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1972/07/10 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第22号
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1972/07/10 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第22号

#1
第071回国会 農林水産委員会 第22号
昭和四十八年七月十日(火曜日)
   午前十時二十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月九日
    辞任         補欠選任
     吉田忠三郎君     川村 清一君
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀井 善彰君
    理 事
                初村滝一郎君
                中村 波男君
                塩出 啓典君
    委 員
                梶木 又三君
                佐藤  隆君
                田口長治郎君
                高橋雄之助君
                鍋島 直紹君
                温水 三郎君
                平泉  渉君
                堀本 宜実君
                川村 清一君
                杉原 一雄君
                辻  一彦君
                村田 秀三君
                沢田  実君
                向井 長年君
                塚田 大願君
   国務大臣
       農 林 大 臣  櫻内 義雄君
   政府委員
       農林大臣官房技
       術審議官     遠藤 寛二君
       農林省農林経済
       局長       内村 良英君
       農林省農蚕園芸
       局長       伊藤 俊三君
       水産庁長官    荒勝  巖君
       気象庁長官    高橋浩一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       海上保安庁警備
       救難部警備第一
       課長       国保 能郎君
       気象庁予報部長
       期予報管理官   藤範 晃雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○漁船損害補償法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○漁船積荷保険臨時措置法案(内閣提出、衆議院
 送付)
○水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○農林水産政策に関する調査
 (公害被害漁業者等の救済に関する決議)
○畑作物共済及び園芸施設共済に関する臨時措置
 法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 昨九日、吉田忠三郎君が委員を辞任され、その補欠として川村清一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(亀井善彰君) 漁船損害補償法の一部を改正する法律案、漁船積荷保険臨時措置法案及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○塚田大願君 私は、まず漁船損害補償法の法律案に関連して質問をしたいと思うんです。
 この漁船損害の補償制度というのは、これは、まあ漁民にとってみれば、漁船がいわば主要な財産であるという点から、たいへんに重要な制度だというふうに考えておりますが、ところが反面、漁船の事故というものは非常にふえてきているこの漁船の事故というのは、いわば直接人命にかかわる問題でございますから、本来、あってはならないことですけれども、残念ながら事故件数というものは年々ふえてきておる。これは、農林省からいただきました資料を見ましても、保険加入の隻数よりも、事故件数の増加率のほうが高くなっておるという数字が出ておりますけれども、この辺については農林省はどんなふうにお考えでございますか。
#5
○政府委員(荒勝巖君) 漁船が非常に逐年ふえております反面、また事故もそれにある程度比例しまして、事故件数もふえてきておるということは御指摘のとおりでございます。たとえば御存じのように、四十六年で事故件数が約五万二千七百八十二件というふうに一応私たちの手元の整理をいたしておりますが、それはしかも、四十六年におきまして約十八万隻数漁船がありまして、この隻数のうち五万二千ということで、事故率としては約三割前後ということで、これは大体、通年的な傾向になっておるのではなかろうかと思います。私たちといたしましては極力、やはり漁船が、わりあい小さな船であります反面、事故を起こしますと人命にも影響いたしますので、この漁船の損害の防止ということには、今後とも力こぶを入れてまいりたい、こういうふうに考えております。
#6
○塚田大願君 いまおっしゃったように、事故を防止する、なくするという点は、これはもう当然のことだと思うんです。こういう立場から、漁船損害の補償について考えてみますと、保険組合や中央会の事業として、この事故を防止するという事業は必ずしも重視されてないように私は考えるわけであります。と申しますのは、ここにも私、資料を持っておりますが、秋田の保険組合の事例があります。これを見ますと、これは、四十七年の四月から四十八年の三月に至る業務報告書でございます。秋田県漁船保険組合、この業務報告書を見ますと、たとえば事故防止事業費というのは十八万八千円であります。また、中央会の海難防止助成事業費というのが二十九万三千円であります。合計して四十八万一千円。ところが、全体の業務費というのは千七百七十九万でありますから、大体この海難防止、事故防止の事業費というのは、全体の業務費に対して二・七%という非常にきわめてささいなものでありまして、こういう点から見ますと、たいしたことをやっておらないということになるのじゃないかと思うのです。国、県の業務費の面から全体から見ましても、国、県の補助というものは三百十五万、保険中央会のものを加えても四百万、全体の事業費の二%余り、やはり二%くらいしか立てておりませんが、これではたして、この事故防止に対する運動、活動、これを強めるということになるでしょうが、どうもそういうふうには見えないのです。もちろん海難防止ということになりますと、海上保安庁その他もおやりだと思うのですけれども、やはり保険組合の自主的な運動としてこの事故防止を、もっと重要視する必要があると思うのですけれども、この点はいかがでございますか。
#7
○政府委員(荒勝巖君) 御指摘のとおり、私たちといたしましても、この海難防止にはいろいろと対策を考えておる次第でございますが、まず海難の事故の大きな原因別の分類を申し上げますと、先ほど四十六年度の海難防止の総隻数を約五万二千七百八十二件とこう申し上げましたが、そのうち多少ラウンドの点もございますが、一番大きいのが機関の故障ということで約一万三千件になっております。その次が操船の誤りというのが一万一千件強でございまして、その次が浮流物等木材なんかにぶつかったというのが八千八百件くらい、その次が台風とか波浪低気圧という気象条件の分が合わせまして約七千件から八千件近い計数になっておりまして、私たちといたしましては、極力こういった事故がないように考えている次第でございます。
 その海難防止のために、政府といたしましても、ただいま御指摘のように極力国庫からも助成金を出しますとともに、特に検診技術員を設置いたしまして、海難防止の一助に当たっておるわけでございますが、四十八年度で約五千二百万円の検診員の補助金を出し、それから海難防止事業の中央会からの助成で約三千五百万円を全国に出し、さらに漁船の乗り組み員の再教育のためにわずかな形でございますが出しております。これにつきましては、今後ともこういった事故を極力事前に防止するということのために努力してまいりたいと思いますし、また別途この海難防止のために、船舶の、漁船の設計基準等につきましても――水産庁におきまして漁船の設計基準等も厳重に年々改定いたしておりまして、あまり事故を起こさないような漁船を設計して指導基準にいたしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#8
○塚田大願君 いま長官のお話ちょっと私、聞きそびれたのですが、再保険の特別会計剰余金三十五億円というお話はいまありましたか、――ございませんね。おそらくこういうものもいろいろ政府としては保険振興事業を充実させるためにいろいろやっていらっしゃるということは私も知っておりますが、この漁船保険中央会の振興事業というのを拝見いたしますと、やっぱり振興事業そのものの費用というのは八千万円ぐらいです。この実績を見ますと、やはり全事業の一割強という程度でございます。また、再保険の特別会計の剰余金三十五億円にいたしましても、本来これは制度保険でございますから、剰余金というものは組合員に返すというべき性質のものじゃないかと思うんですが、こういう点はどうなんでしょうか。その再保険の特別会計の三十五億円、こういうものをこういう面に充てるということははたして、つまり漁船保険中央会に交付して、振興事業を充実させるということは、はたしてこういうやり方でいいのかどらか、この辺はどうでしょうか。
#9
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの御質問は、今回、中央会へ交付することにした三十五億円を、そういう交付するよりも、全国の漁業者に配分したほうが好もしいんではないか、こういう交付のやり方はどうかという御批判だと思うのでありまするが、かりに配分してしまうというと、非常に零細な交付金になるということは常識的にわかることでございます。そこで、こういう交付金をその果実で、ただいま御質問がございましたこれからの海難防止その他の有効適切な活用をはかろうということで、さらには、以前に十二億円同じような方法をとりましたので、これをあわせてその利益をうまく利用しながら役立てようという考え方に立ったのでございまして、その御指摘の点についてもわかる点がございますが、結局あまりにもこまかい零細なものを配分するよりもいいんではないか。さらには、一方におきまして、三年ごとに過去十年の実績を考えて保険料率を順次下げてきてもおりまするから、それらを勘案して今回の措置にいたした、こういうわけでございます。
#10
○塚田大願君 御趣旨は私どももある程度わかるのですが、いま大臣がおっしゃった再保険料率の改定三年ごとに行なわれておるわけでございますが、この問題を一つ見ましても、四十七年の改定で見ますと、通常料率の下げ幅の一番大きいのは、やはり百トンから千トンの漁船でございまして、大体二〇・八%下がっておる。ところが、二十トンから五十トンの漁船というのは下げ幅がゼロ、こういう不公平といいますか、不均衡があるわけであります。なるほど保険という性格上、危険率の高いものほど料率が高くなるという理屈かもしれませんが、危険率の高いというのは、大体においてこの零細なあるいは中小の漁船、漁家、こういうことになるわけです。保険組合で見ましても、弱小組合ということになるわけですが、私が申し上げたいのは、要するに、剰余金を組合員に返すというのは、何もそれを割って返していくということではなくて、そういう同じ漁船の中でも、大きいのと小さいのがある。その格差を解消するということ、中小漁家のつまり所有する漁船の料率なんかをもっと引き下げる方向に使うべきではないかというのが、私の申し上げたいところなんであります。さらに保険中央会の行なう振興事業を見ましても、大体中心は無事故漁船補償事業、こういう形になっておるわけであります。御承知のとおり無事故漁船補償制度というのは、三年間無事故の漁船に当てはめるということですが、もちろんこのことを直ちに否定するものではございませんけれども、こういう事業も危険率の関係から考えますと、やはり大型船よりも小型船には圧倒的に多いわけでございまして、そういう意味で剰余金を中小漁家の負担軽減に活用する方向をとるべきではないだろうかというのが私の趣旨でございますが、その点について、もう一回大臣からお話を伺いたいと思います。
#11
○政府委員(荒勝巖君) 一応私のほうから少しこまかく数字の点にわたりまして御説明申し上げたいと思います。
 ただいま御指摘の点でございますが、小さい零トンから五トンまでの小さい船よりも、どちらかというと五トンないし二十トンの船が一番実際問題として事故率が高いというようなことで、この設定いたしました料率からいたしますと、五トンまでの船が二・三二%、それから五トンから二十トンの料率が三・〇九というふうに事故の高い船ほど料率が高くなっておる。それに対しまして、二十トンから五十トンの船はまた料率が下がってまいりまして、二・六八%、それから五十トンから百トンまでが一・九八%、それからさらに百トンから千トンまでが一・二二というふうに料率が下がってきておることは、逆に申し上げればこれだけ事故が一番、だんだん大型になるに従って事故としては少なくなってきておる。やはり五トンから二十トンの階層別に申しますと、これが一番事故が高い、こういうふうになっておるわけでございます。それに対しまして、国庫の負担割合はどうするかという問題がございますが、一番小さな五トンまでの船あるいは無動力の船が国庫の負担割合といたしましては百分の六十ということで、これを国庫の負担割合を高くいたしております。さらに五トンから二十トンは百分の五十、大型になりまして二十トンから五十トンになりますと百分の四十五、それから五十トンから百トンまでの間は百分の四十というふうに、漁船の小型なものほど国庫の負担割合を高くいたしまして この零細漁民に対します保険の負担を低くなるように実質的にきめてきておるわけでございます。さらに、百トンから千トンまでにつきましては、損害の料率も非常に低いわけでございますが、その関係でもございませんが、百トンから千トンにつきましては、国庫負担割合としては国庫の補助金は出てない、料率としては何も出ていませんということでございまして、政府といたしましては、やはり小型の零細な漁船の保険への加入並びにそれに伴う経営の安定に力を尽くしておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#12
○塚田大願君 確かに、長官がおっしゃるように、国庫負担率はいま小型漁船ほど高くしているというのは、たいへん私けっこうなことだと思うんです。また、全体として国庫の負担率は年々伸びてきております。これは、その結果、加入率も向上しておるということで、この点ではけっこうだと思うのでありますけれども、しかし、まだ地域的に危険率の関係から保険料率は高くなっているのがあるわけでありますから、この点で、農作物共済のように、保険料率をスライドさせていくと、被害率の高い地域に対する援助を強めていくというふうに考えられないのかどうか。特に農業共済と漁業保険を比較してみますと、農業共済では国庫の負担というのは五六・四%ございます。ところが漁船の場合は三一・五%、まだまだだいぶ格差がある。そういう意味で私は、やはりこういう漁業と農業に差別をするんではなくて、もっとそういう点では国庫の負担というものをふやしていく必要があるんではないかと思いますが、この点はいかがでございますか。
#13
○政府委員(荒勝巖君) ただいま申し上げましたように、この漁船の再保険の制度の中で、一応百トン未満の船につきましては、国庫負担の対象にいたしておりますが、百トンから千トンまでの加入分については国庫負担の対象としてないということで、百トン未満の船を全部かりに国庫負担の、概算にいたしますと約百分の五十前後になるんではなかろうかと、こう思いますが、百トンから千トンの分を算定いたしておりませんので、結果といたしまして三〇%前後の国庫負担割合になっておるわけでございますが、またしかし私たちといたしまして、小さな漁船の国庫負担というものは、やはり百分の六十とか百分の五十という国庫負担割合というものは堅持しながら、問題は今後こういった大型の船についても、いろいろ各方面から御要望もありますが、ただいまの時点におきましては、現在の中小の漁船の国庫負担のこの制度を堅持してまいりたい。こういうふうに考えておりますので、千トンの以下の分まで入れますと低いように見えますが、小さいほうだけを取り上げてみますと、さほど悪い制度ではないというふうに考えておりますので、そういうふうに御理解願いたいと思います。
#14
○塚田大願君 念のためにもう一回お聞きするんですけれども、とにかく三〇%近くのものを負担しておる、これはけっこうなんです。しかしただ私が申し上げたいのは、農業共済の場合には五六%もある。ところが漁船の場合には三一%台、なぜこういうふうに差別がつかなければならないのか、そこがよくわからないんです。その点を私はお聞きしているわけでございまして、できれば、この点では農作物共済のように、とにかく保険料率にスライドさせて、被害率の高い地域に対して、もっと援助すべきではないかというのが私の考え方でありますが、その点もう一回ちょっとお答え願いたいと思います。
#15
○政府委員(荒勝巖君) この農業共済のほうのことにつきまして、私あまり十分につまびらかにいたしておりませんが、向こうは地域別に被害の限度が高い、低いという形で決定といいますか、そういうふうに施行されている。私たちのほうは、むしろ漁船の階層別といいますか、大きさによってその料率をきめている、あるいは国庫負担割合をきめているということで、おのずから制度の仕組みが違いますので、その辺はそれぞれ全国を対象にしながらも特色を出しているというふうに御理解願いたいと思いますが、なお御指摘の全体として農業のほうが、お米のほうが国庫の負担割合が高くて、この水産のほうは低いということにつきましては、私たちの努力の足りない点もあるいはあるかとも思いますが、ただ米の場合は、これは私の発言があるいは間違っているかもわかりませんが、米につきましては強制加入という制度のもとにいろいろ仕組まれておりますし、こちらの漁船の保険のほうは、実質的に相当加入を呼びかけておりますけれども、任意加入ということで、どちらかというとそういうところに、あるいは強制加入と任意加入との違いが国庫負担割合の違いになってきているのかとも思いますけれども、この点につきまして今後さらに検討させていただきたい、こう思います。
#16
○塚田大願君 けっこうです。きょう全部お答えを聞かなくても、これからひとつもう少し研究していただきたいと思っているわけなんで、あえて申し上げたのですが、いまお米とおっしゃったけれども、これは私が申し上げた五六%というのはお米だけではないのです。もっとこまかくいいますと、農作物共済が五六%、お蚕ですね、蚕糸共済が五七%、家畜共済が三九%、これを合計して五六%というふうに申し上げたわけなんで、これは全体の平均の負担率であります。
 それからもう一つ申し上げておきたいのは、この補償の国庫負担の割合だけでなくて、事務費の面ではこれはもっと極端になっているのですね、農業と漁業の格差というものは。これはもう非常に極端です。全国的に見ますと、漁船保険の事務費というのは二・八%の補助であります。農業共済の場合には七二・八%という補助が出ておりますね。これはたいへんもう大きな違いです。あまりにもひど過ぎると、まあ申し上げてもいいのですが、こういうことを全体として考えまして、私は少し格差があり過ぎる。その点をもっと是正していく必要があるのじゃないかということを、意見として申し上げているわけであります。
 じゃあ、この問題はこのくらいにしておきまして、次に進みたいと思いますが、先ほど私が、海難事故の問題でお聞きいたしました。中小船舶、漁船のほうが非常に危険率が高いという問題は、これはただ漁民の責任だというよりも、船の構造上の問題もございましょう。ほかに、さらには今日の沿岸漁業の置かれている状況が私はやはり非常に大きなファクターではないかと思うわけであります。と申しますのは、海上保安庁の白書を拝見をいたしますと、先ほども長官からもお答えがございましたが、種類別では機関故障、乗り上げ、火災、これはやはり二十トンから百トンの階層に一番大きい、それから衝突、転覆は五トン未満の階層に多発しておる、こういうふうに海上保安庁の白書は言っておるわけでございます。しかも、この衝突の場合には、当然のことながら、港内と三海里未満で六割以上も占めておると、非常に近いところで事故は起きているわけでありますが、これは要するに、沿岸では、非常に船舶の交通がふくそうしてきているということから起きていると思うわけであります。もっと言えば、大型タンカーであるとか、貨物船が非常に急速にふえてきたと、小さな漁船にとってはまことに危険な状況がふえてきたと、今後こういう状況というのはますますふくそうしてくると思うわけでありますが、それだけに小型漁船の安全確保という面からどんなふうな対策を考えていらっしゃるのか、これは水産庁だけでなくて、海上保安庁からもお話を聞きたいと思うわけであります。
#17
○説明員(国保能郎君) 船舶の航行の安全につきましては、いろいろな法律がございまして規制をいたしております。一番一般的なものにつきましては、国際条約に基づきまして海上衝突予防法というものがございまして、これが国際的なルールとして普通の船の航行、漁船の漁労中の場合の処置、いろいろなことが網羅的に定められております。
 それからただいま御指摘のありました特に船舶のふくそうする海域につきまして、この七月一日から施行になりました海上交通安全法というのがございます。これは東京湾、伊勢湾、瀬戸内海といったような海上交通の、特にふくそうするところにつきまして、航路を特に定めまして、そこの航路におきまする航行と規制というものを主眼といたしました法律でございます。これによってこういうような特に船舶の航行のふくそうするところにつきましての事故の減少をはかってまいりたいと、このように思っております。それから港の中につきましては、港則法という法律がまたございまして、これによりまして、またきめのこまかい規制をいたしまして、事故の防止につとめている次第でございます。
#18
○政府委員(荒勝巖君) ただいま海上保安庁のほうで海上交通安全の観点から強くいろいろ御指導願っているわけでございますが、さらに私たちのほうといたしましても、それにつけ加えまして、航海中の期間、あるいは無線等の船舶の運航に必要な技術を習得させるよう、漁村の漁民の関係者を再教育して、修練会等でそういうことを徹底するということが一つ。それから漁船保険中央会におきましては、政府より交付を受けました基金によりまして、運用益で海難防止事業に必要な船舶乗組員の、漁船の乗組員の再教育事業も行ないますほか、小型漁船の検診等、巡回指導も行なっております。このほか、さらに私のほうといたしましては、小型漁船の安全基準というものを策定いたしまして、この周知徹底をはかりますとともに、漁船の装備の充実につとめるように近代化資金等によって融資を行なって、漁船の向上を行なっている。さらに漁船無線局によりまして、気象予報につきましては、さらに一段とこの気象によります事故を防止いたしてまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
#19
○塚田大願君 海上保安庁に少しお聞きしたいのですが、確かにいろいろな法律がございますし、今度制定されました海上交通安全法、こういうものもございますが、しかしこの海上交通安全法などを見ましても、いわばこれは大型船のための航路をきめる。漁船などの小型船は航路を通る大型船を避けて、大型船を通してやりなさい、こういう趣旨のもののように考えるわけであります。ですから、この法律に対しては、漁民の皆さんは非常に反対したと思うのです、当時。特に優良な漁場を大型船が、いわばそこのけそこのけ式で通る。こういうことからやはり海難事故というのは非常に多くなっているんじゃないかと私は考えるわけで、むしろ漁船を規制するよりも大型船のほうこそ規制していくと、こういうことが必要なんじゃないかと思うのです。そうでなければ、沿岸の漁業をほんとうに守っていくことはできないので、漁民サイドから言うならば、むしろ法律の規制のやり方をやはり変えていく必要があるんじゃないかというふうに考えるわけであります。この点は海上保安庁、どんなふうにお考えでございますか。
#20
○説明員(国保能郎君) 海上交通安全法の施行されております航路の巨大船の通航につきましては、漁船との調整ということを非常に考えてございます。確かに、巨大船が通るときには、漁労中の船舶のほうには避けていただくという規定にはなっておりますけれども、その前に巨大船というものを、たとえばいつごろ通すか、夜中に浦賀水道を通すというようなことをなるべくしないとか、それから瀬戸内海でも夜中に巨大船が通るというようなことを避けるとか、そういうようなことで、まず最初に漁労との関係の調整も考慮いたしまして、安全上のことも考慮いたしまして、そちらのほうでまず最初にやるということを考えております。そのことにつきましては、海上交通安全法には巨大船が通航するときには、どこの航路を何時ごろ通航するということにつきまして、海上保安庁のほうに連絡がございます。これに対しまして、海上保安庁はいつごろ通りなさい。それから船のそれぞれの種類によりまして警戒船をつけて通るとか、そのほかいろいろな措置を講ずるようになってございまして、漁労中の漁船の安全ということについても十分配慮しているつもりでございます。
#21
○塚田大願君 じゃ、次にお伺いするのですが、この衝突事故の場合のいわゆる当て逃げ事件ですね。で、この海上保安庁の白書を拝見いたしましても、非常に当て逃げ事件というのが多い。被害船の六四%が漁船で、しかも漁船のうち七四%が五トン未満の漁船ということにこの数字では出ております。実は私もこの前、北海道の方から陳情を受けたのですけれども、ことしの一月二十九日に北海道の白老沖の漁場で第三大勝丸という船が、これは四トンで四人乗組員の漁船でございますが、この第三大勝丸が当て逃げをされまして、乗組員四名中二名は死亡、二名は行方不明と、いわば全滅したわけでありますけれども、現地の人たちは、一体海上保安庁何しているんだと、犯人をつかまえる気はないのかということで、だいぶ不満をぶつけてこられましたが、この事件では加害船の捜査はどうなっていますか。あるいは今後どういうふうな方針で臨まれようとしているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#22
○説明員(国保能郎君) この漁船の第三大勝丸は、ことしの一月の二十九日の朝、北海道の登別港口から南南東約五・八マイルのところで衝突いたしました。船体が大破いたしまして、いま先生からお話のありましたように、乗組員のうち二名が死亡、二名が行方不明ということになった事件でございます。事件が発生いたしましてから室蘭の海上保安部が、各関係の部署と協力をいたしまして、どうも当て逃げの疑いがあるということで鋭意捜索を進めております。当時、付近に出漁しておりました漁船であるとか、付近の港に出入をいたしました船から、その時刻にその付近を通ったと思われるような船につきまして鋭意調査を進めております。そのほか、いろいろな造船所、海運、それから漁業関係からも情報の入取につとめておりますけれども、現在までのところ、この船の加害船につきましては判明をいたしておりません。まだ捜査中でございます。
#23
○塚田大願君 この漁船の遺族の方々からもいろいろ意見がきておりますので、これはやはり最後まで捜査を続けていただきたいと思うわけでありますが、大体において、こういう当て逃げ事件というのは、私も、今度こういうおたくの白書を見せていただいて驚いているわけですが、非常に当て逃げ事件というのは多い。しかも、検挙率というのがまことに不十分である。検挙率は六七%でありますか、夜間と昼間含めまして六七%ということになっている。つまり、三三%は当て逃げしてしまっておる。で、こういう場合ですが、保険金のほうはどうなるんでしょうか。加害船がわかればそちらに請求するということになるんでしょうけれども、不明な場合には、一体どうなるのか。その点を聞かしていただきたいと思います。
#24
○政府委員(荒勝巖君) 海上で漁船が、ただいま御指摘のような当て逃げされ、損害賠償を請求すべき相手の船が、十分に明確でない場合におきましては、この事故につきましては、この漁船保険組合なり漁船保険から保険金は支払うことにいたしております。ただ、この場合におきまして、漁船保険組合は保険を代位弁済というか、代位弁済いたしておりますので、当然原因者がわかりますれば、相手船からこの損害賠償請求権は取得すると、こういうことになっておる次第でございます。
#25
○塚田大願君 わかりました。
 じゃ、次に進みまして、もう一つこういう事例をお伺いしたいと思うのです。この問題は、衆議院でもわが党の津川議員が質問しておりますが、確認する意味でお伺いするわけであります。
 静岡県のマリーナ基地の建設問題であります。静岡県の漁業協同組合連合会でも、本年五月二十一日に反対決議をあげておるわけでございますが、これを見ますと静岡県には、モーターボート、ヨットなど約一万隻を収容するマリーナ十七基地を設置すべく計画が進められておる。まあしかしこういうマリーナ基地がどんどんできたら、これはもうたいへんなことだということで、この反対決議を行なっているわけであります。この沿岸は、百種類にも及ぶ漁業資源の宝庫で、そういう点から非常に切実な要求としてこの決議がされておると思うのでございますが、これに対して水産庁としてはこういうむちゃくちゃなマリーナ建設に対してどのような指導、あるいは意見を持っていらっしゃるのかですね。特に静岡県などに対してどのような行政指導をやっていらっしゃるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
#26
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘のように、静岡県で浜名湖並びに伊東の東部あるいは駿河湾等におきまして、十七のマリーナ基地を計画中であったわけでございますが、ただいま御指摘のように、まあ関係漁民の間から非常にまあ反対の意向が表明されまして、これにつきまして県におきましても、基地設置の承認の基準というものをつくりたいということで、それまでの間、従来問題になっておりましたこの基地問題についてはさしあたり申請は受け付けないということで、一応中止といいますか、一応まあ中止のことになっております。これにつきまして、当然、静岡県からも御相談がありましたので、これにつきまして、まあマリーナ基地が多くできますと、モーターボートあるいはヨット等が非常にふえまして、漁業に対して、特に沿岸漁業に対しまして非常に強い大きな影響をもたらされることがありますので、これにつきまして、この計画策定の段階で地元漁民との調整を行なうようにということで、県といま協議をいたしておる次第でございます。
 なお、念のためでございますが、私たちといたしまして、最近国民の、まあ一つの健康回復のためのスポーツ的な事業といたしましてヨット、あるいはモーターボートが飛躍的にふえてまいっておりまして、ただいま昨年の十月現在の運輸省のお調べでも約三十八万七千の隻数のレジャー用の船がふえてきておりまして、この漁船との調整をどうするかということは、今後の一つの大きな課題といたしまして、運輸省と今後協議してまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#27
○塚田大願君 この問題は、私はやはり漁業の基本的な問題とも関連すると思うのです。で、漁民の皆さんは、とにかくもう絶対反対ということで、特に神奈川県などではもう今後一切こういう設置を認めないという方針をあえて発表しているところもございます。したがって、私はやはり水産庁としてこういう点でははっきりした方針を持つ必要があるんではないかというふうに考えておるわけです。で、いま長官おっしゃったように、漁民ともっと接触を持って、相談をして解決しろと。こういう程度では私は話にならないんじゃないか、漁民はとにかくこういうこの建設は絶対反対しておる。特にこの場合に、この沿岸はシラス漁の解禁がちょうど四月−十月の間だそうでありますが、ヨットやボートの最盛期も七、八月という夏場に当たる。ちょうど時期が一致するわけでありまして、そういう意味で吉田漁協などの場合は、シラスの水揚げ高が、全体の水揚げ高が五億七千万円でありますけれども、そのうちの九二%までがこのシラス漁である。こういう面からいって非常にこの関係漁協は猛烈な反対をしております。いろいろと聞いてみますと、とにかく二の魚というものは非常に音に敏感だと。あの猛スピードで走るモーターボートなんかで走られたらもう一ぺんに魚は逃げてしまう、だから、少々の補償なんかもらったって、とても合うものじゃない、こういうことで非常に反対をしているわけであります。
 私は、やはりこの漁民の生活を守るということを、あるいは日本のいま問題になっております水産資源を守るということ、たん白質源を守るという意味からいいましても、やはり、こういう問題に対しては、もっと明確な方針を政府としては持つべきではないか。もちろん、長官おっしゃったように、いまレジャー産業も盛んでございますし、またスポーツという点から見て、こういうヨットやモーターボートもけっこうでございますけれども、何も大事な漁場を荒らさなくたって、もっと遠くでもってしかるべき地域を選定するやり方は、私はたくさんあると思うのです。にもかかわらず、こういう非常に重要な漁場でこういう建設をやる。ちょうどこの間問題になりましたよううに、農地あるいは山林を乱開発をしてゴルフ場をつくっていくと、陸の場合に。これと私はやはり非常によく似たケースではないか。海の場合に、とにかく漁場をこういったマリーナで荒らしている。やはりこういう点では、レジャー産業もけっこうでありますし、スポーツもレクリエーションけっこうでありますけれども、やはり何といっても基本は、農業、漁業を守っていくという立場を明確にいたしませんと、いまスポーツ産業も大事だから、けっこうだから、これじゃ、私やはり日本の漁業を守っていくことはできないだろうと思うのです。
 現に農林省が発表になりましたこの漁業白書、これにしたって、ちゃんとそのことが書いてあるんですな。おたくの発表されましたのに。つまり沿岸漁業の停滞というのは、やはり一つには、環境の悪化があると、そしてこれは六ページでありますけれども、その環境の悪化の中には、「臨海工業用地の造成」であるとか、いろいろございますが、その中で「レクリエーションなど、水域利用が多様化」してきていると、そういう関係から、環境悪化しているということも、ちゃんと指摘されているわけでありますから、そういう面では、私は、この漁業を守るという立場から、水産庁はもっと明確な方針を出すべきではないかと思うわけであります。
 ついでに、もう一つ申し上げておきます。いま長官からも話がありましたが、この運輸省との関係でありますけれども、あの港湾法の改正で、マリーナ港区が新たに設定をされているわけであります。四十六年策定されました新港湾整備五カ年計画でも積極的にマリーナ建設に乗り出そうということを運輸省は考えておるわけでありますが、こういう点から見まして、今度のこの静岡のマリーナ建設の場合でも、この榛原港ですな、そのうちの一つであります榛原港なんですけれども、この場合、事業費が、総工費が二十三億円のうち国が四十%負担する、こういうことになっています。県が三五%、町が二五%。これほど国が負担をしてこのマリーナを建設しておる。こういうふうに見ますと、やはりいま水産庁がよっぽどしっかりしていただかないと、私はこういう形でどんどん事志と違った形で漁業がどんどん破壊されていく、こういうことになるわけであります。そういう点で、私はもう一つ水産庁としてもはっきりした行政指導をやっていただきたい、こういうふうに考えるわけでございますが、この辺につきましては、長官並びに大臣からも御意見を伺いたいと思います。
#28
○政府委員(荒勝巖君) 先ほど来問題になっておりますこのヨットあるいはモーターボートの基地としてのマリーナ基地が、非常に全国的に大きな問題になっておりますことにつきましては、私たちも、いろいろと最近問題がわかってきている次第でございます。さらに、問題の第二点といたしまして、このほかにいわゆるスポーツフィッシングといいますか、遊漁問題と二点から見まして、特に静岡には、このマリーナ問題と遊漁問題ということが、伊豆方面は二重に問題が出てきておりまして、これらにつきまして水産庁として当然に新しい対処方針なり、指導の方向というものは、打ち出すべき時期が近づいておるのではなかろうかと、こう思っております。遊漁のほうにつきましては、アクアラング等非常にさらに漁獲物まで直接持っていかれるというふうな問題もございますので、これにつきましては、昨年の六月でございましたか、非常にきびしい行政基準を設けまして、県に指導した次第でございます。
 で、このマリーナの問題につきましては、ただいま申されましたように、このマリーナ基地それ自身が、多少運輸省でもいろいろと御検討されておるようでございますが、私たちといたしましては、都道府県で設置する場合におきましては、一応漁業者との間によく十分協議するようにということで、さしあたりの問題といたしましては、運輸省と実は話し合いをいたしましておりますけれども、今後、こういった、ただいま御指摘の点もございますので、明確な指針といいますか、基準につきましては検討さしていただきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
#29
○国務大臣(櫻内義雄君) マリーナ基地の問題をお取り上げで御質問をちょうだいしておるわけでございまするが、将来にわたりまして、この種の問題はなお多く出てくるものと思います。したがって、先ほどから長官のほうからお答えをさせておりますが、関係省庁との間で、十分協議する必要がございまするし、また、農林省から見まするに、沿岸漁業を保護するという上から、もしそこに問題があるといたしますれば、また御指摘によりまして、問題の起きているところもございまするから、この辺につきましては、十分その調和がとられなければならないと思います。特にわれわれとしては、やはり大事な沿岸漁業のことでございまするので、そのほうを優先して考えたいと思いまするが、まあマリーナ基地の中には、直接沿岸漁業に影響なく行なわれるような場所もあるように聞いておりまするので、この点は腹蔵なく十分協議をいたし、対処をしてまいりたいと考える次第でございます。
#30
○塚田大願君 では、時間の関係もございますから、この問題はこのくらいにして、次にこの法案の具体的な改正点について二、三お伺いしたいと思います。
 まず、業務代理の問題でございますが、これはこの委員会でも、いろいろ問題になりましたが、農林中金などの業務代理というのは、一体内容はどういうことなのか、ひとつもう一回教えていただきたいと思うわけであります。
#31
○政府委員(荒勝巖君) ただいまお指摘がありましたように、業務代理といいましても結果的には、やはり農林中央金庫から水産業者に直接貸し付け業務を行なうに際しまして、その手続等につきまして業務を代理することでございまして、この業務代理の内容につきましては、借り入れ申し込み書のあるいは受け付けを行なうとか、第一次審査を行なうとか、貸し付け金の窓口的な交付なり、場合によりましては債権の管理、回収というようなことを行なうことになるんではなかろうかと、こういうように思っている次第でございます。
#32
○塚田大願君 そこでお伺いしたいのですけれども、この漁協の信用事業部門の職員数というのは一体全国で平均何人ぐらいいらっしゃるのかという問題が一つお聞きしたいわけです。
 というのは、私どものところに、先般青森県の小泊の漁協の幹部が見えまして、いろいろ組合長からお話を聞きましたけれども、現在でも、この信漁連の下請のように漁協がされてしまって、貯金の収集であるとか、貸し付けやその回収、利子の回収などに追われておって、実際は単協だけに責任が押しつけられているというのが現状だと。こういう現状の中で、なおかつ中金の業務代理まで押しつけられてしまっては、もう業務そのものがたいへんになってしまうというふうなことを言っていらっしたのですが、そういう意味で、はたして人員で裏づけされておるのかどうか、こういう業務代理というふうな仕事がですね。その点はいかがでございますか。
#33
○政府委員(荒勝巖君) ただいまお指摘になりましたように、漁業協同組合というものが非常に全国的な、全国的平均値といたしますと比較的零細でございまして、現在漁業協同組合の在籍の職員数というものは、これは四十六年の三月末の資料でございますが、平均九・二人というふうになっております。そのうち、信用事業が一・六人、それから購買事業が一・三人、それから漁業協同組合の性格を反映いたしまして魚獲物等の販売事業が二・三人、それからその他の事業が四人ということで、合計九・二人ということになっております。
 したがいまして、これは信用事業を行なっている組合も行なっていない組合も含めましての平均でございますが、今回、中金等の業務代理を行なうということになりますと、多少この職員等につきまして仕事がふえてくるのではなかろうかと、こういうふうに考えております。しかし、農林中央金庫の業務代理を行なうことによりまして、むしろ系統金融の秩序ある中に漁業協同組合も加入していくということで、今後、経済がいろいろな形で膨張し発展する中で、こういったことは必要ではなかろうかと、こういうように考えております。
 なお、当然にこの中金の業務代理を行なうことによりましてそれぞれの貸し付けに伴います若干の事務的手数料並びに資金管理につきましてのまあ手数料等は収入として考えられますので、それらを新しい事務的な収入源といたしまして、それを職員の増強に充てることになるのではなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
#34
○塚田大願君 とにかく長官もおっしゃったように、非常にわずかな人員で仕事をしておるわけでございますから、そういう人員で信漁連の業務の代理を大いにまかされている。それからさらには今度は中金の業務代理まで持っていくということになれば、これは単協として本来自主的に行なうべき信用事業が実際に阻害されることにならないかという不安がございます。さらには、中金法の改正で資金力のある中金が、組合員に信漁連や漁協を通さずに、直貸しができるわけでありますから、こうなりますと、いよいよもってこの単協の活動、融資活動、こういうものを阻害する結果にならないものでしょうか。その辺はどうでしょうかね。
#35
○政府委員(荒勝巖君) ただいまお指摘になりましたように、やはり現場の漁業協同組合員の中には、ある程度大型の貸し付けを希望される方も相当あるわけでございますが、小さな漁協では、融資を直接行なうわけにいかないというような点もありまして――これは農林中央金庫から直接借りたほうが、資金源としてはまあ大型といいますか、確実であるということで、希望するわけでありますが、やはり直接中金からまあ漁協を抜きにしまして借りるよりは、現場に直接まあ所在する漁協の方々を通じて借りたほうが系統の問題といたしまして、健全な漁業協同組合の将来の発展からいたしまして、私たちといたしましては、中金の直接貸しよりも、むしろこういった系統機関を通じて代行貸しというほうを好ましく思っておる次第でございます。
#36
○塚田大願君 ではお伺いしたいんですが、直貸しのメリットというものは一体どういうところにあるのかということであります。結局はいまもおっしゃったように、大口の資金需要家である上層の漁民に対して、単協貸し付けよりも長期でしかも、低利でという条件で貸そういうのでありますから、はたして漁協として、単協として、そういう直貸しのメリットというものはどういうふうに受けとめたらいいのか。本来は、長期低利の資金を必要とするのは上層の大きな人たちではなくて、零細でありあるいは中小の漁民の方だと思うわけであります。そういう意味では、この直貸しというものは、まさに選別融資ではないかと、こういうふうにも感ずるんですけれどもこの点はどうでしょう。
#37
○政府委員(荒勝巖君) この点につきましては、中金から、現場の漁協の組合員の方が、およそ借りられない、資金を借りたくても借りられないということでは、やはり今後の健全な漁民の将来性というものが封殺される結果になりますので、われわれといたしましては、極力新しいルートをつくりまして、漁民の経済的の向上に寄与するよう努力してまいりたいと、こういうふうに考えております。その際、私たちといたしましては、ただいまお指摘のような選別、一方に偏した選別融資にならないように、漁業組合を通じて内部でよく審査の上、そういった中金との橋渡しをするというふうにいたしてまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
#38
○塚田大願君 この問題については、もっときめこまかくいろいろ質問したいんでございますけれども、時間の関係がございますから次に移ります。
 次にお伺いしたいのは為替手形割引の取り扱いの問題であります。この為替手形割引の認可基準でありますが、為替は貯金五億円、手形割引は十億円、職員では四人以上というふうに一応基準になっておりますが、この基準に該当するのは一体全体の漁協のうち、どのぐらいの数になるのか、また、信用事業を行なう漁協の何割ぐらいになるのか、あるいは組合員数ではどのぐらいになるのか、その辺の状況をちょっとお知らせ願いたいと思います。
#39
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御質問の点でございますが、いわゆる水産関係の漁業協同組合といいますのは、地区漁協あるいは業種別漁協あるいは水産の加工協同組合を含めまして、二千七百四十八組合ということにただいまなっているわけでございます。そのうち、信用事業を営んでおります組合が二千九組合ということに相なっている次第でございます。そのうち、ただいま問題になっております為替業務の適格組合、これがいわゆる五億円以上の貯金残高があるということが一つの要件でございますが、これが百十九組合というふうに一応四十七年末の年度末の資料に基づきますと、そうなるわけでございます。また、そのうち、さらに十億円以上の預貯金があるものというのは、手形の割引業務ができる組合の適格組合と、こう見ておるわけでございますが、それが四十一組合ということで、この手形割引業務ができる組合は非常に数少ない組合でありますとともに、漁業協同組合としましては、相当大型な漁業協同組合と、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#40
○塚田大願君 いまお聞きしますと、もうそれはたいへん低い比率になるわけであります。いまちょっと計算はできませんが、一〇%足らず、――いや一〇%どころではない、四、五%ぐらいになりますか。そんなぐらいの比率でありますから、これでは、はたして必要としている漁業者あるいは水産加工業者の要望にこたえられていくのかどうか。提案理由によれば、相当数その要望があるということだったんですが、はたしていまのような現状で、こういった要求にこたえられていくのかどうか、そこはどうでございますか。
#41
○政府委員(荒勝巖君) 漁業協同組合も、従来まではある程度経営規模もほとんどが小さくて、日本経済の発展の中におきましても、実際問題といたしましては、事実上取引あるいはそういった経済行為が、ほとんど現金取引に近いような形で経済活動が行なわれてきたわけでありますが、最近におきましては、日本経済の発展を反映いたしまして、相当やはり信用活動のうちでも、特に為替業務等につきましては、代金を送金するという必要性が非常に出てきているわけでございます。たとえば遠洋漁業に、あるいは沖合い漁業等に従事いたします漁民の方々は、自分の母港に水揚げするよりも、やはり消費地に近い漁港に寄港いたしまして水産物を水揚げするというふうなことになりますと、やはりそこで受け取った代金を為替送金によって、自分の地元に送るというふうな必要性が非常に痛感されてきてまいりまして、またそういった業務を行ないませんことには、漁協としての機能を果たせないというふうなことで、為替業務につきましては非常に要望は出てきておりますが、ただ五億円という規模で押えておりますので、やりたくてもやれないという方が相当出てきております。事実私たちの資料でも、もうあと一息で預貯金残高がふえるというところも相当出てきておりますので、われわれといたしましては、なお員外的な預貯金を極力漁協に吸収することによって、この漁協の規模を拡大することによりまして、為替業務ができますように指導し、かつまた配慮してまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
 また、手形のほうにつきましては、これは非常に、まあ一積の手形取引でございますので、信用の審査というようなことも非常に大事でございますので、これにつきましては、十億円の規模があって、かつ職員の資質も相当向上しているという、能力についてなお強い能力を要求されますので、これにつきましては、きびしい条件を付して不渡り手形等をつかまされないように指導してまいりたいという考え方が反映している次第でございます。
#42
○塚田大願君 やはりそういう要望にこたえるのには、大型な漁協にしていかなければいけないと、そのためには合併が必要であると、こういうことになるんだと思うんですが、しかし、この合併の問題にいたしましても、私はいままでの過去の実績から見ましてなかなかそう簡単にいかない。私、まあきょうは時間の関係ございますから、こまかいこと申しませんが、昭和三十五年には漁協整備促進法もできまして、四十二年には合併助成法もできまして、四十六年にはさらにこの法律を五カ年延長するということで、ずいぶんこの合併の促進ははかられてきておりますけれども、実績はまことにあがっていないというのが、これはもう御承知のとおりだと思うんです。やっぱりこの点を私はここでもう一度考えてみる必要があるんじゃないか。ただ合併をして大型にすれば、こういったことができるんだという希望的な観測だけではなくて、はたしてそういうことが可能であるのかどうかという点で、私はもう一度シビアに考えてみる必要があると思うわけです。
 と言うのは、やっぱり漁業の場合には、農業と違いまして、この浦々で漁業形態も違ってくる。これを無理に合併させようとすれば、そこに必然的に抵抗が生まれてくる、こういうことがあると思うんです。さらには、漁業権の問題が一つあります。漁協というのは、本来漁業権の管理という機能から出発してきたわけでありまして、まさにこの漁業権を守るという形で、この日本の漁業の発展と結びついて今日漁協の機能が発揮されてきたと思うんです。そういう点から考えますと、単に安易に合併をすればよろしいということだけでは私は済まないんじゃないか、いや現実にそれだけでは合併が促進されないのではないかというふうに考えます。ましてや今日、御承知のように公害の問題であるとか、埋め立ての問題であるとか、非常に漁業にとって深刻な問題が出積しておりますことを考えれば、ただその信用事業を発展させるんだからということで合併を促進するということだけでは、私はやっぱり済まないように思うわけです。もっと基本的な業務、つまりいま言ったような漁業権を守る、漁場を守る、こういう基本的な漁協の役割り、あるいは零細な漁民の預貯金、貸し出し、こういった本来の業務を通じて、組合員の利益をもっと守っていく、こういう活動面を改善していくということが私は必要であり、そのための国の助成であるとか、あるいは沿岸漁業の振興活動事業というものが考えられるべきではないか。信用事業の面だけを取り上げて合併を、しかもそれが合併を前提としなければできないようなことに力を注ぐよりは、もっとそういう面で私は基本的な面で力を入れるべきときではないかというふうに考えるのですが、この点はいかがでございますか。
#43
○国務大臣(櫻内義雄君) 塚田委員のただいまのいろいろ御意見は、私は本質的には当然だと思います。ただ、今回の一部改正法は、それらのことは一応大前提として心得て、あわせて信用事業を拡充していくということが、いまの御指摘の基本的な漁業の振興の上に役立つのではないかと、そういうことでお願いをしておるのでございまするので、この一部改正法の内容から御論議をちょうだいいたしますと、確かにおっしゃるような点がいろいろ考えさせられますが、もう大前提がそこに置かれておって、そして信備事業についての所要の改正をいたしたいということでございますので、その辺の点を御了承いただきたいと思います。
#44
○塚田大願君 大体大臣のお話も、お話としてはわかるわけでありますけれども、現実の問題として考えてみましたときに、いま日本の漁業をどうするか、水産資源をどう守るかということがもう最大の課題いわば国民的な課題になっておるだけに、どうも信用事業の面だけを解決すればいいという、このところが私にはぴんとこないわけであります。
 そこで、関連して第二に、水産業協同組合法の一部改正する法律案について関連して話を進めたいと思うのですけれども、いま申しましたように、水産業が非常にきびしい局面に立っておる、にもかかわらず、この漁協の金融機能拡充という、この提案とが、どういうふうに関連するのか、どうも私にはよくわからないわけであります。むしろいま申しましたけれども、たとえばこの間もここで問題になりました水俣湾であるとか、有明海のあの汚染の問題あるいは工業開発の埋め立て、あるいはマリーナ建設、こういった問題に対して明確な方針が出されない。これは何回論議いたしましても、この委員会でも論議いたしましても、必ずしもあまりすっきりした結論は出ておりません。一生懸命にやるということは農林省おっしゃいますけれども、どうも具体的にこれだというきめ手がはっきりしない。そういう意味で、私はいまむしろお役所よりも漁民自身が先頭に立って、ああやって港湾を封鎖したり、排水口に土のうを積んだりしてやっておるわけでありますが、そういう場合に、やはり漁協が私は中心的な役割りを果たしていると思うのであります、どこの場合でも。ですから、漁民の皆さんが要求しているところはまさにそこなんでありまして、私は、そういう意味で、今回の改正案がどうも見当はずれのようなことを言っているように思えてしょうがないわけです。
 要するに、この改正案を見ると、漁協の存立基盤を守る、経営を強化するために、こういう活動もしなければいかぬのだと、こうおっしゃるわけですけれども、どうも結果は、問題を回避する方向に進めようとされているように思うわけです。で、もう一言言わせていただければ、私は結局、合併の問題も、政府の考え方というのは要するに、大きければいいと、大きいことはいいことだという、いわば経済合理主義的傾向があるのではないか、そういう点で、これはまた哲学論争になってもしょうがありませんけれども、どうも、ものの考え方の基本がやはり少し違うのではないか。もっと日本の漁業の置かれた現実、そうしてまた漁民の要求、こういうものに立ってひとつ水産庁、農林省は、協同組合のことを考える場合でも、私は、組合員の最も切実な要求にこたえて、どうやったらその利益が守られるかという観点に立っていただきたいと思うわけであります。ただ農協なんかと単純に比較をしても、たいして私は意味はないと思うのです。大きくすればいいというのではなく、ほんとうに日本のいまの漁業の現状から日本の漁業をどういうふうに守るか、どういうふうに漁協を発展させるかという点でひとつ最後に御意見を聞かせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#45
○国務大臣(櫻内義雄君) たいへん重要な点を御指摘いただいておるわけであります。漁業協同組合が、本来の使命を決して忘れてはならないと思うのであります。漁業者の利益を守り、漁業経営の発展のために、いわば農業面の営農指導のほうを忘れてはいけないというのと同様であって、その根本というものはこれはもうきわめて大事なことであると思うのであります。
 そこで、いまの公害関係の問題で、現実に漁業協同組合が原因者との間で努力をされておる、こういう点につきましては、われわれとしては現にございます水質汚濁防止法とか、海洋汚染防止法とか、公害関係の諸法規をこれを順守いたしまして、その面の行政指導に責任を持って当たっていく、また、問題によりましては、農林省としてできるだけのお世話を申し上げる、そういうような点も決して忘れることのできない、現に特に、そのような面は強調されていなければならない事情にあるということは十分承知をしておるわけであります。
 それから、漁業振興の本来のための漁港を中心とする基盤の整備であるとか、あるいは栽培漁業であるとか、大型魚礁の問題であるとか、これらももとよりわれわれとして、でき得る限りの積極性を持っていくわけでございまして、今回の水産業協同組合法の一部改正は、先ほど申し上げたように、その信用事業面の所要の一部を盛り込んでおる。こういうことでございまして、ただいまいろいろと御指摘のありましたことは、先ほども申し上げたように、当然その基本である、前提であるということについては、われわれとしても行政指導の面においてこれを重要な問題として常に念頭から離さないと、しかし今回はこの漁業者の今後の発展の上から考えましても、当面信用事業の面においての一部改正の必要があると、かかる見地に立ってお願いをしておるということを御了承いただきたいと思います。
#46
○委員長(亀井善彰君) 暫時休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十一分開会
  〔理事初村滝一郎君委員長席に着く〕
#47
○理事(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、三案の質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#48
○川村清一君 私は、まず水協法の一部改正法律案に関連してお尋ねしたいと思いますが、北海道漁業協同組合連合会が事業として行なっておりますコンブの共販についてです。いろいろ議論がなされておるようにも聞いておるわけでございますが、水産庁といたしましては、道漁連のコンブ共販事業というものをどういうふうに受けとめていらっしゃるのか、この点をまずお尋ねしたいと思うわけであります。この事業は水協法第十一条第一項第五号の事業並びに第八十七条第一項第五号の漁業協同組合連合会の事業に該当する業務であると私は考えておるわけでありますが、水産庁の御見解はどうか、こういう点をひとつお伺いいたしたい、かように考えます。
#49
○政府委員(荒勝巖君) ただいまの御質問の法律条文の問題でございますが、北海道漁連の行なっていますコンブ共販は、道漁連の所属員の漁獲物の販売業務の一つでございまして、水産業協同組合法第八十七条第一項第五号に規定する販売事業として行なわれているものと水産庁は考えている次第でございます。
#50
○川村清一君 前段申し上げました北海道漁業組合連合会が行なっておりますコンブ共販事業というものを水産庁はどういうふうに受けとめていらっしゃるか、これをお聞きしたい。
#51
○政府委員(荒勝巖君) 北海道漁連が行なっておりますコンブの共販事業は、この協同組合法の規定に従いまして、きわめて妥当に行なわれているものと解しておる次第でございます。
#52
○川村清一君 漁業協同組合及び漁業協同組合連合会は、水協法第七条によって私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、いわゆる独禁法の適用除外の組合にみなされておりまして、さらに独占禁止法第二十四条第一項によって、この組合の行なう行為については独禁法の適用が除外されていると考えております。ただし、同法では、「不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない。」と規定されておりますが、北海道漁業協同組合連合会が行なっている共販事業は、この独禁法第二十四条のただし書きに触れる行為であるかどうか、水産庁はどのように把握されておるか、今日までどのように指導がなされてきたか、これをお伺いいたしたい。
#53
○政府委員(荒勝巖君) この法律の適用につきましては実質的には公正取引委員会がどういう調査をされ、どういうふうに判断されるかは、これは当該監督官庁の問題だと私のほうは理解しておりますが、私たちの水産庁で見ている限りにおきまして、北海道漁連が行なっておりますコンブの一定の販売事業につきまして、それが不当に価格を引き上げたり、あるいは不当に取引分野を制限するというようなことは実質的に行なっていないものと理解しておりまして、水産協同組合法に基づいて適切な事業をやっておられるものというふうに理解している次第でございます。
#54
○川村清一君 もう一度そこを確認しておきますが、独禁法第二十四条に触れる行為であるかどうかということは、これは公正取引委員会が最終的には結論を出すことでございますけれども、現在までの過程において、現時点において水産庁といたしましては、北海道漁業協同組合連合会が行なっておるコンブの共販事業は独禁法第二十四条に触れるような、そういう不公正な取引はやっておらないと、こういうふうに判断しておると、かように確認してよろしゅうございますか。
#55
○政府委員(荒勝巖君) 御指摘のとおりだと私どもは理解しております。
#56
○川村清一君 さらにお尋ねいたしますが、水産業協同組合の目的は水協法第一条に規定されております。要するに、個々の漁民、個々の水産加工業者の力は非常に弱い。そこで、共同組織の発達の促進を通じて、つまり漁民の団結、すなわち力の結集によって、漁民の経済的、社会的地位の向上を期し、さらに水産業の生産力の増進をはかり、国民経済の発展を期すものである、これが水産業協同組合の目的でございます。その目的達成のために協同組合は種々の事業を行ないます。道漁連の行なっている共販事業も、すなわち第一条の目的達成のための行為である、また、その行為は共同組織発達のための運動の一つであると思っておるわけでございますが、水産庁の御見解はいかがですか。
#57
○国務大臣(櫻内義雄君) 単協の場合でも、また、協同組合連合会の場合におきましても、ただいま川村委員の御指摘の趣旨によって経営されていくべきであると、こう思います。経済力の弱い漁民が共販体制をとって漁獲物の販売をする、経済的に強力な業者に対抗する、これは第一条の目的に沿う行為だと私は見ておるわけでございまして、要するに、共同組織を通じまして、漁業生産力の増強あるいは漁民の経済的、社会的地位の向上につとめようと、そのためにいろいろな仕事が行なわれると思うのでありまするが、共販体制もまた、協同組合運動の中で必要な行為であると、かように認識をしておる次第でございます。
#58
○川村清一君 私は、実は北海道の日高というところに住んでおる者でございます。日高というのは、御承知の方もいらっしゃるかと存じますが、農業の面では特殊産業といたしまして、日本一の競争馬の産地でございます。有名なハイセーコーなんという馬も私の地方から出ているわけです。水産の面では、有名な日高コンブの生産地であります。この日高コンブというのは、北海道の標準コンブと、こう言われておる。したがって、今年度なら今年度の生産されるコンブの値ぎめというものは、一番先に日高コンブがきめられるわけであります。日高コンブの値段がきまれば、これに対して釧路コンブは何割低くとか、あるいは根室コンブはさらに何割安とか、こういうふうにきめていくわけであります。利尻・礼文コンブは何割高、道南の尾札部コンブは何倍と、こういうふうにきめられていくのであります。
 私は、この日高に住んでもう四十年以上、昭和五年以来住んでおるわけであります。したがって、日高コンブと生産漁民の生活、今日のコンブ流通機構に至るまでの歴史的な経過、推移というものを実際この目で見てきておるものであります。
 そこで、北海道のコンブが今日、道漁連が一元集荷し、共販体制によって流通しておりますが、これまでに至る経過というものを、水産庁はどのように把握していらっしゃるか、またどのように評価されておるか、この点について御見解をお伺いいたしたいと思います。
#59
○政府委員(荒勝巖君) 戦前からのコンブの販売方法等につきましては、非常に時間的にも、まあ問題が長くなりますが、一言で申し上げますと、戦前から戦後の一時期まではコンブの流通というものは、コンブ漁民が一部の産地の集荷の商人の方々の支配下にありまして、コンブの事実上年一回の仕切りとはいいながら、代金の前貸しというような形で実質的にはほとんど生活資材とコンブとを交換するというふうな形で行なわれておりまして、コンブ漁民にとりましては、ほとんど利益といいますか、所得の向上ということは、あまり期待できなかったんではなかろうかと、こういうふうに私たち考えている次第でございます。
 それで、戦後、道漁連が中心になりまして、一時的にコンブの共販体制をスタートしたのでございますが、これは地域単協ごとの入札あるいは随意契約方式というようなことに加えまして、コンブの漁民から海産商人に直接販売されるというようなものが相当あるというようなことから、実質的にこの共販といいながら、その価格の変動が非常に激しくて、生産者側にも大した利益も期待できず、また買い付け側であります海産物の商人側にも価格の変動が激しくて倒産するという経緯がありまして、その結果、この生産者とそれから販売業者、取引業者含めましてコンブの共販連絡協議会というものを設けて、系統共販に乗せて一元的な集荷というものを開始いたしたというふうに理解しております。その結果、多少時間的に年月もかかりましたが、年々その成果が向上されまして、一元集荷方式というものが、漁民の間でも十分末端まで理解されまして、一元集荷の道が開け、だんだんと拡大してくるとともに、価格につきましても非常な、異常な変動幅がありましたコンブにつきましても、大体安定した価格で取り引きされるようになりまして、生産者にとりましても、また、コンブの買い取り側にとりましても非常に満足すべき段階に近ずいておるのではなかろうかと、こういうふうに理解している次第でございます。
#60
○川村清一君 水産庁長官の御認識は大体正しいんではないかと私は評価するわけでございますが、いま私が申し上げましたように、四十年にわたって見ておりますので、その実態をいささか申し上げたいと思うわけでございますけれども、昔は、日高沿岸の漁民は、コンブ、フノリ、ギンナンソーといった豊富な海草類に、ほとんど依存して生活をしておったわけでございます。しかし、その経済はどうかといいますと、これは函館の海産問屋の仕込み資本の手に握られておったのであります。交通も全く不便な僻地の沿岸漁民は、函館商人の仕込みで米、みそ、しょうゆ等生活必需品が与えられ、それで長い冬を過ごし、越年して夏を迎えたときコンブをとって、そのコンブを物納して仕込み借金を返すと、こういうような経済生活であったわけであります。したがいまして、農業の小作と同じで、地主に匹敵する商業資本に収奪されて、幾らコンブをとっても生活は楽にならない。これが昔の日高の沿岸の漁民の姿であったわけであります。一人一人は弱い沿岸漁民が、生活を守るために、経済的、社会的地位を向上するために、団結した、これが協同組合である。協同組合をつくったわけでございます。コンブを資本の収奪から守るために、協同組合の共販体制というものが漁民の団結の力で自主的につくられた、共同運動として共販運動が進められまして、今日の体制、機構というものが確立したのであります。このように私は理解しております。
 これは北海道のコンブの実態というものを、日高の浜を一例にとって申し上げたわけでございますが、こういう歴史的な経緯のもとに今日の共販事業というものが発展してきたということを、ぜひ水産庁当局としては御認識をいただきたい。まあ大体水産庁長官もそのように受けとめられていらっしゃるようでございますから、さらにその考えをしっかり固めていただきたいということをひとつ申し上げた次第でございます。
 さらにお尋ねしたいんでありますが、協同組合が行なう共販といいましても、それはひっきょうするに、商行為であるわけであります。生産漁民の採取、製造したコンブを、単協を通じ漁連が一元的にそれを集荷し、それを問屋なり加工業者に販売するのでありますが、その場合、もちろん適正な価格によって販売し、生産漁民の利益を守ることに第一義的な目的があるわけであります。消費者に対しましても、安定的に供給しなければならない責任もあるわけであります。しかし、ここではっきりしておかなければならないことがあるわけでありますが、コンブといいましても、すべて同一の品質のものではないわけであります。つまり地域によって銘柄、格差があるわけであります。日高コンブだとか、あるいは利尻・礼文コンブであるとか、釧路のコンブ、根室のコンブといって銘柄の格差があるわけであります。また、同一の浜であっても、品質に等級の格差がある。まあ日高の私の町に井寒台というところがありますが、この井寒台のコンブは、これは第一等のコンブということであります。しかし、同じ井寒台のコンブでも、一等から五等まであるわけであります。また、年々豊漁の年もあれば凶漁の年もあるわけであります。そしてまた、経済の変動もあります。いろいろ条件が変わってくるわけであります。このような複雑な条件のもとに、これら客観的な経済状況を背景といたしまして、生産者から委託されている製品を完全に消化して、少しでも生産漁民に不利益を与えないように努力することが、生産者の代表である単協やあるいは連合会の義務であると、かように私は判断しております。さらに消費者に対しても、品質のよいものをできるだけ安く、しかも安定して供給するよう、いろいろ流通機構の整備にくふうをこらすことも当然のこれは責務であると、かように考えておりますが、この流通機構をいろいろ考えて整備していくんだという、この生産者代表である北海道漁連のこの姿勢といいますか、仕事に対して、農林省はどのようにお考えになっておるか、御見解を伺いたいと思います。
#61
○政府委員(荒勝巖君) この一元集荷式といいますか、いわゆる系統運動に乗せまして、一元的に零細な漁民のとりましたコンブを、北海道漁連がこれを手に入れまして、これをあといわゆる非常に安定した価格で、安定的に一年間供給をするということは、北海道漁連に課せられました重大な仕事でありますとともに、また消費者サイドから見ましても、これをまた適切に漁連が妥当な価格で販売されることを、われわれといたしましても期待しておる次第でございますが、従来の段階におきまして、過去の実績からいたしまして、おおむね妥当な価格で取引されているものと考えておる次第でございます。
#62
○川村清一君 流通機構の問題についてお尋ねしておるわけでありますが、私のお尋ねしていることは、コンブといっても、いろいろの種類がある。銘柄が、格差がある。同じ銘柄であっても、等級格差がある。そういう品物に対して、需要地からの注文というものは、必ずしも全部を買ってくれるような、そういう注文には相ならないわけであります。どうしてもよいものに対して、よい品質の銘柄を求める声が強くなるわけであります。その需要者の声にこたえて、良質の銘柄のものだけ送ってやれば、今度は品質の悪いものだけが残ってしまう。つまり、売れ残りができてくる。売れ残りができて、製品を完全に消化しない場合には、生産漁民から販売を委託されておるところの道漁連としましては、生産者に対して十分こたえられない。そのことによって、生産漁民に損害を与えるようなことになれば、道漁連の責任は重大になるわけであります。
 したがって、生産者代表である委託を受けておる北海道漁業協同組合連合会といたしましては、完全にそれらの品物が売れますように、消化されるように、いろいろ苦労し、苦心してこの流通機構というものを整備して、完全に品物がその流通に乗れるように努力するということは、当然なことだと私は思うわけでありますが、水産庁としては、どうでしょうか。
#63
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘になりましたように、北海道のコンブにつきましても、産地によりまして銘柄格差もありますし、また、同じ産地におきましても、等級格差というものがありまして、これはやはりこのコンブというものは非常に独特の調味料、自然の調味料でありまして、非常に日本でも北海道を中心とした一定量しかできませんので、この販売につきまして、やはり道漁連が中心になりまして、非常に公平に販売しなければならない。高級なものだけ選別売りするとか、あるいは不良なもののみをまた別の体系で売り出すというようなことでは、やはり御指摘のように売れ残り、あるいは逆に逼迫するという問題もございまして、長い経験と歴史によりまして、いわゆるある一定のシェアで、道漁連から需要者に対しまして、いわゆる荷割りという方式をとって引き渡しておるということによりまして、この年間の需給の均衡を来たしておるというふうに私たちは理解している次第でございます。
#64
○川村清一君 次にお尋ねいたしたいことは、物価の問題は、公害の問題とともに現在、国民生活安定の上から最大の問題であるということは言うまでもないことでございます。そこで、物価の面から考えて、コンブの共販はやめるべきである、自由競争による入札の方法か、あるいは漁民の自由販売にまかせるべきであるとの議論も行なわれておりますが、競争入札の方法は、はたして物価安定に寄与し得るか、究極において生産漁民の利益を守ることになるかどうか。私といたしましては、はなはだ疑問に思っておるところであります。北海道で生産されるコンブの総生産数量は、大体二万五千トンから三万トン程度、価格でいいますというと百三十億程度と聞いております。これをもし、漁連の共販をやめて競争入札の方法をとった場合、大手商社の買い占めにかっこうな商品になるんではないか、かように私は考えておるわけであります。むしろ買い占めによって、安定どころか価格騰貴、あるいは豊漁の場合は、買いたたきが行なわれまして、結局、生産者はもちろん消費者のためにもならないのではないかという点から、共販制度というものは堅持すべきであるというのが私の見解でございますが、これに対して水産庁の御見解はいかがですか。
#65
○政府委員(荒勝巖君) 戦後の一時期と違いまして、最近、国民所得の増大と、またそれに伴いまして非常に食生活も向上してきておりますが、特にこういう天然の調味料ということで、コンブに対します新たな需要の見直しというような状況になっておりまして、最近とかくコンブにつきましては、どちらかと申し上げますと、需給的には逼迫ぎみになってきておるんではなかろうかと、こういうふうに考えております。したがいまして、北海道漁連がただいま一元集荷されまして、安定的に年間平均して販売していくというようなことから、まあコンブの需要者に対しましても一定の価格で安定的な取引が行なわれておりますので、うまくいっているのじゃなかろうかと、こう考えております。これに対しまして、ただいま一つの御指摘でございますが、新たな入札制度の導入というようなことになりますと、生産量がきわめて限定されておりまして、需給が逼迫している背景では、価格的にはあるいは変動幅の非常に激しい影響をもたらすか、あるいは一方的な買い占め、独占というふうなことも起こり得るんではなかろうかということで、これはまだ仮定の問題でございますので、明確なことは断言いたしませんが、いま私の申し上げたようなことが懸念されるというふうに理解している次第でございます。
#66
○川村清一君 重ねてお尋ねしますが、私のいま主張したことと思想は大体一致していると、長官のお考えは。こう理解してけっこうですか。
#67
○政府委員(荒勝巖君) 私といたしましては、先ほどの御質問のときの御趣旨と私の考え方は同一ではなかろうかと、こう考えております。
#68
○川村清一君 次にお尋ねしますが、コンブの共販は道漁連が共同運動の一環として行なっている事業であるだけ、協同組合の団結をはかるための手段としての側面が共販という事業にあることも認めなければいけないと思うのであります。したがいまして、組合員である漁民が組合の決定に基づいて、すべての生産品を共販の路線に乗せるよう組合が組合員に働きかけることは当然の処置である、かように考えます。しかし、現実の問題として考えてみた場合に、必ずしもそうはならないのであります。一〇〇%一人残らず組合に出すということは実際はあり得ない。必ずある程度のものは共販の線からはずれて裏口売買をする。現に北海道では漁連が取り扱っている数量は総生産の八〇%であると言われておるわけであります。これは、理想の線からいうならば、はずれておりますが、しかたのない現実だと、かように私は考えます。このことは認めなければならない実際の姿であります。
 その場合、末端の単協では、そのような裏口売買をした組合員に対しまして、組合の決定を破った不届き者として、その漁民からコンブの専業漁業権を剥奪したとか、あるいは今後再びそのような行為があった場合は、漁業権を剥奪するとか、組合を除名するという条件で、絶対に裏口販売をしないと、誓約書を書かせたという事実等があったと聞いておるのでありますが、もしそのような事実があったとすれば、これは明らかに行き過ぎた行為であると私は思うわけであります。あくまでも共同運動として説得し、自主的に共販に努力するよう働きかけなければならないのではないか、かように思うわけでございますが、北海道にこのような事実があったのかどうか、このような事件に対して水産庁はどのような態度で対処していこうとしておるのか、お伺いをいたしたい。
#69
○政府委員(荒勝巖君) 共販運動というものは、あくまで零細な漁民が自己の経済力を守るというたてまえから、水産業協同組合法に基づきまして系統共販運動というものを独禁法の適用外してまでこれは認めているのでございまして、これは大いに推進し、かつ今後とも維持しなければならないものと私ども理解している次第であります。しかしながら、やはりこれはあくまで一つの組合運動の一環として各組合の機関はこういう形で漁民を指導すべきものであり、また漁民の方々も、この趣旨を十分理解しまして、お互いに納得の上で契約なり売買関係を締結すべきものと私のほうは理解しておる次第でございます。これが頭から、上から強権的といいますか、強圧的に末端の組合員を縛り上げていくというふうなことでありましたら、やはりこれは少し法律の趣旨を多少踏み違えた行き過ぎではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
 最近、またこの場合に多少――全体の中には、自由なひとつの販売をいたしたいということで、漁民の方があるいは別な売買業務を行なわれることもありますけれども、その売買業務を系統運動と異なった行為をしたからといって、それに対して実質的な何らかのペナルティーといいますか、組合の施設を利用することを拒むとか、共同漁業権を一部停止するとかというようなことになりますと、やはりこれは行き過ぎではなかろうかというふうに考えておりまして、これはやはり組合員、組合内部の問題としてお互いに話し合いの中で今後解決していくべきものと私たちのほうは考えておる次第でございます。
 なお、最近の実例としまして、多少何か無理に組合員に誓約書を書かせたとか、あるいは来年からコンブをとらせないとかというふうな話が私のほうの耳に入りましたこともありますので、これらにつきましては行き過ぎのないようにということにつきましては、道庁を経由いたしまして私のほうは指導している次第でございます。
#70
○川村清一君 次に、コンブの流通の問題についてお尋ねいたします。
 いままで私が申し上げましたように、コンブは、北海道生産漁民の代表として道漁連と、それから全国の問屋、大手加工業者の代表で共販協会というのがつくられておって、そこで価格をきめる協議会が持たれ、その結果、値段がきまりますと、問屋を通じて末端の加工業者や小売り店に、さらに消費者に流通すると、こういう仕組みになっておるわけでございますが、問題は、加工業者の段階にあるわけであります。どういう問題があるかと申しますと、コンブの加工業者は数が非常に多くあります。そうして階層的にも非常に複雑であります。零細な業者がたいへんに多いということも聞いておるわけであります。コンブの加工によって生計を立てている零細な加工業者に原料コンブがなかなか提供されない、その結果、生業が成り立たない業者が多くなってきた。そこからいろいろな問題が生じておる模様でございます。流通機構の問題は、広範多岐にわたって、種々雑多な問題があるわけでありますが、原料コンブが入手できないために、経営が成り立たない、生活ができない業者が存在するとするならば、やはりその原因を究明して、何とかこの対策を立ててやらなければならない、これは当然の措置ではないかと、かように私は考えるわけでございます。で、このような実態に対しまして、水産庁としては、どのような指導をしてきたか、また今後どういうふうにこの対策を立てていくつもりか、ひとつ御見解をここでお尋ねしておきたいと思うわけです。
#71
○政府委員(荒勝巖君) 先ほど来お話がありますように、戦後の長い時間をかけまして北海道漁連を通じての一元集荷、それをまた関西を中心といたしますコンブの問屋、あるいは加工業者に対しまして、一定の価格で一定の荷割りというような形で販売されてきておりますことにつきましては、私のほうといたしましては、従来からこの取引形態につきましては、おおむね妥当なものというふうに考えておった次第でございます。
 ただ、問題は、その後、この長い時間の間に――多少同志的な結合というような面もありまして、非常にうまくいっておったわけでありますけれども、やはり長い期間の間には、新しい新規の業者も出てき、それらの方々が、コンブに対するひとつの需要というものもありますし、また、小さな方々が締め出されたような形になりまして、取り残されておりまして、全国に、零細なコンブの加工業者は、約千五百軒もあるわけでありますが、その中には、非常に雰細過ぎて、資金的にもまた一定の取引量を確保するというにも、なかなか実際問題として北海道漁連としては対象としにくいような、小さな業者の方もおられまして、この問題について、私のほうといたしましても、今後何らかの形で、もう少し取引が円滑にいくようにする必要があるんではなかろうかと、こういうふうに考えまして、この点につきまして北海道漁連に対しまして、この問題について十分ひとつ再検討して、何らかの形で取引が円滑にいくように、くふうするように最近指導している次第でございます。
#72
○川村清一君 これは非常に大事な問題で、コンブについていろんな問題が起きるのも、これが原因ではないかと私は判断をしているわけです。どんな小さな業者であっても、このコンブに依存して、加工業を経営して食べていっている業者でございますから、その業者も成り立つようなことをやっぱり考えてやらなければならないのであって、いまの御答弁によるというと、道漁連のほうにもいろいろ指導していらっしゃるということを聞いたわけでございますが、具体的に何かお考えになっておることがございますか。水産庁として具体的に考えていらっしゃるようなことがもしあればお示しをいただきたい。
#73
○政府委員(荒勝巖君) 先ほど来申し上げておりますように、コンブの加工業者の中には、非常に零細な小さな方がおられまして、いわゆる取引の相手としては、多少信用問題としまして、問題があるやに聞いておるわけでございますが、しかしながら、といってコンブの荷分けにあたりまして、全然考慮しないというのは、やはり先ほど来のように問題がありますので、北海道漁連とも相談いたしまして、こういった小さな方々に対しまして、やはり一定のシェアで荷分けするような方法を道漁連に申し入れ、また、道漁連におきましても、これについては検討の用意ありということで、ただいまの階段で一応話としてまとまりかけてきておりまするのは、小さな方々を中心といたしまして、共同の荷受け機関といいますか、一つの組合のようなものをつくって、それに対して一定量を道漁連から引き渡すような形がいいんではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。大阪地区がこのコンブのやはり主要な取引地区でございますので、この大阪のコンブの加工業者の方々をどういうふうな形で、今後行政的にわれわれが指導していくか、の問題として、今後検討さしていただきたいと、こういうふうに考えております。
#74
○川村清一君 ぜひその点は十分御配慮されて、実効のあがる行政措置をしていただきたいということを要望しておきます。
 最後にお尋ねいたしたいことは、いわゆる原藻が足りないから自由化すべきだ。ソ連からコンブを輸入すべきだという議論も行なわれておるわけでございますが、私は先ほども申し上げましたように、北海道沿岸出身の者として、沿岸漁民の実態を知っているだけに、この点については絶対賛成できないわけであります。北海道の沿岸漁民のほとんどはコンブ漁業に依存して生活しております。それだけにコンブ資源を守り、さらにふやすために、あらゆる犠牲を払って努力をして今日にきておるわけであります。国も道も組合も多額の投資をして、増殖や養殖の事業を推進してきております。もしソ連から急にコンブが輸入されるようになりますれば、たちまち価格が低落し、北海道漁民の死活問題が生じてくるわけであります。したがいまして、われわれは今日まで残存品目の農水産物について自由化を阻止するために闘ってまいりました。農業品目は言うまでもなく、水産物についても、これ以上自由化を許してはならないという基本原則に立って、コンブの自由化は絶対に認めてはいけない。こう主張するものでございますが、これはひとつ農林大臣の御見解をぜひ承りたいと思います。
#75
○国務大臣(櫻内義雄君) 今回委員会を通じまして、農水産物の自由化は考えておらないということをしばしば明白に申し上げてまいっておるのであります。北海道の沿岸漁業の皆さんが、コンブ漁業に強く依存されておるという実情は私も十分承知をしておるところであります。ただいま何か御懸念を持って御質問のようでありまするが、過去におきまして、四十七年度で見まするに、わずか輸入割当を一部の国にいたしたことがございまするが、そういうようなことで御懸念があるかと思いまするが、この北海道沿岸漁業に影響のあるような、ことにいろいろと複雑な事情のある北海道沿岸、もしくは旧領土の関係からコンブの輸入などが問題になりまするならば、これはたいへんなことでございまして、輸入の自由化あるいはそういう関係についての割当などについて私としてはいま全然考えておりません。
#76
○川村清一君 以上をもちまして、水産業協同組合法の一部を改正する法律案に関連しての質問は終わりまして、次に、漁船損害補償法の一部を改正する法律案並びに漁船積荷保険臨時措置法案に関連して若干の質問を申し上げたいと思います。
 第一にお尋ねすることは、農林省の機構改革で水産庁の漁業共済を取り扱う課と、漁船保険を取り扱う課が一本になった漁業保険課という課が新設されると聞いておりますが、その間の事情、どういう趣旨、どういう実情からこういうような機構改革がなされたのか、簡単に御説明願いたいと思います。
#77
○政府委員(荒勝巖君) 今回の機構改革にあたりまして、この漁船保険関係と漁業共済等を扱う所管を同じ課で行なうことといたした次第でございます。その理由といたしましては、まず実務的な話といたしましては、特別会計が漁船保険と漁業共済とが同じ体系の一つの特別会計で担当しておりまして、これは四十二年の漁業共済事業を創設いたしました際に、勘定を区分しながらも、特別会計としては一本にするということをいたしましたこともありまして、特別会計の経理上の立場、あるいは実務上の立場から、両事業を担当する課を一本にするということが便宜的であるということが一つの問題でございます。それから、なお、これは多少制度論にからみますけれども、両方の、漁業災害補償制度にいたしましても、あるいは漁船損害補償制度にいたしましても、制度としては、両方とも不慮の事故を前提にいたしました漁業者の損害の補てん事業ということで、思想論としては、大体同じであるということで、この思想を前提にいたしまして、両制度の運営に当たって一つの運営方針のもとに事業をまとめたほうが行政組織上、これも利用者にとって有利であるというふうに判断いたしまして、以上の二点から両事業を一つの課にまとめたと、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#78
○川村清一君 漁船再保険特別会計と漁業共済保険特別会計を漁業保険課で一体的に取り扱うように機構改革をなされたということは合理的であり、前進したものと私は評価しておるわけであります。しかし、二つの特別会計を比較すると、きわめて大きな格差がございます。漁船保険のほうは昭和四十一年度にたしか十二億円を剰余金の中から中央会に交付した、四十八年度は、また法律改正でさらに三十五億交付する、これほど多額の剰余金を持つ裕福な会計でございます。ところが、一方漁業共済保険特別会計のほうは、数字をちょっと聞いたのですが、間違いがあったら御訂正を願いたいと思いますが、四十七年度決算で、大体六百万程度の赤字が生ずる見込みである。そして漁業共済組合連合会のほうは、四十七年度で累積赤字が十六億円にも及ぶと推計されておるわけでございます。両会計とも同じくわが国水産業の振興と漁民の経営安定を目的としている制度に基づいて設立されておるものでございます。で、目的が同じところの二つの会計において、こんな大きな差異があることに、実際取り扱っていらっしゃる行政当局としては、不都合、矛盾を感じないのかどうか、私はどうも納得できないのでありますが、水産庁当局としましては、どうでしょう、率直な御見解を賜りたいと思います。
#79
○政府委員(荒勝巖君) この漁船再保険の事業と漁業共済保険の特別会計の事業とは、一応特別会計としては、一本になっておりまして、ただ経理区分を別勘定として整理しておるわけでございますし、また、今度は同じ課で両方の事業を取り扱うことになった次第でございますが、両事業とも、それぞれ歴史的経過も違いますし、また別個の仕組みで制度化されておりますために、その経営の内容が非常にいろいろ違うということはやむを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
 御指摘のごとく、このような問題は残っておりますが、漁船保険につきましては、御存じのように、非常に歴史も長く、また制度も完備してきまして、また今後ともこの制度をさらに臨時特別措置で新しく積荷保険まで拡大し、行く行くは船主責任保険まで事業を広げていきたいというふうに考えている次第でございます。また、漁業共済のほうにつきましては、まだ発足しまして漁船保険ほど完全な体系整備も行なわれておりませんが、われわれといたしましては、むしろ今後の問題として、この漁業共済事業につきましては、非常に今後大いに制度を改善し、かつまた、漁民の要望にこたえたい。こう考えておりまして、これは、昨年来検討会を政府部内に設けまして、漁業共済制度について種々検討してきた次第でございますが、この四月の時点におきまして答申を得ておりまして、これにつきまして抜本的な改正をただいま検討さしていただいておりまして、いずれまた来国会でもこの問題について水産庁としては御提案申し上げたい。こういうふうに考えておる次第でございます。
#80
○川村清一君 前段長官がおっしゃったことは、私も十分わかって御質問申し上げておるわけであります。二つの会計が同じ課で取り扱っても、全く別な会計であることも承知しておりますし、その基本になる制度そのものも片方は漁船保険災害補償法、この制度は非常に長いわけです。それから片方は漁業災害補償法、この制度はたしか昭和四十一年に国の再保険に入ったといったような歴史の浅い保険であります。したがって、会計上の差が生じてくること、これも十分承知しておるわけでございますけれども、しかしながら、漁船保険といえども、漁災保険といえども、これは目的は同じにあるわけですね。そこに私は何となく割り切れないものがある。同じ漁業者であるが、片方は漁船業者だけの組織である。もちろん組合員としては沿岸の小型の漁業者もおりますが、千トンまでの遠洋漁業者も加入しております、漁船保険のほうには。しかも今度の法律改正でも見られるように、運搬船もそれから用船も加入することができるようになるわけです。今後ますます大型化が進む傾向にあります。したがいまして、漁船保険のほうの経営はますます楽になることは間違いないでしょう。
 これに対しまして共済組合のほうは沿岸で先ほど私が申し上げましたように、コンブだとかワカメであるとか、こういう海藻類を採取して生活している無動力階層、零細な沿岸漁民で、暖冬異変であるとか、あるいは海水の汚濁で漁獲がきわめて不安定だ。ノリその他養殖漁業者を多数かかえておるのが漁業共済組合のほうでありますが、そちらのほうの経営は今後ますます困難になることが私は予想されるわけです。もちろん漁災につきましては、抜本的な制度改正をするように検討中だとおっしゃっておりますから、それはけっこうなことで、これらの問題はそれによってすべて解決されるならばよろしいのですよ。しかし、なかなか困難ではないか。
 そこで、私ども年来のこれは主張なんですが、昭和四十一年の漁災法の審議のときにも、私申し上げたんでありますが、何とか非常にこの裕福な会計を持つ漁船保険と、赤字をかかえて困っておる漁災保険とを一本にまとめることができないのかどうか。水産庁の行政が一本化したように、この二つの会計を一本にまとめてやることができないのかどうか、技術的に困難なのか、水産庁としては検討してみる気がないのかどうか。農林大臣としていかがでしょうか。これは、非常にむずかしいことだと思いますが、借金をかかえた組合を引き受けてくれといったって、漁船保険のほうは反対するでしょう。めんどうなことは重々承知しておりますが、何とか一本にできたら、これはまことにけっこうなことだと思うわけでございますが、この点を検討してみるお気持ちがないかどうか、ひとつ農林大臣の御意見を伺いたいと思います。
#81
○政府委員(荒勝巖君) 先ほど来申し上げておりますように、漁船保険は漁船保険、それから漁業共済は漁業共済なりに、それぞれ別個の仕組みで事業を行なっておりまして、これはもう先生もただいま御指摘のとおりでございまして、――両者の間には仕組み等全然違いますので、経理も当然区分して行なわなければならない問題だと考えております。
 しかしながら、一方の事業が非常に伸びて、一方の事業が停滞する、あるいは逆に赤字に苦しむというようなことは、はなはだ私としてもあまり行政的にいい方向ではないというふうに理解しておりまして、今後、漁業共済事業につきましても、何らかの形で、もっと経営的に確立できるような方向で抜本改正を行ないたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#82
○川村清一君 この問題につきましては、さらに、議論を進めていく過程で申し上げたいと思います。
 さて、漁船保険組合の経営は、全国的に、一般的には非常に裕福であるわけであります。それは、国の特別会計が総額四十七億ですか、の剰余金を中央会に交付するだけの力を持っておるわけでありますから。しかし、これを個々の漁船保険組合に分けて検討してみた場合において、全部が裕福だということはいえない。地域組合によって非常に格差があるわけであります。
 たとえば、北海道には地域組合が八組合あります。その八組合の内容を検討してみますと、普通保険の引き受け隻数が、根釧組合、つまり根室釧路組合は、四十六年では六千百九十四隻、道南の組合は六千四百隻、これに対して、南後志の組合は六百六十五隻、留萠はわずか六百八十九隻しかありません。したがいまして、組合運営のために組合員の負担が大きく違ってきておるのであります。
 これは、調査室からいただいた資料によりますれば、付加保険料率は、南後志は四五%、留萌は実に五〇%、これに反して、根釧の組合は二〇%、道南は三四%にすぎないのであります。これは全国的にも同じでございまして、青森県は二一、岩手は一五、宮城は一二にすぎないのに、大阪府は四八、岡山四七、大分四六、熊本四七、広島は五三と、あまりにも格差があり過ぎる。これでは非常に矛盾があると思うんです。何とか末端漁民の負担が公平になるように、そして、この漁船組合の経営が安定されるように、機構を整備し合理化する、これが必要だと思うんでありますが、どうですか。そういうような御意思がありますか、または現在検討されておりますか。
#83
○政府委員(荒勝巖君) 漁船保険組合によりまして非常に、まあ、経営の大型の組合は、非常に健全経営でございまして、また、地区によりましては、漁船の在籍数が少ないというようなことから、おのずから漁船保険組合としましては、小さな組合になっているということは、もうただいま御指摘のとおりでございます。その結果、付加保険料率の格差が出てきておるというふうに私たちも見ておるわけでございまして、これにつきましては、従来から、漁船保険組合事務費補助金といたしまして、特別会計から別途この格差是正のために、付加保険料の高率な漁船保険組合に対しまして、大体十四組合でございますが、事務費の補てんあるいは付加保険料の格差の是正に交付してきておりますが、これにつきましては、今後とも私たちといたしまして努力を払いまして、この付加保険率の格差是正につとめてまいりたいというふうに思っております。
 なお、別途、この特別会計から支出いたしております予算のほかに、今回法律を御承認いただきますと、三十五億円と前の十二億円の四十七億円で、それを基金といたしまして、漁船保険の振興事業の一環といたしまして、付加保険料の高率な漁船保険組合に対しまして何らかの形で助成をすることを予定しておりまして、末端漁民の負担の公平にマッチするように努力いたしてまいりたいと、こういうように考えておる次第でございます。
#84
○川村清一君 いや、私の質問に対しまして長官は、付加保険料の格差のある、非常に負担の多い組合に対しましては、たしか十四組合とおっしゃったようですが、補助をしておるというような御答弁、その御答弁はけっこうでございますけれども、私は、もっと根本的に、もう少し組合を統合するなり合理化する必要がないかということをお尋ねしているんです。
 北海道に八つの組合が必要なのかどうか。大体、考え方としては、県に一組合というのがこれが原則だったんでしょう、いままでね。ところが、北海道は、ああいう広い地域であり、また漁業が非常に盛んな地域でございますので、八組合もつくったと。しかしその八組合がみないいんならいいですけれども、たとえば、根室、釧路とかあるいは道南のようなこういう組合はいいですけれども、留萌のように六百そこそこ、南後志のように七百隻に足りないというような引き受け隻数を持つ組合では、なかなか困難ですよ。
 そこで、補助金をやるのも現段階ではけっこうですが、もっと根本的に、抜本的に、これを変えていく、合理化していく必要があるのではないか。府県もそうですね。県に一つでありますが、たとえば水産の盛んな青森、岩手、宮城、東北の組合は非常に裕福である。同じ東北であっても、山形県の組合のごときは、付加料率は四六でございますね。こういったようなものをやっぱり全国的に勘案していくというと、もっと合理化していく必要があるんではないかと私は考えるわけですが、それは、水産庁としてはどうですか、検討されておりますか。
#85
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘になりました、漁船保険組合の一つの組合によります格差是正につきましては、当然に、私たちといたしましても、合併ということも一つの大事な仕事であるというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、漁船組合の合併によりまして、ぜひとも経常を合理化いたしたいというふうには、これは私たちの指導方針としまして考えておる次第でございまして、北海道につきましても、これにつきまして一つの合併問題も多少最近その芽はえも出てきておりますので、これらの点につきまして、今後指導を強化いたしまして、経営がそれぞれ組合ごとに不均衡にならないように、組合間の経常を改めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#86
○川村清一君 次に、これらの制度と末端の漁業協同組合の事務員との関係についてお尋ねいたしたいわけでございますが、漁業災害補償法に基づく漁業共済の事務は末端ではやはり漁業協同組合がやっておるわけであります。それから、漁船損害補償法に基づく漁船保険の事務も末端では単協がやっておるわけであります。さらに今度漁船積荷保険臨時措置法が制定された場合、この法律に基づく積荷保険の事務も末端の漁業協同組合が受け持たなければならない。末端の漁業協同組合がしなければならない事務が非常に多く、そして複雑になってくるわけです。この末端の単協に対してどのような措置をなされてきたのか。事務は、ふえて職員の数はふやされない、経営上非常に支障を来たしておるのではないかと思います。したがいまして、これらの法律に基づいて事務を行なっておる組合に対しましては、事務費につきましては全額これを国が負担するというような措置が当然なされなければならない。そのように私は考えるわけでありますが、水産庁としては今日までどのような措置をとられてきたのか。さらにどのような措置を今後なさろうとしておるのか、それを明らかにしていただきたいと思います。
#87
○政府委員(荒勝巖君) 漁船保険組合につきましては、末端の漁業協同組合に対しまして保険料の徴収、払いをした場合に、徴収した純保険料に一定の率をかけまして、その金額を漁業協同組合の事務費の交付金といたしまして四十八年度におきましては約九千八百万円、約小一億円をこういった末端の漁業協同組合に漁船保険関係で支払っておる次第でございます。
 また、漁業共済の場合には、これもその事務の一部を漁業協同組合に委託いたしますので、委託手数料について漁業共済組合に対し国は漁業共済事業を実施し、補助金といたしまして約三千万円を補助いたしておる次第でございます。
 なお、今回また新たに起こします漁船積荷保険事業につきましても、漁協が加入をあっせんした場合におきましては、それぞれ一隻につき謝金を交付するというようなことで、われわれといたしましては、こういった事務が過剰になります過程で、それぞれ漁業協同組合に対して今後とも事務費が実質的にふえるように予算措置をなお今後努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#88
○川村清一君 水産庁長官のお話を聞いている限りにおいては、末端の組合に対しては事務費は十分やってあるんだというふうに聞き取れるわけであります。事務費の補助がいっていることは承知しております。しかし、私の言わんとしておるのは、スズメの涙ほどのそんな事務費をやったって、しょうがないじゃないか。大体国が法律をどんどんつくっていく。そしても、その法律に基づいて事務は全部末端の組合が行なう。貧乏な組合ほど人員は少ない。その少ない中でいろいろな仕事をやっている。だから、組合が要求しておることを私が代弁して言うことは、国が法律をつくって、その法律に基づいた事務を末端の漁業協同組合がやっているんだから、この事務費については完全に、ちょっとの補助ではなくて完全に国が負担すべきである。こういう立場で、一ぺんにそれをやることもなかなか予算上困難でありましょうけれども、そういう気持ちで年々歳々ふやしていってもらいたい。そして完全に国が負担するような体制をつくってもらいたいということを私は申し上げている。これに対して御意見を承りたい。
#89
○政府委員(荒勝巖君) 今回の法案の御審議の過程で、ただいま御指摘のような問題を非常に多く御質問を受けましたし、また御指摘も受けておりますので、私といたしまして足らざる面につきましては十分この機会に反省いたしまして、明年以降の予算の際に十分努力を払ってまいりたい、こういうように考えております。
#90
○川村清一君 次に、特別会計から漁船保険組合中央会に対して、剰余金の中から三十五億円を交付することになっておりますが、四十一年で十二億交付し、さらに三十五億と合わせて今後四十七億という巨額な交付金を中央会は運用することになるわけでありますが、この運用計画が立てられているのかどうか。これにつきましては、四十一年の法改正のときに、参議院では附帯決議をつけております。「漁船保険中央会に対する交付金は、その性格にかんがみ、これが使途については、組合の意思が十分反映されるようにつとめること。」こういう附帯決議をつけて、法律を成立せしめたわけでございますが、この運用の計画には十分組合員の要望をくみ取ってつくらなければならないと思っておりますがその点はどうか。
 次に、この巨額な金を運用しておる中央会というものに対する指導、監督をきびしくなされていかなければならないと思うわけでありますが、この点はどうか。
 次に、四十一年以来二度にわたって保険料率を下げたというが、下げてもなおこのような巨額の剰余金が出ることに私は問題があると思う。国の保険でございますから、民営の保険とは本質的に違うものであって、剰余金を出すことに決して目的があるわけではないわけであります。剰余金が出るということはいいことではない、こんなにたくさん。出ることは、漁船保険の仕組みに何な根本的な問題があるのではないかと私は思うわけでございますが、あるとすれば、抜本的改正が必要だと思います。この点どうなんですか、検討されましたかどうか。
 それから一人の同一の漁民が組合員として構成されておる組織がいろいろあるわけでございます。一人の漁師は単協の組合員でもあります、漁船組合の構成員でもあります。そうして共済組合の組合員でもある。この一人の漁師が入っておるその組合の、単協の経営はまことに不振である。共済組合のほうも楽ではない、漁船組合のほうも弱小組合でまずい、こういう点もあると思うわけでありますが、しかし、国の特別会計だけが多額の剰余金を持つ、中央会かたくさんの交付金を受けてほくほくしておる。こういう姿というのは私はけっこうな姿だとは思わないわけです。何か、ここに矛盾があるような気がしてならない。私も専門家ではございませんから、これはこうだ、ああだということを指摘することは現在できないわけでございますが、何か根本的な問題を抱えているのではないかと思うわけであります。
 でありますから、私の言いたいことは先ほど冒頭に申し上げましたように、いろいろな仕組みの保険がありますが、この保険を総合的なものにまとめることができないものかどうか。ある組合は非常に裕福でほくほくしている。ある組合はまいっておる。または一般的に小さな漁村の組合は、すべての組合がまずい。中央会だけがほくほくしておる。どうも納得いかないんですが、この点をもっと水産当局としては十分検討してみて、何とか根本的に、抜本的に、解決するものがあれば解決いたしまして、一番いいのは総合的な保険制度をつくることだと思うわけでございますが、これらについての御見解を伺いたいと思います。
#91
○政府委員(荒勝巖君) 前回漁船保険の法律を御審議願いました際に、四十一年の三月三十一日に決議をいただいております。この漁船保険中央会に対します交付金につきましては、この使途につきまして、十分われわれとしましては、組合員の中で議論を行なった結果、指導組合の意思が反映するように、交付金の事業を行なっておる次第でございます。その大きな問題といたしましては、無事故報奨事業あるいは漁船の事故が起こることを防止するための助成事業にお金を出す、それから保険金の仮り払い事業を行なう、それから異常危険等のための貸し付け事業を一時的に融通する、それから付加保険料の格差是正のための事務費の補助を行なうというようなこと。あるいはその他の漁船の大型化に伴うまあトラブル、海外でのトラブルに対して、必要に応じて保証状を発行するというふうな仕事等を検討いたしまして、こういった仕事を行なうべく努力している次第でございます。
 指導、監督についてはどうかということでござ
 いますが、前にいただきました十二億円の金と、今回法律が成立いたしましたときの三十五億円と二つあわせまして四十七億円というものは、これはあくまで基金として管理いたしましていこの元金に手をつけるということはいささかも考えておりませんで、この果実、平年ベースで私たちは約三億一千万円程度を考えておりますが、この果実の範囲内で漁民並びに漁船所有者に有効に使うようにいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 また、料率を引き下げた問題につきましてでございますが、過去三年に一度ずつ、十年の平均をとりまして料率を改定いたしまして、年々改定のごとに料率は下がってきているわけでございますが、その後におきまして、漁船の近代化といいますか、堅牢化に伴いまして、漁船の損害の実情が年々まあ当初の予定よりも下がってきていることと、あるいは漁民の方々の漁船の利用率、漁船の損害が発生しないような運営のしかたという意識の向上というような点もございまして――実質的に再び三十五億円の余裕金を出したということにつきましては、われわれも深く反省いたしておりまして、今後の運営に当たりまして、さらに料率の引き下げを行ないますとともに、不当な形での剰余金が発生しないように努力いたしてまいりたいと、こういうように思っております。
 なお、最後の問題でございますが、それぞれの特別会計なり、それぞれの漁船保険と漁業共済との間の事業の本質的な違いからいたしまして、この両会計に、まあ経理上片一方は多少剰余金が出たと、片一方のほうはまだそこまで至っていないということにつきましては、今後、漁業共済事業の改正に当たりましては、十分にその辺のことを配慮をしまして、漁業共済事業も一日も早く経営が合理化といいますか、一人前になるように、われわれといたしましては努力いたしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#92
○川村清一君 結論的に言って、私が先ほどからるる申し上げておるように、総合的な保険にしなさいと、一本にするように検討する意思がないかどらかということを執拗に聞いているわけでありますが、長官の御答弁に関する限りはその意思はないと、それぞれやっぱり特徴ばあるんだからと。それは、あることはよく承知して私はお聞きしておるのです。しかしながら、片方はたいへんな金持ちの組合であり、片方は赤字をかかえた組合である。これを何とか経営がうまくできるようにするとおっしゃっておりますが、私の予見するところでは、漁業災害補償法に基づくところの漁業災害保険というのは、そういかないものを持っている。日本の国の漁業の仕組みから言って、特に、いまのように日本列島が全部公害化されているこの状態の中で、できるはずのものがないわけですよ。片一方は、ますます裕福になっていく、そういう性格を持った組合なんですよ。ですから、それを何とか一本にして――両方のコーチとも望んでいるところは同じなんですよ。漁業の振興と漁業者の経営安定に資するためにやっている法律なんですから。それに基づくものが片一方は金持ちで、片一方は貧乏。これを何とか一本にして、全国の漁民の負担を公平にすることができないかということを申し上げておるんですが、どうしても考えてみる意思ないのですか。大臣、どうですか。どうしてもまずいですか、私の言っていること。長官わからないんじゃないですか、私の言っていること。
#93
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほど来の川村委員の御質問の御趣旨は、よくわかるのであります。
 まず、その総合的保険にする考えはあるか、ないか。これについて、長官からは、それぞれの保険なり共済のおい立ちがあることを申し上げておるのでございまするが、われわれとしては、いずれにしても、これらの保険、共済を通じて、漁業者のために寄与するということが、大眼目であると思うのであります。
 川村委員のおっしゃるように、それぞれの保険なり共済が余裕があれば、保険料について考えられるということももとよりでございまするが、私はそういうことよりも、漁業者にほんとうに役に立つ漁船保険であり、漁業共済であるということが一番眼目だと、かように存ずるのでございまして、おっしゃるように、場合によれば、それは総合的保険にする余地は考えられると思うのでございまするが、ただいまのところ、農林省としては、まあそれぞれの特徴を生かしながら、漁業者のために寄与をしようと、こういう立場にございます。まあ、長い目で見て、きょうの御意見は私としてもよく参考にしてまいりたいと思います。
#94
○川村清一君 時間がございませんので、議論を進めたいと思いますが、次にお尋ねすることは、漁船保険制度があって、さらに今度積荷保険が制度化されることは歓迎すべきことだと私は評価します。しかしですね、私は、積荷保険をまあここで制度化される以上、水産当局は、大事なことを一つ忘れているんでないか。大事なことが一つ抜けているんではないかと、こう率直に申し上げたいと思うわけであります。
 それは何かと申しますと、漁船は、船体が漁船保険で損害を補てんされる。積み荷の損害を積荷保険で補てんされる。そういうような事故が発生した場合に、常識で考えても、決してそれだけで済むものではないんであります。必ず人的損害がそこに生ずるわけです。そうでしょう。船が引つくり返った、沈没した、船に積んでおったその積み荷はみんな流してしまった、滅失した。その時に船に乗っておった一体人がどうなるのか。必らず人的損害がそこに出てくるんです。これは間違いない。常識でわかることです。ところが、この点については配慮されているのかどうか、さっぱりわからない。だから、大事なことが抜けている。これは、人命軽視の思想が農林大臣や水産庁長官にあるんじゃないかと、こう思うわけです。大事なことですから、ひとつ農林大臣のお考えをお聞かせください。
#95
○国務大臣(櫻内義雄君) 私どもが漁船乗組員の人身事故について、十分配慮をいたさなきゃならぬということは当然のことだと思います。まあ、言うまでもないのでございまするが、従来、船員保険法あるいは労働者災害補償保険法に基づいて保険の給付を行なっておるわけでございまして、またこのほかに、全国水産業協同組合共済会が実施している乗り組み員厚生共済制度や、あるいは民間保険会社の団体生命保険に加入をしておるというような、まあこれは実情にあるわけでございます。万一人身事故が生じた場合に、その補償を当然十分すべきだと思うのでありまするが、川村委員の御意見からいたしますると、現行のいろんな制度では、これは不十分であると、また私としても十分だとは考えてはおりません。したがいまして、漁船船主責任保険の検討にあたりましては、適切な補償が行なわれるよう十分検討してまいりたい。まあ、いまひとまず各種のいろんな対策が講ぜられて、一応対応しておるが、そういう見地から、ただいま御指摘の点は重々考えておるのでありまするが、一応御了承いただきたいと思います。
#96
○川村清一君 大体大臣の御答弁でお考えがわかったわけでございます。この船員保険あるいは労災保険、こう言いましても、漁船の場合、特に自家経営の小型の漁船では、その法律の適用を受けないものもおりますし、小さな漁業経営者の場合、いろいろ問題があるわけです。昔からですね、大臣、漁業経営者が、これは定置漁業であっても、漁船漁業であっても、もし不幸にして事故のために従業員一人の命を失なうようなことがあれば、これはたいへんな漁業経営者の痛手になるわけです。大損害を受けると、こう言われております。これは当然なことなんです。死亡された漁業労務者及びその遺家族に対しては、いかなる犠牲を払っても十二分の補償をしてあげなければならない。そのために、その経営者、船主がどんな大損害を受けても、これは責任上当然しなければならない。しかたのないことなんです。
 漁船の損害、積み荷の損害は保険で補償される、乗組員の人的損害は何で補償されるのか。経営者がこれは補償しているんです。その経営者が負担したそのものを、今度は補償してあげることが必要ではないですか。つまり、その船主なり経営者が自分の責任を完全に果たすことができるように、人的損害を受けた船主の損害を補てんする保険、まあ、ただいま大臣は船主責任保険というものを、いまつくるように努力しておるといったような御答弁でございましたから、それはけっこうでございます。
 重ねて申し上げますが、漁船保険、積み荷保険、それから乗組員の人的損害に対する保険、この三本の柱が完全にそろって初めて、完ぺきな私は漁船に対する保険制度だと思うわけであります。ぜひひとつ、積み荷保険までいったんですから、次には、人的損害に対する保険というものをぜひつくっていただくように努力してもらいたいということを要望申し上げたいと思う。
 時間がまだ若干ありますから、ちょっと具体的な問題でお尋ねしますが、この積み荷保険は、これは試験的にまあ五年間実施されるということになるわけですね。そこで、漁船保険組合の再保険はどこと結ばれるのか、漁船保険の場合は国と再保険が契約されるわけでありますが、この積み荷保険は、この試験実施中は中央会と結ばれるということになっているようてすね。――そうですね。そこでお尋ねしたいのは、国が再保険を実施するその制度が五年後にはできると思うわけでありますが、その国の再保険に移行する場合に、もしも中央会が赤字をかかえておった場合、これはどうするか。これは四十一年ですか、二年ですか、漁業共済組合が国と再保険を結ぶときに、共済組合はたしか五億の赤字をかかえておった。そこで私どもは、法案審議のときに、この五億を当然国が負担し、全部これを補てんしてやって、そうしてこの共済組合ですね、共済組合連合会、これが身軽になって国と再保険を結ぶべきであるということを主張したのですが、その時点においては、五億をとうとう補てんしないで、五億赤字をかかえたまま共済組合連合会が国と再保険を締結した、これが実例であります。まあしかし、その後、国は五億出して、いまは全共済は赤字を持っておらないようですが、その心配がここにある。今度五年たって、中央会が国と再保険を結ぶときに、中央会が赤字をかかえておった場合にどうするか、国は完全にその赤字を補てんして、そして国と再保険を結ぶかっこうになるのかどうか、その点を明らかにしていただきたい。
#97
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘の漁船保険中央会が今回積み荷保険につきましては一応まあ暫定措置といたしまして再保険事業を引き受ける次第でございますが、今回法律案と同時に、先般予算の御審議をいただきました際に、国庫債務負担行為といたしまして一億三千万円を一応限度といたしましてこの赤字の補てんをすることにいたしておる次第でございます。これは四十八年度分でございます。したがいまして、いまのところ予定といたしましては、五年間のまあ臨時的な暫定措置ということになっておりますが、当然、明年度も予算措置の際に、見込み赤字額としてある程度の債務負担行為金額を出さしていただくことにいたしておりまして、五年間こういう制度を続けることによりまして、実質的に赤字が出ない方向でわれわれとしましては片づけたいというふうに考えている次第でございます。
 この問題につきましては、五年間にこういった、どの程度赤字が出るか、どの程度黒字かということ、こういったものを、材料を見込んだ上で、あらためて本格実施の法律案を御審議願いたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#98
○川村清一君 わかりました。
 そこでもう一点、今年度分のことをはっきりしておきたいと思うのですが、いまこの法律ができて、積荷保険というものが発足する、そうすると積荷保険をかける人が結局保険料をかけると、そこでもう保険の契約が成り立つわけですね。それで、しかしそれを引き受けたところの中央会は、その集めた保険料でもってすぐ支払えるようなことであればいいですけれども、まあどういう事故が起きるかそれはわかりませんよ。大きな事故が起きて、それで保険はもう契約されているんですから、中央会は払ってやらなければならない。ところが、中央会は資金がないと、発足したばかりですから資金がない、積み立てがありませんから資金がない。この場合は、いま長官がおっしゃった本年度の国の負担行為である一億三千万ですか、その中から出すことが可能なんですか。これははっきりしておいてください。
#99
○政府委員(荒勝巖君) 一応この法律を御審議願っておりまして御了解がいただけますならば、われわれといたしましては、十月一日からこの積荷保険につきまして新制度を発足いたしたいと、こういうように考えております。その十月から来年の三月三十一日までに起こり得る赤字相当分といたしまして、一億三千万円の債務負担行為を予算に計上しておるということでございます。その間、十月から三月末の間にかりに、万が一大きな事故が、いわゆる保険金の支払いをしなければならないような事故が起こりました場合には、一時それは積み立て金が少のうございますので、さしあたりは借り入れ金によってつないでおきまして、そしてあとで赤字を補てんすると、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
#100
○川村清一君 それでは時間がきましたので、あと一問で終わります。
 漁船保険についてお尋ねしますが、四十一年の法案審議のときに、いろいろ問題になったことが二点あります。これについて、現在はどのような実態であるかということをお尋ねします。
 第一点は、不正申告、いわゆる漁船が損害を受けたといって保険組合か申告するわけでありますが、そこに不正事件があった。まあ具体的にいえば、大した損害でないものを損害といって申告して保険料を詐取したというような事件が当時はちょいちょいあったわけです。そこで、この附帯決議の中にもはっきり出ておるわけでございますが、損害審査の適正化、この損害審査の適正化ということは何をさしておるかというと、当時はそういう不正申告をやって保険料を詐取する問題があったので、これが議論されて、こういう附帯決議の文書になって出たわけです。
 もう一点は、これにはありませんが、保険組合の収支決算書をいろいろ検討してみましたところ、組合によっては、分に不相応な事務費を使っている、まことにそれは膨大な事務費を使っている。事務費をこんなにたくさん使うということは、要するに、組合が裕福な組合もあるわけですから、いわゆる役員などがその交際費とか、あるいは旅行とかといったようなことで使っておる、そういう面があったわけであります。で、それに対しましては、水産当局としましては、十分指導監督するという御答弁をいただいておったわけでありますが、最近そういうような事態はないのか、改善されたのかどうかということ、この二点について、ひとつお答えいただきたい。それで私の質問終わります。
#101
○政府委員(荒勝巖君) 前回の御審議の際に御指摘になりました附帯決議のまず問題の第一点でございますが、この漁船保険制度発足以来、相当の年月がたちましたし、当初におきましては、いろ
 いろと御指摘を受けるような点もあったようでございますが、この制度が漁民の間にも十分に浸透してまいりまして、また世の中も非常に道義意識が高くなってきたというようなこともありまして、ただいまの漁船保険組合につきまして、事務能力も向上したということもありまして、まあ会計検査的にいまだかつて最近におきまして指摘を受けるようなことはおよそありませんし、またわれわれといたしましても今後こういったことにつきまして厳重に指導監督をしてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。また、この漁船保険組合の収支の決算書につきましても、われわれのほうでこの前のときには、いろいろ御指摘を受けたようでございますが、政府といたしましては、経費の節減、あるいは経営の合理化というようなことで、漁船の保険組合に対して指導を強化いたしておりまして、今後とも冗費の節約ということについては、厳重に指導をきびしくしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#102
○中村波男君 この機会に要望になると思いますが、実態を御報告申し上げて格段の行政指導をお願いしたいとこう思うのであります。
 その件と申しますのは、先般、実は北海道の知床国立公園、このほとんどが国有林でありますが、ここにスーパー林道二十五キロ程度開設をいたしまして、この林道の開設によってたいへんな山地崩壊を来たしておりますし、まことに実態を見まして、北海道の秘境といわれておる知床を、これまでに自然破壊をする林道の開設というものについては問題があるということを強く感じたわけであります。この問題は別な機会に大臣にも申し上げて、早急にひとつ対策を立てていただきたいと思っておるのであります。
 そこでですね、急傾斜に林道をつけたものですから、山腹の崩壊と林道工事の捨て土を全部その場で捨てておりますから、雨が降りますと、沢や谷に土石が流れ込みまして、それが海へ押し出すと、それに加えて伐採木が一緒になって流れまして、漁網等にたいへんな被害があるということが報告されたわけです。
 一番問題にいたさなければならぬと思いましたのは、この地域に、ルシャ川あるいはテッパンベツ川というような、その他まだ何本かの川がありますが、この川は、サケ・マスの採卵期にサケ・マスの大群が遡上しまして、卵を生むわけであります。もちろん水産庁の関係のふ化場等も現地にあるわけでありますが、それで、川が埋まってしまいまして、境界などというものは全くない。したがって、雨が降るたびに、水の流れが変わる。よくまあ地元の漁民の皆さん、あるいは町が、この問題について林野庁等へ押しかけてこられないのを、ふしぎに思ったんですが、いまのところ、相当サケ・マスがとれるものですから、そんなに大きな声を出して陳情等が行なわれておらないようです。
 この管理権というのは、おそらく町にあると思うのでありますが、河川の管理権は。これはひとつよその所管だから、というようなふうに放置しておりますと、とれる資源がそのために、大きくマイナスになるわけでありますから、したがって、実態をひとつ出先を督励して調査をされまして、どこの金で、だれがやるのかは別にいたしまして、これはぜひひとつ境界線を明らかにして、土砂が川へ押し流さないような砂防堰堤なり、それに要するいろいろな施設を考えておかれることが必要ではないか、こういうことを痛切に感じましたし、この国立公園の中に、十條製紙の社有地が千二百ヘクタールばかりあるわけでありますが、この十條製紙が、国立公園ではありまするけれども、伐採禁止の指定地域ではありませんから、乱伐をいたしまして、そこへ作業道をめちゃくちゃにつけておる。それでその作業道等からも土砂が崩壊の土砂と一緒になりまして、海へ押し流しておる。こういう実態を先般、視察をして見てきたわけであります。
 したがいまして、これは農林大臣、林野庁の所管にもなりますから、ぜひひとつ実態調査を命じていただきまして、いまのうちにひとつ手を打って枯渇する資源をできるだけ守るという立場からも、水産庁の長官も意にとめていただいて善処していただきたい。このことをちょっと要望申し上げまして質問を終わりたいと思います。
#103
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの知床国立公園内における、一つは、公益林道の開設に伴う問題、一つは、十條製紙の社有地の乱伐に関する問題、この二つともたいへん恐縮でございましたが、私、いまここで初めて承ったわけで、しかし、さもありなんと承っておったわけでございます。農林省内で、水産庁が一方の被害者のようなかっこうで、林野庁の関係が問題である。こういうことでございまして、さっそくに実態をよく調査をいたし、対策を講じたいと思います。
#104
○理事(初村滝一郎君) 他に発言もなければ質疑は終局したものと認めます。
 これより三案の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に発言もないようですから、これより三案の採決を行ないます。
 まず漁船損害補償法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#105
○理事(初村滝一郎君) 総員挙手と認めます。よって本案は全会一致をもって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、漁船積荷保険臨時措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#106
○理事(初村滝一郎君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 ただいま可決されました漁船損害補償法の一部を改正する法律案及び漁船積荷保険臨時措置法案に対する附帯決議が先ほどの理事会においてまとまっておりますので、便宜私から提案いたします。
 案文を朗読いたします。
   漁船損害補償法の一部を改正する法律案および漁船積荷保険臨時措置法案に対する附帯決議(案)
  政府は、近年における漁業事情の推移に伴う、災害および漁業に関係する船舶の事故の防止対策に万全を期し、漁業経営の安定に資するため、左記事項について適切な措置を講ずべきである。
          記
 一、漁船保険組合間の組合員負担の平等、軽減を図るため、当面弱小組合に対する援助措置を講ずるとともに、組合の合併、経営の改善等についての指導を強力に推進すること。
 二、漁船積荷保険は、漁業者の信頼と活用が得られるよう内容の充実を図ることに留意し、速やかに、本格実施の時期を早めるよう努めること。
 三、多様化する漁業者の保険要望に即応して、漁業再生産の確保及び経営の安定に一層資するため、総合的補償制度の創設について検討すること。
 四、船主責任保険の実施については、鋭意調査検討を進め、早期実現を期すること。
 五、漁船保険中央会に対する交付金は、その性格にかんがみ、これが使途については、漁船保険組合員の意志が十分反映されるよう努めること。
    右決議する。
 以上であります。
 それでは本附帯決議案の採決を行ないます。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#107
○理事(初村滝一郎君) 総員挙手と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、櫻内農林大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。櫻内農林大臣。
#108
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
#109
○理事(初村滝一郎君) 次に、水産業協同組合法の一部を改正する法律案を議題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#110
○理事(初村滝一郎君) 挙手多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 ただいま可決されました水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案が先ほどの理事会においてまとまっておりますので、便宜私から提案いたします。
 案文を朗読いたします。
   水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、わが国の漁業、水産加工業をめぐる諸情勢が、ますます厳しさを増大させている現状にかんがみ、これに対処して、漁業協同組合、水産加工業協同組合等の信用事業の体質強化を図るため、貯蓄の増強、自己資本の充実等を強力に指導するとともに、左記事項の実現に万全を期すべきである。
          記
 一、いちじるしくたちおくれている漁業協同組合の合併を促進するため、指導援助を強化すること。
 二、為替取引、手形割引等の実施にあたっては、業務執行、信用調査、検査・監査等の体制の整備に努め、実施基準の弾力的運用と事故防止対策とを適切に行なうことによって、事業の健全な育成を図ること。
 三、漁業協同組合、水産加工業協同組合等の職員の給与および労働条件の改善等につき適切な指導を行なうこと。
    右決議する。
 以上であります。
 それでは、本附帯決議案の採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#111
○理事(初村滝一郎君) 挙手多数と認めます。よって、本附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの附帯決議に対し、櫻内農林大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。櫻内農林大臣。
#112
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
#113
○理事(初村滝一郎君) なお、三案の審査報告書の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#114
○理事(初村滝一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 速記とめて。
  〔速記中止〕
#115
○理事(初村滝一郎君) 速記を起こして。
 ただいま水産関係三法案が可決されましたが、その審査の過程において、有明海等における水銀等の汚染による漁業被害の実情調査のため、委員派遣が行なわれ、現地を視察するとともに、関係者の意見あるいは陳情を聴取いたしましたが、同地方に限らず、公害による漁業関係の被害は深刻化しており、関係者は早急な対策を要望している状態であります。この実情にかんがみまして、現事会において協議いたしましたところ、この際、当委員会として決議を行ない、政府に対し、すみやかなる対策を求めることが必要であるとの結論に至りました。案文がまとまっておりますので、便宜私から提案いたします。案文を朗読いたします。
   公害被害漁業者等の救済に関する決議(案)
 政府は、水銀、PCB等による漁場および魚介類の汚染が、沿岸漁業の存立基盤を根底からゆるがせ、漁業者並びにその関連事業者等に深刻な打撃を与えている現状に対処するため、左記事項の実現に努めるべきである。
     記
一、公害被害漁業者等を救済するため、公害発生源企業の早期確定と原因者負担の原則の上にたつ緊急つなび融資の早急な実施、救済対策の制度化等を行なうこと。
  なお、緊急つなぎ融資については、融資枠を十分確保するとともに、利子負担については,公害被害漁業者等の負担にならないよう検討すること。
二、企業の有害物資の排出規制を厳重にするとともに、汚染漁場復旧のため、ヘドロ除去等を早急に実施すること。
三、公害被害地域における第二次沿岸漁業構造改善事業の繰上げ実施と予算枠の拡大、漁場転換に伴う漁船建造資金の融資等について、特段の配慮をすること。
  右決議する。
 以上であります。
 それでは、これより採決を行ないます。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#116
○理事(初村滝一郎君) 総員挙手と認めます。よって、本決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、櫻内農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。櫻内農林大臣。
#117
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの決議につきましては、御趣旨を尊重し、今後検討してまいりたいと存じます。
#118
○理事(初村滝一郎君) 次に、畑作物共済及び園芸施設共済に関する臨時措置法案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。櫻内農林大臣。
#119
○国務大臣(櫻内義雄君) 畑作物共済及び園芸施設共済に関する臨時措置法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農業災害補償制度につきましては、制度創設以来、農業経営の安定のため多大の寄与をしてまいったことは、御承知のとおりでありますが、最近における農業事情の変化に対応して、本制度の対象範囲を拡大し、新しい部門にもこれを適用することが関係各方面から強く要請されるに至っております。
 政府におきましては、このような情勢にかんがみ、果樹について五年間の試験実施を経た後、本年度から果樹共済事業を本格的に実施することとしておりますが、農業生産の適地適作を推進していくためには、さらにその他の畑作農業等についても、適切な災害補償制度の確立が強く望まれているのであります。
 このため、政府といたしましては、従来から主要な畑作物及び施設園芸に関し、種々調査検討を続けてまいったところでありますが、本格的な共済制度を樹立するのに必要な諸種の資料が十分整備されていない状況でありますので、まず試験的に事業を実施し、その過程において共済掛金率算定のための基礎資料の収集、損害の評価等事業運営上の諸問題の検討を行ない一適切な災害補償制度の確立に備えることといたした次第であります。
 以上がこの法律を提出する理由でありますが、以下その主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
 第一に、今回試験実施を行なおうといたしております共済事業は、畑作物共済と園芸施設共済の二種類であります。その対象としては、畑作物共済におきましては、主要な畑作物のうちから政令で定めることといたしておりまして、当面、バレイショ、てん菜、大豆、アズキ、インゲン及びサトウキビの六品目を予定しております。また、園芸施設共済におきましては、温室その他の施設園芸用施設を予定いたしております。なお、園芸施設共済におきましては、内容農作物もこれに含めて対象とし得ることといたしております。
 第二に、事業の実施につきましては、特定の農業共済組合等及び農業共済組合連合会をその申請により都道府県知事または農林大臣が指定し、その指定を受けたものが共済事業及び保険事業を行ない、さらに政府がこれに対する再保険事業を行なうことといたしております。
 第三に、事業の内容でございますが、畑作物共済におきましては、対象畑作物につき、自然災害、病虫害等による損害が一定割合をこえた場合に、また、園芸施設共済におきましては、対象園芸施設等につき、自然災害等によって損害が生じた場合に、それぞれ、共済金額及び損害割合に広じて共済金を支払うことといたしております。
 第四に、国は、農業共済組合等及び農業共済組合連合会がこの法律による共済事業または保険事業を行なうのに要する事務費を補助するほか、共済事業の円滑な実施をはかるため、畑作物共済及び園芸施設共済に加入する者に対して、交付金を交付することができることといたしております。
 このほか、農業共済基金の融資措置等事業の円滑かつ適正な運営を期するために必要な事項についての規定を設けることといたしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#120
○理事(初村滝一郎君) 次に補足説明を聴取いたします。内村農林経済局長。
#121
○政府委員(内村良英君) 畑作物共済及び園芸施設共済に関する臨時措置法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
 この法律案は全六章及び附則から成っておりますが、まず第一章におきましては、この法律案の趣旨等を定めております。
 この法律は、農業共済組合及び市町村による畑作物共済事業及び園芸施設共済事業、これらの共済事業による共済責任についての農業共済組合連合会による保険事業並びにその保険事業による保険責任についての政府による再保険事業を試験的に実施するための必要な措置を定めることによって、畑作物の栽培及び施設園芸に関する適切な災害補償制度の確立に資することをその趣旨といたしております。
 また、畑作物共済の対象とします畑作物は、政令で定めることとなりますが、政令では、畑作物のうち相当規模の栽培実績があり、保険設計も可能なものを選ぶこととし、当面、提案理由説明で申し上げた六品目を予定いたしております。
 次に、園芸施設共済の対象とします施設は、施設園芸用施設のうち、温室その他のその内部で農作物を栽培するための施設といたしております。
 第二章におきましては、農業共済組合及び市町村が行ないます畑作物共済事業及び園芸施設共済事業につきまして、その実施の手続と事業の内容を定めております。
 実施の手続といたしましては、畑作物共済事業または園芸施設共済事業を行なおうとする農業共済組合または市町村は、農業共済組合にあっては総会または総代会の議決、市町村にあっては議会の議決を経て、その行なおうとする共済事業の基本となる事項についての共済事業計画を定め、農業共済組合連合会の同意を得た上、都道府県知事に申請して、その指定を受けなければならないこととしております。
 次に、事業の内容でありますが、まず畑作物共済におきましては、共済契約ごとに、被共済者が対象畑作物につき、自然災害、火災、病虫害、鳥獣害等によって政令で定める一定割合以上の損害を受けた場合に、農業共済組合または市町村が共済金額及び損害の程度に応じた支払割合により共済金を支払うことといたしております。
 園芸施設共済におきましては、共済契約ごとに、被共済者が対象施設につき、畑作物共済と同様の災害によって損害を受けた場合に、共済金額及び損害割合により共済金を支払うことといたしております。なお、対象施設の内部で栽培される農作物及び付帯的な施設につきましても、あわせて共済の対象とし得ることといたしております。
 その他、共済約款、共済金額、純共済掛金率、資料の提供についての協力要請に関する規定を設ける等事業の適正かつ円滑な運営を期するために必要な規定を定めております。
 第三章におきましては、農業共済組合連合会の行ないます保険事業につきまして、その実施の手続と事業の内容を定めております。
 まず、実施の手続といたしましては、畑作物共済または園芸施設共済にかかる保険事業を行なおうとする農業共済組合連合会は、農業共済組合等の場合に準じ、農林大臣の指定を受けなければならないこととしております。
 次に、事業の内容でありますが、保険契約は農業共済組合または市町村の段階で共済契約が成立したときに当然に成立することとし、共済責任のうち政令で定める割合の部分を歩合で保険することとする等所要の規定を設けております。
 第四章におきましては、政府の再保険事業について規定しております。
 農業共済組合連合会が負う保険責任については、政府がこれを再保険する事業を行なうこととし、この場合の再保険契約は当然に成立することといたしております。
 再保険の内容は、いわゆる超過損害歩合再保険方式によることとし、再保険金額、再保険料率等につき所要の規定を設けております。
 第五章におきましては、国の助成及び農業共済基金の融資等について規定しております。
 国の助成につきましては、すでに提案理由説明で申し上げましたとおり、事務費の補助及び共済契約者に対する交付金の交付に関する規定を定めております。
 次に、農業共済基金は、農業共済組合等及び農業共済組合連合会に対し、共済金または保険金の支払に関し、必要とする資金の貸し付け等を行なうことができることとするとともに、印紙税の非課税措置等について所要の規定を設けております。
 第六章は、罰則に関する規定であります。
 附則におきましては、この法律案の施行期日及び農業共済再保険特別会計法の一部改正について定めております。
 この法律の施行につきましては、事業実施のための諸準備に要する期間を考慮して、昭和四十九年四月一日からといたしております。
 次に、農業共済再保険特別会計法につきましては、政府の再保険事業の経理は、農業共済再保険特別会計に臨時畑作勘定を設けて行なうことといたしております。
 以上をもちまして畑作物共済及び園芸施設共済に関する臨時措置法案の提案理由の補足説明を終わります。
#122
○理事(初村滝一郎君) それではこれより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#123
○杉原一雄君 昔から備えあれば憂いなしといわれておるわけですが、共済制度そのものはある意味における農業経営、農作物の安定的供給のすばらしい経験を持った備えであると一応理解してよいと思っております。
 そこで、そうした状況の中で、まず第一点にお伺いしたいのは、最近国の内外で非常に心配されておる異常気象の状況、それに対応する農作物の今後の見通し等々について実はお伺いしたいと思うわけです。ここに簡単なきわめて狭い地域のレポートを実は持っているわけですが、いま申し上げたことの農作物と気象との関係、それは北陸農政局の富山統計事務所の出した速報であります。これによりますと、草たけはやや短かく、茎の数は並みの生育、こういう集約でありますが、この中で示された気象の状況ですが、五月の後半は晴れた日が多かったが、二十一日から二十五日までは気温が低い、低温であったこと。特に水田の地温が平年より五度低かった、全般的に気温は平年並みで日照時間が平年の一二六%と多かった。六月に入ってから梅雨の前ぶれで曇った日が多く、六日に前線が北上し、平年より四日、昨年より二日早くつゆ入りした、そのあと前線が南下したので雨量は少ないが、曇天が続いたので、日照時間は七七%と少なかった。十日から中休み状態を呈している。こういう気象状況の報告とあわせてそれに伴う稲の生長状況をレポートしているわけです。
 ちょうど私、一週間ごとにいなかに帰りますから、先週の日曜、この間の日曜、一週間ごとに帰りますと、目ざめるばかりにこの分けつが進み、苗の色もかなりきれいな色を、いわゆる緑が非常に濃く、私も豊作型までとはいきませんが、かなり条件がいいなあと実は思っているわけですけれども、巷間伝えられるところによりますと、西アフリカの例をあげるまでもなく、国際的にかなり低温、気温が高緯度にしたがって、おそろしい低温状態を呈しているなどと伝えられております。そこで、きょうはまず、気象庁からも来ていただいておりますから、一九七三年、ことしの一月から今日に至るまでの前半の気象と、その特徴と、それを基礎に置いた今後の世界ないし国内の、日本の気象状況の予測判断、これを具体的にお聞きしたいと思います。
#124
○政府委員(高橋浩一郎君) ただいまの点についてお答えいたします。
 まず、世界的に見てみますというと、先生おっしゃいましたように、高緯度が平均的に下がっていることはよく知られておりますけれども、このことは、高緯度のすべての地方が全部低温というわけではございませんで、平均的に見ますと、そうなっておりますけれども、ある場所では非常に高温であり、ある場所では低温である、こういうことでございます。ことしもソビエトあたりでございますと、最近でございますというと、わりあい高温であってむしろ干ばつぎみであるというようなことが報ぜられているわけでございます。それが大体最近の状況でございまして、世界的に見まして異常気象というものは日本だけでなく、世界的な規模で起こっているわけでございまして、それが日本についてもあらわれている、そういう状況でございます。
 で、今後の見通しにつきましては、きょう長期予報管理官が来ておりますので、そのほうから具体的にお答えさせるようにいたしたいと思います。
#125
○説明員(藤範晃雄君) お答えします。
 ことしの今後の見通しでございますが、北日本を中心に低温が二、三回あらわれ、北日本はやや不順な天候というふうに予想しております。それから、西日本のほうは、どちらかというと平年並みでございまして、現在の状況ですと、ある程度高気圧におおわれましてやや雨量が少ないんではないかというような予測をしております。以上でございます。
#126
○杉原一雄君 気象庁は、五月の二十二日ですか、産業科学学会の会合があって、そこへ御出席になったのですか、どうですか。
#127
○説明員(藤範晃雄君) 出席いたしました。
#128
○杉原一雄君 それでは、農林省に対する質問の前に、その学会における、農林省も入っておったわけですが、討論をして世界的に、これは日本にもまかり間違えば大凶作に見舞われるおそれありというような一つの大きな集約をされているわけですが、気象庁側では、その集約のやはり科学的な予測判断というものがあるはずですから、まず気象庁サイドの科学的な予測判断を的確にひとつお示しいただきたいと思います。
#129
○説明員(藤範晃雄君) お答えします。
 産業気象科学学会では大凶作になるというふうに集約したのではございませんでして、ことしの夏はやや不順という線を中心に、もしその冷たい空気の入るタイミングが悪いとある程度、かなり冷たくなる。しかしながら、この時期がまあ長期予報ではなかなか的確にきめられませんので、現在のところやや不順ということが、その平均的な予想であると、そういうふうに申し上げました。以上でございます。
#130
○杉原一雄君 残念ながら、ぼくの手元にあるこのレポートは、あなたがいまおっしゃったような、当たらずさわらずの予報じゃなくって、これは当たるか――まあ、おそらく学会の統一見解だと思いますが、相当はっきり専門的な予測判断を加えておりますが、もう少し丁寧に答えることはできませんか。あとのことですからわからないというのは、あなたも神様でないですからね。しかし商売でしょう、そういう立場からわかるはずですね。あまり冷たいですよいまの言い方は、低温ですよそれは。(笑声)
#131
○説明員(藤範晃雄君) そこで私のほうから御説明申し上げましたのは、七月中旬を中心に低温がきそうだと、それから八月中旬の後半ぐらいを中心に一つの低温の山がある。それからまた九月の、後半も、一つの低温がくるということでございまして一しかしながら、北極方面の寒気の動向を見ますと、一九七一年とか一九六六年に比べますと、二割方寒気の動向が弱い。ですから、その年ほどにはならないけれども、経過としてはそういう二つの年によく似ていると、そういうふうに申し上げました。
#132
○杉原一雄君 それでは気象庁ようございますから、あとは一つ農林省にバトンを渡してほしいのです。
 いまの気象庁の予測判断に従って、農林省はどら上半期を、農作物その他に対する気象との関連を分析しておるか。あわせて、いま大凶作などというようなこの見出しをぼくは直ちに利用したわけですが、そんなこともないだろうと、気象庁はかなり楽観的な判断をお出しいただいたわけですが、しかしながら、大凶作という判断も、FAOのいろいろな警告等もあわせかねて考えた場合に、私は政治的には危険なきにしもあらずというふうに思いますし、百姓のむすことして、いま分けっしていることが、分けつの数が多いとか、緑の色がいいとかいっておりますけれども、台風が一号ようやく来たという状況とか、さまざまなことを私たち、はだで気象を判断した場合に、これはちょっとあぶないぞという気持ちがします。
 そういうことで、直ちに農政上の問題を論議することも軽率かもしれませんが、技術指導あるいは農政指導、いろいろな立場に立っておいでになる農林省サイドの気象に対する受けとめ方、判断、あわせて全国の稲の、稲作状況等についての集約点検を行なっておられると思いますが、いま一番大事なときですからね。おそらくそうしたことから、これはいまのところはだいじょうぶだ、いやこれはたいへんだ、しかし、心後はこうだから、こうなんだ、というような、いろいろな検討をなしておられると思いますから、その角度からの総括的な経過と、今後の判断をお願いしたいと思います。
#133
○政府委員(遠藤寛二君) お尋ねの問題は二つ問題点がございまして、一つは、長期的な、気象庁からお話のありました長期的な異常気象の問題と、もう一つは、今年の稲作を中心とする夏作物についての問題二つございます。
 まず、夏作物の問題から申し上げますと、第一に、作況につきましては、まだ七月十五日の作況予報が正式な最初になりますので、まだ正式なものは出ておりませんが、最近私どもが承知いたしております各統計調査、おもな早場地帯の稲作地帯からの報告を集めて承知いたしております。それによりますと、先ほど気象庁からもちょっとお話がございましたように、平年に比べまして五月の末、それから六月の初めにかなり低温がございました。しかし、その後の天候の回復によりまして、現在の状態では先ほど先生がおっしゃいましたように、これからの先の心配というのはちょっとわかりませんのですけれども、現在の状態ではだんだん順調に復しておりまして、平年よりやや悪いか、あるいは並みぐらいというところまで東北も北陸も戻ってきておるという報告を私ども受けております。
 それからこういう気象の問題につきまして、私どもの技術的な対応の問題でございますが、これは本年の三月十日に、毎年でございますが、三月十日に気象庁が四月から九月までの暖候期予報というのを、御承知だと思いますが、出しますけれども、それに基づきまして、農林省は三月の末に、二十六日でございましたか、暖候期全般につきまして主要作物につきまして、気象庁の予測に基づきます注意をいたすわけでございます。それにつきまして、ことしは気象庁の御発表によりますと、北日本の低温、それから日本海側の大雨というような予測がされましたので、その点に重点を置きまして、たとえば稲につきましては、どうしても一品種に集中すれば危険だというようなことで品種の分散の問題でございますとか、地力の問題でございますとか、肥料の問題あるいは水の管理の問題その他につきまして詳細な通達を行なったあけでございます。それからまた、その後さらに引き続きまし三カ月予報、一カ月予報というのが気象庁から出まして、その場合、また五月の二十日前後にまた低温が先ほど申しましたようにございました。私どものほうは、またそれに対応いたしますように、六月一日にさらに詳しい個別的な技術の耐冷耐寒対策につきまして通達をいたしまして指導につとめておるわけでございます。毎年の問題につきましては、そのように気象庁の予報部と連絡をとりまして、予報が出るたびにできる限りの対応策を講じているわけでございます。
 それから長期的な問題につきましては、先生お話のとおり、確かにこれは非常に私どもしろうとでございまして、よくはわかりませんが、気象庁で長期的に見てかなり心配がある。こうおっしゃっておられますので、私どももかなり深刻に心配をいたしておりまして、ことしは春以来ずっと気象庁と、私と長官とも連絡をいたしておりますけれども、気象庁としきりに連絡をとっておりまして、最近では先月の二十六日にも気象庁の朝倉予報官においでを願いまして対策を検討いたしております。長期の問題になりますと、実態の把握の問題が非常にむずかしゅうございますので、その実態の把握、データの収集ということをいまどうするかということと、それから技術的な問題につきましては、農業技術研究所の物理統計部の部長をはじめ、そこの専門家を寄せまして、私のところでいろいろ検討を重ねておりまして、まだ長期のことでもございますし、趨勢を見なければなりませんし、実態を見なければなりません。そういうものをいまあわせて私どものほうで検討いたしておるわけでございます。そういったような状態で対応しております。
#134
○杉原一雄君 先ほどからちらりちらりと手元に物を持っておりながらものを申しておりますが、これは別に変わったレポートではないわけで、「町村通報」の一一二二号の中に載せられた巻頭論文です。しかもそれは私は実は知らない人であったけれども、大後美保さんですか、産業科学評論家、農学博士、この方がこのゼミナーをまとめた後、ぎりぎり最後におっしゃっていることは、一つの提案と申しますか、提言だと思うわけですが、「場合によっては昨年以上の世界的凶作も起こり得るし、今まで日本は世界的異常気象の渦の中で、たいした不作もなく過して来たが、さらに強度な異常気象により、大凶作にみまわれる恐れもある。」こういうことをいっておられます。ここで「大凶作」ということばが出てきたわけで、先ほど引用したわけであります。農業技術が進歩したからといっても、ある限度以上の異常気象に襲われれば、いまなおかなりな凶作になることは間違いない。そしてまあ大後さんは、今日まであるいは明治三十八年あるいは昭和九年、昭和十年九月、あるいは昭和三十八年の五、六月近年にない長雨に見舞われて麦その他がたいへんな減収をしたという事実等をあげて、農業、農政を預かるもの、あるいは農業を営む者に対して、十二分の警戒を要求しておられる、これは私、言い過ぎだとは思わない。そういう点で気象庁、農林省の答弁を聞いているのですが、おしなべて楽観ムードですね、失礼ですが。その点は今後の気象の推移と農作物の推移と、七月十五日とおっしゃったけれども、先ほど例にあげたのは、これも農政、皆さんの指導管轄下にある北陸農政局の富山農林統計ですからね、こういうものは集めればすぐ集まるわけです。
  〔理事初村瀧一郎君退席、委員長着席〕
 幾らでも、七月十五日などというのんき節を歌っていないでも、集約して適切な指導ができると思う。その点はそれこそ備えあれば憂いなしでございますので、万全の検討と御指導を期待したいと思います。
 二番目には、いま提案されている畑作の問題に入る前に、すでに大臣提案にもありましたとおり、五年間の試験の結果を経てすでに本格的な共済に入っております果樹共済について若干の質問を続けていきたいと思います。
 一つは、適用法、共済の法が六十八国会で成立し、かつまた、ことしの四月一日に施行になったわけですが、どの程度この共済制度が事務的にもあるいは行政的にも下のほうへずっと浸透して、受けて立つというような状態になっているのか、つまり適用の普及とその状況について報告をいただきたい。
#135
○政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘がございましたように、果樹共済は四十八年度から本格実施に入っておるわけでございます。そこで共済でございますから、まず引き受けということから始まるわけでございます。そこで果樹のうちのブドウについては、すでに五月に引き受けが始まっております。それからリンゴ、ナシにつきましては、六月から引き受けが始まっております。さらにわが国の果樹の中で、非常に大きなウェートを占めております温州ミカン、桃、夏カン等については八月から引き受けが始まるわけでございます。そこでこういった五月のブドウの引き受けが始まります前に、共済組合におきましては、必要な定款変更をやるというようなこと、あるいは市町村におきましてはその条例を設けるというようなことをやりまして、同時に、農家に対する果樹共済の普及の徹底というものをはかったわけでございます。ただいま申し上げましたように、八月から桃、温州ミカン、夏カン等の引き受けが始まるわけでございますが、現在組合では、そういったものの加入促進をはかっている段階でございます。したがいまして、全体についてどの程度の引き受けになるかということは、まだはっきりしないわけでございますが、私どもの計画では大体四十一県ぐらいが果樹共済を実施するであろう、で、収穫の保険につきましては、引き受け面積は大体果樹面積の四割程度の十万三千ヘクタール程度が予定されております。その総共済金額は六千七百億でございまして、実施予定組合は八百三十組合、こういうことになっております。それから果樹共済につきましては、大体二十一県ぐらいがそれを行なう見込みでございまして、引き受け面積は二万四千ヘクタール、総共済金額四千六百億、二百三十組合が、これを大体行なうであろうというふうに見ておりますが、いずれにいたしましても、私どもの見ておるところでは、大体果樹共済の本格実施につきましては、順調に進んでいるように感じております。
#136
○杉原一雄君 ちょっとおもしろい話をしますけれどもね。市の段階でこの法に即して条例をつくらなければならぬ。ところが、富山市の、私の富山市の市長は、ぼくの友人で、社会党の市長なんです。この間の市議会で、てんでんにいじめられて、非常に苦労をいたしました。それは、この条例の中身にこういうところがあるわけです。市長もうっかりこれをそのまま条例を提案したものですから、議会で大騒ぎになったんですが、富山市農業共済条例の一部を改正する条例、その条例の第十九条の2、「市は、この条例に特別の定めがあるほか、次に掲げる損害については、共済金を支払う責めに任じないものとする。」、この適用除外のところでありますが、その(1)に、「戦争その他の変乱によって生じた損害」と、こうある。そこで、私たち平和憲法を守り、戦争反対と言っているもんだから、市長も、おまえも戦争を反対したのじゃないか。「戦争その他の変乱」て何だ、こういうことで議会で大騒ぎになって、議長も、市長も、実はここを目を通していなかったものですから、平あやまりにあやまって、その「戦乱その他」を削除したわけです。
 そこで、これは富山市だけの思いつきじゃないと思うんですよ。農林省が、何かモデル条例といいますか、条例の基準みたいなものを御指導なさったと思いますが、その中にあるんじゃないかと思うんですよ。だから、ここに書いてあるのは、そんな悪い気持ちで書いてないと思うけれども、あえてこのことを入れられたのは、どういうことを想定されてこういう文言が入ったのか。その指導的な立場にある農林省の条例、この模範条例ですか、そういうものの策定の中に入っていると思うが、入っていないか。同時に、また入っているとすれば、その意図は富山市議会で混乱を起こすような意図ではないのかどうか。富山市議会は、それをお聞きしたからって直すことはしませんが、削除しましたから。問題は一応終わったわけですけれども、しかし各都道府県、市町村に影響しておることですから、この際ひとつ明らかにしてください。
#137
○政府委員(内村良英君) まず第一に、農林省の示しました模範条例案の中には、ただいま先生から御指摘のございました戦争その他の変乱によりて生じたる損害は云々ということは入っております。そこで、なぜそういうことばが入ったかということでございますが、現在の農業災害補償法の第百三条という規定がござい幸して、その規定はちょっと読んでみますと、「組合等の共済事業」、この「等」は市町村が入るわけでございますが、「には、商法第六百四十条から第六百四十三条まで、第六百四十六条及び第六百六十二条の規定を準用する。」要するに共済事業について商法の準用規定がございます。そこで、その商法の規定を見ますと、商法の六百四十条というのがございます。この六百四十条は保険に関するいろんな規定でございますが、「戦争其他ノ変乱ニ困リテ生シタル損害ハ特約アルニ非サレハ保険者之ヲ填補スル責ニ任セス」、こういう規定があるわけでございます。したがいまして、農業災害補償法が商法の準用をしておるその商法の条文には、こう書いてあるというところから、やや機械的に模範条例案に引用したということでございます。
 そこで、ただいま先生から御指摘がございましたように、一般の保険の場合は、当然商法の規定に基づいてこういうことばを入れているわけでございますけれども、農災法の場合に、やや「戦争其他ノ変乱」ということばはどきついと申しますか、面もございますので、私どもの指導といたしましては、「戦争其他」を削って「変乱二困リテ生ノタル」――やはり商法を準用しておりますから、その商法の規定は設けたい、そこでそういうような指導をしておるところでございます。
#138
○杉原一雄君 後ほどの畑作の場合も品目が六つというふうに規定されていることもありますから、果樹共済の場合で、これも六つ、六品目だと思いますね。先ほど八月、八月、六月、五月、六月というふうなことで、具体的にすでにあれは作業段階に入っておるわけですが、ただ、この法案を衆参両院を通過させる際に、附帯決議を同様つけているわけですが、この中で、カキとかクリとかいう話が出ているわけですね。でありますから、カキとかクリを対象品目に入れることについて、まあ法案施行以来、日も浅いわけですけれども、国会を通過して以来、若干の月日を経過しておりますから、試験的になり、あるいは調査等々によってこの辺の対象に入れることの可否についての、部内における検討あるいは調査等々の事実があれば、若干判断を加えて説明をいただきたいと思います。
 なぜこんなことを私が申すかといいますと、私の県の福光という、松村謙三先生の生まれた町ですが、この福光という町は、人口は約二万ちょっとですけれども、干しガキで有名なんですよ。だから、東京のデパートあたりで一つ百円、もっと高いかもしれませんが、去年の暮れから、またことしの暮れも皆さんのお世話になると思いますが、まさか商品宣伝をする必要ありませんが、お歳暮にはどうぞよろしくと言いたいところなんですが、これは松村さんの福光では四百ヘクタール、それから隣の城端というところでは三百ヘクタール、これは集中的に栽培をしておって、しかもつんだカキはきわめて巧妙な技術によって皮をむき、富山県独自のあの寒気にさらして、あのような白粉をふかせて、皆さんの応接間に顔を出すという経過をたどるわけです。だから、こうした私のいまの説明の中で、あえて私は富山県の例をあげたんですけれども、のみならず、これは岐阜にしろ、その他でクリの問題カキの問題としてそういう要望が農林省に上がっているのではないだろうかと思います。
 だから、最初に質問申し上げたように、この問題について衆参両院の附帯決議等を検討して、実施適用についての現在現在の、局長等の判断を実は聞きたい。もし適用できないとすれば、適用することは当面見合わせるということならば、それはなぜかということで明快な答弁をほしいんです、ぼくは要望を受けてきておりますから。きのうですか、朝、県の農業共済連合会へ行きまして、会長にも会い、参事にも会っていろいろ今日までの稲作等の共済の実態等を報告を受けながら、この果樹共済の問題で若干要望がございましたので、そのことで申し添えるわけですから、まあそうした農民の期待にこたえるような意味で、ひとつ経過と判断をお聞かせいただきたい、こう思います。
#139
○政府委員(内村良英君) 四十七年六月八日の衆議院の附帯決議及び参議院、同じ国会の参議院の附帯決議の中に、「果樹共済の対象果樹については、かき、くりその他の果樹農業振興特別措置法の適用対象果樹についてもその実態に応じて所要の調査等を行ない、可及的すみやかに対象に加えること。」という決議がございました。私どもも十分この決議を尊重し、その実現につとめなければならぬとしているところでございます。
 で、カキを果樹共済の対象とすることにつきましては、保険設計上必要な資料がまだないということでこれを見送ったわけでございます。そこで、共済でございますから、何といいましても、まずその被害率を基礎にしまして料率をつくる必要があるわけでございます。そこで農林省は調査費を予算化いたしまして、昭和四十三年から四十五年の三カ年間、カキの被害率の調査を行なったわけでございますが、その結果、被害率の変動が大きく、三カ年程度の年次では料率算定は困難であるというところから、さらに五県に依頼いたしまして四十七年度まで被害率の調査を行なっております。したがいまして、この調査がまとまりましたらそれを検討し、さらに損害評価の方法等も同時にあわせて検討いたしまして、できるだけ早く結論を得るように、前向きで検討したいというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても被害率がまずでき上がるということが先でございます。
#140
○杉原一雄君 それでは、いま議題になっている畑作共済なり、園芸施設共済に関する法案についてこれから質問を続けていきたいと思います。
 まず第一に、提起されている目的でありますが、農林大臣の提案理由の中にもありますように、「農業生産の適地適作を推進していくためには、さらにその他の畑作農業等についても」云々と、いわゆる適地適作ということが一つの大きな柱になっておるわけですけれども、あわせて、これは農林省が先を見越して、先取りをして出されたよりも、よりもっとあるいは北海道の農民から、あるいは沖繩の農民から、そういうところから、いろいろな要望等があって、これを吸い上げて具体化していく、行政ベースに乗せると、こうした経過も若干あったのではないかと思います。でありますから、これはやはり今後の農業生産をどう推進するかという、その問題にもからむことでございますので、やはり農政の基本的な一つの構想なりビジョンなりというものとの関連を抜きにして議論はできないと思います。で、日本の農業が、ある農政学者に言わせると、まさにこうこつの人である。このように心配のあまり、名誉でないことばをつけている人もあるわけですから、それくらいに、こうこつの人になりつつある日本農業に一つの、カンフルならざる強壮剤を与えていくという一つの側面を、ときには価格政策、ときには共済制度、こういうことでやはり考えることができるのではないか、こういうふうに思います。
 そこで、何か先ほどあげましたように、北海道等からひとつお願いしますと、こういう要望、しかもその要望は要望なりの根拠があるはずでありますが、それをどう受けとめ、どう判断してその方向に進んでいったのか、そういったようなことについてもし経過と処置の中であるならば、場長のほうから率直に出していただきたいと思います。それを基礎にしてやはりこの法の適否を判断していきたい、こう思います。
#141
○政府委員(内村良英君) まことに申しわけないわけでございますが、ただいまの御質問にお答えいたします前に、先ほど私が申し上げました数字に誤りがございましたので、訂正さしていただきます。
 果樹共済の実施規模につきまして、収穫保険が総共済金額六千七百億円と申し上げましたけれども、ゼロが一つよけいで六百七十億円でございます。それから樹体共済のほうは四千六百億と申し上げましたけれども、四百六十億円でございますので、その点まず訂正させていただきます。
 次に御質問のございましたこの畑作物共済の経緯の点でございますが、ただいま先生から御指摘がございましたように、確かに北海道におきましては、畑作物共済についての強い要望があった、現にまたあることは事実であります。と申しますのは、北海道はかなり広いいわゆる畑作専業地帯を持っておりまして、さらに冷害を受けやすいということもあって、畑作共済についての要望が相当強いものがあったことは事実でございます。それが具体的にどうあったかと申しますと、昭和三十三年度以降、北海道を中心に、これは農林省の委託によって行なったわけでございますが、被害率及び保険設計上問題となる事項について調査を行ない、学識経験者の意見もいろいろ聞いたわけでございます。さらに、昭和四十一年度から四十三年度までの三年間、これは関係農家あるいは団体等の強い要望で道単独でバレイショ、てん菜、大豆、小豆、インゲンを対象に共済事業の実験実施を行なったわけでございます。この実験は五地区、百戸を対象に行なわれまして、実際に現金の受け渡しが行なわれる実験であったわけでございます。そこで、その結果がどうかと申しますと、三年間で年間掛け金総額の約一・五倍に当たる三百八十八万五千円の不足金を出したわけでございます。この不足金を出しました主たる原因は、小豆、インゲンが赤字でございまして、バレイショ、てん菜は剰余が生じたわけでございます。この調査、検討を通じ、畑作物については作物により、また、地域によって保険需要に格差があり、危険分散に必要な多数加入者の確保についてむずかしい事情があること、また災害の態様から見て一部地域では危険分散をはかりにくいこと、さらに畑作物については作付耕地が年次により変動することが多いほか、収量変動の大きいもの、あるいは価格変動の大きいもの等があって、共済事業についてはさらに検討が必要であるということが明らかになったわけでございます。で、このようなことを背景にいたしまして、これはひとつ試験実施をしてみよう、本格実施に移るのには、まだあまりにもデータが足りないし、問題が多いというところから今回試験実施に関する法案を御提案申し上げているわけでございまして、今回の試験実施では、北海道畑作物について輪作体系を前提とした五作物一括加入の方式によって、作物間の危険分散をはかると同時に、さらに再保険措置等を通じて危険分散をはかるほか、いわゆる足切りの水準とか、共済金額の限度については、収量変動ないし価格変動の大きいものがあること等も考慮して今回提案申し上げている実験方式を定めたところでございます。
#142
○杉原一雄君 それは北海道なんですけれども、それは畑作の場合ですけれども、施設園芸のところはどうするか、何かそれの基礎資料がありますか、提案の。それをお聞きしたい。
#143
○政府委員(内村良英君) 施設園芸につきましても、昭和四十三年二月の西日本における豪雪、それから四十四年三月の関東信越地域を中心とする異常降雪等が施設園芸に大きな被害をもたらしたわけでございますが、これを契機に施設園芸に対する要望が起こってきたわけでございます。そこで、四十三年以降農林省の委託調査として被害状況を中心とした保険技術的な事項について調査を行なってきたわけでございます。これまでの調査、検討においては、施設についてはその構造、材質耐用年数等が多種多様で、被害の発生態様や、その頻度も地域的な差のほか、材質等による差があること、また内容作物については品目が非常に多数にわたっておるのみならず、価格変動の問題や、さらに損害評価の技術的な問題の困難性があるということで、これを独立に共済の対象とすることは非常にむずかしい、ほとんど技術的に不可能であるというような感じを持ったわけでございます。したがいまして、今回の試験実施では施設を主体として、内容作物は施設と一体として付帯的に取り扱うこととし、また、料率の設定については、材質による区分ごとに行なうというようなことで、実験の法案を設計しているわけでございます。
#144
○杉原一雄君 いまの局長の答弁では、その行き着くところは、対象品目というところまで、この実験、試験等の結果から答えが出るような気がしますね。大体そのことを意識して答弁をしておられると思いますが、そうしたことについて、あるいは施設園芸をやっている農家、農民、北海道農民にじかに何かアンケートを出して調べてみたり、そういったような統計の集約したもの等が何かあるならば、ひとつお示しいただくほうが参考になるのじゃないかと思います。――ない。
 先ほど、この問題は本論に入るときに少し申しましたが、日本の農業の未来はどうあるべきかという基本的な想定がなければ、いかなる制度も私はおかしいと思う。そこで、農林省の考え方をいろいろな角度で、大きな目をあけて見ているのですが、「今後の農業生産の推進の方向」というのがことしの一月に農林省から提示されたものがある。その中で「今後の農業生産の基本的方向と施策の大要」が出ているわけです。あるいは団地形成の問題とか、高能率農業の問題とか、いろいろありますね。そういう中で、米の生産調整を進めるということとか、特にいまの問題に関連ある「需要の増大する畜産物、園芸作物等の生産振興に努め、わが国農業生産の再編成を図るものとする。」と、こういう大きな主張があるわけでありますから、この畜産、園芸等についての生産振興、そうした問題等をやはり進める一つの大きなささえとしての今度の共済、そういう位置づけをしてもいいような気がするのですけれども、大臣、私はかってにそういうことをこじつけているようであれば、それは訂正いたします。だから大臣、農林省が考えている、「今後の農業生産の推進の方向」と、今度の共済と、大臣の趣旨説明では、適地適作という無難な表現しか出ておりませんので、こうこつの人、日本の農業を活気ある農業にしていくために共済を進める、ということとの関連、ほかのことはあまりお聞きする必要はないと思いますから、共済との関連。そういうことで、やっぱり大臣の理想があると思いますから、それをお聞きしたいと思います。
#145
○国務大臣(櫻内義雄君) 今回の試験実施をいたしたいという作目、バレイショ、てん菜、大豆、小豆、インゲンあるいは施設園芸、これらをごらんいただきますならば、これから畑作物あるいはこの園芸に力を入れたいと、そのためには、こういう共済事業というものが一方において整っておる必要があるということでお願いするわけで、ただいま御指摘のように、適地適作ということは繰り返し申し上げてまいっておりまするが、これからの日本農業の行き方の中に、畑作とか園芸とか、これを相当配慮していく必要がある諸情勢であると、こういう見地がございまするので、この点は御了承をいただき、また同時に、ただいまお願いをしているバレイショ、てん菜、大豆、小豆、インゲン、こういうものの振興をはかる上におきまして、共済事業を十分考えようと、このような見地に立っておるわけでございます。
#146
○政府委員(内村良英君) 保険需要の動向調査につきましては、北海道の畑作物については昭和四十一度に調査したものがございます。それによりますと、畑作物共済制度を必要と思うかというものに対して必要と答えたものが五三%になっております。それから畑作物共済制度を必要とする作物は何かということにつきまして、小笠、インゲン、大豆、バレイショ、てん菜について、約八割の農家がその必要性をあげております。牧草、亜麻は合わせて一・六%程度でございます。それから加入方式はどうしたほうがいいかということにつきましては、任意加入が五七。六%、強制加入が二六・七%になっております。それから被害のてん補割合は、三割以上が六三・七%、二割以上が二三・七%、その他が一二・六%というようなことになっております。それからその他の作物につきましての、特に地域特産物につきまして意向調査がございます。これは四十五年度から、今回実施は見送りましたたばこ、茶、ホップ、い草。それからこれは今回実施になりますサトウキビ、これは鹿児島県のものでございますが。昭和四十六年度から、これにさらに内地の豆類を加えて、いま現在意向調査中のものがございます。その結果、まあいろいろ非常に共済需要、被害率等の調査でございますが、ものによって、たとえば共済需要について申しますと、あったほうがいいというものが、たとえばたばこが四五・五、それから茶が二七・八、ホップが六六・二というようなことで、ずっと物別に数字が出ておりますけれども、これはまだ現在調査でございまして、これをもって結論を出すというところまではいっていないわけでございます。
#147
○杉原一雄君 共済制度の全般的な問題ですけれども、農林省の中で、今後のあるべき共済制度、望ましき共済制度等についての研究機関と申しますかね、そういうふうな農業保険問題研究会というところがあるそうですが、この研究会は、とりあえず十勝、北見の二地区によっていま提案されている畑作農業の実態調査等を行なってきたそうでありますが、これはこれで解散したんじゃなくて、今後とも継続をして、このテーマ、つまり望ましい共済制度ということで追求していく機関として存置をされていくのかどうか、もし存置されていくとすれば、いま中間報告を求めるのは無理かもしれませんけれども、いつかな時期を設定して、何かこう、学校でいうと試験をするといいますかね、答申を求めるような、そういう限られた日程の中で作業を進めているのかどうか、そういうことをちょっとお聞きしてみたいと思います。
#148
○政府委員(内村良英君) 研究会は現在継続しております。そこで、現在研究会がやっておりますのは、いわゆる経営保険というものがはたしてできるかどうかということにつきまして、四十六年度から四年間研究するということで、現在いろいろ研究をやっているところでございます。
#149
○杉原一雄君 次に、対象の品目ですが、先ほどの局長の北海道を中心とした試験、あるいはアンケートその他で結論が出るような気がしますがね、六品目。ところが、衆議院の審議の最終段階において附帯決議を実はつけているわけです。その附帯決議の第一項において、「畑作物共済の対象作物については、現在予定されている地域及び品目の拡大についても、その実態に応じてすみやかに所要の調査を行ない、対象に加えることを検討すること。」というのがあるわけなんです。この第一項について、おそらく大臣はひとつ努力いたしますとおっしゃっただろうと思いますが、今日時点で手がかりになるようなことありませんか。六品目でこれは理想的だとはおっしゃらないけれども、大体いまの時点では、危険率の分布の問題とか料率の問題とか、いろいろの観点から考えてこれはとりあえず妥当だと、こういう結論が局長の結論になるのですか。それとも手がかりになるこれもひとつどうかなあと思うようなのはありますかどうか、ちょっと御披露いただきたい。
#150
○政府委員(内村良英君) 先生から御指摘がございましたように、今般の実験につきましては、提案理由でも申し述べておりますように、畑作物共済の対象品目としてはバレイショ、テンサイ、大豆、小豆、インゲン及びサトウキビの六品目ということになっているわけでございます。その他の品目はどうかということでございますが、まず日本の畑作物を考えた場合に、頭に浮かぶのは野菜でございます。それで私どもも野菜の共済制度ができればこれはやりたいという気持ちを持っているわけでございますが、何と申しましても、野菜はその品目が非常にたくさんあるわけでございます。それから一般的に作付面積、作柄及び価格の変動が非常に大きいわけでございまして、引き受け料率、損害評価の適正を期する上で非常に問題があるわけでございます。この点につきましては、私どもといたしましては、なお研究は続けなければならぬとは思っておりますけれども、共済制度を仕組むということになるとなかなかむずかしい困難な問題がたくさんあるわけでございます。
 次に、現在私どもが料率の調査をやっておる品目がございます。それは茶、たばこ、ホップなどの地域特産物でございます。これは畑作物ではございませんけれども、一部の地域に非常に需要がございますので、イグサについても被害率の調査を行なっております。これらにつきましては、いまのところまだ被害統計が末整備であるほか、ものによっては損害評価がはたしてできるであろうかどうかということが問題になるような品目もございます。そこでこれらのものにつきましては、被害調査をやっておりますので、今後被害調査がまとまり次第この被害調査を吟味すると同時に、その他の共済の技術的な側面を検討して、これを対象とすることができるかどうかということについて検討したいというふうに考えております。
#151
○杉原一雄君 わかりました。
 そこで、ちょうど私の手元に、いまこの会場で、やっと配付されたからあわてて読んでいるんですが、北海道畑作物共済推進協議会から出された資料、これによりますと偶然政府提案と対象作物については一致しているということで、一番必要とする北海道がすでにそうでありますから、いま直ちに私は具体的にどの作物をということを、私なりの案は持っているわけではございませんが、いま局長がくしくもそれぞれの問題については検討をしているんだということで、衆議院の附帯決議を待つまでもなく、できるだけ広めていくような努力目標に向かって努力されることが、日本農業全体を共済のネットワークに包んでいくというような、広大な考え方からすれば、きわめて妥当だと思いますので、その点は要望しておきたいと思うわけです。
 次に、施設園芸の問題でありますが、プレハブならプレハブの中につくる作物が、まっこうから対象にするということでないようになっておるわけですが、これはどういう――まあ、現象として災害が起こったと、風で、雪で災害が起こったということもいろいろ考えられるわけですが、その建屋がそのまま存置して平穏無事だが、中で起こった、いろいろな作物のいわゆるでき、ふできという問題もあり得るわけですけれども、そういうものを考慮することが、この共済制度ではなじまないというふうに御判断になっているのかどうか、その辺の関係を、しろうとにわかりやすいように説明をしていただきたい。
#152
○政府委員(内村良英君) 施設園芸の内容物と申しますか、そこにつくられている農作物を対象に今度仕組んでいるわけでございますけれども、それ自体を取り出して共済の対象にする。すなわち施設から離れて内容農作物だけを対象にする共済制度を仕組むということにつきまして、いろいろ検討はしてみたわけでございますが、先ほど露地野菜について申し上げましたと同じような、非常に技術的にむずかしい問題が多々あるわけでございます。そこで、実はこの園芸施設について共済をやってくれという各種団体の要望等の場合におきましても、任意共済でこれをやったらどうかというような要望でございまして、内容物までは関係者もあまり考えていなかったわけでございます。ところが今般の実験におきまして、北海道の畑作物、沖繩、鹿児島のサトウキビを行なう。そうすると、まん中の内地について何も見るものがないということになるわけでございます。そこで先ほども申し上げましたように、露地野菜等も考えたわけでございますが、これはとても現在の段階では共済制度はできないということで、そこで園芸施設について共済をする以上、何とか中身をある程度見るような制度を仕組みたいということで鋭意研究したわけでございます。その研究の結果、それ自体を取り出してやることは技術的にとても不可能に近いわけでございますが、一応施設の付属と申しますか、付帯と申しますか、そういった関係で内容物をこの実験に関する法案の中に取り入れることができるのじゃないかということで、一応生産費等も勘案いたしまして、温室等の施設の価格の〇・二五に相当する価格を内容物の共済金額とみなして引き受ける。損害評価につきましては、これも技術的に非常に問題がございますので、施設の災害に応じて払うということにならざるを得ない。ただ内容物が全滅した場合、たとえばビニールハウスにおきまして、ビニールが風で飛ばされた、その結果温度の急激な変化で内容物が全部やられてしまったというような場合には、内容物の被害について、温室等の施設の損害割合に関係なく、全滅として扱うというようなことをやりたいということで、その辺につきましてはいろいろと技術的な困難がございますので、とりあえずそんなことでスタートして、今後いろいろ研究をしてみたいというように考えている次第でございます。
#153
○杉原一雄君 次に実施地域とその大きさの問題ですけれども、先ほどあげました衆議院の附帯決議の第一項の中に、読み上げましたとおり、「現在予定されている地域及び品目」と、こうあるわけですから、これは地域の拡大をやはり想定に置いた決議案だと思うのですね。そうしますと、現在現在は実施地域が大体限られているわけですが、これをこの場をもっと広めた農民層に問題を持っていった場合に、北海道以外のところになぜこれを適用しないのかと、こういう質問が素朴に出てぐると思うのですね。それに私たちはどのようにこたえたほうが、農民に対する説得力があるのでしょうかね。動機はわかりましたから、その辺のところを逆に北海道以外の農民に答えてほしい。
#154
○政府委員(内村良英君) その点につきましては、私どもいろいろこの法案を考えます場合に、中でも検討したわけでございますが、先生も御承知のとおり、畑作物が非常に品種が多く、また収穫等の態様も豊富であると同時に、特有の連作障害という問題がありまして、損害評価の方法等に多くの難点があるわけでございます。それからまた北海道以外の府県の畑作物につきましては、現実の問題として料率が整備されていないということもございますので、今度は一応輪作体系が確立している北海道の畑作物に限定して実施せざるを得ない。しかしながら、この実験の結果を踏んまえて、今後その他の地域につきましても、畑作物共済を行なうように、今後の課題として検討してみたいというふうに考えておりますが、とりあえず実験は北海道の畑作物でスタートしたい。同時に、沖繩のサトウキビについても、そういうことにしたわけでございます。
#155
○杉原一雄君 そこで、いま局長が後段に触れたサトウキビですけれども、これ大臣のほうからひとつ沖繩農業――鹿児島の南西諸島の問題もありますけれども、沖繩農業というものの大きな今後の展望に立った中で、サトウキビというものが、今度の畑作共済の対象になっているわけですから、沖繩の農業構造の中におけるサトウキビの位置づけですね、これをどう考えておいでになるか。つまり甘味資源としてのサトウキビ、同時にまた、沖繩農民の所得源としてのサトウキビそれから季節、風土の関係におけるサトウキビ、サトウキビの、沖繩農業構造の中の位置づけというものはどう置くかということは、これは沖繩返還協定の論議の中で山中長官とも議論をしたことですが、一体どういう位置づけをしておいでなのか、このことについてお聞きしたいと思います。
#156
○国務大臣(櫻内義雄君) 沖繩におけるサトウキビ農業は、これはもう一言でいうならば、沖繩の基幹農業である、こういうふうに言えると思うのであります。その作付面積を見ましても六三%を占めておるのでございます。そういうわけでございまするので、従来サトウキビが沖繩における重要な農業であるということはもとよりでございまするが、また、今後においても同様な位置づけにあると思いまするし、また、日本の甘味資源の上から見ましても、大事な資源である、このように認識しておるわけでございます。
#157
○杉原一雄君 そこで、局長、いま基幹作物ということで、大臣からも、非常に重要な展望を持った発言ですから、サトウキビが共済対象になるには、かなり危険性がある。危険というのは何だということになりますね、沖繩サトウキビの危険性。一体沖繩におけるサトウキビ栽培において、共済対象になるものの危険、それは一体何と何とが想定されているのか。これは年間のそうした作物の経過を見ればわかると思いますが、要約してどういうことなんですか、何が危険なんですか。
#158
○政府委員(内村良英君) 沖繩における試験調査の結果の被害率を見てみますと、昭和三十八年から四十六年までの九カ年の平均で八%です。これはかなり高い被害率でございます。そこで、被害率の特徴は非常に高い被害の出る年とそうでない年がございまして、昭和三十八年、昭和四十六年はいずれも大干ばつのためにきわめて高い被害率を示しております。地域別に見ますと、宮古、八重山の離島での被害率が高くなっております。
 そこで、どういう被害がおもなものかと申しますと、やはり何と申しましても、干ばつでございます。これが非常に大きい被害をもたらしております。その次は、野鼠、ネズミの被害でございまして、これが次でございます。それから沖繩でございますから、台風による被害が大きいのではないかというふうに考えるわけでございますが、台風の被害率のウエートはそれほど大きくないということになっています。何といいましても干ばつが一番問題でございます。
#159
○杉原一雄君 その次、園芸施設の問題ですが、これはどういうものでしょうか。私も全国見て歩いたわけでもないですけれども、この法案が通れば、さっそくと、これに取りかかる都道府県というのは、全国的に大なり小なりあるだろうと思うのですが、しかしながらある程度集中してないと、これまた具体的に作業を進める場合に困難でありますが、その辺の見通し、指導していく場合に、めどがあると思うのですね。それはどういうめどで、その想定に立った場合には、四十六とも全部そうじゃないだろうと思うが、結局どれくらいの県に行政指導の焦点を合わせるのか。その辺のところを明らかにしていただきたいと思います。
#160
○政府委員(内村良英君) この実験の法律におきまして「特定園芸施設」これは二条の第二項に定義があるわけでございますが、そこで考えておりますのは、ガラス室とプラスチックハウスでございます。それから内容につきましては、これいろいろございまして、キュウリ、イチゴ、トマト、ナス、スイカ、プリンスメロン、ピーマン、それからいろんな花の類があるわけでございます。
 そこで、どれくらいの県で実験するかということでございますが、ハウスの施設面積が百ヘクタール以上あるような県は実施を希望すると思われるわけでございますが、そういった県は約三十県くらいになるのじゃないかというふうに考えています。いずれにいたしましても、これは四十九年から試験実施をするわけでございますから、法律ができましたら、県の要望等ももちろん聴取をしなければならぬというふうに考えております。
#161
○杉原一雄君 中につくる作物については、あまりこの際議論をする必要はないわけですが、全国的な動向から見て、それはそっちのほうにいくかもしれませんが、どうでしょう。一体さまざまなものがあると思いますが、大体多いもの順番からいえば五つぐらいあげると、何が多いでしょうか。私の好きなメロンくらいが一番だろうと思いますが、どうですか。
#162
○政府委員(内村良英君) 内容物でございますが、昭和四十六年度の調査を実は私は持っているわけでございます。それによりますと、作付面積が約一万六千二百七十五ヘクタールございまして、第一位がキュウリでございます。これが二八・一%でございます。それから第二位がイチゴで二三・一%、第三位がトマトで一七・五%、第四位がナスで八・三%、第五位がスイカで五・三%、第六位がプリンスメロンで五・一%、第七位がピーマンで四・六%、こういうことになっております。
 それからこれ以外に花があるわけでございますが、花卉のほうは菊、カーネーションというような順序になっておりまして、花の場合のおもな生産県は愛知、静岡、千葉、福岡、香川等でございます。
#163
○杉原一雄君 恥かしい話だけれども、富山に幾らほどあるか、ぼくは知らないのですが、いまおっしゃった百ヘクタールというのは、富山は入るですか、どうですか。そこまで調べてこなかったのですが、入らないですか。
#164
○政府委員(内村良英君) 富山県は百ヘクタールはないようでございます。
#165
○杉原一雄君 それでは事業の仕組みの問題でありますが、加入方式のことなんですけれども、加入資格の農家は大体畑作物の場合、サトウキビの場合、園芸施設の場合、それぞれ、これは将来政令段階の問題かもしれませんが、ある程度の目標があるのじゃないか、制限があるのじゃないかと思いますが、それはどういう制限があるか。つまり畑作の場合、サトウキビの場合、園芸施設の場合、しかもその数字の根拠といいますか、基本になる考え方を明らかにしてほしいと思います。
#166
○政府委員(内村良英君) まず最初に、加入資格でございますが、北海道の畑作物につきましては、五品目あるわけでございますから、いずれか一品目について一ヘクタール以上の耕作をしている人でございます。サウトキギにつきましては、加入資格を二十アール以上の栽培面積がある人というふうにしております。それから施設園芸につきましては、加入資格を五アール以上にしております。
 そこで、それぞれの根拠でございますが、北海道の畑作物の場合には、北海道において畑作物を主体とする経営の規模としては、最低限五ヘクタール程度になっております。したがいまして、五作物を平均して栽培しているとすれば、一作物おおむね一ヘクタールということで、いずれか一品目につき一ヘクタール以上の栽培をしている人は加入資格があるということになっております。もちろん、現実の問題といたしましては、五作物を平均して一ヘクタールずつつくっているとか、平均してつくっているというケースはあまりなくて、いろいろなバラエティーがあると思いますが、いずれにいたしましても、いずれか一品目について一ヘクタール以上つくっていなきゃならぬということでございます。
 それから、次に沖繩及び鹿児島のサトウキビでございますが、これにつきましては、大体サトウキビの栽培面積を見まして、二十アール以上としたわけでございます。この二十アール以上とってみますと、大体沖繩本島では七割、宮古では九割、八重山では八割五分の農家がカバーされるということになりまして、あまり零細な共済金を払うというようなことは、やはりこの制度からいっても問題があると思いますので、二十アール以上ということにすれば、大体共済制度を必要とするようなサトウキビの栽培農家はカバーできるのではないかというふうに考えたわけでございます。
 それから園芸施設共済の加入資格の問題でございますが、施設園芸の経営は集約的に行なわれておりますので、その面積規模は比較的小さいわけでございます。そこで、現在の施設の設置状況を見ますと、一戸あたりの平均設置面積が、ハウスで約九アール、ガラス室になると、もうちょっとさらに小さくなると思いますが、そこで九アールということになっておりますので、そのおおむね半分ということで五アールということにしたわけでございます。
#167
○杉原一雄君 サトウキビの場合、沖繩では平均して一戸の農家幾らほどですか。いまの対象だと、二十アールですけれども、大体現状はどうですか。幾らほどやっていますか、農家は。
#168
○政府委員(内村良英君) 平均の数字は五十アールになっております。
#169
○杉原一雄君 あわせて、園芸施設の場合でも、まあ、百ヘクタールほどになりましょうけれども、大体二戸あたりどれくらいの平均になるでしょうか。これも数字をひとつ示していただきたいと思います。
#170
○政府委員(内村良英君) 先ほど御答弁申し上げましたように、ハウスにおきましては、大体平均の設置面積が九アールでございます。ガラス室については四アールということになっております。
#171
○杉原一雄君 次に共済事故の問題ですけれども、ここには、北海道からもらったのでは、「共済事故は気象災害、病虫害、鳥獣害、火災とする。」と、こうあります。北海道のほうは2の1のところで、「火災がない。」と書いてあるのはどういう意味かちょっとわからないのです。高橋さん、これの相談にあずかりましたか。――火災かないという意味はちょっとわからない。これに火災が――農林省のほうは火災が入っているのでしょう、対象になっているわけですね。そうすると、この表によると、「火災がない。」と書いてある意味はどういうことか。火災が必要がないという意味なのか、それがわからないのですけれどもね。これは農林省に聞いても始まらないけれども。農林省はき然として、火災が入っていると、こう理解していいわけですね。
#172
○政府委員(内村良英君) 今般の実験の共済の対象とする損害につきましては、「風水害その他の気象上の原因による災害、火災、病虫害、鳥獣害又はこれらに準ずる事故で農林省令で定めるもの」ということになっております。そこで、畑作物につきまして火災ということはあまりないのじゃないかというふうに考えられるわけでございますが、私どもが承知しておりますところでは、サトウキビについては火災があるということで、あるいは北海道の畑作物については火災事故というのはほとんどないという意味でそのような文章ができているのではないかと思います。
#173
○杉原一雄君 加入方式の場合、任意にされた意味ですね。一応先ほどのデータによりますと、強制もまた可なりというアンケートも出てきておるわけですが、あえて任意だということについての理由といいますかね、これは常識的に考えればわかりますけれども、それが一つ。
 それからもう一つは、北海道の場合、サトウキビはありませんから五品目になると思いますが、一括加入方式になっておるわけですが、そういう方式をあえて採用された理由、この二つをひとつお答えをいただきたいと思います。
#174
○政府委員(内村良英君) 実験の場合に強制加入で実験をしてみるということも一つのやり方かと思いますが、私ども、中でいろいろ検討いたしました場合に、やはりこういった実験の性質から見て、強制加入でやることには問題があるのではないか、あくまでやってみたいという農家の希望をとってやるのが妥当ではないかというふうに判断をしたわけでございます。それから果樹共済の場合におきましても、任意加入の方式で実験をやったという先例がございます。
 それから次に北海道の畑作物について対象五品目を一括加入方式にしているということは何であるかということでございますが、申し上げるまでもなく、北海道の畑作物の場合に、アズキ等の豆類は冷害による被害を受けやすいが、バレイショ、てん菜は比較的これに強く、作物間に被害発生の態様、被害率に大きな差があるということは、これは過去の北海道の実験等でも明らかになっているわけでございます。したがって、これを単一作物ごとに制度を仕組みますと、いわゆる農家の逆選択あるいは投機的栽培を助長するおそれ等がございますので、危険分散の機能を高めるというような点を考えて一括加入方式にしたわけでございます。
#175
○杉原一雄君 共済金額の考え方でありますが、畑作物及びサトウキビと、対象作物ごと及び農家ごとに「単位当たり価格に基準収穫量を乗じて得た金額」の六割、六割限度と、こういうことなんですが、これを理論的にはちょっと言いかねますけれども、政策判断された考え方、六割ということの意味、それをお聞きしたいと思います。
#176
○政府委員(内村良英君) 生産費の特に経営費部分というものを補償するという考え方でございます。
#177
○杉原一雄君 では、園芸施設の場合ですが、「施設の棟ごとに共済期間開始時の特定園芸施設の共済価額の一・二五倍に相当する金額」。一・二五倍ということはずっしりと胸にこたえるわけですけれども、それに対する八割と、こうあるわけですね。その辺のところを、ちょっと先ほどの説明と対象は違いますけれども、その辺の関連を、中身をひとつもう一度明らかにしてほしいと思います。
#178
○政府委員(内村良英君) これはこまかい計算があるわけでございますが、内容物の生産費、これは、ものがたくさんございますので平均的なものをとったわけでございますが、それと施設の関係を見ると、大体一・二五、〇・二五というような関係になりますので、一・二五倍ということにしたわけでございます。それから共済金額、共済価格の大体八割ないし四割ということになるわけでございますが……。
#179
○杉原一雄君 内容物以外の帰設についても。
#180
○政府委員(内村良英君) それは内容物につきましてはそういう考え方をしているわけでございまして、施設につきましては、施設というものは一種の資産でございますから、それに資産保険というような考え方で八割ないし四割という考え方をとったわけでございます。
#181
○杉原一雄君 北海道の要望では、先ほどの畑作物については政府案は六割と、これに対して「現行水稲農家単位方式並みの水準(七二%)とすること。」と、こういう要望があるわけですね。でありますから、この要望に沿うような年次的な努力あるいは直ちに修正する努力、いずれもあるかと思いますが、そうしたことについてはどう判断されますか。
#182
○政府委員(内村良英君) まず、実験でございますから、ただいま申し上げましたような収穫物の単位当たり価格かける基準収量の六割ということで実験をやってみまして、その実験の結果に基づきまして将来共済金額をどう定めるかということについては検討すべき問題ではないかというふうに考えております。
#183
○杉原一雄君 これで最後にしますが、今度はできれば大臣のほうからお答えいただきたいのですけれども、農業保険問題研究会で四十六年度の研究の総括をやっているわけですが、この中で非常に重要な問題提起をしているわけです。つまり、「現行制度の品目限定的で、しかも物的損失を主とする収穫保険では、政策のねらいとしている農業経営の安定という経済的効果には直接にはつながっていない。商品生産経営においては、物的損失のみでなく生産物の価格変動をも保険保護の対象とする制度についての期待が高まってきている。ことに農政に価格政策・金融政策が大きな役割を果たしてきていることを考えると収穫保険に価格変動を加味した所得保険といったものが、今後の保険制度にとって充分検討しておくべき問題といえよう。」と、こういう形でこの会の性格上底抜けになっているわけですね。きつい提起になっていないわけですが、この研究会が目ざしている方向で共済制度を今後検討し、調査し、その方向に向かって進めるという考え方に同調できるかどうか、より積極的に農林大臣としてその方向で進めたいという意欲的なものがあるならばお示しいただきたい。
 なかんずく今日のように大豆が足りない、私が本会議で質問した当日か翌日かに農林大臣が、食用七十万トンは支給するというようなことをおっしゃったわけですが、これは一片のことばでは解決できる問題ではございませんので、それには価格政策があり、いま申し上げた農家所得、つまり他産業に比較してバランスをとるということなど、農民をして安心し、かつまた奮起させる要因を誘導的に行政的に行なわなければ、それは私は絵にかいたもちに終わるということに思う。そういうことを念頭に置きながら農業経営保険制度の問題等についての今後の展望ですね、大臣の決意、方針等を最後にお述べいただければ、いただいて私の質問を終わります。
#184
○国務大臣(櫻内義雄君) いまの研究会の中身について、私、実を言うと不勉強で承知しておらないのであります。ただ、いまお話しを承りまして、価格変動ということを考慮に入れてそして所得保障制度に改める大体お考えのように受け取れたんでありますが、自然現象による生産変動のほかに社会、経済的なそういう複雑な要因によって生ずるもので、これはもう保険に危険分散の機能が働く余地が少ないんじゃないかと、もっと簡単に言えば保険事故になじみがたいように受けとめたのでございますが局長のほうから重ねてお答えをいたさせます。
#185
○政府委員(内村良英君) ただいま大臣から御答弁がございましたように、確かにそういった経営保険というものが農家経済にとっては望ましいということは事実でございますが、共済ないし保険の方式という一つの技術の点から考えますと、これは非常にむずかしい問題があるわけでございます。なぜかと申しますと、保険というものは、やはり危険分散ができてそこで保険が行なわれるわけでございますが。価格の下落といったような現象はこれは全国的に起こるものでございますから、地域による危険分散というものは成立しないんじゃないかという技術的な問題がございます。
 それから次に共済金額をそれじゃどうきめるかということでございますが、個々の販売価格というものは販売技術の巧拙による面もございますし、また出回り期には安く端境期には高いというようなこともございます。そういったことを考えますと、一体保険金額と申しますか、共済金額あるいは被保険利益というものをどうとらえたらいいのかというような非常にむずかしい技術的な問題もございます。したがいまして、現在のところ確かに経営保険というものはできればこれは望ましいわけでございますが、保険技術、保険方式というものをとる場合には、ちょっとなじみがたいんじゃないかというふうに考えられるわけでございます。
#186
○中村波男君 時間もだいぶ経過しておりますから二、三問だけこの機会に質問しておきたいと思うんですが、畑作物及び園芸施設共済に関する臨時措置法案を見ますと、共済掛け金の国庫負担が三割になっておりますね。すでに制度化されておる農業共済の掛け金の国庫負担を見てみますと、米が設計上は六〇・六%、陸稲が六八・六%、麦が六六・七%、果樹におきましても五〇%の国庫負担になっておるわけでありますが、今回の畑作等については三割負担だと、三〇%負担だと、あまりにも国庫負担が少な過ぎる、ほかの共済制度との均衡からいいましても納得がいかないわけでありますが、この点について、いかなる理由で三割というものをお出しになったのか、またこれについて少なくとも、果樹共済並みの五割ぐらいまで引き上げる用意というものがおありなのかどうか、この機会に確認しておきたいと思うんですが、いかがですか。
#187
○政府委員(内村良英君) 今般の畑作物共済の実験の場合につきましては、掛け金の三〇%に見合う交付金を農家に交付するということを考えているわけでございます。これは他の本格実施されている農作物共済あるいは果樹共済、蚕繭共済の負担に比べて低いのではないかという点でございますが、今般の畑作物共済は、これ、農家の自主的な協力を得て試験的に実施しようとするものでございます。したがいまして、これに匹敵いたしますのは今年から本格実施になりました果樹共済の試験実施、先生御存じのものがあるわけでございますが、それとの比較が問題になるわけでございます。
 そこで、果樹共済の場合には、交付金は一割であったわけでございます。そこで私どもは、いろいろ関係方面とも折衝したわけでございますが、やはり畑作物の重要性、特に北海道、沖繩というような問題もありまして、そういうことを考えてまあ三割にしたわけでございまして、本格実施の際には、さらにいろいろ考えなければならぬ問題があるのではないかと。ただ、これは試験実施ということで、果樹に比べて、三倍にしたということでございます。
#188
○中村波男君 そういう段階的な措置であるならば納得がいくわけでありますが、したがって、仮実施だから、試験実施だから一応三割の国庫負担にしてあるのだと、本格実施のときにはもちろん検討をして、五割以上の可能性というのはお考えになっておるというふうに了解していいわけですね。
#189
○政府委員(内村良英君) はい。
#190
○中村波男君 次は、政府案によりますと、試験実施は昭和四十九年から五カ年を予定しておられるようであります。そこで、今日までの畑作共済等の経過措置を振り返ってみますと、すでに農林省は、昭和三十三年から三十五年にかけて大豆共済再保険措置の委託調査をおやりになった。四十一年は保険需要の動向調査をおやりになり、三十九年から四十一年度には畑作共済制度調査会の検討を行なっておられるわけです。さらに、北海道庁においても実験実施をやっておるわけであります。さらに、四十一年から四十三年にかけまして基礎資料の収集把握のための試験調査を実施されておる。また、農業経営保険の可能性の調査研究も委託実施してこられたわけであります。相当そういう試験調査等が積み上げてありますから、全部同一発足ということには問題があるかもわかりませんけれども、すでに北海道においては相当な統計資料、実施等々があるわけでありますから、少なくとも三年以内に本格的実施かできるんじゃないかと、やる気になればですね。どうもそういう点か、まあ年数をかけて慎重に検討をして万遺憾なきを期するということかもわかりませんが、逆なまた見方をすれば、試験実施に名をかりてできるだけおくらせるのだと、それだけ金も少なくて済むんだというような、そういう意図があるとは思いませんが、そういうようにとられてもやむを得ないんじゃないかというような、経過から見ますとですね。考えられるわけでありますが、どうですか、これ、三年ぐらいに少なくとも北海道については、いまも申し上げましたような経過措置があるわけでありますから、実施される腹をおきめいただくということはむずかしいですか。大臣、いかがですか、これ。
#191
○国務大臣(櫻内義雄君) いまお話のように、すでに各種の準備作業を行なったということは、そのとおりでございます。今回、法案の中に期限を、目標をつけておらないということは、五年の目標で実験をいたすのではございまするが、その間実情を見ながら、場合によれば、若干繰り上げて実施をする、そういう気持ちもある程度持っておるということから、はっきりその目標を示しておらないわけでございまするが、衆議院のほうにおきまして、先般、附帯決議もちょうだいいたし、そのときに三年を目標にというようなことでもございまして、私としては、よく検討する発言を申し上げたのでございまして、いまここで三年でできますと、そういうふうにはっきり言えるかといえば、まああくまでも今回試験をするのでございまして、そういうふうに簡単には申し上げかねるかと思うんでありますけれども、状況を見ながら、国会の決議を尊重しながら、できれば五年以内にでもやれるものはやりたいと、そういう気持ちは持っておることは申し上げておきたいと思います。
#192
○中村波男君 大臣の答弁として、それ以上明言されるというのはむずかしいであろうとは思うんでありますが、問題は、三年でやるんだという腹をおきめいただかんと、まあ五年以内に発足するんだという姿勢では、結局、五年かかっちゃうんじゃないかというふうに思うわけです。拙速主義ではだめでありまするけれども、相当いままでに調査、試験、設計等もかなりの積み上げがあるわけでありますから、ぜひひとつ三年以内に完全に本格実施ができるように、内部的にひとつ意思を固めていただいて、着々とひとつ準備を整えていただきたいということを要望いたしまして、これ以上の言質を求めましても出ないと思いますので、大臣の御答弁を信頼して期待をいたしたいと思うわけです。
 もう一つは、事務費は、国が助成するということになっておりますが、この助成というのは、どの程度助成されようとするのか。私が考えますのに、畑作につきましても、園芸施設につきましても、種目が多いのですから、したがって、試験実施に必要な基幹的な事務費というのは、ばかにならぬ、相当な額にのぼると思うわけですね。したがって、この負担というのは相当重いものになるであろう。そういうことを考えますと、少なくとも、基幹事務費ぐらいは全額、国で見るんだと、こういうことになりませんと、試験実施等についても協力がなかなか得られにくいんじゃないかと。協力しようと思いましても、財政的な面で協力ができないという、そういう問題が出てくるんじゃないか。こういうことを私考えるわけでありますが、この点についても、全部とは言いかねますけれども、基幹事務費ぐらいは全額、国で見るんだと、こういうふうにひとつ措置をおとりいただきますように、この機会に要望申し上げるわけでありますが、いかがですか。
#193
○政府委員(内村良英君) 今後、畑作物共済の実験に要する事務費の補助につきましては、四十九年度以降どうするかという問題でございます。そこで私どもといたしまして、いろいろ共済団体の事務量その他について、いろいろ分析をしております。それからさらに、現実の問題といたしまして、果樹共済の試験実施の場合に補助した例がございます。そういったものをいろいろ考えながら、通常必要とされる標準的な事務費については、これは助成を行なわなければならぬということで、いずれにいたしましても、四十九年度以降の問題でございますから、目下鋭意検討中でございます。標準的なものは必ず助成するようにいたしたい、このように思います。
#194
○委員長(亀井善彰君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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