかえたオイルはむずかしい名前ですが、KSK三三〇というのですか、何というか、私も詳しくはわからぬですが、かわりにこういうものに切りかえるといっておりますが、これはそういう意味の公害の心配がないのか、あるいの確実に六月末にこういう切りかえが行なわれるのか、その点について、通産省お調べであれば御報告願いたい。
#145
○説明員(堺司君) 現在、御指摘のありました東洋紡のPCBを使っている部門と申しますのは、ポリエステル合成繊維の重合部門で熱媒体として使っておるわけでして、これをさっきお話がありましたように、KSK三三〇という、主として化学構造としてはアルキルナフダリンでございますが、それに切りかえるということになっております。この毒性につきましての、東京の某大学の研究室で調査を昨年からいたしてもらっておりますけれども、調査結果によりますとPCBよりも数十分の一、はるかに毒性は少ないということでございまして、企業といたしましてもKSK三三〇を使用するということに決定した次第でございます。これはお話にありましたように、六月からPCBにかえてKSK三三〇を使って操業に入るということを聞いております。
#146
○辻一彦君 同様の、山口県の岩国に工場がありますね。ここは――これは朝日新聞で見ると、敦賀は六月末に切りかえるけれども、岩国のほうは十一月にと、こういう談話が出ておりますね。もう明確にそれが毒性があって切りかえる必要がある。しかもそれによって被害が少なくなるということがはっきりしておれば、片方は六月、片方は十一月というのは私はおかしいと思うんだが、それを早く切りかえさす、そういう必要があると思うのですが、この点通産省いかがですか。
#147
○説明員(堺司君) 私どもも同感でございまして、実は企業を呼びましてその実情を聴取いたしましたところ、現在岩国工場では二百七十トンばかりのPCBを使っておる。このPCBを転換するについては、このPCBを貯蔵しておく場所、タンクでございますけれども、これを建設しなければならないので、これに二、三カ月の時間がかかるということでございます。工事はもう間もなく始めるということでございまして、十一月に完成の予定であるということでございましたが、私どものほうは行政指導をいたしまして、できるだけ早く措置するよう先方に申し伝えてございます。
#148
○辻一彦君 もうこういうふうに問題がはっきりしているなら、これは強力な行政庁の指導によって早く切りかえさすように当然すべきであると思いますし、その努力をしてもらいたい。同様に、全部について私は資料がありませんからわからないのですが、同じような問題が今日問題になっている各地区にあるのじゃないかと思うんです。その点を詳細に調べて直ちに対策を立ててもらいたいと思うんですが、この点どうですか。
#149
○説明員(堺司君) 私どもの所管でございます化学繊維に関しましては、全企業を調査いたしまして、PCBを使っておりますのは東洋紡一社でございました。したがってそのPCBに関する限りは汚染問題は今後出てこない。化学会社については発生しないというふうに考えておりますけれども、これにかわるKSK等、非常に毒性が薄いものであっても、最悪の事態も考えられますので、再度各企業から重合部門について、どのような化学品を使っているかということを再調査いたしまして、その管理につきましては厳重に指導するようにいたしております。私どもの了解では、毒性が少ないばかりでなく、すでにPCBの問題が起きておりますので、各化学企業ともその点の管理につきましては厳重にやっておるというふうに了解いたしております。
#150
○辻一彦君 通産省の所管は繊維関係だけじゃなしに、広範な範囲でありますから、必ずしもこの十数地域の対象は繊維関係の企業とは限らないと思いますから、これは通産省として、すべての企業に対してこの対策をぜひ強化をいただきたい、こう思います。
 それからもう一つですね、漁民が一番関心を持つのは、健康の問題であると同時に、やはり補償の問題なんですね。そこでたとえば福井県の対策でもスズキが問題になっております。これは港の中、湾の奥部、湾の中央部、ずっとかなりな汚染がある。そこで港の中に二、三メーターの網を張張って全部その網で一ぺんとる。ダイナマイトをかけるという計画であったそうですが、安全上問題があると。こういうので網でもって全部その魚を一匹残らずいなくなるようにしようと、こう言っておりますが、それを捕獲をして、これは原因者負担ということで、東洋紡が買い上げるということに話し合いでなったようですね。それはいいのですが、湾内に、いまだんだんスズキのシーズンになって、一本釣りがずっと行なわれておりますが、その漁獲をしたのを買い上げるといっても、みすみす食べることができないというのをとって、そしてそれを買い上げてくれというのも、漁民もこれでは働きがいがない、やりがいがないとこう言っておるのですね。これは私はちょうど農民が、カドミウムの汚染地区で、補償はするから、売れない、食えない米でもつくれと、こう言われても、なかなか働く気がしないのと同じ問題だと私は思うのです。こういう点について、敦賀等の漁業協同組合では、一本釣りは当分この問題が安全である、心配はないというまでは出漁しないようにしようと、こういうことを一応申し合わせておりますね。こういう場合の補償という問題は非常にむずかしい判断にはなりますが、長官どういうふうに考えられますか。
#151
○政府委員(荒勝巖君) 私のほうといたしまして、ただいま御指摘ありましたように、各県を指導する過程で、大体においておおむねそういう原因者負担の原則で汚染魚の地帯の魚につきましては、まあ原因者である企業が買い取るなり、あるいはその地区の漁業権をある程度保障するというふうな形のものができるように指導しておる次第でございますが、やはり非常に御指摘のように、漁民の方々がそういったことについて心理的に何ともまあ割り切れないものがあるという半面、また生活的な問題にも響いてくるという問題もございますので、これらにつきましては、一応やはり原則は原則として原因者負担の原則は貫きながらも、今後ひとつ何らかの形で解決の方法はないだろうかと思いまして、ただいま検討をさせていただいておると、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#152
○辻一彦君 まあ大体終わりますが、いろんな問題がありますね。そこの港でとれた魚は汚染されておっても、遠方でとれた魚をその港に揚げるわけですね。そうすると、敦賀なら敦賀の魚ということで一まとめにされて魚価が下がってくる。たとえば新聞にも出ておりますが、六月三日の新聞ですか、二日の魚価を見ると、全部二割ないし四割せりの結果下がっておるわけですね。それは何も汚染魚でない、遠方でとれたんだが、船で揚げる場合には敦賀の港へ揚げてそこでせりをかける。一括して汚染魚の扱いというような印象で値段が二割から四割下がっている。一体こういうものはどうなるのかという問題がありますね。それからまたあの地方では、いま民宿が非常にはやっております。一本釣りでたくさんのお客さんが来て、遊漁というか、釣りをして楽しむというので、そこでキャッチフレーズが、きれいな水、うまい魚、こういうキャッチフレーズでいままでやってきたのですね。これはものすごいイメージダウンなんですね。そうすればそのイメージダウンをしたこの損失というものは、民宿やこういうことをやっている人に非常に影響が大きい。これを一体どうしてくれるのだという、こういう、ある面でいえばこれは無理ではないかという意見もありますが、これは夏の末にかけて、一年の暮らしのかてをその限られた時間の間に獲得しようというために非常にいろんな努力をしている漁民が、その一番大事なときに失う損失というものは私は非常に暮らしの上で大きいと思うのですね。こういう問題をやはり企業の原因者負担という中で私はいろいろと考えていかなければならぬと思いますが、明確にどうするということは言えないにしても、方向として、長官一体こういうものどういうふうに行政指導されますか。
#153
○政府委員(荒勝巖君) 御存じのように、人間の健康、あるいは生命にかかわる補償につきましては、かねてから政府としては原因者負担という姿勢でございましたが、この一、二年の動きはある程度必要やむを得ないものについては政府みずから――健康にかかわるものにつきましては政府においても、若干これについて政府も関与するという姿勢でだんだんと動いておるわけでございますが、この生産補償の問題につきましても、将来何らかの形で検討せざるを得ないだろうというのが最近の政府部内でも多少そういう意見が出てきてはおりますけれども、まだ生業補償それ自身を国として保障するというところまではまだ至っていないわけでございますが、今後そういった第二次、第三次的な影響力のある生業の問題まで含めまして、環境庁を中心といたしまして、われわれ政府部内でやはり検討せざるを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えておりますけれども、さしあたりは、やはり一次的な被害者の救済が当面としては一番問題になりまして、二次、三次というふうに連鎖反応的な生業補償まではなかなか実際問題として今後議論としてむずかしいのではなかろうかというふうに私は考えております。
#154
○辻一彦君 じゃこれで終わりますが、最後に、沿岸漁業の公害という問題は、PCBをはじめとしていろんないま私は、問題が出ておると思います。去年もこの委員会で、原子力発電所あるいは火力発電所の温排水が沿岸漁業に及ぼす影響等を取り上げたことがありますが、これからこういう沿岸漁業にいろいろと打撃を与える公害という問題がますますふえてくる可能性があると思うのです。こういうものをやはり押えていくということが私は、日本におけるたんぱく資源を確保する上で沿岸漁業に非常に大事だと思うのですね。そういう点で沿岸漁業を守るためにこういう公害を押えていくための決意をひとつ長官とそれから政務次官御出席でありますから、次官からも伺って終わりにしたいと思います。
#155
○政府委員(荒勝巖君) 日本の漁業の振興ということにつきまして、遠洋漁業等につきましては、外国の沿岸国の規制が非常にやかましくなってきておる。しかしながら、日本といたしましては、将来千三百万トンをこえる需要というものがございまして、これらについて対処するとともに、沿岸漁業の振興ということは、やはり今後非常に大事なことではなかろうか、こういうふうに私のほうとしては考えておる次第でございます。特に日本人が好みますおいしい魚というものはほとんど沿岸でとれておりまして、これを今後維持発展さしていくことが非常に大事でございますが、御存じのように、沿岸の振興は、やはり問題は公害対策と、いかにして海をきれいに守り、海を今後培養殖をふやしていくかということは、公害をこれ以上ふやさない、あるいはこれからさらにもっと海をきれいにしていくということが沿岸漁業振興の最大の方向であるというふうに私考えておりまして、ともすれば、いままで立ちおくれぎみだった水産におきます公害問題を、全力をあげてこの問題の解決に努力いたしてまいりたいと、このように考えている次第でございます。
#156
○政府委員(鈴木省吾君) ただいま辻委員からお述べになりました御意見、まことに貴重な御意見でございます。また、お説のとおりだと思いますので、農林省といたしましては、今後十分注意しまして万全の対策をとってまいりたい、かように考えます。
#157
○理事(初村滝一郎君) 四案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
#158
○理事(初村滝一郎君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたし示す。
 農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案、農水産業協同組合貯金保険法案、農林中央金庫法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の審査のため、来たる六月七日、全国農業協同組合中央会会長宮脇朝男君、農林中央金庫理事長片柳眞吉君及び財団法人協同組合経営研究所理事長一楽照雄君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#159
○理事(初村滝一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#160
○理事(初村滝一郎君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 北海道伊達市における火力発電所の建設が農漁業に及ぼす影響について調査のため、北海道へ委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#161
○理事(初村滝一郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、派遣委員、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#162
○理事(初村滝一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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