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1972/03/08 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第6号
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1972/03/08 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第6号

#1
第071回国会 大蔵委員会 第6号
昭和四十八年三月八日(木曜日)
   午前十時九分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤田 正明君
    理 事
                嶋崎  均君
                土屋 義彦君
                野々山一三君
                多田 省吾君
                栗林 卓司君
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                河本嘉久蔵君
                柴田  栄君
                中西 一郎君
                西田 信一君
                桧垣徳太郎君
                船田  譲君
                川村 清一君
                竹田 四郎君
                成瀬 幡治君
                鈴木 一弘君
                渡辺  武君
                野末 和彦君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       大蔵政務次官   山本敬三郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       大倉 眞隆君
       大蔵省主税局長  高木 文雄君
       大蔵省関税局長  大蔵 公雄君
       大蔵省証券局長  坂野 常和君
       大蔵省国際金融
       局次長      松川 道哉君
       国税庁次長    江口 健司君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       通商産業省鉱山
       石炭局金属課長 伊勢谷三樹郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○有価証券取引税法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、有価証券取引税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、以上二案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。愛知大蔵大臣。
#3
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま議題となりました有価証券取引税法の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 初めに、有価証券取引税法の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。
 政府は、今次の税制改正の一環として、近年における証券市場の状況等に顧み、株式等にかかる有価証券取引税の税率を引き上げるとともに、所要の規定の整備をはかるため、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 第一に、株式、株式投資信託の受益証券等にかかる有価証券取引税の税率の引き上げであります。
 すなわち、株式、株式投資信託の受益証券等を譲渡した場合の有価証券取引税の税率について、一般の譲渡の場合は現行の一万分の十五から一万分の三十に、証券会社が売買により譲渡する場合は現行の一万分の六から一万分の十二に、それぞれ二倍に引き上げることとしております。
 第二に、証券会社の納付すべき有価証券取引税の納付方法等について規定の整備をはかっていることであります。
 すなわち、証券会社の有価証券取引税の申告及び納付は、現在は、各営業所ごとに行なうこととしておりますが、これにかえて、本店で一括して申告及び納付を行なうことができることとし、これに伴う所要の規定の整備をはかっております。
 次に、相続税法の一部を改正する法律案につきまして、御説明いたします。
 政府は、今次の税制改正の一環として、最近における相続税負担の状況に顧み、中堅財産階層を中心として負担の軽減をはかるとともに、延納制度を合理化するため、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。
 第一に、国民の中堅財産階層を中心とする相続税負担の軽減であります。
 すなわち、相続税の遺産にかかる基礎控除について、その定額の控除額を現行の四百万円から六百万円に、法定相続人一人ごとの控除額を現行の八十万円から百二十万円に、それぞれ引き上げることとしております。また、遺産にかかる配偶者控除について、婚姻期間十年をこえる一年ごとの控除額を現行の四十万円から六十万円に、最高限度額を現行の四百万円から六百万円に、それぞれ引き上げることとしております。これらの諸控除の引き上げにより、相続税の課税最低限は、配偶者を含む相続人五人の場合、現行の千二百万円から千八百万円に引き上げられることとなります。
 さらに、相続税の未成年者控除については、二十歳に達するまでの各一年についての税額控除額を現行の一万円から二万円に引き上げるとともに、障害者控除については、七十歳に達するまでの各一年についての税額控除額を、一般の障害者の場合は現行の一万円から二万円に、特別障害者の場合は現行の三万円から四万円に、それぞれ引き上げることとしております。
 第二に、夫婦間の居住用不動産の贈与にかかる贈与税の配偶者控除の引き上げであります。
 すなわち、贈与税の配偶者控除を現行の三百六十万円から五百六十万円に引き上げることとしております。これによりこのような場合の贈与税の課税最低限は、基礎控除四十万円を含めて現行の四百万円から六百万円に引き上げられることとなります。
 第三に、相続税または贈与税を延納する場合の利子税を軽減して、延納制度の合理化をはかっていることであります。
 すなわち、相続税または贈与税を延納する場合の利子税については、現在、原則として年七・三%の割合で課されておりますが、これを引き下げ、通常の延納期間五年の場合は年六・六%とし、相続財産中に不動産、事業用償却資産等が五〇%以上を占め、延納期間が十年に延長される場合には、さらに年六%に軽減することとしております。
 以上、有価証券取引税法の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、提案の理由とその内容を申し上げました。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#4
○委員長(藤田正明君) 次に、補足説明を聴取いたします。高木主税局長。
#5
○政府委員(高木文雄君) 有価証券取引税法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 今回の有価証券取引税法の改正は、近年における証券市場の状況等に顧み、株式等にかかる有価証券取引税の税率を引き上げることと、証券会社の納付すべき有価証券取引税の納付方法等の整備をはかることの二点がその内容となっております。
 第一に株式、株式投資信託の受益証券等の譲渡にかかる有価証券取引税の税率の引き上げであります。すなわち、これらの証券の譲渡に対する税率は、昭和二十八年の創設以来据え置かれてきておりますが、その後現在までの証券市場の拡大の状況等から見て、株式等の取引の背後にある担税力も相当増大していると推測されるに至りましたので、今回この税率を二倍に引き上げることとし、証券会社の売買による譲渡は一万分の六から一万分の十二に、その他の譲渡は一万分の十五から一万分の三十に、それぞれ引き上げることとしております。
 第二に証券会社の納付すべき有価証券取引税について、本店で一括して申告納付を認める制度の新設とこれに伴う規定の整備であります。すなわち、証券会社の有価証券取引税の申告及び納付は、現在は各営業所ごとに行なうことになっておりますが、近年、証券市場の拡大等に伴い証券取引に関する事務について合理化が進み、本店で集中して事務処理を行なっている証券会社が多くなっております。したがいまして、この際、このような場合には、所轄税務署長へ届け出て、本店で一括して申告書の提出と有価証券取引税の納付をすることができることといたしました。また、この改正に伴って証券会社の記帳義務、開廃業の申告義務、納税地等の規定に関し、所要の規定の整備をはかっております。
 次に、相続税法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 今回の相続税法の改正は、課税最低限及び未成年者控除等の引き上げによる相続税負担の軽減、贈与税の配偶者控除の引き上げによる夫婦間の居住用不動産の贈与にかかる贈与税負担の軽減及び相続税、贈与税の延納にかかる利子税の割合の引き下げによる延納制度の合理化の三点がその内容となっております。
 第一に国民の中堅財産階層を中心とする相続税負担の軽減であります。相続税につきましては、昭和四十一年度の税制改正におきまして大幅な負担軽減措置を講じ、配偶者及び子供四人が相続する場合の課税最低限を従来の五百万円から倍額の一千万円にまで引き上げたのでありますが、その後は昭和四十六年度の税制改正に際し、遺産にかかる配偶者控除につきその控除額の最高限度額を二百万円から四百万円に引き上げる等の措置を講じましたほかは、課税最低限の一般的な改正を行なっておりません。しかしながら、最近における財産価格特に地価の高騰等から課税件数が著しく増加し、大都市周辺では通常規模の住居についても相続税が課税される事例を生じ得るのではないかと考えられるようになりましたので、この際相続税の課税最低限の大幅な引き上げを行なうことといたしました。すなわち、まず遺産にかかる基礎控除につきましては、定額部分の控除額を現行の四百万円から六百万円に、法定相続人各一人ごとの控除額を現行の八十万円から百二十万円に、それぞれ引き上げることとし、また、遺産にかかる配偶者控除につきましては、十年をこえる婚姻期間各一年の控除額を現行の四十万円から六十万円に、最高限度額を現行の四百万円から六百万円に、それぞれ引き上げることとしております。
 この結果、配偶者と子供四人が相続人となる場合の課税最低限は、現行の千二百万円から千八百万円に五〇%引き上げられることとなります。
 次に、相続税の未成年者控除につきましては、現在、二十歳に達するまでの年数各一年につき一万円の税額控除を行なうこととしておりますが、この控除額は長年据え置かれておりますので、この際、この各一年ごとの控除額を二万円に引き上げることとしております。
 また、これと同様に相続税の障害者控除につきましても、七十歳に達するまでの年数各一年の税額控除額を、一般の障害者の場合は現行の一万円から二万円に、特別障害者の場合には現行の三万円から四万円に、それぞれ引き上げることとしております。
 第二に夫婦間の居住用不動産の贈与にかかる贈与税の配偶者控除の引き上げであります。現在、婚姻期間二十年以上の夫婦間において居住用不動産またはその購入のための資金が贈与された場合の贈与税につきましては、通常の基礎控除四十万円のほか贈与税の配偶者控除三百六十万円が適用され、このような贈与についての贈与税の課税最低限は四百万円となっております。この控除は、従来から相続税の遺産にかかる配偶者控除とバランスをとって定めておりますが、今回も同様に相続税における引き上げと合わせて、この贈与税の配偶者控除を五百六十万円に引き上げることといたしました。この結果、このような場合の贈与税の課税最低限は六百万円と従来に比し五〇%引き上げられることになります。
 第三に相続税または贈与税を延納する場合の利子税の軽減による延納制度の合理化であります。すなわち、相続税及び贈与税については、この税の性格から、通常は五年、相続財産中に不動産、事業用償却資産、同族非上場株式等が五〇%以上を占める場合は十年の延納が認められ、延納税額に対しては、現在、原則として年七・三%の利子税が課されています。この利子税について、負担を軽減して延納制度を利用しやすくするとともに、利子税の月割り制を採用して計算の簡明化をはかる立場から、その割合を延納年限五年の場合年六・六%、十年の場合年六%に軽減することとしております。
 以上、有価証券取引税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案の提案理由を補足して御説明いたしました。
#6
○委員長(藤田正明君) これより両法案に対する質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#7
○成瀬幡治君 一番最初に、資料要求の問題でひとつお願いしたいと思います。税制調査会にいろんな点を大蔵省として諮問をされるわけですが、その場合に、税制調査会に対して相当な資料をお出しになるんじゃないか。たとえば、これから審議をしなくちゃならない所得税の問題、いわゆる物価の問題をどういうふうに調整をしていくとか、いろんな問題で相当な資料をお出しになっているんじゃないか。あるいは医療の問題に関連して前に東畑さんが責任云々という話もちょっと、これは公的な場じゃございませんけれども、私的な場で出ております。そういう税制調査会にお出しになった全部の資料を各委員全部にお渡し願うというのも私もいかがかと思います。しかし、せめて参議院の調査室ぐらいにはその資料が全部そろっておって、そしてわれわれがやるときもそれを見せてもらう、あるいは参考にするというようなことが必要だと思います。ですから、古いものまで全部、いまさら前のものまでとってきてどうこうということにはいきませんけれども、少なくともここ二、三年税制調査会にお出しになった資料をぜひひとつ調査室にお渡しするようにお考えいただくことはできないものかどうか、大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
#8
○政府委員(高木文雄君) おっしゃるとおりでございますので、そのとおり処置させていただきます。
#9
○成瀬幡治君 それほどうも恐縮でございました。ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次にお尋ねしたいのは、証券局長に伺いますが、株が異常に高いということを、常識的にですね、まあダウ平均見ましてもこの十四カ月ぐらいに大体倍になっている、異常に高いというふうに認識しておみえになるのか、まあここら辺が妥当だと、こういうふうにお考えになっておるのかどうかということです。非常に議論があるとかなんとかいう、全く腰だめ的な感じをお伺いするわけですが、なぜこういうことを伺うかと申しますと、過般資料として、大蔵省としてどんなことについて措置をされておるのか、営業姿勢や、その他いろんなことをおっしゃるということについての資料をと申しましたら、ここに資料をいただきました。約、四十七年だけで、出てきた資料では十三回ということになっておるんですが、これは項目が違っての十三回。しかし新聞等で見ますと、まだ呼んじゃ――警告も発しておらない、その回数が五十七回というふうに新聞に出ておる、これは私は異常だというお考えだからおやりになったことだと思うわけです。ですから、どんなふうにお考えになり、どういうようなことについて主として力点を置いておやりになっているのか、しかも、この資料には出ておりませんけれども、二月二十二日からはあなたのほうが立ち入り検査をやっている、これは定例の立ち入り検査だとおっしゃるのか、そういう内容をどうこうするということはまだ検査が続いているようですから発表できない、正確なところは、件数を発表することはできないかもしれませんけれども、とにかく大蔵省としては、私は異常だという認識で、そしてまず証券業界としてどういうことをやってくれたらよかったんだという期待感があり、あるいはそれができないから警告をされるのかという、その力点を置かれた点について御説明が承りたいと思います。
#10
○政府委員(坂野常和君) 結果としまして、ダウ平均が五千をこしたから、あるいは五千三百になったからこれは非常に高いということを感じておるわけではありません。しかし、昨年の正月以来の株式市況を見ておりますと、戦後なかった非常に異常な様相が幾つかあらわれたわけです。
 まず、一番初めにあらわれましたのは活発な法人営業活動、これはそのもう一つ根に、例の過剰流動性というような問題がもちろんあったわけですけれども、証券界の営業活動がいままでになかった非常な勢いで法人へ株をはめ込むという活動を始めたわけです。これは、これが行き過ぎますと、やはり株価に不当な圧迫といいますか、株価を押し上げる力になるという心配がありまして、株価が上がること自体がいかぬというわけではありませんけれども、御承知のとおり、株価は大勢の人々の評価がフェアに集まってつくられるべきものであって、一部の人の力で押し上げていくというようなことがあれば、これはフェアな株価形成でないということになります。一番初めに注目したのはその点です。
 その次に、やはりかつてなかった事態なんですが、無配株とか、収益的にはいままで顧みられなかったような銘柄がもっぱら投機の対象として、それがかなり売り買いをされた、それに証券会社というものが介入していった、その会社の持っておる資産の価値、あるいは解散価値というようなこともいわれまして、いままでになかった新しい株の価値観と申しますか、そういう論議があって、これも一つの考え方かもしれませんけれども、それを急激に推し進める、特に、個人投資家にそういったものをすすめるという営業行為がはたしてこれは妥当なものかどうかたいへんに心配したわけであります。
 それから次に、さらにあらわれましたのは、夏ごろから信用取引が非常に活発化してまいりました。これにつきましては、従来からやっておりましたようなことで信用取引の規制というようなことをやっております。
 それから秋口以降、秋から十二月ごろにかけましては、これは法人活動も個人営業活動も合わせまして、証券業界の競争が激しくなりまして、株価が上がることはもちろん時の需給関係によるわけでありますけれども、その証券業界の過当な競争がさらにそれに拍車をかけているんではないかというような心配もありました。そういったことについても注意をしております。
 また、一連の時価発行につきまして、時価発行前後の価格形成において問題があるのではないかというような批判も若干出ておりましたので、そういう点についても、価格形成をよりフェアなものにするということで、いろいろ指導をいたしております。と申し上げますと、そういうようなことで、信用取引を除きましていずれも過去になかった非常に新しい株式市場の動き、それに対する証券業界の営業のやり方というものが生じておりましたので、証券取引法にいう投資者保護という観点から、そういった新しい動きが過度になって価格形成をゆがめ、投資者保護に欠けることのないようにという観点から、証券界に対しまして注意を与えたり指導をいたしたり、いろんな措置をいたしました。
 お説のように、こまかいものを入れますれば、およそ四、五十回一年間に注意をしてきたというような状況であります。
#11
○成瀬幡治君 努力をされたんだが、しかし、結果的には、御案内のとおり、新聞に出ておるのが一つの氷山の一角かどうかしりませんけれども、協同飼料の株価操作の問題が出てきた。自粛をされ、要望をされ、それから、業界も自粛を何べんか自分たちに言い聞かせるようなことを言ってやったと思うのです。それだのにこういうことが起こった。また、これから証券市場の自由化等によって外国も入ってくるというようなときに、非常に残念なことだと思うのです。体質と申しましょうか、これは抜本的にどうにもならぬものなのかどうか、全くもう大衆投資家というものの、あなたがおっしゃるフェアな株価ということよりも、もうつくられてしまうということで、手がつけられないんだと、ふしぎなんですよということなら、私は、それなりにいろんな対策を立てなくちゃならぬと思う。また、今度も何か新聞を通して知っただけですけれども、四大証券の方たちが内部監査をするとかということで、何か自粛されるということが出ておりますが、これがいままでのものなら何ら意味はないのです。自粛ということは、私らも痛いほど何べんも聞いておるのです。あなたのほうの努力もわかる、だのに結果はこうだということになるなら、私は、一ぺん対策というものを考え直し七みる必要があると思いますが、局長はまだそういう時期じゃないよと、あくまでもやっぱり、大衆による株価をつくっていくのに、いま少し時間をかけて洗練をされてくるのを待つほうがいいというお考えなのか、その辺のところの基本的な考え方を承りたい。
#12
○政府委員(坂野常和君) 起きました事件につきましては、私どももたいへん責任を感じておりますし、また、これからそういった事件が起きないように注意、努力をさらに重ねていかなければならないと思っておりますが、こういったことで、株式市場そのものがでたらめなんではないか、時価発行というものは非常にでたらめをやっているのではないかというような、一部に誤解があることは、これは非常に残念なことでありますし、また、そういう誤解を招くということは証券界としてもたいへんそういう信頼感がないと申しますか、そういうところは気をつけなければいかぬと思っております。ただ、現行の法令あるいは取引所の諸規則というものはかなり精密にできておりまして、このルールをきちっと守れば、公正な価格形成はできる、そういう仕組みになっております。したがって、証券界が大いに活躍されることはけっこうでありますが、ルールを守ってやってもらう、ルールをはずれた競争はしないということ、その一線を画するということが最も大事でありまして、これからもそのルールを守るという点について私どもはかなり徹底した行政を展開したいと思っております。それをやってまいりますれば、そしてルールを守りさえすれば、そう抜本的な御心配はないというふうに考えております。
#13
○成瀬幡治君 私は、ルールを守るなんということは、もう全くそういうことをどうこうするなんという以前の問題で、あたりまえの話なんです。ところが、ここであなたの口からルールを守らなければならぬというようなことを言わなければならぬというのが実態なんですね。だから、何か対策をお考えになっておりませんかと言うのです。それを、一番初めに戻っちゃってルールなんという話ならば、こんなことはもうお聞きしなくても、以前の問題ですからね。そうじゃないんです。いろんなことをやっておみえになった。努力を積み重ねてみた。いろんなことをやっておみえになったのにこういう始末なんです。私は、率直に言えば不信感があるんですよ、大衆も、そこまでこやしないかと――だからやっぱり、前のときの、いまから何年か前ある会社で云々がございましたね。そういうようなときでも、大衆の投資を保護するというような美名のもとに――美名と言えばそれでいいわけですけれども、たくさんの融資やいろんなことをやったわけです。みんなが国の税金でめんどうを見たわけなんです。それでもう姿勢というものは直っているものかと思った。だのに、いまあなたから言われるようなことが出てきたわけです。そうしたら、何をおっしゃるかというと、ルールを守ればいい――ルールを守ったら、前のああいう事件もなかったわけです。だから、何か特別な対策というものを考えておみえにならぬのか、また、考えられていいんじゃないか、こう思うわけなんです。どうでしょうか。
#14
○政府委員(坂野常和君) お説のとおりに、まあ、いろんな面において世間から信頼されないというような風潮があるということは事実でございまして、こういうことに業界みずからがどうこたえていくかということが一番大事な問題です。過般、大蔵次官が連合会長を呼びまして、そういった批判に業界みずからがこたえなければいかぬということを申しました。そうして協会長が談話を発表しまして、証券業界のあり方というものを二月二十一日に発表いたしております。これによりますと、いろんな批判があることは、これはもう証券界としては非常に大事な問題であるから、こういう批判というものを全部はね返して、自分たちは価格形成をフェアにするということに専心いたします。と同時に、まあ、証券界を取り巻く諸環境というものもありますので、産業界、金融界等も取引市場の公正化ということに御協力願いたいというような談話を発表しております。その談話を具体化したことにつきましては、いま協会においていろいろ指導中のようでありますけれども、みずからそうこたえた、そうこたえたことに対して、今度は信頼を裏切られるようなことのないように、みずから自粛、自戒するということが一番の根本だと思います。
 しかし、私どもとしましても、今回の事件にかんがみまして、ただ単なる自粛、自戒ということだけで十分な、ルールを守るという意味において、十分な徹底が期し得られないとするならば、やはり法律による強制ということについては、今後いままでよりも厳格な態度でそれに臨みたいというふうに考えております。
#15
○成瀬幡治君 そうすると、法体系としては十分できておる。その運用が、行政上で言えばですよ、運用が若干、まあ、あまり干渉したりしては自然形成でやっていく市場に対して行政権が入ることは非常に好ましくないのだというような姿勢で、自主的な運営というようなことでまかせできた。しかし、こんなことが二度、三度と繰り返されてきた。それだから、今度はそういうことではなくて、いまの法規に基づいて遠慮なく大蔵省としてはやっていくんですよと、きびしい態度でいきますよという、それだけで問題は解決すると、こういうふうにお考えになっておるというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
#16
○政府委員(坂野常和君) 申し上げましたように、その前段階に証券界みずからが今度はほんとうに自粛自戒して、きちっとやるということが前提となります。それをこの間連合会長が談話で言ったわけです。それが前提になりませんと、ただ、法律で処罰するぞというだけの行政ではうまくまいらないと思います。ですから、業界みずからがそういう気持ちでやっていく、それが真に効果があがるかどうか、行政はそのあとからそれを見ていく。そして著しく逸脱するものがあれば、従来よりもきびしい態度で臨みたい。ただし、これは行政だけではございません、取引所のルールとか、協会のルールもあります。それについても、同じような態度で臨まなければいかぬというふうに考えております。ですから、業界がやるかやらないか、その意識がそういうことに改まるかどうか、そこが一番の基本だと思います。
#17
○成瀬幡治君 まあ、坂野さんも苦労しておみえになると思いますし、たとえば、昨年の八月一日に、東証理事長が営業態度について慎重を要望しておる、あるいはいろんなことがあるわけです、これを見ても。まだ警告もいろいろとあると思うんです。具体的にされておると思うんです。あなたがおっしゃるように、それを非常に期待をしておりますというのも、一つの手だと思いますが、ここで私もいま一挙に結論がどうこうという問題ではないと思いますが、ひとつ営業の姿勢の問題については、とにかく目を離してはいかぬ、非常にシビアに、いわゆるフェアな株価形成が行なわれる。そういうところに焦点をしぼってやっていくということが一つだと思います。これは営業の面です。個々の問題で、時価発行の問題とか、あるいは転換社債の問題が出ましたが、そういうこと。
 もう一つの原因は、株価が高いという理由として、あなたは過剰流動性ということをおあげになりましたが、確かに金がだぶついておって、そして物にかえておこう、土地にいこう、あるいは貴金属にいこうじゃないかという、そういうものがございます。これはインフレで金を持っておっても、どうにもならぬ。少なくとも、預金をしておく金利よりも物価のほうがたくさん上がりますよということを政府がみずから発表をしておるわけでございますから、当然そういう換物にいくというのはあたりまえなことだと思うんです。ですから、あなたはいま過剰流動性が原因で株価が上がったんだと、こういう説明になるが、異常なんだと――私らも異常だと思う。しかし、その裏にあるものは何かといえば、やっぱり物にかえておかなければだめですよということがあると思うんですよ。そこら辺のところを大蔵大臣はどんなふうにお考えになっておるのか。まあ、大蔵省として、大臣が各省の局長等をお集めになって、株が非常に高いがどうだよと、一体何かいい対策がないだろうか、金融面で何かあるだろうか、あるいは税のほうでどうだとか、いろんな私は対策をお考えになっておると思いますが、まず基本的な対策として、営業の姿勢を云々するということが一つあると思います。
 もう一つは、金の問題、いわゆる国民が金を信用をせずに――下がっていくんだから、貨幣価値が下がりますから、物にかえておかなくちゃならぬという私は流れがあると思うんです。こういうことについてどんなふうにお考えになっておるのか、大臣の見解が承りたいと思います。
#18
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの御論議を伺っておりまして、私もまことにごもっともで、基本的にはそのとおりだと考えます。
 まず、根本は、最近のいわゆる換物思想といいますか、これをまず鎮静していかなければならないということが一番根本でございますし、それから、証券行政については、私も就任以来、非常にこれは大蔵省の行政として大切なことであるということをとくと私自身も心得ておるつもりでございまして、大体ただいま証券局長からお答えいたしましたように、一つは、現行の法制下においてなし得る限りの手段を講じていかなければならないということで、その目的は何かといえば、結局公正な株価の形成というものが関係者の努力によって醸成されるということが大事である。それから、投資家の保護、特に、大衆投資家の保護ということが同時に考えられなければならぬことでありますが、まあ、そういったことを中心にいたしまして、しかも、これは証券行政それ自体だけではカバーし切れないことがございます。たとえば、いまの換物思想問題とも大いに関連するし、過剰資金問題とも関連するわけでございますから、金融政策上も株価の抑制、それから、株に過当な資金が出ないようにという、根元をチェックしていくということについても同時総合的に手を打ってきておるわけでございます。そういったようなことから、立ち入り検査というようなことも行なって、証券会社、関係筋にも自粛を求めつつ、行政権の発動もしてきたわけでありますが、そういうさなかに、検察権の発動というようなことも起こってまいりましたことは、たいへん私どもとしては遺憾に思っているわけで、申しわけないことであると考えておるわけでございますが、大蔵省当局としても、さらに、こういう経験の上に立って、あるいは司法権の発動まで招いたような事態に大いに反省をいたしまして、なお一そうあらゆる努力を展開したいと考えている次第でございます。
#19
○成瀬幡治君 二つの面があると思う。
 一つは、証券業界全体の営業の問題が一つ。それからもう一つは、何といったって、インフレムードなんですね。ですから、根本的なところに私はメスを入れていかないと、株価というものが、金がだぶつくんですから、持っている人はやっぱりいろんなことを言ったって買いに走りますよ。ですから、株高になるのはあたりまえのことだと思うんですよ。そこで、それがいわゆる国全体の金融政策、財政政策になってくる、あるいは税制政策になってくると思う。そういうことについてどうも大臣は、予算がいま目の前にふらついているし、いろんなことでなかなかすぱっと御答弁にならないわけですが、たとえば、ドルの問題にいたしましても、まあ、ドルというか、円の問題にいたしましても、いろんなことがあると思うんです。ですから、いままで政府の姿勢というのは、私たちも円は絶対切り上げぬよということで突っ走ってきたと思うんです。そのためにいろんなことをやっておみえになったと思う。ですから、そのときになったら、万が一あったらどうするんだというような、いわゆるトリプルジレンマを解消するのは今度の予算だなんという話も聞いたことがある、うたい文句にされたことも承知しております。ですけれども、金融と申しましょうか、金がとにかく非常にだぶついて動いておると、だから政府としては、大蔵省としては、日銀総裁等ともいろいろ話して、これで一回、二回と準備率の引き上げをおやりになっておる。公定歩合をどうするかというような話も出ておりますが、一体、過剰流動性というふうに問題をとらえて、そして量的な規制をしていきさえすれば、このインフレムードというものをある程度押えていくことができるとお考えになるのか。それとも総需要というようなことにも十分意を配していく、いわゆる金融だけでなくて、財政面のほうにも十分配慮をしていくという姿勢があるのかないのか。これはまあ予算との関係で、そうするとおかしいことで、なかなか御答弁しにくいと思いますが、私は、金融だけじゃだめだと思うんです。財政の面もいま一度見直していく。もう円切り上げの至上命令というものは条件が変わってきていると、置かれておる立場が。だから、予算の組みかえをしようということを私はここで言うわけじゃなくて、少なくとも財政を運用する場合の姿勢というものが、予算を組まれた当時と変わってきておるじゃないかという感じがするわけなんです。ですから、そういうことについて基本的なひとつ考え方を伺いたいと思って問題を提起しておるわけです。大臣の御答弁はまことにじょうずにこう肩透かしなんだ、私のほうが言い足らぬのか。ひとつそうじゃなくて、根元に触れた明快な指針と申しますか、どうするんだという目標を私はしっかりしてもらわないと、行政が一歩二歩とものごとの動きにあとを追っかけるという形になってくると思うわけです。ですから、その点についての明確なひとつ指針という意味で御答弁をお願いしたいと思います。
#20
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、結論から言えば、四十八年度の予算を中心にした財政金融政策というものは、変動相場制に移行した今日においては、ますますその使命、性格というものが発揮されるべきところであると、こういうふうに考えております。たとえば、輸出は大いに奨励されるというような考え方は、これはかじをとり直さなければならない、そして内需にこれが向けられなければならない、そういう意味から言えば、総需要を一ぺんで押えてしまうというような金融政策はとるべきでない。過剰流動性の問題に対しては、財政上からいえば適正な規模の公債を発行して吸い上げる、そして財政主導型でこれが福祉国家建設に向かうようにする、この考え方は変動相場制というような状況にあれば、ますますもって必要なことでありますから、このもともとの考え方を実施に移して早く展開をさせていただきたいと考えておるわけでありますが、同時に、過剰流動性という問題は、しばしば申し上げておりますように、たとえば、どんぶりの中に水が一ぱいある、その中に油が入って、その油の分だけをこう抽出しようとしても、これは日本の場合においては適切な方法をとることはできないし、また不適当である。これはやはり全体的な金融政策の中で処理をすべきものである。したがって、預金準備率の制度というようなものは昭和三十七年からできたものでありますが、こういう状況に非常に適した私は手法であるとかねがね信じております。ですから、これを二回にわたって引き上げをやって、そして資金の総量を押えながら、これを背景にしまして、対象別に、目的別にきめのこまかいきびしい金融規制をやる、これがもう現下の日本においては最も適切な手段であると考えます。したがって、株式に向くような資金の規制については、いち早く相当きびしい規制を展開いたしましたし、土地についても同様でございました。他面においては、たとえば、中小企業というようなものは、日本として一番大切な、構造上からいっても大切なものであり、かつ変動相場制というようなもののもとにおいてはますます大切な対策を必要といたしますから、こういう面に全般的な金融規制というものがかぶるようであってはたいへんなことになる、むしろ反対にこういう面においては金融政策を潤沢に展開していかなきゃならない、そういうふうなことをいま申しましたように、目的的に準備率の引き上げということを背景にして、選別的規制というものをきびしく展開しなきゃならない、こう考えております。
 私は、過剰流動性といわれるものが株式に向いておる、あるいは法人の手元資金が従来は潤沢であったために、これが株や土地に向かっていたわけでございますけれども、これらに対する従来の金融の姿を見れば、それであるにもかかわらず、貸し出しの増加量というものが相当あったという現状を踏まえて特にきびしい金融規制をやりまして、そうした過剰の資金というものが不適当なところに向かうことのないように、根元を押えつけるということをやっておるわけでございまして、これが一月からそういうことをやり出したから、きょうでは三月になってから、一体これが何千億、何兆円の結果としてどうあらわれてきているか、ということを計量的に数字的に御説明するようなまだ段階ではございませんけれども、感覚的に言えば相当の成果を私はあげてきていると思います。こうしたような状況は日がたつに従いまして相当の成果が具体的にあらわれてくるものと、私は考えておるわけでございます。
#21
○成瀬幡治君 予算委員会でもございませんしすることですが、私はいま大臣の御答弁に賛意を表するところもあるが、反論もしたいところもたくさんございます。たとえば、総需要の問題などについてのとらえ方、基本的に総需要を落とすということについてはいろいろ問題だと思うのですけれども、やり方を締めていくとか、いろいろなことがあるのですが、そこで、公定歩合の引き上げというようなことは全然お考えになっておりませんか、それともいま少し動向を見ながら揚げ超が支払い超になっていくようなとき、いろいろなところを勘案しながらタイミングをはかっておみえになるのか、いま全然考えておみえにならないのかどうか、その辺のところはどうですか。
#22
○国務大臣(愛知揆一君) 金利政策というものは、やはり金融政策上非常に大きな役割りを占めておるわけでございます。私は、一般論として金利政策というものを適時適切に展開することがしかるべきことであると思います。これはもちろんそういう考え方でおりますが、現在の日本の情勢下において公定歩合に手をつける、引き上げるということは現在の時点においては不適切である、こういう認識を持っております。
#23
○成瀬幡治君 あなたのベースでひとつそれでは話を進めることにして、金融政策で過剰流動性というものを押えていこうということなんですか、そこで、どういうことに一番配慮をしておみえにたりますか。それで資金を締めていく、量を締めていくということでそれで問題は解決するというふうにお考えになっておりますか。それでは、そうやった場合にどこへどんなしわが出てくるか、あるいはこのことで自己資金をたくさん持っている者はこれはどうにも手がつかない、ですから、どうやられるのか、その辺のところどういうことを期待しておみえになるのかよくわからない。私は、準備率を引き上げたら、これだけ塩づけになると、それは資金はこれだけ回転するからこのくらいのおよそ量になるだろう、過剰流動性の資金は何兆あるというような概算を、この前あなたは数字で約六兆か七兆くらい、これをやったら一兆二、三千億塩づけにできるだろうというようなことを、本会議か何かの答弁か、あるいはこの委員会でのお答か何かでおやりになったことを承知しておりますが、一体どこをどういう点で期待をしておみえになるのか、その点を、どうも私らは非常にやったらもうすでにドルを円にかえてキャッシュを持っている、自分は現金を持ってしまっている、規制のしようがないんじゃないですか。この人たちがいろいろなことをやっているでしょう、借金でやっているわけじゃないと思う。それは借金も一部あるかもしれませんけれども、そうじゃないわけです。たとえば、時価発行したものが、プレミアム分を資本に繰り入れておるなら私は文句は言わぬわけです。みんな持っちゃっておる。だから何をどこをどういうふうに期待してみえるのか、あるいはやろうとするのか、どこにそれがしわが寄っていくのか、どういうふうなところを期待しておみえになるのか、その辺のところをちょっと。
#24
○国務大臣(愛知揆一君) まず、いろいろの点から申し上げなければならないと思いますけれども、世上でよくいわれていることは、外為会計から円が非常に放出される。昭和四十六年では四兆幾ら、四十七年では一兆幾ら、これが過剰流動性の問題である。したがって、根元を押えるべきである。しかし、これは過去のことで、今日の状況下においては、実需の輸出の手形はこれは買い取るのが当然でございます。またそれをしなければ、たとえば、輸出関連の中小企業を例にとりましても、そういう無理なことをやるべきではないと思います。
 それから、たとえば、ドイツの例がよく持ち出されます。バール・デポというような制度でございますが、その場合においては、ドイツにおける為替政策と、日本の政策とを比較しなければならないかと思いますが、ドイツの場合は為替管理がございません。そして、たとえば、ドルラッシュを浴びれば投機資金が乱入いたしますから、こういう場合におきましては、国内的にこれを根元から封殺するという必要もございましょうし、まあ、これから九日の蔵相会議以降、ドイツがどういう態度をとりますか、これはわかりませんけれども、いままでのやり方としてはそういうことをやっております。日本の現状においては、少なくとも現状以降においてはさような心配はない、為替管理が厳重に行なわれておりますから。それから、現状ではいわゆる変動相場でございますから、いわゆる不必要、あるいは限度以上のドル買いをやって、そこから円が不当に放出されるということはない、少なくとも原則的にないということが言えると思います。
 それから、したがって、ドイツのやりましたような根元で封殺する、外為から出てくる円を、たとえば、ドルを取得したものに対して、強制的に国債とか、あるいはもっと流動性のないような国債以上のものを強制して持たせるかというような方式は、その他いろいろの観点から、日本ではとる必要もなければとるべきでない、こう考えます。
 それからその次は、法人の手元資金ということがよく言われます。なるほど法人の手元資金はここ数年来計表の上でもかなりふえております。しかし、それにもかかわらず、これと金融機関からの貸し出し、そして手元資金を持っていると、相当潤沢であるというところにも、非常に多くの金が過去においては流れておりまして、したがって、そのマネーサプライの現状から申しますれば、商社に対してこれ以上の与信というか、金融を不必要に与える必要は絶対ないわけでございますから、そこでたとえば、大手十社とか二十社に対しましては、特に先ほど申しましたように、対象別に窓口規制を非常にきびしくしていく、限度を設けていく、あるいは日銀の買い入れ手形の種類別の規制まで組み込んでやっているわけでございます。ですから、先ほど申しましたように、この成果がどういうふうに形量、数量的になってくるかということを現状において数字でもって御説明するようなまだ段階ではございませんし、資料もまだありませんけれども、というのは、その成果を上げるのには、ある程度の期間がかかりますから、いずれこれらの点は、現象的にも、あるいは数字的にも御説明が逐次できるような状態になるということを私は確信いたしております。こういうわけで、やはり法人の手元資金ということから見ても、あるいは外為との関係から見ましても、私は、やはり準備率制度というものを背景にした、一口に言えば、目的的なきめのこまかいきびしい規制というものでいくのが日本的な一番よろしい政策ではないか。この制度下におきましては、中小金融とか、あるいは農業関係とか、日本としては絶対に必要なものに対する金融はむしろ緩和しなければならぬ。四十八年度の予算案の中でも、政府関係機関その他の中小企業、それから農林関係等は金利も安くすることをこの予算の中には御提案をいたしておることは御承知のとおりだと思います。こういうふうな多様的なかつ日本的な対策を講ずることが、変動相場制ということになったらますますもって必要なことである、私はこういうふうな考え方を持っているわけでございます。
 それからもう一つは、時価発行のこと。これも世上大きな問題になっておりますが、時価発行ということは、まあ、いまさら申し上げるまでもございませんけれども、資金調達の様式というものが多様化している現在、それから、そもそも企業というものが、自己資本を充実しなきゃならないという観点から申しまして、時価発行ということは、私は、本来適切なやり方だろうと思います。そして同時に、プレミアムというようなものについては、これは商法上の厳格な規定があるわけでございますから、そうした基本法制のもとにおいて、これが適切に行なわれるならば、非常にけっこうなことなんでございますが、やはりこれが違法に行なわれたり、法律にはあるいは触れないかもしれないけれども、ルールすれすれのように悪用されてプレミアムかせぎといいますか、そういうことだけに興味を持ち関心を持ったやり方での時価発行というものはこれは絶対に阻止しなければならない。そこで、時価発行の問題につきましては、先ほど証券局長からも御説明が一部ありましたけれども、これに対しては適正に時価発行ができるように、特に指導なり、関係の業界なり、あるいは証券会社、発行会社というようなところも、同時にこれはルールにきちっと従うような、いわんや商法等の規定しているところにもちろん従うことは当然でございますが、こういう点については、いやが上にも自粛をしてもらわなければならないということで指導をいたしておるわけでございます。先ほど申しましたように、それにもかかわらず、ついに司直の手が出てくるというような事態ができましたことは、われわれとしてはほんとうに残念に思いますが、しかし、その反省の上に立ってますますきびしい監督をやっていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。このプレミアムというものは、本来の趣旨のように、資本の充実――商法も資本と同様に扱うべきものであるとしているわけでございますから、そういうような方向に行けば時価発行というものは、私はむしろ適切な措置である、こういうふうに考えます。
#25
○成瀬幡治君 私は、実は金融政策といっても、フロート後と申しましょうか、あるいは円の切り上げを阻止する、あるいは物価高というようなことをいろいろとにらみ合わせながらやっていくときについての非常な留意点はと、こうお尋ねしましたところ、まあ、商社を一つ例にとられて、あるいは規制をする、目的を持って特に留意をしながら、窓口規制をやっていくという点についてはわかりますが、基本的な問題としては、何といっても私は、自己資金を持っている、いわゆる手持ち資金を持っているものはこの規制対象にならないわけですから、締まれば締まるほど、その中でまた利潤を追求するのはあたりまえのことでございますから、格差が開くんですよ。格差が開くということについての対策はどうかというのが一点。
 それから、もう一つただしておきたい点は、過般の本会議ですか、きのうですか、おとといですかの質問のときに、野々山君が輸銀、特に開銀のあり方について、日本の産業構造というものを国際収支の面から勘案しながらやっていきますと、産業構造というものをどう持っていくかということが非常に大事な点になってまいります、と思うわけであります。そのときに、ただ単に締めておりさえずればいいだけでは、基本的な問題を何ら解決しないということになる。そこで、そういうような点についてはどういう考えを持ってみえるのか、過般の答弁では、ちょっと貸し出し先のウエートを変えたというようなのが田中総理の答弁でございましたが、非常に私たちは認識がずれておる、いわゆる時代が、認識がずれておるという印象を、私はあの答弁、簡単な答弁でございましたけれども、受け取ったわけでございますが、そういうような点については十分配慮してみえるのか、考えておみえになるのか疑しいわけです。ですから、そういうような点については、どういうふうにお考えになっておるのか、もう一度承りたいと思います。
 それから、時間もございませんから、ついでに問題を個々別に入ってまいりますが、一体、時価発行なり転換社債というものは、今後もここ当分奨励を、オーソドックスに言えばいいことなんだからという奨励の姿勢にあるのか、これを非常にきびしくチェックしていくという姿勢にあるのかを承っておきたいと思います。それはなぜかと申しますと、昭和四十六年のときが――これは私は資料で言うわけじゃない。これは新聞の記事でございますから、ほんとうはあなたのほうからどれくらいやって、どのくらいだということが聞きたいわけですが、四十六年度は何か二百三十一件あった、時価発行が。それから四十七年度は三百七十六件あったというふうに実は承っておるわけですが、考えてみれば、上場銘柄その他から見て、一部、二部いろいろやってみて、相当なパーセンテージに実はなっておるわけでございますが、この時価発行なり、あるいは転換社債の件数等も、あるいはそれの額等も実はお聞きしたいわけですが、これは、後刻またこの問題プロパーで審議するときに私は資料として出していただければけっこうでございますが、姿勢だけはひとつこの際承っておきたいと思います。
#26
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど来申しておりますように、最後の御質疑ですけれども、時価発行、転換社債といったようなことは、現下のオーソドックスな要請にこたえるものであると思いますから、件数が逐次ふえるのは自然の成り行きであるし、私は、ですから、けっこうなことであるということばを使っておるわけでございます。しかし、それはあくまで先ほど来るる申し上げておりますように、基本的には商法から始まるわけだと思いますけれども、あくまでオーソドックスにやられなければならないわけで、ときにまことに残念なことは、違法が行なわれているわけですね、これに藉口して。ですから、こういう点は、ことに今日のような状況においてはもう厳重にチェックしなきゃならぬ。そこで、先ほど金融政策を合わせ用いているということを申しましたが、現にそこの中には、時価発行の株の応募等についての金融については、これは厳重にチェックしなければならぬぞということも、金融政策の中に特に一項掲げて、すでに措置しているのも、その政府の気持ちのあらわれでございまして、今日のような、何といいますか、時価発行ということが、悪いほうに常識化されておるやに思われるときにおいては、厳に審査といいますか、チェックをしなければいけない。一つの金融政策上のこれはチェックポイントに厳にしておるわけでございますので、その点は御了承いただきたいと思います。
 それから、昨日の御答弁で本会議で十分申し上げられなかった点もありますが、民間の金融に対して、これほどの態度でやっておるくらいでございますから、財投の配分計画等におきましては、これは政府みずからが当然切りかえをやらなければならない。そこで、一例として申し上げておるわけですが、一番、たとえば、国民の関心も特に深いと思われますが、年金、積み立て金の配分計画におきましては、およそ大企業といわれるようなもの、基幹産業とかなんとかという名前でも、結局これは大企業関係にありますから、そういうもの。それから、貿易関係、これは輸銀とか基金とかが関係いたしますけれども、こういうものは四十八年度はもちろんゼロにいたしております。そうして、福祉国家建設につながるようなものに八割五分を充当している、そのほかに若干まだ道路その他のものが一五%の中に入っておりますから、これもできるだけ過疎地帯その他のことを頭に置いた投融資ができるようにということを、さらにこまかい配分等においては心していきたい、こういうふうな考え方でございます。
 それから、またいわゆる還元融資については、その比率を引き上げておることも御承知のとおりでございます。ですから、政府みずからまずそういうものについては十分の配慮をいたしたつもりでありますのが四十八年度の計画でございます。
#27
○成瀬幡治君 いろいろのことで、答弁としてはいままでやってきたことが非常にいいことだし、これをやっていけば何もかもうまいぐあいにできる、私らはそういうふうにはなかなか容易じゃないじゃないかということを申し上げたいから、いろいろのことを言っているわけです。
 過剰流動性ということは、持てるものが非常にふえたというのが一言に言えると思います。たとえば、これはその対策として、その一環としてお聞きしたいのですが、金融政策でやっていくのも非常に大事なことだと思いますが、これも生産性本部が出した本を、何かお聞きしますと、きょうかあすごろ出るという話でございますが、まあ最高所得の人たちと、それから、平均勤労者との比較をやって、ずっとどういうふうな動きになっているかということを見ると、非常に格差が開いてくる、いわゆる終戦直後財産税というものがあり、いろいろのことであまり格差がなかったというようなのが、近来、公平であるべき配分が、税制、金融、財政その他いろいろのことが集約されて、格差がこう開くばかりになっている。そこで、持てる人たちが自分の金なんだから、なおそれを使って金もうけに走るというのは当然なことだと思います。そこでこれをチェックしていくには、たとえば財産税と申しましょうか、富裕税と申しましょうか、そういうようなことを一度考え直さないと、商社は、たとえば、米の買占めまでやって、暴動が起きるようなところまではいかんかもしれぬけれども、もう食べ物はぼつぼつ始まってきている。マグロを買占めたとか、それどうだ、モチ米ばかりではなく、米でもいい品になってきた、全くおかしなことになってしまったと思う。そこで、これは世論の背景がないと、単に田中内閣が幾ら決断と実行だといっても、選挙をやる身になってみればたいへんなことだと思って、なかなかはいやりますなんというようなわけにはいかぬ問題だと思いますけれども、私は、世論というものを背景として考えてこなければならない時期に来ておるのじゃないか。何年先になるかは別として、来年やるのか、再来年やるかということは別として、とにかく必要なことじゃないか。それは、いままでの税も、私は、一つの目的を持ってやってきた、資金も金融も財政も輸出振興ということで、あるいは産業を優先さしてやってきたというその結果が思わないところへいろいろと――目的も達したけれども、副産物も出てきた。その副産物はつまなくちゃならぬ、もう一ぺん分配し直さなくちゃならぬというところに実は来ておると思うんです。ですから、そういうような点については、私は、機会あるごとに政府はこれでいいのか悪いのかということについて絶えず反省をしておみえになっていると思う。やってきたことについての反省の一環としてやはりそういうようなことについて考える時期が来ておるのじゃないかという意見を持っております。しかし、党でこれをどうこうするとかいうところまでまだ来ておりません。全く個人的な見解として持っておるわけでございますが、一体そういうようなことについてはどんなふうにお考えになっているのか。いわゆる社会不安というものが――それはそうじゃなくて、富裕税は取らぬ、仮称でございますが、そういうようなものはやらぬとするなら、所得税のほうの減税というものをどうするとか、あるいは週休二日制というものをどうするとか、あるいは企業に対する分配率の指導、いわゆる賃金コストダウンというようなものは政府は一切言わぬというような姿勢というものをただしておかなくちゃならぬ。そういうようなことについてはどういうふうにお考えになりますか。
#28
○国務大臣(愛知揆一君) 一口に言えば、資源の配分ということを考えなければならない時期が来つつある。したがって、いますぐとは言わぬけれども、政府も積極的にそういう考え方で建設的に考えるべきである、私は全然賛成でございます。私は、ですから、四十八年度の財政計画を考えます場合にも、資源の配分ということを――これも一面から言えば、財政主導型というような表現でも呼ばれておりますけれども、そうしていろいろの御批判をいただいておりますけれども、基本的な考え方としては、そういう考え方に立って編成したつもりでございますから、もう公然と私申しておりますのは、たとえば、税制については、四十八年度はこういう考え方でありましたが、たとえば、法人税は税率まではまいりませんでした。課税所得の拡大ということを中心にまずこれに相当手をつけるということで今回はまいりましたが、四十九年度あるいはそれ以降におきましては、法人税の重課、それから、勤労階級に対する、特に所得税の減税ということは、何としてもやるべきことであると、私が公然と申しておりますことは御承知のとおりでございます。
 それから、富裕税ということについても私は興味を持っております。これは昭和二十五年から三年間でございましたか、現にわれわれ経験しておるわけです。ただ、そのときをひるがえって考えてみますと、なぜあれをやめたかと、その理由は何であったかとひるがえって考えますと、いわゆる表現されない資産の把握が困難であるということ、それから、収益を生まない資産に対して課税をするということはいかがであろうかということ、それらに関連して、実施上実に繁雑な手続が要ったとか、徴税行政上の問題だとか、ほかにもいろいろあげられるかと思いますが、大体そういう点が問題だったのが廃止の原因であったかと私は考えておるものでございますから、そういう過去の経験に徴しまして、富裕税という名前が適切であるかどうかとか、その内容をどうしたらいいかとかいうことは別といたしまして、高額所得税の補完というような意味において検討に値する問題であると、こういうふうに考えております。
#29
○成瀬幡治君 もっと実際は大蔵大臣にいろんな基本的なお考えをただしたいと思いましたが、時間が――問題があるわけですが、時間があとございませんから、少し個々の問題でと申しますか、証券関係の問題について承りたいと思います。
 資本の自由化に備えての安定化ということで、法人買いが非常にふえてきた。で、これと例のTOBとの関係なんですが、片方では株主の安定化といいながら、片方じゃ、やっぱし資金があると、少々十億や二十億の資本金のところなら、いま幾らでも乗っ取りのできるような人たちが幾らでもおるわけです。これじゃ正常だと言えないと思いますね。そこら辺のところの調整というか調和というものは、どうやってとろうとしておみえになるのか、お聞きしたいと思います。
#30
○政府委員(坂野常和君) 安定株主工作というものが非常に積極的に行なわれておるのは事実であります。証券取引法は、御承知のとおり、証券取引に関して投資者保護をはかるという観点でありますので、この法律の目的とするところから、安定株主工作がいいとか悪いとか、防ぐべきだとか、防ぐべからざるだとかいうことは、この法律の範囲外の問題であります。ただ、この法律にいわゆる公開買い付け制度――テークオーバービッドの制度が入っております。これはやや趣旨が違いまして、会社の乗っ取り等、特定の会社の株を買い付ける方法として、市場でひそかに買い集める方法もありますが、それは価格形成に非常なゆがみを生ずるおそれがありますので、むしろそういうことよりも、一定の届け出をすることによって、表から堂々と買い付けを行なう制度をつくったほうが、市場がゆがめられない、価格形成がフェアに行なわれるという、そういう目的から公開買い付け制度という制度ができておりまして、この制度が公開買い付けを奨励するものでもなければ、あるいはそれを何らかの意味で防ぐというような趣旨のものでもございません。したがいまして、こういうことに対しまして、証券取引法は、まあいわば中立的な立場にあると、こういうことでございます。
#31
○成瀬幡治君 これは、安定化工作ということで株価が非常に引き上がってきたんだというのが一つの理由になっておりますね。片方じゃ、そういうことがあるんなら、公開買い付けをやられてもやっぱし上がっていくと思うんですね。もう一つは、乗っ取りをたくらんでまいるとか、そこら辺のところがちょっとわかりかねるおけなんですね。やり方は、御案内のとおり、架空名義なりあるいは他人名義で頼んでやるとか、いろんなことがあるわけですね。そういうようなことについてわかるんですか、これはどこがやっておるかというようなことを。今後証券業界の自粛ざれたものが結果的に――これはだれが動いてやっておるんだということはなかなか容易につかめないんじゃないかと思う。ところが、それがつかめるような形に今後なっていくのかどうか。そこまで立ち入ることはできないということになると、私はノーマルな株価の形成はゆがめられちゃうと思う。そこら辺のととろをどうやるのか。
#32
○政府委員(坂野常和君) ひそかに行なわれるよりは、公にしたほうがその点がよくわかるものですから、そういう意味で公開買い付け制度というのは一つあります。ありますが、この制度を用いるか用いないかは、これは買い手側の自由と申しますか、必ずこの制度にのっとらなければ買い付けはできないということではないわけです。ただ、どういう方法をとるにしましても、やはり市場で買い付けをいたします以上は、証券会社に頼まなくてはいけないわけです。その証券会社が、もちろん頼まれた機密というようなことも、それはあるかもしれません、私的には。しかし、その買い付けの方法が、市場の価格を不当にゆがめるようなやり方であるならば、これは証券取引法の問題でございますから、あるいは取引所のルールの問題ですから、不当にゆがめるようなことであるならば、それは証券会社が注文を断わるなり、そういう注文はいけないと言わなければいけない。ただ、自然に買い集めることによって株価が徐々に上がっていくというようなことでありますれば、これは法律に触れるとか、取引所のルールに触れるというわけじゃありませんので、それがどういう方法で行なわれるか、かなり急激に大量の資金で押し上げていくか、それとも非常に長期間かかって徐々に買い付けていくかというスピードの問題とか、あるいは大ぜいの人を使ってやるか、あるいは単独でやるか、いろいろなやり方があると思います。そのやり方の中で、証券取引法なり、取引所のルールに触れない範囲であるならば、それは委託される証券会社側としても何も言うべきことはない。しかし、触れるようであるならば、それを断わるなり注意するなりするのが証券会社の義務である、そういうふうに考えております。
#33
○成瀬幡治君 大蔵大臣、これは池田大蔵大臣のときに出ましたのですけれども、例の無記名なり、あるいは架空名義預金ですね。同じところで株も――片方でそういうものがあるように、株も偽名でやったり、いろいろあると思うんですよ、架空名義でやったり。なかなかいま、答弁では私はそういうふうだと思うんですよ。実際は全く架空名義、そういうものでやっておると思うんですよ。証券会社でいえば、系列を使い、ダミーを使ってやっておると思うんですが、なかなか容易じゃないんだから、そこが今後の自粛なり、あなたのほうの行政というものは、そういうことがわかるような――公開、非公開は別ですよ。ですが、そういうことが把握できるようなことまで立ち入られるのかどうかということを私はほんとうは聞きたいのです。そこはどうなんですか。押えることができるのか、不可能なのか。不可能なら私はいろいろと次の手を考えなくちゃいけないと思っておる。
#34
○政府委員(坂野常和君) 証券取引法の範囲、あるいは証券行政の範囲からは、本来フェアな取引に対して、ほかの目的からそれを押えるとか、あるいは調べるとかいうことはできないと思います。
#35
○成瀬幡治君 できないということは私もはっきりしておると思うんです。そこを今度おやりになるのが私は自粛だと思うんです。それがもう一歩なら――私は業界とよくお話願って、フェアな株価形成というところにウエートを置くなら、片方は利潤の追求なんだから何やってもいいんだという、規則に違反しなければ何でもいいんだというけれども、その以前の問題として、私は、一度十分考慮してもらわないと、ことばではいろんなことがあるとしても、結果的には何らならないということだと思いますから、これはひとつそういう意味で申し上げ、御検討をお願いしたいと思います。十分研究してもらいたいと思います。
 それから次に、主税局長のほうにお尋ねいたしますが、株は五十回、二十万株、これやった者が所得税課税対象になっておる。一体、これ資料を私はもらいたいわけですが、全国の資料なんというのはとてもたいへんなことだと思うから、一税務署というか、あるいは東京国税局管内ぐらいで、これで所得税を払った人が何人ぐらいおって、そうして税額はどのくらいかというようなことは資料としてお出しいただくわけにはまいりませんでしょうか。
#36
○政府委員(江口健司君) ただいま公式にとっております税務資料では、所得の種類別に資料をとっておりますが、有価証券の譲渡によります所得につきましては、取引の形態によりまして、譲渡所得に分類するもの、それから事業所得に分類するもの、それから一般、多いケースとしましては雑所得に分類するもの、おおむね三つに所得の種類は分かれると思いますが、それぞれ所得の分類の中に含まれておりますので、その所得の種類の中で、所得の発生原因別に統計をとるということはきわめて困難でございますので、いまのところは一切そうした報告を求めていないというのが実情でございます。
 それから、所得のほうは、たとえば、サンプルの調査によりまして、ある税務署の場合ということでとらえることが可能でございましても、金額的にはなかなか分離することが困難であるという感じがいたします。大口の所得者等につきましては、御案内のとおり、所得金額二千万円以上の申告者につきましては、資産債務明細書というのを添付してもらうことになっておりますので、子の限りにおきまして中身がわかるわけでございますけれども、それ以外の方で、もし、そういう方々は一般的には、証券取引に基づく所得というのは、おおむね雑所得と思われますが、二千万円以下の申告の方につきまして、かりに雑所得としての有価証券取引の所得がございましても、これは内容が全然わからないという形になりますので、御期待の正確な資料ということはおそらく作成することが不可能だというふうに考えております。
#37
○成瀬幡治君 そうすると、これは課税するということになっているのだけれども、脱税はかってのままというふうに理解していいのですか。全く国税庁、権威のない話になってしまいますね。
#38
○政府委員(江口健司君) 具体的にはちょっと御説明しにくい問題でございますが、私も昨年まで直税部長をやっておりまして、私の経験から御説明いたしまして御推察をお願いしたいわけでございますが、御承知のとおり、ここ四、五年前から株式の取引がかなりわれわれの目には顕著なものとして映ってまいりました。たまたま四十六年にドル・ショックがございまして、そのときには幾らか谷を形成するというような形がございましたが、むしろ、四十六年の八月の時点以降ごく最近時まで、さらにそのドル・ショック以前と比較いたしまして、株式の取引がそれ以上に活発になっておるという実態もございますので、われわれ直税部長会議等を通じまして、株式の、特に大口の取引については、あらゆる資料を駆使して関心を持つように、あわせて問題点につきましていろいろ分析上、法律解釈上、問題があるような点がございますので、特に重要事案等については、庁に上申するようにという打ち合わせを再々したわけでございます。私が直接手がけました大口の、特に問題の複雑な、問題事案とわれわれ称しておりますが、私の就任しておりました時期に直接処理しましたもので十数件――東京、大阪、名古屋、それから金澤というもので十数件ございますが、なるほど調査の手法等については非常に困難な面がございますけれども、最終的には課税処理をした金額が、私の手がけました集計では十一億という所得を把握してございます。それから、そのほかに、こうした証券取引について特に関心を高めるようにということで、いろいろな調査のシステムも部内で打ち合わせをしたわけでございますが、それに伴いまして、全国で法人、所得、資産というそれぞれの部門別に事績検討会というのをしておりますが、その中で、必ず有価証券の取引に伴う所得につきましての具体的な第一線の事績報告が出てまいりました。それを具体的に分析し、各局の勉強の材料にするというような経験もごさいますので、相当程度この点につきましては、第一線としては、事務量がかなりかかることは事実でございますけれども、関心がきわめて高まっておるというふうに認識しておりますので、先生御指摘のように、ほとんど課税が抜けてしまっておるという印象は私どもは持っておらないわけでございます。
#39
○鈴木一弘君 この前のときの委員会でちょっとお伺いしようと思って、時間がなくてやめたのですけれども、その問題をちょっと先にやらしていただきたいと思います。これは本会議のときにも伺うつもりで、時間で省略した問題なんですけれども、例の今回のドル・ショックの問題で、まあ、これは金融に関係する問題でありますが、そのことで、円がフロートに移ったと、これで、今度はいつ固定相場制になるかわかりませんけれども、それに対して、この前のときは、中小企業関係の繊維についての影響のことはお伺いをしたんでありますけれども、いわゆる非鉄金属関係のことできょうはちょっとお伺いをまずしたいと思いますが、きょうは通産省から来てもらっておりますので、この点で伺いたいと思いますが、アルミの場合に、国内の消費量、これは百三十万トンと称しております。百万トンが国内産で、三十万トンが外国産である。ところが、それに対して非常に価格の差があるということなんでありますけれども、一トン当たり二万とか、三万の差があると、こういうような話なんですが、その辺の実態をまず、これは通産省のほうから伺いたいと思います。
#40
○説明員(伊勢谷三樹郎君) お答え申し上げます。
 非鉄金属製品は国際商品でございまして、そのために、為替レートの変動がございますと、直接的に影響を受けるという商品的な特性があるわけでございます。前回の三百六十円から三百八円という円の切り上げに伴いまして、先生御指摘のように、日本のアルミニウム価格は、当時二十万円の平均販売価格から、十八万円へと、約二万円の価格の低下があったということでございます。で、一方これに対応いたします輸入製品の価格は、やはり二万円下がりまして、十九万円から十七万円であったということでございまして、この時点におきます内外の価格差は、一万円であったということでございます。
#41
○鈴木一弘君 今度上がった場合、まあ現在、あるいはいまのところ予想されているのは一六とか一七とか、さらには二〇%の円の切り上げが予想されておりますけれども、そうなったときには、大体どのぐらいの差になる予定ですか。
#42
○説明員(伊勢谷三樹郎君) 御承知のように、現在はフロートしておりまして、円がどの程度切り上げられるかということはわからない問題でございます。しかし、もしかりに、一五%円が切り上がるというような前提を置きまして試算いたしてみますると、先ほど申し上げました輸入価格の十七万円は、さらに二万円下がる。したがいまして、一五%よりも切り上げ幅が大きくなりますると、さらにそれよりも安くなるという事態が発生いたします。
#43
○鈴木一弘君 で、国内価格のほうはトン十八万円といういまの答弁でしたが、それは下がる見込みはあるんですか。
#44
○説明員(伊勢谷三樹郎君) これはアルミニウムの国内におきます総原価というものとの関係において見なければなりませんが、私どもが調べております総原価というところから見まして、予想といたしましては、たぶんもう一万円ぐらい値が下がったところぐらいになろうかと思います。したがいまして、今回もしも二万円あるいは二万円以上価格を下げねばならないというような情勢下におきまして、その半分ぐらいまでは追随できるが、あとの半分ぐらいは追随できないだろうというふうに予想しております。
#45
○鈴木一弘君 これは、いままでの産業、非鉄金属全体がそうなんですが、非常にアルミニウム等については日本の消費量がふえている。つい最近まで八十万トンだったのが、百万トンになり、百三十万トンになった、わずか二年くらいで五、六十万トンふえておる。私たちの生活にもものすごく出てきておる。そういう点で、それがほとんど輸入製品になってくるという形になるのが、はたしていいのかどうかということは非常に考えものである。その点から、いままでなぜ太刀打ちできてきたかという理由が、まあいろいろいわれているのですけれども、一つは賃金の問題、いま一つは関税で保護されておる、こういうことだと思います。私、ここにコストの比較表を持っておりますけれども、これを見ると、電力料金等は、日本のほうがはるかに高くて、コストの中に非常に多額を占めております。大体アメリカの会社の倍は電力料金がコストの中に占められておるという状態でございます。しかし、そういうことで原価に差がありながら戦ってこれたのも、一つは、関税の問題等があったわけですけれども、それが今回のことから、これが円の再切り上げということになると、非常に太刀打ちが困難ではないかという考えがしているわけです。伺うところでは、通産省では、電算機については緊急関税の問題を考えて検討を始めているようですけれども、アルミの地金、こういうものについてはどういう考えを持っておるのか、伺いたいと思います。
#46
○説明員(伊勢谷三樹郎君) いまおっしゃいましたように、また先生が御指摘になりましたように、わが国のアルミのコストが高いというのは、電力コストの問題でございます。したがいまして、いまのような輸入価格でございますると、国内価格はそれに追随でききれないということで、したがいまして、輸入ものが相当大量に入ってくるという事態が発生する可能性はあるわけでございます。で、一体、それではどのくらいの輸入量が入り得るかということを一面において考えなければいけないわけでございますが、御承知のように、このような問題になりますもう一つの重要な点は、ここ二年ぐらい前から世界のアルミニウムの需給がくずれまして、たいへんな実は供給過剰になったわけでございます。そういうことで、国際価格が低落しておるということが一つの問題点でございますが、最近ようやく世界のアルミニウムの生産調整、自主的な生産調整というものによりまして、ほぼ需給が回復しつつあるということで、わが国への輸入量もある程度限定されてくるという問題。それから、もう一つは、輸入価格が少しずつ上がっていくのではないかというような予想が一方にございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、円の切り上げに伴いまして、それに追随できないという現象はございますが、これに伴いまして、一体どのぐらいのものが、どのぐらいの値段で日本に流入してくるかということは、いまのところはっきり予想ができないわけでございます。あるいは国内の生産者にとりまして、相当重大な影響が出るような輸入量、あるいは輸入価格で入ってくるおそれはあるかもしれませんが、必ずしもそうなるとは現在のところ言い切れないというのが実情でございます。
#47
○鈴木一弘君 大臣に伺いたいのですけれども、非常にまあはっきり申し上げて、二万、三万という価格差になってくると、これは一トン当たりの値段ですけれども、やっていけないということになりかねないわけであります。御承知のように、銅鉱山なんかでは、鉱山を閉鎖しても精練で何とかということもありますが、精練だけでやっているところは、今度はいくところがなくなってくる。これは、緊急関税ということも考えざるを得ないのではないかという声があるわけでありますが、その点の感覚はいかがお持ちでございましょうか。
#48
○国務大臣(愛知揆一君) アルミの問題につきましては、非常に重大な問題でありますから、なお、通産省ともよく協議をして、しかるべき対策を考えなければならないと、こう思っております。
 同時に、関税の問題につきましては、一面におきましては、関税についてはすでに一率二割引き下げをやり、特恵関税の、何といいますか、完全化とでも申しましょうかを趣旨にした改正案をすでに御審議願いつつあるわけでございます。そういう情勢でございますから、緊急関税を新たに設定するということは、なかなかこれは考えにくい問題ではないか。まだ政府といたしましては、アルミ対策というものを確立しておりません段階ですから、私見にわたりますけれども、関税によってこれを措置するということについては、なかなかむずかしい要素があるというふうに考えております。
#49
○鈴木一弘君 それはわかります。といって、それでは全体としての数量規制をやるか、そういうことしかないということになってくるわけですね。大臣の言うように、世界的に日本も関税の一括引き下げをやっている、特恵関税も供与している、こういうかっこうになっておりますから、そうすれば、当然、まさかそれに逆行するということはできない。しかし、みずから、自分のところの首を締めてしまうわけにはいかない。そうするともうこれは、数量規制か何かを考えざるを得ないのではないかということになってくると思います。その辺の検討はまだこれからでございますか、考えがあったらぜひ伺いたい。
#50
○国務大臣(愛知揆一君) 数量規制ということは、また、これは国益という点からいっていかがかと思いますが、しかし、何らか関税によらずして保護、助成ということを考えるべきではないかと思います。それを数量規制というところまでいくようでは、これまたたいへんなことであると、こういうふうに、きわめて常識的でございますが、まだ最終的に政府の案というものができておりませんので、まことに常識的で恐縮でございますが、ただいまのところはそういうふうにお答えするしかございません。
#51
○鈴木一弘君 いま一つは、御承知のように、アルミについても、これは特恵関税が地金にはございます。そういうことで年間何ぼか入ってきているわけですが、現在のシーリングワクはどのぐらいになりますか。
#52
○説明員(伊勢谷三樹郎君) 特恵関税は、まず関税率といたしましては、一般の九%の関税に対しまして四・五%、二分の一譲許しているわけでございます。なお、そのシーリングワクは、四十七年度において約六万トン、四十八年度におきましては約六万七千トンでございます。
#53
○鈴木一弘君 これは急激な拡大ということは、大臣、押えられるということになりますか。いまぐらいの、いわゆる一〇%ぐらいふえているわけでありますけれども、その程度でとどまると、毎年そのぐらいずつ上がっていくと、こういうことですか。
#54
○国務大臣(愛知揆一君) ちょっとお待ちいただけませんか。委員長、ちょっとお待ちいただきます。関税局長を呼んでおりますから。
#55
○委員長(藤田正明君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#56
○委員長(藤田正明君) 速記をつけて。
#57
○鈴木一弘君 これは大臣は所管ではありませんから申しわけないのですけれども、電力料金が、はっきり申し上げて電気のかん詰めといわれているアルミニウムの地金の問題なんですけれども、電力料金のコスト差という毛のが、アメリカの場合はトン当たり一万七千円から一万八千円、日本の場合はトン四万五千円というようなかかり方をしているようです。そういう点の配慮が何かないと、精練用だけではこれはいけないのじゃないかという感じがするわけですけれども、全世界的に見ても同じような傾向なんです。日本だけが特に高いという感じがありまして、で、ほかの電力料金のほうもけっこう高いのに、そこまで高い。すべてが相当高い。また、ここのところで電力料金を値上げするというような空気もある。これはほんとうに日本がこれから国際社会にどんどん乗り出してきて、大きな波をかぶるというときに、こういう姿勢のあり方ではまずいのじゃないかとほんとうに感ずるわけです。しかも、結局最後には国民が迷惑してくるわけですから、そういう点をどういうふうにお考えになっていらっしゃるかを伺っておきたいのであります。
#58
○国務大臣(愛知揆一君) 所管外でございますから、越権的なことを申し上げるのも恐縮なんですが、先ほど私は関税はなかなかむずかしいということを申し上げたわけですが、何か措置をしなければならない、その対策の中に考え得る一つの要素ではあり得ると思いますけれども、なおこれは通産大臣とよく協議いたしたいと思います。
#59
○委員長(藤田正明君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#60
○委員長(藤田正明君) 速記入れて。
#61
○政府委員(大蔵公雄君) お答えいたします。特恵のワクの、毎年の特恵の割り当て額の設定と申しますのは、関税の暫定措置法の第八条の四によりまして、まずこの制度は、昭和四十六年の八月の一日から発足をいたしたわけでございますけれども、毎年のワクのきめ方は、法律の規定によりまして、まずその後進国からの輸入の、特恵適用国からの輸入の、昭和四十三年度のまず輸入ワクを基準にいたしまして、それに加えまして後進国以外の、いわゆる特恵適用国以外の先進国からの前々年度の輸入ワク、すなわち、もし昭和四十七年度の分でございますと、昭和四十五年度にその特恵適用国以外からの輸入の一〇%を加えましたものを、毎年法律によりまして、いわゆる特恵適用の輸入ワクということになっておるわけでございまして、したがいまして、そのすべての品目が、特恵適用の輸入ワクに関しましては、法律によってきまっておりますので、特にアルミ地金の分に関してのみ特恵輸入ワクを、ほかの物資の算定方式と違ってきめることは、非常にこれは法律上不可能な状態になっておるわけでございます。さらに、したがいまして、アルミの場合には、先進国からの輸入が年々ふえてきておりますので、ほかの物資と比較をいたしますると、昭和四十三年度に特恵適用国から輸入される分に加えます数量が、その一〇%相当額を加えます分が、ほかの物質と比較いたしますと相対的に大きな数字になるということに相なりますので、したがいまして、比較的特恵適用金額の輸入ワクが大きくなるという問題はあるかと存じますが、その算定方式が法律に定められてきめられておりますので、これを特別扱いをするということはできないかと思います。
 また、アルミ地金の場合に緊急関税を発動することはどうかという問題でございますが、これは私どもだんだん輸入の自由化その他をやってまいります上におきまして、国内産業が非常に困る場合、そういったような場合には、緊急関税というものをできるだけ弾力的に発動をし得ると、こういう体制をいたしますために、昨年の末関税率審議会にいわゆる特殊関税部会という部会を設けていただきまして、国内産業の事情によりましては、すみやかにこれに対処し得るような体制を現在整備をいたしておるわけでございます。アルミ地金業界の問題に関しまして、いろいろな円レートのフロートの問題であるとか、あるいは緊急にほかの国からの輸入が急増する、こういったような場合に、緊急関税を発動をするか、あるいはその他の対策によりまして対処するのかというような問題は、要するに、通産省とよく協議をいたしましてきめるべき問題であろうかと思いますが、できるだけいまの業界の合理化によって対処してもらいたいという考え方はございますけれども、国内産業が急激な輸入の急増によりまして圧迫をこうむるような場合には、緊急関税の発動というものは一つの考え方としてはあり得るかと思います。御参考までに申し上げておきますが、アルミ地金の場合に、御承知のように昨年の十一月にその関税の一律二〇%引き下げをやりました場合にも、アルミ地金は、もし一律二〇%の引き下げをやりますと、急増するおそれがあるということで、一律二〇%の例外品目として、もとの税率のまま残しておいたものでございまするし、さらに鉱工業産品の場合は、特恵税率はゼロというのが普通でございますが、特に国内産業に対して影響のある物資五十七品目に関しては、特恵税率を無税といたしませんで、いわゆる一般税率の半分にとどめておる。すなわちアルミ地金の場合には、一般税率が九%でございますものを、四・五%にとどめてある。こういうように国内産業として非常にセンシチブな品目として私どもも考えておりますということを一言御参考までにつけ加えさせていただきます。
#62
○鈴木一弘君 これは大臣、特恵のことはよくわかりましたけれども、はっきり申し上げて、これは私も確かに低開発国のために必要なものが特恵関税だと思いました。ところが実際問題としては、カイザー社であるとか、アルコアであるとかというようなアメリカのいわゆる国際企業、こういう多国籍企業自身が低開発国で開発をしているわけです。それを輸入するときに、わが国は特恵関税を適用しなければならない、この辺の矛盾がものすごくあるわけです。そしてひっくり返っていって、これがドル危機の、いわゆるドルのアメリカからの流出の問題にもからんでいるわけです。そうすると、わが国としては、一方ではドルでたたかれて、他方では一生懸命アメリカ系の多国籍企業を特恵関税で助けてやらなきゃならない、こういう矛盾がある。だから、往復びんたを食っているような感じが私はしてならないわけなんです、そういう点が、この問題だけじゃないのです。私はたまたまこれを調べたらそういうことがわかったのですけれども、ほかの産業にもこれは言えることであります。そういうところから見ていくと、一つには、これは一ぺん特恵というものも、そういう相手企業によっては考えなきゃならないのじゃないかということ、それから、いま一つは、いわゆるアメリカのドルの収支の問題、あれも多国籍企業の分まで取り込んだ上でもって判断をさせるようにさせるべきじゃないかという問題、こういう二点が非常に大きな問題としてくるのではないかと思うんですが、その点を伺ってこの問題は終わりたいと思います。
#63
○国務大臣(愛知揆一君) アルミの問題は、先ほど申しましたように、非常にこれは大切な問題であり、その対処方策をどうするかということについては、先ほど率直に申しましたように、まだ政府としての最終的な態度はきまっておりませんが、私としては関税だけで対処をするということについては難点が非常に大きいと、こういうふうな考え方を現に持っているわけでござ、まして、先ほど電力料金のお話もありましたし、また業界の合理化という話も出ておりますが、総合的に通産省と検討をいたしまして善処いたしたいと考えておる次第でございます。
 それから、多国籍企業からの、何と申しますか、圧迫を受けて往復びんたを食うというお話もございましたが、その辺のところもあわせて、この問題に限らず十分配慮してまいりたいと思います。
#64
○鈴木一弘君 じゃ、ちょっと証券のことで伺いたいと思いますが、ダウの平均が五千円になったと、こういうことを聞いてからずいぶんとなったわけであります、それが上がったり下がったりしておりますけれども。一時はこの六月ぐらいまでは続くだろうと、六千円をこえ、七千円にもなるのではないか、こういうことまでが伝えられてまいりました。そういうことから、はっきり申し上げますと、四十七年の当初に比べると、一年間たたないうちに倍近くのダウ平均になってきている。こういう暴騰が、一つは、先ほどもいろいろ御答弁の中、質疑の中で伺っていて、法人企業の進出、いわゆる法人買いであるとか、そういうことを今度逆に証券界が非常に歓迎をしている。そうすると、また一つの――いままでのをずっと見ておりますと、たとえば、鉄鋼なら鉄鋼の何かの株が上がる。ここがこれだけの配当をやっている、六%の配当なんだから、当然ほかの株も上がるのはしかるべきだというようなかっこうで、全部メジロ押しに上げる。で、鉄鋼はここまで上がったんなら、今度は造船もこうなるだろうというようなかっこうで、こういうような大きな株価になってきたわけでありますが、そういうようなことから、御承知のように、欠配の株や無配の株までが異常な、実勢とはかけ離れた株価を示している、この点がわれわれもほんとに納得ができないわけであります。確かに法人が買った、そういうことから異常な急騰を示したかもしれませんけれども、大衆が買いに入ればなお上がる。そのときには逆に売りに出て、今度は大衆が損をしていく、こういう形がいつもとられてきているわけです。今回も同じような形になってきていると思うんですけれども、こういう傾向ですね、われわれから見ると、一年間の動きというのはちょっと異常という感じを受けるわけですが、その点をどういうふうにおつかまえになっていますか。
#65
○政府委員(坂野常和君) お説のとおり、株価が一年間の間に急速に上昇したわけでございます。しかも、その株価に対する考え方が、戦後いろいろといわれておりました、たとえば、利回り革命というようなことでいわれたときもありますし、あるいはPERという新しい思想を入れてきたこともありますが、昨年の場合は、さらに法人が株を持つ。法人が株を持ちます場合は、必ずしもその収益目的でなく、安定株主工作とか、いろいろな目的で持つ。また金融機関等の場合は、昔安い原価で持った株もあるものですから、そういうものと合わせて原価を考えますと、かなり高い値段であっても採算に合うというような考え方もあったようであります。それから無配株、欠配株というようなものにつきましても、解散価値とか、あるいは資産価値というような見方をした場合もあったようであります。いろいろな新しい見方が出てまいりました。それから言われますように、そういうことで比較論、あの株が上がればこの株もというようなことで急激に株価が上昇してまいったわけであります。
 その上昇しました株価自身が、高過ぎるか安過ぎるかというような判断は、私どももいたしかねますし、またそういうことをいたす立場でもありませんけれども、そういうふうに株価が急激に動きます際には、確かにどういう判断が一番的確であるかということについて、投資家を惑わせないような、そういう判断をしていく、証券業界としてはそういう責任があるわけです。それに対して無責任な判断というようなことで、もし投資家を動かしたとすれば、それは証券業界はあとになってかなり批判されるぞということは、私どもは何回も注意してまいったところでありますし、また現在においても、それは相変わらずそういうことは申し続けてきておるわけであります。証券界のほうも、最近非常に世の中からいろいろな面で批判を受けておりますので、そういう点についてさらに自粛していきたいというような気持ちを持っておるようでありますが、株価が大きく変動するときには、それだけ株価のあり方についての、まあ対投資家の営業態度というものは慎重を期さなければいかぬ、こういうふうに考えております。
#66
○鈴木一弘君 いまの答弁で私は非常に気がかりになるんですが、これは時間がありませんから、最後に大臣からお伺いしたいんですが、五千円がいいのか、七千円がいいのか、六千円がいいのか、株価自体というものについては何とも言えませんと、高過ぎるとか安過ぎるとか言えないという話がありました。しかし、一年間見ると、二千三百円ぐらいのものが五千円にはね上がったわけですから、これはたいへんな金額で言えば大きな差があったわけです。まあ確かにここのところで証券局としても、また大蔵省としても、われわれとしても、それは高いとか安いとかということは、これは軽々しく言えないことだと思います。あれだけの投資家が動いている相場の問題でありますから、言えないと思いますけれども、こういうような今後急激に伸びる、さらにさらにいつの間にか一万円のダウ平均なんというような夢のようなことができてくる、こういうようなことが望ましいと思っているか、望ましいと思っていないか、またそれについての鎮静策等についてはほんとうに考えていく気があるかという、この点だけは伺いたいと思います。いかがでしょうか。
#67
○国務大臣(愛知揆一君) 株価が高いか安いかという基準については、行政当局としてなかなか、幾らが適正であるというようなことを、私は、言うべき筋合いのものではないと思います。これはまあ何と申しますか、基本的には、自由主義経済の中における証券取引ということでもございますし、本来なら自由濶達に結果において公正な株価の形成というものができ得るはずであり、それを期待すべきものであると思います。しかし、少なくとも、まあ政治的というと多少語弊があるかもしれませんけれども、とにかく先ほども御指摘をいただきましたが、換物思想というようなものとの関連から見まして、常識的に非常な高さだということは、私は否定できないと思うんです。したがいまして、この問題についても、先ほど申しました金融政策の面からいい、あるいは証券界その他のビヘービアからいい、講ずべき措置はいろいろあると考えましたので、それらの措置については次々と手を打ってまいったつもりでございます。たとえば、信用取引の証拠金の引き上げでありますとか、あるいは金融政策上の規制の対象にきびしくこれを取り上げるとか、あるいは業界の自粛を求めて良識を喚起するとか、あるいは証券界自体の営業のやり方について、過当なところが目に余りはしないかというようなところを指摘しながら、現在の法令のもとにおいて、可能な限りと申してもいいぐらいに、かなり私も就任以来努力をあらためてしてまいったわけでございますが、まあ不幸にして刑事事件まで起こったということは、繰り返しまことに遺憾なことでございます。今後ともあらゆる面におきまして努力を新たにいたしたいと考えております。なおまた、いろいろの御意見については謙虚に伺って、これを行政の上にも反映してまいりたいと思っております。
#68
○栗林卓司君 御提案の法律について、証券問題でお伺いしたいと思うんですが、その前に、先ほどの大臣の御答弁の中から一つお伺いしたいと思います。たいへんあげ足をとったように聞こえるかもしれませんけれども、そういう気持ちではございません。過剰流動性ということについて、これを吸い上げるのはたいへんむずかしい、たとえ話をすると、水が一ぱい入っている器の上に油の膜がかぶった、それをどうやって分けるかというほどむずかしいのだというたとえ話がございました。聞くとなるほどという気もするのですけれども、よく考えるとやっぱりわからない。なぜかといいますと、器の中に水が一ぱい入って、上に油の被膜がある場合には、どうやって取るかといいますと、油を吸収する紙を上にかければいいんです。それで吸い取ったらはがせばいいんです。問題は、紙が何かというと、俗にいわれているのが為替政策だと思います。この点について、従来円の再切り上げは極力避けるのだということも含めて、積極的に、主体的に取り組むかまえというのがどうも感じられない。いつも常に受動的な立場にばかり回ってきていると思えてならないのですけれども、たまたまたとえ話から、かねがね聞きたいと思っておりましたので、あらためて伺うんですけれども、昨今たいへん中小企業を中心にして深刻になってきたこの市場閉鎖の問題もそうですけれども、一体日本の政府として、どうやってこれを主体的に取り組んでいくのか、取り組むに足りる情報というのはどうやってつかむのか、なるほどいまヨーロッパで会議をやろうとしておりますけれども、その展望について何を根拠にして短期解決ができるとお考えになっているのか。そう考えますと、大臣の御所見ぜひ伺いたいと思うんです。
#69
○国務大臣(愛知揆一君) これは当面の対策と、長期的な対策と両面から見ていかなければならないと思います。短期的にいえば、私は、現在市場は閉鎖しておりますけれども、この閉鎖を解いて、そして日本的なやり方、つまり変動相場制で市場を再開する時期を早くするように心がけるべきであると思います。またそれが最善だと思います。ただそれにしても、ヨーロッパから発生した、だれしも、どこの国の当局も、こういうふうな事態がこんなに早く起こるとは思わなかっただろうと思います。それだけに、当面の対策にもそれぞれの国も非常に頭を悩ましているのは、もう現状は世界じゅうの人が知っているわけです。そこで当面、対策がどういう姿で出てくるかということは、もう少し的確に見定めなければ、国益を守ることができないと思いますから、これに関連して市場の問題も対処すべきではないか、かように考えております。
 長期的に見れば、国際通貨の安定がはかられなければならない。そして一国の通貨であるドルが、ただ一つの世界の基準通貨であって、金を離脱しておる、そうして信認が回復されていない、これに対してどうすればいいか、これは二十カ国蔵相会議や、代理会議でもって累次日本側としても主張がありますことは御承知のとおりでありますし、ことに今回のような事態になりますれば、これはアメリカはもちろんでありますけれども、世界じゅうの国々が建設的にどうやったら国際通貨が安定できるかということに対して、その場においてはもちろん日本の立場においても大いに知恵を発揮し、あるいは主体的な立場で主張すべきものである、しかし、日本は主張してしっぱなしで、そうして討ち死にをするというのでは何にもなりませんから、建設的でよいものがクリエートされるという考え方でいかなければなりませんから、その場合において、国際協調という面からいって、日本としても相当の協力、それに対して一〇〇%の主張というものが通らない場合もあり得るということは、こういう問題の性格上、自然のことではないだろうか。要するに、関係多数国間においてコンセンサスを持って、しかもみんなが、それぞれが建設的な努力ができるような状況を、できるだけ早くつくり上げなければ、これはもう日本だけの問題じゃなくて、世界じゅうの不幸であると私は思います。そういう方向で、長期的には努力を大いに国民的には日本としても展開しなければならないと思います。
#70
○栗林卓司君 大臣の善意はたいへんよくわかるのですけれども、そういうお答えを伺っておりますと、やはり不安感が非常につのってまいります。なるほど国際協調という観点からコンセンサスを求めていかなければいけない、建設的な方向で国際通貨体制のあるべきものを追求していくんだというのは、気持ちとしてはわかりますけれども、その間に介在するのは、各国の主権がからむ。そうなってくると、それぞれの国々が何を考え、もっと具体的にいえば、何がいまできるか、経済問題もからめて。また、そういった中で、それがどうあがきながらいまどうしようとしているのか、ほんとうはそこのところを見定める情報網と判断力を、前からもそうですけれども、急ぐべきなんだろうと思うのです。ですから、大臣はそんなに早く変ろうとは世界どの国も思っていなかっただろうとおっしゃるのですけれども、ほんとうに思っていなかったのだろうか。一説によれば、多国籍企業の財務担当官はよく知っていたんだという説が出るぐらい、ヨーロッパの各国がそれほど純真であるとは思えない。しかも、いま日本政府として、そういう動きにどれほどの情報の手足があるかといいますと、くどくは申し上げませんけれども、何かが起きればショックと言わざるを得ないほどに、世の中の変わりはよくわからない。しかも、市場閉鎖ということは、たとえ話でいえば、水の中にもぐりっこしているわけです。肺活量が小さいほうはすぐ負けてしまう。輸出に特化している中小企業をかかえている日本の場合の肺活量は大きいかと言われれば、ヨーロッパの蓄積がある国と比べて大きいとは言えませんし、その意味で、善意に満ちた御答弁はよくわかるのですけれども、あわせてわかるお話をぜひ伺いたいと思います。いつもこう申し上げてもお答え返ってまいりませんから、一方的に言っただけで、次の質問に移ります。
 株のことでお伺いしますけれども、問題は正常であるのかないのか、ここのところなんだろうと思うのです。お伺いしますと、正常でないとはなかなか言えないというところが、いつも御答弁になるのですけれども、一つの例をあげて申し上げます。現在商品過剰投機が問題になっているものですから、それぞれ商社に参りまして実情調査をいたしました。あしたもまた参ります。そういう中で、四十五年以降の財務諸表を見せていただきながらいろいろ御説明を伺いました。ひとつ気がつきましたのは、株主の構成を見ますと、千株未満の株主というのは急速に減って、金融機関の株もしくは事業法人の株が急速にふえております。これは何も、私が調査に行ったある商社だけの例ではない。これはもう御存じのとおりであります。問題は、こういう傾向について、正常だと御判断されるのか、あるいは正常でないとしたら、どういう対策を大蔵当局としてお持ちになるのか、大臣の御所見を承りたいと思います。
#71
○国務大臣(愛知揆一君) 個人の株主といいますか、個人の投資家が減っているということは、全体の傾向の上においても明らかな事態です。しかしまた、見方によれば、個々の株主の投資は減っているけれども、信託投資というような筋から、個人の投資家というものが、そういう方向に相当の興味と関心を持っているということもまた指摘されるというようなこともございます。しかし、たとえば、企業間の持ち合いが非常に多いというようなことが最近の実例でございますから、それはやはり、先ほどからるる申し上げておりますように、一面においては、総合的で、そしてその中において対象別、目的別のきめのこまかい、かつシビアな金融規制をやるということで、その根を正していくということが一番必要なことではないかと思います。
 で、御案内のように、企業の手元資金ということが一つの焦点でございますが、これも勘定のしかたはいろいろございますが、一番簡単なのは、たとえば、商品の売り上げ高に対する手元資金の比率というようなものも一つの指標ではあろうかと思いますが、これを見てみますと、〇・九幾らというところが、一・二ぐらいのところから漸次減っておりますけれども、総量からいえば、何といっても、そういう会社に対しても、過去二、三年の間と申しましょうか、貸し出しの増加がもう圧倒的な数量でございますから、その根をとめることによりまして、本来大事であるべき手元資金が、変なところへ本来の仕事をはずれて出ていくというような余裕をなくするということが一番基本的な対策であると、こういうふうに私は考えておる次第でございます。
#72
○栗林卓司君 二つばかりいまのお答えの中でも感ずる点があるのですけれども、金融機関からの供給が圧倒的に多かった、裏を返しますと、自己資本比率が非常に少ない日本の産業体質ということがあると思うんですけれども、それでいいのかという問題が片方であります。
 もう一つの問題として、目的的なきめこまかな対策を打ちたいんだ、これもお伺いしたい気がしますのは、そこまで金融政策が入っていけるんだろうか。最初のたとえ話をまた持ち出して恐縮ですけれども、器の中に水が一ぱい入っている。これは油を取る以上にたいへんだろうと思う。水は方円に従うんですから、器をどう変えていくか、いわばそういう構造対策のほうがほんとうは先にいくんだろうと思う。
 そこで、たまたま見てきた話で、商社の例をまた持ち出しますと、商社というと、輸出輸入の貿易が多いように見えますけれども、国内取引の比重が、これはもう年々、少なくとも拝見したところではふえております。当然そうだろうと思うんです。当然、それに従って、資金需要が起こってまいりますし、時価発行してプレミアムも取れば、銀行から金も借りてくる、そのことがいいのか悪いのか。それと、企業一般的にいった手元流動性を締めるんだと、これがうまく分離されながら動いていくんだと、それを考えると、どうも、あまりにも財政金融政策に多くのものを負担をかけてしまうというのは、かえって伸ばす芽をつんでしまう、しかも弱いところを窒息さしてしまう、そういう危険があるんではないだろうか。それについては、いまのようなたいへんむずかしい事態になればなるほど、財政金融政策の限界というものを声高に主張されるほうがかえっていい効果を生むんではないかと、そんな気がしてならないんですが、この点御所見いかがでしょうか。
#73
○国務大臣(愛知揆一君) 必ずしも御趣旨を正確に理解できたかどうかわかりませんが、まず第一の、自己資本を充実しなきゃならないということ、これはもう日本の場合においてはほんとうに大切なことでございます。ですから、そこが先ほども御議論のあったところですけれども、時価発行で増資をして資本を充実するということは、オーソドックスの考え方からいって、その面からいえば大いに進めていかなければならない、借り入れ金を少なくするということは、やはり中心の課題でなければならない、こういうふうに思います。
 それから、金融規制ということがどこまでいけるんだろうかというお話でございましたが、いつかも私が申しました記憶がございますが、金融緊急措置令的な、つまり緊急措置令的な考え方で、基本としては、これは銀行法――たとえば銀行に対しては銀行法によって監督権の発動としてやっておりますということを申し上げたんでありますが、これは、こういう状況下におけるいわば臨機の措置と御解釈いただければいいんじゃないかと思います。したがって、こういう状況が鎮静化すれば、おのずからもっとリベラルな金融政策というものに復帰するというか、正常化するのはこれは当然なことでございますが、そういう点も勘考いたしながら、私は、預金準備率の引き上げというような制度が日本に十数年前にできておったということはたいへんよかったことではなかろうか、こういうものがこういう時期にこそ大いに活用されるべきものであると、こういうふうに考えます。
 それから、財政の役割りをもっと大きくしろと言われたのか、あまり出しゃばるなと言われたのか、私よく理解できなかったのでありますが、財政と金融はあくまで一体総合運営で行かなければならない。しかし、現在のところは、先ほど申しましたように、どちらかと言えば財政主導型で、そうして金融政策がその方向で補完をしてもらう。ただ、何といいましても、ここ一年半ぐらいの間が異常であったから、これをためるために、金融政策を政策手段としてかなり重点を置いてやっておるというのが現状であると、こういうふうに申し上げたいと思います。
#74
○栗林卓司君 時間になりましたので深くお伺いできないんですけれども、一点だけ、なおかつわからない点伺いたいと思うのですけれども、時価発行をすると自己資本充実に利するのだ。なるほどそれもわかる気がするんですが、いまの株の水準というものを考えますと、やはり時価発行を今後とも進めていくんだというと、株の水準はいまより大幅に落ち込むことがあっては困る。当然そうなります。しかも、これから経済成長というのは、これも見通しの問題ですけれども、従来のような大幅なものにはおそらくならないだろう。そう考えると、時価発行でプレミアムも含めて株を発行していくということは、市場に出回る株はあんまり多くしたくない、こういう傾向をどうしても生んでくる。その意味で、私は、自己資本の充実ということで言うんなら、むしろ額面発行のほうが本筋ではないか。これまで企業をささえてきた、まあこれが犠牲的かどうであるかは別にして、ささえてきたはずの小口株主も含めて報いていくのが私は本筋ではないかと思いますが、この点伺って、時間ですから質問を終わります。
#75
○政府委員(坂野常和君) 従来の額面増資のコストは、一割配当といたしまして大体一五%ぐらいになっております。時価発行の場合のコストは、長期的なものでありますので、まだ始まったばかりでありますからその実績をはじくわけにまいりませんけれども、まあたいていの会社は、行ないました直後にある程度の無償交付を行なう、それから増配を行なうというようなことをやっております。いままでのところの実績は、四%弱のコストになっております。これを比べますと、問題にならないコストの差があるわけでございます。
 借り入れば、御承知のとおり、金融機関のいろんなしきたり等を考慮いたしましても、一割、どんな高くても一割以内ということになります。そういうことを考えますと、なかなか額面増資による自己資本充実というのはむずかしい。これが従来の傾向だったわけでございます。
 ところで、理論的には、言われますように時価発行を継続いたしますと株価は下がるはずであります。これが下がらずに今日きておるというのは、その理論的に下がる傾向よりも、経済成長力が強かったというようなことが理論的には言えるかと思います。したがいまして、お説のように、今後成長力鈍化というような暁にはその辺がどうなるか、しかし、そういう際の時価発行のあり方につきましては、いまのように完全に時価に近いものでやるのか、あるいは時価と額面の中間価格的なものでやるのか、いろいろな方法があると思います。これはなおその時代時代で考えていくべき問題ではないかというふうに考えております。
#76
○委員長(藤田正明君) 両案に対する本日の質疑はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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