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1972/06/15 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第13号
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1972/06/15 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第13号

#1
第071回国会 農林水産委員会 第13号
昭和四十八年六月十五日(金曜日)
   午後一時四十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十五日
    辞任         補欠選任
     小枝 一雄君     田口長治郎君
     安井  謙君     温水 三郎君
     沢田  実君     藤原 房雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀井 善彰君
    理 事
                佐藤  隆君
                初村滝一郎君
                中村 波男君
                塩出 啓典君
    委 員
                梶木 又三君
                田口長治郎君
                棚辺 四郎君
                温水 三郎君
                平泉  渉君
                堀本 宜実君
                杉原 一雄君
                村田 秀三君
                沢田  実君
                向井 長年君
                塚田 大願君
   国務大臣
       農 林 大 臣  櫻内 義雄君
   政府委員
       農林大臣官房長  三善 信二君
       農林省農林経済
       局長       内村 良英君
       農林省農蚕園芸
       局長       伊藤 俊三君
       水産庁次長    安福 数夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○農水産業協同組合貯金保険法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○農林中央金庫法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案、農水産業協同組合貯金保険法案、農林中央金庫法の一部を改正する法律案及び、農業協同組合法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題とし、前回に引き続きこれより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○杉原一雄君 もとより農業金融の問題を、法案を審議しているわけですが、きょうは特に論点をやや変えて、別な角度から法案の中身に入っていきたいと思います。
 これは私たちだけではありますまい。おそらく農協はいま非常な危機に立っているという認識に実は立たざるを得ないだろうと思います。しからば、なぜ農協が危機なのか。今度の改正もそうしたものに対応する一つの法改正だと理解していいと思っておりますが、ただ農協は農協として、危機に直面するという実在のものではなくて、これは法第一条をひもとくまでもなく、農協は、つまり農民の協同の組織として「農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図り、併せて国民経済の発展を期する」という大目的を持った農協法、農業協同組合法であるわけですけれども、つまり農協ではありますけれども、結局農業が一体どういう形になっているか、農業構造がどう変化しているか、このことが農協の運営に大きな影響を来たすことは当然のことであります。その観点から考える場合に、農協の危機はすなわち農業の危機であるという考え方も私は無鉄砲ではないと思います。なかんずく、農業の今日の実情を考えた場合に、先般来の質問等の中にちらほら出ているように、やはり米の、まあ政府側からのことばをもってするならば、過剰、そのために生産調整を行なう、こうしたことなど等を通じて、食管法というたぐいまれなりっぱな法律があるにもかかわらず、食管制度がいろいろな形で改変されてきたこと、そのことが農協の大きな危機を招く要因になっていると思います。そのことを発展さしていくならば、結局農村、農業の危機を打開し、ほんとうに第一条に期待されるような国民経済の発展に寄与するという場合に、第一の、一つの大きな想定として、食管機能をどうするかということが大きな問題になると思います。
 そういう観点から、まず農協法改正の入口のところで、最近のできごと二つについて、大臣の見解なり、最終的には、いま申し上げましたような、食管制度をどうするかというところへ、最後の、第一問のしぼりを持っていきたいと、こう考えているわけです。二つの問題と申し上げるのは、六月十一日の田中総理の青森における発言、第二点は、きのうの朝九時、ニクソンがテレビを通じてアメリカ国民並びに世界に発表したあの六十日間の物価等のストップ、並びに海外に対しては農産物の輸出を押えるという、あの非常なショッキングな放送等をめぐっての国内の対応の問題、この二つにまず焦点を向けてみたいと思います。
 第一点の、田中総理の青森における談話発表は、一体、新聞等でいろいろ伝えられておりますので、私たちはおおよそ知っております。しかしながら、えてして、こうした発言が、ある新聞のように、放言大臣という漫画をかいて、顔をよく見れば田中さんとよく似た漫画でありますから、要するに、田中さんのこの発言を、この間連続して発言が出て、国会を騒がしている放言という扱い方をとっているわけですが、そのことは非常に私は悲しいことだと思います。国民も、また田中総理がやったかと、こういう受け取り方をするとすればきわめて残念でありますが、少なくとも、私たちのように、農民のしあわせをこいねがい、日本の農業の将来を憂える者にしては、田中発言にやはり若干の期待をかけたいと思います。そうしますと、そこに、いやそれはそうじゃなかったんだと、この間の田中総理の、増原発言に対する答弁のような形で、すらりと逃げられると困りますので、おそらく農林大臣は、田中さんのあれほどの発言をするためには、それは、かりに氷山の一角とするならば、氷山の下に、いわゆる水面下に隠れている米に対する考え方、政策その他が農林大臣のところで段取りをされて、そのことが田中さんの来年からの減反政策は取りやめにするという一つの発言となってあらわれたものだと思います。でありますから、まずもって農林大臣の手元に入っております情報等から勘案して、田中発言の内容の骨組みはどういうことか、同時にまた、その田中発言の内容について、農政当局として具体的に、あるいは米価の決定なり今後の食管制度の問題等について、大筋でけっこうでありますが考え方を明らかにしていただきたい。これが第一点であります。
#4
○国務大臣(櫻内義雄君) 御質問をまつまでもなく、総理大臣の青森における発言は、農林当局の私どもとしても非常に大事なことでありまするので、各新聞社の記事あるいは現地への照会をいたしまして、総理の発言は大体こういうことではなかったかというように私どもの了解しておりますのは、一番問題なのは、米の減反政策の打ち切りということが新聞で各社それぞれの角度から取り上げておりますが、このいわゆる減反の問題については、ことし一ぱいで減反ということは打ち切ることになっているので、これからは転作奨励にウエートを置くという趣旨の発言をされたようであります。まあ、特に速記があるとか、あるいは録音テープがあるとかというのではなく、総理の発言をそれぞれの感覚でメモをとっての報道になっておるようでございまして、大体いま申し上げたことで間違いはないと思うのであります。
 そこで、この発言に伴って私どもなりに考えてみまするに、御承知の四十六年の二月に生産調整についての閣議了解がございまして、その了解の主要な点の中に四十六、四十七、四十八の三年は休耕奨励金と転作奨励金を出すようになっております。しかし四十九、五十年については休耕奨励金はこれを出さない。すなわち四十八年度限りで休耕奨励金は打ち切って、その後は転作を基本に進めることになっておりますので、その趣旨を四十九年度対策として明確にされたものと思うのであります。
 そういうわけでございまするので、特に総理がこの際新たな施策を示したというよりも、昭和四十六年の閣議了解の線の中におきまして一応の見解を述べられた。こういうことでございまして、したがって、ただいまこれからの農林省における諸施策について何か変更があるかというようなことにつきましては、現在既定方針どおりでございまして、別にこの際特別な何か方針の変換というようなことはこれは全然ございません。特に私といたしましては、これはしばしば本委員会でも申し上げましたように、就任直後に、当時の国際的な食糧の需給の関係などを勘案いたしまして、現に食管制度についての検討も行なわれ、中間報告もございまして、前農林大臣は、機会があれば、それらを反映しての具体的な構想を示すような、そういう姿勢もあったかと思うのでありまするが、私としては、それらの意向は尊重はするのであるけれども、しかしこの検討のことでございます。検討を尊重するのであるけれども、現在はまだその時期を得ておらないので、自分としてはこのままの姿勢を継続していきたい。すなわち、言いかえますならば、現在の食管制度は直接統制方式と間接統制方式、いわば政府の直接管理する米と自主流通米とをうまく組み合わせた非常に妙味のある制度でまいっておりまするので、自分としては、いまいろいろ考えない。こういうことで、このことはもう終始一貫して本日に至っておる次第でございまして、以上をもってお答えといたします。
#5
○杉原一雄君 大筋の答弁は理解できるわけですが、そこに至るまでのさまざまないろいろな条件判断があると思います。とりわけ四十八年度産米が一体どうなるのだということなど、いわゆる制度、とりわけ生産者米価決定等にあたる条件として非常に大きなファクターをなしておると思いますので、私たちは農林省から出された昭和四十八年度の農業観測をもらっているわけですが、これによりますと、米の生産見通しは、前年産とほぼ同水準になると見通される。こういう表現に実はなっておるわけです。こういうところから、あるいは二百五万トンの問題が出たりいろいろしてくると思いますが、かいつまんで、この観測判断の基礎を簡単に理解できるように御説明をいただきたいと思います。
#6
○政府委員(伊藤俊三君) お答え申し上げます。
 農林省が発表いたしました四十八年度の農業観測につきましては、ただいま先生のお話しがございましたようなことを書いてあるわけでございます。で、私どもの農業観測、こういったものの計算といいますか、推定の根拠といたしまして、次のようなことに相なっておるわけでございます。
 私どもは、米の生産調整を実施しなかった場合の総生産量というものを千三百八十万トンと見込んでおります。そういたしまして、片方で需要のほうを千百五十万トンというようなことを考えまして、二百三十万トンの余剰数量が出る。それからさらに食糧庁の在庫期限というようなことを二十五万トンといたしまして二百五万トンという生産調整の数量をきめた。これはこの委員会でも申し上げたことがあると思いますが、そういう生産調整数量二百五万トンということを考えまして、四十八年度の米の作付面積を大体前年度をわずかに上回る、そういうことになるであろう。それから収穫量は、天候を平年並みということに考えれば大体全体の収量ということでは前年作、千百九十八万七千トンでございますが、ほぼ同水準ぐらいになるであろうというようなことを考えた次第でございます。
#7
○杉原一雄君 こういうことをお聞きする私の意図を、途中ですがいま一ぺん申しておきますが、五月三十日のある新聞の伝えるところによりますと、これは、茨城県と明確に県名も書いてありますが、茨城県の「農協経営概況」の中で出てきている貯金の問題ですが、列島改造で貯金が急に伸びてきたということで――今次法案の改正点もねらいがそこにあるわけですが、望まれる資金の効率運用のことについて頭をひねっておる。こういうことなんですが、こういう形の預金量の増加が望ましいのか、農民が汗水流して、米あるいは小麦その他果樹、豚等でもうけると、それを余ったものを貯金するというのが望ましいのか。そういう点で、私としては、後者が望ましいというふうな判断に立っておりますので、いわゆる食管制度、米の値段の問題には、ここにおいでになる自民党の皆さんと同様に、負けず劣らず重大な関心を持っておって、こういう質問を実は展開しているのだという意図をひとつ御運解いただきたい。
 伊藤さんのほうで来年は、四十八年度の産米はそこそこだろうと、同時にまた、需要のほうも――人口はふえるのだろうけれども、若干これはこの見通しによりますと需要のほうも、米に対する需要はそんなにふえないだろう。こういう見通しになっておるわけですが、これは議論してもどうにもなりませんので、それはそれなりに受けとめておきます。が、客観的情勢としては、たとえば先般来よく出ますFAOの事務局長が、去る十一日の理事会において、世界的な食糧不足について、見通し、見解を明らかにして、なお、その見解の中から備蓄制度の問題等についての提案が実は出ておるわけです。こういうこと等も考え、後ほどニクソンの問題に触れるわけですが、いろいろ情勢を考えた場合に、何かしら、いま伊藤さんなり、食糧庁で考えているような見通しなり、展望について、私は若干の不安を実は持っておるわけですが、「よしわかった、杉原心配するな」ということで、明確ないまおっしゃった意見に、もう一度裏打ちするようなものがあれば、お聞きしたいと思います。
 皆さんがお出しになった、この観測の中には、潜在的過剰基調がまだあると、事ほどさように、かなり米に対する今後の生産状況について期待といいますか、皆さんの側から言えば、始末にたいへんお困りのようですから、悲しい結果かもしれません。――私らは好ましい結果ですが。はたしてその潜在的な過剰基調があるのかどうか。いまFAOの事務局長の基調報告等も合わせ考えた場合に、また同時に、最近のきのう、きょうの天候ひとつ見ても、私も百姓をしてきた一人として、うかつに、ことしの取り秋を考えることはできないのではないかという、非常な心配を持つのですが、農林省にはそういうつめたい風は入ってきませんか、だいじょうぶですか、どうですか。
#8
○国務大臣(櫻内義雄君) 現に二百五万トンの生産調整をことしはやっておるわけであります。そうしてそれには、転作のほうに重点を置こうということで、一応の目標は、大まかでございますが、「二割強を休耕に、転作は八割近くのものを」ということできております。この潜在的な過剰性のあるなしはどこから出てくるか。こういうようなことをせずにおれば、それだけはやはり生産増になってくると思うのであります。これが一つの基本でございますが、しからば、一体ことしの生産調整の、現実の状況はどうか。これを実施するときに私どももいろいろ考えました。ただいま杉原委員のおっしゃるように、国際的な天候異変、需給上の問題、日本においてもまた、当然そういう事態も考え備えておく必要があるわけでございます。
 そこで、生産調整は、従来画一的に行なってまいりましたのを、ことしは、相当、地域の事情を勘案してはおりますけれども、もっと農林省が従来主張してまいっておる適地適作の行き方を考えてもいいんじゃないか、したがって、一応生産調整の目標を示してはおりまするが、ひとつ各県の実施状況はどうだろうと。それによって生産調整の行き過ぎのあるところは、これは当然目標にまで押えていかなければならないし、また適地適作的な、そういう見地で、もっとつくらしてくれというところにつきましては、かりに一方において生産調整を相当目標に追いつくようにしておっても、行き過ぎるところもありまするから、それらを勘案して、つくりたいところはつくるようにというようにつとめてまいってきておるのでありまして、これがしばしば申し上げるように、目標を与えておるが相当弾力的に考えておるのであると。さらには、このあとの出来秋の場合におきましても、一方において、もし余り米があり、一方においては限度まで達してないというんであれば、これもひとつ現実に即していこうではないかと、こういうような方向できておるのでございまして、それはすべて、杉原委員が御心配のような諸情勢に相当こたえていくと。米があまりできなかったという場合、おそらくそれは天候上の影響もあるでしょう。一方において、できたというのは、ある地区は恵まれたということもあるでしょう。そういう現実も踏まえていこうというわけでございまして、このFAOの事務総長の指摘を待つまでもなく、私どもとしては日本の国内におけるあらゆる場合を想定しながら、一つの目標は示しておるけれども相当実情に即してやっていこうと、こういう次第でございまして、その点から、潜在的な過剰とかあるいは天候問題に対する御心配とかということにつきまして、ただいまのお答えをもってひとつ見当をつけていただきたいと思うんであります。
#9
○杉原一雄君 先般、全国の農政局長会議をお開きになったと思うのです。そこで、期待される減反、休耕のおおよその数字をつかまれたと思うのですが、そのときの状況では一体、北海道から九州に至るまで、大体いま農林大臣がおっしゃったような形で、どういうふうに作業が進んでいるか。もうほとんどいまでは私の県等は田植えを全部終わって、田の草取りをやっている最中でございますから――全国的にはまだ植えつけの終わっていないところもありましょうけれども、大体見当はついていると思います。その辺の現実はどうなのか。あるいは青森のように、二千円も補助金を出して休耕田をひとつ掘り起こして米をつくりなさいという奨励をしている県もあるわけですから、これはほんとうの一部でありましょうけれども、全県、全国的には大体その辺はどういうふうになっているかということを、それを一つお聞きしたいと思うのです。
 もう一つは、これは農林省でおやりになったことですから、私は何も言っておりませんけれども、六月の九日でしょうか、食糧の自給率、とりわけ四十六年度の自給率について、いままでの価格計算だけに基づく試算からすれば、いつも農林大臣がおっしゃっているように、主食は七〇%−七五%程度だ、自給率は。と言っておいでになったけれども、カロリー計算で割り出してくると、それは四〇%台だと、大ざっぱな言い方をすれば五割だと。こういうふうに農林省自身が認めているようでありますが、この辺の事情についても若干の判断といいますかね、このデータに基づく判断、それが食糧管理制度にどう影響していくかという政策的な判断、そういうものを加えて、合わせて二つの問題について答えてください。
#10
○政府委員(伊藤俊三君) 生産調整が大体どういうことになっておるかというお尋ねにつきましてお答え申し上げたいと思います。
 先生ただいまお話がございましたように、過般、地方農政局長会議を開きまして、どういうような状況になっているか、情報としていろいろ話を承ったわけでありますが、それによりますと、県によりまして、いろいろ差がございます。北海道のように、倍をこすであろうというようなところもございます。また、青森なんかもかなり生産調整といいますか、そういった方向に進んでおるようでありますが、また、いわゆる米どころでは、あまり生産調整は進まないというようなところもございます。
 なお、九州等はこれからの値えつけでございますから、まだはっきりわかっておりませんが、全体を通じまして、大体、二百五万トンの減反の数量でございますが、大体、それとあまりそう違わないようなかっこうの数字になるんではないかというように私どもは感じております。
#11
○杉原一雄君 官房長、自給率は。
#12
○政府委員(三善信二君) オリジナルカロリーの問題でございますけれども、私ども農林省として正式に出しておりますのは、オリジナルカロリーによる自給率ではなく、金額で算出した総合自給率あるいは品目別の数量による自給率を出しております。それをオリジナルカロリーにかりに計算した場合ということの数字が新聞に出たのかと思っております。と申しますのは、普通のカロリー、カロリーといいますが、自給率の計算の場合に、ほんとうはやはり品目別に、米とかあるいは野菜とか、肉類とか、そういう品目別に計算するのが一番妥当なやり方だと考えておりますし、それを総合的に見た場合に、金額で焼き直しまして、それをやっているのが総合自給率。で、そういう意味でカロリーに計算して総合自給率を出すということは、正式には私どもはやっておりませんけれども、かりに計算すれば、ということで、数字をはじいてみただけでございます。と申しますのは、カロリーの場合には、たとえば全部金額でもなく、数量でもなくカロリーに計算し直してやるわけでございまして、たとえば飼料――えさの場合、この場合なんかにも、換算の七倍にするとか、八倍にするとか、世界的にも学者の間でもそういう問題がいろいろございますし、それから野菜等の場合、カロリーは非常に低い。それから肉とか、米とか、そういう品物についてはカロリーの計算をすると、非常に高く出る。したがって、相当価値の高いものでも、カロリーでいくと非常に少なくなる。そういう難点もございますし、そういう意味で、かりに計算するとすれば、という意味でやったのでございます。その点御了承願いたいと思います。
#13
○杉原一雄君 かりにということがあるんですけれども、おひまだからやられたわけじゃないでしょう。だから、これはやはり政策的にはね返ってこなければ意味をなさないわけですから、結局、米の生産量を押えるとかなんとかして、国民にとっては、食生活を変えていく。これは農林省だけの仕事じゃない、厚生省の関連もあるけれども。いろいろな意味でやはり一つの政策としてそれが走り出さなければ意味をなさないと思うんです。新聞だねをつくる結果になってしまって何にもなりませんから。これは、いま申し上げたように、四十六年は、従来の自給率の計算でいけば七四%ですね、だが、いまおっしゃるカロリー計算でいくと五三%なんです。こうしたものと対比しながら、そこには農林省と国民の食をお預かりになる皆さんのほうでは、それに対する、これをミックスした政策的な何か指導、指標というものが出てこなければならぬと思うが、そこまで踏み込んでいないんですか。
#14
○政府委員(三善信二君) 政策的観点から申し上げますと、先生も御承知のように、七五年を目標に十年後の一つの農産物の需給見通し、あるいは生産目標というものを試算して公表しているわけでございまして、その政策的な観点からは、食糧農産物の総合自給率ということで、オリジナルカロリーの面では出しておりません。そういう意味で、政策的観点からは金額の総合自給率、品目別の自給率ということでやっております。
#15
○杉原一雄君 それでは、さっき申しました第二の問題です。
 きのうの朝ワシントンからきわめてショッキングな放送が行なわれたことは御承知のとおりでありますし、新聞の報道の伝えるところによりますと、農林省の中はまさにてんやわんやであったような表現をしております。あるいはそれほどでなかったかもしれませんが、しかし、かなりやはりそれだけの報道をされるだけの私は値打ちのある――値打ちという表現はどうかもしれませんが、ショッキングな一つの放送であったと思います。なかんずく、その中で、物価はどうだとか、賃金はどうだとかいう議論はここでする必要はおそらくないと思いますが、ただ、農産物の輸出を規制するという一点にかかって、きわめて私は重大な発言をしていると思います。
 きょうも本会議で、防衛二法案が山中長官の手で提案されたわけですが、質疑応答のやりとりで、私の頭にひらめいたのは、一九六〇年の安保改定期には、私はいなかにおって、反対の事務局長をやって旗振りをやっておった男であります。その当時、その前の年でありますが、よくこの委員会で一、二回言ったと思いますが、アイゼンハワーが、ゲティズバーグというところで、四十分ぐらい演説をやった中で、特に、日本の国に対する期待、それは軍事力というよりも兵器廠、ぼくらの解釈をするなら、極東侵略の兵器の拠点として、日本の工業力を利用すべきだということをアイクは言ったことを思い出しているわけです。きょうは、産軍融合の問題で、上田君は提起しておりますが、あれは全くそのことを裏づけする発言であります。
 もう一つは、そのアイクの発言と前後して、上院のマンスフィールドがアジアへ参りまして、特に日本を十分調査した結果、上院に対してグリーンレポートを提出しております。このグリーンレポートの中で提起していることは、アメリカは農産物が、ああいう保護政策をとっておりましたから、倉庫にぎっしり詰まって余っているので困っているんだ。――そこまでは言っておらないのですが、だから、これを何とかして日本に売らなければならない、輸出しなければならない、しかしながら、日本も独立国であるから、そうやすやすと農産物を買ってはくれないだろうから、日本のおもちゃとか、小さな工芸品、工業製品等を買い入れして、それを見返りにして農産物を日本に輸出すべきだ。でないと、農産物を価格支持をやっている関係上、国民の税金をそのことのために使い過ぎて困るじゃないかという荒筋のレポートを上院に提出しております。しかし、私は、そのときの、当時の安保闘争の中で、この二つとも戦いの目標にして否定したのであります。
 ところが、はからずも、いま、今日まで――後ほど詳細に聞きますが、日本はアメリカからマンスフィールドのレポートの方向に従って小麦は何%、大豆は何%、トウモロコシは何%、こういう形で人間の食糧並びに豚や牛の食糧に至るまで、たくさんのアメリカの農産物を輸入している。そのことに依存しながら日本の食糧政策、あるいは畜産の飼料の計画、こういうものを立ててきたことは厳然たる事実であります。そこへもってきて、いま彼は――かりにそれが六十日であろうと、六十日以後それを解除するということはだれもわからない。こうした重大な爆弾発言をニクソンがやったということは、これは私はあり得ると思っていた。先見の明を誇るわけではない。そういう危険がいま参ったのであります。そこで、これに対して、とりあえず農林省の対策と申しますか、小麦はどうだとか、大豆はどうだとか、とうふの値上がりはしないぞ、だいじょうぶだ。こういつたような発言があってしかるべきだと思うし、ちらほらそのことが中野長官の談話等で出たりしておりますが、委員会を通じて一もう一度いま集中的に申し上げるならば、主食はだいじょうぶなのか(小麦の問題を含めて)、それから、とうふはこれで値が上がらないのか、豚や牛は濃厚飼料がなくて、ばたばた倒れることが起こらないのかどうか、そうした点について、この委員会を通じて国民なりに明らかにしていただきたい。これが第一点であります。
 なお、今後、これはニクソンの胸三寸にあるわけですが、どういう事態になるか私らはわからない。おそらく農林大臣もわからない。こういうものに対応するためには、われわれは、いまここで食管制度に対する基本的な検討を加えるときではないだろうか。このことについては、あとで項目別にあらためて私の見解とあわせて大臣の見解を求めることにいたしますから、いま申し上げた全般の見通し、今後の大まかな対策をお聞きしたいと思います。
#16
○国務大臣(櫻内義雄君) 後ほど内村局長のほうから詳細申し上げてもよろしいかと思いますが、御質問に対しての一応概略的なお答えを申し上げておきたいと思うのであります。
 一つには――これは農林省内で十分検討した結果を申し上げるんではないのでございます。私が、この責任の衝にある立場からながめて、一体今度のニクソン大統領の措置をどう受けとめようか、この点については、私は、あくまでもこれは一応はアメリカの国内対策である、インフレ抑制対策である。いま御質問の最も重要な点である農産物の輸出規制のことでありますが、これは、まず第一には、議会から授権される、そしてその後に万一発動された場合はどうかと、こういうことになるケースのものでございます。その抑制の授権をニクソンとしては要望しておる。ところで、そのアメリカの基本的な姿勢というものを考えまするのに、本年五月の発表を見ましても、大豆とか小麦等の作付面積を非常に拡大をするようでございます。これは、拡大をして、その結果国内の必要食糧をまかなうというのではなく、従来の傾向からして、当然さらに一そう増産、輸出の増大を考えておると見て当然だと思うのであります。しかもアメリカは、国際収支の上に非常に困難を生じて、そのために苦慮をいたしておるのでございまするから、より一そう食糧を輸出して国際収支の改善に努力しようというのは当然の道でございます。それらのことを考えますときに、いま輸出についてその権限を大統領に付与してもらおうという構想というもの、これはかりにそのように授権されても直ちに発動をするものではないというふうに見られるわけであります。もし、その発動をされるという場合はどういう場合か。この間うち、私どもは一つの苦い経験を持っておるわけであります。それは日本が日本の需給事情からしてアメリカから木材を非常に買い付けておる。その買い付け量が相当量にのぼるために、それがアメリカ国内の住宅用製材に響いておるということから、日本に対する輸出規制をするというところにまいりまして、そこで日本側は自主規制をするということで一応アメリカとの間で話し合いをいたしましたが、議会のほうでは一院をその規制法を通しておるという状況にあるわけであります。いまの食糧をそういう例から考えてまいりますると、海外へ売っておる、その海外へ出しておることが、かりに国内の食糧の騰貴を招いておるというような、そういうことがあってはというようなことで、一まず輸出規制をしようというような意思表示をしたのではないかというふうに推察されるわけであります。そういうことで、かりにそのような事態が、おそらくないと思いますが、あったとしても、ことしの作柄の見通しのつくまでのことであり、その作柄が不幸にしてアメリカが非常に凶作であるというようなことであれば別問題でありまするが、現在のところ、ミシシッピー川の下流の洪水のような要素以外には、特にアメリカの本年の作柄について憂慮すべきような事態というものは考えられません。
 で、小麦、大豆、コウリャン等についての御質問でございましたが、これは現在手当て済み、あるいは在庫のもの、そういうものからいたしますれば、小麦は二カ月分の在庫を織り込みまして、十一月までは手配済みであります。トウモロコシ、マイロ、濃厚飼料原料については、これは一カ月分の在庫を見込み、十月一ぱいまで手当て済みであります。最も関心の多い大豆については、これは本年のにがい経験にかんがみまして、いち早く手が打ってありますので、十二月分まで成約済みと、こういうようなことで、ただいまのところ、アメリカの今回の措置によって、これが国民生活に、何かさっそくに重大な影響を与えるというようなことは判断いたしませんし、ただいま申し上げたような状況でありまして、御心配をかけずに済むと、このようにお答え申し上げたいと思います。
#17
○杉原一雄君 きのうのそうしたことが、国内に大きな波紋を呼んでいると、こういうことで朝日が取材しているわけですが、その中で豆が――あんこに使う原料豆でしょうけれども。六十キログラムがプラス五百円、五百円の騰貴をしているという報道も行なわれているわけですが、こうしたことで、かなり敏感に国民の経済生活、食生活に大きな影響を持っておりますので、いま農林大臣が、あるいは十一月まで、あるいは十二月までだいじょうぶだと、こう言っておられるわけですが、そのことを私は信じたいと実は思います。しかしながら、これは農林省筋から出たのでありますが、小麦はあるいはアメリカでは、ことしは生産調整のほうがゆるんでいるから、この点はだいじょうぶだろうという観測と、もう一つは大豆はそうでないと、大豆はたいへんアメリカでも窮屈になるだろう。こういうのがある。これも出所を明らかにしておかないといけませんから、しますと、きのうの朝日の夕刊であります。「農林省の見方」とある――ただいまは農林大臣は大綱的におっしゃったわけですが、これによりますと、どなたがこういう観測を出されたのか知りませんが、そういう出し方をしておりますから、国民は非常に先般来、とうふやその他で大きくびんたを食らっておりますから、敏感になるのはきわめて当然だと思います。
 そういうことで、農林省の今後の、これに対する対策とか、そういうことを敏感に反応していただき、なおかつ省ではかく考えるじゃなくて、やはり国民にも心配するな、手当てをしたのだというようなことなど、いま大臣は確信を持っておっしゃっておることですから、大きくアピールされていいんじゃないかというふうに思います。そのとき私たちだけが心配しているんじゃなくて、国民全体が心配している問題でありますし、事実、いま申し上げたように、国内にもすでに農産物の値上がり、騰貴性を持っているものが出ているし、一部ではこれはたいへんだと。またいまは、きのうも佐藤さんかだれかおっしゃったように、国際分業という考え方が進歩的であるというような観察、考え方も、修正すべき時期に直面しているということなど、大きく見てそういう問題がやはりあろうと思います。
 第二点の、ニクソンのショッキングな放送をめぐっての櫻内農相の見解を聞いたわけですが、今度、田中発言並びにニクソン放送、二つをからめながら国内外の食糧情勢を見た場合に、階級的に私は日本農民組合を支持するわけですが、日本農民組合が、直接農林大臣に要望書を実は出していると思います。項目は四項ほどあるわけですが一々尋ねません。大体三項についてそれぞれ、農林大臣に、この場を通して権威ある答弁をお願いしたい、こう思います。
 それは第一点でございますが、生産調整を中止してもらいたい、それから限度数量以外の米も買い入れる、FAOの事務局長が提起しているように、備蓄米を確保すること、これが第一点でございます。このことについて大臣の所見を明らかにしていただきたいと思います。
#18
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどちょっと触れたのでありますが、私は、いまの政府が直接に管理をしておるのと、それから自主流通で間接的に管理をしておるのと、そうしてこれらが合わさりまして、予約限度数量がきめられておる。自主流通米は正規のルートに乗る、この方法ですね、これは私は、非常に妙味があるものであるというまず第一に認識に立っておるのであります。
 それから第二は、明年については転作奨励をする、そうしてそれを定着させたい。こう申しておるのでございますから、その意味からの生産目標というものが与えられなければならないと思うのであります。その与えられた目標、そうしてそれによる政府の買い入れ数量の決定、こういうことになってまいりますると、ただいま生産調整はやめろ、買い入れ制限は廃止しろということとは私の考えは、いささか違うわけであります。ただ、これもよくお答え申し上げておるのでありますが、転作を一方にやる、生産目標は示されておる、しかし天候が非常によかった。こういうことで、その際に相当計画量を上回る米が取れた、これは一体どうするのか。これは従来はその例がまだ出ておりませんけれども、当時の倉石農林大臣と宮脇全中会長との間で、政府がそれは買うということだけは明らかにしておるのでございまして、また私も、そういう場合には買いまするし、正規のルートに乗せるということははっきり申し上げておきたいと思うんであります。ここで問題になるのは、そのときの価格の問題であります。この価格についても、これはそういう事態が起きておりませんから、これから慎重に検討すべきでありますが、当然、生産農家としては、他のものと同様の価格というものを期待することはよくわかるのではありまするが、私は一応の計画をしておって、そこでそれをオーバーしておるというような場合は、これはいわばプラスアルファではないのか。そうであれば、その辺はひとつそのときに臨んでよく考えさしてもらいたいというようなことを申し上げておるのでございまして、以上をもって第一の要請にお答えするんでありますが、なお備蓄のほうにつきましては、これはすでにしばしばお示しのように本年十月末には五十万トン、明年の十月末には七十五万トン、さらに明後年には百万トンの備蓄を持つ。これは消費の上で二カ月分に該当して、それ以上はなかなか消費者のことも考えていくとむずかしい点がある。十月以降全量古米を配給するとしても十一、十二となります。古米が一月になってもなお配給しなければならぬという場合は、これはどうか。大体二カ月百万トンぐらいがよかろうということを申し上げておるのでありまするが、まあしかしこれは一応の目標でございまして、そこに若干の上積みができたとか、いうようなことについては、特にそう神経を使う必要はないのではないか、こう思うんであります。まあ一方におきまして、もっといわゆるそのことばどおりの備蓄をすべきだという所見がございます。現在私は、それについて十分検討はいたしておりませんが、もみで貯蔵するということについても、なかなか困難な面もございます。それから他の飼料関係の備蓄のことも考えますると、一体倉庫はどうする、サイロはどうすると、いろんな問題が起きてまいりますので、そういう御所見については、なお十分本年の状況等も、あるいは国際的な状況も勘案しながら、検討をしてみようということを申し上げておるわけであります。
#19
○杉原一雄君 それでは、第二点の米価の問題ですけれども、答えは、七月に行かにゃわからぬと、こういう答えになると思いますが、しかし、ものの考え方というものは、そう変わっていないと思います。全日農の要望では御承知のとおり、生産者米価は、再生産を確保する生産費所得補償方式で算定し、消費者米価とは切り離せと、こう言うのであります。これは、食管法に最も忠実で食管法の精神を十二分に生かした主張だと思いますが、これは農林大臣が、この間、週刊読売の渡辺さんとやりとりしている中で、渡辺さんのほうから質問されると、一〇%上げたって千二百億円の持ち出しだという話で、去年も税金六千億も取り過ぎしているんだから、千二百億ぐらいは少ないんじゃないかという渡辺さんの提起があったりしておるわけですが、農相は頭がいいからなかなかひっかからないわけですが、いま全日農のほうから言っているこの要求、考え方については、たびたび聞いていることですが、もう一度前進した形で見解をお聞きしたいと思います。
#20
○国務大臣(櫻内義雄君) 私どもは法に忠実でなければならない、こう思うんであります。そういうことで、いつもしゃくし定木のお答えをしておるわけでございますが、実際上のことを申し上げますと、私としては、なるべく近いデータでやりたい。この米価を考えますときに、四十五、四十六、四十七年の生産費のデータ、これは非常に大切なものだ。これは当然その計算上出てくるんであります。しかし、その経済事情を勘案するということについては、これはできるだけ直近の状況というものが好ましい。ことに、この節のように、いろいろな問題が次から次に出るわけであります。おとといは、予想もしないニクソンのああいう声明もあるというようなことでもございまするので、米価決定の一番近いデータでいこうということでまいっておりまするし、また、現に私が農林大臣としてお答えすべき農林省内において何か検討をしておるか、またお答えする材料があるかというと、そういうものがないのでございまして、したがって、この米価のことにつきましては、もうしばらく御猶予を願うということでまいっておるわけであります。
#21
○杉原一雄君 では、第三点でございますが、これは四点あるわけですけれども、四番目ははずします。第三点は、自主流通米制度、あるいは買い入れ制限。消費者米価の自由化をやめて、全量政府買い入れ制を基本とした食管制度にすること、これは一と二とみなかかわり合いを持つ主張でありますが、最後にこの問題をまとめて見解をお聞きしたいと思います。
#22
○国務大臣(櫻内義雄君) この自主流通米について、この制度をやめろという御意見のときに、私は、かりにお尋ねをすることがあるのです。その自主流通米で、生産者はこれはいやなんだろうかと、自主流通米によって生産者の手取りも若干ふえるのである。それじゃ、消費者の場合どうなのかと、嗜好に応じてうまい米を食べたいということにこたえているのではないかと。それから、米価の現状を考えまするときに、標準米で政府売り渡し価格がはっきりしている。そうすると、物統令がはずれておりましても、標準米については、これは基準的な価格が出てまいります。そうしますると、その自主流通米につきましては、上米とか、中米とかいうようなふうに自然に格づけされまして、物統令が単純にはずされているのではない。そこにも妙味がある。そういうようなふうに考えてまいりますると、別段いまの制度というものが、しいて御批判をちょうだいすれば別として、現に末端の消費者の方々にお聞きをしましても、国会での論議ほど、そう問題にはなっていない、それから、また特に政府としては、標準米が必要だといえば、これはもう全部供給するようにしようと。その標準米が残るために混米問題などが起きて、これも御批判を受けたけれども、これは、私からきちきちにそういうようなことをやるわけにいかない。そうであれば、若干の余りが出る。それが長年のお米屋さんの習慣で混米になる。しかし、混米になることによって上米の価格、中米の価格はおのずからそこで算定されていくと、こういうわけでありますので、せっかくの御要請ではございますが、私としては、いま現在にわかにいろいろ変更する考えはなく、特にお願いでございますが、何にも私のほうであれこれ動揺しておるのではないけれども、ネコの目のように変わる農政とか、何かばたばたしているような報道がされるということは、私としては、ほんとうに残念に思っておるのであります。もういろいろな角度から言われても、終始一貫この六カ月間同じことを申し上げ、何といっても、農村の皆さん方が安んじて今後の農業にいそしんでいただきたい。なるべく問題がないように、そのレールの上を静かに走っていきたいということで、どうぞ御了解をいただきたいと思います。
#23
○杉原一雄君 大臣のような方が日本人の平均人ないし平均以上の人、こういう形で日本の経済が運営されておれば問題ないわけですが、ときおり私は、列車で全国あっちこっち回って、私は実は大臣と見解を異にするのは、たとえば、日本一うまい福井米とか、日本一うまい越後米とか、至るところに日本一が出てきたわけです。つまり米は主食ですからね。言い方を変えれば、国民の命を支えているわけですから、それが商業ベースで、ものを考えたり、それによってまぜかえされることは私は、あまり好ましくないと思うんです。いわんや、大商社か小商社かしれないけれども、躍動するという、すき間がいまの制度の中に存在すると思います。それは、きちんとした制限下における食管制度でも、やみ米の動きということなどで刑事罰等にひっかかる人が出てくるわけですけれども、しかし、いま自主流通米なりそうした制度が存在することの中に、商社の暗躍といいますか、検査をしない米をさかんにあちらへ横流し、こちらへ流すと、何も食管制度、いわゆる食管法などというものはなきがごとき状態になってくる。一つの大きなつまり歯どめといいますか、そういうものがなくなって、こうした現象が起こるのじゃないかというふうに、これは私は、非常にひがみでありますかもしれませんけれども、一つは農民の立場、一つは消費者の立場から、やはり多くの問題を持っているのじゃないかと思います。いま二宮尊徳のようなことを農民に要望することは非常に残酷でしょうけれども、私も百姓をして、最後の晩生米で自分の飯米を保有したときに、昔、短銀坊主という米がありまして、これは非常にまずい米でしたけれども、最終的には、それを保有米にして一年間の生活をした経験を私は持っております。そのことは、いいことでもなけりゃ、自慢することでもないわけですけれども、いま大臣がおっしゃったきれいな表現をすれば、好みに合った、体質に合った、おいしい米を農民からつくっていただき、自由にそれを販売できるような体制をとってもらうほうが好ましいのではないかと、いわゆるあなた方のことばですれば、多様化と、こういう表現になると思うんですね。しかしそこには、私がいま申し上げた農民の側とそれから消費者の側から、大きな不安の問題が幾つか起こってきて、なかんずく、ことし非常にその問題が国民の前に露呈された、こういう事実等も考えることとあわせて、農業経営の観点からも私は、そうやすやすといま大臣の考え方をお受けするわけにはいかない。しかしこれは、やりとりしても限りがありませんので一応打ち切りまして、今度は次の農協法の問題に入りたいと思います。
 農協法は、昭和四十五年度の場合も実は大改正をやったので、ちょうど私そのころ農水に出ておりましたので、この改正にも参加した一人であります。農協法成立以来、改正に改正を次いで四十五年度では、第七次の農協法改正ということになるわけでありますが、そのときの改正の最大のねらいは何であったか。要するに、改正しなきゃならない客観的情勢と申しますか、農協そのものの主体的条件というものが何であったかということをもう一度確認をして、そのお答えをいただき、あわせてそのことから今次の第八次の大改正というものが、第七次の改正の十分でなかった点を補完するという意味と、合わせて客観情勢の変化に基づいて改正点が出てきたのではないかと思いますので、二点に振り分けて明確にお答えをいただきたいと思います。第七次改正のねらいとそれから第八次改正のねらいと、その問背景にある客観的情勢の変化と大づかみにひとつお願いします。
#24
○政府委員(内村良英君) まず最初に、昭和四十五年の農業協同組合法の一部改正により改正されたおもな事項をこの際申し上げてみたいと思います。
 第一は、農協による農業経営の受託でございます。第二は、農協による農地その他の土地の売り渡し等の事項、第三は、農業協同組合連合会等の会員の議決権及び選挙権の数の特例、第四は、総代会制度の整備、第五は、農事組合法人制度の改善ということであったわけでございます。
 そこで、これらの事項につきまして、その後の状況はどうなっておるかということを申し上げますと、農協による農業経営の受託につきましては、昭和四十六年度から実施している稲作以外の作物にかかわる農業経営等の受託の推進のための補助事業により四十七年度において農業経営の受託を行なった組合は、二十四組合でございまして、受託面積は約四百十五ヘクタールということになっております。これがまず農協による農業経営の受託の実施に移された後の状況でございます。
 第二は、農協による農地その他の土地の売り渡し等でございますが、いわゆる農地等処分事業、この実施状況でございますが、昭和四十七年十二月末における農地等処分事業の実施状況は、組合員の委託によるものが組合数で百十六、開発面積が四百二十七ヘクタール、組合員からの買い入れによるものが五十組合、九十七ヘクタール、こういうことになっております。
 それから農用地供給事業でございますが、この事業の中心をなすものは、農地を農地として取得し、これを農地のまま組合に供給する事業でございますが、この事業を実施するために、農協が農地保有合理化法人として指定される必要があるわけでございます。で、昭和四十七年度までに、この法人の指定を受けました農協は、全国で二組合のみでございます。
 それから農協連合会等の会員の議決権、選挙権の数の特例でございますが、昭和四十七年十一月二十日現在におけるこの特例の採用状況を見ますと、採用している県が十三県、検討中の県が十二県、採用する意思のないものが二十二県となっております。実施中の十三県のうち中央会、連合会、経済連、共済連及び厚生連のそれぞれについて実施中のものは十二県、中央会のみについて実施中のものが一県でございます。
 それから第四に、総代会制度の整備でございますが、農協合併による規模拡大に伴い総代会制度を採用する組合は、年々増加の傾向にございまして、これによって組合運営の効率化がはかられていると考えられるわけでございます。
 それから農事組合法人制度の改善でございますが、昭和三十七年に農事組合法人制度が創設されて以来、協業等集団的生産組織の農政面での役割りの重要性にかんがみ、農事組合法人をめぐる諸条件の変化に対応してその経営の安定をはかるとともに、設立の円滑化をはかる措置がとられてきたわけでございます。で、この間、農事組合法人の設立は年々増加いたしまして、昭和四十七年三月末現在で三千三百九十六組合に達しておりまして、経営類型別に見ると畜産、果樹、養蚕等の成長作物の単一経営がその大宗を占めておるわけでございます。
 で、四十五年の改正のその後の実施状況は以上のとおりでございますが、四十五年の改正はただいま申し上げました諸点からおわかりのように、当時の経済情勢の変転によりまして農協が農業経営の受託をやる。すなわち兼業農家が非常にふえているというようなことから、農業経営の受託をやって農業生産を維持していくということ、それから農地の問題がかなり流動化してまいりましたので、そういった面に農協が参加していく。
 それからあと農協運営に関係のございます連合会等の会員の議決権及び選挙権の数の特例あるいは総代会制度の整備等の問題は、これはだんだん農協が大型化していくということに伴いまして農協の運営についてそういった措置が必要になるということからとられた措置でございます。
 それから農事組合法人の制度の改善の問題につきましては、やはり農業情勢の変化にあわせてそういった措置をとらなきゃならぬということで、このような改正が行なわれまして、その後の実施状況はただいま申し上げましたとおりでございます。
 そこで、そういった改正が四十五年になされたわけでございますが、それでは今般の改正というものはそれとの関連でどうなっているのかという点でございます。御承知のとおり、今般の改正につきましては、農業協同組合法の一部を改正する法律案の提案理由の際に大臣から御説明がございましたように、改正の第一点は、組合の金融機能の拡充をはかることでございます。これにつきましては、最近における組合員の経済活動の多様化というものが起こっておりますと同時に、組合の事業規模の拡大等に対応いたしまして、信用事業を行なう農業協同組合に対して、手形の割引、組合員の債務の保証、内国為替取引、有価証券の払い込み金の受け入れ等の取り扱い及び金融機関の業務代理等の事業能力を、また信用事業を行なう農業協同組合連合会に対しましては有価証券の払い込み金の受け入れ等の取り扱いの事業能力をそれぞれ付与しようとするものでございます。これはただいまも申し上げましたように、非常に最近組合員の経済活動が多様化している。すなわち経済活動の範囲も広がっておりますし、それから経済取引の規模も大きくなっているというところから、組合についてもそのような金融機能の拡充が必要だということから起こっているわけでございます。
 それから、改正の第二点は、資金の貸し付け範囲の拡大でございます。御承知のとおり、最近はいろいろ地域開発その他で農村におきましても環境の整備あるいは産業基盤の確立ということが非常にいわれておりますと同時に、それに必要な資金というものが必要になってくるわけでございます。そこで、そういった資金需要に対応いたしまして、資金の貸し付け範囲の拡大をはかるということが第二のねらいでございます。
 それから第三の点は、組合の行なう宅地等供給事業の事業範囲の拡大をはかることでございます。これはただいま申し上げましたように、四十五年の改正の際に農地等処分事業というものを始めまして、農協が組合員の委託を受け、あるいはみずから売買をして宅地等供給事業を行なえるようにしたわけでございますが、そういった事業をやってみますと、組合員のほうから、売るということよりも所有権を維持しておいてこれを貸したいと、貸してやりたいんだと――先祖代々の土地をそう簡単には手放せないと。これを貸すことを組合が、われわれの信頼する組合がやってほしいというような要望もございまして、そういった四十五年の改正によって始まった農地等処分事業の延長と申しますか、そういった形で組合の行なう宅地等供給事業の事業範囲の拡大をはかりまして、いわゆる賃貸借という形で宅地等供給事業ができるということにしているわけでございます。
 それから第四の点は、共済規程の変更手続の簡素化でございまして、これも組合規模が大きくなるということと同時に、共済の場合には単協がいわゆる共済責任を保有しておりませんので、そのつど一々総代会ないし総会でやるというのはたいへんだということもございまして、定款で総会付議を要しないことができるということにしたわけでございますが、これは組合運営の心要上起こった法律上の手当てでございます。
 それから最後に、農業協同組合連合会の権利義務の包括承継の道を開いたわけでございますが、これも最近において郡市単位の広域合併等の進展に伴いまして、農業協同組合連合会が会員数が減少したことにより法定解散する場合があるわけでございます。これは特に専門農協等に多いわけでございますが、そこで会員が一人になってしまうというようなことも起こりますので、その会員たる組合が当該農業協同組合連合会の機能を円滑に承継することができるように合併に準ずる手続により、その権利義務を包括承継することができるようにするということで、これも最近の組合の広域化等に伴う農協及び農村事情の変化に伴う組合としての対応措置ということでございまして、四十五年の改正からさらに最近におけるいろいろ農業を取り巻く事情の変化あるいは国民経済の変化に対応して今般の制度改正が行なわれているわけでございます。
#25
○杉原一雄君 これは農業協同組合法という法律があるわけですけれども、この法律もそれぞれ目的があるわけですね。でありますから、いま対応対応といいますけれども、それがはたして農協の本流であるかどうか。つまり経済情勢、社会の変化に従って農協も化粧をし直すということは流れとしてはあり得るけれども、本来の農協というのはそれでいいかどうかという、この本来的な問題に常に行ったり来たりしなければいけないと思うのです。そういうことも予想されたから、四十五年の参議院でこれを審議した際に、最後に附帯決議を出しているわけです。とりわけその中の四番目に「系統農協の事業運営については、農業生産面に重点をおき、」とこうあるわけですね。いまは土地のあっせんとかいろいろあるわけですし、それから貸し付けの方法等についてもかなり変わった法改正が出てきておるわけですが、われわれは実はいま申し上げたように、「農業生産面に重点をおき、単協機能の向上を基本とするとともに、系統各段階における経済事業等の改善、合理化を進めるため、その指導監督を強化すること。」云云と、こういう決議をあげているわけなんです。このことを念頭に置きながらこうした改正をされたのかとも思いますが、私いま説明を聞きますと、その本流から若干ずれたところで問題が勝負されているというふうな点も多々感じられるのであります。そういうことをもう一度明らかにするために、一体この農業の生産面における重点という点で考えた場合に、いまの農協の、特に単協等における部門別の損益の関係を見た場合に、たいへんということはどうかと思いますが、もうかっているところと損をしているところとあって、部門別にいったら損をする部門が非常に多い。で、もうかっているのは信用と共済部だけだ、こういうデータが私の手元に出ているわけですが、その辺の点検を局長はどういうふうに考えておりますか。この事実は否定はしないだろうと思いますが、なぜこうなってきたかということをも含めて現状分析をしていただきたいと思います。
#26
○政府委員(内村良英君) では、まず総合農協の部門別損益を明らかにする意味におきまして数字を申し上げてみたいと思います。これは全国の全組合ではございません。経営分析調査によります三百三十三組合についての調査でございますが、四十四年度についてみますと、信用事業が千五百三十六万円の黒字、共済事業が百八十八万円の黒字、購買事業が二百九十七万円の赤字、販売事業が百七十七万円の赤字、倉庫業が三十四万円の黒字、加工利用が百四十九万円の赤字、その他が三百四十一万円の赤字で七百九十三万円の黒字になっております。それが四十六年になりますと、黒のところは、倉庫業が米の生産調整その他の点で赤字になりまして、黒字が出ているのは信用事業と共済事業だけになっております。数字を申し上げますと、信用事業の収益がふえまして二千二百三十五万円の黒字でございます。共済事業が三百二十八万円の黒字、購買事業が四百四十八万円、販売事業が四百二万円の赤字、倉庫業が四十四年は黒字であったわけでございますが、四十六年は百十万円の赤字と、それから加工利用が百七十一万円の赤字で、その他が四百三十九万円の赤字になりまして、合計では九百九十二万円の黒字ということで、このように信用事業と共済事業が黒字であり、その他の事業は赤字であるということは、大体これは一般的に現在の総合農協について言えることではないかと思います。このこと自体が決して私は健全なことだとは思っておりません。そこで農林省といたしましては、部門別独立採算制をはっきりすることとか、あるいは経営の合理化につとめることということでいろいろと指導はしておりますが、なかなかこの現状が改善されない。ずっと過去数年間こういう傾向が続いているということは、農協のあり方としては、必ずしも健全だとは思っておりませんけれども、反面また総合経営の場合に、それでは管理費をどう配分するとかいろんな問題もございますので、そういった点を考えながら、こういった構造の改善については努力しなければならないというふうに考えているわけでございます。
#27
○杉原一雄君 この特に問題は、金融ですから、金融事業上の問題点として単協あるいは信連の貯貸率――私は労金やったことがありますので、預貸率とぼくら呼んでいるんですが、ここらあたりでは貯貸率と言っているようですが、農林省からもらった資料ですね、この資料の四十八年三月、これによりますと、八ページにこの貯貸率が出ているわけですね。単協、信連の場合――農林中金のほうは書いてありません。これによりますと、四十二年起こしで四十七年の九月末というところで、大体の数字をずっとながめてみると、貯貸がだんだんとこう下がってくる傾向がある。要するに、まあわれわれのことばで言えばだぶついていると、お金が。こういうことが、今度の金融事業のいろんな多様化とか、拡大というところに発展してきているわけですね。これは非常にぼくは農協経営、なかんずく金融事業を判断する大事な指標になると思うんです。この数字の、だんだんと低下していく、この背景にあるものは先ほどの説明の中にも若干かかわり合いがあるわけですけれども、どうでしょう経済局長。これが好ましい傾向か。好ましくないとすれば何が好ましくないのか。この辺のところをやはり分析していかないと、法改正が、為替がどうだの、何がどうだのということだけでは、私は、小手先の問題になってしまうから、根本的に、一体金融とは何ぞと、しかもそれは農協とは何ぞと、その原点からもう一ぺん照射を照らしてみて、この動向についての考え方というか、分析を局長のほうでしていただきたいと思います。
#28
○政府委員(内村良英君) この貯貸率についての数字の動向は、ただいま先生から御指摘がございましたように、貯貸率はまことに残念ながら最近の動きとしてはわずかながら低下傾向が見られます。そこで、どうしてこうなってくるのかということでございますが、私どもの調査によりまして、農協貯金の増加の源泉をまず見てみますと、昭和四十六年度におきましては農業収入が四二%、農外収入が五八%となっております。そのうち、農外収入のうち土地代金が三二%、兼業収入等が二六%となっておりまして、土地代金のウエートというものがかなり高くなっているわけでございます。そこで、農協貯金の増加の源泉について、それでは時系列的に土地代金がどうなっているかということを見ますと、四十二年度が一六%、四十三年度が二四%、四十四年度が三三%、四十五年度が二七%、四十六年度が三二%と、こういうことになっております。そこで、この土地代金が非常にふえているということが、農協の貯金がふえている大きな原因でございます。一方、貸し付けを受ける農業のほうを見ますと、まあ米の生産調整あるいは最近における新型の農機具に対する需要が一巡しているというようなことがございまして、若干農業投資意欲の停滞が――全然なかったということは言えないと思います。この点につきましては、本年の農業白書でも、そういった点についての実態は指摘されているわけでございます。こういったことがございまして、貯貸率が下がっているということで、私どももこれは決して健全な傾向だとは思っておりません。そこで、今後のまず貯金のほうよりもまず貸し付けをどうやって拡大していくか、すなわち農業投資をどうやって拡大していくかということが非常に大事だと思います。これにつきましては、御承知のとおり、最近農村地域の地域開発ということで、産業基盤の整備とそれとあわせて環境整備をはかっていこうというようなことで、そういった面への資金需要がふえそうな傾向になっております。それからまた農業自体につきましても、今後、土地の流動性をはかりながら高能率の生産農家をつくっていくという場合には、やはり相当なる農業投資が必要だということになっておりますので、そういった貸し出しの伸長をはかるようなことをやりながら、この貯貸率の向上をはかっていく。貯金を別に減らすという必要はないと思います。それから将来のことを考えた場合に、現在のような形で土地代金の収入がふえていくということも考えられませんので、その辺のところは私どもは、やはり農業投資の伸長というものを通じて貯貸率の向上をはかるべきであるというふうに考えております。
#29
○杉原一雄君 先ほど引用いたしましたね、附帯決議の中の第五のところで、こういう決議を実はしております。それは「最近の不正事件発生の実情にかんがみ、組合の業務上における責任体制を明らかにし、事業組織および指導体制の整備に努力するとともに、中央会監査機能および行政検査体制の拡充に努め、とくに予算措置について特段の措置を講ずること。」こういうのを実は私たち決定したのであります。ところがどうでしょう。霞ケ関におりますと、こういう不正事件が全国にあちらこちら起こっておりませんか。起こっておるとすれば、先ほどあげました事業、幾つかの部門別があるわけですが。主として、私はやぶにらみですけれども、信用のほうにあるんじゃないかというふうに思いますが、そちらにあがっているトータルからいって、どういう傾向にあるか。私が申し上げたのは、やぶにらみで、間違っているなら間違っていると否定してもらえばけっこうですが、ただ問題は、私の言いたいのは、
  〔委員長退席、理事初村瀧一郎君着席〕
これは本県にあったことで、ごく最近あったことでございますので、具体的な名前をあげることは控えますが、ケースはやはり土地ですね、土地の売買、農民が土地を売ってお金が農協へ入ったというのじゃなくて、だぶついている資金を流用して、そうして今度そのお金をブローカーに使わせろと、ブローカーはそれによって土地売買をやった。同時に、まあえらい人は少しふところへ入れたという話なんですが、そういうことなどは、私の県の恥ですから、私は固有名詞を使わないんです。ほかの県等にも私は続発しておるんじゃないか。あるとすれば、そこに個人の問題もありますが、もう少し機構、農協の事業運営の中にすき間があるんじゃないか。言うなれば、端的に言えば、先ほど土地の売り上げ代金その他が入ってきてお金がだぶついて貯貸が下がっていって、お金のやり場がないと、何とかして――組合を思うたかどうか知りませんが、農協の収益を上げようというあせりも加味しているかもしれませんが、そういったことなど、ほかのところにございませんか。本県だけですか。その辺のところを、そちらに入っている情報等にありませんか。あるとすれば、そうした問題を今後未然に防ぎ、附帯決議に即応した努力をするとすれば、監査機能その他を強化するということに落ちるかもしれませんが、皆さんのほうでお考えになっている今後のこうした不正事件を阻止する対策と申しますか、方針、行政指導の面を簡単に明らかにしてほしいと思います。
#30
○政府委員(内村良英君) まず不正事件の数でございますが、私どもが承知しておりますところでは、四十四年度が七十一件、四十五年度が六十二件、四十六年度が六十件で若干不正事件の数は減っております。その中で、信用事業の不正事件がどれぐらいあるかと申しますと、ただいま先生から御指摘がございましたように、これが多くて、四十四年度が三十八件、四十五年度が四十二件、四十六年度が三十七件、こうなっております。
 そこで金融事業の不正事件のケースの大部分は、不良貸し付けと職員の横領でございます。そこでこの不良貸し付けが起こってくるということには、やはり先生から御指摘がございましたように、資金がだぶついている。そこで貸し付け先がないということで、不良の貸し付けをやってしまうということもあると思いますし、また、あるいは役員なり職員が、自分の裁量で非常に親しい人に不良貸し付けをするというようなことも起こっておるのではないかと思います。職員の横領は、これは使い込みでございます。そこで、こういった不正事件に対して、どういうふうにしてこれを防止していくかということでございますが、第一は、やはり組合としての内部牽制組織と申しますか、そういった執行体制を整備する必要があるのではないかと思います。たとえば、職員の横領のケースでございますけれども、組合に長い間つとめているある一人の女性に全部経理はまかせている。そうすると、その女性が魔がささないことがないわけではないと思います、人間として。そういった場合に、だれもそれをチェックする人が、組合の運営の体制としてできていない。特に、組合の規模が零細であって、そういった内部牽制組織をやろうにも、そういった執行体制がとれないというような面もあるわけでございます。
 そこで、私どもといたしましては、規模の利益と申しますか、やはり組合の合併を進める。これは協同組合でございますから、その合併を進める場合に、適正規模がどれぐらいがいいか、昨日も棚辺先生から御質問がございましたけれども、これはなかなかむずかしい問題でございます。しかし、いずれにいたしましても、経営の合理化というようなことを考えた場合には、合併を進めて、同時に、内部牽制組織というようなものも確立していく必要があるんじゃないか。それからさらにこれは組合の検査、自己監査、あるいは行政庁による検査等を拡充いたしまして、そういったものを未然に発見し、これを防止するというような体制もまた、とる必要があるということでございますが、いずれにいたしましても、これは組合自体の問題でございますので、関係者が自覚して、そういった点に特に注意してやってもらうということが一番大事ではないかというふうに考えております。
#31
○杉原一雄君 次は別な問題ですが、農林省が昭和四十五年度起こしで、三年間計画ということで、農協の総点検活動をやっておいでになると思うんですが、これは最終的には昭和四十六、七、八で終わるのか、その辺のところをはっきり私はわかりませんが、三年間の総点検の作業について、いま点検には点検の目的があると思います。それは制度そのものにどうかと、あるいは管理運営の問題がどうだろうかと、合わせてこの二つを追及しているというような、いろいろな方法がありますが、いま点検なさっているのはどちらを指向しておいでになるのか。そうして、もうきょうは昭和四十八年六月十五日ですから、ちょうどそのまん中ぐらいにきていると思うんですね。そうしますと、三年間待って、さてそろそろ対策を練ろうというのでは、今日の激動する社会には対応できませんから、おそらく中間点検をしておられると思いますが、その中間点検をお聞きしたいと、こういうことなんです。だが、しかし聞くまでもなく、それはいま改正案出しているじゃないか、それが中間点検の結論だといえば、それで答えは終わるわけですから、そういうことでなしに、もう少し丁寧に制度的にはこういう問題がある、あるいは運営上こういう問題があったということを、私たち聞かしていただければ農民のしあわせを考え、農協の今後の発展を企図するわれわれとしても、何か、いなかに帰っても、お手伝いができるのじゃないかという善意の上に立って、総点検の全体の展望と、それから中間的な取りまとめをお聞きしたい、こういうわけです。
#32
○政府委員(内村良英君) 最初に申し上げておきたいことは、農協総点検運動というのは、農林省ではなしに、全国農協中央会が実施している運動でございます。農協は昭和四十五年度に総合三カ年計画というものをつくりまして四十六、四十七、四十八年度で、この三カ年計画を実践しているわけでございます。そこでその三カ年計画の実践過程で、改善対策を具体的に講じるために総点検をやったということでございますが、中央会が発表しているところによりますと、総点検についての問題点は大体次のようなふうになっているようでございます。
 まず単協における問題点は、第一に営農団地造成事業については、この事業に対する認識及びその対応が不統一であり、農協間においてその格差が大きいということを自己反省しております。
 第二に、生活事業については担当部署、生活指導員、組合員組織等の位置づけが明確でなく、その体制が確立されていないこと。
 第三に、経済事業については、経営面での部門別採算制の整備が十分でなく、経営者の取り組み姿勢も消極的であること。
 第四に、信用事業については、資金コストの引き下げ対応が不十分であり、また融資が停滞傾向にあること。
 第五に、共済事業については、共済金額の水準について組合間の格差が大きいこと及び専任担当部署が未確立なところが多く、体制が概して不備であること。
 六、経営管理の面では、長期計画的視点での対応が不十分であること等が、単協についての総点検の結果の自己批判というような形で、中央会から発表されているわけでございます。
 次に連合会でございますが、連合会につきましては、まず第一に、経済連については、単協における個々の経営の重点指向の多様化等に対応した体制が十分整っていない。すなわち最近のいろいろな単協における環境変化その他に当面して、単協が直面しているいろいろ困難な経営上の問題に対して十分対応できる体制ができていない。
 それから信連については、資金の貸し出しが停滞しており、また余裕金の効率運用が行なわれていない。
 共済連については、共済の普及推進体制と共済金額の水準において、農協間格差が拡大しており、これらの、平準化が困難である。
 中央会については、総合三カ年計画の推進等に関し、単協及び各連合会の総合調整が十分行なわれていないこと及び会員の要望等に対し、指導等を行ない得る体制としては、十分でないこと等があげられているわけでございます。
 このように、系統農協では、総点検をやったわけでございますが、それでは今後一体これをどういうふうにしていくのかということでございます。この点につきましてはみずから改善するもの、系統間において改善するものに分けまして、現在鋭意その点について検討中のようでございます。本年九月に開催をされる全国の農協大会におきまして決定される第二次総合三カ年計画、すなわち四十九年から始まります三カ年計画に織り込んで、組織をあげてこういったみずから指摘した事項についての改善対策を講じていきたいというふうに考えているようでございます。役所といたしましても、こういった農協の自己反省、それに伴う改善措置というのは、まことにけっこうなことでございますから、協力できるところは協力し、また指導できるところは指導するようにしたいというふうに考えております。
#33
○杉原一雄君 局長から指摘されたことで、私も間違っておりましたが、農林省が主体的にやったものでないことは私もわかりました。いまの報告で異論をはさむことはむろんないと思いますが、よりよい結果とそれに対する指導を農林省としてやっていただきたいということを要望いたしておきます。
 その次には、都市農協のあり方の問題でございますが、これはきのうやりとりを聞いておりますので、二年間ひとつ待ってくれという話ではあったようですが、しかし農業白書でも一五六ページにも、かなり具体的に都市農協がいま非常な大きな変化をしているということなど、具体的に指摘しているわけですから、これはかなり作業としてはテンポを早めなければならぬのではないかというふうに実は思います。たとえばこれ一五七ページですか、「このような農村社会の混住社会的性格の増大は、農業経営に対する依存度や営農意欲の度合いを異にした者の併存をもたらし、農業生産に関する意思の統一や農業近代化のための地縁的組織活動を著しく困難にすることを意味している。ちなみに「農林業センサス」(四五)によると、農道の道ぶしんを全農家の出役で実施している農業集落の割合は都府県で五二%、また、農業用用排水路の溝さらいについては四四%にすぎない。」、こういうような非常に具体的な調査の結果も出ておるわけでございますので、こうした状況は年々歳々私は進行していくんではないかというふうに思いますので、とりわけ、要約すれば、都市農協では、まさに農業外の要因が拡大して、そのために、資金量の運営、その他についても、大きな変革が出てくるというふうなことが思われますので、調査は二年ということでありましたが、これを早めるとか、ないしは、もうすでにこの時点ではこういう方向が望ましいという、何か具体的ではなくても、ある程度の目ざす都市農協のあり方というものが想定されておるならばお聞きをしたいと思うわけですが、これも附帯決議の第三項で、実は私たち強調したところであります。つまり、「都市農協の実情を十分調査検討し、その性格、今後のあり方を明確にすること。」とあります。これは四十五年の時点ですから、もう三年もたっておるわけですが、ずいぶん月日が経過して、なおこれからどっこい二年間待ってくださいでは、どうも私たちもいただけない気がします。それほどあせっているわけではありませんが、情勢が非常に変わっておりますので、その辺の腹がまえと申しますか、そういうものをお聞きしたいと思います。
#34
○国務大臣(櫻内義雄君) もう二年いろいろと調査をしてみる。私は、その必要性もある。まだ、都市農協というものについて、はっきりこう持っていったらばいいという結論を持っておる人というものは、なかなかないんじゃないかと思うんです。先日、私も神戸市の都市農協の実態を見てまいりました。一見いたしますると、幾つかのアパートをつくっておる。そこには農業をやっておる痕跡すらない。わずかにアパートの周辺に多少緑地がついておるということでございます。これは見たままの感じでありまするが、しかしいろいろ聞いてみますると、その一部の農地をそのように活用しておるが、他面において、従来の農業経営をやっておる。まことに申しにくいことなんですが、これは私どもの農協のつくったものですと、こういって、マスクメロンでございますかを供されて、ああこういうものをつくっておるのかということでございます。したがって、いま一番大きな問題点は、信用事業部門というものが非常にウエートを占めて、先ほど来御指摘のございました本来の農業経営についての、たとえば営農指導などについては欠けておるんではないか。農協本来の事業面というものが、その割合が少ないのではないかということだと思うのでございまするが、まだまだその都市農協というものが、こういうふうに固定された経営の状況は農協の範囲である、これ以上は信用組合等の他種協同組合へ移行すべきものであると、こういう結論をつけるのに、非常に困難性がある。また、他種協同組合へ移行するということによって、また地域の信用組合との関係というようなことも起きますので、ただいま御指摘でございますが、もう少しこの都市農協のあり方というものを検討してまいり、よき結論を得べきではないかと、このように私は見ておるわけでございます。
#35
○杉原一雄君 この前の改正時点では、農協の合併大型化ということでかなり議論をして、一対一、一票制とかいうことで議論したことを思い出すわけですが、大型化・広域合併ということで、今日、農林省の視野で見た場合に、これは非常によかったという点はどういうところであって、また、こういう点では困ったと――ぼくらはその当時困る時点をたくさん想定して議論したつもりでありますが、その辺のところを今日経過してどうであろうかということを、ひとつ広い視野で総括をしていただくことと、だが、今日、なおかつ、大農協にならないというのは相当の数があると思うのですね。だから、市町村一組合という方式のワクがはまってないのがあるんじゃないかという点で、一市町村一農協としても、一村ということになると非常に小さな村ですから、一町といいましても人口二万程度、農業人口はそれの何%、こうなってくるわけですから、そういうような点で、広域合併という視野に立てば、まだまだ非常に小さい組合が全国的に相当数あると思うのです。でありますから、いいものならばいい方向に音を立てて流れるはずでありますが、なかなか、法改正以来今日まで、そういう方向で音を立てるような段階でない向きもあるんじゃないか。そういう点はなぜか、何が原因かというようなことなどの分析をお聞きして、今後とも合併の方向に拍車をかけて努力をするというおつもりなのかどうか。その辺のところを、つまり、大型化した結果のメリットと、そうでないぼくらが想定したデメリットと、今日、なおかつ、小規模・零細規模で、それこそ農地をはっている原始的な農協といいますか、ぼくらからいえば好ましい農協だと思うのですが、そういう農協がどれくらい存在するか。そういった点についての報告をいただき、かつ、それに対する判断、分析をいただきたいと思います。
#36
○政府委員(内村良英君) 合併によってどういうメリット、デメリットがある、というのは、これは合併問題が始まったとき以来のいろいろな議論がございまして、なかなかむずかしい点でございます。
 そこで、私どものほうといたしましては、協同組合一斉調査というのを行なっておりますけれども、その調査結果によりますと、逐次合併のメリットが出てきたのではないかというような面がございます。それは、合併組合の組合員一人当たりの利用高及び担当職員一人当たりの取り扱い高は未合併組合を上回る伸びを示しております。それからさらに、合併して大きくなると営農指導がおろそかになるのではないかという点、これは農協として非常に重要な点でございますが、合併組合を見ますと、むしろ、営農指導員の専門化というようなことが行なわれまして、案外効率的な指導が行なわれている。それから従来の協同組合というのは地域の部落組織というものを基盤にしておりまして、現在もその傾向は非常にあるわけでございますが、一方、最近の農産物流通のいろんな大型化等に伴いまして、作物別に生産者を組織化するというようなことが、合併組合になると出てきている。これは地域社会とのつながりがどうかというような問題はございますけれども、そういうところに営農指導を重点的にやれるというようなメリットが出ております。
 そこで、それではどういう点がやはりまずいのかと申しますと、やはりあまり大きくなりますと、官僚化すると申しますか、組合員とのつながりが弱くなっていくという点が非常に大きな問題でございます。そういう点につきましては、ただいま申し上げました作物別の生産者の組織をつくるとか、あるいは組合の職員が部落に行っていろいろ話をして、絶えず連絡をとるというようなことで努力をしているような組合も相当ございます。しかしながら、その辺のところが非常に不十分な組合もあるということでございまして、私どもといたしましては、合併の能率というのがだんだんこう出てきた段階ではないかというふうに見ているわけでございます。
 それから、小さい組合が残っておる。それはどういうふうにするのか。合併を進めるのかということでございますが、やはり総合農協につきましては、いろいろな地理的条件、その他の条件から合併ができるところは合併したほうが望ましいのではないかというふうに考えておりまして、合併助成法も昨年でございましたか、議員提案でこれを延長していただいたというふうなことになっておりますし、役所といたしましても、補助金を出しまして合併を推進したい。しかし、その場合に何が何でも合併だということで、無理押しして、農協のやはり地域社会の一つの協同組合としての農協の性格、農業者の職能組合としての一つの農協の性格というような点等も十分両者を考えながら合併を進めていきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
#37
○杉原一雄君 残された時間はわずかですが、農協系統金融のあり方の問題ですが、農林中央金庫調査部から「農林金融の実情」というので出された一九七二年版が農林省にもあるわけですから――そこにはかなり具体的に分析をしているわけです。農林省としても、このような中金の分析等について御検討しておいでになると思いますが、つまり農協、農林中金等の金融が、他のいわゆる市中銀行、都銀その他の金融業者との比較の上において、非常にプラスの面とマイナスの面、いわゆる特長的な面と、仕事のやりにくい面と、いろいろあると思いますが、それ一々分析するとたいへんだと思いますけれども、改正案を検討する場合には、そのことを考えることは非常に大事でございますから、農林省は指導する行政機関として――中金が出しているこの「金融実情」の中にも点検をしているわけですが、これは、農林省サイドで系統機関のあり方として、非常に有利な条件をここに備えている。あるいは特定のお客さんといいますか、別に――ぼくらは、かりにきょう一時金を少しもらうわけですが。私のうちへ、この間、ある市中銀行から、先生、百万円ほど貯金やってくれませぬか、と言ってきましたが、そういうことをしてばたばたして働かなくても、農協系統の系統金融は、その点はあぐらをかいて、あぐらをかいてと言ってはおかしいのですけれども、ある程度特定な組織を持っておりますので、非常にその点は効率的であるという面もあると思うのです。そういう点効率的である面とか、そうでない面とかいろいろあるわけですが、この中金が出しているデータを私は踏まえているわけですけれども、特に農林省のほうでそれに加えて、これは非常にいい点だ、しかし、この点は若干弱いということなどあると思いますが、両々二、三点でいいですから、しぼって農林省の持っておいでになる見解、そうしてまた同時に裏を返せば、行政指導の私は大きな指針にもなりますので、その点をお伺いしたいと思います。
#38
○政府委員(内村良英君) 系統金融は元来農業者のための金融ということでございますから、やはり農業金融を考える場合には、そうした原点に立って、農業者に対して円滑に資金融通がなされるようにするということが一番大切だと思っております。同時に、系統資金が社会的に見ても、有効かつ効率的に活用されるようにするのにはどうすべきかというのも一つのポイントだと思います。そういった観点に立って、系統金融の当面する問題点はいろいろあるわけでございますが、これは中金の出版物等にも指摘されておりますとおりでございますが、私どもといたしましては、次の点がやはり大きな問題ではないかということでございます。
 非常に簡単に申しますと、まず第一に、今後の日本の農業というものを考えた場合に、やはり農業生産の拡大、健全なる拡大というものをはかるためには、経営規模を大きくしていくということと同時に、集団的生産組織といわれる協業その他のそういった集団的生産組織を育成する必要がある。そうなりますと、それについての資金需要がかなり大型化、大口化していくわけでございますが、そういったものに対して系統機関はいかに対応するかというのが一つの大きな問題だと思います。
 それから、先ほどからもいろいろお話が出ておりますけれども、やはり現在の日本の国民経済の展開の中で農外要因が非常にふえていくというのは、これはもう避けられない現実でございます。そういった農業要因の拡大とそれに伴う資金の増大というものと、一方、組合の立場というものを考えながら、系統金融がどういうふうに対応していくかというのが、次の問題でございます。
 それからさらに、先ほども、先生から御指摘がございましたけれども、現在の経営体制の合理化、これは非常にむずかしい問題でございますが、やはりわれわれとしては、そういった問題に関係者一体としてタックしていかないと、他の金融機関は一生懸命合理化しておりますから、それに対するつまり競争力がなくなる。一般的に農業金融というものはかなり閉鎖的なかっこうになっておりますけれども、やはり農業が非常に規模が拡大していくと、農業生産力が上がっていくということになりますと、また、他の金融機関もそういった面に融資するというようなことになってくれば、どうしても競争といったような問題も起こってくるということを考えた場合に、系統金融の経営体制の合理化という問題に真剣に取り組まなければならないんじゃないか。このことは、また総合農協の経営問題自体にも密接な関連を持ってくるわけでございます。
 それから最後に、系統金融の組織における機能の変化とそれへの対応の問題、これも大きな問題でございますが、そういった点が今後の系統金融の当面している大問題ではないか。それについて私どもといたしましてできるところは、今般の改正でいろいろ手当てをしているということでございます。
#39
○杉原一雄君 最後に、きわめてぼっか的な表現をして済みませんけれども、先ほど農業白書のところを一つ引用したわけですが、私はいま市街地じゃなくて郊外に住んでおるわけですが、労働者の団地に生活していることで、最近二つの問題にぶつかりました。一つは、私の町内から、まあ台所から流した汚水ですね、汚水が流れ流れて合流してくると一つの大きな川になるわけですが、そこのみぞざらえを、隣の農民を中心とした部落の諸君が毎年やってきたし、いままではそのことは何の苦もなくやってきた。ところが、最近いわゆる農外収入といいますか、出かせぎというところまでいきませんが、さまざまな仕事に出る。弁当を詰めてお金をもうけるというようなことなどもあったりして、いままでみたいに、先ほど農業白書で指摘したように、きょうはみぞざらえだから全部出てくれぬか、ということではだれも出ない。だから、一日何千円というお金を出さなければならぬからということで、隣の生産組合長が、私に、私、町内会長をしておるものだから、いや杉原さんあなたのところの町内からも応分のお金を出してくれませんかということで、私のところにお願いに来られました。ところが、わが町内の連中はなかなかそれは了解しませんで、とうとういまだに未解決のままで放置しております。同時にまた、この間――すぐ私の隣を市道が走っているわけですが、私そこへ住まいしてからもう七年たちますが、いまだに舗装されていない、市では舗装したいということだけれども。で、地元負担をひとつ出してくれぬかと。この地元負担も、いま申し上げた農村部の町内と、私のように労働者団地の町内と意見が合わないわけですね。そのときに、ただ利害得失だけでなしに、感情と申しますか――ぼくの団地の人は日曜になると、みな車に乗ってハイキングに行ったり、遊びに行ったりしますですから、そういうのを見ているわけです。それで、だから何といいますか、住民感情が合わないわけですね。そのことが逆に、わずか百六万円の分担金の問題ですけれども、けんけんごうごうの議論が出てくるわけです。議論の根拠は、やはりそうした住民の意識のずれであります。感情のもつれであります。そういう点などを常に見ているわけですが、私、もともと農民ですから、農民のそうした気持をよくわかるし、また、村の割り当てのみぞざらいだとか、いろんな雑草とりなどに出たことがありますので、農民の心境はよくわかるのですが、ただ社会情勢がずいぶん変わりますので、そういったところで、同じ地域に、そう広い範囲でないけれども、お互いに住まいをしながらも、人間的なあたたかい交わり合いになかなかならない、これが現実だと思うのです。そういうところに農民と労働者、農民と市民といったような問題等も存在するわけです。同時にまた、都市農協の問題もあったりしますが、いろいろそういう点でちぐはぐした問題が実に年に何回かなしに起こってくるわけです。そういう状況の中で、まず農民の立場に立つならば、農民はどうあるべきか、その農民をどうあたたかい目で地域住民が、いわゆる勤労者がそれを見守るかということ等についても、非常に悩み多い日々を送っている場合が多いわけです。そういうことなどを意識に置きながら私いまこの法案の審議に実は参加しているわけでございまして、今後の農協のあり方につきまして、いろいろ調査検討なさっているようでありますが、私は望むらくは、農民の口に表現できない一つの悩みとか、不満とか、怒りといったようなものをも十分くみ入れて、やはり合理的あるいはそういうことだけで済まされない、切り捨てることのできないものを大切にしながら、法案の運用等についてもあたたかい指導をいただきたいということを最後に付して私の質問を終わりたいと思います。
#40
○塩出啓典君 それでは、最初に農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案についてお聞きしたいと思います。
 それで、今回のこの農業近代化資金の貸し付け対象のワクを広げる、あるいは限度額を引き上げる、そういう内容のように思うわけでありますが、ところが、現在までのいわゆる農業近代化資金の貸し付けワクというのは非常に消化されていない、最近ずっと並行しているように思います。それは一体どういう理由によるのか。そういう状態にありながらなおかつ引き上げる、そういう目的はどこにあるのか、簡単にひとつ。
#41
○政府委員(内村良英君) 農業近代化資金の貸し付けワクが十分消化されていない、三千億というワクがありながら実際は千四百億、千五百億にとどまっているじゃないか、このことの原因といたしましては、近代化資金がねらっておりますいろいろな新型機械の導入が一巡したとか、いろいろな原因があるわけでございますが、一方、最近の農業経営の実態を見ますと、経営規模を一そう拡大し、農業生産を向上させるためにはいろいろな新しい技術、それに伴う高性能の機械の導入等が必要になってきているわけでございます。そこで、全体のワクとしては先生の御指摘のような状態になっておりますけれども、やはり個別経営の必要ということから見れば、貸し付け限度の引き上げがただいま申し上げましたような情勢を背景にして必要になってきているわけでございます。
 そこで一件当たりの貸し付け金額を比較してみますと、制度ができました間もないころの昭和三十七年を一〇〇といたしますと、四十六年度にはこれが二五九と約三倍になっております。ということは近代化資金の貸し付け金の資金需要額が高くなっておるということと、さらに一般の農家の場合には現在二百万円というワクがあるわけでございますが、特に必要がある場合には特認でそのワクを越えた額を貸し付けることができることになっておりますが、この特認の件数も年々非常にふえております。たとえば四十三年度は七百六十九件でございましたのが四十六年度になりますと、それが四千百六十五件になっておるというようなことで、大型の資金需要が出ておりますので、そういうことを背景にしてこの際、農業近代化資金の限度額の引き上げを行なおうとしておるわけでございます。
#42
○塩出啓典君 そうしますと、金額は非常にふえているが総ワクはふえていない。ということは非常にこの農業近代化資金というものの目指す方向というものが専業の大型農家を育成していく、そういう方向にある。そのためには結局大型農業の経営となると、かなりの資金が要るからワクを広げなければならぬ。そういうところにあると考えていいわけですか。
#43
○政府委員(内村良英君) 近代化資金の貸し付けが特に大型農家だけをねらっておるということではございません。これはやはり中型と申しますか、分け方によっては第一種兼業農家等も新しい機械が必要だということもたくさんあるわけでございます。そういった農業全体としての規模の、経営の近代化ということに役立つような資金として農業近代化資金が考えられておるわけでございます。もちろん、今後の日本農業の将来を考えますれば、やはり経営規模の拡大あるいは集団的生産組織の確立というようなことが必要になってまいりますので、そういった面の資金需要にはもちろん耐え得るものになっていかなければならないわけでございます。そういうふうに考えますと、やはり限度額の引き上げということが必要になってくるのではないかというように考えるわけでございます。
#44
○塩出啓典君 そうしますと、貸し付け対象のワクを広げるということは、私に言わせるならば、資金ワクが消化できないから、もったいないから、だからワクを広げて、そうして近代化資金のワクを消化していこう、そういうような考えであって、そういうワクを広げるというような、そういう貸し付け先のワクを広げるというのは、ほんとうに農民サイドの考えではなしに、何か金融機関側のサイドの考え方のような気がするんです。ワクを広げなければならない理由はどこにあるんですか、貸し付け対象のワクを。これはどういうことですか。
#45
○政府委員(内村良英君) 貸し付け限度額の引き上げは、ただいま申し上げましたようなことで、そういった大規模農家の資金需要が出てくるから貸し付けワクの限度額を上げていくわけでございます。そこで別に近代化資金が、特に金融なりあるいは農協の経済活動に奉仕しておるということはございませんので、あくまで農家の必要な資金需要に対応していくということで考えられておるわけでございます。
#46
○塩出啓典君 今回、この貸し付け対象者の範囲を拡大する。そういうことで現在は、農業者、農協、農協連合会、そうして「これら三者が主たる構成員又は出資者となっている団体で政令で定めるもの」こうなっている。この四番目の「三者が主たる構成員又は出資者となっている団体」の四を拡大をして、地方公共団体を加えるとか、そういうワクを、あるいはこれらのものが「基本財産の額の過半を拠出している法人で」政令で定めるものと。何かよくわからないんですが、何となくワクを広げるような感じがするんですが、それはどういうところにワクを広げていくのか。政令で定めると言っていますけれども、やっぱりわれわれも、法案を審議するときに、内容を聞いておかぬと、法案を通してから、あと農林大臣がかってに政令できめられるというのでは困るわけですけれども。いわゆる貸し付け対象者を拡大するというねらいはどこにあるのか、また、政令で定める団体の範囲というのは一体どういうものなのか、具体的にひとつ説明してもらいたいと思います。
#47
○政府委員(内村良英君) 御質問をちょっと誤解しておりまして、御質問は、借り受け資格者の範囲の拡大はどうであるかという御質問かと思います。そこで近年、農作業の省力化、農業投資の効率化などをはかるために、農協や市町村、場合によりましては、都道府県などが一体となって公益法人をつくっております。それは具体的には、たとえば高能率の農業機械により農作業を行なったり、乳牛等の育成などを行なったりするものでございまして、普通には農業開発公社とか、畜産公社とか呼ばれているものがございます。これは地域農業の振興、農業経営の近代化に資するものといたしまして、われわれといたしましては、今後の日本の農業の発展のために、これらの法人の果たす役割りというものを高く評価しているわけでございます。しかし、現在の法律では、これらの法人が近代化資金の対象の範囲になっておりませんので、そういったものも今度は借りられるということにするのが法律改正のねらいでございます。
#48
○塩出啓典君 そうしますと、そういう畜産公社とか、そういうものにワクを広げる。そうすると、そういうのは、たとえば畜産農家にとってはこれは競争相手ですよね。日本農業全体から見ればそれはそれでいいのかもしれませんけれども、そういうもののほうに力を入れていくならば、いままでやはり営々として今日まで先祖伝来、農業をやってきたものの分野を圧迫をするような結果になっていくんじゃないかと思いますが、そういう心配はないんですか。
#49
○政府委員(内村良英君) たとえば農業開発公社とか、畜産公社というのは、やはり個々の経営を助けるというような形で農業者のためにやるわけでございますから、そういったものが競争者として立ってくるということはないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#50
○塩出啓典君 じゃあ、公社というものは、結局あれですか、いわゆる農民も全部入っているわけですか、そこに。たとえばここに畜産公社としますよね。このあたりは畜産農家がたくさんある、そういう中に公社ができているわけでしょう。公社のほうばかりに金を貸して、そうして、公社のほうで、たくさん牛を安くつくり、安く売る。そうすると、こっちの畜産を経営している農民は困るんじゃないですか。そういうことはないんですか。
#51
○政府委員(内村良英君) このたとえば私ども持っている資料の中に、福島県農業開発公社というのがあるわけでございます。これは何をやっておるかと申しますと、乳牛の供給と凍結精液の配布をやるわけでございます。これは自分たちのためにやるのではなしに、やはり農家のためにやるわけでございます。それから青森県肉用牛開発公社、これは繁殖素牛及び肥育素牛の供給、肉用牛の技術指導ということで、これも農家のためにやるわけでございます。それから埼玉県農業機械公社、これは農業基盤の整備と大型機械化による農作業をやる。この農作業も自分たちのためにやるのではなくて、農家の委託を受けてやるということでございます。それから和歌山県畜産育成公社というのがございますが、これも乳牛の繁殖、保育、育成その他をやっておりますので、農家に優秀な乳牛を供給しようということであって、これらの公社が、一つの経営体としてやるということではなしに、やはり農業者を助けるという形で、いろんな活動をやっておるわけでございますから、直接競合するということはないのではないかと思うわけでございます。
#52
○塩出啓典君 わかりました。いまお話を聞いたような公社であれば私も納得できるわけです。けれども、ここには政令で定めるというわけですから、政令で定める公社が、はたしていまいったような公社か、委員会で説明するのはそういった都合のいい公社で説明をして、法案が通ったあと政令できめた公社には、そういうものでない公社があるいはあるのではないか。そういうことを心配しているわけですが、これは農林大臣に、この場合政令で定める公社というものは、あくまでもその発展が、ほんとうに農民の農業経営あるいは畜産経営に競合するようなものではない。そういうものは政令で定めないと、そういうことをはっきり明言をしておいてもらわぬと困ると思うのです。その点はどうですか。
#53
○政府委員(内村良英君) 大臣から御答弁をいただきます前に、まず事務的にどういう政令を考えているかということを申し上げますと、農業の振興を目的とする公益法人で、農業者、農協、同連合会または地方公共団体が表決権の過半を占めている社団法人、または基本財産の額の過半を拠出している財団法人ということで、公益法人ということで政令を書きたい。したがいまして、私どもの事務的な感触では、先生の言っておられる点を大体満たしておるのではないかというふうに考えております。
#54
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの局長の説明で、私も実は正直に言っていま初めて聞いたわけで、これが競合するかしないかということは、公益法人の性格上競合はしないものではないかというふうに受けとめたのでありまして、御了承いただきたいと思います。
#55
○塩出啓典君 私はやはり農業というのは非常にほかの企業に比べて競争力が弱い。これはやはり農業生産というものは、ほかの経済のように大規模による大量生産というわけにいかないと思うのですね。やはり米は一年に一回しかとれない、そこに当然農業というものは、ほかの産業に比べて競争力が非常に弱いわけでございまして、当然それに対する食糧の安定供給の立場から、農業にはやはり特別なそういう配慮をしていかなければいかぬ、そういうことでこういう農業の近代化資金というものがあると思うのですね。そこで貸し出しワクがやはり非常に消化されないということは、そのこと自体が非常に大きな問題があるように思うわけですね。それは一つには、そういう農業というものをどんどん近代化しても、採算が合わないのではないか。そういう将来に対する不安もあると思いますし、あるいはまた金利は安いといっても、これは借りたものは返さなければならぬし、金利がゼロでもこれは返さなければいかぬわけですから、そういうわけで金利の問題、それらの点もあるんじゃないかと思うのですね。そういう点で農業のそういう貸し出しが消化できないという問題を、これをやはり根本的に農政の上で解決していかなければならないのではないか。そういう点が一つと、それからもう一つは、貸し付け対象者のワクを拡大するよりも、むしろたとえば金利を下げて、これはもういずれにしてもワクを拡大するよりも、その半分のワクであるならば、これは国からあるいは県から補給する利子補給の金額が同じでも、金利は倍下げることができるわけですからね。そういう点で貸し付け対象者のワクを広げるよりもそれだけもっと金利を下げて、そしてやはりほんとうの農業育成をしていくようにしなければいけないのではないか、そういう感じがするのですけれどもね、その点はどう考えているのですか。
#56
○政府委員(内村良英君) 現在近代化資金のワクが消化されてない、したがってその分だけ利子補給が減るわけだから、金利を下げたらどうかという御意見だと思います。私どもといたしましては、やはりこういった制度金融というものは、できるだけ必要な場合に借りられるということが必要でございまして、現在の三千億というワクが消化されないから、これが必ずしも有効に動いてないじゃないかというふうに考えるべきではない、むしろ必要な資金を農家が要望する場合に、それが借りられるというのが必要だと思います。
 それから、金利は御承知のとおり、四十八年度から五厘下げたわけでございます。そこで、農業生産の場合には非常に採算がむずかしい、生産性も低い、だから金利は安いほうがいいのではないかという御意見がございますし、私どもも一般論として見てはそうだと思います。しかしながら、やはり農業金融の場合もこれは金融でございますから、その全体の――特に政策金融の場合には、政策の必要性その他を考えました場合に、金利の体系というのがございます。そこで、現在の近代化資金の五分五厘というのは、そういった金利の体系から見て、非常に妥当な水準ではないかというふうに考えておりまして、しかも、さらにこの資金が系統資金を原資としているということを考えた場合に、おのずからコストのある金でございますから、金利の引き下げには限度が出てくるということで、今年金利を下げたわけでございまして、こういつたことを見ながら、近代化資金の消化がふえるようにいろいろな面の制度の改正等をやっておりますので、そういった状況を見て、さらに将来の問題として近代化資金のあり方について検討する必要はもちろんあるかと思いますけれども、いまの現状から見れば、今般の改正でかなり改善されて、その三千億円の資金ワクの消化もだんだんふえていくのではないかというふうに考えております。
#57
○塩出啓典君 今回、この限度額を一ぺんに五倍に引き上げているわけですね。大体郵便貯金なんかのあれ見ていても、大体徐々に百万円から二百万、三百万円とこういうようにいっておるのに、この場合は一挙に五倍にいく。こういうなぜ五倍に一ぺんに上げなきゃならぬのか。五倍に上げなきゃならぬのなら、なぜもっと最初から二倍、三倍、四倍と徐々に上げずに――今回だけ急に五倍、こう上げていくというのは、何か意味あるんですか、五倍というのは。
#58
○政府委員(内村良英君) 極端なことを言いますと、ワクの要するに貸し付け限度額等を設けずに、必要なだけは貸したらいいじゃないかという意見もあるかと思います。
 そこで、今般いろいろ最近における資金需要の大型化等を考えまして、五倍という数字にしたわけでございますが、実際には、最初は三倍ぐらいのところから始めて、将来に備えて五倍というふうに考えたわけでございます。
#59
○塩出啓典君 この法案が通りますと、大体予想としてはどうなんですか。いまの三千億円のワクのどの程度ぐらいいく予想なんですか。
#60
○政府委員(内村良英君) これはまあ私どものほうでも、中でいろいろ計算してみたわけでございますが、いろんな要件がございまして、幾らふえるということを申し上げるのはなかなか数字がむずかしいわけでございます。そこで、まあ私どもの大ざっぱな推定の数字がございますので、それを申し上げますと、貸し付け限度額の引き上げに伴うものが百六十億円程度、貸し付け対象者の範囲の拡大に伴うものが四十億円程度ではないか。合計二百億円程度はふえると思っておりますけれども、まあいろいろな条件を置いて計算しておりますので、一つの計算によればこういう数字だということでございます。私どもとしては、もっとふえるのではないかと思っておりますけれども、そこのところはちょっといろんな条件がございますので、なかなか測定がむずかしいというわけでございます。
#61
○塩出啓典君 それはどうなんですか、いつも私思うんですけれども、農林省はそういう一つの予想ですね。まあ農産物の需給の展望にしても単なる予想であって、予想屋じゃないかというような、この前だれか言ってましたけれどもね。けど、やはり予想よりも、こうあるべきだというものが必要じゃないかと思うんですね。だから、たとえば農業を近代化していくと、これはやっぱり何年までに、ここまで近代化していかなければ国際競争力ができないんだと。そういうそこに一つの目標があって、そこから金融というものの必要性が起きてくるんであって、そういう点考えると、先ほどの答弁は非常に私は、いわゆる農林省の予想屋の答弁であると。これは、ここまで、これぐらい貸し出しをして近代化していかなければいけないんだ、そういうような目標というのは別にないわけなんですか。そういうものは立てることはできないもんですかね。
#62
○政府委員(内村良英君) 農林省といたしましても、先生よく御承知のとおり、いろいろまあ生産計画の目標その他をつくりまして、行政をやっておるわけでございます。金融はそれを裏付けるものとして、その政策を金融面から裏付けていくというのが農業制度金融の性格でございますけれども、単年度で幾らというのは、これはなかなか、金融でございますから、農家が借りるわけでございまして、まあこれぐらいの資金需要はあるだろうという計算はできますけれども、こういう計画で借りていかせるのだということは、これはなかなかやりにくいという問題もあるわけでございまして、そういったいろいろな前提を見て考えた結果、いま申し上げましたような数字程度であろうということでございます。それ予想屋じゃないかと言われれば、絶対にそうなるということを申し上げるだけの自信は正直に言ってございません。
#63
○塩出啓典君 ではひとつ、さっき近代化資金の対象者のワクの拡大については、先ほど申し上げましたように、農業の近代化という、本来は農民の利益にならないような、そういうことは加えるべきではない。このことを要望しておきたいと思うのです。
 そうして、次に農協法の改正の問題でございますが、先ほども質問がありましたが、昭和四十五年のいわゆる第七次の改正によりまして、委託事業ですか、それから農地等処分事業、こういうことが加えられたわけでありますが、まあ先ほどそれに基づく実績というものを見ましたところが、非常に微々たるものであって、これはどうなんですか。農林省が、この農協法の昭和四十五年の改正において、大体まあ転用相当農地の処分事業が大体どの程度になるであろう。あるいは受託事業はどの程度になるであろう。そういうような予想といってはまずいですが、その当時の法案が通ったときに、この程度までいくであろうという、そういう考えというものはどうなんですか、実績は。あまりこれは進んでないように思うのですが、その点はどうなんですか。こんなもんですか。最初から考えておったのは。
#64
○政府委員(内村良英君) その宅地等供給事業の問題でございますが、これにつきましては、現在こういった事業を行なえる定款変更をした組合が四千七百十二組合ございます。連合会は十四連合会がすでに定款上そういったことができることになっております。それから宅建業者の免許を取得した組合が六百八十七組合ございまして、十連合会ということになっております。これは農地が宅地になるという問題でございますから、いろいろ経済情勢の変遷その他によって違ってくるわけでございます。その場合に、繰り返して申し上げておりますけれども、やはり無秩序なスプロール化を防ぐ。それから、やはり組合員は農協を信頼しておりますので、農協にそういった事業をやってほしいというような要請もあって、これは法改正を行なってこういった能力を組合に付与しているわけでございますが、その場合に、この事業につきましても、私、四十六年のことは実は不勉強で、そのとき計画を立てたのかどうか、まだちょっと勉強しておりませんけれども、まあ計画はなくて、こういう能力を付与して、それに必要に応じて農協がこういった事業を展開していくという考え方に立って行なったものだと思います。
 そこで、現在のところ、すでに四千七百十二の組合が定款変更しておりますから、組合員からの要望が広がれば、こういった事業は広がってくるのではないかというふうに考えております。
#65
○塩出啓典君 それで、今回そういうレンタル事業というものを農協に、そういうものを法律的に与えるようになったわけですね。この必要性というものですけれども、先ほどの話では、農地を売る場合はいままでのあれでいいわけですね。結局、売りたくはない。けれども、まあ農業はやめたい。そういう人のための改正ですか。そういうことがはたして必要なのかどうか。私は非常に疑問に思うわけです。やはり農協というのは、農民のための農業協同組合だと思うのです。そうすると、そういう土地を、もう農業はやめたい、土地は売りたくないんだ。けれども、将来土地が上がるからいま持っておったほうが得なんだと、そういう人のために改正するということは、これは一体農協というのは、農民のための農協じゃなしに、農民でない組合員のための農協に変わっていく。一方では農協も非常にお金が余って使い道がないから、そういうことでもして、家でも建てればまたお金も使ってもらえる。そういう方向にやはりいってるように思うわけですね。で、さきに農地保有合理化法人というのができましたね。ああいうものはやはり、私は、ほんとうに農業の規模を拡大していくために必要だと思うのですよ。けれども、あっちのほうは、先般も足鹿委員さんがここで質問しておりましたけれども、なかなか一商社にも届かない、成績もあがってない。だから、そういう方面にもっと力を入れるべきであって、こういうレンタル制を導入するなんていうことは、農協は一体、農民でない組合員の農協のほうにいっているのじゃないか。そういう疑問があるわけなんですけれども、そういう点はどう考えていますか。
#66
○政府委員(内村良英君) ただいま先生の御指摘のあったような批判というものは、この事業については当然あるかと思います。すなわち農協というのは本来農民のためのものじゃないか、その離農する者にそこまでやってやる必要はないのじゃないか、という御意見は当然あり得る話だと私も思います。そこで、それでは、こういうレンタル方式が働く場合はどういうことだろうかということでございますが、一番端的なケースといたしましては、たとえば年寄りの六十一歳以上の夫婦が農業をやっておられた。子供がいる。その子供は、都会に出て教育を受けて、ほかの産業に都会で就職している。まあおとうさんがなくなった。それでおばあさんは、おかあさんは農村に残っている。むすことしてはそのおかあさんに――だれかにそれの耕作をたのむとか、農協に委託するということもめんどうだから、土地を、宅地的な要求もあるし、貸したい。ところがおかあさんは、その管理ができない。そこで農協に頼めば一番安全であるというところから農協に土地を――先祖伝来の土地を売るわけにいかぬというので、だれかに貸そうと。それで貸す場合に、ブローカーに頼むよりも農協に頼んだほうがいいじゃないかということもあり得ると思うのでございます。現にそういった需要があるからこそこういったことをやってくれということでございまして、完全なる農民の人が、自分の経営面積の一部をレンタルにするから農協に頼むということも全然ないわけではないと思います。というのは、やっぱり自分たちが土地を貸したりなんかする場合についての、いろんな法律的な知識もないし、やるのもめんどうだと、だから農協に頼みたいというケースもあると思います。ということで、全然農民の組合員でない人たちのための事業ということではなくて、やはりその組合員である農民の要請ということも相当あるのではないかということで、こういうような改正をしたわけでございます。と同時に、農村の実情から見て、やはり不良なデベロッパーが入ってどんどん農業を破壊するような開発が行なわれるよりも、やはり農協がそれに介在して、組合員の利益をはかると同時に、計画的な土地利用をはかっていくということは、残存農地の効率的な利用を確保するということからも非常に有意義なことではないかということで、今般の法改正を提案申し上げておる次第でございます。
#67
○塩出啓典君 そうしますと、今回のこの法律改正によりまして、そういう農地のレンタル方式によるものはどの程度出てくるか。先ほどもこの委員会で、いわゆる底地権とか、借地権の権利の割合とか、そういうことで、貸したのはいいけれども、もう戻ってこないかもしれない。そういうような問題等もこれは解決していかなければならない。そういう話を聞いておりますと、これはなかなか、こういう法律ができても、じゃ実際に土地を貸しますなんていうような人がはたしてどの程度出てくるのかどうか。まあ出てこないならば、これはあまり改正しても意味がないように思いますけれども、そういう点はどのように考えておりますか。
#68
○政府委員(内村良英君) 先ほどからも申し上げておりますように、こういった方式をやる場合には、組合の定款変更、それから実施規程をつくるとか、いろいろな手続が必要でございまして、実際に仕事の始まるのは四十九年ごろからだろうと思います。それで、どのくらいの面積がそれでは期待できるのか。これはさっきの予想屋みたいな話でございますが、これもなかなか測定しにくい問題でございます。そこで、私どもが、四十五年に制度化された売買方式による農地等処分事業の実績が、事業実施済みのもの及び実施中のものを合計して約五百ヘクタールということを考慮すれば、初年度あるいは事業の始まった次年度において、この程度はいくのではないかというふうに思っておりますけれども、これもなかなか予想のむずかしい問題でございます。
#69
○塩出啓典君 これは当然、たとえば市街化区域内の農地になるわけですね。いわゆる調整区域内の農地等はそういう対象にはならないわけですね、当然そう考えていいわけですね。
#70
○政府委員(内村良英君) 市街化区域の中が多いと思いますけれども、転用が許可されるようなところでは調整区域内でもあり得ると思います。
#71
○塩出啓典君 たとえば先ほど局長が例をあげましたね。おじいさん、おばあさんがいなかに残って、むすこは東京に行っている、そして農業をやっていけない。そういう土地をレンタルで貸す。確かにそういう都市近郊で住宅地の需要のあるところであれば、そういうことも可能だと思いますけれども、たとえば山奥の山村地帯においては、そういうところは土地を貸すと言うても借りる人もいないわけですね。しかし農業をするわけにはいかぬ。そういうところのいわゆる先祖伝来のたんぼを草ぼうぼうにはやしておくのもまことに申しわけない。何とかしてつくりたい。そういうような場合には、農協に委託して耕作をやってもらう。そういうような制度はあるのですか。
#72
○政府委員(内村良英君) そういう場合には、農協が受託して農作業をやることはできるわけでございます。
#73
○塩出啓典君 そういうことに、いわゆる定款を変更している組合は何ぼあるのですか。いまさっきちょっと聞かなかったのですけれども。
#74
○政府委員(内村良英君) 定款の変更の数字が実はここにないのでございますが、農業経営の受託等の推進事業をやっている組合は四十六年度二百五十組合ございます。それから四十七年度は補助金をもらってやっているのが二十二組合でございまして、ほかに稲作、これは稲作は補助事業の対象にしておりませんので、稲作をやっているのは百五十組合でございます。
#75
○塩出啓典君 先ほどのそういうデータを見ますと、本来やはり農協というものは農業を近代化していく、そういうものであるならば、そういうたくさんの農地を集めて、農協が一括的に近代的にやっていく、そういうことが本来農協のやるべきことであるのに、ところが、先ほどから聞いておっても、もう農協というのは、定款変更しているのも不動産のほうばっかりに力を入れている。こういう農地保有合理化事業の推進とか、あるいはいま言ったような農業の受託経営とかをもっとやっていかなければ、私はほんとうの農業の将来はないのじゃないかと思うのです。そういった点で私は、こういう法律の改正もそれは必要かもしれませんけれども、こっちのほうの不動産のほうの法律改正にばかり力を入れて、こっちの農業の受託経営のほうは、ちょっと法律はできたけれども、さっぱりで、百五十組合とか、そういうことであっちゃいけない、こっちのほうももっと力を入れてやっていかなければならないのじゃないか。そういうような気がしてならないのですが、そういう点は、農林省はどう考えているのですか。
#76
○国務大臣(櫻内義雄君) これは宅地等供給事業というのが今回の法改正の中で一番論議の対象になりまするから、したがって、何か非常にそのほうにウエートがかかっておるような感じが出てしまうのでありまするが、今回の一部改正法をずっとごらんいただきますならば、大きな柱で組合の金融機能の拡充、資金の貸し付け範囲の拡大、それでこういう大きい柱の下に組合の行なう宅地等供給事業の事業範囲の拡大ということで、従来農地等処分事業が行なえるようになっておるものの拡充なのでございまして、非常にこの点が目立つようでございますが、私どもがお願いしたときに種々検討をいたしました上で、農協法の第一条に、農民の協同組織の発達を促進することにより、一つ、農業生産力の増進と同時に、二つ、農民の経済的、社会的地位の向上をはかることを目的としているという、この農民の経済的、社会的地位の向上ということで、農協の事業は、必ずしも農業と直接関連する範囲に狭く限定しなくてもいいんではないかと。農民たる組合員のために必要な事業は、農業と直接関係がなくとも容認されるというようなことで、農地等処分事業のときにまずお願いをして、今回の事業範囲の拡大と、こういうことで、たいへんこの論議の対象になるので目立つようでございますが、全般の改正法の中のこういう一部であると。また趣旨には一応沿ってお願いしておるというふうにひとつ御了承いただきたいと思います。
#77
○塩出啓典君 それで農協の信用事業には非常に事故が多い。ここにもデータが載っておりますけれども、あまり減ってはいないわけですね。で、先ほど局長は、同じ土地を造成するにしても、最も信頼できる農協にやってもらうと安心だと、そういうようなお話でございますが、必ずしも農民はそう――まあ農協によって違いはありますけれども、やっぱり農協の幹部なんというのは大体非常にお年をとった人が多いし、大体地方へ行くとみな名誉職みたいに思っているわけですからね。こういうわけで非常に、はたして農協が、そういった土地造成事業あるいは不動産的な仕事をやっていくことは武士の商法となってうまくいかないんじゃないか。そういう点も非常に懸念される、われわれは心配するわけなんですけれどもね。こういう点で、いわゆる農協の信用事業あるいは不動産事業の事故の絶無に対してはどのような監査体制になっていくのか。これはやっぱりいままでやってないことがふえていくわけですから、当然そういう監査体制というものは強固にしていかなければいけないと思いますが、その点はどう考えておりますか。
#78
○政府委員(内村良英君) まず宅地等供給事業のときにレンタル方式でやる場合には、それについての実施規程をつくらなければならないわけです。その実施規程は行政庁の承認を要するわけでございますから、そういった実施規程の作成、その承認の過程で十分農協にいろいろな、この事業を行なうについての必要な事項については指導したいというふうに考えておるところでございます。それから特にこの事業の検査だけを強化するというのではなしに、やはり農協経営全体について検査の拡充というのは、組合自身の自己監査体制を整えると同時に、行政庁もできれば指導、検査、――不正を発見するとか何とかという形ではなくて、組合経営を完全に発展させるという見地から指導、監査をやることは大事だと思うわけでございまして、そうした点については従来からも検査員の増員、その他必要な講習等は行なっておりまして、四十八年度におきましても、そういった経費については予算を計上し、この面の拡充をはかるということを考えているわけでございます。しかしいずれにせよ、農協の監査という場合に、いたずらに不正を見つけるというようなことではなしに、やはり経営全体を改善し、合理化するような指導をするための監査ということでやると同時に、そういった点についても注意していくということでございまして、不正を防止するための監査を強化するというのはやはり適当ではないのではないかというふうに考えます。
#79
○塩出啓典君 先ほどこの農協のいわゆる貯貸率ですかね、これが問題になりましたが、やはり同じ単位農協にいたしましても、都市の農協、あるいは農村の農協、あるいは中間地帯の農協、そういうものはいろいろ違いがあると思いますね。大体の傾向としては、都市農協のほうが貯貸率が非常に低い、農村のほうは非常に高い、このようになっているのではないかと思いますけれどもね。それはどういう理由でそうなっているのか、その点どうですか。
#80
○政府委員(内村良英君) 地域による農協の貯貸率につきましては、ただいま先生から御指摘のとおりのような傾向になっております。なぜそれではそういう傾向になっているかということでございますが、やはりいわゆる都市農協と言われる農協の場合には、土地代金その他の農外からの貯金が多い。一方、そういった地域におきましては、農業が縮小していくという形になっておりますから、どうしても農業投資に対する資金需要が少ないということで貯貸率が低い。それに反しまして純農村地帯の農協、これはもちろん貯金自体は伸びておりますけれども、伸び率が都市農協に比べては低い。一方、農業投資というものに対する資金需要は相当あるということから、貯貸率が非常に高いというような傾向になっております。
#81
○塩出啓典君 いまそういう貯金が、都市近郊の農協は土地代金等の預金が多い。これはわかるのですが、そうすると貸し出しのほうもやはり――これはいま言ったのは比率ですからね、貸し出しは農村のほうが少なくても、都市のほうが預金が多ければ比率はこっちは下がっちゃうわけですね。でも実際に、いわゆる地方の農村の農協等におけるいわゆる貸し出しは、農業をどんどん規模を拡大し、経営を近代化しなければならぬときに、そういうような貸し出しが順調に行なわれているのかどうか、その点がぼくは心配しているわけですが、その点はどうですか。
#82
○政府委員(内村良英君) ちょっと数字を申し上げますと、これ昭和四十五事業年度の数字でございますが、いわゆる純農村地帯の農協の場合には、一組合当たり信用事業の貯金の平均残高が純農村地帯の場合は七億四千万円でございます。それに比べまして都市的な地域の農協の場合には十六億四千二百万円、それから貸し付けのほうでございますが、そういった農村地帯の農協の場合には、信用事業の貸し付け残高が四億一千八百万円、それから都市的な地域の場合には七億九千三百万円、こういうことになっております。したがいまして、貯貸率を見ますと、純農村地帯のほうが高いわけでございます。そこで、この純農村地帯の農協の貸し付けを伸ばしていくということは、やはり今後の農政の展開と深い関係を持っているわけでございまして、やはり農業経営の合理化のための資金需要というものをふやしていかなければならぬのではないか。それから都市農協の場合には、この信用事業の貸し付けの中にかなり準組合員への貸し付けが入っていると思います。そこで、準組合員の場合には、その地域のサラリーマンあるいは商工業者というような人たちでございますので、都市的な農協の場合にどれだけの農業投資があるかというのは、ただいまの数字をさらにこまかく分析してみなければならぬ問題があるわけでございます。
#83
○塩出啓典君 これはどうですか、いま言った地方の農村の農協が一農協当たり四億一千八百万円ですね。この内容等においていわゆる農業投資というものが大体どの程度なのか、それは大体の傾向といいますか、それは何かわかりますか。
#84
○政府委員(内村良英君) ただいまのこの調査におきましてはそこまでの分析はしておりません。ただその他の調査でそういった面の分析をしたものもあると思いますので、調べまして必要があれば資料として提出したいと思います。
#85
○塩出啓典君 それはひとつあとから資料として提出していただきたいと思います。
 私は、今回この農協法の改正におきましても、いうなれば、貸し付け先のワクの拡大もここでも行なわれているわけですね。ところが、そういう貸し付け先のワクの拡大が必要なのは、やはりほんとうの組合員、正組合員の多い農村の農協よりも、むしろ準組合員の多い都市農協、そのほうがはるかにそういう必要性が非常に高いわけですね、そういうことが言えるわけですか。いま私が言ったようなことが正しいのか、どうですか。
#86
○政府委員(内村良英君) 今般の貸し付け範囲の拡大につきましては、やはり地域開発その他環境整備等に結びついた資金を優先的に貸すようにしたいというふうに考えておるわけでございます。そういうふうに考えてみますと、必ずしもいわゆる都市農協のための改正ではございませんで、やはりそういった農村地帯の農協に対する資金需要というものに対応するものであるというふうに考えておるわけでございます。
#87
○塩出啓典君 その点はどうですかね。ぼくは今回の改正というのは、やはりいわゆる農民でない組合員の多い都市農協のための改正であって、先ほど近代化資金の場合と同じように、この法律の改正も何となくほんとうの正組合員、農業を営んでいる人の改正でなしに、農業金融機関側のために余った金を使わなければいかぬという、そういう必要性からの改正、あるいは都市農協のように、農業をやってない、土地を売ってお金をもうけた人の多い、そういう農協のための改正であって、それが主体であって、そうしてその正式な組合員とか、農民のためのメリットというものは、何となくあとからつけ加えた、――つけ加えないとこれはちょっとまずいから、言いわけ程度につけ加えたんじゃないか、そういうような気がするわけですね。それは、この法案が通って、実際に一年、二年、三年、四年、五年とたっていけば、どうなっていくかということで見ていけばわかる問題ですけれども、そういう心配はないのかどうか、そのあたりどうですかね。
#88
○政府委員(内村良英君) 先ほども申し上げましたように、今般の農協法の改正は、金融面の改正それから宅地供給事業についての改正でございますが、金融面の改正につきましては、先ほども申しましたように、組合員の多様ないろいろな経済上の要求にこたえていく、金融面でこたえていくということで改正をしていると同時に、たとえば新しい貸し付け範囲の拡大については、農村工業導入法という法律がございますが、あれに基づいて農村地域に工場が入ってくる。そういったものに資金を貸すとか、あくまで地域社会の改善というようなものに非常に密接に関係があるものについて、貸し出し範囲を拡充していく。しかも貸し付けの相手先は、農村地域において産業基盤または生活環境の整備に関する事業を行なっている、できれば公益法人というようなものを、優先的に貸したい。こういうふうに考えているわけでございます。そう考えました場合に、いわゆる金融面の改正というものは、これはどちらかというと、農村地帯の組合員のための改正を主にして考えているわけでございます。
 それからいわゆる宅地供給事業でございますが、この点につきましては、先ほど先生から御指摘がございましたように、全然宅地の需要がないというような準農村地帯において、こういう事業をやれといっても、やる必要もないわけでございますから、この辺の改正はあるいは都市的な性格の強い農協のための改正であるという評価があるかと思いますけれども、私どもといたしましては、今度の農協法の改正全体が、単なる都市農協の救済といった意味での改正というふうには考えておりません。
#89
○塩出啓典君 こういう改正につきまして、先ほど申しましたように、私たちは、何となく、ほんとうの農民のための改正でないような、何か別なほうの改正のようなそういうような気がするわけで、これであってはならないと思うのですね。そういう点で、農林大臣に――やはり何となくこの法律の改正も、農業がこっちのほうにいってしまって、あとからこう追いかけている。この間、あの人も来られて、ここで言っていましたけれども、洋服がからだに合わなくなったから、新しい洋服をつくるのだと。そういうことで、結局法律の改正というものも、農業が本来の農業の姿ではない、農協も本来の農協でない方向にいってしまって、やむを得ずあとから、法律を改正している、こういうことを繰り返してきているわけですね。これではやはり農業の将来はどうなっていくのかということを非常に心配するわけですね。やはりまず農業はかくあるべきである、農協はかくあるべきだという、そういう一つの指針というものを示して、そっちの方向に引っ張っていくように、それが私はやはり農林省の仕事じゃないかと思うのですね。これはわれわれに、じゃどうすればいいのだと聞かれても、これはわれわれはわからぬわけです。しかし、農林省には、農林大臣以下各優秀な人材がたくさんいるわけですから、そうして全国に配置をしてコンピューターもあるわけですから、そういうものを使って、そういう農業のあるべき方針というものをやはり根本に示して、その方針のもとに行なわれる金融の改正でなければ、これはやはり私は、農業というものの進展がない。そういうことにならざるを得ないのではないかと思うのですね。そういう点で、これはまあ非常にむずかしい問題で、われわれも非常に悩んではいるわけなんですけれども、今回のような法律改正が、現時点ではやむを得ないにしても、常にそういうあと追いをしていく、これではなしに、この法案が通っても、それで満足することなしに、ほんとうをいえばこういうのはよくないわけですから。こういう法律をあとから通さなければならないということ自体が、ぼくは農業の、農林省の一つの敗北じゃないかと思うのですけれどもね。そういう点でひとつ農林大臣も農業の一つの方向、農協のあるべき姿というものを示していくような、そういう方向にやはり積極的にやってもらいたい。私はそのことを要望したいのですが、農林大臣どうでしょう、その点。
#90
○国務大臣(櫻内義雄君) この金融の問題は非常にむずかしいと思うのですね。しかし、ただいまの御指摘のような御趣旨で、将来の方向というものを考えていくべきであると、こう思うのです。それで、これは全く御参考までですけれども、現在までのこの系統三段階の金融機関をこれを一機関として見て、それで一体資金の流れがどうなっているのかというのが、四十七年の九月末現在で、あるのですけれども、なかなか私は見ておって、いまのお話にお答えするのに何か参考になるような気がしますが、この一機関としての資金の流れの場合に、調達のほうが十一兆四千百五十三億円、それに系統内運用がどの程度かと、こういうと、それが六兆五千九十六億円で五七%が系統内の運用で、その御質問の御趣旨からいえば、系統内運用ができるだけパーセンテージが高いほうがいいのではないかと思うのですが、ところで系統外の運用の中でいまの御質問からいうと、一応チェックすべきものとして関連産業貸付一兆六百五十九億円、農協信連の員外貸付の四千四十三億円、この辺が問題であり、またその他の有価証券の二兆一千七百四十四億円とか、預け金の六千八百三十億円とか、コール金融機関貸付の五千七百八十一億円などが今後どういうふうに運用されていくかというところに問題がかかってくるのではないかと、こう思うのであります。そして、今回の一連のいわゆる農業関係四法の改正をお願いする上におきましては、こういう流れの中にあってもっと有効適切に資金を活用していこう。こういう趣旨でございまして、かりに関連産業貸付にしても、これが地域農業関係の方々に無縁のものではない、また有効に働いていく面もあると思うのでございまして、そういう点から全般を見ての私の感じとしては、そう御質問のような傾向に走っていくものではなく、系統金融機関としての効果を十分発揮のできるような今回の法改正の諸点もあると、こういうふうに認識をしておるわけでございまするが、御指摘の点については十分注意をしながら今後の運営に配慮をいたしてまいりたいと思います。
#91
○塩出啓典君 それでは中金法の件につきましてちょっと二、三……。
 農村におけるいわゆる農業人口あるいは農業専業人口というものが非常に中央金庫ができたころより比べれば大幅に変わってきているわけですね。それで、組合員も、特に都市農協については準組合員、いわゆる農業をやっていない組合員が非常にふえてきているわけです。そういういまの農林中央金庫というものは、一方においては非常に都市農協あるいは農村の農協、そういう非常に異質の農協の上に成り立っておるわけですね。そういう点でこれが設立された当時とは非常に情勢が変わってきておる。都市農協のほうはだんだん性格が金融機関的になってくるわけですね。そうしますと、やはりそういう金融機関的なことになってきますと、
  〔理事初村瀧一郎君退席、委員長着席〕
当然、一般の金融機関とのやはり競争というような問題から、もっともっと改善をしていかなければならない。場合によっては、そういう金融機関におけるコストの低下をはかるために合併もしていかなければならない、そういうようなやはり問題も出てくるのじゃないかと思うのですね。何となくだから現在の農林中央金庫というものの存在というものが、非常に中途はんぱなものになっていくのじゃないか。そういう点で将来どうあるべきかということは、われわれによくわからないのですがね。その点はどう考えていますか、簡単に。
#92
○政府委員(内村良英君) 農協のあり方あるいは農家経済の変転に合わせて中金の性格が変わるのではないかというような御指摘かと思いますが、確かに先生が御指摘になりましたように、大正十二年に産業組合中央金庫として現在の農林中金が発足したときとは、農村の事情も非常に変わっていることは御指摘のとおりでございます。しかしながら一方、その農業協同組合というものも産業組合から農業協同組合になりまして、戦後ずっと発展してきているわけでございまして、農林中央金庫はそういった農業協同組合だけではなく、農林漁業関係全体の協同組合の中枢の金融機関という性格を持っているわけでございます。そこで私どもの考えるところでは、現在の状況ではこの基本的性格を変える必要は全くないのではないかということで、中金の基本的性格には触れないで、現在、中金法上必要な改正を加えなければならぬところに改正を加えまして御提案申し上げている次第でございます。
#93
○塩出啓典君 それから組合のいわゆる金融コストの問題ですね。やはり農協なんかの場合は、米の代金なんかばさっと減っているわけですから、そういう点では当然金融のコストというものは、どんどんはるかに下がっていかなければいかぬ。こういう点で、やはり今後この農協系統金融というものは、ほんとうに農林漁業のための機関であるためには、どうしてもこの資金コストというものを下げていかなければいけない。資金コストというものが非常に下がらないと、どうしても利益の大きい農業の組合のワク外のほうに進んでいく、そういう危険性があるんじゃないかと思うんですけれどもね。それで、資金コストを下げる、こういうような点については、これはどういうような方針で指導していくのか、この点を聞いておきたいと思います。
#94
○政府委員(内村良英君) 農協の系統金融の資金コストを下げなければならないという点はもう先生の御指摘のとおりでございます。そこで、私どもといたしましても、絶えず関係者には資金コストの引き下げを要請しているわけでございますが、その方法といたしまして、やはりまず第一には、事務の合理化ということがございます。それから第二には、単協の金利が一般の金融機関よりも若干一厘高というような問題もございまして、こういった問題をどうするかというような問題もございます。しかし、その一厘高の問題は今日ずっとそういうことできておりますので、そう簡単に経営合理化の見地だけからそれを切るということはできる問題ではないと思います。しかし、そういった問題を含めてやはり系統金融のコストの合理化という問題は考えなければならないのではないかということで、関係者と一体となって検討を続けているところでございます。
#95
○委員長(亀井善彰君) 本日の四案に対する質疑はこの程度にとどめます。
 これにて散会いたします。
   午後四時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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