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1972/05/10 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第8号
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1972/05/10 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第8号

#1
第071回国会 社会労働委員会 第8号
昭和四十八年五月十日(木曜日)
   午前十時二十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月八日
    辞任         補欠選任
     石本  茂君     熊谷太三郎君
 五月九日
    辞任         補欠選任
     熊谷太三郎君     石本  茂君
     藤原 道子君     森中 守義君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         矢山 有作君
    理 事
                玉置 和郎君
                丸茂 重貞君
                大橋 和孝君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                川野辺 静君
                君  健男君
                斎藤 十朗君
                高橋文五郎君
                徳永 正利君
                須原 昭二君
                田中寿美子君
                森中 守義君
                柏原 ヤス君
   国務大臣
       労 働 大 臣  加藤常太郎君
   政府委員
       警察庁警備局長  山本 鎮彦君
       厚生政務次官   山口 敏夫君
       厚生省医務局次
       長        信澤  清君
       郵政政務次官   鬼丸 勝之君
       郵政省人事局長  北 雄一郎君
       労働省労政局長  石黒 拓爾君
       労働省労働基準
       局長       渡邊 健二君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部防犯少年課
       長        奥秋 為公君
       法務省刑事局公
       安課長      俵谷 利幸君
       厚生省環境衛生
       局環境衛生課長  加地 夏雄君
       労働省労政局労
       働法規課長    岸  良明君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (郵政省の労働問題に関する件)
 (労働行政の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(矢山有作君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨五月九日、藤原道子君が委員を辞任され、その補欠として森中守義君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(矢山有作君) 労働問題に関する調査を議題といたします。
 まず、郵政省における労働問題に関する件について調査を進めます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○森中守義君 一昨日でしたか、郵政省に日弁連から警告書が出ているようですが、これはごらんになりましたか。
#5
○政府委員(鬼丸勝之君) 日弁連からはまだ正式の警告を受けておりません。案につきましては承知いたしております。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
#6
○森中守義君 それでは、私の手元にいま届いておりますから、これちょっとごらんいただいて感想をお聞きしたい。
  〔資料を手渡す〕
#7
○政府委員(鬼丸勝之君) ただいま、この警告書の印刷物をいただきましたが、これまだ、詳細にこれを見ますとちょっと時間がかかりますので、大体案について私が承知いたしておりますところで感想と申しますか、申し上げたいと思いますが、よろしゅうございますか。――日弁連からブラザー制度が人権侵害のおそれがあるという警告が出されるということは伺っておりますが、これは昭和四十五年から六年にかけての東京地方あるいは関西地方のブラザーシステム、当時これは郵政省が全国的に指導いたしたものじゃございません。その地区的に行なわれておりましたブラザーシステムについて具体的な事例等を検討されたものがこの警告の内容になっておると存じます。したがいまして、この内容につきましては相当チェックするところはチェックし、すでにその後、昨年のこれは二月二十九日、郵政省として通達をいたしまして、正式に職場リーダー制度というものを通達をいたしてやっておりますが、この新しい制度におきましては日弁連が取り上げておられる問題点は、
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
まああらかた解消しておるというふうに私は承知いたしておるのでございます。
#8
○森中守義君 労働大臣、戦前における日本のこの種問題としまして、「女工哀史」であるとか「蟹工船」だとか、こういう幾つかの著作によってまことに悲劇的な労働者を酷使する、人権を侵害をしたという歴史がある。ところが戦後における少なくとも再生をした近代国家、再生をした近代産業、近代企業、こういう一つの企業構造というか、あるいは産業構造というか、社会構造といいますか、しかも今日の憲法のもとにおける職業選択の自由、人権の尊重、こういう今日の時代において、人権問題で日弁連に意見を求められたり、調査申請があったり、あるいは人権擁護委員会にこの種問題が持ち込まれたということが他に例がありますか。しかして、こういうものを受け取った日弁連あるいは人権擁護委員会も、やがて何らかの答えを出すでありましょう。ほかに例がありましょうか。ことに国家企業、国家機関の中におけるこういうものが他に例があったかどうか、ひとつ教えていただきたい。
#9
○国務大臣(加藤常太郎君) 森中議員の御指摘のように、戦後における労使関係、特に労働界においては、人権だとか、いろいろな問題が旧態依然たるものが、これはまあ払拭されなくちゃならぬのは当然であります。日弁連のほうから労働省に対しましてまだ話もありませんし、御趣旨のような点は、当然まあ現代の労働界においては、勤労者に対しては大いに尊重しなくちゃならぬのは当然と考えております。いま、私に対する質問は、ブラザー制度の問題についてのお話ではなかったかと思いますが、これも、まだ郵政当局のほうからも、私のほうに対しましていろいろ詳細の報告もまだ来ておりませんので、まあ仄聞したとこでは、関心は持っておりまして、関係局長のほうから、いろいろ郵政当局に対して照会したとこでは、これは昨年の二月ごろ改善して、今後うまくいくと、こういうような報告が来ておりますが、詳細についてはまだ私の手元でも、概略の話はありましたが、詳細な点についてはつまびらかにいたしておりませんので、森中議員のおっしゃる方向は当然と思いますが、これに対して的確な御返答を申し上げることができないことを遺憾といたします。
#10
○森中守義君 ちょっと労働大臣、答弁の趣旨が違うんです。私はこの中身をいまいきなり入っているんじゃないんですよ。さっきから申し上げますように、戦前における日本の労使関係というワクの中で、いろんな著作で、「女工哀史」であるとか、「蟹工船」とか、こういう悲惨な奴隷的な扱いをした、人権を無視した事案が戦前の歴史の中にある。そこでこのブラザーというのがこれに該当するかどうかは別な問題、けれども、少なくとも郵政労働者が人権を無視されておる、きわめて穏やかでない労務管理の中に置かれている、これに一つの抵抗が発生をして、人権擁護委員会に救いを求める、あるいは弁護士、過去における判事、検事等が一つの組織を構成している、いわば権威高い日本弁護士会にこれまた救済を求めるという措置が、この事案以外にあったかどうか。言いかえるならば、なるほど郵政省に言わせると、いや、日弁連というのは、国家機関じゃありません、そこがどういう審判を下そうと、いかなる意見を出そうと、これに拘束を受けるものではない、こういうきわめて冷酷な判断をするかわかりません。まあこれは聞いてみなければわかりませんが、大体そういうつらがまえをしている。これが問題だ、よろしいですか。で、そこで、これは戦後における近代国家、近代社会、いわんや他の範となるべき国家機関の中における労使の問題として、さっき申し上げるように、日弁連、人権擁護委員会等に救いを求めなければならぬという事態、そのことが名誉なことであるのかどうなのか、他にこういう例がありますか、こう聞いているんですから、ブラザーの中身よりも、こういう事案の存在をどう思うか、こう聞いているんです。しかもそれは、たとえばほかに国家機関でたくさんありましょう。つまり三公社五現業であるとか、あるいは労働省であるとか、まあ幾つも国家機関があるわけですが、そういう権威高いものであるべき国家機関の中に、人権の問題等でしかるべき機関に救済を求めたところがありますか、こう聞いているんですよ。ちょっと御答弁の趣旨がだいぶ違うようですから。
#11
○国務大臣(加藤常太郎君) 森中議員のおっしゃるとおり、最初、郵政当局に対してブラザー制度の話をお問いになったから、この問題が、いま言ったようないろいろの問題に関連があると思って、ちょっと取り違えておりましたが、当然日弁連が国家機関だとかということを抜きにいたしまして、戦後におけるいろいろの労使間、またいろいろな公害問題であるとか、いろいろな問題を日弁連で取り上げてそれをいろいろ検討しておると、こういう問題に対しましては、これはまあ常識論から考えても、社会通念上から考えても、大いに参考資料として労使間のいろいろな問題を当然考慮しなくちゃならぬのは、もう常識論から考えても森中議員のおっしゃるとおりであります。
#12
○森中守義君 私の言うとおりということは、「女工哀史」、「蟹工船」と同じようなものであって、いやしくも近代社会、しかも)国家機関の中にこういう不名誉なことはあるべきでないと、まあこういったように労働大臣はお考えになるという意味ですか。
#13
○国務大臣(加藤常太郎君) あるかないか、まだつまびらかに承知いたしておりませんので、あったものと断定いたしまして御答弁することはこの際差し控えたいと思いますが、当然さようなことがあった場合には、これはもう改善して、関係当局もよくこれに対して対処をいたさなくちゃならぬのは理の当然と考えます。
#14
○森中守義君 あのね、あったかどうかと、こう言われるんだが、さっき私は、おそらく郵政省は日弁連ということの警告書、まあこれはなるほど国の機関ではないわけです。公機関ではない。けれどもこれは準公機関という理解をすべきでしょうね。そこが警告書を出しているわけです。ですから、そのことは事実を、救済を求めた側の主張をいれてるし、おそらくいろんな角度から実態の把握、実情の調査、検討の結果、警告書が出た。で、これをいま労働大臣や郵政省が認める認めない、そういう議論はもう必要ない。日弁連が警告書を出しておる事実は違いない。ですから、そういうことを一つの基調にするならば、国の機関として「蟹工船」、「女工哀史」というように労働者を奴隷のように扱っている郵政省のこの姿勢を名誉なことと思うのかどうかと、こう聞いている。どう思いますか。
#15
○国務大臣(加藤常太郎君) まだこれ、こちらのほうの内容を私見ておりませんが、それと同様な事実があれば、これは憂慮すべき問題で、やはりこれに対しまして労働省側の管轄するわれわれといたしましては、これは大いにこれに対して検討して、考慮して対処いたさなくちゃならぬのは、当然と思います。
#16
○森中守義君 そこで、こういう事案が郵政以外のところにあるかどうかについてはどうなのか。
#17
○国務大臣(加藤常太郎君) まあ、三公社五現業みたいなその他の国営の企業においてはさようなことはまだ聞いておりません。あるかないか調査もいたしておりませんが、たぶん、まあさようなことはないという見解であります。
#18
○森中守義君 もうずいぶん私の記憶からも遠ざかっていますが、戦後近江絹糸事件というのがありましたね、近江絹糸事件。まあこれが、実は今日の郵政省が部内職員に扱っている人権無視、奴隷的な扱いと同じようなことをやった事件がある。これを私はやや正確に記憶しておるのですが、三公社五現業、国の機関以外に、民間において郵政省のように奴隷のような扱いをしているところがありますか。
 郵政省の人事局長、渋い顔するんじゃないよ。いま労働省に聞いているんだ。
#19
○国務大臣(加藤常太郎君) まあ三公社五現業その他、政府の機関以外でもさようなことを聞いたことは私のまあ就任いたしましては――小さい問題はこれはあると思いますが、その他にもあまりさようなことを耳にしたことがありません。
#20
○森中守義君 そうすると、一つ一つ詰めるようで悪いですが、郵政省のように、部内職員を、人権を認めない、奴隷扱いにしているということは、国家機関、民間を通じてほかにはない、郵政ただ一つである、こういったように認識してよろしいんですね。
#21
○国務大臣(加藤常太郎君) まあほかの民間でもそういうような問題がそれはあるかもわかりませんけれども、いまのところではさような問題を聞いたことはありませんから、現在の私からの森中議員に対する答弁といたしましては、さような戦前のような問題はないと聞いておりますので、まあ郵政当局に対しましても、私の聞いたところでは、森中議員のように、そこまでとは聞いておりませんのでありますが、なお詳細については今後郵政当局とも連絡をとりまして……。さようなことがないことが望ましいと思います。何といっても労使間は良識をもって相互がよくお互いの立場を信頼し、理解して、そうして労使間のかような問題がなくなるのが当然近代国家としてのこれは労使間のあり方でありますので、さような問題に対しましては、今後改善すべきは当然と思いますし、いまのような問題は相当改善されたと私も聞いておりますが、今後ともなお一そう内容についても深く検討いたしたいと思います。
#22
○森中守義君 いまそこまで労働大臣のように飛躍した議論は私は必要ない。なぜ私は、あえて戦前における「女工哀史」、「蟹工船」、まあこういうまさに悲惨な悲劇をここで述べるかということは、この日弁連の言っていること以外に、私は実態を知っておるから……。この際少しく私が事実をもって申し上げておく内容はこういうことなんです。
 東京都内の玉川、ここの郵便局に私は先年行ったことがある。その周辺の局にも一回行ったことがある。そこで私が現認をしたこと、あるいはいろいろな関係者から聞かされたこと、こういうことを総合すれば、まさに奴隷のような扱いを郵政省がしているといっても過言ではない。そこに張本人がおるのだ、そこに。郵政省の人事局長だ、やっているのは。まだほかにもおる。経理局長の浅見などというものはその最たるものだ。
 そこでその事例を申し上げると、いまどこかに栄転をさせたようですけれども、奴隷扱いをした局長を栄転をさせている。高野とかもう一人何とかいう局長がおる。国分寺か、たしか玉川の局長であったと思う。衆議院の同僚諸君と二、三人で行きましたが、こういう話なんですよ。職員が出勤をする。びろうな話ですけれども、トイレに行こうとする。そうすると、実ものは家でやってこい。いいですか、大便は家でやってくるんだ。局に来て大便をやっちゃいかぬ。小用をやるときには上司に届けていけと、こう言う。届けに行こうとすると、時計を持ってきて、ストップウォッチを持ってきて、何分何秒かわやから出てくるまで時間がかかるか、こういうことをそれがやらせておるのだ。これは奴隷とは言えませんか。私はそこの局長にこう言ってきた。これは君も同様だよ、そんなことをやらせるとするならば。他の職員にそういうことを命じておいて、おてまえだけがそれでのがれるということはない。こういう事実が一つある。
 それから、郵便局で区分の作業が終わって外に持ち出そうという場合に、持ち出そうと、出勤しようと、仕事に出て行こうとする場合ですね、それまでの時間に五分もしくは十分ある場合もあるでしょう。そこでたばこを吸い始める。仕事が終わったと一服やろうとする。そうすると、その人事局長が任命をした課長か主事か主任が来て、たばこをすぐ取り上げる。たばこをのむな。なぜのんでいけないか。郵便物が火災が起きて大事な郵便物を扱っている郵政省としては困る、こういうことなんですよ。かつて私もその関係の仕事に携わってきたことがありますけれども、郵政事業百年の歴史の中に、職員がたばこを吸ったために郵便物が焼けたという例はない。火災が起きたという例はない。たばこものんでならぬと、こう言う。うしろから取り上げる。よく聞いておってください。そこで私は、その局長に、おまえさんはどうだ、十人ぐらいすわれるような大きな机に、机の上に足を乗っかけてたばこを吸っている。決裁箱が置いてある。この決裁箱には、人事問題もあろう、経理問題もあろう、いわば重要な書類が入っているはずだ。君もたばこのむな、こういって私は言ってきたことがあります。これは第二の例。
 あげていけば切りがない。こういうことをもって、郵政省の首脳部諸君が職員を奴隷のようにしていないといえますか。これはひとつ労働省も特別に実態調査やってごらんなさい、続々と出てきますよ。ここに近代国家、近代社会、しかもそういう構造の中における国家機関の存在が許容されますか。しかも時代は違うんだ。戦前の「女工哀史」であるとか、「蟹工船」と同様なことを今日のこの時代でやろうという郵政省の労務政策それ自体が問題だ。労働大臣、いま私が実例を二つあげましたね。その限りにおける判断はどうですか。奴隷ということばをあえて私は使う。人権を無視しておりますよ。そういう意味で郵政省も今回の日弁連からのこの警告というものを国の機関として名誉あることとお思いになるか。どうですか。郵政には郵政であと聞きますけれども、国全体のおよそ労働問題を見るべき労働省として、郵政省のこの姿勢をどうお考えか。いかがですか。
#23
○国務大臣(加藤常太郎君) いま初めてさようなことをお聞きしたので、さようなことがあり得べきことで――現在の時代において特に国家機関の郵政当局において、現場でさようなことがこれはあり得べきことでないような感じがいたしますが、しかし森中議員が直接お聞きしたということであれば、これはあり得べきことでないことがあったということになるのでありまして、事実がそうであればこれはもう大問題で、直接の郵政大臣も厳重にそれに対して改善をするように、またあったものに対していろいろ考えなくちゃならぬのは当然でありまして、労働省といたしましても全産業の労働の問題を大臣が全部知るのが当然でありますけれども、広範囲でありますので、きょう森中議員からお聞きいたしまして、ほんとうにまあ驚きの感じがしたのでありまして、さようなことがあるのであったとすれば、これは当然郵政大臣ともよく話して、さようなことがないようにするのがこれはもう何を考えても当然でありす。そういう意味で、さような事例をなお十分確かめまして、これに対しまして何とか対処しなくちゃならぬと、こういういまお聞きいたしました現時点ではさような考え方であります。
#24
○森中守義君 これは実は昭和三十四年以降の問題なんです。もはや十四、五年経過しております。この間におきまして、かようなことをやめるべきである、直ちに労働政策の変更を行なえ、こういうことでこの種問題に関心の深い議員あるいは関係の深い議員が歴代の郵政大臣にしばしば迫ってきました。しかも国会で問題にした場所は、数回、社会労働委員会にもあったと思います。しかし主として逓信委員会もしくは非公式に大臣並びに首脳部との間に私どもはかかる陰惨な状態で公共事業とはいえない、国の機関とはいえない、こういうことで話をしてきたんですけれども、依然としてそういうものが継続されている。しかも大臣は一期・半期だということで、そこにおる局長どもはなめておる。その政務次官も同様だ。官僚の言いなりになっている。直そうとしないわけですね。しないどころでなくて、その側に立ち過ぎてきたきらいがある。一向に局面の改善ができない。しかも私は、そういうことであるがゆえに、ずいぶん気の長いほうなんだ、私は。非常に気が長い。何とかこれは郵政省の人間らしい善意と人間らしい常識、良識に期待をして、いつの日にかまともな状態になるであろう、こういうひそかな期待を持ったがゆえに、いままでこういうことをあまり大きく問題にしたことなかった。けれども、日弁連が実態調査をやって、しさいに検討を加えた、その結果警告書が出たという、かかる事態に立ち至っては、もはやいかに私が気が長いといってもこれ以上がまんができない。したがって、非公式に郵政大臣あるいは首脳部諸君と話をしても、逓信委員会という場所でいわば内々の問題という意味合いで問題の処理はできない。そうなればどうしても労働問題、労働行政をあずかっている労働大臣の見識ある厳正公平な一つの判断のもとに、郵政省に適切なる対応策をとってもらう以外に方法ない、こういうことで非常に私も多忙ですけれども、わざわざこの問題を実は持ち出してきたわけでありまして、いま大臣が言われたように、一つの驚きであるとするならば、私は創作をやっているのじゃありませんよ。いいですか、労働大臣。つくり話をしているのじゃない。この事実関係を労働省としては追跡をし、あるべき方向を打ち出すというお考えはございませんか。それが一つ。
 それともう一つ、たいへんくどいようですが、この日弁連の警告書、やがて出るであろう人権擁護委員会の結論というものは、国家機関にあるまじき行為である、存在してならないことだ、きわめて不名誉なものである、こういうようにお考えになるかどうか、もう一回重ねてお答えいただきたい。
#25
○国務大臣(加藤常太郎君) この問題は郵政当局の問題で、郵政大臣が直接担当いたしておりますので、とりあえず郵政大臣が部下の関係各局長から末端まで、いま森中議員がおっしゃったようなことがあればこれに対して対処するのが当然であります。私もただいま聞いたところで、決して森中議員の言を疑うわけではありませんけれども、さようなことがあったとすれば、これはもうよく郵政大臣とも相談いたしまして、近代国家として近代的な郵政事業から考えてもこれはもう当然これを問題にして十分深く掘り下げて対処いたさなくちゃならぬのは当然のことであります。これはもう間違いありません。私の聞いておりますところでは、多少労使間でいろいろ問題が郵政当局にもあるということは、御承知のように私も逓信関係、相当委員も担当いたしておりますが、多少いろいろ問題があるということは聞いておりますが、いま言ったようなことはきょう聞いたのが初めてでありまして、だいぶん改善されたということも聞いておったんでありますが、いまの話を聞きますと、もうこれに対して労働省としてもこれは乗り出さなくちゃならぬという感じがしたのでありますが、なお一そうさような事例が実際あるかないかはよく検討――立ち入り検査というわけにもなかなかいきませんけれども、郵政大臣とも相談いたしまして、あったとすれば当然私のほうもこれに対して何らか対処をいたさなくちゃならぬという段階に立ち至ると思います。
#26
○政府委員(鬼丸勝之君) 委員長……
#27
○森中守義君 郵政省には答弁求めていないよ、聞かれないことまで言うな。
 労働大臣ね、ちょっと私もきのう夕方これを手にしたもので全部熟知しておりませんでしたが、この警告書の中にも、いまの大便と小用のことをやっぱりそのとおりだと言っておりますね。これは国分寺郵便局だ、「同局の職員に対する職制の勤務時間中における「小便に行くときも許可を求めよ、大便は家でしてこい」という生理管理の事実」がある。こういうように断定をしておる。労働大臣、警告書を持っていますか、――お持ちになっているんですか、――ちょっと私が教えてあげよう。――そちらでもお持ちのようですね。これはだから労働大臣、ひとり日弁連あるいは人件擁護委員会のみならず、労働省でも実態を追及すべきだと思いますが、どうですか。
#28
○国務大臣(加藤常太郎君) いまこう文書を見たんでありますが、これはさようなことをこのごろそんなことが通るはずがないと思いますが、いま、あったことと思われぬようなことが書いてあるんでありますけれども、いまここで私語いたしたところでは事実があったようなことも言われておりますが、四十五年かの問題で、最近はさようなことは絶対ないと、こういって局長も私語いたしておりますが、郵政大臣とよく相談いたしまして、郵政大臣はかようなことがあったらそれを黙過するというようなことがこれはもう全然ないと思います。当然近代国家として「蟹工船」のような、いろいろこう奴隷的なことを国家機関の郵政当局でこれは黙過されないことでありますから、よく郵政大臣とも私、懇談いたしまして、さっそくここで労働省が立ち入りしていろいろ検査をするとかいうところまでも、改善されたものであればもう必要もありませんし、万一、かようなことが現在においてあるとすれば、これはまあいろいろ考慮をいたさなくちゃならぬということは、もう当然であります。
#29
○森中守義君 これはね、大臣。郵政大臣と協議と言われるけれども、むろんそれも必要でしょうけれどもね。これは労働省ほっておいちゃいけませんよ。過去にあったが、いまはないからいいじゃないか、改善されたからいいじゃないか、こういうことじゃ事は済まない。少なくとも日弁連がこの事実を認定をした。かりに過去にあったとするならばあったで、その責任を労働省問うべきである。また私は、きわめて期待すべき方向に改善、転換がはかられているならばこんなことは言わない。依然として郵政省のこの体質が直っていないから、いなければこそ問題にしているわけだ。だから、手段や方法をどういう方法でやるか。あるいは現状はどうかという、まあこれも労働省が乗り出すための、郵政省との協議の一つの材料でありましょう。けれども、労働省みずからがこの実態調査に乗り出す必要がある。ほっておいていいですか、これを。もし右顧左べんをして過去は過去、今は今、こういうふうな言い方で言われるならば、郵政省の体質が直っていないわけだから、労働省もぐるになって手をかしている、私はこう言いますよ。こういう人権侵害、「蟹工船」、「女工哀史」、こういうことを郵政省がやっていることを、労働省が乗り出さないというならば、労働省もぐるであるし、手をかしておる、こういうことを私は断言できると思う。そうでないとするなら実態調査に乗り出しなさいよ。どうですか。はっきりしてもらいたい。
#30
○国務大臣(加藤常太郎君) いま森中委員のおっしゃるように、郵政省と労働省が両方がぐるになってかようなことをやると、
#31
○森中守義君 じゃ調査に乗り出したらいい。
#32
○国務大臣(加藤常太郎君) そんなことはちょっと言い過ぎで、労働省の立場としてさような気持ちはこれは毛頭ありません。ただこれ、日本じゅうの国家機関全部労働大臣があるかないか調べていくということもなかなかこれはまあ不可能というか、インポスイブルというか、ちょっと労働省が全部の、ここでこうと、職場職場でやっていることを調べることも、現在まあ不可能に近いのでありますが、いま御指摘のようなことがあった場合には、これはさっそく労働省が労働基準法等とか、いわゆる法律をたてにして立り入ってやるということも、同じ政府機関でありますから、郵政大臣とよく相談して、そうして改善されぬという場合には森中議員のような方法でこれは強行することもこれはやぶさかでありません、いまさっそくこれを取り上げて郵政当局と関係なしに立ち入るということも無理でありますから、さようなことが多少いろいろあったということはこれはもう仄聞いたしておるのであります。そうして、いままででも、前大臣も郵政大臣と協議して、何とか改善せいと、こう言ったこともこれは事実でありますが、だいぶさようなことはその後なくなったと、こういう報告を受けておりますので、いまのような問題をなお一そうわれわれとしても確かめまして、郵政大臣とも協議して、そうしてなおこれが改善されないという場合には、当然これに対しまして厳重に対処することは、もうやぶさかではありません。
#33
○森中守義君 委員長が、心配というよりも、事の重大さをきわめて重視して何か関連やらせろと言っているので、ちょっと委員長に……。
#34
○委員長(矢山有作君) 加藤労働大臣にちょっとお尋ねしたいのですがね。いま質疑を聞いておりますと、この郵政における俗称郵政マル生と言っておりますが、この問題は昭和三十四年以来起こっておる問題です。この問題については、これまでたびたび、私の知っておるところでは、社会労働委員会、逓信委員会、両院のね。そういう場で問題にされてきておるんですが、そういうことを労働省としては関知しないはずはないんです。
 そこで、私は質疑を進めていく都合もあろうと思うので、これらの問題について労働省が具体的にこれまでどういう手を打ってきたのか、それとも何にもしないで耳に入れて聞くだけで済ましてきたのか、その辺をはっきりさしてもらっておいたほうが、質疑を進める方も進めやすいと思うので、労働大臣のほうからその点を御説明を願いたい。もし、あなたのほうでよくおわかりにならなければ、事務当局が来ておるはずですから、事務当局のほうから詳細な説明を願っておきたい。
#35
○国務大臣(加藤常太郎君) これは、まあ就任後、日が浅いのでありまして、従来からいろいろな経緯がありますから、事務当局から従来の経緯を御報告して、あとからまた私も補足いたしまして御答弁いたします。
#36
○説明員(岸良明君) これはもう先生御指摘のとおり、郵政関係につきますいわゆるマル生運動については、再三国会でも御指摘をいただきましたし、また新聞紙上等にもいろいろ出ております。そういう関連もございまして、労働省としては、これは公労法なり労働基準法、すなわち郵政当局に適用のあります法律を所管している立場から、これはその問題のつど関係当局とも十分御相談をしまして、御承知のとおり、これは労務改善についての措置、あるいはこのブラザー制度につきましても、これが四十七年の二月でございますか、改善をされると、こういうような方向に漸次改善をする方向へと進んでおるというふうに私ども承知をしておるわけでございます。したがいまして、問題のあります時点、これはもちろんのこと、いろいろとそういうような情報が入りますつど郵政当局と十分相談をしまして、それらに対しては改めるべきところについては補正をするような、そういう御相談をしておるわけでございます。
#37
○委員長(矢山有作君) 加藤労働大臣、何かありますか、あなたのほうから。
#38
○国務大臣(加藤常太郎君) いま政府委員から答弁いたしたとおり、従来もこの点に関しましては相当な関心を持っております。その根本は、何というか、組合が二つある。これに対してこれを一本にせいというわけにもいきませんし、この関係があまり激化せぬように、そしてこれがいわゆるマル生運動というような方向に転換せぬように、労働省といたしましては、最近も私からもよく警告はいたしておりますが、いろいろの問題が今後起こらないように、正常な労使関係が進展するような方向に期待し、また問題のたびごとにさようなことが絶対あってはならぬとこういうことは、郵政大臣並びに当局にも、事務当局から事務当局に対して、いろいろ対処いたしておることもこれは間違いありません。
#39
○森中守義君 それでは少し具体的なものをお尋ねしてみましょう。
 大臣並びに鬼丸政務次官の手にもこういうものはお持ちのようですね。あるでしょう。この中の一二ページを開いてみてください。日弁連の人権擁護委員会第二部会部長杉田伊三郎という人から人権擁護委員会の尾崎委員長に宛てたもの。この文書の一二ページ2に「指導員(ブラザー)の活動」というところがある。この中でこういう事案が一つある。「イ、」というところをごらんいただきたい。
 「大阪中央郵便局第三特殊部速達係指導員大橋宏(全郵政組合員)は、新入職員岡直美の父に宛てた手紙(四六・八・一〇)のなかで、「中央局には共産党員が二〇名程散在し、組織に介入し善良な職員に赤い思想をうえつけようとしています。これで上司吾々は日夜頭をいためております。現在直美様は優等生職員として、上司先輩から将来の幹部候補生として期待をかけられている大切な時期でございますので、上司私どもは大変心配致しております。大変御手紙で失礼致しますが、御両親さまより、至急御手紙か何かで大橋指導員、上司を信頼し、共産党員の甘い言葉に誘惑されぬよう、また現在の組織に在籍のまま安心して仕事に精励努力されるよう注意忠告して戴きたく御願い申し上げます。」とのべている。」
 こういう事実が一つ指摘されておるわけです。これについてきちんとした日弁連の答えが出ている。このとおりだと、こう言っておる。このことについては労働大臣どう思われますか。
#40
○国務大臣(加藤常太郎君) 初めて見たので、ぴっときませんから、とりあえず政府委員から……。
#41
○政府委員(石黒拓爾君) 私もただいま初めてこの手紙を見まして、これが事実でありますといたしますと、「共産党」云々という点につきましては問題があるんじゃないかというふうに考えます。
#42
○森中守義君 この問題に対しまして、日弁連ではこう言っているのですね。
 「以上の事実」――というのはほかにもまだ実例があるわけですからね。
  「以上の事実は、当局側の組合差別の意図を指導員が忠実に遂行しているか、少なくとも、申立人組合に対抗する全郵政労組の組織拡大活動を指導員が行うことを、当局として是認している証左である。」
 こういう評価を与えている。この評価に対して、労働大臣、どう思われますか。
#43
○国務大臣(加藤常太郎君) いま政府委員からも答弁いたしたように、信条の自由からいっても、政党の選択とか、そういうような問題に対しましては、当然自由でありますから、当局がそれに対していろいろ介入したり、いろいろ強要したりすることは、基本的な問題から考えても、これは間違っておると思います。
#44
○政府委員(鬼丸勝之君) ただいま森中先生御指摘の事案につきましては、郵政省としましても、これははなはだまずいと率直に反省いたしまして、この大橋宏なる者をこれは指導員としては不適任だという判定を下して解任をいたしております。
#45
○森中守義君 そこにいるのはだれか、郵政省の局長……。
#46
○政府委員(北雄一郎君) 北と申します。
#47
○森中守義君 いま政務次官がその地位、立場において一つの意見を述べられた。これを腹の中では笑っているんじゃないのか。大臣、政務次官が何と言おうと郵政省の役人は役人だという、そういうことじゃないの。いままでそんなことしばしばあったけれども、本気でそうなっているのかね。役人の一人としてどう思う。
#48
○政府委員(北雄一郎君) ただいまの具体例につきましては、政務次官が言われましたとおりでありまして、実はこれは当時労使間で問題になりました。また、国会でも御指摘を受けました。いずれの場合も私どもはこれについては一も二もなく間違いである、こういうことを言うべきではないというので、こういったことを言う例があったけれども、こういうことはとんでもないことだということを全体に知らせましたし、またいま政務次官が御説明申し上げましたように、当時直ちに本人――まあ本人はこれは一般職員でございますから、不当労働行為云々の問題ではございませんが、当時職場指導員でありましたので、それを解職いたしております。
#49
○森中守義君 ちょっとそうなると、いまこれは人事局長は、思いもよらぬことをやってくれてまことに迷惑であったというような意味にもとれないわけでもないんだが、元来郵政本省としてこういうことをやらせておったんだろう。かってに現場のこういう諸君がやったのかね。どっちなの、責任の所在というものは。指導員である当務者がみずからの発想、みずからの知恵によってやったものなのか、やらせたのはだれなのか、本人みずからやったのか、これはどうなのか。
#50
○政府委員(北雄一郎君) 当時調べましたが、大阪中央郵便局には何名だったか、数十名の指導員がいたわけでございますが、また、全国にももっとたくさんいたわけでございますけれども、本人だけがこういう手紙を出したわけでありまして、全く本人の発想だというふうに思っております。なお、この人は相当学歴もある人のようでございまして、全く本人の独特の発想でこういう手紙を出したということでありました。
#51
○森中守義君 そうすると、これは明らかに人事局長がやらせたものではない、当人みずからの発想でやった、しかもそれはやるべきでないことをやったと、こういうことになるわけですか。
#52
○政府委員(北雄一郎君) ただ私一人のみならず、どこのどの管理者もこういったことは考えておらなかったわけでありますし、またおるべきでない問題、したがいまして、別に本人にかぶせるわけではございませんけれども、これについては全く私どもとしても意想外のケースでございまして、本人の発想であったわけでございます。
#53
○森中守義君 これはいま手元にこの種のケースを持っていないけれども、労働大臣も政務次官もよく聞いてもらいたい。これはまさに氷山の一角にすぎない、氷山の一角です、いいですね。どれもこれもやっておるわけです、こういうことを。しかも、こういうことをやることがみずからの栄達、栄進に通ずるものと思っておる、また通じさせておる、これが郵政の体質です。
 そこで、この問題に局限をして一つの答えを得ようとするならば、いま人事局長がはしなくも当人の発想によるものだ、郵政本省はそういうことをやらした覚えはないということであれば、やってならないことをやった、たとえば刑事上の背任行為という、そういうものでないであろう、けれども、過度に失する。近代企業、国家機関の中で従事する職員が与えられた任務以外のことをやったということであればこのまま放置してよろしいかどうか、郵政政務次官、放置していいですか。どうしますか、これを。これは一つの問題として行き過ぎたわけだから、何とかされなければなりますまい、どうしますか。
#54
○政府委員(鬼丸勝之君) いま森中先生の言われたように、こういうことは放置すべきではないと考えますが、しかし、先輩、後輩というような間柄であるということも考えますと私はそう悪質な、悪意のものとも考えられません。
#55
○委員長(矢山有作君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#56
○委員長(矢山有作君) 速記を起こして。
#57
○森中守義君 これは単なる先輩、後輩ということであればまさにこれはプライベートの話です。いま私があげた事案というものは公人としてやっておる、指導員という特殊な任務を与えられて、そういう置かれておる地位、立場の者が行なった行為、これを先輩、後輩という私ごと的なものですりかえるというそのそもそもが問題なんです。いま答弁を聞いていると、鬼丸政務次官の独自の考えではない、それはそこの横っちょで知恵をつけたんだ、そういうことでは困る。鬼丸さん、あなたは選ばれた政治家ですよ。政党内閣、議院内閣制のもとにおける政務次官ですよ。何でそういう官僚の言うことによって答弁しますか、私の言うことに無理はないでしょう。先輩、後輩という関係でやったというならば私的な関係、しかし、ここで行なった人物というものは明らかに一つの地位、しかも指導員という特別の任務を付与されたものです。その者がその地位において、その任務においてやったことを先輩、後輩ということですりかえて事が済みますか。この社会労働委員会はそれほど甘くない、よけいな知恵をつけるな、人事局長は。鬼丸政務次官みずからの判断でこれ、どうしますか。もとより郵政省には職務規程がある、懲戒規程があるので、そのどれかに該当するはずです。
 そこで、先ほどから問題にしているように、局面を幾らかでも改善をしたい、労働大臣はだいぶ改善されたようだ、こういう意見を言っておる、なお進んでこういう事案を郵政の内部から完全に消滅していくという意思があるならば、当然行き過ぎた行為、まさにこれは人事局長の話からいえば、権限外のことをやっておる。そのことが当人もしくは家庭にまでも送り込んだということですよ、ある意味では非常に罪が深いんです。むろんこれはよその党のことではあるけれども、政党の批判までしておる。これは自民党であろうと社会党であろうと、公明党であろうと、どの党であろうとこういうことは許されません。ここに各党の議員がおりますよ。およそ政治問題に常に中立であらねばならぬということを郵政省言っているわけです。それなのに特定政党を誹謗するようなことまでも、特別の地位にある者が親あてに手紙を出している。そこで、善良な市民生活の中に特殊な意見を持ち込むという、それ自体も問題です。放置できませんよ。懲戒処分規程がある。職務規程があるはずだ。これは政務次官がそこの何とかという局長の知恵をかりて、そのとおりとの答弁をして済みますか。そういうことを言っているから一期・半期の大臣だ、政務次官だとなめられるのだ。郵政の役人どもがなめてくるんだ。しっかりしなさい、政務次官。
 政務次官、あなたは、これはあなたと私の私的な間柄で、郵政省はなかなかええところじゃと、こういう話があった。が、そういうものじゃありませんよ、これは。それは役人どもがちやほやするからいいかわからぬ。が、そういうものは通用しません、ここでは。どうですか。もうちょっときちっとやりなさいよ。具体的に処分をするならする、それが改善をする一つの方法じゃありませんか。
#58
○政府委員(鬼丸勝之君) 森中先生のこの事例に対する御見解は、おおむね私も同感であります。私がさっき申し上げましたような意味は、先輩、後輩だからこの責任がないとか、先輩、後輩の関係だからよろしいといった意味ではございません。やはり指導員としてそういう手紙を出したということはまずいということは十分郵政省当局も認めておりますので、したがいまして、だいぶ前のことでありますが、これは指導員としては適当でないということでやめさせております。
 ただ、懲戒の問題になりますと、当時これは郵政局限りでこの制度をやっておりましたので、本省で直接懲戒云々というところまではいかなかったと。ただ、やめさせたんですが、それ以上始末を、処置をしなかったゆえんは、まあ先輩、後輩の関係も多少まあ情状酌量といいますか、考えてのことだろうという意味で申し上げたのでございます。あくまでやったこと自体はまずいと。指導員としては、ですから、不適任だという結論で処置がされておるわけであります。
#59
○森中守義君 これは政務次官ね、いきなり懲戒免職にやれとは私は言ってはいない。郵政省には懲戒規程があるから、まあ最高は懲戒免。訓告もあろう、警告もあろう、あるいは減給もあろう。だから、これに対応したような処分をやったらどうなのかと、こういうことで、そういう処分の内容までは私は言いませんよ。そういうものを一応背景に据えながら何らかの処置をすべきだと、こういうんであって、しかもそれは単位郵政局でやっているから、そこにまかせるということでは、これはまずい。およそ郵政省の労務政策、労務管理というものは、各単位郵政局でやらせているわけじゃない。また、人事権といえども、地方郵政局のことだから中枢部が手を出してならぬということはないんですよ。あるんですよ。そういうのはやり得る。だから、こういうことを自今絶滅をする、改善をはかっていくというまともな考えに立つならば、やるべきだと、こう言うのであって、ああでもない、こうでもないということで逃げ回られたんじゃ意味がありません。何のために声を大きくしておしゃべりしているかわからぬ。何ぶんの措置をすると言いなさいよ。そうすればこれはいいですよ。
#60
○政府委員(鬼丸勝之君) このブラザー制度は、先生もお認めのようにこれは単位郵政局、特に東京と関西で行なわれておりましたので、しかも、この指導員の働きというものは、法律上の純粋の公務ではないと承知いたしております。したがいまして、これを懲戒規程によって、何らかの懲戒処分をするというのは当たらない、妥当しないんじゃないかと、こういうふうに考えておりますので、指導員をやめさせるという処置だけにとどまったというふうに理解をいたしておるのであります。
#61
○森中守義君 それはしかしおかしいじゃないですか、金銭を伴ったような場合は、ちょっとしたことでも全部処分をしていますよ。業務上、ことに労働問題でやったことには寛大過ぎる、常に。それが問題なんだ。だから命令以外のことをやった。いかに個人の発想といえども、どういうところまで指導員の独自行動を容認しておるんですか。これはさっき人事局長の答弁では明らかに個人の発想である、そういうことをやらした覚えはないと、こう言っておる。そのことがさっきからいうように、一般社会人の家庭の中までも特定政党の非難をし、しかもその危険性を注入していくということになれば、これは大問題だ。ここでは共産党といっているけれども、あるいは社会党もちょこちょこ言っているかわからぬ。どこに国家公務員の政治活動への中立性があるか、守らしているんですか。これだけでもこれは処分に値しますよ。指導員をやめさしたと、それだけでは私は納得できない。どうしますか。だからいきなり懲戒免とかなんとか、私はそんなことを言ってない。懲戒規程があるわけだから、分限を越えたことをやっておるならば、それに対応する適当な処分をすべきじゃないですか。あまりにも寛大過ぎるから、やり過ぎた者は場所を変えればいい。その任務をはずせばいい。それならば、あえてこれは刑事問題でないけれども、加害、被害という、こういう因果関係に置きかえた場合、一般社会、特定の家庭にこういう問題が入り込んだということは、まさにこれは被害ですよ。加害者をそんなに擁護していいんですか。その姿勢を改めないから、郵政省の体質が変わらない、私はそう思う。これは処分しないで済みませんね、どうですか政務次官。指導員をやめさしたというだけじゃこれはだめですよ。やりなさいよ。
#62
○委員長(矢山有作君) あわせて、関連して私のほうからも聞いておきたいんですが、あなたいま、ブラザー制度による指導員の活動というのは公務ではないとおっしゃいましたね。公務でないとするならば、その活動に、私の聞くところによると、ヤンガー一人について月千円程度の支出がなされておるということでありますが、一体、その金はどういう立場から支出されておるのか。どういう予算費目から支出されておるのか、これは重大な関連を持ってまいりますので、この点もあわせて御答弁願いたいと思います。
#63
○政府委員(鬼丸勝之君) 指導員をやめさせただけでは納得しない、承服できないという森中先生の御意見でございますが、当時としては、指導員の活動というものは、あくまで郵政局限りのものでありましたこともありまして、そういう措置をとることが妥当であったろうと。しかし、お話の点もございますので、なおよく、ひとつ検討さしていただきまして、大臣とも相談をいたしまして、善処いたしたいと考えております。
 なお、この種のブラザー制度は御承知のように四十六年までで解消されまして、いろいろ組合関係からの意見や要望、あるいは国会でも問題になりました点をすなおに受けとめ、反省すべき点は反省いたしまして、昨年の二月の末に郵政省として全郵政関係統一方針で実施しておりますのが先ほど申し上げました職場リーダー制でございます。ですから、この職場リーダー制の運用を現在やっておりますが、この点では、いまさっきから御指摘のような問題の点はもうないと、そういう事例は起こってないと信じております。
 それからなお、委員長からお話の予算、経理の面は北局長から御説明申し上げます。
#64
○政府委員(北雄一郎君) 私どもこの現在の制度を新設して、いわば去年の二月から始めました新制度でありますが、この制度におきましても、この仕事は公務ではないと観念しております。むろんその目的とするところは、そういった大都市に所在する局の新入職員、これが定着してくれるようにいろいろ世話をやく、こういうことでありまして、目的は定着性を高めるということでありますが、しかし、その仕事をいわば兄貴分たるにふさわしい人にお願いをする。もしこれを公務とかりにいたしますれば、やはりその人たちも本来の仕事があるわけでございますし、また、時間外にやるということになれば、それ相応の手だてもしなければいかぬわけであります。しかし、そういった本来の仕事を持っておる人ばかりでありますから、そういったことは不適当である。そこで、そういったことをやってくれないかといいまして、じゃやりましょうという自発的な善意によりまして、そういう仕事をしていただいておるわけでございます。そういう意味で公務にはしておらないわけでございます。そういう場合に、しからばなぜその金が出るのか、このお金の点につきましても、旧制度と新制度ではその経理の手続等を全然変えまして、その不適当な支出がないように新制度ではいたしております。また、これはいわば実費弁償でございまして、いろいろそういうブラザーと、ヤンガーとエルダーと申しますか、ということで意思疎通をいたします場合に、やはりお茶を飲む場合もある、あるいはバスに乗る場合もあるというようなことで、ある程度の出費というものがやはりエルダーにはかかっていく。そういった場合、全然何も見ないのも気の毒だ。そこで、どんなにかかりましても月額千円以内に限る。むろんそういう出費がない場合には全然これは出さない。そういう場合に、立てかえさしておきまして、そして請求を待って一千円以内に限ってそういったいわば実費のめんどうを見る、こういうことをしておるわけであります。これは、じゃ、ほかにそういう例があるかというお話にもなろうかと思いますが、ぴたりとした例はなかなかございませんが、たとえばモニターというようなものについても、これは、それ自体公務じゃないと思いますけれども、やはり一定のものを出すということがあるように思います。そういった考え方でこの仕事の性格を認識し、かつ月額一千円以内の支出というものを認めておる、こういうことでございます。
#65
○委員長(矢山有作君) それは人事局長、少しおかしいですよ。公務でないものに国費を支出する、その法的根拠は何ですか。法的根拠なしに公務でないものにかってに金を出すということ許されるの。それは行政官の特権としてやっているのかね。そんな法律の根拠、どににある……。
#66
○政府委員(北雄一郎君) 直接の根拠はございませんけれども、実際上はたとえばモニター、官庁がいろいろな施策をいたします。その場合、それをどういうふうに受けとめておるかということで、モニターというものを配置するという場合、モニターの仕事自体は公務ではございませんでしょうが、これに対して謝礼といいますか、こういうものを出しておるのが通例だと思います。ですから、この仕事もそれに大体似たようなものですから、結局職員の定着性を高める施策の一つだ、そういう観点から支出をしておる、こういうことでございます。
#67
○委員長(矢山有作君) 鬼丸政務次官、私の言ってるのは、いまのような理屈を聞いておるのじゃないのですよ。少なくとも国家の経費の支出ですから、公務でないものに国家の経費の支出というものは許されない。モニター制度云々というような場合、モニターがきちっと制度としてつくられておるものに対して国費を支出するという場合はあるでしょう。しかしながら、何ら制度として確立されていない、法的根拠のないものに国費を支出するということは私は許されないと思う、会計経理上。そういう点で私が聞いておるのは、いまのようなへ理屈でなしに、どういう根拠規定に基づいて支出しておられるのですかと、合理的な、合法的な根拠を聞いているわけです。あなたご存じですか。
#68
○政府委員(鬼丸勝之君) 確かに委員長、ただいま御指摘のように、まあ法的な根拠があまりはっきりしないような局長の答弁でございましたが、これはもちろん根拠なしに、かってに国費を公務でない仕事をやった人に出すということはあり得ないことです、会計法上も。そこでまあ、私はもう少しちょっと調査してつまびらかにさせていただきたいのですが、根拠は確かにあると思います。事務当局のことでございますから、いいかげんなことはやってないと信じますが、もう少しどういう法律の、どういう条項に基づくかということはちょっと急いで研究いたしますから、あとでひとつお答えを申し上げます。
#69
○委員長(矢山有作君) 鬼丸政務次官、あなたのほうもよくご存じでないようだが、私は法的根拠なしに、かってに国費を支出するということは、これは重大な問題だと思います。したがって、あなたのほうで、こういう支出がどういう根拠に基づいてなされておるのかということをつまびらかにしていただく、そうして当委員会に御報告を願う。その上で、そういうようなかってな会計経理をやっておった責任者に対しては厳重な処分を求めます。よろしゅうございますか。
#70
○政府委員(鬼丸勝之君) 承知しました。
#71
○森中守義君 先ほどの大阪の問題は大臣とよく相談をして善処したい、こういうことですから、善処という意味を私は前向きに受け取っておきたい。私の前段の意見を含むものである、そのように理解していいですね。――理解していいですね。
#72
○政府委員(鬼丸勝之君) そのとおりに御承知を願います。
#73
○森中守義君 それでは、いま委員長が質問をしているそのくだりがまた一つ出てくる。お手元の一五ページを開いてもらいたい。いまの問題で「経費の支出状況」ということがあげられておる。この内容によれば、
  「月額千円の使途は、各指導員の判断にもとづいており、そこには何らの基準もない。そのうえ、全体的な支出の概要も、当局側から示されないので、申立人側の調査資料から判断せざるを得ない。申立人組合東京蒲田支部の昭和四六年三月から同年九月までの「ブラザーの経費使用状況」調査によれば、指導員と新入職員一組によるコーヒー、食事、映画などで一回五、六百円から三千円位の支出が大半であるが、ボーリング六千円、上野駅まで新入職員を出迎え、その後ボーリングをしたケース二八、四〇一円など法外な支出も見られる。また、指導員(兄)は明記されているが、新入職員(弟)の記入のない伝票もある。総じて月額千円の枠は守られておらず、立替払が通常のため金額、使途の規制もルーズとなっている。
  右の実例と、前記2の諸事例を併せ考えれば、指導員がほぼ自由に支出できる公金が全郵政への加入説得、さらには全郵政の組合活動の一部に費消されているという申立人組合の主張もあながち否定できない。」
 こういうことなんですね。よって、この件については、いま委員長が指摘をし、かつまた郵政側から公金使用の根拠法は何か、これをつまびらかにして持ち出してこいということで、郵政側もこれを了承しておる。あえてこのことは追及いたしませんけれども、この事実もこれまた重大な問題として、郵政省の労務政策の体質を露呈していると思う。
 まあ、そこで労働大臣、この事実について労働省は、かようなことが労務管理の一環として採用されていること自体が私は問題、労働省としてはどういう見解をお持ちですか。
#74
○国務大臣(加藤常太郎君) エルダー制度、すなわちブラザー制度が郵政省で行なわれておるということは仄聞いたしておりますが、あまりこれが逸脱したような制度になっては困るというので、労働省のほうからも郵政当局に対して、何とかこれは改善しなくちゃならぬということを申し、非公式に話し合いをいたしまして、郵政当局からこれに対して改善されたと、こういうような御返事でありますが、いま聞いたような問題が実際あるとすれば、これは労働行政の立場からいって改善しなくちゃならぬのは当然であります。要するに、どうも郵政省内におけるいろいろ組合の問題に対しまして問題があることは、これはもうどうしても労使間が要するに相互信頼して、そしてかようなことがないように、円滑な運営ができることを労働省としては期待いたしておりますし、また、かような問題に対して改善するのには、全逓と使用者側が六人委員会というのをつくって、数年前からこれに対する改善に善処をすると、相当このような問題が改善されたという報告はありますが、郵政当局の末端のことを労働省が全部つまびらかに調査するということもなかなか困難でありますので、いまの場合、森中委員の質問に対しまして、かようなことは適当でないと、こういう見解は持っております。
#75
○森中守義君 単なる見解を国会でお述べになる。これだけではやっぱりまずいし、私は郵政の全国で一万五、六千もある窓口機関を全部回ってみなさい、そういうことまでは申し上げない。けれども、やはりここにいる局長はじめ、中枢部がこういう空気を郵政省の中につくり上げ、これを指導する、この姿勢が問題なんです。さっきの金の問題も一緒。根拠法のない公金をさっきお示ししたようにどんどん使わしている。こういうようなことを、まじめな労務政策、労働管理として労働省は容認すべきかどうか。日弁連はこれに評価を下しているわけですよ。否定できないと言っている。よくないと言っている。それならばこれはひとつ、労働省及び郵政省という、行政権能の限界はあるでしょう。けれども私が認識をする労働省の所掌としては、当然労働行政という立場から郵政省の行き過ぎを是正をさせ、改善させるという、まあいま改善命令などが出せるかどうかはわかりません。けれども、何らかの方法によってそういう措置をとるべきだと。これは専門家の労政局長、こういう省庁の行き過ぎた、適当でない労働政策に対して、改善命令出せるのじゃないですか。その辺の労働省の権限をちょっと聞いておきたい。
#76
○政府委員(石黒拓爾君) 労働省といたしましては、不当労働行為等につきまして強制的な命令を出せますのは労働委員会でございます。労働大臣、あるいは労政局といたしまして、そういったいろいろ相談に応じたり、アドバイスしたりするということはございますけれども、命令を出す権限はございません。
#77
○森中守義君 ただ、積極的にそういう、ここで問題になったようなことをですね、関係の委員会等に意見を具申するとか、あるいはこの措置を要請する、そういうことはできるのでしょう。
#78
○政府委員(石黒拓爾君) 公共企業体等労働委員会等につきましては、これは独立機関でございますので、私ども干渉はいたさないことになっております。しかしながら、労使関係が円滑にいき、労働法の精神が生かされるということは、労働省として最大の関心事であり、そのために可能な限りの努力はいろいろな方法でいたしてはおる次第であります。
#79
○森中守義君 そこで、この日弁連の問題はまだ内容的には非常に重要な問題がたくさんあります。この警告書及び調査報告書はあまりにも重要な問題がある。けれども、この内容に一々触れていると他の問題もできませんから、これについてはこの程度にとどめておきたいと思いますが、要するに、この警告書、あるいは調査報告書というものは、人事局長の顔つきでは、これは公機関でないからこんなものが出ようと出まいとそんなもの知ったもんじゃない、こういう顔をしているわけです。何か新聞ではそういうことを述べているね。きのうだったかな、北人事局長談ということで、何の拘束力もありませんよと、こう言っている。だが、私はそれ自体が問題だと思う。さっき私がしつっこく労働大臣に、名誉なことなのか不名誉なことなのか、まあこういうことを実は問いただしたのは、これの扱いをどうするかという意味でもあったのです。この警告書と調査報告書を郵政省はどういうふうに扱いますか。人事局長が新聞か何かで言ったように、法律的には何の拘束力もない、どんなことを言われようとこんなものちっとも問題にしないのだ、こういう姿勢で貫きますか。それとも真剣に受けとめますか。どっちですか。
#80
○政府委員(北雄一郎君) 勧告案が発表されました夜、各社から問い合わせがございました。全部電話によるものでございました。したがいまして、各新聞それぞれ若干まちまちであったのではなかろうかと思います。しかし、いずれの社に対しましても、こういうものは無視すると、無視してもいいのだということは一言も言っておりません。そういう腹もございません。私が言いましたことを正確に申し上げまするならば、まだ電話で聞いた段階で警告書を見ておらない、しかし聞くところによれば、この警告書の判断の材料になった事実というものはほとんど全部が四十五年、四十六年当時、すなわち古い制度のものでありまして、時代のものでありまして、そういった時代、いろいろ組合でありますとか国会の御指摘を受けまして、それを改善しまして、去年の二月の終わりから新しい通達によりまして新しい制度としてやっておる。新しい制度下においての問題点というものは、ほとんど指摘されてないように聞いております。それがまあ第一点。
 第二点といたしましては、しかし、警告書をよく読みまして、その中で耳を傾けるべきものがあるならば、謙虚に改善をしたいと、こういう二点を言ったのが正確でございます。したがいまして、郵政省としてそういう考えでおるわけでございます。
#81
○森中守義君 いまの北人事局長のお答えでは・――私のでは警告書と書いてあるが、どっちが正確かね。警告か、勧告か、正規なものはどういう言い方をしているのか。
#82
○政府委員(北雄一郎君) 二、三違うことばを私使ったかもしれませんが、警告が正当でございます。いまもらっておるのは警告案というものを非公式にこちらからもらいに行ったと、こういうことであります。
#83
○森中守義君 何、どっち、警告……
#84
○政府委員(北雄一郎君) いま言いましたように、警告でございます。
#85
○森中守義君 が正当。
#86
○政府委員(北雄一郎君) はい。
#87
○森中守義君 結局、これはこのまま放置すべきものではない。それと、すべてこの内容はいままでのものであって現在は違うと、こういうことのようなんだが、違わないという事実を私はこれから言わなきゃならぬ。要するに、これは非常に貴重なものだ。だから、これは国家機関じゃない、拘束力がないという、こういうことでこの警告と報告書を放置すべきものじゃない。むしろこれこそ謙虚にこの警告書と報告書を受けとめて、新たな踏み台をつくるために、新しい政策展開を私はすべきだと思う。こういう意味で政務次官、この日弁連の警告書及び報告書を郵政省としてはどういうように扱いますか。
#88
○政府委員(鬼丸勝之君) ただいま森中先生も御意見として述べられましたように、この日弁連の警告書が正式に出ましたならば、決して私どもこれを放置する考えはございません。また、国家機関でないからどうでもいいとか、そういう考えは持っておりません。いまお話しのように、謙虚にこれを受けとめまして、内容をしさいに検討した上で、今後の労務政策上改善すべき点があれば十分取り入れてまいりたいと、かように考えております。ただ、局長も申しましたように、実はこれは四十五、六年のときの事例を取り上げられておりますので、昨年の二月の通達によりまして、新しい制度では、まあ大半改善をいたしておると、事務当局もその点は申し上げたとおりでございますが、そこで正式に出まするならば、慎重に検討いたしました結果において、いまの新しい制度とその運用の実態とを突き合わせまして、また詳細に御報告を申し上げ、御意見も承りたいと、かように考えております。
#89
○森中守義君 いまちょっと違うのは、この調査報告書の中で、一九ページをあけてごらんなさい。アラビア数字の6項、「新通達(四七・二・九)以後の状況」というのが書いてある。
  「新通達以後も、前項の基本的問題が解決されていないことは、一、の2にふれたところである。申立人組合と当局の団体交渉の経緯をみると、むしろ、ブラザー制度を本省施策としていわば公認したことが、非対象局において類似の新入職員対策を採用し、あるいは非公然的であったものを公然化させ、しかも具体的な本省の指導がおよびにくいという結果を招来している。また、実態においても、たとえば大阪中央郵便局特殊部に配置された昭和四八年度新入職員に対し、井上、山岡各課長代理らと指導員(ブラザー)富島充郎が交互に喫茶店で全郵政労組への加入を執ように要求するなどしている。」
 まあこういうわけで、いままでは控え目であったものがむしろ公然と公認されたようなものだ。のみならず、局部的に職員の定着化をはかるという趣旨のものが全面的に及んでいるという、こういう言い方をしているわけですね。だから、これは過去のもので、もういまは違うのだということにはちっともならない。これは政務次官、注目すべき問題だと思う。
 ですから、これは私は特に委員長に要請しておきますが、先ほど経理の法的根拠を調べて持ってこいと言ったのと同じように、新しい政策展開を意図するならば、その内容を委員会に提示してもらいたい、このことを吟味検討を加えて。そうしなければ、郵政省に、政務次官が言われるように、いままでとは違う、現状は変わっているということではこれは承知できない。これはひとつ委員長から、新しく政策展開をやろうというならば、新しいものを持ってきてもらいたい、そのことをひとつ確認をしておいてほしい。
#90
○政府委員(鬼丸勝之君) 新しい制度は確かに新しい制度でございますが、ここにも指摘してありますように、まだ末端のほうにそれが正しく浸透していないという面もあろうかと思います。これももちろんこの警告書が出ましたら、十分またできるだけ実態も調査して、検討させていただきたいと存じます。
 第二点の、先生いま御指摘の、新しい政策展開としての制度の内容等は、これは資料として提出させていただきます。
#91
○森中守義君 そこで、変わっていないという具体的な実例の重要な柱になろうかと思いますが、先月の十七日、このときの年金ストライキ、及び二十七日の大幅賃上げ等々の労使間の問題、俗にいう春闘の際における、郵政省あるいは労働組合に対し警察官が介入して、逮捕事件等が頻発をしているように聞いている。この状態について、警察庁、労働省及び郵政省にもあるようですが、どこの地域でどういうケースの事案があるか、個別にお示しいただきたい。
#92
○政府委員(山本鎮彦君) 春闘の山場で四月十七日、全国の八十三拠点で二十四時間スト、二十四日には八十拠点で終日スト、二十六日から二十八日午前五時まで連続五十三時間のストライキが実施されたのでございますが、この際やはり県評、地区労等の応援を得て、全逓関係で強力なピケが張られて……
#93
○森中守義君 いや、局長全部だ。いま私、最初聞いているのは全逓に限らないで……
#94
○政府委員(山本鎮彦君) 全部でございますか。――全部の資料はちょっと持ってきておらないんでございますが、郵政関係のだけ資料として持ってきておりますが……。
#95
○森中守義君 あとでまた言うが、わかっているだけ言ってください。
#96
○政府委員(山本鎮彦君) それで、結局この問において各都道府県警察でそれぞれ郵政当局の要請で、二十一都道府県四十七局で延べ六十七回、人員にして延べ五千六百十三人の警察官が出動して警告し、あるいは排除をしておりますが、そのうち検挙者は十名という報告が来ております。
#97
○森中守義君 警備局長、これは全逓に限らないで、他の関係も、まあいま動員された数とか、そういうものは要りませんが、要するに逮捕した数、それから検察庁に送検をした数、あるいは拘留した状況、あるいは拘留しないでそのまま放したという例もあるでしょう。そういうものを全体的に。これで午前中終わらしてもらいますから、午後大体そういうものを数字を拾ってみてください。
 それから、労働省ではこの数字をどういうふうに把握されておりますか。
#98
○政府委員(石黒拓爾君) 労働省におきましては、逮捕者数等についての全国調査は行なっておりません。いずれしかるべき機会に警察庁から状況を聞きたいと思っております。
#99
○森中守義君 これは、労働省はそこまで所掌の範囲として及ぶべきかどうかわかりませんけれども、しかし春闘という、ああいう規模の紛争の際には、やはり単にその種の逮捕事件等はひとり警察庁にまかしておいてよろしいというものでもないし、やはり労働省は労働省なりにある程度の把握が必要だと、それを労働省でもよくひとつ関心をお持ちいただきたいと思いますね。
 それから午後、警察庁から出てはきますが、郵政省ではどういうような数字を把握しておりますか。
#100
○政府委員(北雄一郎君) 警察官が出動された拠点、局数というのはただいまのところ把握いたしておりません。逮捕者の数は六名というふうに把握をしております。
#101
○森中守義君 どことどこ。
#102
○政府委員(北雄一郎君) しばらくちょっと……。全部じゃないと思いますが、記憶しておりますのは、小樽、松江、熊本、この三カ所は、はっきりいたしております。
#103
○森中守義君 これは人事局長、政務次官も聞いてほしい。よけいなことだけれども、大体翌日委員会がある、質問が行なわれるというときには、所管の課長かだれかが、質問者にいろいろ要綱を聞きにきますよ。それを言う言わぬはこっちの自由。けれどもね、大体委員会を円満に行なっていくためにおおむね大綱的なものは質疑者のほうで示すものです。私もそういうことを慣例にしている。ところが郵政省の人事局の場合には、全然この問題を、おとといから私は通告してあるのにどういう質問の内容かなということを聞きに来たこともない。来なくてもいいんだ。来れば迷惑でもある。けれども姿勢として、郵政省、それでいいのか。少なくとも逮捕者の数ぐらいは――。そこに魚津君というのはどれだ、いるのかね、そこに。きているかい。
#104
○政府委員(北雄一郎君) 参っておりません。
#105
○森中守義君 だれかが、逮捕者の数ぐらいは、ちゃんとこの問題出ることわかっているのだから、聞きにやったらどうかね。はなはだ国会の質問等に対しても、事、労働問題になると、きわめて郵政省の姿勢は高い。気に食わないよ。たとえば保険とか、貯金とか、その他の事業部門では、必ず質問の要綱何でしょうかと聞きに来る。労働問題、一ぺんも聞きに来たことないよ。まあ最近、私やったこともないけれどもね。こういう重大な問題を、質問が行なわれるというのに内容を聞きにも来ない。迷惑はするが来たなら教えますよ。しかし、そのことは、聞く、聞かないという問題は、労働関係に対する郵政省の姿勢をうかがわせる。これが問題なんだ。政務次官、よく聞いておってください。労働問題対郵政省の姿勢を、そういうことの一端にのぞくことができる。どう思う、人事局長、そういうことはないのかね。非常に重大な問題だ。そこで、もういい、それは。姿勢を、そういうことで私はうかがい知ることができるということを、この際政務次官、大臣にもこれは言っておいてください。そういう郵政省の労務官僚なんだ。国会何するものぞという、こういう顔つきしている。属僚に至るまでそういう顔つきをしている。午前中、これでやめておこう。
#106
○委員長(矢山有作君) 本件に対する午前中の質疑は、この程度にとどめます。
 午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時一分開会
#107
○委員長(矢山有作君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、労働問題に関する調査を議題とし、郵政省における労働問題に関する件について質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#108
○森中守義君 午前中ちょっとお尋ねいたしました全逓関係の逮捕者は、私の調べでは八名ですね。郵政省、間違いないですね。
#109
○政府委員(北雄一郎君) 午前中六名と申しましたが、その後調べてみましたら八名でございました。局名も三局申し上げましたが、そのほかに岡山県の西大寺の局がございました。
#110
○森中守義君 岡山の西大寺二名が午前中入っていない。で、したがって熊本中央一、小樽二、松江貯金三、岡山西大寺二、これは正確だな。
 そこで、厚生省見えてますね。ちょっとお急ぎのようだから、そちらを先に聞きますが、熊本中央郵便局の被害者と称される池永峯彦というのか、この庶務課長の被害状況を、逮捕状執行の際につけられた診断書では、「治療三週間を要する、右肋骨肋軟骨縫際の離開の傷害を与えた」、こういう診断になってる。どういう症状をこれは示しておりましょうか。
#111
○政府委員(山口敏夫君) ちょっと専門的な病名の見解でございますので、政府委員からお答えさしていただきます。
#112
○政府委員(信澤清君) 私も医者じゃございませんので、正確に申し上げられませんが、診断名から察しますと、肋骨の間に軟骨がございます、それがまあ剥離をしたと、こういうような症状のように伺ったわけでございます。
#113
○森中守義君 まあこの件は、理事の大橋先生がお医者さんですからね、いま、ちょっと聞きました。
 そこで、私も実はその直後、私の郷里のことですから、帰っていろいろ聞いてみた。ところが、その「治療三週間を要する、右肋骨肋軟骨縫際の離開の傷害」ということでは大体どういう程度の苦痛を訴えるものであるのか、これが問題だ。そこで、現地でいろいろと実際の状況を問い合わしてみた。また、これは写真もとってあります。で、これは、被害を受けたと称するこの課長は、被害現場から走って約百五十メートル近い郵便局まで何のへんてつもなく正常な状態で帰ってきている。で、帰っていって、各局から応援に来ていた者の指揮に当たるとか、まあ通常の任務を正常に行なっている。むろん翌日も同様であったと。ただ笑えない事実なのは、翌朝、勤務時間になって大ぜいの人が見てる中で、大体まあ右なんでね、ほんとうならば苦痛に耐えられぬと思う。それなのに、正常に右手をこうやっていろいろ支配をしているものだから、はたで見ていたいろいろな人たちが、課長、あなたはそれは右のほうが悪いのじゃないかと、こう言ったところが、あわてて右をこうやって左手で仕事をやり出した、こういう話なんですね。そこで、私はあとで熊本地検の――法務省は見えていますか。――熊本地検の次席検事と加藤という検事に会ってきた。といいますのは、書かれた診断書に疑いがある。というのは、当該郵便局である熊本中央郵便局の直近の場所に大野病院というのがある。この大野病院というのは熊本郵便局の指定医ではないけれども、常時交通事故等でそのお医者さんのほうに患者を送っている。そういう開業医と郵便局との因果関係がある。そこでつくられた診断書である。実態はかなり違っている。であるならば、警察が要請をした逮捕状、しかも逮捕状につけられた傷害、これには信憑性がない、であるとするならば、たとえば重症患者等はAなる医者の診断にとどまらないで、非常にむずかしい場合には、他の医者を立ち会わして臨床診断が行なわれる、こういうのは一般的に医者の間の常識になっている。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
よって、この事件の一つの主要な要因にしている診断書については信憑性がないから、郵政省職員が診断を受くべき機関は逓信病院というものがある。言うまでもなく熊本の逓信病院は権威ある院長をはじめ、各部長あるいは専門の医者がそろっておりますから、ここに当然検察当局はこの診断を仰ぐべきであろう、そういうように慎重な扱いをしなければぬれぎぬを着せられることになる。で、しかも、この状態というものは、現行犯として逮捕されないで、――現行犯だとは言ったらしい、けれども現行犯として逮捕しなかった。逮捕しなかったというのは現行犯としての逮捕の要件がなかった。一晩明けて翌日午前八時ぐらいに逮捕状執行に行ったらこういうわけだ、その間にこの診断書がつけられたということなんですよ。で、そこで、厚生省の場合には、開業医というもの、医者のモラルというものは一体何なのか、はなはだ私は疑問がある。ですから、厚生省は大野という病院はきちんとわかっておりますから、この診断書についてはどうなんだということを調査してほしい。やってくれますか。
#114
○政府委員(山口敏夫君) ただいま先生の御指摘になりましたような事件的な背景というものにつきましては、当然そういうふうな問題あろうと思うんですが、ただ一般論といたしましては、医師が作成する診断書に対する信憑性というものは、やはりいろいろ官公庁に添付する書類等、あるいはわれわれの国民生活、社会生活にきわめて影響、重要なものでございますので、そういう点についての診断書に対しましては、医師法に基づいて正確をもって了とするような形になっておるわけでありますし、診断書を交付する際におきまして、当然そのお医者さんがみずから診療し、そしてまた診断書を交付したという件につきましては、これはもう刑法上虚偽の記載をなした場合には、刑法等の罰則等もございます。しかし、あくまでそうした問題に対しましては刑法上の、いま先生御指摘になりましたような事件的背景の中で追跡され、そしてまた問題点がクローズアップされるということでございまして、そうした事件的な経緯の中でしかるべき厚生省といたしましても医師法上の行政処分にすべき対象であるかいなかということをきめていくわけでございまして、ただ、いま先生の大野病院の診断をされたお医者さんがはたしてその診断に対する信憑性の是非という問題につきましては、この場で私どもの立場としてはお答えできないと、こういうことだと思うんでございます。
#115
○森中守義君 それはこの場ではできないということはないでしょう、疑いがあるわけですから。私も身内の者や知り合いに医者がたくさんおる、外科医もいる。いま大橋先生にも専門家として意見を聞いてみた。そこでここにいう「治療三週間を要する、右肋骨肋軟骨縫際の離開」、三週間といえば通常の状態ではおれない。安静を要する。非常に痛む、呼吸することもやや痛みを感ずるということだそうです。言うなれば相当の重傷ということになるでしょうね。これは数名の関係の医者に聞いてみても同じような意見が述べられている。それなのに実態はそうではない。しかもレントゲンにとった場合に肋骨あたりは全部レントゲンで見える。しかし、この「右肋骨肋軟骨縫際の離開」という、こういう場合にはレントゲンに出ない。この辺にも非常に問題があるわけですね。いずれこういうことが問題になった場合にも、いや、レントゲンという物証によって証明できない。本人の訴える苦痛によって症状診断をしたという、その辺のあいまいさがある。私は何としてでも、この大野病院でつくられた診断書については信憑性を持ちません。熊本地検の次席検事も加藤という検事も、これは本人が申し出ればそれもできましょうがという話だったけれども、これでは捜査当局としてはおかしいではないか。少なくとも相当数の者がつけられた診断書及びその診断が示している症状と実態が違う。より慎重でなければならない。少なくとも検察庁あるいは警察といえども善良な市民生活に、どういう背景であろうと立ち入っちゃなりませんよ。それなのに、こういう一通の診断書というものが善良な市民生活を脅かす、善良な国民も罪に落とすかどうかという問題ではないのか、それならば、当然なこととして郵政職員、電電公社職員等が検診を受ける逓信病院がある、そこで診断のやり直し、ちっともおかしくはないじゃないか、こう言って私は両検事に言ってきたことがある。それは、やってくれたかどうかは、これから法務省あるいは警察庁へ聞かなくちゃいけませんがね、経過はそういうことなんですよ。少なくともつくられた診断書と私は言いたい。きわめて濃厚な創作の形跡がある。ここで、申し上げるならば当然医師法によって正常な医療行為が行なわれているかどうか、これを指導監督する立場にある厚生省としては、この医師の診断というのが適切であるかどうかということの調査は、私はできると思う。できないはずないじゃないですか。やらないとするならば、こういう事件の背景を、これまた厚生省までも手をかそうとする。ぐるになっているというよりしょうがない。やりなさいよ。
#116
○政府委員(山口敏夫君) 当然お医者さんの診断書は医師の良心に基づいて正確に行なわれなければならないわけでございますし、またその診断書が当事者並びに関係者の方々により多くの影響を与えるという場合には、やはり慎重を期すに越したことはないわけだということは、十分理解するところでございますし、また身体自身の問題ですから、どなたが診断をいたしましてもそれなりの症状なり病状というものは変わらないわけでありますから、十分そういう点で、その影響力も考えて、診断書の点における配慮は必要だということは、私自身認識いたしますけれども、それはやはり、あくまで刑法上の問題の中でしかるべき、事件あるいは問題の追跡の中で必要性をもって、さらに再診断をしていただくということのほうが筋道なのではないか、ただ、医師法等の違反あるいは診断そのものが不正確であるというものが明らかにされる段階において医師法等に触れた場合におきましては、しかるべき行政処分を行なう幾つかの条件に照らし合わせながら、厚生省としては、そのお医者さんに対する行政的な判断なり、あるいは責任なりというものを明らかにしていかなきゃならない、こういう見解に立たざるを得ないんではないかというふうに思うわけでございます。
#117
○森中守義君 ちょっと意見がかみ合いませんね。政務次官ね、いまの御説からいけば、立件をされて訴訟に発展をした。そこで法廷論争が行なわれる。その際に、この診断書が刑事上の問題として抵触をするかどうかというときに問題を新たに構成して検討したい、こういうことのようですが、この診断書が、つまり送検の根拠になる、あるいは立件の根拠になる。ところがその診断書に疑義がある、問題があると、こう言っているわけですから、何も係争に発展しなくても、少なくとも私に限らないで、大多数の者が実際の症状と診断書が違うんだと、こういう疑いを持つならば、当然なこととして、これは診断をした、診断書を書いた医者に照合する、あるいは実際はどうなのかというようなことを厚生省、聞くというのは、ちっとも行き過ぎでもないし、むしろ正常に医療行為を今日の医者が行なっているかどうか、その辺をチェックするという意味ででもやり得ることじゃないですか。私はおかしいと思いませんよ。
#118
○政府委員(山口敏夫君) 私、先ほども申し上げさしていただきましたように、いわゆる医師の診断書が、患者さんをはじめ家族の方々、あるいはいろいろ社会的、経済的影響もありますし、きわめて重要な内容を伴うわけですから、これはもう正確に慎重に診断されなきゃならないという見解については申し上げたとおりでございますし、いま森中先生の御指摘のように、一枚の診断書が当事者並びに一人の方の刑法上の問題にまで発展するかいなかというきわめて重要な背景を持っておるというような事件的な経緯の中において、より慎重に診断がなされなきゃならないという御指摘はまことに同感でございます。ただ、それを厚生省の立場でその診断書の信憑性が妥当であるかいなかという証明をせよという御指示であるわけですけれども、その先生の御指摘の慎重にすべきであるという御趣旨には、まことに理解するところでございますけれども、あくまでこの、いわゆる刑法上の問題、事件的な経緯の中で、私は検事あるいは弁護士、当事者、患者、医師等の法的な問題の移行の中で再診断をせられるとか、あるいはその患者さんの症状自体を再確認するとかいう形の中で解決をしていくほうがより納得のいく慎重な配慮になり得ると、厚生省の立場から、この診断書が適正であるかいなかということの確認を現在の行政的な措置の中で、むしろ行なうことの私は是否というものは非常にむずかしい点も幾つか含んでおるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
#119
○森中守義君 これはまあ最近の医者の信頼の問題で、数多い社会問題がある。先日も腹中に何か、はさみを置いたとかどうかという問題等もありますね。こういったように、いま事、病気ということに関しては医者以外に信頼するものがない。信頼すべき医者が反社会的なことをやったり、あるいはこういう特殊な事件の背景の要因をなすというようなことであれば、私は医者の信頼をより高めていくためにも、しかも医療行政をあずかる厚生省が少なくとも問題が提起された。提起された問題に対して、進んで、積極的に事態の究明に当たるということは当然な任務だと思いますよ。で、それがさつきから申し上げるように訴訟に発展をした。そういう経過の中で刑法に問われるかどうかという、こういう答えの求め方というものは、あまり積極的であるとは思えない。実はこれは、率直に言って熊本県の医師会あるいは市の医師会等にもこの真相究明をやってくれということは言っておる。ところが医師会というのは国の機関じゃないわけですからね。しかしそういう意味からいくならば、当然医療行政をあずかっている厚生省みずからが診断書の適否、このことに手をかすというのはおかしいことじゃないじゃないですか。またそれができないとする、現行法上困難であるとする理由があるというならば、何条の何項なのか教えてもらいたい。私はないと思う。ないならば、あとは厚生省の行政判断だけですよ。進んでしないというならば、こういう非常に微妙な事件を背景したものに厚生省も手をかしておるし、ぐるになっておる、こういう言い方をしてもしかたがないんじゃないか。こういう意味であまり言い回しは適当でないけれども、真偽を確かめるということについてはちゅうちょすべきではない、こう思うんですよ。やってみませんか、やるべきですよ。
#120
○政府委員(山口敏夫君) 先生が御指摘いただいている点の意味は十分私自身も理解しておるところでございますけれども、やはり事件の経緯とか、あるいは状況等を考えますときに、医師の診断書に対する信憑性を厚生省が判断せよという厚生省に対する一つの審判官としての権威をお認めいただける点につきましては、たいへんありがたいわけでございますけれども、あくまで事件的な経緯の中で、いわば訴訟といいますか、一つの刑法上の問題の中で争われておる非常に微妙な問題でございますので、非常に微妙な事件的な経緯や内容を含んでおりますので、当然捜査やあるいは事件の発展の中で、厚生省がこの問題あるいは事件を一そう明確にするために、司法当局なり警察当局なりの協力依頼というものがあれば、これはもう行政的あるいは法律的な手だては別として十二分な協力をするということは当然のことだと思うわけでございます。しかし、たまたま一つのその診断書をめぐりまして、こうした刑法的な事件への発展ということでございますから、やはり私はむしろ厚生省が確認するということの当事者間における一つの問題提起なり材料提起よりも、やはり事件的発展の中で、いわゆる法律的な、あるいは刑法的な問題の中で、厚生省のしかるべき立場、時において役割りを果たすということのほうが明快ではないかというふうに思うわけでございます。
#121
○森中守義君 いや、だから、それはもうさっきから言うように、そのことが要件となって立件されるかどうかという問題なんだから、疑いがあるという場合ならば、それは厚生省はどういう場合でもやれるのじゃないですか。どうしてもだめですか。――できないというじゃあ根拠を示してもらいましょう。どうしても法廷の争いに応じて、その医者がにせの診断書を書いたとか、そういう断定的なときに初めて措置がとれると、こういうようなお話のようですけれども、大体かねがね厚生省で聞いているのは、人間のからだなんていうのは、病気になる前に予防措置が大事だと、こういわれておる。事件だってやはり予防しなければいけませんよ。つくられる事件を、一通の診断書に根拠があるとするならば、これはやっぱり事件も未然に防ぐべきじゃないですか。またそういうことが医者の社会的な信用を失わしめるというようなことは逆ですよ。このまま温存しておけば、その医者はかえって信用を失う。反対じゃないですか。ですから現行法上できないというならば、できないという禁止条項をひとつお示しください。
#122
○政府委員(信澤清君) 政務次官からお答え申し上げます前に、やや事務的なことについてお話を申し上げたいと思いますが、ただいま御指摘になりましたような問題、確かに私どももお考え自身はそのとおりだと思います。ただ問題は、私ども自身に、かりに医師法違反等の事案がありました場合に、捜査の権限というものはございませんことは、これは先生御承知のとおりでございます。したがって、私どもそういうような事態が起きました場合にやっておりますのは、あくまで指導なり、いわゆる行政的な、一般的な調査と、こういうことでいたしておるわけでございまして、違法であるかどうかということの、いわゆる捜査の問題は、それぞれの司法当局なり何なり、警察当局なりにお願いをいたしておるわけでございます。そういうような意味で、法律的な権限というふうにおっしゃられますと、いろいろむずかしい問題がございますが、先ほど来政務次官が御答弁申し上げておりますのは、このような問題の起きました場合に、厚生省として、お話のございますように、医師のモラルを高めるためにその状況がどうであるかとか、あるいはその是正のためにどういう指導をするのか、これは当然やるべきことだと思います。ただ、先生のおっしゃっておられますように、すでに事柄は捜査の段階に入っているわけでございまして、お話しのように、この一枚の診断書が、これだけが根拠かどうか存じません。存じませんが、お話しによりますと、これが一つの有力な根拠となって捜査の過程に入っていると、こういうことでございますので、いわば捜査の過程の中でお話しのような疑いがあるならば、当然捜査当局が他の医師の診断を求めるであろうし、そういうことでものごとを処理するほうが事柄の筋道としては適当であろうと、こういう趣旨のことを政務次官から申し上げているわけでございます。
#123
○森中守義君 そうだとすれば、できないという現行法上の禁止事項はやれるということでしょう。やれないという根拠はない。やってもいいということなんですね。首かしげているが、やれないならば何条の何項によってそれはできませんと答えてもらいたい。
#124
○政府委員(信澤清君) むしろこの種の問題について行政権限をもって調査をいたしますには、法律上の根拠が必要だというふうに私ども考えておるわけでございますが、その意味で、法律上の根拠がない、こういうふうに私ども理解しているわけでございます。
#125
○森中守義君 それはね、根拠がないということは、おおむねこういうものが実際の医療上想定されない、予定されていないという意味でもあろうと思う、私の常識的な判断では。そこで、予定されていなかったことがあると私は言ってるんだから、だから法律上根拠がなければ、やろうと思えばできる。やらないと思えばそれもいい。いずれでもできるんじゃないか。だから、この一通の診断書がどうなのかということによって捜査は変わってくるんですよ、むしろ捜査を行なわしめる要件をこの間違った診断書がつくっているわけだから。捏造しているわけだから。そんな大ごとまでも医者にやらしていいの。だから、そういう捜査をやらなくてもいいように、最も正しい診断を下すようにしたらどうなのか、こう言っているわけです。
 そこでね、これはまあそういう法律問答やってもしようがないんだが、端的な言い方をすれば、一ぺん大野病院に問うてみたらどうですか、ほんとうなのか、と。国会でこれだけ議論しているのを、やれません、できませんと、ここで遮断されては困る。だから、それが公式であるのか非公式であるのか、それは厚生省の随意の判断でよろしい。しかし、この診断書の真否については何かの方法で問うてもらいたい。そのくらいのことはできるでしょう。
#126
○政府委員(山口敏夫君) 当然、こうした一つの診断書をめぐりまして大きな政治的な問題にも発展し、また社会的な内容も含んでおるということでございますから、まあ厚生省の立場といたしましては、大野病院に対しまして、どういう経緯にあったのかというような、一つのこの患者さんを診断した経緯につきましては問いただしてみるということはやぶさかでないと思うわけでございます。それは、ですから、先生の御指摘のように、そうした一つの問題の経緯を厚生省の立場で踏んでみたいというふうに思います。
#127
○森中守義君 ちょっと後段よくわからなかった。
#128
○政府委員(山口敏夫君) ですから、こうした一つの問題の中に、厚生省として大野病院に対しまして、患者さんを診察をした、またその後の経緯、診断書に対する確信を当事者の医師に聞いてみるということはやぶさかでないということでございます。
 ただ、先生から御指摘ありましたように、診断書が全く捏造されたものであり、これが不正確なねじ曲げられたものであるということは、これはやはり刑法上の問題でございまして、厚生省のほうとして、これをどうのこうのするということは、その結論のあとの行政処分になるわけでございますから、私どもはやはり医師の良心に基づいた診断であるべきであるということは当然の結論だと思います。
#129
○森中守義君 それじゃもうよくわかりました。ぜひその結果を、まあ公式、非公式どちらでもいい、私の耳まで入れてもらいたい。どうぞお引き取りを。
 そこで、法務省の場合ね、いま事案の一つのポイントがそこであったので、お聞きのとおり、そこで、熊本の次席検事と加藤検事は肯定せず否定せずという意見なんです。ですから、私は熊本の次席検事と加藤検事に申し上げてきたのは、非常に背景をなしている問題が問題である。しかも善良な一人の国民、郵政省の職員を立検するかどうかという非常に重大な問題だ。私をはじめ他の多くの者は、そういう意味でこの診断書に信憑性を持っていない。ところが、おおむね戦後におけるこの種労働問題に関する傷害という名のもとに強制捜査を受ける、送検をされる、争いに発展するという場合、添付された診断書というものはつくられたものが多い。あえて私はそう申し上げる。ことに今回の場合、警察当局と被害者の間の話であったのか、あるいは郵政当局と警察当局が謀議をこらしたのか、少なくとも一晩、中に置いた十数時間の経過があるわけです。私は、午前中から申し上げているように、多少類推が過ぎるかわからないけれども、いままでのような、今日のような郵政省の労務対策からいくならば、あり得ると、これは。そこまでもきわめて悪意に満ちている。これは政務次官や人事局長が何と抗弁しようと、ある。この事件の場合もそういう気がする。よって、検察当局が警察からのこの種問題についての相談を受ける、送検をしてきたというような場合に、ことに開業医の単数の診断書によってものの処理をなさるということは、人権擁護という立場からいってあまり好ましいと思いません。であるとするならば、二名以上の医師の診断もしくは公的医療機関の診断、こういうものを現行法上求めているかどうか。求めていないとするならば求める方向にいくべきであろうし、あるいは実際の取り扱い上も、警察から持ってきた場合、その医者を信用しないというわけないけれども、より慎重を期すために、少なくとも複数以上の、あるいは公的医療機関の診断書も添付を求めるような、そういう措置はできないものでしょうか。
#130
○説明員(俵谷利幸君) 御指摘の点でございますが、刑法上傷害罪が成立するかどうかという問題につきましては、実際に暴行なり何なりがございまして、それによってけがを受けたかどうかという点が一番一つの大きなポイントになるわけでございます。したがいまして、事件が送られてまいりましたときには、検察官は傷害の有無という点を特に重視いたしまして、慎重な取り調べをするというのが原則でございます。したがいまして、事件に添付されております診断書の内容等、特に慎重に吟味する、事情によりましては、その作成に当たりましたお医者さん等、あるいは関係者等につきまして、事情を正確に聞くというようなことをやっておるわけでございます。本件の場合にも三週間の傷害ということであり、証明がちょっとむずかしいようなこともあった点も考慮されていると思いますが、慎重に診断に当たったお医者等も調べておるという報告を受けております。
 それから、ただいま御指摘の複数の医者の診断書をつける問題、あるいは公的な信用性の高いお医者さんの診断書をつけるようにしたらどうか、こういう御指摘があったわけでございますが、事案によりましては、もちろんそのような配慮を従来もとられておるように承知しておりますし、またものによりましては、そういう適当な方法を講ずることが望ましいであろうというふうに考えるわけでございます。本件の場合にも慎重にこの辺を調べておるという報告でございますが、まあ資格のございますお医者さんが診断をされて出されたものにつきましては、一応どういいますか、信用性があるというたてまえで見ますけれども、もちろん内容、その他状況につきまして、詳しくかつ正確に調べるということは当然であろう、こういうふうに思っております。
#131
○森中守義君 それでは、概念としてはわかりました。それで、具体的にこの事案については何か検事のほうが担当の医師を検察庁に呼んだという話は聞いておる。しかし、私が後段で申し上げたように、他の医師の再診断というところまでいったかどうか、これ、よくわかりません。しかし、まさか自分で診断をし、診断書を書いた医者が、あれは誤診でした、郵政省に頼まれたから書きましたということは、これは言わないと思うんですね。そうであるならば、距離的にも熊本の地検と逓信病院は近いところですよ。ですから、もう一回担当の検事なり熊本の次席検事なりに、より慎重を期すために、幸いにして熊本には逓信病院もあるんだから、そこでもう一回診断をやり直してみたらどうだろう、こういう助言はできませんか。
#132
○説明員(俵谷利幸君) 具体的な事件の捜査につきまして、直接的にどうこういうことはいかがだろうかと思われるわけでございますけれども、先生の御指摘の趣旨はよくわかりましたので、何といいますか、慎重な取り調べが行なわれるように私どもも期待し、また現地のほうにさような意向を伝えたいと思います。
#133
○森中守義君 そこで、じゃ、その診断書の問題は、一応一件落着じゃないけれども、おおむねそういう趣旨に沿おうという厚生省、法務省の御意向ですからその程度にしておきましょう。
 そこで、次の問題は、要するに強制捜査をやる、あるいは送検の意味がない、にもかかわらず検事勾留をやる。そこで、弁護士が準抗告の申し立てをやる、勾留開示裁判要求をやる、しかるに勾留開示の裁判の前に釈放した。出したところがその二、三時間前に釈放している。そこで、私は弁護士といろいろ相談をしたんですが、どうも理解ができない。勾留に値しない。つまり診断もこれはあぶない、実際傷害というものは該当しない。あるいは公務執行妨害というんだが、何も郵政省の建物、管理区域でない、そういう状態ではたして公務執行ということが要件として成立するかどうかもわからない。にもかかわらず、勾留をやった。そこで、勾留開示裁判要求をやったところが、釈放してしまった、こういうことなんです。勾留して取り調べをしなければならぬような要件があったればこそ、逮捕状を出し、勾留したわけですからね。それならば勾留開示裁判に正々堂々となぜ応じない。ここに非常に疑問がある。まあ大体在来、この種捜査問題で勾留開示裁判をやって、その裁判の論争により結論を得て釈放する場合はこれはある。勾留開示の裁判をやらないで放したという例はあまりないのですよ。そのことの根拠を考えていけば、理由もないのに逮捕した。理由もないのに送検をした、勾留したというようなことを弁護士と私は実は話し合ったわけなんです。こういう経緯については、法務省はどういうふうにお考えになりますか。
#134
○説明員(俵谷利幸君) 本件につきましては、四月二十九日に送検になりまして、三十日に勾留請求をして、五月の四日に釈放になった。その間約六日間取り調べが進められておるわけでございます。捜査を行ないますときに身体を拘束してやるかどうか、在宅で調べるかどうかということは非常に重大な問題でございまして、できるだけ在宅でやるというのが捜査の原則になっておるわけでございますけれども、本件につきましては、犯行の状況その他を勘案して身柄事件ということになったようでございます。そうして、身柄を受けましてから数日間取り調べをいたしたわけでございます。その間に本人その他の取り調べがなされたようでございまして、四日に至りましてこれ以上拘束して調べる必要はない、こういう判断のもとに釈放したように報告を受けております。その後は在宅で引き続いて取り調べを行なうということになっているわけでございます。
#135
○森中守義君 これは裁判官の勾留決定、それ自体が非常に簡便に行なわれておりますね。いつの場合でも。私は当初からこの問題に対する弁護士がいろいろ協議をしながらやっているんですが、接見禁止までやっている。接見禁止ということは、一体どういう性質のものですか。まさにこれは重大犯。こういう意味合いのもとに接見禁止というものが行なわれている。接見禁止までもして勾留したのに、勾留開示裁判を要求したところが、直ちに釈放する。まさに意図的じゃないですか。当初から身分は国家公務員、その実家も家人も周囲のものも、何も逃亡するようなおそれもない、心配もない。同時に、証拠隠滅という話もあったようです。ところが、証拠が隠滅されるような証拠というのはないんですよ。事件の概要を御存じですか。だれでも出入りできる、つまり、市民のいこいの場である公園ですよ。この中で、片や団体側は約八百名、片や郵政の管理者諸君は課長以下三名ぐらい、熊本南警察署の何某という公安課長以下公安課員が四名か五名、そういう中で、接触をしたのかしなかったのかというこれだけの実は問題。たとえば、物件として、証拠、何がありますか。隠滅できるような証拠というのは何もない。ここにも、勾留して捜査をしなければならぬ、供述調書をとらねばならぬという理由はないじゃないですか。だから、勾留自体が間違っている。それを地裁の判事――地裁というか、これは家裁のようでしたね、熊本の家裁の判事というものは、いとも簡単に勾留許可を与えた。物件が隠滅するとか、逃亡する何のおそれもない。むしろ、片や団体側は、みずから進んでこの正否を明らかにしたい。何びとといわず、積極的に捜査に協力する。捜査に協力ということは、つくられた事件――郵政省と警察がつくったようだ、この事件は。そのつくり上げられた事件を、社会正義の名において許せないと、こういうことで、団体側は、だれでも進んで証人に立ちましょう、あるいは参考人として出頭しましょうと、こう言っているんです。隠滅される証拠も何もないんですよ。
 だから、判事の勾留認可があまりにも事務的過ぎる、また、検察庁の取り調べも、いまの診断書も同様、警察から持ってきたものを、書類と身柄をそのまま受け取って、さあ入っておれ、二、三日冷たいところにおったがよかろうと、こういうようなことでは、はたして日本の検察行政、司法行政というものがこれでいいのかどうなのか、非常に大きな疑問がある。その辺に、勾留開示の裁判を待たないで、広く根拠がない、少なくとも脆弱である、理由のない逮捕をした、理由のない勾留をやった。それが公開の法廷において勾留開示の裁判をおそれたがゆえに出した、こう私は見ているんです。いま少し慎重であるべきだと思う。
 この事案の一連の流れを法務省は十二分に検討されているかどうかわかりませんけれども、私が申し上げる意図からいたしまして、どういう判断をされますか。
#136
○説明員(俵谷利幸君) 先生の御指摘されるところはもっともでございますが、検察官といたしましては、事件を公平な立場で厳正に正確に調べるということをモットーとしておりまして、本件につきましても、その立場でやられたものと思っております。数日間取り調べをすれば、大体の調べが、必要な、身柄を拘束して取り調べなければならないことは、大体事案によりましては終わると思われるわけでございまして、本件につきましても、捜査の観点から見まして、今後は在宅にしてよかろうと、こういう判断で釈放されたと、こういうふうに理解しておりますが、御指摘のように、捜査にあたりまして、国民の基本的人権を尊重するという点は、従来ももちろん重大な配慮をしておると思いますけれども、今後さらに注意するようにつとめたいと思っております。
#137
○森中守義君 接見禁止という場合には、被疑者に対して、どういうような根拠のもとに接見禁止をやるんですか。
#138
○説明員(俵谷利幸君) これは刑事訴訟法にその接見禁止の規定があるわけでございますが、証拠を隠滅する場合等には、裁判官の接見禁止決定を求めて決定がされるという場合に、弁護人以外の関係者との面接等が禁止され、また、場合によりましては通信文等の往復が禁止されると、こういう内容になるわけでございます。
#139
○森中守義君 先ほどの答弁で、より慎重を期していきたい、こういう御答弁でもけっこうですけれどもね、一応具体的に事案を提示しているわけですから、いま少し熊本地裁あるいは地検のほうにこの真相を把握してもらいたい。同時に、その辺、私が言うようなことがもし法務省として的確に把握されたならば、これまた、他のものと同じように、この委員会に経過の報告を求めたいと思いますが、できましょうか。
#140
○説明員(俵谷利幸君) 熊本の地方検察庁におきまして捜査がさらに慎重に進められるというふうに考えておりますが、その処分が出ましたならば御報告したいと思っております。
#141
○森中守義君 いや、これはね、処分が出てからじゃ困るんです。要するに確定に至るまでに問題があると、こういうわけですから、その辺を調べてもらいたいと、こう言うんですよ。もう処分決定は、何もお聞きしなくても、熊本でもわかることですから、決定された処分は必要ありません。経過を、ずいぶん問題が多いので、その経過をひとつよく調査してもらって、勾留に値したのか、なぜ勾留開示裁判を回避したのか、そういうことなんです、その診断書も含めましてね。そういう意味で把握できたならばお答えいただきたいと、こういう意味なので、ちょっと答弁の趣旨が違っております。
#142
○説明員(俵谷利幸君) 具体的な事件の捜査が行なわれております場合にその内容を逐一御報告しろということでございましたら、これはちょっと、捜査密行の原則と申しますか、関係者その他の名誉等にも及ぶこともございますので、その点はいかがかと存じますけれども、捜査が終わりました段階におきまして、可能な範囲でお答えできるのではないかと思っております。
#143
○森中守義君 言われる意味はわからぬでもないけれども、事件の本体を私は言っているんじゃない。判検事の扱いの問題ですよ。それも捜査の範疇に入ると言われるなら別なんですが、どうも少し軽率ではなかったのか。あるいは、意図的に労働問題を、裁判所も検察庁も、一つの縦の線から流れたものとしてやってきたのではないかという疑いがあるものだから、その扱いに問題がある。扱いを教えてくれと、こう言うんですよ。
#144
○説明員(俵谷利幸君) その問題につきましては、こういう争議関連事件とか、こういった背景のございます事件につきましては、検察官は特に念入りに慎重にかつ公平にやるというのが従来のたてまえでございますし、私どもそういうふうに行なわれておると思っておりますが、この事件につきましては、まあ内容を一々ということはできかねるかと思いますけれども、先生が御指摘の点は、伺って帰りまして上司とも相談いたしたいと、こういうように思っております。
#145
○森中守義君 警備局長、警察官が、こういう労使問題はもちろん、あらゆる捜査等に当たる場合に、あまり詳しく警察官の職務執行法などを勉強しておりませんけれども、たとえばある特定の場所に特定の当事者が対峙をしているというような場合、警察官というのはどういう態度であるのが正しいんでしょうか。今回の場合には、警察官は厳正公平な立場を失っているんじゃないか、公序良俗に反するような措置をとったのではないか、こういう疑いが非常に濃厚なんですがね。そういう原則というか根本というものはどういうことになっておりますか。
#146
○政府委員(山本鎮彦君) 労使の紛争その他については警察としては関与しない、中立的な立場であるという、これは大原則でございますが、今度の場合、――いまお話しのあった場合ですが、これは午前中にも、ピケを排除するというような形で就労しようとする者が入ってくる、これをまた阻止するというような形で、三回にわたっていわば混乱が起きているということは御存じだと思います。その過程で、若干の者がけがをしておるというような情報もある。それで警察の部隊が出動しておるというような前提があるわけですね。
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
したがって、当日午後四時半ごろ、郵便局の庶務課長が集まっている人が解散するというところへ行って、局長の命令で、今晩ここにいる就労する者十数名ですね、十五名ですか、これはぜひ就労してほしいということを局長名で伝えるという形で局から出ていったわけですが、その際、午前中からの経緯で南署の公安課長が付近におって、庶務課長が自分はこれからそういう形で行くんだというような話をして出ていったのを見て、そして向こうに、五百名です、先生さっき八百名とおっしゃったんですが、まあかなりの人が解散集会をやっておる、そこへ数名の管理者が行って就労しなさいということを言ったりあるいは告示したりするということになると、午前中のまだ興奮がさめやらないので、いろいろなトラブルが起こるかもしれないということが、これは当然予想されるわけでございますので、警察官としては、犯罪の予防、鎮圧、そういうような責任があるものでございますので、あとからいわばついていってそういうような状況をよく見て、そしてもしトラブルが起こるようなことがあればこれを制止する、適切な措置をとると、そういうようなことを考えて、職務上の任務に目ざめて、公安課長が、若干の私服がおりましたけれども、その現場に行ったと、こういう状況でありまして、しかも、それが私服でございます。したがって、そういう八百名もおり、こちらが五、六名という中へ、四、五名の警察官がいわば付近におっても、それが労働運動を直ちに抑圧するとかそれに影響を及ぼすと、そういうことはないし、またその警察官もそういう意図は全然ない、いま言ったような過程で、何かトラブルがあっちゃ困るというようなことで行ったというふうに承知いたしております。
#147
○森中守義君 これは大筋においてはそういういきさつではあるようです。しかし実態においてはだいぶ違いますよ。熊本の県議会でも、県警の本部長と社会党の議員との間にだいぶ応酬があったようです。そこで、これは私も正確に、県会の議事録を持ってきておりませんが、熊本の県警本部長は、警察官というものはいかなる場合でも市民生活に介入いたしません。そういうことは許されないと。何か、物理的に当事者がいるような場合、目に見えないところで見ているべきものなんだ、しかも、それはできるだけ視野の広いところを選定をしているべきものであって、みずから姿をあらわすべきものじゃない、こういう言い方をして、それは明らかに内部問題ですと、こう言っているわけですよ。つまり、南署の何某という公安課長の処置は、これを妥当であったという認定をしなかった。これは私は一つの良識だと思う。ただ、内部問題ということにはずいぶん抵抗を感じます。警察内部の問題であったにしても、そのことが当事者に何らかの心理的な物理的な影響を与えたということになりますと、これは穏やかでない。そこで、いま局長が言われるように、三回の集会をやるまで異常な興奮状態があった、何事か起こりはしないかという懸念は私はまさに過剰な懸念であると。今日の労働運動あるいは労働組合というものをそういう見方をすべきじゃありません。私がじかに当事者から聞いた話では、南署長及び公安課長が、なるほど、現場におった、機動隊も出動さしている、これは警察がみずから出てきたのか郵政省が要請して来たかということは、きょうは時間がありませんからこの次にいたしますけれども、とにかく、組合が来ない前に機動隊は配置しておったと、こういうことなんです。それで、片や説得工作をやる、片や就労させようとするという――なるほど、二、三回こうやったのは事実のようですね。しかし、最終的には、公安課長が組合側の指揮者に対してこれはよかったと、何事も起こらずにたいへんけっこうでしたと、実はこう言ってその現場を別れておる。ここが大事なことですよ。そこで、八百名の諸君に片一方側の最高の責任者であるものが、皆さん御苦労さまでしたと、そう言ってあいさつをしている最中らしい。そこに――郵政省聞いておってほしいんですが――そういう状態の中に、たとえ、任務であろうと立場であろうと、さあ、就労せよと。むろん、八百名の中に就労すべき該当者というのは二十六、七名だったと聞いております。大きなハンドマイクでがやがや言うということ自体は就労を促そうという意味にはとれません。私はそう思う。また、そういう判断をすべきではない。そこへもっていってハンドマイクでどんどんやる。しかも公安課長は、現場では警察の腕章を巻いておった。そして、課長らと一緒に来たときには腕章は巻いていなかった。いまの状態では、三百人も四百人もいる大局のことですし、またほかから来ている者もおりますから、どれが郵政の課長なのか郵便局の課長なのか、顔見知りのものはいないわけですからわかりません。いわんや、警察の公安課長はどの人であるかおそらく認知できないでしょう。これは写真もありますがね。もう、すぐ横っちょにいた。そして何か制止に行った。もう間もなく終わるからちょっとお待ちなさい、がやがやがなり散らすのはやめてくれと、そう言って十人ぐらいの者が制止に行った。何か起きちゃならぬというので他の者がみんなとめに行ったと。ところが、先頭に行った吉田君に対して、公安課長はにわかに腕章を取り出して、おれは警察の公安課長だ、現行犯で逮捕するぞと、こう言って腕章を巻いたと。実は、こういうことなんですね。いま言われるように、中立であるとか市民生活に立ち入らないとか、さようなことは、この事件における現場においては守られていないわけです。ここに写真があります。ちょっと、警備局長見てください。
  〔写真を手渡す〕
 この光景が、はたして中立の立場、厳正公平な立場における情景と思いますか。その状況をどう判断されますか。中立という立場にとれますか。
#148
○政府委員(山本鎮彦君) 私、よく現場の者に話を聞いたんでございますが、それによりますと、さっき言ったように、庶務課長が入ってきたということで、数人の者が行くので自分もあとから行ったと。そして、なかなか場所がないのでよく見通せる場所で見ようというので右へ行ったり左へ行ったりしたと、移動しておったと、本人は。たまたま管理者の前に行ったときに写真をとられたと思われると。しかし、そこにずっといたわけじゃないんで、非常に見やすい場所、全体を見通せる場所をさがしながら右、左に動いておったと、たまたままん中へ行ったときに写されたんじゃないかということで、決してその前に立ってがんばっていたわけじゃないというような報告が来ております。
#149
○森中守義君 それはなかなか私の問いに対して、そうだとは言い切れないでしょう。けれども、これはきょうが終わりでないんでね、あとでまた少しお尋ねしますが、この情景からいけば郵政の当局側と一緒に、この先頭が公安課長、この状況判断からいけば、あなたの言われること現地で報告したのとは全く違う。そんな狭いところじゃありませんよ。しかも他の公安課員は全部腕章を巻いておった。腕章を巻きながら後方におったと、こう言う。この公安課長最初からここらしい。むろんこれは場合によってはこの委員会の決議に基づいて現地の調査等もいたします。同時に、現地の一方的なそういう報告で国会で答えてもらっても困ります。これはやっぱりものごとには、しかも治安の任に当たる当局では、さっき局長が言われるように、あくまでも中立、あくまでも厳正公平だ。市民生活を守る立場にあるわけですからね。いわんやむずかしい労使間にみずから介入するということは許されませんよ。しかし、介入している。郵政当局に手をかしている。手をかしているということは偶発的に、偶然的に、こういうことじゃない。おそらく、全国的に今回のこういう一つの紛争に対して警察はどういう措置をとるのか。郵政ときわめて綿密な連携がとられておったでしょう。その証拠に捜査情報班というものが今回は新設をされておりますね。かつて捜査情報班って聞いたことがない。こういう特殊な任務まで持ちながらやっているわけだから、現地の報告ではそうじゃありませんといっても、それは質問者は承知いたしません。調査やってごらんなさい、全然実態は違うということなんです。いかがでしょうか。
#150
○政府委員(山本鎮彦君) 何回も申し上げましたように、管理者が行くというので何かまたトラブルを起こしちゃいかぬというのでその課長は自発的に行ったわけでございます。決して郵政当局と打ち合わせたりしたわけではございません。それから腕章をつけたまま乱暴して、――その管理者に飛びかかってきて胸を押えると、両手で胸を突くというような行為があって、それで自分としては職務を執行する上にはっきりした形をとりたいということで腕章をつけてその被疑者を逮捕しようとした、まあそういうふうに聞いております。
#151
○森中守義君 ちょうどお許しいただいた時間が十分ほど過ぎて恐縮ですのでこれで終わります。それで、この問題はもっと内容的にかなり突っ込んだお尋ねをしないと解明できません。そこで、警察庁はいまの真相をもう少し克明に現地の事情を調査してもらいたい。それを次回にここに報告してください。
 それから郵政の場合は、時間がありませんから問題だけ提起しておきますが、写真として――郵政の、九州郵政局から熊本中央郵便局に派遣をした者は、つまり業務確保という意味で派遣をした者はだれとだれとだれで何名なのか。県内もしくは県外の郵便局から熊本郵便局に業務確保という名のもとに動員をしたのは何名なのか。それら応援に回した管理者諸君は郵便、保険、貯金、庶務、会計、こういう、つまり業務応援にどういう配置についたのか、この資料を出してもらいたい。
 それから九州郵政局から応援に来ている第二要員係長の池上某、この人物は何か特定の任務が与えてあったかどうか、すなわち具体的に言えば、全郵政の組合員、いいですね、それから他局から応援に来ている全郵政の組合員、あるいは総同盟の組合員、こういう集団、その集団の形態というものも、鉄かぶとをかぶり、ヤッケを着、登山ぐつをはいてる、組合旗を立ててる、宣伝車を持ってる。熊本市の市民会館から熊本中央郵便局に至る距離をデモ行進をやるというそういう許可をとった。その隊伍の先頭に立って説得に当たってる、ストライキに参加してくれよと説得に当たってる全逓の組合員に体当たりをしてきた、その先頭に池上という第二要員係長は立っておるわけです。ですから、この集団、その中にまじっていた少数の全郵政の勤務につくべき者、そのような者が先頭に立って説得を破ろうとした、明らかにこれは就労の意思ではなくて集団の行動でしょう。そうなれば九州郵政局長、郵政局の人事部長と全逓の九州地本の中でかわされている、完全に合意に達していたということではないようですけれども、意向調査をやっている、意向調査を。ストライキに参加する、しないという意向調査を郵政側はやったようですが、意向調査に対して、いや、私は就労しない、就労するという意向調査がある。就労するという人に対しては、どうしてもストライキに参加できないならば、その人は力によってこれを制止することはいたしませんと、こういう約束がある。それを池上君というのはデモの先頭に立って説得の側に体当たりした。この人物に特別の任務を与えてあったかどうか、こういうことを次回にきちんと資料で出してもらいたい。
 いま一つは、午前中の問題ですが、ブラザー制度を採用する、その後、今日に至るまで単年ごとに計上した予算、執行した予算の総額、証拠書類、各当該の地方局に令達をした予算、そういう内容をできるだけ詳細に御提出をいただきたい。
 以上、資料の要求を求めて、たいへん時間が長くなってすみませんが、この次ひとつまたお願いするようにして、きょうはこれで終わります。
 郵政に、資料出せるか、どうか。
#152
○政府委員(鬼丸勝之君) ただいまの森中先生の資料の要求につきましてはできるだけ詳細なものをできるだけ早い機会に提出さしていただきます。
#153
○大橋和孝君 だいぶ時間が過ぎておるようでございますから、郵政に、私、問題点だけちょっと御質問さしていただきます。
 先ほど森中委員からお話がありましたその答弁の中に、一人について月額千円ずつをやっておるという答弁がありましたが、これは一体何人ぐらいに与えられるか、総額何ぼになるか。新旧両方ありますから、その人と数ですね、それから金額のトータル、これを分けてひとついただきたいんですが、時間がありませんから、これはひとつ資料としてもらいたい、その点どうですか。
#154
○政府委員(鬼丸勝之君) 承知しました。
#155
○大橋和孝君 よくわかるように正確にひとつ出してもらいたいと思います。
 それからもう一つお尋ねしたいのは、先ほどからも多少話が出ておりましたが、このブラザー制度についてでありますが、郵政省はこれは、職場のリーダーとか、いろいろ言っておられますけれども、このブラザーの委嘱の発表が行なわれておるわけでありますが、これには非常に局長の不当な姿勢を端的にあらわしているものだと、私どもいろいろ調査をした上ではそう感じているわけであります。特に、四月の二十一日に委嘱が発表されましたけれども、この人員は全員が第二組合の人であって、その二十一名ですかの新規採用者に全部この第二組合員の職場の年長者――この年齢の云々ということもいままでの話し合いの中にはありましたけれども、非常にこの年長者の人がぴったりとついておる。それでやっておることは、組合の差別をしないと言っておるのにかかわらず、年齢なんかでも比較的接近した三年−五年の人をつけるという話し合いがあったにもかかわらず、非常に年齢の多い人をブラザーとして任命しておる。特にまたそれが二組合の人ばかりである。一組合の人もおるのになぜ第二組合の人だけにこんなふうに限ってつけておるのか、これを見ますと、非常に私は郵政省のやっておるやり方には偏在した考え方があって、やはり組合員に対する、活動に対する介入にもなってくると私はどうしても断ぜざるを得ないわけであります。私も調査を今度は六局なんかやっておりますが、東京郵政局の中へ見にいって、あまりにも驚いた状態であります。これにつきましてはどんなふうな見解を持っておられますか。
#156
○政府委員(鬼丸勝之君) ただいま大橋先生の御指摘の点は王子郵便局の例ではないかと思いますが、これは確かに御指摘のように、どうも極端な指導員の任命をしておるということを率直に私も認めますので、これは、郵政省といたしまして是正をいたすように目下考慮いたしておるところであります。
#157
○大橋和孝君 これは、江原局長ですか、これのやっておる行為というのは明らかに違反だと思うのです。これは非常に悪い行為だと、こういう者に対して、それだったら郵政省としてはもう処罰せなければいかぬのと違いますか。こういう間違ったことをやっておるのがこれが不信感を買い、あるいはまたいろんな間違いを起こしているもとであって、私はここへ行って局長にも会ってまいりましたけれども、その態度を見て、こういうのが郵政省におったとしたならば私はこれからいろんなトラブルは絶対に解決せぬというように感じました。ですから、こういう行為、間違った行為があるわけですから、これに対してやっぱりきびしく違反を追及をして、しかるべき処置をされなければいかぬと思うのですが、それは決意をしてもらっていいですか。
#158
○政府委員(北雄一郎君) 王子のケースは先ほど政務次官がお答え申したとおりであります。ただ、どういうことでそういうふうになっておるのか、そこまでは調べておりませんので、至急その点を調べたいと思います。王子の場合、当てはまるかどうか存じませんけれども、たとえば、ごく最近にストの拠点局になるというような場合は全員が処分を受けてしまうという場合は、しばらくは処分を受けた者は遠慮させるとかというような特殊な事情があったのじゃないだろうかと思いますが、よく調べまして措置をしたいと思います。
#159
○大橋和孝君 それじゃ、間違った行為をひとつ全部究明してもらうと。ですから、先ほどぼくが指摘しましたような任命のしかたもこれはあやまちですね。明らかに悪いというか、次官もそれに対しては一ぺん任命のやりかえも考えると、こういうことで考えてもらっておりますが、こうした事柄をどんどんとやっておる王子のやり方を見ますと、これは私はほんとうに調査を徹底して、こういう間違いがないということが明らかになって、やはり労使ともに信頼感が持てるようにならなかったならば、今後は非常にたいへんだと思うのです。ですから、そういうことに対してほんとうに組合の人たちも安心ができるようにまで調査を進めてもらえますか。
#160
○政府委員(北雄一郎君) 先生方がお調ベになりましたので、私どももある程度承知をしたわけですが、そういったことに関連しまして、またそれ以外のこともあるかもしれませんので、私どもとしてもよく局の状況を見てみたいと思っております。
#161
○大橋和孝君 王子の問題から見ましても、こういうようなブラザーのやり方は人権擁護委員会からもこういうことをやっちゃいけない、こういうふうなことが指摘されておるわけですね。それで根本的に改めよと郵政局にも勧告しているということですから、こういう問題もとらえて、この問題が根本的に解決できるように調査を進めてもらえますね。
#162
○政府委員(北雄一郎君) 制度全体の問題につきましては、午前中にもお答え申し上げましたけれども、去年の二月から従来のいろいろな弊害と思われるものを一掃いたしまして、新しい制度をやっておりまして、おおねそれでいいというふうに思っておったのでございますが、今回警告も出るようでございます。これを聞くべきは虚心に耳を傾けたい。
 また、いま王子の場合のような具体的なものを御指摘ございましたので、そういった点につきましても、私どものほうでもう一ぺんよく調べてみまして、また独自に改むべき点は改めていきたい、こう考えております。
#163
○大橋和孝君 それは根本的にこれを改めるという態度でもって指導してもらわなければだめですよ。いまの局長のことばを聞いていますと、何かぼやかして焦点が逃げていってしまうような答弁のしかたでは私は許されないと思います。
 それからまた、大阪の中央郵便局なんかにおきましても、管理者とブラザーが一体になっていろんな不当な労働行為、そういうようなものが次々起きておりますね。これはもう御存じだと思います。こういうようなことなんかやっぱり次々と起きているんですからね。王子ばかりではありません、大阪にも出ているわけです。だから、こういうことを見ますと、やはりほんとうに根本的にやるという姿勢をとってもらわなければいけませんので、その点はひとつ十分に把握をしてやってもらいたい。次官、ひとつ大臣にも言って、これはぴっちりやるということで決意してもらえませんか。そうでなかったら、私ども引き下がれないというような感じを持っております。
#164
○政府委員(鬼丸勝之君) 大臣もかねて当省の労使関係の正常化につきましては非常に心配をいたしておりますので、ただいま大橋先生の御意見も十分大臣に申し上げまして、ひとつ根本的に是正すべき点は是正しよう、こういうふうに考えております。
#165
○大橋和孝君 じゃ、時間もありませんからその次に移って、超過勤務手当の問題です。これは課長代理とか主事の職員十四名が、十一月から二月にかけて非常に高額な超勤手当を支給されております。多い者は一月百四十時間前後、約八万円の手当が支給されておる。全逓とそれから郵政省の超勤協定は、普通一日に二時間、一カ月で十五時間、休日勤務が一日でありますので、一時間七ないし八百円の超勤手当、こういうようなことになっているわけでありますが、二万円前後が限度になりそうでございます。このような支給状況は、国費の乱費でもあろうし、まあ、とにかくこんな大きな金額をするとすれば、超勤ばかりでからだがぶつ倒れてしまう、こういう状態じゃないかというふうに私ども調査に行って見てきました。こういうようなことが平気で行なわれているのは、一体どこに根拠があるのか。どうしてそれだけの長い超勤を与えてやっておるのか。これはどうなのか。私はどうも理解に苦しんだのでありますが、ひとつそこのところを御説明願いたい。
#166
○政府委員(北雄一郎君) 本年の二月、三月の非組合員に対する超過勤務が非常に多く支払われておるという事実は確かに先生御指摘のとおりでございます。実は当該局におきまして、去年の年末繁忙時におきまして、すなわち十一月、十二月でございますが、その時期にもいまの告示前一号職員と申しますが、いわゆる非適用職員、この超過勤務が相当増加した。ところが、御承知のように私どもの事業は、年末繁忙と申しまして、年末が一年のうちで断然飛び抜けて繁忙があるわけでございます。したがって、職員の超過勤務も非常に多い。そこで当時一般職員への超勤、これは何と申しましても、やはり実勤どおり支払わねばならぬわけでありますが、したがいましてそのほうへ支払ったと、その関係上、いまの非適用職員の超過勤務が十一月、十二月の実績というものを、実はその当時完配、完全に支払いができなかったわけでございます。したがいまして、当該局が年が明けましてからその不足分を郵政局に請求をいたしまして、郵政局からの予算令達を待って、そして十一月、十二月の不足支給分を二月、三月につけたという事情が一つ。
 いま一つは、本年の二月以降、当該局で時間外勤務の協定が切れたわけでございます。これがなくなったわけでございます。したがって、一般職員が超過勤務をしない、あるいは命じられない、こういう状況になりました。一方で郵便物はあるわけでございますから、その仕事が非適用職員のほうへかかっていった。そういう二重の意味で、二月、三月多かったわけであります。しかし、先生御指摘のように、そういう職員であるからといって、むやみやたらにオーバー労働させるということは確かに問題がございますので、私どもとしても問題点として今後対策を講じてまいりたいと、こう思っております。
#167
○大橋和孝君 今後の対策はわかりますが、この行なわれたことを一ぺん考えてください。これはあなた二月、三月と言っていますが、一月が百四十時間ですよ、八万円ですよ。そういうことからいいまして、こんな金が出ているんですから、事実。これは出たものを一ぺん振り返って、それがどうであったか、間違っておったら間違っているということでなければ、これは公の金、国費ですよ。これがそういうふうなことで一方的にどんどんと支払われておっていいのか。それを実際私はあそこへ調査に行きまして見ましたが、説明を聞いてみれば、あなたどうですか、それだけの時間働けますか、実際。これはもう睡眠不足になってぶつ倒れてしまう、死んでしまうじゃないですか。そういうことを考えてみると、私はこれは架空のものが含まっておりはせぬかということを考えざるを得ぬわけです。そうでないというものがあるんならば、その証拠を出してください。架空では絶対ないんだと、だれだれにどういう時間でもって、どれだけの金を渡したから等々、これだけになりましたというものを出してあたりまえだと思うんですね。だからぼくはその資料を要求します。同時にまた、そこに変なものがあるならば、私は関係者を厳罰すべきだと思うんですね。またこれを支給した人はどうなのか、どういう根拠でやっているのか。そういう責任をちゃんと追及して、そしてそういうことが明らかになるような報告を私はいただきたいと思う。できますか。いますぐと言わないから、時間がありませんから、その報告書を出してください。
#168
○政府委員(北雄一郎君) 別途よく御説明を申し上げたいと思います。
#169
○大橋和孝君 それから第二組合員の超勤手当支給も問題があると思われるので、全局員の――全局員ですね、ここの。全局員の超勤手当の支給状況について明らかなものをひとつ提出してもらいたいと思います。これをひとつお願いをしておきます。
 それから昨年の九月、十月、十一月、集配課で全逓組合員に対するいやがらせとして、超勤協定が締結されているときは超勤の命令を出さずに、無協定時になると法内超勤が乱発されるというのがいままでの行なわれたことなんでありますが、法内超勤につきましては現在、組合と争っておって、三月二十三日、函館地裁の裁判で組合側が勝ったわけであります。今後このような超勤発令は一切やめるべきだと思いますが、これについてひとつお考え方を聞いておきたいと思います。
#170
○政府委員(北雄一郎君) 最初の全職員の超勤の資料とおっしゃいましたが、これはいつからいつまでぐらい――半年ぐらいでよろしゅうございますでしょうか。
#171
○大橋和孝君 期間ですか。それは私のほうでずっとわかるように、一年ぐらい、できたら一年分ぐらいいただきたい。もしそれであるとするならば、去年の暮れを中心として半年間ぐらいのやつはぜひいただきたい。
#172
○政府委員(北雄一郎君) 承知をいたしました。
 それから法内の超勤問題でございますが、確かに函館地裁で第一審の判決がありまして、法内時間といえども職員の同意が要るんだと、こういう判決でございました。しかし、私どもはこれに対しては不服でございまして、実は控訴をした次第でございます。したがいまして、争点として残っている問題でございます。
#173
○大橋和孝君 じゃ、いまちょっとあいまいなようでありますけれども、去年、暮れをはさんで半年間、ぴしっとわかるように資料を出してください。
 それからいまの問題は、それは残っているといえば残っているんですけれども、こういう判決が出ていることから見ましたら、もうここらで改めていいじゃないかと思うんです。ですからして、そこらのところも踏んまえてこれはひとつ善処してもらいたいと思いますから、特にこれも申し上げておきます。
 労働大臣、いま聞いてもらいましたね、この話を。こういうことをやっているんですよ、この全逓の中で。労働省のほうから見ましても、これはもう金は出すわ、そしてまた、いろんな不当労働行為はやっているわ、こういうようなことをやらしておいて、私はこれはいかぬと思うんですよ。労働省も、大臣もここにおってもらいましたから、ひとつ郵政大臣とよく話をして、根本的にもう少し、労働者の味方の大臣、労働省としては、これをもう少しやらなけりや、こういうトラブルを――ブラザーだとかなんとか、何やらの指導員とか、どうですか、このでためらなやり方は。私はこれを見て――王子へ行きましてびっくりしました。また、あすこは刑務所以上の監視をつけているんですよ、課長とか課長補佐というのは。うしろからついてオイコラやっているんだから、刑務所でもあんなことをやったら殺されますわ。私はそういうのを見てきまして、これは労働上、もうほんとうの根本から間違っている。うしろからついているんですから。たばこのんだらいかぬ。たばこピュッとやったら、たばこ消すなりこっちはやけどしていると、こんなことなんですよ。こういうような状態を、私は刑務所も見に行きましたけれども、見たこともないですよ、ああいうことは。こういうことをやっている。しかも、公の金をでたらめにやっている。これは調べてみたらおそらく不正じゃないかと私は思うんですよ、あのところ見てきまして。ですから、そういう労働管理のやり方といいますか、そういうものはもうほんとうに前近代的というか、いまごろの時代にあり得ないことなんですよ。これが郵政省の大きな場において行なわれているわけですから、私は労働省、労働大臣としては、やっぱりもう労働者の側に立って、この郵政の中で行なわれている一ここに人事局長おりますんですから、これは責任者がいるんですよ。これはむしろ言ったら、こういうふうな者は最悪――私も、野人的な話し方で、口が悪いけれども、こういう人を置いておいたらよけい悪いじゃないかというふうな気がするんですよ。一ぺん大臣、よく両大臣で話をして、こういうような人、ちょっと改めてもらおうじゃないですか。改めてもらわなかったら、もうちょっと関係のないところで、もっといいところに行ってもらう、こういうようにしなけりゃ、とってもうまくいかぬと私は思うんですよ。これは率直な気持ちですよ。左遷せいというようなことは言わない。もっといいところに上がったらいいんですよ、もっとそういうところと関係のないところに。それくらいしたらどうかと私は思うんです。どうですか、その点。
#174
○国務大臣(加藤常太郎君) まあ多少問題がいろいろあるということは聞いておりましたが、きょうのこの委員会で私終始聞きましたが、まあエルダー制で、職員の中のある方に手当をいろいろ出したということは、これはもう労働行政から見てでも、もうはっきり悪いことであります。また、その他、まあ事実かどうかわからぬけれども、日弁連が、いろいろな、こういうような、何というか、ことばで言いますと悪いことばになりますけれども、旧態依然たる昔の労使関係のようなことが、あり得べきことでないことがあるということに対しましては、きょう聞いて、ほんとうにまあがく然といたしのであります。やはり近代的な郵政事業、特に三十数万の従業員がおると、こういうような労政事業においては、やはり何といっても、全逓とか全郵政に差別をつけるとかいうことはもうあり得べきでないと思います。そういう点で、いま御指摘のように、よく久野君とも相談いたしまして、もうすらっと少し改めたらどうかということをよく懇談をいたしまして、だいぶ、きょうもその話が出るので実は打ち合わせしたんでありますが、ようなっとるぞと、こういうことでありますが、これはなかなかそうでないような感じがいたしますので、なお一そう労働界のことを全部大臣が知らなくちゃならぬのでありますけれども、三公社五現業、その他の事業団とかいうこと、いろいろ広範囲にわたっておりますので、はなはだ私としてつまびらかでないことはまことに申しわけないのでありますけれども、御趣旨をよく理解し、そんたくいたしまして、ただいま森中議員からもいろいろの点が御指摘がありましたから、この点を踏まえて、久野大臣とは年来の知己でありますから、穏やかにひとつうまくいくように改善したい趣旨で対処いたします。
 きょうのいろいろな御論議を、質疑を聞きまして、大いに私も参考になりまして、頭の切りかえをこれはしなくちゃならぬという感がいたしました。
#175
○大橋和孝君 私、まだきょうたくさん質問の用意をしておったんですが、時間がありませんので次回に回さしていただきます。
 どうぞひとつ次官のほうも郵政大臣にしっかりと話をして、このところを、いま労働大臣からも話がありましたから、ひとつ徹底的にやってもらいたい。やるためにはどこにガンがあって、どこをどう切っていかなきゃならぬかという点も考えてもらわんならぬのですから、そのガンのところはガンとして、私は外科の医者ですが、しっかりとえぐり出さないとよくならぬので、いつまでもおいでおいで、まあまあ、まあまあこれよくするといっていたら、ガンは進行します。やっぱりガンのもとをちょっとえぐり出したら初めてそれが病気がなおっていく。どうぞひとつそこんところを十分お伝え願いたいと思います。ありがとうございました。
#176
○委員長(矢山有作君) 委員長のほうから申し上げておきますが、きょう要求をされました資料というのは、今後の郵政マル生のあり方を究明していく上にきわめて重要だと思いますから、早急に出していただきますようにお願いいたします。よろしいね。
#177
○政府委員(鬼丸勝之君) 承知しました。
#178
○委員長(矢山有作君) 本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#179
○委員長(矢山有作君) 次に、労働行政の基本施策について調査を進めます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#180
○田中寿美子君 労働大臣、たいへん朝から労使間の前近代的なやり方がいまでも残っているということをいやというほど聞かされていらっしゃったと思いますが、労働大臣の所信表明に対して委員各位からもうほとんど質疑がございました。残っているのは私一人ぐらいらしいので、それできょうお伺いするわけなんですが、労働大臣の所信表明の中では、きょう朝からいままでやられていたようなのとは今度はずっと違って、第一番に、「週休二日制の普及促進」ということをあげていらっしゃいますね。週休二日制というのは先進資本主義国では、すでにずいぶん実施しているわけなんです。たいへん労働大臣も、これは促進しているというふうに報道されております。私ども社会党は週休二日、時間短縮の法案を作成して国会に提出することにもうなっているわけなんですが、このことについて私はもっと時間をかけてじっくりお聞きしたいことが一ぱいございますけれども、この際特に御要望しておきたいと思っておりますのは、週休二日というのは労働大臣の所信表明のほうでは「週休二日制の普及促進と余暇対策」というふうに出ておるわけですね。週休二日制という場合の、日本でいう週休二日制というのは非常に不完全なのが週休二日制と呼ばれている。これまでの労働省の調査でも完全な週休二日制というのの比率は非常に少ないのですね。企業では四、五%――、最近はどうですか、四十六年の九月の調査を拝見しますと、四・四%くらいしか、完全な月四日間の週休二日制というのはない。ですから、非常にはんぱな週休二日制しかいままでは実施されていない。今後完全な週休二日制に向かっていかなければならないということと、それに際して、それじゃ時間のほうは短縮しなかったら何にもならないわけですね。ですから、現在の時間を、二日休んだあとの日の中に全部たたみ込んでしまうというようなやり方をするのではいけないので、週休二日制と同時に時間短縮のほうに向かってほしいということ、そういうふうな指導をしていただきたいということ。それから賃金がそのため引き下がるというようなことはないようにしなければいけない。これはまあ労働大臣は御承知の上だと思いますけれども、現実の問題として非常にたくさんそういうことがございます。それから深夜業なんかもなるたけこれはなくしていく方向に指導していくということと、つまり日本の労働条件が国際的に非常に悪いということが問題になって、通貨問題なんかでも外国からの圧力が非常にかかっているということが週休二日制を進める、政府がみずから進めようという原動力にも半ばなっているわけですから、そういう意味では内容をよくしてもらわないと困るということで、この問題に関しての質疑は私はきょうはいたしません。じっくりとぜひやりたいと思っております。ところが、その週休二日制、時間短縮や労働条件全体をよくする方向に向かうその労働条件の改善と逆行するような形で、実は労働条件が悪化させられつつある部分がずいぶんある。たとえば私のところにもずいぶん陳情に見えておりますけれども、労働大臣が週休二日、余暇の利用、余暇対策というふうにおっしゃるけれども、たとえばマスコミとか、レジャー関係とか、サービス関係のほうはその週休二日で二日休ませてもらうかわりに、かえってたいへん忙しくさせられている。長時間労働や深夜業が多くなっていく傾向があるので、そのほうの調査をぜひしてもらいたいと思います。ですから、形式的に週休二日ということの実施をしてもだめでございますから、具体的にちゃんとほんとうに労働条件をよくすることによって、日本の労働者も西欧並みの労働時間と賃金をもらっているということにするようにしていただきたいと思います。特に、マスコミ関係で印刷関係の労働者なんかは大企業ほどひどい労働時間体制をもっておりますね。これは凸版印刷とか、大日本印刷とかいうようなあんな大きな印刷労働者の場合ですね、御存じだと思いますけれども、拘束時間十二時間というのがざらですね。そして、三組二交代の勤務を今度週休二日にするということで、九日制にして、ちょっと見たらわけわからないような勤務状況で、これで一体時間が短くなるのかどうかわからないような体制をとろうというような方向に向かっているわけです。よく調べていただきたいのですが、例の三六協定ですね。あれで約束しているのだからしかたがない、労働基準監督署は介入の余地がないというふうな態度をとっていらっしゃるように私は聞いております。この辺も今後週休二日制を議論しますときに、ぜひ議論したいと思いますけれども、よく調べておいていただきたいと思います。
 それからもう一つはレジャー産業、サービス関係ですね。これが非常に最近発達していってるわけで、そこで働きます私は女子労働者は相当の深夜業や労働条件がひどい条件で働いているというふうに申し上げなければならないんですが、きょうは、大臣の所信表明の中には、婦人の地位の向上の問題というのは別にあったわけじゃないけれども、労働省には婦人の地位の向上という行政があるんですね。それで婦人少年局もあるわけなんですが、この際、私どもが婦人の間でずっと問題にしてまいりました売春問題の中で、特に、トルコぶろにおける売春の疑いが非常に多い、濃厚である、そのトルコぶろ営業に関連してきょうはお尋ねしたいと思っているわけなんです。
 売春防止法というのを御存じだと思います、労働大臣。完全実施になって十五年になるわけなんです。あれをつくりますときには、婦人の人権を守る、婦人の解放というようなこと、あるいは人格の尊厳を守るというようなことを旗じるしにして、婦人団体の人たち、それから各党の婦人がみんな一緒になって、これは議員立法で出してつくったものです。そのときのねらいは、婦人の肉体を売らせる業者、管理売春を罰するということが一番の中心になっておりました。それから場所を提供して女性にそういうものを、女性の肉体を売らせてもうける者を罰する、あるいは困惑させて売春に誘っていく例のヒモのような人とか、そういう者の処罰、それから婦人の場合は、勧誘する行為が見つかったときには、つかまるというふうになっている法律でございます。それができてから十五年で、あれには保護処分もついておりまして、そういう売春行為をやった人たちを保護処分に付すると、で、保護と更生という部門があるわけでございますね。ところが、十五年たちました今日ですね、社会環境は決して私たちが最初にねらったような状況をなくすようにはなっていない。むしろたいへん複雑化し、多様化して、そしてすっかり潜在した形、あるいは擬装した形の売春がどんどん行なわれている。そこで、売春防止法制定以後、これがほんとうに行なわれるために運動してまいりましたところの婦人団体の方々、それからさらに、昨年の沖縄復帰以前に、沖縄では非常に前近代的な売春の業態がありましたので、沖縄の売春と取り組むための運動を起こしました婦人、そういう者がみな一緒になりまして、二十二の団体が一緒になって「売春問題ととり組む会」という会をつくっております。個人もこれに参加しております。これはもう超党派のものでございます。そこで、売春防止法全体をほんとは洗い直さなければならない、いまの状況に合わない面がたくさんある、あるいは社会福祉なんかと関連させなければならない面もたくさんある、婦人相談員の仕事の内容も変わってきている、そういうようなことで全般的にこの法律はやり直さなきゃいけないというふうにみんなで考えているわけなんですけれども、さしあたって、今国会中にぜひやりたいとみんなで考えておりますのは、もう公然と売春の巣くつといわれているトルコぶろの営業に関して規制するような法律をつくりだい、こういうことで、もうこの一月に「売春問題ととり組む会」という会を結成しましてから、しばしば婦人議員に対しての要望が出されているわけでございます。それで先日、その団体から千葉の栄町――これはトルコぶろではデラックスで有名、川崎の堀之内と千葉の栄町、おいでになった男性がいらっしゃるかもしれませんけれどもね。そこを私ども、その婦人団体で、みんなで一緒に見学に参りました。そのときの状況から考えまして、まず、次々にお尋ねしていきたいと思いますけれども、トルコぶろというところに働いている、いわゆるサービスをする女性ですね・接客をするところの女性、トルコ嬢と呼ばれております。このトルコ嬢の労働条件について、どういうふうに労働省は把握していらっしゃいますかということを最初にお尋ねしたいと思います。
#181
○政府委員(渡邊健二君) トルコぶろにおきます労働条件につきましては、全般的な面について必ずしも十分調査いたしておりませんが、最近一部につきまして実施いたしました調査・監督の結果によりますと、所定労働時間が八時間以下とする事業場は八三%、八時間をこえる事業場が一七%となっておりまして、実際の労働時間につきましては、一日の労働時間が九時間をこえる、超勤を含めまして九時間をこえる労働者がいた事業場が二五%、約四分の一になっております。また、時間帯別に繁閑を見ますると、二十時以降が特に繁忙であると報告されました事業場が八三%というわけでございまして、非常に夜、特に深夜近くなっての労働が多いという実態を把握いたしております。なお、休日につきましては、毎週の休日を定めておる事業場が大半になっております。
#182
○田中寿美子君 定めているというのですか。
#183
○政府委員(渡邊健二君) 定めておる……。
#184
○田中寿美子君 そうすると、基準局は、トルコ嬢というのは、トルコぶろの経営者との間に雇用関係があるというふうにごらんになっているわけですね。
#185
○政府委員(渡邊健二君) 一般にはそういう場合が多かろうと見ております。
#186
○田中寿美子君 私たち、その栄町というところは、千葉の駅からすぐもう近くで、千葉駅降りたら、とたんに目の前に大きな広告が立っていますよね。駅前の相当のデラックスなビルがたくさん並んでおりまして、そして立て看板に、「デラックスムード各室美人マッサージ嬢付」というネオンがついております。そういうところで働いているトルコ嬢たち、いま八時間労働とおっしゃいましたけれども、午後二時から午前一時までですから、拘束時間は実に長いもんですね。十一時間になりますか。そして、その間で何人のサービスをするかということなんですけれども、まあ私どもが行きましたのは、実際に実地のその場所を見ました時間が七時ごろからでしたので、夕方の。一斉に、まあ警察もついていかれたし、県の環境衛生課の方も、あるいは保健所の方も行かれました関係で、七時になったら一斉にネオンを消せという指令が飛んだそうで、ネオンがみんな消されました。それから私たちが中に入って見せてもらった、別に営業妨害をするつもりじゃなかったんですけれども、中に入って見せてもらったところは、全部トルコ嬢をのけてしまう、お客も、まあ一人、二人見た人もあったんですけれども、隠してあったわけなんです。それで、私どもの見ましたところの営業者は、大体午後二時から午前一時まで、そしてその間にまあ五人はとるでしょう。五人はやるでしょう。そして、それじゃ何日働くんですかと言いましたら、まあ二日働いて一日休むというようなやり方を自分でかってにしていて、私たちの間には雇用関係はありませんと、こういう言い方をするんですね。もし雇用関係があるならば、私はこういう拘束時間や労働時間であれば、それから賃金の形態が固定給がないわけなんです。だから、固定給のないような、そういう状況でいいのかどうか。監督署が監督をなすったことがあるのかどうかと思うわけです。で、トルコぶろといってもいろいろありますから、ですから、公衆浴場法にちゃんとのっとったトルコぶろもあるし、風俗営業法で一部許可されている異性サービスつきの個室のトルコぶろというのと、両方あるわけで、栄町はその特殊浴場法の中の、特に個室の異性のサービスを受けることの許されている地域なんですね。で、こういうところで雇用関係がないということを言って、事実上長い時間を置き、そして入浴料も非常に高いですよ、まあ五千円ですね。男の人は、まずそこへ入っていくときに五千円払って、それからトルコ嬢に二千円のサービス料金を支払うということになってる。だから、トルコ嬢はその二千円が収入だということになってるわけです。それが一時間十分の分。だから、それより時間増すごとにまた支払っていかなきゃならないわけです。そうしますと両方、入浴料もサービス料金もどんどん上がっていくわけで、相当のものであるというふうに思うんですが、こういう状況について監督をなさったことがございますか。
#187
○政府委員(渡邊健二君) トルコぶろの監督につきましては、昭和四十年当時、いわゆる年少者がそういうところに働いてる人が多いということが大きな社会問題になりまして、そういう面から監督を集中的にしたことがあったわけでありますが、そのときには年少者がミストルコになってるという例は監督の結果ではほとんどなかったわけでございます。で、その後につきましては、トルコぶろということで特別に監督をいたしておることはございませんけれども、サービス業全般に関する監督の一環といたしまして、随時トルコぶろにも監督を個々に行なっておるわけでございます。なお、まあトルコぶろのトルコ嬢といったような職種の方につきましても、雇用形態等も千差万別でありまして、いろいろな形があると思いますけれども、勤務時間の拘束をして、そして使用者の管理のもとにそういう一定の業務を行なうといったような場合でございますと雇用関係ありと見られる場合が多かろうと、かように思うわけでございまして、雇用関係がある労働者と見られるものにつきましては当然に基準法の適用があるわけでございます。ただ、これは基準法の規定によりまして、労働時間でいいますと一日実働九時間まで認められる業種になりますし、それから深夜業も除外の対象に相なるわけでございますが、しかしその他、たとえば先生御指摘のような長時間労働を、基準法で定められた限度の九時間をこえて三十六条の協定なしに行なっておる、あるいは賃金について保障給を設けていない、といったような基準法違反の事実をつかみますれば、これにつきましては法の定めるところに従いまして厳正に是正させていくようにいたしておるところでございまして、今後ともそれらの点については一そう監督につとめたいと考えるわけでございます。
#188
○田中寿美子君 これはたいへん微妙なところなんですよ、労働大臣ね。雇用関係があるともないともわからないように擬装しているわけなんです。で、実際には、私どもの見ましたその栄町のあるまあ「サイセリヤ」というトルコぶろのこの業主は、同じ栄町に三軒持っております。それで、そのほかにも二軒東京近辺に持ってるそうですから、五軒の経営者なんですが、十六人のトルコ嬢のうち七人をそのビルの――そのトルコぶろ業の「サイセリヤ」というところのビルの一番上に宿舎を設けて、そこに住み込ましてるわけですね。そのほかの人たちは一時以後車で帰る。で、たいへん収入は多いと、月数十万円はみんなざらだ、二十歳台ということでした。で、さっきの一人一時間十分で二千円ずつ取って、そしてさらに時間をふやしていけばどんどんふえると。それから、これはその経営者は言いませんでしたけれども、スペシャルのサービスをいろいろすればさらにたくさんのチップが入ってくるということで、数十万円をかせいでいる婦人がたくさんあるということは現在の時点で事実です。つまりトルコぶろでもあそこは風俗営業法が都道府県の知事にその営業の基準をつくらせているでしょう、条例で。それで、その条例の中で、あそこは非常に私は問題だと思いますけれども、除外地域という名前で呼んでいるのですね。で、トルコぶろの、公衆浴場法の中でも特殊浴場というのが、異性のサービスのついた浴場を特殊浴場というのですね。そして、それは風俗営業法でも認められているわけです。ところが、千葉の条例で見ますと、特殊浴場というものは一般に三十三平方メートル以上なくちゃいけない。それから、マッサージ台は十台置かなければいけないということになっている。ところが、そのうちからまたさらに除外地域というものを設けまして、あの栄町一帯のところだけはまた千葉県風俗営業等取締条例第三十二条の別表の第2というのにきまってあるより、さらにそれから除外した地域ということになって、そういうものは二十平方メートル以上あればよくて、そうして、マッサージ台を三台とスチーム台三台を置かなければならないということになっているわけですね。確かに私ども見た場合、マッサージ台は三台置いてありました。それから、スチームボックスというのですか、首を突っ込むの、あれが三つ置いてありますよ。それからおふろが一つある。しかし、これは公衆浴場法、それから風俗営業法で普通いっているような、つまり置いてはならない物、よけいな物は置いちゃいけないことになっているのですね。風紀を乱すような物は置いちゃいけないということになっているけれども、建設するときには環境衛生課あるいは保健所が申請を受けたらすぐにこれを許可しないわけにいかないようなちゃんとその建設上の基準だけは合うようにつくっているわけですね。三台はあったって、その三人の男性が一つの部屋に入ることはないそうです。事実みんな隔離されたような密室の感じになっている。それから、窓はみんな外から見えるようにしなければいけないということで、一・八メートルの窓の半分はガラスになっている。しかし、私どもが中に入ったら中からびょうでカーテンがとめられるようになっているし、それから冷蔵庫も置いてある、テレビも置いてある、応接台が小さいのがあるというわけで、これは単なるスチームバスに入りに行く施設じゃないということは明らかにわかるわけなんです。そして、ここでは明らかに売春が行なわれているけれども、業者は知らぬ顔をして入浴料を五千円取り、そうして時間ごとにそのよけいな分を取っている。トルコ嬢たちはそこで自分でかってにかせいでいるのだと、そうして数十万円をかせいでいると、こういうふうな言い方をしている。これは雇用関係があると見るか、ないと見るかということは、私はあそこは保健所の人と、それから警察と環境衛生課の人しか行っていないと思うのですがね。基準局は全然あそこには入っていないと思うのですがね。あそこだけじゃない、川崎の堀之内、その他いわゆる売春を行なっているところのトルコの中に、そこで働いている婦人の状況を監督に行った事例がありますか、どうですか。さっきの四十年ではもうずっと古い。四十四年ごろからもう急速にふえて、そしていまのいわゆるデラックストルコというのができてきたのですね。
#189
○政府委員(渡邊健二君) 先生、御指摘のその千葉のそれに行ったかどうか、ちょっとつまびらかにいたしませんが、最近でも基準局でトルコぶろを監督実施している例はあるわけでございまして、先ほど労働時間等についての数字を申し上げましたのは最近の監督の結果でございます。決して数は多くない、全部のとてもトルコぶろを監督署が監督をしているということはとうてい申し上げられませんけれども、随時トルコぶろ等にも監督を実施している事実はあるわけでございます。
#190
○田中寿美子君 それで、これは私たちのこの団体に属している幡ケ谷で婦人保護施設を持っていらっしゃいます山田弥平次さんの話によりますと、スチームバスのサービスというのは、あそこから逃げてきてそこに、保護施設に入っている女性がいるわけですね。その人は高温多湿のために蜘蛛膜下出血をしているというような事実があるそうです。ですから、そういう労働条件も見ていただかなければいけないし、なぜそのように多額な金が入っていくかというところを、これは普通の労働では入るはずのないようなお金だと思う。そのことと、それは婦人の職場として一体好もしい職場だと考えられるのかどうか、これはいかがですか。
#191
○国務大臣(加藤常太郎君) やはり労働者の監督は労働省でありますので、特に婦人の立場の、地位の向上という見地から見たら、これも厳重に監督をしなくちゃならぬのでありますが、かようなことを言っていいか悪いかわかりませんが、局長は基準局が大いに監督指導してうまくやっておると、こう答弁しておるが、私の常識論でありますが、どうもトルコぶろの関係は複雑怪奇で、温泉のふろのほうは厚生省、売春の問題はこっちで、基準局が行ったって労使関係がじょうずに答弁しますし、実態がなかなか、ほんとうは率直に言って、厳重な、地位の向上の立場、基準法の違反があるかないか、なかなか実態の把握が、局長はうまく言ったと思いますけれども、的確に私つかんでおらないと思います。実は、私もそういう関係を婦人少年局長からも聞いたり、またあれも労働省の管轄だというので、一ぺん行こうと思うけれども、ひょっと行って妙なことを言われても困るし、なかなか問題もあろうと思います。まあお聞きすると、勇敢に田中議員は行ったらしいので、なかなか詳細なことでありますが、やはり婦人の地位の向上という立場、それが同じ労働者であって売春をする疑いがあると、こういうものに対しましては、やっぱり労働省も厳たる態度で臨まなければいけない。ところが、まあこの付近、全国でも特にふえております。それに対して基準監督局が立ち入り検査をしてどんどんやるかというと、なかなか職員のいろいろな関係からいっても至難なことがありますが、いままで聞きますと、まだ一回も通達も出しておらぬというので、これに対して少し改善されるように大臣命令で、ひとつ、「おいやれ」と、こう言って一度本腰を入れてやってみたいと思います。ところがなかなか、こちらから聞いたり、こちらからもきょうその話があるので、きのう事情の聴取を大臣数時間やったのでありますが、これはなかなかむずかしいという感じがしたのでありますけれども、むずかしいといって放任したってこれはいけません。そういう意味で、厚生省なり警察のほうの関係の方とも、これはやはり協力がなかったら、基準監督局が行って、いや、うまくいっております、こちらから聞いたらうまくいっている、こっちもうまくいっていると、どうもつかみ方がなかなか把握がむずかしいのでありまして、決して怠慢というわけではありませんが、多少谷間のような、労働行政の中でもさような感じがいたしますので、やはり同じ労働者でありますから、時間の問題、労働条件の問題、また、その他のいろいろな福祉関係の問題も、やはりこれが向上さすような方向にひとつ、田中議員の御質問を契機に本腰でやっていきたいという感じを持っております。また、感じだけでなしに、さような方向に進ましたいという決意も持っております。
#192
○田中寿美子君 私、毎回労働大臣かわられますごとに、一ぺんや二へんは売春の問題をやりますんです。というのは、ほんとにこの問題は婦人の人権に関係するし、それから、このごろのような状況の中で、現地で聞きますと、家庭の主婦やなんかも東京方面からあそこへ出かけて行ってトルコ嬢として働く、収入としては相当いいということになりますと、これは婦人自身の重大な問題も含んでいる。そして、あそこへ行けば簡単にそういう働ける場所があるという状況をつくっていること自体が重大な問題があるということと、それから営業者は、明らかに雇用しているのに雇用しないという、擬装していることなんか、あれは許されないと思うので、その辺を厳重にしていただきたいというのが労働省に対する特に要望でございますが、警察でトルコぶろの現状、そこで行なわれている業態、それから売春防止法関係の検挙の数、なぜ……、たいへん、千葉でも聞きましたが、これはもう全く、そうだとわかってても検挙なんてことほとんど不可能だという話を聞いた。検挙するためには張り込みをして、そして、そこから出てくるお客の男性をつかまえて協力してもらわなければならないけれども、だれも協力してくれないということで、それじゃ、一体どこに隘路があるのかということを、警察のほうから説明していただきたいと思います。
#193
○説明員(奥秋為公君) トルコの実態からまず最初説明していきたい、こう思います。現在トルコぶろは全国で約千九軒あります。特に非常にもうかるという関係もありまして、昨年一カ年で百九十五軒、約二百軒ですね、増加をしたという状況であります。おそらく今後まだまだこれはふえるんじゃないだろうかと思います。
 それで、売春の取り締まりの実態なんですが、
#194
○田中寿美子君 トルコ嬢はどういう……。
#195
○説明員(奥秋為公君) トルコ嬢の関係は、トルコ嬢は全国で約一万六千、一営業所当たりにしますと、大体十六人ということであります。それで特に特徴としましては、これは昨年、実はトルコの一斉取り締まりを二カ月間かかってやったわけですが、それで百三十一名検挙しまして、それでまあいろいろ、るる聞いてみますと、中で非常にあくどいかせぎ方を経営者がやっているわけです。それをちょっと申し上げますと、場所代と称しまして一日五千円、要するにトルコ嬢からもらう。それから客がタオルを使うと、そのタオル代と称して二百円ですね、トルコ嬢からも取る。それからまたコーラを一本客が飲みますとこれを二百円ということで、これもトルコ嬢から取ります。それからさらにひどくなりますと、遅刻しますと、これに対して罰金を科すわけです。大体三十分ごとに三千円から千円ぐらいの罰金を科して、実際それを徴収する。それから無断で欠勤しますと二千円から、ひどいところは一万五千円トルコ嬢から金を取るというようなことであります。したがってトルコ嬢が、先ほど田中先生から多少お客からサービス料等をもらうというようなお話がありましたけれども、私のほうの全国的な検挙を調べた実態では、ほとんどサービス料というのはもらってない。しかもこういうふうな罰金を科せられているということになりますと、しかも固定給がない。そうしますと、勢いやはり売春をせざるを得ないというふうな、そういう実情に現在なっておるわけです。それでまあ、正直に申して私のほうも、トルコは週刊誌等に相当書かれますので、興味本位に書かれますので、それで、非常にこれは刺激が強いもんですから、何とかこれを取り締まらなきゃいかぬということでやりますけれども、大体、最近のこういった性解放のブームにもよるんでしょうけれども、お客さんが出てきたときにつかまえて、中でどういうことでしたかと、様子を実は聞くわけですが、そのときほとんどが全然協力してくれないで、黙って行ってしまう。大体百人に一人ぐらいがしゃべってくれる。それでまあ中の状況が、大体やっておるということがわかるわけです。そうしますと、今度は私のほうの捜査のやり方としましては、トルコ嬢をつかまえて話を聞いたのでは、そこにつとめているトルコ嬢は一切言いません。したがいまして、そのトルコの店をやめた従業員をさがし出さなきゃいかぬわけです。それがたまたまいなかに帰っておって、いなかでおとなしく生活しているのを突きとめますと、そこまで行きまして、それから中の状況を聞くわけです。それで一応二、三本参考人の供述を得まして、あとは捜索令状を持って現場に乗り込むということになるわけなんですが、これが非常にまた向こうのほうは対警工作がうまくできていまして、入っていきますと、何かチャイムを鳴らしてみたり、いろいろ警察が来たということがすぐ各部屋にわかるような、そういった通報連絡が行き届いておるわけです。それから現実に踏み込みまして、それでそこで各ロッカーをあけまして衛生サック等全部集めまして、それから今度はトルコ嬢に警察署まで来てくださいということで同道願うわけなんですが、それで警察へ来ますと、今度トルコ嬢は業者から一切しゃべっちゃいかぬ、もう警察官の前でもって中の状態を少しでもしゃべったら、あとひどい目になるぞというおどしがかかっているわけです。したがいまして、なかなかトルコ嬢から、また中の状態等がよくわからないということで、非常に突き上げ捜査が十分できない。ほんとうならばもう一番に最高責任者まで行ってばっちりやりたいんですけれども、なかなかそれができないという状況で、相当日数をかけて、相当多くの人員を動かして、なおかつ検挙実績というのは非常に微々たるものだという、非常に捜査の困難性を実際現在感じております。
 それから一般の売春の実態なんですが、まあ田中先生はいろいろこれにつきましては御意見あろうかと思いますけれども、年間、昨年は五千五百二十四件、四千四百二十五人実は検挙いたしております。その中で勧誘、これは街頭でもって娼婦がお客を呼び込む、誘う関係ですが、これが二千二百六十七件、二千二百五十九人。それからあとは周旋と申しまして、特にこれは関西では最近非常にパンマがはやっているわけです。関西ではあまりトルコがはやらなくてパンマ関係がはやっておりまして、このパンマの周旋が非常に多いわけです。これが千五百六十八件で九百九人。それからいま言いましたトルコや旅館等が場所を提供して売春させるというのが八百八十二件、六百七十六人。それから売防法で一番ねらっている管理売春というのは非常に最近巧妙になりまして、この検挙がむずかしくなっております。これが一年間で二百二十四件、百九十七人というふうな状況になっておりまして、検挙実績としては、あるいは先生からは少ないんじゃないかという御指摘を受けるかもしれませんけれども、なかなかむずかしい状況でありまして、われわれとしては精一ぱいやっているということであります。
 以上です。
#196
○田中寿美子君 いまおっしゃいましたように、売防法の一番ねらったのは管理売春をやっている業者なわけですけれども、たいへんそれが巧みになっている。それでいまもお話がありましたように、私どもが行ったその業者は、雇用関係がなくて、みんな自由意思でやっていて、そしていま表の看板には入浴料五千円、サービス料二千円と書いてあります。ですから、最初その女性に二千円を与えるという、女性が二千円取るんだと、女性が自由意思であそこを借りて、そしてサービスをして金を取るという形につくってございます。どこのおうちもそういうふうな看板が出ているわけですけれども、いまおっしゃったように、警察の調べによると、そういうふうに実際には業者がトルコ嬢から相当搾取しているということ、私もそれは疑いないというふうに私たちみんなそう思って見てきたわけですけれども、なかなかその実態をつかませないように非常に巧みになっている。これで見ますと、まるでもとの赤線、青線区域がトルコぶろ区域になっているような感じがいたしますね。で、千葉のこの業者なんかを見ましても、「角えび」というのは吉原の有名な女郎屋さんだったでしょう。その「角えび」というのが何軒もあって、「第七角えび」くらいまであるから、ほんとうにあちこちに手を伸ばして近代的なよそおいでやはり婦人たちの肉体を売らせていい商売をしていると思います。しかも、それはどっこからもつかまらないような形で堂々とやっているということについては、これはほうっておけないことだと思うのです。それで、私たちはどうしようかということで、まずトルコにおける売春がもう少しひっかかりやすいように、つかまえやすいようにするために方法はないかということで、一つは公衆浴場法の改正によって、はたしてできるものかどうかということを考えてみました。それはたいへん、公衆浴場法でも特殊浴場というのはちゃんとあれですね、各地の条例では特殊浴場というのを認めているところが多くて、そうして異性のサービスというのは、これは風俗営業法では認めるような形にして、指定地域をつくってしまったわけですね。一体これは公衆浴場法のほうでは、もうどうしようもないものかどうか、ちょっと厚生省のほうではどういうようにお考えになっていらっしゃいますか。
#197
○説明員(加地夏雄君) いま御質問がございました現在のトルコの取り締まりにつきまして、特に実態的にはいまお話に出ましたように風俗営業の問題でございますし、売春防止法の問題にからんだ問題でございますから、そういうトルコを規制する場合に、公衆浴場としてどの程度の態様なり機能を持てるかということでございます。率直に申し上げまして、結論から申し上げますと、公衆浴場法で先ほど来出ておりますところのトルコの規制というのは、非常にむずかしいというように申し上げるより以外にないと思います。先生御承知のように、最近トルコの問題が再び問題になったわけでございますけれども、過去の従来の経緯がずいぶんございまして、三十九年ごろに一回非常に問題になりまして、その際には公衆浴場法の規定で風紀上の規定があるので、その風紀上の規定で規制をしたらどうか、そういうお話がございまして、三十九年に実は風紀上の規制がトルコぶろについてどの程度できるかということを実は私ども十分研究をいたしまして、公衆浴場は、もともとそういうトルコぶろに対する風紀規制までいくのは非常に無理があったのですけれども、当時公衆浴場法としてできる限界の構造・設備上の条件を付したわけです。それが個室の中が外から見通せるようにしなさいとか、そういう程度のものであったわけです。しかし、これも御承知のように、三十九年にそういう通達を出しまして、条例の準則を示したわけですけれども、何の役にも立たなかった。それが実は四十一年に風営法のほうで取り上げて、風俗営業法の改正で規制をしていったという実態でございます。そういう経緯もございますし、公衆浴場は、もともとこれは御承知のように保健衛生上の基準をその施設に課すという問題でございまして、そういうトルコぶろの規制ということは実は制度的に考えていないわけです。そういう意味で非常にむずかしかろうというふうに考えております。
#198
○田中寿美子君 千葉県の公衆浴場法の施行条例第二条第二項で、浴室において異性の客に接する役務を提供する浴場の基準を定めさせるというようになっておりますですね。そうしてその中に、浴室で風紀を乱すおそれのあるような物を置いてはいけないとか、それから風紀を乱すおそれのある服装をさせてはいけないとか、それから従業員に風紀を乱すおそれのある行為をさせてはいけないとかいうようなことをいっているけれども、こういうことが全然、これは実際、法律なんというものは何の役にも立たないといまおっしゃったけれども、ほんとうに事実そうなんですね。そうすると風俗営業法のほうでは、個室での異性の客に接する役務を提供する営業というのをまず認めているわけですね。この辺をだから風俗営業法のほうで、それじゃやり方がないのかどうか、警察の方はいかがですか。
#199
○説明員(奥秋為公君) 実は私のほうも、いま風俗営業法のいろいろな点で法律改正しなければならぬということでいろいろ検討しているわけですけれども、たまたまいまトルコの話が出ておりますけれども、このトルコ問題につきまして、実はわがほうの、――わがほうと言うとおかしいのですが、風俗営業法では、一応確かに先生の言われたように、個室において異性に役務を提供する、そういった営業という定義でやっているわけです。ただ、こういった営業につきましては、これは即風俗営業法の適用を受ける特殊浴場ですね。風俗営業に書いてあるような女性の役務を提供するものは場所的な規制をこの法律でやっているわけです。それで現在、先ほど非常に公衆浴場法関係の県条例でもってあまり効果がないというような御指摘があったんですけれども、実は、ことしの五月一日に広島県でもってたいへんな公衆浴場関係の条例をつくりまして、これが施行になっておるわけです。この条例によりますと、大体、入り口の戸を全部取り払うと、そういう内容なんです。これはまだ施行されてから日が浅いんですが、いま、県のほうからの報告を聞いておりますと、大体、この構造で行なわれたトルコぶろにつきましては、もうお客が三分の一に減ったと、それからトルコ嬢もいままで二十人いたものが九名になったということで、実際の中の構造・設備がある程度徹底した構造・設備の変更が行なわれれば、相当、やはり売春防止はその線でできるんじゃないかというような、実は、私、認識を持っておりますが、それで、いま私のほうでもって進めているこの関係の考え方としましては、まず最初、全国的にトルコというものを何とか押えていきたいと、増加をですね。そのためには、現在、除外地域になっている地域を、さらに条例を改正して、その除外地域の地域をもっと縮小していくと、これを現実にやっているのが滋賀県と、それから香川県も近くやるはずです。そういうことによりまして、本来、建てられるというところの敷地面積を狭めまして、それで場所的に、物理的に、トルコの増設を防ぐということと、もう一つは、トルコぶろの中のそういった、非常に思い切った構造を変えることによって中の売春を防止できると、実は大阪に、これはトルコが発足したときからなんですが、大阪のトルコというのは、非常に売春が行なわれないトルコなんです。これはなぜかと申しますと、いわゆる個室はあるわけです。二つの個室が壁で境になりましてつながっているんですけれども、その壁の下と上が約三十センチぐらい切られているんです。それから個室の浴室から外へ出てきた、要するに、脱衣所ですね、これが共通になっておるわけです。そういうふうな構造を、最初、大阪の衛生部のほうでもって指導をしまして、そういう構造をつくった関係もありまして、大阪はほとんど健全なトルコが個室でありながらうまく運営されているというような実情になっております。そういうことで、いまは広島は始まったばかりなんですが、その関係でいけば、相当な成果があがるんじゃないかということと、ただ、法律でもって、もしそういった構造・設備を全国一律にかけてやるということになりますと、まあ、構造・設備をうまくやることによって売春がゼロになるんだということになりますと、要するに、いま除外地域を設置している条例が、これが不要になるという議論が当然出ると思うんです。その場合に、その構造・設備の変更によって、じゃ、必ず売春が絶滅できるかということになりますと、これはまだやってみないことにはわかりませんので、これはなかなか私、構造・設備だけの変更でもって即売春がきれいになくなるということにつきましては、しばらく実情を見てみませんと、どういう規定のしかたをすればそういうものがほんとうになくなっていくのか。それからあまり、これ、露骨にやりますと、中に現実に裸で入っている人の問題なんですから、中の利用者の人権問題にも若干関連してくる問題も出てきますので、この辺、十分検討しなければならないと、こう思っております。
#200
○田中寿美子君 いまおっしゃったように、私たちも、構造を改善するとか、そういうことも同時にやらなければいけないけれども、もっと根本的に何かやることがないかということで、いろいろと風俗営業法だとか、公衆浴場法をさわったり、あるいは売春防止法のどの辺をどうしたらというようなことを、いま、私たちも一生懸命に研究しているものなんで、いまの世の中で売春がゼロになるなんというふうに、私たち甘くはもちろん考えていない。そして、社会全体のモラルが上がっていくということや、売春なんかでない正常な職業が保障されるという社会が来ないとだめだということぐらいは、みんなも承知の上なんですけれども、あまりにトルコぶろの状況がひどいということで、まあ、売春国日本というのがいまやトルコぶろで代表されるような気がいたしますし、そういう点で、これ、労働大臣、私が婦人の地位の向上だとか、人権の問題として、きょう、提起しておりますのは、こういう状況でございますから、さっきたいへん勇気を持ってやるつもりだというふうにおっしゃいましたので、前に売春防止法をつくる当時、各省が非常によく協力していろいろとやりましたので、そういうことを婦人の立場を守る官庁として、イニシアチブをとって、警察のほうにも厚生省にも働きかけていただく。それから売春防止法の中の更生保護の部分についても、これはいまの時期に合わなくなっているところがずいぶんあるように思います。これはこれでまた、厚生省関係で私たちも研究したいと思っているわけなんですが、そういうことで、いまの実情をお聞きになったあと、今後どうしたらいいかということの研究をしていただきたいと思います。
 なお、沖縄は、本土より一時代おくれていたわけなんですが、しかしまた、本土のトルコ式のやり方ですっかりもぐってしまっているように聞いておりますので、この辺も十分気にとめていただいて、この問題をぜひ積極的にやっていただきたいのです。ちょっと聞きましたところによりますと、トルコぶろ業者がどうも相当きびしい規制があるかもしれないということを察知してかどうか、四月三十日に、九段会館で会合を開いていろいろと意思統一をしているらしいんですね。ですから私たち、前に赤線業者たちが結束して売防法をつくるときに反対の運動をやったことを記憶しておりますので、その辺も十分調べてみていただいて、適当な措置をとっていただくようにお願いしたいと思います。これで終わりますので、一言どうぞ……。
#201
○国務大臣(加藤常太郎君) 田中議員のお説もごもっともでありまして、労働省として、婦人の問題に対して地位の向上、また、いかがわしい問題は起きないように、やはり同じ労働者でありますから、当然、労働省もこれに対処することは理の当然であります。田中議員の御趣旨をよく尊重いたしまして、先ほどいったように、まあ谷間のような関係で、多少、放置されていたと、いままで聞いた分では、沖縄で一ぺん基準法違反でやったことがあると、こちらのほうでも、本人から申し出がありまして強制捜査をやったことがありますが、実際は係員が行っても、警察の強権をもってしてでも、なかなかむずかしいようなところがあって、そこへもっていって、行政機関の基準監督局から行っても、実態がなかなか把握できないのであります。といって、そのまま放置することは、なお、ますます助長いたしますから、これに対するいろいろな総合的な設備の改善とか、そういう問題は厚生なり、警察当局のほうでやると思いますが、労働省といたしましては、婦人の地位の向上と、まあ、それにはやはり啓蒙運動も大事でありますので、かような啓蒙運動を含めて御趣旨を尊重したような方向で推進いたしたいと思います。
#202
○委員長(矢山有作君) 本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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