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1972/03/27 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第8号
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1972/03/27 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第8号

#1
第071回国会 大蔵委員会 第8号
昭和四十八年三月二十七日(火曜日)
   午後一時二十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     柴田  栄君     竹内 藤男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤田 正明君
    理 事
                嶋崎  均君
                土屋 義彦君
                野々山一三君
                多田 省吾君
                栗林 卓司君
    委 員
                河本嘉久蔵君
                竹内 藤男君
                津島 文治君
                西田 信一君
                桧垣徳太郎君
                船田  譲君
                川村 清一君
                竹田 四郎君
                戸田 菊雄君
                成瀬 幡治君
                山崎  昇君
                渡辺  武君
                野末 和彦君
   政府委員
       大蔵政務次官   山本敬三郎君
       大蔵省主計局次
       長        長岡  實君
       大蔵省関税局長  大蔵 公雄君
       大蔵省理財局長  橋口  收君
       大蔵省理財局次
       長        後藤 達太君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       経済企画庁長官
       官房参事官    結城  茂君
       大蔵大臣官房審
       議官       岩瀬 義郎君
       大蔵省理財局資
       金課長      福島 量一君
       建設大臣官房公
       共用地課長    西村 純幸君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年
 金の積立金の長期運用に対する特別措置に関す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、柴田栄君が委員を辞任され、その補欠として竹内藤男君が指名されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(藤田正明君) まず、資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山本大蔵政務次官。
#4
○政府委員(山本敬三郎君) ただいま議題となりました資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
 資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用は、従来から財政投融資計画の中心をなすものとして、わが国の社会資本の整備、民間経済活動の誘導等に大きな役割りを果たしてまいりました。最近、財政投融資計画の規模が拡大し、また、その対象とする機関の数が増加してまいりましたのに伴い、これら資金及び積立金の長期の運用は、確実かつ有利な運用という性格に加えて、財政的資金の配分といった性格を兼ね備えるに至ってきております。このような現状にかんがみ、国会においてかねて行なわれてきた財政投融資計画と国会の審議のあり方についての論議の経過を踏まえ、資金及び積立金の期間五年以上にわたる長期の運用について、毎年度新たに行なう運用の予定額を国会の議決を経るものとする等の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 まず、この法律案は、資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期の運用が、国民経済の中で果たす資源配分的機能の重要性にかんがみ、その適正かつ効果的な実施に資することを趣旨とするものであることを明らかにいたしております。
 この趣旨に沿った運用を確保するための措置といたしまして、第一に、毎会計年度新たに運用する資金及び積立金のうち、その運用の期間が五年以上にわたることを予定されているものにつき、予算をもって国会の議決を経なければならないことといたしております。また、その際、運用を予定する金額を資金及び積立金の別に、かつ、運用対象区分ごとに区分することといたしまして、国会の議決が個別的に行なわれるべきことを法律上明確に規定するとともに、運用対象の区分の方法について具体的に定めることとしております。
 なお、簡易生命保険及び郵便年金の契約者等に対する貸し付けにつきましては、その特質にかんがみ、議決の対象から除外いたしております。
 この規定に基づき、昭和四十八年度における資金及び積立金の長期運用予定額を昭和四十八年度特別会計予算の予算総則第十四条に掲記し、別途御審議をお願いしているところであります。
 第二に、国会の議決を経た長期運用予定額につきまして、議決を受けた年度内にその運用を行なわなかった場合には、翌年度に繰り越して運用できるものといたしております。これは、資金及び積立金の運用は、その相手先である公社公団等の事業の進捗の状況等に応じて弾力的に対処する必要があり、かつ、資金及び積立金がいずれも受動的な有償の預かり金を源泉とするいわば金融的資金であることに配慮したものであります。
 なお、同様の見地から、予算総則に弾力条項を設け、予見しがたい経済事情の変動に対処するため、個々の機関につきその運用予定額を五〇%まで増額し得るよう措置いたしております。
 第三に、毎会計年度の運用の実績を明らかにする必要がありますので、この点につきまして、所要の措置を講ずることとしております。
 以上、資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し上げました。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(藤田正明君) 次に、補足説明を聴取いたします。橋口理財局長。
#6
○政府委員(橋口收君) ただいま議題となりました資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 国会においてかねて論議されておりました財政投融資計画と国会の審議のあり方につきましては、去る四十六年七月以来財政制度審議会において検討されてまいりましたが、本年一月二十二日、大蔵大臣に同審議会の最終的な報告が提出されました。本法案は、この報告を基本として作成したものでありますので、財政制度審議会報告との関連に触れつつ御説明申し上げます。
 財政制度審議会報告は、最初に、現在の財政投融資計画のうち、産業投資支出については産業投資特別会計の歳出予算として、また政府保証による資金調達については一般会計の予算総則で、それぞれ国会の議決を受けることになっているため、現在の財政投融資計画の全体について議決案件とすることは二重議決の問題を生ずることとなり、法律制度上採用することはできないことを明らかにしております。このため、本法案では、財政投融資計画のうち、これまで国会の議決を得ていなかった資金運用部資金及び簡易生命保険及び郵便年金特別会計の積立金の運用予定額について予算をもって国会の議決を経なければならないものといたしております。
 また、資金運用部資金及び簡易生命保険及び郵便年金特別会計の積立金、(以下省略して両資金と申し上げます。)を新たに国会の議決対象とする理由として、同報告は、両資金の運用が、その規模が次第に大きくなるとともに、財政的資金の配分といった性格を兼ね備えるに至ったことをあげております。このため、本法案は、その第一条において法制定の趣旨を明らかにするとともに、第二条第一項において議決対象とする運用予定額を運用の期間が五年以上にわたる長期のものとし、また、第二条第三項において簡易保険等の契約者貸し付けを除外して、資源配分的機能を有する運用について国会の議決対象とするよう配慮いたしております。なお、従来財政投融資計画に掲げられていた両資金の運用額も期間五年以上のものでありましたことは、御高承のとおりであります。
 なお、両資金は、受動的な有償の預かり金が源泉でありますから、五年以上にわたる長期の運用のほか、もっぱら流動性、収益性を考慮した運用もあることは当然であり、このような運用はそもそも財政的資金の配分といった性格を有するものではないので数量的な規制を行なうことは適当でないとの報告をいただいております。
 さらに、財政制度審議会報告は、両資金は金融的資金であり、またその運用先である公庫、公団等の事業は国の予算の対象となっている事業に比べ弾力的に運用する必要があること及び財政投融資計画の果たしてきた景気調整的機能を維持する必要があることを理由に、両資金の運用を国会の議決にかからしめるにあたっては、その運用に弾力性を与えるよう所要の措置を講ずることが必要である旨を述べております。これを受けまして、本法案第三条において長期運用予定額の繰り越しを規定するとともに、別途御審議をいただいております特別会計予算の予算総則に弾力条項を設け、一部の機関を除き、予見しがたい経済事情の変動により増額を必要とする特別の事情を生じたときは、各機関に対する長期運用予定額を五〇%まで増額し得ることとしております。なお、この五〇%という増額の割合は、従来から認められております公庫の借り入れ金等にかかる弾力条項及び政府保証債等にかかる弾力条項における増額の割合にならったものであります。
 最後に、本法案はその第四条におきまして、長期運用予定額を国会で御審議いただくことに伴い、国会の議決を得て行なう両資金の長期運用の実績を明らかにする報告書をそれぞれの特別会計の歳入歳出決算の添付書類として国会に提出することを規定しております。
 以上、資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律案の提案理由を補足して説明いたしました次第であります。
#7
○委員長(藤田正明君) これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言をお願いいたします。
#8
○成瀬幡治君 大臣がお見えにならないし、政策的なことから入らなければならないのですけれども、お見えになり、採決するような、そういう機会がありましたら、そのときにひとつ議論することにいたしまして、事務的にひとつと申しますか、そういうようなところで御説明願いたいと思います。
 私たち社会党の、これは第二の予算であり、産業的政策なり、あるいは財政的政策に重大な影響があるから、財政投融資計画というものは、国会の議決にしたらどうだという主張。それに対して、二重議決等も法律制度上の問題があるからということで、これが抜けてきたわけですが、それはそれとして、その議論はあるとして、今後報告されるということになりますと、資金運用部資金だけのことを中心としてやられるのか。たとえば、産投会計その他全部を何らかの形で一覧してぱっとわかるような、何かそういうような、どう言ったらいいか、資料と申しますか、いままで出ておる、「予算の説明」に出てくるようなものだけではなくて、もっとそうしたものを総括したものが今後出てくるものなのかどうかですね。そういうことを、どんなことを予定しているのか、まず伺いたいと思います。
#9
○政府委員(橋口收君) 財政投融資計画は、御承知のように、昭和二十八年から現在のような形態で国会に提出をして、予算一般の御審議の参考に供することといたしておりますが、現在のような、いわば確立された形になりましたのは、昭和三十年代に入ってからでございます。財政投融資計画と国会議決の関係につきましては、昭和三十六年ごろから衆参両院の各種委員会で問題として取り上げられ、当時から野党の先生方からは、財投計画は国会の議決の対象にすべきであると、こういう御主張を伺っておるのでありますが、当時から、政府側は、一貫して、財投計画の性格から見まして、これは国会の議決にはなじまないということをお答え申し上げてきたのでございますが、比較的最近になりまして、客観情勢の変化と申しますか、財投計画の内容をなす資金の性格も――たとえば、厚生年金資金とか、あるいは国民年金資金というものがふえてきたというような事情、あるいは財投計画のウエートというものがだんだん高くなりまして、一般会計に対しまして大体半分くらいの程度のものである。あるいはGNPに対しましてもかつては四%程度でありましたものが、六%程度になる。こういう財投計画自体の規模なり、あるいは性格の変化ということに着目いたしまして、かねてから野党側の御主張でありました、国会議決との関係において何らかの調整措置を講ずる必要があるんじゃないかというのが、一昨年からのいわば政府側の認識でございます。したがいまして、その際、国会の議決との関係においてどういう形をとったならば、いまの財投計画の基本的な性格を変更することなく、また、財投計画の景気調整的な機能と申しますか、経済に対する影響というもののいい面を評価しながら、どういうふうにして国会議決との関係において調整措置をとったらどうかということにつきまして、大蔵大臣の諮問機関である財政制度審議会で専門家の方々にお集まりをいただいて御検討いただき、その結論が先ほど御説明しました最終的な報告の形でございます。で、それを基礎といたしまして、今回法律案を立案いたしたのでございますから、ただいま成瀬先生からお示しがございましたように、財投計画そのものは、従来から一体として取り扱いをいたしております。もともと産投会計とか、あるいは政府保証とかというものは別々の形で国会の議決をちょうだいいたしておりますが、それを全体として一表にまとめて表示をいたしておりましたので、今回、そのうち、資金運用部資金、簡保資金につきましては、従来から国会議決との関係において取り扱いがいわば政府側にまかせるということになっておりましたことにつきまして、今回措置をとることにいたしました際にも、従来と同じように、やはり財投計画というものは一表に取りまとめて、国会に提出をして一般予算の審議についての御参考に供する、そういう態勢には変わりはないわけでございます。したがいまして、財投計画につきまして、さらに全体としてその機能なり、任務なり、性格なりというものを把握するため、あるいは御掌握いただくために必要な資料はいつでも提出する、そういう予定でおるわけでございます。
#10
○成瀬幡治君 端的に伺いますが、この「予算の説明」の九八ページに出ておりますが、これは実は議決を求める場合になりますと、この資金運用部資金を抜いて議決をすることになるということになるのか。いまここに出ておりますね。こういう形で今後も出てくるのか、その辺のところはどうなりますか。
#11
○政府委員(橋口收君) これはいまもちょっとお答えを申し上げましたが、四十八年度から資金運用部資金、簡保資金につきましては、国会の議決をちょうだいする、そういう措置をとることにいたしておりますが、九八ページに掲上してございますのは、従来と同じ取り扱いの表でございます。したがいまして、四十九年度以降も、四十七年度以前と同じようにこういう計表を国会に提出する、こういうつもりでおります。
#12
○成瀬幡治君 そうすると、「原資見込」なら「原資見込」でございますが、こういうようなときに、そうじゃなくて、財政投融資全体として、損益決算と申しましょうか、残、運用益、そういうものが全部こういうふうに産投、運用部資金、簡保、政府保証債、借り入れ金、そういうようなふうに分けて、そういうものが出てくるというふうに理解してよろしゅうございますか。
#13
○政府委員(橋口收君) これは御承知のように、産投会計につきましては、特別会計の歳入歳出予算ということで、特別会計の予算の中に産投会計というような項目がございます。それから、政府保証につきましては、一般会計予算総則の中に、機関ごとに幾らまで政府は保証をお願いしたい、国会に対して、そういう形で御意思を確認する措置をとっております。
 それから、まん中の資金運用部資金と簡保資金につきましては、今回、その中の長期の運用について特別会計の予算総則に、これも機関ごとに具体的に金額を示して国会の御意思を確認すると、こういう措置をとっております。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたのは、総体としての財政投融資活動ということになりますと、何と申しますか、資金の運用のサイドと申しますか、出口と申しますか、そういうサイドからの、検討だけでなくて、まあ入り口、受け口と申しますか、受けざらと申しますか、実際、財投計画に計上された資金が、公団、事業団、公社等でどういう形で運用されたか、それがいわば財政投融資活動を基盤として政府関係諸機関の行なった活動の一切が表示されると、こういうことになるのでございまして、国会議決との関係において問題を検討いたしました際にも、そういう角度から、いわば機関のほうの受けざらのサイドからこの問題を取り上げるのがいいのか、あるいは運用のサイドから、いわば歳出に相当する運用のサイドからこの問題を取り上げるのがいいかというのが、財政制度審議会の中でもたいへんに議論になったところでございます。いろいろ検討をいたしました結果、やはり長期の運用というものは、歳出とは性格が違うけれども、やはり歳出的な政府の活動を表示するものだ。したがって、国会から歳出権を付与していただくというような意味におきまして、長期の運用については、限度額についてここまで政府が運用していいと、そういうことについて国権の最高機関の国会の御判断を仰ぐというほうが、むしろ本来の趣旨にかなっているんじゃないか。そういうことから、いわば運用サイドから規制をすると、こういうことが財政制度審議会の答申の骨子でございます。で、それに基づいてこの法律案を立案したのでございますから、ただいま先生がおっしゃいましたような形で、政府の諸機関の一切の活動というものを、財投というサイドからだけ明らかにするということは、これはなかなかむずかしいのじゃないか、そういう感じがいたしております。
#14
○成瀬幡治君 ぼくも勉強不足というのですか、資料全部を見てどうこうすることはなかなか容易な話じゃないわけです。
 そこで、たとえば、産投会計全体でいえばいま現にどのぐらい残があって、どうなっておるんだと、あるいは資金運用部資金でも、残がどのくらいある、新規のものがこれだけある、しかし、その中には回収も入っておるわけですから、どういうふうになるのか。あるいは簡保でいえば、これだけ預託されているけれども、簡保のそれじゃ、いままで扱ってきた原資がどのぐらいあるのか。そういうようなことがなかなか容易につかめないわけなんですね。ですから、ここでこの九八ページのこの資料、なかなかよくできておるわけですが、ここにでも一つの、こういう財政投融資の損益決算書というものがついてくるならば、そうすると、どれだけの原資があり、そしてどれだけの運用をされ、そして新しいものはどうなるのだ、そして運用益がどのぐらいあるというようなことが私たちにわかるわけなんですね。そういうものがないのが問題ですね。何か財政投融資計画というものを、総体的に把握することが容易じゃないですから、そこで、どういうようにすれば、親切にひとつわれわれにわかるようにしてもらえるかという意味で、私は提案を含めて質問をいたしておるわけですが、そういうようなことは考えていただけませんでしょうか。
#15
○政府委員(橋口收君) 財政投融資計画は、御承知のように、フローと申しますか、年々歳々のフローを計上いたしておりますから、ただいま先生がお話になりましたのは、フローというよりはストックの分野の内容を明らかにしたらどうかと、こういう御意見だろうと思います。で、産投会計につきましては、産投会計の付属資料としての産投会計の貸借対照表というのがございますから、それで一応明らかにされておると思います。それから、資金運用部資金あるいは簡保資金につきましても、特別会計の参考資料で一応明らかにはされております。ただ、お話がございましたように、財投計画表というもので、そういうことも含めた、完結した資料と申しますか、完結した姿で財投計画というものが明らかにされてない、こういう御指摘はまことにそのとおりであろうかと思います。したがいまして、四十九年度以降は、そういう点につきましても、さらにくふうをしてみたいと思います。
 で、たとえばの話でございますが、「予算の説明」を例におあげになりましたので申し上げますと、この「予算の説明」という参考資料に財投計画が入っているということすらちょっと見てわからない。表示自体が予算の説明ということになっております。この中に、第五として、財政投融資ということが説明されておるということでございますが、財政投融資自体として、いま先生がおっしゃいましたような資料も含めまして、フローとストックの関係、さらにフローなりストックについての現状というものにつきまして、もう少し一目で明らかにするような資料については、将来の問題としてくふうをしてみたい。
 それから、いろいろ従来から「財政金融統計月報」で年に一回財政投融資の特集をいたしておりますし、あるいは資金運用部資金の話とか、あるいは国の予算とか、そういうものにも財政投融資のことを触れておりますが、しかし、やはりおっしゃいますように、財政投融資自体として、それ自体ですべてが明らかになるような資料なりあるいは計表の作成というものについて、従来多少配慮が足らなかった点もあろうかと存じますので、ただいま御注意いただきましたことも含めまして、将来の問題としてはさらに資料の整備には努力をしたいと、こういうふうに考えております。
#16
○成瀬幡治君 私が、なるほどいろいろと調べてみればわからぬことはないが、決算書の、損益決算の出とらぬものもあるわけですね。ですから、出ているものと出ていないものがいろいろとその都合都合によってあると思いますが、そういうような、ここにはフローだけ出ているわけですから、ストックが出ておらぬ。そうすると、フローはこうなってくるということになって、すべてが一応財政投融資計画というようなものが、一覧と申しますか、ぱっと見て大体わかってくる。そうすれば、ははあここにいままでの産業的政策として資金がこのくらい流されてきたんだと、景気対策として、あるいはこんなふうに流されたんじゃないかということがやはりわかって、みんなが議論ができる、そういう資料というものをと申しますか、参考と申しますか――議決することは、ここで出てくる資金運用部資金だよという政府の提案に対してわれわれは反対なんですけれども、それはそれとして、やはり区別せずに一括したものが、投融資計画として一括した資料がつくようにひとつ十分検討をして、われわれの満足のいくような資料にぜひお願いをしたいというのが第一でございます。次に、そういうような関連をしながら、大づかみにひとつお聞きしたいと思いますが、一体、産投会計のいまストックはどのぐらいあるんですか、全部で。
#17
○政府委員(橋口收君) 四十六年度末で申し上げますと、一兆三千七十一億円でございます。おもな内容を申し上げますと、そのうち資本金が九千二十七億。資本金の中で一番大きいのは、一般会計からの受け入れで約七千億円、それから見返り賞金の承継分が約二千三百億円、それから、一般会計承継分と申しまして、これは前に一般会計で出資したものを承継したものでありますが、それは千百八十七億、これらがおもなものでございます。
 それから、運用のほうですが、運用のほうは、貸し付け金が八百五十一億。それから出資金が大部分でございまして一兆二千百三十億。そのうちおもなものを申し上げますと、開発銀行が二千三百三十九億、輸出入銀行が五千百三十三億、農林公庫が千百十八億、住宅公団が六百十二億、住宅公庫が五百四十五億、そういうようなものがおもなものでございます。
#18
○成瀬幡治君 ついでに資金運用部資金と簡保ですね、そういうようなものを関連してちょっと全部お示し願えませんか。
#19
○政府委員(橋口收君) 簡保資金はちょっと十二月の計表しかございませんので、運用部のほうも十二月の計表で申し上げますと、全体で二十一兆五千三百九十億でございます。そのうち郵便貯金が十一兆六千六百億、それから、厚生保険が六兆一千五百億、国民年金が約一兆。それから、運用のほうで申しますと、長期国債が二兆一千億、短期国債が二兆三千八百億、それから、政府関係機関に対する融資が九兆四千三百三十億、地方団体が三兆二千五百七十億、特別法人が二兆九千八百億等でございます。
 それから、簡保資金でございますが、総資産が三兆五百二十億、運用といたしましては、特別会計に対する貸し付けが六百六十六億、政府関係機関、特別法人合わせまして一兆三千八百四十億、地方団体一兆一千四百四十億、契約者貸し付けは千五百億、そういうものがおもなものでございます。
#20
○成瀬幡治君 そういうストックがどのぐらいあるかということがわかり、そしてそれについて受けざらのほうでいえば、それが今度は個々にどのぐらい貸し出されておるか、ここには確かに資金計画は出ておるわけです。そうしますと、これは資金計画でこれでいいわけですが、さて、これに対して残がそれじゃどのぐらいあるかということがわからぬわけです。ですから、資金計画のほうにもそれの残がついてくるというふうに理解してよろしゅうございますか。
#21
○政府委員(橋口收君) 先生のおっしゃいますのは、おそらくいま読み上げました政府関係機関とか特別法人に対する貸し付け、これが大体資金運用部資金で申しますと十六兆程度でございますが、その内訳を示したらどうか、こういう御意見であろうと思います。その点につきましては、資金運用部資金なり、あるいは簡保資金の融資先につきまして特に秘匿すべき理由はございませんから、それはどういう形で提示するのがよろしいか多少のくふうはしなければならぬと思いますが、そういう趣旨で、たとえば、国鉄に幾ら、住宅公庫に幾ら、開銀に幾ら、そういう現在額と申しますか、現在のあり高と申しますか、そういうものを記載することもこれはひとつ検討してみたいと思います。いま読み上げましたのは、資金運用部資金なり簡保資金のいわば月報として外部に発表しているものでございまして、それにつきましては個々の機関ごとの貸し付けの内訳は公表いたしておりませんが、しかし、資金運用部資金なり、あるいは簡保資金をどこの機関に幾ら貸しているということは秘匿すべき理由はないと思いますので、その点は十分検討いたしてみたいと思います。
#22
○成瀬幡治君 この九八ページから九九ページ、一〇〇ページにわたって資金計画が出ておるわけですから、これにストックの残が出てくれば、これで大体どこへいままでどのぐらい貸してきたか自分でわかるわけです。これを見ますと、産投からどれだけ、資金運用部から、簡保から、それから、政府保証債等幾らだと、合計幾らで、しかも自己資金がどうなっておる、こういうことも出てくるわけです。これに対して政府のほうのサイドから見て、財政投融資全体から見て残はどのくらいあるか、そうすると、いままでたとえば、日本開発銀行に金をどれだけ貸しておるんだ、輸銀に対してはどのくらいやっておるんだ、そういう金がどうだと。これは個々に、それじゃ日本開発銀行は何に使っておるんだ、どこへ貸しておるんだということになると、一つ一つの会社なり、あるいは輸銀でいけば、一つ一つの商社の名前が出てくる、そういうものについてはちょっと困るんだということは私のほうもわかります。しかし、そういうお金が、たとえば、住宅関係にどれくらい回るとか、何にどうだというように、業種別に何かに出されたようなことはございますが、これは国会の論議の場でまた資料要求等があればそれに即していく、まず、こういう新しい、何と申しますか、出発に際してですから、私は、いろいろの注文があると思いますけれども、私たちも、いま全体の注文をとやかく言うのではなく、私も特別にこれで完備のものだと思いませんけれども、残がついている、ストックがついている。ただ、フローだけでは、いわゆるいままでやってきた産業政策について議論しようとすると、たとえば、あまりにも公害につっ走ったようなところにいったのじゃないか、産業基盤だといいながら、それがこうだといいたいところがございましょう。それから、あるいは景気でどうだとかいうようなときにも、弾力条項であなたのほうが適当におやりになる、こういうことでございましょう。それはもちろん私たちにも必要だと思いますから、五〇%がいいのか、あるいは三五%がいいのかということの議論は別として、五〇%という弾力条項がついて、そうしてやられるわけですから、そういうようなことも含みつつ、私はぜひこの九八ページ、九九ページあるいは一〇〇ページに出たようなことについては、ぜひその残を載せていただきたい。あるいはもっと欲をいえば、その次の一〇一ページにしても、そういうような残がほしいという意見も出てくるかもしれませんけれども、少なくとも、そういうことをやっていただきたいと思います。大体、私の希望はおわかりいただけたと思うから、御了解願ったものとして、次の問題を進めたいと思います。
 一番わかりにくいのは、九八ページの財政投融資計画の「原資見込」の中でも、「その他」となって、いきなりここで一兆六千百五十九億という金が上がってしまうと、何だということでお聞きをする。そうすると、その内訳は、回収金がそのうち一兆三千億あるというような話を聞く、少しこういうような問題についても不親切だと思います。これなどもこういう書き方しかできぬものなのか、もう少しこういう一兆というような、少なくとも、六兆九千億の中の一兆六千億なんですから、相当な額になるので、そのおもな柱というようなものは、やはり私は、あなたのほうがその内訳について説明をしておかれる必要があると思いますが、こういうようなことについては、今後の運用の問題になるわけですから、基本的なものの考え方を伺っておきたいと思います。
#23
○政府委員(橋口收君) 四十七年までは、資金運用部資金の中の内訳としては郵便貯金、厚生年金、国民年金と、そのおもなものだけ掲げておったのでございますが、この三つの項目を足しても資金運用部資金の総体の額に合わない、こういうことで、その差額をはっきり明示すべきであるということを衆議院の予算委員会で御指摘をいただきまして、四十八年度から「その他」ということで表示いたしたのでございます。先ほど来御議論がございますように、財政投融資計画は、いわば年々歳々のフローでございますから、資金運用部資金という約二十二兆程度の大きな金融機関の資金の移動でございますから、本来ならば純増だけを表示すれば、それでその年の活動の総体というものは明らかになるはずであろうかと思います。二十二兆のものが、来年たとえば、二十四兆になるとか二十五兆になる、こういうことであれば、その間二兆とか三兆とか金がふえる純増だけをとらえて問題を議論する、あるいは純増によって資金運用部資金の総額なり、それに基づく財政投融資の投資というものが明らかになるというのが本来の性格であろうかと思いますが、財投計画のやり方としましては、過去に融資しましたものの回収金、これもいわば処分可能な資金でございますから、そこで単なる純増だけでなくて、過去に融資して回収になったものにつきましても、利用可能資金と申しますか、処分資金ということで、いわば純増だけでなくて、既存のストックの現金化の部分を加えて、来年の財政投融資活動というものを示すことにいたしておりますので、そこで「その他」という欄を特に明示をして四十八年度から措置をとったのでございますが、従来はそういう点で申しますと、郵便貯金とか、あるいは厚生年金というのは、これは純増でございますから、本来純増の部分だけで処理をしてしかるべきものを、回収金も含めて来年度の利用可能な資金ということで表示をいたしておりますので、そこで先生のおっしゃいますように、「その他」の内訳というものがやはり問題になるんではないかと思います。内訳を明示すべきだという議論になってくるんではないかという感じがするのでございまして、その点は純増だけでやれば、それで済むんじゃないかという議論は別としまして、いままでのやり方を今後も継続するとすれば、やはり「その他」資金の内訳というようなものについても、明示をする必要があるんじゃないかという感じは同感でございます。ただ、回収金につきましては、これはコンピューターに入れていろいろ貸し付けの整備をいたしておりますが、四十八年度あるいは四十九年度というものの大体のことは計算ができるのでございますが、しかし、それ以外の「その他」資金、回収金以外の「その他」資金は、各種特別会計の積立金とか余裕金でございまして、これは本質論になりますけれども、資金運用部資金というのは、先ほど提案理由の補足説明でも申し上げましたように、本来自然に集まってくる資金でございますから、集まってきた資金全部を財投計画に計上する、そういう性格のものでもございません。集まってきた資金をいかに財投計画に引き当てるかということでございますから、したがいまして、郵便貯金とか厚生年金、国民年金というものは、それぞれ郵政省とか厚生省とかで計算をいたしました確かな数字でございますけれども、その他は各種の特別会計の余裕金等が集まってまいりますので、そういう意味では、自然に集まっている資金のうちからどの程度財投計画に引き当てるか、回収金は先ほど来申し上げましたように、これは機械的に出てまいりますから、回収金というものは当然利用可能な資金になりますけれども、それ以外の特別会計の余裕金等は、自然に集まってくる資金でございますから、それはいわば引当てというかっこうで長期の運用にふさわしいものを引き当てる、そういうことでございますので、「その他」資金の内訳を全部明らかにするということは技術的に困難な面があろうと思います。しかしながら、回収金等は、これは計算上明らかになってまいりますから、その点につきましても十分くふうをしてみたいというふうに考えております。
#24
○成瀬幡治君 なぜぼくはそういうことを言うかと申しますと、いままでのストックを放出していく場合と、それから、財源が民間から年金、郵便貯金、そういう形で吸収されてくる、そういうものを使う場合と、ストックを放出する場合とでは、有効需要にたいへんな影響があると思います。いわゆる景気に対しては非常な影響がございますから、この原資は、財源はストックの放出を中心としておるのか、それとも、いま言ったような資金運用部資金の純増したものを財源にしておるのか、あるいは国債をうんと発行したものを財源にしておるのかということじゃたいへんな違いになってくると思います。ですから、ここで一括して「その他」と、こうやられてしまったり、いろんなことになると、私たちが景気の動向を判断するときに、たいへんな判断が誤ると申しますか、あるいはわからないと申しますか、そういうことですから、有効需要、いわゆる景気の動向と関連しながらストックの放出なのか、それとも純増、ふえた分を中心としておるのか、そこらあたりのものがわかるようなふうにしていただいたらどうだという意味で、いま言う「その他」の内訳をしたわけですが、もっと言えば、国債等の問題についても、そういうようなことがわかれば非常にいいじゃないか。みんなの考えたい点は、予算がこれだけになると物価がどうなって、景気がどうなっていくだろう、財投がこれだけの規模であるとすると、それが使われることによって日本の経済成長はどうなるだろう、あるいは景気の動向がどうなるかということのおおよそを押えるお互いのめどにしたいと思うのです。ですから、この財投は、経済成長、景気の変動あるいは日本の産業構造にどう影響してくるか。したがって、たとえば、いまけしからぬと思ったら、輸銀の金をもう少し商社等にあれば引き揚げることを考えたっていいと思う。で、片方が悪ければそれを回すという議論も私たちはしたいと思う。それが回収金の問題については、契約があるからそれをとやかくすることはできない、コンピューターに入ったので全く機械的にやれるのだというが、政策的にも私はいろいろなことを考えていく必要があると思いますから、そういう趣旨で申し上げておるわけです。局長はそういう趣旨にのっとった資料と申しますか、参考書と申しますか、そういう意味のものをつけてほしい。われわれも、政府も一体になって、日本の経済の問題を議論される資料であってほしい、こう願っておるわけですが、いかがですか。
#25
○戸田菊雄君 関連。
 いま成瀬委員が指摘された点について、私も強くそれを要望するのですよ。この財投の融資の予算説明書、これを見て、かりにこの「原資見込」ですね、一つずつ見てきても、これどこから一体こういう金がくるのかということはわからぬですね、これだけじゃ。たとえば、郵便貯金のやつで二兆二千億計上されておるわけです。一体、郵便貯金といっても、通常貯金あり、積立貯金あり、定額貯金ありでしょう、住宅積立金もある、こういう金額が一体年間どのくらい集まって、そのうちどのくらい財投にきているのかということはわからぬのですね。だから、その資料をとってみると、六兆九千二百四十八億きているのです、郵便貯金全体で。いまの各種貯金を合計した金額が、四十八年見通しですよ。そのうち二兆二千億きているわけですね。こういうことになるのですよ。ただ、この欄一つじゃ郵便貯金がどのくらいあって、どの程度財投に一体吸い揚げているのか、これはわからぬのですよ。初めてこの両面の資料とって、それで郵便貯金特別会計で操作をした結果、二兆二千億だけはこっちへきていると、ここで初めてわかる。これじゃ審議にならぬのですね。一々全部議員が――これは皆さんも多忙でしょうけれども、こっちも忙しいところを、全部取り寄せなければ一つの財投融資計画についても審議ができない。たとえば、この簡保資金の問題もそうですね、これは終身保険あり養老年金あり、こういうことになっている。どのくらい一体契約高があって金額でどのくらい徴収され、そのうちどのくらい一体ここへ入っているのかということにならないとわからぬのですね、この「原資見込」にしても。そういういわば大衆の零細貯金、こういうものが全部吸い揚げられてくるわけです。その経路ぐらい「原資見込」の中にちょっと注意書きをやってもらわぬと私はわからぬ。確かに、まだこれ全部見ていません。ここへきてから予算委員会のいろいろな資料が出ています。ですから、いま国債関係にも触れられましたけれども、これは前に、衆議院の予算委員会の二日目に、中澤茂一君、わが党の議員が指摘しているのです。これも六二ページにある国債の償還計画、これあとでやりまするけれども、単に金額だけですよ、たとえば、この六三ページの、公債金あるいは国債償還、この程度で、金額がこれだけあがっておったって、わからぬのですね。これは一たん予算委員会でも指摘をしている点ですけれども、だからもう少し、こういう点は国会でほんとうに国民の代表として種々審議をして、われわれも納得がいって、国民もその討論によってこれならわかった、こういうものが、私はかりに予算説明書の中で一つ一つことこまかにやるのも膨大な内容ですからそれはすべてとは言いません。しかし、重要なここに「原資見込」としてあげている項目くらいの内容については、せめて注意書きでもって説明を加えていくというような、そういうことでないと、これは真の審議にならぬと思うんですね。ですから、成瀬委員がいろいろと指摘されたのと同様に、私も、この点については今後の取り扱い方として十分ひとつ検討して、われわれの望む方向でいってもらいたいと思うんですね。その辺の内容について、関連質問ですけれども、ひとつ、ただしておきたいと思う。
#26
○政府委員(橋口收君) 両委員からお示しをいただきましたお話はよく理解をするところでございます。ただ、いま戸田先生がおっしゃいました中で、ちょっと御理解をいただきたいと思いますことは、資金運用部資金の運用の問題でございますので、郵便貯金の受け入れなり、あるいは厚生年金の積立金の受け入れなりは、それぞれ郵貯の会計なり、あるいは厚生保険特別会計の問題でございますので、私どもは、郵便貯金が受け入れられまして、日常の払い戻しに必要な資金を除いては全部資金運用部資金に来る。本年度から契約者貸付、小口貸付という制度ができましたけれども、そういうものを除きまして、全部資金運用部資金としてお預かりをいたしておりますし、それから、厚生保険等につきましても、保険料の受け入れや、保険給付費の支払い等を済ました後の積立金が資金運用部資金に預金されておるのでございますから、そういう点から申しまして、厚生保険の仕組みなり、あるいは郵便貯金の仕組み全体を財投のサイドから明らかにするということにはおのずから限界があろうかと思います。ただ、いまお話がございましたように、できるだけ資料を整備して、財投計画の一覧性を確保すると申しますか、あるいは明瞭性を確保すると申しますか、そういう点については十分くふうをいたしてみたいと思いますが、ただ資金運用部資金は、あくまでもそれぞれの特会なり、その特会の活動の集約としての預金の受け入れということでございますので、他の特会の操作全体を明らかにするということは、これはちょっとむずかしいのじゃないか。ただ、資料の整備なり、あるいは財投計画がよくわかるようにするという努力につきましては、一そうくふうをいたしてみたいと思います。
 それから、国債の問題でございますが、これも、予算の説明の六三ページのところを御指摘をいただきましたが、衆議院でも、予算の償還計画の問題と、それから、過去に発行された国債の償還予定の問題と、二つ問題がございまして、償還計画の問題は、財政法に基礎を持つものでございますが、その償還計画自体が、御承知のように、日本の国債の場合は満期償還でございますので、これが年次償還の形態をとっておりますと、たとえば、据え置き期間三年とか五年置きまして、あと年次的に償還をしていくということになりますと、償還計画書自体がいわばりっぱな姿になるのでございますが、日本の場合は満期償還でございますから、たとえば、十年ということになりますと、発行した年度の十年後に一括して償還するということで、いかにも償還計画書らしいていさいを整えてないという問題もございますが、これは日本の国債の発行形態から見てやむを得ない措置、姿ではないかということでございますが、問題は、償還年度における償還の予定はどうなっているかということが衆議院の予算委員会で取り上げられ、中澤先生から御指摘をいただいたのでございますが、それにつきましては、衆議院の予算委員会に資料を提出し、さらに、予算の参考資料につきまして一部補正の措置をとったのでございます。四十九年度以降も、ああいう形態で予算の説明資料なり参考資料なり、あるいはいま御指摘がありました予算の説明、参考資料の中の注の表示のしかたにも確かに御指摘のような問題があろうと思います。つまり、当該年度の国債の償還の総額が幾らになるのか、そのうち現金償還が幾らで、借りかえが幾らということのはっきりした明示がないという御指摘であろうと思いまして、この点は四十九年度から改善をいたしたい。
 それから、従来二十八条参考書類で提出をいたしておりました国債の償還計画表、償還年次表に関する資料というのがございますが、これも、いま二十八条書類で出しておりますのはたいへん簡単な資料でございまして、実際、将来年次的に見てどういう償還の額が予定されるかということについての明確な説明がないということで、これは年次表をくふういたしまして、衆議院の予算委員会に提出をいたしておりますが、四十九年度以降は、当初予算から正式の資料として参考資料の中にこれを提示すると、こういうことにいたしております。
 そういう点で、従来から一般予算、財投その他関係資料を通じまして説明の不十分なもの、あるいは説明の不親切なものにつきましては十分改善をいたしたいというふうに考えております。
#27
○成瀬幡治君 これは、あと一問だけで、ひとつ竹田君のほうへ質問時間の関係上移りたいと思います。
 いろんな意味で追加追加と、こういうことをおやりになるわけですね。一年のうちに二度三度とおやりになっておるんですが、そういうようなときに、これは全く表に出ておる現象面だけをとらえておるから、そんなことはないじゃないかと、こういうような理由だぞと、こういうようなことになるかもしれませんが、「資金運用部資金の実行状況」という私は資料をいただいて、そこで申し上げるわけですが、たとえば、全然使われておらないところへこういう金利のついた金がこう乗っていくということについては、受け入れるほうの側も容易じゃない、しかし、運用される政府のほうにも利子のつく金を持っておってたいへんだろうと思っておりますが、そういうようなときに、どういう調整をやって追加というものが行なわれておるのか。どういう基準で――ただ、いままで例年、このぐらいずつの追加をしていったんだからこう追加をしていったんだということなのか、そうじゃなくて、何か必要に応じてこうやって追加していったんだよと、こういうことになるのか。その辺のところの基準というようなものが何かあるのかないのか。
#28
○政府委員(橋口收君) 財政投融資の追加でございますが、従来恒例的にやっておりましたのは、年末の中小金融対策でございまして、そのほかには、年度末に一年間振り返りまして多少技術的な補正をするというのが通例でございまして、そのほかに、予算の補正が行なわれますと補助金等がふえますので、その裏起債に対する政府資金の融通ということで、通常の姿で申しますと、補正があれば三回、そうでない場合二回ということでございましたが、四十六年度から景気対策ということもあり、追加の回数がふえまして、四十六年度はたしか計算をいたしますと七回ぐらいの追加をいたしておると思います。それから四十七年度も、最近の国民福祉の充実に対する要望等考慮いたしまして追加を夏にいたしまして、さらに補正で追加をするということで、四十六年度、四十七年度は、やや異例の取り扱いになっておりますが、ただ、私ども、いろいろ作業いたしまして痛感いたしますのは、大体予算の要求と同じ時期、つまり前年の八月に各機関から予算の要求が出てまいります。実際に作業をいたしますのは十月、十一月でございますので、その当時の資料を基礎にして財投計画を編成いたしますと、それから、約一年近くたちますと、実態と相当そぐわない面が出てくる。たとえば、地方債の系統の事業で申し上げますと、たとえば、四十七年度について申しますと、上水、下水、これは当初計画でつくりましたときの資料で計算をいたしておりましたが、四十七年度になりますと、たいへん強い需要というものが出てまいります。したがいまして、今日のように経済なり社会の変動の激しいときには、ことに資金運用部資金は自然に集まる資金を源泉といたしておりますから、融資機関でございますので、やはり財投計画決定しましたあとでも、需要に変化があれば機動的に対処するということが望ましいのじゃないか。これは単に景気調整的な見地だけでなくて、資源配分的な立場から申しましても、やはり実需に相応した措置をとるということがむしろ望ましいのじゃないか。そういう点から申しまして、一般予算と性格も違うということもあり、比較的回数をふやして追加をいたしておりますので、そういう実態に即した措置をとるという点ではいまのような運用は望ましいし、また、実態に適合した措置ではないかというふうに考えておりますが、同時に、たいへん動きが速いだけに、いま御指摘がございましたように、追加の措置をとりまして、実は追加の措置をとりましたけれども、追加が不要になるというような例が実は一、二ございます。率直に申しまして、輸出入銀行は去年の秋は追加の措置をいたしました。これは濃縮ウランの輸入とか、あるいは緊急輸入対策ということで千億程度の金が要るということで、自己資金も含めまして数百億の追加をいたしましたが、実際には追加は不要になっております。これは御承知のような国際通貨情勢でございますので、前払い金が多く入るというようなこともございまして、実は輸銀の回収金なり、自己資金というものが非常にふえたということで、たいへん動きが早い性格の事業なり融資活動であるだけに、追加をいたしたものが不要になるというような事態も実は生じてきております。それから、公害防止事業団につきましても似たようなことがございまして、私ども追加をいたしました去年の夏ごろの情勢では、十分事業ができるというものが、実際に事業が進まないということもございますので、そういう点から申しまして当初計画、あるいは改定後の計画の実行の過程におきまして、当初の計画なり、改定後の計画とかなり違った距離のある姿になっているという事例が率直に申しましていろいろございます。それから、金融情勢等反映いたしまして、それから、補助金の決定の時期等の関連で、実際に融資活動なり、あるいは事業活動が行なわれるのが後半に片寄ると、昨年のように金融緩和で金利が下がりますと、融資機関にしましても、あるいは地方団体にしましても、実際に借りに来ないということで、年々歳々財投の額が大きくなりますだけに、後年度にずれる分、さらに、明年度に繰り越しされる分というのが金額的にふえてきている。そういう点から申しまして、確かにフローの面だけでとらえても問題はわからない。やはりストックが年々歳々ふえるのをどうやって消化するかを問題として取り上げ、検討する必要もございますので、そういう点から申しまして計画できめたとおりなかなか実行されない。したがって、当初計画と実行計画との乖離というものがかなり大きくなってきている、これは事実であろうかと思います。
#29
○成瀬幡治君 非常にこれをびしっと合うようにやっていくということになると、理財局だけでも全くたいへんなスタッフになってくるだろうと思います。ですが、非常に大切な問題でございますから、しかも、金利のついた金ですから、どちらも有効に使わなくちゃならぬ。しかも、それが日本の産業にも、経済にも影響することですから、ひとつ今後フローするいろんな場合に十分御留意を願いたい。
 きょうは、経済企画庁、建設省来ておみえになっておりますから……。
#30
○委員長(藤田正明君) ちょっと待ってください。――来ております。
#31
○成瀬幡治君 一言だけお聞きしますが、これはぼくもよくわかりませんが、政府、地方公共団体、民間を通して今後いろいろと事業が進められる。大体、事業資金は十兆ぐらいあるじゃないか、そうしたときに、大体三割程度ぐらい土地代じゃないか、もちろん補償費も含めて、あるいは立ちのき料いろいろなものを含めて、そうしますと、これが大体三兆ということになると、一年三百六十五日のうち、三百日店を開いておると。そうすると一日百億のお金が流されていく。この一日百億の金がどう流れていくだろうかというのも、一つのこのごろの買い占めなり、いろんな問題に重大な影響があるわけでございますが、そういうようなことがいわれておりますが、建設省なり、ここは国のことだけしかやっておみえにならぬと思いますが、それがどんなふうにつかんでおみえになるのか、あるいはもっと言えば、経済企画庁は、景気の動向に重大な影響を及ぼす、国民生活に重大な影響を及ぼすと思う問題でございますから、どんなふうにこれをつかまえておみえになるのか、この際承りたいと思います。
#32
○説明員(結城茂君) 経済企画庁の毎年つくっております「経済見通」で、いわゆる国民所得ベースの設備投資あるいは政府の財貨サービス購入の中の資本支出というものが年々示されるわけでございますが、四十六年度の実績でいいますと、民間の設備投資は十四兆八千億、それから、政府財貨サービス購入のうちの資本支出が七兆七千億、合わせまして二十二兆五千億というのが、いわゆる設備あるいは資本に対する支出、こういうことになっております。これらの支出の中には、ただいま先生御指摘の土地代金あるいは用地補償費というふうなものは含まれておりませんで、これの外ワクになる、こういうことになります。ただ、公共事業費等の中で用地補償費というものの割合は、大体、過去の実績等からしますと二〇%程度占められております。それからまた、民間の場合でございますと、これは法人企業統計季報あるいは企画庁が調査いたします法人企業の投資実績調査等から見ますと、大体、固定資産増加額のうち、土地の増加額というものが一六%から二〇%程度占められている、こういう状況になっております。したがいまして、ただいま約十兆円あるいは三割という御指摘ございましたけれども、必ずしも、それが三割に該当するかどうか、数字のつかみ方によって三割がもっと縮まったりするんじゃないか、こういうふうに感じられます。大体、公共事業費の場合に二割程度あるいは民間の固定資産増加額のうち、土地増価額が一五%ないし二〇%程度というものが一応実質的な支出として示されております。これらの土地補償費あるいは土地代というものが、民間におりているといいますか、結果的には過剰流動性というものの背景をなすんじゃないかというような、あるいは御指摘かもしれませんが、この土地代あるいは補償費等が、直ちにそのまま民間に滞留するといういいますか、そのものが民間に滞留するというよりも、あるいは過剰流動性の原因だというよりも、そういう取得費あるいは補償費が、金融機関の窓口を通じて貸し出されまして、金融機関の貸し出しをふやしている、これが過剰流動性の原因になっている、こういうことになるんじゃないかと思います。したがいまして、金融機関の貸し出しが、昨今の過剰流動性の一番大きな原因だということで、金融機関の貸し出しに対する過剰流動性対策ということで、日銀の窓口規制あるいは預金準備率の引き上げというようなことで、過剰流動性対策を、金融機関を対象にして進めていく、こういうのが一つの対策でございます。
 それからもう一つ、土地そのものの値上がりに対しては、土地対策ということで進めているのが現状でございます。
#33
○成瀬幡治君 建設省は……。
#34
○説明員(西村純幸君) 建設省の所管の公共事業につきまして、その占める用地費及び補償費が、年間平均おっしゃるとおり、一年三百日ほどといたしまして、日々どれだけ支出されておるだろうかというような御質問に対しましては、四十四年度から申し上げますと、四十四年度で十四億五千万円、四十五年度で十七億一千万円、四十六年度で二十二億八千万円、四十七年度で三十四億八千万円、四十八年度の予算では一応三十五億円を予定いたしております。もちろん、これは建設省所管公共事業にかかわるものでございますから、地方単独事業は入っておりません。
#35
○成瀬幡治君 経済のほうで、経済企画庁にお聞きしますが、四十八年度、政府が、民間の土地投資に対して、あなたのおっしゃるように窓口規制をすることはいいわけですよ。ただ、見通しとして一体どれだけ土地代金あるいは補償費が支払われるかという大づかみな見通しはたっておりませんか。
#36
○説明員(結城茂君) ただいま具体的に幾らという金額の見通しは持っておりませんが、四十八年度の、先ほどの国民所得ベースにおけるところの設備投資、これが民間の設備投資が十八兆七千、政府の財貨サービス購入のうちの資本支出が十一兆八千五百億、合わせまして約三十兆というのが設備、あるいは政府の財貨サービス購入のうちの資本支出と、こういうことになっております。で、過去の経験からいたしますと、これらに対する土地取得費は大体一五%から二〇%程度、その外にあるんじゃないかと、その中には入っておりませんで、その外にあるんじゃないか、こういうふうに考えられるわけでございます。
#37
○竹田四郎君 こういう機会でないとなかなか財投の中身を議論する機会というのはないと思いますから、財投の中身について少し触れていきたいと思うんです。
 まず、まあたいへん、毎年毎年最近の財投の伸び率というものを見てきますと、かなり大きいわけですが、財投の規模というものは一体どのくらいまではいいんだと、どのくらいが一体適当なのかと、そういうような見通しといいますか、一応の基準といいますか、そういうものはお持ちなんでしょうか、どうでしょうか。
#38
○政府委員(橋口收君) 財投計画を編成いたします場合にも、新年度の予算編成方針を受けて作業をいたしますので、一般会計予算、特別会計予算と同じような考え方で処理をするのが適当ではないかと、こういうふうに考えております。財投計画もやはり一国の財政活動の一環をなすものでございますから、景気調整的な観点と資源配分的な観点と、まあ両方から問題を煮詰める必要がある。で、多少まあ過去にさかのぼって恐縮でございますが、昭和四十三年から五年まで、民間経済が過熱の状態を呈しましたときには、財投計画は伸び率をたいへん押え目にいたしております。先ほど来議論がございましたように、郵便貯金を中心とする原資のほうは一般の景気動向とあまり大きな連動性を持たないで自然にふえてまいります。それに対しまして、景気対策としての立場から財投計画は控え目にするということになりまして、四十三、五年あたりは十数%という時代がございます。これは財政活動を景気対策としてフルに活用した時期でございます。四十六年度の景気対策ということで、これは逆の景気対策でございますが、景気が落ち込んでおりますので、はずみをつけるという意味におきまして財投計画というものをたいへん大きく伸ばしたのでございます。四十六年度は追加でございますが、四十七年度に景気対策として三一・六%という過去にないほどの大きな伸びを示したのでございます。で、まあ、四十八年度以降は、考え方としましては、やはり景気対策的な考慮というものももちろんございますけれども、できるだけやはり資源配分的な機能というものに重点を置いて、財投計画というものを展開していったほうがいいんじゃないかと、もちろん、景気調整的な機能というものも考える必要はございますが、それはかりに民間の経済がいき過ぎた場合には、実行の過程において財投の運用で操作をするということは可能でございますから、やはり年に一回の、いわば作業として、来年度の財投計画をどうするかということは、全体としての経済の見通し、それから、その中における財政の役割り、財貨サービスの購入をどの程度のウエートにするかという観点から、作業をすべき性格のものでございますから、やはりその時は、できるだけ資源配分的な配慮というものを中心に置いて作業するのが適当ではないか。まあ、将来どのくらいまで伸びることが許されるかという御質問でございましたが、一応私どもに与えられております材料としては、経済社会基本計画の五十二年度までの計数がございますので、特に、その中の約九十兆の公共投資というものに対して、財政投融資の担当する分野というものもおのずから経験的に見て明らかでございますから、そういう点から申しまして、九十兆の公共投資をやるために、まあ、ラフな計算でございますが、どの程度の資金が必要になるだろうかと。それに対して、もちろん一般会計、財投との区分の問題がございますから、あくまでも財投だけの角度からの見当でございますけれども、まあ、九十兆程度の公共投資を実施するために必要な原資の見通しという点から申しますと、現在の時点に立って、その程度の見通しを立てます場合には、おおむね可能だというふうに考えておりますので、一応われわれに与えられました当面の材料としての経済社会基本計画を達成するには、それほど不自由はないのじゃないかと、そういうふうに考えております。
#39
○竹田四郎君 財投、特に資金運用部資金の原資というのは、先ほどから御議論が出ておりますように、郵便貯金というものがほとんど大部分と、あと簡易資金、さらに強制的な貯蓄をされているところの厚生年金、国民年金ということなわけです。で、郵便貯金から入ってくるところの毎年の財投に繰り入れられてくる金というのは、毎年二割ぐらいずつ伸びておるように思います。それから、厚生年金関係から入ってくる金は、おそらくそれは毎年のベースアップに大体比例して入ってくることにおそらくなるでしょう。それから、国民年金もまあ料金値上げが行なわれる、あるいはその対象規模が大きくなるということに伴ってこれもどんどんふえてくると、減るということはおそらくほとんどないと思う。そうしますと、運用すべき――これらはいずれも資金運用部等に運用しなければならないということになっているわけですね。そうしますと、原資のほうはどんどん一定の圧力でポンプで入ってくる、流入されてくると、しかし、運用のほうについては、景気の調整その他で、あるときにはふやす、あるときには減らす、こういうことに私なってくると思うのです。そうしてみますと、問題は、資金運用部なり簡保資金なり、あるいは先ほども議論がありました財投全体として、これはそうした資金が出ていくということになりますと、やはり私どもは、その財投資金の運用というものが、まあ、おそらく郵便貯金の利子をどうこうするというところまではいかないとは思います。しかし、極端な場合にはそういうことも考えられる。で、零細な預金でありますから、まあなるべくうまくひとつ運営してほしい、預金というものは確実に返ってくるようにしてもらいたい、できたら、去年のように郵便貯金の金利は引き下げないでほしい、こういう要求というものはこれからも出てくるだろうと思う。今後の公定歩合の引き上げということに関連すれば、一体郵便貯金の利子を上げるか、あるいはとどめておくかということもこれはかなり大きな議論になりつつあると思うのです。そういうふうな考え方でいきますと、原資のほうはどんどんふえていく。しかし、運用のほうは、まあいまのところは基本計画にのっとって大体そのくらいの資金調達はできるのだと言うんですけれども、余るとき、足りないとき、こういう問題というものは非常に出てくるのじゃないかと思う。まあ、足りないときには、おそらく政府保証債などでカバーができるとは思いますけれども、そういう点では、ある一定規模以上にこの資金というものが集まり過ぎるということは、私は、あまり喜ばしいことではないと思うのですけれども、その辺は、財投計画を組んでいく限りにおいて、先ほどおっしゃられた資金配分という立場から考えてみればそれはいいと、こういうお考え方ですか、どうですか。その辺の点を少し御解明いただきたいと思うわけです。
#40
○政府委員(橋口收君) たいへんむずかしい御質問でございまして、まあ、哲学的な内容も入っているのじゃないかという感じもするのでございますが、私どもは、財投計画と資金運用部資金の運用というものがイコールのものであるというような、まあ、世間一般にそういう印象を与え過ぎたんじゃないかという感じが実はいたしておるのでございまして、まあ、資金運用部資金というものは、自然に郵便貯金とか、あるいは厚生年金から集まってくる質金でございますので、それをお預かりして合同運用して、郵便貯金は預金者に対して元利を政府が保証いたしておりますから、したがいまして、有利確実に運用をして、郵便貯金の金利の支払いに渋滞を来たすことがあってはならないというのが資金運用部資金の管理の大原則でございまして、あとその運用の形態として、戦前はまあ国債とか地方債というようなものが中心でございましたが、戦後は財投機関というものがふえてまいりましたので、財投に対する融資というものが大宗を占めている。こういうことでございますので、まあ何と申しますか、一般予算と違いまして、初めに資金がある、その資金をいかに運用するかということでございまして、一般予算の場合には、支出の目的なり、経費の必要性というものが最初にきまって、その経費を調達するためにどうやって租税とか国債を組み合わせるかということ、いわば歳出なり支出というものが先にきまるのが一般予算でございまして、それに対しまして、最初に資金というものがあって、その資金をどうやって運用するかというのが、いわば財投の原資をしての資金運用前資金の基本的な性格でございます。そこで、先生がおっしゃいますように、お金が足りないというときのほうが、むしろ操作は楽なのでございます。いまお話の中にございましたように、かつては政府保証債というものに非常に大きく依存した時代もございました。しかし、四十年代になりましてから、むしろ資金運用部資金、国民貯蓄というものが非常にふえてまいりまして、政府保証債のウエートが急速に低下をいたしております。で、そういう形で、むしろ自然に集まった資金が余ると、運用に困難を感じるというときは、一番経営の点から申しましても、あるいは郵便貯金をお預かりする立場から申しましても一番困るときでございます。確かに先生がおっしゃいますように、貯蓄が優先して投資が伴わないという、こういうことになった場合に基本的にどうするか。ただ、そういう場合は、日本の資金循環の形態で申しますと、まあ、国債発行によって一般財源を調達するという、そういう仕組みが定着いたしておりますから、まず、国債に投資をするという余地もあろうかと思います。で、諸外国、ことにイギリスとかヨーロッパのような成熟した経済では、郵便貯金の制度がありますところは、大体郵便貯金で国債を持っている。戦前の日本のような形態になっております。で、郵便貯金をこういう形で政府関係諸機関に投資して、社会資本の充実をやっているような国は、隣国の韓国を除いてあんまりないようでございますから、そういう形でそういうものを要請する経済の体質である。問題は、基本的には一時的に資金が余るということはありましても、そう心配はないんじゃないかと、まあ、先ほど申しました経済社会基本計画でも九十兆の投資というような、そういう需要が目の前に控えておるわけでありますから、そういうときは比較的よろしいのでございますが、基本的に依然として貯蓄率が高くて、投資のチャンスがない、投資の機会がないと、そういう経済になりました場合にはほんとうに困るということであろうと思いますが、まあ、当面は経済成長の動力というものが依然として落ちないとすれば、基本的な問題は問題として、当面は、おっしゃるような、根本的な問題に直面することはまずないんじゃないかと、いま多少金融情勢を反映いたしまして金の出は悪いということで一時的に金が滞留するということはございますが、しかし、基本的に需要がないということではございませんので、まあそういう時代に、成熟した経済になった場合には、たとえば、郵便貯金の金利をどうするかというような問題として、やはり全体的に処理をするということが要請されるんじゃないかと、財投サイドからだけ問題を解決するということはむずかしくなってくるんじゃないか、しかし当面は、そういうことはないのではないかというふうに考えております。
#41
○竹田四郎君 財投をふやすような、去年の初め、おととしの事態ですとそういう資金というものはどしどし出てくるから私はいいと思うのですけれども、いまのような金融情勢、銀行は金がだぶついてしょうがない。企業も金がだぶついてしょうがない。ということになると、この財投の原資が大きくなるということで、大きくなればそれをどこかへ使わなければいけないわけで、ただ単に、金庫へ入れておくわけにはいかないという場合には、結局、民間の金融機関と当然そこで競合的になってくるというような心配というものが、私は、生まれる可能性あると思うのですが、そういう点はないわけですか。
#42
○政府委員(橋口收君) 財投計画の中で、事業機関と融資機関と分けますと、大体事業機関が五割ちょっとこえておりまして、融資機関が半分以下でございます。いま先生のおっしゃいましたような端的な問題として、民間の金融機関と競合の問題が起こりますのは、開発銀行とか、あるいは中小公庫、国民公庫というようなそういう金融分野で将来問題が生ずるのではないか。確かに一昨年あたりは、末端の支店活動等におきまして、民間の金融機関から中小公庫とか、あるいは開銀の活動に対して、一部非難があったようなこともございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、経済がほんとうに成熟すれば別でございますけれども、貯蓄が非常にふえる、それで投資の活動がないというのは、本来は経済は停滞したときでございますから、そういうときは、やはり景気対策の見地から、政府が公共事業を起こすとか、あるいは財投機関で公共事業に似た事業をやっている機関は大いに事業をやるというふうになってくるのが普通のことわりでございまして、そういうときであれば財投機関の需要もふえてくる、あるいは政府の発行する国債というものが投資物件として目の前にあると、こういうことになるまあ理屈でございまして、まあ、この一年半ぐらいは、経済のロジックから申しますと、たいへん異常な事態でございまして、外資が入ると、それがいわゆる過剰流動性の源泉になる、しかも、入った外資は設備に化体しないで外貨になっている、したがって、経済は景気がよくなってきても民間にお金があると、したがってそれが同時に国民貯蓄になってはね返ってくるというような、ごく昨今の形態というものは、経済の普通の姿から申しますとたいへん異常な状態じゃないか、こういう異常な状態でなければ、先ほど私が申しましたように、貯蓄がふえて投資のないときは、政府が投資活動を行なう、こういうことになる理屈でございますので、基本的に、しかも、長期的に郵便貯金の金が余って、投資に困るという事態は、われわれの習った経済学では、ちょっと予想のつかないことでございまして、そういう点から申しますと御指摘いただくような問題意識を全く持たないわけじゃございませんけれども、当面は、ここ数年、ここ十年ぐらいはまずだいじょうぶじゃないか、基本的にはそういう認識を持っているのでございます。
#43
○竹田四郎君 私は、そこが一番問題じゃないかと実は思うわけです。適当な投資先がなければ、先ほどの資源の再配分というようなことで、おそらく投資先をさがしていくであろうと思う。いまのような地方財政の状況を片方に見ると、地方財政は非常に貧困で、だから、何か金を借りる道はないだろうか、そういうことで、政府資金は長期で低金利だからこれを借りたいという形で、地方団体からは、そういうような要求が続々出てくる、そういうふうになってまいりますと、もともとこれは提案理由の説明にもありましたように金融的資金なわけであります。税金で使うのとはわけが実は違うわけであります。
 どうしてもそうした事業にこれを投入するということになりますと、まあいままでは料金を取らないでやっていた仕事、そうしたもので必然的にそれは料金を取る収益的な事業にしなければ、借りた金が払えない、あるいは利子も払えないというような形ができてくると思う。下水道なんかその非常にいい例だと思う。かつては下水道というのは、ほとんど税金でやった仕事であります。それがまあ十年近くもなりますか、下水道料金を取り、受益者負担金を取り、そうしてその料金を逐次上げていくというような形になってきているわけです。おそらく投資先がない、あるいは資源の再配分というようなことからいきますと、たとえば、これから老人ホームをつくろうじゃないか、公立の老人ホームをつくるということになれば、やはりこの資金を借りようじゃないか、そうした事業を起こしていけば、いまのインフレ経済下では、そこで当然にその費用というものは増大をする、そうしてくれば、老人ホームに入る使用料というものを引き上げていかざるを得ない。ですから、その財政投融資のワクを広げる、しかも、非常に資金の再配分というようなことばでうまいことを言って、地方財政はうんと赤字にしておけば、私は、いま局長がおっしゃるように、投資先が困るというようなことは、これはないと思う。そのかわりに国民全般としては、いまの流行語でありますところの高福祉・高負担というのは、一番末端の国民にかかってくる、そして、受益者負担の額は大きくなるとか、こういう役割りを、いまの財政投融資の仕事というのはやっていると思う。だから、これを大きくすればするほど、私は、国民の受益者負担というものは大きくなってくると思う。いまの局長の説明でも、資金の再配分というようなことばの中で、盛んにそういう方向というものを模索しておると思う。あるいは現にそういう方向に踏み出していると思う。ですから、財政投融資のこの資金というものがあまり過大になっていくということは、必然的にそういう方向に行かざるを得ない。そういう仕組みを私は、持ってるんじゃないかと思う。ですから、財政投融資資金というものは、ある一定限度に私はとどめておかなくちゃいかぬ。もちろん私は、全廃しろという意味ではございませんけれども、ある一定の限度額にそれをとどめておかない限りには、自分たちが自分で貯金という手段を通じて社会保障をやっている。年寄りになったときにどうするんだ、子供が学校に行くときにどうするんだ、病気をしたときはどうするんだ、こういうことで常に貯金をしていますね。そして、いまの郵便貯金の貯蓄率を見ると、大体二〇%以上になっているようですけれども、しかし限界貯蓄率というのは二〇%以下なんです。ですから、実際上は食うものも食わないで貯金をするという形にいまの現状はなっていると思うんです。その金が流れ流れて資金運用部に入って、財投になっている。そして、その先はいまの言う社会福祉だ何だということばに踊らされて、受益者負担を多くしていく、こういうようなことにはならないですか。私は、そういうからくりになりつつあると思う。だからこそ、財政投融資の規模というのは一定の額にとどめておかないと、本来ならば税金を取って、その税金によってやっていかなければならない公共的な事業に財政投融資が忍び込んでいってしまう、こういう危険性というのは、非常に財投の金額が大きくなり、また、郵便貯金や厚生年金や国民年金の積立残高というものが非常に多くなってくればなってくるほど、そういうからくりというものは一そう回転を早くしていく、こういう心配が私はあると思うんです。そういうからくりにいまなりつつある、こういうふうに思うんですが、どうですか。
#44
○政府委員(橋口收君) 国の財政活動で安易に財投に依存するなと、こういう御趣旨であろうと思いますが、その点は、竹田先生のおっしゃる御意見よく理解できるところでございます。ただ、社会資本の整備とか、あるいは国民福祉の向上というような緊急の課題というものが山積をいたしておりますので、それに対して急速にこたえるための方法としてどういう方法があるかと、で、まあ基本的には、おっしゃいますように、最終的には国民の負担としての税金と、こういうことにならざるを得ないと思いますが、それは租税負担率をどうするかという、やや息の長い問題になってくると思うのでございます。したがいまして、特に財政活動として税金で取るのを避けて、財投計画に依存するという、まあ、何と申しますか、そういう政策的な意図をもって財投計画を運営したり、あるいは資金運用部資金を管理したり、郵便貯金を集めたりすると、そういう、何と申しますか、そういう主体的な意思をもって活動をしているのではないのでございまして、郵便貯金という制度があり、厚生年金という制度があり、その貯蓄というものは、資金の統合管理という立場で資金運用部資金に集中されてくるのでございまして、そういう国民からお預かりしたお金、これはもちろん有利息のお金でありますから、先生のおっしゃいましたような問題を伴ってまいりますけれども、そういうお金が現にあるわけでございますから、それをどうやって国民の福祉なり、社会資本に転化するか、そのための方法として、いま先生のおっしゃいましたお考えというものを多少ふえん発展させて私が理解して考えてみますと、それは、そういうものを国債というかっこうで一般会計の負担に転稼したらどうか。すぐ租税負担ということにまあ飛躍するのはむずかしいとすれば、郵便貯金というものを、国債という形で一般会計負担に転稼したらどうか。一般会計負担ということは、国債でございますから、最終的には税金で償還するということでありますから、租税負担率の問題として将来はね返ってくると思います。そういう形で、いわば資金の内容というものを、有利息のものから、税金負担のものに転稼したらどうかと、こういう御意見になるのではないかというふうに考えるのでございますけれども、そういう形でやるのがいいのか。それから、いまのような形で、利息のついたお金ではありますが、国債よりは安い金利で活用できる資金というものを活用して、そうして急速な整備を要請されている社会資本なり、公共投資なり、あるいは国民福祉というものに対応していったほうがいいのか、その辺のいわば、大ぎょうに言えば国民の選択の問題であろうかと思いますが、私ども財政投融資作成の立場で、まあ視野が狭いというおしかりを受けるかと思いますが、どうも私どもはそういう形で目前に与えられている郵便貯金なり、あるいは厚生年金の積立金というものをできるだけ安いコストで活用するには、いまの方法というのが一番どうも目的にかなっているんじゃないか。財投計画発足いたしました二十八年から約十年間は、確かにいろいろ御批判をいただいておりますような、産業復興とかあるいは産業の開発、生産第一主義というような風潮があったと思いますが、ここ数年間は、できる限り国民福祉に直結した分野に資金を配分すると、そういう思想で、やっておりますので、これはたいへんむずかしい問題で、竹田先生の一つの御見識であろうと思って、先ほどから拝聴いたしておりますが、やはりどうもできるだけ安いコストで資金を活用するには、いまの方法のほうがベターではないか。もちろん、利息のついたお金ですから薄める必要がございますから、社会福祉関係等はやはり一般会計からの補助とか、あるいは出資とか、そういう形で金利を薄めてコストを低くするという要請はもちろんございますが、それはそれなりにこたえなければならぬと思いますが、しかし、与えられた資金を、国債という形態で高い金利に転稼するよりは、いまのままで使ったほうが、どうも最終的には国民の負担が少なくて済むんじゃないか、そういう感じがいたしておりますので、これはひとつ御批判をいただきたいと思います。
#45
○竹田四郎君 このほうが安いと言うんですが、実は安くないと私は思うんです。というのは、なるほど財投、あるいはもう少し融資先の事業まで含めてみれば安い。しかし、国民は、公共料金という形で払わなければならぬ、いわゆる一種の税外負担なんです。そういうものを国民のふところのほうから計算してみると、決して安いわけじゃない。たとえば、下水道料金というのは昔は払わなくてよかったわけです。それをいま払わなくちゃならないんです。これは徴収のしかた、いろいろあると思うんですけれども、まあ水道料金と一緒に払うという形式をとっているところもあります。それは水道料金が上がるたびに、必然的に下水道料金が上がっていく。一種のこれは税外負担ですな。ですから、国民の側で収支決算してみると、決して安くない。使うところまではたいへんこれは安く見える。全体を貯金をして、その金が回り回って返ってきて、また、それが自分たちが利用するときになって公共料金が高くなる。ですから、そういう意味で、財投というものをあまり広範に広げてしまうということになりますと、結局、先ほど言ったように、自分がほんとうは消費しなければならない金まで節約をして貯金をする、その金がまた自分のほうに戻って返るときには、余分な料金を出さなくちゃならぬ、こういうふうに個人のさいふの中では私は、計算をされると思うんです。ですから、この資金というのは、いたずらにたくさん集まれば、多々ますます弁ずというようなものではないし、同時に一この融資先というものをもっと考えて融資をしてもらわないと、あなた方は、こうした資金によって、より安い資金で資源の再配分ができているように勘違いをなさっている。しかし、現実には、国民の家計簿の中から見れば、決してそうではなくなってきている。ですから、たとえば、生活するのに最低必要な下水道だとか、あるいは一般のごみの収集だとか、こういうようなものは、財投でやるのじゃなくて、むしろこれは税金でやるべき私は内容だと思うのです。だから、公共事業一般を見ましても、財投の資金でやっている公共事業と、それから、一般会計によるところの公共事業というのを見てみましても、道路財源なんて一番これは明らかなんです。一般公共でやっているのは、これは税金でやっている。ところが、ほかの財投の公共でやっている面というのは、最近非常に生活環境施設の優先というところに資金がたくさんほうり込まれるようになった。これは、その部分が、そういう事業がどしどしと収益事業化している、そして料金をとる。受益者負担の原則というものを一そう高めている。こういう仕組みに私はなっていると思うんですよ。局長はそこまで見てくれない。ただ安い金を供給するという観点だけで議論しているように私は思う。その効果が国民のふところにどういくかというところまで、これを考えて見てもらわないと、ほんとうにいまのような物価高の時代、そうして社会保障が全然欠落をしているという時代ですから、これはやっぱり、自分が使わなくちゃならぬと思っている金まで節約して貯金をしているわけです。あるいは取られちゃ困るという金まで厚生年金保険料として引き揚げられているわけです。その辺を考えてもらわないと、多々ますます弁ずという式のものでこれをふやされるということは、私は、国民福祉につながらない。したがって、今後全体的に見ますと、資金がたいへん集まってくる、その可能性はあると思うんですね。いまの状況ではたくさんある。しかし、その融資先というものは、私は十分考えてもらわないと、こちらからこういう要求があったから、ここへ財投をひとつ今度ふやしていこう、こちらからこういう要求があったから、財投をふやしていこう、こういうような形で、融資先だけを選んでいくというような形では、私は、せっかくこの資金を国民の福祉に使おうと言いながら、むしろ逆の結果になる、こういうように思うんですね。まず第一番目には、融資先というものを十分に検討してもらわなければいかぬ、ただ安易に、たとえば、地方自治体が金をほしいから金をやる、こういうような形だけでやっていかれては困るのじゃないか。たとえば、やる場合にも、これは国民の福祉にこういう影響があるのだから、これについてはちゃんと、その利子分については税金で利子補給をするなり、そういうような手段を使って、どうしてもふやさなければならない場合には、そういうような手段を使って、その金を利用していくというようなことでなくちゃならぬ、こういうように思うんですがね、どうですか。そういう方向でこれからの財投というものは運営していかないと、将来、ただ額が非常に急激にふえてきているだけに誤りをおかすのじゃないか。これはどうですか、次官でも局長でもいいですが、将来のそういう問題について相当考えてもらわなければいかぬと私は思う。
#46
○政府委員(橋口收君) まあ、先ほど来申し上げておりますように、うんと遠い将来の問題は別といたしまして、経済社会基本計画で、まあ一つのフレームができております。昭和五十二年度までの時間的なオーダーで考えますと、九十兆の投資を行ないます場合に、どのくらい一般会計に依存し、財投に依存するか。一般会計に依存する場合も、税金にどのくらい依存し、国債にどのくらい依存するか、これは大まかな計算があるように承知をいたしておりますが、そういう点で申しましても、租税負担率なり、社会保険料の負担というものの引き上げ、これも一定の限度があるというふうに計画で表示をされておりますので、そういうものの裏として考えますと、やはり国債の発行というものも相当の規模になるのじゃないか、そうなってまいりますと、国債の償還の問題なり、将来の負担の問題というものが出てまいりますので、やはり五十二年度までのオーダーで考えますと、先生のお話はよくわかるのでございますが、当面の政策のベースに乗せて考えますと、やはり受益者負担という考え方も入れていく必要があるのじゃないか。で、九十兆の公共投資をいわば確保するという観点で考えますと、やはりいま与えられた資金運用部資金なり郵便貯金というものを活用していくというほうが、やはり当面の目的達成には近道じゃないか、こういうような感じがいたしておるのでございまして、受益者負担というものを多用したり、乱用するということは、もちろん慎まなければならぬ問題でございますが、ただ、財投一般につきまして、たとえば、有料道路とか、あるいは公団住宅という問題で考えてみますと、まあ、地方からの道路整備の要求というものはたいへん熾烈なものがございまして、従来は一般道でやっていたものを、有料で道路公団でやってほしいという要求はたいへん強くきております。これなども、やはり受益者負担という観点で考えますと、有料道路を活用するという受益の特定性と申しますか、具体性と申しますか、そういうかなりはっきりした受益というものがあれば、やはり料金を払っても差しつかえない。それから、公団住宅はまあ家賃は高いという問題がございますが、政府の施策住宅に入るということで住宅は確保されるという受益の特定性なり具体性というものがかなりはっきり確認できる、こういうものにつきましては、受益者負担の思想というものを入れていっても差しつかえないのじゃないか。したがいまして、たとえば、具体的に下水の問題ということになれば、補助率をどうするか、あるいは補助対象事業を拡大するかどうかという問題になってくると思います。したがいまして、やはりお示しがございましたのは、概念的な問題、議論ということではなくて、具体的に下水の整備をどうするか、あるいは道路の整備をどうするかという問題として、個々につぶしていく必要があるのじゃないか、そういう過程の中で、私どもは先ほど来申し上げておりますように、財投原資を確保するために、特に郵便貯金の金利を高めてよけい集めようとか、あるいは厚生年金の保険財政の問題について、賦課方式は困るというようなことを申し上げるような立場にはないのでございまして、いまの保険財政の反映として、積み上がった積み立て金をお預かりする、あるいは国民が預金者の便宜として郵便貯金をなさるものを、安全有利に運用する、こういう立場でございますので、何と申しますか、やはりどうも受け身の立場になっておりまして、こちらが積極的活動として、猛烈に預金吸収活動をやるとか、あるいは厚生年金の保険料を無理やり徴収してくるとか、そういう立場にないということだけはぜひ御理解をいただきたいと思うのでございます。
#47
○竹田四郎君 国民は、理財局長を相手にしているのじゃないのですよ。国民は、政府を相手にしてものを言っていると思うのですよ。ですから、その理財局長の立場はわかりますよ。しかし、国民はその貯金をするときには、理財局長の顔を見ながら貯金をしているわけじゃないわけですよ。政府という立場でものを考えていると思うのですよ。ですから、これはむしろ理財局長の分野じゃないと思うのですがね。もっと大きい日本全体の構造の立場からいえば、これは政府の代表者にほんとうは答えてもらわなければならぬ問題かもしれない。私も、もちろん地方に地方債としてこの金が使われる、あるいは開発銀行なり輸出入銀行として金が使われる、それをすべてを否定しようとは思わない。だから、金を、財政投融資の資金を出していく場合に、たとえば、負担能力のある人、有料道路でも走れるところにこの金を出すのはけっこうですよ、そこまで否定しているわけじゃない。しかし、たとえば、下水道なんというのは、どんな人でも使わざるを得ないわけです。あるいはごみの問題というのは、だれもごみを出さざるを得ないのです。そういうところまで財投を入れて、そうしてそれを収益化していくということになれば、これは貧富の差はなし、負担能力の差なしに、やっぱり料金を支払っていかなくちゃならぬ、こういう事態になるわけです。ですから、財投資金の使い方というところに私は、非常に大きな問題があると思う。しかし、財投の資金というものは大きくなってくればくるほど、どこかに使わざるを得ない。それでなければ、ただ寝かしておくわけにはいきません、何とかころがさなくちゃならぬわけですから。だからその辺に、資金の融資先というようなものについて、ただか、有利だから有利に運用しさえすればいいというようなものではないと思うのです。私は、いままでむしろこういう財投に安易にたよってきた、そういうことが、今日の経済という、こういう大変革をしなければならないという経済情勢になってきた、社会情勢になってきた、こういうふうに思うのです。そういう意味でどうですか。理財局長は、いまそういうような御答弁で、これじゃどうも答弁に私はならぬと思うのですが、これは、政務次官というのは、私は、政府の代表者の一人だろうと思うんですが、政務次官として、全体の立場としての財投のあり方、国民生活と財投のあり方という立場からひとつお答えをいただきたいと思うのです。
#48
○政府委員(山本敬三郎君) 先ほどからお話を伺っておりまして、先生と局長との違いは、局長のほうは、国家財政という点から考えて、たとえば公債よりも、財投のほうが安いからいいではないかという考え方が、先ほどの答弁にあったようでございます。先生の場合には、生活者としての国民サイドから問題を考えておる。いたずらに財投がふえていくことは、本来なら税収でやるべきものを、したがって、ただで行なわれるべきものを、受益者負担に転稼させ、安易な道をたどっていることになるのではないかというお話であります。私は、そういう可能性もあるというふうには考えます。しかし、一面からいきますと、いま国民は、やっぱり戦前の、日本経済が非常に脆弱な時代の社会環境、住宅問題等と比べて、今日これほど巨大になったのに、非常に落ちている、そういう国民の需要が一ぱいありますときに、やっぱり財投というものを使って私たちは住宅問題を片づけたり、あるいは生活環境問題を片づけたりしたい、私は、むしろ意欲的にそうしたいと思うわけです。しかし、その中で、たとえば、地方に起債という形で非常にしわ寄せしていくという問題が、将来の問題として、十分大きな問題として残るわけです。そういう問題については、一体地方財政のあり方をどうすべきか、三税をどうすべきかというような問題として考えるべきでありましょうし、また、先ほどお話のありました下水道の問題にしても、料金負担に、財投の利息というものが非常にはね返ってくるということであれば、それは税で埋めていくというようなこととして考えるべきであって、いまはむしろ、民間経済ではなしに、公共経済の分野を広げていくというときがしばらくは続くんじゃないかと思いますから、先生のいまおっしゃる点に慎重な配慮をもって、ひとつやっぱり活用していくべきではないか、そういうふうに私は考えます。
#49
○竹田四郎君 私は、その点では、一番大きい問題は厚生年金だと思うのですね。厚生年金の預託金というのは、資金運用部に対して六兆円ぐらいありますね。ところが一方、老人というのは、わずかの金でものを買うにだって自由に買えない。くずものを拾って買っている老人の姿というのはうんとあるわけですよ。収入がないんですから、ものは上がっていくんですから、なるべくくずでも、食べられるようなものをさがして歩く以外にはないんですよ。ですから、年寄りはますますきらわれて、そうして一人で生活をする。その年寄りが死んでいくのすらわからない。何日かあとになってようやくわかる。こういう事態でしょう。そういうものは、この厚生年金保険の預託金で、ここへ入れないで、要するに積み立て方式にしていかないで、賦課方式にしていけば、これは救えていけるものですよ。そういう人たちに渡すべき金をここへ引き揚げてきてしまっている。こういうところに今日の日本の悲劇というものが一つはあると思う。ですから、そういう意味では、私は、この厚生年金保険の預託というものは、むしろやめるべきだ、そうすれば、自然的に資金運用部の資金というのは少なくなってくる、ふやす必要はないわけです。規模も縮小します。だから、厚生年金を、積み立て方式から、賦課方式にしていくことによって、これはどんどん減っていくわけです。そういう矛盾というのは、同時に、この資金運用部資金の中にそういう矛盾が入っているということです。これは集まってくる金だから、しかたがないと理財局長は言うでしょう。しかし、日本の政府としては、いつ死んだかわからないような一人暮らしの老人、そういう者にもっと資金を出していける金はあるわけです。そういうことをお考えになったらどうですか、ここに集めるよりも。
#50
○政府委員(橋口收君) これは政務次官からお答えがあると思いますが、いまお尋ねなり御意見として伺いましたのは、厚生保険の保険財政をどうするかという問題でございますから、現在は、御承知のように修正実額積み立て方式ということで、平準保険料に対して、一定の修正率を掛けて保険料を計算して、その収支差額が運用部に預けられているわけでございますから、これは保険数理の問題として、これをどういうふうに扱って、保険財政の方式をどうするかという問題は、おのずからきまる問題でございますので、そういう現在のような修正実額積み立て方式の修正率をもっと高めていったらどうかという御意見がいろいろあるようには伺っておりますが、これをどうするかというのは、厚生省なり、あるいは将来の年金給付の水準をどうするかという問題に関連がございますので、私どものほうは、繰り返しになりますが、いまの保険財政の方式で生じた剰余金、責任準備金をお預かりするという立場でございますから、したがいまして、お預かりしたものには六・二%の金利をおつけすると、こういうことが最大の使命でございますので、そういうものとして運用先を開拓し、金利を確保すると、こういうことでございますので、厚生保険給付をどうするか、それから、その給付を行なうための保険財政というものをどうするかと、これは先生よく御承知のように、一挙に賦課方式に切りかえれば、積み立て金がなくなるだけでなくて、一挙に租税負担がふえるということでございますから、そういうものをどうするかというのは、また別個の問題として検討していただいて、私どもは、その制度の反映としての積立金をお預かりいたしておりますから、制度が変わり、積み立て金がだんだん減る、あるいは横ばいになるという事態になれば、それなりの対応策は考えなければいかぬと思います。それはそれなりにいろいろ検討する問題はあろうと思いますが、そういう制度の反映でございますから、その点につきましては、繰り返しになりますが、御理解をいただきたいと思います。
#51
○政府委員(山本敬三郎君) 賦課方式にするか、積み立て方式にするかというのは、負担を世帯間でどう負担し合うかという問題、したがって、老人対策の基本にかかわる問題で、この財投をどうするかという問題とは、私は、別個の問題だというふうに考えます。ですから、財投の資金を少なくさせるために、賦課方式にせよということではなしに、賦課方式にするか、積み立て方式にするか、そのいずれかによって、財投に入ってくる資金がきまってくるわけですから、それによってどう使うかと、こういうふうに私たちの立場では考えるべき問題だ、こう思います。しかし、議論は十分あるところだと思います。
#52
○戸田菊雄君 関連して。
 政務次官、大体厚生年金の発足当時は、昭和十七年でしょう。これは戦時中ですよね。だから、戦争遂行のために、当時、国民の持っているふところを吐き出させるためにやったのであって、実際、老後保障などを考えて制度化されたものではないんですね。だから、その制度化のあり方について、抜本的改善策をとるべきじゃないかというのが、いま竹田委員の指摘の要点だと私は思うんです。だから、理財局長の答弁であったけれども、事務ベースではこの問題の決着はつかないと思うんですね。だから、もう少し――政務次官、ここまできて、五年後に五万円年金まで引き上げると、こういっているんですし、もうすでに支給開始しているわけでしょう。そういう状況まできている中ですから、年金を大幅五万円年金までもっていくと、こう言っているんですから、大蔵省は率先してそれに見合う対策というものをやっぱり回答してもらわないと、これはわれわれとしても了承できかねるわけです。そこを言っておるんですよ。だから、制度上いまの積み立て方式じゃこれはだめだ、賦課方式に切りかえなさい。そして、年間相殺をやって積立金幾ら、支給額幾らと、こうやれば、一番この受給者の方は救われていくわけなんですから。
 もう一つは、もうすでに支給開始が始まっておるんですけれども、四十六年の例をとると、大体利子総額で二千四百億ぐらいになっておるでしょう、私の記憶では。それに、受給者への支払い総額は八百億ぐらいですよ。だから、積立金やらなくったって、利子だけでも間に合っていく状況になっているんですよ。そういうものを無視をしながら、あなた方は強弁的に、一そう六・四%の割合でもって労使分担でもって積み立てをやって、そして今後も継続していくというから、社会福祉や、そういう保障充実にはなっていかないんじゃないか。こういう政策上の問題も加味をして、われわれは具体的に提案をしているんですよ。そういう面は、明確にもう少し私は検討題材として前向きの回答をもらいたいと思います、前向きの。
  〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕
いまの政務次官の回答じゃ、全くうしろ向きですから、それじゃ了承できかねる。
#53
○政府委員(山本敬三郎君) 事がそこまでまいりますと、一政務次官の問題ではなくなりますので……。
#54
○戸田菊雄君 だから、大臣が来なければ委員会を開くなというのです。
#55
○政府委員(山本敬三郎君) これは大臣だけでなしに、社会保障審議会やその他厚生省のほうで、近々中に一つの案をまとめるはずのわけでありますから、私たちのほうだけで非常に前向きに先ばしった御回答を申し上げられないような実情にあることを御理解いただきたいと思います。
#56
○竹田四郎君 私、あとまた日をあらためてやりたいと思うんですが、そういうことをしないと、財投自体に矛盾が出てくるぞということを私は警告しているのですよ。いままでの小さい形の財投ならそれはよかったでしょう。それは確かに日本の評価はいろいろあるにしても、今日の大規模な日本経済を築いてきたことに対する財投の功績は私は大きいと思いますよ。しかし、それはいままでのことであって、今日こういう事態になってくると、財投自体というものも中身をもっと考え直してみなければいけないのじゃないか。いままでと同じような惰性でやっちゃ困るじゃないか。財投の金があり過ぎるということは、いいときもありますけれども、あり過ぎると悪いことをするときがあるわけです。それが今日の実態ですよ。財投の金の適当なときはよかった。財投に金が集まり過ぎるようになると財投は悪いことをするぞ。そういう時期にいま差しかかりつつあるんだぞ。そういうものを解決する手段として、いま戸田さんの言われたようなことをすれば、そうしたことはなくなってくるんじゃないか。だから、それはただ単に厚生省の問題としてその問題を考えられるということは、私は、きょうの議論の中では間違いだ。あくまでも財投というものを矛盾なしに続けていくためには、そういうことを考えなくちゃいけないじゃないかということを、私は強く言っているわけです。
 これは御答弁要りませんから、あとまた大臣か何かに出てきてもらいまして、そういう問題をやりたいと思うんですけれども、きょうのところはそれで終わっておきます。
#57
○戸田菊雄君 あと時間ありませんからごく簡単に質問してみます。
 一つは、先ほどの「予算の説明」の六二ページの国債の償還計画の内容ですけれども、衆議院の予算委員会の二日目に中澤茂一議員が質問されて、内容はだいぶ詰められたようですから、先ほど理財局長からも答弁ありましたから、詳しくは申し上げません。ただ三点ほどですね。
 一点は、中澤議員は七千三百億と言いましたけれども、これは年度途中で発行減額をされましたから、六千六百五十六億、こう理解しているが、それでいいかどうかが一つ。
 それから、理財局長の当時の回答で、国債発行残高の百分の一・六、予算に基づく繰り入れ分が七年間で発行額の大体一割程度、こう言うから、大体六千六百五十六億とすると、六百六十五億程度の理解でいいのかどうか、現金償還は。あとは借りかえでいって、いわば借金手形でいくわけでしょうから、名実ともに償還されるのは六十年後になる、こういうことになりますが、こういう理解でいいのかどうかですね。
 それからもう一つ。そういうことになると、これから借りかえでもって償還計画を作成していくわけでしょうから、そういうものについてひとつ疑問を持つのは、国債償還の金額を見ますと、大体八千五百二十二億一千三百万、こういうことになっているんですね。そうすると、答弁からくる総額の大体おおよそ計算をしてみますると、六千六百五十六億円見当になるのじゃないか。あとの二千億近いものは、これは一体何なのか、これがわからぬですよ、中身として。その中身をひとつ説明をしていただきたいと思うのです。先ほど来、四十九年度から、大蔵大臣が答弁をしましたように、手落ちがあったことは認めて今後補正をいたしますと。この補正の成案がどういうものなのか、具体的な答弁がなかったからその点をひとつ。
 四点になりましたけれども、答弁をしていただきたい。
#58
○政府委員(橋口收君) 一番最初は、七千三百億というように中澤先生はおっしゃいましたが、これは四十一年度に限度をちょうだいしたのは七千三百億でございまして、実際に発行いたしましたのは六千七百五十億でございます。
 それから第二点は、百分の一・六のお尋ねであったと思いますけれども、これはいま減債制度で前々年度末の国債の現在額の百分の一・六――計算上の都合がございまして、前年度末というのはちょっとわかりませんので、前々年度末の――前年度期首ということですが、前々年度末の国債発行残高の百分の一・六というものを、法律上の規定に基づきまして予算繰り入れをいたしております。それが年々歳々繰り入れをいたしてまいりますので、その七年分がたまりますので、大ざっぱにいいまして、百分の一・六に七を掛けますと大体十ぐらいということで、一割は最低限度現金償還できる金額がある。その金額は、七百九十一億でございます。
 それからその次のお尋ねは、歳出が八千五百二十二億になっているということでございますが、これは国債整理基金特別会計というのは、まあ何と申しますか、明治にできた特別会計法でございまして、現在の資金――財政法四十四条の資金、資金運用部資金とか、あるいは外国為替資金というような資金というものとは全然別の姿として、資金の出し入れ、運用と申しますか、それは予算統制を受けないという形の資金ということになっておりませんで、資金ではございますが、全部歳入歳出を通す。国債の償還、それから一般会計からの受け入れというような――資金であれば、これは全然歳入歳出外になりますけれども、それが明治にできた法律でございますので、歳入歳出外の取り扱いになっておりませんで、したがって、歳入は全部歳出にあげると、こういう経理をいたしております。これは技術的な理由でございまして、歳入は全部歳出に出す。それで、そのかわり、年度内に歳出の終わらなかった歳出未済額は、歳出権の繰り越しを行なう、歳出権として当該年度から翌年度に繰り越す。つまり、資金であれば歳入歳出の外でございますから、そういう措置が必要ございませんが、全部歳入歳出をとっておりますから、そこで資金的な性格を持たせるために、歳出権の残額は翌年度に繰り越すと、こういうことが法律できめられております。したがいまして、歳入は全部歳出にあげますが、そのうち歳出として、いま御説明なり、お尋ねしました、あるいはお尋ねがありました国債の現金償還は、財源としては七百九十一、そのほかに戦前出した国債の分がありますから現金償還としては八百七十七。それから、借りかえ債を発行しまして償還いたしますから、これやはり歳出に立てますので、これが五千九百五十八。それから交付公債の償還、年賦償還でございますが、これが三百八十五。それから出資国債の償還、これは四百九十七。外債の償還が三十七。その他が七百六十八。それで、その他の七百六十八が、いま申し上げました特別会計の経理の特殊性から申しまして、歳入が八千五百二十二でありますから、それを全部歳出に立てる。したがって、この七百六十八はその他ということになりまして、現金償還は大体一割ということを申し上げましたが、これは相手のあることでございますから、それから、また金融情勢によることでございますから、場合によったら一割の現金償還で済まない場合もございます。そういう場合には、この七百六十八を一部使う。それから、四十九年度以降債務償還費が非常にかさんでまいりますので、できれば買い入れ償却を行ないたい、そういう財源としても七百六十八、いまは予備費的なものでございます。そういうものが合わせて八千七百二十二ということになっております。
 それから、大臣が補正をすると申し上げましたのは、ことし衆議院の予算委員会に提出をいたしました債務償還年次表を来年二十八条の書類に正式に入れる。それから、国債整理基金特別会計の予算の参照書のところの説明書きを丁寧にする。つまり、当該年度で国債の償還費が幾らで、そのうち現金償還が幾らで、幾ら借りかえる予定かということを明かにするということを申し上げましたのが、大臣の補正の趣旨でございます。
#59
○戸田菊雄君 ですから、そういう問題についてこれは同様の指摘、きょうもあったわけですけれども、できるだけこの審議に都合のいいひとつ資料というものをあらかじめいま局長が説明した範囲のものは、これは出してもらったらいいじゃないか。私、今回時間がなかったからそういう資料要求ができなかったけれども、十分ひとつ配慮をしていただきたいと思うのですね。ことに四十年は完全償却されているわけですけれども、四十一年以降、これは毎年国債発行額が膨張しているわけでしょう。ことに今年度は二兆四千億を発行しているわけですからね。だから、返済の実行ができる、そういう明示を明確にしてもらわないと、いろんな審議に支障を来たすということになりますから、それは四十九年度からやるということですから、ぜひ実行していただきたいと思う。
 それは要望しておきたいと思いますが、それで財投について中身に入ることできません。二点だけ聞いて、時間がありませんから終わります。
 その第一点は、今年度から確かにこの運用部資金の歳入関係のいま説明のあった予算説明書のこの九八ページ、こういった資金運用部資金の郵便貯金とか、あるいは簡保資金とか、こういうものは国会審議の対象に入ったことは間違いありませんね。しかし、歳出部面では、すべてが審議対象になっているかというと、私そう理解していない。たとえば、田中議員の要求によって提出された部厚いこの資料、ちょっと目を通したわけですけれども、それによって各公庫にいったような、それからの前途の支出については、これは審議対象にどうしても含まれない。そこまでいってないわけでしょう。だから、そういう歳入歳出ともに、私は何といっても六千九百億何がし、七兆円に近いわけですからね、今年度は。これはもっとふえるでしょう、おそらく。だから、総体予算比較でいったら二四・何%というんですから、膨大な金額です。いわば第二の予算と言ってもいいでしょう。だから、われわれとしては当然、憲法八十三条じゃないけれども、資金運用部資金のこの計画については国会の承認議決を必要とすると、そういうふうにやりなさい。今回確かに一歩前進をして、歳入部面ではそういうふうになったけれども、歳出部分まではすべて包括するというわけにはいかない。だから、こういう問題について今後どう考えるのか、これは政務次官ひとつその考え方を示していただきたいと思うんです。これは内容はこの次にしますが。
  〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕
 もう一つは、資金運用審議会の委員等の名簿ですね、これは資料提示をいただいたんですが、会長が一、会長代理が一、委員が五名、こういうことになっておるわけですね。その出身の状況も掲載をされております。これは明らかに資金運用審議会令という一つの政令――その基本法は資金運用部資金法、この法律に基づいて第八条で設置をして、それで、十四条ですね、具体的にこの資金運用審議会令というものが出てきて、政令で決定をされる、こういう運びになるわけですけれども、だから、まあこの資金運用審議会委員の名簿を見ると、これじゃあ使うところが大体最初からきまっちゃうようなものですね、このメンバーでは。まあそう言ったら人権無視になるかもしれませんけれども、これは過去の経歴からそういうことを言って――それは一、二入ってますよ、やや大衆の代表的なそういう考えの人が。しかし、すべてこういう人に運用されて運用部資金がきめられていくということになるから、内容であとでいろいろ質問してまいりたいと思いますが、私はうまくないんだろうと思うんです。だから、郵便貯金やそういういわば大衆の零細貯金が主として土台になっているわけですから、そういうものの代表もこれは一、二加えるべきじゃないか。こういう面の委員変更ですね、どういうふうに考えられているのか。ことに、見れば相当高齢者もおるようでありますから、大体改選の時期ではないかと思うんですけれども、この二つだけ聞いて、きょうは終わります。
#60
○政府委員(橋口收君) 後ほど政務次官からお答えがあると思いますが、その前にちょっと事務的に御説明を申し上げておきたいと思いますが、第一点の御指摘は、財投対象機関の幾つかの政府関係諸機関の中に性格の違うものがございまして、もう戸田先生よく御承知でございますので繰り返しませんが、公社につきましては、歳入歳出予算全部が国会の議決対象になっております。これは、特別会計から公社が生まれてきたという歴史的な経過もあり、また独占的性格の強い事業をやっているということで、公社は歳入歳出予算全部が国会の議決対象になっております。
 それから、公庫それから輸開銀でございますが、これはおおむね同じ範畴に入るものでございますが、これにつきましては、損益予算と申しますか、利息の支払いとか利息の収入、人件費の支払い、物件費の支払いという、いわば損益予算が国会の議決対象になっておるのでございます。まあ公庫につきましては、さらに借り入れ金につきましても国会の御承認を得て限度をきめている。
 それ以外の公団、事業団、これは御承知のように、できましたのが公社とか公庫よりあとになっております。同時に、事業の性格から見まして、できるだけ機動的、弾力的、自主的な運営を保障することが望ましいということで、経費予算なり事業計画、資金計画は主務大臣の監督、認可ということになっておりまして、国会の議決対象からはずされている。公団、事業団につきまして、他の機関と同じように国会の議決の対象にすべきではないかということは、衆議院でもしばしば議論のあったところでございますが、この問題につきましては、まあ大蔵大臣からもお答えをいたしておりますが、政府側といたしましてはこの財投問題をどういうふうに国会議決との関係において取り扱うか、成瀬先生の御質問にお答えをいたしたときにもちょっと申し上げたのでございますが、どういう形で国権の最高機関の御判断を仰ぐのが一番適当かということを検討いたしました際に、財政投融資を受け入れる機関の側について措置をとる方法と、財投機関に対して融資をするサイドに立っての国会の規制を受けるのとどちらがいいかということを検討いたしました際に、主として財政制度審議会の議論でございますが、率直に申しまして両論ございましたが、やはり一般財政活動の歳出と似たようなものとして、本来大蔵大臣にまかされている資金運用部資金の運用のうち、特に長期のものについては、財政的資金の配分あるいは資源配分的な機能を持つものとして、やはり国会議決の対象にすることが望ましいのではないか、こういう結論で財投に関する法律を立案いたしたのでございまして、それぞれの政府関係諸機関の法制の違いをどうするかというのは、財投問題と関係はございますが、一応別個の問題として把握することが適当じゃないか。したがいまして、これも申し上げるまでもなく御承知でございますが、公社等は公企体ということで労使関係も違った法規制になっております。政府関係諸機関は労働三法が適用になるというような労使関係においても違いがございますし、あるいは特別会計からの発足の経緯ということで、公社につきましては国庫金の繰りかえ使用というような恩典が与えられている。それに対しまして公団はそういう恩典がないというようないろいろな制度上の違いもございますし、発足の経緯も違いますし、むしろ公団、事業団を主務大臣の認可事項にしましたのは、立法府の規制をいただく範囲は、法律でおきめいただく、何と申しますか、公団の任務とか使命とか、そういうことで国権の最高機関の御意思というものは確認できているわけでございますから、それから、先の事業執行というものは個々の公団の自主的な判断、監督大臣の監督規制ということで十分ではないかと、こういうことで、むしろ公社、公庫の運営の成果を見た上での一つの公団、事業団に対する規制というものの生まれてきた経緯というものを考えますと、この問題につきましては、問題として検討する必要はもちろんあろうと思いますが、いま直ちにこの問題を取り上げて公社から公団、事業団まで含めてどういう結論を出すかということはたいへんむずかしいのじゃないかということを大蔵大臣がお答えしたような経緯もございます。したがいまして、問題のあることば十分承知いたしておりますが、しかし、今回財投問題としましては、いわば財投の運用サイドですべて国会の議決をちょうだいする。こういう措置をとりましたことで、財投問題に対しては長年の議論に対して決着をつけたいということで、政府としてはこれは最善の案であるということで御審議をわずらわしておるのでございます。
 それから、第二点は、資金運用審議会の委員の問題でございますが、これは法律に明らかにされておりますように学識経験者の中から選ぶということになっております。まあ審議会の中には三者代表というような審議会もございますし、一つの職域とか利益代表というようなメンバーが入っておられる審議会もございますけれども、資金運用部資金は各種資金のいわば統合運用と申しますか、合同運用の機関でございますので、そういう個々の利益代表的な方というよりは、やはり高い立場から問題の判断に習熟しておられる方を選ぶのが適当だというのが法律の精神でございまして、ただ、いまお話ありました中で、どうもこのメンバーではということでございますが、ただ、このメンバーで資金の流れがきまるというようなまぎらわしい方は一つも入っていないんじゃないかという気がするのでございまして、たとえば、会長は末高先生でございますが、これは早稲田大学の先生でございます。それから、工藤昭四郎さんは都民銀行頭取で中小企業代表者という性格がございます。それから足立正さんは、やはり商工会議所会頭というような職域代表で、かつて郵政審議会に関係しておられた。今井一男さんは、これは労働関係にたいへん精通しておられる方でございますし、年金問題にも審議会の委員などをやっておられる方でございます。鈴木武雄先生は、武蔵大学の教授で、これも財政問題年金問題にたいへん明るい方でございます。高橋雄豺先生はいわば言論界の代表ということで、かつて臨調答申などを起草された方で、決して親政府的な方ではないというふうに思いますし、北野重雄さんは、商工中金の理事長をおやりになった方で中小企業に明るいという方で、いまお話のありました高齢だという御指摘をいただきました点は、率直に認めざるを得ないのでございまして、改選期がいつということは比較的近くにあるのではないかと思いますが、いま御指摘いただきました点も十分考えまして、ただ、学識経験者を選ぶという精神だけではひとつ御承認いただきたいと思っておるのでございますけれども、メンバーの構成等につきましては、十分大臣とも御相談して検討いたしたいというふうに考えております。
#61
○多田省吾君 財投計画はいわばわが国独自の特異な計画であると思います。最近、財投計画は、規模も内容も年々非常に増大しております。国民経済や国民生活に重大な影響を与えるということで、第二の予算ともいわれておりますけれども、まず、基本的な問題としまして、財政投融資の計画とそれから目的それから対象さらに機能、これを政府としてどのように理解しておるのか。わが国特異な制度であるだけに、やはりこの考え方が非常に大事だと思います。まず、その点を明確にひとつお答えを願いたい。
#62
○政府委員(橋口收君) 財政投融資計画は、省略して財投計画などと申しておりますが、これは先ほどもちょっとお答えしましたように、昭和二十八年から生れた制度でございまして、三十年代に入っていまのような形に整備をされましたいわば日本特有の制度でございまして、諸外国には似たような制度はあまりないようでございます。したがいまして、財政学の教科書にも財政投融資のことはほとんど出てこないのでございまして、財政投融資とば何かという定義と申しますか、あるいは概念規定と申しますか、そういうもので国際的に通用するような性格のものはまだないようでございます。財政投融資は結局財政投融資なりという、結局同義反覆的な結論が出てまいりますが、日本の財政投融資は、産投会計、資金運用部資金、簡保資金それに政府保証債を入れましたそういう資金の四つの源泉から各政府関係諸機関に融資をされて、政府関係諸機関がその目的に従った活動を行なう、それが財政投融資のいわば性格、定義、機能でございますけれども、政府関係の機関というのは、やはり国民のニーズということもあり、戦後たいへんふえてまいりましたので、そういう機関の活動に対して資金を援助するというのが財政投融資の任務でございまして、広い意味での一国の財政活動の一部をなし、一般会計、特別会計予算と一体となって資金の活動、財政活動を形成するいわば混合財政と申しますか、そういう性格を持ったものであろうかというふうに考えております。
#63
○多田省吾君 その財投の原資となっているほほ八十数%という資金運用部資金の推移についてお尋ねしたいのですが、昭和二十七、八年ごろからずっとありますけれども、昭和四十年ごろから大蔵省の資金運用部資金が毎年どのくらいか、そのうち厚生年金及び国民年金が大体どの程度占めているか、これは数字的なものでございますが、一応お答え願いたいと思います。
#64
○説明員(福島量一君) 資金運用部の貸借対照表で申し上げますと、昭和四十年度が五兆五百三十八億、うち厚生年金の預託金が一兆四千六十億、国民年金が千八百八十四億、四十一年度が六兆二千三百八十一億でございまして、うち厚生年金が一兆八千百九十八億、国民年金が二千三百九十九億、四十二年度が七兆七千六百四十九億でございまして、厚生年金が二兆二千二百二十二億、国民年金が三千百九十億であります。四十三年度は九兆六千二百七十七億、うち厚生年金が二兆八千三百九十四億、国民年金が四千百八十八億、四十四年度は十一兆八千九百六十二億でございまして、うち厚生年金が三兆四千八百七十八億、国民年金が五千四百八十五億、四十五年度は十四兆六千二百九十七億でございまして、厚生年金が四兆三千四百三十五億、国民年金が七千百七十一億、四十六年度が十八兆一千四百四十八億でございまして、厚生年金が五兆三千六百二十三億、国民年金が九千百八十億でございます。
#65
○多田省吾君 現在はどのくらいですか。
#66
○説明員(福島量一君) 四十八年の二月末現在で申し上げますと、総額で二十二兆三千三百九十五億円、うち厚生年金が六兆二千九百五十二億円、国民年金が一兆九百五十二億円でございます。
#67
○多田省吾君 今回の特別措置の提案理由の説明の中にも、金融的資金という性格のみならず、これはもう財政的資金の性格も持ってきた、あるいは資金配分の重要な一環となっているというような趣旨も説明されました。また、理財局長の先ほどの説明を聞きましても、一般予算と一体となって総合財政を組み立てるんだと、こういうことをおっしゃっています。特に現在の大蔵省の資金運用部資金の二十一兆三千三百九十五億円ですか、この中で厚生年金や国民年金が占めるのは大体七兆四千億近くになっているわけですね。郵便貯金が最も多いと思いますけれども、年金の積み立て金もそのように多額になっています。ですから、こういう大蔵省の資金運用部資金というのは、特に厚生年金、国民年金が非常に多額を占めている、こういったことから見まして、単に、国民の方々に、この資金運用部資金というのは、国営の金融機関であるというような説明はちょっとおかしいと思うんですけれども、政務次官はどう考えますか。
#68
○政府委員(山本敬三郎君) 国営の金融機関といいますか、金融的資金ですから利息がついているわけでございます。一面は、確実有利に運用しなければならぬ、しかし、一面は、国民のニーズにこたえるように使わなければならぬ、そういう意味で、ある意味では金融機関とも言えるんではないか、こう思います。
#69
○多田省吾君 しかし、先ほども申しましたように、この法案の提案理由の説明の中にも、財政的資金の配分という性格を兼ね備えるとか、国民経済の中で果たす資源配分という機能の重要性にかんがみるとか、こういう財政的資金という性格のものを非常に兼ね備えているんだ、こういうこともありますし、その中に七兆四千億円も国民年金とか厚生年金も入っているわけですよ。これは決して貯金のつもりで積み立てているわけじゃないでしょう、国民は。将来、老後の生活のための当然のこれは積立金で、先ほどもいろいろ質問出ましたけれども、賦課方式だったらその金が当然年金として国民に配分されるべきものですよ。それを一時預かっている大蔵省が、こういった七兆四千億円もの年金の積立金をかかえた資金運用部資金を、国営の金融機関であると、こういう説明はどうかと思いますが、どうですか。
#70
○政府委員(橋口收君) 問題は二つあると思いますが、一番端的なのは郵便貯金でございまして、これは一定の利息で国民が預金をするのでございますから、これはあくまでも預金者の便宜のために預金者の判断で貯金をするのでございますから、預けたものを引き出したりあるいは利息をもらうということで、これはもう完全に金融活動であろうと思います。それから国民年金保険、厚生年金保険につきましてはそれは金融的活動であるかという問題でございますが、これは形式論で申しますと、責任準備金というものが形成されまして、保険の収支の差額でございますけれども、それをお預かりしておりますから、運用部のサイドで申しますとやはりお預かりするという意味では金融的な源泉の資金でございます。ただ、その責任準備金なり、保険の収支差額というものはどうして発生したかという点につきましては、いまお話がございましたように強制加入であり、保険料につきましては強制徴収でございますから、そういう意味で金融的性格を持たないのではないか、こういう御指摘であろうかと思います。ただ、この点につきましては、一般の税金と、それから、歳出というものとは、国民のサイドで申しますと、何と申しますか、負担と受益の関係というものが完全に分離をいたしておるのであります。税金を払った人間がどのくらい歳出によって恩典を受けるかということは本来無関係でございますが、しかし、厚生年金保険、国民年金保険は、受益と負担の関係というものは相互に関連をいたしておる相互扶助的な保険制度でございますから、保険料を支払ったものはいつの日にか必ず本人に返ってくる。そういう負担と受益の関係というものは密接な関連を持っております。したがいまして、これを単純にいま、何と申しますか徴収の制度が、税金と同じような強制徴収の制度があるという理由で、税金と同じだというふうに考えるのも、これはちょっと少し行き過ぎではないかという感じがいたします。で、したがいまして、そういう保険集団の中の、いわば将来の保険財源という給付財源を確保するために生じた責任準備金でありますから、それは大事にお預かりをして、所定の利息をつけるというのが私どもの立場でございまして、そういう点で申しますと、やはり二十一兆という巨大な資金を持つ一つの政府の管理する金融機関である。ただ、金融機関と申しましても、それはいま政務次官からお答えがございましたように、単に、収益なり利息をあげるということだけを考える金融機関ではなくして、やはり公共性なり国民の要望というものにこたえるという、そういう本来の公共的任務を持つ金融機関ではございません。しかし、集まったものはお返ししなければなりませんし、お返ししたものは回収するという意味では、やはり金融機関的性格のものであるということは間違いないというふうに考えております。
#71
○多田省吾君 郵便貯金とかそういったものは、いまおっしゃったようなことにも通ずると思いますけれども、厚生年金とか、あるいは国民年金保険の積立金といったものにまで、こういった金融機関的な意味を有するからということで、国営の金融機関と公称して、そういうことを宣伝しながらいくということはちょっとおかしいと思う。ですから、そういう大蔵省の考え方ですから、こういった年金の積立金なんかも、大蔵省が預かっている以上は、どうにでも使っていいのだ、今度四分の一から三分の一の還元融資ということも行なわれましたけれども、そういう考えでいるから、私は、こういう財投計画というものがいろいろな利点もあったでしょうけれども、最近は、大企業のみを太らせるというような、こういった、また円切り上げに踏み込ませたという、こういうようないわゆる大企業優先の、産業優先の財政政策になってきたのではないか、このように思うわけです。で、一体この資金運用部資金を大方の原資としたところの財投計画、毎年、特に昭和四十六年度、四十七年度においては非常に追加が多いわけです。当初計画は四十六年度は四兆二千八百四億円、実績が五兆百億円、四十七年度は当初が五兆六千三百五十一億円、また実績が六兆四千四十八億円と、そしてまた三月五日の衆議院の予算委員会等においては、今回のいわゆる円切り問題において千五百億円ほどの増額を考えてもよろしいと、こういう発言も大蔵大臣はしているわけでございますが、一体四十七年度、四十八年度においてどの程度衣で追加できるのか、どの程度までそういう原資があるのか、まあお答えにくい点もありましょうけれども、また今回当初計画は六兆九千二百四十八億円でございますけれども、場合によってはまた増額されるんじゃないかと、こういうことも考えられますので、一体どの程度まで増額できるのか、はっきりおっしゃっていただきたい。
#72
○政府委員(橋口收君) これは、また先ほど来の議論の中に出ておりますフローとストックの関係の問題でございまして、いままでの財投計画の際の原資の説明が、年々のフローで説明をしてきておるのでございます。これはやはりその一般会計予算の財政パターンというものを念頭に置いてこういうまあ操作をいたしておりますので、まあフローでどのくらいかということでございますと、これは年々の郵便貯金の貯蓄目標額と厚生年金、国民年金の積立額、その他特別会計の積立金、余裕金の増加額ということになるのでございます。
 しかし、先ほど来申し上げておりますように、資金運用部資金という制度が発足いたしましたのは明治の年代でございまして、その当時から郵便貯金を原資として、大蔵省は資金の統合、管理をいたしておるのでございまして、その歴史はおそらく百年までないにしても、八十年程度の歴史があるのでございまして、そのうち財政投融資計画というのを始めましたのは昭和二十八年でございまして、今日まで約二十年でございます。したがいまして、財投計画と資金運用部資金というものが、何か先ほども申しましたように全く同一物であるというような印象を大蔵省自身も与えてきたような傾向がございますが、それとは別にやはり二十一兆円というストックを持つ一つの金融的資金のかたまりがあるのでございますから、いま先生がお尋ねがございましたような、一体どのくらいその追加の原資があるのか。どのくらいゆとりがあるのかというのは、これはたいへんにむずかしい御質問でございまして、たとえば、まあ五兆円の日本の大銀行の頭取をつかまえて、お前のところはどのくらい貸せるんだと、どのくらいゆとりがあるんだという質問を受けたのと同じような感じがするのでございまして、もちろん一つの企業体形態として管理をするまあ補助を相つとめておりますので、もちろんある程度のイメージというものは持っておるのでございまして、特に考える必要がございますのは、資金運用部資金は、日本銀行からの借り入れの規定がございませんので、たとえば、そういうことはあってはならないと思いますが、関東大震災のような災害が発生しました場合に、まあ郵便貯金の引き出しがどの程度あるとかと。そういう場合に、普通の金融機関であれば日本銀行にかけ込むということができるのでございますが、資金運用部の場合にはそういう制度がございませんので、常に流動準備と申しますか、支払い準備というものを用意する必要がございます。したがいまして、一般の金融機関よりは支払いに準備というものを手厚く持つ必要がある。私どもの一応の目標としましては、大体総資産の一割程度はいつでも換金できる資産を持つ必要があるんじゃないか。まあ二十二兆円でございますから、大体二兆円程度のものはいつでも換金できる資金として持つ必要があるんじゃないか。いまの資産運用をごらんいただきますと、短期証券が大体二兆三、四千億円持っております。一割程度は短期証券で留保するという措置をとっておりまして、それ以外は財投各種機関に対する貸し出しのほかに、まあ資金に多少経過的なゆとりがあります場合には、長期国債を持ったりいたしております。したがいまして、資金運用部資金は、集まりましたものを全額を財投計画に計上すべき性格のものではございませんで、やはり景気対策の要請とか、経済政策に奉仕する立場から、集まりました資金より財投計画の運用を少なくするという要請がある場合もございますし、あるいは景気を刺激するためには、集まった資金以上に放出するという必要もございます。いまお話がありました昭和四十六年度のごときは、集まりました資金よりやや上回るぐらいの資金を放出いたしております。これはさっき先生からお話がございましたように、資金運用部資金というものは大体二割以上年々歳々伸びておりますが、端的に申しまして昭和四十三年から五年まで財投計画というのは一〇%台に押えてきております。これが当時の景気対策の要請から財投は控え目にするという一つのフィスカルポリシーと申しますか、そういう立場から財投計画というものを控え目に押えてまいりましたので、そういう意味で運用部資金にはある程度のゆとりがございます。そういうものを原資として四十六年、四十七年に景気対策としての財投の大幅な大規模な伸びということが確保されたのでございまして、そういう機動的な形で運営されるという意味での資金の一つの集団であると。単なるフローだけによってものごとをきめる性格のものでないということにつきまして、従来からやや説明の不十分であった点もあろうかと思いますが、こういう機会にそういう点はよく御説明をいたしまして御理解を得たいというふうに考えておるのでございます。
#73
○多田省吾君 この財投計画が日本の特有の制度であるだけに、非常に外国にも例がない。そしてまた予算の五〇%をこえるような財投計画も昭和四十六年、四十七年において達成されているというようなことから、これは非常にまあフィスカルポリシーという関係から見ても、大きな危険も私は伴うと思うのです。今度、いわゆる特別措置という形でこのような法案を出しましたけれども、私は、当然これは結論を言いますと、こういう変形的な特別措置というものはやめて、財政投融資計画の歳入歳出を一つのセットにした、一つの予算案のような性格を持った別個の法律案を作成すべきである。そうして国会の議決案件として提出するのが国民にもわかりやすいし、それが本来の姿でないかと、このように思いますけれども、まあいろいろな説明もあったわけでございますが、それができない理由をひとつ端的におっしゃってください。
#74
○政府委員(橋口收君) これは本質的な問題でございますが、財投の原資の中に、産投会計それから、政府保証債というのがございまして、産投会計は特別会計の予算で国会の議決をわずらわしておりますし、それから、政府保証債は一般会計予算総則で政府保証の限度をちょうだいいたしておりますので、そこで財投計画ということでいまお話がありましたような、計画表として国会の議決をわずらわすということになりますと、全く同一の事項について国会の御判断を仰ぐということになるのでございまして、これは国権の最高機関をわずらわす政府側の配慮としては欠けるところがあるんじゃないか。したがいまして、この二重議決という問題はどうしても避けることのできない問題でございますので、そういうことで四つの原資をそれぞれ違ったところで、産投会計は特別予算で、政府保証は一般会計予算総則で、運用部資金と簡保資金は特別会計の予算総則で、それぞれ違った場所ではございますが、これによって国会の御判断をすべて仰ぐことができるのでございまして、そういう形で別々の場所でございますが、そういう形で国会の議決を得て、ただ従来から作成いたしております財投計画表の一覧性と申しますか明瞭性は確保するというかっこうで、従来と同じような形で国会に財投計画表は参考資料として提出をする。
 さらに、先ほど来いろいろ御注意をいただいておりますが、関係資料なりあるいは説明資料というものは、さらに今後十分充実をいたしまして、財投計画それ自体で財投計画の全貌がわかるような、あちらこちらの資料を突き合わせなくても済むような、そういう説明のしかた等につきましては十分くふうをしたいと、こういうことでございまして、これによって、まあ先ほど来年金についていろいろ御意見がございましたが、そういう性格の年金資金も含めた合同運用の姿のうち、特に財政的資金の配分といった性格のものにつきましては、国会の御判断を仰ぐと、こういう措置をとったのでございまして、そういう意味で、財投計画はいわば完全に認知された姿になるのではないかと、こういうように考えておるのでございます。
#75
○多田省吾君 この財投計画が最近非常に増大しているわけですが、ソの対象範囲も非常に広がっております。その結果、本来予算で行なうべきものまでその対象とする傾向が強まっていると思います。で、予算との区別が非常に明確でなくなっている。他方では、一般会計から支出されているものの中にも、当然財投計画に入ってよいものもありますし、たとえば、道路整備事業特別会計を通ずる道路公団への出資あるいは中小企業振興事業団を通じて行なう融資活動、こういったものは財投計画と同じような働きをしております。また資金運用部資金の中で一年未満の短期融資、これも非常に多いわけでございますが、これは財投計画に含まれていないわけです。このように現行の財投計画というものは内容的に非常に不明確なものです。国の投資とか融資を系統的に網羅してない。こういうことも、いままでもだいぶ問題になりましたけれども、いま若干のお答えもありましたが、こういった問題を一貫して考えていく計画はないのかどうか。そういうはっきりした資料を出すべきではないかと思いますが、どうですか。
#76
○政府委員(橋口收君) 財投計画は何かという問題と実は関連をいたしておる問題でございまして、産投会計の出資だけでなくて、各特別会計とか一般会計の出資まで、財投計画のいわば独立項目として表示したらどうかと、こういう御意見であろうかと思います。これは先ほど申しましたように、昭和二十八年にできました当時からの沿革的な理由が大きな理由でございまして、当時産投会計は非常に大きなウエートを占めておったのでございます。現在ではそのウエートというものが低下をいたしておりまして、資金運用部資金というものが非常に大きなウエートを占めている。で、一般会計、それから各種特別会計からの出資金、各公団、事業団に対する出資金というものを特に独立項目にいたしておりませんのは、主として沿革的な理由でございまして、そのほかに一般会計、特別会計の出資を全体として明らかにするという一つの御提案もあろうかと思いますが、そういうことになりますと、何と申しますか、まあ一例でございますが、たとえば、国立劇場とか、あるいは国立教育会館とか、こういう本来採算性を予定しない機関に対する出資というものもございますので、そういうものも含めて財投というのは、いささか、いわゆる財政投融資ということばになじみにくいのじゃないか。やはり財投計画というものは、機関というものがある程度の経済性と申しますか、収益性と申しますか、そういう収益的、採算的基礎の上に立って活動する機関というものが、いわゆる財政投融資対象機関でございますので、そういう一般会計からの補助的な出資とか、あるいは特別会計からの出資等も含めまして表示するというものは、やはり財投計画の一つの経済性に立脚した立場というものと相いれないのじゃないか。そういう角度から、一般会計、特会からの出資は、いわゆる自己資金の中に表示をいたしておるのであります。したがいまして、繰り返しになりますが、財政投融資計画とは何かといえば、財政投融資計画なりということでございまして、特に学問的に財政投融資計画という定義はございませんので、戦後日本の開発した財政投融資計画として問題をとらえると。で、そういう表示のしかたというものが、やはり二十年の歴史がございますので、いわば日本の経済の中で定着をいたしておりますので、統計の継続性ということもあって、いまここで表示のしかたを基本的に変えるということは適当じゃないのじゃないか。ただ将来の問題としては、一国の財政投融資活動全体をどうやって表示したらいいかという問題は残るかと思います。しかし、それは財政投融資計画そのものでなくて、一般財政へ財投を通じて投融資というものをどうやって表示するかという別個の問題として検討すべき事項ではないかというふうに考えております。
#77
○多田省吾君 このいわゆる資金運用部資金が財投計画の八十数%、大部分を占めているわけでございますけれども、郵便貯金にしましても、この前の小口融資と引きかえに預金金利の引き下げと、こういうことで国民は非常におこっているわけです。どうしても今度の公定歩合の引き上げのときには、こういった郵便貯金の預金金利も引き上げるべきだと、こういう声も非常に強いわけです。また政府、大蔵省は特に郵便貯金なんかはこういうふうに利用しているのだということをいろいろ宣伝なさいますけれども、ほんとうに国民に還元される部門等はもっともっと倍増してもいいのじゃないか、こういう考えです。また先ほどからお話しのように、年金の積立金にしましても、当然外国並みに賦課方式で年金として国民に還元されなければならないはずのものが、いろいろな理由を設けて、いわゆる修正積み立て方式というような姿で、毎年これが資金運用部資金が三兆五千億円から三兆円づつふえているわけです、最近は。そしてこれが財政投融資としてもう予算の五〇%内外使われているということ、これは相当考えなければならない問題だと思う。
 それから、四十八年度の特別会計の予算総則に規定するいわゆる弾力条項、これも財投の性格からして、これは全面的に私たちも否定はしませんけれども、五〇%の弾力条項というのは非常に常識を欠く幅じゃないか。ある一定ワクをこえる追加支出が必要な場合は、当然補正予算を組んで国会の審議を求めるのが財政民主主義のたてまえからいっても筋ではないか、こういうことも私は言えると思うのです。なぜこういう弾力条項を五〇%にもしなければならないのか、これをひとつお答えを願いたい。
#78
○政府委員(橋口收君) 五〇%弾力が過大ではないかという御注意でございますが、これは全機関に対しまして五〇%を同時に発動するというようなことは考えていないのでございまして、それは原資面の制約から申しまして、五兆六千億の五割ということであれば、二兆八千億ということでありますから、二兆八千億の資金を右から左に捻出するということは、これは困難でございますから、これは全機関について五割ということではなくて、それぞれ機関の特殊性から見まして、ほんとうに必要なものについて五割まで弾力条項の発動をお願いしたい、こういう趣旨でございます。これは三十三年から政府関係機関の借り入れにつきましても五割の弾力をちょうだいいたしておりまして、これは毎年政府関係機関予算の総則に五割弾力の規定がございまして国会の御承認をいただいております。それから、四十六年度から政府保証債の保証の限度につきましても、機関ごとに五割の弾力をちょうだいいたしておりまして、四十六年度、四十七年度すでに二年間国会の議決をちょうだいいたしております。そういう先例がございますので、それから、また各機関ごとに差等を設けるということが実務上たいへん困難でございますので、全部五割ということにいたしております。ただ、これは過去の事例で申しますと、五割で足りない場合がございます。たとえば、商工中金のごときは、五割以上の弾力を必要とする事態がございまして、現に制約のない時代には五割以上にふやしたこともございますが、しかし、商工中金についてのみ八割とか、あるいは倍とかというような弾力をちょうだいするということも、これはなかなか御理解を得にくい問題であろうというふうに考えまして、まあここは思いきりよく全体として五割ということにいたしておるのでございまして、かりに中小対策等で五割をこえるような弾力が必要になるときは、これは補正の措置をお願いする、こういう趣旨でございますので、特に過去の他の事例、それから従来の実績等から見まして五割は過大であるというふうには考えておらないのでございます。
#79
○多田省吾君 先ほど戸田委員が質問されましたけれども、資金運用審議会の問題でございますが、七名の学識経験者からなっておる。まあ民間の学識経験者であると、こういうことでありますけれども、先ほどお伺いした以外にちょっとお尋ねしたいのですが、これは大体年に何回ぐらい審議会開かれているのか。またその審議録は資料として最近のものをいただけないのかどうかですね。まあ選挙制度審議会なんかは資料としてはっきり公開しておりますけれども、それはいただけないのかどうか。できる限りの資料をひとつ一応いただいておきたいと思いますが、この問題でひとつ……。
#80
○政府委員(橋口收君) 資金運用審議会は、法律の規定によりまして、普通の調査、審議の機関ではございませんで、行政審議会的な性格を持っておりまして、どこの機関に幾らの金額を貸すとか、あるいはどういう条件で貸すということは、全部審議会の議を経ることになっておりますので、開催の回数はたいへん多くなっておると思います。正確なのは、四十六年度で申しますと十三回でございます。それから、そのほかに持ち回り決裁とか、あるいはその委員だけの懇談会というものをしばしば開いておりまして、ことに最近、この法律案を立案する過程では数回にわたって委員会で御議論をいただいたような経過もございますので、これは普通の調査、審議の審議会ではございませんので、開催の回数はたいへん多くなっておると思います。
 それから、審議会の議事は非公開になっております。これは政令の規定であったと思いますが、議事は非公開とするということになっておりますが、ただ、いま先生のおっしゃいましたような御要望があれば、毎年資金運用審議会に運用報告書というのを出しております。四十六年度の運用報告書というのがございますので、これは御要望があれば資料として提出をいたしたいと思います。
#81
○多田省吾君 時間もありませんので、あと二、三問質問いたしますが、今回は、まあ従来政府関係機関を除く公庫、公団等の予算というものは主務大臣限りの認可であったわけでございますが、今後は歳入の面のみ国会の抑制のもとに置かれる。まあ若干前進のように見せかけておりますけれども、最も肝心な歳出面におきましては国会の議決が及ばないわけです。それでこれらの公庫、公団というのは、随時必要に応じて借り入れ金等を行なって事業を拡大することもできるし、またいま言ったような弾力条項五〇%というような問題もあります。で、こういったことでは、まことに国会議決といっても有名無実な国会議決になっているんじゃないかと、このように思います。そういう観点から質問したいのでございますけれども、いま局長がおっしゃったように、財投計画の一部が参考として国会に提出をされるようになったのは、昭和二十八年度からでございますけれども、その対象機関の推移を見ますと、二十八年度は特別会計が四つ、公社二つ、公庫等六つ、公団一つ、地方公共団体等二つ、特殊会社等一つ、十八機関でございます。金額は三千二百二十八億円、それに対して四十八年度を見ますと、対象機関は、特別会計が八つ、政府関係機関が十三、公団、事業団、基金等合わせて二十九、特殊会社等五と、合わせて五十五機関、財政投融資額も六兆九千二百四十八億円と、このようになっております。この二十年間で、もちろん物価値上がり等もありましたけれども、対象機関は三倍になって、資金量も二十倍にふえているわけでございます。そして、公社、公団、事業団が非常にたくさん新設されている。これらの支出や貸し出し、融資条件、償還計画等はもっぱら主務大臣の認可事項で、具体的な中身は全く国会の議決外に置かれております。で、公社、公団、事業団へ天下る高級官僚の聖域だということで国会の統制外に置かれている。こういった姿は、私はまだまだこれは、国会の議決という美名はありますけれども、実質的にまだ国会のワク外に置かれているのではないか、このように思います。
 で、先ほどから、まあ二重議決の問題等もありますけれども、私はこの問題もほんとうに大蔵省が良心的に出そうとするならば、一元的に歳入歳出を合わせた提出の方法があろうかと思います。こういった問題を大蔵省として前向きにもっと考える必要はないのかどうかですね、それをまずお伺いしたい。
 それから繰り越し金の問題もあります。日銀の国庫収支年報に載っている財投の政府資金の実行状況によりますと、四十五年度では政府資金の実行総額は二兆八千億円、次年度への繰り越しは五千億円という巨額に達しております。また四十六年度では政府資金の実行総額が三兆四千四百億円、次年度への繰り越し額は九千五百億円にのぼっており、このような大きな繰り越しは当然これは財政法第十四条の三に規定する繰り越し明許費として毎年度国会の議決を経て行なうのが財政法のたてまえであります。今回の特別措置法案の第三条の長期運用予定額の繰り越しと、その自動的運用規定を設けておりますが、これは年度独立原則の例外規定であるところの財政法第十四条の三の繰り越し明許費を拡大し、国会議決を空洞化する行政の逸脱行為であると、このように考えますけれども、この問題をどう大蔵省は考えておられるか。
 この二点をひとつお伺いしたい。
#82
○政府委員(橋口收君) 最初の問題は、財投対象機関と申しますか、政府関係諸機関に対する立法府の規制の程度なり、あるいは行政府の関与の程度が違うという問題でございますので、これは戸田委員に対する御質問にお答えをいたしたのでございますが、財投のサイドから申しまして、歳出の面で国会の議決をちょうだいいたすことになりましたので、それを受ける各機関の側では歳入ということでございまして、その受けた歳入がどういうふうに使われているかということにつきましては、これは財政法二十八条の参考書類で主要収支表示につきましては、貸借対照表、損益計算書、資金収支の三表を提出をいたしまして御審議の参考に供しておるのでございます。したがいまして、財投と国会議決との関係について、いかに調整措置を考慮するかという角度で考えました場合には、財投のサイドから、金の出る際に、そのいわゆる一般会計歳出予算と同じような、似たような性格を持つものとして国会の議決をちょうだいすると、そういう形をとることによって、財投の活動自体は全部国会の議決をちょうだいしたことになると、こういう基本的な考えのもとに法案を立案したのでございます。
 それから、繰り越し金の問題でございますが、計数は先生の御指摘になったとおりでございますが、これも先ほどお答えをしたところにまあ尽きておるのでございますが、一つは、財投計画、資金運用部資金の貸し出しというものが年々多くなってまいりますと同時に、また年度途中の追加ということもございますので、実際の執行というものは年度後半にずれる傾向がございます。そのほかに一番大きな原因としては、地方団体が出納整理期間にいろいろな始末をつけるということで、三月末に起債の申請をいたしませんで、四月、五月に起債の申請をするということで、四、五月にわたって資金が集中して出るというのが実情でございます。それから、各機関としては利息のついたお金でありますから、なるたけ手金を活用いたしまして、料金収入とか事業収入とか、あるいは回収金とか利息のつかないお金をできるだけ活用しまして、利息を払わなければいけない財投からの借り入れ金というものは、なるたけ年度後半に持ち込む。そういう理由でどうしても上半期が支出が少なく、下半期に融資が集中し、しかも、年度をまたがって年々歳々繰り越されるというのが実情でございます。これは財投対象機関の融資機関なり事業機関の性格から申しまして、金融環境とか、あるいは事業の進捗等の点からそういうことが出てくるのでございまして、一般予算につきましても、繰り越し明許費という制度をお許しいただきまして、これは事項ごとに指定をいたしておりまして、繰り越し明許費と申しますと、いかにも金額そのものがあるようでございますが、これは事項の指定でございまして、こういう事項については、たとえば公共事業費というものにつきましては、おおむね繰り越しということが避けられない。そういうものとして繰り越し明許費として国会の議決をちょうだいしておるのでありますが、それよりもっと弾力的な運用が要請される財投対象機関の事業でございますから、かりにこれを繰り越し明許ということにいたしますと、財投対象機関に対する融資全体を繰り越し明許費ということで御指定を願わなければならぬということになるわけでございまして、そういう形で年々歳々すべての融資というものを繰り越し明許費として指定し、国会の議決をわずらわすというのはたいへん恐縮でもございますので、これは事業機関の性格から見まして、法律の規定によりまして繰り越しというものが許される、こういう措置をとったのでございまして、いま先生のおっしゃいましたのは手段の問題でございまして、明許費という形をとるにしましても、あるいは法律による繰り越しという措置をとるにいたしましても、いずれにしても繰り越しというものはどうしても避けられないものでございまして、いかにも繰り越しと申しますと、不要の金が来年にいくというような感じがいたしますが、やはり各機関が契約をし、事業の認定を受け、事業を執行いたしますから、実際に金が出るのが翌年度になるということでありまして、事業が不要になったものにつきましては、不要の措置ということで資金を取り上げるようにいたしております。実際に事業ができる見通しがあるが、実際に金が出るのが翌年度になるというものについてのみ繰り越しの制度を設けておるのでございます。法律で繰り越しをお願いしておるからと申しまして、別に乱に流れるような措置をとるつもりは毛頭ございません。また財投機関も利息のついたお金でございますから、要らない金は借りるということもございませんので、そういう点から申しまして、明許費という形をとるか、法律上の繰り越しという形をとるかということは便宜の問題だと、このように考えております。
#83
○多田省吾君 私は、開発銀行とか輸出入銀行なんかは、もう相当戦後の復興に役立ったとはいっても、その使命を果たしているんじゃないか。こういう関係から整理、改廃をすべきじゃないかと思いますけれども、その点どう考えるかどうか。特別会計あるいは公社、公団、事業団などの対象、機関というものは増加する一方でございます。役割りや目的を終わったものまでいろいろな名目をつけて既得権化するという弊害も出てきております。特に戦後の復興金融の機能を受け継いできたという開発銀行、それから経済再建とか産業開発、輸出入貿易振興、こういう名目でばく大な長期低利の融資を基幹産業に対して奉仕してきたこの輸出入銀行、こういったものはやはり整理、改廃してもよろしいじゃないか。四十八年度の計画では財投の国会議決に手をつけたとはいっても、その実態は、先ほどから申し上げているように私は骨抜きだと思います。財投計画の大筋は一向に変わっておりません。いま外貨準備が二百億ドル近く非常に累積しております。国際的にもわが国に対する貿易制限の風当たりが非常に強くなっている。その中で大商社等の木材買い占め等、アメリカやフィリピン等も最近では木材のいわゆる経済封鎖のような姿をとっております。それが各品目に及んでいるじゃありませんか。こういったその中で長期の通貨の変動相場制と、円の大幅な再切り上げが迫られているわけでございますけれども、こういう中で大企業優先、産業優先の高度経済成長の弊害の大きなツケが国民にのしかかかろうとしている、こういう状況において、私は先ほど申し上げたように開発銀行や輸出入銀行、こういうばく大な長期低利資金というものが大企業に対して貸し付けられておりまして、その一部を申し上げますと、日本郵船はその長期借り入れ金が千七百億円のうち開銀の融資が千二百億円、約七割の高率貸し付けでございます。また石川島播磨重工の場合は、長期借り入れ金が三千九百億のうち、輸銀融資が約二千億円で、約五割の高率でございます。こういった問題もありますので、私はこういう提案をするわけでございますが、その点どうお考えでございましょうか。
#84
○説明員(岩瀬義郎君) たいへん大きな問題でありますので、輸開銀に直接の御質問でございますので私からお答え申し上げます。
 輸開銀の使命につきましては、先生御承知のように、戦後経済の復興並びに現在までの日本経済の発展のために、大いに役に立ってきたということについては御異論がないかと思います。ただ、その後、日本経済の復興に伴いまして、輸開銀の使命と申しますか、そういうものもこの政策にあわせまして若干変容をいたしてきているわけでございます。最近では、特に輸銀につきましては、従来の輸出優先のたてまえから、なるべく輸入に重点を置くほうに――ただ、開銀にきましても、基幹産業優先から、国民生活改善というか、そういったものを中心に政策を変えてきております。したがいまして、輸開銀がすでに使命は達成したので、もうなくてもよいではないかという御質問に対しましては、私どもは、輸銀につきましても、開銀につきましても、新しいやはり日本の経済の発展のために必要な役割りというものは持っているのだというふうに考えております。たとえば、輸銀にいたしましては、従来、船舶を中心としてありました輸出金融から、エネルギーあるいは鉱物資源の確保を目的としました輸入投資金融と、経済協力のための特別借款等に重点を置きつつありますし、開銀につきましては、いわゆる産業金融から、公害予防、公害防止、それから、流通近代化、特に大都市再開発、国民生活改善などの社会開発関係、国民福祉の向上のための方向にわざわざ法律を昨年改正いたしまして、時代の要請にこたえているわけでございます。したがいまして、これから輸開銀につきましては、そういう面をさらに活用していきたいと考えております。
 それから、船につきまして、特に、先ほど御指摘の会社について、特別に融資が多いではないかという御質問でございますが、御承知のように、輸銀の役割りと申しますものは、設備投資を延べ払いで金融するというたてまえでございますが、戦後日本の経済の発展に対して、船舶輸出というのが外貨獲得のチャンピオンであったことは御承知のとおりでございます。したがいまして、ストックで見ますとかなり船舶の輸出に対して輸銀の融資が行なわれていることは御承知のとおりでございますが、最近の輸銀におきますところの船舶輸出に対する金融のシェアと申しますか、それはストックとフローで見ますと、たとえば、四十七年の九月は船が四二%、それがフローで見ますと三三%に下がっております。逆に輸入金融は、四十七年の九月が、ストックで見ますと四%でございますが、フローで見ますと一六%というように、やはり過去における日本が、外貨が非常に不足しておりましたころに、外貨を獲得する一番力強い輸出という点において、船舶に多少重点を置かれておったという点が、いまの残高になっているかと思いますけれども、今後こういう点につきまして、輸銀の融資の中身を漸次、時代の要請に合わせて改変していきたいというふうに考えております。
#85
○多田省吾君 私は、その御答弁には非常に不満でありますけれども、最後に質問したいのは、やはり厚生年金、国民年金の問題です。昭和四十八年度の計画では、厚生年金及び国民年金の預託増加額の、いわゆる還元融資比率を従来の四分の一から三分の一に引き上げましたけれども、資金配分の本質というのは一向に変わっていないわけです。また厚生年金及び国民年金の現行に比べた給付の改善による給付費の増額というのは、合計で約七百億円、ところが厚生年金、国民年金の現行に比べての保険料の増額部分が合計で千六百五十億円と、こういう姿でこの千六百五十億円の値上げ分が財投の原資としてまた流動すると。政府が福祉優先、国民生活第一というんであるならば、これは政務次官にお尋ねしたいのですけれども、こういう姿じゃなくて、もう現行の修正積み立て方式を賦課方式あるいは修正賦課方式と、こういう形にすれば、いままで厚生省なんかが言っていたように、いま老人人口がだんだんふえてくるから行き詰まるなんということじゃなくて、これを毎年きちっと計算すれば、私どもも計算しておりますけれども、これはできるんです。修正賦課方式というようなやり方をすれば、各野党が全部言っているように、国民年金、厚生年金ともに五万円くらいの給付ができるわけです。こういう賦課方式になぜ切りかえないのか、そしていたずらに年金の積立金がどんどん資金運用部資金として、郵便貯金もあわせて毎年三兆五千億も増額されて、しかもそれが、財投資金として毎年一般予算の五〇%以上も計画されるということは、私はやはりこれは不自然であると思う。そういう年金のあり方、これはもう資金運用部資金とも非常にかかわり合いが強いのでございますので、これを最後に、そういう前向きの姿勢に改めることができないのかどうか。いままでのような、単なる言いわけ、こういったことは私は聞きたくない。そんな抽象的に、老人人口が増加するから、そういう計算もしないで、そういう言い方をされたのじゃ困ると思うんです。そういう計算をしても私は可能だと思う。そういうお考えがないのかどうか、最後にお尋ねして終わりたいと思います。
#86
○政府委員(山本敬三郎君) 財政投融資資金計画表の一番しまいのほうに使途別分類表というのが出ております。その中で、年金資金というのは、四十七年も四十八年も基幹産業や貿易・経済協力等には一切使わないと、そして(1)−(6)分類といわれます生活環境、文教、厚生、そういったところへと四十七年度で全体の七九・九%、四十八年度で八五%を使っている。こういうことでありますから、年金資金等の性質にかんがみて、誤解を招くような運用をしないという方針をとっていることは、ひとつ御理解をいただきたいと思うわけであります。
 それから、もう一つの問題の、賦課方式でいこうか、積み立て方式でいくかという問題は、先ほどもお答え申し上げましたけれども、一政務次官の発言できるような問題ではありません。また大蔵省だけの問題ではなしに、日本の老人対策、社会保障体系をどうするかという問題で、これから真剣に議論され、審議会等の議を経てやられる問題でありますから、そういうふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。
#87
○栗林卓司君 同じようなことをお伺いするようになりますけれども、重ねてお伺いしたいと思います。この資金運用部資金の性格というのは、提案理由にもありますように、受動的な有償の預かり金の運用というのが一つの性格だと思います。そこでお伺いしたいのは、有償の預かり金が年ごとにふえていってほしいとお考えになりますか、どちらでもかまわないとお考えになりますか。この点はいかがでしょう。
#88
○政府委員(橋口收君) 年々ふえる性格を持っておるものじゃないかというふうに考えるのでございますが、これは一般金融機関の場合でございますと、御承知のように、いわゆる信用創造という活動がございまして、預金を預かりますと、その一定部分を支払い準備に残して融資をすると、また融資をした預金を預かってまた融資をするという、いわゆる信用創造というものの活動がございますが、わが資金運用部の場合には、いわゆる債務者預金というものは全然ございませんで、郵便貯金の預金者というのは全く預金だけをしておりまして、その預金を源泉として財投機関に金を貸しておりますので、したがって、そういう意味で、人為的な操作によって、見せかけと申しますか、預金がふえるというような形の性格のものではございませんので、国民所得がふえるに応じて、やはり貯蓄という形態のものもふえるんじゃないか。ただ、先ほど来議論がございましたように、やはり社会保障というものが行きわたるにつれて、やはり貯蓄率というものは低下する傾向があるのじゃないかというふうに考えられるのでございまして、現在二〇%というような貯蓄率の国はよその国にはございませんので、英米のように一けたというような時代はすぐ来るとも思いませんが、やはり貯蓄率が下がるというような時代がまいりますと、可処分所得がふえても、やはり伸びは従来よりはスピードが落ちる、そういう時代が来るということは、これはある程度予想しておかなければいけないんじゃないか。したがって、ふえないほうがいいか、ふえたほうがいいかという問題は、単に財投計画を編成する難易な立場からだけ判断すべき問題ではなくて、やはり日本の経済構造なり、社会構造なり、所得構造というものが変化していくことに伴って、おのずからの、いわば帰結として生まれてくるものじゃないかと、そういう意味では、いまのようなスピードでふえるということは、将来にわたっては期待できないんじゃないかというふうに考えております。
#89
○栗林卓司君 いま預かり金を運用している対象をながめまして、よく予算の硬直化といいますけれども、いろいろ理屈はあっても、そうはこれは押えられないというものを、かりに硬直化としますと何%ぐらいあるとお考えになりますか。
#90
○政府委員(橋口收君) これはまあ組織があり、人がおりますと必ず事業をやるという宿命を持っておりますので、端的に申しますと、公社、公団等の行政機構の改革と申しますか、整理と申しますか、そういうものはなかなか進まないという事実が一方にございますので、また一例を申し上げて恐縮なんですが、たとえば、八郎潟新農村建設事業団ですか、というのがございますけれども、これもおよそ任務を終わっておるのでございますけれども、もちろんまだ廃止ということにはなっておりません。数年前に臨調答申を受けて、だいぶ政府が努力をいたしましたが、その結果廃止されたものはそうたくさんなくて、愛知用水公団とか北海道地下資源とか、そういう限られたものでございまして、したがって、そういう公団、事業団、公庫等が、やはりふえてまいりますと、これは年々歳々事業の盛衰はございますけれども、やはり機関がある以上は、やはりどうしても財投の融資をしなきゃいかぬ、という意味では、これは全部が硬直化と申し上げるのは少しオーバーになりますが、実際問題としてなかなか、任務を持ち存在する機関に対して融資をしない、財投をお断わりするということは、実際問題として非常にむずかしいことだというふうに考えます。
#91
○栗林卓司君 いまお答えのとおりだと思います。一方では新しい財政投融資に需要が出てくる。そうなると、預かり金を運用する担当局としますと、預かり金がそう減っては困るんだということは、これはもうそのとおりのことだと思うのです。何もそれとからめて変な聞き方をするわけではありませんけれども、片方では、なかなか資金を減らせないし、減ってもらっては困る。片方では、先ほど来の御議論のように、厚生年金、国民年金の問題、制度の改廃があると、その預かり金の量というのは大きく変化するわけです。その意味で、財投の担当局からすると、大きく変化されては困るんだという御意見を当然お持ちになると思いますけれども、その点はいかがですか。
#92
○政府委員(橋口收君) その点はおっしゃるとおりでございまして、急激な変化というものはたいへんに困るのでございまして、漸進的な変化であれば、一方に財投対象機関というものが現存して、しかも、それが、それにふさわしい事業をやっているということであれば、裁量の余地はあるのでございまして、非常に極端な議論でございますが、かりにそういうことが、予想するということもどうも適当でないかと思いますけれども、かりに全部賦課方式になったというふうに考えますと、それだけ、一兆数千億の厚生年金、国民年金の資金の増というのはなくなるわけでございますから、その場合にどうするかという問題はこれはまあ、そういう極端な事例で申し上げるのは恐縮なんですけれども、一方にやはり、その場合にも財投対象機関から資金需要というものがあります場合には、それだけ一兆数千億は民間に滞留をしておるわけでございますから、それだけ国民所得の増となっておりますので、その限界貯蓄の部分ぐらいは拝借できるということでありますから、それは政府保証債を増発するというようなかっこうで対応することが可能であろうと思いますので、もちろん政府保証債を発行いたしますと、資金コストは上がるという損益の問題はございますけれども、そういう形で対応することも可能でございますから、漸進的な変化ということであれば、これは十分対応の措置があるんじゃないか。したがって、私どものほうも、資金が多ければ多いほどいいというほどそういう直線的な考え方はいたしておりませんので、やはり状況の変化に応じて対応できるような措置は常に研究していなきゃいかぬのじゃないか。まあ、さっきちょっと申し上げました支払い準備的、流動準備的なものをかなり持っておるというのも、そういう事態を予想いたしまして、単に支払い準備ということだけじゃなくて、融資準備と申しますか、貸し出し準備と申しますか、貸し出し需要があった場合、いつでも対応できるような用意をするという意味でも、やはりある程度の資金というものはゆとりを持って持つことが必要じゃないかというふうに考えておるのでございます。
#93
○栗林卓司君 預かり金の運用ということを考えると、ただいまのお答えになりますし、なるべく緩漫な変化であってもらいたい。これはよくわかります。一方では厚生年金、国民年金に対する国民的な期待感からしますと、急激な変化であってもらいたくない。その間をどうつなぐか。ほんとうは片方は社会保障の問題ですから、それと運用の資金繰りの話をほんとうは遮断して考えなければいけないということではないかと思いますが、あとで触れますけれども、もう一つ別なことを伺います。
 先ほど過剰流動性ということに触れまして、過剰流動性というのは、外貨の蓄積過剰からきた民間金融機関における資金のだぶつきである。したがって、それは財投の面で資金量をかげんするのではなくて、民間金融機関に対して預金準備率あるいは何がしかの金融政策を講ずることによってそちらで対応すべきだ、こういう御意見を言われました。いわば資金運用部資金の財投分というのが根っこなんです。念のため繰り返しますけれども、そういうことでしょう。
#94
○政府委員(橋口收君) 財投資金の中心をなす資金運用部資金でございますが、二十二兆程度のものがございまして、まあ、資金ベースの出入りで申しますと、金融環境の影響等を受けまして出がよくないものでございますから、揚げ超になっております。つまり郵便貯金なり、あるいは厚生年金の引き揚げと、それから資金運用部資金の払いとを計算いたしますと、揚げのほうが強くなっております。それから、一般財政も最近の税収の好調を反映いたしまして揚げ超になっております。したがいまして、外為の散超を相殺いたしまして、四十七年は財政全体としては引き揚げ超過になっておりまして、ことしの二、三月、ちょっとまた少し出たようでございますけれども、傾向としては四十六年と比べるとたいへん様相が一変いたしております。
 一方、金融のほうは、私の所管ではございませんが、実際に外為の散超がトータルで六兆円くらいでありますのに、金融機関の貸し出しの増はそれをはるかに上回るということでございまして、どういう政策をとるかという問題は別といたしまして、やはり経済の実態に着目してすなおに理解すれば、やはりさっきちょっと触れました信用創造的な行為というものが金融機関のほうで対応されまして、それがいわゆる信用が信用を呼ぶというかっこうで、過剰流動性の一つの原因になっているということは認めざるを得ないんじゃないかという感じがいたしておるのでございます。
 ただ、この問題はたいへんむずかしい問題でございまして、単に資金ベースだけでものを見ていいのかどうか。契約ベースと申しますか、事業べースと申しますか、経済の動きというのは心理的な要因が非常にございますから、単に資金が揚げているからそれでいいということも言い得るかどうか。やはり財投計画が追加になるということの経済に対する心理的なはね返りということもございますので、単に資金の満ち干だけで物事を判断するのは適当でないと思いますが、やはり資金運用部資金には信用創造行為がないという点が基本的に民間の金融機関と違うところじゃないかというふうに考えております。
#95
○栗林卓司君 信用創造行為はないと思います。ただ、いま最後にお触れになったように、それをどう扱うかということが心理的な影響も含めて景気対策にずいぶん触れてくる。またそういう御認識があるから長期繰り延べだったと思いますが、そういう制度を今度法律案の中に書かれた。補足説明には、景気調整的機能を考えてとあるわけで、当然お考えになっておる。そうなると、現在揚げ超であるかどうかは別にして、とにかく資金はだぶついてしまったというときに、昨年を振り返ってみると、当初計画が四兆二千百九十三億、これは資金運用部資金だけです。で、八月八日、十月二十日にそれぞれ何千億という額を追加して、この追加理由というのは、景気刺激ということが大きな理由でございます。それを足しても四兆九千四百十二億。で、四十八年度の当初計画が五兆六千二百三十九億。なるほど民間金融機関というのは信用創造機能がある。別途の金融政策を受けといいながら、自動的な預かり金の運用だということだけを考えて、全部財投に回していいのだろうか。片方では、過剰流動性という問題があるし、それをどうやってとるかというのは、先日の愛知大蔵大臣ですけれども、たいへんむずかしいのだという話があるわけだから、いろんな手段を累積的に活用していかなければいけないのかもしれない。そういう配慮が今回の資金運用部資金の当初計画五兆六千二百三十九億には入っていないように見えるのですけれども、その辺はいかがでしょう。
#96
○政府委員(橋口收君) 昨年の夏と十月――まあ十月は補正でございますが、夏はまあ主として資源配分的な立場から、地方財政、地方債の関係で追加をいたしたのでございまして、それは先ほどもちょっと御説明いたしましたが、上下水道、その他社会福祉関係の需要がかなり強いと、そういう実態を反映いたしまして措置をとったのでございますが、まあいまになって考えますと、やはり一昨年の十二月が景気の底でございましたので、昨年の夏あるいは一般会計予算の補正も含めてでありますが、昨年の夏以降の財政活動がはたして経済の実態に適合していたかどうか、これはまあいろいろ御意見なり御批判のあるところであろうかと思いまして、まあ大ぎょうに言えば、後世史家の評価に待つという問題もあるのじゃないかという感じがいたしておりますが、いずれにいたしましても、一方に外為会計の散超があり、一般会計で吸収すると申しましても、その外為会計の散超で受益する分野と、揚げ超で負担する分野との問題もございますし、そこに任意貯蓄の範囲内であるとはいいましても、財投計画の追加をすることの国民経済に対する心理的な影響という点を考えますと、確かに慎重な配慮が必要なのでございまして、四十八年度は――四十七年度は三一・六%に対しまして、二八・三%ということで伸び率を控え目にいたしましたのも、やはり一般財政との総体としての活動というものを適正な範囲に押えたいと、そういう念願からでございますが、ただ最近の物価情勢とかいろいろな経済情勢の推移を考えますと、やはり今後の財政投融資の実行過程においては、いまそういうことを申し上げるのはちょっと早いと思いますが、まあいろんな角度からやはり検討したり考えたりする必要があるのじゃないか。五兆六千億を基盤にして六兆九千億の財政計画を組みましたときは、景気刺激的な性格は持たないと、どちらかといえば控え目、押え目にしたいということで組んだのでございます。しかし、去年からことしにかけての財投の活動というものが経済にどういう影響を与えるかということは、もう少し推移を見て、それこそ弾力的な機動的な対処のしかたをすべきものであるというふうに考えております。
#97
○栗林卓司君 私にはどうもこう思えてならないのですけれども、間違っていたら直していただきたいのですけれども、いろいろ経済全体の姿を考えて財投をこういうぐあいにする、お話よくわかるのですけれども、最初の、全部を硬直化したとは言えませんけれどもという、そういう運用対象との関係で考えますと、回りがどう動こうとも、預かった分だけは全部使っている。しかも、それは総額としていいかどうかという検討もするけれども、結局は個々の運用対象の積み上げで固まってしまった。これまでの歴史的な経過がありますけれども、結局そういうものとして今日の資金運用部資金の使い方というのができ上がってきてしまったんじゃないか。したがって、ほんとうは過剰流動性対策とか、景気対策ということで総額を押えたいといっても、そういうものは政治的になかなかむずかしくなってきたと、預かったものだけはとにかく運用するだけなんだと、そういうような役割りを持ったお金の集団に思えてならないんです。片一方ではそういったものがあるから厚生年金、国民年金についてはドラスチックな変化を国民の側が望んでいても、ちょっと待ってくれという議論が内部に出ざるを得ない、そういうものとして、どうも見えてしかたないんですけれども、この点いかがでしょうか。
#98
○政府委員(橋口收君) 年金の関係はまあ当初計画に対しまして実績がそう大きく狂うということはございませんが、一番狂いますのは、やはり郵便貯金でございまして、これは郵政当局のいろんな配慮から、当初の目標額というのは、これはわれわれの立場で申しますと、かなり控え目に押え目に計上してございまして、まあ四十七年度で申しますと一兆七千億ということでございますが、おそらく二兆六千億はこえるんじゃないかという感じがいたしております。先ほど来ちょっと申しましたように、四十三年から三、四、五と、民間経済は過熱の状態になりましたので、財投は押えるということで十数%の伸びで経過いたしておりますが、その間郵便貯金は二十数%で伸びております。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたように、預かったものを全部財投計画で使ってしまうという性格のものではございませんで、先ほどもちょっと申しましたように、資金運用部資金は八十年ぐらいの歴史があるものでございますが、そのうち近々二十年財投計画というものに資金運用部資金というものを、いわば代表選手として活用したということが、ある意味ではまあいいことであったと同時に、資金運用部資金の本質に対して一般の方々に御理解をいただけるチャンスを失わしめたのではないかという感じもいたしておるのでございまして、まあ八十年のうちの六十年間というのは国債とか地方債に運用するという、姿であったのでございまして、財投計画というようなことで、一国の財政活動をになうというような任務を付与されておらなかったのでございまして、したがって、そういう点から申しますと、集まったお金を全部使ってしまうということではなくて、集まったお金のうち一定部分を財投計画ということで、融資をいたしておるのでございまして、最初はまあいわばつじつまが合ったと申しますか、年々のフローで、伸びと財投計画とは合ったような姿でお示しをして、まあその差額をその他ということで御説明をしておるんですけれど、実際はフローのほかに、御承知のようにストックがございまして、そのストックとしては四十年代の郵便貯金の、何と申しますか受け入れ超過というものがございまして、それを全部使っておるわけではございません。したがいまして、そういうものは現在は国債に運用したり、あるいは許された範囲で金融債に運用したりいたしておりまして、そういうものはある意味では金融債のごときはまあ三年とかいう短期の運用をいたしておりますので、そのほか国債も大部分は短期運用でございますから、そういう意味では金融的に全く中立的な作用をいたしておるのでございまして、日本銀行が市中からオペで買ったものをただ運用部が引き取るということで、その分はいわば不胎化されておると申しますか、資金は、運用はいたしておりますが、国民経済的には、何と申しますか、資金としての活動をしていないと、中立と申しますか、むしろ消極的な作用をいたしておるのでありまして、したがって、資金運用部資金の総体で見ますと、集まった金よりよけい放出して、長期的に見ましてインフレ的要因というようなことにはなり得ない資金の性格でございまして、まあどちらかと申しますと、資金ベースで申しますと、過去十年ぐらいでとってみますと、デフレ的な要因として作用したという評価ができるんじゃないかと、ただ、先ほども申しましたように、単に資金ベースだけでものを取り上げてペイするのがいいかどうか、それはもっと深い洞察が必要であろうと思いますが、資金ベースだけで申しますと、やはり受け入れたもの全部を投資にはしていない、むしろ留保しているというのが実態ではないかというように考えております。
#99
○栗林卓司君 いまお話に出た国債のことで関連して伺いたいんですけれども、その財投資金として運用する対象というのは、おのずから性格がきまっていると考えていいと思うんです。金利がついたお金を貸してということになるわけですから、何でもいいということにならない。そのワク組みと、それから、国債で運用している部分、この二つは、その運用対象ということで考えますとどう分けてお考えになっておりますか。
#100
○政府委員(橋口收君) これもやはり、何と申しますか、資金運用部資金の財源事情と申しますか、資金事情によってまあそのときそのとき一応もっともらしい理屈を考え出しておるんでございますが、資金運用部資金が不足しております時代には、国債には運用したくないと、やはり財投計画という別個の使命というものが優先するんだと、こういう考え方で国債の引き受けというものを峻拒しておった時代がございます。しかしながら、最近になりまして、資金事情というものも好転しておりますし、それから国の財政活動というものもある程度コンスタントに国債に依存すると、国債政策の性格も変わってきておりますので、比較的最近では資金運用部資金による国債の引き受けは、それほど回避しないというふうに態度が変わってきております。ただ、依然として資金運用部が当初から引き受けております国債というものは、大体七千九百億ぐらいのものでございまして、まあ全体の国債発行額の一割ちょっとぐらいのものということでございまして、純然たる長期の運用、つまり七年なり十年なり運用が固定するものとしては、七千九百億程度のものになっておりまして、そういう程度のものであれば財投計画の運営には支障がないと、で、まあ将来資金の流れが大きく変わりますような事態になれば、あるいは資金運用部資金で国債をうんと引き受けると、戦争中のように国債の引き受けというものが大部分だと、国債と地方債だけというような、あるいは資金の流れが変わることも将来は考えられますが、いまのところは一方に財投機関があり、資金事情に余裕がございますので、ある程度国債の原資的な引き受けというものにも対応してくると、こういう姿勢でございます。
#101
○栗林卓司君 ちょっと数字のことで教えていただきたいと思いますが、国債七千億と言われたものと、二月末残高資産の部の長期、短期国債の額合わせて約五兆円と、この関係はどうなっておりますか。
#102
○政府委員(橋口收君) 短期国債はちょっと別でございますが、長期国債は二兆数千億持っておりますが、そのうちの七千億程度が当初から引き受けた七年ものとか、あるいは十年ものでございまして、これは原則として売らないというたてまえでございます。残りの一兆七、八千億のもの、これは日本銀行から短期運用で買っているものでございまして、これは日本銀行から要請があればいつでも売り戻すと、それからわがほうが、たとえば、融資を実行しなきゃいかぬというような必要があれば、いつでも売り戻すという形で持っておるものでございまして、これは一種の流動準備というふうに考えております。したがいまして、これは長期国債ではございますが、短期運用、いつでも処分できる、こういう性格のものでございます。したがって、さっきもちょっと申しましたが、それは日本銀行が市中銀行からオペで買いまして、日本銀行の資産として持っておりましたものを運用部の資産に振りかえただけでございまして、金融的には中立の作用を持つものだというふうに言えることができると思います。
#103
○栗林卓司君 それでは、運用対象の性格ということで、ちょっと例をあげながらお伺いしたいんですけれども、海外経済協力基金、これは運用対象になっております。この手のものは当然これは金利がついておるものでございますけれども、そういう金利つきの金として――国全体で考えた場合ですね、基金を出していくべきなのか、それとも一般会計のほうから金利なしの資金として積んでいくべきなのか、私には後者に思えてならないのでお伺いするわけです。あわせていろんな特別会計が運用対象になっております。内容はこまかくわかりませんけれども、その特別会計個々に見ると、なぜ金利をつけて運用対象にしなければいけないのか、合点がいかない気がいたします。なぜかといいますと、海外経済協力基金の場合には、どうやって成果をあげるかということになれば、金利の荷物をしょっていないほうがいいにきまっています。それから、特別会計も、それぞれの政策目的を持って、行き着く先は国民の福祉だということになると、重たい金利のげたをしょっていないほうがいい。それぞれ現在ある預かり金の運用という形でしているのかもしれませんけれども、本来は一ペン国債というところを通りながら、一般会計でやるべきものではないのか、こう思いますけれども、この点いかがでしょうか。
#104
○政府委員(橋口收君) 経済協力基金はたしか法律の規定によりまして、一般会計出資とそれから財政とが五割・五割であったかと思いますが、そうことをやっておるのでございまして、これは先ほ中にございましたように、やはり政府間借款とかいうような金利の低いソフトなローンが中心でございますから、やはり、財投の六分二厘のお金では収支相償わないということで、これは一般会計のほうから、いわば出資というかっこうで金利を薄めるという作用をいたしております。これはいまの日本の財投で、しばしば用いられておる方法でございまして、いわば財投資金による借金を、一般会計の補助とか、補給金とか、収支差額補助とか、あるいは出資とかいうかっこうで薄めまして、活動にふさわしい金利水準あるいは資金コスト水準まで下げる、こういう作用をいたしておりまして、財投の資金等一般会計からの援助によって、ほどほどのところに金利コストを落とすということやっておるのでございまして、これは先ほど竹田委員からもいろいろ御注意、御指摘があったのでございますが、一体そういう方法でやるのがいいのか、あるいは一般会計の資金に転嫁をするという意味で、国債を、資金運用部資金でもっと引き受けたほうがいいのか、この辺は政策の選択としていろいろむずかしい問題があるんじゃないかという感じがいたしております。ただ、決定的に違いますことは、国債にいたしますと、やはりコストが高くなるということでございます。国債というのは、民間消化ということを前提にいたしておりますから、やはり証券にふさわしい金利になっておりますので、現在六・七%程度になっておりますが、やはり運用部が直接に貸します場合と〇・五%の開きがございます。そういう形で高い資金のコストのものに転嫁をし、しかも国債でありますから将来税金で償還する、こういう形のものであるのがいいのか、いまのように郵便貯金をそのままの形で財投対象機関を通じてやるのがいいのか、その辺はいろいろ問題があるんじゃないか。いまの制度のほうが、少なくともいまの時点では合理的ではないかというふうに考えておるのでございます。
 それから、特別会計等にいろいろ貸し金がふえておりますが、これはなるたけ特別会計は借金がなくて、特定財源でやるのが望ましいのでございますが、特別会計の中にもある程度収益性と申しますか、経済性を持った事業がございます。たとえば、国立病院特会、そのうちの病院の建物とか、あるいは看護婦さんの宿舎程度までは、やはり病院収入があるということで、いわば利息のついたお金をお貸しするにふさわしいのじゃないか。
 それから、学校につきましても、やはり病院、国立学校の付属病院につきましては、同じような診療収入があるということで、財投の対象にしている。あるいは治水特会のように、地元負担金をその問融通してやるという一種の地方債でございますけれども、そういう形で金を出しているということで、特別会計にお金をお貸しする場合には、やはりお貸しするにふさわしい事業を選んで貸しておるのでございまして特別会計の単なる財源補てんと申しますか、そういう立場で財投計画で乗せるのはできるだけ避けたい。なぜそういう借金でやるかということでございますが、これは適切な例かどうかわかりませんが、一般の会社で申しますと、増資でやるか借金でやるかという問題でございまして、急速に設備をつくるような場合には、やはり借り入れ金で事業をするというのが普通でございまして、国の場合でも、やはり緊急に整備を必要とするような、社会資本の整備とか、あるいは国民福祉施設の建設とか、そういうことには目前緊急を要しますから、幸いにして郵便貯金を原資とするいわば借金のもとになる資金の集団がございますので、それを活用するというのが一番緊急整備に役立つのじゃないか。それはいわば増資に相当する税金でやる、あるいは増資に相当する資金で返済する公債でやるというのとどちらがいいか、どうもこの点は、戦後の日本経済の一つの開発した知恵でございまして、いまの形でやっていることは、この日本経済の繁栄を招来した一つの原因にもなっているような感じもいたします。それが同時に、また今日の時点ではいろいろ御批判をいただくようなことにもなっていると思いますので、そういう点から申しますと、やはり国民福祉を増進するために、せっかくある郵便貯金を原資とする資金運用部資金というものを、できるだけ活用していくことのほうが、福祉の増進に直結する道じゃないかというふうに考えておるのでございまして、そういう意味で、特別会計に対する貸し金等も、最近はできるだけ積極的にやる、そういう態度でおるのでございます。
#105
○栗林卓司君 先ほど竹田委員と御議論された内容ですから、重ねて繰り返しませんけれども、増資がいいのか、借り入れ金がいいのかということを、見方を変えていくと、この一年間で負担したほうがいいのか、相当長期の世代にわたって負担したほうがいいのか、実はいろんな議論があるところだと思います。そこで、今後またいろいろお考えをいただきたいと思うんですけれども、時間がなくなりましたから、最後に一つだけ、たいへんしろうと的な質問をいたします。なるべく安い金利で貸してやりたい、そのときに、たとえば、あげてみますと、いろんな金融公庫がございます。国民金融公庫、農林漁業から中小企業から商工中金からと、いろいろできたおい立ち経過から見ると、役割りが違うように見えながら、大体同じような役割りを果たしているんじゃないか。そこで、資金運用部資金から一ぺんそういう金融機関を通して貸す場合に、全部まとめてしまって、これは国としての金融事業なんです。そのことのよしあしは別にして、まとめてしまった場合、どうもしろうと考えですと、途中にとまるところがなければないほど、結局安い金利で国民が利用できる、そう考えると、もしそうであれば、いろんなおい立ちでいろんな金融公庫、環境衛生に至るまでできたとしても、ここのところは全部くくってしまって、全部国民の生業資金という意味で同じなわけですから、くくってしまって、管理費用の少ない、金利の安い、その意味では文字どおりの預託された資金を、国民に喜ばれる運用という方向に一歩進むべきではないのか、こんな気がいたしますので、御意見を伺って質問を終わります。
#106
○政府委員(橋口收君) お話の筋は、どちらかと申しますと、戦後いろんな政府関係機関が簇生いたしましたので、ちょうど逆の方向の御提案であろうかと思います。おっしゃるように幾つかの金融機関が一緒になりますれば、それは管理コストというものは安くなりますし、それから、それに伴って金利も安くなるということであろうかと思います。ただ、現状では、昨年郵便貯金の利下げに端を発しまして、全体の政府関係諸機関の金利を下げるということがございまして、標準的な金利も去年〇・三%下がったのでございます。そういう意味で、全体を一まとめにしたというようなことは、さっきちょっとお話が出ました政府関係機関の行政改革の問題に結局は帰着するんじゃないかという感じがいたしておるのでございまして、私どものほうもお金をお貸しする立場で、そういう機関ができますと、一視同仁と申しますか、公平な取り扱いがどうしても必要になってまいりますので、結局末端の最終金利をどうするかというのは、やはり一般会計等の補助との組み合わせということになりますので、それはやはりそれだけ国民負担の問題につながりますから、おっしゃるようにできるだけ機関が少ないほうがいい。で、機関ができました場合も、まあできるだけ、たとえば、業務の委託とか、あるいは代理貸しとか、そういう制度を活用することによって、コストというものも引き下がるんじゃないか。御意見は十分理解できるのでございますが、先ほど来申し上げておりますように、一回できますとなかなかやめられないという問題があるので、私どもの立場で機関が多いほうがいい、そういう考え方は毛頭持っていないのでございます。
#107
○渡辺武君 いま議題となっております法律案の第一条ですね、これに、資金及び積立金について次のように書かれております。「長期の運用が国民掲載の中で果たす資源配分的機能の重要性にかんがみ、」云々、それからまたこの提案理由の説明の中にも「これら資金及び積立金の長期の運用は、確実かつ有利な運用という性格に加えて、財政的資金の配分といった性格を兼ね備えるに至ってきております。」というふうにいわれているわけですが、政務次官に伺いたいんですが、これどういうことを意味しているんでしょうか。
#108
○政府委員(山本敬三郎君) 財政的資金、国民経済の中における資源分配機能を持つ――たとえば、社会保障を充実しようと、生活環境をよくしようと、そういうとき、比較的低利の金をそちらへ入れていくことによって、資源配分を時代にマッチしたように動かしていく。したがって、ただ単に確実、有利な運用というだけではなしに、そういった面を見て考えていかなければならぬ、そういうことだと思います。
#109
○渡辺武君 つまり、単なる資金の運用と有利な運用というだけにとどまらないで、いわば一定の行政的な性格、あるいは政策的といってもいいし、あえて言えば政治的といってもいいような、そういう性格を備えているというふうな御趣旨の御答弁だと思いますが、この点については、産投会計からの出資あるいは政府保証債による調達資金と、それらの運用、これらも含めて財投計画全体がそういう性格を帯びているというふうに見てもいいんじゃないかと思いますが、その点いかがですか。これは政務次官にお答えいただきます。
#110
○政府委員(山本敬三郎君) そのとおりだと思います。
#111
○渡辺武君 それで伺いたいんですが、先ほどからの質疑応答を伺っておりますと、この資金運用の便、不便というような点からの御答弁がだいぶ多いようでありますけれども、私は、やはり財投計画全体がそのような政策的もしくは政治的な性格を帯びているということになってきますと、これはものごとの根本に立ち返って考えてみる必要があるんじゃないかという気がするんです。たとえば、憲法をちょっと考えててもすぐわかりますように、「國會は、國權の最高機關」だということがはっきりと明記されておって、そして行政府が恣意的に専制的にいろんなことをやることができないような、一定の国会の制約ということが憲法で大原則としてきめられていると思うんですね。これが、財政上の問題についていえば、憲法八十三条に「國の財政を處理する権限は、國會の議決に基いて、これを行使しなければならない。」というふうにはっきりと明記されているわけです。また八十五条には国費の支出、あるいはまた国の債務負担、これについての「國會の議決」、あるいは八十六条には、財政の単年度主義ということもはっきりと明記されているわけです。私は、これは財政運用についての民主主義的な原則だというふうに考えております。ところが、財投計画全体が、いま御答弁のありましたように、運用資金の性格に違いがあるとはいっても、その運用の内容そのものが国の行政行為のあらわれになっているというような性格のものであるならば、これはやはり当然財政処理と同じような性格を持たなきゃならぬ。つまり財投計画全体が、これが国会の議決事項にならなきゃならぬというふうに、これは当然考えられるわけです。で、今回の提案で産投会計、それと政保債、これについて除外されて、そして資金と積立金だけが、こういう形で議決事項として提案されてきている。これは、やはり国会の審議権、これについての重大な制約になっているんじゃないかというふうに思いますけれども、その点、どう思われますか。
#112
○政府委員(山本敬三郎君) 私は、法律のことにあまり詳しくないんですけれども、国の歳出歳入とはこれは全く違うものだ。本来は、たまってきた資金を有利かつ確実に運用するという、そういう性格のものであったわけです。ところが、だんだんそれが巨大になってきたということが一つ。それから、先ほど申しましたように、国民経済の中において、資源配分的な機能を持つようにもなってきた。それから融資対象が、運用対象が多岐にわたってきた。そういうようなことから、ことし国会でいろいろ議論がありまして、それぞれに国会の意思をきめていただく必要がある。しかし、そのうち、産投会計と政保債についてはすでに議決事項になっているわけでありますから、それをひっくるめてやりますと、二重議決という問題を起こす。そこで、いままで議決事項になっておらなかった運用部資金と簡保資金について今度のような措置をする。こういうことでありますから、格別に、全体を一つにまとめるということは、私は、二重議決でかえっておかしいんではないか、こういうように考えます。
#113
○渡辺武君 二重議決の問題――言ってみれば、まあ財政技術上の理由をあげてこられているわけですけれども、私は、やっぱりその辺に、行政府が国会の議決を経ないで、こういういわば政治的性格のある財政運用――確かに資金の性格はおっしゃるように違いますよ。違うけれども、その運用そのものの内容を見てみれば、これは一般会計とほとんど変わりのない政府の政策が織り込まれた運用になっているわけですから、そういうものが、従来も国会の議決を経ないで行なわれてきた、それ自身がやっぱり憲法の原則に著しく反した行為であったと思いますが、今度、国民の批判が強くなって、若干の改善をして、こういうふうな形で、部分的には法律案として提案してきているんですが、その中に、産投会計と、そうしてまた政保債、これが一体のものとして出てきていない。これはやっぱり同じような、国会の審議権に対する重大な制約になっているんじゃないかというふうに思います。財政技術上の問題はいま伺ったとおりですけれども、原則的にはどうですか。
#114
○政府委員(橋口收君) 憲法八十三条等の御議論がございましたので、ちょっと補足して申し上げたいと思いますが、財政投融資計画は、産投会計、政府保証債、それから、運用部資金、簡保資金と四つの構成要素に分解できるのでございまして、それぞれにつきまして、別の形式、別の場所ではございますが、全部について国会の議決をちょうだいしたいというのが、今回の法律案の趣旨でございます。
 そこで、八十三条で、従来措置をとっていなかったじゃないかと、こういう御意見であろうかと思いますが、憲法八十三条の規定に基づきまして、資金運用部資金法とか、あるいは簡保資金の積立金に関する法律というのができておりまして、同時にまた、財政法四十四条の「資金」として、それらの資金は行政府の長である大蔵大臣あるいは郵政大臣の管理にまかされるというのが、憲法八十三条に基づく法律内容の措置でございまして、そういうものとして、いわば行政府にゆだねられておりました中から、特に五年以上の長期の運用につきましては、資源配分的な、あるいは財政資金の配分的な性格を持つということで、特にその部分だけ取り出して国会の議決をちょうだいすると、こういうことでございまして、従来、八十三条に基づいて処理をされておりました、それぞれ行政府の長にゆだねられておりました権限を縮小して、特に一定部分については国会の議決を仰ぐという措置をとったのでございますから、これは大きな前進でございまして、憲法八十三条に基づいて行政府に与えられておりました権限というものをみずから縮少して、国権の最高機関としての国会の御意思を確認するという措置をとったのでございますから、これは財政処理の立場で申しますと、たいへんな前進でございまして、むしろ、先ほど政務次官がお答えしましたような、資金の性格から申しますと、現在の資金運用部資金法なり、あるいは簡保の積立金に関する法律で運用するのが本来の姿じゃないのか。そういう点から申しまして、法律の題名も「特別措置に関する法律案」ということになっておるのでございます。そういう点がございますので、憲法八十三条との関係において問題はいささかもないというふうに考えておるのでございます。
#115
○渡辺武君 いままで財投計画そのものが、国会の議決対象になっていなかった、それが今度多少でもこういう形でもって特別措置で提案されてきたというその側面、これについては一定の前進だという点はもちろんです。しかし、これが非常に不十分だ、不徹底だ。しかも、いま申しましたように、国会が国権の最高の機関だという見地からすれば、政府のなお恣意的な行政の余地を十分残したものである。この点については、われわれは譲歩することができないということをはっきり申し上げておきます。
 時間もないので具体的な問題に入りますけれども、いまおっしゃった産投会計が二重議決になるという点ですね、これもう少し詳しく、どの点が二重議決になるのかおっしゃっていただきたい。
#116
○政府委員(橋口收君) 産投会計は特別会計でございますから、特別会計予算の中に、産投特別会計歳入歳出予算というのがございます。そのうち、歳出予算に相当いたします部分は、財投計画に計上いたしております産投会計と全く重複をするのでございます。つまり、産投会計の歳出の総額と、財投計画に計上しております産投会計の歳出とは全く重複をいたします。つまり、よく議論がございますが、たとえば、歳出と歳入の関係、特別会計の歳入と、一般会計から特別会計に繰り入れと、これは歳出と歳入とはある意味では重複いたしております。しかし、それは歳出歳入の問題でございまして、同じ歳出につきまして、別の形式で同じ会期中に国会の御判断を仰ぐということは、これはまさに二重議決の問題でございまして、そういう点で、同じ歳出事項について二回にわたって別の形式で国会の御意思を確認するというのは適当でないというのが二重議決の趣旨でございます。
#117
○渡辺武君 どうもその説明が納得できないのです。たとえば、ここに「四十八年度予算の説明」というのがございますね。それの財投計画のところを見てみますと、確かに産業投資特別会計というのがございます。しかし、これは資金計画の中に出てきているものであって、そして産投特別会計の、たとえば、公営企業金融公庫にどのぐらい、あるいは北海道東北開発公庫にどのぐらいというふうに、それぞれの機関の資金計画として出ていますね。これいまあなたのおっしゃった、一方では確かに歳出になっているけれども、他方では歳入になっているという、この資金計画の歳入の面ですね、ここに出ているわけでありますから、したがって、これは決して二重議決ということにはならぬじゃないでしょうか。
#118
○政府委員(橋口收君) これは財投対象機関のサイドからごらんになればまさにそういうことでございますけれども、これは原資の内訳が書いてございまして、産投会計がどこどこの機関に幾ら出すということも含んでおります。したがいまして、産投会計の支出というものとまさに二重議決の問題が生じてくるのでございまして、いま先生が機関の側からごらんになりましたけれども、この表自体につきまして国会の御判断を仰ぐということになりますと、産投会計からどこどこに幾ら出していいという問題も入ってまいりますから、これは当然二重議決の問題が生じてまいります。
#119
○渡辺武君 それはおかしいですね。たとえば、国鉄の場合を考えてみましょう。国鉄の場合政府の出資金がある。これは一般会計で国鉄への出資金として歳出に計上される。ところが、四十八年度の政府関係機関の予算、これの国鉄のところを見ますと、収入の面に「鉄道建設事業出資金一般会計より受入」として八百億円が、同じ額が計上されている。同じことですよ、いまあなたのおっしゃったものと。もしあなたの言うように、この財投のほうが、これ資金計画とはっきりうたってあって、そしてその中の一項目として、産投特別会計からのものが計上されておる。これが出資計画だとおっしゃるならば、この国鉄の場合の政府関係機関予算の収入の中で、「鉄道建設事業出資金一般会計より受入」というのも、これも出資計画ということになる。そうすると、これも二重議決ということになりますか、いまはなってないでしょう。それと同じことですよ。
#120
○政府委員(橋口收君) これは、繰り返しになって恐縮でございますが、一般会計の歳出と、それから、国鉄の歳入、これは二重議決の問題はないということを先ほど申し上げたのでございます。一般会計と特別会計とでもそういう関係はございません。ただ、財投計画に計上しておりますのは、産投会計からどこどこの機関に支出をするということを内容を含んでおります。この資金計画というのは、機関の資金計画ではなくて、財政投融資の資金計画ということでございますから、したがって、産投会計の歳出がまさにこの資金計画の内容をなしております。したがいまして、特別会計歳出予算で、産投会計の歳出について議決をちょうだいいたしておりますから、これとはまさに同じ事項について国会の御判断を仰ぐということになるのでございます。この表は機関のサイドからごらんいただきませんで、資金のそれぞれ産投会計とか、資金運官用資金とか、あるいは簡保資金の歳出と申しますか、運用のサイドからひとつごらんいただきたいというふうにお願いいたします。
#121
○渡辺武君 それは説明にならぬですよ、私の申し上げたことに。つまり、国鉄の政府関係機関の予算ですね、国鉄のこれも議決事項になっているんですね。一般会計で歳出のほうで八百億円の支出が計上されて、これは議決されている。それからまた、政府関係機関予算の国鉄の収入と支出、これの収入の部で、一般会計より受け入れとなって八百億円がやはり議決対象になっているんです。そうでしょう。これは、国鉄の収入であると同時に、また国の一般会計からの支出です。はっきり一般会計より受け入れとなっている。これが二重議決でなくて、どうして財政のほうだけが二重議決になるのか、しかも、ここには資金計画となって、言ってみれば資金計画という名ではあるけれども、これは各機関の収入計画でしょう。同じことですよ。何でこれだけが二重議決になるのですか。
#122
○政府委員(橋口收君) 歳出権の問題を申し上げておるのでございまして、国会の議決をちょうだいするということは、行政府として歳出権の付与をしていただくということでございますから、そこで、一般会計が国鉄に歳出をしますことにつきまして、歳出権の付与をちょうだいするのが国会の議決でございます。それと同じように、財投計画につきましても、産投会計で申しますと、特別会計で歳出権の付与をちょうだいし、また別の形で財投計画ということで歳出権の付与をちょうだいするというのは、同じ問題についての議決をちょうだいするということでございますから、そこで二重議決の問題が生ずると。かりに――そういうことがあってはならないと思いますが、かりに特別会計の予算につきましては歳出をしてよろしいという国会の議決をちょうだいしたと、財投計画につきましては、歳出をしてはいけないという、こういうかりに議決をちょうだいいたしました場合には、行政府としては去就に迷うわけでございまして、あるいはその金額を修正するというような問題が生じました場合には、どちらが国会の御意思であるかということにつきまして確認の道はございませんので、そういう状態を招来するような形で国会の議決を仰ぐのは適当でないと、こういうことが二重議決の問題の本質でございます。
#123
○渡辺武君 説明になっていないじゃないですか、そうでしょう、何で国鉄のこの会計について二重議決でないのに、財政について二重議決になるのか。同じことじゃないですか。一方から出したものが他方で収入となって出ているんだから。同じ性格のものですよ。その点についての御説明がない、それをぜひ伺いたい。
 それからもう一つ、いま歳出権限とおっしゃいましたけれども、歳出権の問題についていうならば、たとえば、議決対象となっている産投会計の支出のほう、産業投資支出八百二億円、総額で出ているのです、権限は。いいですか、そうでしょう。これが議決対象ですよ。そうして、財投計画のほうでは、その八百二億円の内訳が書かれているのです、内訳が。そうでしょう。八百二億円の支出権限が産投会計に与えられたと、しかし、その内訳については国会は、どこへ、どういうふうに配分するかということまで権限を与えていない。それについて財投計画でこうやって、各機関に配分して出されているわけだ。これは当然国会の議決対象にならなければならない、そうでしょう。あなたが歳出権限だと言うなら、その点からしたって矛盾がある、どうですか。
#124
○政府委員(橋口收君) これは特別会計の歳出をどういう項でくくるかという問題でございまして、これは特別会計の、他の特別会計とのバランスもございますので、あるいは主計局からお答えがあったほうがいいかと思いますが、いずれにいたしましても、特別会計として国会から歳出権をちょうだいいたしますのにふさわしい項としては、従来の取り扱いの慣例等もあり、全体として八百二億ということになっておるわけでございます。財投計画のほうは、いま御指摘がございましたように、内訳はございますが、しかし、トータルは約八百二億円でございます。したがいまして、八百二億円という金額につきましては、両者全く同じでございますから、したがって、同じ歳出の事案につきまして国会の御判断を仰ぐということは、これは適当じゃないというのが二重議決の問題でございます。
#125
○渡辺武君 同じ事案の問題じゃないでしょう。片一方は総額でもって歳出権限を与えられているんだと。片一方はその歳出権限の中でどこへどのくらいの出資をするかという問題でしょう。かりに、これはちょうど合計が八百二億円で一致しているけれども、しかし、歳出総額の権限を与えられた中で八百二億円にならないで、あるいは七百九十億円でおさまるかもわからぬ。そうでしょう。それを財投計画ではっきりさして、国会の承認を得なければならぬでしょう。何も二重議決じゃないですよ。当然やるべきことです、これは。二重議決にも何にもならぬことを、二重議決と称して、そうしてこれだけを除くという、そこに行政府の国会を無視しようとする態度がはっきりと出ているんじゃないですか。その点どうですか。さっぱり説明にならない。
#126
○政府委員(橋口收君) 何回もお答えをいたしておることでございますので、あるいは主計局からお答えをいただいたほうがよろしいかと思いますが、要するに歳出と歳入の問題ではなくて、歳出の事項につきまして、違った場所で国会の御判断を仰ぐというのは適当でない、こういうのが政府側の基本的な考え方でございまして、いま御指摘がございましたのは、産投会計の項をどの程度でくくるかという問題でございまして、これは技術的な問題でございます。したがいまして、問題は総額でございまして、八百二億円につきまして産投会計の特別会計の歳出予算として国会の議決を仰ぎ、また別途、財投計画の歳出として国会の議決を仰ぐというのは適当でないというのが、財政制度審議会の答申の趣旨でございます。
#127
○政府委員(長岡實君) 御納得いただけますかどうかあれでございますけれども、いま渡辺委員の御質問、この九八ページの財投計画表で、産投会計から出ます出資あるいは運用部資金の配分等を予算になぞらえますと、歳入歳出予算の歳入である。そこで、特別会計の歳出と、それから、この財投の、いわばこれを一種の予算という形に見たときの歳入との重複は、先ほどの一般会計から国鉄に対します出資と、それから、国鉄という政府関係機関の歳入との二重議決的なその関係と全く同じではないかというような御質問のように私は理解しておるわけでございますが、実は、今回御審議をお願いいたしております資金運用部資金や簡保資金の配分も、予算の中での歳入歳出予算という性格のものではないわけでございます。財政法によりますと、予算というのは予算総則、歳入歳出予算、それから、国庫債務負担行為、繰越明許費といったものから予算が成り立つわけでございますけれども、この運用部資金及び簡保資金の配分というのは、先ほど来理財局長が御説明申し上げておりますように、財政的資金の配分といったような性格を兼ね備えてはおりますけれども、本来的には一種の金融的資金であるために、国の一般会計もしくは特別会計の歳入歳出予算といったような性格とは若干違う。そこで、この資金の配分について国会の議決を仰ぐ方法として、今回法律でお願いをいたしておりますように、特別会計の予算総則で資金の配分を金額を明示いたしまして、これで国会の議決の対象にいたしておるわけでございます。
 で特別会計の予算総則に書いてございます今回の資金配分は、いわば運用部資金あるいは簡保資金という立場からいけば、その資金の中からお金が出ていく性格、それをどこの機関にどれだけ出ていくかということを予算総則に明示いたしまして、国会の御審議をお願いをするわけでございますが、産投会計にいたしましても、この九八ページの資金計画表からいきますと、その産投会計から出ていく性格のものである、それから、政保債借り入れ金も同じように、これは一つの全体のプールした資金があるわけではございませんけれども、各金融機関に出ていっておる、こういった性格を持っております。
 一方、産投特別会計におきましては、産投特別会計の歳出に、この特別会計から出資として出ていくお金は幾らであるかというようなことが議決になってあるわけでございまして、かりにこの財投の資金計画全体を、運用部と簡保と同じような形で国会の議決の対象にいたしますと、そういう意味では性格的には二重議決になる。これが先ほど渡辺委員のおっしゃったような、歳入予算といった性格でないために、国鉄における一般会計と、政府関係機関の予算の歳入予算及び歳出予算における議決対象科目とは性格が違うのだということになるのではないかと、かように考えます。
#128
○渡辺武君 時間がないので、もう少し詳しく議論したいと思いますが、あなた方のほうも検討してください。これは重大問題です。いいですか。私の論拠をもう一回繰り返して申しますから。多少誤解があるようですからね。
 つまり、こういうことなんですよ。産投会計で支出になっている。それから、財投のほうでは、これは明らかに資金計画となっておって、これは各特別会計の収入ですね。予算になぞらえていえば、収入計画ですよ。だから、その点についていえば、一般会計から国鉄会計に出資が行なわれる。片一方は出資だ。国鉄会計のほうでは、それは収入になっている。この関係と少しも変わらないことじゃないか。これが第一点。
 第二点ばかりにあなた方の言うように、この財投計画の中の、私が収入だと言った部面が、産投会計からの出資も含んでいると、かりに一歩譲歩して、そういう立場に立ったとしても、この産投会計の支出というのは総額で国会の議決を仰いでいるわけです。総額で。それが、どの特別会計にどう配分されて出されるかということについては、国会は議決していない。ですから、それがどの特別会計にどう配分されるかということは、これは財投計画のほうで国会の議決を仰がなければならぬじゃないか。そうでしょう。八百二億円の支出権限を与えられたということであって、それをどこでどう配分するかという権限は与えられていない。それはどこへどう配分するかということは、当然これは国会の議決にならなければならぬ。かりに支出だというあなた方の論拠に立ったとしても、これは絶対に二重議決にならぬ。よく研究してください。重要な問題です。国会の審議権に関する問題です。
 それからもう一つ。政保債の問題です。政保債が二重議決だということを言っておりますけれども、一般会計の予算総則十一条、これによれば、政保債の機関別保証限度額ですね、いわば最高限度額が国会の議決対象になっている。その限度の中で、どれだけの政保債を出していいかということは、これは議決事項じゃないんですよ。権限だけが与えられている。財投計画で、その権限の範囲内で、どの政保債をどのくらい出すかということは、財投計画で具体的に明らかにされる。これは当然国会の議決事項にならなければならない。ですから、やはりこの点では、二重議決だというあなた方の言い分というのは、これは間違っている。その点どうですか。
#129
○政府委員(橋口收君) 渡辺先生の御意見、ちょっと理解しにくい面がございますが、政府保証債の限度額につきまして、一般会計の予算総則で限度をちょうだいいたしておりますが、およそ保証の限度にしましても、それから、歳出権にいたしましても、あくまでも国会からちょうだいするのは限度でございまして、その範囲内で行政府が、何と申しますか、予算の執行をいたすものでございますから、一般会計予算総則でちょだいすると同じ限度が財投計画に計上してございますので、そこで、繰り返しになりますが、一般会計予算総則で国会の議決をちょうだいし、また財投計画表で国会の議決をちょうだいするというのは、やはり二重に議決をちょうだいするという問題になると、こういう問題であろうかと思います。
#130
○渡辺武君 それがおかしいと言うんですよ。予算総則十一条で権限が与えられたのは最高限度額ですよ。この政保債についてどのくらいということで最高限度額が権限として与えられている。それを実際実施する場合に、たまたま限度一ぱいの計画組んでいるから、合計が限度額と同じになるから、だから、これは二重議決であるかのように見えるけれども、しかし、その限度のワク内で、実際それを運用する場合に、どのくらいの政保債を出すのかということについては、これは国会では権限を与えていないです。いままでは、それぞれの担当大臣がその点はやってきている。しかし、それでは先ほど申しましたように、財投計画全体が非常に政治的な、いわば一般会計と同じような性格を持つに至った。これが国民の非常に強い批判でしょう。特に、国民の零細な預金積立金、これが大企業本位の高速自動車道路その他の建設に使われているということについての非常に強い不満がある。あるいは年金その他が依然として積み立て方式というような点についての強い不満がある。だから、財投資金の収入、支出全体について国会の議決事項にしろというのが国民の強い意見ですよ。同じことだと思うんです。予算総則で最高限度の権限を与えられているけれども、しかし、それをその限度のワク内でどのくらい発行するかということも、当然これは国会の規制のもとに置かれなきゃならぬ。それが国民の意思だと思う。決して二重議決でも何でもない。それを二重議決と称して除こうとしているところに、依然としていままでのように国会を無視して行政府が不当に権限をふるっていこうということがはっきりとあらわれているんじゃないでしょうか。論拠がないですよ。ありますかな。
#131
○政府委員(長岡實君) おことばではございますけれども、一般会計の予算総則第一条も確かにこれは政府保証の限度額を定めておりますが、歳出予算等につきまして国会で議決をちょうだいするのも、やはり歳出権限の限度をおきめいただくわけでございます。しかも、ただいまお話しがございましたけれども、この十一条は、政府保証債の限度額を各機関別に最高限度をきめております。それと全く同じものが財投――もしかりに財投計画表全体を国会の議決の対象にするとすれば上がってくるわけでございまして、ただいま御指摘の、たとえば、道路公団なら道路公団に対する政府保証債の限度額が多過ぎるということであるならば、当然一般会計の予算総則を通じまして、国会の御審議をわずらわしておる、かような関係に相なろうかと思います。
#132
○渡辺武君 時間が来たから一言だけ。
 この問題重要な問題だから、私は、もう少し慎重にあなた方も検討してほしいと思う。たとえば、こういう問題を考えてみる必要がある。所得税法がある。そうして課説最低限はどのくらいだと、説率はどのくらいだということが法律でもってきめられている。これが国会の議決事項で議決されたとする。ところが、その法に基づいて具体的にそれを適用して、そうしてそれぞれの年度で歳入の計画が予算として出されてくるわけですね。そうでしょう。これは一方で所得説法が議決されたからといって、それを運用した結果として生まれてくる歳入計画、これが議決対象になったとしても、これは決して二重議決にならぬのです。そうでしょう。それと同じことですよ。予算総則の十一条で、政保債の発行についての最高限度の権限を与えられている、しかし、それが実際財投計画として運用されるわけですよね。その運用計画が、これが議決事項になったからといって、これは絶対に二重議決にならぬですよ。その点も含めて、あなた方再検討していただきたいと思う。これは国会の審議権に関する重要問題です。決して財政技術上の問題じゃない。
#133
○政府委員(長岡實君) ただいまの、税法と、それから、毎年度の歳入予算の関係、これは法律というものが当然国会の議決をちょうだいする一つの案件でございますし、予算も一つの案件でございます。渡辺委員の御質問、財投計画が、予算という形ではなくて、財投計画という一つの案件を国会の議決対象にせよというお話なのか、あるいは財投計画を一つの予算という形で国会の議決の対象にせよとおっしゃっておられるのか、私どもその辺がよくわからないんでございますけれども、私どもは、予算として、第二の予算、第三の予算として議決の対象にせよとおっしゃっておられると理解いたしまして、予算と予算の関係だから二重議決であると、かように申し上げたわけでございます。かりにこれを予算でない、全く財投計画というものを独立した国会の議決の対象にせよということになりますと、これはやはり新たな国会の議決案件の形式が生まれ出るわけでございまして、これはこれとしてまた二重議決問題とは別の一つの大きな問題になるのではなかろうかと、かように考えます。
#134
○渡辺武君 権限と、その権限を行使する実行計画との関係なんです。いいですか。権限と、その権限を行使して、具体的に実行する実施計画との問題ですよ。
#135
○政府委員(橋口收君) これも繰り返しになりますが、財投計画で表示をいたしております政府保証債もこれも限度額でございまして、ここまで政府保証債を発行するということを政府が認めるということにつきまして、国会の議決をちょうだいするということでございますから、一般会計の予算総則で限度をちょうだいするのと全く同じ事項でございまして、財投計画に書いてありますのが実行計画ということではございませんで、やはりこれは四十八年度の政府保証債の発行の限度を示したものでございます。したがいまして、そういう意味で、各財投機関の歳入ということではなくて、いかに政府が関与する資金あるいは政府の管理する資金によって、政府関係機関の活動を助成するかという総体を示したものでございますから、そういう意味で、単に財投対象機関への歳入ではございませんので、政府の行なう行為について国会の議決をちょうだいするということでございますから、そこで二重議決の問題が生ずるということでございます。
#136
○委員長(藤田正明君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#137
○委員長(藤田正明君) 次に、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山本大蔵政務次官。
#138
○政府委員(山本敬三郎君) ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、昨年十月二十日、対外経済政策の推進のための総合的な諸施策を決定し、その一還として、昨年十一月二十二日より、総計一千八百六十五品目にのぼる物品の関税率を一律に二〇%引き下げたところであります。
 今回、さらに最近における内外の経済情勢の推移に対応し、対外経済関係の調整、国民生活の安定に資する等の見地から、特恵関税制度の改正を行なうほか、生活関連物資を中心に関税率の引き下げをはかるとともに、各種の関税制度の整備等を行なう必要がありますので、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 第一に、開発途上国との経済取引を拡大し、これら諸国の経済発展に寄与するための特恵関税制度の改正について申し上げます。
 まず、農水産物の特恵関税につきましては、その適用品目を拡充するため、新たに、魚卵、たこ等十一品目を追加するとともに、現行の特恵関税適用品目のうち、さんご、グリセリン、魚の缶詰等十四品目について、特恵税率の引き下げを行なうことといたしております。
 次に、鉱工業産品であって、国内産業への配慮から特恵税率を一般税率の二分の一にとどめている品目のうち、鉛の塊、蓄電器等六品目について、その特恵税率を無税に引き下げることといたしております。
 また、現在、鉱工業産品の特恵関税適用輸入額が一定の限度額に達した場合には特恵税率の適用を停止することとしておりますが、この制度につきまして、輸入動向等を勘案し、国内産業に損害を与えるおそれがないと認められる品目については、特恵適用輸入額が限度額に達しても特恵税率の適用を継続することができることとし、特恵関税適用品目の輸入拡大をはかることといたしております。
 第二に、関税率の改正について申し上げます。
 関税率については、先般、一律二〇%引き下げという画期的な措置を講じたところでありますが、今回、これに加えて、国民生活に関連の深い物質を中心に三十二品目の関税率を引き下げることといたしております。主要な物資としては、農産品では、コーヒー、紅茶、ココア、バナナ、食用植物油等が含まれており、また一工業品では、エアコンディショナー、建築用ボード等がその対象となっております。
 次に、関税割り当て制度の改善をはかるため、最近における産業の状況等を勘案し、硫化鉄鉱及び天然黒鉛につきこの制度の適用を廃止し、その関税率を無税とするとともに、魚粉、木炭の二次税率を引き下げる等の改正を行なうことといたしております。
 また、通関実務を簡素化し、輸入者の便宜をはかる見地から、識別困難な類似品目等の税率を低いものに統一することとし、タイプライター、アートペーパー等三十五品目について、関税引き下げを行なうことといたしております。
 このほか、本年三月三十一日に期限の到来する百八十七品目の暫定税率につきましては、生産や輸入の動向を勘案し、その適用期限を一年間延長することといたしております。
 第三に、各種の関税制度の改正について申し上げます。
 まず、わが国の居住者に対する贈与品について、政令で関税を免除し得る限度額を五千円から一万円に引き上げるほか、輸入後一定期間使用されて再び輸出される物品に対する減税制度の対象の拡大、保税展示場に関する制度の要件の緩和等を行なうことといたしております。
 また、わが国の宇宙開発の推進に資するため、人工衛星等宇宙開発の用に供する物品等について、関税を免除する制度を創設することといたしております。
 以上、この法律案につきまして、提案の理由及びその概要を申し述べました。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#139
○委員長(藤田正明君) 次に、補足説明を聴取いたします。大蔵関税局長。
#140
○政府委員(大蔵公雄君) 関税定率法等の一部を改正する法律案提案理由に関する補足説明をさせていただきます。
 関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、改正の内容を補足して御説明申し上げます。
 今回提案いたしております昭和四十八年度関税改正は、昨年十一月の関税一律二〇%引き下げ措置と相まって、対外経済関係の調整、国民生活の安定等に資する関税措置を講ずるものであります。個別の品目の改正案はお手元の参考資料「昭和四十八年度関税率改正案一覧表」のとおりでありますので、以下主要な改正点につきまして、その趣旨ごとに御説明いたします。
 最初に、特恵関税制度の改正について申し上げます。
 まず、農水産物等の特恵関税制度におきましては、現在、五十八品目がその適用対象品目となっておりますが、開発途上国との経済取引の拡大をはかるため、新たに、魚卵、たこ等十一品目を追加することといたしております。また、現行の特恵適用品目につきましても、昨年十一月の関税一律二〇%引き下げにより一般税率との差がなくなり、または著しく少なくなったものを中心に、さんご、グリセリン、魚の缶詰等十四品目について特恵税率の引き下げを行なうことといたしております。
 次に、鉱工業産品の特恵税率は原則として無税でありますが、国内産業上の配慮から五十七品目につきましては、特恵税率の一般税率の二分の一にとどめております。改正案では、これらの品目のうち、鉛の塊、蓄電器等六品目について特恵税率を無税に引き下げることといたしております。
 また、鉱工業産品につきましては、現在、特恵受益国からの輸入が一定の限度額(シーリングワク)に達した場合には、自動的に、特恵税率の適用が停止されるほか、特恵対象物品について、特定国からの輸入がシーリングワクの二分の一に達した場合には、特恵受益国間の公平をはかる観点から、その国から輸入される当該物品に対しては、同様に、特恵税率の適用が停止される仕組みとなっております。今回の改正では、このような仕組みを改善し、シーリングワクの弾力的運用をはかる見地から、輸入の動向等を勘案して、国内の競合産業に損害を与えるおそれがなく、かつ、特恵受益国からの輸入がこれらの限度額に達しても、特恵税率の適用を継続することができることといたしております。
 次に、関税率の改正について申し上げます。
 まず、生活関連物資等の関税引き下げについて申し上げます。
 一般の関税率につきましては、昨年十一月から、総計一千八百六十五にのぼる品目について一律二〇%の引き下げ措置が実施されたところでありますが、今回さらに、国民生活に関連の深い物資を中心に三十二品目について、関税率の引き下げをはかることといたしております。
 農産品関係につきましては、国民の日常生活に関連するコーヒー、紅茶さらには大豆油等食用植物油の関税を引き下げるのをはじめ、カレー、しょうが、ラード、豚脂、角砂糖等加工食品的な品目で、一律引き下げの対象外となったものについて、おおむね現行税率の二〇%の関税引き下げを行なうことといたしております。
 また、バナナについては、現在、四月から九月まで四〇%、十月から三月まで六〇%の季節関税が適用されておりますが、改正案では、十月から三月までの税率を四十八年度に五五%、四十九年度に五〇%に段階的に引き下げることといたしております。
 さらに、かりん・つげ等の薄板、再生木材等住宅関連物資の関税引き下げをはかることといたしております。
 鉱工業産品につきましては、わが国産業の国際競争力の現状に照らし、自動車用内燃機関、エアコンディショナー及びベアリングについて関税引き下げを行なうほか、ビタミンA、うさぎの毛皮、貴石の原石等の関税引き下げをはかることといたしております。
 次に、関税割り当て制度の改正について申し上げます。
 関税割り当て制度が設けられている品目は、現在十六品目ありますが、これらについて、最近の産業の状況等を勘案しつつ見直しを行なった結果、硫化鉄鉱及び天然黒鉛の二品目につき本制度の適用を廃止し、その関税率を無税にするとともに、魚粉及び木炭につきその二次税率をそれぞれキログラム当たり二十円から十七円に及び一〇%から八%に引き下げるほか、モリブデン鉱の関税割り当て制度に新たに適用期限を設定することといたしております。
 次に、通関簡素化のための税率調整について申し上げます。
 相互に識別が容易でない類似品目に対し、異なる税率が適用される場合には、通関実務の簡素化が妨げられ、輸入者の便宜をそこなうおそれがありますので、これらの税率を低いものに統一することとし、たとえば、据置型タイプライターの税率を携帯用タイプライターの関税の水準にまで引き下げる等、三十五品目の関税引き下げを行なうことといたしております。
 以上のほか、本年三月三十一日に期限の到来する暫定税率につきましては、内外の諸情勢にかんがみ、それぞれ現行の関税率の適用期限を一年間延長することといたしております。これらの品目には、米、麦、大豆等四十一品目の無税品目をはじめとして、自動車、家庭用電気製品、酒類、医薬品、化粧品等、従前の関税改正において生活関連物資の関税引き下げをはかる等の観点から、暫定減税を行なっているものが百四十二品目含まれております。
 次に、各種の関税制度の改正について申し上げます。
 まず、わが国の居住者に対する贈与品の免税制度について、政令で関税を免除し得る限度額を五千円から一万円に引き上げることといたしております。
 次に、輸入後一定期間使用されて再び輸出される物品に対する減税制度の要件を緩和し、その対象の拡大をはかっております。
 また、保税展示場制度についての要件を緩和し、この制度の幅広い活用をはかることといたしております。
 このほか、現在実施に移されている宇宙開発計画の効率的な推進とこれに伴う科学技術の向上をはかる見地から、人工衛星、人工衛星打ち上げ用ロケット等宇宙開発に用いられる物品について、関税を免除する制度を新たに創設することといたしております。
 これらの改正による昭和四十八年度の関税の減税総額は、約五十三億円にのぼるものと見込まれます。
 以上で関税定率法等の一部を改正する法律案についての補足説明を終わります。
#141
○委員長(藤田正明君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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