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1972/09/13 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第24号
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1972/09/13 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第24号

#1
第071回国会 社会労働委員会 第24号
昭和四十八年九月十三日(木曜日)
   午後一時十七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大橋 和孝君
    理 事
                玉置 和郎君
                丸茂 重貞君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                川野辺 静君
                君  健男君
                斎藤 十朗君
                高橋文五郎君
                寺下 岩蔵君
                橋本 繁蔵君
                山下 春江君
                小谷  守君
                矢山 有作君
                柏原 ヤス君
                中沢伊登子君
                沓脱タケ子君
   衆議院議員
       修正案提出者   塩谷 一夫君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君
       労 働 大 臣  加藤常太郎君
   政府委員
       厚生省保険局長  北川 力夫君
       労働省労働基準
       局長       渡邊 健二君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  中西 正雄君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
       労働省職業安定
       局長       遠藤 政夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大橋和孝君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案、以上三案を一括し議題とし、趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明を順次聴取いたしたいと思います。加藤労働大臣。
#3
○国務大臣(加藤常太郎君) ただいま議題となりました雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 最近における雇用の動向から見ますと、特に高年齢者、心身障害者等に関する雇用対策の充実をはかる必要があります。
 すなわち、高年齢者につきましては、雇用が全体的に改善された中で、なお就職が困難な状況にありますが、特に、五十五歳を中心とする定年制は、高年齢者の生活の安定やその能力の有効発揮にとって、少なからざる障害となっております。今後、労働力人口の高齢化が急速に進むことを考慮いたしますと、高年齢者の職業の安定をはかることがますます重要となってきていると考えます。
 次に、心身障害者の雇用の状況は、健常者の場合に比べ、依然として改善がおくれておりますので、心身障害者に職業の場を提供し、健常者とともに社会経済活動に参加する機会を拡大することが肝要であると考えます。
 また、工業の再配置を推進するにあたりましては、工場の施設等の移転と並んで労働者の移転が円滑に行なわれるようにすることが必要であると考えます。
 このような事情にかんがみ、政府といたしましては、雇用審議会にはかり、その答申を得て、この法律案を作成し、提案した次第であります。
 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
 第一は、高年齢者の職業の安定をはかるための施策を充実することであります。
 その一は、国が、定年の引き上げの円滑なる実施を促進するために必要な施策を充実するとともに、定年の引き上げを促進するため、関係者に対し資料の提供その他の援助を行なうことであります。
 その二は、一定年齢未満の年齢を定年としている事業所の事業主に対して、定年に達する労働者の再就職援助計画の作成と再就職援助担当者の選任を行なわせるとともに、国としても、職業訓練等の実施により、定年に達する労働者の再就職を促進するようにつとめることであります。
 第二は、心身障害者の職業の安定をはかるための施策の一環として、雇用促進事業団が、心身障害者を多数雇用する事業所の事業主に対して、その事業の用に供する施設の設置等に要する資金の貸し付けを行なうことであります。
 第三は、工業の再配置に伴う労働者の移転の円滑化をはかるための施策の一環として、雇用促進事業団が、工場の移転に伴い住居を移転するために宿舎を必要とする労働者に対して、移転就職者の利用に支障がない限り、移転就職者用宿舎を貸与することができるものとすることであります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 なおこの法律案は衆議院において一部修正されましたので申し添えます。
 何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(大橋和孝君) 修正案提出者衆議院議員塩谷一夫君。
#5
○衆議院議員(塩谷一夫君) 雇用対策促進法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 その要旨は、第一に、公共職業安定所長が再就職援助計画の作成を要請する事業主は、労働省令で定めるところにより、定年に達する労働者を雇用する事業主とすること。
 第二に、離職にかかる大量の雇用変動の場合の届け出等は、事前に行なわれるべきこととし、届け出等があったときは、国は、公共の職業訓練機関が職業訓練を行なうことにより、離職者の就職の促進につとめるものとすること。
 第三に、雇用促進事業団が移転就職者用宿舎を貸与することができる者は、住居の移転を余儀なくされたこと等に伴い宿舎を必要とする労働者とすること。
 以上であります。何とぞ、本院におかれましても、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#6
○委員長(大橋和孝君) 労災法について加藤労働大臣。
#7
○国務大臣(加藤常太郎君) ただいま議題となりました労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 近年、わが国における交通事情等の変化に伴い、労働者が通勤の途上においてこうむる災害もまた多くなってきております。こうした情勢を背景に、通勤災害についても、より手厚い保護を行なうべきであるとの声が関係者の間で強くなってまいりました。
 このような状況にかんがみ、労働省は、昭和四十五年二月、通勤途上災害調査会を設置し、通勤災害にかかる諸問題について検討をお願いいたしたのであります。同調査会は、二年有余にわたる審議の結果、昨年八月、通勤災害の発生状況及び通勤と業務との密接な関係等にかんがみ、通勤災害については業務災害に準じて保護する必要があるという趣旨の報告を労・使・公益各側委員全員一致によって決定し、提出されたのであります。
 政府といたしましては、この報告の趣旨を全面的に尊重し、鋭意検討を進めてまいりましたが、その成案を得ましたので、これを、労働者災害補償保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、労働者災害補償保険審議会からは本年一月十七日に、社会保障制度審議会からは一月三十日に、それぞれ了承する旨の答申をいただきました。その結果に基づいて、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案を作成し、ここに提案いたした次第であります。
 次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 まず第一は、従来の業務災害に加えて、通勤災害についても保険給付及び保険施設を行なうことができるように、労働者災害補償保険の目的を改正することであります。
 第二は、労働者災害補償保険において保護の対象とする通勤の範囲であります。
 この法律案では、通勤とは、労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいうこととしておりますが、労働者が通勤の途中で、往復の経路を逸脱したり、往復を中断した場合には、それ以後は、この法律案にいう通勤とはしないものとしております。ただし、その逸脱、中断が、日用品の購入など日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により行なうための最小限度のものである場合には、その間を除き、その後の往復は、通勤として認めることとしております。
 第三は、通勤災害に関する保険給付についてであります。
 通勤災害に関する保険給付の種類、支給事由及び内容は、業務災害に関する保険給付の場合に準ずることとしております。
 第四は、通勤災害に関する保険給付等に要する費用の負担についてであります。
 通勤災害に関する保険給付等に要する費用に充てるための保険料は、事業主が負担することとしており、その保険料は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定による労働保険料として徴収することとしております。
 なお、療養給付を受ける労働者は、二百円以内の一定額の一部負担を行なうこととしております。
 第五は、通勤災害に関する保険給付の特例についてであります。
 保険関係が成立していない事業場の労働者であって、この法律の施行後に通勤災害をこうむった者に対しても保険関係成立後の被災者と同様の保護を行なうため、業務災害に関する保険給付の特例に準じた措置を講ずることとしております。
 以上のほか、この法律案においては、その附則において関係法律について所要の整理を行なうとともに、必要な経過措置を定めております。
 なお、施行期日につきましては、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することとし、この法律案による改正規定は、施行の日以後に発生した事故について適用することとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#8
○委員長(大橋和孝君) 船員保険法の趣旨説明を齋藤厚生大臣。
#9
○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいま議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 今回の改正の趣旨は、労働者災害補償保険において、通勤の途上においてこうむる災害に対して業務上災害の場合に準じた保護をはかることとしたこととの見合いにおいて、船員保険においても、通勤災害に関して、これに準じた改正を行なうこととするほか、職務上の傷病手当金について、職務上の年金の場合に準じ、その額の改定を行ない得るように措置しようとするものであります。以下、改正の内容について概略を御説明いたします。
 第一に、通勤災害に関する改正について申し上げます。
 まず、保護の対象とする通勤の範囲についてでありますが、労働者災害補償保険法に規定する通勤の範囲と同一とすることといたしております。
 次に、通勤災害に関する保険給付の内容についてでありますが、保険給付の種類は、療養の給付、傷病手当金、障害年金、遺族年金、障害一時金、遺族一時金及び葬祭料とし、これらの保険給付の支給要件及び給付の額については、職務上災害に関する保険給付の場合に準ずることとしております。なお、療養の給付を受ける被保険者は、初診を受ける際に二百円の一部負担を行なうことといたしております。
 また、これに要する費用は、船舶所有者が負担することといたしております。
 第二に、職務上の傷病手当金に関する改正について申し上げます。
 職務上の傷病手当金は、傷病が治癒するまで支給されることとなっている関係上、職務上の年金の場合と同様、その額を、政令の定めるところにより、労働者災害補償保険における長期傷病補償給付の額の改定の措置等を勘案して改定することができるようにいたしております。
 最後に、実施の時期につきましては、公布の日から起算して六月をこえない範囲内で政令をもって定めることとしております。
 以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#10
○委員長(大橋和孝君) 以上で三案の説明聴取は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#11
○小谷守君 最近の労働事情は、若年労働者についてはたいへんな人手不足である。ところが、高齢者については就職が非常に困難である。労働省の資料によりますと、五十五歳以上の者については、求人一人に対して求職者は四人であるというふうに伝えられております。しかも、今後いわゆる高齢化社会の到来ということがいわれておるわけでありますが、高齢者の就職はますます困難になるであろうと思います。このような高齢者をめぐる雇用の状況から見ると、五十五歳を中心とする定年制は、高年齢者の職業と生活の安定にとって非常に大きな障害となっているものと考えられるわけでありますが、そこで、まず私は、定年制の現状、定年退職者の退職後の状況などがどうなっておるか、そういう点についてまずお伺いをしたいと思います。
#12
○政府委員(渡邊健二君) わが国の定年制の現状につきましては、昭和四十五年に労働省が実施いたしました調査によりますと、定年制は全体といたしまして約七一%の事業場で実施されておるわけでございますが、これは規模の大きい事業ほど実施率が高くなっておるのでありまして、規模三百人以上という企業におきましては九〇%以上の事業場において実施されております。ただ、規模が小さくなりますと、実施割合がだんだん小さくなっておりまして、百人から五十人ぐらいの規模でございますと五九%、それから五十人から三十人ぐらいの規模でございますと四〇・六%というように、小規模のほうではやや実施率が少なくなっております。
 それから定年年齢は、日本ではやはり五十五歳定年というのが大多数でございまして、一律定年制を実施しております事業場で申しますと、その五八%の事業場が五十五歳定年となっております。そのほかに、五十六歳または五十七歳といたしております事業場は一四%ございますので、五十五歳ないし五十七歳のところを合わせますと七〇%強が大体定年年齢をそこに定めておることに相なっております。
 なお、中小企業等では最近六十歳とするものがかなり出てまいっております。
 なお、最近逐次定年を延長しておる事業所がふえてはおりますが、その延長年数は大体一、二年年齢を延ばすという例が多いわけでございます。しかしながら、最近の経済社会情勢の変化に伴いまして、軽電機など一部の産業におきましては、昨年、本年等におきまして定年を六十歳ぐらいまで延長する企業が次第に増加してまいっておるというのが最近の状況でございます。
 それから次に、定年退職された方の定年後の状況でございますが、昭和四十五年度の調査によりますと、定年到達者の四分の三が定年後も雇用者として再就職されておるのでございまして、無職であられる方は一三%というふうになっております。ただ、無職であられる方も大部分はいい職があったら就業したいという希望を持っておられます。それからなお定年後雇用者として就業しておられる方につきましては、その三〇%は前の職場と同じところに継続雇用されておりますが、勤務先をかわった者が約七〇%、かように相なっております。それから、それら定年後再就職しておられる方の賃金について申し上げますと、前とあまり変わらない方もおられますけれども、大体下がる方が多いのでございまして、平均いたしますと定年前の収入に比べて約四分の三程度に相なっておるというふうにわれわれ考えております。
 以上が定年制の現状並びに定年後の方々の状況の概要でございます。
#13
○小谷守君 行政管理庁から労働省に対して老齢者対策に関する行政監察に基づく勧告というのが出されております。こういうふうに承知しておりますが、その内容はどういうことでございましたか、また、それに対してどういう改善をはかられましたか、あらましでけっこうでありますからお伺いしたいと思います。
#14
○政府委員(遠藤政夫君) 先般の行政管理庁からの勧告は、中高年齢者に対する求人の把握が十分でなくて先ほど御指摘のように、中高年齢者の就職に対する安定行政のあり方がきわめて不十分である、こういうかいつまんで申し上げますと御指摘でございます。そこで先般さっそく大臣から直接関係者、全国の担当責任者を招集されまして、今後全国の職業安定所におきましてこの中高年齢者の再就職のための担当者、責任者を定めまして、積極的にこの中高年齢者に対する求人の確保に全力をあげてまいりまして、この再就職の万全をはかってまいる、こういう措置を講じてまいっております。と同時に、中高年齢者の就職特別措置法によりまして、中高年齢者の適職が定められております。それを今後さらにこの適職を選定いたしまして、その範囲を広げることによりまして、中高年齢者の再就職を今後一そう強力に進めていく措置を講じてまいる所存でございます。
#15
○国務大臣(加藤常太郎君) いまの御質問でありますが、局長からお答えいたしたとおり、行政管理庁から労働省に対して老齢者の雇用対策について十分留意せよと、こういうあれがあったことは間違いありませんし、これは御承知のように、生産第一主義から福祉第一主義と、勤労者のほうもその方針でいきます。ところが、一方求人倍率においてもほんとうに激増いたしておりますし、弱年者がなかなかむずかしいと、こういうので、福祉問題と重ねて経済の動向から見てでもこういうふうなことをやってくれというのが行政管理庁からの正式の、また私個人にもありまして、あまりまあ、そういう異例なことはしたことはないのでありますが、さっそくその日に全国の安定局長全員を呼びまして、私からこの内容を一時間半にわたって懇々と、従来のようなやり方でなくて、もう、ひとつ抜本的に国の全体の動向、そうして雇用者の立場、中高年齢者の方々の家庭の事情、いろいろなことを勘案して懇切丁寧にこの問題に対処して、窓口にもそれを専門的に担当するようにということを十分戒告いたしまして、いま着々その指示に従って末端のほうの機構も活動いたしております。
#16
○小谷守君 今回の法律の改正によりまして、長い懸案であります定年制の延長に向かって労働省は一歩踏み出そうとされるわけであります。これは労働時間の短縮、週休二日制の問題と並んで今日の労働行政の大きな課題であると思いますが、この一つである定年制の延長に向かって労働大臣が一歩踏み出されるということ、私はその御苦労を多とするものであります。
 そこで、どういう筋道でどういうねらいをつけてこれに進んでいかれるのか。衆議院での審議の状況を仄聞いたしますというと、大臣は十年後には定年制のあるべき姿は六十五歳だと、まず、当面五年間で定年制を六十歳に延長をして、その後五年間で六十五歳、こういうことを目ざすんだ、今回の法案はその第一歩を踏み出すものだ、こういう御趣旨のように拝聴いたしましたが、そこで、それに到達するプロセスはどういうことになるのかということをひとつわかりやすく御説明を願いたいと思うんであります。衆議院での状況を仄聞しますと、また、きょうの御説明を拝聴しましても、何とはなしに、左足を出して沈まぬうちに右足を出せば海の上が渡れるような、比喩が適切でないかもわかりませんけれども、心もとない気持ちもせぬではありません。本改正案においては、国が「定年の引上げの円滑な実施を促進するために必要な施策を充実すること。」としておられますが、雇用対策に関する基本法である雇用対策法において定年延長についての国の姿勢を明確に宣言されたことは、これは一歩前進でありますけれども、しかしながら、法律で宣言するだけで、定年延長は実現できないのでありますから、どのような方針で、どういうプロセスでそこへ持っていかれるのか、こういう点をわかりやすくひとつ御解明を願いたいと思うんであります。
#17
○国務大臣(加藤常太郎君) いま小谷委員からの御質問、ごもっともであります。労働省の大方針として、政府部内でも目玉商品と申しますと適切のことばでありませんけれども、週休二日制、定年延長、これを二つの柱を立てまして、これを法令でひとつくくったらどうか、こういうふうな議論もあったんでありますが、とりあえず法律によらずして労使の話し合いでこれを推進したい、それにはやっぱりその主管の労働省が本体となって各方面に呼びかける、こういうので週休二日制、定年延長の問題を昨年からやかましく言ったんでありますが、週休二日制のほうは、これは法律でもありませんが、われわれの予想以上に急速に進展した、これによっては次に銀行とか公務員の問題も手がけなくちゃならぬと、こういうふうな関係でありますが、定年延長のほうはもう少しの感が私もなきにしもあらずと、こういう感をいたしております。しかし、ただ労働省が叫んだだけではいかぬというので、これはもう関係閣僚でいろいろ協議いたしまして、政府において閣議で御承知願うに、経済社会基本計画、雇用対策基本計画、こういうのでここで決定いたしたんであります。それが当面定年延長は五年のうちでやろうと、当分は五十五歳を六十歳にする、将来は世界の情勢から見てでも六十五歳、こういうことをうたったんでありますが、この問題は労使関係においても相当の関心を持っておりますが、まだいまだしの感、これは適切なことばでありませんけれども、私から見ましても何だか隔靴掻痒のような感がいたしますが、しかしやはり政府はうたったのでありますから、やはり労使の話し合いによってこれが実現することが福祉の立場、また今後の労働力の不足、若年の問題、いろいろ勘案いたしまして、これはいまにおいても私は間違っておらないと思います。そういう意味で、本年はその第一歩でありますが、続いてなお一そうこれに対す石専門家のいろいろな御意見も審議会のほうで、研究会でいたしておりますから、もう一つ、この定年延長のほうが各企業同士の間においてもいまだしの感でありますから、今後はこれに対してこれがあまりもう少し進展しないようであれば、進展するような具体的な検討もいたさなくちゃならぬという方針であります。そして、現在では各資料の提供、定年延長の実施企業に対する奨励金の支給、能力再開発の訓練体制の整備、高年齢者の適職の開発等の問題を、啓蒙活動のような感じがいたしますけれども、まあ、この問題を大いに推進いたしまして、それでももう少しこれが進展しない場合には、なおこれが推進の具体化について検討いたす所存であります。もう少し御質問に対して私自体も何とかもう一そうこの定年延長の問題は、――週休二日制のほうは予定どおり進んでおりますが、定年延長のほうは進みつつあるけれども、その進み方が遅々とした感をいたしておりますので、今後なお出そうこれが推進に邁進いたしたい所存であります。
#18
○小谷守君 大臣の御熱意はよくわかりました。私は、こういう問題は少々の試行錯誤があってもやむを得ぬことだ、これでどんぴしゃりという特効薬はなかなかないと思います。少々のじくざく、試行錯誤があってもこれはやむを得ない、ひとつ熱意を持って進めていただきたいのでありますが、そこで最終的には六十五歳の定年に持っていくのだ、そしていま当面六十歳を目ざしてこの五十五歳定年を打破していく、その手がかりとしてきょうお示しの施策をやろう、こういうことでありますが、もう少しそのプロセスを、――大臣の基本的なお考えはわかりました。局長から、こういう手順で五十五歳定年を破っていくのだということが解明されなければいかぬと思いますが、いかがですか。
#19
○政府委員(渡邊健二君) 定年を延長いたしますにつきましては、日本ではいろいろな問題があるわけでございます。たとえて申しますと、日本の五十五歳定年と申しますのは、これまでの日本の年功序列、終身雇用制というようなものと密接な関係があるわけでございまして、具体的に申しますれば賃金が年功序列になっておる。したがいまして、五十五歳をさらに延ばすと普通いままでのあれでいきますと賃金がさらに伸びる。しかし、労働者のほうは必ずしもそのくらいの高年齢になってまいりますと、年齢が上がったからといって能力がそれに伴うと限らない。そこで能力と賃金とのギャップ、そういうような問題もございます。あるいは退職金制度なども日本は年功序列制でございまして、勤続が長くなると退職金がふえていく。定年を延ばすとそういう退職金もまた急速に高額になる、そのコストをどうするか、そういったような問題もございまするし、それから人事管理にいたしましても、日本は大体年功序列の高い人が大体役職についている。それがさらに五十五歳定年であった人が六十歳まで延びますと、それだけ先輩が役職を占めておって若い人たちのいわゆる人事が停滞する等々のいろいろの問題がございまして、そういうことが定年延長をいたしますについては一つ一つ解決していかなければならない問題だと思います。私どもそれにつきましては、昨年、年功序列賃金や退職金制度等につきましては、中山伊知郎先生を会長といたしておりまして、日本の最高の賃金の専門家で構成いたしております賃金研究会というものがあります。そこに定年延長のためには日本の賃金制度をどういうふうにしたらいいかといったようなことを御諮問をし、そこで御研究をいただきました経過、結果を労使に提供いたしまして、労使がそういうものを一つの基準としてお互いが話し合って、定年延長に伴う賃金制度の調整、改善、こういうものを話し合っていただく資料にいたしております。さらに人事管理方式などにつきましても、勤労者ビジョン懇談会というものがございます。そこに定年延長に伴う人事管理の改善をどうしたらいいかというような御諮問をし、そこでいろいろなそれについての御意見を伺いましてこれも労使に提供するというようなことで、そういう一つ一つの問題についての労使の自主的な話し合いによる解決の資料を提供しその促進をはかる、こういうようなこともいたしておるわけでございます。さらにまた、定年延長促進の一つの刺激となりますために、定年延長を実施される企業につきまして失業保険から――これは中小企業でございますけれども、――奨励金を出すというようなこと、あるいは定年を延長するからには、単にそれだけ、五十五歳過ぎてもいるというだけではなくて、中高年の方々もやはり能力を発揮しながら職場に引き続き就労されるということが必要でございますので、そういう方の能力再開発のための訓練、あるいは定年が延びたあとで再就職につきましても再訓練が必要だろうといったような訓練体制の整備、あるいは高年齢者になられると、どうしても能力の関係から従来の職種にそのままおることもできないような職種もございますので、そういう方についての高年齢者の適職の開発等の施策も講じておる。こういうことによりまして、問題点一つ一つにつきまして労使の解決の御援助をする、指導をするということによって、定年の延長を実際に効果あらしめるようにしていくということで施策を進めておるわけでございます。
#20
○小谷守君 このねらいは定年制の延長でありますが、それに行く当面の方策としては再就職のあっせんをやっていく、それを濃密にやっていく。そのために企業に対して若干の奨励金を出す。これは幾ら出すのですか。そして労働適応のための再訓練、再教育、そして、そういう労働省の趣旨をになって末端でその衝に当たるものは職業安定所だと、こういうことですね。看板はりっぱでありますけれども、中身はどうも至ってさびしいんじゃありませんか。奨励金どのぐらい出すんです。そんなことをえらいありがたがってやるようにも思えませんが。また、一番難点は、――大臣はどこへおいでになったんですか。――一番問題は、こういう施策を末端でになっていくであろうと想定される職業安定所の地方の現状が、そういう指導性が一体あるのかどうか、私は非常に疑わしいと思います。劈頭に、行政管理庁の勧告の問題を持ち出したのはそういう趣旨です。今日、職安というものが地方でそれだけの指導性をにない得る状況にあるかどうか、私はたいへん疑義を感じますが、その辺はどうですか。
#21
○政府委員(遠藤政夫君) 中高年齢者、特に現在五十五歳の定年を過ぎた人たちの再就職問題なり、あるいは企業内における配置転換、こういった点につきましては、お説のとおり、確かに職業安定所の現在の機能だけでは必ずしも十分ではないと思いますけれども、こういった中高年齢者に対する就職促進指導官という制度を従来設けておりますが、こういう専門官によりまして、こういった中高年齢者、特に高年齢者に対する、先ほど申し上げましたような求人の確保につとめてまいっております。特に先般、中高年齢者の就職促進特別措置法によりまして、中高年齢者の雇用率設定職種というものが定められておりまして、すでに二十九の職種につきまして、これは中高年齢者に適した、むしろ中高年齢者を最優先で採用していただくような職種であるということが指定されております。こういった職種をさらに今年度におきまして三十四職種、合計六十三職種にふやしてまいりまして、今後こういったものを百職種ぐらい設定して、こういった職種につきましては、企業で人を採用する場合には高年齢者を優先的に採用していただく、こういう指導と奨励をいたしておるわけでございます。
  〔委員長退席、理事小平芳平君着席〕
 で、先ほどお尋ねの定年延長のための奨励金につきましては、これは中小企業におきまして定年を一年延長される場合、一年につき一人あたり二万五千円の定年延長奨励金が支給されることになっております。私どもの安定所の場合には、そういった定年延長の関係よりも、むしろそういった定年を過ぎて企業内で配置転換されるとか、あるいはおやめになって再就職される場合の再就職のあっせん、こういった点で、強力に並行した施策を進めてまいりたいと、かように考えております。
#22
○小谷守君 私は、実情としては、先ほど御説明がありましたように、むしろ小規模企業、ここでは実際六十歳定年というものが行なわれておると思う。五十五歳できびしく切っておるところは中から上だと思う。ですから、二万五千円の奨励金を出すぞというようなことで勧奨される対象は、むしろあなたのほうの御意図は、小規模企業のほうに向かっていらっしゃるようでありますけれども、これは大企業、中企業、そこらに向かってまず呼びかけなければいかぬのじゃないですか。それに対しては、私は奨励金二人二万五千円なんていうものは要らぬと思います。方角が少し間違っていやしませんか。そういう点はどうです。
#23
○政府委員(渡邊健二君) 確かに大企業におきましては、人手不足といっても中小企業よりは人が採れるというような自信その他から、それから年功序列賃金が特に厳格に行なわれているのは大企業だといったようなことから定年を延長することについてなかなか腰が重いというようなことがあるわけでございます。しかしながら、それにつきましては、先ほど申しましたように今後の日本の労働力構成が必然的に高齢化するということ、やはり高齢者を活用しなければ大企業といえども将来必要な労働力が確保できない。それから社会的にも最近平均寿命も延びておりまして、労働者の方々も肉体的にも昔よりはずっと高年まで働けるようになっておるし、それからまた社会的な生活の必要性からも定年延長をし、六十あるいはそれ以上まで働けるようにするという社会的必要が出ているということ、そういう趣旨をよく理解させまして、定年延長を大企業についてはよく理解して進めていただくというようにいたしますとともに、問題であるところの年功序列賃金あるいは年功的な退職金制度、これらにつきましては先ほど申しましたように、こういうような改善をすれば、労使話し合いをつけて、現行のような中においても定年延長をし、使用者もそうそれによって負担のかかるというようなことがなくて円滑にいくのではないかといったような一つの考え方のモデルみたいなものを示しまして、大企業に呼びかけておるわけでございます。その結果、さっきも電機産業などについて、昨年、今年定年延長して六十までにするような企業が出てまいっておるというようなことを申し上げましたが、軽電機等につきましてはそういうものが非常にここ一、二年ふえておりますし、そのほかにおきましても自動車、たとえて申しますと日産自動車は四十八年四月から五十五歳から六十歳にした。三菱重工はことしの四月に五十五歳から五十八歳にしたといったような例もございますし、あるいは造船におきましても三井造船、石川島播磨、佐世保重工、三菱重工といったようなところで、それぞれ五十五歳定年を五十八歳ぐらいに延ばすと、あるいは六十歳まで延ばしておる企業も出てまいっております。鉄道などにおきましても定年を延長する動きが最近出ておる。四月から実施いたしておりますものがかなりございます。阪急電鉄とかあるいは京阪電鉄とかいうような再雇用という形ではございますが、定年を延ばしておる。あるいは百貨店でもそういう動きが出てまいっておりまして、六十歳まで延長いたしました百貨店などもあるわけでございます。その他、化学などにおきましても、そういう動きが出ているというように、最近大企業におきましても逐次定年を五十八あるいは六十まで延ばす企業が出てまいっておりますので、私ども、ただいま申しましたようないろいろな諸施策を一そう強力に進めることによりまして、大企業につきましても強力な指導をしてまいりたい、かように考えます。
#24
○小谷守君 この施策を末端でになっていく役目は職安が果たさなければならぬと思うのでありますが、いま現状を、地方の職安の状況を見ますと、そういう指導性を求めることがなかなかむずかしいと、どの職安でも、大臣御承知のように、中高年齢層の再就職の相談所というふうな看板を掲げておりますし、窓口もあるようであります。しかし、そこに行った者はほとんどが大きな失望を感じて帰っておる。第一不親切だという。人を得ていませんですね、聞いてみると。そういう窓口で応対し、お世話をする人は、いわば人生の何がしかの辛酸をなめた人で、人生経験の豊富な人が窓口で応対しなければならぬと思います。そういう人選も間違っているように思うし、ただ機械的に看板がかけてあってしておる。全部が全部というふうなことを申し上げることは失礼でありますが、おおむね満足を与えていないというのが現状だと思う。行政管理庁が勧告をしたことの中にも職安の今日のあり方について一つの批判をしていると思うのでありますが、私どももいまの職安の姿で大臣のお示しになったようなこういうことは具現できるかどうかたいへんいぶかしく思います。この辺について大臣はどういう御見解でありますか、どう改めていかれる御所存でございますか。
#25
○国務大臣(加藤常太郎君) もう私も小谷委員からの御質問のような気持ちでもって、幹事長らに会ったときに、まあ、役所の人はみな十分やっていると言うが、先般、安定局長、基準関係の監督のほうの関係両責任者を呼んで役所の仕事というのはどうもわれわれから見ると、やったとか文書でうまくいったって実際やっておらぬじゃないか、こう言って相当ハッパをかけて、全国の責任者を呼んでこんこんとお説教というと、ことばは変なんでありますが、よく訓示をいたしまして、今後実のある方法でやれと、こういうことを十分話したのでありまして、最近でも幹事長から御指摘のところは全部ではありませんが、中にはまあ、うまくいったところもあるそうでありますが、今後はさようなことのないように、担当官の責任者を呼んで、――責任者をつくって、責任者も若い人では困ります、これは。相当やはり苦労なさった優秀な人を担当の責任者としてやらすと、これは本省のほうの所管はどっちかといえば基準局のほうが六分か七分で、こっちのほうが、安定局のほうが二、三分でありますけれども、本省の監督のほうはどうであろうが、やはり監督署のほうも大事でありますけれども、安定所のほうも御趣旨のような意を体してやらせる方針であります。
 また、先ほど私中座したあと帰ってきます途中で二万五千円の問題も出ましたが、これで出したからうまくいく、そんなことはいきませんこれは。ただまあ、一つの中小企業はよく言うのでありますが、定年延長をやる、それに対しては政府も若干の金額を出しているのだという、これは誘い水のような気持ちで、労使の話し合いでやる場合に、政府が言っているのに事業主のほうはそれに反対するのは困るからという一つの理論づけなり、誘い水の気持ちで、ただ、二万五千円やったから定年延長がうまくいくという、経済的な裏づけ、これは確信持っておりません。しかし、週休二日制の問題も法律によらなくても相当進んできましたし、中小企業もいったと、そうしたら、これを裏づけするのにはもう少し根拠のある、よりどころのあるものを出せと、これもあるのであります。われわれも考えているのでありますけれども、まだ、言い出した当初でありますから、各方面の意見もなかなか、これは事業主のほうにも重大な関係もありますし、もう少し、機運の醸成ができたときに最後の検討をいたしたいと、こういう所存でありますので、十分小谷委員の御質問の根本の趣旨をよく体して、なお一そう労働省全体、本省並びに出先機関全体が一体となって、これは答弁だけでなく、この間まあ極言のような、いま小谷委員から話のあったようなことでなく、私のことでありますから、もう、ほんとうに聞くにたえないような程度までの話もいたしまして、あとからまあ、大臣の直筆で、ちっときついこと言ったけれども、それは大臣がいばるんでなくて、そういうような意向がこれはあるんだから、その意を体してやってくれと、今後、出先のほうも、いままでと違った抜本的な方法で、万一それがいろいろ人の関係があるんであれば、これは予算的措置も私は確信を持ってやると、しかし、現状の定員においてもやればやれぬことはないと、こう言って指摘いたしたので、よく御趣旨を体して今後督励いたしまして、御趣旨に沿うような方針でやらす所存であります。かたい決意であります。
  〔理事小平芳平君退席、委員長着席〕
#26
○小谷守君 次に、身体障害者の問題でありますが、身体障害者雇用促進法により雇用率が官公庁と民間事業所に課せられておるわけでありますけれども、なお未達成のところがあるように聞いております。この雇用率は努力義務として課せられているようではありますが、あくまでも法律で義務づけられておるのでありますから、事業所として当然守らなくてはならぬ、また政府もこれを守らせるように指導していかなくてはならぬと思います。そこでお伺いしたいのでありますが、法定雇用率は何%となっており、それに対する達成状況はどのようになっておりますか。
 次に、未達成の事業所については、政府は達成させるようにどのような対策を講じておいでになりますか、お伺いしたいと思います。
#27
○政府委員(遠藤政夫君) 身体障害者雇用促進法によります雇用率が設定されておりますが、実はそれぞれ官公庁の非現業部門につきましては一・七%、現業部門につきましては一・六の雇用率がそれぞれ設定されております。それから一般民間事業所につきましては一・三%という率に相なっております。
 で、その実施状況につきまして申し上げますと、官公庁の一・七の非現業部門につきましては現状は一・七一、それから現業部門につきましては一・六七%とそれぞれ相なっておりまして、一応全体といたしましては法定の雇用率を達成しておるような状況になっております。それから民間につきましては、一・三でございますが、実情は一・二九ということで、おおむね一・三の法定雇用率にほぼ近い線まで達成されておるような状況でございます。と申しましても、実はその内部におきましてはそれぞれの業種、業態によって差がございまして、官公庁につきましても未達成の分野もかなりございます。それから民間につきましても大体全体の三分の一程度の企業がこの一・三の雇用率を達成してないというような状況に相なっております。
 そこで労働省といたしましては、こういった未達成の官公庁関係に対しましては、法律の第十二条によります勧告を強力に行なうことによりまして、この法定の雇用率を達成するように強力に勧奨指導してまいる予定でございます。それでもなおかつ未達成の向きにつきましては、その達成状況を公表するといったような措置をとることによって、最優先的に官公庁についてはこの法定雇用率を守らせる、守ってもらうというような措置をとってまいるつもりでおります。それから民間につきましては、大体三分の一ぐらいが未達成でございますが、なかんずく大企業におきまして未達成の向きが多いような現実に相なっております。こういった向きにつきましては、法律の第十四条に基づきます身体障害者の雇い入れに関する計画の作成を命ずる等の措置によりまして、求人指導の際に強力に身体障害者の雇用を促進させるというような措置をとってまいる考えでございます。同時に、身体障害者を雇います際に、特に重度の障害者につきましては、これから積極的に強力に進めてまいらなければなりませんので、これに伴って設定されております各種の援助制度を十分活用いたしまして、事業主に指導、勧奨すると同時に、身体障害者の人たちが適職に就職できるような措置を今後十分講じてまいりたい、かように考えております。特に大企業につきましては、身体障害者の就職促進のための推進員という制度がございますので、この推進員制度を活用することによりまして、大企業の未達成の向きにつきましては今後できるだけ早い機会に達成できるように強力な指導を行ないたい、かように考えております。
#28
○小谷守君 現在の雇用率制度は、ただいま伺っておりますと、大企業を中心として守られていないところがかなりあるのではないかというふうに思うのでありますが、諸外国では、このような努力義務の制度ではなくて、強制雇用制度によって障害者の雇用促進がはかられておる、こういうふうに仄聞をいたしますが、そこで諸外国の制度はどのようになっているか、その実施状況もあわせてお聞きをしたいと思います。
#29
○政府委員(遠藤政夫君) 諸外国におきましてもいろいろ制度の差がございますが、ヨーロッパのドイツ、フランス、イタリア等のこういった国々におきましては御指摘のような強制雇用率の制度がとられております。こういった国におきましては、第一次、第二次世界大戦におきまして、それぞれこういった国が戦場と化しまして、戦争による被害者あるいは戦災孤児、戦争未亡人、こういった人たちがたくさんおられるというようなことから、こういった戦争被害者に対する同情、国民的な道徳的な義務感といったような観点から、この雇用率の設定にあたりましてもこれを強制的に義務づけられているというような実情になっております。これに達成できないものにつきましては、いわゆる課徴金といったような制度が設けられておりますけれども、現実にはドイツが六%という雇用率が設定されておりますが、実際は、戦後も数年、かなりの年数がたっておりまして、そういった対象者がだんだん減ってきておるというような関係もございまして、実際はその半分程度の雇用率しか達成できていないというような状況でございます。
 それから、それ以外のアメリカとか、北欧等の国におきましては、わが国と同じように強制的な雇用率という制度は設けられておりません。最近の情勢といたしましては、こういった雇用率を強制的に義務づける、罰金とか、そういった課徴金というようなことで担保するということでなくて、むしろ身体障害者のリハビリテーション、あるいは職業訓練といったようなことによりまして、その適職をできるだけ拡大し、就職を容易にきせるというような、そういう雇用促進奨励措置がとられるようになっております。こういった観点からも、私ども今後、この雇用率の考え方につきましては、いろいろな関係審議会あるいは専門家の御意見等十分徴しまして、慎重に検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#30
○小谷守君 障害者の雇用率制度の強化の問題ですが、大臣、この強化策について、大臣の御方針はどうでございましょうか。
#31
○国務大臣(加藤常太郎君) この心身障害者の雇用率の強化については、またいろいろこれに対し、社会福祉の問題は厚生省の所管でありますが、両大臣ともこの問題だけひとつ本腰を入れてやらんかと、こういうので、だいぶ政府部内でも認識を高めまして、いま局長から話があったように、外国の例なども検討いたしまして、研究いたしております。まあ、はっきり言いますと、これがうまくいっている国は文化が進んで、あらゆる問題がうまくいっている国だと、まあ、一つのバロメーターのような感もいたしますし、これはほんとうにお気の毒な方々でありますから、これらの対策については、本年度の予算においても、まあ、普通の予算の二〇何%増しとかいう中から別にせぬかと、こういうので、この問題に対しましては、雇用対策の基本方向としては、とりあえず軽度はともかくも中・重度、これに重点を置いて、いろいろな問題を労働省もやろうと、いまの職業紹介、職業訓練、その他これに対する援護措置並びに制度の運用その他の点については、局長から専門的に話がありますが、私としては、まあ、これは定年延長にそういう話も出ておるのでありますが、ことによったらちょっと無理だけれども、いろいろな少しこうせぬものには何とかと、こういうようなことで、とりあえず官公庁の発注などは、大きな会社であんまり雇用率を満足せぬものは、ひとつどうかというところまでも話がだいぶん進んでおるのであります。いま、これについて私が的確にその問題を適用するということは申し上げかねますけれども、だいぶん本格的に今後雇用率をやろうと、その範を示すために官公庁などもひとつこれだけは実行してもらいたいと、労働省はこれはもうお手本で一番でありますから、行き過ぎておるんでありますけれども、エレベーターだとかは全部身体障害者を持ってこいと、それ以外はいかぬとやっておりますけれども、ほかの官公庁ももう少し、まだ何だかんだと言って差しつかえがあるとか、いろいろな障害があるとかいうけれども、やはりこれは障害とか、そういうことを抜きにして国家としてこれに対する対策を講じなければいかぬ、また、労働行政としては、とりあえず、この問題は大きな問題でありますから、財産形成とか、いろいろな問題もありましょうけれども、福祉施設の問題もありましょうけれども、これだけは今後雇用率の率の確保なり、また、これに対する対策も抜本的にやらせます。詳細は局長からお話をさせます。
#32
○政府委員(遠藤政夫君) 身体障害者の雇用促進につきましては、ただいま大臣から基本的なお考えはお話し申し上げたとおりでございます。私どもも身体障害者の雇用促進ということは今後の私ども労働行政の最重点施策だと考えております。特に身体障害者の中でも、中度、重度の障害者につきましては、これは現実にはなかなか就職ということは容易ではございません。そういった意味合いにおきましても、今後は、中・重度の障害者の雇用をいかにして進めていくかということに今後の施策の重点を置きまして、こういった人たちの職業訓練、あるいは適職の選定、能力の判定、こういったことを十分進めますと同時に、こういった人たちに対する雇用奨励金とか、あるいは手当、そういった措置を十分活用いたしますと同時に、こういった中度、重度の障害者を雇っていただきます事業主に対しましては、雇用奨励金なりあるいは税制上の優遇措置、あるいはそういった人を雇うための施設に対する低利長期の融資、そういった措置を今後さらに拡充してまいりまして、今後のそういった中・重度身体障害者を中心とする身体障害者の就職あっせん、雇用促進につとめてまいる所存でございます。
#33
○小谷守君 移転就職者の宿舎の問題、雇用促進事業団、御苦労になっておるわけでありますが、この問題で二つほど注文をいたしたいと思うんですが、今日の状況で貸与期間一年未満、これは何としても実情に沿わぬと思うのであります。これは何とかならぬか、この期間を延長できぬかということが一つ。
 それから、部屋の広さですが、二部屋ですか、二K、これはあまりにもお粗末ではないか、何とかならぬか。二つほど注文したいと思うんですがどうですか。
#34
○政府委員(遠藤政夫君) 雇用促進事業団が設置運営いたしております移転就職者用の宿舎につきましては、御承知のとおりでございますが、実はこの施設が開設されましたそもそもの趣旨が移転して、就職する人のきわめて短期間の一時的な宿舎を提供するという趣旨から一年未満ということで定められております。必要な場合には、さらに一年を延長することができる、こういう制度に実は相なっております。しかしながら、こういう人たちが移転後、こういった宿舎に入りまして、一年間あるいは二年以内に自分の家を持つとか、あるいは社宅なり、公営住宅に転居するということは現在の住宅事情の中ではきわめてむずかしい状況にあることも十分私ども承知いたしております。そういった観点から、今後なお相当な期間、こういった一年あるいは二年ということで、この宿舎の最初の設置の趣旨に合うような運営ができることにはならないんじゃないかというような感じもいたしておりますので、早急に関係者と連絡をとりまして、この宿舎の居住期間の延長に向かって努力をいたす所存でございます。
 それから宿舎の間取りと申しますか、大きさにつきましても、二K、いわゆる十二坪程度の宿舎では現在の世帯人員等からいたしまして、きわめて狭隘であることも御指摘のとおりでございます。実は最近、この二Kから二DKに若干拡大はされましたものの、これは今後の住宅の本来のあり方から申しますと、なおかつ狭隘であることは、もう申すまでもございません。したがって、現在設置いたしております住宅につきましては、二DKを中心にして考えておりますが、その二DKの住宅を将来必要な場合には三戸を改造して二戸にできる、あるいは二戸を二戸に改造するというような設計を現在とらしております。この住宅規模の拡大についても今後十分御趣旨に沿うように検討してまいりたい、かように考えておる次第であります。
#35
○小谷守君 私の時間あともう五分しかありませんから、労災保険法の一部を改正する法律案については、一括して三つほどの問題点を御質問したいと思うんです。
 今回、通勤途上の事故を、これを労災の対象として踏み切られたということは御苦労を多とします。そこで、労災保険の給付水準が非常に低いということであります。特に、民事訴訟あるいは自賠保険、特に最近の公害裁判等の状況を見ますというと、この給付水準が劣悪過ぎる、この抜本的な改善をはかる必要があると思いますが、これはいかがでありますか。これが一つ。
 もう一つは、零細事業所の労働者を保護するために労災保険の全面適用を推進すべきではないか、これが一つです。
 もう一つは、新しい職業病がどんどん出てきた。この職業性疾病の多発、これに対する対応、災害補償を充実するということと同時に、積極的に予防措置に力を入れてもらわなければならぬ。こういうふうに思いますが、いかがでございますか。三つまとめて御質問いたします。
#36
○国務大臣(加藤常太郎君) これはなかなか大きな、いま労働省でも重点的に研究しているほんとうに大事なことを御指摘いただいてありがとうございます。
 まあ、労災保険の改正の問題は、これは大問題でありまして、いま検討いたしておりますが、しからば、これはいろいろ遺族の補償の給付だとか、また、公害とか、いろいろな関係、また全面適用、これももうやる所存でおりますが、職業病の多発に対する予防、これはいろいろな、なかなか重要な問題が山積いたしておりますので、いまもうただ当面だけのことでなく、真剣に対処いたしております。しかし、従来から数次の法律改正をやりまして、ILOの水準には達しておるのであります。しかし、水準に達しておるからやらぬ気かというと、これはやりたいので、特にいまの全面適用のほうは大体除外例を設けまして、全面適用に持っていく所存であります。公害の問題は、これはなかなか急に日本でも職業病、工場の健康管理の問題はこれは労働省が考えなくちゃならぬが、厚生省のほうとやっぱりいろいろ関係があってできなかったのでありますが、抜本的に先般の法律改正で千人以上には専属の医者を置くというので、本年予算が確定いたしましたが、一カ所三百億で、でき得べくんば数カ所というので、これを本年から発足いたします。そういう意味で労災保険全般について再検討いたす所存で、労災保険審議会でいま鋭意検討中で、だいぶんこの審議会のほうでも意見がまとまりかけております。これがなくても労働省でやりゃいいわと言うが、やはりこれ、法律でつくった審議会であります。審議会のほうが、もう公制審と違って、これは最終の実行する案が出てくると思いますから、この意見も踏まえて、抜本的な検討だけでなく、改善のほうに進む所存であります。
 詳細についてはまた局長からお話しをいたします。
#37
○政府委員(渡邊健二君) 労災保険の給付改善につきましては、ただいま大臣から答弁されましたように、ことしの一月、すでに労災保険審議会に全面的な検討を御諮問申しておりまして、審議会がその中に基本問題懇談会というものを設けていま御検討を進められておりますので、遠からぬうちに御答申がいただけると、かように考えておりますので、それをいただきましたならば、それを尊重いたしまして給付の改善をはかりたいと、かように考えております。
 それから、第二点の全面適用の問題でございますが、これもかねてから労働省が目標といたしているところでございまして、すでに四十四年の臨時国会で成立いたしました失業保険法及び労災保険法の一部改正法によりまして全面適用というたてまえをすでにうたっております。ただ、従来任意適用事業場でありましたものを一挙に強制適用にすることについては、処理能力その他から見て、なかなか困難でございますので、現在は政令によりまして当分の間任意適用とする事業を定めて、そして逐次それを全面適用に移していく、こういうたてまえをとっておりまして、昨年四月にも、製造業、鉱業、運輸業につきましては、従来任意適用であったものを全部強制適用にいたしました。それらの三業種につきましては、もう労働者を常時雇っているものでありますと一人以上の企業でも、すべて強制適用になっております。現在なお任意適用で残っておりますものは、五人未満の商業、サービス業などでございますが、これにつきましても、体制を整備し次第、できる限りすみやかに適用拡大をはかって、全面適用に持っていきたい、かように考えているところでございます。
 それから、職業病の予防対策の問題でございますが、これは事、人命に関することでございますので、私ども、職業病といったものができるだけすみやかに大幅な減少をし、目標といたしましては絶滅をはかりたい、かように考えておるところでございまして、一方、生産技術の進歩、労働態様の変化などから新しい型の職業病なども出ている。こういう現状の中におきまして、それに対処する体制を整えますために、昨年、御承知のように、労働安全衛生法というものを御制定をいただいたわけでございます。昨年十月からこれが施行になったわけでございますが、同法に基づきまして、労働衛生管理体制の整備、それから労働衛生教育の拡充・徹底、それから健康診断、その他健康管理の充実・強化、それから有害物に対するチェック、そのために有害物製造につきましては禁止あるいは製造許可制度、こういうものを設けております。あるいは毒性の事前調査制、あるいはそういう有毒物の取り扱いにかかる機械等の設置につきましては事前に届け出で審査を受ける、こういうような制度も設けておりまして、この新しい労働安全衛生法による規定を十分に活用いたしまして、職業性疾病の発生の予防をはかりたい。また、実体的な裏づけにつきましても、現在、産業医学総合研究所というものを建設中でございまして、これができましたならば、そういうものを活用して職業性疾病の予防に関する科学的な研究を進める。それから、企業におきまして、そういう職業性疾病を予防するための設備改善等をいたすにつきましては、昨年から安全衛生融資制度というものを始めまして、これも昨年は二十億でございましたが、ことしは五十億、これもまた、もう要望が融資のワクを越えるほどきておりますので、今後ともこういうものを拡充していく、それらの施策を総合いたすことによりまして、職業性疾病の予防対策に遺憾なきを期してまいりたい、かように考えているところでございます。
#38
○柏原ヤス君 最初に、労働者災害補償保険法の一部改正法律案に対する質問をさせていただきます。
 今度の労災保険法の改正点はいわゆる通勤途上の災害についても業務災害とともに保険給付を行なうという内容でございますが、これは一歩前進と、こう一応評価できると思います。そこで、この通勤災害は業務災害に準じたものとみなすというところについて質問させていただきますが、この準ずるというのは具体的にどういう意味か、お答え願いたいと思います。
#39
○政府委員(渡邊健二君) 通勤災害につきましては、これが通勤というのは就労の不可欠の前提である、したがって、これは当然業務上ではないかという御意見もございます。しかしながら、他方におきまして、業務上というのは使用者の管理下において発生する災害ではないか、それに対しまして、通勤というのは確かに就労ということに密接な関係はあるけれども、まだいわば工場の門を入っていない、そういう意味においては使用者の管理下に入っていない段階において発生する災害である、したがって、業務上であれば使用者の管理下にあるから使用者が安全対策あるいは衛生対策を進めることによって災害の防止をはかる、あるいは職業性疾病の予防をはかるということができるけれども、通勤はまだ使用者の管理下に入っていないのだから使用者の努力によって通勤災害を減らすということもできないではないか、したがって、それを全部使用者の業務上の責任だということは理論的にも無理ではないか、こういう意見もございまして、これを審議いたしました通勤途上災害調査会におきましてもこれを明確に業務上だということは言っておらないのでございます。業務外とも言っておりません。しかしながら、ともかく、そういう通勤というものは、これはやはり就労ということと密接な関係があるし、今日の交通事情のもとにおいては、それは一種社会的な不可避的な災害である、こういう要素もある、こういうことからやはりこれについては業務上に準じた保護をする必要があるというのが同調査会の答申になっておりまして、それを受けましてこの改正案をつくったわけでございます。したがいまして、業務上に準ずるということは、補償の支給事由及び給付水準、これは、ほとんど、業務上と全く同じようにいたしておるわけでございまして、業務上と違っている点はどういう点かというふうに申しますと、一つは、通勤災害の場合には、療養の給付を受ける労働者は初診の場合に二百円の労働者負担があるということ、それから労災保険では、これは業務上におきましても、休業補償は療養三日目から支給することに相なっておるわけでございます。それは通勤災害についても同じでございますが、業務上でございますと根っこに基準法という規定をかぶっておりますので、労災から出ない三日までの休業補償については使用者が直接それを支払うたてまえになっておりますが、通勤災害は基準法上、業務上でございませんので、その三日間の待期期間については使用者に支払い義務がないといったような差が出ておるわけでございますが、そういう二、三の点を除きますと、給付事由あるいは給付水準、これはすべて業務上と同じような内容にいたしておる、こういうのが準じた保護をするということの内容になっておるわけでございます。
#40
○柏原ヤス君 災害といえば、本来は無過失賠償責任のたてまえから、労働者の災害についてはすべて使用者側が責任を負うということになっていると思います。そこで、ただいま御説明を伺いましたが、やはり同一と考えてない、違う点を何点かあげていらっしゃるわけです。こういう点、労働者が会社へ行って労働力を提供するために通勤する、その途上で起こった災害というのは、あくまでも業務災害と同じに考えるべきだと、こういうふうに思いますので、私はその点、今後の問題だと思いますけれども、業務災害と同一にするように労働省としては考えていらっしゃるのか、いかがでしょうか、その点。
#41
○政府委員(渡邊健二君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、通勤災害を業務上と考えるかどうかという点については、通勤途上災害調査会の中でもいろいろな御意見がありまして、これにつきましては労・使・公益三者で非常に熱心な討議が行なわれたわけでございます。その中にはただいま先生がおっしゃいましたと同じ御意見もございましたけれども、先ほど申しましたように、通勤災害はやはり使用者の管理下にない段階で起きる災害であるから、それを使用者の管理下におけるものと全く同じ使用者に無過失の賠償責任を課するということが理論的に筋が通るかどうかという点について疑義を表明される意見もございまして、いろいろな議論の結果、先ほど申しましたようなことで、一応その性格からいって就労と密接な関係があり、また社会的に不可避的な災害であるというようなこともあって、業務災害そのものと言っておらないけれども、業務災害に準じた保護を労災保険の中ですることが適当だということで、労・使・公益三者が一致して答申が出されたわけでございます。
 したがいまして、労働省といたしましては、そういう御意見も十分あり得るとは考えますけれども、現在といたしましては、労・使・公益三者一致の意見に従いまして、このような改正案で当面労働者の保護をはかってまいりたい。若干の差があることは先ほど申しましたけれども、先ほども申しましたように、まあ、いわば非常に微々たる差でございまして、実質労働者の方はほとんど業務災害と同じ保護をこれで受けられることになりますので、これによりまして、これが実施されますならば、やはりいままで健康保険で療養を受ける程度以上の保護は受けられなかった労働者といたしましては非常な前進になることでございますので、まず、これによって当面は労働者の方の通勤災害の保護をはかってまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
#42
○柏原ヤス君 いまの御説明は先ほどの繰り返しの御説明だと思います。
 そこで私は、今後この通勤災害を業務災害と同一に持っていく、そういう姿勢で労働省が取り組むのかどうか、これはまあ、将来の話です、その点もう少し積極的にお答え願えたらばと思ったわけです。
 それで、いまのお答えの中で、多少差がある、その差は微々たる差であるという、ちょっとおことばがありましたが、私はこの二百円以上をこえない金額で初診料のようなものを取る、その程度だと、微々たるものだという意味だと思うんですけれども、私は、金額は微々たるものであるかもしれませんけれども、通勤上に起きた災害というものに対してやはり労働者のほうに過失があるんだ、会社のほうでは全部負担は、また責任は持てないよという、そういう冷たいというか、きびしいと言おうか、労働基準法で守られているから労災保険、特に業務災害というものは会社側が全面的に責任を持つようにはなっているけれども、その考え方の根底に、やはり労働者を冷たくあしらう、そういう底流というものがあると私は思うんです。ですから、それがやはり二百円以上こえないお金を取るというところにちらっと姿を見せていると思うのです。ですから、いまのお答えで微々たる差だなんという、そういう考えでいったならば、私は労働者全部が願っているこの通勤災害を業務災害と同一にしてほしいという、そういう希望というものがかなえられる日ははるか遠い先のことではないかと、こういうふうに思うわけでございます。その点、いかがでしょうか。
#43
○政府委員(渡邊健二君) 私が申し上げましたのは、決して労働者側に責任があるから、過失があるからと、こういう意味ではございませんで、先ほど申しましたように、使用者の管理下にない段階で発生したという意味で、全部使用者の責任と理論的に言えるかどうか、そういうこともあって、調査会では、受益者である労働者も若干の負担をしていいのではないか、ただ、それが負担が過大であると、その負担のために保護も受けにくくなる、そういうことがない範囲でということで、こういうことで調査会の三者一致の答申があったということを申し上げたわけで、決して労働者側に過失があるとか、そういう考え方ではないわけでございます。
 なお、将来の問題として業務上の災害にするような方向で考えるかどうかというお尋ねでございますが、これにつきましては現在三者一致の御意見をいただいた段階でございますので、それにつきまして業務災害の方向で考えるということをいまお答えする段階じゃございませんけれども、なお、この問題、調査会の中でも非常に御議論があった問題点でございますので、今後さらに、十分われわれとしても検討をさせていただきたい、かように考えるわけでございます。
#44
○柏原ヤス君 通勤というのは労働者が会社へ労働力を提供するための絶対の条件だと、それにもかかわらず、準ずるという形でしか補償しないというのは私はあくまでもおかしい。これはあくまでも主張し続けてまいりたいと思います。そこで、いまの御答弁のように、たしか問題になった点ではあるというようなお答えで、積極的な御答弁がなかったわけですが、衆議院では附帯決議の中の最初にこの問題を出しているわけでございますね。通勤災害を業務災害とみなすように検討すると、これに対して大臣はいつものように、この趣旨を尊重して善処するということをおっしゃったわけですが、この通勤災害を業務災害とみなすという問題に対して、先ほどの御答弁では私は非常に不満足でございます。しかし大臣は、これに対して善処するということをはっきりお答えになったのですから、一体いつまでにこの問題を検討なさろうとしているのか、また、どういうふうにこれをやる決意でいらっしゃるのか。いつもの検討する検討するという、その検討という意味が、さっぱり検討しない、ただことばだけの検討で終わる検討なのか。こういうふうに完全のものにしていくための検討を少しでもやっていくと、こういうふうに大臣は決心していらっしゃると思うんですけれども、衆議院での形式的な御答弁だけじゃなくて、もう少し積極的な御意見を承りたいと思います。
#45
○政府委員(渡邊健二君) 決してこの点は単に形式的に申し上げているわけではございません。衆議院でもそういう附帯決議がございましたし、それから調査会におきましても、「この制度は何分にも初めての制度であるので、将来、この制度運営の経験に照らして、適時必要な検討を行なうことが望ましい。」、こういうことが答申の中に書かれております。したがいまして、私ども本法案を成立さしていただきましたならば、これの運営をはかる中で、この制度運営の経験に照らしまして御指摘のような御意見も十分踏まえまして今後検討をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#46
○国務大臣(加藤常太郎君) この点、少し局長の答弁と、従来からの大臣のと少しく食い違いがあると思います、これは。役所でもだいぶんやったんであります。それはいろいろな理屈のことを言わぬと、もうやってしまえと、こう言うたんでありますが、いま私が結論的に申し上げますと、いますぐには、どうも何ぼ大臣がやかましく言ってもいろいろ理論とか、そういう点がありまして、結局困難な、いろいろ説明いたしますと何だかんだと審議会のことやいろいろのことがありますけれども、いますぐには困難な点がありますが、時期を得たら、これはもうここで私が答弁するんでありますが、御趣旨に沿うように暫時、しばらくの間、時期をおいて、私はもう柏原先生と同じようなちっとしろうとの意見だというわけでもありませんけれども、ある期間をおくと、私は御趣旨に沿うようにこれは必ずさす方針でありますし、その方向に向いておりますけれども、いま、さっそくすぐにこれをやるということが困難だ、こういうことをここで責任を持って答弁いたします。
#47
○柏原ヤス君 この準ずるという点をあくまで私、はっきりさせておきたいんですが、この準ずるということは、通勤災害は企業主は全面的には責任はとらない、労働者にも一端の責任を負ってもらうという、そういう意味が含まれていると、こういうふうに思います。これは保険の給付の面だけで準じているだけですね。通勤途上の労働者の身分は依然としてやっぱし不安定な身分の上に立たされているという点は変わりはないわけです。そこで通勤災害のときにも業務災害のときに準じて身分保障すべきである、こういうふうに考えますが、これは今度の法律のこの準ずるという点をあたたかく解釈して、そして、その運用に当たっていただきたいということをお願いする意味で、このようにくどい質問をするわけでございますが、何といっても、この法律の運用というものが非常に今後大事な問題になってくると思います。その点で、行政指導をしっかり行なうべきであると思いますが、その点いかがでしょうか。
#48
○政府委員(渡邊健二君) 先生身分保障とおっしゃいましたのは、おそらく業務災害でございますと、基準法によりまして、その療養期間中及びその後なおってから三十日間は解雇制限がある。これも三年以上療養した方につきましては打切補償が支給される。あるいは長期傷病補償に移行いたしますと、その制限が除外されますけれども、そういう解雇制限がある。通勤災害についてはないではないかと、こういう御趣旨であろうと思うのであります。この点はおっしゃいますように、通勤災害は先ほど申しましたように、純粋の業務災害と全く同一であるということにはいたしておりませんので、基準法の業務災害の解雇制限はかぶらない形に相なっております。労災保険法上ではございませんが、基準法上の解雇制限はかぶらない形になっておるわけでございますが、先生、おっしゃいますように、実際におきましては、やはり雇用問題等はあたたかい気持ちで使用主がしかるべき対処のしかたを労使十分にそういう問題については話し合いの中で解決していただくのが労使関係上も適切なことと考えますので、私ども、そういうような姿勢で今後指導に当たってまいりたい、かように考えるわけであります。
#49
○柏原ヤス君 次に、通勤災害の認定の問題でございますが、この認定をするのはだれがするのか、この点一点と。また、この通勤災害は将来非常に重要な問題になるだろうと予想されます。その事務の量もふえていく、そういう点で、認定業務をする監督署の職員というものは本来の仕事があるわけですから、とても認定業務までは手が回らないのではないか、この通勤災害の業務が迅速そして円滑に、また納得のいく認定が行なわれるようにするためにはその方法はたいへんむずかしいのではないか、この点どうお考えでしょうか。
#50
○政府委員(渡邊健二君) 確かに通勤の範囲におきましては、この法律によりまして、通勤というものの定義をいたしておりますので、それに該当するかどうかということはこれは業務災害の場合と同じように保険給付に当たります監督署において行なうわけでございます。実際上はいろいろな具体的な事例が発生すると思いますので、私どもそういう認定がスムーズにまいりますように、本省から標準的ないろいろな場合を想定した認定の基準になる通達を出しまして、それによってスムーズな認定が行なわれるように監督署を指導してまいりたい、かように考えるわけでございます。なお、この認定業務もたいへんではないかという御配慮をいただきまして、私ども非常に感謝をいたすわけでございますが、私ども、やはり通勤災害保護制度が施行されますならば、約二割くらいの給付件数が労災においてはふえるだろう、かように考えておりまして、認定給付等の仕事はそれだけふえるわけでございます。これにつきましては、私ども本年度四十八年度予算におきましても、そのための所要の要員といたしまして、百三十一人の増員を定数内におきまして予算化いたしておりますとともに、また、この業務につきましては、最終的な認定等の判断はこれは正規職員がいたしますけれども、その事前の調査であるとか、あるいは資料の収集であるとか、そういう問題につきましては必ずしも正規職員でなくてもできますので、そういうために非常勤の通勤災害調査員というものを予算上五百人余りやはり予算化いたしておりまして、補助的なそういう業務につきましては、それらの非常勤職員も活用しながら業務の円滑な処理をはかっていきたい、かように考える次第でございまして、それら常勤、非常勤の職員の予算上の処置によりまして、何とかこの通勤災害に対しますところの保険の運営の事務を円滑に実施してまいるようにしたいと思っておるところでございます。
#51
○柏原ヤス君 この通勤災害調査員というのが五百人できるそうでございますが、非常勤であるばかりじゃなく法的根拠というものは何もない。いろいろのケースが予想されていくこの通勤災害を調査して、実際に認定業務につながらせると、こういう重大な仕事をする調査員は権威を持たせるべきではないかと思います。そういう点で非常勤を常勤にして身分保障をするとか、また、待遇をよくするという点に配慮が必要ではないか。納得のいく認定業務ができるようにすべきであると思いますが、その点いかがでしょう。
#52
○政府委員(渡邊健二君) もちろん法的な認定の権限の行使等は正規の職員がいたすわけでございますが、その前段階の資料の収集、調査等も非常に重要な問題でございますので、私ども通勤災害調査員につきましては、できるだけりっぱな人を得たいと、たとえて申しますと、労災業務に昔従事して老齢になりまして、職を退いておるような方々、こういうことでございますと、行政事務の経験もある、労災についてもある程度の知識を持っておられるというような方で、信頼をもって調査等の事務をお願いすることができると思うのでございまして、そういうことによりまして、信頼のおける方々を災害調査員に御委嘱しますと同時に、その待遇につきましても、できる限り十分な待遇をするように今後努力してまいりたいと考えておるところでございます。
#53
○柏原ヤス君 次に、五人未満の事業所の労災についてお尋ねいたしますが、本来この労災保険というものは労働者を使うすべての事業所に適用するというのがたてまえですが、一部労働災害を受けたときに、そのような補償を必要とする、特に生活にあまり余裕のない労働者がこの適用からむしろ取り残されている。この五人未満の事業所で働く労働者というのはまさにこれに当たると思います。これは至急適用されるようにしなければならない、またこの労災の適用とあわせて、そこで働く労働者の通勤災害も保護していかなければならないと思いますが、この対策をどのように考えていらっしゃるか、お尋ねいたします。
#54
○政府委員(渡邊健二君) 確かに先生御指摘のように労災に加入しておられない方は、今回の通勤災害に対する保護制度も適用がないわけでございまして、そういう方々の通勤災害をどうするのかという御心配、ごもっともだと思うのでございます。私どもこれにつきましては、今回の改正法の中に事後加入の制度を設けまして、労災に加入しておられない事業所における通勤災害の方々も災害にかかられてからでも事後に労災に加入して通勤災害の保護を受けられる、こういう道を今度の改正法では開いておるわけでございますが、それにいたしましても、やはり本来労災保険等は五人未満も含めましてすべての労働者が保険の保護を受ける、こういうことが望ましいわけでございます。そして、そういう全面適用が実現することによって、通勤災害も含めまして労働者の保護は完ぺきになる、かように考えておるわけでございます。私ども労災保険の全面適用はかねてから目標といたしておるところでございまして、四十四年末の臨時国会で成立いたしました失業保険法及び労災保険法の一部改正によりまして、一応労災保険は労働者を使用するすべての事業を適用事業とするというたてまえをすでに打ち立てておるところでございます。ただ実際的には従来任意適用であった事業所がかなり小規模零細企業におきましてあったわけでございますので、これを一挙に強制適用にすることは困難、こういうことから、当分の間はなお政令で定めるものを任意適用事業とすることができる法律規定になっておりまして、それで任意適用事業所を政令で列挙をいたしておるわけでございますが、これも逐次強制適用に移しつつあるわけでございます。昨年の四月一日からは製造業、鉱業――マイニングのほうでございますが、及び運輸通信業につきましては、従来、任意適用であったものを強制適用事業に移したわけでございまして、それら三業種につきましては、常時労働者を雇っておる事業所はすべて、一人雇っておるところでも強制適用にしたわけでございます。現在そういう意味で、なお任意適用に残っておりますのは、五人未満の商業、サービス業等だけでございますが、これらの事業につきましても、できる限り体制の整備を急ぎまして、そうしてすみやかに適用拡大をはかり、全面適用に持っていくようにしたい、かように考えて努力をいたしておるところでございます。
#55
○柏原ヤス君 次に、福祉作業所で働く身体障害者の労災補償の適用ということについてお聞きしておきたいのですが、この福祉作業所で働いている者は非常に身体障害者であって、けがをしやすい、傷つきやすい、また、労働者といっても身体障害者なので、非常に安い賃金で働いている。こういうふうに肉体的にもまた待遇の上でも恵まれてない、そして働いている。しかし、その働いている場所が福祉作業所で働いているがために労災保険の適用の雇用関係が成り立たないので、労災保険の適用がされてないわけなんです。政府は最大の恩恵をもって、こうした身体障害者のために対処すべきだと思いますが、こういう人たちについてはどういうふうに災害から守っていくべきか、御意見を承りたいと思います。
#56
○政府委員(渡邊健二君) 福祉作業所等の授産施設などにつきましても、そこに働いておられる職員の方、これは雇用関係があるわけでございますから、先ほど申しましたように五人以上でございますと強制適用でございますし、五人以下でございますと任意適用でございます。したがって、通勤災害等も事後加入の制度に乗るというようなことも可能であるわけでございます。ただ、職員ではなしに、いわゆるそこに入所しておられる作業員、こういう方々について申しますと、まあ、労災はこれは業務災害にいたしましても通勤災害にいたしましても、使用者と雇用関係のもとにある労働者の方の保護のための制度であるわけでございますが、そういう福祉作業所等に入所しておられる作業員の方ということになりますと、これは、こういう施設はもともと身体障害者福祉法等によりまして、身体障害者で雇用されることの困難な者、あるいは生活に困窮する者を収容し、または通所させて必要な訓練を行ない、かつ自活させる道を講じていこうということで設けられた施設でございまして、それらの方々とその作業所との間には一般的には雇用関係というような関係にないわけでございます。したがいまして、労災保険というわけにはまいらないのじゃないかと、かように考えますけれども、こういうお気の毒な方々、身体障害者というお気の毒な方々が作業所で作業しておられる間にけがをされるというようなことは一そうこれはお気の毒なことでございまして、やはりこれは、そういう福祉行政、こういう観点から福祉の立場の中でこういう方々についてのしかるべき配慮がされることが望ましいのではないかと、私どもかように考えておるわけでございます。
#57
○柏原ヤス君 次に雇用対策法の改正についてお伺いいたしますが、まず、定年制についての考え方ですが、当面定年制の延長として六十歳を目標としておりますが、これは五十五歳とか六十歳とかいう一律の年齢による定年制を認めるという前提に立っているかどうか。――もう少し言わしていただきますと、働く意思と力がある人に強制的に解雇するという形に定年制というのはなってると思います。労働者の働く権利の否定だと、定年というものは基本的には全廃すべき性質のものであると思いますが、この点いかがでしょうか。
#58
○国務大臣(加藤常太郎君) 定年の延長の問題は、もう先ほどの議員の御質問でもお答えいたしましたが、週休二日制の問題と定年延長は、これはもう閣議でも経済社会基本計画、雇用の基本計画でもはっきりと方針を打ち出しました。週休二日制のほうは思ったよりまだどんどん進んでおりますが、このほうは先ほど申し上げたとおり、だいぶんこれ、六十歳とはいかなくても、五十七歳とか八歳とか、各企業で相当実施するようになっておりますが、まあ、これはいまのとこでは法律に根拠はなくして行政指導で行なっておりますので、まだ、こう歯がゆいような感じがいたしておられる方もありますが、今後、いろいろな御意見なり事業場の関係、労働者の御意見、これなどを踏まえまして、最終的には、まあ、政府としていろいろな具体的な措置も講じなくちゃならぬときがくるかもわかりませんが、いまのところでは、いま言ったような行政指導で、労使の話し合いによってこれを推進していくと、こういうので、まあ、罰則とか、いろいろな強制的な方向はいっておりませんが、しかし政府として、労働省でなく閣議でもその方針を確立いたしたんでありますから、目的の大体の五年以内には六十歳、十年以内にはそれをなお六十五歳と、こういうように今後の労使の関係並びに日本の経済の発展の状態、求人倍率、労働力の不足、こういう点から考えましても、今後この問題は労働省としては強力に推進していく所存であります。
#59
○柏原ヤス君 お聞きしたい点は、この定年制というものを認めた前提のもとに五十五歳を六十にするとかというふうに考えていらっしゃるのか、全廃すべきだということがやはり根底にあるのか、そのどちらかという点をお聞きしたいわけです。
#60
○国務大臣(加藤常太郎君) まあ、これは先ほど申し上げましたように、基準法にもまだいろいろな、あらゆる労働省の法律にも、法律には根拠がありません。従来から労使の関係、――日本においては労使大体まあ、大部分の方が五十五歳と、こういうのがおのずから大企業にはややこれが定着化いたしております。しかし、最近の諸外国の趨勢、外国のことをまねるわけではありませんけれども、日本の国内の事情から見てでも、当然五十五歳を、中高年齢者の福祉の関係、また日本の労使、労働力の需給関係から見て、五十五歳の現在の定着状態をなお一そうこれを延長すると、五カ年間で延長すると、こういう行政指導で強力に末端のほうまでも啓蒙活動を展開いたしておりますので、だいぶんこれが薬がきいておりますが、しかし、ある程度の経過を見てから、また今後これに対する具体的な措置も講ずることがあるということも、これはまあ考えております。
#61
○柏原ヤス君 そこで、六十歳に延長するための対策として奨励金を出しておりますが、この国民の税金をこのような定年延長のために使うということは私は不合理だと思います。なぜかと言えば、定年の延長というのは、企業が社会的責任において当然行なうべきものであると考えます。それを政府のほうから税金を出して、税金を使って、そして、それを奨励するなどというのは非常におかしいんじゃないか。そういうやり方では、とうてい効果は得られないと、こういうふうに思います。そこで、ことしの四月、この委員会でも提案いたしました。官公庁の発注に際して、社会的責任を果たしているかどうかという点、一つの入札のときに、これを考慮するという強い行政措置を考えてはどうかということを提案いたしましたが、そのときに、今後の方針としては十分に考えられる政策ではないかと思うというような御答弁がありましたが、これに対して大臣はどういうお考えでいらっしゃいますか。
#62
○政府委員(遠藤政夫君) 定年延長を奨励いたしますために定年延長奨励金を支給いたすことにいたしております。これは主として対象は中小企業ということでございますが、大企業におきましては、これはただいま大臣から御答弁申し上げましたように、社会慣行というか、長年の慣行として労使間で話し合いができ、あるいは労働協約によりまして五十五歳定年という制度が実施されてまいっております。最近、労働省の指導によりまして五十八歳、六十歳という延長措置がとられてきております。これを、定年を延長するということは、現在の社会情勢、雇用情勢、労働力不足の状況から見ましても、大企業におきましては一種の社会的義務としても考えてもらいたい、こういうふうに考えても差しつかえないんじゃないかと思います。中小企業におきましても同じようなことが言えるわけでございますけれども、中小企業の場合は、何と申しましても、いろいろと企業経営上の問題もありまして、大企業と同じようにやれと言ってもなかなかできるものじゃございません。そういった意味におきまして、これは一種の誘い水といいますか、奨励措置、そういったことで、定年を延長した場合に、それに対して奨励金を支給するという措置をとっておりますが、実は、この奨励金は一般会計の、いわゆる税金から支出するものではございませんで、労働保険特別会計失業保険勘定のいわば失業保険料から支弁するわけでございます。と申しますのは、実は、かりに五十五歳の定年を延長しないで、そのままそこで解雇される――退職になります。そうすると、私どもでは六十五歳までは労働力として扱って、これに再就職のあっせんをすることになっております。当然失業保険の被保険者として失業保険金を支給しながら、なかなか就職は困難でございますけれども、就職されるまでの間は失業保険金を支給しながら再就職のごめんどうを見て差し上げる、こういうことになるわけであります。そういたしますと、失業保険金を支給するか、あるいは定年延長をしていただいて、それに奨励金を出すか、どっちが安上がりかということは、これは別問題でございますけれども、失業保険金のかわりに、そういう奨励金として差し上げる。そういうことによって、定年を延長してもらって、雇用を安定していただく、こういう措置でございますので、先生のいまの御指摘は必ずしも私は不当なものではないんじゃないか、こういうふうに考えております。
 ところで、こういった定年延長しない企業に対しては政府の発注をとめたらどうだ、こういうたしか四月にも御質問があったようでございます。これは同じようなことが中高年齢者の適職につきまして雇用率が設定されております。これは、実は六十四職種ございます。その他身体障害者につきましても雇用率が設定されております。こういった法律によりまして雇用率が設定されております場合に、雇用率を達成していない企業については何らかの強制措置が必要じゃないかと、これは再三議論のあったところでございますけれども、こういった点につきましても、いま直ちにこれを何らかの形で強制措置をとるということはいろいろむずかしい問題がございます。将来の方向としてはそういった点も十分考えられるわけでございますが、ましてや、先ほど申し上げましたように、労使慣行あるいは労働協約等で定められております、こういった慣行的に行なわれます定年につきまして、延長しないものにいま直ちに強制措置を講ずる、たとえ政府発注でありましてもこれを差しとめるということはいまの時点ではいかがかという感じがいたします。将来の方向といたしましてはそういったことも十分考える余地はあるかと思いますが、まず、それまでに私ども行政指導、行政措置といたしまして、定年延長を援助し、奨励し、指導する、そうして、できるだけさしあたり六十歳まで延長していただく、あるいは中高年齢者の雇用率を達成していただくという方向で、各種の施策を十分活用しながら施策を推進してまいりたい、かように考えているところでございます。
#63
○柏原ヤス君 時間がございませんので、再就職の問題については省略させていただいて、二つだけまとめてお聞きしておきたいと思います。
 日本の身障者の採用率、これは外国に比べますと非常に低い。先ほどお聞きしたように、法定雇用率というのが民間の場合は一・三という率でございます。これは大幅に引き上げなければならないと思います。これについて大体何%に引き上げていくおつもりか、これをお聞きしたい。
 それから大企業の身障者の雇用率が非常に悪い。一・一七%。法定にも満たされていないわけです。政府はこれからこれについて強力な行政指導をすべきではないかと思います。この二点についてお答えいただきたいと思います。
 それから、先ほど大臣にというふうにお願いしたのですが、大臣から先ほどの問題について御答弁をお願いいたします。
#64
○国務大臣(加藤常太郎君) いま、大臣との御指名であったのですが、局長がもう行き過ぎて大臣の答弁のほうまで行ってしまいましたが、二万五千円の奨励金はこれは水先案内のようなもので、やはりつけるというと、労使の話し合いのときに、政府がこうまでしているのに定年延長やらぬのは困るじゃないかというような、この二万五千円のちっぽけなことでどうだという意味が、これによって推進するというよりは一つの水先案内と、特に大企業はそんな金をやるのはこれは不合理でありますから中小企業と限定いたしておりますが、罰則や公共事業の発注停止と、これは先ほど私ちょっと身体障害者のときに触れたのでありますが、身体障害者のときと、この場合との事情が多少ニュアンスが違いますので、いまさっそくこれを強制するということも、関係の事業主に対して強制するということも、これは閣議でも懇談したのでありますが、通産省なり建設省なりの大臣から、それは加藤君、身体障害者のほうはともかく、雇用のほうはこれはそこまで、まだ社会の情勢、社会主義というものは向上しておらぬから、まだ労働省言われてもちょっとなかなか、というようなこともありまして、一つの意見でありますが、身体障害者の問題よりはこのほうが――身体障害者のほうをやって、それから考えようと、こういうような閣内の意見でもありますので、御質問に対して的確なお答えができませんけれども、今後御趣旨をよく尊重して、この労使の自主的なコミュニケーションをやって、この問題の改善努力を積極的に行政指導いたす所存であります。
#65
○政府委員(遠藤政夫君) 法定雇用率につきましては、官公庁、民間、それぞれおおむね設定されました雇用率を達成いたしておりますが、御指摘のように、官公庁におきましても、民間におきましても、相当部分未達成の分野があることは御指摘のとおりでございます。官公庁につきましては、これは私ども内部の問題かともいえますので、強力に勧告をいたしまして、達成できるように措置いたしてまいりたいと思いますが、民間につきましては、主として大企業の分野におきまして達成できていない向きがかなりございます。こういった点につきましては、身体障害者の雇用のための各種の援助措置、こういったものをフルに活用いたしますと同時に、大企業につきましては、身体障害者の雇用推進制度を利用いたしまして、今後一・三%の雇用率を達成できるよう、強力なる指導措置をとってまいりたいと思います。こういった向きにつきましては、安定所の求人を受け付けます際に、あわせて身体障害者のその適職種につきましては、優先的に採用されるように、こういった指導のしかたをしてまいりたい、かように考えております。
 そこで、こういった法定雇用率を達成していない企業なり、官公庁等を今後早急に法定率まで達成させることになりますと、全体としては現在定められております雇用率を上回ることになると思います。
 この法定雇用率を、現在の一・三、あるいは官公庁の一・七、これをいますぐ引き上げるかどうか、あるいはどの程度に引き上げるか、こういった点は身体障害者の求職動向等あるいは求人の状況等も十分考えなければなりませんので、この点は現在、各種関係の審議会でもいろいろ御議論のあるところでございますので、こういった審議会あるいは専門家の御意見を十分拝聴しながらその御意見を尊重して、今後検討してまいりたい、積極的に施策の面に反映してまいりたい、かように考えております。
#66
○中沢伊登子君 私は、船員保険法の一部改正のほうから先に御質問申し上げたいと思います。
 今回の労災法の改正では、「通勤とは、労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くもの」となっています。船員の場合は就業の場所が移動する船であるから通勤の態様が複雑でございます。船がある港に入港し、荷物の積みおろしをする、あるいはまた修理などのためにドック入りをする、この期間下船して自宅に帰り、荷物の積みおろし、あるいはドックの修理が終了して再び乗船する場合、この自宅と船を往復するのは通勤であるのか、あるいは業務命令に基づく出張と同様であるのか、この点をお伺いします。そうしてこの期間に発生した事故は業務上であるか、通勤災害であるか、あるいは単に私的な旅行中の災害となるのか、現在までの取り扱われた方法はどうなっているのかをお尋ねいたします。
#67
○政府委員(北川力夫君) ただいまお話のとおり、船員の場合につきましては、陸上の働く方々の労災保険の場合と同様な通勤形態をとる場合もございますけれども、反面いま御指摘のとおり、海上の労働者という特殊性からくる陸上の労働者とは違った通勤形態をとる場合があるわけでございます。したがいまして、私どもは一般論といたしましては、いま御例示がございましたが、今後新しい制度の運用にあたりましては、陸上の労働者の方々の場合、すなわち労災保険の取り扱いの場合との均衡を失しないように、十二分に配慮をしてまいる所存でございまして、実はこの改正法の実施に先立ちまして、専門部会である社会保険審議会の、専門の部会である船員保険部会の意見も徴して、いろいろきめのこまかい点を詰めてまいりたい、このように考えておりますことをまず申し上げておきたいと思います。
 それで、いま御例示になりました中で、第一点の問題は、たとえば外国航路の乗り組み員が乗下船地とそれから遠隔地にある自宅との間の往復の途中で生じた災害、これをどのような取り扱いをするか、こういうような趣旨のお尋ねかと思います。この件はそのケースが毎月あるいは年に数度に及ぶ遠洋航海のために自宅と乗下船地の間を往復することを常態としているような常勤の船員につきましては、乗下船地と自宅との間がかりに遠距離でございましても、その往復行為に恒常的な継続性が認められること等によって、その自宅が就業のための居住地であるというふうに認定ができます場合は、その行為中に生じた災害は通勤災害に該当するものと考えております。
 また、第二の例として提示されましたドック入り中あるいはドックの構内のドックハウスから船舶へ作業に行くような途中の災害でありますとか、あるいはまた同様なケースでドックハウスが構外にあるというふうな場合に、どういうふうな形態、どのような取り扱いになるか、こういうような趣旨だと思っております。前段のドック入り中あるいはドック構内の、ドックハウスから船舶へ作業に行く途中の災害というふうな場合につきましては、船の艤装等のために船員がドックの構内で勤務することが義務づけられております場合には、その構内におります限りにおいては、事業主の支配下にあるものと見ることができまするので、当該災害については職務起因性が認められておるわけでありますから、これは職務上の災害に該当するのではないか、このように考えます。また、ドックの構外の宿所からドックの構内の入口までの間に生じた災害は、これは通勤災害に該当して、それからドックの構内に入ってからあとの災害は職務上の災害に該当するものと考えております。
 大体御質問の趣旨について全部お答えを申し上げたかどうかわかりませんが、御例示の点を要約して申し上げますると、以上のようなことになろうかと思います。
#68
○中沢伊登子君 いま、お話しのありましたように、船員というのは非常に特殊な仕事でございます。そこで遠洋航海に行っていらっしゃる方、あるいはまた近海でも相当遠くに出かける船員、そういう人は必ずしも普通の勤労者のように自宅と職業をする場所とが近くなくて、相当遠距離ですね、これが普通の場合でございます。そこで家族が今度面会に出かけますね、入港してまいりますと、家族が面会に出かけるわけですが、面会手当というのがようやく新設されまして、これは長いこと海員組合の奥さんたちがこれを要望しておられたわけですけれども、これがようやく実現をしたわけです。ところがこの面会手当というのに税金がかかる。そういうことで奥さん方がうれしかった反面、ずいぶん政治というものは過酷なものだということで、これに対して税金がつくということでたいへん残念がっておりました。それはそれとして、そこで面会に行った妻が夫の出港を見送るために、今度船が出るというので、夫の出港を見送るために、夫とともに港に出かけた途中で災害にあったとしたら、これは一体どのようになるのですか。
#69
○政府委員(北川力夫君) お尋ねのようなケースはままあるケースかと存じます。ただ、今回の新しい制度は通勤途上災害ということでありまして、通勤はやはり当該本人の勤務というものを前提にした概念でございますので、たまたまいまお話しのとおり、面会手当というふうなものが事業主から支給をされておるといたしましても、やはりこの被保険者本人以外まで通勤災害に含めるということは、これは適切ではないじゃないかというように考えております。
#70
○中沢伊登子君 それは毎日家から通勤をしている人の奥さんが何かのためにだんなさんを送って出たと、こういうのとは違って、長い間別居していて、それで今度ようやく帰ってこられたので面会に行って送りに出るのですね、そういうこれは特殊なケースなんです。ですから、ここら辺には、私はもう少し配慮をしてしかるべきではなかろうか。なぜかといいますと、奥さんがだんなさんを送って出ると、妻と夫が同じ事故にもしあわれたとしますね、同じ事故にあいながら、これは夫と妻が差別を受けることになる。夫のほうは、たとえばいまの労災が適用されるとか、あるいは業務災害が適用されるとか、奥さんの場合は健康保険が適用される、たいへんここに差別があるわけですね。ことに先ほど申し上げましたように、毎日家から通勤をしている人たちではありませんから、このような例は将来特別の例として検討してみるわけにはいかないのかどうか、あるいはぜひこういうのは特例として考えて見ていただくことはできないのかどうか、その辺についてお答えをいただきます。
#71
○政府委員(北川力夫君) ただいまお話しのございましたように、船員の方々の場合の奥さんと御主人との関係というのは、まことに特殊な関係にあるわけでございまして、その辺の実情は、私どもも私どもなりに十分に推察がつくわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたとおり、やはり通勤という行為は勤務が前提でございますので、そういう意味合いから申しますと、船員という労働者本人についてのみ考えられるのが原理原則でございまして、その家族の方々、特に長い間別れて久しぶりで会って、非常に有意義な生活を送られたあと、その夫の方を見送られて一緒に同様な災害にあう、非常に同情すべきケースではございますけれども、その妻の方についてまで今度の新しい制度を及ぼしていくということは、やはり私は現在の段階では、制度のたてまえ上きわめてむずかしいのではないかと思っております。ただ、先生からも御提案がございましたから、どうするかということは一つの問題点ではございましょうけれども、一応この問題を今度の新しい制度と切り離して考えましても、今回別途御審議をお願いいたしております健康保険法関連の改正の船員保険部門におきましては家族の方々の療養の給付は現在のところ七割までかさ上げをされるとか、あるいはまた高額療養費は償還をされるとか、そういったことの面での改善がございますので、そういう面におきましては現行とは異なった相当大きな改善があろうと思います。原理原則は最初申し上げましたように、現在の段階におきましては、そこまで及ぼすことは新制度のたてまえ上むずかしいのではないか、これが結論かと考えております。
#72
○中沢伊登子君 それでは、今回のこの船員法の改正を機会に、従来は公務として、業務上として取り扱われていたものが単なる通勤災害として、業務外に扱われることのないように、最後にこれを念を押しておきたいと思います。もう一ぺんお答えをいただきたいと思います。
#73
○政府委員(北川力夫君) 今回の新しい制度はむしろ先生の御心配とは逆でございまして、現在業務外となっておりますものは通勤途上災害としてより多く保護されるということでございますから、御心配のようなケースは私は起こらないと考えておりますので、その点はどうか御了承をいただきたいと思います。
#74
○中沢伊登子君 それでは、今度、雇用対策法及び雇用促進事業団のほうに質問を移らしていただきます。
 雇用促進事業団が行なっている移転就職者用の宿舎の建設計画とその実績について、この五カ年間についての実績を説明してください。
#75
○政府委員(遠藤政夫君) 雇用促進住宅の最近の建設実績について御説明申し上げますと、四十三年度から昨年の四十七年度までの五カ年間の建設計画は、年一万戸で合計五万戸でございました。これに対しまして建設の実績は、約八〇%の三万九千四百戸に相なっております。
#76
○中沢伊登子君 私の持っている資料もまさにそのようになっているわけですけれども、初めの計画と実績の狂いがずいぶん出ておりますね。大かたこの五年間で一年分の建設計画の狂いが出ております。この雇用促進住宅を一体昭和何年まで建設するお考えでございますか。
#77
○政府委員(遠藤政夫君) この雇用促進住宅の制度は、実は労働者の地域閥移動を円滑に促進するために設けられているわけでございまして、現在も一般的には労働力不足ということでございますが、これは年齢的に見ましても、あるいは地域的に見ましてもかなりの不均衡がございまして、こういった地域的な労働力需給の不均衡という状態は今後なお相当長期間にわたって続くものと私ども考えている次第でございます。そういったことによりまして、今後引き続きこういった地域間の労働力の需給の不均衡をできるだけ解消していくための一つのてこといたしまして、こういった雇用促進住宅は今後とも建設を続けてまいる考えでございます。
#78
○中沢伊登子君 予定と実績が相当狂いを見せたということにはいろいろな事情があると思います。その一つが諸物価の値上がりでございましょう。大体住宅地の値上がりというのが、昭和三十五年を一〇〇といたしますと、全国では昭和四十六年で六一八という数ですね。これを、昭和四十六年が六一八ですから、四十七年、四十八年になるともっともっと大幅にこれは狂ってくると思います。特にまた最近は土地の値上がりが膨大でございますし、また家を建てるための資材、たとえば塩ビのようなものが相当不足をしておりますから、相当長期間にわたってこれからも建てていくとしても、それには相当いろんな覚悟をしなければならないのではなかろうかと思います。そういう意味で、昭和四十七年度、四十八年度の予算について伺いたいと思います。
#79
○政府委員(遠藤政夫君) 先生御指摘のように、建設計画と実績がかなりな食い違いが生じておりますが、これは建設、――いわゆる建築費、あるいは用地の取得費等の予算に計上された額との差がかなり出てきてまいっております。こういったことから建設実績が落ち込んでおりますが、四十七年度について見ますと、土地の取得に予定されました単価が実際は三倍近くなっております。一戸当たりについて見ますと、四十七年度の実績で一戸当たり二百七万一千円が、実際建設の実績を見ますると三百五十万程度になっております。そういったことから四十七年度におきましても、大体七割強の建設実績ということになっておりまして、四十八年度は、実はまだ実績が完全に出ておりませんので、お答え申し上げかねますが、こういったことで、今後引き続いてこの雇用促進住宅の建設を続けてまいりますにいたしましても、計画と実績が今後ともやはり同じような差が生じてくるかと思います。今後こういった点を十分考えました上で、来年度予算の計上にあたりましては、実績と計画との食い違いを起こすことのないように、十分実勢を勘案した上で予算の獲得に努力してまいりたい、かように考えている次第でございます。
#80
○中沢伊登子君 そこで、今度は、昭和四十七年度に雇用促進事業団の沖繩支部が設置されましたね。言うまでもなく、沖繩県においては、本土復帰後間もない事情もあって、労働者の福祉の面の行政がだいぶん立ちおくれております。そこで、沖繩県の産業構造の面から、今後、雇用促進住宅を建設する計画がおありになりますか、どうですか。
#81
○政府委員(遠藤政夫君) 沖繩につきましては、沖繩の本土復帰に伴いまして各種の施策を講じてまいっておりますが、御指摘のように、こういった福祉施設の面ではかなり本土に比較いたしまして立ちおくれのあることも御承知のとおりでございます。労働省といたしましては、こういった面を十分考慮いたしまして、労働者の福祉施設あるいは港湾労働者の福祉センター、こういったものを逐次建設いたしてまいっておりますが、雇用促進住宅につきましても、現在、糸満に百三十戸建設をいたしております。今後、沖繩県におきます移転就職者、地域間移動の関係が出てまいると思います。特に離島あたりから沖繩本島に入ってきて労務につくというような人たちも、十分、今後予想されますので、こういった必要性に応じまして、今後、この住宅を建設してまいる予定でございます。
#82
○中沢伊登子君 「雇用促進事業団業務方法書」によると、第一種、第二種の住宅の貸与期間が一年未満となっております。それは先ほど小谷委員も御質問を申し上げたとおりですが、一年未満の期間に限ってこれを延長することが認められておりますね。しかし、私の聞くところによりますと、この入居の原則は大きくくずれていると聞きます。入居者の入居期間の実態について聞かしてください。
#83
○政府委員(遠藤政夫君) この住宅の入居期間の実態につきましては御指摘のとおりでございまして、原則の一年未満の入居者は全体の四分の一、二四・六%でございます。それ以外が一年をこえる実情に相なっております。
#84
○中沢伊登子君 私の調べたところでは、入居者の実態は四、五年入居しているというのが六〇%もある。まあ、こういうことになっておりますが、三年が三〇%、こういうふうにいわれておるわけですが、これはぜひとも考慮をするべき問題だと思います。
 そこで、雇用促進住宅が、以上のように、仮入居の住宅でありますが、そうだとすれば、本来のたてまえは大きくくずれ去ってしまったわけですね。このたてまえがくずれ去った大きな原因は何ですか。
  〔委員長退席、理事小平芳平君着席〕
#85
○政府委員(遠藤政夫君) 雇用促進住宅を設置いたしました目的につきましては、中沢先生、もう先刻御承知のとおりでございますが、本来、雇用促進住宅は移転をして新しく職につく人の仮の住まいという趣旨でつくったわけでございますが、原則の一年以内に自分で家を建てるとか、あるいは社宅あるいは公営住宅、こういったものに移っていただきたいということでございますけれども、実際問題になりますと一年で自分の家を持つとか、あるいは社宅がその間に供給されるとか、あるいは非常に限られた公営住宅に移るということはなかなかむずかしゅうございます。そういうことから、さらに一年は延長を認めるということに相なっております。ところが、実際は、いま御指摘になりましたように、三年をこえるものが相当いる、こういうことが実情でございまして、かりに二年をこえるにいたしましても、その人たちを行き先のないのに追い出すというようなことをするわけにまいりません。私どもは、かりに二年をこえても、安心して住める住宅が確保されるまでは、依然として従来のままいていただく、こういう方針をとっておりますので、そういう意味におきましては、いわゆる恒久住宅でないにもかかわらず、そういう要素を現実には呈してまいっております。たてまえがくずれていると御指摘になっても、これはもうやむを得ないと思います。私どもは、こういったことを十分勘案いたしまして、今後、この一年あるいは二年というようなこういうたてまえ、原則を実情に合うような方向で十分検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#86
○中沢伊登子君 いま、御答弁のように、一年や二年で雇用促進住宅の入居者が他に転居をするのは非常に困難ですね。そしてさらに、現在審議をいたしております雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部改正、こういう法案で、工業の再配置による労働者の移転を円滑にするために、移転就職者の利用に支障がない限り雇用促進住宅を貸与させる方針でありますが、このように入居対象者の範囲の拡大などを考えると、住宅困難の実情にある程度合わせるために業務方法書の入居期間の規則を運用で緩和するだけではなくて、改正する必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
#87
○政府委員(遠藤政夫君) 御指摘のように、当然そういった点でも十分御趣旨に沿うように検討いたしたいと思っております。
#88
○中沢伊登子君 先ほど小谷委員が質問された中に、たいへん住宅が狭いので三戸を二戸に二戸を一戸に直すような方法を考えているというような御答弁がありましたが、いま現在入っている人たちの中で家族数が相当多い、しかも家族が小さな子供であればがまんができるけれども、相当大きな子供をかかえている家では二Kあるいは二DKではもうどうしようもないという訴えが相当私のところにも来ております。そこで、直すような方法を考えている前に、もしも、いま部屋が相当あいておりますね、あいているんならば、家族構成を十分調査した上で、あるいは子供のために一戸を貸し与える、こういうような方法をとるわけにはいかないのかどうか。
#89
○政府委員(遠藤政夫君) 御趣旨たいへんごもっともでございまして、私が先ほどこの住宅の設計上、そういう点を考慮いたしておりますと申し上げたのは、今後、将来三年あるいは五年後にそういう必要ができた場合には、住宅をいまより大きな規模のものに改造できるような方向で設計をさしておるわけでございますが、現在の問題といたしましては、いまお話しございましたように、家族構成が非常に多いという人たちにつきましては、現在の二Kあるいは二DKを二戸貸し与えるというような措置をすでに講じておりますので、そういう向きについては必ずしもいまのままでも何とか対処できるんじゃないか、こういうように考えております。
#90
○中沢伊登子君 国の土地、住宅政策の無為無策が雇用促進住宅の制度運用面にまでしわ寄せをされてきているのが実態でございますね。こうした中で身体のハンディキャップだけでなくて経済的にも弱者の立場にある身体障害者の住宅難の問題はさらに深刻でございます。そこで、身障者の雇用を促進させるという観点から、労働省サイドで住宅建設の構想があったら聞かしていただきたいと思います。
#91
○政府委員(遠藤政夫君) 身体障害者の雇用促進、これを企業に対して雇い入れを勧奨するということは私どもの今後の最重点の業務であることは先ほど申し上げたとおりでございますが、そのためにはまずいろいろな身体障害者を雇うための施設の中でも住宅問題が非常に大きなウエートを占めております。そこで、私どもは身体障害者を雇うために住宅を確保しなきゃならぬ、住宅をつくらなきゃならぬという向きに対しましては、低利融資をいたしまして住宅を確保するように措置をいたしますと同時に、外から移転して身体障害者の人が就職しようという場合には、住宅確保奨励金を事業主に対して支給することにいたしております。と同時に、この雇用促進事業団の促進住宅の中で身体障害者向けの、身体障害者にふさわしい構造を持った住宅を昨年度からテスト的に設置いたしております。今後必要な地域、向きにつきましては、こういった雇用促進住宅の中で身体障害者専用の住宅を設置するようにいたしてまいりたい、かように考えております。
#92
○中沢伊登子君 昨年十二月の二十一日に身体障害者雇用審議会から労働大臣あてに「心身障害者の雇用促進対策について」という中間答申がなされましたね。その中に、身障者の雇用を促進させるために活動しやすい社会環境、生活環境の整備をはかることが不可欠だとして身障者の住宅の確保についても触れています。いまの御答弁のように、ぜひともその住宅の確保を具体的に検討し、具体的に進めていっていただくようにお願いをしたいのですが、その辺の事情を御説明ください。
#93
○国務大臣(加藤常太郎君) 御趣旨のとおり十分考えてその方針で行政的にやります。
#94
○中沢伊登子君 そこで、ほんとうはこの雇用促進事業団の問題について私は約一時間余りの質問を申し上げたかったんですけれども、これはきょうはたいへん時間が少のうございますから、またいずれ決算委員会にでも質問をさしていただきますけれども、その中でひとつぜひともお尋ねをしておきたい問題は、管理主事の労働条件についてでございます。全国に約七百人の管理主事がいると聞いておりますが、これらの職員の賃金はどのように決定され、その賃金の内容はどうなっているのか聞かしていただきたいと思います。さらに管理主事の採用の条件、採用状況についても伺いたいと思います。
#95
○政府委員(遠藤政夫君) この雇用促進住宅管理のための職員は現在全国で約六千人、これは本年の九月一日現在でございます。この人たちの平均給与は五万六千円程度でございまして、最高が七万八千円でございます。この管理主事につきましては先ほど来中高年齢者の就職促進の問題がたいへん御検討いただいておりますが、私どもはこの雇用促進住宅の管理者という職責から考えまして定年退職者、あるいは従来は炭鉱離職者、こういった人たちを最優先的に採用いたしまして六十五歳まで、本人の事情によりましては六十七歳までこの管理の職務に当たっていただくということにいたしております。給与はただいま申し上げましたとおりでございますが、公務員の給与ベースの改定に応じまして給与の改定も行なっております。同時に手当につきましても年四・八カ月分の手当を支給するというようなことで、おおむね公務員に準じた扱いをいたしておるわけでございます。ただ、従来若干一般職員に比較いたしますと給与ベースが低かったというような関係もございまして、本年の四月一日に給与改定を行ないましてただいま申し上げましたような実情に相なっているわけでございます。今後とも、こういった人たちの労働条件につきましては、できる限りの配慮を加えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#96
○中沢伊登子君 いまお答えの中で、管理主事は六千人ですか。
#97
○政府委員(遠藤政夫君) そうでございます。
#98
○中沢伊登子君 私が聞いたところでは七百人と聞いております。ちょっと数字が違い過ぎているんですが、どうなんでしょう。
#99
○政府委員(遠藤政夫君) 先ほど申し上げましたように、四十七年度までに約四万戸ございます。数字は六千人でございます。
#100
○中沢伊登子君 それじゃ私の間違いかもしれません。私の聞くところによると、事業団、協会ありますね、雇用促進協会――協会の役員、職員は国家公務員、地方公務員並みの給与が支給されておりますが、管理主事の給与ベースは不当に押えられているということなんです。もし、これが事実だとするならば、不当に押えられている根拠を明らかにしてもらいたいと思います。また、それと関連で、現在行なっている管理主事の仕事を労働者のほうではどのように評価をしているか伺わしていただきたい。
  〔理事小平芳平君退席、委員長着席〕
#101
○政府委員(遠藤政夫君) 給与ベースはただいま申し上げましたような実態でございますが、確かに昨年あたりまではこの管理に当たっております職員の方々の給与ベースが一般に比較しましてかなり低かったという事実もございます。これは定年退職者とか、かなり高年齢者の方でございまして、その上、住宅が無償で提供されるといったような関係もございまして、若干低いことはこれはもうやむを得ないかと思いますけれども、それにいたしましても、あまりに不当の差があるということはこれは問題でございますので、これもいま申し上げましたように、本年の四月から一般のベース改定とは別個にこの人たちの給与改善ということで、改定を行ないましたわけでございまして、今後は、一般の公務員なりあるいは協会の職員に比較いたしまして、不当に低いというようなことにならないように十分その点は配慮をいたしてまいるつもりでございます。
#102
○中沢伊登子君 実は、私の知人でありますある管理主事からこういうことを言ってきているんです。三十九年の七月に現在の職につきました。つまり管理主事になったわけですね。その際に約二百万円の退職金を所持しておりましたが、給与が安く、その上に物価の毎年の高騰によって毎月少しずつ退職金を生活費の補てんに充てて、現在全く消えてしまったということです。この人の四十六年の給与所得を見ると、ボーナス込みで七十三万八千七百円、一カ月当たり六万一千五百五十八円の計算になります。こうしたことから、全国管理主事連絡協議会は、手当を除いて月額六万五千円の給与改定の要求を提出しましたが、この要求は当然だと思いますが、どのような改善がなされましたかと。これは実は私はもう予算委員会でしょうと思いましてね、三月の半ばごろまでには全部一時間半ぐらいの質問を書いておったのですが、やる機会がありませんでしたから、いま御答弁の中にありましたように、四月から多少給与が改定をされたと、本人からもそのように言ってまいりました。しかし、この二百万円の退職金がもういまゼロになってしまったというような話でね、それで、今度は四六時中家にいなければいけませんね、そのために、一体奥さんの立場はどのように評価されているのでしょうか。
#103
○政府委員(遠藤政夫君) こういう人たちの給与の実態は先ほど申し上げたとおりですが、必ずしも十分だとは思いません。今後さらに一そうこの人たちが十分管理主事として職務を遂行できるように努力してまいりたいと、かように考えております。この管理主事の人たちは、家族でこの雇用促進住宅に入りまして、御主人だけでなくて、奥さんも一緒にこの管理の仕事に当たられるわけでございます。そういった意味合いからいたしまして、中沢先生の御質問の御趣旨は、その奥さんに相当する分まで給与に含めるべきじゃないかという御趣旨かと思いますが、まあ、御趣旨はたいへんよく理解できるわけでございますが、そういう意味合いにおきましても、振興協会のほうにおきましてもこの給与改定については非常に心を砕いておりまして、制約された経費の中で自前で処理いたさなければならぬたてまえでございます関係で、そういった経費をできるだけ節約して、この管理主事の給与改定に充てたわけでございまして、引き続き今後ともそういう趣旨で努力してまいりたいと考えております。
 それから、先ほどたいへん失礼いたしました。私、手持ち資料の中で数字、間違っておりまして、総数は先生御指摘のとおり七百人でございます。どうもたいへん失礼いたしました。
#104
○中沢伊登子君 そうでしょう。あんまり、一けた違い過ぎておかしいなと思っておりました。
 そうすると、この人たちのベースアップ、これはやっぱり人事院勧告になるわけですか、それとも雇用促進協会がやるのですか、大蔵省と労働省との相談の上で人事院勧告でやるのですか、どっちですか。
#105
○政府委員(遠藤政夫君) これは雇用促進事業団職員でもございませんし、御指摘のように雇用振興協会の職員になっておりますので、雇用振興協会が雇用促進事業団と相談いたしましてその経費のワク内でこの引き上げの措置をとるわけでございます。
#106
○中沢伊登子君 まあ、そういう立場ですけれども、この管理主事なんかの業務をしている人たち、これは先ほどのお話ではありませんが、六十五歳までと、本人の希望によっては六十七歳まで管理主事をやることができる、こういうような中で、まるでこれが老人福祉対策の一環ぐらいに考えてもらうことは、ちょっと心外だと思うわけですね。
 そこで、言うまでもなく、この管理主事は雇用促進住宅などの貴重な国有財産を管理するという重要な仕事をやっているわけですから、それが安い賃金の上に定期昇給までも奪われているというような状態で、責任のある仕事を要求するのは無理になってまいります。ここで、ぜひとも管理主事等の人権も認め、仕事も認め、そしてまた、四六時中在宅しなければならない奥さんの協力なくしてはできないわけですから、妻の労働を賃金の面でもあるいは見てやるようなことはできないのかどうか。たとえば駐在所の奥さんにはいままで四千円の奥さん手当がついておったわけです。それが一昨年ぐらいからあんまり四千円では安過ぎると、この駐在所の奥さんも、夜の夜中に酔っぱらいが道を聞きにきたりあるいはいろいろな問題が起きて、駐在所の奥さんには奥さん手当というのが、その四千円からたしか八千円になったと私、記憶しております。それは私がちょうど地方行政委員会にいたときにそれを問題にしたわけですけれども、こういうことですから、奥さん手当というのも考えてみる必要があるんじゃないか、このように思います。そこで、ぜひともこの管理主事の仕事なんかも十分に評価していただくようにお願いを申し上げておく次第でございます。
 それから、こうしたようなたいへん安い賃金の上に定期昇給もないというようなことで、この管理主事の人手が不足だという話を聞きますが、その点はいかがですか。
#107
○政府委員(遠藤政夫君) 従来は先ほど申し上げましたように、炭鉱離職者の方だとかあるいは定年退職して何か仕事をしたい。そこで家族数がわりに少なくて、夫婦二人でできるような仕事というような希望者がかなりございますので、現在までのところはそういった人たちを対象にいたしまして、この管理主事の採用をいたしております。今後、年々雇用促進住宅を増設してまいりますので、そういった際も、今後は炭鉱離職者はもうあまり出てまいらないかと思いますが、定年退職者、高齢者を中心に管理主事を採用してまいるような方針で進めていきたいと思っております。
#108
○中沢伊登子君 あと、いろいろお尋ねをしたいんですが、やり出しますとまた相当な時間を費やしますので、きょうはこの程度にとどめておきます。
#109
○沓脱タケ子君 それでは、私はたいへん限られた時間ですので、きょうは労働者災害補償保険法の一部改正について、質問を行ないたいと思っております。
 まず第一に、私は本改正案が積極的な意義を持っているものとして、支持をしたいと思っております。しかし、若干の点では同意をしがたい点がございますので、その点についてただしていきたいというふうに考えています。すでに衆議院でも論議がやられておりますし、ごく簡単にお尋ねをしておきたいと思っています。
 その一つは二百円問題です。で、最初の一部負担金ということで、通勤途上の災害調査会の答申にあるから設けたんだということなんですけれども、一体二百円というのは何が根拠でやられたのかという点について、まあ、この制度のたてまえからいたしまして、どうも理解をしがたいものですから、その点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
#110
○政府委員(渡邊健二君) 二百円の根拠でございますが、これは先生いまおっしゃいましたように、通勤災害調査会の中に、「初回の療養を受ける際に一定額の一部負担を行なう」ことということが述べられておりまして、それに従ったわけでございますが、その趣旨は、通勤災害というのは、先ほども申しましたように、使用者の管理下において生ずる災害ではないけれども、その業務と密接に関連した社会的危険だと、こういう性格からその費用を、保険料は全額使用者負担とすると。しかしながら、やはり使用者の管理下で生ずる業務災害とは性格が全く同じであるとは言えない。そういう意味で労働者も受益者として一部を負担することが、公平の見地からも合理的だと、こういう考え方に立つわけでございますが、ただ、その負担が大きいと、これは通勤災害に被災いたしました労働者が保護を受けることが、その負担金のために困難だと、そういうことがあってはならないので、そういうことのない範囲ということで、二百円以内という額を定めたわけでございます。
#111
○沓脱タケ子君 で、あの労災会計に入るお金だと思いますけれども、財政上は年間どのくらいになりますか。労災勘定が四千二百億余りですね、昭和四十八年度。で、この二百円というのは、年間どの程度の金額になるでしょうか。
#112
○政府委員(渡邊健二君) 療養を受ける際に、初回の方が払われるわけでございますが、通勤災害でございますと、自動車損害賠償保険、いわゆる自賠と競合する場合がある。従来の例から申しますと、自動車にはねられたような場合には、まず自賠にかかられる例が多いと、この自賠でまず支払いがなされていると、それで済んでしまわれる方は労災上の療養に来られないわけでございますから、そういう意味で、件数はそう多くございませんで、われわれの見込みでは来年、四十八年度はこれは年度途中から始まることもありまして、二百七万円程度だけを収入としては予定しておる、こういうことでございます。
#113
○沓脱タケ子君 二百七万円、半年ですね、途中で二百七万円ということですから、まあ、四千二百億余りの予算との関連からいいますと、まさに財政対策ということではないということだけは非常にはっきりしたというふうに思うわけですが、なぜ二百円というものを、これは金額の多寡は先ほど局長御説明なられましたけれども、負担ができないような金額であってはならないと、まあ、財政対策でもないと、しかし、わずかでも金は取らないかぬということなんだけれども、なぜわずかでも金を取らないかぬかという意味がどうもわかりにくいわけです。通勤途上災害調査会では資本家側から通勤途上災害を給付の対象にするなら労働者にも保険料を払わせというふうな意見があったと、これは。それから、こういう前後の事情があって、私はこんな財政上、何の役にも立たない程度の金額、そういった、意味のない労働者に対する負担の制度というのはやめるべきではないかと考えるわけです。こういう制度について私が納得しがたいなというふうに思います一つの考え方の論拠でございますけれども、この制度というのは、大体労災保険というのは、全額資本家負担、掛け金ですね、資本家負担が原則になっていると思いますが、こういう原則に対して好ましい影響を与えるのだろうか、やはり否定的な影響を序えるものではないかという気がするわけです。したがって、全額資本家負担の原則を貫くと、こういう点を拡大をされてこそ、労働者を守るという立場では当然の措置だと思うのですけれども、これをくずすような萌芽、たとえ、萌芽であってもこれはよくないのではないかというふうに考えるわけです。したがって、二百円の負担制度を設けるという積極的な意味、こういうものがない以上はやめたほうがよいのではないかというふうにどうしても考えるわけですが、その点、もう一度御見解を伺っておきたいというふうに考えます。
#114
○政府委員(渡邊健二君) 先ほども申し上げましたように、こういう労働者の一部負担金を設けましたのは、考え方の問題といたしまして、通勤災害調査会の中においていろいろな論議があり、その結果といたしまして、先ほど申しましたような考え方で労・使・公益の三者の意見が一致を見たわけでございます。したがいまして、先生がおっしゃいましたように、財政対策というよりは考え方に基づくものであるというふうにわれわれ理解をいたしております。
 なお、労災保険にこういう一部負担を設けたのは、労災保険の使用者全額負担というたてまえをくずすのではないかと、こういう御懸念でございますが、通勤災害は先ほどから申しておりますように、純粋の業務上の災害とはこれは全く性格が同じであるというわけではないのでございますが、通勤災害調査会におきましては、通勤災害について、これは業務上の災害に準じた保護をすることが必要であるという前提に立ちまして、そうであるとすれば、行政効率からいっても、現に業務上の災害の補償を行なっている労災保険の仕組みを利用してこれを行なうことが合理的であると、かように申しておられるわけでございます。そこで、労災保険の仕組みの中で、給付の事由、給付水準等、業務災害と同じでございますので、同水準でございますので、労災保険の中でやっておるわけでございますが、しかし、やはりその保険料の計算の基礎あるいはそれに要するいろいろな費用の算出の基礎等につきましては、業務災害は全額使用者負担というたてまえに立ってやっておりますわけでございまして、新たに設けた通勤災害について一部初回の療養の際の負担を設けましたけれども、それによって業務災害の部分についての使用者の全額負担という原則はいささかもこれは変わることはございませんので、御懸念のようにそれが業務災害についてまで使用者負担の原則がくずれるのではないかということにはならないとわれわれは考えております。
#115
○沓脱タケ子君 いまの御見解は、先ほど柏原委員が御質疑になっておられました業務災害に準じてという待遇上の問題ですね、この問題と大いに関連があろうと思うのです。先ほど大臣、こうおっしゃっていましたね、時期を得たら何とかやりたい、いますぐはぐあいが悪い、こうおっしゃっておる。そのことは給付上の問題でそういう御見解が出るなら二百円問題だって同様ではないかという論にならざるを得ないわけです。局長の御意見だと、これは業務災害に準ずると、あくまでもその立場なんだということを強調されておられる。大臣の先ほどの柏原委員に対する御質疑からいうと、これはちょっと同じように扱われなければならない内容ではないかというふうに思うわけです。そうでありませんと調査会等で労・使・公益それぞれ三者一致した見解でと盛んにおっしゃっておられますけれども、しかし結論として妥協の産物として一致したかもわかりませんけれども、相当な論議があったということは局長もお認めになっておられるわけです。そういう点では給付上の問題で大臣の御見解を表明されておられるのであったら、これは二百円問題だって同じ扱いをして差しつかえないのではないかというふうに思うのですけれども、大臣、御見解いかがでしょうか。
#116
○国務大臣(加藤常太郎君) これは衆議院でもこの問題だいぶ私、四苦八苦したのでございますが、役所の連中にも、もう二百円というちっぽけなことを言うな、こう言って私はだいぶ皆さんの御意見と同じようなことをやりましたのでありますが、調査会の意見も出ておるし、法案も出たし、私、ざっくばらんのほうでありますが、いろいろのいまの点等を含めて、全然ということもあれだから、まあ、調査会でもこの程度はいたしかたない、こういうようなことでありますので、十分先ほどの御質問と同様、それ以上にまた検討して何とか今後これは考えます。
#117
○沓脱タケ子君 大臣、率直におっしゃっておられますように、衆議院で相当論議をかわされておりますから、私、あまりこれに時間をとりたいと思っていないのです。しかし、先ほどの御答弁がありましたから、これは同様の趣旨でおりを見て時を得たらひとつ実現をさせるというかまえでやっていただくということが望ましいと考えるわけです。
 先ほども柏原委員からも御質疑がありましたけれども、やはり通勤途中災害というのが給付面でも当然業務災害に準ずるのではなくて、業務災害と同様に扱われなければならないという点については、これは私は現在の社会的な情勢というのがそれを要求しているんではないかというふうに思うわけです。その点ではこれは全部労働者がそれぞれの事業所の社宅とか構内に生活をしておるというふうなことでありましたら、これはまた話は別でございますけれども、どんどん通勤時間が延長されていくというふうな状況あるいは交通災害というのは本人の意思いかんにかかわらずどんどん起こってくるというふうな状況、そういった中では、これは局長は使用者の管理下に入ってないからと、こうおっしゃるけれども、管理下に入りたいと思ったって構内にある社宅に全員入るというふうなことはこれはもう不可能なんです。そういう中で起こっている問題ですから、これは二百円問題とともにぜひ給付の内容についても先ほどの大臣の御答弁、できるだけ早く実現をされるように特に強く要求をしておきたいと思っております。
 次に、本改正案の運用でやはり最も大切な点というのは、この改正案が、改正案の水準というものをやはり最高のものにしてはならないということだと、どうしてもこの水準を最低のものとして労働協約などで前進的なものになることというのが労働者を保護していく精神だと思うんですが、この法律ができたためにかえって水準が低められるというふうなことのないように、労働省は運用についてそういった点の姿勢を貫いて運用に当たっていただけるかどうか、その点の御確認を申し上げておきたいと思うんです。
#118
○政府委員(渡邊健二君) 御指摘のように民間企業にお碁ましては、労働協約や就業規則などによりまして、従来従業員の通勤災害に対しまして一般の私傷病とは異なった取り扱いをして見舞金その他を送っておる例もあることは私ども十分承知いたしております。そういう企業内におきます取り扱いというのは、法律上の義務とかそういうことではなしに、労使の自主的な取りきめあるいは企業の任意によって行なっておるものでございますので、今後の取り扱いにつきましても、あくまでもやはり労使が自主的に解決していく問題ではございますけれども、しかしこれまで今回の通勤災害保護制度よりももっと上回る取り扱いをしていた企業であれば、これはやはり労働者の保護、労働者の福祉、こういう見地からいたしまして、今回の労災法の改正が行なわれたということによって、それが低下されるということは好ましくないことでございますので、そういうことができるだけないように指導してまいりたい、かように考えております。
#119
○沓脱タケ子君 それじゃ、時間がありませんから問題を移しますが、次にお尋ねいたしたいのは、鉛中毒の問題についてお伺いをしたいのであります。
 去る二月の三日に本省で労働組合の全石油中央本部と交渉をなさったときに労働省は慢性鉛中毒についてはいままでに例がないし、将来もないであろうと断定をされたというふうに全石油の方々が受け取っておられるわけですけれども、そういう、将来もないというふうな断定をされておられるのかどうか、まずそれを伺っておきたい。
#120
○政府委員(中西正雄君) 先生御指摘のように本年二月三日全国石油産業労働組合の代表者が労働省に参りました際に、四アルキル鉛中毒に関しまして次のように答えております。四アルキル鉛の慢性中毒に関する専門家会議の報告が昨年末に提出されたのでございますが、その内容を実は申し上げたわけでございます。
 第一に、この四アルキル鉛が体内に吸収されましても、これは無機の鉛と違いまして比較的早期に体外に排出され、四アルキル鉛として体内に蓄積されるという可能性は薄いのでございまして、したがって慢性の四アルキル鉛中毒という症例は実は諸外国にもわが国でも現在のところまだ見当たらないということでございます。
 それから第二といたしまして、長期に曝浴を受けました場合には体内において無機鉛に変化し、これが体内に蓄積されるという可能性が理論的にはあるということでございます。しかしながら現在までにそのような症例は見当たっておりません。このようなことを申し上げたわけでございます。
#121
○沓脱タケ子君 時間を急ぎますから、それじゃその症例の具体例ですね。これは新聞報道ですがね、ことしの九月九日の朝日新聞に報道されておりましたけれども、「タンクローリーの運転手多数が有機鉛中毒」というのが出ております。おそらく御承知だと思いますが、これによりますとこういうふうに記載されている。「車のノッキングを防ぐため、ガソリンに添加されている四アルキル鉛による有機鉛中毒患者が、石油基地に働くタンクローリー運転手の中に出ている、と八日、福島市の市民福祉会館を中心に開かれた東北医師会連合会総会の学術大会で、宮城県塩釜市錦町、私立坂総合病院の広瀬俊雄内科医師が症例を発表した。同、医師は「タンクローリー運転手の中に中毒患者が広がりつつあり、早急に対策が必要」と指摘している。発表によると、塩釜市は東北の石油基地で患者はその基地に働く四十四歳のタンクローリー運転手。運転歴十七年だが、ここ数年、頭痛、めまい、不眠多夢」――夢が多いということです。「不眠多夢のほか、右手指先が押しつぶされたような感じがする知覚異状など、中枢神経症状が続いている。
 血液中の鉛濃度を調べたところ、百cc中に七十九マイクログラムあり、労働省の定めた鉛中毒認定基準の六十マイクログラムを超えていた。」というふうに出ているわけです。
 そこで、こういった症例が報告をされているわけですが、こういうふうなものが発表されている以上、先ほどお答えになられましたような専門家会議の結論の報告をしたのだということでないというふうに言われたのだというのですけれども、こういうことが発表されてくる以上、断定できないのではないかというふうに考えるわけです。その点はどうですか。
#122
○政府委員(中西正雄君) 実は労働省としましては、この専門家会議の報告を受けたあとも問題が非常に重要であることにかんがみまして、さらに実態調査を実施いたしております。本年の三月から八月の間に関東地区の給油所、ガソリンスタンド等につきましてタンクローリー運転者に関する実態調査を行なったのでございます。その結果、作業環境地区の四アルキルの濃度等あるいは運転者の脳中の鉛量等から見まして一般住民と特に区別できるような値は得られておりません。しかしながら、先ほども申し上げましたように、長期曝浴によって体内に普通の鉛が蓄積するという可能性もございますので、今回の発表につきましては十分に検討いたしたいと考えております。その結果、この四アルキル鉛による慢性中毒の事実がありとすれば、これは十分にその予防対策等について検討いたし、必要な措置をしたいというふうに考えております。
 なお、タンクローリーの運転者がこの加鉛ガソリンを大量にといいますか、浴びることによって急性の四アルキル鉛中毒にかかるというおそれがございますので、この点につきましては、次のような予防措置を行なうように指導いたしたいと考えております。
 その第一は、誤操作によるタンクローリー等からのガソリンのあふれ出るということを防止するために表示装置を設けるというようなことをさせる。第三としましては、給油作業に関する作業標準の設定をさせる。第三には、加鉛ガソリンに汚染されました衣類等を交換する、あるいはよく身体を洗うというようなことについて徹底をはかりたいと考えております。第四は、関係作業者につきまして必要な衛生教育を実施いたしたい。このようなことをやらせたいというふうに、指導いたしたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#123
○沓脱タケ子君 いま、まあ、中西部長がおっしゃったんで、指導を強めるという中身をおっしゃっておられるんですが、念のためにお聞きをしたいんですが、いま新聞で報道されたという私が提起いたしましたこの運転手というのはモービル石油の労働者です。で、仙台監督署は職場を調査したというふうに聞いているんですけれども、その結果は出ておりますか。
#124
○政府委員(中西正雄君) 御指摘のこのモービル石油塩釜油槽所の倉持さんというタンクローリー運転者の方が、昨年の九月に全石油塩釜分会が健康診断を行なった、その結果、血液一デシリットル中に七十九マイクログラムの鉛が検出されたということを聞いているわけでございますが、実はその実情を現在調査中でございます。まだ結果はわかっておりません。
#125
○沓脱タケ子君 それじゃ、調査が出ておらなければやむを得ないと思うんですが、現にそういう調査結果が報道されるという段階になっておりますと、きわめてこの影響は大きいのではないかというふうに思うわけです。そこで、たとえばこのタンクローリーの運転手だけではなくて、考えられるのはガソリンスタンドの勤務員、これは長期勤務をしている人は同じような条件に置かれると思うのです。あるいは、この大企業あるいは一定の企業の労働者だけではなくて、最近、タンクローリー一台持っている下請の労働者ですかね、そういう方々も非常に多いと思いますので、そういったところの人たちも含めて調査を厳重にやっていく必要はないんだろうかというふうに思いますが、これはどうです。
#126
○政府委員(中西正雄君) 先ほど申し上げましたような予防対策を業界に対して強力に指導してまいりたいと思っております。
#127
○沓脱タケ子君 まあ、そういう立場をおとりになっていただくということが私は非常に望ましいわけですが、特にちょっと心配をしますのは、いまのモービルの労働者の方、四十四歳ですね。で、近く労災申請もやるというふうな話も聞いておりますけれども、特に労働省としてお願いをしておきたいと思いますのは、本人は治療中でもありますし、早く健康が回復できるように本人や医師の意見などを十分聞いて、十分な調査をしていただくのはけっこうだと思うんですけれども、結論を出すのがうんと延びるということのないように適切な措置をおとりになっていただきたいというふうに考えるわけですが、その点どうでしょう。
#128
○政府委員(中西正雄君) 業務傷害の申請書が出ましたならば、さっそく慎重に検討いたしまして、できるだけ早く結論を出すようにつとめたいと考えております。
#129
○沓脱タケ子君 私は、先ほどもちょっと小谷委員からも出ておりましたけれども、こういうことに関連をいたしまして、職業病が激増するという昨今の労働環境の中で、対策の問題を先ほどもお述べになっておられたのですが、一点だけ伺っておきたいのは、そういった職業病というのは新しい分野に次から次とあらわれてくるというのが現在の特徴だと思うのですが、そういった点についての研究費ですね、これは、昭和四十八年度はいかほどになっておりましょうか。
#130
○政府委員(渡邊健二君) 四十八年度におきまして、職業性疾病に関する研究の予算措置は一千二百八十六万円を計上いたしております。
#131
○沓脱タケ子君 これは疾病別にして幾つくらいのグループに分かれていて、それはそれぞれ幾らになりますか。
#132
○政府委員(渡邊健二君) 大きな項目としては、精神神経障害関係の委託調査研究費と、それから災害科学研究費、その中にはカドミだとか砒素だとか、こういうものがございます。疾病は例似はございますが、その他というようなくくりもございまして、近ごろは当初予算編成の際に予定しなかったような新しい疾病も出てまいりますので、臨機に必要な研究を委託できるような形になっております。
#133
○沓脱タケ子君 これは時間がありませんから、多くを申し上げるつもりはないのですけれども、たまたま私が医者の端くれだということでわかる例があるわけですけれども、たとえば腰痛症の研究ということで五十万であったり七十万であるというふうな実に零細な金額で研究委託されているという実例などを耳にするわけです。そういうことでは次から次と新しく発生してぐる職業病対策というふうな点ではきわめてお粗末過ぎやしないかということをかねがね感じておるわけでございますが、四十九年度概算要求はどのくらいふやしておられるか、ちょっと心配なんで伺っておきたいと思います。
#134
○政府委員(渡邊健二君) 四十九年度要求といたしましては、約四千万円くらいを要求をいたしております。
#135
○沓脱タケ子君 もう時間があまりありませんので、最後に御迷惑をかけないように簡単にやりたいと思っておりますので、ごく簡単にお聞きをしておきたいと思うわけです。
 それは先ほどもすでに質疑の中に出ておりますし、御答弁も、一定の前進した御答弁もいただいておるわけなんで、私は強く申し上げようとは思っていないわけですが、これは何としても申し上げておきたいと思いますことは、労災保険の給付水準の向上についてと、こういう点が、これは私が申し上げるまでもなしに、ぜひこの点についてははっきりしてもらいたいというふうに思うのは、一般論ではないのですね。たとえば休業補償が六〇%、ILOの水準まではいっておるんだがと大臣はおっしゃっておられましたが、給与水準がうんと豊かでございますと、六〇%でもいけるかもしれませんけれども、いまの高物価のたいへん苦しい物価との関係では、低賃金な中で六〇%で、しかも病気になったら、これは生活を維持するのにきわめて困難です。これは明らかなんで、そういった点はILO水準にとらわれることなく、業務上疾病あるいは災害を受けた場合にですね、少なくとも安心して療養のできるという水準、これはどうしても確保しなければならないのではないか。
 それからもう一つは、障害補償年金の第一級、これは七六%なんですね、そうなってくると厚生年金の第一級障害年金というのは一二五%なんですね、制度内で非常に大きなアンバランスがすでに目につき出してくるわけです。そういう点も含めてこれはどうしても早急な改善が必要ではないかというふうに思うんですが、これは遺族年金についても同様でございますね。労災の遺族補償年金というのが三〇%ですね。で、厚生年金のほうになったら五〇%というふうに、同じ条件でありながら率が大きく開きが出てくるというふうなことというのは、やはり制度上非常によくないのではないかというふうに考えるわけです。そういう点で、先ほども積極的な御答弁がすでに出ておると思いますけれども、再度その点について御見解を承っておきたいと思います。
#136
○国務大臣(加藤常太郎君) この問題は、衆議院のほうでも、また、これは各方面から、労災保険はあらゆる関係から検討せよという要望があり、また、労働省自体でももうその時期が来ておるというので、本年一月労災補償制度全般について再検討に着手いたしております。これはよく大臣なり局長が言うんでありますが、やっぱりその労災保険の審議会がありますので、そこに諮問いたしまして、基本問題懇談会、特別のものを設けまして、もう最終段階にだいぶ到達いたしております。この結論が出ますれば、これを大いに尊重いたしますが、それに労働省といたしまして十分皆さんの意見も踏まえて所要の具体的な措置を講ずる所存であります。いまそれが何月だと、もう一月だというと、あまり期限つけると、またこれ、文句が、いろいろなことがありますので、これはひとつおまかせ願って、大体その機運にもう到達いたしておりますから、その検討の結論が出ますと同時に着手いたす所存であります。
#137
○委員長(大橋和孝君) それでは、他に御発言もなければ、三案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#138
○委員長(大橋和孝君) 御異議ないと認めます。
 別に討論もないようですから、これより直ちに三案の採決に入ります。
 まず、雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#139
○委員長(大橋和孝君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#140
○委員長(大橋和孝君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、船員保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#141
○委員長(大橋和孝君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#142
○小平芳平君 私は、ただいま可決されました雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案の両案に対し、それぞれ自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党の各派共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。
   雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を
   改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について努力すること。
 一、定年の引上げがすみやかにひろく実現されるよう、必要な財政上の施策を充実することその他関係者に対する積極的な指導援助を行なうこと。
 一、定年到達者の再就職援助計画の作成及び再就職援助担当者の業務については、定年に達する労働者及び関係労働組合と協議し、その意向を尊重して行なわれるよう配慮すること。
 一、定年到達者に限らず、広く高年齢労働者の職業の安定のため、職業訓練の充実、職業紹介の体制の整備等の措置を講ずること。
 一、失業保険制度の抜本的改善について早期に検討を行ない、その際、福祉施設のあり方についても明確にするとともに、雇用対策に関する一般会計予算の充実に努めること。
 一、心身障害者の雇用を促進するため、雇用率の実効性の確保、雇用促進のための援助策の充実等に努めること。
 一、心身障害者を多数雇用する事業所に対して、官公需についての受注の機会が確保されるように努めること。
 一、移転就職者用宿舎については、入居期間の延長及び間取りの改善を図り、実情に即した運営に努めること。
  右決議する。
    ―――――――――――――
   労働者災害補償保険法の一部を改正する法
   律案に対する附帯決議(案)
  政府は、被災労働者及びその遺族の福祉の増進を図るため、次の事項についてすみやかに所要の措置を講ずべきである。
 一、通勤と業務との密接な関連性等にかんがみ、通勤災害を業務上の災害とするよう検討すること。
 一、通勤災害保護制度を特別加入者へも適用することについて、すみやかに検討すること。
 一、労災保険の全面適用を早急に実現すること。
 一、労災保険の給付改善については、すみやかに必要な措置を講ずること。
 一、被災労働者の社会復帰を一層促進するため、リハビリテーション諸措置を充実すること。
 一、通勤災害保護制度の円滑な実施、災害の予防及び職業病の発生防止を図る等のため、関係職員の大幅増員に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
#143
○委員長(大橋和孝君) ただいま小平君から提出されました両附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 両附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#144
○委員長(大橋和孝君) 全会一致と認めます。よって、小平君提出の両附帯決議案は、いずれも全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
 ただいまの両決議に対し、加藤労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。加藤労働大臣。
#145
○国務大臣(加藤常太郎君) ただいまいろいろ審議いただきました結果、御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、関係各省とも協議の上、善処してまいる所存であります。
#146
○委員長(大橋和孝君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#147
○委員長(大橋和孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後四時四十九分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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