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1972/07/16 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 文教委員会 第20号
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1972/07/16 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 文教委員会 第20号

#1
第071回国会 文教委員会 第20号
昭和四十八年七月十六日(月曜日)
   午後一時十七分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 七月十三日
    辞任         補欠選任
     高橋雄之助君     鹿島 俊雄君
 七月十四日
    辞任         補欠選任
     大松 博文君     世耕 政隆君
     鹿島 俊雄君     高橋雄之助君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         永野 鎮雄君
    理 事
                久保田藤麿君
                楠  正俊君
                宮之原貞光君
                安永 英雄君
    委 員
                金井 元彦君
                志村 愛子君
                世耕 政隆君
                高橋雄之助君
                中村 登美君
                濱田 幸雄君
                二木 謙吾君
                小林  武君
                鈴木美枝子君
                松永 忠二君
                内田 善利君
                矢追 秀彦君
                萩原幽香子君
                加藤  進君
   国務大臣
       文 部 大 臣  奥野 誠亮君
   政府委員
       警察庁刑事局長  田村 宣明君
       文部政務次官   河野 洋平君
       文部大臣官房長  井内慶次郎君
       文部省大学学術
       局長       木田  宏君
       文部省管理局長  安嶋  彌君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡辺  猛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国立学校設置法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○国立学校設置法の一部を改正する法律案(安永
 英雄君外四名発議)
○参考人の出席要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(永野鎮雄君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る七月十四日、大松博文君が委員を辞任され、その補欠として世耕政隆君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(永野鎮雄君) 国立学校設置法等の一部を改正する法律案(閣法第五〇号)、国立学校設置法の一部を改正する法律案(参第一九号)、両案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は御発言願います。
#4
○中村登美君 私は、ただいま議題となりました法律案の中で、筑波大学に関連して二、三質問をいたしたいと存じます。
 具体的な質問に入る前に、地元の茨城の出身であります関係から、筑波研究学園都市が今日あります姿、その経緯について若干申し上げておきたいと存じます。
 御承知のように、昭和三十八年九月に筑波山麓に研究学園都市を建設することが閣議決定され、以来十年の歳月が流れたわけでありますが、その間、地元茨城県特に関係六カ町村は千八百ヘクタールに及ぶ民有地の買収に全面的に、しかも想像に絶する苦労をしながら協力をしてまいりました。しかも、民有地の買収価格は、時を同じくして進めておりました成田新空港の用地買収費の四分の一の値段にも満たない三・三平方メートル当たり、わずかに千円程度でございました。そしてさらに申し上げますならば、こうした不眠不休の協力の中で、関係六カ町村のうち八名の町村長と二名の議会議員が次々に倒れ、さらに、県の担当課長が病に倒れ、ついに十一名が他界されるという深刻な事態の中で進められてきたのでございます。学園都市が茨城にきまり、これから土地買収という時点のころは、先祖の土地に執着する農民の気持ちは想像を絶するものがあり、むしろ旗を立て、竹やりを持って反対しておりました。なくなりました私の夫、中村喜四郎は県会議員在職中でして、筑波研究学園都市の委員長でございましたが、この反対している住民の竹ヤリの中に入り、部落ごとに懇談会を開いて、説得して歩いて、この学園都市推進のために取り組んでまいりましただけに、その苦労は身にしみて感じておるわけでございます。こうした幾多の犠牲を重ねながら、世界に誇り得る頭脳センターの建設という政府の力強い施策に期待し、その完成を信じて二百万県民あげて誠心誠意協力してまいった次第でございます。
 政府移転機関九省庁、四十二機関の移転もさることながら、特に二百万県民の悲願であり、期待申し上げておりますのが、医科コースを含めた筑波新大学の早期建設でございます。いま申し上げました背景の上に今日すでに一〇〇%の用地買収が完了し、研究機関も二十八機関が移転もしくは建設工事中であります。さらに、生活環境の整備に国も地元も鋭意努力をいたしておる状況でありますが、こうした地元の要望、あるいは国民の期待にこたえるための大臣の御決意をまず最初に承りたいと存じます。
#5
○国務大臣(奥野誠亮君) いまもお話がございましたとおり、故中村喜四郎先生が心身を賭して筑波に研究学園都市を建設するということで御努力いただきましたお姿を思い起こしているものでございます。ほんとうに貴重な御努力であったと、今日もなおその存在の意義の高かったことに対しまして敬意を払っているものでございます。
 政府といたしましては、初めての試みでございまして、このことを通じて日本の学問の振興、学術、研究、さらには教育の発展に寄与していきたい、非常に強い決意を持っているわけでございます。同時にまた、今日多くの大学におきましては紛争を繰り返している。このことは国民の期待に沿わない面が多分にあるわけでございますので、この改革の一助にも寄与していきたいし、同時にまた、続いて新学園都市を幾つもつくっていきたいと考えておるわけでございまして、その先駆をなす性格のものでもございますので、いろんな意味から申し上げまして、政府としては非常に筑波研究学園都市の建設に対しましては真剣な決意と、また努力をささげる考えでおるわけでございまして、これまで地元が非常に積極的に御協力いただきましたことに対しましても感謝申し上げますと同時に、それを裏切らないような成果を上げていかなきゃならない、こういうことも強く意識しておるところでございます。
#6
○中村登美君 大臣のただいまの御決意を伺いまして何かほっとして、意を強くするわけでありますが、筑波新大学をつくるにあたりまして、今後どのような年次計画で、また、どのような規模、つまり用地面積、予算あるいは最終人員で進めていこうとしておりますか。その点、御計画をお示しいただきとう存じます。
#7
○政府委員(木田宏君) 筑波大学の全体規模につきましては、これまでの筑波新大学創設準備調査会等におきます検討の結果を踏まえまして完成時におきまして大学群、学生総数約九千人を目途としております。これについての経費等につきましては、今後財政当局と十分協議をすることにいたしておるのでございます。
 なお、これまで新大学創設準備調査会議において取りまとめられました学群、学系等の規模に従いましてこれに要する経費を文部省で試算いたしますと、大体完成までに約十年の年月をかけたい、また、施設の経費等総計で、土地代の計算がちょっと明確でないものでございますから、これを除きますと約八百五十億ぐらいの規模、土地代がこれからの問題ではございますが、全部で約千億になろうかというふうな考え方でおるわけでございます。また、教職員定数は約三千五百人を見込んでおるところでございます。一応現在まで筑波の土地に、筑波大学の予定地として確定をしていただいておりますのは二百四十五ヘクタールという非常に広大な、一番大きい規模のものをあの地に予定をしていただいた次第でございまして、現在、東京教育大学の持っておりますキャンパスの約五倍、東大の本郷キャンパスと比べましても約五倍の大きさのものを予定しておる次第でございます。
#8
○中村登美君 これからの筑波大学の御計画ですと四十八年度開学、四十九年度に学生を募集していよいよスタートするわけでございますが、新大学の全体的な規模は、学園都市の全体計画と比較をいたしますと、用地面積で全体の一六%強、予算規模で約一五%、そして最終年次の学生と教官を合わせますと学園人口約十万人の二二%、こうした規模をもって占めるわけでありますから、筑波大学は、言ってみれば、学園都市の中核機関であるといっても過言ではありません。このような規模をもって筑波新大学をつくろうとする意図、その背景についてお伺い申し上げます。
#9
○政府委員(木田宏君) もともと筑波大学は、東京教育大学が昭和三十七年のころから、いま分散しております学部を統合したいということで、五学部の統合移転候補地をさがしておったのでございまして、先ほど御指摘がございましたように、昭和三十八年に政府で筑波地区に研究学園都市をつくるという決定がありましてから、東京教育大学もその地に候補地を考えるという議論が学内でもいろいろと進んでまいりまして、昭和四十二年の七月に筑波の地に移転をしようというような動きになってきたのでございます。その後、学内で移転を契機にいたしまして何とかもう少しこれまでの制度にこだわらない、いい総合大学をかつての伝統と特色を受け継ぎながらつくっていく、新しい広大な土地にひとつ思いを新たにしたいい総合大学をつくるようにしようという議論がだんだんとまた動いてまいりまして、そうしていわゆる単なる移転ではなくて、この機会に、ユニークな大学というものを実現するという東京教育大学の御意図を政府としても実現したいという考えで今回の法案を御提出申し上げた次第でございます。
 その一番大きな内容になっております点は、新しい構想ということでございますが・これは教育面におきましてもいままでの学部、学科ごとの教育内容ということをもう一度考えて、学生からもいろいろ教育上の不満の出ておりました点を勘案しながら総合的な教育の体制というものを考えていきたい。また研究につきましても、従来のややともすると固定的な研究の体制を、これまた全学あげて総合的なものにしたい。そういう意味で新しい教育・研究の大学をここに考えてみようという意図があるわけでございます。こうした東京教育大学の構想を実現いたしますことが、私どもといたしましては、各大学がそれぞれに紛争を契機にいたしまして検討を加えてまいりました大学改革の新しい構想をお助けするということになるのではなかろうか。それぞれの大学の大学改革に取り組む姿勢を助けるという意味も考えながら、この東京教育大学の意図を第一に実現したい。
 第二には、ここで真の総合大学と申しますか――東京教育大学は現在までのところ文学部、理学部、教育学部、農学部、体育学部という、それぞれにまた伝統のある五学部を持ち、一研究所を持っておるわけでございまするけれども、せっかく筑波の地に参りますならば、新たに医学、工学の分野につきましても充実した教育・研究の体制を整えて、ほんとうに各領域を総合した総合大学に発展するようにしたい。その真の総合大学を考えたいというのが第二点でございます。
 第三点といたしましては、先ほど御指摘もございましたように、筑波の地に数多くの研究機関が東京近辺、近郊から移転するわけでございますが、せっかくの研究学園都市の中心といたしまして、最も充実した教育・研究の機能をここに設け、他の研究機関等とも連絡をとりながら、ひいては国内はもとより国際的にもユニークな学術研究及び教育の新しい研究学園都市としての夢をこの筑波大学を中心にまた考えていきたい。
 こういう三つの課題を考えておる次第でございます。
#10
○中村登美君 全く新しい形態の大学を筑波につくる。筑波大学とは、どんな大学であるのか一般国民にはよくわかっておりません。この実態がよくわからないということが、筑波大学に関する議論を必要以上に混乱させているようにも思われるのでございます。
 そこで、筑波大学は、従来の大学と比べてどこがどう違うのか、その点についてお伺いいたします。
#11
○政府委員(木田宏君) 第一には、先ほどもちょっと触れたわけでございますが、いままでの専門領域ごとに考えられました教育と研究の体制を、――これはすなわち学部、学科を中心にいたしまして、畜産なら畜産ということで最初から学生を受け入れ、教育をする。研究の体制も、畜産学科の中でそれぞれの講座を設けてやる。こういう考え方を変えて、学生に対しましてはもう少し総合的な、複合的な教育の体系、カリキュラムを組めるような、そういうくふうを考えてやりたい。そういうために、いままでの専門領域ごとにやや細分化されました学科組織ではなくて、総合的な教育組織として幾つかの学群を設けたい。したがいまして、学群というのは専門領域の、専門の学問領域の集まりという意味で学群という用語を関係者も一緒になって考え出したわけでございます。ただ領域によりましては、医学とか芸術、体育等、最初からその目標のはっきりした教育の体制もとらなければならぬ領域もございまするので、三つの総合的な学群と、それから体育、芸術、医学という三つのやや専門的な教育領域を持った学群というものを組み合わせておるわけでございます。また、教員の研究所の組織といたしましては、学問系列ごとに学系というシステムを設けまして、従来とやや違って、同じ系列の教官がそれぞれの学部に別々にいるというようなことをできるだけなくしていきたい。同じ学問系列の教官は――物理の教官は全学的に物理の教官で研究の体制もとれるし、行動もできるというふうな、そういうことを考えておるわけでございます。で、こういう新たな学群、学系の組織をとることによりまして、総合的なカリキュラムが編成できる、また研究につきましても専門領域を同じくする者の研究がしやすくなると同時に、プロジェクトごとに大きな研究システムを構成しやすくなるというような、そのような新しい教育・研究の体制をひつとつくりたいということを考えております。
 このように教育・研究の体制を新たにすることによりまして、この運営をはかっていきます大学自体の管理運営のしかたが、いままでの学部、学科ごとの教授会を中心にいたしました運営とはやや異なってまいります。全学的に大学の管理運営を設けていくという新しい大学の運営、新しい大学の自治のとり方というのをこの大学で構想をいたしておるところでございます。
 第三番目には、とかく大学が象牙の塔といわれまして、市民社会からは閉ざされた社会になるということがまあ関係者の批判の課題ともなっておるわけでございまして、学外の良識ある意見、また、市民社会の意見というものが大学の運営に適切に反映されるようになってこなければならない。また大学は学生、これも市民社会の構成員でございまするけれども、ただ高校を出てきた学生ということだけでなくて、社会人のために、広く教育の場を提供するというふうにならなければならない。大学のキャンパス自体も、市民社会のために活用していただけるものは活用していただきたい。こういう意味で、社会への大学の開放ということを考えたいというふうに思う次第でございます。このことは、また筑波が研究学園都市というユニークなことであります関係上、日本の中だけでそのようなことを考えるというだけでなくて、内外の学問交流の場にしたい、留学生も迎えますし、研究者等を広く世界各地から迎えるような研究学園の場にしたい、こういう意味でも開かれた大学にしたいということでございます。
#12
○中村登美君 ただいま伺いました学部制をとらずに教育組織と研究組織を分けるというような問題が、筑波大学に対する風当たりが強くなっている論拠の一つのようにも考えられるのでございますが、このような組織をつくることが、弾力化するかもしれませんが、結果的には教育が軽視されたり、教育と組織が両方ともだめになってしまうのではないかというような危惧の点もあると思いますが、その点についてはどのようなお考えでいらっしゃいましょうか、承りたく存じます。
#13
○政府委員(木田宏君) いままでこの筑波に対します危惧の課題といたしまして、教育と研究は大学において一体であるべきではなかろうかと、それを分離するというのはどういうことであろうかという御心配が述べられるのでございます。私どももこの教育と研究のあり方につきまして、機能上の分離ということを申しておるのでございますが、筑波の大学において全くこれをばらばらにしてしまおうというつもりはございません。大学の教官は、自分で研究をし、それが自分の教育の場に生きていくということでなければならないわけでございます。筑波の大学の教官も、みずからが研究をし、みずからが教育をするという責任を持ち、大学といたしましても、筑波の大学全体といたしまして研究を進め、教育を十分に行なう、一体的に行なうということには変わりがないのでございます。また、そうでなければ大学ということにはなるまいかというふうに思うのでございます。ただ、現在大学がやっております、まあいわゆるこれまでの学部学科制で進んでまいりますと、学内のあらゆる組織がその組織ごとに全部教育についての責任組織であり、研究についての責任組織であるということになっておりますために、そしてまた、そういうことで学部学科のシステムをとっておりますために、一つは学生の側から見てまいりまして、もう少し幅広い教育を受けたい、最初から特定の専門のところに身を据えて、そして卒業までその専門だけやっていくということでなくて、もう少し幅広い高等教育という機会を考えながら自分の将来を考えたいという学生に対しまして、ややともすると従来のシステムですとこの教育の幅が狭くなり過ぎる、それが、いきなり専門に入らないで一般教育をうまくやらなければならぬという、一般教養教育という課題にもなって出ておるわけでございますが、これがなかなか適切に行なわれがたい実情にございます。大学全体としてもう少し総合的な教育のシステムを学生のために考えてやらなければならない、そのためには、先般の大学紛争の過程を通じまして、いまのように専門の教官が自分のことでないと考えるような一般教育のあり方をどのように改革するかというのが、大学の教育問題としては大きな改革の課題になっておるわけでございます。そして、もう少し専門の教官が、自分の専門で勉強するということそれから学生に教えるということとは別の観点から、この学生に必要なカリキュラムを総合的に組み上げていくということが必要ではなかろうか。で、したがって筑波大学におきましては、学生に対しましてやや広い領域ごとに学問上の指導をしていく、こういう――これをまあ第一学群でございますと人文、社会、自然というような広い――学類と称しておりますが、その領域で学生の教育のシステムを総合的に組み上げていくような教育の指導体制を考えたい。これのためには、それぞれの専門の教官がそれぞれに協力しながら教育システムとして緊密な連係をとる。同時に、研究者の研究は学問の進歩発展に伴いまして非常にこまかい専門領域を深く掘り下げていくということもございまするから、その深い掘り下げた研究の領域、また、今日の公害等に見られますように、全く違った領域の人と手を組んで大きな研究のシステムを組まなければ十分な研究体制がとれないというような領域もございますから、こういう研究の目的に従って総合的な研究の体制をとれるようにしたい。同じ大学の研究者が、研究者個々人は教育も担当し、研究も担当するが、それをチームとして組んで学生に教えるシステムと、それから研究に取り組むシステムはシステムとして別々に組織できるような考えをとっておきたい。それを大学としてまた全体的に総合できる、教育と研究を分かれっぱなしにしないで、総合的に大学としての一体性が保持できる、こういうことを考えておる次第でございます。したがって、学生の教育要求に適合しますカリキュラムを組むために教育上のシステムを学群という形で別に考え、そして研究者の研究を便にいたしますために同じ研究グループの人を中心にして学系という組織を考えながら、いろいろな研究の態様に対応できるような弾力的な運営ができる、こういうことを教育と研究を機能上分離して考えておるということでございまして、決してこれをばらばらにしてしまうという考えでおるわけではございません。
#14
○中村登美君 今回の法案の一つの問題点と言われております参与会という制度につきまして、それが社会に開かれておるがために管理体制が強くなってかえって大学の自治を侵すのではないかという懸念があるようでございますけれど、いまの日本の私学におきまして理事会等、非常に参与会に類似するもの、あるいはもっとこれよりも強い審議機関といいますか、意見を言う機関を備えております私立大学が多数あると思いますが、実際にはどのような状況でございましょうか。また、参与会のメンバー選任にあたりまして文部省はどういう基準をもってなさられるおつもりかお伺いいたします。
#15
○政府委員(木田宏君) 今日の私学と対比してのお尋ねであったかと思うのでございますが、私立学校は建学の理想をお持ちになっておられます私学の設置者の方々が学校法人という組織に役員を構成をして、卒業生とか、あるいは大学の学校の責任者等が理事組織の中にも入り、また私学をつくろうとされた設立者等を中心にいたしました方が入って、それに評議会という幅広い御意見の評議員の組織を評議員会として設けまして建学の理想を考えておられる方々の手によって学校を運営するという組織になっておるわけでございます。それに対しまして申し上げるまでもございませんけれども、国公立の大学は国あるいは地方自治体という行政主体が設置主体であるということでございまして、おのずからその設置についての責任所在なり、その姿勢というのは、私立大学の場合と違うわけでございますけれども、今度筑波大学に参与会を設けたいという意向は、これまた筑波大学の構想を進めました東京教育大学の持ってこられた御意見でございまして、大学がとかく一人よがりの教育・研究をやっておるのではないかという一つの反省の上に立って、できるだけ国家社会の中でいい仕事をしていく大学は広く学外の関係者の意見に耳を傾けながら、みずから学外の意見に耳を伸ばしていって、そしてみずからの教育・研究を誤りなきように考えていきたい、こういう構想かと思うのでございます。で、その意味で部外の人が入ってきて干渉するということではなくて、大学の関係者が積極的に大学と関係の深い方々――地域社会の方々、同じ研究領域の方々、あるいは大学に学生を送ってこられる初等中等教育の関係者の人たち、それからひいては卒業生等、各層の方々の意見を積極的に取り入れながら大学の運営を適切に行ないたい、こういう趣意のものでございます。でございますから、この参与会につきましては、大学と無関係に文部省が人選をしてお目付役として配置するというのではございませんで、大学が学内で相談をして、文部大臣に対してこういう人を参与に迎えたいと持ってこられた方々を、その御意見によって文部省が御委嘱を申し上げる。これは国立の大学のやはり非常勤のポストでございまするから、国家公務員法の規定によりまして文部大臣が学長の申し出を受けて発令をするという制度にさせていただいておる次第でございます。その人選の方法その他は大学でおきめになることでございまするけれども、いままで教育大学の関係者が申し出ております考え方は、先ほども申し上げましたように、地域社会の適切な代表の方々、また他の研究学園都市の関係もございまするから、大学研究機関の関係者の方々、それから卒業者、あるいは近隣の初等中等教育の関係者等、広く社会各層の有識者の中から委嘱を申し上げたいと、こういう考え方で案ができておる次第でございます。
#16
○中村登美君 この参与会の構想は、非常に大切な構想でございまして、今日までの大学が大学内部の方々の考え、あるいは知識、感覚等によってのみ運営されてきたというところに大きな問題点があるわけでございまして、非常に期待される仕組みであると思うのであります。
 次に、人事委員会の制度でございますが、学問の自由を根本から破壊することにつながる、教員自身の手から教員人事権を奪ってしまうということだという批判があるわけでございますが、その点につきましていかがでございましょうか、承りとう存じます。
#17
○政府委員(木田宏君) 人事委員会を設けておりますのは、教官の人選を教育・研究に携わる教官の手から取り上げようという意味では全くないのでございます。今日におきましても、学部の中で、学部といいましても領域が広いわけでございますから、学部の中で、たとえば理学部の中で数学の教官が欠けるということになりますならば、数学の専門家を中心にいたしまして選考委員会が設けられて、その選考委員会の結果が学部教授会にかけられて、教授会から学長のほうに人事が上がってくる、こういうことになっておるわけでございます。今回の筑波大学におきましては、先ほども御説明申し上げましたように、教育のための組織として学群というシステムを考えておりますし、研究のためのシステムとして学系というシステムを考えております。したがいまして、教官の人事を進めます場合に、どちらかだけが決定的な発言権を持つということがとれないわけでございます。よって、学群のほうからも、学系のほうからも採用すべき教官についての意見をもらいながら、それを受けて副学長及び評議会で定めました選出方法で学群、学系から選ばれてまいりました研究者の人事委員会という組織をつくりたい、その人事委員会には専門領域ごとの専門委員会も設けまして、それらの研究者の手で全学的な人事の処理を行なっていくようにしたいと、こういう趣意でございますから、今日、学部で行なっております教官の人事と同じ考え方に立って、それを新たな学群、学系とどちらかに一方だけできめてしまうことができないという関係上、中間の立場で処理ができる人事委員会というものを構想をしたと、これは選ばれてきた教育研究者が自分たちの手で教官を選んでいくという、これまでの精神にのっとったものでございます。いままでいろいろと御心配の意見もありますけれども、この点を間違いなく御理解を願いたいものだというふうに考えておる次第でございます。
#18
○中村登美君 筑波大学法案が単独立法ではなく、国立学校設置法の一部改正によってやろうとするのは、筑波大学方式を全国の国立大学に及ぼそうというわけであるから絶対反対であるというような意見がありますが、筑波大学方式を全国の大学に押しつけるような下心があるのかどうか、大臣に承りたいと存じます。
#19
○国務大臣(奥野誠亮君) 筑波大学を国立学校設置法に規定いたしましたのは、すべての国立学校を国立学校設置法に規定いたしておりますので、筑波大学も当然それにならうべきであるという考え方のもとに国立学校設置法の中に規定させていただいたわけでございます。それ以外何ら他意はございません。
 同時に私たちは、それぞれの大学はそれぞれの特色を発揮すべきだと、こう考えておるわけでございます。ところが現在は、国立学校設置法、学校教育法等に見られますように、大学につきましては組織としては学部しか認めていないわけでございます。ずっと学部しか認めていない。そのことがまた大学の中で、大学によりましては学部割拠の大学自治、全学的な大学自治が樹立されない。そこから多くの弊害が今日出てきているわけでございます。学部の組織をとることにも大きな意義がございますけれども、他の組織をとれないというようないまの国の教育制度、これはやっぱり問題だと、私はかように考えるわけでございます。同時に、筑波大学の構想、これはいまの大学制度のもとではとり得ない幾つかの新しい試みが取り入れられているわけでございます。したがいまして、あえて法律改正案で国会の御審議をいただいているわけでございます。いずれも、筑波大学について規定をしているわけでございます。学部の組織をとらないで学群、学系の組織をとるということ。さらにまた人事委員会の制度を設ける。これも学部の組織をとらないことから起こってくることでございます。さらにはまた参与会を設ける。これは筑波大学自身が、あるいは東京教育大学と申し上げたほうがいいかもしれませんが、みずから社会の批判に身をさらしていきたいというけなげな気持ち、それをそのまま取り上げてあげたいということでございまして、他の大学には当然にはその制度は設けられないわけでございます。しいて申し上げますならば、学校教育法の中でいまは学部の組織しか許しておりません。それには問題がございますので、学校教育法の五十三条を改正いたしまして、「大学には、学部を置くことを常例とする。」、これはまあ従来の考え方を踏襲いたしましょうと、「ただし、当該大学の教育研究上の目的を達成するため有益かつ適切である場合においては、学部以外の教育研究上の基本となる組織を置くことができる。」とさせていただいたわけでございます。「学部以外の教育研究上の基本となる組織」でございますので、筑波方式だけではございません。積極的にお考えくださいよということでございます。その場合でも、国立学校でございますと、これは法律を改正しませんと学部以外の組織はとれないわけでございます。学部以外の組織をとろうとします場合には、必ず法律改正案を国会に提出してまいるわけでございますので、その際に押しつけることの可否を論ぜられてしかるべきであって、いま何らそういう改正案を申し上げているわけではございませんので、押しつけようとする意図があるなどということは、あまりにも私は独断に過ぎるのじゃないだろうかと、こう考えているわけでございます。同時に、公立の大学、私立の大学、いままでは学部の組織以外はとれませんでした。この規程をおくことによりまして、その大学が望むならば違った組織をつくることができる、その道は開いてあげた、弾力化をした、これは私はもっと早くやるべきことであって、いまごろこういう改正はおそきに失すると、こう私はおしかりをいただいてしかるべき性格のものじゃないかと、他の大学にも押しつけようと考えている、けしからぬというようなことじゃなくって、なぜこの改正をもっと早くやらなかったのかと、こういうおしかりを私は受けるのが筋道じゃなかろうかと、こう考えておるものでございます。
 なお、東京教育大学から副学長を置きたいと、こうおっしゃっておりました。副学長は置くことができると改正さしていただきました。これは、他の大学でも置きたいというところは置けることになったわけでございます。しかし実質的には今日も、たとえば本郷の東京大学では学長補佐という名前で置いておられます。しかし、こういう規定がございませんので、教授の人をあわせて副学長的な学長補佐の仕事をさしておるわけでございます副学長を置くことができるということに規定をいたしますことによって、必要に応じてそういう人の余地もとってあげることができると、人員をふやしてあげることもできるということでございますから、むしろ、これは期待にこたえる道ではなかろうかと、こう考えておるわけでございます。
 同時にまた、この副学長を押しつけるという議論をやっぱりおっしゃる方がございます。しかし、法律をお読みいただきましたらわかりますように、副学長は評議会の定める基準により学長がきめるのでございます。その学長の申し出に基づきまして、そのとおり、形式的には文部大臣が任命手続をとってあげるということでございます。大学が希望しないなら評議会の定める基準により学長が申し出るということはあり得ないわけであります。しかし、希望があれば私はそれだけの人の手配をしてあげたらいいじゃないか、現在また現実的にはそういう仕事をさせる仕組みをあちらこちらで考えておられるじゃないかと、こう申し上げておきたいわけでございます。
 どうも今回の法律改正につきまして何か独断的なことあるいは幻想的なことで反対される向きも非常に多いように私としては感じておるわけでございます。むしろ東京教育大学がビジョンの実現を期して新構想の大学を建設するんだと、そのお世話をしているわけでございます。私は大学の自治を尊重すべきだとおっしゃるなら私はこの方式、国会に提案している法律改正案、これはぜひそのまま積極的に御賛成いただきたいという気持ちが非常に強うございます。東京教育大学の新しい構想、その実現をさせてあげることこそ大学の自治を守る政府の基本的な姿勢であるはずだと、こう御理解いただきたいと、かように考えております。
#20
○中村登美君 文部大臣がおっしゃられましたように、大学の改革はどういうふうにやるかということは、それぞれの大学で自主的にやってもらい、筑波大学の方式あるいはそれに類似した方式をやるかどうかということは決して強制はしない、予算などの点でも全くそういうようなことはしないということであるのかどうか、その辺の点につきまして、文部省の見解をはっきり承っておきたいと存じます。
  〔委員長退席、理事楠正俊君着席〕
#21
○政府委員(木田宏君) 各国立大学からの予算につきましては、私どももできるだけ大学の発意を尊重いたしましていままでも運営をいたしてきたつもりでございます。今後筑波大学ができました際にも、従来からやってまいりました大学側の主体的な希望というものをできるだけ尊重いたしまして、予算の許す限りその希望に沿うような予算の努力はしてまいりたいというふうに思いますが、文部省のほうからこうした考えで大学の意向を曲げるというようなことはするつもりは毛頭ございません。ただ事柄によりますと、これからの大学のあり方その他に個々の大学の御要請が逆行しているのじゃないかと思うようなこともございまするので、そういう場合に何でもどこでもふやしたいというのをそのとおり拡大しなきゃならぬかということになりますと、これまた問題もございまするから、そういう点につきましては、やはり文部省としての調整はとらしていただきますけれども、大学の意向を曲げて、別のものをこちらから予算でもっていく、こういうふうな考え方はいままでもいたしておりませんし、今後もそういう考え方をするつもりはございません。
#22
○中村登美君 筑波大学の過去の経過をたどってみますと、まず四十二年の七月に総合大学として発展することを期し、条件つきで筑波に土地を希望することを決定いたしました。そしてそのあとに四十四年の七月には、筑波における新大学のビジョンの実現を期して筑波に移転する旨を表明したわけでして、この二年間にただ単に移転するというような事情から、新ビジョンの実現を期して筑波に移転するというようなことに移ったわけなんですけれども、その間の各学部の状況なり、各学部の事情なりをお伺いいたしたいと存じます。
#23
○政府委員(木田宏君) いま御指摘がございましたように、四十二年の六月に総合大学として発展することを期し、条件つきで筑波に土地を希望するという東京教育大学の評議会の決定がございました。その評議会の決定を受けまして、東京教育大学では学内に新たにマスタープラン委員会というのを設けまして、筑波における大学の基本計画案の作成をとり進めたのでございます。この間、昭和四十三年の六年から翌四十四年の初めにかけまして、東京教育大学のみならず東京大学その他全国の大学で数多くの大学紛争が激化いたしまして、東京教育大学におきましてもマスタープラン委員会の審議は一時中断というような事態も起こったわけでございますが、そうした紛争の経過も経まして、せっかく総合大学として新たなものを考えるという以上、先ほども申し上げましたように、これを契機に新しいビジョンによって新しい大学をつくるという意見が大勢を占めるに至りまして、それが昭和四十四年七月の評議会におきましての筑波における新大学のビジョンの実現を期して筑波に移転するという意向に変わった次第でございます。この筑波地区への移転につきましては、四十二年の段階から文学部教授会が反対をしておりましたが、他の学部は積極的にマスタープラン委員会にも参画をいたしまして、昭和四十四年七月の評議会決定に先立ちまして各学部で行ないました評議会原案の審議におきましても、文学部を除きますすべての部局で原案が承認され、支持されたわけでございます。ただ、これがかなり新しいユニークな内容のものでございまするから、その際、教育学部、体育学部におきまして、そのビジョンを実現するにあたって若干の付帯的な意見がついて、こういうふうにぜひ紙の上のことだけでなくて、現実に実現をしていくということでなければだめであると、何かそういうことを強く要望をしておこうという希望の表明がございました。これは評議会の席でもそれぞれの学部の代表者から説明されまして、そうした希望が付せられておる。これは将来の計画を進めていくにあたってその計画を、その希望を取り入れるように関係者が努力をするということで基本的な了解があり、評議会としては新大学のビジョンを基本方針として了承したのでございます。したがいまして、その間に、文学部は当初から反対でございますけれども、他の教育学部、体育学部等については、内容をよくするという要望はございましたが、見解に対して基本的な意見の不一致があるというものではございません。なお、今日の時点におきましても、文学部を除くすべての部局が一致して筑波大学にこの御提示を申し上げております法律案の構想によります新たな大学を早くつくりたいという希望を強く持っておられるというふうに私ども承知をいたしておる次第でございます。
#24
○中村登美君 東京教育大学の改革構想の中から生まれた新しい大学構想は、今日の大学のあり方に比較してまず何よりも歓迎いたしたいのは開かれた大学につくり上げるという意図であります。この開かれた大学とは、具体的にどのような組織形態であるのか、そしてどんなことをなさっていくのか、御計画を承りたく存じます。
#25
○政府委員(木田宏君) 先ほども筑波大学の性格の際に御説明申し上げたわけでございますが、筑波大学が象牙の塔にこもった大学にならないようにしたい。そのために、大学の運営にあたりましては参与会を設けまして、学外の有識者の良識ある意見を聞き、またその御意見を伺いながら大学の運営を地域社会と関係の深いものに持っていくようにしたい。この参与会を設けてそうした外部からの声を取り入れようというのが開かれた大学の第一の特典かと思うのでございます。
 次に、筑波大学は、高校を卒業してまいりまして、
  〔理事楠正俊君退席、委員長着席〕
いわゆる普通の大学生として入学をしてくる学生だけということではなくて、少し幅広い社会人を教育の場あるいは研究の場の参加者として考えてまいりたい。そういう意味では、社会人が入ってくる大学というふうに考えたい。したがいまして、新たな性格の修士課程を設けておるわけでございますが、社会人が職場の経験その他を持ちながら入ってこれるような修士課程の研究科をつくります。大学院の課程も、そのような意味で従来のような大学院とは違った社会人向けの大学院という性格を一面では広げていきたいというふうに考えております。
 もう一つは、これは大学の開放活動として、今後の大学の主体的な事業活動として考えていることでございますが、夏季など社会人向けの各種の開放講座やセミナーなどを開いていくようにしたい。場合によりますと、その筑波学園の人たちだけでなくて、広く日本からも、世界からも関係者が集まってきて合宿討議ができるような、そういうことも考えてみたい。開放構座とか、セミナーなどがつくれるようにしたい。また、体育の施設も、今度の筑波の構想では、比較的筑波学園都市の居住地区に近いところに大学の体育関係の施設をつくったり、全体としての講堂その他も配置を考えまして、そして体育施設も地域の人々ができるだけ広く使えるようなそういう配置にしておるわけでございますが、運営上もそのことがまた現に実現されるように考えてまいりたい。これが社会人に、地域社会の人にできるだけ参画をしてもらえるような大学になりたいという構想の点でございます。
 以上のことから、国内のみならず、海外からの研究者あるいは学生を積極的に迎えるようなことも考えたい。こうして大学がほんとうに社会に開かれた大学として新しい運営ができるようにしてみたいという夢を持っている次第でございます。
#26
○中村登美君 きれいな空気、さんさんと輝く太陽、水と緑に囲まれたすばらしい自然環境の中につくられる新大学の環境、特に教官の生活環境、あるいは研究施設などの環境、あるいは学生の生活の環境をこの際思い切って最良のものにする必要があろうかと存じます。今後どのような環境につくり上げていく御決意、御計画か、大臣に承りたいと存じます。
#27
○政府委員(安嶋彌君) 筑波新大学の環境施設等についてのお尋ねでございますが、筑波大学はその実質あるいは規模から申しまして、筑波研究学園都市の中核的な存在でございます。したがいまして、その施設や環境の整備につきましても、そうした大学のあり方にふさわしいものとして整備を進めていきたいというふうに考えております。特に、ただいまお話がございました、学生や教職員の豊かな充実した生活が営み得るような、そういう考え方を基本にしたいと考えておるのでございますが、まず第一は、筑波研究学園都市と大学の間との機能的な連続性を持たせたい。キャンパス全体としての計画を開放的なものにいたしまして、大学と市民との間の連帯感を深めるようにしていきたい。具体的にはたとえば囲障をつくらないとか、あるいは緑地でございますとか、樹林帯というものを十分大学のキャンパスの中に取り入れてまいりたいというふうに考えております。
 また、ただいま大学局長からもお話がございましたように、体育施設等につきましても相当りっぱなものがすでに整備されておるわけでございますが、これも都市の市民に開放するというようなことを考えておるわけでございます。そうしたことによりまして、市民との連帯感がかもし出されるようにいたしたいというふうに考えております。
 それからキャンパス全体につきましては、すぐさま使いづらくなるというようなことがないように長期的な計画を立てまして、大学の機能が弾力的に発揮されるようにしたいというふうに考えております。
 それから、先ほども申し上げたことでございますが、緑やあるいはきれいな空気を十分環境として維持いたしますように配慮いたしますし、また池泉――池や泉なども中に整備いたしまして、キャンパス全体の整備を十分にはかっていきたいというふうに考えております。
 また、学生等のいわゆる厚生施設につきましては、大学会館の整備でございますとか、あるいは寮の整備等につきましても十分配慮してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#28
○国務大臣(奥野誠亮君) いま、管理局長から具体的にいろいろ申し上げたわけでございますけれども、文部省といたしましては、初めての総合大学を建設するのだと、こういう気持ちでおるわけでございます。多くの総合大学はございますけれども、それぞれ単科大学が統合されて総合大学の名前を使うようになったという式のものばかりでございます。初めての総合大学をつくるのだという意気込みで、夢を持ちながら理想的な大学をつくりたい、これが一つでございます。
 もう一つは、開かれた大学ということでいろいろお尋ねがございました。やはり市民生活の中に筑波大学が運営されていくという考え方のもとに一体となった運営をはかっていきたい、建設をはかっていきたい、こういう気持ちでおるわけでございます。したがいまして、地元としていろいろ筑波大学の建設なり運営なりについて御意見があろうかと思うのでございますが、今後も積極的に御意見をお寄せいただくことをむしろ期待しておるわけでございます。そういうお話を十分尊重しながら建設に努力をしていくつもりでございます。
#29
○中村登美君 いろいろ伺ってまいりましたわけでございますが、最後に、御要望申し上げて質問を終わりたいと存じます。
 かつて大学騒動のさなかにあって、国民の一人として考え、かつ感じましたことをいま思い浮かべますとき、まさにりつ然とするものがございます。どうしたら大学紛争のない静かな学園の中で勉強させることができるかと心をいためましたのは、ひとり私ばかりではないと存じます。こうした背景、こうした国民的な反省の中から生まれたのが筑波新大学構想だとするなら、この際、大学改革の第一歩として大いに進めるべきだと確信を持って申し上げる次第でございます。
 地元茨城からは、去る五月十五日、四万余人の署名を持って、知事、県議会議員、地元町村長、地元の代表五百余名が内閣総理大臣、衆参両院議長、文教委員会に一日も早い設置を要望いたしてまいりました次第でございます。
 また、来年の四月の筑波大学の生徒募集に備えて勉強中の学生もたくさんあろうかと存じます。東京教育大学が自主的に機関決定をし、自主的なビジョンを打ち出して筑波大学法案の骨子を示してからすでに四年の歳月を経てきておるわけでございます。突然に筑波法案が出たわけではございません。その間、各界において筑波方式についての議論が積み上げられてきたわけでございます。この国会でもしもこの法案が通らないというようなことになったら、日本の教育改革の将来は一体どうなるのでしょうか。
 どうかひとつ委員長におかれましては積極的に野党の皆さまにお働きかけをいただきまして、定例日などとおっしゃらずに、ひとつ審議の時間を積み上げ、一日も早くこの法案が日の目を見て、筑波の一角に新しい日本の教育改革の灯がともりますよう、てまえみそでたいへん恐縮でございますが、この日のために心魂を注ぎ、教育大学を母校とするなき中村喜四郎の悲願でもありましたこの日が一日も早く参りますことを心から念願いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
#30
○委員長(永野鎮雄君) それでは、暫時休憩をいたします。
   午後二時二十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時四十三分開会
#31
○委員長(永野鎮雄君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国立学校設置法等の一部を改正する法律案(閣法第五〇号)及び国立学校設置法の一部を改正する法律案(参第一九号)を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は御発言を願います。
#32
○松永忠二君 私は、まず今度の法律にも関連のあります私立の福岡の歯科大学の問題についてお尋ねいたします。
 まず警察庁の刑事局長、概要についてはもうすでに新聞でも報道されておりますので、私はその問題は別にしておきまして、桐野忠大氏の収賄容疑の内容というのは、新聞に伝えられるところによりますと、現金数十万円と日本刀一振り、それから学術会議の選挙資金としての数十万円をもらっているという、そういう収賄の内容でありますが、これ以外に容疑とされている内容があるのかどうか。
 もう一つは、桐野氏の容疑の時期というのは四十六年九月の三十日に申請があって、桐野氏が四十六年七月一日に大学設置の審議会委員について、その年の十一月から十二月の間の容疑のように報道されているわけでありますが、この福岡歯科医大が継続審議になって見送りされたのは四十七年の三月十八日のようでありますが、これから以後四十七年度末にこの認可がされる間の時期の容疑はないのか。容疑の時期は四十六年の十一月、十二月の容疑の時期なのか。それ以外に見送りになってから認可の決定する四十七年の年度末までの間の容疑事実はないのか。この二つの点について、まず答弁をいただきたい。
#33
○政府委員(田村宣明君) ただいまお尋ねの点でございますが、現在、福岡県警察において把握をいたしております事実は、昭和四十六年の十二月ごろ、いまほど申されましたように、日本刀一振り時価四十数万円相当と現金数十万円の供与を受けたという事実でございます。
#34
○松永忠二君 伝えられているような学術会議の選挙資金の授受の容疑はどうなのか。それからなお、さっき申しましたように、四十七年の三月十八日から四十七年度、つまり四十八年の三月までの間の容疑は全然ないのか。この二つを再度。
#35
○政府委員(田村宣明君) 先ほど申し上げましたように、現在警察で把握いたしておりますのは、先ほど申し上げた事実だけでございます。
#36
○松永忠二君 その次には、逮捕者が六人あるようでありますが、まあいろいろうわさされているところでは、いろんな人の名前も出ておるようであります。このほかに容疑者という者はないのかどうか、この点はどうですか。
#37
○政府委員(田村宣明君) 新聞等にいろいろ報道されておりますそのような情報につきましては、承知はいたしておるわけでございますが、警察側で現在まで捜査をいたしまして事実を把握しておるというものにつきましては、贈収賄の疑いでいまほどの桐野忠大、収賄側でございます。それから贈賄側で、当時の福岡歯科大学設立準備委員会の委員長あるいは副委員長、実行委員、合わせて四名が贈賄の疑いでございます。それからそのほかにやはり当時この設立準備委員会の実行委員でございました大城三春という者の数百万円の業務上の横領事件ということで、警察側が現在まで強制、任意を全部含めまして被疑者として取り調べをいたしておりますのは、この六名だけでございます。
#38
○松永忠二君 参考人として事情を聴取した者はどういう数にのぼるのか。それからまた、今後捜査の発展、つまりその大体の最終的な展望が明らかになるのは一体いつの時期になるだろう。こういうこの二つの点について伺いたい。
#39
○政府委員(田村宣明君) 参考人として事情をお聞きいたしました方は数十名ということでございます。それから現在、申すまでもないことでございますが、警察といたしましていま重点的に捜査をいたしておりますことは、この六名の逮捕者の被疑事実を立証するための捜査、これにいま全力を尽くしておるところでございます。それで、そういう段階でございますので、現在の段階でこの事件の見通しと申しますか、そういうふうなものを現在の段階で立てますことは非常に立てにくいと申しますか、むずかしいと申しますか、そういう状況でございますので、ここでどれくらいということはちょっといまの段階では見通すことはむずかしいというふうに考えます。
#40
○松永忠二君 これは実情調査をされているのでこの事件はなお発展するというような様相を持っているんでしょうか。この点の考え方はどうでしょうか。
#41
○政府委員(田村宣明君) 事件というのは御承知のように、いろいろと予測しがたい要素がございますのでなかなか見通しはむずかしい点がございますけれども、現在六名を逮捕いたしまして捜査に入ったばかりの段階でございますので、そういう意味では、まだ若干は発展をするというふうに考えられるのではないかというふうに思いますが、先ほども申し上げましたように、不測の、予測しがたい要素がいろいろございますので、明確にいま非常に拡大するとか、あるいはこれでしまいになるとかというようなことは、ちょっと一がいには申しにくいかと思います。
#42
○松永忠二君 文部大臣は、この問題について新聞紙上でいろんな発言をしておることを私たちも承知しているわけです。私立の医科、歯科の大学の入学金を抑制するような法的な措置をしなければいけない、立法措置が必要だ、あるいはまた、私立大学の水増し入学をやめさせるために設立申請の入学の定員を厳重に守らせるような立法の措置も必要だ、あるいは私立大学設置認可の取り消しができるように立法措置を考えたいと、申請の際に届けた設置費の経費が認可後に大きくふくらませるということによってこの事件が起きたと考えられるのでそういう立法措置を考える、また大都市への設立が集中されているのでそういうものを避けていきたい、そして医科、歯科の大学については国公立を中心として考えていきたい、経常費の助成については卒業生を送り出さなければ対象にならないので歯科や医科についてはその原則を変更していきたい、来年度予算からそういうものを考えていきたい、われわれが承知しているのはこういうような程度でありますが、そのほかに、この際、文部大臣としてこういうこともやっておきたいというものがありましたらひとつお答えを願いたい。
#43
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、こういう問題が起こってくる背景、基本的には医学、歯学の学校が不足している、特にお医者さんの子弟、将来医師にしたい、しかしその窓口の受け入れ態勢が非常に少ない、こういう問題が根本的に横たわっていると思うのであります。したがいまして、やはりそれなりの医科大学、歯科大学の増設は続けていかなきゃならぬ、こう思います。同時に、私立で医科大学、歯科大学をつくりまして、さてそのばく大な資金をどうするかということでございますけれども、やはり入学時の寄付金が安易に多額に徴収されておったという事態、これは見のがせないんじゃないかと思うのでございまして、この二つが背景になって、私学の認可をめぐりましていろんな問題が惹起しておるんじゃないだろうか、かように考えておるわけでございまして、したがいまして、その二つの点に重点を置いて今後どうするかということを考えていかなきゃならない、そういう意味でいろんなことを申し上げておることを御指摘になったんだろうと思うのでございます。根本的には、やはりりっぱな私学が建設されること、これは好ましいことでありますけれども、なかなか理想的な、私たちが考えるような、入学時には特別な寄付金は一切徴収しない、しかも内容も充実した学校をつくるなんということは不可能に近いんじゃないかと思うんでございまして、そういう意味においては、今後は私学の医科大学、歯科大学の認可については特に十分な検討を加えた上でなければ認可をしない、慎重を期したい。反面、国公立の医科大学、歯科大学の増設を積極的にやっていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
#44
○松永忠二君 そうするとその背景というものは、要するに、医者というものが非常に不足しているというようなこと、それからもう一つは、やはり入学の際に非常な多額の金を取るというところに問題があると、私は、実はそういう点についてはやや見解を異にするものがいろいろあるわけなんですが、何かもっとほかにこの際反省する要素というものはないんでしょうか。お考えはそのところでありますか、ちょっとお聞きしたい。
#45
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、根本的な問題はそこにあると思っております。いままで文部省は大学の設置基準に合致した大学の認可申請がなされる限りにおいてはそれは認可せざるを得ないんだというような法解釈をとってきているようでございます。いろんな考え方ができるわけでございますけれども、同時にまた、文部省が私学について持っている権限といたしますと、設置の認可と設置認可の取り消しにとどまると申し上げても過言ではないような仕組みになっているのでございます。しかし、教育全体に文部省が責任を持っていることも事実でございますので、その責任を遂行していく上におきましていろいろな手だてが十分あるとは言えないような感じも持っているわけでございます。もちろん文部省全体の姿勢、教育の充実を期していかなきゃならないし、かりそめにも教育をめぐる問題について汚職等の問題が起こらないように一そうの配慮をしていかなきゃならない。そういう点については体制に欠けるところがあるんじゃないかと御指摘になりますと、問題が起こっていることは事実でございますので、それはもう謙虚に私たち責任を感じ反省をしていかなきゃならないと、こう思っております。
#46
○松永忠二君 それじゃ、一、二私のほうから申し上げたいと思うんでありますが、まず私は、その一つは、国の大学の行政の姿勢というのが国立中心の行政にあったというところに一つの反省の点があるのではないか。それは私学に十分な助成がされない。私学は自前でそれをやられてきた、それでおきながら現実には七〇%の生徒をそういう私学に託してきた、こういう中ではどうしたって水増し入学をしなきゃできぬし、裏口の入学や寄付金もしなきゃできない、多額の納付金も取らなきゃできぬというような、そこに問題を引き起こしてきたのではないか。たとえば四十五年から四十八年にかけて医科大学については国がつくったのはたった四校だと、そうであるのに私立は十三校つくっているわけであります。その中には浪速医大の不認可が一つはずれているわけであります。歯科大学、歯科については全然国がやっていないで、これは私立が七校つまりあるわけです。この中に松本歯科と福岡の歯科の私大があるわけです。全然寄付を取ってない慶応大学の医学部でいろいろ話しているところを見ると、年に納付金を七十六万五千円取っている。しかし、学生にかかるお金が大体二百五十万、だから結果的には持ち出しが百八十万の赤字が出てくる。こういうような状況の中で国は何をやってくれているのかといえば、経常費の助成が、医学については特に多いわけでありますので学生一人当たり八十万、文科系はたった三万くらい。だから、百八十万の赤字が出て、八十万のめんどうを見てもらってもなお百万実は赤字が出てくるわけであります。つまり、国の私学助成が十分でなくて、そのくせに、私学自身にいわゆる養成をまかしている、そこにほとんど頼っていた。つまり、国の大学行成というものが国立中心の行政であったという、こういう反省をこの際やはり私たちははっきりさせる必要があるのではないか。こういう点について行政的な反省というようなもの、この背景というものを、大臣はどういうふうにお考えになるでしょうか。
#47
○国務大臣(奥野誠亮君) 大学につきまして国立、公立、私立、どういうような責任分担がいいのか、たいへんむずかしい問題だと思います。医学関係では半分よりちょっと多いぐらいのものを国立で運営しているわけでございます。同時に、私学はそれぞれ私学としての特色を発揮してもらはなければならない、その運営にできる限り干渉しない、自主的な運営をしてもらう、というようなことから考えていくと、経常費助成に踏み切ることははたしていかがなものであろうかという議論が長く行なわれていたこと、これはよく御承知いただいていると思います。四十五年にあえて経常費助成に踏み切ったわけでございまして、そして五年間で五割助成まで行なうのだということで、いまその計画の達成の過程にあるわけでございまして、現在はすでに医学部、歯学部、理工学部につきましては専任教員の給与の五割は持つというたてまえできているわけでございますけれども、さらに、その他の分野につきましても四十九年度からは五割にしたいということできているわけでございます。その後に事務職員の給与につきましても経常費助成の対象にしようということで進んでまいったわけでございますので、この計画をとにかく完成をさしたい、そしてその上の段階に立ってさらに今後どうするかということについての検討を加えていきたい、こう思っている段階でございます。
#48
○安永英雄君 関連。
 私は、松本歯科大の事件について予算委員会でも大臣にも質問をして、そして相当約束をしておったのであります。で、いまも話が出たように、こういった事件が再び起こらないように文部省として考えなければならぬ点はたくさんあると思う。したがって、こういう事件の背景は、やはりこれは事を起こした、そういった逮捕をされたりした連中のいわゆる問題もあるけれども、やはり文部省自体行政のそういった事件が起こりやすいすきというものが相当あるのではないかということを私は質問をしたわけです。
 そこで、その当時、大臣はやはりその点は認めておられたわけで、いまもいろいろ答えられたし、あるいは新聞記者会見等でも言われておりますけれども、私は、四、五点について確認をしておったわけですが、この点間違いないかどうか、まず一点その点をお尋ねいたします。
 そこで、こういったことが起こりやすい行政のすきというので一つの大きな問題は、設置基準に基づいて認可する基準というものが設定をされておる。しかし、その基準そのものというものは大臣の裁定にまかせられておる、だからあるときは手持ち資金が何分の何というふうな形でしょっちゅう変わってくる、裁定でありますから。これは国民ひとしくそういった設置基準なりあるいはこの肝心の認可基準というものについて、これは正式な公文書も出ていないということで何にも知らない。いわゆる法的な基準というものがないところに、学校屋が入ってくるすきがある。これについては、大臣としても法的な措置を十分考えなければならないということをお答えになったわけです。この法的な問題が検討されておると思いますけれども、そういった内容について、この前の三月の予算委員会以降、この私学の反省に基づく法改正という問題についてどう検討が進められ、その要点はどこにあるのか、これをお答え願いたい。したがって、その焦点としてあのときに私が言ったのは、一つは手持ち資金、こういったものについてははっきりときめて、これを変動ないようにして、そしてこれは法制化しなければならない。その次に入学金の、入学するときの膨大な二千万とか取られるような、そういったことがそもそも事件の発端になる。松本歯科大あたりはまだこれは判決は出ておりませんけれよも、ゼロの資金で、むしろゼロよりもマイナス一億という借金で始めておいて、その借金の返済が水増しと入学金の膨大な徴収、それによって計算すると三年すると完全に返済することができるというふうな仕組みになって起こっておる。したがって、この入学金、寄付金という問題についてその当時はっきりお答えになったのは、いわゆる私学の性格上浄財、いわゆる寄付金というものを全面的にこれをとめるということはこれはできない、しかしこれについては最低限、いわゆる限度をはっきり示さなければならない。私も、その当時そこまで、いわゆる寄付金は絶対取ってはならない、いまの質問のように、すべて国の補助というふうなものを大幅に入れていってそれが成り立つようにしてやらなければならないという基本的な考え方を持っておりましたけれども、一応やはり入学の寄付金を全くこれを制度としてやってはならないという形はちょっと早急にいかない問題もあるということも私も了解できましたが、この点についての限度ということをおのずからこれはやはりきめて、それでこれを天下に示さなければならない。それから追跡調査といったものも、これはいつも事件が起こったあとに追っていくわけですが、いつも文部省の反省した点の中に、あとでひとつ全部洗いざらい追跡調査をしますと、こう言うけれども、こういった点もはっきり制度化しておかなければならない。事件が起こるたびに、とにかくさかのぼって云々というような追跡調査でなく、当然追跡調査をやるという制度、こういったものをき然として構えておくということも私は言っておった。
 それからもう一つは、罰則の問題であります。これは警察当局もいらっしゃるけれども、あの当時も申し上げたのですけれども、この法廷維持というのは、非常に私はむずかしいと思う、すきだらけ。だから、結局、公文書を偽造したという罪名で逮捕しなければならなかったり、今度のような贈収賄ということでこの問題の捜査に当たらなければならない。端的にこの設置基準、国の直接の設置するときの法律そのものに直接違反しているという形はなかなかとれない。先ほど申しましたように、これが大臣の裁定ということであり、したがって、これはむずかしかろうと思う。さらに、これについて私は、あるところで、学校屋というのは一つのところでこういった事件があって、またすうっと消えるかと思うと必ずどこかの学校の、私学の設立の中にまた出てくる。教育界のダニです。だから刑法上の罰則もさることながら行政上の罰則というものをはっきりきめて、そして教育界からとにかく姿をはっきり消すようにしなければならない。行政上の罰則というのは文部省ははっきり法律で示すべきである、これだけは私は申し上げておったわけです。したがって、そういった、あのとき約束したいわゆるきちんとした法制化というものについて、その後どういうあれがあっておったのか、それから追跡と言われたが、あのときの三月から今日まで三カ月以上ありますけれども、この間文部省自体として福岡歯科大を含め追跡調査の実績というのは、短かい期間ではあるけれども、あのとき約束したあの三月の予算委員会以降どのような追跡がなされ、どのような結果が出ておったのか。司直の手によって出てきたという印象を与えるが、文部省自身は今日まで福岡歯科大の問題についてどういう追跡調査をやっておったのか、これについてまず一点お尋ねをします。
 これは、もう関連ですから二点目の問題も言っておきます。これは私は福岡歯科大という問題と北九州歯科大という問題とを関連さして私は直接高見文部大臣とも会ってこの問題について追及もし、善処方を要望したことがあります。この問題については、私はその当時こういったいわゆる贈収賄という問題については実は資料がなかった。したがって、北九州歯科大の教員を今度新設するということで九州歯科大のあの学閥という問題で現在何とかやっていっておる北九州歯科大の教授、これを強引に引き抜いて、そして福岡歯科大ができる、その新大学の設置基準に合うように教授の数を出して、あたかも在学しておる北九州歯科大の教授が納得をし、そして今度はここを退職して福岡歯科大に行きますからという念書あたりを捏造して、そうして申請のときにはその捏造した、とにかく人間数、教授数――基準に基づく教授数をとにかく捏造して、そうして申請を出しておった。ところが当該の学生自治会等がこれについて激しい抵抗運動をやって、そして一人一人の教授を調べていったところが、一人の教授は念書は書いていません、それはかってに書かれたのであります、私はここにおりたいと思うとか、とにかくあいまいな態度をとっておられたから私はこれは認可すべきではないということで激しく申し入れをしておった。学生もこれはずいぶん乗ってきたわけで、全国の報道機関もこれ注目をして、あの当時めずらしいことです、学生が立ち上がって、自分の学校の教授の数を守ろうというふうな運動をした。これは高見文部大臣も当時感心された。異例なことでしょう。去年の十二月のときにあのひげつけたいわゆる北九州歯科大の学生が、ヘルメットこそかぶっていないけれども、これを直接私は大臣に会わして、大臣も感激されてこの点についてはぜひひとつそういったことがないように、また肝心の北九州歯科大が成り立たないようなことで福岡歯科大を認可するなんということは絶対しませんということを言い切って、学生諸君も喜んで帰ったことを覚えておる。したがいまして、一月ごろのこの問題になっておる設置委員会というものはこれを保留にしておるはずであります。ところがこれがまた最終的に認可になったということでありますが、結果はいま新聞の報ずるところによりますると、やはり学校に一ぺんも来ぬ、資格もないのにいつの間にか教授みたいな形にして教員の定数をごまかしているという実態もいま出てきておるようでありますけれども、文部省はそこに定数の問題で手抜かりがなかったかという問題、北九州歯科大から実際に納得づくで向こうにやった教員は何人か、そして現在の北九州歯科大は滞りなく教育・研究がなされておるかどうか、私はそこにも汚職あるいは贈収賄のひそむ余地があるような気がしてならない、私はこれは徹底的に調べます。一回保留をしておいて最終的に認可をしておる、最後の滞っておったのは、定数の問題だと私は思っておる。定数がそろわないから認可ができない、それが認可された、それは北九州から引っぱり抜いていった人もおりますけれども、あの当時二十五名引っぱり抜いておった。それが何人こちらに残って、向こうの編成というのは認可する当時間違いなかったか、きちんとそろっておったか、しかも北九州歯科大に迷惑をかけないで、そこのところはうまくいったという、そこらあたりの保留をし認可をした定数上の問題についての文部省の措置、その結果認可をしたという措置、これについてひとつ明らかにしてもらいたい、この二点だけお聞きをいたします。
#49
○政府委員(安嶋彌君) 第一点について、私からお答え申し上げます。
 その一つは、認可基準の法制化の問題でございますが、これは先般の参議院予算委員会におきましても安永先生から御指摘がございまして、私どもも現在そういう方向で検討をいたしております。
 それから第二の入学金あるいは寄付金等の抑制の問題でございますが、これは一つは立法措置が必要でございますし、同時にあわせて医科歯科大学に対する助成の措置、とれ松永先生もただいま御指摘のあったところでございますが、法制的な措置とあわせて、助成上の措置を講ずる必要があるということでこれも両者につきましてただいま検討中でございます。
 それから第三点の追跡調査でございますが、これはただいま調査をいたしておる最中でございまして、御承知のとおり、この調査は年度末の決算をもとにしてやりたいということでございます。その決算について公認会計士の監査報告をつけてもらいたいということを申しております。御承知のとおり、実際上各法人の出納等が整理されまするのは五月ころでございまして、そのあと公認会計士の監査というものが行なわれる関係上、関係資料が全部出そろっておりません。したがいまして、私どもといたしましては、ただいま調査中であるということでございます。なお、このことについて法制化というお話でございましたが、この意味は、事後の是正措置が有効にとれるようにという御趣旨であろうかと思いますが、そうしたことでございますと、これもやはり法律を要する事項ではないかと思います。
 それから第四番目の罰則の問題でございますが、これも言うまでもなく法律を要することでございます。したがいまして、先生御指摘の四点のうちの最初の点につきましては、これは省令でどの程度書けるかということをいま検討いたしておりますが、第二点から第四点までにつきましては、法律上並びに予算上の措置を伴うことでもございますので、鋭意検討いたしておるということでございます。定員の問題につきましては大学局長からお答えします。
#50
○政府委員(木田宏君) いま、安永委員からお話がございましたように、この福岡歯科大学の設置認可にあたりまして、県立の北州歯科大学から二十四名に上ります教官を移籍するということによって教官の整備がはかられておる、そこに問題が起こった点御指摘のとおりでございます。しかも、その就任につきまして赴任の意思の不明確なものがある、よって書類上は整ったように見えましても、いろいろと御注意のありましたその書類の信憑性について疑点があるということで保留にいたしまして、審査を翌年に持ち越すということにいたした次第でございます。
 そのほか、施設整備のおくれ等のこともあわせてあったわけでございますが、中心の問題点が、教官がほんとうにそろうかどうかという点に論点があったことは、もう御意見のとおりでございます。私ども、そのために、年がかわりましてからも、四月と六月に現地に視察員を行かせまして、そうして、実は例のないことでございますが、送り出すほうの大学に行きまして、その送り出したあとの人事計画について、かなりこまかく説明を聴取するということをいたしました。一年間、保留になりました関係上、九州歯科大学から福岡歯科大学のほうに移籍をする教員が、当初の計画では、在任中移籍する教官が二十四名であったわけでございますが、一年間、この開始時期がおくれまして、しかも、初年度に全員そろう必要があるわけではございません。初年度は進学課程、教養課程から始まりまして、逐次年次計画で教員の移籍が行なわれてまいります。そういう関係がございまして、一年間その発足がおくれたことに伴い、二十四名のうち、実質的に転出をする者が十三名というふうに減ってまいりました。と申しますのは、九州歯科大学の停年規程によりまして当然停年するということで、停年後移籍という形の人が十一人おられたということでございます。そこで、実質的に転出することになります十三人につきましての後任の補充等につきまして、大学側の意向を十分に確認をし、そして、この十三人の将来における転出は、九州歯科大学の当事者の意見等を考え合わせまして、十分であるという心証を得て、福岡歯科大学の教官の陣容が一応整うものと、こういう判断をいたした次第でございます。
 その後、本年になりまして、年次計画の履行状況の調査をいたしたのでございますが、進学課程につきましては、基準八人のうち、当初計画では十四名、教授八が就任するということになっておりました。今日、十八名、教授九名の就任が行なわれております。それから、専門課程については、第一年次中に十九名整備するという予定になっておりまして、これは現員が十六名でございますが、まだ年度の始まったばかりでございますから、年度中にその当初計画の線に沿って行なわれるものというふうに考えておりますし、今後もその指導は強めてまいりたいというふうに考えております。
#51
○松永忠二君 その問題について、特に安永君は地元でもあるし、関係もされたので、いろいろと御質疑があると思うのですが、私も別にきょうはこの問題については一応まあケリをつけたいと思ったんですが、あなた方のほうでも、少し時間短いようでありますから、問題を明確にひとつお答えを願いたい。
 いまお話が大臣からありましたように、いろいろと私大の助成には努力をしてきたけれども、まだ不十分であるという点を申し上げているわけで、結局、そういう反省がやはりなけりゃできないのじゃないか。なお、これは私学助成の、特に歯科、医科を中心としてこの助成拡大をはかっていかないと、この問題の根本的な解決はできないということを、ぜひひとつ考えてもらいたいと思うのです。
 それからまた、大臣が、事件の背景に全国的な医師、歯科医師の不足が問題だということもおっしゃいましたけれども、私はむしろ医療制度そのものにその根元があるのではないのか。たとえば、医者の子弟が私大の六割も占めている。国公立でも約二〇%を医者の子弟が占めている。今度の問題でも、実は県立の九州歯科医大が百二十人の定員であるので、なかなか歯科医師の子弟が入学できない。できるのは四分の一か五分の一だ。同窓の人たちが、どうしても自分の子供、むすこを入れるような学校をつくろうじゃないかというのが、一つはこの設置の動機になって、西日本に歯科はないからというので、西日本歯科大というものをつくる運動が行なわれると一緒に、また一面、福岡歯科大の運動が行なわれている。福岡歯科大のほうが、結果的にはわれわれのむすこが入れるというような一つの熱望もあったようにいわれておることは、もう明らかであります。それからまた、いまお話のあったとおりに、最初の認可を保留をしたのは、四十五年度から全国の歯科医に呼びかけて、三百万円寄付してくれれば優先的に入学をさせますということが問題になる。結果的には、実は四百万から一千万の金がつまりそういう方から積まれて、数億にのぼる寄付金がそこにでき上がってきた。こういう事実を見ると、開業医という仕事は非常に有利な仕事であるという一つの性格、また、その仕事を自分のむすこに継がせていこうという医者の考え方、そうしてまたそのための資金は医者にある、こういうところに、つまり自分のむすこに入れる大学、そうして金はいとわぬという、こういうふうなことになってくるわけであります。私は、開業医というものが、近代的な設備を個人で全部充実できるような利益があげられるというところに、開業医制度の問題があると思うのであります。諸外国には見られないいわゆるこういう制度、ここの医療の制度の抜本的な対策が打たれないと、開業医は有利な仕事であり、むすこに継がせたいし、やる金があるということになれば、少しぐらい、こうところどころを芽を押えてみたところが根本的な解決はないので、どんどんそういうことは今後も持続をされ、いままでもずいぶんやったのに持続されてくるという、むしろ私は医療制度そのものに根源的な原因がある。だから、いま健康保険の問題がこの社労で問題になっているのは、そういう対症的なことをやっちゃまずいのじゃないか、もっと抜本的な改正の上に立ってやるべきだと、こういっておるし、政府がみずからそういうことをやるといいながら怠ってなかなか出てこないというところに、一つは大きな議論がある。決してこれは社労の問題ではないのであります。私たちのところでこういうふうな問題の起こる原因も、また相当そこにあると、私は考えられる。こういうような点については、一体大臣はお気づきでまさかないのではないと思うので、ここを直さなければ、少しぐらいの立法措置をしてみたところが、なかなか根本的な解決はできないと思うが、この点についての大臣の見解はどうでしょうか。
#52
○国務大臣(奥野誠亮君) 今日の問題を広く検討していきますと、いろいろな問題が出てくると思います。松永さんは、いま医療制度をおっしゃったのですが、医療制度の問題になりますと、またこれは見解が分かれるかもしれませんけれども、私自身は、主として件数によって診療費が算定されているいまの仕組みに、若干疑問を感じているものでございます。開業医制度そのものはやはり残していきたいと考えているものでございますけれども、いまの保険制度で診療の件数が中心になって診療費が算定されるというところに、若干私は疑問を感じているものでございますけれども、なお、いろいろ教育に関連する問題につきましては、お教えをいただきながらも、必要な努力はしたいと思います。
#53
○松永忠二君 私は、やはり医療センターのような設備を設けて、開業医自身は診療に従事するというような外国の制度をとっていかなければ、実際問題として近代的な施設を自分の病院の中に全部備えることをできるような個人の経営をやるということではとても――それにふさわしいものが得られる状態にある。また、数千万円というわれわれの予想もつかぬ金を出して子供を医者にしようという、その余裕とその考え方というものを直していかなければ、問題の解決に私はならぬと思うんです。
 その次に私は、大臣の、こういう全国的な医者や歯科の医者の不足が背景だから、その中で医師の養成については国公立を中心に考えていきたいという考え方ですね。このことについては私は、この言い方はオーバーな言い方じゃないのか。むしろ、私は医師養成について国公立、私立を含めて国の責任を果たしていきたいと私は思う、こういうのが筋ではないかと私は思うんです。これがいま医科大学について設置調査会の文部大臣への答申も、四十六年の十二月に新設の医科の大学による入学の定員の増加率については、少なくとも半数程度国公立の公的な医科大学によることが妥当だ、こう言っているわけです。とにかくいま文部省が進めている定員増とか、いろいろ国立の大学をつくることも、結局少なくも、半数はとにかく私立の人たちにやってもらわなければできぬという考え方があるわけです。それからまた、事実いま私が申したように四十五年以来ですよ、国は四つしかつくらぬのに、私立は十三つくっているじゃないか。歯科大学については、国が何にもやらないのに私立が七つの学校をつくっているのじゃないのか。これはいわゆる答申をもとにして、いまのいわゆる養成を計画的にやろうとしているわけだが、それにもそうなっている。現に努力もそうじゃないか、私立の努力のほうが勝っているのじゃないのか。それからまた、一体いま進めているこの答申というのは、昭和四十六年の人口が十万に対して百二十八人だ、医者が。そこで国民皆保険による患者急増前と同様の医師数と患者数の比率を保つために、十万人に対して百五十人という医者が必要だ。それで、四十六年の人口と対比して十五万七千人の医師が必要だからという報告をもとにして、いまつまり定員増を国がやっているわけなんですよ。しかし、この報告自身が国民皆保険前の患者と医者の数との比率を保つためにあるわけでしょう。しかし、現に御承知のとおり、成人病、精神障害病、交通事故、公害病、難病というのは次々たくさん出ているじゃありませんか。国民皆保険ができ上がって、しかも老齢の人口は増加をしているし、所得の水準は向上している。患者の増大はもう明らかである。現にわれわれが病院をたずねて見て驚くように、患者と医者との比率というのは激増しているわけだ。とてもじゃないが半分をせめて国がやりたいといったその報告の基礎になるものも、すでにもう改めなきゃできない状態に入っているじゃないですか。しかも、一校建てるのに約百億ですよ。国立なり公立の学校を建てるために国が責任を負うというよりも、地元にどんな一体負担をかけているんでしょう。公立の大学、ここもそうでありますけれども、県立のいわゆる福岡の歯科医大はもう財政的な面で非常な困難に縫着をしている。国や地方がやろうなんといったって、そのこと自体も非常にむずかしい。私はむしろ私立学校の経営者がこれだけの努力をしていることにまず感謝をしなければならない、それに協力をしていくという国の態度をまず考えなければいけない、そうしてまた自主性を持った特性のある私立医大の建設にもぜひ努力をしてもらいたい。私立学校法というのはそういう法律ですよ。私立の医大についてもそういう努力を積極的に特色あるものをつくってもらうことも期待している。ただ、私は国公立と私立が大学の種類の中にどこに重点を置くべきであるかという点については、金のかかる医科歯科大学というのは国が相当責任を持っていかないといけない。そうしてむしろ金のかからない文科系の大学は私立のほうでまかなってやってもらうという、重点の置き方は別としても、こういうこともあるので、医師の養成は国公立を中心に考えたい、私はこういうものの言い方はわれわれは慎まなければいけない。こういう問題の起こるときこそ、むしろ私たちはいままで私立が果たしてきてくれた努力に感謝して、その協力にわれわれが足りなかった点を反省すると一緒に、今後も金のかかることでもあるし、力ある人が特色のある私大をつくってくれるならば、ぜひ積極的につくってもらいたい。そういう中でひとつ増加する医師の養成を完全にはかっていこうという考え方が私は基本になければできない。おこがましい話ではないですか。何か金がかかるから、そういうものは私たちには、国でやるのです、国公立でやれるというこの考え方は、私は、少しものの言い方がいわゆる極端に走っているのじゃないか。私は、こういう問題の起こるたびにそういうことを感ずるのでありますが、今度も大臣はそういうことをおっしゃっているので、学校種別に重点を置くということの必要はあるとしても、いままでの努力とこれからの養成の見通しとを考えてみて当然私立の協力を適正に得ていきたい。むしろ、われわれが私立に果たすべき役割りが十分に果たしてなかった点について反省をすると一緒に、この際ひとつ仕事をやっていこうじゃないかというこの考え方が必要だと思うのですが、大臣にひとつ考え方を聞かしていただきたい。
#54
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が申し上げましたのは、今後の医科大学、歯科大学の増設の問題でございまして、それについては私立の医科大学、歯科大学の認可については慎重を期したい、反面、国公立の増法をはかっていきたい、こう言っているわけでございます。その背景は、昭和四十五年から私立の医科大学、歯科大学二十一校認可したわけであります。今後また医科大学、歯科大学をつくりたいという希望も相当数あるわけでございます。四十五年から二十一校というのはかなり激しい認可のしかただと私は個人的には考えておるわけでございます。同時に、今年は国立につきまして三校御審議いただいているわけでございますし、四十九年度以降は四校を予定いたしまして、予算に準備調査費を計上させていただいたわけでございます。同時にまた、無医大県――医大なり医学部のない県が九県残るわけでありますけれども、この解消を目途に国公私立の増設を期していきたい、こう申し上げているわけでございます。その結果、現在で申し上げますと、医科大学では国立が二十九校、公立が八校、私立が二十六校、歯科のほうは国が七校、公立が一校、私立が十五校ということになっておるわけでございます。かなり私立が大きな役割りをしてくれていると思います。それに加えてなおどんどん認可申請をしたいという機運にあるわけでございます。私は、やはりここは慎重を期したいなと、こう考えたわけでございまして、基本的にはおっしゃいましたようにばく大な金が医学部、歯学部にはかかるわけでございます。ばく大な金が寄付金などで簡単に集まってくるだろうかという疑問も持っているわけでございまして、同時に、入学時の多額の寄付金につきまして、私は純真な青年の気持ちをむしばんでいるものだから、こんな姿を将来に続けたくない、そうなりますと、やっぱり金のかかる問題ですから、国公立を中心に考えていくほうが無難だと、こういう結論にならざるを得ないと私は思うのでございます。同時に、人口十万人に医師については百五十人、歯科医師については五十人というのは、厚生省の希望でございます。それはすでに認可いたしました大学で、それ以上になるわけでございます。それ以上になるわけでございますが、今後の医療需要の増大等を考えてまいりますと、あるいは無医地区の解消等を考えてまいりますと、やっぱり無医大県については医科大学あるいは医学部を建設していく必要がある、かように考えておるわけでございまして、そういう点については厚生大臣との間でも合意に達しているわけでございます。ただ、私学の役割りを評価していないわけではございませんので、いま申し上げましたような背景、四十五年以後にこれだけ私立の医科大学、歯科大学ができてきた、今後もなお認可を希望する方々がたくさんいらっしゃる。しかも、ばく大な金のかかるものだと、入学時の多額の寄付もやっぱり抑制していくべきだろう、一応厚生省の考えているような医師の養成をはかれる体制に入ってきた、この上、進めるについてはどうあるべきかということになりますと、やっぱり私立については慎重を期する、国公立についてはあとの問題の解決をはかるということになるんじゃなかろうかなあと、こう思っておるわけでございます。評価をしています点については、お気持ちとの間に私と別に差はないんじゃないだろうかな、こういう考え方もいたしておるわけであります。
#55
○松永忠二君 私は、たくさんの金がかかるなら、その一部を国が出してやれば、篤志ある者、そういうふうな者の積極的なものの力も借りなきゃできぬと思う。何か言うと、学校配置を適正にするなんというようなことは、まことにけっこうなことですよ。しかし、適正にするといって見たところが、国だけでやれるわけにいかぬでしょう。どうしたって、私立の人たちの協力も得なきゃできぬでしょう。私立は都会でなければ経営が成り立たぬということになれば、地方に配分をするということになれば、それに対する協力の体制もつくらなければ、いわゆる学校配置の適正を期するために立法化するなんという大きいこと言ってみたって、なかなかそれはできないんですよ。だから私は別にいま大臣が言ったことが間違いだというんじゃないけれども、つまりこの際、いわゆる適正な、私立の人たちが私立医大に全力を注いで経営をしている、そういう、また、しようとして志ある人がやろうというなら、それに対して国のいわゆる協力をしながらそれを完成をしてもらわないと、とても国や公立だけでこの医師養成ができないということを私は申し上げているわけです。
 時間がありませんし、きょうは大体私はこの問題を打ち切りたいと思うのでありますが、実は私は、この次申し上げるのが重点の一つです。しかし、時間もありませんからまとめてひとつお答えをしてください。
 一体、私は、もちろん行政に手抜かりはないのかという点について私は指摘がしたいのであります。その一つは、お聞きしたいことは、四十七年の三月十八日に見送りになって、いま一部安永君の質問に対しての答えがありましたけれども、三十七年度の認可までの間に、四十八年の四月に開校する、その認可をする間に、一体何を文部省として努力し、措置をしたのかという点が一点。
 それからまた、福岡歯科大は定員が百八十二名だというふうにいってるんですが、これは現在この学則にきめられている定員は幾人か、現に入っている生徒は二百七十一人だと聞いているんですが、これではまるで文部省自身が、そういう問題のある学校は、継続して審議を延ばしておきながら、生徒はきめた定員以上にこんなにたくさんとっているという事実があるのかどうなのか、これについて何の一体指導がなされているだろうか。
 その次に、浪花医大の事件のときにも、実は残念ながら大学設置審議会委員に金銭的な問題があった。一体この反省をどこに生かしているだろうか。まあ桐野氏というのは専門委員その他の委員を十一年やっているということであります。いまや、審議会における大きな勢力としてそこにあったということも事実のようであります。一体、その大学設置審議会、私立大学審議会の一番長い人は、一体どのくらいな年数を持っているのか、これについて、やはりこの前の浪花医大の反省から、どういう一体指導や基準ということを考えているのだろうかという点が、その次であります。
 実は、この次の点は、私は現在の法律をもっと的確にやっていけば、ある程度防ぎ得たものだということを言いたいのだ。そうしてまた、それはいまの法規を改正、充実させていくことによって、こういう事態が起こらぬでも済んだのではないかということを、私は実は申し上げたいのであります。
 それは、たとえば具体的に申し上げると、学校教育法の第十四条に「設備、授業その他の事項について、法令の規定又は監督庁の定める規程に違反したときは、監督庁は、その変更を命ずることができる。」ということが規定されているんです。ところがこの規定を、私立学校法第五条の二で、私立学校には適用しないようである。これを適用することによって、「設備、授業その他の事項について、法令の規定又は監督庁の定める規程に違反したときは、」という、監督ができるのじゃないのか。学校教育法の施行規則の第三条には、設置、認可の申請の際の届け出の中に学則がある。第四「学則」、第五「経費及び維持方法」というのがあるわけです。第二条の一号には、変更の際は文部大臣に届け出をすることになっている。「学則」、「経費及び維持方法」の変更については、届け出を変更した際の届け出、認可する際には、これが認可の申請の一つの条件になっているわけなんです。しかも、学校教育法施行規則第四条の七には、「授業料、入学料その他の費用徴収に関する事項」、これですよ、いわゆる「授業料、入学料その他の費用徴収に関する事項は」、学則に「記載しなければならない。」ということが書いてあるんですよ。学則に記載をしなければできない。学則に記載をしていないものをたくさんとっているということになれば、第十四条を働かせることもできるわけでしょう。しかも、私立学校法の第六条には、報告書の提出の義務があるわけです。で、私立学校法施行規則の寄付行為の認可の申請の手続の中には、財産目録、第七として「設立後二年の事業計画及びこれに伴う予算書」というものをつけてなきゃできぬ、これがつまりあなたの、設立したあとにそれがふえちまうという、このところに、ちゃんと申請と違っているじゃないかと言うことができるわけです。しかも、大学設置基準の第十七条には、「学生定員は、学科又は課程を単位とし、学部ごとに学則で定めるものとする。」ということが書いてある。定員はちゃんときめて学則になきゃできぬ。その学則は、設立のときに届け出をしなきゃいけない。変更した場合には、また届け出をしなきゃできないということも書いてあるわけです。そうなってくれば、いまの法律を完全に動かす努力と、常にそれに対する監視とを続けていけば、こういう事態にまで至らぬでも済んだではないかと、こういう指摘は、われわれはいろいろな委員会でやったものです。そういう点について十分にやっていない。そうして必要ならば、学校教育法の十四条を働かせるような措置もしなきゃできない。こういうことをやらぬでおいて、何か、そんなことはいまの規則かなんかにきまってないんだと、きまってないからきめよう、たくさん、定員をオーバーにとっちゃいかぬとか、金をたくさん取っちゃいかぬと――そんなことは、もうちゃんといまの法律にあるんですよ。そういうことに対する努力の不足が、手抜かりが、実はこういう事態を引き起こしたと思うんです。答弁を聞いて終わりますから、それじゃひとつ簡潔でけっこうですから、ただそれで問題片づいてしまったわけじゃない。また、ぐあい悪いときはぐあい悪いというように率直に言ってください。そうでないとまたくっついていきますよ。いつまでたっても、この問題は解決しなければいけませんので、この御答弁を聞いて、私はきょうの質問を終わります。
#56
○政府委員(木田宏君) 福岡歯科大学にかかわります保留後の措置でございますが、保留になりましたのは、先ほども安永委員に御答弁申し上げましたとおり、教員組織が的確に構成できるかどうかがよくわからない。これは設置審議会のサイドのことでございますが、その点が基本でございまして、そのほか、校地の整地が不十分であり、建築がおくれている、設備の搬入その他の整備も不十分である、こうした教員組織以外にも他の全般的なおくれがございましたので保留ということにいたした次第でございます。保留にいたしまして、一応年次を繰り越しまして、そして四月二十二日と六月の二十四日と二回に分けて実地の視察をまた視察員にしていただきました。四月二十二日になりまして、運動場の整地がほぼ完成するとか、いろんな施設設備の整備を完備してまいりました。そして、物的な施設設備の見通しはほぼ確認できました。また、教官につきましては、大学の発足年次が一年繰り下がったことによりまして、九州歯科大学からの就任予定の実質的な転出者の数が十三人というふうに当初よりは少なくなり、またそれにつきましての、これは異例のことでございましたが、九州歯科大学にその後の補充その他のことについて確認をいたしまして、そして就任の意向を十分固めた上で認可ということにいたした次第でございます。
 二点目に、審議会の委員が長く……。
#57
○松永忠二君 定員は。
#58
○政府委員(木田宏君) 入学定員につきましては、その後……。
#59
○松永忠二君 届け出た定員は幾人で、現在は。
#60
○政府委員(木田宏君) 届け出た定員は百二十人の学生定員でございます。これに対して二百七十一人の学生を入学させました。このため文部省では、四月十七日と五月七日と二度にわたりまして、大学側の責任者を招致をいたしまして、そして入学定員の厳守と今年度入学許可者に対する適切な教育実施等について強く指導をいたしました。また、六月五日に……
#61
○松永忠二君 入っちゃったあと指導したってしようがない。
#62
○政府委員(木田宏君) 大学設置審議会の委員が年次計画の履行状況調査のため同大学を視察いたしました際にも、入学定員の厳守について厳重に注意を喚起し、警告をいたした次第でございます。
#63
○松永忠二君 設置審議会の委員は。
#64
○政府委員(木田宏君) 設置審議会の委員につきましては最長四期までということで……。
#65
○松永忠二君 現在最も長い者は何年。
#66
○政府委員(木田宏君) 現在最も長い方は、大体四期八年の方が設置審議会の委員としては一番長い方でございます。それを原則にして一応運営をいたしております。
 それから第三点の御指摘でございますが、学校教育法十四条には、御指摘のような条文があるわけでございますが、私立学校法の五条第二項によりまして、私立学校については、学校教育法十四条の規定はこれを適用しないということになっておるわけでございます。したがいまして、この私立学校法第五条の現行規定の趣旨から考えますと、私立学校につきましては、私立学校が学校教育法施行規則その他法令の規定または監督庁の定める規定に違反したときに、監督庁はその変更を命ずることはできない、そういう命ずることができるという規定が排除になっておるわけでございます。私どもといたしましては、私立学校が監督庁の定める規定に従って、それを順守してもらうように、命令ではなくって、指導、助言を重ねるという以外に方法がないわけでございます。先ほど入学定員につきましても、事後に言うだけではというおしかりでございまして、そのお気持ちは十分わかるわけでございますが、文部省に届け出て認可をいたしました入学定員に対して、私学がこれに違反して、学生数を入れてしまったあと、これに対する是正の命令その他の措置は、文部省としては現行法の規定では何ともとり得ない、ただ、注意を喚起し、警告をする、こういうことを繰り返しておる次第でございます。
#67
○松永忠二君 その大学の設置審議会と私立大学審議会の委員の名前と年数。
 それからあなたの最後の答弁は全然だめですよ。私が言ったのは、適用を除外をしてもらうという、私立学校法をなぜそういうことをやらぬのか、あれを、法律を変更できるようなふうに変えていく努力をあんたたちがやったのかどうかということなんです。
 それから、あと言うとおり、こまかくこれが、問題があれですけれども、ほとんどいまの法律の中に、定員の問題についても、経費、費用の問題についても規制できるようになっておるわけです。これを、ただ届け出からもっと強化をしていくという、こういう方向で監督をしていくようにすれば、このやり方がある。現に学則なんかは、定員を書いてない学則がたくさんあるんですよ。この前国士館で聞いたら、昭和三十年の届けですから、私たちはあまりそういうことは知りませんと、こう言っている。学則が変われば届け出をしなければできぬことになっている。届け出に基づいて指導、助言といったってできるわけです。そういう努力がいわゆる不足をしておる。何か、法律や法規がないからできないなんて、そんな、いわゆるふしだらなものの言い方じゃだめだということを私は申し上げている。もう一度しっかり研究して、きちっとしておいてもらいたい。もう答弁は、またやりたいとお考えなら、またあしたやってもいいです。きょうはこれで終わります。
#68
○安永英雄君 あしたの劈頭でまた大混乱するといけませんから言っておきますが、いま松永さんのほうで言われたのは、いわゆる調査員、いろいろなことを言われたけれども、問題は、専門委員、人員、ひとつ出すか出さないか、この点はひとつ文部省内でよく検討しておいてくださいよ。私はどうしても出させますよ。私は責任を感ずるのですよ。三月の予算委員会のときにもう少し追及して、あの委員全部の名簿を出させれば、こういうこともあるいはと思う節もある。絶対秘密にしているけれども、絶対出すか出さないか、その点態度をきめてこないと、ここでまた一時間、二時間かかりますよ。
#69
○委員長(永野鎮雄君) ただいま議題になっております両法案についての質疑は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#70
○委員長(永野鎮雄君) 次に、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 国立学校設置法等の一部を改正する法律案(閣法第五〇号)及び国立学校設置法の一部を改正する法律案(参第一九号)の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#71
○委員長(永野鎮雄君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○委員長(永野鎮雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#73
○委員長(永野鎮雄君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 国立学校設置法等の一部を改正する法律案(閣法第五〇号)及び国立学校設置法の一部を改正する法律案(参第一九号)の審査のため、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#74
○委員長(永野鎮雄君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期日等の決定はこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○委員長(永野鎮雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、明日は午前十時に開会することとして、これにて散会いたします。
   午後五時散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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