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1972/09/14 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第25号
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1972/09/14 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第25号

#1
第071回国会 社会労働委員会 第25号
昭和四十八年九月十四日(金曜日)
   午後二時四十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月十四日
    辞任         補欠選任
     君  健男君     吉武 恵市君
     寺下 岩蔵君     船田  譲君
     小谷  守君     鶴園 哲夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大橋 和孝君
    理 事
                玉置 和郎君
                丸茂 重貞君
                須原 昭二君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                川野辺 静君
                君  健男君
                斎藤 十朗君
                塩見 俊二君
                高橋文五郎君
                寺下 岩蔵君
                橋本 繁蔵君
                船田  譲君
                山下 春江君
                吉武 恵市君
                鶴園 哲夫君
                藤原 道子君
                柏原 ヤス君
                中沢伊登子君
                沓脱タケ子君
   衆議院議員
       社会労働委員長
       代理理事     橋本龍太郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君
   政府委員
       厚生政務次官   山口 敏夫君
       厚生大臣官房長  曽根田郁夫君
       厚生大臣官房審
       議官       石野 清治君
       厚生省公衆衛生
       局長       加倉井駿一君
       厚生省環境衛生
       局長       石丸 隆治君
       厚生省医務局長  滝沢  正君
       厚生省薬務局長  松下 廉蔵君
       厚生省社会局長  高木  玄君
       厚生省児童家庭
       局長       翁 久次郎君
       厚生省保険局長  北川 力夫君
       厚生省年金局長  横田 陽吉君
       社会保険庁医療
       保険部長     柳瀬 孝吉君
       社会保険庁年金
       保険部長     出原 孝夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       国税庁直税部所
       得税課長     水口  昭君
       厚生大臣官房審
       議官       福田  勉君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○覚せい剤取締法の一部を改正する法律案(衆議
 院提出)
○有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大橋和孝君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 この際、御報告をいたします。
 健康保険法等の一部を改正する法律案について、地方行政委員会、大蔵委員会、公害対策及び環境保全特別委員会、及び物価等対策特別委員会と、また、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について、地方行政委員会及び農林水産委員会と、それぞれ連合審査を開催することとし、同日時につきましては委員長に一任となっておりましたが、関係委員長と協議の結果、都合により取りやめることになりました。
 また、健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、両案審査のため、参考人の出席を求めることを決定し、日時、人選等につきましては委員長に一任されておりましたが、理事会で協議いたしました結果、都合によりこれを取りやめることとなりました。
 以上、御報告をいたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(大橋和孝君) 健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、以上四案を一括議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○須原昭二君 去る十一日の本委員会における質疑の継続になるわけでありますが、提案をされております健康保険法等の一部を改正する法律案、これに関連をいたしまして若干この際お尋ねをいたしておきたいと思います。前回のお約束では薬価の問題に入る予定になっておりましたが、その中へ入る前に若干お尋ねいたしたい事項があるわけです。
 それは国民健康保険法の問題であります。同じ国民健康保険法に基づく市町村国保、あるいは国保組合において、国の負担をする補助率が、市町村国保におきましては四五%、国保組合におきましては二五%ということは、同じ法のもとにおける、この法の精神からいって、国民の平等な権利の立場に立ちますと筋が通らないような気がいたしてならないわけであります。この点についてどう政府はお考えになっておるのか、まず所見を承っておきたいと思います。
#5
○政府委員(北川力夫君) ただいまお話のございました市町村国保と国保組合に対する補助率の違いでございますが、この点につきましては、沿革的な問題と、それから現況と、両方あろうかと存じます。
 もともと国民健康保険組合は、発生的には、わりあいゆとりのあると申しますか、そういう組合をつくって、一つの小集団でやっていけるような方々が集まって国民健康保険組合というものをつくって、その中での社会保険をやっていくと、こういうことでできあがったものであることは先生も御承知のとおりだと思います。ただ、現在におきましては、その後のいろいろな経過もございまして、組合の中にも相当な財政事情のばらつきがあるわけでございます。
 そういう関係もございまして、かつまた、その後における各国民健康保険組合の財政事情も、いろいろな、疾病構造の変化とか、老人医療の実施とか、いろいろなことでかなりむずかしい状況になってまいっておりまするので、私どもは、この問題については、いまお尋ねのように、積極的に、いつまでもこういう格差を残しておくことが適当かどうか、これは十分にそれぞれの組合との財政事情を考えながら検討すべき時期に参っておると思っております。ただ、重ねて申し上げておきますが、非常に財政事情がばらばらでございまして、その中にもいろいろな事情がございますので、どういうかっこうの形でこの財政補助を強化すべきか、これはいろいろなきめのこまかい検討を続けていかなきゃならないと、このように考えているような次第であります。
#6
○須原昭二君 やはり一つの法の下で国民は平等な権利を持っておる、こういう立場から考えますと、この際、健康保険法の一部を改正する法律案が出てきたと同じように、やはり国民健康保険そのものを改正しなければならない時期に来ておるのではないかと思うんですが、この点は大臣どのようにお考えになりますか。
#7
○国務大臣(齋藤邦吉君) いま、保険局長からお答えいたしましたように、地域国保、それから国保組合、それぞれの沿革がありまして、そういうふうな補助率の差があるわけでございます。さらにまた国保組合自体につきましても、建設業組合それから食肉関係の組合、あるいは医師・歯科医師の組合と、さまざま、その国保組合については大体大ざっぱにいえば三つくらいの種類に分かれると思うんですが、それぞれの財政が違い、またそれぞれの沿革が違って独立の組合をつくっておると、こういうわけでございます。まあ、私どもは補助をするにあたりましては、それぞれの組合の財政の脆弱性ということがやっぱり一番中心になるわけでございまして、いまのような補助率がはたして現在の国保組合の財政の実情に合っているかどうか、私は疑問だと思っております。したがって、明年度の予算編成にあたりましては、もう少し実情に合うような内容の改善、これに全力を尽くして当たりたいと考えております。そして、必要に応じ法律の改正もしなければならぬではないか、かように考えておるような次第でございます。
#8
○須原昭二君 法律の改正をしなければならない段階に来ておるということで一応了承して、先にさらに詰めてまいりたいと思いますが、国保組合はいま私が調べた段階でも百九十四、その対象の被保険者数は二百五十一万、こういうふうに私たちは聞いておるわけです。しかし、この国保組合は日雇健康保険の擬制適用が廃止されたとき、厚生省の指導のもとに新しくできたものでありまして、いわば厚生省の産み落とした落とし子だと私は思うんです。そういう立場から考えますと、国保組合は市町村国保に比べて三倍も四倍も保険料を負担してもなお運営が苦しくて多くの赤字組合を出している、そういう現況があるわけでありまして、赤字にならないように自主的に保険料を値上げをして穴埋めをしておる、そういうことで組合の力関係によってアンバランスもございますけれども、本質的に三倍、四倍も保険料を負担をしている現実というものは、まさに負担の平等からいっても非常に不均衡ではないかと思うわけであります。したがいまして、そういう実態はどういうことになっておるのか、さらに詳しくお話をいただくと同時に、福祉優先を目ざす今日の時代において、あるいは福祉優先を目ざす厚生省としてこの現実にどう対処されようとしておるのか、さらにお話をいただけば幸いと思います。
#9
○政府委員(北川力夫君) ただいまお話のございましたように、またその中の例に出ましたいわゆる従来の日雇健保の擬制適用から国保組合に移行いたしましたグループ、このグループは、確かにいろいろな言い方はあるかもしれませんけれども、そのときの特殊な事情によって出てきたような事情がございます。また、そのために、このグループの組合は世帯主は十割、それから家族は七割と、こういう擬適当時の給付の率を維持いたしております。そういった意味合いから見まして、かなり負担の増加がかさんでおりますことも事実でありまするし、また、その他の組合につきましても一般の公営よりは給付がいいわけでございますから、そういった面で市町村国保に比べてかなりな負担の増がございます。そういう意味合いがございますから、私どもは現状を十分これは見きわめて、ただいま大臣が申し上げたような施策の展開に向かって努力をしなきゃならないと考えておる実情であります。現在のところ、四十六年度の結果で申し上げますと、全体の組合数が百九十四でございまして、この中で黒字の組合が百七十七、赤字の組合が十七と、このような状況でございます。四十七年度はいまのところまだ決定的な報告が参っておりませんから、実情について詳しく申し上げかねますけれども、四十七年度に関する限りはこの実情そのものは、数字そのものはそんなに大きな変更はないようでございます。ただ、四十八年度から、先ほども申し上げました老人医療の実施というふうな新しい場面を迎えておりまするので、四十八年度以降の状況についてはなかなか財政事情というものは逆賭しがたい状況にあろうか、以上のように考えているような実情であります。
#10
○須原昭二君 この国保組合に対する国庫負担の増額の問題についてはほんとうに長い間各方面から要望され、あるいは国会の中でも多く論議をされてまいった問題提案であります。振り返ってみますと、昭和四十一年第五十一回国会でありますか、衆議院におきましてわが党の八木一男さん、あるいは参議院の大橋現委員長、大橋委員長が当時の鈴木善幸大臣ですかね、に質問をいたしておるわけでありまして、その際、大臣は市町村国保が七割給付になったら、国保組合に対する国庫負担の増額を検討すると答弁されたことをわれわれは議事録の中から読み取ったわけです。かつ、このことについては附帯決議までなされておるわけです。さらに四十七年衆議院の後藤俊男委員から、当時の、いまおすわりになっております大先輩の塩見厚生大臣、あるいは今国会におきましては八木一男さんですか、御質問がありまして、現齋藤厚生大臣、二回にわたって増率の検討を約束されていることでありますが、きょうもまたお話を聞きますと、国民健康保険組合に対する援助と強化に関する件ということで衆議院の社労委員会、全会一致できょうも実は決議がなされておるやに聞いております。したがって、これら長い経過を見てまいりますと、やはり歴代大臣の発言はもとより、当面する厚生大臣といたしましても、これらの過去の経過からいって、当然もうやらなければならない段階ではないか、このように私たちは感ずるものでありますが、歴代大臣の言ったことは継承の義務がないというような感じすら承るわけでありまして、この点について、明確にこの際厚生大臣の所見をひとつ承っておきたいと思います。
#11
○国務大臣(齋藤邦吉君) 自民党の政権でございますから、前の大臣がお述べになりましたことは私は当然継承してやる責任を持っていると考えておるわけでございます。先ほども申し述べましたように、最近における国保の財政の事情等からかんがみまして、来年度の予算編成に際して、こうした問題を踏まえて折衝をし、その結果を踏まえて法の改正をやる必要があるのではないか、こういうふうに考えておりますので、前の大臣がいろいろお述べになりました趣旨を十分わきまえ、私もその責任を痛感をいたしまして努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
#12
○須原昭二君 大体まあ、具体的には御明示をいただきませんけれども、もうやろうと、こういう気持ちが厚生大臣の胸の中にあるやに聞きますけれども、そのように拝見をさしていただきます。
 そこで、私はお尋ねをしたいんですが、四十九年度の厚生省の概算要求を見ますと、国保組合に対する予算のうち、従来の臨時調整補助金、四十八年は確か四十三億だったと私は思うんですが、これらに該当するものが実は出ておらないのであります。まあ、二五%分の定率のみを実は要求をされている。こういう事実を見ますると、さきに社会党をはじめとして衆議院の中で提案をされました国民健康保険法の一部を改正する法律案を実は提案をいたしておりまするが、これを通過させてそれによって定率アップをする、あるいはまた、調整金を追加要求するというふうに理解していいのかどうか。この概算要求の実態からいって、いま大臣がおっしゃるところの決意の表明、それと勘案をして将来展望ですが、そう行き続けていいのかどうかということをひとつあらためてお尋ねをいたしておきたいと思います。
#13
○国務大臣(齋藤邦吉君) 昭和四十九年度概算要求にあたりましては、国保組合、さらに地域国保の関係、船員保険の関係、全部ひっくるめまして実はまだ要求をしていないわけでございます。と申しますのは、御審議いただいております健康保険法の審議の推移を見定めませんと全体を見渡した結論が出せないわけでございます。そこで、保険関係の来年度の概算要求はあと回しということにして、第二次要求をすることになっております。したがってまだ出していないということでございますが、出すにあたりましては、先ほど来申し述べましたように、この健康保険法の御審議の推移を十分見定めて、それと見合いながら、先ほど来申し述べましたような気持ちで概算要求を第二次として要求をしたい、かように考えておる次第でございます。
#14
○須原昭二君 そう明確におっしゃいますと、もう少しまたくどいようでございますが、これはやはり定率アップ、調整金というものを追加要求していく心がまえだと、こういうふうに解釈してもいいでしょうか。
#15
○国務大臣(齋藤邦吉君) 具体的な数字等については、まだ健康保険法が成立してない現段階において数字を申し上げることは遠慮さしていただきたいと思いますが、皆さま方の意のあるところは十分承知いたしておるつもりでございます。
#16
○須原昭二君 まあ、きわめて抽象的でありますが、数字は申すわけにはまいらぬことはよくわかります。ですから、その意向でひとつ進めていただくようにお願いをいたしておきたいと思います。
 さらに、私はこの際、最近の新聞でちょっと拝見をいたしたわけでありますが、大臣は去る九月十二日でしたか、全国知事会議に御出席されまして、市町村国保の国庫負担率、これを四五%から五〇%に増率、引き上げる方向で検討している、こういうことを実は新聞紙上の報道から私は拝見をしたのでありますが、同じ法律に基づく国保組合については何ら触れられておらない。それは、ときたま、あたかも全国知事会議の席上であるから市町村国保だけを指摘をされたのではないかと善意に解釈をいたしておりますが、残されている国保の問題についてはどのように推進をされるのか。この際、市町村国保と同じように何%に上げるんだと、このぐらいは明確にされても私はいいのではないかと思うんですが、どうでしょう。
#17
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先般の知事会議には、これは市町村長の希望を代表してお願いをしたいということで市町村国保のことについてお話があったわけでございまして、そのときの知事さんに対するお答えとして、市町村国保については調整交付金を含めて四五%を五〇%にしていただきたいという要望もありますので、そういう点は十分踏まえて検討いたしますと申し上げているんです。いま須原委員のお述べになりましたように、五〇%の予算要求をしますという回答をしておりません。そういう要望がありますので、十分そういうことは踏まえて善処いたしてまいりたい、こういうことを申し上げているわけでございます。したがって、もとより市町村国保についてだけ考えるなんということは、先ほど来申し上げておりますように、考えておりません。全般を見渡しながら、すなわち市町村国保、国保組合、あるいは船員保険組合、船員保険、そういうもの全部をひっくるめまして、今後の医療保険についてどういうふうな補助でいくべきであるかということをこの法律が成立いたしました暁に総合的に検討して概算要求をする、こういう考えでございまして、国保組合をおいていこうとか、そんなことは一つも考えておりません。
#18
○須原昭二君 大臣のおっしゃいましたことについては、私は善意に受け取りたいと思います。定率のアップ、調整金の増額、さらにはまた国民健康保険法の改正の問題、これは早急にひとつやっていただきまして、法のもとにおいては平等であるという原則にのっとって、適切な処置を早急にやっていただくことを要望いたしておきたいと思います。
    ―――――――――――――
#19
○委員長(大橋和孝君) 質疑の途中でありますけれども、この際、覚せい剤取締法の一部を改正する法律案、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律案、両案を議題とし、順次趣旨説明を聴取いたします。衆議院議員社会労働委員長代理理事橋本龍太郎君。
#20
○衆議院議員(橋本龍太郎君) 覚せい剤取締法の一部を改正する法律案の提案理由の御説明を申し上げます。
 本案は、最近における覚せい剤事犯の増加及び悪質化が保健衛生上及び治安上きわめて憂慮すべき問題を提起しております現状にかんがみまして、覚せい剤原料に関する指定、制限、取り扱い等に関する規定を整備するとともに、覚せい剤犯罪に対する罰則を麻薬取締法並みに引き上げることとし、もって覚せい剤犯罪の取り締まりを強力に推進し、その根絶をはかろうとするものであります。
 そのおもな内容を申し上げますと、第一は、覚せい剤原料の取り扱い及び監督の強化に関する事項であります。
 すなわち、覚せい剤原料輸入業者及び輸出業者の指定に関する制度を新設し、覚せい剤原料の輸入または輸出は指定を受けた者でなければこれを行なうことができないことといたしました。
 また、覚せい剤原料の製造、譲渡等につきましては、薬事法による許可を受けている者についても、原則的に覚せい剤原料製造業者または取り扱い者の指定を必要とするように改めることといたしました。
 さらに、覚せい剤原料の不正使用を防止するため、その譲渡、譲り受け、保管及び廃棄の手続について、覚せい剤そのものと同様の規制を行なうことといたしております。
 第二は、覚せい剤犯罪に対する罰則を強化することであります。
 すなわち、現行の覚せい剤取締法違反の罪に対する最高刑である「一年以上十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金」を「無期又は三年以上の懲役及び五百万円以下の罰金」に引き上げるほか、以下それぞれの違反行為の段階に応じ罰則を強化することとし、また覚せい剤及び覚せい剤原料の密輸出、密輸入及び密造について、その予備を罰するとともに、これに要する資金、建物等の提供及び不正取引の周旋を独立罪として罰することとしようとするものであります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由でございます。何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#21
○委員長(大橋和孝君) 齋藤厚生大臣。
#22
○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいま議題となりました有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 近年における化学工業の発展並びに国民の消費動向の変化に伴い各種の化学物質が繊維製品等の家庭用品に使用され、国民生活に多大な利便を与えておりますが、その反面、このような化学物質を使用した家庭用品による健康被害が発生し、このことが消費者の深い関心を集めているところであります。
 有害物質を含有する家庭用品については、従来から毒物及び劇物取締法等によりその一部について必要な規制を行なってまいりましたが、国民の健康を保護するためには、さらに、有害物質を含有する家庭用品全般について規制する必要があるので、新たにこの法律案を提出することとした次第であります。
 以下、この法律案のおもな内容について、御説明申し上げます。
 第一に、家庭用品について、有害物質の含有量等に関し、必要な規制を行なうことといたしております。すなわち、保健衛生上の見地から、家庭用品について有害物質の含有量等に関し必要な基準を定め、その基準に適合しない家庭用品の販売等を禁止するとともに、基準に適合しない家庭用品による人の健康被害の発生を防止するため必要がある場合その他緊急の場合には、すでに販売された家庭用品の回収その他の措置を構ずることといたしております。
 第二に、有害物質を含有する家庭用品の監視体制については、国及び地方公共団体に家庭用品衛生監視員を置き、立ち入り検査等の業務を行なわせることといたしております。
 その他、家庭用品の製造または輸入の事業を行なう者は、事業者の責務としてその家庭用品について含有される物質の人の健康に与える影響を把握し、その物質により人の健康被害が生ずることのないようにしなければならないことといたしております。
 以上がこの法律案を提出する理由でありますが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#23
○委員長(大橋和孝君) 以上で両案の趣旨説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#24
○委員長(大橋和孝君) それでは、ただいまの両案も含めまして質疑を続けます。
#25
○須原昭二君 続いて質問を続行いたしてまいりたいと思います。
 先般のお約束どおり、実は薬価の問題についてお話を聞きたい、こういうことでございました。そもそも今日の医療の荒廃、私は医療の諸悪の根源は薬価にあると極言をしてもいいのではないか、そういう立場から薬の問題を提起をいたしたいと、かように思っております。
 まず、薬務局長にお尋ねをいたしますが、製薬企業の販売サイド、いわゆる営業部あたりでよく耳にすることばでございますが、薬効率なることばがございます。薬効率なることばというのは、どういうことなのか知っておられますか。
#26
○政府委員(松下廉蔵君) まことに申しわけございませんが、私はそのことばは存じません。
#27
○須原昭二君 こういうことを御存じなくして薬務行政をやっておられるところに問題があるのではないかと思うわけです。薬効率なるものは新語なんです。薬効率ということばを私たちが聞いた場合に、だれしも一応率直に感ずることは、その薬の効能、薬の薬効、この効率をいうのではないかと思うのでありますが、ところでそういうことではないのです。薬価効率という名前なんです。すなわち薬品納入価格の値引き率の隠語なのです。薬効率、すなわち伝票納入価格を正味の納入価格で割って、そして一〇〇を掛ける、すなわち薬効率二〇〇というならば、後日伝票の納入価格の半額分を値引きすること、つまり一〇〇%添付をするという意味なのです。よくひとつ薬務局長は聞いておっていただきたいと思うんです。薬効率なることばがメーカーサイドで使われていることを厚生省はどうお考えになりますか。
#28
○政府委員(松下廉蔵君) むずかしい御質問でございますが、現在の薬価基準とそれから医薬品が実際に販売されております実勢価格との間に若干の開きがあるという点を御指摘の御質問であろうかと存じます。したがって、そういう前提でお答えを申し上げたいと思いますが、現在の医薬品の薬価基準、社会保険におきます薬価基準は、御承知のように、市販されております実勢価格を薬価調査によりまして全数を調査いたしまして、九〇%バルクライン方式によりまして価格を決定するという方式をとっているわけでございまして、したがって、市販されております医薬品が薬価基準よりも低い価格で取引されておるということは、これは取引の実情、その量あるいは支払いサイト、いろいろな方式によりましてかなりの開きがある場合も見られるわけでございます。したがいまして、メーカー等におきましては、私は不勉強で存じませんでしたが、いま御指摘のようなことばも生じてきたかと存じます。薬価基準と実勢価格とがあまりにも開くということはこれは非常に不適当なことでございますので、毎々御答弁申し上げておりますように、医薬品の薬価調査におきましてはできるだけの適正を期すると同時に、本年度からは経時変化につきましても調査をいたしますための予算も計上いたしておりまして、今後できるだけ実勢価格と薬価基準とを近づけるような努力をしてまいりまして、いま御指摘のような問題が起こらないようにするということを私どもといたしましても努力いたしたいと考えております。
#29
○委員長(大橋和孝君) 局長ね、質問をちゃんと考えて聞いて、的はずれの答弁はだめなんだ。いま言っていられるのは、一〇〇プロ添付をするという価格が売れるというのは、その薬の値段が倍つけてもその値段で売れるような価格が設定されているじゃないかということなんです。一体全体この薬の価格というものはどうなんだということが問題なんです。そうでしょう。それで薬価基準で云々ももちろん問題はありますけれども、その製薬メーカーが薬を売るときの値段が倍の商品をつけてもまだ利益があるということでいいのかということが問題なんです。
#30
○政府委員(松下廉蔵君) それを含めて御答弁申し上げたつもりでございましたが、御答弁が足りなかったと存じますので、補足さしていただきたいと思います。いま委員長が御指摘になられました点は、薬価基準よりも相当低い価格でメーカーが販売しておるという実態があるということを御指摘であろうと存じます。で、私先ほど申し上げましたのは現在の薬価調査におきましてはできるだけその時点において取引されておる価格を、実勢を把握するということを前提としての調査でございますので、いま御指摘のような取引が平常なされておりましたならば、その取引の価格というものは薬価調査に反映されるはずでございます。また私どもの調査において反映させなければならないと考えております。したがって、そのような安価な取引がなされておりましたならば、それは次の時点の薬価基準の改定におきましてそれが反映されまして薬価基準が低くなるという性質のものであろう。またそういうふうな形で薬価調査が行なわれるように努力いたしたいと、そういう意味で申し上げたつもりでございます。
#31
○須原昭二君 実は、薬価基準と実勢価格の差、このものにも間接的に関係はございますが、私が言っているのは、添付、値引きの問題を言っているのです。やはり薬効率なることばが横行しているということは、それは裏を返せば添付そして値引きというものが堂々と現実に行なわれている事実を裏書きしているものである、こういうことをまず認識をすべきなんです。そういう点を私は強調しているわけでありまして、実勢価格と薬価基準の問題については後ほどそれ以前の問題として御指摘をいたしてまいりたいと思うんですが、時間の関係がございますから先へまいります。
 まず、添付あるいはこの値引きの問題点でありますが、これは従来からたびたび言われていることです。厚生省も昭和四十五年十二月以後この問題に留意をいたして、都道府県に対して販売適正化委員会を設置されたと私たちは聞いておりますが、この活動状況はどうなっていますか。
#32
○政府委員(松下廉蔵君) ただいま御指摘のように、中医協等における御指摘もございまして、医療用医薬品の販売の適正化のために、各都道府県に適正化委員会を設置いたしましたことはいまお話のありましたとおりでございます。で、これは添付販売行為、当時一番問題になりました添付販売行為を中心といたしまして厳重な監視を行なうという目的をもって設置されたわけでございまして、昭和四十七年度におきましてメーカー等につきまして約千九百件程度の販売価格、それから添付販売行為の有無につきましての調査活動を行なっておるわけでございます。で、添付行為につきましては、これはいま先生御指摘のように、薬価調査の適正を害する、いわば脱法的な行為でございまして、こういった行為に対しましては、もしそういうことがメーカーの責任において行なわれた場合には厳重な警告を発し、場合によっては薬価基準からの削除も行なうということを、その当時において明文をもって通知しておるところでございまして、その後さらに警告を発し、この方針につきましては現在におきましてもこうも変わっておりませんので、こういった行為につきまして、今後も厳重な監視、指導を続けてまいりたいと考えております。
#33
○須原昭二君 私は、非常に御丁寧に御答弁をいただいておるわけですが、調査委員会はどういう活動をしておるのかということを実は聞いているわけで、どうも質問の要旨をつかまえておられません。したがって、この委員会はどういう活動をしているのか、たとえば適正委員会なるものがあるが実態をつかんでおらない傾向がある。はたして委員会というものは活動しているのかどうか、その構成メンバーはどういう形になっているのか、こういうことを聞いているわけなんです。
#34
○政府委員(松下廉蔵君) 地方におきます適正化委員会の構成メンバーといたしましては、衛生主管庁を中心といたしまして、薬務、医務、保険、国民健康保険、そういった関係の課長をもって組織するという指導をいたしております。四十七年度におきます活動状況といたしましては、先ほど概数を申し上げましたが、調査を実施いたしました件数は、年間を通じましてメーカーにつきまして三百七十八件、卸につきまして千四十二件、病院につきまして四百四十七件、合計いたしまして千八百六十七件の調査をいたしております。また委員会の開催回数は、大体各県におきまして二回ないし三回の開催を見ておるようでございます。
#35
○須原昭二君 どうも薬務局長自身が御答弁になるまでに時間がかかるし、メモ、資料を出さなければわからないということでは、私も地方の都道府県の段階におけるこの調査委員会のあり方、適正委員会のあり方についてはまさに開店休業、名目的に年に一、二回開くというのが実態であります。したがって、しかも委員は全部公務員です。地方公務員なんです。こういう形では適正委員会をつくっておけば何かやっている、何かやっているというていさいを整えるためのゼスチュアに私はほかならない、隠れみのだと断定してもはばからないわけです。ですから、どうもこの薬価の問題については非常に消極的なような感じがしてなりません。先ほどお話がありました添付したものは薬価基準からはずしていくと、こういう申し合わせがあるというようなことを、いま御発言の中にありましたが、はたして薬価基準から削除したものがあるかどうか、明確に御答弁をいただきたい。
#36
○政府委員(松下廉蔵君) 現在までのところ、薬価基準から削除するまでに明らかな調査を入れたものはございません。
#37
○須原昭二君 そうでしょう。これだけちまたに、添付それから値引きをやってはいけないと、しかし現実にやっておる。やっておるにもかかわらず薬価基準の中から一件も削除されたものがない。まさに開店休業の業務であると言わなければならない。そうでしょう。添付行為がなくなった、値引き行為がなくなったと薬務局長は判断をしているんですか。
#38
○政府委員(松下廉蔵君) 多数の取引のことでございますので、いま先生御指摘のような皆無を期するというところまでは、残念ながらいっていないかと存じます。ただ、当時の通牒でもいっておりましたのは、この制度をとりましたときに一番問題になっておりました添付行為、これはきわめて取引の公正を害するといいますか、薬価調査の公正を害しますので、これを厳重に禁止すると同時に、これに類するような不当な販売行為をしてはいけない、その中に先生御指摘の値引き行為等も入っておったわけでございまして、私の承知をしております限りでは、その警告が発せられた当時に比べまして、添付行為は相当減少しておるというふうに私は承知いたしております。ただ、それにかわるような値引き行為というようなものが、なおあとを断たないというような点はこれは残念ながらある程度事実のようでございまして、こういった値引き行為等を規制いたしますためには実際に廉価に販売されたものが薬価調査に反映いたしまして薬価基準がそれだけ下がるということであればこれはむしろ望ましい点もあるわけでございまして、そういった意味におきまして、先ほど御答弁申し上げましたような毎年経常的に行ないます全数調査のほかに新たに経時的な追跡調査等も品目によりまして行ないましてそういった値引き行為等も含めてより適正な薬価を算定することができるような方式をとるべく現在準備をいたしておる段階でございます。
#39
○須原昭二君 薬務局長にもう一つお尋ねします。異種添付というやつがある。御案内ですか。
#40
○政府委員(松下廉蔵君) 承知をいたしております。
#41
○須原昭二君 何ですか。
#42
○政府委員(松下廉蔵君) これは納入いたします、――従来いわれておりました添付はそのほとんどが納入いたしました品目と同じ品目のものを無償あるいはサンプル等の形をもちまして添付いたしましたものでございますが、いま先生御指摘のことばは他の医薬品をサンプル等の名目をもって添付いたすものを意味するというふうに私は承知いたしております。
#43
○須原昭二君 これだけは御存じですね。すなわちAの商品を値引きあるいは添付する、同じものを添付するのではなく、ほかの、別の医薬品を添付するんですね。この点そうです。しかし、同じ社であるならばわかる。しかしながら二つ以上の社が共同でやった場合には、一つ一つ薬価を調査する段階ではわからないんですよ。こういう調査はなされていますか、どうですか。
#44
○政府委員(松下廉蔵君) 現在の薬価調査の方式といたしましては、伝票を切って販売いたしました医薬品の価格を調査すると、したがいまして同種の添付の場合にはその量を把握いたしました場合にはその単価が正確に言えば下がってくるわけでございます。ただいま御指摘のような異種の品物を添付するというような場合にそれが伝票上全くあらわれていないというような場合には現在の薬価調査上そのままあらわれてこない可能性はあろうかと存じます。ただ、いま御指摘のような点は私ども指導いたしておりますのはもちろんその医薬品の販売に関する無償の添付行為がよろしくないという前提で指導いたしておるわけでございまして、したがって、その添付されるものが異種であろうとあるいは同種であろうとそれは同じように薬価調査の適正を害する、公正を阻害するような不適正な行為であるという前提で考えておりますので、異種の添付につきましてももちろん同種の場合と同様に厳重に監督し、取り締まっておりますし、また、今後ともそういう方針を貫くつもりでございます。
#45
○須原昭二君 現在の段階では二つこの関連があるという、Aという商品、Bという商品、Aという商品をつくっているメーカーとBの商品をつくっているメーカーとが違った場合、どうやって調査をするんですか。現在の薬価調査の中ではできぬじゃないですか。ですから、堂々と異種添付が横行しているわけです、異種添付が。だから、一つの単品の添付は、同じ同種類の添付は行なわれなくても異種の添付、しかもそれが他社のものを使ってやっている。しかもAの販売にBという他社の薬が添付されることをBのメーカーが黙っているわけはないわけです。そこにはAとBの両社の私は協議、密議というものが背面にあることをわれわれは忘れてはならぬわけです。そういう巧みになってきておるところのこの添付行為に対してどのような処置をしておるのか。現在の薬務局では何らやっていないじゃないですか。こういう知能犯的な添付行為が行なわれておるにかかわらず、それに対して全然手を施さないという実態についてどのように考えているか。
#46
○政府委員(松下廉蔵君) ただいま御答弁申し上げましたように、異種の添付につきましても同種の添付におけると同様な考え方を私どもとっております。で、添付行為一切についてこれは規制し、程度の過ぎるものにつきましては薬価基準から削除するという前提で指導監督を行なっておるわけでございまして、同種の添付につきましても、これが伝票を切らずに、そのままの現物添付という形で行なわれます場合には、なかなか薬価調査だけで発見するのが困難な場合もございます。こういったことをさらに適正を期するために適正化委員会をつくり業界の指導を行なっておるわけでございまして、したがって、私どもの立場といたしましては、そういうような事実があれば厳重なる処分を行なうという点におきましては、これは同種の添付であろうと異種の添付であろうと別段変わりはなく厳重な処分をするという考え方であるわけでございます。
#47
○須原昭二君 処分することは当然なことですよ。しかしながら、どうやって調査をされるか、どうやってこれを調査をされているかということなんです。Aの販売をBに、B社の販売をA社におのおの添付する合意をする、そして、AとBの両メーカーが卸と三社が密約していると私たちは考えられてならないわけです。したがって、Aの品物の値段がわかってもBはただでひっつけるんですからここに伝票が残らないでしょう。こういう行為が行なわれていることをどうやって調査をするんです。その点については全然悪いことはわかっておってもどうやって調査をするんですか。
#48
○政府委員(松下廉蔵君) 先ほどからいろいろの例を御指摘いただいておりますように、この添付なりあるいは裏取引による値引きというような不適正な販売行為というのはいわば薬価調査の目をのがれると申しますか、そういう目的のために行なわれておるのであろうと思います。したがってまあ、いま御指摘のような異種の添付につきましては特になかなか証拠を得にくいと申しますか、発見しにくいという要素はあろうかと存じますけれども、いずれにいたしましても、そういった正当な調査を逸脱するための行為を発見いたしますためにはそれだけのやはり私どもとしての努力はしなければならない、そういうふうに考えております。具体的な方法としてはいろいろ考えられるわけでございますが、そのために適正化委員会もつくり業者に対するヒヤリングも行なっているわけでございまして、これも数ある業者でございますから、いろいろなところから情報を得まして、そういうような情報を得た後に具体的な調査に入るというようなことをいたします以外にはそういった逸脱的な方法を押える手段はないわけでございまして、そういった点はいろいろと御指導いただきました点も含めまして今後適正化委員会の活動にあたって私どももきめこまかい指導をいたしましてできるだけそういったような脱法的な行為を発見し処分することができるように指導してまいりたいと考えます。
#49
○須原昭二君 だからいままでは何もやっておらなかったということで、これから検討するということですから、ひとつその方向を私たちは見守りたいと思います。この点は現実にはこういう異種添付の方向が非常に濃厚になってきているという現実をこの際指摘をいたしておきたい。
 さらにもう一つはサンプルです。知見用のサンプル、サンプルというのはまさしくことばどおりサンプルですから少量であるはずですよ。それが大きな病院、国・公立病院なんか特にそうでございますが、大きな私立の病院でもそうです。この病院に大量にそれから大型化されているということを、現実をどう踏まえられていますか。
#50
○政府委員(松下廉蔵君) サンプルと称しまして相当量の医薬品が無償で医療機関に何と申しますか持ち込まれるということはこれはやはり一種の、先生さっきから御指摘になりましたような添付行為であると考えなければなるまいかと存じます。また、私どももそういう考え方で指導しておるわけでございまして、ただ、先生御指摘の点は経常的な取引のある病院に対してそのサンプルというものが全く別の形で持ち込まれた場合にどの医薬品に対する添付であるかというようなことが不明確であるために処理しにくいのではないかというような御指摘であろうかと存じますけれども、そういった点はさっきから申し上げておりますように、この薬価調査の公正を害する行為、これはいろいろな手がどうしても考えられるわけでございます。それを一つ一つ解明いたしまして、いろんな方法によって押えていくということが私どもに課せられた使命であろうと存じます。で、具体的にはやはり当該医療機関に納入されております最も主要な医薬品というのは幾つかわかるわけでございます。取引先のメーカーなり卸ということもおのずから明らかになるわけでございますので、御指摘のような点もそういうようないろいろな問題を一つ一つ解明いたしました上で、同じような考え方を持って処理してまいりたいと考えております。
#51
○須原昭二君 このサンプルが非常に大型化、大量化されて、サンプルがサンプルでなくなって、添付になっている。そういう事実については御認識をいただいておりますね。現実に被保険者が保険医や病院へ行って、このサンプルをもらって飲んでいるんですよ。シートにもサンプルと書いてあるところをわざわざ取っている。しかし、忙しいか、ときたまついている。しろうとではわからないからこれをもらってくるんですよ。こういう現実を見のがしておいて、私は、添付が行なわれていないというようなことは言えないわけです。薬価基準から一つもはずしていないという現実はないわけです。特にこの問題については指摘をしておきたいと思います。
 メーカーとヒヤリングをやっておられる。――何をヒヤリングされておるのか、私は、わからないということになってしまうわけでありますが、じゃ、その薬価調査の対象として、添付のほかに、値引きの伝票を入れていることが一般的に行なわれている。値引き分についての伝票、こうした薬価調査はどうつかんでおられますか。
#52
○政府委員(松下廉蔵君) 現在、――現在と申しますか、いままで行なっております薬価調査は、御案内のように、特定の月を押えまして、その月において取引された全伝票につきましての調査を行なっております。先生御指摘のいまの値引き伝票の関係は、そういった調査月が終わったあとにおいて値引きがさかのぼって行なわれるというようなケースを御指摘のことであろうと存じます。そういった、ときとして不公正な方法がある。さっき私値引きと申し上げましたが、当該月においてはっきり値引きがされたものはもちろんその薬価調査に反映するわけでございまして、不公正と申し上げたのはいま御指摘のような値引きを念頭に置いて申し上げたわけでございますが、そういったこともなるべく追跡いたしまして、さかのぼって調整をすることができるようなというような要素も含めまして、当初御答弁申し上げましたような追跡調査、経時調査の経費も計上いたしまして、今後、そういった形をもちまして、そういう脱法的な行為を一つ一つきめこまかく押えていくことができるような手段をとりたいというふうに考えております。
#53
○須原昭二君 薬価調査の、もう言うまでもありません、自計・他計による調査でありまして、しかも一定のこの月、六月なら六月という月を押えて、予告をしてやるわけです。ですから、当然この調査の中から、値引き分の伝票というものは二カ月後に来るんですから、その中には入っておらないことは言うまでもないんです。したがって、一定期間の一カ月だけ調査をして、値引き分の伝票を見つけることはできないんです。だから、二カ月後にもう一ぺん定期検査をやらなきゃならないわけです。ですから当然、値引き分を放置している薬価調査、こういう調査ではほとんど実効はあげ得られない。値引き分だけでも調査したことがありますか。
#54
○政府委員(松下廉蔵君) いま申し上げました経時的な追跡調査は今年度から予算を計上しておるわけでございまして、今後はそういった分も含めて行なう予定でございます。
#55
○須原昭二君 そんなことはきょう今日に始まったわけではなくして、予算要求をしているからこれからやるといっても、じゃ値引き分を、今度は予告ですから、一カ月前にこの次にやるという予告をしてやるんですから、今度値引き分をやった調査から少し離しておけば、これはつかめっこないんです。
 値引き分だけの伝票を調査されておらないという現実がわかりましたから、したがって、この際、納入伝票に値引きを同時に記入させるように、そんなことをやるようなメーカー、卸はないかもわかりませんけれども、せっかく企業とメーカーとあるいは卸とのヒヤリングをやっておられるというなら、そういう点を明確にさせるべきです。この点をはっきりこの際指摘をしておきたいと思います。
 そこで、今度は、薬価調査のあり方について。私は、この問題については初めて国会に出てきてから冒頭に指摘をいたしたんですが、その後何ら改善をされておりません。幾たびか指摘をしてきたことです。一昨年の予算委員会の総括質問の中でも、いまはなくなった斎藤厚生大臣にも指摘をいたしました。十分反省をして、そして立ち入り権を含めた厳格な調査にすると言っておられましたけれども、たとえばその自計――卸が自分から書き入れる調査、こんなものではほんとうの真実が報告されるはずはございません。他計と称して、官公吏が聞き込みに行って、そうして記入して帰ってくるような調査では、これは相手を信頼するわけにはまいりません。たとえば、この他計と自計とで、どれだけの差がありますか。当然、厚生省は統計に非常に熱を入れられておりますから、自計と他計が両方に出てくる。これを二つ合わせてみたときに、その差がどれだけ出てきますか、調べられているでしょう。どうでしょう。一緒だったですか、違っていましたか、どれだけ違っていたんですか。
#56
○政府委員(松下廉蔵君) ただいまの御質問の他計につきましては、現在の薬価調査は、たびたび御答弁申し上げておりますように、自計を本則といたしておりまして、ただ必要に応じて都道府県の担当職員が立ち会いまして、調べながら記載をさせるということはやっておりますけれども、他計を部分的にやったということはございませんので、数字をもってその統計的な資料としての違いというデータは私ども持ち合わせておりません。
#57
○須原昭二君 そういう調査がなくて、科学的な調査ができますか。だからでたらめだと私は言うんです。
 もう一つお尋ねしますが、卸に自計をさせておりまするけれども、直販メーカーの品物、これは何サイドで調査しておりますか。
#58
○政府委員(松下廉蔵君) 直販、いわゆる病院等に対しましてメーカーが直接納入いたします製造業者につきましては、会社自体の納入伝票につきまして調査をいたしております。
#59
○須原昭二君 まさに、これは直販メーカーの品は何サイドで調査されているかと、こう聞くことはどういうことなのかというと、今日、メーカーと卸というのは、系列化はほとんど進んでいるということですよ。卸だけ調査したってだめだということなんです。たとえば、昭和四十七年の九月末の調査で、一つ例を申し上げましょう。大阪の例です。大阪薬品株式会社というのは一応卸の会社になっておりますが、九五%が塩野義製薬株式会社。錦城薬品株式会社というのがあります。これは一〇〇%三共株式会社、建物も三共より賃貸しております。近畿薬品、五五%が三共株式会社。その他十社のメーカーが全部このサイド、残りを持っておるわけです。それから寿薬品株式会社、これは八五%が第一製薬株式会社、この建物もまた第一製薬のものであります。藤販株式会社、六七・一%が藤沢薬品株式会社の所有のものです。その他、三星堂株式会社、ニチヤク株式会社、これは武田製薬。重松本店は住友化学。栄一薬品は田辺製薬。このようにもうほとんどの大きな卸業者というのはメーカーの系列下に入っているわけです。そういう系列下に入っている卸業者が自計をして卸から自分で書いて出してくれるような調査というのはほんとうのものではないことはもう言うまでもないわけです。こういうものを自計だ自計だ、値打ちがあるものだといって、そして調査をされているところに根本的な間違いがある。この点をどう理解をされておりますか。
#60
○政府委員(松下廉蔵君) いま先生の御指摘の点、先ほど仰せられましたように昨年も一昨年も御指摘をいただいておる点でございますが、現在の薬価調査約八千の品目につきまして、銘柄別にいたしますと一万三千の品目につきまして全数の調査をいたすわけでございます。したがいまして、この全数の調査を一定の時期をとらえまして集計をいたしますためには、どうしても伝票からの転記というような条件もございまして、自計を原則として行なう以外に技術的にはなかなか困難な点があろうかと思います。ただ、先生が御指摘のような、これはやはり何と申しましてもメーカーあるいは卸の利害につながる問題でございますので、たとえば現在の所得税あるいは法人税等につきましても申告納税の方式がとられておりますが、これは税務署が権限を持ちまして、問題がある場合には立ち入り検査をいたしまして、それを修正し、処分をすることができるというような前提がございますために正確が期せられておるというような例もあるわけでございまして、そういう意味におきまして、今後自計を原則といたしながら、一つは先ほど申し上げました当該職員の立ち会いによる転記ということをできるだけ、問題がありました場合には強化するような指導をいたしますことと、それからもう一つは、追跡調査をいたしまして、これは先ほど先生おっしゃいましたような、追跡調査としてまた一定の時期を指定しておきまして調査をするというような考え方は持っておりませんので、必要に応じて随時問題のあります医薬品について追っかけて調査をするということを原則として方式を考えておるわけでございまして、そういったような先生が仰せられます他計の要素をだんだんと強めてまいりますことによりまして、原則を自計といたしましてもメーカーあるいは卸の自覚を待ちまして、より実勢に近いものを得られるであろう、そのように考えておる次第でございます。
#61
○須原昭二君 たしか四十二年の二月の薬価調査の際だったと思うんですが、武田薬品が卸へ薬価調査表への納入希望価格表を配付したことがあったですね。御案内ですか。
#62
○政府委員(松下廉蔵君) 私、就任前のことでございますので詳細は存じませんが、そのようなケースがあったということは伺い及んでおります。
#63
○須原昭二君 このようにメーカーが一応自分の系列にあるところの卸に対して薬価調査があったら卸の諸君こういうふうに自分で書きなさいという一覧表を配っているんです。卸だけを調査したところで明確な答えが出てこない。ここに系列化の問題が一つあるわけでありまして、これら四十二年の二月の薬価調査の際に、武田薬品が卸へ薬価調査表への納入希望価格表を配付したことが国会で問題になったことがあります。そのとき国会で、時の厚生大臣でありますが、処分を約束をいたしております。そして、アリナミンFの価格を下げたことをわれわれは記憶をいたしております。やはりこういう問題を適切にやっていくことが今日メーカーの横暴を押えていく大きな私は問題点ではないかと思うんですが、こういう問題点について、もしそういうものがあったらそのような処分をいたしますか、厚生大臣。
#64
○国務大臣(齋藤邦吉君) 薬の問題につきまして、いろいろ先ほど来御質問があったわけでございまして、私どももそういう好ましからざる事態が調査の結果判明いたしますれば、これは厳重に処分するということは当然だと、かように考えています。
#65
○須原昭二君 私は、きょうは時間がございませんから二、三点、資料を持っておりますから、後ほどひとつ提出をいたしたいと思いますが、明確にやっぱりやっていかなければならないわけです。その前提としては、後ほどいろいろと調査のやり方について指摘をいたしておきたいと思うんですが、昨年九月でしたよね、薬価調査が行なわれました。この結果の集約はできておりますか。
#66
○政府委員(松下廉蔵君) 数字の集計は一応終わっておりますが、この薬価基準への収載の方式につきまして銘柄別収載をすべきかどうかというようなことも含めまして中医協の御意見をいただかなければならない問題もございますので、現在手元に控えておる段階でございます。
#67
○須原昭二君 じゃ、ひとつ私がこれから読み上げます。品目を指定いたしますから、それについての包装別、自計、他計等による調査の結果を資料として委員長のもとへ御提出を願いたいと思います。
 一つはコサテトラシン二百五十ミリグラムカプセル、台糖です。同じく台糖でありますが、シグママイシン二百五十ミリグラムカプセル。同じく台糖、ロンドマイシン百五十ミリグラムカプセル、それから三共のクロロヤイセチンパルミテート、日本新薬のレフトーゼ錠、科研のイブナック錠、明治のビクシリン二百五十ミリグラムカプセル、山之内のホリゾン五ミリグラムカプセル、武田のコントール十ミリグラム錠、最後の十番目が田辺のザイマ錠、この十品目の包装別、自計、他計等による調査結果の資料を提出していただきたいと思いますが、どうでしょう。
#68
○政府委員(松下廉蔵君) 先ほど御答弁申し上げましたように、この薬価調査の結果につきましては、これは薬価基準を改訂いたしますための資料でございまして、したがいまして、従来の慣例といたしましては、中医協にこの資料を付議いたしまして、そういった手続きを経て最終的な改訂をするという慣例になっておりますので、個々の品目につきまして調査の詳細につきましては従来発表いたしておらないというふうに私承知いたしております。したがって、この問題につきましては、ちょっと私も就任以来初めての問題でございますので検討をさしていただきまして、後刻御返事を申し上げたいと思います。
#69
○須原昭二君 非常に遺憾です。少なくとも私たちは国会で薬価調査をする費用を予算の中にわれわれは審議をして入れているわけです。そのやった結果についてわれわれに資料を提出することができぬのですか。中医協は、私はこの間質問を申し上げたように、厚生大臣の諮問機関ですよ。われわれはそう解釈しています。すべてが中医協を通らなければ国会にも提示できないんですか。明確にしていただきたいと思います。
#70
○政府委員(松下廉蔵君) まことにおしかりをいただきまして恐縮でございますが、従来、先ほど申し上げましたように、個々の品目につきましては発表いたしておりませんので、この点はちょっと保留をさしていただきましてもう一度検討さしていただきたいと思います。
#71
○須原昭二君 それは企業の秘密と一緒ですか。少なくとも薬価調査の経費、費用と予算というのは国会の場で審議しているんですよ。その結果について聞くのは当然のことですよ。なぜそれが秘密ですか。過去の、従来の経過、そんなことは私たち言いません。そんなことなんか問題になりません。われわれは少なくとも国会の中で薬価調査をするべき経費はちゃんとわれわれは審議しているんです。そういう予算措置をわれわれは審議しておいて結果について聞けないということはどういうことなんですか。まさしく企業の秘密と一緒ではないですか。われわれの審議権はないんですか。国会の調査権というのはないんですか。
#72
○政府委員(松下廉蔵君) これは先ほど来調査方法につきましていろいろ御説明申し上げております。またこれは先生も十分御承知のことかと存じますが、こういった調査の内容は各メーカーあるいは卸しの同意を得ましてその協力のもとにこういった調査を行なっておるわけでございまして、各ケースにおきましてどのような条件で、どのような取引が行なわれておるかということは、これはやはり企業の一つの秘密に属する事項であろうと存じます。したがって、調査にあたりましては、個々の調査内容につきましては発表をいたさないということを前提といたしまして従来調査をいたしておりますので、そういった意味におきましてひとつ個々のケースにつきましては御了解いただきたいと存じます。
  〔委員長退席、理事小平芳平君着席〕
#73
○須原昭二君 企業の秘密にはならないんでしょう。たとえば、名前をあげて恐縮でありますが、たとえば武田としましょう。武田さんが要するに医療機関に売った価格、それを医療機関が報告したんですよ。報告して現実にもう秘密になっていないんです。たまたまそれが各地からずっと集められてきた調査の結果なんです。集積値だ。これが企業の秘密になりますか。――企業の秘密になりますか。明確にしてください。
#74
○政府委員(松下廉蔵君) 個々の卸につきましての調査の内容はそれぞれの卸なり、あるいはメーカーの企業活動そのものに関連いたすものでございますので、そういった内容につきましては従来、調査にあたりまして個々のケースは公表いたさないということを条件といたしまして協力を得ておるわけでございます。
#75
○須原昭二君 厚生大臣、こんなことでは質疑続けられませんよ。国会で予算の中に薬価調査をやれと経費をきちんと組んで、そして薬価調査をやらして、その結果について国会がなぜ聞けないのですか。これを企業の秘密というのですか。そこまで国会は企業の秘密として、これが企業秘密ということで是認をして、そして、われわれ国会議会に示されないのですか。先ほどは中医協でやるのだ、その事前には発表できないと言う、今度は企業秘密になる、答弁があいまいですよ。
#76
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私もよくその間の事情を承知しておりませんが、おそらくこの薬価調査をするときには外部には一切発表いたしませんと、こういうことで調査さしているのではないかと思うのです、実際。私もそれが企業の秘密、私は見たことありません、私は見たことありませんが、外部には一切発表いたしませんから正確に書いてください、こういう話でやっているものとすれば、これをちょっと一方的に発表するということはいかがなものであろうかというような感じがいたします。しかし、せっかくの御意見でございますから、今後ひとつそれが発表できるものか、できないものか、十分ひとつ検討はいたします。
#77
○理事(小平芳平君) 答弁ありますか、局長。
#78
○政府委員(松下廉蔵君) ただいま大臣から御説明申し上げましたとおり、従来この調査にあたりましては、同じことを御答弁するようで恐縮でございますが、個々の業者に対しまして、そういったことは公表いたさないということを前提といたしまして調査をいたしております。したがって、そういった企業秘密というとことばが過ぎるかもしれませんが、調査の際におきます審議の問題もございますので、この点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  〔理事小平芳平君退席、委員長着席〕
#79
○須原昭二君 調査要綱にも秘密とは書いてないのですよ。どこでその点秘密だと約束したのですか。薬価調査はかくかくしかじかでやりますという要綱はきまっていますよ。その中でこれは秘密にしますと何に書いてありますか。政府がかってにあるいは都道府県がかってに業者と話し合っている秘密事項、契約じゃないか。中医協で発表する前に発表できないということと、企業秘密だということと二つ意見がある、政府の統一見解を出してください。
#80
○政府委員(松下廉蔵君) これは御答弁が不十分であったかと存じますが、おわびを申し上げますけれども、中医協におきましても個々の薬価調査の内容、個々の品目の内容につきましては、中医協の御審議にそのままの形では御相談をいたしておりません。これはやはり集計いたしました形におきまして、中医協での御審議をいただきまして、結果として、中医協の御指示による薬価基準の修正をするという手続をとっておるわけでございまして、したがいまして、個々のケースにつきましては、その調査の詳しい内容につきましては、中医協にもいま申し上げましたような理由をもちまして、御報告をしていないわけでございます。
#81
○須原昭二君 しかし、これは法的に見ても発表できないわけはないのですよ。検討する、保留さしてくださいって、保留するというのはこちらのことです。あなたのほうが保留するわけではないのだ。何か検事が被告を調べるような言い方になりますが、恐縮ですが、これははっきりしていただきたい。
#82
○政府委員(松下廉蔵君) これは何度も同じお答えを申し上げるようで恐縮でございますが、先ほどからいろいろ先生から薬価調査の方法につきまして御指摘があったわけでございますけれども、その節も御答弁申し上げましたように、現段階におきましては他計的要素を強めるということは、もちろん先生の御指摘のようにこれから必要であろうと存じますが、やはり基本におきましては全数調査についてはメーカーあるいは特に卸業者の協力を得るということが不可欠の条件。これはしばらくはその形態を続けざるを得ないと私ども考えております。卸にとりましては、卸はやはり医薬品の売買ということがこれは企業の全部でございまして、したがいまして、どういうような条件で何がどの程度の数量、どのような販売方法で、どのような価格で販売されておるかということは、これは企業の経営にとりましては、非常に重大な事項でございまして、そういったことを洗いざらい調べるという場合には、私どもといたしましてはやはりそういった卸企業に対します信義といたしまして、そういった調査の個々の内容につきましては一切公表しないということを前提として、その真実を担保し得るような協力を要請しておるわけでございまして、したがいまして中医協の席におきましても、個々のケースにつきましては委員の先生方にも御説明をしてないというような扱いを従来とも続けておるわけでございます。したがって、今後におきまして、そういった前例ができますと、薬価調査の協力の度合いに少しでも信頼性を害するような、ひびが入るということになりますと、やはり私どもとしてゆゆしき問題でございますので、先生御指摘の点はよく理解できるわけでございますけれども、この件につきましてはひとつ御了承を賜わりたいと存じます。
#83
○須原昭二君 全く遺憾。――全く、いまこの問題だけでごつんとつかえてしまっているわけで、非常に遺憾です。私としては、中医協というワク内で公表できないということと、企業の秘密といやしくも言われたんですが、この統一が非常にばらばら、そのときばったりの答弁で、しかもその資料が出せないという理由はうなずけません。法的にいっても、国会法からいっても、これはどうしても提出をしていただかなければならない、こういうふうに私は理解をいたします。過去はそういうことでやってこなかったんだとおっしゃいましても、過去は過去でこれに気がつかなかっただけのことであって、今日の時点でどうするかということが最もいま緊急な課題です。したがって、この問題については、この問題ばかりやっていると時間が来て私の持ち時間なくなってしまいますから、まことに残念であり、たまりませんけれども、この点は委員長をはじめ理事会にひとつおまかせをいただいて、保留をさしていただきたい、こういうふうに思います。
 そこで、次へ進んでまいりますが、大蔵省来ていただきましたか。大蔵省にお尋ねをいたしますが、一昨年でしたか、保険医の総辞退の一カ月間において、保険医の総辞退がありましたね。この一カ月間において税務署が医療機関を調査されました。特に、医薬品の納入の実態価格を掌握したといわれておる。いかがですか。
#84
○説明員(水口昭君) いまお話しのように、昭和四十六年の七月に医師会の保険医総辞退が行なわれたわけでございます。その辞退期間中の診療収入につきましては、税務上これを自由診療報酬として取り扱ったわけでございます。したがって、社会保険診療報酬ではございませんので、例の収入の七二%相当額を必要経費として認めるという租税特別措置法二十六条の規定は適用いたしませんでした。これに対しまして、大半のお医者さんはそのような方針のもとに申告をしたので、保険医の総辞退に関連いたしまして、診療報酬につきまして国税庁として特別の調査をしたという事実はございません。
 ただ、近畿地方の一部の地域におきまして、辞退期間中の診療報酬につきましても、租税特別措置法二十六条を適用して申告をされたお医者さんがございましたので、これらのお医者さんにつきましては修正申告を提出していただいた。また、一部の少数のお医者さんにつきましては実地調査を行ないました。
 しかしながら、これらの調査もいずれも通常税務署が調査しておりまする税務調査と特に異なるものではございませんので、その結果を特に国税庁に報告をさせたというふうなことはいたしておりません。以上でございます。
#85
○須原昭二君 私の聞き及んでいる範囲内では、この総辞退中の診療報酬の税金の申告の中で、薬品の購入価格が実勢価格と違っている。こういう理由で相当数の診療機関が脱税とみなされて追徴金を取られたと私は聞いておりますが、どうでしょう。
#86
○説明員(水口昭君) ただいま申し上げましたように、特におととしの保険医総辞退、それに伴う税務調査でそのような報告があったことは聞いておりません。
#87
○須原昭二君 これは医薬品ということでなくってもいいんですが、やはり徴収は取られたことは事実でしょう。診療報酬じゃなくて自由診療でもけっこうなんです。その中には、私は聞いておる範囲では薬品の購入価格が実勢価格と違っている。だから、これは税金の対象になる、そういうことで追徴を取られたというふうに聞いておりますが、それは間違ってますか。
#88
○説明員(水口昭君) 先生御承知のように、税務調査につきましては、いろいろ調べます場合に収入が正しいか、必要経費がちゃんと記載されておるか、そういうふうな調査はいたしますけれども、その際にこの経費の中からですね、薬だけを取り出して、その基準を調査するというふうなことは特にいたしておりませんので、その経費を調べます際に、その経費でないものが経費に入っておるかとか、そういうことは調べますが、薬の価格の基準とかそういったことは特に調査をいたしておりませんので、御了承をいただきたいと思います。
#89
○須原昭二君 税務署としてですね、たとえば医薬品の納入価格、それからたとえば実勢価格、薬価基準との差ですね。そういうものを調査されることができますか。能力の問題を聞いているのです。
#90
○説明員(水口昭君) 税務署といたしましては、お医者さんの調査をいたします場合に、帳簿がございますれば、その帳簿を見まして、それでそこに幾らで仕入れたということが書いてある。それがもしおかしいと思えば、反面調査と申しまして、その取引先である薬屋さんのほうも調べることができますから、そうやって調べて、もし合わなければそれを追及するということはございますけれども、まあ、その程度で、薬価基準との関係がどうのこうのというところはあまりやってないと思います。
#91
○須原昭二君 やはり差益があれば、それは所得だと考えられるでしょう。したがって、それに対する課税することについてその調査する能力はあるでしょう。能力のことを聞いているんです。どうですか。
#92
○説明員(水口昭君) 税務調査につきましては、所得税法の二百三十四条という規定がございまして、そこで税務職員に質問検査権が与えられているわけであります。で、この検査権に基づきまして納税者を調査いたしますが、場合によっては、先ほど申しましたように、その取引先を調べることもできる、かようになっておりまして、まあ、場合によりましては、取引先を調査してそれが合わなければ追及すると、かようになっております。
#93
○須原昭二君 それでけっこうです。できるということですね。
 そこで、私はお尋ねしたいのですが、同じ行政府でありながら、実は大蔵省の国税局のほうは、添付や値引きの実態をこれは調査し得る能力を持っておるわけです。厚生省の薬務局や保険局ではほとんどその実態をつかみ得ない、こういうところに問題があるわけですが、同じ行政府でありながらそういうことができないのかどうか、この方法論についてお尋ねいたします。
#94
○政府委員(松下廉蔵君) それはまあ、法律、制度の体系と、それから行政庁におきます実際に調査を行ないますための具体的な実務能力と、両方の面の問題があろうかと存じます。で、法律の体系といたしましては、薬価基準は制度的には、御案内のように、医師の購入する薬価の基準ということで健康保険法で定められておる体系でございまして、税金のような強制力をもって、国の公権力をもって国の財政の基礎といたすために徴収する金額の調査とは、かなり法律的な体系においても性格が違っているであろうと存じます。で、納税の義務は憲法でも認められておることでございますし、その国民の義務を果たしますために、税務当局につきましては相当強い強制的な権限が当然税法上認められておるわけでございまして、国税滞納処分というようなところまで公権力が及ぶわけでございます。薬価調査につきましては、もちろん、先ほどからお答え申し上げておりますように、先生御指摘のような他計的な要素を含めまして、第三者と申しますか、公正な目で薬価を調べるシステムというのはこれからできるだけ努力をしていかなければならないかと存じますけれども、それを全数につきまして立ち入り調査を行ない、公権力をもって調査するということが法律上妥当であるかどうか、これはやはりひとつ検討すべき問題であろうかと存じます。
 それから、より以上問題になりますのは調査能力でございまして、これはいま対象になっております卸が全国で約三千三百、それから医療機関が千二百というような数の、しかも八千品目にのぼりますさらに銘柄別に調査いたしますとなりますと、一万三千というような品目につきまして、全部伝票に当たってそれを調査表に転記するということにつきましては、これは膨大な事務能力、人手を必要といたすかと存じます。で、それだけの経費あるいは人員を投入いたしましてこれを行ないましても、やはり企業の活動というものは非常に複雑でございまして、先ほど先生が御指摘になりましたように、いろんな要素もあるわけでございまして、それではたして現在の自計の調査よりも数等正確な調査ができるかどうか。これは企業の実態から申しましても、もちろんそういうことをやれば自計よりは正確を期し得る、少なくとも説得力のある結果になるということは考えられるわけでございますが、反面、そういった経費を相当額見込まなければならないというようなことを考えますと、やはり現在の実情といたしましては、私どもが行なっておりますメーカーあるいは卸の協力によります自計的な調査にさらに公正を期し得ますような追跡的な調査、他計的な方法、そういったことを導入いたしまして、原則的には卸業者等と行政庁と医療機関との信頼関係に基づく調査を行なうということが適当ではないかというふうに考えておる次第でございます。
#95
○須原昭二君 実は、行政府の中でもう一つ申し落としておりましたが、たとえば公取が差別対価あるいはまた競争条件の非公開というような不公正競争ですね、これを是正する立場から、立ち入り調査、喚問をする方法がある、これは罰則つきです。このように国税局や公取もやっているわけですね。厚生省だってやろうと思えばやれるのですよ。
 そこで一昨年ですか、予算委員会の総括質問の中で、私は、いまはなくなられました前の斎藤厚生大臣に、立ち入り権を持たなきゃいけない、こういうことを指摘をいたしました。そして、予告制の定期調査ではなくして随時三百六十五日いつでも調査に踏み込めるような体制をしかなければ完全にその実態を掌握でき得ない、こういうことを実は指摘をいたしました。いまはなくなられてしまいましたが、前の斎藤厚生大臣は、立ち入り権を検討する、随時調査に踏み切る、これを検討します、こう言われました。いやしくも予算委員会の総括質問の中で答弁をされたのですが、あれから二年数カ月たっているわけです。どのように検討されたのですか。
#96
○政府委員(松下廉蔵君) 先ほどから私御答弁申し上げております、今年度から実施を予定いたしております追跡調査、これは厚生省にも人員を置き定期の調査を行ないましたあと、先生御指摘のような随時の、品目によりまして繁用されるもの、あるいは適正化品目と私ども言っておりますが、特に追跡調査を要するような値動きの考えられるもの、そういったものにつきましては、随時、事業所、事業所と申しますか、卸の店舗等に立ち入りまして実情を調査する他計的な方法によりましての調査を行なうということを前提といたしましてのシステムを現在進めておるわけでございまして、こういつに方法も含めまして、斎藤元厚生大臣がお約束いたしましたような方向に近づけながら薬価調査の適正を期してまいりたい、そのように考えておる次第であります。
#97
○須原昭二君 これはメモが来まして、早く、時間を短縮せよということで、残念でしょうがないのですが、厚生大臣、やはりこれは先ほども申し上げましたように、大臣の答弁というのは継承の義務がある、こうみずから御答弁を願ったわけでありますが、総括質問の中で、明らかに立ち入り権はこれは必要です、随時調査が必要です、これは検討しますとお答えになったことを、厚生大臣は継承されますか。
#98
○国務大臣(齋藤邦吉君) なくなられた斎藤元厚生大臣が言われたことでありまするから、私も継続して検討いたしますが、どちらがいいかということになると、これはなかなかむずかしい問題だと思うのです、どちらがいいかということになると。強制力によってただ調べればいいというだけの問題ではない、やはり皆が協力をして実態を把握するということも必要な場合もあります。こういうわけでございますが、せっかくなくなられた斎藤大臣が約束された、検討すると言われたのですから、私もさらに検討を継続いたします。
#99
○須原昭二君 二年たっているのですからね。さらに検討すると強く言われましても、どうも信頼がおけないのですよ、これはもう信頼問題ですよ、ここまで来ると。われわれは一国の厚生大臣でありますから信頼をしたい。しかし継承の義務がある、あると言いながら、さらに検討するとおっしゃいましても、その間もう二年数カ月たっているわけです。ですからぜひともひとつ、これは軽々にただ検討する検討するでこの場をのがれればいいというものの考え方ではなくして、ぜひ肝に銘じて推進していただきたい。これは要望しておきましょう。
 そこで次は、これは保険局になりますかな、薬価基準価格を定める計算の九〇バルクを求める包装は「二倍の法則」という名前でいわれておりますが、これは採用しておりますね。
#100
○政府委員(北川力夫君) そのとおりでございます。
#101
○須原昭二君 「二倍の法則」というのはもう承知をされておるということですが、あらためて申し上げておきまするが、バルクラインの価格を求める包装、すなわち基準包装ですね、これをしゃにむにいま小さな包装に押しつけることである。最小包装における販売個数を基準にして、これより大きい包装の販売個数がその二倍以上になった場合、その大きい包装を繁用包装とみなして薬価決定の基準包装に採用する方法であります。この方法というのはきわめて矛盾が大きいわけです。及ぼす影響がきわめて大であります。この重大な矛盾のある問題点についてお認めになりますか。
#102
○政府委員(北川力夫君) 私ども従来「二倍の法則」というものを採用いたしておりますのは、やはり薬剤師につきましては、元来実費を補償すべきたてまえから見て、大多数の医療機関が薬剤の使用においてマイナスにならないような配慮が必要であると思っております。また、そういう意味合いからこういうようなたてまえができておるものと考えておりまして、いろいろ問題点もあろうかと思いますけれども、現在考えておりますのは大体そのようなものでございまして、結果的にはこれによって極端な小包装による割り高価格を排除する、そういう必要性もありますから、そういう効果もあるのじゃなかろうか、このように考えております。
#103
○須原昭二君 ちょっと、きわめて重大な矛盾があるわけです。まあ、効果があるとかおっしゃいますが、それは私は是認できません。この「二倍の法則」というのは、あらためて聞きますが、中医協の議を経ておりますか。かってに厚生省の官僚がきめた方法ですか。どちらですか。
#104
○政府委員(北川力夫君) これは価格をきめるにあたりまして、中医協できめられる前からこういうことを採用いたしておる、このように承認をいたします。
#105
○須原昭二君 そうすると、私が言いました後者ですね。厚生省のお役人がかってにきめられた方法である、こういうふうに解釈していいですか。
#106
○政府委員(北川力夫君) かってにということになりますとあれでございますが、従来からこういう方法を厚生省は採用いたしておる、こういうことです。
#107
○須原昭二君 これはきわめて重大な問題点でありまして、大きな包装のやつは単価は安いわけですよ。小さい包装は高いんですよ。だから小さな診療所や僻地の診療機関については非常に高いものについている。そして事によってはバルクライン九〇よりも高い値段、薬価基準より高いものを買わさざるを得ない。ここに重大な問題点があるわけで、――この際、時間がございませんから、正しい九〇%数量バルクラインとは、いかなる包装を問わず販売された総数量の九〇%バルクラインで薬価をきめるべきではないか、こういうふうに実は私は常々痛感をいたしておるわけですが、この点はどうですか。
#108
○政府委員(北川力夫君) 須原先生、非常に専門の先生でございますから、そのような御意見があるかと思います。また、私どももこういう問題につきましては、いろいろ御意見が分かれておることも承知をいたしております。ただ、やはりいま申し上げましたように、薬価基準を決定するにあたりましては、基準をきめるわけでございますから、大多数の医療機関が購入できる価格とすべきであるということから、いま御指摘の繁用包装というものを薬価基準として採用することが望ましい、このように考えておるわけなんでございます。もちろんいまのように包装間に価格の差が生じますことは、現在の生産、流通の実態から見ましてある程度やむを得ないものと考えますが、この結果が薬価基準と実勢価格との非常に大きな乖離の一現象としてあらわれますことは好ましからざることでございますので、この包装間格差の縮小、これについては一そうの指導を私ども厚生省部内で関係部局とも協議いたしまして十分にやってまいりたい、そのように考えている次第でございます。
#109
○政府委員(松下廉蔵君) ただいま保険局長から御答弁申し上げました包装間格差の問題、薬務局の指導方針につきまして補足させていただきます。
 いま、先生御指摘のように、包装間格差があまりに大きくなりますと、実際には薬価基準と実勢価格との乖離、これは両面の乖離であるわけでございまして、非常に安く手に入るというふうな不合理が生じます反面、大包装があまりに大きいことになりますと、薬価基準では手に入らない、小さい診療所におきまして。そういうような両面の問題があるわけでございますが、すでに昭和四十四年八月に業界に対しまして、医薬品の包装につきましていま御指摘のような問題が起こらないように具体的な通知を出しまして指導いたしております。業界といたしましても申し合わせといたしまして、できるだけ包装間格差を縮める、大包装のものと小包装のものとの格差を大体一〇%以内を目標といたしまして業界自体としても自粛しておるようでございまして、なおこの点は、先生御指摘の点を踏まえまして、私どもといたしましても保険局とも御相談の上、できるだけ業界を間違いのないように指導してまいりたいと思います。
#110
○須原昭二君 いま、両者の御答弁をいただきまして、矛盾があることはお認めになったと思います。このような状態を残しておくと、薬というものが大量生産、大量消費に向かう一つの最も大きな矛盾がここに出てきているわけです。たくさん使えば安くなる、少量使えば高くなるというこの現象は、医薬品の特質からいって全く矛盾を来たすわけです。したがって、販売された総数量、包装のいかんを問わず、この総数量の九〇バルクライン、ここで薬価をきめなければ私はならぬと思うわけです。この基準包装――繁用包装を基準包装にしていくあり方というのは、完全にこの際はっきりさせるべき段階にきているのではないかと思うのです。あらためて私はお尋ねをいたしますけれども、意見を問うていきますが、この販売された総数量の九〇バルクライン、これで薬価をきめるべきである、私はこう思うのですが、この点はどうです。
#111
○政府委員(北川力夫君) 先ほどもお答え申し上げましたように、このきめ方につきましてはいろいろ御議論があるところでございます。バルクラインの引き方につきましてもございますし、また、薬価基準のきめ方についてもいろんな議論があることも承知いたしております。御指摘のように、薬価の適正化ということは非常に大きな問題でございますし、また保険医療をやっていきます場合にも最大の問題の一つでございますので、現在も中医協において、診療報酬のいわゆるスライドの問題とあわせて薬価の適正化の問題が検討されておるところでございますが、こういう検討の中で十分に検討願い、また私どももいま薬務局長から申し上げましたように、どういう方法が一番適切であるか、今後十分に検討を急ぎたい、このように考えておる次第でございます。
#112
○須原昭二君 この「二倍の法則」というのは矛盾がある、間違いがある、こういうことを御認識をいただいたと思うわけです。間違いがある、矛盾があるということをここで気がつけば、これを改善するということが行政の責任だと私は思うわけです。ですから厚生大臣、この「二倍の法則」というのは、現実に立って大量販売、大量消費、これが薬害に導くものであるということで、すでに世論の反撃を食っておるわけでありまして、たくさん薬を使ったら安くなって、少し使えば高くなるというような、そういう現象というものはこの際ピリオドを打たなければならない。そういう点から「二倍の法則」というものはやめる、こういう方向で真剣にやはりこの段階でやらなければならないものではないかと思います。どうぞ、あやまちがある、矛盾があるというなら、これは改めることが行政の責任だと私は思うのですが、厚生大臣どうです。
#113
○国務大臣(齋藤邦吉君) だいぶ専門的なようなことでございまして、まあしかし、須原先生はこの道の専門家と承っているわけでございますから、十分ひとつ検討をいたします。
#114
○須原昭二君 あんまり検討、検討と言うと検討大臣になりますから、ひとつ真剣に取り計らっていただきたいと思います。
 そこで、今度は「二倍の法則」をやめてもまだ問題がある。今度はバルクライン、いま中医協の中で九〇バルク、すなわち一から計算をして一〇〇に至るその九〇番目の価格できめているわけです。これを五〇にする七〇にする八〇にするという論議をされておりますが、この九〇のバルクをいかにものを変えようとも薬価は下がらないことをひとつ指摘をしておきたいと思います。現在の九〇バルク値の算出法がオンライン法です。オンライン法によると一〇%だけ高くして薬価調査表に記入しておけば、あとは幾ら安く売っても薬価基準に影響しないということになるんです。そうでしょう。
#115
○政府委員(北川力夫君) 現在の九〇%バルクライン方式というのは、確かにいま先生のおっしゃったとおりでございますから、そういうふうな結果的には一般論としてはそういうふうなことになろうかと思います。
#116
○須原昭二君 お認めになったでしょう。だから九〇バルクから上の一〇%の人は薬価基準より高いものを買っているんです。みすみす投与することによって医療機関は損をしているんです。たがら零細な診療所はあるいは僻地の診療所は薬を使わない人は、一〇%買えない人たちは薬価基準よりも高いものを支給されているのです。この矛盾を是正しない限り僻地にお医者さん行けったってこの面からも行けないです。お認めになったから改めるべきです。どうですか。
#117
○政府委員(北川力夫君) 私どもも従来から、たとえば中医協における論議等を通じましても、九〇%バルクラインを僻地の診療所等で、こえた価格で、医療機関が医薬品を買わなければならないというようなケースがあるということは私どもも議論として承知をいたしております。ただ、これをどのように改善をしていくか、こういう問題はいろいろほかにも方法があろうかと思いますけれども、どういう方法が一番いいか、こういう問題も私どもは今後中医協その他専門家の方々の御意見を聞きながらこの改善の方途について絶えず努力をしていきたい、このように考えている現状であります。
  〔委員長退席、理事小平芳平君着席〕
#118
○須原昭二君 お認めになったんですから、そこで中医協で論議をされている九〇を五〇にする。そうすると半分の人はあまりもうからない、半分以下の人は幾らでも安くなるからもうかるという、こんな数字を動かしていることはだめなんです。
 そこで私は、いまオンライン法あるいはテレスコープ法、カットオフ法、三つの方法がありますよ。この三つの方法はすでに専門家――保険局なんか専門家なんですから、私以上に。ごまかすことも専門家かもしれませんが。この算出方法三つを比較して簡単に説明してください。
#119
○政府委員(北川力夫君) 私も須原先生ほどの専門家じゃございませんので、どの程度御納得のいく説明ができるかわかりませんが、私が承知いたしております範囲で申し上げますと、大体次のようなことになろうかと思います。
 九〇%バルクラインと申しますのは、いまもお話がありましたが、販売価格の低いほうから数量を順次並べていきまして、全数量の九〇%に当たるところの値段をいうわけでございます。それからカットオフ方式と申しますのは、低いコストのほうから九〇%に達するまでの納入量の加重平均の値であります。また、テレスコープ方式は九〇%より高いコストの部分をも九〇%のコストにまで引き下げた全数量の加重平均値、このように承知をいたしております。
#120
○須原昭二君 まさにそのとおりです。この三つを比べたときにどれが一番安くて、どれが一番高いんですか。
#121
○政府委員(北川力夫君) これはやはりいま申し上げましたように、カットオフというのは九〇%以上カットしてそれ以下のものを加重するわけでございますから、カットオフが一番安くて、その次が九〇%以上は九〇%とみなして加重平均するわけでございますからテレスコープ方式、その次が九〇%をバルクラインできめるわけでございますからオンライン方式と、こういう順番に高くなっていくと思います。
#122
○須原昭二君 一番高い価格をつける方式を採用している、ここに問題があるわけです。なぜ一番高いオンライン法を採用しなければならないのか、そこに御答弁を願いたい。
#123
○政府委員(北川力夫君) これもいろいろ御議論があると思うのでございますけれども、九〇%バルクラインでございますと、原則としてこれは大部分の医療機関はその価格で購入できる価格になる。もとよりいま先生お話になりました僻地の診療所でございますとか、そういったところでこの価格をこえて購入しなければならぬところがございますけれども、まず、大部分のものが買えるような薬価の設定方式だろうと思います。ただ、そのカットオフ方式にいたしましてもあるいはテレスコープ方式にいたしましてもいずれも加重平均の価格でございますから、この加重平均価格というふうなことになりますと、そういった加重平均という面に関する限りは非常に端的に申し上げますと半数近い医療機関が購入できないような結果になりまして、薬価の算定の方法としてはいかがなものだろうかというふうに私は考えているわけでございます。
#124
○須原昭二君 いずれにしても、一番安いのがカットオフ、一番高いのがオンライン、そして一番安いのがカットオフと、こういうことでもう御答弁をいただいたのですが、なぜ高い価格を設定できるこのオンライン法を採用したのか、どこできめたのか、その経過について当時の資料が厚生省に残っているはずだと思うのですが、残っていますでしょうか。以上三点です。
#125
○政府委員(北川力夫君) 現在の方式を採用いたしました公的な文書の記録は実は現在明確ではございません。何ぶんにもこれも先生御承知かと存じますが、終戦直後の占領下の問題でございまして、そういう意味合いで、現在私どもはそういう資料を持ち合わしておりません。ただ、いろんな記録によりますと、二十二年当時、物価統制令に基づくいわゆるマル公が薬価基準価格とされておりまして、その算定にあたりましては、この原価計算方式によるテレスコープ法が用いられておった。しかし、その後このマル公廃止に伴ないまして二十六年から物価庁において、薬価調査に基づく市場価格をもとに薬価基準が算定されることになり、その際からオンライン方式が用いられて現在に至っておる、このように承知をいたしているような次第でございます。このように薬価調査を実施をして、その結果をもとにして薬価基準価格を定める際の手法としては最初からこのオンライン方式が採用されていたものと、このように考えております。以上でございます。
#126
○須原昭二君 どこできめたのかわからない、厚生省にも当時の資料が残っていない、だから何かなぞのような話でありますが、二十二年から二十五年までは薬価は物価庁の所管で七五%数量バルクラインのテレスコープ法を実は採用しておる。高いほうのテレスコープ法を採用しておる。昭和二十五年の九月、薬価基準の設定に基づいて実勢価格調査をもとにしてテレスコープ法から八〇%バルクのオンライン法に、高いほうに変わっている。そして昭和二十七年八月厚生省に移管されてからはさらに九〇%バルクという矛盾の高いオンライン法に変わってきておる。だれがこういうことをきめていくんですか。製薬企業と話し合いで、ことばをかえて言うならば、ヒヤリングという形で、そういう形でお役所がきゆていくんじゃないですか。ここに実は「薬価基準総覧」を持ってきております。非常に失礼な言い方でございますが、こういう点から言わざるを得ないんです。日本製薬団体連合会保険薬価研究会の発行ですよ、これ。昭和四十二年十一月二十日の発行、この中にも実は、明確に答える資料が見あたらない、こう書いてありますけれども、実はこの本を読んでみますると、これはお役所が本書の執筆にあたって江間時彦さん、中島良郎さん、曽我部立男さん、大野邦一郎さん云々と、各位に多大の御助言と御援助を仰いだと刊行の序言に書いてあります。なお、この書は公開されるものではないんです。非売品なんです。公開しない、非売品のものを公の現職にある人たちがこれに協力をしている。この一つの事実をとってみても、薬務局長は、名前を出して恐縮でありますが、業者とヒヤリング、メーカーとヒヤリングをするということは、裏を返せば彼らの意向をのんでお役所がどんどんこういうメーカーに都合のいいバルクラインあるいは算出方法を設定をしている事実なんです。この点は明確にしておかなければなりません。オンライン法の採用も、さきに申し上げました「二倍の法則」による基準包装も中医協できめたものではないんです。お役所がきめたのです。私たちから推測するならば、業者の皆さんとなれ合いできめたと、こう言わざるを得ないんです。どうですか。
#127
○政府委員(北川力夫君) ただいま御指摘になりましたこの書物に、「薬価基準総覧」という中にいろんな医療保険の制度とかあるいはその他のいろんな問題も書いてございまして、そういう意味合いでおそらく、推測を申し上げて恐縮でございますけれども、当時の関係の職にある厚生省の方々が協力したものだろうと思っております。したがって、そういう意味合いでは、私どもは、いまお話がございましたが、全くのなれ合いでものごとがすべてきめられておると、そのようには考えておりませんので、やはり先ほどからいろいろお話がございましたように、正しい薬価をきめると、正しい薬価基準を設定すると、大多数の医療機関が支障なく購入できるような薬価をきめる。そういうたてまえに立ってものごとが進められておる、このように考えております。ただ、いまいろいろと御指摘のございましたような現行のこの薬価基準をめぐる諸問題、薬価を決定するにあたりましてのいろいろな問題点、あるいは矛盾と申しましょうか、今後改善すべき点と申しましょうか、そういう問題があることは事実だと思います。この点は、先ほど私が申し上げましたように中医協においてもいろいろ議論されているようでございます。でございますから、そういった問題は今後、保険医療上の重要な問題でございますから、十分専門的な論議をして、また専門的な論議を詰めていただいて、改善すべき点は早急に改善をしていくようにつとめてまいる、これが私どもの、行政当局の今後のとるべき道だと考えております。
#128
○須原昭二君 したがって、この「薬価基準総覧」の中にも書いてあるように、このように薬価のきめ方の方式あるいはまた九〇バルクが変わってきた変遷、これらすべては、実は中医協できめたわけでもないし、どこできまったことかわからないというふうに書いてあるんですが、どこできまったかわらないといえば、厚生省以外にないんじゃないですか。先ほども中医協に発表しない前は、事前に国会といえども報告はできないんだと、こうおっしゃいます。こういうことになりますと、中医協できめるんじゃなくて、おたくたちがかってにきめておいて、われわれが言えば、今度は中医協だから、中医協だからと言って、中医協を隠れみのにされる。こういうことであってはほんとうに信頼が置けないのです。私は、この厚生省が薬価決定についての、業者とヒヤリングをやっているということを聞いております。事実ですか。
#129
○政府委員(松下廉蔵君) 新薬を薬価基準に収載いたします場合には、その効能なり成分、使用上の注意等につきまして十分チェックをいたします必要がありますので、個々の、それを製造いたしましたメーカーとのヒヤリングは行なっております。
#130
○須原昭二君 新薬ばかりではないのです。薬価決定にあたり、薬価の調査の結果が実勢と差があると思われる場合、メーカーを呼んでヒヤリングという形で行なっているんです。厚生省は調査で下がらない価格を実態に近づけるために業者とのヒヤリングをやるという名目で話し合いをやっている。現にメーカーの諸君が言っているから間違いないのです。これは皆さんが善意にやったといえども、客観的にわれわれが見るとお役人と業者の話し合い、悪く言うなら談合、こう言わざるを得ない。
  〔理事小平芳平君退席、委員長着席〕
この「薬価基準総覧」でも、日本の国にこの「薬価基準総覧」は一冊しかないのです。公開の文書であるならばどんどんお役人の皆さんも、執務時間に公務員として時間が制約されている段階は別として、御協力をすることはけっこうです。少なくとも非公開になっている非売品ですよ。こういうものに資料を提供し御協力をいただいている現実から見ると、この面からいっても私は癒着と断定せざるを得ないのです。価値のない、信憑性のない調査、薬価調査と知りつつ調査して、修正と称して業者と話し合ってきめるというのは事実なんです。これを称して私たちは官僚と業者との癒着だと言う。――言われるような、こんなようなヒヤリングは断じて中止すべきです。一つでも安いという価格が発見をされた、直ちにそれを薬価基準として、基準価格として建て値を変更させる措置を講ずる、あるいはそういう価格が、添付をされているとか、あるいは値引きをされている事実があったならば薬価基準からはずしていくというような強硬な手段を講じない限り、私は薬価は下がらない、こう言わざるを得ないんでありますが、この点は厚生大臣から明確な、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#131
○国務大臣(齋藤邦吉君) 薬価基準はあくまでも適正にきめなければならない問題でございまして、業界と密接な深入りした癒着的な関係があってならないことは当然でございます。そういうことのないように、今後とも私も注意をいたします。さらにまた、いわゆる添付、値引き等につきましても適正ならざるものがあれば、私どもは薬価基準の登載をはずすと、そういうふうな強い態度で臨むことは必要でありましょう。いずれにせよ薬価基準というものは、保険の中にあっては非常に大事な問題でございますから、今後とも適正に決定されますように努力をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
#132
○須原昭二君 大きな声を出して恐縮でした。
 中医協の決定によってあるいは「二倍の法則」だとかあるいはオンライン法の採用がきまったというならば私はまだまだ理解をしてもいいんです。厚生省のお役人がかってに採用しておきながら、この際、重大な欠陥が「二倍の法則」といい、算定方式といい、これは明らかになったんですから直ちに変えるべきです。これを是正する決意がございますか、厚生大臣。
#133
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほども申し上げましたように、適正な薬価基準というものを決定することは厚生省として当然なすべきことでございますから、その線に沿うて今後とも改めるべきものがあれば改めていくと、こういうことを考えている次第でございます。
#134
○須原昭二君 特に私は強調したいんですが、大きな国・公立あるいは大きな病院はさることながら、小さな診療機関、ほんとうに僻地の中で懸命に住民の皆さんに奉仕をしているお医者さん、こういう立場から見ると全く断腸の思いがします。九〇バルクライン、実態からいうならば一%の購入者は犠牲にされているわけです。薬価基準はあっても絶対下がらない仕組みになっているんです。その犠牲の立場に立ちながら、しかもなお住民の皆さんに奉仕的な献身をしているこの僻地の医療担当者の姿を見るときに、私は何としてもこれは是正しなければならない。
 端的に一つ例をあげましょう。アクロマイシンVというやつがあります。シロップです。薬価基準では百二十円します。百二十円。保険薬局や診療所、幾らで買っていますか。二百十円ですよ。薬価基準の倍に近い額で買わざるを得ない。クロロマイセチン、――パルミテート液です。百九十八円が三百三十円です。セデス末、粉末でありますが、五百グラム入りが六千五百円が九千百円ですよ。百グラム入りが千三百円の薬価基準が千九百二十円ですよ。われわれは薬価基準の差益、そして、もうけることを初めに指摘をいたしました。今度はこの差の逆転で非常に医療機関が困っているという、僻地の皆さんの実態というものを銘記すべきです。私は、したがって、厚生省は薬価基準価格決定のための調査を予告なしに、もっと徹底的に、厳重な立ち入り権にするというようなことを考えます。「二倍の法則」なるからくりの方法をやめて、直ちに廃止して、基準包製方式を改めて全数量バルクラインという新しい方式に私は是正すべきである。バルクラインの算定方法を現行のオンライン法からカットオフ法、せめてもテレスコープ法に改めるべきだ、こういう基本的なものの考え方に立っているわけです。この点をやらない限り、いかに大きなことを言い、いかに薬務局長がさか立ちして一生懸命歩いてたって薬価は下がらない。何べん言ってもやらないんだ。この点を銘記していただきたいと思うんです。厚生大臣、どうでしょう。
#135
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほど来申し上げておりますように、薬価基準というものはあくまでも適正にきめていかなければならぬ問題でございますから、いろいろお述べになりました御意見のうちで、私どもも反省するものは反省し、改めるものがあれば改めていくという考えでございまして、今後ともいろいろな問題についてひとつ十分検討いたしてまいりたいと思います。
#136
○須原昭二君 改めるべきものがあればじゃないんです。改むべき段階に来ているんです。あればではないんです。仮定じゃないんです。あるんです。あるんだから変えなさいと私は言っているんですよ。
 そこで改める方法ですよ、今度は。これらの問題を私たちが国会等々において指摘をいたしましても、必ず返ってくることばは中医協。中医協で検討してもらう、こう言って、その場を逃げられてきたのがこれまでの経過です。だから、私は中医協は、都合のいいときは中医協中医協といって、厚生省のお役人の皆さんは隠れみのにされているのではないか、この際厚生省自体が一大改正をするという決意を明らかにして、原案を立てて、中医協に、いま中断をしておりますけれども、中医協にして、諮問するというような積極的な私は姿勢を示すべきであると思う。この問題、そうして、いつやるかということがいま課せられておる大きな問題点です。立ち入り権と同じように、また二年半検討します、さらに検討しますでは了承するわけにはまいりません。これに対するスケジュールについて明確にしていただきたいと思います。
#137
○国務大臣(齋藤邦吉君) 一昨日でございましたか、お答えをいたしましたが、中医協は法律的にいえばまさしく厚生大臣の諮問機関でございます。ただまあ、いろいろな今日までの沿革、慣習等によりまして、ややともすればそういう面が、薄れている面がないわけでもないわけでございます。しかし、このような現状でいいかどうかということになりますと、相当考えなければならぬ問題もあるということを申し上げたのでございまして、いますぐこれをどうするというようなことをいま申し上げますと、あまりにも各方面に対する刺激が強過ぎますから、その辺はもう少し私に慎重な発言をお許しいただきたいと考えておる次第でございまして、意のあるところは十分私も承知をいたしておるつもりでございます。
#138
○須原昭二君 私は、このようなことをどうしてことばを強くして言っているかということは、今日の医療制度、特に医療保険制度の中における諸悪の根源はこの薬価にあるといってもいいのです。物と技術が分けられていない今日の診療報酬体系の中においてこのメスをふるうべきところは薬価基準です。これを徹底的に改善しない限り医療の荒廃は私はあとを断たないと思うのです。だから薬価基準価格が正されないばかりに潜在技術料だ、云々とされて医師全体に対する不信感が高まっているわけです。医療や薬に対する国民、患者の不満が強くなっていることはきわめて残念です。まさに医療の諸悪の根源は、今日薬価基準のここにあると言っても私は過言ではありません。一日も早く国民の信頼をする薬価基準のあり方、医療のあり方の制度に改善せられなければなりません。この点はひとつ明記をしていただきたいと思います。特に今日健康保険法一部改正法案が提案をされておりますが、この点は前回にも申し上げましたように、何といっても保険の限界がある。保険の限界の中へ全部入れてしまって、そうして収支のバランス、収支相当の原則、相互扶助の原則を推し進めるところに問題があるわけです。こういう問題を捨て置いてこんなことを保険の中でやれといったって無理なんです。保険は限界がある。そうして守備範囲を設けよということを前回皆さんに申し上げたわけでありますが、特に、この問題点の中で収支だけが、特に収入、財政だけに終始をされております、今度の改正案は。支出の問題について、供給体制の問題については全然触れられていないところに私は大きな不満を持っているわけです。これは厚生大臣は後ほど財政がよくなったら今度は次のことを考える、次善の策を強調されておりまするが、特に健保財政が赤字になっている根源は、私は薬価にあると指摘をしてもいいんですよ。累積赤字三千億に達した、このたびこの赤字解消のために法案が提出されているわけですが、たとえこの法案が日を見ても、ちょうど私は現物給付、出来高払い制度の現状では、たとえ金はたくさん入ってきてもザルの中に水を入れると一緒ですよ。真に赤字解消の方途にはなりがたい。この点は断言しておきます。どうですか。
#139
○政府委員(北川力夫君) 前回須原先生から御指摘がございましたように、保険という問題だけをつかまえて、財政の健全化をはかることが健康保険制度の改善のすべてであるとは私どもはさらさら考えておりません。医療全体の中での保険でございますから、そういうことも考えながら、かつまた保険の運営といたしましても、いまいろいろと問題に出ました薬の問題でございますとか、あるいはまた供給体制の問題でございますとか、そういった問題を総括的に解きほぐしていく、改善をしていくという必要性は私ども自身がきわめて痛感をいたしておるような実情でございます。で、そういう意味合いで、いまいろいろ御批判もございましたけれども、少なくとも現在まで私どもは薬価基準につきましても、最近は特に薬の占める医療費の中における割合がだんだんと高まっておりますようなその現象自体については非常に大きな問題意識を持っておりまして、薬価調査というものを適正に行なうと、またその他もろもろの薬価基準に関するファクターの整理も検討をしながら、保険医療の中における薬価基準の適正化、こういう問題については、今度の改正とももちろん並行いたしまして保険行政として十分の努力を続けたい所信でございます。
#140
○須原昭二君 そこで、御銘記をいただいておると思いますが、やはりこの収支のバランスと同時に、私たちは、以前から抜本の改正、医療供給体制の医療基本法、こうしたものと関連をして同時に検討すべきことがほんとうに間違いない方途になっていくということを前々から銘記しておりました。残念ながらこの終盤に至って、この抜本、――医療基本法が出ておらないこの現実を非常に残念と思います。意見だけは申し上げておきます。特に実勢価格と薬価基準との差が少なくとも今日三〇%あります。昭和四十七年――昨年度、医薬品の総生産高は一兆九百十八億円、輸入超過になっておる現実、――輸入超過分を入れますと一兆一千三百億ぐらいになるわけでありますが、この一兆九百十八億円という国内で消費をされるだけでも、そのうち医家向けと申しますか、これは約七八%、医療用薬剤が七八%、それを計算しますと八千五百十六億円、したがって、この医家向けの医療用薬品を薬価基準価格にすれば優に一兆円をこえている。その三〇%という差益、すなわち三千億です。三千億というのは今日の健保の累積赤字額に相当する膨大なものです。年間にして三千億円以上の無意味な負担を国民に課しているということになるんです。これをわざわざ保険料なりあるいはまた税金において埋めているわけです。だから私は言うんです。いかに収支のバランスをとり、いかに負担を上げたところで、あたかもそれはザルに水を入れるがごときものである。だから断じて健康保険制度というものは、この財政は、実態はよくならない、こういうことを予言しておかなければならないわけです。
 私は、最後に至って、時間が来たようでありますから、まことに残念でありますが、このきびしい条件、このきびしい批判にぜひともこたえていただきたいと思うわけであります。私は厚生大臣というのは、前厚生大臣の塩見先生もお見えになりますけれども、幾たびかこの問題は指摘をしてきたつもりです。あらためて検討する段階ではないのです。最後に臨んで厚生大臣の明確なるひとつ御答弁をお願いして、質問を終わりたいと思います。
#141
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私どもは保険制度を円満に運営できることを念願いたしておるわけでございます。それがためには薬の問題、あるいは医療供給体制の問題、医療保険の抜本的な改革の問題等々のありますことは、私も十分考えておるわけでございまして、今日までたびたび申し上げておりますように、実行可能のものから段階的に実施していこうという私の考えを申し述べたわけでございまして、先ほど来御質疑を通じていろいろ御指摘いただきましたことは私も十分心得ておるつもりでございます。今後とも須原委員のお述べになりましたようなことを十分胸に秘めまして、前向きに努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#142
○須原昭二君 最後でありますが、保留した部面がございます。特に薬価の問題については多くの矛盾があるということを指摘をいたしまして、厚生省の皆さんも、この矛盾があることについてはお気づきになっておったか、また、この際お気づきになったかはわかりませんが、いずれにしても重大な問題点があることが明らかになった、明らかになった以上、この際是正をしなくてはなりません。この点を明確にひとつ要求いたしておきたいと思います。
 なお、保留の部分がございますから、それは残余のときにひとつお願いをいたしたいと思います。
#143
○小平芳平君 健保改正案について若干質問をいたしたいと思います。
 須原委員から御指摘のあった薬価の問題、その他現在の医療制度は数多くの問題点をかかえており、欠陥をかかえているということは、もう長年の懸案となっていること。これはもうどなたも否定することのできない問題点、欠陥というものをたくさんかかえている、矛盾をたくさんかかえているということであります。それが現状であります。したがいまして、この目先だけの、その場のがれの健保改正ではならないということから、昨年はいわゆる抜本改正、あるいは医療基本法案、このような提案もなされたわけでありますが、本年はそういうものを抜きで健保改正が出され、いま参議院で審議が行なわれております。で、厚生大臣の私的諮問機関として社会保障長期計画懇談会、五月七日発足、八月末までに大綱を、というようなことで発足されたというように聞いておりますが、この懇談会はその後どのように行なわれておりますか。そのことと、指摘いたしますような健保改正、抜本改正等、あるいは医療制度の改革とはどのような関連をもって考えておられますか。第一にその点をお伺いいたしたい。
#144
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先般、ことしの二月でございましたか、閣議決定いたしました経済社会基本計画に基づきまして、厚生省に五月の上旬でございますが、長期計画懇談会をつくりまして、各界の専門の方々に委員を御委嘱し、御審議をいただいておるわけでございます。そこで一応、健康保険、医療保険の問題と年金問題につきましては、今回国会に提案いたしております法案がどうなりますか、まだはっきり決着がついておりませんので、その部分を除いて、特に医療で申しますれば、医療供給体制の確立をどうするか、すなわち看護婦の養成の問題、助産婦の養成の問題、こういう医療関係のマンパワーの問題、それから社会局、児童局関係のいわゆる社会福祉施設の充実をどうやってはかっていくか、そういう方面に今日まで主として力を注ぎまして、一応の中間的な報告もできそうな段階に来ておるということを承っております。そこで、それが中間報告ができそうな段階になっておりますので、今度の会期中にいま御提案申し上げておりまする健保、年金、この法案ができますれば、直ちにそれに基づいて、この二部門について、医療保険と年金の二部門について、できるだけ審議を早めていこうと、そうして、できるならば医療供給体制、社会福祉施設の一応の案と一緒にして、まとめて厚生大臣に答申するようにしたいと、こういうふうなことの先般、有沢委員長から申し入れがございました。したがって、こちらの審議の状況の推移とにらみ合わせて、まとめたものとして厚生大臣に答申をし、そうして、それに基づいて今後の五カ年計画の案を一つつくっていくようにしようではないか、こんな手順で、私の口から申し上げるのもいかがと思いますが、非常に順調に進んでいると、かように理解をいたしておるような次第でございます。
#145
○小平芳平君 大臣は当初もよくそういうように発言をされまして、要するに、社会保障長期計画は現在国会に審議中の健保、年金が成立した段階でできるんだという。ただ、問題は、今回の健保改正もその抜本改正の一歩だというふうな発言もお聞きしたことがありますが、問題は、この社会保障の長期計画を立てようという場合に、医療制度については関係団体の意見も食い違っているわけです。その辺の医療制度の青写真ができないことには、今回のこの改正案も、須原委員が先ほど指摘したように、また赤字になること必至ではないかというような欠陥をかかえた相変わらずの医療制度におちいってしまう。したがって、何より急がれることは、厚生省当局は何より急がれることは赤字問題だとおっしゃるでしょうが、しかし赤字対策のそのもとを長期計画としてどういう青写真を描いていくか、ここから出発しなければならない。これが欠けていたのでは、いつまでたっても回り道になってしまう、堂々めぐりになってしまうのではないか。その点はいかがですか。
#146
○国務大臣(齋藤邦吉君) 仰せになりましたとおりだと思います。私もさように理解をいたしております。
 そこで、長期懇におきましては、保険と年金につきましては、最終的な青写真を、まだできてはいないわけでございますが、この青写真をつくるにあたってのいろいろな問題点を指摘して研究しようではないかということで、指摘した問題点の検討だけはいまいたしてございます。たとえば医療保険の問題で申しますと、先ほど来申し上げました薬価の問題もございます。それから支払い方式の問題もありましょう。それから労使負担方式の問題もありましょう。それから年金で申しますればいわゆる賦課方式の問題をどうするか。現在のようないわゆる福祉年金をもう少し増額させるようにし、同時に賦課方式に切りかえていくにはどうすればいいかといったふうな問題点の研究だけはいまでも十分いたしております。
 で、あとはこの法案がどういう形で決着がつくか、それと見合って、その問題点とあわせながらこの問題を考えていこうと、こういう手順で進んでいると承知をいたしているような次第でございます。
#147
○小平芳平君 といいますことは、健保、年金の決着と、それからいまの懇談会の答申ということがわからない段階では、厚生省としては昨年取り組んだような抜本とか基本法に取り組むことはできないということでしょうか。
#148
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私どもは医療保険の抜本的な改革の問題につきましては、できるものからという考えで収拾に当たってきたわけでございまして、今度の改正法案の中にも私は一部入っておると思うのです。一部入っていると思います。そういうふうなことで実行可能なものからと、こういう考え方でございますから、その長期懇における青写真がいろいろ出てまいりますれば、その中からまとめたものとしてやったがいいかとか、あるいはこれはまとめてやるにはなかなかいまはたいへんだ、それじゃ実行可能なものからまたやっていくとか、そういうふうな結論を出さざるを得ないんではないかというふうに考えております。で、私どもは、いままとめた抜本対策という形でやったがいいのか、段階別にやっぱりやったほうがいいのか、その辺の判断をしなければならぬと考えているような次第でございまして、まだ、青写真の問題、それからこちらの法案がどうなるか、その辺とにらみ合わせながら進んでいくようにいたしたいと思います。しかしながら、私どもはあくまでもいまの医療制度はもうりっぱなものだと、これ以上直すところはないんですと、そんなふうな考えは全然持っておりません。改めるものがたくさんあるという問題意識は十分私は持っておりますから、そういう方向で進んでまいるようにいたしたいと思います。
#149
○小平芳平君 できるものから実現していくという、これはもう当然そうなくちゃならない。にもかかわらず、厚生大臣、できることすらやっていないというふうな感じはいたしませんか、たとえば医薬分業とか。
#150
○国務大臣(齋藤邦吉君) できるものからまあ、やろうとしておるのでございまして、できるものを、できそうなものを延ばしているという考えは私ども持っておりません。いまお尋ねの中の医薬分業などにつきましても、御承知のように私は方向としてはそうあるべきものであり、それが望ましいものであるということはたびたびこの委員会においても申し上げたわけでございますが、いまこれを計画的に一挙に強制的にやっていこうと、これはなかなかたいへんなことでございます。で、それにはやはり段階別に地区地区でやっていくようにしたほうがいいのか、上からではなしに、地区地区で関係団体の合意の上にやっていくというやり方がいいのか、それから地域別に下からやるにしても、ある一定の地域を限りながら徐々にやっていったがいいのか、やはりいろいろやり方の問題があるわけでございます。で、これがためには薬剤師会なりさらにまた医師会なり、そういう方面と十分意思の疎通をはかるような何かやっぱり私は仕組みをつくる必要があるんじゃないか、こう実は考えているんです。したがいまして、もう少し落ちつきましたら、この相互の関係者が隔意なき意見を交換できるような仕組みをつくって、その仕組みの中からこの問題をプッシュするようなやり方を見つけていくと、こういうやり方に進んでいきたいものだと、かようにいまのところ私は考えておる次第でございます。
#151
○小平芳平君 それでは、医療制度の問題はあとでまたいろいろお尋ねいたしたいと思いますが、ここでこの政管健保の今回の改正を中心にして若干お尋ねをいたしたいと思います。
 で、前回の委員会で須原委員からこの収支見通しについていろいろ質問があった。で、それに対して厚生省はあらゆる試算をしてあるから提出をいたしますというお話でありましたが、本日いただいたものはこういう簡単な一枚の資料です。これでは収支見通しということが私にはのみ込めない。
 そこで第一に、衆議院の修正で、結果はどうなるかということを簡単にお答えいただきたい。ある新聞報道によれば、厚生省の試算によれば、衆議院の修正で黒字百七十二億というような報道があったことも御承知でしょう。そういうような点、あるいは須原委員が指摘したような点から見ても、一体赤字になるのか黒字になるのか、その辺はどうなっているんですか。そういう点の資料を出してくれるとばかり思っていたらそうじゃないんですが、これはどういうわけですか。
#152
○政府委員(柳瀬孝吉君) 先日の須原先生の資料の御要求は、診療報酬の引き上げを仮定として一〇%引き上げたらどうなるか、それから一五%引き上げたらどうなるか、二〇%引き上げたらどうなるか、こういうことの内容の資料の御要求だというふうに私は理解したわけでございまして、で、そういうことになりますと、ほかのいろいろな給付の改善が衆議院の関係で変わってきたというようなことに基づくもちろん変更もございますが、このことだけに限って収支の変更がどうなるかということになりますと、ただいまお手元にお配りしたような数字に、まあ、これもいろいろな仮定がございますので、変動要件が多いわけでございますが、一応のいろいろの仮定の上に立って試算をいたしますとこういう予想になりますと、こういうことでございます。
#153
○小平芳平君 黒字百七十二億ということはどうなんですか。
#154
○政府委員(柳瀬孝吉君) これは政府原案で――政府原案じゃなくて、いままで何ら対策を講じないで、いまの現状のままでいきますと、昭和四十八年度が赤字が約千百八十億ほど出るという見込みになるわけでございます。これを政府原案でいろいろの給付の改善あるいは収入の増というようなものを見込みますと、四十八年度で十億円の黒字になるという予想であったわけでございますが、先般の衆議院の修正によりまして、――いろいろな修正点がござやますので、それに基づきますと、家族療養費の給付率の引き上げ、あるいはボーナスからの保険料の徴収を取りやめるとか、そのほかの問題でそれを加味いたしますと、昭和四十八年度で八月実施の場合に四百七十四億の収支不足を来たします。これが八月からということは現実的には無理でございますから、十月からといたしますと、六百十一億の収支不足を来たすようになるわけでございます。これがこの衆議院の修正の案の内容のままで四十九年度に入りますとどういうことになりますかというと、先生おっしゃいましたような来年度の見込みが収支差し引きが百七十億ちょっとの黒字になりますと、こういうような見込みになるわけでございます。
#155
○小平芳平君 そうすると、保険料率を少し上げ過ぎるということになるわけですか。
#156
○政府委員(柳瀬孝吉君) この百七十二億の黒字のほかに、たとえば収入面の増の問題といたしましては、春闘のベースアップが相当大幅でございましたので、その面の増収がある程度期待できる、まあ、私どもの試算では約二百億ぐらいふえるのじゃないかというような要素もございます。
 それからもう一つは、この中に診療報酬の改定の内容が盛り込まれておりません。これはどういうことになるかわかりませんので、盛り込んでないわけでございますが、それが見込まれますと相当程度の収支不足を生ずるというふうな見込みになるわけでございます。
#157
○小平芳平君 まあ、この点については、数字をあげましてあれこれすると時間がかかり過ぎますので申しませんが、結局百七十億の黒字という見込みがあるといっても、これは最近いまお述べになったような診療報酬改定が控えているという点、結局足りないじゃないか。むしろ国庫補助が一〇%ということは、昨年から見ると大幅な増額だと厚生大臣御答弁なさったんですが、それは大幅でしょうが、結局結果としまして、厚生省のほうでは、給付改善が行なわれると、その上また診療報酬の改定が行なわれると、そうすると、この改正案成立した、すぐ赤字だということになるんじゃないか。むしろ国庫補助を一二%とか一五%に上げておいたほうがこの給付改善と見合うんじゃないか。いかがですか。
#158
○政府委員(柳瀬孝吉君) 今回の改正によりまして、たとえば来年度の国庫補助額は満年度で一千億をこえるような見込みになるわけでございまして、これは相当いままでの国庫補助の額から比べると異常なほど増額しておるわけでございまして、今年度はもちろん赤字になるわけでございますが、来年度も政府原案のままでございますと、相当の医療費負担にも耐えるようなあれでございましたが、しかしながら、衆議院の段階でいろいろな給付の改善、あるいは被保険者等の負担の軽減というような問題が中身に盛り込まれてまいりましたわけでございまして、そういう面である程度の赤字が来年は出てくるというふうに考えるわけでございますが、これは五十年度、五十一年度どういうふうになっていきますか、まあ、長期的に見込みを立てますれば、少しずつ明るい見込みになってくるというふうな状況になっておると思うわけでございます。
#159
○小平芳平君 国庫補助は一〇%で明るい見通しになると、こういうことですか。
#160
○政府委員(柳瀬孝吉君) さようでございます。一〇%でも四十九年度、五十年、五十一年、全体の金額が上がってまいりますから、定率にいたしておきますれば国庫補助の額も自動的にふえてくるわけでございます。
#161
○小平芳平君 それから今回の改善で分べん費本人最低保障二万円が四万円、配偶者が一万円から四万円、家族埋葬料が二千円から二万円、こういうことになっておりますが、あまりにもたとえば分べん費の一万円とか家族の埋葬料の二千円なんというものがこの法改正まで行なわれるということはあまりにも時代おくれもはなはだしいじゃありませんか。そう思いませんか。ということは、今後はこうした分べん費や埋葬料はどういう場合に改定しようという方針があるんですか、ないんですか。
#162
○政府委員(北川力夫君) ただいま御指摘のとおり、分べん費につきましても、あるいは埋奔料につきましても、現在まで長年これを据え置いてまいりましたことは、私どもは非常に現実とかけ離れたものと思っております。そういう意味合いで、今回分べん費につきましては最低保障を四万円に上げる、あるいはまた家族埋葬料につきましてはこれも大きくかさ上げをすると、こういうようなことをやったわけでございます。
 で、いまお話のとおり、分べん、埋葬いずれも現金給付でございまして、そのときどきの現に要する費用を相当程度カバーするということが私どもは原理原則だと思っております。そういう意味合いでございますから、今回の改正は、長年改正をしようと思っておりまして、結果的に改正ができませんでしたために据え置かれてまいりましたが、今後は改正というものはそのときどきの事情に合うように引き上げの方向で検討していくと、こういうような心づもりでおるわけでございます。
#163
○小平芳平君 大体この埋葬料二千円、それから分べん費の本人二万円あるいは配偶者一万円、現にこの数字ですからね、今日現在は。申しわけないと思いませんか、申しわけないと。したがって、今後はそういうような時代おくれなとんでもないことはやりませんというためには、もう少しはっきりと制度化するなり、あるいは基本的な方針を述べていただきたい。
#164
○政府委員(北川力夫君) 本来、私どもはこういった費用は、先ほども申し上げましたが、そのときどきの事情に合うように改善をしてくるべきだったと思っておるわけです。それがいろいろな事情で現行保険法の改正が実現できませんでしたために、今回まで据え置かれてまいったわけでございまして、今後は、いま申し上げましたとおり、そのときの状況に合うような適切な額に合わしていくと、こういう方向で検討していきたいと思っております。
#165
○小平芳平君 そんな方向や検討の問題じゃなくて、埋葬料二千円なんて、そんなことで埋葬できますか。申しわけないと思わなくちゃいけないじゃないですか。
 それはそれとしまして、次に保険料率と、それからいわゆる弾力条項につきましてお尋ねをいたします。
 厚生大臣が当委員会で述べられました提案理由の説明によりますと、法定料率の上下〇・七%の範囲内でこれを調整できる規定を設けるとなっているわけですね。そこで、法定料率というのを開いてみますと、「第七十一条ノ四第一項中「千分ノ七十」を「千分ノ七十三」に改め、」こうなっているわけです。そうして、その次に「千分ノ六十六乃至千分ノ八十ノ範囲内ニ於テ第一項ノ保険料率ヲ変更スルコトヲ得」と、こういうふうになっておるわけです。そういうことは何を意味するのか、かりに法定料率の千分の七十三というものが動いた場合ですね、かりに動いた場合は、やっぱりこの提案説明の法定料率の上下〇・七%の範囲内で動くんですか。いかがですか。
#166
○政府委員(北川力夫君) 改正原案によりますと、新しく改正をお願いいたしております新保険料率は千分の七十三、ただいま仰せのとおりでございます。それから改正法案に書いておりますいわゆる弾力調整規定の幅は千分の六十六から千分の八十まででございます。そういう意味合いでございまして、仮定の問題でございますので、仮定としてお答えを申し上げまするが、私どもはこの千分の七十三という規定に変更が加えられました場合におきましても、いわゆる保険料率の弾力調整幅は千分の六十六から千分の八十という、そういう調整幅でまいりたい、このように思います。
#167
○小平芳平君 そうすると、この提案説明がうそですか。
#168
○政府委員(北川力夫君) 原案の説明の段階におきましては、固定料率としてお願いをしておりますのが千分の七十三でございますので、それを前提といたしましてそのような説明をやっておるわけでございます。
#169
○小平芳平君 そうすると、千分の七十三の法定料率なんというものは、あまり意味のないものなんですよね。むしろ六十六から八十が問題であって、それが七十三になろうと、法定料率が七十になろうと、まあ、仮定ですが、法定料率が七十三であっても七十であっても、この千分の六十六ないし千分の八十には変わりないと、こういう説明ですか。それなら全然法定料率なんというのは意味ないじゃないですか。
#170
○政府委員(北川力夫君) これはいろいろお考えがあろうかと思いますけれども、元来、保険料率の弾力的な調整規定と申しますものは、先生も御承知のとおり、他の短期保険におきましては、あるいは組合健保あるいは共済組合等におきましてももともとがこの弾力的な調整の幅だけを規定しているのが一般的なたてまえでございます。で、そのいわゆるたてまえを前提にいたしまして具体的にその年々の保険料率をどう設定するかはそれぞれの組合会なりあるいは共済組合の運営審議会なりで決定をすると、こういう仕組みになっておるわけでございます。で、政管健保の場合には、現在は、現行の法律には法定料率がございまして、その上に弾力調整規定というものを今回お願いするわけでございますが、弾力調整規定というものがなくなりました以前、つまり四十一年改正でございますか、その以前の段階におきましてやはりこの弾力調整規定があった時代におきましても固定料率とそれから弾力調整規定というものはワンセットできめられておりまして、そういうことがございますので、私どもはその弾力調整規定の幅ということがきめられていると同時に固定料率をきめるということはそれなりに意味があると思うんであります。で、いまおっしゃったように、固定料率が仮定の問題として変更されても弾力調整幅は全く変更されない、したがって、固定料率は全然意味がないと、そういうものではないと思うんです。やはり財政収支の計算上、一定の固定料率というものを基本にして考えるわけでございますから、そこには私は意味があると思います。非常に大きな意味があると思います。
#171
○小平芳平君 何もそんなに過去のことを説明したり、大きな声で意味がある意味があるとおっしゃるけれども、厚生大臣、きのう、きょう、おとといあたりの新聞をごらんになっても保険料率は七十とか七十三とか七十二とか出ているわけです。で、その新聞を見るなり、ああ七十三かとか、それを見ておるわけですよ、皆さんは。あるいは国会でもこの法定料率が幾らにきまって成立したとなればそれを見ているわけです。けれども、実際の運営は別のところで、六十六ないし八十で動かすんだということになれば、ごまかされたような気持ちになりませんか。法定料率というものがとにかく国会で法律できまるんだということで再三報道されている、しかし実際には、別のところで動かされているんだと、そうなったら別に七十三でも七十でも同じことだ、結局ね。厚生省が強調したいのは六十六ないし八十を強調したいだけであって、あとは動かせるんだということになるなら、そうじゃないですか、どうですか。
#172
○国務大臣(齋藤邦吉君) この法定料率、固定料率が動くか動かないか、国会の御審議に待たなければならぬわけでございまして、政府としては固定料率というものを動かしてもらいたくない、私はさように考えています。御承知のように、本年の下期から診療報酬改定というものも目の前に迫っているわけでございますから、相当なやっぱり金がかかるであろうということは私どもも十分考えております。さらにまた、来年の衆議院の修正の段階においては来年の十月から七割給付までやろうと、こういう衆議院の修正案で参議院に回っておるわけでございます。そういうことも考えてみれば、私としては、固定料率の千分の七十三というものを減らすというようなことについては、はなはだ私は、――新聞で私も見るだけで国会がどういうふうに動いているか私も存じませんが、これは困ったものだなあと、率直に言いますと私はそういう感じを持っております。というのは、かりに万一その千分の七十三がある程度下がったような形で法案が通りますれば、通ったとかりにいたしますれば、その固定料率でしばらくいけという御意見でございますね、国会の御意思は。ということになりますと、ことしは相当これは赤字がふえるなと、こう考えざるを私は得ないわけでございます。これはなかなかたいへんだなと、こう私は思うわけでございます。法定料率がきまればしばらくはそれでいけという、こういう御意思でございますから、相当な赤字が出るまではなかなか弾力条項発動ということは、ことしはできないということになっていますから、法のたてまえが初めから。これはそうすると、ことし一年間というものは相当な赤字がたまるということを覚悟しなければならぬ、こういうわけでございます。そういうことで、私としては動かしてもらいたくない、こういうふうに私は率直に思うわけでございます。国民もおそらく法定料率といえばこれでしばらくいくものだなと、こう、国民も思うだろうと私は思うんです。国民も思うだろうと思います。しかし、弾力条項はことし一年は動かせないということはあの法律の仕組みでわかるわけですから、将来、給付の改善なりあるいはまた診療報酬の改定のときに上がるんだ、これはわかりますから。そういうふうな意味合いにおいて、私は、法定料率が非常に大事であり、同時に将来の、昭和四十八年度を別にした四十九年度以降の財政対策としては、弾力条項も必要である、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
#173
○小平芳平君 それは厚生大臣はそういうふうにおっしゃるでしょうけれども、衆議院のこの修正ですね。保険料率の変更について改正案の社会保険審議会の意見を聞くこととしているのを云々という、こういうふうに政府に委任されるわけですから、政府にもう一切まかされちゃうわけですから、それは政府のほうは御都合がいいでしょうが、私たちが弾力条項に反対する意味も、せっかくの法定料率というものがある、しかし、当分はこれでいくと、しかしあとは政府の一存で動かせるんだということについて反対しているわけですが、それと同様に、厚生大臣、そうすると提案理由説明の上下〇・七%というのはあまり妥当な説明じゃなかったですね。どうですか。
#174
○国務大臣(齋藤邦吉君) その中で七%と、――の以内とかなんとかと申しますのは、確かに、これは原案を、原案の趣旨を主張するあまり、七三%を動かされるであろうということを頭に描かないで言うているわけでございますから七%ということを言うておるわけでございます。したがって、万一、私は好みませんが、七三が動くというふうなことを予定しての書き方ではなかったものですから、こういうことになっておるわけでございます。その点は、そういうふうな意味合いにおいて、もし、万一動くんだなあという前提でこの文字を判断すれば、この説明は不十分であった、かように申し上げることができると思います。しかし、政府としては、千分の七三は動かしてもらいたくありません、こういう気持ちで出しておるんですから、動かしても動かさぬでもけっこうですという意味じゃありません。そういう意味ですと、いわゆる法定料率の上下〇・七%、こういうふうになるわけでございます。したがって、私どもは、動かしてもらいたくない強い意思のためにこう出ておるんで、動かすという前提であれば、確かにこの文字は不十分であった、こういうことが言えると思います。
#175
○小平芳平君 それから、先ほどの柳瀬医療保険部長はだいぶ財政が安定するように見通しを立てて答弁しておられたですが、厚生大臣は医療費の改定もあるし、赤字が見込まれるというふうに答弁しておられますが、これは見通しですからね、決定的に必ずこうなるということは言えないでしょう。言えないでしょうが、この改正案が成立したとすれば、どちらの可能性が大きいですか、大臣。初めからそう赤字になる見通しの可能性が大きいなら、国庫補助率一〇%も絶対動かしちゃいけないというものでもないわけです。いかがですか。
#176
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私としては、衆議院において修正を受けた原案が参議院においても通していただけるということであるならば、私はりっぱに四、五年はもっと考えているのです。しかし、もつためには、政府としても相当努力しなきゃならぬと思うのです。相当努力しなきゃならぬと思うのです。と申しますのは、診療報酬の改定は相当覚悟しなければならぬ問題でございます。しかも、来年の十月からは七割給付もやらなければならぬ問題でございますから、給付が、支出が相当ふえるわけでございます。したがって、今度は逆に、支出があまりふえないような努力もまたしなければならぬであろうと思うのです。それは、先ほど来申し上げておりますようないろんな薬の問題、いろんな問題があるわけですね。そういう問題について、できるだけ出ていくのを押えるような、押えるというのは正当なものを押えるという意味はございませんが、まあ、むだと言っちゃ行き過ぎかもしれませんが、不当な支出増、不当というのも、これも的確でないかもしれませんが、そういう支出増も押えるような努力をしなければならぬだろうと思うのです。不正な給付が行なわれるならば厳重に監査もやらにゃならぬと、私はそう思うのです。厳重な監査を行なって、不当な給付、支出が出ないようにしなければならぬ、こういうふうな努力も、私は政府としてなすべきであろう。そうして、できるだけ長期安定ということを前提とした改正をお願いしておるんですから、もし、通ったならば、通していただいたならば、長期安定ということを御理解して通ったものと私どもも考えにゃなりませんから、その国会の御意思を体しまして、できるだけ長い間安定させるように、私は政府として努力すべきである、かように考えておるような次第でございます。
#177
○小平芳平君 その不正あるいは監査については後ほどまた質問いたしますが、この診療報酬改定の見通しについて、これは須原委員からいろいろ質問されて答弁されておられましたが、その後また一部新聞には、厚生大臣の恣意かどうか、別な報道もあったように拝見いたしましたが、最近の大臣のお見通しはいかがですか。須原委員に答弁の当時とはあまり変わりないかどうか。
#178
○国務大臣(齋藤邦吉君) この問題は、御承知のように、現在非常にむずかしい問題であり、非常にデリケートな時期でもございますから、私はいま何ともここで申し上げることはできませんが、私は健保法の審議の状況ともにらみ合わせながら、できるだけ早い機会に中医協を正常な姿に戻して、そうして、診療報酬の改定を一日も早くやっていただくようにしなければならぬだろうと考えております。
 その場合において、はたしていままでのようなやり方で中医協の運営がいいであろうかというふうなことについても十分検討をしなければならぬと思いますが、一日も早く私は診療報酬の改定ができるように、今後とも努力いたす覚悟でございます。
#179
○小平芳平君 まあ、新しい進展がなければ繰り返してもいたし方ありませんので……。
 それから町村立病院の財政危機につきまして、町村立病院、それは一般病院も該当する病院が多いと思いますが、この町村立病院のほうから特別措置法の制定を要望するということ、あるいは独立採算制の適用は不適当であるということ、その他、町村立病院の財政再建についての要望が出ておりますが、この点について厚生省はどのように判断しておられますか。また、このままじゃ困るということはもう当然おわかりのことですから、どういう改善策を立てられますか。
#180
○政府委員(滝沢正君) 自治体病院のざっくばらんに申して赤字対策ということで、かなりこれは根の深い重大な問題なんでございますが、ただいま四十九年席予算編成等に関しまして、自治省と厚生省の間でこの問題についていろいろ意見を交換しながら対策を講じておりますが、主として内容的には先生おっしゃるような意味の具体的な対策は自治省のほうで中心になって講じられるわけでございますし、また、自治省におかれましても学識経験者等で懇談会を設けられまして、この問題を検討されております。われわれとしては、具体的には看護婦養成等の問題についても、自治体病院等の運営が従来国の運営費の補助金なしでやっておりましたが、これを運営費の補助金等を自治体病院の付属看護婦養成所にも及ぼすというようなことも含めまして、厚生省サイドからの検討も進めておりますが、基本的には自治省を中心にこの問題が検討されております。なお、一般的な意味で、病院の適正な運営のためには、別個にやはり診療報酬の適正化を急いでいただくということが、これは一般医療機関全体としての御要望としてはあるわけでございまして、この点についても、自治体病院についても同様でございます。
#181
○委員長(大橋和孝君) ちょっと関連してお尋ねしておきますが、いまの医務局長の御答弁だと、自治体病院に対しては国立病院並みに補助を考えるということですね。そういう意味じゃないんですか。
#182
○政府委員(滝沢正君) はい、そういう意味です。
#183
○委員長(大橋和孝君) それで、その点もう一ぺん聞かしてもらうのと。それから私が考えるのには、この自治体病院ももちろん非常に独立採算で苦しいと、そういうような場合に対しては、いろいろそれに対して措置をしなければいけない。一般の会計から補てんをしているわけですね。そうしてやっとやっているということでありますが、そういうことなんかを一ぺん厚生省としては根本的に考えて、そうして、どういうところに赤字があるかということを見きわめて、それに対する抜本改正をしなければいかぬのじゃないですか。それから私はまた、一般の開業医の診療所でもあるいはまた病院でも、やはりいまのような体系ではなかなか独立採算ができない。最近では病院なんかも、もうやめるところができてきている。京都あたりではもう三軒ほど病院が倒れているわけですね。こういう状態になってくることを見ると、国民の健康を保持する上からは、やはりどこに問題があるかということを考えなければいかぬ。私どもから考えるならば、やはりこのごろ非常に医療器械も進歩をしてきている、あるいはまた医療の内容を見ましても非常に進歩をしておるから、これに対してある程度の国の補助なり設備の補強のための助成なりがなければ、十分な設備も整えられない、また運営の上においても非常に人件費も高い、こういうようなときには、やはりそれに対してはどういうふうに処理するかという根本的な問題を解決する施策がなかったならば、私は、やはり一時的に一般会計から補てんをするとか、できるところはいいけれども、できないところはほうっておくということではいけない。こういう問題、私は、そういう話が出たときには、厚生省はひとつ根本的な施策をしてもらわなければならぬと思いますが、その問題についてはどうでございますか、ちょっと関連して伺います。
#184
○政府委員(滝沢正君) 先ほど先生から国立並みにということでございますが、経営の主体が都道府県でございますから、国が財政を通じていわゆる不良債務等のものをかかえた自治体病院に対してどういうふうな再建策を講ずるかということは、自治省プロパーの問題として自治省が御検討になっておられる、そのほか僻地医療であるとか、あるいは緊急医療を担当しているために赤字になっているというような意見もございまして、このような問題に対しては、本年度すでに都道府県立以外の公的な日赤、済生会等に若干の補助を実施したわけでございまして、そういうものを契機にして、自治体病院についても、そのような特殊の担当している医療のための赤字に対しては、何とか財政援助をしてくれ、こういうことで、自治省と厚生省が話し合って検討いたしておるという意味合いでございます。一般的な意味で、先生おっしゃる医療機関の運営というものの根本問題、これがいわゆる診療報酬でまかなわれる部分と、それからその他のいわゆる看護婦養成であるとか、そういうような要素の問題等がございますので、これらの点は確かにおっしゃるとおり根本的に診療報酬でまかなうサイドの問題と、それ以外の問題とを、どのようにして今後、公的病院のみならず私的な法人等においても、ある程度看護婦養成等をいたしておりますので、このような問題等もどうすべきか、現在若干の運営費は出ておりますが、そういうことも含めましてこの問題は検討いたしたい、こういうふうに思います。
#185
○委員長(大橋和孝君) では、もう一言だけ。このごろは都会でも夜間は無医村と同じように医者がいない、こういうようなこともいわれている、救急の問題もいわれておる。いろいろなことから言えば、民間のそういう診療所あるいはまた病院に対してもいまではほっておけない状態になっている。物価が高くなって、人件費が高くなってどうにもならぬ、こういう状態になっているときには、もう少しここのところで早くやらないと医療は荒廃していく、ますます悪くなっていくんじゃないかという懸念があるわけですから、看護婦だとか何かばかりでなくて、もう少し幅を広げた意味でやはり国民の健康を守る上においてはどういうウエートが必要であり、どういうところに問題があるか、どこを分離してどこに補助をしていくということなんかもやはり相当前向きに考える時期じゃないかと思いますので、そういう点をこういう話の出ているときに、特に今度の健康保険の改正なんかで経済問題が主体なんですから、こういうときにはもう少し根本的な建て直しを考える必要があるんじゃないかと思いますので、特にその意味をひとつ強く訴えておきたい。どうぞ、大臣ひとつよろしくお願いしたいと思います。
#186
○国務大臣(齋藤邦吉君) おっしゃるとおりでございまして、単に地方の公立病院が赤字であるからこれを援助するというものであってはならない。要するに、民間病院だって赤字になっているのが一ぱいあるのですから、国立病院なるがゆえに赤字で国が援助するというなら民間病院にだって援助したらいいじゃないか、こうなるわけで、そういう筋は私は通らないと思います。ですから、自治体病院であってもできるだけ企業努力はする、そういう形でいきながら、要するに国家的要請の強い看護婦養成だとか、救急医療だとか、僻地医療だとか、ガンだとか、不採算医療等をやっている、そういうことのために特に赤字になっているかどうか、赤字の原因を十分究明しながら根本的な改革をはかっていくように努力をいたしてまいりたいと思います。
#187
○小平芳平君 いま委員長から京都で病院が閉鎖しているというお話がありましたが、実際、極端な過疎地とまでいかなくても町立病院で閉鎖寸前だというところが現実にあるわけです。一方では無医地区があるかと思えば、一方では病院が閉鎖せざるを得なくなってしまうという、あるいは大都会、大都市でも新しい団地などは非常に病院が少なくて苦労している。三時間待って三分診療というようなことも単に、それはやむを得ずそういうふうになってしまうということについても、厚生省がほんとうにそれに取り組んでくれなくては、自治体病院は自治省だと、プロパーの仕事だとおっしゃるが、それはそれとしまして、いま健保を改正しようというときに、やはり医療機関のそういう一方では閉鎖する、一方では医者がいない、かかる病院もないというようなまことにおかしな現象が起きておりませんか、それを本格的に取り組むべきでしょう、いまおっしゃったように。
#188
○政府委員(滝沢正君) 先生御指摘のように、確かにただいまの医療の供給の中身におきまして、地域的な偏在あるいは時間的な偏在という問題があるわけでございまして、この点につきましては基本的には、たとえば三十六年の国民皆保険が始まりましたころの医師一人当たりの取り扱い患者数は、入院、外来を含めまして三十六人ぐらいの数字だと思いますが、最近の数字は六十近い数字になっておるということで、皆保険また国民の健康に対する意識、経済的な内容の向上と申しますか、いろいろ受診機会が多くなっているというようなことで、医療需要が非常に増大してまいっているのに、医療の供給体制につきましては、医科大学を設置しましても医師が一人前になるには十年かかる、あるいは看護婦の確保にいたしましても従来とも努力してまいっておりますけれども、やはり三年以上の時間を経過して一人前になっているというようなことで、そのときどきに打つ手が打たれてまいりましたけれども、需要の増大に供給体制が十分追いつかない。その上に、さらに、時間的並びに地域的な偏在というものが、社会意識、いろいろな意識の変革によって起こっておるというところが、この医療の非常に集約された問題点として医療問題に出てまいっておるというふうに思うわけでございます。この問題につきましては、非常に、いままでお答えしましたような財政的な対策等をもちろん講じなければなりませんけれども、それ以外にも基本的に医療を受ける国民のサイド、あるいは医療を提供する医師のサイドを含めまして、わが国の医療問題というものは非常に課題を多く持っているわけでございます。そういう点で、少なくともわれわれが実行上可能な財政上の許される範囲でできる対策につきましては、きわめて積極的な態度で、ほかの、先ほど来御質問の五カ年計画等にも対応していきたいというふうに思っておるわけでございます。
#189
○小平芳平君 私は、次に国民の医療に対する期待というような点から若干問題を取り上げてみたいと思います。
 で、その一つは、難病ですね、難病対策、原因不明、治療方法不明、これはしかるべき研究機関で研究をしていただく以外に方法がないわけですから。それで具体的には初めにカネミ油症の問題につきまして、このカネミ油症の方々が、いまなお非常に不幸な状態にあることは、厚生省よく御存じですね。それでこの問題は私は何回も取り上げてまいりましたが、つい最近私が質問しましたのに対して、厚生省からカネミ油症の新しい診断基準というものをいただきました。四十七年十月二十六日改訂という、新しい診断基準をいただきました。そこで、一年になりますから、四十七年十月の改訂ですから、――最近の様子をお尋ねしてみますと、かえってうまくいってないという現状ですね、かえってうまくいってない。患者の会の鳥巣さんからいただいたお手紙、暑中見舞いですけれども、八月に行なわれた検診では、七十一名中わずか二名の認定をされただけだということを知らしてきておられますが、それというのも、最初二百十名の検診をしたわけです。その中から十六人は直ちに認定されたんです。それが中の、十六人の中のお一人は、今回初めて検診を受けて認定になった方です。それで七十一名の方が第二次検診に回って、うち二名が認定されたということなんです。こういうふうに、いま医務局長は、医療需要の増大を何とおっしゃったですか、何が原因だと、――何か裕福になって医者にかかるようになったみたいなことを言ったか、言わなかったか、よく聞こえませんでしたが、それよりこういう肝心なPCBによる被害なんて考えもつかないような事故が起きて、いまなお治療方法がないわけでしょう。認定基準も――認定基準を新しくつくってくれたが、現地の人のお話しだと、かえってこういう認定基準でははずされるほうが多くなってるんじゃないか、いままでは四十三年に起きた事故ですから、顔とか皮膚に出ることが多かった。最近では内臓障害が多くなった。そこでいろんな項目を設けてふるい落とされるほうが多くなっちゃった。したがって、こうした認定基準によって、かえって患者が消されていくんじゃないかということを訴えておられますが、そういう事情おわかりですか。
#190
○政府委員(石丸隆治君) 油症患者であるかどうかの診断は、これは医学的な判断で行なっておるわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、この診断基準というものを油症治療研究班がつくっておるわけでございまして、当初、昭和四十三年十月にこの油症治療研究班が診断基準を作成いたしたわけでございますが、その後の研究の成果を加味いたしまして、さらにただいま先生御指摘のように、昭和四十七年十月に改訂版を作成いたしております。この改訂いたしました診断基準に基づきまして、現在各府県におきまして専門の分野の医師をもって構成いたしております油症検診班がこの油症の診断を行なっておるわけでございまして、この油症検診班が油症と診断いたしました場合には、その患者を油症患者として取り扱っておる実情でございます。
#191
○小平芳平君 そんなことは聞くまでもないことであって、その診断基準がほんとうに被害者にこたえているかどうかを問題にしているんです。ですから、私は医療に対する国民の期待と言っているじゃないですか。そういう経過説明をこの健保改正の委員会で聞く必要ないです。そう思って聞いているんじゃないです。
 それじゃ、もう一つ伺いますが、訴訟が起きておりますね。それで、現地に出張尋問がありましたが、そのときに厚生省から行きましたか、代理かだれか。
#192
○政府委員(石丸隆治君) 先ほどの御質問でございますが、先生御指摘のように患者さんのほうからは内臓障害等の訴えが出ております。これにつきまして、現在油症治療研究班のほうにおきまして油症とその内臓障害との関連について現在なお検討中でございまして、先生御指摘のような点につきまして現在検討を進めている段階でございます。
 それからただいまの御質問でございますが、厚生省のほうから現地に参っております。
#193
○小平芳平君 その人は、診断を受けた患者のカルテそのものかどうかわかりませんが、資料を持っているわけでしょう。患者は知らないんですよ、内容を。そういうように、訴訟が起きた、現地出張尋問が行なわれた、厚生省のほうから来た人は患者のカルテから状況を全部知っている、しかし、被害者のほうは何も知らされないで、これはちょっと不公平だと思いませんか。
#194
○政府委員(石丸隆治君) ただいま先生の御指摘の点につきましては、まだちょっと私も報告を受けておりませんので、よく実情がわかりませんけれども、患者個人の秘密を他に漏らすということがない限りはただいま先生の御指摘のように相手にもよく知らせる必要があろうかと思います。
#195
○小平芳平君 あまりはっきりしない御答弁ですが、実情は、医学がわからないことなんですから、それで、厚生大臣、困っているわけですよ、非常に、PCBによる被害というものは一体どこまでで済むのかですね。内臓障害との関係はいま検討中だとおっしゃるけれども、そんなこといったって、四十三年に起きた事故であってもうほんとうに困りはてているのです。ですから、そういう点で、私も医者でありませんので、これがいい、あれが悪いとは言えませんので、国民の医療に期待するものとして提起しているわけです、問題はですね。
 それから、厚生大臣は、一部新聞に、森永ミルク中毒事件について救済基金を提唱するというような報道が行なわれましたが、この点は大臣いかがですか。
#196
○国務大臣(齋藤邦吉君) きょうの新聞に一部そういう記事が出ておりますことは私も実は承知をいたしておりますが、そうまだ具体的な問題ではございません。と申しますのは、実はことしの二月ごろの委員会でございました、当委員会でこの問題についてお尋ねがございまして、私もできるならば何とか話し合いで解決してあげることが望ましいのじゃないか、必要なときが来れば中に入ってあっせんをしてもいいのだということを申し上げました。ところがその後訴訟になったわけでございます、四月に。そこで訴訟になった以上、しかも国まで訴えられるということになりましたので、こういう段階では口を出してもむだだなと、こう思っておったわけでございます。その後静かに訴訟の進行状況を見てまいったわけでございますが、やはりこの訴訟相当長くかかるのじゃないか、そうなれば、十八年前のことで、もうしかも若いお嬢さんでございますと結婚適齢期に入る。そういう時期になってきているのに、なかなかこれ、裁判で解決しないということでは、本人の子供さんたちがほんとうにかわいそうじゃないかと、こういう私、近ごろしみじみ感じになってまいったわけでございます。そこで、裁判は裁判としてこれは別として、一応森永さんのほうと、それから患者さんのほうで話し合いをして解決する道はないであろうかということを考えまして、近く私、両方を呼んで、裁判は別として話し合いをしてみたらどうだろうかということを勧告しようと思っております。その勧告の結果、まとまれば、当然将来の医療の問題、将来の生活問題、そういうことを考える基金をつくるということになるでございましょう。けれども、いままだそこまではいっておりません。話し合いで問題を解決することがどうであろうかということを私は呼びかけたいと考えておるのが現在の段階でございまして、いつお呼びするかということもまだきめていない段階でございます。しかし、その話によって、両方ともそれでは話し合いでいこうかということになれば、そういう基金のような問題が当然浮かんでくるのではないか、かように考えておる次第でございます。
#197
○小平芳平君 厚生大臣の御趣旨はよくわかります。要は、私がいま申し上げたいことは、森永ミルク中毒事件にいたしましても、企業の責任がどうかということが大前提になると思うのですね。そうすると、現在の、十八年過ぎた今日、どの程度後遺症が認められるか、あるいは岡山県の報告のように、あまりほとんど後遺症はないという報告ですが、結論としましては、そういうことなのか、その辺がやはり私はお医者さん、――医療機関といいますがね、お医者さんの判断でどちらかにきまるわけです。そのきまり方いかんによっては企業の責任があるかないかにもなるし、きょう新聞に出ているこの基金にも関係してくるわけです。したがって、厚生省では現段階ではどのように考えておられますか。
#198
○国務大臣(齋藤邦吉君) これにつきましては、カネミ油症の問題、森永ミルクの問題にしましても、一応企業者の責任というものはあるという前提で考えざるを得ないと思うんです、裁判がどうなるかまあ別といたしまして。私は常識的に判断をすれば、それぞれの会社が責任を負うべきものである。しかし、その責任を負うにあたって、いまお述べになりましたような後遺症があるのないのという問題になるわけでございますから、そういう点についてはあくまでも厳密な国家的な立場に立つお医者さん方の診断に待つべきものであろうと、かように思います。しかしながら、これはカネミの油症患者の方についても同じでございましたが、常日ごろかかっておるお医者さんの御意見もやっぱりこれはくんであげないと本人は納得しません。先ほどカネミ患者についていろいろ基準によってかえってむずかしくなったじゃないかというお尋ねがありました。私はその辺にやっぱりあったと思うんです。常日ごろ診断を受けておりましたお医者さんの意向を全然無視してしまって、一方的にこうだこうだときめつけるやり方をしますと、これは反発を受けるわけでございます。ですから、厳重な医者の診断をするにしても、ふだん患者さんが見ていただいておるお医者さんのやはり診断ということを十分頭に描きながらその辺はやっていかなけりゃならぬのではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。いずれにせよ、森永の問題についてはまだこれから呼びかけようという段階でございますから、そういうふうな診断を今後どういうふうにやっていくかとか、それからもしそれが、そういうふうな診断の結果こうなったときにはその生活はどうする、治療はどうする、こういう問題になってくるだろうと思います。それはまだ先のこととして、何とかこの際、話し合いで解決するようなことができないだろうか。空気の醸成に全力を尽くしてまずみたいと考えておる次第でございます。
#199
○小平芳平君 次に難病対策につきまして、四十八年度予算においても研究費、それから医療費といいますか、それはどうなっておりますか。今年度予算はすでに研究費補助費などはもう渡っておりますか。
#200
○政府委員(加倉井駿一君) 難病対策の研究費の点について申し上げます。四十八年度におきましては二十疾患につきまして調査研究を実施いたすことにいたしておりまして、現在すでに四百八十五名の研究者の方の選定も終わり、この方々は研究に入っております。数回にわたる会合等もお持ちのようでございますし、その報告も私ども受けてございます。その構成といたしましては臨床家の方が約三分の二、それから基礎医学の方が三分の一というような構成になっておりますし、また私どもといたしまして地域別の片寄りのないように、全国各地からできるだけ多くの方々に参画していただくような配慮も加えてございます。
 それから治療費の補助費援助についてでございますが、四十八年度におきましては六疾患につきまして四月から健康保険等の被扶養者の方の一部自己負担あるいは国保の加入者の方々の一部自己負担につきまして、入院、外来とも六疾患につきましては治療費の負担軽減をはかる措置を講じております。ただ、残念なことに、支払い方法の問題がございまして、若干の点におきまして県、医師会との間に話し合いがつかないためにまだ実施に移らない県が若干ございますが、大部分の県におきましては私どもの方針に従いまして一部自己負担の負担軽減の措置がとられております。
#201
○小平芳平君 入院、通院を含めて、患者に渡っておりますかとお尋ねしているんです、治療費が。
#202
○政府委員(加倉井駿一君) ただいま申し上げましたように、健康保険等の被扶養者の方の一部自己負担、それから、国保加入者の方々の一部自己負担、これにつきまして全額公費をもちまして御援助申し上げる措置をとってございます。ただし、先ほど申し上げましたように、一部の府県におきまして、医師会と支払い方法につきまして、話し合いがつきませんために、実施に移さない県が若干ございます。
#203
○小平芳平君 そこで、次に医師会との支払い方法についてということを述べられましたが、そうした公費負担がますますふえていく。それから、特に老人医療の無料化の結果、この市では七十歳、隣の市では六十八歳というようなことも起きてきまして、そして、医療機関としては過誤請求というものが多いということが指摘されておりますが、非常に請求が繁雑で、もうたいへんな事務量になってしまったという実情はおわかりですか。おわかりであるのは当然だと思いますが、どういう対策をとられますか。
#204
○政府委員(北川力夫君) ただいまおっしゃいましたとおり、最近における公費負担医療の増加、国がやっております老人医療、あるいはまた、いまお述べになりました市町村独自の乳児医療とか、そういうものによって、非常に請求件数が増加していることは事実でございます。また、そのこととは別にいたしましても、受診量が相当ふえておりますから、そういう意味合いで各種の保険並びに公費負担医療につきまして請求事務が非常に量的にも質的にも繁雑化しておるということは私ども十分に承知しております。そういう意味合いで、先般この問題は何とか簡素化をしようということで、厚生省内にもこの問題につきましての請求事務の簡素化につきましてのプロジェクトチームをつくりまして、すでに相当問題点を詰めている段階でございます。特にこのプロジェクトチームには特別の作業班をつくりまして、その作業班において回を重ねて問題点を整理をいたしまして、相当近い機会に簡素化の問題についての一応の結論を得たい、この段階まで来ておりますので、御了承いただきたいと思います。
#205
○小平芳平君 これは岐阜県の医師会の要望書ですけれども、ある制度ができるまでは医療保険制度内で、老人に対する十割給付をしてしまう、公費負担分については当該者間において決済する方式をとったらどうだという提案がありますが、いかがですか。
#206
○政府委員(北川力夫君) ただいまの御提案は現行の仕組みとは違った仕組みに制度上なろうかと思います。つまり、老人医療というものを公費負担医療ではなくて、すべて保険医療として吸収をいたしまして、現行の老人医療に相当する分については、これをまた別途財政的にも整理をしていく、このようなことでございますから、現行の制度そのものがすっかり変わるわけでございます。いわば一般的な問題といたしましては、保険医療というものと、公費負担医療、この関係をどういうふうに整理をするかという制度上の問題でございますから、この問題も先ほど大臣も申し上げましたが、長期懇談会の非常に重要なテーマといたしまして、制度上の問題として、すでに検討もし、これからまた検討を詰める段階にございますので、そのように御了承を願いたいと思います。要するに、これは単なる請求事務の問題ではなくて、制度の仕組みの基本にわたる問題だと思います。
#207
○小平芳平君 それはそうですが、請求事務の新しい制度がまごまごしているならば、かりに全額を保険で負担して、そういう事務は別のほうで、そちらで決済をやってくれと、医療機関はそこまで手が出し切れないと、こういう要望が出ておりますがね。厚生大臣、いまのように医療と福祉が混線しているといいますか、混淆しちゃっているきらいがあるわけですが、そういう点も、先ほどのような長期計画の中で考えられると思いますが、いかがですか。
#208
○国務大臣(齋藤邦吉君) 御承知のように、最近老人医療無料化というのがことしの一月から実施し、さらにこの十月から寝たきり老人についての公費負担を実行し、さらにまた各種難病についてそういうふうないろんなことを実施するようになってまいりました。そういうふうなこともありますので、やはりこれはもう保険制度と公費負担という問題を根本的にこれを洗い直す必要があるんじゃないかということを考えまして、一応プロジェクトチームをつくって検討さすことにいたしておりまして、まあ、大体年末ぐらいまでには何とか結論を出すようにしたいと思います。そしてまた、それと同時に、先ほど来お述べになりましたような、お医者さん方もこれはたいへんなんですね。もう難病といいましても、公衆衛生局は二十疾病持っています。それが今度は児童家庭局においても、また乳児のいろんな、ネフローゼとかいろんな問題持っているわけです。そのほかに老人医療、今度は寝たきり老人医療、もうお医者さん方が請求事務がみんなばらばらなもんですから、非常に困っております。これを何とか一元化していく方法はないかと、こういうことで、いまこれもプロジェクトチームをつくりまして研究をさしておりますが、運用でできるものはできるだけ早くやる、運用でどうしてもできない、制度的に法律をもって改めなければならぬというものがあれば、来年度の通常国会にこの法律を出して、そして、その請求事務の簡素化と申しますか、一元化というものに真剣に取り組んでいくようにいたしたいと、かように考えております。
#209
○小平芳平君 次に、厚生省では政管健保の支出面の対策として、行政努力ということをいっておられますが、これはどうなっておりますか。
#210
○政府委員(柳瀬孝吉君) 政管健保の収支の不足問題を制度的に、制度面で改善をするという問題のほかに、私どもの保険者としての努力が足らないために収入が不足し、あるいは支出がふえていくということがあっては、これはいけないわけでございまして、そのため、私ども従来から保険料の収納率の向上とか、あるいは標準報酬の適正な把握と、また、現金給付の支給の適正化というような行政努力にあわせまして、レセプトの点検調査等に重点を置いて努力を行なってきたところでございます。また、本年度におきましては所要の予算措置も講じておりまして、さらに積極的に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#211
○小平芳平君 なかなか積極的にいろいろと言うけれどもね、思うようにいっていないわけでしょう。
 それでは、時間の関係もありますので、二問まとめて質問しますが、医療専門官はどのくらいいらっしゃって、定員はどうなっているか。
 それからもう一つは、保険医療機関の監査の実施状況は、病院、診療所、歯科に分けてどうなっているか。
#212
○政府委員(北川力夫君) 医療専門官の現状は、現在定員が百七名でありますが、いろいろな事情で現在員は七十五名でございまして、かなり大幅な欠員でございます。この点は先生もう御承知かと存じますけれども、なかなかこういったたぐいの仕事に従事をしていただきます専門の技官の方方を確保することはいろいろな事情でむずかしい点もございまして、私どもは従来からこの充足について非常に大きな努力をいたしておりますが、たとえば通常の俸給以外に調整号俸をつけますとか、そういった面で努力をいたしておりますけれども、なお十分な状況ではございませんので、当面はできるだけこの定員の充足に十分な配慮と努力を続けてまいりたいと、このように考えております。
 それから監査の状況でございますが、四十六年度について申し上げますと、保険医療機関、それから保険薬局につきましては、監査を実施いたしましたものが、医科が五十八件、歯科が三十八件、合計九十六件であります。その結果、取り消しをいたしましたものが、医科が二十八件、歯科が二十二件、計五十件であります。その他、戒告という処置を行ないましたものは、医科が二十五件、歯科が九件、計三十四件です。注意をいたしましたものが、歯科一件というような、以上のような実情でございます。
 それから療養取り扱い機関のほうは四十六年度の実績で申しますと、監査実施数が医科が五十四件、歯科が三十七件、計九十一件でございます。その結果は、取り消しが医科が二十三件、歯科が二十件、計四十三件であります。戒告は医科が二十四件、歯科が九件、計三十三件であります。注意は医科が一件、歯科が一件、計二件でございます。
#213
○小平芳平君 まあ、その資料はいただいておりますが、全体に対する比率はどのくらいになっていますか。
#214
○政府委員(北川力夫君) 一般の診療所が大体七万で、歯科が三万でございますから、そういう意味合いでは比率は非常に低いものだと思います。ただこの点も先生すでに御承知かと存じますけれども、いま申し上げましたような取り消しなりあるいは戒告なりあるいは注意なりの処分を行ないます前提といたしまして、前段階において相当指導ということをやっております。指導の対象にはかなりな医療機関が入ってまいります。その指導にも集団的な指導と個別的な指導がございますから、そういう意味合いでは私どもは、結果的には処分としてはこういう数字でございますけれども、まず集団指導で相当程度のものを洗って、それからまた個別指導で相当なものをチェックをいたしまして、最終的に処分としてあらわれてまいっておりますものがこのような数字でございますから、こういったことを総合的に御推察をいただきますと、名目上の率は低うございますけれども、相当まあ限られた人員で関係団体等の協力を得て、相当な努力をいたしておるつもりでございます。
#215
○小平芳平君 まあ、医療専門官は四分の一くらいの欠員ですか、百七名中七十五名ですから、そういうこと。あるいはちょっとそのほかにも述べたいことがありますが、先ほど申し上げましたように、一方ではわざわざ請求を誤らせるような制度、誤らせがちなような超過負担を医療機関にかけながら、一方ではまた正しくそれが行なわれていかなくちゃならないということもありますし、それから監査についてもいまお話がありましたが、そういう点でやはり結局抽象的に言えば、根本的に立て直すといいますか、根本的な対策が必要だということになるかと思います。で、そうしたいろいろな点については厚生大臣に答弁していただいても同じだと思いますから、しいて答弁を求めませんが、今回の健保改正がたとえあったにしてもないにしても、こうした問題は一刻も早く解決されるよう御努力を要望したいと思います。
 それから次に、この月雇い健保につきまして、日雇い健保には高額医療費の補助はいつから実施されるのですか。
#216
○政府委員(北川力夫君) 日雇い健保の改正は現在お願いをいたしております改正案がまずあるわけでございます。これは前々からたびたび申し上げておりますとおり、日雇い健保の改正は長年の懸案でございまして、また給付の改善あるいは負担の増加という面につきましても日雇い労働者の特殊性から見て、非常にむずかしい点があったんでございますけれども、幸いにして昨年六月社会保険審議会並びに社会保障制度審議会で関係者の間で、当面この程度まで改善をすべきであるというふうな一致した御意見をちょうだいいたしましたので、その線をまず実現をするために現在改正案をお願いを申し上げておるような次第でございます。したがいまして、現在お願いをいたしております改正案が実現をいたしました暁には、当然この健康保険法の改正というものが実現をいたしますれば、それとのバランスもございますので、できるだけ早い機会に日雇い労働者健康保険につきましても高額医療の制度を導入いたすよう具体的な検討を急ぎたい、このように考えておるような次第でございます。
#217
○小平芳平君 いま審議している健康保険法の一部改正ですね、これが成立し、施行された場合には、そうすると高額医療費の補助は政管健保はきめられた日から実施されるわけでしょう。それから、国保はまた別の計画で実施されるわけでしょう。それで日雇い健保はいつかわからないですか。――そのほか、では、この高額医療費の補助が実施される段階をひとつ述べてください。各それぞれにつきまして、いつ実施されるということを述べてください。
#218
○政府委員(北川力夫君) 健康保険につきましては、政府管掌あるいは組合管掌含めまして、いま先生のお述べになりましたように、今回の改正案が施行になりますれば、改正案で書いております期日に施行いたしたいと思っております。
  〔委員長退席、理事須原昭二君着席〕
 それから、それと同時に、共済組合等におきましても同様な制度が実施をされる予定になっております。国民健康保険につきましては、いろいろそれぞれの保険者につきまして財政事情も区々にわたっておりまするので、今回の改正案としてお願いを申し上げておりますのは、大体三カ年計画ということで、全部の保険者がこれを実施する時期の最終的な期限を五十一年の十月というふうに設定をいたしまして、その間においてすべての保険者が実施をするように計画をいたしておるものでございます。しかしながら、これはもう先生も十分に御承知と存じますが、各町村からはできるだけ早い機会にこの高額医療というものについて実施をするような要望もございますので、私どもは改正案が成立いたしました暁におきましてはできるだけ早い機会に国民健康保険につきましても全部の市町村が実施できるようにいろいろ今後くふうをしていきたい、このように考えております。
 それから日雇い健保は、いま申し上げたのでございますけれども、いずれこれは現在お願い申し上げております改正案の次のステップの改正といたしましては、やはり基本的な療養の給付、七割なら七割、あるいはまた、特に日雇い労働者の方々については、要望も高いと思われます高額医療の実施、こういうものをその次の段階で早急に考えてまいりたい、このように考えております。
 なお、一部いま申し上げました中で、国民健康保険の最終期限を五十一年と申し上げましたかもしれませんが、五十年でございますので、その点は訂正をいたします。
#219
○小平芳平君 国保にはそういう事情があるかと思いますが、政管健保と日雇い健保がそういうふうに食い違うというのはおかしいじゃないですか。また、それこそ法のもとの平等に反するじゃないですか。
#220
○政府委員(北川力夫君) 確かに私ども日雇い労働者の方々の現状からいって、いま先生もおっしゃったように、できるだけ早くこの制度を実施したい気持ちでございます。ただ、先ほどから申し上げておりますとおり、日雇い健保の改正問題という特殊な事情、長年にわたるいろいろな経過から考えまして、まず一番急ぎますことは、関係者の間で合意しました、現在審議をお願いいたしております改正案の実現をいたしますこと、これが先決だと思っております。そのあとにおいて新しく実現するであろう健康保険の給付の水準に合わせていくと、こういうふうなことを考えておりまするので、決して日雇い健保についてやらないということではございません。ただ、いま申し上げましたような日雇い健保の特殊事情、特に財政負担、いろいろな問題もございますから、そういう点の整理もございますので、追っかけて次の段階で高額療養費の制度を考えたい、このように考えているような次第であります。
#221
○小平芳平君 そういうふうに説明されておりますが、結局日雇い健保は昨年出したものと同じものを今回出したわけでしょう。その間において高額医療費の補助というものが新しく政管健保には入ってきたわけでしょう。したがって、厚生省当局がもう少し丁寧にやるつもりならば、日雇い健保に今回高額医療費の補助を入れて入れられないという絶対条件があったわけじゃないけれども、めんどうくさいから見送ったか、何かの都合でそういう別にこれという理由もなく、今回の日雇い健保に高額医療費の補助が入っていないじゃないですか、どうですか、厚生大臣、そういうわけでもないですか。
#222
○政府委員(北川力夫君) 高額医療の制度についてのお尋ねでございますが、そういう意味合いでは、実は政府が提案いたしました六割給付、家族の六割給付、衆議院の修正で七割給付になるはずでありますが、その問題についても同様な事情があるわけでございます。で、私どもはいま先生のおことばをかりれば、めんどうくさいから入れなかったかということでございますが、決してそうじゃございませんので、先ほどから申し上げておりますとおり、やはり日雇い健保につきましても、それだけの改正をするためにはどのような保険料負担をするか、あるいはまた、場合によりましては、どのような国庫の補助の強化をするかというような問題があるわけでございます。また、その問題は、専門の審議会なりあるいは社会保障制度審議会なりでいろいろ十分な検討をされてまいりませんと、なかなか合意が得にくい問題でございますから、そういう意味合いで当面の問題としては、関係者の一番要望の強い療養給付の給付期間の延長でございますとか、あるいはまた現金給付の改善でございますとか、そういった問題をまずやりまして、その次の段階で、できるだけ早い機会に、いま先生の御提案になっております高額療養費の支給あるいはまた、家族の給付率のかさ上げ、そういった問題について関係者の合意を得るためのいろいろな方法を考えたい、このように現在考えておりますのが実情であります。
#223
○小平芳平君 簡単に、大臣、いつやりますか。
#224
○国務大臣(齋藤邦吉君) 日雇い健康保険の給付の内容等につきましては、高額医療等を含めまして政管健保とは非常に劣っておるわけでございます。したがって、私、いまここではっきりいつということを言いにくいと思いますが、両三年には日雇い健保の改正を提案しなくちゃならぬだろうと、こういうふうに私考えております。両三年の間に、二年か三年の間に必ずしなけりゃならぬだろうと思うんです。国保だって三年計画でやろうというわけでございますから、しかも生活の実態の苦しい日雇い労働者の諸君のことを思えば、あまりいつまでも差をつけておくということは望ましいことじゃありません。そういう意味において、私は、今回の法案が通りましたならば、その推移を見定めながら両三年以内にこの改正に着手すると、かように考えております。
#225
○小平芳平君 どうも両三年というのはあんまりいい答弁ではありませんが、時間が来ちゃってしようがないです。
 この有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律、これについて二、三質問をいたしますが、時間がもう十分間しかありませんので、そのつもりで御答弁をいただきたい。
 で、通産省からは消費生活用製品安全法ですか、どうして、こう、消費生活用製品と、それから家庭用品とどう違うんですか。
#226
○政府委員(石丸隆治君) 消費生活用品と家庭用品そのものは大体同じものでございます。ただ、消費生活用製品安全法のほうにおきましては、そういった物質によります物理的性状の欠陥による生命、身体への危害を問題といたしておりまして、この家庭用品の法律のほうは化学物質による人体の健康問題に限定をして考えております。
#227
○小平芳平君 いま局長、ちょっと答弁違えていたよ。もう一ぺん正確に言ってください。
#228
○政府委員(石丸隆治君) 通産省のほうの法律は物理的性状の欠陥による生命、身体への危害を防止することを考えておりまして、この厚生省の法案のほうにおきましては、化学物質による人体の健康問題を考えております。
#229
○小平芳平君 それはどういうことですか。
#230
○政府委員(石丸隆治君) この通産省のほうの法律におきましては材料によりまして、たとえばブリキを使っているために、そのまたブリキを使った製品の欠陥等によってけがをするとか、そういった物理的な、あるいは物性そのものによる安全性を考えておるわけでございまして、ことばをかえて言えば製品の構造、材質等の物理的性状の欠陥によります被害防止を考慮いたしております。厚生省のほうの法案におきましては、家庭用品にかかる化学物質に関する化学的な危害を対象にいたしております。
#231
○小平芳平君 どうして、そういう区別をしなければならないのですか。やはり国の行政の上から言うと、そういうことになるのですか。それとも実際、有害物質の規制をすべきだと、あるいは消費生活用の製品の安全を確保すべきだという点から考えて、――こういう区別をする理由はないわけでしょう。
#232
○政府委員(石丸隆治君) 化学物質によります人体の健康問題と物理的な性状の欠陥によります危害問題とは大体本質的にその性格を異にしておるものでございまして、これらの製品の規制にあたりまして、この両者の間では規制基準あるいは規制方法あるいは指導監督等のあらゆる部面におきまして別体系とならざるを得ないと考えております。したがいまして、それぞれの行政の専門領域の問題として対処すべき問題だとわれわれ考えておるわけでございます。
#233
○小平芳平君 あんまりそうぼくは考えませんがね。
 それから、この第四条、「生活環境審議会の意見をきくとともに、」となっております。それで、同じ生活環境審議会の意見を聞くというのはどういう意味かですね。意見を聞いて、それで意見どおりやるのか。それは文書で聞くのか、ことばだけで聞くのかということが一点。
 それからもう一点は、通産省のほうの安全法では同じことがどうなっているか。
#234
○政府委員(石丸隆治君) 生活環境審議会のほうは、先生御承知のとおり、環境衛生にかかる生活環境に関する重要事項を調査審議することを目的といたしまして設置されておるものでございまして、その構成委員は生活環境に関する多数の科学者等の専門家を充てておるわけでございまして、本法案におきます第四条第一項及び第二項に基づきます国民の権利を制限する等の、この具体的な家庭用品に関します基準を定める以上、公正の観点及び専門的な立場からの判定を仰ぐ必要があると思いまして、審議会の意見を徴することにいたしたわけでございまして、ただいま御質問の意見を聞くということは、諮問をし、答申を求めるというそういうふうに考えておりまして、もちろん諮問をいたしまして答申を得ました暁におきましては、その意見を尊重することに考えております。
 それから通産省のほうにつきましては、審議官から御説明いたします。
#235
○説明員(福田勉君) ただいまお尋ねの第二点でございますけれども、通産省の消費生活用製品安全法におきましては、第八十九条におきまして、主務大臣は家庭用品品質表示審議会に諮問しなければならないというふうに表現されております。
#236
○小平芳平君 局長、ですから諮問することと意見を聞くことと同じですか、違うのですか。
#237
○政府委員(石丸隆治君) 意見を聞くということになっておりますが、われわれのほうといたしましては、諮問をし、答申を得ることを考えております。
#238
○小平芳平君 同じだ、それじゃね。ですからまあ、そう長い時間この問題にかける考えもありませんが、この趣旨を、この法律は一体何のためにつくられるのか。で、それぞれ目的がありますがね、そのために国民生活がどれだけ安全を守られるのか、そこに第一の目的があり、問題があることを指摘いたしまして質問を終わります。
    ―――――――――――――
#239
○理事(須原昭二君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、小谷守君が委員を辞任され、その補欠として鶴園哲夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#240
○中沢伊登子君 健康保険法の問題について御質問申し上げます。
 わが国では昭和三十六年に国民皆保険体制が整備されましたが、当時から指摘されてきた保険あって医療なしという実態は依然として解決をされておりません。このため都市部では医療機関が偏在しているにもかかわらず、三時間待って三分診療というありさまであり、他方、いまだに二千四百七十三地区、これは厚生省の調べで昭和四十六年一月三十日現在の調べでございます。いまだに二千四百七十三地区に及ぶ無医地区が存在するなど、きわめて危機的な矛盾を露呈しています。これは政府が肝心の医療制度全体の抜本改正を国会で約束しながら、何らの具体案も示さず、責任を回避してきたことに原因があることは明白な事実でございます。現在、政府は、八月じゅうにも抜本改革案を提示すべく作業を進めているとのことでありましたが、よりよい医療制度の確立を目ざすには何よりも医療担当者の確保が根本であるとの立場に立ち、数点にわたって御質問をしたいと思います。
 まず、医師の養成についてであります。現在医師については、全体としては充足をしていると思いますが、問題は僻地における医師の確保難であります。最近マスコミ等でも話題を呼んでいるように、僻地地域においては医療施設ができたもの、肝心の医師がおらず、北から南に足を運び、医師さがしに懸命であるといわれています。政府は僻地における医師確保にいかなる対策を講じてきたのか、今後具体的にどう取り組む所存か明らかにしていただきたい。まず、この問題から伺います。
#241
○政府委員(滝沢正君) 僻地の無医地区の医師の確保につきましては、たいへん長年いろいろやってまいりましたが、どうしても充足できないという実態でございますが、数年前までは僻地に医師を確保するという考え方を持ってまいりましたけれども、これが非常にむずかしい。しかも僻地の道路の開発その他が進んでまいりまして、その以後は医療を確保すると、したがって、親もとの近くの病院なり診療所までどういうふうにして患者を輸送するか、あるいは巡回診療等でふだんの健康管理をどうするかという方向で、方向を変えまして対策を講じてきたわけでございます。その親もとになる僻地に近い病院がまた医師不足で悩んでおるという実態でございまして、われわれがただいま検討いたしています先生に対するお答えといたしましては、やはり従来の僻地に近い小病院を親元に考えているだけでは無理である、やはり県の中央病院あるいは国立病院、たまたま国立がその県内に存在をすれば国立等を中心にいたしまして、そこに医師をプールするという施策、その上に、まあ、非常に十分な成果が得られるかどうか、疑問の点はございますけれども、やはり無医地区に勤務していただくことによって学生中に貸与金を相当額出そう、そうしてただいま秋田県あたりが昨年あたり実施しまして、三十名の定員で医師を、県内の僻地につとめてくだされば六年間貸与費を出すと、あとは返さなくもいいというような施策をやりましたら十五名応募者があったという情報を得ておりまして、われわれとしても、これはやらぬよりはやはりやるべきだという方向で、これをこれからの一つの柱にいたしております。
 それからいまの病院の機能を少し変更して、中心の病院を充実する方向を考える、そして基本的にはやはり医師を僻地に確保するのは、やはり千名以上の人口のあるような無医地区でしたら、これはやはり診療所を設けて、そこに医師をやはり確保する必要がある。それ以下のところは従来どおりの離島僻地であれば船を考え、あるいはヘリコプターを考えるというようなことをいたしまして、ただいま全国の市町村から、大臣の御下命によって、八月一ぱいまでに資料が各町村ごとの医療確保に対する希望をとりまして、それに対応する対策をこの長期の五カ年計画の中で充足していきたいというふうに考えております。
#242
○中沢伊登子君 とりわけ沖繩県においては人口十万比五一・一という類似県平均の一二一・三の半分以下しか医師がおりません。このために沖繩県では琉球大学に医学部を設置するよう国に要求してまいりましたが、今日まで認められておりません。厚生省は、その問題について文部省といかなる協議を行なっているか、なぜ認められないのか、近く認可される見通しがあるのか、お聞きしたいと思います。
#243
○政府委員(滝沢正君) 沖繩県のみならず、やはり医大のない県は、統計的に見ますと、医師の不足が、やはり最も低い県は医大のない県でございまして、全くこれは一致しております。
 いま、お尋ねの沖繩県の琉球大学医学部、あるいは琉球医科大学、この考え方につきましては文部省の中に調査費が組まれておりまして、いろいろ関係者の御審議が進んでおります。それから現地からもわれわれ陳情を受けまして、また、具体的な敷地の設定等につきましても、すでに宜野湾市を中心にした医学部設置の計画、これは琉大全体を移転するという計画とからんでおるようでございますけれども、医学部設置の計画、敷地等についてもかなり具体的な案を沖繩県としてもお持ちのようでございます。で、結論といたしましては、医科大学設置は、建物の整理のみならず、やはり教官等の確保が問題でございまするので、私の現段階における予測では、地元の熱意も非常に高いものがございますし、また、国の文部省、われわれともどもに沖繩県設置の必要性は痛感いたしておりますが、これら教官等の確保等を含めまして、やはりしばらくの時間はかかると思いますけれども、文部省の意向としても、また、われわれも審議会の一員に加わっておりますけれども、なるべく早い機会に可能性があるように努力いたしたい。現地は、非常にその点について積極的な動きが出てまいっております。
#244
○中沢伊登子君 いまも御答弁にありましたように、現地からの陳情もあると、こういうことを伺っておりますが、私も、実はこの間沖繩に行ってまいりまして、沖繩の婦人連合会の人々から、特にまた、これから読むような陳情を受けてまいりました。沖繩の医療の問題は、特別にまた心を配ってほしいものだと思います。それは、「本土復帰と共に琉球政府立那覇病院の医師ほとんどが、琉大付属病院に吸収され建物だけが残されました。そのため従来、那覇病院を頼っていた救急患者や多くの患者たちが路頭に迷い今後の医療体制について、いちじは深刻な問題を投げかけました。それに加えて開業医の間でも保険事務の繁雑から、充分患者に応じられないありさまです。
 私たち婦人団体としましても県厚生部、県医師会、琉大付属病院、那覇市など廻り事情を聞くと共に、医療行政の早期解決を訴えてまいりました。三十万市民を擁している那覇市に市立病院のないことを指摘しますと、那覇市としては、病院敷地のないことを理由にあげていました。那覇市は面積の三分の一が軍用地に接収され、市民は狭い地域にひしめき合い生活している現状にあります。市立病院がないため三十万市民の健康や急患は、医師会の奉仕的夜間診療により守られ、入院を必要としない第一次患者については一年間の期限づきで旧那覇病院あとに夜間急病センターを開いたことで急場をしのいだとはいえ、根本的な解決をみるまでにいたっていません。人命に関する医療機関の設置につきましては、沖繩事情に最も精通しておられる長官の手で軍用地解放の対米接渉をして頂き、公立那覇市の病院建設用地の確保を図って頂きたく陳情いたします。」、まあ、こういうようなたいへん気の毒な陳情書をわれわれにも手渡されるわけですね。そこで三、四年前に、この連合婦人会の人たちが、自分たちの拠金によってせめて婦人の子宮ガンの検診をしたい、こういう非常な熱意の中で、ついに婦人会の人たちの拠金によってガンの検診車を購入して、沖繩を回って、しかも離島にまでこの車を回して、そして相当の成果をあげて非常に住民の人たちから喜ばれた。そして婦人会のこの救急のガン検診車が回ろうとすると、もう一〇〇%婦人会の人も集まってくる、こういうようないろいろなお話を聞いてまいりました。ぜひともこの沖繩の問題については配慮をしていただきますように心からお願いを申し上げておく次第でございます。
 それから次の質問に移りますが、お医者さん以上に深刻な不足を叫ばれているのが看護婦さんでございます。この看護婦問題も再三再四もう聞き飽きるほどこの委員会でもいろいろ質疑応答があったわけでございますが、それでもなおかつこの健康保険の問題でございますから、私はもう一ぺんこの問題について触れなければならないと思います。看護婦対策についてお導ねを申し上げます。
 今日、公的医療機関でさえ看護婦不足のため相当数のあきベッドがあると聞いておりますが、事実でございますね。その調査はされましたか、いかがですか。
#245
○政府委員(滝沢正君) 看護婦の不足を理由にする場合、また医師の不足を理由にする場合等、そのあきベッドの問題につきましては理由がたくさんございますけれども、一応結論を先に申しますと、総体的にただいま現在何ベッドがわが国全体で看護婦不足のためにという理由だけであいているかという数字総体を、私は各資料はいろいろ持っておりますけれども、その点については総体の数字を正確に申し上げる準備はできておりません。実際問題として国立の場合、重症心身障害児施設でただいま看護単位の数にして約六看護単位ぐらい重症身心でまだ収容できない、これは全く看護婦の不足が理由でございます。それから自治体病院等におきましても最近の調査がございまして、たとえば日赤、済生会、これでもやはり十五単位ぐらいが看護婦不足ないしは医師不足がダブった理由になる場合がありますけれども不足いたしております。したがいまして、現在の病床の利用の十分できていない理由に看護婦不足が最大であることは間違いございません。したがいまして、われわれは看護婦の確保対策については従来の大体一学年の養成定員が二千五百ぐらいが、多いときで二千五百ぐらい、少ない年は二千ぐらいしかふえてきていないのでございますが、これをどうしても四千人ベースに、その一学年の定員ですね、新たに入る。これを四千名程度増をはかる必要がございまして、五カ年計画で約二万人というのが大ざっぱでございますけれども養成の増の計画でございます。もちろん離職防止と申しますか、途中でやめないようにしていただくという努力はやはり労働条件の改善、ニッパチ体制の実施率を高めていく、あるいは給与の改善、夜間看護手当等特殊の勤務状態に対する諸手当等の配慮、こういうものを総合しながらこの機会に看護婦問題に取り組みませんとなかなか思い切った対策ができませんので、そういう心組みで五カ年計画の中に、看護婦対策は医療供給の中で一番大きな柱にいたしまして努力いたしておるわけでございます。
  〔理事須原昭二君退席、委員長着席〕
#246
○中沢伊登子君 一生懸命で看護婦対策をやっていただかなければならないのはいまのお話でよくわかりました。そして、私どもも再三そのことを希望してまいったわけですが、いまも御答弁にありましたように、看護婦確保はまず労働条件の改善がなされなければなりません。厚生省はさきに人事院に対して初任給の引き上げ等要求しましたが、これは認められましたか。あるいは認められる自信がありますか。それが一点。
 夜間看護の処遇は今年度千円に引き上げられましたが、いまだにこれでは十分であるとは言い得ません。そこで最低三千円を保障すべきでございますが、具体的な額がきまっておれば明らかにしていただきたいと思います。
 その他、労働条件の改善についていかなる方針をきめているか、また検討中であるか、明らかにしていただきたいと思います。
#247
○政府委員(滝沢正君) 看護婦の処遇改善につきまして先般、一般公務員と同様に今回も待遇改善がなされたわけでございますが、結論的に申しますと、初任給調整のようなものは、具体的に出てまいっておりませんで、総体的に他の医療関係者よりもアップ率を高くしておいていただいていることは確かに一つの進歩だと思いますけれども、われわれがほんとうに看護婦の処遇改善を要望している点にはまだ不十分でございます。ただし、今回の人事院が、人事院勧告文の最後に、「教員、看護婦の給与の改善については、かねてから努力を重ねてきたところであるが、今後更に一層の改善を図る必要が認められる。これに関連して、従来からとってきた官民比較」、――要するに、公務員と民間と五%以上の差があったときには勧告すると、これでいきますと、看護婦の場合は具体的には差がないという実態があっても、なおかつ看護婦の処遇改善は社会の必要性のためにやるべきであるというふうに私はこれを受け取っているんですが、――「官民比較の基本原則の適用方式に若干の変更を加えることについて、速やかに検討を行う考えである。」、こういうことが付記されておるわけでございまして、われわれも人事院に接触いたしましても、人材確保法案との関連もございましょうが、教員の問題の取り扱いと同時に、看護婦の問題を検討しますという確答を得ているわけでございますので、さらにこの上、看護婦を抜き出して、別の立場から看護婦の処遇改善を期待いたしておる段階でございます。
#248
○中沢伊登子君 三千円の問題はどうですか。
#249
○政府委員(滝沢正君) 失礼いたしました。夜間看護手当の問題につきましては、実はこれは国家公務員の国立病院療養所の看護婦に対して、本年度三百五十円でありましたものを千円にし、人事院規則でもこれを明確に認めていただいたわけでございます。われわれは事務的には、きわめて中医協等の動き、医療費の値上げの問題等からみまして、これが民間への波及等も考慮いたしますと、やはり三千円ということは、必要性は将来にわたってあると思いますし、そういうめどを立てることは必要だと思いますけれども、これをにわかにその線に持っていくことは他の職種との関連もあり、きわめて困難であると私は事務的には考えております。しかしながら、この問題については政策的な意味もあって、各方面にまだ高い関心のある問題でございますから、われわれ事務的には一応これ以上さらに急速に引き上げることは無理である、特に医療費の値上げ等の問題ともからみながら、民間、官公の病院等の運営等の問題も考慮しながら考えますと、にわかに三千円を事務的に要求することは困難であるというふうに思っておりますが、各方面にこの問題に対する関心が高いので、予算要求の段階あるいは具体的には予算が成立する段階では若干この問題に対する考慮がなされるということを期待しておる面も一面あるわけでございますが、事務的には率直に申し上げて積極的に急速に上げていくことは困難である、こういうふうに思っております。目標はそういう方向で努力いたします、こういうふうに思います。
#250
○中沢伊登子君 痛しかゆしというような気持ちが私どもにはよくわかるわけでして、まあひとつ、看護婦さんが非常に足りないときですから、あっちこっちに配慮をしながら十分この問題を検討していただきたいと思います。
 さらに、家庭にある看護婦経験者を活用するための施策が講ぜられておりますが、現在給与等の労働条件はいかなる実態となっていますか。私はきわめて低賃金にあると聞いておりますが、これに対して補助金等の方法で優遇改善をはかる考えはございませんか、どうですか。
#251
○政府委員(滝沢正君) 潜在看護婦の活用につきましては、来年度予算にもいろいろ考慮を払って努力いたしておるわけでございますが、お尋ねの労働条件、特にパートタイム等で勤務願うためにはある程度の時間給が相当高いものが必要になってまいっております。
 それともう一つ一面、付き添いの方々が都会ではもう四千、五千円ということであるというようなことをお聞きします。しかしながら、国立の場合の、ただいまパートで国立に賃金職員として看護婦さんを時間的にお願いする場合の国の定めた予算についても、まだその半分にも満たないという実態でございまして、国立等としても、われわれもパートをもっと活用したいわけでございますから、この賃金を上げていくことには一そう努力いたしたいと思っております。特に民間についても確かに資格のある方が家庭と両立しながら勤務していただくためにはこれに対するペイをやはりかなり高くする必要がございますが、一面時間給だけで計算しますと常時勤務している定員職員とのかね合いという問題が病院運営の上ではございまして、パートの方にだけ高額――一時間であれだけもらえるなら、私たちの勤務時間からいったらもっと高くていいというような均衡問題も出まして、病院管理上は非常に苦心するところでございます。
 で、お尋ねの補助金というようなことは何か医療機関に対する直接そういう人件費補助ができないかというお考えだと思いますけれども、この点についてはやはり医療にかかわる人件費と申しますものは、いまの皆保険の制度では診療報酬の中でしかるべく御配慮願いたいというふうに思うわけでございますが、そうかといって、この看護の賃金職員というようなことを考慮した面から適正な診療報酬ということをきめることは非常にむずかしかろうと思います。ただ、看護助手というような者が実際には一〇数パーセント各病院にいるわけでございますから、こういうものが診療報酬の基準看護その他の考え方の中で今後配慮されるならば、私はそういう面からはこの考慮が払われてくるであろうと思っております。したがって、その人件費だけを抜き出した補助制度というのは非常に困難であるというふうに思っております。
#252
○中沢伊登子君 先ごろ看護婦さんの大会がございまして、そこにも私招かれて行ってまいりました。そのときに、まあ、看護婦さんを急に多く養成するわけにはいかないし、で、急にたくさん看護婦さんを確保することはできませんから、その潜在看護婦さんを確保するために、パートをやっぱり用いるべきだと、こういうことを言いましたら、たいへん反撃を食らいました。といいますのは、看護婦さんとしては、パートで働かれる方は非常に賃金が安い。だから女性の労働力が非常に安く売られるのでパートには反対だと、こういうふうな話がございましたからね、いま局長がおっしゃったようにではなくて、やっぱりいまパートというのは相当低賃金だということをひとつ認識をしておいていただきたい、このように思います。
 それから本論に入ってまいりますが、医療保険を改革する要は公費負担医療の考え方にあると思います。特に治療中心の公費負担では、今日水銀やPCBなど化学物質汚染など新たな公害が大きな社会問題となっている現状から見て、健康管理についても公費負担とすべきでございます。実施する方針でありますか。実施できないとすれば、その理由は何でしょうか。
 あるいはまたリハビリテーションについてもこの点どうお考えでございますか、伺いたい。
#253
○政府委員(北川力夫君) 直接まあ、保険に関連する問題かどうかやや問題がございますけれども、いまのお話は公費医療あるいは最近非常に多発しております交通事故等にも関連をいたしまして、リハビリテーション医療をどうするかという問題だろうと思います。で、医療全体がやはり先生も御承知のとおり予防から治療、リハビリと一貫した体制を整備するのが現在の急務でございますから、そういう意味合いでは私どもは公費負担医療というものは公費負担医療として充実をしていきますと同時に、健康保険のサイドにおきましても将来の方向といたしましては、やはり予防的な給付、予防的な措置あるいはその保健福祉的な施設、そういうものを保険の中でも相当充実をしていかなくちゃいけないと、こう思っております。
 また、リハビリテーションにつきましても、規模の中でどういうふうにこれを評価するか、そういう問題が非常に現実的な問題であるわけでございますから、そういった面につきましては、十分今後保険のサイドからも努力をしてまいりたいと考えております。
#254
○中沢伊登子君 私のお聞きしたのは、治療中心の公費負担ではと、こう言っておるわけですね。もう治療をする前に健康管理を公費負担でやれないかどうか、こういうことを伺ったんです。
#255
○政府委員(滝沢正君) この公費、いわゆる予防治療、予防という問題について、公費負担でやるべきだということと、ただいま保険局長からお話のございましたように、保険サイドで予防給付的な取り扱いができないかということでございますが、現行、われわれが対策を講じておるのは、公費で一応健康管理的な面を推進しつつあるわけでございます。乳幼児、妊産婦等の問題でございます。先生のおっしゃるように、たとえば難病等について、あとから医療費を見るのもけっこうだけれども、もっとそういう健康管理全体に使えないか、老人医療についても私そういう問題が言えると思うのでございまして、六十五歳以上、老人福祉法で健康管理が一応規定されております。そういう意味で、公費による健康管理の施策というものは、われわれの立場からはもっともっと積極的に推進したいという気持ちでございまして、それが将来、この健康保険なりもっと別の立場で全体が包まれるということもあってもよかろうと思いますが、現行、いままでやってきた制度等を考えますと、やはり現行の制度の中で施策を充実していくということで考えたいと思っておるわけでございます。
#256
○中沢伊登子君 今年度から六つの疾患の難病について公費負担としましたね。今後はどこまで適用していく方針でございますか、具体的の施策を示していただきたいと思います。
#257
○政府委員(滝沢正君) この問題につきましては、研究対象に本年度が二十疾患、その中で六つの疾患を取り上げて公費負担をいたしております。来年は三十疾患ということを研究対象にしたい。しかし、難病というものを従来考えております定義から申しますと、かなりの疾患がこの対象になる可能性があります。しかし、おのずから私は公費を負担する疾病と、研究を対象とする疾病には限界があると思っております。これは若干個人的な見解でもございますけれども、具体的な施策を考えたときに、そういうふうになるわけでございまして、したがって、研究対象で推進していく疾病の数はかなりふえることは必要だと思います。
 しかし、公費負担の問題は、先ほど来議論されておりますような公費負担と保険制度とのかね合い、あるいはその目的の一つに事務の簡素化ということがあるにいたしましても、基本施策としてそういうものを公費負担の中へ取り入れるとなりますと、よほどこの疾病は何をどう取り扱うかということを慎重に検討する必要があると思っております。したがって、研究対象ということと、公費負担医療を提供するという問題とは、おのずから別の問題として検討すべきだと、こういうふうに考えております。
#258
○中沢伊登子君 人工じん臓の患者さんが最近ふえておりますね。この人工じん臓の患者さんについてはどうですか。
#259
○政府委員(滝沢正君) この問題は実は人工じん臓が、わが国の医療の組織的にあるいは地域的に十分考えながら進めなければならない事例の一つだと私は思っております。そういう意味でただいま約五千四、五百人の必要患者があると推計いたしておりますが、人工じん臓の必要台数は、大体一台でこなし得る人数が二・五人でございますので、約二千二百台ぐらい必要である。それで現在、官民全部含めまして約二千台保有いたしておりますから、不足台数というものが、――正確には保有台数は千八百五十ばかりでございます。したがいまして、約三百台程度が不足いたしておるわけでございまして、本年度これを整備いたしてまいりたいと思っております。しかも、問題は病院、この人工じん臓が可能な病院というのは、やはり機能の高いしかもりっぱな医師が確保できるところでないと実行できませんので、この点に非常に問題がございますから、地域の偏在がどうしてもございます。しかしながら、医師の訓練も必要でございますので、われわれといたしましては、人工じん臓の医師の講習会、それからそれに従事する看護婦の講習会を実施いたしておりますので、そういうこともさらに充実しながら、あとは残った病院、要するに地域的な偏在是正ということが、四十九年度ぜひ目標にしなければならない問題であるという気持ちで進めております。
#260
○中沢伊登子君 ついでにもう一つ二つ、この人工じん臓の患者さんについて質問をしたいと思いますが、この人工じん臓の患者さんというのは人工透析者というんですね。この方々は非常に病院が遠いので疲れてしまって、特に兵庫県なんというのは瀬戸内海から日本海まででございますので、日本海のほうには人工透析をする病院がないわけですね。そうすると、向こうから神戸市のほうまで車でやってまいりますと一日仕事だし、そしてそれに片道三時間も三時間半もかかりますので、もうくたくたになってしまってとてもたいへんなので、何とかしてもう少しこれをやってくれる病院が近くにできないものか。おそらく私はこの五千四、五百人の患者さんはそう思っていると思いますね。しかも、輸血をしなければなりませんが、血を交換するんですね、その交換をするための輸血が非常に不足をしている。で、親類縁者、友だち、いろんな人から血をもらうけれども、とてもじゃないが血液が不足をして困っている、こういうような訴えがございました。そうして一週間に何べんか病院に行かなくちゃいけないので、この人たちがつとめていてもなかなかいい顔をしてつとめさせてもらうわけにいかない。ですから、せっかく動けるようになっても社会復帰がなかなか不可能だ。で、受け入れ体制が非常に乏しいということをこの間たいへん嘆かれておられました。
 この辺のことも今後の問題でございましょうけれども、実は私ども、この人工じん臓の患者さんというのはいままで知らなかったわけです。こういうことをあまり知らない人が多いと思いますので、これはこれからの問題ではございましょうけれども、この辺の問題についても今後の問題として大いに取り組んでいただきたいと思います。
 次に進ませていただきます。七十歳以上の老齢者及び六十五歳以上の寝たきり老人について公費負担がなされておりますが、老人福祉法で明記されている六十五歳以上の老齢者すべてに適用を拡充する方針はございませんか。
#261
○国務大臣(齋藤邦吉君) お述べになりましたように、七十歳からは本年の一月から、六十五歳以上の寝たきりは十月からと、こういうことになったわけでございまして、寝たきりでなくても六十五歳まで年齢を下げたらどうかという御意見のあることは私も十分承知をいたしております。しかしながら、この老人医療無料化というものを実施いたしてまいりました実績を見ますというと、これは病院の側にたいへんな負担を実はしいている状況でございます。極端なことをいいますと、病院はすべて老人に占領されているではないかといったふうな御意見等もあります。そういうふうな受け入れ体制の問題も、六十五歳まで下げるとなると、やっぱり相当考えないとこれはたいへんなことになる。六十五歳まで下げることによってかえって医療機関が大混乱を来たすというようなことになったのでは、かえってまた、これは国民に迷惑をかけるわけでございますから、もう少しこの制度の実施の状況を勘案しまして、推移を見定めましてからもう少し考えてみる必要があるんではないか、こういうふうなことで、いまのところもう少し慎重に情勢を見るということにいたしたいと考えております。
#262
○中沢伊登子君 乳児の公費負担でございますけれども、すでに千四百九十五の市町村が実施をし、本年度中には二千五百五十に拡大するといわれております。これは全市町村の七七%に達する数字でございますが、当然国が責任を持って行なうべきものですが、地方自治体に先手を打たれております。政府は乳児の医療無料化を行なう意思がないと聞いておりますが、その理由は何でしょうか。
#263
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私から答えます。
 乳児の公費負担の問題については、いまお述べになりましたように、各市町村がこれをすでにもう実施しているものがあります。先般の知事会議でもそういう御意見が出ました。これをやりますかという御質問がございました。しかし、これは私は慎重に考えるべき問題だと思っているんです。と申しますのは、乳幼児専門のお医者さんというのは全国で何人おりますかということをまず考えてみなければならないです。数千人きりおりません、現実のところ。そうして、現実、私どもが子供の医療費の問題については、従来から未熟児に関する養育医療とか、障害児に対する医療だとか、あるいは小児ガン、慢性じん炎、ネフローゼ、こういったふうな難病に近い病気にかかっておる子供さんについては、すでにもう無料にしておるわけなんです。ということになりますと、乳幼児無料医療ということになりますと、赤ちゃんがおなかをこわしたとか、かぜを引いたと、それまで無料にするということになるわけであります。そこまで一体する必要があるのかないのか。これは私は問題だと思うんです。特に、乳幼児というものを育てることは、母親の愛情が絶対必要だと思うんです。母親の愛情なくして子供は育ちません、これ。ということを考えてみれば、なるほど市町村長の諸君はいろいろやっておる向きも多いのでございますが、おいそれとここまで広げる必要があるのかないのか、私は非常に疑問を持っておるわけでございます。
 そして、こういう乳幼児の健康を守るためには、むしろ医療費をただにするということよりも健康診断に力を入れるのが先決じゃないかと、私はそう思うんです。御承知のように、本年からすでに、乳児につきましての健康診断については、年一回、どこの病院に行こうが無料にいたしました。この健康診断の無料の回数を多くする、これは私は望ましいことだと思います。しかし、医療費までただにすると、――医療費といいましてもむずかしい病気の医療費はすでに公費になっておるんですから、そのほかのかぜ引いた、おなかこわしたまで無料にする必要があるのかないのか。これは私は相当慎重に考えるべきものではないかと、かように考えておるわけでございます。
 しかし、この問題もなかなか重要な問題でございますから、将来の保険制度と公費負担との関連において根本的な検討をいたしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#264
○中沢伊登子君 最近、もう一つ、子供の病気でたいへんおかあさんたちが困っている問題に小児てんかんというのがあります。これはどうですか。
#265
○政府委員(滝沢正君) 小児てんかんにつきましては、最近特に問題の提起があるわけでございますが、非常に従来はなおらないというような感じを持たれておりましたが、専門家の御意見を聞きますというと、早期な治療によって、押えるという意味も含めたかなりの安定をすることができるということでございますので、今後やはり三歳児健診等を中心にいたしまして一般的に医師の側も母親の側も、小児てんかんというものを早期発見することに関心を持ちませんと、これがなかなか発見がむずかしいというふうに聞いております。
 そういう意味で、治療費そのものを公費負担にするかどうかということにつきましては、若干担当の局の違いがございますので、私責任持ったお答えをすることはできませんけれども、従来のネフローゼであるとか、あるいは育成医療であるとかというような問題と若干違いがあるように思えますので、この点につきましては、単なる医療費だけから見ての費用の問題もございましょうけれども、問題は医療関係者が早期にこのような子供を発見することに対するもっと医療側の啓蒙も必要でございましょうし、あるいは母親等に対しての、早期に気づくということに対する、――転倒てんかんなんというのは非常に特徴ある行動を子供が起こしますので、それさえ常識的に知っていれば早くに医療機関に連れていくことができる、しかも、その連れてこられた医療関係者もそれを早く診断できる、こういうことがまず非常に先決ではなかろうか。
 公費負担その他の問題は、児童局長もおられますから、何かお考えがあるかもしれませんが、われわれとしては、そういう、前の段階の問題をまだかかえておるというふうに思っております。
#266
○中沢伊登子君 児童局長どうですか。
#267
○政府委員(翁久次郎君) 昨年小児の慢性疾患について調査したのでございますけれども、御指摘の小児てんかんにつきましては、慢性疾患そのものとして調査をしたわけではございません。その点につきましては、ただいま医務局長から答弁申し上げたとおりでございます。児童家庭局として考えております慢性疾患につきましては、昨年実施いたしました慢性疾患でぜひともこれは公費で見るべきであろうという種類のものをただいまあげまして、それを来年度の予算として、公費負担の一部として要求したい、こういうふうに考えております。
#268
○中沢伊登子君 時間が少ないですから次に進みます。
 次に、家族給付率についてお伺いましすが、今回の改正案のうち、ようやく修正によって家族給付は七割が実現することになりました。同時に、国民皆保険のもとで、療養給付費は、元来本人と家族の格差を設けるべきではないのでございますが、当然政府としても一律給付の方向で努力する方針でございましょうが、ぜひとも具体的な方針、つまり何年後には一律給付を実現できるとお考えでございますか、伺いたいと思います。
#269
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先般の衆議院の修正によりまして、政管健保の家族の給付率を来年の十月から七割にしようという案が衆議院を通過いたしまして本院に参っておるわけでございますが、そうなってくると、本人十割、家族七割、これは来年の十月からそうなるわけでございますが、それを一律にもうしたらどうかと、こういうふうなお尋ねかと思いますが、これについては多少一律という意味がはっきりわかりませんが、十割にしろという意味なのか、家族をもひっくるめて九割程度にみんなならしてしまえという意味なのか、これについてはやっぱりいろいろ意見がございます。十割全部しちまえという意見のほうが少ないような感じがいたします。もし、全部同じ率にするならば、家族も本人も九割、そのくらいがいいところじゃないかというのがこの専門の方々の一般的な空気のようでございます。しかし、そういうふうなやり方に今後いつの時期に持っていくか、これは私はいまのところ時期を明示することは困難かと思いますが、先ほど来お話のありました社会保障長期懇談会の青写真として、三年先、五年後先どういうふうになるか、そういうふうな青写真をつくるときの問題として検討をさしていただきたいと思います。したがって、いま、いつから一律に、同じように、しかも十割とするのか、九割とするのか、いろいろ問題があるところでございますから、いまにわかには言えないと思いますが、近い将来そういう問題が一つの政治の問題として浮かんでくるであろうと、かように考えております。
#270
○中沢伊登子君 次に、家族の高額医療負担について伺います。
 まず第一は、三万円の根拠でございます。単に標準報酬の半分として三万円をはじき出したと聞いておりますが、それは事実なんですか。ほかに何か根拠があるのですか。
 それから、時間がありませんからついでに伺います。どうも三万円にはたいした根拠がないように私どもは思っております。それならば、二万円にしてもよいのではないか、こう思いますが、いかがですか。
#271
○政府委員(北川力夫君) 第一点の三万円の根拠につきましては、政管健保の家族の一日の平均の入院費の自己負担額が政府が提案いたしました六割給付という段階におきまして大体千百日程度になりますので、これを基準といたしまして一カ月間で三万円程度と、こういうようなことを一応の基準として考えたような次第でございます。
 それから、この三万円を二万円にしたらどうかというようなことでございますが、この点は、何ようにもいま申し上げたような考え方で立案をいたしましたので、今後この取り扱いをどうするかは実施後の状況を見きわめまして、その辺のところをどうすべきかを考えてまいりたいと、このように考えておりますのが現在の状況でございます。
#272
○中沢伊登子君 あくまでも三万円をこえた場合に限るというのならば、国民の苦しみはなかなか解決されないと思います。
 そこで、私は具体的な提案を行ないたいと思います。それは、三カ月だけは三万円を自己負担するが、それ以後は健保で見るべきだ、こういうことでございます。この提案は本案の審議を通じて私どもの党が提唱してきたわけでありますけれども、ここに重ねて提唱をいたします。これを実施する意思がありますかどうか、明確な御答弁をいただきたいと思います。
#273
○政府委員(北川力夫君) 三カ月を経過した場合にすべて自己負担を解消して三万円をなくするという、そういうお話は、私どもも当院はもとより、衆議院の段階においても、そのような御意見を承っております。また、それ以外にも、合併症の問題をどうするとか、あるいは同一の家族で合算して三万円にしたらどうかとか、いろいろな御意見がこの問題についてはあるわけでございます。ただ、何ぶんにも、この制度は初めて発足する制度でございまするし、それから事務上の便宜というようなことも考えまして、また、財政的な問題として、相当将来負担のかかってくる問題でございますから、そういう意味合いで、私どもは現在、この新制度の発足にあたりましては、とにかく一カ月三万円ということで発足をいたしたい、その後この制度の改善と申しますか、そういう点につきましては、制度発足後の状況を見た上で考えさしていただきたい、このような状況でございますので、そのように御了承いただきたいと思います。
 また、この制度の実施のいろいろな具体的な問題は、政令制定の段階におきまして、社会保険審議会におきまして十分に審議をいただきまするので、そういう段階においてもいろいろ御議論をしていただきたい、このように考えておりますことをつけ加えて申し上げておきます。
#274
○中沢伊登子君 いまお答えの中にありましたように、まさに合併症や同じ家族内の二人がおのおの二万円であった場合には、全くこれが適用とならないなどの矛盾がございますから、十分今後考えて検討していっていただきたいと要望をいたしておきます。
 その次に、療養費支払い方式をやめていただきたいということです。この方式は、毎月三万円の現金がなければなりません。一、二カ月はいいとしても、長期の場合には、先ほども申しましたように、四カ月目からは無料となるならともかく、かなりの国民負担となります。これはやはり現物給付方式にすべきだと思いますが、いかがですか。
#275
○政府委員(北川力夫君) 家族高額療養費の支給を現物給付のかっこうで行なうべきではないかというお話は、これもしばしば議論になる問題でございます。ただ、何ぶんにも初めて行ないます制度でもございますし、私どもの考え方は現在の健康保険の仕組みの上に乗っかってこの制度を発足させたい。それからまた、できるだけ事務量の軽減をはかって、わかりやすい制度にしておく必要がある、こういう意味合いで、実は償還払いというようなかっこうにしたわけなんでございます。かりに、いま先生のおっしゃいましたような現物給付の形で行なうおうといたしました場合には、患者の自己負担額が一定額をこえたとき以後は医療機関は患者に対して医療費の支払い請求ができないこととなりまして、この場合、いつの時点で医療費が当該一定額をこえるようになるかというふうな判定につきましては、医療機関の側におきましても、また患者さんの側におきましても、なかなかわずらわしい問題が出てまいりまするから、そういう意味合いで、事務的に明確な形でこの制度のスタートをしたいというのが私どもの考えであります。また、今回のこの制度は、他の制度で申しますと、すでに健保組合でございますとか、あるいは共済組合でございますとか、そういったところで一定の額、たとえば二千円、三千円、四千円あるいは一万円というふうな足を切って、いわゆる足切りの形で家族療養費の付加金として償還いたしております制度があるわけでございます。ですから、そういう方法はかなり健保組合、共済組合等で定着をいたしておりまするから、そういった点も勘案をいたしまして、現在のところ私どもはまず償還払いで発足をする、そういうことを考えておるような次第であります。
#276
○中沢伊登子君 高額医療負担制度がどのように実施されても、差額ベッド料とか付添看護料等のあの高額な問題が出てまいりますと、――それがいまの現状でございますけれども、そうなりますと、国民の負担は一向に軽減してまいりません。厚生省が四十七年の六月一日に実施した公的医療機関における差額ベッド調査結果では、二〇%が差額であったと発表されております。私は、公的医療機関では一切差額ベッドは認めるべきではないと考えますが、どうですか。
#277
○政府委員(滝沢正君) 差額ベッド、すなわち特別室の問題につきましては、ただいま仰せのとおり、皆保険化で現物給付あるいは療養費の支給、そういった問題があっておるにもかかわらず、そういう問題がやや乱に走っておるというようなことは、たびたび私どもも指摘を受けておるような実情でございます。で、そういう意味合いで、私どもはすでに三十八年に、皆保険直後にも、この問題につきましては、被保険者が希望しないにもかかわらず差額ベッドを使わせることがないようにということで、統一的な指示を出したわけでございますが、いま申し上げましたように、最近の実情は、いろいろな事情があって、なかなかそういう点が十分に守られないということははなはだ残念でございます。特に公的病院につきましては、やはりその公的な性格という点から見まして、私は原則としてそういう差額ベッド、特別室というようなものはないのが好ましいと思っております。で、現に厚生省の医療審議会におきましても、公的な医療機関については、できるだけ差額ベッドはなくするようにというようなことも聞いておりまするから、そういう意味合いで申しますと、なるべくそういう方向に指導をしていく必要がありますけれども、その前提条件として、あるいは診療報酬の問題でございますとか、あるいは公的な病院に対する公的な資金の投入の増加の問題でございますとか、そういう問題がございますから、そういったところを総合的に処理をいたしまして、総合的に強化拡充をいたしまして、そうして、公的な病院は公的な性格を持つにふさわしいような実態にこの特別室の問題についても持っていきたい、このように考えているのが実情でございます。
#278
○中沢伊登子君 一つ例を申し上げてみたいと思いますが、この間、松本に参りましたときに、こういう話を聞きました。二人の奥さんが病院でお産をした、一人の奥さんはわずか二万円で済んだ、片っぽうの奥さんは七万円かかった、こういうことで、たいへんここにアンバランスがあって、お互いにいろいろなトラブルがあったようでございます。これをよく私どものところで調べてみますと、二万円で済んだ奥さんというのは、たまたま公的病院に入って差額ベッドでないところでお産ができた、片方の奥さんは民間の病院でお産をした。こういうところで、同じように正常分べんをしながら、片方は二万円で片方は七万円だ、たいへん不公平があったわけです。もしも、こういうようなときに、今度の健康保険の改正では、出産費六万円でございますが、二万円の方でも六万円いただけるんですか、いかがですか。この問題が一つ。
 それからもう一つは、同じ松本の話ですけれども、老人が病気だから入院をしたいと、ところが民生委員にコネがあった方は、たまたたま奥さんが、あなたが病気だということにしなさいということで病院に入院ができた、片方の奥さんは、民生委員の方にコネがなかったか何かして、自分のところの老人が病院にはいれなかった。ところが、奥さん病気になりなさいと言ったその奥さんが、健康なものですから、たんぼで働いていたら、それが見つかって、あなたのところはいいですねというふうな話になったという話を聞きました。これは事実の話かどうか私もよくわかりませんが、ある奥さんがこのことを私に話をして聞かせてくれました。そこで、私はこうお答えをしておきました。これは病気になって病院に入りたいときに、病院がないということが第一おかしい。ですから、私どもは国会で何べんも、早くお医者さんをたくさん充足するようにしなさい、あるいは看護婦さんをふやしなさい、こういうことで努力している、病気になって入りたいときに病院にはいれるのが当然であるのに、そういうことができないのが現状だ、こういうふうに言ってなだめはしておきましたけれども、たいへんこういうような問題があちこちで起こるのではなかろうか、こう考えますと、国民皆保険の中で、われわれはちゃんと保険を払っているのに、こういうようなことがもしもあるとすると、たいへんこれはゆゆしい問題だと思います。この辺の問題で御答弁を実はいただきたいのですが、あと十五分しかありませんから、簡潔明瞭に御答弁をいただきたい。
#279
○政府委員(北川力夫君) 前段の問題は、二万円と六万円とおっしゃいましたが、現在政府原案では四万円でございますので、しかも四万円というのは、本人の場合には大体分べん費は二分の一出ますから、それに対する最低保障としては四万円でございます。でありますから、もちろん四万円は支給されるわけでございます。
#280
○政府委員(滝沢正君) 後段の問題につきましては、先生が国会におられるということで、こまかい陳情的な意味なりお話だと思いますけれども、先生のお話、そのもので具体的に何をお答えするかとなると、やはり結論として申し上げることは、やはり医療供給体制を充実しなければならぬということに結論はなるわけでございますが、しかし実際、いなかにおいてこのような入院のいきさつ等についていろいろの苦心をしている実態ということをお話しいただいたと受け取りまして、具体的には老人病棟あるいはリハビリテーション病棟の整備等を五カ年計画の中で充実するように考えております。
#281
○中沢伊登子君 もう一つだけ伺いたいのですが、民間医療機関では差額ベッドは全体の何割ぐらいを占めているのですか、そして、その料金は大体幾らくらいでございますか。
#282
○政府委員(北川力夫君) 実は、民間の医療機関の実態につきましては、先ほど公的のほうは四十六年の調査というふうなお話でございましたのですけれども、いろいろな事情でこの点は四十三年の調査しかございません。その四十三年調査のときの民間病院の実態関係は、個人の場合にその占める率が一七・六%、それから会社の場合で一八%それからその他の法人いろいろございますけれども、学校法人等もございますが、その他の法人で一九%それから医療法人で一五%、公益法人で約一九%このようなのが四十三年の実情でございまして、最近の実情は実は十分につまびらかに全体的にはつかんでおりません。
#283
○中沢伊登子君 それから差額ベッドの料金。
#284
○政府委員(北川力夫君) 料金は、これも四十三年の状況でございますが、百円以下のものが大体全体の一七%それから百円から二百円のものが一六%、二百円から三百円のものが一五%、三百円から五百円のものが約二割、それから五百円から千円のものが一七%、千円から三千円のものが一一%、三千円から五千円のものが一・五%、五千円から一万円のものが〇・四%、一万以上のものが〇・一%、大体そのような数字でございます。
#285
○中沢伊登子君 それは四十三年ですね。
#286
○政府委員(北川力夫君) はい。
#287
○中沢伊登子君 それから見ると現在ははるかにオーバーしていると思います。大体一カ月入院して十万円の差額ベッドを取られたなどという人もございます。そういうところでなければ入れないのです。そんなところはいやだと言ってもそこしかあいてないと言われればそこに入らなければいけない、こういうことで先ほどから申し上げておりますように、差額ベッドの問題も、これからの検討課題として十分考えていっていただきたいと思います。
 他方、今度は付添看護婦の問題は看護婦問題と表裏一体をなしておりますが、患者の負担を軽減するためには、現状からして付添看護料は新たに健保の適用とすべきでございますが、その意思がおありになりますかどうですか。
#288
○政府委員(北川力夫君) 付き添いの問題は、これは現在の状況は、先生御承知のとおり、基準看護をやっております病院については、原理原則としてこれは付き添いはないという状況でございます。基準看護をやっていない病院については付添看護料を認めておりますが、この辺は料金の問題と、それからどの程度承認するかという要件の問題と両方あろうかと思います。料金のほうは毎年公務員の給与ベース、看護婦さんの給与の関係にリンクをして改善をいたしておりまするし、それからいかなる場合に付添看護婦を認めるかというような問題につきましては、最近非常にこの関係の緩和の要求が強うございまして、ごく最近、これは八月の二十一日でございますが、その段階で現在まで非常にシビアになっておりましたものを相当程度緩和をいたしまして、現在の実態的な要請に応ずるような状況をつくったような次第でございます。
#289
○中沢伊登子君 次に、質問をしたい問題は、保険料率の引き上げの問題です。
 まず、政管健保ですが、政府案では千分の七十から千分の七十三に引き上げられる。しかし給付改善が十分でないにもかかわらず、国民負担となる保険料の引き上げをはからんとする姿勢は国民を軽視する政治姿勢と言わざるを得ないのであります。直ちに保険料の引き上げはやめるべきだと思いますが、この点いかがでございますか。もう時間がありませんので、いまの質問おわかりいただけましたね。
 それからもう一つ、ついでにやっておきます。この政管健保の保険料率引き上げよりさらにおかしいのは、組合健保の上限を千分の八十から千分の九十にしようとする案でございます。すでに御承知のとおり、組合健保は黒字財政でありますから、料率を上げる必要が全くありません。それにもかかわらず、引き上げようとする根拠は何ですか、この点について伺います。
#290
○政府委員(北川力夫君) 前段の問題はたびたび申し上げておりますとおり、今回は相当大きな給付の改善を行なうわけでございます。家族療養費の支給割合のかさ上げあるいは高額医療費の支給、あるいはそれ以外に現金給付の改善、こういう大きな改善が一つございます。また、従来の累積赤字三千億円はこれはたな上げをする、それからまた定額の補助を改めて定率の国庫補助にする、そういった一連の問題があるわけでございます。そういう意味合いで、今度のこの家族の療養費のかさ上げ並びに家族高額療養費の支給という、こういう非常に大幅な給付改善と、いま申し上げましたような政府管掌健康保険の全体的な財政の健全化ということとの見合いにおいて被保険者にも応分の保険料の御負担をお願いをする。そういたしませんと、今後の長期的な改善された給付をまかなうだけの財政にたえかねませんので、そういう意味合いで、わずかでございますけれども、保険料の引き上げをお願いをする、こういうようなわけでございます。
 それから組合健保の場合でございますが、組合健保は現行の頭打ちの料率幅の上限は八%でございます。しかし、現在の実情を申し上げますと、すでに昨年度末、四十七年度末で料率八%の組合数が全体の約一割程度に及んでおりまして、この制度ができました当時の、この幅を設定いたしました当時の平均の五%に比べますと、平均でも七%になっておるのでございます。そういう実情が一つと、それから今回の法定給付の改善、いま申し上げました家族療養費のかさ上げと、それから家族高額療養費の支給と、そういうことから考えますると、今後健保組合それぞれ運営は区々ばらばらでございますけれども、その運営に対する、財政に対する影響も相当これは深刻でございます。そういう意味合いで、私どもはこの三%から八%を改めまして、三%から九%まで料率幅を広げることができるようにしたわけでございます。
 なお、念のため申し上げておきますが、この料率の改定範囲が拡大されたからといって、直ちにすべての組合が料率を引き上げるわけではございませんで、これはそれぞれの組合で、それぞれの実情に合うようにやるわけでございますから、その点はあわせて御了承をいただきたいと思います。
#291
○中沢伊登子君 委員長にお願いをいたします。五分間だけ延ばしていただけませんか。
#292
○委員長(大橋和孝君) どうぞ。まだ持ち時間はございますので、どうぞ。
#293
○中沢伊登子君 それならば続いて質問をさせていただきます。
 弾力条項について質問をしたいと思います。これについてはすでに多くの方々から削除するよう要求がされてまいりました。私は、重ねて弾力条項の削除を求めますが、その決意を伺いたいということが一点。
 もしも削除しないのであれば、被保険者負担は千分の三十五にとどめ、それをこえた分は事業主負担とすべきでございますが、それを実施する決意はございませんか。これには勇断をもってこたえていただきたいと思います。
 それから先ほど小平委員が質問をされましたように、法定料率の上下の〇・七%の範囲において、これを変更することができるとしておりますね。それならば、保険料率がもしも修正によって千分の七十二に引き上げられたといたしますと、そのときは千分の八十を当然千分の七十九に下げるべきですが、それはどうですか。
#294
○政府委員(北川力夫君) 第一点の弾力条項でございますが、これは今回の改正の一連の流れ、すなわち赤字のたな上げ、定率国庫補助の導入、給付の改善、こういったことをやりました上で、長期的な安定ある政管健保の運用を考えます場合には、やはりこの程度のもの、ある程度の調整幅というものを保険者として持ちまして、それぞれの状況に機敏に対応できるように、柔軟に対応できるような意味合いで、私どもぜひとも必要だと思っております。ただ、弾力条項と申しますと、いかにも権限的なようでございますけれども、これについてはすでに衆議院の修正の段階におきまして条件もつけられておりまするし、また、これを実際に運用いたします場合には、社会保険審議会の議を経ることになっておりまするから、十分なチェックをした上での問題でございますので、厚生省といたしましては、十分これは慎重に運用いたしまして、所期の効果を発揮できるように配慮してまいりたいと思っております。
 また、千分の三十五の、いわゆる被保険者負担の限度の問題でございますけれども、この問題は、労使の保険料負担の割合の問題にかかわる問題でございます。非常に基本的な問題でございまするし、労使折半の原則というものを将来どうするかということは、ある意味では、先ほどのお話しに出ました長期的な保険の仕組みにも関係をしてまいる問題でございますから、この際、いま先生御提示の問題だけを取り上げて千分の三十五どまりにするということは、私どもはやや早きに失するのじゃないか、なお検討を要する問題ではなかろうか、このように考えております。
 それから第三点の、千分の七十三という料率が、かりに変動した場合における保険料率の変動幅の問題につきましては、これは先ほど大臣からも別途申し上げましたけれども、原案におきましては、千分の六十六から千分の八十となっておりまするので、私どもはその連動幅、連動調整幅については、当然にこれを変更するというふうな理屈は直ちには出てこないと、やはりこの連動幅というものは維持されるべきものであると、このような考えを持っておるようなわけでございます。
#295
○中沢伊登子君 ちょっともう一ぺん念を押します、頭が悪いのかな……。
 千分の七十二に、保険料率をこう一%下げたわけですね、そうなりますと、その変動幅が上下〇・七%でしょう、そうしたら当然千分の七十九に落ちつくのではないのですか。
#296
○政府委員(北川力夫君) 私の説明が不十分でございまして、つけ加えて申し上げておきます。上下〇・七%の変動と申しますのは、先ほどお話しのありました提案理由の説明において、法定料率を千分の七十三といたしました場合に、上下〇・七%変動すると、こういういわばわかりやすい説明をいたしたわけでございます。それは七十三が前提になった説明でございますが、ただ、法律上の構成といたしましては、千分の七十三という法定料率をまずきめまして、それから連動調整幅は別途千分の六十六から千分の八十というふうに規定いたしておりまするから、法律上はこれは別な問題でございまして、上下〇・七%ずつ変動するというのは、法律案を提案いたしました際における七十三を前提にしたときの、わかりやすい説明であると。法律上はいまも私が申し上げました別な、――連動幅は別な規定として処理されておる、このように御理解を願えればいいと思います。
#297
○中沢伊登子君 国庫負担率の問題ですが、今回の政府案は定率一〇%の国庫負担を明記しております。これも一歩前進だとは評価しますけれども、わが国の社会保障が保険よりも保障へと充実発展するためにはより大幅に引き上げるべきでございます。これまでの審議を通じて何%まで引き上げる決意をされましたか、最低二%は引き上げるべきだと思いますが、その点はいかがでございますか。
#298
○国務大臣(齋藤邦吉君) この国庫負担率につきましては、今回定率一〇%という案を御提案申し上げておるわけでございまして、従来は定額二百二十五億でございまして、一〇%ということになればたいした額に私はなると思います。すなわち総給付費が八千八百億となりますと、その一割で八百億になるわけでございます。おそらく来年は総給付費は一兆をこすだろうと思います。そうなりますと、一千億になる、こういうわけでございまして、これは私は思い切った額でございまして、これ以上の額をふやすということは非常に困難だと、かように考えておりまして、全然考えておりません。しかし、さればといって、将来やはり被保険者の方々の負担を軽減すると、こういう必要のあることは十分考えておりますので、弾力条項におきまして、〇・一上げますときには、御承知のように、原案においては〇・四国庫負担をつけましょう、衆議院の修正の段階では〇・六足しましょう、こういうことで労・使・国三者三泣きのような金額になっておるわけでございまして、これも実は思い切った案だと思っておりますので、とてもこれ以上の国庫負担をふやすということは困難かと、かように考えておる次第でございます。
#299
○中沢伊登子君 いよいよ時間がなくなりましたから、次は船員保険の問題と日雇い健保の問題をあわせて質問をいたしておきます。
 まず、船員保険に対する国庫補助はどのようにされておりますか。政府管掌健康保険ですね、政管健保に比べると財政状況等に違いはありますけれども、健康保険に定率補助を導入したことのバランスも考えて当然船員健保も定率補助にすべきではないか、このように第一点御質問申し上げます。
 第二点は、もしも弾力条項によって保険料が引き上げられた場合、船保に対しても国庫補助も当然引き上げるべきでございますが、引き上げてくださることになるのですね。念を押しておきます。この二点。
 それから今度、ついでにもう時間がありませんからね。日雇い健保、先ほど来小平委員も質問されました。この間うち、藤原委員もいろいろ御質問がありましたので、一つだけ念を押しておきたいのは、衆議院の附帯決議の中で早急に家族給付を五割から七割にするように述べておりますが、早急とは一体何年から実施するつもりか。また、被保険者の実態からして国庫負担を大幅にして七割給付にすべきですが、そのためにどのくらいの予算が必要なのですか。今度の改正案に合わせて当然七割給付は昭和四十九年度実施をするべきだと思います。そして先ほど小平委員のお話にもありましたように高額療養費の補助の問題も必ず実施するようにしていただきたいと思うわけでございます。
 それから厚生大臣、最後に、この間来、ずいぶんお医者さんからの陳情がございます。医師の診療報酬のいろいろな矛盾について調査をしたことがございますか。いろいろな矛盾点がありますね。たとえば救急医療がわずかに六十円だか百円だかというような問題やら、けがをした患者さんを見れば再診料と、それから薬代や何かで、むしろ見ないで薬だけあげたほうがたくさんお金がもらえるとか、あるいは夜間診療、こういうものも寒いときにはストーブをたいて準備をしていても何だか三十円だか六十円だかしかもらえないというような、いろいろなお医者さんの診療報酬の矛盾を私ども再三聞かされております。この点で、あるいはこれは大蔵省の管轄かもしれませんが、厚生省の管轄であれば厚生省がこれを一ぺん十分に調査をすべきだと思います。そして、これが大蔵省の管轄の問題であるとすれば、厚生省から大蔵省にも協力を求めて、私はこの診療報酬のもろもろの矛盾について一度調査をする必要があるのではないか。この点を厚生大臣に提案をさせていただいて、いろいろ申し上げましたけれども、これで質問を終わります。
#300
○政府委員(北川力夫君) 船員保険に対する国庫補助の問題につきましてお答えを申し上げます。
 まず、定率の問題でございますが、船員保険の疾病部門につきましては、定率ではなくて、四十二年来、御承知のとおり、六億円の定額の補助になっております。これはやはりそれ以後の、その当時から現在まで、船員保険の疾病部門の財政状況が一般的に黒字基調であるということでございまして、そういう意味合いで申しますと、やはり政管健保と違って、かなり財政的な体質は政管に比べて強いんじゃないかと、こういうことで現在まで来ておりまして、そういう意味合いで、現在まではこの定率ということにはなってないわけです。しかしながら、今回の給付改善等もございまして、四十九年度以降どのような推移を見ますか、そういう点はなかなか逆賭しがたい面もございますし、御提案の定率補助問題というのは、今後の検討課題としてわれわれも慎重にこの問題を考えていかなきゃならぬと思っております。
 それから、弾力調整条項とのかね合いの国庫補助がないという点でございますけれども、これもいまの財政基調が黒字であるということのために出てきておる問題でございますので、同じような意味合いで御理解をいただきたいと思います。また、今後も同じような意味合いで問題に処してまいりたいというふうな考えでございます。
 それから、日雇い健保の家族の給付率について七割に引き上げることはどうかということでございますが、これも先ほど大臣から申し上げましたが、健康保険法案を御承認いただきましたあとの、これはきわめて重要な課題でございまするから、どういうふうな仕組みでどういうふうな負担関係でどのような改善をしていくか、これは早急に検討いたしまして、なるべく早い機会に実現するように努力したいと思います。
 それからもう一点、救急医療についての診療報酬、あるいは再診料の場合の評価、再診療の場合の料金、あるいは夜間・休日急患等の診療、こういう問題についての診療報酬でございますけれども、これは確かに問題点があるわけでございます。要するに、これは診療報酬の適正化、現在の不合理な部分をどのように是正していくかという問題に尽きるわけでございますから、私どももそういう問題点はいろいろ伺っておりまするし、まあ、調査という意見がございましたが、今後診療報酬の改定の過程で中医協の場において、こういう問題は十分に検討され、またその検討された結果に従ってわれわれは診療報酬適正化の一環としてこの問題を処理していかなければならないと、このように考えております。
    ―――――――――――――
#301
○委員長(大橋和孝君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、君健男君が委員を辞任され、その補欠として吉武恵市君が選任されました。
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#302
○沓脱タケ子君 それでは、私はきょうの日程では最後の質問者になっているわけですが、私は健康保険法等の一部を改正する法律案、これについて質問を行ないたいと思っております。
 本改正案を見てまいります場合に、何といいましても国民の健康と医療の状態がどうなっているか、こういう点をまず明らかにしていく必要があろうと考えるわけであります。厚生省が発表しております、これは一九七一年度の「国民健康調査」、これを見てまいりますと、何と有病率は昭和三十七年の一九六二年が千人あたり五三・七人、それが何と四十六年の一九七一年には千人あたり一一〇・三人というふうに、まさに二倍以上の激増ぶりを示しておることが、これは調査の結果で明らかになっております。この姿というのはまさに国民十人に一人以上が病人になっておるという驚くべき状態になっておるわけでございます。で、こういうふうに病人の激増の責任というのは一体どこにあるかということをどうしても考えてみなければならないと思うわけでございます。私は時間がありましたならば、十分この点についてはただしていきたいと考えておったのでございますけれども、たいへん質問時間が圧縮をされましたので、十分できないわけですけれども、これはもう明らかに労働者にはきわめて低賃金で、しかも職場では人減らしと合理化、また、農民の出かせぎ、これの激増などでほんとうに働いている人たちに対する、まあ、一口に言えば搾取と収奪、そういうことの上に、かてて加えて高度経済成長政策の結果、激増しておる、いわゆる公害あるいは交通災害、住宅難、それなどを含めての驚くべき生活環境の悪化、そういう中でまさに病人が激増してきておるということはもうすでに明らかです。そういうふうな姿を引きずりながら、大資本のための、いわゆる高度経済成長政策、これを進めてきた歴代の自民党政府の責任にあるということはまさに明らかです。したがって、病人が激増してきておる。つまり病人をつくってきたのは自民党政府の政策の結果がこうなってきている。そういうことによって医療費が増高してきている。それを再建をするんだ、赤字を埋めるんだといって被保険者、国民から料金を増高する、徴収の値上げをするというふうな、国民負担に転嫁をするというふうな考え方、こういった点で解決しようとする考え方、こういう点については全く無責任きわまりない姿だというふうに考えざるを得ないわけであります。そういう観点からいいまして、保険料金の引き上げあるいは弾力条項の設定等についてはもちろん基本的に反対であります。こういった点について詳しくお聞かせをいただきたいというふうに考えておりましたけれども、これは時間がありましたならばあとで触れることにいたしまして、基本的な考え方をまず申し上げておきたいと思うわけでございます。
 そして、そういった中で、一方ではいま日本の現況を考えてみますと、国民の医療の状況というのはきわめて医療の荒廃というふうに表現をされておりますけれども、まさにその医療の破壊の実情、荒廃の実情というのは目をおおうような状況になっておることは、すでに各委員の質疑の中でもいろいろな姿で示されてまいっておるわけでございます。で、ちなみに昨日の朝日新聞を見てまいりますと、「生活保護者の治療お断り」と、こういう記事が出ております。これは杏林大学病院が来月からこの生活保護者の診療についてはお断わりだ。厚生省としては一体こういう事態どうなさるおつもりか、まずそれをお聞きしたい。
#303
○政府委員(高木玄君) 生活保護によりまする指定医療機関は、三十日の予告期間を設けて辞退することができるということに法律上なっておりまして、このたび杏林大学付属病院が経営難の理由で辞退を申し出てきたわけでございます。しかしこれでは非常に、われわれ生活保護を担当しています立場から申しましても非常に困ることでございますので、こういった付属病院側の辞退届けを思いとどまっていただくように、東京都の関係者が病院側に対しまして話し合いを行ない、その説得につとめてまいったのでございます。そうして、本日夕刻東京都からの連絡によりますと、本日三鷹の市長が杏林大学付属病院の院長、理事長、副理事長三名と面会いたしまして、市長から人道的な立場からも辞退を取り下げてほしいというふうに申し入れましたところ、病院側は、私学の苦しい立場を理解してくれれば一応了解する。地元の福祉も考え合わせて市長の申し入れを受け入れ、この辞退届けを撤回するということになりまして、この問題は解決いたしております。
#304
○沓脱タケ子君 たまたま撤回をしていただいたからよかったものの、法的には確かにおっしゃるように辞退届けを出せば辞退はできるわけです。しかし新聞報道でも明らかなように、理由は何ですか、辞退の中心的理由は何だったですか。
#305
○政府委員(高木玄君) 病院側の当初の辞退届けを申し出た理由は経営難というふうに承知いたしております。
#306
○沓脱タケ子君 これは報道によりますと、こういうふうに書かれております。「「生活保護者の診療、入院は辞退し、転院させます」――東京都三鷹市新川の杏林大医学部付属病院が、経営難を理由に生活保護法に基づく指定病院の指定辞退申請をこのほど東京都に出し、十月から「治療お断わり」を実施する。」と、「「いまの医療制度では病院の倒産につながりかねない。病院の全ベッドを差額ベッドに切り替えなくてはやりくりがつかなくなった」というのが病院のあげる理由。経営難を理由とした大病院の辞退は全国でも初めてのケースで」、――「「これが他の病院に波及しなければいいが……」」というふうに、厚生省も都でも大あわてだというふうに新聞が報道しております。先ほどからも差額ベッドの問題ということが取り上げられております。杏林大学病院は、全ベッドを差額ベッドにするということを言っているわけです。それをやらなかったら経営難は解決できないと、こう言っているわけですが、厚生省の差額ベッドを認める基準みたいなものがあったと思いますが、もうお聞きするのがめんどうですから、私ども承知しておりますのは大体二五%程度、多くて五〇%以内というふうによく言われておりますが、これはもう全然違うんですね。全ベッドを差額ベッドにしたいとまで言い出してきているという状態になってきておるわけでございますが、これは一体なぜこういうことになるのかという点をひとつお聞かせをいただきたい。
#307
○政府委員(北川力夫君) 差額ベッドの問題は先ほどからも申し上げておりますとおり、非常にむずかしい問題でございます。しかし皆保険下でこういう問題が、いまお話のあったように病院の全ベッドにまで及ぶというふうなことは、これはきわめて好ましくない実情だと私は思っております。いま例に出ました杏林大学の付属病院の場合に、私どもが調べましたところによりますと、現在のところ昨年の六月一日現在の状況でございますが、その状況では全病床数の二割が差額ベッドになっております。まあ、結局そういうことで、差額ベッドの必要性ということはいろいろ問題点が多角的にあると思いますけれども、いま言われましたようなこれが乱に走るということは好ましくないと思います。また、これをこういうふうにしないためにはしからばどういう施策をしたらいいかということが問題だろうと思うんです。特に大学付属病院の場合なんかは、こういう私立大学病院に対して経営上の問題でございますから、大学教育という意味でどのような国が助成をするかというようないわゆる教育、治療、研究を扱う大学ないしは大学付属病院に対する助成問題、それからまた一面におきましては診療報酬というものをどのように適正にきめていくかというような問題、こういう問題によってできるだけこういうことが乱に走らないように私どもは処置をしていかにゃならないと思っております。まことにそういう全ベッドが差額ベッドになるというようなことは、全くわれわれとしては遺憾なことでございますし、そういうことが絶対ないように現在も努力をいたしておりまするし、今後もいま申し上げましたような施策とのかね合いにおいて努力を続けてまいりたいと、このように考えておるような次第であります。
#308
○沓脱タケ子君 乱に走ることは避けなければならぬとおっしゃっても、現実にたとえばあれでしょう、生活保護を辞退をすると届け出が出たら法律的には受け取らなきゃならぬということになってわけで、杏林病院のように申請を出したと、私学に対する補助をやってくれるなら、それは何とかしましょうということでやめたということで、事を起こせばそこへは補助をするということになるんだったら、これはもう全国それこそ雨後のタケノコのように一ぱい問題が起こりますよ。そういう私、なまやさしい考え方ではやはりよくないのではないかというふうに思うのですが、その点はどうですか。やはりほんとうにいまそういう危機の実態というのは、これはそんななまやさしい話じゃないんじゃないかと思う。一つの理由として診療報酬の適正化だったですか、引き上げとかおっしゃったんですけれども、それがいま非常に大切な重点になっているのではないかと、これが全部生活保護の患者を生活保護を返上して生活保護の患者をどこかへ送らなきゃならぬということになれば、最も気の毒な人たちが行くところがなくなりますよ。そういう状態を国民の医療の荒廃の一つの具体的な現象としてとらえていただかなきゃ困るんです。認識をされなきゃ困る。だから、具体例を出して申し上げている。その点はもう少しはっきりしていただきたいと思うんです。
#309
○政府委員(北川力夫君) 私は、その点ははっきりと申し上げたつもりでございます。特に、いま出ました例が、杏林大学という私立大学その付属病院の問題でございますから、一面においては私学の助成という問題で、その問題は相当こういう問題、経営難という問題も解消していかねばいかぬと思うし、また、反面におきましては、病院の経営ということから考えますと、これは診料報酬の問題が非常に大きな問題になるんじゃないか。さらに、より別なサイドから申しますと、医療供給体制の一環としてのこういった病院の投資というような問題をどういう形により充実していくかという一般問題もあると思います。でありますから、そういう問題の充実によってこういう問題をほぐしていく、また、反面においては何と申しますか、先ほど例に出ました三十八年の私どもの基本的な差額ベッドに対する考え方、こういうものはやはりいまでもこういう問題意識を持っておるわけでございますから、こういう方針に沿って行政的な助成措置とか診療報酬の改定とかいうこと以外に、やっぱりいろいろな病院が不当に差額ベッドが乱に走らないように絶えずわれわれが注意をしていく、こういうことも必要でありますから、そういった行政的な措置とか行政努力とか、そういったものを総合して、こういう問題の解決に当たりたい、こういうような趣旨のことを申し上げたわけでございまして、その辺のところは御了承を願えるんじゃないかと思います。
#310
○沓脱タケ子君 時間がありませんからね。いま、病院や診療所の中での経営悪化あるいは経営困難の問題というのは診療報酬の不合理だということは、これはもう各委員からも再三にわたって述べられているわけです。診療報酬の不合理さという問題というのは、いまの日本の医療の荒廃の実態を引き起こしていっている一つの中心的な原因とまでなってきているわけです。どれほど不合理かということは、これは私は具体的に一つ一つお聞きしようと思っておりましたけれども、時間がありませんから、若干実例を出しておきたいと思うのです。どれほど国民の医療が不自由になり、ほんとうに国民というのは、医療に対する基本的な要求というものは、いつでも、どこでも、だれでもがよい医療を受けたいというのが基本的な国民の要求なんです。それがいまできなくなってきているという事態、これはなぜ起こってきているかということなんですが、まあ、一つ一つお聞きをしておりますと時間がかかりますから、どのような事態になってきているかということの幾つかの実例を出しておきたいと思うわけです。
 で、すでに先ほどもどなたかが御質疑になりましたけれども、あきベッドの問題がこれは病院協会の調査でも、これはいつごろでしたかね、四十七年度の調査で病棟を閉鎖しておる病院数というのは全国で二〇・三%だ、それから診療科目の閉鎖をしておる病院というのが一三・四%だというふうにいわれておる。で、これは役所に届けを出していないで、人手が足りなくてあきベッドをつくっておるというふうなところはもっとおそらくこれよりはるかに多いんではないかというふうに考えるわけです。
 それからまた、この一例ですけれども、横浜市の神奈川区という行政区で外科の開業医の先生方が十三名おられますが、実際にメスを持って手術をしておられる先生は三人しかいない。なぜこういう事態が起こっておるかということです。手術室も持っておる、入院をさせる病室も持っておる。長い間大学で修練をして技術をみがいてきている先生方が十三人のうち、わずか三人しかメスを持って手術をしなくなってきておる。これは一体なぜだろうか。
 また、こういう実例があります。従業員が診療所に一人もいないという診療所というのが非常にふえてきているわけです。昔は小さい診療所でも全部看護婦さんあるいは薬剤師その他医療補助員というものを雇っていたわけです。それがいま一人も従業員を置かないで家族労働だけでやっているという診療所がうんとふえてきているわけです。たまたま私が持っている資料では、東京都の港区医師会では一人もいないという診療所が三三%に達してきている。尼崎市の医師会では、これは医師会調査ですが、四〇%です。こういう事態が起こってきている。これは一体なぜこういう事態が起こってきているか、明らかに医療経営が困難になってきているから、いろいろな事態が起こってきているわけです。どう思われますか。
#311
○政府委員(滝沢正君) 具体的に例示をあげられまして、医療機関の経営のむずかしさについて御指摘でございましたが、私も医療供給を担当する側といたしましては、御指摘の点には、多々実態としては御指摘のとおりの問題があると思います。ただ神奈川の外科の先生方、これは先生のお気持ちでは、御質問のお立場からは、外科の手術に対する点数の評価が低いからやってられなくなったんだというようなお気持ちもあろうと思いますけれども、一面やはり一人で開業して外科をやるということの医療の限界というものも実はあるということもお聞きし、かなり総合的な立場からこのような実態が生まれつつあるというふうに私は考えております。診療所の従業員なしというのも、人件費の問題、あるいは経営が現在の点数では従業員を置けないという問題もございましょうけれども、やはり個人の開業というものの非常に今後の立場からいきまして、非常に医療の負担の立場から患者を処理していく、あるいは処置していくということの中で、自分の責任の限界というようなものもお考えになりながら経営に当たっておられるという一面もあろうと思います。しかし、決して先生のお気持ちの根っこにございますやはり診療報酬を適正にすべきだということを否定するものではございませんが、かなり総合的な変動というものが病院、診療所に来ておるというふうに私は思っております。
#312
○沓脱タケ子君 そういうことを考えておられるから困る。こういう事態が起こってきているというのは、国民の医療に対してどういう影響が起こってきているかということをお考えにならないのです。従業員が十分雇えない、家族でないと、家族労働でしか診療がやっていけないという事態になれば、これは当然休日も夜間診療もできなくなるのはあたりまえなんです。このことがどういう事態を生んでいますか、国民医療に対してどういう事態を生んでいますか、せっかくみがいた腕を持っておる外科の先生がこれは自分一人で手術をしようなんて考えてないんです。必要な人員を確保して、みがいた腕を十分ふるいたいと思っても、それをふるうに足る条件があるかどうかということです。そのことが国民医療にどういう影響を及ぼしておるかということに、これは厚生省当局が思いをいたさなかったら、先生のお考えの根っこには診療報酬を適正化せよというようなふうな、てな――何ていうことを言うんです。こういう事態が起こってきている原因というのは何なのか。しかもこれは国民医療にどういう影響を及ぼしているかということから、これは施策というものが明らかにされなきゃならぬと思うんです。その点を申し上げているんです。
#313
○政府委員(滝沢正君) 私、申し上げましたように、決して先生の主として御指摘になるところのやっぱり医療に対する評価というものが適正でないということは決して否定しておりません。ただ、具体的には従業員の確保ということ自体も、いわゆる給与を出す、出しても来てくれないという絶対数の不足の問題もございますし、また、従来は一人で看護婦相手にアッペンの手術ができたというような気持ちというものが、医療関係者の中でだんだんやはりそのような問題について慎重になっていくと、麻酔の問題も起こってくると、こういうようなことで私は医師の立場も含めまして、若干先生の御質問がすべてこの報酬の不適正にあるんではないということも若干申し上げたかったので、申し上げたわけでございまして、その点は御了承いただきたい。
#314
○沓脱タケ子君 私は、いまの日本の医療の荒廃の姿というのは、中心的な原因というのは低医療費政策だと。もう一つは、医師をはじめとして看護婦さん、あるいは医療関係従業員の養成を怠ってきたというところに問題があるというふうに考えています。おっしゃるとおりです。だからもう一つの原因とおっしゃったのは、その内容なんです。どれくらい診療報酬というのがめちゃくちゃになっておるかということは、これはせんだっても須原委員が具体例をお出しになって、いかに前近代的な診療報酬になっておるかということはるる申されました。私はたくさん申し上げたいと思っていない。しかし、どうしても厚生省として考えてもらわなければならないのは、国民皆保険という姿の中で、医療報酬がどうなるかということが、日本の国民医療を守っていけるのか、あるいは医療をますます荒廃に追い込むのかという分かれ道にきておるということに思いをいたしていただきたい。たとえばこういうことです。いかに不合理な点数の診療報酬になっておるかという、私も、二、三の例を出してみたい。たとえば頭のやけどできた患者さんの処置をしますと二百円です。皆さんが散髪屋に行かれましたら大体九百円から千円ですね。それから電気治療というのがありますね、このごろ物療で。電気治療をやりましたら、これはもう何種類の電気をかけても、一回来たら五十円しか出さぬ、五十円。それからマッサージ、これは一カ所のマッサージは何と五十円、全身マッサージで二百五十円です。町のあんま、マッサージへ行ったら何ぼ取られますか、私はあまりしたことがないから知らぬのですけれども、まあ、千円から千五百円というふうにいわれている。先ほどおっしゃった盲腸の手術、これは一万二千九百円です。最低医師一人と看護婦とあるいは介助者が要りますよ。二人では無理です、実際上。そうして器具の消毒から患者のそれこそ手術前の処置から術後の処置をして一万二千九百円です。いま、たとえば洋服の仕立て代を考えたらどうか、婦人服の仕立て代でも二万円ないし三万円、これは私どもあまり上等のをしないからだと思いますけれども、安くとも一万五千円から二万円ないし三万円、一体どうなっているかということです。
 さらに老人の診療をやったら、先ほども大臣、御意見出ていましたけれども、老人医療費六十五歳に引き下げたらたいへんなことになるんやという心配があるから慎重にやりたいというような御意見をお述べになりましたけれども、四十七年の二月の改定で、逆に老人の診療というのは、診療費は安くなっている。たとえば血圧をはかっても、これは年寄りというのはみな血圧をはからんならぬね。これはただですよ。医療行為をしてただというようなあほな話はありませんよ、実際。そういう実態になっておるわけです。だからこそ、病院や診療所が経営困難になっておるわけですが、こういう点について、いまの日本の医療の荒廃、これをこれ以上進めないために、診療報酬の引き上げを緊急にやるということは何よりも大事だ、これはせんだって来からいろいろとお話が出ております。
 そこで、こういう日本のいまの医療の実態を踏まえて、緊急に、診療報酬の緊急引き上げ、それからどんどんいまのインフレの経済情勢の中でのスライド制を実施するというこの問題、これについては直ちにすぐにおやりになる決意がおありになるかどうか、これをひとつ最初にお伺いをしておきたい。
#315
○政府委員(北川力夫君) いろいろ現在の診療報酬の問題点について具体的な御提示をいただきました。私どもも現在の診療報酬が完全無欠なものであるとは思っておりません。相当不合理な点が少なくないと思っております。また、現在のような非常に動きの大きい社会におきましては、診療報酬の改定も従来のような長い期間で行なっていいかどうかという問題もあろうかと思います。そういう意味合いで、この現在のような実情から見て、私どもはなるべく早い機会に診療報酬の引き上げと申しますか、適正化と申しますか、そういうことをはかる必要があるというふうに考えております。また、そのためにも一日も早くこの問題が具体的に審議される中医協が正常化される必要があると思っております。いま言われましたような問題は、そういう意味合いで一刻も早く中医協が正常化をして、そうして、その中で診療報酬の適正化の一環として従来からもやってまいりましたが、今後も十分な努力を重ねてまいりたいと、このように考えております。
#316
○沓脱タケ子君 いま、従来からやってまいりましたがっておっしゃるけれども、従来から十分おやりにならなかったからいま申し上げたような実態になっておるので、従来から十分おやりになったというふうには私ども認めがたいと思っています。
 そこで、これはあなたおっしゃると思ったんですけど、おっしゃらなかったので、中医協が収拾で近く総会が開かれるというて新聞に報道がされております。で、なぜ中医協が円滑に運営ができないのかという点について、どこに原因があり、隘路が何なのかということについてお聞かせをいただきたいと思います。
#317
○政府委員(北川力夫君) 現在中医協が正常な状態にないことは御指摘のとおりでございますし、御承知のとおりであります。で、中医協はもともと適正な診療報酬の額を審議する場であり、また療養担当についてのルールを審議する場であります。そういう意味合いでこの構成は、診療担当者とそれから実際に支払いをするいわゆる支払い側――保険者並びに労使双方との利害関係の複雑する構成になっております。で、これを公益委員が中に入って調整をすると、こういう形をとっておるわけでございます。しかしながら、いま申し上げましたように、診療報酬を上げていく、また、それに対してそれを負担する側が、支払い者側としてどういう限度において合意をしていくかと、こういう非常にむずかしい場でございますので、中医協は、現在の事態だけではなくて、多年これは診療報酬の改定をめぐっていろんな問題が起こっておるわけでございまして、やっぱり診療担当者側と、それから支払い者側というものの構成、こういう中での議論でございますので、なかなか合意を得にくい面が多いために中医協の運営というものは難航する場合が少なくないとわれわれは考えております。したがいまして、今後もよりむずかしい事態がまだまだ出てくるわけでございますから、中医協の運営については、われわれはその両方の合意ができるだけ得られるように、またそれを実際上とりなす公益委員の方々が十分にその間に立って努力をしていただくように、そういったことを期待をしているわけでございまして、総体的に申しまして、中医協という場は、いま申し上げたように、むずかしい問題、大事な問題を審議する場でありますだけになかなかにむずかしい場である、そういうふうにわれわれは理解をしているわけであります。
#318
○沓脱タケ子君 それはおっしゃったとおりで、利害関係相対立する代表がやっているんだから、むずかしいことは明らかだと思うんです。で、私は、そういうことで診療報酬の問題といえば中医協にということで、厚生省は長い間高みの見物をしてきたんじゃないか、そういう結果が医療機関にも、国民の医療にも大きな影響を与えてきたのではないかというふうに考えます。
 これは新聞にも報道されておりますし、先日の委員会でも大臣がもう建議だけを待っておれないということで、新聞報道によりますと、建議抜きの諮問をするという方向だというふうに報ぜられておりますが、その点についてはどうなんでしょうか。
#319
○国務大臣(齋藤邦吉君) 建議抜き諮問ということ、まあ、新聞にそう出ておること私も承知しておりますが、私はそうはっきり申し上げたことはございません。また、そんな決心もいたしておりません。しかし、従来のように、まあ、建議が出て、それを諮問してというふうなやり方でいきますと、厚生大臣として医療政策について何らかの考えがある場合に反映さすことできません。そこで何かしらやっぱり厚生省の意見を反映させるようなやり口はないだろうかということを考えておる段階でございまして、いま、それ以上というふうな建議抜きの諮問をしますなんてなことを言う立場にもありませんし、さようなことをいま考えてもおりません。
#320
○沓脱タケ子君 そうおっしゃられるとたいへん心細いわけでございまして、従来診療報酬の問題についてはうまくいかなくてたいへんむずかしかったんだということは、利害関係相対立する代表が一つの委員会に入って、しかも限られたワクの中のお金を払う側と受け取る側とが相談をするんだから、これはなかなかうまくいかぬのはあたりまえなんですね、一口に言って。それを厚生省は中医協にまかしています言うて高みの見物をしていたんです。その結果がいまの事態を起こしているということを私は申し上げている。そういう中で、従来のようなままではいかぬというふうにはおっしゃっているけれども、それじゃ積極的にどうなさるんだ、口はお出しになるのかということです、口は。
 で、私は時間がありませんから、端的に申し上げたいと思うんですが、厚生省自身が、責任を持つべき厚生省が高みの見物で、口も出さない金も出さないで、ワクの中で支払い側と受け取る側で好きなように話をまとめなさいてなことをいつまででもやっているから、この事態が来たんだと言っているんです。中医協の円滑な運営を保障するためには、これはもう実に簡単です、施策は。十分な診療報酬が保障できて、できるだけの金が国からちゃんと保障できるという状況の中で、いまの医療を守っていくための適正な診療報酬というものは何ぼなんやということが相談をされるというなら、実にスムーズに円滑に結論は早期に出されるに違いないと思うんです。円滑に進められる方法というのはただ一つ、それです。大臣どうですか。
#321
○国務大臣(齋藤邦吉君) 中医協の従来のような運営で今後ともやっていくかどうかということにつきましては、多少考えなければならぬ余地は十分ありますと、したがって、そういう方向で今後とも考えたいということを申し上げておるわけでございますが、それが新聞見出しにありますような建議抜き諮問ということになるかどうかということだけはいま申し上げかねます。こう申し上げておるだけでございます。
#322
○沓脱タケ子君 私は、建議抜きの諮問がいいとか、そんなことを言っているんじゃない。しかし、従来よりは少なくとも口は出そうとおっしゃっている。だからこそ、いま提案をされております料金問題での弾力条項というのは問題になるわけです。改正案はどういうふうにいわれているかというと、診療報酬を引き上げる場合、給付改善をする場合に限って弾力条項を発動するといっているわけです。どうなりますか。中医協でまたさんざんもめますよ。診療報酬を上げたら保険料弾力条項を適用されるということで、また支払い側と医療機関側と診療側とが対立をする、これは中医協の対立だけにとどまらずに、国民と医療機関との対立を引き起こすというふうな混乱を持ち込む結果になるんです。だからこそ、弾力条項というふうなやり方については削除すべきだという、各党皆さんおっしゃっている。だから、先ほど私が申し上げたというのは、国民の医療を守っていくというたてまえから考えて、こういうものは害があって益がないんだということを申し上げたいわけでございます。そういう点で、そういった事態が現在、現状で起こっておりますので、今日的な課題として最後に大臣にお聞かせをいただきたいんですが、こういった事態の中で、診療報酬の緊急引き上げ、それからいまの経済情勢の中でスライド制、これについては、実施について緊急課題として解決をなさる御決意かどうか、その点だけをお聞かせいただきたいと思います。
#323
○国務大臣(齋藤邦吉君) 診療報酬の不合理を是正すること、スライド制を行なうことなどは、きわめて重要な緊急の課題でございます。したがって、これを実施する決意を持っておるわけでございまして、この法案の成立後、直ちにこうした問題の解決に当たる所存でございます。
#324
○沓脱タケ子君 だいぶん、もう持ち時間がなくなってきたようですから、ちょっと議題をかえまして、先ほどは中沢委員もお触れになりましたけれども、乳幼児医療の無料化の問題というのは、いま全国的な課題になってきておりますので、この点について先にお聞かせをいただいておきたいと思う、時間がなくなってしまうと困りますので。
 で、先ほどは大臣はこんなふうにおっしゃったんですね、乳幼児医療の無料化というのは、全国的に地方自治体ではいろいろやっているけれども、これは慎重に考えなきゃならない。が、乳児というのは、母親が愛情を持って育てるということが大事なんやということを御答弁の中でお述べになっておられたわけです。
 で、私は、まず日本小児科学会の要望書、これは大臣にも提出をされていると思いますので、御承知のことだと思いますが、それにはこう書いてあります。これは日本小児科学会の要望書です。「本学会は、昭和三十五年以来、毎年の総会ごとに小児診療の特殊性を強調し、小児社会保険診療の改善を要望してまいりました。幸いにしてその一部は関係各位の御高配により実現をみるに至りましたが、未だ充分でなく、今日の小児社会保険診療の実体はまことに不当なものであります。これは、優秀なる小児科医育成上の重大な障害となっており、その結果、小児の医療に悪い影響を与えることは明らかであります。
 もし小児社会保険診療報酬を現状のまま放置するならば、小児医学並びに医療の内容はますます欠陥の多いものとなることを憂慮します。
 ここに東京都において開催されました日本小児科学会総会は、その総意によってこれが実現を重ねて強く要望します。」という要望書が出されています。そうして、要望事項を三点にまとめてこういうふうに触れています。要望事項の「1、現行における乳幼児初診料加算を再診時にも実施すること。2、本学会多年の主張である小児診療の特殊性を充分考慮の上、下記事項の実現を強く要望いたします。(1)初診料、入院料、手技料、処方料、調剤料等の適正加算の実現(2)小児における慢性疾患の指導料を乙表にも新設すること3、小児診療における全額給付の早期実現。」というふうに昭和四十七年十一月二十六日付で要望書が出されております。この要望書には三点目の「小児診療における全額給付の早期実現。」、これは昭和三十五年以来要望されています。この要望について先ほど大臣は慎重に考えるべきでということで、まあ、やる気がないというお答えのようでございました。御意見伺いましょうか。――その点についてこの小児科学会の要望書を大臣受け取られてどうふうにお考えになっておられますか、まずそれをお伺いいたしましょう。
#325
○国務大臣(齋藤邦吉君) 小児医療の問題につきましては、先ほど申し上げましたように小児の特殊疾病については私はこれは公費負担でやるべきものがたくさんあると思います。そういう意味において特殊疾病についての公費負担の範囲を拡大する、この点は賛成でございます。ただ問題は、小児医療の医療費の無料化という問題でございまして、そういう特殊疾病以外にかぜを引いた、おなかを悪くしたというところまで医療費を全部持たなきゃならぬのか、こういう点については多少私は疑問がある。いな、むしろそういうことをやるならば、健康診断の回数を多くするとか、そういうものを無料で健康診断をやる回数を多くするとか、そういうことのほうがより重要ではないだろうかという考えを持っております。診療報酬の改定にあたりまして小児医療の特殊性を生かす、この点については私は同感です。それは考えなければならぬ問題があると思いますが、子供さん方の医療費は、特殊疾病以外、すべてただにしたほうがいいということについてはいましばらく、にわかに賛成しがたい、こう申し上げているわけであります。
#326
○沓脱タケ子君 大臣ね、一ぺん国立病院か日赤かどこかの小児科病棟へ行って実情をお聞きになってみたらどうですか。実情を御存じないんです。どういう状態になっているか。――これは私、実はことしの春伺ってびっくりしたんですけれども、どういう事態が起こっているかといいますと、子供の疾病で長期の入院をいたしますとまさに家庭生活が破壊されております。どういうふうになるかといいますと、これは一例ですが、ある若い御夫婦が子供を長期入院をさした、長い間、営々として蓄積をしてやっとマイホームをつくった、そうして子供が大きくなり始めて疾病にかかって長期入院をした。そうなりますとどんどんお金が要るわけですね。ですから、子供が入院をするときにはせっかく建てたマイホームから入院をした、今度退院をするときにはやむなくそのマイホームを売り飛ばして医療費を払って六畳一間のアパートへ帰らざるを得ないという事態が起こっているんです。これはうそじゃない。私はその方に直接お会いしてたいへんなことだということを一そう思い知らされたから申し上げている。こういう実態になっております。また、御承知のように、児童というのは特別に保護される権利というものを持っていることは国際的にも明らかです。児童権利憲章、この第四条では、「児童は、社会保障の恩恵を受ける権利を有する。児童は、健康に発育し、かつ、成長する権利を有する。この目的のため、児童とその母は、出産前後の適当な世話を含む特別の世話及び保護を与えられなければならない。児童は、適当な栄養、住居、レクリエーション及び医療を与えられる権利を有する。」とあります。また児童憲章にもこの理念がうたわれています。このため児童福祉法第二条では、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」というふうに、国と地方自治体の地方公共団体の責任というものを明記してあるわけです。こういった理念及び責任、こういう立場で児童福祉行政が、そういった理念を根本として行政がやられなければならない。単に大臣がおっしゃるように、子供というのは母親の愛情が大事なんですと、それだけじゃないんです。法的にもちゃんとうたわれているということを申し上げたい、大臣どうですか。
#327
○国務大臣(齋藤邦吉君) 児童憲章その他にそういうことをうたわれておりますからこそ、厚生省においても諸般の行政をやっておるわけでございます。
 それから、お述べになりましたような多額の医療費がかかる、であるからこそ、今度高額医療ということをやっているわけじゃございませんか。
 それから乳児にしても、妊産婦にしても、健康診断が一番大事だということで無料制度をやっておるんじゃございませんか。さようなことを御了承願いたいと思います。
#328
○沓脱タケ子君 それじゃ、だいぶん大臣高姿勢だから、医務局長にちょっとお聞かせをいただきたいんですが、小児の疾患で、不完全治癒の状態で診療を中止いたしますと、大体慢性化や後遺症というのが一体どういうふうなかっこうで残っていくものなのかというふうな点ですね。これひとつお聞かせをいただきたいんです。
#329
○政府委員(滝沢正君) 先生の御指摘の問題を聞いて、直感的に私、例示として感じますのは、やはりじん炎、あるいはネフローゼの系統のものに、そういう不完全治癒の状態というようなことでいきますと、非常に慢性化して一生涯のその本人の健康にかかわってまいるというふうに理解しております。
#330
○沓脱タケ子君 いま局長もおっしゃいましたけれども、先ほどの小児科学会の要望書にもこういうふうに書かれています。「小児診療の現実は、完全治癒に至らないときでも受診を途中で中止してしまうことがかなりありますし、入院を必要とする場合でもこれを躊躇したり、あるいは完全治癒に至らないのに、早期退院を希望してやまないことが、都市農漁村を問わず相当多いというのが実状であります。このことは全額給付の成人における充分な診療に比すれば真に残念で、医師の責任上と患児の予後の上に憂慶すべきことといわねばなりません。その不完全治癒の状態で受診中止は疾病の再悪化ないし慢性化を招来し、あるいは後遺症のため長く生涯に禍根を残す心配があるからであります。」で、具体例は出ておりますが、もう長くなりますから、申し上げませんが、「このような受診中止、あるいは早期退院希望の原因を探求すれば、家庭の手不足、家事の多忙、または交通の混雑不便などによる場合もありますが、それらより更に重大な原因は家庭経済にあります。小児を持つ親は概して年齢若く、その収入は生活に余裕のないものが多く、したがって病児の医療費の自己負担は耐え難い重荷であります。」というふうに述べられています。こういう状態、こういうことを私は実態を申し上げると同時に、専門の医学会の要望書、また医学会の御意見というものを中心に申し上げておるのですけれども、大臣これはあれですか、御見解はお変わりにならないですか。――またあとで聞くことにいたしまして、時間ありませんから……。
 いま、それじゃ乳幼児の医療費無料化を実施している府県、それから、実施を予定している府県というのはどのくらいありますか。
#331
○政府委員(翁久次郎君) 現在すでに実施しておりますのは、府県としては八県でございます。それから実施を計画中の県が十五県、なお実施をいたしております市町村は数として六百八十四でございます。
#332
○沓脱タケ子君 これは二月の二十八日の読売新聞に報道されております資料によりますと、すでに実施しておる府県ないし実施を予定している府県というのは四十四都道府県に達しておるという内容になっています。しかもその新聞には「自治体に国は恥じよ」「福祉行政、常に後手」というふうにまで書かれています。こういう状態になっておりますけれども、私は乳幼児医療の問題でつらつら考えてみますのに、老人医療の無料化に踏み切られる場合も国は自治体に恥じなきゃならない、福祉行政が後手に回ったというふうに私ども地方行政の中におって痛切に感じさせられたわけですけれども、乳幼児医療の無料化の問題も、これまた国は地方自治体の後手にお回りになるおつもりですか、あるいは永久にやらぬというおつもりですか。
#333
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私どもは、国の制度としていま直ちに全面的に実施するということについては慎重に考慮すべきものがたくさんあるということを申し上げておるわけでございます。後手とか先手とかいう問題ではございません。
#334
○沓脱タケ子君 そうしますと、慎重に考慮しなければならない理由というのは、さしあたってどういう点でございましょう。
#335
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほど来たびたび申し上げておりますように、わが国には小児医療専門のお医者さんというのは非常に数が少ない、こういうこともあります。受け入れ体制も十分でないところもあります。さらにもう少し私どもでやっておる施策というものが効果をあげている。あげておることについての府県なり市町村の認識というものが絶対に必要であろう、かように考えております。すなわち、高額医療制度などというものがいよいよ実施されることになれば、だいぶ若い御夫婦の方々の経済負担の大いなる軽減にもなるわけでございますから、そういうことを十分あわせ考えいただいて、そしてそうした中にあって小児医療の将来をどう持っていくかということを考えて差しつかえないのではないかと、かように考えております。
#336
○沓脱タケ子君 そうしますと、しばらくはお考えにならないと、あるいは財政上の問題が原因だというふうなことが理由ではないわけですね。
#337
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私は、小児医療という問題は、医学的なやっぱり医療上の問題も相当あると私は聞いておるんです。私は医師会の方々ともいろいろ話を聞いておりますが、単なる銭金だけの経済問題だけで小児を健全に育てるということができるかどうかというところに問題があるんだということをやっぱり言うておる方もあるんです。そういうことも十分考えなきゃなりません。やっぱり母親が自分が生んだ子供がどういうような健康状態にあるかということは、ものの言えない子供なんですから、母親がよっぽど真剣に考えてあげなくちゃならぬ。それには健康診断が一番大事なんです。そこで健康診断については国は無料にしましょう。そして医療費についても特殊疾病については公費負担でやりましょう。その範囲も広まりつつあるわけでございます。経済の負担の問題については、今回御提案申し上げておりまする高額医療制度において、これはたいへんなことです、三万円以上保険で見ますというんですから。これは私はたいへんな経済負担の軽減になる。そういうことを十分考えていかなければならぬのではないか、かように考えております。
#338
○沓脱タケ子君 これは私は小児科医がたいへん少ないというふうなこと、あるいは小児科学会からの要望書にも出ていましたように、いまの実態が続くならば、小児科医がふえていかないんだということがいわれているわけです。そういう点で専門学会から建議がされているというふうなことを、やはり深く心にとめて施策には臨むべきではないかというふうに考えるわけです。私も医者の端くれですから、どういうことになっているかということ、あるいは開業しておられる先生、医療機関の先生、小児科の先生方が無条件に乳幼児医療費を無料化するというふうなことにもろ手をあげていまのままでやるということに賛成をしているというふうには思っていません。それは先ほどもお触れになったように、小児科における診療報酬に対する特別な施策というものがやられていないから、早い話をしたら、おとなの患者だったら、それこそ待ち時間二時間で診療時間三分で済むかもわからぬです。が、子供の診療にそんなに長いこと待たしておいて、二分や三分で片がつかぬのですわ。泣きもしますし、それは押える手も要りますし、成人の患者を見るのとは条件が違うのですよ。ところが小児科の診療報酬というのは不当に安いという状況の中で、小児科医がたくさんできない。小児医療というのが発展できないという隘路ができてきているわけです。だからこそ、これを解決していくというためには、これはどうしたって専門医学会の要請にこたえるという姿勢でなければ、これは解決のめどなどというようなものはできないと思うんです。その点を私はお聞きをしているわけです。
#339
○国務大臣(齋藤邦吉君) であるからこそ、先ほどもお答え申し上げました小児医療の診療報酬体系においては相当改善を加えなければならぬものがあるということは、私は申し上げている。これは申し上げている。そういうふうな考えと、医療を無料にしなければならぬということは必ずしも結びつきません、これは。そういうことでございましょう。診療報酬は悪い悪いとおっしゃって、それは無料にしなさい、これはいつまでたってもよくなりませんね。そこでそういう点も十分考えて、慎重に考えなければならぬでしょうと、こう私はお答え申し上げておるわけでございます。
#340
○沓脱タケ子君 これは、私は当然地方自治体で住民の実情、住民の訴え、そういうものが最も身近に把握されるところで次から次実施されていっているという実情から見ましてね、大臣がそういうやり方というのは不当だとは言い切れないだろうと思うんです。私は、日本の国民は、少なくとも北海道に住んでおろうが、東京に住んでおろうが、九州に住んでおろうが、同じ扱いをしてもらいたいと思うんです。無料化を実施された地域の子供だけが無料にされて、行政区画を越えたところでは待遇が違うというふうな、少なくとも医療行政にそういったことがあってはならない。それを解決するためには、国が踏み切らざるを得ないのではないかということを申し上げているわけです。私は、かねて老人医療無料化のときにしみじみ思いました。東京都が無料化に踏み切ったときに、大阪の年寄りは何と言いましたか、東京に住んでおったら医者に行ってもただで見てもらえるのに、私たち大阪におるばっかりにお金が要るんだ、やっぱり政治を変えなければならぬのかしらんと言うたですよ。それはなまの声です。ですから私は乳幼児医療の無料化の問題については、これは大臣、たいへん高姿勢な御意見ですけれども、大臣のお考えがどうあろうと、事態は刻々とやはり無料化の方向に進展をしていっているという事態というのも、これは見のがすわけにはいかない。その場合に、国がやはりいま申し上げたように、同じ日本の国民であるのに、待遇上の均衡を欠くような医療の上で扱いを受けなきゃならぬというふうなことを解決するかどうかというのは、大臣の決意次第だ。金がもう膨大に要って、とてつもなく要ってどうにもならぬという問題じゃありませんよ。これは御承知のとおりです。大臣の決意いかんにかかっておると思いますが、この点についてはどうでしょう。
#341
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほど来申し上げておりまするように、乳児医療無料化という問題は一つの経済負担の問題でございます。幸い今回の法律が成立いたしますれば、三万円以上の負担は保険で見るということになるわけでございますから、だいぶその辺の事情は私は変わってくる、かように考えております。
#342
○沓脱タケ子君 あまり時間がありませんので、あと一つの問題についてだけお聞きをしておきたいと思うわけです。
 その問題点といいますのは、本改正案と国民健保への波及の問題です。先ほどのお話にもありましたですけれども、高額医療の問題は五十年の十月までに実施をするということになっておりますけれども、そのほかの給付改善も国民健保へは大きな影響があると思うんですが、段階的な実施をしようというお考え、三年計画だとおっしゃったんですけれども、段階的実施をしようというお考えというのはどういう基準でそれじゃ段階をつけて三年計画で進められるのか。まず、それをお聞きしたいと思います。
#343
○政府委員(北川力夫君) 国保の保険者、すなわち市町村におきましては何ぶんにもその数は非常に多うございます。また、財政事情も多様にわたっている実情だと思います。そういう意味合いでこれを一挙に実施いたしますことがはたして適当かどうか。やはり財政問題という問題も別個にあるわけでございますから、そういう意味合いで、私どもは、四十八年度から三カ年計画で国民健康保険における高額療養費の支給の制度を実現をしたい。非常に区々ばらばらにまたがっておる保険者の財政事情というものを考慮した計画であります。
#344
○沓脱タケ子君 保険者の経済状態によって三年計画で進めると。そうすると経済状態のいいところから進めるのか、悪いところから進めるのか、その基準は何かいうてと聞いているんです。
#345
○政府委員(北川力夫君) いま申し上げましたように、財政事情がやはり極端に悪いようなところは、極端なことを申し上げますと、やろうと思ってもなかなかできないような場合もあると思います。でありますから、一挙に全部をやるためにはかなりな無理ができるんじゃないか。そういうことで私どもは段階実施を考えているわけであります。
 ただし、先ほども別途お答えを申し上げましたが、こういう新しいいい制度でございますから、やはり相当な、市町村のほうでこの制度を早期に実施をしたいというような御希望のあるところは多いと思います。そういう場合には、別にその三カ年計画と申しましても、三分の一であるというわけでもございませんし、できるところはなるべく早期実施をする、こういう意味合いで考えておりますので、その辺の事情は御理解をいただきますようお願い申し上げます。
#346
○沓脱タケ子君 もう時間ないですからね。
 国民の要求はこれは同時に実施してもらいたいということです。なぜかといいますと、一つの病院にAの町の入院患者が来ている、Bの町の入院患者が来ている。Aの町は実施をされたので高額医療の該当者、Bの町の患者は同じ病院で隣合わせのベッドに寝ているけれども該当されないんだというふうな事態は必ず起きます。こういう事態というのはせっかくの施策、避けなければならぬと思うんですが、そういう点で、私は、本年八月の十五日、十大都市の民生局長名で「国民健康保険に関する要望書」というのが厚生大臣に提出されていると思うんですが、初めの三つの点についてお聞きをしておきたい。時間ないからお尋ねだけを並べて申し上げます。
  〔委員長退席、理事小平芳平君着席〕
 その一つは、「被保険者の利便および保険者の事務量を緩和するため、制度実施にあたり、老人医療費受給者に関しては老人医療費支給制度を優先せられたい。」これは非常に複雑になりますよね。老人医療無料化の人たちになると、健康保険なら健康保険の家族で、まあ、今度七割になったら七割、いままではそれ以上は老人医療で無料化をされていた。ところが、三万円以上の高額医療ということになったら、今度はその上がまた健康保険ということで、三階建てになるんですね、医療費の仕組みというのは。そういうことにせずに、老人医療費の支給制度というのは、受給者についてはそれを優先さしてほしい。
 それから二つ目は、「老人医療費支給制度の実施によって、波及効果が生じ国保財政が圧迫されているうえ、さらに高額療養費の支給を要請されることは、国保事業の崩壊を招く一端ともなると思われるので、支給に要する経費については、全額国庫負担により措置されたい。」
 三番目は、「当該制度の実施にあたって、国保のみが段階的に実施されることは、受益の公平を欠くものであり、国保制度に対する被保険者の理解、協力を失う恐れがあるので、実施時期については、健保と同時実施とされたい。」というふうな要望書が出ておりますが、この三点について御見解をお伺いしたい。
#347
○政府委員(北川力夫君) 第一点の老人医療との関係でございますが、現行のたてまえから申しますと、保険の上に乗っかっているのが老人医療の公費です。したがいまして、確かに、おっしゃるとおり、今回の制度が実施をされますると、高額医療の償還制度は、法定給付として老人医療のいわゆる公費医療に優先をいたします。そういう意味合いでは、現行よりも、何と申しますか、受給の方々に不便が生じる点があると思います。この点はすでに衆議院の段階においても申し上げましたが、それについては、この制度を実施する際にどういうふうな便法を講じていくか、こういう点、私どもも問題点は十分に承知をいたしておりまするので、円滑な実施ができるように検討をいたしたいと思います。
 それから、第二点の高額医療の実施に伴う経費について、国保事業については全額を国で見てくれと、こういうことでございますが、この点につきましては、今年度の予算におきましても、高額療養費の支給に伴う波及的な増については、予算的な措置をいたしまして、できるだけ関係者の方々の負担がふえないように配慮をいたしておるところでございまして、今後も引き続いてそういう措置をとるつもりであります。
 それから、第三点の問題は、すでにお答え申し上げた点でございますけれども、やはり全体の事情からいいまして、実施できるところと、実施が非常に困難なところということがあることは否定できないと思うんです。しかしながら、いまお述べになったような実情もありまするし、全体を勘案いたしますと、また、全体の要望も、なるべく早くやりたいという市町村も多いわけでありますから、そういう点は実施の段階で十分に考慮に入れてまいりたいと思っております。
  〔理事小平芳平君退席、委員長着席〕
#348
○沓脱タケ子君 じゃ、療養給付の点、二番目の点についてだけ申し上げたいのですがね。便宜をはかるようにしていきたいというふうにおっしゃっておられるんですけれども、補助率の問題が、老人医療費の場合は三分の二ですね、国の補助率というのは。で、今度の高額医療の補助率というのは、これはお聞きしたところによると二分の一になります。だからたいへんなことになるわけですよ、国保財政にしては。そういう点についてはどうなんだろうか。
 だから、支給上の問題、手続上の問題でできるだけ不便を与えないということと同時に、財政上の問題についても、そういった点を考えて措置をなさるのかどうか、その点について。
#349
○政府委員(北川力夫君) 国保の高額療養費の支給につきましては、すでに先生も御承知かと存じますけれども、根っこには四割五分の国庫負担があるわけであります。高額医療の実施に伴う波及的な増加というものは、その四割五分の国庫負担の中に一応見込んでおります。だから、残った分についての補助として二分の一相当額を補助するわけでございますから、全体的に根っこの四割五分の国庫補助と、それから高額分についての二分の一というものを、全体を合わせて考えていただきますと、これはかなりな高額な国庫補助になっているわけでございますから、決して不十分なものじゃないと、このように考えております。(「時間」と呼ぶ者あり)
#350
○沓脱タケ子君 もう最後にしますけれども、国保財政に及ぼす本改正案の影響というのは、たいへん波及効果は大きいと思います。そういう点で、その点についても私はちょっとお伺いをしたかったんですけれども、最後に、強い要望もあることですから、そういった点についての改善策について十分配慮を払って解決をされるように強く要求をしておきます。
 そうして、私は、薬価の問題やあるいは休日・夜間診療の問題、あるいは医師をはじめ医療従業員対策の問題等々、質疑をする予定でございましたけれども、お約束の時間でございますので、これで終わらしていただきます。
    ―――――――――――――
#351
○委員長(大橋和孝君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、寺下岩蔵君が委員を辞任され、その補欠として船田譲君が選任されました。
    ―――――――――――――
#352
○委員長(大橋和孝君) 他に発言もなければ六案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#353
○委員長(大橋和孝君) 異議ないものと認めます。
 健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、以上三案について、丸茂重貞君から委員長の手元に修正案が提出されております。
 修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、三修正案を議題とし、順次趣旨説明を願います。丸茂重貞君。
#354
○丸茂重貞君 健康保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案及び日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨説明を行ないます。
 ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案及び日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、健康保険法等の一部を改正する法律案に対する修正の要旨を申し上げます。
 第一に、家族療養費の給付率七割の実施時期を昭和四十八年十月一日に繰り上げること。
 第二に、本人分べん費の最低保障額及び配偶者分べん費を六万円に引き上げること。
 第三に、本人埋葬料の最低保障額及び家族埋葬料を三万円に引き上げること。
 第四に、保険料率千分の七十三を千分の七十二に引き下げること。
 第五に、料率の調整規定によって保険料率が引き上げられる場合の国庫補助率の増加は、料率千分の一につき千分の六を千分の八とすること。
 第六に、船員保険、各種共済組合についても健康保険に準じて修正すること。
 第七に、施行期日を昭和四十八年十月一日とすること。等であります。
 次に、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する修正の要旨を申し上げます。
 第一に、「月額三千五百円」となっております老齢特別給付金の額を「月額四千円」に改めること。
 第二に、施行期日のうち「昭和四十八年八月一日」となっているものを「昭和四十八年十月一日」に改めることであります。
 最後に、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案に対する修正の要旨を申し上げます。
 「昭和四十八年八月一日」となっておりまする施行期日を「昭和四十八年十月一日」に改めることであります。
 修正案の要旨は以上でありますが、何とぞ、委員各位の御賛同をひたすらお願い申し上げる次第であります。(拍手)
#355
○委員長(大橋和孝君) ただいまの健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、両案の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から両修正案に対する意見を聴取いたします。齋藤厚生大臣。
#356
○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいまの修正案につきましては、政府としてはやむを得ないものと考えます。
#357
○委員長(大橋和孝君) 別に御発言もなければ、これより討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。須原君。
#358
○須原昭二君 私は、日本社会党を代表し、政府提案になる健康保険法等の一部を改正する法律案及び厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について、われわれが反対する理由を明らかにいたしたいと思います。
 何よりもまず指摘いたしたいのは、この両案に共通する基本的性格についてであります。
 その第一は、国民の負担の増大をもたらす措置が給与改善よりも先行している点であります。たとえば、赤字対策を基本的なねらいとする健保改正案については申すに及ばず、年金改正案においてすら保険料引き上げによる収入増が四十八年度厚生年金・国民年金合わせて一千六百億円以上にも上るのに、給付改善による支出増はわずか八百億円程度にとどまっていることは、負担先行の施策と断ぜざるを得ません。
 両案に共通する性格の第二は、いずれも政府与党の公約違反を示すものであるという点であります。たとえば健保改正案については、佐藤内閣以来の政府公約であるいわゆる抜本改正が実現しないままに提案されてきたものであり、また年金改正案についても、五万円年金という自民党の公約は完全に破綻したことを示しているのであります。
 両案に共通する性格の第三は、長期的、恒久的対策ではないということであります。たとえば、健保改正案では診療報酬の一五%前後の引き上げが一回行なわれるだけで、弾力条項によって保険料率をその上限である八%まで引き上げなければならなくなるであろうといわれておりまするし、年金制度においても、ヨーロッパ諸国並みに退職時賃金の六〇%程度が最低保障されるというようなシステムの確立のためには、再び改正をしなければならない性質のものであります。今国会の衆議院予算委員会において、わが党の大原議員の追及に対し、田中総理と齋藤厚生大臣は、四十九年度を初年度とする社会保障五カ年計画を策定すると言明せざるを得なくなりましたが、それから半年以上経過した今日に至るも、なお健保・医療制度や年金制度の長期的計画的な対策が立案されておりません。第三次、第四次と防衛計画ばかりは長期的計画的な対応を示す政府に、この際猛省を促したいと思うゆえんであります。
 最後に、両案に反対する理由を個別的に申し上げます。
 まず、健保改正案についてでありますが、保険財政の破綻は、国民にその責任を転嫁すべきものではなく、政府の行政努力によって克服すべきであります。このため、保険料率の引き上げやいわゆる弾力条項は撤回して、国庫補助率を二〇%程度に引き上げるべきなのであります。
 次に、年金改正案については、少なくとも平均夫婦六万円レベルの年金水準の実現、インフレに対応できる賃金自動スライド制の採用、拠出した保険料の多少にかかわらず、拠出期間の長短にもよらない最低保障制度の確立、積み立て方式から賦課方式への転換などがこの際実現されることを国民は期待いたしていたにもかかわらず、政府案にはこれらの片りんすらも見えず、まぼろしの五万円年金とさえいわれているのであります。
 およそ、以上の観点から、われわれは政府案及びその修正案に反対するとともに、この際、わが党をはじめ公明党、民社党三党提案になる医療保障基本法案、医療法改正案及び全野党共同提案の年金改正案等に準じた施策の立案を政府に要求し、私の討論を終わるものであります。
#359
○委員長(大橋和孝君) 山下君。
#360
○山下春江君 私は自由民主党を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案及び厚生年金法等の一部を改正する法律案について、これらに対する修正案及び修正部分を除く原案に賛成の意を表するものであります。
 健康保険法の改正について述べることといたします。本改正案の内容は、今日までの質疑応答を通じて明らかにされたとおり、家族給付率の引き上げ、高額療養費制度の新設等によって、従来各自の自己負担とされてきた多くの部分を保険でカバーするとともに、他方、国庫補助の定率化によって、国庫補助額を八百七十三億と一挙に四倍にも増額し、さらにまた弾力調整措置が行なわれる場合には、保険料率の引き上げに連動して増額をはかるなど、医療費の増加に対応してふえることになる被保険者の負担を社会連帯の責任でカバーしていくことを重要な内容として含んでいるのであります。さらにまた、三千億に及ぶ累積赤字をたな上げして、政管健保の財政基盤の整備を行なうこととした措置は、赤字に悩んできた政管健保を再出発させるためにまことに適切なものとして評価されるべきものであります。標準報酬の上下限改定は、賃金の実情を反映させるための当然の措置であって、むしろ現在の低過ぎる頭打ちによって生じている実質的な保険料負担の公平を是正する意味を持っているものであります。
 われわれは、このような立場から原案に賛意を表してまいったのでありますが、ただいま、これをより以上に充実する修正案が提出されました。
 すなわち、第一に、家族給付率を七割とする時期を一段と早めたこと。
 第二に、現金給付額をさらに増額したことは、被保険者の福祉に対する配慮を一そう厚くするものであり、さらに保険料の引き上げを〇・一%下げることに加えて、弾力調整の場合における国庫補助の連動増加率を〇・二%高める修正は、被保険者の負担軽減に資するものと言わなければなりません。
 今日、所得保障の制度と相まって国民の生活に重要な役割りを果たしつつあるこの医療保険制度を健全な発展レールに乗せることは緊要な国民的課題であります。本改正案は、その重要なステップとなるものであります。自己負担の多きをおそれて医療の機会を失する人があってはなりません。
 特に治療法が確立していないために長期にわたる疾病に泣く人々を救うことは急務であります。このためには、本改正案が含む給付改善は、国民が強く成立を望んでいるところであります。
 われわれは、今後医療保険の背後にある医療供給体制の整備にも力を注ぐことによって、より一そうの充実を期していきたいと念願しつつ、修正案及び修正部分を除く原案に賛意を表するものであります。
#361
○委員長(大橋和孝君) 小平君。
#362
○小平芳平君 ただいま議題となっております健康保険法等の一部を改正する法律案及び修正案、また厚生年金保険法の一部を改正する法律案並びに修正案に私は公明党を代表して反対の討論をいたします。
 まず、健康保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 第一の理由は、医療制度の欠陥が目をおおうばかりの現状にありながら、政府が真剣にこの問題に取り組んでいないという点であります。社会保障の長期計画を策定すべきこと、その中でも特に関係団体に多くの異なった意見のある医療保険制度についてこそ、まっ先に長期的な抜本対策が立てられなくてはならないことは言うまでもありません。
 健保改正が国会の議題に上がるたびに、あるいは改正案の出ていないときにも、絶えず私たちは、制度の欠陥の是正こそ緊急の課題として取り上げ、数多くの提案もしてまいりました。しかし、いまだにその実効は何一つあがっていないと言っても過言ではありません。
 看護婦不足が原因で、せっかく建てられた病院が満足に活用されなかったり、経営困難のため閉鎖されてしまう病院があるかと思えば、いまだに多数の無医地区があり国民皆保険とは名ばかりで、病気になっても医者にかかれない人たちがいます。
 病院等の経営が困難になった原因として、診療報酬体系の早急な是正が要求されているのに、今日ではそのめどもつかない現状です。あるいは診療報酬体系の是正が要求されるたびに関係者の激論が繰り返されたり、いつまでたってもその根本的な解決が見られそうにない現状です。
 また、政管、組合、国保等ばらばらの制度で負担も給付も公平を欠いたり、また健保が赤字だといいながらも支出面の対策にはほとんど見るべきものがありません。あるいは国民の側から見れば医療のミスや薬の害により健康をおかされている例も数多く発生しております。これに対する救済策も決して十分ではありません。さらに原因不明の難病や治療方法もない公害病等、絶えず国民の身近に迫ってきております。
 国民の生命と健康を守るために政府はいまこそ総力をあげてこれらの多くの欠陥や離間の解決に真剣に取り組むべきことを強く要求せざるを得ません。
 次に、今回の改正においても、以上の要求を満たすにはほど遠いのであります。保険料の引き上げと弾力条項については修正が加えられました。しかし、医療に対する国民の置かれている立場はとうていこれに喜んで賛成するわけにはいきません。もし赤字が生じた場合には安易な料率引き上げにたよることなく、国庫補助率の一〇%を引き上げることを検討すべきであると考えます。家族給付の七割実施、分べん費、埋葬料の改定も確かに一歩前進で、それなりに評価いたします。ただ、今日までなぜこのような低額に押えられていたのか、その原因を十分に反省して、時代おくれの低額給付におちいることのないよう今後の対策を強く要望せざるを得ません。
 次に、厚生年金保険法の一部改正について申し上げます。
 この十年間、わが国の経済は驚異的な発展をしてきました。
 政府自民党は、これを国民的成果として自画自賛しているのでありますが、その成果の基礎を築いたのはほかならぬ老人であります。では、その老人に対し政府は何をもって報いてきたのでありましょうか。答えは皆無であります。それどころか美しかった自然環境の破壊と、国民生活の破綻による人心の荒廃さえ招いているのであります。
 経済社会の急速な発展は地域社会の著しい変化と核家族化の急進の中で、老人を阻害し、ますます孤独に追いやっているのが実情であります。
 さらに、老後生活の底辺に置かれた寝たきり老人や一人暮らし老人の悲惨な実態、また老人につきまとう難病等、老人にとってはあまりにも冷淡な政治の姿が見えるではありませんか。
 このような現実に照らして、今回の政府案は、全く国民の期待にこたえたものではないのであります。
 まず第一に、昨年の総選挙の際、政府自民党が誇大宣伝した五万円年金の内容とは、すなわち政府案は、加入期間が二十七年で、平均標準報酬月額も八万四千六百円という高水準のモデル計算であり、今年十一月の時点で受給者が八万五千人となるのであります。
 政府はさも全員に五万円年金を支給するかのごとく宣伝したのでありますが、現在わが国では、六十歳以上の老人は約千二百万人と推定されていますが、政府でいう五万円年金の受給者は六十歳以上の老人のわずか一%にも満たないというあまりにも少ない数であります。また国民年金が月額五万円になるためのモデル計算もさらに現実離れしているのであります。
 第二に、年金の支給開始の問題であります。現在定年制は五十五歳が普通であり、そして厚生年金の受給開始は六十歳となっている。すみやかにこのような矛盾を解決すべきであります。
 第三に、制度間のアンバランスであります。現在、公的年金制度は多くの制度に分かれていて、国年、厚生、共済組合等によって給付にも多くのアンバランスがあります。一日も早くこのアンバランスの制度をバランスのとれたものにする必要があると考えるのであります。
 次に、今回の改正案は定額部分の引き上げ、いわゆる年金の谷間といわれる年齢層の老人に対して、ただいまの修正で月額四千円の老齢特別給付金の支給等、若干の改善は見られますが、福祉優先の制度にはまだほど遠いと言わざるを得ません。
 最後に、一日も早く老人にとって安堵と生きがいを与えることのできる公的年金制度の抜本改正を行なわれることを強く要望して、反対の討論といたします。
#363
○委員長(大橋和孝君) 中沢君。
#364
○中沢伊登子君 私は、民社党を代表して、ただいままで審議をしてまいりました健康保険法の一部を改正する法律案及び修正案に対し反対の討論を行ないます。
 第一に、今日国民の健康と生命を保障すべき医療供給体制が危機に直面しているにもかかわらず、いまだに医療制度の抜本改革案を明示していないことです。わが党は今日まで健康保険制度の改正についてはまず医療制度の抜本的な改革を先行すべきだと強く主張してまいりました。これに対して政府は数度にわたって医療制度の抜本改正案の公約をしながら、いまだにその公約を実現していません。このためわが国の医療制度は荒廃し、一例をとってみても、国民皆保険下にありながら、医療サービスからは全く見放されている国民が、全国で約三千カ所に八十八万人もおります。さらに救急医療、休日・夜間医療は、ほとんど機能していないと言っても過言ではありません。その上、医師、看護婦をはじめ、医療担当者不足も、数年来論議されながら一段と深刻な社会問題にさえなってきております。これは病人にとって生死にかかわる重大な問題であるだけではなく、現在健康体である国民にとっても、交通事故等を考えたときに、まことにゆゆしき問題でございます。
 次いで、今回の改正案の内容につきましても、若干の給付改善がなされたとはいえ、施策が不十分です。まず、医療保障の理念からすれば、本人と家族を差別すべきではなく、分べん費についても、全額保険から給付すべきです。また、高額医療費負担にしても、高額医療を要する疾病の多くは、本来長期の治療を要する疾病であり、一般勤労者の家庭の経済状態から考えますと、毎月三万円の負担はきわめて過重であるからです。同時に、これは差額ベット、付添看護制度が改善されない限り、残念ながら焼け石に水であると言っても過言ではありません。
 次に、国庫負担を低く押え、国民負担の増大をねらっていることであります。政府は、従来の定額補助制度を改め、保険給付に要する費用の一〇%の国庫補助とする定率制に踏み切りはしましたが、わが国の医療保険制度を真に社会保障の実態に沿ったものにするためには、二〇%の定率とすべきであります。
 その観点から、わが党は保険料の引き上げ、特別保険料及び弾力条項の削除を強く主張してきたのであります。しかるに、こそくな修正に終始し、肝心の国庫負担の引き上げには一言半句触れようとしないのであります。
 以上、今回の改正案は、若干の給付改善を名目に、一段と国民負担を強化せんとする改悪法であり、とうてい国民の期待できないものと言わざるを得ないものであって、私どもはとうてい賛成することができないものであります。
 次に、厚生年金保険法の一部改正についてでありますが、政府は、ことしが福祉元年であるとか、年金の年であると称して、五万円年金の実現に踏み切りはしました。しかし、これはまさに欺瞞的、見せかけの年金で、まぼろしの五万円年金といわれるゆえんでございます。
 各委員も私も、それぞれ細部にわたって質問をしてまいりましたが、不満のみと言わざるを得ません。
 わが国はやがて高齢者社会にならんとしつつあります。したがって、早急に国民が安心して老後生活を営める社会を建設しなければなりません。
 私は、政府が、生活できる年金制度の確立を目ざし、抜本的な年金改革案を早急に提案すべきことを強く要請しつつ、反対討論を終わります。
#365
○委員長(大橋和孝君) 沓脱君。
#366
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表し、健康保険法等の一部改正案及び自民党修正案につきまして、反対の討論を行ないます。
 反対の第一の理由は、この改正案も修正案も、ともに、いまでさえ多額の保険料の負担をしいられておる中小企業労働者に対して、さらに負担増を押しつけるものであるからです。今日ほど国と資本家の負担による医療保障、社会保障の制度の拡充が強く国民から求められている時代はありません。
 本院では、自民党から委員会での審議を通じて、家族給付七割の本年十月実施、分べん費六万円、埋葬料三万円など、若干の改善策が出されています。これはかねてからの国民の切実な声であり、当然のことであります。しかし、これと引きかえに、健康保険料の中小企業労働者に対する負担増を押しつけることは、断じて認めるわけにはいきません。
 第二の理由は、この改正案及び修正案が、弾力条項という厚生大臣の一方的権限により保険料の引き上げを行なおうとしていることです。すでにこの条項は昨年の国会において野党各党が反対をし、衆議院においては自民党修正案で削除されたものであります。今国会に再びこれを持ち出し、しかも修正案において、わずかの国庫補助率の引き上げを口実に国会の審議をたな上げにする弾力条項の制度に固執していることは断じて許すことはできません。
 しかも、厚生保険特別会計法の改悪は、保険財政に赤字が生じた場合に、弾力条項による保険料値上げなしには健保勘定への借り入れを制限するものであります。これは支払い基金からの医療機関への医療費の支払いストップか労働者への保険料の値上げかの二者択一を迫るもので断じて認めることはできません。
 第三の反対理由は、医療費の中で薬剤費の占める割合がいまや五〇%近くになっており、保険財政赤字の主要な原因になっているにもかかわらず、自民党政府は大製薬会社の独占薬価に何らメスを入れようともしない態度は納得できないことであります。
 なお、今回の改正案及び修正案には現行法に比し若干の給付改善策が見られますが、しかし、その中にも多くの問題を含んでおります。世界のおもな資本主義国の医療保障制度において、被保険者本人と家族の給付率に差をつけているのは、わが国を除いてほとんど例がありません。また、家族高額療養費は当然現物給付にすべきであります。また、この制度により老人医療など、公費負担医療の三万円以上を保険に肩がわりさせようとしていますが、これは国の責任の放棄であると同時に、健保財政を圧迫するものであります。
 その他、医師が良心的医療が行なえるように、適正な診療報酬の緊急是正などの問題があるにもかかわらず、何ら対策が講じられておりません。
 以上がわれわれのおもな反対理由であります。
 次に、厚生年金保険法等の改正案並びに修正案についてその反対の理由を申し上げます。
 生活できる年金をという国民の要求に対して、私ども日本共産党は、昨年、年金制度の改革についてという抜本的な政策を提案いたしました。そのおもな内容は、夫婦で月六万円の年金を支給し、各年金制度共通の最低保障額三万円を設定し、また、福祉年金を六十五歳からの老人に一万円支給し、三年後には三万円を支給できるようにする。遺族年金については現在の五〇%支給率を八〇%に引き上げ、さらに財政方式として現行の積み立て方式を改め賦課方式に変更すべきなど国民の要求に沿ったものであります。いますぐ生活できる生金をという国民の要求と運動に呼応し、野党四党が政府原案に反対し、共同案を提案して、その実現のために奮闘してきたことは画期的なことであり、国民の期待にこたえるものであります。
 政府自民党は、あたかもすべての老人に月五万円の年金が支給されるかのように鳴りもの入りで宣伝をしてまいりましたが、実際に五万円をもらえる老人は受給者のたった一割あまりであり、国民年金に至っては二十年先でなければ該当者は出ないという、まさにまぼろしの五万円年金であります。このような改正案は、今日の国民の要求と老人の実態に見合った真の社会保障には価しないものであります。
 自民党の修正案はこの点について何らの改善をしたものではありません。わずかに国民の声に押され、谷間の老人に支給する福祉年金を月四千円にするという若干の改善であって、これでは今日の高齢者の期待には沿い得ません。少なくとも直ちに六十五歳以上の老人に月一万円の福祉年金支給を行なうべきであります。
 日本共産党は以上述べました理由によりまして、政府原案並びに自民党修正案に反対をし、四党共同案の成立を目ざして今後も一そう奮闘することを表明いたしまして、反対討論を終わります。
#367
○委員長(大橋和孝君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより六案の採決に入ります。
 健康保険法等の一部を改正する法律案について採決をいたします。
 まず、丸茂君提出の修正案を問題に供します。丸茂君提出の修正案に賛成の方の起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#368
○委員長(大橋和孝君) 多数と認めます。よって、丸茂君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#369
○委員長(大橋和孝君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
    ―――――――――――――
#370
○委員長(大橋和孝君) 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について採決をいたします。
 まず、丸茂君提出の修正案を問題に供します。丸茂君提出の修正案に賛成の方の起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#371
○委員長(大橋和孝君) 多数と認めます。よって、丸茂君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#372
○委員長(大橋和孝君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
    ―――――――――――――
#373
○委員長(大橋和孝君) 日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案について採決をいたします。
 まず、丸茂君提出の修正案を問題に供します。丸茂君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#374
○委員長(大橋和孝君) 全会一致と認めます。よって、丸茂君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#375
○委員長(大橋和孝君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は全会一致をもつて修正議決すべきものと決定いたしました。
    ―――――――――――――
#376
○委員長(大橋和孝君) 児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、有害物資を含有する家庭用品の規制に関する法律案、以上両案を一括して問題に供します。両案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#377
○委員長(大橋和孝君) 全会一致と認めます。よって、両案は全会一致をもつて原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
    ―――――――――――――
#378
○委員長(大橋和孝君) 覚せい剤取締法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#379
○委員長(大橋和孝君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもつて原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#380
○須原昭二君 私は、ただいま可決されました健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案両案に対し、それぞれ自由民主党、日本社会党、公明党、民社党の四派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
   健康保険法等の一部を改正する法律案附帯決議(案)
 一、懸案とされてきた医療制度の抜本的対策について、早急に具体的な実施計画を樹立すること。
 二、政府管掌健康保険の運営については、必要な人員及び予算を確保し、行政面においてより一層の努力を行なうとともに、国の助成措置の強化を図り、被保険者負担が急増しないよう配慮すること。
 三、技術を中心とした合理的な診療報酬・調剤報酬体系の確立を図るとともに、医薬分業の実現を期すること。
 四、保健所の整備を強化し地域における保健予防体制の確立を図ること。
 五、公費負担医療の充実に努めるとともに、国民医療の確保を図るため、医療従事者の確保、医療供給体制の整備等につき、計画的にこれが実現に努めること。
   なお、公的病院の病床規制の撤廃及び差額ベッドの規制については、すみやかにその対策を講ずるものとすること。
 六、本人と家族との給付格差を解消するため、家族給付率の引上げを図るとともに、当面家族高額療養費制度の運用にあたっては、極力患者負担の軽減を図るよう努めること。
 七、薬価調査のあり方及び薬価基準の算定方式に抜本的な検討を加えること。
 八、保険医療機関に対する指導監査の徹底を期すること。
 九、国民健康保険組合に対する助成については、市町村の国民健康保険事業に対する定率補助を考慮し、その改善を図ること。
 十、船員保険(疾病部門)に対する国庫補助の増額をするよう努力すること。
  右決議する。
    ―――――――――――――
   厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について適切な措置を講ずるよう努力すべきである。
 一、年金の財政方式、特に賦課方式への移行については、将来にわたる人口老齢化の動向を勘案しつつ、積極的に検討を進めること。
 二、最近における物価高騰の事態にかんがみ、関係審議会の意見を求め、財政再計算期を早めて、賃金、生活水準の動向に応じた改善を図ること。
 三、各拠出制の年金については、さらにその年金額の引き上げを図るとともに、各年金、手当の合理的な併給及び障害等級の統一について検討すること。
 四、各福祉年金について、その年金額をさらに大幅に引き上げ、その範囲の拡大を図るとともに、本人の所得制限及び他の公的年金との併給制限についても改善を図ること。
 五、国民年金の保険料免除者に対する年金給付については、さらにその増額を図ること。
 六、遺族給付及び障害給付に係る通算措置の実現に努めること。
 七、五人未満事業所の従業員に対する厚生年金の適用の問題については、具体的方策の樹立に努めること。
 八、排け捨て及び脱退手当金受給者の年金受給権の方策を検討すること。
 九、積立金の管理運用については、被保険者の福祉を最優先とし、拠出者の意向が十分反映するよう民主的な運用に努め、そのための措置を検討すること。
 十、厚生年金基金制度のあり方について、早急に根本的検討を加え、その合理的改善のための方策を考究すること。特に免除料率の問題について、十分検討のうえ措置すること。
 十一、二級障害者に対する障害福祉年金の支給については、昭和四十九年一月を目途として実施するよう努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
#381
○委員長(大橋和孝君) 須原君提出の両附帯決議案を一括議題とし、採決を行ないます。
 須原君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#382
○委員長(大橋和孝君) 全会一致と認めます。よって、須原君提出の両附帯決議案は、いずれも全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
#383
○小平芳平君 私は、ただいま可決されました日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、以上両案に対し、それぞれ自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
   日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項を実現するよう速かに法的並びに財政的措置を講ずべきである。
 一、健康保険の給付水準にまで引き上げること。
 二、財政状況の推移によつては国庫負担も含めて負担のあり方を検討すること。
 三、日雇労働者が国民皆保険の網から漏れることのないよう適用面で配慮するとともに、給付要件も労働の実情に応じた緩和を検討すること。
  右決議する。
    ―――――――――――――
   児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、その実現に努力すべきである。
 一、児童扶養手当及び特別児童扶養手当の支給額を一層増額すること。
 二、所得による支給制限をさらに緩和すること。
  右決議する。
 以上であります。
#384
○委員長(大橋和孝君) 小平君提出の附帯決議案を一括議題とし、採決を行ないます。
 小平君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#385
○委員長(大橋和孝君) 全会一致と認めます。よって、小平君提出の両附帯決議案は、いずれも全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
 ただいまの決議に対し、齋藤厚生大臣から発言を求められております。齋藤厚生大臣。
#386
○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいま議決になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に努力をいたす所存でございます。
#387
○委員長(大橋和孝君) なお、ただいま可決されました六法案の審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後十時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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