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1972/03/29 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 文教委員会 第2号
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1972/03/29 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 文教委員会 第2号

#1
第071回国会 文教委員会 第2号
昭和四十八年三月二十九日(木曜日)
   午前十時三十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月二十七日
    辞任         補欠選任
     秋山 長造君     松永 忠二君
     片岡 勝治君     小林  武君
 二月二日
     辞任        補欠選任
     加藤  進君     小笠原貞子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         永野 鎮雄君
    理 事
                久保田藤麿君
                楠  正俊君
                宮之原貞光君
                安永 英雄君
    委 員
                金井 元彦君
                志村 愛子君
                大松 博文君
                中村 登美君
                濱田 幸雄君
                宮崎 正雄君
                鈴木美枝子君
                松永 忠二君
                内田 善利君
                萩原幽香子君
   国務大臣
       文 部 大 臣  奥野 誠亮君
   政府委員
       文部政務次官   河野 洋平君
       文部大臣官房長  井内慶次郎君
       文部大臣官房会
       計課長      三角 哲生君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (昭和四十八年度における文教行政の重点施策
 に関する件)
 (昭和四十八年度文部省関係予算に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(永野鎮雄君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 奥野文部大臣及び河野文部政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。奥野文部大臣。
#3
○国務大臣(奥野誠亮君) 昨年十二年、文部大臣を仰せつかいました奥野誠亮でございます。まことに未熟な者でございますが、最善を尽くして努力を払ってまいりたいと考えておりますので、格別の御指導と御鞭撻を賜わりますよう心からお願いを申し上げます。(拍手)
#4
○政府委員(河野洋平君) 去る十二月二十六日に文部政務次官を拝命をいたしました河野洋平でございます。
 奥野大臣のもとで、皆さま方の御指導をいただきまして一生懸命その職をつとめたいと考えておりますので、格別の御指導、御鞭撻を賜わりますよう心からお願いをいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○委員長(永野鎮雄君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。
 まず、昭和四十八年度における文教行政の重点施策について文部大臣から説明を聴取いたします。奥野文部大臣。
#6
○国務大臣(奥野誠亮君) 第七十一回国会において、文教各般の問題を御審議いただくにあたり、所信の一端を申し述べます。
 わが国の教育は、学制百年の歴史を通じて目ざましい発展を遂げ、わが国の繁栄の基礎をつちかってきたのでありますが、急激なる社会経済の進展とともに、教育のになう役割りはますます重要なものとなってまいりました。教育問題は、今日の最も重大な課題であります。特に国際化社会において、わが国が世界の進運に伍し限りない未来にわたって発展を続けるとともに、世界の平和と繁栄に寄与していくためには、今日までの成果に安住することなく、教育の刷新充実に一段と努力を傾け、国際社会において信頼され尊敬されて活躍できるりっぱな日本人の育成を目ざしていかなければなりません。
 また、新たな国土総合開発が進められようとしているときにあたり、すべての国民がそれぞれの能力を最大限に発揮して豊かな文化的生活を営むことができるよう、教育・学術・文化の面から積極的な施策を展開する必要があります。
 文教行政をあずかる私といたしましては、このような時代の要請と国民の期待にこたえるため、将来への洞察に立って真に国づくりの基礎をなす人づくりに最大の努力を尽くしてまいる所存であります。
 以下、当面する文教行政の諸問題について申し述べます。
 まず第一に、教育改革の推進についてであります。
 このことについては、一昨年六月に中央教育審議会から答申のあった「今後におけ学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」の趣旨を踏まえ、教育関係者をはじめ国民各層の意見を聞きながら幼児教育から大学教育に至る教育の改革に全力を傾けて取り組んでまいる所存であります。
 次に、文部省の機構改革について申し述べます。
 このことについては、高等教育の改革と計画的な整備充実を推進する体制を整備するとともに、学術の振興及び教育・学術・文化の国際交流・協力を推進する体制を整備充実するために大学学術局を廃止して大学局及び学術国際局を新設し、これに伴ってユネスコ国内委員会の事務は学術国際局において処理することとして同委員会の事務局を廃止することとしたいと存じます。
 次に、初等中等教育の改善充実について申し述べます。
 初等中等教育は人間形成の基礎をなすものであり、次代をになう有為な国民の育成をはかる上で、その果たす役割りの重要性はあらためて申すまでもないところであります。その振興をはかるため、教育内容、指導面の改善充実につとめるとともに、新しい学校体系の開発等についても、調査研究を積み重ねてまいる所存であります。
 申すまでもなく、教育の成果は究極のところ教員の資質のいかんによるといっても過言ではなく、教職に優秀な人材を確保し得るかどうかは、わが国の教育の将来を左右する最も重要な課題であります。私は、そのため、教員の給与の抜本的改善が現下の喫緊の課題であると考え、昭和四十八年度を初年度とし、年次計画を立ててこれを実施することとし、このため、昭和四十八年度予算案には、さしあたり、その中心をなす義務教育諸学校教員の給与の一〇%に相当する額の三カ月分の財源を計上いたしております。
 また、教員の資質向上をはかるためには、教員養成制度の改善充実とともに、現職教員の研修に力を注ぎ、その意欲の高揚をはかることが重要であります。そのため、教員の海外派遣については、これを大幅に拡充するとともに、各種講習、研修の機会の充実につとめていきたいと考えております。また、相当長期の研修については、授業を代替するための非常勤講師について、新たに給与費の国庫補助制度を創設することといたしております。
 幼稚園教育の普及充実については、国民の強い要請にかんがみ、全国どの地区においても入園を希望するすべての四、五歳児を就園させることを目標として、幼稚園の設置促進を推進してまいる所存であります。また、公・私立幼稚園の父母負担軽減のため、幼稚園就園奨励費補助について、その限度額を引き上げる措置を講ずることといたしております。
 心身に障害を持つ児童、生徒に対する教育については、教育の機会の拡充のため一そうの力を注ぐ考えであります。特に養護学校については、昭和四十八年度中に未設置県を解消し、できるだけすみやかに義務制を実施するための努力を傾注するとともに、一昨年開設された国立特殊教育総合研究所と連携して教育を行なう国立久里浜養護学校を設置する等その整備充実をはかる所存であります。
 僻地教育の振興については、教育の機会均等の趣旨に基づき、従来からも特に努力をしているところでありますが、昭和四十八年度からは、新たに日ごろ文化的な条件に恵まれていない子どもたちに進歩した科学、文化に直接触れる機会を提供するため、高度の僻地学校の児童、生徒の修学旅行費を全額公費負担とし、その三分の二を国が補助することといたしております。
 また、公立文教施設の整備については、従来から努力を重ねてまいりましたが、昭和四十八年度においては、かねてからの懸案であった小学校屋内運動場の国庫負担率を二分の一に引き上げるほか、児童、生徒急増市町村における小・中学校の校舎及び都道府県立の養護学校の建物について国庫負担率をそれぞれ三分の二に引き上げることといたしております。また、小・中学校校舎の国庫補助基準面積を引き上げて教育水準の向上をはかり、また、補助単価の改訂を行なって、地方公共団体の超過負担の軽減に資することといたしております。さらに過疎地域等における学校統合、老朽校舎の改築並びに幼稚園及び特殊教育諸学校の施設の整備、公害対策事業等についても事業量の拡大をはかる等格段の努力を注いでまいりたいと存じます。
 児童、生徒の心身の健全な発達にとって重要な役割りを果たす学校給食につきましては、今後ともその普及につとめ、学校給食施設設備の改善整備、食事内容の向上、物資の需給体制の整備、学校栄養職員の配置等について一そうの改善充実をはかってまいります。また、児童、生徒の健康の保持増進をはかる学校保健に関しましては、昨年末、保健体育審議会から「児童生徒の健康の保持増進について」答申をいただいておりますので、この答申の趣旨に沿って児童・生徒の健康診断の項目及び方法の改善を行ない、また移動教室の拡充並びに学校環境緑化の促進等を積極的に進めてまいる所存であります。
 次に、高等教育の改善充実について申し述べます。
 高等教育の改革につきましては、中央教育審議会の答申の方向を踏まえ、高等教育基本計画の策定につとめるほか、かねてから創設準備を進めてまいりました筑波大学を本年秋開学することといたしたいと存じます。また、いわゆる放送大学の実施調査をさらに進めるとともに、新しい構想に基づく教員養成大学や大学院、あるいは技術科学系の新しい高等教育機関の構想についても調査を進めることといたしております。
 これとともに大学院や学部学科の拡充整備、教員資格認定制度の拡充その他教員養成、再教育の充実、大学入学者選抜方法の改善、留学生交流の拡充等について所要の改善施策を進めてまいる所存でありますが、社会的要請の特に強い医師の養成につきましては、昭和四十八年度において、旭川、山形、愛媛に医科大学または医学部の新設を行なうほか、さらに四つの医科大学、医学部の創設準備を進めることといたしております。また、新たに公立の医科大学に対しても経常費助成の措置を講ずることといたしたいと存じます。
 大学入学者選抜方法の改善につきましては、事の重要性にかんがみ、特に重要な課題である共通学力検査の実施について、かねて国立大学協会が検討を進めている第一次共通試験の調査研究の促進をはかるため、所要の措置を講じてまいりたいと存じます。
 次に、学術の振興につきましては、学術研究の急速な進展に伴う研究体制の複雑化、研究組織の大規模化、研究施設の大型化等に対処し、適切な施策を講じてまいる所存であります。このため既設研究機関の充実整備、科学研究費の拡充等をはかるほか、新たに、国立極地研究所、水圏科学研究所及び難治疾患研究所を創設するとともに、国立民族学研究博物館の創設準備を進める等、学術研究の振興に格段の努力を傾けてまいりたいと存じます。
 次に、私立学校の振興について申し述べます。
 学校教育において私立学校の果たしている役割りの重要性にかんがみ、昭和四十五年度に創設いたしました私立大学等経常費補助金について、従来の教員人件費、事務職員人件費等の積算率の引き上げ、物件費に相当する教員経費、学生経費の単価改定などその大幅な拡充をはかるとともに、日本私学振興財団の貸し付け金について、貸し付け規模の拡大、貸し付け条件の改善をはかるなど、私立学校に対する助成を大幅に拡充することといたしております。また、私立学校教職員共済組合の既裁定年金については、国家公務員共済組合等の既裁定年金の引き上げに準じて引き上げたいと存じます。
 次に、社会教育及び体育・スポーツの振興について申し述べます。
 これからの社会教育は、学校教育、家庭教育との役割り分担を明らかにしながら、幼児期から高齢期に至る生涯の各時期を通じて、人々の心身の発達、成熟の度合い及び学習意欲に即応した諸条件を整備することが必要であります。
 このため、まず指導者のあり方が基本的に重要な課題でありますが、当面、社会教育指導員の増員等に意を用いてまいりたいと存じます。次に、社会教育施設の整備に関しては、生涯教育の重要性にかんがみ、新たに国立少年自然の家(仮称)を設置することとするとともに、公立少年自然家の整備を促進し、婦人教育を推進するため、新たに国立婦人教育会館(仮称)を設置したいと存じます。また、社会教育の中心的な施設である公民館の補助については大幅に増額する所存であります。さらに、社会教育事業の奨励援助につきましては、家庭教育相談事業の拡充をはかるほか、生涯教育の観点からそれぞれの年齢に応じた事業の奨励をはかっております。特に、高齢化社会の中にあって、高齢者が積極的な生きがいを求めて学習する機会を準備するため、高齢者教室の開設を推進したいと存じます。
 また、体育・スポーツについては、昨年十二月、保健体育審議会からなされた「体育・スポーツの普及振興に関する基本方策について」の答申の趣旨に沿って、体育・スポーツ施設の整備、指導者の養成確保、地域住民のスポーツの普及振興等の諸施策を推進してまいる所存であります。特に、体育・スポーツ施設の整備については、学校体育施設のほか、日常生活の中で気軽に利用できる公共社会体育施設の整備に格段の努力を払ってまいりたいと存じます。また、本年五月には、沖繩県において復帰記念沖繩特別国民体育大会が開催されますが、関係各位の協力を得て、本大会の成功を期したいと考えております。
 次に、文化の振興について申し述べます。
 経済的に繁栄するわが国にとっていま大事なことは、国民一人一人が、心を豊かにし、品格のある人間になることだと存じます。それには、文化の振興普及のための諸施策を格段に進める必要があると考えます。わが国が世界に誇る幾多の貴重な文化的遺産を適切に保存し、広くその活用をはかるとともに、伝統を承継しつつ新しい時代にふさわしい芸術文化の振興に意を用い、さらに国民各層がこれら芸術文化に親しむ機会を拡充したいと存じます。
 このため、昭和四十八年度においては、特に地方における文化の振興をはかるため、文化会館等の建設助成の拡充、青少年芸術劇場及び移動芸術祭の内容、規模の充実をはかるとともに、新たに文化会館等の行なう文化事業への助成を行なうこととし、さらに、広く芸術文化活動の促進をはかるため芸術関係団体への助成の拡充、芸術家等海外派遣の増員等を行なうことといたしております。文化財の保護の施策としては、史跡等の土地の買い上げ及び環境整備、天然記念物の保護増殖、国宝・重要文化財の修理、防災及び買い上げ等の施策を拡充し、文化財の保存、活用のために努力してまいる考えであります。
 最後に、教育・学術・文化の国際交流について申し述べます。
 近年わが国の国際的地位は、飛躍的に向上し、国際社会においても重要な役割りをになうこととなり、教育・学術・文化の国際交流を推進することはますます重要な課題となつてまいりました。
 文部省におきましては、今日の国際化時代に対応し、抜本的施策を樹立するため、教育・学術・文化の分野における国際交流について、昨年六月以来中央教育審議会に御審議いただいておりますが、留学生の受け入れ及び派遣、学術交流、教員の海外研修、芸術・文化の交流等の諸事業を、ユネスコ等の国際機関を通ずるもの、あるいは、個々の諸外国との間で行なうもの等それぞれ強力に推進するとともに、邦人子女の教育援助事業の拡充をはかつてまいりたいと存じます。また、昨年十二月の国連総会において創設が決定された国連大学のわが国への誘致について努力いたしてまいる所存であります。
 以上、文教行政の当面する主要な問題について所信の一端を申し述べましたが、その他の諸問題についても、文教委員各位の御協力と御支援を得て、その解決に努力する所存であります。何とぞよろしくお願いいたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(永野鎮雄君) 引き続いて、昭和四十八年度文部省関係予算について説明を聴取いたします。奥野文部大臣。
#8
○国務大臣(奥野誠亮君) 昭和四十八年度文部省所管の予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、文部省所管の一般会計予算額は一兆四千二百億五千二百七十一万九千円、国立学校特別会計の予算額は四千六百四十五億三千七百十三万四千円でありまして、その純計額は一兆五千十五億一千六百五十一万一千円となつております。
 この純計額を昭和四十七年度の当初予算額と比較いたしますと、二千五百十七億四千百三十九万三千円の増額となり、その増加率は二〇・一%となっております。
 以下、昭和四十八年度予算において取り上げました主要な事項について御説明申し上げます。
 第一は、教育改革に関する基本施策の推進に関する経費であります。
 四十八年度は、四十七年度に引き続き、中央教育審議会の答申の趣旨に沿って、教育改革のための基本的な施策の一そうの推進をはかることといたしております。そのおもなものを申し上げますと、まず教育改革に取り組む文部省の行政体制の整備についてであります。四十七年度においても、文部省の機構について一部の整備を行ないましたが、四十八年度においては、高等教育の改革と計画的な整備充実を推進する体制を整備するとともに、学術の振興及び教育・学術・文化の国際交流・協力を推進する体制を整備充実するため、大学学術局及び日本ユネスコ国内委員会事務局を廃止して、新たに大学局及び学術国際局を設置し、学術国際局にユネスコ国際部を置くことといたしました。
 次は、教員の資質の向上と待遇の抜本的改善についてであります。教育界にすぐれた人材を誘致するため、四十八年度を初年度として年次計画を立て、教員の処遇の抜本的改善をはかることとし、四十八年度においては、さしあたり、その中心となる義務教育教員の給与について、給与の一〇%に相当する額の三カ月分百三十六億円を財源措置として計上いたしました。また、教員の資質向上のため、新たに長期研修等の充実に必要な代替の非常勤講師の手当について補助を行なうことといたしました。教職員の海外派遣については、教職員の国際的視野を広めるため、これを大幅に拡充することとしたほか、新たに国立大学の教員養成学部学生についても海外派遣を行なうことといたしました。なお、新構想の教員養成大学・大学院についても調査を行なうことといたしました。
 次に、幼稚園の普及充実につきましては、四十七年度に引き続き、公私立幼稚園の計画的増設を進めるため、施設設備の助成に要する経費を増額するとともに、父兄の経済的な負担の軽減をはかり、幼稚園教育の普及に資するため、幼稚園就園奨励費補助を大幅に拡充するほか、幼稚園教育内容の改善等に関する調査研究等を行なうこととし、これらに要する経費四十八億円を計上いたしました。
 次に、特殊教育の拡充整備につきましては、養護学校の新設、特殊教育諸学校幼稚部の増設、小・中学校における特殊学級の増設等を重点として、特に養護学校については、なるべく早い機会に義務制に移行することを目途として、養護学校既設置県における新設養護学校の施設に対しても国庫負担率を引き上げることとするほか、就学援助の拡充、養護訓練設備の整備等をはかることといたしました。また、重度・重複障害児の教育内容方法等の研究に資する教育の場として、新たに国立久里浜養護学校(仮称)を設置するとともに、国立特殊教育総合研究所においては、心身障害児の早期教育の研究を行なうことといたしました。
 次に、高等教育の改革に関する施策のうち、筑波大学につきましては、四十八年十月に開学し、第一学群、体育専門学群、医学専門学群について、四十九年四月から学生を入学させることとして、必要な教職員定員の確保、施設の整備等のため、五十四億円を計上いたしました。
 放送大学につきましては、教育実験放送実施委託、学習体系モデル試作等実施調査をさらに進め、また、新たに技術科学系の新高等教育機関構想に関する調査を実施することといたしました。
 また、自然の環境に恵まれた新学園建設のための基本的事項の調査、新学園モデルプランの作成等を行なうため、新たに新学園建設等調査費を計上することといたしました。
 なお、教育改革の基本施策の策定に資するため、先導的試行に関する調査研究をはじめ、高等教育改革推進会議の研究協議、大学入学者選抜制度の改善準備調査等を実施するとともに、教育改革について国民各層の理解と支持を得るため、教育改革連絡協議会、地方における懇談会の開催等、広報広聴活動についても配慮いたしました。
 第二は、初等中等教育の充実に関する経費であります。
 教員の待遇の改善、幼稚園教育の振興等につきましては、前述したとおりでありますが、その他の当面する諸施策のうち、義務教育諸学校の教職員の定数につきましては、引き続き年次計画による定数の増員及び特殊学級の増設に伴う定数の増員を行なうこととしたほか、旅費単価の改定等を行なうこととし、給与費にかかる義務教育費国庫負担金としては、前述の給与改善分を含め総額七千百六十九億円を計上いたしました。
 次に、教材につきましては、義務教育諸学校の教材について引き続き年次計画による充実をはかるほか、新たに、高等学校についてもクラブ活動の必修化に伴い、必要な設備の整備について補助を行なうことといたしました。
 次に、義務教育教科書の無償給与につきましては、四十八年度前期用教科書から購入価格を一一・二%引き上げることとし、これに要する経費を計上いたしました。
 次に、理科教育設備につきましては、年次計画による整備のほか、学習指導要領の改定に即して、小・中学校に引き続き高等学校及び特殊教育諸学校について基準の改定を行ない、これに必要な経費を計上するとともに、産業教育につきましては、一般施設、設備等の整備を進めるほか、新たに、普通科等における家庭科教育施設の整備について補助を行なうことといたしました。
 次に、高等学校の定時制及び通信制教育につきましては、新たに定時制の第一学年の生徒に対して教科書を給与することとするほか、通信制教育運営費補助の増額等をはかることといたしました。
 次に、僻地教育につきましては、新たに、高度僻地の学校の児童生徒が修学旅行に参加する費用について補助するとともに、スクールバス、教員宿舎等の施設設備の充実につとめる等僻地教育の改善をはかることといたしました。
 次に、教職員の現職教育につきましては、前述のように、海外派遣の大幅拡充等を行なうほか、筑波研究学園都市に、教職員の長期宿泊研修施設として、四十七年度から国立教育会館分館の建設に着手しておりますが、四十八年度後半にはその事業の一部を開始する予定であります。なお、従来からの教職員の諸研修についても引き続きその充実をはかることといたしました。
 次に、学校給食の普及充実につきましては、学校給食施設について補助対象面積の引き上げをはかる等施設整備の充実につとめるとともに、学校栄養職員について新たな年次計画をもつて増員を行なうことといたしました。また、従来の学校給食用小麦粉購入費補助につきましては、従来の構想を改めて学校給食用小麦粉供給事業費補助として実施することといたしました。なお、新たに、学校給食の改善充実に資するため学校給食改善研究指定校の事業を実施することといたしました。
 次に、公害対策につきましては、新たに学校環境緑化を進めるため、大気汚染地区及び市街地区の学校校庭の芝張り、校地周囲の植樹を実施するとともに、小・中学校の移動教室、公害防止工事等の一そうの拡充をはかるほか、学校施設の公害対策に関する調査研究を行なうことといたしました。
 次に、公立文教施設の整備につきましては、小学校屋内運動場、児童生徒急増市町村における小・中学校校舎等について国庫負担率の引き上げを行なうとともに、超過負担の解消及び物価上昇を織り込んだ建築単価の改善、小・中学校校舎補助基準面積の改定、事業量の増加、構造比率の改善等をはかることとしたほか、校地の確保のための児童生徒急増市町村の公立小・中学校施設特別整備事業について、事業量の拡大及び単価の改定を行なうこととし、四十七年度に対し、四七%増の一千七十七億円を計上いたしました。
 以上のほか、教育内容の改善、道徳教育の徹底、生徒指導の充実、就学援助の強化、同和教育の推進等各般にわたる施策の拡充に必要な経費を計上いたしました。
 第三は、高等教育の整備充実に関する経費であります。
 国立学校特別会計の予算につきましては、四十七年度の当初予算額と比較して六百六十八億円の増額を行ない、四千六百四十五億円を計上いたしました。その歳入予定額は、一般会計からの受け入れ三千八百三十一億円、借入金六十二億円、その他自己収入七百五十二億円であり、歳出予定額は、国立学校運営費四千八億円、施設整備費等六百三十七億円となっております。
 高等教育につきましては、前述いたしましたように教育改革施策として、筑波大学の創設、放送大学等新構想による大学の実施調査等を進めることとしておりますが、一方、従来から懸案の国立学校の整備等につきましては、一医科大学及び二医学部の創設をはじめ、大学院研究科の設置、学科の新設、改組等を社会的要請を勘案しつつ実施することとし、一千九百人を上回る入学定員の増員をはかることといたしました。また、国立学校における学生、教官当たりの積算校費、教官研究旅費、設備費等の基準的経費につきましては、それぞれ改善充実をはかることといたしました。
 次に、医学教育の充実につきましては、旭川医科大学の創設、山形大学及び愛媛大学の医学部の創設、東北大学の医療技術短期大学部の創設をそれぞれ行なうとともに、北海道大学をはじめ六大学において学生定員の増員をはかるほか、医科大学ないしは医学部の創設準備費を三大学に計上するとともに、医学・歯学および看護等の大学・学部の設置に関する調査を行なうことといたしました。
 また、新たに公立の医科大学等につき経常費の補助を行なうこととしたほか、国立大学医学部等の関連教育病院に対しても設備費の補助を行なうことといたしました。
 また、国立大学附属病院の整備につきましては、三重大学医学部に附属病院を新設するほか、既設病院については、中央放射線部等の中央診療施設に重点をおいて整備をはかるとともに、看護業務要員の増員を行ない、また、非常勤医師給与、夜間看護手当、患者給食費等についてそれぞれ改善を行なうことといたしました。
 次に、教員養成の改善充実につきましては、前述のとおり新構想の教員養成大学・大学院について調査を行なうほか、国立大学の教員養成学部について特殊教育及び幼稚園教育の教員養成課程の新設、小学校教員養成課程の学生定員の増員、附属養護学校等の新設等を行なうとともに、教員組織、設備等の充実をはかることといたしました。また、教員資格認定制度を拡充し、高等学校教員について種目を増加するほか、新たに特殊教育諸学校教員及び小学校教員についても実施することといたしました。
 次に、国立高等専門学校につきましては、新たに八代・徳山工業高等専門学校(仮称)の創設準備費を計上するとともに、既設校についても教官の増員、設備の充実等につとめることといたしました。
 次に、学生の厚生補導につきましては、引き続き多角的かつ総合的にこれを行なうこととし、合宿研修等の拡充、体育施設設備の整備充実、保健管理センターの新設等をはかることといたしました。
 次に、公立大学につきましては、前述の医科大学等経常費補助のほか、教育研究設備の充実、在外研究員の派遣人員の増員等を行なうことといたしました。
 第四は、学術の振興に関する経費であります。
 学術の振興につきましては、まず重要基礎研究の推進をはかるため、全国共同利用の研究所として国立極地研究所を、また、東京医科歯科大学に附置して難治疾患研究所を、名古屋大学に附置して水圏科学研究所をそれぞれ創設するとともに、国立民族学研究博物館(仮称)の創設準備を行なうこととするほか、近年設置された高エネルギー物理学研究所および国文学研究資料館の整備計画を進め、その他の既設の研究所についても所要の整備をはかることといたしました。また、南極地域観測事業、科学衛星及びロケット観測事業等につきましても、引き続き拡充をはかることといたしました。
 次に、科学研究費につきましては、すぐれた基礎研究の一層の進展を期するため、百十八億円を計上し、また、学術の国際交流につきましても、諸施策の充実をはかることといたしました。
 第五は、私学の振興に関する経費であります。
 私学の振興につきましては、まず、私立大学等の人件費を含む経常的経費の助成について、専任教員及び専任職員の給与費補助の拡大をはじめ、教員経費及び学生経費についても充実をはかり、四十七年度に対し四四・一%増の約四百三十四億円を計上いたしました。
 また、日本私学振興財団の貸し付け事業については、政府出資金十億円を計上するとともに財政投融資資金からの借り入れ金として二百三十一億円を確保いたしました。
 第六は、社会教育の振興に関する経費であります。
 社会教育の振興につきましては、まず、社会教育の指導者層の充実をはかるため、四十七年度から市町村に設置している社会教育指導員を大幅に増員するための経費を計上するとともに、引き続き社会教育主事等の養成、研修につとめることといたしました。
 次に、社会教育施設の整備につきましては、公民館、博物館及び少年自然の家を重点として大幅な増額を行なうとともに、国立婦人教育会館(仮称)、国立第十二青年の家(仮称)及び国立少年自然の家(仮称)の設置を行なうこととし、四十七年度に対し、六一・二%増の五十二億円を計上いたしました。
 また、社会教育事業につきましては、新たに高齢者の学習活動を促進するため、市町村の開設する高齢者教室に対して補助を行なうこととするほか、幼児のための家庭教育相談事業を大幅に拡充するとともに、視聴覚教育指導者研修の実施、視聴覚ライブラリー設備の充実等につとめることといたしました。
 第七は、体育・スポーツの振興に関する経費であります。
 体育・スポーツの普及振興につきましては、広く国民が日常生活の中で体育・スポーツを実践し、健康の増進と体力の向上をはかり得るよう、日常の生活圏域における水泳プール、国民体育館、国民運動場等の体育・スポーツ施設を重点として整備するとともに、学校における水泳プール等の体育施設の整備を推進することとし、四十七年度に対し七一・五%増の七十億円を計上いたしました。
 また、体育・スポーツの普及奨励事業につきましては、指導者の養成、スポーツ教室の開設、モデル市町村の設置等を行なうこととするほか、スポーツ団体の助成等についても充実をはかることといたしました。
 第八は、芸術文化の振興と文化財保護の充実に関する経費であります。
 まず、芸術文化の振興につきましては、特に地方芸術文化の振興に重点を置き、その拠点となる文化施設の建設を促進するとともに、これらの施設を利用してすぐれた芸術文化を国民が身近に享受できるようにするため、新たに地方文化施設の事業に対し助成を行なうこととしたのをはじめ、地方在住の青少年あるいは一般成人の芸術鑑賞の機会を豊富にするため、青少年芸術劇場及び移動芸術祭の充実をはかることといたしました。また、芸術関係団体の助成、芸術家の在外研修等につきましても拡充をはかることといたしました。
 また、国立の美術館、博物館における陳列品の購入、特別展の開催、施設の整備等につきましても所要の経費を計上するとともに、第二国立劇場の設置に関し、引き続き具体的な調査検討を進めることといたしました。
 次に、文化財保護の充実につきましては、まず、平城宮跡、藤原宮跡及び飛鳥地域の史跡地の国による買い上げを行なうとともに、地方公共団体に対する史跡地の買い上げ補助については補助率を大幅に改善するなど、その推進をはかることとし、また、これらの保存整備、発掘調査等についても所要の経費を計上いたしました。
 また、国宝・重要文化財等の保存整備につきましては、国有文化財である建造物等の保存修理をはじめ、国宝・重要文化財等の保存修理、防災施設等の整備、天然記念物の保護増殖等についての補助の拡充をはかるとともに、国宝・重要文化財等の国による買い上げを促進するほか、無形文化財の保護の強化につきましても、所要の措置を講ずることといたしました。
 なお、国立歴史民俗博物館につきましては、四十七年度に引き続き設置準備を進めるとともに、地方の歴史民俗資料館設置についても引き続き補助を行なうことといたしました。
 第九は、教育・学術・文化の国際交流の拡大に関する経費であります。
 まず、国連国際大学につきましては、昨年十二月の国際連合総会において設置が決定され、具体的に設立準備が開始されることとなりましたので、わが国といたしましては、設立準備に積極的に参加協力することとし、所要の経費を計上することといたしました。
 次に、留学生教育につきましては、費外国人留学生について採用数の増員と給与の増額、私費外国人留学生について医療費補助の充実等をはかるとともに、海外派遣留学生の増員を行なうことといたしました。
 次に、研究者の交流につきましては、在外研究員の派遣、国際研究集会研究員の派遣、国際科学協力事業による派遣等それぞれ人員の増員をはかるとともに、外国人研究員の招致についても人員の増加、滞在費の改善等につとめることといたしました。
 次に、アジア・アフリカ諸国への教育協力につきましては、ユネスコを通じて新たにユネスコ技術援助専門家の派遣、教育工学セミナーの開催、微生物学国際大学院コースの設置等を行なうとともに、ユネスコ・アジア文化センター等の協力事業の拡充をはかることとしたほか、引き続き教育指導者の招致とわが国からの理科教育等の専門家の派遣等を実施することといたしました。
 なお、芸術家在外研修、芸術関係団体の国際交流事業の実施、外国人に対する日本語教育の振興、海外勤務者子女教育の充実等につきましてもそれぞれ所要の経費を計上いたしました。
 以上、昭和四十八年度の文部省所管の予算案につきまして、その概要をご説明申し上げた次第であります。何とぞ、よろしくご審議くださいますようお願い申し上げます。
#9
○委員長(永野鎮雄君) おはかりいたします。
 お手元に配付してあります昭和四十八年度文部省所管予算案概要補足説明につきましては、説明聴取を省略し、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(永野鎮雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 以上をもちまして、昭和四十八年度における文教行政の重点施策及び文部省関係予算についての説明聴取を終わります。
 本件に関する質疑は後日に行ないます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午前十一時十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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