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1972/09/11 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第23号
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1972/09/11 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第23号

#1
第071回国会 社会労働委員会 第23号
昭和四十八年九月十一日(火曜日)
   午前十一時二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大橋 和孝君
    理 事
                玉置 和郎君
                丸茂 重貞君
                須原 昭二君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                川野辺 静君
                君  健男君
                斎藤 十朗君
                塩見 俊二君
                高橋文五郎君
                寺下 岩蔵君
                橋本 繁蔵君
                山下 春江君
                小谷  守君
                藤原 道子君
                矢山 有作君
                柏原 ヤス君
                中沢伊登子君
                沓脱タケ子君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君
   政府委員
       厚生省医務局長  滝沢  正君
       厚生省薬務局長  松下 廉蔵君
       厚生省社会局長  高木  玄君
       厚生省児童家庭
       局長       翁 久次郎君
       厚生省保険局長  北川 力夫君
       社会保険庁医療
       保険部長     柳瀬 孝吉君
       労働省労働基準
       局長       渡邊 健二君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       大蔵省銀行局特
       別金融課長    山田 幹人君
       労働省職業安定
       局失業対策部企
       画課長      望月 三郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大橋和孝君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、以上四案を一括議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○沓脱タケ子君 前回の質疑のときに年金積み立て金が資金運用部資金部へ行って、そのお金が日本開発銀行を通して貸し出しをされているという内容の問題について日本開発銀行から私鉄及び民間デベロッパー等に貸し出しをしておるという内容が明らかにされておるので、過去五年間の貸し出し実績、それから使用目的等を資料として御報告をいただきたいということを申し上げておりましたが、それについての御答弁をお伺いをしたいということです。
#4
○説明員(山田幹人君) お答えいたします。
 先生お尋ねのありました宅地造成関係に関連いたしまして、私鉄なり民間デベロッパーに対する開発銀行の融資内容を明らかにしたリストを出せということでございますが、お尋ねと同様の件は従来からもいろいろの委員会におきましてお話があったわけでございますが、個別の貸し付け先の会社名をあげで融資状況のリストを提出するということは差し控えさせていただいてまいりましたし、またそのことについて御了承をいただいておるというのがこれまでの取り扱いでございます。
 開発銀行は、先生おっしゃいますように政府関係機関であって、財政資金を貸し付けているではないかというお話ではございますけれども、しかしやはり他面、一つの金融機関でもあるわけでございます。そして融資を受けておりますところの相手方企業はいずれも私企業でございます。で、その企業がどれだけ融資を受けているかということを公にすることによって企業の内容もわかるという面もございまして、金融機関である以上、対外信用という点も大事にしているわけでございまして、取引の相手方との間に一つ信頼関係があるわけでございますので、私どもで個別の行き先の一般的なリストを提出するということは、私企業の取引関係にも触れるということになりますので、従来からリストの提出ということは控えさせていただいてまいりましたということでございます。
#5
○沓脱タケ子君 前回も申し上げましたけれども、これは私は民間の一般の市中銀行が一般の会社等に貸し出しをしておるという実績を、(「約束を守らなきゃだめだ」と呼ぶ者あり)――まとめを言わしていただくということです。会社等に貸し出しをしておるというふうな、いわゆる企業の秘密に属するものについてはお聞きをしているんではない。特に国民の掛け金による年金積み立て金の行くえだから明確にしてもらいたいということで、たって申し上げたわけですけれども、従来から発表していないので申し上げることはできないという御趣旨でございますけれども、私は少なくとも国会というのは国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関だと、これは憲法第四十一条に国会の地位と立法権というのが規定されておりますし、また国会法の第百四条官公署に対する報告、記録提出の要求という項には、「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」というふうに定められておるというたてまえからは、御報告がいただけないということはきわめて不当だという点を申し上げておきたいと思うわけです。
 以上です。
#6
○藤原道子君 日雇い健保について御質問いたしますが、この前質問最中に質疑打ち切りの動議で中断。したがって途中からお伺いしますが、あるいは重複するかもわかりません。
 そこで、まず第一に、日雇い労働者の実態についてお伺いしたいのですが、日雇い労働者の賃金、就労、生活実態はどうでしょうか。労働省にお伺いいたします。
#7
○説明員(望月三郎君) ただいまの先生の御質問でございますが、ごく簡単に御説明いたしますと、昭和四十七年九月末現在におきまして、私ども公共職業安定所の登録日雇い求職者の数で把握しておりますが、この数は十七万九千人あがっております。そのうちに失対事業の紹介対象者といたしまして十三万二千人というふうにあがっております。
 それで、私ども賃金につきまして把握しておりますのは、失対紹介対象者の分についてでございますが、失対紹介対象者の賃金につきましては、失対で働く場合には失対賃金を支払われておるわけでございますが、そのほかに公共事業それから民間事業に対しましてまあ、何日か働きに行くという方があるわけでございます。その方々の賃金を見ますと、一日二千円以上というのが七三%前後が、民間、公共とも大体同じような数字になっております。それから一番低いところで千四百円から千五百円未満というのが一・〇から二・六というような賃金の状況でございます。
 それから就労状況でございますが、これも失対紹介対象者を対象にしておりますが、四十七年の八月と九月の二カ月をとってみますと、失対におきましては四二・四、まあ、二カ月でございますのでこれの約半分になりますが四二・四、それから公共事業につきましては〇・三、それから民間その他につきまして一・三日という日数になっております。これはやはり失対就労者が高齢化しておりまして、平均約六十歳前後くらいになっておりますので、公共、民間にはなかなか行きにくいという実態がございますので、こういう状況になっております。したがいまして、平均では二月で四十四日でございますので、一カ月当たり二十二日というのが平均の調査の結果になっております。
 それから次に、一般の日雇いでございますが、失対就労者じゃない人たち、これは釜ケ崎とか東京の上野、山谷の付近だとか、ああいった一般の日雇い労働者が大ぜいおるところの就労状況でございますが、これを見ましても全体としては二十日以上というのが七一・七%でございます。一番少ないのが、四日以下というのが六・九%でございます。
 それから最後に、先生お尋ねの生活実態でございますが、これも失対紹介対象者だけを対象にいたしまして、四十七年の三月に、日雇い労働者生活実態調査というのをやっておりますが、これによりますと、世帯人員なり就業人員及び世帯収入というのを見てみますと、世帯人員では全国平均二・三二人が一世帯平均の数になっております。それからそのうちの就業人員が一・五四人ということで一人半くらいが就業しております。それから収入総額につきましては、約四万九千二百円というのが一カ月の収入総額になっております。それからもう一つ、一人世帯か二人世帯かという世帯別の構成を六大都市とその他の地域ということでとってみますと、一人世帯につきましては、六大都市におきましては四四・二%というのが一人世帯でございます。それから、それに対しまして二人以上の世帯のうち、本人以外に就業者のある世帯が三九・二、それから本人以外に就業者のない世帯が一六・六という数字になっております。それから、その他の地域につきましては、一人世帯が二九・六、それから本人以外に就業者のある世帯というのが四一・四、本人以外に就業者のない世帯が二九・〇という実態になっております。
 簡単でございますが、お答えいたします。
#8
○藤原道子君 労働省では調査の結果報告書が出ているわけですね。この点で、十分今後とも対策を立てて生活ができるような方向に持っていっていただきたい、努力してほしいと思います。
 そこで、日雇い健康保険の実態はいかがでございましょうか。
#9
○政府委員(柳瀬孝吉君) 昨年の四月に実施いたしました日雇い健康保険の被保険者の実態調査の結果でございますが、現在これは大筋の集計はすでに完了してございますが、まだこまかい解析が進んでおりませんので、資料はまだ提出できない状況でございますが、大筋を申し上げますと、日雇い労働者被保険者の平均年齢は四十七・六歳というようなことで、政府管掌健康保険に比べますと、平均の年齢が十二歳くらい高いというふうな状況でございます。また扶養者の状況でございますが、政管健保の場合ですと約一・〇人でございますが、日雇い健康保険の被保険者の場合には平場の扶養率が〇・六人というふうなことで、被扶養者の数が少ないというようなことです。それから業態別の就労人員、どういうような業態に多く働いておるかということでございますが、これは建設業が一番多くて約七二%を占めておる状況でございます。それから賃金の状況でございますが、これは日額別にいたしますと、千円から千五百円という間が一番多うございまして、三一%というふうな状況でございます。大筋の状況はそんなようなことでございます。
#10
○藤原道子君 これは実態調査の報告書はまだできていない、――早くつくってください。
 それから日雇い労働者が、いまの賃金のことを聞いてもそうですが、就労しながら生活保護を受けているという話ですが、どの程度が生活保護を受けているのでしょうか。
#11
○政府委員(高木玄君) 生活保護による被保護世帯は、一番新しい数字で本年の五月現在で七十万四千世帯が保護を受けておりますが、このうち、日雇い労働者世帯は、失業対策事業従事者を含めまして三万四千世帯でございまして、被保護世帯総数の四・八%に相当いたします。それから、その内訳を見ますと、日雇い労働者世帯のうち、生活扶助を受けている世帯が二万五千世帯、それから医療扶助を受けている世帯が二万七千世帯というふうに私どもは推測いたしております。
#12
○藤原道子君 そこで、厚生省の「生活保護速報」というのがありますね、日雇い労働者の生活扶助、医療扶助の適用条項をいまちょっとおっしゃったけれども、これは十分まだ行き届いていないようなうわさも聞くのです。働きながら生活ができにくい、それにその家庭の状況を見ると私ども非常につらいことがありますから、特に今後十分な補助ができるように努力していただきたいし、それから働けば食えるような賃金ですか、労働省、こういう点も考えていただきたい、こう思います。
 そこで時間の関係がありますから少し抜かしまして、そこで財政面についてお伺いいたします。
 日雇い健保の累積赤字及びその赤字の原因はどういうことになっているでしょうか。
#13
○政府委員(柳瀬孝吉君) 日雇い健保におきましては、保険料の収入が日雇い健保の適用対象者の特殊性といいますか、保険料二階級の定額制をとっているわけでありまして、したがいまして、これが昭和三十六年度の制度改正以来、据え置かれておるわけでございまして、賃金の伸びが保険料収入に反映しないというふうな状況になっておるわけでございまして、一方支出面といいますか、給付面におきまして被保険者に、先ほど申し上げましたように高齢者が非常に多いというような点で、医療費が高額となっておるわけでございます。
#14
○藤原道子君 日雇い健保の財政赤字は健保の場合と比較して、その保険の財政規模からいえば日雇い健保のほうがはるかに重大視されなければならないし、今日のような累積赤字が増大しない以前に財政対策を行なうべきであったではないか、こう思いますが、これはどうなんでしょうか。赤字になってから大騒ぎする、その前に対策を立てるべきじゃないか。
#15
○政府委員(北川力夫君) 確かにただいま先生の仰せのとおり、日雇い健保の財政状況は極端に大きな逆ざやでございます。そういう意味合いで、私どもも財政状況の改善あるいは給付の改善というふうなことを考えまして、四十四年と四十五年の二回にわたりまして、給付期間の延長等の給付改善にあわせて保険料日額を被保険者の賃金実態に即したものに改定することを内容とした一部改正案を国会に提出をいたしたような実態があるわけでございます。しかしながら、いずれも廃案になりまして現在に至っております。
 そこで、今回お願いいたしております改正案は、いま先生がおっしゃいましたようなことを考えながら、また過去の廃案になった経緯も十分考えまして、関係審議会等の合意に基づいて、日雇い健保の給付内容の改善、それから財政の安定、両方を考えながら再出発をしたい、こういうことで今度の改正案をお願いいたしておりますもので、そういう意味合いで御理解をいただきたいと存じます。
#16
○藤原道子君 そこで、医療給付費の増高による収入の不均衡やあるいは給付内容の改善は、日雇い労働者の実態から見ても保険料の値上げもおのずから限界がある。国庫負担の増額によってこれは措置すべきではないか、こう思うのですが、これはどうですか。
#17
○政府委員(北川力夫君) 過去におきましても、社会保険審議会等でやはり国庫補助につきましては日雇い健保に相当大幅に投入をすべきであるというふうな御意見もちょうだいをいたしております。で、国庫補助の問題はそれぞれの医療保険制度を構成する被保険者の階層でありますとか、あるいはこの財政の体質の状況を総合的に勘案をいたしまして、それに見合った措置を講ずることが本来の姿だと思っております。こういうたてまえから、日雇い健保におきましては他の健康保険に例のない給付費の三五%という非常に高率の国庫補助を行なっておりまして、現在の段階ではこれが妥当な程度のものじゃなかろうかと私どもは考えておるような次第であります。
#18
○藤原道子君 昭和四十四年の五月二十三日に社会保険審議会が行なわれましたとき、その答申では、労働者側の委員からは国庫負担は五割以上にすべきであるという意見が出ておりますが、これに対してあなた方はどう考えておりますか。
#19
○政府委員(北川力夫君) いま、お話しのとおり、四十四年の際には日雇健保法の改正を諮問いたしました社会保険審議会から答申がありまして、その中に総評及び中立労連を代表する委員は国庫負担を五割以上とするというようなことを答申の中で述べております。その問題は、いま申し上げましたように、要するに、日雇い健保という非常に体質の弱いものに対する国庫補助の問題でございますので、そういう問題も考えながら、この四十四年の改正は考えたわけでございますけれども、その状況は、いま申し上げましたように、昨年の六月に、あらためて社会保険審議会からちょうだいいたしました日雇い健保改正に関する答申、また、社会保障制度審議会からいただきました同じ答申、それに基づいてつくったものでございまして、そういう意味合いでは、五割という線ではございませんけれども、専門の審議会並びに社会保障制度審議会等におきましては、現在の状況でも相当な国庫補助が投入をされておると、こういうふうに御理解を願っておるというふうに考えておるような次第でございます。
#20
○藤原道子君 私は、日雇い労働者の実態を見ると、むしろ遊んでて生活保護でやったほうが楽なのよ。それはやっぱり一生懸命働いて自活しようと努力しているけれども、老人も多いし、無理をしますから病人も出る、こういうことで結局赤字がふえてくる。そこで、日雇い健保は、あくまでも国の責任で五割以上を補助すべきである。と同時に、日雇い健保が政府管掌であるので当然国が責任を持ってすべての処理をすべきであると私は思う。したがって、昭和四十九年度以降の財政収支の健全化をはかり、過去の赤字財政は保険料で処理すべきではない、国の責任で処理すべきだと思いますが、この点どうですか。
#21
○政府委員(北川力夫君) ただいま、もうお答えの中で申し上げましたように、日雇い健保につきましては、三十六年から法律改正も実現しないままに非常に低い給付水準で、非常に悪化した財政状況のもとに現在まで来ておるわけでございまして、何と申しましても、いまいろいろ日雇い労働者の実態のお話が出ましたように、給付内容を改善することがきわめて緊急の要務となっております。そういう意味合いで、今回の改正案におきましては、当面関係者の間で合意のできました、療養の給付期間の延長、あるいは現金給付の引き上げ等を行なっておりますのと同時に、半面において財政面におきましては、いま先生御指摘になりましたけれども、必ずしも全体の財政状況をごらんいただきますと、単年度収支の均衡をとるというふうなことには拘泥はいたしておりませんで、保険料の引き上げにつきましても、三十六年以来の賃金の伸び、そういったものに即して保険料日額の改定を行なう、こういうふうにしておるわけでございます。
 さらにいま先生のお話しになりました日雇い健保の長期的なと申しますか、より最終的な財政の健全化対策、あるいはまた給付内容のよりよい前進というふうなことにつきましては、今回お願いをいたしております改正案が成立をいたしました後において、できるだけすみやかに十分な検討をいたしたい、このように考えておるような次第でございます。
#22
○藤原道子君 私は、当然この日雇い健保の赤字は国の責任で解決するというふうにしてほしいのですが、大臣どうですか。
#23
○国務大臣(齋藤邦吉君) 日雇い健保の財政が非常に苦しいことは私どもも十分承知をいたしております。したがって、思うにまかせず給付の改善もできないというふうな状況でありますことは、私もほんとうに残念なことだと考えております。しかし、生活の非常に苦しい日雇い健康保険でございますから、できるだけ国も援助をしなければならないというふうなことで、現在でもすでに三割五分国が負担をしておる、こういうわけでございます。しかし、はたして今後とも、――いまのような生活実態である日雇い労働者を対象とする日雇い健康保険が、将来大幅な給付改善をやるにあたって、保険料収入だけに依存するということは、これは容易じゃないと思います。そこで、将来の問題として、やはり給付改善をやっていくにあたりましては、――今度の改正で少しはよくなりますけれども、よその組合に比べますとまだ劣るわけで、どうしてもやはり給付の大幅な改善というものを今後考えなくちゃならぬと思うのです。その改善をやるにあたって、すべてを保険料収入だけに依存すると、私は容易なことではないと思います、そういうことは。実際問題、まあ、保険主義であるから、それは保険料収入だけでまかなえばいいのだ、こうとは言い切れないものが出てくると思うのです。
 そこで私は、ただいま御提案を申し上げておりますこの法律が成立をいたしましたあと、どういうふうな給付改善をやっていくか、それとにらみ合わせながら、国庫の負担をどの程度、どういう面に伸ばしていったらいいか、そういうことを私は十分研究をいたしたいと考えておる次第でございます。したがって、現在の三割五分の国庫負担で、これで十分だということは私は全然考えておりません。将来とも給付の改善に対してどういうふうな国が態度をとるべきであるか十分検討していきたいと考えておる次第でございます。
#24
○藤原道子君 私は、やはり国の責任でちゃんと赤字の解消をして、それで日雇い健保が運営されるようにしていただきたいということを強く要求しておきます。
 そこで、今度は給付内容でございますが、労働基準法の第六十五条には、女子の産前産後について、「使用者は、六週間以内に出産する予定の女子が休養を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。」また、「産後六週間を経過しない女子を就業させてはならない。」と規定しているわけですね。ところが今度私はこの六週間についても、いろいろな点からやはり産前産後の休暇は八週間にしてほしいということを強く要望しておるのです。ところが今度のこの日雇い健保の改正を見ますと、これは出産手当ですけれども、日数が三十日になるんですね。この規定からして問題があるのではないでしょうか。産前産後の各六週間。ところが今度産前九日なんです。産後二十一日なんです。これはどのような考えでしょうか。貧乏人はそれでいいんでしょうか。とにかく貧しい者に対して国の対策はいつも冷た過ぎる。産後二十一日。婦人の子宮は握りこぶしくらいしか大きさはない。それがあれだけ大きなおなかになって、それがもとへ返らなければ普通ではない。それが二十一日で返るでしょうか。この点についてどういうふうにお考えになっているか伺いたい。
#25
○政府委員(北川力夫君) ただいまお話のように、労働基準法におきましては、「使用者は、六週間以内に出産する予定の女子が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。」また、「産後六週間を経過しない女子を就業させてはならない。」、こういう規定がございます。これはいまお話にありましたように使用者の守るべき義務でございまして、当然この規定は労働基準法上の規定として順守をされる義務があると思います。ただ、今回の改正でお願いしております中には、こういうことが前提でございますけれども、現行の出産手当金の支給期間が産後についてだけ二十一日間となっておりまして、産前についてはないわけでございます。今回はこれを三十日に延長をいたしまして、延長いたしました分、産前九日間を加えたわけでございます。この休暇の期間中についてどの程度出産手当金を支給すべきかということは、理屈から申しますと、あるいは社会保険の立場からは別な判断ができる問題であるかもしれませんけれども、やはり最も好ましい姿としては、できるだけ労働基準法に準じたようなかっこうにすることが望ましいと思います。ただ、先ほどからも申し上げておりますとおり、日雇い健保におきましては、受給要件等もございまして、財政的な観点もございますので、そういう意味合いからこの支給期間につきましても、発足当時から、また、その後の改正の段階におきましても制約があるわけでございまして、今回の改正で少なくとも三十日まで延ばしまして一歩前進をいたしたわけでございますので、その点を御了解いただきますと同時に、なお今後、この日雇い健保について改善を加えます場合には、先ほど大臣も申し上げましたが、こういった面につきましてもさらにできるだけの配慮をしてまいろう、このように考えているような次第であります。
#26
○藤原道子君 今後考えていくというけれども、いままで考えていないわけですか。貧しい者は、産後二十一日から働かなければならない。産後二十一日から働けるでしょうか。妊娠、産前産後の保護が非常に少ないものだから、妊娠中の保護が十分でないから、心身障害児の出生が多いということはいま問題になっているじゃありませんか。貧乏人はどうでもいいというあり方だと私は思いますが、この点に対しては、何としても私は納得いきませんので、検討してもらわなければ困る。
 そこで、被保険者の埋葬料にしてもそうです。被保険者が四千円から一万円になる、今度引き上げられるけれども、家族の埋葬料は据え置かれているのですね。この理由はどうなんでしょうか。埋葬料はいま幾らでございますか。一万円でお葬式ができるんでしょうか、お伺いいたします。
#27
○政府委員(北川力夫君) 家族埋葬料の点につきましても、一般論でございますけれども、いま先生がいろいろお述べになりましたとおり、日雇い労働者という点に着目をいたしますと、確かにこれはできるだけ改善をすることが望ましいことは当然でございます。ただ、現在までの日雇い健保の状況から申しますと、やはり相当高額な国庫負担を投入いたしておりますけれども、やはり保険料についてもおのずからその限界もございまするし、給付の改善についても、当面緊要のもの、当面一番要望の強いものから着手をしていくということが今回の改正のねらいでございますので、そういう意味合いから、家族埋葬料につきましては、当面、現行の健康保険の支給額にまず合わせまして、それから、その後において改善を考えていく、そういったことで、とりあえず、現行健康保険法の線までかさ上げをする、こういう考え方でやったわけでございます。決してこれで十分とは考えておりませんが、今回改正の基本的な趣旨から見まして、いまのような考え方でこの問題を処理をいたした、こういうことでございます。
#28
○藤原道子君 いや、その埋葬料はいま幾らなんですか。
#29
○政府委員(北川力夫君) これは一つの例でございますけれども、東京都の区民葬の料金として次のような定めがございます。それによりますと、ランク別がありますけれども、大体四万一千円から一万五千円程度までのものがございまして、大体こういうところが東京都における区民葬の平均的な金額だと承知をいたしております。
#30
○藤原道子君 私の調べたのでは最低は二万一千五百円、とにかくいずれにいたしましても埋葬料が一万円になる。家族は据え置かれている。どうやってお葬式するのか。こういう点をやはり健保並みに改正していかなきゃ私は承知できないと思います。検討してください。
 そこで、分娩費も実情に合うように引き上げるべきであり、少なくとも健保の改正案と同様にすべきではないかと思うんです。ところが、これも今度引き上げられたとはいっても健保の半額ですね。日雇い健保なんか加盟している者はお産なんかしちゃだめだというふうにとらざるを得ないような扱いだと思いますが、これはどういうわけでこの程度しか引き上げにならないのか。助産費用はどのくらいかかるか。三分の一にも足りない。これはどういう点からこれだけのあれができたかを伺わしてください。
#31
○政府委員(北川力夫君) いま決して先生がおっしゃったような、そういう日雇い健保加入者は分娩をしてはならぬというふうな、そんなようなことではさらさらないわけでございます。今回の改正は、先ほどからも申し上げておりますとおり、非常に給付水準が低い、あるいはまた財政事情が窮迫をしている日雇い健保につきまして、順次その内容を改善をしていくということが今回の基本的な方針でございます。そういう意味合いで、私どもは健康保険の改正案とはいろいろの条件の差がございますけれども、さしあたり四十五年にお願いをいたしました改正法案と同様の考え方に立ちまして関係審議会の全会一致の賛成を得ております改善案をまず実現をしようと、こういうことでお願いをいたしておりますのが、現行の四千円から二万円に、また配偶者の場合には二千円から一万円に、こういうふうに引き上げるような内容となっているわけであります。
 で、もちろんこの改正、またさらに健康保険法の改正が実現いたしました後におきましては、引き続いて健康保険に準じた、さらに一歩踏み込んだ給付の改善に十分努力をいたしたい、このように考えております。
#32
○藤原道子君 政管健保のほうは四万円になったんですね、四万円。家族は二万円。もしこれに直すとしても、全部の費用は三千八百万円で政管健保並みにできる。埋葬料にいたしましてもやはり二万円にした場合に三千万円ですか、わずかじゃありませんか。働く者が安心して、なるほど上がってよかったというふうに考えてやるべきじゃないかと私は思うんです。やはり働かなきゃ食えないこの日雇い健保の人たちをお産料にしても埋葬料にしても、こんな差別ある待遇をすることがはたして許されるかどうか、私はこの点について大臣にお願いしたいんです。お産というものは命がけでやるんです。それだのに、たった半額なんですよ。政管健保のね。これじゃ、あんまりかわいそうじゃありませんか。埋葬料だってそうじゃありませんか。これ、考えてください。どうですか。
#33
○国務大臣(齋藤邦吉君) 今回実は御提案申し上げておりまするいろいろな日雇い健保についての給付改善は、私どもこれがほんとうに一番適当なものであると考えてはおりません。おりません、実際のところ。ただ、御承知のように、現在の日雇い健保財政が非常に苦しい。しかし、また現在の給付の状況も悲惨なものである。そこでこの悲惨な状態に置いていていいのか。私どもは二回ほど日雇い健保の改正案を提案いたしました。ところが国会で通りそうになって、衆議院は通りましても参議院で通過しない。こういう過去の二回の経験を持っております。そこで現在のような悲惨な状況の給付に置いておけるか。これは置いておけない。そこで財政も考えながら、現在の日雇い健保の財政の中でできるだけのことをやってみましょうということで労使双方が意見一致してまとめましたのがこの提案した法律の内容でございます。しかし私どもは、したがってこの内容は、家族給付におきましても、先ほど来お話しのような埋葬料にいたしましてもあるいは産前産後の休業手当の問題にしましても私も十分だと思っておりません。しかしながら、現在の日雇い健保の財政の中でどこまでぎりぎりやれるかと、やってみようと、あまりいままでのような悲惨な状況に置くわけにいきませんから、何とかやりましょうと、ぎりぎりやってみましょうといって考えましたのがこの提案の日雇健保法でございまして、私どもも一つもこれで満足はいたしておりません。したがいまして私どもは日雇い健保改正の第一前提だと、第一階梯だと、こう考えておるんです、今回改正しておりますのが。したがって健康保険法その他の改正法案が成立いたしました暁には、それと見合って日雇い健保の財政をどうやって建て直すかという問題、それと給付を普通の健康保険と同じようにするにはどうすればいいかと、そういうことを二段がまえで研究していこうと、これが私ども政府の考え方であるわけでございます。
 そこで、まず第一段階の今回提案しておりまする法案だけをまずさしあたり成立さしていただいて、その上に、さらに第二段階の改正を来年なり再来年なり国会に提案しようと、これが私どもの、政府の率直な意図でございます。したがって、その点はたくさん、埋葬料、出産手当あるいは休業手当、そのほかいろいろ一般の健保に劣っていることは私は十分承知なんです。けれども、いまの苦しい財政の中でそこまでやれるかと、一足飛びに。そこまでいかない。そこでしかし、いまのような状態に投げてもおけない。そこで第一段階として今回提案しておるような改正だけをまずやって、それを踏み台にしてもう一回来年なり再来年なり国の保険財政の建て直しと相並んで給付の改善をやっていこうと、こういう二段階方式を採用しておるわけでございます。したがって先生のおっしゃること、まことに私ごもっともでございまして胸締めつけられるような思いがいたします、ほんとう言いますと。しかし、何とかしたいんですけれども、いまの財政でそこまでいけるかと、こうなるとなかなかそこまでいけない。しかし、いまのような状態でもいけないから一歩前進の改正をお願いしようと。その改正ができたときにこれを足がかりとしてさらに健保と同じような方向に持っていきたいと、こういう私の気持ちでございますから、その気持ちはどうか御理解いただきたいと思うのでございます。
#34
○藤原道子君 なかなか真剣な顔しておっしゃるけれど、もし助産料も埋葬料も上げたところで六千八百万円ですよ。そのくらいのことは何とかなる。それから衆議院が通って参議院が通らなかったというけれども、私は、ほんとうに日雇い労働者のためになるような法の改正をしたいからやるんですよ。しかも、この日雇い健保は国の管掌ですからね。国の責任でやるべきなんです。ということになれば、同じ人間でありながら、こういう差別をされる。ふだんの生活は非常に苦しい。こういう人たちに対してもっと真剣に政府は考えてもらわなきゃ私は納得がまいりません。日雇い健保の適用の労働者は被用者保険であるので、当然厚生年金を適用すべきではないかと思いますが、どうですか。
 それとあわせまして、日雇労働者健康保険法における健康管理体制及び保健施設の状況はどうなっておりますか。
#35
○政府委員(柳瀬孝吉君) 日雇労働者健康保険の被保険者に対しましては、健康管理の活動といたしまして、保険者の立場から福祉施設といたしまして結核の検診を行なっておるわけでございます。確かに先生おっしゃいますように、十分とは言えない状況になっておるわけでございます。この点につきましては、やはり日雇労働者健康保険の財政状況が悪化しておりまして、実際問題としていままで十分な対策を行なう余裕がないまま今日に至っておるわけでございますが、これはまた財政が安定した段階におきまして、これを契機といたしまして健康管理のいろいろな活動というものを充実させていきたいというふうに考えております。
#36
○藤原道子君 時間の関係もありますからあれですけれども、大臣、あなたがおっしゃったことがほんとうならばさっそくこの問題を十分審議してやはり国の責任でやっていく。で、国の補助を五割に引き上げる。赤字は国の責任で改正する。そうして、何といいますか、政管健保並みに、助産料にしてもあるいは埋葬料にしても引き上げるように、ことに家族をそのまま据え置きにするということはおかしい。政管健保は家族も上がっている。ところが日雇い健保は家族はそのままだ。家族は、死んだら一体どうなるんだというようなこともございますので、十分審議をして、そうしてこの次、もう再来年なんて言わずに、来年、四十九年度には、これの改正ができることを強く私は要望いたします。
 それに続きましてお伺いしたいのは、私、この間六法全書を見てびっくりしちゃったんです。六法全書の中に北海道旧土人保護法というのがある。新憲法のもとで士人の保護法というのはどういうわけですか、これを大臣はどう考えていますか。
#37
○政府委員(高木玄君) 北海道旧土人保護法は明治三十二年の立法でございまして、この法律の意図したところは、北海道の原住民である方々がそれまで狩猟生活を営んでおりましたのを転換させまして、この方々に農地を無償に下付して農業に従事させて生活の安定をはかろう、こういう趣旨でできた法律でございます。この法律は、昭和十年ごろまで農地の無償下付も行なわれ、その他の福祉措置も行なわれてまいってきたのでございますが、昭和十四年ごろ以降は、その後はこの法律に基づく施策が行なわれた記録もなく今日に至っております。
 今日、この法律の条文を見ますると、今日まで実効を持っておると思われるのは、無償に下付された土地の処分の制限の規定がございますが、この規定が今日まで実効を持っている規定であろうというふうに考えております。
  〔委員長退席、理事須原昭二君着席〕
 そこで、この法律につきましては、昭和三十九年に行政管理庁から、この法律を廃止すべしという勧告をいただいております。その勧告に基づきまして、私ども種々検討してまいりますとともに、北海道庁の意向、それから、現在ウタリ地区と申しておりますが、そういった地区の関係者の意向も聞いてまいったのでございますが、北海道庁の回答としては、この法律は存続してほしいという回答が参っております。それからウタリ地区の関係者の方々の意向は、廃止すべしという意向と、存続すべしの意向に分かれているやに聞いております。したがいまして、この法律につきましてはいまわずかに、先ほど申しましたように、農地として無償に下付された土地の処分に関する制限の規定のみが生きているだけでございますから、それでこの法律にかわりまして、現在では別の施策として、たとえば不良環境地区の改善事業というようなことで、ウタリ地区に対しては生活館を置いたり共同作業場を置いたりというような施策を進めてまいってきておりますので、この法律について申しますれば、もし北海道庁なりあるいは関係の方々が廃止すべしということで意見がそろうならば廃止してしかるべきかと思いますが、その点まだ道庁のほうは存続を希望し、ウタリの関係者の意見が二つに分かれておる、そういう状況でございますので、廃止にまで踏み切ることはいたしかねている、こういう実態でございます。
#38
○藤原道子君 賛否両論があるといっても、日本の新憲法の精神にこれは合うでしょうか。旧土人保護法ということばは諸外国の例を見たって土人扱いなんておかしいと思う。どうですか。
 賛否両論ならば、それのきまるまではこれは廃止はできないというのがあなた方の考えでしょう。はっきり言えば、旧土人と言うけれども、ほんとうはそれを奪ったのは日本人でしょうが。いま日本人じゃないんですか、ウタリは。どうなんです。
#39
○政府委員(高木玄君) 何ぶん、明治三十二年の立法でございまして、当時こういう名称の法律ができたわけでございまして、確かに今日からまいりますと、北海道旧土人というような名称はまことに不適切な名称だと思います。これらの方々はひとしくわれわれと同じ日本国民でございます。
#40
○藤原道子君 私は、北海道旧土人保護法というのをこの際あらためて廃止すべきだと強く要望します。この法律は旧憲法時代の思想であるが、新憲法下においては自由平等からしても時代錯誤で、だれに聞いてもそう言うだろうと思う。これを強く私は要望いたします。
 それで、本法の第一条で、「農業ニ従事スル者又ハ従事セムト欲スル者ニハ一戸ニ付土地一万五千坪以内ヲ限り無償下付スルコトヲ得」としてありますが、これはもう廃止になったんですか。
#41
○政府委員(高木玄君) ただいま先生の読み上げられましたこの第一条の条文に基づきまして、法律制定以来昭和十年までの間に農業用地として無償に下付されたものが七千六百六町歩というふうに承知いたしております。
  〔理事須原昭二君退席、委員長着席〕
そのうち、その後土地を処分したり何かいたしまして、現在無償下付された土地で残っておるものが三千六百七十五町歩という数字に相なっております。
#42
○藤原道子君 それで、アイヌには憲法で保障している職業の選択の自由がないのじゃないかと思うんですけれども、これはどうなんですか、旧土人に。
#43
○政府委員(高木玄君) 職業の選択の自由はじめ、憲法の保障する自由が全部あると思います。
#44
○藤原道子君 ところが、保護という美名のもとに、こういう悪法が現在存在していることが必要だろうかということと、それから、現在福祉の面では、民生委員、社会福祉事務所、心配ごと相談所等がありますか。この法律はどのように利用されているかを聞かしてください。
 この間私、「北海道ウタリ実態調査報告」これを入手いたしまして、六法全書でびっくりしたから、これを手に入れてちょっと読んでみたんですけれども、時間がございませんので、あれだけを伺わしてほしいんですが、民生委員だの、福祉関係でどういう保護がなされておるか。
 北海道庁の民生部で調査しておりますが、この調査によれば、社会保険の欄には健康保険のみなんです。国民健康保険、厚生年金、国民年金については記載されていないが、適用されているんでしょうか。現在どういう状態に置かれているのか。この調査に載っているのは健康保険だけなんです。どうなんですか。
#45
○政府委員(高木玄君) 昭和四十七年に北海道庁におきましてウタリ地区の実態調査を実施いたしましたが、その際、調査地区百十五地区ございましたが、このうちから別に十地区を選びまして、さらにその地区にそれぞれにつきまして十世帯程度の世帯を無作為抽出いたしまして、全部で百八世帯について調べた調査がございます。それによりますと、百八件のうち医療保険に加入しているというのが九十一件、加入していないのが十七件でございます。加入している九十一件の内訳は、国保が七十八件でこれが圧倒的に多く、日雇い健保が五件、政管健保、組合健保が七件、地方公務員共済が一件と、こういうような内訳になっております。
#46
○藤原道子君 日雇い健保五人となっているんですね。日雇い労働者は五人くらいですか。
#47
○政府委員(高木玄君) いま対象件数百八のうち、五件ということでございます。
 それで、ウタリ地区の、先生がただいま示されましたこの実態調査報告によりますと、職業の状況を見てまいりますと、やはりこのウタリ地区におきましては、農林漁業に従業しておる者が圧倒的に多くて、これが全体の六三・二%というような、その報告書では数字に相なっておる次第でございます。
#48
○藤原道子君 私は、これだけ廃止の問題、――廃止するようにって、どこから指示されたの、この法律を。
#49
○政府委員(高木玄君) 先ほど申しましたように、昭和三十九年の六月に行政管理庁から廃止の勧告がございました。
#50
○藤原道子君 三十九年に行政管理庁から勧告があった。にもかかわらず、今日まで放置されているんでしょう。やっと四十七年度に北海道でやっている。それに対して調査費を百万円出した。それで、四十八年度にはもう何も出ていない。これでほんとうの調査ができるのか、私はこういう点が非常に納得がいかない。と同時に、国保に七十八人、地方公務員共済が一人、日雇い健保が五人、他の社会保険が七人、加入なし十七となっておりますが、これは医療保険ですね。結局年金問題は明らかでないが、どうなっておりますか。
#51
○政府委員(高木玄君) 先ほど申しました百八の世帯を対象に調査いたしましたのは医療保険の調査でございまして、年金保険の加入状況につきましては特に調査いたしておりませんけれども、この医療保険の調査から大体類推いたしますと、国保と日雇い健保の適用世帯は国民年金、それから政管健保、組合健保では厚生年金というふうに、そういう年金制度が適用されているものというふうに一応推測されます。
 それから三十九年の行管の勧告でございますが、その後、この問題につきましては、道庁とも十分打ち合わせて、道庁の意向なり関係地区の住民の方々の意向なりというものについて私どもがいろいろ話し合いをしてまいりまして、先ほど申しましたように、道庁の正式回答としては存続を希望しておりますし、それからウタリ地区の関係者の意向は存続と廃止と二つに分かれておる、こういう状況であることは先ほど申し上げたとおりでございます。
 なお、私どもにおきまして、現在ウタリの福祉対策の予算といたしまして、昭和四十八年度、本年度は全部で一億一千四百万計上いたしてございます。
#52
○藤原道子君 大臣にお願いします。私は、国際的にも恥ずかしいような旧土人の保護法というような法律が存在するということは許せないと思うんです。これは先ほどの、三十九年に勧告されているように、この法律は廃止すべきだと思う。いまの憲法下でおかしい。諸外国を見たって、文明国家でこんなものはないと思う。ぜひとも検討なすって廃止していただきたいと同時に、その保護の実態をもう少し調査していただいて、そしてまた報告をしていただきたい。私は、人間の差別、こういうことをやめてほしいので、要するに、日雇い健保に関連いたしまして、この問題を取り上げた。ぜひ何とか一日も早く明かるい答弁がいただけるようにお願いしたいと思いますが、大臣はどうお考えですか。それを聞いてこの質問は終わりたいと思います。
#53
○国務大臣(齋藤邦吉君) わが国の新しい憲法は国民の中の差別を認めていないわけでございますから、こういう旧土人保護法のような法律は一日も早く廃止していくのが一番望ましいことだと考えております。しかし原住民の方々の中に、いろんないままでのいきさつ等がありまして、存続を希望する向きがあることは私も承知しておりますから、そういう方々につきましては十分今後とも困らないようにという措置をとることを約束しながら、こういう法律をやめることについて賛成していただけるように説得の努力をしていくべきであろうと、かように考えております。
 なお、こうした原住民の方々に対しまする保護につきましては、ウタリ保護に関する予算を毎年、年々多少なりふやしながら予算を獲得しておるわけでございますが、将来とも実態把握の上に立って保護のための予算を拡充していくようにいたしてまいりたいと考えております。
#54
○藤原道子君 私は、日雇い健保のように貧しい人、またウタリ民族のような人たち、こういう人たちがやはり最下位に放置されて、しかも国の政策が非常に薄情だと思う。これを強く直していただくことを要求いたしまして、この日雇い健保の質問は終わりたいと思います。
 続いて、児童扶養手当、特別児童扶養手当についてお伺いをしたいと思います。結局こうした法律も児童福祉法に関連してできている。この児童福祉法が第一条には、「すべての国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。
 すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」、第二条に、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」、第三条で、「前二条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたって、常に尊重されなければならない。」と規定されておるわけでございます。そこで私は、この児童扶養手当の問題を中心といたしまして、児童福祉に関連した質問をしていきたいと、こう思います。
 まず第一に、日本の運命を双肩にになう児童の育成というものはきわめて重要であると思います。まず最初に、児童の福祉は何を基本方針として行政運用しておられるのか、厚生大臣にお伺いしたいと思います。
#55
○国務大臣(齋藤邦吉君) 児童福祉の基本は、児童が心身ともに健全にすこやかに育っていくように国、県、市町村等が一致協力し、その施策を進めていくべきものであろうと、かように考えておる次第でございます。
#56
○藤原道子君 ほんとうにそのとおりやっているでしょうかな。
 私は、子供のしあわせの基本的な理念というものは、いずれの立場にあっても一つであると信じております。すなわち児童福祉は児童憲章、児童権利宣言の精神の具体化にあると思うが、その具体策はどのように考えておいでになりますか。
#57
○政府委員(翁久次郎君) ただいま御指摘の児童福祉の中心になりますものは、健全な児童につきましては、あくまでも健全育成、市町村なり県がそれぞれの地区あるいはボランティア活動、こういうものを中心とした地区活動を助成し、同時に施設といたしましては遊園地であるとか児童館であるとか、そういうものについて市町村、県等のおやりになることを国が援助してまいるということが育成事業の中心であろうと思います。なお、不幸にも肢体の不自由なお子さん、あるいは精神薄弱のお子さん、そういう不幸な児童の問題につきましては、これはあくまでも施設あるいは家庭の擁護、こういうものをやはり市町村、県あるいは国が一体となって行政を進めていく。それに必要な予算を護得してこれを援助してまいるというのが基本になっていくかと思います。
 なお、さらに、健全な児童がすこやかに育っていきますためには、その家庭、特におかあさんの母体、先ほどもお話がございました産前産後をはじめといたしまして、母子保健、母子衛生、こういったものについての施策もまた、これに伴って充実されていかなければならない、こういうように考えている次第でございます。
#58
○藤原道子君 結局、急激にいま変化しております経済、社会の発展の中において児童の置かれている環境は、公害をはじめとして交通災害、児童の福祉は阻害されて種々問題が多いのでございます。これに対して今後どのように対処していくお考えでございますか。公害問題とか、交通災害とかあらゆる問題でこのごろ新聞も児童の災害が強く報道されている。これらに対しては厚生省としてどういうふうな考え方でおいでになるかをちょっと聞かしてください。
#59
○政府委員(翁久次郎君) たいへん大きな、かつむずかしい問題でございまして、子供がりっぱにおとなになっていくために、いま御指摘のように、最近のように環境がきわめて子供の健全な育成にふさわしくない環境があることもまた御指摘のとおりでございます。
 この点につきましては、先ほど私が申し上げましたような行政面における各種の施策はもとよりでございますけれども、単に厚生省だけにとどまらず、総理府あるいは労働省、文部省、こういった関係各省等とも十分連携を保ちながら、やはり一番望ましいのは自然にすこやかに育っていくことが前提であろうと思います。それを阻害していく要因をあらゆる角度で取り除いていくのがまた行政の責務かと思います。そういった意味におきまして、幅広く進めていく行政が政府各省の行政になろうかと思います。一児童家庭局長が御答弁申し上げるのには、あまりにも大きな問題でございますけれども、当面の責任者としては、そのように考えながら、与えられた所管の範囲内で全力を尽くしてまいりたいと、こういうように考えております。
#60
○藤原道子君 わが国の児童福祉行政を見ると、戦後、児童福祉法をはじめとして母子福祉法、母子保健法、児童扶養手当、特別児童扶養手当と、一応制度は整備されてきております。ところが、ややもすると要保護児童の対策に終始してきているように思えるのです。児童の健全育成対策については、昭和四十八年度児童家庭局予算に占める割合は、児童手当を含めても一八・二%になっております。今後どのように充実強化しようとするのか、その具体的な対策をお伺いしたいと思います。
#61
○政府委員(翁久次郎君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、児童の健全育成についての行政が果たさなければならない役割りというものを申し上げますと、施設とかあるいは予算補助という面では御指摘のように児童予算全体のワクの中で二〇%に至らない点があることは事実でございます。ただ、この児童の健全育成と申しますのは、やはりあくまでも地域、あるいはこれを指導するボランティア、こういった方々の積極的な熱意と御努力に待つことが非常に多いわけでございます。
 で、厚生省がやっておりますのは、先ほど申し上げましたように、各地におけるボランティア活動の助成、それから児童遊園地の確保、これの遊具その他の補助金の助成。それから学童が学校から帰りまして、そこで遊びかつ学ぶ児童館の施設の助成と、こういったものが予算的には中心になろうかと思います。それを今後さらに進めてまいりますと同時に、一つではございますけれども、横浜にあります「こどもの国」、これはあくまでも自然の環境の中で、児童が羽を伸ばしてすこやかに遊びまた学べるような施設ということで、先年設けたわけでございますけれども、これが一つのきっかけになりまして、各府県等でも、地域における「こどもの国」というようなものもお進めになっているやに伺っております。こういったものが一体となって、児童の健全育成に役立っていくことが望ましいと、このように考えております。
#62
○藤原道子君 児童館の運営費補助金は〇・三%ですね。それから家庭児童対策事業費の補助金が〇・二%、児童手当国庫負担金が一七・八%で、合わせまして一八・三%、私は、これはもう少し考えていかなきゃならないんじゃないかというふうに考えますので、十分検討して、ほんとうに一般児童がすこやかに育つような対策を立ててもらいたい。
 児童扶養手当の性格は一体どうなんですか。皆年金のもとでは福祉年金は経過的、補完的年金であります。死別の母子である母子福祉年金と、生別の母子である児童扶養手当とを区別する必要はないのではないかと思いますが、過去における沿革、経緯はともかくとして、この際一元的に体系を整備すべきではないかと思いますが、これはいかがでございましょう。
#63
○政府委員(翁久次郎君) 確かに、ただいまの御指摘のように児童扶養手当と国民年金の中におきます母子福祉年金とは非常に似通った性格を持っております。特に全額国庫負担という点においては、全く軌を一にしているわけでございます。ただ、ただいま御指摘にもございましたように、児童扶養手当は何らかの理由によって別れられた、離婚その他によって別れられた生別の母子、この世帯に対して、いろいろ社会的、経済的な事情を考慮いたしまして、所得保障として手当てを出すと、こういう仕組みになっております。それで母子福祉年金のほうはこれも御指摘がありましたように、本来国民年金の中の母子年金、これが中心でございますけれども、たまたま父が、同一家庭におけるおとうさんがなくなったと、そして国民年金が支給できない事情にある家庭に対して、母子福祉年金として国庫がこれを全額負担すると、こういう仕組みになっているわけでございます。したがいまして、児童扶養手当と国民年金の体系のもとにおける母子福祉年金とは、その目的と申しますか、内容、年金の仕組みの中の事故による支給ということが、児童扶養手当では事故ということではなくて、そもそも母子家庭ということに着目して手当を支給すると、こういうことになっておりますので、全くこれは法律を一緒にしてできないということは、法律技術的には申し上げられませんけれども、制度の趣旨から申し上げますと、現行体制でよろしいのではないだろうかと、こういうふうに考えている次第でございます。
#64
○藤原道子君 私は、わずかなところへ理屈をつけて法律ばっかり幾つもつくるんですね。そんなばかげたことはやめたほうがいいですよ。やはりこれに対しては、私はあくまで一元的に体系を整備すべきだと考えますので検討していただきたい。あんまり法律ばっかりつくってさ。
 そこで、特別児童手当の性格についてお伺いしたい。特別児童扶養手当では介護料的な面が多分にあるので、抜本的改善をすべきではないかと私は思う。したがって、所得制限をこの際撤廃すべきではないか、こう思いますが、これはいかがですか。
#65
○政府委員(翁久次郎君) 特別児童扶養手当につきましては、確かにただいま御指摘のように、まさに介護料的なものとして発足したものでございます。重度の身体障害あるいは重度の精薄のお子さんを持っておられる扶養義務者に対して介護料として手当を支給するというのが法律の趣旨でございます。したがいまして、今回の改正でもお願いしておりますように、公的年金との併給を原則として認めるという方向で改善をした次第でございます。また、所得制限の問題につきましては、特にことしは扶養義務者、五人の平均家族を持った扶養義務者に対して六百万の年額所得まで引き上げたわけでございます。これはいわば大体の相当な富裕な家庭でも介護料的な手当が支給できるという仕組みになっておるわけでございまして、これは今後とももっと所得制限については大幅に改善をはかってまいりたいと考えております。ただ、全くこれを撤廃するということにつきましては必ずしもそうしなくても、実際にいま申し上げましたように、大幅な改善によって制度の本来の趣旨は果たし得るのではないか、こういうように考えておりますので、私どもといたしましては、所得制限につきましては今後、物価、あるいは国民の生活水準等も考えながら大幅な改善ということを中心に考えてまいりたいと、こういうように考えております。
#66
○藤原道子君 真剣に検討してください。法体系として児童扶養手当、特別児童扶養手当は児童手当法の中に取り入れることはできないんでしょうか。児童手当はスライド制が導入されているのに、その手当額がスライドされない。一方、児童扶養手当と特別児童扶養手当は毎年引き上げられているが、手当額の均衡をとる必要があるのではないかと、こう考えますが、この点、どうでしょうか。
#67
○政府委員(翁久次郎君) ただいまの御質問は二点に分かれるかと思います。最初の点は、児童扶養手当、特別児童扶養手当、それから一般の家庭に支給されます児童手当、これを児童手当という法体系の中に包括すべきではないだろうか、こういう御質問かと思いますが、
  〔委員長退席、理事須原昭二君着席〕
これもいろいろ理屈を申し上げますと、それは法律の理屈であると、こういうこともあるかと思いますけれども、先ほどもるる申し上げましたように、児童扶養手当というのは生別母子を対象にした手当、特別児童扶養手当は重度の身体障害、あるいは重度の精薄児童を持った気の毒な家庭に対する介護料的な手当、それから、児童手当一般は四十七年一月から発足いたしましたように、一般の家庭で養育する児童が三番目の児童から月額三千円を支給する、こういうようにそれぞれの三つの法律のたてまえが幾分ずっと申しましょうか、目的別に分かれておりますので、これはやはりそれぞれの法律の特性から申しまして現行の体制ですべてしかるべきではないか、こういうように考えております。
 さらに、第二の御質問で、児童手当は法律の六条で、国民の生活水準が著しく変わった場合には、その手当の額について考慮すべきであるという規定がある。児童扶養手当にはその規定がないにもかかわらず、年々改正がされている。これはむしろ問題があるのではないか、こういう御質問かと存じますが、児童手当につきましては、御承知のように、四十七年一月から発足いたしまして、四十七年度は零歳から五歳までを支給の対象といたし、四十八年度、本年は五歳から十歳までの児童に支給対象を広げたわけでございます。来年度、四十九年度は十歳から十五歳までの児童を支給の対象とする、こういうことで、これは法律の附則で規定されておりますけれども、ただいま当面目標といたしておりますのは、児童の対象数を当初の目的のように十五歳まで延長するという、まさにその段階にあるわけでございます。それから一方では、所得制限についても年々改善を見ていることは御承知のとおりでございます。われわれも手当の額について満足しているものではございません。これは段階実施が進みます段階において、この額について、他の所得保障的な制度等も十分考えながら改善をはかってまいりたい、こういうように考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
#68
○藤原道子君 今回の改正案によって手当額が公的年金給付との併給制限が緩和されたが、堀木裁判は控訴されているけれども、これは撤回すべきではないかと思うのですが、どうですか。
#69
○政府委員(翁久次郎君) 本問題につきましては、堀木さんの提訴されました時期におきましては、ただいま提案しておりますような児童扶養手当で障害福祉年金あるいは老齢福祉年金との併給ができなかった時点で提訴されたわけでございます。今度の改正によりまして、堀木さんが希望されるような改善がはかられることは御指摘のとおりでございます。ただ、これが問題になりました時点におきまして、当局といたしましては、この当時の法律が国会の御審議を経て成立した法律である、われわれは国会で御審議を経て成立した法律は憲法に従って合憲な法律である、こういうように考えておるわけでございます。一方では、先ほども申し上げましたように、児童扶養手当その他、法律改正は、改善をすることは当局の責任でございますけれども、それはそれといたしまして、合法的、合憲的に成立し、施行されている法律というものはやはりわれわれとしては憲法にかなうものであるという判断を持っておりますので、一審の裁判におきましてこれが憲法違反であるという理由で判決が下りましたことについて、われわれとしては、あくまでもやはり当時の適法な法律というものは憲法にそぐうものであるという判断を求めたいというために控訴をしているわけでございまして、この点につきましては、従来あるいは将来ともそういう方向でまいりたい、こういうように考えております。
#70
○藤原道子君 厚生省も自分たちはずいぶん間違ったこともしていてもその主張が通ったのだから、こんな控訴を取り下げたほうがいいと私は思います。
 そこで、昭和四十九年度の厚生省予算要求を見ると、児童手当は三千円から四千円、そうですね。それから一方、児童扶養手当は六千五百円から一万円に大幅に引き上げられておりますが、児童手当の金額が扶養手当と著しく格差があるのはどういうわけでしょうか。これは児童手当をもう少し引き上げるべきではないか。児童手当は日本はずいぶんおくれてできたのですから、この点はもう少し児童手当という名にふさわしいだけの金額に引き上げるべきだと思うのですが、どうですか。
  〔理事須原昭二君退席、委員長着席〕
#71
○政府委員(翁久次郎君) ただいま御指摘のありました点は、まだ当省といたしまして、来年度予算として組み込まれたものではございませんので、その点あらかじめ御了承いただきたいと思いますが、一応事務当局が概算要求の段階で考えております点は、ただいま御指摘のとおりでございます。
 児童手当につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、四十七年一月から発足いたしました制度が四十九年度で児童全員、十五歳まで全面的に拡充をする、それの段階実施のちょうどまん中に当たっているわけでございます。それと、片方では所得制限について大幅な改善をはかってまいる、この二本の柱を当初から予定をしており、またそれは法律の附則等で明記している次第でございます。ただ、手当額が三千円――発足当時のこの三千円そのままでいいかどうかということについては、やはり最近の物価の状況等を見ますと、必ずしもこれで十分とは考えられない点がございますので、これはいわば緊急措置という考え方で四千円ということを一応考えているわけでございます。児童手当のあるべき最終的な姿としてこの額でいいかということについては、われわれは決してこれで満足しているものではございません。
 なお、児童扶養手当の金額を六千五百円から一万円に要求したいと考えておりますのは、先ほどもちょっと触れて申し上げました母子福祉年金と大体同額という従来の考え方でこの額を考えている次第でございます。
#72
○藤原道子君 児童手当ですね、これはわれわれ長く要求してやっとできたんですよね。年齢が三回に分けてやっと十五歳までということになった。まあ、それはそれといたしまして、三千円だったのが四千円になるといっても、三年間の物価の値上がり、社会の状況を見ると、あまり少ないですよ。そう思いませんか。
#73
○政府委員(翁久次郎君) まあ、もちろんそういう御意見はあろうかと思います。
#74
○藤原道子君 もう少し現実に即応した政策をとってほしいということを強く要求いたします。
 そこで、先ほど来から出ております母子保健でございますけれども、心身障害児が生まれたりいろいろするのは、母子保健が十分行なわれているかどうかというところに問題があると思う。この母子保健法ができたときに、内容的には不備、不徹底な部分が多いことは、この当時の法律案を諮問した社会保障制度審議会の答申が指摘しているとおりですね。政府は母子保健を一そう充実するため、法改正を行なう意思があるかどうか。それから心身障害児の発生予防、研究開発について政府はどのように積極的に努力しておりますか。わが党がかねて出産費について国が助成すべきであるという見地に立って立法化していましたが、これに対して政府の見解を伺いたい。
#75
○政府委員(翁久次郎君) 母子保健法が成立いたしましたのは、たしかいまから七年前だったと思います。当時、児童福祉法とは別個の法体系といたしまして、母子保健の重要性に着目いたしまして、その中から必要な規定を持ってまいり、同時に新たに規定を創設いたしまして母子保健法の現行体制ができているわけでございます。特に御指摘がございましたように、心身障害児が生まれる――できてくる一つの原因に、母体の安全あるいは安全分べん、出産前後の措置と、こういうものが必要であることは御指摘のとおりでございます。で、政府といたしましては、この母子保健の現行法の範囲内でできるだけのことをいたしたいということで、未熟児、要するに二千グラム以下で生まれてくる赤ちゃんあるいはその他の障害を持っている未熟児に対する療育の給付、これは母子保健法に規定があるとおりでございます。さらに、出てきた赤ちゃんの育成給付と申しますか、肢体不自由の赤ちゃんあるいは心臓疾患等を持った赤ちゃんに対する療育の給付、これも高率の補助をしておるわけでございます。同時に、最近いろいろ問題になっております幼児の慢性疾患と申しますか、ガンあるいは代謝異常その他もろもろのものにつきましては補助額を、二分の一でございますけれども、いわゆる公費負担というかっこうで年々助成をしてまいり、さらに来年におきましてはその慢性疾患と思われるもののすべてを取り上げてこの助成の対象としたいというように現在考えているわけでございます。したがいまして、現在の児童福祉法あるいは母子保健法の体系の中ででき得ることは、予算措置を伴うものは予算措置をとり、あるいは先ほど御指摘もございましたように、研究費を要するものについては研究費の増額によってこれを処理してまいりたい。その上で母子保健法の体系そのものについてはなお時間をかけて検討し、必要があれば将来改正をすべきではなかろうか、このように考えておるわけでございます。
#76
○藤原道子君 出産、育児のための有給休暇について労働基準法を改正する考えはあるか、ないか。労働省いらっしゃる……。
#77
○政府委員(渡邊健二君) 先生御承知のように、労働基準法六十五条によりまして産前産後については六週間ずつの産前産後の休暇が与えられておるわけでございます。これにつきましてもいろいろこれを延長すべきであるといったような御意見もあるわけでございまして、基準法全体の体系の中でこれをどうするかというようなこと、ただいま基準法研究会等でいろいろ検討がなされておりますので、私どもそれを待ちまして、基準法の改正については各方面の御意見を聞きながら十分今後検討してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
 それから、先生お尋ねのは、育児休暇の問題でございますが、これにつきましては、先生御承知のように勤労婦人福祉法におきましてその問題が出ております。ただ、あの場合には、基準法のような体系でこの問題を取り上げるということではなしに、勤労婦人の福祉という観点からあの問題は取り上げられておりますので、現在のところ、これを基準法の体系の中にさらに加えるというようなことは考えておらないわけでございます。
#78
○藤原道子君 出産と育児のために聞いたんですよ。
 わが国の妊産婦の死亡率は非常に高いんですね。厚生省のほう、その原因はどこにあるか、その対策は今後どう考えていらっしゃるか。
#79
○政府委員(滝沢正君) 確かに妊産婦の死亡率は出産万対五という数字が最近の数字だと思いますけれども、これは国際的に見ましてもやはり二ないし三というような国が多いのでございまして、確かに高いと思うわけでございます。この死亡の原因の大部分が妊娠中毒症等を背景にいたしました出産時前後の出血、不時の出血ですね、しかも大量の出血等がかなり、六割近く死亡の原因になっております。そうなりますと、やはり医療の救急医療体制の問題がこれにどうしてもからまってまいるわけでございます。したがって、われわれといたしましては、この救急医療がそもそものスタートは交通事故を中心にいろいろの医療機関の整備を考えてまいりましたけれども、もはや交通事故は、実際に搬入される患者の二〇%前後であって、大部分は一般急病患者が多いというような実態にかんがみまして、救急医療体制の整備を外科的な交通災害から内科あるいは小児科、あるいはいまの問題になっております産科等の問題の体制の整備をする必要があると思っております。一部の方々には産科の救急センターをつくれというような声もございますけれども、これはやはり距離的にカバーするとなりますと、センターをつくりましてもその周辺はそれで済むかもしれませんが、必ずしもセンター構想だけではこの対策に対応できませんので、従来の救急医療センターあるいは告示病院、こういうものに交通災害以外の機能を付与していくということによって、わが国の妊産婦の直接的な死亡原因でございます医療面からの対策は講じたい。しかしながら、基本的にはやはり栄養の問題、特に農村地区における婦人の貧血とか、いろいろの問題もございます。もちろん労働問題もからむと思います。したがって、母子保健の特に母性側からの対策というものは社会全体の福祉体策として講ぜられる必要がございますが、死亡という御指摘を少なくするためには、医療供給体制がもう一段やはりその面に充実されなければならないということで、その点については救急医療体制の整備の一環として充実してまいりたいと考えております。
#80
○藤原道子君 私は、救急医療体制も大切でございますが、お産の死亡率が高いというのは、そのときだけの問題ではないので、妊娠中の保護期間の問題が相当あると思います。たとえて言えば、中国あたりへ行ってみますと、妊娠中には工場でも妊娠食が支給されている。それから八時間労働が六時間に、妊娠してから。賃金カットなしに六時間労働。で、お産が済んで会社へ出るようになると育児時間が二時間与えられて、それも賃金カットなし。非常に妊娠中の保護が行なわれておる。で、産前産後はむろん八週間。ところが日本の場合は妊娠中に健康管理のために診察に行こうと思っても、それがなかなか許されていない。当然妊娠中の健康管理に医者へ行くときに、その時間くらいは当然認めていくべきじゃないか、こういうことも一つ問題がある。それから重労働をしている、八時間では。それで日本の交通が非常に激しゅうございますから、八時間労働でも十時間労働以上になっている。こういう点、妊娠中に非常に影響がある、こういう点を考えておるかどうか。で、労働省といたしましても、この産前産後の休暇を八週間くらいに変える考えはないか。中国あたりのやり方で、非常にあちらでは死亡率は少ないですよね。それから心身障害児の出生も少ないのです。したがって、妊娠中の保護体制というものがもう少し考えられていいんじゃないか、こう思いますが、これはどうでしょうか。
#81
○政府委員(高橋展子君) 妊娠中の働く婦人の健康管理につきましては、基準法による保護のほかに、勤労婦人福祉法――昨年制定されました動労婦人福祉法におきまして、特に事業主が妊娠前あるいは出産後の勤労婦人に対して特別の配慮をすること、これを努力義務として課しているところでございます。その内容としましては、一つには、ただいま先生が御指摘になられました妊娠中に必要な保健指導等を受ける、そのために病院あるいは保健所等におもむくその時間というものが確保されるように業務主は努力をすべきであること、このことを法律で定めております。さらにまた、そのような保健指導を受けて、その結果、お医者さまなりあるいは保健婦さんなりが、このようなことを守れというように指導事項を示されるわけでございますが、その指導事項が職場でまた守られるように、事業主は別の配慮をしなくてはいけないと、これも努力義務でございますが、要請しているわけでございます。またさらに、このことを、この法律の条文はある程度抽象的な点がございますので、さらにこの中身をより具体的にするために、専門家に委嘱いたしまして、母性の健康管理に関する専門家会議という形で先般来御検討を願っておりました。これは産婦人科のお医者さまあるいは児童福祉の御専門の方々といったような方々でございますが、その方々の御研究の結果がまとまりまして、「妊娠中及び出産後の勤労婦人の健康管理のあり方について」という報告書が提出されたところでございます。なお、この報告書はまだ中間的な第一次の報告書でございまして、全般的なものはさらに今年度末ぐらいにまとめられると期待されておりますが、この第一次報告書の中でも幾つかの一般的な留意事項があげられておりまして、その中には、ただいまの健康診査を受診する頻度はどれくらいか、何日に一度行ったらいいのかというふうなことであるとか、あるいは妊娠中、通勤事情が非常に悪くなっておりますので、その際に時差出勤等をするというようなための配慮であるとか、あるいは時間外労働あるいは深夜労働をする職場におきまして、それが母体や胎児の健康保持に支障を及ぼすと認められるような場合にはそれを制限するようにとか、あるいはお話にもございました補食の時間を設けるというような意味で休憩時間を特別に配慮するとか、あるいは休憩時間中にゆっくり休憩できるような設備を設けるようにというような幾つかの行政指導の基準が出ているわけでございます。で、さらにこまかく、いろいろな症状に応じたところの作業における配意、たとえばつわりがひどいとき、貧血がひどいとき等に勤務時間の短縮をするとか、あるいは立ち作業を腰かけに変えるとか、そのような幾つかの基準というものが示されておりますので、労働省といたしましてはこの専門家会議の御趣旨に即しまして行政指導を進めてまいりたい、そのように考えております。
#82
○藤原道子君 問題は働く婦人の福祉法ですか、これは規定でなくて、そういうふうに持っていくように指導をしていくわけでしょう。そこで妊娠中に健康診断を受けるときの時間ですね。それをそのとおりに実施してくれている工場ですか、会社ですか、どの程度ありますか。
#83
○政府委員(高橋展子君) これは、この法律の施行に伴いまして、私ども出先の婦人少年室を通じまして、また、関係機関の御協力を得ながら行政指導につとめているところでございます。どの程度の事業所が病院にやっているかというお尋ねにつきましては、数字的につまびらかにいたしませんが、ただ、この通院のための時間というものを就業規則等で正式に設けているというような事業所の数はわかります。
#84
○藤原道子君 あとでまた資料をよこしていただいてもけっこうです。
#85
○政府委員(高橋展子君) 失礼いたしました。申し上げさせていただきます。
 通院を休暇として扱うということを就業規則できめて実行しております事業所が全体の五・七%、これは就業規則上、明確な制度として休暇扱いをしているのでございますが、勤労婦人福祉法の施行によりましてそのような形をとらないでもやるという場合も発生していると、このように考えております。
#86
○藤原道子君 そこで、これをもう少し強化していただいて妊娠中の健康診断、こういうことが十分に行なわれることが出産の死亡率も低くなるし、心身障害児の問題にも影響してくると思いますので、ぜひとも今後とも十分に努力していただきたいと同時に、労働省といたしましても、この労働基準法の八週間の産前産後の休暇を真剣に考えてほしい。
 それからもう一つ、官公庁では、いま言った健康診断に行く時間を認めておりますか、労働省や厚生省はどうです。――知らないんでしょう。
#87
○政府委員(高橋展子君) 国家公務員である女子につきましては、昨年、通勤緩和についての通達が出され、人事院規則の改正がございまして、通勤の時差出勤も認められるようになりました。また、それに先立ちまして、この健康診断を受けに行く時間の確保ということは人事院規則で定められていると、そのように理解しております。
#88
○藤原道子君 じゃ、官公庁では実施しておりますね。
#89
○政府委員(高橋展子君) 国家公務員である女子については、そのようになっているはずでございます。
#90
○藤原道子君 国家公務員はすべて実施されている。何か陳情が来ておりますのでね。まだ、なかなか徹底していない点があるようでございますから、こういう点は労働省も厚生省も十分注意していただきたい。官公庁がこれをほんとうに実施するんでなきゃ困ります。
 そこで、地方公共団体において、乳幼児の医療費の公費負担が進められておりますが、国が助成する考えがありますか。乳幼児の医療費の公費負担を進めているでしょう、地方公共団体でね。国が助成する考えがあるかないか。
#91
○政府委員(翁久次郎君) 乳幼児の医療の無料化の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、広い意味の母子保健、あるいは乳幼児の健全な育成のために、児童福祉法並びに母子保健法で定められておりますもろもろの公費負担並びに慢性疾患等についての補助、こういったものを将来とも拡充してまいるという考え方で現在進めておるわけでございます。したがいまして、いま直ちにこの乳幼児の医療の無料化ということについて助成するというような考え方は現在持っておりません。
 なお、よろしゅうございますか、一つ、私先ほどの答弁申し上げた中で若干間違ったことを申し上げましたので、訂正さしていただきたいんでございますけれども、先ほどの堀木訴訟の問題につきまして、実は国が控訴するような答弁と思われるような答弁を申し上げましたけれども、被告は兵庫県知事でございますので、控訴ということではなくて、兵庫県知事が控訴することについて、国はそれについて支持をするのであると、こういう考え方でございますので、改めさしていただきたいと思います。
#92
○藤原道子君 それからもう一つ、勤労婦人福祉法の問題がきょうの新聞に出てましたね。育児休暇を一年認めよと、これは非常に大事なことだと思いますが、この勤労婦人福祉法の宣伝対策によってだいぶこれが進んできているということは私も認めておりますので、今後ともこれが十分生かされていくように御努力をしてほしいと思います。で、退職金等も前後を通算するようにしたいと思いますが、それについてはどういうふうに考えておりますか。
#93
○政府委員(高橋展子君) 育児休業制度は、これはやはり勤労婦人福祉法によりまして、新たに法律的なものとして導入されたものでございます。で、これは働く婦人が家庭責任と職業生活というものを調和的に維持していく、そのための方策の一つとして設けられたものでございまして、勤労婦人が乳幼児を有する場合に、みずからそれを希望する場合には、その職場における雇用関係上の地位や身分を失わないで一定期間育児に専念し、そして再び戻ってくると、こういう制度でございます。ただ法律では、これまた非常に抽象的にそのような規定を設けて事業主にこの制度の実施を要請しているだけでございますので、行政といたしましては、この制度を実施する場合、具体的にどのようにいたしたらいいかということについて、モデル的なものを示す必要もございまして、これまた同じく専門家会議を設けまして、昨年来御検討を願ってまいったわけでございます。で、その御検討をまとめられまして、今般報告をちょうだいしたわけでございますが、その中にはいろいろな点について、望ましい育児休業のあり方ということが示されておりまして、その一つには、いま御指摘の、退職金を計算する場合などもその育児休業の前とあとをつなげて計算するのが当然であるし、また休業中の期間も何かの配慮をすることも望ましいではないかというような趣旨もございますし、あるいは全般的に育児休業の期間はどれぐらいが適当であろうかとか、あるいは休業している間の処遇をどのように考えたらいいかとか、あるいは戻ったときどのようにするか、このような点につきまして、こまかくやはり基準的なものをお示しいただいておりますので、私ども、これもこの趣旨に即しまして、普及につとめてまいりたいと、このように考えております。
#94
○藤原道子君 私もこの育児休暇の実現を心から念願して、きょうもやるつもりでしたが、時間がございませんので、その点も関係当局では考えてほしいということを要求しておきます。
 児童の公害の問題について、公害で一番被害の多いのは子供だと思う。その次が老人です。これに対して参考資料等も持ってきましたが、時間の関係で省略しますが、これに対しての国の対策はどういうふうにお考えですか。
#95
○政府委員(翁久次郎君) 公害につきましては、一般的には御承知の環境庁における公害行政が包括的にこれを見ているわけでございます。ただ、御指摘のように、一番受けやすいのは、まだからだが十分に育ち切っていない児童の場合でございます。特に交通公害と申しますか、最近の車による公害、これは非常に一番大きく児童の事故死につながっているわけでございます。夏における水死、それから交通による事故死、これがおそらく児童のいたいけな命を奪う最大の原因だろうと思います。交通につきましては、総理府に交通対策本部というものがございます。そこで、特に総理府がやっておりますのは、学童、児童に対する交通災害から守るための指導、これは主として県、市町村を通じて学校、幼稚園、保育所等における子供を交通事故から守るための具体的な指導、よくときおり新聞に出ております、地区のおまわりさんが来て、新学期には、こういう新しい交通規則を守りなさいというような指導をやっておりますのはその一つでございます。
 それから夏の水死等の事故、こういうものにつきましても、やはりこれは主として厚生省の中央児童福祉審議会の専門家の方にお願いいたしまして、それの御助言をいただきながら、地区の先ほど申し上げました児童館、あるいはボランティア等を通じてその防止をはかるというようにしているわけでございます。
#96
○藤原道子君 この問題は大きな問題ですから、あらためて公害問題に対する児童問題は質問したいと思います。
 そこで、食品事故や薬害による被害者救済制度についての措置がどのように進められているか、第一、私が前々からやってまいりました食品事故や薬品公害に対する質問は、御案内のとおりたびたび重ねてやってきているわけです。それの対策、いま一つはサリドマイド児の援護措置はその後どうなったか、それから森永の砒素ミルク事件のその後の経過、これを聞かしてほしい。
#97
○政府委員(翁久次郎君) ただいま御指摘のございましたサリドマイド児の援護措置につきましては、これはいわば形の上では肢体不自由児という形になるわけでございます。特にサリドマイドによって手足を――主として手でございますけれども、欠損した児童につきましては補装具あるいは補装具の支給というものを中心に考えてやっておりますと同時に、肢体不自由児施設の入所というようなことを進めておるわけでございます。なお、別に製薬会社におきまして、裁判あるいはそれの補償という問題が進行していることは御承知のとおりでございます。なお、サリドマイド児の親御さんたちが会をつくっておられまして、この方々とわれわれとは連絡をとりながら、今後そういう子供さん方が成年に達しつつあるわけでございます。それの援護あるいは将来の社会人としての生活についてどのように対処していくか、これは法律、制度の中でできるものは措置をしていくという考え方で密接な連絡をとりながら進めているわけでございます。
 それから、森永の砒素ミルク事件につきましては、これはただいま裁判が進行中でございまして、やはり一般的に健康診査、あるいは形の上であらわれておりますのは脳障害あるいは身体障害という形になってあらわれておるわけでございますけれども、それはそれぞれの施設あるいは児童相談所、こういうものを通じて援護の措置をはかっていくということについては今後ともさらに努力を続けてまいりたい、こういうように考えているわけでございます。
#98
○藤原道子君 私は、公害問題に対しても、特に食品や薬品に対してはずいぶん前からやっている。ところが、われわれの言うことは野党だと思ってばかにされちゃって、ちっとも当局はこれに真剣にならなかった。特にサリドマイド児の問題については、諸外国で禁止したんだから日本も禁止しなさいと言ったところが、厚生省当局は、日本でまだ検討しておりますが、その結論が出ておりませんので、結論が出るまで待ってもらいたい、こういう話だった。ところが、諸外国でどんどん身障者が出ているんだから、それならば、検査している検査の結果が出るまで、一時売買することを中止しなさい、それで検査の結果、白と出たら売ってもよろしい、黒と出たら中止していたことがたいへん助かるじゃないかということをずいぶん委員会でやかましく言った。ところが、その後十一カ月うっちゃっといて、三十七年度には諸外国では多い国でも五人ぐらいしか障害者は生まれてない。ところが、日本では三百五十人も生まれた。諸外国は全部中止したのに、日本だけはそのままやっている。検査している結果が出なければ、一たん許可した販売を禁止することはできない、厚生省はそう言ったんです。こういうばかなことはないと思うんです、外国で発明した薬を入れたのだから。ところが諸外国が全部禁止したのだから日本も一時とにかく禁止しなさいと言ったら、結論が出るまではこのままでおく。で、私は一時中止して、結論が出るまで中止して、白と出たらよろしい、もし黒と出たときにどうしますかと言ったけれども、とにかく諸外国は五人ぐらいだのに日本は最高に多かった。三十七年度だと思います。こういうことで、野党の言うことはこばかにして聞いているんだろう。――この森永の砒素ミルクの問題でも、これは砒素が六%入っているからというので聞いてきたのに返事がおくれて、それで差しつかえないという許可が出ている。こういう結果が今日のこの大騒ぎになっておるんです。
 厚生省が薬品公害に対して、あるいは食品公害に対してももっと真剣にやってもらわなければ困る。洗剤でも私たち委員会でやったのはもう十五、六年前だと思う。それがいまこれだけ大騒ぎになってやっと公害問題に取り組むようになった。こういうことでなしに、心身障害児が生まれる原因を考えるときに、妊産婦の保護をしていきましょうと、子供の事故が多いのにはどういう対策を立てるとか、あらゆる面で厚生省は特に人命尊重の立場である当局だと思うんです。もっと真剣にやっていただきたいことを強く要求しておきます。
 そこで、森永の砒素ミルクの問題ですけれども、昨年の六月に斎藤前大臣との約束がその後どうなっているか。裁判続いておりますけれども、被害者証明の発行ですね、それから未確認児の確認、対策の実施には守る会と話し合っておいでになるかどうかということを、とにかくそれだけ聞かしておいてください。
#99
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私からお答え申し上げますが、前段にお述べになりました薬品、食品公害等についてさっぱりやらぬじゃないかというきびしい御批判がございましたが、さようなことでございませんので、実は、この問題は非常に大きな問題でございますので、いま省内でプロジェクトチームをつくりまして、それぞれ真剣に検討をいたしております。できまするならば、年末までに一応の案をつくりまして、次の通常国会に提案したいと、こういうことをたびたび私は藤原先生に、御質問あるたびにそう申し上げておりまして、一つも忘れたことございませんから、暮れまでに何とか案をつくりまして、できまするならば通常国会に出すようにしたい、かように考えておる次第でございます。
 それから砒素ミルクの問題でございますが、これもたしか三月か二月のおしまいごろでございましたか、藤原委員から御質問がございまして、できまするならば、私もこの問題については長いことこうやって解決しないでおくことは子供さん方にとって不幸なことであるので、何とか解決するように中に入って解決の糸口を見つけるように努力したいのだということをお答え申し上げたことがございます。その後、まあ、そんなつもりでおりましたところ、四月になりまして御承知のような訴訟が起こってまいったわけでございます。訴訟が起こりましても、訴訟は訴訟として、子供のしあわせというものを考えまするならば、何とか、できるだけまあ、和解をして、子供のしあわせのために対策をあたたかく講じてあげることが適当ではないかと、さように私は終始一貫いまでも思っております。訴訟は訴訟として、それは別として、できることならば何とか和解によって解決することが望ましい、こう考え続けてまいっております。
 そこでそれぞれのパイプを通していろいろ連絡はいたしておるわけでございますが、先般、守る会のほうからお話がございまして、被害者証明を出してもらえぬかというお話がございました。これは前のなくなられました斎藤厚生大臣のときにもお話のあった事柄でございます。そこで、この問題につきましては、本人が要望するならば、本人が要望するならば、被害者証明を役所側は出すことには異存はありません、こういうふうに回答をいたしておりまして、できまするならば、九月一ぱい、九月末までに本人の意向を聞きまして、ほしいという方につきましては被害者手帳を出すようにいたしたい、かように進めております。
 それから未確認の問題につきましては、先般大阪においてそういうふうな未確認の調査をしていただいたわけでございますが、調査の内容について厚生本省と大阪府の衛生部とのほうで多少意見の違うところがあるようでございます。そういう点につきましては、しかし、そういう方々のしあわせのためのことでございますから、厚生省から大阪に出向きまして、近く未確認の問題については急いで解決することにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
 この問題については非常に古い問題でありまして、藤原委員が今日まで非常に御苦労願い、御心配いただいておることについて、私は衷心から感謝をいたしておる問題でございます。率直に申します。感謝をいたしております、今日まで。しかし不幸なことに、この四月に訴訟になった。私は非常に残念だったと思うのです。藤原先生も非常に御心配いただき、私どももできるならば何とか解決したいと、こう考えておったのにああいう事件になった。しかしながら、そうは申しましても、やはり子供のしあわせのためにはそういうことがあっても、何とか一日も早く解決してあげることが必要だと思いますので、私も真剣に努力いたしますが、今日まで非常に御心配いただいた藤原委員もどうかこの問題の解決のために一そうのお骨折り賜わらんことを私もお願い申し上げたいと思う次第でございます。
#100
○藤原道子君 とにかくあれが起こってから十八年でしょう。だから被害者の子供がもう十九歳、二十歳の子もいる。結婚適齢期を迎える。ですから一日も早く解決したいと思いますので、森永のほうにも私は話しておりますし、守る会も、まあ、私は岡山の出身なものですから、いろいろ陳情がございますので、早く解決して一般に安心を与えたい。それで不買同盟なんかも起こっておりますけれども、森永の現状等を見ると、やっぱり早く解決したいと、こう思いますので、向こうの要求しておりますことを聞き入れて早く解決できるようにお願いしておきます。
  〔委員長退席、理事須原昭二君着席〕
 そこで、心身障害児の対策ですけれども、基本法の施行状況を伺いたい。それから全面的な推進をはかるために各種関連の法規を改正し、すみやかに具体化すべきではないかと思う。で、中央心身障害者対策協議会から昭和四十七年十二月十二日に「総合的な心身障害者対策の推進について」の報告が出ておりますが、これに基づいて各省はどのように実施しておいでになるか。四十九年度予算作成の時期を迎えて重点項目はどのように考えておいでになるかということを一応お伺いしたい。
#101
○政府委員(翁久次郎君) 心身障害児対策につきましては、基本法の趣旨にのっとりましてその施策を進めておるわけでございます。御承知のように、基本法は心身障害児についてのあるべき行政の方向を明定しているわけでございまして、私どもは、その方向に従って具体的な施策を軌道に乗せていくということで努力をしていかなければならない。
 御承知のように、施策の方向といたしましては、一つには施設の拡充でございます。これは年々、特に最近におきましては国立療養所にお願いいたしまして重症児のベッドをふやしてまいる。それから筋萎縮症児のベッドにつきましても、これを国立療養所を中心にしてふやしてまいるということを行ない、同時に、先ほども触れましたように、小児の慢性疾患、これにつきましては昨年調査をいたしましてその結果が出てまいりました。その結果に基づきまして、小児の慢性疾患の考えられるものにつきましては、来年度の予算で措置をしてまいりたいということを中心に進めているわけでございます。したがいまして、あと同時に在宅の心身障害児者につきましては、先ほど申し上げました特別養護手当、特別児童扶養手当における介護手当の増額ということで、来年度予算におきましては画期的な増額をはかってまいりたい。それによって介護料としてこれを介護する父兄の方々の負担を少しでも軽くしてまいりたいということを考えているわけでございます。
 繰り返えすようでございますけれども、基本的には法律の趣旨にのっとって行政を進めてまいりますと同時に、施設対策、在宅対策、それから総合的には母子保健の一環としての母子保健対策というものを進めてまいりまして、少しでもこの重症心身障害児の子供さんが生まれてこない努力をすると同時に、出てきた子供さんに対しては、できるだけの具体的な措置を講じてまいるということが、この施策の中心になるかと、こういうふうに考えているわけでございます。
#102
○藤原道子君 詳しく質問ができなくなっちゃいましたよね。
 いまの御答弁でございますが、真剣にやってもらわなければ困る。
 それで、いま各施設へ行ってみますと、非常にたいへんですね。その後、びわこ学園とか島田療育園はどうなりました。ここで働いておる人たちの腰痛問題ですね。こういうことはいままでも委員会でやっておりますから、詳しいことは省略してその後の経過だけを聞きたい。これがもし、びわこ学園だの島田療育園がやめるようなことになったら、そこに入っている重度心身障害児は一体どうなるか。こういうことについて、その後そこに働いておる人々の待遇とか人員の補充とか、こういうことがどのように行なわれているかということを伺いたいことが一つ。
 それから、職員の養成と待遇の問題、これを伺いたい。
 それから、最近私が入院中に黒木さんがおいでになって、それで韓国から従事者を受け入れるというようなことの話においでになった。私はこれに対しては反対でございますが、その後どういうふうな状態になっておるか。日本で待遇だのあるいは人員不足等でだんだんだめになった。そこへ韓国から入れるとはどういうわけか。こういうことについてちょっと御答弁願いたい。
#103
○政府委員(翁久次郎君) 御質問は三点になろうかと思いますが、最初のいわゆる重症心身障害児収容施設、びわこ学園を例にとって最近の状況を御説明申し上げます。
 御指摘のとおり、びわこ、特に第二びわこ学園につきましては、腰痛症を訴える職員が非常に多うございます。医師の診断によって労災補償を受けている人もおられます。これにつきましては、通院している人、それから通院しなくても治療してそこでおられる人、いろいろ区分けはございますけれども、詳細は省きまして、要するに、職員が腰痛症によって収容している児童の世話ができないということが最大の問題でございます。したがいまして、滋賀県が、これは半分が滋賀県の児童でございまして、あとは他府県の児童でございますので、
  〔理事須原昭二君退席、委員長着席〕
大阪府とか兵庫県の関係府県に呼びかけまして、そして、できるだけ職員の新規の募集を行なう。現在いわゆるアルバイトの人を三十名近く来てもらいまして、同時に父兄の方も応援に来ていただいております。
 われわれが当面真剣に考えておりますのは、収容されている児童がその閉鎖によって一番不幸な目にあわないようにすることが最大の目標でございます。したがいまして、いま申し上げましたように腰痛症の職員にかわり得る職員の募集と、それをお手伝いできる人を少しでもふやしていくということを滋賀県が中心になりまして各県に働きかける。同時に、国は、前に大臣もこの委員会で御説明したと思いますけれども、できる範囲内で補助を行なう。約一千六百万と思いますけれども、これを助成いたしまして、なお関係府県もできるだけの措置をしたいということで、最近、児童一人当たり約七千円の各県が負担をやって職員の待遇改善をはかるということを現在進めておるわけでございます。したがいまして、当面危機は回避されているのではないか。しかし、これで安心できるものではございませんので、今後、さらに職員の処遇改善ということについては、予算の範囲内あるいは関係府県の最大の努力でこれを行なってまいりたい。特に、来年度予算におきましては、看護対策を中心に予算の拡充をはかってまいりたいということを念頭に置いて努力をしているわけでございます。
 それから韓国の問題でございますけれども、韓国の保母さんですか、看護婦さんですか、これが日本のこういう施設に来られて、そして、何と申しますか、研究をして、同時に、韓国に帰られてから、その国の重症施設のために役に立ちたいということで、このお話が始まったやに伺っております。ただ、最近の状況では、なお受け入れの問題、あるいは今後の処遇の問題ということについて慎重に検討する必要があるのではなかろうかということで、ただいまそういう点を中心に検討を重ねている最中でございまして、まだ結論は出しておりません。
#104
○藤原道子君 問題は、ここまで来るまで放置されていることが問題なんですよ。従業員のほうからの要求もあったろうし、われわれも委員会で取り上げてきたんですが、ところが、それがごぞごぞごぞごぞしているうちに、いまのような重大なことに逢着しちゃった。幾ら募集したって、待遇はどうなるんだ、人員はどの程度に考えているか。私は、アルバイトでと言うけれども、それは人が足りないからしかたがないけれども、専門的な従事者の養成はどういうふうに考えておいでになるか、待遇はどう考えておるか。それから、看護婦の問題につきましては、二十何年か前から人員の養成とか、待遇とか、定員とかいうことは議会でずいぶん問題になってきていた。それが今日まで放置されている。それでいま重度心身障害児を親が家庭へ連れ帰るというような状態にきている。一体これで厚生省として、心身障害児対策、これがほんとうに行なわれてきたかどうかと言わざるを得なくなる。こういう憎まれ口は聞きたくないけれども、現実にこの間私は島田へも行ってみたし、びわこ第二学園へも行ってみたし、岡山の旭川ですか、あそこへも行ってみたのですけれども、あそこで働いている従業員の苦労というものは、それはたいへんなんです。こういう点について真剣に考えてほしい。
 いま、韓国の看護婦云々ということがあったけれども、違いますよ。看護婦じゃない。韓国に心身障害児の施設がないから、日本で養成して、そうして韓国へ帰って働かせるんだと、こう言うんです。養成所はどう考えておるか。日本の重労働のために日本で働く人がいなくなったときに、また韓国から連れてくるなんていうばかなことは私は認められない。というようなことで、この間も話したんですけれども、もう少し真剣に考えていただきたい。私は、一時半までという約束でございますから、時間がなくなりました。ですから、職員の養成と待遇の問題、それから施設の問題、これを真剣に考えて、心身障害児をかかえた親たちが安心できるような対策を立ててもらいたい。
 それから大臣が、この前の委員会で一対一にするというお話がございましたが、それはあくまで守られるかどうか。その人員がどうして補給できるかということについて答弁を伺いたい。
#105
○国務大臣(齋藤邦吉君) 最近の状況におきましては、社会福祉施設の運営はまさしく、看護婦なり保母さんと申しますか、人の問題が中心であるわけでございます。幾ら施設をつくりましても、人がいなければその目的を達成することはできない。ほんとうにどたんばに追いつめられたような感じをいたしております。したがって、私としては、社会福祉施設の充実のためには、まず人ということをスローガンにして、その待遇の改善、そして、そういう待遇のもとにどうして人を充足することができるか、これがもう基本である。こういう考え方で、明年度の予算編成にあたりましても、そういう方向で臨んでまいる所存でございます。
 それと同時に、先般来、社会労働委員会等においてお約束申し上げました重度心身障害児を収容する施設にあたりましては、一・五対一人というやつをやめまして、一人対一人ということで予算要求をするということにして予算をいま大蔵省に要求をいたしております。これはお約束どおり、要求をいたしております。最後までこれを実現する考えでございます。
 問題は、先ほど来申し上げておりまするそのマンパワーをいかにして確保するかということでございますから、非常にむずかしい問題でございます。こういうふうな際でございますから、非常にむずかしい問題でございますが、社会福祉施設の基本はマンパワーにあるのだということで私は真剣にこの問題に取り組んでまいる、かように考えておりますので、御了承願いたいと思います。
#106
○藤原道子君 ぜひ真剣にやってください。ここまで来ないうちに、われわれの要求を真剣に厚生省が考えてくれておれば、いまのような悲劇におちいることはなかったと思うのです。ですから、ぜひいまのお約束が完全に実行できるように、と同時に、看護婦の待遇、こういう施設に働く人たちの待遇問題も真剣に考えていただく、これを実行していただきたいということを強く要望いたします。
 精薄対策もございますけれども、とにかく児童福祉法というものがあるんです。完全にこれを守っておりますというけれども、追及していけば、こういう事件が次から次へ出てくる。
 私はこの間、あそこは高崎のコロニーですか、あそこに行きましたけれども、全国でたった一つでしょう。北海道から九州のがみな高崎へ来なければならない。百万坪の土地があって、そこに建った建物の中に全国の子供が来ているのですよね。親たちがたまに会いたいと思っても、これは北海道、九州からやってくる旅費が出るところがないんですから、なかなか来られない。そうすると、近所の親たちが来ているのを見た子供がそばでこうしていましたよ。親が来た子供は非常に喜んで親にあまえております。それを見ている子供が泣いているんですよ。入って以来親たちが来られないと、こういう状態にある。
 われわれが前から要求しておりますように、各地区ごとにこういう施設を建てて、何とか真剣に世話ができるように考えていただきたい。
 きょうは精神薄弱児の問題も、と思いましたが。これで取りやめまして、とにかく児童福祉法が完全に実施されるようにしてほしい。それから妊娠中の母体の保護、こういうことがその心身障害児の出産等に非常に影響してくるから、この点もひとつ考えていただきたい。労働省にはぜひ産前産後の休暇を八週間にしてほしいことと、それから育児休暇が完全に実現できるようなことも検討していただきまして、また次の委員会でいろいろお伺いしたいこともございますが、真剣に考えてほしい。大臣の最後の御答弁を伺わしていただきたい。
#107
○国務大臣(齋藤邦吉君) 児童福祉の問題、身体障害者の問題、先ほど来いろいろ御質疑いただきました諸問題につきましては、私どもも真剣に取り組んでまいる所存でございます。
#108
○委員長(大橋和孝君) 両案に対する質疑は、午前中はこの程度でやめます。
 午後二時三十分まで休憩いたします。
   午後一時二十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時八分開会
#109
○委員長(大橋和孝君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#110
○須原昭二君 健康保険法の改正案の審議に入るにあたって、特にこのたびの改正案は、健康保険の財政の再建がその柱となっている。したがって、いろいろとお尋ねをいたしたいわけでありますが、まず健康保険制度の特質、本質の、といいますか、基本的な課題についてまず御見解を承っておきたいと思うわけです。特に私が言いたいことは、医療保険には、医療の特質といいますか、そういう点から見ますると、おのずから私は保険制度に限界があると思うわけです。たとえば失業保険や年金保険と違って、保険のサイドに乗らない本質を私は見のがしておるのではないかと実は思うわけです。たとえば医療保険の拠出のサイドを見ますると、保険料の納付期限、あるいはまた負担額のいかんによって受給の資格が押えつけるわけにはまいらないわけです。あるいはまた一方、給付のサイドから申し上げますと、病気の認定に客観性が乏しいということ、それから被保険者の主観的な判断でいわゆる診療を受け、給付が始まり、医療行為が始まってくるわけで、そうしなければ判定ができないという実は特質があるわけです。しかも、医療保険は、病気を完全になおさなければならないという、医療の完遂性といいますか、そういう性格があるわけです。したがって、受給の期限を制限すべきでない。給付の内容についても、患者の症状に応じて保険関係上第三者であるいわゆる医師によって主体的に判断をされて決定をされる、こういう特質があるわけです。したがって、医療保険といっても、これを忘れて、ただ保険だから収支のバランスをとらなければならない、あるいは収支相当の原則に従って保険財政を維持しようとしても事の本質的な解決には私はならぬと思うわけです。したがって、端的に申し上げて、医療保険には保険としての、保険制度としての限界がある、これを政府は認められるかどうか、まずお尋ねをいたしておきたいと思います。
#111
○政府委員(北川力夫君) 非常に根本的な問題でございますが、確かに仰せのとおり、現在は皆保険でございますから、すべての国民が何らかの形で健康保険に加入をいたしております。しかし、健康保険は医療を提供するわけでございまして、医療というものは非常に総合性があり、また、いまおっしゃったような医師の主体性、あるいはまた給付をいたします上においてのいろいろな特質、そういったものもあろうかと思います。私どもは、そういう意味で医療保険の改正問題、保険制度の改善問題と申しますものは、長年議論をされておりますように、単に医療保険のいわゆる財政対策だけではなくて、やはり皆保険下における医療を充実をする、医療の給付面の公平を期する、あるいはまた、負担面の均衡を保持する、そういう観点からあらゆる施策をやっていかなければなりませんし、また、そういう意味合いで医療保険の改善のみならず、医療保険を取り巻く、あるいはまた医療保険の前提となる医療制度そのものの充実をはかっていかなければならないと思います。そういうことから総合的に考えますると、いまお話になりました医療保険の限界と申しますか、あるいはそういうような言い方が適切であるかもしれませんけれども、限界ということも含めて、医療制度全体の改善の中において医療の特質をわきまえた医療保険制度の改善、そういうものを考えていくべきであろうと思っております。また、そういう意味合いで、今回の改正も、改正内容そのものは給付の改善、すなわち給付の保険制度相互間における公平をはかっていく、また、負担につきましても、内部の負担の均衡、あるいはまた国庫補助の投入、政管健保に対する国庫補助の投入等による横並びにおける負担面の公平、そういうことを考えながら今度の改善もやっているわけでございまして、大きなバックグラウンドからごらんをいただければ、今度の改正は十分とは言えないまでも、先生御指摘の医療保険の限界といわれるものをわきまえた上での改善であろうかと、このように考えておるような次第であります。
#112
○須原昭二君 いまお話を聞いておりますか、どうもきょうは質問たくさんいたしたいわけですから、要を得てひとつ簡略にお願いをしておきたいと思います。
 そこで、いま限界という私はことばを使ったわけですが、保険制度にはそういう各種の限界があるわけです。そこで、実は収支のバランスだけをとる財政再建の改正案だけではなくして、抜本なり基本法なり、いわゆる供給体制の確立というものを同時にやはり論議をしていかなければ問題の本質を見失ってしまうわけであります。したがって、私たちはこの限界の上にこれから論議を進めてまいりたいと思うわけですが、たとえば、現在の現物給付の場合、あまり収支の面ばかりを強調いたしますと往々にして制限診療におちいりやすい。もし、制限診療にして給付の内容を落とすと、せっかく給付をしたものが経済効果をゼロにしてしまう、こういう医療の特殊性があるわけです。したがって、われわれは限界という、限界論から言うならば、医療保険の守るべき守備範囲といいますか、そういうものを明確にしなければならない段階ではないかと実は思うわけです。たとえば、老人医療の無料化につきましても、自己負担分のこれは公費負担でありまして、完全無料化では実はないわけです。したがって、自己負担のみだけ公費にするとどういう現象が起きますかというと、御案内のとおり、本人と家族の一件当たりの点数が本人と家族とでは実は四割から五割、多いところでは五割違っているわけです。当然その自己負担分の無料化に伴って保険財政に対して、はね返りが非常に大きいわけです。したがってこの際、私は老人医療あるいはまたゼロ歳児、乳幼児の医療、あるいは妊産婦の医療、こうしたものを無料にする。あるいはまた難病奇病の無料化の問題につきましても、これは保険から除いてしまってやはり完全公費負担としていくのがほんとうではないのか。すなわち医療保険の守備範囲を明確に区分していく必要があると思うのですが、その点、厚生省はどのようにお考えになっておられますか。
#113
○政府委員(北川力夫君) ただいまの問題は、要するに、保険と公費負担医療との関係の問題だと考えます。結局、この医療保障というものを医療保険を中心にしてやっていくか、あるいはまたいま例示されましたような問題について、公費負担医療というものを前面に押し出していくか、そういう問題が問題の中心点だと考えております。
 非常にむずかしい問題でございますが、従来からの経緯を見ますと、公費負担といわれておりますものは、あるいは国家賠償的なもの、あるいは社会防衛的なもの、そういったものはおおむね公費負担医療でやってまいっております。また、最近ではそういったもの以外にいまお話になりました老人医療あるいは難病奇病、そういったものについて保険医療にプラスをして行なう、こういうやり方が行なわれております。こういうやり方ははたして適切であるかどうか、こういう問題点は当然現在の大きな問題でございまして、厚生省といたしましては、現在この保険医療の問題とそれから公費負担医療との問題とをどういう点で調整をすべきか十分に考えなければならない時期に来ておりまするので、厚生省内にこの問題についてのプロジェクトチームをつくりまして、いま御提議されましたような問題点をこの際明確な方向に割り切っていきたいと、こういうことで現在検討中であるというのが実情でございます。
#114
○須原昭二君 答弁が長過ぎますよ。前段はプロジェクトをつくっていま検討中だというのが答弁なんです。私が言っていることを全部オウム返しにしゃべってしまっては、時間が制約されておりますから、ひとつ簡略にお願いしたいと思います。
 そこで、検討されているということでわかりましたけれども、ぜひともそういう方向が私は正しいのではないかと実は思います。
 そこで、今日の改正案は、財政収支を伴うための財政再建策である。したがって、前回の健康保険法の改正のときにはいわゆる抜本案あるいは基本法案、そうしたものが提出されました。今度は提出されておりません。まあ、再建だけやっておいて、あとからひとつ抜本あるいは基本法等は出すのだということを漏れ聞いておりますが、この将来展望はどうなっておりますか、これは厚生大臣からお伺いいたしたい。
#115
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私どもは、医療供給体制その他の保険の抜本改正につきましては、実行可能なところから段階的にやっていこう、こういう考え方でございまして、今回提案申し上げておりまする健康保険法の改正も、昨年保険の抜本改正として提案いたしました中から給付の分を取り出して行なわんとしておるものでございまして、今後とも私どもは実行可能なものから段階的にやっていく、こういう考えでいきたい、かように考えておる次第でございます。
#116
○須原昭二君 実行可能なものというお話でございますが、後ほどその問題についてはお尋ねいたしますから、先へ進めてまいりたいと思います。
 そこで、実は今日的な課題でぜひともこの機会にお尋ねしておきたいのですが、日本医師会が七月の初め常任幹事会で確認をし、全国都道府県に通知をされました新しい診療体制案、この内容でありますが、現行保険制度の中で、一部、特別診療時間といいますか、いわゆる自由診療の時間、そうして相談時間を新たに持つ体制、こういうものを全国に通知をされました。実施方法はたとえば、特別診療あるいは相談ともに現在の診療状態の中で設定をして、予約制の採用、あるいは診療料金は自分できめるということにしておりますが、具体的にどう実施されておるのか。この点が一つです。
 もう一つ、実施の時期については武見会長は各会員個人の問題だとして、採用できるものは採用したらよい。それができなければ、現行の保険制度の中に埋没していく以外に道はないと、こう断定をされております。当面各個人の判断にゆだねられておるのでありますが、現状はどうなっておるのか。やっておるのか、やっておらないのか。下部のほうではどういう状態になっておるのか。厚生省はつかんでおられたら御報告を願いたいと思います。
#117
○政府委員(北川力夫君) そういうような日本医師会の指令があったことは私ども承知いたしておりますが、具体的に各地域でどのような態様で実施をされておりますか、現在のところ私どもは個個の事例についてつまびらかにいたしておりません。
#118
○須原昭二君 つまびらかにしておりませんということは、調査されたことはないということですか。やってないということですか。明確にひとつお願いしたいと思います。
#119
○政府委員(北川力夫君) 私どもが承知いたしております範囲内では、いろいろ各地の医師会等でこの問題について論議をされておりまして、それぞれニュアンスの違った議論があるようでございますけれども、個々の医療機関において、これが実際に行なわれているかどうかについて、現在私どもは承知をしていないということでございます。また調査をしているかと言われますると、現在そういうことについて、個々の医療機関について具体的な調査はいまのところやっておりません。
#120
○須原昭二君 調査をされておらない。しかも、実態がわからないということでありますが、実態がわからないということは、ことばをかえて言うならば、まあ、ほとんどやられておらないと私たちも解釈をしたいんですが、少なくとも武見会長というのはこの医療界における大立て者です。特に日本医師会のその通知、指令に基づいて行なわれているのに、下部ではやっておらないということですね。この指示が徹底してないということですね。そう理解してもいいですか。
#121
○政府委員(北川力夫君) 非常にむつかしい問題でございまして、私どもはこのやっていないというふうに理解していいかと言われますと、その辺はいま申し上げましたように、具体的な詳細な調査をいたしておりませんので、実は申し上げかねるわけでございます。ただ、いろいろなものを通じまして現在承知いたしております限りにおいては、各地方の医師会でこの問題についていろいろ具体的な取り扱いをどうするかについていろんな検討がされておる。また、その検討の結果についてはなかなかその結論にも、あるいはまた中間的な論議の過程にもバラエティーがある。したがって、現在のところ非常に明確な形でこれが行なわれているか、あるいは非常に明確なかっこうで行なわれていないか。その辺のところが十分つまびらかでない。こういう意味合いで申し上げたようなわけでございます。
#122
○須原昭二君 一度それはお調べをいただいておきたいと思うわけですが、基本的な問題点で、それに関連をして、もしやられた場合、あるいはこれが拡大をされた場合の影響について、若干お尋ねしておきたいと思うわけです。通知によると、この新しい診療体制は健康保険法による保険医、保険機関、保険医療機関の束縛を離れた、いわゆる医師と患者の合意に基づく自由な診療と相談というものを実現をするというふうにうたっておるわけです。現行の法規上、法規のもとにおいて保険診療あるいは自由診療の併用医及び併用医療機関、こういうものは許されるのかどうか、この点をまずお尋ねをしておきたいと思います。
#123
○政府委員(北川力夫君) 現在の健康保険法の定めによりますると、現在の健康保険法では保険医療機関で行なわれる療養の給付について見ますと、これは被保険者はその給付を受ける際に一定額の一部負担金を除きまして、当該保険医療機関にその対価を支払うことを要しない。保険医療機関は、その診療報酬を被保険者に対してでなくて、保険者に対して請求をすべきものとされております。これは四十三条の九の規定でございます。このような仕組みは、現行の健康保険制度のいわば根幹をなすものでございまして、保険医療機関は保険者の療養の給付を代行する機関として、このような仕組みにおけるその役割りを担任すべく、みずからの申し出によって、申請によって、都道府県知事の指定を受けておる。これが現在の法律の四十三条の三に定めるところでございます。したがいまして、保険医療機関といたしましては、被保険者が成規の手続に従って療養の給付を求めたときには、医療自体を給付し得る場合、これはまあ、いろいろあると思いまするけれども、医師法その他の医事法令の定めるところによって、そういう医療はできないというようなことがありますならば、この場合は別でございますけれども、そうではなくて、いやしくも当該被保険者に対して医療を行ないます以上は、いま申し上げました仕組みによる現物給付たる療養の給付としてこれを行なうべきものであると、私どもは考えております。したがいまして、この一定の時間帯というふうなものを自己が任意に設定をして、その分については保険診療としてではなくて行なうというようなこと、そういうことについては、非常にまあ、疑問の多い問題だと思っております。もっとも、被保険者のほうで保険診療を自分が受ける権利を放棄すると、自由診療でいいと、こういうことでございますれば別でございますけれども、そうでない限りは、そういうやり方を保険医療機関のほうで一定時間帯に限って保険診療は一切取り扱わない、こういうことがあるとするならば、非常に現行法規に照らして、いま申し上げました点に照らして、問題点が多いのではないかということを一般論として考えております。
#124
○丸茂重貞君 関連して。北川君ね、いま四十三条にだな、保険給付の範囲が限定されているわけだ、そうだね。医療給付の範囲が限定されているでしょう。それ以外のものはどうなるの。保険給付で限定されている以外のものはどうなる。たとえば健康指導とか、そういうものはどうする。
#125
○政府委員(北川力夫君) 四十三条の第一項に書いてございますものは、これはあくまでも療養の給付でございます。いま丸茂先生のお尋ねになりましたような問題、健康相談でございますとか、そういったものは、これは保険給付ではございませんから、そういう問題はこの問題の外の問題であろうかと思います。
#126
○丸茂重貞君 そういう面を加味しているんじゃないのか。いま須原さんがね、指示されたところの通牒の中身というものは、そういうところに触れられてのことではないのか。一般の医療給付をさしているのか。
#127
○政府委員(北川力夫君) 私がいま須原先生から伺ったお話の範囲内で、あるいは十分に理解をしない面があったかもしれませんけれども、いま丸茂先生がおっしゃいましたような、そういった健康診断とかあるいはいろいろな療養相談とか、あるいは育児相談とかあるいは精神衛生相談とか、そういったこの相談業務というふうなことに限定いたしますと、こういう問題はもうほとんど問題はない、このように考えております。
#128
○丸茂重貞君 それからもう一つちょっと。いま一般的な答えとして答えたんで、混同があると思うのだが、保険医療機関は自由診療をしてはならないというふうな答えにとれたんだがね、これはそういうことはないと思うなあ、いまの健康保険法の中で。保険証を提示しない者については自由診療なんだ。そうじゃないの。
#129
○政府委員(北川力夫君) 私がお答え申し上げました中にも、その点は話したつもりでございますけれども、被保険者みずからが自由診療としてやってもらいたい、こういう場合には、これはもちろん保険医療機関としても自由診療は十分可能でございます。
#130
○須原昭二君 そこでですね、やはり争点は、そうするとみずから放棄した場合はその限りにあらず。逆にですね、保険医の指定を受けたお医者さんは請求があれば保険診療を拒否してはならぬということに法規上なっていますが、そう解釈していいですか。
#131
○政府委員(北川力夫君) 先ほど申し上げましたように、現在の保険医療機関の指定の仕組みそのものが、いま申し上げたような被保険者が保険診療を受けるような一つの権利があると、また、保険医療機関は保険診療を行なう義務があると、そういうことでございますから、被保険者に対して保険医療を請求しないようにするというようなことになりますると、非常に問題点が残るんじゃなかろうかと、こういう私どもは感じを持っているわけでございます。ただ、実際上、一番問題は具体的な医療機関の場でこのこと自体がどういう形で行なわれるか、現在の実情は先ほど申し上げたように、必ずしも十分はっきりいたしておりませんけれども、具体的なケース、ケースによってかなり違ってまいると思いますので、そのケースによってその辺の判断をしなきゃならないと、このように考えておるようなわけであります。
#132
○須原昭二君 ちょっと、非常に不明確な答弁ですから、私が心配しているのはこういうことなんですよ。結果論になりますが、もしこういう特別診療が一般化していった、拡大していったならば、それによって保険診療時間が短縮される、あるいはまた、自由診療の時間が拡大されていく、そういう状態になった場合を予想して、そうした場合は結果的には被保険者が締め出されてしまうのではないか。保険あっても保険が使えないというような状態が起きてくるのではないかという実はおそれがあるわけです。すなわち、健康保険の被保険者の権利が実質的に侵されていくことではないだろうか、こういう点を非常に心配しているんですが、そういう点はどうでしょう。
#133
○政府委員(北川力夫君) まさに須原先生の御指摘のとおりでございます。私どもはいまの、この日本医師会の指示と申しますか、こういう問題が具体的な場で適法であるか、合法であるかということの議論ももちろんあるわけでございますけれども、そのことよりも、要は被保険者にとって保険診療が行なわれないような状態、被保険者に迷惑がかかるような状態、そういうことがないようにすることがきわめて大切なことと考えておりまして、このような観点から、この問題の処理は十分ひとつ関係団体の協力を得てやっていかにゃならないと、このように考えております。できるだけ被保険者に迷惑がかからないように、そういう点に一番留意をすべきである、このように考えております。
#134
○須原昭二君 適法かどうかということは、これからいろいろ御検討いただくことにしまして、もし特別診療が一般化すれば、被保険者は好むと好まざるとにかかわらず公的な医療機関に集中する傾向が私は強くなる。そういう見通しをどうお考えになっておるかということが一つ。
 いま一つは、このような特別自由診療を認めていけば、当然保険財政に与える影響、いまわれわれが審議をいたしておるところの健康保険改正法案の財政的な基礎、こうしたものに大きな私は影響を加えてくると思うわけですが、保険医療費の総ワクが変わってくると、こう思うんです。どのようにこの点は積算されていますか。
#135
○政府委員(北川力夫君) 私どもは、いま先生のお話の前段にございましたような、こういうようなことが非常に広がってきて、患者さんが公的な医療機関に集中するというようなこと、現在でもかなり公的な医療機関はかなり多数の患者をかかえておりますから、これは現状から申しましても、そういうことはできるだけ避けるべきだと思っております。ましていま問題になっておりますようなことが広がりますことは非常にそういう意味合いでも好ましくございませんので、そういうことがないように十分に留意をしてまいりたいと思っております。
 後段の、こういうものが拡大することによって医療費がどうなるかという積算は、必ずしもこれは現在の段階では私ども、はっきり推定をいたすことはできません。むしろそれよりも、いま先生が御心配になっておりますようなことが起こらないように、いろんな諸般の施策を十分に講じていくと、そのことのほうが重要ではなかろうか、このように考えております。
#136
○須原昭二君 私は、広がらないようにとおっしゃっておるし、いま一つは実態が御調査になっておらないので、したがって、そういうことが行なわれているかどうか、それ自体すら厚生省はつかんでおられない。
 そこで、私はお尋ねしたいのですが、この新しい診療体制の実施、これは現に日本医師会が全国に通知をされておりますから、私はこういう体制が広がらないとはだれも保証ができ得ないわけです。その点で、こういう事態が広がることはよろしくない、好ましくないといま御判断、そういう意向が初めて漏らされたわけですが、今後事態の推移を慎重に見守るかまえと厚生省は先回たしか言明されたように私は聞いておりますが、この際、適法かどうかというのは別として、こういう事態が進行することがほんとうに好ましいのか、好ましくないのか。好ましくないとするならばどのような処置をとられようとするのか、この点はひとつ厚生大臣からお尋ねをしておきたいと思います。
#137
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私は、この問題が法律的に適法であるかないかは別といたしまして、診療報酬改定との関連においてこの問題の解決に当たっていくのが本時点においては適切ではないかと、かように考えておる次第でございます。
#138
○須原昭二君 診療報酬の問題とからみ合わして対処していくというお話でございますから、その点は診療報酬のときに、ひとつまた議論をいたしましょう。
 そこで、今度は中医協の問題、健康保険という保険である以上、今回は主として収入という財政上の問題、この点に非常に大きな議論がわいているわけです。なるほど五割にするとか、六割にするとか、七割給付を行なうとか、あるいはまた各種の給付面の改善策は見られますけれども、本質的な浮き彫りにされている問題は、保険料を多く取るか、少なく取るか、どうするかという収入の面にかかっておるといわなければなりません。そういう点から見ますと、特に支出の視点に立ちますときに、最も観念的に私たちの頭に浮んでくることは、いま停滞をしておるところの中医協の動向であるといわなければなりません。特にスライド制を含む診療報酬と薬価基準の改定をめぐって一号側委員と二号側委員との対立、ひいては五月十五日でしたね、十五日、円城寺会長の不信任、さらに言論抑圧ともいわれる河原委員に対する報復手段として東芝製品のボイコット通達、それから河原委員の辞任、各種さまざまな問題が露呈をいたしまして、実質的にいま中医協は機能が停止されている現況にあります。
 そこで、実はこの問題については、本委員会、六月の初め、六月の五日ですか、たしか中沢委員の質問に対して各側の言い分に対する批判というか、考え方についてはしばらく控えさしてほしいと厚生大臣はおっしゃられました。さらに解決の見通しについても明確な答弁を避けられたことを私は記憶をいたしております。もうあれから三カ月たっているわけです。その後どうなったのか、どのような事態に進んでおるのか、この際お尋ねをしておきたいと思います。
#139
○国務大臣(齋藤邦吉君) 今日、中医協がまだ正常な運営を行なうことができない事態にありますことは私としても責任上まことに遺憾に存じておる次第でございます。そこでこうした事態が発生いたしまして以来今日まで何とかこの事態を解決するために努力をいたしておるわけでございますが、まだ解決を見るに至っておりませんが、できるだけすみやかなる機会に事態を解決し、正常なる姿においてもろもろの問題が討議されるようにしていきたいと念願をし、努力を続けておるような次第でございます。
#140
○須原昭二君 三カ月、四カ月たっているわけですね。その間、厚生大臣も陰に陽と言いたいのですが、陽はあまりないのですが、陰に努力をされていることについては私は了承をいたしますが、結果論、実は、われわれの耳の中には全然解決の見通しが立たないような現況であります。特に私がお尋ねをしたいのは、先ほど申されました診療報酬、薬価基準等々の緊急改定がどうしても必要だということは厚生大臣おっしゃられている。この基盤となるのは、何といっても土俵は中医協なんです。この中医協が正常にならない以上、進展は見ないわけです。ですから、どのようにこの見通しを立てられておるのか、この点をあえてお尋ねをいたしておきたいと思います。
#141
○国務大臣(齋藤邦吉君) こうした事態を解決するために陰に陽にと申しますか、実は、陰のほうが多いのかもしれませんが、(笑声)できるだけ努力をいたしておるわけでございまして、しかし、私が申し上げるまでもなく、診療報酬の改定は急を要する問題であることは御承知のとおりであります。そうしたふうなことでございますから、私はそういつまでも、そう長い間時間がかかるというわけのものではない、できるだけ早い機会に事態を解決することができると、かように確信をいたしておるような次第でございます。
#142
○須原昭二君 どうも、その確信だけでは私たちは了承できないわけです。四カ月もたってるんですね。その経過について、われわれは全然わからない。私は進展してないと断定したい。そういう状態において、確信を持ってる確信を持ってると、こうおっしゃっても、なかなかわれわれは理解を深めるわけにまいらないわけです。まあ、この点はまたあとでお話を聞きますが……。
 ところで、河原委員の辞表は厚生大臣は受け取られたんですね。――受け取られたんですね。で、河原委員の後任はどうなってますか。
#143
○国務大臣(齋藤邦吉君) 河原委員は辞意を漏らされたのはだいぶんさきでございましたが、任期が、八月の二十五日が任期でございますので、任期切れになったわけでございます。その後任につきましては、日経連の桜田会長に後任を推薦していただくようにお願いをしてございますから、九月中、九月の二十日前後には後任の推薦をいただけるものと考えております。
#144
○須原昭二君 まあ、これは任命された方から言うならば、幸いにして八月二十五日が任期であった、だから自動的にこれは解決したというふうなものの考え方では、私は非常に不謹慎だと思うわけです。後任の問題について、二十日ごろに何とかおっしゃいますけれども、彼の選出母体はその後任問題については何らも表明をしておらないわけです。こういう問題すら中医協はもう構成人員にやはり問題があるわけです。こういう点はどういうふうにお考えになっておられますか。
 それからさらに、時間の関係ございますからついでに申し上げますが、円城寺会長の不信任、これは大臣が受け取られたんですか。
#145
○国務大臣(齋藤邦吉君) 八月に実は任期切れになる方々が相当ございまして、支払い側においても二、三人の方が任期切れで再任をいたしております。公益の方でおやめになる方もございますので、その方の後任につきましては目下選考中でございます。で、公益委員の任命につきましては国会承認人事でございますから、二人ほど交代いたしますために、その人選を目下急いでおりまして、近く国会の承認をお願いしたい、こういう手順で進めておるような次第でございます。
 そこで、先ほどお尋ねの医療担当者側が信任をしないということは、私あてに持ってきたんでございます。これは事実でございますから、そのとおりに申し上げておきます。
#146
○須原昭二君 まあ、大臣のところに持ってこられるところにも、また私はちょっと疑義があるわけです。少なくとも会長というものは委員の互選であるはずですから、どうせ不信任案というならその席へ出す、あるいはまた中医協の席上に出されるのがほんとうだ、あるいはまた、その会長自身に出すのがほんとうではないのか。その点について受け取ってしまわれた大臣の意向ですね、気持ち、そういうものはどういうところにあったのかということを私は疑問に思っているわけです。その点はどうですか。
#147
○国務大臣(齋藤邦吉君) この問題になりますと、なぜ私のところに持ってきたかという、その向こう側の意向から、こう申し上げなければならぬことになりますというと、なかなかこれ微妙な点がございますので、この辺のところはひとつ御賢察に待ちたいと存じておる次第でございまして、こういう理由でおまえのところに持っていったんだということを、またこれ、言いますと、おれのほうではこう思うのだ、おれのほうではこうなるんだと、こうなりますと、これはかえって事態をむずかしくするのではないかと思いますので、ひとつ御賢察に待ちたいと思います。
#148
○須原昭二君 どうも、煙に巻いたようなお話で納得がいかぬわけです。ただ、私たちがおそれることは、この中医協の審議の再開のめどがどうなのか。これはここにお見えになります各先生方についても私たちと同じような気持ちで疑心暗鬼で憂いを持っているんじゃないかと思うのですが、審議の再開を大臣としてどのようにお考えになっていますか。
#149
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私の責任において一日も早く解決するように努力をいたしたいと考えております。
#150
○須原昭二君 一日も早くと言っても、これは非常に時間があるわけなんですね。特に私は、この健康保険法の改正案と関連をして、診療報酬、薬価基準等の緊急改定との関連、弾力条項等々収入の面、そうしたものに密接不可分の関係があるわけです。ですから、この審議の見通しの問題についてはいついつまでにやるのだというぐらいの決意がなければならないと思うのです。その点はどうですか。
#151
○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいま御提案申し上げておりまする法律案と直接の関係があるとは私は申しませんが、こうした問題が相当事態解決の上に大きな作用を及ぼすものであると私は確信をいたしております。そういう意味におきまして、法案審議の状況の推移を見ながら事態解決の時期をはっきりきめるように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
#152
○須原昭二君 ほんとうに答弁になっておりませんけれども、時間の関係上で、これでまたやっておりますと前へ進めませんから……。
 もう一つ申し上げておきたいのですが、日医の会長は五月の三十日の声明で、ここに声明書を持ってきておりますが、中医協の解体を強調されております。大臣は解体を、これを容認されますか。
#153
○国務大臣(齋藤邦吉君) 中医協は法律に基づいて制定されておる審議会でございまして、私、その法律を廃止しようという提案をしようという考えは持っておりません。
#154
○須原昭二君 その日本医師会の会長、武見太郎さんの名前で声明書が出ております。五月三十日でしたかね、そこで、その内容について大臣と関連がございますから、この際理解を深めるためにお尋ねをいたしておきたいと思うわけです。「五月二十九日、日本医師会常任理事会において」云云とはしりがきがありまして、第一項目、「大臣の中医協診療担当者側委員との懇談における発言要旨」、「(1)医療費は、早期引き上げの必要ありと確信。中医協は既に五カ月半審議を行なった。(2)スライド制を是認した。これは政府の公約でもある。(3)供給体制の社会化は否認した。(4)バルクライン引き下げは否認した。これは流通機構の不備によるものであり、医師に責任転嫁するものは不可。」と、――内容の是か否は私は言いませんが、大臣はこういう発言要旨が明記されておるのですが、これは事実ですか。
#155
○国務大臣(齋藤邦吉君) この中医協の問題が発生いたしましたあとに、医療担当者側が私に対していろいろ申し入れに参りました。その際に私が申し上げたことは、大体いまお述べになりましたような内容でございますが、多少違っているところもございます。で、これはひとつ、この際でございますから、少し時間をかけまして申し上げておきたいと思いますが、まず第一に、「最近における賃金・物価の動向に鑑み、診療報酬の改定は、できるだけすみやかに行なうべきであると考える。」、「診療報酬を物価・人件費にスライドしていくことについては、「厚生大臣としてもこれが実現に努力する」という厚生大臣と日本医師会長との了解事項」――これは前の斎藤昇厚生大臣ですが、――「との了解事項は、当時内閣総理大臣も確認していることであり、この趣旨を十分生かすよう努めたい。」 それから医療の……
#156
○須原昭二君 供給体制の社会化……
#157
○国務大臣(齋藤邦吉君) 医療の社会化などは考えていない。それから薬価問題については、バルクライン云々とお述べになりましたが、私の述べましたのは抽象的に述べておりまして、「薬価問題については、国民医療の円滑な実施と医薬品の生産流通体制の健全な発展等を十分考慮して対処する必要がある。」こういうことを私は一般的に申し述べておる次第でございます。そこで、いま須原委員がお述べになりました中で、多少薬価問題についてはバルクラインということばをお使いになっておられますが、そういうことばは使ってございません。それから国営云々ということじゃなくて、医療の社会化ということは考えていません。しかしそれは、そういうことを申し述べておるわけでございまして、医療についての私の一般的見解として申し述べております。
#158
○須原昭二君 そこで問題になりますのは、中医協というものが、法律に示されておるように諮問機関であるのか、あるいはまた建議方式によるものか、ここに性格上の問題が展開されるわけです。もし、諮問機関、――従来、いま言われておりますのは建議方式だとか言われておりますが、建議方式あるいは諮問方式いずれにいたしましても、大臣が日本医師会とこういう覚え書きを結ばれるということについては中医協が形骸化をされていく、そういう一面もうかがわれるし、諮問方式であるならばこれでいいし、その中医協の性格そのものがいまあいまいもことなっておるのではないかという疑念を持つわけでありますが、その点はどうですか。
#159
○国務大臣(齋藤邦吉君) 御承知のように、現在の中医協は、法律的用語をもってしますならば、間違いなく厚生大臣の諮問機関でございます。法律にそう書いてございます。ところで、問題は、これが、運用がどういうふうに行なわれておるかというところに問題があるわけでございまして、私が申し述べるまでもなく、先般神田厚生大臣のときに中医協が混乱いたしましたあと今日に至るまでの間は、少なくとも常識、何と申しますか通俗的に建議方式と申しますか、そういう形で運営をされてまいったことはお述べになりましたとおりでございます。すなわち支払い側と医療担当者側との間に公益側も入って十分話し合いをし、そして煮詰まったものを厚生大臣に建議する、そして、その建議されたものを諮問をして、そっくりそのまま答申をいただく、こういう実際の運営がそうなっておるわけでございまして、法律的にはあくまでも諮問機関であると、これはどなたでも理解をしていただいておるところだと思います。
#160
○須原昭二君 われわれ、外におりますと、この建議方式なのか諮問方式なのかきわめてあいまいもことしておるわけです。それをめぐってやはり対立も内部であるわけです。この点は、この混乱の要件はここら辺にもあるのじゃないかという感じがいたします。ですから、やはり中医協を早く正常化させるためにも、こういう問題の位置づけをやっぱりきちんとすべきではないかということをこの際要望しておきたいと思います。
 そこで、現在どのような任命の方法をとられておるのか。これは定員がたしか二十名でありまして、支払い側が八名あるいは診療側が八名、公益側四名だと思いますが、この二十名の任命の方法についてどのように行なっておられますか。
#161
○政府委員(北川力夫君) 任命につきましては、この社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の定めるところによりまして、いまお述べになりました労使並びに保険者を代表する八人の委員及び診療担当者側の八人の委員につきましては、それぞれ各関係団体の推薦によって任命をいたしております。それから公益委員につきましては国会の承認を得まして任命をいたしております。
#162
○須原昭二君 きわめて抽象的なお話ですが、たとえば中医協の医療担当者、診療担当者のほうに病院の代表は入っておりますか。
#163
○政府委員(北川力夫君) 現在八人の診療担当者代表の方々が中医協にいらっしゃいますが、その中にはもちろんみずから病院を経営している方々もおられまして、そういう意味合いで病院の立場を代表する方々もその中に入っているものと考えております。
#164
○須原昭二君 その病院代表ですか、それは個人で病院を開いておられるということで、病院の団体とは、選出とは違うんです。いまお話がありましたように、任命するときには各関係団体に要請をすると、したがって病院の団体は別にあるわけでありまして、この病院の代表でありますかどうか、この点が疑問です。どうなっておりますか。
#165
○政府委員(北川力夫君) 現在、診療担当者側を代表する委員につきましては、いま申し上げましたように、関係団体として日本医師会の推薦によって任命をしているものでございまして、日本医師会とは別個の病院関係の団体の推薦によっているものではございません。
#166
○須原昭二君 大臣は中医協に病院代表を加えるべきだと、わが党の和田静夫議員が四月六日の予算委員会の分科会で実はこういう要求をいたしております。この点について、実は日本医師会の推薦の委員の方々は、先ほど局長が言うように、病院の意見を代表していると答弁しておられます。病院側の意見は日本医師会の要求と一致しておりますか。
#167
○政府委員(北川力夫君) これはなかなか、一致している場合もあると思いますし、また若干事情が違っている場合もあると思うわけであります。ただ私が申し上げておりますことは、また先般申し上げましたことは、日本医師会から推薦されております委員の方々の中で病院を現に経営をしていらっしゃいます方は、それなりに病院の立場というものを御理解になっているわけでございますから、そういう意味で、病院関係の事情もこういう形の推薦によって中医協の場に反映をしておると、こういうふうな意味合いで申し上げたわけであります。
#168
○須原昭二君 これは完全に一致していないのですよ。中医協の会長の不信任問題でも、あるいは中医協の審議のボイコットの日本医師会の態度に対して病院側はいずれも反対をしておるわけです。たまたまおっしゃるのは、日医の中に包含をされておる個人の病院の代表だと私たちは理解をしたいわけです。ここにも私は一覧表を持ってきておりますが、この診療報酬のスライド制についての日医と、たとえば自治体病院協議会との意見は大きく差異があるわけです。したがって、厚生大臣の認識は、私ははずれておるのではないか。病院の代表の意見だと、こうおっしゃるけれども、これは個人の病院の皆さんの意見がその代表を通じて入ってくるのであって、必ずしも、病院協議会という団体があるのですから、この意見というのは全然中医協の中へは反映をされておらない、こう理解せざるを得ないのですが、厚生大臣の認識は、はずれているんじゃないですか。
#169
○国務大臣(齋藤邦吉君) この問題につきましては、先般の予算分科会でもお尋ねがございまして、私がこう申し上げたつもりでございます。すなわち、病院の意向というものは医師会推薦の方々によって代表されている面があると思いますと、しかし、この問題については、いろいろそういう御意見もありますから、将来十分考究いたしましょう、こうたしかお答えを申し上げているはずでございます。そこで、私はいまのところ日本医師会のほうでの推薦される医師の方々が十分病院のことも理解していろいろ発言をしていただいているものと確信をいたしております。そういうような意味合いにおいて病院協会といいますか、何といいますか、病院を代表するというほうに力を入れた推薦方式をとる必要があるかないか、これは私はまだ問題があるんではないかと思います。しかし、どうしてもそういう側の意見がさっぱり代表されないということであれば、それをどういうふうにして代表さしたらいいか、十分検討する必要はあると思いますが、いまのところ、私は日本医師会推薦の医療担当者側の意向の表明で十分ではないだろうか、こういうふうにも考えておる次第でございます。
#170
○須原昭二君 個人と機関の関係でありますが、健康保険法四十三条の二項によりますと、保険医、保険薬剤師の登録、四十三条の三によれば、保険医療機関、保険薬局の指定、このように二重の指定になっているんですね。これは確かです。個人は機関を代表していないことは明白なんです、この事実からいって。この点をどう理解をされているのか、どうですか。
#171
○政府委員(北川力夫君) 現在のこの法律の仕組みは、いま先生の御指摘のとおり、保険医療機関とそれから保険医の指定または登録という、まあ二段方式になっていることは事実でございます。しかし、現行の健康保険法上の医療機関の取り扱いは、個人で病院を経営をしておられましても、それは保険診療をやるときには保険医療機関として指定をし、またそこで現に診療に当たられる方方は保険医として登録をしているわけでございますから、そういう意味合いから申しますと、いま中医協に入っておられますのは個人として病院を経営をしておられるということでございましても、健康保険法上はそれは保険医療機関の代表者でございますから、いまお述べになりましたような意味合いでの法律上の関連性は私はないと思うんであります。
#172
○須原昭二君 実はこの「健康保険法の解釈と運用」、これは厚生省の保険局健康保険課編集になっているわけですね。この六一六ページ、それを読み上げますと、「従来は、保険医又は保険薬剤師自体が療養の給付を担当する責任を負っており、従って保険医又は保険薬剤師は診療又は調剤を行い、診療又は調剤の報酬を請求していたのである。それが昭和三十二年三月の改正で、療養の給付を担当する責任は、すべて病院、診療所、薬局という機関が負うことに改められ、従って、医師、歯科医師、薬剤師は、有機的に組織された機関の一構成分子として、診療又は調剤に従事する者となった。」、こう六一六ページに皆さんの解釈が書いてあるわけですね。そこで、また六二四ページを見ますると、「また、保険医療機関又は保険薬局に保険医又は保険薬剤師が皆無になった場合であっても、保険医療機関又は保険薬局の指定の効力は当然に失効するものでなくなお存続する。」、このように保険法は機関としての病院と個人としての医師と薬剤師を明確に、非常に明確に次元の異なった概念として区別しておるわけです。中医協に病院代表を入れよという要求は、この機関としての病院の代表を入れよという要求は当然であると言わなければならないわけで、日本医師会の中には病院の医師もいるわけで、大臣はそのような、そのときは答弁をしているようですけれども、日本医師会は個人としての医師の代表で、機関としての病院は決して代表していない、こういうようにわれわれは理解をせざるを得ないわけですが、その点はどうですか。あなたたちが編集をしたこの「健康保険法の解釈と運用」、こうきちんと書いてあるわけです。ですから、当然私はこの中医協の中に、この日医の中の病院の代表ではなくして、病院の機関の代表を当然入れるべきではあると思うんですが、その点はどうですか。
#173
○政府委員(北川力夫君) 私どもはいまお述べになりましたような解説書を承知いたしております。
 それで、この法律の解釈といたしましては、いまも申し上げたのでございますけれども、保険医療機関の指定ということと、それから、そこで診療に従事をする医師を保険医として登録をするということとのいわゆる二重のかまえになっております。なっておりますが、そのことが直ちに中医協の構成メンバーにはいわゆる健康保険法という実体法に規定された保険医療機関の代表というふうには必ずしもならない。つまり、やや言い方は不明確でございますけれども、かりに一人のお医者さんが、保険医療機関として指定をお受けになる、その診療所でそのお医者さんが登録保険医として診療に従事をしておられる、こういう場合でございましても、それは保険医療機関であり、またそこで診療に従事されるお医者さんは保険医でございます。でございますから、その保険医療機関の代表が入らないと、いわゆるその病院団体の代表が入らないと、こういうふうには私どもはならないと思うんです。
 それからまた、中医協の設置法を見ましても、八人の診療担当者を代表する委員の方々は「医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員」となっておりまして、中医協の構成メンバーそのものは医師であり、あるいはまた歯科医師であり、あるいはまた薬剤師の方でありまして、これ自体は機関の代表者ではございません。医師、薬剤師、歯科医師そのものをつかまえておりまして、中医協の構成から申しましても、必ずしもいま先生おっしゃったようなことにはならないのではないかというふうに考えております。
#174
○須原昭二君 どうもこだわっておる何か背景があるように感ずるわけです。三十二年の十月の二十三日、「神崎委員辞表撤回の経緯について」という覚え書きがあります。ここに私は古いのですけれども、持ってきております。この覚え書きを厚生省は日本病院協会と交換をしておりますね。この中では中医協には日本病院協会の代表を入れることを健康保険法の先ほどの精神から見て、その本質上当然であることを厚生省が認めておるわけです。その後それを「今後の方針として」と、特にこう書いてあるんですが、それを「今後の方針として記録に残して置く。」――この方針を変更した理由はどこにあるのですか。「昭和三十二年十月二十三日」、「右は厚生省に保管されている原本と相違ないことを証明する」という覚え書きがちゃんとあるんです。いつ解釈が、そういうふうにものを考えるのを変わっていくのですか。大臣が次々にかわっていくと、その責任の継承の義務というのはなくなるのですか。雲散霧消、ほご同然と、こういうものがなるのですか。いまの答弁については、私は了承できません。どうですか。
#175
○政府委員(北川力夫君) ただいまお述べになりましたこの覚え書きの問題は、実は三十二年に、いわゆる新医療体系ということで診療報酬の点数表が甲乙二表に分かれましたときの一連のいろんな現象、できごとでございます。その当時、また、そのとき以前から御承知のように、中医協は常に運営上いろいろトラブルがございまして、このときもいろいろな経緯を経て、いまおっしゃいましたように、三十二年の十月二十一日に、当時の厚生大臣である堀木大臣と、それから関係者との間で話し合いが行なわれまして、その結果、そのような覚え書きが、覚え書きといいますか、奥書きがされたものが保存されていることもこれまた事実でございます。ただその後、こういうことがあったわけでございますけれども、医師を代表する、いわゆる診療担当者を代表する推薦母体をめぐって、その後も一年、二年以上いろんな経緯、いきさつが続きまして、先生御承知かと存じますけれども、結局は三十五年の四月でございますか、三十五年四月の衆議院の社会労働委員会におきまして、この問題が議論をされております。そのときに当時の政府当局者は、いろいろその間の経緯を説明をいたしまして、その結論といたしまして、その当時の渡邊厚生大臣は診療担当者の推選母体、医師の推薦母体として自分は一本でいきたい、このように考えておる、そういう答弁をいたしておりまして、自来私どもはいろいろ経過はございましたが、三十四年の六月以後、医師の推薦母体というものは一元化をされておるという方針で現在まできておる、このように理解をいたしておるようなわけであります。
#176
○須原昭二君 どうも私は理解に苦しむんですが、そのときの都合によって覚え書きを結び、そして大臣が次々に変わっていくと、その責任の継承の義務というのはなくなってしまう。これでは信頼関係は出てこないんですよ。なるほど日本医師会には病院の皆さんの意見をくみ入れる人ももちろんあるでありましょう。しかしながら、冒頭に言われたように、関係団体に要請をして、推薦をしていただくのだ、こういうことになれば、日本医師会と日本病院協会、人数の差こそあれ、この代表を当然入れていくのが私は至当ではないか。さらに、中医協をより完全なものに、より広範な声を結集をするためには、当然措置を講ずべきではないかと思うわけですが、その点、厚生大臣は、今後の問題として検討するというような御答弁を先ほどいただいたわけですが、その点はいいですか。
#177
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほどもお答えいたしましたように、診療担当側は医師会の推薦から出ておりますから、医師会推薦の委員の方々は十分病院の事情もわかって、その意見を代表されてくださると考えておりますと、しかし、将来どうしてもその方々が病院のことに理解を示さない、どうしても代表してくれないというふうな事態が明らかになれば、その事態において十分また考えなければならぬでしょうと、こういうことを申し上げておるわけで、私は率直にそう申し上げておるわけでございます。
#178
○須原昭二君 いま日本医師会と日本の病院協会とが一致結束できるような情勢にないわけです。相違っているわけです。意見が。こういう場合に対処して、私はこういう質問を展開をしておるんで、一致していれば、私は文句は言いません。別別にあって、意見が相対立している現状ですから、したがって、より広範な、より各般の広範な声を入れる、そうして中医協の論議というものを完全にするためには、そういうものを入れていくことが当然経過からいってもあるいはまた健康保険法の解釈からいっても正しいのではないか。その点についての善処を私は要望しておるわけです。その点はどうですか。
#179
○国務大臣(齋藤邦吉君) たびたび申し上げておりますように、医師会代表の方々が十分意見を反映してないということがはっきりわかってくれば、その事態においてどうすればいいかということを考えなければならぬでございましょうが、現在は医師会推薦の委員がおるわけなんです。おるわけでございますから、その人はやめさして、おまえはさっぱり代表せぬからこうだああだということを私は申し上げるわけにはまいりません。そうして、その人たちにりっぱに代表していただくようにしなければならぬわけでございますから、その方々にりっぱに病院協会のほうの病院のほうの立場も代表していただくように私からもお願いをし、そうして病院のいろんな内情を代表していただけるようにして、中医協が円満に運営できるようにしたいものだと考えておる次第でございます。
#180
○須原昭二君 いま現在ある方を首を切ってと私は言ってないんです。もちろん当然ですね、改選の時期、任期切れの時期、そうしたもののときに善処すべきであるということを主張しているわけでありまして、その点は意のあるところをくみ取っていただいて、そういう時期に適切な措置をとっていただきたい。これは要望しておきましょう。
 そこで、今度は財政の中へ入っていきますが、その財政の中へ入っていく前提として、厚生大臣は、公共料金の算定の原則をどのように考えておられますか。特に通産省は、コストを保障し、公平の原則、再生産に要する資本報酬等が考えられている、こういうふうに通産省は言っておりますが、厚生大臣は公共料金の算定の原則をどのように考えておられますか。
#181
○国務大臣(齋藤邦吉君) 診療報酬は診療の対価として支払わるべきものでありまして、普通のいう公共料金ではないと私は理解をいたしております。
#182
○須原昭二君 じゃ、私はお尋ねいたしますが、医療費の決定の原則をどのように考えているのか。医療経営の原価を保障する方式なのか、それとも保険財政の収支相当の原則によるものか、どちらなんですか。
#183
○政府委員(北川力夫君) 非常にむずかしい問題でございますが、いま大臣も申し上げましたように、一般的には診療報酬は一般の公共料金ではなくて、いわば公共料金に準ずるようなかっこうであると思いますけれども、公共料金ではないとわれわれは考えております。
 病院の経営も、これもなかなか、どういう原則で経営をしていくべきかというのは、非常にむずかしい問題でありまして、また、病院の性格によって多少その間にはバラエティがあろうかと思います。たとえば公的な性格の非常に強い病院でございますれば、診療報酬でまかなう以外に、公的な資金の投下ないしは導入、そういうこともございましょうし、また純然たる私的な医療機関でございますれば、そういうものにつきましては、診療報酬を原則としてまかなっていくというふうなことになりましょうし、病院の性格によって多少のそこには、多少と申しますか、かなりな違いが出てまいっておると思います。おっしゃったような基本的な問題について、きわめてクリアーカットな明確なルールというものがあるかどうか、私は現在の段階ではその辺必ずしも明確な考えを持ち合わせておりません。ただ、いま申し上げましたように、繰り返し申し上げますが、病院の性格によって相当そこは違ってくる、そういうことだけは申し上げられるだろうと思います。
#184
○須原昭二君 じゃ、議事録にのっとってひとつお尋ねいたします。医務局長さん、四月の六日の参議院の予算委員会の分科会で、大体ここにも議事録を持ってきておりますが、大体国立病院の原則としての経営費は、診療報酬によってまかなうという原則になっております。こういうふうにあなた答弁されております。診療報酬で経営費がまかない切れますか。
#185
○政府委員(滝沢正君) ただいまお尋ねのことばの経営費というのを、いわゆる必要経費と申しますか、建物の問題あるいは大きな多額の費用を要する医療器機というような設備費等を除き、いわゆる一般的な意味の経営費であれば、私は診療報酬でまかなえるというのが一つの原則であろうという形でお答えしたと思っています。
#186
○須原昭二君 まかなえるとすれば、そういう範囲のものだと、こういうことですか。そうするとまかなえない部分、現在の診療を続けていく過程の中で、その機関が不足するものは何か、どれだけ不足するか、大体おわかりになりませんか。
#187
○政府委員(滝沢正君) たいへんこれはむずかしい、しかも具体的なお答えを求められる問題であろうと思いますけれども、まかなえないものが何であり、どのくらいかということについて、直ちにお答えする用意というものは私ございません。ただ、一般的には、病院経営の中の人件費あるいは食糧費、材料費というような、いわゆる経営費という費用ですね、かかる費用というものは、一般的にはこの診療報酬によってまかなっていけるというような適正な診療報酬の設定を期待するわけでございます。
#188
○須原昭二君 ちょっとおかしいじゃないんですか。じゃあ、人件費や何かというのは全然入らないのじゃないですか。
#189
○政府委員(滝沢正君) いや、入るという……
#190
○須原昭二君 その点、ひとつ、明確にしてください。――それじゃ、ちょっと不明確ですが、時間がありませんから、非常に惜しいわけですが、もっと本質的にこの法律に関係する項目についてお尋ねいたすことにしまして、この点はちょっと保留しましょう。
 そこで、いま医療保険部長は、六月十五日の衆議院の社労委員会で、大原議員の質問に、診療報酬の改定が六、七%値上げであれば財政構造は安定すると答弁されております。今日異常な物価高、本年二月八日でしたか、答申されました経済社会計画ですら再検討せなければならない状態にあるわけでありまして、したがって、物価、人件費の大幅値上げを考えますと、六、七%の値上げでは、病院はじめ医療機関の赤字は一そう深刻化するものではないかと思うのですが、この点はどうですか。
#191
○政府委員(北川力夫君) 当時の医療保険部長がかわっておりますので、便宜私から申し上げます。
 当時お答えを申し上げました趣旨は、今度の法律改正に関連をいたしまして、政府管掌健康保険として歳入面でどのような伸びが期待をできるかということが一つ、それから歳出面で医療費がどのような動向を示すかということが一つ。二つのかね合いの問題であったかと存じます。で、前段の歳入につきましては、昭和四十一年の改正以来標準報酬が現行の十万四千円で頭打ちになっておりまして、その後七年半を経過いたしておりますが、その間全然標準報酬の上乗せがなかったために、非常に高度成長下の賃金の伸びにもかかわらず、歳入面には非常に少な目にしか反映をしないと、そういうことで、歳入面は非常に苦しい状態であったわけでございます。逆に、歳出面のほうにおきましては、皆保険後、いわゆる制限診療というものが原理原則としては撤廃をされまして、また、受診量の増大、あるいは疾病構造の変化、あるいは老齢化現象の進行、そういったことで相当医療費が増高してきておる。かてて加えて、政府管掌健康保険の場合には、その構成も老人が多くて女子が多いというようなことで、疾病率も高い。こういうことで、政府管掌健康保険の運営が非常に苦しい状態を繰り返してまいったと、こういうことを申し上げたわけであります。
 そこで、今回提案をして御審議を願っております法律改正ができ上がりますならば、標準報酬が上限二十万まで参りますので、また最近の非常に高い春闘相場と申しますか、賃上げと申しますか、そういうものがかなり大きく歳入にも反映をしてまいります。したがって、歳入面では従来以上に大きなものが期待をできる。また一面、歳出面における医療費の動向というものは、的確なことは申し上げられませんけれども、過去の傾向を考え、かつまた今後のことを考えますると、いわゆる自然増といわれているものがせいぜい九%、あるいは一〇%程度のものにおさまるのではなかろうかという一つの推定があるわけでございます。逆に、先ほど申し上げました歳入面は、現在見込んでおります以上に歳入面が期待をできる。具体的に申し上げますと、あるいは十数%のものが期待をできるかもしれない。そうなりますと、その十数%と、それから医療費の自然増というものとの間の差、その差額の数%程度のものは、かりに医療費の政策改定がございましても、その幅の中において吸収をしていけるのではないか。こういう趣旨のことを申し上げたわけでございまして、そのこと自体は、必ずしも将来医療費の改定は六ないし七%程度でしかないと、こういうことを申し上げたつもりはないというふうに私は理解をいたしております。
#192
○須原昭二君 医療費の改定の率を六、七%にするんだということではない、この点は明確になりましたから、これはそのように承っておきましょう。
 そこで、診療報酬の決定は保険財政と密接な関係にあるわけです。緊急に診療報酬を改定しなきゃならないということは大臣もお認めになっておるし、診療担当者の皆さんにも大きな声が上がっているわけですが、診療報酬については中医協の結論によって改定する、こういうのが従来のものの考え方、あるいはまた、大臣もそのように御答弁をされておるわけです。
 それでは、診療報酬について中医協の結論が出なければだめだということになると、主管大臣も発言権がないということに事実なるわけですね。憲法四十一条で明らかなように、国権の最高機関である国会で――健保財政との主要なかかわり合いのある診療報酬について一切中医協で決着がついていくというものの考え方、具体的には、国会においては明らかにできないことになってしまうわけでありますが、この保険財政に対する支出の計画、そうしたものはめどがつかないと私は思うわけです。診療報酬が値上げされるのがもう近くあるんだ。もちろん四十九年に入ったら実施をしなければならないという緊急性があるにもかかわらず、その入るのがどれだけ引き上げするのか、しないのかわからない現状では、いかに収入面を一生懸命精査したところで、これは議論にならないのじゃないかと思うのですが、その点はどのようにお考えになっておりますか。
#193
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほども御質問にお答えをいたしましたが、従来、中医協の運営につきましては、先ほど来申し上げておりまするような建議方式というものが採用されてきておるわけでございます。しかし、最近における医療政策の面から申しまして、たとえば看護婦の養成とか、いろいろなむずかしい問題がたくさん出てまいりました。さらにまた、医療担当者側においても、開業医と病院との間においてのいろいろな多様な要請も出てまいりました。そういうふうな状況になってまいりますというと、はたして中医協に従来のようにまかせきりでおきめくださいといっても、まとまるかどうか私は相当問題になってくると思うのです。そこで現在のように――まとまればけっこうでございます。まとまればけっこうでございますが、まとまらぬ要素がだいぶ多くなってくるのではないか。こういうふうな事態を踏まえますれば、従来のような建議方式一本やりで中医協の運営をやっていくことができるかどうか、この辺がやっぱり相当考えなければならぬ私、時期にきておるのではないかと思います。いまお述べになりましたように、中医協に、建議方式といってもうみんなまかせきりで、厚生大臣は何の発言もしない、こういう状態でいくことが適当であるかどうか、また、そういうことでやっていけるかどうか。もう、いまの段階ではこういう姿についてもう少し考えてみる必要があるのではないか、かようにいま考えておるところでございます。
#194
○須原昭二君 非常に考えておるとか、これからの問題点としてあまりにも大き過ぎると思うのですね。
 そこで、少なくとも、いまこのような物価高、しかも診療報酬は昨年二月一三・七%ですか、実質において一二%のアップがあった。あるいはまた、薬価基準については三・九%下げたのですね。そういうことがあったわけでありますが、もう一年七カ月たっておるわけです。二年に一回やるのですから、少なくとも、あと審議をしておっても三カ月か四カ月しかないわけです。このような状態で、異常な物価高に対して、年末までにやらなければ多くの診療機関は倒れていくと思うのですよ。これは中医協でありますから、自業自得だといったって、そんなことはできないわけで、結局は主管大臣である厚生大臣の私は責任だと思うわけです。ですから、この問題はやらなければならないのですが、診療報酬をずるずるずるずるいつやるのか、薬価基準も昨年の九月に調査したままでまだ何も手をつけておらないという現状、これらはいつやられますか、めどは。これまでにはやらなければいかぬというようなめどがありますか。すべてまた中医協におまかせするのですか。
#195
○国務大臣(齋藤邦吉君) 従来のような中医協に全部おまかせするというやり方でやっていくことが非常に困難な事態になっておるということは、私も須原委員も同意見だと思います、この点は。そこで、どういう形でそういう考え方を中医協の場に反映さしていくか、これがやっぱり一番むずかしい問題だと思うのです。要するに多年にわたるそういうふうな慣行があります。その慣行に対する一つの新しい考え方を打ち出さなければならぬ。そこにやはり一つ問題があると思うのです。そこで慎重な態度もとらなければならない。こう勇ましくぱっぱっといつからやりますと、こう申し上げるわけにもまいらぬわけでございます。
 そこで、先ほど来も申し上げてありますように、もちろん健保の財政というものと診療報酬改定とは直接の関係はありません、法律的には。それは別個の問題でございます。金が赤字であっても診療報酬を上げざるを得ないときには上げざるを得ないんです。これは診療報酬は上げなければなりません。何ぼ赤字でも上げざるを得ないときは上げざるを得ないんです。そういうわけで、法律的には関係はないと申しましても、ある程度のやっぱりめどはつけにゃなりません。そのめどをつけるには、ただいま御審議いただいておる法案がどういうことになるであろうか。そればかりを頭を悩ましておるわけでございまして、この健保法の御審議の推移というものが非常に大事な問題であると私は考えておるわけでございます。そこで、そういうふうな審議の推移の状況を勘案しながら、できるだけすみやかな機会に診療報酬改定を打ち出すための中医協の正常なる運営に持っていくために私は全精力をつぎ込んで努力をいたしたいと決意をいたしておる次第でございます。
#196
○須原昭二君 何か健保を通すことがその前提にあるようなことは、私は何か売りことばに買いことばだと思うのですよ。この点はひとつ訂正をしていただきたいと思います。
#197
○国務大臣(齋藤邦吉君) ですから、私はそういうことを申し上げているのではありません。健保の法律と、中医協は別として、この診療報酬の改定とは法律的には別個でございます。財政がどんなに苦しくても診療報酬を上げなければならぬときには上げざるを得ないのですから、それとは別個でございますが、そういうことも見定めることが必要だと、こう私申し上げておるわけでございまして、国会に何ら圧力をかけるなどという大それた考えは夢にも持っておりません。
#198
○須原昭二君 そこで、やはりわれわれこの法案を審議をする立場から言うならば、当面来年度は診療報酬がどれだけ上がるだろうか、薬価基準がどれだけ下がるだろうか。これがやはりある程度のめどがつかぬと、この収入をたくさん取り過ぎるんじゃないか、少ないんじゃないか、もっと取らなければいけないんじゃないかというさじかげんに、どうしてもめどとしてわれわれは必要なんです。したがって、われわれは、この問題について、はっきりするために再度質問いたしたいんですが、どうもこのめどがはっきりしないわけです。したがって、私は具体的にひとつこの際、そのめどでけっこうですから、まあ、大体このぐらいになるだろう、このぐらいに医療費は上がるだろう、自然増収はこれだけあるだろう。この具体的な点についてめどでいいから、概算でいいですからひとつお尋ねをいたしたいと思います。
 現在の診療報酬の体系をこのまま持続するということにして、すなわち診療報酬も現在、あるいは薬価基準も現在のままでいったとして、衆議院の修正案で四十九年度の財政状況はどうなりますか。
  〔委員長退席、理事小平芳平君着席〕
 ちょっと待ってください。私たちが聞いている範囲内で単年度で衆議院の修正、すなわち家族給付を七割、十月実施で、聞くところによると約百七十二億ぐらいの黒字だといわれている。さらに四十八年度、ことしの春闘の影響によって、――保険料の値上げ等があって上限、下限の関係あるいはこの保険料の収入積算の一番根拠になります給料が上がるわけでありますから、それに対する増収分として約二百億、計三百七十二億、約四百億ぐらいの黒字になるといわれておりますが、はたしてどのようなものか。この点は御説明願いたいと思います。そう解釈していいですか。
#199
○政府委員(柳瀬孝吉君) 政管健保の四十九年度の財政収支を現時点で推定することは非常に困難な問題でございますが、と申しますのは、いろいろ不確定な要素がございまして、この春闘のベースアップの影響がどの程度はっきりしてくるかというような問題もあるわけでございますが、一応いろいろな仮定の条件を置きまして、衆議院の修正されたような内容の給付改善で、しかも昭和四十八年度の予算をベースにいたしまして、過去の三年間の保険料収入等の伸び率、これを平均をいたしまして、保険料収入について一六・四%、それから医療費については八・九%の伸び率ということで試算をいたしてみますと、先生が言われましたような百七十二億円の収支残が予想されるところでございます。
#200
○須原昭二君 先ほども私の質問の中でお答えをいただいたわけですが、医療費の自然増ですね、有病率等が高まってきておる。この医療費の自然増は、大体九%ないし一〇%ということでいいですね。そういたしますと、どのぐらいこれ見込んだらいいですか、金額として。
#201
○政府委員(柳瀬孝吉君) おっしゃいますように、大体八・九%、九%からまあ、一〇%というところが従来の平均の伸び率でございまして、したがいまして、これを四十八年度ベースで……
#202
○須原昭二君 一%幾らぐらい。
#203
○政府委員(柳瀬孝吉君) これが四十八年度ベースでは一%が八十億円強、それから四十九年度ベースでいきますと……
#204
○理事(小平芳平君) いまのは八十億ですか。八十六億ですか。
#205
○政府委員(柳瀬孝吉君) 八十億です。四十九年度ベースでいきますと八十五億円前後ということに相なります。
#206
○須原昭二君 仮定の論議でありまして非常に申しわけないと思うんですが、おたくのほうも仮定の論議だろうと思うんです。まことにここはおかしな論議になりますが、もし、保険料の料率が千分の七十三でなくて千分の七十二にした場合、この場合の収支の見通しは百七十二億の黒字がどうなりますか。
#207
○政府委員(柳瀬孝吉君) 保険料率の〇・一%相当額は、昭和四十八年度満年度ベースで約百十億円でございます。したがいまして、もし一%ということを仮定の問題といたしまして〇・一%を下げるといたしますと、今年度ではこれは十月以前の実施は困難でございますから十月ということで計算をいたしますと、四十九億円の金額と相なるわけでございます。
#208
○須原昭二君 これまた仮定の論議でありますが、国庫補助定率一〇%を一一%にした場合には、その収支の見通し、百七十二億の黒字がどうなるか。
#209
○政府委員(柳瀬孝吉君) 定率国庫補助の一%という相当額は昭和四十八年度のベースで、満年度で約八十七億円になるわけでございます。したがいまして、この一%をこの十月から計算いたしますと、一%は三十六、七億になるわけでございます。
  〔理事小平芳平君退席、委員長着席〕
#210
○須原昭二君 さらに仮定ですから、気楽にものを言ってください。
 定率一一%しかも料率千分の七十二にした場合、収支の見通しはどうなるか。四十九億の黒字がどれだけになりますか。
#211
○政府委員(柳瀬孝吉君) ちょっといま聞き漏らしましたのですが、申しわけありません。
#212
○須原昭二君 定率を一一%にしてしかも料率を千分の七十二にした場合、いま先ほど申し上げた二つのこと、この仮定を二つ言いましたでしょう、これを合わせたらどうなりますか。算数の時間ではございませんけれども、明確を期すためにお尋ねをいたします。百七十二億の黒字がどうなりますか。
#213
○政府委員(柳瀬孝吉君) いまの保険料率を一%下げました場合に、四十九年度では百七十二億の収入減になるわけでございます。したがいまして、百七十六億に大体当たるぐらいの金額になるわけでございます。
#214
○須原昭二君 減になる。
#215
○政府委員(柳瀬孝吉君) それだけ保険料が少なく入ってくるわけでございます。それから、もう片方のほうの――失礼いたしました。百七十二億の不足額でございますが、保険料率を千分の七十二といたしました場合、それから国庫補助を引き上げた場合に、八十五億の差し引き不足額になるわけでございます。
#216
○須原昭二君 ちょっと確かめますが、定率一〇%、しかも料率を千分の七十二にした場合、収支の見通しは八十五億の黒になるんでしょう、間違いないでしょう。
#217
○政府委員(柳瀬孝吉君) はい。
#218
○須原昭二君 じゃ、次いきましょう。
 七割給付十月実施を四月にした場合、収支の見通しはどうなりますか。
#219
○政府委員(柳瀬孝吉君) 四月から実施いたしました場合には、百七十二億から二百億程度を差し引きまして、したがいまして約三十億の赤ということに相なります。
#220
○須原昭二君 そう見てまいりますと、弾力規定によって保険料を千分の一上げると連動して定率が、国庫補助が〇・六上げることになっているんですね、いまの修正案は。そうしますと、保険料〇・一は約百十億円、それから〇・六の分は約五十二億、これで間違いございませんね。計百六十二億円の増となるわけですが、これはそう理解してもいいですね。
#221
○政府委員(柳瀬孝吉君) はい、さようでございます。
#222
○須原昭二君 いいんだそうですから、そこで私はさらに進めていきますが、中医協が停滞をしておりまして、昨年二月、診療報酬が先ほども申し上げましたように名目一三・七%、そして実質一二%のアップであった。あれから一年七カ月もたっているわけです。おそらく中医協が再開されて少なくとも私は、可及的すみやかと大臣がおっしゃいますけれども、今年度中すなわち十二月の年末を越すまでには診療報酬は改定せられなければならない緊急性が私はあると思う。こういうことをやらなければ病院や診療所はたいへんなことになってしまうということは、もう大臣も御理解をいただいておると思うわけですが、すなわち診療報酬につきましても、大体二年間に一ぺんずつアップをしてきた。最近の異常な物価高に対して、少なくとも昨年二月の改定率以下というわけには私はまいらないのではないか、ものの常識的に見て。大臣そう思われますか、以下とは思えな
 い、どうですか。
#223
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私は責任ある立場からはっきり申し上げることは困難ではないかと思います。ただ、常識的には今度は二年でございますから相当高いものになるのではないだろうかといわれておりますが、私の口からどの程度だということを申し上げることはきょうは控えさせていただきたいと思います。
#224
○須原昭二君 全く遺憾と言わなければならないわけで、こういう論議をしていると、なかなかこの数字というのは、来年度どのくらいの収入があってどのくらい支出があるのか、どうして収支のバランスをとられるのか、これは実にわれわれとしては審議をすることが非常にむずかしくなるわけです。これは以下であるということはあり得ない、こういうことを考えますと、医療費の値上げは少なくとも昨年度以上にならざるを得ない。たとえば一四%とか一五%になるのではないかと、これまた聞いても大臣は答えられないようですから、私の感じでそういうふうに感じます。もし、一五%になれば財政は直ちに赤になるのではないか。医療費一%の値上げは約八十五億に相当するといわれておりますから、一五%引き上げれば千二百七十五億の金が新たに必要です。弾力条項のワクを目一ぱいあけて、すなわち料率〇・七、千分の八十にしても先ほど言われたように〇・一で百六十二億円でありますから、それの七倍で千百三十四億円、医療費の値上げ分にも弾力条項の発動を目一ぱいしても足らないということじゃないですか。問題になっております緊急の課題である医療費の改定が実施されれば、直ちに弾力条項を発動しなければ来年はやっていけない、収支のバランスがとれない、こういうことになるんじゃないですか、どうですか。
#225
○政府委員(柳瀬孝吉君) これも昭和四十九年度の財政収支が医療費の動向に左右されるわけでございますから、それがどの程度になるかということによって弾力条項というような問題も違ってくるわけでございまして、いま先生がおっしゃいました一五%というような仮定を持ちますとどういうことになるかといいますと、そのほかの条件がありますので、ここではっきりいま推定できないわけでございますが、大ざっぱに申し上げますと、本年度程度のベースアップがかりに来年度も行なわれるという場合には、大体いま一八%をこえるくらいの増収が期待できるわけでございまして、支出面では過去の趨勢から見まして、先ほど申し上げましたように自然増が大体九%前後ということでこれに一五%が上乗せになりますと二四%くらい、で、増収が先ほどのような過程で見込みますと、その差は二四%引く一五%ということで、大体五、六%というものが財政収支の不足を生ずる。来年度の医療給付費の国庫補助も入れました満年度のベースでは約九千五百億円くらいになるわけでございますから、その五、六%が差し引き収支不足と、こういうことになるわけでございます。
#226
○須原昭二君 要するに、医療費の自然増が九%あるでしょう。それと相対置して、今度は給料のベースアップでことし二百億の増収があるでしょう。これだけでも赤字ですよ、両方一緒にしても赤字。ましてや医療費を診療報酬を一五%引き上げたとしますね、そういたしますとこちらの弾力条項八〇%目一ぱいとって〇・七、料率を。そうしてこの連動条項を適用させても、これでも双方の関係でも足らないですよ。そういうことになりますと、いま御確認をいただいたように、保険者はせっかく保険料〇・三、千分の七十三上げても何ら財政の再建には役立たない、こういうことになりますね。せっかく健康保険法の改正をするんだ、だから財政を再建をするために、いいことではないけれどもひとつ〇・三上げてくださいと国民にお願いしても、財政の再建にはならないわけじゃないですか。保険料〇・三アップしたところで〇・一、百十億ですから三百三十億の程度ではないですか。生産者米価でも二八・一%アップしたんです。しかもこれは政治的に加算をしたんです。生産者米価はそれなりの効果を私は認めますよ。これを否定をするわけではございません。決してこれを否定するものではないけれども、少なくても国民の命と健康を守るという主要な任務を持った重大な医療の問題である以上、もっと私は国は積極的に力を入れるべきじゃないか、こういうものの考え方が生まれてくるんですよ、この数字から見ると。そうじゃございませんか。四十七年度における国民総医療費、すでに三兆円を突破しております。四十六年は二兆七千七百十億円、この高額を占めております。四十六年ですら二兆七千七百十億円の中で公費負担分はわずか一一・六%にすぎない。国、地方公共団体が出すお金は三千二百九億円です。国民の健康と命を守るために国がもっと財政負担をしても私は当然ではないかという数値がこの議論の中で明らかになってきたわけでありまして、国庫補助の二%あるいは三%の上積みぐらいは当然な私は要求だと思うんです。無理な要求ではないと思うんです。厚生大臣、どう思われますか。
#227
○政府委員(柳瀬孝吉君) この今回の改正案によりましてやや長期的な財政収支を見ますと、これは非常に収支の均衝のとれた対策になっておるわけでございますが、たまたまこの医療費の引き上げというのが、先生おっしゃいますように十七カ月以上のあれを持ちまして相当大幅な引き上げというような仮定を持ちますると、これは、そういう要素に基づきまして四十九年度は一五%というのはあれでございますが、先生のおっしゃられた数字を使いますとまあ五、六百億の収支の不足になる。しかしながら、これは昭和五十年度、五十一年度、――五十年度で収入増というのがどのくらいふくらんでいくかというようなこと、それから医療費の改定が五十年度にあるのかないのか、その辺のことも考えまして五十年度でどの程度これが吸収されるかというようなことにも相当収支の影響がかかわってくるわけでございまして、直ちにこれが非常に、四十九年度だけ見まして赤字でということだけではこの案が非常に破綻するような案であるというふうには言えないというふうに思うわけでございます。
#228
○須原昭二君 答弁になってないわけです。答弁になってないんですから、私はこの際、この問題は非常に重大なポイントなんですよ。せっかく国民の皆さんが反対をしておるものを三%上限、下限も変えてこういう負担を上げてもせっかくこれだけ問題にしても健康保険の財政収支は再建はできないということなんです。ましてや多面的に考えますと、国民総医療費の中におけるところの国の負担、公費の負担一一・六%、国はまだわずかでありますが、これを含めて地方公共団体が三千二百九億円、これでは少ないのはあたりまえのことです。ですから、先ほど厚生大臣がいみじくも言われましたように、診療報酬を上げることは財政収支が赤になろうが黒になろうがそんなことは別問題だ。ここまでおっしゃるなら、ここまでおっしゃるなら私は公費負担分をもっとふやすべきだ、国の財政負担をもっと強めるべきだ、こういうことは当然裏返しの論議として生まれてくるわけです。厚生大臣の所見を承っておきたい。
#229
○国務大臣(齋藤邦吉君) 公費負担についていろいろな手きびしい御批判がございましたが、政管健保については現状をひとつお考えいただきたい。すなわち昨年まではたった二百二十五億でございます。昭和四十八年度、御提案申し上げておりまする法律案が通りますれば、総給付費の一割、すなわち八千八百億に対して八百八十億国が出すということでございまして、金額にすれば私はたいへんな金だと思います。おわかりになっていただけると思います。さらにまた政府、衆議院における修正段階において七割給付が来年の十月実施ということになりますが、十月実施ということで衆議院で修正されてまいっておりますが、それがかりに一年間まるまるということになりますと、ことしの八千八百億の政管健保の総給付費は一兆をこすわけでございます。一兆をこせば百分の十、すなわち一千億以上の国の増になるわけでございます。かりに来年の四月から七割給付実現ということになれば、国の負担は一千億以上になるわけでございます。そうすると昨年に比べて二百二十五億、それが一千億ということになれば、これは国の財政の、まあ、いろいろな見方はございましょう、御意見はございましょうが、それはやはり相当思い切った国庫負担の増額であるということは御理解いただけると思います。しかもまた、政管健保だけじゃございません。国民健康保険につきましても相当な、国は四割五分の負担をいたしております。すなわち、厚生省の総予算二兆の中で医療についての国庫負担は一兆なんです。その一兆がこのいまの政管健保だけでふえるというふうなこととか、明らかな点を入れますというと、来年だけで、すでにもう一兆一千億以上の伸びになるわけでございます。したがって、なるほど百分の十ということを言えば、非常に率は少ないようにごらんになるわけでございましょうが、金額でお考えいただければ、それは思い切った私は今度の国庫負担の増額である、昨年までは二百二十五億でございます。それが来年かりに四月実施が七割給付ということになれば、一千億をこすのです。そのことも十分お考えいただいて御理解をいただきたいと思います。
 それからなお、私どもはいろいろな、事務当局の御説明がございましたが、私どもは大体において以後四、五年大体安定できるという考え方のもとに数字を詰めておるわけでございまして、いろいろな仮定の数字について私もいまここでつまびらかにしておりませんが、いろいろな仮定の問題がございます。詳しくまた御説明もいたさせますが、四、五年は安定できるという見通しのもとにこの法案というのは組み立てられておるということを御了承願っておきたいと思うのでございます。
#230
○須原昭二君 いま厚生大臣、ことしはふんばったよと、ふんばったことは認めますよ。しかしね、非常におくれておったものをつり上げるのですから、二百二十五億は基盤が小さいのですよ。それからふやすのはこの福祉国家として、福祉の要請にこたえるのは当然なことであって、二百二十五億というのは、小さいものを比較対象させるから大きく見えるわけで、この二百二十五億があまりにもおくれておったというところを忘れておっていただいては困るわけです。
 それからもう一つ、四、五年先を目途としてやっておるというお話なんですが、そういたしますと、この健康保険制度の当面の五、六年の計画というものは、具体的にわれわれは提示をしていただかなければならぬと思います。この点をひとつ提示をしていただきたいということが一つ。
 それから、いま論議をいたしてまいりますと、私のもとへは、きょういまの論議で大体わかりましたけれども、私の手元へはこの黄色い紙の政府の宣伝文書ですねあたかもいいようになるような文章が書いてあります。悪いことは絶対書いてありませんね。その帳じりだけここに出ているわけで、どのようなものがどうなって、こういう数字になってくるという積算基礎が明確ではないわけです。したがって、この際私は資料提出をお願いをいたしたいわけですが、衆議院修正案、これを四十九年度の、単年度でけっこうでありますが、財政収支の見込み試算一覧表。それから診療報酬が昨年同様一〇%アップになった場合の衆議院修正案による四十九年度の単年度の財政収支見込みの一覧表、積算一覧表。診療報酬が一五%になった場合を仮定したときの試算表、一覧表ですね。それから診療報酬が医師会が主張しておりますように二〇%アップされたときを仮定して試算表、以上四つの試算表、一覧表を直ちに作成をして、資料を提出いたしていただきたい。大臣が診療報酬の緊急是正をする、緊急是正の必要性があると言われておりますから、当然私はこれらの資料というものは積算が内部で行なわれていると思います。ですから、これは直ちにひとつ出していただきたい。これが出ないようでは財政論争をこれ以上やっても私はだめでありますから、この点はひとつぜひとも出していただきたい。この出していただくことによって国民が、国民の皆さんが何を根拠にして〇・三アップをされるのか。それにこたえる要素は私たちはないわけであります。したがって、保険財政の再建策を審議するためにも、やはりどうしても以上四つの試算表をひとつ出していただきたい。さらに、厚生大臣が四年ないし五年を目途としてこの再建をされるという計画でありますから、その計画の大要について、これもひとつ出していただく。以上四つをひとつ委員長を通じて資料提出をお願いいたしたいと思います。
#231
○委員長(大橋和孝君) 資料の提出できますか。
#232
○国務大臣(齋藤邦吉君) 御承知のように、今回の改正は、給付において五割を、家族の給付を五割から六割にし、六割は来年の十月からと、こういう計画で衆議院側の修正によってそうなっておるわけでございます。さらにまた、来年は七割、さらにまた診療報酬の改定、ある程度の仮定を入れにゃあなりません。それから、ことしの春闘における収入の増。これも十月から参っておりませんから、これも見通しになるわけでございます。来年も見通しでございます。そういう見通しを全部含めまして、一応の案はできておるわけでございまして、いま須原委員がお手元にお持ちになりました黄色い表紙は、診療報酬については一言も触れていない数字でございます。これに診療報酬を加えるとかというふうなことをちゃんといたして案はできておりますから、明日中にお届けいたすようにいたします。
#233
○委員長(大橋和孝君) 全委員に。
#234
○国務大臣(齋藤邦吉君) はい、承知いたしました。
#235
○須原昭二君 その試算表が出てから、またこの問題についてはひとつ質疑を展開をするということで、この点は保留をさしていただきたいと思います。
 そこで、残余の時間、きょうはあと一時間ぐらいしかございませんが、診療報酬の今度は支出面について、私は質疑を展開をしていきたいと思うんですが、あと一時間でございまして、もし残り――当然残るであろうと思いますが、その点は次の機会にひとつ譲らしていただいて、診療報酬の疑問点だけひとつ解明しておきたいと思います。
 まず、最初に、非常に矛盾したことがたくさん行なわれておるわけで、これを一挙にスライドにしてしまうということについては、多少私は疑義を持つ。したがって、その項目、項目について一ぺん再整理をして、スライドならスライドにするということも私は是かと思いますが、その前提の要件としてひとつ疑義をただしておきたいと思う。
 まず、時間外加算の現状です。初診時、再診時の時間外加算についてでありますが、現行では医療機関の表示時間外においては三点を加点する。三十円にするということですね。ただし、午前十時から午後六時までの間は加算点数は六十点とする。すなわち六百円とするということになっておりますが、そうですか。間違いございませんでしょう。
#236
○政府委員(北川力夫君) 時間外加算は甲表、乙表で違っておりますが、甲表の場合には二点、それから乙表の場合には三点。それから深夜加算は甲表の場合に六十八点、乙表の場合に六十点であります。
#237
○須原昭二君 私の言ったのは乙表だ。乙表は三点と六十点でしょう。
#238
○政府委員(北川力夫君) 乙表の場合は六十点です。
#239
○須原昭二君 三点と六十点だね。
#240
○政府委員(北川力夫君) それは、先生おっしゃってますのは、往診料の場合の深夜……
#241
○須原昭二君 いや、いや、いや。
#242
○政府委員(北川力夫君) そうじゃなくて、いま申し上げましたとおり時間外加算は乙表の場合に時間外加算が三点、深夜加算が六十点です。
#243
○須原昭二君 私が言っているのは乙表のことです。これは間違いないと思います。これはあまりにも私は差があり過ぎて粗雑だと思います。たとえば、時間帯の設定のしかたでありますが、午後十時から朝の六時の間は時間外加算六十点となっているが、この点は私は非常に問題があると思うのです。一般の国民生活の実態から見て、たとえば皆さん一般公務員の就労時間は午前八時から午後五時まで。一般のわれわれ市民の生活時間は午後五時から夜の十時、そして朝の七時から朝の八時というのが通俗的いわれている一般市民の生活時間。さらに一般市民の睡眠時間というのは午後十時から朝の七時というのが適当だと思うのですが、したがってお医者さんも人間ですから、この国民生活の状態に見合った時間外加算にする必要があると思うのです。たとえば、一般国民が働いている八時から五時までの加算を十点にするとか、一般国民が生活している午後五時から夜の十時、朝の七時から八時まで、こうしたものは三十点ぐらいにするとか、あるいは一般国民がほんとうに就眠をしている、お医者さんでも寝る時間でありますが、午後十時から朝の七時までは六十点にするとか、こういうのは一つの私案でありますが、こういうふうにやはり改正すべきではないかと思うのですが、その点はどうですか。
#244
○政府委員(北川力夫君) ただいまお話に出ました時間外加算の問題、これはもちろん一つの例でございます。それから、それ以外にもあるいは休日の場合の加算とか、そういった問題も実はあるわけであります。総じて現在の診療報酬の点数表の中には、いま御指摘になりました例も含めまして、まだまだ今後いわゆる適正化をしていかなくちゃならない問題、特に現在のような時勢に合ったような仕組みで、適正化の方向を指向すべき問題が少なくないわけでございますから、そういった問題はすでに従来からもだんだんと是正はいたしておりますけれども、今後も十分ひとつ検討いたしまして、現在の状況に合うような適正化の方向に向いてまいりたいと、このように考えております。
#245
○須原昭二君 これは検討するとおっしゃるんですけれどね、先ほどの論理から言うと中医協でやることになっている。あなたたちは権限がないことですか。先ほどの論理から言うとそうなるんですよ、検討されると言うんですけれども。どういうふうに手だてをされますか。検討する場合、実施に向かう場合。
#246
○政府委員(北川力夫君) 先ほどから、この診療報酬の改定の問題と中医協との関係で、いろいろ御論議がございまして、大臣からもお答えを申し上げたところでございます。で、検討すると申し上げましたのは、もちろんその現在の行政機構におきましては、それが諮問であれ、あるいは建議であれ、この中医協という場を通じて問題が処理されるわけでございますから、そういう意味合いで、先生がこのスライドの前提になる問題として、診療報酬の現在の内容のでこぼこを御指摘になりましたので、そういう問題は検討されるべき問題であると、こういう意味合いで申し上げたわけでございます。その場はもちろん中医協を通じてやる、こういうことになると思います。
#247
○須原昭二君 厚生省はどういう手だてをするの、検討するというのは。提案するの。諮問するの。
#248
○政府委員(北川力夫君) これはもちろん第一の手だては、現在この正常化してない中医協をできるだけ早く正常化をする。それから、その中医協の場で診療担当者側と支払い者側との間で十分論議をして、その合意を得るように努力をしていく、こういうようなことだろうと思います。
#249
○須原昭二君 具体的な事例で私はもっと解明したいと思うのですけれども、診療側と支払い者側と二者が協議する、それで厚生省は何をするのですかと聞いておるのです。検討されると言ったって、別のところで検討したったって何も反映しないわけですね。どういうふうに反映させますか。
#250
○政府委員(北川力夫君) すでにこれは昨年九月に中医協を再開いたしましたあと、先生も御承知かと存じますけれども、診療担当者側からもいわゆるスライドという問題と、それから現在の点数表の不合理部分を是正するという問題と、両方の問題が提起をされております。また、支払い者側からはベッド、薬価問題も提起をされております。でありますから、現在の状態でもすでにこの問題は論議の過程でございまして、そういう意味合いでは当然この問題は他の問題に相当優先して論議をされ結論が急がれるべき問題であると、このように考えておりますし、またそのような状況でございます。
#251
○須原昭二君 厚生省は何をやるかということを聞いているのです。
#252
○委員長(大橋和孝君) 答弁をはっきりしてもらわぬと堂々めぐりでだめなんです。さっきから聞いていると、その委員からの質問がどこにあるかということに対して明確にしてもらわないと、時間がないから非常にまずいと思うのです。いまの問題は厚生省は何をするのかと、そこの中で。みな中医協にまかしたままで何もやってないじゃないかと言われているのだから、それをあなた方はどういうプランでそれに進むかということを言わなきゃ答えにならぬじゃないですか。
#253
○国務大臣(齋藤邦吉君) この問題につきましては、先ほどもちょっと須原委員にお答えいたしましたように、いままでのように中医協の審議にまかせっぱなしにするやり方、こういうやり方がいいかどうか、これは反省しなきゃならぬということを私申し上げたつもりでございます。それをどういう形で反映させるようにするかということについていま具体的に申し述べ得ることは、いま正常化しない段階でございますから、かえってまた変な刺激を各方面に与えて――これはおわかりになっていただけると思うのです。これはわかっていただけると思うのです。刺激を与えて、かえって正常化すべきものがそれによって混乱しても困る。そういうことは私、わかっていただけると思うのです。多年医療問題に詳しい須原委員のことでございますから、おわかりになっていただけると思うのでございます。そういう点について従来のようなやり方ではいけない、別な新しい考え方を打ち出さなければならぬ時期に来ておると、それを今度の再開中医協が正常化された段階においてそういう新しい方式をもってひとつ厚生省の意見が十分反映できるようにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
#254
○須原昭二君 非常に心もとない感じがするわけですが、問題点だけ指摘をしておきますから、ひとつ参考のためにお聞きしておきますから、参考にしていただきたい。
 今度は休日の加算の問題です。いま無医村の問題、無医地区の問題が非常に論議を呼んでおります。しかし日曜日、祭日は大都会といえども無医地区になるとまでいわれておるわけですね。大都市の中でも休日や祭日には無医地区になってしまう、こういう現象が起きているわけです。これはいろいろの問題点がございますが、私は休日加算の問題を取り上げると、この休日の加算を何ら配慮しない点にも私は一つの関連があると思うのです。日曜日、祭日、土曜日の午後、たとえば最近話題になっております週休二日制となった場合、土曜日はこれは朝からということになりますが、いわゆる休日の加算について、現行では平日と同様ですが、午前六時から午後十時までは加算三点、午後十時から朝方の六時まで加算六十点、休日加算について何ら配慮がなされていない。そうですね。まず確認しておきますが、そうでしょう、乙表で。
#255
○政府委員(北川力夫君) 現在はそのとおりでございます。
#256
○須原昭二君 そうですね。国民が週休二日制に向かってるときにこの状態では、医療に従事するパラメディカルの従業員たちのことを考えると、特別加算がどうしても必要だということが私たちの念頭に浮かび上がってくるわけです。額は適当かどうか私は知りませんが、こういう問題について私もあまり勉強しておりませんから、具体的に言うことはできませんが、たとえば、この朝八時から夜五時まで加算二十点にする、あるいは午後五時から夜の十時まで、これは五十点にする、あるいはまた、夜中は午後十時から朝方の八時まで加算百点にする、こういうふうにやはり診療報酬の中にも、休日は休診をしないような手だてがどうしても私は必要ではないか、この点はどう思われます。具体的にやるかやらぬかは中医協の問題になりますから、この点についてやはり検討すべき事項であるとお考えになるかどうか、どうでしょう。
#257
○政府委員(北川力夫君) 先ほどもお答えを申し上げましたが、やはり診療報酬の点数表が現在持っておりますたくさんの矛盾点がまだあるわけであります。そういう中で私はそのときどきの状況に応じてこれが改定されるべきものであるというふうにも申し上げました。ただいま御指摘になりました休日診療の問題につきましては、すでに再開されました中医協において長い論議の過程の中でこの問題はすでに取り上げられておりまするし、また、私どももこういう問題については十分に問題意識を持たなければならないと思っておりまするから、先ほどの時間帯の加算問題とあわせまして非常に現在的な重要な問題だと考えております。
#258
○須原昭二君 問題提起だけにしましょう、それは。
 したがって次は、現在の再診料の点数です、五点です。この再診料五点でありますが、注として、理学療法、精神特殊療法、手術あるいは処理、麻酔等を行なわなかった場合は八点を加算する。すなわち計十三点を内科再診料として算定することになっております。つまり処置を行なえば八点は算定できず五点のみということ。耳だとか、指だとか、尿道洗浄だとか、電気治療だとか、これらは五点ですから合わせて十点になるわけですね。鼻の処置や口の処置、目の処置の場合は、七点ですから合わせて十二点になる。いずれも何もしなかった場合は十三点ですから、技術を施したら減点となるのですよ。こんな技術を先行させなければならないこの技術料が全く無視されているのではないかと指摘をせざるを得ないのですが、やはり診療報酬は技術料を適正に尊重する方向に変えるべきだ、こういうふうにひとつ問題を提起したいのですが、どうでしょう。
#259
○政府委員(北川力夫君) 従来から診療報酬の改定は、やはり物と技術の分離ということで、しかも技術料を適正に評価するということでここ数年間やってまいったつもりでございまするし、そういう意味合いで先生御承知の、たとえば入院時の医学管理料でございますとか、あるいは特類看護でございますとか、いろいろの問題がすでに出ておるわけでございます。いま例に出ました再診料の問題も、やはり現在の状況、現在のこういう点数でいいかどうかは一つの大きな問題でございますから、今後の処理を要する問題だと思っております。
#260
○須原昭二君 さらに往診について、往診に来てほしいというのは、緊急の場合、庶民の中では非常に大きな声が出ておるのですが、なかなか往診に応じてくれない。また、おっても、いないと言う実態が続いているわけですね。この現状をやはり厚生省はどう理解をされているのかということが一つ。
 それから往診が必要ないと考えているのか。私は、どうしても制度上、今日の状態では必要である。そういたしますと、往診の加算はどうなっているかという疑問が一つ出てくるわけです。現行では、難路、暴風雨、暴風雪時等は二割加算になっておるのですが、実際には台風警報などのほかは、全く通行できない状態でなければ認められておりません。都市においては空文にひとしいのです。往診でびしょぬれになってアパートに行って何階も上に上がって、徒歩で登ったりおりたりしている、これは認められない。また、台風警報中の危険なときにも往診が二割加算では、医師、看護婦等の生命の危険も考えられる状態の中ではきわめて低額だと私は思うのです。特別点数を考えるべきではないかというような感じがするんですが、その点はどうでしょう。
#261
○政府委員(北川力夫君) 往診が必要かどうかというのは別個の議論でございますけれども、ただいまのお話の中で、夜間の往診につきましては、これは点数加算は百分の百でございますし、また暴風雨とか、暴風雪時の場合には百分の二百、つまり二割加算じゃなくて二倍になるような仕組みになっております。しかし、いまおっしゃったように、新しいいろいろ生活形態というものもございますから、そういう問題も今後の問題としてこれは考えていかなくちゃならない問題の一つであろうかと思います。
#262
○須原昭二君 ひとつぜひこれは、――どうも往診なんか必要ではない、だからこういう形骸化された規定に、点数になっているんじゃないかと思うわけなんです。やはり庶民の立場からこれは再検討していただきたい。
 さらに、診療報酬の中で非常に私疑問に思うのは、慢性疾患の指導料というやつありますね、二十六点になっている。特定疾患について二週間に一度算定できるようになっているということを聞いたのですが、ただし、この特定疾患は何ら医学的根拠がなく、それは医師ですら一々表を見なければわからないというような現状です。たとえば胃炎では算定できるが、胃腸炎になるとこれは算定できないことになっている。急性リューマチは算定できるけれども、慢性リューマチは算定できない。こういう複雑な、何ら医学的根拠もないような形でこういうことが行なわれているのですけれども、非常に矛盾に富んでいる。きわめて非科学的なものである。別に理論的にもこれは解明できるものではないと思うのですが、この点はどうかということです。
#263
○政府委員(北川力夫君) 慢性疾患の指導料は、実は前回の診療報酬改定の際に、最近の疾病の状況等を考えて新しく設けられた制度でございます。それで、この点数につきましても、また、ただいまおっしゃいました慢性疾患として指定されておるものにつきましても、当時診療担当者側からの御意見も聴取した上で、たしかこれはきめられたような記憶がございます。ただ、この制度ができましてからあと、実際上、この新しい仕組みがどのような効用を発揮をしておるか。その点についてはいろいろ評価も分かれるところでございますので、こういった問題につきましては絶えず十分な検討を加えて、よりよいものにしていくべきである。このように考えておるような次第であります。
#264
○須原昭二君 実現の方途の道筋について明快な道筋が示されぬから非常に論議をしておっても心もとない感じがするわけでありますが、先ほど申し上げました初診料、再診時の時間外加算、あるいは休日加算、再診料、往診等の加算、いまの慢性疾患指導料、こうしたものに見られるのには、処置料だとか手術料については全く多くの疑問点があるわけです。矛盾点があるわけです。この現在の診療報酬の体系をそのままスライドさせていくというものの考え方については、こういう問題点がたくさんあるわけですから、早くこれを整理し、きわめて技術を尊重する方向へ大改正を行なって、スライド制に持っていくというなら私は異存がないと思うのです。ですから、こういう問題について、科学的に、技術中心に再検討を私はすべきだと。この実行に移す手だての問題については、中医協等の問題がありまして、明確な答弁が出てこぬことを非常に残念と思いますけれども、何らかの形でこれを推進されるように、これはひとつ要望しておきましょう。
 そこで、ついでにちょっとお尋ねをしておきたいのですが、皆保険が実施されて十二、三年になりますね。その間、神田構想の職権告示や中医協で医療費の値上げが幾たびか行なわれてきたわけでありますが、皆保険の実施当時、初診料は幾らでしたか。
#265
○政府委員(北川力夫君) ちょっといま、すぐに調べてお答えいたします。
#266
○須原昭二君 それは私のほうから、――当時は三十円です。現在幾らですか。――五百円ですね。当時は三十円、十二、三年前は三十円。物価が上がってきたから当然のことです。現在は五百円です。いいですか。間違いないですね。何倍になりますか。十七倍でしょう。十七倍。そこで、お尋ねいたしますが、処方せん料は皆保険実施当時と現在ではどれだけ上がっていますか。
#267
○政府委員(北川力夫君) 三十六年のときに処方せん料ができまして、その当時が五点、それから昨年の二月改定で六点であります。
#268
○須原昭二君 白々しくおっしゃいますけれどね、白々しく。十二年前には初診料は三十円で今日は五百円、十七倍になっている。処方せん料は五十円で、十二年たった今日六十円、十円しか上がっていないのでしょう。たった十円上がっただけ。二割増しですよ。この評価を見て厚生大臣何をお考えになりますか。どう考えられますか。
#269
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私も不勉強でございまして、十分知識を持っておりませんでしたが、上がり方がいささか少ないような気がいたしております。(笑声)
#270
○須原昭二君 いささか少ないというようなことの表現は、――いささかとも言えぬですよ。
 厚生大臣は医薬分業について賛成でしょう。推進しようと思っておられるでしょう。どうですか。
#271
○国務大臣(齋藤邦吉君) できますることならばさようにいたしたいと私は念願をいたしております。
#272
○須原昭二君 いまの答弁ね、できますればという答弁は非常に好ましくない。法律には医薬分業、明記されているのですよ。原則的に分業はできているのです。やらせるかやらせないかだ。できますればという答弁は訂正していただきたい。
#273
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私は、この問題については前にもお答えいたしたと思いますが、医薬分業は望ましいものと考えておるということを申し上げております。それを実現するためには関係機関との十分なる協調と話し合いが必要である、こういうことを私は常に申し上げておるわけでございまして、私の意のあるところは十分御理解いただけると思っております。
#274
○須原昭二君 ですから、医薬分業をすることがたてまえになっている国の法律があるのに、政府、厚生省は全く分業を前進させる気がないと、この数字から言うことができるわけです。物と技術と分ける、診療報酬をきちんと物と技術と分けていこう。その中に介在する処方、処方せん代というものを形骸化させているところに医薬分業が進まない要素が一つあると言わなければならない。その点はどうですか。
#275
○国務大臣(齋藤邦吉君) そういうふうな点数が上がっていないのが医薬分業を阻止するような、進めないための金額、そういうためにそういうふうになっているかどうか。私はそんなことはないと思っております。これは厚生省前々から医薬分業が望ましいということで今日まで進んでおるわけでございまして、それを進めないためにそうしていると、そういう考えは私はなかったと思います。私も自身、今後、診療報酬改定に臨むにあたりまして、そういう気持ちなどはさらさら持っていないことをはっきり申し上げておきたいと思います。
#276
○須原昭二君 ここに政府の規格でしょう、これは。診療報酬請求明細書というのを全部持ってきているわけです。この中に処方せん代も処方料も何にも項目がないんですよ。政府が書いて出す用紙の規格に処方せんも処方料も何にも書いてないんです、項目がないんですよ。医薬分業を推進させようという意欲があるならば、当然この項目の中にうたうべきです。ですから、たった六十円ぐらいもらうぐらいだったらそんな処方せん出すよりも、処方せんを出して六十円もらうよりも、やはり投薬をして薬価の差益で実益を上げたほうがいいと、ものを解釈するのがこれはだれしも考えることです。現物給付、出来高払い制度があれば、当然それに目を向けるのはあたりまえのことなんだ。実施するか実施しないかは、国民の患者の皆さんの要求があるか要求がないかということ。政府自体としては当然支払い明細書の中には処方せん料、あるいは処方代をきちっと明記をさせるべきじゃないですか。これが国の法律を守る立場にあるところの政府の当然とるべき手立てだと私は思うのですが、どうでしょう。
#277
○政府委員(北川力夫君) そういうふうな御議論をされますと、やはり私どももそういうようなことかと存じます。ただまあ、事医薬分業という問題は、先ほど大臣からも申し上げましたように確かに請求明細書の様式の問題もそうでございますけれども、より根本的には、やはり大きな政策的な実行上の一つの決断の問題でもございますし、また、やるにつきましては、円滑に関係者が合意を得てやっていかなければならない問題でございますから、そういう問題がより基本的な問題だろうと思います。しかし、御指摘の点もございますから、もちろんこういう明細書等につきましては、今後も十分ひとつ留意をいたしまして、今後の内容の改善につとめてまいりたい、このように考える次第でございます。
#278
○須原昭二君 お気づきをいただけば幸いだと思います。大臣はお気づきでなかったんですから、どうぞ、お気づきになられた以上は、ひとつ再検討していただいて、やはり近代的な技術を中心とする診療報酬体系に切りかえていく一つの問題点として提起をして、要望しておきたいと思います。
 そこで、今度は薬のほうへ入ります。薬の生産額、わが国の医薬品の生産額は昨年昭和四十七年度において一兆九百十七億九千百万円だといわれておりますが、これは間違いない政府の統計であります。国民皆保険の制度が始まって製薬企業の生産高はどう変わってきたのか。この動向について、生産額が非常に高まってきておるわけですが、実態はどうなっていますか。飛躍的に日本の製薬企業が伸びてきた理由はどこにあるのか、この点をひとつお尋ねをしたいと思う。
#279
○政府委員(松下廉蔵君) 国民皆保険になりましたのが昭和三十六年ということで、三十六年に基点をとりますと、三十六年の生産額が二千百八十一億円。それに対しまして四十七年度が先生ただいま御指摘のように、繰り上げまして一兆九百十八億という額でございます。したがいまして、倍率といたしますと、約五倍弱という計算になるわけでございます。
#280
○須原昭二君 やはり飛躍的に日本の製薬企業が内容はともかくとして伸びてきた理由は、国民皆保険制度が一つの大きな柱だと実は思います。とりわけ、売り上げ純利益率、製造平均で三%台だといわれておりますし、あるいは化学工業を平均にいたしましても大体三ないしは四%だといわれております。製薬大手の十二社、大体売り上げ純利益率が一〇%から一三%、これは厚生省の発表だったかね、三十五年から四十五年の十年間ですね、この統計をとってみると一〇ないし一三%の売り上げ純利益率を上げているわけです。当然GNP世界第二番目の高度成長を遂げたわが国では、原料を諸外国から輸入し、これを加工して付加価値を与えあるいは加工生産をして製品として輸出する。輸出日本国の、ということで世界の脅威になっているわけでありますが、わが国の製薬企業は依然として輸出よりも輸入が多いわけです。昭和四十七年度を見ましても、輸入額が八百四十億、切り捨てますが、あとは。輸出額が三百七十七億、その差四百六十二億の輸入超過になっているわけです。この傾向はわが国の製薬企業の一面における技術的なあるいは施設の脆弱な体質を示したものであると私は思うんですが、現在の製薬企業の実態をこういう生産量、輸入、輸出の額、こうしたものからどうお感じになっておられますか。
#281
○政府委員(松下廉蔵君) 先ほどお答え申し上げましたように日本の医薬品企業は生産額の伸びは過去約十年余りの間に相当の伸びを示しております。ただ、その間におきます国民総生産の伸びもやはりそれに匹敵いたしますだけの倍率をもって、それに近い率をもって伸びているわけでございまして、特に医薬品企業が格段の伸びを示したとまでは申せないかもしれませんが、とにかく御指摘のように大きな伸びを示していることは事実でございます。ただ、最近の二年間の伸びは、それまでの伸びとは異なりまして相当停滞をいたしまして、大体四十六年までは毎年五年ぐらいの間、一〇ないし二〇%の伸びを示しておりましたのが、過去二年間は三%台の伸びにとどまっているということで、医薬品企業もやや停滞を示しておる実情でございます。
 それから、ただいま先生御指摘のように、他の工業生産といささか趣を異にいたしておりますのは、輸入のほうが輸出よりも額が多い、その点は御指摘のとおりでございます。その原因の一つといたしまして、先生がいま御指摘になりました技術力が先進諸外国に比べてやや劣っているという点は、これは残念ながら、まだ完全に比肩し得るというところまではいっていない点もあろうかと存じますが、一つは、やはり先進諸外国におきます、特に大きな輸出先でありますアメリカなどにおきましての医薬品の輸入に関する相当きびしいGNP等の規制との関係もあろうかと存じます。こういった点につきましては、今後わが国におきましても、さらに技術開発力を伸ばしますと同時に、国内におきます生産の態様を、十分な指導をいたしまして、世界各国に比肩するだけの品質規格に関する水準を上げていくということが今後の課題といたしまして必要なのではないか、そのように考えている次第でございます。
#282
○須原昭二君 いずれにしても、この日本の技術あるいは施設の実態、そうしたものから比べてこの生産高は非常に大きいわけですね。昭和四十七年度におけるわが国内における医薬品の生産額は、先ほど申し上げましたように一兆九百十七億九千百万円、これに輸入超過分四百六十二億四千七百万円を加えて、合わせて一兆一千三百八十億三千八百万円、いずれにしてもこれだけの量を国民は消費をするなりあるいは浪費をしている一面もあるわけであります。まず、わが国の生産額、世界の生産額の何%に当たりますか。
#283
○政府委員(松下廉蔵君) 医薬品の生産額につきましては、国際的な統一された統計的データがございませんので、いまの先生の御質問に対しまして的確なお答えはいたしかねるわけでございますが、一つの資料といたしましてのOECDの資料によりますと、わが国の医薬品生産額、これは一九七〇年でございますけれども、アメリカの二兆五千二百億円に次ぐものでございまして、以下西独、フランス、イギリスというような順序になっております。OECD主要加盟国十五カ国の医薬品の生産の中では一八・七%という率に一応なるわけでございます。ただ、この中には、ソ連、中国などの共産圏諸国とか、南米の諸国というような国にはデータがございません。また、医薬品の価格の決定方式が国によりまして若干異なる点もございまして、この数字をなまで国際的な比較といたしまして、お答え申し上げることはちょっと正確を欠くのではなかろうかと存じます。
#284
○須原昭二君 いま、OECDの統計を発表されましたが、私たちが概算をいたしますと、いずれにしても全世界で生産をする約六分の一は日本国で消費をしていると、こういうことになるわけです。一億国民です。地球上の人口三十六億ですから、三十六億分の一は、全世界の六分の一は消費している数字になるわけです。あまりにもこの実態からいいますと、日本人は薬づけというのか薬に浸っているというのか、こう言われてもしようがないのです。そこで、お尋ねをいたしたいのですが、医薬品には厚生省は何の基準でやっておられるかわかりませんけれども、科学的な、明確な分類では私はないと思うんですが、医療用薬剤と一般用薬剤との二つに分けているわけです。これは正しいかどうかは別といたしまして、四十七年度の生産額一兆九百十七億円の内容は、医療用と一般用に分けて構成比率はどういうふうになっていますか。
#285
○政府委員(松下廉蔵君) 四十七年度の生産におきまして、医療用の医薬品が七七・三%、それから一般用の医薬品が二二・七%、そういう率になっております。
#286
○須原昭二君 七七・三対二二・七、こういう対比になっているのですが、年々二、三%ずつ一般用薬から、医療用薬剤が多くなっているということを私たちは知っておるわけでありますが、そこで、私は総医療費の年次別の推移についてお尋ねしたいのですが、時間がございませんから、これはひとつデータで出していただいて、いずれにしても医療費における薬剤の比率がどんどんふえてきているわけですね。これは毎回私が申し上げましたわけですが、諸外国では一〇%から二〇%、これが四十五年なんかは四三・二%。四十七年はどうなったか知りませんが、その点はあとからでもいいからひとつ出していただきたいと思っております。いずれにしても、総医療費のうちの薬代、これが四十五年、古い統計しか持っておりませんが、四十五年度の総医療費で二兆五千五百三十四億円、その中の医療費に占める薬代が四三・二%ですから、約一兆一千三十億円程度が薬であるということがわかってくるわけです。いかに医療用薬剤が多く消費されているかということがここに数字で明らかになってくるわけでありまして、先ほども申しましたように、日本人は薬好きだと、こういわれるけれども、実際は薬を飲ませ過ぎておる環境がこうしておるのではないかと実は思うわけです。そういうところに、実はサリドマイドとか、キノホルムとか、コラルジルとかいうような薬害が出てきておる、こういう現況を考えなければならない。とりわけ最近、どこの医療機関へ参りましても、特に大きな病院へ行きますと、薬袋は、昔はせいぜいはがき一枚が入る程度の大きさであった。しかし、いまでは薬袋にのりしろまでつけて大袋になっている。この薬の使い過ぎについてどう考えられるのか、この点をひとつ、まあ、答弁は大体予測できますけれども、あらためてひとつ御答弁を願いたいと思います。
#287
○政府委員(松下廉蔵君) 医薬品の多量使用という御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、外国の医薬品の生産の統計あるいは使用量等につきましては正確なデータがございませんので、国際的な比較はなかなか困難な事情にございます。ただまあ、なまで、生産額で比較をいたしますと、日本での、国内で消費されると考えられます、先ほど先生が仰せられました医薬品の額、それを国民の数で割りました一人当たりの額で計算いたしますと、大体いまアメリカ、西ドイツに次いで三番目になるという計算に、一応なるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、一つは医薬品の価格というものが国際的にかなりものによりまして高下がある。決して日本が高いという意味ではございませんけれども、高いもの、安いものまちまちになっておる実情がございますのと、それから先生が御指摘になりましたパーセンテージは、主として医療保険の中におきます計算でございまして、これは総医療費の中における医薬品の価格と、それから、その他の医療費と申しますか、技術料とのバランスの問題で、国際的な比較がより困難な点があろうかと存じます。そういった要素を考え合わせますと、私どもといたしまして、現在の日本がはたして医薬品が過剰に使用されておるかどうかという点につきましては、なかなか判断がしにくい要素があるわけでございます。まあ、先ほど先生の御指摘がございました非常に投薬袋が大きくなっておるという点は、これは御専門の先生に僭越でございますが、いまの剤形が昔の調合するような剤形とはかなり異なっておるというような要素もございまして、必ずしもこれが量がふえた証左になるかどうかというような議論もあるわけでございます。まあ、総括的に見まして確かに多くなっておるということは否定できない点でございますし、一部には、先生が御指摘のような非難もあるわけでございまして、そういった面につきましては、私ども厚生省の関係者といたしまして、医薬品の信頼性を保つというような点におきましても、こういった医薬品の過剰使用というようなことが起こりませんような、メーカー、販売業者等に対します指導も十分行なっていかなければならないと考えております。
 なお、先ほど御指摘のございました医療用医薬品と一般用医薬品の比率でございますが、これは、四十六年度までは、先生御指摘のように医療用のパーセンテージがふえてきておりますが、四十七年におきましては、ややこれが逆転いたしまして、わずかでございますが、一般用医薬品の比率がふえるというような現象も見られております。
#288
○委員長(大橋和孝君) ちょっと関連して。ぼくちょっと資料がほしいんですがね。官公立病院で薬剤の占めている量、それから消費されている量、それから一般診療所でどれぐらい使われているか。それのひとつデータを出してくれませんか。できますか。――保険局長のほうから……。
#289
○政府委員(北川力夫君) 直轄の病院である国立病院におきましてはすぐに大体資料が出ると思いますけれども、それ以外の公的な医療機関あるいはまた、私的な医療機関につきましては、ちょっとそういうデータができますかどうか、いまの段階では私どもしばらく検討させてもらいたいと思います。
#290
○委員長(大橋和孝君) その点は毎月請求書が出ているわけでしょう。だから支払い基金ではそれによって払っているわけですね。だから、そういうところではそういう統計は一つもとっていないんですか、いままで。どれくらいのウエートを示しているかということを。
#291
○政府委員(北川力夫君) 国・公・私立別にはそういうデータは実はとっていないようでございますけれども、全体でございますと、いまのようなデータはあるわけでございますけれども、そういう仕分けを基金の段階ではやっていないはずでございます。
#292
○委員長(大橋和孝君) できれば国・公立病院ではどれくらいウエートがあって、一般の開業医ではどれくらいあるか、診療所ではどういうふうになっているかと、それは病院も含めていいんですけれども、公的といわれているところと私的といわれているところで何か比較になる材料はないんですか。
#293
○政府委員(北川力夫君) ちょっと現在のところ、そういうデータを持ち合わせていないので、なお、どういうデータがありますか、またできますか、検討させていただきます。
#294
○委員長(大橋和孝君) ひとつ検討してください。
#295
○須原昭二君 それに関連して参考までに申し上げておきたいんですが、名前をはっきり出してもいいと思いますけども、これは新潟県の県立の小出病院。名前は伏せておきたいと思います。実に多量に使っているんです。三万五千三百五十八点、一カ月の請求代。三十五万円ですね。片一方のやつは、同じくこの病院でありますが、二万五千十三点ですから、二十五万円です、一カ月。その中の注射代をずっと調べてまいりましたんですが、一つの混注ですよ、――混合して注射する場合、十九種類。あとから見せますけれども、十九種類一本に射つんです。こういうデータが堂々と出ているから、いまちょうど委員長から御指摘があるように、国・公立の病院あるいは私立の病院、民間の診療所、一ぺん比較を出してくださいというのも、そういうところにも私は根幹があるわけです。混注に十九種類も一緒に射つというのは、もちろん病院でありますから、薬剤師がおって、薬を提供する場合に、薬だけの品物を投与するのではなくして、薬と用法とを一緒に提供するのが必要なんです。ですから、薬と薬におけるところの相互作用、あるいは強く言えば配合禁忌等というものは検査をされているとは思いますけれども、はたして十九種類一緒にこれは射っているかどうか、私は疑問だと思う。こういう問題については支払い基金の中でほとんどノーチェックのまま横行しているわけです。これは少なくとも新潟県の国保ですから、相手が薬剤師です。薬剤師ですらこんなことをやられるんですから、どれだけ使われているかわからないというのが現況です。一つの例を申し上げましたけれども、委員長のそういう資料を精査するということが厚生省としてもどうしても私は必要だと思います。この問題点は、何といっても薬価基準と実勢価格の間におびただしい差額がある。これを称して潜在技術料だとかいうような認定で認めておるところに問題があると言わなければならないわけであって、物と技術とを分けないで込みにしているところに、現物給付、出来高払いの制度下においては問題があるのであって、どうしてもこの問題についてはきちんとしなければならないと思うわけです。薬の大量投与によって不当に低い技術料を補うという形は、どうしても一刻も早く私は変えていただかなければならないと思うわけですが、そのことはどうでしょうか。――時間がきましたから、最後にもう一点だけございますけれども、まず、この問題点をひとつはっきりさせていただきたいと思います。
#296
○政府委員(北川力夫君) 先ほどからお話のありますように、保険医療の分野でも総医療費に占める薬剤の割合がきわめて多い、また年を追ってその率がふえている、こういう状況につきましては、私どもは多年問題意識を非常に深めている状況であります。で、薬価基準の改定の際におきましても、これはもう先生御承知のとおり、薬価調査を行ないまして、できるだけ実勢価格に近づけるような努力を重ねてまいりまして、何とか適正な薬価基準というものに近づける、適正な価格に薬価基準を近づけると、こういう努力をやっているわけでございますが、御例示のような点もございますし、今後のやはりこの薬価基準問題は、診療報酬の中でのきわめて大きな問題でございますので、なお一そう適正な薬価基準の設定について十分な努力をいたしてまいる所存でございます。
#297
○委員長(大橋和孝君) ちょっと関連して、この点でも尋ねておきたいのですが、皮下注射料と、それから静脈の注射料、これは皆保険になった十何年前の時点と、今とでどういうふうに変化があるかということについて聞きたい。
#298
○政府委員(北川力夫君) 申しわけございませんが、いま、その点につきましては、明確にわかりませんので、十分調べまして後ほどお答えを申し上げます。
#299
○須原昭二君 そこでいま薬価調査のお話が出ましたのですが、薬価調査、あるいは薬価のきめ方、これはごく技術的な問題もございますけれども、専門的にひとつ質疑をいたしたいと思うのですが、きょうは時間が来てしまっておりますから、この問題だけは次の機会に譲りたいと思います。ただ、この前に、今日的な課題で、実はぜひとも厚生省にものを言っておきたいことがある。というのは、これほど医薬品の製造が世界で高位を占め、しかも輸出よりも輸入が多い。世界の六分の一に近い生産額をあげておる今日の日本の市場の中で、実は最近ブドウ糖、リンゲルの注射液がほとんど市場に出回らないという現状にある。ビタミンB2、B6、B12、これも品不足なんです。これだけ物がたくさんつくられておるのに、なぜ品不足になるのか、局方品なんか特に顕著で、少なくなっている。したがって、重曹なんかは価格が二倍、三倍にはね上がっております。ブドウ糖に至っては、二〇ccが薬価基準十四円が二十五円で売買されている。リンゲルもそのような状態です。ですから、病院なんかでは、いまリンゲルだとか、ブドウ糖というものはないというのが現状です。かつてガーゼが買い占めでなくなった、こういうことがいわれております。いまガーゼなんかは薬価基準で百三十二円六十銭ですか、それが今日では四百円している。これだけ品物ができる国で薬品がないというのは、どういう現象なんでしょうか。どこかに私は買い占められているのか、価格をつり上げるためにそういう操作がどっかで行なわれているのか、この点の御調査をされたことがあるのかどうか、たとえばビタミンCにつきましても、いま百ミリグラム薬価基準では九円ですけれども、二十円です。どこに品不足の要因があるのだろうか、流通の過程の中に大きな問題がひそんでおる。少なくとも普通の日用品、生活必需品の中ならまだまだ、国民の命と健康に直接大きなかかわり合いがある医薬品のこういう問題が一部の業者かどこかで操作されているということは、非常に私は重大な問題だと思うのですが、その点はどう調査されておりますか。
#300
○政府委員(松下廉蔵君) いま、先生が御指摘になりました点、私も担当者といたしまして、そういう実情はいろいろな情報を得ておりまして、まことに緊急の問題であると存じます。調査もいたしております。まだこれは、どういうところに原因があり、どうすると明確に申し上げられる段階ではございませんけれども、いままで私ども承知いたしております限りでは、そういった物の品不足につきましては、幾つかの原因が競合しておるというように考えられるわけでございます。
 で、一つの点につきましては、最近苛性ソーダなどに代表されますこういった化学工業の原材料になります基礎的な化学薬品がかなりいろいろな原因から品薄が伝えられてきておる。また、品薄であるために、そういうものの価格が高騰しておるというような事情から、生産がかなり困難になってきておるという点があろうかと存じます。
 それからもう一つの点につきましては、もう一つの原因として考えられますのは、そういった原料価格の高騰、あるいは従業員の工賃の高騰等の関係におきまして、こういった基礎的な局方の医薬品がかなりコスト高になってきておる。そういったことのために、先生いま御指摘の薬価基準との間で非常に利幅が薄くなっておる。はっきり申し上げますと、むしろコスト割れになるというような状態もものによっては生じてきておる。これはまあ、私どももさらに詰めなければならぬ問題でございまして、そういうような訴えも局方品のメーカーからは出てきておるというような実情もあるわけでございます。で、そういったようなことが競合いたしまして、部分的には品薄が伝えられるというような状況にあるようでございまして、私どももこういった点は非常に問題意識を持ちまして、日薬連その他の製薬メーカーの団体とも連絡をとりまして、とにかく先生御指摘のように、これは国民の医療上欠かすことのできないものでございますので、できるだけ円滑な供給ができるような緊急の手を打ちますと同時に、通産省とも相談をいたしまして原材料の入手につきましても、できるだけ円滑を期するということを考えておるわけでございます。
 で、いま先生も例におあげになりましたようなガーゼのとき等の問題意識も続いて持っておるわけでございまして、この点につきましては今後こういうものの生産を、供給を円滑にいたしますためには、やはり薬価基準の改定の際におきまして、ガーゼにつきましても当委員会で各委員の先生方から御指摘がございましてお答えを申し上げておりますように、次の機会におきまして、こういったものの生産、供給が円滑に行なわれますような適正な薬価を設定するということも含めまして対策を進めていかなければならない、そのように考えておる次第でございます。
#301
○須原昭二君 まあ、いま中間報告ですから、実効がどう伴うかわれわれはわかりませんが、ぜひともひとつ、緊急な今日的課題として、どこかで買い占められ、あるいは売り惜しみがなされておるのではないかというような疑念を持たざるを得ないわけです。しかも日用品ならさることながら、生命と健康につながる医薬品の問題点ですから、きわめて重大な関心を持たざるを得ません。したがって、毎々われわれはこの生命と健康にかかわる医薬品、とりわけ医療用薬剤の問題については、この皆保険になった今日、自由診療をやっておられる方もございますけれども、やはり医療用薬剤というものの流通については何らかの公的コントロールを必要とする、こういうことをわれわれはかねがね言っているわけですが、その制度ができる以前の問題として、やはり今日のこの医療用薬剤の品不足、どこかにあると私は確信を持ちます。これを何らか摘発をするなり、問題点を是正するなりして軌道に乗せてもらう、これが当面厚生省薬務局の最も大きな課題ではないかと思いますので、したがって、ぜひともひとつ、緊急の課題ですから、鋭意努力をしていただきたいことを要望して、実は六時を経過をいたしましたから、薬価基準のもろもろの問題点については次回にひとつ譲らしていただくことにいたしまして、一応議事進行に協力をいたしたいと、かように存じます。
#302
○山下春江君 関連しまして。いま、たとえばガーゼの問題、ガーゼが非常に上がりまして、そうしてだれかが買い占め、だれかが売り惜しみをしているんじゃないかという御議論でございましたので、私どもここ三人がちょうどこの委員会におるものですから、この夏、それの製造元をずっと調査したことがございます。ところがガーゼを織るのは金沢あたりが多いようですが、たいへん織り子さんたちの給料が払えないんです、前の薬価基準ですと。そこで、このガーゼをたくさん織らせて、そして、それを問屋で全部はだ着の二重にしたじゅばんか何か、はだじゅばんか何かにつくって売り出して、そして織り子さんの工費を払っているということでございました。したがって、だれかが買い占めたり売り惜しみをしたりしているんでなくて、実際に必要なものだから織らせるけれども、いまの薬価基準では工賃が払えない。だから、しかたがないから二重のじゅばんにして、そしてはだ着で売り出して工賃を払っている、こういうことでございましたから、薬価基準をやはり改定いたしませんとこのガーゼなんぞはスムーズに出てこないもう実情を現場の生産している問屋からよく聞いてまいりまして、これはだれかが悪いことをしているんでなくて、そういう生産と、それから価格、薬価基準とが全く食い違っていて、生産ができないということにあるようでございますので、委員長もひとつお取り計らい願って薬価基準を、このガーゼを、全部を調べるひまはございませんでしたが、ガーゼだけはそういうことで調べてみて、それで問屋へ行ってみましたら、なるほど二重のはだじゅばんみたいなものが山ほど積んでありまして、なるほどと思ったことがございますので、この点は厚生省でも、ぜひ薬価基準の改正をして、織り子さんたちが食べていける、給料がもらえる程度の値段に改正していただけばたくさん出てくると思いますので……。
#303
○国務大臣(齋藤邦吉君) 仰せのごとく、ガーゼにつきましては売り惜しみの例の法律によって指定品目に指定をして厳重に調査をいたしておるわけでございます。最近の状況によりますと、反当たり四百円まで上がったのが、最近原綿のほうの値下がり等もありまして三百六十円台までに下がってきたといったふうなお話も聞いておるわけでございますが、さらに一そう厳重に調査をいたしたいと思います。
 なお、そのほかブドウ糖の問題等の医薬品の問題、私もきのうそういう方面の陳情を受けました、非常に不足をしていると。で、これだけたくさん生産をしておるのにどうしてそんなにないのだろうと、非常に私も意外に感じてきのう陳情を受けたわけでございまして、こういう問題については、国民の健康にかかわる問題でございますから、厳重に調査をいたしまして、さようなことのないように努力をいたしたいと思います。
#304
○委員長(大橋和孝君) 一言ちょっと大臣にお願いしておきたいのですがね。これ、薬はいまの質疑の中にありましたように非常によけい使われておる。ところがこのごろは高くなってしまって物がないということになりますと、これはまた薬がなかったら死ぬ人があるわけですね。ですから私は、これはただ、調査をいたしまして、それをしますと言っている間にだいぶ死ぬわけですよ、注射が入らないためにね。ですから私は、これは皆保険の中であったならば、一体どういう処置をいまして、その少ないとき、出されないのに対してどう対応するかということを厚生省はすぐやらなければいかぬと私は思うのですね。それがやられなかったら、その間、軌道に乗るまでの間にも死んでいくわけですから、薬がなくて死ぬ人もあるわけですね。それに対してどうするかということを大臣は早く手を打ってもらわなければいけない。これは私は、この問題が普通の物の買い占めとか売り惜しみとかなんかとか、操作とかいうものとは問題が違うと思うのですね。これに対してどういうようにされますか。その所信を聞いておきたいと思います。
#305
○国務大臣(齋藤邦吉君) ガーゼのほうは供給量が多いのでございまして、高くても買おうと思えば買えるわけでございます。ところが薬のほうはそうはいかないようでございますから、生産から配給、その辺のルートを至急に調査いたしまして、厳重に処置をとります。
#306
○委員長(大橋和孝君) それじゃ、四案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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