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1972/04/12 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第4号
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1972/04/12 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第4号

#1
第071回国会 社会労働委員会 第4号
昭和四十八年四月十二日(木曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十三日
    辞任         補欠選任
     中沢伊登子君     向井 長年君
 四月三日
    辞任         補欠選任
     向井 長年君     中沢伊登子君
 四月五日
    辞任         補欠選任
     加藤  進君     小笠原貞子君
 四月六日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     加藤  進君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         矢山 有作君
    理 事
                玉置 和郎君
                丸茂 重貞君
                大橋 和孝君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                川野辺 静君
                君  健男君
                斎藤 十朗君
                高橋文五郎君
                山下 春江君
                須原 昭二君
                田中寿美子君
                藤原 道子君
                柏原 ヤス君
                中沢伊登子君
                加藤  進君
   国務大臣
       労 働 大 臣  加藤常太郎君
   政府委員
       防衛施設庁労務
       部長       松崎鎮一郎君
       大蔵省理財局次
       長        小幡 琢也君
       中小企業庁計画
       部長       原山 義史君
       労働大臣官房長  藤繩 正勝君
       労働省労政局長  石黒 拓爾君
       労働省労働基準
       局長       渡邊 健二君
       労働省職業安定
       局長       道正 邦彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       総理府人事局参
       事官       大林 勝臣君
       防衛施設庁施設
       部連絡調整官   奈良 義説君
       大蔵省銀行局銀
       行課長      清水  汪君
       労働省婦人少年
       局婦人労働課長  赤松 良子君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○労働問題に関する調査
 (労働行政の基本施策に関する件)
○駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(矢山有作君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 社会保障制度等に関する調査中、心身障害者対策に関する件について参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(矢山有作君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(矢山有作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(矢山有作君) 労働問題に関する調査を議題といたします。
 本日は、労働行政の基本施策について質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○須原昭二君 先般の労働大臣の所信表明について、これに関連をしてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、労働省のあり方でありますが、労働省の設置法の第三条、それを通覧をいたしますと、第三条「労働者の福祉と職業の確保とを図り」とありますけれども、この労働者の福祉という「福祉」の概念についてどう大臣はとらえられているのか、この点について、まず冒頭から所信をお伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(加藤常太郎君) 労働省設置法の三条をいま御質問でありますので見ましたが、もらうのとおりはっきりと載っておりまして、第三条は、「労働者の福祉」という問題は、「福祉」というのは、なかなかこれは広範にわたりまして、定義といってもいろいろな見方がありますが、「労働者の福祉」ということを端的に言いますと、労働一者の生活の向上と、そして生活が豊かになる、簡潔に申し上げましてそれが定義と申し上げてもいいと思います。それと、老後に対するいろいろな安心できる対策とか、いろいろな問題が福祉の中には、包括いたしておりますが、端的に言うと、生活の向上とそして豊かな生活と、こう解釈いたしておるところであります。
#8
○須原昭二君 岩波の辞典を見ますると、「福祉」というのは「しあわせ。幸福。」、福祉の「祉」というのは「天のくだす福が身にとどまる」と書いてある。また、もう一つの「福祉」をひもといてみますと、「消極的には人間の生命の危急からの救い、積極的には人間の生命の繁栄。」と書いてある。しかし、そのまくらにこれは宗教用語だと書いてあるんです。すなわち、恵みを与えてやる、貧しい者を助けてやる、救貧ということなんですよ。したがって、恵みを労働者に与えてやる、貧しさを助けてやるというような、いわゆる宗教でいろ私は慈善の域を脱しないんじゃないかというようなことを労働省の日ごろの行政から見て感ずるわけなんです。特に憲法第二十五条にいう、すべての国民は、「最低限度の生活を営む権利を有する。」と、こう書いてあるんですが、労働大臣の、労働者の福祉をはかることと、この「福祉」と、この憲法でいう「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とあるこの「権利」とこの「福祉」をどう関連をしてお考えになっておるのかお尋ねをいたしたいと思います。
#9
○国務大臣(加藤常太郎君) 憲法二十五条、いま拝見いたしておりますが、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と、こういうことを憲法にもいっておりますので、当然やはり、労働者も国民の大多数を占めておりますし、また基準法とかいろいろな法規においても労使は対等に立って、そしていろいろな福祉の面も当然受ける権利があると、こういうことを憲法でもうたったものと思います。労働省は、この二十五条並びにその他の法規の面を心から尊重いたしまして、それに即応するような労働行政をやる所存であります。
#10
○須原昭二君 まず冒頭にお願いしておきたいことは、やはり私は、福祉というようなばく然とした概念、そういうものではなくして、いわゆる恵みを与えてやるんだと、貧しさを助けてやるんだという、上から与えてやるんだというような慈善の考え方、慈善というような域を乗り越えて、やはり人権、権利として働く者のしあわせを願うような、そういう労働行政をやってもらいたいと思うんです。それを冒頭ひとつお願いしておきます。
 第二点は、同じく第三条、労働省設置法の第三条でありますが、「経済の興隆と国民生活の安定とに寄与するため」と、こう書いてある。まずこの「興隆」とはとういう意味なのか――国語の時間じゃありませんけれども。
#11
○国務大臣(加藤常太郎君) この三条の後段に「経済の興隆と国民生活の安定とに寄与する」と、こういう文章がありますが、これは前段の「労働者の福祉と職業の確保」と、これが重点で、まあこれはほかにも私かような文章を見たこともあるような感じがいたしますが、いま調べておりませんが、やはりこれは経済の興隆というものも重要であると、国民生活の安定に寄与することも当然であると、経済の興隆が先か、国民生活の安定が先かといういろいろな説もありますが、この点につきましては官房長が専門的によく研究いたしておりますので、「経済の興隆」の問題については官房長からひとつ。
#12
○須原昭二君 ちょっと待ってください。官房長に責任を転嫁されないように、大臣の所信表明に対する私は質疑なんですから、官房長は第二義的です。
 そこでこの「経済の興隆」の「興隆」というのは、今度は三省堂の国語辞典ですよ、皆さんお手元にあるでしょう、「興隆」とは「勢いがさかんになること」と書いてある。「経済の興隆」というのは、いまは国際的に批判、非難を受けておる日本の高度経済成長、日本の異常なほどの海外経済進出を思い起こさせることばなんです。少なくとも労働省は、いま併立だとか、あとに書いてあるとかいうお話でございますが、少なくとも労働省は、「経済の興隆」を先にうたうのではなくして、「国民生活の安定」を先に書くべきだと、私は実は思うわけです。国民の生活の安定、とりわけ労働者の生活安定を重点に、しかも優先に考えるべきであると私は思うわけで、それが労働省の私は任務ではないかと実は思うわけです。御案内のとおり、労働省設置法は制定が昭和二十四年の五月三十一日だったと私は記憶しておりますが、このときに設置法ができたんですから、あの戦後の廃墟の中から立ち上がって経済復興しなければならない、そういう時代につくられた表現なんだ。そのときの表現としては、これは至言であったかもしれませんが、いまや世界からエコノミックアニマルだといって批判されている日本の、この労働省設置法の表現というのは時代錯誤だと私は言って間違いないと思うわけです。ことばをかえて私が表現をするならば、「経済の興隆」とは産業経済の発展を意味する。それからもう一つ、「国民生活の安定」というのは福祉経済の増進だと私は思うんです。そうでしょう。したがって、いまや産業を、これだけ異常に発展したものは少しでも、多少は犠牲にしても福祉経済に切りかえるべきであるという――そういう時代には即応しない労働省の任務の規定だと私は思うんです。そこで、これは表現上の問題ではありますが、労働省の任務を規定した設置法としては私は表現として適当ではない。これは改正しなさい。そして、こうした表現をこのままに放任しておるところに今日の労働省の労働者不在というか、労働者を軽視というか、そういう労働行政の体質がここにあると私は言っても過言ではないと思う。これは大臣の所見を承っておきたい。
#13
○国務大臣(加藤常太郎君) この点は、二十五年前にこの設置法ができたのでありまするから、どうもいま須原さんのお説を聞くと、これはまた一つの理論があります。しかし、国の場合には経済の興隆が先か国民生活の安定が先か、経済が興隆しなければ生活も安定せぬと、いろいろな見方もありますので、いまの現状から見ますとどうも国民生活の向上が先だと、こういう見方もありましょうけれども、法制定のとき並びにこれは法文の専門的のことにわたりますので、御趣旨は十分わかります。そういうので今後大いにこれに対しまする検討もいたしたいと思います。
#14
○政府委員(藤繩正勝君) いま設置法の三条の問題は、先生がおっしゃいましたように二十四年にこの労働省設置法ができております。それ以来、労働省の任務はこういう任務だということでやってまいりましたが、確かにお説のように労働者の福祉を大いに重視すべきだ、特にその福祉という意味におきましても、いわゆる恵みということじゃなくて権利としての福祉というお説、まことに私ども同感でございます。今日の経済の現状からいたしましても、従来の貧困あるいは失業というような観念よりも、労働者生活、豊かな生活という点に次第に力点を置いていくというように私ども考えておるところでございますが、そこでこの経済の興隆という表現につきましては、私どもは直接には労働者の福祉と職業の確保をはかるということが労働省の任務である、そしてその結果として経済の興隆あるいは国民生活の安定に寄与するということだと思いますけれども、先生が御指摘のように、経済の興隆が先だというような誤解をもし生むとすれば、それは問題であろうかと思います。そこで、私ども、実はこれから政策課というような課もつくりまして、大いに長期にわたる労働政策を研究したいと思いますので、その中で十分研究させていただきたいと思います。
#15
○須原昭二君 そこで、やはりそういう、これは設置法の任務ですよ、労働省の方向なんですから、きちんと位置づけなければだめですよ。ですから、この点は検討するということですから、早急にひとつ御検討願いたい。
 そこで、産業よりもわれわれはいま国民生活、特に労働省としては働く者の生活の安定を優先にしていかなければならないことはいまお話しのとおりなんです。しかし、現実にやっていることは反対なことをやっているんだ。具体的な例を一つ申し上げましょう。昭和四十六年の五月、これはまだ二年ぐらい前の話ですが、労働省は勤労者財産形成促進法というものをつくっているわけだ。労働者の、働く者の賃金から控除する方法で事業主を通じて貯金を行なって、そして勤労者の財産をつくってやろう、こういうことで一年以上据え置き、百万円までは利子あるいはまたそれによるところの収益に対しては税金をかけない、こういうささやかな恩典を与えて法律をつくられている。しかし、よく調べてまいりますと、四十七年、昨年の九月末日現在で五十六万人の労働者がこれに参加している。そして、預金の預け入れが百三十億円に達しているわけです。ここにも私は資料を持ってきておりますけれども、都市銀行だ、信託銀行だ、中央銀行だ、証券会社だ、たくさんのところへ投資がされておるわけです。御案内のとおり、公定歩合の金利も昨年引き下がった。金の価値は物価の上昇とともにどんどんどんどん下がっていく。財産形成どころの騒ぎではないんですよ。預金すれば財産が減っていくんですよ、今日の状態で。そして、勤労者には持ち家をやるんだやるんだと言ったって、こんなものは土地がどんどん高騰してしまってもうはかない夢になっている。そして、預けられたお金はどこへいっているかといえば、大きな資本家の経営に回す資金の運用に回されている。そうでしょう。そして勤労者財産形成審議会なんかが昭和四十六年六月に発足をして、そうして何かいま財産形成政策の基本方針を策定しておるらしいけれども、どういうことですか、これ。これは労働者の金を集めて労働省が経営者に回している、そうして労働者の財産を少なくしている。だから私は先ほどそういっておるように、この経済の興隆が先にきて国民の生活があとにきておる、これは切りかえなさい、経済の興隆という名前はだめだ、だから本質的に、基本的に労働省の任務というのはおかしい。だからこれは抜本的に変えなさいということを具体的な問題として提起をしたいと思いますが、どうですか。
#16
○政府委員(渡邊健二君) 勤労者財産形成促進法につきましては、いま先生御指摘のような制度ができておるわけでございます。私どもはしかし、これは労働者の福祉向上のためにこういう制度を考えて、また推進いたしておるわけでございまして、勤労者の財産形成貯蓄につきましても百万円までの利子の非課税のほかに今年は租税特別措置法の改正によりまして持ち家取得を目的とする財産形成貯蓄につきましては、その年の貯蓄額の六%、最高限度三万円まで、これは一般の持ち家貯蓄でありますと四%、最高限度二万円になっておりますが、特に優遇をいたしました所得税減税等の措置も今国会に提出をいたしておるわけでございます。
 なお、さらに勤労者が財産形成貯蓄をいたしました資金につきましては、単に金融機関に預けておくだけではなしに、これはことしの四月から企業に対する分譲住宅融資というものを始めることになっております。すなわち、この財産形成貯蓄制度を運用いたします雇用促進事業団が四十八年度から事業団債を発行いたしまして、それを財産形成貯蓄を預かっております金融機関に引き受けさせる。そうして集めました資金をもちまして財産形成貯蓄をしております事業主に、取り扱っております事業主に持ち家分譲融資というものを始めます。今年度百億の規模において行なう予定にいたしておりまして、それによりますと、その事業主が分譲住宅を建て、そうして財産形成貯蓄を行なっております労働者に事業主がいろいろの利子の一部負担とかその他の援助をしながら分譲する、こういう仕組みが財産形成促進法によって規定されております。その分譲住宅融資が今年から始まることにもなっております。ただし、先生御指摘のようにそれにつきましても最近の地価の高騰等はこの円滑な推進に非常にデメリットになるということを私ども心配いたしておるわけでございます。地価高騰の抑制につきましては、政府全体としていま努力をいたしておりますけれども、私どもといたしましてもまたこういう状況にかんがみまして、財産形成貯蓄制度をさらに改善をするためにはどうしたらいいかということを審議会等で御審議いただいておりますので、その結果等をみましてほんとうに財産形成貯蓄をしている労働者の福祉の向上になるようにこの制度の拡充改善につとめてまいりたい、かように考えております。
#17
○須原昭二君 地価公示価格ですね、私もこの間問題にしたのですけれども、去年から三〇・九%上がっているんですよ。そういう状態でささやかな労働者の家庭の持ち家制度というのはもうはかない夢になっている。ささやかな貯金ですよ、これはほんとうに労働者にとっては命のかてなんです。その金利が下がってしまう、金の地価がなくなってしまう。おまえの財産を多くしてやるんだという美名のもとに金を集めたんだから、金利が下がった、価値が下がったといったら、ただ自由意思で銀行預金した人ならともかく、こういう名前で金を集められた以上はその損害の補てんを私は労働省は積極的にやるべきだと思いますが、その具体的な方策はありますか。
#18
○政府委員(渡邊健二君) 一般的な金利あるいは地価高騰の問題、これは国民全般の問題でございますので特別にそれについて、この財産形成貯蓄についてだけということは非常にむずかしいと思いますけれども、しかし、こういう状況の中でこの財産形成貯蓄を一そう改善していく。このためにはいろいろやはり制度自体についても検討しなければならぬと存じます。それらにつきましては……
#19
○須原昭二君 損害の補償。損害の補償はどうするんだ。
#20
○政府委員(渡邊健二君) ただいま申しましたように、いま審議会でそういう問題をいま御検討願っておりますので、労働者の福祉の促進になりますよう、今後十分この制度の拡充、改善をはかってまいりたいと、かように考えております。
#21
○須原昭二君 ちょっと御注意申し上げますがね、私は、損害の補償をどうするかといって聞いているのに、あなたはよその話をしておってかなわんわ。やっぱり問題はちゃんと質問の課題、中心の課題をそらさぬように答弁してください。
 その損害は、金利が落ちた、金の価値が落ちていった。おまえの財産をつくってやるのだと、こういって集めた金が、財産が少なくなっていくんですよ。その損害をどうするかということを聞いているのだ。ほかの話をしておってもらっては困る。その点に、直接私が質問したことにまっ正面から取り組んで答弁しなさいよ。
#22
○政府委員(渡邊健二君) ただいま、ですから先生の御質問に対しまして、これはそういう利子率が下がったとかあるいは地価全般の高騰とかという問題は、これは全般の問題でございまして、この財産形成貯蓄をした人だけの問題ではございませんので、そのためだけに特別の補助をするというようなことは困難ではないかと考えておるということを申し上げたわけでございます。
 しかし、困難だからといってほっておくのじゃなくて、制度自身の改善を別途考えなければならぬと考えておるというふうにお答え申し上げておるわけで、決して質問をはぐらかしたお答えをしておるつもりではないわけでございます。
#23
○須原昭二君 私が言っているのは、おまえさんの財産を多くしてやるよ、形成してやりますよと、こういう形で法律がつくられているんだ。それでみんな金を集めていて、その金が下落をしていくんですから、当然これは私は補てんをすべきだと思う。大臣、どうですか。
#24
○国務大臣(加藤常太郎君) 須原さんの御質問は、なかなか理論がありますが、まあ国民……
#25
○須原昭二君 理論があって実践がないわけだ。
#26
○国務大臣(加藤常太郎君) 労働者だけでなく国民全体が地価が上がった。
#27
○須原昭二君 自由意思でやっているやっと違うんだよ。
#28
○国務大臣(加藤常太郎君) 片一方のほうの金の価値が下がったということになると大損害だという見方もありますけれども、さっそくこれを国が損害を賠償するというような制度になると、これはもうたいへんなことになりますので、その趣旨は十分わかります。財産形成をただばく然と個人個人が銀行に預金するよりはやはりこれを今後の老後の生活なりマイホームなり、また必ずしも私の言っておるのは財産形成法が、促進法がりっぱな法律だと、こうは思っておりません。これに対する改善、これに対する実効性のある対策をいま検討中でありますが、御質問の、さっそくその損害を賠償せいということに対しましては、いまここで国政全般にわたることでもありますので……
#29
○須原昭二君 全般じゃない、関係ないそんなもの。
#30
○国務大臣(加藤常太郎君) いまさっそくこれに対して賠償するとかせぬとかいうことは、これは申し上げかねると思います。
#31
○須原昭二君 私は、全般的な問題じゃないんですよ。銀行がかってにやっている貯金、預貯金と違うんだ。労働者に、おまえさんの財産をつくってやるから預金しなさいと勧誘しておいて、そして価値が落ちてしまったんだ。だから、物価スライドに応じてそれを何とかしてやるとかいうような、そういう補てんの道は当然考えるべきですよ。これは詐欺だ、私に言わせれば。詐欺ですよ。
 時間がありませんからあまりくどく言いたくありませんが、何か全般的なことばかりに目をはぐらかして本質論をあなた、ぼかしているじゃないですか。あなたたちが勧誘したんじゃないですか。やりなさい、預金をしなさい、そうしたら持ち家ができます。金の価値がどんどん下がっていくんだ。スライドさせるとかあるいはまたこれに対する、損害に対する補償をするとか、当然それは考えるべきだと思う。どうですか。のらりくらりの答弁、やめなさいよ。
#32
○政府委員(渡邊健二君) 財産形成貯蓄も……
#33
○須原昭二君 簡単にやりなさいよ。
#34
○政府委員(渡邊健二君) これは強制ではございませんで、貯蓄をするかどうかということは、これは個々の労働者が自由意思によってやっていただく、こういうたてまえになっておるわけでございまして、当時この法律ができましたときも、これは物価が全然上がっていなかったわけではございません。ただ、当時よりもその後一段と強くなったという点はあるわけでございますけれども、やはり政府といたしましても利子の非課税であるとか、あるいはその後、所得税減税等の処置も講じておるわけでございまして、一般の物価、地価が上がったからといって直ちにその損害をいま補てんするということは、なかなかむずかしいのではないかと考えます。
#35
○須原昭二君 それで労働者は損をしたんだ、借りている企業はもうかっているんだ。そういう本質論の一つの例としてやったんだけれども、あまりのらりくらりするから、これは時間がかかってしまうので、私、次にいきますけれども、この点は本質的な問題ですよ。政府が少なくとも法律をつくって労働者を助けてやろう、財産をつくってやるといった法律だったら、損害が出たらこれは補てんするのはあたりまえなことじゃないですか。この点だけは要望しておきましょう。
 それから、まず所信表明の中に具体的に書いてありますが、第一にといって、労働大臣は今度は胸を張って強調されております目玉商品が、重点対策として五つあげられておる。その目玉商品の第一が何といっても週休二日制の促進であるとこういっておるわけです。そこで、「週休二日制については、そのすみやかな普及をはかるため、関係者に積極的に働きかけるとともに、業種、地域等の実情に即した方法で、計画的、段階的に指導援助を進めていきたいと」こう書いてある。これは第一ですから、一番あなたの目玉商品ですよ。そこでお尋ねしますが、週休二日制と労働時間の短縮は、いまアメリカや西ドイツやカナダやイギリスなどは土曜日、日曜日は週休二日制が原則ですよ、原則です。そしてまあ週休は一日制だというのが例外になっているんです。世界の傾向は少なくとも労働時間は年間二千時間以内が常識になっている。あたかも目玉商品のようなことで言いますけれども、これは時代のおくれを取り戻すだけのことなんだ。まあしかし打ち出されたことについては敬意を払いましょう。そこでこの問題については、日本の異常な海外経済進出に対するこの低賃金構造、過重労働時間の国際的な批判と非難にこたえるものであることは当然なことです。そこで大臣の表明の中に、当面の労働政策の目玉商品として定年制と、それから目玉商品であった週休二日制を打ち出しておられるんですが、非常に積極的なポーズをとっておられるように見えるけれども、これは何だかポーズのような感じがしてしようがない。はたしていかなる計画で、実際に、具体的に措置をとっていかれるのか、はなはだ私は労働省の行政を見ていると疑問でたまりません。したがって具体的に一つ一つ聞きますが、時間が非常に少ないそうですから、ですからくだくだ答弁をしないで、イエス、ノーと端的にひとつ御答弁をいただきたい、いいですか。どうも労働大臣は余分なことをしゃべり過ぎる、簡単に要領よく答弁していただきたい。
 まず所信表明にある「すみやかな普及をはかる」とは、いまから何年後、何月後全労働者に適用するつもりですか。
#36
○国務大臣(加藤常太郎君) 五年間の予定であります。
#37
○須原昭二君 五年間ですね。「関係者に積極的に働きかける」と言っておりますが、その「関係者」とはだれをさしますか。
#38
○国務大臣(加藤常太郎君) 労使全般であります。
#39
○須原昭二君 労使全般と言いますけれども、いろいろあるんだ。いわゆる銀行主導型ともいい、民間大資本主導型ともいいあるいは官公庁主導型ともいわれておるんですが、労使というとすべてがそうなんですけれども、その点はどうなんですか。そういう抽象的ではいけませんよ。
#40
○国務大臣(加藤常太郎君) ちょっとこれはなかなかどうも簡単にイエスかノーと言えというから、イエスかノーと言うと、ちょっとことばが足らぬし、どうも歯車がかち合いませんが、やはり民間並びに銀行これはまあ私の全部が管轄ではありませんが、官公庁、中小企業、零細企業、こういう全般に対しまして、先般、経済社会基本計画でも構想を発表いたしましたが、その線に沿って推進いたす所存であります。
#41
○須原昭二君 七二年の十月三十日、労働大臣の私的諮問機関――私、私的諮問機関というのは、この存在は非常になぞだと思いますけれども、まあ存在を認めることとして、――労働者生活ビジョン懇談会の答申が出ておる。それによりますと、第一に、いまおっしゃった、五年以内という問題が第一番に出てくるわけです。五年以内に全労働者じゃないんですよ、五年以内に全部の大企業を完全週休二日制にする。第二番目には、金融機関の土曜日は閉店制を実施させる。第三番目に、官公庁は民間企業の半数以上の実施後にこれを踏み切る、と、こう書いてある。答申どおりやられるのですか、それとも、いまおっしゃった五年間というのは全部を含んでおるのですか、どちらですか。
#42
○国務大臣(加藤常太郎君) 全部を含んでおるということは断言できませんが、やはり中小企業その他零細企業については、ケース・バイ・ケースと申しますか、地域的な関係、業種の関係、これは法律でいくのではありませんから、おおむね、という意味であります。
#43
○須原昭二君 その、おおむね、がおかしいのですよ。だから積極的なポーズをとりながら、あなたが大臣になってもすぐまたおかわりになるかもわかりませんし、そのときばったりの答弁で五年間五年間とおっしゃるけれども、十年になるかもわからぬのです、こんな状態でやっておったら。ですから具体的にお尋ねいたしておきましょう。労働省の調査によりますと、七一年の段階で三十人以上の規模の民間企業のうち六・五%、七〇年の段階では四・四%、労働者の数で言うならば七一年の段階では二四%、七〇年の段階は一七・九%ということになって、これらいろいろの形態はございますが、いずれにしても週休二日制を実施していくと言われておる。今後導入をするというように企業が検討いたしておるのは三六・八%、近く実施予定が六・八%、約四三%の企業が実施に踏み切ろうとしておると、報告が労働省から出ております。七二年におけるところの数値はどうなっておりますか。
#44
○国務大臣(加藤常太郎君) この週休二日制の問題は、最初われわれ計画を立てたよりは現時点においては相当予想以上に上回って進行いたしておりますので、最近の調査をまだ皆さんのほうのお手元にお届けいたしておりませんが、これについて局長から、最近の統計をいま発表いたしまして今後の対策を講じたいと思います。
#45
○政府委員(渡邊健二君) 昨年四十七年九月現在の調査が最近判明いたしましたのでそれを申し上げますと、三十人以上の企業の二二・二%に週休二日制が実施されております。労働者の割合で申しますと三五・九%でございまして、企業の割合で申しますと、昨年の六・五よりも二倍以上、それから労働者の割合でも五割方ふえておるわけでございます。
 なお、これは昨年九月の状況でございまして、今年一月に入りましても、たとえて言いますと、自動車あるいは造船なぞが隔週あるいは月三日ぐらいの週休二日制、完全週休二日制に今年じゅうに移るということをきめております。それから繊維なぞは、昨年までは実施率が一番低かった企業でございますが、一月から二月にかけましての労使の話し合いによりまして、ことしの七月から隔週に踏み切る、そして五十年ないし五十一年までに完全週休二日制に移るということを労使協定もいたしております。このように最近非常にさらに進んでおるというふうな状況にあるわけでございます。
#46
○須原昭二君 昨年より五割増しだ、こういう報告ですが、そこでさらにその問題点についてお尋ねをしますが、労働省は賃金労働時間制度の調査として毎年調査されていますね。イエスですね――。そこでいま週休制は半分、五割以上もあがってきたあがってきたとおっしゃいますけれども、その内容ですよ、問題は。週休二日制には、完全週休二日制、月三回週休二日制、隔週週休二日制、月二回二日休日制、月一回週休二日制――週休二日制といってもこういういろいろあるんですよ。土曜日を休みにしても、その労働時間だけは月曜日から金曜日まで全部振り当てる企業もある。実質的な労働時間と関係がない、たまたま二日休みにしたというだけの問題点であって、そういう問題についてどうお考えになっておるかが、第一点。
 それからもう一つは、労働省の調査によりますと、七〇年から七一年にかけて大企業を中心にして、まず大企業完全週休二日制をやらせるのだ、こういう原則の上に指導されておると思いますが、千名以上の大企業が七〇年は二六・一%、七一年は三七・八%で約四割五分増しですよ。百名一から九百九十九名の中企業は、七〇年が八・一%、七一年が一二・四%、大企業よりも多いんですよ、約五割四分増しですよ。三十名から九十九名の小企業においては七〇年が二・四%、七一年が三・三%、これはいろいろの事情があるでしょう、小企業は。合理化等々の問題が至難である、そういう点で三割七分増しと。しかしいずれにしても大企業からやる、大企業から完全実施をやるのだとこうおっしゃいますが、中企業のほうがどんどん先へ進んでいるわけです。この小企業はともかくとして、中企業より伸び率の悪い大企業をどう指導されておるのか、それが一つ。先ほど申しましたように、二日制はただ休みにするだけでなくして労働時間の関係があるわけです。そういう点はどういうふうに御指導になっておるわけですか。
#47
○国務大臣(加藤常太郎君) 私、就任当時もこの問題は事務当局とよく懇談いたしたのでありますが、週休二日制が時間短縮とつながる、こういうようなあらわし方ではなかったのでありますが、私はこれはもう間違っておる、週休二日制は時間短縮を前提とすべきものであると、こういうように最近ここ数ヵ月間に相当変更さしたつもりであります。当然今後、ただ月三日四日休むといっても、これは時間が延長する場合には意味がありません。そういう意味で、時間短縮が先か、週休二日制があとかという議論よりは、週休二日制と時間短縮は表裏一体、そして今後時間短縮を必ず前提としてやるべきものであるという、週休二日制に対する時間短縮の行政指導で今後推進いたします。
#48
○須原昭二君 ただいまの労働大臣の答弁は初めてちょっと満足できるものです。週休二日制と時間短縮は表裏一体、一緒にやられるべきだ、この原則は確認をしておきます。その方法でやらぬとだめなんですよ、これは。特に局長あたりの皆さんの行政指導は徹底をしていただきたい。
 そこでこれは資料を要求しておきますが、委員長を通じて。七二年度における七〇年、七一年、七二年と、大中小企業の週休二日制の実施、そしてその週休二日制の内容の形態によって差がございますが、それをひとつ一覧表にしてお出し願いたいと思います。
 続いて、金融機関の問題に関連をするわけですが、お話をしていきますと、まあ答申によりますと、第二番目に、金融機関の土曜日の閉店制の実施ということになっているわけです。いま、さまざまな論議を呼んでおることは、労働省自身でも、政府自身でも、民間企業が主導的になるのか、金融機関が主導的になるのか、あるいはまた、官公庁が主導的役目を果たすのか、さまざまな私は議論を呼んでおるのではないかと思うわけですが、大企業として、この答申の段階で第二番目になっておる金融機関の土曜日閉店制、これは手形サイドの問題、取り扱いの問題等々はじめ銀行法の改正が必要だ私とは思います。そうしなければたいへんなことになるわけで、そういう点について大蔵省との協議の進行状態、そういう問題は当然はかられていると思うんですが、その点は労働省はどう処置をされておりますか。
#49
○国務大臣(加藤常太郎君) まあ、これは大企業優先、順位を優先するか、銀行を優先するか、官公庁を優先するか、この問題は、私の指導方針としては、まあとりあえず民間のほうを先へ進めようと。それについては民間の場合にも銀行も相当な役目を果たさなくちゃならぬと。銀行そのものは実質的には土曜日を閉店いたしませんが、一月に一回とか、二回とか、だいぶ時間短縮並びに勤務交替によって普及がなされつつありますが、決定的な問題はいま言ったようにすかっと土曜日は休むと、これが最終の目的であろうと思います。これについては、事務当局のほうも事務当局同士でいろいろ協議いたしておりますが、大臣同士の話もいろいろ何とか踏み切ってくれと。これには銀行法の改正が必要でありまして、最初スタートいたしましたときには、役所のほうから銀行協会を通じて、これはぜひやってくれと、こういう申し入れをいたしまして、銀行協会を通じ、並びに大蔵省の事務当局といろいろ折衝をすると、私は大臣と話をすると、こういう意味で閣僚懇話会にもその問題を出しまして、これは何とかしなくちゃならぬと、こういうような段階にいまきておるところであります。
#50
○須原昭二君 大蔵省銀行局長が何かお見えにならないようでして、参事官でしたか、お見えになっておるようですが、銀行のほうはそういう協会を通じてやっているんですか、どうですか。
#51
○委員長(矢山有作君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#52
○委員長(矢山有作君) 速記を起こして。
#53
○説明員(清水汪君) 私ども銀行局のほうにおきましても、先ほど先生のおっしゃいましたような問題につきまして、労働省のほうからお話を伺っております。それから、いま大臣も仰せられましたような、銀行協会に対しましても、この問題の促進につきまして検討をさせているということは事実でございます。ただ、私どものほうで現在労働省ともお話し合いをする過程で、一番ポイントだと思っておりますのは、やはり銀行のいわゆる公共性、つまり広く国民――企業も含めまして、国民一般に対するサービスと、こういう基本的な性格のものでございますので、たとえばよくいわれますように、諸外国の中で多少銀行先導型というようなケースもあるように聞いてはおりますけれども、やはりこの問題は社会経済取引一般を通じてまして、土曜日を休みにしても差しつかえないというような実態が熟成されるのと見合ってやっていくということが銀行の場合には必要ではなかろうかと、そういうことにかわりなく銀行を先に一方的に休みにするということでは、やはりいろいろ経済取引その他にも不測の混乱を招きかねない。こういうような問題があろうかと思うのでございます。
#54
○須原昭二君 いまお話、聞きましたが、協会にお話をして指導を銀行局としてやっておられるかどうかということが一つ。
 それから、週休二日制を労働大臣は五年以内にやると言っているんですから、そういうめどから言うならば、さっそく銀行法の改正等々、これは検討に入らなきゃいけないと思うんです。そういう点の事務が進んでいるかどうか。その二点だけ簡単に説明してください。
#55
○説明員(清水汪君) 第一の銀行協会の問題につきましては、これは銀行のいろいろの業務のやり方とかその他を通じまして、将来週休二日制になるとした場合にはいろいろ問題があり得るわけでございまして、そういう問題について研究をしてもらっていると、そういうことでございます。それで、たとえばその点に関連いたしまして、最近ではいろいろ銀行業務のやり方そのものにつきましても、非常にいわゆる電算機導入ということを中心にしまして業務の合理化のようなものも進んでおりますので、そういうことがやがて実施されるであろうところの週休二日制の銀行側における体制づくりの一つになるのではないかと、こういうふうに考えられるわけでございます。
 それから、法律の問題でございますが、銀行法は第十八条の改正が必要になることは申すまでもないわけでございますが、さらにそういうことと並行いたしまして私どもが必要だと思っておりますのは、やはり手形法とか小切手法、そういうような経済取引の基本を規律しております法秩序のほうでもこの問題に対応した検討が必要ではなかろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。
#56
○須原昭二君 どうもいま課長の話を聞いておりますと、あまり下へ徹底してないじゃないですか。少なくとも閣議で話し合って要請をされたのでしょう。そうしたら大蔵省は直ちに協会を通じて通達なり等々出さなければいかぬわけだ。出されておるような傾向ではない。ただ口頭ぐらいか文書ぐらいで、まあ将来なるだろうで、がんばれやというぐらいのことじゃないですか。労働大臣、銀行ですね、五年以内の何年までにやるのですか。その点を聞いておきましょう。
#57
○国務大臣(加藤常太郎君) これはまあ法律でもありませんので、労使の話し合いによって結局……
#58
○須原昭二君 閣議できめて、何をやっている
 の。
#59
○国務大臣(加藤常太郎君) いやそれは――あなた一々途中から言われたら困るので。話し合いで閣議できめたからといって、労使がその閣議の趣旨に沿って話し合いするのでありますから、閣議が絶対的なものでないことも御承知のとおりでありますので、いま私が申し上げたのは、ただPRとか宣伝でほら吹いたのではありません。その方向で言っておりますが、いま見えられておる説明員の方がもう少し全般のことを熟知せないという私は難点でそういうような関係があろうと思いますが、須原委員が、これはちょっと余談にわたりますが、これはもうやはり労働大臣が前向きで目玉商品としてやるんだと、すなわち政府はやるんだと、こういうことを申しますと、これが一つの労使の関係のにしきの御旗のごとくなって推進しておることも間違いありませんので、どうも足らぬところもありますけれども、相当な威力を発揮いたしておることもまあひとつ称賛していただきたいのであります。今後大いにこの問題は、私としても、法律によらないといっても、各部門を通じて推進いたしますことを確約いたします。
#60
○須原昭二君 まあ、この点はひとつ大蔵省と早急に話し合っていただいて軌道に乗せてもらうことですね。ラッパを吹くだけではいけません。やはり大軍がラッパによって進軍しなければいかぬですからね。木口小平じゃないけれども、ラッパをくわえただけで倒れてしまってはだめです。
 そこで、次へ参りましょう。今度は中小企業のほうへいきます。先ほど七〇年、七一年の労働省の「賃金労働時間制度総合調査」について、大、中、小企業それぞれの実施状況についてお尋ねをいたしました。そのうち小企業は三十人から九十人の企業であり、最も零細なたとえば三人だとか四人だとか、せいぜい十人だとかこういうような企業の週休二日制は、たとえ行政指導が積極的に行なわれても、今日の零細企業の体質からいって休日をふやすことは、ことばでは言いやすいけれどもなかなか至難なこと、労働時間を短縮しなくて、週休二日制ならできるかもわかりませんが、いま二つが表裏一体だと労働大臣が御表明になった以上は、今日の企業、商店、この零細な企業や零細な商店の経営者は経営もたいへんだろうし、労働者側もこれは賃金のダウンのおそれがあり、とりわけ問題になるのは、日給制で働いている労働者は、完全に収入の、その日はなくなってしまうわけですね。これに対する対応策は労働省は専門ですから、どうやっておられますか。
#61
○国務大臣(加藤常太郎君) 時間短縮と賃金ダウンを防止する、この二点は労働省の二日制に対する指導要領のこれは根幹であります。いま御指摘のように、中小企業の場合には、賃金がダウンする、収入が減少する、こういうことがあってはたいへんでありますので、かようなことがないようにいたしたいと思うし、いま御指摘の日給問題が、これがなかなか困難な点もありますので、しかし、日給の場合にもそれが影響しないように、日給の賃金の値上げ、こういうことも私は当然伴うべきものと思います。
#62
○須原昭二君 その点は非常に零細なまた労働者ですから、これを特に重点に置いてこれは早く手を打たぬと、これはだめですよ。ですから、その点は積極的に答弁される姿、よくわかりましたから……。
 そこで今度は中小企業庁見えてますか。どなたですか。
#63
○政府委員(原山義史君) 計画部長でございます。政府委員に任命されております。
#64
○須原昭二君 千名以上の大企業で、約四割の企業が何らかの週休二日制をいまとっております。それで自分の企業は完全週休二日制、いろいろのケースはございますけれども、完全な週休二日制、時間短縮を伴うところの完全週休二日制をとっておきながら、ここで問題になるのは、下請の中小零細企業には、週休を親企業、元企業と同じようにやっておるならいざ知らず、現実には零細企業やっていないのだから、少ないのだから、そういう企業までに請負支払い工賃といいますか、加工工賃といいますか、この労働賃金を依然として週休二日制を考えずに、自分たちだけはやっておいて、子供のほうの下請企業に対しては週休二日制を考えずに、普通のそういう状態をやっているような状態で、安い工賃で下請代金を計算をして強要しておる。事実あるんですから、具体的に出したいわけでありますが、時間の関係ございますから出しませんが、そういう実態がたくさん出てきておるわけです。それからもう一つは、納期の期日、自分のところは二日制をやっておいて、下請企業はやっておらなくても、土曜日まで働かして、そして納期に品物を納めなければ、もう違約金といいますか、そういうものを取る。こういう大企業の横暴が、いま週休二日制を実施した大企業は下請企業をいじめている、圧力をかけている。そういう問題について中小企業庁はどう考えておられますか。
#65
○政府委員(原山義史君) 御指摘のように、中小企業につきましては週休二日制を採用するには非常に困難な問題があることは、先生御指摘のとおりでございます。しかしながら休日の増加による福祉の増進は天下の大勢でございますので、中小企業といえども例外ではないというふうに考えておりますので、まずこの点につきまして、中小企業の団体である中小企業団体中央会あるいは県の中央会を通じましていろいろ指導してまいりたいというふうに思っております。それから先生御指摘の、親企業が中小企業に対していろいろな点で圧迫を加える、こういう問題がございますれば、これは下請代金支払遅延防止法の第四条、親企業の順守すべき事項の違反になるわけでございますので、申し出があればもちろんでございますが、私どもも、親企業とともに中小企業のほうに定期的に実態調査をいたしておりますので、どんどんそういう問題があれば見つけて公取のほうに勧告措置要求をいたしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
#66
○須原昭二君 親企業から下請の企業を守る法律として、下請代金支払遅延防止法ですか、そういう法律があることは私も知っております。しかし、現実にはなかなか手が入っておらないというのが現状なんですよ。この点は、公取、公取とおっしゃいますが、強力な行政措置やらなければ私は徹底をしないと思うんです。きょうは長官お見えになりませんからね。したがって私のほうから要望だけ申し上げておきますが、これは強力にひとつやってもらいたい。これをやらない限り中小企業に働く労働者はたくさん働かされて、低賃金で、企業そのものと一緒に倒産の傾向が出てくると思うのです。この次善の策を特に要望しておきたいと思います。
 続いて、こうして週休二日制の一般化について、時間管理の問題が出てくるわけです。時間短縮と同時にこれはまたうらはらで出てくるんですよ。そこが一つ問題になってくるわけです。資本家の側は働く者に対して時間管理というきわめて強い、勤務の形態を変えてくる、変えてきておる傾向がございます。たとえば端的に、申し上げますれば、電機労連という電機メーカーの労働組合がございますね。この労連の調べによりますと、たとえば作業量の増大高能率化六五・三%、新機種あるいは電気計算機の導入で一八・七%ノルマ制の増大、これが二二・二%コンベヤーのスピードアップ二・八%、労働密度を高める最近の合理化の、私はこれは一例だと思います。たとえば、あるいはまたタイムレコーダーの現場への、玄関じゃなくて工場の現場へ移動させる、あるいは現場到着制をつくる、あるいは現場確認主義から、交代時間、準備時間の取り上げ、勤怠管理の強化、就業時間を一〇〇%即実働時間とするというような経営者の傾向が出てきておるわけです。こういう傾向は、時間管理というものは無償の長時間労働を押しつけるものだ、これまでの残業時間込みの生産計画を定時間内に消化するように義務づける。たとえば時間オーバーをした場合、一定の持ち量を時間内にやれなかった、オーバーしてしまったら超過賃金は支給しない。交代引き継ぎ残業は認めない、こういう状態に、実は現状がなっているわけですよ。したがって、さらに交代制の勤務が拡大することについてですが、もちろんこれが、これはやはり技術が、生産技術上必然性とは、いいますけれども、私はそれよりも、資本の、ことばが強いけれども、飽くなき利潤追求と申しますか、設備投資の早期償却といいますか、量産によるコストの低減ですね、安くする、こういうことを目的とした交代制が実は行なわれておるわけです。そこで問題になるのは、この二交代、三交代の勤務状況が、たとえば日勤昼間に働く場合、夜勤の疲労度について、私ちょっと調べてみましたら、ちょうど全国自動車の労働組合の調べがあります。完全に回復し元気だと、一晩寝て完全に回復し元気そのものだと、こういう労働者は、昼の勤務は一五・八%、夜勤の場合はわずか二・二%。完全回復はしないが、何とかやれるといって無理をしているのが、昼の勤務で七三・七%、夜勤が四一・五%。回復できず疲労が残るといっているのが、昼の勤務が八・九%、夜勤が五〇・九%の高位を占めているわけです。こういうデータが一つ私のもとにあります。いかに二交代、三交代――交代制というものが身体にこたえるか、このデータで明らかになってくると思うんですが、過大な設備投資をしたんだと、時間短縮はされてしまった、土曜日がお休みだと、土曜日も働くためには二交代でやらなきゃ損だとか、こういうことで資本の側がこの傾向にあることは、非常に今度は労働者の健康、生命、そうした関係からいって、労働災害や健康の破壊の原困になっているだけに私は重大な問題だと思います。したがって、労働時間の短縮とともに勤務制度のあり方そのもの、労働省はこれは強いやっぱり行政指導を私は講ずべきだと思いますが、その点はどうですか。
#67
○政府委員(渡邊健二君) 週休二日制の実施に際しましては、先生御指摘のように、時間管理の変更の問題であるとか、それからあるいは作業方法や手順の問題であるとか、その他生産管理や労務管理全般についてのいろいろな状況を変えていく問題が出てくることは御指摘のとおりでございます。で、私どももそういう点につきましては、地方に次官通達で通達いたしました中にも、労使は週休二日制をやる場合についてはこういう問題があるんだということを的確な認識を持って、事前に労使が十分に話し合ってその処理をはかれと、こういうことで指導をいたしておるところでございます。で、したがいまして、それらの問題を労使が十分にそういう問題が起こり得るんだということを認識し合って、事前に話し合って処理いたしていきますならば、そういうデメリットを大きくせずに週休二日制を実施できるのではないかと、かように考えておるところでございまして、事実私どもが週休二日制を実施した企業につきまして、四十六年、労働者の意識調査等をいたしましたところによりましても、週休二日制をやってみると、やっぱり総体としてそれによって疲労の回復が従来よりも一そうはかられるようになっていると、こういう結果も出ておりますので、私どもは事前にそういう問題を十分に労使が意識して話し合う、それによって的確な処理をはかることが、そういうデメリットを発生させることを防ぐ手段であると考えております。
#68
○須原昭二君 きょうのいままでの御答弁を聞いておって、まあ満点ではないけれども、まあまあという答弁は、大臣の週休完全二日制という問題は完全に労働時間短縮と表裏一体、それを前提にするものである、この答弁だけはいい答弁だったと思うんです。それを前提にして私はものを考えますよ、今度は。もしそうだとするならば、いま大蔵省の銀行局もあるいは中小企業庁のお話を聞いておっても、たとえば官公庁の中においても官公庁は一番最後にやるんだと、民間企業が大体大半が終わってしまったらやるんだと、こういうことでばらばらなんですね。もうすでに官公庁においても愛媛県がやっておりますし、東京都の水道局がやっておりますし、ことしからは大宮市でも実施が予定になっている。地方自治体の中でもずうっと進んでいるんですよ。こういうばらばらな状況では非常に私は官公庁そのものもやりにくいと思う。したがって労働省が、やはりここで強い姿勢を示さなければならないわけですが、そこで現在の労働基準法の三十二条は、もはや私は世界の潮流から見ても昔の古文書ですよ、こんなものは。そうではないですか。世界の潮流は、もうそうなっているのですから、もう労働基準法の第四章ですか、第四章の「労働時間、休憩、休日及び年次休暇」の項、こうしたものは古文書です。古い文書です。現実に即すように、もう官庁主導型だ、ほれ民間大企業からだ、金融機関は、土曜日は第二番目だと、こういうことを議論しておっては、もう船が山に上がってしまって、五年間、五年間とおっしゃるけれども、五年たったらまた五年先だと言わざるを得なくなると私は予期をいたします。したがって、こういう世界の潮流からおくれておる。この世界の流れのおくれを取り戻すためにも、やはり一斉に時間短縮をする、そういう基本のもとに労働基準法そのもの、第四章を私は改正すべきだと、直ちに改正の準備に入るべきだ、こう思いますが、その点労働大臣はどうですか。
#69
○国務大臣(加藤常太郎君) 御指摘のとおり、基準法はもう二十数年前で、だいぶ古色蒼然だという見方も、これはあると思います。しかし基準法そのものを、法律を何年目ごとに変えるということもなかなか困難な点もありますし、ただ、時間の問題だけでなくその他いろいろな規定も、各方面から基準法の改正をしたらどうかという意見が相当私の手元にもきております。そういう意味で、この問題もこれは研究しなければならぬ、これは答弁のための答弁とか、隠れみのということでなく、この問題の研究会を労働省に設置しまして、ほかの研究審議会よりは御熱心で、週一回必ずこれの問題に取り組んで各方面の意見をよく調査し、そしてこれに対するいろいろな答えも出ておりますが、ぼちぼちこれに対する検討の段階に……。
#70
○須原昭二君 ぼちぼちじゃない。
#71
○国務大臣(加藤常太郎君) ぼちぼちでは御不満のような顔でありますが、まあできるだけ早く――これが改正の検討の段階に入っております。しかしいまさっそく、ここでさきのようにおほめのことばをいただきましたが、表裏一体のごとくさっそくやるというところまでは――各方面のいろいろな意見がありますが、そういう意味で鋭意検討の段階に入りつつあるという御報告を申し上げます。
 それから、ばらばらであるがという問題も、これは確かにそういうばらばらな点もあると思います、二日制については。特に官庁などは、関係官庁はなかなか私の思想と合致しない点もなきにしもあらず、こういうような意味で、二十日に特にこの点を考慮いたしまして、関係閣僚の二日制の懇談会も開いて、銀行のいまの問題、それから各官公庁の二日制の問題、これもただ、いまのようなまあまあというような感じでなく、やはり前向きで具体化するようにひとつ進めてもらいたい。これをリードいたすような方向でいっておりますが、基準法の問題は、本題に戻りますが、いま申し上げたような方向で進めたいと思います。
#72
○須原昭二君 私は、労働基準法全般が古色蒼然だということはわかる。しかし、いいことは先にやればいいんじゃないですか。どうも労働省は労働基準法を変えようと思っていられるのですけれども、悪い方向ばかり一生懸命探索されているんではないですか。その点を念を押しておきますよ。そういうことはありませんね。
#73
○国務大臣(加藤常太郎君) いまの御意見の悪い、いいという観点でありますが、労働省のほうで考えておることがいいと思っても須員議員から、それは悪い点もあるかもわかりませんが、労働基準法全体に対していい方向に、労働者の地位の向上、対等の立場、生活の向上、福祉の向上、あらゆる面からこれは検討いたしております。特に時間短縮の問題が、いまだに四十八時間を厳守しておる中小企業もありますのでぼちぼちとここらでよく――まあぼちぼちと、御不満でありますが、前向きで鋭意検討するような方向に大いに研究いたします。
#74
○須原昭二君 まあ表現はこれはもう口ぐせのように見えますがね、口実を使われるにしてもぼつぼつじゃいかぬですよ。鈍行の汽車のようなことを言っとってはだめですよ。時代の潮流、世界の流れに従ってこれをおくれを取り戻すためにほんとうにやっぱり労働者が希望を持って働けるような――やはり労働者の味方でしょう、労働省は。そこですよ。その視点に立って考えるならぼちぼちと言っとってはいけませんよ。改悪のことは絶対やらない、こうおっしゃいましたから、労働者のためになることを考えていただいて早くこの労働基準法を改正していただくように、第四条。
#75
○国務大臣(加藤常太郎君) いまの関西弁でぼちぼちというようなことば適切でないと思います。そういう意味で大いに慎重にすみやかに前向きで検討いたします。
#76
○須原昭二君 時間の関係あと二、三十分ぐらいになってしまいましたからちょっと進めたいと思います。
 まず、時間の関係ございますから、ちょっと関連をしてお尋ねをしておきたいと思うんです。労働大臣は、憲法第二十八条に規定をされる労働三権、団結権、団体交渉権、団体行動権をお認めになりますか。
#77
○国務大臣(加藤常太郎君) イエスであります。
#78
○須原昭二君 昨年も前労働大臣に私はこの問題についてただしたことがあるんですが、ドライヤー勧告に基づいてたしか公務員にスト権を与える方向で公務員制度審議会が設置され、審議されているということですが、そうですが。イエスかノーか。
#79
○国務大臣(加藤常太郎君) イエスであります。
#80
○須原昭二君 審議会というのはいつつくられましたか。
#81
○政府委員(石黒拓爾君) 審議会は四十年でございます。
#82
○須原昭二君 もう七、八年たっているでしょう。その点は御確認ですね。
#83
○政府委員(石黒拓爾君) 御説のとおりでいま第三次公制審に入っております。
#84
○須原昭二君 七、八年もたって――スト権を与えよという方向でこの制度審議会ができたわけなんですが、七年も八年もたってもスト権の問題については依然としてはっきりしておらない、なお討議を重ねておるということですけれども、まさにこれは庶民の通俗的なことばをかりて言うならば官僚仕事と、まあまあそれこそぼちぼちとやりゃいいと、こういうことだ、官僚仕事というような汚名を受けているわけですよ。それで審議の経過、状況、方向、いつ結論を出すのか、この点を明確に、簡明にお答えをいただきたいと思います。時間の関係がございますからね、ひとつ簡明にやってくださいよ。
#85
○政府委員(石黒拓爾君) 第一次公制審は八十七号条約の批准とか緊急の問題についての答申を出したわけであります。第二期公制審におきましては各国の状況等の調査及び労使の討論が行なわれましたが、特別の結論なく経過報告に終わりました。第三期公制審におきましては専従者の扱いにつきまして結論が出まして、その答申をいたし、国家公務員法等の改正がなされたわけでございます。現在スト権その他の労働基本権の問題というものについて鋭意検討をしておりまして、特に昨年の秋ごろから以降は非常に間を詰めて正式の総会のほかに労働側、使用者側、公益側という方々の懇談会というようなことで一生懸命審議の促進につとめておられるというふうに承知しております。
 なお、第三次公制審の任期はことしの九月まででございます。
#86
○須原昭二君 いつ結論出しますか、結論。
#87
○政府委員(石黒拓爾君) 結論を出しますことにつきましては、私どもといたしましてはいつお出しいただけるかということについてはなるべく早くという希望を申し上げているところでございます。
#88
○須原昭二君 そこが問題なんですよ。ドライヤー勧告は七年も八年も前に勧告をされている。いまや、十年は一昔といったけれども、もう二、三年が一昔になってきたんです。これまた古文書になってしまって時効になっちゃうですよ、こんなことをやっておっては。そこで、公務員のスト権を奪ったものは、御案内のとおり、もう私から言うまでもなくアメリカの占領下において、GHQの命令によって政令二〇一号ですか、二〇一号によるものできわめて不当なことはもう天下周知の事実、国内はもちろん国際的にもこんなばかげたことはないといっておられるわけですよ。先ほど労働大臣冒頭にお尋ねをした団結権、団体交渉権、団体行動権三権はこれは認めますと、これは順法しますと、こうおっしゃいました。そこで、憲法が二十八条で明確にしているこの労働基本権の問題についていま国内的にも、いよいよ何か十七日からまたスト権奪還の労働者の立ち上がりがあります。これは七年も八年もほかっておく日本の政府に対する怒りの行動ですよ。これはきびしく労働大臣は胸にこたえなきゃいけません。一日や二日おくらかす、一年くらいおくらかすなら、これはがまんしてくれ、もう少しだと言えますが、七年も八年もほかっておいて、まだ審議が結論ができる、その見通しが立たないというようなことで労働者がおこるのはあたりまえのことじゃございませんか。そうでしょう。いまやこの問題については広く国際的に重大な関心事でありますが、労働大臣、この公務員のスト権についてどう考えられるか。公務員審議会における動向についてどう管掌されておりますか。
#89
○国務大臣(加藤常太郎君) 公制審の問題はまあ私の直接は管轄じゃなく総務長官の管轄でありますが、この問題は労働省としては先ほど言ったように三権の問題もありますし重大な問題であります。二十八条の当然の三権――しかしこれは詭弁ではありません。またおしかりのように、もう七年もたって、結局政府はあそこへげたを預けて隠れみのにしておるのではないか、こういうおしかりもありますが、最近、仄聞いたしますと公制審のほうも相当熱意を持ってこれは何とかこれに対して答申を早く出さなきゃいかぬと、こういうので、任期も九月でありますので、その前にこの大問題だけはひとつ答申は出さなくちゃならぬと、こういうような進行状況だと聞いておりますが、憲法であろうが法規であろうがやはり国民一部の奉仕者であってはいかぬと、国民全体のために多少の制限をいたしておるのは各国もいろいろな法規によってさようなことになっております。そういう意味で、いまの、労働者に対していま禁止いたしています公共企業体、三公社の方々にいまさっそくこのスト権を与えてどうかと、これはなかなかいま言ったような点からいうと国民全体がどういう気持ちを持っておるかと、こういう点もなかなかこれはむずかしい観点であります。これはいろいろ、これに対する弁解ではありませんが、まあ政府のほうでいえば一面は公労委の強制仲裁とか人事院の勧告と、勤務条件についてはそうないが、やはり対等の立場に立って交渉するというのは、おどしではありませんが、やはりスト権のこともこれは重要な権利でありますから、一方そういうような労働者の三権の確立、また全体から見たら先般のようないろいろ国鉄の争議の問題、順法闘争の問題を見るとやはりこれが国民に対する重大な関係があると、こういうので、この問題は八十七号条約でも公制審にひとつそういうことはやれと、したがって、そのもとにこの問題は公制審ができたんでありますから、公制審に頼んでおきながら、ここで一方に政府のほうがかってな見解を、処置をやるという場合もいかない、こういうようなジレンマにいま当面おちいっております。しかし、できるだけ早く公制審の公正な判断を私は待っておるのでありまして、これ以上ここで大臣として、労働省としてこれに対する見解をやって、大いにこれは与えるべきだということも申し上げかねる状態でありますので、諸般の事情をまって、公制審の結果を待ちつつある状態であります。
#90
○須原昭二君 これは公制審公制審と、私は隠れみのだと言うんですよ。あなたもちょっと言われましたね。隠れみののようなことと言われますけれども、それだけあなたがわかっておったらもっとハッパをかけなさいよ。
 総理府お見えになりますね。そこで、公務員制度審議会においても、もう七年、八年、きのうやきょうのことではないんですよ。いま労働大臣も言っておりますが、まあ公務員審議会にかけておいて、その答申も待たずにかってなことはできぬ、こうおっしゃいました。だから公務員審議会がやらなきゃ何にもできないというようなことになるんですよ、結論からいえば。そういうことで、四月十一日から始まる、長年にがまんにがまんを重ねた働く労働者の、自分たちの権利を守り、運動として行なうのに、どういうふうに対処するのか。政府と総評も、田中総理大臣が総評の長とも会って直接協議もしておるんですよ。何ら進展を見しておらない。これはあげて政府の私は責任だと思うんですが、その点は、総理府の参事官で残念ですけれども、これはどうですか。事情説明に終わると思うんですけれども、これは明らかに政府の責任ですよ。どう思われますか。
#91
○説明員(大林勝臣君) きわめて大きな問題でございますから、私からお答えするのもいかがと思いますが、現在、おっしゃるようにたいへん期間が延びておりますけれども、小委員会を設けるなどして積極的にこの問題をできるだけ早く詰めるように努力をしておるところでございます。
#92
○委員長(矢山有作君) ちょっと速記とめてください。
  〔速記中止〕
#93
○委員長(矢山有作君) 速記起こして。
#94
○須原昭二君 非常に残念なんですよ。のらりくらり、のらりくらり、ぼつぼつとかね。ぼちぼちか。(笑声)これでは四月十七日に間に合いませんよ。少なくとも政府、田中総理大臣ですよ、日本国の一番最高政治責任者です。それと日本の多くの労働者の結集体である、頂点である総評の議長までが直接協議しても何ら進展しないと、どこで進展しないんですか。いま労働大臣のお話によりますと、それは公務員審議会がまだ答申を出してこない、それの結論が出る前にわれわれかってなことはできぬと、こういうように逃げられますけれども、公務員審議会の問題じゃないんですよ。総理大臣そのものが直接話し合ってもまだ進展しないというのはどこに原因があるんですか。労働大臣、あなたは労働者の味方でしょう。その労働者の立場に立ってものを判断してください。
#95
○国務大臣(加藤常太郎君) 須原議員のおことばでありますが、労働者の味方であり国民全体の味方であります。その意味で、この問題は、総理府から来ておりますけれども、御諮問することが当面なかなかできないと思いますが、各予算委員会、国会でもこの問題が焦点で話をいたしておりますが、いま大臣がここで、味方であるし理解者であると、これはもう断言できますが、スト権の問題についてここで方向を示せということも、いまの現時点ではこれはなかなか困難であると思います。この問題は私も十分諸般の事情をわかっておりますが、その最大の原因は――この問題では私ぼちぼちということばを一回も使ったことがありませんので、須原議員のおことばでありますが、この大問題に対するぼちぼちに対してはこれは私は否定いたします。大いにこの問題に対して熱意も持って善処いたしておりますが、いまの段階ではできない。その最大の要素は何か、原因は何かというと、やはり国民全体のいろいろな立場、これが公制審だとか田中総理とか加藤労働大臣の見解だけでなく、やはり国民が納得する段階にいま到達しておるかと、これが公制審でも結論が五月ごろに出るというのがどうも延びたとか延びぬとかいうことにいろいろ苦慮しておる最大の要素と思います。
#96
○須原昭二君 いま労働大臣は、労働者の味方であると同時に、いま一面全日本の国民の全体の立場に立って、両面を考えると、そういう点から慎重にならざるを得ないんだと、こうおっしゃるんですが、はっきり私からあなたの真意を言いましょう。
 労働基本権三権は私たちは守らなければならない。しかしながら一面、国民の全体の奉仕者であるところの公務員の立場というものは、公共の福祉が優先すべきだと。公共の福祉をあなたは一面には唱え、そして労働三権と一緒にしていると思うんですね。ですから、国民のその世論が高まってくればともかくという発言があったわけです。
 ヨーロッパへ行ってごらんなさいよ。パリの警察官ですらスト権持っているんですよ。警察官ですらヨーロッパではスト権持っている。もはや国際的に労働三権は労働者の憲法になっているわけなんです。そういう世論があがってこないというのは、労働省が労働者の味方でありながらそういうのをPRしていないところに問題がある。みずから進んで、公務員のスト権というのはもう国際的な問題である、フランスの警察官ですらスト権は持っておる、このぐらいの広報活動を労働者がやるべきですよ。初めてそれで誤解のある国民の了解も得られるわけです。そういうことは捨てておいて、公共の福祉だ、公務員は全体の奉仕者だ、だからだめなんだというものの宣伝のしかたというのは、まさに労働省は労働者の味方ではなくしてこれは圧力団体だ、圧力を加える団体だ、こう言っても私は過言でないと思うんですが、労働大臣どうですか。
#97
○国務大臣(加藤常太郎君) 須原議員のおことばでありますが、圧力団体ということは私は納得しません。これは見解の相違でありますが、労働者の味方である大臣であることは間違いありません。これは私の信念であります。しかし圧力団体という見方はことばをつつしんでもらいたい私の気持ちでありますので、まあ、国会の言論は自由でありますが、しかし私も意思を持っておりますので、味方であることは間違いない。しかし国民全体の一部の奉仕者であってはいかない。こういうこともありますので、いま言ったように、田中総理をしてでもなかなか解決は困難と、私はあなたの趣旨に沿って閣内なりいろいろな場合では発言いたしておりますが、いろいろの諸般の事情が、世論があがってこぬというのではありません。国民がこれを問うたときには納得するかせぬかと、ここに疑問が存在するという意味を強調いたしたので、世論があがるか、そういうようなことでないことを、どうもきつく申し上げましたが、私の意見を申し上げました。
#98
○須原昭二君 そのぐらいの積極的な声で行政やってもらいたいのですよ。
 そこで、私は、国民の認識、各般の事情、いろいろあるけれども、これはやはり基本的な問題点なんです。基本的な問題点は基本的な問題として原則ですよ。例外ではないんですよ。それを置きかえてはいかぬと思うのだな。ですから、労働省、労働大臣がそういう積極的なお考えがあることを知りましたから、どうぞひとつそういう気持ちでやってもらいたいと思うんですが。
 そこで、いま一つ私は尋ねておきたいと思うのですが、七年、八年公務員制度審議会で答申がずうっとまだおくれておると、総理と総評の議長と、あるいは労働団体、中立も含めて一緒にお話し合いがされておっても何ら進展を見ない。これは国民の皆さんから見れば、そういう公共福祉だ、全体の奉仕者だという公務員に対する一般的な概念でものを見ているからそういう点があるわけです。ですから、そういう点は労働省はできるだけこうPRをする、PRというとおかしいんですけれども、事実をやっぱり伝えていく、そして納得をさしていく、労使の関係というのは私は率直に信頼関係ですよ。七年も八年も待たされたら労働者信頼持ちませんよ。そこに激しい憤りがこもりこもって四月の十七日からストライキやると言っているのです。順法闘争やると言っているのです。ですからこういう事態に立った場合あげて私は――先ほど申しましたように、審議会においても七、八年、総評と政府の最高責任者の田中さんと話し合ってもまだそのまま何ら進展をしない、そういうことはもう信頼関係はぶちこわれたといっても私はいいと思うのです。あげて政府の責任だと思うのです。そういう点から検討していくならば、この答申が九月になりますと――四月には間に合いません。当然またこの問題については労働省も見解を出さない、政府も見解を出さないでしょう。聞くところによると、何か総理府長官ですか、官房長官ですか、やったやつは処分だと大きな声で記者会見やられておりましたけれども、自分の非を隠してそしてこれをやるんですから、あなたに圧力といったのはちょっと私も誤解で、政府全体を言ったんですから、その点は労働省、労働大臣は閣議の中でわしの立場困るというぐらい、一言ぐらい言ったらどうですか。そうじゃないですか。だから、少なくともこの答申が出る前に、今後起こるであろうところの公務員の争議行為に対して一切の不当処分は行ならべきでない、私はそう思います。少なくとも戦後におけるところのGHQの命令による政令二〇一号、きわめて不当なもの、これはもはや国際的な通念ですよ。こういう状態であるのですから、労働者が怒り狂ってやってくるのはあたりまえのことです。あげて政府の責任です。その非を労働者側にかぶせてこれを権力で押えていこう、不当処分をしようというものの考え方はまきに私は遺憾と言わなければならないと思うのですが、労働大臣どうです。
#99
○国務大臣(加藤常太郎君) 田中総理との会見も私、立ち会って十分その問題点のどこにあるかということも把握いたしておりますし、まあ処分問題並びに政府部内において大臣は須原議員の趣旨のようにやれと、PRということばよりは私はやっておるつもりであります。何といったって政府といろいろな公共企業体の問題は相互信頼が最も重要でありますので、私に関する限り相互信頼をすると。これは余談にわたりますが、先般の国鉄との場合でも労働大臣が会うのに国鉄総裁会わぬと、何だと、こう言って私はきびしく追及したのでありますが、今後須原議員の言うように、閣内なりあらゆる面においても一方は国民全体のことも労働大臣は考えなくちゃならぬが、私が味方をせざれば立場がありません。そういう意味でがんばることはがんばりますが、いまさっそく本日ここでいまの三権の問題、スト権の問題を明快な答弁せいとこう言われても、きょうはまだなかなかそこまでも私が言えない立場でありますので、この点もひとつ御了察を願って、この問題は時間の関係から考えても、何ぼやりとりいたしましてもこれ以上なかなか進展いたさぬと思いますので、この点ひとつあしからず御了解願います。
#100
○須原昭二君 ここで労働組合法の第一条ですよ。その目的の中で、労使関係はいかなる場合といえども労使対等の立場に立つことをこれは明記しているのです。そうでしょう。そういう状態ですから、長々私申し上げてきたけれども、今日のような事態、究極の状態がもはや数日後に控えているわけです。こういうふうに至った経過は政府の責任だ、政府の怠慢だ、今後起こりくる問題は労働者の責任ではない、これを労働者の責任として処分をするということはまさに一方的であり、その非を労働者側に向けるものである、まさしく私は暴政だと思います。権力による弾圧だと思う。権力政治そのものだと私は言いたい。処分すべきではないと思いますが、その点について閣内であなたがんばりますか、どうですか。
#101
○国務大臣(加藤常太郎君) これは処分問題は各省各省の法規に照らして、当然だと思って閣内の問題になりません。閣議にもこれは出てきません。さような関係で側面的に処分問題は法規に照らして当然な処分をするというたてまえでありますので、閣議の問題外でありますので、御趣旨のような線はこれは私の意見としては持っておりますが、法規に照らしてすべき監督官庁の大臣が決定することでありまして、これに対して労働大臣が意見は開陳いたしますが、これに対する指導権はないのでありまして、この点が遺憾ながら、時によっては御趣旨に沿わない事態もこれはあるかもわかりませんが、その趣旨は須原議員の御指摘のような、御指示のような、要請のような線に沿って私は行動する信念は持っております。
#102
○須原昭二君 きょうは労働大臣が一番えらい人ですからね。そのほかにはおらぬから、残念ですけれども、労働大臣前向きに、それは不当処分だ、処分はすべきでない、こういう御意見を発表されたことに対して敬意を表します。そうして……
#103
○国務大臣(加藤常太郎君) ちょっと、ちょっと……話の途中でありますが、私の意見は処分すべきでないという意見じゃありません。法規に照らして処分をするのはすると、これに対して私は心から賛成とか、そういう私見を申しましたので、これが正式の場に出て意見を申し上げる場所がありませんと、処分することは法規に照らして各主務大臣が処分をしたのであって、これに対して私の意見は持っておるが、それをとめる権限もないと、こういうことを申し上げたのでありますから、誤解のないようにひとつ。
#104
○委員長(矢山有作君) ちょっと、委員長から一つ大臣にお聞きしたいんですがね、いまのやりとりを聞いておりまして、労働基本権の問題についてドライヤー勧告以来七、八年の年月がたっておるのにいまだに何らの結論が出せぬということについて、労働省として、労働大臣として何らかの責任を感じておられますか、どうですか。
#105
○国務大臣(加藤常太郎君) 三権がこれは当然イエスでありますから、そこへ持ってきて第一条のいまの「対等の立場」というようないろいろな面から見ましても、三権を確立ずると、こういう点の勤労者、労働者の全体の要望に対して、いままでの法規のもとにやられておることでありますから、責任を感ずると言えば、私の意見と多少相違するような感じのするところがあるかもわかりませんが、責任をおまえは感じておるのは当然だと言われると、感じなくちゃならぬような感じもいたしますし、そうすると、全部それが労働大臣の責任だと、こうきめつけられますと、そう明言できないという点はひとつ心中の一これはまあ何とか基本権も確立したいという気持ちは持っておりますが、先ほど言ったように国民全体の納得という観点から見て、先ほど言ったように労働大臣は労働者の味方であると同時に国民全体のことも考えると、こういうふうな国務大臣としての立場もありますので、これが責任を感じたと言うとこれは大問題にもなりますので、委員長の貴重な問いでありますが、ここではっきりとそれを御答弁することもできない苦しい立場にあることをひとつ御了承願いたいと思います。
#106
○委員長(矢山有作君) しかし、それでは一体労働省は何のために存在しておるんですか。やはりこれだけ、労働基本権というものが憲法上労働者に保障されておる。ところがその扱いについて――いいですか、労働基本権というものが憲法上労働者に確立されておると、確保されておる、憲法上はね。それをいま個々の法律によってある程度制限してきておるわけです。それが世界の潮流に反するではないかと。労働基本権は労働者に認めるべきであるというのが世界的な傾向であるし、そういうまた世論が本格的に起こってきているわけでしょう。そうしてドライヤーによる勧告もされた。ところがその結論を政府としては七、八年たっても、労働基本権を認めるのか認めぬのかその結論すら出せないということに対する責任をやはり労働省としては感じなきゃならぬのじゃないのでしょうか。
#107
○国務大臣(加藤常太郎君) 結論が遅延しておると、これに対しましては、これは労働省として、大臣としても遺憾にたえないという感じはいたしております。しかし、その結論というものは政府全体の問題でありまして、これが、その基本権の奪還ができないということは大臣の責任であるということに対しては、この場でお答えすることがなかなか困難ということを申し上げたいと思います。
#108
○委員長(矢山有作君) じゃもう一つだけ。あなたは労働基本権を尊重するという立場を基本的にとっておられる。そして、その問題に対する結論が出せないということについて何らかの責任を感じておられる。そうするならば、労働基本権の確立を目ざして十七日以降労働者が何らかの行動に出るというようなことが伝えられておるそのときに、須原君の言うように、政府が一方的にそれは不当であると、違法であると言って処分をするというのはこれは私はやはり問題があると思うんです。そういう場合に、あなたのいままで表明された立場から言うなら、あなたは労働大臣として労働者の側に立ってですね、そういうような処分というものはこれはあり得べきものではないと、処分は不当なんじゃないかというような意思表示をされる意思があるかないか、それとも、そういう意思表示は一切しないで、官房長官が不当行為として処分すると言ったらほおかぶりをして過ごすつもりですか。あなたの決意が一言聞いておきたいんです。
#109
○国務大臣(加藤常太郎君) 現行法によって先ほど私が言ったように、現行法によって、法に照らしてそれが禁止する争議行為であると、こういう処分をいたす場合には、これはいろいろな見方がありましょう、ありますけれども、これに対して大臣がこれはいかないという権限もないと、私の私見としてはどうだこうだということはあっても、大臣としてはそれが違法なことであって違法なことを処分したことがこれはもってのほかだと、違法であると、こういうようなことを申し上げることはできないと思います、現行法上。
#110
○須原昭二君 そこで本質的な問題に入るんですよ。一番冒頭に聞いたんです、労働省の設置法の中で任務が書いてあるわけだ、一番冒頭に聞いたのは、その基本的な精神を労働大臣から聞いたんです。あくまでも労働者を基盤としてその権利を守り生活を安定をさせることが悲願ですと、こう言われた、処分するのは官房長官かどこかの省の人がやりゃいいんです。しかし少なくとも労働者のその権利を守り生活を向上さしていく責任者は、あなた自身は、閣僚会議の中で反対されても、私は労働者をあずかっている、労働省の設置法に基づぐ精神から言うならば労働大臣としてはこれは処分すべきではないというぐらいの意思表示は当然あってしかるべきですよ。
#111
○委員長(矢山有作君) そこなんですよ。
#112
○須原昭二君 そこなんですよ。処分するのはよそはやってもいいわ、百歩譲って、そんなこと言い出してもいいですよ。少なくとも労働大臣は、それはだめだというぐらいの発言をしないような労働大臣だったら私は不信任ですよ、こんなのは。労働大臣の不信任案ですよ、こんなもの。ばかな答弁はしなさんな。
#113
○国務大臣(加藤常太郎君) 須原議員が御立腹でありますが、これは私の信念でありまして、労働省の……
#114
○須原昭二君 信念――どういう信念なんです。
#115
○国務大臣(加藤常太郎君) 前段に申し上げましたような信念で進んでおります。しかし、現行法があるからそれによって処分せられるに対してその権限がないと、権能がないと、いろいろ閣議とか、そういう場合には私の信念に基づいて意見を開陳はいたしますと、こういうので、不信任をせられりゃこれはいたしかたありません、これでも――これはもう不信任という方もおりゃ信任といろ方もおりゃいろいろな見方がありますが、私は信念は労働省として労働者の見方として大いに活躍すると、大いにやりますと、こういう信念で、しかし法規を労働省はこうしたいと、通産省はこうしたいと、防衛庁はこういう法規でこうしたいと、こういうことに対して現行法の法規上処分する場合に、これをとめる権能がないということを申し上げたので、今後私の信念は機会あるごとにはこれは開陳いたします。そして、これが閣議にかかった場合には、好ましからざる問題だと、こう言って発言することはこれは当然でありますが、しかし権能のない、現行法規上やることをまっこうから閣内でやったやつに対して反対だと、こういう、これはシステムからいってもできないことが遺憾であると、こう申し上げておるんです。
#116
○須原昭二君 最後ですが、時間が来てしまって、延長しておりまして――よくわかりました、精神は。それはなるほど防衛庁がやろうが官房長官がやろうが、よその法規でこう処分をするという提案が出てきたことはそれは一応百歩譲って認めましょう。しかし、そういうものが出てきたとき黙っていま矢山委員長が言うように、黙って、ああどこからか出てきたなというような傍観をするのではなくして、労働者を扱うところの労働省、労働基本権をわれわれは尊重している労働省をあずかる労働大臣としてはこれはいささか考慮に値をする、これはやめてもらいたいぐらいの発言があって私はしかるべきだと、しかし大体その線へいま御答弁が来ましたから、大体来ましたからここで終了いたします。
#117
○国務大臣(加藤常太郎君) 大体来ましたといって、よくそういうことを言われるのでありますが、国会は国民の代表でありますから、言われたことに対して自分の意見に従えと、こう言ったって、これは全体が国会で決議した場合には、これはもう私の意見は押えます。しかし、須原議員の言ったなるべくそちらのほうへ、私の意見を曲げてそっちへこうだこうだと、こう言われると、これは不信任されてもいたしかたありませんので、私の信念は再々申し上げたように、いままでの大臣もりっぱな方でありますが、信念は労働者の味方としてあらゆるものをその方向でいく、私の就任以来の日常の活動、これを見られましても私の信念は、これは間違いありません。しかし、あらゆるものを自分のほうの意見に、こっちへというのもこれはなかなか、須原議員のおことばでありますが、そうきめつけられても困りますので、いま私が申し上げたような趣旨をひとつ御賢察願いたいと思います。
#118
○委員長(矢山有作君) 労働大臣ね、あなたのほうがいささか混乱しているんじゃないかと思うんだがね。あなたは労働基本権を尊重する立場に立っておられる、それはあなたの口から出たことですね。そしてまたその労働基本権の問題について、これを公務員その他制限されておるところにはこれを与えていくべきだという風調が世界的にもある。世界の先進国はそうなっておる。これも大体認められておると思うんです。それで労働基本権の問題でいま論議になっておるということは、それを制限しておる個々の立法それ自体に何らかの問題点があるというからやっぱり問題になっているわけです、労働基本権の問題が。そうすれば、その個々の立法によって今度なされようとする労働者の行為を処罰するという場合に、あなたの力でその処罰をとめられる力はないと思います、私も。思うけれども、あなたの立場からすればそういうことを認識しながらそういう処分というのは、これはやはり政府側としても一半の責任はあるんだから、することは適当ではないと思うというくらいな発言はなさってもあなたの笠の台が飛ぶわけはない。それをなさることが労働大臣としては職責を果たしたことになる。その点どうなんですか。
#119
○国務大臣(加藤常太郎君) いまの笠の台が飛ぶというのは、委員長といえども私はちょっとこれは……。さようなことは私は考えておりません、これは。おこったのではありません、これは。そんなことは考えておらぬのです、私は。あした笠の台が飛ぼうが私の信念というものは、さような気持ちは、これはありません。しかし、委員長なり須原議員から言われた気持ちはよくわかります。その趣旨の線に沿っていくが、責任を持って必ずそう言うということは、これは法規の問題でありますから、労働大臣としてその線をこの委員会で正式に言いますと、こういうことはこれはなかなか困難でありますので、それを無理に言えというのは、先ほど私が申し上げたようにそっちへ引っ張り込んでわしの意見に従えと、これは国会の決議だったら従います、しかし、なかなか行政府より立法府が上でありますから、これは国会の意見は尊重いたしますと、これは言えますけれども、そこまでいきにくいという点もひとつ御賢察願って……。須原議員なり委員長の御趣旨のような信念は持っています。
#120
○須原昭二君 どうもあなた窓口まで入ったようでまた外へ出て行っちゃうのだよ、ぼくが確めるとね。そのあなたの苦労はわかるわ、いまのね。閣内における、いま田中内閣の内容から言えば、各省ありますから、おのおのポジションにある責任者の立場はわかります。しかしあなたは労働大臣ですよということ、そして憲法二十八条、労働省設置法の精神からいって、この点は堂々と私は主張しても、何もあなたの首が飛ぶわけでもないし、そこで多数決で負けりゃしようがないことで、あなたのところの公務員の何とかの法律があるから、おまえのところはそんなことはだめだ、やってはいかぬと、そんなことは声えとは言っていませんよ。しかし労働者としてはそういう不当な処分はやめてくれというくらいの懇願でもいいですよ、好ましくないのですよ。そのぐらいのことは労働大臣はここで表明しなければ、私は時間、まことに委員長申しわけないけれども幾らでもやりますよ。
#121
○国務大臣(加藤常太郎君) これは法規、現在現行法があるのでありますから、やることに対して……
#122
○須原昭二君 現行法規って、憲法があるじゃないか。
#123
○国務大臣(加藤常太郎君) まあ憲法があろうが、法規と憲法の関係、それはもうこれはいろいろな関係がありますから、ただ処分はこれはやめてくれと、多数決、閣議でやりません。これは好ましからざるものと、こういう点はこれは言えますよ。しかしこれはいかぬというようなことは言えと言ったってこれは何ぼ委員長なり須原議員から言われても、私は言えない立場を言えというのはこれは言うほうが無理であります。
#124
○須原昭二君 好ましくないということで私はそのぐらいのことは言えるということでそれで私は満足しますよ。それだけでいいのです。それだけの努力、それを労働大臣は当然もっと私は積極的にやってもらいたいけれども、好ましくない、それは、このぐらいのことは言えるということでしたから、それでまたきょうはあまり時間が延長してしまいますから終わりますけれども、いずれにしても憲法二十八条でしたね、この労働三権がある、それから労働省の設置法の精神からいって、ひとつ労働大臣はこれらの問題に、もう一週間先にきているのですから、ひとつ全力投球をしていただきたいということを要望して終わりたいと思います。
#125
○国務大臣(加藤常太郎君) 須原議員の御趣旨、私も大いに尊重いたしまして、最初前段に申し上げましたような方針で、やはり味方であります。一方は国民の全体の立場も考えなくちゃならぬが、労働大臣ががんばらなくちゃこれはいろいろな関係がうまくいかないということもよくわかりますので、これは大いにやります。しかし私はもう言いたいことは言いますからあまり議員といえどもきついことを言われると、私の納得せぬときには意見は言いますから、これはひとつあしからず、いままでの方と違いますが、これはひとつ御了承、御賢察を願いたいと思います。
#126
○藤原道子君 私はただいま須原委員の質問に対しまして、大臣がお答えになりました、労働者の味方であるという労働省の精神をあくまでも守っていただきたいということをさらにお願いをいたしておきます。
 きょうは福岡で全国婦人会議が開かれております。またことしは婦人月間が制定されて二十周年になる。したがいまして、私はきょうは婦人問題にしぼって大臣にお伺いしたいと思います。
 近年婦人の職場への進出は目ざましいものがございます。一千百万人以上の女性が働いております。しかもこれは雇用されている女性労働者の数でありまして、農林業などを入れますると女性が二千三万人の婦人が働いているということが労働省の四十五年の調査で示されております。日本でいま婦人がすべて働くことをやめたら、国の機能は停止してしまう。これほど女性は日本全体の土台骨をささえているということが言えると思います。しかるにこういう重要な働く女性の地位は向上したかどうか、差別はなくなったかどうか、権利は守られているかどうかという点につきまして、大臣のお考えをまずお伺いしたい。
#127
○国務大臣(加藤常太郎君) この勤労婦人の行政の問題はまだ理想的にいっておりません。まだ日本の婦人の労働者の立場、これは、旧来のいろいろな世間一般の間違った見方があります。これは、私は、常にこの問題に対しましては遺憾に思っておるのでありますから、労使の立場においても、やはり使用者側の十分の心からの理解を、これ、労働省としては求めるように行政指導をしなくてはならぬ。能力の点につきましても、私は、憲法なり、特に最近できました勤労婦人福祉法でありますが、これにも――この福祉法はいろいろなこまかい点までも規定いたしておりませんが、根本をあらわしておるんでありまして、婦人の立場が、賃金においても、いろいろな就労の条件においても平等の立場でこれを堅持する、そして使用者のほうもこれに対する理解を深める。婦人の立場はなかなか男性よりは苦しい立場であります。これは婦人福祉法の中にも出ておりますように、一方では人類永遠の繁栄のために次の時代をになう子供さんの成育もしなくちゃならぬ、その半面労働者としてがんばらなくちゃならぬ、また家庭の主婦としてもがんばらなくちゃならぬ、こういうような男性以外の重要な任務があって、そして労働をするという方の立場は、私は、やはりあらゆる点について使用者がこの点を勘案して、十分な心がまえをもってやらなくちゃならぬと思います。そういう意味で、先般できました婦人福祉法を大いに活用して――まだこの活用が足らぬと思います。そういう意味で、今後啓蒙なり、指導なり、いろいろの点につきましては、御趣旨の線に沿って、これは心から――先ほどの問題と違って心から善処いたします。大いに推進いたしたいと思います。
#128
○藤原道子君 私は、具体的な問題で御質問いたしますが、いま大臣が言われましたように、企業に対しての指導その他について今後これからお伺いしたいと思う。
 いま、婦人の現状を見ると、私は暗然たる気持ちになる。大臣も御承知と思いますが、先日、女子の五十歳定年は適法という、こういう驚くべき判決がございました。その判決の中に、女子従業員は職場が男子より狭く限定されており、入社後数年で仕事に習熟し、それ以上つとめても企業への貢献度は男子に比べて向上しないということばがありますが、大臣はどう思いますか。
#129
○国務大臣(加藤常太郎君) 私は、これは、高裁であったと思いますが、私は必ずしも――最終判決の場合には、これは私も尊重しなくちゃならぬが、まだ最高裁でもありませんが、かようなことは私は反対であります。はっきりと若年定年の問題についても、これは、定年制なり週休二日制であろうが、いろいろな同一職場の同一賃金の問題であろうが、当然、先ほど私が申し上げたように、男性と女性は、これは、体力という点については、これは、オリンピックでもはっきりわかりますように、もう古くから、これは多少劣るかもわかりません、はなはだ失礼でありますが。しかし職場においては何ら私は差別をつけるべきものでない、これはかたい信念でありますので、いまの判決の問題に対しましても、これは当然同一であるべきだと、こういうふうな見解であります。
#130
○藤原道子君 現在の状態を見ると、入社後数年で習熟する仕事しか企業が女には与えてない。同時に、企業への貢献度云々とするのはまことに本末転倒であると思うんです。同じ事務職であっても、男性は二、三年たつと昇格していくんです。ところが、女性は短くても四、五年かかります。昇格しない。同じ仕事しかさせてくれない。管理職にはつけない。さまざまな手を打ってまいります。官庁あたりを見ても、婦人の課長はまことに少ないでしょう。労働省はさすがに幾人かそうそうたる方がいらっしゃいますが、他の官庁は一体どうですか。どの程度に……。
#131
○説明員(赤松良子君) 他の官庁での課長の数をお尋ねでございますので、私から御説明させていただきます。
 文部省に婦人教育課長、それから厚生省に看護課長と母子福祉課長のお二人、農林省に生活改善課長、本省ではこの四人の課長が労働省以外におられると承っております。
#132
○藤原道子君 まさにそのとおりなんです。ほんとうに女に能力がないからやらないかというとそうじゃない。官庁はじめこういう待遇だから女性の地位が向上しないのはあたりまえだ。仕事をさせない、そうして能力がないというようなやり方に対して、大臣はどう思いますか。せっかく勤労婦人福祉法ができて、その第五条に「勤労婦人の能力の有効な発揮を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行なうものとする。」と、うたっておるのに何とかならないでしょうか、どういう指導をしておいでになるか、この点について大臣のお考えを伺いたい。
#133
○国務大臣(加藤常太郎君) 五条の問題は、大体婦人福祉法の骨子の問題で、これは、当然労働省としてはこの趣旨に沿って、これは先ほど言ったように、体力とか、いろいろ世間の間違った考え、また、いろいろな、世間が狭いとか、多少総括的な、総体的ないろいろな批評もありますけれども、これはもう憲法でも、基準法であろうが、婦人法でもはっきりと性の区別はせぬと、こういうような労働省のこれはもう行政指導の根幹でありますから、大いに藤原議員の御指摘のように、今後関係方面にもその根幹で、また末端の下部機構に対しても決してこうあってはいかぬと、これは余談にわたりますが、先般NHKでもこの問題を、私、ちょうどスイッチを切りかえて聞いたんでありますが、世間には間違った意見がいろいろあります。これを大いに啓蒙して、そうして法の趣旨に沿ったような基本に立ち返らして、労働省としてはその方向で大いに五条の問題なども、これは当然やるべきだと思います。
#134
○藤原道子君 当然やるべき問題ですよ。何年たったんですか、基準法ができ、あるいは憲法が制定されて。ところが、男女平等である、区別してはならぬ、差別してはならない、こういう規定があるにもかかわらず、今日なおこういう状態にある。しかも勤労婦人福祉法ができてどういう指導をしておいでになるかを聞くんですよ。
#135
○説明員(赤松良子君) 先生の御指摘のように、昨年、勤労婦人福祉法ができまして、五条の中で能力の有効発揮に対しまして国民の関心と理解を深めると、かように明らかにしてございます。「とくに、勤労婦人の能力の有効な発揮を妨げている諸要因の解消を図る」ということを書いてございますが、この「能力の有効な発揮を妨げている諸要因」とは何かということにつきましては、法律ではこういうふうに簡単に書いてございますので、これを明らかにするために、私どもといたしましては、たとえば結婚退職、――女子の結婚退職制、それから女子の若年定年制、差別定年制、こういうようなものは能力の有効な発揮を妨げている最も典型的な例であると、かように考えまして、その旨をいろんな機会に明らかにし、それを徹底するようにつとめているところでございます。
#136
○藤原道子君 私は真剣にやっていただきたい。と同時に職種、職域の差別は賃金の差別にもつながる大きな問題だと思います。全国平均の男女の賃金格差を労働省のほうで調査なさった数字があると思いますが、これをひとつ発表していただきたい。
#137
○説明員(赤松良子君) 賃金格差という場合には、いろいろ意味があろうかと思いますが、先生おっしゃる格差というのは、たぶん婦人労働者と男子の労働者とを全部平均いたしまして、男子を一〇〇として女子が四〇幾らとか五〇幾らとか、こういうような意味であるいはおっしゃっているのかと思いますので、その点について申し上げますと、賃金の格差は、男子を一〇〇といたしますと、現在四十七年の数字で女子が五〇・二でございます。したがいまして、半分とこういうことでございます。しかしながら、この格差は年次別に見てまいりますと、漸次縮小していることもこれまた事実でございまして、五年ぐらい前から申し上げますと、四十二年には四七・六でございまして、これが漸次毎年四八・一、四八・五、四八・二、四九・三というふうに上がってまいりまして、四十七年が先ほど申しました五〇・二というふうになったわけでございます。したがって、現在でも一〇〇と五〇・二という開きは確かにございますが、漸次上がっているということも言えるのではないかと、かように思います。
#138
○藤原道子君 ところがね、四十六年度の調査を見ましても、年齢階級別に見ると、男性の賃金は五十歳まで年齢とともに上昇している。ところが女性はほぼ横ばいなんです。したがって、入社したときには、大体一〇〇に対して九〇か九五くらい、ところがそれがだんだん男は上がるが女は横ばい、その結果、四十六年度で見ると、十七歳以下の場合は、男一〇〇に対して女九一%、ところが四十歳から四十一歳では、男一〇〇に対して女は四四となっている。これは労働省の調査なんです。一体これはどういうことなんですか。
#139
○説明員(赤松良子君) 先生の御指摘のとおりでございまして、日本におきましては、年齢が高まるとともに、賃金の格差が広がると、こういう事実はございます。そこでどういうわけでこういうことになっているのかということを考えますと、先ほど先生も御指摘になりましたように、男性の場合にはある程度長く働くとだんだんと責任のある地位につき、むずかしい仕事をさせるようになると、そこで賃金も当然それに伴って上がっていくと、こういう仕組みになっておりますが、女性の場合は必ずしもそれと同じような速度、同じような程度に上がっていかないと、こういう実態があるというふうに思うわけでございます。また、日本の賃金のきめ方が、長く企業に働く者に対しては賃金を上げると、こういう仕組みになっておりますが、平均してみますと、女子の場合は長く働く者が男性に比較してかなり少ないわけでございます。年齢は確かに同じ五十歳でございましても、男性の場合には、それは企業に長くいて、そして次第に責任のある仕事、そして給料も高い仕事についていったというのに対しまして、同じ女性の五十歳でそういう人はかなり少なくて、やはり途中で一度やめているとか、あるいはやめていないまでも、なかなか男性と同じようなスピードで上げてもらわなかったとか、こういう方たちが多いのではないか、こういうふうに思うわけでございます。また、そのほかにも、たとえば日本の賃金のきめ方はかなり学歴にも左右されるということもございますので、その点でも男子と女子の場合には差があったということも言えるのではないかと思います。そういうまあいろんな要素がからみ合いまして、現在のような年齢が上昇するにつれて賃金の格差が広がる、こういうふうな傾向が出ている、こういうふうに思います。
#140
○藤原道子君 女性が長くつとめられない、いろんな点からくることはこれからお伺いしますけれども、同じようにずっと勤務していてもやはり非常な格差がある。それともう一つ、官庁関係というんでしょうか、あるいは教員とか、全逓とかいうようなところは比較的よろしい。民間企業は特に格差がひどい。この点に対しては、そういう方面へよほど労働省としては指導してもらいたい。先ほどのお話もございましたように、労働者の味方ならば、もう少しこの点はお考えになっていただきたいと思います。結局、労働基準法でも、第四条に「女子であることを理由として、賃金について、男子と差別的取扱いをしてはならない。」とあるわけなんです。こういう点をみんなに心するような御指導が今後お願いしたい。
 そこで、女子が長く続かないということに、女性を差別する口実としては、出産をあげる企業が多い。確かに女性にとって出産は生命をかけての大事件なんですよ。妊娠中は過労にならないように健康管理には特に気を配らなければならない。ところが、妊娠すなわち退職という考えは、女性を一個の独立した人間と見ない誤った考えではないでしょうか。こういう会社が多いんですけれども、これについてはどうお考えですか。
#141
○説明員(赤松良子君) 先生も御承知のように、労働基準法では、妊娠に伴う種々の状態についていろいろと保護をいたしております。で、この考え方は、女性を雇用する場合には、当然妊娠するという事態が起こり得るわけでごさいますので、それについて使用者はこれこれの保護をしなければならない、それについてはいろんな不便も使用者には起こってくるわけでございましょうが、それを認容すると、こういう前提に立って基準法は組み立てられているものだと思います。そこで、妊娠したことを理由にして企業の外へほうり出すと、そういうようなことは基準法の精神に照らしても明らかに間違っていると思います。また、昨年できました先ほどからの福祉法の中にも、基本理念といたしまして、勤労婦人は、母性を尊重されつつしかも性別によって差別されることなくと、このようにはっきり書かれているわけでございまして、この考え方はまさにただいま申し上げたようなことと一致するものと思います。それをより明らかに表現したものだというふうに考えております。そこで、この考え方は絶対に正しいものだと思いますので、これをぜひできるだけ広く浸透させるということが必要なのではないかと、このように思っております。
#142
○藤原道子君 私はその点、非常に残念だと思っておりますが、今度の女子五十歳定年について、あらゆる声があげられております。で、私どものところにもいろんな意見が寄せられてまいります。五十歳ならまだよいほうだ、うちの会社では出産イコール退職です。あるいは三十歳定年というようなことで、中には結婚したとたんに退職、こういうところもある。こういうことを御承知でございましょうか。これらに対してはどういう態度をとってこられましたか。
#143
○説明員(赤松良子君) 先生の御指摘のような、結婚退職というようなことを就業規則に定めたり、あるいは就業規則というようなはっきりした形ではなくても、たとえば入社のときに念書を取るというような形で約束をさせたり、あるいはそういう文書にはよらないけれども、慣行として事実上そういうふうに追い込む、いろんなやり方があるかと思いますが、そういうことをしている企業が決してなくなっていない、こういうことは十分認識いたしております。そこで、どういうことをしてきたかというお尋ねでございますが、結婚退職制につきましては、相当前から私どもとしては行政指導の方針を打ち出しておりまして、これは地方の婦人少年室長にあてての通達というような形でまずはっきりさせた時期がございますが、その後引き続きまして、結婚退職制というものは憲法の精神、基準法の趣旨に照らして好ましくないことであるということを繰り返し申しております。またこれは一般的な啓発、指導ということだけでは必ずしも十分でない場合もございますので、事件が起こってまいります場合には、個々の指導ということもあえて辞さない、こういうふうにいたしておるつもりでございます。
#144
○藤原道子君 この若年定年制についてお調べになったあれがあると思うんです、調査した。それがもしありましたら数字を示していただきたい。
#145
○説明員(赤松良子君) 定年制についての労働省でいたした調査がございます。この中で定年制というものをそもそも定めている事業所、それから定めていない事業所とございますので、定年制について定めている事業所の中で一律に定めている、つまり男女同じように定めている事業所、それから男女別に定めている事業所、こういうふうに分けて調べております。そこで、定年制のある事業所の中で男女別に定めている事業所というのが約二四%あるということでございます。それから、その定年制の男女別に定めている事業所の中で、比較的若い年齢で女子の定年制というものを定めている事業所が、男女別に定めている事業所の中で約一割足らずあるというふうに、これは昭和四十五年の調査でございますが、そういうふうに把握いたしております。そこで、先ほどいろんな分け方をして申し上げましたので、少し混乱したかと思いますので、もう少し簡単に申し上げますと、この調査の中で、比較的若い女子の定年制を定めているところは、調査対象の一・七%というような結果になるわけでございます。
#146
○藤原道子君 一・七%……
#147
○説明員(赤松良子君) はい。定年制のある事業所というのが調査の対象の七割程度ございます。その中で一律に定めているというのがございますので、それを除きまして男女別に定めているというのが二四%、その中で若い定年制、女子を非常に若くきめているところが九・七%でございますが、これを逆算して、もとの数字からの割合に直しますと一・七%、こういうことでございます。
#148
○藤原道子君 結婚定年制で六・四%くらい、妊娠、出産が三・四%というのが私の調査です。驚くべき数の事業所で女子の若年定年制がしかれている。いまの御発表より多いと私は思う。これも労基法第三条に性別という文字が入っていないからじゃないでしょうか、問題は。この労基法三条には、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」とある。この中に性別が入っていればこういうことにならないんじゃないかと私は考えておりますので、ひとつ検討していただきたい。とりあえず社会的身分の中に性別も含まれると拡大解釈してきびしく指導していただきたい。若年定年制を企業がとりたがるのは、賃金格差のある婦人であっても、年功序列の賃金体系のもとでは、長くいれば少しずつ賃金が上がっていく。これがしゃくにさわるんです。だから結婚だ出産だと何とか口実をつけて首を切る。ところが労働力が足りないから、この首を切っといて、今度は再就職するときにはパートタイムということになる。パートタイマーならボーナスも要らない。福利厚生も不要になる。それでいて仕事には習熟している。企業にとってはこたえられないくらいもうかるわけです。一体現在のパートタイマーの数はどのくらいあるでしょうか。
#149
○説明員(赤松良子君) 先生の御指摘のように女子のパートタイマーは近年かなり増加が見られております。現在週間労働時間数が三十五時間未満、こういうところでパートタイマーとして統計にあがってくるわけでございます。その週間労働時間、一週間に働く労働時間数が三十五時間未満のものをパートタイマーとして把握いたしますと、昭和四十六年の調査では百四十三万人にのぼっております。
#150
○藤原道子君 百四十三万人。本来パートタイマーとは働く側が自分の都合のよい時間で勤務するものがパートタイマーといわれておる。ところがそれを普通の社員並みの使い方をしているんです。いまお話ございましたけれども、ほんとうにこの間調査に行ったところでは、同じ時間で同じ仕事場でやらしている。それで賃金はぐっと低くて、しかも社会福祉関係のものもなければ賞与もない。こういうことがどんどん行なわれてふえてきている、パートタイマーが。婦人労働力はなければ困る。けれども賃金は安くしたい。それでパートタイマーで使っている。こういうことに対して、いまお話しのような百四十三万人というのは四十六年ですね。いまもっとふえています。こういうことに対して大臣はどう考えますか。
#151
○国務大臣(加藤常太郎君) 御指摘の点はこれは不幸な点があると思います。この問題でなく全般のことを話しますと、基準法でも性別は載ってない。憲法では、国民は性別も社会的地位も入れて平等である。しかし婦人福祉法でははっきりと載せておりますし、これは体力とかいう場合には、これは男性と女性の差はありますけれども、能力の点においては原則としてこれは差をつけてはいけない。こういう意味でこの点は婦人の問題は、実は歴代の大臣ももう少し、これは少し足らぬ点は私は認めます。私自体もこれは先ほど責任問題がありましたが、責任も痛感いたしております。今後婦人問題の地位の向上、労働条件の向上、これは社会全体の通念も悪いのであります。事業主の啓蒙もしなくてはならぬと、こういうふうな点もありますので、全体に対しまして、私、本日の私の発言そのものを下部機構にも伝えまして、今後若年定年の問題、賃金の問題、昇給の問題、いろいろな問題に対しまして差別はつけるべきものでないと、これは職場によって、就職の場によっての賃金の年齢の差はあるかもわかりませんけれども、同一職場で同一賃金は当然でありまして、それを従来からやはり慣習として間違った見方をする慣行もありますけれども、やはり国民全体、雇用主もこれはもう全体がやはり婦人というものは貴重な任務もある、非常にハンディキャップが男性より強いのでありますから、それも考慮して、今後は同一賃金、定年の問題、労働条件、昇給の問題、地位の問題、かような問題を今後日本の労働行政の中で、婦人問題は基本方針に従って是正をしてやるように強く全般に対しまして、下部機構にもその趣旨の徹底を、私の意思を次官通達か、ことによったら私の名前でもいいのでありますが、よく徹底するように今後行政指導をよくやらせます。
 パートタイマーの問題についても、いずれにしてもいろいろこれは不合理の点もありますので、よくきょうは局長も来ておりませんが、最近に省議も開きまして、これに対する対策を樹立いたしまして、措置を講じたいと思います。
#152
○藤原道子君 外国でもむろんパートタイムはやっておりますよ。ところが自分の都合のいい時間に勤務する。それで自分の考え方でパートタイマーに雇ってもらう。ところが日本の場合は、賃金を上げるのがいやだから結局解雇して、そしてパートタイマーとして働かしている。この間、これは何というのですか、ある大企業といわれるようなところに行ってみたのですけれども、パートタイマーと普通と一人おきにやっている。指導をパートタイマーがやっています。首を切られたからしかたがない、こういうことが許される。そういう問題も労働省では少しは耳に入っていると思う。それをそのままにしていくというのは私許されない。
#153
○説明員(赤松良子君) おっしゃるようにわが国ではパートタイムの雇用の慣行というものが外国のように確立されておりません。そこでパートタイムという名前のもとで臨時雇用であったり、いろいろな保護を回避するためにパートという名前で呼んでそして使っているというようなことも先生の御指摘のとおりだと思います。そこで私どもとしては、パートタイムというのは単に時間が短いということにすぎないはずであると、パートタイムであるからといってすぐに首を切ることができるとかあるいは福祉施設について別の取り扱いをするとか、まして基準法の適用がないなどと思うのはとんでもない間違いであると、こういうことを機会あるごとに認識を高める、こういうことがぜひ必要だということを数年にわたって考えているわけでございます。この問題につきましては御承知かと思いますが、パートタイム雇用制度について専門家の会議を開きまして、パートタイムの問題についての問題点を明らかにしていただく、その結果、ただいま申し上げたようなことも認識されました。これをぜひ今後は、パートタイマーといっても悪いことばかりではなくて、やはり短い時間を勤務につくという利点もあるわけでございますので、時間が短いということだけがパートタイムなんであって、そのほかの身分の差だとか不当な差別をいろんなところでするということのないようにぜひ使用者側の認識を改めるということを鋭意努力しているところでございます。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
#154
○藤原道子君 私は、パートタイマーをたくさん使っているところでは保育所だの幼稚園をつくってそれでもって子供を預かる、それでお母さんには普通の労働者と同じような働きをさせる。私はこういう点はぜひもっと強く、これから検討しますではなくて、もうパートタイマーができてから長い時間がたっているのですから、もう少し対策を立てていただきたいということを強く要望いたします。
#155
○国務大臣(加藤常太郎君) 藤原委員の御指摘のように不合理な点がありますから、検討でなく、これに対して、よく、すみやかに省内で検討して早くこれに対する的確な行政指導をするように下部機構を通じて、役所で理屈を言って局長、課長級でやってみたっていたしかたありませんので、末端までに徹底するように行政指導をすみやかに行ないます。
#156
○藤原道子君 必ず約束してくれますか。
#157
○国務大臣(加藤常太郎君) 確約いたします。
#158
○藤原道子君 期待いたします。
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
 次に、妊娠、出産いわゆる母体保護について伺いたいと思います。
 産前産後の休暇は守られておりますか。
#159
○説明員(赤松良子君) 産前産後の休暇につきましては、御承知のように労働基準法で、産前については請求あった場合、産後については請求がなくてもこれはぜひ与えなければならないということになっておりますので、この点につきましては守られていると思います。
#160
○藤原道子君 私は産前に請求がなくも、大体妊娠のあれがあるからあれですけれども、大体いま六週間ですよね。ところが、これは諸外国を見ると八週間、社会主義国なんかはもっと多い。で、その産前休暇などは、もう少しがまんしてくれ、がまんしてくれでなかなかもらえないというのが現実でございますから、これに対してはぜひとも私は八週間としてほしいと思うのです。それは男の人にはわからないけれども、お産なんてしないからね。だけれども、妊娠中の保護というものは諸外国ではどんどん強化されておる。したがって、産前産後は八週間としてほしいと思う。少なくとも八週間としてほしいと思いますが……。
#161
○政府委員(渡邊健二君) 産前産後の休暇につきましては、先ほど赤松課長からお答えいたしましたように、現在は六週間、しかも産前は請求があったときと、かようなことに相なっているわけでございますが、この産前産後の休暇制度につきましても、先生御指摘のような御意見があることも私ども十分に承知いたしております。ただいま労働基準法問題につきましては、先ほどの須原委員の御質問に大臣がお答えいたしましたように、基準法研究会でいまこの問題をやっておりまして、ちょうど女子・年少者の保護問題もその中で取り上げられております。その問題の一環といたしましてこの産前産後保護問題も現在研究中でございますので、そういう研究の結論等を十分尊重いたしまして今後私どもも検討してまいりたい、かように考えております。
#162
○藤原道子君 ハンガリーあたりですら二十週間産前産後の休暇が与えられているんですよね。とにかく妊娠中の母体の変化ということを考えていただいて、ぜひともこれは八週間にしてもらいたい。と同時に、つわり休暇が必要だと思いますが、これに対してはどうお考えですか。
#163
○説明員(赤松良子君) つわり休暇につきましては、労働基準法には何の規定もないことは御承知のとおりでございます。そこで、勤労婦人福祉法の中に、基準法に書かれていない「(妊娠中及び出産後の健康管理に関する配慮及び措置)」として新たな条項が起こされたことは先生も御承知のとおりでございまして、勤労婦人福祉法の第十条には、一事業主は、その雇用する勤労婦人が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講ずるように努めなければならない。」と、こういうふうに書いてございます。これは必ずしもつわり休暇ということではございませんけれども、保健指導または健康審査がつわりの時期に特定の婦人については特に必要があるというような指導がなされることも、そういう例がまれではないかと思います。で、そういう指導がなされた場合には、それを守る努力義務が使用者に課せられているわけでございますので、この点では何もなかった時代とは異なりまして、この十条というものが守られるように使用者の努力を助長してまいりたい、こういうふうに考えております。
#164
○藤原道子君 私は指導が実現するように強くやっていただきたいと思う。で、ことに異常出産の例を見ましても、家庭婦人とそれから勤労婦人は倍以上の異常出産があるんですね、勤労婦人。特に看護婦さんとか学校の先生方は五〇%以上の異常出産ということになっているわけでございますから、この妊娠中の保護規定というものに対しては、大臣も女の苦しみはわからないでしょうけれども、母体保護の立場からこの点は十分考えていただきたい。
 それから、勤労婦人福祉法の第九条に、「勤労婦人が母子保健法の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるような配慮をするように努めなければならない。」とあります。私は母子保健法を側面から応援してくれる武器として高く評価しております。この趣旨は生かされているかどうか、これを生かしてもらわなければいけない、作文だけじゃ困る、このことを強く要求いたします。
 また、いま勤労婦人福祉法第十条をおっしゃいましたが、昨年の七月に人事院規則がつくられたと思うのですが、妊娠中の女子国家公務員は一日最高一時間の遅刻または早びけを認めるとありますね。これは母体を通勤ラッシュから守るため非常によいことだと思う。私は二時間ぐらいにしてほしい。ところが、自治省でも、地方公務員は同じ措置をとるよう指導したと聞いておりますが、民間ではどうですか。労働省としては民間にも指導されておりますか、どうですか。この点を伺いたい。
#165
○説明員(赤松良子君) 先生御指摘のように国家公務員については人事院規則、地方公務員については自治省行政局長通達という形で一応の成果が見られるところでございますので、これはぜひ民間にも同様の問題を周知したい、民間にぜひこれを広めたいと思っておるところでございます。で、何ぶんにもまだ成立後一年たっておりませんので、どの程度普及したかということはつまびらかではございませんが、これはぜひ実現していきたい一つの大事なことだと思っております。
#166
○藤原道子君 官公庁に働く人も民間企業に働く人も、女としては同じでございますから、母体保護の立場から民間にも強く指導してほしい。ことに今日のように交通ラッシュで悩んでいる、あるいは健康診査を受ける時間というものがないものでございますから、これはぜひとも早く実現できるように、実施できるようにしていただきたいと思います。で、子供を産み、しかも働く女性労働者は実にたいへんだと思うんです。くれぐれも母親保護を労働省としても十分がんばっていただきたい。
 ところで、子供を持つ女性労働者についてお聞きしたい。
 勤労婦人福祉法十一条で、「事業主は、その雇用する勤労婦人について、必要に応じ、育児休業の実施その他の育児に関する便宜の供与を行なうように努めなければならない。」とうたっておりますが、育児休業の実施状況はどうでしょうか。
#167
○説明員(赤松良子君) 育児休業の実施状況についての御質問でございますが、この法律ができる以前からまあ育児休業が次第に採用されるというような情勢が見られたところでございます。で、代表的なところは御存じのように電電公社かと思いますが、その後の調査によりますと、それ以外にも特にこれという産業に限らず、いろいろな産業に普及しているように見受けられるところでございます。規模別に見ますと、しかしこれはやはり大企業にかなり多い。小さな規模の企業にはまだあまり普及していない、こういうような状態が見受けられます。その実施時期を見ますと、これはここ二、三年の間に急激に増加している。つまり育児休業というものは非常に新しい制度であって、最近取り入れられるようになっている制度だと、こう言うことができるかと思います。特に昨年の法律の成立を契機にいたしまして、今後は増加するものと期待いたしておりますし、また私どももそのように普及いたしたいと、こういうふうに思っております。
 で、内容をもう少し申し上げますと、現在育児休業を取り入れておられる企業の中では、大体期間といたしましては、ほとんどの企業が期間をまず定めております。これは一定の期間を定めるということが大事なのではないかと私どもは思っておりますが、これを期間をまずあらかじめ定めているという企業が大部分でございます。その長さでございますが、これは一年程度あるいは一年以内という程度の期間を定めているところが大半のようでございます。ほぼ私どもの把握しているところではそのようなことでございます。
#168
○藤原道子君 「(育児に関する便宜の供与)」ということで、職場内に保育所の設置とか、あるいは母親である女性労働者がその子を地域の保育所に連れていき、あるいは連れて帰るための時間、つまり早びけや遅刻はある程度認めるというふうに解釈して、一歩前進と評価したんですが、この「育児に関する便宜の供与」が具体的にどのような形であらわれておりますか。
#169
○説明員(赤松良子君) この育児に関する便宜の供与というのは、法律では抽象的に書かれておりますので、まずこれの内容を明らかにするということが最初かと思いまして、施行通達によりまして、どういうことを便宜の供与として進めていくかということを明らかにしたわけでございます。
 そこで「育児に関する便宜の供与」といたしまして、私どもが推進しておりますのは、勤労婦人が乳幼児を保育所等に預ける場合に「勤務時間に関して配慮をすると、」、これは先生がただいまおっしゃったことと一致するかと思います。これが一つでございます。それから「または輸送期間の便宜の供与、」、これはたとえば企業内に保育所があるような場合にはそこへ連れてくるためのマイクロバスの提供であるとか、それは何でもよろしいわけでございますが、とにかく連れてくること自体がたいへんなことでございますので、それについて便宜をはからう。あるいは「勤労婦人が母子保健法の十条、十二条及び十三条に規定されております乳幼児に対する健康審査を受ける場合の勤務時間に関する配慮、」これもあげております。これは先ほど妊娠中の場合の健康指導、保健指導につきましては、九条のほうで書いてあるわけでございますが、こちらのほうは生まれた子供のほうに対する健康指導というのもやはり必要なんではないか、これを母子保健法では、そういう場合には病院へ連れて行くなり、あるいは保健所へ連れて行くようにと、こういう要請があるわけでございますが、勤務時間との関係でそれがままにならないというような実態もございますので、そういう場合にはできるだけ勤務時間を差し繰って保健所へ子供を連れて行くことができるように、病院へ連れて行くことができるように配慮をするように、こういうことも「育児に関する便宜の供与」として具体的に示したところでございます。また事業場内において必要があれば授乳のための施設を講ずるとか、そういうような便宜も供与するということ、あるいはこれは外国などの例に見ますと、ある程度大きな事業場については授乳室を設けるということを義務づけているような例もございますので、そういうことも参考にいたしまして、授乳の設備とか、あるいは授乳室を設けることなども育児に関する便宜の供与に入るであろう、こういうふうに思いまして指導をいたしているところでございます。
#170
○藤原道子君 たいへん「育児に関する便宜の供与」というのは非常にむずかしいんです。
 そこで、大臣、私は諸外国を回りまして、しみじみ考えると、外国は非常に明るい。ところが日本へ帰ると非常に暗いのですよ、保育所にしても何にしても。労働者が足りないとか、施設が小さいとかいろいろある。そこでその中でも、特に私が参考にしていただきたいと思うのは、中国なんですけれども、中国では妊娠いたしますと、企業で妊娠食というのが出る。妊娠五ヵ月から妊娠食。特に妊婦の栄養の強化という点で妊娠食が与えられる。それから賃金カットがなくて、八時間労働が六時間になる。妊婦の勤務時間は六時間になる。それから産前産後の八週間の休暇が終わって、それで子供を連れて出勤するわけです。そうすると工場の中に保育所がある。そこへ預けておいておかあさんは働く。ところが働き出すと育児時間ということで二時間のやはり賃金カットなしの育児時間が与えられる。みんなは八時間労働。ところが乳児の母は六時間労働ということで保護している。こういう点が、私が先ほど申し上げましたように、産前産後の休暇とか、妊娠中の待遇が非常に大事だということがやられている一つの例です。とにかく賃金カットなしに時間短縮、妊娠中の栄養食が与えられる。それで子供を連れて出勤すれば、そこで保育所があって、とても大切に見てくれておる。こういう中国のあり方。それから、またソビエトへ参りましたら、保育所にも幼稚園にも医者と看護婦がいる。それでもし子供が出てきて顔色が悪いとすぐ診察をする。そうして子供が病気である場合には自宅へ帰して、すぐ医者の診断書が出ると、働いているおかあさんは有給休暇が出る。子供の病気の世話をするのは母にまさるものはない、こういうことで大切にしている。それで男女平等の賃金で働いている。時間短縮をしても、産前産後の休暇があっても、賃金はどうだといえば職場においては平等じゃありませんか。こういうことが行なわれているのを見て、私たちの力の足りなさをしみじみ感ずる。これに対して大臣どう思いますか。
#171
○国務大臣(加藤常太郎君) 先ほど婦人の労働行政について責任を感じておる、今後改善に対しまして積極的な指導をやります、こう言って申し上げたとおり、いま外国の例もお聞きいたしましたが、私も中国の育児の場所を見ました。いいところも悪いところもありました。いい面を見ると、これはたいした、日本より進んだなあと思ったら、かってに行きますと、日本よりはみじめなところもある。先進国のほうはわりかたほがらかで明朗で、明るい感じがいたします。そういう点でいろいろ先進国のいろいろな問題も例にいたしまして、もう少し母性の保護、次代をになう育児の問題、この点も労働行政について積極的に、ただ口先だけでできません、予算の面も、これは本年度私遺憾であったんでありますが、もうこの国会が済むごろから来年度の予算の問題もこれは検討しなくちゃならぬが、こういう面につきましては、できるだけの私は努力をいたしますことをここで確約いたします。先ほど言ったように、婦人の問題に対してこれは前段に戻るようでありますが、これは歴代の大臣、労働省も少し責任を感じて活発な行動をとらなくちゃならぬ、こういう信念でありますので、御趣旨のような点を尊重いたしまして、改善に努力し、やはり財政的な裏づけも大いにやる所存であります。
#172
○藤原道子君 きょうの、あの大臣の所信表明の中に婦人労働なかったじゃないですか。やっぱり軽視している。
#173
○国務大臣(加藤常太郎君) それはもう口と、いま言うことと――それはもうたいへんな落ち度でありまして、これは藤原議員の御指摘を拳々服膺いたしまして、もうこれは大いにやります。これはここで申し上げにくいのでありますけれども、最初のときにはばく然といたしまして、作文を読んだ、こういうことで、もう少し足らぬところはありますが、なお一そう、だいぶん経験を積みましたから、私の私見を大いに盛り込みまして大いにやります。
#174
○藤原道子君 しゃくにさわるから、もっとやりたいけれども、時間の制限がありますので、またあらためてやりましょう。
 そこで、やります、やりますと言うけれども、一向にやらない。労働者の味方と言うけれども、どうも大臣、企業の味方のような気がしてならない。だから、労働省の設立の趣旨に反している傾向がある。婦人少年局に対しても、労働省全体としてももっと力を入れてもらわなければ、結局予算を見てもなかなかたいへんですよ。ところが子供はどれだけいるか、女性労働者はどれだけいるか、しかも、女性がいなかったら、人口絶えるのですよ。その妊娠、出産に対する保護規定が非常に大事な、いまの労働問題の中の一つだと私は思います。それだのに、きょう、大臣は所信表明の中には女はなかった。だから、私はこれやる……。
#175
○国務大臣(加藤常太郎君) どうもえらいちょっと失言いたしましたが、いまいつの所信表明かちょっとわかりませんが、社会労働委員会、この委員会では二ページの上に載っておりますよ。
#176
○藤原道子君 ちょびっとね。だけれど言わなかった。
#177
○国務大臣(加藤常太郎君) いや、これは申し上げようが悪いのでありましたが、このとおり読みました。このまま。
#178
○須原昭二君 婦人の家と勤労婦人のセンターだけだよ。
#179
○国務大臣(加藤常太郎君) いやいや、ここにあります。「特に、勤労婦人や勤労青少年の福祉対策としては、従来の」、ここに載っていますな、ちょっと。これはほんとうに少ないですな。だから、この点につきましては、先ほど申し上げたように、いままでまあ少し足らなかったと、今後は大いにやりますと。やる言うたってやらぬじゃないかと、こう言われますけれども、これは本腰でやる所存でありますから、どうか大臣の言を御信用してくださるように。大いにやりますから……。
#180
○藤原道子君 ちょびっとあるわけね。精神が含まれてないじゃないですか。ということを口が悪いから言いますけれども、もっと真剣に考えていただくことを強く要求いたします。
#181
○国務大臣(加藤常太郎君) 精神をくんで、藤原議員の御指摘のような点、あらゆる点を考えて、先ほど言ったように、ただ精神だけでもいきませんから、財政的な裏づけも考えてやる所存であります。これは先ほどの点と違ってもう判然としております。大いにやる所存でありますから、どの程度いくか、お手並み拝見でありますが、これは将来のことでありますけれども、大臣としては足らぬ点を補って前向きで、検討だけでありません、対処いたします。
#182
○藤原道子君 了解しておきますから実行してちょうだい。期待しております。
#183
○国務大臣(加藤常太郎君) 実行に移すようにやります。
#184
○藤原道子君 そこで、女性労働者は働き、結婚し、子供を育てながら一生懸命働いている。さまざまな差別を加えられながらもそれと戦い、そして最近裁判で争うケースもふえている。ところが、ほとんどの場合は女性が勝ってきている、裁判した場合に。憲法があり、労基法があるこの日本においては当然のことでありますが、さきにも申し上げました東京高裁で女子五十歳定年は適法という判決があった。ところが東京地裁ではこれを無効とする判決があった。私はこの地裁のほうが本訴ですから、会社側が控訴しなければ女性側が勝つと思うんです。私は東京高裁の判決が今後重大な影響を与えはせぬかと、それが心配なんです。私は本訴であるから地裁のほうが勝つけれども、大きく報道されたのはこの高裁のほうの判決なんです。これがずいぶん大きく宣伝されて国民の中へ浸透している。それが私は今後重大な影響を与えはせぬかと心配している。企業側がこの判決をにしきの御旗として使いはせぬか。労働省としては責任ある立場でこういう事態が起こらぬようにひとつ約束をしてほしい。努力をして指導をしていただきたいと思うんです。
 最後にお願いしたいことは、勤労婦人福祉法の提案理由はまことにけっこうな文章です。これが単なる作文に終わるようなことのないように。私は婦人少年局ではうんとやろうと努力しておられることはわかる。労働省全体として勤労婦人の福祉の増進と地位の向上をはかるために、大臣をはじめ関係各局の皆さんに一そうがんばっていただきたいことを強く要望したいと思います。いかがでございますか、大臣。
#185
○国務大臣(加藤常太郎君) 前段でも私責任を感じておると申し上げましたし、いま私の気持ちも開陳いたしましたが、藤原議員の御指摘のような点、高裁の判決、最初この点について私は不満だと、最高裁の場合にはいたしかたないけれども、下級裁判で変わった、こういう点についても必ずしも私は、省としてはその方針でありません。前段に申し上げたように、下部機構にもこの点をよく徹底するように、名前は次官通達か、大臣がここで、委員会でこういう話をしたからこの方向でひとつ定年問題は進んでもらいたい、こういう趣旨で下部機構にも通達いたしますし、省としても大体見解を統一いたします。そうして、ある機会を見て、こういう方向で行政指導をやるんだ、こういうことを発表もいたします。
 いろいろその他の御指摘の問題は、先ほどから再々申し上げたように、御指摘のような趣旨を尊重いたしまして対処いたします。
#186
○藤原道子君 私は大臣を信頼したい。ほんとうにしっかりやってください。
 いま保育所の保母さんの問題、あるいは病院の看護婦さんの問題、産婆さんがほとんどいなくなる。私は十一の年から印刷女工をした。十六の年から看護婦になった。ずいぶん働いて苦労してきました。当時の労働者に対する待遇よりもよくなっていなきゃならない。ところがそれがうらはらでございまして、いまの看護婦さんのほうが当時の看護婦よりもきびしい働きをさせられている。
 いま心身障害児の施設だってどうなるか。これは厚生省の問題ですけれども、働く者がいかに苦労しているかということを大臣もお考え願いまして、喜んで働ければ成果があがるんです。こういうことで、婦人労働の大事な面を受け持っているわけでございますから、母体保護の問題とかあるいは通勤の問題とか、妊娠中の問題とか育児の問題とか……。私はさらに重ねて十分御実行願いたいことを強くお願いいたしまして、婦人少年局でもなかなかやりにくい中でがんばっていることに私は敬意を表しています。どうかこの点に対しても力をもっと強く与えてくださることをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#187
○柏原ヤス君 労働大臣の所信表明について質問をいたします。
 現在五十歳から五十五歳の年輩になられている労働者の方々は、戦後の荒廃から今日までのわが国の経済をささえて非常に御苦労された方たちでございますが、まだ働ける、また働かなければならないのに職場をやめさせられているという問題にぶつかっております。しかも、やめたあとの生活設計については何らの光明も見出せないというのが現状でございます。
 この高年齢者対策については、職業問題ばかりでなく医療問題、年金問題など各方面にわたる問題がございますが、今日は労働問題に限ってお伺いしたいと思います。
 そこでまず第一には、定年制の問題であります。
 わが国の平均家族数を見ますと、五十五歳−五十六歳に対しては平均家族数が四・〇六人、そのうち扶養家族は二・一人、また五十九歳−六十歳のところを見ますと扶養家族が一・七九人、これが現状でございます。五十五歳から六十歳という範囲を見たのでございますが、つまり定年になっても扶養家族が平均して二人はいるということになります。しかも、この扶養家族の中には在学中の者もいるという現状でございます。このような扶養家族をかかえてどうして現在の厚生年金で生活していけるか。また、五十五歳から六十歳までの間は、厚生年金ももらえないわけでございますが、このような現状について労働大臣はどのようにお考えでしょうか。
#188
○国務大臣(加藤常太郎君) いまの年金制度は、厚生年金が六十歳、国民年金が六十五歳、定年がなお五十五歳という現行のところもありますので、この接点が、これはギャップがあります。これは週休二日制と表裏一体でありますが、定年延長の問題も目玉商品でありますが、ところが、週休二日制のほうは予想以上に進展いたしておりますけれども、定年延長が週休二日制よりは少し、何というか、われわれの考えの理想的な方向に向かっておりません。そういう意味で週休二日制も大事であるが、定年延長制をひとつせめて六十歳までに持っていきたい。経済社会基本計画でも、これを閣議了承事項として全般が了承いたしましたが、これは法令ではありませんので、やはり各労使の間の話し合いでもう少し前向きに対処してもらいたい。だいぶんその機運は熟しつつありますけれども、まだ遺憾な点が多々あると思います。そういう意味で、週休二日制以上に私はこの問題を労働省としては考えなくちゃならぬと思います。
 いま日本の雇用関係は、御承知のように、経済が拡大いたしまして、大幅な進展をいたしておりますが、すべて需給関係も倍率がいままで一・六七と思いますが、それが二月の統計では二倍と、こういうふうに雇用関係がよくなっておるが、中高年齢者の問題が、これは相当難点もあります。やはり今後雇用関係の立場から、需給関係から見てでも、中高年齢者の問題を私は考えなくちゃならぬと思います。そういう意味で、いままでの定年五十五歳で、これが年寄り化して、もうあとは老後を楽しむと――楽しめぬ状態で楽しむというような方向では、これは矛盾撞着もはなはだしいと思いますので、この問題をやはり年金と定年延長制が接点になる、こういう方向に進めるように対処いたしております。
#189
○柏原ヤス君 ただいま大臣のお話のように、定年の延長は、目玉商品である、また年金と定年とをつなげるように努力するというお話でございますが、そうした定年延長を強力に推進するというお考えを伺ったんですが、その推進方策は一体どのようなお考えでなさるのか。ただ延長する、延長ずると言っていただけでは、決して効果があがるものではない、こう思います。そこで、具体的な計画、これについてお伺いいたします。これが一点でございます。
 また、その計画に沿って着実に推進するために有効な推進手段というものがなくてはならないと思いますが、大臣がこれについて、やはり所信表明のときに定年延長奨励金を支給するとおっしゃっておりますが、これはどれくらいの奨励金を、またどのような方法で支給されるお考えなのか。具体的にお聞かせ願いたいと思います。
#190
○政府委員(渡邊健二君) まず第一点の定年延長をどういう目標でやるのかという点と、一般的に定年延長の推進をどういう手段でやるのかという二点についてお答え申し上げたいと思います。
 定年延長につきましては、先ほど大臣から申し上げましたように、経済社会基本計画及びその後閣議決定がございました雇用対策基本計画におきまして、今後五年間程度の間に六十歳定年が一般化することを目標として進めることにいたしております。
 で、これを進める方法でございますが、大臣が申し上げましたように、なかなかこれが順調に進行いたさない一つの原因といたしましては、やはり日本は賃金につきまして、年功序列賃金というのが一般的な慣行になっています。退職金につきましても、勤続年数が長くなると退職金が多くなるという年功制がとられております。
 そこで、定年を延長いたしますと、それだけ高齢者の方の賃金がいまのままの制度だとふえていく、あるいは退職金が増大する。そのためのコストの問題等々もあるわけでございます。
 また人事管理につきましても、年功序列人事管理制度がとられておりまして、年功の先の者が役付になる。定年を延長すると、それだけ人事に停滞を来たすおそれがあるといったようなことがネックになっております。
 そこで、私ども定年延長を進めるにつきましては、単にそれを呼びかけるだけでは十分でないので、それら年功序列賃金、あるいは年功的な人事管理、これを定年延長とどう調整していくかということがはっきりいたしませんと、具体的になかなか進まない。こういうことで、昨年来これらの問題を、年功序列賃金と定年の関係につきましては、中山伊知郎先生を会長とする賃金研究会、あるいは年功序列人事管理制度と定年延長の問題については労働者生活ビジョン懇談会というものに、考え方、進め方等について御意見を伺っておりましたところ、昨年末にそれらの報告をいただいたわけでございます。したがいまして、現在それらを労使が話し合いをして、定年延長を進める場合の一つの資料といたしまして地方にお流しして、それらを一つの参考として労使がそれぞれの企業の実態に適応した形で処理していただく、こういう材料にしてそれを促進することをはかっております。
 その他いろいろな指導援助によりまして、との定年延長の推進を行政指導によって進めておるわけでございます。
 なお、お尋ねの奨励金の問題につきましては、安定局長からお答えを申し上げることにいたします。
#191
○政府委員(道正邦彦君) 先ほど大臣の御答弁の中に数字の御説明がございましたが、私の大臣に対する御説明が不十分でございまして、若干訂正させていただきます。
 大臣が言われました一・六七と申しますのは、有効求人倍率と申しまして、安定所に毎月有効の求職者として残っておる者、あるいは求人として残っておる者、これを有効求人倍率と申しますが、これが一・六七でございます。二倍をこえたというふうに言われましたのは、新規の求人倍率でございまして、技術的な点でございますが、御説明を補足させていただます。
 いまの定年延長奨励金のことでございますが、これは大体五十五歳が定年制の中で一番多いわけでございますので、六十歳まで五年間の間に延ばす。そのためにはいろいろ労使に対しまして指導援助いたすわけでございますけれども、具体的な一つの援助といたしまして、四十八年度以降五十五歳以上に定年を延ばしてもらった場合には、一人につき年間二万五千円奨励金を支給するというものでございまして、ただし、これは中小企業に限定いたしております。
#192
○柏原ヤス君 ただいま具体的な計画についてということでお伺いしたわけですが、定年延長というのはたいへん困難な問題が伴っているということはよく知っております。そのために先ほどおっしゃったようにいろいろとその問題解決の手は打たれているわけです。その手を打たれるということは定年延長をやりやすくするための方法であって、その御努力というか、その点はどんどんやっていっていただきたい。そこで、労働省の、まず大臣のお考えとして定年延長の計画、これをもう少し具体的に私お聞きしたいわけなんです。先ほどおっしゃったように経済社会基本計画というものが閣議で決定されたと、もうこれは国家の方針だというふうに考えてもいいと思うんですね。その中で、特に定年延長という問題は取り上げているわけです。しかも五ヵ年という期間を切ってやっているわけですね。もう一つ労働省で計画されている雇用対策基本計画、この中にも定年延長のことがやや具体的に出ております。これを見てみますと、四十七年から五十一年の五年間に「六〇才を目標としてその延長を推進するものとする。」と、何かここの「推進するものとする。」ということばを見ますと何かあいまいじゃないかと、「実現する」というくらいな強い姿勢があってもいいんじゃないかと、こう思うわけです。しかも五年という年限を切ったんですから、この五年間に毎年一歳ずつ延長していこうとするのか、また二、三回に区切って、そして六十歳の延長をこの五年間でやるのか、また中小企業をまず重点的にやって、そして大企業にこれを及ぼしていくと、こういうような五年間の期間の計画というものが、もう少し大臣のお考えとしてお聞かせ願えてもいいんじゃないか、こう思うわけでございます。
#193
○国務大臣(加藤常太郎君) 定年制延長の問題は、これも週休二日制と同じで民間の大企業、中小零細企業並びに官公庁各方面にこれは重大な影響がありますが、週休二日制よりはなかなか難問題が潜在しておることはこれはもう事実であります。そういう意味で、大体週休二日制の問題がめどがつきますれば、これに特に労働省としては力を入れたいと、毎年一年ずつ延ばしていくという方法、一ぺんに五年いく、まあ中間の三年ぐらいで決定して、またその次に、五年先にはそれを六十歳の理想目標へ持っていかすと、こういうようなやり方は、大体これはやはり労使間でよく、十分話し合って、これも政府が決定したことでありますから、一つの目標を、指示を与えたんでありますから、相当労使で、この問題もだいぶ話しております。特に、二十日に閣議懇談会を定年制延長も含めて週休二日制とともにやりますが、ちょっと週休二日制のほうに隠れてなかなかおみこしが上がりにくいというような点がありますので、柏原委員から御指摘のように、特に二十日の場合には、この問題をひとつ官公庁も全面的に大いに検討せいと、大いにやらぬかと、こういうふうに強調いたしたいと思っております。なかなかこれいま局長から話があったように、年功によって、やはり古い方はだんだん賃金が上がっていくと、こういうような関係で能力と賃金の関係の従来の慣行がどうもこの推進のじゃまをしておると、こういうような点もありますので、こういうようなネックも一つ一つ指導いたしまして、やはりこれも世界の趨勢でありますし、特に年齢も相当寿命が延びたのでありまして、五十五歳であったら見方によってはまだ働き盛りであると、こう見られますので、従来の五十五歳定年という、この旧態依然たる観念をまず打開してもらって理想の目標に五ヵ年間には何とかやりたいと、しかし率直に私の意見を言えといえば、週休二日制よりはなかなか困難だと、それだけ労働省は困難な点を克服するようにこれに対して大いに措置なり対処なり強力な指導をやらなくちゃならぬと思います。
#194
○柏原ヤス君 何となく目標だけは立てると、計画は立てるけれどもその実現性は非常に怪しいという感じを受けるわけですね。ここにも「推進する」と言っておりますし、また大臣の直接のお話は労使の間の話し合いできめることなんだというようなことで、もう少し、計画として立てられたことなんですから、この五年間でこういうふうに延長していくという、そうした御意見はないんでしょうか。
#195
○国務大臣(加藤常太郎君) もう雇用対策にも労働省の基本方針もきまっておりますし、また閣議でもこれはもう全員一致で文句なく決定したんでありますから、困難はありますけれども困難を制して最終の目標にいくように、特に、これは重点的に強力な行政指導を行ないます。これに対しましてはもう少し労使の労のほうも、まあ、いま時間短縮と週休二日制のほうに重点を置いて定年延長のほうが少し話し合いの進展がおそい感じがいたしますから、使のほうから見ると週休二日制、定年制延長二つと、こうなりますと話がなかなか進展しないという関係でちょっとおくれがちでありますが、目標の線に、決してそれを遅滞さすような考え方を持っておりません。強力に今後この点を行政指導いたすことはこれは間違いありません。ただ、いまのところで困難な情勢で、一部ではありますけれども、進展も、相当進展しておる企業もありますので、決して萎靡沈滞するようなことないように強力な行政指導を行なうことをお約束いたします。
#196
○柏原ヤス君 奨励金の問題ですが、これは中小企業が対象のようでございますね、中小企業を対象のほうがむしろこれはやりやすいと私は思います。そこで五十五歳の定年制というのは大企業のほうが圧倒的に多いわけです。そしてやりにくくなっているんじゃないか。そこで、この大企業の定年延長という問題はどう推進していくお考えでしょうか。
#197
○政府委員(道正邦彦君) 御指摘のとおり、人手不足の関係もございますので、中小企業におきましては六十歳定年というのをとっている企業もかなりあるわけでございます。むしろ大企業のほうが五十五歳定年が多いのも御指摘のとおりでございますが、これをいずれにしても延ばさなければいかぬという場合に、大企業につきましては、これはもう企業の社会的責任として当然延ばしてもらわなきゃならない性質のものではないか。中小企業につきましても同じようなことが言えるかと思いますけれども、現実の問題といたしまして、大企業に比べましていろいろ困難の伴う中小企業でございますので、政府としてもできる限りの援助をしたいということで中小企業に限定して補助金を予算化したのでございます。
#198
○柏原ヤス君 そこでこのような奨励金だけでは定年延長というものは促進されないと私は思います。そこで、ほかにもっと有効な推進手段というものがないものか、これはどうお考えでしょうか。
#199
○政府委員(道正邦彦君) 私どもも奨励金を出してこれですべてうまくいくというふうには毛頭考えておりません。あくまで労使の理解を得ることが基本ではございますけれども、何よりも労働省関係部局が協力いたしまして労使に強力に呼びかける、なかんずく使用者側に強力に呼びかけるという必要があろうかと思います。そのためには現在でもやっておるわけでございますけれども、安定所には学卒をほしいという若年中心の求人が殺到するわけでございますけれども、中高年の雇用率未達成事業場等につきましてはその旨を求人表にチェック、記入してもらいまして窓口で指導等もやっておるわけでございます。しかし、今後はいままでの政策にあわせまして企業側に援助の担当者を設置してもらって、これは全企業というわけにもいかぬと思いますので、一定規模以上の企業に限定したいと思いますけれども、そういう責任体制をはっきりしてもらう、それから定年退職予定者につきまして、定年前からいろいろ職業講習であるとか、あるいは職業訓練等を実施いたしまして、それに対する援助もいたしまして、中高年の方々自身にもいろいろ力をつけていただくというようなことも配慮したいと思います。そのほか役所の受け入れ体制といたしましては、たとえば人材銀行の増設であるとか、あるいは公共職業安定所に高齢者の雇用安定をもっぱら担当する指導官を置くとか、あるいは高齢者の相談コーナーを百五十ヵ所ほど設ける予定でございますが、そういうことを通じまして中高年齢者、なかんずく定年退職者の方々の定年延長の促進に当たりたいというふうに考えておるわけでございます。
#200
○柏原ヤス君 いまのお答えで私は満足できません。繰り返して申し上げるようですけれども、わずかな奨励措置でもって定年制という制度が簡単に変革できるかどうか、私はできないと思うんです。定年制、またそれに関係のある年功序列型の賃金体系、こういう長い歴史を持ったこうした制度を改革するためには何らかの強力な力をここに加えなきゃならない、強制力というものが絶対に必要だと思うんです。先ほどお話しのように、閣議決定したこうした基本計画というものはどうしても実現させなければならないと思うのです。そのために特に大企業に対して何らかの罰則を課すということも一案ではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#201
○国務大臣(加藤常太郎君) 各国の規則なり法律を見て研究したのでありますが、あまり定年の問題が罰則的な慣例もなし、日本にもこの点がちょっと抜けておるのでありますが、なかなかこのままいった場合にはどうもおくれがちになるのではないかこういう御心配、御配慮があってそういう御発言と思いますが、この点もきちっと考えなくちゃならぬという気は私もいたします。しかし研究いたしますと、どうもどの方面においても定年延長については労使が自主的に話し合うというのが世界の通例でありますので、しかし何かこれ、もう少し閣議決定だけでにしきの御旗でやろうとしても、また労働省は強力な行政指導をやるという方向でいきましても、遅延することがあってはたいへんでありますので、下部機構その他を、基準監督局などを督励いたしまして、いろいろ申し入れることができないものであってもひとつ強力にやらざるを得ぬ、ささたる奨励金制度では、――これは中小企業がおもに対象でありますので、根本の大企業に対してどういう対策を講じていくか、こういう点もこの間うちから省内でも研究しておるのであります。ビジョン懇談会並びに研究会でもいろいろ検討いたしておりますが、なお一そう省内にありましても、御趣旨のような点も含めてひとつ検討して、何とかこれを推進する強力な根拠を、準拠をつくりたいと、こういうような所存であります。
#202
○柏原ヤス君 これはしろうと考えで考えたものでございますけれども、強制力という点で、たとえば政府が物資を購入するときの入札、また物をつくらせる、船とか飛行機などをつくるときの入札、工事を発注するときの発注先輸入割り当て、こういうようなことを政府が行なう場合に、大企業の中で定年延長を積極的にやらないところは対象のワクからはずすというようなことがあってもいいんではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#203
○政府委員(道正邦彦君) 現在、中高年齢者の雇用促進法によりまして、中高年齢者にでも働ける職種につきましては、雇用率というのを定めております。民間約二十九種、これをことしは倍増いたします。また四十八年度はさらに百職種くらいにふやすという計画でございますが、この雇用率を設定して、雇用率未達成の事業場には強力な指導をするということをやっております。御指摘のように、この今後の推移を見まして、官公庁等の発注にあたりまして、そういうことを行政措置としてやることは私は十分考えられると思います。しかしいま直ちにそういうことを全般的にやるということはまだちょっと準備が不足ではないかと思いますが、将来の方向といたしましては、中高年齢者の雇用率未達成の事業場あるいは心身障害者の未達成の事業場等につきましては、やはり達成してから入札してもらいたいというふうなことは、私は今後の方針としては十分考えられる政策ではないかと思います。
#204
○柏原ヤス君 定年延長は一気にすべての企業で行なわれるというものでもないし、また進むとしても徐々に進むものと思います。
 そこで、それまでの間、五十五歳で退職する方々を放置することはできないと思います。そこでお尋ねしたいのですが、それまでの間、定年で退職する方々についてはどのような再就職対策をお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。
#205
○政府委員(道正邦彦君) 先ほど来申し上げておりますように、われわれといたしましては、基本的には定年延長をしてもらうということが最大のねらいでございますけれども、そうは言いましても、なかなか、ケースによりましてはいかぬという場合もあろうかと思います。したがいまして、過渡的にどうしてもある程度の方が定年によって退職せざるを得ないということになろうかと思います。そういう場合に備えまして、われわれといたしましては、定年延長の促進とあわせまして、定年によって退職される方の再就職の援助措置もあわせて講じております。すなわち、定年退職者の再就職の援助の担当者を各企業に置いていただきます。それから、先ほど申し上げました定年前の訓練、講習等の実施も、これは定年延長される方ももとよりでございますけれども、むしろ定年によって退職する方々にとって非常に意義があるわけでございますが、そういう講習、訓練、これも、年配者でございますので、いわゆる職業訓練というふうにきつく言いますとなかなか親しめない方もおられますので、この辺は弾力的に、職業講習みたいなものも取り入れて、受講奨励金等も支給するというふうなことを考えておるわけでございます。そのほか、先ほど申し上げましたような安定所サイドの整備も四十八年度予算で措置をしたつもりでございます。
#206
○柏原ヤス君 いまの御答弁のように、いろいろな対策を講じられておりますが、現実には、高齢者の方が再就職されますと賃金も大幅に下がっておりますし、職場環境もよくないと、こういうふうに聞いております。この点いかがでしょうか。私の知っている人なども、職安の紹介へ行きましたら、掃除とか雑役、ほとんどそういう仕事きりないということを言っておりました。私は、やっぱり、いままでの職場で身につけた技術とか技能をこの新しい職場で十分発揮できるような就職の場を見つけてあげるということが再就職の条件を引き上げることにもなると思います。そういう点で、この再就職対策にこのような点も十分に留意されていただろうか、不十分であったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#207
○政府委員(道正邦彦君) 私ども雇用政策を進める者にとりまして、当面の最大の問題の一つが中高年齢者の就職問題であろうというふうに考えて、不十分ではございますが、かねてより対策を進めてきているわけでございます。で、中高年の方の再就職、就職問題を専門に扱う指導官六百五十人の配置であるとか、あるいはケースワーク方式の徹底によりまして、それぞれの方々の前歴あるいは前の労働条件その他を指導官が時間をかけまして拝聴いたしまして、極力条件のいい、経験が生かせるような職場にごあっせんするということでやってまいっているつもりでございますが、御指摘のように、大体五十五過ぎになりますと非常に就職が困難になっております。数字的にもその点ははっきりいたしておりますが、今後は、その定年延長を一方で大いに強力に進め、定年によって年金受給前に離職しなくともいいようなことを強力に進める一方におきまして、過渡的に出てくる定年退職者の再就職につきましてはいままで以上に努力をいたしたいと思っております。
#208
○柏原ヤス君 特に、この再就職の場合の就職の場ですね、これが先ほど申し上げたように、いままでの技術や技能を生かせるような場所をもっと幅広くつくっていく、見つけてあげるということについて不十分であったというお話でございますので、この問題をもっと労働省としては真剣にやっていただきたい、これをもう一度つけ加えさしていただきます。
 そこで、この高齢者の就職対策について忘れてはならないもう一つ重要な点があると思います。で、これは、このような方々を受け入れる主要な職場が現状では中小企業が圧倒的に多いということになっておりますが、そこで、この就職条件の向上のためにも、この受け入れ側である中小企業の労働条件の向上対策というものがぜひ必要であると思います。で、中小企業では労働条件が非常に悪くて、特に退職金制度がない、そういう企業が非常に多いわけです。このような点、どのように指導をなさり、また監督をし、そして助成をしていらっしゃるか、また、しようとしていらっしゃるかをお聞かせいただきたいと思います。
#209
○政府委員(渡邊健二君) 中小企業の労働条件、近年逐次いろいろ上がってきてはおりますけれども、確かに大企業に比べてまだまだ不十分な点があるわけでございまして、これにつきまして私ども基本的にはやっぱり経営の近代化等と相またなければならないと思いますが、経営の近代化、労務管理の改善等を進める中で中小企業の労働条件の改善を指導しておるところでございます。御指摘の退職金制度につきましても、もちろん私ども、大企業に比べてそういう制度が中小企業に全然ないわけではございませんが、非常に普及率が少ない、そういうところで労働条件改善のためにはやはりそういう制度も必要だということで指導をいたしておりますが、特に中小企業独力で退職金制度を設けることができないような企業もございますので、先生御承知と思いますが、法律で中小企業退職金共済法というのがございまして、中小企業退職金共済事業団というものを労働省の外郭団体としてつくっておりまして、そこに掛け金をかけていただくと、それがその退職金を管理いたしまして、労働者がやめるときにそこから退職金を出すというような制度を前から設けております。そこに、独力で退職金制度を持っていない企業はこれに加入するように強力に呼びかけて、だいぶその加入者もふえておるところでございまして、独力で中小企業で退職金制度を持てないところは、そういうことによって中小企業労働者にも退職金が受けられるように指導につとめておるところでございます。
#210
○柏原ヤス君 で、最後に、この定年制の問題、高齢者対策問題、中小企業対策問題、これは相互に密接な関連のある問題であると思います。そして労働者の福祉の向上のために、また高齢者であるがゆえに一日も早く、むずかしい問題ではありますが、解決していただきたい。これを強く要請し、大臣の御決意を伺って質問を終わりたいと思います。
#211
○国務大臣(加藤常太郎君) きょうは柏原議員から、私、感謝いたしておるのでありますが、先般来、予算委員会その他衆参両院の委員会でもいろいろ職業病だとか、週休二日制だとか、スト権の問題、三権の問題が出ますが、この最も重要な、困難な定年延長の問題、この御質問があったことに対しまして、心から私も同感な気持ちであります。二日制の陰に隠れて、組合もあまりこの点を私に強く要求はないのであります。私反対に、もう少し組合のほうもこの問題を本腰で取り上げんかと、こう言ってけしかけておるような状態でありまして、今後やはり日本の労働の状態、雇用の状態、需給の状態、労働行政といたしましても、これはもう最重点的に私はやらなくちゃならぬという、これはかたい信念を持っております。
 そういう意味で、いま特に、また中小企業の谷間にあるような退職金の問題も御指摘もありまして、ほんとうに心から感激して同感でありますから、この面につきまして、いま御指摘のような問題をひっくるめて、どうぞなお一そうの御協力をお願いし、私も御趣旨を尊重いたしまして対処いたします。
 まあ、定年延長の問題で法律の改正案も出しておりますので、この問題のときにもまたこの点に触れたいと思いますけれども、本日は貴重な御意見を述べられまして、私も意を強くいたしまして、今後前向きでこの問題に強力な措置をするように信念を固めまして善処いたします。
#212
○委員長(矢山有作君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 午後二時四十分まで休憩いたします。
   午後二時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時五十八分開会
#213
○委員長(矢山有作君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。加藤労働大臣。
#214
○国務大臣(加藤常太郎君) ただいま議題となりました駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 駐留軍関係離職者につきましては、昭和三十三年五月駐留軍関係離職者等臨時措置法の制定以来、同法に基づき各般の援護措置を講ずることによって、その生活の安定につとめてきたところであります。
 しかしながら、駐留軍関係離職者は、今後もなお相当数発生するものと予想され、これらの者の再就職を促進することが必要でありますので、再就職援護措置をさらに拡充するとともに、同法の有効期間を延長するため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして概略御説明申し上げます。
 第一は、駐留軍関係離職者に対して雇用促進事業団が行なう援護業務の拡充であります。雇用促進事業団は、従来の業務のほか、新たに、離職者の求職活動が円滑に行なわれるようにするため、公共職業安定所の紹介により広範囲の地域にわたる求職活動を行なう離職者に対してその求職活動に要する費用を支給することとするものであります。
 第二は、駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期間の延長であります。同法は本年五月十七日に失効することとなっておりますが、今後における駐留軍関係離職者の発生状況にかんがみ、有効期間をさらに五年間延長することとしております。
 以上、この法律案の提案理由及びその概略につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#215
○委員長(矢山有作君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#216
○大橋和孝君 このたび、いま労働省から提出されております駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案、これにつきましては、内容になお不備なりあるいはまた不明確な点が見受けられますので、その点に対しまして質問いたしたいと思うのでありますが、労働省においても、具体的な理解を打ち出して万全を期していただきたいと思いますので、そういう観点から、ひとつ、御答弁をいただきたいというふうに思います。
 戦後、四半世紀以上にわたって米軍基地という特殊なところに働いておるのでありますからして、労務環境のもともずいぶんいろいろと苦しい中にあったと思うのでありますが、それを駐留軍の労働者は、人員整理という一方的な形で、今日のいよいよ深刻化しておるところのインフレ下の社会にほうり出されるような形になるわけでありますから、生活不安というものは、駐留軍労務者の中には非常に深刻なものがあると考えられるわけであります。
 そこで、この駐留軍の労務者の、四十五年以降、人員整理あるいはまた離職者の数は、一体どういうふうに推移をしておるのか、それをひとつ、聞かしていただきたいと思います。
#217
○政府委員(松崎鎮一郎君) お答えいたします。
 昭和四十五年度から四十七年度までの人員整理状況ということでございますが、四十五年度は、約七千五百名でございます。四十六年度が約四千五百名でございます。四十七年度はまだ完全に集計できておりませんが、約五千七百名程度と考えております。
 これにつきましては、いま先生がおっしゃいましたように、いろいろ手厚い援護措置が必要であると思いますので、駐留軍離職者等の臨時措置法を軸といたしまして、労働省のほうでもいろいろ援護措置をなさっておりますが、私どもといたしましても離職前の職業訓練とか、特別給付金とか、そういった問題で努力をしておるわけでございます。
#218
○大橋和孝君 在職者数はどれだけあるのか、それから、ことに沖繩の分はどれだけあるかということを分けてもらいたいです。それからまた、離職者、退職者も、沖繩はどうで内地はどうだということに分けてもらわないと、どうも明確でないですから、その数字を分けて説明してください。
#219
○政府委員(松崎鎮一郎君) 在職状況、二月末現在で沖繩が約一万八千五百名でございます。本土関係が約二万六千名でございまして、合計いたしまして約四万五千名でございます。
 なお、補足いたしますと、先ほどのは人員整理の数でございますが、そのほか定年とか、まあ、なくなった方もございますが、そういったものを全部合計いたしますと、一月末の数で、総離職者数は、沖繩関係で二千百名程度、本土関係で五千九百名程度、合計いたしまして八千名程度でございます。そのうちの五千七百名が人員整理でございます。
#220
○大橋和孝君 人員整理のおもな理由とか、原因は、大別して次のように考えられるというふうに思うのでありますが、労働省は、一体それについてどういうふうに考えておられるのか。特に原因は、たとえば私のほうで思うのは、まだ、このほかに何かあれば追加をしてもらいたいわけだが、ベトナム戦後の米軍の配備の変更だとか、日本の防衛計画との関連で自衛隊の肩がわりをしておる状態だとか、あるいはまた日本側の希望、要求も含めた基地の整理統合、あるいはドルの切り下げ、円の変動相場制、この移行に伴う米軍の労務予算の削減、こういうようなものが原因だろうと思うのですが、その他にまだ原因があるならば、原因と思われる、どういうふうに思っておられるか、あるいはまたこういうふうな理由、原因を、労働省としてはどう把握しておられるのか、この点をちょっと明確にしていただきたいと思います。
#221
○政府委員(松崎鎮一郎君) いま、先生がおっしゃいましたような理由でございます。そのほかの理由はないと思いますが、いまの先生がおっしゃいますように、在日米軍の基地は、国内の国民感情その他から整理統合していくというような方針を政府としては持っておりまして、たとえば今年の一月の二十三日に安保協議委員会がございましたが、その際、関東計画をはじめ、いろいろな施設の整理統合の方針が日米間で合意されて発表されておりますが、そういったものに基づきますもの、そのほか、先生がおっしゃいましたような理由が原因でそれで離職者が出ているわけでございます。
#222
○大橋和孝君 このように、人員整理の理由なり、原因のおもなる部分は、いまおっしゃいましたように、わが国の政府の政策にある程度起因をして、そして、そういうふうな話し合いを持っていっておるわけでありますから、やはりわが国の政府の政策に起因しているというところが多い上に、また、政府は駐留軍労働者の雇用主として二重の責任を負う形で対処する責任があるように思うんでありますが、この点、どういうふうにお考えになっておるのか。同時にまた、二十八年間も日本の労働者を使用してきたところの米軍側の駐留軍労働者に対する責任はどの程度にあるのか、どうお考えになっているのか。この両方の考え方をひとつ明確に分けて話していただきたい。
#223
○政府委員(松崎鎮一郎君) 私ども、防衛施設庁といたしましては、地位協定の十二条四項に基づきまして、在日米軍及び諸機関といっていますが、その二つのものが需要する労務の援助と申しますか、そういったことをやっておるわけでございます。そのほかの労働者については、また、いろんな別の角度になると思いますが、ただいま先生おっしゃいましたように、その数は、二十数年間の間にたいへんまあ変わってと申しますか、減少の一途をたどってきておるわけでございまして、雇用主といたしまして、いままで雇用をしていた従業員の人たちの退職金とか、それから特別給付金とか、そういったものについて、退職金につきましては、米側と協議いたしまして、公務員の場合よりも身分が不安定でございますので、若干高率のものを適用するようになりましたし、それから、特別給付金につきましては、四十六年度に、特に相当な、大量の整理がございました機会に、これは二つの表が基準表になっておりますが、第一表関係、人員整理等の関係につきましては、二万円から二十七万円というような刻みでございましたのを三万円から三十五万円、それから定年でおやめになるような方の基準表としては一万円から二十一万円でございましたものを、二万円から二十三万円というようなことで大幅に増額した。
 それから、そのほかの離職対策としましては、労働省のほうでおやりになっているものを除きまして、私どもの関係だけ申し上げますと、在職中にそういうふうに身分が不安定でだんだん整理が結局予想されるわけでございますので、何か資格免許をある程度容易にとれるようなもの、たとえば自動車の運転免許とか、変わったものとしましては、調理師の講習とか、そういったものを、国の費用を出しまして受講させましております。この数は昨年度が約五千人足らず、ことしが五千数百人になる予定でございます。
 それから、あと駐留軍の関係の労働組合とか、関係の市町村とかで、特にこの離職者が、最近高年齢化しておりますので、なかなか再就職の条件がととのわない実情がございます。それに対応するために全国でただいま七ヵ所、俗に離職者対策センターと申しておりますが、そういうものが設立されておりますが、これに雇用主といたしまして運営費の一部補助を行なってきております。これの四十八年度分は対前年度比で約五割増しの予算を計上いたしております。そのほか関係機関と緊密な連絡をとりまして、何とかそういうやむを得ず離職される方々が再就職されやすいように方策を進めているわけでございます。
#224
○大橋和孝君 いま、詳しい説明がありましたけれども、それはぼくもまたあとから一つ一つを詰めてお話を聞きたいと思うんですが、私、いま申し上げてお尋ねしたのは、一体国の政策で相当原因が、駐留軍の離職者をだんだんふやしていくのは、国の政策もあるのだし、それからまた雇い主である国という場合と二重の責任があるわけだと思うんです。一方にはまた、駐留軍では、いま申したように、長い間日本の労働者を使ってまいりまして、それで駐留軍のほうの側では、一体これに対してどの程度のあれを考えておるのか、そこらのところの区分を大まかにどうわれわれは理解していいのか、よくわからないものですから、もう少し理解のあり方を示しておいてもらわないと、あとの、いま御説明のありましたいろいろな問題の話を詰める上にどうもよくいかないわけですから、こういうふうな形で、国の政策でこういう駐留軍が入ってきて、そしてそれに対してやってきたという政策的な大きないままでの流れがあるわけですし、またそれをやっているのは、やっぱりこれは国が雇用者になっているわけですから、そういうふうなことからいうと、からみ合わせは二重のあれがあるわけですね。そういうふうな問題と、それからまた長くやってきたアメリカ側には一体どういう責任があるのか、こういうふうなことをある程度分析して考えた上で、あとからの話をちょっと伺いたいと思うわけです。
#225
○政府委員(松崎鎮一郎君) 要約して申し上げますと、たとえば実際使っておる米軍といたしましては、当然国内法に定めます、そういう離職をやむを得ずしてもらうという場合には、法定の三十日前とか四十五日前とかいうような解雇予告の期限を守ることはもちろんでございますが、そのもっと前になるべく早く事前通告をして、それでこちらの日本政府側と相談の上、たとえばAという基地では従業員の数が減ったといたしましても、Bという基地で必要な場合がございます。そういう配置がえとかその他による事前調整をいたしております。これは先ほど申し上げましたことしの一月二十三日の安保協議委員会でも事前通告をできるだけ九十日前にするということをアメリカ側も再確認いたしておりまして、ただいまのところそれの実施状況は四十五年から約束しておりますが、だんだんよくなってきておりまして、いま七割六分程度、そういう九十日前の予告が行なわれております。それからアメリカ側としましては、給与、特に退職手当でございますが、先ほど申し上げたように、公務員に比べて若干高率のものを支給いたしております。日本側としましては先ほどちょっと先に申し上げ過ぎたかもしれませんが、いろいろな施策をいたしまして、雇用主としての離職者に対する配慮を行なっているわけでございます。
#226
○大橋和孝君 そこのところでまだ少しよく理解がいかない点があるのですが、これ労働大臣、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、労働省の側として。
#227
○政府委員(道正邦彦君) ただいま防衛施設庁からお答えございましたように、直接使用する米軍におきましてもいままで多年にわたって雇用した従業員に対する配慮が当然あってしかるべきだと思いまするし、また、防衛施設庁ではせっかく予算措置その他を通じまして御努力を願っておるわけでございます。労働省といたしましては、駐留軍関係の労働者もわが国の労働者でございますので、他の労働者に比べて見劣りするどころか、いろいろむずかしい条件下にあって多年にわたって就労された方々でございますので、それ相応の処遇があってしかるべきだというふうに考えるわけでございます。
#228
○大橋和孝君 それで施設庁にちょっとお尋ねしますが、そういう関係で米軍との間には絶えず密接な連絡がとられて、あなたのほうでは思っておられる十分な話し合いのもとにいけているかどうか、その点はどうですか。
#229
○政府委員(松崎鎮一郎君) 十分と申しますとおこがましいと思いますが、できるだけのことをしてまいっているつもりでございます。
#230
○大橋和孝君 じゃ、まあちょっと私具体的にいろんな問題について聞かしていただきますが、人員整理に対する米軍側の負担は退職金支給だけにとどまっておって、あとはすべて日本側がしりぬぐいをさせられているとも考えられるわけでありますが、この点は米軍側の責任は十分果たされていないのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、この点はどうでございましょうか。
 それからまた退職金の額につきましても、金額の引き上げ、経済変動に対応してどんどんスライド制が取り入れられておるなどということが当然私は必要だと思うのでありますが、現在それはどういうふうになっておるのか、この二点についてちょっとお聞きしておきます。
#231
○政府委員(松崎鎮一郎君) 退職手当の額は、先ほど申し上げましたように、国家公務員の場合に比べまして、約二割から三割率はいいはずでございます。それの金額のもとになります基礎額と申しますか、これは年々、最近は年々でございますが、公務員の給与のいわゆるベースアップがございます。そのベースアップにつれまして、それとほぼ同程度のベースアップを行なっておりますので、それが退職手当にはね返りまして、大体見合っているというふうに考えておるわけでございます。
#232
○大橋和孝君 その度合いの考え方ですが、あなたのほうでは、それぐらい、たとえば二割アップになっておるから、当然だというふうに言われているのですが、いま先ほどぼくが申し上げたようなぐあいで、ずっと経過がありまして、言うならば、内地で働いておる労働者に比べれば、非常に不安定もあり、いろんなところでいままでから内地労働者、同じようなところを考えてみると、そこらに差があったんじゃないかというので、もちろん二割が適当であるかないかということが問題になるわけでありますが、かなりここらのところでは、そういう点では、やはりもう少し何か手厚くすべきじゃないかというふうな感じ方を私は持っておるわけでありますが、これで十分だというふうな形にはなってないように思うのですが、どうですか。そこら辺は。
#233
○政府委員(松崎鎮一郎君) それで、地位協定によりますと、アメリカ側が負担すべきものといたしましては、やはり、自分の軍隊を維持するのに必要な費用という範囲にとどまりますので、日本側政府といたしましては、雇用主という立場から、通常の退職手当のほかに、特別給付金、一種の見舞い金的なものでございますが、非常に御苦労さまでございましたということで、先ほど申し上げました最高三十五万円の特別給付金をそれに加えて差し上げる、そういうかっこうになっておるわけでございます。
#234
○大橋和孝君 その特別給付金という三十五万円ですか、これが現に現在やられているわけでありますが、金額のもっと引き上げ、あるいは支給区分の改善、いま私が申したような賃金の上昇にスライドするような改定の方式などについては、当然私は考慮されるべきだと、こういうふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
 特に、私はそういう意味でも、米軍に対しては、かなりいろんな点では、要求が足らないように思うんでありますが、そういう点を含めまして、やはり私は現在やっておられるこの三十五万円というのが、もう少し金額を引き上げたり、いま言うたような三条件はやってみることが必要だと思うんですが、どうですか。
#235
○政府委員(松崎鎮一郎君) 特別給付金は、これはアメリカ側から出している金ではございませんで、雇用主としての、日本側政府として出しているわけでございます。これはどういうふうな経緯かということを、ちょっとかいつまんで要約いたしますと、昭和三十二年、初め最高一万円ということで始まったものでございます。これが数回改定をいたしておりまして、先ほど申し上げましたのは、一番最近の改定で申し上げたわけでございますが、大体その間隔は二年ないし五年ぐらいの間隔で改定を続けてきております。
 それでただいまはその最高三十五万円でございますので、三十五倍になっておるわけでございますが、必ずしもこれで私どもも、たいへん御苦労さまでございますという気持ち、従業員の離職する方々に十分だということについては、もう一度再検討したいと考えております。それで、最近の経済情勢、物価の問題とか相当いろいろございますので、それを十分考えまして、善処してまいりたいと思っております。
#236
○大橋和孝君 それは、いつごろどれぐらいの規模で考えておられるのですか。
#237
○政府委員(松崎鎮一郎君) ただいままだ具体的に、いわば大蔵省と積み上がったものでございませんので、額を申し上げるのはお許しいただきたいと思いますが、四十九年予算でそういうものをこちらとしては要求いたしております。
#238
○大橋和孝君 その支給区分の改善なんかは……。
#239
○政府委員(松崎鎮一郎君) 四十八年予算で支給区分の改定を考えませんでした理由の一つは、ただいま最高が先ほど三十五万円と申し上げましたのに対応するのが、勤続年数二十七年以上の方でございます。この基準がちょっとこまかくて恐縮でございますが、大体二年刻みでつくってございますが、四十八年度に勤続期間が二十九年に達する方はまだいないはずだということで、ことしは見送ったわけでございます。
#240
○大橋和孝君 スライド的な改定をするということに対してはどうですか。
#241
○政府委員(松崎鎮一郎君) スライド制という考え方も確かにあると思いますが、これは技術的にどういう方法をとるか慎重に考えまして、とにかくいまの額で足りているというふうにちょっと感じがたい気持ちを正直のところ持っておりますので、これをどのぐらいまで、いまの物価なりあるいは人件費なりの上昇傾向と見合わして上げるべきかということを、ただいま検討いたしているところでございます。
#242
○大橋和孝君 いま先ほど私も申したように何と申しますか、このごろの物価の変動と申しますか、急激な上昇というものは目に余るようなものがあるわけですね。それでいままで駐留軍の中で働いてまいって、まあ一つのこういう別社会のような形になっておったわけでありますが、それがその後ぽんとほうり出されて、先ほど局長のほうからお話になったように、相当高年齢者で、なかなか再就職もむずかしい、こういう悪条件でいま飛び出してきたわけでありますから、私は不十分だと考えておってもらうのは当然でございましょうし、そう考えて早く措置をしてもらわなければなりませんが、それが何年度の予算、何年度の予算でやっておりますと、いま現にたくさんあるわけですから、そういう方々にも非常に影響する点もありましょうし、そういうふうなことがある程度はっきりいたしませんと、非常に不安があるわけですから、特にこれは時期的にもあるいはまたそういう内容についても、相当前向きで考えてもらわない限り、いま言うたぐあいに国の政策もあり、また雇用主は国であって、しかも、また駐留軍の中で働いてきたという、こう三つぐらいの条件が入りまじってきた人なんだからして、特にそういうことを考えてもらう必要があるというふうに私は思うわけでありますから、その点については、ひとつ相当早く急いで内容の充実したものをしてもらいたいし、まあ少なくとも物価が上がっても安心だというぐらいなスライドといいますかというものが、むずかしくてもそれはある程度明確にしてもらわないと、働いている人たちの安心というものが得られない、こういうふうに私は思うわけですね。
 それから再就職、離職してからの問題でありますが、就職の援護措置というのは、当然一そう充実したものにしてもらわないと困るわけでありますし、その責任が私はあると思うのでありますが、非常に広範囲にわたる求職活動に対しまして、今度やられておるところの宿泊費が甲地で一泊二千百六十円ですか、それから乙地では千八百四十円、こういうふうになっているようでございますけれども、この額は公務員に準ずるとはいわれましても、いまではやはりそういうふうな形で非常に高物価なところでありますから、私はこれについても非常に量が少ないんじゃないか、そういうふうな形で、こういうふうな方々、離職者に対しての手厚い手当てという観点からいうと、まだ少し私どもはこの物価の上がる状態の中では、ちょっとそういうことではうまくいかぬのじゃないか、もう少しそれを改善する必要があるんじゃないかというふうに思うわけでありますが、これは特にまた、そこの中で、職業の訓練の費用だとか、あるいはまた家族の移動するところの移動の費用なんか、こういうようなものはあまり考慮されていないみたいに思うわけでありますが、そういう点を含めまして、この問題に対してどう対処されますか。
#243
○政府委員(道正邦彦君) 今回の法改正によりまして、広域求職活動費の新設をお願いしておるわけでございますが、おっしゃるように、旅費につきましては、これは実費でございますから、国家公務員と同じということでございますが、宿泊料につきましては、必ずしも十分ではないと思います。で、いつ、やるんだということでございますが、昭和四十九年度の予算編成にあたりましては、この点十分に考えたいと思います。
 また、そのほかのいろいろの援護費の単価につきましても、本年度いろいろ努力いたしまして、かなりの増額をみたものもございますが、一般的に見まして、必ずしも十分でございません。こういう点につきましても、今後十二分に実情に沿うように努力をいたしたいと思います。
#244
○大橋和孝君 先ほど言われたように、宿泊費も非常に足らないだろうと私は思うんですね、仰せのとおり。同時にまた、これ、職がかわるとすれば、いまおっしゃっているように、訓練費用も要りますね。あるいはまた、家族がまた移動せにゃならぬような場合もあります。こういうのも含まれていないじゃないですか。こういうのをもう少し入れてあげたらあかんですか。
#245
○政府委員(道正邦彦君) 広域求職活動費と申しますのは、まだ就職がきまる前に安定所が広域、要するに、遠隔の地域の職場をごあっせんする、自分の目で見てみないことには、どうもなかなかふん切りがつかぬというようなケースがあるわけでございまして、特に今後は、必ずしも都会地周辺の基地からの離職者でなく、むしろ周辺の地以外の、沖繩であるとか、そういう遠隔地からの離職者のほうがむしろ多くなるであろうということも十二分に予想されますので、今回、求職活動費を新設しようという趣旨でございますので、これは御本人だけが行く費用でございます。
 で、広域求職活動をした結果、行ってみようと、行くというふうにおきめになった場合に、家族を連れていくということになるわけでございますが、これは、広域求職活動費とは別でございまして、移転費その他の援助措置がすでにございますが、その単価が必ずしも十分でないという御指摘は、先ほどお答え申し上げましたとおり、そのとおりと思いますので、今後努力をしたいというふうに申し上げている次第でございます。
#246
○大橋和孝君 私は、こういう問題なんかでも、本人だけだといいますけれども、家族もみんな、反対もあるだろうしね、いろんな場合があるんですから、あまりぎりぎりの線だけで……。やはりこの精神が、これについて選択もさしたり、いろんなことをさせてあげたいという親心なんでしょうから、何かやっぱり、そういうところでも、もう少しあったかみがあるような含みをもって処理ができるようにしてもらったら、なおいいんじゃないかと、こういうふうに私は思いますから、その点もひとつ特に配慮してもらいたいと思いますが、そうにはなりまへんか。大臣、どうです。
#247
○政府委員(道正邦彦君) やや事務的な問題でもございますので、私からお答えいたしますが、やはり新しい職場に行くか行かないかということは、事前に御家族の皆さんと相談の上、かなりの情報は安定所で御提供申し上げるわけでございますが、なおかつ、こういう点がちょっと不安であるというようなことを確認するために行っていただくわけでございますので、すべてのケースについて、奥さん同伴ということでなくてもいいんじゃないか、というふうに考えますが、今後の研究課題としては検討させていただきます。
#248
○大橋和孝君 じゃ、特に親心をもってこういうような問題はしてもらいたいと思います。――すべてのケースについてなどと私申していない。そういう場合があったときは、それができるようにしてやるということになれば、だいぶ気分は違いますわね。そういうことでございます。
 それからまた、ドルの切り下げとか、円の切り上げなんかが原因で、特に、IHA労働者に対しては、パートタイム制への切りかえとか、人員整理などで、横須賀やら立川、三沢、佐世保などの主要な基地では、合理化と労働争議が相次いで生じておると私どもは聞いておるわけでありますが、円・ドル問題は、日米間の政府レベルから起こった問題でありますのを、その犠牲が労働者にしわ寄せされているという典型的な例じゃないかというように私は思うわけでありますが、このような事態に対しまして、引き続いて雇用される労働者の雇用や労働条件の確保に対しましては、どのようにお考えになっておるか、これについて。
#249
○政府委員(松崎鎮一郎君) 最近、いわゆるIHAと申しておりますが、歳出外の諸機関、独立採算制の食堂だとか、PXとか、クラブとか、そういったたぐいのものでございますが、そういったたぐいの職場で働いている従業員が、いわゆるパートタイム制に切りかえられる例が確かに相当ございます。それで、これは、いまアメリカの軍人、家族の本国への引き揚げというのが相当ございまして、それによるお客さんの減少といいますか、そういったようなことが原因で、独立採算制だもんでございますから経営が苦しくなったというようなことが理由でございますが、何ぶん、当該従業員にとりましては、非常に大きな影響がございます。それで、たびたび、アメリカ軍の司令部のほうにも、慎重にこれを行なうように、むやみにそういうことをしないようにと、たとえば横須賀の海軍のエクスチェンジという場所がございますが、そこで一斉に、約七百名近くの従業員にそういうふうにしたいという要求がございましたときも、これは、現場では神奈川県知事以下、それから中央では私どもの長官以下、米側と当たりまして、結局それは、希望退職者を募るとか、そういったような方法で切りかえたというものがございますが、正直申しまして、全部が全部うまくいっているというふうには思いませんので、なお十分米側とも協議いたしまして、それから関係の労働組合とも十分協議をいたしておるところでございますが、慎重にやりたいと思っております。
#250
○大橋和孝君 相当の数があるようでありますからね。こういうのをもうよほど慎重にやっていただかないと、実際においてはたいへんなように思います。ですから、こういうような大事な問題は、よほど、いまおっしゃっていただいたように、事前協議、前々の処理、話し合い、そういうようなこともいろいろ考えられる必要があろうと思いますから、特に私はこれを慎重にやっていただきたいと思います。
 それから、本年の一月の二十三日に開かれました日米安全保障協議会といいますか、その第十四回会合、これによりまして、いわゆる関東計画と申しますか、これが打ち出されたように聞いております。それによりますと、関東地区での基地機能を横田に、それからまた三年内で集中させる計画と、こういうように聞いておるんでありますが、これに伴いまして、やはり失業者が相当出るんじゃないかと思います。これの見通しはどういうふうになっておりますか。
 それからまた、その関東計画の内容をひとつ知らしていただきたい、こういうように思います。
#251
○政府委員(松崎鎮一郎君) いま先生がおっしゃいました計画、先に関東計画を要約して申し上げますと、おっしゃいましたように、アメリカ空軍関係の基地の整理集約でございます。中身の要点は、立川飛行場、関東村住宅地区、ジョンソン飛行場、府中の施設、それからキャンプ朝霞の南側の地区といったようなものをまとめまして横田その他に集約する。そのほか神奈川県では、キャンプ淵野辺というのが相模原市にございますが、それを二ヵ年計画で主として座間のほうに集約、移転する。それから沖繩では、那覇地区の三施設を嘉手納飛行場その他に移設しまして、那覇空軍・海軍補助施設、那覇海軍航空施設の全部と、それから牧港住宅地区の一部の返還実現をはかる、そういう計画でございます。
 先ほどの関東計画に基づく人員整理見込みと申しますか、これは約二千六百名、三ヵ年で約二千六百名という発表でございます。
#252
○大橋和孝君 この人員整理を行なう場合には、すでに平均年齢が、先ほどもお話が出ておりましたが、四十八歳ぐらいだといわれておるわけですね。この労働者の再就職ということは、非常に困難をきわめるだろう。米軍に対しましても、できるだけ長期・事前の通告、あるいはまた通告前の事前調査、たとえばいまお話しになりましたようなぐあいに、希望退職者の募集だとか、いろいろな手があるわけでありますが、そういうことをよほど綿密にやられない限り、急激にこれがどんどんと発表されてくるということになりますと、やはりそこに働いている人たちは、非常にたいへんなことになるし、いまもお聞きすれば、二千何百名というのが大量に出るわけですね。こういう事柄も、いままでのたとえば労働者の解雇のような場合ですと、そのままどっかへ転職するとかなんとかいうことができますけれども、こういう場合には、そういうものは何にもなくなっておるわけでありますからして、非常に私は問題が大きいと思うんです。こういうものに対して一体どういうふうに集約的にお考えになっているのか。いま申し上げた、またあなたもおっしゃいましたような点で、十分配慮しなきゃならぬということはわかりますけれども、じゃそれが一体、そういう人たちにこういうふうな配慮をしてもらえるから、まあまあその希望があるとか、あるいはまた何か安心感が与えられるとか、こういうようなものを私はもう打ち出していかなきゃいかぬと思うのでありますが、そういう具体策を何かお持ちになりますか。
#253
○政府委員(松崎鎮一郎君) いま、整理されます該当者をなるべく減らすべきではないかという御趣旨が一つあると思いますが、それにつきましては、雇用主といたしまして防衛施設庁で考えておりますことを、やっておりますことをかいつまんで申し上げます。
 これは、先ほど申し上げましたように、日米間でこれらの労働者の管理を共同でやっておることになりますので、こちらが雇用主で、アメリカ軍が使用者になります。その関係で、いろいろ相談をいたしまして、管理体制についての協約、契約というのができております。約束でございますが、それに基づきますと、解雇予告といいますのは、労働関係法令に定めます三十日前とか、そういったことをいろいろ定めておりますが、その三十日前という前に、十五日前に私どもの実務を委任しております各都道府県のほうに、米軍のほうから大体の数と職種を言ってまいります。で、それをもとにして、いろいろ日米間の調整をするわけでございますが、調整の内容は、先ほど申し上げましたので省略いたします。
 それから、一昨年から、当時の事務次官とアメリカ側の参謀長との間のいわば紳士協約的なもので、それの倍の期間といいますか、四十五日の倍の九十日前にとにかく事前通告ができないか。これについては、できる限り協力するというアメリカ側の回答でございましたので、それをとにかく実質的に果たすようにということで、何べんもアメリカと話しておりますが、ただいまのところ、その実施率が約七五%ぐらいが九十日前の予告になっております。
 それで、その予告を受けますと、事前調整の期間も十分ゆとりが、契約、協約の期間よりはございますので、初め計画をして整理要求が出ました数よりも大体一五%から二〇%減った数が、実際の解雇者ということになっております。しかし、それでも実はまだ十分というふうにもなかなか――これは人の問題でございますので、なかなか十分ということがないものでございますから、できるだけのことをするということになりますと、さらにその前にできるだけ早く、ここに何となく――何となくと申しますか、大体この職場はいずれ整理というような見込みが立ちました時期に、アメリカ側と話して希望退職者をつのる。そういうようなことをやっておるわけでございます。
#254
○大橋和孝君 いろいろ考えてはもらっているようでありますけれども、これは非常にまだまだですね、その程度では。いま申したように、平均年齢がそれくらいになっているわけですから、非常にむずかしいと思うのですね。ですから、非常に不安なままほうり出されることになるわけですから、これに対しては、もう少し具体的な方法は、施設庁ばかりでなしに、労働省のほうの職安局長なんかとの連絡をとって、それを一〇〇%に引き受けてもらって、何かの方法が立てていただけるという見通しはつきつつあるのですか。また、いままでの経過からいって、これからこんなにたくさんな離職者が出て、それの見通しは、職安局のほう、労働省のほうではどう受けとめておられますか。
#255
○政府委員(道正邦彦君) おっしゃるように、駐留軍離職者は、防衛施設庁が雇用者としての責任を持ってこられた方々の問題であり、同時に労働者一般としては労働行政の対象でございます。なかんずく離職後の対策につきましては、労働省が中心になって対策を進めておるわけでございます。そういう関係で、従来とも防衛施設庁と労働省とは連絡をとりながら対策を進めておるわけでございますが、具体的に特定の地域でこのぐらいの離職者がいつごろ出そうだというような情報があります場合には、施設庁と連携をとりながら、具体的には当該都道府県が中心になりまして、関係者を集めまして対策を講ずるわけでございます。規模が大きくなれば、たとえば副知事さんあたりが対策本部長になるというようなことで、安定所といたしましても、所管の安定所だけではまかない切れない場合もございます。そういう場合には、県下の安定所から職員を動員するというような体制をとりながら、一人一人の方の希望その他を承りながら対策を講じているのが実情でございます。
#256
○大橋和孝君 そういうことで、たいへん必要だから、今度の法律でもあれをしてもらっているということはわかるのですが、ただそれが、私ども見せてもらっていて――これが三年たたないうちに二千六百名出るということがもうほぼわかっています。それからまた、いま現在でもあちらこちらでそういう離職される方が出てきておる。こういうような現状のものをずっと見ますと、やはりその本部長をつくってやられるその手段、あるいはまた、いまお話を承ったように、九十日以上にできるだけ話をしてあるいはそういうようなこともしてやるというような、そういういままでの努力の積み重ねは私ども了承はされますけれども、こういうような経済状態の目まぐるしい変化のあるところで、いま二千六百名の人がもう首切られるぞと、離職せんならぬぞといっておるようなときには、何かぼくはもっとあたたかいことをしてやらないと、やはり不安というものはつのるような感じがしてしようがないですね。――それは、これだけやってもらったということの前進ですよ。私は、それはそういう意味を認めないわけじゃなくて、十分わかった上で、もう一そう何かしなければならぬのじゃないか、こういう気持ちで一ぱいなんです。これはまたあとからちょっと大臣あたりのお話も聞きますが、その前にもう一点、沖繩には米軍の施設内を働く場所としてらっしゃる方々で、四種労働といわれるような請負関係労働者がおるといろことは御存じだと思うのでありますが、この米軍基地内で働いておる、そしてまた、作業しておるところの実態から、当然政府の間接雇用に切りかえるべきじゃないかというようにも思うわけでありますが、この点はどうでございましょうか。また、その間接雇用に切りかえられないとしましても、労働条件あるいは賃金は何らかの行政指導によって政府雇用労働者と同等になるように規制すべきではないか、これが第二点でございます。
 それから第三点は、これらの労働者が、米軍や請負業者の都合で解雇される場合の離職対策はどうなっているのか。私はこういうふうな請負関係にある労働者で非常に不安定な方があると思うのですが、この点をどうぞ聞かしていただきたい。
#257
○政府委員(松崎鎮一郎君) 最初の一点、間接雇用に切りかえるべきではないかという御質問については、私ども関係がございますのでお答えいたします。
 いまの日米間の一応約束と申しますか、地位協定その他によりますと、在日米軍それから先ほど申し上げました諸機関、そこで需要いたします労務については、日本政府が援助をして充足するというようなことになっておりまして、これはいまの旧四種の関係の方々は請負業者のいわゆる企業の中の従業員でございます。そういう概念とちょっと違うものでございますから、間接雇用にすることがなかなかむずかしいものでございます。
#258
○国務大臣(加藤常太郎君) この問題は、先般私、沖特の委員会へ呼ばれまして、これが重大な問題になりまして、ちょうど谷間のようなかっこうになっております。請負制度の関係上、駐留軍離職者の措置も受けられない、そしていろいろ第四種の方が解雇された。これは、いろいろな広範囲にわたって大問題になっておりまして、外務省、施設庁、ことによったら港湾などは運輸省と。それを、いろいろ聞いておりますと、何だかこうなすり合いのようなかっこうで、的確な指導的な中心がないと、私たまたま――大臣は私でありますので、これは大問題だから、とりあえずこれは関係省庁が一体となってひとつ機関をつくらぬかというので、その後ほかの大臣も見えまして、労働大臣がこういう提案をしたから賛成かというので、みな賛成いたしまして、その日に四種の対策本部というのを設置いたしまして、これが沖繩振興開発特別措置法ですか、沖繩振興開発と言っておりますが、あのほうの関係になりますので、離職者のほうの関係でもないと、運輸省は、これはまあいろいろ港湾の問題は所轄だけれども、特別な関係であったから、われわれの関係でないとこう言うので、関係省庁による対策連絡会議と――名前はなかったんでありますが、こしらえまして、労働省が言いましたものでありますから、労働省が中心となって数回やりまして、現地にもそれと同等なものを県も入れてつくると、いろいろ対策を講じておりますが、ほんとうに四種の方はお気の毒な立場でありますので、いろいろ問題点を取り上げまして、とにかくそのつどそのつど解決していけと、こういうような方向で進んでおります。
 あとは担当の局長から……。
#259
○政府委員(道正邦彦君) 若干補足させていただきます。
 旧四種と申しますのは、現在は沖繩が大部分、ほとんど全部でございますが、そこに約七千名から八千名の旧四種といわれる方々がおられるわけでございますが、これは米軍と請負業者との契約によって働いておられる方々でございまして、法律的には当該請負業者の従業員ということになるわけでございます。ただ、基地内で働いている点では同じではないかということはそのとおりでございますけれども、たてまえがやはり米軍あるいは諸機関の従業員というものと違いまして、あくまで民間の企業の従業員ということにまあなっているわけでございますので、これを一がいに間接雇用にするというわけになかなかまいらぬというのは、先ほど施設庁がお答えになったとおりでございます。ただ、旧四種関係の離職者の方々に対しましては、駐留軍離職者の臨時措置法の適用はございませんけれども、沖繩振興開発特別措置法の中に駐留軍の離職者の臨時措置法とほぼ同内容の離職者対策が法制化されておりますので、離職者対策としては、本土の駐留軍関係離職者とほぼ同じ扱いになっているということだけ補足御説明申し上げます。
#260
○大橋和孝君 そうすると、やはり離職された場合には、今度の法律も適用されるわけですね、ほぼ同じというと。
#261
○政府委員(道正邦彦君) ことばが足りなかったかもしれませんが、旧四種につきましては、沖繩振興開発特別措置法による離職者対策が行なわれる。その内容は本法の間接雇用の離職者とほぼ同じであるということでございます。
#262
○田中寿美子君 関連。沖繩の旧四種の問題ですけれども、沖繩国会のときたいへん議論になった。その当時、第四種に関して、中には、その下請の中には、クリーニングだとか、食堂だとかいろいろあるけれども、中には、ミルクプラントのように、相当ずっと長く入り込んでいるのがあるので、あるいはそれは臨時措置法の中に組み入れることができるのではないかという御答弁があったのを記憶しているのですが、それはだから結局、旧四種から一体どのくらいのいままでに離職者が出ているかということが聞きたいのです。そしてそれをどうしているかということ。それからもう一つ、第四種にも入らない個人雇用という名前になっているメードの問題、これも前の塚原労働大臣に、この問題を提起をしたときには、大至急連絡対策本部みたいなものをつくって考えますとお約束なすって、結局それもどうなっているのか。いまあらためて労働大臣が対策連絡会議みたいなものをつくることになったとおっしゃっているんですね。メードさんというのも一万人くらいいるわけですけれども、これは本土の中のメードさんにも関係すると思いますが、一体どういうこれに対しては対策を考えていらっしゃるか、伺いたいのです。
#263
○政府委員(道正邦彦君) 本土復帰に伴いまして、旧四種からどのくらいの方が間接雇用に切りかわったか私ちょっと的確な数字持っておりませんが、約八千名おられます。最近非常に問題になっておりますのは、国場組のうちの港湾部というのが米軍の荷役をやっているわけでございますが、これが荷役量の減少に伴いまして、米軍との間の契約を解除して、それに伴いまして、三月末をもちまして約一千名の離職者が現地で出ております。これの対策が、当面、大問題でございます。それからメードにつきましては、先生御承知のとおり、労働法の適用は原則としてはないのでございますが、離職をされました場合に、沖繩の場合に限って、沖繩振興開発特別措置法の適用が受けられることになっております。
 なお、間接雇用に切りかわった者は、約八十名だそうでございます。
#264
○田中寿美子君 メードさんはどのくらいやめたかわかりませんか。
#265
○政府委員(道正邦彦君) いわゆるメードさんは六千人がそうでございますが、沖繩振興開発特別措置法に基づきまして手帳を発給いたしますが、百九十五人の方に手帳を発給いたしております。
#266
○大橋和孝君 そういうふうにして、いろいろ伺ってまいりますと、なかなかこの離職者の中にも問題があるし、これをどういうふうにして、先ほどから申しているように、安心感を与えてもらえるか。今度は、言うたように、法律は少し前進をしてもらっておるけれども、これじゃなかなか、まだまだ、自分が離職者の番に、自分の首がそうなってくるという人たちが考えると、非常に不安定なものがあるわけですね。ですから、私はいま、先ほどからも繰り返しましたように、終戦後二十八年にもなっておりますし、そしてまた、これは日米間でいろいろな政策上のあれでもってこういうふうにして労務者でつとめてまいって、そしてまた、これは自分の意思に反して、もうそういうことがきまってくれば、どんどんどんどん首になっていく。そしてまた、そこの責任は不安定であったり、あるいはまた、一方的に早く処理をされてしまう。しかも、いままで長いことおりましたから相当の年齢になっている。物価は高くなっていると。こんな条件をずうっと見てみますと、これはたいへんなことでございますから、私は、この法律ができましたけれども、この法律を運用してもらう上において、私はここで抜本的な考え方を持ってもらわぬといけないと思います。これは衆議院のほうでも附帯決議がつけられておりますが、私のほうも各会派とも話をして附帯決議をつけさしてもらいたいと思う。しかし、それの趣旨は、やっぱり私はこの法の運用がどうあるかということが一番問題だと思いますので、私はそういう意味からも、ひとつ今後はこの法律をどういうふうにして運用をしていただくか。その意味で、もっと、私は言うならば大臣が、ここでひとつ国民に向かって、特に、また駐留軍の離職者、あるいはまた就職をして働いている人たちに対して、少しでも安定感を持ってもらえるような前向きの姿勢で、この法律をもう少し拡充していくなり、あるいはまた運用するときにはこうするなりという一つの方法をひとつ述べておいてもらいますと、私は非常に前向きじゃないかと思います。だから、そういう観点でひとつ大臣の話を聞いて、私、質問を終わります。
#267
○国務大臣(加藤常太郎君) 駐留軍の関係の労働者は、これは極東の情勢が、ベトナムが、安定化したと、その他のほうも平穏化したと、こういうふうな関係で、好ましい現象の反面、そのしわ寄せが駐留軍の労働者にきたのでありまして、いま御指摘のような点が相当あると思います。この問題は労働省のほうも――離職の前は施設庁のほうでありますが、離職するとこっちのことで、さような観点から、この間うちから省内でもいろいろ協議いたして、いま言ったように、迅速に、すぐにそこへ殺到せいと、ただ本省だけで理屈言ったっていかぬと、こういうので、いま局長から話があったように、県の労働部と地元の安定局、その他を動員してやっております。が、これでもいろいろな問題がありますので、いろいろ問題ができたときには、御承知のように、従来から中央駐留軍関係離職者等対策協議会と、こういうのがあるので、そこで総務長官が会長となって各省が全部集まりまして機に応じて的確にやれと。このほうにも先般私のほうから要望いたしまして、特に最近の情勢は、この協議会が活動する適当な時期であると、こういう意味で、御指摘のような点のいろいろ万般の措置を講ずるように――これはしわ寄せでありまして、御本人のためというよりは一つのほんとうの犠牲者でありますから、今後、御趣旨を尊重いたしまして対処するように、いろいろ関係方面と連絡をとりまして、ただ、労働省だけでもなかなか困難ないろいろな問題があるのでありまして、この点は熱意を持って対処いたします。
#268
○柏原ヤス君 防衛施設庁にお伺いいたします。
 まず、米軍の撤退・縮小に伴う今後の米軍基地も整理・縮小の見通し、これをお聞かせいただきたいと思います。
 また、そのことによって、駐留軍関係の離職者がどの程度出る見通しか。先ほどの大橋先生の御質問とちょっとダブるかもしれませんけれども、お願いいたします。
#269
○説明員(奈良義説君) 現在の基地は、御承知のように百七十一施設あるわけでございます、これは沖繩を含めてでございますが。将来の見通しといいますと、先ほどちょっと御説明がございましたように、一月二十三日の安保協議委員会で合意されました関東空軍施設集約計画でございます。これで五つ――立川・府中・調布・入間川のジョンソン・それから朝霞がここ両三年に返ってくるということになります。それから神奈川県の淵野辺という施設がございまして、これを今年度からリロケーションの工事をいたしまして返してもらう、こういうことが現在明らかになっております。それから沖繩につきましては、やはり一月二十三日の安保協議委員会におきまして、那覇関係をきれいにいたしまして、これを嘉手納・普天間それから一部牧港等へ移設をいたしまして返すと。おもなものは大体この程度がいま明らかになっておるところでございます。
#270
○政府委員(松崎鎮一郎君) ただいま御説明いたしましたような基地の状況の見通しでございますが、先ほど大橋議員にお答えいたしましたように、そこに在職しております従業員の数は、一月末で約四万六千人おります。うち、沖繩が一万九千人足らず一万八千何百ございます。
 それで、先ほど関東計画の話を中心としてちょっと申し上げましたが、その対象になっております立川飛行場・府中空軍施設・ジョンソン飛行場地区と申しますか、それから関東村住宅地区その他キャンプ朝霞の南地区というようなところに、現在在職しておりますのは、これはちょっと数字が一ヵ月違いますが、十二月末の数字で約四千六百おります。それで、それが、結局、そのうち二千六百名程度は整理になるだろうというのが、先ほどの、ことしの一月二十三日のアメリカ側の発表だったわけでございます。
 それから、そのほかいろいろ一月二十三日の安保協議委員会のほかで相模原の補給廠というのがございますが、これは例の戦車輸送で有名になったところでございますが、そこに三千五百名の従業員が十二月末でおりました。これにつきまして、先ほど労働大臣からもお話がありましたように、ベトナム和平の関係がございまして、ベトナムから物品の返送を受けて、それをいろいろ補給すると申しますか、そういった担当をいたしておりました関係部署の従業員約八百名ございますが、それの整理通告が三月の三十日付でまいりました。それで、これに対して、先ほど職安局長申しておりましたように、神奈川県を中心とします離職対策協議会を現地で至急つくりまして対処いたしておるわけでございます。
#271
○柏原ヤス君 重ねて防衛施設庁にお伺いいたしますが、これまで米軍が基地労働者を解雇する場合に、九十日以上の予告期間を完全に守っているかどうか。また、守られなかったときは、日本政府はどういう行動をとられましたか。それから、今後これを完全に守らせるためには、政府はいかなる対策をとっているか、お伺いしたいと思います。
#272
○政府委員(松崎鎮一郎君) 九十日以上前の事前通告をできるだけするという約束があることを先ほど申し上げましたが、その実施実績と申しますか――は、昨年度、四十七年度の場合で申しますと、約七六%でございます。それで、二四%のものは九十日よりもっと短い期間で事前通告がきておるわけでございます。それで、これに対しましては、私どもは繰り返しその九十日以上前に通告するようにということを米側に申し入れているわけでございますが、何ぶん軍隊の特性上と申しますか、部隊の移動等が早急にできてくるというようなこともございまして、なかなか縮まりません。むずかしい問題でございますが、できるだけ努力をしているわけでございます。
#273
○柏原ヤス君 この点、やはり政府が米軍に離職者の気持ちになってよく打ち合わせをしていただいて、こういった抜き打ちの解雇がないように今後努力していただきたいと思います。
 次に、相模原補給廠についてでございますが、六月末に離職者が出るということですが、何名で、どういう職種が解雇されるのか。また、その人たちの平均年齢は何歳ぐらいか、お聞かせ願いますか。
#274
○政府委員(松崎鎮一郎君) 昭和四十八年の三月三十日をもちまして、作業量減少理由ということで七百八十八名の人員整理通告が参っております。これの解雇発効日と申しますか、いわゆる解雇に実際なります日は、六月の二十九日ということになっております。
 その職種というお話でございますが、これは相模原補給廠の中の、先ほどちょっと申し上げましたが、ベトナムからの返送物品処理をやっておりました部局でございまして、たとえば倉庫係とか、包装する係とか、箱をつくる係とか、それから貯蔵品の事務管理をする係とか、それからフォークリフトの運転手とか、そういったような人たちでございます。
#275
○柏原ヤス君 平均年齢。
#276
○政府委員(松崎鎮一郎君) 失礼しました。
 平均年齢は約四十八歳でございます。
#277
○柏原ヤス君 かなり高年齢の方々が離職されるわけでございますが、この方たちにどういう離職者対策をとるお考えか、お伺いいたします。
#278
○国務大臣(加藤常太郎君) この問題は、当然離職後は労働省の所管に移りますので、先ほどから御答弁を申し上げましたように、職業相談、職業紹介、また職業訓練に、早く機動的に、先ごろ現地の県の労働部と相談いたしまして、現地の下部機構を動員して、本腰で対策に、いまもういろいろかかっております。そして、本省のほうでも、そのネックを解決するように中央の協議会にはかると、やはりこれは失業にならぬということの要望が前提でありますので、なるべく離職せぬように、万全の措置を講じていきますが、万一離職した方に対してどうするかというと、当然失業保険、失業保険が切れたときには促進手当、訓練手当。これは金額のほうの関係をずっと申し上げますと、移転資金並びに再就職奨励金、これは六万何千円でありますが、自家営業するお方、開業する者に対する開業支度金、これも金額は六万八千七百五十円であります。次に、資金の円滑なる融資をはかるために債務の保証、それから雇用主に対しては一年間雇用奨励金、住宅の確保資金。これは、労働省のこれに対する金を出す裏づけが大体七、八項目ありますが、その以外に離職する前に退職金と特別給付金が施設庁のほうから出ると、こういうふうな関係になっております。まあこのほうにたよるよりは、私はやはり新しく――このごろは求人倍率も相当ふえておりますが、ただ御指摘のように、高年齢者が多いものでありますから――若い方はもう引っぱりだこでありますけれども、四十歳以上になってきますと、いろいろ向き、不向きがありますので、これを懇切丁寧に指導していくのが労働省のこれはもう役目でありますので、これはほんとうに心を込めて親切に動員せいと、こういうような方向で離職者に対する雇用対策を講じていく所存であります。
#279
○柏原ヤス君 いま大臣からそういうおことばを伺いましたが、ほんとうに高齢者なので、私はもっともっと、ただお金を少しばかり上げればそれでいいというものじゃなくて、やはり家族をかかえ、特に学校へ行っている子供などをかかえている親として見れば、たいへん深刻な問題なわけなんです。そういう点で、職が早く見つかるように、もっとあたたかい対策を考えていけるんじゃないか。そういう点で離職者対策センターなどは非常に活躍しております。むしろそういうところに国がもう少し助成してもいいんじゃないかというような気持ちも強く持ちました。現に私、三多摩に住んでおりますけれども、私の知っている範囲でも、離職して自殺した人が三人もおります。三人ぐらいと――もっといるというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、そういう深刻な問題を身近に聞いているものですから、この高齢者の離職の対策はもっともっと積極的にやっていただきたいと思うわけでございますが……。
#280
○政府委員(松崎鎮一郎君) ただいま労働大臣から御説明がございましたのに若干補足さしていただきます。
 大体中心は、労働省でいろいろと施策を講じていただいているわけでございますが、雇用主としましても、何かすることがないかということでございまして、たとえば最近の例で申しますと、ジョンソン飛行場で、ほとんど全員の整理通告がいま出ておりますけれども、施設の中にボーリング場がございます。たとえばそういったものを払い下げを受けて、企業組合を従業員の方たちがつくってやっていこうというようなお考えがあるようにも聞いておりますので、これは雇用主であった施設庁といたしまして、何かあっせんなり何なり、米側とも、それから関係の大蔵省その他とも十分協議してまいりたい。それから離職者センターにつきましても、雇用主であった者としまして、若干でございますが補助金を出しております。これの五割アップをいま四十八年度で一応計上いたしたわけでございます。
#281
○柏原ヤス君 防衛施設庁の方にお聞きしますけれども、米軍基地で働いている人たちは、その仕事の内容や職種などによっては、そのまま防衛庁の仕事もできると思います。また講習会や、また特別な訓練もして必要な資格などをとれるようにすれば、もっとその可能性が増すと考えるわけですが、いままで防衛庁は基地離職者の人たちを雇用したことがあるのでしょうか。何名ぐらい雇用したか。それは、基地離職者の方々を民間企業だけに再就職させることだけではなく、積極的に政府が防衛庁を中心にして雇用すべきであると考えます。これを実行する考えがあるかどうかお尋ねしたいと思います。
#282
○政府委員(松崎鎮一郎君) 退職者を防衛庁の、たとえば自衛隊員にするかというようなお話でございますが、これの退職の事由といたしまして、米軍の施設が閉鎖されると申しますか、返還されると申しますか、そのあと自衛隊がここでその施設を使うという場合は、実は世の中でお考えになっているほど、それほど多くございません。たとえば最近の四十年以降で申し上げますと、これはちょっと変な数字でございますが、面積で申しますと約二割程度でございます。それから自衛隊のいわゆる隊内の管理運営体制というものは、アメリカ軍のそれとは相当違っております。たとえば警備員などを米軍は雇っておるわけでございます。それから草刈り、洗濯、あるいは装備品の補給、整理といったようなことも日本人の従業員の手によって相当やっておるわけでございますが、自衛隊の場合は、これはほとんど自衛隊の隊員みずからやるというようなかっこうでございます。したがって、自衛隊員にするということは非常にむずかしいわけでございます、年齢の関係もございますが。しかし、たとえば一例を申し上げますと、離れ島などでの最近の例を申し上げますと、沖永良部というのが南西諸島にございますが、そこにレーダーサイトがございまして、アメリカ軍から返還を受けましたものを航空自衛隊が引き継ぎ使用しているものでございます。これはことしの一月だったと思います。その際、離れ島でございますので、なかなかほかに再就職の道がないと申しますか、特殊な状況でございまして、先ほど申し上げたようにいろいろむずかしい事情がございますんですが、何とかならないかということで庁内で相談いたしまして、自衛隊へ就職希望なさる方が約三十名程度――全体で約五十名程度の離職者でございましたが、三十名程度は自衛隊に行ってもいいといいますか、自衛隊へ行きたいという方がございまして、それについて四十七年度予算で十二名、四十八年度予算でなお若干のいま計画中でございますが、まあ相当程度は吸収と申しますか、採用ができるかというように考えております。
#283
○柏原ヤス君 この点、労働大臣はどういうふうにお考えですか。
#284
○国務大臣(加藤常太郎君) これはまあほんとうは、先ほどほかの議員の方からありましたが、アメリカ軍もこれは少し考えなくちゃならぬが、これはアメリカのほうは日本のために犠牲を払っておるんだから……。いまの雇用計画は施設庁がやっておるんだからわれわれは関係ないというようなかっこうでありますけれども、まあ関係者全部が私関係してあたたかいことをやるのが当然と思います。そういう意味で、いまの施設庁のほうからいろいろな御意見がございましたが、われわれ賛成であります。また、いま議員から御指摘のようなセンター、これも大いに私活用したらいいと思います。これは組合をつくって、私のほうも、これの職業紹介はよろしいと、こういう認可をいたしておりますので、われわれもやりますが、全体が協力し合って気の毒な犠牲者に対するあたたかい心づかい、これが必要であるのは当然でありますから、根本の方針は同感であります。ただ口先だけうまく言ったって、それが実際にうまく、適切にやるかやらぬかという――実際のあっせんの世話でありますから、この点をきめこまかくやるように十分指導いたしたい所存であります。私の足らぬ点は、局長からひとつなお補足の説明をいたさせます。
#285
○柏原ヤス君 離職者対策センターについてお伺いいたしますが、この離職者対策センターは、離職者の方たちにとっては非常に重要な役割りを果たしております。で、これに対してどういう助成を行なっているのか、これをお聞きいたします。
#286
○政府委員(松崎鎮一郎君) 先ほどちょっと申し上げましたように、助成というほどたいへん大げさな形ではないわけでございますが、四十七年度予算を申し上げますと、約千九百万円助成金を支出いたしました。それから四十八年度はこれを二千八百万円にして助成をするいま実施計画をつくっております。その内容としましては、先ほど労働省のほうから御説明がございましたように、なかなか県内で就職することばかりでは済まないような状況もございますので、対策センターそのものが求人開拓、ほかの県外の求人開拓などもできる力をつけていただきたいという意味の助成を加えまして、テストケースといいますか、初めての試みなものでございますから、現在七法人ございますうち四法人につきましていまの求人開拓のための費用と申しますか、そういったものを助成するつもりでございます。
#287
○柏原ヤス君 現在全国で七ヵ所あるということですが、増設することに対しても、これを補助の対象として助成していくお考えだと思いますが、これに対して大蔵省はどういうふうにお考えになっているか。また事業運営費についても、現在の額をふやす考えがあるのかどうか、大蔵省にお聞きしたいと思います。特に、沖繩については格段の配慮を払うべきであると考えますが、これをどう検討していただいているのか、お伺いいたします。
#288
○政府委員(松崎鎮一郎君) 私かわりに、大蔵省の考えということまではちょっと言いかねますが、ただいまの状況を御説明いたします。
 七ヵ所あるものをふやす考えがあるかという最初の御質問でございますが、ただいま沖繩で、沖繩の関係労働組合なり沖繩県庁なりでそういった御計画があるように承知いたしております。したがいまして、これが先ほどの労働大臣のお話のように、労働省の認可が得られまして活動を開始いたしましたら、これに対しても応分の助成をいたしたいと。その場合、四十九年予算で要求が間に合うように設立してもらいたいということを、沖繩県庁なり沖繩の関係労働組合のほうにもお願いしてございますが、大蔵省のほうも、確かに駐留軍の離職者の最近の特性としまして、たいへん高年齢化しておるという問題は理解を示してもらっておりまして、通常の方法で一生懸命なさっている労働省の対策の補いと申しますか、補いとしてそういう法人ができていると、これを雇用主として、なかなか捨てておけないんだという事情は理解をしてもらっております。
#289
○国務大臣(加藤常太郎君) この問題私の所管外でありますが、これは労働省のお手伝いもしていただいておるので、これは思いつきではなく、いま御意見を聞いて、やはり身内の方が世話するというのは、これは理論でなく、うまくいくんでありますから、そういう意味で、助成の関係、これは私の所管ではありませんが、ここで発言いたしますと私はやらなくちゃならぬのでありますから、御趣旨に沿うように――これは理屈が合うんであります。われわれの仕事の援助をしてくれるんでありますから、これは大蔵省なり施設庁なりへ私が直接ひとつ交渉してみますから。できるように大臣が動くんでありますから、こういうとこで申し上げたんでありますから、何とかひとつ御趣旨に沿うように善処いたします。
#290
○柏原ヤス君 大蔵省いかがですか。
#291
○政府委員(小幡琢也君) ちょっと担当おりませんもんですから……。
#292
○柏原ヤス君 理財局次長……。
#293
○政府委員(小幡琢也君) いや、主計局の問題ですから、私担当外の者は……。
#294
○政府委員(松崎鎮一郎君) ちょっと大蔵省のかわりの御答弁はできませんが、先ほど来申し上げましたように、四十七年一千九百万円程度でございましたものが二千八百万円ということは五〇%ほどの増額でございました。防衛庁の予算は、四十八年度は一〇数%の伸びでございました。その中で、そういう伸びでございますので、大蔵省の理解はたいへんしていただいているというふうに私どもは考えております。
#295
○柏原ヤス君 大蔵省にお聞きしますが、国有財産の活用についてお伺いいたします。この法律の第十二条に、米軍から返還された国有財産については離職者対策に活用できるというふうになっておりますが、この実施状況はどうなっておりますでしょうか。
#296
○政府委員(小幡琢也君) この法律が施行されました昭和三十三年以降でございますが、この第十二条に基づきまして駐留軍関係離職者で組織されました企業組合等に対しまして、国有地につきまして売り払っております件数は二十一件、数量は三万七百七十一平方メートル、それからまた貸し付けております国有地でございますが、これは九件、数量にいたしまして一万八百五平方メートル、かような状況になっております。
#297
○柏原ヤス君 また大蔵省にお聞きしますが、返還された基地を活用して、そこで離職者の方が共同で企業を経営する、また企業を誘致してそこに離職者の方たちを雇用させるといった、こうした離職対策も可能なわけですから、これはもっと活用させるべきであると思います。そういう方向で積極的に取り組む決意があるかどうかお聞きしておきたいと思います。
#298
○政府委員(小幡琢也君) 今後返還されてまいります財産につきましては、何ぶん都市周辺にございますし、また規模も大きいもんでございますから、その処理につきましては従来よりも以上に慎重に検討いたしたいということで、今後国有財産審議会を活用しまして、地元の意向あるいは民間学識経験者の方々の御意見をお聞きしまして処理方針をきめたい。その一環といたしまして、この法律第十二条の趣旨を生かしまして、できるだけ御趣旨に沿うようにやっていきたい、かように思います。
#299
○柏原ヤス君 防衛庁と労働省にお聞きしたいんですが、ドル切り下げや円の変動相場制移行に伴って基地運営の予算の不足などが当然考えられます。そのために、基地労働者の労働時間を短縮するという、そうした合理化が進められているとも聞いております。この実態をどのように掌握していらっしゃるのかお聞きいたします。
#300
○政府委員(松崎鎮一郎君) いまの原因、ドルの切り下げによってというふうには明らかには承知いたしておりませんが、実態としまして、最近、非常に特に諸機関関係でございますが、お客さんの減少による売り上げの減少と、経営悪化というようなことが理由で、パートタイムへの切りかえの動きが相当ございます。それは先ほど大橋委員もおっしゃっていましたが、たとえば神奈川関係でありますし、それから青森関係でもございますし、東京都関係でもあるわけでございます。これにつきましては、やはり生活の条件が従業員にとって相当変わるわけでございますから、慎重に対処してもらいたい、処置してもらいたいということをたびたびアメリカ側にも話をいたしておりますし、話の結果、希望退職等の措置で振りかえましてうまくいった例もございますが、必ずしも正直言ってうまくいってないと思う例もございます。これはいま庁内でも、それから関係者とも真剣に検討中の問題でございます。
#301
○柏原ヤス君 労働省いかがですか。
#302
○政府委員(道正邦彦君) 防衛施設庁とよく連絡をとりまして、労働条件の不当な低下を来たさないように、労働省としても対策を講じたいと思います。
#303
○柏原ヤス君 このパートタイマーへの切りかえともとれる行為は、事実上の人員整理だと私は思います。基地労働者の収入が減ります。で、やむを得ず退職しなければならない。それは生活が成り立たなくなるからです。こういう問題を事実上の人員整理と同じだというふうにお考えになるかどうかという点をお聞きするわけです。
#304
○政府委員(松崎鎮一郎君) おっしゃるように、そういう面があると私は考えております。ただこの諸機関と申しますものが、食堂だとか、みやげもの売り場ですね。そういったいわば第三次産業的な職場でございまして、パートタイムを全く必要としない。逆に言いますと、ある程度必要とする職場でもございます。したがって、それをパートタイムを入れるなということはなかなか言いにくいわけでございますので、ただしかし、いままでたとえば四十時間なら四十時間制で働いていたものを、急にそこに切りかえるということに問題があるんだろうと思います。それで、その場合に、ただいま日米間で約束ごととしてやっておりますのは、そういう急激な生活条件の変更の場合に、選択権といいますか、その従業員側として選択権を行使いたしまして、もうそういうパートタイマーにならないという方につきましては、特別な整理退職金並みの扱いの措置をいたしておるわけでございます。
#305
○柏原ヤス君 そこで、そういう考え方に立てば、やはり労働時間などの変更に際して、いきなりパートタイマーにしてしまうのではなく、やはり九十日以上の予告期間というものを確保しなければならないのではないかと思いますが、こういう点米軍と協議する考えがおありであるかどうか。
#306
○政府委員(松崎鎮一郎君) 最初のうちと申しますか、この動きが出ましたのは、実は非常に最近のことでございますが、最初のうち非常に短期間の予告と申しますか、二十日くらいの予告で、そういうことを従業員側に言ってきた例がございます。ただ、これはやはり相当従業員にとっては、大事な問題であるということで、アメリカ側にたびたび話しました結果、いま実態といたしましては、大体四十日程度前に言ってきている例が最近は多うございます。それで、ただこれは整理解雇の問題とは、形式的といいますか、形としましては、違うものでございますから、これをいわゆる解雇通知というものとは区別せざるを得ないわけでございまして、解雇通知の場合には、九十日前ということをやかましく言うわけでございますが、この場合にはなかなかそこまでは言いにくいという種類のものだと思っております。
#307
○柏原ヤス君 最後にもう一点お聞きしますが、こうした実質的には人員整理と同じような働きをしているこのパートタイマー、そしてそれが収入が少なくなって、やっていけないというので、やめることになった。そのときにも特別給付金その他、一般の人員整理で退職したときと同じ扱いをすべきであると、こう思いますが、どうでしょうか。
#308
○政府委員(松崎鎮一郎君) おっしゃるように、いま特別給付金を支給いたしております。
#309
○柏原ヤス君 以上でございます。
#310
○中沢伊登子君 もうすでに各委員からいろいろなお話が、質問がございました。だいぶ私のしようと思ったことと重複することがございますので、あちこち、はしょったりいたします。
 一番初めにお聞きしたいのは、実はきょう私も労働大臣の所信表明に対する質問もしたがったのですが、たいへんたくさんの質問者がありまして、次に回させていただいたわけですが、その中でぜひとも伺いたいと思ったのは高齢者対策でございます。ところが、きょうのこの駐留軍の離職者の問題の中でも、離職者がだんだん高齢化をしてくる、こういう中でございますので、その中高年齢者になった離職者、この人たちが、就職をなさるのに、その就職先というものが、わりあいスムーズに得られるのかどうか。また、いままでも得られておったのかどうか、まず第一にそれをお聞きしたいと思います。
#311
○国務大臣(加藤常太郎君) 先ほども御答弁いたしたように、どうしてもこれは中高年齢者は、高年齢になりますと求人は多いのに、なかなかうまくいかないのが現状であることは間違いありません。そして、何十年もおったのでありますから、駐留軍の仕事はなかなか苦労ですけれども、すぐにこれが転換が、応用がきかないという難点がありますので、先ほど言ったように、センターを活用するとか、われわれもどうっと動員しまして、前からわかっておりますから、個々に当たっていろいろやっておりますけれども、難問題は高年齢者のためであります。そういう意味で、まずあとの手当を出すとか、金の問題より、私はやっぱりすぐに就職をという方面にいってもらいたいのでありまして、職業相談なり紹介なり訓練なり、いろいろのことを講じまして、万全の方策で、中高年齢者の離職者に対するあたたかい援護、そうして再就職の方途を講じたいと思います。中には、このごろもうこれからつとめをやめて、自家営業したいという方がおりまして、自家営業のいろいろな援助資金を出しておりますが、本年度は私不満であったのであります。来年度は、この自家営業に対する債務の保証とか、支度金の問題とか――これはもう物価が相当上がっておるのに、大蔵省の頭が固いのですけれども、私は相当増額しなければなかなか……。私は、ただ金を出してやったという程度で、こんなことは本人から言いにくいのでありますが、来年度に対しましては、もうこの夏ごろからこの準備が始まりますから、先ほどのセンターも来年といえばぼくはおるか、おらぬかわかりませんけれども、大体夏ごろから準備をやりますから、これに対しましては、御趣旨に沿ったような線で対処いたしたいと思います。
#312
○中沢伊登子君 そこで、駐留軍関係離職者対策審議会の今井さんから労働大臣にあてて答申がきておりますね。それは「駐留軍関係離職者も就職困難な中高年齢者が多くなってきている実情にあるので、これらの者の早期の再就職の促進を図るため、既設の援護制度の一層の充実と制度の効果的な運用を図るよう努められたい。」こういう答申がきておりますね。
 そこで、いまの御答弁をいただいた中で、駐留軍につとめていた人たちの平均所得、あるいは今度再就職をされたあとのその人たちの平均的な給料、そういうものをお調べになったことがございますか。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
#313
○政府委員(松崎鎮一郎君) 私どものほうで一応雇用主であったものとして再就職なり就業なりの状況を若干調査したものがございますので、それで御説明いたします。いま御説明いたしますのは一番最近のものでございますが、調査時点四十七年五月一日現在で調査いたしまして、調査対象期間といたしましては、その前の年の四十六年の後半、四十六年七月から十二月までの間におやめになった方が、その後どうなったかという調査でございます。
 最後に、御質問になりました再就職後の給与の状況は、どのくらいであろうかというお話でございますが、それを先に申し上げますと、大体五万円から七万円というところが一番多うございます。十万円以上なんという方もございますが、これは四、五%でございまして、いまの大体六、七万円前後というところのようでございます。それから就職先の状況は、民間の会社というのが圧倒的に多うございまして六八%でございます。官公庁が九%それからさらにもう一回在日米軍の従業員になりました方が八%、それから個人の商店その他というのが一五%ぐらいでございます。それで自営といいますか、自分で商売をお始めになったといいますか、そういった方が全体の約三%ぐらいございます。そういう状況でございます。
#314
○中沢伊登子君 いまの五万円から七万円ぐらいというのは、再就職をしたときの給料ですね、それは。駐留軍にいたときはどのくらいでしょうか、平均。おわかりでございましょうか。
#315
○政府委員(松崎鎮一郎君) 四十六年当時は、従業員の全くの平均でございますが、平均ベースは大体八万円足らずであったというふうに記憶しております。
#316
○中沢伊登子君 そうすると、再就職をすると、どうしてもベースダウンになるわけですね。
#317
○政府委員(松崎鎮一郎君) さようでございます、若干。
#318
○中沢伊登子君 大体、離職をされますと、就職先もさがしてあげたり、あるいはいろんな援護措置があるわけですね。少しお金を差し上げたりというふうな、いろんなことをしていらっしゃるのですが、就職をされますと、今度は、それはどうぞ御自由にというふうなことになってしまって、少しベースダウンになったりなんかしても、そのままということになりますと、だんだん年はとってくるし、物価も上がるし、そういう中で、たいへん私は就職したあとの生活のほうが苦しくなるのではないか。その辺はどうなさっていらっしゃるか。
#319
○政府委員(道正邦彦君) 御指摘のように、駐留軍の場合もそうでございますが、一たん離職、特に高齢者の場合に離職されますと、再就職にあたっての賃金、これは前職賃金に比べまして下回るというのが通例でございまして、離職者の方々にとってはたいへんな問題でございます。ただまあ率直に申しまして、高齢者についての求人条件というのは必ずしも高うございませんので、求人者に対する指導はやっているわけでございますけれども、なかなか思うにまかせないという状況でございます。で、離職者の帰趨調査、これは労働組合のほうからも非常に強い御要望がございまして、私どもも今後はきめこまかく追跡調査をいたしまして、一人一人の離職者の方がどういう状況にあるか、そういうものを踏まえまして対策も考えなければいかぬというふうに考え、今後努力をいたしたいと思います。
#320
○中沢伊登子君 先ほど自営をされる方が三%ぐらいと、それはどういう仕事でございますか。
#321
○政府委員(松崎鎮一郎君) この先ほどの調査で申し上げますと、一番多いのはやはり小売業と申しますか、そういうものと、それからサービス業と申しますか、その二つで約七割でございます。あと若干多いものといたしますと、土建屋さんをなさっている方が一割二分程度でございます。
#322
○中沢伊登子君 その離職をされる方が、公共職業安定所の紹介によって広範囲の地域にわたって求職活動を行ないますね。そのときに、広域求職活動費を支給することになっておりますね。その広域求職活動費をいただいて、あっちこっち職をさがして歩かれるわけでございますけれども、もしもそれがたいへん遠いところで職が見つかったといたしますね。そういうときに、一体その人たちの住宅対策はどのようになっておるのか、あるいはそのときの引っ越し料といいますか、そういうものも支給されておられるのかどうか、お伺いします。
#323
○政府委員(道正邦彦君) 移転就職されました方々にとって、住宅問題は、一番大きな問題の一つであろうかと思います。このため、雇用促進事業団におきまして、移転就職者用宿舎というのを毎年一万戸程度建設いたしております。そういうものを御利用いただく、これは当然でございます。そのほか、当該企業に対しまして、労働者住宅を設置する場合の融資制度、これを大いに活用していただくということもやっております。そのほか、駐留軍関係の離職者に対する特別の援護措置の一つといたしまして、労働者住宅確保奨励金、これは駐留軍関係の離職者の場合には、最高二十万円を支給するという制度もございます。それから離職者が安定所の紹介によりまして、住所を移転して再就職される場合には、移転資金、これも差し上げる制度がすでにございます。これは運賃並びに引っ越し料でございまして、御本人あるいは家族のものも全部含むわけでございます。
#324
○中沢伊登子君 そうしますと、住宅対策をいろいろやっていただいているようですが、本人がつとめたその通勤可能な範囲に、必ずそういうふうな住宅が確保できるものでしょうか、どうでしょうか。
#325
○政府委員(道正邦彦君) 土地問題がございまして、最近の実情を率直に申し上げますと、就職口が比較的多い都市周辺におきましては、土地代が高いということで、必要な場所に、なかなか住宅が建ちにくいというのが、率直に申しまして現実でございます。まあそういう点は、われわれとしても、苦慮いたしておりまして、毎年土地代の予算をふやすというふうなことを、鋭意やっておりますが、なかなかうまくいかないのが実情でございますが、せっかく建てましても、あき家になるという例も間々あるわけでございまして、そういうことがないように、これは非常になかなか解決のむずかしい問題でございますけれども、職住近接ができますように努力はしたいと思っております。
#326
○中沢伊登子君 交通がたいへん不便ですと、またそれも住みにくくなりますね。いろんな面でぜひとも配慮をしてほしいものだと思います。
 それからもう一つお伺いしたいのは、沖繩が、日本に復帰した当時、つまり一年前の切りかえどきに、第四種労働者をめぐる諸問題がいろいろあったと思いますが、その辺少し聞かしていただきたいと思います。
#327
○政府委員(道正邦彦君) 先ほど大橋先生にも、大臣その他からお答え申し上げましたとおり、沖繩の本土復帰に伴いまして、旧四種の取り扱いをどうするかというのが、非常に大きな問題でございました。その一部は、いまでも大きな問題になっていることは、先ほどお答えしたとおりでございます。ただ、米軍と契約関係で、企業が請負をする、その当該企業の従業員であるという関係でございますので、直接本土の駐留軍関係離職者等臨時措置法等の適用をできない面がございます。しかし、沖繩につきましては、内容的に見まして、本土の駐留軍関係離職者と、ほぼ同じ内容の離職者対策をするように、沖繩振興開発特別措置法の中で措置をしたわけでございます。
#328
○国務大臣(加藤常太郎君) これは先ほど大橋議員にもお答えいたしたのでありますが、私、先ほどお答えしたとおり、沖特へ行きまして、いろいろ各省が答弁しておりますことを聞きますと、どうもはっきりせぬのであります。そうして、思いつきのようでありますが、私が発議いたしまして、これはとてもこれではうまくいかぬと思いますと、率直に申し上げて、ひとつ各省がかってなことを言ってはいかぬから、やはり政府の見解を統一しようと、こういうので、対策本部のようなものを、名前は沖繩旧四種被用者問題に関する対策連絡会議、これをさっそくその日につくりまして、現地のほうの、県のほうとも連絡しまして、現地にもつくってだいぶ効果が出つつありますけれども、やはりこれは、駐留軍の関係の中でもほんとうに谷間のような関係で、能率の関係上雇用請負制度になっておる。その関係で、駐留軍のただいまの法律にも適用がない、こういうような関係です。それで、いま局長から話があったように、沖繩振興開発特別措置法、これ以外にたよる道がありません。そういうので、それを適用いたしまして、ほぼ同等な――特別給付金の関係が少し違いますが、これは局長申し上げなかったけれども――こちらのほうが関係がないという点だけで、それ以外は大体全部この法案と同じ適用であります。で、いろいろ通産省も関係があったり、運輸省も関係があったり、いまの沖繩開発庁関係は総理府総務長官でありますが、これがどうもうまくいっておりませんが、それが出てやや少し前進しだしたが、なお一そう、相当な多人数でありますので、主張した私も責任を感じておりますので、御期待に沿うように、この機関を活用いたしまして対策を講じたいと思います。
#329
○中沢伊登子君 とにかく沖繩のこういう問題は、特殊事情でありますし、行政の谷間に落ち込んでおりますから、十分に配慮をしてあげていただきたいと要望さしていただきます。
 それから、この法律ができたのが三十三年の五月十七日ですね。それから、三十八年に五年延長いたしましたね。そして今回でまた、この法律が通れば、五年延長をすることになるわけです。合計十五年になるわけですけれども。−二十年になるわけですか。その五年五年にきざんだ根拠は何ですか。
#330
○政府委員(道正邦彦君) 昭和三十三年に五年間の時限立法として本法が制定されたわけでございますが、過去二回にわたりまして、それぞれ五年ずつ延長が行なわれております。今回は三回目の延長になりますが、今回も、過去の例にならいまして、五年間としたものでございます。ただ、五年間たてば、その時点で、本法の必要がなくなるという考えではございませんで、五年後におきましては、またその段階で、必要な措置を講じたいというふうに考えます。
#331
○中沢伊登子君 それでは最後にお伺いをしておきますが、アメリカ式に言いますと、先任権というのがあって、年をとった人のほうが残らされるわけですね、残れるわけですね。こういう中で、二十年もこの法律が続いてまいりますと、どうしても離職者が中高年齢化してまいるのは、先ほどから何べんも皆さんの質問の中でもあったとおりでございますので、特別給付金の支給の区分ですね、これをどうしても改定をしなければならないと思います。同時に、給付金額の増額を行なうべきだと考えます。特に、物価が日に夜に上がってまいりますときでございますから、その辺を十分配慮されまして、あとで附帯決議にも、おそらくこれが附帯決議として出てくるかと思いますけれども、その辺をぜひともやっていただきますようにお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。
#332
○政府委員(松崎鎮一郎君) いまの中沢委員のお話につきましては、昭和四十八年度予算で考えましたときに、最も長い在職期間が想定されますものが二十八年程度ではないか。実は、いまの基準のきざみは二ヵ年ずつのきざみでございまして、二十七年以上というときざみがいま最高になっております。したがいまして、これが四十九年になりますと、もう一段階ふやす必要が確かにあると思います。
 それから増額の話でございますが、これは先ほど大橋委員にもお答えいたしましたように、四十六年に相当大幅な増額をいたしておりまして、最初の三十二年当時でございますか、三十二年当時の最高一万円が、いま最高三十五万円になっておりまして、三十五倍になっております。が、なお十分検討いたしまして善処いたしたいと思います。
#333
○国務大臣(加藤常太郎君) 御質問がなかったのですが、やはり特別給付金に続いて私どものほうの就職促進手当が大きな目玉でありますが、これも当然また来年相当私は、上げなくちゃならぬと。自家営業の資金も、先ほどお答えいたしましたが、本年一八%上がったんでございます。しかしこれで私はいいと思っておりません。やっぱり失業保険に比べまして、ちょっとまだ足りませんので、この問題も、気の毒な方々でありますので、一方では先ほど私言ったように、好むべき平和の状態、その犠牲がそこへいったんでありますから、やはり政府もこれはアメリカ軍ともほんとうは協議せねばいかぬのでありますが、これはなかなか外務省を通じて困難な点もありますので、政府として施設庁のほうが給付金の増額をやってもらう、私のほうもこれは来年度は相当私また増額したいという信念であります。
#334
○中沢伊登子君 ひとつがんばってください。
#335
○加藤進君 米軍基地の移転統合に伴って、何の生活保障もなしに離職を迫られておる方たちがいらっしゃいます。ハウスメードの方たちであります。施設庁にお尋ねしますけれども、全国には、このようなハウスメードの方たちがどれだけ働いておられるのか。
 それから、時間の都合上合わせて聞きますけれども、練馬のグラントハイツには、こういうハウスメードの方たちが何人働いておられるのか。
 三番目に、このグラントハイツは、来年の三月に横田基地へ統合されるということでありますが、その場合に、どれだけの人たちが職を失われるのか、このことをお尋ねします。
#336
○政府委員(松崎鎮一郎君) いわゆるメードさんと申しますか、アメリカの軍人軍属が個人的に雇用している方々の問題は、実は、私どももちょっとなかなか職分上立ち入りにくい問題でございます。先ほど申し上げましたように、国が援助して米軍の労務需要を満たしますものは、米軍直接といいますか、それから諸機関が直接必要とする労務ということにまあ約束がなっておりますものですから、なかなかしにくいわけでございます。ただ、非常にお気の毒な状況にあるということは感じます。
#337
○加藤進君 ハウスメードの方たちは米軍家族に雇われておられるわけですね。米軍基地の施設の中で働いておられる。宿舎も米軍基地内の寮です。そして基地の出入についても、米軍の管理下にあるわけですね。となると、施設庁は、ハウスメードの方たちとは、非常に関係の深い省庁であると普通考えても、これはあたりまえですね。そこで私は、施設庁にいま質問をしたわけです。残念ながら、しかし数もよくわからないという状態でございますが、もしそうだとすると、施設庁ね、一体どこへ聞いたらわかるんしょうか。
#338
○政府委員(松崎鎮一郎君) 直接それにお答えすることがなかなかむずかしいのは残念でございますが、ただいま先ほどからいろいろの先生方の御質問の中にありました離職者対策センターと申しますか、そういったところで、たとえば東京都の者につきましては、東京都がいろいろ国以外に助成をいたしておりますが、そこで就職相談会とか、マッサージ講習会ということを行なっておるようでございまして、若干は私どものほうもそこに助成金を出しておりますが、その程度しかいまのところお世話できないのは非常に残念でございます。
#339
○国務大臣(加藤常太郎君) これは私が出しゃばるのもとうかと思うのでありますが――ひとつ思わないように。この谷間ということばがありますが、これを断層である、切れておるのであります。ほんとうに気の毒な方で、やはりメードでありますから、駐留軍のメードであるから施設庁だと言うが、これも駐留軍個人が雇ったということ。労働省のほうも、もう全然これは駐留軍の家庭にタッチすることはできないから調査もできない。谷間でなく断層の中で、ほんとうにこれは気の毒な方であって、タッチするとしかられるというようなかっこうでありますが、ただ、労働省としては、今度再就職ということになると、これはわれわれが元気を出していけるんでありますが、谷間でなくて断層のようなかっこうで、いま加藤議員からそれは一体どこでそんなことがわかるんだと、こうお聞かれなさるのはごもっともで、私も加藤議員と同じようなことを労働省に相談したとき、これはどこへ聞くんだと、こう言ったところが、同じような感じで、これは特に気の毒な方々だと、相当それがまた人数も多いんであります。しかし、何ら的確な数字、給与関係、いろいろな点が把握できない。これは本人と本人が好み合って行ったような関係でなっておりますので、谷間よりは断層と言わざるを得ないというようなかっこうでありますから、これもしかし、同じ日本人でありますから、やはり労働者でありますから、よくこの点を関係省とも研究いたしまして、何かこれはどこか、日本人であって治外法権的な、外国へ行ったような関係のようなかっこうでありまするので、これに対して研究して、最近に的確な判断、的確な措置を私は講じなくちゃならぬと思います。欠陥があると思いますので……。
#340
○加藤進君 おっしゃるとおりだと思います。きょうもここに代表の方が傍聴に来ておられますけれども、こういうメードの方たちは、沖繩でも一万人をこえるといわれておりますから、おそらく全国にわたりますと、二万に近い数字になるんじゃないか。その数を含めますと、相当の大きな数ですね。こういう方たちの問題を、一体、政府のどこへ行って訴えたらいいのか、どこが行政上の責任をとるのか、こういう切実な問題が、いまかかってきておるわけですね。この方たちは、しょうがないから、ともかく東京都へ頼もうと、こう言っておられるわけでございますけれども、私は、国のほうは窓口がないから、東京都へ行けなどというようなことを、行政指導上許してはならぬと思いますけれども、その点今後どうしたらいいと思いますか。
#341
○政府委員(道正邦彦君) 家事使用人に対する労働法規の適用はこれは労働基準法をはじめ、一般の私人の家庭に国の行政権限が介入するわけにいかぬという原則から、適用除外しておるのは御承知のとおりでございます。しかしながら、沖繩等の場合には、特例的に実情を十分勘案して、振興開発特別措置法で措置をしたわけでございます。で、グラントハイツのメードさんの問題も東京の離対センターを通じての調査によりますと、現在就職を希望されている方が四十五名というふうに承知いたしております。そういう具体的な就職を希望される方々は、特に平均年齢が四十八歳近い方々でございます。四十五歳以上になりますと、中高年齢者雇用促進法に基づきまして、就職指導手当も支給することができることになりますので、一人一人の方の御希望を十分承りまして、また法律制度も活用いたしまして、再就職にはできる限りの手助けをしたいというふうに考えます。
#342
○加藤進君 離職されたあとの問題は、これはもう労働省が責任です、これは当然ですね。そこで離職されない前の今日の問題をどうするかということをいま聞いておりますと、以上のお答え以外には出られないわけですけれども、そこで私具体的に聞くのですが、いまグラントハイツの中で働いておられるメードさんたちの居住しておられる寮ですね、これは、米軍の所有である、米軍のものであるという点では間違いありませんか。
#343
○政府委員(松崎鎮一郎君) 実は私の所管ではございませんが、そういうふうに承知いたしております。
#344
○加藤進君 これが返還されるとなると、その管理は一体どこになるでしょうか。
#345
○政府委員(松崎鎮一郎君) グラントハイツのあと地の利用は、私が承知していますところでは、住宅公団が一番おもな利用先になるというふうに承知いたしております。
#346
○加藤進君 そうしますと、寮で生活しておられるということだけをとってみても、そう一般のいわばお手伝いさんと同じだとはこれは言えない状態ですね。大臣、そうでしょう。
 続いて聞きますけれども、ドメスティック・オフィスという、いわば施設が米軍の中にあると聞いておりますけれども、これは一体どういうことを取り扱う機関なんでしょうか。
#347
○政府委員(松崎鎮一郎君) そういうものが昔あったそうでございますが、最近はない。昔あったときには、家事使用人のあっせんといいますか、そういったことをやっていたというふうに承知しています。
#348
○加藤進君 それ、ちょっと施設庁からの御説明、違いますよ。横須賀には現にあるそうです、横須賀には。それからグラントハイツでも二、三年前まではあった、こういうことですね。そこは何をやるかというと、ここでハウスメードさんのあっせんをやる。そうして各家族に対する紹介と配置をやる。いわばそういう機関がちゃんと米軍の中にあるのですね。しかも、これは米軍だけの機関でできませんから、日本の政府にその協力を求める。どこがやるのでしょう、日本の政府が協力するという場合。これは大臣の所管です。大臣の所管のところでやるのですよ。職安でやるのです。職業安定所が米軍から依頼を受けてそういう就職のあっせんをしておるわけです。御存じでしょう。
#349
○政府委員(道正邦彦君) 確かに有料職業紹介をやっておるわけでございますが、問題は紹介先が米軍の軍人、軍属の個人の家庭であるというところに問題があるわけでございまして、それについては、法の適用を受けてないというところに問題があるわけでございますが、職業紹介だけで事足れりとしないで、何らかの対策を同時に考えたらどうかというお気持ちはよくわかりますが、法制なりたてまえの問題からいって非常にむずかしい問題があるということも御理解いただきたいと存じます。
#350
○加藤進君 私は、まだ法制上の問題まで聞いておりません。法制以前の問題であると思っております。この人たちをどう見るかという問題だと思うのですね。御承知のように、米軍がそういう方たちを雇うのにはそれなりの理由があると思うのです。それは大局的に言うならば、米軍の基地の機能を維持するために必要だからやるのですよ。そのためにオフィスをつくっている。そして、日本の職業安定所に協力を求める、こういうことでしょう。ですからね、これはお手伝いさんとはちょっと筋が違うと思うのです。米軍の政治的な考慮のもとで行なわれるやはり求人であり、求職だと思うのですよ。この点をやっぱり考えていただかないと、それはお手伝いさんと同じだというようなことでは処理しきれない問題がある。だから、窓口がないんです。この点について大臣わかりますね。
 もう一つ聞きます。施設庁がかつて国費で、終戦処理費いうと国費がありましたね。国費をもってこの方たちを雇い入れたという時期があるのですよ、これは。その時期は、昭和二十六年六月三十日までは国費をもってこの方たちをいわば雇ったんです。そして、そういう国費をもって雇っていただいた方たちが、今日もなおグラントハイツにでも働いておられるのです。となりますと、これは一私人の家庭のお手伝いさんとはたちが違う、意味が違う。こういうことも明らかになってくるでしょう。そういう立場から、このハウスメードの方たちの関係を深刻に、真剣に国政の上で取り上げていただかなくてはならぬのではないかと、こういうことが私の質問の趣旨なんです。この点、おわかりでしょう。
#351
○国務大臣(加藤常太郎君) わかりました。
#352
○政府委員(松崎鎮一郎君) ただいま、昭和二十六年当時、占領時代でございますが、終戦処理費をもってそういう方々の雇用をしていたというお話につきましては、そのとおりでございます。ただし、昭和二十六年の七月一日以降は、いわゆる家事使用人と申しますか、そういう方々、個人的なサービスのための使用人の費用につきましては、日本政府に負担をかけないということになっております。したがいまして、その米軍の人が個人の費用で雇うことになっております。
 その後、講和発効後、独立いたしました以後は、行政協定、地位協定と変わってまいりましたが、現在の地位協定におきましては、米軍が直接需要する労務、それから諸機関が直接必要とする労務、これにつきましては、日本国が援助をして充足するということでございまして、個人が必要とする労務というものまでは国としてやらないと、そういうふうになっておりまして、いま占領時代のお話は、確かにそういう時代が一時ございましたが、そういう個人の費用で負担することに現在なっております関係上、雇用主として日本国政府がありますのは、限定された労務者と申しますか、そういう範囲でございます。したがいまして、私どもの職分としてなかなかお世話しがたい事情にあることをぜひ御了解いただきたいと思うわけでございます。
#353
○加藤進君 そういう釈明を私はお聞きするつもりはないので、まあこのハウスメードさんの今日置かれておる非常に苦しい現状というものは、もとは日米安保条約・行政協定に発すると、日米安保条約・行政協定に基づいていままで持っていた権利のすべてを奪われたといわれる方たちだといっても、私は、言い過ぎではないと思うんですね。この方々たちが、いまや基地が移転されるということによってどういう状態になるかというと、一円の退職金もどこからも来ないんです。失業保険もないんです。住まう寮も追いたてられるんです。どうしたらいいんでしょう、これ。だれが救ったらいいんでしょう。こういう深刻な事態に立っておられるということ。じゃ、就職したらいいだろう。就職するにしては相当もう年をとっておられます、平均四十七歳だというんですから。再就職できますか、やっていただけるならぜひやってもらいたいと思うんです。そういう努力をぜひ政府にもやってもらいたいと思いますけれども、まさに現状はこういう冷たい状況なんです。
 そこで私は、皆さんにも、大臣にも聞いていただかなくてはならぬと思う点でちょっと読み上げさせてもらいます。これはハウスメードさんたちが援護措置を求められる要望書です。政府に出しておらないんです。政府はあてにならぬ。いや、当てにならぬというわけじゃないですけれども、窓口がないんですから、東京都へ行かれたんですよ。そういうことで出ています。
 私たち宿舎要員は、米軍の日本進駐以来今日まで、米軍人、軍属とその家族のもとで「日米親善のかけ橋だ」と言われながら一生けん命働き続けて参りました。
 私たちも昭和二十七年四月二十八日までは「公務員特別職」として日本政府が雇用し、基本賃金の外にオーバータイム手当、ハウスのテナントの帰国移動等でやむなく休職状態になった場合にも六〇%の休職手当が支給され、社会保障制度も完備しておりましたが、講和、安保両条約、行政協定の発効とともに、個人雇用に切替えられ一切の権利を奪われてしまいました。
 以後二十有余年の間、退職金、失業保険等一切の社会保障から除外されたまま、言語、風俗、習慣の異なる米軍家族のもとで「ひとりひとりが外交官」だと宿舎要員教育を受けた当時を思い浮べながら、青春時代を基地のなかで過ごしてきたことを互いに語り合い、そして明日への生活を憂える今日この頃です。
 ご承知のように当グラントハイツの返還も最終年に入り家族の帰国、移動の激化で仕事も減少の一途をたどり、働らきたくてもその場すら失なわれ減収になっても、どこからも何の補助もありません。
 こうしたなかで、米軍の「関東計画」は進行し、前述したように私たち宿舎要員は、退職金も失業保険もないまま、また、寮を出されれば住むに家なく物価高騰の失業の巷へ、いつ放り出されるかわからない極めて不安な状況のもとにおかれています。
 これが現状です。偽わらない現状だと思いますが、この点について、施設庁はこれをどう感じられておるのかお聞きしたいと思います。このままほっておいていいのかということです。
#354
○政府委員(松崎鎮一郎君) 先ほどから申し上げておりますように、たいへんお気の毒だということは私どもも考えるわけでございますが、その二十六年、二十七年からですか、二十六年の七月以降、個人の費用で、個人の用のために雇われておる方々ということで、私どもの職分として何ともいたしがたい事情にあるわけでございます。ただ、それらの方々の再就職とか、あるいはその住居の問題、これはいろいろ私どもの、私の部ではございませんが、庁内でも、いわば何といいますか、事実上のあっせんと申しますか、そういったことを心がけてもらっておるわけでございますが、なお十分なことがなかなかできない事情について御理解いただきたいと思います。
#355
○加藤進君 私は施設庁としてもほんとうに誠意があるなら、この方たちにやっていただけることがあると思うんです。その一つは何かといえば、こういう離職を迫られるという問題は、決して個人個人の間の関係の問題じゃなしに、政治的な条件の変化のもとによって起こった問題なんです。このためには、やっぱり政治的な対策が必要だと思うんです。
 そこで私は、施設庁にお尋ねしますけれども、米軍に対して、これらの人々に特別の退職金あるいは手当というものを出してほしいくらいのことを要求していただけないか、こういうことですが、いかがでしょうか。
#356
○政府委員(松崎鎮一郎君) 米軍の退職金ということになりますと、これはなかなかむずかしい問題だと思いますが、いわば事実上の話といたしまして、米軍の個人個人の方の、なるべく手厚い、退職者に対する措置といいますか、そういったことをしていただきたいということを申し入れることについては十分検討いたしたいと思います。
#357
○加藤進君 ぜひひとつ申し入れていただきまして、米軍にもこういう人情に反することはやってもらっちゃ困ると、こういう日本人労働者の立場もしっかり主張していただきたいと思います。
 労働大臣、いまお聞きのとおりでございますけれども、労働大臣はこういう日本人の労働者のいらっしゃるという点で、労働省としてなし得る限りのことをひとつぜひやっていただきたいと思いますけれども、その点の所信はいかがでしょうか。
#358
○国務大臣(加藤常太郎君) 先ほど御質問がなかったときから、谷間ということばがありますが、断層と言ったのはその点でして、労働法の適用がない範囲は、一般日本人の家庭の女中さんもないのであります。これは、日本人の場合には、いろいろ行儀見習いとか、またその相手方の人格なりを信頼して、そこへおるんでありまして、家庭には基準法とかいろいろなものがタッチできぬというので、これはもう労働者としてのらち外であります。これと同じような関係で、そこへ持っていって、雇用主が駐留軍の個人である。これは先ほどからここで私語していたのでありますが、私の考えでは、これはこっちが、日本の労働者といえば労働者だが、そうなると、こう日本の女中さんのほうまでもわれわれがタッチせにゃいかぬ、こういう関係もありますので、ほんとうに先ほど言ったように、日米親善にこれはあらゆる点で相当私は貢献しておると思いますから、やはり駐留軍関係は、これは当然施設庁のほうがお世話しておるんであります、外務省の関係もありますので。いろいろそれは、先ほどから私語いたしましたけれども、なかなかこう納得しない点もありますので、事務当局でいろいろそれに対してこうした最終の案を立てるということもなかなか困難と思いますので、まあ、これは私の関係という意味でなくて、労働大臣としてもよくいろいろな点を考慮して十分、なかなかむずかしい、難解な点もわかりますから、十分よく考慮して、よくこれに対する研究なり検討をいたしたいと思います。これは離れて今度再就職となりますと、こっちもくるのでありますが、その前のことが、ここがなかなか――そこへいくと、日本のメードも全部、女中さんも全部これ対象にせにゃいかぬ。そこまでくると、いろいろ家庭の基本的な人権とか、いろいろな基準法の適用ができないとか、いろいろな関係もありますので、これは日本の場合にも、全勤労者といっても女中さんだけはもうはずすのは当然とはずしたと、こちらの駐留軍のほうのこれだけを取り込むというわけにもこれはなかなかむずかしい問題もありますので……。しかし先ほど言ったように、最初冒頭から、断層だというような点もありますので、政治的にこれは判断して、政府委員の方もなかなか……。これ、ここで私を責めても、話をしても、また議員から御質問なさってもこれはなかなか的確な答弁ができないと思いますので、よく私としても研究して、対処するようなことをいろいろ考慮してみます。
#359
○加藤進君 じゃ、ひとつお願いしますが、どうですか。各省に関連する問題になってくるわけですが、これは主として施設庁に一番の大きな関係があると思いますけれども。労働大臣ね、まあ内閣の中でも実力者の一人でございますから、ぜひひとつ内閣に持ち出していただきまして、閣議のひとつ議題にしていただきたいと思いますけれども、その点どうですか。
#360
○国務大臣(加藤常太郎君) こう、ちょっとほめられたような、おだてられたような感じがいたしますが、私は、もうこういうように、思ったとおり、ぱぱっと言うほうでありますが、これはもう断層であることは、断層ということは本人が言うはずがないんでありますが、私は、そう感じておるのであります。そういう意味で、私の信念のもとに、これはここを攻めたって、もうとてもなかなかこれは言いにくいけれども、困難と思います、これは立場上。やはり防衛施設庁長官なり、外務なり、また広く言うと、これは総務長官も関係があるかもわかりませんしするので、いろいろな関係の方と協議して、何とかそこにまあ少しこう目鼻がつくように……。ただ、ここで申し上げますのは、今度離職して、今度再就職の問題に対しましては、これはもう同等なことで本腰でやりますから、どうぞこの程度でひとつ御勘弁というわけではありませんが、御了解を願って、政治的に善処いたしたいと思います。
#361
○加藤進君 そこで、ひとついよいよ離職されるという、この非常に重要な転機を迎えられる方たちですが、いま入っておられる寮ですね、これは返還後は、やはり日本政府の管理下に入るわけですね。そこには、ハウスメードの方たちが住まっておられるのですが、日本に返ると、とたんに追い出されるようなことがもし起こったら、これはいま言われた労働大臣の気持ちとは全く反することじゃないかと思うんですね。したがって、いま少なくとも再就職が保証されるという時期まで、ひとつ現在の寮に宿泊を許してほしい。非常にささやかな要求でございますけれども、そういう居住だけを保証するという点では、ぜひともひとつ善処していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#362
○政府委員(松崎鎮一郎君) これはなかなか関係の省庁、これは国有財産におそらくなると思いますが、米軍財産であります場合には、返還されますと、国有財産になる。したがいまして、国有財産管理部局と十分相談をする必要があると思いますが、関係省庁の協力を得まして、まあ私どもも何ぶんのお力を尽くしてみたいというふうに思います。
#363
○加藤進君 この点は、いま居住しておられる方も、いつまでもすわり込むなどというようなお考えは毛頭ないんです。再就職のめどが立つまで、ほかのところへ行くところもないのだから、ここに置かしてもらいたい。こう言っておられますから、労働大臣もそのことは忘れなく、ひとつそのために御配慮をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#364
○国務大臣(加藤常太郎君) 先ほどの本問題と同じように、これはまあ再就職までといったら、これ期限があるようで、ないようでありますから、そこまではなかなか私も話しにくい点もありますが、やはり当面困らないようなことも、これは政治的に配慮するのも、同じ同胞でありますので、法令――法律なり規則なりの立場がどうであろうが、やはり平等な権利を享有する憲法の点から考えても、私、これ話しすることはでき得ると思いますから、大いに勉強して大いに努力しますが、いますぐ、そうした自信があるかと言われますと、なかなか困難な問題がありますが、まあ御趣旨に沿って対処いたします。
#365
○加藤進君 念のためにもう一度申しますけれども、とにかくこれは基地が移転するわけですね。したがって、基地が移転した、さあ寮は日本政府のものだ、おまえたち出ていけ、こういう機械的な移転だ、さあ出ていけというような、追い出しだというようなことは少なくともやっていただいては困る。このことを申し上げておるんですけれども、その点はいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
#366
○国務大臣(加藤常太郎君) これは国有財産で、こちらのお方の管轄でありますけれども、政治にもやはりあたたかみがあって当然でありますので、国民の感情、世論からいっても、そう加藤委員から、おっしゃられるような点が、いまの点がそうあまり私は無理のないような感じもいたしますから、ここで管轄外のことを私が引き受けるわけにいきませんけれども、先ほど言ったように、前段のいろいろの点も含んで、管轄であろうが、なかろうが、国務大臣として善処はいたします。
#367
○加藤進君 最後になりますけれども、沖繩では沖繩振興開発特別措置法でとにかく離職された方に対して、三年間は、就職促進手当というものが出されるわけですね。私は非常にけっこうな制度だと思うんです。そこで、そういうようないわば措置が、いま私たちの問題にしておるような内地のハウスメードの方たちにできないんだろうか。これは法律の拡大解釈などということをお願いしているわけじゃございません。趣旨はとにかく同じなんだから、沖繩でやられておるような程度のことを、いわば政治の上で、行政の上でひとつ配慮して、この人たちの就職促進のための手当というようなものを、ひとつ政府のほうで考えていただきたい、こういう点はいかがでしょうか。
#368
○政府委員(道正邦彦君) 沖繩振興開発特別措置法による対策とは違いますけれども、中高年齢者の雇用促進法というのが昨年通っております。これは一定期間手当を支給しながら就職のごあっせんをするという制度がございますので、四十五歳以上の方であれば、この法律の適用を受けられますので、これは大いに私どものほうも活用していただくように、安定所の窓口なり、就職のあっせんをいたします場合によく御説明申し上げまして、その条件を充たしている方には、この制度を活用していただきたいと思います。
#369
○加藤進君 おそらくハウスメードの方たちはそういう一般的なお答えの上に、なおもう一つ特別な配慮をわずらわせないかと、こう考えて、願っておられると思います。そこで再就職のあっせんでございますけれども、これは言うまでもなく、労働省としても相当御努力をいただけると思いますけれども、その点どうでしょうか。
#370
○政府委員(道正邦彦君) 先ほど来るる御説明がございまして、私は、おっしゃることはもう非常によくわかるのでございます。かなり年輩になられまして、いろいろいままで御苦労になった方々でございますから、私どもといたしましては、関係省庁並びに関係の労働組合ともよく御相談を申し上げまして、極力再就職のごあっせんを申し上げるように万全の措置を講じたいと思います。
#371
○加藤進君 以上のような問題ですね、まあ私は時間もございませんので、これ以上申し上げませんけれども、こういう状況下にあられて、しかもなおかつ、米軍施設の中で長年にわたって苦労を重ねてきておられる。こういう状況を十分に考慮されて、特別の配慮をする、こういう気がまえで十分善処されることを政府にお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
#372
○理事(大橋和孝君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#373
○理事(大橋和孝君) 異議ないものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 発言の方ございますか。――別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。
 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#374
○理事(大橋和孝君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#375
○玉置和郎君 私は、ただいま可決されました駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党の各派共同提案による附帯決議を提出いたします。
    駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について努力すること。
 一、ドルの切下げ、円の変動相場制移行に伴う米軍関係労務予算の不足及び基地の整理統合等を理由とする人員整理が予想される状勢にかんがみ、
  1 駐留軍関係離職者等臨時措置法施行令第十条に基づく特別給付金についてその増額及び支給区分の上位ランクの設定を考慮すること。
  2 引き続き駐留軍等に就労する労働者の雇用及び労働条件の確保に万全を期すること。
 二、就職困難な中高年齢者が多い実情にあるので、再就職促進のため既設の援護措置の一層の充実と、制度の効果的な運用を図ること。
 三、人員整理にあたつては、九十日以上の予告期間の確保に最善を尽すこと。
 四、人員整理の予想される施設においては、人整理予告前早期に希望退職者の募集を行ない、極力人員整理者の減少を図るよう努めること。
 五、沖繩における旧第四種労働者をめぐる諸問題の改善を検討すること。
  右決議する。
 以上でございます。
#376
○理事(大橋和孝君) ただいま玉置和郎君から提出されました附帯決議案を議題として採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#377
○理事(大橋和孝君) 全会一致と認めます。よって、玉置君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、加藤労働大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。加藤労働大臣。
#378
○国務大臣(加藤常太郎君) ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重し、関係各省とも協議の上、措置いたしたいと存じます。
#379
○理事(大橋和孝君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#380
○理事(大橋和孝君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十八分散会
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ソース: 国立国会図書館
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