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1972/07/03 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第19号
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1972/07/03 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第19号

#1
第071回国会 農林水産委員会 第19号
昭和四十八年七月三日(火曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月三日
    辞任         補欠選任
     高橋雄之助君     岩本 政一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀井 善彰君
    理 事
                園田 清充君
                初村滝一郎君
                工藤 良平君
                中村 波男君
                塩出 啓典君
    委 員
                梶木 又三君
                河口 陽一君
                小林 国司君
                佐藤  隆君
                田口長治郎君
                高橋雄之助君
                棚辺 四郎君
                温水 三郎君
                平泉  渉君
                堀本 宜実君
                足鹿  覺君
                杉原 一雄君
                村田 秀三君
                塚田 大願君
   国務大臣
       農 林 大 臣  櫻内 義雄君
   政府委員
       農林大臣官房長  三善 信二君
       水産庁長官    荒勝  巖君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○漁船損害補償法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○漁船積荷保険臨時措置法案(内閣提出、衆議院
 送付)
○水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○農林水産政策に関する調査
 (大豆対策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 理事の辞任についておはかりいたします。
 佐藤隆君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任については、先例により本委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないと認めます。
 それでは理事に園田清充君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(亀井善彰君) 漁船損害補償法の一部を改正する法律案、漁船積荷保険臨時措置法案及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○初村滝一郎君 私は水産三法の質問に入る前に、まず総括的なわが国の漁業の現状について質問いたしますが。政府側の答弁は、私の質問時間の約倍と見て御答弁を願いたい。そうせぬと時間の関係がありますのでよろしくお願いいたします。
 わが国の漁業は、国民の必要な食料として動物たん白質を安定的に供給する重要な使命と役割りを持っているのであります。近年における漁獲高の推移を見てみますと、順調に年率四%以上の伸び率を見せておるのでありますが、四十六年には九百九十万トン、金額にして一兆円の漁獲をいたしております。また、四十七年度には一千万トンを突破して、これはもう名実ともに世界一の漁獲をあげて食料産業としてその使命と役割りを果たしているところであります。このように、わが国漁業の現状をマクロに見た場合は、順調そのもののようでありまするけれども、その中身というものは決して楽観を許さない現状であります。その理由といたしまして、漁業資源の問題あるいはまた、国際環境の問題、沿岸漁場の環境の問題等漁業生産を取り巻く諸条件はいずれもとってみましてでも、まことにきびしいものがあるからであります。いまこそわが国の漁業は一大転機に際会していると申し上げても過言でないというふうに私は考えるわけでございますが、そこで農林大臣に次の諸点について基本的なお考え方をお伺いしたい。
 まず第一に、わが国の漁業生産は沿洋漁業において生産される比重が最も高い、約四割を占めているのでありまするが、遠洋漁業の将来を左右する国際環境は発展途上国を中心として、領海または漁業水域を一方的に拡大しようという動きがあるのでございます。これが非常に強くなってきておる、このような動きの中で、今年開催を目途に進められております海洋法会議の準備会の経過なり、わが国の基本的な考え方を大臣にお尋ねしたい。
 あわせてまた、先月二十八日のロンドンで開かれました第二十五回国際捕鯨委員会で、南氷洋のナガスクジラ捕獲を三年以内に全面禁止するというアメリカの提案を可決いたしております。またことしの捕鯨シーズンの漁獲量に対してでも、ナガスクジラを六百頭、イワシクジラを五百頭、いずれも大幅に削減を決定されております。これはもうわが国の水産業界に大きなショックを与えているのでございまするが、以上、二点について大臣は大体基本的にどういう考え方をいたしておるか、御答弁をお願いしたいと思います。
#7
○国務大臣(櫻内義雄君) 初村委員にお答え申し上げます。
 明年の海洋法会議を前にいたしまして、これまでに五次にわたっての準備会議が行なわれております。その会議を通じての大体の各国の出方というものは見当がついておるのでありまするが、その中でも、特にラテンアメリカ、アジア・アフリカ諸国を中心といたしまして、広範な領海あるいは排他的な漁場管轄権を認めよという主張がきわめて強い。また、この場合におきまして、われわれといたしましては、沿岸国の一定の優先権は認められるとしても、排他的な管轄権は認められないという、そういう考えのもとに立っておるのでありまするが、この日本の見地につきましては、ソ連などが大体同意向のようでありまするけれども、こういう見解に立つものは少数派の立場にあるということを認識していかなければならないと思うのであります。次の準備会議は七月二日から行なわれることになっておるわけでございまするが、この海洋法会議の結論いかんは、わが国の遠洋漁業に及ぼす影響は言うまでもないきわめて重要なことでございまするので、なお、この上とも各国の出方また、わが国の今後の長期的な利益を確保する上におきまして慎重にいま検討をいたしておるという次第でございます。
 なお、六月二十八日の第二十五回の捕鯨会議の模様はただいま御指摘がありましたとおりに、きわめてわが国の捕鯨の上に、大きな影響のある方向が示されておるわけでございまするが、まだ藤田代表も帰国されておりませんので、この際、確実なことは申しかねまするが、諸情報に基づいての御報告は、水産庁長官のほうからいたさせたいと思います。
#8
○政府委員(荒勝巖君) ただいまの鯨の件でございますが、今回の捕鯨会議の席で、アメリカが、最初は全面的な南氷洋鯨の捕鯨の禁止という形で、いわゆるモラトリアムという方式を持ち出してきたのでありますが、それに対しまして、関係各国並びに日ソを中心といたしまして、これには反対いたしまして、これはまあ否決というか、通らなかったわけでございますが、そのかわり、この問題のナガス鯨をとらえまして、ナガス鯨につきまして、三年後に南氷洋におきます全面的な禁止という形で――どうもまだ正確ではございませんが、向こうからまいりました連絡では、条約の付表の修正という形でどうも決定したようでございます。これに対しまして日ソは当然反対したわけでございますが、この問題につきましては、三カ月以内に最終的にこの付表の修正を受諾するかどうかを日本側として判断することになっておりますので、今後この問題については、政府部内で最終的な意見の統一をいたしたいと、こういうように思っております。なおそのほかに、イワシ鯨並びにミンク鯨というもの、現在日ソがこれについて捕獲をやっておりますが、これについての全面禁止という形の問題ではないというふうに御理解願いたいと思います。
#9
○初村滝一郎君 私どもは、やはり国民のたん白資源という立場からして、こういう問題についても、むしろ日本水産界等からいろいろな会議に出ようかと思いますけれども、やはり政府としても強力なバックアップが必要であるということを痛感いたしますので、さよう御指導ありますることを懇願する次第でございます。
 次に、沿岸漁業の生産の問題に入りますけれども、過去十カ年間のこの統計を見てみましても、非常に停滞ぎみに推移しておるというような感じがするわけであります。しかも、産業経済の著しい発展に伴って、人口の都市集中などに伴って、沿岸漁場環境の悪化は著しいものがあるのであります。その上に、最近においては水銀、PCB、カドミウムなど、重金属による汚染が各地で大問題となって、これはもう漁業問題にとって、一大死活問題であると同時に、また、大きな社会問題となっていることは、これはもう大臣お認めになると思います。そこで、政府は、いま申し上げました本問題の解決のためにどのような対策を実施し、また、実施しようとしているのか、具体的に緊急対策及び基本対策に区分をして御説明を願いたいと思います。
#10
○国務大臣(櫻内義雄君) 沿岸漁業が逐年生産が低下しておる事実は、過去の統計を見まして、はっきり示されておるところでございまして、まことに遺憾に存ずるのであります。いま最初に、沿岸漁業の衰退の原因の中で汚染の点について触れられたのでありまするが、PCBあるいは水銀汚染による、言いかえますならば、生産力の低下した漁場、これをどうするか。これにつきましては、この原因になるところの、工場のたれ流し等を規制するのはもう当然のことでございまするが、現にもうすでに汚染をされて、それによって影響を受けておるという点につきましては、これはもうしゅんせつ、耕うん等の事業を実施いたしまして、漁場の機能の回復につとめる必要があると思うのであります。あるいはヘドロなどにつきましては、これは運輸省とも連携をとりまして、埋め立てをしてしまって、影響のないようにするとか、いろいろ公害面についてはくふうをしていかなければならないと思います。それと同時に、四十八年の予算でお認めをちょうだいした栽培漁業のやり方、これはもっと拡充をしていく必要があると思います。瀬戸内海で一応栽培漁業を発足せしめたそのあとを受けて、本年は日本海関係で五カ所お認めいただいたわけでございますが、こういう栽培漁業あるいは大型魚礁、こういうようなものを、こういうような事業をどんどんやっていく必要があると思いまするし、また、漁港の整備も新しい立場に立ってやる必要があると、こういうことで新漁港の計画を先般お認めをいただいたというようなわけでございますが、こういうような生産に関係ある諸事業とともに、なお流通面における、あるいは加工面における諸対策も必要かと存じまするが、これらの施策を総合的にやることによりまして、沿岸漁業の振興の上に寄与してまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
#11
○初村滝一郎君 私ども当委員会において、実は過ぐる三十日と一日、特に主として有明海関係を現地調査に行ってきました。そこで感じたことは、もういろいろあります。それはもう農林大臣が、近海の魚を、そういう汚染している魚を食べなくても、遠洋のものを食べなさいと。その発言をどう誤解して受けたのか知りませんが、農林大臣に対する不信感を私どもは直接聞かされたわけです。したがって、本件につきましては、本汚染の問題については、後日大方の出席、現地調査された先生方がそれぞれの立場から強く各省を呼んで究明されると思いますので、きょうはこの程度にしますけれども、やはり政府が、農林省が漁民から不信を買うようなことのないように、今後注意してもらいたいというふうに考えます。
 三番目に私は、日中の民間漁業協定の一年繰り延べについてお尋ねをしてみたいと思います。
 御承知のとおりに、ことしの六月の二十二日に期限が切れることになっておりました日中間の民間漁業協定は、国交が回復した今日においては、やはり私は政府間協定とすることが当然の姿であろうかと思うのです。ところが、従来どおり、今後一年間民間漁業協定を存続することになったのでありますが、その存続する事由ですね、どうして民間漁業協定を一年間延長して存続するのか、その事由。また、私はやはり、民間漁業協定が存続中であってでも、政府としては積極的に政府間協定をするようにつとめねばならないと私は思います。ただ、日中間航路問題、いろいろなこれには非常に政府は積極的であるように国民が受けておりますが、日中漁業協定の政府間協定にはいささか積極性がないようにうかがわれますけれども、漁民はやはり政府間協定をこいねがっておる。このことについて大臣の御所見を賜わりたいと思います。
#12
○国務大臣(櫻内義雄君) 昨年の国交回復に際して実務協定を促進するということは、両国の共同声明の中にはっきりうたわれておることでございます。そこで、日本政府といたしましては、漁業協定につきましても政府間協定にいたしたいと、こういうことで、鋭意努力をいたしておるのでございまするが、何ぶんにも、日中両国ともに国交回復早々のことでございまして、貿易協定も、航空協定も、あるいは通信関係の協定にいたしましても、非常に一ぺんに各種の協定をいたさなきゃならないと、こういうことでありまするし、また、日本側の大使赴任も相当おくれたこともございまして、この六月二十二日までに政府間協定を結ぶというについては時間的にその余裕がなかった。こういうことで、初村委員のおっしゃるとおりに政府間協定が好もしいことは重々承知しながらも、そこまでいけなかったというわけであります。
 なお、両国の間では専門家会議をいたそうと、こういうことで、六月十九日から六月二十二日まで北京においてその会議は持たれたのでございます。東海、黄海における漁業資源についての情報と意見交換を行なったところでございまして、今後こういうような会議を積み重ねながら早急に政府間協定を結びたい、このように考えておるような次第でございます。
 なお、ただいま初村委員が水俣、有明方面の御視察についての一言お触れになりました。あとの機会に詳細いろいろ御意見を賜わるということでございましたが、その中で、誤解のないように――私が遠洋の魚を食えばいいんだというようなことを言って、大臣への不信感もあると、こういうことでございますが、どのような場所で、どういう経緯のことであるか、私の記憶にはないところでございまして、私は現在、農林省の一番大きな目的である、国民に安定した安全な食料の供給をするということについては鋭意努力をしておるところでございまして、現在、私の認識をもっていたしまするならば、沿岸漁獲物につきまして、国民に対し、健康上重大な支障のあるような漁獲物が流通しておるというようなことは全然考えておらないところでございます。
 また、先般の厚生省の一応の基準の提示によりまして、汚染魚がこの範囲の摂取でかりにあったとしても、それは人間の健康上に大きな影響はないということもございまするし、また、一番大きい消費地である東京都におきましても、精密な抜き取り調査が一応行なわれて、全部白であると、こういうことでございまして、国民にとって重要なたん白資源である水産物が、これは国民も心配なく摂取ができるものであるとこのように存じ、またそのように私はいろいろの場所において発言をしておる次第でございまするので、真相がよくわかりませんが、大事なことでありまするので、私の見解を一応申し述べさしていただきます。
#13
○初村滝一郎君 あのね、大臣ね、私どもが七月一日に、大牟田から長崎に行ったときに、佐賀、長崎県の業界からずっと知事を初めとして陳情を受けたわけだ。そのときに、十一番目に佐賀県漁連会長が代表しまして、たまたま、近海のものは汚染魚であると。だとするならば、遠洋ものを食べなさいという発言を、どこで農林大臣がされたか知りませんが、それを取り上げて私どもを罵倒されたのでございます。したがって、不用意な発言をしておらぬと思いまするけれども、そういう誤解――事実これはもう私のほかにほかの委員も聞いたんだから、将来大臣たる者は、漁民から不信を買うような発言をしないようにひとつ御注意願いたいと思います。そういうことでございます。
 それから先ほど、日中漁業協定の専門家会議をただいまやって、おそらくきょうごろ帰るということは聞いておりますが、まあ帰ってこなければわからぬと思いまするけれども、もし情報でもとっておるならば、この黄海、シナ海における漁業資源についてわが日本と中国との考え方の相違、こういう点があればお聞かせ願いたい。
 それから将来のやはり日中漁業協定における、交渉における全般の空気と中国側の基本的な考え方がもしわかっていらっしゃれば御答弁を願いたい。
 ついでに、わが国から栽培漁業をやったらどうかというような提案をされたと聞いておりまするが、その反応、さらにまたわが国の方針について、これは水産庁長官からお答え願えれば幸いだと思うのであります。
#14
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘のように、日中の専門家会議は終わりまして、日本から行きました安福団長以下専門家の方々は、中国の主たる漁場の周辺の漁村といいますか、漁業関係の調査をいたしまして、今晩たぶん日本に帰国する予定でございます。で、その会議の主たる最終段階のものがまだ概略でございまして詳細がわかりませんけれども、概略の考え方をただいまの御質問に答えましていたしますが、この日中の両国の専門家会議の交流あるいは資料の交換等は中国側も非常に賛意を示しておりまして、今後の正式の漁業交渉に非常にいい影響を及ぼすんではなかろうかという感触を日本側は持っております。
 それからまた栽培漁業につきましては、日本側としましては、日本側に非常にいろいろな栽培技術があるから、中国の沿岸でこういうことをやったらどうかという意見は提示したわけでございますが、中国側としては、海洋の天然資源を保護するほうが大事であると、とらないほうがいいのだというような見解を述べたようでございます。
 それからこの東海、黄海の漁場に対しまする向こう側の感触でございますが、これはどうも日本側と中国側との間に基本的に多少食い違いがあるんではなかろうかというふうにちょっと私のほうは見ております。と申しますのは、この問題について中国側は、先般の国連の、ニューヨークで開かれました国連の海洋法会議の準備会の席上で、やはり従来の海洋法関係の問題点について問題点を指摘した際に、やはりラテンアメリカ諸国、あるいは新興アフリカ諸国の意見である、海洋のいわゆる沿岸国の優先権を認めるという説を支持するという立場をとっておりまして、まだ正確な中国の立場は示しておりませんが、沿岸国の発言を非常に優先するということで、中国側としましては、東海、黄海は国際漁場ではないという感覚を持っておりまして、むしろ中国側の領海権といいますか、漁業管轄権の範囲内であるというふうな見解をどうも示したようでございます。
 しかしながら、中国側といたしましては、この日中両国の東海、黄海におきます漁業の歴史というものは非常に長い歴史であり、また日中漁業の間で開かれました民間協定も十八年間の長きにわたっておる。この実績については、非常に向こうも高く評価しておりまして、こういうような日中両国の友好的な雰囲気のもとで、この漁業交渉を行なうならば、この両方双国にとって満足すべき解決方法ができるものというふうに、向こうは考えておるというふうな発言等がございまして、詳細のことはわかりませんが、領海問題というか、漁業の国際問題についての基本的な見解の相違はありながらも、現在行なわれております日中の漁業のあり方については、きわめて前向きといいますか、友好的な見解を示しておりますので、こういう点を踏まえまして、今後日中の漁業交渉に対処してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#15
○初村滝一郎君 非常に前途明るいような空気を報告されまして、私どもも、必ず政府間協定を一日も早く結ばれるように、成功するようにお願いしてやまない次第であります。
 次に、関係法案に入りますが、まず、漁船損害補償法の改正についてお尋ねをいたします。
 昭和四十六年における漁船保険の保険加入隻数は十八万隻、保険金額が四千百億円、事故による支払い保険金は七十億円に及んでおり、漁業経営の安定のため貢献していることは私が申し上げるまでもありません。そこで、保険組合の格差是正の問題、政府の再保険金額の問題、また、漁船保険中央会に対する交付金の使途の問題、こういう三点について若干水産庁の考え方をただしてみたい。
 まず、漁業経営安定のための漁業者を対象とする漁業制度として、本制度のほかに、漁業災害補償制度、漁業共済制度があるのでありまするが、これらの制度は、それぞれの歴史なり経過があることは承知いたしておるのでありますが、最近これらの団体間にありまして、漁業共済推進センターというものを設けて、共済保険制度の一元化に関する具体案の立案に取り組んでいるようであります。しかしながら、水産庁においては、まだこれら制度の一元化について、具体的に取り組んでいるという事実はないようであります。そこで、水産庁においても、次年度において予算措置をするとともに、これがための調査会等を設けて、そして積極的に取り組むだけの用意はないものかどうか、長官のお考え方をただしたい。
#16
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘がありましたように、この漁船保険と類似の――類似といっては失礼でございますが、少し似たような仕事をやっております事業が全部で三つほどございまして、それの一つが漁船保険関係の仕事、それから漁業共済関係の事業が一つ、それからいわゆる別途火災保険とか、そういった生命保険等をやっております任意共済というふうな仕事等がございまして、その三つがそれぞれ独自の目的をもちまして、あるいはその制度上の仕組みも異にいたしまして、現在非常に活発に仕事をやっておられますが、われわれといたしまして、このそれぞれの、ただいま御指摘のように、制度が違い、また仕組みも違うほか、沿革上の問題等もございますので、現時点で直ちに統合するという考え方は、実は持ち合わせていないのでございまして、政府といたしましては、こういったこの三つの団体のあり方につきまして、生産漁民の御意見というものを十分に今後拝聴いたしまして、この問題に対処してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#17
○初村滝一郎君 この漁船保険組合の格差是正について聞かなければならないと思うわけでございますが、漁船保険組合の区域、特に地域組合については、都道府県の区域を原則といたしておる関係から、漁業の実情、特に漁船勢力の実態とは一致しておらない。たとえば各県に一つあるのでありますが、北海道には八つもある、兵庫県には二つある。合計四十七あるわけでありまするが、組合間において相当の格差があるのが実情であります。保険事業を経営するためには、単位組合として、一定規模の保険加入が確保されなければならないということは、もとより申すまでもありません。都道府県の区域を原則としながらも、弾力性のあるものとして健全な組合育成をはかる必要性を痛感せざるを得ないのであります。今回の改正案においてでも、「特別の事由があるときは、この区域としないことができる。」としております。この点配慮されているようでありまするけれども、次の点をお聞きいたしたい。
 「特別の事由」、これはどういう事由を言うのか。さらに具体的には、組合の合併を行なわねばならないことになるものと考えまするけれども、政府として、どのような腹案を持ち、これが実現のためいかなる援助処置を講じようとするのか。漁協合併の例が示すとおりに、容易なことでは具体化は困難であると思うが、改正案の実効を期するための政府の具体策について御説明を願えれば幸いと思います。
#18
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘のように、改正法第七条で、「特別の事由があるときは、この区域としないことができる。」というふうにしておりまして、これにつきまして、私たちのほうといたしましても、ただいま御指摘もありましたように、地域が非常に大きい地区、たとえば例示でございますが、北海道のような場合とか、そのほか、それぞれの地域によって多少考え方が違いますので、あるいは漁種が、漁法なりが全然違うというような場合もございますので、これについて何も無理に都道府県を一本にする必要はないのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
 それから、できましたら、ただいま御指摘のように経営規模が小さく、あるいは漁船数が小さくて、やはり経営的に今後存続していくには多少無理があるというふうに考えられます組合につきましては、われわれといたしましては、極力合併できるならば、組合員の意向も尊重しながら合併を奨励してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  〔委員長退席、理事園田清充君着席〕
#19
○初村滝一郎君 政府の再保険金額について質問に入るわけでありますが、従来、この再保険金額は保険金額の百分の九十と法定していたところでありますが、今回の改正案によっては「保険金額に政令の定めるところにより農林大臣が定める割合を乗じて得た金額」とするとしているわけであります。
 そこでお伺いいたしますが、現行の一律百分の九十とすることの決定――いいですか、百分の九十とすることの決定、すなわち改正を必要とする積極的な事由、さらに改正条文の具体的なきめ方、政令の定め方、農林大臣の定める割合について御説明を願いたいと思います。
#20
○政府委員(荒勝巖君) 従来は、ただいま御指摘のように、一律百分の九十ということで再保険の割合をきめておったわけでございますが、最近の経済の情勢を反映いたしまして、単位組合におきましても、それぞれ経営が、多少弾力的に性格を異にしてきておりまして、むしろわれわれといたしましては、経営意欲を増進する、あるいは自主性を尊重するということも考えまして、今回の改正におきましては、幅を持たせることにいたしまして、政令におきましては、七割から九割以内の範囲内で定めるということで、従来の百分の九十を、百分の七十から百分の九十までの間で、それぞれの組合できめていただくように指導してまいりたい。こういうふうに考えております。実際問題といたしましては、百分の九十の従来どおりのグループと、それから百分の八十というふうに、再保険金の割合を下げるといいますが、改定するグループと二つに分けて実行してまいりたい、こういうふうに考えておりまして、大体八割を希望している組合の数は、ただいまの段階におきましては、約二十組合程度ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#21
○初村滝一郎君 やはりこの保険事業というものは漁民が、その加入者がなるたけためになるように、ほんとうにいいなというような結果になるように運営すべきであろうかと思いますので、十分その点を配慮してもらいたいと思います。
 次に、漁船保険中央会への交付金が今回三十五億円交付されるわけでございますが、前に、たしか四十一年度ですかに十二億円交付されたと聞いております。そうしますると、その運用益は大体三億円程度が見込まれると思います。これが使途について中央会は漁船保険振興勘定を設けて、その収支については農林大臣の承認を義務づけ、適正な使途が確保されるよう仕組まれているところでありますけれども、今回の交付金が加算され、規模が相当増大することに伴いまして、従来の使途の再検討を含めて具体的にどのように使われる予定なのか、一応明らかにしてもらいたいと思います。
#22
○政府委員(荒勝巖君) 先般には十二億円の交付金を法改正とともにいただきまして、今回さらに特別会計に生じました剰余金三十五億を、今回の法改正とともに漁船保険中央会に交付いたしまして、合わせて四十七億円の基金をもちまして、この漁船保険事業の振興に寄与するよう指導してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。これは御存じのように、前の十二億円もそうでしたが、今回の三十五億円も同様でございまして、この元本には一切手をつけずに、合わせて四十七億円の基金としてこれを積み立てておきまして、これ大体ただいま御指摘のように、私たちの計算でも、六分八厘くらいの運営というふうに考えまして、計算上平年ベースで三億二千万円前後の運営利益をあげることになっております。これにつきましては、その使途につきましては、無事故報償事業ということをまず第一点に考えまして、無事故のものにつきましては、この優良業者に対してこれに報償金を出す、それから二番目に漁船の事故防止のための事業でございまして、これはいろいろな器具等の購入に対しまして助成する。たとえばライトのようなものとか、そういった海難防止のためのいろいろな施設等を助成いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 それから次に保険金の仮払いでございまして、この漁業者に対する保険金の早期支払いを期するために、漁船保険組合が再保険金請求と同時に、一定率の再保険金を仮払いする。国から、特別会計から当然出るのでありますけれども、多少この審査等の関係もありまして、時間的に二、三カ月くらいかかることも往々にして多くありますので、仮払いからいち早く支払っていくというふうなことでございます。
 それから異常危険率等のための貸し付け事業で、大事故等がありますと、やはり保険金の支払いの原資が、場合によっては、不足するときもございますので、そういうときは漁船保険組合に対しまして、一時融資という形で事故を起こされた漁船の所有者に対しまして、仮払いをするための一つの措置というふうに御理解願いたいと思います。それからさらに、漁船保険組合ごとに多少経営格差等がございまして、付加保険料の問題等、多少問題ともなっておりますので、それにつきまして付加保険料の格差を是正するために、この中央会から事務費の一部といたしまして助成いたしまして、多少経営の事務費も出せないような組合に対しまして、事務費の補てんをいたしてまいりたい、こういうふうに大体考えておる次第でございます。
#23
○初村滝一郎君 災害を受けた場合に、審査が非常に手間取って、なかなか困るという不満の声を聞くわけです。なるほど保険金を払う場合には厳格な審査が必要かと思います。しかしながら、やはりいろいろな事務の停滞で加入者が迷惑をこうむる場合があるわけです。私どもも再々それを聞くわけでございますが、今後敏速に正確にやっていただくように希望をいたします。
 最後に、次に漁船積荷保険臨時措置法につきましてお伺いをいたします。
 漁船に積載した漁獲物について、その損害を保険する制度を確立するために、試験実施のための制度を設けるもので、けっこうなことでございますけれども、今回の試験実施から除外されました船主責任保険制度について、いつごろまでに試験実施ができるのか。また、本制度は四十八年十月一日から五十三年十月一日までの五年以内に失効することとされており、五年以内に本格実施に踏み切ることを予測いたしておるところでありましょうが、本格実施の時期について政府の考え方をお示し願いたいと思います。
#24
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘のように、この漁船積荷保険につきましては、この十月一日から向こう五年間、五十三年の十月一日までの間を試験実施期間と一応定めておるわけでございますが、この本格実施の時期につきましては、この漁船積荷保険の実験実施をやりまして、早い機会にいろいろな資料なり知見を得まして、できますればこの早い機会――五年という期間を待たずにでも、早い機会に本格実施に移れるようわれわれといたしましては努力いたす所存でございます。
 また、船主責任保険につきましては、今回私たちのほうも、当初は多少実験実施という形で考えたわけでございますが、これは非常に複雑な問題等がございまして、漁船保険中央会なり、また、私たちの政府の手元におきましても、船主責任保険の実験実施をするにはあまりにも知見なり資料が乏しくて、どうも今回の法律、新立法という形にはできなかったことにつきましては、私たちといたしましても非常に残念に思っております。これは早急に、国際的な形でわれわれといたしましては、資料の整備を行ないまして、おおむね三年間ぐらいの間に、全部資料を整備いたしまして、これにつきましても、できるだけ早い機会に船主責任保険制度の実験実施ができますように努力してまいりたいと、こういうふうに考えております。
#25
○初村滝一郎君 まあそういうことで、船主責任保険制度は三年ぐらいはかかるということでございますが、やはりなるだけ早くしたほうがよろしかろうと思いますので、格段の推進方をお願いいたしておきます。
 そこで、この種漁船積荷保険等を民間保険会社が、ことしの四月から行なっていると聞いておりますが、政府において御調査しておわかりになっておる点がありますれば、その内容をお聞かせ願いたいと思います。
#26
○政府委員(荒勝巖君) 従来から、この漁船の積荷保険につきましては、民間の保険会社でも従来から保険制度を引き受けられておったようでございます。ただ、それは航海ごとの方式といいますか、航海建て方式というやり方で、航海ごとに保険を積むという考え方で実行されておったようでございます。それに対しまして、今回のただいま御審議願っております法律案では、年間方式という、年建て方式といいますか、そういった考え方でわれわれとしましては採用いたしたい。こう考えておりますので、それにならいまして、民間のほうも逆にこの四月から年建て方式に切りかえられて、この制度保険と民間保険との多少のまあ競争意識といいますか、民間のほうで非常に、この政府の考えております方式をまねてこられたというふうに感じておる次第でございます。
#27
○初村滝一郎君 最後に、水産業協同組合法改正案について質問に入ります。
 この漁協系統の信用事業は最近急速に伸びてきまして、非常になかなか成績をあげているように思われまするけれども、まだまだ農協と比較すると、立ちおくれが非常に目立っておるのであります。
 たとえば、系統信用事業の基礎となる貯金は、漁協の場合に四十七年三月末現在の調査では一組合当たり約二億円程度、農協は十二億円でありまして、漁協の六倍にもなっておるのであります。また、貯貸率も、農林漁業金融公庫資金を含めた場合に、漁協では八六・六%、農協は五二・〇%と、これもまた大きな開きがあるのであります。漁協では、遠洋漁業の発達している地区漁協、それから業種別漁協、水産加工場などで非常に貯蓄が少なくて貸し出しが多いという実態があるのでございます。これと全く逆の傾向を持つ沿岸漁業中心の地区漁協と平均した結果が、前に述べたような数字になるのであります。そこで、こうした実態にある漁業系統信用事業を振興する観点から、次の諸点について考え方をただしたい。
 まず、基本的な問題といたしまして、私は、やはり漁協の合併を取り上げなければならないと思う。漁協の信用事業が農協と比較して弱体な最も基本的な理由は、やはり漁協の規模が小さいということであります。漁協は、昭和四十二年成立した漁業協同組合合併助成法に基づいて合併が進められているのでありまするけれども、順調にいっていない。その理由の一つは、漁協の場合には、やはり漁業権の管理団体としての性格があるためであると思います。これが私は漁協の合併の阻害になっておると思います。政府は、このような実態にある漁協の合併を今後どのように指導していく考えかお尋ねをいたしたい。
#28
○政府委員(荒勝巖君) 昭和四十二年に制定されました漁業協同組合合併助成法によりまして、また、四十六年にそれがさらに延長されておるわけでございますが、四十二年から四十七年までの実績は、六年間でございますが、合併件数としましては百件、それから合併参加組合数は二百九十三というふうになっておるわけでございます。これにつきましては、ただいま御指摘のように、なかなか農協等に比べますと、合併の進捗率があまりよくないわけでございますが、これはやはり基本的にはこの地域漁業の地域の独自性に基づきます一つの漁業権のあり方、漁業権の合併ということ等までからみますもんですから、漁業協同組合としましては、なかなかその系統運動として、この合併の必要性は認めながらも、地区漁民の共同財産である漁業権をどう合併によってこれが変動するのかということ等の不安感といいますか、その辺がからみまして、なかなか漁協の合併というものが従来あまり進捗してない事情にございます。これにつきまして、政府といたしましても、なお法律が延長されましたことでもありますし、これにつきまして都道府県を通じまして合併協議会等を設けさせましてこの運動についてさらに計画を策定いたしまして、適切なそれに伴う指導を行なうとともに、この必要な推進費につきまして経費を助成して今後ともさらに合併を促進してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#29
○初村滝一郎君 現在、系統の自主的な運動として漁協貯蓄増進運動というものが自主的に進められておるのであります。これが非常に漁協信用事業の最近の急速な伸び率と申しますか、伸展の運動につながっておるわけでございますが、この運動に対して、政府はどのように評価をしておるのか、また、今後どのように指導していく考えなのか、お尋ねしたいと思います。
#30
○政府委員(荒勝巖君) いま御指摘がありましたように、昭和三十七年度には、漁協の貯蓄目標といたしまして五百億円ということを目標に運動が展開されたわけでありますが、その後第五次運動といたしまして、昭和四十九年度を目標といたしまして、現在全国の漁協関係者の間で貯蓄五千億円運動ということで、当初に比べますと約十倍の貯蓄運動を開始しておる次第でございまして、これは昭和四十九年度を経ずして、もっと早い機会に達成するんではなかろうか、こう見ておるわけでございます。これにつきましては、先ほど御質問がありましたように、やはり遠洋、沖合いも含めますが、沿岸漁業等含めまして、一千万トンにのぼる漁獲があったということを背景といたしまして、旺盛な国民の動物たん白への需要が旺盛であったというようなこともありまして、比較的この数年来魚価が安定的に高く推移してきておる次第でございまして、その魚価の好況を反映いたしまして、漁民の収入なり所得も相当伸びておりまして、これらがこの貯蓄の主たる原因ではなかろうか、こういうように見ております。農協のほうは主として農産物の販売代金の貯蓄もさることながら、農地等の不動産の転売によります収入が非常な貯蓄の根源になっているやに聞き及んでおりますが、水産のほうには、そういったものがあまりございませんので、漁民のとりました天然資源であります魚の販売代金が主として貯蓄の目標になっておるというふうに、われわれ考えておる次第でございます。
#31
○初村滝一郎君 やはり私は、この漁協の系統に対する行政当局の検査とか、あるいはまた系統の自主的な監査の体制というものはあまり十分に行なわれておらないと思います。そういうことでやはり信用事業をやるには、何はさておいても、組合員の信頼が必要かと思います。そこで不正事件を防止して、系統の信用事業に対する信頼を、より高いものにするためにも、こういうこれらの体制を拡充していく必要があろうかと考えられますが、長官のこれに対する考え方はいかがなものでしょうか。
#32
○政府委員(荒勝巖君) 今回漁業協同組合法の改正にあたりまして、当然に成立後におきまして、為替取引なり、手形割引の方法を適用する組合が出てくるものと考えております。その当該組合は、私たちの考え方でも、まあ法律的にもまた実務的にも信用がなければ適格組合とは申せないのでありますが、そういった適格な組合につきまして、当然に信用力はあるけれども、逆にまた、こういう手形取引なり為替を行なうに際しまして危険性も伴いますので、これらにつきまして、新業務を実施するにあたりまして、こういう適格組合から先に検査を開始してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#33
○初村滝一郎君 最後に、今回の法改正で先ほど長官も言ったとおりに、漁協等は為替取引あるいはまた手形割引をすることになるわけでございます。先にも私が申し上げましたとおりに、漁協の現状は、漁業権の管理団体という性格もからんで、規模が零細なものが多い。したがって、貯金残高を例にとってみましても、五億円以上の預金残高のある組合は、約二千三百の組合の中でたったの百組合にも満たないのでございます。あるいはまた信用事業を行なう専従職員についてみましても、一人から三人という組合がほとんど多いのでございます。そこで貯金残高あるいは業務執行体制等について一定の基準を設け、本事業を実施すべきことは当然であろうかと思います。ところがこういう法律をつくりますというと、すべての組合が、為替あるいはまた手形の割引をいたしたいという希望が私はあろうかと思います。そこで前段に申し上げたような、いろいろな事情から、これを具体的な基準というか、あるいはまた指導方針というか、こういうものをやはりはっきりさせるべきであろうと、かように考えますので、この点について水産庁長官の御答弁を願って私の質問を終わりたいと思います。
#34
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘のように、内国為替取引あるいは手形割引業務を行なわせる漁協等につきましては、すべての漁協というわけにはまいりませんで、やはり多少優良な組合に限定して指導してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。また、こういった優良な組合というのは、事故というものを未然に防止できる体制がそろっている組合というふうにわれわれとしましては考えておりまして、この具体的な一つの基準――とまでいきませんけれども、指導指針といたしましては、内国為替取引については専任職員が四人以上――信用事業に従事している職員が。それから貯金残高が五億円以上というのを基準といたしますし、また手形割引業務につきましては、やはり信用事業専任職員が四人以上で、これは貯金残高がさらに多額でございまして、十億円以上というふうに限定しているわけでございます。また、組合員の間からこういった要望等も今後強くなってくると思いますし、また、この貯金残高等がふえてまいりますれば、われわれとしましては、さらに追加的に考える考え方でございますが、現在、漁協の数が地区、業種別系統漁協あるいは水産加工組合というふうなものを全部合わせますと二千七百四十八組合ございまして、そのうち信用事業まあ貯金業務をやっておりますのが二千九組合でございます。その二千九組合のうち、為替業務の適格組合が、私たちの判断では現在百十九組合というふうに考えておりまして、また手形業務の適格組合を一応四十一組合というふうに踏んでおりまして、こういったことでさしあたりこういう基準といいますか、こういう方向で、法律成立の暁には指導してまいりたいと、こういうふうに考えておる次第であります。
#35
○工藤良平君 私は、いま御質問がありました三つの点についてこれから質問をしてまいりますが、その前に、これからの日本の漁業の基本的な問題についてかなり突っ込んだ議論をしなければならないのではないかと、実は思っているわけでありまして、とりわけ、日本の漁業が需要の増大によりまして、一つの傾向として沿岸漁業から沖合いへ、さらに沖合いから遠洋へというような状態で、かなりの漁業に対する進展があったと思います。しかし、現在のように、汚染が非常に進行する中で沿岸漁業が衰退の一途をたどっている。こういうような状態を踏まえながら、一体これから日本の漁業の安定をどうしてはかるのか、こういうことがやはり中心的な課題として私は論議をされ、その中から今回出てまいりました法案の位置づけというものを考えてみたい、このように思っているわけであります。
 そういう意味から、まず最初にお聞きいたしたいと思いますことは、日本の現在の漁業生産量の伸び率、先ほどもお話がありましたけれども、かなりの伸び率を示しておるようでございますけれども、その傾向として、まず生産量、どのようなかっこうで伸びているか、ここ数年の状況を、概略でよろしゅうございますから、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#36
○国務大臣(櫻内義雄君) 手元の資料で申し上げますると、一番最近で申し上げますと、四十五年と四十六年の関係で申し上げますと、沿岸漁業は二・三%、沖合い漁業は七・九%、遠洋漁業は七・一%、浅海養殖業は一〇・七%と、こういうような伸び率でございます。
 先ほども御指摘がございましたが、沿岸漁業が比較的ふるわないのでありまするが、しかし四十五年、四十六年の比較におきましては、生産量百八十九万一千トンは百九十三万五千トンというふうに、ただいま申し上げた二・三%の伸びを示しております。沖合い漁業は三百二十七万七千トンから三百五十三万九千トンと伸び、遠洋漁業は三百四十二万九千トンから三百六十七万四千トンに伸びておる。こういうような傾向でございまするが、四十四年が、若干不振でございまするが、いま申し上げたような傾向で、現在遠洋漁業の生産量が一番多い。次は沖合い漁業である。沿岸漁業は残念ながら遠洋、沖合いにだいぶ劣る、こういうような状況にあると思います。
#37
○政府委員(荒勝巖君) ただいま大臣からお話しありましたことにつきまして、多少こまかいことでございますが補足さしていただきたいと思いますが、遠洋漁業につきましても、四十七年度におきまして総漁獲量一千七万トンの漁獲量を日本はとったわけでございますが、これは実質的に世界第一位というふうになっておるわけでございまして、従来千二、三百万トンぐらいを――チリがアンチョビー一魚種だけで千二、三百万トンの漁獲をあげておったわけでございますが、これがどういう事情か詳細なことがわからないのでありますが、チリのアンチョビーが全然漁獲がなくなって、その結果、これはほとんど全量フィッシュミールに回っておりまして、多少サージン等のかん詰めになっておったようでございますが、これがえさの不足という形で世界的な形で飼料不足の大きな原因になりまして、これはほとんどアメリカが大量に購入しておったわけでございますが、それがだめになりまして、さらに大豆等の不足ということも加わりまして、この飼料問題が非常に重大な大きな原因になっておるものと思います。その結果、日本が相対的に第一位に上がりましたわけでございますが、この漁獲高の、ただいま大臣が御報告申し上げましたように、遠洋なり沖合いが非常に伸びているように見受けられますが、たとえば遠洋漁業におきましても、大型マグロ等につきましてはむしろ最近資源的には満限に近づきつつありまして、どちらかというと、少し停滞ぎみ、むしろ衰微型になっている次第でございます。
 それに反しまして、北洋のベーリングを中心といたしますスケソウダラの漁獲が非常に伸びてまいりまして、その北洋のベーリングあるいはカムチャッカを含めまして約二百五十万トン前後の漁獲をあげておるのではなかろうかと思います。これは主として、御存じのように、従来はほとんどタラ子だけとってまいりまして、あとは多少スケソウダラとして持って帰ってきておりましたが、最近におきましては、大量にかまぼこの材料といたしまして、すり身といたしまして持って帰りまして、あまりよくないものをフィッシュミールにして持って帰ってきているというようなことで、重要な日本におきます国民のたん白資源として活用されておりますし、また、動物用の飼料としても活用されておるわけでございます。
 沿岸漁業につきましては、先ほど大臣からも数字は申し上げましたが、最近横ばいの傾向にあるわけでございますが、これが高級魚といいますか、国民の非常に嗜好に適した魚種がむしろ減ってまいりまして、クルマエビとか、タイとかといったものが非常に停滞してまいりまして、逆に、これは私たちの一部の勘なり予想でございますが、カタクチイワシとかいうふうなイワシ類が、下魚といわれますこういった系統の魚種が非常にふえてまいりまして、これにつきまして、資源的には非常にふえてきておりますけれども、実際問題としまして、私たちのPRも十分でないせいもございますが、この太平洋周辺でも非常に大量の、カタクチのみならず、マイワシまでとれておりますが、これがどうも消費者の食ぜんに上がるようになかなかならない。非常に安くいたしましても、何となく売れ行きはあまりよくないというふうなこともありまして、これらにつきまして今後われわれといたしましては、国民の嗜好に適しました魚種がとれるように努力したいということで、それらの対策といたしまして、今回日本海を中心といたしまして、瀬戸内方式というものを改めまして栽培漁業を大いに努力いたしまして、中高魚の稚魚を栽培いたしまして、それを放流することによって国民の消費者の食卓を今後にぎわすように努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#38
○工藤良平君 いまのお話のように、沿岸漁業よりも沖合い漁業のほうが伸び率もいいし、さらに沖合い漁業よりも遠洋漁業のほうが伸び率が高い。こういうような御説明でございますが、将来の展望として、それでは、日本が一番期待している遠洋漁業というものが、資源の問題あるいはまた、各国の水域における規制等の関係からいたしまして、将来さらにこのような伸び率を示していけるような展望というものがあるのかどうか、心配する必要はないのかどうか、その点についてはどうですか。
#39
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどもお答え申し上げたんでありますが、国際的な環境は必ずしも楽観は許さないと思うのであります。各国の領海の主張あるいは漁業管轄権の主張から見まして、いろいろと憂慮すべき情勢はだんだんあると思います。しかし、これを打開する上におきましては、国際協力の上に立ちまして、そして日本国民の大事なたん白資源の確保をしなければならないということから、今回国際漁業協力財団の発足を見たというようなことでもございまするし、また、未利用資源である深海魚の開発というようなことも考えていく必要がありまするし、さらには、すでに発足後三年経過いたしましたが、海洋水産資源開発センターによる新漁場の開発、こういうような、いろんな努力を積み重ねながら、今後の遠洋漁業関係の資源確保につとめてまいりたいと思うのであります。
 先ほど四十六年まで申し上げましたが、いまここに資料がございまして、四十七年におきましては、海洋漁業の関係で一〇五と前年度に対してある程度の伸びを示しておりますが、沖合い、沿岸におきましては九九、九九とちょっと落ちておるようでございます。御参考までに申し上げておきます。
#40
○工藤良平君 私一つ心配してまいりますのは、やはり漁業資源の問題であろうと思うのでありますが、そういう意味から、先ほどは相対的な漁業の生産高の問題についての概括の御説明がありました。私もその点については、了解をいたすのでありますけれども、さらにそれを堀り下げてみますと、主要漁業の種類別の生産量という統計が出ております。たとえば北洋、遠洋のトロールとか、あるいはマグロはえ網とか、沖合いでいいますと、あぐり巻き網とか、そういうように、いろいろ種類別の漁獲高を見てみますと、非常に集中的に極端な伸びというものが一部にあるようであります。そういう点から判断をいたしまして国際国に日本の漁業に対する非常に大きな注目がされてきておるようでありますけれども、そういった点からの私は心配が一つ出てくるのではないかと、このようなことも考えられるのでありますけれども、その点についての御見解を伺いたいと思います。
#41
○政府委員(荒勝巖君) ただいままさに御指摘のとおりでございまして、まず国際的に世界中の各国あるいは各人種すべての人が摂取するような、たとえばマグロでございますが、これにつきましては、資源的には満限どころか、むしろオーバーフィッシングであるというふうなFAO等の認定がございまして、これは、先進国のみならず、開発途上国におきましても、最近盛んにマグロをとり始めたというふうなこともありまして、これらにつきましては、非常に国際的関心が高まり、かつまた、国際規制も非常に強まってきております。で、いろいろな条約ができまして、日本もそれに参加いたしまして、これは、それぞれの条約に従いまして、マグロの規制をいたしておりまして、このマグロの漁獲量につきましては、今後の将来性というものはほとんど期待できないのではないか。日本でも、ただいまお手元の資料にありますように、マグロの日本の漁獲量というものは年々漸減の傾向を示しております。
 これに対しまして、カツオ――同じマグロの系統でありますが、いま大型マグロのことを申し上げたのでありますが、マグロでもカツオの小型の系統になりますと、まだ国際的にもほとんど資源が開発されていないといいますか、とられておりませんで、現在では、日本だけがこのカツオを非常に好むというふうな傾向もございまして、最近は、カツオ・マグロという一体の漁業形態の中に入っておりますが、相当カツオ類の漁獲に漁獲努力が進んできておる。これにつきましては、世界的にも、まだ資源的に十分であるということで、まだ資源評価さえも十分わからないぐらい大量なものがとられておりますので、カツオ類の漁獲の将来性というものは、まだ十分あるのではなかろうかというふうに思っておる次第でございます。
 それからまた、クジラ類等につきましては、資源的に非常にきびしい国際監視のもとにありまして、先ほど御答弁申し上げましたように、南氷洋捕鯨漁業というものの将来性については、今後なお相当な不安感が伴うのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
 なお、エビ等の問題は、日本の資本が相当海外に進出してまいりまして、国際的な漁業協力のもとに、あるいは輸入という名のもとに、エビ類は沿岸地先で相当とっておるわけですが、これはたん白量としての、量的にはほとんどたいへんな数字にはなりませんで、やはり国民の非常に嗜好性の食品として珍重されておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
 なお、今後、いままでアフリカ諸国あるいは南米諸国におきまして、日本としてもあまり従来知らなかった漁場が最近の調査によりまして、非常によくわかってまいりまして、今後あらゆる魚類につきまして、日本人としては、まだ不得手といいますか、見なれない魚種を今後とってまいりまして、国民の消費をこれによってまかなうことができまするならば、今後さらに漁業協力の名において、こういう発展途上国の魚を相当とれるようになれるのではなかろうか――これは発展途上国の沿岸地先の魚でございます。
 問題は北洋系統でございまして、日米加あるいは日ソ、それぞれ条約で北太平洋を中心にいたしまして漁業を営んでおりますサケ・マスにしましても、カニにしましても、資源的な評価の問題もさることながら、実質的にいわゆるそれぞれの国の国家の一つの利害関係というものを反映いたしまして、年々十分な漁獲量がとれないような形に追い込まれてきておるということにつきましては、今後さらに一そうの努力を必要とするのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
 また、スケソウダラ等につきまして、従来ちょっと表現があれでございますが、わくようにとれる、無限にスケソウダラはおるんだというふうに、従来科学者の間でもそう見ておりましたところ、この四、五年の日本の漁獲努力というものの反映があったのか、それとも海況の異変なのか、スケソウダラにつきましても、多少赤信号といいますか、将来性について多少の懸念があるということで、これにつきましては、国際規制はございませんが、日本側の自主的な漁獲規制という形で北洋ベーリングのスケソウダラにつきましては、本年度は百五十万トンということで自主規制をいたしまして資源の保存につとめておる次第でございます。
#42
○工藤良平君 日本の漁業がこれから国際的に受け持たなければならない主要な任務、私は、日本が特にたん白資源を漁業に求めているという立場からいたしますと、ただ単に、日本の国内におけるたん白を充足をするという意味の漁業と同時に、また国際的な日本の非常に進んだ漁業というものの役割りというものは新たに私は考えられていかなきゃならぬのじゃないかと、こういうような気がするのでありますけれども、そういう意味から、現在とられている日本の漁獲高の中で、国際的に日本がどのように貢献をしているか、そのために、どのような予算が使われているか、こういうことに私は非常に重大な関心を持つのでありますけれども、そういった意味から、いま生産している量の中で、他の国にどれぐらい出しているのか、また、他の国からどのような種類のものをどれぐらい輸入しているのか、国際的に、日本が漁業振興のために使っているお金はどれぐらいか、そういう点についてお示しをいただきたいと思います。
#43
○政府委員(荒勝巖君) 日本が現在発展途上国等からまず入れております魚類といいますか、魚の総量は約五十万トン前後でございまして、大体主としてこれは金額的にいいますと、クルマエビ等が非常に大量のもので、次はマグロ類、韓国等からのマグロ類の輸入でございます。それに対しまして、反面、輸出のほうが、これは金額でございますが、四十六年度で千四百六十六億円の輸出をいたしておりまして、その大宗をなすものがアメリカの四百一億円、その次が英国、それからオランダが六十九億円、それから西独も六十九億円、フィリピンが六十五億円、こういうふうになっておりまして、その他が七百三億円というふうになっておるわけでございます。この輸出の中心をなしますアメリカにつきましては、これはマグロのかん詰め類を中心といたしましたものでございます。それから、イギリス、西独等は、これはサケかん、あるいはカニかんを中心といたしまして、高級品でございます。それから、多少そのほか真珠等もありまして、それからフィリピンと申しましたか、南方系は、これは非常に大衆魚の中心でありますサバのかん詰めを、日本ではほとんどあまり売れないものですから、サバはとり過ぎてもなかなか売れないものでございますので、かん詰めにいたしまして東南アジアを中心といたしまして輸出しておるわけでございます。
 この結果、そういう形で、貿易バランス上はそういうことでございますが、むしろ私たちの見る限りにおきましては、フィッシュミールを中心といたしまして、今後世界一の魚の輸入国にだんだん逐次なっていくんではなかろうか。いま五十万トンぐらいと申し上げましたけれども、五十万トンも魚を輸入している国はございませんで、今後やはり一千万トンの大台は確保しながらも、なおかつ国民の需要が数年後には千四百万トン前後というふうに見ておりますので、これは、まだ正確な需要調査はいたしておりませんが、そういったことにからみまして需要の増大する消費をまかなうために、世界各国から輸入の確保をしなければならないということにもなってくるものと見ておるわけでございます。
 これに対しまして、国として何をしてきたかということでございますが、従来の水産庁の行政の中心は、沿岸漁業を中心といたしまして行政施策をもっぱら講じてまいりまして、沖合いなり遠洋漁業のほうは多少――沖合いのほうにつきましては、漁船の建造に伴う資金につきまして資金の手当てはいたしてまいりましたが、ほとんどそれだけでございまして、まして遠洋漁業につきましては資金の手当てもおよそ行なえないままに、四十七年度予算におきまして五億円の開銀資金が初めて計上された。母船式といいますか、大型の母船につきまして、そういう五億円の資金手当てがあったというふうに御理解願いたいと思います。この遠洋の問題につきましては、予算的な裏づけというものはほとんどございませんで、従来、国際会議の場を通じまして、漁獲ワクの確保につとめるとともに、そういった国際協定とか、国際会議の席で日本政府としてがんばってきた、あとは操業は漁業会社の自由な操業におまかせしておった、こういうふうに御理解願いたいと思います。
 ところが、先ほど大臣がお話になりましたように、それだけでは、やはり日本の単なる海外の漁業進出という形だけでは国際的なコンセンサスが得られない。むしろ沿岸国の領海におきます漁業管轄権の発言権の増大というものが非常に最近急速に出てまいりまして、極端な例は沿岸二百海里、これを領海という宣言をいたしまして、先般ブラジルなり、ウルグアイでございましたか、百九十海里の沖合いで日本のマグロ船が二隻連続して拿捕されるという例もございまして、そのほかインドネシアあるいはフィリピン方面でも、むしろ当然領海というふうに、国際的なコンセンサスがあるにもかかわりませず、フィリピン群島なり、インドネシア群島の中は、内水ということで、領海以上に内水扱いでございまして、日本の漁船というものはおよそ普通では一隻も入れないというようなことで、それぞれインドネシアとはただいま協定を進めておりますが、協定を進めることによりまして、日本の漁船の立ち入りを認めてもらう。そのためには、相当な多額の協定に伴う援助の費用を要求されるというふうな形になってきておるわけでございます。
 それらに対しまして、従来政府としまして、公式に予算というものを計上していませんでしたので、四十八年度におきまして初めて国際海外漁業協力のための財団というものを設置いたしまして、初年度十億円でございますが、海外との漁業協力を推進するに際しまして、日本の漁船が向こうの沖合い地先で漁業を営まれる機会のチャンスをつくるために、これらにつきまして十億円の予算を計上いたしまして、相手国との間の協力によりまして漁業を推進していくということによりまして、国民たん白資源の確保ということをねらいといたしまして、こういった事業を初めて開始いたしまして、そのほかさらに、別途外務省に、海外の漁業援助経費といたしまして十億円ほど計上いたしまして、今後これらの予算を、てこ入れしながら、海外の漁場の確保に資してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#44
○工藤良平君 いまお話のように、もっぱら日本の漁業というのは、とる漁業で、もちろん世界の各地に参りまして、豊富な資源を開発をしてきたという意味においては、一つの貢献であったと思いますけれども、現在のように、たん白資源の問題が重要な課題になってまいりますと、いまお話のように、二百海里という一つの規制の中で、きびしい日本の漁業に対する監視の目というものが光ってくるわけであります。
 そこで私は、これからの主要な議論になるわけでございますけれども、やはりそのようなことを進めていくためには、日本の一体沿岸漁業というものに対して万全の対策を講じ、しかる後に、やはりそういう国際的な部面についても十分に話ができる、いわゆるものが言えるような体制を私はつくる必要があるのではないか、このように思うわけです。
 しかし、残念ながら、日本の沿岸漁業というものは、極端な海のよごれによりまして破壊寸前の状態になっている。こういう問題を一体これからどうするのかということが私は重要な課題でなければならないと思います。もちろんいまお話しのように、今日まで漁業の対策として使われてきたものは、確かに沿岸漁業にすべてと言っていいくらいにつぎ込んできただろうと思いますが、しかし、それは比較的優遇されたと言いますと、極端かもわかりませんけれども、いわゆる陸の問題に比較をいたしまして、やはりこの水産関係については非常に冷遇されたような私は感じを受けるのでありますが、それがさらに近ごろの汚染の進行に伴ってそれが全く壊滅的な状態を受けるということになってきておるのではないかと思うんです。そこで、これからの沿岸漁業に対する一体対策をどうするのか、全くこれについては、もうどうにもならないということから新しい道を求めていくのか、さらにやはり汚染について、これ以上よごしてはいけない、さらにきれいな海に取り返しながら、とる漁業から養う漁業へという形に変わっていくのか、その基本的な問題を私は大臣にお伺いをしながら、さらに休憩していただきまして、あと休憩後その問題についていろいろと触れていきたいとこういうように思いますので、その基本的な問題についてまず大臣にお伺いしておきたいと思います。
#45
○国務大臣(櫻内義雄君) 沿岸漁業の振興は言うまでもないことでございますし、ただいま工藤委員がお話をされましたように、私も、今後、とる漁業というよりも、つくる漁業というほうが優先するということはしばしば申し上げてまいったところでございます。現在の沿岸漁業の受けております都市化に伴う下水などによる影響、あるいは工業排水による汚染、いろいろと問題がございます。そういう点については、第一次的な基本的なこととしては、公害規制の諸法規を厳正にこれを施行していくと、そして海を汚染から守るということが沿岸漁業の資源確保の道であると、こう思います。また、つくる面につきましては、先ほど来長官もお答えを申し上げましたが、栽培漁業の問題あるいは新たな漁礁の設置、それから浅海漁業の開発というようないろいろな諸施策がございまするが、現在、第二次の構造改善事業を積極的に進めておるのでございまして、これも沿岸漁業の振興のためにやっておる施策であることは言うまでもないわけでございます。これらの公害対策から栽培漁業の関係、構造改善事業というものを、これを総括していきますと、大体四十八年で五十五億七千万からの予算をつぎ込むわけでございまして、漁業の面から申し上げていきますならば、四十七年度の三十九億六千万ほどの予算に比較して四十八年度におきましては、ある程度前向きの施策をとっておるつもりでございます。まあこういう施策をやりながらお話しのとおりの、つくる漁業、それからまた、繰り返して申し上げてきたところでございまするが、何と言っても資源を確保する。つくる漁業というそういう見地に立っていきますならば、まだまだ漁業資源というものは努力次第で、枯渇するというよりも、むしろどんどん増殖していけるものではないか。こういうような面にわれわれとしてせいぜい努力することが、海外からいろいろな資源を買いあさって非難を受けておる日本といたしましては、こういう水産業の面で努力をするということは、もうこれは幾ら努力しても一向批判を受けるものでない。非常にけっこうなことであって、ちょうど、これからもう一度漁業も見直されるいい時期にきておるのではないかと、こういう見地で、工藤委員のいまお話しになったようなことを念頭に置いて、これからさらに努力をしてまいりたいと思います。
#46
○理事(園田清充君) 暫時休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十六分開会
#47
○委員長(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 大豆対策に関する件を議題といたします。
 まず、櫻内農林大臣から説明を求めます。櫻内農林大臣。
#48
○国務大臣(櫻内義雄君) 御質問をちょうだいする前に、ただいままで入りましたアメリカ側の大豆に対する規制の御報告を申し上げます。
 米国政府は、現地時間七月二日午後三時三十分、日本時間で本日の午前四時三十分でございます、大豆の輸出に関し、七月、八月積みの既契約につき、各契約ごと一律五〇%削減という規制措置を発表をいたしました。
 この規制によると、八月から九月までの大豆の輸入量――到着ベースでございますが、約三十万トン弱となります。これに七月末推定在庫四十七万トン、米国以外からの輸入見込み四万トンを加えますると、この期の供給量は約八十一万トンとなります。この数量は、この期間の通常の需要量六十万トンを満たしてはおりますが、期末在庫は二十一万トンとなります。
 以上、米国の規制の発表とそれに伴うわが国の大豆の需給の状況を御報告申し上げた次第でございます。
 なお、多少、いろいろ情報もございまするが、御質問に伴ってお答えを申し上げたいと思います。お許しいただきます。
#49
○委員長(亀井善彰君) それでは、質疑のある方は、順次御発言願います。
#50
○中村波男君 過般の委員会で質問を申し上げたわけでありますが、二日の日の具体的な規制案を見なければ政府としても根本的な対策は立たない。こういう御答弁でありましたわけでございますが、今朝、その内容が発表されまして、ただいま大臣から御報告を受けたわけでありますが、ただいまの大臣からの御報告によりますと、七、八月分の契約済みが五〇%規制になるんだと、こういう御答弁をお聞きいたしました。そこで、期末在庫が二十一万トン程度になって、いわば相当需給の関係は苦しくなるという、こういう結果になるということでありますが――関連でありますから、長い時間をおかりして具体的にお聞きすることもできませんので、資料として後刻ひとつ御提出をいただきたいと思うのでありますが、問題は――六、七月分の契約分のうち、出荷見込みが、先般の委員会では六十万トンというお話がありました。問題は、六月二十七日までにこの六十万トンのうち、どれだけ船積みがなされておるか、こういうことが私たちとしても、不安の一つの材料であります。したがいまして、七、八月分の五〇%規制になりますと、いわゆる新しい豆が出荷されますのは十月以降ではないかと思うのでありますが、九月はどうなるのかという問題がそこに残るわけであります。そういう点を含めまして御答弁を賜わりたいと思います。
#51
○国務大臣(櫻内義雄君) 六、七月到着分の船積み済みのもの、これは遺憾ながら、まだ完全に掌握ができておらないのでございまして、先般御報告を申し上げたとおりに六十七万トンを推定をいたしておるわけであります。
 そこで、七、八月の積み出しの既契約について一律五〇%削減は現実に日本にとっては、どういう数字であるかと申し上げますと、約三十万トン弱と申し上げましたが、これは一千一百万ブッシェル、こういうふうに発表されております。これはワシントン大使館との電話連絡でございまして、公電ではないのであります。まだ公電は未到着でございますが、一千一百万ブッシェル、これが約三十万トン弱に該当するのでございます。
 それから九月積み出し分は、現在、契約分七万トンと承知をしておるわけであります。いわゆる旧穀分の契約分が七万トン。そこで、九月の中旬以降、新穀の契約がどうなるか、こういうことになるわけでございますが、この新穀につきましては――これも非公式でございますが、新穀については、規制しないつもりであるが、現時点ではまだ決定し得ないとした由と、こういう電話でございます。この文字どおりで、なかなかむずかしい表現でございますね。新穀については規制しないつもりであるが、現時点ではいまだ決定し得ないとした由と、こういう連絡でございます。そこで、九月分が二十一万トン、在庫で十月に入る。アメリカとの契約分の残がどういうことになるか、新穀分に対する契約がどうなるかということが十月末の在庫に非常に影響するのでございまして、一応七万トンの旧穀分が船積みされるものと、こういう推定でまいりまして、十月は需給とんとんと、若干ちょっとマイナスではないかと、こう思えるのでございます。そこで九月までは、別段問題なくいけるということでありまするが、万全の対策を講ずる意味におきまして、農林省としては、需給調整協議会を関係者でもちまして、そして国内需給が適正に行なわれるように対処いたしたいと、こういうことにいたしました。
 また昨日、いずれにしても、大豆規制は輸出規制がとられるものという前提のもとに、日本油脂協会の坂口会長を招致いたしまして、この大豆の規制に対する協力方を要請し、また、農林省としてのあとう限りの行政指導をいたしたいと考えておる次第でございます。
 なお大豆かすについての電話連絡では、七月及び八月積みの外国向け輸出既契約は一律六〇%カットとするとこういうことで、この詳細については、目下不明ということであったわけでございまするが、関連いたしまするので、御参考までに申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。
#52
○中村波男君 私の聞き間違いかもわかりませんが、いまの二回目の報告では、七、八月の契約済みの数量というのは一千一百万ブッシェル、すなわち三十万トンだ、したがって、九月分としては七万トンである。合わせますと七、八、九で三十万トンになるわけでありますが、この五〇%規制ということは、十八万五千トンなし日本に入ってこないということであるのが、半額規制で三十七万トン入るという、こういう意味ですか、どちらですか。
#53
○国務大臣(櫻内義雄君) 七、八月については五〇%規制が行なわれたわけでございます。で、九月以降の分については、何ら触れておらないわけであります。そこで、私どもとしては、契約分の残はこれは入荷できるのではないか、それからまた新穀分については、これは九月十五日までの積み出しのように聞いております、この七、八月の契約分については。もし違っておればあとで直しますが。そして九月契約分については触れておらない。こういうことで、それに当たる契約分が七万トンということを申し上げたのであります。
#54
○中村波男君 もう一度確認いたしますが、七、八月の契約分というのは三十万トンだと、その二分の一規制になるということは十五万トンなし入らぬということとは違うのですか。
#55
○国務大臣(櫻内義雄君) それは違います。規制を受けて一千一百万ブッシェル、これはトン換算二十九万トン余になる。それで先ほど三十万トン弱と申し上げたのでありますが、そういうことで規制のあとでございます。入る分が三十万トン弱と、こういうことでございます。
#56
○中村波男君 規制を受けて七、八月分で三十万トン弱入ってくると。九月分は規制を受けないから契約分の七万トンは入ると。三十七万トン、七、八、九で入ることは確実であろう、こういう見通しなんですね。そうしますと、六月末の在庫はどれだけあるというふうに見ていらっしゃるのですか。
#57
○国務大臣(櫻内義雄君) いまのお尋ねは十月末在庫でございますか、九月末……。
#58
○中村波男君 いや、六月末在庫。
#59
○国務大臣(櫻内義雄君) いま六月末在庫はここの手元にははっきり掌握した数字はございませんが、前回申し上げましたように、五月末在庫が四十万トンで、それで六、七月に到着してくる分が六十七万トンと推定しておると、こう申し上げておるわけでございます。それでございまするから、まあこの数字から概算しますと、これはたいへん大まかですが、月間三十万トン程度の需要と、こういうふうに見込んでおるわけでございます。
#60
○中村波男君 あまり長い時間とるわけにまいりませんので、適当なところで質問をやめたいと思うのでありますが、問題は、先般の委員会では六、七月分として六十七万トン契約がしてあるのだと、したがって、日本へ入庫見込みを立てておるのだと。問題は六月二十七日以降の船積みについては規制の対象になっておりますから、六、七月分の六十七万トンのうちの、六月二十七日までに船積みを完了した数量がわかりませんと、いわゆる在庫を的確につかむことができないわけであります。したがって、きょうの報告では七、八月分というので三十万トン弱入ってくるのだということでありますから、したがって、先般御報告の六、七月で六十七万トン入る予定だというもの、六月分は三十万トンの中にまあ入っていますが、問題は、六、七月分の六十七万トンのうちの七月分に規制を受けた残りの数量がどれだけ入ってきたかということが報告をいただきませんと、私たち需給の上で、どうなるのかという判断ができないわけであります。したがいまして、ひとつ資料として早急にお出しいただきたいと思うのでありますが、六月二十七日までに船積みを完了した数量はどれだけあるのだ。したがって七、八月分は三十万トン、それから九月分は七万トンということでありますから、それらの数字を整理して、委員会へひとつ出していただくことができるかどうかお尋ねいたします。
#61
○国務大臣(櫻内義雄君) それはできるだけ早急に数字を掌握したいと思います。これはもう私どもとしても確実なところをぜひ掌握しなければならない問題でありまするから、それは承知いたしました。
#62
○中村波男君 先般、大体大臣の御報告等によって、一月の大豆の値上がりの二の舞いを踏まないように、高騰を防ぐために、買い占め売り惜しみ法案を適用して、需給の上に悪化した事態を招かないように、最善の方策を立てるというお話しでありますが、五割規制が明らかになった以上、これはなかなか農林省でお考えになっておるような、そういう楽観的な需給の見通しではなくなったと思うのであります。したがって、おそらくあすからが然大豆の値上がりということも予想されるのじゃないかということを私は心配しておる一人であります。したがいまして、ひとつそれらの点につきましては、先般の御説明もありましたけれども、十分な需給の見通しの上に立って、少なくとも買い占め、売り惜しみ等が起きないように、万全の対策を立てていただくことを強く要望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。
#63
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどから御報告申し上げたように、九月末までは今度の規制によりまして大体見当がついて、九月末在庫二十一万トンと推定をしておるわけであります。そこで九月以降の積み出しあるいは新穀分がどうなるかということで、十月以降が非常に需給が逼迫する。こういうことになるわけでございまするので、そこで一応この十月の端境期を乗り切るために、先ほど申したように、需給調整協議会を設けまして、アメリカの新穀の出回るまでをつながなければならない。ここをつなげば、その後は新穀の状況次第でございまして、これもおしかりを受けると思うのでありますが、新穀の状況はまあいいと繰り返し言われておるのでありますが、これも控え目に考えながら、需給調整協議会で適正な配分を行ないつつ、十月に対処いたしたい。そこで本日閣議におきまして、大豆を、買い占め及び売り惜しみ防止法の適用対象物資に指定をしてもらいたいということもお願いをしておいたようなわけでございまして、お話しのとおりにこの十月からのある期間の需給というものは、きわめて重要であると思いまするので、あらゆる努力を講じて対処をいたしたいと思います。
#64
○中村波男君 重ねて申し上げますが、かりに農林省が発表になっておる五月末に四十万トン在庫があったといたしましても、六、七、八、九と、四カ月で月間三十万トンずつ消費されるということになりますと、百二十万トン要るわけでありますから、あと八十万トン五月末以降に入荷がないと、たちどころに食生活に不足を来たすという結果になることは、数字的に見て、だれでも考えられる数字であります。したがって、八十万トン入るかどうかということについては、いまの報告を聞きましても、私は大きな危惧を抱いておるのであります。そういう点から言いまして、もう少し明確な数字をひとつお示しをいただきたい。と申しますのは、六月二十七日までに船積みした数量がどれだけあるのか。したがって、契約はしておるけれども、その後にいわゆる出荷予定の数量がこれだけあって、その二分の一が規制になってこれだけ入ってくることになるんだというような、だれが見てもわかるひとつ資料をぜひ御提出をいただきたいということを重ねて要望いたしまして、質問を終わります。
#65
○塩出啓典君 いまのに追加いたしまして、特に在庫等につきましても、大体どこに何トンぐらいあってと、そういう農林省の集計したもの、在庫量の詳細なデータですね、それから毎月の需要量等も、一年間を通して――平均三十万トンですけれども、月によっていろいろまた違いもあると思うのですね。そういう需要量のいままでの資料、そういうものをひとつ早急に農林水産委員会に提出をしてもらいたいと思うのですね。で、まあいまの農林大臣の答弁を聞いておりましても、需給が非常に問題になっているのに、農林省としても中村委員の質問に対して全く正確にデータをつかんでいないし、そういう点は非常にわれわれも心外でございますけれども、詳細はまた次の機会に譲るといたしまして、そういう在庫量とか、需要量のそういう資料、それもあわせて提出してください。そのことを要望しておきます。
#66
○国務大臣(櫻内義雄君) これは、お聞き取りのほうでは念には念を入れてお聞き取り願っておるわけで、その意味におきましてデータを出すこと、ひとつもやぶさかではないと、先ほどからお約束をしておるのであります。
 そこで、いろいろと御心配のようでございまするけれども、私どもの申し上げておる九月末在庫二十一万トンの推定というのは、これはもう何べんも申し上げておるように、これは根拠があって申し上げておるのでございますから、重ねて申し上げ、あるいは若干補足するようになりますが、申し上げてみますると、七月末の在庫は四十七万トンと見ておるのであります。それで、八月中の到着が十六万トン、その中でアメリカよりは十四万トン、その他二万トン、九月中の到着が十八万トン、アメリカより十六万トン弱、これがこの七、八月積み出しに見合う、合計八月十四万トンと、九月の十六万トン弱で約三十万トン弱と、これに該当するわけであります。アメリカ十六万トン弱、その他二万トンで九月末在庫二十一万トンと、これで九月までの需給については心配がないと、こういうことをはっきり申し上げておるのであります。
 それから中村委員がしばしば六、七月到着分約六十七万トンについて、何か私どもの申し上げていることを不安定のようにおとりのようでございます。また、私どものほうから船積み分現在幾らということを明確に申し上げておりませんので、そういう御心配をかけておりまするが、船積みのほぼ完了した数量が六、七月到着分約六十七万トンでございまして、六月分に到着が明白になっておる数量もこれは掌握しておるのであります。いま私記憶しませんが、四十何万トンか、これは掌握しておるのであります。したがって、この六、七月到着分で到着――かりにほぼ完了と申し上げておって未確認――あと二十何万トン七月中に入るべきものの数量というものが確認ができておらない。しかし、六月の入荷の状況等からいたしまして、この到着分約六十七万トンというものについては、私どもはあまり疑問は持っておらないのであります。しかし、はっきり幾ら船積みしたか言えとおっしゃるから、正直にその辺は掌握をしておらないと、こう申し上げたのであります。
#67
○塩出啓典君 結局、そうすると、五月末四十万トンで、六、七月が六十七万トン積み出して、それが全部入ったとすれば百七万トンです。そうすると六、七月二カ月で三十万トンずつで六十万トン使う、そうすると残りが四十七万トンと、だからいま農林大臣が結局七月末で在庫が四十七万トンというのは、いわゆる先ほど中村さんの言われた六、七月積みの六十七万トンが全部入ると、そういう計算の上に立っているわけでしょう。ということは、六十七万トンは全額入ると、そういうことをはっきり確認をしておれば、先ほどの質問に対する答弁にもなるし、私も了解できるわけです。それはもうはっきり六十七万トンは船積みは完了して、先般の六月末の規制の前に積み出しを終わっておると、そういうことなんですか。
#68
○国務大臣(櫻内義雄君) それが少し正直に申し上げておりますから、ほぼ完了したという表現をしておるもので、御心配をわずらわしておりますが、いずれ近々にこの数字は確実に掌握できるものと、こういうふうに思っております。
#69
○委員長(亀井善彰君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#70
○委員長(亀井善彰君) 漁船損害補償法の一部を改正する法律案、漁船積荷保険臨時措置法案、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き質疑を行ないます。順次御発言願います。
#71
○工藤良平君 それでは、休憩前に引き続きまして質問を続行いたしたいと思います。
 最近、衰退しつつあるとはいいましても、やはり沿岸漁業に対する寄与率というものはかなりやはり重要視しなければならない状態にあると、このように私は思っているわけでありますし、また先ほどお話がありましたように、将来の展望として千四百万トンのやはり需要があるというようなことから想定いたしましても、この沿岸漁業の問題についてはたいへん重大であろうと思います。そこで、現在沿岸漁業の一番大きな問題は、すでに御承知のように、水銀なりPCB汚染をはじめとして、工業用排水その他のいろいろな条件から、私たちの回りの海がよごされてきて、このような状態になってきているわけでありますけれども、そのような意味から特に重要なことは、やはり漁業、沿岸漁業の場合に、工業の発展との重要な問題というものが出てくるだろうと思います。
 そこで、今日までいろいろと紛争が起こっております過程の中で考えてみますと、漁業権を放棄することによって、いわゆる埋め立てを許すことによって、工業の発展というものが成り立っておるように私は思います。そういうことから、先ほどもちょっと御意見が出ておりましたけれども、近ごろ非常に漁協におきましても貯金率が高くなったと、このような御指摘がございました。一般の農業協同組合等につきましては、都市近郊等における土地の売却等によりまして、その預金率が非常に高くなって、余裕金が四〇%にも達するというような状態になってきたということを議論をしてきたわけでありますけれども、漁協が今日まで非常に貯金率も低いし、逆に貯貸率がきわめて高かったというようなことから推定をしてみますと、近ごろの貯金率の増加というものが私は漁業補償等の問題に相当大きく寄与する面があるのではないかと思うわけでありますけれども、このような実態について若干御説明をいただきたいと思います。
#72
○政府委員(荒勝巖君) 私たちの手元で今回いろいろ調べたんでございますが、現在までの時点で、特段この漁業権の消滅にかかわりまして、その漁業権の一種の代金として受け取ったものが、貯金に大きく積み立てられたというふうな傾向は、まだ顕著には出ていないんで、ほとんどつかんでないと見ていただきたいと思います。
#73
○工藤良平君 これは後ほどお伺いしようと思ったんですけれども、たとえば瀬戸内海の沿岸で埋め立てが行なわれましたいわゆる漁場の面積、逆に言うと失われた漁場、そういうものが、ある説によりますと二万ヘクタールとか推計をされておるわけでありますけれども、全体的に埋め立てによって失われた漁場、それに支払われた補償額、こういうものをある程度把握なさっていると思うんですけれども、それが一体どういう程度のものであるのか、で、その資金というものが金融機関にはどのようなかっこうで流れているのか、その点さらにお伺いをいたしたいと思います。
#74
○政府委員(荒勝巖君) ただいまの御質問について端的に御説明がしにくいんでございますが、具体的に瀬戸内のいわゆる埋め立てに伴う漁業権の補償代金がどの程度入っているかということにつきましては、つまびらかにしておりませんので、御了承願いたいと思います。
#75
○工藤良平君 今回のこの水協法の改正に基づきます主要な要点というものが、為替業務を行なうということが主要な改正点のようでありますけれども、もちろんその改正に至ったもろもろの条件というものは、さまざまな要素があると思いますけれども、この中でも指摘をされておりますように、やはり漁協の非常に不安定な、しかも格差が非常に大きいということも指摘をされておるわけであります。そういう傾向の中で、貯金率が近ごろ非常にふえてきたと、これは指摘をされておりますけれども、かなり預金の運動も実施をしてきたと、従来市中銀行に流れていたものが、あるいは信用金庫等に流れていたものが漁協に集中をするようになってきたということもありましょうけれども、私どもやはり特に沿岸漁業が停滞をし、若干伸び率が二・何%という先ほどお話がありましたけれども、全体の伸び率からすると非常に少ない。しかも現在のような混乱した状態が起こってまいりますと、私はやはり漁協に対する信頼感というものが逆にまた薄れていくというようなことから、せっかく集まりつつある預金の状態というものも一つの大きな変化を来たすのではないかという実は心配をするのでありますが、そういった意味から、いわゆるこういった汚染による漁場の縮小、いわゆる漁業の衰退というものが、一体そういう面にどのような影響を及ぼしているのか、その調査というのは当然私はなされていると思うのですが、そうではなくて、やはり全体的な漁業の振興の中で、漁村の皆さんの生活が安定をし、やはり預金率を高めていくということになっているのか、そういう点に対する分析というものを私は大切にしたいと思っているんですが、その傾向について、もう少し御説明いただきたいと思います。
#76
○政府委員(荒勝巖君) 私どもの調べております中で、傾向といたしましては、やはり大型の漁港ができまして、というのは少しことばとしてはあべこべになりますが、結局漁獲物が多く水揚げされている場所ほど、当該漁協の預金率といいますか、収入代がふえておりますので、非常に大型の漁協に発展してきている。それになりますと、また逆に当該漁港の整備拡充ということで、やはり漁港とその漁協との関連は、非常に相対的な関連にあるものと見ております。したがいまして、これは先ほどのことばの反対のことばになるんですが、瀬戸内のように、すでに零細な漁民が零細な形で瀬戸内で一本釣りとまでは申しませんが、いわゆる日帰り程度の漁業で比較的高級魚をとっておられる漁民の方たちの地帯では、あまり漁協も大型に発展いたしませんし、また港自身も大型化を要求されませんで、何となくその港自身が、これは言い過ぎではありますが、遊漁の関連にも使われたような形になってきまして、専門的な漁協ほどりっぱに伸びてきている。こういうように御理解を願いたいと思います。
#77
○工藤良平君 いまそういう話が出ましたから、これは農林省の資料等を見ましても、たとえば水揚げの特定地域、特定港といいますか、そういうところに非常に集中をしてきている。で、現在漁港についても二千八百をこす漁港があり、さらにその他の港湾等がありますけれども、その中で、たとえば一万トン以上の水揚げ港といわれているものは百足らずの港であって、それに集まってくる魚というものは、すでに五〇数%が集中をする。これは五十三年の見込みを見ましても七〇%程度がそういうところに集中するのじゃないかという予測が、水産庁の段階でも立てられておるようです。その点については、確かに港湾の整備なりあるいはそれに付随していくいろいろな漁業の施設の整備等によってそういうことが行なわれていく、そういうことから資金的な面についても特定漁港のある地域の漁協に資金が集中するということも私は大体わかるわけです。だとするならば、一体それじゃ非常に資金率の弱いいわゆる小さな一本釣り等を通じてやっております漁業というものを、一体これからどうしていくのか。これは後ほどお伺いしますけれども、漁協の合併等が非常に困難だという点等も関連をすると思いますけれども、そういうような、いわゆる零細な漁業にたよっているところ、その漁業というものを一体今後はどういうそれでは方向に指導していくのか、それが私はやっぱり一つの大きな論点だと思っているわけです。
 いまのように海がよごれてまいりますと、だんだんだんだんいわゆる比較的高い、先ほどお話がありましたような魚が減少していって、そしていわゆる安い一般魚といわれる魚が増加していくという傾向から、量そのものについてはあまり変わりがないような統計が出ておりますけれども、しかし高級魚がどんどんどんどん減っていくということはいわゆる近海で沿岸漁業をやっている皆さんにとっては重要な問題なんで、そういうようなことを私どもはどうしたらいいのかということを真剣に考えてみるわけですが、これは昭和三十七年にいわゆる、とる漁業から養う、育てる漁業へということで瀬戸内海栽培漁業センターというのが建設をされたようでありますけれども、それでは、そのセンターの現在の状態というものを分析をしてみるときに、一体この沿岸漁業というものが、これからの漁業の中で占める役割りとしてはたして成り立つのかどうかという点、疑問を持たざるを得ないのでありますけれども、そういう点についてのその後の経過なり状態というものをひとつ御説明いただきたいと思うんです。
#78
○政府委員(荒勝巖君) この数年前に、瀬戸内海栽培漁業センターというものを、瀬戸内海の各県のグループで、それを全額国庫負担で開始して、設備等の増強を急いでまいりまして、おおむね設備の完了を、ことしで大体終える予定にいたしておりますが、この水産試験場等の研究機関で、高級魚の栽培という、世界でも珍しい栽培漁業方式というものを開発いたしまして、これを半分実験的な意味で瀬戸内海で全額国庫負担という形で財団法人を設立いたしまして、施設は全部国有財産という形で始めたわけでございます。まあ始めましたときは、実験的あるいはパイオニア的な意味もありまして始めたんでございますが、クルマエビとか、タイとかといった高級魚の系統につきまして、非常にまあその後、知見を得まして、最近の時点では相当、今後期待できるというふうにわれわれ理解しておりまして、瀬戸内海におきましても多少まあ逃げている傾向もございますが、なるべく海の汚染されない島陰等を選びまして、その辺で稚魚の放流をしたり、あるいは養ったりしながら、ただいま非常に伸びてきておる、クルマエビなんかも意外なほどよく伸びているわけでございます。また、タイなんかにつきましてもよく伸びてきているわけでございまして、その結果、今回日本海方式というまあ日本海で五カ所を選んで、新しく各県ごとに栽培漁業センターをつくっていただくことになったわけであります。これにつきましては、今回はもう実験的に確立しているものですから、県におかれましても、県技術の段階で十分なし得るということで、あまり遠くへ回遊する魚は除きまして、主として地元に生息し、まあ磯つきまでいきませんけれども、おおむね当該県の沿岸の地元の沖合いで生息して大きくなる魚を選びまして、栽培をしていくというふうにまあそれだけ発展した次第でございまして、この方式につきましては今後われわれといたしましては大いに全国的にさらに普及を進めてまいりたい、こういうように思っております。なお、沿岸漁業自身のあり方といたしましては、そういうふうに極力カタクチイワシとか、こういったまあ、えさにしか回らないような下魚につきましては、極力えさとして利用しながら高級魚へ切りかえていくというふうに考えておる次第でございます。
 なお、沿岸漁業のそれ自身のあり方といたしましては、どちらかと申しますと、沿岸漁業の大体の数量といたしまして、高級魚、下魚を含めまして大体二百五十万トン前後が一つの限界値というふうに水産庁としては考えておる次第でございまして、いまでもまあ公害によります漁業の多少の被害はございますが、逆にまたそういう海が極端に窒素過多になりまして、その結果、コウナゴとか、カタクチイワシというふうな系統の魚は非常に肥大化しておる次第でございます。われわれといたしましては、この沿岸漁業はむしろ現在の時点におきましては、栽培漁業の系統は別といたしまして、どちらかといえば抑制型で現在進んでおりまして、あんまり資源枯渇にならないように、各県から漁民の方々の非常な強い要望があって、もっと漁船の許可ワクなりあるいは漁区の拡大等いろいろ御要望ございますけれども、われわれといたしましては、あまり漁獲努力の増大にならないような方向で漁船の建造なりも、まあどちらかといいますと押えぎみに推移していると、こういうように御理解願いたいと思います。
#79
○工藤良平君 これは農林省の統計によりましても、いまお話しのように、タイとかあるいはクルマエビ、スズキなどの非常に高級魚が極端に減少傾向をたどっているということ、これはやはりこれからの沿岸漁業にたいへん大きな問題であるわけでして、それとあわせて、今回のこの水銀あるいはPCB汚染に伴います不安というもの、そのようなことがこれから一体どのように沿岸漁業の衰退というものに拍車をかけていくのか、たいへん大きな問題だと思うわけであります。そういう意味からやはりこの問題については、一日も早く安心して国民の皆さんが魚を食べられるような体制をとらなければならないと思うんですが、この前から論議されておりますように、厚生省といたしましても暫定基準を示し、さらに食ぜんに供する一つの例示をいたしておるようでありますが、このような厚生省のとっている措置についていわゆる漁場を守り、漁業生産を何とかして維持したいという農林省の立場というもの、さらにそういった意味からこういう厚生省に対する農林省の注文といいますか、きびしい注文が私は必要ではないだろうかと思うのでありますが、その点についてこれは大臣のほうからひとつお伺いをいたしたいと思います。
#80
○国務大臣(櫻内義雄君) 科学的根拠によって示されておる基準でありまするから、これはこれでやはり大前提となるべきだと思うのであります。しかし、こういう基準は正しく報道され、正しく理解されていく必要があると思うんですね。今回の安全基準を見ておりまして、別に報道としては〇・三PPMを基準とするということがちゃんと書かれておりまするけれども、それはあまり目立たない。また、そのこと自体は消費者には理解されないままにアジ何匹、イカ何匹食ったらいけないんだということが――これは汚染された魚が例示されておるのでありまするけれども、もう一切がいけないような印象を国民に与えては――こういうことは正しく報道され正しく理解される必要があるということは、遺憾ながらどうもこのたびの場合は違ったんではないかと、この場合、私どもとして、心理的な影響というようなものはこれは見のがすことができません。したがって、その発表の方法、説明のしかたということについても細心の注意を払わなければならない、こういうふうに見ております。しかし、私としては、そういう科学的根拠のある基準というものをとやかく言うべきものじゃない。これはこれで守っていく必要がある、このように考える次第であります。
#81
○工藤良平君 この問題ですね、大臣、結局魚が汚染されていた、その魚を食べると、人間が病気になる。したがって、魚が売れなくなる、売れなくなるから結局とるのをやめなければならない。このような悪循環になってくるわけなんですが、一番犠牲を受けるのは、常に生産する人たちになってくるわけであります。その生産する人たちがいつも犠牲を受けている。それを救うのは一体何なのかということですね。今回つなぎ資金を出すということがきまりました。もちろん、それも一つの方法だと思いますが、私は、根本的にやはりここで一体何を漁業の立場に立ってしてやらなければならないのかということですね。その根本について、私は、農林省の態度というものがもっと積極的な部面が出ていいのではないか、犠牲を受けているのは漁民なんでありますから。いま、それではだいじょうぶだからと言って、とった魚が売れるかといったら売れないのでありますから。ただ単にマスコミによる宣伝のしかたなりあるいは発表のしかただけのテクニックの問題ではないと思うんですね。今日まで海の汚染について、あるいは公有水面の埋め立てについて、どちらかというと、いつも受け身の立場にあったのではないか。攻撃的な立場でなければならない農林省というものが受け身の立場であったのではないかというところに、私は、根本的な問題があるような気がするわけです。こういうものを契機にして、やはり農林省が、もう少し攻撃的な立場に立っていいのではないか、実はこういう気がするわけです。
 そこで、具体的に、これからの沿津漁業の問題、特に今日まで沿岸漁業の中で主要な役割りを示してきた瀬戸内、あれだけきれいであった魚の宝庫といわれた、百種類にも及ぶ魚を、高級魚を提供してくれたこの瀬戸内が完全によごれてしまって、連日のように赤潮が発生をし、とれた魚が食べられないという状況が起こってきたのでは、これはたいへんな問題なのであります。
 そこでお聞きをしてまいりますけれども、私は、さっき埋め立てられた漁場の面積は二万ヘクタールをこすと、ある統計によりますと、そういうのが出ておるようでありますけれども、これはさらに埋め立てが認可をされて、そういう進行の状態にあります。一体どこまで続くんだろうかという不安を持つのでありますけれども、農林省としては、このような瀬戸内の中における埋め立てについて基本的にどのように考えたらいいのか、お伺いしたいと思うんです。
#82
○政府委員(荒勝巖君) 戦後一貫いたしまして食糧増産運動ということで、相当干拓という形で埋め立てが実行されてまいりまして、これは食糧増産に通ずるという意味もございまして、農林省といたしましても、公有水面の埋め立て法に基づく免許につきまして、運輸省なり建設省にお願いをしましたような形で干拓をどんどん進めてきた次第でございます。それが多少慢性化したと言うと、ちょっと語弊がございますが、その中で、いつの間にかそれが大規模な産業開発のための埋め立て、いわゆる干拓が埋め立てという形に変わってきた中におきましても、多少惰性といいますか、そういったこともありまして、しかも、御存じのように、埋め立てと干拓が同時並行的な、同じ地区で、同じような形で進んでいる場合が非常に多くありまして、これについてはやむを得ないという姿勢できたわけでございますが、今回の、ただいま衆議院のほうで御審議中と聞き及んでおりますが、公有水面の埋め立て法の改正に際しまして、水産庁といたしましても、従来のような姿勢ではなく強い姿勢を持ちまして、他省の法案にこれほど強い注文をつけた機会は実はなかったわけでございます。それにつきまして、結局農林大臣と運輸大臣なり建設大臣との論争という形ではいろいろ問題があるということになりまして、環境庁長官の場所を持ちまして、環境庁という場所で、この問題を白黒をつけるということで、今後の大規模な埋め立てにつきましては、環境庁長官を通じて農林省に御相談がある。農林省のほうでそれについてこれが漁業に大きな被害を及ぼすかどうかの検討をさしていただきまして、そうて意見を述べて、公害防止対策が十分に行なわれるかどうか、かつまた、そこの埋め立て地に漁業にとって有害な産業が入ってくるかどうかというようなことも検討の上、返事を申し上げるというふうになったわけでございまして、従来いわゆる埋め立てにつきましては、水産庁といたしましては、およそ知らされてなかったといいますか、法律論といたしましては、何ら権限もなければ発言する場所もなかった、知らない間に埋め立てが終わっておった。あとになって漁業者が困るとかいうようなふうに私たち実態を知らされておりましたので、今後そういうことのないようにいたした次第でございます。
 さらに、都道府県知事も、あまり大きな埋め立てをするに際しましては、隣の県にまで悪影響を及ぼすような最近大型の埋め立てが進んでおりますので、当然に当該都道府県といたしましては、その問題は告示して関係県にも知らせるというように法律改正されたやに聞き及んでいる次第でございます。
#83
○工藤良平君 沿岸漁業振興法が三十八年にできまして、このときに、もちろんこの目的の中にも、また第三条の一項にも明らかにしておりますように、沿岸漁業に携わる人たちの生活の安定向上と同時に、水産資源の適正な利用と同時に、やはり汚染に対する防止対策というものが非常に強調されてきているわけであります。しかし、この振興法ができて以来、非常にそれと軌を一にしたように瀬戸内の汚染というものが急速に進んでいるように思うわけでありますが、これを見ますと、たとえば排水の量にいたしましても、驚くような倍率で汚染が進んでおります。これも後ほどわかれば数字を示していただきたいと思いますけれども、それに伴って漁業被害の件数あるいは被害額というものも年々上昇しておるようでありますが、こういう点について、一体どのように把握をしていらっしゃるか御説明いただきたいと思います。
#84
○政府委員(荒勝巖君) 瀬戸内海の公害関係につきましては、相当いろいろな形で頻度が出ておりまして、まず一番御承知なのは昨年ありました赤潮でございまして、これは要するに、都市の廃棄用水のあらゆるいろいろな形の総合的な結果ということで、具体的にいわゆる公害ということの実態のわからない原因者不明という形のものが、昨年ありましたハマチの例の大きな赤潮の被害額でございまして、この被害総額が昨年で約七十億円ぐらいになっておるんではなかろうかと、こういうようにまあ認定しておる次第でございます。
 そのほか、さにこの瀬戸内で被害の大きいのが、いわゆる油――タンカー等の沈没、衝突等によります重油被害が意外に大きな原因になっておりまして、これが都道府県別には出ておるんでございますが、トータルといたしまして、油公害が全国でございますが、四十六年で船舶によりますものが約十億円、それから工場、事業場が九百万円、それから漂油、これがまあはっきりそしてというのでございますが、約十億円というふうに油公害が出ておりまして、このうち県別には大体、非常に瀬戸内海が兵庫県あるいは愛媛県、それから福岡県というふうに油公害が多く出ておるわけでございます。ことしに入りましてからでも、もう岡山県あるいは香川県というあたりでだいぶんタンカー等の衝突によりまして油公害が出ておるわけでございます。
 さらに、次に大きな問題となりますのは、工場、事業場等の排水によります酸、アルカリの非常に強いものが出ておりますが、これはいろいろな工場の排水規制というものが強くなりまして、表面的には年々これは減ってまいりまして、たとえば昭和四十四年度には、私たちの統計では三億六千万円あったものが、四十六年には四千八百万円というふうに、これ一応の報告でございますのでわかりませんが、工場、事業場の直接漁業に及ぼす排水による悪影響というものは非常に減ってきておる。むしろ油のほうが逆に非常にふえてきておるというふうに御理解願いたいというふうに思います。
 あと埋め立て等につきましては、この埋め立て自身があまり漁業それ自身に悪影響を及ぼすとは思われないのですけれども、埋め立てに伴いまして魚の産卵場を喪失いたしまして、結局、干潟のごとき種類のものを埋め立ててしまう、その結果結局、魚の産卵地がなくなるということで、それがまたあとで干潟が、五年くらいたちますと、またある程度潮流の関係で別の場所に干潟ができるのでございますが、その間、魚の生息場所がなくなるというふうな問題がございまして、この干潟の問題について、いま水産研究所を中心といたしまして、何らかの形でそういった魚の産卵場を人工的につくる方法はないものだろうかということをいま研究している次第でございます。
#85
○工藤良平君 この瀬戸内の特に周辺が、臨海工業地帯の建設等が進められておるわけでありまして、鉄鋼あるいは非鉄金属、石油精製、こういうものを見ましても、圧倒的な生産高をこの瀬戸内で担当しているというような統計が出ておるのでありますが、そのことが結局このような瀬戸内を死の海にしつつあるということになっているのではないかと私は思っているわけです。昨年の夏、私どもは、神戸、あるいは水島、さらに岩国、そして大分の臨海工業地帯、こういう瀬戸内の周辺部の調査をやってみましても、その汚染の進行の度合いの非常に激しいことに実は驚いているわけでありまして、さっき長官からお話がありましたように、瀬戸内海の栽培漁業センターの状態は必ずしも悲観すべきものではない、非常にいい成績をあげている。しかし、それはいい成績をあげたとしても、それを実行し得る漁場がなくなってしまっては、これは私は意味をなさないというような気がするのであります。今日瀬戸内の漁業の中に占める、それでは割り合いは一体どういうことになっているのか。このままで放置していいのか、もちろん放置はできないとは思いますけれども、そういう考え方であると思いますけれども、それでは、一体瀬戸内の現在の沿岸漁業に対する割合というものは、一体どういうウエートを占めているのか、その点についてちょっとお伺いしておきたい。
#86
○政府委員(荒勝巖君) 瀬戸内海の大体、数字を計数的に持っておりませんので、うろおぼえでございますが、大体日本の沿岸漁業の、金額的にしますと、約三割くらいが瀬戸内海で水揚げされているのじゃないかと思います。しかも特に最近瀬戸内が汚染された結果でございますが、窒素が非常にふえてきたということにからみまして、ノリの栽培が非常に進んできた。従来ノリというものは、あまりきれいなところよりも、どちらかというと、東京湾がかつてそうでありましたように、わりあいにモ類は窒素が多いところで育つのでありますが、最近むしろ兵庫県あたりの、今回PCBで問題になりましたあれより、もうちょっと岡山寄りのほうでありますが、そこが、ノリの栽培ではほぼ日本一にいまやなろうとするぐらいにノリの系統が伸びてきた。そのかわり貝が非常に落ち込んできた。その結果、真珠貝なんかも瀬戸内海ではうまくいかないというふうになってきておりまして、そのかわりカタクチイワシ等のえさがありましたので、これにつきましては、ハマチの栽培というのが非常に瀬戸内海では伸びてきたというふうで、多少海水の栄養状態によりまして漁業のあり方も、多少構造的に変化を来たしておると、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#87
○工藤良平君 この問題だけであまりあれと思いますけれども、もう一つ、いまお話がございまして、確かにこのノリの栽培が非常に急速に進んでいる。統計上からもそういうことが出ているわけでありますが、いまちょっとお話がありました新しい産卵場をつくらなけりゃならぬということもおっしゃっているわけでありますが、従来まで魚の産卵場の一つの大きな場所でありましたし、またそれが魚の生息する主要な場所でありましたいわゆるモ場の確保の問題、これはかなり汚染をされて、モ場が減ってしまっているということを私ども聞くのでありますが、そういうことになると、これはやっぱり海全体の酸素量等の問題からいたしましても、問題が起こってくるのではなかろうか。いろいろな形のものがからみ合って赤潮の発生なり、そういうふうな発展をしておると思いますけれどもノリがふえる。同じモでありますけれども、実際の魚が生息をしていくモ場というものは、大体従来からいたしますと六〇%、あるいは五〇%も減ってしまっているということを私ども聞くのでありますけれども、その点について水産庁としてはどのように把握をしていらっしゃるか、御説明願いたい。
#88
○政府委員(荒勝巖君) ただいま多少触れましたように、埋め立て等によりましてモ場が喪失いたしましても、潮流の変化によりまして上流から流れ出る土砂がまたある特定の場所にやはり集積する、それが四、五年のうちに大体モ場らしくなってまいりまして、新しい魚の産卵地として育成されていく、これが自然の形にまかしておるわけでありますが、それを今回は、今後人工的といいますか、研究いたしまして積極的に人工的にそういうモ場の育成ができないものだろうか、こういうことの研究をいまやらせていただいておる。こういうふうに御理解願いたいと思います。
#89
○工藤良平君 わかりました。そういうことでぜひひとつ、これからの漁業の基礎はやはり何といいましても、私たちは、海をきれいにする、やはり漁場を確保する。こういうことが大前提でなければならないと思いますし、そういう条件を満たすことによってきわめて不均衡であるいまの漁家の生活の安定というものも確立できる。これはやはりすべての面における私は原則だと、このように考えておるわけでありまして、ぜひこれは大臣にも私さっき攻撃的なと極端なことばを使いましたけれども、やはり常に受け身ではなくて、農林省が漁業問題についてより積極的ないろいろな方策を打ち出していく。そういうことが漁場を守り、漁家の皆さんの生活の安定というものを確保できる最大の道であろうと、このように思っておるわけでありまして、この点に対する格段のひとつ大臣の御努力をお願いをいたしたいと、このように考えるわけであります。
#90
○国務大臣(櫻内義雄君) 工藤委員のおっしゃることは、ちょうどいままさにその機運になりつつあるときでございまして、私としては、公害諸法規による汚染の防止に全力を尽くし、また、その汚染源に対しての措置につきましては、通産省関係省庁との間に緊密な連絡をとりまして、いやしくも漁業を阻害するような要因をつくらない。これをまず前提にいたしまして、それから前向きな栽培漁業であるとか、大型漁礁の造成であるとか、またそのほかの金融措置であるとか、流通、加工の問題とか、そういうものに取り組みまして、これからの沿岸漁業の振興に一そう力を入れてまいりたい。もう御指摘のとおりに考える次第であります。
#91
○工藤良平君 それでは、次に水協法の問題について若干触れてみたいと思います。水産協同組合法の一部改正は、すでに四十六年に行なわれておるわけでありますが、その当時からいろいろと附帯決議がなされてまいっております。今回のこの三法の改正におきましても、やはりただ単に三法だけを改正するだけではなくて、もっと水協法そのものについて私どもが考えてみる必要があるのではないかという実は気がするのでありますが、この中で今日まで指摘をされました問題点、たとえば漁協の近代化あるいは健全な管理運営をはからなければならない。こういうことが指摘をされてきておるのでありますが、この点については、一体どのような指導とその管理運営に対する育成が行なわれてきたのか、そういう点に対してまずお聞きをいたしたいと思います。
#92
○政府委員(荒勝巖君) 漁協だけの問題といたしまして、われわれといたしましては、まず、先ほど来申し上げておりますように、合併の促進というふうなことを非常に正面に押し出してきているわけでございます。全国に二千七百近くもありまして、非常に零細な形で漁業協同組合というにはちょっとふさわしくないような、また信用事業さえも行なっていないような漁協もございまして、こういったものを合併をすることによりまして、まあ一人前の組合として漁民の信頼を得るような漁協に育ててまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、しかし、どうもその合併自身につきましては、それほどはかばかしく進んでないと、せいぜい一割程度しか合併が進んでないというようなこと等もございまして、今後さらにこの問題につきましては、合併の促進方に努力してまいりたいというのが第一点でございます。
 それからさらに第二点といたしましては、漁協自身の監査体制を高めていくというようなこと、これは非常にちょっと逆な意味では消極的な面でございますが、国なり県なりの段階におきまして、外部からの監査を定期的に行ないますとともに、内部監査体制も的確を期しまして、不正等の、あるいは不当な赤字の計上がないように指導してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
 さらに第三点といたしまして、積極的に貯蓄運動を推進することによりまして、この漁民の要望にこたえるよう、資金需要等十分にまかなえるようにこれは指導してまいりたいというふうに考えておりまして、これらの成果を踏まえた上で、今回の漁協法の改正に伴いまして、御存じのように手形なり、為替の取引ができるような道を開くことによりまして、さらに組合としての経営内容の向上あるいは漁民への貢献ということに力を尽くしてまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
#93
○工藤良平君 毎回の決議で、衆議院、参議院ともにそうなんですが、四十六年、四十七年と、この決議の中に出てきておりますのが、いま長官が御指摘いたしましたように、合併の問題がなかなかはかばかしくいかない、こういうようなお話しですけれども、そのことは毎回指摘されているわけなんですが、合併ができないという阻害要因というのはそれでは一体何だろうか。今日まで一割しかそれができなかったという阻害要因は一体何かということ、この点に対する分析はどのようになさっているわけでありますか。
#94
○政府委員(荒勝巖君) 基本的にはどうも私たち水産庁の検討でございますが、やはりそれぞれの漁協が、戦後の漁業改革ということを契機といたしまして、漁業権の管理主体になったということが、非常に大きな漁協の合併ということになりますと、問題となって出てきているわけでございます。それぞれの漁協が漁業権を持っておりますので、漁協自身が合併するに際して、それぞれの地先にあります漁業権をどういう形で合併するのか、しないのかというようなことが、この当該地先に居住しております零細な漁民の方々の十分なる説得力ができないということかもわかりませんが、どうもその漁業権問題が頭に最後までこびりついて、最終的に漁協の合併ということになると、どうも話が御破算になってしまうというのが、そういう例が非常に多いように私たち分析している次第でございます。
#95
○工藤良平君 この漁業権の問題、私は先日からときどき漁業権の問題を口に出すのでありますけれども、御承知のように、私どもの関係する地域におきましても、いろいろと漁業権をめぐります紛争が絶え間がないのでありますけれども、これは漁業権をめぐる問題というのは、非常に漁場が狭くなってきた、よごれてきた。それから起こってまいります漁業権の紛争という面もありましょうし、あるいはまた漁業権を放棄するための内部における利害相対立した考え方の相違から起こってまいります紛争、さまざまな問題があると思うんですけれども、主として現在私どもが見ている範囲では、どうも漁業権の放棄をめぐる問題で紛争を起こし、それが全体的に漁協の運営そのものにまでも影響が出てくる。このような状態が実はひんぱんに起こっておるようなんでございますけれども、こういう点について私どもは、一体基本的にどう考えたらいいのかということに悩まされるのであります。どのような指導をやったらいいのか、非常にむずかしい問題ですけれども、やはり漁業権の問題がこの合併の一つの大きな障害であり、そのことが漁業の近代化を阻害をし、生活の安定を阻害をしているとするならば、これは除去していかなければならないことだと思いますので、そういう点もう少し御説明いただきたいと思うんです。
#96
○政府委員(荒勝巖君) 最近、工業都市化の推移に伴いまして埋め立てが相当日本じゅうで、各地で進行、あるいは計画が持たれておるのでございまして、それに伴いまして漁業権の問題なり、漁業協同組合内部の紛争といいますか、内部対立というものが非常に頻発しておる次第でございます。それらにつきまして相当各県なり、各方面から御相談にあずかっておるわけでございますが、私の見ているところによりますと、やはり、どうも当該漁業の地先周辺におきまして、専業漁家の方はやはり漁業権を死守したいという気持ちが非常に強い。それに対しまして、兼業漁家の方々は、どちらかというと、もう年も召されたというような方もありまして、この際、漁業権をある程度の、要望する程度の金額で手放すことによって、あと老後の安定を得たいというふうな方と二つに分かれまして、これが一つの紛争の原因になっているんじゃなかろうか、基本的にはどうもそういうふうに見ざるを得ないと私は見ておるわけでございます。
 漁業権を死守したいと言われる方につきましては、これは漁業として生涯さらに将来にわたって漁業を営みたいというお気持ちは十分私のほうもわかりますので、これはこれなりに当然のことだと、こう思っておるわけでございますが、問題は、その兼業漁家の方を中心といたしまして、この漁業を手放したいという方と、それから埋め立てをしたい、あるいはその漁業権を実質的に買い取りたいというふうな話になってまいりますと、これはやはり話し合いで、手放される漁家の方の納得の得られる金額なり方向でやっていただきたい。ただ、私どもの立場からしますれば、その単なる埋め立てが、その周辺の漁民に対して重大な悪影響を及ぼすというふうな埋め立ての場合につきましては、私のほうなりにそれぞれ意見を申し上げて、都道府県知事の善処方を強く要望している次第でございますが、往々にして、だんだんと話が白熱化しますと、少し刺激的になって紛争が起こっているようでございます。
 私たちといたしましては、やはり地元漁民の納得のいく方向で、ということを強く要望しておりますし、また、漁民の方にも、漁業権を持っているのはあなたたちなんだから、その点よく腹をきめて内部で相談していただきたい、こういうふうに申し上げておりまして、不当にこの漁業権を取り立ててしまうということは、現在の漁業法の立場からいたしまして、それはできないことになっておりますので、これはそういう線で指導している次第でございます。
#97
○工藤良平君 大体時間も、私の持ち時間も参ったようでありますので、ここら辺で集約をしたいと思いますが、さっき午後の初めですか、問題が出ました水揚げの特定地域集中の問題があります。それと今回の法改正の問題で、為替取引の関係等についても充実をしなきゃならぬということになっておるわけでありますが、それと同時に、やはり今回は漁港法の改正によりまして、新たにこれからの五カ年間にかなり思い切った漁港の整備をやるということが決定を見ているわけでありますが、それと同時に、また現在の水揚げ地における仕向け先別の統計を見ますと、生鮮食品として出すよりも、むしろ近ごろでは、加工部門が非常に増加の傾向にある。このような統計が実は出ておるようでございますけれども、この点については、漁港整備とあわせながら加工設備に対する近代化の問題なり、あるいはその他諸施設の充実ということも当然重要な課題になってくるだろう、このように思うのでありますが、そのような施設を強化することによって、漁家の皆さんの貯金率も高まるだろうし、あるいは有効に近代化のために自分たちの金も使える、こういう状況も出てくるのではないか、このように思うのでありますが、その点に対する水産庁の考え方をお伺いをしておきたいと思います。
#98
○政府委員(荒勝巖君) 先般御審議願いました第五次漁港整備計画に際しまして、われわれといたしましてはあくまでやはり漁船の出入りがより大型化し、また安全性のために漁港の基本的な設備を拡充していくということを第一にあげておるわけでございますが、さらに最近の情勢からいたしますと、単なる堤防等の拡充強化のみならず、この漁港の近代化という観点からいたしますと、この機能設備というのがやはり大事でございますので、当然に基本設備のほか機能設備もこれを今回つけ加えまして、来年度以降の機能設備の整備につきましては、予算上大いに配慮してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
 問題はさらにただいま御指摘のように、加工利用設備等の背後地の問題でございまして、従来の大型の漁港におきましては、戦前から戦後の一時期までは大量に魚がとれました場合に、これをほとんど魚かすという形で肥料なり飼料に多少回すというふうな形で処理してまいったのでございますが、この重大な国民のたん白資源の魚をそういうふうにするよりも、もっと有効な、人間が直接消費する形態としまして、いろいろな加工用の魚を今後整備していきたいということで、加工設備の増大が強く特に大型漁港におきましては要望されてまいりまして、それらにつきましては加工設備の強化ということで、われわれといたしましては、当然に予算上この水産物の流通加工センター形成事業という形で、沿岸漁業の漁民の揚げてくる魚を何らかの形で加工して、売り上げ代金の収益をあげていくという方向で今後指導してまいりたい、ということで、これはすでに着手しまして、今後大々的にやっていきたい、推進してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
 なお、その関係で、当然に機能設備のほかに漁港の整備に伴いまして、背後地を拡充整備しなければならないという問題が出てきておりまして、それらにつきまして用地造成等を含めまして漁港の予算、漁港の整備計画を策定し、あるいは査定する際に十分織り込んで指導している、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#99
○工藤良平君 時間が参りましたからこの辺で終わりたいと思いますけれども、先ほどから私、国際的に見た日本のこれからの漁業の問題なりあるいは非常によごされている沿岸漁業というものについて見切りをつけるべきか、しかし、あるいはさらに、改善をしながらたん白資源の確保という意味において、あるいは、りっぱな漁場を今日まで保ってきているわけでありますから、それを、よりいい条件をつくり出すという最大の努力をより積極的に進めていかなければならぬ努力がいま私どもに課せられておる。こういう議論を進めてまいったわけでありますが、せっかくとれました漁獲物が荷役作業や、あるいは処理、保管、あるいは荷さばき等のいろいろな混乱から、それが国民の食ぜんに供される前に鮮度を落とし、あるいはそのことが漁家の皆さんの収入に非常に大きな影響を及ぼす、こういうことがあっては全く生産したもののたいへん大きなロスになるわけでありますから、そういう点につきましては、いま長官お話しのように、万全の対策をとってもらうということが必要であろう、こういうように思うわけでありまして、そういう背景の上に、十分な体制を整えた上に、やはり私は、金融というものが今回の改正のような形でより強化をされ、充実をされていくということがたてまえでなければならない、このように思います。
 内容につきましては、前回、金融四法の際にも議論をしてまいりましたし、そう大同小異はないわけであります。要は、やはり、漁業の場合には、その基礎的条件を、どのようにして強化をしていくかということのほうが私は、より重要ではないだろうかというような気がいたしましたので、内容に触れる、より以上にこの問題を重要視いたしまして議論を進めてまいったわけでありまして、まだまだ私ども自身としても検討しなければならぬ事項がたくさんあると思いますけれども、事はたいへん重要でございますので、この時点に立ちまして、汚染魚で不安定な状態が出てきているときだけに、農林省のこれからのより積極的な対策というものを私は重ね重ねお願いを申し上げ、最後に大臣の決意のほどを伺いまして、質問を終わりたいと思います。
#100
○国務大臣(櫻内義雄君) 遠洋漁業の問題、また沿岸漁業の問題について、るる御所見を交えての御質問をちょうだいしたわけでございます。私も、先ほどもお答えをいたしましたように、公害によってわが国の沿岸漁業が汚染をされておる、また海洋漁業において国際的な制約も次第にきびしくなってきておる。そういうふうに、水産業を取り巻く環境は必ずしもよくない。こういう際に、漁業を大いに振興するということについては、一段の努力が必要だと思いまするが、しかし、また同時に、現在の高度成長経済に対する批判からいたしまして、また、日本の国際的な経済上の立場からして、各国からの批判にこたえる上におきましても、漁業や農業というものが特に見直される重要な時期に来ておる。このような認識のもとに、一そう漁業の上に、特に御指摘のございました沿岸漁業に力を入れてまいりたいと思います。
#101
○塩出啓典君 それでは、この三つの法律案の審議の前に、私は現在の漁業危機に対する水産庁の長官としての考え方を少しただしておきたいと思うのであります。
 先ほど、午前中、午後にわたっていろいろ話がありましたように、国際的な環境もこれは当然非常にきびしくなってくる。そしてまた一方、とる魚からつくる魚へ移る。こういう方向はわかるにしても、いずれにしても、しかし、つくる魚をつくるにしても、海の汚染というものが防がれなければ、これはつくる魚もできないわけです。ところが、海の汚染は非常に進んでおるわけですね。言うなれば、これは国民にとっては重大な、大問題だと思うのです。そういう問題について、私は、もう全く水産庁の姿勢というのは非常に消極的であり、もっともっと漁業の危機を国民に訴え、そうしてこの汚染を守るには一農林省、一水産庁ではできる問題ではないわけでありまして、田中内閣のそういう姿勢そのものを変えていかなければいけないんじゃないかと思うんです。
 私は、瀬戸内海の沿岸に生まれて、いまも沿岸に住んでいるわけですけれども、先ほども話がありましたように、年々赤潮は増大をしておる。先般、公害立法ができましたけれども、赤潮の発生件数、それによる被害金額、そういうものはどんどんふえているわけなんですけれども、そういう中で、ただ、この委員会で水産の危機を唱えるだけではだめなんであって、ほんとうにあらゆる面において内閣の姿勢というものを正していかなければいけない。そういう点で、私は、水産庁としても、もっともっと声を大にして、工場排水の規制にしても、あるいは監視体制にしても――実際は水産庁にはその権限はないわけですね。海上保安庁なり、あるいは通産省なり環境庁がもっともっとこれは動いてくれなければいけないと思うわけでありますが、そういう点について水産庁の長官としてはどう考えているのか。われわれの感じから見ると、ちょっとのんびりし過ぎているんじゃないか、ほかの庁省にちょっと遠慮し過ぎているんじゃないか、もっとあばれてもらいたい。そういう気持ちなんですけれども、そういう点どう考えていますか。
#102
○政府委員(荒勝巖君) 日本の大事な国民たん白資源であります魚のうち、特に国民の常食として国民に好まれております魚が日本の沿岸周辺でとれておりますことは、もうすでに御承知のとおりでございます。この二百五十万トン前後のいわゆる国民の常食の魚を、いかにして守り、また、いかにして繁栄させるかということが水産庁に課せられた重大な任務の一つであることにつきましては、私も十分にそれは存じておる次第でございます。単に沿岸漁業振興ということで、従来はいろいろな形で一種の構造改善事業的な振興対策を打ち出しまして、予算を使いまして振興してきた次第でございますが、やはり基本的に、最近におきます公害問題といいますか、産業の発展の中におきまして、問題は、公害対策を十全に行なわない限り沿岸漁業の振興というものはあり得ないというふうに私自身考えている次第でございます。もっと端的に申し上げるならば、公害対策とこの沿岸漁業の振興対策とはうらはらで、二つのものではない、同一物である。これを、公害対策を十分やればおのずから沿岸漁業の振興もできますし、沿岸漁業の振興をはかるならば、公害対策を片づけることによって十分に振興できると、こういうふうに私自身考えておりまして、今後、公害対策につきましては最善、最大の努力を払いまして、この問題に対処してまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
#103
○塩出啓典君 そこで、端的に聞きますが、あなたは水産庁の長官として――瀬戸内海ですね、これは。瀬戸内海は私の地元だから言うわけじゃない、一つの例としてあげるわけですけれども。瀬戸内海は、御存じのように、赤潮が発生をしているわけですね。今回、水銀やPCBの問題もありました。やはり長期的に見た場合に、瀬戸内海は、はたして魚が住めるのかどうか、今後。あなたは、やはり漁民を守るために、また国民の重要なたん白源を確保するために瀬戸内海は魚の住めないような死の運河には絶対にならないと、そう言う自信がございますか、いまのような行政の体制でですよ。それをちょっと聞いておきたいと思うんですよ。
#104
○政府委員(荒勝巖君) 長官としてお答えするのは、はなはだこの場所柄おかしいかとも思いますが、私も瀬戸内海の生まれで、あそこで育ちまして、問題のPCBが出ました高砂沖の地先で育った一人でございまして、はなはだ私自身、私の幼いときの海が汚染されていることにつきましては、個人的な憤慨さえ実はしている次第でございます。つきましては、私自身、この瀬戸内海の今後の漁業のあり方につきましても、私として、悲願に近い形で瀬戸内海の漁業はさらに今後とも繁栄さしていきたいというつもりでおるわけでございます。
 ただ、現状で申し上げますと、世間で言われるほど魚の漁獲量が減っているわけではないと。いまにして、この瀬戸内海の海を浄化せぬならば、今後さらに瀬戸内海の漁業は決して繁栄することはできぬというふうに私自身考えている次第でございます。今回のPCB汚染あるいは水銀汚染でテレビ等で拝見さしていただきましても、やはり相当りっぱな高級魚が大量にやはり捕獲されまして、コンクリートとともに、処分されているというふうに御理解願いまして、ああいうふうにまだ魚がおるんだということは、ひとつ十分に御判断願いたいと思います。御存じのように、私たち、統計的に見ますと、やはり高級魚につきましては、多少乱獲的な傾向もございまして、まあ公害によります被害もあるとは思いますけれども、むしろどちらかといいますと、タイとか、あるいはスズキとか、あるいはその他の高級魚につきましては、やはり多少乱獲の結果ああいうふうに減ってきておりまして、一方、いわゆるカタクチイワシなり、ウルメなり、あるいは場合によりましてはコウナゴといったふうな雑魚といいますか、下魚のほうはむしろふえておるというふうに私たち見ておりまして、今後、瀬戸内海の総漁獲量を高級魚を中心としまして何とかして切りかえていきたい、そのためにはこれ以上水を汚染してはならない。で、環境庁とも打ち合わせいたしておりますが、現在の水質規制なり、まあ工場排水規制を今後さらに一段と強化するならば、瀬戸内海の水も十年後にはおおむねさらにきれいになるであろうというふうな環境庁のほうのお考え方もあるようでございまして、ぜひともそういう線で実現できるように私自身努力してまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#105
○塩出啓典君 まあ私は、もちろん今回PCBの問題、水銀のことが問題になりました。これも確かに重要な問題だと思いますが、長期的に見た場合には、水銀とかPCBというのは、これが発生源というのは限られておりますから、これを厳重にしていけば、現在の技術をフルに活用し、企業がモラルを改めていくならば、これは解決できると思うんです。
 しかし一番問題は、やはりいわゆる窒素や燐がだんだん瀬戸内海は高くなっている。先般までは瀬戸内海に屎尿を捨てておった。これを一応禁止をして、どんどんまあ今後下水処理が整備されていく。しかし、現在の下水処理の技術では、窒素や燐は海に流れていくわけですね。そうして、先ほど話がありましたように、瀬戸内海の窒素の量というのが、もう十年前に比べて十倍ぐらいに高くなっている。それでいまはノリができよるですけれども、これが過ぎていくと、ノリもできなくなる。それと、窒素や燐というものが赤潮の原因になっている。そういうことで、赤潮の発生件数というのは年々ふえてきているわけですね。この延長線をいくならば、これはもう当然、昨年のハマチではございませんけれども、ほかの魚もそういうプランクトンの異常発生によってこれは死滅していくと、そういう危険性は非常にあるわけなんですね。そのためには、やはり工場の排水というものを規制していかなきゃいかぬわけでありますが、この漁業白書を見ましても、そういう水質汚濁の対策としては、まあ現行の公害法令を適用するとか、そういうようなことを言っておりますけれども、なかなか法律はあっても、法律どおり監視体制が、非常に弱いわけですね、やっぱり。そういう点で、これは私は農林大臣に、田中内閣の閣僚としてお聞きしたいと思うんですけれども、大体企業の排水口なんというのは、この前も言ったように、しょっちゅう海の底のもあれば、潮が引いているときは水の上に出ているけれども、満ちてくると水の底にある。そういうところは何を流してもこれはわからぬわけであります。それを監視する各県のそういう監視体制も、いわゆる夜間の抜き打ち検査なんてなかなかできる体制にないわけですね。そういう定員は非常に少ないわけですよ。ところが、そういう監視体制の定員等はあまりふやさぬで、今度の、この間衆議院においては防衛二法を強行採決をして、自衛隊は三万人も欠員があるのに六千九百八十八名もふやすと、こういうことは、もちろん自衛隊も少ないよりはふやすほうがいいにはいいかもしれませんけれどもね。そういうことよりも魚が食えなくなるということから国民を守るためにも、たとえば工場排水の監視体制を強化するとか、そういう方面の定員をふやしたり、あるいはタンカーのたれ流し――瀬戸内海はもうタンカーがどんどん入ってきてたれ流しするために漁業被害もふえておる。そういう方面のやはり定員をふやすなり、まあそういう点がちょっと私は現在の内閣の姿勢は本末転倒しているんじゃないかと、こういうことをもっともっと農林大臣が、田中内閣の閣僚の一員としてやってもらわなければ、それが農林大臣のつとめであり、それをやってもうわぬことには、ほんとうに瀬戸内海の魚は食えなくなるんじゃないか、私はそういうことを非常に憂えておるわけなんでありますが、農林大臣はそういう点、どう考えておりますか。
#106
○国務大臣(櫻内義雄君) 公害防止に対する具体的な御所見を賜わったわけでございます。きょうも公害対策閣僚会議がございまして、たまたま環境庁長官が夜間の排水の問題についても触れられておりました。当面責任の衝にある三木長官が十分な認識をもって対処されておることは間違いのないところでございまして、私もまた、水産業を守る上におきまして、それを阻害するもろもろの原因につきましては徹底的に対応策をいたさなきゃならない大きな責任を持っておるわけでございまして、ただいまの御指摘のとおりに考えておる次第でございまして、船舶の航行あるいは工場の排水、それに伴う海洋の汚染につきましては、従来よりも一そう監視体制を強化するということについては異存がございませんし、私もまた推進をしてまいりたいと思います。
#107
○塩出啓典君 最後に、先般からいわゆるタンカーのたれ流しによる被害、加害者がはっきりわかっている場合は別としても、いわゆる加害者のわからない、そういう問題ですね。先般の島根県の油もこれは加害者がわからなかったわけでありますが、そのときにも、やはりそういう原因不明者に対する補償として、たとえば漁業被害を救済する基金のようなものをつくって、まあ各タンカーがその基金の金を出す。そして原因がわからぬときには、これはタンカーの所有者全体の責任としてその被害を救済する。そういうことであれば、隣のタンカーが、たれ流しをしておって、それが見つからなくて被害を受けた場合には、全体で責任を持つわけですから、たれ流しをしていないこっちのタンカーも損するわけですからね。そういうことでは、監視体制を強めて、お互いにひとつ業界としてモラルを高揚しやっていこうじゃないかと、そういうことで、この被害者の救済基金制度のようなものを考えるべきではないか。まあこれについては、たしか水産庁長官も検討しているというお話だったんですけれどもね、これはもうひとつ、いつできるのか、もうだいぶ検討進んでいるのかどうか。その点ちょっと伺っておきたい。
#108
○政府委員(荒勝巖君) 実は私といたしまして、この問題につきましては、四十九年度の一つの予算といたしまして、制度論としましてこの問題を仕組みたいということで、現在検討さしていただいておりまして、これは水産庁のみでない、運輸省も含めまして検討さしていただきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
 いろいろな公害がございますが、このうち特に瀬戸内海を中心としました公害の中で重油によります公害だけが非常に頻度がますますふえてきて、これがしかも衝突というふうな形での被害でございまして、これはほんとうに過失によります公害といいますか、もうこれは原因がはっきりしている場合が多いので、こういったものについて、瀬戸内海の特に海面の浄化ということではこの油公害を何とか処理したい。これが一番いまのところ激しく端的に被害という形で出てきておりますので、私といたしましては、この問題には相当正面から取り組んでまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#109
○塩出啓典君 それでは最初に漁船積荷保険臨時措置法ですね、これについてちょっと二、三お聞きしたいと思うんでありますが、これは試験的に、そういう船に積んでいるものについての保険制度をやると、そういうような趣旨のようでありますが、そこでちょっとその前にお聞きしておきたいと思うのですが、いわゆるそういう保険をかける目的というのは、船がいろいろ事故を起こして船が沈没する。そうすると積んでいる魚もだめになっちゃう。そういうわけでこの保険制度を考えたんじゃないかと思うんです。それで、いわゆる航海中の船の事故でございますけれども、これを見ますと、船の被害の件数というのはあまり減っておらぬわけですね。マグロはえなわで損害を受けた隻数は四十二年七百四十九隻、四十三年八百十隻、四十四年八百八十四隻と、こういうように年々災害はふえておる。私は、保険を考えるのもそれは大事かもしれぬけれども、まず第一に、そういう保険なんかをもらわなくて済むように、事故のないようにやはり対策を立てていくのがより根本的な問題じゃないかと思うんですけれども。そういう点で、事故があまり減ってないわけですけれども、こういう点についてはどう考えているのか。やはり水産庁としては漁船の事故を少なくするためには、どういう対策を今後考えていくのか、それをちょっと伺っておきたいと思います。
#110
○政府委員(荒勝巖君) 水産庁といたしまして、特に沿岸でございますが、沿岸につきましては、漁獲努力をふやさない範囲内において、漁船の安全性のためにトン数増等の処置は講じてきておる次第でございまして、また遠洋漁業につきましても同様に、この安全性の強化と、それから中に乗り組みます漁船員の居住性をよくするというような観点から大船建造に際しましては、トン数増の方式を認めておりまして、年々この漁船の設計、指導に当たりましても、安定性を中心といたしまして指導している次第でございます。しかしながら、その安定性のある漁船の建造許可をいたしますればいたしますほど、逆に多少いままで日帰りでおられた沿岸漁船は、遠出しまして二日、三日遠洋へ出て――遠洋とまでいきませんが、沖合いまで行く。沖合いの許可をした人は、逆に一月近くも遠洋まで行ってしまうというようなことで、どうも日本の漁民の持つ非常なたくましさというものが、結果的にはそれが多少被害につながってきているんではなかろうかと、こう思います。
 それから、漁船が沈没等した場合の例は、やはり中心は台風と、しけにあっての被害が一番大きい。その次が火災でございますが、これは海の上で火災ということはどうも私にもまだ十分わからない面もございますが、やはり丸焼けになって相当沈没する場合も多い。接触してという場合は、非常に少ないんでございますが、大体基本的には大きな被害の中心がその点でございますが、今後そういった無理のない、どうも無理した結果、そういう被害が出ておりますので、われわれといたしましても無理のない漁労形態になるよう今後とも十分に船の安全性とともに、従事者の安全性も確保してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#111
○塩出啓典君 この法律が適用を受ける漁船は千トン未満となっておりますが、これはどういうわけで千トン未満になっておるんですか。
#112
○政府委員(荒勝巖君) この漁船保険で、国がこういう法律をもって制度的に仕組んだものでございますので、いわゆる本来この法律ができました趣旨なり、目的等の経緯からかんがみますと、零細な漁船の方々を保護といいますか、助成するということでできておりまして、法律的に千トン以上のものはこれは大型漁業者の持っておられる漁船でございますので、これは一般のいわゆる会社の保険事業のほうでやっていただいたらいいのではなかろうかということで、千トン以上はお引き受けしない。それから、またさらにこまかい点でございますが、千トンから百トンまでの間はこれはお引き受けはするけれども、国庫負担の対象とはいたさない。百トン以下の船についてのみ国庫負担の助成の対象になっているということにしておりまして、零細な漁民の分について、その分だけ保険料が安くなっている、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#113
○塩出啓典君 つまり漁船に積載する漁獲物その他農林省令で定めるものについて保険の適用があるということですが、それでは、今回農林省令では大体何と何をきめる予定なのか。
#114
○政府委員(荒勝巖君) 今回の積荷保険の問題でございますが、従来の漁業形態からいたしますと、まあマグロ船なんかでも、そんなに長期間海外に行かなかったわけでございますが、最近は十カ月にも及びます航海をいたしまして、それで漁獲物を満載して帰ってくるというふうな形の漁労の形態になってきているわけでございます。これが、いいことか、悪いことかは、なかなか問題は分かれるところでございますが、実質的に平均九カ月というふうに、遠洋マグロ船なんかはいまいわれているわけでございますが、その結果持って帰ります漁獲物が、非常に金額的に高くなりまして、いいマグロを漁獲した場合におきましては、一航海帰りますと三億円、四億円という漁獲物を持って帰るわけでございまして、これは一たび途中で、しけ等にあいまして一船ごと沈没等いたしますと、乗組員の問題もたいへんでございますが、漁船には保険金がついている。ところが、いままでは漁獲物には何もなかった。それで漁船代よりもむしろ漁獲物のほうで当該企業は破産してしまうというような問題もございますので、まず漁獲物を対象の一つに取り上げた次第でございます。
 それどころか、また出発に際しまして相当な重油も積み込みますし、また、人間の食料品も、約数カ月に及ぶ食料品を満載していくというようなことで、乗組員の食料というものと、それからその当該マグロ船なり漁船が積んでまいります、えさでございます。いわゆる釣りのときに必要なえさも、安いえさだと、やはりどうも漁獲物のできがよくないということで、場合によりましたら、活魚さえ持って行く場合もございまして、そういった形で非常にえさ代も高くなってきている。そういったものをこの法律が通過した暁、政令で対象にいたしたい。こういうふうに考えておる次第でございます。
#115
○塩出啓典君 そうしますと、これはもう千トン以下の船であれば、いわゆる無動力船のようなものでも、そんなのは、ちょっとそのあたりへ行って帰ってくるのだから保険かけないかもしれませんけれども、保険をかけようと思えばそれは適用を受ける。もちろんあとでお聞きしますように、指定組合ですか、指定組合の組合員でなければならぬわけでありますが。それを別とすれば、それはだれでもこの保険に入ることができると、そういうふうに考えていいわけですか。
#116
○政府委員(荒勝巖君) 制度論といたしましては、漁船でありますれば、だれでも加入できるというふうに御理解願いたいと思います。ただ、ただいま御指摘のように、指定組合外の場合におきましては、この臨時措置法の実験実施の間だけはちょっとあるいは御遠慮していただくことになるかもわかりませんけれども、本格実施の場合には、その問題も含めて検討させていただきたい、こういうふうに思っております。
#117
○塩出啓典君 この漁船保険組合が全国で五十何ぼかあるようでありますが、それでその漁船保険組合が、いわゆる農林大臣に申請をして、そして認可を受けなければ――認可を受けて指定組合になる。その指定組合員であるということが条件ですね。その場合に、予想としては全国の漁船保険組合が全部申請をするのかどうか、そのあたり、その認可の基準というのは一体何で――申請があれば全部認可するのか、あるいはこの組合一つだめなら認可しないのか、そのあたりはどういうようになる予定ですか。
#118
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘のように、これは大体さしあたりの実験実施の段階におきましては、希望によりまして指定組合を指定してまいりたいと思っておりますが、大体推定では、いまのところ、いろんな情報等、事前折衝の段階では、約半数ぐらいが、さしあたりこの積み荷保険の仕事を引き受けたいという御希望のようでございます。
#119
○塩出啓典君 そうしますと、これ漁船保険組合としては非常に事務量もふえてくると思うんですね。やっぱりそういうのがふえてくるわけですから。そしてこれをさらに再保険すると、一部は漁船保険組合も保険を持たにゃいかぬわけですね、結局。それがたしか一割ですか。そうなってきますと、そういう漁船保険組合の経営状態というものがしっかりしていなければ困るわけですけれどもね。そういった点で認可の基準というのは、現行の漁船保険組合の経営状態とか、その能力、こういうものを見てやはり認可すると、こういうふうに考えていいわけですか。
#120
○政府委員(荒勝巖君) 漁船保険組合の経営内容自身は、そんなに悪くないので、だれでも御希望になれば、われわれといたしましては指導してまいりたいと、こういうふうに考えておりますけれども、漁労の実態で、さしあたり漁種をある程度指定しております――漁船の種類ですか、漁労の種類を。したがいまして、当該漁労のない県はある程度今回は見送られるというふうになるんではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#121
○塩出啓典君 それで、大体こういう制度ができても、入る人もおれば、入らぬ人もいると思うんですけれどもね。やっぱりある程度入ってくれなければ、保険も成り立たぬのじゃないかと思うんですけれどもね。そういう点は、この制度が実施されれば、大体どの程度加入するであろうかと、そういうような予想はどう考えているのですか。
#122
○政府委員(荒勝巖君) 従来から、民間の保険のほうで、こういった積み荷保険につきまして実際上、一漁期ごとの保険事業を、進んで引き受けておられたようでございます。それが今回この法律を出さしていただき、国会の御承認をいただけそうだというふうなことで、保険会社のほうが、逆に客引きといいますか、顧客引き取りのためにいろいろな条件をさらに緩和したようでございまして、われわれといたしまして、この法律が成立いたしましたら、いまのところ、八百三十前後が当該その漁種に基づきまして加入されるんではなかろうかと、こういうふうに見ている次第でございます。
#123
○塩出啓典君 それで、いわゆる民間の保険が、いまお話がありましたように、かなり条件を緩和してそうしてやっておると、そうすると、それと競合するわけですね。この調査室からもらいました資料を見ますと、保険料率等において、かなり差がありまして、むしろ民間保険のほうが安いのもあるわけですけれどもね。そういう点で両方そのあたりの関係がどうなるのか。やっぱりいいところだけ民間保険のほうにとられちゃって、こっちのほうは割りの悪いやつばかり引き受けると、そういう結果になる心配はないのか。その点はどうなんですか。
#124
○政府委員(荒勝巖君) 保険料率等につきましては、これからきめさしていただくわけでございますが、決して民間よりも高い料率という形できめる気は毛頭ございませんので、たぶん民間と正当な形で、あるいは競争関係になるかとも思いますが、われわれといたしまして、従来の漁船保険自身も、御存じのように、民間との競合関係にございますが、相当、漁船保険関係の仕事も保険協会のほうで引き取っておるところをみますと、民間との競争にも十分耐え得るんではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#125
○塩出啓典君 それでこの表を見ますと、漁業協同組合には加入あっせんの謝金というものを、これを出すと。これはおそらく漁業協同組合がそういう事務の取り扱いをするために、そのいわゆる事務費を出すということではないかと思うのですけれどもね。それはやはり妥当な金額であるかどうか、こういう金額が少ないために、漁業組合の経営状態を圧迫するとか、そういうことがあってはいけないと思いますが、そういう点は心配ないのかどうか、その点はどうなんですか。
#126
○政府委員(荒勝巖君) わずかではございますが、加入につきまして、あっせんされるたびに一隻当たり、一件ごとに五百円の事務費といいますか、謝金みたいなものを出しておりますが、決してこういう積み荷保険事業を引き受けられることによって、事務費の増高によります経営の圧迫化ということは、およそないのではなかろうかと、こういうふうに見ている次第でございます。
#127
○塩出啓典君 これは試験的にやって、今後拡大をしていくと、そういう方向にあると思うのですけれども、五年間が試験期間だということですが、これは五年というのは、どういうわけで五年にしたのですか。
#128
○政府委員(荒勝巖君) 今回初めて私のほうで指導して実行するのでございまして、データをとるために、やはり五年ぐらいの予備期間が必要ではなかろうかということで――これは五年もとらないで、三年でいいじゃないかという御指摘があれば、そういうことも一つの御意見として承っておきますが、われわれといたしましては、ほかの果樹保険等につきましても、何か五年間とかで、政府部内では実験実施期間は大体五年ぐらいというふうに何となくきまっておるようでございまして、それを採択させていただいたと。しかし、私たちとしまして、データ等が整備できますれば、何もあえて五年にこだわる気もございませんので、場合によりましたら、早目にきめさせていただくこともあり得るものと御理解願いたいと思います。
#129
○塩出啓典君 こういう指定保険組合以外の組合員ですね、その人たちは結局入れないわけですけれどもね。やっぱりいいものであれば、そういう人たちも早く入れるような方法を考えたほうがいいじゃないかと思います。それは別にそういう方法は考えていないですか。
#130
○政府委員(荒勝巖君) 今回まあ漁種別に実験のためにそういう漁種を指定しておりますが、その指定の結果、そういう当該漁種がなければ、ほとんどやることがないということで、指定組合にならないわけでございますが、そういう漁船の所有者なり船主がどうしてもやっぱり加入したいという御希望がありますれば、われわれといたしましては、先ほど申し上げましたように、指定組合を別に法律で指定しているわけでもございませんので、弾力的にこの問題は対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
#131
○塩出啓典君 漁種の指定は、最初は何と何を指定するんですか。
#132
○政府委員(荒勝巖君) マグロはえなわ漁業が一つ、それからカツオ一本釣り、それから中型サケ・マス流し網漁業、それから遠洋底びき網漁業――これは北転船でございます。それから北洋はえなわ刺し網漁業、それから沖合い底びき網漁業、それからまき網の運搬船でございます。それからイカ釣り以西をさらに含んでおります。
#133
○塩出啓典君 まあたくさんほかにも漁種があると思うんですが、こういうものをやっぱり試験的に選んだという理由は何かありますか。
#134
○政府委員(荒勝巖君) 一応こういった漁種につきまして料率があらかじめ多少わかりかけておるということでございます。これは多少民間の保険のほうにも一部先に入ったりされておりまして、さらに漁業はやはり漁獲物満載のあとの損害も多少例としてございますので、この問題から先に入っていく、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#135
○塩出啓典君 これは、やはりわれわれの意向としては、それがほんとうに漁民のためになるものであるならば、早急にやはり試験実施をして、そして漁種のワクも拡大すると、それからまた、その他ほかの船に積み込む資材等についてもこれをワクを拡大していくと、そういう方向で検討してもらいたい。これはいわゆる政令で指定するわけですから、法律はこの法律のままで、五年を待たずして、たとえば二年後にはこれをふやすとか、そういうことは政令でできるんじゃないかと思うんですね。そういう点で、やっぱり漁民の皆さんの要望にこたえて、よりワクを――やってみて、その結果によってはワクを拡大していくべきであると、そう思うわけですけれども、その点はどう考えておられますか。
#136
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘のとおり私たちも考えておる次第でございます。
#137
○塩出啓典君 それから、漁船保険とそれからいわゆる今回の保険ですね、これは同じ一つの船でありながら別々にかけにゃいかぬわけですね。そういう点では非常にややこしい点もあると思うんですね。だから、これを一本化をして――やっぱりいろいろたくさん保険の種類がありますけれども、われわれもなかなかややこしくてわからないんですけれども、おそらく漁民の人もわかりにくいんじゃないかと思うんですよ。そういう点でできるだけ簡素化する意味においてそういうようなのを一本化するとか、そういうことを考えていないのかどうか。
#138
○政府委員(荒勝巖君) 実験期間を終えてから、その問題についても本格実施の際にはあるいは検討さしていただくことになるかとも思いますが、今回出しました法律案の検討会の段階で、まあ研究会におきまして、一応切り離してやるべきであるという御見解をいただきましたので、こういう漁船自身の保険と積み荷の保険とを別建てにさしていただいたと、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#139
○塩出啓典君 それで、船が出ていって海の上で事故が起きた場合に、実際にその船にどれだけの魚を積んでおったかということは、これはわからぬわけですね、結局。まあ積んでいる人はわかるかもしれませんけれどもね。船が全く沈んでしまったと、そういうときに、まあ民間の保険では、保険金額を全額を、これを払う、こういうようにもらった資料には書いていると思うんですけれども。ところが今回のこの法律では損害額をてん補すると、だから、保険はまあたとえば一億の保険に入ったと、実際に船に積んだのは八百万だったと、それで船が沈んだ場合には、これはおそらく八百万しかしないと、そういうことじゃないかと思うんですね。そうすると、そういったのをいわゆる監査――査定というんですかね、火災保険なんかの場合でも、これはいろいろ査定をしたり、やっぱりすると思うんですけれども、その査定なんというのは非常にむずかしい問題じゃないかと思うんですけれども、こういう点は、こういう体制というんですかね、それはどういうぐあいになっているんですか。
#140
○政府委員(荒勝巖君) まず全額か、その保険の契約金額かという御質問でございますが、私たちのほうも、これは民間でやっておられることも十分に検討の上、こういう制度をつくらしていただきましたので、民間とその辺は大差なくて、民間も同様にまあ実質損害額で保険金を支払っておられるのではなかろうかと、こういうふうに理解しておる次第でございます。
 それから第二点の、この確認はどうかということでございますが、御存じのように、こういった漁種は全部無線を積んでおりまして、しかもどんな沖合い、大西洋で働いておりましても、毎日の漁獲日報というものは入っておりまして、この点につきましては、まあマグロ本日二十頭とか、きのう十五頭とかいうふうに、この報告は正確なものでございまして、この点について、ほとんど事故はないというふうに、私たち理解している次第でございます。また、最近約二十年近い漁船保険の実行状況の中でも、戦後の一時期におきましては、まあモラルの問題として混乱いたしておりましたが、最近の漁船保険事業の面から見ますと、会計検査的に批難を受けるようなことはおよそ皆無でございまして、非常に漁民の方々のモラルといいますか、道徳は非常に発達してこられておりますので、そういった漁獲物についての、あいまいな報告というものはおよそあり得ないというふうに私たち理解しておりますし、また、無線で船長なり漁労長から本社の社長なり所有者にうその報告があるとは私たち見ていない次第でございます。
#141
○塩出啓典君 そうしますと、魚をとる場合には、ほかの魚も網にひっかかってくると思うんですね。そうすると、そういう指定の魚以外の魚は結局積んでおってもこれはだめだと、そういうことになるわけですね、これは。
#142
○政府委員(荒勝巖君) その漁種別の積み荷保険事業と申し上げましたけれども、当該漁種――魚だけというふうにはいたしておりませんので、マグロ船がたまたま釣り上げてみたらフカも入っておったというときには、フカもみんな持って帰っておみえになって、それからこれはカマボコの材料に実はなっておるわけですが、そういうことで、積み荷でございますので、漁獲物全部が保険の対象というふうに御理解願いたいと思います。
#143
○塩出啓典君 そうしますと、たとえばこの漁船の中には、いわゆる裏作というんですかね、シーズン以外のときにほかの魚をとりにいくと、そっちの魚は指定魚種に入っていない、こういう場合はだめなわけですか。
#144
○政府委員(荒勝巖君) 今回のこの積み荷保険が民間の保険よりも一歩改善されたと見ているのは、いわゆる民間のほうは一漁期別に保険をかけておられた。私のほうの今回の案は周年保険ということにいたしておりまして、それで表作で北洋のサケ・マスをやられて、帰られてからほかのイカならイカ釣りのほうをされてもそれごとの、そういった保険を全部お引き受けするということにいたしておりますので、裏作、表作一体としての保険事業と、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#145
○塩出啓典君 そうすると、ついでにお聞きしますが、いわゆるいま民間保険とこの保険と比べてそういう点が非常にメリットであると、そのほかに、いまさっきの話では百トン以下の場合は保険料に国庫負担があるから非常に軽いと、そういうようなお話ですが大体それ以外に、民間保険よりも今回の保険が非常にいいというそういう点はほかにございますか。
#146
○政府委員(荒勝巖君) この政府の指導下で行ないます仕事でございますので、あまり手続きを簡素化しましてするわけにもいかない面もございまして、その点は多少硬直的なところがございまして、証拠書類等の整備につきましては、やはり多少きびしい面もございまして、御存じのように漁船保険の本体の事業の場合におきましても、保険金の払いに多少年月を食っておると――年月ではございません。二、三カ月かかるということで多少おくれる面もありますけれども、そのかわり、きまったものの支払いにつきましては、正確に支払っておりますので、民間のほうがあるいは多少早いかもわかりませんけれども、われわれといたしましては、競争いたしまして、決して民間にひけをとることのないように、毎日の業務におきまして能率をよくしてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#147
○塩出啓典君 この漁船、積み荷保険事業を行なう漁船保険組合に対する、いわゆる助言とか指導、あるいはその他の援助、こういうのは具体的にどこがやるのかどうかですね。
#148
○政府委員(荒勝巖君) 多少、今回の積み荷保険事業と漁船保険事業の違いが、漁船保険中央会が、この積み荷保険につきましては再保険事業を行なうということになっておるわけでございます。で、漁船保険のほうにつきましては、特別会計が再保険事業を行なうということで、片一方は特別会計、片一方は漁船保険中央会ということで、そこに再保険の掛け方がそういうふうに違っておるわけでございまして、われわれといたしまして、当然に漁船保険中央会が、再保険事業を能率よく完ぺきにやるようにしていただきたいし、また、われわれはそれを漁船保険中央会を指導し、また、漁船保険中央会を通じて指定組合を指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#149
○塩出啓典君 百トン以下の保険金についての国庫負担というのは、これは百トン以下は一律にパーセントはきまっておるのか、それとも大きさによって違う、その点はどうなっているんですか。
#150
○政府委員(荒勝巖君) 先ほど私が申し上げたことで、多少舌足らずではなはだ御迷惑かけましたが、この漁船保険につきまして、百トン以下について国庫負担金があるというふうに申し上げたつもりだったんですけれども、その辺、積み荷保険につきましては、さしあたり国庫負担はないと、ただ問題は、積み荷保険につきましては、一億三千万円の国庫債務負担行為をつけておると、予算におきまして。補助金としましては別途六百万円の補助金をつけておると。そういうことで、これを本格実施の際に、一億三千万円の赤字というか、債務負担行為部分の相当部分をいわゆる一般会計負担という形にするのか、その辺につきましては、今後本格実施までの間に検討さしていただきたいと、こういうふうに考えております。
#151
○塩出啓典君 これはまあ結局一億三千万というのは、たとえば非常に事故が多発して、そうして漁船保険中央会が赤字になった場合に、それを補てんすると、だから、まあ事故が少なくてそうならなければこれは使わないと、そういう金額のワクが一億三千万である。そういうことだと思うのですけれども。そうすると、それをこした場合どうなるのか。そういう心配はないのかどうか。一億三千万というのはどういうことで一億三千万ときめたのか。
#152
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘の心配の点は、やはりこの予算を構成いたしました際にも、当然問題になっておるわけでございますが、われわれといたしましては、経常な、ノーマルな損害というものの約倍を見込みまして、一億三千万円の債務負担行為と、こういたしておりますので、まあやってみないと、ほんとうに実験事業やってみないとわかりませんが、想定した倍も保険事故が起こるとは考えてないわけでございます。
#153
○塩出啓典君 それでは、次に、この水産業協同組合法の問題でございますが、まあ今回の改正は貯金等の受け入れ事業を行なう漁業協同組合あるいは漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会が新たに国内の為替取引をすることができる。そういうことでございますが、これは、この法律の内容を見ますと、信用の面から問題のない組合ですね、そういうのをある基準を設けてやらせると、そのようになっていると思うのでございますが、これはちょっと午前中の質問とダブりますが、大体どの程度の組合及び連合会が取り扱う資格があるのかどうかですね。その基準はどうなっていますか。
#154
○政府委員(荒勝巖君) この具体的な漁業協同組合の、この指定基準といたしましては、比較的優良で事務処理体制が整備された漁協に限定して為替業務なり手形割引業務を引き受けるようにいたしたい、こういうように考えておるわけでございますが、為替業務につきましては、信用事業を行なっている組合でその専従職員が四人以上ありまして、貯金残高が五億円以上の組合を為替業務の対象と、それから手形割引業務にありましては、やはり信用事業専従職員が四人以上常時いまして、貯金残高が十億円以上の組合を一応予定して指導してまいりたいと、こういうふうに考えております。
#155
○塩出啓典君 これは組合数では何組合ぐらいになりますか。
#156
○政府委員(荒勝巖君) 現在この問題になります漁業協同関係組合が全部で二千七百四十八組合ございまして、そのうち信用事業を担当しております組合が二千九組合でございます。そのうち、この為替業務の適格組合が、私たちのこれは資料でございますが、百十九組合ございまして、そのうち、さらに優秀な手形業務の適格組合、先ほど申し上げました十億円以上の預貯金があるというのは四十一組合というふうに御理解願いたいと思います。
#157
○塩出啓典君 そうすると、しかし四人以上いても、やっぱり五億円以上あっても、非常に心配なところもあるのじゃないかと思うのですけれどもね。そういう点は、単なる人間の数と預金残高の数だけできめるのかどうか、その他の要素も入るのかどうか、その点どうですか。
#158
○政府委員(荒勝巖君) まあ政府の一つの指針といいますか、ものさしを申し上げたのでございまして、当然にこれは指定組合でございますので、認可の申請が出てまいりますので、認可に際しまして、われわれといたしましては、そのほかに不祥事件が最近なかったか、あったかというようなこと等も、一応参酌して検討をさしていただきたい、こう思っております。
#159
○塩出啓典君 その点はひとつ慎重にやっていただきたい。せっかくいい制度ができても、あとになってトラブルが起こるようでは困ると思うんですね。
 それから非常な弱小組合、いまの以外の組合は、ほとんど大部分がそうでありますけれども、そういうものは、為替取引とか、あるいは手形割引をやってもらえない。そういう点で、弱小組合ではありますけれども、その中には、普通の適用を受ける組合員よりも優秀な漁業者も非常にいると思うんですけれども、そういう人たちはどうなるのですか。これは、その組合ではやれないわけですから、結局どうしようもないわけですか。
#160
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘のような、非常に意欲のある組合につきましては、今後一段と努力していただきまして、預貯金額をふやしていただくということが、やはりこの為替業務なり手形割引の大きな要件となりますので、他金融機関等にも相当――漁協には、私たちこれは問題にしておるんですけれども、農協に比べますと、多少どうも他の市中金融機関への預貯金の歩どまりが多いようでございますので、ぜひ漁協のほうに預貯金を積むように指導してまいりたい。また、そういうことにこたえていただきたい、こういうふうに私たちは考えている次第でございます。
#161
○塩出啓典君 これは、五億円以上あって認可になって、預金が減って、五億円を切った場合には、取り消しになるわけですか、そういう場合には。そういうことはありませんか。
#162
○政府委員(荒勝巖君) やはりこういった信用事業というものは、一ぺんきめましたら、よほど悪いこと、非常事態でもない限りは、続けるべきでありまして、為替業務なり、手形業務につきましては、多少預貯金が減りましても、なお預貯金をふやすことによりまして、ふやすように努力いたしまして、こういう業務は引き続き実施できるようにいたしたいと、こういうふうに考えております。
#163
○塩出啓典君 それから、漁協がいわゆる経済事業団体としての信用事業を強化するためには、規模を大きくしていかなきゃいけない。そういうことで、先ほどもお話に出ましたように、漁業協同組合合併助成法というものが制定をされ、それを推進してきたわけでありますが、これはなかなか実績があがっていない、そういうことで四十五年からさらに五年延長した。そういうことでありますが、これはその合併が進まない原因は何なのか。さらに、合併を促進するためには、ただ延長するだけではなしに、そういう進まない原因というものをよく調査して、それに対する対策を立てなければいけないと思うんです。それはどう考えていますか。
#164
○政府委員(荒勝巖君) この漁協の合併につきましては、合併促進法が適用されて以来、一%前後しか実際は進捗していないんでございますが、この問題を私のほうも非常に問題視いたしまして、いろいろな検討会なり研究会を通じて分析いたしましたところ、やはり基本的には、漁協が持ちます基本的な漁民の財産であります漁業権の問題をめぐりまして――漁協の合併によって、自分たちの持っている漁業権まで、非常に地先の漁民にとりましては不安感がある。自分たちの財産がどうなるんだというようなことが問題になりまして、結局そのことが、漁協自身の合併にひびが入るといいますか、うまくいかない大きな原因になっておりますので、これらにつきましては、今後そういった地先漁業権の、地先にあります漁業権の問題のあり方につきまして十分に漁民に説得をし、説明をして、財産が多少でも行くえ不明になるというようなことにならないように、安心感を与えるよう、われわれといたしましては指導してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#165
○塩出啓典君 それから、そういう漁業協同組合等に対する行政当局の検査・監査の体制の問題でありますが、これは、やはり私たちがいつも感ずることは、たとえば漁業補償の配分の問題とか、そういう点で、非常に組合長等に対する漁民の反発と申しますか、不信感というものを持っている。しかし、なかなか、こういう気持ちを持ちながらも、漁業組合長はかなり権限を持っておりますから、こういった点で、心の中で思っても、なかなか言い出せない。で、私は、今後、このような漁業協同組合のこういう金融面の強化に伴って、やっぱり監査体制というものを強化していかなければいけないんじゃないか。たしか、いま、漁業協同組合等の実際の監査等は県がやっているんじゃないかと思うのでありますが、この点は、今回のこの法案が通過するにあたってさらに強化をして、民主的な、金融面だけではなく、漁業組合全体の運営が民主的に行なわれるようにしていかなければいけないと思うんですけれども、そういう点については、水産庁としてはどういう考えを持っているのか。
#166
○政府委員(荒勝巖君) 単位漁業協同組合の監督並びに監査は、これは、漁業協同組合法に基づきまして、法律で都道府県というふうになっておりまして、当然、検査なり帳簿の検査も、全部県のほうで責任を持ってやっていただくことになっておりますが、やはりこういった為替業務なり手形割引業務を今後単位漁協が行なう以上は、それ相応に社会的信用は保持すべきでありまして、いろいろなうわさにあがるような事態があってはならないと私たちも考えております。したがいまして、この法律をお認め願いました暁におきましては、当然に、私たちのほうで厳重な通達をいたしまして、特にそういった信用事業を行なう組合につきましては、従来以上に内部監査体制をきびしく進めますとともに、県の常例検査も的確に行なうよう指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
#167
○塩出啓典君 それから、水産加工業は、中小企業的性格のために、どちらかといえば、漁政面でも比較的取り残されてきた分野である。特に水産加工業の近代化は、資源の有効利用、付加価値の増大、需要の高度化・多様化への対応策から、緊要となっている。これにこたえるため、最近では、排水浄化、悪臭防止等の公害防止施設のための投資の必要性が非常にふえてくる。結局、水産加工としては、やっぱり公害防止のためにたくさんの投資が必要だ。そういうことで、水産加工協同組合の信用事業への期待は非常に大きいわけでありますが、そういう水産加工協同組合の信用事業の強化についてはどう考えているか、こういう質問であります。
#168
○政府委員(荒勝巖君) 従来から、漁獲は漁業協同組合、加工は中小業者というふうに、あるいは大資本もありますけれども。加工は一種の産業資本のほうにおまかせするという形できたわけでございますが、この数年来の国民の魚に対する需要、あるいはまた、技術的にも一つのコールドチェーンといいますか、冷凍・冷蔵庫の整備、あるいは加工設備の近代化というようなことで、漁協自身がこういった加工処理を営まれる機会が非常にふえきております。特に、水揚げの多い組合ほど、また、そういったことに非常に熱意が上がってきておりまして、これにつきまして、私たちのほうでも別途補助金をもちまして、水産物の加工流通センターというものの補助金を出しまして、そういった加工品につきましての設備の補助を約三分の一の補助率で助成している次第でございます。しかし、実際問題といたしまして、従来、非常に零細な方がこの加工協同組合には多いものですから、特に信用事業の運営については今後きびしく指導いたしまして育成強化してまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
#169
○塩出啓典君 それから最後に、漁船損害補償法の一部を改正する法律案について二、三お聞きしたいと思うのでありますが、この法律案の要旨は、漁船保険の保険目的たるべき「漁船」は、現行は漁船法に規定する漁船となっているが、新たに、その他の船舶で「漁業活動に必要な日本船舶で政令で定めるもの」を追加すると、こういうように保険目的の範囲の拡大が第三条第一項にあるわけでありますが、これはなぜ、そのように拡大をする必要があるのか。そしてまた、「政令で定める」ということになっておるが、この政令の内容というのはどういうものに拡大をするのか、その点をお聞きしておきたいと思います。
#170
○政府委員(荒勝巖君) 従来はこの漁船保険組合の加入者である所有者に限っておったわけでありますが、だんだんとこの漁業の仕事におきましても、分野といいますか、分担が、分業が発達してまいりまして、魚をとることが専門の船と、それからそれをまた運ぶことが専門の船というふうにも分かれてまいりまして、そうなりますと、運ぶ船のほうは、別途、チャーターと言いますか、借り入れでやらざるを得ないというようなこともありまして、そういったことで、漁業協同組合の所有する船舶につきましては、そういう形で分担して、分業してやっていくというふうにきめた次第でございます。
#171
○塩出啓典君 そうすると、いままでは漁業法に規定する漁船になっておったわけでありますが、運搬船を追加するということですね。そうすると、これはほかに――運搬船だけなのか、あるいはほかにもそういう適用する船があるのかどうか、その点どうですか。
#172
○政府委員(荒勝巖君) ただいま申し上げました運搬船のほかに、水産業協同組合が運営しております船の中に、給油船もございます。いわゆる油を給油する給油船。それから種苗の供給船、種を運搬して運び回る。それから定置等の共同作業船等、こういったものを私たち自身は考えておる次第でございます。
#173
○塩出啓典君 これは「日本船舶」とありますけれども、外国の船をチャーーターする場合、これはだめなわけですか。
#174
○政府委員(荒勝巖君) ただいま申し上げましたのは、日本船でありましても、水産業協同組合の所有している船に限るということで限定しておりまして、ほかの商船――船会社が持っております船については考えていない次第でございまして、まして外国船には全然こういった国の制度は適用しない考えでございます。
#175
○塩出啓典君 それからこの改正の第三番目に、漁船保険の仕組みの改善として、いわゆる再保険金額が満期保険の満期による支払いにかかるものについては百分の百と、他は百分の九十と、これを漁船保険組合の保険能力に応じてその元受け責任部分を拡大することができるようにしたと、こういう内容でございますが、これは、結局、そうしますと、割合を、いままでは百分の百とか百分の九十であったのを、自由に、この元受け責任部分を拡大ができるというわけでありますが、これは、漁船保険組合でかってにできるのかどうか。やっぱり、そこには、何らかの保険の安全性から考えて基準がなければいけぬと思うんでありますが、これは何か基準があるのかどうか、その点どうなりますか。
#176
○政府委員(荒勝巖君) 従来は百分の九十ということで、一律に保険割合を、責任保有割合をきめておったわけでございますが、しかし、今回の法律改正にあたりまして、政令で百分の七十から百分の九十の範囲内で単位組合の希望に応じて、責任の保有割合をきめるというふうになったわけでございます。これは、経営能率のいいところはその割合を小さくしようと、いままで九十であったのを八十ないし七十にしようというふうなことで、また、支払い能力において多少問題のあるところは百分の九十のまま、それはそれぞれの組合の自主性なり希望に応じてきめさしていただこうと、こう考えておるわけでございますが、政令におきましては、百分の七十から九十というふうに政令で規定することになっておりますが、実際の実行におきましては百分の七十のほうは今回は採択せずに、八十の組合と従来どおり九十の組合と二通りの線で希望に応じて指導してまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございまして、大体、私たちの考えておりますのは、約四十組合を前提にいたしまして、この百分の八十というのを大体二十組合を対象にいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#177
○塩出啓典君 それでは最後に、農林大臣に要望しておきたいんでありますが、やはり、先ほども申しましたように、漁船損害補償法あるいは積荷保険のそういう保険ができると、これはそういう事故に対して非常にいいわけでありますが、しかし、何といっても一番大事なことは、そういう事故を起こさない、そういうことが一番大事じゃないかと思うんです。そういう点で、私先般も申し上げたと思うんでありますが、海上保安庁のいわゆる監視体制、そういうものも非常にまだまだ貧弱でありますから、そういう点をやはり大いに強化をして、そして人命救助の上からも、そういう海難救助体制あるいは漁船のそういう天候の情報をキャッチする。そういう近代化、そういうものを大いに進めていかなければいけない。そのためには、政府としても、農林省・水産庁としても、やっぱり漁民の立場に立って強力に推進をしてもらいたい。そのことを最後に要望したいと思います。
#178
○国務大臣(櫻内義雄君) 災害が起こって保険金をもらう、そういうことのない万全の諸施策を講ずることはもう言うまでもないことでございまして、いろいろ御意見を賜りましたが、関係省庁とも十分緊密な連絡をとり、監視体制をはじめ有効適切な施策を講じてまいりたいと思います。
#179
○委員長(亀井善彰君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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