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1972/09/04 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 文教委員会 第24号
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1972/09/04 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 文教委員会 第24号

#1
第071回国会 文教委員会 第24号
昭和四十八年九月四日(火曜日)
   午後二時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月三十一日
    辞任         補欠選任
     世耕 政隆君     金井 元彦君
 九月四日
    辞任         補欠選任
     金井 元彦君     竹内 藤男君
     萩原幽香子君     向井 長年君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         永野 鎮雄君
    理 事
                久保田藤麿君
                楠  正俊君
                松永 忠二君
                宮之原貞光君
    委 員
                高橋雄之助君
                竹内 藤男君
                棚辺 四郎君
                中村 登美君
                濱田 幸雄君
                二木 謙吾君
                宮崎 正雄君
                小林  武君
                鈴木美枝子君
                安永 英雄君
                向井 長年君
                加藤  進君
   国務大臣
       文 部 大 臣  奥野 誠亮君
   政府委員
       文部政務次官   河野 洋平君
       文部大臣官房長  井内慶次郎君
       文部省初等中等
       教育局長     岩間英太郎君
       文部省大学学術
       局長       木田  宏君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡辺  猛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (全国都道府県教育委員長協議会・都道府県教
 育長協議会合同総会における奥野文部大臣の発
 言に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(永野鎮雄君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る八月三十一日、世耕政隆君が委員を辞任され、その補欠として金井元彦君が選任されました。
 また、本日、金井元彦君及び萩原幽香子君が委員を辞任され、その補欠として竹内藤男君及び向井長年君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(永野鎮雄君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○宮之原貞光君 私は、去る八月三十日の全国都道府県教育委員長、同じく教育長合同会議におきますところの大臣のあいさつについて、緊急にお尋ねをいたしたいと思います。
 なぜかならば、この大臣あいさつは、教育行政の根本に触れるところの問題が相当ありますし、かつきわめて私どもから言わすれば、挑発的な内容を含みましたところの重要な問題を含んでおると考えておるからであります。
 そこで、まず、お聞きいたしたいことは、ごあいさつの中身というのは、私どもが文部省から資料としてもらいましたところの「文部大臣あいさつ」というこの点だけだったものかどうかをお聞きいたしたいと思います。
#5
○国務大臣(奥野誠亮君) お配りいたしております印刷物のほかに、三点につきましてつけ加えてお話をさしていただきました。
#6
○宮之原貞光君 この資料以外に大臣からは三点について述べたということでございますが、確かに当時の新聞を拝見をいたしますと、これ以外の事柄について新聞も詳細に報道をいたしておるわけでございますが、大体新聞に伝えられておるところの内容と、大臣の発言の内容とは相違ないと、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか、どうでしょうか。
#7
○国務大臣(奥野誠亮君) 私、新聞全部に目を通しているわけでございませんので、正確にお答えすることはできませんけれども、大体間違いなくしるされておったんではないかと思います。ただ、それをごらんいただきます場合には、見出しだけで判断をしていただきますと、いろんな誤解を引き起こしてくるという場合もございますし、また、私がそういうごあいさつをする私なりの心配、それも一言触れさしていただいたほうがあとの論議の場合に都合がよいんじゃないかと思いますので、よろしければちょっと加えさしていただきたいと思います。
#8
○宮之原貞光君 逐一具体的に中身についてお聞きいたしますから、そのときに何か――私は当日聞いておったわけじゃないわけですから新聞報道をもとにしてお聞きいたしますので、事実と違うところの点あるいは補足がありましたら、その際にお聞かせを願いたいと思います。
 それで、まず、その前にお伺いいたしますが、この種会議というのは速記録と申しますか、そういうのがあるんですか。あったら提出をしていただきたいと思いますが、いかがなものでしょう。
#9
○政府委員(岩間英太郎君) 文部省主催のものと、それから都道府県の教育長あるいは委員長の会議自体が自主的に主催されるものと二つございまして、文部省主催のものにつきましては私ども記録をとっておりますけれども、今回の場合は都道府県の教育長、教育委員長の会議の主催でございますから、私どもとしましては、そういう記録はとっておりません。
#10
○宮之原貞光君 今度の場合は、文部省主催でなかったから記録はないということですね。そういたしますと、記録がなけりゃこれは新聞報道を中心にしてお尋ねする以外にないんですが、あらためてもう一度念を押しますけれども、ほんとうにこの種の会議は記録というものはとらないんですか、どうですか。
#11
○政府委員(岩間英太郎君) これは、会議を主催するほうのお考えによりましてきめることでございまして、文部省の主催の場合には記録はとっておりますけれども、ほかの会議の主催の場合にはその御判断によるということでございます。
#12
○宮之原貞光君 そういたしますと、記録は教育委員長あるいは全国教育長会議の事務局が場合によっては記録をとっておるかもわかりませんね。したがって、その筋に要請をすれば、出してもらうということがあるんですね、これは文部省はやってないと言うんだけれども。いかがですか。
#13
○政府委員(岩間英太郎君) 記録をとる場合とらない場合あると思いますが、これは主催者の御判断によるわけでございます。また、そういう記録がある場合に、それを公表するかどうか等につきましても、これは主催者の判断によるというふうに考えているわけでございます。
#14
○宮之原貞光君 非公開の会議ならそれは議事録を公表しないということもあり得ますけれども、少なくとも、新聞が大々的に報道しておる以上は、これはやっぱり半ば公開的な私は会議だったと、こう思うんです。それで、私は委員長に要求したいんですが、事務局に当時の記録があったら出してもらうようにひとつ要請をしていただきたいと思います。いかがですか。
#15
○委員長(永野鎮雄君) それじゃ、いま宮之原君の要求に基づいて委員会に資料の提出を要請いたしたいと思います。
#16
○宮之原貞光君 じゃ、資料が、正確な記録があれば別でございますけれども来ておりませんので、私は、新聞報道を中心にしながら具体的に大臣にお尋ね申し上げたいと思います。まず、こういうことがほとんど多くの新聞に出ておるんですね。文相は当面する文教政策について所信を明らかにされたあと――おそらくこの大臣あいさつだろうと思う。このあとに、皆さんとともに考えてみたい問題があると、四月二十七日の教員ストを政治ストだときめつけ、日教組をきびしい口調で攻撃をし云々という大筋の報道がなされておるわけでございますが、あとつけ加えられたところの中身が、おおよそその方向性というのは、そういう方向のことを言われたものだと確認をしてよろしゅうございましょうか。
#17
○国務大臣(奥野誠亮君) 私がつけ加えました三点は、一つは、人材確保法案について理解を深めていきたいという問題でございます。第二番目は、公務員のスト権についてどういう考え方があるかという問題でございます。第三は、教育秩序を確立していきたいということに関連して申し上げたことでございます。この三点を、みずから問題を分けてお話しをさしていただきました。
#18
○宮之原貞光君 さらに、具体的にお尋ねいたしますが、筑波、人材確保、教頭法制化の三法案の撤回を求めて四月二十七日に全国の二十五万六千余人の、これは文部省調べですが、教員がストライキに参加したことに対して私はあ然とした、先生方の主体性があるのか疑問だ、もっと教育者は主体性を持って云々と、こういうようなことを言われたと報ぜられていますが、そのとおりですか。
#19
○国務大臣(奥野誠亮君) そういう意味のことも発言をいたしております。
#20
○宮之原貞光君 ここで大臣が言われようとするところの主体性という意味は、どういう意味なんですか。
#21
○国務大臣(奥野誠亮君) 私のところへもいろんな先生方がいろんな話を持っていらっしゃいます。その中でストに参加されている方、全部人材確保法案に反対というわけじゃありませんよと、賛成の方もずいぶんいらっしゃいますよと、こういうお話をときどき承るわけでございます。同時に、教員の任務の特殊性として自発性とか創造性とかよく言われるわけでございまして、みずからが考えていくその自発性が非常に大切だと、そういうことを考えた場合に、いまのようなことでは若干疑問を感ぜざるを得ない。そこはやはり自発性を高めていきたい、こういう布望を持ちながらいまのような発言をさしていただいているわけでございます。
#22
○宮之原貞光君 そういたしますと、大臣の発言は、ストライキに参加をしたのは主体性がないんだと、こういうものの考え方でおっしゃっておるんですか。
#23
○国務大臣(奥野誠亮君) 内容に反対でストに参加される、それはそれで私はけっこうだと思います。内容に賛成であるにかかわらず反対のためのストライキに参加する、これはやはり教員の自発性というようなことが特に要請される性格から考えますと、適当じゃないじゃないかという気持ちを持ちましてそのような発言をいたしているわけでございます。
#24
○宮之原貞光君 非常に重要なことを言っておられますが、人材確保法案に賛成だけれどもストライキに参加をした者がおると、こう見ておるから言ったんだということですが、具体的にその事例があれば明確に示してもらいたいんですよ。何県のどういう人がそういう報告をしてきたか、それをはっきりしてもらいたい。
#25
○国務大臣(奥野誠亮君) 一人、二人じゃございませんで、いろんなときに私にいろんな話を教えてくれます。その中で二十何万人ストに参加されたからというて、あなたは悲観しなさんな、元気を持ってやってください、その中にやっぱり法案は支持しておる人もおるんです、こういうことを言ってくれているんです。何県のだれということをここで申し上げるだけに名前を覚えておりませんけれども、一人、二人じゃございませんで、そういう方がいらっしゃることは事実でございますので、そこはぜひ私の話も御信用いただきまして御理解をいただきたいと、お願いを申し上げているんです。
#26
○宮之原貞光君 そういうように抽象的に一まとめにされちゃ困りますよ。あなたがそういう確信を持っておるならば、具体的にこういう資料に基づいて私は言ったんだというものの裏づけがあるはずなんですよ。あなたがそれだけ確信を持つならば、そのことをあなた、ここで明確にすべきじゃありませんか。それをここで示せと言われたけれどもわからないから言えない。とにかく、全国的に何万人とそう言う者がおったという抽象論では私は困ると思うんです。もし、あなたがほんとうに事実問題としてとらえておるなら具体的に出していただきたいんです。どこでこういう話があった、だれから話があったと。でなければ、これは信憑性というものはないじゃありませんか。あなたが私を信用しろと、こうおっしゃってみたって、考えようによってはそれは文部大臣がかってにやっておるんじゃないか、こう思われたらあなたはあなたの真意に反するかもしれぬから、こういうものはきちんとやっぱり具体的な資料を出されたらどうですか。
#27
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、具体的の名前をここに出すだけの記憶を持っていないと、こう申し上げておるわけでございまして、ここはお互いの推測の違いということになるのではなかろうか、こう考えるわけでございます。私が申し上げますのは、いまるる申し上げましたような経過をたどりましてそういう見方をいたしておるということでございます。
#28
○宮之原貞光君 じゃ、具体的に記憶がない、推定で言ったと、こういうことですか、いまの大臣のお話は。
#29
○国務大臣(奥野誠亮君) いろんな方からそういう話を伺っている、そういう話を伺っていることを基礎にして私なりにそういう考え方を持って申し上げているということでございます。
#30
○宮之原貞光君 いろんな方といえば、たとえばどういう方ですか。それぐらいはお聞かせ願えるでしょう。
#31
○国務大臣(奥野誠亮君) 府県の教育長の方々もおられますし、また、具体の現場の先生もいらっしゃいます。
#32
○宮之原貞光君 それに反対してやるな、やるなと取り締まるところの方の意見を聞いて、そうして、たとえば県の教育長がこういうことを言ったからこう言う者が相当おる、こういう筋の話では、私はこれは通らぬと思うんですよ、世の中は。少なくとも、自分としては、こういう具体的な資料を持っておるからこれが一〇〇%事実かどうかは別にしても、九九%は真実に近いから自分は確信を持って言ったというならば、私はあなたの発言を尊敬しますけれども、しかし、そういうこともなくて、教育長が言いました、だれが言いました、具体的な記憶はありませんけれども、ということでは、これはあなたの発言を信用したくても信用できないじゃありませんか。どうなんですか、それは。もう一回あらためて聞きます。
#33
○国務大臣(奥野誠亮君) 具体的に名前を出して申し上げることも私は正直申し上げまして適当でないような感じもいたします。しかし、お互いにものの見通し、あるいはものの客観的な判断の違いでございますので、これはやはりお互いに若干の立場の相違もありまして、見方の違いが出てきてもやむを得ないじゃないだろうか、こんな感じもするわけでございます。ただ、私が私なりの頭だけで考えて申し上げているわけじゃない、そういうこともございますので、そういう意味の疑いを持ち始めておりますというようなことを会議の席でお話をさしていただいたようなことでございます。
#34
○宮之原貞光君 それはあなた、こうだろうという、そういう判断だけで言われたら困りますよ。あなたの希望的な観測がだいぶ入っておると言われたってしかたないじゃありませんか。そういう具体的な事実関係というものを示すことがなければ、そのこと自体に私は大臣の政治姿勢として非常に問題点があるということをまず指摘しておきたい。
 続いてお尋ねしますが、自主性というのは一体どういうことかという問題ですね。私は、自主性というのは平易にものごとを自主的に判断をして自分が主体的に行動することが自主性だと思っておるんです。したがって、私のほうは、組合がいろんな討論をし、組合がきめてそれに従ってやることは主体性がなくて、校長や教育委員会の命令に服するのが自主性なんだと、こういうふうに理解されるとするならば、これはたいへんな間違いだと思うんですが、その点どうなんですか。
#35
○国務大臣(奥野誠亮君) だれの考え方だからということで、それだけで、その考え方に従うのでは私は自主性はないと思います。その点については、私は特段の違いはないように思います。自分で考えて、その考えに基づいて行動していく主体性、みずから進んで考えようとする努力、そういうところに要請される自発性の問題があるのではないだろうか、こんな気持ちでおるわけであります。
#36
○宮之原貞光君 じゃ、お尋ねしますがね、あなたは組合というものをどういうふうに見ておられますか。もっと具体的にお聞きするならば、教員組合でストライキをやるか、やらないかという、きめるところの具体的な手だてはどうであって、そして、それが最終的にどういう方向にきまって、どういう行動するのだ、こういういろいろな手続の面については御存じでしょうか、どうでしょうか。
#37
○国務大臣(奥野誠亮君) ストライキを行なう、そういう戦術をとるということをきめました場合には、各組合に持ち帰って批准投票が行なわれているということを承知しておるわけでございます。
#38
○宮之原貞光君 これは、一つの民主主義というのは、団体をつくっておるならば、その団体の中でいろいろ議論があって、最終的に自分の意思表示をし、その意思表示がかりに自分の意思表示と違ったことであっても、大多数がきめるというならば、それに従わなければならないというのは民主主義のルールじゃないでしょうか、どうなんですか、大臣。私は国会の場合もえてしてあなたがおっしゃるところの国会、議会民主主義云々、こういうのだな、法律というものは多数できまるのだ、反対があろうともそれに従えとかねて言っておられる。そのことと私は組合運営あるいは民主主義のあり方というのも同じやはり基本に立っていると思うのですが、それはどうなんですか。
#39
○国務大臣(奥野誠亮君) やはりきめます問題の内容によって根本的に違ってくるのじゃないかと思うのでございます。いまストライキのことが問題になっておりますが、これは法律で禁止されている行為でございますので、こういうことをきめること自身が私は非常に問題があると思いますし、また、きめられても、だからといって、私は違法の行動に参加するような先生であってはほしくない、こういう希望は強く持っておる一人でございます。
#40
○宮之原貞光君 それは、ますますおかしいですよ。自分たちの考えているところのものの考え方に立って行動しないところの者は間違いであって、かりにあなた方の考え方と違ったものに従うところの教員は自主性がないのだというものの言い方は、一体組合運営あるいは民主主義のルールから言えば全く逆じゃありませんか。あなたの先ほどおっしゃったように、たとえばストライキ云々というところの問題については、一票投票ということばが使われておりますけれども、一人一人が投票します、で、自分の意思表示をやる、その意思表示を集約して、いわゆる圧倒的に多数がどうだ、こうなったとき、組合の方針としてきまる、これが多数決原理じゃありませんか。けれども、そのやる行動が自分が気に食わないから、そこできめたものはそれはけしからぬ、それに従う者はこれは自主的な教員でない、これはちょっとかって過ぎやしませんか、あなたのものの考え方、どうなんですか。
#41
○国務大臣(奥野誠亮君) 宮之原さんのおっしゃっている民主主義あるいは多数決というような表現は、私は日本の憲法の考え方を基礎にしておっしゃっているのだろう、こう思うのでございます。わが国の憲法では、公務員はこの憲法を尊重し、順守する義務を負う、こう書いてあるわけでございます。同時にまた、国会は国権の最高機関だ、唯一の立法機関だ、こう書いてあるわけでございます。この国会において制定された法律には公務員のストを禁止しているわけでございます。そういうことを考えてまいりますと、いかに民主主義とはいえ、憲法に基づく法律で禁止されている行動に参加するということは、私はやはり適当ではないという考え方を持っておるわけでございます。でありますので、そういうような行動に参加しないからといって、民主的でないということは私は言えないんじゃないかというような考え方を持っておるものでございます。
#42
○宮之原貞光君 憲法の問題出ましたけれども、これは後ほど触れますが、しかしあなた、公務員のストライキがすなわち合憲かどうかという問題は、これもあとから触れますけれども、いろいろな変遷をたどってきておるでしょう。そういう中で、たまたま政府の都合のいいところの判決がこの間出たから、それをたてにあなたとって言われたって、それはおかしいですよ。言うならば、自分の都合のいいときには、それに従った者は自主性がある。それならば、あなた、一つの権力機構の中で、時の政府の言うなり、それに従うところの教員が自主性のあるところの教員であって、それに反対する者は、みんな自主性のない非民主的な教員だというレッテルを張るということにひとしいじゃありませんか。あなた基本的にそうお考えになるんですか。
#43
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、問題を二つに分けて考えないと混乱をすると思います。一つは、実定法がどうなっているか、その解釈、もう一つは立法論、学働政策をどうしていくかという問題、二つに分けて考えるべきだと思います。公務員はやはり法秩序のもとにおいて仕事をしていくわけでございますので、実定法をもとにして考えていかなきゃならない。政策的に自分なりの判断で行動すべきものではない、こう考えるわけでございます。そうしますと、実定法においては明らかに法律で公務員のストライキを禁止しているわけでございますので、やはりこれはそのとおりに尊重していかなきゃならない、こう考えるわけでございまして、もとより選挙におきまして、ストを認めるような政策に共鳴して投票する、これはもう自由だと思います。しかしながら、公務員である限りにおいては、実定法のもとにおいて行動していただかなきゃいけないと考えておるものでございます。
#44
○宮之原貞光君 その論議は後ほどさらに詳しくお尋ねしますけれども、まず、大臣にさっきの関連でお尋ね申し上げておきたいことは、大臣は戦前の教員、これをどう見ておりますか。戦前の教員というのは、天皇の教師という美名のもとに、お上の命令にずっと従ってきた。右向けと言えば右、左向けと言えば左、一般の教員は校長の命、校長は視学の命、視学は二十七、八歳ぐらいの教育課長の命令で命令どおりやっていた。こういう戦前の教員のあり方は、あなたのいまの論法でいけば、それは当時の法律の中にそうあったんだからきわめて自主性のあるところの教員であったと、こういうふうに高く評価せざるを得ないんですが、いまでもそう思っておられますか、どうですか。
#45
○国務大臣(奥野誠亮君) 戦前の憲法は天皇主権でございます。また、天皇の官吏であったと思います。現在の憲法は国民主権でございます。国民全体に奉仕する公務員だと、こうされておるわけでございまして、すべての公務員は国民全体に奉仕するものであって、一部の国民に奉仕するものではないんだということを明確に書かれているわけでございますので、そのとおりだと、また、そのとおりに運んでいかなきゃならないと、強く考えているものでございます。
#46
○宮之原貞光君 そのとおりだというのは、その憲法の違いがあったから、戦前の教師たちもきわめて自主性のある教員ばかりだったと、お上の命を拳々服膺したから、ほんとうに戦前の教員はりっぱだったと、こういうとらえ方をされておるんですか、どうですか。あらためてちょっとその点だけはっきり、憲法の私は違いを言っておるんじゃないんですからね。
#47
○国務大臣(奥野誠亮君) 戦前の憲法のもとにおきましても、自主的な先生もいらっしゃったでございましょうし、また言いなりになっておった、長いものに巻かれるといいましょうか、権力に巻かれるといいましょうか、そういうことに弱い先生方もいらっしゃったと、いろいろあったと、こう思います。
#48
○宮之原貞光君 私は、一人一人を聞いておるんじゃないんですよ。戦前の教員の一つのやはりものの考え方、流れ方というのには、あなたがそういう答弁したってだれも納得する人おりませんよ。戦前の教員は、もうお上の言うままにやられてきたというところのきびしい反省が、戦後の教員のあり方、教育のあり方の基本になったんでしょうが。あなたそう思いませんか。きわめて戦前も自主性のあるりっぱな教員が多かったと、こう思っておられるんですか。
#49
○国務大臣(奥野誠亮君) いまの問題につきましては、たびたび私も当委員会でお答えしておりますように、超国家主義的な政治、行政の運営が行なわれる傾向が非常に強かったと、こう批判をしておる一人でございます。
#50
○宮之原貞光君 そうすると、それに協力をしてきたわけですから、あなたの先ほどの論法からいえば、国会というものもやっぱりあったし、法律というものもあったんだから、その法律のとおりにお上の命に従ってきたから、きわめてやはり自主性のあったところの教員だったという論理になりますね、そうでしょう。あの冒頭のいわゆる現在のストライキに参加したところの教員は自主性がないんだと、こういう教員が相当おると、こうおっしゃったところの裏を返せば、そういうことになりますね。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#51
○国務大臣(奥野誠亮君) 全く違ったことをおっしゃっているような気がいたします。私が会議の際に申し上げましたのは、ストの問題、三法案撤回、それについては必ずしも賛成でない方がそのストに参加しておられる、とすれば、主体性がない方だと疑わざるを得ない、こういうことを申しておるわけでございます。戦前の先生がどうのこうのという考え方と結びつけられることは適当でないような感じがいたします。超国家主義的な政治、行政が行なわれておったと、こう申し上げるわけでございますので、個人の特別な考え方が自由にしにくかった社会であったと、こう判断しておりますだけに、一般的には私は自主的な性格が乏しかった、戦前においてはそういう傾向が強かったんじゃないだろうか、これは当然私のお答えから御理解いただけるところじゃないだろうか、こう思います。
#52
○宮之原貞光君 それはおかしいですよ。自主性というのは、あなた、まわりのほうが非常に自由な零囲気が多いから自主性があって、非常に自由な零囲気がないから自主性がないんだという、その自主性の尺度のしかたというのはおかしいじゃありませんか。自主性というのは、自主的に自分で判断をし、主体的に行動するということですからね。まわりがどうあろうと、自分はこう思うし、自分はこうやるべきだということになったら、断固としてやるというのが自主性でしょうが。それを、戦前は自由の零囲気でなかったから、いまはそうじゃないから、その世代の相違があるから一律に言えないと、こう言ったって、自主性ということばの定義づけからすれば、これははっきりしておるじゃありませんか。だからして私はあなたに言うんです。あなたの立論でするならば、時の法律の命のままに動いてきたのだから自主性のあるところの教員だと、こうおっしゃるならば、戦前の教員は大部分は自主性のあったところの教員だと判断せざるを得ませんね、そう判断してよろしゅうございますかと、私は聞いておるんです。
#53
○国務大臣(奥野誠亮君) 法秩序に従って行動するということと、自主性の有無とは私は別だと思うのであります。やはり自主的に、法秩序は守っていかなければならない、憲法は守っていかなければならないという考え方と、ただ、憲法がきめている、法律がきめているからそのとおりするのだという考え方、両方あるだろうと思います。私は、法のとおり努力をしていく方が自主性がないとはこう思いません。しかしまた、自主性がなしに、ただ巻かれていく方にもそれはいらっしゃるだろう、こう思います。でありますから、法秩序を守っているから主体性があるんだとかないんだとかいう議論は、ちょっと私は飛躍しているのじゃないだろうかと、こう申し上げざるを得ないんじゃないかと思います。
#54
○宮之原貞光君 それなら角度を変えて質問しますが、戦前の教師は端的に言って自主性がある教員が多かったですかどうですか、あなたはどう判断していますか。
#55
○国務大臣(奥野誠亮君) 戦前といいましても、非常に時期によって違ってくると思うのでありますけれども、国会におきまして左翼的な言論がもう言えなくなったような時代が参ったことがございます。それから戦争に突入していったわけでございます。そのころには、もうきわめて一方的な空気の中に巻き込まれていった、主体性がなかったと、こう申し上げて私はよろしいんじゃないかと思います。
#56
○宮之原貞光君 私は戦前の、特にやはり戦争に突入してからの教員というのは、これは全般的に申し上げれば、長いものに巻かれる、それは抵抗運動をやったところのりっぱな人もたくさんおりますよ、けれども大部分はそうだった。だからこそ、終戦を迎えたときに、日本の教師たちは、自分のあり方というものに対してきびしい自己批判をしたんです。正しいものは正しい、悪いものは悪いとも言えなかったと、これからは是は是、非は非と言えるところのやはり教員になるということこそが日本の教育を発展させるための道なんだ、そのことを戦後の日本の教師の人たちは強く自己批判し、戦後はその方向に行こうということを確認し合った。また、当時の文部大臣はだれかもしれませんけれども、おそらくここにおられる岩間局長あたりは課長かそれ以下だったと思いますけれども、文部省自体そのことを言っておったんです。自主性、主体性を強調する、そのためには自分のお互いに身分を守るように、自分の意思をやはりはっきりできるような組合というものをつくらなきゃならぬ、だから教員組合というのは推奨すべきものだと、当時の文部省自体言っておった。それは何かというと、戦前の教師のあり方からのきびしい反省のもとに立ってやっておる。それだけに、今日教員組合運動の基本はそこにあるということをあんたは理解しないでおいて、そういうものは抜きにしておいて、ある何人があんたのところに御注進に及んだかもしれないけれども、自分たちのきめたことについて従わなかったところの教員がおるから、意のままにならなかったところの教員がおるから主体性がない、どうだと、こうおっしゃるのはこれは大きな間違いじゃありませんかね。この点をやはり明確にあなたは理解しないでおいて、ただ頭からストライキに参加したのは主体性がないというものの言い方だけは私は撤回してもらいたいと思うんですが、どうなんですか。
#57
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、組合活動全体を批判的に考えている人間じゃいささかもございません。また、戦後民主化を進めていく上におきまして、特にこういう組合の結成など助長政策がとられてまいったわけでございます。いま宮之原さんが御提起になった問題は、組合がストを批准する、にもかかわらずそれに加わらない、それは非民主的ではないかというような御指摘から始まっていると思うんでございます。それに対しまして、私はやっぱり民主的、非民主的という場合には、憲法を基礎にして御議論いただきたい。憲法と、やはり憲法に基づく法律も守ってもらわなけりゃ憲法体制を守ることにはならない。憲法で禁止されていることまで批准になったから参加しなきゃならない、参加することによってはじめて自主性があるんだと言われると、そこはちょっと私とは見解が違いますということをたびたび申し上げておりますので、この違いはひとつ御理解いただきますようにお願いを申し上げておきます。
#58
○宮之原貞光君 民主性云々の問題でもそうで、ずっと話は主体性、自主性の話できておるんでしょう。その自主的な行動というものが客観的に見て、あるいは人の見方によって正しかったかどうかというのはそれぞれ批判がありましょう、その見方によって。しかしながら、教員自体が自分たちでものを考えて、こうやろうとやっていること自体は、これは主体性のあるところの話じゃありませんか。それを自分の立場から見て参加をしたと、自分は参加すべきでないと思うのに参加をしたから、これは引きずられたから、そういう教員は主体性がないというものの言い方は間違いじゃありませんかと、私はそう言っているんですよ。どうなんですか、その点は。
#59
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が申し上げるのは、スト権について批准をする、ストに限りませんけれども。その場合には、自分の考え方をまずきめてかかって、そしてその話し合いに加わるべきじゃないかと、これが第一点でございます。第二に、事ストに関しては、かりにそれがきめられても、自分は批准投票の際に反対投票を投じたんだけれども負けちゃったと、しかし、組合がきめたことだからそれに加わらない人間は民主的じゃないじゃないかと、こうおっしゃる点については私は異論を持ちますと、こう申し上げているわけでございます。
#60
○宮之原貞光君 だってね、あなたの発言自体がその組合に従った従わぬという話じゃないじゃないですか。組合の決定に従って参加したところの教員がおったと、しかも、内心聞いてみると、いろいろあったらしいけれども、自分は、かりに反対であったけれども従ったと、これは主体性のないというものの言い方は私は間違いだと言うのですよ、これは。これは、あなた自分で判断をし、しかも、組合運営のルールから見て、やはり多数決原理というルールというのがあるんですから、それに従って、自分の主張は最初はこうだったけれどもこうなったと、それに従って行動しようというのが何で主体性がないとあなたがきめつけなきゃならないかと、こう言うんですよ。それは、私が先ほどから言うように、その教員が主体性があったかどうか、それは主体性云々が正しかったかどうかいろいろ批判がありましょう、あなたの見方と私の見方から見れば。しかし、それを主体性云々、自主性のない云々ということで十ぱ一からげにして教員を非難するというのは当たっておらないじゃありませんかと、こう申し上げておるのですよ。どうなんですか。
#61
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は会合の席上では、大体二つのことを言うておったように思います。一つは、自分の考え方をはっきりしないで、ただ引きずられていくというようなことのないように期待したいという私の一つの希望がございます。一つは、やはり憲法を守っていくという考え方、だから違法な行動には参加しないようにしてもらいたいという考え方、この二つを言うておると思うのでございます。
 主体性、自主性の問題は、たびたび申し上げますように、ストに参加しておられる方々みんな人材確保法案に反対だと、あなたは悲観する必要がないのだと、もっと勇気を持ちなさいと、こういう話をしてくれる、それが頭にありまして、はたして自発性のとうとばれる先生方について主体的に考えていろいろやっていただいているんだろうかということについて疑問を持ち始めているんですと、こういうことを会議の席で申し上げさしていただいたわけでございます。
#62
○宮之原貞光君 きちんとした記録がないから言えませんけれども、少なくとも、新聞報道を見る限りは、半日ストに十数万人の教員が参加をしたと聞いて私はあ然としておる、教員の自覚を促すとともに、組合活動健全な方向と、あなたはさらに一歩進めて、組合はこういうところに持っていってもらいたいということまで、こう言っているんですよ。先ほどは、組合のあり方については私は何も制肘を加える考えはありませんと言いながら、この文章のくだりから見ると、これはストライキに参加しないような組合の方向に持っていってもらいたいと、こういうことを言っているということになりましょう。さらに、一歩進めてみれば、そこまであなた考えての自主性の問題を提起されておるのでしょう。
#63
○国務大臣(奥野誠亮君) そういうあとのくだりのことも申し上げております。ただ、続けて言っているのじゃないと思います。私の考えておりますのは、組合がいろいろなことを決定して組合として団体活動をやっていかれる、これは何ら批判すべきことじゃございません。しかしながら、禁止されている行動、それをおきめになること、これはやっぱり私は批判の対象になる問題だと考えるわけでございます。したがいまして、組合の内部でも大いに活発に議論をしていただいて、法の禁止するような方向にいくということは避けてもらいたい、本来の組合活動に従事してもらいたいと、こういう希望を持った発言はいたしております。
#64
○宮之原貞光君 私一人ばかりでこの主体性の問題議論しても始まりませんから、次に移りましょう。
 次に、スト権の問題についてお聞きしますが、大かたの新聞は大体一致しておるのですが、あんたのものの言い方は、戦後のある時期、一片の通達で教員にもスト権が与えられたこの二年間というのは全く例外的なものだ云々と、こういうふうに伝えていますが、それが事実だとすれば、その意味を少しお聞かせ願いたい。
#65
○国務大臣(奥野誠亮君) 御承知のように、昔から公務員にスト権が与えられたことはなかった。それが二十一年の十月労働関係調整法が施行になりました。その労働関係調整法の中で、警察職員、消防職員その他現業以外の官吏その他の者は争議行為をすることができないという規定が設けられたわけでございます。はしょって申し上げているわけでありますけれども、警察職員、消防職員その他現業以外の官吏その他の者は争議行為をすることができない、こういう規定が設けられたわけでございます。その規定を基礎にして現業職員にだけ消極的にスト権が与えられたと、積極的な書き方じゃなしに、消極的な書き方で争議権が与えられておるわけでございます。法律には、現業以外の官吏ということばが使われておるわけでございますが、その後に、厚生次官通牒が出されまして、学校の先生もその中に入るんだと、こうされたわけでございます。その制度が二十三年の七月に、当時占領軍総司令官のマッカーサー司令官からスト禁止の指令が出されるまでスト権が与えられておったわけでございます。したがいまして、二年足らずの間、現業の公務員と学校の先生たちにスト権が与えられたということになるわけでございます。なるわけでございますが、法律に書いてあることばと、通牒でそれを拡大して職員の範囲を広げている、ここに私は非常な矛盾がある、こういう考え方を持っておるわけでございまして、そういうことを頭に置いていまおっしゃいました二年足らずの間スト権が与えられたことがありますと、こう申し上げております。
#66
○宮之原貞光君 だってあんた一つの法律に対して、その法律の解釈について通牒出すのは、これは当然じゃないですか。その通牒があんたは拡大しておる、こう言うけれども、あんた方、今度は自分の都合のいいところには縮小してやるわけでしょう。だから、その通牒で出したから悪いということにはならぬでしょう。あんたのものの考え方、言い方を文章、新聞のつらで見ますれば、一片の通牒でスト権が与えられたというのがけしからぬというふうに聞こえますが、そういうふうなものの考え方ですか。
#67
○国務大臣(奥野誠亮君) そういう気持ちはさらさらございません。私が申し上げましたのは、法律の規定を一片の通牒――一片のということばを使ったような気がいたします。一片の通牒によって法律のことばを変えてしまう、これは私はやはり当時混乱しておったんだろうと思うんでございますけれども、そこに問題はやはり残されているという感じはぬぐえないでおるわけでございます。くどいようでございますけれども、労働関係調整法という法律では、現業以外の官吏その他の者は争議行為をすることができない、こう書かれているわけでございます。先生方、学校、これ現業でないことは言うまでもございません。国家行政組織法の中では「現業」ということばが使われているわけでございますが、要するに、公企業をさすんだと思うのでございます。その公企業の中へ学校の先生を入れてしまった。これは少し通牒としては少し問題が残されている。そういう意味で、法律規定というものを通牒で拡大しちゃっている。それはやっぱり問題があるじゃないかと、こういう気持ちで申し上げておったわけでございます。
#68
○宮之原貞光君 教員が現業でないということは、それは私ども認めますがね、といって非現業だという規定もないんですよ。だからしてあの当時から、あの二千四百円ベースですか、あのときのやはり現業並みに教員の給与というのを扱って加算をするかどうかということが当時非常に大きな問題になっておったということはあなたも御存じでしょう。それを一片の通牒という、あなただって内務省から自治省に移られたか知らぬけれども、役人しておってその通牒が悪いんだというんでは、これは世の中通らぬと思うんです、その言い方は。おそらく私は、なお端的に聞きますけれども、ああやったのは大体間違いなんだと、教員はストライキ権を与えるべきでないという頭があなたの中にあるからああいう発言をされたんじゃないですか、ほんとうのところは、あなたの真意というのは。どうなんですか。
#69
○国務大臣(奥野誠亮君) 私の真意はいま申し上げたとおりでございます。ただ、しいて非現業の公務員にスト権を与えるべきであるか、与えるべきでないかということになりますと、私は、現行制度が望ましいと考えている人間であることには違いございません。
#70
○宮之原貞光君 まあ、あなたは教員にスト権を与えるべきでないという主張の根拠を、あなたのあいさつやら、あるいは四月二十一日にもまたあなたしゃべっておるし、教育長会議ですか、あるいは四月十一日にもあなたの談話の中でもあなた出しておられる。だからその本性というのは変わらないと思うわけですが、これの問題は後刻さらに私は質問したいと思いますが、ときに文部大臣ね、あなたは、一九六四年の九月に政府間会議で確認をされましたところの「ILO・ユネスコの教員の地位に関する勧告案」ですね、これをどう理解されていますか。
#71
○国務大臣(奥野誠亮君) その中にはそのとおり進んでいくべきものもございましょうし、いますぐそれによることについては問題があるというふうな点もございます。この国会になりましてから、そういう意味の論議が衆参両院でいろんな機会で行なわれましたし、また私も、お答えをさしていただいたとおりでございます。
#72
○宮之原貞光君 特に、私はその中におきますところの「教員の権利」の条項ありますね。これはパラグラフの七七から八二まであるわけですがね、この問題についてどういうふうにお考えになりますか。
#73
○国務大臣(奥野誠亮君) いま御指摘になりました教員権利の中、特別な意見を持っているわけじゃございませんが、その中で八二の問題が衆議院の本会議におきまして質問を受けまして、私からお答えをさしていただいたことがございました。やはりこの交渉の過程を経て勤務条件などが決定されるんだという、この読み方よくわかりませんけれども、やはり公務員の給与は国民の税金でまかなわれておるんだから、国民の代表者を議会に送っている、その代表者である議会において決定されることが望ましいし、半面、公務員の権利を守るために人事院等の措置を設けて、そこから勧告が行なわれる、これを最大限度に尊重する、そういういまの仕組みがよろしいんじゃないかと思っているというふうなお答え方をしてきたと、かように存じているわけでございます。
#74
○宮之原貞光君 そういたしますと、この中に書かれたるものはいわゆる日本の特殊的な事情からして賛成できないと、こういうお考えですね。いまあなたは八二だけ説明されましたけれども、この全般的な問題について、言うならば、これ否定的なんですか、どうなんですか。
#75
○国務大臣(奥野誠亮君) 別に全体的に否定的なことじゃございませんで、特に、私がたまたま国会で論議の対象になった項目があったものでございますので、その点について申し上げさしていただいたわけでございます。なろうことなら国際的にこういう方向でいこうじゃないかという議論になっているわけでございますので、あとう限りそういう方向をとれるものはとっていくことが適当ではなかろうかと、こんな気持ちでおるわけでございます。
#76
○宮之原貞光君 この七八はどうですか。
#77
○国務大臣(奥野誠亮君) 当然のことだという気がいたします。
#78
○宮之原貞光君 そうすると、この勧告案に対しては一、二カ所問題あるけれども、総体的にはやはりこれを尊重したい方向だと、こういうように理解してよろしゅうございますか。
#79
○国務大臣(奥野誠亮君) そのとおりに思っております。
#80
○宮之原貞光君 まあ、そのとおり思っておられるということで、非常に私はけっこうなことだと思うんですがね。時間があれば具体的にまだ、そのとおり思っていると大臣は答えながらそれと違ったことばかりやっておられるので、これは非常に問題がありますよ。うかつにそのとおりと思いますと言うけれども、文部省の方針から見ればきわめて逆なことがだいぶ多いんですけれどもね。しかし、大臣がそうおっしゃるんですからけっこうですから、これはやはり実現するようにこれは今後努力してもらはなければ困りますね。これを実現するための努力は惜しまないという決意はおありでしょう、大臣。
#81
○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃっているとおりだと思います。私も、ほんとうに今日教員の大きな組合と文部省が全く相反した対立抗争を続けている、このことが今日の最大の問題点だと、こんな気持ちを持っているわけでございまして、どうやってこれをほぐしていくか、非常にむずかしい問題でございまして、いま完全にほぐしているような方向にいっているとは少しも思っておりませんで、しかしまた、同時にそのことが私の最大の苦慮でございます。
#82
○宮之原貞光君 まあ、奥野大臣になって初めて教師の地位の勧告も大部分は私としては尊重して努力をしていきたいと、こうおっしゃったことは私はまことに評価せにゃならぬ。しかしながら評価するんですけれども、あなたの、いまから具体的にお尋ねしますところのこの新聞記事にあらわれている報道から見ますと、あなた自身もまた逆にこの何たるかを知らないでだいぶ思い切ったことを言っておられるのじゃないかという一つの危惧さえするんですが、疑問さえ持つんですが、それはさておいて、この八二ですね、先ほどあんたが言った、お聞きしましたように、この問題は、これは明らかに私はやはり教員のストライキ権は是なり、ストライキ権を肯定しておるところの立場に立つところの勧告案だと読んでおるんですが、どうなんですか。
#83
○国務大臣(奥野誠亮君) 私はそうじゃないと考えております。団結権、交渉権、争議権――一般に労働基本権、三つに分けていわれておるわけでございますけれども、この中で当然団結権や交渉権、これは予想されるわけでございますけれども、争議権まで入っているというのは、少しこの字句からは当然には出てこないことばじゃないだろうか、こんな感じが私にはいたされます。
#84
○宮之原貞光君 これは会議の経緯からいたしまして、それは会議のいわゆる最後の政府間会議をきめる前に専門家会議というのがありましたね、何回か。そして、これは文部省から推薦をされて京都大学の相良さんが出ておられますね。前の文部官僚だった相良さんが、京都大学の。そういうような経緯、議論をされたところの経緯を見れば、これは大臣がそうおっしゃったってそう通らぬのですよ、常識的には。たとえば、この文章を見たってそうでしょう。「雇用条件から生じる教員と雇用主のあいだの紛争解決にあたるため、適切な合同の機関が設置されなければならない。もしこの目的のために創設された手段と手続が使い尽され、あるいは当事者間の交渉が行きづまった場合、教員団体は他の団体がその正当な利益を保護するため普通もっているような他の手段をとる権利を持つべきである。」こう出ておるんですが、そうすると、この文章から見て、平和的な交渉解決ということは非常につとめてきた。しかし、どうしても解決のつかない場合には、他の団体がその正当な利益を保護するために普通持っておるところの他の手段というなら、これはストライキ権を意味するんだということで理解するのが常識じゃないでしょうかね。どうなんですか、大臣。
#85
○国務大臣(奥野誠亮君) 私、かつてこの八二の問題につきまして、当時ジュネーブで交渉に当たっておった職員から聞いたことがございます。そのときに、その担当者は交渉の過程を経て決定されるものとすると書いてあるんですから、交渉は受けていいんじゃないでしょうかと、そう判断をいたしましたと、こう私に答えたことがございました。御承知のように、公務員の団結権、交渉権――交渉権はあるけれども、団体協約締結権は認められてない。しかし、交渉はできる。だから交渉の過程を経て決定されるものとするなら、いまの姿でもそう読めるじゃありませんかと、こんなことを担当者が言ったことがございまして、だからというわけじゃございませんけれども、この表現はそういう読み方もできるわけでございますので、私は、この表現から必ずおっしゃるような争議権が出てくるんだというふうには読まなくていいんじゃないか。また、読まないでおれるのじゃないかと、こう申し上げているわけでございます。
#86
○宮之原貞光君 ちょっとそれは強引過ぎますね。私はすなおに、これはだれが読んでも、これはもうそう読めるということははっきりしているんですよ。しかも、記録を見ますと、専門家会議におきますところのこの件に関して、ユネスコ当局は、ILO八七号条約、ILO九八号条約、一つは批准をし、一つは批准してありませんね。この条約の筋というのは、筋肉労働者であろうと、知識労働者であろうと、ひとしく適用される。したがって、教員もこの二つの適用を受けるところの職業であり、団結権、団体交渉権、団体行動権はともに保障されなきゃならないと、ユネスコ当局はこの討論の過程で考えておりますと、こういうことも表明をしておるんですよね。したがって、それはよく日本政府は都合の悪いところは日本政府の自主性、自主性と、こう申しますけれども、その自主性の云々性は別にいたしましても、いまやこれがこのものの解釈から言いましてストライキ権ということを意味する。これはスト権と明記せよとか、どうだという議論はありました、過程において。私も若干タッチしたから知っておりますが、しかしながら、この文章表現で大体意のあるところはわかるんじゃないかということで、労使みんなまとまらなければならないわけですから、ここで妥協された経緯があるだけに、この問題のやはり事実というのは、そこのところだということをあなたは理解をしておられなければ私は間違いだと思うのですよ。ですから私どもから言わせれば、少なくとも、日本政府は現在否定をしておっても、いわゆるILO・ユネスコの合同会議で合意されたところの問題点の経緯から見て、世界的な多くの層の中では教員のストライキ権というものは、やはり認めるべきであるという方向に方向性として動いておるということは、あなた理解できるでしょう。それは何も、日本政府は別にいたしまして、少なくともこういうことは、まとまったところの経緯から見まして、そう言えるじゃありませんか。その点どうですか。いや、そうじゃないと、こうおっしゃり切れますか。
#87
○国務大臣(奥野誠亮君) 争議権ということになってまいりますと、私はちょっと疑問に思います。よく世界の傾向も調べさしていただきたいと思いますけれども、そういう方向に行っているというふうに私は理解していませんので、なおよく調べていきたいと思います。
#88
○宮之原貞光君 よく調べてみるといっても、いままでこの論争の中で調べてあるでしょう。ストライキ権を持っているところの国も相当あるでしょう。いわゆるあなたがよく言うところの、非現業の労働者の中にも教員を含めて。それはない国もあるでしょう。私はすべての国があると言っているのじゃない。日本である是非の問題以前の問題として、流れとして、そうあるからこそ、こういう幾つかの大事な問題が合意事項として合意されつつあるというその事実だけは、あなたは認めなければならないと思うのですよ。それでも、やはりそうじゃないとあなたは言い切れますか、どうなんですか。
#89
○国務大臣(奥野誠亮君) 非現業の公務員に争議権を認める方向にあるということについては、私は、そういう理解をいたしておりませんので、今後なおよく勉強していきたいと思います。
#90
○宮之原貞光君 少なくとも、世界の先進国といわれているところの国の中にも、教員のストライキ権というものが事実上認められておるところの国があることは御存じでしょう。それは否定しないでしょう、どうなんですか。
#91
○国務大臣(奥野誠亮君) そういう国もあるということは承知しております。
#92
○宮之原貞光君 そういう国があるというところの教員と日本の教員とはどう違うのですか。何か特別な違いがあるから日本では認められないで、片一方では認められているかっこうになっているのですか。それとも国の政治勢力のいろんな政治情勢の中ではそうなっているとあなたは見ておられますか、どうなんですか。
#93
○国務大臣(奥野誠亮君) これはやはりそれぞれの国の政治の進め方のあることでございますし、同時にまた、争議権があれば必ず組合員が有利だと言い切ることにも私は若干疑問を感ずるわけでございます。同時にまた、国の政体にもいろいろあるわけでございますので、私はいまのことだけでどちらが有利とか、不利とかというような結論はちょっと出しにくいんじゃないか。政治の運び全体を見ていかなければいけないじゃないかという感じはいたします。しかし、それらの問題も合わせまして今後よく調べさしていただきたいと思います。
#94
○宮之原貞光君 だから私はここで言いたいのは、教員のストライキというのは、絶対に許すべきじゃない、おかしいという、それが世界の趨勢だという、段平をひらめかしたようなものの言い方というのは、相当考えなければいかぬですよ。あなたのこの談話を見ると、頭から教員のストライキというのは絶対にこれは何としてでも認めちゃならぬ、これを認めるとたいへんな害毒を残すという頭が、とてもこの頭から抜け切らないからいろんな問題が出てると思うんです。たとえばあなたのような答弁だったら、もう少し柔軟なものの話が出てきていいはずなんです、これは。だから、どうもそこが、あなたのこの談話発表のやつとどうもいまの受け答え見ておると、これは大臣どちらが真意かと、私はもう疑いたくなりますけどね。――まあそれはいいでしょう、いろんな意見。
 それで、さらにお尋ねしたいと思いますがね。次に、あなたは談話の中でこういうことを言っておられるようですが、事実かどうかですね。屎尿くみ取り、じんかい焼却の現業公務員と同様に――教員にという意味でしょう、教員にスト権を与えるのはおかしい、先生がそんな連中と一緒にとは思っていないと、こういうものの言い方をやっておるわけでございますが、これはあれですか、私は、その屎尿くみ取りあるいはじんかい焼却の現業公務員と、それは仕事の内容は違いますよ、あるいは仕事の内容にどちらが重要性があるかということも、それは見る人によって違いましょうけれども、しかし同じようにこれは自分が働いて、自分が労働をして賃金を得て生活してるところのものには間違いないでしょう、学校の先生も、この皆さんだって。それさえもあなたのものの言い方は否定をするようなものの言い方なんだが、真意は何ですか。
#95
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、労働関係調整法で現業の公務員には争議権が与えられたわけでございます。当時市町村で現業の公務員というとどういう方々だろうかなとちょっととっさに考えました。考えまして、当時としますとやっぱり屎尿とか、じんかいとかいうものを扱う方々だなと、こう判断をしまして、現業の例としてそれをあげたわけでございます。現業と非現業の違いを申し上げたわけでございます。私きょうお昼に、どの新聞でありましたか、投書欄を見まして、私が屎尿やじんかいのことを扱っておられる方と先生との間の責任の重さが違うんだというようなことを言うたというような式で投書が載っておりまして、言わないことを言うたということにして投書をされる方もひどいもんだなという感じを持ったところでございまして、要するに、当時の英文官報ではパブリック・エンタプライゼズということばを使ってるわけでございます。公企業ということばを使ってるわけでございます。要するに使用料とか手数料でまかなっていくような仕事、やはりそういう仕事につきまして、手数料、使用料――だから給与問題で争いがある、それはとことんまで争議権で争ってもいいだろうと、そのかわり使用料、手数料を上げていけばいいんだというふうな考え方じゃなかったかと私は推測をいたします、現業に争議権を与えまして、あとの者については与えませんでしたから。その現業の種類として当時市町村に広くある現業というと何だろうかなあと思いながらその例をあげさしていただいたわけでございまして、それと非現業、先生方とは違うんだと、スト権与えられたのは現業であって、非現業には与えられなかったんだという意味で申し上げたわけでございます。
#96
○宮之原貞光君 その現業の例で述べたということの限りではきわめて私は不用意だと思うんですね。これはあなた、世の中に、関係者にどう受け取られているか御存じですか、それぞれの当事者の皆さんに。――これはいずれはほかの委員会の、たとえば地方行政あたりでも問題になると思いますけどね。あなたがもの言ったことが、当時たまたま北海道で開かれたところの自治労大会でたいへんな問題になってるんです。言うならば、この屎尿くみ取りとか、じんかい焼却という仕事は非常に卑しい仕事で教員と身分が違うんだと、こういうものを端的に示すところのことばの紹介としてあなた、受け取られているのですよ。言うならば、これは差別だと。私は、いつか予算委員会で同和教育の問題であなたとやりとりをやりました。本質的には全くそのものの考え方は変わらないと、奥野文相は、けしからぬという声が、これは関係労働者の間にほうはいとして起こっているのですよ。それをあなたいまただ現業との違いで云々ということにしたがったんだと、こう幾ら弁明されようとも、あなたのもののこの発言というのはそういうふうに受け取られているのですよ。それでもあなた、それはあくまでもあの言い方は正しかったと思っておられるのですか。
#97
○国務大臣(奥野誠亮君) 私がそのことばを使った経過なり考え方なりを説明さしていただいたわけでございます。いまの宮之原さんのお話、差別的に受け取られるおそれがあるとすればたいへんなことだと心配をいたします。そういう疑念を生ずるということをいまおっしゃっていただいたわけでございますので、そうなりますと適切な例示でなかったと、こう言わざるを得ませんで、たいへん残念なことだと、こう考えておるわけでございます。
#98
○宮之原貞光君 そこらあたりは、私はあなたに注意しますけれども、ざっくばらんに適切でなかったと、いろいろ誤解を与えてすまなかったと、これぐらい言われたらどうですか。これはあなたの立場に立って私は忠告しますよ。いかがでしょう。
#99
○国務大臣(奥野誠亮君) たいへん御注意いただいてありがとうございます。ほんとうにそう思っております。こういうことばを使わなかったほうがよかった、こういうことばを使ったために差別的な受け取り方をされた、たいへん残念だし、相すまないという気がいたします。ほんとうにいま宮之原さんのお話を伺いましてもっともだなと、こう思っております。
#100
○宮之原貞光君 次に、引き続きまして公制審の問題についてお聞きしたいのです。
 あなたの談話を見てみますと、どの程度おっしゃったか、まずお聞きしたいのですが、教員のストライキ権の禁止はあたりまえだ、法で禁止されているというところから、近く結論が出る公制審でも教員などについては認めないようだと聞いておると、こういう予告記事を、談話を出しておるのですが、それ事実ですか、どうですか。
#101
○国務大臣(奥野誠亮君) 私があいさつをしましたのは三十日でございまして、二十七日に公務員制度審議会の公益側委員の素案が労使双方に提示されまして、その日の夕刊にもうすでに大きく報道されました。私があいさつに申し上げましたのは、新聞等で見ているところによると、公益側の委員の中に、先生と申しましたか、非現業と言いましたかの方々に争議権を与えろという意見は出ていないように思いますと、こういうことを申し上げたわけでございます。先ほどもちょっと申しましたが、実定法の解釈と立法論、労働政策、二つ分けて考えなければなりませんので、将来どういうふうに向かう、公務員制度でいろいろ議論されているわけだから、たまたまその中で公益側の委員の素案が数日前に発表されておったわけでございますので、それにはスト権を与えろとは言うてないようですというようなことは申し上げました。
#102
○宮之原貞光君 そうすると、ここに掲げてある近く結論の出る公制審でも教員などに認めないようだ云々と聞いている云々というのは、これは間違いですか、報道が。
#103
○国務大臣(奥野誠亮君) 報道が間違いだと思います。同時に、近く結論が出るというようなことを申しませんで、九月三日が任期になっておると、こういうことは申し上げたと思います。同時に聞いているというようなことを申しませんで、私は、新聞にこう書かれていると、そこからこういうふうに私は理解をしていると、こういう話のしかたをしたように思っております。
#104
○宮之原貞光君 そうすると、これはそれを書いた新聞が間違いだということになりますね。それで、やはり先ほど言いましたように、議事録と申しますか、記録がこれはやはり大事な問題だけにほしいのです。記録を出すようにひとつ、文部大臣が事実と違うことを書かれておると、こう言われたことを晴らすためにもひとつ大臣、記録を出すことに協力をしてください。
 それで、さらにお尋ねをしますが、それなら、公制審はきのうまとまったようでございますが、この争議権の問題についてどういう出し方をしたというふうに理解をされていらっしゃいますか、特にこの非現業関係は。
#105
○国務大臣(奥野誠亮君) 非現業については三論併記になっておるわけでございますけれども、現業について書かれている三論併記とかなりニュアンスが違っておるわけでございまして、やはり非現業は当分現行どおりだというふうにこの表現の中からは私なりに推測をいたしておるところでございます。
#106
○宮之原貞光君 これはちょっと強引過ぎやしませんかね。きわめてすなおに書いてあるんですよ。非現業職員の争議権については三つこう併記をしてですね――と意見があるとだけとどまっているんですよ、これは。それをあんた自分の希望的な観測をつけて、それは現状のままだと、こういうふうに言われるのはちょっとこれは無理がありはしませんかね。最初のそれは前田試案の中にはあったかもしれませんわな。しかし、これはすなおに三つ併記しておるんですよ。だから三つの意見があったということにとどまっておるんです。少なくとも、あんたが強調したかったところ、教員はスト権を認めないような方向に公制審などはありますという方向とは結果論としては違っておりゃしませんか。どうなんですか、その点。
#107
○国務大臣(奥野誠亮君) これは答申の読み方の問題にもかかってまいりますから、私は私なりの読み方をしていま申し上げたわけでございます。なかなかそう言っても宮之原さんのお気には召さぬと思うんですけれども、それはそういうことでお許しを得ておきたいなと、こんな感じがいたします。公益側の素案のときには上の二点だけでございました、新聞の報道を見ておりますと。それから前田会長の試案というようなものが出ました。そしてまた、この最後の三点がつけ加えられたという経緯をたどっておりますので、それで私なりの推測を申し上げたわけでございます。
#108
○宮之原貞光君 それなら現業関係のその問題はどういうふうに理解されておるんですか、関連してお聞きしますが。
#109
○国務大臣(奥野誠亮君) これは、私は最後のところが大体多数の意見かなという感じを持ってこれを見ておるわけでございます。スト権を与える。そのかわり調停前置とか、争議行為の意思決定についての規制とか、争議行為の予告とかいろんなことがございますが、それをあわせてやれと、これが多数の意見だったのかなという感じを持って読ましていただいております。たいへん率直な私の感想を申し上げて恐縮でございます。
#110
○宮之原貞光君 というと、大臣の解釈としては、現業関係は認めるような方向で、こういう問題、こういう問題、こういう問題が問題点があるという、認めるような方向性というのが明確じゃないけれども、そこはかとなく出ておるし、片一方のほうの非現業はそれはノーと、こういうような意味に受け取られると、こういう御理解ですか。
#111
○国務大臣(奥野誠亮君) いずれにしても、公式の場所でございますし、私も政府の一員でございますので、そういう問題につきましては、やはり担当の大臣にお尋ねをいただきまして、私からかってな推測をこの際に申し上げることは控えさしていただきたいと、お願いを申し上げておきます。
#112
○宮之原貞光君 しかし、あんた有名な、労働問題にも詳しい、行くとして可ならざるところなしの大臣だともっぱら評判があるんだから、そう御違慮されぬでいいですよ。しかも、私がさっきから聞いておるところのやはり教員のストライキ権の問題とも関連するから、私は尋ねておるんですよ。ただ、あなたがこう言ったからといって、私はそれが政府の方針だからなどと、こういうようなことは私は言うつもりはありませんけれども、あなたがこれを読んだときのすなおな理解というものはそういうふうに理解してよろしゅうございますかと、こう軽い気持ちで尋ねておるんですからね、ひとつ答えてください。
#113
○国務大臣(奥野誠亮君) いまも申し上げましたように、現業処分についてやはり三論併記しているわけでございます。三論併記の中で最後のところが、いろんなスト権を認める、それについてはこれだけの措置はとらなきゃならない、たいへん詳しく書いているわけであります。これだけ詳しく書いているどころを見ますと、やっぱりそこに重点があったなと、こう読まざるを得ないんじゃないかなと、こんな感じで申し上げているわけでございます。いずれにしましても、公制審の論議の経過というものがたいへん大切だと思いますし、今後だんだん明らかになってくるわけでございましょうから、そういう経過もよく理解した上で判断、推測をしていかないと間違いを起こすんじゃないかと、こんな心配もありまして、いまのようなお答えをさしていただいたわけでございます。
#114
○宮之原貞光君 これは私もすなおに読みまして、このやはりものの書き方から見れば、この前文の入れられたところの「労使関係の実情を現状のまま放置すべきでない」という部分、本文の末尾部分で、「政府は可及的すみやかに争議権を解決することが適当」と書かれた部分、さらに公益委員側の案、前田試案、修正案、答申と、それぞれの案が公表され、それを修正されたところの過程、こういうものを総合的にとらえるならば、これはやはりだれが何と言っても、将来現業部門の労働者にもスト権を与えるよう政府は努力しなきゃならぬという一つの方向性が出ておるという見方は私は常識だと思うんですよ。この点は、私は大臣が先ほど答弁されたことと何か合うような気がする。おそらく大臣も大まかとしてはその方向性を言っておると思うんですがね。ただしかし、非現業の問題については、少なくとも、これから見れば、これは結論を明確に出しておらないということは言えるんじゃないでしょうかね、どうなんですかね。
#115
○国務大臣(奥野誠亮君) たいへん重要なお尋ねでございますので、私からやはりこういう問題については、まだけさ答申が手渡されたばかりの段階でとやかく言うのは、ぜひ避けさせていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。
#116
○宮之原貞光君 それではあれはいいでしょう、現業部門のやつはね。非現業のやつは少なくとも併記されているという事実はあんた認めるでしょう。その上によけいなあなた観測するから、先ほどもう一つのものをはっきりしてもらわなければ困るというのだけれども、現実の問題としては、討論の過程は別にして、併記されているということは事実でしょう。少なくとも、教員のストライキは禁止すべきところの方向でいけと書かれていないことは事実でしょう。どうですか。
#117
○国務大臣(奥野誠亮君) 三つの意見がある。そして、三つの意見の最後のところに争議権を認めるであろうとする意見があるという事実を記載されていることはそのとおりであります。
#118
○宮之原貞光君 だから先ほど言っておるように、あんたこの間、段平を振りかざして教員ストライキというものは禁止される方向にあるんだと、こういう暗示を与えるようなものの言い回し方はどう処理するにしても、こういうものを公制審に、私はひとつあなた、予断を加え過ぎていると思う。少なくとも、私はどうもそれはおかしいと思う。
 それともう一つお尋ねしますが、この中で、団結権の問題と関連をして、「登録制度は存続させるものとするが、登録をされない職員団体が当局に交渉を求めた場合においても、当局は合理的理由のない限り、恣意的にその求めを拒否することのないようにつとめるべきである」という条項がある。これは端的に言って、日教組や自治労のことを言っていると思うのです。登録団体でなければ中央団体、こういうことについて、これは討論の過程の中から見ましても、いろいろ関係委員の方から聞いても、やはりその中に含まれている。このほうもやはり意図するところはそうだということを新聞報道も、あなたの言われているとおりしていると思うのです。その点もやはりそのように理解されますか。
#119
○国務大臣(奥野誠亮君) 従来からも政府はこういう気持ちでおったと、こう思いますし、私もこのとおりだと思います。ただ、いまおっしゃった日教組、自治労が言う場合の当局ということになりますと、中央各省が当局にはならないのじゃないか、こう思います。そんなことは別にして、どんどん話し合いをしたほうがいいと、こういう考え方を持っておるわけでございますけれども、この字句に根拠を置いておっしゃいますと、ちょっと問題があるなということは、やはり申し上げざるを得ないと、そんな感じがいたします。
#120
○宮之原貞光君 この字句のどこに問題があるんですか。たとえば日教組とあなたが会うことが、この字句と、それじゃ反したことをあなた、こんなことをやっていると思っているのですか。
#121
○国務大臣(奥野誠亮君) 日教組の組合員は地方公共団体の任命にかかっている人たちでございますので、ここに当局ということばを使っておりますので、当局ということになりますと、中央各省がすぐそういう場合の当局にはならないのじゃないだろうか、こう字句に論拠を置いて議論しますと、そんなことになる、こう思って、そう答えているわけであります。しかし、そういうことを離れてどんどん積極的に話し合いをしていったらいいじゃないか、こう私自身は思っております。こういうことでございます。
#122
○宮之原貞光君 この当局ということば、登録という問題については結局、中央団体が登録されないのは、それはその地域の地方公務員の団体でないから登録されないのでしょう。そうすると、各地域地域の登録されたところの団体の中央団体というのは、これは非登録団体であるということにいまの登録制度から言って、これは事実問題としてあるのですよ、現実問題として。それを登録をしていないから、してあるからということで、それを理由にして交渉を、あるいは話し合いというものを拒否をするということは、これは好ましい方向でないということは明確でしょうが。あなたは非常に腹立たしくて当局、当局ということばにこだわっていますけれども、言わんとしておるものは、たとえば自治労から見れば、これは主体的な大部分は自治省にありましょうし、あるいは日教組から見れば、文部省関係者だということに見られることはこれははっきりしておるでしょうがね。しかし、その言わんとするところの精神はそこにあるんだということはあなたは御理解できませんか、この点は。違いますかね。
#123
○国務大臣(奥野誠亮君) そういう問題点のあることは承知しております。ただ、登録制度が設けられましたときには、法律には登録団体については当局は交渉に応ずべき地位にあるものとするという表現でございましたか、とにかく話を持ってこられたらその話を受けて話し合いをしなければいけませんよということで、登録団体と非登録団体とを区分したと、こう記憶しておるわけでございます。その非登録団体について、ここでこういう規定が書かれているということになりますと、必ずしも自治労、日教組のことがここで規定されたんだと、こうは当局ということばからならないように思うんですと、こう申し上げたわけであります。しかし、この表現と別個に実質的にはどんどん話し合っていったらいいじゃないかと、かように私は思っておりますということをつけ加えさしていただいておるわけであります。
#124
○宮之原貞光君 これはあなた討論の経過というものを踏まえなさいよ。たとえば、公制審に出ているところのこのメンバーですよ、いわゆる地公労関係者として二人も委員が出ているわけですよね。そして、そこで主張されたところの趣旨と、前田さんから出たところの話、そういう経緯から見れば、これはやはりその事実はあなたやっぱり肯定せざるを得ないんですよ。そのもとの裏に流れているところの経緯というのはあなた全然それを無視するわけにはいかぬでしょうが。それを二言目には、当局の文字にこだわって当局といえば文部省だと、こう言われやせぬかと思ってあなたは言われているけれどもね、この公制審の二年有余にわたるところの経緯の中では、これは実質的にはさしていることは事実なんですよ。それはあなた調べてくださいよ。それを六法を持ってきて言ったってこれは話始まらぬですよ、それは討論の過程の、この審議会の過程の中でのものの話なんですから。当局の定義は何ぞやと、私が尋ねたらあなたはその六法でもってお答えすればいいんだから。私は定義を聞いているわけじゃないんだから。いわゆる言わんとするところの真意というのは、そこにあるんだということも理解してもらわなきゃならない。しかしまた、あなたの答弁を聞くと、それはとにかくとしてしばしば会って話したほうがいいと思いますと、これは真意ですか、ほんとですか、日教組との問題は。
#125
○国務大臣(奥野誠亮君) いつでも喜んでお目にかかります。
#126
○宮之原貞光君 それならあなたこれぐらい新聞記事にこう出ておるようなたくさんのものを書かれておる、じゃ日教組が大臣に会って真意を聞きたいと、どうだと、こう言われたときには、あなた会っておれの真意はこうだと、あるいは君らの意見はこうだと、じゃ聞くところの用意はありますか。非常に誤解を与える面もあると、それならば会って話をしたいと、こういう申し入れがあったらあなたは応じますか。それをはっきりここで約束してもらいたいんです。
#127
○国務大臣(奥野誠亮君) いつでも喜んでお目にかかりたいと思います。同時に、先般槇枝委員長その他の方々とお目にかかりましたときに、私はこういうお話をいたしましたし、そのことを二人で共同会見の席上で新聞記者の方々にお話をいたしたこともございました。私は、今後も日教組の批判はさせてもらいますよと、しかし、日教組のすべてが悪いとは思いませんよと、あなたたちも中教審の答申紛砕などと言われるけれども、いいことも書いてあるじゃありませんかと、中教審の答申が一切悪いんだと、あるいは文部省の政策が一切悪いんだと言わないようにしてくださいよと、それはそのとおりだと、こういう話になりまして、その話をそっくり二人が記者会見をした席で披露もいたしておるわけでございます。やはりお互いにざっくばらんに言い合わなければ前進しないんじゃないか、こんな気持ちでおるわけでございまして、私は、一方的に他方をきめつける、こんな気持ちはございません。ただ、私も行政当局者でございますので、やはり法の定めるところ、これが行なわれるように持っていかなきゃならない責任を負っておりますので、一方でストだ、ストだと言われますと、それはしないでくださいと、こう強くお願いしていかざるを得ない立場にあることは御理解をいただいておきたいと思います。
#128
○宮之原貞光君 まあ、大臣がこの問題とも関連をして日教組から会見の申し入れがあるならば会っていつでも話をするにやぶさかでないと、この点はよろしゅうございますね。――それでそのぐらいの気持ちがおありならば、まあ、あなた先ほど行政の立場としての立場も理解していただきたいという話があったですが、それはそれぞれの立場の相違というのはわかりますよ。けれどもそれぐらいのあなた考えがあるならば、非常にいま私が質問申しましたところの非常に多くの問題点をからんだものの言い方というのが一体私は大臣の姿勢としてほんとうにいいのかどうか、これはあなたいろいろな事情はおありでしょうけれども、タカ派中のタカ派になっちゃったんだ、このものの言い方は。どうあなたが弁明しようとほんとうにあなたがいまおっしゃったように、それぞれの立場はあるけれども話し合って議論するものはしようじゃないかと、言いたいことも言うけれども、話し合ってやることはやりたいと、こうおっしゃるならば、どうでしょうか、あれだけ新聞の三面をにぎわしたようないろいろな記事だねになるようなものの言い方というのは、以後少し注意されたらいかがでしょうかね。
#129
○国務大臣(奥野誠亮君) 御注意心にとめて考えていきたいと思います。ただ、私のちょっと心配している点、御理解いただきたいと思います。これもまた宮之原さんとは考え方が基本的に違っているんじゃないかと思うんですけれども、やはり私の心配しているのはスト行為でございます。四月の二十七日に半日ストが行なわれた、七月の十九日にもまたストが行なわれた、その間に群馬の大会で来年の春闘には一日ストを行ないますよと決定されている、そして、八月の二十四日、二十五日に蓼科で都道府県の委員長、書記長会議が持たれまして九月の二十日ごろにまたストをやる、十一月には二時間ストをやる、来年の春闘には二波のストをやる、一波は二時間だと、二波は一日ストだと、こんなことをきめておられるわけでございまして、これはやはりぜひ教育秩序は守っていただかなければ困る、潤いのある現場にしていきたいと考えているのに、またこういうことで校長さん、教頭さんと組合員との間で対立が起こってくる、これは何とかして是正していきたい、これはもう私の頭の中でしょっちゅう去来している問題でございます。こういう心配を頭に描きながらスト権につきましてこの間は最高裁の判例まで引用して私なりに説明をさしていただいた、いささか恐縮だと思いながらも、あえてストについての説明をさしていただいたわけでございまして、行政当局者としては、私は当然法が守られる、そういう方向に努力をしていかなければならない責任を負っているんじゃないかと、こう思っているわけでございます。ただ、先ほど屎尿、じんかいで御注意を受けまして、もっともなことだと思います。また、私のことばが若干挑発的だと受け取られているようでございますけれども、そういう点については、できる限り将来ともよく話し合いできるような方向でことばの使い方も考えていかなければならぬかもしれません。それはもうお互いにざっくばらんに言い合っていくことも私は大切なんじゃないかな、こんな気持ちもあわせ持っておりますので、今後も御指導をお願い申し上げておきたいと思います。
#130
○宮之原貞光君 私は、大臣にこの違う立場のものを言ってもらっては困りますと、こう申し上げているんじゃない。それは行政当局は行政当局のものがありましょうけれども、ものの言いようというのはありますからね。けれどもこの記事を見る限りでは、これはもうそう思えません。だからその点だけ申し上げておきます。
 それで続いていま大臣のちょっと触れられた最高裁の判決の問題について、これやはり談話の中にも出ておりますから、談話の問題と私は関連をしてお聞きをいたしたいんですが、大臣がこの四・二五の最高裁の判決を鬼の首でも取ったようにもうこれを見よ、大段平をかざして、非常にこれをもとにして非常な強腰になってきておられますけれども、この四・二五の判決に対して在野の法曹界なりあるいは下級裁判所に非常な戸惑いと批判がある、あるいは国民の間で最高裁の権威というものはどういうものだろうと、最高裁といういうのはどういうものだろうと、こういう最高裁批判の声があるというこの事実はあなたは感じませんか、どうですか。
#131
○国務大臣(奥野誠亮君) いろいろの意見があるということはよくわかります。同時に、四十四年の四月の最高裁の判決、あれについてもいろんな意見がございました。それをひっくり返す判決にもなったわけでございますから、また、別な意味での意見が出ている。これはもうよく理解をいたしております。
#132
○宮之原貞光君 これは単に理解できますだけでは私はおさまらぬ話だと見ている、これは日本の司法のあり方の問題についても。
 あなたもいまおっしゃったように、四十一年の十月には全逓中郵判決が出ておりますね。それから三年たった四十四年の四月ですか、都教組判決。それから四年たったらこの中郵判決なり都教組判決を百八十度変えるような、同じく大法廷の判決が出ておるのですね。これは下級裁判で出たものが上級裁判でどうされているというのはわかりますけれども、同じ最高裁の大法廷でこう出ておるという、この目まぐるしい変転というものは、これはあなたふしぎにお思いになりませんかね。これは率直に申し上げて、裁判所の裁判官のメンバーさえかわれば判決というものはいつでも変わっていくんだと、こういうことを国民に与えておることは、これは否定できませんよ。そうでしょう。だから時の政治権力が裁判官の任期がえのときにどんどん人を変えていけば、自分たちの都合のいいように判決が出せるような仕組みに裁判所というものはなり得るんだという、これは一つのものの批判というものを、あるいはそういう危惧を与えているということは、これは否定できませんよ。こういう裁判の、しかも大法廷が四年の間に全く逆なことをするというこのやり方に対して、そういう意見のあることも聞いておりますぐらいの程度で済む問題でしょうかね、大臣。まあ、あなたは法務大臣じゃないですから、私は、いわゆる担当大臣としてどう思いますかということは聞かないけれども、国務大臣の一人として、こういう変え方に対して、むしろこれは、これが賛成であろうが反対であろうが、国民の間に最高裁のあり方というものに対して疑問を与えているということは、これは否定できないと思いますが、その事実はどうですか。あなたに認めろと言っても無理かもしれませんけれども、これは私は大きな問題だと思いますけれども、いかがなものでしょうね。
#133
○国務大臣(奥野誠亮君) そういう意見をおっしゃる方もあることは承知いたしております。しかし、だんだんといろんな考え方が出てきて、そうして考え方が固まってくるというのが今日の日本の経過じゃないだろうかという感じがするわけでございます。憲法論議もいろんな変遷を経ていることは御承知のとおりでございます。その中でやはり発展してきている。最高裁判所の裁判官の方々も、ただ、あそこの中で閉じ込もっておられるだけじゃなしに、世の中のいろいろな議論、いろいろな著作、そういうものに目を通しておられるわけでございますので、そういうものの影響ももちろん受けておられるだろうと思います。私は、やはり一つの進歩の過程じゃないか、発展の過程じゃないか。しかし、この結論に対してよいとか悪いとか、いろんな批判はそれは当然あるだろう。また、そこが自由に言えるところに日本のよさがあるんだろうと、こう思っておるわけでございます。それがまた議論によって将来裁判官がいろんなまた影響を受けていくということもいなめないのじゃないだろうかと、こう思っております。
#134
○宮之原貞光君 全逓中郵判決のときには八対四で出ておる。都教組判決は九対五で出ている。それをひっくり返したところのものは八対七という、きわめて一票差というきわどい発表になっております、多数意見と少数意見の違いは。しかも、この七人の裁判官がやはり異口同音に言ったのは、このような憲法解釈の変更は憲法改正にも匹敵するところのものだと、最高裁の示すこの憲法解釈というものはその性質上から慎重にならなきゃならないし、圧倒的な裁判官の多数がやはりこれに合意したというものでなければ国民に最高裁の信頼性というものを失わせることになるんじゃないかというものの言い方をしていますが、私は、これは当然だと思うんです。あなたはものの進歩だと言いますけれども、これは当時の判決が出たときの各新聞社の社説を見てごらんなさいよ。時の流れに逆行するところのやり方だとほとんどの新聞は出ていますよ。あんたはうそだと思ったら、お帰りになってあの社説を見てごらんなさい。一体、あんたはこれは世の中の進歩に即していると、こう言うけれども、いわゆる世論の多くの見るところの目は逆の見方をしておるんですよ。それだけに、私はこの最高裁のあり方という問題は、ひいては政治不信をも巻き起こすところの要素を持っている。それだけに、あんたただ口を開けば、あの最高裁の判決が出たんだから、教育公務員のストライキ権はちゃんと判決が出たんだからだめだだめだ、こういう段平で押しつけるだけが私は能じゃないと思う。そのところをやはりあなた姿勢として私は考えていただきたいと思うんです。その点どんなもんでしょうか。
#135
○国務大臣(奥野誠亮君) いま一票差というお話がございましたが、賛成になっていない方が、判示の示し方で、実質的に反対の方は五人じゃなかったかという気がしますが、それはとにかく別の問題にいたしまして、従来の四十四年の判決につきましても、民事的な処分、賠償問題でございましょう、あるいは行政的な処分、それについては異議を差しはさみませんで、刑事処分について限定解釈すべきだという主張であったように思います。争議行為を禁止するそのことを根本的に否定をしている判決ではなかったと、こう私は理解をしているわけでございまして、ちょっとそこに宮之原さんと私との間で四十四年の判決につきましても理解の違いがあるんじゃないかな、こんな感じがいたすわけでございます。
#136
○宮之原貞光君 そこで、もう一つ関連してお尋ねしますが、これは先ほども大臣が言いよったんですけれども、公務員のストライキ権というのは憲法で禁止をされておると、先ほど大臣はおっしゃられた。また、このものの言い方も、そういうような形で言っておられるようですが、大臣はそう思っておられるんですか。
#137
○国務大臣(奥野誠亮君) 四月の二十五日の最高裁の判決でかなり詳しく説明的なことも書いておったように思います。私も大体同じような考え方を持っておるものでございまして、公務員といえども、憲法二十八条の労働基本権の適用はある。反面、十五条でございましたか、勤労者も含めました国民全体の公共の利益に奉仕していかなければならない責任も負っている。したがって、それなりに代償的な措置を講じて争議権の禁止をすることは、憲法二十八条に抵触するものではない、こんな考え方を持っておるものでございます。
#138
○宮之原貞光君 それで、端的にお尋ねしますけれども、そうすると、公務員のスト権というのは憲法で禁止をされておるんだと、こういうようにあなたは言い切っていいですかどうか。そういうお考えですか、どうかということを端的にイエス、ノーをはっきりしておいてください。
#139
○国務大臣(奥野誠亮君) いま申し上げましたように、二十八条と十五条、両方の規定の適用があるんだと、こう申し上げておるわけでございます。したがって、それなりに適当な、合理的な代償措置を講じて、団結権あるいは交渉権は認めるけれども、争議権は認めないということは、二十八条に直ちに抵触するということにはならないんだ、こう申し上げているわけであります。
#140
○宮之原貞光君 いや、私の尋ねているのは、公務員のストライキ権というものは、これは憲法の規定に従って禁止をされておるんだと、こう明確にあなた先ほども――私の記憶では、ちょっとメモしたんだが、憲法に禁止をしてありますと、こう明確に言い切っておるからあらためてそのことをあなたにお尋ねしているんですよ。どうなんですか。そういうふうに憲法なっていますか。
#141
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が会議の席で申し上げましたのは、いまお尋ねをしたようなことを申し上げたわけでございます。禁止している、禁止していないという端的な質問に答えろと、こうおっしゃるなら、十五条には国民全体の奉仕者だと、こう書いてあるわけでございますから、国民全体に奉仕する者が国民を背にする怠業、罷業、それはできないということになるんじゃないだろうか、こう思います。
 反面、また二十八条では、労働基本権を保障しているわけでございますから、その適用も受けているんだと、こう言ってあるわけでございます。
#142
○宮之原貞光君 二つを合わせりゃどういうような表現ができますか。
#143
○国務大臣(奥野誠亮君) 同時に、両方の規定を適用されるものだから、したがって、合理的な適切な代償措置を講ずるなら、争議権を禁止する、認めない、そのことは二十八条違反になるわけのものではないんだということでございまして、それが四月二十五日の最高裁判決の基本的な立場であったと、こう理解しております。
#144
○宮之原貞光君 いまのお話から言いますと、少なくとも、じゃ教員のストライキを含めて公務員のストライキというのは憲法で禁止しておるんだと、こういう端的なあなた、大段平を振りかざすことだけは間違いですね。一番重要なことを私は聞いているのですよ。
#145
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、いま憲法規定を申し上げたわけでございまして、憲法に基づいて法律が制定されるわけでございます。その法律では禁止しているわけでございます。
#146
○宮之原貞光君 私は、憲法の話を聞いているのだ、あなたに。憲法二十八条に言っておるのだから。
#147
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、憲法と、憲法に基づく法律、あわせまして憲法体制と、こう考えたらいいと思うのでございまして、憲法を守るという場合には、憲法に基づく法律も守らなければ憲法体制を守ることにはなりません。また、憲法を守ることにはなりません。そういう意味で、現行憲法に基づく法制では禁止されていると、こう端的にお答えできると思います。
#148
○宮之原貞光君 そうすると、少なくとも、それならば、憲法に禁止されておるという端的な言い方、間違いですね。――それはそう言えましょう、いまのあなたの話をすなおにとってもね。そうでしょうあなたはあとには憲法体制ということばで言い直しているけれども、少なくとも、日本国憲法にも禁止されておるんだという段平の振りかざし方だけは、これは間違いでしょう。それはお認めになるでしょう。
#149
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど申し上げたとおりでございます。十五条と二十八条、十五条で見れば、そういうふうになるし……。
#150
○宮之原貞光君 あのね、大臣、端的に私は聞いておるのですから、端的に答えていただければいいのです。
#151
○国務大臣(奥野誠亮君) 憲法で禁止されているという言い方も適当でなければ、憲法で許されているという言い方も適当でない、両方、私は言える、こう思うわけでございます。
#152
○宮之原貞光君 だれも許されているという言い方しませんよ、あなたに。あなたのいろんな表現が、憲法で禁止されておるという段平を振りかざしておるから、ほんとうにこれは憲法で禁止されておるのですかと聞いておるのです。そうではないと、しかしながら云々という、この説明のくだりなら、それは一応またあなたの解釈として私はわかりますよ。けれども、憲法で禁止されておるという段平の振りかざし方だけは、これは言い過ぎで間違いでしょうと、こう言うのですよ。私は舌足らずと言うのですよ。その事実は認めるでしょう。
#153
○国務大臣(奥野誠亮君) 何でもないことのようで、誤解を与えるものですから、私は禁止されているとも言えないし、許されているとも言えないと、こういう憲法規定だけでは言えないと、こう申し上げたわけでございます。でありますから、そういう宮之原さんのような尋ね方をされますと、そのとおりだと、こうお答えしていいんじゃないかと私は思います。
#154
○宮之原貞光君 だからすなおに、それはそうだとおっしゃっていただけばいいんですよ。あなたはさっき私が質問したときに憲法で禁止をしておるからと、こう言っておったから、じゃ、憲法論議はあとにしましょうとあと回わしにして、いまあらためて尋ねるのです。少なくとも、これは判決文を見ましても、一一六ページですか、この判決の主文。これを見たってこれはやはり「多数意見の立論は、公務員の争議行為を禁止することこそ憲法の要請であり、至上命令だというような途方もない前提」は考えておりませんと、まあそれだって言っておるんですよ、これは。あの判決を下したところの問題で、ただ、やはりあなたがおっしゃった二十八条と十五条との関係からこういういろいろな段階の制約があって、それをどうする、さらに、法律でどうしようというものであるからやはり違憲だと言えないと、こう言っておるだけなんですよね。だから私はその点はやはり明確にして、あなた方もものを言ってもらわなければ、これは一国の国務大臣から憲法に禁止しておると、こう言われるとみんな頭はそう思うんですよ、それは大臣。だからそれはわかりました。
 そこで次に進みますが、この政治活動と政治ストの問題で少しまたお尋ねしたいと思います。これもあなたの談話の中にあるのですがね。こう見てみますと、談話は非常に分野が広いね、それこそもう一国の総理の労働政策、あるいは労働大臣以上のことを言っておられるから、だから私は具体的にお聞きしておかなければ困るから言っておるのだね。お聞かせ願いたいのです。
 このあなたのものの言い方が、教育基本法で先生の政治活動は禁止をされておると、禁止をしているんですか、こう言っておられるようですがね、この文章を見る限りでは。ほんとうにあなたはそういうものの言い方をしたのですか、どうですか。
  〔委員長退席、理事楠正俊君着席〕
#155
○国務大臣(奥野誠亮君) そういう言い方はしません。教育基本法は、学校は政治活動をすることができないですか、何か表現がございます。法律は出しております。それから教育公務員特例法、公務員法――公務員法と言ったかもしれません、合わせて。その他いろいろな公職選挙法もございます。どの法律とどの法律を引いたか覚えておりませんが、とにかくそういうところで教員については政治的な中立が要請されているということは申し上げました。
#156
○宮之原貞光君 そうしますと、この新聞記事にある教育基本法で先生の政治活動は禁止しておるというこのものの言い方は、これは大臣が言った言わぬは別にして、これは間違いですね、いかがでしょう。
#157
○国務大臣(奥野誠亮君) そのとおりです。
#158
○宮之原貞光君 しかしどうも大臣、間違いを思わせるようなきわどいものの言い方せぬでもらいたいですね。やっぱりそこは大臣は政治家で、ねらいはそこに置いておってきわどいことを言っておられるのかもしれませんけれども、そういうのは無用な混乱を起こしますからね。大事な筑波法案をあなた方やらにゃならぬ前に、あえてこうして時間をかけてやらざるを得ないような事態をあなた招いているのだから、そういうものの表現を、あなた言わぬでも、新聞記者の皆さんに受け取らすようなものの言い方しておる、だから私は途中でもこのものの言い方を今後注意されたらどうですかと、こう申し上げているわけですが、それはまあ別にいたしまして、少なくとも、この教育基本法の八条の規定というのは、「法律に定めるところの学校では」云々と、ここで学校教育の中で特定の政党を支持するとか、しないとかと、そういうような教育をこれはやってはいけませんよと、こういうふうに私はこの教育基本法の八条のものの考え方は常識的には考えられると、こう見ておるのですね。しかも、八条の今度は前文――第一項ですね、第一項の中にやはり明確に「良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。」やはり学校教育におけるところの政治的な教養をつけさせるためのいろいろな手だてというものは必要だということも第一項に書いてある。言うならば、この第八条の精神というものは、一項と二項とが重なり合ったときにきちんと適正な判断ができるものだと、私は判断するわけなんですが、その点は、そのように理解しておいてもよろしゅうございましょうか。
#159
○国務大臣(奥野誠亮君) 第八条に関します限りは、そのとおりだと思います。
#160
○宮之原貞光君 ところで、もう一つこれと関連をしてお尋ねいたしますが、あなたが私の質問に対してそれはそのとおりだと、こうおっしゃった。「ILO・ユネスコの教員の権利」の七八の問題です。こう書いてあるのです。「教員は市民が一般に享受する一切の市民的権利を行使する自由を持ち、かつ、公職につく権利をもつべきである。」と書いてある。そして、あなたは、このことについては、そのことは正しいとおっしゃった。このことは、これは少なくとも教員の政治活動の自由ということを私はこれは保障したところのものだと。これはいままでの経緯から見てわかるわけですね。やはりこのことと教育基本法の八条との関連で見ましても、やはり一般的な政治活動の教員の自由ということはこれは当然でございましょうね。どうなんです。
#161
○国務大臣(奥野誠亮君) 政治活動と、こうおっしゃいますと、その政治活動でたとえば特定の政党の勢力をふやすとか減らすとかいうような式にいろいろ広がっていくものですから、八条は「政治的教養」ということばを使っているわけでございます。それで私は、そのとおりに理解しておりますと、こう申し上げたわけでございます。政治的活動ということになってまいりますと、いろんな立法によっていろんな制約を受けていることは御承知のとおりだと、かように思います。
#162
○宮之原貞光君 それはもちろん公職選挙法もありますし、教育の政治的中立確保に関する法律もありますよ。しかし、その中においての政治活動の自由というのは、そのワク内でも相当広いところの分野あるんですからね、そのこと自体まで否定されぬでしょうと、こう申し上げているんです。どうなんですか。
  〔理事楠正俊君退席、委員長着席〕
#163
○国務大臣(奥野誠亮君) 政治活動の自由ということになってまいりますと、公務員の特殊性からいろんな制約を受けること、これはまあやむを得ないんじゃないだろうかと。逆にまた、そのことを通じて公務員の立場を保障している、保護しているということに私は現行法制はなっていると、こう考えておるものでございます。
#164
○宮之原貞光君 原則的にはあなたは、ILO・ユネスコの先ほど私はこれを肯定しますと、こうおっしゃった七八見てごらんなさい、パラグラフのね。そうすると、これは「教員は市民が一般に享受する一切の市民的権利」云々と書いてあるんですよ。これだけの問題に従えば、これは少なくとも、一般的市民が持っているところの権利ですからね、政治活動の自由というのも。政治活動の自由ということも当然この中に含まれておると解釈するのがこれは常識的な考え。だからその原則はあなたも認められているとおりだと思う。ただ問題は、日本の場合には教育公務員特例法もあるでしょう、あるいはそれは第八条の問題の規制もあるでしょう、基本法のね、あるいは公職選挙法の問題もあるでしょう、だからこのILO・ユネスコの一般的自由というものも野放しでないことはわかりますよ。しかしながら、その中においても、これはやっぱり政治的な活動の自由の分野というのは相当ありましょうが。そのことまであなた否定される気持ちはないでしょう。どうなんです。
#165
○国務大臣(奥野誠亮君) この点になりますと、ちょっと私考え方だいぶん開きがあるんじゃないかなという感じを持たざるを得ない気がいたします。やはり公務員につきましては、できる限り身分を保障していく、そのかわりだれが内閣を組織し、だれが知事になり市町村長になってもその公務員の身分は変わらない、そのかわり、政治的には常に中立的な立場をとっていく、そういうことを公務員に要請する、そういうことをもってまた行政の体制を常に安定さしていくと、こういうような仕組みをわが国の法制では考えているんじゃないかと、こう思うわけでございます。したがいまして、公務員に関する限りは、政治活動相当な制限を受ける、また受けざるを得ない。そして、一面には行政の公正を確保する、他面には公務員の地位の安定をはかっていく、これを私はねらっているんじゃないかと、そんな感じを持っておるものでございますので、若干気分的には違いがあるんじゃないかなと、こんな感じを持って伺っておったところでございます。
#166
○宮之原貞光君 どうも、私は基本的問題を大臣に聞いておるんでね。それは基本的には、これは教員も一般市民と同じように公務員とはいえども政治活動をやはり認められているという基本的な考えに立っております。しかしながら、あなたがおっしゃったいろんな法律上の制約がある。その中におけるところの行動というのは当然でしょうが。あなたはそれを好きかきらいか別にしても、それは行なわれることは当然でしょう。それさえもあなた困るとおっしゃるならば、これはまた憲法で言ういろんなたいへんな、思想、信条の自由やいろんな問題にひっかからざるを得ないんですけれども、このことは当然いいじゃないですか。あなたがきらいかきらいでないかは別だよ。これは当然のことじゃないかと思って私は何回もあなたにそういうこととまで、そのワクの中でのものというのはできるんでしょうねと念押しをしておるんですよ。
#167
○国務大臣(奥野誠亮君) やはり公務員と一般市民とは政治活動の面においてかなり大きな開きがある、こう考えているわけでございまして、また、憲法でその根拠を求めていけば、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないんだと、こう規定しているところにも、その根拠があるように私は考えているわけでございます。
#168
○宮之原貞光君 いや、いろんな法律上の規制があるということは私は否定しませんよ。それは抜きにしても、その中におけるところの、これはまあ問題はあんたが政治活動の問題を言ってるから言っておるんだけれども、教員のワク内におけるところの政治活動の自由というのはあるでしょう。それさえもあなたはじゃ悪いと言うんですか。そこをはっきり聞かしてください。私は私律の、あの法律は全然否定しますから、この憲法で基本されているところのすべてのものに認めなさいとあなたに要請しておるんじゃないんだ。いろんなものはあるでしょう、それは法律上の規制が。規制の中においてもある程度の政治活動というものは認められておるでしょうが。それさえもあなたは否定されるお気持ちですかと言って聞いておるんです。
#169
○国務大臣(奥野誠亮君) どうも話が食い違っているようでございますけれども、私は、一般市民の場合と公務員の場合とでは政治活動の範囲に相当な違いが出てくる。その根拠は何かと言われれば、憲法でもことさら公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないと、こう書いておるところにも求められると、こう申し上げているわけでございます。そういうことを通じて政治活動については制限を与える。制限を与えることによって一面には行政の公正を確保する、他面には公務員の地位の安定をはかっていくということではなかろうかと、こう私は日本のたてまてを理解しておるものでございます。
#170
○宮之原貞光君 あなたは言質をとられまいとしきりに防御していますけれども、何も私は一般市民と教育公務員の政治活動の範囲が一緒だと、こう言っておるんじゃないんですよ。いろいろワクがありましょうと、しかし、ワクの中でも政治活動というのは認められておるでしょうというんですよ。全面的に教員には政治活動してならないという規定になっていますかと聞いておるんですよ。そこをはっきりおっしゃいよ。
#171
○国務大臣(奥野誠亮君) 一般の市民に許されている政治活動の中でも、公務員なるがゆえにいろいろ制限を受ける。そういう問題は幾多ございますと、こう申し上げているわけでございまして、一般の市民に許されているから公務員に許されなければならないとは言えない。そこの点は御理解いただいていると思うんでございますけれども、その範囲の問題に帰着するんじゃなかろうかと、こう思います。思いますが、たてまえは憲法にもそういう根拠を置いておるんですと、こう申し上げさしていただいているわけであります。
#172
○宮之原貞光君 どうも何であなたがそれを認めぬのか、私はどうもわからぬのですがね。何も私はあなたのように、一般市民と同じようにあなたがどう言おうと認めなさいと、それをあなたうんと言いなさいと、こう言っておるんじゃないんですからね。私も先ほどから何回も言うように、一般市民と、それから教育公務員といういろんな条件がありますわね。ワクの大きさ、小ささの違うということは事実認めますよ。認めておるというんです。けれども、そのワクの小さな中での教員の政治活動というものをあなたは否定をされますかと、こう言うんですよ。それは当然お認めになるでしょうと。ワクというのは、あなた、法律の規制上のワクですよ。そこにあなたにとても歯切れの悪い、あなたの、明敏な大臣が言わぬのがどうも私はふしぎでわからない。
#173
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど申し上げていますように、政治活動が制限されていると申し上げているわけであります。禁止という表現は私は使っていない、制限されている、こう申し上げているわけでございます。同時に、政治的中立が要請される、特別なものだということもお答えさしていただいているわけでございます。
#174
○宮之原貞光君 その政治的中立というのは何ですか。どこかにか出ておるんですか。政治的中立を守れというのは、ちょっと教えてください。
#175
○国務大臣(奥野誠亮君) 全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないんだというようなことからそう理解できますし、同時に、先ほど義務教育の中立確保に関する法律などをおっしゃいましたが、児童や生徒に対してそういう働きかけをしてはならないということは規定されておるわけでございます。
#176
○宮之原貞光君 だからいわゆる教育の中立性云々というのはありますよね。それは児童、生徒を通じて特定の政党云々、こう、こういうものは困りますよ。いわゆる学校教育の中でやるのはいかぬですよと、こう書いてあるわけです。これは教育の中立性ということばが適切かどうかは別にいたしましてもね。しかし、あなた、少なくとも私が先ほど来聞いておるのは、学校教育の中でそれをやる可否をいまあなたに論じておるんじゃないですよ。教員が一般市民として、あるいはまたいわゆる教員として学校教育外の問題で、一般市民が持っておるところの政治活動の保障の権利、それにはいろいろな制約があって――それはありましょう、制約は。しかし、その現行法は私ども不満ですよ。けれども、その中でもそのワクの中におけるところの教員の政治活動というのは当然これは認めらるべきでしょうと。このあなたが言うのは好ましくないか、それは別だよ。法律的には当然でしょうと、私は申し上げておるんだけれども、あなたが一向それを肯定されぬのが私はふしぎでたまらぬから何回も同じことを申し上げておるんですよ。それはどうなんですか。
#177
○国務大臣(奥野誠亮君) 制限されていると、こう申し上げておるわけでございますから、もちろん投票その他政治活動、許されるのがあることは当然でございます。
#178
○宮之原貞光君 初めからそう言っていただければわかるんですよ。だから私は何もこれはあなた、五月八日の本委員会におけるところの小林武委員との質疑の中でも教育の中立性の問題についてはいわゆる学校教育の中を言っておるんだと。私はそこまで言及しようとは思わない。しかしながら、常識的に考えて、いま言ったことはこれは当然のことだと私ら思っておるから先ほど来何回も立っておるんです。まあそれで一致すりゃ、それでいい。
 そこで大臣、この大臣の「政治が好きなら教員をやめろ」、この見出し、これは非常にセンセーショナルな見出しですが、これはほんとうにそうおっしゃったんですか。そしてこの意味は何ですか、真意は。それを聞かしてください。
#179
○国務大臣(奥野誠亮君) さっきもちょっと触れましたように、組合がたびたびストを計画されている、これはもう根本でございます。もう一つは、御承知のように、組合の執行部を担当しておられる方々はみな教員に籍を置いて組合活動に専従しておられるわけでございます。したがいまして、職務専念義務は免除されますけれども、他の教員としての服務規定、これには服さなければならない方々じゃないか、こういう二つのことを頭に置いて申し上げたわけでございます。同時に、そういう議論があるようでございますので、私なりに思い出して夕べどういうことを言うたんだろうかなと思って自分なりに書いてみたわけでありますが、「一年前にことしの半日ストをきめた。ことしはまた前橋の大会で一年前に、来年は一日ストをやるのだときめている。何かたいへん政治が好きだなあという気持ちを持ちます。個人の活動は自由ですから、そんなに政治が好きなら教員をやめて政治屋になってもらいたいと私は希望を申し上げたい。教員でありながら政治的な行動に興味を持ち過ぎることはぜひ避けていただきたいものだと、こう申し上げざるを得ないのでございます。」と、こんなことを申し上げたわけでございまして、それがいま御指摘になりましたような新聞の表現になっておるわけでございます。
#180
○宮之原貞光君 これは一つの新聞だけじゃないんですね。これはそれぞれ違う新聞ですけれども、「先生やめ政治屋になれ」、政治が好きなら教員をやめろ、これくらい私は教員を侮辱する話はないと思うんですよ。これだったら学校の先生は政治の問題について関心を持ってはいけないと、こういう意味だとしか受けとれぬのですよ。そういう意味ですか。
#181
○国務大臣(奥野誠亮君) いま申し上げましたように、ストのことを申し上げているわけでございまして、そういう指令をお出しになる執行部の方々皆さんやはり教員なものでございますから、在籍専従の制度をとっておられると思うのでございます。たびたびスト指令をお考えになる、そこが私の一番心配をしている点でございまして、そういう点をさして私なりにこう申し上げざるを得ないのじゃないかと思いますと、こんな話をさしていただいたわけでございます。
#182
○宮之原貞光君 そうしますと、少なくとも大臣が言っているのは、教員は政治に無関心たれという戦前のような気持ちで言ったのじゃない、そういうことは言えますね、どうなんですか。
#183
○国務大臣(奥野誠亮君) それは、そのとおりでございます。私はストを頭に置いてものを申し上げておるわけでございます。
#184
○宮之原貞光君 そうすると、これはさらに一歩進めると、教員が政治が好きで云々というこの見出しが、大臣から言えば悪いのだと、こう言いたい話でしょうけれども、これはだいぶまだ誤解を与えるものの言い方ですわな、大臣ね、あなたのことば忠実にすなおにもし私が受け取ったにしろ。そこで、お尋ねしますが、政治ストというものの中身は何ですか。ちょっとそれ聞かしてください。
#185
○国務大臣(奥野誠亮君) いろいろあるだろうと思いますけれども、スト権奪回闘争でありますとか、あるいは義務教育の先生方が筑波大学法案の撤回を求められるとかいうことは、公務員法で認められております勤務条件の維持改善をはかることを目的とするという目的からははずれたことじゃないだろうか、こういう感じを私としては持っておるものでございます。
#186
○宮之原貞光君 たとえば、あなたが言うその人確の問題にしても、これは教員自体から見れば自分の労働改善の問題ですよ、それは端的に言えば。労働条件と非常なかかわりのあるところの問題なんですよ、これは何といったって。あるいは教頭法の問題だって、いわゆる学校運営の問題からやはり自分たちの労働条件にからむところの問題になっていくのですよ。そういう自分たちときわめてかかわりのあるところの問題について、これを法的な強制以外の、結局それをやることによって法律的にどうだという強制力は持ちませんから、言うならば、世の中で言われておる団体行動ですよ、あの行動は。そういうものまで政治ストはけしからぬ、けしからぬ、これは国民の表現の自由にも関連する基本的な問題だけれども、これはノー、イエスという意思表示をすることは当然じゃないですか。それは政治ストだからものを言うな、言うなと押しつけるのも私は政治ストという名前のもとに、政府のいろいろな意見に反対するものはみな押しつぶそうとするところのものの考え方と言われたって、これは言い返しのつかない話になりやしませんかね、どうなんですか、その点は。
#187
○国務大臣(奥野誠亮君) 基本的に法律で禁止しているスト行為、これを計画する、私は、やはりこれ自体一つの政治的な行動じゃないか、こう申し上げることができる、こう思っておるわけでございます。同時にまた、組合の目的は勤務条件の維持改善でございまして、筑波大学が小中学校の先生の勤務条件とどうかかわり合いを持つか、あるいはまたスト権奪回ということになってまいりますと、やはり一つの政治目的を追求して行なう団体行動じゃないだろうか、こう思うわけでございます。私自身、表現の自由をこれを制約しろと申し上げているわけじゃございません。しかし、表現の自由ならそれなりにやり方があるのではないだろうか、こんな感じを持っているわけでございまして、先般来行なわれているのは、やはり争議行為、同盟罷業、怠業的行為、こういうことに当てはまる行動ではないだろうかなというふうに私なりに理解をいたしておるわけでございます。
#188
○宮之原貞光君 まあ、あなた二言目には、法律に禁止されている云々といいますけれども、私は最高裁の判決のあり方を先ほど来申し上げたように、本来くるくる変わっているようなかっこうで始まっているだけに、それを法律に規定されているからどうだ、こうだと言ったって、私はこれはほんとうに教員のストライキ権というものは、これは憲法から見てもだめなのかと、こうなると非常にあとで問題があるところのものだ。しかも、その起こったところの行動については、かつては刑事罰あるいは行政罰まで解除しようとしたところの判決の下ったところの例もあるわけですね。勤評闘争のころのものですよ。あなたも御承知でしょう、佐賀の判決にしても、その無罪の判決がちゃんと出ているわけです、行政処分の問題についても。そういうような経緯の中にあって、いわゆる一体教員のストライキというものは、合法か非合法かというまさに議論の続いているところの問題なんですよ。そういう問題のあるということと、いま一つは先ほど来言った自分たちの勤務条件の問題について自分の意思表示をするということが、これはけしからぬ、けしからぬと言われたのでは、それはあなたがけしからぬと輪をかけてやること自体が、私から見ればどうかと思います。しかも、それをストライキやるとすれば、すべて議会民主主義の否定につながるんだというものの考え方は、私は、率直に言ってあなたと意見がおそろしく隔たりがありますけれども、これは一つ問題点だと思います。
 そこで、私も時間がありませんからはしょって申し上げますけれども、もう一つだけ処分の問題について若干お伺いします。これは、後ほどまた安永君からも詳しく指摘をされると思いますけれども、この処分の問題について、あなたは、新聞を見る限りでは、福岡だけを一人ぼっちにするなと、お前たちも断固としてやれと、しきりに叱咤激励をされているような新聞記事が出ているのですが、ここが一番言いたくて叱咤激励されたのだと思いますが、そういうことですか、あなたの真意というのは、新聞に報道されたとおりですか。
#189
○国務大臣(奥野誠亮君) ストが計画されましたときから、ストはぜひやらないでくださいというお願いはしてまいりましたし、同時に関係の向きに対しましては、不幸にしてそういう事態が起こった場合には、それなりに厳正な態度をとってもらいたいと、こういう要請もしてまいったわけでございまして、その結果として福岡が先般処分をいたしましたので、やはり教育秩序はみんな協力して当たらなければ守れないわけだから、福岡に対して協力をしてほしいという要請を申し上げました。それはそのとおりでございます。
#190
○宮之原貞光君 いま一、二点だけ聞いてやめますが、あなた、先ほど来私が議論してまいりましたところの四・二五の最高裁の判決ですね、この処分問題に対するところの多数意見はどうだというように解釈されておりますか。
#191
○国務大臣(奥野誠亮君) ちょっとお尋ねわかりにくいのですけれども、私は、四・二五判決、その考え方に対して賛意を表しているものでございます。同時に、先ほど行政上あるいは民事上の処分についてもいろいろな判決が出ているようにおっしゃいましたが、それは下級審の判決であって、最高裁の判決では私はそういう混乱はなかったと、いままでにそういうものは出ていない、こう理解しているわけでございまして、刑事上の処分について限定解釈が行なわれた。
#192
○宮之原貞光君 控訴を棄却して佐賀の皆さんは職場に復帰しているじゃないか、あなた。
#193
○国務大臣(奥野誠亮君) 三審制度をとっているものですから、最高裁の判決ではいまだになかったと、下級審の判決にはいろいろなものがございます。それは御指摘のとおりでございます。三審制度をとっておりますので、最終的にやはり最高裁の判決を待たなければならないということを申し上げているわけでございます。
#194
○宮之原貞光君 この問題で言えば、佐賀の高裁で、あなた、きちんと無罪判決が出たから、教育委員会もそれを是認して、前の都教組判決も出ていることもあったでしょう、そのままそれを認めた。認めたということは、当時の文部省もそれを認めたのですよ。文部省が認めないことを、あなた、県の教育委員会独自でやり切れるものですか、それくらい強い力を持っているんだから、あなた方は。だから職場に復帰しているでしょうが、いま。行政処分の問題についてですよ。だからそういう事例もあるじゃないかと、そういうこともあるじゃないかと申し上げている。
 そこで、主題とはずれるといけませんから、あの四・二五判決は処分の問題についてのやはりものの言い方をしていますよ、けれども、残念ながらあなたがおっしゃったように、福岡に続いてお前のところやれ、というものの言い方はしておりませんよ。私は、あの判決自体にはきわめて反対ですし、不満ですけれども、しかしその多数意見はこう書いてある。たとえば一一六ページを見てごらんなさい「禁止違反に対して科せられるべき不利益の限度なり形態なりは、憲法二八条の原点にもう一度立ち帰り、慎重の上にも慎重に策定されなければならない」あるいは一二〇ページの「それにしても、単なる争議行為参加者を処罰するものでないことは、多数意見の容認するところである。」、こうふうにして、厳罰主義というものをあの判決自体、あなたが賛成をする、支持するというところさえも、きわめてひかえ目にその問題について言っておるんですよ。ところがあなたが、続け続けとおっしゃったところの福岡の問題についてはどうですか。いわゆるこの単なる争議行為の参加者まで含めて二万有余という、しかも戒告にするという過酷な処分でしょう。それに続け続けということは、あなたが一番、二言目には大段平をひらめかすところの最高裁のこの意見書を見たって、これは違うということは明白でございますよ。しきりにそこで首をかしげていますけれども、それならもう一回読みましょう。これ、本物がありますから読みますよ。一二〇ページの「それにしても、単なる争議行為参加者を処罰するものでないことは、多数意見の容認するところである。」と、こう出ておるのです。あなたは二言目にはこれを容認する、これを支持する支持すると言いながら、自分の都合の悪いところは、知りません、知りませんと言って、福岡に続け、福岡に続いて処分をしろと、こう言っておって、これは尊重せぬのですか、どうですか。尊重する気持ちがあるかないか、ちょっとそこだけ聞かしてください。
#195
○国務大臣(奥野誠亮君) 率直に申し上げまして、ストをやる、処分をする、イタチごっこを繰り返している、たいへん残念なことだと、こう思っております。それじゃ、いまストが行なわれる、処分しないでおいていいかということになりますと、やっぱり処分をせざるを得ない、こう言わざるを得ない。これをどうどこで転回できるんだろうかが一番の悩みでございまして、行政当局としてはやっぱり、禁止していることが行なわれる場合には、禁止しているとおりに進められる体制をつくらなければならない、そうすると、やっぱり、違反した場合には違反した人に対してそれなりの処分をしてくださいと、こう言わざるを得ないんじゃないかと、こう思うわけでございます。ただ、処分が目的ではございませんで、秩序を確保していくということが目的であること、これは当然のことだと、かように考えているわけでございます。
#196
○宮之原貞光君 だからね、あなたはそれは悩んでおるというのは、行政当局の立場は理解しないでもないんです。しかしながら、あなたが金科玉条みたいに言っておるところの最高裁のこの判決さえも、読んだように、この単純参加者という問題については、きわめて明確にしておるんですよ。それを、福岡のあの過酷な処分を見てごらんなさい、後ほど安永君が触れられますけれども、ほとんど大部分戒告という、こういう処分をしておって、それに続け、続けと言ったなら、あなたの演説そのとおりだったら、片一方は尊重しますと言うが、一体文部大臣の本意というのはどこにあるのかと。じゃ、なるほど行政当局というのは、都合のいいところだけ自分がつまみ食いするのだなと、こう言われたってしようがないでしょう。もしこれを尊重するという行政の筋を通すなら、あの演説の筋についても、私はやはりもう一回慎重に検討してもらいたいと思うのですが、いかがなものでしょう。
#197
○国務大臣(奥野誠亮君) 現在教育界、非常に問題をいまのようなことでかかえているわけでございますので、どう今後とも対処していくか、非常に重要な問題だと思っております。いろいろな御意見を伺いながら、ぜひ解決をはかるように私としてはいろいろな面から努力をしていかなければならない、そういう責任は強く感じておるものでございます。
#198
○宮之原貞光君 これで、質問を終わりますが、ずっとお尋ねをしてきたところの問題点は、これはきわめて重要な幾多の要素をはらんでおるだけに、いろいろな問題点を私はお聞きしたんですけれども、大臣、少なくとも、あなたがたとえば法律解釈に慎重であるぐらいの気持ちを持つなら、やはりこのものの表現、言い方というのも慎重にして、必要以上の混乱を起こすそのことだけは私は今後十分お慎みになったほうがいいんじゃないかと思うんです。それはまあ党内の何とか会というものから見れば、ようやったという拍手かっさいがあるかもしれんけれども、しかし文教の責任をあずかるところのあり方としては、少なくとも、私はるるただしてきましたけれども、あなた自身ちょっと言い過ぎなところがあるということお感じになっているでしょう。ちょっとあの表現はまずかったな、ここはこうだったなと。(「ちょっとじゃないよ」と呼ぶ者あり)しかし、あなた自身だよ、それは。ぼくらから見れば全面的に間違いなんだけれども。(「ちょっとじゃありません」と呼ぶ者あり)ちょっとじゃないというのがみんなの気持ちだよ、率直に言って。しかも、最後のくだりの処分の問題なんか、全く相反することを、あなたは片一方では段平をひらめかせながら、片一方では都合の悪いのは、しきりに初中局長が頭をひねっているけれども、教育月報かなんか一生懸命さがしているけれども、ないことはないんだよ、原本にあるんだからね。そういうものをきちっとやられて、やはり平地に乱を起こすような教育行政だけはせぬようにしてください。それだけを申し上げまして私の質問を終わります。
#199
○安永英雄君 いま、宮之原委員の質問を通じて非常にはっきりしたことは、先月の三十日の日に行なわれた全国都道府県教育委員長あるいは教育長、この総会において発言をされたその内容というのは、各報道機関が報道していますように、新聞どおりだということが確認できました、私は。そのとおりです。いまこの中でそうでないということは一つも出てこなかった。したがって、私は、この報道は正しい、このとおりだというふうに私は確認をしました。それはよろしいか。いま宮之原さんが質問をした。その中で、この新聞の内容についてただしても言ったし、一つ一つ何かあなたの言い分はないかということで相当親切に聞いていきましたけれども、その点については、ここに書いてあるとおりのことだというふうに一括して言えると思う。ひとつこの新聞どおりだということをもう一ぺん、私は確認していますが、あなたからその確認をただしたいというふうに考えます。これが基本になりますから、何も記録がないんですけれども、記録見る必要もない。いまの二時間半にわたるこの質問の中で、私は、この新聞報道はこのまま正しいというふうにとりますが、文部大臣どうですか。
#200
○国務大臣(奥野誠亮君) 新聞記事も多数にわたっているだろうと思いますし、また、記事を中心にして宮之原さんからお尋ねがございまして、私からまたお答えもさせていただきましたので、先ほど来の経過でひとつ御判断しておいていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
#201
○安永英雄君 あなたは当初に、ひとつ私もいまからの審議のためには一括して言いたいことがあると言われて、一つ一つこられて、そうして私はそう確認するんですけれども、私、これ読みましょうか。見ましたか。読みましょうか。このとおりの記事間違いないと。読みましょうか。そうしないと、いまから先の審議に入れない。あとからそれは違っておったとか、違ってなかったとか言われたら、これは何にもなりません。私は、まあ最初に宮之原さんのほうから質問があって、この記事は間違いないと、あなたは一つも訂正されなかった、そのようにとって、それを基本にして質問をしていきたいと思うんで、まあ一括でいい。はっきり言って、これは間違いであるか、間違いでないか。
#202
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど来の応答で御理解いただけるんじゃないかと思うんです。どの新聞か知りませんし、また、新聞の記事によってはいろいろとあるんだろうと思います。したがいまして、先ほど来の私がお答えしておったことはそのとおりでございますので、それをそれなりに受け取っていただいてよろしいんじゃないかと、こう思います。
#203
○安永英雄君 そうであれば、私のほうは、この新聞記事その他については正しい報道が行なわれておるという前提でいまから聞いてまいります。
 そうすると、これが正しいということであれば、政治が好きなら教員やめろとまさしく言ったということです。いまさっき何かそこに紙がありますけれども、これはもう明らかに政治が好きなら教員をやめろと言った。あるいは先生が屎尿くみ取りと同じだとは思わない、こういうこともまさしく言っておる。そうして多少説明がついている。ぎゅうぎゅう言わされて、ことばづかいが、ちょっとこういう例を出すのがまずかったと言うだけにとどまっておって、明らかにこれははっきり公式の席上で言っておる。あるいは政治的な運動、こういったものは絶対にやってはならない、こう言っておる。増原さんは天皇の問題に触れておやめになりました。しかし、これはただごとではないのですよ、あなたがおっしゃったことは。ただごとではない。すべて憲法に触れる問題なんです。政治が好きなら教員をやめろと、一国の文部大臣が教員に言うことばですか。口が裂けても言えないことばなんです。あるいはまた、どう言いわけをしようとも、屎尿のくみ取りに従事する人というものと教員、こういった中で差別をはっきり言っておる。私は、表現の自由あるいは思想、信条の自由――憲法十四条、憲法十九条に明らかに抵触する発言をしておるんですよ。増原さんは憲法九条の問題、これでおやめになった。私はここで端的に聞きますけれども、あなたは先ほどにやにや笑っておられましたけれども、事の重要さ、みずから公式の席上で発表をした、口から出たそのことばについてあなたは責任を感じませんか。私は、こういうことを、平気で憲法を踏みにじるような発言を得々とやる、これは一回じゃないですよ、あなた。得々とやって何ら恥じることありませんか。明らかに法のもとでは平等なんですよ。職業の選択の自由なんです。表現が悪かったとか、持ってくる材料が悪かったということで許されませんよ、あなたは。明らかに差別をしておるんです。あなたはまた、ああこれは屎尿くみ取りというところが悪かったなら、また別のものを持ってさておけばよかったと言われるけれども、この発想そのものが憲法違反ですよ。かつて福岡で一教育委員長がこのことを言って、みずから職を辞してやめましたよ。それぐらい重要な問題ですよ。あなたはにやにや笑って済ませる問題ではない。私は全般的に言って、これは平気な顔する問題じゃない。ただ、教員だけがおこっている問題じゃないですよ。自治労だけがおこっている問題じゃない。こういうことを言う文部大臣、この人が一国の子供の教育の行政の最高の責任者かと思えば許されないですよ。私は、この問題について総括的に新聞に載っておったとおりに言ったと、あなたは先ほど間違いなく言っておる。いま私が言った三つほどの、いわゆる憲法に抵触するような問題もあえて否定はしなかった。この問題について責任をどうお感じになるのか。やめませんか。増原さん、これはあれだけのことを言ったんだからと、責任をとっていさぎよくやめられた。あなたはたびたびなんですよ。何か、対日教組の問題とか、対教員の問題だと考えているけれども、これは全国民に対する侮辱なんです。そういうふうにあなたはとらなければうそですよ。答弁のテクニックや何かで片づく問題じゃない、私はそう思う。あなたはどう思いますか。
#204
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど宮之原さんとの応答の中で御理解いただいたんじゃないかと、こう思っておりましたが、重ねておしかりをいただいているわけでございます。
 二つの問題を御指摘になったわけでございまして、政治が好きなら教員をやめたらということ、私なりにこういうことを言ったなということを思い出しながらメモしたものを先ほど読み上げたわけでございます。やはりストが続いていく、そのことが気がかりで私にはならないわけでございます。同時に、ストを計画され、指令される方々も教員の身分は持っておられる方々でございますので、それだけに私としては、教員でありながら政治的な行動に興味を持ち過ぎることはぜひ避けていただきたいものだと、こう申し上げざるを得ないのですということで結んだわけでございます。ただ見出しで、そんなに好きなら教員をやめろと、こうなっちゃいますと、何かそういう言いっぱなしの言い方をしたように受け取られまして、いまのようなおしかりを受けることになるんじゃないだろうかと、こう申し上げるわけでございます。私としては、ストはぜひやめてもらいたい、やめてもらいたいにもかかわらずそれが続いていく、そうなりますと、それなりに教員の身分を持っておられるだけにそちらのほうで活動してもらうというように私としては希望申し上げざるを得ないんですと、こういうふうな批判をさしていただいているわけでございますので、そこはぜひそのように御理解をいただきたいと思います。同時に、個人の活動は自由なんですからと、こうも申し上げておるわけでございます。そういう、まあ私が希望申し上げているくだりであるとか、個人の活動は自由なものでございますからとかいうようなことがありませんで、ぽっと一言だけ、こう取り上げられますと、いろいろ御批判いただくようなことが起こってくるんだろうと、こう思うわけでございます。しかし、先ほどもお答えをさしていただいているわけでございますので、その点はぜひ御理解を賜わりたいと、こう思います。同時にまた、屎尿やじんかい処理の問題もまた重ねてお話しいただきました。これも先ほどお答えを申し上げましたように、労働関係調整法で現業以外の官吏その他の者は争議行為をすることができない、こう書かれた。その現業とそうでないものとの区分、その現業として当時市町村で考えられるものはああいう仕事だったかなあと、こう思いながらそれを引例さしていただいた。しかし、御指摘がありましたように、差別と受け取られる、これはもうたいへんなことだと、私としてはそういうふうに受け取られるようなことばを使ったことは相すまないことだと、こう申し上げさしていただいたわけでございますので、その点につきましても、先ほどのお話をぜひ御理解をいただきますようにお願いを重ねて申し上げておきます。
#205
○安永英雄君 そう言われたのは、先ほどから聞いています。しかし、あなたは基本的に持っている、ものの考え方を。政治が好きなら教員をやめろと、あなたそこもう一ぺん読んでください。そう書いているですよ。もう一ぺん読んでください、そのとおり言っているんだ。
#206
○国務大臣(奥野誠亮君) 「一年前にことしの半日ストをきめた。ことしはまた前橋の大会で一年前に、来年は一日ストをやるのだときめている。何かたいへん政治が好きだなあという気持ちを持ちます。個人の活動は自由ですから、そんなに政治が好きなら教員をやめて政治屋になってもらいたいと私は希望を申し上げたい。教員でありながら政治的な行動に興味を持ち過ぎることはぜひ避けていただきたいものだと、こう申し上げざるを得ない」と、こう申し上げたわけでございます。
#207
○安永英雄君 そのことですよ。政治が好きなら教員やめろという以上に、その文句が、いまの文言は憲法違反だ。一教員として政治に関心持つななどと一国の大臣が言えますか。一人一人、権限のある国民の一人一人に、あなたは政治的な関心を持つなと、そのこと自体のあなたの感覚というのが憲法違反と私は言っているんだ。それから出てきて教員やめろということよりも、私はそれのほうが、あなたの気持ちがこわい。思想、信条圧殺じゃないですか、暴君ですよ。全国のいまあなた百万からの教員に対して、教員よ、お前たちはとにかく教員やめろということどけてもですよ、その中に。政治的な関心持ちなさんなと要望しているじゃないですか。首振っているけれども、もう一ぺん読んでみなさい、そう書いてある。なお悪い。新聞の文句よりもなお悪い。御丁寧ですよ。
#208
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が申し上げていますのは、ストライキは禁止されておるわけでございます。そのストライキがたびたび計画され、指令されている。その指令されている方々がやはり教員の身分を持っておられる在籍専従の方々でございます。やはり違法な行動はぜひ避けてもらいたいという気持ちが強いわけでございます。しかし個人がいろいろな活動、どんなところで働こうと、活動しようと自由なわけでございますので、そういうことを頭に置きまして、そんなに政治に興味を持っていただいておるんならほかのほうで働いていただいたらどうだろうかと、ぜひそんな興味を持ち過ぎることは避けてもらいたいんだと、こう申し上げざるを得ないんですという私の希望的表明をいたしておるわけでございますので、その真意をぜひ御理解をいただきたいと思います。
#209
○安永英雄君 真意といっても、前段のあなたストライキという何か当、面の具体的な問題取り上げているようですけれども、その文章読んで国民が受ける感じというのはどんなもんです。ストライキという問題に限ってそのときたまたま出たことばですと言うけれども、教員は政治的な関心を持つなというのとは別ですよ。もう一度その文章読んでごらんなさい。それは重大なことを言っている。それからいまの屎尿の問題についても、何とか調整法の中で現業、非現業こその問題を言っておると言うけれども、その問題とは別ですよ。あなた一つ前の問題でもストライキの問題について言ったんだと、このことは現業と非現業の区別のところで、現業のところにたまたま屎尿を持ってきたんだと、こう言っているけれども、あなたの本心は先ほどから聞いておっても依然としてやっぱり差別がある。これはあとで聞きますけれども、差別はっきりしているんですよ。あなた。公務員の賃上げと私企業の賃上げはこれは基本的に違いますと、こう言ってみたり、何らかのあなたはすべての問題について差別を持っている、あなたの考え方は。差別持っている。言わないものを私は強引には言わせませんけれども、差別持っているんですよ。あなたはいまさっきそういった考え方というのは持っていませんと言うならば、もう少しはっきり言うべきですよ。私は記者の皆さん方に、この問題については直ちに終わったら記者会見やって、そういうことではありませんと、真意を吐露する私は責任があると思う。この委員会だけでのらりくらりと、とにかくこのストライキのための問題でこう言ったんだとか、あるいは現業、非現業の関係でそこからたまたま出たことばなんだと、例にとったんだと、こういうことでは済まされない。このあなたの言ったことばは全国に広がっている。教員だけじゃない、あなたはこの問題についてははっきりしなきゃならぬ、その考え方ありますか。あなた一つもこれについて悪かったと言ってないんですよ、いままで。あなた悪いと思っていませんか。いまの答弁でそれでけっこうと思っていますか。政治が好きなら教員やめろとは言っていませんと、それを新聞がかってに書いたんだと、そういうことを国民に印象づけたいんだと、何も屎尿くみ取りの問題、これを差別したということじゃない、ただ例に出したんだと言っても、一国の大臣がこういったことを言った限りにおいて、大臣は基本的にそういう考え方を持っているというふうに見るものや、いろいろあると思う。この問題については何らかの形で明確にしますか。その点はどうです。あなたはやめるとこう言ったけれども、やめるならば、このまま放っておくわけですか。放っておくつもりですか。国会を通じてでもよろしい、あるいはまた特別記者会見でもやって国民の皆さんにこの問題について陳謝をするという気持ちありませんか。私は、これは大きな問題だと思う。あなたの答弁次第では、これは社会党は言うに及ばず野党の問題として大きな問題に発展することを一応私は警告をしておきますが、まあ、そういった問題の前に大臣もこれについて、あなたは一かけらも悪かった、済まなかった、そういうふうに受け取られておるなら私の真意はこうですということはいままでなかったんですよ。どうです、これで済まそうと思っていますか。
#210
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほどの話で私は十分お話し合いできたと思いますし、宮之原さんの御注意ありがたく私はお受けいたします、ということを申し上げて、そういう誤解を与えることばを使ってたいへん残念だったし、それは申しわけないことだったと、こうも言っているわけでございまして、国会で私の真意は率直にお答えさしていただいておりますので、ここでいろいろ間違いは間違いとしておただしいただけばよろしいのじゃないかと、こう思っているわけでございます。ぜひ先ほど来申し上げておるところを御理解くださるようにお願いをいたしたいと思います。
#211
○安永英雄君 理解しようたって理解が全然できないですよ、それは。あなた、何も言ってないのだ、言ってませんよ。政治が好きなら教員やめろと、こういうことは言っていません、そこに書いてあるそのことですと、こう言っておるけれども、その紙自身も、明らかに私に言わせればこれより以上のことを言っている。あなたは、これについての大臣として責任感じませんか。屎尿の問題にしたって、あなた、あくまでもストライキの問題にからんでこういうことばがつい出たので、そういうことは言っていませんとかなんとか、こう言いのがれしていますけれども、あなたのは言いのがれですよ、いままで。しかし、厳として、これだけ新聞を読んだ全国民が、とんだことを、この考えの持ち主が文部大臣におるのじゃないか、こう言っていますよ。これは単にちょっとことばのあやとかなんとか、口がすべったとかいう問題じゃない、基本の問題です。その基本の問題に触れるようなことを、私は、言っていないなら言っていないと、はっきり言ってくださいよ。
#212
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど申し上げたことを繰り返すわけでございますけれども、まず屎尿、じんかいの問題については、現業と非現業の区別として例を申し上げたわけでございまして、差別的な考え方はさらさらございません。しかし、そういうように受け取られるじゃないかという御注意がございましたので、それは私として注意しなきゃならぬ、そうであればたいへん申しわけないことだ、残念でございますと、御注意ありがとうございましたと、こうお答えをいたしました。
 それから、政治が好きだという問題につきまして、法律で禁止されている違法行為を計画され、それを実行に移される、そのことが中心で、そういう私の希望を申し上げているのですと、こう答えてまいったわけでございますけれども、いまのお話を伺ってまいりますと、一般の先生方に言ったように受け取られる、となりますと、これはやはりたいへんなことだと思います。そう受け取られているなら、それも私の言い回し方が、言い方が悪いと、こういうことにならざるを得ない。たびたび申し上げますように、組合の執行部にいらっしゃる方々は、教員に籍を置いて、そして組合活動に専従しておられる方々だから、やはり教員の服務、専従義務以外の服務規定、これはかぶさってくるわけなんだと。だから、そういう違法な行為を企て、してしまうことはしてもらいたくない、これを頭に置いて申し上げているのだと、こういうわけでございます。こういうわけでございますが、それが一般の先生について、私がそんな呼び方をしていると受け取られるといたしますならば、これはもうたいへん失礼なことだという感じがいたします。しかし、私の真意だけはぜひ御理解をいただきたい、こういう意味で申し上げているわけでございます。見出しだけにぽんとそれだけ書かれますと、そういう誤解も与えるおそれも多分にある、こういうふうに思うわけでございまして、そういう意図で申し上げているわけではさらさらないのだということでございます。
#213
○安永英雄君 そうすると、あなたの言い方からすれば、一般の先生に言ったことばではないけれども、組合専従とか幹部とか、そういった者に言ったのだと、こういうことですね。そうすると、そういういわゆる先生の身分を保有して、組合幹部をやっておるという人たちは、政治について関心を持ってはいけない、あなたはそう書いている。先ほど宮之原さんが明らかにしたのですが、組合の専従と一般の先生とこう区別をして、幹部のほうに対しては、これははっきり言うなら、政治が好きなら教員やめろ、組合の幹部やめろ、こういうことですか。そういうことですか、要らぬ説明加えたのだけれども。
#214
○国務大臣(奥野誠亮君) 教員でありながら政治的な行動に興味を持ち過ぎることは、ぜひ避けていただきたいものだ、こう申し上げざるを得ないのでございますと、こう結んでおるわけでございまして、それはやはり違法な行為でございます。ストライキをやることは、公務員法で禁止されているわけでございますので、それをたびたび計画されることはぜひ避けてほしいと、あなたもやはり先生じゃございませんかと、こういう気持ちで申し上げているわけでございます。先生でありますだけに、やはり法秩序は守っていただくという基本的な態度はとっていただきたいものだ、こう念願いたしておるわけでございます。
#215
○安永英雄君 あなたはね、私が聞いているのは、政治が好きなら教員をやめろ、あるいは政治に関心を持つなというそのことが、一般の先生であろうと、幹部であろうと、あなたが言う立場のものではないということを私は言っておる、そのことを言っておる。そのことが憲法違反だと、私は言っておる。一市民として、一国民としてどういうことを考え、どういう行動をしようと、一市民としての立場だ。公務員との限界は先ほどあったけれども。言うべきことばではないのです。これは思想、信条の圧殺じゃないか。そのことを私は言っておる。ストライキを云々という問題よりも、その基底にある国民として、一市民として、政治活動を、あるいは政治に興味を持つ、そういうことを持つなとか持たぬとか言っちゃならぬのですよ。あなたはどういう権限でそういうことを言っておるのか、どういう権限でそういうことを言えるのです。同じようなことを言って、教育委員長やめましたよ。確かに憲法違反だ、言うべき筋合いのものではない。れっきとした一国民ですよ、見識も持った。それを今度は一般の先生と幹部とに分けて――いまになったら分けたいと言う。どこに区別がつきます、その先生と。幹部というのは、あなたから言わせると、政治活動、これを教員に巻き起こしていく張本人なんだ、この本人が。だから、これをたたかなければならない。私は、何か怨念みたいなものが感じられる。あなたの発言は、いつも日教組全般はいいけれども、幹部が悪いとか、そういうストライキを組んで指導していく幹部が悪いとか、こう言われますけれども、あなたはあまりにも組合の内部というものを知らない、何も知らない。またそういうことを、私はいまから時間の短い中で言おうとは思いませんけれども、そういう組合を知ろうと知るまいと、一億の国民に対して、一文部大臣が、そういうものに関心を持つなとか持たぬとか言う権限はない、明らかにないのですよ。そのことが、私がやめなさいという理由なんだ。憲法違反ですよ、あなた。そんなことを、親だっていまは言いませんよ、子供に。おまえ、そういう考え方を持つのはいかぬぞとかいいぞとか。ましてや行政の立場にあって。あなたはすぐ、いままで何回もここでこう言われると、何だか知らぬけれども、こういうはずみにこういうことを言いますけれども、事重大なことをいままで言っておるのですよ。私はもうがまんできない。どうですか。どういう権限で言うのです、あなたは。
#216
○国務大臣(奥野誠亮君) 政治に興味を持つなと、そういうことは言っておりません。
#217
○安永英雄君 言ったじゃないか、書いておるじゃないか。
#218
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、行政当局者として、地方公務員法が守られる、教育公務員特例法が守られる、そういうことについて責任を負っていかなければならない立場にあるわけでございます。その場合に、法律で禁止されているストライキを企てる、それを行なうように指令をする、そういうことはぜひ避けてもらわなければならない。しかし、現実には、そういうことがたびたび行なわれてまいっているわけでございます。そこで個人の活動は自由だから、そんなに政治活動が好きなら、それなりに活動してもらう道があるのじゃなかろうかと、私は申し上げざるを得ないのですと、こう申し上げておるわけであります。それぞれ活動は自由なんですから。しかし、私としては、教育の秩序を守っていかなければならない責任を負っておる、そういう意味で、先ほど申し上げましたような表現を使わせていただいたということでございます。
#219
○安永英雄君 ストライキの問題にすぐこう結びつけて、あなたは逃げようとするけれども、それはそういうときの雰囲気の中で言ったということはわかる。ストライキの問題についてからんでいる。しかし、出たことばについてはそれとは別ですよ。それは通らないですよ、実際言うと。まあここであれだったら別の方法をとります。それ以外にない。
 先ほど、これも人材確保法案に賛成だと言いながら、ストに入るのはいかにも主体性がない、こういう発言があった。これは間違いありませんか。
#220
○国務大臣(奥野誠亮君) そういう問題から主体性の欠けている先生方がいらっしゃる、そういう疑問を持ち始めているということは申しました。
#221
○安永英雄君 これは具体的にだれが言ったとかなんとかいうことは一切言わない、非常に無責任な発言だったわけですけれども、あなたの感じで受け取っておられると思います。あなただけじゃない、そういうことを言う人も多少おる。おるがですね、これは事文部大臣となってくると事は重要なんですよ、これは。あなたはこういう認識を持っておられるかどうかは、私も非常に疑問に思ったからもう一回聞きますが、これは明らかに労働組合法の七条違反なんですよ。普通の民間の企業であれば罰金もんですよ、使用者は。あなたは大体組合法あるいは労働組合、こういったものをあまり御存じでないようですけれどもね、あなた団結権は認めていますか、公務員の。どうです。
#222
○国務大臣(奥野誠亮君) 団結権は認められています。
#223
○安永英雄君 団結をするということは、一つの事柄として、たとえば具体的に言うならば、人材確保法案、これが成立するということになれば、これには反対だ。なぜかというと、自分たちに不利益になる。何だかこう文部省の、あるいは政府の宣伝は、一見こう給与が上がるようだけれども、これは全部の教員にとっては、これが将来差別のつく問題も出てくるし、どっこいこの法律は通してもらっては困る。予算も組んであるようだけれども、この予算をいただくわけにはいかない。徹底的に、組合の中に入っておるみんなが団結をしあなたが認めておる団結権というものを持ちながら、その中で――それは賛否両論いろいろありましょう、ありますよ。たくさんないろんな人がおるんだから、それはもらうべきだとか、あれだとか言います。しかし、民主的に最終的にそれがぴしっときまる。これは反対しなければならない、きまる。こういうふうにして組合というものはみんなの要求をくみ上げていくわけです。それは団結権が基底にあるからだ、認められている。そこで、あなたの言っておることは、労働組合法の中で組合を結成したり、あるいは組合を運営する、そのことを支配してはいけない、介入してはいけない。不当労働行為です。その観点から、あなた考えられておるだろうかと、私思ったんですよ。これは明らかに違法な行為をあなたは公然とやっているんですよ。あなたの発言の影響力――あなたがちょっと言ったらこれだけの新聞に載るんですから。その影響力、あるいはその地位、そういったものから考えて、あなたの発言というものは、団結権を持って団結をしておる、その中にはいろんな意見もあろう、しかし、その中をのぞき込んで、そしてあなたが盛んにその組合員一人一人とらえて、おまえ自主性持て、自主性持て、反対とあなた思っておるなら、組合の決定に従がわぬで、そのストライキに入ることはない、このことなんでしょう。組合切りくずしですよ。あなた労働法というのを知ってますか、あるというのを。これで保障されているんですよ、団結権は。それを切りくずしていっているんですよ。明らかにこれは労働法の違反だ。普通の大体町工場とか、もう大きな企業その他については、このことは十分使用者側も知っている。その立場にあるものはみんな知っているから、それまでは実際言わないですよ。たまたま妙な組合あたりでそういったことをされているところもある。それは全部摘発されている。違法行為だ。七条違反ですよ。あなたのはそれにまさに該当するんです。そういった重要なことを言ったと、発言したということをみずからその自覚症状ありますか。このことが、どれだけ、あなたが認めている団結権というものにひびを入れていっておるかもしれない、それは。あなたのいられる地位、あなたの発言力、そういったものから、大臣がそう言っているということで、団結をしている組合の中で一人でも出ていったと、こういったことがあれば、あなたは違法なことを発言しておるんで、こう、いちずにストライキとめようと思って、何とかかんとかと、こういうふうなことじゃなくて、犯したことは大きいんですよ。その自覚はありますか。
#224
○国務大臣(奥野誠亮君) そこだけとらえまして、不当労働行為になるじゃないかということを言われますと、あるいはそんな問題に発展するのかなという感じがないわけでもございません。しかし、私としては、法律で禁止されているストライキ、これはいろんな角度からも、一人一人の先生方に対しましてぜひストライキには参加してくれちゃ困る、法秩序は守ってくれなければ困る、憲法を守るという以上は、法秩序を守ってくれるのは当然じゃありませんかと、みずからの考えに基づいてそういうことには参加しないでほしい、ちゃんとした自分なりの考えを持ってくださいと、やはり私は言わざるを得ないんじゃないかと、それが私の職責じゃないかと、こう考えるわけでございます。先生方は自発性が必要だとされている、みずから考えてくれなければならない。そういう行動が法に触れる行動であるか、触れない行動であるか、そういう自覚のもとに自分の行動を判断してもらわなければ困る。不当労働行為に発展する可能性があるよと言われても、私は別にまた、私の立場上そういうことをお願いしていかざるを得ないのじゃないかなという気持ちがやはり強いわけでございます。
#225
○安永英雄君 あなたは幹部だけが悪いのだと、こういうふうな考え方、そして幹部と一般の組合員との間の離間策、これを盛んにあなたは花火を上げるのだ、いままで。私は、それはあなたのいまのものの考え方からいけば、あたりまえをやっているんだと、とにかく幹部というもの、言いかえると団結権、団結している、それをくずしていきたい、私はそう思っている。日教組六十万、憲法から各法規によって正式に認められた労働組合、一つの団体なのです。これに対してあたかも一般の教員と、組合員と幹部とは違うんですよと、こう離間をやりながら、しかも、いまみたいな形で打ち込んでいく。自主性を持て、自主性を持て、そしてその目的はストライキという問題に結びつけておる。しかし、その発想は最も悪らつなんですよ。しかも、あなたは正直だと思う。そんなこと大体言わないんですよ。裏でやりおっても、そういうことを言わないんです。あなた公然と、おれのやるのが何で間違いだというような顔をしているけれども、これ言ったら大体いままで大臣をやめていくんですよ、そんなことまで言ったら。それはあなたはどぎも強いと思うけれども。あなたはそこのところの自覚症状がないから私は心配なんですよ。この大臣、解決できるのかなと思ってね。ほんとにそう思う。あなたの行政上の仕事というのは、たくさんあるんですよ。一人一人一本釣りしてね、自主性、自主性と、こう言いながらやるような間があったら、山ほどある行政をやらなければならぬのですよ。あなたがこの問題を、あなたの広範な行政の中で、わざわざとにかく強調し、あたかも自分の使命のような形で、新聞に載ることも自覚しないなんていかにもタカ派だ。この際、一点上げようかという気持ちがあるかどうかは別として、そんな道具に使われちゃとにかくたまったものではない。あなたはもう少し、たとえば重症心身とか、養護学校の問題とか、国民にこたえなきゃならないあなたの重責たくさんあるんだよ。そして教員にそういった職場の教育のいわゆる環境というものを整備し、そうしてそこで欣喜雀躍あなたの言うとおりの教育活動ができるようにやらなきゃならぬ部面がたくさんあるんだ。私はそう思う。あなたはいつも全国の教育長か何か集めたときには、何だかほかの校舎建築とか、ほかの問題あたりはそんなになくて、いつも一言多いんだな。このことを、いつも出て、おれはこの点だけは譲れないぞと言う、そういうことでやっていっておっちゃ、日本の教育というのは、これは行き詰まってしまいますよ。
 時間がないから、私は地元の問題として少しお聞きしたいと思う。先月の二十八日に、福岡の県教育委員会、それから福岡市教育委員会、北九州市教育委員会、この三つで処分の発令をすると、こういうことがあったわけですが、その処分の内容について把握しておるところがあればお聞かせ願いたい。
#226
○政府委員(岩間英太郎君) 去る八月の二十八日に福岡県、それから福岡市、北九州市で、それぞれ四十七年の五月十九日、四十八年の四月二十七日、四十八年の七月十九日のストに対する処分が行なわれております。内容は、福岡県の場合は、幹部一人が停職六カ月、県の教組の委員長。幹部一人が停職三カ月、県の教組の書記長。停職一カ月五人、書記次長、執行委員。減給十分の一、三カ月、百三人、県高教組の支部の三役。減給十分の一、一カ月、六十三人、県高教組執行委員。合計幹部につきましては百七十三人の停職、減給が行なわれたわけでございます。一般参加者につきましては、戒告一万三千三百四十五人。内訳は、小中学校で九千百十人、高等学校で四千二百三十五人、文書訓告二万九千二百八十人でございます。
 それから北九州市は、幹部一人停職三カ月、県教組の副委員長。停職一カ月一人、県教組の執行委員。減給十分の一、三カ月、三人、県の教組の支部三役。減給十分の一、一カ月、五人、県教組の支部執行委員。合計十名に対しまして停職、減給の措置が行なわれました。一般参加者につきましては、戒告二千百九十人、文書訓告延べ四千七百八十人でございます。
 福岡市におきましては、幹部二人、停職一カ月、県教組の執行委員。減給十分の一、三カ月、三人、県教組の支部三役。減給十分の一、一カ月、四人、支部執行委員。合計九名に対しまして停職、減給の処分が行なわれました。一般参加者につきましては、戒告三千四十六人、文書訓告延べ五千八百九十三人、以上のようになっております。
#227
○安永英雄君 文部大臣は、あらためて聞く必要もないと思いますけれども、この約二万になんなんとする大量な処分というものについて、基本的にどうお考えになりますか。
#228
○国務大臣(奥野誠亮君) そういう措置をとらざるを得なかった福岡県の事情を非常に残念な感じを持っておるわけでございまして、早く福岡県の教育界の、私流で申し上げますと正常化を達成したいなあと、あらためて希望を深めた次第でございます。
#229
○安永英雄君 ことばではそうですけれども、先ほどの新聞報道間違いなですか。福岡に続け、福岡を孤立させるな、とにかく福岡におまえついてこい。はっきり言えが、こういう大量処分、全国でやったところは全部やれ、こういうお気持ちですか、一番後段の部分は今後考えなければならぬし、そういった状態が来るのは好ましくないと言うのですが、私は、各県教委というものと文部省とのつながり、これが三十日のあの会議でつながった、ぴったり。いままで私は、ずいぶん処分の問題、文部省に聞きますけれども、一番最後に逃げるのは、それは各県が自主的にやられたことでありまして、文部省の知ったことではございません。これが全部各大臣の逃げことばであったわけです。あとは公然とうしろに続け、あとは福岡の駻馬にまたがって旗を振っているわけだ。これが好ましい。見事にやってのけた。全国続けと、本気で考えていますか。
#230
○国務大臣(奥野誠亮君) その点も先ほどお答えさしていただいたわけでございますが、ストが計画されました時点におきまして、ぜひやめてくださいよという呼びかけをしてまいりました。しかし、不幸にして行なわれた場合には、反面、教育行政当局に対しましては、それなりの厳正な対応策をとってくださいよと、こうも申してまいったわけでございまして、結果的にはストが行なわれ、そうしていま御指摘になりましたように、福岡側が処分したわけでございますから、私たちが申し上げておった方向において、福岡県の教育行政当局が処理されたということでございますので、ぜひ他の地域につきましても、福岡県に協力をしてくださいよと、こう申し上げたわけでございます。決してこういう事態が私はいいとは思っておりません。いいとは思っておりませんが、ほかに方法がないのじゃないか、現状においては。こういう気持ちも深いわけでございます。次々にストライキが行なわれる、こういう事態をなくしたいわけでございますけれども、なくするには、やはり違反が行なわれれば、それなりに処分をする、全くのイタチごっこになっているわけであります。どっかの時点で早くこれを転回する道を見出していかなければならない。ぜひそういうことで知恵も授けていただきたいし、また御協力も賜わりたいものだと、こう思っているわけでございます。いままで文部当局がどういう態度をとってきたか知りませんが、私はストはやめてください。しかし、どうしても行なわれた場合には処分をしなければ秩序は維持できません、こう申し上げてまいってきておるわけでございます。その処分につきましては、私が当然その責任者の一人だと、こう申し上げるべきだと、こう思います。しかし、決して好ましいことだとは少しも思っておりません。
#231
○安永英雄君 好ましくないと、これはぜひしなければならぬというような考え方で、しかも、加えて施がないのじゃないか、こうおっしゃったが、この問題について、いまおっしゃったようなことは、むしろ火に油を注ぐようなものではないですか、福岡に続け、福岡を孤立させるな、この考え方と、あなた自身が手のつけられぬように私はしているような気がする、あんな言い方は。他県でもそれぞれやはりこの問題については暗中模索の中ですよ。その中に福岡に続け、こういう大号令は、私は、あなたが後段に言われたのは白々しいような気がする。そうでなくて、火に油を注ぐような大号令をかけた感じが、三十日の時点の会議では感じられる。感じられるのでなくて、私はそう思う。第一私は、こういうように思っているのですよ。この三日、ここらあたりでは公制審のこの結論も出る。先ほども言ったように、いみじくも大体間違っておったけれども、見通しとしては狂ったけれども、しかし、私ども考えているとおりの公制審の答申も出るんだと、また、その公制審も、あなたの考え方では出させなければならない、そのためにはやはり一つの、三日前に処分というのを、現実の問題としてやっておかなければならない、こういう私は意図があったと、三十日の日には。そのためには、三十日という全国の教育委員長、教育長この会議、これに間に合わせなければならない、そのためには福岡はぎりぎり二十八日の日に処分をやってしまえと、そうしなければ大号令がかけられないんだと、この意図があったはずです。あなたはずいぶん福岡県教委に督促をしているでしょう。徹底的に、とにかく三十日の全国教育長、教育委員長会議を目ざして懸命に福岡に大量処分を出すように意図的に動いたはずです。私は、明らかに福岡が、いま教育委員会が交渉で困り果てておるのは――私も三日間福岡に入って直接教育委員会なり教育長とも会って調査もしてきた、してきたが、みな困り果てているのは、いわゆる処分されたほうから聞かれて、なぜ福岡が四十六都道府県の先頭を切って二十八日になぜ処分をしたのか。まだこの処分については、話し合いをしようということで、話し合いをいまからやろうじゃないかと言って、夏休みも終わったらまともにこういう問題について交渉しようじゃないかと言ったにかかわらず、二十八日に強引に発令をしたのはなぜかと聞かれても、徹底的に責めたてられても、この問題については一言も言わない。言えないんです。私みたいに、いわゆる国会議員という立場で別に話せば苦衷は言える、この点、文部省は二十八日のこの福岡の大量処分をやる前に福岡と接触をしておるはずです。この点について十分な合議その他で、文部省がこの処分の執行の前にこの話に乗っていると思うがどの程度の話をしたのかと、ここにいわゆるこの処分の問題と地方教育委員会と文部省とのつながりがはっきり出ている、私の邪推じゃない。三十日に間に合わせる、公制審のあれについての圧力、万般について福岡にその先頭を切らしたのは文部省だと、私はそう思っている。連れてきてもよろしい、責任者を。その点はどうです、文部省は。
#232
○国務大臣(奥野誠亮君) 率直に先ほど来お答えをしておるわけでございますけれども、不幸にしてストが行なわれました。私は、事務当局になるだけ早く処分をしてもらいなさいよと、こう申してまいりました。したがいまして、福岡県が処分を行なったことにつきまして私に責任の一半があること、これはもう当然でございます。同時に、七月に槇枝委員長と会いましたときに、槇枝委員長から過去の処分を撤回してくれぬかというお話がございました。それならあなたのほうは将来スト指令を出しなさんなよと、そうしたら一ぺんに私はもうそういう方向に協力しますよと、こう言いました。それに対しまして槇枝委員長は、そういうわけにはいかないと、こういうお答えがありましたので、それなら私も処分の撤回というわけにはいかない、やっぱりまたストがあれば処分すると言わざるを得ないのは残念なことだなあと、こう言って、その問題はケリをつけたことがございました。ほんとに早い機会にこういう事態を避けたいと思うんでございますけれども、しかし、そういう事態が来るまでは処分を、違法な行動が行なわれた場合には、それなりの処分をとるという行政当局の立場もぜひ御理解をいただきたい、むしろ御同情いただきたいと、こう申し上げたほうが適切ではなかろうかと、こう思うわけでございます。しかし、繰り返し申し上げますように、早くこういう事態は避けられるように努力しなきゃならぬと、これも当然のことだと思っております。
#233
○安永英雄君 私の聞いているのは、福岡の主として県の教育委員会、これに対して先ほど私は、確証もある――文部省が、二十八日に全国に先がけて二万人にもなんなんとする大量処分をやったという問題について、相談にあずかり指導した、文部省がこれにタッチしていると、この事実はあるかと、こう言っているんです。
#234
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほど大臣が申されておりますように、私どもは、全県の処分の状況というものは、これは把握する意味で絶えず御連絡をしているという事実はございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、今度の場合には、四十七年の五月のストまで含めてのものでございまして、私どもが幾ら指導をいたしましても、それは県の事情によりまして二年前のものがまだできないということもあるわけでございます。私どもが三十日の会議に間に合わせるように、そういうふうな圧力を福岡県にかけたと、そういう事実はございません。
#235
○安永英雄君 処分をするようにと――圧力という問題、これはいろいろとりようがあると思うんです。
 じゃ、もう少し聞き直しましょう。二十八日のこの処分を発令する前に、県の教育委員会とは話したかということです。
#236
○政府委員(岩間英太郎君) 福岡県だけではございませんで、各県の担当者に対しまして、私どもが事情を聞いたり、それからいつごろ処分が行なわれるかという見通しを聞いたり、そういうことはいたしますけれども、いつまでにどういうことをやれというふうなことは申したことはございません。
#237
○安永英雄君 時期の問題は一応別として、処分の内容について相談があったか。
#238
○政府委員(岩間英太郎君) 私自身が処分の内容について指導したというふうなことはございません。あと課長あるいは課長補佐も、おそらく処分の内容について指導をするということはあり得ないと思います。
#239
○安永英雄君 私はその点について、処分の内容、これについて文部省が非常に強力な指導をしておる、内容について、要するに私が言っておる大量処分、これをやれと、これは福岡県教委の問題もさることながら、私は、文部省のこの処分行政というものについて大きなあやまちをおかしておるし、また従前にない処分についての行政について、この方針というものを大きく変えたと見ている。私は、歴代の文部大臣には必ず処分の問題について質問もし、また個人で委員会外でもこの問題については真剣に話し合った、これはもう坂田さん以降の大臣について。そうしてやっぱり同じテーブルに着いて、それで真剣にこの問題についての解決という問題についても話し合った。そうして私は、全国的には一定の、文部大臣がいまことばで言われた、そういった方向をある程度たどりつつあったのではないか、ところが、今度全く私は、そういった長い間のこの種の問題について一大転換を文部省はしたと、福岡の指導の中で。そうして三十日にはこれに続けと、そういったことで、行政は誤った方向にいくのではないか、私はそれが心配なんですよ。一日も早く福岡の問題については、一時いまの問題でも発令しておるけれども、早く凍結をして、そうしてもとの――九月に入って話し合って、お互いに、つたないところはわれわれも努力する、こういった中で解決をしていかないと、また荒廃した全国の教育の現状が生まれてくる、私はそれをおそれる。そういった形で、私はいまでもおそくはないと思う。文部省は何らかの指導を、もう手がないと、文部大臣は言われたけれども、そういった無責任な立場に文部省はおってはならない。そうして今度は明らかに文部省がタッチしている。これは県教委がかってにやられたことでありまして、私どもの知ったことではございませんとは言えません、今度は。その責任もあるんだから、文部省としては、何らかの手を打つべきだというふうに私は考えるがどうですか。
#240
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど来申し上げているとおりでございまして、こういうストだ、処分だと繰り返していくことは、教育環境が荒廃するのじゃないかとほんとうに私も心配をいたしております。それが今日最大の教育上の問題になっている、こう思っている人間でございます。したがいまして、どうやってこれを解きほぐしていったらいいか、ほんとうに教えていただきたいという気持ちでございます。先ほど槇枝委員長との話を御披露申し上げましたけれども、ほんとうにそういう気持ちでいるわけでございまして、早い機会に両方で、ストもやめる、処分も一切撤回してしまう、そうして潤いのある教育環境を打ち立てたいものだ、これはほんとうに心から念願をいたしております。したがいまして、お教えをいただきたい。しかし、ストが続いている間は、やっぱり私は、処分は求めざるを得ないのじゃないか、こう思うわけでございます。しかし、いろんな角度から、少しでも潤いのある教育環境になるように、それなりに手段は講じてまいる決意でおります。
#241
○安永英雄君 私は、この問題だけはひとつ訂正をこの際してもらいたいと思うのは、先ほどいろいろなことを言ったけれども、この新聞報道の一番最後にあります、福岡を孤立させるな、福岡に続け、このことばを私は訂正をすべきだと思う。それは抜けことばかもしれなかったけれども、やはりこういった行政の責任は各県教委にあるわけです。あるいは地方教育委員会にある。指導、助言は文部省のこれは一つの権限でもあるけれども、私は、各県ごとにそれぞれいままでの歴史的な経過も踏まえながら、最もいい方法をやっぱりお互いに暗中模索しながらやっているさなかなんですよ、それは。これはもう御存じでしょう。表向きには出されぬ話だけれど、ある程度たてば、あのときのことは和解をしようとか、そうして訴訟も取り下げようとか、あるいはこれから先はといって、ある県のごときは二時間以下は処分をしないとかするとか、いろんなやっぱりその県、その県の独自性を発揮して、教組と県教委、これはやっぱり話し合っている。私は、ここに三十日のようにとにかく旗振って、福岡の全員とにかく大量処分をやっている、これに続けというふうな印象は、私はもうこれはたいへんな指導の誤りだと思う。私はそういう気持ちはなかったのじゃないか、こう思うんだけれども、大臣、やっぱり私がいま言っているような、ことばは激しいけれども、これに続けと、こういった形で内容までを福岡にタッチをして指導をしておる。これに続けという、内容までも押しつけていって、全国べた打ちで福岡方式に全部やってしまう。これに続けというふうなことは本心で言ったのかどうか、そこらあたりが、私は今後の日本の教育に大きな一大転換期がくるような気がする。またとにかく不信感をお互いにむき出しにして、日本の教育がとんだ方向に行きますよ、これは。私はこの新聞の記事で一番大事なところはそこだと思う。えらい旗振ったなと思ったわけですよ。この点は本心からそう思っていますか。私は今後この問題をあなたが解決をしたいと言っておるんなら、このことばだけは、新聞の誤報であったのかどうか知らぬけれども、あなたはそこのところは言わぬけれども、福岡に続けということばは、これは一つのあなたの行政指導の方向を示したものだととられる節がある。そういったことをとにかく全国で巻き起こすつもりかどうか、その点ひとつここで明確にしておいていただきたいと思うのです。
#242
○国務大臣(奥野誠亮君) 処分の内容は、私は各府県それぞれの実情に応じておやりになったらいい。またいろんな考え方、経緯もあるわけでしょうから、そういうことを踏まえて将来問題が解決される方向へ努力していくべきだ、こう思います。ただ、ストが行なわれて、それに対して何ら対応策を講じない、これはやっぱりやめていただいて、それなりの処分をしてくださいよということは各府県に言わざるを得ない、この工場もひとつぜひ御同情いただきたい、こんな気持ちもしております。
#243
○安永英雄君 いまのことば、ある程度私も理解します、その前段の部分は。これは各県の自主性にまかせていくわけですから。少なくも福岡に対する指導、こういった形を強引に広げていくという考え方はありませんね。はっきりそこを聞いておきます。
#244
○国務大臣(奥野誠亮君) 福岡県の実態をつまびらかにしているわけじゃございませんけれども、大量処分だけが能じゃないという気持ちは私にもございます。また、それを必要とする府県もあることも私は理解してあげなければいけない、こう思います。
#245
○安永英雄君 それから、先ほど言ったように、まだいまは私は間に合うと思う。福岡には、ほめるばかりじゃなくて、私は文部省としてそれだけの責任があると思う。私はあした行きますが、初中局長でも行きませんか。文部省、現地にだれかやりませんか。この問題解決しなければだめですよ、文部省は。岩間さん、課長か係長かだれか知りませんけれども、そういうところから内容について福岡と十分打ち合わせをしておりますが、私は知りませんということじゃだめですよ。明らかに文部省が処分の内容その他について指導をし合議をし、そしてやっているんです。やって、ぱあっともう二十八日の日には、県教委はクモを散らすように、三十日の会議だと称して、みな福岡から飛び出していって東京に来ておる。それから先の話もよく知っておるけれども、文部省は今度は、私のあと始末をしなければならぬと思うんですよ。おそくはない。何か手を打つあれはありませんか。ようやったばかりじゃだめだ。いまなら間に合う。処分は凍結すべきですよ。話し合いの場をつくるべきですよ。また三十三年の勤評当時に返りますよ、福岡が。長い間の努力なんというのは水泡ですよ。大臣が言われたように、福岡の場合もう打つ手はない、そう思っておるのかどうか。
#246
○政府委員(岩間英太郎君) 福岡県の組合と、それから県の教育委員会との間の問題につきましては、これは安永先生も前からいろいろ御心配をいただいて御配慮をいただいているところでございますけれども、私どもも地元のそういう方々の御努力によりまして、何とか抜きがたい不信感というものはこれは払拭をするということが、こういう問題を解決する先決の問題じゃないかということで、いままでいろいろと助言もしてまいったようなつもりでございます。
 今度の問題につきましては、これはすでに県の教育委員会で決定したことでございますから、その内容につきまして私どもがとやかく言うということじゃございませんけれども、先生のお力もお借りしまして、またわれわれも県の教育委員会と十分連絡をいたしまして、そういう抜きがたい不信感というものをなくすることが根本であろうということでございますので、そういう方向で私どもも今後努力をしてみたいというふうに考えておる次第です。
#247
○安永英雄君 その不信感というものを取り除いていく、これが行政の仕事じゃありませんか。それ、明らかにあなたたちが、この大量の、いわゆる春闘と称する――各単産が念書もある。国労その他出ていますけれども、えらいきびしいね、教員のは。戒告なんですよ。戒告というのは、きょう時間がありませんから、大臣ひとつ研究してください。戒告を受けたということは、どれぐらい本人に影響が続いていくものか。はっきり言えば、金の問題で一生涯ずっとこれは続いていく問題なんですよ。賃金カットの簡単な問題じゃないんです。ずっと続いていく。膨大な処分の量からいけば、質的にも、量的にもとにかくそれはたいしたものなんですよ。大臣まだ御存じないと思いますけれども。一人懲戒処分を受けたとき、どれぐらいのとにかく損害をこうむるのか、精神的な苦痛を感じるのか。先ほど、宮城県、これの実態知っておりますか。どういうあれをしていますか。四・二七スト、宮城県が一番早かった、まあ一応。しかし、早いといっても――わかっているなら言ってください、宮城県のを。
#248
○政府委員(岩間英太郎君) ちょっと手元に資料がございませんが、宮城県は文書訓告という措置をとっております。
#249
○安永英雄君 宮城県が、今度の四・二七ストライキについての処分を出していますけれども、処分じゃありませんね。全員文書訓告、これをやっている。福岡は、全員とにかくべた打ちで戒告以上の処分をやっている。私は、こういった文部省が指導したというけれども、公平の原則、これが破られると、私はとんだことになると思うのですよ、公平の原則。処分の場合で一番大事なことは公平の原則。これは文部省とっていないかもしれませんけれども、大臣ひとつ聞いておっていただきたいと思う。福岡の知事は亀井さんですよ、かつて参議院におった人。ここでは処分は全員にしていませんよ。ずっとしていません。今度の七日か八日に出すであろうといわれておりますけれどもね。大体一日に予定しておったらしいけれども、自治労の大会があるので、その間に処分するのは、これは失礼に当たるということで、委員長その他役員が帰ってくるまで待っとくと。なかなかあれですが、大体いま予測されるのは――今日までのずっとストに対する処分というのは、幹部のほんの一部ですよ。そのことも私は賛成とは言わない。問題はありますけれども、量の部面からいって、同じ福岡県庁、福岡県の中にある公務員として、教育委員会は、先生全員について、一番下でも戒告、片や、同じように、四・二七、あるいはいままでのストライキを全部一緒にやってきて、県職のほう、これは全部文書訓告か、訓告もなしというのが多い。こういう実態知っておられますか。私は、福岡の教育委員会――名前は言いませんけれども、私どもはきつかったと言うのですよ。私どもは、知事が、地公労との団体交渉の中で、世の中も変わった、だから昔みたいなむちゃくちゃな処分はできぬ、だから、私は早くから方針を変えているということを言い切って――まあ一時問題はありましたけれども、言う、言わぬは別として、県職のほうは幹部の一部を処分して、全員については一切やらない。同じ県の県評に入っている教員組合の組合員だけはどしどしやる。こういうことで、知事の方針をわかっておるので、自分たちとしてもやりたくないけれども、あなたのところがとにかくずいぶん指導しておるでしょう。それを受けてのうのうとやった教育委員会も、これは問題だけれども、福岡県内のバランスもアンバランスもへったくれもない。
 さらに時間もありませんから、私はここで申し上げておきますが、いまだに、全員やったのじゃない。処分の内申書を提出をしていない田川市、大牟田市、山田市、行橋市、豊前市、この五市、田川郡、京都郡、この二郡、碓井という町一町、これは発令があっていない、処分はしていない。例年であれば、県内全部の内申が出そろって、そこでどういうことにしょうか。これがいままでのずっと話し合いの経過だった。ところが、もう見切り発車をして、これだけのものは置いたままで発令をしたというのは、私は、肩の骨の折れるほど文部省がたたいたに違いない。私はそう思う。福岡県教委はそういうひきょうなことをやるところではない、各地区から出てきておる教育委員も、教育委員の中ではそう言う。私はそういう責任があると思う。
 まだまだ問題は残っている。私が言ったのは、いま文部省はそれだけの責任があるのだから、もう手がつきませんじゃなくて、私は解決に乗り出すという責任があるような気がいたします。こんなべらぼうな処分がありますか、いまごろ。先ほどから話があったように、公制審の問題、方向も出ている。世界の情勢だってそうだ。あるいは、今度の春闘の問題だって、念書があったとかないとか、いろんな問題はあるけれども、そういった話し合いまで政府首脳もやっているじゃないですか。これは文部省が各県の指導主事全国の教育長会議ですかさず集めて、そこで旗振りをさせるなどということは、これはもうもってのほかですよ、何といっても。あなた方がいまからそういった不信感というものを強調していく道になるのですよ。
 もう時間もありませんから、私は大臣にひとつこの問題を深刻に考えていただいて、そうして私は、とりあえず県の教育委員会なり、あるいは福岡市教委、北九州市教委、これと連絡をとって、あの処分のあれを一応とめて、そうして話し合いをやる機会をつくる。文部省としては、先ほど大臣が言われたように、各県の自主性にまかせる、こういった指導に立ち返らないと、私はとんでもないようなことになっていくような気がする。
 最後にひとつ文部大臣に、この処分について、今後文部大臣は具体的にどう大体手を打っていくのか、どうお考えになっておるのか、こういった点について基本的な考え方というものを私はお聞きして終わりたいと思います。
#250
○国務大臣(奥野誠亮君) 処分の内容は、それぞれ先ほど申し上げましたように各県の事情がございますので、各県でおきめいただくべきじゃないかと、こう思っております。しかし、やはり違法行為が行なわれた場合には、それの対応策はとっていただきたい、これはお願いせざるを得ないのじゃないか、こう思います。しかし、いずれにいたしましても、こんな事態を繰り返していることは、何ら国民にとって利益になることじゃございません。不毛の対立と、こう批判も受けていることでございますので、将来とも抜本的な打開策をお教えをいただきながらくふうしていかなければならない。それが最大の教育課題だと、こう心得て努力してまいりたいと思っております。
#251
○小林武君 初めにひとつお尋ねしたいのですが、先ほど来局長の御発言並びに大臣のいろいろな話の中から、今回の福岡の処分については、特段の文部省の指導、干渉というようなものは別になかったというふうに聞いておったのですが、そのとおりですか。これは初中局長。
#252
○政府委員(岩間英太郎君) 私どもは、先ほど大臣から申し上げましたように、全部の県に対しまして、違法なストが行なわれた場合には、それ相応の区別はしてもらいたいということを申し上げておるわけでございます。したがいまして、福岡県だけにつきまして、特別に指導したとか、あるいは強制をしたとかいうことはございません。
#253
○小林武君 地方教育行政の組織運営に関する法律、これの第五章に含まれておるいわゆる文部省が教員に対して措置要求あるいはいろいろな指導をやるという、そういう点についてやられたことは、具体的にどういうことをやられましたか。この件について、やらなかったのか、やられたのか。
#254
○政府委員(岩間英太郎君) 措置要求は文部省がしたということはございません。
#255
○小林武君 ない。しかし、あれですか、文部大臣として新聞の見出しになっている「政治が好きなら教員をやめろ」というような、ストの処分を急げ、こういうようなことを言われたというのは、法によったのではなくて、実質的には、各教育委員会に文部省の方針を示して、激しい口調で強い処分を要求した、こういうふうに見るべきでしょうか、どうですか。
#256
○国務大臣(奥野誠亮君) 三十日の会合ではございませんで、それ以前の教育長、教育委員長の会合におきまして、ストが行なわれないようにしてほしい。行なわれた場合には、それなりの処分はしてほしい。そのことがなければ、全体の秩序を維持することができないんじゃないだろうかということは申しました。したがいまして、措置要求というかっこうのものはしていない。しかし、学校管理について文部省が指導の責任を負っている、その指導の責任を果たすために、いま私が申し上げましたようなことは言ってきているということでございます。
#257
○小林武君 大体、この地方教育行政の組織及び運営に関する法律というのは、警察官を入れてやった法律なんです。警察官を導入して大問題を起こした。ぼくにしても、これは一生忘れることのできないものの一つなんです。その法律をたてにして日本の教育というものは大きくゆがめられてきたと私は思っています。その法律の害毒というようなものを、あなたの発言を通していましみじみと日本の教育の危機というようなものを感じた。あなた、先ほどからずいぶんしおらしいことを――宮之原質問、安水質問で、だんだん言われて、最後のほうあやしくなってきたけれども、これはあなたやはりよほど考えてもらわなければいけない。
 私は、教員のストライキを責める前に、この前もあなたと少し話し合ったけれども、教育というものは、役人の負える責任と教師でなければ負えない責任とがある。そのことを話したでしょう。あなたは、戦前に教育課長をやった。戦前の教育課長というものが、どのぐらい権力があったものか、それから天皇制のもとにおける教員の思想というものがどれほどきびしいものをもって見られたか。そればかりでない、教員以外でもそれはなかなかきびしかった。治安維持法でもって、幾らでもひっかけようと思えばひっかけられた。そういう時代に、あなたが非常にきびしく教員に要求をしておられたのはよくわかっている。私はそのことをあなたに話して、さて、最終的に、日本の教育のあやまちというようなものを指摘する場合に、教員が、そういうきびしい体制のもとで教育をやったんだから、おまえは罪がないというようなことを言ってくれたかというと、そうではなかった。一番下っぱの教員が――大河内さんのことばを借りて言えば、何かあの人の書いた労働に関係する書物の中に、「白墨を持ち黒板を背にした一下士官だ」と、こう言った。下士官までいかない、兵だと私は思っている。そういう教員に非常な大きな責任をかけられたということをあなたに話した。――あなたはやられたかと。文部省でどれだけ一体追放された者があるのか。剱木さんは、文部省におられた。大体ぼくらと同じような世代の中で文部省へ入ってこられた人です。そして戦時中の教育をやった。終わったあとに、剱木さんは適格審査を担当する、そういう役目になった。上から押しつけられた教員は、今度は、適格審査の手によって、おまえ適格かどうかというようなことを責められる段階になった。私は、その際、教員が、これはいかぬというようなことを言っちゃいかないと思った。教員は、そのときこそ、自分の行なった教育に対して責任をとるのがあたりまえだと思った。逃げも隠れもできないことだと思った。それが一つは、自分の教えた子供に対する、一つにはまた、日本の国に対して、国民の皆さんに対して教員というのはそんなことで責任のがれはできない。そう思った、ということをあなたに話した。あなたは共鳴してくださった、ある程度は。私はそれを言うのです。お互いがこの教師の責任と役人の責任というようなものを、どのような形で果たすかということ、このことの理解がなきゃだめだと言うのですよ、ぼくは。そうでしょう。どうできますか。どんな若い教師であろうと、年取った教師であろうと、自分が多年やってきた教育の中身について、自分が責任負えるというそういう確信なしには教壇に立てないということを私は、敗戦のときに痛感した。これからは、日本の教育も、戦争を知らないところの教師の諸君によってやられるわけだから、いつまでもわれわれのように、何かそんなことにとらわれておらなくてもいいけれども、彼らの心の中に、少なくともそんなことは別にして、教育に対してわれわれは責任あるということを自覚させなかったら、日本の教育なんてよくなりゃしません。
 そこで私はさっき、槇枝日教組委員長とあなたの間でいままでの処分やめたらどうだいという話があった。そしたらあなたは、ストライキやめてくれたら話に乗ろうか、というようなことであった、ひらたく言えば。私は、それは大臣間違いだと思う。たとえば教師がうんとまじめに教育やるということ、それから皆さんはまた、教師のそういう教育に対する責任を十分認めながら、いい教育をやってもらわないといかぬ。この両者の関係というものは妥協の上からはできないんですよ。そうでしょう。あなたは行政を担当する大臣として、実際に教壇で教育をするというこの両者が、日ごろまあまあで肩をたたいてそうしてやれるもんじゃない。人間というものはそういうもんだし、組織というのはそうだ。文部省という組織もそうなんです。教員組合だってそういうやはり組織上のいろいろな弱さを、人間の集団だから持っている。その相互が自分の責任を自覚すればするほど、皆さんは教育に対して注文を出すこともある。教員はまた、行政に対して、教員の責任を上回るような、これをまた阻害するような変な行政をやっちゃいかぬというようなことで、お互いがその努力の中において教育というものはまともにいくんだと思う。だから私は、教員組合とあなたたちが、団体交渉をやる資格があるとかないとかなんていう議論なんていうのはばかばかしい。大いに口角あわを飛ばして、大臣も違慮なく言えばいい。そこで言う限りにおいては、おかしげなけんかは出てこない。こんなだれもいないところで、犬の遠ぼえみたいなことを言われるというと、教員組合もやっきになっておこるだろうし、われわれもただじゃおかれぬということになるだろう。私はそういう考えに立っているんだが、あなたは一体、まあまあとか、お互いに理解し合って、何でも世の中っていうものは、うまくいくもんだと思っているとしたら、ぼくはやはり自己を偽っていると思う。同じあなたの党内だってそうじゃないですか。考え方の変わっているものもあるし、政策面で違うところもある。この間、ある新聞見たら、外交問題ではなかなか一致できないところがあるなんていうこと、自民党の皆さんの若い人たちの何か発言であった。同じ党内でもそうだ。それはほかの政党だって同じことだ。大なり小なりそういうものはある。しかしお互いが討論を通して、そうして一致するということになるんでしょう。この考え方は教師と役人というようなこの関係においては特に必要だということなんです。これをあなた認めなさいということが妥当であるかどうか。ぼくはお互いがその中において自分の立場を主張し合い、その主張を言論として戦わせる。話し合うという中から、お互いの立場を認めていくという、そういうものを今度つくっていくことだと私は思っていますけれども、これはどうですか、あなたはどう考えますか。
#258
○国務大臣(奥野誠亮君) 教育界におきまして、自発的な空気、これを大切にしていく、一人一人の先生方がそれぞれに責任を感じて努力してくださる。これはもうおっしゃるとおり行政の分野とかなり違った重要な問題点であると、こう思っております。ただ、話し合っていける、いけないという問題になりますと、私はやはりその必要が多分にあると思っているんです。何十万人という先生方、政治的にはいろいろな考え方を持っていらっしゃると思うんですけれども、ことに日教組のスローガンということになってまいりますと、一つになってしまっている。ある意味においてはそれを押しつけているんじゃないかと、やっぱり政治的な課題があんまり多過ぎる、教育本来の問題を中心にして努力していただけないだろうかと。これは私のほんとうの心からの念願でございまして、そういう意味合いでは、私は話し合いをしていく余地は開けてくるものだと、また、そういう方向に持っていかなきゃならないとも考えているものでございます。
#259
○小林武君 そこがあなたの妙な権力意識があるということから出ると思うんですね。初めのほうはたいへんよかったけれども、あとのあれになってから、しかしながらとかなんとか言って、そのよけいなことがつくから、ぐあいが悪いんですね。それはあなたは何といったって自民党の代議士でしょう。自民党の代議士が、文部大臣になったからといって、絶対政治的に中立性を持っているなんて、そんなことは言われない。結局いまのあれで言えば、あなたは自民党の政策を持ち込んできて、その自民党の政策を国の政治に実現しようと、こう言うんでしょう。そうでなかったら、あなた文部大臣やれないわね。ぼくらはやっぱり政党政治の中で、教育の問題については、そこに疑問点がある。それを入れないやり方というものはないものだろうか。これは社会党でもそうだし、自民党でもそうだ。しかし、いまはそういう一つの制度の中に置かれているから、お互いがそこにやっぱり先ほど言ったように、自民党の、あなたのやることについて、それについて――あるいは全く自民党員でないかもしらぬけれども、いわゆる官僚として、特に高級官僚としての文部省育ちというような人の一つの考え方、そういうものに対して、一体、日本教職員組合という組合に所属している、あるいは所属してない人もいる。六十何万とか、何万とかという人間が、その中で教育を議論した場合においては、当然そこに違いが出てくるでしょう。県の教育委員会に行っても、地方の教育委員会に行っても同じじゃないですか。そういう中でどうするかといったら、共通の目標を求めていい教育をやろうじゃないかと。共通の目標を求めて違うところがあるから話し合う必要があるし、激論する必要もある。話がわかったら、よしわかったと言って、そうして協力してやる体制もつくらにゃいかぬ。そのことをあなた認めないですか。だがしかしとか、とは言うけれどもなんていうようなことは言わないで、根本的には、そのことを認められるか認められないかということです。私は認められないとすれば、これはもう悲劇だと思いますわね。あなたは何ぼいばってみても、日本の教師が教育に対する責任を、どんな、それは若い教師であっても、経験が何だとかかんだとか、いろんな第三者のあれがあっても、一人の人間が、教育のとにかく責任を負って教壇に立った以上は、これはやっぱり驚くべきほどの大きな影響を子供に与えるということを自覚しているはずです、また、しなきゃならぬのです。そうしたら安易に、人の言うことを、はあはあ言っているような、そういうような教員ではだめなんだ、納得のいくことをやらなきゃならぬ。この結果から出たことについては、すべて、小なりといえどもおれは責任を負うと、それが教育の自由の問題です、私はそう思うんだけれども。あなたはそういうことについて、いま文部省とたとえば教員との間、その間の関係を、そういうものの考え方に立ってやるということを、あんまり付録つけないで正しいと思うか、それはだめだと言うか、はっきり言いなさい。
#260
○国務大臣(奥野誠亮君) いまの小林さんのお考え方は、大きな方向としては私も異論はございません。そういうかっこうで、非常に燃え上がったような空気が教育界において期待されることが望ましいことだと思います。
#261
○小林武君 方向が同じだけれども、実行がこれにどうもというようなことを言っちゃいかぬですよ。方向が同じであったなら、方向に従ったことをやればいい。しかし、できない場合もあるかもしれない、それは。どうしても意見の一致を見ることができないし、どうしてもだめだという場合がある。それはしかし、あなたたちのほうから言えば、権力をもって押しつけるなんというようなことはやめるべきだ。権力をもって教育や真理をゆがめるということは、これは長続きせぬのだ、そんなことをやったって。だから、あなたのほうから言わせれば、われわれのほうはこういう主張だということを、積極的に教員のほうに、教員組合なら教育組合という団体に申し入れりゃいい。そうしてやればいいんです。片方のほうは、そのことについて教育の現状からいろいろなとにかく実際の証拠を出して、ひとつ議論すればいい。その精神をもってするところに、初めて私は日本の教育というものはほんとうにいい方向に向かっていくと思うんだけれども。あなた、その点で原則としていまのことを認めるか認めないかということを言いなさいよ。しかし、そう言うけれども、実際問題としてはとか、具体的な何とかというようなことをいろいろ言うが、方向として認めるかどうかということです。
#262
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほども、教育界においては自発性の必要なことを申し上げたわけでございますし、また、教育基本法などにもそういうことを指摘しているわけでございますので、方向がそういうはつらつとした教育界になることは望ましいことだと思っております。
#263
○小林武君 そこで私は、まあ教育の問題というのは必ずしも教育の内容の問題だけじゃない。教員がほんとうに自信持ってやれるためには、条件としての生活の問題、あるいは個人的な個人の基本的な権利がどうでなきゃならぬかというさまざまな問題が入りますから、そういう点について教員だからというような考え方に立たれるというと、ストライキはだめですというようなこと、これは先ほど来宮之原質問ではずいぶん詳細な点にわたってやられた。私は、まあこれについてそれほどくどくど言うことはないですけれども、やっぱりこの点は宮之原質問の中に指摘されたように、最高裁の大法廷で出たこの判決が内容的に全くくつがえされるようなそういう形で出たということ、これは皆さんも知っているとおり専門の学者の方々もこれはもうたいへんなことだと、こう言って批判されている。これは一々ここで紹介しない。こういうことは、日本のために悲しむべきことなんですよ。私はまあ、大体教員上がりで、法律はあんまり詳しくないです、率直に言って。しかし、一年間法務委員やった。その法務委員をやってその中で、ちょうど私は、いわゆる裁判官についてやれ何だかんだかという問題がたくさん起こった時期、そのときの訴追委員をやった。私はしろうとながら訴追委員として、再々開かれる訴追委員会で、その訴追という問題に対して日本の司法の危機というものを感じた。こんなことで一体日本の――われわれはもうとにかく裁判だけは弱いものもあるいは貧しいものも正当なとにかく判決をしてくれるというある種の安心感を持たないことには、どうにもこうにもならぬという不安感があるでしょう。その中で私は、もう非常な深刻な感じを持っている。最後は投票だからね。投票によって裁判官がその立場を左右される。訴追委員というものはそういう場合に当面させられる。そんなことで、二つの大法廷の判決に出された裁判官の数の増減によって、日本の国民の一体自由がどうでもなる結果に変化するというようなことであったら、これはどういうことになるかということです。
 私は、都教組事件の判決というのは非常にりっぱだと、こう思っている。このことは初中局長も知ってると思うが、私はかなりこのことについてしつこく質問した。たいへんおそれいりますけれどもね。私はこの考え方は絶対間違いでないと思っている。この判決文の「理由」の中に、くどいようですけれども、私は自分の信ずることのとおりだと、こう思っている。
 「憲法二八条は、いわゆる労働基本権、すなわち、勤労者の団結する権利および団体交渉その他の団体行動をする権利を保障している。この労働基本権の保障の狙いは、憲法二五条に定めるいわゆる生存権の保障を基本理念とし、勤労者に対して人間に値する生存を保障すべきものとする見地に立ち、一方で、憲法二七条の定めるところによって、勤労の権利および勤労条件を保障するとともに、他方で、憲法二八条の定めるところによって、経済上劣位に立つ勤労者に対して実質的な自由と平等とを確保するための手段として、その団結権、団体交渉権、争議権等を保障しようとするものである。」と、こう言っている。また、「憲法自体が労働基本権を保障している趣旨にそくして考えれば、実定法規によつて労働基本権の制限を定めている場合にも、労働基本権保障の根本精神にそくしてその制限の意味を考察すべきであり、ことに生存権の保障を基本理念とし、財産権の保障と並んで勤労者の労働権・団結権・団体交渉権・争議権の保障をしている法体制のもとでは、これら両者の間の調和と均衡が保たれるように、実定法規の適切妥当な法解釈をしなければならない。」と、こう言っている。私はこの判決の見方というのは正しいと思う。先ほど来あなたはかなりこういう点について、これに何か大体似たようなことを言ったけど、これほどはっきりはおっしゃらなかった。持ってないわけだからね。『右のような見地に立って考えれば、「公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」とする憲法一五条を根拠として、公務員に対して右の労働基本権をすべて否定するようなことが許されないことは当然であるが、公務員の労働基本権については、公務員の職務の性質・内容に応じて、私企業における労働者と異なる制約を受けることのあるべきことも、また、否定することができない。ところで、公務員の職務の性質・内容は、きわめて多種多様であり、公務員の職務に固有の、公共性のきわめて強いものから、私企業のそれとほとんど変わるところがない、公共性の比較的弱いものに至るまで、きわめて多岐にわたっている。したがって、ごく一般的な比較論として、公務員の職務が、私企業や公共企業体の職員の職務に比較して、より公共性が強いということができるとしても、公務員の職務の性質・内容を具体的に検討しその間に存する差異を顧みることなく、いちがいに、その公共性を理由として、これを一律に規制しようとする態度には、問題がないわけではない。ただ、公務員の職務には、多かれ少なかれ、直接または間接に、公共性が認められるとすれば、その見地から、公務員の労働基本権についても、その職務の公共性に対応する何らかの制約を当然の内在的制約として内包しているものと解釈しなければならない。しかし、公務員の労働基本権に具体的にどのような制約が許されるがということについては」、地公法第三十七条及び六十一条四号が違憲であるかどうかという問題になる。右の基準に照らして、ことに労働基本権の制限違反に伴う法律効果、すなわち違反者に対して課せられる不利益について必要な限度を越えないように十分な配慮がなされなければならず、特に勤労者の争議行為に対して刑事制裁を科することは必要やむを得ない場合に限られるべきものであると、この点十分な考慮を払いながら判断しなければならない。ところで、地公法三十七条、六十一条四号の各規定が所論のように憲法に違反するものであるかどうかについてみると、地公法第三十七条第一項には「職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又は遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。」と規定し、同法第六十一条四号には、「何人たるを問わず、第三十七条第一項前段に規定する違法な行為の遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者」は三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処すべき旨を規定している。これらの規定が文字どおりにすべての地方公務員の一切の争議行為を禁止し、これらの争議行為の遂行を共謀し、そそのかし、あおる等の行為をすべて処罰する趣旨と解すべきものとすれば、それは、前叙の公務員の労働基本権を保障した憲法の趣旨に反し、必要やむを得ない限度をこえて争議行為を禁止し、かつ、必要最小限にとどめなければならないとの要請を無視し、その限度をこえて刑罰の対象としているものとして、これらの規定は、いずれも、違憲の疑いを免れないであろう。』こう言っている。
 私は、このことについて何べんもやったから、あなたたちよく知っているだろう。私は、そういう角度に立った最高裁の大法廷における判決が四年もたたぬうちに、一体こんな雲泥の相違、そのところにちょっといいところがあると言うけれども、ちょっといいどころの問題ではない。このことはおそるべき逆もどりだと、こう言っていることは肯定されなければならない。私は、そういうものが裁判官の数、賛否の数の移動によって、しかも、その賛否の数の移動の前に、この裁判官は一体けしからぬとかなんとかいうような、訴追にあらわれるようないろいろなことを私は検討してみて、直剣にこれに取り組んでみて、いささか大きな不安を持つ。私は、だから文部大臣のスト権に対する考え方について、一体スト処分を急げというような、こういう言い方で一体教員を責めつけていくというようなことが妥当かどうか、私は、あなたはやはり陳謝すべきだと思いますね、その点で。陳謝すべき材料の一つの中に、もっと前向きにやるべきことを、しかも、このスト権の問題で長い間いろいろ議論して、いよいよまあ今度根本的な結論が出るだろう。その結論が出るといっても、簡単なものではないでしょう。大体三者の意見がまとまるなんていうことについては、よくよくのことでなければ、完璧にまとまるわけはない。非常な苦労の中において、ものをまとめようとしたら、私はやっぱりお互いが正しくものを見、日本の現状に合わしたような見方で解決しなければだめなんだ。今度の場合はそれができなかった。残念だけれども、努力はしたようだ。したようだけれども、私は満足してないからね。だから私はそういう点について文部大臣としてはスト処分を急げというような、まあ、そう言っては悪いけれども、文部大臣として、しかも相当いろいろな点で経験ももっている人が言うということについては、私はこれはひとつやっぱり度を越していると思う。この点ではあなたどうですか、断固処分してやれという、そういう行き方でこれからも押し通しますか。そういうことによって、先ほど言う教員の責任の問題、役人の責任の問題についてどうですか、うまくいくと思いますか。私がまあ、こう見ているというと、役人というのは責任とらぬですよ。あんまり。ほんとうに責任をとらぬと思う。言いっぱなしだものね。何か起これば、まあ学校の教員が悪いというようなことで、学校で起こればね。しかし自分のやったことについて当然とるべきことをやってない。もっともこれは、あさってから始まるあれのときに具体的にやりますから、きょうはやめますけれども、責任をお互いがとるということ。あなたたちは強力な行政をやったら、行政的な責任、行政的に犯した責任というものははっきり認めて、これは失敗であったということを言わねばいかぬね。それはまああらためてやりますが、あなたはさっき言ったような立場からいって、教員のストというものに対してもう少し弾力的なものの考え方をするべきだと私は思うのだが、あなたはストライキというようなことを言うたら、もうあれですか、徹底的に、日本の教職員組合を目のかたきにしてやるというお考えなのかどうなのか。少なくとも、国際的な一つの先進国並みのものの考え方で見ていこうとするのかしないのか、そこらひとつ意見を述べてもらいたい。
#264
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほどもお答えしたことでございますが、実定法の解釈と立法政策論と、これは峻別して考えていきたい。公務員は法律秩序を守っていかなきゃならない。それは実定法を守っていくことであって、みずから立てた立法政策論、他の人の立法論、それを守っていくことじゃない。あくまでも実定法に基づいて行動してもらわなければならない、この点は御理解いただけると思うのであります。そういう意味において、四十四年の判例をおとりになりましていろいろな御議論ございましたけれども、だからといって、法解釈を自分なりに先生方がおとりになることは許されない。もちろん、最高裁の判決が出ました場合には、法律秩序はそれに従って適合するようにしなければならぬわけでございますけれども、四十四年の判決は民事上の処分、行政上の処分、それについてとかく言っているわけじゃございませんで、刑事処分について限界的な解釈をすべきだということを表明しておったわけでございまして、いまお読みいただいたのも、そう理解できるわけでございます。これはまあ一つでございます。
 もう一つは、処分してよくなると思うかとおっしゃいますと、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、不毛の対立と世間でも言われている。それだけではものは片づかない、たいへん私も心配をしていることですと。しかし法に触れる――法を守らない場合には、その法が守られるようにしていかなきゃならない。そうすると、やっぱり処分ということは必要じゃないか。行政当局としては、そのことは要請せざるを得ないじゃないかとこう思います。こう答えざるを得ないということでございます。
 第三に、これは私なりの考え方でございますけれども、二十八条に「団結する権利」、「団体交渉」する権利、「その他の団体行動をする権利」と、こう書いてあるわけでございまして、人によりましては、そこには同盟罷業権、ストライキ権、争議権は書いてないじゃないか、こういう御指摘をなさる方もございます。字句通り読みますと、そういうことになろうかと思います。同時に、争議権の発生した経緯を考えてまいりますと、やっぱり利益の分配ということに基づく資本家が労働者を搾取する、そういうことのないようにしていかなきゃならない。そのためには、労働者に団結権を与える、争議権を与える、こういう構想ができてきた、こう考えるわけでございます。自由な社会において、労働者を守っていくためには、労働者に団結権を与えるんだということであっただろうと思います。そういう意味においては、労使対等の原則で使用者側にはロックアウトの権限、事業所閉鎖権が与えられている。しかし、公務員の場合にはそれはできないじゃないかと。同時にまた、公務員の場合には、利益の分配じゃなくて、税金で給与が支払われているんじゃないかと。国民の代表を議会に送っているわけだから、議会が公務員の給与を決定していくんだと。そういう議会にストライキ権で圧力を加えるということは、これは民主的なルールから考えて問題があるんじゃないかというふうなことが指摘されていることも御承知いただいていると思うのでございます。同時にまた、民間の場合には、要求するのもいいけれども、べらぼうな要求になった場合には、それで、ものの値段を上げざるを得ない。その場合には、企業はつぶれる、失業ということになって、労働者にもふりかかってくることがあるわけだけれども、そういう原理というものが、公務員の場合は働かないじゃないかというような議論もあることを御承知いただいていると思うのでございます。その辺の議論をする場所じゃございませんけれども、いろいろな考え方があるのでございますので、私なりにはやはりこの間出ました四月二十五日の判決、あの考え方が私たちの一番理解できると、こう思っておるわけでございます。
#265
○小林武君 あなた幾ら大きなこと言うても、実定法、実定法言うけれども、それが違憲であるということになったら話にならぬでしょう。ぼくは前の全逓中郵から、それから都教組裁判の中で一番大事なところはそこだと思う。そうでしょう。公務員としての、あるいは一般の労働者とは違ったある種の制限を認めつつ、その中で何を言っているかということ、これらの労働基本権を、いまさらこまかく言わぬでも、あんたもまるきりのしろうとじゃないからわかると思う。それらを犯した場合には、これは違憲になると、こう言っておる。地公法のね、そうでしょう。あなた読んでみればわかるのです。それは帰ってきょう納得いかなかったら読んでみなさい。
#266
○国務大臣(奥野誠亮君) 行政処分じゃない、刑事処分だけですよ。
#267
○小林武君 違憲になったらこれはもうあれでしょう。刑事上であろうが、何であろうが違憲のことをやっていいということはないでしょう。それにどうですか。今度憲法九条についての判決も出るわけだけれども、そのことだって実際出てみなければわからぬけれども、出てみたらどういうことになるか。何だか予想では、とにかくあまり政府のほうにはよろしくないような結果になるということもあるけれども、これだけはやっぱり前にいろいろなことを予想してどうだなんということは、これは冒涜になるからぼくは言わぬほうがいいと思っておる。厳正な判決というものが出たときにこそ初めて、こういう判決が出たというたてまえで見てやらないと、何か予想屋のようなことを言うてばかりはいられない、われわれのような立場は。それはいろんな報道機関とかなんとかはいろんな情報をあれして書くということは、これはかまわぬけれども、われわれがここで議論する場合には、それは出てからのことだと思う。そういうことを考えなさいということを言っている。
 だから、あなたあまりストスト言うて、そしてスト権、スト権と言うが、この二つの判決を二つとらえて、どういうふうに一体見るべきだということをはっきりやっぱり検討する必要があると思う。さっきいろいろ福岡の事態のことを聞きましたけれども、どうも政治的なにおいが非常に強い。政治的なにおいが強いというばかりでなく、私はきわめて不愉快なことを聞いている。あそこでああいうことを起こすのには一つの目的があるというようなことを言う。ほかの県の教育委員会ではようやらぬようなことをやらなきゃならない理由があるのだと言う。うわさだからね。ぼくはうわさをたてにとってものを言うことは大きらいですから言いません。言いませんけれども、あまり感心したことじゃない。きょうも聞かされた、そのことを。まあそういうことはうわさなのかどうかわかりませんけれども、まああまりけっこうな話じゃない。そういうことで日本の教育がどうこうされるというのであったら、これはもう世の中やみだと言わざるを得ない。しかし、それはうわさであるからうわさとして申し上げる。
 それから、あなたおっしゃった中に、ぼくは、政治が好きなら教員やめろというやつもあるけれども、政治やりたいんなら政治屋になれと、こう言っている。政治屋と言うたと書いているんだね。これは読売新聞かな。政治屋というのは、これはあれですか、教員組合から政治やった者は政治屋ですか。あんたたちは政治家で、教員組合をやって、教員組合の運動やったものから政治やった者は、政治屋ということになるわけですか。ぼくはこれ不届き至極だと思っている。政治屋と政治家というのとどこが一体違う。どういう区別をつけているのかここで話してもらいたい。しかしあんたは、わしゃ言わないと言うんなら別だけれども、しかし、まさか……。あんたのさっき何だか読んだ中でも政治屋と、こう言った。政治屋と政治家、どういうことなんだ。どういうことで政治屋と言うんですか。
#268
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど申し上げましたように、組合活動が、若干政治的な問題が多過ぎる。ストが多過ぎる。だから、それはぜひやめてもらえないだろうかなという希望を持ちまして、しかし、個人の活動は自由だから、そんなに政治が好きならという意味で申し上げたわけでございます。多少政治屋ということばは俗っぽいことば、それを御指摘になりますと、言い方として適当でないなと、言うなら政治家とか言うべきだろうという気がいたします。それはたいへん私も表現としては違う感じがいたします。しかし問題は、先ほど来繰り返し申し上げますような趣旨で、教員は教員として服務の紀律は守ってくださいと、こういう考え方に立って申し上げたわけでございます。
#269
○小林武君 いや、あんた待ってください。あんたそれ政治屋と言ったの言わないの、どっちです。
#270
○国務大臣(奥野誠亮君) 政治屋と言ったような記憶が……。
#271
○小林武君 政治屋と言ったか、――言ったね。政治屋というのは侮べつ的言辞ですね。あんたのものの考え方にはみなそれが入っているんですよ、ね。肥やしくみだとか何とかいうような考え方を出している。
#272
○国務大臣(奥野誠亮君) それは違うんですよ。これはそういう意味と違うんです。
#273
○小林武君 いやいやそうなんだ。たとえば人の仕事を見るのに、仕事に貴賎はないはずだ。
#274
○国務大臣(奥野誠亮君) 貴賤の問題とは別ですよ。現業だから……。
#275
○小林武君 私は、特にいまのような政治家という場合の、政治をやる者は何も政治家と言ってもらいたくない。区別して政治屋と、教員組合から出た者は政治屋で、あんたたちは政治家だというそのあれはどういうことなんだ。教員組合ばかりじゃないわ、そうすると労働者から出た政治家なんていうのはなくて政治屋だと、ぼくらは政治屋と言う場合には侮べつ的に言うんですよ。それは人間だから欠陥のない者もないけれども、政治やろうというものは少なくとも一つの理想を持ち、世の中に対して一つの自分の政治的な考え方をとにかく貫いていこうという考え方に立っている。それを教員組合の場出身の者が政治屋だと言われる理由はどこにある。君とぼくとどこ違う。どう違うか。どう違うのか、一体。このことは許せぬよ。そういう考え方だから君はだな、教員組合をばかにしている。私は日本の国民はいまだれもがみんな政治に関心持たにゃいかぬと思う。天皇の政治じゃないんだ。主権者としての国民が政治を忘れて一体日本の国がよくなるか。政治やろうとやるまいとみんなおれは主権者であるという責任と自覚を持って、そうして政治にいろいろな形で参画する、いろいろな形で。いわゆる政治家という立場に立ってそれを一つの仕事としてやるというか、自分のとにかく全精力をそこに集中するというような人もあるだろうし、そうでない人もある。教員組合の中に政治に関心持ったからといって幹部が、当然のことだと思う。政治好きなら政治屋になれとはなんです。侮辱するのもほどがある。どうするんだ、これについて。
#276
○国務大臣(奥野誠亮君) いまも申し上げましたように、どうも政治屋という表現を使ったように私も思うわけでございますが、しかし、特に侮べつ的な気持ちで言うたわけじゃございませんけれども、政治家と政治屋というふうに分けて考えますと、御指摘のような感じにもとられるわけでございまして、そういうことではたいへん申しわけないという感じがいたします。むしろ政治界に入る、そういう表現が一番正しかったんじゃないか、政界において活動してもらうという表現が一番よかったんじゃないかと思うわけでございますが、ああいう席上でストのことを頭に置きながら申し上げておりますので、用話の選択がたいへん不適切であったと恐縮に感じます。相すみません。
#277
○小林武君 あなた、男らしくまいったならまいったと言いなさいよ。あなたは一国の文部大臣ですよ。ぼくらでもよう言わぬような道徳だとか、やれ何だとか、いろいろなことをおっしゃっているでしょう。全国の教育長、教育委員長を集めたその中であなた演説をやって、日本の教育をこうやるということを言っておる。その中で、教員組合連動をやって政治をやった者は、これは政治屋だと、そこに成り下がればいいんだと言わぬばかりのものの言い方、何たることです。君は自民党の党員としてそういうものの言い方をするのか。そんなことならあなたあれだよ、これについてどうだ、こうだなんということ言うことない。どういう責任のとり方をやるのか、どういう責任のとり方やるんです。あなたのほうだって教員やった人いるんだが、そういう人は政治家かね。しかし、自民党員であれば政治家のうちに入って、ここにだって教員をやった人がいるはずだ、その人は政治家だね。大体ぼくは、あなた方に対してこんな文句はあまり言いたくなかったんです。だからけさから早くやって、そうして理事もわれわれと話したときに、やっぱりきょうは少しでも法案の審議に入るようにしなければ悪いのじゃないかということを話しておった。しかし、あなたのほうから休憩がかかって、それは大臣じゃないけれども、党のほうから休憩がかかったといったから、ぼくは部屋に帰るわけにもいかぬから、とにかく控室でのんべんだらりんと待っておったわけだ。しかし、いよいよやるということになると、こういうことになるでしょう。ぼくは許せんな、政治屋なんというのは。政治屋という侮べつしたものの考え方が、すべて自民党でないものに対して一つの偏見を持っている。さらには職業的偏見がある。この職業的偏見というようなものは、日本の社会に長いこと害毒を流してきた、差別的な、同じ日本人で、同じ血液が流れているこの者に対する偏見が、これに結びついているのだよ。ぼくは北海道の人間だからそのこと全然わからなかった。初めてここへ来てもうびっくりぎょうてんした。津軽海峡越えて、そうしてここで生活してみて、そうしてわれわれの教え子の中にたくさんのものが、各地で惨たんたる、高等学校へ入るのにも差別を受け、就職にも差別を受け、結婚にも差別、私はある週刊誌から、お前さんの子供がそういう差別された人たちの間で結婚するということになったらどうするというから、そんなことは何も障害にならぬと、本人同士よかったらよろしいということを言った。しかしまあ、おまえ北海道だからそんなこと知らぬから言ったのだろうというようなことを言われた。私はもう絶対そうだ。そういう偏見をあなたはとにかくあれだ、このことばの端の中にそういう差別というものが出ているんだよ。どうして同和教育なんという思想の、それを一体指導する文部省の中から出ることばではないですよ、これは。そのことは政治家もまた同じ同僚議員だ、党は違っても。同僚議員を侮べつするような言い方しているんだ。君らの教師に対する優越感、教師に対する侮べつ感というものが――口ではうまいことを言っている。非常にとうとい職業であるとかなんとかとかうまいことを言っている。専門職であるとかなんとか言っている。自分たちの自由にできないような教育やっていて何の専門職。あなたたちの行政なり何なりが、党の政策なりというようなものが教員の希望していること、そういうものに合致すれば別にこれは――われわれは日本の国の国民の教育やるわけですから、いまなどは与野党ということだけで見れば、参議院の場合なんというのは、自民党を支持する票と野党を支持する票というのは大体似たり寄ったりのところにそろそろきている。そうなったら、国民の半分の投票の支持を受けているんだから、そんなに教育上の政策で違っていいはずがない。お互いが話し合って、大体共通の政策を出すような広い気持ちがなけりゃ日本の先危ぶまれるわけだ。しかし、あなたの持っているような、おまえまち教員は屎尿を一体あれするような人間とは違うんだぞというような、そんな優越感をわれわれが持たなきゃならぬという理由がありますか。私は貧乏人の子供ばかし教えてきた。しかし、教師が子供の貧富だとか、能力の一体差だとかというものに目をつけて、そうして一人一人について不平等な扱いをしたら教育というのは始まらない。教員の日常の活動にそれができなかったら、教育政策だってそうでならぬはずじゃないですか。あなたそれを堂々と全国の教育長、教育委員長というような、いわゆる地方で言えば、教育のもとを占めている人間にあなたは激励演説をやった。この影響は私は甚大だと思う。これの責任どうしますか。
#278
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど屎尿やじんかいの問題につきましては、現業の例として申し上げたのだということでお話させていただきました。まあしかし、宮之原さんから御注意をいただいて、なるほどそういうふうに受け取られるのかということでびっくりしたわけでございまして、率直に、そういう気持ちもありませんでしたけれども、たいへん申しわけありませんということで弁明させていただいたわけでございまして、また、いま政治家、政治屋の問題で、たいへん御注意をいただいたわけでございますが、私、用語の選択をさらに注意しなければならないという考えを深うさせていただいているところでございます。
#279
○小林武君 私もあまり大きなことは言えない。わりあいにふわっと不用意にものを言うほうだ。不用意に言ったことなら、ぼくもあなたのことをやたらに責めるような、そういう年齢でもないわけだ。しかし、ぼくは日ごろのあなたのやり方、それから長い間の文教政策の行き方から見て、これはそういうことが当然出るだろう。いままでもことばは違うけれどもいわれてきた。何だと、労働者と教員が一緒だという考え方はおかしいじゃないかということを言われてきた。早くおまえら労働者をやめろと、倫理綱領というのがあって、教師は労働者であると言ったら、その労働者というのは気に食わぬと、こう言う。労働者になったことは、主権者としての国民全般にわれわれは奉仕者としてやるということですよ。学習院だとかなんとかというのがえらいあれで、庶民の学校なんというのは、下の下だという、そういうものにどうこうということではない。われわれの目の前にきたら貧富とかなんとか、貴賤とかいうものは、そんなものは何にも関係はない。能力だって何も関係ないんだ。重度の一体障害の子供だって教育をする権利は持っているとわれわれは思っている。そういう時代が来たから、われわれは非常に熱情を持ってやらなければならぬと思っている。そういうことに対する裏切られたあれが、とにかく昭和二十年以降の教育の中にちょっとだけ、ああこれは世の中変わったなあというような喜び感じたけれどもね。そのとき言ったことは、みんなあなたのほうで前に言ったことはうそだった。だんだんこういう世の中になると、政党というものが教育に介入するようになるから教員は組合をつくってこれに対して対抗するだけの実力を持たなきゃいかぬと書いたのは、これは文部省だ。あなた読んだでしょう。そう書いてある。それはわれわれはすなおにそのとおりだと思った。新しい世の中になった、新しい立場での新しい教育を過去の償いの上からやらなきゃならぬということを考えた。それがどうだというと、途中でがらり変わっちゃった。そうしてこのごろでは政治屋どもというようなことを言って、政治に入ってきたら政治屋どもといわれるようなことを言う。何を言っているんだ、一体。それで、これは言いそこないでございますとか……、ぼくは政策とか何とか、ものの考え方にそれが入っていなかったらそんなこと言わぬですよ。ぼくだって、とかくそういうことで詰まらぬことを言って、失敬、失敬と言わなきゃならぬことがあるわけだ。そんなことばじりつかんでけんか吹っかけるなんてことはしない。しかしながらいままでもとにかく、昭和二十八年にぼくは組合に来たわけだ。それから組合運動、それから参議院へ来て、二十八年から約二十年、その中で経験したことは、あんたの侮べつ的なその言辞そのままのあれだと思う。いわばあなたのそのことばはその裏づけがある。だから許されぬというのだ。私は筑波法案だって、そうだと思う。筑波法案だってずいぶん御都合のいいやり方。まあこれはまたあさってやるからまあいいけれども、あなたたちやっぱり反省してもらわにゃいかぬ。私はしかしここで委員長にもお願いしたい。これこのままで終わるわけにいかぬですよ。私は質問はもうじき終わる。終わるけれども、始末のつけ方はきちんとしてもらいたい。これは理事会でひとつおはかりいただきたい。ぼくがここでごうごうという注文出しません。理事会でいずれひとつ、どうするのだ。いや、あれはそんなつもりでなかったけれども、つい口から出ましたというようなことで、経験の深い、しかも、まあどっちかというとのんきな人で口から何出るかわからぬという人の言ったのならぼくも笑って済ますことだけれども、あなたにはなかなかそれはできない。どうやるというのか、ひとつ委員長は理事会開いてやってもらいたいと思うが、いかがですか。いまやれというんじゃないよ。いままだこれ質問者いるんだからね。しかもまあこれ誤解しないでもらいたい。あさって始まるときにまたそれ決着がつかなかったらやらないなんてぼくは言わないからね。きちんと時間どおり始めてけっこう。しかしその決着だけはきちんと、どうやるんだと、これは私のほうは理事に一任する。私の意見の取り扱いは理事に一任する。委員長よろしいか。よろしいということになるとぼくは最後に一言言ってやめます。
#280
○委員長(永野鎮雄君) ただいまの小林君の御発言については、理事会で協議いたします。
#281
○小林武君 まあひとつ、単なる攻撃だと思わないで聞いてもらいたい。これからの審議のいろんな点でも、私はまあできるならそういうような角度でなく、大臣からも聞いてもらいたい、答弁もしてもらいたい、そう思うのです。
 これで質問終わります。
#282
○加藤進君 若干質問をさしていただきます。
 田中内閣の閣僚の相次ぐ失言、放言、これはもはや隠れのない事実でございまして、そのために閣僚を去られた方もたくさんあるわけでございます。そういう中でも、奥野文部大臣ほどその点、言われた発言に大きな問題のある閣僚は私はなかったと思います。大臣はこの国会におきましてもたびたびその発言が問題にされて、委員会においては、あるいは反省の意を表されたり、あるいは陣謝されたりすることがたびたびあったと思います。大臣、いまそのことを思い出して、どれくらいどのような問題で発言が問題になったか、簡単にここで御報告願いたいと思います。
#283
○国務大臣(奥野誠亮君) 衆議院の本会議の私の答弁が高姿勢過ぎるという御意見を衆議院の委員会でちょうだいをいたしまして、それは私としてもよく心得ていかなきゃならぬと思いますという御返事をしたことがございました。
 もう一回は、国立大学の学長会議の際に、筑波大学についての教育大学の構想にけちをつけるなら、東京教育大学の構想をよく勉強してから言ってくださいと申し上げたことがございました。その際に、まあけちをつけるということばが用語不適正じゃないかというお話がございまして、用語不適正な点については申しわけありませんという御答弁を申し上げたことがございました。それだけではなかったと、こう思っております。
#284
○加藤進君 少なくとも、四月の十三日の衆議院文教委員会では、「自分の発言に対して、日教組誹謗と聞こえるような言辞がありました、私は深く反省しなければならないと思います。」まあこういう反省が、大臣、これは議事録に載っております。続いて六月二十一日、いまおっしゃいましたような、国大協の学長会議での発言があります。この発言についても、「今後はかかる誤解を招くことのないよう十分注意をいたします。」という陳謝がございました。ところが、この反省なり陳謝なりは実際、文部大臣、その後どんなふうに生かされておるでしょうか。
#285
○国務大臣(奥野誠亮君) 私がそう申し上げましたとおりに努力をしているつもりでございます。
#286
○加藤進君 ところが、去る八月三十日の今日問題になっている発言はどうでしょうか。
#287
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど来お答えをしているとおりでございまして、いま政治屋ということで小林さんからだいぶんおしかりを受けまして、なるほど言われてみますと、用語不適切であったということを考えております。先ほど屎尿の問題などについて宮之原さんから御注意がございましたけれども、これは用語不適正の問題ではなくて、現業と非現業との区分を申し上げたんですけれども、そういうことばではなるほど差別というようなことにとられるので、びっくりしたわけでございますが、これは私の勉強の不足ではなかろうかと、こう反省をいたしておるわけでございます。
#288
○加藤進君 おっしゃるとおり、これは用語が適切を欠いたとか、あるいは軽率であったなどということではのがれられない、きわめて重大な内容を今度の発言は持っていると思います。
 たとえばその一つ、いま国会で審議中の人材確保法案、これについて次のように言及されております。「一部の教員は、この法案が成立しなくても教員の給与は上がると思っているようだが、こうした一部の指導者の考えでは教員の給与の改善は困難だろう。」と、こうおっしゃいましたね。いま人材確保法案なるものは国会の審議中ですよ。この政府提案の法案を通さぬようなら給与は上げぬ。給与が上がりたければ法案を通せと、こう言っているわけです。利益誘導ですよ、これは。脅迫ですよ。こういうことを、今日、国会にかかっておる法案についてまであなたは言っているんです。これは国会の審議にも関係しますよ。こういう非常識というのか、文部大臣としての資質が問われるようなことが公然と遠慮なく今度の発言の中に出てきておる。こう言わざるを得ませんよ、今度の問題は。私は、すべてのあなたの発言について触れるつもりはございません。しかし、重要な、どうしても言わなくてはならぬ問題が、言動があります。ことばがあります。戦後、一時的に教員にスト権を与えたのは間違った措置であった、こう言っております。教育基本法で先生の政治活動は禁止されている、これも言っています。政治が好きなら先生をやめて政治屋になってもらいたい、これも先ほど言われたとおり。各県の教育委員会は、福岡に続いて四・二七スト参加者の処分を急げ、こういう発言もされております。一つ一つとってみても、これは憲法、教育基本法をねじ曲げた発言ですよ。大臣は、憲法そのものを最も厳格に国民の模範となって、やっぱり尊重していくというのが任務でしょう。こういう大臣が、このような発言をぽんぽんとやられる、しかも公式の場ですよ。こんなこと、許されますか。これで反省や陳謝の上に立って、今後、改めますというあなたの態度ですか、その点はっきりしてください。
#289
○国務大臣(奥野誠亮君) 人材確保法案について申し上げましたのは、国会で結論が出ない。結論が出ない場合には、人事院が勧告しにくいんじゃないかと思いますと、こう申し上げてまいってきたわけでございます。私としては、先生の給与は一般の公務員に比較して優遇されなければならないと、法律に書かしていただいておりますので、それが国会の一つの基本的な考え方として打ち出されて、初めて人事院もそれにのっとった勧告ができるのじゃないだろうか、一応、先般人事院が八月に給与勧告をしたわけでございますので、重ねての勧告ということになりますと、何らかの国会の意思が必要じゃないかと、こういうような考えのもとに申し上げてまいったわけでございます。
 それから教員のスト権の問題、これも先ほど申し上げたとおりでございまして、法律には現業職員にだけ争議権を与えると、こう書いてあるのに対して、通牒で、その現業の職員の範囲を広げて教員、学校の先生を加えた。これはちょっと私としても納得がしかねると、こういうことを申してまいってきておるわけでございまして、そんな感じ、やはりいまも持っておるわけでございます。
 なお、それぞれの問題につきまして、先ほど来お答えさしていただいておりますので、それによって御了解いただくようにお願いをいたしたいと思います。
#290
○加藤進君 すでにこの発言につきましては、同僚の委員からの強い質問がございました。私は、こういう質問の全体を通じて、いま、大臣がどのような心境になっておられるのか、こういう追及に対して、いままであの場で行なった発言というものは不適切であったと、これは撤回すべき内容のものであるなどと考えておられるかどうか、その点の心境をお伺いしたい。
#291
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど申し上げましたように、現業の例を出した例がたいへんまずかったと、こう思いますし、政治屋という表現がいろいろ言われてみますと用語が悪かったなという感じが深くいたしております。さらに一そう、そういうことばの使い方、私としては注意する必要が多いなというふうに思っておるところでございます。
#292
○加藤進君 それでは、あなたの反省なるものはやはり用語や表現上適切を欠いていたということであって、この発言の内容については、何一つ変更ないし変えるつもりはないと、こういうことですか。この点はどうですか。
#293
○国務大臣(奥野誠亮君) その点も先ほど来お答えさしていただいているとおりでございまして、御指摘いただきましたらまたその点につきましてお答えをさしていただきたいと思います。
#294
○加藤進君 ともかく、先ほども他の委員から希望が出ましたけれども、私たちは知り得る限りは新聞の報道です。どの新聞もほとんど一致した内容を持っておりますから、この点については私たちは誤った間違った認識は私はないと思います。しかし、いま言われる文部大臣のことばによれば、やはりどうしても文部大臣がなまで言われたその発言の内容の全文がどうしても必要だと思うんです。これを先ほども委員長に対して委員からの要請がありました。文部大臣も、その点は努力してとにかくこれを委員会に発表する、委員会に提出すると、こういうことは考えておられますかどうか。
#295
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、原稿なしでしゃべっておるわけでございまして、したがいまして、そういう私自身の持ち合わせはないわけでございます。主催者側でどういうものがあるのか、どうなされたのか知らないわけでございますので、それはまた聞いてみたらわかると、こう思っておるわけでございます。
#296
○加藤進君 それでは、時間の関係もありますので、前の重複を避けまして若干の点についてだけ質問さしていただきます。
 第一に、教員の政治活動は禁止されているとたびたび言われておりますけれども、一体どのような法律によってこれが禁止されておるのか、その点はっきりさしてもらいたいと思います。
#297
○国務大臣(奥野誠亮君) 教員という場合には、教育公務員特例法が基本だろうと思います。同時に、私は政治活動言います場合には、先生の問題よりも組合としてのことを特に申し上げたいような気がいたします。たびたびお話しいたしましたように、スト争議権などのことがございます。それは地方公務員法におきまして組合の団結権、勤務条件の維持改善をはかることを目的とすると、こう書いてあるわけでございまして、それ以上の目的は付加されておりませんので、組合として政治活動をすることは許されていないと、こう理解しているわけでございます。
#298
○加藤進君 教員がその立場上政治活動の若干の制限を受けておるということは私たちも知っています。しかし、教員が教員であるがために政治活動が禁止されるということ、これはいま言われたように、教育公務員特例法にありますか。
#299
○国務大臣(奥野誠亮君) 教育公務員特例法では、国家公務員の例によるものとされておるわけでございまして、国家公務員については政治活動の制限規定がございます。そういう意味で申し上げているわけでございます。しかし、この間の会合で申し上げましたのは、個々の先生の問題よりも組合の問題、団体の問題を中心にして私お話しをしたように思っております。
#300
○加藤進君 それでは続いて聞きますが、十数万の教員が半日ストに参加したことを聞いて大臣はあ然とされたと言われています。そして組合の内部からこれを健全な方向へ転換をはかるように希望すると、こう言われています。こういう希望を事実述べられたわけですね。
#301
○国務大臣(奥野誠亮君) いまお話しになりましたことばは、私がしゃべったとおりのことばじゃございませんけれども、趣旨としては、そういう二つのことを申しております。一つは、私なりに公務員の給与改善真剣に努力をしているわけでございまするだけに、三法案の撤回を求めてストの指令がされても二十何万人の方がそれに参加されるとは正直言ってゆめにも思っておりませんでした。それがあれだけ参加をされたもので私もびっくりいたしました。そのことはそのとおり申しておきます。
 それから、第二番目の問題は、組合としては勤務条件の維持改善をはかることを目的とするんだ、したがって、そういうことにおいて、内部にもいろいろ意見があってしかるべきじゃないだろうか、組合の活動方向、部内で活発に議論があってしかるべきじゃないかという意見の表明はいたしたわけでございます。禁止されているストがたびたび行なわれる、そういうことのないようにという期待を込めた表現をしたように思います。
#302
○加藤進君 内閣の閣僚たるものが、正規に認められた民主的な労働組合に対して、その内部の組合員に内部からこれを転換せよということを希望された、こういうことは許されるのですか。もし、このことがほんとうに論議になるなら、これは労働組合運動に対する干渉、あるいは破壊活動、こういうふうにとられてもしようがないことですよ、この一つをとってみても。こんなことをあなたは考えて、希望されるんですか。
#303
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど、安永さんから似たようなお話がございました。さらさらそういう意図をもって言うたわけではございませんけれども、しかし、そういう響きがあるにしても、公務員にはストライキが禁止されておる。そのストライキが行なわれる、そのストライキがないように、行なわないようにという私は要請をやっぱりしていかざるを得ないのじゃないかと思います、こう答えさしていただいたところでございます。
#304
○加藤進君 しかし、労働組合の内部の組合員に対して組合を内部から転換せよ、組合の運動方針を転換せよということを文部大臣が要求し、希望するということ、こういうことでしょう。そういうことを私は許されるかどうかということを言っている。
#305
○国務大臣(奥野誠亮君) そんな言い方を私はしなかったと思うんでございまして、違法なストを行なう、これはもう違法なストを行なっていいか悪いか、これは言うまでもないことだと思うんでございますけれども、そういう議論を組合の中で大いにしてくれたらいいんじゃないかという趣旨の希望、組合が法にはずれた行動をしないような組合になっていくように希望するという趣旨の表現はしていると思います。
#306
○加藤進君 そこまでいきますと、用語その他のいろいろなニューアンスがありまして、文部大臣はそういうふうに言われるけれども、われわれが見るところによりますと、まさにそういう組合の内部に対する干渉、破壊をいわば大臣自身が組合員に対して行なった、こう言わざるを得ないような部面になっているわけでございますから、この問題につきましても、私は今後決して黙ってはおりませんよ、この点は。
 続いて聞きますけれども、教育の秩序を破壊した者にはき然としたる態度で処分に臨め、こういうことを教育委員長、教育長にいわば命令のようにして言われましたね。この教育の秩序を破壊するというのですけれども、教育の秩序というのは一体どういうことなんですか。また、だれが教育の秩序を破壊するか守るかということを決定するんですか。
#307
○国務大臣(奥野誠亮君) 公務員全体でございますけれども、ストライキは禁止されている。同盟罷業は禁止されている。同盟罷業が行なわれますと、せっかく授業を予定しておった子供たちが授業を受けられないわけでございます。そういうことを頭に置きまして、教育秩序は守られるようにしてほしい、教育秩序が乱される場合には、乱された場合の処分はやはりやってもらう、それでなければ、教育秩序の維持をしていくということは困難ではなかろうか、こういう趣旨のことを申しております。
#308
○加藤進君 教育の秩序がそれほど乱れたという事例はあなたよく存じていますか。第一、この四月の半日ストライキはちゃんと教育の秩序については、十分の注意を払ってやっておられるはずです。このストは父兄やあるいは子供たちには事前に通知済みですよ。東京都の教組判決においても、この問題に関して言っています。もし、そのような事前の通知が行なわれ、そして事前の処置が行なわれていくなら、それが教育の秩序に影響するものではない。影響は微々たるものであって、これは一年間の教育計画、教育の進め方について特別影響を与えるものじゃない、こういうことを言っています。だとすれば、教育の秩序を乱したとか、乱さないとかいうことは、これは文部大臣が一方的に判断する。文部省が一方的に判断して処分の口実にする、これ以外にないじゃないですか。
#309
○国務大臣(奥野誠亮君) 加藤さんと私との間には非常に大きな考え方の隔たりがあるように思うんでございます。私はやはり幾ら平素法秩序は守れと言うておりましても、先生みずからが同盟罷業をおやりになる。法に違反する行動をおやりになる。一ぺんに私はいままでの子供の教育というものが変わってしまうじゃないだろうかと、法秩序を守る精神というものは子供さんたちの間につちかわれるだろうかという疑問を持つわけでございまして、そういう気持ちも深く持っておりますので、ぜひ法律で禁止していることは行なわないようにしてもらいたいと強く期待をいたしているわけでございます。根本的な考え方に若干違いがあるんじゃないだろうかなと、こう申し上げざるを得ないんじゃないかと、かように思っております。
#310
○加藤進君 この問題も、根本的にはもっと論議しなくちゃならぬ問題だと思いますけれども、しかし、少なくとも教育の秩序を乱すという判断はだれがやられるかというと文部省でしょう。文部省の判断に基づいてこのような処分が行なわれる、ここに問題がある。教育の秩序をつくる。これはもう教師が責任をもって教壇において、職場においてやっていることです。しかも、そのために一年間の教育計画を持っている。したがって、半日程度のストライキというようなことは、これはその授業計画その他に差しさわりあるものでない、こういうことをちゃんと内容としては持ってきて、しかもやっている。こういう点から見るなら、私はこのストライキを違法ストライキなどとは言うことはできないと、こう言っていいと思うんです。
 そこで、次ですけれども、福岡の処分が行なわれました。この福岡の処分に対して一人ぼっちにするなと言って、あとに続けの号令がかけられました。これは単に福岡だけの問題ではないと思います。文部省はすでに福岡県教委を通じていろいろな指導、助言をやっていますね。そういう結果としてあらわれたのが今度の処分であるということは明らかでありますが、この処分がどのように行なわれてきておるのか、どのような実態が、今日その処分を通じてあらわれてきておるのか、その点について大臣御存じでしょうか。
#311
○国務大臣(奥野誠亮君) 処分をいたします者は任命権者である都道府県の教育委員会でございます。文部省は教育委員会に対しまして指導、助言の立場に立っておりますので、秩序が守られない場合には、それなりの厳正な処分をしてくださいと、こういうようなことを申し上げてまいってきておるわけでございます。今日まで四月二十七日のストライキに対しまして懲戒処分の行なわれたのは福岡県、福岡市、北九州市だけだと考えております。
#312
○加藤進君 私は、こまかい資料を持っておりますけれども、福岡県山田市の碓井町の教育委員会にこういうことが起こっております。八月一日から二十三日にかけて、県教育委員会から電話だけでも十三、四回内申書を提出されたいと、繰り返し繰り返し要求があった。で、この処分は、ストの参加者を自分で現認するという方法ではなしに、各地の教育委員会からの内申書に基づくということのために、各教育委員会から内申書をいかに取るかということに異常な努力が払われたということを各地で強調されてますよ。山田市の教育長の自宅には二回にもわたって県教育委員会人事担当管理主事が来て内申書を要求し、丁重に、よそはもう出しているのでぜひ協力してほしい、こういうことを強要していますよ。その結果、山田市ではどういうことが起こっておるかというと、内申書は提出しましたけれども、それにからんで教育委員全員が辞表を提出するという事態が起こったんです。これ御存じですか。
#313
○国務大臣(奥野誠亮君) 懲戒処分を行なうということは、私はたいへんなことだろうと思います。また同時に、好きこのんでやっているわけのものでもないと思います。ただ、法を守る社会にしていきたい、それなりに守らなかった方については涙をのんで処分をしているということだと、かように考えておるわけでございます。いまおっしゃいました辞表云々の問題につきましては聞いておりません。
#314
○加藤進君 聞いておりませんか。聞いておらずして福岡に続けなどというようなことを、平気で言われるのが文部大臣なんですから、だから私は質問している。
 続いて、こういう事例があります。昭和四十三年十月八日の教員のストライキに対して、宮田町教育委員会が内申書を提出しなかった。たまたま宮田町小学校が火災にあい、国の補助金を要請したところ、当時の吉久教育長は処分の内申を出さなければ補助金は出さない、こう言って処分の内申を強要した、こういう事実があります。こんなことは許されるのですか、吉久という教育長を御存じですね、文部省の方ですから。
#315
○政府委員(岩間英太郎君) 火災につきましては、これは補助金は出ませんで起債で措置すると、そういうことになっております。
#316
○加藤進君 起債について、そういうことが教育長から強要された、内申書を出せ、出さなければやらない、こんなことを許されるのですか。
#317
○政府委員(岩間英太郎君) 起債についての権限は、これは県の地方課でございますから、教育委員会とは直接関係はございません。
#318
○加藤進君 吉久はあなたもよく御存じの方でしょう、副知事やっておられたのですから。こういうことが現に起こっているという事実だけは、はっきり確認してくださいよ。こんなことをいわば内申書にかえて、そして内申書を出させるための手段に使う。こんなことはこれは許されるのですか。こういうことが許されるかどうかということを文部省に聞きたい。
#319
○政府委員(岩間英太郎君) 補助金をやるとかやらないとかいうふうなことはないというふうに聞いております。ただ、もしそういうことがあれば、これは通常は許されないと考えるのが普通でございます。
#320
○加藤進君 まだ事例はあります。田川市でありますけれども、ここでも内申書を出さないでいたところが、教員の海外研修の希望者が出たのに、出したのに、これまで一人も希望者は採用されなかった。また、生活保護世帯の生徒が多くて、学校の事務はたいへんなのに、事務職員は一名しかいない。もう一人の事務職員を要求したところが、いまだにこれは何とも返事がない。老朽校舎の修復についても全く応じようとしていない。ところが毎日のように内申書の提出を求めてたいへんなことになっている、こういうことが言われております。これが福岡県における教組を中心とする弾圧ですよ、教組に対する弾圧の状況ですよ。これが教員処分なんです。こんなことが公然とやられているんです。こういうことがやられておるのに、なおかつ、あなたはそういう事情をほとんど御存じないようでしょう。御存じなくて、一体福岡県に続け、福岡県教育委員会に続け、こんなことを言われるということは、一体どういう意味なんですか。こういうことを全国でやってもよろしいということですか、どうです。
#321
○国務大臣(奥野誠亮君) たびたびお答えをしておりますとおりに、先生方がストライキをおやりになる、これはやってもらっては困る、将来ともそういう事態の起こらないような教育にしていきたいと、これは念願をしておるわけでございます。しかし、現実にはストライキが行なわれている。したがいまして、そういう方については処分をせざるを得ない、処分しなければ、いつまでたっても秩序は維持されないじゃないかという考え方があるわけでございます。いまの事態は、こんなことだけで解決していくとは思っておりませんということは、繰り返し申し上げてまいりました。同時にまた、処分をするということは、相手に不利益を与えることでございますので、なかなか忍びがたいことでございましょうし、また、そういう手続は進めにくい、その事情もよくわかっておるわけでございます。わかっておるわけでございますけれども、全体の教育界の秩序を私としては法の定めるとおりに維持していきたい、そのためには、各府県が協力し合わなければならぬ、そうしますと、福岡県だけじゃなしに、ほかの県も必要な処分はやってもらわなければいけないんじゃないだろうか、こういう判断に立っておるわけでございます。残念でございますけれども、加藤さんとの間で根本のストライキの問題について食い違っておりますために、考え方にも違いが出てきているというふうに思うわけでございます。
#322
○加藤進君 問題はそのストライキに対する認識の相違じゃないですよ。私がいま現にここで指摘したような事態が福岡県に起こっている。その中で内申書を出せ、内申書を通じて大量の処分が行なわれている。この状態のもとで、国が、文部省が全国にわたってあとに続け、こういうことを言っておるということはまことに重大だと、こういうことを私は強調しているわけです。
 特に、あなたもおそらく御存じでしょうけれども、福岡県の教育の貧困な実態というのは御存じのとおりだと思うのです。福岡県の人口一人当たりの教育費は全国の順位でどれくらいですか。三十番目ですよ、福岡県は。で、普通高校生は百人のうち二十六人程度で、多様化が進む一方、実業高校、定時高校生の予算は九州でも最低です。筑豊の教育の実態、これは両親共かせぎ、両親出かせぎ、こういう状態の子供たちの家庭、生活保護家庭のパーセンテージは実に四〇%に当たる。こういう実態なんです。このことに対して行政当局、教育委員会は何をやっている。文部省はこれに対してどのような適切な行政指導をやったのか。教育条件の整備、教育条件の改善について何一つやらないで放置している。処分、処分、処分でしょう、処分についてだけ福岡に続け、福岡を模範にしろ、これが文部省の態度でしょう。こんなことを許しておいたら日本の教育どうなるか。いまこれが一番大きなわれわれの問題になっている。このことを私は指摘せざるを得ないんです。いかがですか。
#323
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど来お答えをいたしておりますとおりでございまして、なかなか処分をするということは困難なことだと思います。ただ、そのために不法な取り扱い、これは行なわれないように留意していかなければならないと思います。そういう立場で臨んでいきたい、こう思います。
#324
○加藤進君 こういう大臣発言の背後には、教育は地方分権である、教育委員会の自主性にまかせる、こう口では言いながら、実際には処分にあたって文部省が率先して全国的な号令をかけている。いわば自治体に対する、自治行政に対する越権行為でしょう。こんなことまで文部大臣が平気でやる、こういうことまでに至っては、私は文部大臣の資格が問われなくちゃならぬと思う。はたしてこれで文部大臣、閣僚としての資格があるのかどうか、責任が持てるかどうかを疑わざるを得ない。私は、きょうの審議を通じて痛切にそれを感じていますけれども、文部大臣、あなたはその出所進退について若干なりとも反省していま明らかにすることはないでしょうか。
#325
○国務大臣(奥野誠亮君) いろいろ御意見をいただきましたことにつきましては、私は深く心にとめていかなければならないと思います。先ほど来またいろいろ不適切な点についてはおわびを申し上げもいたしました。しかし、教育秩序を守っていくについて各府県について協力を求める、それは私のやはり職責じゃないだろうか、こう考えるわけでございます。各府県に対しまして違反者に対してはそれなりの処分をしてください、みんなが一緒にやらなければ秩序は確立されないのです、こうお願いしているのは、行政の責任者として、行政の秩序を維持していく立場上当然努力しなければならないことじゃないだろうか、こう考えるわけでございます。
 もとより、法秩序が変わってまいりましたら、変わってまいりましたところによって責任を果たしていかなければならないということになろうか、こう思います。
#326
○加藤進君 最後に一言
 きょうのこういう熱心な追及に対しても、なおかつ文部大臣は、新聞等々で発表されているこの発言の内容についてはこれは全体として誤りないものと、しかも、この内容について今日改めるという考え方はない、こういうことを確認できるわけですね。私は、そのことをはっきり確認して、きょうの質問を第わりたいと思います。
#327
○国務大臣(奥野誠亮君) たびたび私の真意を述べさしていただいたわけでございます。私の述べてまいりました真意は御理解いただけるんじゃないだろうかという希望を持っているわけでございます。
#328
○加藤進君 この点につきましては、納得が参りませんので、今後ともこの問題について、私は大臣に対する質問や追及を続けていきたいと思います。
#329
○委員長(永野鎮雄君) 理事会で協議をいたしますために、暫時休憩いたします。
   午後七時二十五分休憩
 〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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