くにさくロゴ
1972/06/26 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第16号
姉妹サイト
 
1972/06/26 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第16号

#1
第071回国会 農林水産委員会 第16号
昭和四十八年六月二十六日(火曜日)
   午前十時二十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十二日
    辞任         補欠選任
     西村 関一君     工藤 良平君
 六月二十六日
    辞任         補欠選任
     吉田忠三郎君     川村 清一君
     向井 長年君     高山 恒雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀井 善彰君
    理 事
                佐藤  隆君
                初村滝一郎君
                工藤 良平君
                中村 波男君
                塩出 啓典君
    委 員
                梶木 又三君
                河口 陽一君
                小林 国司君
                田口長治郎君
                高橋雄之助君
                棚辺 四郎君
                温水 三郎君
                平泉  渉君
                堀本 宜実君
                足鹿  覺君
                川村 清一君
                杉原 一雄君
                辻  一彦君
                村田 秀三君
                高山 恒雄君
                塚田 大願君
   国務大臣
       農 林 大 臣  櫻内 義雄君
   政府委員
       大蔵大臣官房審
       議官       大倉 眞隆君
       農林政務次官   鈴木 省吾君
       農林大臣官房長  三善 信二君
       農林省農林経済
       局長       内村 良英君
       農林省構造改善
       局長       小沼  勇君
       農林省農蚕園芸
       局長       伊藤 俊三君
       水産庁長官    荒勝  巖君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       環境庁水質保全
       局企画課長    松田豊三郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       岩瀬 義郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○開拓融資保証法の廃止に関する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○農水産業協同組合貯金保険法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○農林中央金庫法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○農林水産政策に関する調査
 (有明海等における水銀等の汚染による漁業被
 害対策に関する件)
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十二日、西村関一君が委員を辞任され、その補欠として工藤良平君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(亀井善彰君) 理事の補欠選任についておはかりいたします。
 委員の異動によりまして理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、理事に工藤良平君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(亀井善彰君) 開拓融資保証法の廃止に関する法律案を議題といたします。
 まず政府から趣旨説明を聴取いたします。機内農林大臣。
#6
○国務大臣(櫻内義雄君) 開拓融資保証法の廃止に関する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 開拓行政につきましては、開拓農家の営農の進展状況等にかんがみまして、開拓農家のすぐれた特性を生かしつつ、これを一般農政へ移行することといたしており、すでに昭和四十四年度には、いわゆる開拓者資金特別措置法を制定し、開拓者資金及び制度資金の償還条件の緩和、徴収停止、開拓者資金融通特別会計の債権債務の農林漁業金融公庫への移管を行ない、また、協同組合組織につきましてもその再編整備対策等を実施してまいっているところであります。
 これらの施策と開拓農家の努力によりまして、最近における開拓者の営農は酪農等を中心に著しい進展を見せ、その生産の伸びも顕著であり、また、農家所得も一般農家に急速に接近しつつあります。
 開拓融資保証制度は、御承知のとおり、開拓農家の農業経営に必要な資金の融通を円滑にするため昭和二十八年に創設されたものでありますが、この制度につきましては、すでに申し述べましたような開拓農家の営農の進展により酪農を中心とする大規模専業農家の資金需要が増大している反面、開拓農協及びその連合会の解散等により融資保証機能が次第に低下し、今後、開拓農家の資金需要に対応しがたい状態となることが予想されるに至っているのであります。
 他方、一般の農業信用保証保険制度につきましては、一般営農資金を保険の対象とすることができるようにするため今国会に農業信用保証保険法の改正法案を提出いたしておりますので、これとの関連も考慮し、この際、開拓融資保証制度を農業信用保証保険制度に統合することとし、このため、この法律案を提出いたした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、開拓融資保証法はこれを廃止しますが、この法律の施行の際現に存している開拓融資保証協会は、なお二年間は存続することができることといたしております。
 第二は、その二年間において、一定の手続を経て締結する契約により、都道府県開拓融資保証協会は、農業信用基金協会に統合することができるようにいたしております。
 この統合により農業信用基金協会が都道府県開拓融資保証協会から承継した保証債務についての従来の再保証関係は、農業信用基金協会と農業信用保険協会との間における保険関係に切りかえられることといたしております。
 また、中央開拓融資保証協会につきましても、このようにして都道府県開拓融資保証協会の農業信用基金協会への統合が完了した時に農業信用保険協会に統合することができるようにいたしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#7
○委員長(亀井善彰君) 次に、開拓融資保証法の廃止に関する法律案の提案理由の補足説明でございますが、これはこの際、省略をさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないと認めます。
 なお、本案に対する質疑は後刻に譲ることにいたします。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(亀井善彰君) 農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案、農水産業協同組合貯金保険法案、農林中央金庫法の一部を改正する法律案、及び農業協同組合法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○足鹿覺君 私もすわったままやらしていただきますので、大臣以下政府委員の方もおすわりになったままでよろしゅうございますから、御答弁をお願いいたします。失礼いたします。
 まず、最初に、農林中金の外国為替業務の内容について伺いたいと思いますが、農林中金法の改正点のうち、金庫が、外国為替業務を行なえるようにした点でありますが、御承知のように、外国為替業務を行なう銀行は、大蔵省の認可が必要であるわけであります。その認可によって行なう業務の範囲につきましては、制度としては、なくなっておりますが、実質上いわゆる甲種為銀と乙種為銀の二つに分かれておると聞いておるのであります。いわゆる甲種の、外国の銀行との間にコルレス契約が結べるのと、乙種の結べないのと、こういうわけであります。農林中命の場合、そのいずれになるのでありますか、農林省の見解を承っておきたい。
#11
○政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘がございましたように、甲種為替銀行、乙種為替銀行の区分は昭和四十五年の八月以降廃止されております。しかし、実際の機能といたしまして、甲種為銀、乙種為銀のような扱いはされておるようでございまして、農林中金に為替業務が認められます場合に、乙種為銀のようなものになるものと思われます。
#12
○足鹿覺君 そうしますと、外国の銀行とコルレス契約を結べないと、あるいは日本の他の銀行が外国に支店を持っておるものとの提携問題が起きてくると思うのですが、どの銀行と提携をしていこうとしておるのでありますか。
#13
○政府委員(内村良英君) ただいま御指摘のとおり、外国の銀行とコルレス契約を結んでいる銀行に頼まなければならないわけでございますが、どの銭行に頼むかということは、まだ、中金がどうきめているかというところは聞いておりません。
#14
○足鹿覺君 聞けば、東銀あたりに職員を派遣して中金は猛烈な訓練を始めておるとも聞いておるのでありますが、農林省はそういう指導の立場に立って、そういう内容については全く関知していないのですか。
#15
○政府委員(内村良英君) こういった為替業務を始めることになりますれば、それに従事する職員が十分なる訓練を受けている必要はあるわけでございます。したがいまして、現在中金は、東銀に職員を派遣し、さらに中で講習をやるというようなことで、職員のこうした業務の扱いについての資質の向上につとめております。しかし、どこの銀行に委託をするかということはまだきめていないというふうに聞いております。
#16
○足鹿覺君 やるからには、乙種の業務だけのことに限定しないで、やっぱり協同組合貿易も今後は発展をするわけでありますし、発展させなければなりません。これらの共同会社あるいは協同組合間の貿易金融をやるとすれば、やはり外国銀行とのコルレス契約ということにならざるを得ない、こそくなことをやめて。まあ聞けば、たてまえは乙種だけれども、実際は甲種の取り扱いをするのだというような、内々話し合いもなされておるというようなことであります。もう少しざっくばらんな真相を伺いたい。
#17
○政府委員(内村良英君) ただいま御指摘がございましたように、最近、所属団体の海外との取引等は非常に拡大しております。したがいまして、所属団体から農林中金が外国為替業務を取り扱えるようにしてほしいという要望がありまして、今回の改正になったわけでございますが、ただ、先生からただいま御指摘がございましたように、コルレス契約を結んでやるというところまでやるためには、中金として、かなりのそういった扱いのなれとか、訓練が必要でございますので、中金の現征の力から見て、やはり外国為替及び貿易金融のある部分は、系統外の外国為替公認銀行に依存せざるを得ないという状況でございますので、まあステップ・バイ・ステップでやるという考え方で今後取り進めたいというふうに考えております。
#18
○足鹿覺君 外国為替というのは、実際一銭一厘を争う資本競争のきびしい場だということは御承知のとおりだろうと思うのです。そこでこれと対等に競争しようということになりますと、資金の使い方、人材の養成、配置等、効率本位にならざるを得ない。相当エネルギーをつぎ込まなければいけないということになる。そうしますと、それでなくても脱農業的な金融資本への志向だと。私も今度の改正はそういう性格を持っておると思いますが、どうですか。これで当分様子を見た上で中金にその能力があるかないか。特に、この変動相場制に移行してからの状況というものはなかなか対応はむずかしい。外国為替銀行の中で損をしたところはありません。なかなかうまくやっておる。これを取り上げる場合には、なかなか中金としても私はたいへんな問題だと思うのです。そこで円切り上げ等の損失の場合に――まあ円切り上げに限りませんが、変動為替相場下における損失が、この制度の運用によって出た場合に、会員負担になるのでありますか、どうでありますか。
#19
○政府委員(内村良英君) 外国為替を扱います以上、為替レートの変動に伴う差損について、それを回避することはできないということは当然のことでございます。しかしながら、中金の場合は、私どもの指導方針といたしましては、貿易決済に必要な範囲で外貨を保有させるということで、極力必要な範囲に外貨を保有させまして、あまり為替の変動による差益、差損が生じないようなことをやらせたいというふうに考えております。
#20
○足鹿覺君 先ほども言ったように、乙種から甲種の中身に移るということになりますと、やはり外国為替業務をやるというからには、本格的にやりたいというのが中金の本心だろうと思うのであります。であるがために、いろいろ準備の体制を進めているということでありますから――そういうある種の規制を加えるということでは、中金として、満足がいかないだろうと思う。中途はんぱな取り扱いではないかと私は思うのです。やるなら協同組合貿易や、あるいは協同組合・商社間の、いわゆる国際交流も盛んになるわけでありますから、まずそこら辺を十二分にトレースして、そしてだんだん国際的な金融市場へも乗り出していけるような力をつけるべきではないか。そういう意味なら理解できますが、これにある種の制限を加えて頭から臨むということは間違いである。農林大臣その点いかがですか。
#21
○政府委員(内村良英君) あるいは私の答弁が少し舌足らずであったと思いますが、私どもは、そのような規制を制度的に加えることは考えておりません。しかし中金は、当初におきましては、なるべく貿易決済に必要な範囲で外貨を保有するようにしたらどうかということを指導したいということで、保有外貨はこれだけでなければならないというような、そういった形の規制を加えることは考えておりません。それから、今後の問題といたしまして、こういった外国為替を扱う以上は、やはり体制の整備強化をはかっていかなけりゃならぬということは、先生の御指摘のとおりでございまして、そういった面についても十分留意するように指導したいというふうに考えております。
#22
○足鹿覺君 大臣に伺いますが、損失は会員たる協同組合にはかけない、この点は明確に御答弁になったわけでありますが、いままでの答弁を要約して、私が心配いたしますのは、それは、今日、国際交流の激しい段階でありますから、中金にも為替業務をやらせるならば、中途はんぱなものでなくして、本格的なものをやらしていく。しかし、最初は、まず協同組合間の交流、あるいは協同組合・商社問の交流、そういうところから進めて、そして外為銀行としての資格を、外国為替を取り扱う銀行としての実力を養なう。そして、そのことによって、いわゆる脱農業的な性格に片寄らない。そういう厳重な姿勢で対処していただかなければ、私が、冒頭に参考人聴取の際にも申し上げましたように、都市型銀行への志向だと言われても私はいたし方ない。こういうふうに思うのです。その点について、農林大臣はひとつ大局に立った御判断を示していただきたいと思います。
#23
○国務大臣(櫻内義雄君) 足鹿委員が御指摘になっておるような考え方、これは私異論はございません。農林中金が為替業務を行なう、外国為替を扱うということは、国際化時代の農業のあり方に即応するものである、こういう認識に立っておるわけでございまして、おっしゃるように、これが脱農業であり、都市型の銀行に移行するのだ、そういうようなことではなくて、やはり農業全体の時代の流れに即応する農林中金と、こういうことで、外国為替業務をやる、こういう認識に立っておるわけでございます。
#24
○足鹿覺君 つまり、中央銀行の、一流の都市型銀行の機能を備えるわけでありますから、あくまでも農業協同組合の金融機関の中枢である、農民、農業のための中枢金融機関であるという本旨を忘れないで、今後も、農林省も指導に対処してもらいたいし、この場を通じて中金当局にも、そういう運用に批判が生じないように対処していただきたいとこの問題を申し上げて、この問題を打ち切っておきます。
 次には、この準備預金制度の問題でありますが、話は少し変わりますけれども、金融政策の政策手段の一つに、準備預金制度があるということは、もうすでに御承知のとおりなんです。対象機関に農林中金も入っておりまして、調べてみますと、大体ランクは一番下なんですね。相互銀行並みの一番最低のランクにおるわけなんです。ですから、ある程度しんしゃくはしてあると思いますが、そもそも協同組合の原理の上に立ってできておる農林中金を、預金創造を行なう一般の金融機関と同じく、準備預金制度の対象とすることに私は、疑問があると思いますが、いかがですか。
#25
○政府委員(内村良英君) 農林中央金庫は、農林漁業者の組織する協同組合及び連合会等を所属団体といたしまして、これらの所属団体に対する金融の円滑化をはかるため必要な業務を本来業務として、それを中心としてやっていかなきゃならぬということは、ただいま足鹿先生から御指摘のあったとおりでございます。その半面、農林中金は、所属団体を通じて集積される資金を、農林水産業の発展に資するよう、農林水産業の関連産業に貸し付け、あるいは金融機関に貸し付けることにより、運用する等、系統金融として、外部系統金融と外部経済との接点に立っての仕事ということをまた一面でやっているわけでございます。したがいまして、農林中金といたしましては、一般金融とも密接な関係を、いろいろな業務の面で持っておりますので、従来から金融政策の一環として準備預金制度の対象となっているわけでございます。そして、さらに、その適用の現状は、ただいま先生から御指摘がございましたように、準備率は他の金融機関に比べまして一番低いレートが適用されております。しかも、資金量が相当大きいわりには非常にレートが低いということになっておりますので、中金が系統金融と外部経済、すなわち一般金融との接点に立っているという一つの機能を考えました場合に、このような形で、低率の預金準備率が適用されるのは、まあ妥当ではないかというふうに考えているわけでございます。
#26
○足鹿覺君 この都市銀行にしましても、やはり相当運用に妙味があるわけなんです。しかし、農業あるいは農林業というようなもの、第一次産業に融資をする機関、あるいは単協その他に融資をする機関というものは、預金準備率を、ある程度政府に無利子で出しても、預金の準備高をもって、あと、さらにこれを創造的な預貯金の活用活動ができるわけなんですが、なかなか農業団体ともなれば、そう簡単にいかないですね。したがって私は、版金準備率をいわゆる相互銀行並みに押えておるからいいというような、そう簡単なわけにはならないというのが私の考え方なんです。で、預金の準備率をもっと再検討する必要がありはしないか。そうしないと、それでなくても御承知のように、これは無利子でありますから、農林中金の経営は最近ダウンしつつあると言われている――私どもは、そういう監事でも何でもありませんから、中を調べてみたわけではありませんが、ダウンしつつあると、当局は説明をしておる。これがたび重なる準備率の引き上げによっていきますと、経営圧迫要因とならざるを得ないと私は思うのですね。そこで、農林中金のように、一面政府の政策金融を担当する機関でもありますから、普通の銀行としての性格とは著しく違っておるわけでありますから、政策面で経営圧迫の要因になるようなことはつとめて避けたがよろしい、私はそういう観点から御質問申し上げておる。こういう経営圧迫の要因は、この際中金法改正に際しては、もっと検討してほしかった。そこで、大蔵省もおいでになっておりますから、銀行局担当の審議官がおいでになっておりますが、いま私が申し上げておることについて、対象機関からなぜ中金は除けないのか。いわゆる少なくとも、所属団体への貸し出しの資金となっておる部分の預金に対しては準備預金の対象とすべきでないと、少なくも私はそう思う。いかがですか。
#27
○説明員(岩瀬義郎君) 農中に対しましての準備率は、先ほど先生の御指摘のように、一番いまの準備率の中では最低の準備率をかけておるわけでございますが、機中のいわば金融市場におけるシェアと申しますか、そういうものは約一割でございます。それから農中が実際に関連産業に貸し出しをいたしておりますのが、農中の資金のうちで約三分の一、それから農協等におきましては、やはり員外貸し出しというものをかなりやっております。したがいまして、金融全体の引き締めをやります場合に、農中だけを農業系統金融であるから、全部その対象からはずすという場合に、ことばは適当でないかもしれませんけれども、ある程度、しり抜けになる部分がある可能性がございます。したがいまして、農中に対しましても、準備率を課するということを四十四年から開始したわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、相互銀行、信用金庫並みの一番低い率をかけておる。これは農中の規模から申しますと、大体都市銀行で申しますと第四位ぐらいの大きさの規模でございますが、その農中に対して一番低い準備率をかけておると、こういう現状でございます。ちなみに、今回第三回までの準備率引き上げをやりまして、約八千五百億の資金を凍結したわけでございますが、そのうちに農中の資金量は約二十六億でございます。全体の〇・一%に当たります。したがいまして、その点では農業系統金融に対して大蔵省としても十分配慮を払っておるというつもりでございます。なお、ただ、信用金庫、相互銀行と同じ扱いで今後いいかどうかということにつきましては、農業系統金融の自主性というものは十分私どもも認識いたしておりますので、今後とも、準備率の適用につきましては慎重に検討してまいりたいと考えております。
#28
○足鹿覺君 いま、そこで話がはずんでおって、ちょっとわからなかったのですが、私が言っておるのは、農林中金を除くことができない、困難だという御意見のようでありますが、少なくとも、所属団体系統へ貸し出しをしておる、資金となっておる部分の預金に対しては、準備預金の対象から除くことはできませんかと言っておるのです。これは大臣の見識において――やはり私はきょうは大蔵大臣に来てもらいたかったのです。ですけれども、あの大蔵大臣とは予算委員会でやってもなかなか話が合いませんので、それでやめたのです。政務次官に――これは政策金融になって、政策的な面にわたりますから政務次官に来てもらってもいいのですけれども、櫻内大臣は、与党の政務調査会長を長いことやられたのですが、私の言うことが無理だとお考えになりますか。もう少しやはり農林金融機関としての、いわゆるメリットの少ない面を考えて、どうしてもやらなければならぬというならば、いま言ったような、私が言ったやり方もありますし、相互銀行のもう一つ下のランクをつくるということもありましょうが、農林大臣ということではなくして、国務大臣として、私は、こういうことをやると――だんだん中金の運営がいわゆる利息をかせぐことにきゅうきゅうとして余裕金運用にうつつを抜かすような結果とならざるを得ないと、こういう面から心配をしておるのでありまして、これは農林大臣のひとつ見識ある立場からの御答弁をお願いし、御善処をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#29
○国務大臣(櫻内義雄君) 農林中金の現在活動しておる状況から判断をしてまいって、しかもいま大蔵当局から御説明を申し上げたように、全般的な金融引き締めを行なう上において、一体、農林中金の融資の状況はどうかというようなことを総合的に判断してみますると、先ほどの御説明で八千五百億円の凍結で、その中の二十六億円が農林中金の該当ということになりますと、そうすると、全般的には、一割ぐらいのシェアを持っておるのが、凍結の状況からいえばその一割をはるかに下回る、ごくわずかな分野になりますね。そういうことを考えていきますときに、これは農林省のほうから御説明を申し上げたように、系統金融としての立場と、それから外部経済との接点に立っておるという現実ですね。そういうようなものから考えていった場合に、この準備預金制度の最低の率を農林中金に課しておるということは、いま足鹿委員の言われておる御趣旨は、私もわからないではないんですが、しかし、この実態から申し上げて、その御趣旨とそう違わない、むしろ御趣旨のごとく実際上は運用されておるのではないかと、こういうふうに考えます。で、別に私としては大所高所から立ちましても、いまのこのやり方というものについて異論は持っておらないわけであります。
#30
○足鹿覺君 いずれにいたしましても、私は、準備預金制度の再検討を、農林金融の機関については検討してもらいたい。ぜひ強く要請をいたしておきます。私も勉強いたします。
 金額が少ないから大したことないじゃないかとおっしゃるけれども、この相互銀行、信用金庫の場合にランクがあっても、ここへ出ておるトータルというものは、信用金庫、相互銀行全部総括したもので出ておるわけなんですね。したがって、二十五億円だから、ごく少量だといういまの御説明は、各相互銀行の中央機関では、それはどの程度の負担を、準備率の拠出を命じておられるかという比較がない限り、私は少ない多いは論ずることはできないと思う。いずれにしてみても、この制度の運営は系統機関への融資、これが中心使命であって、余裕金をいかに効率に運用していくかということに重点が移ったらこの機関の使命は達成できなくなりますから、したがって効率の悪い運用になってもいたし方がないと。この際には、預金準備率のような、いわゆるインフレ抑制のために、いわゆる再度の準備率の引き上げが行なわれるきょう日の状況下にあっては、この対象とすべきでないというのが私の信念であり、主張であります。これは、間違ってないと思うんです。いまの大臣の答弁に私は少し納得がいきかねます。金額の多寡をもって大臣ね、御判断になることは私はどうかと思うのです。そういう点でひとつ御再検討を願っておきたいと思います。
 さて、先般公定歩合の〇・五%引き上げに伴って、七月中旬を予定される郵貯、都銀その他の市中銀行の中期定期預金等の利率の引き上げについて検討が行なわれておるといわれておりますが、大蔵省に伺いますが、七月中旬というふうにわれわれは聞いておりますが、いつごろからこの公定歩合引き上げに伴う中期預金等の利率の引き上げは実施されますか。
#31
○説明員(岩瀬義郎君) 今回預金金利の引き上げと中期預金の創設を予定いたしておりますのは、別に公定歩合と連動した同時期をねらったということではございませんで、あとで御説明いたしますが、時期といたしましては、郵便貯金は七月一日から、民間のほうは七月の十六日を予定いたしております。
 御質問がございましたので、前後いたしまして恐縮でございますが、中期預金の創設と預金金利の引き上げは、預金者の需要に応じまして、より有利なる備蓄手段という形で中期預金を考えましたのでございまして、さらに最近の国民経済の動向から見まして、全般的に定期性の預金金利の水準が低過ぎるのではないかということに対処いたしまして、預金金利を同時に一年もの以上の〇・二五の引き上げを行なうということをきめようとしておるわけでございます。
 今後の準備と、手続といたしましては、明日、金融制度調査会に中期預金の創設についておはかりをいたしまして、翌日に、金利調整審議会で金利の最高水準をきめる審議を終えた後に、具体的な手続に入りまして、いま申し上げました七月の十六日をめどに準備をいたしております。
#32
○足鹿覺君 農林大臣も抜かりはないと思いますが、系統農協のこれらの対応については、大蔵省と打ち合わせ済みで、来月の十六日を目途にしておやりになりますか。現状はどういうふうに準備なさっておりますか、内容を御説明願いたい。
#33
○政府委員(内村良英君) 系統金融といたしましては、中長期定期預金の創設につきましては、他の金融機関の動向等を十分考えながら、それに即して対応したいということで現在検討をしているところでございます。
#34
○足鹿覺君 いま審議官がおっしゃるように、来月の十六日から――明日の審議会にかけてやろうとしておるので、それにおくれをとるようなことはないですかと念を押しているのですよ。そんな抽象的でなしに具体的に、わかったようなわからないようなことを言わずに、具体的におっしゃい。
#35
○政府委員(内村良英君) おくれをとらないようにやる予定になっております。
#36
○足鹿覺君 従来の定期預金貯金率にプラス〇・二五と、こういうふうに解釈してよろしいですね。
#37
○説明員(岩瀬義郎君) 詳しく申し上げますと、現在定期預金は三カ月、六カ月、一年、一年半という四種類がございます。このうちで一年以上の定期性の中でも長いもの、その一年もの以上を〇・二五%だけ上げるわけでございます。したがいまして、現在一年ものが五・七五でございますが、これが六%、一年半ものが六%でございますのが六・二五%になります。さらに二年の中期性預金ができますので、これが六・五〇ということになります。
#38
○政府委員(内村良英君) 農協のほうは預金が金利が一厘高くなっておりますので、一年ものの現在五・八五が六・一〇、一年半ものが六・一〇が六・三五、二年ものを新設いたしまして、それが六・六〇、こういうことに。一般金融機関と同様な歩調でやれば、系統金融機関の金利はそのように改定されるわけでございます。
#39
○足鹿覺君 ちょっと最初に、近代化資金に入ってから、対立企業や公害企業への融資問題について少しただしてみたいと思いますが、よくその点、事前のレクチャーが足りなかったと思いますが、心して御答弁願いたいと思います。
 農業近代化資金の問題をやっておる間にひとつ考えて、間違いのない答弁をしてください。いきなりやるとお困りでしょうから。トレースが十分でなかったから。
 そこで、農業近代化資金をちょっとここで入れますが、私は、参議院の決算委員長をやっておりまして、衆議院時代にも大蔵委員長をやっておりまして、この近代化資金ができた当時の経過から見て、これは制度金融で、政府みずからがやらなければならないものを利子補給をして、農協金融にひもをつけるというのでずいぶん議論があった。しかし、一時は資金需要も旺盛であったけれども、近代化資金のワクが相当残っておるようですね。調べてみますと、農業近代化資金利子補給補助金は、四十六年度の補正予算で十八億円減額されておる。決算の段階でさらに十一億円不用額が出ております。
 四十七年度はまだよく正確にはわかりませんが、補正予算で二十二億円を減少し、決算はまだ出ていませんが、さらに不用額が出ると思いますが、どの程度予想されますか。
#40
○政府委員(内村良英君) 四十七年の計数はちょっと資料を持ってきておりませんので、後刻提出したいと思います。
#41
○足鹿覺君 相当出ると思いますね。このようになぜ余るかというと、融資ワクが十分使われないからではありませんか。
#42
○政府委員(内村良英君) 農業近代化資金の融資ワクが残ります理由といたしまして、一つは、先生御案内のとおり、近代化資金というものは、農業の装備の近代化、経営の近代化というものに資する資金でございますが、その中で大きいものは、機械に対する投資がかなり大きいわけでございます。機械に対する投資は、本年の農業白書等でも指摘されておりますが、新型の中型、大型の機械が一応導入されまして、機械に対する資本投資と申しますか、資金需要というものが一巡した段階にきているかということが一つの原因ではないかと思っております。
 それから、第二点といたしましては、融資限度が一般の農業者の場合には二百万円ということになっておりますけれども、最近の経営の大型化等から見ますと、これは少し低いのではないか。この点につきましては、今般の法律改正でこれを引き上げることになっております。
 それから第三点といたしましては、これはまあ先生よく御案内のように、農業金融、特に単協の金融の場合には、どうしても平等主義と申しますか、みんなに貸すというようなやり方になりがちでございます。そういったことも、あるいは間接的に近代化資金が伸びない一つの要因になっているのではないかというふうに考えているわけでございます。
#43
○足鹿覺君 まあ補正で減額をし、決算の段階でさらに不用額が出る、これは補給補助金の場合ですね。これには都道府県の上積み補助も、この間資料で見ますとどの府県も出しておりますね。営農形態によってどの府県も同一ではありませんが出しております。しかも、四十六年度で見ますと、ワクで見ますと三千億の融資ワクが千三百七十三億円しか融資がなされておらない。それはただ単に、個人または共同のワクが、個人二百万円というのが低かったというそれだけではない。資金需要が減退するような、そういう農業、農民の状況がそういうふうであるから、こういうことになる。したがって、あなた方が今度平面的に金利を若干下げ、ワクを広げたからといって、三千億のものが半分も消化できないという、四十六年にもこういう顕著な事実が出てきておる、政策が破綻をしておる。さらに四十七年はわからぬとおっしゃるが、これまた三千億でありますが、千四百億円を、私の見たところではちょっとこす程度だと思いますが、まあ大体五十歩百歩だと思いますが、いかがですか。
#44
○政府委員(内村良英君) 数字をちょっと持ち合わせておりませんので、正確なことは申し上げられませんけれども、大体、先生の御指摘のような傾向になるのではないかというふうに思っております。
#45
○足鹿覺君 私の想定をお認めになったわけでありますが、そこで近代化資金のワクの残りの責任というものについて、農林省は今後どう対処されようとしておるか。融資ワクが三千億に対して千四百億円という、五〇%に達しない四七%。四十六年度は四〇%ちょっとと、こういう状態です。三千億円の融資ワクはだてや酔狂で算定されたものではありますまい。日本農業のあなた方の一枚看板である資金の装備の充実、近代化、高能率化ということをうたい文句にしてやってみたらこの結果だ。金の借り手がない、借りられないような農業情勢になっちまっておる。農業の前途が暗たんとして農民が希望を失っておる。そういう実情とあまりにもかけ離れたあなた方の判断が甘いと私は言わざるを得ない。日本農業の近代化のためにはこの三千億は、この程度の資本投下が必要だという前提でできたワクだと思う。それが四割しか使えないというようなことに対して、大臣まああなたの責任だとは私は言いませんが、少しあまりにも見通しの狂いが大きい。これは大きな今度の手直し程度の問題では解決がつかない根本的なものがあると私は考えますが、政治家として、国務大臣として日本の現状がいま金を借りることすらもできない現状にあるということに対して、この近代化資金を今後どういうふうな方向へもっていこうとしておられますか。基本的姿勢があったらひとつこの際承りたい。あまり事務局の答弁にこだわらないで、思い切ったひとつ御所信があれば聞きたいと思います。
#46
○国務大臣(櫻内義雄君) 私が指摘するまでもなく、近代化資金の経緯を見ますると、昭和四十四年度でございますか、総合農政を積極的に展開をするということで三倍に引き上げた、そして三千億円の融資ワクとなったと思うんです。そしてその後の経緯は先ほどから足鹿委員の言われるように、四十四年、その融資ワクを拡大した年が消化率が四六・七%、四十五年が四五・一%、四十六年が四五・八%、半分にも満たないと、こういう状況にあるわけでございまするが、先ほどから局長のほうから申し上げまするように、せっかく融資ワクは広げてみたが、一体現在の農業経営の実態に即応するような貸し付けであったのかどうかと、そういう点を考えまするときに、今回の改正で融資限度額を五倍に引き上げる。そうしなければ、いまの農村の必要性にこたえておらないんではないかということ、あるいは金利の引き下げというようなことを行ない、さらには農業信用保証保険制度の改正をも加える、また、借り受け資格者の範囲を拡大する。こういうことをお願いしておるわけでございます。したがって、いままでの状況からすれば、せっかくのこの近代化資金というものが十分活用されておらない。その点については、われわれとしても反省しなきゃならない点があったと、こういうことになります。しかし、今後におきましては、所要の改正後においては、いまの農村の実態に沿ってこの資金が活用されるものと、かように見ておるわけでございます。
#47
○足鹿覺君 私は、このような状態が起きた根本原因は、日本農業が、千六百万人の人口が現在八百万人を割るというような状態になった、そして後継者もない。こういうところに一つの根本的な、農業への絶望状態がこういう一つの問題を起こした根本原因であると思う。しかし、だからと言って、必ずしもこまかい具体的な問題が原因でないとは言えない。たとえば、まあ、やかましく言いまして、特認資金については、このごろは肥育牛も入ったし、肥育豚や鶏も入ったし、花木も入った、シイタケ栽培や乾燥場も入った。こういうことでありますが、当初はなかったんです。これはごく最近入ったんです。やかましく申し上げてやっと。ところが、最近シイタケの共同乾燥場を借りようとした問題で、私のほうにちょうどいい実例があるんです。農業協同組合の理事全員の担保と保証をとる。保証判を押せ、それからおやじの名義になっておるたんぼを担保に出せと。たった二百万やそこらの金ですよ。そこから問題が起きまして一年以上ももみ上げた事例があるんです。何のために農業信用保証協会があるのかと私は言いたい。なぜ、理事全員の保証が必要なのか、私にはよくわからない。おやじは、先祖伝来の土地を、おまえらの思いつきで担保などには絶対に入れぬ。あと継ぎが一生懸命シイタケで山村で出かせぎを食いとめようとしても、一年以上もたなざらしになって、やっと、まあ私もいろいろと間接的に働いて、保証は組合長だけでしてもらい、担保で片づけてやっとこの間やりました。末端へ行きますと、内村さん――大臣もよく考えてください、島根県も農業県ですが、こういう実情ですよ。信用保証協会というものがあるのに、なお、単協の理事の判こをとる、保証をとる。担保と保証と信用保証協会をとっておる。そんなでたらめなことがありますか。今度の信用保証協会のワクも広げようということもけっこうでありますが、運用面が、ほんとうに手軽く、農民の必要に応じて早く農民の意欲を刺激するようなことになっていない。解決がつかなければ何年でもそのままに投げてある。こういうことで、ますます山村の出かせぎに拍車が加わってきておるのではないか。もっと簡素化をはかる、早期に資金需要にこたえると。そういった事務的な問題が、やはり大きな疎外要因となっておる。第二の疎外要因は、資金そのものの内ワクがちょっと多過ぎる。いいですか、県への大ワク程度で中ワクをつくられるならばそれでよろしいが、それが、鳥取県で言いますと、三つの農業振興局がある。この各振興局に割り当てて、その中にまた障子を立てると、こういうことでは需要の殺到するところと閑疎なところができてくる。そうでしょう。そういう点で、いわゆる担当者が――私どもも昔から懇意な連中が一ぱいおります。同期生もたくさんおりまして、ときどき嘆くわけですが、先生、とにかく貸してくれえ、というところは、もう一ぱいで、銭がなくなる。いわゆるワクがない、ないところは融通がつかぬ。年度末になってあずるという状態がある。こういう運用面においてきわめて弾力的な運用になっていない。こういった面が、いわゆる農業の基本姿勢にからんで、さらに、いわゆる資金が借りたいが借りられないから半分以上も残るという状態になっているんじゃありませんか。そういう問題点を除去しないで、運用面の改革に手をつけないで私は解決はつかないと思いますが、その点いかがですか。
#48
○政府委員(内村良英君) ただいま足鹿先生から御指摘がございました点は、私どもも、そういった事態があることは承知しております。そこで、近代化資金につきましては、保証保険制度がありながら担保の徴求がきびしいということではいけないということで指導してまいっておりまして、私どもの調査では、最近は物的担保をとるものが一%以下ということになっております。ただ、保証人をとるものが、数字を申し上げますと、協会の保証にかけたものであっても、四十四年は八一%、四十五年が七七%、四十六年は七五%というふうに下がってはおりますけれども、保証人をとるケースはまだ相当ございます。それから無担保・無保証の割合はふえてまいりまして、四十四年は一〇・七%、四十五年は一六・三%、四十六年は一七・三%というふうに――無担保・無保証で協会の保証だけで貸す、これは理想的な形でございますが、そういったものも逐次ふえているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、近代化資金の場合には保証保険制度があるわけでございますから、そういったものを今回もまた拡充するということをやっておりますので、そういったものを利用して、極力、担保の徴求はあまりきびしくしないで運用したいというふうに考えております。ただ、これも金融でございますから、担当者としては、やはり保証人ぐらいはほしいというような気持ちもあるのではないかと思いますし、その辺のところは今後の運営の問題といたしまして、私どもも改善に努力しなければならないというふうに考えております。
 それから第二点の、借りようと思っても非常に時間がかかるじゃないかという点でございます。この点も先生御指摘のような点が多々あるかとも思いますけれども、私どもの調査によりますと、大体、制度発足の当初は近代化資金を借りるのに、手続だけで三カ月くらいかかったというようなケースが多々あったようでございます。それが最近の調査では、大体申し込んでから一カ月で借りられるというふうな形になっておりまして、運用面のそういった面の改善もかなり進んでいるわけでございます。確かに、先生のおっしゃるとおり非常に運用がむずかしくなっている。さらに資金ワクが非常にこまかい、もっと大ワクにしてやったらどうかというような点も御指摘のとおりかと思います。したがいまして、この近代化資金は、せっかく農業者の装備の高度化、経営の合理化のための資金でございますから、農業者の人たちが使いいいように、なお制度の改正については今後努力しなければならぬということは、先生の御指摘を待つまでもなく当然のことでございます。したがいまして、私どもも、御趣旨に沿って制度の改善を、なお今後も進めるようなことで検討しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#49
○足鹿覺君 ぜひ御検討になって、簡素化と早期化をやっていただきたいと思います。
 それから、これは、近代化資金に関連をいたしまして、どの制度金融か近代化資金か、あるいは家畜導入資金かは別として、この資金融資問題以前の問題として私は、日本の農家で成長産業といわれておる、いわゆる酪農や果樹産業が、負債で動きのならない状態になっておる憂うべき現象を心配しております。そこで、これらの点について、去年九州に行って、果樹の現状を調べました。また、酪農は、私の県に盛大でありますから調べてみました。いま酪農の例をとって申しますと、農家負債の実態調査と負債整理の対策が今日急を要するのではないか、この点について農林大臣なり局長に伺いたい。
 そこで、日本の農業は規模拡大、機械化、省力化の名のもとに資金の導入を励行し、その結果負債が増加して、――過剰投資の傾向にあることは私はいなめないと思うのです。つまり協同化がうまくいかないから、個々別々に農協から流れてくる機械化に金を出し過ぎる、こういうことになっておる。その典型とも言えるものが酪農だと思うのです。多頭飼育に踏み切った戦後の状況としては、相当の成果をあげておりますが、それに伴う負債の累積は多くて、酪農民は大きな挫折感に現在さいなまれております。そういう現状を憂えまして、私は調査をしてみました。元来、酪農の採算の価格は、一頭当たり三十万円ないし五十万円が投資限界といわれておるわけであります。しかし、実際の必要投資額が百万円、それに土地資本を加えると、ときには百五十万円と、投資限界の二倍近い過剰投資となっておるわけであります。先日、私は、内村さんに、この問題を抽象的に言ったら、いや、北海道にはそういう事例はあるが、農林経済統計調査によると、貯金は百五十万円、負債額は五十万円足らずだから、心配はないということを言われました。これは、全部一括した平均で見れば、あるいはそういうことになっておるかもしれません。
 これは、私の鳥取県における酪農農家の六戸の、四十六会計年度における借り入れ金の状況の事例について結果を調べたわけでありますが、一戸当たりの平均が、施設を見ますと、豪族数が四・三人、家族労働力が三・二、その他が一・一、飼養規模は乳成牛は経産牛が一四・五頭、乳仔牛が未経産牛が十頭、地目別経営耕地面積は、田が〇・〇三三ヘクタール、畑が(借入地を含む)三・九三三ヘクタール、採草放牧地が〇・四九七ヘクタール、山林が三・六一七ヘクタールでありまして、農業用施設は、畜舎が七十七坪、機械の保有状況が、サイロが二・二基、ミルカーが一・八台、トラクターが一・〇八台、耕うん機が一・〇八台と、相当なものですね。これが六戸の平均でありますが、一戸当たりの借り入れ金残高を調べてみますと一千百万円をこえているのです。しかも農家経済を見ると、農家所得が――総所得ですね。これが百六十五万円、このうち農業所得が百三十六万円、農業所得率は八二・二%にすぎません。これに対して、元金、利子を含む借り入れ金返済が驚くなかれ百四十五万円と、農家所得の八八・一%、農業所得に対しては実に一〇七・二%です。ですから、農家所得の八八・一%に比べますと、純農業所得に対しては一〇七・二%で、七・二%借り入れ金の返済額が農業所得をオーバーしておるという実情ですよ、大臣。これはじゅうたんの上を踏んでおりますとわからないんです。現在の、いかに苦しんでいるかという実態が。これは最近の、じゅうたん農政の私は典型だと思うのです。もっと地についた調査をし、あたたかい日本農業の再建のために努力をしてほしいからこういう事態を申し上げるわけでありますが、酪農を営むだけでは借り入れ金の返済も無理な状態であります。また、当然のことであるが、農家経済余剰は五十七万円の赤字であります。他経費に出しておる金は五十六万円です。たった。そして、借り入れ金の返済は、多いのになりますと百四十五万三千五百円というものもありますが、さっき言ったのが平均です。もっと多いのもあります。約二千万円近いのもあります。
 こういうことでありますから、酪農を続けるには、借り入れ金返済のために酪農以外に労働力を提供し、農外所得を得なければならない。そして、その結果また労働力の不足を招き、その解消のためにさらに機械導入をはからねばならぬということで、ますます借り入れ金の増大を招くという悪循環を繰り返しておるというのが実情です。涙なくしては見れない現状です。これが一番兼業の少ない、農業だけで生きていこうという農民であるだけに私は悲しむべき現象だと思う。これに目をつむって、私はいや酪農は成長産業だ、果樹も成長産業だなんということはきれいごと過ぎると思うのですよ。総合農政の成果が上がったなどとはどこを押せば私達費えるかと思う。農業収入の八八・二%の借金を背負っておる酪農家が成長産業と言えますか。そういう点から考えられて、もともと酪農の多頭化、近代化は西欧近代化酪農の成立においても明らかなように、土地改革、価格革命、農法革新の三大革命を前提として初めて順調に進んできた経過があることは御承知のとおりであります。農民所有地、入り会い地の国有化、農産物価格の低位固定農民から土地と価格を奪うようないまの総合農政の進め方、日本列島改造の進め方では私は兼業を増大こそすれ、このようなまじめな日本農業を守ろうという農民の意欲を失わせる結果になりはしないかと憂えます。
 したがって、このような観点から超低利、長期金融を行なうことはもとより、農家の債務状況をこまかく調査を行ない、その実情に応じた金融政策をとっていくことが必要であると思うのであります。また、地方自治体で行なっている金利補給は個々まちまちで、先般いただいた資料を検討してみますと、総合性がないですね。その地区のピックアップした大きな問題だけになる。これでは、いわゆる地域によって非常に高い金利を払っておるところと、低い金利で済むところというアンバランスが出ておる。地方自治体は基準財政需要額の中に入っておると思いますが、この利子補給は。それだとするならば、頭から国でなぜ地方自治体分も考えないんですか。そういうところに私は、非常に問題があると思うのです。現在の農林金融については。もっと総合的見地に立って、各都道府県の長所と短所、営農の実態に即応するような改善をするためには、まず実態調査をあなた方はなさらなければならぬ。農基法が実施されて十有余年を過ぎた今日、一向に日本の農業に日がささないということは、このような実態に目を伏せてただ、融資ワクを拡大すればいい、金利を少しちょっとかげんをすればいいというようなことでは解決がつきません。いかがですか。実態調査をやられ、農家の債務対策に対して真剣に取り組む御意思がありますか、農林大臣ひとつ承りたい。
#50
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま実情に沿って御質問をちょうだいいたしたわけでございまして、例にあげられました農家の実態については、承っておると、まことに御同情にたえない、非常な御苦労されておるということが十分私としても感ぜられたわけでありますが、この実態の把握と、こういうことにつきましては、農林省の統計情報部のほうで絶えずこれはやっておることでございまして、ここ一両日中には最近の農家経済の状況の発表も行なわれることと思っております。しかし、御質問の中にもございましたように、総合してくると、全国一農家当たりの借り入れ金の残が四十六年度の例でいえば四十五万五千円、これはそういう数字が出ておるわけです。それからその預金残はどうかといえば、百五十八万九千円、こういうふうに出てくるわけです。
#51
○足鹿覺君 それはもう大臣、この間、聞いたんです。
#52
○国務大臣(櫻内義雄君) こういうふうに出てくるわけですね……。
#53
○足鹿覺君 違うのです。それは。
#54
○国務大臣(櫻内義雄君) 数字の上では出てくるのです。そこでその調査が欠くるところがあるかないか、これが一つの問題点になると思うのでありますが、現在、統計情報部におきましては、相当精査をいたしておるつもりでございますが、きょうのお示しの例からすれば、非常に何か実情にそぐわないように受け取られるわけでございまするが、この辺、私としてもなおよく検討してみたいと思います。
 なお、御指摘のような負債で非常にお困りになっておるという場合に、御承知の農林公庫資金の自作農維持資金を活用していただくような、そういう道を講じておりまするし、また、個々の農家の実情に応じて延納等の措置をとるよう、必要に応じて関係機関を指導しているところでございまするから、いま例をあげられて、いろいろと御質問でございまするが、この農家の場合、どうなっておるか、これも検討してみたいと思うのであります。一般的には、ただいま申し上げたような統計上の数字でもあるし、また農家の負債に対しましては、自作農維持資金を活用するという、そういう道を講じておるのでありまするから、この辺は御了承いただきたいと思います。
#55
○足鹿覺君 とにかくこういう実態をいわゆる営農別に、たとえば酪農と果樹について、果樹は自由化の波にさらされようとしております。大きな基盤整備から、幼木の植込みから資金投下をしておるが、大きな金ですよ。酪農と同様ですよ。去年向こうへ行ったときにも、九州を見たときにも、私はつくづく感じました。ですから、一般の農林統計調査事務所の経済調査でもって満足ができませんから、営農種目を限って特別調査をなさい。それはできないですか。それすらもできないようなことでは、金融を論ずる資格はありませんよ。そんなことありますか、何ですか、一体。日本の一番成長産業がつぶれかかっているのだ。
#56
○国務大臣(櫻内義雄君) 統計情報部におきまして、個々の農家を積み上げての統計を持っておるのでありまするから、その中から酪農の場合はどう、果樹の場合はどうと、これは常識的に考えまして、不可能なことではない……。
#57
○足鹿覺君 すぐできますよ、コンピューターを持っているのだもの、統計調査部は。
#58
○国務大臣(櫻内義雄君) 整理はできるものと思います。
#59
○足鹿覺君 じゃ、おやりいただけますね。
#60
○国務大臣(櫻内義雄君) 私としてはさっそく統計情報部のほうへ、そういう整理をさせるように申しつけたいと思います。
#61
○足鹿覺君 その結果に対しては、負債の整理、負債の軽減、そういったことについては遺憾なきを期してもらいたい。強く御要望を申し上げておきますが、とりあえず、まずその実態をお調べにならなければ、私は農家がどのように苦しんでおるか、将来に不安を持っておるか、その実態の上に立って生きた農政をやってもらいたいから、たいへん強く申したようでありますが、他意はありません、大臣。よくひとつ御善処を願いたいと思います。
 次に、対立企業や公害企業への系統農協からの融資の問題について伺いますが、農村資金は農村に還元するとの本旨に基づいて、私は、農協系統資金については、あまり金利第一主義に走り過ぎないで、明確に対立関係にある企業等については、融資は慎重を期すべきではないかと思うんです。いかがですか、その点。
#62
○国務大臣(櫻内義雄君) これはもう足鹿委員のおっしゃるとおりだと思うのであります。ただ、その流通加工をやっておる場合に、これが競合関係にあるか、対立関係にあるか、というようなことは、一がいには言えないと思うのであります。全般的な農林漁業との密接な関係に立っておる場合もあろうかと思いまするから。極力そういう、ほんとうに競争関係とか、対立関係であるというものに、ただ金利がいいから融資をするんだと、そういうことであっては、これはならないのでありまして、その辺の調和はよく考えていく必要があると、こう考えます。
#63
○足鹿覺君 考えるだけではなしに、大臣、そういうことはあってはならぬと、厳重にそういう指導をやってもらいたいと思うわけでありますが、今度、農林省の機構改革で流通局ができた、けっこうであります。ところが、去年私は、九州を視察しまして、ある県でジュースの近代的な工場を見ました。ところが、農協の名を冠してない、レッテルに。ある有名なメーカーのレッテルが張ってある。それを農協の工場がやっておる。農協の資金を借りて農協がやっておる。いろいろとあとで懇談をしてみました。なぜ農協の名を使わぬのか、なぜもっとPRをしないのかと言ったら、先生、とってもそれはPRには銭がかかります。こう言っています。第一、この銘柄を売り込むためには相当金がかかります。それよりも銘柄の売れた名前を出して、若干看板料を払ったほうがと、いまの段階は涙ながらにそういう対策をとっておるという苦哀を聞きました。ところがどうですか、その後、全農が農協牛乳を売り出した、農協果汁を売り出したら、が然空気は変わってきたではありませんか。農協の農協牛乳でも、農協果汁でも、品質は絶対心配ないという、これは主婦間の大きな人気を博し、新風を送ったではありませんか。いわゆるエキスを水に薄めた、砂糖で薄めたものや、粉末を水と砂糖で攪拌したものをジュースとして飲んでおった日本国民の口には合わなかったが、だんだん変わってきたではありませんか。
 しかも、では、コマーシャルは、テレビその他に対してコマーシャルはやってないのかというと、各県連もやっておる、全国連もやっております。みんなばらばら。これではね、この金は数億円の金ですよ、大金を使ってますよ。なぜもっと総合企画的に、いわゆる生産者と消費者をつなぐ一番端的な、茶の間と、食卓と農協を結ぶ唯一の手段はテレビ、これが一番効果的であることは言うまでもありません。私は、これに金を出すことは決して惜しいとは思いませんが、県連は県連あるいは中央連は中央連でてんでんばらばらにやっておるというところに、私は問題があり、幾らでもコマーシャルを通じて農協の果汁、農協の牛乳、農協の加工品、かん詰め、農協の牛肉というふうにやっていけば、これだけいわゆる生産者と消費者の直結が叫ばれて求められている時代でありますから、消費者からも歓迎をされ、かたかなのノウキョウという侮べつを込めた農協に対する認識が改まってくると思う。それでこそ初めて私は食品流通局ができた目的にもみずからかなうと思うのです。もっと私は農協マンが自信と誇りを持って、そして情報化社会に必要なる措置に対応していくということが必要だと思います。そういう点について、余談になりましたが、もっと本来の仕事に系統内融資の新しい企画性のある方向を今後融資の対象にし、これには思い切ってつぎ込んでいくというような対策を講じてほしいことを強く要望しておきます。
 第二には、いわゆる公害企業への系統資金が流れておるのか、おらないのかという問題です。聞くところによると、いろいろな情報がありますが、いずれこれは水産三法の審議のときに、これは与野党一致してお互いが真剣に漁民の将来を考え、国民の食生活を案じ、国家百年の今後に対して、責任ある態度で審議をしていきたいと思いますから、私はほんの一点だけきょう申し上げておきますが、最近、わが国の沿岸の水銀汚染はきわめてきびしい状態にあることは言うまでもありません、御承知のとおり。一昨日、魚介類に含まれる水銀暫定許容基準がきまりました。厚生省が一週間に〇・一七ミリグラムまではいいというので、小アジを一週間に十二匹、マグロなら四十七切れとかいうような、献立までつくるということになった。成人一週間に〇・一七ミリグラムまでということなんですね。で、〇・三PPM以上は廃棄することになった。基準委員会がそういうものを出して、厚生省もそういう生活指導をやる、これは厚生省は、そういうものを出して指導すれば事足りるでありましょうが、いままで米と魚で今日まで日本民族は何千年来生きてきた。この長い食生活に、大きな異変ができ、漁民は生活の道を断たれ、自分たちに海を返せと悲痛な叫びを上げて、全国で立ち上がっており、実力行使で公害企業の排水口を埋めるという騒ぎが起きている。きょうは東京湾でデモが行なわれる、全国が騒然としてきた。これはわれわれ国会としては、きわめて重大視し、水産三法の審議を通じて徹底的に追及していかなければならぬと思いますが、この際、大臣に承っておきたいことは、公害企業と国の責任をやはり今後明確にしていかなければならぬと思いますが、このような深刻な状態というものは最初からわかっておれば、手の打ち方もあったでしょう。しかし何十年前からこれがわかっておったわけではない。だんだんといろいろと事態が起きても、それを政府が適切な、それを機会に手を打つことを怠ったという点もなきにしもあらずでありますが、とにかく国民が魚は食えないというような不安におののいておるような情勢にある。そういうときに、いままで融資したものの中に一体系統農協から関連産業融資という名前において、あるいはそれに類するものによってどういうものが融資されておったのか、われわれはつまびらかにしておりません。
 たとえて言うならば、あとで触れますが、農民病という独特の、農民が病気にさいなまれておる。その対立産業にもし融資が行なわれておったとするならば、これは私は納得のできないことになろうかと思う。いままではわからなかったから、ある程度いたしかたのない面もありますが、事ここに至ったからには、発想の転換、思い切った、態度を変えていかなければならぬと私は思わざるを得ない。で、これからこの時点からでもよろしいから、公害防止努力を怠った企業への融資については、企業の反省と公害防止への対応いかんによっては、断固たる方針で融資の引き揚げあるいは融資の打ち切りというようなきびしい態度をまず系統農協から打ち出すべきではないか。そしてこれを、銀行局審議官にも伺いますが、一般の金融機関に対しましても、そのようなきびしい姿勢を打ち出すことによって、公害防止を怠る企業の絶滅を期していくということも私は公害対策の一環ではなかろうかと思う。そういう点で、農林大臣からは、系統融資の公害産業への融資問題、銀行局に対しましては――大蔵省に対しましては、一般都市銀行の融資態度等について発想の転換――大きないわゆる高度成長を福祉成長に切りかえるんだなどときれいごとを言っておってみても、中身をむいてみれば依然として公害の防止を怠っておる産業にどこからでもどんどん銭が出ていくと、こういうことでは私は締めくくりがつかぬと思う。そういう点でひとつ根本的な発想の転換の段階がきたと思います。何でもかんでも企業に融資をとめたり、あるいは打ち切ったりということを申し上げておるのではありません。公害の防止努力を怠り、また、そういう公害を起こしても反省があがらないものに対しては、断固たる措置をとっていくことが必要ではないか。特に、地方農漁民、農山村の組合員から金を集めた系統融資の場合には、そういう点が特に必要ではないか。自分らが出した金で自分らが、水俣病の被害を農民が受ける。これでは全く意味がないと思う。そういう面を私は、この次の水産二法のときに詳しくやりたいと思いますが、この際、大臣と銀行局のほうから御所見を承っておきたいと思います。
#64
○国務大臣(櫻内義雄君) いわゆる員外利用の場合、公害企業に対してどの程度従来融資しておるかという問題になると思うのであります。それで、いま手元にある資料で見ますると、金庫の関連産業取引先のうち肥料等の化学工業、紙パルプ工業などに融資しておる場合があると思います。そういう場合に、著しく環境を汚染し、公害防止についての改善意欲がないとか、能力が著しく欠けるとか、そういうようなことがありますれば、それは順次融資を引き揚げていく、急にやると言ってもなかなかそれはむずかしいことだと思いますから、ただいまの御質問の御趣旨に沿って、公害のおそれのある、あるいはその公害防止に対して意欲がない、こういうことであれば、当然融資は引き揚げていく方針をとりたいと、こう思います。
 それで、今度のこの農林中央金庫法の改正でいきますと、農山漁村の産業基盤、または生活基盤の整備を行なう法人に対して資金が貸し付けられる、こういうことになりまするが、そういう場合でも、公害防止を怠っているような企業が、この中に入ってくるという場合、あるいは農業協同組合法の一部改正でいきますれば、やはり同じように産業基盤または生活基盤の整備のために必要な一定の資金の貸し付けを員外利用のワク外で認める。こういう場合がございまするから、こういう場合には、ただいまの御質問の御趣旨を尊重して、かりそめにも農業者や漁業者の将来に悪影響のあるものに融資をするというようなことは、これは避けるべきだと思います。
#65
○説明員(岩瀬義郎君) 御質問の一般金融機関に対しましては、漫然と公害を発生しておるような企業に対しまして、今後引き続き金融、融資を行なっていくかどうかにつきましては、銀行がやはり企業に対して直接にいろいろな面で指導すべきだと思いますし、私どもも、日本銀行を通じまして、日本銀行の窓口指導の段階におきまして十分注意をするように指導をいたしております。
 なお、今後公害を防止するための施設に、国の金融を受けるというようなことにつきましては、これは実際に公害を将来超こさないための設備等をやるわけでございますから、これにつきましては、現在金融引き締め中でございますけれども、日銀の窓口等の中で、特に十分配意するように、これも指導をいたしております。今後も確かに国民生活の上に非常に重要な問題でございますので、一般金融機関の融資態度につきましては、先生の御指摘のような発想の転換という点も十分配慮すべき問題であろうと考えております。
#66
○足鹿覺君 これは水産三法も近く審議の機会があろうかと思いますので、そのときに詳細は譲りたいと思います。十分それまでに勉強したいので、あなた方のですね、私どもの求めている資料がほしいのですけれども、なかなか見せてもらえない。いわゆる現在トラブルの起きておる、公害防止事業を怠った大手の企業に対する融資銀行、融資団体、融資額というようなものが、私どもは知りたいのでありますが、これは別に悪い意味で申し上げるのではなくして、先ほど述べたように、今日のような事態が起きるということは、もともと一連の対策を怠ったことにあります。それだからいままでのことはいままでのこととしてこれからの問題をどう処置するかということが問題であります。そういう意味においても、かりに漁民に補償するにしてみても、資金を国家が出さない限り、どこかから企業は借りなければなりません。で、それまで打ち切るということになると、今度は漁民のほうが困る。ですから、機械的な解釈は私はいたしませんが、審議官ね、そういった資料はいただけませんか。
#67
○説明員(岩瀬義郎君) ただいままでのところ、そういう具体的に資料を手元に持っておりませんので、そういう資料をお出しできるかどうかにつきましては検討さしていただきます。
#68
○足鹿覺君 出すべくひとつ御検討いただきたい。これは御要望申し上げておきます。
 そこで、大蔵省の主税局の粗当審議官がおいでになっておるそうでありますから、一つだけ先にお尋ねをして、順序があと先しますけれども、農林省当局とあわせてお尋ねいたします。
 今度の農協法改正の第一点は、共済事業の共済規程の改正を総会または総代会の議決によらずして理事会の議決によると、ただし新種共済の開発等については代総会、総会の議決を要すると、こういうこと
 第二は、レンタル制の問題であります。これでは――この前も大臣に申し上げたように、農協法の改正としては、いまの状態とまともで取り組んだとはわれわれ思いませんけれども、少なくとも、衆参両院の記録を調べてみますと、共済事業そのものの対象とした法案の改正が出ておるのに、審議が十分になされていないので私は二、三お尋ねをしておきます。
 近来、昭和二十六年に共済事業が発足をし、昭和二十九年に農協法の改正以来めざましい躍進を遂げ、現在日本の農協共済事業は世界で第六位というところにまで進歩をしたといわれておる、業績を高めたといわれておる。系統共済資金、都道府県連と中央機関である全協連との共済資金の資金総ワクは二兆円になんなんとしておるといわれております。共済事業の使命からして、共済資金の持つ長期金融機能を生かして、農民に直結した福祉の向上、農業生産の増強、地域開発のための資金に活用することが、農民である契約者の期待にこたえることだと思います。
 過日のニュースによりますと、全共連は、都道府県共連の協力を得て、農民の福祉向上の一環として、救急医療設備のために、厚生農協連や公共医療施設に三十億円を寄付したそうであります。これは、農村の交通事故対策の一環として支出されたもので、二十九億五千万円といわれております。今後も農民の健康、福祉の増進、農業生産の向上による所得拡大のため、あるいは農村地域開発のために、系統共済資金を積極的に活用していくべきだと思いますが、最初に農林大臣に伺いますが、この種のものについては、国または地方自治体が何らかのやはり援助態勢をとるべきではないかと思います。先般これと相一致いたしまして、農協共済によって、全国機関が、全共連がリハビリテーションを開設した。これは交通事故の多発、交通事故による身体障害者の社会復帰施設の少ない現状からみて、私は、農協が初めて、かかる社会的対策に一歩を踏み出したものとしてその意義を認めておるものでありますが、この施設の運営に当たってはばく大な経費を要するわけであるのに、施設の性格上収支は赤字が見込まれておる。現行税法では、これに対する寄付行為に対して、一定額をこえる部分について課税対象となっておる。大体全国のベット数が、身体障害者専門のこの種の病院数はさだかでありませんが、ベット数は三千といわれておる。その中でこれの占める――全共連が大分と中伊豆に設けたものでは三百床を持っておりますから、一割を持つことになります。このような施設は元来国家がなすべきものであって――農協団体が交通被害者の惨状を見かねて社会福祉法人を設立して、別人格のものをつくって、リハビリセンターの運営に当たっておるわけでありますが、これの建設費の寄付金についても大蔵省との間に課税問題で大もめをして一年以上ももんでおった。やっと片づいて開設となった。その運営資金に四十億円金を出す。これはもちろん赤字になりますが、三割五分、二億六千万円の課税をやる。一体国がやらねばならない仕事を、自賠責をしておる民保がいつこういうことをやりましたか。何にもやっておりません。それを四十億の巨費を出し、七億円の赤字を覚悟で運営費を出す者に、さらに三割五分の税金を取り立てる。一体、社会福祉法人に対する課税のやり方に矛盾があると私は言わざるを得ない。国すら手を出さないような仕事に手を出した者が税金を支払う。これは、この種の矛盾はもう至るところにころがっております。どんどんこれから交通災害の拡大していく段階において、この種のものは国が肩がわりをしていかなければならぬと思いますが、せめて肩がわりができなければ肩がわりをしておる者に免税をするとか、あるいはいろいろの便宜をはかって、すみやかに交通事故者が社会復帰を促進できるようにはからうべきではないか、かように思います。
 そういう点において農林大臣には厚生連との、厚生病院がなかなか事業不振で困っておりますし、これらとの長期融資等の連係についてもう少し農林者で御指導願いたいし、大蔵省には、このようないわゆるリハビリテーションのような、一番日本でおくれた施設に対する課税問題について再検討してもらいたい。できれば非課税の措置を即時とってもらいたいと思います。このことによってこの種のものがだんだん増設をされ、不幸な交通事故者が社会復帰が促進がされるということは、まことに社会的意義があると思いますので、この点を伺っておきたいと思います。
#69
○国務大臣(櫻内義雄君) 足鹿委員がおっしゃっておるように、共済連が系統医療機関たる厚生連と緊密な連携をとりまして、この自賠責の運用益及び調整準備金の中から、厚生連の病院等に、財団法人日本成人病予予防会を通じて助成することになっておるということについては、農林省としても、きわめて意義があることであり、この共済連の努力を多としておるわけであります。四十八年度におきましては、救急医療施設整備病院数としては厚生連病院八十五病院、その他の公的病院で九十八病院、合計百八十三病院。それから救急医療施設整備資金額が十四億八千万円、こうなっておるのでございます。ただいま御批判がございましたその中で、この運営資金について出す場合には、税金がかかるというようなことになっておることは、これはできれば機会を得て改善をしていただきたいという気持ちを農林省サイドでは持っておるのでございまするが、幸い施設につきましては、税金については免除をされておりますので、いずれにいたしましても、こういう有意義なことについては農林省としても共済連のこれからのさらに一そうの活動を期待しておるわけであります。
#70
○政府委員(大倉眞隆君) ただいま足鹿委員御指摘の件は、かなり複雑な経緯をたどっておりますが、御承知のとおり、問題の発端は、共済農協の側におきまして約七十億円を若干上回ります利益が出てまいった。この利益をそのまま課税されるということでなしに、公益的な事業に使いたいから、何とか無税でこの利益の処分ができるような方法はないかという点で、御相談が始まったように私ども了承いたしております。結果といたしましては、ただいま御質問でも御指摘ございましたように、救急車、パトカーなどに提供いたしました十九億五千万円、また具体的な名前もお示しございました中伊豆、別府のリハビリテーションセンターの建設費十六億三千万、これらは、いずれも指定野付等といたしまして全額免税で、この利益が公共目的に使われることにセットされた、これは御承知のとおりかと存じます。
 残っております問題は、このリハビリテーションセンターの運営費、これに約六億を出したいが、その分も免税にしてもらえないだろうかという点が残っております。これにつきましては、一般論といたしまして、私ども、やはり指定寄付金という制度で青天井の免税を認めます場合に、法令上も、緊急を要するものに充てられることが確実であるという要件がかぶっておることでもございまして、建設費、まさしくリハビリテーションの設備が緊急を要するという認定をして、指定寄付金として扱うということにしておるわけでございます。運営費というのは、やはり緊急を要するものに当てられることが確実であるという要件では読み切れないということで、従来から、運営費についての指定寄付金というものは認めてまいっておりません。ただ、社会福祉事業が非常に大事な事業であるということは、私ども税を扱っております者としても、できるだけ考慮をいたしたいということで、社会福祉法人に対しまして、運営費を拠出いたします場合には、一般の寄付金と別に寄付金ワクを設けまして、そのワク内で無税で拠出できるようにいたしております。
 結論的に申し上げますと、やはり運営費に対する拠出というものは、営利企業はもちろん、共済農協の場合でございましても、やはりこの別ワクを活用していただきたいというのが私どもの考え方でございます。
 なお、申し上げるまでもございませんが、リハビリテーションセンターそのものは、これは社会福祉法人でございますから、センターに対する課税の問題というのはまた刑でございまして、これは収益事業を行なわなければ課税になりません、社会福祉法人は。収益事業を行ないますれば、これは一般企業との競争関係の問題がございますから、収益事業を行なえば、その分の収益に課税はいたしますが、収益事業を行ないましても、なおかつ、収益事業部分から公益部門へ寄付をいたしますれば、それは所得の三割までは損金扱いにするというような、いろいろな制度を持っておるわけでございます。なお、実態問題といたしましても、おそらくこの二カ所のリハビリテーションセンターは、御質問にもございましたように、若干赤字になるのではないかということのようでございますので、センターが課税されるという実態は生じてこないだろうと思います。
#71
○足鹿覺君 審議官ね、私が言っているのは、開設したけれども――国だったら予算をつければいいんですけれども、予算はないんですよ、その社会福祉法人は。だから、運営費に四十億のほかにまた七億円出すわけですね。それに、あなた方が三割、五分税金をとる。そうすると、赤字が出れば、当然、非課税になることはいうまでもないが、多くの団体が――農業団体も含めて、どうしても景気のいいところは、会社はもちろんでありますが、いろいろな名目をつくって利益を隠して、税金をのがれようとして、法網の目をくぐろうとしておるのが、残念ながらいまの日本の社会の実情です。赤裸々に利益は利益として出し、しかしこれは、自賠責その他の結果から出たものであるから、農民や一般国民に還元すべきものだとして、民間保険や簡易保険に例のない、新しい、国が行なうべきことであるリハビリテーションに踏み切ったもの、その運営費に、また利益の一部を入れるということについては、施設を非課税としたことと同様の、延長の措置がとれないかということなんです。十分これは――きのうも、あなたのところの、大蔵省の役人が来まして、主税局長に出てもらいたいけれども、忙しいということでありまして、あなたが来たわけですが、これは政策上の問題でもありますし、次官もおいでになっておりませんが、農林大臣も遠慮をなさらないで、これは全共連の一つの例であります。全国でたった三千ベッドしかないんです。あとはみんな整形外科で、いいかげんな、設備が完備しておらない。リハビリテーションになりますと、温浴からすべてを兼ね備えたりっぱなものである。あなたもおいでになったようでありますが、そういうものに対しては、国がつくらねばならぬ。一種の公害です。社会公害ですから。それを民間農業団体がやろうというのでありますから、もっと政治的な立場で大蔵大臣と御折衝を願いたい。同時に、厚生連との関係については、非常に残念ながら特別の農村医療問題がある。農薬中毒、機械化に伴う健康障害、農村婦人の貧血、その他の成人病や、ガン関係はいうまでもありませんが。これらのものに対して、厚生連が仕事がやりたくてもやれない。厚生連自体には銭がない。農村医科大学もつくりたい。こういうときに、もっと厚生連と共済事業連とを有機的に結びつけて、そしてその長期資金を運用していくように積極的指導が好ましいと私は思うのであります。くどいようでありますが、この点をいま一度御所信を承っておきたい。
 大蔵省のほうも、これはあなたから満足な答弁が得られなければ、別の機会に、大臣にお越し願って御答弁を聞かざるを得ませんが、主税局長とも十分相談になっておいでになったと思いますから、もう一度端的に御答弁願いたい。
#72
○国務大臣(櫻内義雄君) 組合興の傷病の補償あるいは死亡を共済の一つの柱としてある共済事業でございますから、その事業の性格上、医療事業と密接な関連を持つということは言うまでもないわけでございまして、足鹿委員の御質問の御趣旨のように共済連と厚生連をうまく調和して効果のあるように指導していくということは言うまでもないと思います。
#73
○政府委員(大倉眞隆君) 先ほど申し上げたことの繰り返しになりまして恐縮でございますが、指定寄付金という制度で免税といたしますためには、これはやはり緊急を要するものであるということで、建設費用に限らざるを書ない。毎年出す運営費を、指定寄付的に全額免税にするということについては、申しわけございませんが、事務的には、いまその方向に考えますというお答えはいたしかねるわけでございます。先ほど申し上げましたように、毎年出します運営費は、社会福祉法人に出しますためには、一般寄付と別ワクのワクをつくってございますから、そのワク内でお出しいただきたい。そのワク内は無税でございますから、そのワクをこえたものまで、いわば青天井の無税ということにまで、私どもとしてはいまのところ踏み切れないということでございます。
#74
○足鹿覺君 それでは、この問題は技術的な問題もあるようですから、また非公式によくお会いをいたしました上で御意見を承りたいと思います。
 私は、ただ単に政治をやっておるだけじゃなしに、国会議員のかたわら農協運動に一面関連をしておりまして、忙しいから理事なんか私はやっておりませんが、監事は各団体を長いことやった。単協の組合長も長いことやったこともあります。そういう点から見まして、若干現在の共済、農協共済の中の模様もわかるわけでありますが、何しろ資料がありませんので、私は、抽象的にしか言えませんが、系統農協というものは、共済、農協に限らず三段階であってこれが一体になった全国一本組織だと思う。にもかかわらず、各都道府県連に、経営の優劣、資金運用によって契約者に対する割り戻し金額に格差が出ておるのはこれは事実です。私ども、監事の打ち合せや、監事会議だとかいろんなものをブロックでやってみまして、だいぶん格差がついておりますね。これはまあ役職員の手腕なり力量に依存することもありましょうが、そういうことのないことを期してもらいたいと思うんです。
 現在、共済資金の大部分が積み立て共済掛金または県協連段階で運営しているために、県の共済の金融市場の特性というようなものもあって、いいところも出てくるだろうし悪いところも出てくるであろう、あながち役職員の責任とは言いがたいところもあると思うのでありますが、いずれにせよ、全国一本の農協共済に加入しておる契約者に対する利益の還元に格差があるということについては私は問題があると思う、一本ですからね。そういう見地から、基準割り戻しや特別割り戻しというようなものがありまして、私どももいつも監査のときに取り上げているのですが、基準割り戻しのときは、その費差は対万五万から七万、対万二円の差が出ているぐらいと思います。これは、私の見当です。そうしますと、一千万円契約しますと、対万二円差がつきますから、ある県の契約は対万七万とすると、五万円の県の人は二万円の損失をすることとなります。ある県では二万円得すると、こういう結果になる。これは、一般の民間保護なんかには、そういう事例というものは私はないと思う。そこに三段階制をしいておるいまの農協の運用のむずかしさというものがあるのではないかと思う。この格差解消のために、どういう御指導をなされようとしておりますか。これをひとつ契約者の立場に立って対処してもらいたいということを申し上げて、対策を御検討いただきたい。いま御見解があればひとつ承っておきたいと思います。
#75
○政府委員(内村良英君) 非常に重要であり、かつむずかしい問題の御指摘があったわけでございます。先生御案内のように、共済資金の運用につきましては、長期共済においては、保険部分にかかわる資金は、全共連が運営しております。それから積み立て金部分にかかわる資金は県共連が運用しておりますし、また短期共済についてはその掛け金の二割を県共連が運用しているわけでございます。したがいまして、相当な積み立て金を県共連は持ちまして、それを運用しているわけでございますけれども、各県ごとの共済資金量あるいは農村還元資金の需要等は、いろいろ環境によって違いがございます。たとえば、都市農協の場合には、比較的資金の運用がしやすい。しかし純農村地帯の県の場合には、なかなかむずかしいというような面もないわけではございません。それからさらに、そういった利益が出てくるもとを見てみますと、比差益が出る場合、あるいは利差益が出る場合、あるいは危険差益が出る場合というような問題がございます。で、比差益について申し上げますと、これは付加保険料と実際に要した事業費との差でございます。したがいまして、ある場合に、たとえば付加保険料をよけいに取っておったという場合には、それを返すということになれば、必ずしもその県の共済連の運営がいいかどうかという問題がございます。また一応の付加保険料を取っておきながら、非常に経営の合理化をして、それを組合員に返すのだという場合も起こるわけでございます。したがいまして、一がいにこれが一律にするというようなことは、なかなかむずかしい問題でございまして、経営を一生懸命合理化して、できるだけよけい返すということは、これは農業協同組合として必要なことでございますから、私どもは、県共済連の実態を十分見ながら、合理化すべき点は合理化するということで、組合員への還元はできるだけ多いようにしなければならぬと思います。けれども、これは各共済連によりまして、それぞれの置かれた環境の違い、あるいは運用の問題等ございまして、端的に申し上げますと、一朝一夕に、全部平等になるようにということはなかなか実現しがたい問題でございますけれども、今後、県共連の資金運用体制の整備につきましては、私どもも十分監査等を通じて指導したいというふうに考えておるわけでございます。
#76
○足鹿覺君 まだ金融問題についてはたくさん問題がありますが、大臣の御都合があって、一時過ぎには衆議院の本会議に入らねばならぬということでありますので、また別な機会に――金融問題の専門の問題を五、六点残しまして。
 次には、今度の法改正の農協のレンタル制の問題について。衆議院の審議でも相当集中したそうでありますが、まあこまかい議論は別として、時間の関係上。その趣旨に反対する者はないと思う。ただ、その法改正の趣旨に対応した事業執行体制がいまの単協にあるかないかということなんです。それをどう整備するかという、いわゆる施行規則の改正あるいは通達、模範的な指導要領、そういうようなものがありますか。現在、農林省にもそういう専門家はおられぬと私は思う。建設省まかせになっておると思うんです。各単協だってその体制は十分じゃない。現に、私も幾たびもそういう事例にぶつかっておりますが、どういう執行体制をしこうとしておられますか、それが一点。
 それから、もう時間がありませんから簡単にやりますが、農林省は共同会社の問題についてどうお考えになっておるか。この共同会社は現行法では連合会の準会員資格がある。このたびの改正で、単協出資の共同会社が増加する傾向に対応して、単協の準組合員資格も付与するということになっておるようですね。そのことそれ自体に私はとやかく言うわけではありません。レンタル制からいよいよ踏み切られるわけでありますが、共同会社は、協同組合の原理、原則に照らして、いかなるものとして理解すべきかということについて、これは大蔵省は帰られたけれども、これはこの運営によっては、なかなかたいへんな問題が出てくると思う。現在、私の調費したところでは、三百六ぐらいあると思うんですね。今後どんどんふえると思うんです。つまり、共同会社は事業量の拡大の過程において、非協同組合化の進行として、協同組合としての原点から拡散をするという否定的な評価をしている学者もあります。農協運動者もあります。一面、共同会社を協同組合の原点から遊離して資本に接近する例証と見るか、資本主義の発展、変質と、組合活動の拡大に対応した協同組合としての資本に対抗する、対抗のあらわれ方の変化と見るか、という積極的肯定論として評価する二つの意見が対立しております。これはレンタル制の実施に伴いまして、一つの重要課題だと思うんです。
 私が、今度の法改正が中途はんぱだと言っておりますのも――基本問題をよけて、レンタル制や共済連の規定改正ぐらいなことでお茶を濁されたことに対して、先般も意見を申し上げたが、このような内容から見て、きわめて実情に沿いがたい中途はんぱな改正でありますが、以上の二点に対するあなた方の御見解を述べられ、今後、全面的に早急に農協法全体が今日ないしは今日以降に対応する法改正について御検討になる御用意があるかどうかということを承りまして、農家の所得全体に対する不足払い制度の問題を提起しようと思っておりましたが、これも省略をいたしますし、それからまあいろんな問題がたくさんありますが、きょうはこの程度で質問を打ち切ります。たいへん失礼いたしました。御答弁願いたいと思います。
#77
○政府委員(内村良英君) まず最初に御質問のございました、一般の農協は、宅地等供給事業をやるための体制が弱いのではないか。これをどう整備していくかという点でございますが、先生も御指摘のとおり農協の行なう宅地等供給事業は、宅地の造成、住宅等の施設の建設及びこれらの取引関係の業務を内容とするものでございますから、その実施に当たっては、宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引主任者の配置、建築士法に基づく建築士の配置等を行なうことが必要になってくるわけでございます。
 そこで、現在、農協は御案内のように、農地等処分事業をやっておりますけれども、その農地等処分事業を行なうための定款を変更した組合が、昨年の十月一日現在で四千七百十二組合ございます。それから、十四連合会がすでに定款の変更をやっております。で、宅建業法の免許を取得している組合が六百八十七組合、連合会が十連合会でございます。それから宅建主任者の数でございますが、すでに農協には千九百七十七名の宅建主任者の資格を持った者がございます。連合会には七十一名ございまして、従来農地等処分事業をやっておりました関係から、そういった面につきまして逐次体制の整備が行なわれているわけでございます。したがいまして、今後ともこういった面の体制の整備というものを進めなければならないわけでございますが、ともかく急には間に合わないというような場合には、系統の上級機関である経済連あるいは全農等に委託をして、そういったところの専門家の援助を得て事業を実施するというふうにすべきではないかというふうに考えられます。
#78
○国務大臣(櫻内義雄君) 共同会社についていろいろお尋ねがあったわけでございますが、現在業種別の共同会社は畜産物加工販売六十四、飼料製造販売四十四、青果物加工販売十三というようにいろいろと共同会社ができておりまして、現在設立の状況は三百六、これは四十六年三月三十一日現在でございますが、数えられておるわけであります。しかし、この共同会社の場合でございましても、宅地等供給事業に関するものについては計画の樹立、事業管理等の事業の主要部分につきましては、可及的に農協がみずから行なうことによって事業運営の適正化をしていくべきであると、そのように指導をいたしたいと考えておるようなわけでございます。
#79
○委員長(亀井善彰君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 それでは、これより四案の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#80
○塩出啓典君 私は、公明党を代表して、農林中央金庫法の一部を改正する法案に対して、反対の意を表明するものであります。
 農林中央金庫法の改正の大きな問題は、大正十二年に発足した産業組合中央金庫が長きにわたり改正、整備されて、本年十月三十日に満了期限を迎えることから、金庫自体の存続をはかるものであります。
 産業組合中央金庫として設立されたときは、第一次産業の産業別国民所得の割合を見ても、就業人口を見ても、その数は多くを占めていたのであります。
 しかしながら、三十年代から四十年代にかけて、製造工業は大きく発展をしたのでありますが、それに伴って農業技術の発展の過程で、所得での比重は低下の現象が見られたのであります。このことは、本来の農林中央金庫の存立の背景基盤が変わってきていることであります。
 公明党は、農林中央金庫の存続を否定するものではありませんが、農林中央金庫の本来の使命の見直しをする意味において、はなはだ安易な改正であったと思うのであります。
 その一つは、さきに述べました農林中央金庫が開業した大正十二年には、第一次産業の割合が三四%、昭和四十四年の統計を見ますと、第一次産業はなんと八%になり、大きな減少の方向をたどっていることであります。このことは、系統機関の構成員である組合の性格に大きな変化があったことであります。
 すなわち、正組合員が非農民化の現象を呈しているということであります。ということは、非農民化している組合と、都市の中小金融機関との区別ができなくなってきているということであります。
 改正案の第十四条の三、第二号の二等を見るとき、系統機関のコスト高との関連を考え合わせると、採算の面から正組合員を中心とする長期低利な農業融資を困難にし、下部組織では組合員への非農業融資を余儀なくし、農中金において関連産業等の貸し出し、コール放出などは余裕金を運用をせざるを得なくなるのであり、農村地域振興、農業振興、生活改善向上とはかなりかけ離れたところに展開をしているのであります。農中金の使命をみずから消滅させていくものと断じる以外にないのであります。
 公明党は、農業振興については細心の注意を払って今日まで運動を展開してまいりましたが、これら系統資金についても、本来の使命である農業の振興のために、諸農業団体のみに限定をし、的確な運用をすべきであると主張するものであります。
 以上の理由から反対の意を表明するものであります。
 次に、農業協同組合法の一部を改正する法律案に対し、同じく反対の討論を行なうものであります。
 最近のわが国農業をめぐる環境は、まことにきびしいものがあり、その中で農業協同組合の果たすべき使命はまことに重大なものであることは周知の事実であります。
 農業協同組合は、農業協同組合法第一条に示されているとおり、農業生産力の増進と農民の経済的、社会的地位の向上をはかり、あわせて国民経済の発展を期することを目的とするものであります。すなわち、農民のための農協であるべきが当然であります。しかるに、現在農協の歩んでいる方向は、本来の目的である農民のための農協から大きく離れようとしている現状をまことに残念に思うのであります。農民のための農協でなく、肥料メーカーや農機具メーカーのための農協であるとの声も聞かされてきたのであります。農協が原点の姿に立ち返ることこそ、時代の急務であり、それを妨げてきたのが政府の農政の貧困にその原因があったと言わざるを得ません。農協を本来の使命から離脱させていく今回の改正案に賛成はできません。
 反対の理由の第一は、資金の貸し付け範囲の拡大についてであります。本改正案によれば、組合員の利益に直接関係のない営利を目的とする一般の企業にまでその融資ワクを拡大するものでありますが、これは系統資金の本来の趣旨に反するという点であります。
 第二の理由は、宅地供給事業の範囲の拡大についてであります。今回の改正案では、農協が農地を処分する一環として、レンタル制の導入をはかろうとするなど、その事業の範囲の拡大が明らかにされております。民間のデベロッパーの無秩序な開発に対して農協が整然たる宅地等への農地転用事業を行なうという説明について考えても、現下の農地の乱開発の実情を見るときに、やはり農業振興の使命をになうという農業本来の趣旨からいって、純粋に農業を守る立場から、現行法以上に農協みずからが農地転用事業を拡大することは、問題があると考えます。
 以上、問題点を指摘し、農業協同組合法の一部を改正する法律案に対する反対討論を終わります。
#81
○塚田大願君 私は、日本共産党を代表して、まず農林中央金庫法の一部を改正する法律案に対し、次の理由により反対の態度を表明するものであります。
 反対の第一の理由は、本改正案の基本的内容が、農漁民組織のための金融機関であるという、農林中金の本来の性格を、一般金融機関化する方向に変えようとするものであるからであります。特に、現行法では、所属団体以外の貸し付けは余裕金の運用の範囲内で行なうとしているものを、改正案では、この余裕金の運用という規定をはずし、若干の制限はつけつつも、本来業務に準ずる扱いとして一般金融機関の資金運用と大差なくするという点は、農林中金の本来の精神にも反するものであります。
 第二の理由は、資金運用の拡大のために、貸し付け対象を大幅に広げ、しかも、短期資金の制限をはずして長期資金の貸し付けを一般化したことであります。現行法の余裕金の範囲内で、しかも原則的に短期資金という制約のもとでさえ、産業という名目で、商社等を含めた大企業に多額の資金が貸し付けられておるのが現状であります。しかるに、改正案ではこれらの制限をはずして、しかも列島改造論に基づく農村の産業基盤整備資金や大規模工業開発を中心とする地域開発資金、高速道路、新幹線などの交通通信ネットワークの建設資金にまで融資の道を開こうとしており、こうした貸し付け対象の拡大が、所属団体への貸し付けを圧迫するばかりか、農林漁業を破壊することによって団体の存立基盤すら奪う結果となるものであります。
 そもそも農林中金の資金のだぶつきは、大企業の土地買い占めによる土地代金や出かせぎなどによる農外収入の増加による預金の急増に対し、農業の後退からくる農業投資の減退によるものであり、日本農業の深刻な状況を反映したものであります。したがって、今日重要なことは、本改正案のように、この現状を肯定し、危機を一そう促進させるためにその資金を運用するのではなく、農地を守り農業を振興させるためにこそ積極的に活用することであります。そのために国の大幅な利子補給措置を講じて貸し付け金利を引き下げるなど、組合員に活用しやすいように改善すべきであります。
 私は、農林中金が今日まで果たしてきた一定の役割りを評価し、その存続には賛成でありますが、以上述べたように重大な問題点を含んでいる本改正案に対して反対の態度を表明し、反対討論とします。
 次に、私は、農業協同組合法の一部を改正する法律案に対し、次の理由をあげて反対の態度を表明するものであります。
 その第一の理由は、農協が行なう農地等処分事業を拡充し、宅地や工業用地の供給を一そう促進させるという点であります。
 今日、農地を守るという課題は、大企業による土地買い占めが進む中で日本農業の発展にとって最も重大な課題となっており、現に各地で農地を守る運動が前進しておりますが、今回の改正案はこの運動に逆行して、農地の転用を進め、農業の縮小と農民の脱農化を進めるという点で、農協の本来の使命にも反するものであります。しかも、今回盛り込まれました土地のレンタル方式は、所有権は残るから祖先に顔向けができるなどという空虚なごまかし宣伝によって、列島改造政策に必要な用地を農民から収奪するための一手段であり、農民の利益を保障するものではありません。
 反対の第二の理由は、組合が員外利用制限のワク外で行なうことができる資金の貸し付けを大幅に広げようとする点であります。
 本来、員外利用制限という規定は、協同組合としての農協の基本的な性格に基づく原則であり、したがって、この例外の範囲を広げることは、農協の基本的性格をゆがめるものであります。しかも、今回の改正は、いわゆる第三セクターや農村地域の産業基盤整備のため農業に何ら関連のない法人に対する貸し付けにまで広げるもので、の地方分散、農村工業導入政策という、まさに農業を犠牲に、大企業本位の超高度成長政策である列島改造政策推進のための資金を農民から集めた貯金を活用するという点で、二重に反農民的内容を持つものと言わざるを得ません。
 反対の第三の理由は、手形割引や内国為替取引等々の業務を行なわせることにより農協の信用事業の機能の強化をはかろうとする点であります。このことは、組合員に対する一定の便宜を与えるという側面もありますが、基本的には、この事業は、農協の大型合併を前提としており、信用事業偏重という形での農協の経営主義的な傾向を一そう助長させ、農民の切実な要求である生産営農指導事業の軽視につながるものであります。
 以上、今回の改正案の基本は、農民のための農協という、農協民主化に逆行し、農協を列島改造推進の下請機関として活用しようとするものであります。よって、本法案に反対するものであることを表明して、反対討論といたします。
#82
○委員長(亀井善彰君) 他に御発言もないようですから、それでは討論は終局をしたものと認めます。
    ―――――――――――――
#83
○委員長(亀井善彰君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として高山恒雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#84
○委員長(亀井善彰君) これより四案の採決を行ないます。
 まず、農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#85
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 ただいま可決されました農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案が、先ほどの理事会においてまとまっておりますので、便宜私から提案することにいたします。
 案文を朗読いたします。
   農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、農業近代化資金制度等の制度金融を再検討し、その実効ある運用を図り、農業の新たな役割と進展に対応し、農業の経営改善と資本装備の充実、資金需要の多様化にこたえるため、本法の施行にあたっては、とくに左記事項の達成に努めるべきである。
      記
 一、農業の実態に即し、簡易、低利・長期資金の充実を期するため、制度金融の対象施設、貸付利率、償還期限等の融資条件の緩和に努め、さらに資金種類の統合、借入手続の簡素化等により、資金融通の円滑化に配慮すること。
 二、農業近代化資金の有効な運用により、系統資金の一層の活用を図るとともに、農林漁業金融公庫資金と農業近代化資金の対象分野をたえず吟味しつつ、両資金の性格に対応した改善に努めること。
 三、農業改良資金については、農業技術の革新、農業後継者育成等の重要性にかんがみ、貸付枠の拡大をはじめ、貸付諸条件につき、改善を図ること。
 四、農家の過去の負債については、地域または作目によっては農業者の経営を圧迫している事例もみられるので、その実態に応じ、適切な対策を考慮すること。
 五、新たに信用保険の対象とする農業経営改善資金については、保険の対象を適切な範囲で拡大するとともに、保険料および保証料の適正化を図り、かつまた、今後とも信用保証保険機能の充実強化に努めること。
  右決議する。
 以上であります。
 それでは、本附帯決議案の採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#86
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、櫻内農林大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。櫻内農林大臣。
#87
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重し、今後検討の上、善処してまいりたいと存じます。
#88
○委員長(亀井善彰君) 次に、農水産業協同組合貯金保険法案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#89
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 ただいま可決されました農水産業協同組合貯金保険法案に対する附帯決議案が、先ほどの理事会においてまとまっておりますので、便宜私から提案いたします。
 案文を朗読いたします。
   農水産業協同組合貯金保険法案に対する附帯決議(案)
  政府は、農漁協系統における信用事業等をめぐる諸情勢が厳しさを加えてきている現状にかんがみ、本法の施行にあたっては、とくに左記事項の実現に努め、もって農漁協の貯金者の保護に万全を期すべきである。
      記
 一、保険金限度額については、農漁業者の貯金の動向等に十分配慮し、弾力的に改定するように努めること。
 二、農漁協経営の健全性を確保するため、財務基準の遵守、検査体制の強化、自主監査体制の整備等について遺憾なきを期すること。
  右決議する。
 以上であります。
 それでは、本附帯決議案の採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#90
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、櫻内農林大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。機内農林大臣。
#91
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重し、今後検討の上、善処してまいりたいと存じます。
#92
○委員長(亀井善彰君) 次に、農林中央金庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#93
○委員長(亀井善彰君) 挙手多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#94
○足鹿覺君 私は、ただいま可決されました農林中央金庫法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議案を提案いたします。
 案文を朗読いたします。
   農林中央金庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  農林水産業の厳しい諸条件に対処し、農林水産業の発展、農山漁村の環境整備等を図るために、農林中央金庫は、農林金融の本旨にのっとり、組合金融に対する機能の強化、適正な業務運営の確保等、系統組織に対する重要な役割が要請されている実情にかんがみ、政府は、本法の施行にあたり、左記事項を検討して、その実現を期すべきである。
      記
 一、農林中央金庫は、農林漁業の協同組合等の中央金融機関たる基本的性格を維持し、本来の農林漁協系統金融機能を十分に発揮するような措置を講ずるとともに、副理事長、理事の任命にあたっては、所属団体の意向が具体的に反映されるよう配慮すること。
 二、金庫の業務については、余裕金運用の適正化を図り、事務の合理化、体質改善等を一層進めること。
   また、従来の政府の指導監督のための諸手続については、業務の実態に即したものとするとともに、指導監督に遺憾なきを期すること。
 三、消費生活協同組合等に対する融資については、貸付条件、融資の促進等につき、会員に準じた取扱いをするよう努めること。
 四、農林水産業者に対する直接貸付けは、系統信用事業の補完融資としての性格にかんがみ、融資協議会を設けるなど、系統組織相互の連絡調整等を図りつつ実施せしめること。
 五、地域開発整備資金の融資については、農林漁業者の意見を尊重し、かつ公共性の見地にたち、農山漁村地域の振興発展、環境整備に資する等、その貸付範囲を限定して行なわせること。
   なお、特認法人貸付けに関しては、対象法
  人の選定を特に慎重に行なうこと。
 六、関連産業融資については、貸付対象法人の基準に基づき、健全な貸付けを期すること。
  右決議する。
 以上であります。
#95
○委員長(亀井善彰君) それでは足鹿君提案の附帯決議案の採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#96
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し櫻内農林大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。櫻内農林大臣。
#97
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重し、今後検討の上善処してまいりたいと存じます。
#98
○委員長(亀井善彰君) 次に、農業協同組合法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#99
○委員長(亀井善彰君) 挙手多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#100
○足鹿覺君 私は、ただいま可決されました農業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案を提案いたします。
 案文を朗読いたします。
   農業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  最近におけるわが国社会経済の著しい変動のなかで、農業および農村は極めて厳しい情況のもとにおかれており、これらの局面を打開し、農業の発展と農民の地位の一層の向上を期するうえで、農業協同組合に期待される役割はますます重要なものとなっている。
  よって政府は、本法の施行にあたり、左記事項に留意して遺憾なく措置すべきである。
      記
 一、農業および農村をめぐる情勢の急激な変動に対応するため、農業協同組合の組織、管理、事業運営等の諸事項について早急に再検討を行なうこと。
 二、農村資金は農村に還元するとの本旨に立脚し、農協系統資金は高利運用に偏することなく系統内利用の一層の促進と組合員のための庶民金融等の推進に努め、関連企業以外への企業融資については特に慎重を期すること。
 三、今回の組合の金融機能の拡充および貸付範囲の拡大措置の実施にあたっては、系統金融の本旨に即するとともに、業務執行体制の整備等その健全、円滑な運営を確保するよう措置すること。
 四、農業協同組合は組合員のための組織として、組合員との一体性を深めるため、機能的生産者組織等その組織基盤の育成強化に努めるとともに、営農指導その他農業生産に密着した事業部門の拡充強化に努めるよう指導すること。
 五、農協系統組織本来の役割を助長する見地から、生鮮食料品等農産物の販売、農協系統資金の活用その他について消費生活協同組合等との提携を促進すること。
 六、共済事業に係る資金の運用については、厚生農業協同組合連合会との提携を強化して農民の健康保持に寄与する等、農民福祉の向上に努めるよう配慮すること。
 七、宅地等供給事業については、優良農地を確保しつつ土地の計画的かつ効率的な利用を図るとともに、組合員の委託によることを原則とし、組合員の資産と利益の適正な保護を図ることができるよう事業執行体制等の整備を含め、適切な指導を行なうこと。
 八、農業協同組合の職員の給与および労働条件の改善等につき適切な指導を行なうこと。
  右決議する。
 以上であります。
#101
○委員長(亀井善彰君) それでは足鹿君提案の附帯決議案の採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#102
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し櫻内農林大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。櫻内農林大臣。
#103
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重し、今後検討の上善処してまいりたいと存じます。
#104
○委員長(亀井善彰君) なお、四案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#105
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩をいたします。
   午後一時六分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時十分開会
#106
○委員長(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 ただいま吉田忠三郎君が委員を辞任され、その補欠として川村清一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#107
○委員長(亀井善彰君) 有明海等における水銀等の汚染による漁業被害対策に関する件を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#108
○初村滝一郎君 私は、有明海問題にしぼって長官にお尋ねをしたいと思います。
 過ぐる五月二十二日に、有明海に第三水俣病が発生したことが、新聞、ラジオ等で報道されまして、関係漁民などが、工場の排出した水銀によって健康をおかされているという事実が判明したのでございます。しかしながら、漁民の受けた被害というものは健康だけにとどまったものではない。この報道をきっかけに有明海全域にわたって魚価が非常に暴落をした。また、多数の漁民が大きな経済的損失を受けるに至ったのであります。福岡、佐賀、熊木各県の漁民は申すに及ばず、漁業関係者はひとしく大きな痛手を受けているのであります。私は、過ぐる本月の二十日に、長崎の県庁、県漁連等を訪れまして、漁協長代表者から事情を聴取してまいったのでございますが、何さま地元では、もう手の打ちようがない。だから国において何らかの解決策を早急に打ち出してくれというような陳情を受けてまいったのであります。そこで、これが対策について、補償の問題と基本対策、この二つに分けて、水産庁長官にお尋ねをいたしたい、かように考えるわけでございます。
 補償問題に入りますが、事態がこれだけ深刻化していることは、十分長官も理解されていることと思いまするが、この補償救済措置がどのように確立されているのか、その時期と方法について長官のお考え方をお尋ねしたいと思います。
#109
○政府委員(荒勝巖君) お答えいたします。
 今回の、水俣を中心といたしまして、新しく第三の水俣病というものが熊本大学の指摘によりまして、非常に地元の漁民の方々も、また消費者の方々も、たいへんな驚愕の念を持って、現在に至るまでもまだ引き続いておるわけでございます。これを契機といたしまして、第三水俣病というふうに一応政府としましては考えまして、環境庁中心に第三の水俣病を含んで、今後水銀による汚染というものは根絶いたしたいという前提のもとに、ただいま急遽、連日のように打ち合わせ会議を持ちまして、この水銀対策につきましては推進をいたしておる段階でございます。これにつきましては、私たち、農林省あるいは水産庁といたしまして、当然に水銀の魚介類に及ぼす影響、またその魚介類を食べられた消費者の方が、たいへんな健康上の被害があるということも、十分存じておりますが、水産庁といたしましては、さしあたり汚染された魚介類対策、したがってまた、漁民対策というところに重点を置いておるわけでございますが、この水俣の今回の問題で――従来、水俣港あるいは水俣湾といったところの周辺だけが汚染されておると言ってきていたわけでございますが、今回の発表で、単に不知火海にとどまらず、有明海までその汚染があったという事実が明確になりましたので、まさにこの魚介類にとってはたいへんな汚染があり、また漁業者にとっては、単に熊本のみならず、隣接する福岡あるいは佐賀、長崎、あるいは鹿児島というふうに、非常に広範囲な区域にわたりまして汚染が発生しているわけでございます。
 で、少し長くなりましたが、この問題で急遽、環境庁中心に会議が持たれまして、まず汚染について徹底的な状況調査をやるということを、その結果を、昨日発表したわけでございます。で、この漁民対策としてどうするかということで、いろいろと議論を内部でいたしましたが、さしあたりの当面の問題としましては、非常にまあ魚が売れないということ、あるいはそのために生活的にも非常に困難を来たすということで、早急に、この漁業者に対しまして緊急なつなぎ融資を行なったらどうかということで、その対策といたしましては、いわゆる従来の天災融資法の措置に準じまして、この対策を講ずるということになりました。天災融資法の場合は三分資金のほかに――三分資金が大体平均七割前後ありまして、さらに五分五厘が二、三割あるわけでございますが、全部三分資金ということで、貸し付け条件といたしましては、大体一世帯五十万円程度、それから償還期限としましては五年以内、そのうち据え置き期間は一年ということで、三分資金ということでまあ貸し出し元金利は八分五厘でございますが、三分資金と八分五厘の、この五分五厘につきましては、国と地方公共団体でその利子について負担を行なうというふうに決定、先週の火曜日の閣議でそういう方針が打ち立てられた次第でございます。
 なお、これにつきまして、この利子の三分につきましては、原因者が明確になった場合は、当然原因者の負担でございまして、漁民の負担とはならないというふうに、政府としましては理解している次第でございます。
#110
○初村滝一郎君 具体策として、金融面をつなぎ融資でするということをきめたというふうなお話しでありますが、私は、やはり漁業者の受けた経済的影響というものは、非常に多種多様であろうかと思う。まず第一に、魚価が暴落して、その下落した相当額というものを――これが損害を受けている、さらに取引停止あるいはまた出漁の中止、これによるところの所得の減少額というものがある。また漁獲――とった魚を廃棄処分にした、この廃棄処分に対するこの損害額というものがある。また、やむを得ずして漁獲の魚種を変えてとりに行く経費の増加、さらに魚価の価格差というものの損害がある。さらにまた、労働意欲が非常に低下して水揚げが減少するという損害がある。以上のようなことが考えられるのでありますが、こういう損害のほかに、たくさんの損失した影響が私はあろうかと思う。そこでこれらすべての損失に対して、国、県、企業等は責任を持って補償、救済のため何らかの処置を講ずべきである。かように考えるわけですが、これについて長官のお考えをお聞きしたい。
#111
○政府委員(荒勝巖君) 政府といたしましては、早急にこの水俣湾あるいは不知火海あるいは有明海の汚染の実態調査を行ないますことによりまして、汚染源といいますか、原因者を明らかにいたしてまいりたいと、こういうふうにただいま考えている次第でございます。原因者の究明ということによりまして、民法上の加害者とその損害賠償という関係が明確になってまいりまして、公害という表現よりも、いわゆる加害者と被害者という関係の問題になってまいりますので、その問題をとらえながら、原因者を政府としましては究明し、漁民にしかるべき適切なる補償が、賠償金が支払われるよう、原因者負担の原則に基づいて指導してまいりたいというのが現在の推移でございます。
#112
○初村滝一郎君 政府の一応の処置についてはわかったわけですが、関連的なこととして、漁民がこういうふうな損害をこうむった関係から、漁業組合の経営が非常に不安におちいっておるというような考え方をするわけでございますが、漁協に対しては何らか考える点はないものですか。
#113
○政府委員(荒勝巖君) 漁協につきましても、今回の、政府で方針としてきめました天災融資法に準ずる措置の中の第一項目といいますか、第一項で「水銀またはPCBの汚染による被害漁業者(漁協を含む)に対し、その生活資金および経営資金につき、緊急つなぎ融資を行なうこととする。」ということになっておりまして、まだ具体的に漁民の方々の間からつなぎ資金についての希望金額というものは、いま熊本県庁におきまして取りまとめられ中でございますが、まだ金額が確定いたしておりません。さらに漁協の問題につきましては、漁獲の水揚げが減ったことによりまして、当然に経営的に相当な痛手といいますか、不振の問題が出てくると私のほうも見ておりますが、しかし、いずれにいたしましても、一日も早く汚染の実態調査を明らかにすることによりまして、汚染のある地区、それからない地区というもの、黒と白とを明確にすることによりまして、この漁獲が今後早急に開始できるように水産庁といたしましては努力してまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#114
○初村滝一郎君 私が、漁協の経営に非常に不安がっているということは、早急に汚染の原因を究明することも問題でしょう。それはなかなか予定した年間の事業というものが、漁民の収益がないために困るわけです。したがって、こういう漁協経営に対する融資についても私は、当然やるべきじゃなかろうかと、かように考えるわけですが、もう一回、漁協に対しても融資をするか、しないか、その点お聞きしたい。
#115
○政府委員(荒勝巖君) ただいま申し上げましたように、まだ漁協のいわゆる実態的な経営の不振さという程度が明確になっておりませんので、どの程度の融資を行なうかということにつきましては、金額的に確定いたしておりません。ただ、先ほど申し上げましたように、漁協の中でいわゆる加工場を経営するとか、あるいは漁獲物の産地市場としての機能を果たしておられる漁協につきましては、当然にその水揚げ高の減少に伴う経営不振の分につきましてつなぎ融資を行なうつもりでございます。
#116
○初村滝一郎君 先日の当委員会の質疑応答の中で、漁獲物、魚の小売り業者については国民金融公庫の融資を行なうというふうに長官は答弁されたように記憶しておるわけでございますが、そのように受け取っていいかどうか。
 そして、ついでに、仲介業者ですね、小売り業者でなくて仲介業者。これも私は、やはり関係しておるものと思うのでございますが、この仲介業者の被害に対しても救済の手が差し伸べられるかどうか、お聞きしたいと思います。
#117
○政府委員(荒勝巖君) 先般、先ほど申し上げた漁業者に対します緊急のつなぎ融資を定めました際に、同時に、通産省におかれまして、農林省と通産省と大蔵省とで資料を出し合い、今後もさらに続けるということになっておりますが、その際の通産省の御意見といたしましては、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫を通じます財政資金の融資によってこれを行なってまいりたいというふうに、中曾根大臣からお話があったように私たち聞かされておる次第でございます。ただ、問題なのは、漁業者のほうは三分資金ということで、非常に低利に政府としては方針をきめたわけでありますが、これについてもなお、何の罪もない漁民から三分の金利を取るのは少しおかしいのではないかという世論がございますが、この国民金融公庫なり中小企業金融公庫のほうは七分八厘とかいう、比較的金利としては、一般市中金利に比べますと安いのですが、漁業者の金融に比べると割り高であるということで、この問題について、なお政府部内におきまして、ただいま通産省、大蔵省を中心にこの問題についての処理を急いでおるように聞いております。
#118
○初村滝一郎君 政府は六月二十二日に、先ほど長官が答弁されたように、天災融資法に基づいて三分の利息で一年据え置きの五年払い、それを一世帯五十万円程度貸すということにしたわけでございますが、私はやはり利息を三分、そして八分五厘の差額の五分五厘も国と県が見る。五分五厘の中の、閣議決定の条文を見れば、六五%を国で見て、あと県が見るというふうになっておりますが、私は、やはり関連の小売り業者、仲介、漁協、こういうものについては、国民金融公庫、中小企業公庫等から借りれる、しかも七分八厘。私はやはりこれは水銀によって影響をこうむったのに違いはないのでございまするから、金利はやはり同一なものにすべきではなかろうか、かように考えるわけでございます。したがって、こういう処置を大体いつごろになれば、被害者が直接借りれるようになるのか、この点をお聞きしたいと思います。
#119
○政府委員(荒勝巖君) まず漁業者のほうの金融の点でございますが、これは閣議で明確に方針が出されておりますので、この点につきましてはもう早急に、ただいま県段階におきまして、漁民の方々の需要――資金借り入れ需要と言いますか、資金需要を取りまとめて中央に早く出してもらいたいという形でいま指導をしている段階でございます。その結果、どの程度の融資総ワクということになりますのか、その辺の程度が実際まだいまの段階でつかめていないわけでございまして、おおむね政府部内におきましては、大体不知火、有明水俣湾を中心とする漁家世帯並びに瀬戸内海のPCBあるいは水銀によります紛争の起こっている地帯ということで、まあ大ざっぱな話で、目の子でございますが、五万漁家ぐらいが総ワクとしては予定されるんではなかろうかというふうに考えて、内々この指導、連絡につとめている次第でございます。ただ、この中小企業金融公庫なり国民金融公庫の系統につきましては、いまの段階におきまして、金利問題等ありますが、通産省と連絡いたしました段階では、大体、八十億円前後の資金ワクを目途にということで作業を進められておるやに聞いておる次第でございます。
#120
○初村滝一郎君 政府の発表した閣議決定の第二項を書いた資料ありますか、そこに。「貸付対象者は、水銀またはPCBの汚染により漁獲または漁獲物の販売が困難になったことにより、収入が著るしく減少し、生活に支障をきたしている者とする。」というふうに対象者をしておるわけなんです。これを大体どういう対象かはっきりしてもらいたい。漁業経営者、従事者、小売り業者、仲買い業者、漁業協同組合等々幾らもあると思う。それをはっきりしなければ、ぼけとるんですよね。だから、たとえば私どもが現地に行っていろいろと聞かれた場合に、私どもはこの対象に入るであろうかという質問があると思うんです。だから、この点をはっきりしてもらいたい。対象者の範囲ですね。
#121
○政府委員(荒勝巖君) これは、この閣議の決定を書いたのをお持ちであるかとも思いますが、見出しにありますように、「被害漁業者等に対する緊急つなぎ」ということで、一応政府といたしましては漁業者に限定している次第でございます。その漁業者の中に、生産者、漁業生産者団体である漁協も含むというふうに御理解願いまして、このほかのいわゆる事業関係の方は含まれないというふうに御理解願いたいと思います。それは先ほど申し上げましたように、国民金融公庫なり中小企業金融公庫から融資を行なう方針であるというふうに御理解願いたいと思います。
 それからちょっと先ほど申し忘れたんでございますが、天災融資法では大体災害に伴う経営の再建資金というふうに限定しておるわけでございますが、今回の水俣関係の問題は、再建と言っても肝心の魚がとれないのに再建もできないではないかということを前提といたしまして、「生活資金および経営安定資金につき、」というふうに生活資金を融資の対象にしておる。したがいまして、この融資された資金をどのようにお使いになっても、それを経営安定のための、たとえば船をつくる資金にお使いになろうと、あるいはそれを別途生活のつなぎ資金にお使いになろうと、それは政府としては何ら干渉する気はないという前提のもとに、この資金をつくったということは御理解願いたいと思います。
#122
○初村滝一郎君 そうしますと、漁業者と漁協は天災融資法の対象になるけれども、小売り業者、仲買い業者等は天災融資法の対象にはしない。しかしながら、国民金融公庫、中小企業公庫から借りれるということに解釈していいわけですね。――それで、加害者が判明しますね。企業のどこどこという加害者が判明した場合に、被害者に対する補償は、私は当然、閣議決定にもありまするとおりに、原因者が負担をするというふうになっておるわけでございますから、国は国の責任においてこの原因者に負担させると。そういう自信があるかどうか。当然融資を受けた方々はもう払う能力がないんだから、原因者から必ず取って肩がわりをさせますというふうなことの、決意のほどをお願いしたい。ついでに申し上げますが、その間借りた金の利子を払わなければいけない。その利子の負担というもの、これも私は、やはり原因者がきまれば利息も一緒に払わせるというのが当然かと思います。だから、その原因者から国の責任において取って払わせるということをはっきり答弁をしていただきたいことと、その間の利子の補給をどういうふうにするのか。たとえば国が直接されないから、県等においてここ数カ月間なりあるいは何年かなりの利子補給を立えかえる、そうして原因者がきまって、それを取ってからお支払いするということにすれば、被害者も納得すると思うんですが、この点について御答弁を願います。
#123
○政府委員(荒勝巖君) 政府の考え方といたしましては、国としましては一応末端金利三分資金ということでさしあたり漁民の方にお払いを願うような名目になっておるわけでございます。しかし、この方針で申し上げましたように、原因者が明確になったときには、当然原因者負担となるということで、元利合計ともに原因者がこの債務の弁済を行なうということを想定して閣議の了解を得たものと私たち理解しておりまして、当然ただいまの御指摘の点につきましては、何年か、半年後に原因者がわかるのか、三年後にわかるのか、それは多少時間を要すると思いますが、その地区につきましての原因者の究明につきましては、私たちといたしましては早急に、今回の――昨日の方針に基づきまして、七月早々から調査をいたしまして、九月を目途に、この水銀の汚染状況調査をいたしますので、その間、当然に原因者というものは明確になるのではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#124
○初村滝一郎君 きのうのテレビニュースで、水俣の企業が、さしあたり十五億円の補償をいたしましょう、こういうふうなテレビを私は見たわけでございます。工場の名前等については、まだはっきりしておりませんけれども、私は忘れましたけれどもね。そうすると、やはりそういう企業は、自分の企業の責任であるから十五億だけお支払いしましようと言って話ができたわけでございますが、はたして約束どおり十五億出せるかどうか、企業を疑うわけじゃありませんけれども、あるいは裁判に持ち込んでこれを云々するということも、これは憂慮されるわけですが、工場の事業の操業をとめられるのと、事業を開始するのと相当の開きがあるわけです。収益上。そういう観点から、この十五億だけ、さしあたりお支払いしましようというようなことを申し上げて、調印をしたあとにおいて、裁判等に持ち込んで、これを何年も引っ張るというようなことが――企業を疑ってはなはだ恐縮でございまするが、そういうケースがないとも私は考えられない。だから、こういう点についての長官の考え方をひとつ御答弁願いたいと思います。
#125
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘のように、今回の措置が、正直申し上げまして、法律によらない、一つの財政援助措置として緊急にきまったいきさつもここにありまして、十分に細部にわたる煮つまり方はいたしておりません。したがいまして、ただいま御指摘のように、原因者はある程度わかったけれども、原因者と思われる企業が、最後は裁判という形で訴える可能性は残っております。そうして、裁判まで争うということになりますと、やはり五年やそこらでは片がつかないということも十分に私たち、この作業をいたしました過程で議論はしたわけでございますが、これがまた法律の措置でないだけに、そういった場合において、五年たって返済時期が来た段階において、当然にその問題は、いま申し上げましたように、原因者が払わない、直ちに払う能力がないといった場合の、この融資の措置のあと始末につきましては、その四年ないし五年のちの段階において、当然に再検討しなければならない問題だというふうに、私たちは理解しております。
#126
○初村滝一郎君 補償については、この程度にとどめますが、次に、基本対策について若干お尋ねをしてみたいと思います。何はさておいても、魚価が早急に回復するためには、消費者にも、国民にも水銀、PCBに対する不安、不信感を取り除くための対策を早急に講ずべきであったろう、かように考えておったわけでございます。たとえば、水銀、PCB等を含有する魚介類等の生鮮食品の安全基準を早急にやるべきであったと。ところが、政府は、二十四日に、その発表をなされたのであります。で、私は、政府は急いでやったと思いまするが、まあ、若干手間どったなあという感じがするわけです。そこで、やはりそういう発表も政府がやる以上は、権威ある判定機関でなしたものでなければならない。この新聞の模様では、いろいろと協議会等があって、その協議会のいろいろな議を経てやったというふうに私は解釈しておるのでありまするが、やはり発表する以上は、権威ある判定機関を設置する必要が私はあると思う。まずこの点についてお尋ねしたいと思います。
#127
○政府委員(荒勝巖君) この第三水俣病が発見されまして、それを契機といたしまして、政府部内におきまして、急速にこの第三水俣病、すなわち水銀の問題にあらためて再検討を迫られたわけでございます。その一つといたしまして、厚生省におかれまして、この水銀の一つの基準というものについて再検討するということで、専門家の学者の方々十数名お集りになられて、数回にわたる議論された結果、去る日曜日の結果の発表というふうになったものと理解しております。実は、この第一水俣病が発生した直後におきまして、政府・といたしまして、一PPMというものを、よるべき指導の一つの基準――基準まではいかなかったのですが、一PPMを指導の一つのメルクマールにするということで、実は厚生省で指導要領で、そういうことをおきめになったわけでありますが、その結果、第三の水俣病の発生が出たということで再検討になったわけでありますが、今回きめられましたのは、いわゆる総水銀量で平均〇・四PPMをこえる魚、あるいは、さらにメチル水銀量で平均〇・三PPMをこえる魚種についてきびしい規制を行なうというふうに、従来の基準値に比べますと、基準値と申しますか、従来の一PPMに比べますと、相当きびしい基準が今回定められたのではなかろうかと、こういうふうに私たちは見ておりまして、この基準量を守るならば、水俣病の発生というものは今後あり得ないというように厚生省で判断されて、今回発表に踏み切られたというように私たちは理解している次第であります。
#128
○初村滝一郎君 これは長崎県のことを申し上げて恐縮でありますが、長崎県はすぐ水銀とか、PCBに対する検査をしまして、長崎県の有明海の魚は安全であるという知事の発表をしたわけですね。ところが、県民、あるいは関係の市場等の方々はそれを信用しない。ちょうど私が帰っておったときに、漁連での話でございますが、福岡の魚市場で、有明海の魚は出荷しないようにという通告が漁連にきている。そうしてまた、福岡の魚市場の仲買い業者、あるいは小売業者は、有明海の魚はわれわれは入札をしない、買わない。そうして小売り業者も売らないという決議をしているのです。こういうふうに信用しないわけなんです。たとえば私の郷里の五島沖の魚を大阪に積んできて、五島沖の魚でございますと標識をした。ところが、それが売れない。困ったことなんです。たとえば、対馬の魚が非常に暴落したということで新聞に載っておるわけでございますが、従来タイがキロあたり千百五十円しておった、それが六百円に下がった。イカでキロ三百五十円が二百五十円に下がった。こういうふうに魚に対する国民の不安が非常に高度化してきている。これを私どもは解消しなければならないと思う。そうして、厚生省が非常におぜん立てしたいろいろな、これを新聞で見ますと、一週間で小アジを十二匹、イカで二・三枚、サバで一・二匹と、こういうふうに書いておるわけでございますが、特にマグロのサシミを四十七切れ、一週間に。これを私は見たときに、何で厚生省の担当者は困ったことを書いたものかと思うわけなんです。
 御承知のとおりに、マグロの漁船員は近海で、大体わが家を出てから一カ月あるいは一カ月半で近海のマグロ漁業は帰ってくるわけなんです。遠洋になりますと、三カ月から七カ月間漁場におる。その間食べるものは米とマグロだけです。しかも一日あたり二百から六百グラムを食うんです。毎日食うんだから。食わなければ死ぬんだから。そしてぴんぴんしておるんだから、その漁夫は、乗組員は。全部ぴんぴんしておる、元気でおる。それを一週間に四十七切れ。東京都内のマグロのすしが相当な、いま売れ行きが悪くて、値段も下がって、私どもも非常に喜んで食べようかと思うわけですが、こういうふうに自然魚、自然海の。自然に百年前からずっとマグロには水銀の云々ということはあるわけですが、何で四十七切れ食べたらいかぬ、というようなことを書いたかと私は思うわけですが、こういうことについても、やっぱり水産庁としては十分話し合いをして、そしてこういう発表をさせるべきではなかったかと私は思うわけですが、この点について長官のお考えを聞きたいと思います。
#129
○政府委員(荒勝巖君) 最後の、まあマグロを中心とする食生活の問題の前に一、二ただいま御質問の点について触れたいと思います。
 まず、今回――最近の政府の発表とかあるいは措置につきまして、まずPCBのことについて申し上げますと、九州におきましてただいまPCBの問題があるというふうにまあ御質問がございましたが、この九州に関しましては、大分川の天然ウナギだけがPCBによりまして三PPM以上の汚染があるというふうに私のほうは発表した次第でございまして、九州のほかの地区につきましてはPCBの汚染はございません。この大分県の大分川の河口の天然ウナギというふうに表現いたしまして、そのほかのものにつきましては何ら汚染がないというふうに実は発表をしたのでございますが、それがどうも長崎県までPCBの汚染問題が風評を呼んでおるやに聞き及んでおりますが、これについては全く誤解といいますか、根も葉もないことでございますので、これは十分にひとつ私のほうも指導してまいりたいと思っております。これは地元御出身の先生のほうにおかれましても、およそこのPCB問題は問題がないんだということはひとつ十分に説得していただきたいと、こういうふうにお願い申し上げる次第でございます。
 それから次に、水銀の問題でございますが、確かに熊本県を中心といたしまして、南は鹿児島、北は先ほど申し上げましたように、福岡、佐賀、長崎というふうに水俣湾、それから不知火海、北のほうで有明海というふうに、三地区に及びます水銀問題がただいま汚染というふうになっております。この三地区につきまして、昨日再度明らかに、この地区について緊急の精密調査をいたしまして、個々の汚染状況を明確に白黒をつけてまいりたいというふうに考えておりまして、特に有明海につきましては、熊本の大学の先生の御発表でも過去において水銀によって汚染された痕跡があるということと、それから現在のこの魚については、それほど汚染されてはいないということで、非常に何となくちょっと歯切れが悪いんですけれども、いまの時点におきまして、有明海の魚が食生活にたえないものだというふうには断定いたしておりません。この問題につきまして非常にグレーといいますか、灰色で、はっきりその辺がわからないものですから、生産者の方も、消費者の方も問題にしておられますので、この点につきましては、今回の調査で、はっきりと白か黒かを明確にいたしてまいりたいというふうに私たち考えておる次第でございます。
 それからさらにマグロの点でございますが、今回、当初厚生省のお考え方の中にも、天然マグロについての天然水銀の含有量といいますか、PPMにつきましても、何らかの形で一つの規制値の対象にするというふうなお考え方もなきにしもあらずのように当初承っておりましたが、今回、最終的に発表になります段階では、天然の海洋でとれるマグロは全然規制の対象にはしないということにきまったいきさつがございます。さらに河川も今回は対象としないということになっておりますが、しかし、マグロにつきましては、巷間いろいろなデータで調べておりまするように、多少のやはり天然水銀が含まれてもおりますので、厚生省といたしましては、やっぱり安全には安全という形で、あまり大量に摂取しないほうがいいというふうな意味で、国民の衛生観念というか、健康維持という立場から、厚生省では非常に保守的な立場に立たれましてこういう発表をされたんではなかろうかと、こういうように思っております。私たちも厚生省とのいろいろな議論の過程におきまして、おおよそマグロについてはあまりきびしいことはおかしいんじゃないかと、実際ただいま御指摘がありましたように、マグロを食べて発病したという実験値もないようでございますので、これにつきましては、今回もはずしたということでございます。が、今回全体としてマグロのみならず、ほかのサバとかあるいはアジとかいうことについて触れておりますが、これは私からかわって誤解を解くために申し上げますが、こういった発表しました魚は総水銀量〇・四PPMの汚染された魚であっても、そこまで食べていいんだという表現でございまして、汚染されてない魚については幾ら食べてもそれは差しつかえない。ただ〇・四PPMという基準値をこえるような、要するに汚染された魚はせいぜいそこまでの摂取限度にしてもらいたいと、朝からたくさん食べないようにという厚生省の気持ちであったかと思いますが、発表のしぶりなりあるいはその報道のしぶりの中に、多少何かの形で非常に警戒心を起こさせるような形になったことにつきましては、これは農林大臣からも、また私のほうからも、これは強く厚生省のほうに申し入れをして、もっと親切な発表をしてもらいたいということを申し添えておる次第でございます。
#130
○初村滝一郎君 いま長官は、九州では大分川の河口のウナギだけが悪い。あとは食べてよろしいと、こう発表したと申しますけれども、非常にまだ九州の人でも、東京の人でも不安がっておるわけです。たとえばいま長官が説明したように、こういうように細則にずっと小さく何が何というように数量を書いておりますが――汚染された魚をこれまで食ってもだいじょうぶだということでありまするけれども、小さいところまで国民は読みません。だから、やはりこれだけ食べても安心だというPRを厚生省と一緒になって、相当金は使ってもかまいませんから、大いに宣伝をしてもらいたいと思います。そうしなければ、やはり国民の食生活で五二・四%というたん白資源を魚で取っておるんでしょう、国民は。こういう点を強く私は申し上げたいと思います。
 それから、先ほど長官は汚染実態総合調査を早急にやりましょう、というような御答弁がありましたが、やはり私は、それを早くやっていただくことと、しかも定期的に、そして継続的にやらなければ私は、効果がないんじゃないかと、必要なら、これは立法措置を考えてもいいんじゃないかとこう思いますが、長官のお考えをお聞きしたい。
#131
○政府委員(荒勝巖君) この水銀につきましての緊急の実態調査は、ほんとうにまあ全力をあげまして、関係省庁協力いたしまして、この調査は実行いたしたい。こういうふうに考えておる次第でございます。で、私たちの大体の予定では、約一万検体の魚を水銀につきまして調べまして発表をしまして、相当この世の疑惑といいますか、現在紛争がありまして灰色になっております地点につきまして、白黒を明白にしてまいりたい。こういうふうに考えておりまして、その中でも特に、この熊本周辺の水俣病、八代海、有明海、この三地点につきましては、特にスピードをあげ、かつ精度の高い調査をいたしたい。こういうふうに考えている次第でございます。
 さらに、実は先般PCBの調査結果を発表いたしまして、まあ各方面からいろいろな御批判をいただいておる次第でございますが、結果的な最近の現状でございますが、やはりああいう一つの発表をしたことによりまして、各県とも、また各地元とも、また各企業とも、それからまた各漁家ともに全力をあげまして当該汚染地区のいわゆる排除といいますか、清掃に全力をあげておられる。多少のいわゆる努力によって清掃できるところは、そういう形で行ない、もうとても清掃が非常に不可能と思われるほど汚染の進んでおる地区あるいはその濃度につきましては、むしろ積極的に埋め立ててしまうということによってPCBをもう遮断するというふうな形というふうに、それぞれの現地の実情に応じまして、PCB対策は急速にこの解消の方向に向かいつつあると、これはまああまり端的なことは申し上げかねますが、相当早い機会に――PCBの関係は、もうつくらず、売らず、使わずという三原則が固まっておりますので、PCBの汚染地区は相当早く解消するのではなかろうかと、こういうふうに理解しております。
 水銀につきましても、今回九地点のまああやしい点といいますか、現に紛争が行なわれている地点につきまして、今回、昨日この地先につきまして発表さしていただきまして、この地先を調査するのだということにしたのでございますが、これによりまして、おそらくこの地区につきましても、ある地区につきましては急速に、それぞれの地域の実情に応じての解毒といいますか、解消対策が進むんではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。それぞれ難易の差は相当あると思いますけれども、やはりそれはそれなりに努力されるんではなかろうか、また私のほうもそういう方向で指導してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#132
○初村滝一郎君 水産庁は、水銀排出の工場を検査をしたい、しなければならないというふうに確信を持っておるわけですが、いまそういう工場に通産省だけしか立ち入り検査をする権限がないと。そこでこの際、私は、やはり水産庁も環境庁も、立ち入り検査のできるような方法を講ずべきではないかと思うが、この点についてお伺いしたい。
#133
○政府委員(荒勝巖君) そのPCBの調査のときには、ことしの二月、三月行なったんでございますが、これはどうも多小御批判がございますが、私のほうといたしましては、初めから工場の汚染者というものの究明が目的ではなくして、海が汚染している状況を調査するということに重点を置いて、第一回調査という形で調査さしていただいた次第でございます。したがいまして、明確な形で汚染原因者というものの名前をあげることができませんでしたが、結果的には、この汚染の原因者というものが現在におきましては、すべて明らかにされているわけでございます。が、この水銀の調査に当たりましては、これは、このPCBの調査のまあ一つの先例を十分に教訓といたしまして、これは水産庁のみの調査ではございませんで、通産省それから環境庁、それから私のほう、厚生省というふうに関係各省協力の上調べまして、私のほうは魚の汚染状況調査をやると、通産省のほうは工場のほうをするというふうに、まあそれぞれチームワークをとりまして調査いたしますので、当然にこの水銀の場合におきましては、魚の汚染状況の調査発表と同時に、汚染者である原因者もある程度明らかにされるんではなかろうかと、こういうふうに理解しておる次第でございます。
#134
○初村滝一郎君 環境庁来ておりますか。――有明、水俣などヘドロありますね、ヘドロ。このヘドロの除去対策をどういうふうに考えておるのか、その点をお聞きしたい。
#135
○説明員(松田豊三郎君) お答え申し上げます。
 特に水俣につきましては、すでに御承知かと思いますけれども、水俣の港の区域につきまして水銀を含んでおりますヘドロの封じ込めといいますか、そういうことにつきましては、すでに予算が計上されておりまして、ただ現在どういうふうな工法でどの程度まで封じ込めを行なうか、あるいはしゅんせつが可能であるかどうかということにつきまして検討中でございます。
 環境庁といたしましては、現在、中央公害対策審議会のもとにおきまして、提出の除去基準と申しますか、どの程度のヘドロは除去したらよろしいか、除去しなければならないかということにつきまして専門委員会を数回開きまして、現在、最後の詰めを行なっておる段階でございまして、その基準が出ましたならば、それに対応いたしまして計画を――運輸省関係でございますけれども、実施主体は県でございますが、そういうことで実施の計画に移してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 その他水俣湾以外の八代海それから有明海でございますが、この両海域につきましても、これから緊急に環境調査を実施いたしたい。環境調査は水質だけではございませんで、ヘドロの調査とかあるいは魚介類の調査、いろいろ総合的な調査をいたしまして、ヘドロの状態等につきましても、そのヘドロの含有の状態でありますとか、それの海域に及ぼす影響でありますとか、そういうことにつきまして調査をいたしまして、先ほど申し上げましたような除去基準に照らしまして適切な措置をとってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#136
○初村滝一郎君 なるたけやはり予算のついておることであれば、早く除去の方法を考えてもらいたい。きのう新聞を見ましたら、水俣湾を全部埋め立てたらどうかというふうなことでございます。私は、有明海全体を埋めたらどうか、こういう考え方もしておるわけですが、それは別といたしまして、早急な対策をしてもらいたい。
 そこで長官にお尋ねしますが、沿岸漁業の政策の中で、この公害対策をもっと強力に打ち出すべきではなかったろうかと、私はこう思うわけです。先ほど申し上げましたとおりに、国民の一日当たりの動物たん白の摂取量の五二・四%というものは水産物で占められておるわけです。しかも、需要の最も強い高級の魚というものは、この沿岸漁業が生産しておるのですね。しかしながら、沿岸漁業の経営は体質が非常に弱い。魚価の上がっていく、魚価の上昇に依存して、その経営をなしておるのが実態でございます。したがって、今日のように、魚価の暴落は、その存立基盤を根底からゆるがするものと断定せざるを得ない。しかもまた、こういうことが続くというと、若い者が漁業への希望を失って、後継者が絶えるというゆゆしき問題まで起ころうかと、私は考えるのでございます。
 したがって、これまで水産庁の公害への取り組みはあまり十分でなかったと私は思う。この際、根本的に考えを新たにして取り組んでもらいたい。それには、何よりも私は、沿岸漁業の振興のために、沿岸漁業構造改善事業、この予算を、四十九年度から飛躍的に予算の獲得をして、沿岸漁業構造改善事業を大いに進めてもらいたい。かような考えをいたしておるわけでございますが、長官はどういう決意をされておられるか、お尋ねをしたいと思います。
#137
○政府委員(荒勝巖君) 私も水産庁に参りまして、非常に公害問題の多発に日夜いろいろその処理に努力をしているわけでございますが、いろいろな公害に種類がございまして、昨年非常に多発いたしました瀬戸内海の赤潮という一つの原因並びに正体不明な公害が一つ、これは当然海の汚染が基本的にはやはりその公害発生の原因だと思いますが、この赤潮問題あるいは船舶航行の過程におきます。あるいはタンカー等によります油の汚染問題、それから河川から流されますいろんな都市の下水の水、あるいは産業の廃棄物というものが一つ、そういったいろいろな公害の原因がございまして、さらに原子力発電によります温水の原因というふうな点もございますが、特に私たち現在当面いたしておりますのは、産業廃棄物の一つであります。しかも特に有害な、魚に有害のみならず、人間の健康にとっても非常に有害な産業廃棄物の処理が、現在非常に問題にされておるわけでございます。特に、それがPCBであったり、重金属であったり、水銀もその一つでございますが、この問題について、今後、水産庁といたしましては、全力をあげまして対処してまいりたい。こういうふうに考えている次第でございます。
 ただいま御指摘のように、沿岸漁業の振興、約二百五十万トン前後の魚介類を沿岸におきまして沿津漁民がとっているわけでございますが、この沿岸漁業の振興ということは、もうまさにただいま御指摘のように、公害とうらはらの問題でございまして、沿岸漁業の振興ということは公害の防除であり、あるいはその公害をどうやって防ぐかということであり、それから公害対策を進めるということは沿岸漁業の振興に通ずるものであって、この両者は不可欠の問題として私はとらえまして、今後、私自身の行政の指針なり、反省といたしまして今後進めてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#138
○初村滝一郎君 非常に熱のある御答弁をいただきましてありがとうございました。私どもも与党議員であればやはり責任を感ずるわけでございまするが、一体となって、四十九年度の予算には、ぜひ原案をあなたのほうでいまの倍以上に組むように強く期待をいたします。
 最後に、私は、健康被害者の救済対策について一言お聞きしたいと思います。
 汚染現象が見られる全国の内湾、内海、こういうものの沿岸住民の健康調査を、国の責任においてやはり早急にやるべきである。かように考えるわけでございます。地域公害総合治療センター等というようなものの設置を急いでやってもらって、予防、治療方法の一貫した医療体制を確立する必要があろうかと思う。そうしてまた、水銀、PCB等の被害患者に対しては、医療、救済処置に万全を期すべきである、かように考えますので、以上の点をお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#139
○政府委員(荒勝巖君) この汚染された魚を摂取することによりまして、国民の健康にもかかわるという、重大な現在段階に至っているわけでございます。これにつきまして、環境庁長官を中心といたします関係各省の対策会議におきましても、環境庁長官から非常に強い熱意をもちまして、ぜひ水銀についてのセンターを、患者の救済を目的としたセンターを熊本県の地区に設定したいという強い要望があったようでございます。三木長官の御発言の中におきましても、民族の生存にかかわる問題であると。この公害の汚染というものが国民の健康をむしばんでいるということにつきましては、われわれ関係各省の行政官一同、この汚染の対策については全力を尽くしていくというふうに御理解願いたいと思っております。
 なお、PCBにつきましては、多少私からここで申し上げるのも行き過ぎかと思いますが、現在の段階におきまして厚生省と何度も打ち合わせいたしましたが、いわゆるPCB汚染による人間の健康が何らかの形でそこなわれているという明確なデータはございませんで、まだPCBにつきましてはなお疑問の点は残りながらも、およそ現在の時点においては発病者はないというふうに私は理解しておりまして、そういうことを念頭に置きながら、私も今後PCB対策を進めてまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
#140
○委員長(亀井善彰君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#141
○委員長(亀井善彰君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 水産業協同組合法の一部を改正する法律案審査のため、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#142
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#143
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト