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1972/09/04 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第22号
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1972/09/04 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第22号

#1
第071回国会 社会労働委員会 第22号
昭和四十八年九月四日(火曜日)
   午前十時五十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月三十日
    辞任         補欠選任
     田中寿美子君     小谷  守君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大橋 和孝君
    理 事
                玉置 和郎君
                丸茂 重貞君
                須原 昭二君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                川野辺 静君
                君  健男君
                斎藤 十朗君
                塩見 俊二君
                高橋文五郎君
                山下 春江君
                小谷  守君
                柏原 ヤス君
                中沢伊登子君
                沓脱タケ子君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君
   政府委員
       厚生省社会局長  高木  玄君
       厚生省児童家庭
       局長       翁 久次郎君
       厚生省年金局長  横田 陽吉君
       社会保険庁年金
       保険部長     出原 孝夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       大蔵省理財局資
       金第一課長    山口 光秀君
       大蔵省銀行局特
       別金融課長    山田 幹人君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大橋和孝君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る八月三十日、田中寿美子君が委員を辞任され、その補欠として小谷守君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(大橋和孝君) 健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、以上四案を一括議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○小平芳平君 前回に続きまして年金関係二法案について質問を続けたいと思います。
 前回は概括的なことで御所見を伺いましたが、今度は具体的にこの今回の改正案の内容について質問をいたしたいわけであります。特にこの五万円年金ということが唱え出されて以来、衆議院の段階でも五万円年金というものは誇大宣伝ではないかというふうな議論もるる戦わされたことは私も会議録で承知いたしております。その後衆議院の修正等もありまして、いまの段階の衆議院修正後の現在提案されている年金改正案はどういうことになっているか。厚生年金でどういうふうになるか、五万円になるのかならないのか。なるとすればどのくらいの人がなるのか。国民年金ではどういう人が五万円になるのか。そういうことをまず前提として御説明いただきたい。
#5
○政府委員(横田陽吉君) 政府原案におきましての年金水準は、御承知のように平均標準報酬の六割というものを年金水準と考えまして、標準的な被保険者期間を持ち、標準的な平均標準報酬をお持ちの方につきまして六割の水準ということは改正時点で金額的に幾らになるか、そういう計算をいたしますと、ただいま御指摘のようにおおむね五万円と、こういうことでございます。それで、それに対しまして、ただいま御指摘のございましたように、衆議院の段階で定額部分につきまして原案が九百二十円でございますのを千円に引き上がっております。したがって、そういうふうになった場合にどういうことになるかという点でございますが、簡単にその変動の部分を御説明申し上げます。
 前提といたしまして、四十八年度中に新しく厚生年金の老齢年金を受ける者の数は十三万一千人でございます。それで、そのうち加入期間が二十年以上である者、つまり本来的な被保険者期間を充足した者の数は八万六千人でございます。それで、そのうち五万円年金を受ける方の数は、政府原案でございますと三万一千人でございまして、四十八年中に新たに老齢福祉年金を受ける者の中で加入期間が二十年以上の者に対しまして三六・三%でございます。それで、それが定額部分を九百二十円から千円に引き上げるという修正の内容に従って申し上げますと、三万一千人が三万九千人にふえるわけでございます。それで、その結果、八万六千人という加入期間二十一年の者に対する割合は、政府原案では三六・三%でございますが、これが四五・三%になりまして、それでこの改正が平年度化いたします四十九年度には新しく年金受給者になる者の中で二十年以上の者のうち五〇%程度が五万円年金、四十九年度に五万円年金を受ける、このような計算になるわけでございます。
#6
○小平芳平君 国民年金のほうも説明してください。
#7
○政府委員(横田陽吉君) 国民年金の給付水準につきましては、今回の改正による修正はございませんでしたので、その意味では政府原案のとおりでございますが、国民年金の拠出制年金は、御承知のように昭和三十六年に発足いたしました年金でございます。それで本来的な被保険者の期間は二十五年でございますから、当初からお入りになっておるとした場合に、二十五年の拠出期間を満たす時期は昭和六十一年でございます。ただ問題は、五年の待期期間がございますし、それからもう一つは、付加年金を加えて五万円水準ということでございますので、それらのことを考慮いたしまして一つの計算をいたしてみますと、六十八年の三月でもって現在の五万円の価値を実現するそういった水準の年金になると、こういうことでございます。と申しますのは、この五万円年金と申します場合のこの五万円年金は、改正時点におきましての五万円の実質価値を将来にわたって維持をするということでございまして、したがって、その維持の方法といたしましては、毎年消費者物価指数が五%以上上がりました場合には、それに即応するだけの物価スライドを自動的に行ないますし、それから少なくとも五年ごとに一回の政策改定というものを実施することによりまして、この水準を維持するということでございますので、拠出期間を満たした六十一年、それからまた待期期間を満たし、現実に現在時点での五万円価値の年金を受給するという時点は六十八年三月末と計算されますが、この場合の名目的な年金の価格というものが何万円になっておるかという点につきましては、おそらく十万円をはるかにこえるような金額になっているだろうと思います。
#8
○小平芳平君 厚生年金の場合は、二十年以上加入の者で四五・三%ですが、それから四十九年以後は約五〇%、半数になるというのですね、約半数になる。ということは、半数に満たない人は、二十年以上厚生年金に入っていたけれども、五万円年金にはならないということですね。
 それから、まして前回も指摘しましたし、本日もまた後ほど指摘したい幾多の問題点を申し上げたいと思いますが、その通算の問題ですね。通算の問題がここで根本的な検討が必要になるんじゃないか。ということは、現実に同じ職場に二十年いたという人のほうがむしろ少ないかもしれない。この辺は厚生省はどう実態をつかんでおられるか。
 それから国民年金の場合は六十八年ということをいわれますが、厚生省の計算では昭和三十六年から数えれば昭和六十一年で二十五年を満たすと。ところが実際上この厚生省の計算の八百円のほうは昭和六十一年で二十五年を満たす人が出ますが、二百円のほうはいつになったら出るわけですか。
#9
○政府委員(横田陽吉君) 二百円と申しますのは付加年金でございまして、付加年金に夫婦ともお入りになっておる場合でございまして、これは付加年金とそれから基本になりますこの年金と合わせまして両方に夫婦が入っておる場合に一つの典型的な例をとって計算をいたしますと、先ほど申し上げましたように、六十八年三月末でもって現在の五万円の価値になると、こういうことでございます。
#10
○小平芳平君 そうすると付加年金に初めから夫婦二人入っていたという人はどのくらいおられますか、何%ぐらい。
#11
○政府委員(横田陽吉君) 調べて御報告いたします。
#12
○小平芳平君 いずれにしてもこの国民年金で夫婦五万円ということは現在の時点で考えても相当先のことだと。これは付加年金で知りたいことは、最初の段階で夫婦とも付加年金に入っていらっしゃった方、それからまた現在、四十八年の現在で付加年金に入っておられる方はどのくらいいらっしゃるのか。
#13
○政府委員(横田陽吉君) 付加年金の加入被保険者数でございますが、四十七年の十一月末に百六十二万九千人でございます。
#14
○小平芳平君 パーセントは。
#15
○政府委員(横田陽吉君) 百六十二万九千人。ですから二千万といたしますと八%になります。
#16
○小平芳平君 厚生大臣、こういう実態からして四十七年度から考えた場合、八%の人が五万円年金が可能だということであって、どうもさんざこれは衆議院でも言われたことですが、あまりにも五万円年金というものに対する宣伝といいますか、国民の期待といいますか、それに対して内容はそうはなってないと。国民年金の方は四十七年から考えても八%だというような事実ですね、実態ですね、その点をどう考えられますか。
#17
○国務大臣(齋藤邦吉君) 厚生年金のほうは、ただいまの御質問と御指摘等によりまして、大体現実的に二十年以上勤務した方々が五万円または五万円近い金額を受けられる、こういうわけでございますから、このほうはそうたいして私は問題はないと考えておりますが、国民年金につきましては仰せのごとく、完全に成熟もいたしておりません現時点におきまして、夫婦で五万円をいただけるというのは現実的に相当先のことであり、しかも現時点において計算いたしましても八%という非常に少ない数であることは御指摘のとおりでございます。そこで、そういう点につきましては衆議院、参議院におきましてもいろいろな御批判をいただいたわけでございまして、その部分については私もまさしくそのとおりだと思います。こういうふうになりましたのは、私などは実はこうした趣旨の説明を十分しなかったというところに与党政府の不十分な点があったということを私は率直に認めざるを得ないと思います。私ども実はこの年金の問題になりますといつも言うておるのは、現在でも二万円年金あるいはその前は一万円年金でございまして、現実その金をいますぐもらえるという、実は法律的には説明を常にしてないわけなんでございます。すなわち、水準ということを言うておるわけなんでございます。五万円年金水準、二万円年金水準ということを、正確にはそう言うべきなんです。言うべきなんです。ところが、そういうことを、ややともするとその水準という二字を、あまり十分国民に説明をしなかった。そういう点について私どももその説明は不十分であったというふうに私は率直に認めておるわけでございまして、いつも私はできるだけ水準、水準ということばを使うようにしておりますが、それでも国民には昨年の総選挙を通じましても五万円水準とはっきり言えばいいのでございますが、何か五万円年金と、こういきなり言うもんですから、いまにでもすぐもらえるように、こう錯覚を与えた、こういう点については政府の趣旨の説明が不十分であったということを私は率直に認めざるを得ない、かように考えておる次第でございます。
#18
○小平芳平君 普通この水準ということは、賃金水準というような場合は、平均的なものを賃金水準というんじゃないでしょうか。したがって、この五万円水準といえば、平均して五万円というふうに、こうとりやすいんじゃないでしょうか。したがって、厚生省の独特の、二万円年金とか、五万円年金とかいう、こういう独特のやり方は、この水準というのもかえってどうかと思うくらいの……、何かその辺お考えはございませんか。
#19
○国務大臣(齋藤邦吉君) 年金というのはもう私が申し上げるまでもなく、これはまあ、常識的になっていると思うんですが、ある程度の年数保険料を納めたという前提に立って、ある程度の標準の年数において保険料を納めた方が大体このくらいになると、これが大体年金というものの常識、まあ、一般国民にはなかなかその常識もわかりにくいかもしれませんが、そういうのが普通の年金の常識だと私ども理解しておるわけなんです。したがって、国民年金でありますと、もう初めから二十五年間ある程度の保険料を納めた方がある一定の年齢になれば一万円になる、二万円になる、五万円になる。こういうことでございますから、水準ということばが適当であるかないかは別といたしまして、まあ、水準といえば普通の方に御理解いただけるんではないかと、こういうふうに実は考えておるわけでございます。
#20
○小平芳平君 それはそのくらいにいたしまして、どういうことばが適当かどうか私もちょっとわかりかねますが、あまりにも期待に反することばかりだと、あまりにも期待に反する行政なり政治というものはよくないという点では私も大臣と同じだと思います。
 それから次に、この制度間のアンバランスについて、先回も具体的に一体制度間であるべき、――局長のほうからはこういうその違いはあるのが当然だと、あるいはこういう相違はなくすのが望ましいというようなお話もございました。大臣からもございました。で、もう一つ、今回それを具体的に、どうも抽象的なお話だとわかりかねますので、具体的に、この制度間で、併給の関係で私はお尋ねしたいのです。
 で、私が厚生省のほうへ申し上げました、具体的に、主人と子供二人の御家庭で、まあ、交通事故とか職場災害等で三人ともなくなったと仮定します。残された妻に対する遺族年金はどうなるかという点。これは共済組合ではどうなるか。厚生年金ではどうなるか。国民年金ではどうなるか。この点はいかがですか。
#21
○政府委員(横田陽吉君) 夫と子供二人が交通事故で同時になくなったというような場合の妻に対する遺族年金の支給は各制度でどうなるか、こういう御質問だと思いますが、これは金額の点は省略いたしまして、まず厚生年金の場合に申し上げますと、夫と二人の子供がいずれも厚生年金の名入者である。で、この場合に、妻の遺族年金につきましては、まず第一に、この夫と子供によってその妻の生計が維持されておった、こういう関係が前提になります。で、もし夫と子供、三人によって生計を維持されておった妻の場合につきましては、遺族年金としてはこの三つの遺族年金が一応発生するわけであります。ただ、具体的に、どの遺族年金が出るかという点につきましては、もしかりに夫の遺族年金を選択したとする場合には、基本年金額を限度として、他の遺族年金のうち一つを加えて支給するわけです。ですから、三つの遺族年金のうち、一番高い夫の遺族年金を選択したといたしますと、その基本年金額は倍額でございますから、その倍額までは出せると、ただ問題は、二人の子供のうちのどちらか一人の遺族年金だけが加わるわけでございますので、それが夫の基本年金額の半額に満たないような場合には、基本年金額を限度といたしますけれども、現実に支給される年金額というものは基本年金額よりは多少低くなる。で、具体的に数字をかりに入れて申しますと、まあ、夫の基本年金額が五十万円であった。そうしますと、夫の遺族年金は二十五万円であります。したがって、夫の遺族年金を選んだ場合には、基本年金額である五十万円の限度まではもう一つの遺族年金が加わりますけれども、もし、かりにその場合の子供の遺族年金が二十万円であった場合には、二十五万円プラス子供の遺族年金額二十万円でありますから、限度は五十万円ですけれども、現実に支給されるものは二十五万円プラス二十万円で四十五万円になります。
 それから、第二番目に、共済組合に加入しておった場合にはどうなるかということでございますが、まあ、共済組合は私の直接の所管でございませんので、あるいは運用の問題として多少のニュアンスの差があるかどうか存じませんが、法律的な面から申しますと、死亡した者によって主として生計を維持している者に対して遺族年金というものは支給するのだ、こういうことになっております。したがって、おそらく法論理的には夫と二人の子供、三人でもってその妻の生計が維持されておるという関係は、認定される場合は少ないのではないかと思います。したがって、この法律の条文どおりに解釈いたしますと、一般的には夫の遺族年金だけが支給されるのが通例であると思われます。
 それから第三番目でありますが、夫と二人の子供がいずれも国民年金に加入していた場合にはどうなるかということでございますが、国民年金は、御承知のように、夫も妻も子供も、それぞれ、年金の加入者でございまして、したがって夫が死亡いたしました際に妻に対して遺族年金が出る、そういうしかけにはなっておりません。ですから、妻が国民年金の加入者であった場合に、夫が死んだ場合に妻の年金権はどうなるかという問題でございますが、十八歳未満または廃疾の子供が残された場合に限って、その妻が国民年金に加入しておった場合には、母子年金が支給される、こういうふうな形になっておりますので、このケースのように子供さんも全部死んでしまったという場合には、母子年金は出てまいらないわけであります。
#22
○小平芳平君 厚生大臣、いまの説明を聞いておられて、どういうふうな感じを持たれますか。
 日本の、現在わが国のきわめて大きな、大部分を占めるこの三つの制度につきまして、いま局長の説明によりますと、主人と子供二人と奥さんという家庭で主人と子供二人がなくなった場合、かりに三人とも同じ厚生年金に入っていたとすれば、残された奥さんには四十五万円、いまの局長の設例で一算しますと、ね。共済組合にかりに三人入っていたとしますれば二十五万円、約半額ですね、半額ちょっと。国民年金は、母子年金とか障害年金がつかない限りゼロだというような、こういう制度間の違いがあるわけです。制度間の違いがある部分は、ある程度あるのはやむを得ないということも、大臣、先回ずいぶん言われましたが、こういうような点についてはどう考えられますか。
#23
○国務大臣(齋藤邦吉君) 仰せのごとく、厚生年金のときには四十五万円になり、共済年金のときはなくなった夫の遺族年金だけをいただく。国民年金については、夫も妻も独立に国民年金に入るという仕組みになっておりますためにそういうことになっておる、こういうことでございまして、私もほんとにこういう話を聞くにつけて、はたしてこういうことでいいんだろうかということを率直に考えております。こういうふうな年金、特に遺族年金について、非常な差があるわけですね、遺族年金について。そういうふうなことで、できるならば、これを、国民年金という、仕組みが多少違いますけれども、何かこういう問題については、そのなくなった人たちによって生計をささえられておったその遺族に対する年金については、少なくとも同じ金額になるような仕組みをやっぱり私は考えるべきではないか、こういうふうに考えます、率直に言って。そこで、こういう問題、そのほかにもまだたくさんあるわけなんですが、私は、できるだけやっぱりその年金を受ける、遺族年金なら遺族年金を受けられる立場に立って、もう少し調整をはかる必要があると考えます。したがいまして、私ども今後、こういうふうな問題について、十分検討をしてまいるように努力をいたしたいと考えております。
#24
○小平芳平君 先回も指摘いたしました妻の地位ですね、結局。妻の地位が、国民年金の場合の妻と被用者保険の場合の妻とどうしてこういうふうに違っているかということなどもあわせて、前回も検討いたしますということでしたので、本日も検討いたしますということですので、これ以上具体的に言っても無理かと思いますので申し上げませんが、私は、大臣もいま述べられたように、併給の問題は、もっといまの遺族年金の問題以外にもいろんな併給の問題点があると思うんです。で、ここで厚生省に対して併給の関係の資料の提出を再三求めたんですが、どうもまだ提出がありませんが、要するに、たとえば神戸地裁の堀木文子さんですね、この判決は、やっぱり併給の問題で争われた。ですから、同様なケースがどういうときに起こり得るのか。今回の改正では、その問題は、堀木訴訟は実体的には解決するような改正案になって提出されておりますが、訴訟のほうは控訴してあくまで争うのかどうか、ですね。その辺、ちょっと御答弁いただきたい。
#25
○政府委員(翁久次郎君) 堀木訴訟の問題でございますけれども、児童扶養手当は、御承知のとおり、生別の母子家庭に対しまして、その稼得能力が低いということを前提にいたしまして、それに対して扶養しておられるおかあさんに児童扶養手当を支給することになっているわけでございます。
 で、堀木訴訟が起こりました段階におきましては、ただいま御指摘のような老齢福祉年金あるいは障害福祉年金を受給者であるおかあさんに支給することができない現行法のたてまえになっておったわけでございます。
 で、なぜ国が堀木訴訟において控訴したかと申しますと、当時の法律のたてまえで兵庫県知事は異議の申し立てを却下したわけでございますけれども、これは、国が国会を通じて成立した法律というものは合憲であるという推定を受けるのが普通であると、したがいまして、当時、そのおかあさんに対して児童扶養手当と障害福祉年金を併給することができなかったのは法律上やむを得ない措置であった、と。したがって、この判断に対しまして、合憲ということをさらに上級の控訴審、あるいは最高裁等の判断を仰ぐことが適当ではないかということで控訴した次第でございます。
#26
○小平芳平君 いや、それはそういうことだったでしょうが、いまこうした、今回、国会に対しましても併給するという改正案を提出しているわけでしょう。こうした、実体的にはもう訴訟で争うものがなくなる。そういうときにおいて、なおかつ争っていこうとおっしゃるのかどうかということを伺っているわけです。
#27
○政府委員(翁久次郎君) 御指摘のように、確かに児童扶養手当につきましては、年々改善をはかってまいりました。今回の改善の内容は、先ほども申し上げましたように、障害福祉年金あるいは老齢福祉年金との併給を認めるということで、争いの原因になっているものはこれによって解消をされることは御指摘のとおりでございます。しかし、当時の現行法が合憲であったというわれわれの、国の考え方をやはり裁判所の判断として求めることが至当ではなかろうかという態度については、今後変更するつもりはないわけでございます。
#28
○小平芳平君 大臣も同じ御意見ですか。
#29
○国務大臣(齋藤邦吉君) 今回御提案申し上げておりまする法律が成立いたしますれば、実体的にはもう争う筋はないわけでございます、中身については。ただ、堀木訴訟におきましては、憲法違反だということを理由にしておるもんですから、いやしくも国会において合法的に、正当な手続を経て成立いたしました法律に基づく執行が憲法違反だという理由がどうであろうかということで争っているわけでございまして、中身については、もうこの法律が成立いたしますれば、実体的にはもう争う筋はありません。しかし、その理由として、憲法違反であるというその理由について、いやしくも憲法に従って国会において成立した法律に基づく執行が憲法違反だというのはおかしくありませんかということで訴えを継続しておると、こういうことでございますから、私としては、その理由について裁判所の御意見は納得できませんということで、訴訟は継続していくべきではないかと、かように考えております。
#30
○小平芳平君 ちょっとその辺、意見が違いますけれども、なぜ争うかという意味はちょっとわかりかねますけれども、もう一つ、厚生省当局から戦争公務扶助料を受けておられる方と、一般の公的年金を受けておられる方の併給について御説明ください。
#31
○政府委員(横田陽吉君) 福祉年金の併給の問題は二つございまして、戦争公務による扶助料を受けておる方に対する併給の問題と、それから一般の公的年金を受けておられる方に対する併給の問題と、この二つがございます。
 それで、最初の戦争公務による扶助料につきましては、一般の公的年金と別の観点が必要でございますので、大尉までの軍人・軍属の遺族について併給を行なうということを考えております。その理由といたしましては、尉官級以下の軍人は応召軍人も多く含まれておったということの事情がございます。それから、一般の公的年金とは違いまして、戦争に強制的に従事させられたという、そういったことを考えますと、このような考え方をとらざるを得ないという考えでございます。
 それから、ほかの公的年金を受けておられる方との併給の問題につきましては、そもそも福祉年金というものが、どのような公的年金制度からも給付を受けられない者に対する、全額国庫負担による年金でございますので、原則としては併給はいたさないというたてまえでございます。ただ現実には、非常に低額の公的年金を受けておる老人が相当おられるという実態にかんがみまして、従来は年額六万円までの併給限度額でございましたが、十万円に引き上げるというふうに考えております。十万円の根拠と申しますのは、大体、拠出制の年金の中で、五年年金が今回改正で月額八千円になりますので、その程度までは併給をすることもやむを得ない、こういう考え方に基づくものでございます。
#32
○小平芳平君 今回の改正で、一般の公的年金は十万円まで、それから戦争公務扶助料は尉官まで――これは三十七万幾らですね。それで、一方は三十七万円まで、われわれは十万円までというのは、国のやり方はいかにも不公平じゃないかという陳情が来ておりませんか。いかがですか。
#33
○政府委員(横田陽吉君) そのような陳情は私どももときどきお受けいたしております。
#34
○小平芳平君 ですから、それについてどう考えますか。ただ聞きおくだけじゃしようがないじゃないですか。厚生大臣どうですか。
#35
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私もときどき陳情を承っておるわけでございますが、国民年金法をつくりましたときに、よその公的年金を受けている方には老齢福祉年金なりそういう福祉年金はあげない、こういうことを原則として、ただし戦争関係の方々だけはお気の毒ではないか、兵隊さんたちはほんとにお気の毒じゃないかということで、軍人扶助料についてだけは特例を設けてきたわけでございます。しかも、その特例は、徐々に兵隊さんから伍長、曹長、それから尉官――大尉までで打ち切っておりますが、これ以上はいたさない考えでございますが、そこで大尉までということにしたわけでございます。そういうふうに、兵隊さんからだんだん上げて大尉までということになりますと、一般文官もおかしいじゃないかという、それぞれのそのときそのときのニードと申しますか、社会的な要請に従って、一般文官も何とかしようじゃないかということで、一般文官との一部の併給ということを行なっていく、それも順次金額を上げていく、こういうやり方をとってきておるわけでございます。したがいまして、もともと、そもそも最初は軍人だけは別だということから始まったんですけれども、やっぱりこれも低額の恩給を受けている方々にはお気の毒じゃないかということで、そういう社会的要請に基づいて徐々に高めてきたわけでございます。したがって、私としては、差があるのはどうだろうかというお尋ねでございますが、もともと最初からそういう差があったわけでございますから、やはりそこには金額の差があることはしかるべきではないかと思います。しかし、だんだん尉官ということにまでいきますと、その差がだんだん開いてまいりますから、その開いた差は縮めるようにこれは努力をしていく、同じにするということは必ずしも適当かどうか、私は疑問ですが、差を縮めていく、この努力は私はしていくべきではないか、かように考えておる次第でございまして、今後ともそういう方向で進めてまいりたいと考えております。
#36
○小平芳平君 局長もよくそれを聞いておいてください。なるべく縮めていくという方向が現時点としては正しい考えだと思うんです。これは戦争の方もお気の毒ですが、かといって同じ町内に住んでいても、同じ施設に入っていても片方はこう、片方はこうという差が大き過ぎるということじゃないかと思います。私もそう思っているわけです。
 それから次にもう一つ、これも別の問題ですが、五人未満事業所についての適用はどうなっておりますか。この点についても、衆議院で答弁されている点は私も読んできておりますから、簡単でけっこうですが。
#37
○政府委員(横田陽吉君) 五人未満事業所に対する適用の問題につきましては、すでに御承知のとおりでございまして、個人経営などのような零細企業が多うございますので、従業員の移動なり事業所の変動というものが非常に大きくて、はたして安定した雇用関係があるのかどうか、非常に問題でございます。したがいまして、そういった点について十分その実態をきわめました上でできるだけ早い機会にこれらに対する適用の問題も具体的に進めてまいりたいと思います。また同時に、この問題は医療保険の問題にも同じような問題がございますので、それらの調整も前向きに処理いたします際にはあわせ検討をしてまいりたいと思っております。
#38
○小平芳平君 まさしくそこまでは衆議院でも答弁しておられますが、法律関係はどうなっているんですか、厚生年金保険法では。
#39
○政府委員(横田陽吉君) 法律関係は、五人未満事業所は強制適用対象からはずれておるわけでございます。
#40
○小平芳平君 それは第六条ですか。附則ではどうなっていますか。
#41
○政府委員(横田陽吉君) 附則のほうは、これは五人未満の事業所については適用事業所とするため「効率的方策を調査研究し、その結果に基づいて、すみやかに、必要な措置を講ずるものとする。」、こういうふうな行政に対する一つのしばりが置いてございますので、御指摘のこの線に沿って私どもは検討を進めなければならないわけであります。ただ、現時点におきましての法律の適用関係につきましては、ただいま申しましたように強制適用の対象にはなっておらない、こういうことでございます。
#42
○小平芳平君 その附則はいつですか、できたのは。
#43
○政府委員(横田陽吉君) 昭和四十四年でございます。
#44
○小平芳平君 ですから、昭和四十四年ころの答弁は先ほどのようでよかったでしょう。いますでにその法律ができて四年過ぎた。同じ答弁でいいんですか。あるいはどういうふうに進めてきたですか。
#45
○政府委員(横田陽吉君) この附則が入りましてから法律上の責任といたしまして、いろいろな行政努力はいたしてきたわけでございますけれども、何せこの実態の究明はいろいろむずかしい問題がございますので、たとえば年次計画でもって厚生年金の適用事業所に加えていくとか、あるいは一挙にそのようにするとか、あるいはまた一定のタイムリミットを切って実施に踏み切るとか、いろいろなやり方があり得ようかと思いますけれども、そういった結論には違憾ながら達しておらないということでございます。
#46
○小平芳平君 結論に達していないから、法律はできたけれども四年間何ら進歩はなかったと、こういうことですか。
#47
○政府委員(横田陽吉君) 実際問題といたしましては、いろいろな方法によりまして、この辺の実態の究明に努力はいたしておるわけでございますが、特に厚生年金につきましては御承知のように非常に長い間にわたって保険料を拠出してもらって、というふうな長期保険でございますので、この五人未満事業所に対する適用につきましては、どちらかといいますと、医療保険以上に非常にむずかしい問題がございます。で、そんな関係がございますことと、それからほかの労働保険の場合と違いまして、厚生年金保険の適用対象からはずれている場合は、その裏といたしまして国民年金の適用ということがあってどっちかの網には必ずかかると、そういった問題もあるわけでございます。と申しましても、雇用労働者というふうな観点から五人未満事業所の労働者を考えました場合には、筋といたしましては、この四十四年の附則にもございますように、できるだけ早い機会に被用者年金の体系の中に組み入れていくというふうな方角をとっておるわけでございますので、その方向については決して私どもも間違った考えを持っておりませんが、いま申しましたように長期保険であるという実態、それからまた急いで被用者保険に移すことによってかえってあとあと禍根を残すというふうなことも避けなければならない、その辺のつなぎは国民年金が一応それを受け持ってくれておるというようなこともございまして、いま直ちにこの問題について具体的な方策を実施に踏み切る段階までは至っておらないわけで
 ございます。
#48
○小平芳平君 そういう抽象的な説明では、附則第二条の二ですか、これに基づいた努力のあとというものは見られませんがね。ただ、いまの御説明でもむずかしい点がある、あるいは国民年金もあるんだからというような御説明に終わっております。まあこれは、一体どういう姿勢でどう取り組んで、どういう成果を上げるかということは今後の問題といたします。
 それから次に、障害年金についてです。障害年金については、国民年金の衆議院の修正、二級にという衆議院の修正が非常に御要望の高い点でしたが、それはそれで了解いたしますが、この国民年金と厚生年金の障害の等級の当てはめ方について、こうした各年金の障害の等級というものは一本化するべきが本来の筋じゃないか。これはいかがですか。
#49
○政府委員(横田陽吉君) 理想から申しますと、障害等級は一本化できれば一本化すべきものだと思います。ただ、この問題につきましては、それぞれの制度の沿革等もございますし、それからかつて一本化のために相当大がかりな研究班を組織いたして検討いたした事実もございますけれども、なかなか思うような結論に達しなかったという過去の事実もございます。
#50
○小平芳平君 それでは、これもやはり直接障害年金を受けておられる方で、厚生年金の方から、国民年金と比較して不利だということの陳情は来ておりませんか。そういう御要望はありませんか。
#51
○政府委員(横田陽吉君) 障害年金に関しましては、正直申しまして一番いろいろな御陳情は多うございます。たとえば、廃疾認定をいつの時点でやるとか、いろいろな問題を含めましていろいろな陳情がございます。厚生年金と国民年金を比べました場合の有利不利の問題など、確かに多数の陳情はお受けしておりまして、これらの点についても実は今回改正の際に相当思い切った改正をやる予定で私どもは取り組んだわけでございますが、いま申しましたように、まず障害等級の一本化の問題というものは過去においてそういったデッドロックに乗り上げたという事実もございましたし、それからもう一つは、障害年金の問題は私どものほうの所管の厚生年金、国民年金だけではございませんで、共済の問題、それからまたいろいろな他の法律の体系において手当として処理しておる問題、そういったものとのつながり等がございましたので、今回改正においては、この点についてははかばかしい内容を盛り込むことができなかったわけでございます。
#52
○小平芳平君 簡単に言いますと、国民年金は一級、二級、厚生年金は三つの段階に分かれているという点でしょう、問題としまして。で、それは本来あるべき筋は一本化するのが筋だが、ということを前提にして局長は答えておられますが、大臣はどのように考えられますか。
#53
○国務大臣(齋藤邦吉君) 障害等級の一本化ということは、私は非常にこれはやるべきだと思っているのです、ほんとう言いますと。国民年金、厚生年金――厚生年金のほうは三等級、国民年金は今回の改正によって二等級、何とかしてこれを一本化していくようなやり方をしたいというのが私の念願でございます。したがいまして、今後できるだけこういう点を中心に検討を進めまして、これは身体障害者福祉法との関連もあるわけでございます。過去うまくいかなかったという実例はありますけれども、やっぱりこれは思い切って一本化していくような方向に検討を進めたい。できるならば、次に年金法の改正でもやるようなときにはやはり一つの大きな柱として努力をしていくべきではないか、かように私考えております。
#54
○小平芳平君 きわめて大臣に期待するところ大でございますから、ひとつよろしく御検討いただきたいと思います。
 それから、同じ障害でもハンセン氏病のような場合、そのほかにも等殊な障害がございますが、具体的に一例あげますと、ハンセン氏病のような場合、こうした等級の分け方に特別の配慮がなされるべきではないか。これに対してはいかがですか。
#55
○政府委員(横田陽吉君) この障害年金のやり方といたしましては、御承知のように機能的な障害がどの程度であるかということに着目をしてやらなければならないわけでございます。したがって、ハンセン氏病につきましてそういった疾病別にそのようなことをやるということは制度論としては非常にむずかしい問題だと思いますけれども、具体的な障害の認定にあたりましては、十分その疾病の実態に応じたような障害の認定をいたすべきだと考えておりますし、また、現にそのようなことで処理をいたしておるつもりでございます。
#56
○小平芳平君 それから、この点につきましても報酬比例部分が手直しされたわけですね、今回。昭和四十六年十月以前の標準報酬の手直しが行なわれたと。それでもなおかつ十数年前に障害を受けられた方は不利だと、固定部分をもっと増額してほしいと。そうでないと、報酬比例部分のこの今回の手直し、この手直しの内容についてはとても複雑で、この委員会でいま御説明いただくのも無理かと思いますが、これについては前回も局長から答弁がありましたので、今回はこのやり方についてはけっこうですけれどもね、やっぱりこの手直し自体も、「再評価率の考え方」という、こういう資料を出されましたですね、この平均標準報酬月額のこのこまかい計算を私は他の審議会でいただいておりますが、どうもこういう計算で、障害者の方がおっしゃるように不利な立場、十数年前の障害、それ以来この障害年金を受けていらっしゃる方には、こういう手直しではまだまだ不十分だという皆さんの御要望に対してはどう考えますか。
#57
○政府委員(横田陽吉君) 過去において受給者になられた方と、これから先受給者になられる方とのその格差の問題は、この障害年金、遺族年金等にのみではなくて、老齢退職年金についても共通の問題であろうと思います。したがいまして、標準報酬の再評価につきましても、障害年金に限って特段の不利ということはあり得ないことでございますが、標準報酬の再評価の問題につきましては、賃金それ自体を再評価するという手法がなかなかむずかしい。と申しますのは、現在の厚生年金、御承知のように、標準報酬制度をとっておりますので、したがって、いろいろな制約がございまして、それらの制約の中では最大限実態に即するような、そういった再評価をいたしたつもりでございますので、受給者になった時点が過去であるか今後であるかということによって大きな格差はないと考えております。
#58
○小平芳平君 さあて、そういうことになるとこの説明をしてもらわなくちゃいけないですがね、しかし、この説明はできますか、委員の皆さんに資料も配ってなくて。できますか。――相当頭のいい説明をしてくれないとからないですよ。どうぞ、お願いします。
#59
○政府委員(横田陽吉君) 基本的に申しますと、この再評価は四十八年の十一月から年金額を改定をいたすわけでございますが、その場合に、全雇用期時を通じましての標準報酬の平均をとりまして、それを基礎にして年金額を計算するという従来のたてまえは踏襲をした、これが第一でございます。
 それで、その場合に、昭和四十年の改正の際にインフレのひどかった時期の標準報酬を全雇用期間を通じての標準報酬の中に入れますと、不当に年金額が低くなるというようなことで、三十二年十月以前の標準報酬は切り捨てておりますから、したがって今回の再評価にあたりましても、全雇用期間ということではありますが、三十二年十月以前の加入員期間を持った方につきましては、それははずしてございます。
 それで問題は、再評価をいたします際のそのものさしをどこに求めたかということでございますが、それで、このものさしはできるだけ技術的に現在に近い時点のものさしを用うべきであるということから、昭和四十六年十一月から昭和四十八年三月のこの標準報酬の月額をものさしに使ったわけでございます。それで、そのものさしと、それから各年次におきましての標準報酬とを比べまして、そこで従来分につきましては何倍かの再評価をしたと、こういうことです。ですから具体的に申しますと、二、三この再評価率をお示しいたしますと、一番古いものにつきましては、いま申しました四十六年十一月から四十八年三月までの標準報酬を一〇〇と、一といたしました場合に一番古いものは三・八七、それから一番新しいものは一・一五、三・八七から一・一五の中に時系列的に再評価率がおさまっておるわけでございます。そこで問題は、標準報酬の平均額をなまのままで使ったかどうかと、この問題についていろいろ御疑問を出されておる場合が多いのでございますが、そのなまのままの再評価率を使いませんで、幾つか修正をいたしております。その修正の点について御理解をいただければ、大体この再評価率の適正さかげんというものは御理解いただけるものと考えておりますが、まず一つは、さっき申しましたように、前回改正の際に三十二年以前の標準報酬というものは、これは切り捨ててございます。これはさっきちょっと申し落としましたが、こういうやり方も一つの再評価のやり方であるわけでございます。古い時代のものは切り捨ててできるだけ新しい時期のものだけを年金額の計算に使うというようなことをやりますと、時系列的に申しました場合の再評価の問題はなくなってまいるわけでございますから、前回改正の際にはそのような手法をとったわけでございますが、今回のものはそういうことではなしに、ずっと各年次の標準報酬というものを、いま申しました新しい標準報酬でもって読み直すということをやっておりますが、まあ、いずれにいたしましても、三十二年の以前のものを切り捨てたということは、再評価をいたします際に、どのような影響があるかという問題でございます。それで端的な例を申しますと、この三十二年よりずっと以前に厚生年金の被保険者になった方がいるといたします。それで二十年あたりにお入りになってますと、二十年あたりの場合はまだお入りになって間もない新入社員であるわけですが、三十二年ぐらいになりまして、役付等になったと、通常そういうふうなコースをとるわけでございますが、その方につきまして全雇用期間、つまり三十二年前が切り捨ててなかった場合と、切り捨てられている場合とを比べてみますと、切り捨ててなかった場合は新入社員時代からやめるまでの間の平均標準報酬がすべて平均されて出てまいりますが、三十二年前が切り捨ててある場合には、役付になった以降のそういった標準報酬だけが基礎になると、こういうことになります。それでその辺の問題でございますので、三十二年切り捨てということを考えた場合に、それをなまのままで再評価いたします場合には、いま言ったように役付になった以降の標準報酬だけが基礎になって年金額が計算されるということになりますので、高過ぎるわけでございますので、その辺の修正をまずいたしたわけでございます。大体これはいろいろなケースについて計算をいたしてみますと、修正率は一〇%程度、つまり一〇%程度なまのままの再評価率を補正しなければならない、こういうことになります。
 それから第二番目は平均年齢でございますが……。
#60
○小平芳平君 ちょっと途中ですが、結局いま説明しようとしておられることは、四十六年十一月から四十八年三月を一〇〇とした場合ですね、基準とした場合に、三十三年三月現在の実績が五・五三倍だと、ちょっと一〇〇というのが逆にとれちゃったわけですが、三十三年三月現在から見ると五・五三倍になるはずだと、それをいま局長がるる説明するような理由によって三・八七倍に押えたと、こういうわけでしょう。ですから、その辺は、専門家はそういうことできわめて合理的、りっぱな修正になっていると思っているかもしれませんが、ちょっとしろうとはわからないですよ、それは。実際問題、標準報酬というものは五・五三倍になっているのに、再評価率は三・八七倍になぜ押えるのか。しかし局長のおっしゃるそういう説明で、三・八七倍で不利益はこうむっていないんだと、こういうふうに言わんとしているわけですか、結論として。いかがですか。
#61
○政府委員(横田陽吉君) 結論は御指摘のとおりでございます。
#62
○小平芳平君 ですから、まあ、先回も指摘しましたように、制度審議会の答申も再評価をしたことは評価すると、しかしそのやり方が複雑で、また今後の見通しを欠くというふうに指摘していたこともそのとおりだと思います。結論はそういうことですから、そういう意見もあることを十分お考えいただきたい。
 ちょっと時間がおそくなりますので、次に別の問題に入りますが、五年年金の任意加入の再開、これは六十二歳から六十七歳の方ですか、この点について、簡単でけっこうですから御説明いただきたい。
#63
○政府委員(横田陽吉君) 簡単に申しますと、昭和三十六年に拠出制年金が始まりました際に、すでに五十歳をこえておられた方につきましては強制適用の対象からはずしたわけでございます。そういった年齢層の方で、なおかつ五十五歳をこえている方については拠出制年金からさらにはずした。したがって五十歳をこえ五十五歳に至られる方、この年齢層の方につきましては、短期で年金権に結びつく十年年金をつくったわけでございます。ところがこの十年年金の加入の状況は必ずしもよくはございませんでしたので、昭和四十年に同じ年齢階層の方を対象といたしまして、五年でもって拠出制年金に結びつくそういう方途を講じたわけでございます。これは要するに、できるだけ任意加入の階層の方につきましても、拠出制年金に結びつくことが年金のあり方としては妥当であると、そういう考え方でございましたが、今回さらにこの同じような年齢階層の方につきまして――それで、五年年金は御承知のように四十五年からでございますから、昭和五十年から始まるわけでございますが、さらにまだ加入なさってない方については、再び同じように加入するような方途を講ずることによりまして、拠出制年金に結びつけてまいりたい、簡単に申しますと、以上のようなことでございます。
#64
○小平芳平君 そのこと自体は私はけっこうだと思いますが、ここで、その申し出期間は四十九年三月三十一日までですか、となりますと、六十二歳を過ぎていらっしゃる方で現につとめておられる方、しかも御主人がなくなって以来、子供さんを育ててきたお年寄り、お年寄りと言っていいかどうかわかりませんが、六十歳をこされた方が新しくつとめに入られた。そうすると、厚生年金に強制加入になりますから、この申し出ができないわけですね。そうすると、現につとめていらっしゃる方は、十五年なら十五年つとめれば厚生年金の老齢年金の対象になりますが、六十過ぎてから十五年間というと七十五歳までですから、そうするとやはりこれらの人は拠出制の年金からははみ出してしまうということですか。
#65
○政府委員(横田陽吉君) 国民年金の拠出年金でございますこの五年年金は、先ほど申し上げましたように、任意加入の年齢階層の方でほかの公的年金に入ってない方を対象として拾うことによって皆年金ということにすると、こういう方策でございます。それで、したがって結果的には、先生御指摘のような結果になるわけでございますが、厚生年金に入っておられる方につきましては、厚生年金に入っておるというようなことで、この五年年金の対象にしてカバーをするというふうなことにはならないわけでございますので、まあ、いま申されたようなそういった問題が出てまいります。
#66
○小平芳平君 大臣はそういう方は直接御存じないかもしれませんが、いまの社会はそういう人もわりあいと多いわけです。それは働かないで何らかの収入があればいいんですが、あるいは福祉年金なら福祉年金までただ待つというようなことができない人がいるわけです。したがって、働きに行けば強制加入になる。そうすると、現実問題、ほとんど受け取る見込みのない老齢年金、老齢年金はほとんど受ける見込みのない人が一方では保険料を差し引かれながら、しかもこの国民年金の拠出制の対象にもなれないという……。ですから、いまの制度では救済の道はないかもしれませんが、そういうはじき出される人がいるということをよく御認識いただきたいと思うのですが、何か救済の方法は立ちませんですか。
  〔委員長退席、理事須原昭二君着席〕
#67
○国務大臣(齋藤邦吉君) そういう方は確かに御指摘のように厚生年金の退職後の老齢年金はもらえないという事例になることはおっしゃるとおりでございますが、ただ、厚生年金に入っていることによって、たとえば障害年金とか遺族年金とか、そういう恩恵は受けられるわけでございますね。メリットはそこにあるわけです。それと同時に、たとえば十年の短縮通算年金、こういう制度もあるわけでございますから、むげにそれはむだだというわけでもないと思います。けれども、実際問題としては老齢年金はもらえないということは避けられないと思います。しかし、いま申し上げましたように、障害年金とか遺族年金とかそういう面についてのメリットはあるわけでございます。ですから、こういう問題、いろいろ具体的にこまかいやっぱり処理しなければならぬ問題があると思うのです。そういう問題については、私どもは今回のような大改正をやったあとですから、今後はこういうこまかいような問題でも、いろいろ恩恵を受けられないような問題について、もっとどうすればいいかということをきめこまかく拾いながら検討を続けてまいる、こういうふうにいたしたいと思います。
#68
○小平芳平君 大臣、このこまかいということが言えないんですよ、福祉の問題については。あなた一人ぐらいだとこまかい問題ですよということは言えないと思うんですよね、その人にとってはそれ以外にはないわけですから。ですから、そういう点、いま指摘いたしましたような点、それはちょうど前回指摘した脱退手当を受けてしまった人と同様に、この年金制度のワクから除外してしまうという国民をどれだけ出さないかという政策上の問題として取り上げていただきたいと思うんです。かりに六十二歳の方が、おばあさんならおばあさんが、いまは働いて厚生年金の保険料払っていると、しかし、あなたは、いまおっしゃったように、障害、たとえば手を切断しちゃったとか、足を切断しちゃったとか、そういう障害でも受ければメリットがあるんだよと、しかし老齢年金はだめだよと言われると、なかなか納得できないわけですよね。ですから、そういう点、ひとつ御検討いただきたいと思います。
 大臣もおっしゃたように、どうも厚生省でこういう案を立てられる方はそこまで実態をつかんでないんじゃないかと思うんですね。それはまあ、法律とか、いろんな計数整理とかいうことではきわめて有能な方ばかりおそろいだと思いますが、しかし、この実態としてどういうケースが起こるかということ、そういうすみずみまでわかってないというきらいがきわめて私は多いと思うんです。ですから、何らかの形で、今後この制度そのものを検討される場合はもう少し実態をよく把握していただきたいと思います。いかがですか。
#69
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先般、御質問もございましたような脱退手当金を受けたような人たちが厚生年金からはみ出されるとか、いま申し述べましたような問題、まあ、たくさんあると思います。厚生省の役所の方々はやっぱりそういう社会の実際において悩んでいる問題も十分陳情その他を通じまして、承知もいたしておるわけでございますから、今後こういう問題についてできるだけきめのこまかい手当てをしていくように十分将来の問題として研究いたしてまいりたいと、かように考えます。
#70
○小平芳平君 それから次にこの福祉年金ですが、老齢福祉年金は五千円に引き上げようという提案でございますが、四十九年度は厚生省からいただいた予算要求によりますと、七千五百円に引き上げるということで要求しようというお考えのようですが、新聞報道などで見ますと、与党内あるいは田中総理がどういうお考えか、これもきわめて一足飛びに福祉年金一万円が実現されるかのような報道も見受けたことがありますが、この辺はどうなっておりますか。
#71
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先般のちょっと新聞見ましたら、来年度において一万円にしたらどうかという意見が党の一部にあるような記事が出ておりますが、これはもう全然私、推測の記事だと思います。先般も党内においていろんな予算の問題、相談をいたしましたが、どなたも来年一万円にしましょうということを言う人は一人もおりませんし、これは田中総理はじめ私どもが五十年度までの福祉年金の増額について政策的にお約束をしているわけですから、来年は七千五百円、それから五十年に一万円とこの路線というものは動かす考えはいまのところ全然考えておりません。党内にもそういう意見はございませんで、先般どういう関係で出たのかわかりませんが、私どもはあれは単なる推測記事であると、こういうふうに考えておる次第でございます。
#72
○小平芳平君 それからこの支給制限についてですが、本人所得の場合と、それから扶養義務者の所得の場合となっております。この点はどうですか。
#73
○政府委員(横田陽吉君) 所得制限の問題は御指摘のように二つございまして、まず本人の場合につきましては従来から所得税の非課税限度、これを目安にいたしておりますし、それから扶養義務者の問題につきましては、どちらかと申しますと、扶養義務者が多少の高額所得者であった場合でもやはりその老人は老人として必ずしもこの収入の多いなりにその扶養義務者から扶養されておるという実態ではございませんので、多少この点につきましては扶養義務者の所得制限というものは事実上撤廃をするというふうな心組みでもってこの制度を仕組むべきだ、こういうふうな考え方でございます。それで、そういった観点から本人につきましては、いま申しましたように片や税金を財源とする福祉年金でございますので、税金を払っておられる方に税金を財源とする福祉年金というものもいささか問題でございますので、非課税限度の毎年の引き上げにつれて非課税限度までは所得制限限度を引き上げておりますが、扶養義務者につきましては、すでに御承知のように年収六百万円まで引き上げることにいたしたわけでございます。それで、これは従来の二百五十万円の所得制限でございますと、大体そのことによってはずれる率が六%あったわけでございますが、この六百万円にいたしますとはずれる率が〇・六%になります。それで、したがって事実上は所得制限の撤廃にほぼひとしいような結果になりますので、極端な高額所得者についてはやはり国民感情の上から申しましてもさらに福祉年金を差し上げるということがいかがかということを考え合わせまして、事実上所得制限の撤廃にひとしい、そしてまたかつ国民感情にも適合するというふうなことでこの六百万円というものを考えたわけでございます。したがいまして、来年度それ以降につきましても大体同じような考え方をとりたいと思っておりますが、ただ問題は、本人の所得制限につきましては、たとえばあんま、はり、きゅうの方でございますとか、そういった方がある程度税の面で大目に見られておったという方が何らかの事情で非常にシビアな税法の適用をされますとすぐ所得税がかかります。そういった場合に、所得税がかかりますと結局所得税の非課税限度を越えるというようなことで、とたんに障害福祉年金の支給がストップするというようなこと等もございましたので、それで、こういった点について何らかの改善をいたしたいと考えておりまして、それで来年の要求につきましては、まだ私どもの要求でございますから、これが実現するかどうかは将来の問題になりますが、来年度の問題といたしましては、この所得税の非課税限度ということと離れまして何らか別個の福祉年金の本人の所得制限の限度というものを考えたいというふうに思っております。
#74
○小平芳平君 先ほどの福祉年金一万円と同じように、それとは………、まあ、福祉年金一万円は全く誤報であったというならこれは別問題ですが、いまの扶養義務者所得制限は四十七年一月三十一日、社会保障制度審議会で北川年金局長が扶養者の所得制限は撤廃しますというふうに述べていたわけですが、それをいまの説明のように撤廃と同様というようなことなんだということなのか。それから同じく四十七年六月十六日、参議院社会労働委員会の附帯決議でも扶養義務者所得制限は撤廃ということが述べられているわけですが、そうすると、いまの局長の説明では両方ともこれは満足しているんだと、こういうことですか。
#75
○政府委員(横田陽吉君) ただいま申し上げましたように、実質的には撤廃にひとしく、かつ極端な高額所得者に対してまで云々という、そういった点から考えますと、むしろこのほうが実質的撤廃であり、またいろいろな角度から考えました場合に適当なやり方だというふうに考えております。それで、確かに形式論理的に申しますと、完全撤廃とは違いますけれども、まあ、このようなことを申し上げることが妥当かどうか多少問題はありますが、たとえば公務員につきまして、四十七年度の所得で六百万という線を引くわけでございますが、まあ、局長以下はいずれも六百万未満でございますので、これは大体私どもの親がおりました場合にはいずれも扶養義務者の所得制限にはひっかからない。それで、大体、四十七年度で申しますと、事務次官、この辺のクラスになってやっと所得制限の限度にひっかかる、こういうふうなことでございます。ですから、やはりその全額が税金でございます関係上、まあ、その程度の所得制限というものはむしろあったほうが望ましいというふうな観点から、まあ、形式論理的には撤廃ではありませんけれども、実質的には撤廃にひとしく、かつ適正な考え方であると私どもは考えております。
#76
○小平芳平君 まあ、そういう御意見は、なかなかむずかしい御意見を述べられますが、形式的にはとか、実質的にはとかね。それで、そういうことは別に附帯決議にも形式的にはとか、実質的にはとか、あるいは北川年金局長の答弁にもそんなふうにはなっていなかったわけですが、まあそういう御意見だということをわかりました。
 まあ、本来は、そういう局長の述べられる国民感情、あるいは役所でみると局長までは全部入ると、事務次官くらいだという、そういう説明が一つと、それからもう一つは、やはり核家族化といいますか、自分のお金として入るお金がほしいという、そういう一面があるわけでしょう。そういう点もお忘れないようにひとつしていただきたいと思います。
 それで時間の関係で私は次に、もう一つの問題で終わりたいと思いますが、スライド制につきましてですね。それで、このスライド制につきましても、まあいままではなかったことですから、それが新しくできるということについては評価されておると思います。ただ問題は、はたして消費者物価でいくならば、五%というのはどういうことなのかですね。むしろ外国の例のように三%くらいが妥当じゃないかという意見も十分あるわけです。とともに、また特にこの厚生年金等については賃金にスライドすべきであるという、そういう強い主張もあるということも十分御存じだと思います。その二点についていかがですか。
#77
○政府委員(横田陽吉君) まず第一の自動的なスライド制を発動する場合の要件といたしましての消費者物価指数の上がりぐあいが何%ぐらいがよろしいかという問題でございますが、まあ、この点につきましては、実は私どものほうの社会保険審議会で、これは四十四年の三月に答申を出しておりまして、そこで五%が適当であると、こういうふうなことがまずうたわれております。それからもう一つは、この制度を考えました際に、過去何年間かの物価騰貴というものをいろいろ計算いたしてみますと、やはり五%以上騰貴いたします場合は、実質価値の維持という点から特段の考慮をすべきような状態であるというふうな過去の実績もございましたので、それで五%という数字をとったわけであります。それから問題は、賃金をスケールにするか、消費者物価をスケールにするかという、そのものさしのとり方の問題でございますが、この点につきましては、簡単に申しますと、厚生年金は御承知のように千差万別の企業が対象でございますので、この賃金の上がりぐあい等もいろいろ職種、業種あるいは企業によって異なりますし、さらにまた、国民年金につきましても同じようなスライド制導入の必要がございますので、そうなってまいりますと、国民年金は農民ないし自営業者でございますので、労働者の賃金というものをそのままスライドのスケールにとることがいかがかという問題等もございますので、それで自動的にスライドする場合のものさしといたしましては、消費者物価をとったわけでございます。で、ただ問題は、少なくとも五年に一回の全面的な年金額その他の改定の時期には、賃金もあるいはまた広く生活水準もそういったものもあらゆる要素を勘案いたしまして、まあ、その時点で最も適当な年金額の改定をはかるという、いわゆる政策スライドの余地というものは法律上も残してございますので、それと相まって消費者物価をものさしとする自動スライド制が適当なものだという判断に立ったわけでございます。
#78
○小平芳平君 まあ、局長の説明は適当なものという説明しか出ないと思いますが、大臣ですね、この五%の消費者物価騰貴というものは非常にきびしいですね、庶民にとっては。特にこの年金生活者にとっての消費者物価五%上昇というのは非常にきびしいのが現実だという点が一つと、それから政策スライドについてもいま触れられましたが、それも五年に一回をもっと短縮するとか、何らかの方法を考えていかなければ、まあ、いろいろな点で、いろいろなケースで指摘いたしましたけれども、やはりこの年金生活者が非常に苦しい立場に追い込まれるということが指摘されております。したがって、この点についての御見解を伺いたい。
#79
○国務大臣(齋藤邦吉君) 物価スライドについて五%というのを設けておるわけでございますが、これは何%がいいか、まあ、いろいろ意見のあるところだと私も思います。しかしまあ、私どもの考えましたのは、昭和四十四年の答申等もございましたので、まあ、五%ということをしたわけでございますが、将来十分私どももこの法律施行にあたりまして、いろんなそういう問題も含めて、今後の改正までに十分検討さしていただきたいと思います。
 それからもう一つの問題は、五年に一回の政策改定というお尋ねでございますが、私どもは法律的にはまあ、五年以内と、こうなっておりますが、五年ごとに、五年たたなければやらないと、こんな考えは全然持っておりません。いなむしろ、最近のように非常に賃金上昇が激しく、消費者物価の上昇も非常に激しい、経済の非常に大きな変動期でございますから、こういうとき、まあ、特に私はこれを早めていくという考えを実は持っておるわけでございます。これはまあ、衆議院においてもお答えをしたのでございますが、今度の改正は実は四年目にやっておるわけでございます。四年目の大改正でございます。しかも今日までの四年というのは、今日のような変動の激しくないある程度時期であったと思います。ですら、これだけの大政策改定をやるわけでございますから、率直に言わしていただきますと、私は四年待たないで、まあ、三年程度に、今後、この法律成立後三年後くらいにやはり思い切った政策改定をやるべきじゃないかと、こういうふうに考えております。したがって、法律に五年以内ということがありますから五年までは絶対やらぬのだという考えじゃなくて、いなむしろ経済状況の激しい推移とにらみ合わせながら、できるだけ早めて改定をし、そして物価スライドをとりながらも、そうしたときには、労働者の賃金なりそういう動向等を十分頭に描いて政策改定をやっていきたい、私は率直に言ってそういう考えを実は持っておるわけでございます。
#80
○小平芳平君 大臣のいまの御答弁に期待をいたしております。で、年金を中心に大まかな質問をしてまいりましたが、午前中の時間もこれで過ぎますので、これでもって年金についての質問を終わらせていただきます。
 その他の問題は、また後の機会に譲らしていただきたいと思います。
#81
○理事(須原昭二君) 両案に対する質疑は、午前中はこの程度にとどめます。
 午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十分開会
#82
○委員長(大橋和孝君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#83
○中沢伊登子君 年金の問題について質問を申し上げる前に、一般的な問題について一、二御質問を申し上げたいと思います。
 それは私が再三委員会や本会議で御質問をしておることが、あるいは重複するかもしれませんけれども、老人問題はあらためて述べるまでもなく、わが国が直面している最大の深刻な社会問題でございます。その原因は人口構成自体の老齢化、核家族化の進行などや、あるいは社会情勢の変化によってでもありましょうけれども、より根本的には、自民党政府がそうした変化に対応した老人福祉政策を推進してこなかったというところに、一つの原因があろうかと思います。しかし、政府は国民の激しい世論にやっと重い腰を浮かし始めたが、年金改正に見られるように、依然形だけを整えようとする姿勢は変わっていないように思われます。年金問題に触れる前に次の点について政府の姿勢をお伺いをしたいと思います。
 そのまず第一は、老人養護ホームの問題であります。現在、社会福祉施設五カ年計画のもとに、希望者全員を入所させるべく増設されております。この目標自体問題はありますが、ここではその問題には触れないことにいたしておきますが、施設で働く職員の問題に触れてぜひ伺っておきたいと思います。施設があっても真心のこもった看護体制が確立していなければ、真の老人対策とは言えません。しかし、現実には老人福祉施設の専従職員が占める割合はわずかに八・七%にすぎません。このために満足に、親身になって世話をするには職員たちが身を粉にして働かなければならない。こうした職員の善意にたよっているのが現状であるように思います。これは何も老人施設だけではなくて、他の社会福祉施設でも同様でございます。この問題については、再三再四ここでも御質問申し上げ、また他の委員からもいろいろ質問をされたところでございますが、最近では職員の約六〇%の人が腰痛で職務につけないために閉鎖せざるを得ないほど状況が悪化してまいっております。私はわが国の社会保障が、こうした人的の面で崩壊するのではないかとたいへんおそれているものでございます。そこで私は、社会福祉施設の職員が、安心して職務に専念できるように、地位やあるいは待遇改善を法に基づいて対策が進められるような立法措置を行なうべきだと思いますが、この点についてお伺いをいたします。
#84
○国務大臣(齋藤邦吉君) 老人養護ホームのみならず、各種社会施設におきましては、あたたかい介護の手を差し伸べるような看護婦なり、その他の職員を充足するということの必要であることは、お述べになりましたとおりであります。特にいろんな施設を考えてみますと、重症心身障害児の施設などにおきましては、現在の基準としては一・五人に対して一人という基準で、看護婦の配置をしておるわけでございますが、最近特に重度心身障害児につきましては、相当年齢も高くなり、体重も重い子供も多いというふうな事態もありまして、非常に腰痛を訴えられる職員が多くなりましたことは、まことに遺憾とするところでございます。この問題につきましては、先般来社会労働委員会において種々御批判をいただき、御指摘をいただきましたので、さしあたりの応急措置として、これが改善をはかろうということにいたしまして、特に体重の重い子供が相当部分入っておる施設につきましては一・五対一を一対一ということで、さしあたり応急的な措置を講じてまいったわけでございます。
 なお、そのほかの施設につきましても、これに類するいろんな事例が見られておるわけでございまして、私どもは今後とも重症心身障害児の全員収容の方針、さらにまた老人養護ホームにつきましても、すでにできておりまする五カ年計画に基づきまして、その施設の整備をはかってまいるわけでございますが、やはり基本は職員の充足、マンパワーが基本であると思います。何とかこの問題を解決することが、厚生省の当面の最大の任務と心得ておるわけでございまして、それがためには、職員の養成をできるだけ多くするということと同時に、より基本的には、その処遇の改善をはかることが基本であると考えておるわけでございまして、先般看護婦につきましては、人事院の勧告が一部出たわけでございますが、追ってまた第二次の勧告も出すということも承っておるわけでございます。そこで看護婦の処遇とにらみ合わせながら、これらの社会福祉施設に従事しておりまする職員の待遇改善については、全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 看護婦その他の養成計画につきましては、たびたび申し上げておりまする社会福祉長期五カ年計画に基づきまして、このマンパワーの養成確保ということを最重点に置いておるわけでございまして、最終的な計数に基づく計画はできておりませんが、私どもとしては、この点に最重点を置いて質量両面にわたる処遇の改善に努力をいたす考えでございます。
#85
○中沢伊登子君 第二は、老人憲章の制定について提案をしたいのでございます。私ども民社党では、三年ほど前に老人憲章をつくったことがございますが、老人問題は社会全体で取り組んでいかなければなりません。そのためにすべての国民が老人に対する正しい観念を確立し、すべての老人が社会の先駆者として敬愛され重んじられ、幸福な生活を営むことができるようにしようというのが、その趣旨でございます。この憲章を実現する方針が厚生省におありになりますか、政府におありになりますか、御答弁をいただきたいと思います。
#86
○国務大臣(齋藤邦吉君) 老人に対して深い敬意を表しながら、安心した生活ができるようにするということは、すべての国民の願いとするところでございます。そういう意味におきまして、老人憲章の提案されておることも、私十分承知いたしております。いま直ちにこの老人憲章をつくるかどうかということにつきましては、確たる御返事はできませんが、老人問題が非常に深刻な現時点におきましては、十分各方面の御意見も承りまして、十分検討さしていただきたいと、かように考えておる次第でございます。
#87
○中沢伊登子君 それはぜひ早急に考えていただいて、老人憲章をつくるようにしていただきたいと思います。それは児童憲章がございますね、このごろいろんな都市でも都市の住民に対する憲章というものがつくられております。消費者におきましても消費者憲章、こういうようなものが盛んに最近はつくられてまいる時期でございますから、特に老人憲章を早急につくられますように希望をいたしておきます。
 それでは、ただいま審議中の厚生年金保険法等の改正案に質問を移してまいります。
 まず、給付水準についてお尋ねをいたしますが、すでに政府の五万円年金がまぼろしの五万円年金であるということは、何人もの、またいろいろな方々から幾度となく指摘をされてまいりました。私は労働者の声を代表して重ねてお訴えをするのですが、どうして二十年加入で五万円にしないのか、その点からお伺いをしたいと思います。
#88
○政府委員(横田陽吉君) 年金の水準の問題でございますが、厚生年金の場合には、改正時点におきまして標準的な被保険者期間を持っており、かつ標準的な報酬を受けておられる方について幾ばくの年金であるか、これが年金の水準の問題であろうと思います。そのような観点から考えますと、改正時点の昭和四十八年十一月におきまして予想される受給者の平均的な被保険者期間は二十七年でございますので、その二十七年の被保険者期間を持っておられ、かつ標準的な報酬を得ておられる方につきましての年金水準をもって年金水準といたしたわけでございます。で、この点につきましては、やはりその年金制度の歴史と申しますか、そういったものによっていろいろ差異があるわけでございまして、したがいまして、国際水準としてよく引用されますILOの条約等につきましても、御承知のように、大体被保険者期間というものは三十年ということでもって一応の年金水準を表示いたしております。それで、法律上は確かに二十年でもって年金がつきますけれども、やはり現段階で厚生年金がどの程度の成熟段階にあるかということ、具体的に発生する被保険者なるものの平均的な被保険者期間は何年であるか。そういったことに着目して年金水準を定めませんと、いずれ相当あとあとになりまして、平均的な被保険者期間が非常に延びてくるということになりますと、たとえば現在二十年でもって水準を設定いたしました場合に、なかなかその年金の制度が財政的に円滑に回らないというような問題等も必ず出てまいりますので、やはり今回は平均的な被保険者期間でございます二十七年というものを基礎にいたしましてその水準を設定したわけでございます。
#89
○中沢伊登子君 それでは、少しでも五万円年金に近づける修正をなぜ考えられないのか。自民党の修正案では定額部分を千円にしましたね。それ以上の上積みを政府が講ずればいいのではないかと思いますが、その点いかがですか。
#90
○政府委員(横田陽吉君) この年金の問題につきまして、やはり一番大事なことは、公的年金はすべてでございますが、これはいわゆる永久保険でございます。したがって、永久に受給者に対しましてある適正な水準の年金給付が行なわれるような財政設計がなされませんと、非常に問題が起こるわけでございます。その場合、私ども日本の年金制度を改善いたします際に一番考えなければならないことといたしておりますのは、現在は厚生年金について申しますと、退職年金の受給者は被保険者に対しまして、割合で申しますと、三・六%、非常に低いわけでございます。これがある程度の期間がたってまいりますと、大体成熟段階に達しております西欧先進諸国と同じように、受給者の被保険者に対する割合が三〇%近い、そういう段階になるわけでございますので、そういった段階を早晩迎えなければならないことがきわめてはっきりいたしておりますので、長期的視野に立ちまして年金財政を設計いたしますと、やはり適正な水準というものは、その時点における平均的な被保険者期間を持っておられる方について設定すべきでございまして、この点を高くきめ過ぎたり、あるいは低くきめ過ぎたりということになりますと、年金財政としては思わしくない結果をいずれ将来もたらすと、こういうことでございます。したがって、今回のこの水準の問題につきましては、御承知のように、社会保険審議会におきまして、従来のような何万円年金という考え方ではございませんで、平均標準報酬の六割というものを年金水準としては適正なものと認めると、こういう答申でございまして、私どももこの答申を受けていろいろ検討いたしました結果、適正な水準なりと考えまして、その水準が標準的な被保険者期間である二十七年の方について実現するような、そのような制度設計をいたしたわけです。
 ただ問題は、ただいま御指摘のように、衆議院段階におきまして定額部分について多少の底上げがございましたので、その意味では六割水準を多少上回ることはございます。
#91
○中沢伊登子君 それでは妻の加給金でございますけれども、政府の改正案では二千四百円に引き上げられておりますね。その二千四百円の算定根拠は何ですか。
#92
○政府委員(横田陽吉君) 妻の加給につきましては、従来から大体勤労者の扶養手当というものと同じような考え方をいたしてきております。具体的に申しますと、その年におきまして、民間の給与実態の調査に基づいて設定されます公務員給与の改善の際に採用されます妻の扶養手当の金額を採用するのが適当であるというふうな観点から、今回も四十七年度の給与勧告に基づいて実施されました妻の扶養家族手当の二千四百円に合わせたわけでございます。
#93
○中沢伊登子君 現行の加給金制度では、サラリーマンの妻には年金権がないということになります。夫が年金を一人占めにしたために生活に困った妻がいるという話さえ聞くことがございますが、こうした矛盾をどういうふうに解決をするつもりでございますか。
#94
○政府委員(横田陽吉君) 妻の年金権の問題につきましては、いろいろな角度からいろいろな問題がございます。まず一つは、厚生年金の場合に妻を独立というふうに扱うべきかどうか。この点につきましては、厚生年金は御承知のように被用者年金でございますので、被用されていない妻を被用者である夫と同じように扱うことは非常に困難だろうと思います。したがいまして、厚生年金という制度のワクの中で考えます際には、加給年金をどうするかという問題におそらく尽きるだろうと思います。ただ問題は、わが国の年金制度の立て方が非常に独特でございまして、農民及び個人営業者である方につきましては、御承知のように国民年金制度がありまして、被用者の妻につきましては、被用者の妻である期間についても国民年金に任意加入する道が講じられております。そこで、その任意加入のほうをどのように扱うかという面から妻の年金権の確立というものを考えるべきであるという御意見もございます。言い直しますと、妻の任意加入をむしろ国民年金の制度の中で強制加入にして、そこで一つの年金権を確立したらどうかという御意見等もございます。
 ただ、そういう問題は非常に重要な問題ではございますが、実は今回改正は、すでに御承知のように、年金水準の問題と、それから年金額の価値の維持をはかりますためのスライド制の導入と、こういった二つの非常に大きなテーマを実現するということがまず先決であるという観点から、これらの問題につきましては、最終的に適当な結論は今回改正には間に合わなかったわけでございますが、たいへん重要な問題でございますので、引き続きこの点については十分の検討を加えたいという心組みでおります。
#95
○中沢伊登子君 私がこの問題について本会議で質問をしたときに、こういう質問をいたしております。いまの妻の加給金が二千四百円ですね。これに対しては、社会保険審議会では、妻の加給金は月額一万円とすべきである、こういう御意見があるはずですね。ところがこれも無視されているわけです。私どもは、いまの御答弁のようなことであれば、当然一万円にするのがほんとうである、あるいは妻に将来強制加入制度をどうしても設けなくちゃいけないんじゃないか、こういうようなことも考えているわけです。そのときに、一つ例をもって御質問をしたのは、繰り返しになりますけれども、夫婦が離婚をした場合に、その妻であった者は七十歳になるまで、老齢福祉年金以外の公的年金を受けることが不可能になりますと、こういう例を私、本会議のときに申し上げてあるわけですが、早急に妻の年金権を確立しなければ、いろいろないまの社会情勢のややこしい中で妻がたいへん苦労をいたしますので、早急に検討をしていただくか、あるいは一万円の年金を支給するように考えてもらわなければならなかろうと思います。
 それでは遺族年金について一言伺います。遺族年金は基本年金額の五〇%ですが、これについて八〇%にする考えはございませんか。
#96
○政府委員(横田陽吉君) 御指摘のように、遺族年金は、老齢年金ないし退職年金の五〇%でございます。この五〇%の水準というものは、国際的に見ました場合、あるいは生活の実態から見ました場合に、必ずしも適当な水準であるかどうかは非常に疑問がございます。
 ただ問題は、この遺族年金の扱い方というものは非常にむずかしいいろいろな要素がからんでおります。と申しますのは、日本の厚生年金制度の場合には、遺族年金を受けられる妻に年齢の制限がございません。それから子供があるかないか、こういった点も遺族年金の受給要件にはかかわりがございません。それで、しかもその厚生年金の場合は、夫の被保険者期間が六カ月以上であれば遺族年金の受給権が妻について発生をする、ある意味では、世界各国の例から見ますと、そういった被保険者期間の点、それから受給開始年齢の点、それから子のあるなしにつきまして、適当な表現かどうか問題ですが、非常に甘くなっております。したがいまして、この水準の問題について考えます場合には、やはりいろいろな国の例にございますように、相当年をとっておられるとか、あるいは子供さんが何人かおられるとか、ほんとうに生活の実態に困っておる。そういった実態に着目して給付水準を引き上げるということを考えるべきではないかということを考えておりますので、したがって、この年金の水準が五割では低過ぎるからこれを何割に上げるかという問題を結論づけます場合には、絶えず受給開始年齢とか、子供のあるなしとか、そうったことも同時に解決しなければならないというむずかしさがございます。
 それからもう一つは、私ども所管いたしておりますのは、厚生年金、国民年金、それから船員保険の年金部門でございますが、やはり非常に早くから発達しておった恩給の問題でございますとか、それを引き継ぎました公務員系統の共済年金との関係におきましても、いずれも水準は退職年金の五〇%という水準をとっておりますから、そういったものとの横並びの観念から申しましても、今回改正にはこの問題について的確な結論を出すいとまがなかったわけでございます。繰り返しになりますが、この水準の五〇%という点につきましては、いろいろな問題のからみもございますが、将来にわたっては大いに改定をしなければならない重要な問題だと存じております。
#97
○中沢伊登子君 また、遺族年金は障害年金とともに通算制度が設けられておりません。老齢年金と同様に通算制を設ける考えはありませんか。いつごろまでにそれが実現できるか見通しを聞かしてください。
#98
○政府委員(横田陽吉君) 通算の問題は、御承知のように、昭格三十六年に八つの公的年金につきまして通算措置を講ずる、そういったことになったわけでございますが、当時の考えといたしましては、老齢年金ないし退職年金につきましては、制度によっては二十年、また制度によっては二十五年、相当長期間で、その間一つの制度の適用だけを受ける場合は実際問題としては多いかも知れませんが、必ずしもそうではないということを前提に相当長期間にわたっての加入員期間を必要とする関係上、これを通算すると、こういう考え方だったわけでございます。ところが遺族年金や障害年金につきましては、先ほどのお答えのときにもちょっと申し上げましたように、厚生年金の場合には半年、それから国民年金の場合には、これは遺族年金はございませんけれども、障害年金については一年という非常に短かい加入員期間でもって受給資格が発生するということから、通算をしなければならないという実益は非常に少ないだろうというふうな観点から、これがはずれておったものと理解いたしておりますが、ただしかし、実際問題といたしましては、五カ月と何日かで不幸にして障害を受けられるとか、いろいろな問題もございますので、この問題は実は何回か大臣からもお答えをいただいておりますが、早急にこの問題の処理も、通算措置をとるかどくか、とるとしたならばどうするかという点について、早急に結論を出すように私ども検討いたしたいと思っております。
#99
○中沢伊登子君 まあ、いろいろ問題があるんでしょうけれども、あれもこれもみんな検討事項ばかりでございますね。
 そこで、今度老齢福祉年金についてお尋ねをしたいんですが、先ほど小平理事からも御質問がありましたように、老齢福祉年金が三十四年に月額一千円で始まりましたね。ことしの十月でやっと五千円になるわけですけれども、これはいかに政府の老齢者対策が貧困であるかということを示していると言わざる得ないわけです。しかも、この物価高の中で月五千円で生活しろという、これで年金だと言えるのかと思うほどでございますが、これを直ちに月額一万円に引き上げるべきだと私どもは再三主張をしているわけです。そこで、先刻の小平理事の質問に、新聞の推測というような御答弁がありましたが、田中総理は四十九年に七千五百円、五十年に一万円、こういうことを盛んに約束しておられるわけですけれども、これは田中総理であり、自民党でございますね。厚生省自身としては、即刻これを一万円に引き上げる考えはないかどうか。そして後ほどまた御質問申し上げますけれども、年金のスライド制の問題にしても物価にスライドをする、こういうお考えでございますけれども、ことしのようにこんなにものすごい物価の値上がりがありますと、この十月から五千円をいただいても、現在いただいている三千三百円と十月の五千円と比べたときに貨幣価値からいって、あるいはその五千円のほうが価値からいって低くなるんではないか、こんな感じすら覚えるわけですけれども、この点は大臣はどうお考えになりますか。
#100
○国務大臣(齋藤邦吉君) 老齢福祉年金につきましては、御提案申し上げております。法律によりまして、三千三百円から五千円に引き上げをお願いをしておるわけでございます。明年度以降におきましては、田中総理も国会においてたびたび申し上げておりますように、来年度は七千五百円、昭和五十年度に一万円、こういうふうに考えておるわけでございまして、いま直いに一万円にするという考えは持っていないことをはっきり申し上げておきたいと思うのでございます。
 先ほどもお尋ねにお答えいたしましたが、先般政府の一部に、あるいは党の一部に、来年度一万円といったふうな新聞が出ておりますが、これは推測に基づく記事であると私どもは考えておるわけでございます。さようなわけで、最近における物価なりそういう上昇の傾向がありますことは十分承知をいたしておりますので、御提案申し上げておりまする五千円を来年は七千五百円に五割アップするわけでございます。
 それから、衆議院において修正をしていただきました谷間老人に対する特別給付金も、いま三千五百円でございますが、来年度は大体これを五千五百円程度に引き上げる、こういう考えでございます。谷間老人につきましては、来年になりますと三年齢層の方々は一年齢層なくなるわけでございます。ことし六十九歳の者は来年は七十歳になりまして、七十歳になりますと七千五百円、こうなるわけでございます。残る二年齢層の方々につきましては三千五百円で据え置くという考えは全然持っていないのでございまして、来年度におきましては七十歳以上の方々がいただく七千五百円の大体七割、すなわち五千五百円に引き上げる、こういうわけでございまして、私どもは最近の状況を考えているからこそこういうふうに国民の税金、まるまる税金でありまするいろんな老齢福祉年金とか、あるいは特別谷間老人に対する給付金なり、こういうものもかならず増額さしていく、こういう方針で臨んでおるわけでございます。
#101
○中沢伊登子君 今年度から扶養義務者の所得制限が六人世帯で六百万円に緩和されましたね。同時に、本人の所得制限も大幅に緩和すべきではないかと思います。現在所得制限のために受給できない者は一体どのくらいいるか、おわかりでございましたらお知らせをいただきたいと思います。
 そこで、一切の所得制限を撤廃する意思はないか、その点もあわせてお伺いをいたします。
#102
○政府委員(横田陽吉君) 所得制限の撤廃ないし緩知の問題でございますが、一つの扶養義務者につきましては、相当収入の多い方であっても、現在の家族扶養、老人扶養の実態から申しまして、必ずしも老人が十分に扶養義務者に養なわれておらないという点を考慮いたしまして、扶養義務者の問題につきましては、実質的には所得制限が撤廃されたと同じようなことという意味合いで六百万円という金額を設定いたしたわけでございます。従来の二百五十万円でございますと、この所得制限があるために老齢福祉年金の受給がない方が六%でございますが、六百万円にすることによりましてそれが〇・六%になります。ですから、考え方といたしましては六百万円というものは相当の金額でございますので、極端な高額所得者についてまで税金を財源といたしましての福祉年金を差しあげることが国民感情の上からいっていかがかという問題もございますので、それを勘案いたしまして、実質的には所得制限の撤廃にひとしい緩知を扶養義務者についてはばかったわけでございます。
 次は、本人の問題でございますが、本人の問題につきましては、税金でもって給付をする年金でございますので、その方が税金をお払いになっておる場合にはどうもいささかその関係がむずかしいということで、所得税の非課税限度までは所得制限の限度額と上げておる。それ以上、つまり所得税をお払いになる方につきましては御遠慮いただく、こういうふうな考え方で従来からきております。ただ、問題は、実際問題といたしまして、税金がかかる、かからないという点につきましては、実は非常に微妙な問題もございまして、たとえば、あんまさんですとか、はり、きゅうの方、それで大体障害福祉年金の受給を受けておられた方が、所得税がかかるようになったとたんにそういったものも全部出なくなる。まあこういようなことではいささか問題ではないかという感じがいたしておりますので、この問題についてはまだ私どもの要求段階でございますので、将来の問題としてどのような結論になるかは別といたしまして、所得税の非課税限度にリンクさせるという考え方を何か別個の考え方に切りかえることを検討いたしておるわけでございます。ただ、今回御提案申し上げた法律に即しての制限の緩知の問題につきましては、従来どおり所得税の非課税限度が上がったなりにその限度を上げる、こういうふうなことにいたしております。
#103
○中沢伊登子君 こういう例があるんです。
 七十歳のおばあさんですけれども、そのおばあさんがある家へ手伝いに行っているわけですね。ところがその家で、あんまりおばあさんにあげる何といいますか、報酬が少な過ぎるものですから少し上げてあげようと、こうおばあさんに言ったところが頑強に拒否をされるわけです。なぜかといったら、税金がかかったら何にもなりませんからと――それで、税金がかかるほど収入があったら老齢福祉年金もらわなくてもいいじゃないのと言ったら、近所隣りの人がみんなもらうのに私だけもらえなかったらさびしいから――いまわずかにある家に行ってお掃除をしたりわずかな洗たくを手伝っていて、どうしても給料の値上げをさしてもらえない。こういうようなことがありますからね、それは大量にたくさんの税金を払われる方はまあ、遠慮してもらってもよろしいですけれども、ほんとうにささやかな税金がかかるか、かからない程度のお年寄りにはほんとうに何だか気の毒な感じがしますので、そこら辺を十分考慮をしていただきたいと要望をいたしておきます。
 それからその次に、心身障害者や生活保護世帯などの保険料の納付を免除された人たちに対する改善が全く今度はなされておりません。これも年金制度の欠陥の一つであると思いますが、現在の保険料免除期間が三分の一と評価されているためにきわめて低い給付水準にとどまっております。これを四分の三に改正する方針はございませんか。
#104
○政府委員(横田陽吉君) この免除期間に対応する保険給付の金額が三分の一であるという問題でございますが、これにつきましては、保険料を納付された方々とのつり合いの問題等もございますので、この三分の一というものを引き上げるというふうなことは考えておりません。
#105
○中沢伊登子君 これはどうしても考えられないことなのですか。
#106
○政府委員(横田陽吉君) 非常にむずかしい問題だと思います。
#107
○中沢伊登子君 それでは国民年金の障害年金でございますけれども、ほかの公的年金には一級から三級までありますね、しかし国民年金では一級と二級しかありません。障害福祉年金では一級しかありません。なぜこうした格差を放置しておくのか。ほかの公的年金と同様に三級まで設けるべきであると思いますが、改善の具体的な方針があればお示しをいただきたい。
#108
○政府委員(横田陽吉君) 障害等級の問題でございますが、これは私どもも各制度を通じまして共通の等級になるのが理想であるとは考えております。ただ問題は、被用者保険の場合と国民年金の場合に同じような考えでいけるかどうかという点については、そうは申しましてもいろいろ問題はございます。と申しますのは、被用者保険の場合には、労働能力と申しますか、そういったものの喪失の度合いというものが基本になりますし、それから国民年金のような場合には生活能力というものが基準になりますので、まあ、厳格に申しますと、労働能力の喪失の度合いと生活能力の喪失の度合いというものが必ずしも一致しないという問題はありますけれども、ただ、現在のように、相当障害等級の幅が制度によって異なっておるということは決して好ましいことだとは思っておりませんので、この点につきましては、いろいろな制度が、それぞれ従来からの沿革、それからその被用者グループにおきましてのそれぞれのニードに即応して組み立てておりますので、一挙にこれを取りくずすことはむずかしいとは思いますが、十分御意見を尊重いたしまして、検討いたしたいと思います。
 また、過去におきましても、この点につきましては、相当大がかりな研究班を組織いたしまして、これにいどんだわけでございましたけれども、その時点におきましては、最初予期したようないい結論にはなりませんで、ある意味ではから振りに近い状態に終わったこともございますので、その辺も十分踏まえまして、それからまた各制度を通じて、それから、さらに申しますと、年金の問題だけではなくて、いろいろな障害者に対する手当の問題ともつながってくる問題でございますので、十分検討し、この次の年金問題の改善の重要課題にいたしたいと思っております。
#109
○中沢伊登子君 それでは次に、保険料の引き上げについてお伺いします。
 政府案では、厚生年金が男女ともに一挙に千分の十五、国民年金が定額部分で五百五十円を九百円に大幅に引き上げをはかろうとしております。両年金の積み立て金だけで約九兆五千億と巨額に達している今日、なぜ大幅な引き上げを行なわなければならないのか。確かに将来年金受給者が急増すれば、後世代の負担の増大が心配されますが、いまは引き上げるべきではないと思います。
  〔委員長退席、理事須原昭二君着席〕
しかし、せめて引き上げ幅を縮小すべきであると、こういうような考え方のもとに、すでに厚生年金については、自民党の修正案では男が千分の十二、女子が千分の十に縮小しております。私は男女ともに同率にすべきであって、千分の十以下ぐらいにすべきだと思いますが、ほんとう言って、具体的な数字でどの程度まで縮小できるのか、お聞きをしたいと思います。これ以下はできないのかどうか。
#110
○政府委員(横田陽吉君) 先ほども申し上げましたように、厚生年金についてまず申し上げますと、厚生年金の成熟期、つまり受給者の被保険者に対する割合というものが一定の状態で横ばいになるような、そういった時期のことでございますが、それは大体昭和八十五年から昭和九十年のその間、あるいは八十五年のちょっとあとぐらいの時期だと思いますが、ただ、その辺になりますと、今回御提案申し上げておりますような給付水準を、その時点におきましてもその給付水準の実質価値を維持するというふうなことを考えますと、先ほど申し上げましたように、受給者は被保険者の大体三割程度になりますので、それで金額的に申しますと、単年度の給付総額が百三十八兆円程度になります。で、百三十八兆円程度の保険給付を単年度まかなわなければならないという、こういった年金財政というものは、非常に何といいますか、一歩運営を誤りますと全くの危機におちいってしまう、こういうことでございますので、それで私どもはそういった成熟期になりましてから以降、大体単年度の給付総額の三年分程度は積み立て金と申しますか、あるいは準備金と申したほうがよろしいですか、その辺のことばの使い方はいろいろ問題ございますけれども、そういったものは持っていないと、たいへんにその年金財政の運営としては問題である、こういうふうなことを考えております。
  〔理事須原昭二君退席、委員長着席〕
 それで、そういった成熟期におきましての年金財政のバランスのとり方を前提といたしまして、それで現在から将来にわたってどういうふうな保険料の徴収のしかたをしていくかというのは、長期にわたっての年金財政の設計でございます。そういった点から考えました場合に、いわゆる必要な保険料率というものを最初から満額とるのが一番安全な方法でございますけれども、従来から厚生年金の場合につきましては、大体その七割程度を保険料として徴収している、あとの残りの三割程度、いわゆる修正部分相当額と申しますか、そういったものは各年度にできるだけ公平になるように割り振った、そういった保険料の段階的な引き上げというものを考えておるわけでございます。
 それで、そういたしました場合に、四十八年度は御承知のように、年金の水準につきましては、平均的に見ますと二・二倍、それから多い方につきましては二・五倍の年金額の大幅な引き上げをすると同時に、これに対してスライドを掛けてまいるわけでございますから、したがってこの保険財政の設計のしかたにつきましては、従来のように一万円年金でございますとか、二万円年金でございますとか、そうきまりますと、次の政策改定の時期まではその金額が全く動かないという、いわゆる動かない年金とは違いまして、相当その給付面については動態的にこれが大きく引き上がってまいります。したがって、最初のステップを千分の幾らにするかという問題、それからあとの引き上げの幅の階段の高さをどうするかという問題は、従来以上に増して、非常に年金財政の設計のしかたとしてはむずかしい局面に当たっておるわけでございます。したがって私どもは、御提案申し上げておりましたこの千分の十五の引き上げはどうしてもお願いしたかったわけでございますが、国会――衆議院の御意思でこれが十二になりましたので、その分の千分の三というものは、この成熟期に至りますまでの間のいずれかの時期において、保険料の徴収としてはこれはリカバーしなければならない問題だと考えております。したがってさらにこれを引き下げるという点については、これはなかなかリカバーのしかたもそれなりに困難になってまいりますので、私どもとしては御修正いただいた点は何とかそのリカバーの財政設計をつくり直しますが、これ以上の修正ということは何とかごかんべん願いたいと思っております。
#111
○中沢伊登子君 先ほど来、そしてまた、いままでの衆議院の質疑の中で、積み立て方式をやめて賦課方式にしろという意見が再三出たと思います。当面、積み立て方式を維持していこうとするならば、積み立て金の貸し付け先から返済された状況も、その後の運用も、不明確な状態を改めるために、被保険者を中心とする運用審議会を設けるべきだと思いますが、この点はいかがですか。
 そしてまた、賦課方式ならば、そのときの生活保障のために必要な給付が維持できますが、積み立て方式では無理なので、政府案では物価スライドを導入したわけでございますね。これではインフレによる価値減価を救済するだけで、生活水準の向上にはならないではありませんか。そこで、物価スライドではなく、賃金スライドにすべきであるという意見も再三お聞きをしておりますが、そこで、確かに政策スライドとして五年ごとの財政再計算期が設けられておりますが、今日の社会変動は実に激化しておりますから、先ほども小平先生から御質問がありましたように、五年ごとではだめだ、これを何年ごとかに改めなければならないのではないかという御意見もございました。もしも政府が経済見通しを誤って年間に六%も七%も物価が上昇したときは一体どのような処置をとられるのか。五%の差は政府が当然見るべきだと思いますが、その点はどう考えていらっしゃいますか。
#112
○政府委員(横田陽吉君) まず、この積み立て金の管理運用の問題につきまして、被保険者の入った機関をつくってそこでやるべきであるという御意見でございますが、現在は御承知のように資金運用部に預託いたしまして、それで運用は資金運用部に一切まかせておるわけでございます。ただ問題は零細な被保険者なり事業主からの拠出金でもって構成された積み立て金でございますから、これが全く被保険者なり事業主の福祉に関係のない分野にただ単なる国家資金として運用されるということは非常に問題でございますので、したがって、被保険者なり事業主の福祉というものに非常に密接な関連のある分野にできるだけ集中的にこの積み立て金は運用すべきであると、こういうことでございまして、よく御答弁の際申し上げるわけでございますが、いろいろ病院でございますとか、療養所でございますとか、そういった資金の運用区分上の分類によるいわゆる「(1)〜(6)」分類というものに八五%は運用すると、そういうふうなことに従来からいたしておりますと同時に、被保険者に対する直接的な福祉還元の問題といたしまして、いわゆる還元融資というものを行なっております。それで、これは従来のルールから申しますと、当該年度において純粋にふえました預託金の増加額の四分の一をこれに充てるということで保育所でございますとか、老人ホームでございますとか、そういったものの財源にこれを使っておりましたが、四十八年度からはこれを三分の一に引き上げております。それで正確な数字はいまちょっとすぐ出ませんですが、四十七年度の還元融資の金額が三千数百億でございましたが、それで三分の一に引き上げることによりまして、五千七百億円程度に相当大幅にふやしております。
 それから、運用全般の問題につきましては、資金運用部に資金運用審議会というのがございまして、そこの委員は七名の委員でもって組織されておりますが、その中にはこちらの社会保険審議会の委員の方でございますとか、あるいは国民年金審議会の委員の方がそちらの審議会の委員にも入っていただくというようなことで、実際の構成から申しますと、特に今回改選にあたってなおそういう色彩を強めたのでございますが、この年金サイドの意向が十分に反映するような、そういった人的構成になっておりますし、また役所サイドでは私がその専門委員に入って、いろいろその運用の問題については意見を述べるようなしかけにもなっております。ただ、問題はそれだけではなくて、被保険者の福祉のためにどうするこうするという問題について、さらに御意向が十分に反映するような仕組みを厚生省部内で考えるべきであるという大臣の御意図もございますので、それらの点について、さらにどのようなしかけのものをつくって意向反映の道を講ずるか、目下検討いたしております。
 それからもう一つは、スライド問題にからみまして、財政方式の問題を御指摘いただいたわけでございますが、実は賦課方式にしないから物価スライドにとどまった、こういうことを、ままそういった御意見を承りますが、決してそういうことはないわけでございます。物価スライドにいたしましたのは、要するに、厚生年金、国民年金を通じてのスライド制ということになりますと、単純に賃金というものをとることにも非常に問題がございますし、それからまた、厚生年金の制度の中だけを考えましても、大企業と中小企業との間では賃金のはね上がり方が非常に違うとか、あるいはまた業種、職種によって非常にその差があり過ぎるとか、いろいろな問題がございますので、それからもう一つは先ほどもちょっと申しましたように初めて動く年金制度を導入するわけでございますので、少なくとも実質的な価値の目減りだけは十分に防ぐような方式を講じなくてはならない。しかもそれが一々法律をつくって云々ということであったんではタイムリーにそれが行なわれないというようなことから、自動的に実質価値が維持されるようなそういった方式をとるということにいたしましたので、それらの点を考えますとやはり物価スライドというふうなやり方以上にはなかなか出られないということでございます。ただ、先ほど先生の御指摘にもございましたように、いわゆる財政再計算期というものが少なくとも五年に一回はなされなければならないと法律に明定してございますし、そういった機会に全面的な政策改定を年金給付水準について行なっておることは過去の例に徴しても明らかでございますので、したがって、それはそれとして将来とも行なう。それから先ほど大臣の御答弁にもございましたように、相当賃金なり生活水準の変動が激しいような場合には、法律的には少なくとも五年に一回の財政再計算期に際して政策改定を行なうということでございますが、これをある程度繰り上げるということも実際問題としてはあり得るというようなことでございます。
 それからもう一つは、物価スライドの際に、消費者物価の上がり方が、この御提案申し上げております法律では、前年度におきまして五%以上がった場合には、その上がった分だけスライドアップをするようなしかけになっておりますが、これが相当五%を上回って大幅に消費者物価が上がった場合に、それを一体どのような方法でもって償却をするか。要するに、問題は保険料で全部それをカバーするのか、あるいは何らかの、インフレ政府責任論ということばもあるようでございますが、そういった観点からある程度の国のてこ入れもするのかどうかという問題、この点につきましては今回の改正の際にはそういったスライド財源というものは保険料でもってカバーをするという考え方をとっております。ただしかし、そうは申しましてもそのことによって給付金額が上がりますと厚生年金につきましては二割の国庫負担がございますから、したがって、上がった分だけその二割の金額が実質的には引き上がってくるということはございますが、ただ問題は、スライド財源そのものを国庫負担でもってどうするこうするという問題の一つといたしまして、いま御指摘のような五%を相当上回った場合は、少なくともその上回った分だけは何とか考慮すべきではないか、これは非常に貴重な御意見だと思いますので、私どもも十分その御意見を承りまして、具体的にスライドをいたします際には検討いたしたいと思いますが、それで、御提案申し上げておりますこの法律の内容から申しますと、実は、そういった問題をあまり強く意識はしておりませんで、スライド財源は保険料で償却をする、こういったたてまえをとっているということも合わせて御報告申し上げておきます。
#113
○中沢伊登子君 それでは次に、五人未満の事業所の従業員の厚生年金適用について一言お伺いをいたします。
 五人未満の事業所の人々に対する厚生年金保険の適用については、衆議院の社会労働委員会の会議録を見ますと、昭和四十八年六月二十一日の委員会では八木一男委員の質問に対して、年金局長の答弁によりますと、これから検討するとか、実態調査を行なうとかというような御答弁が出ておりますけれども、もうそういうような状態ではなくて、もうとっくに実態調査が行なわれていなければならなかったのではないかと思いますが、いかがですか。
#114
○政府委員(出原孝夫君) 五人未満の事業所の厚生年金の適用に関しましては、先生もよく御承知のように、医療保険等のからみも実は出ておるわけでございます。それから五人未満事業所そのものの性格といたしまして、事業所自体ができ上がったり消えたりする、変動することが多い性質のものでございます。それから従業員の移動がまた非常に激しい性質のものでございます。それから厚生年金の適用をいたします場合に、標準報酬をきめる必要が出てまいるわけでございますけれども、これも賃金の実態が五人未満の事業所になりますとまた現実非常に把握のむずかしい状態にあるわけでございます。これらのことにつきましては、私ども部分的には把握をしているわけでございますけれども、総合的になお把握をすることができない状態であったわけでございますが、今年度、この秋に社会保険庁といたしまして、こういった実態を把握いたしまして何らかの見通しを得たいというように考えておるわけでございます。
#115
○中沢伊登子君 昭和四十四年の法律改正によって、本文の附則第二条の二の規定によって五人未満の事業所の実態調査を行なうことになっております。四年もそれから経過をしているわけですけれども、今日においてもなおこの秋に調査をする、こういうことになっておるようでございますけれども、もしも実態調査が出ていないとすれば、これは行政府の怠慢だと言われてもいたしかたがないのではないかと思います。「すみやかに、必要な措置を講ずるものとする。」という法律を忠実に執行していないという行政責任は免れないと思います。そこで「他の社会保険制度との関連も考慮しつつ、」というのは一体どのように解釈をしているんですか。失業保険とか労災保険がもうすでに五人未満に対して漸次適用拡大をした時期でありますのに、その点いかがです。
#116
○政府委員(出原孝夫君) 失業保険、労災等の関係につきましては、先生の御指摘のとおりでございますが、実は、午前中も年金局長が御説明を申し上げましたように、厚生年金及び私ども厚生省で関係しております健康保険の制度につきましては、国民年金あるいは国民健康保険と実は裏表になっておるわけでございます。したがいまして、片一方のほうで強制適用にいたしますときには、国民年金のほうを強制適用から除外するといったような作業が出てまいるわけでございます。こういった面での複雑な実は面がございますので、確かに四十四年のこの附則の第二条の二で入れられましたことにつきまして四十八年というのは私どもも非常に時間的に長くかかったことは申しわけないと思っておるわけでございますが、こういった事情を勘案しつつ、かつ医療保険制度の進展を見ながら私どももその準備にかかってきておりましたので、ようやくことしそういった実態調査が可能になってきた状況でございますので、事情、御理解を願えたらと存じます。
#117
○中沢伊登子君 それでは、最後に厚生年金基金の免除保険料率に関する問題について御質問を申し上げます。
 今回の法律改正によって基金の免除料率がそのまま据え置かれる場合は、基金は財政上危殆に瀕します。このことは単に一部の基金のみにかかわる問題ではなくて、厚生年金基金加入員五百万人を守る会ができて免除料率の引き上げを要望したように、基金制度を持っているすべての基金にかかわる問題でございます。
 そこで、昭和四十年の法律改正によって昭和四十一年に基金制度が創設され、免除料率が定められました。四十四年の法律改正で掛け金率が千分の七に引き上げられた際に、同時に基金の免除料率も千分の二引き上げられました。四十六年の法律改正では掛け金率が千分の二引き上げられた際は基金の免除料率はそのまま据え置かれました。そして今回、四十八年の改正で掛け金率が千分の十五、これは政府原案でございます。引き上げられるのに、基金の免除料率は政府原案ではなお据え置かれることになっております。今回も免除料率が据え置かれることになりますと、四十四年以降、次回の法改正まで九年間基金の免除料率は据え置かれることになります。基金の財政方式は完全積み立て方式でありますから、これでは基金の財政が持つはずはありません。この点をひとつお伺いをしておきたいと思います。
 なお引き続いて二、三詳しい御質問を申し上げたいと思います。
#118
○政府委員(横田陽吉君) 基金の免除料率の問題でございますが、制度の仕組みについてはすでに十分御承知だと思いますので、簡単に申し上げますと、今回、厚生年金の給付水準、それから保険料率を改定いたします際に、厚生年金の代行部分相当の給付に必要ないわゆる免除料率というものが計算上どのようになるかということを十分に慎重に計算をいたしたわけでございますが、その結果、男子千分の二十六、女子千分の二十二という、免除料率の範囲内でおさまるという、そういった計算結果になりましたので、したがって、非常にあっさりしたことを申し上げて恐縮でございますが、免除料率の改定は必要はないと、こういうふうな結論を出しました。
#119
○中沢伊登子君 最近たいへん国民の寿命も延びておりますし、それから年金加入者の脱退率、これも加入年齢等々にその算定の基礎を持っておりまして、こういうのも問題が残っております。それから就職をしてこられる方、つまり年金の加入員の年齢も高くなってきております。それは進学率の向上によって就業年齢が高年齢化をしてまいっております。あるいはまた、産業構造の変化による第一次産業から第二次産業あるいは第三次産業へと転出してまいりますが、そうなりますと厚生年金へ新たに加入する人の年齢はほんとうに高くなってきているわけでございます。その他、労働市場の逼迫による臨時工あるいは季節工の急増――この急増というのは臨時工や季節工は中高年の比重が非常に高くなっております。それらの人が新たに厚年に加入することになるわけですが、厚生年金加入員の高齢化は厚年の積み立て金の据え置き期間が短かくなりますね。従来に比べて基金財政にとってはこれは大きな負担増となっていることは御承知だと思います。こういうようないろいろの変動によって、年金の基金の財政は相当逼迫をしてきてまいっております。それはいま局長がそのようなことはないと、このように言っておりますけれども、しかしいま申し上げたようないろんな理由によって、事実これは逼迫しているわけです。その辺もう一ぺん御答弁をいただきたいと思います。
#120
○政府委員(横田陽吉君) 免除料率の再計算の問題につきましては、ただいま先生御指摘の加入年齢の問題でございますとか、死亡率、脱退率、そういったいろいろないわゆる保険数理上の基礎率の変動はすべて織り込みまして再計算をいたしたわけでございます。それでその結果、今回改正にあたりましては、大体千分の二十六、千分の二十二以内におさまると、そういう結論になりましたのでそのようにいたしたわけでございます。
 ただ、将来の問題といたしましては、今回改正にあたりましては、御承知のように、基金そのものが完全積み立て方式でやっておるわけでございます。この完全積み立て方式を維持する点につきましては、厚生年金本体のほうと違いまして、強制設立、強制加入というたてまえではございませんので、後代負担が著しく高くなったりいたしますとその時点において基金の解散問題等が出てきたりいたしますので、とにかく完全積み立てで、積み立て金の範囲内でまかなえるようなという、そういった仕組みというものはこれはこわせないと思います。ですから、完全積み立ての範囲内でいろいろな事業を行なっていただくという際に一番問題になります点は、先ほどのお答えの際にも申し上げましたように、いわゆる年金のスライドなりあるいは標準報酬の再評価によりましてのこの年金額の政策改定の問題でございます。したがって、それらの点につきましては、スライドによって引き上がる部分ないしは再評価によって直ちに年金額が引き上がる部分、それにつきましては厚生年金の本体のほうでこれを支給するというたてまえをとっておりますので、その意味合いから申しましても、この基金の免除料率につきましては現在の料率を変更する必要はないと、こういうふうな結論になっております。
#121
○中沢伊登子君 それを詳しく書いた資料というものが政府のほうにございますか。
#122
○政府委員(横田陽吉君) これは非常にこまごました数理計算の問題等でございますので、御希望のような資料がすぐ出るかどうかでございますが、十分検討いたしましてお知らせいたしたいと思います。
#123
○中沢伊登子君 私の聞いた範囲では、そしてまた調べた範囲では政府にはそのような資料はないように聞いております。そこでぜひとも資料があるのならば出していただきたいと思いますが、せっかくこの基金というものを昭和四十一年に制度を設けられたわけですね。だからこれが財政的にパンクをしてこれがこのままにもうだめになってしまうということは、せっかく育てながらこわしてしまうということは、これは私、筋が通らないと思います。これをぜひとも守っていくためには基金制度の財政を補てんしていかなければならないと思います。
 そこで、免除保険料率の千分の二十六、これでよいという理由の根拠、これを明らかにしていただきたい。これはいまの資料と関係がございますけれども、おわかりでございましたらおっしゃっていただきたい。
#124
○政府委員(横田陽吉君) 先ほど来申し上げておりますように、厚生年金の代行部分に相当する保険料率が幾らであるか、で、厚生年金本体につきましてそういう計算をいたすわけでございます。その結果、この代行部分に相当する保険料率というものが免除料率の現在の千分の二十六、女子については千分の二十二、この中におさまるということになりましたので、したがって免除料率を変えることはいたさなかったわけでございます。基本はそういうことでございます。
 ただ問題は、さっきも申し上げましたように、スライドしたり再評価したりすることによって給付額が引き上がる部分、それをしも基金に代行させるかどうか、この問題がございますが、これはさっき申し上げましたように、基金というものの性格が、設立について任意であり、加入について強制されないと、そういった問題がございますので、完全積み立て方式でございませんと成り立たないわけでございます。まあ、そういった点から考えました場合に、スライドなり再評価なりによって引き上がる部分が基金から支給される保険給付ということになりますと、財政が持たないので、それはまた元へかえって本体のほうで支給する、こういうことをいたしておりますから、スライドなり再評価によって免除料率がさらに引き上がる、こういう懸念もないわけでございます。それから一部の基金につきまして、個々の基金サイドでいろいろな計算をいたしました際に、当初の想定と、現在の計算とが多少食い違うという問題が出ておることは承知いたしております。ただ、この問題は、実を申しますと、四十一年に発足いたしました際に、いろいろな基礎率のとり方等について多少ずさんな点もあったとか、いろいろそういった個別的な事情がございます。それから構造的な問題といたしましては、非常に高齢者が多い一部の基金につきましては多少苦しいという、そういった問題はもちろん出ております。そういった個別のケースについて全く皆無であるとは申しませんけれども、しかし免除料率自体をこの際改定しなければならないほどの問題はないというふうな判断をいたしまして、今回は免除料率の変更は必要はないという結論を持っております。
#125
○中沢伊登子君 それでは、厚生年金基金の財投協力のいままでの経過と現状はどうなっているか、お示しをいただきたい。
#126
○政府委員(横田陽吉君) 厚生年金基金のいわゆる財投協力の問題でございますが、厚生年金基金は、先ほど申し上げましたように、完全積み立てでもってできるだけ積み立て金の運用が有利に行なわれるということが第一でございます。それからもう一つは、有利性と同時に、確実であるという点がやはり要請されるわけでございます。まあ、そういった点から、この基金の運営につきましては、信託会社、生命保険会社に限って預託を認めるということと、同時に、この積み立て金の中で、ある程度の部分は政府保証債の購入というふうな安全なものに資金の運用を集中をする、こういうふうな考え方をとっておりまして、たてまえといたしましては、三分の一は政府保証債の購入、これがいわゆる財投協力というふうにいわれている問題でございますが、そういったことをやっております。そういったことをやることによりまして、現在そういった政府保証債の購入に回っております金額は、四十六年度末で六百六十四億円に相なっております。
#127
○中沢伊登子君 いま、政府のほうに財投協力をしているのは三分の一程度、それが二分の一くらいになっているのではありませんか。
#128
○政府委員(横田陽吉君) それは大体の考え方といたしましては、設立当初は五年くらいは三分の一、それから六年目あたりから十一年くらいまでは四割、十一年目からは二分の一と、大体こんなふうなしかけにしております。いたがいまして、これは個々の基金の設立時期によりまして政府保証債の買い入れのシェアというものが変わっておりますが、いま御指摘の二分の一につきましては十一年目からということでございますので、まだここまで到達している基金はございませんので、三分の一ないし四割というふうなことでございます。
#129
○中沢伊登子君 それでは、将来この厚生年金基金の展望をどのように考えておられますか。
#130
○政府委員(横田陽吉君) 厚生年金基金は申し上げるまでもないことでございますが、いわゆる厚生年金の通常の給付に上積みをいたしまして、各企業の能力の許す範囲内で手厚く年金を給付する、こういうことでございますので、将来の構想といたしましては、プラス分につきましては可能な限りの厚みを持たせるということを指導いたしてまいります。ただ、問題は、よく新聞等で報道されておりますが、まあ、特定の基金が、ある意味では相当何と申しますか、高過ぎるような、そういった給付をしておる例も実は最近多少出ておるようでございますので、そういった点につきましては、やはり基金の財政的な永続性という点から考えましても、いろいろ検討しなければならない問題が出始めておるとは思います。原則的に申しますと、できるだけ高い水準のプラスアルファということでございますが、と申しまして、あまり過熱状態になることは基金財政自体を危機に落とし入れるという要素もないではございませんので、まあ、その辺につきましての検討もあわせて検討しなければならないと考えております。
 それからもう一つは、御提案申し上げております法律案にもございますように、単独基金及び基金連合会におきまして、いわゆる福祉施設というものの運営がなされるような、そういった法律改正もお願いしてございますので、まあ、そういった面で、将来の年金給付という被保険者にとりましては将来利益の享受のほかに、現在そういった適当な福祉施設を運営することによりましての現在利益と申しますか、そういったものも相当享受できるような、そういったしかけにしてまいりたいと思います。このほか、いろいろ厚生年金基金のあり方につきましては、いろんな問題もございますし、単独基金ないし連合会においてもいろいろな構想をお持ちのようでございますし、私どももこういう問題は将来にわたって十分勉強していいものにするという必要がございますので、最近、連合会のほうで基金の将来像、未来像につきまして相当斬新な検討を加えるというふうな機運になってまいっておりますので、まあ、私どもも行政の立場から十分立ち入った御協力を申し上げましてりっぱなものにしたいと思っております。
#131
○中沢伊登子君 最後に、厚生大臣にお伺いをさしていただきます。
 いまいろいろやりとりをお聞きいただいたと思いますが、まあ、せっかく昭和四十一年にできたこの基金制度でございますが、千分の二十六でやり繰りができるというようなお話でございますけれども、それのほんとうの資料がまだ整っておらない中でこのようなことをはっきり申し上げられないわけですけれども、事実年金の制度のほうにタッチをしている方々からどうしても財政は危殆に瀕していると、こういうことを盛んに言われておりますし、大臣もおそらくこの点をお聞きになっていらっしゃると思います。
 そこで、いま年金局長のお話によりますと、十一年目から約二分の一ぐらいが政府保証債、あるいは政府のほうの運用になられるかと思いますと、年金基金のほうでも運用のうまみもなくなってまいりますし、いろいろな面で問題が出てまいりますので、ぜひとも今回の改正で千分の四ぐらいの引き上げをやっていただきませんと、せっかくできたこの基金制度が危殆に瀕してしまいますので、その点について厚生大臣の御答弁をいただいて私の質問を終わらしていただきます。
#132
○国務大臣(齋藤邦吉君) 基金制度は四十一年の法改正の際に初めてできたわけでございまして、被保険者の方々に対する給付のプラスアルファということを充実さしてあげたい、こういうふうなことでこの制度ができたわけでございます。ところで、私も実は個別的に基金のほうから非常に財政が苦しいというお話も十分承っております。そこで、実は私もこの法律改正の際に何とかならぬだろうかということも考えてみたんですが、どうもこれを引き上げる理由がないんですね、理由が。ざっくばらんに私申します。と申しますのは、今回の法改正によりまして、すなわち二万円年金の水準を五万円に上げる、それから物価スライド制を採用する、五万円年金にするための既裁定年金の再評価をすると、こういうわけでございまして、そのほうの金の支払いは厚生年金の本体のほうで支払います。代行部分である基金は従来のとおりでけっこうなんですと、こういう仕組みで実は法律ができておるわけでございます。したがって、積極的に免除料率を引き上げなければならないという理由がない。こういうわけで、御提案のようなことで免除料率の引き上げには触れない、こういう法律改正をお願いをしておるわけでございます。しかしながら、実際問題としては、個別的にいろいろ苦しいというお話も承っておりますので、私としては、免除料率の引き上げなどはこの際は理由がございませんから、それはまあ、御遠慮いただくといたしまして、個別的な基金について十分相談に乗って、事情がほんとうに個別的にどうなっているのか、それをどうすれば財政を健全化することができるのか、こういうふうな個別的な指導協力、こういう考え方で、ひとつこの問題に対処していくのがいまの段階では一番適当ではないか、こういうふうに考えております。
 実は、四十一年の改正のときにも、私は党にありまして、この制度を創設するときに関与いたしておりましたから、この制度をつぶそうなんということはもう絶対しちゃならぬことでございます。やはり労働者のために給付のプラスアルファというものを充実さしてあげることがもう絶対に必要なことでございますから、今後とも健全に発展していくように私はお伝いをしたい、協力をしていきたい、こういう考え方で個別的に相談に乗ってまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
#133
○沓脱タケ子君 私は、いま御提案になっております四法案のうち、本日は厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について御質疑を申し上げたいと思っております。各委員からかなり多面的、多岐にわたっての御質疑がなされております。そういう中で数点にしぼりまして質疑を行なっていきたいと思っております。
 年金問題といいますと思い出しますのは、昨年の総選挙の重大な争点、特に自民党は五万円年金の公約をしておりました。国民は当然のこととして非常に大きく期待を持ってまいったわけでございます。で、六月十九日の衆議院におきます年金問題の公聴会では、明治大学の教授の吉田忠雄公述人がこういうふうに述べておられます。
 各国のいろいろな福祉政策を研究してみますと、驚くことに、わが国ではほとんど全部制度としては完備しているのであります。いろいろなワクは全部でき上がっております。しかし、ただ一つだけ足りないのであります。それは中身であります。全部そろっていて中身がないということは、いわば上げ底の社会保障であり、上げ底の年金だということであります。
 というふうにお述べになっておられるのであります。私も全くこれは同感でございます。さらに続きまして同公述人は、「昨年の総選挙で政府自民党は鳴りもの入りで五万円年金を宣伝し、これを公約いたしました。国民の圧倒的多数は五万円受け取れるものだと信じたと思うのであります。しかしこの実際はどうであるのか。」というふうに述べられているのであります。
 まず最初に、これは厚生大臣にお聞きをいたしたいのでございますけれども、自民党政府のいわゆる厚生年金、この改正案で五万円以上になる人はすべての年金受給者の何%になりますか。それから最低年金額はいかほどになりますか。
#134
○国務大臣(齋藤邦吉君) 御承知のように、私どもまあ、党の立場、――党の立場を申し上げるのもいかがと思いますが、昨年の総選挙にあたりましてまさしく自由民主党は五万円年金ということを打ち出しました。それから福祉年金につきましても、五千円にし、七千五百円にし、一万円にするということを申し上げました。しかし、そのときに、先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、年金という概念の常識的な考え方というのは、御承知のようにすべての人が五万円を、どういう条件が違いましてもすべての人が一律に五万円もらえるという性質のものではない。年金というものは由来ある程度の期間保険料を納め、そして、やめるときの俸給なりあるいは被保険者期間の間の俸給がどうなっているか、そういうことを標準として年金というものはきまるということはこれは常識でございます。これは年金のそもそも基礎である恩給などを考えてみましても、昔から十五年つとめて十五年間ある程度の国庫納付金――昔は納付金と申しましたが、納付金を納めますと、やめるときの俸給の三分の一をもらえる、これが恩給の常識でございます。そこで、その常識なんでございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、こういうときには五万円水準とかなんとか言うのがほんとうだったのでございましょうが、そういう点については、多少説明は不十分であった、常識を信頼して五万円と、こう申し上げたわけでございますが、多少水準という文字が足りなかったということはあったかと思いますが、由来、年金というものはそういうものであるということをひとつ御了承願っておきたいと思うのでございまして、私ども、よくいわれますような誇大広告などという考え方では全然ないことをこの機会に申し上げておきたいと思います。
 それと同時に、この五万円年金でございますが、五万円水準年金と正確に申しますと。厚生年金のほうは御承知のように、本年度における既裁定年金受給者並びに新規受給者ひっくるめまして約八十万人ほどが対象になるわけでございますが、その八十万のうち大体六割が二十年以上勤務される方々でございまして、その方々の年金の平均は四万一千円から四万六千円ということでございまして、ほとんど五万円に近い年金でございます。現実に五万円以上もらえるのはどのくらいかというと八万五千人でございます。そうして、厚生年金のほうは年々現実五万円以上受け取る方々は多くなっていくと、こういう数字になることは先ほど年金局長からお答えいたしたとおりでございます。ただ、問題なのは国民年金でございまして、これは国民年金は御承知のように昭和三十六年にできた制度でございまして、この制度をつくったときから国民年金というものは二十五年間であの当時は一万円の年金をもらえる、こういう仕組みで初めからできているわけでございまして、これは残念ながら二十五年という歳月は経過いたしておりませんから、そこでいわゆる十年年金が現実支給されているだけでございます。十年年金は夫婦で大体二万五千円、こういうことでございまして、時が経過し、国民年金が成熟いたしますれば夫婦で五万円をもらえる、こういうことになるのが筋でございます。
 最低保障の問題につきましては、年金局長からお答え申し上げます。
#135
○政府委員(横田陽吉君) 厚生年金におきましての老齢年金の最低年金額が幾らになるかという問題でございますが、結果の数字だけを申しますと月額二万四千八百円でございます。
#136
○沓脱タケ子君 で、私、先ほどお聞きしたのでもう一ぺん数字を正確に聞かせていただきたいんですがね。いま大臣がお述べになったように、老齢年金受給者総数が八十万余りで、そして五万円以上の年金を受け取っている人が八万五千人だと、その率が、だから老齢年金受給者の中で五万円以上もらっている人の率がどれだけで、最低が幾らで、さっき申し上げるのを忘れましたが、平均は幾らですか。
#137
○政府委員(横田陽吉君) 四十八年度末に老齢年金を受けている方、これは将来の問題でございますが、八十万四千人、厚生年金につきましては。それで、その中で加入期間が二十年以上の者が四十六万一千人、五万円年金を受ける者の数が八万五千人であります。ですから四十八年度末に老齢年金を受けている者全体に対しましては一〇・六%、加入期間が二十年以上の者に対しましては一八・四%、それからもう一つは新しく年金受給者になる者について考えますと、四十八年度中に新たに老齢年金を受ける者の数は十三万一千人、そのうち加入期間が二十年以上の者が八万六千人、五万円年金を受ける者の数が三万一千人、したがって四十八年度中に新たに老齢年金を受ける者全体に対しては五万円年金の受給者は二三・九%、そのうち加入期間が二十年以上の者について見ますと三六・三%。それから平均的な年金の金額でありますが、四十八年中に新たに老齢年金を受ける方についていいますと、いま申しました十三万一千人の平均の年金額は、月額一万九千六百円である者が四万円になります。それから八万六千人については二万二千円が四万五千五百円になります。そういうことでございます。
#138
○沓脱タケ子君 で、これはなぜこれをお伺いを申し上げたかといいますと、これは資料をちょっとお願いしたのだけれど、計算が長いことかかるといって資料はいただけなかった。後ほどできたらいただきたいと思っているのですが、というのは、年金受給者の中で、平均がこれ、四万円とおっしゃったですね。きのう聞いた資料では三万六千円という。きのう聞いた資料が間違っていて、きょう局長が言っているのが正確なんですか、どっちが正確なのか、ちょっと困るのですがね、これでは。
#139
○政府委員(横田陽吉君) 四万円と申しましたのは、四十八年度中に新たに老齢年金を受ける者十三万一千人についてでございます。改正時点が四十八年の十一月一日でございますから、この時点を切りまして老齢年金を受けておる者について申しますと、その数は七十六万二千人、で、現行の年金の平均額が一万六千五百円、これが改正後には三万六千円になるわけでございます。ですからいろいろなとり方がございますが、一番わかりいいのは新たに年金受給を受ける者についてどうなるかという将来の姿、それから四十八年度全体を通じて、年度末にどういうことになるかと、この点を申し上げたら御理解がいただけるかと思ってその二つを申し上げましたが、三万六千円は改正時点において老齢年金を受けている者についてでございます。
#140
○沓脱タケ子君 なぜこれをお伺いしたかと申しますと、五万円年金といわれているわけなんで、改正法案で年金受給者、たとえば厚生年金の受給者の中で何%が五万受けられると、平均というのが三万六千円だと、一番単純に言われた全体の平均ですね。三万六千円というランクが平均だというのだから、大体その平均が一番多くて、山になっておるのではないかと、で、そういう年金、二万四千八百円を最低として、今度衆議院の修正等が含まれて五万二千二百四十二円になったというふうに伺っておりますが、そういうこの五万円を頂点として二万四千八百円を最低として、年金受給者全員がどのような分布に位置するかということをお伺いしたいと思って実はお伺いをしたのです。ところが平均金額は計数的に簡単に出るけれども、分布はつかんでないと、これじゃ困ると思う。五万円年金というふうに公約をされて、それを実現するための法案が提案をされておる。そうして、受給資格者がどのようなランクに何十%ずつ配置されるかというふうなことが明らかになるかどうかというのは、これは審議をしていく過程で非常に必要であります。これは不幸にしてきょうは資料をいただいておりませんが、これは後ほどいただきたい。
 で、それはさておきまして、五万円年金という形でいわれておって、改正法案によって全受給者のうち、五万円年金を受けられる人がいまの御説明では一三%余りですね。こういう状況になっておるわけですが、自民党の選挙公約で五万円年金であったと、これには注釈がついているわけです。高福祉・高負担という断わりが注釈されている。国民は、しかし宣伝の重点からいって、当然、五万円年金を受け取れるものと、これは与党の自民党さんがおっしゃるんだから、当然、思うのはあたりまえでございます。ところが、事はこの宣伝とは違いまして、五万円年金を受けられる人は、受給資格者のうちの一〇%余り、そして、逆に保険料が大幅な引き上げになってくる。で、保険料の引き上げといいますのは、これはもう強制加入ですから、確実に取られるわけです。
 参考に、今回の保険料の値上げによって賃金月額、かりに九万円、十五万円の男子労働者で、年間の保険料はそれぞれ幾らになって、現行と比べてどの程度の増徴になるのか、それをちょっとお聞かせをいただきたい。
#141
○政府委員(横田陽吉君) 被保険者本人の負担分について申し上げます。
 まず、九万円の報酬月額の者につきましては、月額三千六百三十四円、年額にいたしまして四万三千六百八円、改正前に比べますと、月額で六百九十円増加、年額で八千二百八十円の増加であります。
 報酬月額十五万円につきましては、月額五千九百二十五円、年額七万一千百円、改正前に比べまして月額で千六百三十七円、年額で一万九千六百四十四円の本人負担分の増加になります。
#142
○沓脱タケ子君 いまおっしゃられましたように、月給九万円の方々は、ランクが変わらないのであまり大きく動かないみたいですけれども、それにしても、年額は八千二百八十円の増徴になると、さらに本委員会に上程されております健康保険法の改正、これを含めますと、これまた、たいへんな増徴になって、おそらく九万円のランクの人でも、一万円をこす増徴分になるのではないかというふうに思うわけです。それから十五万円の場合に、これはランクが変わりますからたいへん大きく増徴分が出てくるわけですけれども、いま言われたように、一カ月に千六百三十七円の増になって、年間一万九千六百四十四円、厚生年金の掛け金だけで、それだけふえると、さらに、同じく健康保険料の掛け金が、これ、いま審議にかかっておる法案、これが法案どおりもしいったとしたら、これまた、たいへんなことになると思うんですが、参考に、十五万円の健保のいまの法案の率でいきますと、現行と比べてどの程度の健康保険の料金の増徴になるかをあわせてちょっとお伺いをさしていただきたい。
#143
○政府委員(横田陽吉君) 便宜、私からお答えいたします。報酬月額が九万円の場合に、被保険者一人当たりの保険料は現行が三千二百二十円、改正後が三千三百五十八円、百三十八円のアップ。十五万円の場合は、現行が三千六百四十円、改正後が五千四百七十五円、千八百三十五円のアップであります。
#144
○沓脱タケ子君 いまも言われましたように、十五万円の人の健康保険の掛け金が増徴、一カ月千八百三十五円ふえる、年間にして二万二千二十円程度ふえると、こうなりますと、厚生年金の掛け金と健保の掛け金を合わせますと、大体大ざっぱに言いまして四万円をこすんですね、四万一千円余りの増徴になるという状況になるわけです。
 こういう状況の中で、まあ、いま勤労者は急速な、先ほどからも再三にわたって問題になっておりますように、経済情勢の変動、特に急激な物価の上昇等で勤労者が非常に生活がやりにくいという状況の中で、年金の保険料――健保の問題はさておきまして、年金の保険料の大幅引き上げをなぜ急がなければならないかという点についてお聞かせをいただきたい。
#145
○政府委員(横田陽吉君) 一口で申しますと、長期的視野に立っての財政設計をいたします際に、今回お願いする保険料はこの程度でなければならない、こういうふうな基本的な考え方でございます。もし、詳しくその辺のことについてのお求めがございましたら、多少詳しく御説明いたします。
#146
○沓脱タケ子君 時間をとりますから、論評はやめますが、引き続いてお伺いをいたしますと、厚生年金について四十八年度の保険料収入、それから給付費、それから利子収入、それはそれぞれ幾らになっておりますか、ちょっとお聞かせをください。
#147
○政府委員(出原孝夫君) 厚生年金の四十八年度の保険料収入につきましては、政府原案で一兆三千四百四十八億円でございます。で、衆議院で修正が行なわれましたので、衆議院修正後で申し上げますと、一兆三千百八十七億円でございます。
 それから保険給付費を申し上げますと、政府原案で申し上げますと三千二百三十五億円、衆議院の修正後の数字で申し上げますと三千三百十一億円。
 なお、利子収入につきましては、政府原案で四千五百九十四億円、衆議院の修正後で四千五百九十億円でございます。
#148
○沓脱タケ子君 いま御説明をいただきましたように、給付費は保険給付費が修正後で三千三百十一億とおっしゃいましたね、三千三百十一億。そうしますと、利子収入は四千五百九十四億ですね、ざっと。はるかに利子収入のほうが多いという状況になっております。で、かりにこれを保険料の収入を上げない、引き上げをしないとすれば、収入は幾らになります。
#149
○政府委員(出原孝夫君) 一兆二千三十二億でございます。
#150
○沓脱タケ子君 いま、保険料収入を値上げをしないとすると、一兆二千三十二億だというふうにおっしゃっられたのですね。利息はどのようになります。
#151
○政府委員(出原孝夫君) 四千五百八十三億でございます。
#152
○沓脱タケ子君 いずれにいたしましても、今回の保険料収入の引き上げをやらなくても、これはあまり大きな変化がないと、かりに保険料収入を値上げをしないで、そうして五万円年金と政府はおっしゃっておられますが、私どもは六万円年金と言っておるわけですが、そういうふうに言いますと、ややこしいから、政府原案を単純に給付を二倍にすると、だいぶ大幅なアップなんですね。政府原案の給付を二倍にすると、単純に。そうしますと大体いまの試算ではどういう数字になるか、積み立て金が各年度にどのくらい残るか、それを一ぺん試算をお願をしたいんです。これはお尋ねするということで申し上げておいたのですが……。
#153
○政府委員(横田陽吉君) 保険料率を現行の千分の六十四に据え置いて、給付水準を政府原案の二倍、それで利率は六・二%ということでかりに計算をいたしますと、四十八年度は保険料の収入が一兆二千十億円、それから利息が四千三百七十億円、それから収支残が一兆一千三百七十億円、ずっと申しましょうか、よろしゅうございますか、ずっと申し上げて。それから四十九年度は保険料が一兆三千八百六十億円、利息が四千九百七十億円、支出額が一兆二千百四十億円、収支残が八千六百八十億円、五十年度が保険料が一兆五千九百九十億円、利息が五千五百二十億円、支出額が一兆四千二百九十億円、収支残が九千五百七十億円。五十一年度は保険料が一兆八千四百二十億円、利息が六千百二十億円、支出額が一兆六千八百六十億円、収支残が一兆四百五十億円。それから五十二年度が保険料が二兆一千二百億円、利息が六千七百八十億円、支出額が一兆九千八百億円、収支残が一兆一千四百三十億円。そして各年度における積み立て金の保有右回が四十八年度末は七兆八千億円。四十九年度は八兆七千億円。五十年度は九兆六千億円。五十一年度は十兆七千億円。五十二年度は十一兆八千億円。おっしゃられたとおりの計算をかりにいたしますと、以上のような数字です。
#154
○沓脱タケ子君 いま、先ほど申し上げたように、保険料を上げないで、しかも、政府原案の給付を単純に二倍にして、そうして五年間の財政推移を算定をしていただいた。そうしますとこれは年々支出残が昭和四十八年度でも一兆一千三百七十億。それから五年後の五十二年では一兆一千四百三十億、それから年度末積み立て金が五十二年度、五年先で十一兆八千五百二十億という状況になるわけです。こういう状態で、なぜ保険料を大幅な値上げをしなきゃならないか。これは私どもはなかなか理解に苦しみますので、その点についての御見解をお伺い申し上げたい。
#155
○政府委員(横田陽吉君) 基本的には先ほども申し上げましたように、年金の受給者と被保険者数、つまり受給を受けるほうと、その保険料を負担するその関係が問題であります。それで四十八年度について申しますと、典型的な年金は老齢年金でございますので、これを厚年について申し上げますと、被保険者数が二千三百四十五万二千人に対しまして老齢年金の受給者は八十三万九千人、パーセントにいたしまして三・六%でございます。それが一〇%をこしますのは、昭和六十二、三年ごろになりまして、六十五年になりますと、被保険者数が二千九百二十一万九千人に対して、老齢年金は三百五十二万八千円ということで、受給者の被保険者に対する割合は一二・一%、これが成熟期の近づきます八十五年あたりにまいりますと、被保険者数は三千四十二万五千人で、受給者が八百二十二万六千人、割合は二七%、ざっと十人で三人の老齢年金の受給者をかかえる、こういうふうなことになります。
 それで問題は昭和八十年とか、八十五年というのは、非常に遠い将来だというふうな印象をお持ちになる向きも多いわけでございますが、いま二十歳で会社に入った方がおりますと、昭和八十年はこれから先三十二年後でございます。したがって、その方はまだ五十二歳でございまして、おそらくまだ受給者ではございませんで、被保険であるわけでございます。それで事ほどさように、拠出制の年金につきましては、成熟期の近づきます昭和八十何年という時期も、それほど遠い先ではなくて、まあ、新規採用の方がまだ被保険者でおられる期間、時期ということでございますので、私どものほうといたしましては、このような受給者が被保険者に対して相当比重が大きくなることが目に見えておって、しかも、それは年金という観点から見ました場合には、遠い将来ではないということでありますので、そういった時点において、もし万一年金につきまして支払い不能云々の問題が出てまいりますと、御承知のように、老人は年金がすべての生活をささえるということまでではなくとも、相当老後生活をささえる柱として、充実しなければならないという観点から考えました際に、年金が出なくなったから、またどっかへ働きに出る、こういったことはなかなかできませんので、私どもといたしましては、当然来るであろうこういった受給者と被保険者数とのこの関係というものを予測いたしまして、いまから年金財政というものを健全にしておかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、四十八年度から五十二年あたりのこの辺をとってみますと、五十二年ではまだ受給者が百二十五万八千人で、パーセントで申しましても、三・六%が五・一%に上昇するだけでございますので、どのようなやり方をいたしましても、この五年だけで済むような年金制度でございましたら、どんな設計でもできると思います。ただ、しかし、いまくどくど申し上げましたようなそういった事情を背景にして考えますと、私どもはやはりどうしても来るこういった時期、しかもそれは常識では遠い将来のことかもしれませんが、年金の世界においては近い将来のこういったできごとというものを前提にいたしまして、年金財政というものは設計すべきものと固く確信いたしております。
#156
○沓脱タケ子君 かりに私は五年間の数値を算出していただいたわけですけれども、五年先の昭和五十二年というのは、まだ受給者があまり成熟をしていない。だから残も多いし積み立て金も蓄積されるんだ、しかし、三十年以上たってからの成熟期を考えると、その被保険者の増と年金との関係で安全率を見なければならないんだと、こういう御見解のようですけれども、これはしかし三十年先、四十年先の安全率を見るために、いまの国民生活の実態を考えずにお考えになるという点に、やはり国民の合意というものがなけりゃならぬ。少々苦しくても四十年先のためにはたくさん出しますというふうに、国民がこれに了承して出すという場合には、これはもう全くけっこうだ。しかしそうじゃない。現実には被保険者は保険料の大幅引き上げについては非常に大きく反対をしております。御承知のとおりです。四月十七日の年金ストライキ、これは日本の歴史始まって初めてですよ。年金問題を柱として労働者がストライキをやられたということは、御承知のとおりですが、それほど、事ほどさように、年金の充実と同時に、保険料の大幅な引い上げ、これには反対だ。特に負担割合についても、従来の政府原案の五対五、これをむしろ労働者三、資本家が七というふうな負担割合に変えてほしい、積み立て方式を賦課方式に変えてほしい等々の意見を掲げて有名な年金ストライキまでやられている。したがって、これは政府の側で、三十年、四十年を見越した安全率を見たらこうなんだ、こうなんだとおっしゃっても、これは国民が合意をしなければやはりだめだ。
 そういう点でお尋ねをしたいのは、本来年金というものは制度的に国民的な合意というものが前提でなけりゃならぬと思う。特に三十年、四十年先の安全率を見て大幅値上げするんだという場合には、国民的合意というのは何よりも必要です。そういう立場でお尋ねをしたいのですけれども、どういう形で制度的に国民的合意に達するやり方をしようと考えておるか。いま私ども拝見をしておるのでは、審議会があるだけで、被保険者が運用に対して少しも参加ができるという状況にない。この状態のままで国民的合意を得ようとしたって無理です。そこで、制度的に国民的な合意を得るために政府としては何らかの具体策をお考えになっておられるかどうか、これをお伺いしたい。
#157
○政府委員(横田陽吉君) 事柄が保険料の問題についての御質問でございますので、それに限定してお答えいたしますと、この保険料の引き上げにつきましては、これは法律事項でございますので、今回引き上げにつきましても、このような引き上げをいたしたいということを国会に法律案として御提出申し上げておるわけでございます。
#158
○沓脱タケ子君 いや、国民代表の審議機関である国会に出しているのだからそれ以上のことはあるまいと、それじゃ困る。何のために一ぱい審議会をつくっているか、政府は。諮問機関、審議会というものを一ぱいつくっているですね。少なくとも問題になるのは、国民的合意を得る必要があるということを申し上げておりますのは、被保険者が掛け金を掛けているわけです。しかも、その金は、いまも試算をしていただいたら、五年間は値上げをしなくったって金は余っていると。先ほど私は、政府の給付の単純二倍という大幅な給付改善を原案としてやってさえ金が残っているという実情を見たら、被保険者は、これは単純に理解をしませんよ。値上げについて。三十年、四十年先になったらよけい金が要るらしいから喜んで出しますと、そんなことじゃないです。そういう点で、もっと具体的に国民的な合意を得るための制度を考えるべきである。少なくとも国会に出しておりますというような、そんな大それた言い方だけではなくて、それは最高機関だから最も国民的合意を得る場かもわかりません。しかし、専門的に自分たちが掛けた掛け金の運用についてどうなるかという点を綿密に審議のできるという運営機関というのは当然必要です。そういう点で、被保険者が過半数を占めるような運営機構、そういった点での制度的な改善、国民的合意を得ていくための改善、そういった点をお考えになっているかどうか、これをもう一度お聞かせをいただきたい。
#159
○政府委員(横田陽吉君) 先ほどの御質問の趣旨が保険料の料率の点についてでございましたので、料率は法律事項でございますので、国会に御提出申し上げておると、こう申し上げましたが、ただいま御質問を伺っておりますと、資金の管理運用の問題のようでございます。で、この資金の管理運用の問題につきましては、現在はこの資金は資金運用部資金に預託いたしておりまして、で、ただ、この資金の特殊性ということを考えまして、できるだけ被保険者の利益に関係のある部分に集中的に使ってもらうような、そういったことになっておりますし、それから資金運用をつかさどる場合の資金運用の審議会というものがありますが、ここには事実上社会保険審議会、国民年金審議会、そういったところの委員の方がそちらのほうの委員も兼ねてもらっておるとか、いろいろなしかけがございます。ただ、よりよく被保険者の意向を反映させるために、何らかのくふう、改善を将来にわたってなすべきではないかという点につきましては、これは私も同じように考えます。したがって、さらによく意見を反映させるような、そういった場を厚生省の部内にまたつくりまして、そこでいろいろ将来にわたっての年金資金の管理運用についての意見というものをとりまとめられるようなことは十分考慮してまいりたいと思います。
 それから直接御質問にはなかったのでありますが、いまの被保険者が将来のために保険料を一ぱい出すことについて反対だということであれば、これはだめではないか。それは法律がそういうふうな御決定になればそのとおりでございますが、ただ、多少おことばを返すようでございますが、私どもがより心配いたしておりますのは、将来の成熟期におきまして十人で三人もの受給者をかかえると、そういう段階になって、現在の終生積み立て方式を放てきして賦課方式でまいりました場合には、そのころになりますと、その時期の被保険者の保険料が極端にはね上がるわけでございます。そういった場合に、何年か前の被保険者は、ほとんど保険料らしい保険料は払っておらないので、自分が受給者になる際に、その時代の被保険者に対して極端に高い保険料を掛けるのはいけないことだというようなことで、むしろ成熟期になりましてから、賦課方式等の考え方でまいりました場合には、非常に巨額の保険料を負担しなければならないということについて、もし国民的な合意が得られない場合は、賦課方式というのは、まあ、端的に申しますと、必要な保険給付をその時代の保険料でまかなう方式でございますから、とたんに保険財政が破産をいたします。私どもは、むしろそういった心配をしておくのが、年金財政の設計の際に最も大事なことだというふうに考えておりますので、あわせてお答えいたします。
#160
○沓脱タケ子君 局長、あなたはずいぶん人を食った答弁しますね。保険料のことだと思ったからといって、あなたはそうおっしゃったですけれども、保険料率を上げるかどうかというのは、これは年金の保険料全体の料金の運営を考えて保険料率の値上げを提案しているのと違うのですか。保険料だけ一人歩きしているのですか。妙な答弁のしかたはせぬといてくださいよ。私は保険料率の引き上げだけが一人歩きをするもんだと思っていない。だからああいう質問のしかたをした。妙な言い方するですね。
 で、私が申し上げているのは、先ほどからるる申し上げておるのは、あなたのほうで試算をしていただいたのは、かりに五年ということを申し上げた。将来とも保険料を値上げするとか、せぬとかいうようなことを言っていない。少なくとも五年は値上げをしなくても、あるいは政府原案の給付でいくならば、引き下げたってやっていけるという数値が具体的に出ているじゃないかということを申し上げているのです。したがって、時間の都合もありますから、それ以上申し上げる気はありませんけれども、数値が明確に示しておるのは、保険料率は値上げをしなくてもよろしい、むしろ現行の政府の給付の案であれば引き下げたってやっていけるんではないかというふうに昭和五十二年度までの試算の数字は示しておる。したがって、当然、国民の要求であり、被保険者の要求である大幅な保険料の引き上げ、これは論拠は乏しいと言わざるを得ないというふうに思うわけです。
 御意見があったら伺っておきます。
#161
○国務大臣(齋藤邦吉君) いまお述べになりましたように、五年間の間据え置きしたっていいじゃないかとか、いろいろな御意見、よくわかりました。それはそれで一つの御意見でございましょうが、そういう考え方に立ったのでは、長期安定した年金制度の育成はできませんということを私どもは申し上げているわけでございます。現在はなるほどあまり保険料を上げんでも済むかもしれません。それはそのとおりですよ。数字がその通り示しております。しかし、そういう考えでいったのでは、長期にわたる年金についての責任を持つ私どもとしてはそういう財政の不安定を来たすようなことはできません、こう申し上げておるんです。
#162
○沓脱タケ子君 それについては見解の相違になるでしょうけれども、いまの国民生活の、経済変動のきびしいとき、物価高でずいぶん苦しんでいるとき、少なくとも五年ぐらいを据え置いて国民の負担を増長させないというふうな立場をおとりになるということはきわめて必要であるということを私、特に申し上げておるわけです。そして、年金制度につきましても、これはわが党におきましてもそうでございますし、野党四党の共同提案でも、賦課方式をやれというふうな見解もあるわけですから、そういったいろいろな見解というふうなものもある中で、しかも三十年、四十年というふうな安全率だけでいま国民に多くの負担をかけるというふうな保険料の大幅引き上げ、これは認めがたいということです。
 次に進みますが、先ほどからもお話が出ましたように、四十八年度末で約九兆五千三百億に年金がたまる、厚生年金、国民年金、両年金の積み立て金がたまるわけです。で、この大部分が資金運用部資金として運用されているというのは先ほども御説明のあったとおりです。で、年金積み立て金が大企業に使われているんだという批判が非常に多いということは御承知のとおりです。
 そこで、四月二十五日に参議院でわが党の加藤議員の質疑に対して、厚生大臣が、大企業や基幹産業には全然使っていないというふうに御答弁をされておりますが、これはそのとおりでございますか。
#163
○国務大臣(齋藤邦吉君) 厚生年金の積み立て金につきましては使途別分類表というものを明らかに示しております。したがって、その中では産業や貿易などには一文も出しておりませんとはっきり申し上げておりまして、使途別分類表をごらんいただけばそれは十分おわかりになっていただけると思います。
#164
○沓脱タケ子君 大企業や基幹産業に使っていないとおっしゃるんですね。分類表で見ればはっきりすると、こういうふうにおっしゃっておるわけでございますが、直接大企業や基幹産業に融資しないとか、あるいはそういった点の制限をする法的な根拠というのは何かございますか。
#165
○説明員(山口光秀君) 資金運用部資金法の三十六年度の改正によりまして、いわゆる使途別分類というものをやれということになっておりまして、それは年金資金等と郵便貯金資金等と区分してその表はつくれということになっておりますが、その中で、その使途別分類表はつくれということになっておりますが、どこに何を使っちゃいかぬというような法的な根拠はないと思います。
#166
○沓脱タケ子君 使途別分類表をつくれということはあるけれども、どこに何を使ってはいかぬという制限的な法律はないということですね。
 で、それじゃ、ここで最初にお聞きしておきたいと思いますのは、年金積み立て金を一体どう見るかということですね。国家資金として見るのか、被保険者のものとして見るのか、その点はどうでしょう。これは大臣の御見解を伺っておきたい。
#167
○国務大臣(齋藤邦吉君) 積み立て金は、御承知のように将来の年金給付に充てるための財源として徴収しておるものでございます。
#168
○沓脱タケ子君 いや、だから財源として充てるものだということは、被保険者のものという意味ですか。あるいは国家資金というふうに言うべきなんですか。どっちですか。
#169
○政府委員(横田陽吉君) 多少補足いたしますと、積み立て金は、大臣のお答えのとおり、将来における年金給付の財源として積み立てているわけでございます。ただ問題は、そういった財源として積み立てておるその資金の管理運用の問題につきましては、有利でありかつ被保険者の利益にできるだけつながるようなそういった運用をすべきものと、ただその場合に、それなら年金資金だけを全然別個に運営するかどうかと、この問題につきましてはやはり相当の金額のものでもございますし、それから国家経済に及ぼす影響等も考えますと、やはり一元的な管理運用をするのが適当であるという考え方から、私どものほうでは将来の給付財源であるこの積み立て金を資金運用部に預託をいたしておるわけでございます。
#170
○沓脱タケ子君 ちょっとわかりにくいんですが、まあ、あとにしましょう。
 それじゃあ、その年金の積み立て金、管理運用といまおっしゃったんですが、運用目的というのは何ですか、管理運用の運用目的。
#171
○政府委員(横田陽吉君) 資金の管理運用でございますが、先ほども申し上げましたように給付財源でございますので、できるだけ財源的にこれが有利に運用されるということ、それから同時に将来にわたって確実に運用されるということ、それからもう一つは被保険者、事業主がそれぞれ負担した金のたまりでございますので、その運用については、先ほど来御論議のように、使途別分類表等ではっきりできるだけ被保険者の利益に結びつくような方向に運用されること、まあこういったことだろうと思います。
#172
○沓脱タケ子君 そうすると、積み立て金の運用というのは安全とできるだけ有利にということだけで、その運用についての法的根拠はあるんですか、ないんですか。
#173
○政府委員(横田陽吉君) 資金運用部資金の運用についてどのような法律に基づいてどう運用されておるかは大蔵省のお仕事であります。私どものほうといたしましては、いま申し上げましたような観点に立ちまして運用されることを期待いたしておるわけでございますし、いままでのところ、そういった観点に立って、いろいろ従来から管理運用については、事実上改善が積み重ねられてきておると思っております。たとえば「(1)〜(6)」分類につきましての資金の運用につきまして八五%までそれに使ってもらうというようなこととか、それから還元融資の問題につきましては、今年度から当年度における預託金増加額の四分の一を三分の一まで引き上げて額をふやすという問題とか、そういったことがその一つの事例でございます。
#174
○沓脱タケ子君 年金積み立て金の運用について何か法律的に規定をされているかどうかということを伺いたかったのですけれども、これはないのですね。
#175
○説明員(山口光秀君) 資金運用部資金法によりまして、政府の特別会計積み立て金、余裕金等は資金運用部資金として一元的に預託していただく。もっとも、簡易生命保険特別会計のごとき例外はございますが、原則としてそういうことでございます。それは資金運用部資金法でございます。
#176
○沓脱タケ子君 資金運用部資金法にそれは書いてあるが、年金積み立て金についての運用の目的というものの規定があるのかないのかということを聞いているのです。私はないのだろうと思う、はっきりせぬのは。あるのですか。だって、もう言いますわ、時間がかかるから。「年金資金等の運用について」といって申し合わせしています。大蔵省理財局長と厚生省の年金局長とやっています。これは、法律と違いますでしょう、話し合いですよね。だから、法的根拠はあるかないかと聞いておる。ないから運用についての相談をしておるのでしょう。違うのですか。
#177
○政府委員(横田陽吉君) それはやっぱり事柄によろうと思います。したがいまして、いま引用されました、私と理財局長との話し合いの結果の文章も、そういったことは両行政当局者の間で適時話し合いをいたしまして、両方の納得のいくような運営をするということが望ましいという観点からいたしておるわけでございまして、もしそういったようなことも法律でもって明記すべきであるという御意見もあり得ようかと思いますが、私どもは、そういったことはやはり資金積み立て金の性格なり何なりから、おのずからにじみ出てくることでございますので、その辺両行政当局者間で、このようなことでやりましょうというようなことで、その問題については必要にして十分であり、別段法律にそういったことを明記する必要もあるまいという考えを持っております。
#178
○沓脱タケ子君 私は、法律で規定したほうがいいとか悪いとかという意見を述べているのじゃない。そういう目的を規定する何か法律があるのかどうかということをお伺いをした。いまもお話のように、法律があるわけではなくて、うまく運用するのに、大蔵省の理財局長と年金局長とが運用について話し合ってきめていっていると、こういうことですね。これは厚生省の年金局が出しておる「年金問題」「昭和四十八年は「年金の年」」というパンフレット、これを見ますと、年金積み立て金というところにこのように書いてある。一三ページに「年金積立金はすべて資金運用部に預託され、国の財政投融資の一環として運用されているが、その運用先は、いずれも国民生活に直結するか、関連する部門に限られている。」こういうふうに書いてある。また、それの三一ページにはこういうふうに書いてある。「積立金は産業優先に使われているか」「一部に、加入者から強制的に取り立てられた保険料が加入者や年金受給者のために使われずに産業優先に使われているという議論がある。しかし、積立金が産業優先に使われているという批判はあたっていない。
 すでに説明したように、年金資金は住宅・生活環境施設等をはじめすべて国民生活に直接役立つ分野か国民生活の基盤となる分野にあてられており、基幹産業や貿易などには全くふりむけられていない。」こういうふうに書かれているわけです。ところが、ちょっと先ほど使途分類のお話が出たのですが、こういうことで全く国民生活に役立つものに使うんだというふうに言われているわけですが、その使途分類を見ますと、日本道路公団だとかあるいは阪神高速道路公団、首都高速道路公団などにかなり貸し出されている。ちょっと資料を置いてきたらしいのですけれども、昭和四十七年度には千七百三十五億円、四十八年度は二千六百三十六億円、債券の購入という形で融資がされているわけです。
 それから高速道路、有料道路というのは、これは生活道路の整備とは違う。生活道路の整備に金を使っているというんなら国民生活に深い関係があると言えるわけですけれども、高速道路というのは御承知のように大都市の高速道路では、公害や騒音や振動やということで、大体もう公害で批判が多くてなかなか思うようにつけられないというほどの状況になっており、また、もっと基本的に言えば、いわゆる日本列島改造論のネットワークの一つの重要な柱、こういうところにたくさんのお金が出ておる。まあ、時間の都合がありますから次々申し上げますが、こういう状況になっている。
 また、もう一つは、通産省の監督下にある工業再配置・産炭地域振興公団、これは四千万円まで設備資金が貸せると、それから例外ではそれ以上も貸せると、こういうことになっているようですが、産炭地域振興の目的があるとしても、昭和四十五年――これは私か調査をした資料によりますと、昭和四十五年度が四十九社、四十六年度五十二社、これに例外貸し付けをしておって、五億円程度の融資を行なっています。四十六年度の資料を見ましても大企業がたくさん入っています。たとえば三井アルミ、それから三井三池製作所、西部石油、ユニチカ長崎、宇部電気、宇部化学など五億円程度の設備資金と別に運転資金を借りています。それから三井アルミ、宇部電気のごときは、四十五年度、四十六年度両年度にわたって例外貸し付けを受けています。これは直接的な大企業に対する融資金を使っていませんということとの関係ではどうですか。先ほどの大臣のお話のようにですね、このパンフに書いてあるように、国民生活に直結する部門に貸している、使っているという関係とはどうですか。
#179
○説明員(山口光秀君) 使途別分類のお話になるわけでございますが、使途別分類は十二の項目に分けておりますが、(1)から(6)までの住宅、生活環境その他の項目が、いわばその国民生活に直結するという表現で申しております。それから国土保全、道路、地域開発といったような項目、(7)から(10)までの項目につきましては、国民生活の基盤となる事業だというふうに申しておりまして、(11)、(12)というのは、基幹産業なり貿易・経済協力という項目です。で、厚生大臣が御答弁になりましたのは、(11)、(12)という項目には年金資金等は充当されてないということを申し上げたわけでございます。
 道路でございますが、いろいろ考え方はあろうかと思いますが、高速道路につきましても、国民生活の基盤となる事業ではないかということで、年金資金等を一部充当しているわけでございます。
 金額的に申しますと、四十七年度の七百七十七億から四十八年度の六百十九億というふうに、「(1)〜(6)」分類のほうに重点を置いて年金資金等を配分しております関係から、(7)から(10)までの分類のほうは、むしろ減額するというかっこうになっております。
 また、産炭地の問題につきましては、これは一種の地域開発であろうかと思いますが、その地域開発の分類の金額につきましても、四十七年の四百四十八億から三百六十億というふうに、四十八年度は若干減少しておるという状況でございます。
#180
○沓脱タケ子君 厚生大臣が言われたのは、この使途別分類表の(11)と(12)、基幹産業と貿易・経済協力、これには使うてないと、こういう御意見だということですね。それ以外のところはこれは話は別だと、こういうことですね。
 じゃ、もう一つ実例を出しましょう。これは日本開発銀行、これにも出ているのですが、財政投融資資金計画を見てみますと、日本開発銀行に昭和四十七年度は三千六百四十億、四十八年度は三千八百五十七億、これは資金運用部資金です。資金運用部資金というたらいろいろあるからという御意見が出るだろうけれども、資金運用部資金です。金に色目がついていないからわからへん。この日本開発銀行というのは、これはまあ、中小企業に大体融資をするような銀行ではなくて、大企業にしか融資しないという銀行ですね。そこでこの日本開発銀行の業務目的及びおもな業務、相当金が出ていますから、その点を最初にお伺いしたいと思います。
#181
○説明員(山田幹人君) お答えいたします。
 開発銀行は、長期資金の供給を行なうことなどによりまして、産業の開発及び経済社会の発展を促進するために一般の金融機関が行なう金融等を補完し、または奨励することを目的として規定されておりまして、具体的には次のような業務を行なうことができることになっております。
 まず最初に、開発資金の貸し付けでございます。二番目が、開発資金にかかる社債の応募。三番目が、金融機関の貸し付けにかかる開発資金の返済に必要な資金の貸し付け等。四番目が、開発資金にかかる債務保証。五番目が、低開発地域における大規模工業基地建設事業を行なう者に対する出資ということでございます。
#182
○沓脱タケ子君 日本開発銀行の「業務方法書」というのを見たら、目的は、いま課長がおっしゃったとおりですね。その内容に「目的を達成するため、次の業務を行なう。」というところを見ますと、こう書いてある。(1)は「産業の開発及び経済社会の発展に寄与する設備の取得、改良若しくは補修」、それから「産業の開発及び経済社会の発展に寄与する土地の造成(当該造成に必要な土地の取得を含む。)」こういうことが書いてある。それから二番目には、「開発資金の調達のために、発行される社債(特別の法律により設立された法人で会社でないものの発行する債券を含む。以下同じ。)」、――つまり開発資金の調達のために発行される社債――「で証券業者等が応募又は引受をすることが困難なものに応募すること。ただし、その応募に係る社債の償還期限は一年以上のものに限る。」と、こういうことで、ちょろっと見ても、土地の造成や造成に必要な土地の取得をするという金にも貸しているという中身、貸すのだという中身になっているわけです。そこで、国民の福祉のためというのですか、この国民福祉の増進のためということは、このいまの目的ですね、日本開発銀行の「業務方法書」の目的やら、それを達成するための業務という内容には一つも書いてないのです。「産業の開発及び経済社会の発展を促進するため、」とかいうようなことは書いてある。国民の福祉増進のためというのは一行も書いてない。ところが、この日本開発銀行には、先ほど申し上げたように、昭和四十七年度三千六百四十億円、四十八年度三千八百五十七億円、年金積み立て金を含む資金運用部資金が投入を新たにされている。ですから、資金運用部資金ですから、このうちの年金積み立て金というのは一体幾ら入っておりますか。
#183
○説明員(山口光秀君) 資金運用部資金は、一元的に政府の金を集めて運用しておりますわけでございますので、年金資金等と、そのほかの郵便貯金その他の金とを区分して運用しておりませんものですから、個々の機関に対します貸し出しの中に、年金資金が幾らということをちょっと申し上げかねるのが実情でございます。
#184
○沓脱タケ子君 入っていることには間違いないけれども、金の色目は違っていないわけだからね、お金は。どんぶりにして資金運用部へ来た金を貸すわけだから、それはどの金が何ぼやということはわからぬということですね。異議ありますか、――異議なかったらそれでいい。
 そこで、日本開発銀行のそれじゃ四十八年度の融資計画、それはどないなっていますか。
#185
○説明員(山田幹人君) お答えいたします。開発銀行の四十八年度の貸し付け規模は、四十七年度当初計画に対しまして七百七十億増加しております。全体として五千五百億円となっておりますが、中身を見ますと、地域開発、環境の整備、国民生活改善など、いわゆる社会開発なり、国民福祉の向上といった方面に重点を置いていることが数字的にも明らかでございまして、四十七年に開銀法を改正していただきまして、先ほど申し上げましたように、従来は「経済の再建及び産業の開発」となっていた目的でございますが、それが現在では「産業の開発及び経済社会の発展」ということに改められました、その目的を改正していただきました趣旨に沿うような運用をはかっております。
#186
○沓脱タケ子君 あんまりようわかりませんけれどもね。この「日本開発銀行の現況、一九七三年」というやつを見ますと、事業分類ではこの都市開発というのは二一・三%、千百七十億、――どういうものが事業分類として書いてあるかといいますと、都市開発、これは四十八年度千百七十億、二一・三%、地方開発が九百億で一六・四%、国民生活改善が八百二十五億で一五%、うち公害防止というのが六百五十億、それから、まあ社会開発関係が五二・七%で一番多いと、そのほかエネルギー開発、海運融資、技術振興てなぐあいになっておる。
 それじゃ、都市開発の内訳は何かということで開発銀行のこの書類によりますと、こういうふうに書いてある。「都市開発融資の推移」ということで私鉄輸送力増強、これは四十七年度三百三十億、四十八年度四百六十億、それから大都市再開発、流通近代化、それぞれあるわけです。大都市再開発というのは民間デベロッパーなどの宅地造成まで融資対象になっている。これは説明書きにこう書いてある。「私鉄輸送力増強」という項目には「都心乗入れ工事、新線建設、複線化工事、車輌増強工事」、それから「新住宅市街地乗入れ新線、複々線化、都心乗入れ新線の一部」、それから「大都市再開発のための融資は、次のようなプロジェクトを対象としている。」として、一番目は、「「特定街区」の指定を受けておこなう市街地整備、「都市再開発法」」、これはまあ、大都市で大いにやっておりますね。それからその次は、二番目には、「大気汚染防止に役立つ地域冷暖房」、三番目「民間デベロッパーなどのおこなう宅地造成」、四番が「送電、ガス供給施設の地中化のための共同溝」、その他です。それから、「流過近代化」のところでは、これはいろいろ流通近代化を含めて「石油パイプラインの建設」、「長距離フェリーの建造」、「超低温冷蔵倉庫――の融資対象」等々です。
 先ほどちょっとお伺いをいたしましたが、開発銀行の四十八年度の融資計画はこれに書いてあるとおりだろうと思うんですけれども、その一例をちょっと聞きたい。いわゆる大都市再開発の中で民間デベロッパーなどの行なう宅地造成にも金を貸していると書いてある。それは民間デベロッパーの代表的な企業というのはどんなとこか、ちょっと教えてください。
#187
○説明員(山田幹人君) 開銀からの民間のデベロッパーに融資する場合としては、先生いま御指摘ありましたように、街区整備事業及び新市街地開発事業の中の宅地造成事業ということがございます。で、このうち街区整備のほうにつきましてはいわゆる大手不動産会社への融資実績はございませんが、宅地造成のほうにつきましては無秩序なスプロール化を避けまして、かつ公園、道路その他の公共的な用途に供される部分を十分に確保いたしました良質かつ低廉な宅地の供給に資するために大規模な宅地造成事業に融資するということにしておりますので、いわゆる大手不動産業者等も入っております。具体的な企業名につきましては、従来御説明申し上げることを御遠慮しておりますので、御了承いただけたらと思います。
#188
○沓脱タケ子君 何を言うているの。ちゃんと書いてあるわけだから、民間デベロッパーというのは大手不動産が入っておる。で、問題になっているのは年金の積み立て金が大資本に使われておると言われているわけです、国民の中では。使っておりませんと大臣は言っておる。ややこしいから、はっきりしなさいということで質疑をしている。だからはっきりさせるためには当然少なくともこれは使途別分類表に出ておる開銀の貸し出し先をはっきりさしたらいい。これは関係ございませんということが審議の中で明らかになるならば、これは厚生大臣のおっしゃることを国民が信頼を申し上げるでしょう。出しなさい。だから過去五年間のこれは日本開発銀行の、まあ、たくさん言うたらややこしいから、大手不動産業者、私鉄への……、これ、私鉄も先ほど申し上げたように私鉄へも私鉄輸送力の増強ということでかなり出ているはずだから、大手不動産業者と私鉄への過去五年間の融資実績、還付状況、融資した事業内容、これ、ひとつ報告してください。そんならはっきりします。
#189
○説明員(山田幹人君) まず、宅地造成でございますが、これは四十六年度から始められたものでございまして、金額で四十六年度中に六十七億ばかり貸し出しましたし、四十七年度中に四十八億ばかり貸し出しておりますが、いずれも据え置き期間中でございますので、回収はないと思います。で、具体的な社名につきましては、先ほど申し上げましたような事情でございますので、御容赦いただきたいと思います。で、私鉄輸送力増強につきましてもここに先生お持ちの資料にございますように、四十四年度二百億、四十五年度二百八十三億、四十六年度三百四十四億、四十七年度三百八十六億それぞれ貸し出ししておりますが、これも社名ごとの融資額につきましては差し控えさしていただきたいと存じます。
#190
○沓脱タケ子君 先ほど申し上げた事情によって差し控えたいというのは事情何もわからへん。国民が不審を持ち、意見を持っておるんですからね、国民代表として国会で質疑の中で国民の前に事態を明らかにするというためにお尋ねをしている。しかも、しかもあんた、一般の銀行がどっかの会社へ金貸したというんやったら、それはまあ、企業の秘密でございますからということもなるかもわからぬ。年金積み立て金というのは、労働者と資本家が金出して積み立てた金ですがな。被保険者の金ですがな。その金の行くえはどこや言って聞いているのに、それ言われへんという理由は何ですか。はっきりしなさいよ。
#191
○説明員(山口光秀君) 年金資金等が開銀に行っているか行っていないかということは先ほど申し上げましたようにわからないわけでございます。で、その資金運用部資金は確かに開銀に融資しておりますが、その中に年金資金等がどのくらい入っているかということになりますと、これはおそらく非常に少ないだろうと思いますが、わからないわけでございます。そういう分類はしてないという意味でわからないわけでございます。その点ひとつ御了承いただきたいと思います。
#192
○沓脱タケ子君 そんなあほなこと言うたら困るがな。さっきだから聞いておる。開銀に資金運用部から出ている金のうち、年金積み立て金は幾らですか言うて聞いたんです。ほなら、どんぶり勘定になっているから金に色目がついてないからわかりませんと、こういうことやった。これは私が翻訳したんだけれども。おそらく少ないと思いますと、少ないと思う論拠、何ですか。そんなら一つも行ってませんというなら一つも行ってませぬとはっきりしなさいよ。行っているんやったらいってる。行ってないんやったら行ってないとはっきりせないかぬですよ、大事なことなんだ。そんな中途はんぱなこと許しません。
#193
○説明員(山口光秀君) 基幹産業への融資というのはかなり開銀の中ではウエートを持っていると思いますが、基幹産業には行ってないわけでございますから、そのほかの生活環境とか、地域開発とかといったような面で行っているかもしれない。そこはよくわからない、ということを申し上げているわけで、おそらく行ったり来たりしているのじゃないか、こういうふうに申し上げているわけです。
#194
○沓脱タケ子君 これは基幹産業といって私申し上げてない。大資本に使われているということは国民の中で問題になっておると、大資本、基幹産業やって、大資本はこのごろいろいろな業種やってますからね。基幹産業だけにとどまってませんわ。もうあらゆる業種に手を出しておることは御承知のとおりです。それから基幹産業というのは何と何とやということをはっきりしましょうや、まず。基幹産業には行ってないことだけは確かや言うなら。
#195
○説明員(山口光秀君) たとえば基幹産業と申しますと海運でございますとかあるいはエネルギー開発でございますとか、そのほか、一般の技術振興でございますとか、そういうものを含んでいるわけでございます。
#196
○沓脱タケ子君 たとえばと言うて妙な言い方なさっているけれどもね。これ分類している中身で基幹産業として行ってないといって除いている部分は何と何ですか。はっきりしましょうや。
#197
○説明員(山口光秀君) 開銀で申しますと、住宅産業にも若干ございますし、それから生活環境整備というところで先ほどいろいろ御議論がありました土地開発でございますとか、国民生活改善でございますとか、そういうものがございます。それから厚生福祉施設にも若干行っているといったようなことで、さらに地域開発というのがございますが、それは別の項目になりますので、そういうものを除きましたものが基幹産業ということになろうかと思います。なお、たとえば都市開発の、先ほど来の御議論の私鉄の話でございますけれども、私鉄は確かに大企業ではございますけれども、その投資によりまして、通勤難が緩和されるというな、あるいは交通安全が確保されるというような国民生活に直結した分野ではないかというふうに考えているわけであります。
#198
○沓脱タケ子君 いまの答弁了解できません。それで、課長とかかずり合っておっても話にならぬから、了解できぬですよ、その話は。だからちょっと委員長お願いしたいんですが、非常に大事なところであり、国民の集中的に注目している年金資金積み立て金が大資本に使われているかどうかということが非常に一つの大きな問題点であります。気になっているらしくて、厚生省の年金局もちゃんと書いているわけやからね。使っておりませんということを長々と言われているけれども、それはわからないちゅうて。だから言われていることは百も承知やから、きわめて重大であります、はっきりさせるということ。私はいま、日本開発銀行の融資先について全部言えって言うているのじゃない。少なくとも開発銀行自身の融資の推移あるいは説明というところに書かれているおもなものを申し上げているわけです。ですから全部洗いざらに出せと言っているのじゃなくて、国民の疑念を晴らすためにも、明らかにするために必要だから、民間デベロッパーといわれておる大手不動産、それから私鉄、これに対する四十八年度の先ほど申し上げた融資実績、これは四十八年度でなしに五年間の融資実績、それから先ほど言われた据え置きやから、還付状況はないと言うておられたけれども、それは二年ぐらいでしょう、据え置きは。それから五年間の還付状況、融資した事業内容、これ、資料としていただきたい。お願いしたいんですが、それ、いただかないとちょっと進められない。
#199
○委員長(大橋和孝君) 資料出ますか。
#200
○説明員(山田幹人君) 従来政府関係機関につきましても個別の会社ごとの融資実績といったものにつきましてはその提出が私企業の経済活動に何らかの意味で影響を与えるというような観点から従来御容赦願ってまいっております、ことを御説明さしていただきたいと思います。
#201
○沓脱タケ子君 念のためにもう一ぺん申し上げますが、一般の都市銀行が、市中銀行が企業に対して幾ら金を貸したというふうな実績を表明をするということは、確かにあなたがおっしゃったように企業が一定の影響を与えるかもしれません。私はそんなことを聞こうと思ってない。年金積み立て金というのは国民の金なんですよ。被保険者と、それから事業主が納めた金なんですよ。国民の金なんです。自分が納めた金の使い道がどうなっているかということがいま国民的な非常に大きな関心事になっておる。しかも年金の改善に金が使われるのではなくて、たくさんたくさん積み立てて、それで大企業に使われているんじゃないかということが言われている。だから、その点は厚生大臣が使っておりませんと、何ぼ口で言われても事実で明確にしなきゃならぬから、そのことが必要だから、国民の金の行き先だから、それくらいの一部の資料は提出しなさいと、こういうことを申し上げておるのです。
#202
○説明員(山口光秀君) 年金資金が開銀を通じまして、そういうところに流れているかどうかということにつきましては、そう断定できないということを申し上げておるわけでございまして、ただいまのような御趣旨でございますと、年金資金と、それからただいま御指摘の大企業に対する貸し付けというものとが必ずしもくっつかないということではなかろうかと思いますので、その辺お考えいただきたいと思います。
#203
○沓脱タケ子君 それはさっき言うたでしょう。だから年金資金は開銀にはびた一銭入っておりませんと、あんた返事するんやったらそれはそんなこと言いませんよ。入ってないとも言わらへんし、たくさんは入ってないと思いますでは、これはしょうがない。――これは入っているのです。入っている以上は聞きたい。言うべきですよ。
#204
○説明員(山田幹人君) たいへんつらいわけでありますけれども、資金運用部資金としては一本でございますので、そういう意味で、年金資金も資金運用部資金の原資でございますから、資金運用部資金を開銀に貸しているという以上は、その中に入っていないと断言することはなかなかむずかしいわけでございますが、それじゃ入っているのかと、こういうことになりますと、そこも何とも申し上げかねるというのが先ほど来申し上げているところでございまして、そういう、つまり経理をしていないということでございますので、御了承いただきたいと思います。
#205
○沓脱タケ子君 その答弁は了承できぬというんです。ちゃんと金の区分けをして、金に色づけて、開銀に出している金にはびた一銭年金積み立て金は入っておりませんと言うんやったら、私はこれは、話はやめます。そうじゃないんじゃないですか。入ってないとは断言できません。たくさんは入ってないと思います。入っているんですよ。たくさん入っているか、少ないか、それは話は別や。入っているには間違いない。そんなたよりないこと言うてもろたら進まへんですよ。時間が限られている。はっきりしましょうや。
#206
○斎藤十朗君 関連。いま非常に行き詰まっておりますようなんで、私の考えるのをちょっと申し上げて御批判をいただきたいと思うんですけれども、資金運用部資金に繰り入れられてしまいますから、どんぶり勘定で全然わからなくなってしまうと、こういうことだと思います。でありますから、資金運用部資金の中に繰り入れられた年金資金と、それから先ほどの一番から六番までの生活関連に融資した資金と、もしくはまた一番から十番ですか、までの融資した資金、それとの比較をして、明らかにもしか年金資金のほうが多ければ、生活関連以外のところにも年金資金が非常に多量に流れている工あろうというように理解できると思うのであります。その辺の比較のところを一度数字を出していただいて、もしも年金資金のほうが生活関連に融資した資金よりも非常に少なければ、大部分は生活関連に流れていると、こういうふうに理解できるのではないかと思うのですが、どうでしょうか、そういう考え方をしたら……。
#207
○沓脱タケ子君 いまのお話でございますけれどもね、これは私、百も承知の上で申し上げているのです。国民年金資金が資金運用部資金に預託をして、最も、安全確実に運用するんやというふうにちゃんと言うている。ちゃんと書かれているしね。で、資金運用部資金というのは、幾つかの資金が寄って、プールされて、どんぶり勘定になっているわけですよ。この部分は年金の積み立て金、これは郵便貯金といって金に色をつけていない、残念ながら。だから入っていないなんて絶対言えないんです。たくさん入っているか、少ないかはそれは知りません、わかりませんよ。そういうことだから私、申し上げているのは、一切入っておりません。これは勘定が別でございますので、入っておりませんということやったら、この話は打ち切りです。そうじゃないから聞いている。
#208
○委員長(大橋和孝君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#209
○委員長(大橋和孝君) 速記を起こして。
#210
○説明員(山口光秀君) 先ほどの御質問でございますが、使途別分類の国民生活に直結する部門と申しますのが第一分類から第六分類までのいわゆる「(1)〜(6)」分類というところでございます。それが資金運用部資金全体といたしますと、四十八年度の計画額では三兆五千億になっているわけでございます。それを年金資金等と郵便貯金等とで、年金資金等が約一兆五千億、それから郵便貯金等が約二兆円、合わせて三兆五千億ということになっているわけでございます。ところが年金資金等の今度全体を見ますと、財投計画に載っております数字は一兆七千六百億でございます。したがいまして、「(1)〜(6)」分類からはずれますものが二千六百億程度あるわけでございますけれども、年金資金等の中で。しかし、これは考えようでございますが、「(1)〜(6)」分類全体で三兆五千億でございますから、いわば年金資金等は全部その中に入っちゃっていると考えることも不可能ではないわけでございますが、しかしただいまの政府が発表しております分類のしかたは、そうでなくて、先ほど申しましたように「(1)〜(6)」分類が一兆五千億、その他が、(7)から(10)までが二千六百億、合わせて一兆七千億という分類になっているわけでございます。
#211
○斎藤十朗君 いまその数字をお聞きいたしまして、三兆五千億の「(1)〜(6)」分類の中で、年金資金全部、一兆七千六百億円以上カバーしているということは、すなわち年金資金が「(1)〜(6)」分類におおむね、ほとんど使われていると、こう理解をしていただいていいんじゃないかと私は思うんです。そして、前に進めていただいたらどうですか。
#212
○沓脱タケ子君 いまの御見解には私、異議あります。そういうことを会計別にはっきりしておけばこんなややこしいことにならぬで済むわけです。資金運用部資金にどんぶり勘定にしているから問題になっているので、カバーするとかせぬとかという問題じゃないわけですから、その辺のところは見解の違いがあります。しかし、これはあとに残します。
 次に、先ほどちょっと申し上げましたが、私鉄の例をとってみたいと思うのですけれども、私鉄の例でも、――これは輸送力の増強にも該当する。それから私鉄はこれは御承知のように民間デベロッパーでもあります。それから有価証券報告書の昭和四十六年九月から四十七年の三月期、これを見ますと、やはりこれも日本開発銀行から東京急行は十億円、それから年金福祉事業団から五億二千三百万。それから西武ですね、西武鉄道は日本開発銀行から六十七億八千百万円、それから年金福祉事業団から二億四千九百万円。まあ、ずうっとたくさんありますが、東武鉄道では、日本開発銀行から九十億、それから年金福祉事業団からは二億五千万ですね。これは東武鉄道の場合には、日本開発銀行からは返済期限が昭和六十六年、福祉事業団からのは昭和七十七年ということになっている。これらの会社の営業実績、こういうものを見ますと、これは東京急行では四十六年九月から四十七年三月期、半年間の法人税等の引き当て前の利益というのは十二億八千六百万、それから引き当て後は八億八千六百万、西武では引き当て前は十八億一千五百万、引き当て後は十一億三千三百万というふうに、ずいぶん大きな利益をあげているわけです。特に、この中でお聞きをしたいのですが、こういった私鉄関係に年金福祉事業団から融資されておりますが、これは使途は何でしょうか。
#213
○政府委員(横田陽吉君) 年金福祉事業団は、御承知のとおりでございますが、被保険者の福祉を増進するためにいわゆる還元融資資金を年金福祉事業団を通じまして被保険者の福祉のために使うと、こういうことでございます。年金福祉事業団から私鉄各社に対する融資の使途は、したがいまして、社宅、療養施設、体育施設でございます。
#214
○沓脱タケ子君 社宅とか体育施設等に使っておるということですが、そういう年金福祉事業団の大企業と中小企業に分けての融資現在高、これはどうなっていますか。そして利率はどうなっていますか。
#215
○政府委員(横田陽吉君) 年金福祉事業団が行なっております融資につきまして申し上げますと、昭和四十五年度における住宅融資は二千六百三十八件、金額にいたしまして六百八十五億円であります。この場合、大企業、中小企業の別でございますが、大企業というのは、従業員数で三百人以上、商業、サービス業では五十人以上、こういったものを大企業という扱いをし、それ以下のものは中小企業という扱いをいたしておりますが、件数で申しますと大企業が一千四件、中小企業が千六百三十四件でありまして、この件数で申しますと中小企業が全体の六二%になっております。それから金額面で申しますと、大企業が、まあ、同じような分類の大企業、中小企業でございますが、大企業が三百五十九億円、中小企業が三百二十六億円でございまして、大企業が全体の五二%でございます。それで多少大企業のほうが多いような感じでございますが、別に私ども政策的に大企業優先をしているわけでも何でもなくて、要するに、こういう事業をやりたいという申請がございますと、そういった申請の内容の適否を判断いたしまして融資いたしておるわけでございまして、大体おしなべて言えますことは、規模の大きい企業の場合には一件当たりの平均金額が大きいわけでございますので、金額面では大企業のほうが多少半分を上回っておると、こういうことであります。
 それから貸付利率につきましては、大企業に対しては七%、中小企業に対しては六・五%であります。
#216
○沓脱タケ子君 お聞きするまでもなく説明がありましたのですが、やっぱり大企業といわれるほうに多い。しかし数年前と比べますと、比率はだいぶ変わってきたのですね。四十五年度の資料によりますと、四十五年度の場合には大企業に四百二億で中小企業は二百八十六億というようなかなり大きな開きが出ておったわけです。それがだいぶん詰まってきたわけですね。その傾向はどうですか。その傾向はどうなっているのですか。私、いま申し上げたのは四十五年なんです。局長いまおっしゃったのはいつの分ですか。
#217
○政府委員(横田陽吉君) ただいま、私申しましたのは四十五年の住宅に対する融資。先生のは、おそらく住宅、それから病院、スポーツ施設、こういったもの含めての数字だろうと思いますが、――全体として申しますと、大企業と中小企業の貸し付けにおけるシェアの問題でありますが、四十四年度は大企業が四七、中小企業が三五、それから労働団体等がございまして、これが一八であります。それから、これは抜きまして四七対三五、四十五年になりますと大企業が四九対三五、四十七年になりますと、大企業が四四対四八と、ですから傾向として大企業のほうがどんどん多くなるとか、少なくなるとか、そういうことはございませんようです。それで、年金事業団の場合は、納めていただいた保険料を還元してという考え方でございますから、したがって中小企業の場合には、従業員数も少ない等の関係があって、したがって、融資金額等についての制約は大企業より小さいということがありますし、また、さっき申し上げましたように、一件当たりの金額につきましても大企業のほうが大きいことがあります。ただ、そういった要素があるにいたしましては、大企業のシェアというものは必ずしも大きくないので、したがって、年金事業団の場合には、そういった大企業優先であるというふうな政策意図が全くないということは御理解いただけると思います。
#218
○沓脱タケ子君 意図的にやっているというふうには思っていないのですけれどもね。これは年金福祉事業団がいま局長も四十五年とおっしゃったので、私もいま手元にある四十五年の資料によりますと、「大企業・中小企業・団体等別借入申込および貸付決定件数・金額」というふうな資料があるのですがね。これによりますと、四十五年度大企業は四百二億、中小企業は二百八十六億、こういうふうになって、客観的には大企業のほうがはるかに多いというふうなことになっているわけです。で、こういう問題もやはりこれは住宅を建てたり、体育施設をつくったりしているわけだから、その企業の労働者には役立っているといえば言えますけれども、国民の立場からいえば、大企業に利しているというふうに見られる条件にやはりなってきていると思うのです。
 それはさておきまして、今度の改正案では、個人の住宅建設融資ができるようになったのですね。提案をされているのですね。で、これは厚生大臣、国民はいまマイホームをつくる場合に、銀行ローンで一体どのくらいの利率で金を借りているか御承知でしょうね。
#219
○国務大臣(齋藤邦吉君) 八%程度だと理解いたしております。
#220
○沓脱タケ子君 おっしゃるように、これ毎日、新聞の広告欄にいつも出ておりますけれども、大体それを見ますと、おおむね八・四%から九%の利息を取られておる。で、国民の立場から見ますと、低賃金の中で実際しし営々として貯金をして、しかも高い利息を払ってマイホームを片方ではつくっていると、片方ではいまの福祉事業団の貸し付けの内容を見ましても、大企業でも七%でしかも三十年ですね。で、一般の国民は高いローンで、八・四%から九%という高利で、しかも二十年というふうな形でマイホームをつくるのに営々としているという姿があるわけです。こういう状態を国民の側から見ますと、自分たちが掛けている保険料、これはなるほど年金積み立て金が自分たちの生活向上のために、また福祉の増進のために有効に使われているなと、率直に感じられるかどうかと、この違いを見ますと、大企業が四十五年で四百二億借りて、社宅やなんかつくっているというわけでしょう。片方では高い掛け金を毎月毎月掛けている労働者は九%も利息を払って、しし営々と借金に苦しんでいるわけですよ。こういう状態の中で、年金財政、年金の積み立て金の運用、そういったものが、ほんとうに自分たち働く国民のために、生活向上のため、福祉の増進のために使われていると、うまく運用されているというふうに率直に感じられるかどうかということです。私は感じられないだろうというふうに思うのです。で、なぜそれじゃこういう不合理なことになるかという点なんですが、で、年金積み立て金というのは、先ほどもお伺いをいたしましたけれども、この資金というのは、国家資金なのか、何なのかという御質問を申し上げましたけれども、これは明らかに国民の掛け金なんですからね。国民のものですよ。それを時の政府が、その被保険者に相談もなしに、かってに時の政府の政策推進のために、いろいろ大都市開発だとか、地域開発だとかいろいろおっしゃるけれども、そういう形で国民の積み立て金を使っていいかどうか、これはそういうことはやってはならないはずだと私は思います。で、四十七年の十月に出されました社会保険審議会の年金保険部会の意見書ですね、これを見ますと、たいへんきびしい意見が出ております。「積立金の管理運用については、」――これはもう百も御承知のとおりですが、「拠出者の自主運用、他の資金との区分管理運用、管理運用に対する労使代表の参加及び全面的に福祉のために運用すること等これまで当部会が一致して繰り返し要望してきたことが未だ実現されていないことは、甚だ遺憾といわなければならない。積立金の使途について保険料拠出者の意向を最大限に尊重することは当然であり、かねて当部会が指摘している意見にそってすみやかに実現を図るべきである。」というきわめてきびしい御意見が出されております。厚生大臣、この点についてはどういうふうに対処なさるおつもりか、その点をお聞かせ願いたい。先ほど問題になった点もその一つなんですよね。
#221
○国務大臣(齋藤邦吉君) 年金の積み立て金は、先ほど来たびたびお答えいたしておりまするように、年金給付の財源に充てる性質のものでございまして、したがって、それは労使が、労使と申しますか、納めた保険料の集積でございますが、これはまあ、御承知のように、それを徴収して積み立てるという段階になりますと、まさしくこれは政府資金でございます。政府資金でございますが、その金というものは労使の保険料の集積であるという実態ということを考えれば、当然被保険者の福祉のために運用されるようにすべきであると、これはもう当然のことであります。政府資金であるからかってに使っていいと、どこへ使ってもいいというものではない。被保険者の意向を十分反映できるようにしなければならない。そういう本来の性質の制約に基づきまして、先ほど来から御答弁申し上げておりまするように、国民生活に直結し、福祉の向上に直結したほうに使いましょう。さらにまた、直結しなくても、生活の基盤を強化するために使いましょう。こういうふうな仕組みで運用しているわけでございます。そこで、運用のやり方については、資金運用部というものが大蔵省にできておりますために、まあ、私どもは一括して運用していただきたい。そのほうがかえって安全に、確実に、有利に運営するにはそのほうがベターである、こういう考え方に基づいて一括運用ということをお願いしておるわけでございます。しかも運用にあたっては先ほど来申し上げておりまするように、使途別分類表というものをはっきり明らかにして、地域開発とかあるいは交通機関の整備とか、そういうふうなものには使いますが、それ以外の、いわゆる基幹産業や貿易には使いませんということをはっきり明らかにしておるわけですから、それはもう、十分、被保険者の意向には沿い得るような仕組みで運用されておるわけですから、いま、これを資金運用部の中で一括運用ということはやめて、厚生省が自主的に運用しましょうとかいうふうなやり方はどうであろうか。やはり、いつか私が予算委員会でちょっと申し上げたんですが、やっぱりこういう金の運用というは、もち屋はもち屋で運用していただいたほうがいいんではないか、それで一括運用ということをお願いしておるわけでございます。もとより、私ども厚生省としては、これは零細な保険料の集積でありますから、被保険者の意向に反するような運営が行なわれるということであればこれはいけません。これは私どもも断固として大蔵省のそういうやり方はいけませんと、そういうことならやめてもらいましょうと、こういうことを申し上げるんですが、そういう、いま申し上げるような支障は何もない、こういうわけでございまして、いま、自主運用というようなことを、全然、厚生省としては考えていない。弊害があればそういうことを申し入れる場合もあると思いますが、いまのところはそういう支障は一つもない、こういうふうに考えておる次第でございます。
#222
○沓脱タケ子君 それで、これは私の意見を申し上げたんじゃなくて、審議会の御見解、たびたび指摘を受けておる。ところが、そういうふうなことをする考えは少しもないと、これはまたけったいな話なんですよね。
 それはさておきまして、せっかく諮問機関に諮問をして、長年にわたって何べんも言うているのに聞かんじゃないかといっておこられているけれども、聞かぬというのは何か理由がありますか。それやったら諮問委員会、せっかく建議しても政府機関が聞かぬのやったら言うてもしょうがないなということになりかねませんよ。これはよろしいけれどもね、よろしいけれども、たびたび繰り返し言うておるのにというて、たいへんきびしく書かれておるので、これはどういうふうに進めていかれるお考えかということをちょっとお聞きをしたわけですけれども、お考えはないんだと、いまのところはね。そういうことをやるというお考えはないんだという御見解なんです。私は、先ほど一部留保しておりますので、最後にお聞きをしようと思っていたんですけれども、大臣は、基幹産業と貿易、経済協力には使っていないということであって、大資本には、年金積み立て金はいろんな形では運用されているということはお認めになるんですか。これはさっきもちょっと申し上げたように、私鉄なんか相当出ていますからね。
#223
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私どものほうとしては、先ほど来申し上げておりまするような方針で運用しておるわけでございまして、それが大企業であろうが中小企業であろうが、病院をつくろうや、社宅をつくろうやということであれば、これもけっこうなことだと思います。それから私鉄その他についても、輸送機関の整備をする、それからまた、道路をつくるにしましても、大企業であろうが中小企業であろうが、そういうことは私どもは考えておりません。要するに、国民生活がよくなるということだけを考えておるわけでございます。
#224
○沓脱タケ子君 だから、大企業にも大資本にも、当然行っておるということでございますね。確認をいたしておきます。
 それから管理運営の問題でございますが、私は、審議会の御見解をどうお考えになっておられますかと言うたら、当面、そんなことは一切考えておらぬとおっしゃったんでございますが、最後にちょっとお聞かせをいただきたいんですが、諸外国の実例でございますね、年金積み立て金等の管理運営についての。これは先進国、あるいは先進資本主義国のいろいろな実例等がありますが、これは時間がないから、私が調査をした範囲のことを申し上げますから、御見解を最後にお聞かせを願いたいんですが、社会主義国のことは別にいたしまして、ヨーロッパにおける資本主義国――イタリア、オランダ、ギリシア、デンマークあるいはフランス、こういうところの実例を見てみますと、イタリア、オランダ、ギリシア、デンマークでは三者構成です。労働者、資本家、政府、この三者構成での運営をしております。フランスでも、直接の政府管理ではなくて、全国老齢年金基金が管理をして政府が監督をしている。この資料というのは、アメリカ政府の調査による「世界各国の社会保障制度(一九六九年)・社会保障研究所訳」という、これですわ。これによって調べた内容なんですが、そういうそれらの実例を集約をいたしまして、これにはこういうふうに書かれておる。この本の一八ページに「追求して調べることのできる最も明白な型は、年金の管理が政府のある省や局の手に完全に託されている国々で発見される。しかし、この型によって年金の管理を行なう国々は、少数派に属している。多数派に属する国々における年金制度の直接的管理の責任は、各種の型による準公的な機関や基金に託されている。通常、これらの管理機関は、政府のある省や局によりなんらかの形の全般的な監督をうけるが、しかし、他の面では、大幅な自主的管理が行なわれている。通常では、被保険者、使用者、および政府の各代表を含むある3者構成の委員会が、管理・運営を指導している。しかし、ある国々では、その委員会は、被保険者と使用者だけ、あるいは被保険者と政府の代表にふさわしい2者構成の形を用いている。」等々、書かれております。したがって、わが国は少数派に属する国になっておるわけでございます。で、民主主義の原則からいいまして、やはり先進西欧諸外国の国々の中で、こういうふうな調査をされて少数派に属している、こういう点で、これはまあ、あまりほめられた話ではないんじゃないかというふうに思うわけです。こういう国際的な比較、民主的水準でおくれているという側面、こういうふうな点を大体いつまで――、いま考えてないと先ほどおっしゃったから、いつまで続けるおつもりなのか。やはり諸外国並みの水準に早く管理運営も到達するべきではないかというふうに思うのですが、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
#225
○政府委員(横田陽吉君) ただいま引用されました文献でございますが、実はそこでいっております管理機構と申しますのは、資金だけの問題なのか、制度の運営、管理まで含めての問題なのか、あまりはっきりしない点がございます。それで制度の管理、運用まで含めての問題であるといたしますと、わが国の制度につきましては、厚生年金について申しますと、社会保険審議会――三者構成、それからさらに社会保険制度審議会というふうなものがございまして、おそらくいま引用されました国々よりも二重にいろいろな方の意見が加わるような形になっておるはずでございます。
 それから資金の問題についてだけ申しましても、実は先生おあげになったほかに、その本にございますけれども、たとえばスエーデンの付加年金等につきましては、三者構成とはいいますけれども、公的雇用委員会、民間大企業雇用委員会、小企業及び自営業雇用委員会ということでございまして、労・使・中立というふうな意味合いでの三者構成でもない。ことほどさように、制度の管理、運用並びに資金の運用につきましては、世界各国それぞれの制度なり、資金の運用の必要性からいろいろなやり方をいたしておるわけでございまして、イタリア等のようなものだけが非常に進んだもので、ぜひ日本もそこまでいかなければ年金に関しての文明度が疑われると、そういうふうなことでもないだろうと思います。
 ただ、これらの問題につきましては、諸外国の事例等につきましての勉強も、必ずしも、私どもも十分ではございませんので、今後とも十分勉強はいたしてまいりたいと思います。
#226
○沓脱タケ子君 いま、おっしゃったように、これは諸外国の中で少数派であるというのは、私の見解ではなくて、この書籍の集約の見解がそういうふうになっておる。わが国が少数派に属しておるというふうなことについては、これはあまり望ましいことではないのではないか。やはりこれは年金制度の古い諸外国の経験というのは、十分やはり学ぶべきであるというふうに考えますし、そういう点はよく検討していただきたいというふうに思うわけです。
 最後に、大臣が先ほどこう言われましたですね、年金積み立て金というのは、これは被保険者、払った人たちのものである。しかし、運用するという段階になると、国家資金であるというふうにも考えられるというふうに言われたわけですけれども、これはおたくから出ておるパンフレットには、ちゃんと国家資金というふうに書かれております。このパンフレットの三四ページには、「年金積立金がますます巨額になっていき、国家資金の中でのウエイトがさらに大きくなっていくことが見込まれている今日、積立金の使途の明確化や高利運用、福祉運用といった国民的要望をみたし、国民福祉優先の色彩を強めていくことは、年金制度に対する国民の信頼をつなぎ、健全な発展を確保するみちである。」というふうにこれに書かれているのですよ、厚生省の年金局パンフに。そういう立場、たてまえからいいまして、先ほども私が質疑をして、いろいろとややこしくなったように、やはり年金積み立て金というものは、掛けた人たちの国民のものだ、そういうたてまえで、その金の運用については、国民がちゃんと目の届く制度というものを、どうしてもやはりつくり上げていく必要がある。その観点というのは、国家資金という観点ではだめなんで、どうしてもやはり国民の掛けた掛け金の積み立て金なんだという観点を貫かれない限り、これはいまの現状をやめるということにはならないのではないか。その点を明確に貫かれるかどうか、最後にお伺いをして、一応問題点だけを留保いたしまして終わりたいと思いますが、これは年金に関しての質疑を、問題点の留保とともに、他の法案に関連しては質疑を留保しておきたいと思います。
#227
○政府委員(横田陽吉君) 国が徴収してたまった金でございますから、まさしく国家資金でございます。それで、その国家資金を何のために集積するかという点になりますと、先ほど大臣の申されましたように、将来の給付財源としてためるわけであります。ただ、給付財源としての支出がまだあまり必要でない段階におきましては、可能な限り国民福祉優先の運用をいたすように心がけてまいる、そういうことでございます。
#228
○委員長(大橋和孝君) 四案に対する質疑は、本日はこの程度にてとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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