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1972/09/13 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第27号
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1972/09/13 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第27号

#1
第071回国会 農林水産委員会 第27号
昭和四十八年九月十三日(木曜日)
   午前十時三十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月四日
    辞任         補欠選任
     向井 長年君     萩原幽香子君
 九月五日
    辞任         補欠選任
     萩原幽香子君     向井 長年君
 九月十日
    辞任         補欠選任
     梶木 又三君     高橋雄之助君
 九月十一日
    辞任         補欠選任
     初村瀧一郎君     橘  直治君
 九月十二日
    辞任         補欠選任
     橘  直治君     初村瀧一郎君
 九月十三日
    辞任         補欠選任
     高橋雄之助君     梶木 又三君
     塚田 大願君     小笠原貞子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀井 善彰君
    理 事
                初村滝一郎君
                工藤 良平君
                中村 波男君
                塩出 啓典君
    委 員
                梶木 又三君
                小林 国司君
                田口長治郎君
                鍋島 直紹君
                温水 三郎君
                堀本 宜実君
                柳田桃太郎君
                杉原 一雄君
                辻  一彦君
                村田 秀三君
                沢田  実君
                向井 長年君
                小笠原貞子君
                塚田 大願君
   国務大臣
       農 林 大 臣  櫻内 義雄君
   政府委員
       北海道開発庁総
       務監理官     秋吉 良雄君
       農林大臣官房長  三善 信二君
       農林省農林経済
       局長       内村 良英君
       農林省構造改善
       局長       小沼  勇君
       農林省農蚕園芸
       局長       伊藤 俊三君
       農林省畜産局長 大河原太一郎君
       農林省食品流通
       局長       池田 正範君
       食糧庁長官    中野 和仁君
       水産庁長官    荒勝  巖君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       外務大臣官房領
       事移住部長    穂崎  巧君
       農林省農林経済
       局統計情報部長  大山 一生君
       農林省構造改善
       局次長      杉田 栄司君
       林野庁林政部長  平松甲子雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農林水産政策に関する調査
 (当面の農林水産行政に関する件)
 (農林水産関係物資の国鉄貨物運賃に関する決
 議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、高橋雄之助君が委員を辞任され、その補欠として梶木又三君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(亀井善彰君) 次に、理事の補欠選任についておはかりいたします。
 委員の異動によりまして理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に初村瀧一郎君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(亀井善彰君) 次に、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する質疑は前回までに行なってまいりましたので、別に御発言もなければ質疑を終局することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより採決を行ないます。
 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#7
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 ただいま可決されました農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案が先ほどの理事会においてまとまっておりますので、便宜私から提案をいたします。
 案文を朗読いたします。
   農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  農林漁業団体職員の年金給付額は低位にある実情にかんがみ、政府はその労働条件等の改善を適切に指導するとともに、特に、厚生年金制度および他の共済制度との関連を考慮し、本年金制度の給付内容の充実と健全な年金財政の確立に資するよう、左記事項をすみやかに検討し、その達成を期すべきである。
         記
 一、給付に要する費用に対する国庫A補助率を、当面厚生年金に準じ百分の二十に引き上げるとともに、今後も整理資源の増加が予測されることにかんがみ、財源調整費補助の増額に努め、また、国の補助とは別に他の公約財政援助措置を検討すること。
 二、本制度による年金給付の改善について抜本的に検討を加え、厚生年金にくらべ不利となる一部年金受給者の救済について必要な措置を配慮すること。
 三、既裁定年金については、公務員の給与の上昇に対応したスライドの制度化を図り、旧法年金の最低保障額を新法年金の水準との均衡等を考慮して是正すること。
  右決議する。
 以上であります。
 それでは、本附帯決議案の採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#8
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、櫻内農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。櫻内農林大臣。
#9
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重し、今後検討の上善処してまいりたいと存じます。
#10
○委員長(亀井善彰君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(亀井善彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#12
○委員長(亀井善彰君) 次に、当面の農林水産行政に関する件を議題といたします。
 本件に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
#13
○工藤良平君 私は、大臣が御出席でありますので――先般沖繩の農業の事情につきまして、わずかな期間でありましたけれども、いろいろと実情を見まして直感いたしましたことは、沖繩に参りまして一体これはどうしたらいいのかと、まあ結局あ然といたしたわけでありますが、しかし、これをそのまま放置するわけにはいきません。復帰をいたしましてすでに一年を経過をいたしておりまして、早急にこの緊急対策が必要ではないかと思いますので、全体的な農業の問題、さらに沖繩開発の中における農業の位置づけ、さらに部分的には林業の問題についていろいろとお伺いをしてまいりたい、このように思っているわけであります。
 衆議院のほうでも本案につきまして質疑が行なわれておりますので、林業問題を一応部分的にでありますけれども最初いろいろと御質問をいたしまして、後ほど総括的な御意見を聞きたいと思っているわけであります。
 沖繩に参りまして一番感じますことは、とにかく占領下における経済体制の中で農林業に対する対策というものが非常に、著しくおくれているというような感じを受けるのでありますが、農林大臣といたしまして、全体的に現在の沖繩農業という問題についてどのように把握をしていらっしゃるか、まずお伺いをいたしたいと思います。
#14
○国務大臣(櫻内義雄君) 第一に、私として非常に気になりますことは――沖繩における農業の現状が、サトウキビ、パイナップル等を中心として営まれてまいっておるということは、これは戦前から言うまでもないことでございます。沖繩本島における最近における一戸当たりの耕地面積を調べてみまするに、六十アールという零細なものでございます。まあ宮古島、八重山島におきましては、やや規模が大きく、それぞれ宮古島が百四十アール、八重山島が二百四十アール、まあこういう状況でございまするが、私が沖繩農業の問題が討議されるときに、いつも問題にいたしておりまするのは、土地基盤整備が非常におくれている、また、技術水準も内地に比較いたしまして低い、さらには機械化もおくれておる。こういうことで、たいへんいまの沖繩農業の現状については問題点が多いという認識を持っておるわけであります。沖繩が、わが国における唯一の亜熱帯地域であるということでございますので、これらこの地域の特性を生かしての沖繩農業の振興、すなわち現状におきましてはサトウキビあるいはパイナップル、それから畜産、これらの分野につきまして今後一そうその振興をはかり、内地との大きな格差の是正につとめていかなければならないというのが、当面私に課せられておる責任であると認識いたします。
#15
○工藤良平君 特に、海洋博の問題が具体化になりまして、それと同時に、内地の観光資本あたりもかなり進出をいたしまして、土地の買い占めあるいは観光施設の問題等がすでに具体的に進められておるようでありますが、島に踏み込んでみますと、また客観情勢がいろいろと熟していないにもかかわらず、非常に観光客が流入をするということで、非常に大きなアンバランスが生じておるように思います。これはまあ復帰後の混乱期でもありますので、そういうことも当然予想されるわけでありますが、そのような状態を私どもが考えてみますときに、一体これからの沖繩の農業というものを考える場合に、観光開発、自然保護というものと一体農林行政をどういうように位置づけ、どのような対策を立てていくのかということはきわめて重要な問題ではないかと思うんですが、そういう点について基本的な考え方をさらにお伺いいたしたいと思います。
#16
○国務大臣(櫻内義雄君) 沖繩の復帰に伴いまして、通産省関係で海洋博が進められており、これに伴って沖繩における道路整備あるいは施設が各種のものが設けられる。また、海洋博が行なわれますならば、それを機会に沖繩の観光も大いにクローズアップされるということで、島民の間の期待も大きいわけでございまするが、これに伴って労働費が異様にかさんでまいっております。サトウキビの収穫時に際しましては、その労銀が価格面に大きく影響するということで、しばしば国会においても問題にされたわけでございます。沖繩の海洋博、観光開発そういうものが農業の面にいろんな点で影響を与えておるという事実を否定することはできないと思うのであります。しかしながら、私が多少長期に見通しをもって見まするときに、観光開発については一応の段階があるものではないか。沖繩産業の中におきまして、先ほど申し上げたようなサトウキビとか、パイナップルとか、畜産、これが私どもの行政措置よろしきを得、また、農家の皆さん方の意欲が持続されまするならば、やはりそういうものが定着をし、向上をしていくということが沖繩島民の皆さんにとって好もしいことであるということは、これは言うまでもないと思うのであります。
 そういう点で、これからの沖繩における農林行政をやる上におきまして、少なくとも内地の生産水準まで早く追いつくように措置をしていくべきではないか。全く観光などはどうでもいいというようなそういう考えではございませんが、やはり生産を営む、特に沖繩農業の従来の経緯にかんがみて、私としては、観光もさることながら、農業にやはり力を入れていきたい、かように見ておる次第でございます。
#17
○工藤良平君 私は、本島全体を回りましたし、さらに西表にも参りましてその実情を見てまいったわけでありますけれども、西表の管轄であります竹富町の町長にもお会いをいたしまして、いろいろとこれからのビジョン等もお聞きをいたしたわけですけれども、たとえば竹富町の場合は、かつて昭和二十八年当時は一万人をこえておりました人口が、四十七年ではすでに四千名を割っているというような状態でありまして、もちろんこれはほとんど那覇を中心に本島のほうに全部出てしまっているというような状況であります。まあ西表の場合をとってみましても、ここに住む二千五百人の農家の人たちは一体何をもって生活をしているのだろうかという印象を強く受けます。それは全体的に沖繩の農業が、先ほどからもお話がありましたように、農家の農林漁業者の年間所得が二十万前後であって、内地の農業に比較をいたしましても、非常に低位置に置かれているという状態から考えてみますと、早急にその対策を立てなきゃならぬ。いま大臣がしきりにおっしゃっておりますように、サトウキビあるいはパインにいたしましても、その実情を見ますと、たとえばパインも非常に熱心に耕作をしておる人たちもありますが、土地条件やあるいはいろいろな条件から、正直に申し上げまして、東南アジア的な移動耕作的農業で、四、五年つくっては次に移動していくと、こういうことが行なわれておりまして、これが全体的に環境をこわし、定着した農業が行なわれないという状況になっているわけで、これは後ほど、これからの対策の中でも私議論をいたしたと思いますけれども、非常に重要な問題だと思います。
 さらにまた内地の米に匹敵するサトウキビにいたしましても、いままであった工場が、耕作が衰退をするという状態の中から工場をつぶさなきゃならぬと、こういうことから、こちらの島から向こうの島へ送らなきゃならぬという実情が新たに起こってきて、ますますこれは衰退の一途をたどる。こういうような実情を見まして、私は根本的な対策が必要だということを痛感をいたしました。たまたま私の学校のときの同級生が、今度復帰と同時に営林署に課長として勤務をいたしておりまして、彼と西表で一緒になりましたけれども、彼も、正直申し上げまして、私は張り切って来ました。ところが、見て、正直言ってあ然としましたと。もう帰ろうと、こう一応は思ったんだけれども、しかし、だれかやらなきゃ、沖繩の人はどうなるのかということで、まあこれから何年かかるか知らぬけれども、わずかな一営林署の課長という立場ではあるけれども、全力をあげてこの二千数百名の西表の人たちのためにがんばらなければならぬ、ということを――私は、この何日間か一緒に歩きながら、その彼の悲壮な決意を聞きまして、やはりほんとうに沖繩に自分のからだを埋めてでもやろうというこの熱意に打たれたわけであります。そういう意味合いから、ぜひこの問題についてはひとつ全力をあげて大臣としても取り組んでいただきたいと思うのです。
 で、これは、後ほど具体的なこの問題で触れていきたいと思いますけれども、私は、沖繩の農業を考える場合、あるいは沖繩の開発を考える場合に、その全島の六〇%をこす林業ですね、これを抜きにしては全く考えられないと思うのであります。そこで沖繩の今日までのおかれている山の状態、これから一体何をしなければならないか、山について。そういう問題についてどのようにお考えになっているか、ひとつお伺いいたしたいと思います。これは大臣が詳細におわかりにならなければ、林野庁の方でもけっこうでございますが、お伺いしておきます。
#18
○説明員(平松甲子雄君) 沖繩は、戦争という災害を受けまして、高温多湿という、通常から申しますと林木の育成には非常に条件のいいところでございます。けれども、また他方、台風の常襲地帯であるという面と、いま申し上げました戦災を受けたということで、森林という面から見ますと、現在の状況は荒廃しておるということが一言にして言えるかと思います。で、沖繩の森林につきましては、沖繩の林業振興施策における重点といたしまして、四つの重点事項が指摘されているわけでございまして、水源涵養保安林等の整備拡充であるとか、保健休養林の保護造成及び環境緑化、人工播種を主体とした人工造林の拡大と林道網の整備、それから全森林の半ばを占めている市町村有林の高度利用と、まあ、こういう点が今後の林業政策の基本として指摘されておるわけでございますから、その線に沿った施策を講じてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
#19
○工藤良平君 沖繩林業の現在の状態の中で、一体用材として確保できる範囲のものはどの程度見ておるわけでありますか。
#20
○説明員(平松甲子雄君) 現在の沖繩県の森林の状態を見てまいりますと、民有林と国有林でございますが、民有林の面積が六万八千ヘクタール、国有林の面積は三万八千ヘクタールということでございまして、民有林のうち大半が市町村有林であるというようなことでございまして、その市町村有林も、大半は入り会い慣行の対象になっておるというふうな状況でございますし、国有林につきましても、相当の面積が演習地に貸し付けられておるというふうな状況でございまして、用材として使える森林というのはごくわずかな部分に属しておりますし、また、その部分につきましても、齢級が非常に若いということで、沖繩の森林から用材を確保するということは非常にむずかしい状態にあるというふうに私ども考えております。
#21
○工藤良平君 林業経済研究所から出ております「林業経済」という雑誌によりますと、沖繩で用材として使用できるというのは大体一〇%程度ではないかというようなことが指摘をされておるようでありますが、気象条件なりいろいろな条件には恵まれているけれども、戦時中、さらに戦後を通じて非常に乱伐が行なわれたということから、用材等に使用できるものはほとんど皆無にひとしい。したがって、それにつきましては、国、――当時は琉球政府でありますけれども、現在の沖繩県を中心にいたしまして、かなりの開発の意欲は持っているけれども、容易なことではない。こういうふうなことが指摘をされておるようでありまして、今後、林野庁としてどのような木の種類――樹種を中心にいたしまして、人口的な山の開発というものをなされるおつもりなのか、その対策についてお聞きをいたしたいと思います。
#22
○説明員(平松甲子雄君) 御存じのように、沖繩県は台風常襲地帯でございまして、また土壌の条件も非常に悪いというようなことでございますので、私どもといたしましては、琉球松を主体とする人工林というふうなものを育成してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#23
○工藤良平君 現在、林業の開発については、沖繩の琉球大学が非常に熱心に研究開発を進めておるようでありますが、そのような状態を見ましても、用材を確保するということについては、たいへん困難性があるように私は見受けてまいりました。したがって、沖繩の山林というものは、全体的に国土保全という意味合いから、水源涵養林的な要素というものが相当部分を占めるのではないかという気がいたします。そういたしますと、これは経済効率的に見ますと、個々に独立採算制を要求をしていくということはきわめて困難でありますし、やはりかなり多額の費用をつぎ込みながら、山林を保護して、水の確保をはかるということが全体的に沖繩にとりましては重要な問題ではないか。これはもちろん、農業という立場からも、あるいは全体的に上下水道等の問題をからめました水資源の確保という意味において、そういうことが言えると思うんですが、その点に対するお考え方をいただきたいと思います。
#24
○説明員(平松甲子雄君) ただいま先生から御指摘がございましたように、沖繩の林業というのは、林業としては非常に困難な客観情勢にあるということを申し上げて差しつかえないだろうと思います。で、先ほどもお話申し上げましたように、沖繩の今後の林業施策としては四つの力点を置いて考えろということでございますので、その線に沿った形でやっていくということで、ただいま先生の御指摘の国土保全とか、水源涵養という点から考えてまいりますと、現在保安林の面積が七千六百八十九ヘクタールございまして、そのうち、島であるということの特殊性から、潮害防備の保安林が三千百五十九と、最も多いわけでございますが、それに次ぎまして、水源涵養保安林は千九百三十四ヘクタールというような状況になっておるわけでございます。今後、七千六百八十九ヘクタールの保安林を、さらに三万四千二百八十ヘクタール余を保安林に指定をいたしまして、総計約四万二千ヘクタールくらいの保安林を造成してまいりたいというふうに考えているわけです。
#25
○工藤良平君 具体的な問題になりますけれども、沖繩の山を守っていくために、幾つかの条件を整備していかなければならぬと思うのですが、先ほどちょっとお触れになりましたけれども、特に沖縄のこれからの森林開発のために障害になりますのは、山の一二%と言われるこの米軍の演習地として使用している問題ですね。その点については、どのようなお考えを持っていますか。
#26
○説明員(平松甲子雄君) 御承知のとおり、沖繩は戦後米軍に占領されておりましてやっと復帰をしたわけでございますが、そういう沿革に照らしまして、沖繩に非常に基地が多いということで、林野につきましても相当の面積が主として使用されておるというような状態にあるわけでございます。この点につきましては、国の全般的な施策として基地の状態がどうなっているかということもからむわけでございますけれども、私どもといたしましては、軍用地となっておりますものの中にも普通演習地のように、林業施策の対象としていける部分もございますので、そういうものもあわせまして、できるだけ森林の持つ合理的な機能が発揮できるように、また、沖繩の木材供給という経済的な機能が発揮できるようにという形で施策を講じてまいりたいというふうに考えております。
#27
○工藤良平君 これは農林大臣にもお伺いしたいわけでありますが、沖繩本土の中の米軍基地は、従来の農用地がその基地として接収されておるということは御承知のとおりですが、その中で特に私は、いま緊急に解決できる可能性のあるものはやはりこの林地の中にある米軍基地の問題だと思うのです。これは、全体的にいま飛行場になっているものを直ちにこわせということは、これは容易なことではないと思うのです。林地の中で演習をしている、そのために、広大な面積が接収されているというこの問題については、やはりこれからの沖繩農業の中でも非常に重要な問題だと思うのですが、そういった意味から、この米軍が使用しているいわゆる林地について逐次返還という形がとられていってしかるべきじゃないかと思うのですが、この点についての、これは大臣のほうから御見解を伺っておきたいと思います。
#28
○国務大臣(櫻内義雄君) 基本的に米軍基地の縮小が好ましいということは、これは申し上げるまでもないと思います。そういう点では、外務省、防衛施設庁と緊密な連絡をとりまして、実情に即しての要望をいたしてまいりたいと思うのであります。ただ、工藤委員の御質問で実際上、林地がどのように基地として利用されておるのか、林地がそのままで、演習でも行なわれておるという場合は、これはそれほど問題ではないと思うのですが、実は、その林地が演習場として使われておる実態というものの認識に欠けておりまするので、基本的なお答えでお許しをいただきたい、こう思います。
#29
○工藤良平君 この点はあとで、私、大臣に最後に要請をしたい件でありますが、私もこの演習場の中に入りまして――国有林の中でありますけれども、国有林にいわゆる農林省の職員が容易に入れないというところなんですけれども。それはやはり沖繩の、特に北部林地は、ベトナム戦線とたいへん似通っているということで、そういうものを想定しながら林地がそのままの形で実は使用されておりまして、その返還によって林業開発というものはかなり促進されるのではないかという私は印象を受けたわけであります。それで、そういうことを申し上げておるわけで、これは、後ほど総括して大臣に要請をしたいと思っておるわけでありますが、ぜひひとつこの点は、大臣も詳細に掌握をしていただきまして対策を講じていただくようにお願いをしたいわけです。これは後ほど一括して申し上げますから、御回答をそのときにいただきたいと思います。
 それから、これは林野庁のほうにもう一つお伺いいたしますが、非常に国有林野が多いし、その国有林野を賃貸借して農業をやり、家を建てておるという状態が沖繩の場合にはたいへん多いようでありますが、そういった意味から境界の早期確定ということが非常にいわれておりまして、いま全力をあげつつあるようでありますが、職員が非常に少ないというようなこともありまして非常に困難をきわめる。あるいは立地条件が御承知のようなところでありますから、山地に入るにいたしましても、ハブ等がたいへんおりますので容易に入れないということから困難をきわめておるようでありますが、この点についてどのように具体的な対策をお立てなのかお伺いをいたしたいと思います。
#30
○説明員(平松甲子雄君) 現在、沖繩の国有林野の境界延長は、大体八百キロメートル程度であろうというふうに予想しているわけでございますが、このうち沖繩本島の境界は延長約二百キロメートルで、境界確定は戦前すでに完了しておったというふうに私どもは承知しておるわけでございます。西表につきましては、境界延長が六百キロメートル余あるのではないかというふうに考えますけれども、境界確定は未了でございますので、これを早期に確定するということで、今年度から三カ年計画で確定を終わろうということで努力をいたしておるところでございます。
#31
○工藤良平君 もう一つの問題は、私ども西表に参りましたときに、八重山開発株式会社、これは十條製紙の下請のようでありますけれども、この八重山開発に部分林契約をいたしまして、相当広面積にわたりまして開発が行なわれておるようでありますが、ところが、本来の部分林契約の趣旨とずいぶん変わっておりまして、どうも契約不履行の面が多いような気がいたしました。伐採地の半分程度はもちろん造林が若干なされておりますけれども、あと手入れが全然行なわれていないということから、たいへん憂慮すべきような状態が起こっておるわけでありますが、この点については、特に沖繩のこういった地域につきましては、国そのものがやはり実施をしていくということのほうが、より効果的ではないのかということを私は直感をしてまいりましたが、この点についての御見解を伺いたいと思います。
#32
○説明員(平松甲子雄君) 八重山開発株式会社との間に現在部分林契約が締結されておるわけでございますけれども、これは琉球政府当時に民間資本の協力によって、森林開発と経済の振興を考えて行なわれたものであるように承知いたしております。で、昭和二十八年から五十年間を契約期間として、その対象面積は約九千八百ヘクタールになっておるわけでございますが、先生御指摘のように、この契約の履行状況は、人工造林地として千二百ヘクタールには琉球松が植えてありまして、そのほか天然更新によって二百ヘクタールの更新が完了いたしておるわけでございまして、更新地の状況は、初期に造林をいたしましたところはおおむね良好でございますけれども、最近のものは手入れ不足のため、やや劣っておるというふうな状況のようでございます。
 今後の措置でございますが、手入れ不足のため成育が不良になっておるというところにつきましては、手直しを実施させるように指導してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
 で、いま申し上げましたように、実際上造林の行なわれた部分というのは、契約面積のうちで非常に少のうございますが、その残りの部分につきましては、本年から実施いたしておりますところの、南西島地域の第二次施業計画の第一次変更計画によりまして、本年以降九年間に人工下種によって約六百ヘクタールの更新はやりたいというふうに計画をいたしておるわけでございます。このような計画に基づいて実施いたします場合に、本契約の期間等との関係から、まずこの六百ヘクタールの実施もむずかしいか、というふうな感じもいたしますので、事態の推移を見ながら、その実行方について相手方と相談をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#33
○工藤良平君 この林業開発を行なう場合に、林道の問題がもちろんたいへん大切な問題でございますが、今日まで行なわれてまいりました林道の開発を見ますと、相当自然を破壊をするような状態が出ております。これは単価の問題等もあるかもわかりませんけれども、非常に目に余るものがあるのでありますが、いずれ、しかし、林道の開発は地域開発のためにも私は必要だという気がするわけです。しかし、それは自然環境を保護していくという立場からの関連の中でその調整をどうするかというのは、非常に重要な問題であろうと思います。もちろん、その問題については、内地の文化人、学者等から、その開発をすべきでないという考え方も相当根強くあるようでありますが、私もその気持ちはわからないことはないのです。が、しかし、たとえば具体的に西表の場合を考えてみても、それじゃ二千五百名の住民の人たちの生活をどうするのか。その生活というものを中心に考えながら、なおかつ自然環境の破壊との関連をどのように調整をしていくかという観点でやはりものを考えてみる必要があるのではないか。正直に申し上げまして、一体何で生活しているのだろうか。よくこんなところで生活をしているな、という印象を非常に強く受けるわけでありますから、その基本に立ってものを考える。しかし、自然環境をどうそれを破壊しないで済むかということも、やはりこれは考えてみなきゃならぬと思う。その調整というものが、国の森林行政をあずかる林野庁の任務ではないかという気がするのでありますけれども、そういった意味から、特に林道における開発の工法、あるいは予算の問題、そういう点について今後のあり方というものをひとつ示していただきたいと思うのです。
#34
○説明員(平松甲子雄君) 林業の場合に、開発のための林道と、自然環境の保護というものと、どう調和させていくかということが非常に問題でございまして、内地の林道の施工についても、その点に十分配意をいたしておるわけでございますけれども、御存じのとおり、沖繩は台風の常襲地帯で豪雨に見舞われる。しかも土壌は非常に悪いというようなことでございますので、いま先生御指摘のような懸念が非常に大きかろうというふうに考えるわけでございまして、今後、沖繩県で施工いたします林道につきましては、林道の設計なり、工法なりというものについて、特に配意をしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。その際は、側溝とか、あるいは道の横断の水路であるとかの完備、あるいはのり面の緑化であるとか、そういうふうなことに十分配意をしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。そういうふうなことで配意をしてまいりますにいたしましても、事業費が、経済力が低いために低く押えられるということになりますと、そういうふうな配意を十分実現できないということもございますので、沖繩県の林道事業につきましては、内地の補助率よりも補助率を高める、あるいは林道の採択に際しましても、蓄積を基準として採択をいたしておりますけれども、その採択基準を下げるというようなことを考えてまいりまして、産業開発と同時に、いま先生御指摘の自然の保護という両面に十分配意をしてまいりたいというふうに考えております。
#35
○工藤良平君 たくさん問題があるわけですけれども、これは、きょうは最初でありますから――全体的な沖繩の農業の問題についてもう少し触れたいと思いますので、具体的にはまた日をあらためて私は、国有林対策の問題について、もっと詰めてみたいと思います。
 ただ、こういう問題をいろいろと推進をしてまいりますために非常に隘路となりますのは、やはり人の問題ではないかと思うんですね。りっぱな開発はやりたい、自然環境を破壊しないような工法でやるために、予算もふやしてやろう、そういうことで熱意は示したといたしましても、その地域に人がいなければこれはどうすることもできないわけであります。
 これはさっき私、竹富町のお話を申し上げましたけれども、一万をこしておった人がいまや四千を切ったという状態、したがって、この西表のような地域では若い人は全くいないというような状態の中で、これからの林業開発にいたしましても、地域開発にいたしましても、人の問題が非常に重要な問題だと思うんですが、この点について林野庁としては、実際に具体的に進める過程の中で、その点に対する対策なりそういうものについてどういうふうに考えているのか。
#36
○説明員(平松甲子雄君) 林業に関係をする人々の数が減ってきておる、これは全般的に山村地帯が過疎になっておるという内地の現象でも共通に見られるところでございます。これは生活環境が都会に比べて劣っておる、あるいは経済的な収入が都会地に比べて劣っておる。そういうようなことからの原因が大半であると思いますけれども、また、林業の労働の災害の度合いが高い。そういうようなことも一つの原因であろうかというふうに考えるわけでございます。そういうような点から従来林野庁といたしましては、林業労働力対策ということで社会保障制度の適用がうまいぐあいにいくように、あるいは生活環境が悪いというようなことにつきましては、やはり山林地帯における経済基盤が強化される必要があろうというようなことで、林業構造改善事業をやるというような各種の施策を講じてまいっておるわけでございまして、その点につきましては、沖繩県についても同様であろうと思いますし、また、特に戦争による被害を受けたということから、そういうような施策を強力に講じてまいる必要があろうというふうに考えるわけでございまして、いま申し上げましたような施策を沖繩県においても強力に進めてまいるという形で考えてまいりたいというふうに考えております。
#37
○工藤良平君 地域における人の確保をはかることが非常に大切でありますし、そのためのこれから農業政策をどうするかということをお聞きをしてまいりたいと思うんですけれども、それと同時に、いま現実にこの山の問題に取り組んでいる営林署の職員ですね。これに対して、たとえば非常にハブという危険な自然環境の中でやっているし、気候も御承知のようなとおりでありまして、ですから、復帰いたしまして営林署が一つになっておりますけれども、むしろ何カ所かの営林署を設置すべきではないかということも町村あたりからの意見が出ておるわけであります。いずれにしても、山を守る人たちの万全な体制、要員の確保、こういうことはやはりこれからの重要な問題だと、私はこのように思うんですが、この点についての林野庁の考え方を最後にお聞きしておきたいと思うんです。
#38
○説明員(平松甲子雄君) 先ほどから先生の御質問で御指摘がございましたように、沖繩における林業につきましては、現在施業が非常に制限されておるということもございまして、国有林野の事業につきましても、伐採対象面積がほとんどないということから、増員もそれほど進めないというようなこともございまして、事業量がそれほど大きくない。そういうようなことがございまして、現在のところ、営林署を沖繩営林署という形で設置しておるわけでございますけれども、今後の問題といたしまして、事業量に見合うような形での機構なり人員なりというものを考えていく必要があろうかというふうに考えております。
 で、いま御指摘のハブの危険に対する手当ということでございますけれども、これは一般の公務員の手当その他との関連もございますので、そういうものと見合わせながら検討してまいりたいと思います。
#39
○工藤良平君 これから大臣に少しお伺いをしてまいりたいと思いますけれども、いま国有林を中心にいたしました林業の問題について若干お伺いしてまいりましたけれども、いずれにいたしましても、沖繩の林業を守り、山を守るにいたしましても、そこに定着をしていく人たちに、ほんとうに生活のできるような環境をつくってやらなければならないと私は思うんです。これが根本的な問題だと思うんですが、先ほど大臣も、サトウキビあるいはパインを中心にいたしました、さらに畜産を含めた農業というものを考えていきたいというような御意見がございました。私もその点については賛成でありますが、これは少し以前の資料でありますけれども、農林省の「アフ」によりますと、サトウキビ・プラス酪農、あるいはサトウキビ・プラス野菜、サトウキビ・プラス花木、こういったような形で、内地の米プラス畜産、米プラス野菜、米プラス果樹、こういったような仕組みと同じような形のものがやはり相当定着をしつつある、ごく一部の農家について。これを全体的に沖繩の農業として定着させていくのか。いくとするならば一体そのために何が必要なのか、こういうことを私は考えてみなければならないと思うんです。こういうような幾つかのケースが出されておりますが、このケースによりますと、沖繩の農業といえども見込みがないということはないではないか。そうすると、一体その中心になるたとえばサトウキビの場合にどのような対策が必要なのか。この前現地の人たちから、サトウキビの価格の問題について生産費及び所得を補償するような価格を、ということでかなり要求が出てきたようでありますけれども、農林大臣としては、この問題についてやはり内地の米に匹敵するような基幹的な農業の作目だということを考えて対策を講じられようとするのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#40
○政府委員(池田正範君) サトウキビの最低生産者価格につきましては、ただいま御指摘がございましたが、前年度の生産者価格を決定いたしましてから以降の全体の現地の物価情勢等が、いわばきわめて不幸な条件――災害等でかなり深刻に現地の生産者側に受けとめられておるという実態は私どもよく承知いたしております。しかしながら、現在のサトウキビの生産条件が、そのようないわば好ましくない条件の積み重ねのもとにありましても、私どもといたしましては、沖繩における現在のサトウキビの位置ということから考えて、これを後退させることは防ぎとめなければならないという決意に燃えているわけでございます。その意味からいたしますと、生産者価格というものは償うべきものでなければいかぬということになるのは当然でございます。が、現在のサトウキビの最低生産者価格は御承知のように、農業パリティー指数というものを基準にいたしまして、それに生産費、物価等の経済事情を参酌してきめるという法律の仕組みのもとで運用されておるわけでございます。
 たまたま前年度の最低生産者価格がちょうど昨年の九月以降、物価とりわけ賃金の騰貴というふうな事情のもとで、収穫時期において当初のパリティで見込みましたものからかなり大きくずれ上がったというようなことから、非常に割安感を強く持ったということもございましたけれども、御承知のように、パリティの仕組みというのは、とりました一定の期間の中における値上がり率をもって推定するのでございますから、その期間をこえた後の部分については、実は現在のパリティの仕組みの本来の宿命とでも申しますか、これは予測し得ないという欠陥がございます。しかしながら同時に、サトウキビ自体は御承知のように生産性をなおかなり上げていくべき余地がある作目であり、また、そうしなければならぬ作目であるというふうなことでございますから、これがたとえば品種改良あるいは新植の励行、生産基盤の育成、収穫労働の省力化というような一連の措置が地についてまいりますというと、逆に現在のパリティの価格の決定方式が生産者価格に対して有利に働き得る余地も十分持った仕組みでもございます。私どもといたしましては、その後におきますところの物価、賃金の上昇等の現状を踏まえまして十分考慮をいたしまして、次期の価格は、御承知のように、今秋――この秋にきめなければなりませんけれども、十分その辺の事情の反映はなされ得るものだというふうに現在考えておる次第でございます。
#41
○工藤良平君 このサトウキビの問題はもちろん、サトウキビ生産のまず基礎的な条件を整備をしてやる。と同時に、価格の問題というのは、これは内地の、さっきから私が申し上げておりますように、米と同じように相当重要な問題でありますから、かなりの部分はやはり政治的な配慮の上に価格の決定をし、そして沖繩農業というものの基盤をつくってやるということが非常に大切ではないかと私は理解をいたしているわけです。
 先ほど申し上げましたように、サトウキビ・プラス酪農というこの一つの事例を見ましても、サトウキビを利用した畜産のあり方というものは、やはりこれからの沖繩農業の中でかなり主要な部分を占めていくのではないかという気がいたします。私も、本土なりあるいは西表で、牧野改良によります畜産の状態を見ましたけれども、むしろこれは非常に容易なことではないような気がいたします。そうすると、やはり、むしろサトウキビと組み合わせた、サトウキビを利用した酪農経営なり、そういうものも新しい方法として出てきておるような気がいたしますので、そういった意味から、ぜひこのサトウキビの問題については、ただ形式的なことだけではなくて、いま局長おっしゃったように、政治的な配慮も加えつつ沖繩農業の基礎に据えてやる。そうすれば、やはり一つの方向というものが確立されていくような気がいたしますので、その点でぜひ配慮をお願いをいたしたいと思うのですが。
 それと、さらにもう一つ、沖繩の農業の中心になっておりますのがパインだと思います。パインの状態を見ますと、先ほどちょっと私申し上げましたけれでも、東南アジア型の移動耕作的農耕というものが行なわれている。一定の期間、三年ないし五年つくると、地力が落ちるというようなことで、次に移動していくというようなことから、一定の場所に定着し得ないという状態があります。これはやはり、基盤の整備というのが非常におくれているということがもうはっきり言えるわけでありまして、平たん地の場合には、雨が多いわけですから、雨が急激に降ると、それでむしろ、地下水の水位が非常に高くなるし、水がたまるということから、パインにはよくない、したがって傾斜地に植える。ところが、傾斜地は、急激に雨が降りますと、土砂が流されるということから、非常にむずかしい条件があるようであります。
 そういたしますと、これからの沖繩の農業の中で、キビやあるいはパインに対するそういった価格の問題と同時に、基盤の整備の問題については、これまた私は、内地の農業だってそのとおりですけれども、非常に重要な問題だと思うのです。現地に参りますと、せっかくりっぱな圃場であったものがいま荒らされております。これは根本的にやはり基盤整備をやり直さなければならぬと思うのですが、それをやることによって、かなりの部分は定着をしていくのではないかという気がいたします。この点については、後ほど構造改善局長のほうから沖繩農業の基盤の整備の問題についてお伺いしたいと思うのですけれども、まずキビ、それからパインに対する全体的な対策、特に私は、この共済の適用等の問題については具体化されておると思いますけれども、そういう問題についてもやはり配慮していく必要があるのではないかと思いますが、その点についての御見解を伺いたいと思います。
#42
○国務大臣(櫻内義雄君) サトウキビ、パイン、これらの農業生産に対しての工藤委員の御観察については私も大体同感をするものでございます。サトウキビが、それだけでなく酪農との組み合わせで合理的にやれる面があるのではないか、あるいは野菜との関連でどうかという御指摘で、これはそのほうが私は好もしい沖繩農業の姿ではないかと、かように思います。
 それからパインについては、傾斜地における作付というようなことでいろいろ困難な面がある。これは作付面積を見ましても、サトウキビが大体六三%、パインのほうが一〇%、合計して五万一千五百ヘクタールというような状況にございます。したがって、パインのほうのウエートは比較的低いと、こう認識していいのではないか。そのことはまた同時に、移動耕作型であるという御指摘のように、耕作面においての困難性もあって、なかなかパイン農業は思うようにいっていないのではないかと、かように思います。これを補う上におきまして生産基盤の整備を大いにやれということにつきましては、これはそのとおりに受けとめまするし、また、現在沖繩が農業労働力が非常に不足しておるということでありまするので、でき得る限り、この省力化のための配慮をしていくということも必要なことだと思うのであります。
 共済制度の確立につきましては、これはサトウキビの場合におきまして十分考慮していかなければならないと、かように考えております。
#43
○工藤良平君 それからもう一つは、沖繩の市場を見ますと、たとえば野菜ですね、日常ふだん使っております野菜。これはほとんどいま内地から行っているものと、くだものなんかはアメリカから来ているものが非常に圧倒的に多いわけです。そうすると、これは亜熱帯地帯の特色でもあろうと思いますけれども、野菜なりくだものというのはかなりの部分、やはりこれから体制を整備していけば私は、生産が可能ではないかというような気がいたします。特に生鮮野菜等につきましては、現地でやはり生産をしていくということが非常に大切だと思いますし、そういう点については、これは直ちにできることではないだろうかという気がいたしますが、その点についてはどうでしょうか。
#44
○政府委員(池田正範君) 沖繩の野菜につきましては、これは四十二年には二千六百ヘクタール程度でございましたけれども、四十七年にはもう三千八百ヘクタール、絶対値は御承知のように少のうございますけれども、全体としてはやはり趨勢的には増加の傾向にあるというふうに考えてよろしかろうと思います。現在は、大体自給率にいたしまして八割ちょっとというところでございますけれども、御承知のように、従来、沖繩県民の日常食してまいりました野菜というのは、内地の各府県の一般的な野菜とは若干品種を異にいたします。したがって、それらの事情も十分に考慮しなければなりませんけれども、いま御指摘のとおり、やはり自給体制を上げるということが農政の根本だろうと思います。その意味で、特産野菜生産団地育成対策、あるいは全体の生産団地、生産地の集団化とか、あるいは団体営畑地帯総合土地改良事業といったようなことを中心にいたしまして、生産対策を全般として講じてまいりますとともに、特に野菜の栽培技術を確立することが必要だというふうなことから、試験研究ということにやはり相当の力を入れていかなければならぬだろうというふうに考えております。いま内地全体で約千五百万トン程度の野菜の生産でございますから、一人で大体一年間に、捨てるものを計算いたしますと百二十キロかそこいらをとるわけです。ところが、沖繩の場合には、それの約八割弱しか消費しておりません。したがって、やはり消費は今後ふえると見なければいかぬというふうなこともございます。
 特にこれも、おそらくよく御承知のとおり、夏場に特に自給率が落ちるという特色がございます。したがいまして、やはりこの夏場の野菜対策というものも考えていかなければならぬということで、いま申し上げたように、全体としての自給率を上げていくことに努力しなければいけませんけれども、同時に、やはり県内の自給に影響のない限り、夏場の野菜というものに対する内地からの搬入といったような臨時対策もあわせて当分の間は講じていかなければいかぬというふうなことで、昨年やや苦い経験をいたしましたので、ことしはかなり早期に全農が中心になりまして、約四千トンの緊急移入、搬入をするというふうなことを中心にして、すでに八月中に千トンほどの野菜ものが沖繩の中に入っておるというそういう状況で、野菜の価格等も決してまだ満足すべき状態ではございませんけれども、この三カ月ほどの動きを見ますというと、特段に上がったという形にもなっておりませんので、私どもとしてはこれに勢いを得まして、ひとつ精力的にやってまいりたいと考えているわけでございます。
#45
○工藤良平君 あまりあと時間がありませんから先を急ぎますが、いろいろこれから私どもの努力によりまして、沖繩の農業というものも見直されていくのではないか。まあそうならなきゃならぬと思っているわけですが、さっきも申し上げましたように、その基礎的な条件をつくっていくためには、非常におくれている基礎的な条件、圃場の整備、農道の整備、さらにここは台風常襲地帯でありますから、特に防風林の造成等については、基礎的な条件として私は必要ではないだろうかと思うんです。かつてブルガリアに行ったことがあるんですけれども、あそこに行きますと、そこは高原地帯でありますので、全国土を一キロ区画に区切りまして、その区画に十メートルの防風林を全土につくっているという状態を見たわけですけれども、そこまでいかないにしても、かなりそういった基礎的な条件を整備をしてやるということが必要ではないか。もちろんそれはかなりの部分国あるいは地方自治体が負担をしてやるという、そういう万全の策というものが必要ではないかと思いますので、その点について一つ。
 それからもう一つは、沖繩の漁業が非常におくれているということを私どもは聞きましたし、港湾につきましても、たとえば西表に参りましたときも、わずかに三十トン程度の船しか入らないというような状況でありまして、非常に前近代的な漁業が行なわれておるという実態を把握をして帰りました。したがって、この点についても、あわせてひとつ局長、長官のほうからお伺いをいたしたいと思うんです。
#46
○説明員(杉田栄司君) 沖繩農業の振興に当たりましては、基本的に問題がございますが、いわゆる経営規模が非常に小さくてしかも耕地が分散しているという問題がございます。その点がまず基礎的な条件でございますけれども、そのためにいわゆる優良農地をまず確保するということに施策の重点が一つあるんじゃないかと思います。
 それから、キビ、パイン等を中心とします亜熱帯農業の確立、これは先ほど牧野改良の話もございましたけれども、畑作を総合的にやる必要がある。いわゆる農地保全と、それからまた、そういう牧野とあるいはパイン等の転作という問題もからませまして、そういう新しい亜熱帯農業の確立ということも技術的には心がける必要があるんじゃないかというふうに思います。このためには、やはり本土に比べまして著しく立ちおくれております農業基盤の整備を強力に推進する必要があるというふうに考えております。すなわち干ばつの防止のための水源施設の整備、あるいはまた畑地かんがい施設の整備、それからいまお話のございましたような台風等のための土壌の流亡等に備えまして、農地保全施設というようなものもやる必要がございます。それから防風林、これは台風に備えましてやはり防風林等の施設も整備していく必要があるというふうに考えております。それからサトウキビを中心にいたしまして畑作営農の機械化等を行ないまして、いわゆる省力化をはかる必要がございますので、そのための農道網の整備、こういうことを中心とした農業基盤整備の推進を心がけていきたいというふうに思っております。
 このためいわゆる助成措置といたしまして特別な補助率等が用意されておるわけでございますけれども、本年度におきましても国費で三十億あまり、事業費で約四十億の予算を計上して強力に推進するということで努力しておる途中でございます。
#47
○政府委員(荒勝巖君) 沖繩におきます漁業につきましては、御指摘のとおり、内地の漁業等に比べますと相当おくれているわけでございます。ただ、沖繩の漁業の伝統的な一つのあり方といたしまして、インドネシアを中心といたしましてカツオ・マグロ漁業には相当昔から出ておりまして、現在も東南アジア方面におきますマグロ漁業は相当なウエイトを占めております。この沖繩漁業で水揚げする総漁獲の約七割から八割程度はそこの部分が占めておるわけでございます。ただ、沿岸におきます漁業が非常に小さくて、これはまあ今後の援助が相当必要になるのではなかろうか、こう思っております。特にこの漁業の振興につきましては、その基盤となるべき漁港の整備ということがやはり相当重要視されておるわけでございますが、特に占領期間中は漁港の整備等はほとんど行なわれていないというようなこともありまして、先般国会で御承認をいただきました第五次漁港整備計画につきまして、沖繩につきましては、修築事業関係でこの五年間に八十億円――約十港分でございますが、さらに漁港の改修事業につきましては約三十億円というものを投入いたしまして、この漁港の整備に特に重点を置きまして、さらにそれに伴います漁船の建造につきましても、沖繩金融公庫を中心といたしまして相当低利の融資を進めることによって沖繩の漁港を振興してまいりたい。
 ただ、問題なのは、西表もそうでございますが、沖繩におきましてまだ水道事業が十分整備されていないというようなこともございまして、問題になります冷蔵庫をどういう形で今後整備していくか。全体として漁港はできた、船はできたということになりましても、いい水がないということになりますと冷蔵庫ができない。としますと、魚を持ってきましてもそこへ貯蔵しておくわけにいかない。自然他港へ持っていかざるを得ないというようなことから、コストが高くなって経営的にもまた、需給のバランスが十分採算とれないというような問題もございますので、これは現在の沖繩県を相手にいたしまして、全体的なそういった流通問題も含めて検討させていただきたい、こういうふうに思っております。
#48
○工藤良平君 時間がまいりましたからこの程度にいたしまして、また後日機会をあらためて詳細な質問をいたしたいと思いますが、最後に大臣に総括的にお伺いしたいと思います。
 御承知のように、沖繩は、つい先年長期干ばつが非常にありまして、長期対策が叫ばれてまいったわけでありまして、それはもちろん農業用水の確保という意味、さらには全体的に沖繩全体の水の確保ということからいたしましても、沖繩の農業あるいは林業の問題については非常に重大な関心を払わざるを得ない。このように思っているわけでありますが、そういう意味合いから、ぜひこれは、沖繩開発庁といたしましても、その対策は万全を期しておるとは思いますけれども、農業のサイドから農林省自体として、沖繩県自身にまかせるのではなくて、むしろより積極的にやはり大臣を先頭にいたしまして、各部局から相当有力なメンバーを編成をいたしまして、基礎的な調査、そして具体的な沖繩における農業、林業のビジョンというものをつくり上げていく必要があるのではないかという気がいたします。そういう意味合いから、ぜひ私は、農林大臣としても、そういう調査団の編成、基礎的な調査、そして新しいビジョンを出す、こういうようなたてまえから農林省としても取り組んでいただきたいというような気がいたすのでありますが、そういう点を総合的に大臣からひとつ御見解を伺いまして、私、終わりたいと思うんです。
#49
○国務大臣(櫻内義雄君) 工藤委員からきょう沖繩の農林業の実態について種々御指摘をいただきました。私どもも、基盤整備のおくれ、経営規模の零細性、農業技術の低水準、あるいは水不足、いろいろと考えさせられる点を多く持っておることを承知しております。したがいまして、これらの点について現地の総合事務局その他各種出先機関を通じまして現地の実情把握に鋭意つとめ、また対策を講じておる次第でございまするが、ただいまの調査団の構想、これも一つの考え方だと思います。しかしまあ、私どもは率直にいって調査よりも現実に迫られている問題が非常に多いし、また、ただいま工藤委員が言われましたように、総理府の沖繩開発庁、これが中心で沖繩振興開発計画も立てておることでございまするので、調査団の構想につきましては、これは開発庁のほうとも十分連絡をとって考えてみたいと思います。
#50
○委員長(亀井善彰君) 暫時休憩をいたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十五分開会
#51
○委員長(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 まず、農林水産関係物資の国鉄貨物運賃に関する決議案についておはかりをいたします。
 今国会に提出されております国有鉄道運賃法の改正により、農林水産関係物資の鉄道貨物運賃が増額改定され、生産者及び消費者に与える影響が少なくないことが予想されますので、理事会において協議いたしました結果、この際、当委員会として決議を行ない、政府に対し、農林水産関係物資の運賃について特別の措置を講ずるよう要求することが必要であるとの結論に至りました。案文がまとまっておりますので、便宜私から提案いたします。
 案文を朗読いたします。
   農林水産関係物資の国鉄貨物運賃に関する決議(案)
  政府は、さきに長年にわたつて継続されてきた農林水産関係物資に対する公共政策割引を廃止するとともに、これに引き続いて貨物等級制度の改正を含む国鉄貨物運賃の引上げを実施しようとしている。これらにより農林水産関係物資の国鉄貨物運賃は、平均をはるかに上回る値上げを来たすことになり、既往の運賃を前提にしている農林水産業に与える影響はきわめて深刻である。
  よつて政府は、この影響をできるだけ緩和するための対応策を検討し、速かに特段の措置を講ずべきである。
  右決議する。
 以上であります。
 それでは、本決議案の採決を行ないます。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#52
○委員長(亀井善彰君) 総員挙手と認めます。よって本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、櫻内農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。櫻内農林大臣。
#53
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの決議につきましては、御趣旨を体し、検討の上善処してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#54
○委員長(亀井善彰君) 委員の異動について御報告いたします。
 ただいま塚田大願君が委員を辞任され、その補欠として小笠原貞子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#55
○委員長(亀井善彰君) 休憩前に引き続き、当面の農林水産行政に関する件を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#56
○中村波男君 私は、飼料の大幅値上げに伴って畜産が崩壊の危機に直面いたしておるというこの現実を踏まえまして、政府のこれらに対する対策について若干御質問をいたしたいと思うわけであります。
 世界的なインフレの波紋を考えてみますと、その元凶の一つが、国際農産物市況は不足という基調の中で高騰いたしまして、アメリカの農産物の規制の解除と、また、アメリカを初めとする主要農産国の豊作等がありまするけれども、しかしながら、高値圏内での一進一退を繰り返しているというのが現状ではないかというふうに思うわけであります。したがって、今後の需給の予想としては、とにかく峠を越したということは大かたの見方のようでありますが、しかし、東南アジアを初めとする開発途上国の食糧需給というのは依然先行き見通しが暗い等々もありまして、決して楽観できるような状況にはないようだという、私はそのような見方をするのが正しいのではないかという認識の上に立っているのであります。したがいまして短期的、長期的にみて特に濃厚飼料の大半、ほとんどを外国に依存し、その中でアメリカ依存率がとても高い日本の飼料需給というものを考えました場合、農林省としては、いかなる需給見通しを持っておられるのか。できるだけ具体的に御説明を求めたいと思います。
#57
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 先生の御質問はやや長期にわたる見通し等についても関連があるようでございますが、短期及び長期を含めまして先生の御質問に答えさしていただきたいと思うわけでございます。
 配合飼料の主原料でございますトウモロコシ、コーリャン等につきましては、きわめて最近時点の需給を申し上げますと、輸入手当が順調でありましたほか、国会の御努力によります過剰米の増量の放出というようなことがございまして、需給は緩和しておりまして、国内在庫量は通常より多い状況でございます。
 今後の見通しにつきましては、全農をはじめとするメーカーの手当状況等を見ますと、本年から来年にかけます海外における手当状況も比較的進んでおりまして、おおむね来年の六月到着分までの手当が済んでおるというような事情でございます。また、トウモロコシ――今度はやや国際的な関係との関連になりますけれども、先生のお話にもございましたように、トウモロコシ、コーリャンの最大の輸出国でございますアメリカの本年の作付状況は、昨日も農務省から発表になりましたように、トウモロコシで一億四千七百万トン、これは史上最高でございます。それからコーリャンも二千五百万トンでございまして、同様に史上最高の豊作が予想されておるわけでございます。また、昨年アメリカほどの依存度はございませんが、累年一割ないし二割依存をしておりました、トウモロコシを依存しておりましたタイ国が非常に不作であったために、その影響も受けたわけでございますが、本年におきましては大体二百ないし二百五十万トン、これはほぼ平年作でございますが、生産が見込まれておりまして、民間ベースの日・タイメーズ協定によりましても、年内には三十万トン持ってこられるというような関係に相なっておるわけでございます。
 したがいまして、生産国におきますまあアメリカの昨日の発表等は、トウモロコシ、コーリャンとしては、本年の作柄もほぼ確定した段階という専門家の見解もございますが、非常に異常な事態が生じない限り、当面の需給等については問題がないというふうに考えております。ただ、アメリカの豊作等が確保されまして、国際的な需給についてはプラスの要因があるわけでございますけれども、世界諸国のアメリカに対する需要の集中というものは依然として強いわけでございます。また、本年春、昨年に比べて豊作を予定されておりました、伝えられました南アフリカ等におきましては、穀物飼料は豊作であったが、小麦等の不作というような要因が重なりまして、輸出が予想されたように起こらなかったというような事態がございまして、高値で推移しておるというような事態になっておるわけでございまして、まあ、物の需給としては、昨年の七二年の穀物年度ほどは窮屈ではないだろうけれども、需要が相当強いので、本年から来年にかけても比較的相場は強い水準で推移するであろうというのがわれわれの端的な見方でございます。
#58
○中村波男君 したがって、穀物あるいは飼料等の世界的な価格の高騰の影響を受けて、わが国におきましても、飼料の値上げが一月に三千二百円、三月に四千八百円、九月一日から一万百十二円、――これは全農の例でありますが、三回にわたって一万八千百十二円という値上がりを見たわけであります。したがって、この値上がりというものは当分こういう水準で保たれるであろう。こういうふうに考えておるのでありますが、この点いかがですか。
#59
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げますが、先ほど申し上げましたように、アメリカの豊作その他需給の緩和というものはある程度見込まれますが、アメリカ等の輸出国に対する需要が相当なお強いので、需給としては強めで、したがって国際相場は強気に推移するであろうということでございまして、その水準は比較的高い水準で推移するであろうということについては、先ほど申し上げたとおりでございます。
#60
○中村波男君 この大幅の飼料の値上げに対する対策をお尋ねする前にですね、まあ畜産全般にわたって成長率が、政府の予期したようには伸びておらない。たとえて言うなら、農家戸数はたいへん減少をしたけれども、頭羽数においては若干伸びておりますが、しかし四十六年と四十七年の伸び率に比べて、四十七年から四十八年への伸び率というのは低い。これは酪農、肉牛等々によるのではないかというふうに思うわけであります。しかし、需要というのは、ぐんぐんと伸びておる。したがって、とてもとても国内生産では需要に追いつかない。したがって、畜産物の輸入というのは毎年増大せざるを得ない。輸入の増大によって需給のバランスが保たれておるというのが現状だと思うのです。それで、畜産が停滞しておるのはどこに原因があるか。これをまず分析をして明らかにする必要が私は、あると思うのでありますが、政府として、これらの現状をどう分析し、どう原因を把握しておられるのか、明らかにしていただきたいと思うのです。
#61
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 相当広範囲にわたる御質問でございますので、これについては、多少細部について不十分な点があるかもわかりませんが、先生のお話の主たる問題点は、酪農なり肉用牛等の大家畜等についての御指摘かと思うわけでございます。で、それぞれの畜種別については、事情がございますので申し上げますが、酪農につきましては御案内のとおり、昭和三十年代以降相当高い需要にささえられまして、その成長が行なわれたわけでございまして、その成長の関係はむしろ一、二頭飼いと申しますか、零細な飼養農家が酪農からリタイアをして、急速な多頭化が進んだわけでございます。したがって、その中におきまして頭数も増加し、生産量も増加してきたというのが実情でございます。
 しかるに、四十六年以降やや消費のかげりも若干見えて、これもやや問題なんでございますが、見えた上に、従来零細農家の酪農からの離脱と、カバーしてきた多頭化の進展は依然行なわれておりますが、頭数その他においてこれをカバーしないで若干、微減でございますけれども、四十七年には足踏みをしてきたというのが酪農の実態でございます。この点につきましては、まあ零細農家の離脱の原因は、兼業化の進展とその他の事情がございますし、また、規模を拡大する農家におきましては、地価とか労働力とか諸般の問題がございまして、その伸びる力が鈍化してきたというのが実態かと思うわけでございます。
 で、次に肉用牛につきましては、肉用牛の相当数は若干ふえておりますが、先生御指摘は、まさに肉専用牛、和牛の問題かと承知するわけでございます。これにつきましては、御案内のように、副業的な零細経営――酪農と非常にはっきり対置されるような副業的な零細経営が主体でございまして、これも労働力事情その他から飼養戸数が減ってきておる。しかも繁殖部門におきましては収益性が低いというような関係から、その頭数の伸びが減っておる。しかも一方では、旺盛な牛肉に対する需要というものから、いわば一種の資源の食いつぶしというような原因がございまして、その肉専用牛についての頭数の足踏みというような事情があったと思うわけでございます。
 で、豚なり鶏――養鶏、養豚等につきましては、それぞれ相当な伸びを示しておると私も判断しておりますが、これにつきましても、しばしば御指摘を承っておりますような公害問題その他この部門に――畜産全体の中でも特にこの部門に強く影響しているもの等があるわけでございまして、きわめて概括的でございますけれども、その生産の状況、あるいはそれに対する逆条件というような点についてお答え申し上げたわけでございます。
#62
○中村波男君 いまの局長の御答弁によると、畜産の停滞なり不振なりという原因というのは、いろいろ原因なりをお述べになったわけですが、いわゆるえさが高騰したということは、さらに今後大きな影響を与えるんじゃないかと。したがって、問題は飼料高の製品安。もう一つ言いかえれば引き合わない畜産だと。だからなかなか――政府がかねや太鼓をたたいて奨励をした昭和三十六年に、農基法が制定されて、選択的拡大あるいは成長作物として政策の大きな柱に畜産を置いたはずでありまするけれども、予期したような発展、生産の伸びが今日出ておらない。こういう点に対する認識が私たちと違う点でありますが、農林大臣はどういうふうにお考えですか。
#63
○国務大臣(櫻内義雄君) 局長の御答弁では、えさの関係については触れられてなかったが、ただいま中村委員の御指摘のように、酪農や畜産の不振に、えさの関係は全然ないとは言っておらないのでありまして、いまの御指摘のとおりに、えさの関係ももとよりあると思うのであります。経営がうまくいかない、採算が不十分だということになりますれば、生産意欲の落ちることはこれは言うまでもないと思います。まあ私は、そのことももちろん原因でございますが、さらにもう一つ、何といっても労働力不足ということも、これは無視ができないのではないか。もう一つ言いかえますならば、酪農や畜産を手数をかけてやるよりはもっと収入のよい面があると、こういうことになれば、どうしても減退、停滞傾向というものをはばむわけにいかないのではないか。そういうことを考えていきますれば、今後、国民の需要も上昇傾向にあるのでありますから、また、海外からの供給を受けるということの困難性も増していくのでありまするから、それらのことを考えて、総合的に酪農畜産の振興のための施策をやっていかなければならない、このように私としては受けとめております。
#64
○中村波男君 その総合的な施策を進めなければならぬということに尽きるわけですが、その総合的な施策の内容については、限られた時間でありまするから、きょうはお尋ねを省きまして、直面しておるえさ値上げの問題について、さらに質問を続けたいと思うのであります。
 先刻申し上げましたように、全農の値上げに例をとりますならば、一万百十二円(一トンに対して)飼料が値上げになったわけでありますが、また、一月からいえば一万八千百十二円値上げになっておるわけでありますが、この値上げによっていわゆるコストへどれだけはね返るか、生産費を具体的にどれほど押し上げるか。これは農林省としても試算があると思いますので、卵、牛肉、豚肉、生乳ぐらいでけっこうですから、でき得れば一キロ単位ぐらいにその影響力をお示しいただきたいと思うわけであります。
#65
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 現在の二次生産費に占めます配合飼料費のウエートから、配合飼料の値上がりが生産費に及ぼす影響を誰定いたしますと、採卵鶏につきましては、これはトン当たり千円配合飼料が上がりますと二円六十三銭はねっ返るということでございます。それから肥育牛でございますと三円はねっ返る。それから豚でございますと三円三十三銭はねっ返るということでございます。
 酪農につきましては、配合飼料依存度の低い加工原料乳地帯と市乳地域とでは異にいたしますが、全国で平均いたしますと、キロ二十七銭、トン当たり千円の配合飼料の上昇がはねっ返るということでございます。
 で、これを全農の値上げ、約一万円水準の値上げということに引き直してみますと、いろいろ御質問があるかと思いますけれども、政府としてこの下期、四十八年度の下期にとります対策は、安定基金からの補てんで実質平均三千円の引き下げを行なえるように措置したわけでございますので、七千円の畜産物の生産費への影響というふうに見られるわけでございます。そういたしますと卵につきましては、キロ当たり生産費の上昇額は十八円四十銭、それから牛肉につきましては、一キログラム当たり二十一円四銭、豚肉でございますと、同じくキロ当たり二十三円三十銭、牛乳につきましては一円八十六銭ということに計算上相なるわけでございます。
#66
○中村波男君 最初にあげられた数字というのは、一万円上がったのを基準にした数字ですか。
#67
○政府委員(大河原太一郎君) 原単位的にトン当たり配合飼料が千円上がると、そうすると、畜産物のキログラム当たり幾ら生産費の上昇をもたらすかという計算でございます。したがって、一万円とすればそれを十倍していただきますと、そのあれになるということでございます。説明が不十分で恐縮でございます。
#68
○中村波男君 その数字についても、全農等の調査とはある程度の開きがあるのであります。まあ全農の調査によりますと、もちろん一月からの値上げによる影響でありますが、牛肉であると一キロ約四十円、豚肉は三十五円、牛乳は二円五十銭、鶏卵は三十円、こういう試算を発表しておるわけであります。したがって、いま局長が御報告になった中に、一万円今回上がりましたから三千円を、補てんして、七千円上がったとしても、卵で十八円四十銭、牛肉二十一円四銭、豚肉二十三円三十銭、生乳で一円八十六銭、これだけ上がるわけですね。そうしますと、単純計算で言いますと、これだけいわゆる販売価格が高くなれば、値上げ分だけは吸収できるということになりますか。それがなければ値上げ分だけは赤字になる。従来の生産が引き合っておったかどうか別にして、値上げ分だけ単純計算するとそういう結果になると思うのでありますが、これで酪農なり畜産が続けてやっていけるだろうか。そういう点についてはどういう認識をお持ちなんでしょうか。
#69
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 この点は大事な問題でございまして、先ほども先生が、原料高製品安という問題が、この値上げ関係と畜産物の価格の関係で、最も問題であるというような御指摘もあったわけでございますが、問題は、需給関係、生鮮食料品の一つとしての畜産物の現在の需給関係というものがどういう関係にあって、その価格水準というものが高いか、安いか、比較的農家にとって好ましいか、好ましくないか、という問題がございまして、それを前提として、えさの今回の値上がりで、どの程度吸収力があるかというような問題になるんではないかというふうに思うわけでございます。
 で、種々、以下御質問があるかと思いますけれども、われわれのほうとしては決して楽観はしておりませんけれども、今日の畜産物価格を通観いたしますと、比較的畜産物価格が高水準にあるというふうに言えるのではないかと思うわけでございます。畜種によって異なるわけでございますが、現在及び今後下期、四十八年の下期の価格関係、畜産物価格を見ますと、豚肉なりあるいは肉牛が最も高い水準で推移する。現在も相当高い水準で推移しておるわけでございますが、ブロイラー、鶏卵等につきましても、需要期に向かう関係等もございまして、ある程度このえさの価格の吸収の余地を持った水準に推移するのではないかというふうに考えておりまして、四十八年度のえさの上昇に伴う現実の生産費と今後推移するであろうところの、それぞれの畜種別の畜産物価格の見通しという点について慎重に検討をしておるところでございます。
#70
○中村波男君 いま局長が比較的畜産物は高い水準だと。その水準をどこに置かれるのか問題だと思うのでありますが、三年前よりは高くなったと、そういう意味の水準なのか、あるいは畜産を生産するという立場に立つならば、問題は、これだけ諸物価が高騰をして生産費がどんどんと上昇してきた、労賃も大幅な上昇を続けておる。さらに今回大幅な飼料の値上げが行なわれて、その中でいま畜産価格が、いわゆる生産費所得補償方式で考える場合に、引き合う価格であるかどうか、これは議論の余地が私はないと思うのですね。その根本的な認識に大きなズレと言いますか、相違があるのではないか。なるほどきょうの新聞を見ましても、二、三日前の新聞を見ましても、卵が二百七十円になったとか、あるいは豚肉が五百円をこえたとか、そういう相場は出ておりますが、これが、今後も高水準で続くという保証があるのかどうか。また、そういう高値が、大きな立場で政策的に考えます場合に、物価対策としても消費者の立場から言いましても望ましいかどうか。したがって、引き合う畜産物を、いかにして安定的に消費者に供給するか、しかも安全なものを多量に生産できるかということを、畜産物生産の基本に置かなければならぬというふうに私は考えるわけであります。
 そういう点でもう一度お尋ねをいたしたいのでありますが、たしか去る四日でありますか、閣議決定がなされまして、いわゆる大幅値上げに対する財政の補てん措置が講ぜられたわけでありますが、その内容をお聞きいたしますと同時に、局長も言われたように、それは十月から来年の三月まで平均三千円を補てんする、しかし一万百十二円上がったんでありますから、あと七千百十二円をどこで生産農家は吸収したらいいのか。その分を全部価格で吸収させると、そのために政府として、価格政策として、何か別な政策の用意があるのかどうか。それを含めて農林大臣から概略の御説明をいただいて、また説明によってはこまかく質問をしていきたい、こう思うわけであります。
#71
○国務大臣(櫻内義雄君) 閣議で措置をいたしましたのは、畜産経営特別資金融通措置が一つでございます。これは融資総額が約四百十億円でございまして、配合飼料費の一部高騰分について低利資金の融資を行なうもので、年利四%、償還期限二年、据え置き六カ月の融資措置でございます。このため、都道府県が講ずる利子補給に必要な経費の三分の二につき助成をする。助成の見込み額は約二十一億円、こういうことになっております。
 それから配合飼料価格安定基金から畜産農家に対しての補てん、これは先ほどから畜産局長が申し上げておりまするように、四十八年十月から四十九年三月まで平均トン当たり三千円でございますが、十月から十二月期は四千円、一月から三月期は二千円の補てんを行なおうと、こういうことで当面の一万百十二円の値上げに伴うショック緩和措置と申しましょうか、急変に対処をしよう。こういうことでございます。
 一方におきまして、政府は、全般的な価格抑制対策を講じておりまして、総需要の引き締め、なかんずく財政面の節減というようなことをとりながらまいっておりまするので、明年三月までのこのような措置の間に需給の関係が安定を見るのではないか。その間に、先ほどから御説明のありますように、七千円上がった場合にどれぐらい影響があるかという御説明も申し上げておるわけでございまするが、それがどのように市価に影響していくか。われわれとしては、できるだけ消費者の立場も考えながら、あまり高騰をしないように、しかし同時に、生産農家の立場も考えなきゃならない非常にむずかしい立場に置かれておるわけでございます。が、この激変緩和措置をやりながら、他面、全般的な施策の中で解決をしていこう、見通しを持とうと、このようなただいま姿勢におるわけでございます。
#72
○中村波男君 新聞によりますと、配合飼料価格安定基金に新しく特別積み立て基金制度を設けるんだ、その基金へ補てん資金として二百十一億出すんだと。問題はこの補てん資金の中身でありますが、この二百十一億というのは国が助成する方法をとるのか、あるいは国が債務保証をして基金が借り入れる方法にするのか。これらの点についてはまだ固まっておらない、別途検討するということであったわけでありますが、この内容は固まったのかですね。これからまだ検討を続けられるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
#73
○政府委員(大河原太一郎君) お話のとおり、ただいま大臣申し上げましたように、十月から来年三月まで、平均トン当たり三千円の補てんをして、実質の値下げを行なうためには二百二十六億の原資を要するわけでございますが、そのうち、今回は農家の負担をさせないで、メーカーや団体の負担で約十五億というものをこの期間に積み立てる。残りの二百十一億は、その資金の補てんのために国が責任を持つ。これについては、実はわれわれ閣議の報告でも、大臣の御報告でも、助成ということばを使わしていただいておりますが、国が全額債務保証をし、全額利子補給するというのも一種の助成でございますし、また、財政からずばり資金の補てん基金の造成費の補助金というような形で、あれをいたすという問題も、これも助成でございます。このいずれをとるかにつきましては、現在、政府部内で検討しておりますが、第一回の補てんは、先生御案内のとおり、来年の一月でございます。――第一回分のトン当たり三千円。したがって、もちろん早きを要するわけでございますが、その資金の手当ては国が責任を持つということをとりあえず、九月からの値上げも行なわれましたので、とったわけでございまして、そして早急にその助成の内容を固めたいとせっかく努力しているのが現段階でございます。
#74
○中村波男君 問題はその中身ですね。なるほど債務保証するんだ、だから、農協か農林中金で借りなさい、利子補給はしてあげますよ。しかし、安定基金への積み立て金は、農家からはふやしませんよ。二百円ですか、いま。これは二百円据え置くんですよ。だから、メーカーなり、団体が、結局何年かかかって、特別積み立てをやって返すんだと。こういうことが大体農林省のお考えのようだというふうにも聞くわけであります。
 私たちは、とにかく大幅な値上げが行なわれたんでありますから、これを価格へ全部上乗せするようなことになれば、いわゆる消費者物価の引き上げということにつながるわけでありますし、価格的には、牛肉等は相当な高い水準に消費者にとってはあるわけでありますから、したがって、少なくとも政府の財政負担として、この値上がり分の半分程度――二分の一程度は当然助成すべきじゃないか。ただ上げるべきではない、こういうことを申し入れておるわけであります。したがって、補てんする、補てんするといいましても、結局は返さなければならない金なんだと。金を借りるのには政府の債務保証がありますから、簡単に借りれるかもしれません。利子の負担もないかもしれません。しかし、メーカーがそれを積み立てて返すんだ、団体が返すんだといいましても、結局はその負担というのは農家に課せられるということを考えていただかなきゃならぬと思う。直接的に農家が負担をしないだけであって、それは間接的には農家の負担になることははっきりしておるわけでありますから、そういう点では、これはぜひひとつ大蔵省とのむずかしさがあろうけれども、農林大臣といたしましては、二百十一億では私たち少な過ぎると思うのでありますが、少なくとも二百十一億ぐらいはいわゆる特別助成として安定基金のワク外で助成措置をとるべきだと思う。これについて農林大臣のお考えをさらにお聞きしたいと思うわけでありますが、いかがですか。
#75
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま局長から御説明申し上げたとおりの状況にあるわけであります。そこで、中村委員からの御意見は、私どもも財政当局との間の交渉の中でそういう見地にも立って交渉をいたしたのでありまするが、いま一番肝要なのは、一体、上がった分はそのまま、まるまる影響を受けるのか、それともある程度はカバーしてもらえるのかということが、この九月からの値上げに際して、そのほうをまずはっきりする必要性がある。こういうことで、配合飼料価格安定基金の拡充措置の方法については、いずれ時期的に差し迫ったとき、あるいはそれまでに解決をしようということで今回の措置は一つの段階を踏んだと。しかし、いま中村委員の言われたような御趣旨は私どもも十分頭に置いておりまするので、少しでも畜産経営農家に寄与するように最終的な努力はいたしたい、こういうことでおるわけでございまして、いまはっきりとこういう見通しだと言いかねますことをきわめて残念に思うんであります。が、今後の方針といたしましては、でき得る限りの農家の立場を考えていくと、こういうことで御了承願いたいと思います。
#76
○中村波男君 現実的には十月から支給するんだ、実際の金を渡すのは一月なんだ。だから、一月までに時間をかけて政府は検討してきめれば、補てん支出には障害にはならないんだと、こういうことだと思うんですよ。しかし、いま農家は、これだけ大幅な飼料の値上げの中で、今後続けていくべきかどうか、たいへん私は迷っておると思うんですね。そういう面からいいましても、三千円とにかく三月までは助成として政府が出してくれるんだ、返さなくてもよい金が出るんだと。こういうことは、やはり畜産農家に希望を持たせるという意味で、二百十一億の金の使い方としては、これは金の価値以上に精神的な意欲をかき立てる有効な金になるんじゃないか。
 そこでもう一つ念のために聞いておきますが、債務保証をするということにかりに方針がきまるといたしましたら――かりにというよりも、これできめようとされておると私は見ておるわけでありますが、債務保証をするということになりますと、法的立法措置が必要になるのではないですか。
#77
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 おことばを返すようでございますが、第一点の、債務保証等に資金の補てん方法をきめたということは絶対にございません。先ほど大臣が申し上げましたように、端的に、最も農家の立場に立った方式をとるということでわれわれとしては努力しておるところでございます。
 第二点の立法措置については、先生御指摘のとおり、国の法人等に対する債務保証の場合については、これは法律的根拠を要するということでございます。
#78
○中村波男君 いや、私は、助成をとるのか、あるいは債務保証を行なって基金が借り入れる方法をとるのか検討中でしょうということを言ったときに、否定をされなかったからお尋ねをしたのですが、そうしますと、これは政府が基金へ直接金を貸されるわけですか、いまの考えは。
#79
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げますが、二百十一億の補てん財源の造成のためには、債務保証方式によりますと、国が融資機関に対して原資手当ての心配をした上で債務保証をし、全額利子補給をして、その資金手当てをするということは申すまでもないことでございますが、一方の、国が財政で見る場合におきましては、一般会計等で資金の造成費の助成ということでその基金を補てんするということでございます。
#80
○中村波男君 一般会計でいわゆる財政措置をするということが大体有力なんですか、お考えとして。
#81
○政府委員(大河原太一郎君) 先刻来るる申し上げておりますように、そのいかなる方式をとるかということについて政府部内でいろいろ議論中でございまして、まだ結論は出ておらないというのがありのままの事実でございます。
#82
○中村波男君 私聞き間違えたかもしれませんが、いま局長が、債務保証をとるということは考えられないという意味の御発言があったでしょうか。――そうしますと、いわゆる政府の一般会計で資金の繰り出しをやるという道があと残るだけじゃないですか。どう違うんですか。
#83
○政府委員(大河原太一郎君) 先ほど先生の御質問の中で、私の受け取り方が悪かったかと思うわけでございますが、債務保証方式に、もう行政部内は固まっておるんじゃないかというような御質問に受け取られましたので、そのようにきまっているわけではない。両案について、ただいま政府部内で検討中であるということが、ありのままの事実であるということを申し上げたわけでございます。
#84
○中村波男君 さらに、融資の四百十億ですか、これについてお尋ねしておきたいと思うんですが、四月も特別融資を行なわれたと思うのでありますが、このワクの消化率はどれくらいになっておりますか。
#85
○政府委員(大河原太一郎君) 御指摘のとおり、春の八千円値上がりについては基金の補てんとともに特別融資を行なったわけでございます。飼料の値上げ代の一部について特別融資制度を行なったわけでございますが、これにつきましては、まだ八月末の結果が入っておりませんが、六月現在で百八十億の融資ワクに対しまして百八億程度でございますか、約六割の消化率という報告を受けております。
#86
○中村波男君 したがって、飼料が値上がりをするから金を四分で貸しますから、それでとにかく乗り切ってください。こういう考えだと思いますが、乗り切るといいましても、最初に報告を求めたように、いわゆる濃厚飼料のほとんどを外国依存をする、世界的な食糧不足の中で、いわゆる基調というのは高い水準というもので推移するということを考えますと、借金をして、とにかくえさを買って牛を育て、鶏を飼っていく、そういうことの見通しがあるのかどうか。こういうことを考えますと、何としても、この問題について直接、間接あらゆる総合的な施策というものをこの際政府として、農林省として具体的に示す必要が私はあるんじゃないか……。
 すでに予定の時間が迫ってまいりましたから、次の問題に質問を移したいと思います。
 そこで問題は、とにかく三千円は補てん資金として直接農民が支出しなくともよろしいということに措置をされるわけでありますが、あと七千円分ですね、これをどうしてカバーするのか、こういうことに思いを走らせますと、やはり私は、価格に上乗せする以外には方法がないと思うのです。したがって、畜産安定法を適用して早急にひとつ畜産審議会を開かれて、いま私が申し上げましたような立場で畜産物の値上げを諮問をされることがない限りは、この危機を乗り切ることはできないのじゃないか、こういうふうに考えますが、新聞によると、局長は断固として否定しておられるようでありますが、これはひとつ農林大臣の政治的判断をされる問題だとも思いますので、この点について御所見を伺いたいと思います。
#87
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 配合飼料価格の大幅な値上げが畜産経営に対する影響とその衝撃の緩和のために、先ほど大臣等からも申し上げましたように、各種の施策をとっておるわけでございますが、まず融資の問題について否定的な御意見もございましたが、低利の資金によりまして、ある程度の長期にわたって畜産物価格で吸収していくというための低利融資を一方でとるとともに、その補てんの幅については御議論もございましょうが、平均三千円の補てん措置を講ずるというわけでございます。さらに今後の、最終的には畜産物価格で吸収していくべきだという点については、われわれも実はそう思っておるわけでございます。
 問題は、それぞれの畜種につきまして、牛乳なりあるいは豚肉なりその他それぞれの畜種につきまして、現在の価格の水準がどの程度の吸収力があり、えさの値上がりによるコスト要因によって政策価格がきめられておるものについて、どの程度の改定を要するのかという点につきましては、それぞれの諸要因を見た上で判断を要すると思うわけでございます。これについてわれわれは、先生も御案内のとおり、たとえば加工原料乳の保証価格については政府が責任を持ってきめる立場になっておりますし、また、豚価につきましては、御案内のように安定基準価格としての下限と安定上位価格としての上限の安定帯の幅にこれを安定させる。で、豚価が安定基準価格の下値を下がった場合には畜産振興事業団の責任で買い上げるという制度になっておりますが、その安定帯価格を改定する必要があるかどうかというような点については、飼料の値上がりその他生産費を構成いたします諸要因につきまして検討の上でないと、この審議会等の開催その他についてはいま即断しかねるというのがわれわれ事務当局の真意でございます。
#88
○中村波男君 いまさら指摘するまでもなく、畜安法の第四条にありまして、「農林大臣は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、安定価格を改定することができる。」と、この「物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある」、これは、これだけ卸売り物価が高騰して、たしか、八月末では、昨年同期に比べて一七%上回った。それに続いて消費者物価も上がっておるわけでありますが、さらに飼料の大幅値上げ、こういう状況を考えますならば、このことが法律にある「著しい変動」ということに当てはまらずしていつ「著しい変動」なんということが当てはまるのか。そういうことを考えれば、もちろん、諮問をされるその数字を検討されるということについて、ある程度の日時の要ることは理解できまするけれども、まずこれは改定しなければならぬという前提で検討されるべきじゃないか、されなけりゃならぬのじゃないか。こういうように私は考えるわけでありますが、この点について、これは大臣に政治的決断をしていただかなければできないことでありますから、ひとつ御所信を承りたいと思います。
#89
○国務大臣(櫻内義雄君) たとえば、牛肉の場合を取り上げてみて、一体、畜産農家や酪農農家の経営状況はどうかというようなことになると、一方において、乳廃牛の価格が非常に上がっておるとか、子牛の価格が上がっておるとかいうことがございます。だから――私はいいんだということを言うんじゃないんですよ。ただ、保証乳価をどうするかというときに、経営状況をつぶさに検討していくといろいろな要素があるわけでございます。そこで、ただいま中村委員が言われるように、畜産物価格安定法の四条によって審議会に諮問すべきかどうかということについては、諸要素を考えていきまするときに、まだ私には決断ができないということが、率直なところであります。
 また、こういういろいろ問題が起きておりまするから、飼料問題について特別立法までいたし、過剰米や政府麦類を安い価格で放出するようなことにおいてもお願いするとか、あるいは今回のような所要の措置を講じて、それもなお政府が一般会計から補てんするか、しないかというような問題も残しておる。しかも、先ほど申し上げたように、全般的な経済状況というものは、中村委員のおっしゃるような状況にはあるが、また同時に、これに対して政府として各般の施策も講じ、商品市場におけるいろいろな物品の価格が相当下落も見ておるというような、そういう非常に変動の激しい時期でありまするので、にわかに、おっしゃるような私自身の決断はできかねる。もう少し事態の推移を見る。
 しかし、そのことによって、かりに酪農農家や畜産農家がいろいろな御苦労をされておるというのを等閑視するというような立場ではないのであります。できるだけのことの措置を講じながら考えていこうということで御了承いただきたいと思います。
#90
○中村波男君 時間がまいりましたので――もっともっとお聞きしたいし、意見も申し上げたいんでありますが――。
 いま大臣が酪農――乳牛に例をとって、たとえて言うなら、牡犢が高く売れるようになった、それから廃牛が、牛肉の値段が高いために収入が、以前に比べれば肉牛として処分をすることによって収入がぐっと多いんだと。こういうことも例にあげられたわけでありますが、これは、タコが足を食うのと同じであって、酪農の本来の姿で私ないと思うんですよ。だから、肉牛関係でいえば、和牛というのが生産が停滞してそれに打って変わったのが肉牛。いわゆる乳牛による肉牛の代替というのが行なわれておる。
 しかしまた、現実に養鶏なんかも少なくとも二百五十円以下ではコスト割れだといわれておるわけでありますが、ここで小さな酪農家はどんどんとこういう飼料の値上げの中で淘汰されていく。――それを政策的に指向しておられるというならば別でありますが、そういうことの今度は反動を考えますと、やはり基本的にはいかにコストの安い酪農あるいは畜産を育てるかというところに重点が置かれなければなりませんけれども、とにかく飼料の大幅値上げというこの現実を乗り切らせる対策としては、やはり財政負担による政府の助成――全部を財政負担で吸収はできないことはわかっておりますから、ある程度の畜産物によるカバーをさせる道を開く。そのためには、いま申し上げましたように畜産審議会を開いて政府の政策価格を改定するための、ひとつ改定する措置をぜひとってもらいたい。そういうことを強く要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#91
○塩出啓典君 いま中村委員のほうから畜産の当面する問題、飼料問題、緊急対策、そしてまた、乳価あるいは豚価の問題等についていろいろ質問があったわけでありますが、私は質問は重複を避けまして、本日は特に輸入のいわゆる牛肉あるいは豚肉、そういうような問題についての農林省の姿勢と申しますか、そういう点について二、三お聞きしたいと思うんです。
 御存じのように、先ほどから質問がありましたように、国内の生産の伸びは非常にどんどん鈍化してきておる。一方、このような飼料の高騰、そういうような問題から国内の生産が停滞あるいは後退するかもしれない。そういうときにあるわけでありますが、一方需要は非常に伸びてきておる。そういうことで、農林省あるいは通産省協議の上で、いわゆる牛肉の輸入等も最近急激にふえてきておるわけですね。そういう現状にあるわけでありますが、そこで私は最初に、輸入した牛肉はどのように配分され、そして消費者に渡っていくか。そういう流通の問題、これは非常に私は大事な問題だと思うのであります。それで今年の三月に、いわゆる京都の食肉業界におきまして、輸入肉の、いわゆる京都中央卸売市場に配分された輸入肉の配分の問題について非常に不公平な配分がなされていた。それが市議会でもいろいろ問題になりまして、農林省としてもいろいろ手を打たれたと、そのように聞いておるわけでありますが、どういう不公平な配分が行なわれ、それに対して農林省としてはどういう指導をしてどうなったのか、そのあたりをひとつ一応簡単に説明してもらいたいと思います。
#92
○政府委員(大河原太一郎君) 先生御案内かと思いますが、輸入牛肉は、国内の牛肉需要の増大に応じて消費者の要望にこたえるためにふやさざるを得ないという場合に、量が急激にふえておりますので、従来の輸入牛肉の流通経路で、その流通をはかっていた点について種々ふぐあいな点、従来の方式にふぐあいな点が出ておるというような問題があるわけでございます。相当量の牛肉を、消費者の要望にこたえて確保し、価格を安定するために、的確な流通を行なわなければならないという点については問題かと思うわけもございますが、その一つとして――従来の流通経路なり流通方式の問題の一つとして、われわれは、京都の問題を受け取っておるわけでございます。
 京都の中央卸売市場、これは輸入牛肉については、その相当部分が畜産振興事業団から、各食肉中央卸売り市場の荷受けに対して、委託販売をしておる。そして定価販売で買参人に渡されておるというわけでございますが、京都におきましては、従来は食肉の買参――これは市場によって仲卸しだけ認めておるものと、小売りを認めておるものと、いろいろございますが、京都においてはその買参の協同組合に対して半分、それから、それ以外に、従来の実績があったということで、大手の会社に四割を与える、その他先ほど申し上げました買参組合に入っていないものに対して一割を割当てた、というのがいままでの改善前の実情だったというふうに承知しております。
 これにつきましては、従来の実績を尊重するというのが、いかにも実情に合わないし、また大手の実績を持った会社が、単に京都地域の小売り人に流さないで、他県の加工メーカーにこれを流しておるというような問題があったやに承知しております。これにつきましては、私どものほうといたしましては、この問題が発生したとき、直ちに市場関係者を呼んで、実情をつぶさに聴取したわけでございますが、牛肉消費者にスムーズに本来の形で流れるためということを前提といたしまして、開設者でございます京都市と、それから卸しと、並びに買参人から関係委員会をつくっていただきまして、種々検討を願いまして、全買参人に対して均等配分するものを三割、それから国内の牛肉、国産牛肉の市場での購入実績を七割というふうな方法で、その輸入牛肉の配分をいたすという結論を出してもらいまして、現在その方式でやっているというふうに承知しておるわけでございます。
#93
○塩出啓典君 いまいろいろ状況報告が、局長からあったんですが、この大手のいわゆる国際ミートという会社ですけれども、これが非常に実績があったからその実績に応じて配分しているような、そういうようなお話でございますが、現実はそうではなしに、これは、その国際ミートが発足したのがその少し前ですから、そういう実績もない。それから、京都中央畜産の専務とその会社とのそういう親子関係、そういうような点から非常に不公平な配分が行なわれておったわけであります。実績に応じて配分するのであれば――これはやっぱりそういう国内の牛の販売数量に応じて配分するというのであれば、これは、かなり道理はとおるわけですけれどもね。そういう点がなかったから是正したわけでしょう。そういう点が非常によくない。そういうわけで、このように農林省の指導で配分委員会というものができて、そういう方向にきているわけであります。その点ちょっとあなたの事実の掌握のしかたが違うと思うのです。
 それで、まずいわゆる輸入肉が入ってきますね。それが入ってからいろいろ畜産事業団あるいは商社等を通して――入るのは商社が入れるわけですね。それで京都の場合は、中央卸売市場に行くわけでありますが、こういうルートというのは大体どういう配分になっているのか、それを簡単にわかりやすく説明して下さい。
#94
○政府委員(大河原太一郎君) 要点だけお答え申し上げまして、なお御質問によって答えさしていただきたいと思いますが、輸入牛肉については外割制を御案内のようにとっております。たとえば、本年の上期の例を申し上げますと、三月に一万トンのこれは緊急輸入でございますが、それと七万トンの輸入をした。これについては民貿分として七万トンの一割の七千トンを商社取り扱いとして行なわれておりまして、この商社の取り扱う部分につきましては、肉類の小売り商の全国団体でございます食肉の全国団体を通じて小売業者に回されております。それからまた、もう一つ肉類の加工業者の全国団体でございますハム・ソーセージの協同組合なり、あるいは食肉かん詰めの協同組合に対してこの民貿分は渡されておるわけでございます。
 一方、大部分を扱っております畜産振興事業団の取り扱い分につきましては、スーパー、生協、デパートなんかの指定輸入牛肉販売店などを経て消費者に直接渡るものと、ただいまも京都のお話で例が出ましたように、食肉卸売り市場等を経て、買参人を通して、小売り業者から消費者に渡るものと、また、一部は加工原料用として食肉加工メーカーに渡るものというふうな大ざっぱなルートでございます。
#95
○塩出啓典君 そこで、これは時間の節約の意味でこの輸入商社ですね、これはまあ全国で二十四社あると聞いておるわけでございますが、この二十四社のいわゆる会社名と、それからまあ大体どういう割り当てをここ五年ぐらいやってきているのか。また、どういう根拠に基づいてこういう輸入商社にその割り当てをするのか。これをあと資料として提出していただきたいと思うんですよ。それと、いま話がありましたように、それが商社のほうに行くと、これは一〇%ですか。
#96
○政府委員(大河原太一郎君) おおむね一割でございます。
#97
○塩出啓典君 それから、あとは畜産振興事業団、それからいわゆる加工業者ですね。それから事業団指定店に行くのもあれば、中央卸売市場等に行く、こういうのもあるように御説明があったわけですけれどもね。そういうような点については、どういう根拠に基づいて、そういう配分がなされていくのか。それで、これからだんだん国内のまあ牛肉の値段が上がれば上がるほど、こういう輸入肉というものを一つの利権として、さっきの京都のように、実際、ある会社が小売りしないで受けて、そうしてそれを他府県に流すとか、そういったことをする。そしてそれがまた、京都へ返ってきて、逆にその会社がもうけて消費者が損をする。こういうようなことになっては非常に困ると思うんですね。そういった点で、これを資料として提出をしていただきたい。この点はよろしいですね。
#98
○政府委員(大河原太一郎君) 牛肉の輸入商社は二十六社と承知しておりますが、それらの取り扱い量、その他資料、ただいま先生の御要求の資料については十分整備いたしまして提出さしていただきたいと思います。
#99
○塩出啓典君 それで、ちょっとこれはお尋ねしますけれども、先般この豚肉の輸入についていわゆる差額関税を非常に脱税をしたと、そういう点で新聞等では、明治屋と日本冷蔵という二社が、先般判定したわけでありますが、この二社は、牛肉の輸入もやっているのかどうか。その点はどうなんですか。
#100
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 豚肉の関税、差額関税の脱税問題等に関連をいたしまして関税法違反の告発なり、あるいは兵庫県警等で告発を受けました会社の中で、明治屋は輸入牛肉を取り扱っておりますが、卸売り市場共同会社は輸入牛肉についての輸入業務は行なっておりません。
#101
○塩出啓典君 私は、これは商社の一つの道義として、こういう新聞記事を見て非常に憤りを感じました。まあやっぱり商社としてまことにけしからぬ。国民をごまかし、国をごまかし、こういうことが非常に起こるということ自体、通産省あるいはまた農林省の大きな責任問題であり、そういう姿勢は非常に反省しなければならないと思うのでありますが、この点もちろんまだ結論が出たわけではありませんけれども、かなりこれは間違いない。そういう状況でありますけれども、こういうような明治屋が、輸入牛肉も扱っているわけでしょう、いま。それで、割り当てというのは、これからあともずうっといままでどおり割り当てるつもりなのか。その点はどうなんですか。
#102
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 特に、明治屋についての問題は、というようなお名ざしでございますが、先般も公にされましたように、豚肉の輸入関税の脱税商社で告発等受けたものは相当数にのぼるわけでございます。これらについては、一方では牛肉の輸入業務を行なっておるのが大部分でございます。これについては、その豚肉の領域で脱税がございましても、やはりその牛肉等の食肉の輸入業務を扱う一つの重要な段階をになっているものとしての責任の問題、これについてはしかるべき検討が行なわれるべきであるというふうにして、事案の確定するのを待っておるというのが現段階でございます。
#103
○塩出啓典君 これはひとつ農林大臣にもそういう商社の規制――それは非常に小さいところがやるのならまだいざ知らず、そういう大きければ大きいほど、その責任は非常に重いと思うのですね。こういう点で農林省といたしましても、やはり厳正な態度で臨んでいかないと、この点を国民から見て、業界と政府との馴れ合いのような感じを持たれたんでは非常によくないわけでありますし、この点については厳正な態度で臨んでもらいたい。このことを農林大臣に特に要望しておきたいと思うのでありますが、農林大臣の御見解を承っておきます。
#104
○国務大臣(櫻内義雄君) 豚肉についての関税脱税問題は、国民の食生活上から見ましても、このようなことが行なわれておるということはまことに遺憾なことでございまして、直接の農林省の担当の問題ではございませんでしたが、脱税に関しましては告発も行なわれておりまするし、われわれの関与すべき点につきましては、ただいまの御質問の御趣旨のように厳正に臨んでまいりたいと思います。
#105
○塩出啓典君 そこでですね、再び京都のそういう食肉の配分の問題でありますが、先ほども話がありましたように、京都の食肉買参人事業組合、これはたしか四百名ぐらいのそういう買参人がおるわけでありますが、それに五〇%――半分。それであとわずか十一人の、昨年の秋結成された買参人の十一人の組合に一〇%、それからいわゆる中畜産の専務のそういう親子に当たる国際ミートというところに四〇%、しかもこの四〇%というのが、他府県のハム業者にあるいは売られたり、あるいはまた逆にマージンを取って大阪まで売られて、そして大阪から京都の食肉業界にまた帰ってくる。こういうことで消費者が非常に高い値段で買わされておった。そういったような事実がありまして、これがいわゆる市議会で問題になって、そうしてこれを、いまさっき話されたように配分委員会というものをつくって、ようやく一歩前進をした。そういうことなんでありますけれども、これはどうなんですか、こういう問題は農林省といたしましても事前にわからなかったのだろうか。市議会で問題になって、初めて大きく新聞にも出て、そうしてあわてて手が打たれた。こういうようなことは、当然これは農林省としても行政指導を前もってしていかなければならない問題でありますけれども、そういう点については農林省としてはどういうふうに考えているのかですね。
#106
○政府委員(大河原太一郎君) 先ほども申し上げましたが、輸入牛肉、消費者の需要の非常に強い輸入牛肉に対して、適切に消費者に渡るルートを、既存のルートの活用なり、あるいは先ほど申し上げました指定店、その他スーパーや生協等の活用、これは新しく道を開いた制度でございまして、適確にその輸入牛肉が消費者に渡るための措置に全力を上げておるわけでございますが、まあ卸売り市場に対して畜産事業団が委託販売をして放出する場合の、それの適切な流れ方という点については、実は、われわれ責任のがれをするわけではございませんが、やはり第一次的な開設者としての地方公共団体に、始終その合理化の方法について御検討願って、その上でわれわれのほうとしても、これの是正なり改善の方向という点について現在努力をしておるところでございます。
 したがいまして、われわれといたしましては、卸売り業関係業界を集めまして、適正な配分なりあるいは流通の確保という点については数度にわたって協議会等を行ないまして指導中でございますが、そういう問題については、問題が起きたあとにその問題に対処するのではなくて、できるだけ事前に、この牛肉の流通経路等につきまして実態の把握につとめまして、御指摘のような是正措置を、適切な方向に指導するようにいたしたいというふうに思っております。
#107
○塩出啓典君 これは、確かにそういう卸売り市場からそれからあとのルートについては、市場の開設者が第一義的には責任がある。しかし、それを監督していくのはやはり大きくは農林省の役目だと思うんです。それで、京都食肉買参事業協同組合が、京都市中央卸売市場第二市場の運営改善に関する陳情書として、これはすでに昨年の八月に農林省に出しておるわけですね。まあ、今日までたびたびそういう人たちはそういう趣旨を農林省へ陳情しながら、結局、農林省がなかなか動かない。というのは、そういう点をどう考えているのかですね。やはりどういう意見であろうとも、そういった買参人組合がひとつまとまって京都市を乗り越えてくるということは、そこにいろいろな問題があるわけですから、やはりそういう点を公平に聞いてあげなければいけないんじゃないかと思うわけです。これに対して処置のとりようが非常におそかったと私は思いますが、どう考えていますか、それは。
#108
○政府委員(大河原太一郎君) われわれの担当といたしましては、先ほどからるる申し上げておりますように、輸入牛肉が畜産振興事業団から放出されまして、卸売り市場において、その適正な運営によって適切な場所に流れるということについては、責任を感じておるところでございますが、市場の運営方法その他につきましては、担当部局が別途のところで実はやっておるわけでございます。したがいまして、その両者の密接な連携に欠くという御指摘があるかと思うわけでございますが、また、事実そのために問題事案の処理がおくれておるという点があるかと思いますので、その点については今後十分留意して改善をはかりたいというふうに考えております。
#109
○塩出啓典君 ひとつ農林大臣、こういうようにちゃんと昨年の八月からそういういろいろな改善に対する要望を農林省に出しているわけですが、それがほったらかしにされて、そして市会で問題になって新聞に出て、あわててそれが改善されていく。こういうような行政のあり方というのは――結局だれも言わなければもうそのままにしておく。それでわいわい騒いで新聞に出ればようやく動く、そういうことでは非常によろしくない。やっぱりそういった姿勢をほんとうに改めてもらいたい、このように思うわけであります。
 それで、その配分の不公平があるために中央畜産に配分委員会を設けて、そうして三割が平等割、七割が実績によって配分をしていく、こういうようなお話であります。ところが、先般、私も京都に参りまして、それら食肉業界の人の意見等もいろいろ聞いたわけでありますけれども、御存じのように、京都では中央畜産の市場がいま一つになっているわけであります。けれども、これが建設されるときに二つにせいという意見と、一つにするという、そういうのがいろいろあったようでありますけれども、いま現実にいわゆる京滋畜産という会社が滋賀県のほうで屠殺場を持って、そこでかなりの頭数の牛をやはり屠殺しておるわけですね。おそらくいまは京都のと同じくらいの数が屠殺されているわけでありますが、その京都の市内のかなりの業者もそこでいろいろ牛を買っておる。ところが、そういう人たちは、言うならば、京都市内においてかなりの販売の実績を持っておるけれども、いわゆる輸入肉の割り当てがない。そういうことで、京都中央畜産から肉を買い入れている量から見れば、非常に平等であったにしても、ほんとうにその店でどれだけの肉を売るか、その消費者の要望との結びつきの点においては非常に公平を欠いておる。そのような問題があるわけでありますが、こういう事実についてやっぱり農林省としては事実を承知しているのかどうかですね。その点をちょっと伺っておきます。
#110
○政府委員(池田正範君) 卸売り市場の問題でございますので、私のほうから申し上げます。
 御承知のように、これは昭和四十三年に国から助成を受けて成立した市場でございますが、実はこの市場ができますときに、いま御指摘のように、一社にするか二社にするか、御売り業者の数をめぐってかなりの争いがございました。その際に、実はこの卸売り市場に――これは卸売り市場ですから肉を卸売りする場所でございますけれども、従来からどうも日本人の食生活からいたしまして、屠殺した直後の新しい肉をすぐ料理をするという形についての非常に強い希望がございまして、むしろ市場である前には屠場であったという一つのいきさつがございます。そのことから、京都では特に屠場を中心にして発展をしてきたということから、自分で引いてきた生きた牛を自分が屠殺をして処分をするという形が非常に根強い状態でございました。
 しかし卸売り市場という体制をつくりますと、そこはやはり切り離しまして――卸売り市場に付設された屠場に上場されたものは全部市場に出して、そこで公正なる価格形成にゆだねるというのが卸売り市場の本来の機能でございますから、そういうふうにぜひひとつしてほしいということで、京都市が中に入って、だいぶ長い期間をかけましてやったわけですけれども、やはり従来からの伝統と申しますか、そういう商売のやり方というものに対する根強い郷愁がございまして、いま御指摘のように、一部の人たちが大津のほうに分かれていって自家屠殺というものをそのまま続けて今日に至っている。しかしながら、同時にその人たちは、形式的には京都のいまの第二市場のほうの買参にやはり入っておるという形をとっているわけです。したがって、現実にどのくらいの売買参加をしているかわかりませんけれども、現実にはどうも通常のベースではほとんど京都の市場を利用せず、主として自家屠殺にたよっておる、大津の屠場を使って。ということのようでございます。そのことが、今回の三割、七割の輸入肉の配分にあたって、実績ということをベースにしたために漏れたというふうに私どもは承知をいたしているわけでございます。
#111
○塩出啓典君 そこで、やはりそういう輸入した肉をできるだけ安くそして国民全体に供給していくという、そういう趣旨からいうならば、現実に屠殺場が二つあるわけですが、こちらのほうの屠殺場でやっている人たちの実績というものが全然考慮されていない。そういうわけで、まあ輸入肉の割り当てがないという、そこにその人たちの不満があるわけであります。で、この中央卸売市場を開設するに当たっては、これは中央卸売市場法等にもありますけれども、仲卸しの業務を的確に遂行するのに必要な知識、経験、または資力、信用を有しない者には許可をしてはならないと。こういうことにもかかわらず、先ほどのように、自分の特定の会社に不正の割り当てをしておったそういう人が、これはもう全然経験のない人が役員に加わった。そのようなことからその別個のものができたようでありまして、そこにはそれなりの――現在、京都の中央畜産というのは、その役員がやめまして、その姿勢は正されたわけですけれども、そういう理由からやはり分かれているわけで、現実問題として、そこで屠殺された肉というものが消費者に渡るのであるならば、その実績もやはり考慮した配分でなければ、ほんとの公平な配分とは言えないんじゃないか。しかも、そこで屠殺される牛の量というのは、ここにデータもありますけれども、大体京都に匹敵するぐらいの量になっておるのですね。それを含めての配分というものをするようにすべきではないかと私は考えているのですけれども、それについて農林省としては検討する用意があるのかどうか。これはもう絶対だめならば、どういう根拠でこれはだめなのか、その点をちょっと伺っておきたいと思います。
  〔委員長退席、理事初村瀧一郎君着席〕
#112
○政府委員(池田正範君) 輸入肉の配分につきましては、畜産局のほうから御答弁申し上げるのが正しいと思いますが、市場の関係からいたしますと、ただいま申し上げましたように、自己家畜を自分で引いて行って屠殺場で屠殺をして売るという形をとっておりますと、その肉は市場には実は上場されない。したがって、いわゆる売買実績というものが出てこないということになります。これは、どの程度の割り当てをすることが、他の本来の全量屠畜いたしました肉を中央卸売市場に上場している人たちと比べて、バランスがとれているかということについての判断がおそらくできにくかったのだろうということが想定できると思います。卸売り市場の立場からいたしますと、やはりその人たちが大津で屠畜をするのはけっこうでございますけれども、やはりしたものは中央卸売市場のレールの上に乗せて需給、いわばガラス張りの需給実勢の上でやっていただくという形に持っていっていただくことが非常に望ましいことだし、そういう形になれば、おそらくいまのレールのままでもその実績が十分反映できることになるだろうというふうに思うわけでございますが、あとは現実の問題でございますので、畜産局のほうからお答え申し上げます。
#113
○政府委員(大河原太一郎君) 輸入牛肉の畜産振興事業団の放出は、先ほどからるる申し上げておりますように、的確なルートで的確に消費者に渡るということで、最も多数の需要が集中する中央卸売市場に対して相当量を出すということでございます。で、個々の実需者に対しては、畜産振興事業団があらゆる実需者に、手をあげてきた者に個々のものを渡すというわけにはいかないということで、他の業界でございますと、全国団体を通じて先ほどもお答えいたしましたようなことをやっておるわけでございます。したがいまして、今回の問題等におきましても、やはり卸売市場を経由して放出するというたてまえをくずすわけにはわれわれとしてはまいらないというふうに考えております。
 ただ、従来の例でございますと、中央卸売市場だけでなくて、いわゆる地方市場というものに対しても――これは指定市場と申しまして、もしも豚肉等が安値があった場合には買い上げを行なうというような要件を備えた地方市場に対しては、これを放出するというたてまえもとっておるわけでございまして、いずれにいたしましても、市場としての一つの実体を備え、その形式も整えたものに対して輸入牛肉は放出していくのが最も適切な流通の確保であるというように考えておるわけであります。
#114
○塩出啓典君 まあこれは、いわゆる大津における京滋畜産株式会社で、それで屠殺した牛の頭数が大体一カ月二千頭、多いところが二千百頭ですね。大体四十七年度は二万二千八百十五頭というものが屠殺されておるわけですね。そういうわけで、いま畜産局長言われますように、確かにそういう実績というものは公式には上がってこないかもしれませんけれども、しかし、現実にそういうものが国民に、京都市を中心に実際に消費されておるわけですね。その肉が足りないために輸入してきたわけですから、消費者サイドから考えるならば、やっぱりこういうところに輸入肉がいかないということは、国民のサイドから見ると非常に不公平な問題がまずあると思うんですよ。そういう点で、やはり農林省といたしましても、ただ法律がこうなっているからこうなんだというんではなしに、やっぱりそこは、こういう点はこういうぐあいに改めていくならば、そうすればこれは可能なんだと、そういうように、もっと前向きに、ただ法律を上から押しつけるんではなしに、需要者という立場に立って、そしてやっていく。場合によっては、そういうすでにこれだけの実績を持っておるわけですから、あるいは京都の食肉市場を二つにする。そういうようなことも、ぼくは当然考えるべき問題ではないかと思うのですけれどもね。そういう点で農林省としても前向きに検討すべきであって、ただこうだからこうなんだという、そういう通り一ぺんのやり方ではこれは国民の側から見て、私は、非常に不公平を生ずるんではないか、このように思うのですけれどもね。その点はどうですか。検討の余地はありますか。
#115
○政府委員(大河原太一郎君) 先生のお話には、いろいろな面の問題の御指摘かと思うわけでございます。で、一つは卸売り市場におきます荷受け等の一本であるかどうかというような問題、京都を二つに分けるというような問題が一つあるかと思うわけでございますが、私どもの側面から申し上げますと、その問題は別にいたしまして、多数の屠殺実績を持っており、国内産牛肉の取引は相当行なわれておるというような場所の業界に対しては輸入牛肉を適切に放出すべきであるというふうな問題の御指摘かと思うわけであります。これにつきましては、先ほどもるる申し上げましたように、いろいろな実態の実需者がございまして、その多数の需要者がここに集まってそこへ放出すれば末端の消費者に流れるという保証をどこで求めるかということかと思うわけでございます。これについて、われわれといたしましては、中央卸売市場なりあるいは地方卸売市場というような市場という実体を整えていただいたところにこれを放出すれば、まさに先生がおっしゃるように、その周辺の消費者に対して満足がいくような流通が行なわれるというふうに考えておるわけでございまして、御指摘の大津の関係のその個所につきまして、市場としての適格要件を備えるかどうかという点が一つの問題であるかというふうに考えておるわけであります。
#116
○塩出啓典君 ひとつそういう点につきましては、先ほど申しましたように、実際に消費者にやはりできるだけその需要に応じて輸入肉も回っていく。そういうような実態になるように、今後とも行政指導をしていただきたい、このことを要望いたします。
 先ほど申しましたいろいろ資料等は、また後日、提出していただきまして、きょうのところはこの程度で質問をとどめたいと思います。
#117
○理事(初村滝一郎君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#118
○理事(初村滝一郎君) 速記起こして。
#119
○辻一彦君 きょうは私、海外移住の問題、それと若干関連して開発輸入といいますか、飼料の問題その点について二、三質問を行ないたいと思います。
 第一に外務当局にお伺いしますが、海外移住の考えについてでありますが、一つは、最近において、海外移住者が一時非常に減少しておりましたが、ちょっとまた横ばいになっていると、こういう状況でありますが、大体最近における海外移住の状況について簡単に報告をいただきたい。
#120
○説明員(穂崎巧君) 最近の海外の移住の状況につきましては、わが国の経済の高度成長に伴いまして労働力の需給関係、それから国民の生活水準が向上したとか、あるいは受け入れ国側でいろんな選択的な導入方針をとったというようなことから、海外移住の質量両面においていろんな影響が出てきているわけであります。
 昭和三十年代前半におきましては、年間約一万人をこえておった移住者が、その後だんだん減ってまいりまして、最近は、これはアメリカ合衆国を入れてでございますけれども、年間平均五千名程度になっております。アメリカが入っておりますが、その中でアメリカ以外の国で申し上げますと、中南米は大体七、八百人、それからごく最近新しくふえてまいりましたカナダの移住が大体やはり七百から八百人程度で、まあアメリカを除きますと千五、六百というようなところが現在の移住の姿となっております。ただ移住の形は、従来家族単位で、しかも農業移住という形のものが多かったのに対しまして、最近では単身の青年層、しかもその中には、自分で技術を持っているという、いわば技術者の移住というのがだんだん多くなっておるわけであります。
 で、われわれといたしましては、移住がどのような形になっているかということにつきましては注目をして見ておるわけでありますけれども、さっき申し上げましたような、単身青年層となっておることと、それから技術移住ということで、あるいはこっちの方向に将来向いていくのではなかろうか。もちろん現在も農業者の移住はございますけれども、そういう新しい形の移住がふえておるということに注目しているわけであります。
#121
○辻一彦君 およその傾向はわかりましたが、それでは、いま人数がかなり減っている状況ですが、過去において海外移住というものがいろんな役割りを果たしたと思いますが、過去における海外移住の役割り、また今日の状況の中でどういう役割りを果たしておるか、その点を伺いたい。
#122
○説明員(穂崎巧君) 過去の移住につきましては、戦前、戦後の初期の考え方は、主として日本が非常に人口が多かったということから、いわばそういう過剰な人口を海外へ移動するという形のものが多かったわけでありまして、そういう意味におきましては、おいでになる方は、いわば日本で非常に困っておられる方もあるいはあったかと、このように考えます。
 ただ、最近だんだん先ほども申し上げましたように移住の形が変わってきた。その中にわれわれがとらえます点は、一つは、やはり日本にいたんでは自分の能力が十分に発揮できない。これは御承知のように、日本で人口過剰という問題が最近だんだん、労働人口の過剰という問題が影が薄くなっておりますので、むしろ日本におれば十分の生活の機会があるわけでございますが、ただ、日本にいたんでは自分の能力が十分発揮できない、日本にいたんでは、自分の将来についてもうレールが引かれているような感じを持つ。こういう若い、いわば希望に燃えた人々が自分の能力を一そう発揮しようということで、新しい可能性を求めて外国に出ていく。こういうことが昔の移住と非常に違っている点ではなかろうか、このように考えるわけであります。
 このような方々が海外に出ていくということは、国の立場からいたしますと、いわばそういう優秀なわが日本人が海外に出まして、海外の各地におきましていろんな活動に従事するということは、日本の目から見まして、大きな意味で国際協力の一環になるんではなかろうか、このようにわれわれは考えておるわけであります。
 しかし、移住というものには、昔移住した方もいますし、戦後移住した方もいますし、あるいは新しい移住した方もいますので、対策といたしましてはいろいろな対策を講じていかなきゃいかぬとは存じますけれども、最近の移住を見ましてわれわれ感じますことは、そのような新しいエネルギーが出ていく、しかも、それが現在の国際化時代におきましてそういう一つの国際協力の一環になるということにわれわれは新しい意義を見出しておるところでございます。
#123
○辻一彦君 一般的に移住の意義というものがいま言われたことにあると思いますが、その中でひとつ農業移住がどういう役割りを果たしてきたか、また、現在はどういう意義を持っているか、この点簡単でけっこうですが伺いたい。
#124
○説明員(穂崎巧君) 農業移住につきましては、過去においていろいろな問題ございまして、御承知のように、移住地に参りまして、その日からすぐにとにかく働かなければいかぬというような状況と、あるいは移住地の開発とかいうようないろんな問題ございまして、必ずしもわれわれの思うようにいかなかったという点はございます。ただ、御承知のように、時間がたってまいりますと、いろいろの営農の指導その他が功を奏しまして、ある一定の作物の栽培というような形で移住者がだんだん定着してきておるわけでございます。
 先ほどもちょっとお話がございましたけれども、いわばその中で、日本の開発輸入に結びつくようなものも二、三出ております。たとえて申しますと、ボリビアで綿花をつくっております。サンファンへ移住して綿花をつくっておりますが、その綿花を実は日本の商社が買って持ってきておるというようなものもございますし、それから、日本にはまだ入ってはおりませんが、ごく最近ではパラグアイあたりでは大豆が非常に出ておるというふうなこともございますので、将来の問題といたしましては、このような日本の経済との結びつきということで移住者の役割りというものが出てくる場合もあるいはあるのではなかろうか、このように考えております。
 いま移住問題で一番大きな脚光を浴びておりますのはブラジルでございますが、ブラジル自身が最近工業が非常に伸びておりますが、あれだけの大きな土地でございますので、将来農業につきましても、そのような農業開発の可能性と結びつくものがあるいは出てくるかとも存じます。
#125
○辻一彦君 いま新しい海外における経済の動き、そういうものと移住との結びつきが若干お話が出まして、私はきょうは若干それについてあとで質疑を続けていきたいと思います。
 そこで、それに入る前に、日本と非常に友好な空気にあったタイ国において、日本の商社の進出が非常に大きくて、日本商品のボイコットが起こったり、ああいう親日的な空気の中にかなり強い排日的な空気、運動が起きたと、こういうことはいままでも再三報じられておるわけですが、私たち見るに、タイにはたくさんの日本人が行ってはおるけれども、ほんとうに定着をしていない、根を張っていない。利益を追求する商社マンは非常に多くても、そういう意味のタイに根を張っていないということが大きな原因でないかと、こう思うのですが、ああいう親日的な空気の中になぜ反日的なボイコット運動が起こったのか、こういう点についてどうお考えになっていますか。
#126
○説明員(穂崎巧君) 経済問題が私の所掌ではございませんので、あるいは適切なお答えになるかどうか存じませんが、私のおります領事移住部で、いろいろ海外の日本人のことにつきまして、日常いろいろ考えておるわけでございますが、よくいわれますことは、日本人というものの特性から、日本人の海外におけるいろいろな行動がその国で誤解されるということが一つの原因ではなかろうか。よくいわれますのは、日本人というものは非常に同志的な国民であって、いわば海外に行きましても日本と同じような感じと申しますか、そのような考えで行動する。いわば全く異質なものが日本にはないということから、非常に何と申しますか、気楽に考えて行動するというようなことから、一つは日本人が海外で誤解される点があるのではなかろうか、これがまず第一点でございます。
 それから第二点は、やはりいま御指摘のありましたタイなどにおきましてよくいわれますことは、日本人の企業では日本人だけがとにかく枢要な地位を占めておる。現地の人には適当な地位が与えられないというようなことが実は非常な問題になっているわけでありまして、これは現地において見ましてもそのようでございますし、そのような問題が起こりましたために、最近われわれ聞きましたところでは、各企業で反省が出まして、こういう現地の人々にも適当な地位を与える、あるいは日本に連れてきて日本でよく日本の事情も見せて、その上でしかるべき地位に据えるとか、あるいは入社して間がない時期に日本に連れてきていろいろ訓練するとか、いろいろ現地の人と日本との何と申しますか、適応と申しますか、円滑にいくようなことを考えておるわけでございまして、そのような反省が出てきたことというのは、私非常にいいことだと思います。この上は、いま申し上げましたような日本人の何と申しますか、そういう国民性と申しますか、このようなものを何とかわれわれの時代ないしは次の世代がそういう国際性を身につけて、そういうそしりのないようにしなければいかぬ、このように考えておるわけでございます。
#127
○辻一彦君 どうしても閉鎖社会を海外に出てもつくりやすいという、そういう一つの特性が一つの障害になっている。こう言われたわけですが、私はそういう面もあろうと思います。同時に、タイならタイにほんとうの意味の定着をしていないという、そういう形が一つの大きな原因になっているのでないかと、こう思うのですが、この点についてはどう思われますか。
#128
○説明員(穂崎巧君) 定着と申されましたのは、実は海外の日本人と考えます場合に、現地に生活の本拠を移しまして、いわば半ば永住的にやろうという方々が従来の移住の形だと思いますが、しかし、戦後日本人もどんどん外国に出てまいりまして、いま申しました定着ではございませんが、やはり商社の方では四、五年の方は少なくございませんし、人によっては十年ぐらいおられる方もございます。そういう国に長くおりますと、そういう方々がだんだん専門化いたしまして、その国に長く住む、あるいは二回目、三回目もその国に行くというようなことがだんだんふえていくのではなかろうか。もしそういう事態になりますと、やはり先生がおっしゃいましたような定着というような形に近いものが出てくるのじゃないかと思います。やはりこれは時間がたっていきませんとそういう形が出ないので、私はやはり私の二、三知っている例もそういうことがございますから、そのような形がふえていくことを希望したい、このように考えております。
#129
○辻一彦君 定着に時間がかかるわけですが、やはり、そのタイの中に根を張ってないといいますか、ほんとうに、とけ込んでないというようなところに一つの問題点があったんじゃないかと思う。
 そこで、移住には、どうしても南米、特にブラジルとの関係が考えられますが、ブラジルとの関係は、過去においても現在もかなり関係が深いわけですが、日系人七十万と言われますが、この中で、移住をした人たちが、日伯――日本とブラジルの両国の国民といいますか、人々の間に橋をかけるといいますか、理解をしていく。そういう意味で果している役割りというものはかなり大きいと思うんですが、この点、どうお考えになりますか。
#130
○説明員(穂崎巧君) ブラジルにおきます日本の移住者につきましては、御指摘のとおりでございまして、現在おります移住者は、おそらく、一世の時代は過ぎまして三世、四世の時代が来ておると思います。移住が始まりましてブラジルはもう何年ですか、――七十年ぐらいでございますか、その間、これだけのたくさん日本人がおりますと、ブラジルの中では連邦の大臣になった人がおられますし、国会議員の方もおられますし、あるいは実業界の偉い方もおられますし、いろいろな意味におきましてブラジルにおられる日本の方々の長年の努力というものがいま実りつつある。で、これらの方は、もちろん、ブラジルの人々でございますけれども、移住されておる方は、常に、自分がかつて出てきた国のほうを見ているわけでございまして、そういう方々が日本においでになる。あるいはわれわれがブラジルに行くと、その際にお互いにいろいろお世話になったり、あるいはいろいろ問題を話したりいたしまして、日本とブラジルの関係が、いわば、そういう方々を通じましてお互いに理解が深まっていくということでございます。
 それから若い人々でございますけれども、この人たちは、いろいろな機会に日本に勉強に来られたりというようなことで、新しい日本を見て帰りまして、つまり、技術者でございますと、いろいろな勉強をして帰りまして、ブラジルのためにそれを利用するというようなことで、われわれ、ブラジルにおりますこれだけの移住者の方々というものは、日本にとっては、いわば日本とブラジルを結ぶ貴重な財産と申しますか、ことばは適当でないかもしれませんが、そのような感じがするわけでございまして、われわれ、今後ともこういう方々を通じまして両国の間のきづなを強めたいと考えております。
#131
○辻一彦君 いまの点は私たいへん大事だと思うんですね。あれだけ親日的なタイの中で、やはり、経済の活動の過熱といいますか、そういう中で起こってきた一つの反日運動、そういうものと、それからブラジルのように長年の間に定着をし住みついてブラジルの社会にとけ込んだ日系人、日本人がこの両国の間に果たしている橋渡しの役割りというもの、こういうものが非常に大きいし、その差が、たとえば、タイとブラジルを比べた場合にもあるように考えるわけです。
 そこで、そういう状況の上に立ってブラジル、南米における移住の問題を若干伺ってみたい。
 その前に、一つ農林大臣にお伺いをいたしたいんですが、今日、開発輸入という問題が非常に論じられておりますし、また、農林省もこの調査団を出すと、こういうふうになっております。そこで、今日、経済拡大の中で畜産物の需要がふえるということは当然でありますし、また、一面では公害がふえる、沿岸漁業が圧迫をされていく。そういう中で、いわゆる畜産物によるたん白源の需要というものもさらに拡大をしていく、こう考えますと、飼料の需要というものは一そうふえると、こういうふうに当然考えますが、そういう場合に、えさについて、農林大臣は、国内でどのくららいを自給を目ざすのか。あるいはそれが一〇〇%自給できないとすれば、海外の市場にどういう形で依存をしていこうと考えているのか、この点しばしば論じられておりますが、きょうはえさの問題に限って、国内の自給度をどう考えるか、海外依存度をどう考えるか、この点についてお伺いをいたしたい。
#132
○国務大臣(櫻内義雄君) 農林省として目標年次昭和五十七年で大家畜の良質粗飼料給与率は平均約六〇%、こういう見当をつけております。四十六年が四九%でございます。
 ところで、濃厚飼料の関係を考えてみまするに、現在四十七年度でトウモロコシ、コウリャン、大麦、小麦ございまして、これが千二百万トンほどの輸入量になっております。輸入依存度は可消化栄養分総量四三・五%でございまするが、この濃厚飼料の原料につきましては、稲作の転作を利用して若干の増産をはかろうというような考えはございまするけれども、何ぶんにも御承知のような生産性において非常に劣るのでございまするから、この輸入依存度の改善について鋭意つとめたいと思いながらも、なかなかこれは思うようにはいかない、こういう実情にあるかと思うのであります。したがいまして、今後の開発輸入の方途を十分考えていくべきでございまするし、また、現在小麦や飼料穀物類を大量米国に供給源を仰いでおるという実情にございまするが、これらを多角的に今後考えていく必要があるというようなことで、私どもとしては、現在ブラジルやアルゼンチンからの若干の輸入がございまするが、これらの諸国から開発輸入方式をとりながら量をふやしていくということについてはできるだけ努力をしてみたい、このようなふうに考えておるような次第でございます。
#133
○辻一彦君 まあ、濃厚飼料は、国内の土地や未墾地、そういうところを精一ぱい活用して自給率を高めるということは、私は、第一前提で大事だと思いますし、これはどうしてもがんばっていただかなければならない。しかし、一〇〇%自給できるえさの濃厚飼料の可能性もなかなか容易でない。そういう点で、どうしても海外にかなりな量のえさ資源を依存しなくてはならない、こういうことは日本の置かれた条件から当然でないかと思います。それで、いま大臣もお話がありましたが、大豆のアメリカにおける輸出政策の変遷等、最近におけるいろんなゆれ方を見ても、やはりえさ資源についても、えさ飼料についても、特定の国に片寄るということはどうもいけない。いまのお話のように多角的にということでありますが、海外のえさ市場にかなり安定した、分散をした輸入を考える必要がある。こういう、大体いまのお話であろうと思います。
 そこで、私もそれは同感でありますが、それでは外務省にお伺いしますが、えさ資源を、いまの農林大臣の答弁のように、海外にかなり求めなくちゃならない。こうしますと、ブラジルの移住を見た場合、いままで現地で十あるいは二十ヘクタールというので野菜や果樹、養鶏など、こういうのをやっている例が多いわけです。しかし、都市近郊におけるこういうやり方は、将来限界が出てくるのではないか。広大なブラジルにおける土地を考えると、えさの生産というようなことが十分これから考えられると思いますが、いま農林省のお考えになっている海外への安定したえさの開発輸入、こういうことと、それから先ほど御答弁がありました海外移住のこれからの新しい一つの動きといいますか、の将来と、こういうものとを考えて――えさの開発輸入ということと海外の移住ということの結びつきということについて、どうお考えになっておられるか、その点いかがですか。
#134
○説明員(穂崎巧君) 私正直に申し上げて、飼料の問題は何もよく存じませんので、適切な御答弁できないと考えますが、海外移住一般の状況から見まして、いま申されましたような飼料というものと、たとえば移住を結びつけるということができればいいとは考えますけれども、何ぶん先ほど御指摘になりました大豆とかそういうものは、きわめてアメリカの大豆等は、おそらく国際的な競争力というのは非常に強いだろうと思います。他方、移住者というのは、たとえば大豆がいいということであれば、これから大豆をつくるわけでございます。しかも、場所によりまして、大豆がうまくできるところもあり、できないところもございますでしょうし、それから輸送の問題もございますでしょうし、それらを全部ひっくるめました価格の問題もあると存じます。先ほどちょっとパラグアイに大豆ができると申し上げましたのは、いわば輸出するということではなくて、むしろ地場の消費ないしはおそらく隣のブラジルあたりに持っていくということかと存じますが、そういう形で徐々に育っていくということでございまして、私だけの考えで申し上げますると、すぐにそういうものと移住が結びつくというふうにはいま直ちに考えられないのじゃないか、このように存じております。
#135
○辻一彦君 先ほどのお話の新しいこれからの移住の動きというもの、その中に、ちょっとその芽があったように私は思ったのですが、確かに国際競争における価格の点だとか、ずいぶん問題はあると思うのですね。しかし、それであるから、たとえばブラジルの中で生産されたえさが、ただ国内の、ブラジルの中の自給関係だけに乗ればこれは非常に私は不安定だと思う。しかし、わが国がかなりなえさ資源を海外にどうしても自給を高めた上でも依存しなければならないとすれば、長期にわたる日本の濃厚飼料、えさ資源の自給計画、そういうものとあわせてこちらへ買い取るというような計画というものが立てば、私は価格の点でもある程度市場性においても安定した点ができてくるのじゃないか。そんな点をどのように考えるかということが一つ。
 もう一つは、いま輸送の問題がありましたが、確かに南米の内陸でえさをつくっても、港まで持ってくるのに港から日本に運ぶのと同じぐらいの運賃がいまの状況ではかかるというほど、大陸の中でつくられたそういうえさというものが、港湾に運ばれるまでにたいへんな経費がかかる。あるいは港湾に運んでもそれを保存する、輸送とあわせてサイロであるとか貯蔵の設備あるいはそれを粉砕をしてある程度圧縮加工するとか、こういうことがなければこれはなかなかやっていけないわけです。こういうものを経済協力というような形で輸送力や港湾設備やあるいは飼料の粉砕、加工圧縮というようなことを援助、協力をして、そしてえさを安定的に生産をしてもらい、それを長期の計画にわたってわが国に市場分散という点から輸入をしていく、入れていくというこういう考え方をお持ちにならないかどうか。この点外務当局とそれからあわせて農林省のほうからもお伺いをいたしたいと思います。
#136
○説明員(穂崎巧君) いまのような問題になりますと、私、答弁のまあ適任者とも考えられませんですから、できましたら別の機会に外務省の関係の局長からお聞きいただくか、あるいは農林省のほうからお聞きいただきたいと思います。まことに御答弁になりませんで申しわけございませんけれども……。
#137
○国務大臣(櫻内義雄君) 辻委員のおっしゃいますように、開発輸入を促進するにあたりましては、道路事情、港湾事情を改善するということはきわめて肝要なことだと思います。そこでいま御関心をお持ちであるブラジル等の南米諸国を含めて開発輸入の促進を検討するにあたりましては、これらの諸条件の整備のための協力方針についても具体的に検討していかなければならないと思います。そこで、御承知の海外技術協力事業団がございまするので、農産物等の輸出のための道路、鉄道、港湾等の整備、こういうものにつきまして、この事業団を通じて何か協力をするとか、新しい協力方式を考えるのがいいのではないか、こう思いますが、ブラジルにおきましては、農産物等の輸出のための道路、鉄道、港湾等の整備を目的とした輸出回廊計画というようなものもあるように承っておりまするので、こういうようなところに協力をいたしながら開発輸入を進めていきたいと、かように考えます。
#138
○辻一彦君 海外移住事業団といいますか、これの程度では、これはなるほど道をつけたりいろいろなことやっていますが、いま言ったように、内陸から港に道路をつけるとか、鉄道であるとか、港湾設備という、こういうのを扱うにはちょっと仕事が小さいのじゃないかと思うのです。もうちょっと私大きな観点から、日本のえさ資源をやはりアメリカとか一国だけに依存をせずに、かなり分散をして、将来にわたって安定した確保を考える。こうすれば、どうしても市場分散、生産地の分散が必要だ。そうなれば、東南アジアも私たいへん重要でありますが、えさという点から見ると南米における可能性というものがかなり強いのではないか。こうなれば、もう少し私は強力な対策といいますか、こういうものがないと、海外事業団がただちょっと道をつけるという程度ではおさまらないと思うのですが、そういうえさの市場の分散と安定的輸入、こういう角度からもうちょっとお伺いいたしたいと思います。
#139
○政府委員(三善信二君) ただいま大臣から御答弁いただきましたが、補足的に私から来年度予算要求に関連いたしまして御説明をいたしたいと思います。
 いま辻先生のお話のえさ等についての開発輸入の問題につきましては、これは農林省としても、今後えさの需給状況から見てどうしても必要である。えさのみならず、ほかの問題もございますが、とりあえずえさに限定してみましても、トウモロコシ、マイロ、そういったものを安定的に輸入する。その場合に、やはり現在、OTCAと申しますか、外務省の管轄で海外技術協力事業団というのもございますし、また、資金供給の面で海外協力基金というようなものもございますが、やはり農業を主体にした開発輸入、海外協力、こういったものにつきましては、事業の調査から計画、実施、それからそのあとのアフターケアと申しますか、農業技術と資金とを一貫して一体的に支援をするとか、あるいはその事業に打ち込んでいくというようなことをやりませんと、なかなか思うように協力もできませんし、開発輸入ということも運ばない。そういうことで、来年度農林省として予算要求いたしまして、農林産物の海外輸入を効果的に行なうということで、海外農林業開発公団――仮称でございますが、そういう公団をつくって、一体的な海外の開発輸入の促進をやりたいということを考えております。その場合に、いま辻先生おっしゃいましたように、農業の開発輸入をいたします場合に、えさに限ってもよろしゅうございますけれども、やはりそこの道路といいますか、あるいは港湾施設といいますか、単に奥地で開発しても、それを運び出す一つの手段がないというようなことは、東南アジアであろうと、南米であろうと、そういう問題が非常に大きい問題として取り上げられているわけでございます。したがいまして、単にそういう開発輸入をする場合、基地の選定から、それを土地改良して開発していく。そういうようなことはもちろん、付属してそういった道路あるいは最小限度のそういう運輸の施設、そういうこともこの公団で一貫して事業を行なう。あるいは民間がそういう開発輸入を行なう場合に、民間の事業に対してこの公団を通して低利資金の融資をするというようなことで、私どもこの公団を打ち出して、何とかひとつ、この開発輸入という事業を今後、国としてひとつ促進してまいりたいというようなことを考えております。
#140
○辻一彦君 この開発公団の構想は去年も出ておりまして具体化しなかったようですが、ことしはもっと強力に、おそらくいろんな食糧の全般的な国際情勢の中で折衝される、そういうかまえであろうと思います。これはひとつ十分検討いただかなくちゃならないことです。
 そこで、そういう努力をされる中で、時間の点からこれだけに詳しく立ち至れないのですが、先ほど私申し上げたように、ブラジルでも都市近郊でやっている移住農業の形も、これはあるところまでいけば一つの限界があるのじゃないか。かなり大きな規模でこういうえさ資源の開発ということが行なわれるとすれば、せっかくその現地におって農業技術を持っているそういう人たちが、こういう開発輸入、えさの資源の開発と結びついたような移住者の生き方というものが考えられないのかどうか。この点はどうでしょうか。
#141
○説明員(穂崎巧君) もしそういうことができますればもちろんけっこうなことと存じます。ただ、先ほども申し上げましたような適地適作と申しますか、その場所に適当な作物をつくるという条件が満たされ、かつ、たとえばそのような開発輸入の道が開けるということでありますれば、もちろんそういう都市近郊、要するに都市が大きくなりますれば蔬菜その他をつくっておってもいいわけでございますけれども、だんだん事業を大きくしていくという場合に、やはり他の作物も必要かと存じますので、そのような条件が整いまして飼料等の作物ができるということになれば、これはきわめて望ましいことであると存じます。
#142
○辻一彦君 限られた時間で深くも入れませんが、これはひとつ十分、これから進められる開発輸入の問題とからんで十分検討していただきたいと思うんです。
 そこで、せっかくその移住した人たちが必ずしも定着しているとは限らない。定着するのに非常に苦労があるんですが、私は、外国に移住をして定着をしていくには国の支援がかなり必要だと思いますが、ごく簡単に言って、ポルトガル、オランダ、イタリア、ドイツ等に比べてわが国の海外に移住した方の、たとえば南米等において国が支援している状況というのは、詳しくなくてけっこうですが、大まかに言ってどんなものですか、比較をして。
#143
○説明員(穂崎巧君) 欧州諸国の移住に対する援助がどのようになっているか、われわれ調べたことはございますが、まず第一に、イタリア、オランダ、ポルトガル等につきましては、渡航費はそれぞれ――イタリアの場合は一人当たり十二万円、オランダが七万円というようなことで支給しております。ポルトガルは何もございません。日本は現在のところ平均二十万円支給しております。それから、こういうことで向こうへ着きましてからどのような援護を受けておるかと言いますと、これらの国は特に日本にありますような移住事業団のようなものはございませんで、全く現地で自分でやっているということでございますが、これに対しまして日本では、移住者の送出から現地におきまして定着に至るまで、一応移住事業団がこれを援助するというたてまえになっておりまして、事業団は、現地に行きまして、着きましてからの営農指導、それから融資等もやっております。
 それから、病気になった場合、あるいは学校問題なんかございますが、欧州諸国では比較的宗教団体がこういうものに手を出しておりまして、そういうものの恩恵があるわけでございますけれども、日本はそういうものがございませんので、移住事業団で特定の場合、特殊の特定の場所には病院をつくりましたり、それから学校が非常に遠いというようなこともございますので、そういうところは学校をつくって先生を送るというようなこともやっております。総じて申し上げますと、欧州諸国よりもわが国のほうが援助が手厚いんじゃないかと考えます。
#144
○辻一彦君 しかし、それはわかりますが、まあことばの非常によく通ずる、たとえばポルトガル、そういうところから移住した場合、あるいは風俗や習慣が非常に似かよっている欧州から移住した、そういう人たちと、地球の言うならば裏と表の関係にある、こういう離れた風俗、習慣、人種的にも非常に言語においても違ったそういうところから移住した日本人の場合、非常に私はハンディが違うと思うんですね。だから、単にいろんな点で数字的に――ポルトガルやオランダ、イタリー、ドイツ等に比べて数字が幾らか高いと、こう言っても、あまりにも背負っているハンディというものが大きいためにその数字だけではなかなか言い得ないんじゃないか。そういう点でせっかく行った人が定着をするにはかなり大きな国の支えというものが大事だと思う。そこで、時間の点もございますから、それを具体的に二、三の形で聞いてみたいと思うんです。
 一つは、移住した人が、まあ特に農業移住の場合にかなり脱耕するといいますか、耕作から離れる場合が多い。海外移住を視察に行った人の資料等を見てみると、かなり脱耕率が高い。こういうふうに言われておりますが、その中の大きな原因として、一つは、まあ旧債といいますか、古い債務を負って、借金をしていると、こういうことが一つたいへん大きな問題じゃないかと思うんです。これはたとえば日本の開拓農家の場合にも、従来の借財があった場合、これを負債のたな上げをするとか、長期低利で融資をやって借りかえをするとか、こういうことによって、かなり困難な開拓農家を救済した例も私は、あると思うんですね。そういう点で長期低利の融資によって、こういう借財あるいはお金を借りて旧債で困っている、こういう人たちをもう少し借りかえて支援をしていくというようなことが大事じゃないか。こういうふうに思いますが、これについて具体的な対策があるかどうか、この点いかがですか。
#145
○説明員(穂崎巧君) 先ほど御指摘がありました脱耕の問題は、これは過去においてたびたび起こっておりますが、まあいま御指摘のありましたような融資の問題、たとえば金が返せないからどっかへ行ってしまうというような問題も、これは現実にあるかと思います。まあ事業団は、これは融資もやっております。ただ、これは、移住者のための事業団でございますので、債権の回収につきましては、実情に応じましてそれぞれ弾力的な措置をとっているわけでございます。逆に事業団のほうから申しますと、そういう方々がほかから金を借りている場合、むしろその返済のしわ寄せがこちらにきている場合もございます。そのような場合も事業団は実情に応じましてその返済を猶予しているということでございます。まあ、われわれといたしましては、もちろんそういう弾力的な措置をとるということ。これはもう事業団自身がよく心をいたしておりますが、さらにできる限りたくさんの金を貸すということ。すなわちそれに十分な資金を得て貸すというようなこともあわせて考えることによって、融資全体の圧力というものを何とか減らしていきたい、このように常時考えておるわけでございます。
#146
○辻一彦君 その場合に金利はどんなものですか。これはまあお金を貸しても、あまり金利が高ければまた問題がありますが、どのような金利になっていますか。
#147
○説明員(穂崎巧君) ブラジルの金融は現地通貨建てでございます、年利一二%。ただ、御承知のようなインフレ状況でございまして、まあ一二%というのは現地の金利よりは安いということになっております。
#148
○辻一彦君 まあインフレの傾向の中でかなり金利が高くても、どんどん通貨価値が変わるからと、こういう点もあろうと思います。しかし、現地の金利に比べて一二%がかなり安いというお話ですが、安定した経営になった場合には、私は、それは安いと思うんですね。しかし、その安定するまでにはやはり一二%の金利といえども、これは現地の通貨状況から推しても容易ではないと思うのですね。そういう点でこの移住事業団のほうでもこれはぜひ考えてもらわなくちゃならないんですが、同時に、農林省においてもあれでしょうか、これはまあ私たいへんしろうとでこういうことを申し上げるのは恐縮ですが、たとえば国内においては近代化資金というのがあります。この間、近代化資金の法案審査をしましたが、結局金利補給によって三分になっておりますですね、実質農家がいわゆる負担する率は三分と。国内において私は、この程度のいろんな国や県によって助成されてかなりまあ低い金利になってきている。とすれば、国外へ出て苦労している人に対しても、少なくも同程度の低い金利によってやるという、こういう対策を立てるべきでないか、こう思います。そこで、たとえば系統資金というものがずいぶんいまあって、農協関係では、この間の中金法改正案の法案審査の中でも、余裕金をまあどうするかと、こういうことがずいぶん論議になったわけですね。こういう系統資金をたとえば外貨にかえて国が金利補給を行なってやる。現地でやる気があって旧債に苦しみ、あるいは施設やいろんな農業経営していく上において非常に金利が高くて困っている、そういう移住された方に、強力な対策を打つ用意といいますか、考え方は、これは外務省並びに農林省のほうでお考えは立ちませんか。いかがですか、その点。
#149
○政府委員(小沼勇君) 先生御承知のとおり、農林省がいま担当しておりますのは、農協と農協との提携という形でサンパウロ州の農業拓植協同組合中央会と全拓連等とが提携をいたしまして、そこでそのルートを通ずる移住についてめんどうを見るということで、訓練であるとか、あるいは県拓連の助成であるとか、あるいは青年をブラジルに派遣する費用であるとか、そういうことについて助成をいたしているわけでございますが、ただいま御指摘ございました融資をどうするかという点にまでは立ち至っていない現状でございます。
#150
○辻一彦君 いや、いまはいないのはわかりますが、私は先ほど言いましたように、中金法の審議をやっても、ずいぶん国内から農民による預金というものが積み上げられて、それをどうやっていくかということがずいぶん問題になった。言うならば、系統内にはこの資金というものはかなりあるわけですね。こういうものを、同じ農民の仲間で海外に行って苦労している、そういう人たちに――これは、円と外貨のことですからむずかしい関係があるから、それは私専門でないのでわかりませんが、そういうことを一応別にして考えてみた場合に、国内の農家に、施設や近代化の資金で三分程度、あるいは土地ならば二、三分というかなり長期かつ低利の資金というものが貸されるようになっている。海外に出る人は、通貨の状況で一二%というとかなり、私は、インフレ傾向の中で別だとは思いますが、それでも外国に行って苦労している人にとっては高い金利ではないか。こういうことを、手続やいろんなやり方は、むずかしさはあると思いますが、何か系統資金等を活用して、外に行っている同じ農民の仲間、移住をして苦労をしている人に対する対策というものが具体的に立たないものかどうか、この点大臣いかがでしょうか。
#151
○政府委員(内村良英君) お答え申し上げます。
 ただいまの御質問でございますが、先生御案内のように、農林中金は農林中金法によりまして法人へしか融資できないというふうに法律上規制されているわけでございます。したがいまして、現在のところ中金はそういった面の金融は法律上できないということになっております。それから農協の金融でございますが、これは員外利用ということはございますけれども、そういった面についての金融は非常にむずかしいということになっております。それからさらに利子補給ということは、これは現在のところそういったことはなかなかむずかしいのではないかというふうに考えられるわけでございます。
#152
○辻一彦君 それはあれでしょう。中金のあれだって、現地に農協だとかありますからね、そういう結びつきを考えれば、いまの法のワクの中でどういうふうになるか私ははっきりわかりませんが、何か道がないのか。ただ、法的にはだめだし、事務的にもむずかしいのだということはわかりますがね。しかし、海外へ行って移住で苦労している人の話を聞くとたいへんです。そういう人は事業団でかなり手当をしておりますが、まだ一二%という金利では、いかに物価高といいますか、インフレ傾向の中でも容易じゃないんじゃないか。同じ日本人の農民が行って苦労しているならば、国内で受けている程度の恩恵といいますか、あるいはこの援助、助成の手を何らかの知恵をしぼり出して対策は立たないかどうか。法律的に困難、解釈からいってもむずかしいと言えばそれまでかもわかりませんが、何らかの対策を講ずる考え方というもの、これを検討されて前進的にお考えになる考えはないかどうか、この点はどうですか。
#153
○説明員(穂崎巧君) いま御指摘の点は、まず第一にわれわれのほうで考えるべき問題かと存じます。私自身金利が高いということはよくわかっております。まあ、いろいろなもちろん融資というものは、もうけではございませんので、むしろ赤字が出てもいいわけでございますが、ただ、ある程度資金の原資を維持するというような要請もございまして、いろんな観点から利子がその現地の金利よりは低いわけでございますが、そういう線にきめられているわけでございます。ただ、もちろんわれわれとしまして、その金利が現地の人々が満足する金利ではないということはよく存じておりまするし、常時、現地からもいろんな要望もございますので、そういうことを勘案しながらいろいろ努力しておる次第でございます。
#154
○辻一彦君 これは外務当局、移住当局も十分努力をいただきたいと思いますね。同時に農林大臣、同じ農民の仲間が外国へ行って苦労しているとすれば、法律的にいろいろな、あるいは官庁におけるいろいろな分担ということが私は、いろいろとあろうと思いますが、これに対して外務当局と御相談いただいて、前向きにこの問題を検討されるお考えはありませんか、いかがですか。
#155
○国務大臣(櫻内義雄君) 私も、ブラジルで、移住をされて営農に苦労されている方々の実情をよく見て知っておるのであります。それで、辻委員のおっしゃっておることは私として理解ができます。そこで、その低利融資がいいのか、あるいは海外へ移住されている方々の活動についてなお一そうの便利を供与するようなことを考えるのがよいのか、この考え方はいろいろあると思うのであります。
 法律上むずかしい点は、先ほどから担当者からそれぞれお答えがあるところでございまするが、移住をもっと活発に、あるいは移住された方の営農を十分できるようにという、そういうふうな措置についての何か考えるというふうなことにつきましては、これは私としても、まあたとえば全拓連の関係はどうかとか、海外移住事業団の行き方はどうかとかというような点をよく見直してみたいと思います。
#156
○辻一彦君 これはひとつぜひ努力をお願いしたい。
 時間が五分ほどに迫っておりますので、項目的に若干お尋ねをしたいと思います。一つは先ほど外務当局もお話がありましたが、やはりわが国日本人が外国に出て、閉鎖的な社会をつくりやすいということが一つの問題点であると思います。そこで、いま南米ブラジルですね、農業高校に、こちらから、高校から住み込んでといいますか、移住をして現地の高校生、ブラジル国民と一緒に暮らしをして、農業高校で学んで、それからあと具体的な経営や実務につく。こういう方向がいま具体化しておりますが、これは私は、ことばを一緒にし、生活を一緒にしていくと、こういうことで、ほんとうにとけ込んで行く上において大事な道であると思うのです。こういうブラジルにおける農業高校の制度がありますが、ここへ日本の少数でありましても、やってみようという青年、高校生を送っていく場合に、もう少し奨学資金といいますか、奨励資金というか、こういうことを強化をするようなことは考えられないだろうか、この点についてどうお考えになるか。
 第二は、たとえば全拓連、いま移住事業団がやっているグアタパラ等の移住地でも、ようやく稲作が若干定着してきた。しかし本土に、わが国においても、いま五町歩や十町歩ぐらい何らかの形でやらなければ、稲作というものは規模的にたいへんである。こういう状況の中で、三ヘクタールや五ヘクタールでは私は、現地では問題にならないのではないか。
 ところが一番困っておるのは、調べてみますと、いわゆる田植えに人手で田植えをすると、七十人ぐらい以上は雇うといいますか、やりくりがどうしてもできない。それで、たとえば日本からいま開発されている田植え機のようなものが導入できれば、これはかなり二十町や三十町程度はやれるんじゃないかと、こういう声をかなり聞きます。で、それは、田植え機あるいは中型のコンバイン等それから大型のコンバイン、そういうのが動くような一歩前の状況で、かなり有効に使えるのじゃないか、日本のそういう農業機械が現地へ入れば。これは、非常にむずかしいようですが、これの導入をはかるような何か方法というものが立たないのかどうか。その対策があるかどうか、この二点をちょっと簡単に伺いたいと思います。
#157
○説明員(穂崎巧君) まず第一の農業高校の点は私ちょっとよく存じませんが、あるいは農林省の方が御存じでしたら御答弁いただければとおもっておりますが。
 それから第二番目の田植え機その他の問題ですが、われわれといたしましても各移住地にいろいろ人手不足がございますし、やはり大きな土地でございますから、そういうふうなある程度機械化するということは、かねてからの目標にしておるわけでございまして、各移住地から毎年いろいろな希望が上がってくるわけでございまして、それに対して事業団のほうで、その機械を買いまして貸与するというような方法を講じております。したがいまして、いまお話しのありましたグアタパラ等につきましても、現地からそのような要望が出てまいりますれば、これは十分に検討に値する問題だと思います。
#158
○辻一彦君 農業高校、農林省……。
#159
○政府委員(小沼勇君) 農業高校の、日本の農業高校に入っている者が向こうに行って、向こうに入る場合の便宜を、全拓連のほうであっせんをして、入学についての便宜をはかっているという状況でございまして、奨学金等、そういう措置については現在措置はなされておりません。
#160
○辻一彦君 いや、そんな、されていないことはわかっているから、何か方法はないかということを聞いておるんです。きまったことを伺ってもどうにもならないんだけど、そういう重要性から考えて、農業高校等の、少数でも現地に暮らしをするのに大事じゃないかと。それに対する奨励、あるいは奨学ですね、こういうことを考えられないかどうかと、この点どうなんですか。簡単でけっこうです。
#161
○政府委員(小沼勇君) 今後の問題でいま御指摘でございますが、やはりできるだけ向こうでも、中心になって農業に精進をしていただくという意味では、そういう措置についても検討を進めることが必要ではないかというふうに考えます。
#162
○辻一彦君 じゃ、時間が参りましたので二点だけ伺って終わります。
 一つは、カナダの移住が、さっきの数字を聞きますと、大体毎年七、八百人というので、かなりふえております。しかし、そのカナダ移住は、性格が違って、技術者や看護婦さんであるとか、機械、電気、こういう関係が非常に多いようです。で、その実態をかなりつかんでおられるかどうか。それから職につけば、かなり給与も出て安定すると思うんですが、それまで宿泊、食事等いろんな点で職につくまでなかなか苦労されているというのがありますが、これに対する助成対策といいますか、援助の対策を国として考えておるかどうか、これが第一点。
 それから最後には、私は、大臣にこれはお伺いしたいんですが、まあ海外移住というものはいろんな変遷がありますが、いずれにしても、長い目で見ていかなくてはならない。こういうことは、当然言えるのでないだろうかと、そんな点でしんぼう強い努力が必要と思いますが、そのために、政府やあるいは準政府機関であります移住事業団等が努力をしてもらわなくちゃならない。と同時に、民間の運動、特に、この問題にずっと長い間じみちに努力をして苦労してまいりました全拓連――全国拓殖農業協同組合連合会のこの役割りは非常に大事ではないか、大きいんじゃないかと私は思いますが、こういう点で、今後ともこれを何らかの形でささえ、発展さしていく必要があるんじゃないかと、こう思いますが、これについて大臣のお考えを最後に伺って終わりたいと思います。
#163
○説明員(穂崎巧君) カナダの移住につきましては、事業団といたしましては、これは移住自身は各人の発意に基づきましてカナダ政府機関が、日本でいろんな照会に応じ、それに基づきまして各人が自分で出ていくわけでございますが、事業団といたしましては、そういう移住に対しまして側面的に協力しているということでございます。
 まず第一に、事業団はトロントに事務所を置きまして、現地におけるいろんな情報を集めまして、移住関係その他の就職等につきまして、これを日本に送っている。それから現地でどういうふうに移住者が生活をしているかというようなことも報告しております。そのようなことで一応行くということにつきましては、今度は、横浜に事業団のセンターがございまして、そこに移住希望者を入れまして、語学あるいは現地事情等の講習会を外国人の講師を雇ってやっておるわけでございます。そのような形で事業団としてはこれをめんどうを見ておるということでございます。
 それから、第二番目の、現地へ行きまして――まあカナダの移住は、まず大体移住する方が自分のやっておる専門の職業、これに応じたいわば雇い先について、カナダ大使館等のいろいろな情報から大体の見当をつけまして、それで現地に行きまして、今度現地で面接をしてきめるということでございます。それでまず第一に本人が、自分自身がその条件に合うかどうかということは自分で判断すると同時に、カナダの大使館自身も専門家が来ておりまして、その人間の適性等につきましていろいろ検討するわけでございます。したがいまして、行ってすぐに就職できない、長い間就職できないでおるというケースはわりに少のうございまして、大体われわれがいままで調べたところでは、参りまして約半数近くは二週間以内に就職先が見つかっておるということでございまして、ごく一部の人間がわりに時間がかかっておる。これは非常にパーセンテージからいっても数%程度のものでございます。そのような状況でございますから、まずまず行って就職できないということはないわけでございますが、ただ、カナダ政府といたしましては、そのような点も考慮いたしまして、すぐに就職できない者につきましては、カナダ政府が手当を支給しながらその間適用――適応ですか、その訓練講習をやるというようなこともやっておりますし、さらに先の問題といたしまして、もし生活に困窮するというようなことがあれば、カナダのそういう救済制度にも乗っけるというようなことを考えておるようでございます。ただ、いままで日本人の移住者で、生活困窮者で救済を受けたという例はございません。
#164
○国務大臣(櫻内義雄君) 海外移住問題に熱心に御意見をちょうだいいたしまして、私もある程度の関心を持っておる一人として非常に感謝をいたします。わが国の農業青年の中では、海外移住を希望する者も相当あると思うんであります。農業移住がさらに推進されていくことは望ましいことでございまして、従来から全拓連の活動に対して種々援助を申し上げてまいりましたが、今後におきましても、引き続き指導助成につとめ、全拓連に大いに活動してもらいたいと、こういうように私思います。
#165
○杉原一雄君 私、冒頭に非常にたちの悪い言い方をしますが、質問の通告をしていない問題を一つ、官房長から簡単に答えてほしいのですが、むずかしいことじゃございません。
 農業白書はすでにいただき、また、これに基づいて七月四日ぼくは本会議で質問をしたわけですが、四十八年度の年次経済報告、経済企画庁。――まあ経済白書ですがね。これごく最近ぼくらのボックスにようやく入りましたので、ずっとこう点検をいたしましたが、農業白書と経済報告とのこのかかわり合い、まあ経済企画庁独自にこれを書いているのじゃないだろうと思うが、農林省が何らかの形でこれに参画しておるのだと想定いたしますが、その想定に立ってこれを見た場合に、四十七年、四十六年、四十五年というぐあいに、それぞれ年次ごとに柱の立て方が非常に違っておるわけです。それは、これを担当した佐々木参事官が雑誌エコノミストで、いろいろなこの苦労を述べておりますけれども、その辺のところを一体農林省がこの経済報告をつくるに当たってどれほど資料を提供し、あるいは知恵を提供し協力をしてきているのか。つまり、ぼくらが見た場合に、この農業白書と経済白書とのかかわり合いがどういうことになっているのか、このことを実は聞きたい。
 なぜそんな質問をするかというと、かつて私は初めて国会に出たときに、佐賀の米づくり新段階のことが経済白書にかなり大きく取り上げられて、その当時の農民に農業の進むべき方向をかなり明らかにしたと思うんです。しかし、それはあとで政府の農政のことで失敗をしているけれども。しかし、そうした農業の、あるいは未来像、展望等について、経済白書の中で取り上げられたことは非常にいいことだと、そういう期待をもって今度はこれを見ると、物価問題という大きなワクくくりの中で、わずかに土地問題と農業、こういうことでくくってしかないわけです。だから、農業全体の今日の構造、あるいはそれから想定される未来の像が浮きぼりされるような報告にはなっていない。だから私はこれを見てかなりがっかりしたのですが、そういう点で、農林省はこれに対しどういうかかわり合いを持ち、農業白書との関連はどうなっているか、それだけをまずお聞きしておきたいと思います。
#166
○政府委員(三善信二君) 経済企画庁がつくっております経済白書につきましては、これは経済企画庁の立場として全般的な問題を取り上げているわけでございまして、農業全体の問題を中心に取り上げているわけではございません。農業白書は、御承知のように、農業全般の問題を全部一応網羅して取り上げているというところに違いがございます。それは農業全般の問題を主管しております農林省は当然のことでございますが、経済企画庁は、いま言われましたような、一番いまクローズアップされている土地問題あるいは物価問題、そういった問題をクローズアップさして取り上げているというように御理解していただければいいと思います。
 なお、経済白書の場合に、経済企画庁が一応向こうで素案をつくりまして、農林省にそれぞれ一応の相談はございますし、また資料がほしいということであれば資料も出してはおりますが、全般的な問題でそれをやっているわけではございません。
#167
○杉原一雄君 佐々木参事官がある雑誌の中で、認知、そしてまた決定、効果、こういう表現をしながら、認知・決定・効果の面でもそれぞれ、ラグといいますかね、いろいろなズレがあって非常に困難をきわめたようなことなど述懐をしておるわけですがね。その認知の段階でやはり農林省が一枚入る、あるいは通産省が一枚入る、そうした形でこれがなされなければならないようにぼくは思うのですよ。それがわずかに資料提供を要求したり、などなどのごときは、私、これは年次経済報告にはならぬのじゃないかと思うのですね。だから、この副題は「インフレなき福祉をめざして」と書いてあるけれども、どうもそれだけでは経済報告にならない。毎年ぼくらはいただいて、これをずっと積み上げておるわけです、通して見ておるわけなんです。そうすると、かりに簡単なグラフ一つにしても、去年とことしとで米の生産高がどうなっているか、それと消費者との関係がどうなるかというふうに。――もしかりにそういう表を出すとすれば、去年のやつはどうかなと、こうして毎年開いてみるという値打ちがなくなってしまうわけですね。その年その年の年次報告になってくるので、私はこれではどうかなと思っておるのですがね。しかし、それは文句を言ったって始まりません。しかし、そういう意味で、いま官房長の答えによって私は大体輪郭が明らかになりました。明らかになりましたが、国民の一人としてはこういう形ではいけないのじゃないか。少なくとも農業全体について農業白書が、グリーンレポートがそれを書いたとしても、しかし、それを要約して、大きな経済機構の中で、政治経済の動きの中で、どう農業を把握していくかということぐらいは、これは経済企画庁の長官はつかんでいくべきですよ。そういう点、ここで文句を言っても始まりませんけれども、しかし農林省もそれで甘んじておるということもおかしい。私はやっぱり未来像を明らかに出していくということになれば、農業白書だけの一つの範囲でこれを考えるのじゃなくって、日本経済全体の構造の中で考えていくとすれば、この中にそれが出てこなければいけないというふうに思います。それは文句を言っているのではありませんが、私、感じだけ申し述べておきたいと思います。
#168
○政府委員(三善信二君) 私ども農林省としても、やはり農業政策の最も重要なポイント、そういった面については、できるだけ取り上げてほしいというようなことはかねがねから要望しておりますが、何を申しましても、経済白書は全省に関連しますし、また全体の経済の問題を中心に取り上げておりますので、なかなかそういった余裕もないような感じかと思いますが、今後とも先生のおっしゃいましたように、やはり農業の基本的な問題、そういった面に関する記述というのはできるだけ取り上げてもらうように私どもも努力していきたいと思います。
#169
○杉原一雄君 それでは次に、本論に入りますが、七月四日農業白書について本会議で実は質問して、先ほど日数を計算すると、もう相当の月日がたちますが、私は質問し、かつ意見を申し述べただけでそれを事よかれとは思いませんが、その後約八十日にのぼる農林省行政の中で、白書についての質問のあとをぼくは追っかけているわけなんです。そういう観点で若干の経過処置等をお聞きしたいと思います。
 まず、その当時の白書の質問にあたって、同僚の議員の皆さんから、君は、それは緊急質問の性格を実は持っているのだ、ひとつ腹帯を締めて政府に十分意見をただしてほしいというのであったわけです。それはなぜかと申しますと、ニクソン声明があったからであります。ニクソン声明があって、農産物の輸出禁止等のことがあったりして――それは六月二十八日。七月四日にぼくは質問したわけですから、緊急性を持っているわけで、それはやはり骨に置いて論戦を展開していったつもりであります。だから田中総理の答弁はぼくはいまだに忘れません。
 総理はその答弁の中で、七月十七日、十八日に日米貿易経済合同委員会があるので、そこにおいて、最近の農産物の国際的需給事情及び米国の農産物輸出規制の実施という事態にかんがみ、大豆をはじめ国民生活上重要な農産物の安定的輸入の確保をはかるという観点に立って米国側と話し合いを行なってまいりたい、こういう答弁を実はしておるわけです。
 そこで、はからずも二、三日前に私たちのところへ外務省の情報文化局から「国際問題資料」八月号が届きました。これの中で大平外務大臣が、いま総理が私に答弁した内容、つまり合同委員会で大平外務大臣がどのような発言をしたかということが全文速記じゃないけれども、大体載っております。で、なるほどやってくれたなと実は思っておるわけですがね。その中で、「日米経済関係の新段階」という見出しの中で特に彼の率直な表現をしておりますが、「互恵的な通商関係を推進せねばならない。この観点より若干米国に注文したい。」これの中身が第一、第二、第三とあるわけです。特に第三の観点において、「木材、鉄鋼くず、小麦、大豆、飼料穀物等の対日安定供給問題である。日本の輸入の急速な拡大は自由な経済活動を反映したものであり、米国の要請に答えて対米輸入の促進を図ってきた政府としては大いに困惑している次第である。長年にわたりつちかわれてきた相互依存関係を円滑に維持して行くことは極めて重要であり、米側においても対日安定供給確保に心がけてもらいたい。」と、かなり大胆に外務大臣が合同委員会の中で発言していることを確認しまして、私心強く実は思ったわけです。
 そこで、それが言いっぱなしになってはいけないので、そのあと農林省サイドにおいて、いま限られた農産物の需給安定確保の問題について今日までどのような努力をして、それは結果的にどのような成果を生み、今日に至っているかということを実は簡単に報告願いたい、こういうことです。
#170
○国務大臣(櫻内義雄君) 私は昨年十月発表の「農産物需給の展望と生産目標の試案」をその後の国際的情勢を踏まえて見直す必要があると、こういうことで、農政審議会の需給部会で検討してもらう。そこで農政審議会はこれを受けまして、部会の中に国際農産物の需給専門委員会と国内農産物の需給専門委員会を設けて現在、検討をしておるわけであります。
 わが国の農産物の需給の長期見通しを立てようと、こういうことでありまするが、その需給部会は、七月二十日と九月六日と開かれておりまして、七月二十日には最近の国際需給逼迫の背景と短期的見通し、九月六日には国際需給逼迫の要因と背景というようなことについていろいろ協議をしてもらっております。この需給部会を通じて四十九年三月末までに結論を出してもらいたいということを要望しておるわけでございますが、現在、農林省が中心で調査班が編成されまして、世界各国に四班ほど、最近における農産物の事情についての調査班を出しておるようなわけでございます。
 そこで、ただいま杉原委員は、外務大臣のことばを引用して対米安定供給のことをお尋ねでございましたが、これはつい二、三日前にアメリカ側のシュルツ財務長官が私のところへ参りまして、先般来の大豆あるいは小麦、飼料穀物に対しての要請については、自分のほうとしては、これだけの努力をしたと、先方の数字の発表がございました。これは多少期間のとり方等がございまして、日本側との数字が完全に一致するとは思いませんが、興味ある数字でありまするので御参考までに申し上げますと、アメリカ側としては、七一年から七二年、それから七二年から七三年を対比いたしまして、小麦におきましては二百二十万トンが三百四十万トン、飼料穀物については三百八十万トンが八百三十万トン、大豆、これはミル換算でございますが、二百三十万トンが二百八十万トンに伸びておると、これだけアメリカとしては日本の安定供給の要望にこたえておるつもりであるということを言われておった次第でございまして、私どもが、いろいろと米側に対し、大豆の規制問題に出発して、あるいは合同委員会を通じ、あるいは在日米大使を通じて、いろいろ申し上げましたことが、一応の効果があらわれ、規制措置も解除になったという点を評価していただきたいと思います。
#171
○杉原一雄君 いまのは財務長官のそれは大臣、幾日ですか、日にちは。長官とじかにお会いなさったわけでしょう。幾日ですかね。
#172
○国務大臣(櫻内義雄君) この月曜日に見えました。十日の日の午前でございます。特にいまのようなアメリカ側の対日輸出の実績を申し述べたいような姿勢でございました。
#173
○杉原一雄君 手元にある新聞の論説でありますけれども、これは日農だろうと思いますけれども、日本農業新聞。九月の八日ですか、これは商務省――アメリカ商務省が、日本に対して、いま大臣がおっしゃったようなことなどについての努力といいますかね、言いかえるなら、逆に言ったら、いままで押えていたのをはずすと、こういうような発表をしたことは、農林省当局も十分御承知のとおりだと思います。ただ、この新聞のみならず、多くの新聞がその問題で、輸出規制解除に対して、きわめて懐疑的で、それで若干の警告を発しているわけですね、米国のペースにはまるなと。
 きのうからガットの総会が始まっているわけですから、きのう、きょう、あしたと、こういう中でECとの論争のやっぱり問題点は、農産物の自由化の問題であり、通貨の問題でありますが、そういうこと等も含めて考えた場合に、いま財務長官、あるいは商務省の発表、こうしたものに対してもろ手を上げて、はあけっこうだと、ほっとしたということには、今日までのアメリカのやり口から考えて警戒的にならざるを得ないというのが論調でないかと思いますし、私もそう思います、非常に残念ですが。
 とりわけこの分析等の中では、結局何といいますか、ガットの総会があるもんですから、アメリカが、かっこう悪いので、ていさいよくEC世界各国に対して、かっこうよくするためにそうした手を打ったんだという懐疑心がついて回っているわけです。こういう点等考えざるを得ないのじゃないだろうか。その点が財務長官と農林大臣がお会いなさったときの印象として、断じてそういうことはないんだということを確言できるならば、していただきたいし、ここにある手元の資料等によりますと、たとえばアメリカの商務次官補は小麦、トウモロコシの輸出規制の可能性もあることをほのめかしていると、その理由の第一に、昨年のソ連向け大量小麦売却があり、その影響が予想以上に大きいこと。第二に、繰り越し在庫がこの数年の最低であること。そして第三に、今年度の収穫予想は良好だが、従来大量の小麦、トウモロコシを産していた国の生産の減退と、信じがたいほどの強い国際需要にあることなどをあげていると、こう申し述べているわけです。
 でありますから、いまシュルツ財務長官がそうおっしゃったというので、大臣は一〇〇%信用しておられないと思いますけれどもね。国際的なことですから発言も慎重を要しますけれども、私はこういう危惧を持つ論者があることは私は、そうだと思うし、私もそのような気持ちを持つわけですが、こうしたことについての認識判断、突き詰めて言いたいことは、これからあと農林省の行政努力のことを伺いたいわけですけれども、その努力のやっぱり主目標は、大臣もたびたび言明しておられるように、やはり食糧自給、それが一つの大目標にならなきゃならないのではないか。アメリカが、こうしたことに手をゆるめたから、もうそれではと、気を許してはいけないのじゃないかということを、実は私、危惧するあまりこうした質問のしかたをしているわけですが、財務長官どう言っておったんですか。
#174
○国務大臣(櫻内義雄君) 私は、杉原委員の御質問の中で、合同委員会のことにお触れになり、あるいは大平外務大臣の御所見に触れられましたので、そこで最直近時における模様をそのままお伝えを申し上げたわけであります。私の申し上げたかったのは、いろいろ御心配のようでございます。当然のことであります。しかし、われわれも努力をして、その結果は、シュルツ財務長官はこういうことを言っておりましたよ、という事実を申し上げました。もちろんその点については現在、省内においても分析をしておるところでございまして、私どもとして、言いたい点もいろいろございます。それは別の機会に譲りたいと思います。
 で、この八月十日現在の収穫予想、これが発表されておりますが、いま残念ながらその資料……。ここには、九月十一日の収穫予想がございますが、一番最近の収穫予想、これによりますると、たぶん、私がいま言っておる八月十日当時との対比じゃないかと思うんですが、前回の発表に比して、トウモロコシが二%、ソルガムが三%、大豆が四%、小麦は一%。昨年度の生産に比して、それぞれトウモロコシが四%、ソルガムが一九%、大豆が二五%、小麦は一二%と収穫見通しを持ったという正式な発表がございます。そういうことからいたしますると、アメリカの高官が、一方において小麦、トウモロコシの規制措置をほのめかしたという御指摘の点については、最近の情報からいえば解消しておるものではないかと思います。
 今後におきまして、いまお話の食糧の自給という大きな目的に向かって私どもが努力することは言うまでもございませんが、この委員会でもしばしば申し上げておるとおり、生産性の関係、あるいは日本が万一異常気象に見舞われるようなことをも考えまするときに、やはり国際的な関係も頭に置いておく必要性が起きてくるわけでございまして、それらの点も勘案しながら、対米関係の安定供給、あるいは多角的な輸入や開発輸入の点について、農林省としては細心の注意を払ってまいりたい、かように考える次第であります。
#175
○杉原一雄君 先ほど大臣がおっしゃった農政審議会の国際農産物需給専門部会ですか、そこで七・八、九・六と二回にわたって、すでに検討を重ねておる。来年は三月三十一日、こういうことで努力しておられるわけです。で、どうでしょうか、こういうことはむずかしいんじゃないかとは思いますが、そのときに、農林省は専門部会に手ぶらで臨んでいるはずはないと思います。たたき台を持っておられると思います。それで、そうしたものをわれわれにそのつど御披露いただくということはできませんかね。実は私、かつて文教委員会の理事をしておりまして以来、文部省は予算を出せば、予算の概括、予算の内容等を私にプリントをして、全部くれているわけです。農林省からは、そういうものをもらったことはないわけですが、注文しなけりゃくれないかしれませんが、いま申し上げた専門部会のたたき台等を、もしいただけたら、いただきたいと思うんですが、どうでしょうかな。
#176
○政府委員(三善信二君) 先ほど大臣から申し上げましたように、国際需給の専門委員会それから国内需給の専門委員会、それぞれ今後またひんぱんに開いて検討いたすことにしております。それでちょうど先ほど大臣も申されましたように、いま四班に分けて企画庁あるいは大蔵省も入れて大調査団をつくって、いまアメリカあるいは中南米、東南アジア、欧州班ということでいま次々に出発して調査を一カ月余りすることにしております。そこでそういった調査に基づきまして、各国の食糧の需給状態はどうなっているか、あるいは農業の政策を今後どういうふうに各国は進めようとしているのか、あるいはそういった需給見通し等を、モデルみたいなものをどういうかっこうでつくっているのか、そういうことも一応一通り全部調査をしたいと思っております。そういうことを踏まえまして、先ほど申し上げました国際需給専門委員会等でもまた、そういうデータも出して今後具体的な問題を詰めていきたい、こういうふうに思っております。
 御質問ございました、資料を公開してくれないかというお話でございますが、現在まで、この農政審議会の専門委員会は、各省ともずっと専門委員会で、ほかもやっておりますけれども、資料はみな非公開にしてやっております。で、その点、できればかんべんしていただきたいし、何かまとめて特別に御報告をするようなことはしてもいいかと思いますが、そういうかっこうで今後御報告さしていただきたいと思っております。
#177
○杉原一雄君 了解するわけにいかぬけれども、いやだというものをどうにもならないからね。強かんするわけにもいかないしね。
 そこで、次の問題に発展していきますが、私の先ほどの論法の結論を出したいわけです。自給体制を整えようということですが、それに対する調査段階でいろいろ行なわれているわけですが、大まかなところは、今日までの、大臣の大豆の国内自給に対する考え方、これは、新聞等でぼくは承知しておりますが、現在どういう考え方をお持ちであって、その自給体制を整える場合に、農民はただ奉仕しているのではありませんから、やはり収入、所得の問題を考えますから、そうした問題等に対してどういう形でカバーしていこうとしているのか。その辺のところ、いうなれば大豆の生産目標と、それに対して農民の協力を求める呼び水といいますか、そうしたものに対する予算的な裏づけないしまたは、もう一つは小麦問題もあるわけですね。小麦についても、だんだんと小麦の生産農民が少なくなっていくという現状だし、大豆はまだ期間的に余裕がありますが、事小麦に至りますと、もう余裕がなくなりますので、もう種もみの用意から、植えつけの問題が始まるわけですが、そうしたことについての大よその指導方向、これはもうすでに地方都道府県に指示をされていると思いますが、いまここでもう一度あらためて大豆はどれくらいつくるのだ、十万トンを何か四十万トンという話も承っておるわけですが、確認をしたいと思いますし、小麦もどういう形でどの分量つくることを今後指示なさろうとしているのかその点、まずひとつお伺いしたいと思います。それ当然減反休耕との関係にもなってくるわけですが……。
#178
○政府委員(三善信二君) 先ほどの話ちょっと補足して申し上げますと、需給部会の関係等では、御承知のように農林省がつくりました「農産物需給の展望と生産目標の試案」これを土台にして検討を進めてもらいたいと思っております。
 それからただいまの御質問でございますが、農林省としましては麦と大豆あるいは飼料作物、こういった問題についてはやはり早急に対策を講ずる必要があるということを考えまして、来年度から特別の生産奨励の措置をやりたいと思って、いま準備を進めておるわけであります。
 で、具体的に簡単に申し上げますと、たとえば麦につきましては先生おっしゃいましたように、この二年間くらい大体対前年比三〇%、三割減くらいで数量も減り、作付も減っているというような状況でございます。これ以上減ってはこれはどうにもならない。いまのうちに早く手を打たなければいけないということで、大体五十七年の生産目標を目ざして来年度から、ことしの秋からの植えつけの麦について手を打ちたいということを考えております。
 多少具体的に申し上げますと、作付面積等につきましては、ことし四十八年度大体の見通しで去年より三〇%ちょっと下がっておりますが、それをその程度まで、前年程度までは少なくとも来年やりたいということを考えております。また大豆につきましては、大体大豆は面積、数量とも横ばいで進んでおりますが、これは来年はたとえば面積でいきますと四十八年の見込みの八万八千ヘクタール、これを十万七千ヘクタールくらいに伸ばしたい。それから飼料作物につきましても、これも大体作付面積、生産量は、横ばいで進んでおりますが、これにつきましても多少伸ばしたいということを考えております。麦と飼料作物につきましては、秋からの作付の問題について至急手を打ちたいということで、現在都道府県あるいは農業団体と具体的なこのやり方あるいは生産地を指定するとか、そういうことを現在準備を進めて相談をしやっておるところでございます。
#179
○杉原一雄君 官房長ね、私、富山県へ帰ってから、麦をひとつやりなさい、政府はこう言っているぞ、と言ったときに、第一に質問が出てくると思うのは、そんな先生、あんた米一反に十何俵とれるし、収穫はこうなるんだが、麦のほうはどうですかと言う。それ何とかしてくれますか、と言われたときに――何とかというのは価格の問題だと思うんですね。その辺のところを言わなけりゃね、手のうちはわからないんです、あんた方言われるのはね。大体面積と、それからあるいは四十八年は四十七年より減少した三〇%をカバーしていくというような、生産目標のことはわかりましたがね。そこへ持っていくその行政努力というのは何ですか、一体。ただ通達出しただけでは絶対だめですよ、それは。
#180
○政府委員(三善信二君) 私ども農林省としては、四十九年度の予算の要求において次のようなことを打ち出しております。これは予算の概算要求でございますから、まだきまったというわけではございません。たとえば、麦につきましては、麦の生産振興緊急対策を講ずるということで、合計九十五億円を要求しております。内容的に申し上げますと、麦の生産振興奨励金を出したいということを考えております。流通販売されるものについて、一俵当たりたとえば二千円というようなことも、一応要求としては考えております。
 それから、そのモデルの麦作の集団産地をつくっていきたいということを考えまして、そういうところには、特に補助金を出していきたい。あるいは麦の特別普及の強化対策費補助金というようなことで、農業改良普及員等が、この栽培技術あるいは集団的な育成、指導、そういうものに対する指導費等も考えております。その他指導推進費等も考えておりますし、予算の要求としては全体で約九十五億円を要求いたします。
 それから、大豆につきましては、大豆の生産振興緊急対策としまして、予算的には約四十七億円の要求をいたしております。これも、できればその生産振興の奨励金等を出していきたいということも考えております。
 それから、飼料作物の生産振興緊急対策ということで約十四億円。これも飼料作物の集団的なたとえば肉牛の指定産地とか、あるいは酪農の近代化計画をつくったところ、そういうところについて、自給飼料の増加をはかっていくというような趣旨のもとに、その反当の奨励金等を出していきたいということも考えております。私、いま申し上げましたのは予算の要求でございまして、そういった奨励策を今後進めていきたいということでぜひこれを、要求を実現さしていきたいと思っております。
#181
○杉原一雄君 この本会議における質問の中で、減反休耕の問題で総理に質問を向けたところが、これは転作等については鋭意財政的なめんどうを見るけれども、米をつくるということになると、そんなことをめんどう見る必要はないと、こういうそっけない答弁であったのですが、まあ、ことあげするわけではないですが、いまもなおその姿勢は変わらないか、それは農林大臣どうですか。
#182
○国務大臣(櫻内義雄君) ちょっとお尋ねの総理の表現と、私の申し上げることがあるいはそごする点があるかと思いまするが、むしろ、私としては、総理の言われておることを補足した意味において申し上げたいと思いますが、御承知のように、昭和四十六年に生産調整について基本的な方針が出されておって、これは農業関係者、農民にははっきり明示されておるものだと思うんです。私は、それを履行していこうと――だから、ネコの目農政なんと言われると私は少し抵抗を感ずるんであります。四十六年以来のことをやっていく。そこで、その方針によれば、明年以降は休耕奨励金はもう出しません。転作奨励金だけです。こういうことで、この転作奨励金の出し方についても、できる限り転作が定着してもらいたい。また、その転作の方向としては、いま現在最も必要であるところの小麦、大豆、飼料作物を考えていきたい。しこうして、最近の情勢から、ただいま官房長から御説明を申し上げたように、さらに転作奨励金以外にも特別奨励金も講じていきたいということをはっきり申し上げておるわけであります。
 それから、その数量につきましても、通年施行の土地改良について二十万トン、それから転作については百四十万トンを考えていきたい。こういうことで、それらの点を総合してまいりますると、休耕がもうないといっても、ちょうどそのいまの数字の中に大体吸収されてまいります。でありまするから、私は、円滑に推移していくのではないか。中にはもちろん潜在的な生産量幾らというときに、自然に壊廃されていく――これはいまちょっと記憶しておりませんが、何万ヘクタールというものは除くとかというようなことは、もちろん織り込んでおるわけでございます。が、明年度以降の転作だけで、しかも、麦や大豆、飼料作物についての特別奨励をやっていくということで、大体スムーズにいけるという見方をしております。
#183
○杉原一雄君 十一日と十二日に、熊本で、ミカンの農民の大会があって二千人ほど集まったんです。そこで、この大会で最終的に決議をしたことは、これは簡単ですが、われわれは国内ミカンの増産と外国産果樹の輸入攻勢により、これまでにない危機に直面している。われわれは自由化と輸入ワクの拡大をあくまでも阻止すると、これが最終的な決議のようにも受け取れますが、こうした決議ともう一つ関連をしてくる国内ミカンの増産ということばなんですね、つくっている人自身がそう言っているわけなんですが。ことしの春の、この委員会でも、工藤委員等が非常にその問題で突っ込んだ論議をやられたときに、初めてぼくは、ミカンの実態等について、いままで知らないことをたくさん勉強しました。で、これが、先ほども大臣が申しました去年の十月の農産物の生産目標、五十七年を目標にして考えると四百何十万トン。去年は三百三十万トン。
 そこでことしはどれくらい予想しているのかね、局長。それが妥当な数字なのか、期待している数字なのか。いま農民が心配しているように、ミカンの国内産自身が、この表現そのままでいくと、増産という表現をとっていますがね。こういう受けとめ方そのものに対して、そうじゃないんだ、わが生産目標に皆さんの努力が近づいているのだから、がんばりなさいという激励のことばを大臣が出せるのか、出せないのか。そうなると、結局何年計画の中で四百何十万トンのミカンをつくるというのが農林省の方針ですからね、そういうこととマッチするんですが。だから、そこのところ何か食い違いが出てきているように思います。とりあえず、ことしは幾らほどミカンとれるんですか。裏と表という話は、初めてここでぼくは勉強したんです。ことしは裏だそうですね。幾らほどになります。
#184
○政府委員(伊藤俊三君) これは八月一日現在の統計情報部の調査によりますと、三百二十八万三千トンということが予想されております。もっとも、その後におきますいろいろな気象状況等はこれから別途考えなければならないと思います。
#185
○工藤良平君 関連。
 これですね、ことしの春の委員会の問題、これを私ここでそう詰めようとは思いませんけれども、一つ問題がありますのは、現在の作況、三百二十八万トンとしましたね。これについて特に日園連を中心といたしました農業団体では三百八万トンということで、その間二十万トンの開きがある。これはどちらが正しいのか、それはここで私は問いませんけれども、ただ問題は、三百二十八万トン、まあ三百三十万トン程度のものを発表した。そのことが、ことしのやはりミカンの価格に相当大きな影響を及ぼすのではないかというようなことから、相当この日園連を中心とした農業団体は神経をとがらしておるようでありますが、私はやっぱり統計というものは正しく把握をしてそれに対するきちんとした対応策を出すということが最も正しいと思う。そうしなければ、たいへん大きな問題が起こってくるわけでありますから、そういう点については農林省が自信を持って発表されているとするならば、それでよろしいと思うのですが、ただ、ことしの春、私との議論の際に、私は三百三十万トン絶対できますよということを強調したけれども、園芸局長は二百六十万トンでしょうと、こういうことでたいへん大きな開きがありました。これはあとで議事録を見ていただいてもわかるわけですけれども。そういうことであれば、花の咲くときから対策を立てなきゃたいへんですよ、ということを申し上げたのです。現実にそのとおりになったわけですね。私はやっぱり農林省がもし正しい統計であるとするならば、正しい統計を発表して、それに対する価格の問題あるいは収穫までの対策というものを、万全の対策をとるということが私は、大切じゃないかと思いますから、いまの杉原委員の問題と関連しましてちょっと御質問したいわけです。
#186
○説明員(大山一生君) ただいまの御質問でございますが、昨年の経験にかんがみまして、先般の委員会のときにも大臣から申されましたように、基準筆を大幅にふやしております。昨年の場合ですと四百八十三で、ことしの場合は千十六にふやしております。そういうかっこうで基準筆を中心とする調査をふやすとともに集出荷団体等の面接調査の対象もふやす。さらに主要県におきます作柄の報告に当たりましては、当該地方におきます学識経験者からなる検討会の意見を十分に参酌して、今度の八月一日現在において、今後の気象条件が平年並みに推移するとすれば、という条件でございますが、三百二十八万三千トンということを見込んだ次第であります。
#187
○杉原一雄君 三百二十八万トンということは確信を持っておっしゃるわけですが、そこで去年の年末とかことしの春先のようなことは起こりませんか。もしそれを想定した場合にそれに対する対策はどうなっているか。つまり加工施設の問題とか、いろいろありますね。工藤君に聞けばこの箱自体がずいぶん値上がりしているそうですね。それから輸送の問題でも、国鉄の運賃を運輸委員会で値上げしようと言ってるわけですよ。いろんな問題さまざまな問題が起こってきておりますが、その点、農林省としては農民サイドに立つわけですから、どうでしょう。農民が安心してこれから収穫を楽しめるような状況をつくってくれませんか。
#188
○政府委員(伊藤俊三君) 私ども、ことしのミカンの生産量の問題につきましては、たいへん関心を持って見てまいりました。これは実は、ことしの三月ごろから専門の方々にしばしばお集まりをいただきまして、花から――私この席でも花芽を見てということを申し上げた覚えがございますが、花芽を見、花を見、その後の成育状況なんかもずっと私どもは私どもなりにフォローアップしてきております。最後の段階で、ただいま統計情報部長からお話しがございましたように、三百二十八万トンという数字が出たわけでございますが、そういったことを受けまして、私どもといたしましては、八月の末に各県の担当者を全部集めて、最終的な仕上げ摘果ということの励行をお願いをいたして、いま指導中でございます。そういったことをやります一方、ことしの共同予措施設の建設ということを収穫期までにぜひ間に合わせたいと思って各県いろいろ指導いたしております。
 それから近く、県、生産者団体、市場関係者等を招集しまして、流通改善のための協議会を開催することにいたしております。用途別、市場別、時期別、産地別にきめこまかく出荷調整の協議を行なわなければならない。ことに、わせの問題がかなりありますから、そういった点に特に配慮しなければならないというように考えております。
 それから、さらに加工仕向け――幸いにいたしまして本年の果汁はたいへん売れ行きがよろしいわけであります。果汁の用途、果汁向けにミカンを消費するということがたいへん伸びてまいってきておりますから、こういった際には、ぜひジュースの生産、ジュース仕向け――ジュースにミカンを仕向けていくというようなことをやりまして、少なくとも昨年並みの六十万トン程度の加工仕向けというようなことを私ども考えまして、いま指導しておるような次第でございます。
#189
○杉原一雄君 局長、私は、この間ひまをみて、富山県の果樹試験場あるいは蔬菜園芸試験場、米を中心とした農事試験場を回ってきたのですが、特に果樹の問題ですから、果樹試験場の状況ですが、ナシで、昔は「長十郎」いまは「幸水」もう一つは「豊水」というのをいまつくっているわね。新品種をつくっている。リンゴでも、これくらいのリンゴをつくっている。「世界一」という名前をつけている。そういう、第一線では非常に苦労して、おいしい、消費者に喜ばれるようなものをつくる、一生懸命神経をとがらして勉強しているわけですよ。ただ問題は、それに対する受け入れ側の農政上の手当てがないと、ミカンのような問題が毎年繰り返されてくることを非常に憂える。それがゆえに、やはりいまの局長の答弁では――抽象的だけれども、ポイントは押えていると思いますが、しかしながら、そのポイントをより充実してぐんぐん押していくような努力をぼくは期待したいと思います。
 次に、中野長官がうしろで腕を組んで遊んでいるようですから前に出てもらいます。それは、ことしの米はどれくらい取れるか、それが一つ。大干ばつということが言われ、農林省自身も九月の十日ですか、干ばつの状況を発表しておられるわけですが、その概況はどうなっているか。それに対する手当て、対策、これをひとつ総括的に長官のほうからお願いしたいと思います。――長官だめなのか。
#190
○説明員(大山一生君) 米のでき高、収穫予想でございますが、私どものほうの担当でございますので、便宜私のほうから答えさせていただきます。
 八月十五日現在におきます全国の作況指数は一〇五ということでやや良であります。またことしの水稲につきましては、作付面積が調査中でございますので、昨年の作付面積から推定いたしました作付面積というもので、一応収穫量を現段階で試算してみますと、水稲が千百八十九万トン、そして陸稲を平均収量というふうに見まして十一万トン加えますと、水陸稲合計で千二百万トンということになる見込みでございます。
#191
○政府委員(三善信二君) 干ばつの被害の概況でございますけれども、一番新しい数字では、これは九月十日現在で、農林省が各県の報告を取りまとめた、その結果でございます。それによりますと農作物の被害面積が六百六十二万八千ヘクタール、被害金額にして約八百十億に達しております。四十二年以来の大きな被害になっております。それから作目別に見ますと、水陸稲の被害が三百二十三億、果樹等が百四十七億、野菜が百三十二億ということで、この三品目で全体の約七五%程度を占めております。それからこの干ばつの状態でございますけれども、九月に入りましてから全国的にかなりの雨が降りましたので、この状態がさらに進むということはちょっと考えられないんじゃなかろうかと思っております。
 対策でございますけれども、一つは天災融資法の適用の検討でございます。これは最終的な農林省の統計情報部の被害調査の結果を待ってやるわけでございますが、農林省の統計情報部の被害調査が九月の下旬に発表されますので、それの最終結果を待って天災融資法の適用については検討することになります。が、九月四日の閣議で農林大臣から、農林省としてはこの適用というのは当然じゃなかろうかということで、その方針について閣議で発言をされておられます。
 それから、干害の応急対策でございますが、これは八月二十七日現在の数字で、たとえば市町村や農業団体等が井戸を掘ったり、あるいは揚水機を設置したりした費用でございますが、約三十八億円かかっております。これに対しまして、最終的な費用の実績がわかりますれば所要の国の助成措置を考えたいと思っております。
 それから、さらに貸し付けました制度融資等につきましての償還猶予等につきましては、これはもうすでに通達を出しまして、関係金融機関に対し、その被害の状況に応じて償還の猶予等の貸し付け条件を緩和するというようなことを通達を出しております。
 さらに農業共済基金等の支払いの問題でございますが、これは共済団体に対して、これも通達を出して、共済金や保険金の仮渡しを被害の状況に応じてやるように指導いたしております。
 それから自作農維持資金についての要望も相当ございますし、これの総ワクの問題は、これは被害農家の実態を把握しないとわかりませんが、そういった検討をすることにいたしております。また、この貸し付け限度を引き上げてもらいたいという要望もありますし、まあ被害の状況やあるいは被害農家の実態、そういうものを調べまして、この貸し付け限度の問題についても検討いたしたいと思っております。
 以上、そういった対策を進めているような次第でございます。
#192
○杉原一雄君 農林大臣は先ほどネコの目農政と言われてだいぶごきげんが悪いようですが、ぼくは言わなかったんですが。そういうことを言っているわけですけれども、いまの大干ばつの問題でも情報はこういうことを伝えているわけだ。雨待ち行政の政治責任を追及する声も今後一段と高まろう、と書いてある。これに農林大臣、腹立ちますか。やはりそのとおりだと思いますね、雨待ち行政というのは。まあ官房長が、それに対して三十何億円やら補助をして、これは井戸をつくったり、揚水したのにめんどう見ようと言っていますけれども、それ以前の問題が一つあるわけです。しかしながら、そう言いながらも、これはだれが農林大臣になっても、どうにもならぬことは、天の問題です。いわゆる空の問題ですが、こうしたことを含めながら、いま中野長官に一つ最後の質問をするわけですが、――あなたの所管でないと言うかもしれぬけれども、実はこういうことがあるわけですね。
 ぼくは、白書の中では、備蓄米のことを提起したと思うんです。答えはきわめてあいまいだったと私は思いますが、ただ、ここで非常に具体的なのは、九月十日の日本経済新聞で、政府、財界が準備しているものの一つとして穀物銀行を提唱している。しかも、それは範囲が非常に広い、国際的な備蓄だという問題提起をしておるわけです。中身を読んでみると、なかなか新しいアイデアであり、しかもFAOの事務局長が、国際的に勧告を発した備蓄の問題に答えるような感じがいたします。
 ただ、私もう少し、――財界が提唱するとすぐにアレルギーがありまして、何か裏がないかなあと思ったりしているのですけれども、しかし、このことについて政府並びに財界とありますから、政府は、大体農林大臣か食糧庁長官だと思うのですけれども、その辺はどういうかかわり合いを持っていて、どういう展望を持っているのか、その辺のところをちょっと事情を明らかにしてほしいと思います。
#193
○政府委員(内村良英君) ただいまの御質問でございますが、最近の世界的な食糧需給の逼迫や、一部の開発途上国におきましての食糧事情の深刻化等を背景にいたしまして、穀物を国際的に備蓄をして、これによって国際的な食糧需給の安定、あるいは食糧不足に対しまする援助等を行なうことを目的といたします穀物銀行等の構想が、現在、財界から提唱されておりまして、対外経済協力審議会においても小委員会を設けまして、これについて検討を行なっております。第一回がきょう行なわれました。で、穀物銀行等の構想は、従来からFAOあるいは国連アジア極東経済委員会――エカフェ等の場において討議されましたが、備蓄食糧の現物手当てや保管に多額の資金を要すること、それから長久化に伴う腐敗、品質低下等の問題がございまして、備蓄はなかなかむずかしいということで、過去におきます構想が具体化するに至らなかった経緯がございます。
 わが国は御案内のように、国民の必要とする農産物の相当部分を海外に依存しておりまして、その国際需給の変動が国民生活に与える影響が大きいことにかんがみまして、食糧の安定的確保をはかるため、その一環として食糧の備蓄を行なうことが必要であることは言うまでもございませんが、国際的に食糧備蓄を操作する機関として穀物銀行を設立するということにつきましては、いろいろ技術的な困難な問題それからさらに資金の問題等もございますので、なかなかこれは実現が容易ではないと考えておりますが、なお現在、対外経済協力審議会の小委員会において検討中でございまして、農林省としても慎重に検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#194
○杉原一雄君 まさかこの考え方の中に、国際分業論というものが新しく芽をいま一度吹き出して、背景にそういう思想が潜在しているということではないのですか。その辺のところをはっきりしてください。
#195
○政府委員(内村良英君) 私どもの承知しておりますところでは、やはり開発途上国の食糧不足に対する援助というような面に重点が置かれておりまして、国際分業論的な考え方はないというふうに承知しております。
#196
○小笠原貞子君 私、この八月北海道、特に酪農地帯を中心にしていろいろ視察させていただいたわけでございますけれども、働けば働くほど借金がふえて、働けば働くほどつらくなるという、まさに逆行したような状態の中で、また、たくさんの主婦たちがその酪農をしょっているというような具体的にたいへん深刻な状態を見て回りました。
 そこで具体的に質問をさせていただきたいと思います。そういう酪農危機が叫ばれている中で、いろいろ政府としても対策を考えていられるというふうに考えますけれども、たとえば畜産経営特別資金緊急融通措置ですか、そういうようなものもなさっていらっしゃいます。これは時間がないから北海道の分で申し上げますと、たとえばその融資ワクは、当初十四億円という割り当てが予定されておりました。しかし道で見込み調査をしたときには四億五千万と、約三分の一というような程度でしたし、実際にどうだったかというと、実に三億六千九百万円しか借り手がなかったと、こういう状態だったわけですね。また、私が参りました長万部というところの農協の業務報告書というのにアンケートが出されておりましたけれども、二百三十戸の酪農家のうち、借金を返せるか、という問いに対して、借金を何とか返せるというのが二十八戸しかなかったわけです。つまり、いろいろとそういうような融資ワクをおきめになっていらっしゃるようだけれども、実際、農民のために足しになる、ほんとうの力にはなっていない。当然、借りて楽な経営をしたいんだけれども、二年であるとか、利子の分だとか、据え置き六カ月とか、いろいろな制約がある中で借金返すめどもないから、借りたいけれども借りられないというような状態が、話されたわけなんですよ。
 そこで、時間がないから簡潔にお答えいただきたいのですけれども、いろいろそういう対策を考えていらっしゃると思いますけれども、これで十分だとお思いになるのか、決して十分だとは思わない、今後努力したいというお気持ちで対処していただけるのか、簡単に一言でお答えをいただきたいと思います。いろいろ御意見もおありかと思いますけれども。
#197
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げますが、ちょっと問題が多少多岐にわたりますので、簡潔にお答え申し上げますと、第一点の畜産経営の特別資金融通制度は、本日来しばしば出ておりましたように、飼料の高騰、これに対する値上がり分に対する低利融資でございまして、われわれは、それなりの効果は発揮していると思うわけでございます。ただ、特に配合飼料依存率が六割以上を占めます養鶏とか、養豚の方々がたくさん借りていただくということでございまして、酪農の関係の皆さんは比較的借り方が少ないという点でございますし、また、借金問題につきましては、本年三月、保証価格をきめました際に、長期にわたってこれを借りかえるということで、百五十億の自創資金の融資を北海道にすることにいたしまして、この点についての負債からの酪農経営の圧迫について改善いたすために、最善の努力をつとめておるところであります。
#198
○小笠原貞子君 酪農と初めに強調しましたものですから、酪農だけみたいになりましたけれども、当然養鶏、養豚の場合にも、同じ問題が出てくるわけなんです。
 そこで大臣いまの問題なんですけれども、農民にしてみれば、この年利四分というのを、何とかもうちょっと安くしてもらえないか。それから返済が二年というようなことも、また据え置き六カ月というようなことも、何とかもうちょっと条件を緩和してもらいたいというのが、具体的な要求として出されていたわけなんです。ですから、そういう問題について今後も考えていきたいというお気持ちがあるのかどうかということですね。それを大臣からお答えいただきたい。
 それからまた、全体としてそういうような、農民が借りにくいというような条件を緩和するために、現在でも各県がたとえば岩手、宮崎は〇・五%、山形、群馬、千葉、長野というところは一%を自治体が負担して、利子を安くしているというようなことが出ておりますね。そうすると、国でそこまではできないけれども、自治体がそういう意味で援助して、そして農業等の食糧を確保するというような政策をとっているというような点について、これは好ましいというふうにお思いになりますかどうか、この二点を大臣からお答えいただきたいと思います。
#199
○国務大臣(櫻内義雄君) この前段のほうは、現行融資制度の中では最も条件のいい方策でございまして、また、言うまでもないことでございますが、各種の施策の大体の均衡を保つという点からいたしまして、まず、がまんをしていただける措置ではないかと、このように思います。また、各県において、それぞれの事情を踏まえて、さらに国の施策に加えて、いろいろおやりになるということにつきましては、私としては、たいへんけっこうなことだと思っております。
#200
○小笠原貞子君 それじゃ、大臣としては、がまんしてもらえるということで、今後それについて、もうちょっといい条件にしてやろうというところまではお考えにならないと、結果的にはそういうことになるわけですか。そういうのが一点。
 それから、地方自治体でそういうふうな具体的な援助をしてくれるということはたいへん好ましいといまおっしゃいました。とすれば、各都道府県に対して、そういう援助をやはりしてやってほしいというような、大臣としての行政指導みたいな形で、そういうことを奨励するというような具体的なお気持ちはおありになりますか、どうか。
#201
○国務大臣(櫻内義雄君) 前段のほうにつきましては、ただいまお尋ねのとおりでございまして、現在どちらかというと、金利が非常に高くなるこの情勢下におきまして、まあがまんしていただかなければならない。こういうふうに考える次第であります。
 後段のほうについて、特に国から何か指導をすべきかどうかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、やはり地方の事情が十分掌握されておらないという点から、特に、国が差し出がましいことはいかがかと思うのでありまして、私としては、地域の事情を勘案しながら、それに国の施策に加えて、何かお考え願うということについて、好ましいかどうか――それはけっこうだということに尽きるのではないかと思います。
#202
○小笠原貞子君 がまんしていただくのは農民のほうじゃなくて、ほんとうは大臣のほうで――もうちょっとがんばって、大蔵省に折衝してもらう、また、いまの農民の暮らしと営業を守り、食糧確保をするという立場に立つ大臣のほうで、農民のほうにがまんしてもらうというのは、筋が違うのじゃないかと思います。そういう意味で、御答弁はまあいいですけれども、そういうふうにしていただかなければ、いまの食糧危機の中で、農業というものが全くますます危険な状態になっていくということを言わざるを得ないと思うのです。
 次に時間がないから進ませていただきますけれども、北海道の酪農の実態、もう大臣も御承知かと思いますけれども、たとえば飼養戸数にしてみれば、三十八年には五万四千九百戸あった。それが四十八年になってみますと、三万二千七十戸と、実に二万二千八百三十戸減少しております。これは農林省のおたくのほうの統計情報部からの資料でございます。
 また、飼養頭数にいたしましても、三十八年とそれから四十五年くらいまではまあまあ順調だ、しかし四十六年、四十七年になりますと、乳価が上がらなかったというような事情も加わりまして、一〇%を割るというような、いわば停滞ぎみになっています。しかも、たいへん私は、危険なことだと思いますのは、四十七年、四十八年という段階になりますと、伸び率が停滞したというのではなくて、実に減少を始めているということが出ているわけなんですね。――首を振っていらっしゃいますけれども、おたくの資料なんかで、みな出ているのです。そういうようなことになっていきますと、非常にこれは危険なことではないか。こういうような点から見ますと、これはまさに先ほどから言っているように、食糧確保という点からも、実に、いままでは北海道はそうではないといわれたけれども、その最後のだいじょうぶだといわれていた北海道にさえも、酪農危機が迫ってきているというような中で、深刻な事態になっている。これはまさに、どういうような数字や理論的なお答えをいただこうとも、実際的には、こういう現状になっているということは、隠せない事実になっておりますので、こういう点ではまさに、いろいろ手を加えられたといっても、これは失敗だといわざるを得ないのじゃないか。
 そういうものに対して、いまいろいろこういうことをやりたいと、きっとおっしゃると思いますけれども、そういうことをおやりになって、これで、そういうような危機を食いとめて、そして食糧も確保でき、そして農家の経営もうまくやっていけるというような自信がおありになるのかどうか。もしそれができなかったら、責任はどうとられるのか、そこらのところをお伺いしたいと思います。できたら大臣しっかり答えてほしいのですけれどもね。
#203
○政府委員(大河原太一郎君) 事実関係がございますので、私から先にお答え申し上げます。北海道におきます頭数の伸びについては、先生御指摘のとおり、伸び率は地域によって鈍化しておりますが、絶対数は四十五年以来を見ましても、なお増加しております。この点は事実でございます。それからこの点についての要因等は、本日もいろいろ中村先生その他から問題の御指摘がございましたが、基本的には、やはり多頭化飼育の伸展という規模拡大と、それから零細農家の兼業農家への離脱というような関係から、農家戸数が減っているわけでございますが、飼養頭数の鈍化なり、あるいは生乳生産の伸び率の鈍化という問題については、基本的な地価とか、労働力とか、という問題がございますが、特に問題といたしましては、北海道においては特段、負債問題があったわけでございます。これについては、本年の三月、先ほど申し上げましたように、百五十億の自創資金を北海道に特別ワクを設置いたしまして、今後二カ年間に融資をいたして負債を整理するということによって、まず負債からの重圧を除きたいということでございます。
 それから第二点は、育成牛の確保、後継牛の確保というような問題がございますので、これも本年四月に、全国で四十億の酪農緊急対策事業を実施して、北海道ではそのうち二十五億を配分いたしまして、それによって北海道への酪農のてこ入れをいたしたいというように考えておるわけでございます。もちろんこの施策のみではなく、今後各種の施策を総合いたしまして、この停滞ぎみの北海道酪農への活を入れるという方向で進みたいというように考えております。
#204
○小笠原貞子君 いま私、搾乳牛のほうを言いましたがね、三十八年から四十八年までに絶対数が減っているという意味ではなかったんですよ。農家戸数の場合は絶対数は減っていますね。しかし、いま言った搾乳牛の場合は、年々の伸び率で言っているわけなんですよ。そんなことないとおっしゃるけれども、おたくの資料で言いますとね、四十七年は前年度に比べて六・三%伸びているわけですね。そして四十七年、四十八年にかけて初めてここでマイナスになってきているということを私が言ったわけなんです。それまでは多いときには二六%、四十四年度には伸びているわけなんです。だから、当然伸びなければならない、伸びていかなきゃならないわけですよね、牛乳をもっと生産してみんなに飲ませなきゃならない。だから、いままでは前年に比べてきちっと伸びていたのが、今年度になって伸びなくなったというところが、これは危機ではないかと私が言ったわけなんです。これはおたくの資料だから、絶対うそではないということなんですよ。それはもうお答えいただかなくてもけっこうです。そういうわけですから、私はこれに対しておたくのほうでいろいろ手を打ってきたとおっしゃるけれども、現実にこの伸び悩みから、前年度から見ればマイナスというような事態まできていればね、やっぱりそこに大きな問題があるのではないかということを言ったわけなんです。まあお答えはさっきのでけっこうです。
 そこで大臣にお伺いいたしますけれどもね、こういうような実態は、もっとそちらのほうは専門だからお調べになっていらっしゃると思いますけれども、いまのような政策をお続けになって、これでほんとうに日本の酪農業というものが発展できるというふうに自信を持っていらっしゃるのかどうか、その辺はいかがでいらっしゃいますか。
#205
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま畜産局長が申し上げましたように、御指摘のような事態でありまするから、自作農維持資金を利用しての負債の軽減をしてもらうなどについて、四十八年度の施策について申し上げておるわけでございます。したがって、ここでずばりと申し上げまするならば、確かに北海道の酪農について種々検討しなきゃならない点があると思います。また、それに対応する施策を四十八年度は四十八年度、四十九年は四十九年と対策を講じて、おっしゃるような、今後行き詰まるような事態へ追い込むようなことのないようにつとめるのが私の立場だと認識しております。
#206
○小笠原貞子君 開発庁来ていらっしゃいますか――そうですか。そこでお伺いしたいのですけれどもね。開発庁のほうで新酪農村のモデルをお考えになっていらっしゃるというような状態なんですけれども、それ拝見しますと、規模を拡大していって、最終的農業所得というところを見ましたら、三百五十万というのが出ておりましたけれどもね。それはやっぱり現時点でも、それくらいは所得としてあるというふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
#207
○政府委員(秋吉良雄君) 御指摘の三期計画の根室新酪農村ですが、私どもの計画といたしましては、現在一頭当たりの生産所得は、ラウンドナンバーで申しわけありませんが、六万円でございます。これを八万円程度まで伸ばしたい。しかも大規模生産、高能率生産という趣旨からいたしまして、御案内の欧米並み以上の高生産新酪農村をつくりたいということからいたしまして、一戸当たり五十ヘクタール、五十頭ということで計算をいたしますと、したがって一頭当たり約八万円でございますから、先生御指摘の三百五十万から四百万円といった数字をわれわれも目標に置いておるわけでございます。
#208
○小笠原貞子君 そういう目標だということなんですけれども、えさ代なんかがずっと上がってきていますね。それにもかかわらず、乳価というのが、上がりが全然と言っていいほど安うございますね。そうすると、当然この三百五十万円という計算をお立てになったときと、飼料代がものすごく上がっているという現時点では、これは数字はもう違ってくると思うんですよ。それは当然だと思いますね。この一月から、三月から、今度また、九月一日一万円から上がったというような、えさ代の高騰を見込んで、この三百五十万円という計算が出てきたわけじゃありませんよね、まだその時点では。
 で、そういうことで時間がないから進めますけれども、そうしますと、いまおっしゃったような草地も大規模にするというようなことで、ひとつ根室の中標津農協のほうの調べを見てみますと、御主人と、奥さんと、むすこさん二人で、八十五頭、うち搾乳できるのが五十頭なんですよね。そこで、四十八年度の経営計画というものをお出しになっている。昨年度の乳価代が八百万円、それにプラス個体販売――牛肉が高くなったからというので、個体販売で売って二百万円、これが収入で一千万、雑収九十万を入れて一千九十万円になるわけです。支出のほうは肥料が百二十万、生産資材が四十八万、購入飼料三百万、養畜費が四十二万、賃貸料金二十一万、支払い利息七十万、租税公課二十四万、その他雑費を入れまして支出が七百六十四万ということになるわけなんですね。そうしますと、お乳代と、それから肉に牛を売っちゃったというのと支出を引きますと、残金は三百二十五万なんですよ。そのうちから土地改良費四十万と、そしてどうしても元金を返していかなければ利子がたいへんだというので、元金を百十万返すとすると、残りは百七十五万、月に割りますと十四万ちょっとにしかならないわけですね。しかもこれはいま牛肉が高いから、個体販売したことによって何とか月十四万が出たというわけなんですよ。しかももっと大事なことは、これには飼料の値上がり分というのが含まれていないのですね。こういう計算が出てくるわけなんです。
 そこで開発庁のほうにはまたあとでゆっくりお伺いいたしますから、次の機会に回しますけれども、こういうような実態というのが方々で出ているわけなんですね。そうすると、いままでだったら五頭だったと、それがもうだんだん、そんな小規模ではだめだというのでだんだんふえました。そして今度はいよいよ五十ヘクタール、六十八頭ということをやれば、これだけ収入がありますというのが、第三期開発計画の酪農村のスタイルでございますよね。
 そうすると、私、農民の皆さんと会ってつくづく感じられたことは、非常に正直ですよ。非常に働き者です。そして政府の言う政策に沿ってやっていけば何とか切り開かれるんじゃないかという非常に信頼持っているわけなんですよね。それに対して、もうそんな小さいからだめだ、大きくしろ大きくしろと言った結果、どうなったかと言ったら、ふやせばふやすほど借金が多くなったというような状態になってきているんです。これはもう否定できないと思うのです、実態をお調べになれば。それで、私のほうから言いますと、こういうような幻想を与えて、全くもうほんとうにゴールなき規模拡大だというようなことで、まじめな働く農民たちを幻想を持たせて、そして借金を背負わせて苦労させるというようなことを大宣伝するというようなことはやってもらいたくないわけなんですよ。
 ですから、もっと現実に即したそういう政策というものを考えいただきたいし、また、そういうのをやればできるんだと言えば、そっちにモデルみたいだから飛びつくはずですよね。そうじゃなくて、ほんとうに農家が自主性を持って、自分の資力でもって、どの程度やっていけば着実に何とかやれるかというような、農家自体が自主的に自分で計画を持てるというような指導をやっていただくことのほうが大事なんじゃないか。それで、開発庁としても、問題はあとで伺いますから、きょうは特別お答えいただかなくてもけっこうですけれども、そういう考え方をしっかり持っていただきたいということを私は要望としてお願いして次の質問に移ります。あとで開発庁にはまた御足労いただきたいと思います。
 次に、乳価の問題なんですけれども、先日、衆議院の農水で、今回のえさ代値上がりについて三月に決定いたしました加工原料の乳価保証価格の改定について慎重に検討すると、幾度か会議録に出ております。検討するとお述べになっていらっしゃいますけれども、それを検討されたんでしょうか。そして、もし検討されたとしたら、どういう結論が出されているんでしょうか。それを伺わせていただきたいと思います。
#209
○政府委員(大河原太一郎君) 最近におきます労賃なり、あるいは今回の飼料価格の値上がり等によりまして、三月決定いたしました保証価格について、これを再検討すべきであるというような御議論を賜っておるわけでございます。われわれといたしましても、それらの諸要素、値上がりの諸要素等については最も最近時点のデータを集めまして、それによって検討をいたしたいというふうにお答えをしておるわけでございます。が、先生御案内のように、保証価格の算定につきましては、コストとしての償却費、これらについて、先ほど肉高と申しましたが、残存価格が後継牛よりも乳廃牛のほうが高いために、償却費を引き下げるようにというような点とか、副産物収入としての子牛価格等の上昇とか、その他諸般の相殺し合う要因があるわけでございまして、これらの諸要素については、最も最近時点のデータによって判断する必要があるというようなことで、現在諸資料を集め、検討中でございます。
#210
○小笠原貞子君 いろいろと手当てをしながら、融通しながら何とかやっていけるじゃないかという中で、やっぱり、たとえば先ほど申し上げましたように、お乳がしぼれるのに、これでは経営が成り立たない。だから、牛肉が高くなっているという段階だから、その乳をしぼれる牛を食肉用として売るというようなことで、結果的には、何とか足しにしているというようなことがございますでしょう。先ほど言いましたように、個体を売ったから、それで二百万の収入があったというようになるわけですね。いまそれは全般的に、たとえば宗谷管内で聞いてきましたけれども、宗谷管内での平均しますと、一戸で三頭の成牛を売っているというようなことが出てるわけなんですよね。そうすると、一番大事なことは、結局酪農を振興させて、牛乳生産を多くして、そして国民の食糧を守って健康を維持するという食糧の問題として考えれば、経済が合わないから肉に売っちゃうということになれば、そのあとというのはちょっと先細りになってしまうわけなんですね。そういう問題も考えてみなければ、基礎においていただかなければならないと思うんです。
 それから加工乳の場合には、同じ牛乳だけれども低くなっていますよね、ずっと。それが結局、加工乳が北海道の場合は九割になっていますね。そうすると、飲用で同じのを売ったらそっちのほうが高くなるというようなのに、加工乳が低いということで、それが大きく農村と酪農経営を圧迫しているというようなことも出てくるわけでしょう、当然に。そういうことになれば、加工乳というものの値段をやっぱり相当考えていただいて値上げするということは、加工原料乳生産者補給金暫定措置法ですか、第十一条の八項というところで、農林大臣はそういうような場合には、できるというのもありますわね、私もちょっと見せていただいたら。そうすると何だかんだとむずかしく方々で、閣議だ、何だとおっしゃらなくても、農林大臣の責任で、加工乳というものに対して、もう少し値を上げていただくというような方法も考えていただけるんじゃないか――いただけるんじゃないかじゃなくて、ぜひそういうふうに考えていただきたいというのが大きな要求でございますけれども、その辺については大臣はいかがお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
#211
○国務大臣(櫻内義雄君) 局長からお答え申し上げましたように、いまの酪農農家の経営の状況というものが、御指摘のように、飼料はどの程度上がっておると、また、労賃はどのように見るかというようなことでいきますと、これは上がっておるほうの要因でございます。しかしまた、お話のように乳廃牛の価格の上昇とか、子牛の価格の上昇とかというようなものを総合してまいりますると、暫定措置法の第十一条第八項に基づいて保証価格を考えるべきかどうかということについては、これらのデータからいたしますると、いまにわかに私としては決断するような状況にないということを先ほど来お答えを申し上げてまいったのであります。
 なお、これについては、その中の要因、飼料の値上がりの問題がございまするが、これについては特別な措置も講じ、また、一般的な経済状況というものも十分固まっておらないので、明年三月までの措置をとっておると、したがって、もう少し事態の推移を見たいというのが私の考え方でございます。
#212
○小笠原貞子君 まあそういうことでなかなか頭が固くていらっしゃるから、とかすのに時間かかりますから、この次に延ばします。
 最後にお伺いいたしますけれども、結局、配合飼料がどんどん高くなっているというようなことになれば、やっぱり自給飼料を増産するということが非常に大きな、大事な問題になると思うわけなんですね。そういうふうに自給飼料を多くしていくと、これもまた、長万部の例ですけれども、購入飼料に依存しておるのを二五%から一〇%ぐらいまでに減らすということになると、やっぱり相当のマイナスの面が出てくるわけですわね。そうすると、やっぱり飼料作物をつくるための奨励金ですか、それを相当がんばって出していただいて、そういう面から御援助いただきたい、そういうふうに特別な奨励金というもので相当のワクをとっていただきたいというふうに考えるんですが、この点はいかがでございましょうか。
#213
○国務大臣(櫻内義雄君) 飼料作物の奨励につきましては、もうおっしゃるとおりでございます。そこで、明年度の予算の中におきましては、御要望の線に沿うように具体的な要求を大蔵当局にいたしております。この点については、稲作の転作にも関連いたしまして、先般の米価決定の際に、小麦や大豆や主要作物については特段の考慮をしてもらいたい、こういうようなことが財政当局との間でも話し合いができておりまするので、要望がそのままいくかどうかは別といたしまして、御期待にある程度沿っていけるものと思います。
#214
○小笠原貞子君 それは概算で出していらっしゃるけれども、自信ありますか。大体がんばってもらえますか。
#215
○国務大臣(櫻内義雄君) がんばります。(笑声)
#216
○小笠原貞子君 どうもすみません。急いで早口になりましたけれども、今度少し落ちついてやります。
 その中でやっぱり問題になりますのは、飼料の値上がりというのが、先ほどから言われていたように大きな問題になっていると思うんですね。それで飼料の問題につきましても、一月に三千二百円、三月に四千八百円上がったというような段階で、また上がるんじゃないかと、農民のほうは非常に心配していた。しかし、おたくのほうの答弁見ると、いやそれはもう大体確保してあるから見通しはだいじょうぶだと、もう上げないというふうな御答弁なさっていらっしゃるわけですよね。それから六月段階でアメリカの輸出規制されて、これはたいへんなことになるのじゃないかというようなときでも、いや、だいじょうぶだ、というふうにおっしゃっているわけなんですよ。だから、さっきから私が、たいへん疑わしく質問をいたしますのは、そういうふうにだいじょうぶだ、だいじょうぶだと言われていながら、六月段階で、みんなが騒いだあの危険なときでも、だいじょうぶだと言いながら八月になって、そして九月から値上がりというようなときには、いたしかたがないんだ、だから、これはほかのほうで何とか手当てをするということになっているわけなんですね。
 そこで、私が言いたいのは、もうまことに政府当局としては、飼料対策、飼料の問題をどう見ていらっしゃるのかというような点で、全く行き当たりばったりのことをしていらっしゃるということが、私は客観的に言えると思うんですね。それで具体的にお伺いしたいんですけれども、今度全農が引き上げましたですね、一万百十二円ですか。その引き上げの根拠ですね、非常に大幅な引き上げになっているんですけれども、その根拠があんまりはっきりしないんですね。全農のほうでは試算を発表なすっていらっしゃる。これは、一応原価価格を公表したというような点では、一応の前進だとは思いますけれども、その中身の配合飼料の配合率ですね、この配合率については、飼料別の配合率が明らかになっていない。そういうことから、この一万何ぼの値上がりしたというのがほんとうに妥当だったかどうかということが、受ける側としては、ちょっと非常に根拠がない値上げだと言わざるを得ないんですよ。そこで、そういうふうな値上げをしたというようなことを、もしも正当だと思われるんならば、原料配合率というものですね、原料配合当時の原価ですね、配合当時、原価はどれだけだったと、大豆なら幾ら、小麦なら幾らというように、そういうものを明らかにしてもらわなければ、結局一万円上げたという根拠が非常に薄弱だということになるので、私たちとしては、その辺をはっきりさせるということが、政府としては、やっぱりきめ手で指導するということが大事だと思うんですけれども。その辺のところは、そういうふうにはっきり配合率や何か出させるということは考えていらっしゃいませんか。
#217
○政府委員(大河原太一郎君) 今回の、一万円を若干上回りますが、ほぼ一万円の値上げにつきましては、われわれといたしましては、その農家経営に与える影響その他を見まして、全農をはじめとして主要メーカーの原料の手当てなり、あるいはそれぞれのメーカーは、先生御案内のとおり、配合飼料は四十種類近い原料を使っておりまして、メーカーによりまして、畜種によりまして、いろいろ配合率を変えております。したがいまして、それらの配合率なり、あるいは原料の手当て状況等を見まして検討したわけでございます。特におもな主原料は申すまでもございませんが、メーズ、マイロなり、あるいは大豆かすなり、魚粉というような主原料等を中心といたしまして、その手当ての価格、これは国際相場、シカゴ相場からの先物の手当てとフレート、あるいはFOBチャージというようなものから、すべて検討いたしまして、その結果一万円の値上げはコストの面からやむを得ないというふうに判断したわけでございます。
 で、全農等について、ややこれ必ずしも明らかでないではないかというおしかりもあるようでございますが、系統組織でございますので、末端にその値上げを了解するように、末端農家に、あるいは各連に、それぞれの段階で認識していただくために、相当コスト等の点、原料の値上がり状況等については十分な検討も行なった上で、末端に納得をしてもらっておるというふうにわれわれも承知をしておりまして、幸い配合飼料におきましては、単に商系のメーカーだけでなくて、系統組織は四割のシェアを持っておりますので、それらをつき合わせますと、ほぼその価格の値上げの妥当性というものが明らかになるわけでございます。したがいまして、われわれとしては、これを公表するとか、いなとを問わず、行政指導の責任といたしまして、十分検討したつもりでございます。
#218
○小笠原貞子君 それじゃ、検討された具体的な資料というのは、おたくにあるわけですね。私のほうから、それじゃ、どういうメーカーの飼料がどういうふうな配合率になっているか、そのときの基礎になっている原価はどうだというのは――いまおっしゃったのは、全部調べたとおっしゃったわけでしょう。それはあるわけですね。全部出してもらえますか。
#219
○政府委員(大河原太一郎君) 申すまでもなく、配合飼料価格は統制価格ではございません。それぞれのメーカーが配合飼料の原料の割合なりあるいは価格をそれぞれにくふういたしまして、手当てをしておるわけでございます。したがいまして、われわれとしては、行政指導の一環として、その資料を自主的に求めておるわけでございます。したがいまして、特にこれを外部にあれをするということについては、せっかくの御要求でございますけれども、にわかに先生の御要望にはこたえがたいわけでございます。
#220
○小笠原貞子君 それじゃ、調べたけれども、公表はできないということですね。そんなにしても何にも意味はないでしょう。私が言っているのは、それがはっきりしなければ、その値上げが妥当かどうかということを検討する根拠がないから、どうなんですかと聞いたら、おたくは調べたとおっしゃるわけですね。調べたらそれをこちらに教えてもらえれば――自信があるんだったら、それをお出しになったらどうですか。それがないから、結局この値上げ幅というのは、われわれから見たら相当な高値である、そこにもうちょっと、きちっとした配合率やその当時の原価というものを調べてみなければ、この飼料値上げというのを押えることはできないのじゃないか。それあなたのおっしゃっていることだったら、全く農民の立場でないですよ。飼料会社や全農の立場に立ってしかおっしゃってないですよ。もしもそれがあるんだったら、はっきり出してもらいたいです。
#221
○政府委員(大河原太一郎君) 重ねて申し上げますが、配合飼料価格については、公定価格制度をとっているわけでもございませんし、その値上げについての許可制をとっているわけでもございません。ただし、その与える影響が非常に大きいわけでございますので、その値上げ幅等については、はたしてその値上げの内容が妥当であるかどうかという点については、主要な農業団体としての全農をはじめ、各メーカーからそのデータをとりまして、水準としての判断をしたわけでございます。あくまでも自主的な資料の提供を求めたわけでございまして、これらについては、われわれとしては、責任をもった一万円水準の値上がりのコスト面からくる判断を、やむを得ないという判断をしたつもりでございまして、特にそういう事情がございますので、重ねてのお話でございますけれども、われわれとしてはこれを先生の御要望にこたえるわけにはまいらないわけでございます。
#222
○小笠原貞子君 自由経済の状態の日本の中だから、だから、そこまでは立ち入ることができない。いままでの大資本の製品について、みんなそうおっしゃっていたんですよね。だから、向こうが、メーカー側が出す資料でもってだいじょうぶだと言っても、そのメーカー側の資料がどうなのかということを検討しなければ、ここでメーカー側が不当にもうけている、そこんところを押えなければ、物価は安定できないということは、もう当然の常識なんですよ。だから、おたくがおっしゃるように、自由主義経済の日本でございます、公定価格でもございませんから、向こうの資料で見ましたと。そうしたら妥当な数字出すのはあたりまえじゃないですか。妥当でないのを出したらおかしくなるんだから。だからそれを向こう側の資料でごらんになって妥当だから、それではよろしいと、それだけで、その具体的な資料については私のほうには出せませんなんて言ったら、これはもうとってもじゃないけれども、飼料値下げの手は打てませんよ。それは、おっしゃることは同じだから、時間ないからいいですけれども。これらすべての問題について、そういうような立場に立っていらっしゃると言わざるを得ないですよ、そこんところは。だからそこんところ、もうちょっと御検討いただきたいと思いますね。同じ答えになるんでしょうけれどもね。
#223
○政府委員(大河原太一郎君) お答えがやや粗略になって恐縮でございますが、配合飼料は御案内のとおり、九割が原料価格でございまして、したがって、原料の相場でほぼ動くわけでございます。しかも申すまでもなく、海外の相場、シカゴ相場を中心としてそこからの向こうのFOBのかかりなりあるいはフレート、これは実は蛇足でございますが、最近においては単に原料価格だけではなくて、フレートが昨年のトン当たり六ドルが十七、八ドルになっておるというような、フレートの上がりもございます等、それぞれ配合飼料のコスト要因を解析いたしまして、われわれとしても独自のチェックをいたしました上で、その水準についての判断を下させていただいたわけでございます。特にこれにつきましては、農民の影響緩和のために財政負担までいたしまして、これの値上げについての影響緩和をはかるという事態でございますので、その値上げの内容については、きわめて慎重にわれわれとしては検討させていただいたつもりでございます。
#224
○小笠原貞子君 値上げのために、いろいろお金を出して手当てするなんといったって、農民のほうへいかないですよ。全部飼料屋さんのほうに行っちゃうんですよ、こういうことでは。だからこの問題、もう少し時間かけてじっくりやりますから、あと配合率というのを明記してほしいという要求もありますから、これは途中にして質問留保して次に移らせていただきたいと思います。
 そこで、もう一つ飼料なんですけれども、単味原料を農家でほしいというような要求が相当出ていたわけですよ。しかし、なかなかそれが希望に応じて出してもらえないというようなことですが、これは大資本のほうに買い占めされていくというような問題も出てきているわけでしょう。そんなことはないですか。農村としては、自分たちの希望する単味の原料というものを要求したときに供給してもらうようにしてほしいという要望なんですけれども、それはどういうふうにお考えですか。
#225
○政府委員(大河原太一郎君) 先生の御質問の内容がいかなる点にあるかという点について、やや私ども御指摘の点がわかりにくいんでございますけれども、私どものほうで先生の御質問を理解させていただきますと、これは単味飼料すなわち単体の問題ですね。大麦、これは肉牛用の大麦とそれから専増産ふすまでございますが、それらについての配合飼料以外の供給についての御要望が第一点かと思うわけでございますが、この点につきましては、前回の飼料の値上がり対策等におきましても、配合用だけでなくて相当数量の単体をも確保いたしまして、この需要に沿ったと思うわけでございます。そういう点では需給の関係で、これは麦類は、政府が責任をもって操作する数量でございますので、この点についての量としての御不便はかけておらないと思うわけでございます。
 もう一つは、実は配合飼料としてよりも、ある程度末端で各種の配合をしたほうが、畜産経営でほんとうに家畜栄養なり飼料効率を考えた場合にはいいという農家の御要望もあるわけです。したがって、たとえば配合飼料を一部使うけれども、現在の配合飼料の表示が成分表示になっている。それを原料の表示にして末端農家でこれを、何と申しますか、それぞれの判断に応じて、経営に応じて配合して家畜に給与するのが最も適切であるというような御要望がございまして、この点については表示義務は成分表示ということに現在の飼料の品質改善に関する法律がなっておりますのですが、指導としても、今後制度改正等におきましても、積極的に検討しなければならぬというふうに考えております。
#226
○小笠原貞子君 それじゃ、農家が希望しているのがあたらなくて、一括メーカーのほうに、とんとやっちゃって、不便をかけているということが、現実になかったとおっしゃるわけですか。
#227
○政府委員(大河原太一郎君) 先ほどもちょっと触れましたが、単体用大麦については、実需に見合いました政府の売り払いを行なってきておるつもりでおりますし、今後もそのつもりでおるわけでございます。
#228
○小笠原貞子君 それじゃ次に移らせていただきたいと思います。
 具体的にお伺いしますけれども、横浜の本牧埠頭、赤旗で発表しましたから、もう御承知だと思いますけれども、本牧埠頭のはしけだまりで、つないであった蔵ばしけ第八新勝丸というのをうちのほうで調べました。六月十五日に本船から積みかえたアメリカ産大豆かす四百トンが積んでありました。この所有者は昭和産業という配合飼料メーカーで、輸入代行者は伊藤忠になっております。税関も通さずに、六月段階で入っているのですから、調べたのはこの間なんですから。税関も通さないで、長期にわたって滞貨しているというようなことが行なわれているわけなんですね。それで、おたくのほうにも調べるようにということで、お調べになったというのを伺ったんですけれども、具体的な事実としてお調べになっていらっしゃいましたか。
#229
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げますが、これは個別の事実についてもわれわれ調査いたしましたが、一般的に申し上げますと、御案内のとおり、この春から夏にかけまして各種の輸入貨物が急増いたしまして、特に穀物は食糧庁関係の食糧小麦や飼料穀物等の輸入が急増したわけでございます。
 その原因といたしましては、春先にガルフに集中して船積みが停滞したものが、集中的に到着してきたとか、あるいは、このような国際的な飼料穀物原料の需給事情から見まして、メーカーが、通常のランニングストックをふやしたというようなこともございますし、さらに、飼料穀物の代替としての過剰米の放出というようなことで、たとえばトウモロコシ、マイロ等見ましても、六月末には通常〇・八カ月から一カ月の国内在庫が、ランニングストックが一・六カ月ぐらいになっておるというような状況でございます。したがいまして、そのようなものとしての到着のあれが従来のランニングストックよりも非常に上回った。したがってサイロ、倉庫等の施設能力を越えたというために、はしけ滞船が起こったというようにわれわれは認識しておるわけでございまして、いわば問題としては、むしろサイロとか、倉庫とかの収容力が平時における、通常のランニングストックを前提とした収容力だという点が今後の問題かと思うわけでございますが、特殊な事情のもとに出てきたものというふうに判断しております。
#230
○小笠原貞子君 それで調査なすった中で、いま言ったように正常な流通ルートに乗らないで滞貨しているというようなものですね、滞貨していますね、さっき言ったように横浜なんかに。お調べになったわけなんでしょう。それでお調べになったら、どういう飼料だったかというその品物、それから数量、それから入り切らないから何日間も滞貨されていたということや、その所有者や輸入代行者というようなものもお調べになっていらっしゃれば、資料としてこちらのほうにいただきたいと思うんです。よろしゅうございますか。
#231
○政府委員(大河原太一郎君) はい。ちょっと……。
#232
○小笠原貞子君 いいです。時間が四十八分までなんです。だから、それを資料としていただきたいということで、あとでお伺いしたいと思います。
 それで、あともう一つ二つあるんですけれども。これが六月に入港したもので、そして古々米がちょうどそのときに切れたわけですよね。だから私たちに言わせれば、これはもうほんとうに投機の対象として押えていたんだなというふうに思わざるを得ないわけですわ、客観的に見て。おたくは違うとおっしゃるかもしれないけれども。だから、そういうふうに私たちとしては、ちょうど古々米の切れるときを待ってずっと滞貨しておいてそれであと売り出そうということになるんじゃないか。その辺のところも気をつけて客観的に見ていただきたい、それなりの措置もしてほしいというのが要望なんですよ。
 それで問題は、暑い中でしたからね、だから虫がついたり、それから、調べてみたら、ふすまのペレットにカビまではえているというのがあったわけですよ、この間の段階で。そうしますと、こんな粗悪品が配合飼料に入れられてしまえば、これはまたちょっと問題になりますでしょう。虫なんか薫蒸すればいいとおっしゃるかもしれないけれども、カビなんか薫蒸しても専門家に聞いたら、だめだというふうな御意見だったんですよね。そうすると、こういうものに対してそういう悪いのをまぜて売り出さないようにというチェックをすることですね。それから検査するというような体制というものを考えていらっしゃるのか。そういう体制が現実にあるのかどうか。そういうことについて、メーカーにこういうのをどうするんだということで、処理できるのかどうかということで、メーカーのほうからきちっと報告をさせるということをしていただかなければ、そういうものがまざってしまってということになると思うんですけれども、いかがでございますか。
#233
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げますが、先ほどの先生の御質問の中で、正規のルートと申しますが、輸入する大豆かすその他飼料につきましては、メーカーが発注いたしまして商社がこれを代行する。それで到着したものは本船原則渡しということになっておりまして、昭和産業の手になっておりますが、陸揚げ、倉庫搬入までは商社が代行しておるというような関係でございます。したがいまして、商社サイドから値上がりを待つというようなことはございませんし、また、先生御指摘のように過剰米に――大豆かすはたん白質系でございまして、実は過剰米等のトウモロコシ、マイロの代替関係があるものではないというふうに私ども判断しておるわけでございます。
 なお、最後の点では、大事な点でございまして、確かに配合飼料価格等が値上がりいたしますと、原料の粗悪という問題が出るわけでございまして、これについては当委員会におきましても、春の値上がりの際も、品質の検査を厳格にしろということでございますので、私どもといたしましても、全国六カ所の飼料検査所及び各県の飼料検査室がございますので、それらを督励いたしまして、抜き取り検査等をさらに厳重にするということで、指導通達等も、すでに四月段階で出しましてやっておりますが、御注意もございますので、一そうその点をはかっていきたいというふうに考えております。
#234
○小笠原貞子君 で、その検査する人員やなにかで、相当の滞貨があると思うんですけれども、抜き取りくらいでやるということになると思うんですけれども、その体制、だいじょうぶですか、やれますか。
#235
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げますが、飼料メーカー等は、全農以外に約七十社ございまして、工場所在地もはっきりしておりますし、またルーチンの検査を従来もやっております。これらの点について、さらに一そう密度を濃くいたしまして検査をすることによって、御指摘の御心配のないような措置をはかっていきたいというように考えております。
#236
○小笠原貞子君 たいへん専門的な御答弁をいただきましたけれども、まだちょっと、具体的に私たちの立場から考えれば、いろいろと検討させていただきたいことがございますが、きょうはそれじゃこれくらいにして、この次にまた続けてやらせていただきたいと思います。
#237
○理事(初村滝一郎君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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