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1972/06/21 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 文教委員会 第13号
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1972/06/21 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 文教委員会 第13号

#1
第071回国会 文教委員会 第13号
昭和四十八年六月二十一日(木曜日)
   午前十時九分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         永野 鎮雄君
    理 事         
                久保田藤磨君
                楠  正俊君
                宮之原貞光君
                安永 英雄君
    委 員         
                志村 愛子君
                塩見 俊二君
                大松 博文君
                中村 登美君
                濱田 幸雄君
                二木 謙吾君
                宮崎 正雄君
                小林  武君
                鈴木美枝子君
                松永 忠二君
                内田 善利君
                萩原幽香子君
                加藤  進君
       発  議  者  宮之原貞光君
       発  議  者  松永 忠二君
       発  議  者  内田 善利君
   国務大臣
       文 部 大 臣  奥野 誠亮君
   政府委員
       警察庁刑事局保
       安部長      綾田 文義君
       文部大臣官房長  井内慶次郎君
       文部大臣官房会
       計課長      三角 哲生君
       文部省初等中等
       教育局長     岩間英太郎君
       文部省管理局長  安嶋  彌君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡辺  猛君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部少年調査官  星野哲次郎君
       文部省大学学術
       局審議官     安養寺重夫君
   参考人
       国士館大学理事
       法学部教授    中村 宗雄君
       和光高等学校生
       徒部主任     葛西菊太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○教育職員免許法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法
 律案(宮之原貞光君外二名発議)
○学校教育法の一部を改正する法律案(松永忠二
 君外二名発議)
○公立障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定
 数の標準に関する法律案(松永忠二君外二名発
 議)
○公立障害児教育諸学校に係る経費の国庫負担に
 関する法律案(松永忠二君外二名発議)
○図書館法の一部を改正する法律案(内田善利君
 外一名発議)
○学校給食法の一部を改正する法律案(内田善利
 君外一名発議)
○教育、文化及び学術に関する調査
 (国士館大学に関する諸問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(永野鎮雄君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。教育、文化及び学術に関する調査のため、本日、委員会に参考人として和光高等学校生徒部主任葛西菊太郎君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
#3
○宮之原貞光君 委員長。
#4
○委員長(永野鎮雄君) 宮之原君。
#5
○宮之原貞光君 和光のほうはかまいませんが、きのう理事会で要求しましたいわゆる国士館のほうが、まだ向こうが来ぬというのなら、それをもっと執拗に私は要求すべきだと思う。それをここでは、まだ時間があるのにそれをここからはずしておるということは、どうにも私は納得できませんね。そんな国会の権威がどうだっていったって、まだ午後まで時間があるのだから、それをやってもらわなければ困りますよ。そういうことだったら、私は委員会を開く前に理事会でも開いてもらいたい。だてや酔狂で参考人を私どもは呼ぶことを要請しているわけではない。いま直ちに参考人が来てどうだというので、時間的にどうだというのなら話はわかりますけれどもね。
#6
○委員長(永野鎮雄君) 速記をとめて。
  〔午前十時十分速記中止〕
  〔午前十時二十一分速記開始〕
#7
○委員長(永野鎮雄君) 速記を始めて。
 それでは、理事会を開くために、しばらく休憩いたします。
   午前十時二十二分休憩
     ―――――・―――――
   午前十一時三十六分開会
#8
○委員長(永野鎮雄君) これより文教委員会を再開いたします。
 休憩前に中断いたしました参考人の出席要求に関する件について、理事会の協議結果に基づき、あらためておはかりいたします。
 教育文化及び学術に関する調査のため、本日の委員会に参考人として国士館大学理事、法学部教授中村宗雄君及び和光高等学校生徒部主任葛西菊太郎君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(永野鎮雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#10
○委員長(永野鎮雄君) 義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続いて質疑を行ないます。
 質疑のある方は御発言を願います。
#11
○安永英雄君 現在、町村合併の促進法が二十八年にできまして、それ以降学校の建築助成費等が出されまして、学校統合の促進がはかられておるわけでありますが、まず、これは年限切りますが、四十五年、四十六年、四十七年、ここらあたりの中で助成金を出しておる件数についてお尋ねいたしたいと思います。
#12
○政府委員(安嶋彌君) まず四十五年度でございますが、小学校百七十七件、中学校二百三十七件、それから四十六年度でございますが、小学校二百十三件、中学校二百六十九件、次に四十七年度でございますが、小学校二百二十六件、中学校二百五十件ということになっております。
#13
○安永英雄君 そして今日まで、その促進法ができて、助成の制度ができて、そうして相当数が合併または統合を行なっておるという状態でありますが、今後の見通しはどうですか。
#14
○政府委員(安嶋彌君) ただいま申し上げました件数でもおわかりかと思いますが、今日までは件数が漸増する傾向にあったということができるかと思いますが、今後の見通しといたしましては、統合の比較的容易なものは大体峠を越したと申しますか、ほとんど出尽くしたのではないかという感じを持っておりますので、おそらく今後は横ばいというような形で推移するのではないかというのが私どもの見込みでございます。
#15
○安永英雄君 この学校の統合をめぐって全国各地で相当トラブルが起こっておることは承知いたしておりますが、大体事の起こりは、やはり住民の理解といったものがなかなかいかないということでトラブルが起こっておるわけですけれども、時間がありませんから端的にお聞きしますけれども、そういった中で助成金というものを一応文部省としてはストップした、こういった例がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
#16
○政府委員(安嶋彌君) 四十七年度の例で申しますと、補助金の申請がございましたけれども、補助金の交付対象としなかった例といたしましては、当委員会でも問題になりましたけれども、茨城県の関城町の東小学校、それから茨城県の常陸太田市の太田小学校という例がございます。それから、補助金の認定はいたしましたけれども交付決定に至らなかったというケースといたしましては、福岡県の北野町の北弓削小学校というような例がございます。
#17
○安永英雄君 これは一部の問題ですけれども、そういったいろんな事情がそれぞれケースが違うと思いますけれども、なかなか話がつかないし、そういった場合の助成金のストップ、こういった場合は、県のほうから一ぺん出しておったものをこういった事情でありますから申請を取り下げますと、こういうふうにやるのと、いま茨城県の関城町あるいは常陸太田市の例等は、県のほうなりあるいは市町村のほうがそちらのほうに申請をしていても、文部省のほうでいろいろ調査をしてみまして、これはやはりここで助成金を出すということはますます紛争を拡大していくとか、あるいは教育上の配慮からいっても適当でないということでストップをかけられるというふうなケースでしょうか。そこのところどうでしょうか。
#18
○政府委員(安嶋彌君) 最初に申しました茨城県の二つのケースは、これは県を通じまして市町村から申請があったわけでございますが、文部省で審査をいたしておりまする過程におきまして、住民の反対ないしは学校統合自体のいろいろな問題が明らかになりまして、文部省で認定ないし交付決定をしなかったというケースでございますが、あとで申し上げました北野町の場合は、これは認定はいたしたわけではございますが、その後、町当局から自発的に取り下げの申し出があったということでございまして、いろいろなケースがあるわけでございます。
#19
○安永英雄君 私は、具体的な例を出して特に産炭地域における学校の統合の問題についてお伺いをしたいと思うのです。
 促進法あるいは助成措置、これは全国一つの形というもので文部省のほうは配慮をされておるようでありますけれども、私は、この産炭地における小中学校、特に小中学校の統合という問題については特別な配慮というものを加えなければならぬのではないかと思うのです。言いかえますと、僻地、離島、いわゆる過疎地域、これと同じように、炭鉱の廃山、閉山、これによって突然に――突然にと言ったらことばがあれかもしれませんけれども、じわじわでなくて、いわゆる国の経済政策、こういったものから急転直下、いままですごく人口密度の高かったところが一挙に過疎になってしまう、こういう特異な過疎現象を起こしていくわけですから、そこはやはり僻地、離島とか、いわゆる一般の過疎地域における統合問題とは違った性格を持っておるし、問題も深く、そして複雑な内容を持っておるということを配慮して行なわなければならぬのではないかということですが、この点、いままで産炭地域における統合問題については特別そういった配慮をされたことがあるかどうか、まずお伺いしたい。
#20
○政府委員(安嶋彌君) 産炭地域に対する補助の問題でございますが、ただいま御指摘のように、炭鉱の閉山等の特殊事情によりまして人口が急激に減少しておるというような事態があるわけでございますが、そうした事態に対しまして、御承知のとおり、昭和三十六年に産炭地振興臨時措置法というものが設けられておるわけでございます。この内容といたしましては、小中学校、それから幼稚園の施設整備につきましては、当該市町村の公共事業の全体の実施事業量あるいは財政力に応じまして補助率のかさ上げをするということになっておるわけでございまして、御承知のとおり、通常の補助率の二五%増しまでのかさ上げが行なわれるわけでございます。したがいまして、学校統合は、これは通常の場合が二分の一の補助でございますから、かさ上げが最高に行なわれたという場合には六二・五%までの補助が行なわれるいうことに相なるわけでございます。この比率は、先ほど申し上げましたように、各町村の公共事業の事業量あるいは財政力によって異なるわけでございますから、学校統合の場合でございますと五一%から六二・五%までの幅があるわけでございますが、最高は五二・五%ということになっておるわけでございます。そうした措置で対策を講じておるわけでございます。
#21
○安永英雄君 私は、一応いまお答えになったように、補助率等は確かに配慮が行なわれておると思いますけれども、産炭地におけるこの過疎現象、これに対して教育的な配慮というものをさらに加えなければならぬのではないかということを言いたいわけです。いまのはいわゆる町村財政とか、何とかというものに対する優遇措置というものを考えておるわけでありますけれども、私は、時間がありませんから例を申し上げてみたいと思いますけれども、産炭地域のまっただ中にあります福岡の稲築町というところがあります。この稲築町はほとんど炭鉱の町であったわけで、三十六年度あたりでは人口が四万三千二百八十六という、これは全国でも町村の人口からいえば何番目かに当たる大きな人口を抱えた町村でありますが、それが現在では二万三千程度に下がっておる。こういう状態は、この間に炭鉱がすべて廃山、閉坑を続けていった結果でありまして、とにかくすごい過疎現象を呈しておる、こういう地域なんです。そのかわりとしての産業改造というものも、なかなか立地条件等が悪くて、あとの工場誘致等もなかなか進まない、こういう地域であります。そこで、他の山間僻地の過疎と違いまして、ここでは、生活保護を受けるような状態に一挙になる。いまでも、かつては八百三十九人くらいの保護世帯であったわけでありますけれども、現在では一挙に千三百四十七世帯、こういうふうに一挙に保護世帯がふえる、こういう状態の変わり方をしているわけです。
 そこで、もちろん大きな学校の校舎は生徒が一挙に足らなくなりますから、がらあきの状態になってくるわけでございますが、その町村がいま説明された財政上の関係からもやはりこの際統合をしたいということで、いまこれを議会に提案をして一挙に統合案を可決しようという動きがあるわけであります。その町村では平小学校、鴨生小学校、稲築小学校という三つの小学校と稲築中学、稲築東中学、この中学二校があるわけです。それを小学校を二校に、中学校を一校にという統合案を出しているわけですが、これについて地元の父兄、住民はこれに一斉に反対をしておるということでありまして、平小学校のごときはそこの有権者数が三千八百でありますが、そのうち三千三百はこれについて反対をする、ほとんどすべてがこの統合案については反対をする、他の方も続続反対あるいはもう少し議会で住民の意思を聞いて、事教育の問題でありますから、慎重にこの統合は検討をすべきであるという意見が圧倒的であります。町当局は、それに対してぜひ実施をしたい、議会で決議して直ちに統合の実施に移りたいというふうな強い意向もあるということで、いわば町民対執行部というふうな形の中で激しい署名活動、運動等も起こっておるし、そういう形式的なことじゃなくて、激しい反対ののろしをあげておる、こういう状態なんです。したがって、私が言いたいことは、ここで、現地に私も行ってみましたけれども、たとえば茨城県で起こりましたような統合の問題とは違いまして、すべての人が、しかも通学距離が非常に遠くなるとか、あるいは部落ごとの、あるいは旧学校区のエゴなんとかいうのがえてして出てくるわけでありますが、そういうものがない。通学距離も非常に遠くなることももちろんですけれども、ここではやはり私は特異な反対の理由があるので、この点先ほどから申しますように、補助という問題についても、教育的な中まで突っ込んだ配慮が要るのじゃないかということを申し上げたいわけです。
 そこで、他の統合問題の紛争と違った点というのは、いわゆる産炭地特有の教育についての相当根深い教育をやらないと、とにかく次代をになう地元の青少年の将来あるいはまた町の復興のためにも統合されては非常に困るという、いわゆる教育的な配慮が非常に入っているということに私は驚いたわけです。
 そこで、私は調べてみたんですけれども、先ほども申しましたように、保護世帯が非常にふえている。そこには家庭の中の家庭教育はもちろんのことですけれども、子供と親との対話も全くない、こういう荒廃した家庭になっておる。その中で、学校教育というのは大きくやはり期待されるわけです。いわば学校に教育はおまかせだと一般にも言われますけれども、ここではもう学校教育が一番果たさなきゃならぬことで、教育委員会当局も、あるいは教員も必死になって産炭地域特有の教育に取り組んでおるわけです。その点を配慮して反対が非常に強いというのであるわけで丸たとえば、私はかつても申し上げたことがあるわけですけれども、統計をとったのを持ってきたわけでありますけれども、この町村内の学校の生徒の実態からいいますと、家出、こういうのは二十三件、三十五人が一年間のうちにやっている。あるいは窃盗、これあたりが八十九件、八十四人の生徒、児童がこの窃盗を行なって警察の世話になっている。暴力事件というもので十五件、十六人の生徒がそういったことを行なっておる。恐喝、これあたりが二件で四名が警察からあげられている。たばこを吸う、こういったものが三十一件、四十三人がたばこをのんでおる、これを補導されておる。それから不純異性行為、こういったことでも四人もそういった生徒が出ておる。それから放火、火遊び、こういったことでも一件行なわれておる、学校に来ない、こういったいわゆる怠学、学校をなまける、こういったのが年間で八百四十件、三百十八名の生徒、児童が怠学をしておる。そのほか不健全娯楽あるいは道路交通違反とか、飲酒、こういったことがこの地域における生徒、児童の実態の一たんであるわけです。
 したがって、今日までこれに対して文部省としても、この地域には教育的な配慮として、いわゆる生活指導を行なう先生というものを特別な配慮をしていることも私はよく知っているわけです。この点については、私も五年間、法律案もあるときには出して、文部省に対して要求を続けたわけでありますが、これは初中局長のほうからお聞きしたいと思いますけれども、そういった産炭地域における教育という問題から文部省が配慮したという点についてあれば、ひとつお答えを願いたいと思う。
#22
○政府委員(岩間英太郎君) ただいま先生からも御紹介いただきましたように、従来から産炭地域等につきましては、生徒指導担当の教員の増配などの要望がございました。私どもも四十四年以来の五カ年計画におきまして、産炭地域を含めまして、いわゆる教育困難地域というものに対しましては教職員の増配をはかってきたわけでございます。それからさらに産炭地域を有する県につきまして、教職員の定数についての最低保障の制度というものも多少は役に立っているんじゃないかというふうな気がするわけでございます。そのほか、ただいま先生から御指摘になりました要保護、準要保護児童、生徒が非常にふえるというふうな実態がございます。それに対しましても、私どもそういうふうな実情があれば、これは遠慮なく申し出て実態に即するように、それに対応するというふうな方針をとっているわけでございます。いろいろな面から私どもも配慮しているわけでございますけれども、先生からもいろいろ従来から御指摘ございまして、足らざる点につきましては今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#23
○安永英雄君 確かに産炭地域における教育の問題で、そういった定数上の問題とか、あるいは生徒指導に直接関係する経費等も一部文部省としての配慮を願ったわけでありますけれども、私は今度のこの稲築の統合問題についてつくづく感ずることは、私のほうで文部省に折衝し、今日まで実現をしていない、このことを仕上げて、それから統合という問題を考えていかないとたいへんなことになるんじゃないかというふうなことで私はいま聞いたんです。端的に申しますと、先ほど申しましたように、昭和三十三年あたりでは小学校でこの町村では八千七百三十四人おったんです。それがいまでは千九百八十三名、こういうように減っている。中学校では三十七年ごろに四千百四十、これだけの生徒がおったのが一挙に千三百七十一というふうに減っていくんですね。したがいまして、現在の入っております小学校三、中学校二の校舎はその当時の校舎ですから教室があくわけです。それから一学級の生徒の数が少なくなるわけです。言いかえますと、文部省のほうが、私が言い続けてきた定数に法律や配慮を加えないで、そういった炭鉱の閉山によりましてそういった状態に現実になってきておるということなんです。おかしなことですけれどもなってきている。私は、法律案でも出して文部省のほうにも要求したんでありますけれども、一学級三十五人、このくくりにしてもらいたい、それから二つの学年の児童が一緒になって編成している学級というのは十五名、それからもう制限なしに養護、事務職、これはどこも、どんなに小さくなった学校でも置いてもらいたい、必置をしてもらいたい、こういうことを要求し続けてきたわけですけれども、これがなかなか実現をしなかった。もう時間がありませんから詳しくは申しませんけれども、なぜ三十五人にしなければならぬかというのは想像つくと思います。先ほどの非行の問題等も考えた場合には、どうしても一つの学級のくくりを小さくして――ほんとうにここは個別指導なんですよ。学校には来ない。その子供をさがし求めて先生が外に出なければならぬ。もうここの学校の産炭地域における先生というのはもう必死ですよ、夜も昼もありません。超勤手当とか、なんとかいう問題になりますけれども、そんなことを考える間もないくらいに一生懸命やらなければならぬのですよ。もう事務職のごときは生活保護を受けるそのことの事務までとにかく相談に乗り、やっておるわけです。あるいはまた、炭鉱では一斉にどこからなくなるかといいますと病院がなくなる。いままで町医者なんかいないですよ、ここらは。炭鉱の病院に行けばよかったのです。いままでは行きおったのですけれども、その病院がなくなる。そうすると病院も近くにはないということで、学校の養護教諭あたりはそういうところの世話までしておるから、いかに小さくても、福岡では十二学級以下は置けないことになっていますけれども、どうしてもそこのところに置かなければならぬということでやってきたわけです。ところが、この法律案はもちろんできないし、文部省のほうの五カ年計画の中にもなかなかそういった方向にはいかない。で、現実にこの炭鉱の閉山に伴う過疎化ということで現在ではそれに似たような状態になってきている。初めて小学校三、中学校二という学校が、そういう学級数が少なくなったことによって、皮肉にもそういった根深い教育というものができるようになったということは、これは皮肉なことですけれどもなっておるわけです。
 そこでいま、先ほども申しましたような圧倒的な数の人が合併に反対というのは、そこのことについて理解をよくしているものですから反対をするわけです。ただ単にいい校舎ができて、二階建て、三階建ての校舎ができて、そこに行けばいいんだというような喜びなんて全くないんで、いまの地域にそのまま学校を置いて、古くなればその学校をそのままひとつりっぱな校舎をつくってもらいたい、こういうところなんです。というのは、もうおわかりと思いますけれども、これが二校になる、そうすると、あなた方のほうの文部省の考え方では統合する。学級編成というと、これは少なくとも四十五のくくりで、統合された学校では、教室はりっぱなものかもしれぬけれども、入っている生徒数というのは、これはもうそういった配慮は何もないわけですから、少なくとも四十五は詰め込まれるというふうな形になってくる。そうすると皮肉にも、そういった産炭地特有の教育に打ち込んでおったのが、統合ということによって非常にまたかつてたくさんすし詰めで苦労しておったあの時代と同じような状態になってくるし、私は現地に行きましたけれども、膨大な資料も用意を私にしてくれたんですけれども、この子らに罪はないというので、これは稲築の教育委員会と稲築町の指導主事の会がほんとうに血のにじむようなその実践記録というのをうず高く私に見せてくれたわけですけれども、この教育というのが統合されるとできなくなってしまうというので、この点の配慮というものをまず仕上げておいて、そうして統合という問題を考えないと、あそこの紛争はもうますますエスカレートしてまいります。この点の紛争というのは、一種他と違って、まあとにかく距離が遠ければスクールバスも文部省も見てやりましょうとか、あるいは離島であればボートや船を遠くに行きましても便利がいいようにいたしますからとか、それから感情問題があればまあまあと、こういってなだめるとかというふうなことであるいは解決するかもしれないけれども、ここの問題は、こういった産炭地特有の教育、こういったものをこの統合の中でするとするならば、どうとにかく解決をして統合に入っていくかという問題が前段の問題としてあるというふうに、私はちょっとこわいような気がいたしました、ここの反対の理由というものは。そこでやはりこれについての対策が早急に必要ではないか。特に明年度からはまた新しい五カ年計画等にも入るというより、もうすでに検討に入っておられると思いますけれども、いままた紛争を起こしている現地については、やはりそういった面の配慮をしなければならぬのじゃないか。ただ、統合すればよろしいという問題ではないような気がする。そういった点で文部大臣のほうで、産炭地の――これは稲築を私は象徴的に申しましたけれども、いまから続々起こってくる問題なんですよ、産炭地は全部。北海道も私この前話を聞きましたけれども、北海道はちょうど福岡あたりの、築豊の十年あとをついて行きおるような状態でありますけれども、少なくとも、ここにもやっぱりそういった状態が起こっているということで、私は過疎対策、そして統合問題とはこの産炭地はちょっと切り離して、ここについての新しい私は文部省の施策というものが必要なような気がするし、それも急な問題じゃないかと思いますが、一応基本的な考え方でも文部大臣からお聞きしたいと思います。
#24
○国務大臣(奥野誠亮君) 学校統合の問題につきましては、やはり基本的に地域住民の十分な理解の上に立って行なわれなければならないということを強く考えているわけでございます。また、そういう見地に立って県の教育委員会も指導に当たってくれていると、こう考えますので、今後問題が起きます場合には、その点に特段の配意をしてまいりたい、また、そうすべきであると、かように考えております。同時にまた、産炭地域の事情につきましていろいろお話がございました。私もいろいろなことで事情を若干心得ているつもりでございます。そういう意味で、教育上の点においても定数の加配なども行なってきているわけでございますけれども、四十九年度から新しい教職員定数改善五カ年計画というものをつくるわけでございますので、そういう際には、こういう点につきましても、さらに検討を加えてまいりたいと、かように考えております。
#25
○安永英雄君 これは、私は産炭地に対する特別な配慮といわゆる学校統合という問題との関係から、こういうことはできませんか。いま現実にあります学校ですね、これをその地域に老朽校舎になったからというのでそこに建てる場合には、産炭地においては統合という財政上の有利性ですね、そういったものを質を高めて、そのまま現地に、その地域に新しく建てる。国の援助その他も統合した場合と同じような条件で建てさせるということはできませんか。文部省の考え方をお聞きします。
#26
○政府委員(安嶋彌君) 現行の負担法の制度でございますと、御承知のとおり、教室につきましては学級数が単位になっておるわけでございますが、学級編成がどういう編成になっておるかというようなことが前提になって、いわゆる資格坪数というものが計算されるわけでございます。屋体につきましては、御承知のとおり、何学級から何学級の場合は何平米といったような基準があるわけでございます。でございますから、現地で改築をするということになりますと、やはり資格坪数の算定というものはその方式によらざるを得ないのではないかと思います。
 ただ、一般の改築でございますと、これは三分の一の補助でございますが、産炭地につきましては、御承知のとおり、さっき申し上げました一般原則が働きますから、稲築町の事業量なり、あるいは財政力指数ということにもよりますけれども、一・二五倍の範囲内での三分の一の補助率のかさ上げというものは考えられるわけでございます。現行法制を前提といたしますと、ちょっとそういう程度の措置しか可能ではないのではないかと考えます。
#27
○安永英雄君 そうおっしゃるだろうと思っておったんですけれども、まあこの点ひとつ、私は稲築だけじゃなくて、一般にいまから起こってくる問題ですから、私は、やっぱり文部省としての配慮が先ほど申しました教育という問題をもう少し突っ込んで、財政の問題の中に教育も少し突っ込んで予算編成等も考えてもらって、そういったこともぜひひとつ御検討お願いしたいというふうに考えます。これは全く産炭地特有の問題として配慮はありますけれども、もう一つ突っ込んでもらわないと、やはり現地においては僻地その他と同じような取り扱いなんだという気持ちがありますし、私は、さらに拡大してもらいたいというふうに考えます。
 それから、初中局長のほうに聞きますけれども、明年度の定数等について、私は、時間があれはほんとうに現場で、いわゆる生活指導というものをやっている実態をお話申し上げたいんですけれども、いまの定数ではとても手に余る。私は、極端にいうならば、教育をはずれていると、それをやられても何もしないからと、教育の部面としてやっているんだ、極端にいうなら、私は、あの地域における教育というのは、もう学校教育以外の問題だから、社会教育、そこまできているんだと思いますけれども、この点の実績はなかなかわからないし、やはり、どうしても学校の先生方が中心になって、それで学校から飛び出していってとにかくやらなきゃならぬような教育内容を持っていますけれども、これについての定数上の問題とか、こういったものについての配慮、ここらあたりはお考えになりますか。毎年毎年いつの間にか産炭地といっておったのが教育困難地域の中にはめ込まれちゃって、そして何だか教育困難地域という項目をつくって、そこらあたりのところに定数が入ってしまって、産炭地の教育という特殊性というのが非常に薄れたような文部省の受け取り方のような印象がする。このあたりどうでしょう。
#28
○政府委員(岩間英太郎君) ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、この問題につきましては、いろんな角度から検討いたしておる段階でございます。予算の要求と同時に、私どもの考え方を明らかにしたいというふうに考えておるわけでございます。
 それからなお、ただいま御指摘ございまして、学校教育としてのやはり限界というものは考えなければならないわけでございまして、この点につきましても大臣から御指示がございまして、学校教育と社会教育との関係、特に社会教育の充実という点についての御指示がございますので、あわせまして検討してまいりたいというふうに考えております。
#29
○安永英雄君 一番初めに聞きましたが、いろんなトラブルが学校統合の中で起こってきた場合に、地元の問題が解決しないということで、町村なり、県のほうが自発的に申請をしておったものを取り下げる場合もあるし、それから文部省から見ても、これは教育上好ましくない、やはりそんなふうに話がまとまらないものをこちらのほうで補助金を出すわけにはいかないというふうにしてけったというようなケースもあるということですが、私はこの稲築の問題は、先ほど申しましたように根が深い。そしてただ単に感情問題とか、あるいは生徒の通学距離が遠いとか近いとかいう問題ではない問題を含んでおりますから、私はこのままいきますと、地元では相当なトラブルが起きてくる。しかも、その大勢は統合をしないでほしい、統合反対という空気が非常に強いのと、それからそれと並行してもう少し審議を続けてもらって、そしてよく住民の意向を聞いて、それからきめてもらいたいというのが圧倒的でありまして、あるところのトラブルを見てみますと、賛成派と反対派と二つに分かれて、そしてトラブルが起こっておるという状態では、ここは実はない。促進、促進という側と、反対という側とが分かれてやっているということでは全くない。署名をとれば、反対というのはほとんどのところに出てくる。それからもう少し住民の意思を聞いてもらって期間をおいて審議してもらいたいというのが出れば、またそれにも圧倒的に署名が出てくる。そういうことでありますので、この点については、ぜひ、ひとつ先ほど、私は地元のほうの教育的な与える影響、こういったものをよく見詰めていただいて、そこらあたり補助金の問題でコントロールしていただきたい。私も現地をさらに調べますけれども、文部省のほうも、やっぱり教育委員会を通じてもけっこうですから、これについてはよく地元の事情というものを調査して、これについての是正については対処してほしいというふうに思います。いまも大臣がおっしゃったように、あくまでもこれは住民の意思というもの、こういったものをよく尊重をして、そしてもうとにかく時間をかけてでも話を詰めて統合するならするという形にならなければならぬ問題でありますから、その点を私はぜひ文部省としても考えてほしいと思いますが、どうでしょう。
#30
○政府委員(安嶋彌君) 先ほども御指摘がございましたように、この稲築町の統合問題につきましては、現在、当該町村の議会においてこの問題が審議中ということでございます。したがいまして、文部省にまだ申請がくるという段階では、もちろん、ないわけでございます。また、県当局にもこの状況について問い合わせをいたしましたところ、県のほうも必ずしも実態を正確につかんでいない。したがって、それに対してどうも十分な判断を現段階ではしていないようでございます。しかし、先ほど来御指摘のようないろいろ問題も多いようでございますので、私どもも慎重に対処したいというふうに考えております。ただ、統合につきましては、しばしば申し上げておりますように、やはり教育的な効果ということを十分考えるべきでございましょうし、地域住民の理解と協力ということも大事なことでございますから、そういうことを念頭におきながら、私ども、対処してまいりたいというふうに考えます。
#31
○安永英雄君 統合問題は以上で終わりたいと思います。
 少し時間がありますので、いままで質問の中に出なかったんですが、今後非常に問題になってきます高等学校の施設の問題でございます。特に、現在、過密地域における高校の進学者、これはずいぶんふえておりますし、とてもその施設が追っつかない。そして地方自治体それ自体の財政上の問題からいっても、とてもこれを収容できるような状態にない。こういうことで非常に心配しておるわけでございますが、文部省は向こう五年でも十年でもけっこうでありますが、高校の進学についての進学率、ここあたりの予想はどのくらいと見ておりますか。
#32
○政府委員(岩間英太郎君) 御案内のとおり、四十七年度は八七・二%ということになっておりますが、いままでの傾向を見ますと、以前は三%ぐらいの伸び率でございましたけれども、最近では中学校の生徒が減ったというかげんもございまして、五%から六%というふうな進学の数字も出ております。私どもが中央教育審議会のほうからの推計をいただきましたところが、五十五年度までに九五・七%というふうな数字があるわけでございますけれども、いまのような毎年五%から六%ふえるということでございますと、これはそれよりも早く九五%程度までは達するのじゃないかというふうな気がするわけでございます。かなり早い機会に九五%、中教審で言っておりますような九五%というふうな進学率までいくんじゃないかというふうな感じがいたします。
#33
○安永英雄君 時間がありませんので、特に首都圏、それから京阪神、こういった大都会の周辺の高校の進学率が非常に上昇している。したがって、いまの私が申し上げた地域については、とにかく高校の新設、増設という問題が頭にきているようですね。そこで、時間がありませんから、文部省にひとつ書面で、いまの進学率とそれから将来の文部省の高校急増に伴う対策、特に施設の面でどう大体踏んで、どういう大体の見通し、計画を持っておられるか、これについてひとつ出していただきたいと思うのですが、骨格だけでけっこうですから、それをお願いして私の質問は終わりたいと思います。
#34
○政府委員(安嶋彌君) 施設整備の今後の計画でございますが、一応私どもは現段階の数字は持っておりますが、現段階のものはかなりどうも確度が低いようでございまして、したがいまして、これを府県別のような形でお示しすることはちょっと問題があるんじゃないかと思いますので、それは御容赦いただきまして、あらためてまた調査をいたしておりますので、その結果がまとまりました段階で差し上げるようにいたしたいと思います。
#35
○委員長(永野鎮雄君) ほかに御発言がなければ、質疑は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○委員長(永野鎮雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方か賛否を明らかにしておのべ願います。なお、修正意見のある方は討論中にお述べ願います。
#37
○加藤進君 義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案についてはわが党は賛成です。
 同時に、この法案に対する修正案を私はここで提案したいのです。その提案の内容はお手元にすでに配付済みでございますから、ぜひごらんいただきたいと思います。
 ここで提案の理由を説明さしていただきます。
 私は、日本共産党を代表して、本委員会に提案されました義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案に対する修正案を提案するものであります。
 私は、修正案の内容を説明する前に、修正案を提案するにあたっての基本姿勢について述べたいと思います。
 教育基本法は、教育の目的が「人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成」にあるとしていますが、学校施設などいわゆる教育条件の整備・充実は、この教育の目的を効果的に遂行していく上で欠くべからざる条件なのであります。
 まして、児童・生徒が国の主権者として必要な知識、教養、体力を身につける義務教育にあっては、学校施設の十分な整備の重要性は言うに及びません。ところが、現実はそうした方向とはあまりにもかけ離れたものとなっているのであります。
 たとえば、人口急増地域にあっては約一万に及ぶ教室が不足し、プレハブ教室や特別教室の普通教室への転用は恒常化している現状であります。また、過疎地域にあっては、財源難の財源的理由によって住民の意思を無視し、無理やり学校統廃合が行なわれ、幼い子供たちは遠距離の危険な小道を通わされているのであります。危険校舎に至っては、過疎過密の別なくほとんどが放置されているのがこれまた現状であります。
 こうした状況は、教育基本法が掲げている教育の目的を効果的に遂行していくことを妨げているばかりか、子供たちの持つ学習権が十分に保障されない原因にもなっているのであります。しかも、このことは義務教育である小中学校に起きているという点において事柄の重大性があるのであります。
 これらの原因は、義務教育施設の設置者である市町村の財源不足にあることは言うまでもありません。
 現在、市町村の財政状況は、地方財政白書を引くまでもなく、乏しい自主財源でさえ、その多くが国の委任事務等に伴う財政支出に費やされ、まさに一割自治といわれるほど悪化しているのであります。その上に、国の負担金や補助金の額が実情に合っていないため、膨大な超過負担をしいられております。
 義務教育を効果的に遂行するための施設を確保するためには、どうしてもこの点の解決が必要なのであります。
 それには小中学校校舎等の建設費に対する国の負担の割合を引き上げるとともに国の負担の対象を新たな事態に見合って拡大するなど、国の負担の内容を充実することが必要であると考えるものであります。
 小中学校施設の改善・充実を困難なものとしている過疎、過密現象が、国の経済諸政策に起因していることから見ても、以上述べた措置は国が当然行なうべきことであると考えるのであります。
 以上の立場から見れば、今回の政府によって提案されている義務教育諸学校施設費国庫負担金の一部を改正する法律案は、一定の前進があるとはいえ、なお不十分であると言わざるを得ないのであります。
 以上が、私がここに修正案を提案する理由であります。
 次に、修正案のおもな内容について御説明申し上げます。
 修正案の内容の第一は、小中学校の校舎、屋内運動場の新増築及び危険改築などに対する国の負担の割合を三分の二に改めた点にあります。
 本法案では、人口急増地域の小中学校の校舎に対する国の負担率を三分の二にしたものの、他は三分の一、二分の一等の負担率にすぎず、対象や地域の状況によって負担率が異なっておるなどの矛盾の多いものとなっております。しかも、地方自治体や住民の要求に十分こたえるものとなっていないのであります。
 私は、現在の地方自治体の財政事情を考慮し、これを過疎過密の別なく、すべてに三分の二とし、もって校舎、屋内運動場など学校施設の確保のために万全を期したのであります。
 修正案の内容の第二は、新たに児童、生徒の急増している地域における学校用地取得にかかる国の負担を法定し、その負担の割合を三分の二とした点にあります。
 現在いわゆる人口急増地域で教育条件が劣悪化している最大の原因は、学校用地の取得のために、あまりにも膨大な自治体財源が持ち出されている点にあることは周知のとおりであります。この解決なしには、人口急増地域での教育条件の整備はほとんど不可能であると言わざるを得ません。
 国は、昭和四十六年度より人口急増地での学校用地の取得にかかる補助を行なっているのでありますが、これは法律的施行ではなく、しかもその内容は単価が低く見積もられている上、負担率は三分の一なのであります。これに加えて足切り率を剰ずるなど、非常に問題の多いものと言わざるを得ません。
 しかもこのことが補助事業として行なわれるため、国の予算の範囲内に総事業量がきめられていることから、必ずしも全人口急増地域に行き渡るものとなっていないのであります。
 私は、人口急増のよってきたる原因のおもなものが、国の国土開発政策や経済諸政策にある点から見て、当然学校用地の取得についての国の負担の義務を明らかにすべきと考え、ここに法定することを提案した次第であります。
 そして、このことによって、人口急増地域での学校用地と施設の確保の円滑化をはかってのであります。
 以上が修正案を提案するに当たっての基本姿勢とおもな内容であります。
 各委員の十分な審議の上、御賛同あらんことを心から希望し、私の修正案の提出を終わります。
#38
○委員長(永野鎮雄君) ただいまの加藤君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。奥野文部大臣。
#39
○国務大臣(奥野誠亮君) 義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案に対するただいまの修正案については、政府としては賛成しがたい。以上であります。
#40
○委員長(永野鎮雄君) ほかに御意見もないようですから討論は終局したものと認めます。
 それでは、それより採決に入ります。
 まず、加藤君提出の修正案を問題に供します。
 加藤君提出の修正案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#41
○委員長(永野鎮雄君) 少数と認めます。よって、加藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部を問題に供します。
 本案に賛成の方は挙手を願います。
    〔賛成者挙手〕
#42
○委員長(永野鎮雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#43
○宮之原貞光君 私は、ただいま可決をいたしました義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案に対しまして自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の五党共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
 義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
  義務教育諸学校施設の重要性及び最近における物価の状況にかんがみ、政府は、公立義務教育施設の整備事業が円滑に実施されるよう配慮するとともに、すみやかに次の措置を請じ、もって地方財政の負担を軽減するよう努めるべきである。
 一、公立義務教育諸学校の危険建物の改築費に係る国の負担割合を引き上げること。
 二、児童生徒急増市町村の学校用地の取得費に対する助成の拡充を図ること。
 三、最近の社会情勢の変化、進展に即応し、公立義務教育諸学校の屋内運動場をも含め、体育・スポーツの施設・設備の整備について助成措置の拡充を図ること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#44
○委員長(永野鎮雄君) ただいま宮之原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#45
○委員長(永野鎮雄君) 全会一致と認めます。よって、宮之原君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、奥野文部大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。奥野文部大臣。
#46
○国務大臣(奥野誠亮君) 公立義務教育諸学校の施設についてのただいまの御決議につきましては、御趣旨を体して今後努力をいたしたいと考えております。
#47
○委員長(永野鎮雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○委員長(永野鎮雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十五分開会
#49
○委員長(永野鎮雄君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 まず、教育職員免許法等の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。奥野文部大臣。
#50
○国務大臣(奥野誠亮君) このたび、政府から提出いたしました教育職員免許法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 今日、わが国の学校教育は、国際的にも高い水準の成果を見つつありますが、今後、さらにその充実向上をはかっていくためには、教育の実質を左右する教員の職に、すぐれた人材を十分確保することが不可決の要件であります。このため、昨年七月の教育職員養成審議会の建議や関係方面の要望等を考慮し、とりわけ、最近における学校教育の実情に即して緊急を要するものとして、新たな教員資格認定試験制度を設けるほか、免許教科を新設するなど必要な教員の養成確保をはかるための所要の改善措置を講じたいと考え、この法律案を提出したものであります。
 次に、この法律案の概要について申し上げます。
 第一は、教育界に広く人材を求め、教員の確保をはかるため、免許状授与の特例として、文部大臣または文部大臣が委嘱する大学の行なう試験の合格者に対し、教員の免許状を授与することができる新たな教員資格認定試験制度を設けることとしたことであります。
 御承知のように、現在、教員の資格は、文部大臣の認定を受けた大学または短期大学において、法令に定める所要の単位を修得した者に対して与えるという方式のほかは、現職の教員についていわゆる現職教育によって資格を取得する道が開かれております。しかしながら、このような方式だけでは、教員として適当な資質能力を有する者をすべての分野に十分確保するためには困難な面もあり、また、大学等に在学中に教員の免許状取得に必要な単位を修得しなかった者や大学等に進学しなかった者の中にも職業生活や自己研修などにより教員として必要な専門的学力などを身につけ教職を志すに至る者も少なくないと考えられます。
 このような事情により、すでに高等学校の一部の教科について、文部大臣の行なう教員資格試験制度により、教員の資格を授与してきたのでありますが、今回、この制度を拡充して、高等学校の教科の一部に限定せず、新たに設けられた資格認定試験制度の合格者に広く教職員の道を開くことといたしました。このことは、本人の能力、適性等を生かし、また、必要な教職員の確保をはかるために必要であるばかりでなく、教育界にとっても広い視野と新しい経験を加えられるなど、教育の発展向上をはかっていく上で有益なことと考えます。
 第二は、高等学校教員の免許状について所要の改善をはかったことであります。
 近年、高等学校の衛生看護に関する学科が全国的に設けられてまいりましたが、高等学校における衛生看護の専門教育をその目的に即して充実して行たうためには、これを担任する教員についてその養成の段階及び免許の仕組みにおいて、それにふさわしい専門的な配慮が必要であります。このような見地から、高等学校教員の免許状の種類に看護及び看護実習の教科を加え、専門の教員の養成確保をはかることといたしました。
 また、高等学校において、たとえば工業、商業等の教科では、その中の一部の専門的な領域について深く指導する必要がある場合がありますが、その際に適当な教員が確保できない実情もあるので、これらの指導領域に即した高等学校教員の免許状を設け、教員資格認定試験の合格者に授与することができることとしました。なお、これらの免許状を有する者が、他の教科の免許状を取得する場合も考えられますので、あわせて必要な規定を設けております。
 第三は、特殊教育教員の免許状について所要の改善をはかったことであります。
 盲学校、ろう学校及び養護学校の教育内容については逐次その改善整備がはかられてまいりましたが、これに伴い、これらの学校について設けられている理療その他の特殊の教科の免許状の制度を改善するため、特殊の教科の免許状は、高等部に限らずにこれを設けることができるものとするほか、教員資格認定試験に合格した者にも授与することができることといたしました。このことにより、新たに設けられた養護訓練の領域について、これを専門に担任する教員の免許状を設けるなどの必要にこたえられるわけであります。また、この養護訓練を担任する教員の免許状を有する者は必要に応じ、特殊教育諸学校はもとより、小・中学校等の特殊学級においてもその専門の養護訓練を担任することができる特別の措置を講ずることといたしております。
 以上のほか、大学における一般教育の弾力化に対応することができるよう一般教育科目の最低修得単位数についての規定を改め、また、高等学校助教諭免許状の授与の場合の所要資格に関する規定等を整備することといたしました。なお、この法律は、公布の日から施行することといたしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#51
○委員長(永野鎮雄君) 次に、私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題とし、発議者からの趣旨説明を聴取いたします。宮之原君。
#52
○宮之原貞光君 ただいま議題となりました私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 御承知のように、私立学校教職員共済組合は、私立学校教職員共済組合法に基づき、私立学校の教職員の相互扶助事業を行ない、その福利厚生をはかり、私立学校教育の振興に資することを目的として昭和二十九年一月に設立されたものであります。
 本組合はその設立の趣旨に基づき、私立学校の教職員等の強制加入を原則としておりますが、組合設立の際、現に健康保険または厚生年金保険に加入している私立学校については、その既得権を尊重する趣旨から所属教職員の選択により私立学校教職員共済組合法の適用除外を認めたのであります。
 その後、約二十年を経過し、私立学校教職員共済組合は、国、公立学校の教職員と同一水準の共済制度として、その均衡を保つべく逐次改善が進められ、着実に発展してまいりました。
 法制定当時は、何等かの事情により適用除外または一部除外となった私立学校においても、その後の情勢の変化と私立学校教職員共済組合の改善充実により、ここ数年の間に、いわゆる未加入校百七十一校、その教職員数約三万五千人のうちの大多数が強く加入を希望する状況となりました。また、文教委員会におきましても、この適用外にある私立学校の教職員の加入については、再三にわたって決議を行なってきたところでもありますので、今般、これらの教職員の私立学校共済組合への加入をはかることは時宜を得た措置と考えるのであります。
 次に、法第十四条の規定により法の適用を除外される者のうち、私立学校の教職員を主たる構成員とする労働組合の専従者については、国家公務員共済組合法や地方公務員共済組合法における職員組合の専従者の扱いと同様にいたすことが適当であると考え、この際、これらの者に対して私立学校共済組合の組合員資格を与えようとするものであります。
 以上の二点に着目して、ここに本改正案を提出した次第であります。
 次に、法案のおもなる点について申し上げます。
 第一は、私立学校の教職員のうち、私立学校教職員共済組合法の規定の全部または一部の適用を除外されているものについて教職員の過半数の同意を得て、学校法人の申し出により同法の全部を適用することといたしております。
 第二は、法第十四条を改正し、私立学校の教職員を主たる構成員とする労働組合の専従者に対して組合員資格を付与することとしております。
 第三は、この法律は昭和四十八年十月一日から施行することとしております。
 第四には、健康保険との調整及び厚生年金保険の被保険者であった組合員の取り扱い等について所要の規定を設けるほか、これらの改正に伴う必要な経過措置を規定しております。
 以上が本法律案の提案理由並びにその内容であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#53
○委員長(永野鎮雄君) 次に、引き続いて、学校教育法の一部を改正する法律案、(参第五号)、公立障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案及び公立障害児教育諸学校に係る経費の国庫負担に関する法律案、以上三法律案を一括して議題とし、発議者から趣旨説明を聴取いたします。松永君。
#54
○松永忠二君 今回、日本社会党から提出いたしました学校教育法の一部を改正する法律案、公立障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案並びに公立障害児教育諸学校にかかる経費の国庫負担に関する法律案につきまして、その提案の理由と内容の概略を便宜一括して御説明申し上げます。
 憲法第二十六条及び教育基本法第三条が定めているように、すべての人間が、心身に障害を有しているかいなかを問わず、適切な教育を受け、その個性、能力の伸長と人格の完成をはかることは、国民の基本的権利であります。と同時に、国家、社会がすべての子供に教育の機会を十分に保障することは、人間尊重の精神を基礎とする近代国家の義務といわなければなりません。
 しかるに、わが国における教育の現状を見ますと、いわゆる普通教育における義務教育の就学率はほぼ一〇〇%を誇っているに対して、心身に障害を有する子供たちの教育の機会はきわめて不十分にしか保障されておりません。すなわち、憲法、教育基本法、学校教育法等が制定されて以来四分の一世紀以上を経過した今日においても、就学の猶予または免除の制度のもとに、全く義務教育の機会を奪われている子供が約二万一千人を数えているのであります。さらに、心身に障害を有する児童・生徒のうち、後述のような障害児教育諸学校または障害児学級において、障害の程度に応じて適切な義務教育を受けている者は全体の三一・九%にすぎないのであります。まして、幼児及び後期中等教育段階の生徒の就学率は一そう低い現状であります。
 したがって、早急に心身に障害を有するすべての子供たちに十分な教育の機会を確保するため、養護学校の義務制の実施と障害児教育のための学校または学級の新増設などその条件整備をはかることは緊急の課題といわなければなりません。
 このほか、現在の障害児のための教育が解決を迫られている課題はきわめて多いのであります。すなわち、第一には従来の障害児のための教育を普通教育に対して例外的、特殊的な教育として分離する考え方を反省し、すべての子供の個性、能力を伸ばすための教育として一体的に考える立場から、障害児教育の理念を確立し、その教育的意義について父兄や社会の理解を深めること、第二には施設設備の充実をはかること、第三には各種の教職員の養成制度の確立、教職員の増員とその待遇改善により人材を誘致すること、第四には障害の多様化等に対処するため、教育の内容、方法の研究改善を行なうこと、第五には父兄負担を軽減するため、就学の奨励措置の充実をはかること、第六には障害の原因究明と予防対策の充実、障害の早期発見とその受け入れ体制の確立などをはかること、第七には社会的自立をはかるための教育、訓練制度等を確立すること、第八には教育と福祉、医療との協力体制を整備確立することなどであります。
 したがって、これらの問題について一貫して計画を進める抜本的な立法が必要と考えられますが、当面教職員の充足に関し、法改正を必要とする問題に限ってここに三法律案を提出するものであります。
 まず、学校教育法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 第一は、特殊教育ということばについてであります。学校教育法においては、心身に障害のある児童・生徒に対する教育を特殊教育と称しております。しかしながら、特殊教育ということばには、普通教育との対比で、普通ではない、例外的な教育と考えられる傾向を持っていることは、否定できないところであります。
 すべての人間は、それぞれ異なった個性、能力を持っており、それらを正しく伸ばし、人格を形成する活動が教育であり、普通教育、特殊教育の差別があってはならないものと考えます。したがって、心身に障害を有する子供に対する教育を特殊教育と呼ぶのは、教育の観点から適切ではないと思うのであります。
 また、心身に障害があるということを、正面から受けとめ、みずから進んでその障害を克服し、積極的に生きる態度の育成こそ、障害児の教育の基本というべきでありましょう。そこで、特殊教育という言葉を障害児教育と改めることとしたのであります。
 第二は、寄宿舎及び寮母の重要性についてであります。障害児のための学校においては、小・中学校などと異なり、寄宿舎は、特別の事情のある場合を除いて、必要欠くべからざる施設であります。学校における教育と、寄宿舎における教育と相まって初めて、十分な成果をあげ得るものであります。その意味で寄宿舎における子供の教育に主要な役割りを果たす寮母の重要性はきわめて大きいものがあります。しかしながら、現行法では必ずしもその重要性が十分に認識されておらず、その明確な位置づけが行なわれておりません。そこで学校教育法に寄宿舎の必置と、寮母の職務を明確に規定しようとするものであります。
 次に、法案のおもな内容について申し上げます。
 第一は、「特殊教育」「特殊学級」を「障害児教育」「障害児学級」に改めるとともに、関係法律の「特殊」をすべて「障害児」に改めております。
 第二は、盲、ろう、養護学校には、特別の事情のない限り、寄宿舎を設けなければならないことといたしております。また、寄宿舎を設けるそれらの学校には、寮母を置かなければならないこととしております。
 第三は、寮母は、寄宿舎において幼児の保育または児童、生徒の教育に従事するものとして、寮母の職務を明確にし、さらに、教育公務員特例法の教員に寮母を加えることといたしております。
 次に、公立障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案について申し上げます。
 現行法は、公立の障害児教育のための学校の学級編制及び教職員定数の標準について、小学部及び中学部については公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に規定し、高等部については公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律で定め、幼稚部については何らの規定を設けておりません。しかし、幼稚園、小学校、中学校または高等学校の場合と異なり、障害児教育のための学校の場合は、幼稚部、小学部、中学部または高等部を併置することが多いばかりでなく、相互の緊密な連携のもとに一貫した教育を行なう必要性がきわめて強いのであります。
 また、障害児教育においては、早期教育の必要性が特に高く、幼稚部教育の重要性から見て、幼稚部についても学級編制及び教職員定数の標準について定める必要があります。
 したがいまして、本法律案は、幼稚部から高等部に至るまでの各部の学級編制及び教職員定数の標準について、改善充実を行なうとともに、これを包括的に規定しようとするものであります。
 以上が提案の理由でありますが、次に法案の内容について、主として現行法との差異を中心に御説明申し上げます。
 第一に、従来、盲学校、ろう学校または養護学校は特殊教育諸学校と称しておりましたが、本法律では障害児教育諸学校ということにしております。
 第二に、学級編制の標準については、小・中学部及び高等部について現行どおり八人または十人と定めておりますが、高等部の専門教育を主とする学科にあっては、新たに十人を八人とするようその改善を行なっております。また、幼稚部については、一学級五人を標準とすることといたしております。
 第三に、教職員定数の標準について、現行法は学校規模に応じて教諭等の数に変化を持たせ、一学級の部の場合は一学級当たり二人とし、部の規模が大きくなるに従ってその数を減少させておりますが、本法律案では、障害の程度に応じて集団指導や個別指導など充実した教育が行なえるようにするため、学様規模の大小にかかわらず、一学級当たり小学部においては二人、中学部においては二・二七人を基礎の数といたしております。高等部については、現行法は生徒五人に一人の教諭等を置くことを基礎としておりますが、本法律案は一学級当たり二・二七人を置くことを基礎としております。
 機能訓練関係の教員については、大体現行法と同様でありますが、肢体不自由養護学校については、その特殊性にかんがみ、学校当たり小、中学部三人、高等部一人としていたものを、幼児、児童及び生徒数八人に一人を置くよう改善をはかっております。
 なお、現行法による高等部の専門教育関係についての教員の増配措置については、学校規模あるいは学校種別により教員数に大きなアンバランスを生む原因にもなっておりますので、これを廃止し、上述の基礎数の改善措置によって対処することといたしております。
 第四に、寄宿舎関係の舎監兼任の教員の増員については、現行法の一学級当たり一人を四人に充実することといたしております。
 第五に、養護教諭については、現行法どおり一学校当たり一人としておりますが、肢体不自由または病弱の養護学校については、特に二人を置くよう改善措置を行なっております。
 第六に、学校司書を新たに本法律の教職員の中に加え、一学校当たり一人を置くこととしております。
 第七に、寮母について、現行法は、小、中学部について児童、生徒五人に一人肢体不自由関係は四人に一人、高等部については生徒数六人に一人を置くこととしておりますが、本法律案は、寮母の障害児教育における重要性にかんがみ、男女別に、小、中学部については児童生徒数五人に二人、高等部は生徒数三人に一人をそれぞれ置くこととしております。また、幼稚部についても、新たに幼児数五人に三人の寮母を置くこととしております。
 なお、すべての寄宿舎に最低限八人の寮母を置くことを保障いたしております。
 第八に、実習助手については、現行法は専門教育を主とする学科と、養護学校の高等部にそれぞれ二人を置くこととしておりますが、本法律案は専門教育を主とする学科に二人、理療科については六人を置くほか、高等部を設置するすべての学校に二人を置くよう措置しております。
 第九に、事務職員について、現行法が小、中学部について各部当たり一人、高等部については二人を置くこととしているのを、一学校につき二人、幼稚部、小学部、中学部及び高等部の各部当たり一人、その設置する寄宿舎当たり一人の合計数を置くことを標準とするよう改善を行なっております。
 最後に、公立障害児教育諸学校にかかる経費の国庫負担に関する法律案について申し上げます。
 現在、公立の盲学校及びろう学校の小、中学部にかかる教職員給与費及び教材費については義務教育費国庫負担法によって、また、公立の養護学校の小、中学部にかかる教職員給与費及び教材費については公立養護学校整備特別措置法によってそれぞれその二分の一を国が負担することとしております。
 御承知のように、障害児教育においては、小、中学校に比べて多様かつ多くの教職員が必要であり、その運営にあたっては多額の経費を要するところであります。
 しかるに、国が小、中学校と同様に、障害児教育諸学校にかかる教職員給与費及び教材費の二分の一しか負担していないことは不合理であるばかりでなく、障害児教育に多額の経費を要することが地方公共団体における障害児教育諸学校の整備の隘路になっているところであります。
 したがいまして、これら経費に対する国の負担割合を三分の二に引き上げることが緊急であると考え、ここに本法律案を提出した次第であります。
 次に、本法律案の内容について御説明申し上げます。
 第一に、国は、公立の障害児教育諸学校にかかる市町村立学校職員給与負担法第一条に掲げる職員の給料その他の給与に要する経費等について、その実支出額の三分の二を負担することとしております。ただし、特別の事情があるときは、都道府県ごとの国庫負担額の最高限度を政令で定め得ることとしております。
 第二に、国は、公立障害児教育諸学校の施設設備の整備等に従事する技術職員、給食に従事する栄養士、子供の療養上の世話に従事する看護婦、スクールバスの運転手、子供の介助に従事する介助職員、スクールバスに乗務し子供の乗降等を助ける添乗員、給食作業員、学校警備員及び用務員の給料その他の給与等に要する経費について、その実支出額の三分の二を負担することとしております。ただし、その負担額は、職員の種類ごとに、この法律が定める一定の数に別に政令で定める額を乗じて得た額の三分の二を限度としております。
 第三に、国は、公立の障害児教育諸学校における教材費の三分の二を負担することとしております。ただし、その負担額は、政令で定めるところにより、幼児、児童または生徒の心身の故障の区分に応じたそれぞれの数を基礎として、各学校ごとに算定した額の合算額の三分の二を限度としております。
 なお、以上三法案は、いずれも昭和四十九年四月一日から施行することとしております。また、公立障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律は、五年間の年次計画により実施いたすことといたしております。
 何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#55
○委員長(永野鎮雄君) 続いて、図書館法の一部を改正する法律案及び学校給食法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、発議者から趣旨説明を聴取いたします。内田君。
#56
○内田善利君 ただいま議題となりました図書館法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
 近年目ざましい経済成長と技術革新の進展により社会構造は急激に変化し、複雑高度化してきております。その結果、一面では物質的生活はある程度豊かになり、余暇時間が増大し、学習、レジャー等物心両面での行動選択の範囲が拡大しつつあります。しかし、その反面、いわゆる人間疎外、世代間の断絶、交通災害、自然環境の破壊等人間の存在自体にとってきわめて深刻な問題が発生しているところであります。過去百年間の目ざましい物質的繁栄は人類史上未曽有ではありましたが、今日では、従来の経済優先主義が深刻に反省され人間性の回復、人間性の尊重が強く要望されるに至ったのであります。この激しい社会の変貌の中で、すべての人間が生涯を通して、あらゆる年齢段階に応じ人間としていかに生きるべきかを求めざるを得なくなっているのであります。
 さらに、社会の加速度的変化とその複雑化の進展は新しい知識、技術の学習をも必然ならしめているのであります。
 このような意味において最近とみに生涯教育の必要性と重要性が強調され、国民の自発的な学習活動としての社会教育の意義が再認識され、その制度的確立と充実が現下の緊要な課題となっているところであります。特に、図書館は国民すべてのきわめて多様な学習、研究及び調査の要求にこたえる手段、方法として、また、情報社会の進展に伴い、複雑高度化、専門化した知識や情報の洪水を分類、整理し、容易かつ的確に住民に提供し、主体的入間、考える人間を育成する場として、その果たす役割りはきわめて大きいのであります。
 最近ともすれば一部で低俗なテレビ番組や週刊誌のはんらんに見られるように社会が軽薄に流れていると言われておりますが、その底流に向学心がみなぎり、明日の文化日本を形成し、世界平和の実現に貢献すべき潜在力を強く備えているものと確信します。いまこそ、これを助長するため、図書館の整備充実等これを助長する手段方策を講じなければ悔いを千載に残すことになりましょう。
 戦後、わが国の再建を国民の教養の向上を期するため、社会教育が重視され、またその中で図書館の占める地位の重要性が認識され、昭和二十四年に社会教育法が、昭和二十五年には、図書館法がそれぞれ制定され、その後年に公共図書館の充実の努力が行われてきたところでありますが、いまだきわめて不満足な現状であります。
 すなわち、第一に昭和四十六年における公共図書館の設置率を見ますと、都道府県は九六%、市(区)は六六%、町は一〇%、村は三%という現状であります。
 第二に近年図書館の施設設備の技術革新は著しく、また図書資料も急増しているにもかかわらず、きわめて不備なまま放置され、市民に対するサービスの不十分な図書館がほとんどである実情であります。
 第三にこのような結果、関係者の努力にもかかわらず、図書館利用の実態はきわめて貧弱で、図書館本来の役割りを十分に果たしていないばかりでなく、さらには急激な社会の変貌と情報化社会の進展に適応した情報センターとしての役割りをも積極的に果たし得ず、時代の要求に立ちおくれているのであります。
 今後、人間開発を推進し、人間性を土台とした高度福祉社会を創造するためには、時代の要請にこたえる新しい図書館の整備充実こそ現下の最も重要かつ緊急の課題と考え、本改正案をここに提案した次第であります。
 次に、本改正案の内容について簡単に申し上げます。
 第一には、図書館の設置を推進するため、当面都道府県及び市、区に図書館の設置義務を課すことといたしております。
 第二には、地方公共団体の住民に対する図書館奉仕が十分に行なわれるように、司書または司書補の数、図書館の施設、図書館資料及び設備について、地方公共団体の入口に応じて公立図書館の設置に関する基準を政令で定めるものとするとともに都道府県及び市の設置する図書館はこの基準に適合するものでなければならないこととしております。
 第三には、国は基準に適合する図書館を設置する地方公共団体に対し、当該図書館の館長、司書及び司書補の給与、施設、図書館資料及び設備に要する経費等についてその二分の一を補助することといたしております。
 第四には、図書館の役割りを十分に果たすためには、司書及び司書補がきわめて重要であるにもかかわらず、従来必ずしも十分に処遇されていない現状にかんがみ、また司書等に人材を誘致するため、その待遇について特別の措置を講じなければならないものとしております。
 最後に、上述の第四の点に関する規定は公布の日から施行し、その他の規定は、昭和五十一年四月一日から施行するものといたします。
 なお、都道府県及び市の公立図書館の設置に関する基準に適合する図書館の設置義務に関する規定が効力を発する昭和五十一年四月一日までの間は、その設置を促進するため、国の図書館の施設、図書館資料及び設備に要する経費に対する補助を拡大強化すべきものと考えております。また町村等の図書館の整備充実についても今後一そうの促進をはかるべきは当然であります。
 以上、本法律案の提案の理由と内容の概略を御説明申し上げました。
 なにとぞ十分御審議の上すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
 引き続き、ただいま議題となりました学校給食法の一部を改正する法律案について提案理由及び改正の内容を御説明申し上げます。
 わが国の学校給食は、戦後の経済的困窮と食糧不足から児童生徒を救済するための応急措置として始められたのでありますが、その後学校給食法の制定、予算的措置の改善により、今日のような普及を見るに至りました。
 近年、わが国の児童生徒は戦前に比べ、著しくその健康が増進され、体位が向上しつつありますが、これは学校給食の普及により、食生活と栄養の改善が推進された結果によるものと言っても過言ではありません。
 今後においても学校給食が心身ともに健全な国民の育成を目ざす学校教育の充実、また食生活の改善という国民的福祉の増進にとって、きわめて大きい意義、役割りを果たしていくものと考えます。
 申すまでもなく、学校給食は児童生徒の心身の健全な発達に資し、かつ国民の食生活の改善に寄与することを目的とするものであり、義務教育諸学校におきましては、教育の目的を実現するために、本法第二条に定める目標の達成につとめて行なわれているのであります。そして、学校給食はこれらの学校における教育課程の一部をなすものであり、教科活動と並び学級指導として大きな意義と役割りを持つ教育活動であります。
 義務教育諸学校の教科用図書につきましては、憲法第二十六条の義務教育無償の規定に基づき、すでにその無償措置が実現し、義務教育の充実に大きく貢献しております。したがいまして、次の段階として義務教育諸学校における学校給食費の無償措置を実現し、さらに一そう義務教育の充実をはかるべきであると考えます。
 次に、学校給食の現状を見ますと、学校給食が開始されてから、小学校で二十年以上、中学校十年以上を経過いたしましたが、なお、未実施の学校が相当残っております。昭和四十六年度の文部省の調査によれば、小学校において完全給食校は八四・九%であり、未実施校三・〇%約十三万人の児童が給食を受けておりません。中学校において完全給食校は五四・二%であり、未実施校一三・九%約七十八万人の生徒が給食を受けることなく放置されておる状況であります。
 未実施校について調べてみますと、農山村、漁村等の僻地性の高い地域に多く、給食を実施できないおもな理由は、当該町村の財政的貧困と保護者の所得水準が低いため、給食費の負担にたえられないことによるものとされております。もっとも、昭和四十年に高度僻地校に対しましては、「へき地学校特別対策」により、国庫負担による無償給食が実施されておりますが、これもパンとミルク程度の不完全給食であります。これを完全給食に引き上げるとともに、国庫負担による無償給食の措置をこれらの給食未実施地域の学校にまで及ぼし、学校給食の普及の拡大をはかることは、喫緊の要請であります。
 さらに、学校給食実施地域の学校につきましても、最近における消費者物価の急激な上昇により、給食費も値上がりの傾向にあり、保護者の教育費負担増の大きな要因となりつつあります。
 したがいまして、義務教育諸学校における保護者の教育費負担の軽減をはかる見地からも、早急に国庫負担による学校給食費の無償措置を実現する必要があると考えるのであります。
 以上が、本改正案を提案した理由であります。
 次に改正案の内容について御説明いたします。
 第一には、国公立の義務教育諸学校の設置者に対して、学校給食を義務づけるとともに、私立の義務教育諸学校においては学校給食の実施につとめなければならないとしたことであります。
 第二には、学校給食の給食内容を定めるとともに、その他、学校給食に関する基準は政令で定めることにしております。
 第三には、学校給食に要する経費は義務教育諸学校の設置者の負担とすることになっております。
 第四には、公立、私立の義務教育諸学校の設置者に対し、学校給食の運営に要する経費の一部を補助するとともに、この補助については、この法律で定める給食内容及び基準に適合させるに十分なものでなければならないことといたしております。
 なお、附則において施行期日を昭和四十八年四月一日とし、また、経過措置及びその他関係法律の改正を行なっております。
 以上がこの改正案の骨子でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらん事をお願いいたします。
#57
○委員長(永野鎮雄君) ただいま趣旨説明を聴取いたしました七法案の審議は、後日に行なうことにします。
    ―――――――――――――
#58
○委員長(永野鎮雄君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。
 ただいま、本委員会に参考人として、国士館大学理事、法学部教授中村宗雄君、和光高等学校生徒部主任葛西菊太郎君の両人が出席されております。
 両君におかれましては、御多忙中にかかわらず本委員会に御出席くださいましてまことにありがとうございます。
 それでは、これより質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#59
○宮之原貞光君 警察庁来ておりますね。まず警察庁にお伺いいたしますが、在日朝鮮人の子弟に対しますところの暴力事件が昨年一年でも百四十二件にのぼると言われておるわけでありますが、そちらで把握されておりますところの昨年のこの案件はどれくらいになるでしょう。
#60
○政府委員(綾田文義君) 昨年一年中は、ただいまのお話のとおり、百四十二件でございますが、これは内容的に見ますと、朝鮮人学校の生徒に対するものだけではなくて、百四十二件の内訳は、日本高校生が被害者である場合、それから朝鮮高校生が被害者である場合、これが両者を含めて百四十二件でございます。
 それから、内容も、先般の新宿、高田馬場のように、集団的な場合もございますし、それから、一対一あるいは集団で個人を加害したというような、そういういろいろな形態がございます。
#61
○宮之原貞光君 ことしは二十四件だと、こう言われておるわけでございますが、そのうち特に二月から六月の間の二十三件は国士館関係の学生、生徒の手による暴力事件だと、こう言われておりますが、その事実関係について、まずお伺いいたします。
#62
○政府委員(綾田文義君) そのとおりでございまして、ただいままでに朝高生と申しますか、朝高生と国士館高生との紛争事件は、本年に入りましてから二十六件でございますが、朝高側から日本の高校生に加害した事案が十六件、日本の高校生から朝高生に加害した事案が七件。総互暴力といいますか、先般の高田馬場、あるいは新宿のような事件が三件というふうな状況になっております。
#63
○宮之原貞光君 私の言う二十三件というのはあれですよ。国士館の関係の学生なり、あるいは生徒の暴力事件がそうかと聞いているんですよ。日本側と、あんた、全部を引っくるめて大きく言っているようですが、どうなんですか。
#64
○政府委員(綾田文義君) 二十三件は、国士館側の高校生が関与した事件でございます。
#65
○宮之原貞光君 あなた、そのうちの三件は相互の暴力事件云々だと、こう言っているのですが、相互って、同時偶発的に起こるはずはないですね。ものごとにはどちらか手をかけられた、足をかけられたということがあるはずです。その点を明確にして、相互というものの中身を説明してください。
#66
○政府委員(綾田文義君) その相互暴力というのは、ちょっと説明が足りなかったかと思いますが、三件のうちで、先般の二件の新宿の事件は、私どもは一応偶発的、もちろん両者の間には鋭い対立感情が根底にあったわけでございますけれども、やや出合いがしらといいますか、偶発的な事件だというように解釈しております。それから高田馬場の事件につきましては、これは現場で逮捕した大学生の取り調べ、補導によりまして、一部の者が、昨日、昨日というのは新宿でございますが、昨日後輩がやられたので、その仕返しのためにやったんだということを言っておりますが、これはややといいますか、国士館側からの計画的な、加害的な行為だというふうに一応考えております。
#67
○宮之原貞光君 六月の十二日ですか、在日朝鮮人総連合中央本部から要請書が警視総監あたりに出されておりますね。それを御存知ですか。
#68
○政府委員(綾田文義君) 承知しております。
#69
○宮之原貞光君 承知しておりましたら、その内容、及び内容に対しまするところの警察庁の見解を述べてください。
#70
○政府委員(綾田文義君) 警視総監に対する抗議の前に、私どものほうへ参りまして、私も朝連の幹部の方からそういう抗議文を受け取っております。その内容と同じだと思いますが、と申しますのは、いまから警視庁へ行くと言っておりましたので、内容は同じだと思いますが、これは新宿事件に対して、結局要請の結論は、一つは今後こういう事案が絶対に起こらないようにしてほしいということ。第二点は、事件の真相をはっきりして、そうして違反者には厳重な処罰をせよ、そういうような内容であったように思っております。
#71
○宮之原貞光君 私は、その内容だけをお聞きしておるのではないんですよ。それに対しますところの、皆さんの当局の見解というものはどうですかということもあわせてお聞かせ願いたいと、こう申し上げておるのです。
#72
○政府委員(綾田文義君) ああいう学生同士の対立抗争事件、あるいはそういう暴力行為的な事件が起こるということは、私どもといたしましても、一般人が被害を受けたり、あるいは、一般の家屋がこわされたりしたことは、治安上からも非常に大きな問題でありますし、少年の非行防止という観点からも非常に重大な問題でありますので、まず警察としてはそういう事件が起こらないように事前の予防的な警戒的な措置をするということが第一点の要請で、まさにそのとおりでございまして、それまでもずっとターミナルあたりを警戒しておったのでございますけれども、これはたしか、警視庁管下で百人足らずと思いますが、事件発生とともにこの事案は大体登下校、登校時に非常に多発いたしております。そういう関係で登下校を中心といたしまして警視庁では約五百名から六百名の警察官を登下校時に主要ターミナルに配置をしてその事前防止につとめる。神奈川県警におきましても同様に機動隊その他必要な署員で警戒に当たって事前防止ということに最善の努力を払っております。
 それから同時に、第二点の事案の真相でございますが、これも高田馬場の事件につきましては現場でこれはまあ国士館の大学生でございますけれども、八名を現行犯逮捕いたしまして身柄付きで送致いたしまして、ただいま検察庁のほうへ送っておる状況でございます。四名はあとで任意で出てきまして、これも任意で捜査をいたしております。新宿事件につきましてはこれは被害にかかった生徒、それから鉄道公安官、駅の関係者その他参考人から事情を聴取いたしましてただいま極力捜査の段階でございまして、これも第二点の要請とわれわれがやっていることと全く同じである、ということに考えております。
#73
○宮之原貞光君 あなたのいまのお答えは十一日の事件だけのようで、それに端を発しての要請書みたいでありますけれども、私の手元にあります要請書はさらに六月四日の国電八王寺駅北口改札口での暴力問題もその中に一つの案件として申し入れられておるんですが、それはないんですか、あるんですか、あなたのほうには。早く答えてもらいたいね。
#74
○政府委員(綾田文義君) どうも失礼しました。
 抗議書がほかにもございましたので。十二日の中には八王子の事件も同様でございます。入っております。この八王子の事件につきましては警察官が暴行をしたではないか、それから拳銃でおどかしたではないかというふうなことがありますが、これはもうすでに事件当日に警視庁のほうで監察をいたしました結果は、まあ現場が紛糾いたしましてそうして拳銃の撃鉄のつめの皮がはずれておったので警察官がそれをとめるために取り出して押えたという事実はありますけれども、拳銃で直接そういうふうな手かっこうしたというふうなことではないというふうに報告を受けておりますし、暴行の事案もないというふうに、私どもは報告を受けております。
#75
○宮之原貞光君 私どもの調査によれば、いまあなたが答弁されたようなことでもないようです。しかし、きょうは限られたところの時間でございますからそこまでやりませんけれども、ただ、その要請書に対しますところの警察当局のものの考え方ですね。これは私ひとつ重要なところ落ちていると思う。あなたのいまのもののとらえ方は事案防止あるいは非行化の阻止、そういうことで事前にこれを防止していくということがこの問題については大事なんだと、こういう答弁に終始されていますがね。これは少なくとも、やはり外国人の子弟に対するところの問題点なんですね。したがって、言うならば、朝鮮人子弟に対するところのこういう暴行事件というものに対するところの皆さんの認識というものが、単なる国内問題だというような理解に立っておるじゃないですか、いまの答弁をお聞きしますと。私どもは、もう一つ重視しなければならないのは、少なくとも、日本に在住をされておるところの朝鮮人の子弟に対するところの、日本国民の青少年が暴力事件を起こしておるという問題点なんですから、その点の認識というものが、どうもいまの答弁からは一つもうかがいできないのですが、その点はどういうふうに理解されておるのですか。
#76
○政府委員(綾田文義君) その点も、私どもといたしましてはきわめて重要な問題であるということで、これは部内に対しても、そういうことのないように、いやしくも誤解、曲解を受けるような言動はいささかもないように、十分教養を徹底しておるつもりでございます。
#77
○宮之原貞光君 いま、私から指摘をされて重要視しておるんですと、こう改まったようなことの言い方ですけれども、一番問題の根幹にそのことを私は警察の諸君も理解が足りないところにひとつ問題があるんじゃないでしょうかね。これは少なくとも私から言わせれば、三十六年間のいわゆる植民地支配ですね。その異民族に対しますところの差別感、侮べつ感というものがやはり底流として警察当局にあるからこそ、私は、問題の本質的なとらえ方が非常に軽くなっておるのじゃないだろうか、こう思うのです。重ねて聞きますけれども、その点が最初の答弁にもなかっただけに、こういうことがあっては困ると思うだけに、その点はあなた方どう考えられますか。
#78
○政府委員(綾田文義君) 先ほどもことばがちょっと足りなかったと思いますけれども、私どももそういうことは十分に考えております。ただ、御承知のように、このたびの国士館高校生徒、それから朝高生徒の事件は本年になってから非常に目立っております。一昨年まではあの学校の隣りにあります帝京高校生徒の事案が非常に多かったわけでございますが、警視庁のほうでよく学校当局に助言、指導を行ないまして、両者の学校の先生方が話し合ったり、共同補導をしたりあるいはサッカーの試合をしたりということで、本年に入って最近では帝京高校の事案はほとんど起こっていないという状況もございます。そういう点で私どもは、発展すればそういう非常に重要な問題になりますので、できるだけ学校に対しても助言、指導を行ないまして、そういうことがないように友好関係といいますか、学校の両者の雰囲気をうまく醸成していくということについても努力をしているところでございます。
#79
○宮之原貞光君 どういう対策を立てようとするかということならいまの答弁でいいんですよ。私は、やはりこの事件の本質的な見逃すことのできない重要な問題点として、やはり問題は、なるほどいま日本はそれは朝鮮人民共和国を承認はしておりません。しかし、いずれこれは時間の問題ですよ。あなたも知っておられるように。もうWHOの加入の問題もきまっているし、したがって、少なくともやはり外国人であることは間違いない。あなた方が法律的にどうしようと。その子弟に対するものの考え方というものに私はやはり甘さがあるのじゃないかと思う。これがかりにアメリカの子弟であってごらんなさい。これは政府はもちろんあなた方もてんてこ舞いするはずなんです。何か皆さんの理解の奥底にはそういう差別感というか、それが拂拭されてないところにやはり私は問題があるということを指摘せざるを得ない。
 そこで、私は、文部大臣に伺いますが、いわゆるこのような朝鮮人学校の子弟に対するところの暴行事件というものは、それはさまざまな要因というものがあるでしょうけれども、本質的な私は原因として、いま警察庁に申し上げたような点が私はあるという点を否定できないと思うのですが、それはどう考えられますか。
#80
○国務大臣(奥野誠亮君) 衆議院でも、同じようなお尋ねをいただいたわけでございます。国際間の問題でございますだけに、このような対立を一そう私たち深刻に考えなきゃならない、そう思っておるわけでございます。
 ただ、学校の教育方針が民族べっ視につながっているかということにつきましては、内情をつぶさに調査しませんとわかりませんので、そういうことについては、警察の調査の結果を待って考えていきたいと、こう申し上げておるわけでございます。
#81
○宮之原貞光君 それは、あなた、警察の調査に待つというのはおかしいですよ。責任回避ですよ。教育の問題ですよ。やはり教育の分野からとらえたところの、この教育行政という分野からとらえたところのこの問題点をどう見ておられますかという私の質問ですからね。いわゆるこの事件の起きたところの直接の原因はどうですかということを聞いておるのじゃないのです。それはさまざまな要素、要因がありましょう。しかしながら、一つやはり本質的な一番底流として流れておるところの問題点は、その点は私は否定できない問題点じゃなかろうかと、こう思っているのですが、大臣はいささかもそういう心配はないとおっしゃるのですか。
#82
○国務大臣(奥野誠亮君) 先般、相互の対立が数十回に及んでいるというようなことも出てまいったわけでございまして、そうなりますと、そういう民族べっ視につながるような教育方針から来ているのか、そうじゃなしに、相互にお互いに対立抗争の繰り返しを続けているのか、それぞれによって考え方も違うと思うのでございますけれども、そういうこともあったものですから、より一そう警察でせっかく調べてくれて、できるだけ早く調べてもらいたい、その結果を待って文部省としても必要な対策をとらなければならないだろう、こう思っておるところでございまして、まだ教育方針がそういうふうになっているのだというふうに断定を下すについては、もうちょっと慎重に調査の結果を待ちたいと、こう申し上げてまいったわけでございます。
#83
○松永忠二君 ちょっと関連。
 話が出ているのですが、これは新聞にも出ているのですが、総長訓話の各国の国民性をあげたものの中にこういうものがある。イギリスとかソビエトとか、そういうようなものがあがっていますね。これは、いまお話のように、ただこの問題だけでなしに、何か国士館の教育の中にこういう要素があるという点については全然お考えにならぬのですか。それとも、そういう研究とか調査は全然ないんですか。いま言ったとおり、国際的な意味の各国民に対する見方、考え方というものの中に、やはりべっ視をするというか、非常に日本中心主義のものの考え方、こういうふうな国士館の教育の本質については、文部省としては全然問題点はないというふうに考えているし、いまだそういうことはいまだかつて考えたこともないし、全然研究してないし、全然そういう内容については検討したこともないというのですか。その点だけ。
#84
○国務大臣(奥野誠亮君) 先般、衆議院の際にも、私も右寄りの学校であると思いますと、これは申し上げておるわけでございます。右寄りの学校であるということと、朝鮮民主主義人民共和国の関係の方々を特に外国の中でもべっ視するということは、ちょっと別な問題だと思っておりますので、そういう意味においては、そうきめつけるについては、もう少し私としては慎重でありたいと、こういうつもりでお答えをしておるわけでございます。
 いろいろ問題が出てきてまいっておりますので、文部省としてもそのまま何もしないでおるというつもりはさらさらございません。同時にまた、総長訓話の中で、前総長、おなくなりになった前総長、かなりいろんなことを言っておられる、おっしゃっている新聞を私も見ておったりするわけでございます。総長もかわっていることでございますし、なお一そうそういう意味でも慎重でありたい、こういうつもりでおるわけでございます。決して放任しておくという意思で申し上げておるわけじゃございません。
#85
○松永忠二君 私の言っているのは、内容ということでなしに、そういう教育のことについては、全然、国士館のことについてはいまから研究するのですか。そういう問題があるということは、全然文部省としてはつかんでいないのですか。いまから研究するのですか。その点をちょっと伺いたい。
#86
○国務大臣(奥野誠亮君) 総長がかわられたときに、事務次官が総長といろいろな話をしたことも事務次官から報告を受けているわけでございますけれども、今度の事件に関する問題は、私たちはやっぱり警察の調査を待ってからにしたいと、こういう気持ちでおるわけでございます。同時にまた、大学の中でも近代化委員会を特に設けてそういう問題と取り組んでおられるわけでございますので、そのような反省の結果も聞かしてもらいたい。そういうことを離れて、いま直ちにということにつきましては、若干慎重でありたい、こんなつもりでおるわけでございます。
#87
○宮之原貞光君 大臣の国士館の教育云々の問題については、後ほどいろいろまた参考人も来ていますから聞きますから、またその際、あらためてひとつ文部省の考え方を私はお聞きしたいと思いますので触れません。
 ただ、先ほども申し上げた朝鮮のやはり問題についても、それならお聞きいたしますが、いま指導要領なり教科書、いわゆる教育全般の中では、南北朝鮮の問題はどういうふうに扱えというふうな指導をされておりますか。その点をお聞かせ願います。
#88
○政府委員(岩間英太郎君) いま、朝鮮の問題につきましては、小中高等学校の社会科の地理、歴史等で具体的に扱っているわけでございます。歴史につきましては、小中高等学校同じような内容でございますけれども、古くはいわゆる帰化人の問題から始めまして、それからその後の豊臣秀吉の朝鮮と戦争でございますか、そういう交戦、それからさらに江戸時代の貿易の関係、それから明治になりましてからはいわゆる日韓併合、そういう問題を小中高等学校の歴史では扱っているわけでございます。
 それから地理的な分野につきましては、これはアジアの地域の中で南北朝鮮の関係を扱っている、そういうふうな状況でございます。
#89
○宮之原貞光君 私は、やはりここにも大きな問題があると思う。言うならば、これは帰化人の問題、豊臣秀吉の問題、江戸時代の問題、日韓合併の問題、これは戦前のものと大体同じなんです。問題は、やはり戦後において、日本の三十五年間におけるところの植民地支配、異民族支配、こういう問題に対するところの記述なり、あるいはそれに対するところのものの考え方、そういうことが一つもこの指導要領なりいろいろなところににじみ出てきておらない。そこのところが、さっき私は警察庁の皆さんにも指摘したように、この教育の中、すでに基本的ないわゆる外国としての朝鮮に対するところのものの考え方、外国人子弟なり、そこのものの考え方が、非常に積極性が欠けておると思いますね。口では国際親善、国際理解といいながら、実際の教育の面ではそういうところはおろそかにされているというところに、私は、やはりこの種の事件の一つの底流というものがあるということは、この際も指摘しておきたいと思う。
 ただ、きょうはそれが主目的でございませんからそれだけにとどめておきますけれども、その問題については、私は明確なやはり文部省の態度というものがない限り、この問題の本質的な解決というものはつかないと見ているのですよ。
#90
○政府委員(岩間英太郎君) ちょっと大事なことを忘れましてたいへん恐縮でございますが、歴史につきましては、さらに朝鮮の独立という点、これも触れているわけでございます。
 それからいまの歴史、地理等におきましては、これは客観的な事実というものを教えるということでございますので、国際関係その他につきましては、社会科の公民的な分野等におきまして十分に徹底をする、あるいは基本的人権等につきましては、やはり同じように十分な徹底をはかるということでございます。
#91
○宮之原貞光君 いま、私が指摘しなければ補足しないぐらいに、やはり問題を軽視されておるということなんですよ。これは、先ほどのやはり警察庁の答弁と似たようなものですよ。そこらあたりにやはり政治姿勢の問題、行政指導の姿勢の問題として問題点が、反省点があるということは、やはりきちんと皆さんは反省しておいてもらいたいと思う。
 そこで私は続いて質問いたしますが、これは毎日新聞の報道によりますと、世田谷管区内でも国士館の学生生徒の暴力事件が一月以来二十三件、三十四人が検挙をされ、十二人が逮捕をされているという記事があるんですが、この点は事実ですか、どうですか。
#92
○政府委員(綾田文義君) 事実でございます。
#93
○宮之原貞光君 じゃそれらの中に、具体的な事件についてもっと詳細にこれから聞いていきたいと思います。
 一つは、五月二十一日に和光高校の四人の生徒が襲われておりますが、この事件の概要、この点についてまずお聞きいたしたいと思います。
#94
○政府委員(綾田文義君) これは、五月の二十三日午後五時五分ごろに川崎市多摩区におきまして、和光大学付属高校一年生四名でございますが、話し合いながら歩いているのを見て、ばかにしていると曲解し、なまいきだといって四名のほおを殴打をしたという、顔などをなぐったという事件でございます。この事件は、加害者を検挙いたしまして、横浜地検のほうに身柄つきで送致をいたしております。
#95
○宮之原貞光君 いま報告のあったところの事件ですね、これは事実に相違ないか、いま和光高校関係で葛西さんが参考人として来ておられますね。ちょっとその点、いま報告にあった点について学校側から、どういうふうにこの事件を見ておられるのか、ひとつ説明を願いたいと思います。
#96
○参考人(葛西菊太郎君) 私の聞き違いかもしれませんが、いま二十三日とおっしゃったように思いましたが、事件は二十一日の五時半から六時ぐらいまでの間に起こった事件でございまして、大体その時間はうちの高校ではクラブ活動で居残りしていた生徒たちが下校する時間でございます。被害にあったのは硬式テニスクラブの男子の生徒で、事件は下校の途中二カ所で起こったわけです。最初は被害にあったのが二年生三人ですが、そこの現場から、百五十メーターぐらい先で同じグループに一年生一人がなぐられたというのが二十一日の事件でございます。
#97
○宮之原貞光君 そのことについて、和光高校では今後やはりこの事件が起きたことを契機にしまして、どういうこの問題についての対策を立てられたのか、あるいはもうこの事件の加害者が国士館大学の応援部員であるということもすでに明確になっておったと思いますが、それはその後新聞報道に関する限りは国士館側も認めておられるようですから、ですから国士館に対しまして皆さんとしてはどういう抗議なり要請をされているのか、そういう点がありましたら具体的な処置の問題についてお聞かせ願いたい。
#98
○参考人(葛西菊太郎君) 学校といたしましては、私が生徒部関係の主任という立場でございますので、事件が起こりました翌日国士館の鶴川のほうの大学でございますが、さっそく電話を入れまして、そういう問題を担当されている方は池松先生とおっしゃる方でございますけれども、その方と電話で連絡をとりまして状況を一応報告いたしました。そして服装等からすると国士館の学生のように思われますが、たとえば身分証明書で確認するとか、そういうことはしておりませんので、お宅の学生に間違いないというようなところまでは申し上げられなかったわけで、状況からするとそういうふうに思われますので、事件について一応御報告申し上げるということと、今後こういうことが引き続いて起こりますと学校としてはたいへん困りますので、ぜひ学生の指導について善処をお願いしたいという申し入れを翌日さっそく行ないました。その後、警察のほうの取り調べが進みまして、国士館の学生に間違いないということがわかってきた段階で、どの程度わかってきたかというのはちょっと微妙ですけれども、むしろ五月の二十七日に朝日新聞がかなり大きくこの事件をこういう形で取り上げまして、その日国士館のほうでも何人かの方が集まってその問題について対策を協議されたようでございますが、さっそく池松先生が、その日は日曜日でしたけれども、高等学校では球技大会を土曜と日曜やっておりまして、生徒や教師は全部学校へ来ていたわけですが、池松先生が高等学校のほうへわざわざ出向いてくだまして、警察のほうには大学のほうとしてもできるだけ協力していると、暴行を加えた学生がはっきりすれば大学のほうとしては親元にすぐ連絡をとりまして、被害を受けた生徒並びに学校に対してきちっとした謝罪もさせたいし、損害の弁償などもできるだけ学校で責任を持ってきちっとやらせたい、なお、こういう問題が起こらないように大学としては、そのときの話では、特に運動部系のキャプテンなどを集めてかなりきびしい指導をしておりますというようなお話がございました。それが国士館大学との折衝では二回目でございまして、その後、何度か池松先生と私と電話等で話し合いはいたしております。ただ、学校としても、そういう生徒部の主任と国士館大学の学生指導を担当されていらっしやる方との話し合いだけじゃなくて、学校としてもきちっとした文書の形で善処方の要請をしたいということがありまして、先日それをお届けしたいということで鶴川の大学のほうとは折衝したのですけれども、その後朝鮮高校生との事件なども起こりましていろいろ対策に苦慮されているようでございまして、そういう外部の方との折衝や文書の受理は、鶴川のほうでは行なわないようになっているので、何とか本部のほうの渉外担当者を通して、本部のほうと話し合いをしていただきたいというふうなことで、まだ文書の形では学校の意思表示がなされておりません。
#99
○宮之原貞光君 おたくのPTA関係でもこの問題非常に重視をされて、いろいろ善後策を立てておられるのか。また、こういうようなものがいつまでも続くんでは、子供たちにはとても勉強させられないという、こういうことで非常に心配をされていろんな相談をされているということも、私、報道としてお聞きしておるんですが、その件についてお聞かせ願いたいと思いますが、非常に申しわけないんですけれども、私の持ち時間が限られておりますので、きわめてひとつ簡単にやっていいただかなければ、私、御答弁聞きながら気が気でないんでございますから、えらい申しわけないんですけれども、ひとつ簡単におっしゃっていただきたい、その点をお願いしておきます。
 なお、国士館側は、いま和光高校の抗議、要請を受けて、この問題についてどういう処置をされたか、結論だけお聞かせ願いたい、中村さんに。
#100
○参考人(葛西菊太郎君) PTA、私どものほうでは親和会と申しておりますけれども、親和会では二十三日にさっそく緊急の役員会を開きまして相談をいたしました。その結果、国士館の学生であるということが明確になった段階で、親の会ととしても、大学のほうに、今後二度とこういうことがないように申し入れをすべきであるというふうな話し合いが行なわれました。その後、これは六月九日に親和会のほうでも申し入れをしたいということで、鶴川の大学のほうに連絡をとったわけですが、本部のほうに行かなければ、申し入れ書の受理や話し合いではきないということで、できるだけ早い機会にその学長あて申し入れを行ないたいという動きになっております。
 なお、そういう親の会全体のことと、それからもう一つは、被害者の親の方たちが特に心配をしたり、あるいはたいへん憤慨をしておりまして、お互いに連絡をとりながら横浜地検のほうには告訴の手続をとるとか、警察のほうにはきちっとしたきびしい調査を要請するというような動きをしているというふうに聞いております。
 以上です。
#101
○参考人(中村宗雄君) いまの御質問でございますが、私は国士館大学の理事でございますから、業務担当理事ではございません。でありまするがゆえにがこの件に対して、直接の手続をとったことはございませんが、本月になりまして、いや、この問題は前から関係者としては存じております。しかし、本月の初め、あと日付調べればわかりますが、とりあえず御報告を申し上げますが、本部からこういう、和光学園から、また朝鮮学校から――何学校ですかから、申し入れがあった。その担当の者が会議を開いて、いろいろ甲論乙駁したが、ついに議論が決定しないが、どうしたものでありましょうかということを、私のところに問い合わせがまいりましたが、私は、これに対しては、さっそく返答出さなければいかぬ、と同時に、これは誠意を持って直ちに解決すべき必要があるというふうに、私、理事としてそれを指示いたしました。これは申し上げれば、また、あとから御質問があるだろうと思いますから、私の立場、この問題の処理のしかたについては、るる述べますが、とりあえず、そのときにはそう申しておきましたが、どうもそれから以来、大学のいまの総長以下のやり方が手間ぬるいのでありまして、とうてい内外の情勢が、これではとうていこの大学が空中分解するであろうと、また、大体において、これは内部において、この体質改善の機運が盛り立ったと思いましたので、私が体質改善委員会というものを設けることにいたしまして、これは総長に申しまして、彼に承諾させまして、これを発足いたしまして、こういう問題をば直ちに解決する、暴力絶対否定をもってこういう問題を解決する新しい組織をつくるべく、目下進行中であります。と同時に、それは新しい体制というものはすぐにできませんから、さしあたり……。
#102
○宮之原貞光君 聞いたことに対する答えだけ言ってくださいよ。
#103
○参考人(中村宗雄君) いや、よろしいです。
#104
○宮之原貞光君 あとから質問に答えてもらえばいいんだから。
#105
○参考人(中村宗雄君) いや、いま答えております。
 それでこういう緊急の問題を解決しなきゃなりませんが、……。
#106
○宮之原貞光君 質問にだけ答えりゃいいんだ。
#107
○参考人(中村宗雄君) 緊急の問題、答えなければなりませんから、この委員会において決定したことは、総長において直ちに実行するということを、実行させるべく、いま組織をつくっておりますから、近々中にこの問題解決できる体制ができると思います。しかし、まだ解決してないと思います。
#108
○宮之原貞光君 これはやはり委員長がだまってやるなら、私は時間超過しますから、その覚悟でやってください。幾らでも長くやります。先ほど来私がお願いしておるのは、その質問に対して端的に答えていただけばいいんですよ。――それならそうしましょう。
 そうしますと、いまの中村さんの御答弁は、検討する、誠意をもって解決するというふうに答えてあるけれども、その後は、まだ具体的な措置は明確にされておらないと、このように理解してよろしゅうございますか。
#109
○参考人(中村宗雄君) はい、そうでございます。よろしゅうございます。
#110
○宮之原貞光君 次は、六月二日――これは警察庁に聞きますが、長沢芸大の講師が暴力を受けておりますね、六月二日に。これは被害を受けて失明寸前だ云々というように新聞報道されておりますが、国士館大生の疑いがある云々と出ておるのですが、その点はどうなんですか、明確に、どうなっていますか。
#111
○政府委員(綾田文義君) これは、目下警視庁で捜査一課等から特別に派遣いたしまして、強力に捜査中でございますが、まだはっきりした犯人を推定する段階までには至っておりません。
#112
○宮之原貞光君 犯人はだれだということは、まだ明確になっておらないけれども、おおよそ、それはいろいろ新聞に報道されているように、国士館大学の学生であるんではないかと、この容疑は深いんですね、どうなんですか、そこは。
#113
○政府委員(綾田文義君) 御承知のように制服が特別に国士館はきまっておりますので、そういうことで、きまっておりますけれども、現在の捜査の段階では、まだ、私どもから国士館の生徒に容疑が深いというところまではちょっと申し上げられないというふうに考えております。
#114
○宮之原貞光君 六月の十一日の、会社員二人に対する、何か七人で袋だたきをやった云々という、この事件はどうなんですか。
#115
○政府委員(綾田文義君) これは神奈川県警の事件でございますが、やはりゴルフの練習場からの帰りの会社員の方二人が、学生風の五、六人に取り囲まれて、そうして傷害を与えられたという事件でございまして、これも神奈川県警と警視庁で、現場周辺の聞き込みその他、現在捜査を強力に進めておるところでございます。
#116
○宮之原貞光君 そうすると、これは国士館の生徒らしいところからはまだ一歩も進んでおらないですね、捜査の実態は。
#117
○政府委員(綾田文義君) そのとおりでございます。
#118
○宮之原貞光君 じゃ、六月の十一日、十二日、朝鮮の中高級学校の生徒に対する事件ですね、いわゆる新宿事件、高田馬場事件でございますが、新宿事件では巻き添えを食らって七十歳の老婆が非常にけがをされたという非常に痛ましい、不幸な事件さえも起きておるわけですが、明確になっているのは、六月十二日ですが、復讐だこうだ云云ということで電車の中に入り込んで云々と、この事件のことについて少し詳しく説明していただきたい。
#119
○政府委員(綾田文義君) これは十二日、当日、新宿駅周辺でそういうことが起こるかもわからないというので、新宿署で強力に捜査をいたしておりましたところ、木刀を持った学生、これは国士館の学生でございますが、三名、凶器準備集合罪で逮捕されております。そういう事件があったせいかどうかわかりませんが、新宿駅付近は警戒が厳重だということで高田馬場へ行ったんではないかと推定されますけれども、これは国士館の大学の学生でございますが、かさ等を持って、そうして電車の中に朝鮮高校生がおるというのでガラスを割って入って、そうして暴行を加えたということで、警察は連絡によってすぐ現場へ行きまして、先ほど申しましたとおり、八名、現行犯で逮捕いたしました。これは身柄つきで検察庁に送致をいたしております。あとその日に四名、これは国士館の生徒が出頭してまいりまして、これも捜査をいたしておりますが、この事案で朝鮮高校の生徒が七名被害を受けたと言っておりますが、診断書で被害届けが警察に出ておりますのは四名でございます。
#120
○宮之原貞光君 残念ながら新聞はあなたがおっしゃったよりもなお詳しく報道されておるんですね。八名らしいとかといわれますが、国士館の生徒が約二十名襲ったとか、時間も四時三十一分という明確な時刻、あるいは電車の五両目ということまできちっとなっておるんですが、だいぶおたくの取り締まりの中では、若干、らしいとか、非常に不明確なんですが、私そういう点で、治安をあずかる皆さんがもう少し、御質問はきのう予告しているわけですから、明確にやはり私お答え願いたいと思うんですよ、この種の事件は。関係者もたくさんそれぞれ聞いておられるのですから、こんなあやふやにされたんじゃ国民たまったもんじゃないという印象しか受けませんから、後ほどお聞きしますから、そのときにはてきぱきとお答え願いたいと思うんです。
 それで、私は、ちょっといま説明を聞きながら、何か学生が木刀を持って何だ、こうだと、まるで狂犬が町を歩いている人にかみついたようなもんですね。これを何としても私はやはり国士館自体の教育のあり方の問題体質にやはり問題が根ざしておると言わざるを得ない。そういう角度から今後少し質問を続けていきたいと思いますから、中村さんひとつよろしくお願いいたします。いま出ましたところの逮捕なり検挙されたところの学生、生徒に対しまして、学校としては具体的に現在どういう処置をされたのか、あるいはどうなのか、そこのところ結論をお聞かせ願いたい。
#121
○参考人(中村宗雄君) それは、私業務担当理事でございませんから、どう処置したかということにつきましては、当事者としてお答えはいたしかねます。
#122
○宮之原貞光君 ちょっと私はこの参考人のなにについて疑義があるのですよ。こういう重要な問題について、私は業務担当でないからお答えされませんという……私は委員長に要求しますけれども、答えられるところの参考人を出してもらいたい。それでなければもうこれ以上質問を続けられません。
#123
○参考人(中村宗雄君) ただいま私少し説明いたしましたが、説明が長過ぎるというお叱りがございましたからわざと簡単に申し上げました。私、それらの事情は存じております。しかし、それを間違いなく申し上げるには若干ことばが必要でございますから、簡単に申し上げられませんからついそういうふうに申し上げましたが。
#124
○宮之原貞光君 それはおかしい。私が聞いているのは、それだけの暴行で検挙されたり、逮捕されたところの学生を現在どういう処分をしておりますかという結論だけをお聞かせ願いたいのですから、経過は要らないと申し上げているのですよ。ですからあなたが、何名どうしましたということをおっしゃっていただければいいし、御存じなかったら存じなかったと明確に言っていただけばいいのです。途中は要りませんよ。
#125
○参考人(中村宗雄君) それは、私は業務担当の理事でございませんから、私直接調べたのではございませんが、報告を受けたものはございます。
 その学生の大半は政治経済部の学生でございまして、その政治経済部の学生につきましては、一昨日でありましたか、政治経済部の教授会を開きまして、その処分につきて教授会を開きました。なお、法学部及び文学部一名ずつかありまするが、これはまだ身柄釈放になっておりませんので手がつけられませんが、これも取り調べが一段落つきましたらばさっそく教授会を開いて処置いたす手配に大学としてはなっているはずでございます。
#126
○委員長(永野鎮雄君) ちょっと中村参考人に申し上げますけれども、学校当局には、この問題について責任のある話のできる方に出席をしていただくようにお願いを申し上げたので、そのことを心得てお話をいただきたいと思います。
#127
○参考人(中村宗雄君) 私承りましたところ、大学の近代化についてこの中村が責任を持って近代化委員会を設けまして新しい措置を私は責任を持って始めております。その点を中心として聞くからというふうに承りました。その点は私責任を持ってすべてをお答え申し上げますが、それ以外は、大学の理事として存じておることを申し上げる次第でありまして、もし、申せというならば、本日随行もおりまするから、私の存じておらないことは、それらからも材料を集めてここで責任を持ってお答え申し上げます。
#128
○宮之原貞光君 いま中村さんのお話を聞きますと、あれだけ事件が起きたから今後大学の改革をどうしようかという問題についてはあなたは大体ものの考えは発表できますけれども、いままでの処置あるいはいままでの事件の処理、あるいはいままでの学校のいろいろな運営、あるいはいろいろなことについてはあまり責任をもってお答えできないと、こういうふうなお気持ちだというふうに理解しておるのですが、そのように理解をしてよろしゅうございますか。
#129
○参考人(中村宗雄君) いや、責任をもって答えられないとは申し上げません。
#130
○宮之原貞光君 責任をもって答えてもらわなければ実に困る問題なんですよ。たとえばいまの検挙された学生、逮捕された学生というのは数もわかっておるわけです。それならば その後、経済学部の教授会で何人のその学生に対してこういう処分をしてきました、現在こうなっております、あるいは何学部はこうですということをきちんと答えてもらわなければ私は非常に困るのです。そういう点があれだった私はきょうはひとつこれくらいにして日を改めてもう一回、次の委員会にきちんと答え得るような方を学校のほうから出していただいて私は進行さしていただきたい、こういうふうに動議として言わざるを得ませんね、提出せざるを得ません。
#131
○参考人(中村宗雄君) 本日随行もおりますがゆえに、事項を限って仰せくださるならば、本日ことごとく記録を持ってまいっております。時間をちょうだいできるならば、逐一責任をもってお答えはできます。ただ、私は業務担当理事でないから、私自身がすべてを手がけたのでないということを申し上げただけでございます。責任をもって答えることはできます。ただし、本日は随行がおりますから、それから資料を取り寄せる、その他のことは、どうか時間をお許しを願いたいと思います。大体ここに資料はございます。御質問願えれば、何でもお答えいたします。
#132
○委員長(永野鎮雄君) いま中村参考人のおっしゃったのは、責任をもってお答えができますという発言と、資料が、随行がいるから、それを取り寄せて何をする間の時間がかかるから……。
#133
○参考人(中村宗雄君) 時間がかかるとは申し上げませんが、先ほどのようにすぐ答えろと仰せられても、やはり随行を呼ぶだけの時間はちょうだいいたしたいと思います。
#134
○委員長(永野鎮雄君) その程度の時間は、たいした時間じゃないと思います。
#135
○参考人(中村宗雄君) そんならよろしゅうございますが、いま持ち時間四十分で切れるからと、せいておられたようですから、そうもまいらないから、それだけ私申し上げたわけです。
#136
○委員長(永野鎮雄君) 答えられるだけの範囲のものは答えてください。
#137
○参考人(中村宗雄君) はい承知いたしました。
#138
○小林武君 議事進行。やっぱり聞いているほうがはぐらされたような感じになるんだ、これを聞いていると。たとえば検挙された者が何人かあると、それに対してどういう処分のしかたをしたかといったら、これこれとこれはこういう処分のあれにしましたと言えばいいんだ。私は何だか理事だと、そんなことは言わなくてもよろしいんです。そういうように言うように話してください。
#139
○委員長(永野鎮雄君) ただいまお話のあったのもお聞きだと思うんですが、そういう意味で、質問者の質問に対して的確な返答をしていただくように。わかりましたか。それじゃさっきの宮之原委員の質問……。
#140
○宮之原貞光君 答えられぬと言われるから、答えられないものを無理に引き出すのも私は気の毒だと思って、おわかりになる方を一緒に出していただいたらどうなんですかと申し上げているんですね。だけれど、またあなたがわかるとおっしゃるならば続けてお聞きしますがね、さっき私がお聞きしようと思った点は、警察庁からいままで何人逮捕をし、何人検挙をしたというお話があったんです。ですから、おたくの学校で暴力事件で検挙されたり、逮捕されたりしたところの学生が相当おるということは、これは間違いない。したがって、学校当局としてはそういう学生に対してどういう処置をされたか、具体的に結論のほうからお聞かせ願いたい。それは、ちょうど先ほどほかの委員から指摘があったように、何学部ではこういう学生に対しては、停学なら停学、退学なら退学させておりますと、これは不問に付しておりますなら不問に付しておりますと、そこをお聞かせ願えればよろしいんですよ。
#141
○参考人(中村宗雄君) 以前からの問題はさておきまして、今回の警察のごやっかいになった学生は二十名であります。今回に限りますと。
#142
○宮之原貞光君 今回というのはいつからいつまでですか。
#143
○参考人(中村宗雄君) 五月から六月にかけてです。それで、二十名でありまして、うち政経学部の学生が十六名、文学部が二名、法学部が二名でございます。それで、これは和光高等学校に関係した学生が二名、それから共産党の北部支部をば無謀にも襲撃した学生が七名、高田馬場事件が十一名、こういう内訳になっております。
 それで、この政経学部の学生は、六月の十八日に政経学部の教授会を聞きまして、種々審議いたしました。まだ、十分事実の確認が終わらないので、とりあえず謹慎を命じまして、学生監において、なお十分なる根拠を確認する学生に限って、今後最高は退学より順次長期停学に処することを可とする旨の議決をいたしました。なお、最終の処分はいたしておりません。しかし、さしあたり身柄の拘束を解かれました学生、これが学校にそのままふらふら出てくるのは妥当を欠きますので、自宅謹慎を命じて、さらに事件を学校側として得心のいく程度まで十分調査をいたす段取りになっております。なお、文、法のほうは、身柄が拘束されておる学生が多数でありますので、これらを身柄の拘束を解かれましたら、同じくとりあえず謹慎を命じ、そうして、その内容を調査して、十分調査できた上はそれぞれ適当なる処置を講じ、適当なる時節に最終の処罰を決定いたしたいと思います。
#144
○宮之原貞光君 そうすると、二十名の検挙なり、逮捕されたところの学生は、現在政経学部関係の十六名は、現在のところは謹慎を命じてある。
#145
○参考人(中村宗雄君) はい、そうであります。
#146
○宮之原貞光君 それから、逮捕された学生は身柄が拘束されているから、処分はそのまま現在のところ保留してある、こういう意味ですね。
#147
○参考人(中村宗雄君) はい。
#148
○宮之原貞光君 それで、教育のおたくのあり方の問題についてお聞きをいたしますが、これはどうですか、あなたは担当でないから、おわかりでないですか、それともおわかりですか。そのことをお聞きしてから、お尋ねします。
#149
○参考人(中村宗雄君) どういう事項ですか、わかるかわからないか、伺わなければ。
#150
○宮之原貞光君 それならばお聞きをいたしますが、おたくには独得のカリキュラムとして実践倫理というものがあるのですが、およそどんなものですか。
#151
○参考人(中村宗雄君) お尋ねまことに適切なお尋ねだと思います。これはわれわれ関係者としてはなはだ頭を痛めております。前のなくなられた総長のときの実践倫理はとにかく妥当で、傾聴に値するものがございました。しかし、いまの若い総長には荷が勝ち過ぎると思いますので、これは善処すべきよう私長老として再三注意したのでありますが、それが、改まっておりませんので、実は最後の改めるよう申そうと思っておりました。この夏休みを機会に、私は最後の勧告をしようとしておりましたところが、この騒ぎが起こりました。今後これについては十二分の改革を加えるつもりであります。
#152
○委員長(永野鎮雄君) ちょっと参考人、いまの質問に対する答えがあまり的確でなかったと思います。実践倫理そのものについて、内容についての質問だがら、それについての答弁をしてください。
#153
○参考人(中村宗雄君) 現在の館長訓話、これは大学の常といたしまして、それぞれの先生の講義をば他が盗み聞きすることか、内容を調べるということはいたさないのが講義の自由であって、これはいたしません。また聞きをするというのが、何んとなく耳に入るというのが、これが常であります。しかし、われわれが聞いたところ、いまの総長の館長訓話はほとんど内容がない、毎週二時間ずつ担当すべくあまりにも低調なもので、内容のないものであるというふうに私は理解しております。
#154
○宮之原貞光君 私は、あなたは刷新何とか委員会の委員長をやっておられますから今後の改革に対しての意欲を非常にお持ちだということについては敬意を表するのですがね。私お聞きしておりますのは、言われているところの実践倫理でたとえば一番柱が総長訓話ですね。一週一回の。この中身はどういうものでしょうか。このことをお尋ねしておるんで、こういう中身について具体的にこれからお聞きいたしますからそれをお答え願いたいと思う。それはあれですか、教授の皆さんは全然そこに立ち会うことができないから内容は御存じでない、こうおっしゃるんですか、どうなんですか。
#155
○参考人(中村宗雄君) ただいま申しましたとおり、大学の慣行として他人の講義の内容は自由であり、これをば他人が入って速記をするとかあるいは内容をとらえるということはいたしません。でありまするから、こういう内容でありましたということは私は責任をもってここで申すわけにはまいりません。
#156
○小林武君 ちょっと関連でひとつ聞きたい。
 実践倫理というのは、内容がすでにこの大学ではかくかくの内容のことを話すというようなものではなくて、随時総長が考えられたことをその場その場で話すという、こういうものですか。それともはっきり文章になっているとか、一つの方針として文字に書かれたものであるのかどうか、そこのところはどうですか。
#157
○参考人(中村宗雄君) それは、いま前に仰せられた総長の処世訓と申しまするか、そのときそのときに考えられたことを述べるのであります。なお、つけ加えるならばなくなられた旧総長時代には自己の体験談、時々起こった時事問題を取り上げて総長としての立場の見解を述べて、これなかなか聞きごたえのある講義であったようであります。
#158
○宮之原貞光君 前の総長のは聞いておったけれども、いまの総長のは聞いておらぬということですね。
#159
○参考人(中村宗雄君) いや、そうじゃありません。
#160
○宮之原貞光君 いまの話聞くとそうじゃないですか。前の総長のはばかに擁護してですね、いまの総長のはくそみそにやっつけているんだからね。あなた聞かない、聞かないというけれども、知っているから批判できるんじゃないですか。
#161
○参考人(中村宗雄君) どうか人の申したことをあげ足とらないでいただきたい。一々私は内容を聞いたのではない。要するに学生がやはりしゃべりますから耳におのずから入ります。きょうは総長こういうことを言った、なかなかいいことを言ったように聞いております。しかし、いまの総長の訓話にはこれといったいいことが耳に入らない。それらを総括して申し上げただけであります。
#162
○宮之原貞光君 私どもがいろいろ学生諸君、おたくの関係のあるいはその他から聞きますといわゆる総長訓話の骨格は日本民族の優秀性とか天皇制を中心にした旧道徳の賛美あるいは反共ということを一番のポイントにして仕組まれておる、このように聞いておるんですが、いかがですか。あなたがお聞きしておるところの様子というのはどういうものですか。
#163
○参考人(中村宗雄君) いま御質問のことを私はあえて否定いたしません。しかし、全面的に肯定もいたしませんが、決して否定するものではございません。
#164
○宮之原貞光君 いや、私がお聞きしているのはその中身の批判をどう思いますかということを聞いているのじゃないのです。事実関係の、こういうことを前の総長ないしいまの総長は言っておるようだが、あなたはそういうふうなことを聞いておりませんかと聞いておる。
#165
○参考人(中村宗雄君) そういううわさを聞いたかと仰せられれば、聞きましたと申し上げます。しかし、確かにそういう趣旨で言ったという、価値判断するかと言われればそうであるとも言えるし、そうでないとも言えるということを申し上げます。
#166
○委員長(永野鎮雄君) 中村参考人にちょっと申し上げますが、あなたの主観をというか、理解がどうであるかということでなしに、事実を知っておられたらその事実を述べ、事実を知らないとおしゃるなら、知らないとおっしゃればいいのです。
#167
○宮之原貞光君 これは、前学長のときははっきりしておったのですが、いまの総長も含めて、それならば学校の方針としては、あなたも教授ですから、学校の方針はもう御存じだと思います。現在の憲法についてどういう、それを肯定する立場なんですか、否定される立場なんですか、学校の方針は。
#168
○参考人(中村宗雄君) もとより憲法は肯定する立場でありまするが、ときどき結果的に憲法否定につながるやと思われるような態度がありますので、これらはあくまでもわれわれ反対してまいりました。しかしながら、現実に反対の立証といいますか、これは反対の行動であるという極端な実例はいまだ出ておりません。
#169
○宮之原貞光君 あなたが尊敬をされます前総長の柴田徳次郎さんですか、この方は四十一年の三月十一日、これはおたくの政治結社の新聞ですね、「大民新聞」というのがありますね。その「大民新聞」に、「いまの憲法は犬法だ、全く詐欺文書だ」と、こういう文章を残しておられるのですが、これどう考えても今日の憲法を否定したところの総長のものの考え方だと思いますが、いかがでしょう。
#170
○参考人(中村宗雄君) いま仰せられることは確かにそうであります。でありまするがゆえに、その総長の考え方は総長の考え方、しかしそれは大学の講義には反映させないように私はつとめてまいりました。
#171
○宮之原貞光君 それはおかしいですね。一週間一回はちゃんと実践倫理というのはおたくの必修科目で、これは六十点以上とらなければ落第するんでしょうが、しかも、一週間一回ずつ全校生徒にあるわけです。学年別に分けて講堂で、正座させて、学監がおって、感想文まで書かせるのですから。それをあなた一人でいかにこれはそういうことをさせないようにやっておりますと言ってみたって、さっきのお話聞くと、総長の話というのは連綿と続いておる。しかもあなた方は全然聞くこともできないという仕組みになっておるのですからこれは否定できないと思う。学生に実際にカリキュラムとして組んでやっておるという事実は、これは憲法否定の講義をしていると理解されても当然じゃないですか。いかがですか。
#172
○参考人(中村宗雄君) これから先は議論になりますが、われわれは、ひとり中村ではございません。国士館におる関係者いずれも憲法を否定しようとするがごとき考えの者は一人もおりません。ただ老総長――いま老総長を私が敬慕していると云々仰せられましたが、あれは私の友人でありますので、むしろ彼が私を敬慕しておったと思いますから、これはちょっと申し上げておきますが、彼の言動は総長訓話で、特に私は友人ですからつけつけ言いますが、政治問題は総長訓話では出さないようにという注文はつけております。しかしそれ以上のことは私としても、理事としても手が届きません。しかしながら、総長のいま憲法否定の意思があったとしても、それが一般のカリキュラムに影響するようなことはこれは絶対になかったということ、また事実そういうカリキュラムを組んでおらない。憲法の講座は、それぞれ十分に戒心して先生を選んでおります。その点は私事実としてここに申し上げてはばからないのであります。
#173
○宮之原貞光君 どうも先ほどからこれは質問の答えと違うようなところがある。独得のカリキュラムとして実践倫理というのもがあるでしょうと言えばそれは肯定しておる。その実践倫理というものは総長訓話としてやられて、文書としたものはないとおっしゃっているわけでしょう。それも肯定された。しかも、おたくのほうの規定から言えば、これはこういう総長訓話のほうから、あるいは掃除から警備を含めて必須教科になっているのですね。ですから、これはカリキュラムの中に、その総長訓話の問題を受けなければ及落に関係あるわけでしょう、実際問題として。それじゃ、総長が堂々と自分のこの新聞の中にも発表しているとおり、こういう問題を、これはずっとやっておられる。私は、あなたが中身を知らぬと言うからあと言わぬけれども、国士館のいわゆる各国の国民の性格を変えたところの具体的なものの言い方なり、あるいは国士館の標語の問題なり、国士とは何かという問題なり、あるいは講師の問題なりひっくるめてみれば、明らかにこれは今日の憲法どころじゃない、その他学校教育法も逸脱したようなものが一ぱいあるのですよ。そして、それは実践倫理として一つのカリキュラムを組んで単位としながらも、そういうことは私がさせませんと、幾らあなたが前の校長だか総長と友人で尊敬されておられようとも、総長というものがおってそれを組んでおる限りは、それであなた単位とられておるのですから、それは教育の中に入れているということは事実でしょう。それを否定されますか、あなたは。その点はお認めになるでしょうか。
#174
○参考人(中村宗雄君) それは認めます。
#175
○宮之原貞光君 それじゃ、いまの答弁と違うじゃないですか。
#176
○参考人(中村宗雄君) 失礼ですが、どう違いますか。私は、この実践倫理というのは学科の講義でないので、単なる処世訓と考えております。思想の自由でありまするがゆえに、どのようなことを研究しても、これは自由であろうと私は考えております。しかしながら、正規の学科としては、国士館としては決して現行憲法否定の学問は教えておりません。また、現行法律制度否定の法学は教えておりません。ただ、思想の自由、これは守っております。その範囲であります。
#177
○宮之原貞光君 しかし、あなたがどう否定されようとも、実践倫理というのがカリキュラムとして組まれて、一つの及落の判定の要素となっていることは事実なんだから、それは総長がずっとやられるわけでしょう、一週間に一回。もちろんときには、自民党の代議士諸君もやりますね。石原慎太郎とか、あるいは何ですか、この間の「よど号」事件の山村新次郎ですか、あの皆さんも行って、賀屋興宣さんあたりも出向いてやっておられるようですけれども、それに対して感想文を学生に書かせ、そして学監がおって添削などしたりして、それで点数をつけて、一定の点数にならなければ、これは単位を取ったものとみなされない以上は、これはやっぱり教科の中に組み込まれておることなんですよ、あなたがどう否定されようとも、おたくの仕組みの中では。それをそうじゃないと幾ら言われたって、これはしようがないことだけれども、あなたが否定されても、組まれておる事実はお認めになるでしょうと、こう言うのですよ。
#178
○参考人(中村宗雄君) よくわかりました。
 私は思想の自由と申しました。しかし、これは教員にもあると思います。ですから、私は実践倫理の際に、総長に、なるべく言動は慎むように、学校一同としてそれは要望をしておりまするが、なるほど講義のときには、思想として憲法否定あるいはいろいろな話をしたかもしれません。しかしながら、それは側近の者、これは私じゃございませんが、十分にその点も考えておりまして、採点の方法として、問題は、なるべくそういう思想問題には触れないような問題を出すように、側近が苦労しておったようであります。と同時に、その採点のしかたが、これは側近のやり方でありまするが、これは、私側近の苦労を買ったのでありまするが、たしか全体として六十点だと思いますが、答案はどんなことを書いてもとにかく一点、それから出席が一点、それからなんとかいって点をかせぐので、計算するのであって、総長の言ったことばそのまま書かなければ及第できないような制度にしてはございません。
#179
○宮之原貞光君 いずれにしても、あなたがどのように否定をされようと、あとは困った問題はみんな側近、側近にして、この側近のせいにされておりますけれども、これはおたくの実践倫理の中が、先ほど来何回も申し上げますように、一つの教科としておたくはとらえて、及落の判定の点数の基準にしておるのですからね。その点はもうこれは間違いない。中身は、それはあなたと私は意見は違うかもしれないけれども、事実関係はひとつ認めておいてもらいたい、この関係の。これはそうでしょう、事実あるのでしょう。そうして点数が六十点以下は、あなたがおっしゃったように及第できなくなるのでしょうが。その点は間違いないでしょう、中身は別にしても。
#180
○参考人(中村宗雄君) いま仰せられることを、結果的に全面的に承認いたします。だが、いまの採点の方法について、いまの事務当局でいろいろ苦心して、その弊害の除去につとめてきたということは事実であります。しかしそれは、その苦労は、いまの総長も十分心得ております。いまの総長になってからは、そういう思想的な問題は全面的にございません。ただ問題は、内容がむしろ空虚になったということ。また、ああいう特殊なものについて、特に特別扱いするということがはたして妥当かどうかというふうに、実践倫理に対するその批判の重点が移り変わったということであります。それらをばひっくるめて、この近代化委員会で十分に討議いたしたい。いま仰せられましたことは、ある意味において全面的にお認めいたします。しかし、これもすでに過去の問題であるということを、どうか御了承お願いいたしたいと思います。
#181
○宮之原貞光君 過去の問題ということは、私は理解できないのです。いまから、あなたがいま述べられたのは、今後やりたいということなんでしょう。それをあなた幾ら否定しようとも事実関係なんだから、あなた知らないというなら次の機会にはその責任者に来てもらいますよ。
 それでもう一つお尋ねしますが、これは知らないとは言わないと思いますが、おたくにはいろいろな行事がありますね。二月十一日を紀元節という、四月二十九日をわざわざ学生心得帳にも天長節と呼びますね。十一月三日を明治節と、こうやっぱり明確に規定しておりますね。このことと、現在の学校教育法並びにあなた先ほど言われたところの法を順守をするという、法律の祝祭日にかかるところのいろいろな規定とは、私は相当違うと思うのですが、この点はいかがでしょう。
#182
○参考人(中村宗雄君) その点は全面的に認めます。これが近代化の重要なる論点であります。また、改革の点であります。
#183
○宮之原貞光君 それから、特に四月二十九日を中心にして閲兵分列行進というものがありますね。前の校長は白い馬に乗ってしたそうでありますが、今度の校長は赤い色のオープンカーで乗り回すそうですけれどもね、あれはどうですか。私は、この記事を見ながら、まさにこれは昔の天皇の観兵式みたいな、こういうことをいままだやっているのかな、国士館という大学はなかなかたいへんなところだと思ったのですが、それをやられていることは事実でしょう、今後どうなるかは別にいたしまして、ただいま。
#184
○参考人(中村宗雄君) 事実であることを認めます。これも改革を要する点と、第一番に掲げてございます。
#185
○宮之原貞光君 それから行事の中で、毎月二十七日は国旗掲揚式日とかと書いてあるのですね。この意義は、どういう意義づけをされておるのですか、お聞かせ願いたいと思います。
#186
○参考人(中村宗雄君) これは私、理事としても反対でありますから、ことさらに理由は問いませんでした。これは私、全面的に反対でありますから、理由は問いません。
#187
○宮之原貞光君 あなたが反対か賛成かと聞いているのじゃないですよ。その意義づけを学校側はどういうふうに言っていますかということをお聞きしている。あなたも学校の教授なんですから、意義づけくらいはおわかりでしょう。だから、意義づけに対して反対だとあなたはおっしゃるのですか。意義づけがあるはずですよ。毎月二十七日というのを国旗掲揚式日と、こう書いておるわけですから、非常に意義があるはずなんです、学校では。
#188
○参考人(中村宗雄君) それは、おそらく旧総長としては意義があったんでしょう。われわれは認めないから意義もせんさくいたしません。だが最近はいたしておらないようであります。
#189
○宮之原貞光君 現在は、それはないんですか。それは前の学長時代にあったんですか、いまはないんですか。そこをはっきりしてください。
#190
○参考人(中村宗雄君) いまはやっておりません。
#191
○宮之原貞光君 そうすると、国士館学生心得というのはもうなくなったんですか。端的におっしゃってください、あるのかないのか。
#192
○参考人(中村宗雄君) 学生心得というのは、私、本は見たことがありますが、学生には配ってないと心得ております。学生に配っておりまする要綱にはその学生心得は載っておりません。
#193
○宮之原貞光君 学生に配るのが学生心得じゃないんですか。学生心得というのは学生に配ってこそ学生心得になるんであって、それは学生には配ってありませんというのはどういうことですか。それは学生には配ってないんですか。不心得者が出るわけだね、だから。
#194
○参考人(中村宗雄君) ただいまの私の答弁、足らなくて申しわけございませんでした。われわれの手でいつも配っているのは要綱というのでありますが、それ以外に学監のほうで学生心得は学生に渡しておったそうであります。そのうちに国旗掲揚云々ということが書いてあるそうでありまするが、それは事実上この数年やっておらない、これが真相でございます。
#195
○宮之原貞光君 私、学生心得なるものをちゃんと持っていますがね、おたくは門外不出かもしれませんがね。これはあなたがおっしゃったようにちゃんと書いてあるんですよ。学生心得の中にも国旗掲揚式の意義というのを。それを学校の教授が、しかも、先ほど来いろいろお話しを聞きすると、前校長が敬愛するとも言うべきはえ抜きの中村先生がそういうことは存じないというのは、これは常識で言いますと理解できないんです、率直に申し上げて。少し都合の悪いところは私は知りませんというんじゃ、ちょっと国士館大学というのはいよいよむちゃくちゃだなという印象しか与えませんよ、その点は。残念ながら、この「国旗掲揚式の心得」には、「この日は、維新の国士吉田松陰の処刑された日であると共に、日露戦争において我が連合艦隊が露国のバルチック艦隊を日本海において打ち破った日であり、」と、だからして国旗掲揚をするところの式典をしなければならない、意義があるんだということが、残念ながらおたくのものの考え方の根底なんですよ。こういうことやら、先ほど私が質問してあなたが肯定をされたところの天長節といい、明治節といい、それは思想としていろいろ自分で思うのは別ですよ。しかし、それをちゃんと学校の行事に名を打ってやるというのは、今日の教育基本法なり、あなたが法を守るとおっしゃったこの祝祭日法から言えば、これはどうも理解できないことでございましょう。それでも、私どもの学校は憲法なり、教育基本法に寸分も違っておりませんと断言できましょうか。どうでしょう。その点どうですか。
#196
○参考人(中村宗雄君) いま仰せられたことは重重ごもっともであります。教育基本法をあくまでも守る決心であることはこれは明白に申し上げられます。しかしながら、各大学には因縁あり情実あり、それが十分行なわれなければこそ、今回のごとき国士館に騒動も起こった。これらをばすべて因縁、情実を断ち切る、これが国士館の近代化であります。その熱意をお考えください。われわれは現在、理想を申すのであります。われわれの心情を申すのであります。実際は、決して国士館はその理想どおりいっておったとは申しません。理想に離れておればこそ騒動が起こったのであります。その国士館を改組したいという念願でおります。
#197
○宮之原貞光君 中村先生の反省なりは非常に敬意を表しますが、ただ、私がいまお聞きいたしておりますのは、今日の国士館におけるところの教育のあり方の問題をずっとお聞きしているわけでございますから。
 もう一つ、この学生心得、これは大体四〇ページからなっておるようでございますが。
#198
○参考人(中村宗雄君) ちょっと一言……。
#199
○宮之原貞光君 ちょっと待ってください。参考人というのは質問に対して答えていただけばけっこうでございます。またいずれあなたが演説する場所は別にあるようでございますから、ですからお尋ねしますが、この学生心得の中の第四ですか「通学途中の心得」というのは、これは私は全くりっぱなことが書いてあると思うのですよ。方針にはいろいろ私は疑問があるが、この通学心得のとおりに多くの学生の皆さんはやっておられますか、どうですか、あるいはどういう指導をされておられますか。
#200
○参考人(中村宗雄君) 御質問の御趣旨わかりました。国士館というのは非常に礼儀を正しくするということ、いわゆる折り目正しくすることがモットーで、通学心得というのはまことによくできております。むしろあれをあのまま守ったら理想的な学生ができるわけであります。まじめな学生はあれを守っておりまするが、なかなか守らない学生のほうが多いのであります。それは事実であります。また中村演説と言われるかもしれませんが、その辺もどの程度実際の学生を相手にした程度の住みいい学校をつくろうというのが今度の改革の目的であることもつけ加えさしていただきます。
 それからなお、いま委員からいまの大学の現状について質問していると言われましたが、大学の現状も過去のなくなった総長時代の現状が御批判の的となっているように思います。逐次それについて反省が加えられたからこそこの騒動が起こったと思います。だいぶいま宮之原委員の描かれている像とは現在の国士館はだいぶ違っているということをどうか御認識いただきたいと思うのであります。
#201
○宮之原貞光君 昔と違ったと幾らおっしゃっても、この事件は現実に国士館の姿からこう起きておるのですからね。
#202
○参考人(中村宗雄君) そうなんです。
#203
○宮之原貞光君 そうなんですと肯定されてはだめですよ。前の時代と違っていると片一方でおっしゃっているが、それではわからなくなるわけですよ。いずれにしましても、あなたは、現状を打破しよう、改革をしようという意欲はわかるのです。しかしながら、少なくとも前の総長からいまずっと引き継がれているたとえばこの方針というのが、まだあなたが幾ら意欲を起こされても変わっておちないから、やはり今度の事件が起きていると、こう私は見ているから言っているのですが、たとえば学生心得の中に「外国人に対する心得」というのがありますね、こう書いてありますよ。「外国人に対する場合には、自分は日本国を代表している積りで応待し、誇りを以て堂々たる態度で接する。」、「二、親切に取扱い、侮蔑的言動を弄したり、あるいは卑屈になってはいけない。」「三、外国人の見ているところでは特に立ち小便をしない。外国人はこれを嫌い劣等視する。」なんてね、まことに行き届いたと申しますか、ちと私どもから考えれば大学の学生に対する心得帳としては少し稚戯にもひとしいところの、小便をするなというところまでよくこまかく書かれるものだと思うんですよね。こういう心得を持ちながら、なんで外国人としての朝鮮のあの在日公民の皆さんに対してああいう暴力を発揮されるんでしょうかね。その点どう見ておられるんですか。朝鮮の在日公民の皆さんは、あれは外国人でないというものの考え方、これはやはり皆さんお持ちじゃないですか、学校は。どうなんですか、そこは。それとの関連でひとつお聞きするんですがね。
#204
○参考人(中村宗雄君) いまの御質問はきわめてむずかしい問題で、とうてい短時間でお答えできません。いろんな要素が複雑化しておると思います。しかし、これを端的に申すならば、やはり若い学生で売られたけんかは買わずばなるまいというような要素が多分にあらわれていると私は思います。しかしながら、そういうことは私は申しません。暴力絶対否定、これでもって国士館を立て直そうと思っております。この問題は、本日は私はお答えいたしかねます。暴力を振るったことに対しては重々おわびを申し上げます。この暴力振るわない新体制をつくるべく努力いたします。
#205
○宮之原貞光君 売られた暴力って、あなたはあれですか、国士舘の学生のあの朝鮮の学生生徒に対するところの暴力事件というものはみんな売られたけんかだという理解に立っているんですか。
#206
○参考人(中村宗雄君) いいえ……。
#207
○宮之原貞光君 あなたはいまそう言ったじゃないですか。
#208
○参考人(中村宗雄君) ということも見られるし……。
#209
○宮之原貞光君 言ったじゃないですか、あなたは。売られたけんかに対しては買わざるを得ないという心情はわかりますど、しかし暴力には……。
#210
○参考人(中村宗雄君) それもあるし、だからいろいろな要素が複雑しておるということを申し上げております。
#211
○宮之原貞光君 私の質問にお答えなさいよ、あなたは……
  〔「参考人に対して非礼じゃないか、委員長、整理をしてきちんとやりなさいよ」と呼ぶ者あり〕
さっきそういう答弁したんだから議事録をじゃ読んでくださいよ。委員長、議事録を出してくださいよ。
#212
○委員長(永野鎮雄君) 中村参考人にお尋ねします。
 さっきあなたのおっしゃった答弁の中で売られたけんかといったような発言があったように聞きましたが、それはどうなんですか。
#213
○参考人(中村宗雄君) いやそういうような要素とか、あるいはいろんな要素が複雑しておりますから、これは端的に民族べっ視だというふうに一本にはきめかねる問題ではございませんかと、こういう趣旨であります。問題が複雑でありますと。
#214
○委員長(永野鎮雄君) それは複雑ということはいろいろあるでしょう。その売られたけんかということについては、あなたはどういうふうにお考えですか。
#215
○参考人(中村宗雄君) これは若い学生ですから、この若い学生の心理によくあるんですな、若い学生には。これは教育の現場に当たった方は御存じと思います。
#216
○委員長(永野鎮雄君) いま起きておる事件についてどう考えておるか。
#217
○参考人(中村宗雄君) いや、これはこの事件についてはそうだとはぼくは申しません。
#218
○宮之原貞光君 じゃ、警察庁にお聞きしますが、先ほど来お尋ねしておるところの一連の事件はみんな売られたけんかと警察庁は判断しておるんですか、どうですか。
#219
○政府委員(綾田文義君) 私は、そういうふうには考えておりません。全部が売られたけんかであるというふうには考えておりません。
#220
○宮之原貞光君 私は、ここでもう多くは申し上げませんけれども、大体あなた反省している反省している、国士舘大学はと言いながら、どっかでかことばの裏側あるいはその底流の中にはやっぱり売られたけんかだとか、暴に対しては暴だと言わんばかりの考え方が底流としてあるということは指摘せざるを得ませんね。これは私のあなたの答弁の感じですけれども、私は非常にこれは残念に思います。
 そこでお尋ねしますが、先ほどは外国人心得のところを読みましたけれども、じゃ、結局あの問題は、在日朝鮮人の公民に対しては少なくともやはり国士舘大学の中では、これはこの外国人に対するところの態度として教えられておらない、こういうふうに考えてもいいんですか。
#221
○参考人(中村宗雄君) 失礼でございますが、もう一ぺんお願いいたします。
#222
○宮之原貞光君 先ほど私は外国人に対する心得というのを読みましたね。
#223
○参考人(中村宗雄君) はい。それは存じております。
#224
○宮之原貞光君 まことにけっこうずくめのことです。まあ小便するなということまでありますが、まあ小学生に教えるみたいですね。手をとり足をとって教えておられる。まことにこれが徹底すればりっぱなものだと思うのですけれども、ただしかしながら、こう書きながら朝鮮人の子弟、子供たちとの紛争が絶えないということは在日朝鮮のあの公民の皆さんをいわゆる皆さんの中では、国士舘の中では外国人という範疇外にしておられるのじゃないだろうかという気さえ起こるんですよね。そういうことはございませんかと聞いている。
#225
○参考人(中村宗雄君) いまの御質問の意味はどういうことかよくわかりませんが、現在は……。
#226
○宮之原貞光君 わからないことはないじゃないですか。
#227
○参考人(中村宗雄君) いや、御趣旨……、ことはよくわかりました。現在におきまして韓国、北朝鮮は日本国以外の独立国家であります。その意味において外国人と意識するのは当然と思います。
#228
○宮之原貞光君 なお、この学生心得の一番最後のところですね。これはもう先生は十分存じあげていらっしゃるだろうと思うんで言いますが、こう書いてありますよね。「この心得は、一つでも背けば、同時に、国士舘の学生ではなくなる。それは自分から退学届を出したものと認めて処分される。以上厳重に教え諭す。」、こう結ばれておる。そしてその次はまた「昭和三十八年四月三日神武天皇祭国士舘大学総長柴田徳次郎」と、こうして結んでおられるのですがね。そうするといまでもこの学生心得からはずれたやつはどんどん処分をされて、これは生かされておると、私は国士舘大学みたいなきびしい規則があるところですからね。だから守られておると思うのですが、どうなんですか、それは。これはただから手形ですか。どうお感じになりますか。
#229
○参考人(中村宗雄君) いまの御質問でありまするが、それが国士舘が内容が変化してきておるという先ほど申し上げた一つであります。現在は、それは事実上行なっておりません。
#230
○宮之原貞光君 そうすると、いまの学生心得に対して新しい学生心得でも出ておるんですか。
#231
○参考人(中村宗雄君) いまだ出ておりません。
#232
○宮之原貞光君 じゃ、これは死文化されておりながら、たとえば学生のいろいろな集会。そういうものは禁止されておるでしょうが。それは精神は生かされておるわけですね、このとおりに。どうなんですか。学内におけるところのいろいろな組織、集会とか、あるいは外における集会もみんな禁止されている。しかしながら、たとえば五月三日の岸信介さんの憲法をつくる会に みんな出なければならないという、全員出席、そうでなければ単位にもさしさわるというものがあるんじゃないですかね。まあいずれにいたしましても、そういうことはこれはやっぱり依然としてこの学生心得は尊重されるわけですね。
#233
○参考人(中村宗雄君) そこに書いてあるように、これに違反したら直ちに退学するという趣旨のことは行なっておらないことは事実であります。しかしながら、その条文があることも事実であります。それがいまの現在の総長において個人的な考え方で、はたから批判に価するような扱い方もあるかもしれません。またあったかもしれません。それがこの新体制でそういうアンバランスのことを生ぜしめないようにするということが、今回の体質改善の問題であるということを申し上げています。
#234
○宮之原貞光君 その体質の問題ですが、これは前の総長時代ですから御存じだと思いますけれども、いわゆる昭和三十九年のころですか、いろんなやはり前の総長のいろんな問題に対して独断的な首切り、暴力、学生の自由剥奪事件などが続出して、四十一年、日本学術会議が学問思想自由委員会の見解発表として、学問思想の自由を侵す反憲的なものがあるとして、皆さんの学校経営に、運営に対して、日本学術会議が批判の文書を出したことがあるんですね。そのことについては当時学校としてはどう受けとめられておったか。あるいは今後この問題についてどういうふうにお考えになっておられるかお聞きしたい。
#235
○参考人(中村宗雄君) その問題につきましては、当時反省を要するなと思った点もありますし、それからまたこれは誤解であるなと思った点もあります。と同時に、これは学校に対する内政干渉だと思った点もあります。これに対して学校が反駁しようかと思ったこともございますが、その当時そのままになっております。それに対して具体的にその当時どう考えたかと言われるならば、それは本日ここに記録がございませんから、いずれ調べて申し上げなければならぬ。しかし、いまうろ覚えでございますが、そこに書いてあることにつきまして、なるほどごもっともと思う点があることだけは確かであります。それらをも引っくるめて今回すべてを解決したいと思っております。
#236
○宮之原貞光君 学校に選挙権銀行クラブというのがありますね。いまは名前を変えまして、政教研究所とこう名前を変えられたようですがね。私も選挙権銀行クラブというのは何だろうと思ったら、みんなの学生が年間二百円ずつ、強制加入されているんですね。これは何かと言うと、いわゆる柴田前総長の主張する天皇制復元に賛成する人人の選挙権を有利に活用するところの趣旨の政治団体だと、こういうことなんですね。それで学生が二百円ずつずうっと年間納めておる。それで、学生は休暇ごとに、この趣旨ですね、いわゆる天皇制を復元をするところの人々の選挙権、そういう会員を五名獲得しなければならないという義務を負わされている。こういう問題があって、いま名前を先ほど申し上げたように政教研究所というものに改めたようでございますがね。これはまだこのことが守られておるんですか、どうですか。
#237
○参考人(中村宗雄君) 選挙権銀行と申しましたかな、いま思い出しました。それは旧総長がとくとくとして発見したので、まず第一に私に相談したんですが、私はまっこうから反対しました。でありまするから、とうとうあれは理事会に出ず、何か実行に移したようであります。ですから、どの程度実行に移したかお恥ずかしいながら、また、私は怠慢ながら存じませんでしたが、それの会合なぞいろいろ最初の間私通知来たですが、私一回も出ませんでした。しかし、世の中の批判が強いので、四十二年に解散いたしたそうでございます。そして、学生から、あとで聞くと金集めたそうですが、それは全部返したそうであります。ですから、もうそれは過去の問題でございます。
#238
○宮之原貞光君 それはあんた四十一年にできて四十二年には解散したとなってないのですね。現在名前は変わっていますよね。政教研究所というのができておるのですがね。うしろの方、何か、よく聞いてください。政教研究所というのがあるんじゃないですか、どうですか。
#239
○参考人(中村宗雄君) そういう研究所があることは存じております。しかしこれは思想の自由ですから、どんなものを研究したってそれは一向かまわないと思います。そういう研究所が学内にあること、これは存じております。しかし、選挙バンクとか何とか言って一般から金を集めたり運動すること、これは一種の選挙運動ですから、これは大学として、また大学総長としてなすべからざることだと、これはぼくははっきり言います。しかし、いま言った政教研究所とか何とかいうのは、これは一つの学問的研究なら一向やって妨げないと思います。これはあります。
#240
○宮之原貞光君 これは、じゃ、あれですか、選挙権銀行クラブが名前を変えただけじゃないんですか。
#241
○参考人(中村宗雄君) と思います。
#242
○宮之原貞光君 と思いますじゃちょっと情けないですね。あんた恥ずかしながらとおっしゃったとおりになりますよ。
#243
○参考人(中村宗雄君) 思わざる御質問なんで、と思いますと申し上げましたが、これは全然別個のものだそうです。別個のものであります。これは政治教育のために設けたのであって、その当時どういう思想で建てたか、それは私この研究所を建てた当局者でないから存じませんが、学校に関する限りにおいては、これは別個の目的をもって現在存続いたしております。
#244
○宮之原貞光君 その件について東京弁護士会の人権擁護委員会、東京法務局の人権擁護部あたりから学校側へ勧告があったという点は御記憶ありますかどうですか。恥ずかしながら存じてないですか。
#245
○参考人(中村宗雄君) それは、大学に勧告が来たのは、当時の選挙権バンクですか、それについての勧告があったことは聞いております。それは、しかしもうこちらで解散した後の問題であったと記憶いたします。なお、政教研究所ですか、そちらにどういう勧告がいったか、これは大学当局としては関するところではございません。
#246
○宮之原貞光君 四十七年の六月に解雇問題について無効の東京地裁判決が出ておりますね、職員の馘首問題に対しまして。東京地裁の解雇無効の判決が出ておりますね。その後その判決に対しましてどういうかっこうになっておるんですか。
#247
○参考人(中村宗雄君) 目下弁護士に依頼して控訴係属中であります。
#248
○宮之原貞光君 新聞報道を見ますと、この問題について、何かいまの柴田学長は、これはこう書いておるですよね。高校教師を解雇したが、これに対して裁判所は解雇無効言い渡している。先生は学校にはいま来ていますかと、復職はしていないがお金は差し上げている、それ以外の点についてはいま話し合っておると。こういうように新聞に一問一答されておるのですが、そうしますと、控訴しておるということとはだいぶ違っておるみたいですね。いかがですか、その点は。
#249
○参考人(中村宗雄君) 控訴の手続を進めるのと内部で示談の話をするのと、これはまた別の問題でございます。
#250
○宮之原貞光君 おかしいですね。その先生は来ておると書いてある、その先生は。おたくの学校に来ておると書いてある。金もあげておる。あなた方は、控訴云々というのは、解雇したのは当然だという立場からやっているのでしょう。それに対して金をやっておって控訴しておるということは考えられないでしょう。
#251
○参考人(中村宗雄君) ただいまここに記録ございませんから明確に申し上げられませんが、俸給支払いの仮処分があれば、訴訟継続中でも俸給を支払わなければなりませんよ。払って争うということは幾らもあることです。
#252
○宮之原貞光君 それなら、そう答えたらいい。
#253
○参考人(中村宗雄君) あまりにも当然だから。
#254
○宮之原貞光君 あんたはそういう答弁をすればいい、最初に。
#255
○参考人(中村宗雄君) それだけのことですね。
#256
○宮之原貞光君 これは去年でしたかね、四・一五事件と普通呼ばれる事件がありますね。いわゆるおたくの大学の前で関係の学生や職員がビラを配った。それに対して空手部の部員が五十名ぐらい乱暴した云々といういま告訴事件が起きておりますね。警察側にも告発されておったようなんですが、どういうかっこうになっておりますかね、いま現在。
#257
○説明員(星野哲次郎君) お尋ねの件につきましては、四月十五日に事件があったようでございます。世田谷の警察署に責任者の方がおいでになりまして、事情を説明されたそうでございます。そこで、きょうは正式の告訴ということではない、告訴についてはいずれあらためてまた来ると言われてお帰りになったそうでございます。それで翌日になりまして、本人がおいでになりませんものですから、警察署のほうからいろいろ係員が自宅にお電話いたしましたところ、そのうち告訴をするということだったそうでございます。はなはだ遺憾でございますが、そういうことで正式の告訴というものは警察では受理しておりませんので、そのうち東京地検のほうに正式に告訴されるということだそうでございます。
#258
○宮之原貞光君 もう時間もだいぶ過ぎておりますから、これでやめますけれども、もう一つクラブ活動についてお聞きしたいのですがね。四十ぐらいいろいろなクラブがあるのだそうですね。まあそれぞれのクラブを、いろいろな私どもが新聞報道を見る限りにおいては、クラブの部員室というものはきわめて粗末なところにあるけれども、応援部と国防部だけはりっぱな部屋をいただいているというふうに報道されているのですがね。それは事実ですか。
#259
○参考人(中村宗雄君) 各大学には、各大学のやり方がありますから、これはその大学当局におまかせ願っていい問題と私は思いますが、しかし、いま御指摘のことは確かにあるようであります。私も、それは見るに見かねております。しかし応援部は今回解散を命じました。なお、これを機会にクラブそれぞれの活動の機能に応じてそれぞれの部屋の割り振りをいたしたいというふうに私は考えております。
#260
○宮之原貞光君 最後に、文部大臣にお聞きをいたしますが、いま、このいろいろなやりとりを聞いておられて、どうです、やはり国士館という学校は、これは自民党の代議士諸君はだいぶ行って礼賛をしておるようでございますけれどもね、ごらんになって。やはり大臣これでも憲法なり教育基本法に基づいてよう運営されておるわと、こういうふうに見ておられますか、どうですか。また、文部省としては、この一連の事件が起きたあと、どのような指導面において大学当局と話し合いせられておるのか、その点についてもお聞かせ願いたいと思います。
#261
○国務大臣(奥野誠亮君) いろいろ暴力的な事件発生しておりますので、その点についてはやはり国士館の体質の中にそういう問題があるのかどうか、先ほど応援部を解散さしたというような話もございましたけれども、謙虚に反省していかなきゃならないところだと、こう考えておるわけでございます。先ほども申し上げているように、近代化委員会をつくって積極的に近代化に取り組んでいくんだというお話でございますので、それを見守っていきたい、こういう考え方でおるわけでございます。
 いまのお尋ねではございませんでしたけれども、先ほど来、私に対しまして、異民族べつ視の問題が学校教育の中に根ざしているのじゃないかというお話がございましたが、この点につきましては、やはりなお、私は直ちにそのようには判断しかねますので、今後なおよく警察の調査の結果等を待ちまして、考えていきたい、こう思っておるわけでございます。いずれにしましても、国際間の問題につきまして、対立的な姿になりますことは特に慎しまなければなりませんので、そういう点については一そう改善に努力を尽くしていきたい、こう思っております。
#262
○宮之原貞光君 いままでの国士館事件に対する対処のしかた、どういう指導をしてきたのか。これは局長おらぬのかね。
#263
○説明員(安養寺重夫君) 最近新聞報道等でいろいろの事件が国士館大学にございまして、その詳細を知る立場にございませんので、いろいろ警察等のいま現にやっておられる措置等を伺いながら、しかし事柄は凶悪に関する部分がございますので、大学当局にも二、三度お越しをいただきまして、これは別々ではございましたが、総長にも来ていただきました。いろいろ総長としての学校の現在に対するお考え、この事件についてのお気持ちなり、今後どういう形で処理をされるか、そういうような点につきましていろいろお伺いをしたわけでございます。いろいろ問題は多岐にわたっておりますが、文部省といたしましても暴力というのは絶対にいけない、そういうようなことを、まあ全員がやっておるわけじゃございませんが、一部ともそういうことがあれば、これはやはり教育をあずかる立場としてゆゆしいことであるというようなことで、大学をあげての御反省を要請しておるわけでございます。ついては、こういう機会に国士館大学の近代化といいますか、いろいろ今後の――世人いろいろと心配をしておるわけでございますから、そういう皆さん方の心配に正しくこたえるような具体的な措置を講じてもらいたいというようなことを申しました。まあ、それが直接動機になったかどうか知りませんが、学校でもさっそく暴力学生の処断あるいはいろいろと教育のことについての近代化を進める部内の会議をつくるというようなことを思い立たれまして、その委員会がすぐにもスタートしたわけでございます。
 いま大臣からお答え申しましたように、事柄は、やはり私学の、いろいろ教育の問題でもございますので、文部省がいろいろなことに立ち入ってとかくの差配をするというのは控えるべきであるというぐあいにも思いますので、その学内の新しい動きを非常に注意深く見ておりまして、できるだけのことをまあ文部省の立場でお手伝いをしたい、かように思っておりますが、皆さん方にたいへん心配をいただいておりまして、われわれそれにこたえられるように大学を督励をしてまいりたいと思っております。
#264
○宮之原貞光君 これは先ほど来質疑の中で、私はやはり国士館大学の教育のあり方というものは、中村参考人はどういうように否定をされようとも、いままでやられてきたのは、少なくとも憲法なり、教育基本法の一つの精神と反するようなことがやはり行なわれておったことは事実なんですよ。それでも、文部省は私学だから一言半句もこの問題については差し出がましいことは申し上げません、こういう態度なんですか。そこはちょっともう少しはっきりおっしゃっていただきたい。
#265
○説明員(安養寺重夫君) いまいろいろ私も伺っておりまして初めて聞き知ったようなこともございました。この際、文部省のやり得ることというのは、おのずからまあ限度を心得ておるべきものでございますので、そういう立場からいろいろ積極的にアドバイスをするつもりではございますが、せっかく世人のいろいろな御注文もあるわけですから、そういうことを具体の問題として大学自身が受けとめられまして、近代化委員会等でさっそく急いで、まあみんなが安心できるような現に学生もたくさんおるわけでございます、父兄もおるわけでございますから、納得のできるような案をおつくりいただくというのが、この際の最も妥当な方法ではなかろうかと思っております。
 在来どういう教育をしておったかと、これは学則にもりっぱに日本国憲法、教育基本法が学校教育法の趣旨にのっとり云々というようにございますので、われわれといたしましては、学術研究のことで視学委員等が行きますというようなことは別といたしまして、私学の独自のカラーを出すというようなことで、いろいろ多少独自性の勝っているようなところもあるように思いますけれども法令の違反というようなことは万あるわけではなかろうというような立場で見守って今後もいきたいと思っております。
#266
○宮之原貞光君 そんな抽象的な答弁をされたって、先ほど来指摘をしておるとおり、ここの学校教育の場合の国士館大学の教育のあり方、持っているところの体質がこれいみじくもやはり暴力事件としてにじみ出ておるというこの事実をあな認めざるを得ないと思うのですが、どうなんですか。それは全然学校教育のあり方や体質と関係なくして偶然に起きたところの暴力事件だと見ておられるんですか。その点は大臣はどうお考えになりますか。
#267
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど私が答えましたように、暴力的な事件、これはもう非常に残念なことだと思いますし、厳に戒めていかなければならない。またそういうことについては、国士館大学も強い反省の上に立っておられる。反省の上に立ってまた着々実施もしておられる、それを私たちは期待をいたしたいし、それを見守っていきたい。いま直ちに学校の教育の内容につきましてすぐに具体の問題についてどうこうということはもう少し慎重でなければならない、こう考えているわけでございます。今後の学校のあり方がどうなっていきますか、教育基本法から踏みはずしたことになっていくのかどうか。せっかく近代化に取り組もうとしておられるわけでございますだけに、私は、その熱意を見守るのが本来の姿だと、こう考えておるわけでございます。
#268
○宮之原貞光君 二言目には慎重だ慎重だとおっしゃいますがね、なかなかそれはいいことばですよね。しかし、やはりここまで残っているところの体質というのがあるというのは、これはもうあんた自体どうお考えになろうと世間一般周知されているところの事実なんですよ、もう。だからもう少しこの問題については、私どもの質問前にどういうことなんだということぐらい、問題点はどこにあるんだぐらいはほんとうは私どもはやってもらいたかったと思う。たとえば、あんたの教育長会議におけるところの発言じゃないですけれども、どっか、だれが書いたかわからないところの雑誌や本などをたてにしたって、暴力行為があるとすれば、事実とすればけしからぬという政治的な発言はポンとやるけれども、事厳然たる事実問題について、出ているところの問題については慎重だ慎重だというのは、ちょっと私どもから見れば慎重過ぎて、いつまでも腰を上げないとしか思えぬですよ、率直に申し上げて。しかも、先ほど私は申し上げたんですけれども、いわゆる総長訓話にかかわるところのいろんな政治家の諸君の国士館におけるところの演説聞いてごらんなさい。しかも出てきているところの、選ばれたところの人々はどういう人でもそうだ、言うならば、やはり自民党と若干密着しているところの問題に私は甘えがあったということを指摘せざるを得ません、そういうやはり政治的な背景の問題というのは、私はあえて言いたくはないけれども、やはりこれはからんでいることは否定できないと思う。そういういろんな問題を考えていただくならば、慎重に見守るということじゃなくて、慎重もけっこうですけれども、もう少し慎重の中にも実態どうなっているんだ、いままでの方針はどうなんだ、このことぐらいは私は事務当局としては、特にやはりこの問題についてはこう思う、あれはこうしたいという、これぐらいのアクティブな所信表明があってしかるべきだと思うんですね。ただ慎重に今後見守って、じっと何とか委員会の様子を子を見守りたいと言うんならいつまでたっても私はできないと、こう思います。もう少し慎重の中に積極性ががあってしかるべきじゃないだろうか、こう思うんですがね、文部大臣。
#269
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど事務当局からお答えをいたしましたように、学校当局と接触して、そして近代化委員会が生まれてきているわけでございますので この近代化委員会がどういう結論を出されるかを別にして、いますぐ一体宮之原さんがどういう具体的な措置を文部省がとれとおっしゃるのか私には理解できないわけでございまして、私も、先ほど来右寄りの学校だと思いますということを申し上げているわけでございまして……。
#270
○宮之原貞光君 いま初めて言ったよ。
#271
○国務大臣(奥野誠亮君) さっきも言いましたよ。衆議院の委員会でも申し上げました。
#272
○宮之原貞光君 衆議院とこっちとは違うんだ。
#273
○国務大臣(奥野誠亮君) さっき小林先生ですかな、質問に答えましてそのことを申し上げたわけです。
#274
○宮之原貞光君 何も質問はしませんよ、小林委員は。
#275
○国務大臣(奥野誠亮君) 右寄りの学校だということは申し上げました。しかし、右寄りの学校だから悪いというわけじゃございません。しかし、右寄りの学校で教育基本法を踏みはずすということになりますと問題だと思うんです。
#276
○宮之原貞光君 踏みはずしておるじゃないですか。
#277
○国務大臣(奥野誠亮君) でありますので、具体的な内容、今後近代化委員会の結論が出て、なおかつ不十分であります場合に、文部省として必要な処置は、これは当然とります。
#278
○鈴木美枝子君 大臣、これから近代化に変わる学校を見詰めてと、いま問題が出たことは、暴力でけがをした人たちがいっぱいできたということと、見詰めてという時間の距離がたいへん違うんじゃないかというふうに思うんですが、私は、まずいまの話を聞いててほんとうに子供がかわいそうだなと、やはり女だから思うわけでございますけれども、いま私の知っているそちらの大学にいた高校の子供さんが、私が政治家になる前におっかちゃんの役を映画の中でやっておったから親子で相談に来たことがございました。これは八年ぐらい前でございますけれども、過去のことを言ってんじゃなくて、そういう八年ぐらい前から続けて今日そういう事件があったという中で、近代化になるのを待っているという御発言では、私子供がかわいそうだと思うんです。そのときはどうだったかというと、運動部の人に便所の中でなぐられて血を出して、そして親はよくわからないもんだから学校に従って頭をそれといわれてカミソリを持ってうちへ飛んできたんです。
 私はその親子がそう葛藤し、右だか左だか知らないけれども、偶発的に起きた事件だというふうに、偶発的という言い方も私はたいへん子供がかわいそうだと、そう葛藤させられる子供がかわいそうだとこう思うわけです。で、私はそのときに、まあ私は親子が葛藤してうちの中へカミソリ持って飛んでまいりましたときに、カミソリでけがをしないほうがいいと思ったので、その学校をおやめになってほかの学校へ行ったらどうですか、こう申し上げた体験がございますので、いま先生と宮之原先生と、それから大臣のお話を聞いておりまして、これから近代化になるプロセスにおいて大臣が見詰めていこうじゃ、このいままでの事件じゃなくて、それでけがしたあるいは葛藤している中で――この松本清張さんも書いておりますけれども、外国人法案とか、そういう法案の出るときに、先生のところの学生さんが進歩的な他の学校へ行ってけんかをふっかけたりと、それは知りませんけれども、そういうふうに見えると松本清張さんも言っているわけですけれども、これは言っているんで、他のものにそう見えるというような印象を、私も感ずるわけで、子供がかわいそうだという前提状況において、いまの大臣の答弁に対して私は不満でございます。
#279
○中村登美君 委員長ちょっと発言させてください。
 伺いたいんでございますが、宮之原先生の持ち時間は四十分のようでございましたが、だいぶ超過しております。これは先ほどのような御事情ですと、委員長の許可もなく御自分の意思でどんな長い時間でも質問してよろしいのでございましょうか、お伺いしたいのでございますが、宮之原先生伺わせてください。
#280
○宮之原貞光君 私は松永先生の分と合わしたんです。松永先生あと四十分ありましょう二つの持ち時間を使わしてもらいました。
#281
○中村登美君 二人分で……。
#282
○宮之原貞光君 だからさっき委員長に申し上げたように、答弁があれじゃ困るんで、私はある程度は時間をオーバーしても……。
#283
○中村登美君 そういうお話伺ってないもんですから……。
#284
○宮之原貞光君 それは委員長がやる仕事ですよ、私がやるんじゃなくて。委員長が絶対に許さぬと言うのに私が押しのけてやるなら私に文句言ってください。
#285
○中村登美君 でもその道のべテランでいらっしゃるから……。
#286
○宮之原貞光君 いや私は新米でございますから……。
#287
○中村登美君 先生のお考えがおありでしょうかと思いまして、参考のために伺いました。
#288
○委員長(永野鎮雄君) ちょっとその点私からお答えします。
 いま宮之原君の時間が超過していることについては、松永君とお二人の時間というものを具体的に合わせてお使いになったと、こういうことなんです。
#289
○中村登美君 そうでございますか。
#290
○小林武君 委員長、これからあることですから申し上げておきますが、議員はやっぱり問題についてとことんまで問題を掘り下げたいというそういう希望はだれの場合でも持っている。それはまたこの議場内で許されると。ただしかし、われわれもお互いの時間のあれとかというのがありますから、たとえば理事会においてある程度の申し合わせをして、きょうはまあ二十分でやめましょうとか、三十分でやめましょうとかいうあれはあります。しかしながら、そのことが絶対でないということは、これは委員長も十分理解していただいていると思う。問題はいいかげんにどうこうするということでなくて、徹底的に国民の立場に立って議論するというのは、これは議員に許された当然の権利であります。ただしかし、まあお互いが一つの運営の面で、こういうことをひとつ申し合わせしましょうという場合には、いまのように、だれかが長くやるということになると、その党内で融通するということは、これは当然あり得ることですから、ぼくの発言なんかもしあった場合に、三十分延びたらけしからぬと、おまえここであやまれなんといったって、絶対あやまりませんから、これはそういう筋のものではないのです。
#291
○中村登美君 お二人分以上ずいぶん超過しておられませんか、その松永先生の分というのをよく存じませんでしたから。いまおっしゃる先生のあれはわかりますけれども、やはりそういうルールがあってしませんことには……。
#292
○宮之原貞光君 それは委員長にまかしてくださいよ。
#293
○小林武君 あなたのやった場合にも、そういうことはあり得るわけですよ。
#294
○中村登美君 それは、それでしたらちゃんとはっきりおっしゃていただいて、それは松永先生の分ということも発表していただかなければ……。
#295
○小林武君 はっきりしなければ何時間でもやらなければならぬ場合もある。そういうことを言えば、われわれは時間なんかきめないということです。
#296
○委員長(永野鎮雄君) 運営については、適当にあれしてまいりたいと思いますから、委員長におまかせいただきたいと思います。
#297
○加藤進君 国士館大学で相次いで暴力事件が起こっております。これは今回に始まったことではないですね。非常に歴史は古いのです。本国会においても、すでに第五十一回国会で国士館における学生の暴力事件は各委員会一斉に問題になりました。これは議事録にございます。同時に、それにあわせて、先ほど宮之原委員が触れられましたような、学術会議からの勧告めいた報告があります。また、弁護士会の警告もあります。私は、こういう全体の過程を考えてみるなら、今回の暴力事件は、決して単なる偶発的な事件ではなしに、この事件の処理だけやればそれで済むという問題ではないというふうに思います。根源は非常に深いものがあるし、その根源には国士館大学自体の学校の体質がある、教育のあり方がある、こういうふうに深く反省をしなくては私はならぬときだと思いますが、その点について、かつて昭和四十一、二年のころに発生した国士館大学学生のあるいは高校生の暴力事件以後今日まで、どのような反省を大学側としてやられてきたのか、あるいは反省などということは一ぺんもやったこともなくして今日に至られたのか、そのことを一言、まず中村参考人にお聞きしたいと思います。
#298
○参考人(中村宗雄君) いま御質問のこと、重々ごもっともでございます。あるいははたから見ると、それに対する対策が非常におそかったなというおしかりがあると思います。これにはいろいろ事情がございまして、御質問があれば、私前からの沿革を申し上げますが、まさしくこの暴力は、今回の事件をば学生処分をして片をつければいいという問題ではございません。また、被害の学生が気の毒だから、それに民事上の賠償をしたらそれで済むという問題じゃございません。まさしく体質を改善しなきゃならぬ一しかも応急措置ではいかぬ。仰せられるとおり、この大学の体質を変える、その体質を改善するには、ことばに言いあらわすような近代化をする。どう近代化するか、これは暴力を絶対否定、平和にして安静なる、学生が気持ちよく研究、勉強できる場をつくるということをモットーとして体制を改革しなきゃならぬ、こういうことで、近代化委員会を組織しました。これはいろいろの沿革がございまして、結論だけ申し上げますると、私、大体これは各方面の支持を得ましたから成功すると思っております。それからまた、あまり過激に走らず、旧態に戻らず中道を得た改革ができるであろうという大体確信を得ましたから。ただ、この一両日非常に事案が急迫になっておりますので、この際、至急にこの改革委員会のテンポを進めてまいりたいと、こう考えております。
#299
○加藤進君 文部大臣にお尋ねしますが、先ほどどうも聞いて見ると、この大学は右翼的らしい、こういう印象的な批評めいたことを聞きましたけれども、事柄は先ほど申しましたように、もう七、八年来の問題でございまして、文部省といたしましても、国会における審議等を通じて、この大学がどのような事件を発生さしたか、その根源がどこにあるのかという点については、これは重々文部省は知っておられてしかるべきだと考えます。その点について、右翼的であるなどということではなしに、ここの大学は、憲法にも違反しない教育基本法にも忠実であり学校教育法を忠実に実行しておる学校であるかどうか、こういう点についての文部大臣の見解はどうでしょう。
#300
○国務大臣(奥野誠亮君) 数年前に学校の内部事情もございましたが、たいへん世間を騒がしたこともございましたし、そういうこともございまして、先ほどちょっと触れたわけでありますけれども、新しい総長になりましてから、事務次官との話が行なわれたということも申し上げたわけでございます。特に、今度暴力事件が頻発をしまして、一そう世間の注目を浴びることになったわけでございますけれども、やはりそれなりに問題があってのことだと私も考えるわけでございます。そういうこともございまして、さらに、両者の接触で近代化委員会が生まれ、処分もさっそくに行なう、さらにまた運動部の応援部も解散を行なうというような努力も重ねられておりますので、今後一そうそういう改善に文部省としても必要な協力をしていきたい、こう思っておるところでございます。
#301
○加藤進君 いろいろことばの上ではおっしゃいますけれども、大局においては、国士館大学の問題についてほとんど無関心だ、こういうことはいがみがたい事実だと思います。しかも、右寄りのようらしいというようなことだけで今度の問題がはたして解決できるのか、静観しておるというような文部省の態度でこの問題の処理ができるのか、私は非常に大きな疑いを持ちます。その点で中村参考人にちょっとお尋ねしますけれども、おたくの学則によりますと、教授会というのは一体どういう権限を持っているんでしょう。
#302
○参考人(中村宗雄君) 従来の制度をお尋ねでございますと、教授会も結果的にはまことに無力であった。私、早稲田大学出身でございまして、それに比較しましてまことに無力であったと言わなければなりません。しかし近代化する限りにおいては、教授会に私の経験上、必要なるべき権限は十分与えるつもりであります。
#303
○加藤進君 学則にはどう書いてあるんでしょうか。
#304
○参考人(中村宗雄君) ここの学則、これは私が目を通す前にできたのでありまして、古いので、ほとんど学則などは無視して私は事を運んでおりました。決議機関になっておりません。教授会の主宰は総長がいたすことになっております。で、決議機関の実質を持っております。この辺が改革の要点だと、こう思っております。
#305
○加藤進君 私が読ませていただきます。教授会についての規定は第三十二条と三十三条です。「本大学各学部に教授会を置き、学長及び専任の教授をもってこれを組織する。但し必要と認められる場合は、助教授、専任講師を加えることができる。」とこういう規定がありますが、続いて第三十三条、「本大学教授会は、学長の教育研究に関する諮問機関とし、学長がこれを招集し、その議長となる。」、「諮問機関」ですね、「諮問機関」として規定してあります。文部大臣、学校教育法にはこれは許されますか。
#306
○説明員(安養寺重夫君) 学校教育法には「重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」という規定がございます。きわめて一般的な規定でございまして、直ちにこれに違反するということは申しかねるんじゃないかと思います。
#307
○加藤進君 いまのその答弁は、それで文部大臣も納得しますか、いいと思いますか。学校教育法は厳格なる規定だと思いますよ。この規定に沿わないような学校があってもいいんですか。諮問機関であっていいんですか、これは。
#308
○国務大臣(奥野誠亮君) 学校教育法の中に、いま事務当局が読み上げたような規定にしているわけであります。「重要な事項を審議する」、「審議する」ということであって、それ以上に明確な規定を置いていないわけでございますので、それだけでもってどうこうというようなものはいかがなもんだろうかと思うんでございますが、学校全体の問題につきまして学校教育法の規定に反しないようによく検討をしていくべきものだと、こう思っております。
#309
○加藤進君 私の聞いているのは、この学則に明らかにこれはこの「教授会は、学長の教育研究に関する諮問機関」であると、独立の機関じゃないです。何ら重要な事項を決定する権限を持ちませんよ、これは。諮問機関であるという規定が学則に出ている。これが学校教育法の第五十九条に違反しないかどうか、このことをはっきりしてください。
#310
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、もう一ぺん読ませていただきますが、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」と書いてあるわけでございまして、重要な事項の審議をどの範囲までにするかということについては一応私学の場合には私学にまかせておると、こう申し上げざるを得ないんじゃないだろうか、かように考えておるわけであります。
#311
○松永忠二君 関連。いまのお話ではとても納得できませんね。大学の自治という面からいってですよ、私立大学で教授会がそういうような形で置かれていることは正常であると思っているんですか。それとそういう状況が私立学校においては一般的であると、そういうふうに大臣は判断をするんですか。
#312
○国務大臣(奥野誠亮君) この国士館大学の学則は、昭和三十三年に制定されておりますので、文部省がこれの届け出を受けてそれをそのまま受理しているようでございまして、一般的じゃございません。数少ない姿ではなかろうかと、私全体をつまびらかにしておりませんけれども、数少ない例ではなかろうかと、こう思っております。
#313
○松永忠二君 もう一つ。そういうことは、大学の自治とかあるいは教授会、学校教育法に規定された趣旨からいって、好ましいことですか、そういうふうな規定をしているということは。そして学則は届け出になっているので、認可とかいろんな際に学則の届け出があるわけだから、それについて文部省が何らの意見を申さずしてこの学則を受理しているんですか。まず最初に、望ましい形ですか。学校教育法に規定されている教授会、そしてこれは一般私学において大学の自治として尊重されている教授会、そういった性格からいってふさわしいものであり、好ましい状況であると、規定であるとお考えになるのかどうか。それからまた、この学則は文部省に届け出はされているわけだけれども、届け出をした際に、何らのこれについてのいわゆる指導も助言も行なわれずしてこれはそのまま受理されているのか。この二つの点について大臣のほうから。
#314
○国務大臣(奥野誠亮君) 好ましいか好ましくないかということになりますと、それぞれ私学については建学の精神がございますので、建学の精神……。
#315
○松永忠二君 建学の精神って、あなた法律の規定とは違うじゃないですか。
#316
○国務大臣(奥野誠亮君) 建学の趣旨からいって、例外的な場合もあるんじゃないか、こう思うわけでございます。全体的にこういう姿でいけるものとは思いません。こういう問題でいけるとは思いませんけれども、そういう特殊な場合にそういう例が生ずる、それを否定すべきだとまでは考えていないわけでございます。なお、届け出のありました場合につきましての処理につきましては事務当局からお答えさせていただきます。
#317
○説明員(安養寺重夫君) 元来、学則は文部省に対する届け出の事項でございまして、届け出があったからということで判断なしに受理したというわけのものではございません。ただ、これ三十三年のことでございますから、いま突然のお尋ねで、当時どういうような応酬をしたかは私存じませんけれども、先ほど申し上げましたように、重要な事項を審議する態様の一つにこういうことが絶対違法であるということにはならないだろうと、かように考えたわけで、ただ、多少変わっておるということはあるいは言えるかもしれませんが、それぞれ私学は大臣からお話ししましたように、いろいろの建学の精神を具現していく方法もあってしかるべきだと、たまたま国立大学等につきましては規定はございませんけれども、人事等について特別の法規がその部分の手当をしている、実態はこうだというような多少違いはございますけれども、これはいま申し上げましたような考え方でおるわけでございます。
#318
○加藤進君 このことはきわめて重大ですから、今後もやはり追及するという点でひとつ保留しておきます。もう一つだけ聞きます。ことしも国士館大学に対して補助金を出しておりますね。補助金を出すために必要な不可欠な書類として寄付行為とこの学則というものがあるわけですね。そうでしょう。学則はそういう補助金を出す場合の範囲と対象としてきめる場合の重要な書類でしょう。そういう点で、ことしの補助金もまたこの学則を承認し、これに基づいて補助金を出されたと思いますけれども、どれくらい出ておるんですか。
#319
○政府委員(安嶋彌君) 四十八年の補助金はまだ未決定でございますが、四十七年の補助金は経常費の補助金と、研究設備の補助金を合わせまして、約一億六千二百万円が支出されております。
#320
○加藤進君 ともかく、こうして国費まで使って補助をしている、その学校の学則が学校教育法の第五十九条には私たちの見解では違反すると判断せざるを得ないような規定がある。教授会は無力だ、こういう状態でございます。この点で、中村参考人、すると大学の管理運営の主体は一体教授会ではないことは明らかですけれども、どこにあるんでしょうか。
#321
○参考人(中村宗雄君) 大学の経営と申しまするか、かりに経営として、経営の主体は総長をトップといたしまして事務系統ではかっております。で、いま仰せられましたとおり、教授会は諮問機関になっております。それで、いま御指摘になるように、まことにこれは異常なる構成でありますから、これは実はまた長くなりますから申し上げませんが、国士館には、いわゆる私学に学校乗っ取りというのがございます。国士館にも終戦前にその沿革がございまして、自然そういうことになっております。そこであれは諮問機関という二とにしておりましたが、しかし、これは実質上の決議機関にするように、学長がそれを裁量し、それから実際上、いろんな事項をもってくれば、その教授会でそれは審議するという事実上のはからいでその教務に関しては大過なく事実上行なわれております。それからまた、事務系統のほうは総長を中心とする事務系統で行なっておりまして、大体において、補助金などはむしろ教授会を中心としないで、一本でやっておりまするから、きわめて克明に合理的に使っておることが実情でございます。しかしながら、このやり方はいわば民主的でございません。それですから、これをばぜひ改革しなければならぬというのが実情でございまして、いまの国士館の制度だから補助金をばむだ使いしているということはないということはここで私、申し上げることができます。
#322
○加藤進君 お説のように、率直におっしゃいましたから明らかでございますけれども、大学の管理運営の主体であるべき教授会はほとんど無力。すると、大学の管理運営の主体は言うまでもなく学長中心となる、こういう事態だと思いますけれども、その中で学生監というのは一体どういう位置にあるんでしょうか、どういう資格があるんでょうか、学生監。
#323
○参考人(中村宗雄君) 元来、なくなった総長の意向では一般の大学における教務、事務、ことごとく学監でもって押えて、そして教育は各先生方にお願いするという形が元来国士館ではとられておりました。私、昭和四十年に定年になりまして、それであそこへ法学部つくりました。それでは優秀な先生集まりません。ですから、その学監制度は設けましたが、ちょっと手が触れられませんが、やはり事実上において教務系統は、私は単なる理事で業務担当理事でありませんが、法学部に関する限りは、結果的には、早稲田大学におけると同じように、教務は私が学科編成その他を扱っておりまして、また実は政治学部は私がつくったんでなくて、前からあります。工学部は私が引っ張ってきまして、早稲田大学の塩沢正一君がつくりました。それから文学部は尾形裕康君がつくっておりますが、この二つは、私と同じような方法をとっております。学則がどうあろうと、結果においては、学監は出席点呼あるいは学生規律のほうを扱う、教務内容は教授会がこれを扱うように結果的にはいたしております。しかしながら、学監制度というのは、元来のたてまえが全部を背負うようになって、そこにいろいろな摩擦がございまして、実はわれわれとして手腕も要るし、うるさいところなんで、今度の改革じゃその点を一番先に改革しなければならぬと、こう考えております。
#324
○加藤進君 実践倫理の問題に入らざるを得ないわけですけれども、これは、もう学長が中心になって行なわれる講義、それから学校行事、そしてまたいろいろなことがやられておりますね。たとえば総長に提出するいわば感想文、この感想文の点をつけるのも、あるいはその感想文の訂正、書き直しを命ずるのも、これ、学監の仕事ですね。そうですね。事実そのようですか、そのように言っていいですね。
#325
○参考人(中村宗雄君) いまの御質問は、御質問程度ならばそうでありますとお答えしなければなりません。しかし、そこをいろいろ学監のほうで苦労があるということだけは申し上げておきます。
#326
○加藤進君 もう一つ聞きますけれども、その実践倫理の中には、たとえば学生の掃除、掃除を義務づける、あるいは警備の仕事をやらせる、こういうこともいわば実践倫理の教科内容の中に具体的に入っているのですね。
#327
○参考人(中村宗雄君) いまの御指摘のことも結果的にはそういうことになっております。それをば強制なくして行なわんがために、あるいはアルバイト料を払うとか、いろいろな方策を講じておるようであります。まことに頭の痛いところを御指摘であります。それなども今度の改革の一番の重点に入っております。
#328
○萩原幽香子君 先ほど参考人は、思想の自由ということを非常に強調なさいましたですね。それから憲法についての違反というようなことはないのだと、そういう御発言でございましたね。ところが、先ほどお話のありました感想文を書かせる、そして、そのあとの処理が私はどうもおかしいように思うのです。つまり、その内容が学生監の意に満たないと何べんでも書き直しをさせる。そうして中には、模範論文を見せて、それをまねをさせるという学生監さえもある、こういうことでございますと、これが事実であるとしたら、私はこれたいへんなことだと思うのです。と申しますのは、これは憲法十九条では「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」ということでございますね。ところが、書いたその感想文に対して、これはいかぬからこう書き直せと何べんでも書き直させる。しかも、こういうのがいいんだよというようなことをまねをさせる。これは明らかに私はこの憲法十九条に対して少し反しているような気がいたします。私たちは、子供のときから、小さいときから、見たこと、聞いたこと、あるいは感じたことをそのまま書くように作文は指導をしてきたと思うのです。それがおたくの学校では、そういうことをやられているということは非常に私はおかしい話だと思うのでございますが、これでもなお憲法に違反ではないということでございましょうか。私、この感想文の指導は明らかに憲法の精神に反すると、こういうことを考えるわけでございますが、これ参考人から御意見を承って、後ほど文部大臣からもこういう点について承りたいと思うのでございます。
#329
○参考人(中村宗雄君) いまの御質問、実践倫理に限定していまお答え申し上げますが、御質問内容は、なくなった前総長のときの内容と存じます。それで、前総長の話は、処世訓でありまするがゆえに必ずしも憲法――憲法は年に一、二度、あるいは三、四へん出るか出ないかで、それ以外に、自分の処世訓の自慢話が多いのでございます。しかし、そういう話が出たことだけは確かであります。
 それから、採点でありますが、これはまた側近の骨の折れるところですが、問題なども学生監が、側近でつくるのです。総長が何を話したかというふうに書かせるようにしておりまして、おまえどう考えているかというふうな問題でないらしい。それですから、総長の言ったことと違うならば、違ったと、書き直させる余地もあるのですが、しかし、この書き直させるということも、なるたけさせない。それで、ここも、先ほど申し上げましたように、何でも書いて出せば一点ということで、内容は点に触れないような苦心を学生監はしておったらしいのです。これは昔のことですから、いま特に調べませんが。とにかくいま申し上げたような特に書き直しを命ずること、学生監の間でアンバランスがございまして、これが現在でも若干あるので、これが私ども法学部では現に学生監相互で話し合って、アンバランスをないようにしようということで、おそらく実践倫理、事実上は総長はしゃべりっ放しで、あとの、問題つくって出したり、それから採点したりなんか、みんな学生監がそれを、いろいろこまかい仕事をするのですから、それがどうもアンバランスができる。そのうちのたまたまアンバランスの部分がお耳に入ったりなんかするのでございますが、その点は十分われわれ心得ておったのですが、まことに困ったことと実は考えております。しかし、私の関係するところでないので、なるべく総長の口を締めるという程度にしておりましたが、現総長においては、先ほど言いましたとおり、こういう問題は全面的にございません。ただし、倫理講義の内容が空虚になったということは申し上げられます。現在の新総長の実践倫理の内容は、憲法問題等に触れる点は毛頭ございません。ただし、内容が空虚な、学生にアピールするような内容でなくなった、問題が変わってきた。いまの御指摘の点はなくなった前総長時代の問題でございます。
#330
○萩原幽香子君 重ねて。私がいまお尋していることとちょっとお答えが違うように思うんです。私は、感想文というのは、聞いたことに対してどう思ったかということを書くのが感想文でございましょう。ですから、アンバランスであるとか、学生監によっていろいろアンバランスになるとか、といったようなことは、私は申し上げているんじゃないんです。そうじゃなくて、その聞いた学生がそれをどう受けとめたかということを書くのが感想文でございましょう。そのときに、これは何べんでも書き直させるというところに、私は問題があると、こう申し上げているわけなんです。それじゃ、重ねてお伺いしますが、いまそういう感想文は全然お書かせにはなっていらっしゃらないんですか。
#331
○参考人(中村宗雄君) 現総長のもとにおいては、そういう思想問題に触れないように、これは厳にいたしております。
#332
○萩原幽香子君 私が申し上げているのは、思想的なものとか、思想的なものでないとか、というようなことを申し上げているんじゃないんです。どんなお話をされたかは別問題として、そのことについて、その学生が自分が感想を書いたと、そういうことはされて、私は、何も悪いことじゃない、けっこうでございますよ。ところが、それに対してどういう態度で臨むのかというところに私は問題があると、こう申し上げているんです。ですから、いまの学生たちが今度の総長のお話が非常に空虚である、そういうことを書いたって別にどうということでもございませんし、私が申し上げているのは、どうも参考人の受け取り方が違うようでございまして、私は、自由に書くというところに感想文としての意義があるんだ、それを手を加えて書き直させるというところに問題がございますよと、私はこう申し上げているわけなんです。ですから、現在どうですかとお尋ねいたしております。
#333
○参考人(中村宗雄君) よくわかりました。それは、現在いたしておりません。旧総長の時代の問題であります。しかも、この感想文というようなものを書かせたのはまれでございます。感想文、感想文というのは、実はどういう講義したかということの事実の叙述をさせている場合が大部分であった。いま感想文という真の学生の思ったことを書かせるという場合は、割合に内容は少なかったんだと、しかし、そういう感想文も現在は書かしておりませんと、こういうことでございます。
#334
○萩原幽香子君 ないわけですね。
#335
○参考人(中村宗雄君) はい。
#336
○加藤進君 この実践倫理という科目、これはもう卒業に必須の学科目ですね。その実践倫理という科目は、おたくの学則の中のどこに書いてあるんでしょうか、実践倫理という科目は。おたくの中の、いろいろな学科目の中のどこに書いてあるのか、その点御指摘ください。
#337
○参考人(中村宗雄君) 学則には出てないそうであります。しかし、われわれ、現業としてこの一番トップに載っていると思いましたが、学則には載っておりませんで、その他というほうで、前から。そのようであります。
#338
○加藤進君 学則に載っていない科目、しかも、その科目には内容として先ほど指摘されたような、きわめて憲法にも触れるような内容がある。これをしかし卒業の必須科目にする。一体どこでそれをきめるのですか。学則にはないのですから、どこできまっているのですか。この必須科目であるというような規定をしてあるおたくのほうの学校の責任ある資料、文書を出してください。
#339
○参考人(中村宗雄君) 御指摘のことまことにごもっともであります。これはおそらく終戦前からのしきたりがそのまま続いてまいりましたので、おそらく学監制度としてもその点をそのまま行なったと思います。私自身もそこは気がつきませんでした。しかし、それは重々よくないと思います。気がつかなかったことだけは確かであります。
#340
○加藤進君 中村参考人ね、確かに書いてあることは書いてあるんですよ。これは生徒に渡す文学部の便覧に。
#341
○参考人(中村宗雄君) それに書いてありますよ。
#342
○加藤進君 学生に渡す便覧には書いてあるのです。そこが問題だというのです。
#343
○参考人(中村宗雄君) そうです。それはいま仰せられたんで、その法理的根拠というものまで気がつきませんでしたから、私は不念でしたということを申し上げているのです。
#344
○加藤進君 こういう学科目が卒業のための最優先の必須科目になっておりますね。この必須科目に六十点以下取ったら卒業できませんよ。それほどの必須科目にちゃんとのさばっておった。これは不当でしょう。私はまず中村参考人の意見を聞きたいのですけれども、こんな実践倫理なんていう科目を卒業の必須科目にすることをやめたらどうですか。実践倫理なるものの科目をやめたらどうですか。その点の御見解をまず中村さんからお聞きしたい。
#345
○参考人(中村宗雄君) 私は、委員長で近代化委員会を設けましたから結論をここで申し上げるのもいかがかと思いますが、私はこれが一番論点だと思います。廃止すべきだと私個人は思っております。それで、私が申し上げたのは、学則に出ていることは重々存じております。
#346
○加藤進君 学則には出ていないのですか。
#347
○参考人(中村宗雄君) 時間割その他には出ておるんです。われわれは実践倫理を一番重く見て、トップにあげてあるというふうに心得ております。
#348
○加藤進君 便覧にですよ。
#349
○参考人(中村宗雄君) 便覧です。それには出ておりますが、しかし、法理的な根拠について私気がつかなかったことは、これは重々おわびをいたします。自分の足らざるところと考えます。しかしながら、この問題は二つに分けます。いろいろ疑義のあるところで、近代化委員会において十分、この点は一番先にやり玉に上がる問題だと思っております。従来としても御指摘のように、これが六十点以下だったら全部落第させる、これはあるべからざることです。これは教授会、いかに無力といえども教授会が及落の判定をいたします。その判定の際に、こういうものの不合格は救済のできるように各部とも努力をし、それを行なっている。便覧どおりには行なわれないようにはかって、これは妥協策であり、きわめてびほう策でありますが、そういう方法はとってまいりました。しかし、それでいいというものではございませんので、それを改革し、むしろこれは打ち切るべきものだと、つくづく考えております。またそういう問題があるからこそ、近代化の勢いが学内に起こったということをどうか御理解いただきたいと思います。
#350
○加藤進君 文部大臣、大学設置基準というのがありますね。これに大学の卒業のために必須の学科目がきちんと明記されておりますね。そうしますと、実践倫理はその大学設置基準という法令の中で認められるものでしょうか。これはいいものでしょうか。文部大臣の御意見はどうですか。
#351
○国務大臣(奥野誠亮君) 大学の設置基準の中では、教官組織なり、教科目なりそれで示されているわけでございますので、認可を受けて運営されておると思うわけでございますけれども、しかし、その後の経過もあることでございますので、事務当局のほうでお答えさしていただきます。
#352
○説明員(安養寺重夫君) 資料に即して御説明申し上げますと、国士館大学の学則にいろいろと開設すべき教科目の種類、またその細目がございまして、それぞれの学部別に規定がございます。そうして、総括的にそういったもののほかに、必要に応じて特別、講義を開設することがあると、文部省の理解といたしましては、これに該当する事項であろうというぐあいに考えておりまして、開設されたものをどのように必修するかということにつきましては、学生便覧、各学部ごとにございまして、先ほど便覧には確かにあるということでございまして、こういう関連から特別講義の一種としてこれが開設され、必修とされている、かように法規的には理解をしているわけであります。
#353
○加藤進君 そうしますと、大学設置基準の三十二条、卒業の要件、この中に一、二、三、四項目があります。そしてこれに合わせて二項、三項というものが規定されておるわけでありますけれども、この規定のワクの内でいま申し上げました実践倫理なるものはどこにあるんでしょうか。
#354
○説明員(安養寺重夫君) 先ほど申し上げましたのは、各学部ごとに開設すべき科目の種類がございまして、まあ、特別講義だというような形態でございます。一応大学の設置基準の中身では一般教育科目、基礎教育科目、外国語、保健体育それに専門教育科目というように分ける、この範疇のあるいはどれにも属さないかもしれませんが、われわれといたしましてはそれ以外に特別講義というようなことで、それが私学の特別の開設で必修になっておるということではなかろうかというふうに思っております。
#355
○加藤進君 そんなふうに言われますと、一体大学の設置基準というのはどういうことなんでしょうか。実践倫理の中には、あなたも聞かれたように掃き掃除まで入っている。それから生徒が巡視するということまで入っている、パレードもやらなくちゃならぬ。それから自主憲法大会というようなところには出席は義務づけられておる、こんなところまで大学設置基準を広げて、これもまた大学設置基準の中に認められると、こういう見解でしょうか、その点だけはっきりしてください。
#356
○説明員(安養寺重夫君) 国士館大学の学則の中では大学設置基準ではっきりと種類、単位等をきめましてこれ以上を卒業要件とする規定がございまして、国士館大学の部分は、そのことに関する限りは満たしておりまして、それ以上に単位を取りかつこの特別講義を聞くんだということでございますので、それはたくさん余分にする二とである、かように考えておるわけでございます。
#357
○加藤進君 そんなうそ言っちゃいけません。いいですか、文学部便覧の「学士号」のところ第一見てごらんなさい。「文学部においては、四カ年以上八カ年まで在学して百三十八単位〜百四十四単位(別に特設課目として実践倫理四単位)を取得した者を卒業とし、」とありますよ。卒業の必須条件。これがなければ落第ですよ、大学の中村先生に聞いてごらんなさい。これが六十点以下だったら卒業できません、これは。必修科目ですよ、あなた。しかも最も優先的な必修科目、こういう取り扱いがされておる。
#358
○説明員(安養寺重夫君) 現在の各大学の卒業要件というのは、実際には百四十単位から多いところは百六十単位ぐらいあるかと思いますが、大学設置基準はすべて共通の最低基準を掲げておるわけでございまして、教科の種類別に、そして百二十四の単位以上だということになっておるわけです。現状はしたがって、各大学ともできるだけ勉強をたくさんするといいということなんでございましょうか、そういうような実態になっております。われわれとしましてはその最低基準は満たしておりまして、それ以上にこういう科目が必修だということにされておるのは常識的に見た勉学の許せる範囲内におければいいじゃないか。たとえばこれが二百単位だなんということになると問題でございますが、百四、五十単位というのが平均的な現在の数量でございますから、その限度においてしかもこういうようなくふうがあるということについてはかまわないじゃないか、かような態度をとっており、かつそれが実態である、かように申し上げておるわけです。
#359
○加藤進君 これは第三十二条の読み違いですよ。「卒業の要件は、大学に四年以上在学し、次の各号に定める単位を含め、百二十四単位以上を修得することとする。」として、四つの項目が書いてあります、内容として。その場合に、「前項の規定にかかわらず、大学は、学部、学科又は課程の種類により教育上必要があるときは、一般教育科目について同項第一号の規定により修得すべき単位のうち十二単位までを、外国語科目、基礎教育科目又は専門教育科目についての単位で代えることができる。」と規定してあるのであって、かってなものを特殊な講義をやる。それにかえるなどとは書いてありません、これには。「二以上の外国語の科目の修得を卒業の要件とする大学の場合にあっては、一の外国語の科目の単位は、第一項第二号の外国語科目についての単位とし、他の外国語の科目の単位(前項の規定によるものを除く。)は、第一項第四号の専門教育科目についての単位とみなす。」と書いてあるんですよ。それ以上のことをここに書いてありますか。それ以上のことはあなたの拡大解釈じゃありませんか。
#360
○説明員(安養寺重夫君) 先ほどから申し上げておりますように、百二十四単位以上ということでございまして、内容はつべこべ申し上げませんが、その百二十四単位の中身をいろいろ種別に分けております。その分けている限界を相互に融通し合うというようなことについてのこのただし書きの規定でございまして、百二十四の土俵の中の話の差し繰りというものを大学のそれぞれのくふうによってやってよろしいということを申しておるわけでございまして、以上の部分に、先ほど申しましたように四年間の勉学の期間妥当な限度において何単位かを卒業の要件にするということにつきましては、われわれとして一向に差しつかえないと、かように思っておるわけでございます。
#361
○加藤進君 そこで、一歩譲りましていまのような解釈を認めるとして、では実践倫理の内容なるものは、そういう意味の大学設置基準のいわば例外として、これに加える科目として認め得るような内容であるかどうかの御判断は文部大臣いかがでしょうか。
#362
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど来いろんな話が出ておりますので、私もそれ以上は承知しないわけでございます。総長がみずからいろいろな話をして聞かせる、そういうことを通じて人格形成に寄与していきたいという行き方については特段批判すべきことじゃないと思います。問題は、そこの内容のことになるだろうと思うのでございますが、内容のことになりますとなお私十分でございませんので、とかくの批判は差し控えさせてほしいと、こう思います。
#363
○加藤進君 いま中村参考人までがこの実践倫理というものはふさわしくないものである。したがって、この実践倫理なるものをやめるというようなことを十分検討しなくてはならぬとまで大学当局は考えておられるわけです。これを助言あるいは指導すべき文部省がそういうことは、逆にいえばやらなくてもこれは何も法違反ではございませんと、暗に従来のやり方を認めて、それを励ましておるような態度じゃないですか。こんな状態だから、こんな行政姿勢だから、大学内部における革新的な考えを持った大学諸先生、学生諸君の努力だっていま押えられているというのが現状じゃないですか。私は、その点をほんとうに反省して、文部省当局が大学の立ち直りのために必要な助言、指導を行なうべきであって、大学の教育の姿勢、大学の体質について十分配慮を払うべきであると私は考えております。けれども、その点いかがでしょう。
#364
○国務大臣(奥野誠亮君) 中村先生がどうお考えになっているかそれとは別に、私大学全般について、国士館大学で行なわれてきたような総長がみずから授業をかって出る、そして人格陶冶に責任を持っていく、そういう一般の問題としてお答えをしているわけでございまして、その間のことに関する限りそれを否定すべきことはないじゃないかと、国士館大学内部の問題になりますと、先ほど中村先生は前総長といまの総長とに分けて意見を言っておられたわけでございます。内容をよく御存じのようでございますけれども、私は正確には承知いたしませんので、批判は慎しみたい。やはり私学の教育内容につきましては、できる限り批判は文部当局としては避けるべきだと、しかし、暴力的な事案を生ずるようなことにつきましてはきびしく助言をしていかなければならない、そうは心得ておるわけでございます。
#365
○加藤進君 だから私は申し上げるのです、重ねて。大学の設置基準は、あの実践倫理などというような内容のものまで認める、こういうものでは私は絶対にあり得ないと思います。こういう実践倫理のような学科を、卒業のための必須科目にして最優先に置くのだというような国士館大学のあり方、教育のあり方について、もっともっと文部省は責任をもって、十分綿密に調査されて、この点についての明確な文部省としての御判断をいただかなくてはならぬと思います。そういう意味で、私は、あえて中村参考人が、大学の学則にもないようなこの実践倫理についてはこれをなくするように再検討するという、私は、その点は中村参考人の御意見を評価したいと思います。そういう点を十分にバックアップして、大学内におけるそういう改革が実際上具体的に進み得るように助言をする、これが文部省の仕事じゃないでしょうか。私は、何も、大学の教育内容に関与するなどと言っておるのでは決してないのです。事柄は、教育内容より以前の学校教育のあり方に関する問題でございますから、そういう点については、補助金まで出しておる文部省が全然これにノータッチで、何らその学校内における事態を知らないで、そして責任がないなどとは絶対に言いがたい。この点については、私は、もし、こういう事態が今後とも依然として進んで何ら改善の余地がないといった場合には、こういうときには、私は、国費をもって補助するなどということは打ち切るべきである、これくらいの覚悟を持ってやらなければ、国士館の体質改善はあり得ないと、これくらい私は考えているわけでございますけれども、この点についての文部大臣の誠意ある御回答を願いたいと思います。
#366
○国務大臣(奥野誠亮君) この私学に対する補助金を私学の教育内容の批判から打ち切るというような規定につきましては、現在一応規定を置きながらも、その規定が停止されておるわけでございます。私学の自主性をそこまで尊重すべきだというたてまえになっておるわけでございまして、このままでいいかどうかということにつきましては、今後もなお私たちも考え、また御相談さしていただきたいと思いますが、現状においてはそういうたてまえをとっておるわけでございます。そこまで私学の自主性を尊重しているわけでございまして、それはそれなりに私は意義があると、こう思っておるわけでございます。
 ただ、国士館大学の具体の総長訓話をもって一つの単位にしていくということの是非につきましては、とかくの口を差しはさむべきではない、こういう態度を私はずっととらしていただいておるわけでございます。同時に、一般的にそれぞれ学則を持ち、その学則を総長訓話等を通じて特に明確にしていく、そのことは必ずしも否定すべきではないのじゃないか。それが、教育基本法にはずれたようなことが行なわれているということでありますと、それはしかるべく文部省として助言をしていかなければならない、それは当然のことであると、かように考えております。
#367
○加藤進君 私が、あえてこの問題を重視するのは、もし、このまま放置していったら、国士館大学の立ち直りは言うまでもなく、依然として現憲法否定、教育基本法違反ですよ、これは。平和と民主主義の精神は一体どこにありますか。しかも、その前提の上に行なわれて実践さるべき学校教育法さえ、この問題は大きくゆがめるものであると言わなくてはならぬと思うのであります。また、大学の憲法とまでいわれる学則自身にも違反して、このようなことが卒業の必須科目にされるということから言いますと、手続上もきわめて重大な問題でありまして、内容から言っても、手続上から言っても、これに文部省は重大な関心を払って、いやしくも憲法、教育基本法の趣旨、精神にもとるような学校の教育内容を断固として改めるべきである。その決意を私は重ねて要望して、私の質問を終わります。
#368
○委員長(永野鎮雄君) この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ、長時間御出席いただきましてまことにありがとうございました。
 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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