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1972/02/22 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第4号
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1972/02/22 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第4号

#1
第071回国会 大蔵委員会 第4号
昭和四十八年二月二十二日(木曜日)
   午後四時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十一日
    辞任         補欠選任
     田中寿美子君     山崎  昇君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
                嶋崎  均君
                土屋 義彦君
                野々山一三君
                多田 省吾君
                栗林 卓司君
    委 員
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                河本嘉久蔵君
                中西 一郎君
                西田 信一君
                桧垣徳太郎君
                船田  譲君
                山崎 五郎君
                川村 清一君
                竹田 四郎君
                成瀬 幡治君
                山崎  昇君
                野末 和彦君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       大蔵政務次官   山本敬三郎君
       大蔵省主計局次  長岡  實君
       長
       大蔵省主税局長  高木 文雄君
       大蔵省関税局長  大蔵 公雄君
       大蔵省証券局長  坂野 常和君
       大蔵省銀行局長  吉田太郎一君
       大蔵省国際金融
       局長       林  大造君
       厚生省環境衛生
       局長       浦田 純一君
       通商産業政務次
       官        矢野  登君
       通商産業省化学
       工業局長     齋藤 太一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       経済企画庁調整
       局財政金融課長  小泉 忠之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査
 (財政及び金融等の基本施策に関する件)
 (通貨問題に関する件)
    ―――――――――――――
  〔理事土屋義彦君委員長席に着く〕
#2
○理事(土屋義彦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 昨二十一日、田中寿美子君が委員を辞任され、その補欠として山崎昇君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(土屋義彦君) 次に、租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 この際、愛知大蔵大臣から、通貨問題に関し、発言を求められておりますので、これを許可いたします。愛知大蔵大臣。
#4
○国務大臣(愛知揆一君) 最近の国際通貨情勢と、これに対応して政府がとりました措置について御説明いたします。
 去る一月二十二日のイタリアにおける二重市場制の導入及び同二十三日のスイスの変動相場制移行に端を発した今回の国際通貨危機は、その後、二月に入ってから、西ドイツの大量のドル流入となり、重大な局面に発展いたしました。
 このような状況から、米国は、みずから国際通貨危機の収拾をはかるため、わが国をはじめ欧州関係諸国と協議を行なう一方、欧州諸国間においても、事態打開のため、蔵相間の協議が精力的に行なわれました。
 その結果、米国が国際収支を改善してドルの信認を回復することが、米国自身のみならず、国際通貨情勢全体の安定のための基本的要件である、との認識のもとに、まず、米国自身がドルの一〇%切り下げを決定し、これに対応して、各国は、それぞれ自国の置かれている国際環境のもとで適切と考える措置をとることとなりました。
 わが国としては、一月下旬以来の国際通貨情勢の急激な変化に対応し、不測の混乱を未然に防止する趣旨から、外国為替市場を二月十日より一時閉鎖し、各国と協力して事態の早期収拾をはかるため努力を続けてまいりました結果、今回の米国のドル切り下げを、欧州を主要諸国とともに歓迎し、二月十四日より外国為替市場を再開するとともに、円の為替相場は、当分の間フロートさせることとした次第であります。
 今後政府といたしましては、今回のドル切り下げ後の国際通貨情勢の推移を慎重に見守りつつ、円の為替相場の適切な水準々見出すことが適当であると考えており、外国為替市場の動向を見きわめた上で、適当な時期に、固定相場に復帰したいと考えております。
 なお、政府といたしましては、今後とも国内経済の安定的成長を確保するとともに、特に中小企業に対しては、必要に応じ十分な配慮を行なってまいる所存であります、すでに、金融、為替、税務等多面にわたる施策を逐次実施に移している次第でございます。
 また、わが国の対外均衡と達成するためには、今後も引き続き格段の努力を払う所存であり、さらに国際通貨体制の長期的安定をはかるため、新しい国際通貨制度の確立に積極的に貢献してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#5
○理事(土屋義彦君) それでは、これより、去る二日聴取いたしました愛知大蔵大臣の所信及びただいまの同大臣の発言に対し質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。竹田君。
#6
○竹田四郎君 前回所信表明を伺ったわけでありますが、それに引き続きまして、今回の、ただいまの、追加の所信表明といいますか、されたわけでありますが、この前の、今後の政策運営の課題という項目の中で、「今後の政策運営の基本は、長期的展望のもとに、積極的に国民福祉の向上につとめ、物価の安定をはかりつつ、国際協調の実をあげ国際収支の均衡を回復することにあると考えます。」と、こう述べて、いわゆる例のトリレンマの解消というようなことで、新聞にも喧伝されましたし、大蔵大臣自身も、そうした席上において、トリレンマの解消ということで強調をされていたわけでありますが、円の変動相場制へ移行した現在、この三つの課題について、いままでの考え方と幾らか考え方に重点の置き方とか、そういうようなものに若干の相違が出てきたのか、あるいはいままでと同じような形でそれをお考えになっているのか、先ほどの、わずかな追加の所信表明でありましたけれども、内容的には私はかなり大きなものである、こういうふうに考えざるを得ないわけですし、同時に、そうしたことはただ日本一国の問題じゃなくて、世界的に注視がされている問題でもあるわけです。そういう意味で、重ねてその福祉と物価と国際収支の均衡のこの三つの問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
#7
○国務大臣(愛知揆一君) 二月の九日以前におきまして、こういう国際的な通貨上大きな変化があるということを前提にして申し上げていたわけではございません。しかしながら、こういう事態になりましても、私はやはり三つの課題というものが、今日の日本としてはどうしても解決をしていかなければならない大きな課題であると、こういう認識には変わりを持ちません。これが現在の私の立場であり、意見でございます。
#8
○竹田四郎君 この三つの中で重点を若干移動しなくちゃならないというようなことは一切ない。この前の二月の八日以前の考え方と、そうした面では重点の置き方とかなんとか、そういうものについても一切変更はない、こういうことでございますか。
#9
○国務大臣(愛知揆一君) この三つの課題には、率直に言って順番をつけるわけに私はいかぬように思うわけでございまして、この三つを同時に調子をそろえて解決をしていかなければならない、こういうふうな考え方においては変わりはないと、こう申し上げて差しつかえないかと思います。
#10
○竹田四郎君 大蔵大臣は、変動相場制を実施する期間については、これは御明示にならないわけでありますが、そうした点で、固定相場制ではありませんので、将来どういうふうに円・ドル関係が動いていくか、これについては未知数でありますが、必ずしも的確な御返事をいただこうとは思わないわけでありますが、具体的にこれだけの経済各般にわたるところの変動というものがあったわけでありますが、これについて一体今後の景気動向というものはどういう形で進んでいくだろうか、この点についてはいろいろな研究所で発表している数字もあるわけでありますが、この間企画庁でも、アメリカがドルの一〇%切り下げをやったときに、これは正式発表じゃないと思いますが、一応経企庁として計算されたわけでありますけれども、それによっても、いろいろ政府の経済見通しとして、一月の当初でしたか発表された経済見通しとは若干違った数字が出てくるんだと、こういうお話があったわけでありますが、その事態とはまた今日の事態というのは必ずしも一致していないわけであります。あのときにはただ一〇%ということであったわけでありますが、今日においては対ドル関係では、市場においては二百六十五円レートのものが出ていると思いますけれども、そう考えてみますと、今後の景気動向というのは一体どういうふうにお考えになっているのか、経済成長率あるいは輸出入の貿易収支あるいは卸売り物価、消費者物価、そういうものに対してどういうふうに国民は考えていいのか、大臣の御見解をいただきたいと思います。
#11
○国務大臣(愛知揆一君) 御案内のように、最近、昨年の暮れからことしの初めごろからの状況から見ましても、景気の上向き状況というのはかなり顕著になってきていたように思われるわけでございます。そういう点から見ますと、今後、この変動相場制に移行したこと、あるいはドルが切り下げられたこと、それから、それによって国際的に推移がいろいろ起こると思いますけれども、こういった環境下において、これまでの日本の予想されていたような景気の動向がどう変わるかということは、にわかに見通しがつきかねるというのがほんとうのところではなかろうかと思います。しかし、民間やエコノミストの方々もいろいろの観測などをされておりますが、その中からは、やはり相当着実な景気の伸びというものは続くのではないだろうかというふうな見方をしている方々がある程度おられるように見受けられますが、そういう見方も正しいかなという程度でありまして、いま政府としては、先般来いろいろ衆議院でも御質疑を受け、お答えもしているわけでございますけれども、確としてこういうふうな経済見通しになるということをいまにわかに断定して申し上げるところまでは、まだいっていないのが実情であろうと、こう考えますし、政府としてもそういう見解をとっている次第でございます。
#12
○竹田四郎君 ただ見通しがわからないというだけでは、これはこのことによってショックを受けた人たちというものはかなりいるわけです。具体的に輸出関連のメーカー等にしてみれば、これから一体どうなるのか、親会社は一体どういうことをいってくるのか、自分のところは一体伸びるのか伸びないのか。それとも売れなくて倒産せざるを得ないのか。こういうことで私もかなりのそうした企業の方々にお会いしたわけであります。なかなか見通しがつかない。しかも、大蔵大臣のお話ですと、かなり相当期間変動相場制を続ける。かなり長期的なことをお考えになっているようでありますし、いろいろな答弁でも、この前は四カ月にわたって変動相場制を続けてきたではないかというような御答弁もあったわけであります。大体どっちの方向に向かっていくだろうということぐらいはおっしゃっていただかないと、固定相場をもしきめるとしても、それは大蔵大臣の権限の一つだと思います。政府の権限の一つであります。そういう点ではみんな愛知さんの顔をにらみつけて、一体幾らにきまるだろうという点については非常に真剣な顔をしておると思います。ですから、それだけにどうもわからぬ、しかも、変動相場制はかなり長く続ける、こういうのでは一体何を国民はしていいのか、非常にそういう点では.不安が内蔵していくということに私はなると思う。大体どういう方向――もちろん私はこういう意味では、国際収支が何十億ドル減るとか、あるいは物価が何%下がるとか上がるとか、こういう数字については私はいま要求するのは無理であろうと思います。ただ、おおよその見当は、やはり変動相場制に移行をさせた当の責任者として、大蔵大臣としてはほぼこういう方向に行くんだ、こういう大ざっぱな見通し、これだけは示してもらわないと、国民としては仕事に手をつけられないというふうに私は思うんですが、ただそれはどうなるか、どうも民間のほうはいろいろ意見を出しているようだけれども、どうもわからないということではこれは困るわけですが、おおよその方向だけ、流れだけは示してもらいたいと思います。
#13
○国務大臣(愛知揆一君) それはもうまことにごもっともな御意見でありまして、私もその点についてはいろいろと責任を感じ、かつ考えているわけでございますが、端的に申し上げますと、輸出関連の特に中小企業につきましては、できるだけ心配を払拭するようにあらゆる努力をすでに始めておるわけでございまして、これはいずれこまかく御説明もいたしたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、輸出関連の中小企業の方々には心配をかけないようにしたい、これをとりあえず最重点に考えておる次第でございます。中には変動相場制に移ったことによってむしろよくなる面もあるわけで、これが経済見通し全体となりますと、いろいろの要素があると思いますけれども、少なくとも輸出関連の、特に中小企業に対しては影響が避けがたいわけでありますから、この実情を十分に掌握する、また積極的に政府としても相談に乗るとか、あるいは積極的にいろいろの指導、助成をする、これに全力を現在も傾倒しておるわけでございます。
#14
○竹田四郎君 そういう中小企業に対する施策の問題は、これは新聞にもたいへん書いてあります。また私どももいろいろ要求をしておりますから、私その点はそれなりに、いまの中小企業に対する点は理解するんですが、大体どういう方向になっていくかということだけはお示しいただかないと困るんじゃないですか。そのぐらいの点だけはぜひともこの席で言ってもらわなければ、われわれとしても、大蔵委員会を開いてどうなるのかわからぬという議論をくだくだ重ねていたってこれは困るわけです。その点はぜひひとつ……。私も具体的に聞いているわけじゃありません。おおよその方向だけは示してもらわないと困ると思うんです。
#15
○国務大臣(愛知揆一君) おおよその方向ということになりますれば、先ほども申しましたように三つの課題、つまり物価が安定するといいますか、いまは何としても騰貴しつつあるわけですから、これを安定の方向に持っていく、それからすでにいろいろの機会に御説明もしておりますが、福祉国家建設のほうに傾斜をしていくようにしよう。それから変動相場制になったということは、やはり与えられた条件のもとにおいては、国際収支の均衡の回復に向かう道であるとも思いますから、やはり三つの課題を従来にも増して解きやすくするような努力を展開していくことである、こう考えます。
#16
○竹田四郎君 たいへんそういう御答弁では、これは何も大蔵委員会を開いて聞く必要はごうもないわけです。そういうことでは困ると思うんです。
 それでは具体的にお聞きをしていきますけれども、たとえば、貿易管理令については、通産大臣はもうこういう時代になったから貿易管理令は適用を廃止しよう、こういうようなお話があったわけでありますが、具体的に貿易管理令はどういうふうに今後扱われるつもりでございますか。
#17
○国務大臣(愛知揆一君) これは通産省の伝わり方もいろいろ問題があったようでありますけれども、政府として考えておりますことは、三回にわたる昭和四十六年以来の円対策をこういう事態になればむしろますますこれを進めていかなければならない、自由化の問題にしても、あるいは資本の自由化の問題にしても、あるいは貿管令の適用にいたしましても、あるいは関税の引き下げにいたしましても。こういう点については以前からも努力を続けてきたわけでありますけれども、この線は十二分に進めていかなければならない、これが基本的な考え方でございます。
#18
○竹田四郎君 通産省はお呼びしてなかったんですけれども、いまのは、これは政府見解ということで、いままで以上に貿管令の適用はきびしくしていく、たとえば対象業種をふやすとか、あるいはその制限の率を高める、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#19
○国務大臣(愛知揆一君) これは貿管令だけの問題ではございませんで、円対策として考えられていたことについて、少なくともこれをやめるとか方向転換をすることではなく、具体的にはそれぞれの項目についてさらに拡大するものもございましょう、あるいは速度を速くするものもございましょう。しかし、これを、いままで考えておったことを逆に考えるというようなことはしないというのが政府の基本方針です。
#20
○成瀬幡治君 ちょっと関連して。
 大臣、いまの貿管令との関連ですが、大体フロートするのにおおよその何カ月ということは、大臣も言われませんけれども、この前のとき四カ月かかっておるではないかというのが一つのめどになっている。貿管令は半年ですね大体。しかも一月からやると、そしてこうずっといくと、固定相場に大体いつごろなるだろうということはおよそ見当がとれておるわけです。四カ月だというふうに織り込んできますと、そうしますと、貿管令で、たとえば、弱電関係でいえば二七%、ただしもうげたはいているから一一%だと、この一月からの――一一%増がある。ところが、実際はフロートしておりますからなかなか商取引ができない。中小企業はそれでいま非常に困っている。ワクはもらったけれども取引が成立しない。ずれ込んでくる。さてそれじゃずれたものをどういうふうにするのか。もう一つは、通産大臣のほうじゃ、円の切り上げ、いわゆるフロート、同じですが、そういうものがあるなら貿管令は適用をしないということを言明しておるわけです。業界としてはそれを実は頼りにしてやってきたわけです。政府は今回は、いや円の切り上げはやっても、貿管令はやるのだとこう言う。どちらを信用していいのか。それじゃいままでの政府の方針は全く変わったということになる。大蔵大臣がどうだとか、通産大臣がどうだとかいう問題じゃなくて、田中内閣としてどうするのかということを早くやってもらわなければどうにもならぬところにくるわけです。しかも、フロートの期間が長ければ長いほど中小企業はたいへんなことになるわけです。ですから、中小企業の対策として尋ねるよりも、基本的な問題としてどうおやりになるかということを、竹田委員は非常に具体的にあまりやると、ちょっといろいろなことで差しさわりがあるかと思って遠慮しいしい私は聞いておると思うのですよ。大臣もなかなか答えにくいと思う。しかし、明確なことにしてもらわないと、中小企業はどうやっていいかさっぱりわかりやしないのです、いま。取引ができないわけなのです。ですから、下請に対する発注もできなければ、ましてやどうやっていいか遊ばしておかなければならぬ。全くえらいところにきておると思う。ですから、私もある期間を置いて実勢をつかんでおやりにならなければならぬということもわからぬわけじゃないわけです。しかし、それをやっておれば、だれにしわが寄ってくるか、どうなるかということを考えて善処してもらわなくちゃならぬと思う。ですから、貿管令の問題と円切り上げとの関係は、前はあったけれども、今度は無関係のようないま話ですが、どうなんですかということを開き直って聞きたいわけです。以上です。
#21
○国務大臣(愛知揆一君) それも私もよく理解できるわけでありますから、いま申し上げたとおりであって、累次にわたる円対策というものは、変動相場制になりましても、これを方向を変えるということがあってはならないというのが政府としての基本方針。しかし、円対策の中にもいろいろ方法があるわけであって、きめこまかくやらなければなりません。したがって、現在特に輸出関係の中小企業の問題については、もう十四日以来通産省においても、もう直ちに地域的にも重大な問題を持たれているようなところには、すぐ調査を始め、御相談に乗り、そしてこれはそういうことを引用してはいかがかと思いますけれども、昨日、一昨日の衆議院の委員会等におきましては、かりに、たとえばレートがこうなれば、こういうところはどれほどの影響がある、それに対してはどういう措置をしたらいいかというところに踏み込んで、対策が講ぜられつつあるわけであります。それでたとえば、その中には資金的にも、予算的にも、あるいは税法上の問題にしても、金融の関係はもちろんでございますが、考え得る措置は用意をして、実情の掌握と、それから業界の御心配の具体的な点と、それに対処する政府側の対策がよくお互いにミートし合って、心配をかけないようにする、こういうことにいま鋭意努力をいたしているわけでございます。したがいまして、それと関連いたしますから、いろいろの制度のやり方等について、若干の速度をおそくするとか、幅を広げるとか、あるいはスピードを逆に増すとか、これはいろいろの点が考えられると思いますから、一がいに言えませんけれども、要するに、しかし、基本的な考え方というものは、やはりこれは通貨の問題だけではございませんで、国際的に通商関係をどうするかということがやはり大きな問題になっておるところでもありますし、それから特に一番深刻なのは、日米の貿易関係でありますことは御案内のとおりでございますから、そういう点についてどういうふうな考え方、そして国益を守り、中小企業の立場を考えたらば、どういうふうな方策を考えたらいいかということをあわせ考えていかなければならない、それが私は現状だと思います。
#22
○成瀬幡治君 もう一つだけ。
 大臣、列島改造論を読んでおりますと、輸入税という問題が一つあったわけです。これは税調でだめになっちゃったですね。出てこないだろうと思う。そういう問題で、円対策と申しましょうか、日本経済全体の問題で、列島改造論、田中さんが公約した問題がどういういきさつにどうなっているかというようなことは、またあらためて私たちも議論をしたい問題だと思いますが、いま緊急の問題は、フロートしておりますね、これがかりに四カ月になってしまいますと、どういうことになるかというと、割り当てをもらっておる中小企業の人たちでいえば、その半年間のものがちょうどそこと合うわけなんですよ。そうすると、フロートした中で、六十五円で取引するのか、六十三円にするのか、四円にするのか、五十銭にするのか、たいへんなことなんですよ。大体二百八十円ぐらいといわれておった。二百七、八十円を大体目途としてみんなやっておったわけですね、円建てすれば。あるいは契約する場合に、それだけはひとつバイヤーのほうで持つとか、インポーターのほうで持つとか、いろんなことになっておったと思うんですよ。それがぐずぐずしておりますと、どうもなりませんから、私は早く、この際は、結論を出すのが妥当なものだと思う。大臣はなかなか言いにくいかもしれぬけれども、そういう一つのパターンがあるということをひとつ考えて、中小企業の立場なり、いろんな立場から立ってもらいたい。私は早くやれば、いろんな意見があったと思うが、二百七十五円なら二百七十五円ぐらいで、フロートさせずにぽんとやったら、あるいはなったかもしれない。しかし、それでも問題が解決しないから、あとでいろんな対策はとらなくちゃならぬかと思ったわけですけれども、とにかくタイミングはもうここまできてしまったんですから、過ぎたことはやむを得ません。ですから、これから中小企業なり、いろんな点について、被害を極力少なくするということを考えなくちゃならぬと思うんです。円対策のほうとしては、価値をどうするかということは、六十円になったから、あるいは五十円になったから、それで収支がどうという問題じゃないと思うんです。私は、日本はやはり輸出をしなくちゃならぬという問題があるから、それならそれについてどうしていくかということを別途考えていた必要があると思うんです。
 ですから、私の言いたいことはいろいろとございますが、大臣に重ねてお伺いしますが、そうすると、貿管令はゆるめないよと、このままでいくんだ、あるいはもっと強固にしていきますよという考え方には間違いはないということ。それから、輸入税という問題については、もう全然対策としては今度は考えませんよと、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
#23
○国務大臣(愛知揆一君) 中小企業関係の貿管令のやり方については、これはなかなかきめこまかくやっていかなければならないと思います。ですから、これはいま担当の通産省でも非常に真剣に取り上げられていると思いますが、貿管令というものをこの時期にやめてしまうということは考えないはずでございます。
 それから輸入税というお話でございましたが、関税の問題は現に御審議を願っている関税定率法の改正の問題もございますが、これはもとよりのこと、将来の問題としては、さらに関税の引き下げといいますか、関税の――まあこれは法律できめなければならない筋合いの問題ではありますが、場合によれば、ある程度の授権を政府にお願いをするというようなことも将来の問題としては考えたほうがいいんじゃないかと、つまり、輸入関税についてはできるだけこれは、まあものにもより、時期にもよりましょうけれども、これは下げる方向で考えてまいりたい。
 それから、輸出税の問題でございますならば、輸出税の問題は、ただいまこういうふうな通貨問題が深刻になってきているところでございますから、さしあたりのところは、輸出税というものは問題にしないほうが適当であろうと、こう考えております。
#24
○竹田四郎君 どうもよくわからぬですが、そうすると、貿管令の問題はいままでどおりというふうに理解していいんですか。それとも強めるというふうに理解していいですか、どっちですか、その点は。
#25
○国務大臣(愛知揆一君) これは率直に申しますれば、現在のところはいままでどおりと御理解をいただけばよろしいのではないかと思います。
#26
○竹田四郎君 じゃ、貿管令はいままでどおりこれからやっていくと。しかしそれは変動、今度のドルの一〇%切り下げとは関係ない。この前は円・ドルの大体切り上げ幅に近い数字というものを一応基礎にしたわけですが、それは関係ないと、そういう理解ですか。それとも当然この前と同じように、ドルの切り下げの一〇%分は対米関係については考える、こういうんですか。その点はどうですか。いままでどおりという意味はどういう意味ですか。
#27
○国務大臣(愛知揆一君) さしあたり、いままでどおりというのは、通貨のほうの問題は現にフロート中でございますから、こういう状況下にあっては、いままでどおりと申し上げるのが一番よろしいのじゃないかと思います。
#28
○竹田四郎君 大体その辺はわかったわけですが、もう一つは、預金準備率は一体どういうふうに扱っているのか。預金準備率によって約三千億ですか、このくらいの金額を凍結できたということでありますが、今度の変動相場制前後の問題から、実際はそれはもう消えてしまったと、相殺されてしまったと、こういうふうにいわれているんですけれども、これについてはどういうふうにお、考えになっているんですか。
#29
○国務大臣(愛知揆一君) これは計数的には正確に政府委員から御説明申し上げたほうがいいと思いますが、概して申しますと、千四、五百億円くらいと申しましょうか、その辺のところが外為関係でもって資金の散布があったと一応考えてよろしいんじゃないかと思います。
 それから、準備率の引き上げで、そのこと自体ではほぼ三千億くらい、凍結といいますか、凍結ということばは適当でないかもしれませんが、まあ通俗的に申し上げます。ところで、御案内のように、変動相場制をとりましてから、いわゆる介入というものはほとんどやっておりません。そしてドル買いが行なわれておりませんから、したがって、そういううちから過剰流動資金というものがあふれてくるということが、ただいまの状態ではなくなってきたわけでございます。そういう二つのことを前提にしていただいて、これから例年の例によりますと、正常な状態であれば、三月にかけましては資金が不足する状況にある。そこで、通常の場合でございましたら、日銀が買いオペをして資金供給をするという段階に普通ならば入るわけでございます。その買いオペをする分が、いま申しました千四、五百億の分だけが減らせる勘定になるわけでございます。そこで、正常な資金の需給の状態が出てくる。こういう点を申しますと、変動相場制をとりましてから、金融政策のやり方というものは、むしろ正常化の方向に入ってきたということも言えるのではなかろうかと、こう考えます。
 それからいま一つは、直接のお尋ねの点でありますが、準備率の引き上げで直接塩づけになりました金は、おおよそ三千億円と申し上げたわけでありますけれども、これの、何と申しますか、貸し付け力として、波及的な効果というものがどのくらいの倍率になって貸し出し等に影響するかということは、正確には捕捉が困難でございますけれども、少なくとも何倍かの効果は発生しておるはずでございます。こういう点をよく見合わせながら、今後準備率をさらに引き上げるかどうかということをきめるべき新しい要素がそこに出てきていると、こういうわけでございます。かりに外貨の関係からもっともっと、この千四、五百億というような額じゃなくて、もっと多くの金が流入するというようなことになれば、今日の現状の金融情勢というものはもっと変化が多くて、そしてあるいは準備率の引き上げというようなものがもっと早期に行なわれなければならないという状況もあったかもしれませんが、今日の状況はいま概略御説明いたしたような状況でございますから、今日ただいまの状況で、準備率をいつどの程度に引き上げるかというところを具体的に考える段階にはまだ入っておりません。
#30
○竹田四郎君 時間の関係で、一つ一つ聞いていきたいと思うのですが、なかなかそれができないわけでありますが、先ほどのお話では、三次にわたる円対策を引き続きおおよそのところ実行をしていくというような御答弁であったわけでありますが、現実にはこの三次にわたる円対策というものが、名前はとにかく円対策だということで文章には書かれている。しかし、そのほとんどというのは、圧力団体や、あるいは各省のなわ張りによっていつか骨抜きにされてしまっているというのが、この三次にわたる円対策の考課表だというふうに私は思うわけです。それにもかかわらず、これだけの大きな変動があったにもかかわらず、いままでと同じような円対策を続けるということであっては、これは国民としていままでの円対策がほんとうに効果を発揮した、それによって円の再切り上げが回避ができたという確信というのは国民にはないわけです。名前だけだという非常な不信がいままでの三つの円対策にあったわけです。これからの円対策というのは具体的にどういうことをするのか。若干ずつ出ましたけれども、ひとつ、考えられる、あるいはやろうとしているところの円対策、あるいはいままでの円対策の中で、こうしたことは今後もっと積極的に進めるんだ、もっと強引にやるんだというような問題もあろうかと思います。たとえば、農産物の自由化などはそういう種類のものに入るかもしれません。そうしたいままでの円対策と、今後の円対策、質的に、あるいは対策の項目的にどう違っていくのか、どう違った方向で持っていこうとしているのか、この辺をひとつ明確にしていただきたいと思います。
#31
○国務大臣(愛知揆一君) なかなか効果が目ざましく出てこなかったということについては残念なことだと思いますけれども、しかし、同時に、弁解がましくなろうかと思いますけれども、相当のところまではやっていたという見方も私はしていただけるのじゃないかと思うのですが、たとえば、残存輸入制限の問題にいたしましても、いまとにかく三十三品目までこぎつけたわけでございまして、いま残っているのが、いわゆるハードコアであります。このハードコアにつきましても、何としてもせめてこの残存の三十三品目を減らそうという努力が一生懸命行なわれておりますが、最近新聞等でも御承知のように、通産物資あるいは農林物資等についても、その努力のあらわれがもうそろそろ出てくるようになってきているものもあるように見受けられます。それから、輸入割り当てワクが拡大されましたことも御承知のとおりで、国内の消費量の二%から七%に引き上げられたということ、それから、関税の引き下げは、千八百六十五品目にわたって一律二〇%引き下げられたというような点については、これは国際的にもかなりの評価がございます。それから、さらに特恵関税の完全な早期実施、これらについてはただいま御審議をいただいているわけでございます。
 それから、輸出振興税制をやはり税制の上ではやめてまいるということも御承知のとおりでございます。
 それから、先ほど来お話がありました貿管令の発動、それから、対外経済協力、そしてわれわれとしてすみやかに実施したいと思っておりますのが資本の自由化、とにかくこれらはいずれも国内的に見ればなかなか踏み切りのつかなかった問題でありますけれども、とにかく相当のところまで私はやってきたと思いますが、さらに精力的に伸ばしてまいりたい。
 それから、これはどうも正確に学問的に――承認されるかどうかわかりませんけれども、いま御審議をいただいております四十八年度予算の執行によって計量的ないろいろの計算が、ある方々によってはできるわけですけれども、国際収支の上にあるいは三十億ドルという、あるいは四十億ドルという、こういうような圧縮ができる、いわゆる輸出振興よりも内需への転換、福祉経済への方向転換ということが計量的に、ある種の学問的な手法によりますと、そういったような数字も出てくるわけでございます。こういったようなあらゆる政策を講じてまいりますれば、それなりの効果はあるのではなかろうか、こう考えるわけでございます。
#32
○竹田四郎君 どうもよくわからぬですけれども、いまおあげになったようなことは、すでにこれは評価済みなわけですね。その上で円というものが国際的にねらわれているし、現実的にはそういうようなことをやっても、政府の見通しよりも貿易黒字が出てきた、こういうところに今度の変動相場制への移行という問題が出てきたと思うのですけれども、どうもそうした意味でこれだけのことが行なわれて、わざわざ大臣が追加の所信表明までやった。しかし内容的には少しも変わりがない。これはどうも何のために変動相場制に移行したのか、こうした点も私ども理解できないわけなんです。そして具体的に円対策をどう進めるかという点についてもいままでやったのを並べた。これが効果があったんだと、そういう点ではとても私ども理解ができないわけですけれども、こうしたものをもう少し明らかにする時期というものがおそらくあるだろうと思うんです。いまのお話でも三十三品目の中でそろそろできそうな品目がある、その辺は確かに努力をされておるだろうと思うのです。そういうものが具体的にそろってくる時期というのは、やっぱり変動為替相場制が終わるときですか、それともその間にそれをやるんですか。大体そういうものの見通しというのはどういうふうにお考えになっているのですか。
#33
○国務大臣(愛知揆一君) 変動相場制といいますのは、やはりあわてて固定相場というようなものをぴしっときめるというやり方は、私は不得策ではなかろうかと思います。したがって、私はよく申しますことですけれども、たとえば、よく十カ国蔵相会議というようなことがいわれますが、その主要欧米、日本を含めた十カ国の中で、五カ国がフロートして、変動為替相場制を現にとっているわけです。またダブっているところもございますが、そのほかに二重為替相場をとっているところもございます。固定為替相場だけが最善の道ではないということは、この十カ国の現にとっている措置から申しましても私は言えるのではなかろうかと思います。ただ、いろいろの外国関係の御商売などをなさる方から見れば、固定された相場があることがこれは商売もやりやすいし、望ましいことでもございましょうし、日本としてはそういう戦後においてなれてきた制度でございますから、適当な時期に適当と思われる固定相場に移行するということが適当であると思います。しかし、今日のような状況におきましては、そして幸いにただいまのところは東京市場も平静でございますから、いましばらくこの状況を私は続けていきたいと考えるわけです。同時に、これはその期間内においてももちろんでありますし、あるいは将来にわたってもいかなる条件下におきましても、これは通貨だけで片づく問題ではございませんで、通商政策、あるいはそれぞれの国内の政策が大事でございますから、これは衆議院の予算委員会の審議を再開していただくに際して、総理大臣から所信を申し上げた、そこにもあらわれておりますように、長きにわたってやはり国益を考えながら開放経済体制に向かっていく、そして国内的には福祉型に移行していくということでやっていくことが、どなたがおやりになるにしても、その政策の選択は正しい道ではないか、こう私は考えております。
#34
○竹田四郎君 どうも大蔵大臣おっしゃっていることは、これだけ国民に迷惑をかけていながら、具体的に出てくるものは何もない。どう処置を、国民が自分自体でどうこれから進めていくべきかということについてもあまりはっきりしたものはない、いままでどおりだ、これでは私は非常に無責任だと思うんです、国民に対して。こういうことをずっとやっていますと、むしろこういうことを長くすることによって、いまの過熱ぎみな成層率を落としていく、それを私はむしろねらっているんじゃないか。これを落とす過程において国民各層におけるところの影響というものは私は非常に大きく摩擦が出ると思う。それはただ政府がいっている中小企業対策だけで救えるものじゃない。どうもその辺が、決断と実行ということで売ってきた田中内閣のあり方としてはまことに遺憾だと、口をぬぐって何も言わない、聞かれても何も言わない、私は非常に残念に思うんですけれども、時間の関係で次へ進めます。
 いまも、変動相場制というものはかなり長い間とろうとしていらっしゃるように私どもは受け取るわけであります。また衆議院の予算委員会において大蔵大臣は、変動相場制というのはたいへん妙味がある、何か株をやる人みたいな感じがするわけでありますが、非常に妙味がある、こういうふうにおっしゃるわけでありますが、一体その妙味というのはどういうことなんですか、私どもよくわからないわけです。非常に妙味があるというのはどういうことをおっしゃっているのですか。おそらくプラス面というものはたいへんあるわけだと思います。プラスとマイナスというものは当然あると思うのですが、それはどういうことなんですか。
#35
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、何といいますか、ざっくばらんに言えば、反問申し上げたくなるのですが、そうすると決断と実行で何をやったらよかったか、私はやらざることがまた決断と実行であるということも考えられるわけであります。私はある日突然、たとえば、国民が全然予想もしていなかった通貨の相場が突然変わったというようなことがありますれば、これは非常な衝撃を与えることになるのではないでしょうか。私は、やはりドルの切り下げということが現に起こりまして、そうしてそれが今後どういうふうな影響をあらわしてくるであろうか、あるいは国際的にこれがどういうような動向になるであろうか、あるいはまた国内的にどういうふうな受け取られ方をするであろうかというようなことを見つめて、そうして国際的に是認されているといいますか、評価されるようなやり方をとって、そうして国民的な理解と協力の上にやるべきことをある時期にやるというような選択をすることも一つの方法じゃないかと思います。そういうようなことを全部ひっくるめて変動為替相場制というものは妙味のあるやり方ではないだろうか。しかもこれは、先ほど申しましたように、たとえばカナダ、イギリス、イタリア、それから日本、それからスイス、こういうところは変動為替相場をつとにやっておる、あるいは今回もまた新たにやっておる。そうしてさらにそのほかには、二重為替相場をとっているところもある。これは自由相場のほろは、いわば変動相場ということがいえるでございましょう。こういうふうな国際的なやり方などを見ましても、何も急速に円のレートというものをきめなければならないという筋のものではないのではなかろうか。ただ、それは同時に、変動相場制のもとにおきましても、私は強調して申し上げているのは、何といっても日本の経済構造からいって、輸出関連下請などの中小企業に打撃を与えてはいけない。それから、前の四十六年のとき、あるいはその以後のいろいろ世間的な御批判も受けていたようでありますけれども、たとえば、構造改善というようなことで、いままでは輸出を主としていた、これを内需に転換するというような、転換についての政府の助成措置が足りなかったんじゃないかということが指摘されている面もございますから、今回の場合は、そういう点にも十分の配慮をやっていこう。これはもう通産省などもそういうお考えのようでありますから、そういう面に積極的に乗り出していくということが適切な態度ではないか、こういうふうに考えるわけであります。
#36
○竹田四郎君 なかなか口が重いというのですか、何というのですか、なかなかほんとうのことを言ってくれないわけで、国民はこれでは迷うだけだと思いますが、ひとつ今度は方向を変えまして、いまの企業にある過剰流動性、まあこれが株を高めたり、土地を高めたり、あるいは豆にそれが飛んでいった、木材に飛んでいった。まあいまや羊毛、綿糸にそれが行こうとしている。それがさらにインフレを激化している。まあこれはいままでの円対策、そういうもののしわ寄せというものがこういうところへ来ているわけです。しかし、銀行に対する対策というのは、先ほどの準備率、あるいはその他のことによって過剰流動性は吸収されていると思いますけれども、問題は、一番問題になるのは企業の中における過剰流動性、これをどう処置をしていくかということが、今後の投機現象というものを押えていく、ばか高い株価を押えていく、あるいはばか高い土地の価格を押えていくということになると思うのですが、その過剰流動性については、一体大蔵省はこれをどう措置をしていくか、そして物価の安定にどう寄与させていこうとしているのか。企業の内部における過剰流動性の対策、方針をお示しいただきたい。
#37
○国務大臣(愛知揆一君) 企業の手元流動性の資金ということが非常ないま話題になっていることを私どももよく承知しております。同時に、やはり金融機関を通じて出ます通貨量というものは、これはもう圧倒的に多いわけです。ですから、このオーソドックスなやり方は、やはり金融政策というものは金融機関を通じてやることが適当であると、こういう考え方で累次――これは変動相場に移行する前からのことでありますけれども、昨年末以来相当思い切った措置をいたしておるわけでございます。詳しくは御承知のとおりと思いますし、また御必要ならば銀行局長からでも説明をしてもらいますけれども、そして先ほども申しましたように、これは少なくとも現在のところでは一時のような根元が、つまり外国関係からどんどんふくれ上がってくるというようなことはいまのところはなくなった。したがって、金融政策としては正常な姿でその成果があがるような状態に現在はあるわけでございます。こういうふうな考え方で、これからやはり引き締めぎみの、しかし、できるだけ目的的な、つまり一面においては内需というものも大事でございますから、目的的な引き締め策ができるように、これは私はまだ計数的にはっきりしたものがつかまえられておりませんけれども、たとえば、土地融資などについての相当徹底した対策というものがかなりの効果をあげつつあるのではなかろうか。そこでそのほかのところへまたお金が向いていくという傾向も出てきているのではないかと思います。
 それから証券市場に対する措置についても、けさの新聞でもごらんのとおりと思いますけれども、具体的な措置、それから行政的な協力の要請、まあいろいろの方法である程度のこれは効果が現にある、こう考えておるわけでございます。
#38
○竹田四郎君 時間がありませんから、この点も私はいまの御答弁では当然承服できかねるわけですが……。
 これ、最後の質問になると思うのですが、今度の国際的な通貨危機の大きな原因というものが、アメリカの多国籍企業が意図的にドイツを襲撃をしたいということであり、同時にそれが、アメリカ政府がそれを黙認をしていたということでありますが、こうしたことは、はたして日本の中にも、アメリカの多国籍企業というのは私当然あると思うのです。一番大きい、いま日本にその目標を向けつつあるわけでありますけれども、一体わが国における多国籍企業というものが、そういうことは一切ないのかどうなのか。まあ前の大蔵次官の澄田さん、あるいはいまの短期資金課長の大場さんですかの書いたその書物によりますと、多国籍企業というのはそんなことはしないんだ、ただ普通の形でのヘッジだけをやっているわけであって、そういうことはしないのだ、こういうふうに.この文章「多国籍企業の実態」ですか、これには書いてあるわけです。時間がありませんから一々読みませんけれども、「欧州の政府当局や通貨当局などは、多国籍企業なるがゆえに為替スペキュレーションを行なうものでもなく、」と、まあこういうふうにいっております。しかし、世界の新聞は、今度の場合に、アメリカの多国籍企業がこれをやった、今度の通貨危機の元凶だというふうにいわれているわけでありますけれども、私どももそうだと、こういうふうに思うのですが、日本ではそういうアメリカの多国籍企業が通貨の投機をやっていくという心配というのは全然ありませんかどうですか。これはひとつあとで、日本に一体米系の多国籍企業がどのくらいあるのか、その資産内容というものは一体どうなのか、日本のいまの為替管理によってそうしたものが一体たえられるのか、こうした点。数量の点についてはあとでひとつ資料でいただきたいと思いますけれども、そうした心配というものは一体ないのかどうなのか。おそらく私は今回のこの通貨危機というのは、ただ単に企業がやったということではないと思うのです。あくまでもこれはニクソン大統領の建国二百年記念の事業として、アメリカのドルの威信回復の措置として、ベトナム戦争以後においてニクソン大統領の一番大きな政治目標として、ドルの信用回復ということでやってくるというふうに考えられますと、一番大きい日米の貿易収支の黒字、これをあらゆる手段をもってくずしていく可能性というものは私は非常に強いと思う。そうした場合に、多国籍企業が一体どうなるのか。そうしたニクソン大統領の政治的な目標というものに対して、日本の政府は一体それに対してどう対処しようとしているのか。この辺のことについて、短い時間でありますから、おそらく満足な御答弁はいただけないといま思っておりますけれども、考えている点だけでけっこうでございますから、大蔵大臣から御答弁をいただきたいし、こまかいことについてはあとで資料でいただきたい。
#39
○国務大臣(愛知揆一君) 多国籍企業の動向については、私も非常に深甚な関心を持っております。同時に、従来から政府としてもOECDの場等におきまして、多国籍企業のビヘービアについては、日本としての関心をずいぶん表明しておるわけでございます。
 それから、その次の問題ですが、日本の場合に多国籍企業がどういうふうな働きをするであろうか。その中で当面の御質問の重点は、短期資金というようなものが、この間ドイツで起こったような大きな影響を及ぼすであろうかどうであろうか、この点については日本の為替管理というものがかなり強力であり――もちろん完ぺきとは言えないと思います。完ぺきと思えませんから、去る九日にも思い切って市場を閉鎖したわけでございます。そして貿易関係、いわゆる実需と、それ以外のものとの選別というものも、事柄の性質上なかなか不明確なものもございます。そういう点からいって、まず日本の為替管理をもってすればだいじょうぶだと思いますけれども、やはり今後とも十分注意はしていかなければならないと、こう思っております。
#40
○政府委員(林大造君) ただいまお話のございました資料についてでございますが、多国籍企業の定義というのがなかなかむずかしい問題でございますので、どういうものを調製いたしましたらよろしいか、後ほどよくお伺いいたしまして準備させていただきたいと思います。
#41
○竹田四郎君 あと若干聞きたいことがありますけれども、時間がきておりますから、また次の機会に譲りたいと思います。
#42
○野々山一三君 大臣に伺いたいんですが、時間がありませんので、簡単に答えてください。
 第一は、三つの課題の第二ですか、一ですか、国民福祉というのは一体どういうことなんでしょう、これが一つ。私はつまり人間を大事にすることなんだろうと読みますけれども、あなたの真意を伺いたい。
 それから第二に、国際協調の実をあげ、国際収支の均衡を回復する、こういうわけですけれども、一体この円問題の今日の状況のもとにおいて、ことしどういうような経済状況が構成されるのか、その展望、それが第二。
 第三に、一体どのぐらいの実質的円切りになるのか、という見通しについて伺いたい。
 第四に、国際会議に臨むことになるはずですけれども、一体このフロートの状態を続けることになるのか。先ほどの質問にも答えられておったようですけれども、固定相場の時期が来たならばという補足答弁があったわけですけれども、それに対してどういう考え方を持ってらっしゃるのか、
 それから、――続けて言いますけれども、答えてください。それから、輸出調整をやるというわけですけれども、一体どのくらいに見てらっしゃるのか、その結果がどのぐらいになるのかということは重要なポイントですから、簡単に問題を提起して、まずお答えをいただきたいと思います。
#43
○国務大臣(愛知揆一君) 第一の問題は、私は一言にして言えば、社会福祉政策を拡充することと、社会資本を充実することである、こういうふうに考えております。
 それから、第二の国際収支についてのお尋ねでございますが、これは最後の輸出調整とも関連いたしますけれども、的確にこの四十八年度の末、つまり来年の三月末にどのくらいの輸出と輸入になるであろうかということについては、確たる見通しは先ほどもいろいろ申し上げておりますように立ちませんけれども、まあ希望としては現在おおよそ輸出三百三十三億ドルですか、見通されておりますが、まあ大体それを、何といいますか、上限にするぐらいのところにいきたいものだと。これはまあ経済見通しが企画庁のほうからもよく説明されておりますが政策目標であるといわれておるわけでございまして、それを上限にするぐらいのところが、まあいましいておまえはどう考えているかと言われると、そのくらいのところを思っております。
 それから、第三の円切り上げの幅をどのくらいに想定できるだろうか。これは皆さまの非常に御関心のあるところであることは私もよくわかりますけれども、現在は、紋切り型になってまことに恐縮なんでございますけれども、変動相場をやって、そして実勢を静かに推移をながめていきたい、こうお答えするよりほかないと思います。
 それから、第四の国際会議の問題でございますが、これは実は昨日衆議院でもお答えしたのでありますけれども、本来ならば多国間で通貨の調整はやるべきものであると、私はいまでもそれが正しい行き方であると考えます。しかし、今回のようにヨーロッパに発生いたしました急激な情勢というものが、多国間の場において一堂に会して関係国がそこで意見を持ち寄ってきめたという形ではございませんで、それぞれの国がお互いに理解を持ちながら、ながめ合いながらとでも申しましょうか、アメリカはまずまつ先にドル切り下げをやって、そうしていろいろの国々との話し合いに入ったわけでございますし、日本といたしましても、友好国同士でございますから、各国の反応や態度というものを見きわめながら日本としての自主的な立場をきめたわけでございますが、今後におきましても、あるいは国際会議という場だけではなくて、その他のやり方もあり得るということを申さなければならないかと思います。
 それから、輸出の調整の問題でございますが、先ほどもお答えいたしましたが、累次の円対策の中で、たとえば、輸出税の問題については将来の研究問題であるという趣旨が、第三次円対策の中に掲げられておりますが、通貨問題が現在のような状況で、日本としてもフロートしておるこの際においては、輸出税というものはちょっといまの当面の問題ではなくなったと申しますか、当面考えることはちょっといかがであろうかという感じがいたしますが、それ以外の点につきましては、いままで考えておりましたようなこと以外には新しいことはあまりございません。ただ同時に、アメリカ側で、日本に対して輸入課徴金を取るというようなことが起こらざるような、これは経済外交の面とでも申しましょうか、そういう意味において期待をしておるところでございます。
#44
○野々山一三君 ずばり申し上げて、銀行などは――貿易収支はやはり改善しようとおっしゃるのが大臣の立場ですけれども、実際は改善はできないだろう、これは黒字だと。八十一億ぐらいだということをすでに新聞に発表しておりますしね。そうして二百六十五円だとか、七円だとかいっておりますが、もう金融機関は二百五十円だということでどんどん進めている。そういうところに、先ほど竹田君が言った、さっき出たドルの影響というものが非常にきびしく現実の問題として身近に感じているわけですね。そこで、いまあなたのお答えになるような、状況を見て考えればいい、こういうおっしゃり方をなさると、おれたちはどこに行くのだということをもう国民が考えるのは――中小企業なりが考えるのは常識じゃないでしょうか。これは率直に私は、中小企業などの経営者あるいは貿易関係を扱っている者たちの悩みというものを、あなたが深刻に考えていま対処しなければ、やらないで決断と実行なんて、そんな話は通用しないのじゃないかと、そこに混迷が起こるということが言えるだろう。
 で、私は実は正直に申し上げまして、大臣のいま竹田君の質問などを通じて、まだ一ぱい私も聞かなければならない。それから予算を議論する、税財政全体を議論するその上からも聞かなければならぬことが一ぱいあるんで、時間がないから、ぜひ大臣もいまのことに答えていただくと同時に、時間をつくってもらうように、あらためてこの委員会として私はあなたに要求をいたしたいと思います。これについてお答えをいただきたいと思います。
#45
○国務大臣(愛知揆一君) 輸出の問題でお答えをいたしましたが、同時に私は、輸入はもっと盛んにしたいものであると、そしてこれがよく問題になりますが、輸入を増加して、そして国内の物価問題にほんとうにこれが寄与できるような姿にするということが、まあこの三つの課題に対する一つの大きな答えにもなるのではないか。しかし、それをやりますのには、やはり国内におきましていろいろの具体的な措置が必要であると思います。
 それから、当委員会への出席については、できるだけ私も努力いたしまして出席さしていただきたいと思います。
#46
○野々山一三君 いまのお答えの最後のところに、輸入をふやすということを考えながら物価を安定し、そして均衡をとる、こういうお考えを示されたわけです。
 そこで、私が第一に質問をいたした問題との関係で、これは大臣及び通産は政務次官がいらっしゃるでしょうが、その他の各位にひとつ見解を承りたい問題がある。それは、毎日、新聞をにぎわしている石油タンパクの問題です。きのう大日本インキはこれを公に生産の計画をやめると発表いたしました。鐘化は国民のコンセンサスを考慮して行政指導を待つと、こういうことですからやめない。で、その他の企業は模様を見ている、こういうことです。
 そこで私は、まあ相当時間がかかって申しわけないのですが、こんなにたくさんある。調べてきました。で、役所は全部試作品でございますと、こういう資料です。ところが、最初に申し上げたように、日本でやめていくと大日本インキは言ったが、さてこの大日本インキは、イタリアに対してちゃんと契約を結んで輸出をするわけです。これをどうしてやめるということをしないのか。こういう、人間が食べたらガンになる、脳下垂体腫瘍になる、そういうことが魚にもネズミにもみんなあるわけですね。それを食品衛生調査会は、というのもあるが、安全であると認められるので、というのが答申の結果であると思います。あなたもひとつ脳下垂体腫瘍になったらいかがでしょう、食べたらいかがでしょうという問題になるわけです。これはやっぱり輸出をやめなければいけないということを、関係各省庁関連の問題ですけれども、言明をしてもらいたい。これが第一の――統一した見解を出してもらいたい。そうすればはっきりする。
 それで、時間がありませんから次に進めます。
 石油タンパクというのは、ことばは一つです。ところが、実際は三つの名前があるのでございます。これは役所から出てきた資料でも、片や炭化水素酵母、こういう名前です。たいへんうまい名前ですから、食べてもいいだろうという感じになる。それから試験中でございますというけれども、これをごらんください。本物のカタログはございますが、この委員会ですから、ゼロックスでとってきたのです。明らかにもう商売として売っている。この名前はアミノピットネオというものです。これが問題の大日本インキ、鐘化以外の協和醗酵という会社、これが現に売っているわけです。私の手元には本物がございます。
 それから、ここに契約書がございます。輸出契約をしている。それから、さらにインチキもはなはだしいのは、契約書の中に、日本国厚生省から許可を得たら何%銭の支払いを受けますということまで明記されていますが、一体どこに根拠があるのかといろいろな点を聞いてみました。私のほうは、人間が食べるものではございませんので、これは農林省でございます、通産省は貿易の自由がたてまえでございますから、四条件以外のものは、これは認めるのはあたりまえでございます、こういうわけです。そういうものを輸出することでドルをかせいで、一体どういうことになるんでしょうか。これをひとつ関係各省庁、全部見解をまず伺いたい。
#47
○国務大臣(愛知揆一君) 私もそのまますなおに申し上げますが、そういうことを承知しておりませんで、御質問があるというので、あわてて、どんな状況かということを先ほどちょっと聞いたくらいでございますが、御指摘のようなことであればたいへんな問題だと思います。これは関係省庁と至急連絡をして政府の見解を明らかにいたします。
#48
○野々山一三君 もう一回補足いたしますが、厚生省がこの間消費者団体に出したのは、これでございます。そこで私は、率直に申し上げて、関係省庁に、特に通産省に資料要求をいたします。一月十四日というのは二月の十六日よりも早いのでしょうか、おそいのでしょうか。
#49
○国務大臣(愛知揆一君) 早いと思います。
#50
○野々山一三君 私が正式に要求したのは二月の二日でございます。二月八日の日に関係庁から、これはあっちのほうだからあっちに回してくれ、四時三十分に連絡がございました。書面が出てきたのは一月十四日付の書面でございます。一体おてんとうさんをひっくり返したのはだれでしょう。責任をとってもらいたい。まずそれをお答えいただきたい。そうしないとこれは話がちょっと進みません。責任ある回答をしてください。
#51
○国務大臣(愛知揆一君) いま、もうありのままを申し上げたので、まことにどうも恐縮でございますが、早速調べます。そうして所見を明らかにいたします。
#52
○野々山一三君 そして、その二月十八日だかなんか、前の一月十四日だと思いますけれども、暦の上で、私の知識だと。そのときに出てきた文書を読みましょう。海外に輸出しておるではないか、その事実を出しなさい、こういうものでございます。それに対して出てきた答えは、「台湾への石油蛋白製造プラントの技術輸出について」という名前で、「現在、わが国において石油蛋白の製造技術を有し、その企業化を計画している企業としては、鐘淵化学工業(株)、大日本インキ化学工業(株)の二社がありますが、当方で上記二社に照会したところ、」聞いたところ「台湾に対するプラントの技術輸出の商談は行なわれていないとのことでありました。」「とのこと」であります。本物を出しました。そうしたらあわてて次の文書が出てまいりました。事実ございました。これは全部読み上げておきます。時間がかかるからあれですけれども、イタリアに七十九トン、西独に四トン、インドネシアに〇・三トン、スウェーデンに一トン、これが鐘化です。大日本インキ、これが台湾に五トン、スペインに二トン、スウェーデンに一トン、これはテスト用だと、そのほかにルーマニアがございます。こういうことが出てきました。こんなはずはないということになって、さらに調べたところが、こういうことでございます。いま契約書があると言いましたね。これによりますと、ずばり言って、ことしの四月にもう合弁会社がルーマニアにできて、大日本インキが六万トンのプラントを技術輸出するというんでございます。これはとうとうほんとうのことを――書かないで、ことばで白状した。その次に、今度はイタリアに十万トンをやっているんでございます。これは鐘化でございます。契約書がここにございます。お見せしましょうか。――こういうことが公然とやられているということは一体どういうことなんでしょうか。私は非常に抽象的なことで、どういうことなんでしょうかと伺います。まずそれに答えてください。こういうことが、役所が、野々山みたいなやつがどんなことを言ってみたって、ああ言っておけばいいわいということの証拠じゃございませんか。しかもここにありますよ、鐘化の技術担当の推進開発課長というのは、こんなものは安全ですから、やるのはあたりまえですよという談話が発表されていますよ、新聞に。そして二社だけではございません。十数社あるんでございます。その中で名前があがっているのは、きょうの新聞で四つ、五つ追加されて名前があがっています。なんでこういうことがあるんだと言ったら、ペーパープランでございます。と言うんだけれども、技術輸出というやつのペーパープランというやつもどんどん進行しているんでございます。これは一体どういうように考えるのか、これは通産政務次官にひとつ、大臣いらっしゃらないから、聞きたい。
#53
○政府委員(矢野登君) 詳細につきましては、私はただいま勉強中でございますので、担当の局長からお答えをさせていただきます。
#54
○野々山一三君 中身を答えてからにしなさいよ。
#55
○政府委員(齋藤太一君) ただいまの先生の御質問の件でございますが、技術輸出につきましては、御指摘のように鐘淵化学はイタリアのリッキ社と昨年の一月に技術輸出契約を締結をいたしまして、外国為替管理法に基づき通産大臣……。
#56
○野々山一三君 はっきり答えてください。
#57
○政府委員(齋藤太一君) 通産大臣の許可は昨年の一月二十一日に行なわれております。
 それから大日本インキ化学のほうは、ルーマニアの化学工業省と合弁会社契約の仮契約が行なわれておりますけれども、まだ本契約に至っておりませんで、本契約は本年の三月ごろといわれておりまして、本契約ができましたらば政府に申請をすると、こういうふうな段取りになっているように聞いております。
 で、この技術輸出の、いまのイタリアのリッキ社に対する許可の件でございますけれども、御承知のように、現在の外国為替管理法に基づきます、こういった技術輸出契約の許可は、主として国際収支の均衡の確保あるいは資本逃避の防止という観点から審査をいたしまして、許可をいたしておりますが、本件につきましても、八回払いの延べ払いになっておりますので、標準外決済ということで審査をいたしまして、許可をいたしたわけでございます。
 先生の御指摘の、安全性の観点からのチェックはしなかったのかという点でございますが、この安全性の問題につきましては、輸入国のほうにおきまして、それぞれその国の国内法令で規制が行なわれておりまして、ただいまのイタリアのリッキ社との技術導入契約につきましても、イタリア政府が現在審査中でございまして、そのイタリア政府の審査の結論が出るまでは、イタリアにおきましても、この工事の着工はできないという仕組みになっているように聞いております。したがいまして、実際に着工されますかどうかは、イタリア政府の安全審査の結果によることになろうかと存じます。
 それから、もう一つのサンプル輸出の問題でございますが、御指摘のように鐘淵化学は、大体八十四トン現在までにサンプルを輸出いたしております。それから大日本インキ化学は、合計いたしまして約八トン現在までにサンプル輸出をいたしておりますが、先生御案内のように、両社ともまだ工場の建設をいたしておりませんので、実験プラントでできました製品を海外にサンプルとして輸出をいたしまして、将来、工場を建設をいたしまして、本格生産に移る場合の需要の開拓と申しますか、需要の見通しを得るためにサンプルを海外に出したものであろうと、こういうふうに考えられるわけでございます。この点につきましては、現在の輸出規制の関係は、大体、原則、輸出は自由という法令の立場をとっておりまして、やはり安全性の問題につきましては、各国がそれぞれの国の国内法に基づきまして所要の輸入規制をいたしておりますので、そちらのほうの輸入規制にゆだねるというふうに私どもとしては判断をいたした次第でございます。
#58
○野々山一三君 これは大蔵大臣に伺いますが、日本でこれだけやかましくなってやめるといったものを、輸出をすることを許可するといったことは何でしょうか。それで、先ほど御指摘のように、現行の輸出管理法令においては、一つ、戦略物質二つが、国内過当競争物資、三つが、国内需給調整物資、四つが、輸出禁制物資、これについては通産大臣の云々と、こうなっている。したがって、いま局長の言うように、輸出だから企業がやるのはあたりまえだという論理を持っている。それなら、きのう厚生省の政務次官山口君が行政指導をもってしても何としてもとめますということを言明したのです。どういうことでしょう。これはあなたとのかね合いになるわけです。
 それから第二、この契約書を見せましょうか。十数回かかってきょうようやく取った。それによると、おっしゃるように八回の延べ払いになっていることが書いてあります。けれども、七二年の一月に契約して来年二月できるということになっている。七四年にはもう完成するんだ。これが十万トンのプラントだ。ぱっと行ってぱっとできるという工場でしょうか。それこそことばの問題じゃないかというふうに思いますが……。契約はすでにできている。それは貿易自由の原則だからしようがないと言うんなら、そんな論理は山口君がきのう言った、記者会見で言明したあれはうそだ。うそか権利の乱用かということになる。これは内閣としての見解を明らかにしてもらわなければだめです。そうでしょう。
 それから、確かにここに来ています。先ほども言ったけれども、この中に日本国の厚生省が許可しない限り製造はしませんということになって書いてある、契約書に。そこで、厚生省に何回も聞きました。あれは食いものではありませんので食品衛生法四条に基づく規定からいったら、私どもはくちばしはいれられません、こう言っておる。それなのに、そういう契約書があるんだ、契約書としては。日本の厚生省が許可をしたときに認めるというんです。それじゃ通産省は一体何ですかというふうに疑問を持つのは常識でしょう。そういうふうに農林省と通産省と厚生省がそれぞれかってなことをおっしゃっている。そこで、いま言ったように内閣としてはっきりしなければこれは安心できない。また日本に品物として戻ってくるかもしれないということは、現物で私が示しているようにもう売っているんですからね。売らなきゃこういうものを何枚も何枚ものカタログを出しますか。この品物を買ってきましたという人の署名の手紙もありますよ。そういうことになるから、必ず日本に来ることになるでしょうと考えるのは間違いですか。
 そこで、先ほどのあなたの三つの課題とおっしゃるその国際的な課題として、調整をはかって均衡をはかるという論理からいったら、あなたの趣旨は、各省、他の省によって抹殺されているではないかと見るのは無理でしょうか。見解を伺います。
#59
○国務大臣(愛知揆一君) 伺えば伺うほど、まことに私もますますおかしいなと思わざるを得たい、ということを率直な所感として申し上げます。で、先ほど申し上げましたように、本件については関係各省が至急相談をいたしまして、政府としての見解を明らかにいたします。
#60
○野々山一三君 次に、この問題にからんで、行政権の秘密なのかよくわかりませんが、行政権の秘密であるというものと、企業機密というものが存在しているのだろうということを私はしみじみ感じました。これは私は法務委員会で、それは数十回の議論をしている。いま秘密、機密という問題がございますね。法律的にはどんな法律をさがしてみましても、機密という文字があるのは二つですね。MSA協定に伴う臨時措置法、外務公務員法、それ以外は全部秘密なんだと。それでとうとう機密、秘密という二種類にした、ということが約束されて、いま進行中でございます。これだってまだ継続中なんです。ところが今度、これは私が取り扱ってみてそう思いますが、何十回と言ったらいいでしょう、毎日私が部屋から出ることができないくらいみんな来ていろいろ説明して、私が追及すると、次々、次々と出てくるのです。一体そういうことで国政調査権というものが存在するのですか。これが一つです。こんなものなら国会なんか要らないということになる。
 第二に、企業機密というやつが、一体日本の信用がこれほど国家的に問題になっているものを、そうしてやめねばならぬというほどのものが、貿易自由の原則ということばで外国へ出ていって、これは国の信用を上げるものですか、下げるものですか、伺いたい。
 最後に、これは二回おっしゃった、内閣として重大なことだから相談する、こういうようにおっしゃったが、私はここであなたに国務大臣として伺いたいのです。やめさせますという答弁をしてもらいたい。なぜ、申請がありましたからこれは認めました。また片一方は、申請がありませんからこういう話があるということです、予約的契約でございます。この前者のほうの理屈は、あなたがとめる資格があるかと思いますね。それを企業機密だから、あるいは貿易自由の原則だからということでおやりになることは、私は、何としても日本国家として許されるべきことではないということ。
 これをつけ加えていま申し上げた三点についてお答えをいただきたい。責任をもってはっきりお答えをいただきたい。私の時間はもうなくなりますからね。
#61
○国務大臣(愛知揆一君) 国政調査権は尊重されなければならないのは当然でございます。
 それから企業機密と輸出の問題でありますけれども、たとえば国内で禁止されている、あるいは毒性があるというようなものまで輸出を承認するというようなことは不可解だと思います。
 それで第三の最後のお尋ねですが、これは私はさっきからざっくばらんに申し上げておるように、まだこの問題を知りましてから数時間でございますから、ここではっきり言明を……、先ほど申し上げたとおり早急に政府の所見を明らかにいたしますが、やはりちょっとは時間をかしていただきたいと思います。野々山さんの御意見はよくわかりました。
#62
○野々山一三君 そこで、あと少し時間をください。私は人間の知恵が進歩していくというのは今日の時代であるという意味で伺います。それは石炭を食べるようになったというのも一つの例だろう。新幹線が今度四百八十キロのものをつくるというのも人間の知恵の進歩、科学技術の進歩。そこで、あなたに、通産政務次官に聞きたいのです。これはひとつ答えてください。アメリカでは――アメリカの例を引っぱって申しわけないですが、テクノロジーアセストメント法という法がございまして、科学技術の振興に対しては公に公開してみんなの知恵を聞いて、そして大統領がそれを判断する、こういう法律がございます。そのほかにももう一つ類似する法律がございます。時間がないから、こういう法律をつくる考えはないか。日本は正直申し上げて企業が先行しそ政治、法律があとへついている。そのためにいろいろいままで何とか公害とか、あるいは人間が死んだとか、奇形児ができたとかいうようなことが一ぱい起こっておる。これは多くの場合輸入品であったりなんとかで、チェックということばを先ほど使われたけれども、インチキなチェックだと言わざるを得ないのですよ。という点から見ましてももっと公開しなければいけない。公開してそういうものを開発していく、こういうことが政治の根本でなきゃいけない、これから。これは御感想をお聞きしたい。
 つけ加えて、いわく、厚生大臣は、食品衛生法、あれじゃだめだから、それから今度は農林省が所管しているえさだとかいう法律じゃだめだから、何とか法律を考えますと言ったって、合理化するためだけの法律が幾らできたってこれはだめだと、もっと、合理化ということばは悪いけれども、もっと前へ向いて、みんなが安心できるようなもの、こういうものをつくっていくのが、これからの時代で、やはり当然の姿じゃないかというふうに思いますが、そういう点でこの見解を伺いたい。
 同時に、時間がなくなったから経済の問題にもう一回戻りますが、円の問題、ドルの問題、それから日本の景気全体がどうなるかという問題、そういうものについて、これはあなたにたいへん申しわけない言い方なんだけれども、ついて回るんじゃいけませんよ、やはりみんなにビジョンを与えて、こうなるのですよということを明らかにして対処するということがなければいけないという経済の問題に戻るのです。もう一回あらためて経済の問題についてもあなたの見解を伺いたい。
#63
○国務大臣(愛知揆一君) 科学の進歩、技術の進歩がまことに目ざましい当今ですから、企業に先んじて公の立場にある者がこれを是正するということが必要であることはまことにそのとおりだと思いますが、なかなか実際問題として追っつかないというのが現状じゃないかと思いますが、これはひとつ担当大臣にも貴重な御意見をさっそく伝えまして善処いたしたいと思います。
 それから第二の問題は、まことにごもっともだと思うんです。私もぱっとやりたいのはやまやまでございます。同時に、率直に申しまして、いまの国際関係は通貨問題でまことに微妙でございますので、そう申してははなはだ何でございますけれども、言いたいところがありましても、しばらくの間じっとがまんしていなければ国益を害するところもございますから、若干め時間をかしていただきたいと思います。同時に私は、変動相場制度に入っている現在ではありますけれども、やはり日本としては、物価を安定してインフレを起こしてはならない。それから国際的に黒字はできるだけ減らしていきたい、そうして一番肝心な福祉国家の建設ということにどうしても前進していかなければならない。まあ、そしていろいろの御意見を現に拝聴しておりますけれども、四十八年度で言えば、やはりこの三つの問題を解決する、この線は同じなんでありますから、予算をはじめ、いままで考えておりましたことを、とにかく強力に実行に移していくことである。それから先ほど来しばしば御指摘がございましたが、当面の中小企業対策というようなことについては、ほんとうに真剣な対策を、ほんとうに文字どおり万全の措置を当面はとっていかなければならない、こういうことに尽きると思います。
#64
○野々山一三君 最後に、確認の意味で、いまの石油タンパクの問題について伺いたいと思います。政府として、統一見解として、かような日本の国内でやめさせるというようなものですから、政府として、いろんなことがあるでしょう。各省庁の現行法、実定法にいろいろあるでしょうが、そういう法律のあやを縫って出ていくようなことで、日本の国際的信用を汚すような、そういうことはやらさない、こういう立場で統一見解を出してください。これが私のあなたの見解を承りたい第一です。
 第二は、国政調査権は尊重する。尊重するというのは、これは尊重しようとしまいと、三権分立ですから、尊重の話ではだめなんです。国政調査権は厳然たるものです。こういうことをあなたは国務大臣としてお答えにならなければいけないというふうに思いますが、いかがですか。
 第三は、企業機密というきれいなことばで、国家的な信用を落とすようなことは、輸出、貿易、そういうものから見ても許さるべきではないと考えるが、最後にその点をお聞きして質問を終わりにしますが、これは私、非常に時間がなくなってしまったので、これは質問を留保して、あなたのほうの統一見解が出たときにあらためて一ぺんあなたにお願いしておきたいのだが、あなたも通産大臣も農林大臣も早急に時間をさいても出てもらって、この問題の結末をつけるということにしてもらいたい。それに対して、もう一回答弁を願いたい。
#65
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの時点でありますことを前提にして、私は第一の点については、原則として日本の国内で害があるというようなものが他国へ出ていっていいものかどうかと、これは悪いにきまっております、原則として。
 それから国政調査権、これは政府としてはもちろん尊重しなければならない。いままでそういう点で不行き届きがあったとするならば、十分これは是正して御希望に沿うようにいたしたいと思います。
 それから第三は、企業の機密ということでございますが、結局企業の機密だということに籍口して、外国に国益を害するようなことはしてもらいたくない。そこまで企業機密というものが行くことは、行き過ぎもはなはだしいと、原則として私はかように感じております。
 それから、この石油タンパクの問題につきましては、できるだけすみやかに政府としての見解を明らかにいたします。
#66
○多田省吾君 大蔵大臣にまずお伺いしたいことは、今回の円問題について、衆議院の予算委員会の冒頭に、田中総理が政府見解として読み上げた要旨。すなわち第一には、諸般の事情により変動相場制移行の事態になったことはまことに遺憾である。
 第二に、政府はその責任を痛感し、変動相場制移行により国民生活に与える影響に深い関心を持つとともに、その対策に万全を期したい。
 第三に、これまでの生産、輸出を推進してきた経済社会構造を、福祉中心型構造へ転換するべく努力する。
 第四には、特に中小企業対策等については、予算の補正を含む所要の措置をとる等の発言をしたわけでございますが、大蔵大臣としてこういう田中総理の所信表明というものが、単なる声明とか、一時の国会対策の逃げ口上じゃなくて、ほんとうに大蔵大臣としてこれを実行し、実現に移すという、政府また大蔵大臣の異常な決意を示した.ものであると、そのようにすなおに受け取っていいものかどうか、まずお伺いしたい。
#67
○国務大臣(愛知揆一君) すなおにお受け取りいただきたいと思います。
 なお文理的な解釈、その他につきましては、お尋ねがございましたらまた明らかにいたしたいと思います。
#68
○多田省吾君 次に、総括的に大臣の決意をお聞きしたいのですが、本会議等でも質問がありましたが、今回の事態、すなわち海外対策、国内対策において非常に円対策がおくれたために、こういう円のフロート制に追い込まれるという事態、実質的な円切り上げに追い込まれるという事態で、国民に非常に損害を与え、迷惑をかけたこと。これはもう重大な責任があると思います。で、特に海外におきましては、アメリカのベトナム戦争、あるいは多国籍企業によるドルのたれ流し、それに対して政府がいままでほんとうにきびしい態度をとってこなかったこと。あるいは国内においては生産第一主義、これによって福祉が非常におくれたこと。あるいは労働条件につきましても、賃金はアメリカの三分の一、西ドイツの二分の一。あるいは週休二日制さえまだやってない。社会保障についても西欧諸国の国民所得に対する割合は三分の一程度である。あるいは公害のたれ流し、公害を出して、それを国民の犠牲のもとにおいてこういった生産が行なわれていた。その結果日本は、いわゆる公害によるごみ、それからドルのような紙きればかりをためて、国民に重大な損害を与えた。せっかく一昨年一六・八八%の円切り上げを行なっていながら、一年二カ月むだにして体質改善を怠り、そして今日のような事態をまた招いてしまった、こういう責任は重大であると思います。私は、大臣の、すなおに受け取っていただきたいということばを私もすなおに受け取りまして、第一にアメリカのそういうドルたれ流しに対してどういう具体的な態度をとるのか。
 それから第二に、この福祉中心型の経済構造にするという問題でありますけれども、特に私はその中の一点として法人税を引き上げるべきではないか。昭和二十七年代においては法人税は四二%でありました。それが不況ということでだんだん引き下げられて、一時は三五%、現在は三六・七五%になっておりますけれども、この実効税率を見ましても、アメリカが五二%、西ドイツが四九%、フランスが五〇%の実効税率に対して、わが国はわずか四五%、法人税を四〇%まで引き上げたとしても、まだ外国から比べれば実効税率は少ないわけでございます。ですから、企業の保護政策ばかりとらないで、私は当然法人税を四〇%に即時に引き上げるべきだ、このように思いますが、はっきりしたひとつ御答弁をいただきたい。
 それから第三に、これは大蔵大臣の所管でないかもしれませんけれども、こういったわが国の労働条件、これは当然賃金においても週休二日制についても、西欧諸国に達するぐらいまで改革していかなければならないと思いますけれども、これは大蔵大臣としてどう考えているのか。
 それから第四点は、社会保障について衆議院の予算委員会でわが党の近江議員も田中総理に質問したときに、まあ少なくとも五年ごとの社会保障拡大計画を七月、八月ごろまでに明らかにしていきたいというような答弁もあったのですが、現在わが国は国民所得に対して五%程度の社会保障です。もしこの五カ年計画をやるとすれば、西欧諸国並みに一五%程度までもっていくのか、あるいはその下でもってこと足れりとするのか、大体どの程度を大蔵大臣としていま現在考えておられるのか。
 それから第五番目に、公害ですね。OECDの勧告もあるように、公害防止費用は企業負担にすべきだと、私は、はっきり態度を表明すべきだと思いますけれども、この公害防止に対して、大蔵大臣としてどのように考えておられるのか。まずこの五点をお尋ねしたいと思います。
#69
○国務大臣(愛知揆一君) まず、第一点の問題でありますけれども、これはまず前提として、誤解のないようにお願いいたしたいと思いますが、先ほどの衆議院の予算委員会で表明いたしました政府の所信は、そのまますなおにお受け取りいただきたいということをまず前提にいたしまして申し上げるわけでございます。
 第一点の、アメリカとの関係でございますけれども、私の想像では、アメリカ自身としましても、スミソニアン体制があれだけの大がかりなやり方で関係国の合意ができて、多数間の調整ができたわけでございますから、そしてベトナム戦争の停戦までこぎついたわけでありますから、やはりスミソニアン体制の効果が相当にあらわれるまで、もっとスミソニアン以来の政策を展開したかったのではないかと思いますが、しかし、その後におけるアメリカの政策も、なかなかうまくいかない、それから、外国側からのドルに対する信認というものもなかなか回復しないというようなことで、ドル自身が切り下げというような、まあほんとうに相当の措置を打って、そして特にドイツを中心にしたところのたいへんな危機を乗り切らざるを得なかった。こういう点から派生した国際的な通貨の不安状況、これにわが国も対応せざるを得ない。これは、日本も世界の中の日本であり、ことにこちら側も、スミソニアン以来、円対策の実行については政府としても一生懸命やってきたつもりでありますが、黒字の累積はなかなかにもとへ戻らないということが、やはり国際的にも非常な関心を持たれてまいりまして、そういう環境の中で、現在のような要するに変動相場制に移行をいたしたわけでございます。ですから、今後も、アメリカに対し、あるいは他国に対しましても、先ほど来申し上げておりますように、累次の円対策で考えてきたようなことを推進しなければならない。それから、今回の四十八年度予算で考えたようなことを、まずこれを、予算を執行に移るように一日も早くしたいと、そしてさらに将来に及んで福祉中心型構造へ転換するようにさらに努力を続けていきたいというのが政府の立場でございます。
 それから、第二番目の問題でございますが、法人税、所得税、あるいはその他の税制の問題でありますけれども、法人税についての御意見は、私も理解ができるわけでありますけれども、今回の政府の提案というのは、法人の税率ということもさることながら、課税所得をまず拡大する、そして御指摘の特例措置をできるだけ改善というか、廃止するようにつとめようと、これで相当の法人に対する重課になるし、あるいは固定資産税の関係もございますから、さらに加えて、今年度の税収ということはともかくとして、土地の譲渡についての税ということも相当高率のものを考えている。で、四十八年度では税率には手をつけなかったけれども、法人に対する重課ということについては、政府としても当然考えたところでございます。
 それから、所得税につきましては、これもいろいろの御意見を伺っておりまして、せめて課税最低限を百五十万円にということが公明党の御主張であることもかねがねよく伺っておりますが、今回の政府の案は、平年度で百十四万円、そして最低限をいままでと比較いたしますれば八%の引き上げになるわけで、これは消費者物価等との関係から申しましても、政府としては相当努力したところでございます。よく自然増収との関係を問題にされますけれども、その比率も二七%、これは従来の税制改正から見ればかなり政府としては意を用いたところでございます。四十九年度以降については、税制全体の、直接税、間接税の関係、それから直接税の中では、法人と個人との関係というようなことについては、とっくりといろいろの点から考え、また税制調査会の権威のある御検討を願って、さらに前進をしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
 第三の週休二日制につきましては、私の所管ではございませんけれども、しかし、私の所管で特に今回も痛感いたしましたが、国際為替の問題にいたしましても、全世界でただ日本だけが土曜日にも仕事をしている。これはそういう観点から申しましてもおかしなことで、できるならば、これは私の権限ではできないのでございますけれども、何らかの形において為替業務だけでも週休二日制にしたいと私は念願もし、私の意見は公表いたしております。関係方面の理解と協力を得て、せめて為替取引だけではまず銀行業務の中で週休二日制をできるだけ早く実行に移したいと、こう考えております。
 それから、第四番目の社会保障の問題でございますが、これもまたいろいろ御意見をかねがね承っておりますが、長期社会経済計画において振替所得八・八%と、これはかねがねの厚生省中心の社会保障懇談会の意見が、この長期計画の中に取り上げられたということは私も喜んでおるところでございまして、なるほどその国民所得に対する比率等から見れば、まだ諸外国に劣っておりますけれども、しかし、これは相当大きな前進になり、実額で言えば十二兆三千億のスケールになりますから、これは現在の日本のいろいろの規模からいって相当の前進である。そうして今回の四十八年度予算でも、さらにこうした計画が具体化できるように、いままでの私的といいますか、懇談会でありましたものを、正規のものにする、それが活動し得るような所要の経費も積極的に盛り込んでいるようなわけでございます。
 それから、第五の公害防止の問題で、御指摘の点は、おそらく税制の特例措置として公害防止に対する若干の償却についての優遇措置を講じようとしておりますことについての御批判と思いますが、これは過渡的な税における誘導措置でございまして、これはOECDにおきまする公害問題におきましても、こういった経過的な誘導措置については、これは例外として認められておることでございまして、逆行することでも何でもない。公害防止については現下の最大の問題でございますから、一斉にひとつ企業がそれぞれの努力において実行してもらいたい、こういう態度でこの税制を考えたわけでございます。なお、公害防止については、一般会計の予算の上あるいは財投の計画の上でも相当の配慮をしておりますことは予算書等でごらんのとおりでございます。
#70
○多田省吾君 まあ私らも相変わらずだと言いたいところでありますけれども、結局は大臣のおっしゃるように、田中総理の表現にしてもすなおに受け取れないわけです。いまの大臣の御答弁から見ましても、アメリカに対する態度といい、また法人税の問題といい、全然前進がないじゃありませんか。また一応大臣管轄外の労働条件については、週休二日制が望ましいというような意見を述べられましたけれども、社会保障についても、これは十二兆三千億といっても、これは五年ですかね、これじゃ全然あれじゃないですか、国民所得の五%にもならないじゃないですか。相変わらずじゃありませんか。じゃ社会保障、福祉中心の経済体制とも政治体制ともこれは言えませんよ。
 だから、もう一回これはお尋ねしたいんですけれども、二つだけにしぼりますけれども、この法人税の問題、じゃ、大臣は現在のわが国の法人税がいろいろな状況下にあるとはいえ、ここで高いと思っておられるのか、安いと思っておられるのか。四〇%で私は妥当だと思いますけれども、それ以上で。大臣はそう思われませんか。現在のいわゆる大会社、商社等の過剰流動性、これは全部こういった問題から派生しているんじゃありませんか。土地をはじめ証券あるいは米、大豆、生活必需品の買い占めなんかひどいものじゃありませんか。この法人税の問題をもう一回お尋ねします。
 それから、社会保障といっても、それじゃ今後五年間で、幾ら社会保障拡大計画を立てても、現在の国民所得の五%内外というのはくずさないで、欧米諸国の一五%には全然届かないで、三分の一以下のままで進もうと思っておられるのか。この二点をお伺いいたします。
#71
○国務大臣(愛知揆一君) 法人税につきましては、先ほども申しましたように、課税所得自身を拡大するということがまずやるべき措置である、こう考えたわけでございますし、さらに将来におきましては、十分に、御承知のように今回の税制改正案につきましても、かねがね税制調査会でもずいぶん御検討いただいて成案を得た次第でございますし、御意見のところは将来の問題として検討させていただきたいと考えているわけでございます。
 それから、まあ理屈を申し上げるとなんですけれども、この過剰流動性というものと、法人税との関係は、必ずしも結びつかない問題でございまして、やはり過剰流動性というような、商社の手持ち資金の問題というようなものについては、先ほどもちょっと言及いたしましたけれども、金融政策上その他の方策によりまして、相当の私は効果をあげることができると思われます。
#72
○多田省吾君 社会保障はどうです。
#73
○国務大臣(愛知揆一君) 社会保障につきましては、長期計画でもごらんいただけると思いますけれども、国民所得の中の、先ほど振替所得の構成比を、五十二年度には八・八%ということを申し上げたわけでございまして、国民所得自身の、ほかの構成比その他を検討いたしますと、この振替所得が八・八であるから、他国に比して社会保障がおくれているとだけは言えない点もあるのではなかろうかと思うのであります。たとえばこれは、社会保障費につきましてよく予算を比較されるわけでございますけれども、たとえば、日本の場合は、社会保険が特別会計である、そういう関係で一般会計には国庫の負担金だけが計上されておる。そういうふうな特殊の立て方が国によって違いますので、必ずしもこうした計表だけで実体は比較できないのではないかと思います。むしろそれよりは、これも御批判をいただいておりますが、各種年金の内容の充実、ことに物価スライド制をとったというようなことなどについては、かなり思い切った政府としても姿勢を示しておりますことも御理解いただきたいと思います。
#74
○多田省吾君 この際時間もありませんので、法人税について触れたので、もう一点政府の法人観について大蔵大臣どう考えておられるのか、一点お尋ねしたい。
 これは衆議院の予算委員会の総括質問で、北山代議士が質問されたことですが、わが国では企業が株式配当として受け取る所得に対して税金がかからないのはいかなるものかと、こういう質問に対して大蔵大臣は、まあ株式配当に税金をかけろというのは耳ざわりのよい議論だが、それには二重課税の問題があるというような意見を述べられました。政府が二重課税の問題といったのは、当然シャウプ勧告以来の法人擬制説に基づいておられるのではないかと思いますけれども、ところが、私もこの前の選挙制度審議会等にも所属しておりましたので、関心を持っていたのですが、最高裁の判決の中に、八幡製鉄の政治献金に対して、結局会社による政治献金を社会的実在として認めまして、二重政治献金の理由としているわけです。そうすると、どうも政府の考え方は、一方においては税金の面では法人擬制説をとる、あるいはこういった政治献金というような問題に対しては実在説をとるというような矛盾が生ずるのではないか、このように思われますけれども、簡単でけっこうですから、大臣はこの法人観に対してどのようなお考えを持っておるか、そういうお考えで二重課税とおっしゃったのかどうか、それをお尋ねしておきたい。
#75
○国務大臣(愛知揆一君) 二重課税と北山さんに対して申しましたのは、たとえば、配当のみの所得者の所得税と、それ以外の所得との間の不均衡というくだりではなかったかと思いますけれども、それであるとするならば、法人と個人株主とを通ずると二重課税になる、その関係を調整するためにこういう制度になっているということを申し上げたのではないかと思います。私はそういうふうに考えておりますが、必ずしも――それから法人と法人の関係、あるいは法人とその支店との関係とか、子会社との関係とか、こういう点を考えてまいりますと、なかなかこれは耳に快い議論ではあるけれども、徴税の実際の執行上から申しますと、なかなかむずかしい問題であって、ふん切りがつきませんと、これが私の考え方でございます。
#76
○多田省吾君 それでは、法人擬制説の問題とは全然関係なく大臣はおっしゃったのですか。
#77
○国務大臣(愛知揆一君) 全然関係なしとは申しません。
#78
○多田省吾君 結局、法人擬制説の立場に立ってそのようにおっしゃったわけでしょう。
#79
○国務大臣(愛知揆一君) 法人擬制説の観点にも立ちますし、それから実際の徴税といいますか、行政上の扱いからいってもたいへんむずかしいことである、こういうふうに考えております。
#80
○多田省吾君 私は、法人擬制説の立場から云々、あるいはそういういろいろな具体的な税金の取り方の問題でも、私は、北山さんのおっしゃるように、これは大臣のほうでお考えになっていただかなければならない問題じゃないかと、このように思います。これは別の問題にしますけれども。
 次に、お尋ねしたいのは、まあ一年二カ月前の円切り上げによって、ほんとうは物価は少しは輸入品の値下がりとともに下がるはずのところです。ところが、最近国連統計月報二月号によりますと、世界で最も生計費のかかる暮らしにくい都市は相変わらず東京だ。ますますひどくなっているわけです。これはパリやニューヨークやロンドンなんかを、非常に大幅に暮らしにくいという点においてはしのいでいるわけです。外に強くて内に弱いという、こういう円のわが国の通貨の現状、あるいは二百億ドル以上も外貨をためたというような現状、こういった現状から見て、大臣は、こういう東京が最も暮らしにくい都市であり、最も物価の高い都市であるといわれるような姿をどうごらんになりますか。
#81
○国務大臣(愛知揆一君) 円が外に強くて内に弱いということは、一つは卸売り物価と消費者物価、あるいは消費者物価というだけでは足りないかもしれませんけれども、そういう点が具体的な問題ではないかと思います。したがって、これからのやはり日本としての政策の指向すべき目標は、消費者物価が上がらないように、これに全力をあげることではないかと思います。これは、家賃とか食べ物とかいうようなものを、西欧の標準でもって東京でやろうと思えば、それは円の価値というものがまだまだ安いと、こういうふうにいわれるゆえんであると思います。したがって、生活の内容を充実しながら、物価とか家賃とかいうものが安定するようにする。これに反して、従来は、日本の卸売り物価は世界のどこよりも安定しておった。このことが円が対外的に強いといわれたゆえんであると、こういうふうに思います。それが自然対外的な輸出力も非常に強かった、こういうふうに私は考えておりますが、いろいろ間違っておるかもしれませんから、御教示を仰ぎたいと思います。
#82
○多田省吾君 物価対策にしましても、まあ本会議等でも、輸入品の値下げによる中間のマージンをなくして物価は下がるようにしなさいというようなきびしい注文がたくさんありましたけれども、それに対しても、私はまだまだ政府の受け取り方はなまぬるいんじゃないかと、このように思わざるを得ないわけです。
 ところで、わが国の金と外貨の準備高は一月末で百七十八億五千六百万ドルとこういわれております。外為銀行に対する外貨預託が二十八億ドル、それからアメリカの中長期債購入が十三億ドル、合わせて四十一億ドルですか。これは隠し外貨なんていうこともいわれておりますけれども、こういう実質的に二百億ドルをこすような外貨ですね、このアメリカの一〇%のドルの切り下げによって当然数千億円に近い円の価値の消失ということがありますけれども、円切り上げ率一五%あるいは二〇%と、こういう仮定した場合に、どの程度の差損額を大蔵当局ははじいているのか。
 それから第二点は、一月二十二日以降の一週間内外のいわゆる日銀当局の買いささえというものがどの程度に及んだのか。この二点をひとつお答え願いたい。
#83
○国務大臣(愛知揆一君) これは切り上げ率ということになりますから、私としては仮定の問題でございましても、なかなか微妙な問題でお答えがしにくいことをまず御了解いただきたいと思います。
 しかし、理論的に言いましても、実際的に申しましても、切り上げということがあれば、それだけ保有外貨の評価損が出ることは当然でございますが、これは外為会計で保有しているものと、それから、日銀が保有しているものとによっておのずからその処理が違うわけでございます。
 日銀で所有しているものにつきましては、その評価損が出たときの状況によりまして、これを普通の企業会計原則で処理をすることになりますし、それから外為会計というのは、要するに外貨資金の運用というものの貸借対照表的なものとして見るべきものであると思うのでありまして、評価損が出ましても、一面に評価益というものがあり得るわけでありますし、あるいは他国の通貨レートが変更になった場合にも、評価益が出たり評価損が出たりする種類のものでもございますし、貸借対照表の上に評価損として計上して明らかにしておけば、必ずしもその年度内にその処理についてどうこうするということが、必要でもないし、あるいはまた不適当であるとも言えるかと思いますが、おのずから、日銀の保有分と外為の保有分と申しますか、運転資金のもととなっておりますものとの処理は、おのずから違うことに相なるわけでございます。
 それからなお、前回のときの日銀の評価損は四千五百億円程度でございます。
#84
○政府委員(林大造君) お尋ねの第二点は、やや技術的な面に属しますので、私からお答え申し上げさしていただきますが、実は二月に入りましてから市場閉鎖に至るまで、外国為替取引直物はかなりの金額行なわれたわけでございまして、新聞紙上その他にドル売り、当局買いささえなどという記事がだいぶ載っていたわけでございます。御案内のとおり、直物の取引は、当日物と翌日物とがございまして、当局が介入を行ないますのはその翌日物についてでございますが、翌日物の二月一日から九日までの合計は十一億七千三百万ドルでございます。このうちの相当部分は当局が買いささえを行なった次第でございます。ちなみに市場再開後十四日から本二十一日までの合計は三億八千八百万ドルでございますが、これは御案内のとおりフロート後の取引でございますから、したがいまして、この翌日物につきましては、当局の介入はほとんど行なわれていないわけでございます。
#85
○多田省吾君 いま昭和四十六年の一六・八八%の切り上げの際は大体四千五百億円の為替差損が生じたと、こういうお答えでございましたけれども、やっぱり理論上、私は結局どの程度の差損が生じたかということは、一五%あるいは二〇%と仮定して計算すれば、これは当然できるわけですよ。これは何も言ったから、言わないからといって変化があるものじゃなくて、これは理論上きまっている問題なんですから、これははっきりとひとつお答えいただきたい。
 それからもう一つは、もし固定相場制に移行する場合、当然  いま日銀の内部留保が準備金として、昨年九月末で千七百十億ある。またその後の今期では、利益見込みというものも一応予定されているわけでございますけれども、それじゃ、もし予定されるような固定相場制に移行する場合に、考えられるそういう日銀の為替差損の問題はどうなるのか、この二点をひとつお答えいただきたい。
#86
○政府委員(林大造君) 四十六年十二月の通貨調整に際しましての、そのとき現在におきます評価損は、外為会計は四千百十七億円であり、また日本銀行につきましては、下期に、三月期に計上いたしました損が四千五百八億円であるということは、すでに明らかになっている次第でございます。もしもかりに今回何%かの切り上げが行なわれました場合に、その場合に仮定の計算を入れればどういう計数になるかというのは、現在計算をしてみれば、外為会計につきましては、そのとき現在でできるわけでございますし、日本銀行につきましては、いま現在とすれば当然三月期ということになりますから、それはそれなりに計算を予定してやってやれないことはないと思いますが、しかし、その前提になります条件はいろいろと狂ってくるわけでございます。したがいまして、現在この段階で仮定の計算をいたしまして、そして公表いたしますことは、かえって誤解を生じます。それは一体いつの時点で、いかなる幅の切り上げをするかということによりまして、この計数が大きく変わってくるわけでございまして、したがって、前回の四千百十七億円という計数と四千五百八億円という計数があるわけでございますから、それをその手がかりにしておおよその推測をしていただくというほうが、かえって誤解を招かないでいいのではないかというふうに存ずる次第でございます。
#87
○多田省吾君 それはそのときのいろいろな条件によって計算すればわかることでありますけれども、結局、私が見るのに、こういう外貨保有高の現状から見て、また現在いわゆる実勢一六%ぐらいの円切り上げと同じようなフロートになっている現状から見て、もしこういう固定相場制になった場合に、こういう為替差損は前回を上回ると考えていいのじゃないかと思いますが、大体大ざっぱに見てそう考えてよろしいのですか。
#88
○政府委員(林大造君) その資産内容その他によりまして、評価のしかたがいろいろでございますので、一がいに申し上げることはできません。まず第一に、その未定の点が、現在フロート中でございますから、かりに将来一定時点において固定相場制に復帰するとして、一体幾らの切り上げ幅になるかということは、現在の段階では何とも申し上げかねるわけでございます。したがいまして、ただいま明らかになっております前回の計数と、それからその後の外貨準備の増加状況、それから現在の相場その他、いろいろ総合判断して、大体の見当をおつけになることはできるかと存じますが、当局として一体多くなるか少なくなるか、どのくらいになるかということはなかなか申し上げかねる次第でございます。
#89
○多田省吾君 だから、私は、いまの現状で見て、大体一五%あるいは二〇%となった場合の計算をしてほしいと言ったわけですが、それすらも責任の立場上どうしても言いにくいというのならばそれでもけっこうですけれども、これはもう私は前回を上回るような為替差損が出るのじゃないか、こういうように心配しているわけです。
 ところで、最後に私は、これからの経済見通しについて若干質問をしたいのですが、経企庁のほうでこの円のフロート制になる前に、大体四十八年度予算をつくる前にどういう成長率や、あるいは経常収支とか卸売り物価、あるいは消費者物価の見通しをしたのか、ひとつ簡単におっしゃってください。
#90
○説明員(小泉忠之君) 御質問の点でございますが、通例、経済見通しは、四十七年度の実績見込みと、四十八年度の見通しをお示しするたてまえになっております。で、御質問の点お答え申し上げますが、四十八年度の経済成長率は、名目で一六・四%、そういうふうに見込んでおります。それから実質ベース、これは物価等のデフレーターを操作いたしまして、実質の対前年度比というものを出しております。これでごらんいただきますと、一〇・七%の成長率ということになっております。まあ一〇・七%の成長率の内容は、かいつまんで申し上げますと、個人消費支出は名目で一五・二%、それから国内民間総資本形成は二一・六%、それから政府の財貨サービス購入、これは一六・六%というような概要になっております。
 それから国際収支につきましては、四十八年度の見通しは、基礎的収支で九億五千万ドルの黒字ということになっております。
 以上でございます。
#91
○多田省吾君 まあこの数字だってほんとうの――私はいろいろな政治的な数字も入っているんじゃないかと思いますけれども、しかし、当然ドルの切り下げ、あるいは円のフロート制移行、あるいはこれからの固定相場制移行ということを考えれば、大臣、私は実質成長率だって、学者によっては四%なんていっておりますけれども、日本経済研究センターなんていうところでは、二・一%成長率がダウンするのじゃないかと、また経常収支にしましても二十二億ドル程度ダウンするのじゃないか、あるいは物価等はこうだというようなことを見通し立てておりますけれども、大臣としては、こういった現状において、円のフロート制移行の前の現状と、また今回のドル切り下げ、円のフロート制に移行した現状において、実質成長率が現状のままとか、上回るということは絶対考えられないです。当然いまのままだったら見通しそのものが数%ダウンするのじゃないかと思いますけれども、大臣はどうお考えになりますか。
#92
○国務大臣(愛知揆一君) これは非常にざっくばらんに申しますと、現状から長期的な見通しはまだまだ立て得ないというのがほんとうのところでございます。同時に、この見通しの当時からも、これは企画庁長官からもしばしばいろいろの機会に御説明いたしておりましたところでありますが、日本の景気状況が、たとえば、設備投資その他から申しましても、ある程度過熱的な動向といいますか、動意と申しますか、そういうことが見受けられつつあったようなわけでございますから、結果的には成長率というようなものがこういうふうなものになるという見方も私はあると思います。しかし、そういう点につきましては、なかなか現状をもってしては見通しが困難であるということはこれは偽らざる――いまもおあげになりましたが、いろいろのエコノミストの方々がそれぞれ見通しをつくっておられるのを見ましても、ずいぶん幅があるわけでございまして、政府の見解として、こうこうなるということをもとにして、経済見通しをいま変更するというような立場にはおりませんことを率直に申し上げる次第でございます。
#93
○栗林卓司君 時間が残り少なになりましたので、通貨問題について二つばかり御所見を伺いたいと思います。
 一つは、たいへんこの問題ははっきりとは言いづらい問題だと思いますけれども、どういう中身を持った問題なのか、その辺のところはなるべくはっきりさせていくべきなんではないか。そんなところからひとつお伺いしますのは、今回のドルの一〇%切り下げというのは、一つはドルの信認の回復のためであったという趣旨のことを先ほど大臣言われました。で、お伺いしたいのは、ドルの信認の回復にほんとうにつながるんだろうか。なぜかと申しますと、交換性の問題云々までは触れません。しかし、とにかく基軸通貨としてあんまり金との関係は変えないんだということが、ドルのいわば信認をささえてきた。前のスミソニアン体制でも、あれだけの大騒ぎをして、ドルも一緒に下げろという話になったんです。ただ、今回のように、なるほど通貨不安はあったとしても、いわば抜き打ち的にドルを一〇%切り下げた。またあるんじゃないか――むしろそういう、不安感を一面で与えたのではないかという気がするんですが、ドルの信認を今回の一〇%切り下げがほんとうに高めたのかどうか、御判断を簡潔に伺いたい。
#94
○国務大臣(愛知揆一君) ドルの信認を回復するためには、一つは、交換性を回復しなきゃいけないと私は感ずるわけでございます。それからもう一つは、アメリカの国内経済政策が安定をする成果をもたらすかどうか、この二つなくしてはドルの信認は回復できないと思います。この間の一〇%の切り下げということは、まあ、ほんとうに、何といいますか、ある意味では思い切ったことをやったと思いますけれども、それは、国際協調ということにも思いをいたしながら、赤字国としての責任ということも感じてやったことだと思いますから、信認回復に対する道を歩きかけたような感じもいたしまするけれども、これで十分とは私は感じません。
#95
○栗林卓司君 国際協力とか赤字国としての責任というとたいへんきれいなことばなんですけれども、今回の通貨不安が起きたきっかけとして、一つは賃金、物価の統制令を緩和した、この報道が流れて、多国籍企業が、さて、これはインフレがあるらしいということでドル売りに回ったんだという解説が海外雑誌に出ておりますけれども、そのことの解説が当たっているかどうかは別にして、とにかく、賃金、物価統制令は緩和すると。この間の予算教書に出てきた予算の概要も、少なくも景気に対して抑制的であるとは言えない。こういうアメリカの態度を見ておりますと、いま大臣が言われたように、国内政策が相伴わなければということですけれども、現状、米国の施策を見る限り、ドルの信認が回復の道のりに大きくついたとはなかなか言えそうもない。お伺いしている理由は、日本としていろいろ対策を講ずるとしても、それだけでは基本的な解決にならない問題なのではないか、そう考えて取り組まざるを得ないのではないかという意味でお伺いしているのですが、いかがですか。
#96
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、アメリカの先ほど申しましたように、ドルの交換性の回復や国内政策が成功してくれて、そして信認が回復することを心から望ましいことだと思うわけでございます。ことに、日本としてはどこの国よりも密接な関係にありますから、そういう意味で申し上げたわけでございまして、アメリカの政策が成功するように、そして今回の措置について、あとで発表されたアメリカ側の公式の声明などでも、なみなみならぬ意欲は表明されておりますから、そういう点がそのまま成果をあげることを期待する。同時に、しかし、こちら側としては、将来の国際通貨の安定ということからいえば、一国の通貨が基準通貨であるということは、はたしていいんだろうかということもあわせて考えていかなければならないと思います。
#97
○栗林卓司君 後段の将来の通貨のあり方の点は別におきまして、なみなみならぬ努力ということだけで一つ伺いますと、シュルツ財務長官が対外経済政策に関する声明を出しました。そこの中で終わりのほろに、金利平衡税並びに対外直接投資規制を緩和すると書いてあります。今回のドル一〇%切り下げというのは、直接的にはアメリカの国際収支の赤字解消策であると考えますと、金利平衡税を七四年までに緩和をする。あるいは対外直接投資規制を段階的に解除するということになると、一体何を考えているのかと思わざるを得ないのですけれども、この点はいかが御判断になりますか。
#98
○国務大臣(愛知揆一君) シュルツ声明の中で利子平衡税とか、海外移動の規制をやめるという項目があることは私も承知しておりますが、大体国際収支が赤字である国は、資本収支の面でも赤字の削減につとめるべきことは当然であると思いますし、アメリカもそのような考え方に立って利子平衡税や資金移動の制限を続けてきたんだと思います。今回これらの規制の撤廃を表明したのは、二回にわたって為替レート変更をいたしましたが、その効果や、インフレ抑制努力の効果があらわれて、海外の投資家にとって、アメリカの経済の魅力が高まってくるであろうと、そういうことなどによって七四年末ごろまでに米国の国際収支の基調が改善されるはずであると、こういう考え方を前提にして、民間取引にはなるべく統制をしたくないという考え方を実行に移すということを目的にしたものではないだろうかと、まあこういうふうに解釈をいたしておるわけでございます。
#99
○栗林卓司君 よその国の話ですから、とかくのことは言いづらいと思うんですけれども、時間がありませんからお伺いしたい気持ちを申し上げますと、結局はアメリカとのかけ引きではないのか、それが変動相場制の問題にも触れてくるのではないかと思うからお伺いをするんです。
 そこで、たとえばいまの海外直接投資規制の問題にしても、「対外収支の改善見通しから適切なものである。」と、なるほどシュルツ声明はいっているけれども、では一体何を目的にした今回の処置かということで、シュルツ声明の目的の部分を読みますと、「米国労働者、企業に対し、」云々と、まあこれは三番目ですけれども、アメリカの国内的な政策手段として、今回の国際通貨問題がアメリカでは取り上げられているという面が非常に強いと思うんです。
 もしかりにそうだとしますと、大幅な介入はけしからぬというくだりがありますけれども、「円が政府の大幅な介入に依存せずに、国際収支の均衡を実現する目的に合致するよう、」この「目的」もアメリカの目的ということでしょうから、何も日銀の介入幅が大きいか少ないかでなくて、結局先さまの望んでいる線に幅が入ってくるのか入ってこないのか、いわばこれが問われているような気がしてならないんです。そのために片方では一五%といわれる輸入課徴金を見せながら両面で迫ってきている。これはアメリカとしても必死たんでしょうから、そのことをここではとやかく言いません。ただ、そういう問題と直面しているのだと考えざるを得ないんです。
 そう考えた場合に、どういうことかといいますと、結果として出てこないと、どんな対策をやり、どんないいことを言っても、結局何の役にも立たない。結果として出てくるということは、日本の景気あるいは経済の実態面に影響が出てこない限り、ということになるんではないかと思うんで、そう考えますと、相当なみなみならない事態だと思いますし、これはお答えいただけるかどうかわかりませんけれども、一六・八八%がはたして今日きいているのかどうかもわかりませんし、これから打つであろういろいろな円対策が、どの程度日本の競争力に響いてくるのか、それも今後の課題だと思います。そうなりますと、軽々にいま固定平価に移行できない、何と言われようとも、フロートさせておかざるを得ない、そういう立場にどうも日本は立っているように思えるんですけれども、そういう御判断でしょうか。お答えできる限りでけっこうですけれども、お伺いいたします。
#100
○国務大臣(愛知揆一君) 非常に、アメリカサイドと申しますか、洞察した分析をなさっていらっしゃるように思います。それから、こちらの立場としては、やはり、アメリカはもちろんでありますけれども、国際的な環境と申しますか、あるいはその中で日本に対してどういう協調協力を求めているのであろうかということも、政府としても十分分析、認識をしておかなければならないと思っております。
 それから、まあシュルツの声明をもう一度御引用になりましたが、この変動相場制に対してのアメリカの希望というものは、おそらくこれはアメリカだけではないのではなかろうか。そして、政府といたしましても、なるべく介入というふうなことはやるべきでない。しかし、乱高下というものは防止しなければなりませんし、日本の国益というものがやはり十二分に考えられなければなりませんから、その辺を十分考えながら、結局結論として、政府としては、当分の間この変動相場制を維持して、いろいろの状況、国内、国際の情勢を判断して、誤りなきを期してまいりたい。しかし、くどいようですが、その間においてやっぱり一番大事なのは、国内の輸出関連の中小企業対策であると、念のためもう一度これをつけ加えさせていただきたいと思います。
#101
○栗林卓司君 時間がありませんから、あと一つだけお伺いします。
 実は昨今の株価の問題なんですけれども、とにかくこれがおととしの暮れを考えますと、上を下への大騒ぎのはずの事態にもかかわらず、さっぱり株価が下がらない。どうしたことかと、まあこれは長くお伺いする時間がありませんので、そのうちの一つだけ取り上げて御見解を伺いたいと思いますけれども、今回の円対策と関連して、資本自由化を進めるんだと、先ほどおっしゃいました。そのために国内の企業がどう自分たちを守ろうとしているかというと、株主安定化工作、ということは市場に出回る株が非常に減ってしまった、片方で過剰流動性云々といっても、実は売買対象になる株そのものが塩づけになってしまっているわけです。これが今日の異常事態の一つの原因だと思うんです。そこで、資本自由化は進める、民間企業の側は安定株主工作、片方では株投機という非常に悪い心理的な影響を含めた面が出てまいります。もう片方ではこういったかっこうで株の安定化工作というものを進めていくことが、たとえば、独占禁止法なり、今後の経済政策を進める上で、はたしていいんだろうかといってそんな外資に入られたらと、これもわかる理屈なんです。その意味で、資本自由化を進めるということは、見合った政策がなければいけないんではないか。同じように、先ほど金融もほぼ正常化しておりますので、というお話がございましたけれども、一つ、こんな場合がないんだろうかという例を提示しながらあわせてお伺いしたいのは、たとえば、法人の土地買いという問題があります。ところで、流通業については資本自由化をするんだ、資本自由化というのは、向こうからドルが入ってくるわけじゃなくて、国内調達するのがほとんどなんですから、どちらにしても信用を足がかりにして調達はされている。その結果が、株の投機に走った場合に、どうやって押さえるのか。それは営業の自由なんだというたてまえからすれば、いま日本が商社に対して指一本させないんです。しかも、これは多国籍企業なんであるということになると、資本自由化を進めるということは、思想としてはたいへんけっこうなんですけれども、相当周到な国内法制の準備がないといけないのではないか。それをそれぞれの企業が適当に株主安定化工作やれというのでは、経済体質をゆがめてしまいます。その端的なあらわれが昨今の株式市場ではないかと思いますので、この点について御見解を伺って質問を終わります。
#102
○国務大臣(愛知揆一君) たいへん適切な御質問をいただきましたが、株価の最近の上昇というのは、基本的にはやっぱり国内的な金融の緩和を背景にした市場への資金の流入であろうと、こういうふうに考えるわけでございますが、国際化というものが進展するであろうということに備えるために、株主の安定工作が進んで、この結果株式需給の逼迫が生じたことが一因であるともいわれているわけでございます。株主の安定化工作は企業の自衛策としてある程度やむを得ない面もあると思いますが、政府としては需給の逼迫を緩和することを通じて、市場の秩序を維持するという観点から、御案内のように最近も金融機関の過度の株式投資の抑制とか、それから、時価発行でございますね。時価発行等の際の親引け比率の圧縮などの措置を講じてまいりましたし、それから、証券会社の法人に対する営業活動については、昨年来何回となく自粛を要請してまいりましたが、実は昨日も重ねて同趣旨の要請を行なっております。
 それから、同時に、企業の体質を強化するという観点からしても、長期的に考えて発行市場の健全な拡大を政策としても中心の課題にしてまいりたい。大体最近の状況の根本あるいは発行市場の抑制というようなことについて概略こんなふうに考えておるわけでございます。
#103
○野末和彦君 同問題で単純な疑問を二、三お聞きしたいと思いますのでちょっと教えていただきたいんですが、総理の発言の中に、円は切り上げたほうがいいというような感じのことばがありましたが、大蔵大臣もやはりこの際切り上げたほうがよいとお思いになるんですか。
#104
○国務大臣(愛知揆一君) あの問答は、なかなか前後がございますので、国によっては切り下げなければならない国もある、比較をしてみれば、切り上げと切り下げとどっちだということになれば、むしろ切り上げが問題にされるように力がついてきたということのほうが、比較をしてみればそのほうがいいんじゃないだろうかというような所見を総理が言うたものでございまして、それはそれなりにお聞きいただければいいのではないかと思います。
 それから、現在はフロート中でございますけれども、そしてこうなりましたことについては、先ほど来申し上げておりますように、政府としてもたいへん責任を感じ恐縮しているわけでありますが、まあメリット、デメリットという点から申しますれば、過熱ぎみになりそうなほうも心配であった点から見れば、これが安定的というか、デフレ的な要素が加わることが安定するという面で、そしてもしこれが物価の今後とも引続き上がるであろうと思われたことを抑制するということになると、その面ではメリットがあるのではないかと、こんなふうに私は考えております。
#105
○野末和彦君 それではデメリットとメリットの面についてお伺いしていきますが、まず、デメリットの面で、さっきから輸出関連の中小企業に対する対策というのは、万全の措置をとるような話が出ておりますが、ちょっと感情的になりますが、一般勤労大衆という、いわゆる国民もかなりの被害者じゃないかという感じをぼくは持つわけですよね。それは、何といいますか、とにかく安い賃金で働いている。で、外貨をため込んだ。そうすると、その外貨を国民の利益に還元することを全然しないうちに価値が減っちゃった。どうも低賃金という犠牲の上に立ってなおかつ評価減というのは、非常に国民はいつも損しているんじゃないかという感じがするわけでしょう。企業の場合だったら、たとえば、差損だって埋めてもらえる。埋める金は国民の金がまた使われるというふうに考えてきますと、かなり感情的ではあっても、常にしわ寄せはわれわれ国民にくるんじゃないか、ばかをみるのはいつも国民だという気持ちが、国民感情というものがかなり強いように私は思うわけなんですね。こういう見方というのは間違っていますでしょうかどうでしょうか。
#106
○国務大臣(愛知揆一君) これは理屈の上から申しますれば、先ほどの問題と同じことであって、切り下げということになれば即これはインフレになる。それで非常に物価が高くなる。そして、これは失業も起こりましょうし、たいへんなことになる。それに比べれば、安定して、そして消費者物価が安定をするということになれば、勤労大衆もそれだけ安定した生活ができるというメリットがあるということになるのではないかと思います。
#107
○野末和彦君 そうしますと、そこが期待の向くところなんで、国民生活にとって円が切り上げになる、その効果はメリットとしてインフレを抑制するといいますか、物価は安定する、これはかなり期待ができるわけですね。
#108
○国務大臣(愛知揆一君) それから、なかなかこれは浸透してこなければそういうことは理屈だけでは申せませんし、具体的な措置がいろいろ講ぜられなければなりませんが、とにかく政府関係といたしましても、これは外国から買うものというのはいまそう多くはございませんが、買うものは安くなる、そうすると歳出の減になる。そうするとそれだけ財政的な負担が軽くなる。これがたとえば福祉関係に回わすことができる。こういうふうないいところもある。しかし、こういうふうな状況になりましたときに、早計にそうも言えないので、これはこれからのたとえば、物価対策等について相当強力な、具体的な措置が講ぜられなければならないと思います。これは通貨の問題ではございませんが、輸入の自由化あるいは関税の引き下げなども、庶民の生活の問題ではございませんけれども、たとえば、イギリスのスコッチウィスキーがジョニ赤でも六千円くらいだったのが、現在もう百貨店の建値でも三千二百円になっておる。ずいぶんこれは時間がかかるのですが、やはり総代理店問題とか、流通機構の問題とか、いろいろございますから、実際そういうことがメリットを発揮するまでには時間もかかりますし、それから組織の上にメスを入れるとかいろいろございますが、しかし、理屈としてはそうなる、私はそう考えます。
#109
○野末和彦君 経企庁長官はとにかく安いものが入ってくるから物価を下げる効果があるという発言をなさっておりましたね。そうしますと、やはりいろいろな措置を講じなければというようなことは当然で、だから、そのいろいろな措置を講じてでも、とにかく絶対に物価を下げてインフレを抑えるんだという決意が政府にでもあるんですか、それとも何かいろいろ聞いてみますと、メリット、デメリットがあって、どっちとも言えずというあいまいな点がかなりありまして、ちょっと国民感情からいって説得力が非常に欠けるように思えますがどうでしょうか。
#110
○国務大臣(愛知揆一君) その点はいまたいへん建設的におっしゃっていただいてありがたいところでございますが、まず、先ほど来申しておりますような、中小企業対策を一生懸命やりまして御安心を願うと同時に、そのメリットが具体的に発揮できるように全力をあげてまいりたいと思います。
 ドイツの例を申し上げるまでもなく、ドイツは再三にわたって切り上げをやったわけでございますけれども、その切り上げについて、たとえば勤労階級、労働階級等も、ずいぶんあのときはドイツ内でも議論があったようでございますけれども、終局的に切り上げに賛成をする。なぜかといえば、これは、物価や生活の安定をつくり上げるものであるということになったことは事実であるようなことも、私どもとしては大いに参考にすべきことではないかと思います。
#111
○野末和彦君 そしたら、少しちょっと具体的にお伺いしますが、前回の切り上げの効果ですが、物価安定という、もちろん大臣のお話の中には洋酒の問題出ました。事実下がりましたが、あれはいろんな措置がありまして、並行輸入とか、そういう面の効果のほうが多かったのではないかと思いますけれども、どうなんでしょう。前回の切り上げの効果を物価安定の面に限って、予期したとおりもう効果が上がっているんでしょうか、それともまだ不十分であると、その不十分だというのは、時間がまだそれほどたってないからというのではなくて、こういう面でまだ十分でないから反省すべき余地があると、そういう面からもお聞きしたいわけなんで、どうなんでしょうか、予期したとおりいま着々とインフレ抑制といいますか、物価を下げる点では効果が上がっていますか、前回の切り上げで。
#112
○国務大臣(愛知揆一君) それが政府として責任を感じている点でございまして、やはり、効果が上がるのにはどうしても、各国の例からいっても両三年かかる。その間にできるだけの効果をあげようとしているときにこういう状態に際会したわけでございます。
 それからもう一つは、前回の通貨調節は、日本としては非常に不況のときであった。このことが今日と違うわけで、今日の状況は、どちらかというと相当の経済界に動意が非常に活発で、これはいろいろな指標にあらわれておる。こういうときには、本来のメリットが発揮しやすくなっている。この点が前回との違いで、これからの政府の努力によっては、そのメリットが前回のときよりは発揮しやすくなっている。こういうふうに私は感じているわけです。
#113
○野末和彦君 どうも前回の円対策が失敗して不十分だったというような反省があまり感じられないので――、両三年というと、もうあと一年半たてばいかにも下がるような、そんなふうな言い方にも聞こえるんですが。これはどうなんでしょう。輸入品の価格がもっと本来なら下がってもいいはずだが、どうして下がらないんだろうかというような質問が、きのうかおとといありましたね、衆議院で。そのときに総理大臣が、何か、下がらないときは物価統制令ですかの第十条を持ち出してというようなことをひょっとお答えになった。で、ぼくらのしろうとから見ても、かなりこれはずれているんじゃないかという気がするわけですね。あんなものが効果があると思えないわけですね。大蔵大臣、あれやはり効果が期待できるんですか。
#114
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、ですから、輸入促進、たとえば、自由化というようなものが、これは非常に国内的にむずかしい問題ですが、こういう点が予期したよりもおくれてきているということが一つ指摘される点ではなかろうかと思います。
 物価統制令の問題は、これはやり方によればある程度のメリットも発揮できると思いますけれども、そういうことよりは、もっと市場メカニズムというものでありましょうか、そういう点にくふうをこらしたり、メスを入れたりということが、私は、効果があることではないかと、こう思っております。
#115
○野末和彦君 ですから、物統令というのはたいしたことじゃなくて、もっと基本的にいろいろあるわけでしょう。総理大臣がそういうことを持ち出すというのは、何か思いつきをぱっぱっと何でもいいから言っている感じで、自信のある対策がはっきりあれば、そんなものは出てくるわけはないと思うんですよ。ですから、政府の中で、今度の円問題を国民が一番不安を持っているインフレ抑制という、物価安定という、この面でこの円問題をどういうふうに生かしていくかという基本姿勢というものは、はっきり出ているわけでしょう。それについてあれもこれもと言わずに、はっきりこれは円問題をインフレ抑制に役立てるんだ、物価は抑制できるんだというお答えはいただけないんですか。
#116
○国務大臣(愛知揆一君) まあ災いと言えましょうか、これを転じて福とするということはまさにそこにあると思います。そういう点について政府もしっかりし、国民的にも理解をしていただけるようにしていかなければならない、この点は政府としてはコンセンサスを持っております。
#117
○野末和彦君 たとえば、農産物の自由化が、何かもう農産物の自由化をぎりぎりまで自由化してきた、もうこれ以上はできないんだと、これ以上農産物を自由化するには、農民の賛成が得られたければというような総理のおことばもある。ところが、これもっとやれば、農産物は、自由化できるものなんですか。もうこれ以上できないんですか。自由化、自由化といって、確かに資本の自由化、輸入の自由化とかいろいろ考え方としては次から次出てくるわけですね。だけど、現実にやらなければ何もならないわけで、いままで現にあまりやってないわけでしょう。そうすると、この農産物一つとってみますと、大蔵大臣としてのお考えをお聞きするんですが、もうぎりぎりですか、それともまだやればできるから、当然やるべきだということでしょうか、どちらでしょうか。
#118
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申し上げましたように、この物の自由化ということもずいぶんこれは努力してやってきたわけで、いま三十三品目残っておりますけれども、この数からいえば、ヨーロッパ諸国にそんなに遜色はないわけです。しかし、日本としての円対策としては、この三十三を少なくとももう十くらいは減らしたいということで鋭意努力をいたしておるわけです。ただ、列国もそうでありますけれども、残ったものは非常にむずかしいものばかりなんです。これはですから、予算の上でも四十八年度は相当の予備費も組んでございまして、もし国内的に予算措置をある程度するならば、ある種の農産物が自由化をやってもらえるということならば、大蔵省は喜んで協力するという態度をとっているわけです。
 それから、資本の自由化は、これも順を追ってやってきたわけですが、いよいよ最後の段階でO冠CDの線に沿った、ほとんど無条件の自由化ということを、これは近日中にぜひ踏み切りたいということで、いま外資審議会の答申を早く出していただくことを期待しているわけであります。
#119
○野末和彦君 もう時間もなくなってきましたが、じゃ最後に結論だけお聞きするのですが、この円が切り上げになりますと、国民生活にとってマイナス面が大きいのですか、プラス面が大きいのですか、どっちですか。プラス面が大きければ当然やってほしいということになりますね。どうなんでしょう、総理のずっといままでのお話を聞いていますと、結局本心では、内心では何かほっとしているようなところもあるんじゃないかと思うのですよ、望んでいるようなところが。というのは、ここで円切り上げをやらなければ、かなりことしはインフレが悪性になってきて、もうとても物価なんか押えられないのだと、せめてここで円の切り上げをやれば、幾らか何とかなるのではないかということで、内心ほっとしているような気もする。ほんとうに危機感を持ってこれはたいへんなことだというふうに思っているかどうか非常に疑わしい面がある。でもプラスだったらそれでもいいわけですが、大蔵大臣として最後にお聞きしたいのは、やはりこれはマイナスである、だから、たいへんな危機感を持っていらっしゃるのか、それともやり方によってはプラスになるから、むしろそちらを目ざして、もう円の切り上げをやっていいというふうに思われているのか、その辺ちょっとプラスなのかマイナスなのか、国民生活にとって。それだけをちょっとお聞きしたい。
#120
○国務大臣(愛知揆一君) 理屈の上から言えば、プラスになる要素を多分に持っておりますから、災いを転じて福としようと、そのためにはよほどの政府も決心をしてやらなければならない、必ずプラスになるようにしなければならない、こういう態度であります。
#121
○野末和彦君 しなければならない。必ずできるんですか。しなければならないが、やっぱりいろいろやるのを怠ってできないとか、そういうことじゃ困るのですが、しなければならないじゃなくて、すると、してみせるというほどの決断と実行にはいかないですか。
#122
○国務大臣(愛知揆一君) してみせると言いたいところでございます。
#123
○理事(土屋義彦君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後七時二十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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