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1972/04/17 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第16号
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1972/04/17 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第16号

#1
第071回国会 大蔵委員会 第16号
昭和四十八年四月十七日(火曜日)
   午前十時十四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤田 正明君
    理 事
                嶋崎  均君
                土屋 義彦君
                野々山一三君
                多田 省吾君
                栗林 卓司君
    委 員
                青木 一男君
                河本嘉久蔵君
                柴田  栄君
                津島 文治君
                中西 一郎君
                桧垣徳太郎君
                船田  譲君
                竹田 四郎君
                戸田 菊雄君
                成瀬 幡治君
                山崎  昇君
                渡辺  武君
                野末 和彦君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       大蔵政務次官   山本敬三郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       大倉 眞隆君
       大蔵省主計局次
       長        吉瀬 維哉君
       大蔵省主税局長  高木 文雄君
       大蔵省銀行局長  吉田太郎一君
       国税庁次長    江口 健司君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       建設省計画局宅
       地部宅地政策課
       長        川上 幸郎君
       自治省税務局府
       県税課長     山崎 英顕君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○入場税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上、二案を便宜一括して議題といたします。
 前回に引き続き、これより質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○山崎昇君 去年の予算あるいはことしの予算等で、大蔵省はたいへんりっぱなごろ合わせをやっております。たとえば、世直し予算であるとか、あるいはいい世になれとか、四十八年度の予算で言えば、いい世に走れとか、野党の意見をほとんど退けて、あるいは野党共通して提出した修正案等も退けて、大蔵省は原案に固執をするわけでありますが、いずれも、いま、ごろ合わせとして、申し上げたような予算案をつくってずっと運営をしてまいりました。
 そこで、まず、第一に、私は、大蔵大臣に聞きたいんですが、あなた方が命名したこの予算案で、一体世直しができたんだろうか、いい世になったんだろうか、あるいは四十八年度の予算なら、いい世に走るんだろうか、素朴に私は疑問を持っておるんですが、まず、この点から大臣の見解を聞いておきたいと思います。
#4
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまは四月の十七日でございまして、四月の十二日から本格的に四十八年度予算が成立をして走り出したわけでございます。私は、四十八年度予算というものは、これからがそのメリットを発揮すると、政府としては、いい世に走るようにこの予算の運営、これに関連する諸般の政策の実行によっていい世に走ることを期待して、かつ、実行に努力をしていこうとしておるところ、始まったばかりでございます。
#5
○山崎昇君 四十八年度予算は、なるほど始まったばかりです。しかし、一九七〇年になってから、いま申し上げたように、世直し予算だとか、いい世になれだとか、あなた方がかってなごろ合わせをして運営をしてきたわけです。そういう意味でいうと、四十八年度予算はなるほどこれからですから、あなた方はいろいろな運営をするでしょう。今日まであなた方がきめた予算案でどれだけ、じゃ、世の中がよくなったのか、どういう事態が招来しているのか、もう一ぺん四十六年度、七年度予算に関連してあなた方の姿勢というものを聞いておきたい。
#6
○国務大臣(愛知揆一君) 四十六年度、四十七年度の予算もそれなりの私はメリットを発揮してきていると思います。同時に、たとえば、物価問題というような問題は、当面の大問題であり、そして、あるいは投機というようなことが大いに行なわれた。そういうような実情の上に立って、これからどうしたら最善であるかということを四十八年度について考えておることはもう申すまでもないところでございます。
#7
○山崎昇君 いま大臣は物価の話を出されました。きょうはほとんどの組合が統一ストライキに立ち上がった。主として年金のストライキにいまなっているわけです。しかし、今日まで日本が敗戦以来これだけのストライキになったことは、二・一ストライキ以降ないです。そして、いまの世の中ほど国民から不満が述べられている時代もない。その証拠には、各種の選挙をやれば、自民党が退潮してくる。いま、七月に予定される都議選でも、あなた方自身のほうが危機感を感じているという報道すらある。そういうことを考えますと、いまあなたは、たいへんそれなりのメリットがあったと、しかし、デメリットのほうが多いのではないだろうか。何にも世の中よくなっていない。むしろ物価は急騰する、あるいは公害はどんどんふえる、あるいは実質的な国民の生活というのは切り下がっていく、そういう状態になっているんじゃないだろうか。そういうものを正式にあなた方認めて、これから四十八年度の予算運営なさるんだと、私は思う。しかし、すでにこの予算案が成立した直後に、公共事業費等については一部繰り延べをやるとか、さまざまなことがもう言われているではないですか。そういう意味で言うなら、あなた方がどんなにうまいごろ合わせをしようとも、いまの財政で世の中がよくなっていない。むしろ全体的に言うならば悪化しているんじゃないだろうか、そう、私ども思うんですが、重ねてあなたの見解を聞いておきたい。
#8
○国務大臣(愛知揆一君) 重ねて申し上げますが、過去の予算においても私はメリットはそれなりにあると思います。それから、現に物価の問題についても、予算のいよいよ実行期に入りましたが、現に生活の必需物資などにつきましても、三月の上旬あるいは二月の下旬ごろに比べては、ある程度の物価の下落現象も起こってきております。
 それから、予算の繰り延べというのは、「繰り延べ」という字が、私は、誤解も受けていると思いますが、年度中に、たとえば、四半期ごとに経済の状況その他を見て調整、配分をするということは、予算の執行について、誠実に考える場合に、当然のことであって、私は、前回も当委員会で申し上げましたが、これだけの金融引き締めもやり、あるいは為替相場の問題にいたしましても、現在のような変動相場制というものが、輸出その他に影響のないはずはないんでありますから、これが現に東京為替市場の状況にも、私は、あらわれていると思います。そして、むしろ後半期において、やはり安定的になだらかに経済が推移していくということが望ましいことでございますから、そういう状況を判断、分析しながら、予算の執行について適宜の調整を加えていくということは当然であります。また、同時に、公債の問題にいたしましても、かねがね私どもが考えておりましたように、こういう状況下においては、公債はむしろ早目に相当額を発行する、そして、その財源の公共投資向けの投下というようなことについては、若干の時期的の選別をしていく。しかし、その場合におきましても、生活関連あるいは福祉国家の建設という命題に向かってのような広い意味の公共事業等については、もちろんこれを平均的に年度中に支出をし、実行していくということが望ましいことである。こういうふうなことをしておるわけでございまして、頭からデメリットばかりだと言ってしまえばもうそれだけのことで、私は、たとえば、物価の急騰というようなこと、あるいは投機の状況というような事実は事実として、これを正確に認識して、これに対処していくというところに政府としての責任もあり、また知恵をこらしてこれに対処していくことが必要である、こういうふうに考えておるわけでございます。
#9
○山崎昇君 きょうはあまり時間がありませんから、これだけにこだわるわけにはまいりません。しかし、いまあなたがあげられておった物価問題にしましても、ここ十年来これは論ぜられてまいりました。そのたびに、物価関連予算はたっぷりつけましたとか、あるいは物価については真剣に取り組みますとか、さまざまなことをあなた方は言ってまいりました。しかし、いまだに一つも解決したものがない。むしろ最近に至りましては、目をみはるぐらいの物価の値上がりになってきている。こういうことを考えますと、私はデメリットばかり述べるわけじゃありませんが、あなた方がごろ合わせをしてやってきたこの予算というものは、そう世の中が直ったわけでもない、よくなったわけでもない、そう私どもは判断せざるを得ないのではないか。したがって、四十八年度予算についても、野党はこぞって修正提案いたしましたが、あなた方はこれをけりました。もちろん四十八年度はこれからでありますから、やがてことしの暮れや来年に入ればこれらの論議が行なわれるものと、私は思いますが、推定してものを言っただけでも、あまりいい状態にならぬのじゃないだろうか、こう私どもは判断をいたします。
 そこで、具体的にお聞きをしますが、きょうは幸い年金メーデーに匹敵するぐらいといわれるストライキになりました。そこで、あなた方が、ことしの施政方針演説その他でも、発想の転換をはかる、あるいはこぞって福祉元年ということばを使いながら、福祉政策に重点を置くという、その中心は年金だともあなた方は言っているわけです。そこで、いま提案をされております年金等を見まると、これではどうにもならないという気持ちで、労働組合のストライキを中心に、国民の各層から不満が述べられてきているわけです。私は端的に言うけれども、三十年も四十年も働いて、そうして次代の労働者を養成して、去っていくこの老年というものに対して、政府は、あまり関心が寄せられてないのではないだろうか、あるいはきめこまかな政策というものはないんではないだろうかという気がしてなりません。第一、いま提案されております年金だって、昭和六十一年から、国民年金の五万円でもそうである。私のことばをして言えば、できるならば、初任給に匹敵する年金を出してもらいたい、こう思うんです。たとえば、それはどういう意味かというと、人事院の調査でいえば、中学の卒業者で約三万四千円ばかりの初任給が出ております。高校卒で三万七千円、大学卒で四万九千円、これは人事院の勧告で出ておる。言うならば、義務教育を終わって、働きに出た中学生にさえ劣るような年金で、老人対策なんていうことはおこがましいのではないか。そういう意味で言うならば、せめてこの義務教育を終わった中学程度の年金は最低として支給されてしかるべきではないだろうか、こう思うのだが、この初任給に匹敵するような年金を出すお考えがないかどうか聞いておきたいと思います。
#10
○国務大臣(愛知揆一君) 年金問題につきましては、私は、本日の主題ではないかとは思いますけれども、政府としては、ずいぶん申し上げたいことがあるわけです。具体的なお尋ねですから、要するにそれは、五万円年金というものに対して、これを八万円にしろというような、たとえて言えば、御主張を含めての御意見だと思いますが、それは多いにこしたことはございませんけれども、年金というものは、国民全体のものであって、お互いにつくり上げるものである。今度の政府の案にいたしましても、たとえば物価のスライド制というものは、これはもう財政当局としては相当思い切った前進である。これは冷静に考えれば御理解いただけるところであると思います。多いほどいい、それはその限りにおいては確かでございましょう。それから、中卒の平均初任給、少なくともそれ以上にしたい、その限りにおいてはわかりますけれども、これが財政的に末長くよい制度として確立し得るには、どうやったらいいのかということを考えれば、現状においては、いまの政府が考えておりますような年金の内容でなければならない。私は、それが絶体一〇〇%正しい意見というわけでは必ずしもございませんが、実際上の実施し得る年金制度としては適切な選択であろうと、かように考えておる次第でございます。
#11
○山崎昇君 財政的にと言いますが、これは私どももこまかに計算しなきゃならぬと思う。しかし、いまの財政上でやれないということはない。だから、国民の各層からこれだけ不満が述べられている。そして、いま大臣から五万円年金という話が出ました。厚生年金の場合だって、ほとんど該当者がないではないですか。国民年金に至りましては、昭和六十一年からでなければないではないですか。実施できないではないですか。言うならば、これから十年先の話をあなた方しているじゃないですか。いま困っているのは、現実に老人が困っている。そして国民の要求というのは、ここにいま集中されてきている。考えてみれば、いまあなたに指摘したように、自分で養った義務教育を終わった子供より、もっと少ないような年金で、なんで親の権威がありますか。だんだん老人はふえていくし、核家族にはなっていく。老人は取り残されて、最近の警視庁の発表でも、自殺者がどんどんふえていく。こういう状態を放置して、財政論議だけやるわけにいかないじゃないですか。だから、あなた方の態度として、本来ならば高校卒ぐらいと言いたいところだけれども、せめて義務教育の終わった中学卒程度の初任給に匹敵するくらいの年金は最低として支給されてしかるべきではないか。そういうことについてあなた方検討されますか。そして、もちろん中学卒の初任給に匹敵するということになれば、当然労働者の賃金にスライドするということになってこなきゃなりませんが、とりあえずいまあなた方は物価にスライドする、それではいまの国民の持っている不満を解消することにはならないじゃないでしょうか。そういう意味で、私は、四十八年度予算がきまった段階でありますから、いますぐこれをやれと言っても、あなた方できないことは承知の上で言っている。しかし、これだけ大きく世論が出てきた問題については、謙虚に国会も政府もこれを受け入れて、検討しながら実現に向かっていくというのが政治家の立場でなきゃならぬと思う。そういう意味では、特に財政を扱う大蔵大臣、今後一体こういう問題についてどういう態度をとっていかれるのか、もう一度ひとつ聞いておきたい。
#12
○国務大臣(愛知揆一君) さっきから申し上べておりますように、りっぱな年金制度ができるということは政治の任務だと思います。しかし、絵にかいたもちを幾ら宣伝してみたって、これは進めがたい、また、できないことはできないわけでございます。こういう点は、私は、大体年金制度というものは、何と申しますか、現在五万円年金といえば、五万円があらゆる老人――七十歳以上なり六十五歳以上の方に、毎年もうあしたから支給されるというふうにとらえて論議をすることが、私は間違いだと思います。年金制度というものは、それぞれの制度、これはまあ日本では、年金制度があまり複雑であるというようなことについては、私どもも一家言を持っておりますけれども、しかし、現状においての年金制度というものは、それぞれが比較的最近に創設されたものであり、そういうところを全部頭から除いて、あしたからみんな五万円と言えば、全部が五万円もらえるかのような幻想を、現実の問題として論議することは間違いではないか、率直に私はこういうふうに考えます。
#13
○山崎昇君 きょうの本題でないから、私は次に進むわけだけれども、五万円年金を宣伝したのはあなた方じゃないですか。政府であって、自民党じゃないですか。私どもは、国民年金についたって、昭和六十一年からでなけりゃなりませんよということを言っている。あすにでもできそうな宣伝をしたのはむしろあなた方です。そしていま、先ほど来申し上げているように、これだけ年金について初めての労働者の統一ストライキ、これを国民が支持してやっていますよ。いまどこに焦点があるかといえば、老人問題たくさんあります、そのほかにも。たとえば、田中総理の言うように、東京に高層ビルばっかり建てる。そんなところに老人が入れるわけのものではありませんよ。あるいは通勤距離がだんだん長くなっていく。あるいは時間が短縮されていく。世の中というのは、老人と子供が取り残されるような政治課題にばっかりなっている。考えてみたら、老人はいつの場合でも取り残されるような政治仕組みにだんだんなっていくじゃないですか。やがてあなたには、私は、経済社会基本計画についてもお聞きする時期もあると思う。あれ一つ見たって、どこに老人や子供に対する対策なんてありますか。交通は激しくなりますから、当然歩道橋は多くなるでしょう。年とった老人があの歩道橋を渡って、ゆうゆうと歩けるほどの状態ではありません。老人ホーム一つ見たって、全部町はずれにつくられる。それも完全なものではない。そういうことを考えると、あなた方が福祉元年だとか、老人対策だとか、総理府に対策本部もできたようでありますけれども、言えばほとんどと言っていいぐらい対策がないような内容になっている。年金だってそうです。いま申し上げたように、むしろあなた方が幻想を与えた。だから国民は、一気に不満が爆発したような状態にいまなっているわけです。
 で、そういう点考えますと、もちろんいますぐできるわけでない。あなた方は検討しなければならぬでしょう。ならぬでしょうが、三十年も四十年も一生懸命働いて、そして自分のかわりとして労働者をつくり上げて、その義務教育を終わった労働者の収入ぐらいまでもないような年金でいいということにはならない。私は具体的に述べているんです。高けりゃ高いほどいいなんて、そんな抽象的なこと言ってませんよ。そういう意味では、大蔵省はもう少しこの老人対策についても、年金を中心にしながら、もっときめこまかにやってもらいたい、こう思っているんです。きょうは税が本題でありますから、たまさかきょうは年金ストライキがありましたから、この問題に触れていますけれども、もう少し積極的な、大蔵大臣としての姿勢を、私は、示してもらいたいと思うんですが、どうですか。
#14
○国務大臣(愛知揆一君) 老人に何にもやっていないというお説ですけれども、これは私には大いに異義がございます。一々申し上げますと――まあここで論争しようとは思いませんから、差し控えますけれども、老人の医療無料給付というようなことから始まって、それから、税の上におきましても、退職金の優遇であるとか、あるいは寝たきり老人の問題であるとか、これは随所に老人対策というものをやっております。これは厚生省関係のいろいろの施設にいたしましても、ことしは予算編成のときにも最重点を置いて、これは実額の上からいっても、比率の上からいっても、歳出の面でもよく御検討願いたいと思います。
 それから五万円年金の問題、もう一ぺん申しますが、一人もないというようなことはございません。これはもう現に八万人というような人が、もう現にこのいま御提案しているいろいろの法律案が成立いたしますれば、現に五万円以上のものはもらえることになっているわけでございます。架空のことを言っているわけではございません。
#15
○山崎昇君 私は、一人もいないなんて言っていませんよ。ほとんどの人は該当しないような内容ではないですかと言っているんですよ。該当する者はきわめて少ないことは事実であります。しかし、これはこれ以上やりませんが、老人問題、いまあなたは老人の医療費の無料を言った。あなた方が先にやった問題ではないですよ、これは。革新自治体がやって、当時の政府は反対をした。やむを得ずいまあなた方は世論で押されて手をつけなけりゃならぬところまできたからやっているにすぎないじゃないですか。どこに政府みずからが、老人問題にしろ、社会福祉の問題にしろ、政府みずからそんなに進んだ政策をとったことありますか。私は、あなたが大蔵大臣で、財政主導型といわれるいま日本の状況だから、主としてあなたに言ているわけなんで、ぜひ財政担当の大臣としては、これらの問題については、もう少し私は、積極的にやってもらいたいと思う。もちろんん、その間の手続は厚生省からの要求もあるでしょう。その他からの要求もあるでしょう。いずれにしても最終判定は大蔵でやっているわけでありますから、大蔵大臣のあなたに、私は声を大きくしてものを言っているわけなんです。その点はぜひ理解を願っておきたいと思うのです。
 そこで、きょうの本題であります税金について少しお尋ねをしておきたいと思うんですが、その第一点は、サラリーマン減税についてお尋ねをしたいと思うんです。これは先般サラリーマンユニオンの代表と橋本幹事長とお会いした際に、橋本幹事長から、必要経費を拡大をする、いまの控除の上に、何か三段階に分けているようでありますけれども、二〇%から四〇%にわたってこの必要経費というものを上積みをして認めていきたい、こういう会見が新聞報道でなされました。私ども新聞でありますから、どこまで真実でどうかわかりません。しかし、少なくとも与党の幹事長が、記者会見で述べられたことでありますから、当然政府に与党として話がきておるんじゃないだろうか、こう私どもは判断をいたします。したがって、この問題を担当します大蔵大臣としては、この与党の幹事長の発言を受けて、来年度、この新聞に報道されているように、現行の控除額に上積みをして、二百万円未満は四〇%、二百万から五百万までは三〇%、五百万以上は一応二〇%という数字が出ておりますが、こういう形のサラリーマン減税というものをおやりになる考え方があるのかどうか、この機会にお聞きをしておきたい。
#16
○国務大臣(愛知揆一君) 勤労大衆の所得税については、思い切って軽減をしたいというのが、政府の来年度の税制改正における考え方でございます。四十九年度には、直・間全体を合わせて、それから、直接税の中でいえば法人の重課と勤労大衆の減税ということを柱にして、ひとついまから相当の時間をかけて総合的なバランスも考え、あるいは財政需要が年々増しますから、たとえば、いまも御指摘がございました福祉関係の予算というようなものも、相当にこれは逐年財政需要として増大をいたします。
 それから、今年は過剰流動性というようなことが最初から念頭にあり、これが対策の必要な点でございますから、公債も、予算のときにもくどく御説明いたしましたけれども、適正な規模で公債を発行するということが現下の金融情勢に対しての一つの対策であり、同時に、財政主導型で財政の機能によって国民の資源の配分を直していくというような点からいっても必要であると考えましたが、将来長きにわたって公債財源の依存度というものは、考えるべきものではないと私は思っております。やはりこれは適時、適切なそのときの状況によって考えるべきものでありますけれども、本筋としては、公債の依存度というものはあまりには大きくしないほうがよろしい、こういったような点をだんだん考え合わせてまいりますと、財政需要に対しては税収でまかなっていかなければならないのが本則である。
 そういうワクの中でサラリーマン減税というものを考えていく場合に、先般当委員会で論議がございましたが、たとえば、三〇%一律に控除を考えるというようなことも、これは田中総理の提唱した案だというふうに世間に伝えられましたけれども、その点については、ここでも直接総理からお答えもいたしたようなわけでございます。具体的にこれをどういう方法でやるかということは、税制調査会等専門家の専門的な意見で、その税の組み立ての内容をとくと考えていかなければなりませんが、もちろん政党内閣でございますから、与党とは十分相談をしてまいりたいと思います。
#17
○山崎昇君 もちろん政府と与党の関係は、いま大臣の答えられたとおりだと思います。ただ、私ども新聞でしか知ることができませんが、この報道によれば、すでにもう確約をしたと報道されておる。それからさらに、私はこれを見ておったんですが、テレビの座談会に田中総理が出られて、四十九年度には思い切った措置をとります、中身は言いませんでした。こういうことを私ども考えますと、もうすでに大蔵大臣と与党の幹事長の間にかなりな話し合いが進んで、こういう具体的な数字が出てきたのではないだろうか、こう私ども判断をするわけです。したがって、できれば、このとおりするかどうかは別といたしましても、幹事長が確約をしたと言うのですから、この程度のことは、来年度で実証する、そういう考えなら考えだという点を、大蔵大臣から私は聞いておきたいと思うのです。
 あわせて、これによりますというと、未成年者の免税の問題につきましても、これは幾らという金額は出ておりませんが、いずれにいたしましても、未成年者といえば二十までだ。そうすると、私ども推定をしてものを言えば、高校を出て二年程度の収入というものについては、免税はされてくるのではないだろうか。言うならば、先ほどの人事院の昨年の勧告でありますけれども、高校卒が三万七千程度になっています。おそらくことしは四万こえるであろう。こう考えると、ボーナスその他入れまして七十万か八十万ぐらいまでは免税という措置になってくるのではないだろうか、こう私ども推定をしているわけです。間違いであるかどうか、あるいはその辺まで大蔵省としては検討されるのかどうか、この機会にお聞きをしておきたい。
#18
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたように、来年度以降において、問題の取り上げ方として、サラリーマン減税をまず何十%最低限を引き上げるかというアプローチをすることも一つの方法でございましょう。しかしこれは、財政全体の立て方ということ、それから、基本的な政治姿勢ということ、これをかみ合わせていかなければならぬわけでございますから、基本的な政治姿勢としては、先ほど来申しておりますように、法人に重課する。それから、大衆課税はできるだけ減税をして所得税の軽減をはかりたい。従来的な考え方でいえば、課税最低限度をできるだけ引き上げるようにしたい。その中で、各種の所得控除などをどういうふうに考えていくか。これは最低限度が相当引き上げられることになれば、その中でほとんど問題は解消するという考え方も成り立つと思います。
 同時に、未成年者に対しても、課税の最低限度が大幅に引き上げられるということになれば、その中で吸収、解決をされるという見方もあり得ると思います。すでに税制調査会でも、東畑会長なども、未成年者からまで所得税を取るのは酷ではないかという一つの姿勢が示されております。こういった党としての考え方、あるいは税制調査会の権威者としての希望的な御意見、さらにそれよりも大事なことは、国会を通して現在御提案をしておるこの税制案について、いろいろの御批判をいただいているわけですが、そういうことを十分わきまえて、そうして相当のやはり余裕を時間的にも与えていただいて、そうしてこれを積み立てていくというのがわれわれの責任であると思います。ですから、例年にも増して、多少でも、国会での御審議の合い間を見ながら、できるだけすみやかに、こうした全体の問題の取り上げに、例年にも増して早く立ち向かっていきたいということを、政治姿勢といいますか、基本的な姿勢として表明をいたしておるわけでございます。
 しかし、いまくどく申し上げておりますように、その一つ一つに、ワン・バイ・ワンに、これはこうする、これはこうするというべくあまりに問題は重要でございますから、何を何%あるいは何は控除するということを具体的にまだ申し上げる段階ではない。これは御理解をいただきたいと思います。
#19
○山崎昇君 いまの答弁で、具体的にはまだ言う段階ではないというお話ですが、方向としては、この幹事長の確約した方向で私どもいくものだと。また国会は当然これ議論せねばならぬと思いますが、そういうふうに私は理解をしておきたいと思うのです。
 そして、さらにつけ加えて、私は、所得税法は上がったわけですが、一点大臣に聞いておきたいのは、具体的に私どもこの累進税率を計算をしてみるというと、やはりこの間もちょっと触れましたように、中堅層といいますか、言うならば、百五十万から三百万ないし四百万程度の層にかなり厚い内容になっておる。金額が上になればなるほど薄い税率というふうになっています、結果としては。ですから、私はここに計算したものを持っておりますから、あとでお見せしてもけっこうでありますが、たとえば、これは諸控除を除いた課税所得金額で比較をしてみても百五十万の者は、たとえば、四十八年度の所得税法の改正に伴って、去年を一〇〇とすれば一一三ぐらいになります、かりにこれが一〇%ぐらい所得がふえたと仮定をして。しかし八百万の者あるいは一千五百万の者を比較して見ましても、一〇〇にして一一五か一一三ぐらいにしかならない。言うならば、きわめて収入の多い者についてはやはり有利なような内容になっているんではないだろうか。こういう意味で、累進税率の刻み方が、低い者にかなり急になっているという関係があって、あまりいい内容になっていないんじゃないだろうか、こう私ども判断いたしますが、この累進税率についても、検討される意思があるかどうか、お聞きをしておきたいと思うのです。
#20
○政府委員(高木文雄君) 現行税制のもとにおきましては、まず人的控除なり、給与所得控除がございますから、かりに百万なら百万のところで、課税最低限すれすれのところで、給与が一割五分なら一割五分ふえますと、従来課税になっておりました控除を引いた残りの額、それに対して全体の一五の占める割合というのは非常に大きくなりますものですから、累進税率の影響というよりは、控除の制度の影響によって課税最低限にかなり接近したところの部分については、給与の伸びがありますと、減税がありましても、税負担はそう急には減らないというかっこうになっております。それはどこから出てくるかと申しますと、諸控除の額が、収入に占める割合が大きい方ほど、少し給与が一律に、たとえば、一五%ふえましても、その持つ意味が課税上は非常に大きくなるということでございまして、それは現在の所得税法の仕組みのうちの、ただいま、税率とおっしゃいましたけれども、税率構造というよりは、控除制度の影響でそういう形になっているという構造になっているわけでございます。
#21
○山崎昇君 そうではないんじゃないですか。私はグラフにしてやってみる。なぜならば、収入の少ない者のところはものすごい小刻みになっている。これは私どもつくってみたグラフです。金額が一千万こえる者についてはきわめてなだらかになっておる。横ばいになっちゃう。だから、この間も触れましたように、刻み方がきわめて急である。あるいは小さい。そのために所得がちょっとふえただけで、税率が変わってまいりますから、当然取られる率は大きくなっている。だから、幾らあなた方が所得税減税やった、やったと言っても、取られるほうはさっぱり直った形にならない。逆に自然増収というものがふえていくというかっこうになっているんじゃないでしょうか。そういう意味で、私はもう一ぺんあなた方にこれ現実に計算をしてもらって、この所得税の累進税率というものそのものについて検討してもらいたいと思う。ただ、控除だけの問題ではないと思うんですよ、これは。その点もう一ぺん聞いておきたいと思うんです。
#22
○政府委員(高木文雄君) おっしゃいますように、税率のいわゆるブラッケットの幅が広ければ、広いほうが望ましいということでございますので、四十四年以来税率を直します際にも、漸次ブラッケットの幅を広げてきたわけでございまして、その意味におきましては、控除のみならず税率を下げていく、つまりブラッケットを広げていくということが望ましいことは、御指摘のとおりでございます。
#23
○山崎昇君 それじゃ、あなた自身やっぱり広げることが望ましいと言うんだから、当然この税率そのものについてやはり再検討してもらいたい、このことを強く申し上げておきます。
 それからその次に、大臣にお聞きをしたいんですが、これも私どもよくわかりませんが、きのうの新聞を見ますというと、大蔵省は、四十九年度税制で法人税率を直すという大きな報道がございました。法人の問題になってまいりますというと、かなり中身は詳しく述べられております。そこで、いま法人税の問題についても議論されておるわけでありますが、野党の言っておりますように、四〇%程度まで法人税率を引き上げるべきではないか、こう私ども具体的に申し上げています。ところが、この新聞によりますと、その点については触れておりませんで、やり方を多少変えるようでありますけれども、このやり方をした場合と、野党の言っております四〇%程度の法人税率にすべきだという論と、どういうふうにこれはなってくるんだろうか。きわめて大蔵省は法人の問題になると、もう何も言わないうちに具体的に新聞発表をされているようでありますが、一体法人税というものをどうされていこうというのか、聞いておきたいと思います。
#24
○国務大臣(愛知揆一君) 法人税には重課をいたしたいという気持ちで、先ほど申し上げたように、研究をいたしておりますが、これは新聞に発表したものでも何でもございません。私も、この新聞紙を読んではおりますけれども、これは大蔵省から出たものではございません。
#25
○山崎昇君 私ども、ニュースソースについてはこれはわかりません。わかりませんが、少なくともこれだけ中身が具体的に書かれることは、記者が推定で書くわけじゃないじゃないでしょうか。相当これは内容こまかに書かれていますよ。そして、いままでのやり方とかなり違ったやり方になってきています。単にいま三六・五を三八にするとか、四〇にするとかという内容ではありませんよ。大蔵省から出なければ、こんな詳しい内容が、私は、どれほど優秀な記者かどうか知りませんけれども、書ける筋合いのものではないんじゃないかという気がいたします。そしてまた大蔵省は、あなたいま否定されましたけれども、四十九年度からやるために、税制でも何か検討させるというふうなことを述べているようであります。これはじゃ間違いですか、この報道は。
#26
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、法人税に重課をいたしましょうと、国会を通して国民に明らかにしておるわけですね。その内容については、先ほどくどく申し上げましたように、御理解いただいていると思いますけれども、とにかく来年度の財政の規模、それからその編成の内容、こういったようなものが、ただいまでは、これはだれが大蔵大臣をやっておりましても申し上げられないと思います。それだけの資料もございませんし、これから四十八年度、先ほど来申しておりますように、始まったばっかりなんです。この執行についても、十分きめこまかい配慮をしていきたいと、こういうことを申し上げておりますし、同時にしかし、例年よりも早く、来年度の財政の大体の規模とか、それに対処し得る税制のあり方については、国会の御論議等を通して十分勉強をして、早目にスタートを切って、そしてたとえば、予算は概算要求八月末でございますか、だんだんそうなってくれば見通しもだんだん具体化してくるわけです。
 それから、税制は法人税率を何十%にするということをまず一つきめ、そしてそれでアプローチしていくやり方もございましょうと先ほど申し上げたとおりですが、そういうやり方ではよいものが私はできないと思いますから、総合的に全部取りそろえて、最終的に結論づけていくほかにしかたがない、こう思っております。この新聞で見れば、「大蔵省、四十九年度税制で検討」とか、あるいは「法人税率上げ大企業重点に、」あるいは「中小企業の負担軽減」と、この表題は私もまさにごもっともだと思いますし、私の考えているところも同じですが、中身については、私もこの新聞を一読者として読みました。私の意見というわけではございません。これが真実でございます。
#27
○山崎昇君 大臣が否定されるなら、私はこれ以上何も言うことない。しかし、私どもをはじめとして、一般国民は、やっぱりこれだけ大きく出て、中身がこれだけ詳しく報道されますと、すでに大蔵省ではもう検討を開始して、来年度の法人税はこういう方向へいくのかなあということになりますよ。しかし、いまあなたが否定をされましたから、したがって、私は、この中身は誤りだとは思いたくないけれども、思いたくないけれども、正式にあなたは委員会で否定されましたからこれ以上申し上げません。しかし、いずれにいたしましても、法人税についてはいま検討されているわけですから、またあなたがいま、この表題そのものについては賛成だと、こう言われた。そうすると、いまの段階でどの程度まであなた方は法人税というものについてお考えになるのか。これはもちろん、あなたが先ほど来言われておるように、いろんな税と関連をしてくるでしょう。財政規模とも関連するでしょう。それは承知いまします。なおかつ、いま法人税について検討されている段階でありますから、この際、大蔵大臣は、法人税はせめてこの程度までどうかなあと思うなら思う程度でもけっこうでありますが、見解を聞いておきたいと思います。
#28
○国務大臣(愛知揆一君) くどいようでございますが、いま四十八年度の税制について御審議をいただいておるのでございまして、この段階で、四十九年度の税制は、内容はこうこうでございます、おおよその税収はこれぐらいを確保したいと思いますと、申し上げ得る段階ではございません。
#29
○山崎昇君 そういうあなたは答弁をされるなら、なぜじゃ政府は、予算案が上がった直後に、来年は所得税こうします、いろんなアドバルーンをあなた方自身上げるではないですか。上げないんならまた別ですよ。先ほどの所得税だってそうじゃないですか。あるいはテレビ対談に出れば、都議選を意識したかどうかしりませんが、いずれにしてもいろんなかってなアドバルーンを政府自体が上げるじゃないですか。だから、私どもそれについてあなた方に質問すれば、四十八年度はいま予算終わったばかりで、いま四十八年度の審議をしているから、そういうことは答えられないと、こう言う。それなら、これから政府は、来年に関する問題については一切ものを言わないでもらいたい、混乱するから。そうでなければ、自分の都合のいいことはどんどんアドバルーンを上げて、それに伴って私どもが質問すれば、答えられないような態度は不届きだと思うんです。だから、いま私はあなたにお聞きをしたのは、これだけのことを報道されて、中身がかなり詳しいからどうですかということをあなたに聞いた。あなたは、私も一読者として見た、見出しはなるほどそのとおりでいいと思う、しかし、中身についてはこれからいろんな検討があって、これは私の関知するこるところでないと言うから、あなた不否されたから、私は、そうですがと引き下がろうと思うんです。しかし、そういう態度は、政府としてやっぱり改めてもらいたいと思うんですよ。
#30
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、ですから、来年度には、姿勢として「法人税率上げ大企業重点に」と書いてある。こういう表題はごもっともだと思います。私の考えと同じです。しかし、内容についてこまかく何を何%とか、あるいは償却をどういうふうに認めるとかいうことに入れる時期ではございませんということを申し上げているわけです。来年度について、あるいは五年計画とか、十年計画とか、ものによってはございます、将来のことを考えるのに。しかし、長期社会経済発展計画についてでも、あるいは道路計画十カ年計画にしても、あるいは四次防というような問題にしても、年度ごとにこれは予算を編成して御審議を願うわけでございますから、いまの段階で四十九年度の税制の内容を御審議を願うというような段階ではないということは御理解いただけると思うのです。しかし、四十九年度には、姿勢としてこういうことでいきたいと思いますと、たとえば、税制調査会に御検討願うにしても、そういう姿勢がなければ、お願いもできないではございませんか。私は誠実にお答えしているのです。
#31
○山崎昇君 いや私も誠実に聞いているのですよ、あなたに。あなた方がいろいろなアドバルーンを上げて新聞報道されるから、その事実に基づいてあなた方に聞いているのです。聞けばあなたは、答えられないと言うから、私は、いまあなたにものを言っただけです。もう少し、あんまり自分に都合のいいようなことを言わぬようにしてもらいたいと思う。
 次に、あなたにお聞きをしておきたいのは、最近、公害対策がたいへん重要な課題になってきておりますが、税制から見て公害対策について私は弱いのではないだろうか、こう思う一人です。たとえば、水俣病患者、今度千八百万くらいのものをもらいます。こういうものについては、当然それぞれ措置がとられるのだと私は思いますが、たとえば、川崎ぜんそくのように、なかなかとらえられない状態もあるでしょう、あるでしょうが、公害安全般に対して、一体税制面ではこれからどういうふうにされていこうとされるのか、この機会にひとつ聞いておきたいと思います。
#32
○国務大臣(愛知揆一君) 公害については、これは政府全体として非常に大きな問題でございますが、同時に、公害責任というもの、あるいは企業責任というもの、これらについては、また大きな問題として、政府全体としてとらえていかなければならない問題であると思います。これと税制が照応しなければならないと、こういうやはり基本的な考え方を持っております。で、その政府の基本的な根本的な態度というものは、追ってすみやかにきまるはずでございますから、それに照応して、それに逆行するような考え方を税制に用いるということは慎むべきことである、これはやはり基本的な政策に順応して考えなければならない、基本的にはこう考えております。
#33
○山崎昇君 これは本人のやっぱり責任に帰すべきものではないのですね、公害なんぞというものは。したがって、私は、水俣病患者が今度判決によって一応の補償額をもらうわけでありますが、そういう場合に、おそらくかなりな措置をとられると思いますが、いま申し上げましたように、企業の問題が片づかなければ、なるほど公害の問題は片づかないことも承知をいたしております。しかし、万一公害におかされて悩んでいる者、あるいは苦しんでいる者、こういう者を私どもは、やはり税制上見なければならぬと思うのですが、一体一般的になかなか捕捉困難なような状態にある川崎ぜんそくのような公害患者個人の救済というものについて、どういうふうにお考えになるのか、もう一度聞いておきたい。
#34
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申し上げたことを補足いたしますと、これは一つは企業の責任というものをどこまで追及するか、これと法人税制あるいは公害に対する特別措置をどうするかということ、これは基本的な政策に順応したものでなければならないと考えます。それから、ただいま御指摘のありました、たとえば水俣で長年――御自分のこれは責任ではない、そうして補償金をもらうことになった、これについて今度は個人としての課税をどうするかということ、これは今日におきましても、税制の可能な限り、解釈の可能な限り、政府としてはできるだけ手厚い考え方で迎えたいと思いますし、もしこれが、どうしても現行税制では読めないということであれば、適切な措置を考えなければなるまい、こう思っております。
#35
○山崎昇君 局長からでいいですがね、現行税法では、どういう程度の救済ができますか、たとえば水俣病患者千八百万、かりに補償額を仮定をして。
#36
○国務大臣(愛知揆一君) 税制の読み方については、主税局長から御説明いたしたいと思いますが、常識的に申し上げますと、これは慰謝料であるということであると、相当読めるのではないかと思います。これは常識的に申し上げますと。
#37
○政府委員(高木文雄君) 所得税法の九条に、「次に掲げる所得については、所得税を課さない。」という規定がありまして、その二十一号に「損害保険契約に基づき支払を受ける保険金辺び、」その次でございますが、「損害賠償金で、心身に加えられた損害」、これについては非課税になるということになっておりますので、ただいま御指摘の水俣病等の問題について支払われますものについては大体非課税になるのが原則でございます。
#38
○山崎昇君 そうすると、いまの条文の九条の二十一号によって、これは損害賠償の規定を準用しまして、かりに千八百万円と仮定しますと、これについては課税措置はとらないんだと、こういうことに理解していいですね。
 それからあわせて、時間がもうありませんから、あわせて、先ほど来企業側の問題もありますけれども、他のやっぱり一般的にぜんそくで悩む者、例を私は川崎ぜんそくをあげたいんですが、そういうものについて、政府としては、税法上救済措置がどの条文でどうなってくるのかわかりませんもんですから、できたら御説明願いたい。
#39
○政府委員(高木文雄君) 条文関係は、ただいまの九条の一項二十一号でございます。あとは、水俣病につきましても、ただいまのぜんそくにつきましても、大体はもうこの規定に解釈上はまるものと考えております。ただ、具体的には、支払われますお金の性質が、間違いなくこの二十一号に該当するものかどうかという点を少し詳細に調べてみる必要はございますが、まあ直感的にといいますか、感じといたしましては、私は大体この規定にはまる性質のお金が支給されているものというふうに考えますので、そうでありますれば非課税になるというふうに考えていただいてけっこうであります。
#40
○山崎昇君 それじゃ、もう時間がありませんから、最後に、大臣に聞きたいのは、先日十一日だったと記憶していますが、日銀の佐々木総裁が記者会見やりまして、日銀法の改正について昭和十七年にできた法律で、もうすでに戦時中でかなり長くなっておるから、できれば改正をしたいという記者会見やったようであります。そこで、監督する大蔵大臣として、この日銀法の改正についてどのような見解をお持ちなのか、聞いておきたいと思います。
#41
○国務大臣(愛知揆一君) 実は、率直に申し上げまして、日銀総裁から、あの記事は、多少自分の真意と違うようにキャリーされたきらいがあるというような話がその直後にございました。その意味は、昭和十七年に改正されたものであるが、その後も改正されたことはございますわけで、現在この日本銀行法を見てみると、一条、二条などに、現在の感覚からいって、少しなじめないところがあるというふうに感じておったので、いずれ他の面ともあわせて考えなければなるまいと思うけれども、現在すぐにどうこうということはない。その後、たとえば、政策委員会を置いたときなどの改正その他は戦後に行なわれているわけでございますが、そういうときにも、そういう説はあったけれども、中央銀行として機能していく上においては、さしあたり不便があるかどうか、不適切な点があるかどうかと言われれば、そういう点はないということで、今日に至っている。そういう点から言えば今後のいつの日かには研究の対象になると思いますけれども、いますぐに一条、二条だけを取り上げて改正するというようなことは考えていないと、こういう気持ちで会見をしたのだけれども、いずれは考えなければなるまいというところが、非常に強調されたことではないだろうか、従来から私どもと話し合っているところと何ら違っているところはないのだ、こういうふうな連絡を受けております。
 そこで、今度は、大蔵省としてはどう考えているかと申しますと、ただいま佐々木総裁から連絡のあったような気持ちでございます。ことに、率直に申しまして、直接にこの日本銀行法と関係があるかどうかということは別にいたしましても、国際通貨制度が確立されていない、非常にいままだ不安定な時期でございますから、こういうときに取り急いで改正をするというのもいかがであろうか、そういう点におきましては、私は消極的でございます。しかし同時に、全般に通じて改正を考えるといたしましても、これは相当じっくりと、従来の歴史的に考えてみましても、相当長期間を、専門的に検討いたしておりますので、かなり時間がかかるであろう。この前、竹田さんの御質問に、かたくななように申し上げまして、私としても興味と関心は非常に持っております。ただいまの、ところ、すぐ手をつけるという考えはございません。こう申し上げた、その気持ちを持ち続けておる次第でございます。
#42
○山崎昇君 いまお答え聞いていると、何か検討していてやりそうな気もするし、さればといってきわめて消極的にも聞こえるし、なかなかうまい答弁なんですが、ただ、私ども、衆議院の大蔵委員のほうからいろいろ連絡がございまして、日銀政策委員の任命問題ともからんで、かなり衆議院段階では、日銀法の改正に着手をするのだというような方向にいっていると私どもも連絡を受けております。そういう意味もありまして、いま大臣の見解を聞いたわけなんですが、そうすると、私なりに理解をするのは、もちろん昭和三十五年に答申が出て、それ以来ずっと据え置かれている問題でもありますし、また内容的にも、かなりな内容を含んでいる点でもありますから、そう軽々に私はできるものとは思いませんが、いずれにしても、日銀側でも全体的に検討していきたいと言うし、大蔵大臣としても一条、二条にこだわるわけじゃありませんが、そういう提起があれば、当然監督官庁としては日銀法の改正に向かっていくのだ、言うならば、どれくらいの期間かかるかわかりませんが、日銀法の改正についてはその方向に向かうというふうに私どもはいま理解をしたのですが、それでよろしゅうございますか。
#43
○国務大臣(愛知揆一君) 日本銀行法というものは、一口に言って金融の基本法でございますから、これは相当じっくり腰を落ちつけて、現在の日本銀行それ自体の問題だけではなくて、もっと広く恒久的な基本法であるわけでございますから、じっくりと時間をかけて研究すべき問題である、こういうふうに存じております。そうして衆議院のときの状況に言及されましたが、これは日本銀行政策委員会のあり方についても、日銀法改正のときには、これを十分検討いたしたい。私、衆議院で申しましたのは、政府としては、今後日銀法を改正する際には、日本銀行政策委員会のあり方等についても十分検討いたしましょう、こういうお答えをいたしまして御了解をいただいた次第でございます。
#44
○竹田四郎君 大蔵大臣に、まず最初にお聞きしたいんですが、四十七年度の補正で国債の発行、たしか三千六百億組んだわけですが、最近の税金の収納状況が非常によいと、予定よりもかなり大幅に伸びるということで、三千六百億の国債発行をやめるんではないかという意見もあるようでありますが、さらにそれに続いて、四十八年度の予算通ったわけでありますが、これも二兆三千四百億ですかの国債発行というものがあるわけでありますけれども、これはまあとりあえず、四十八年度は今後の問題だと思いますが、四十七年度の補正で組まれた国債発行、これは早急に発行をするということですか。これはとりやめてしまうということですか。その辺をひとつ伺いたい。
#45
○国務大臣(愛知揆一君) 四十七年度分で当初予定いたしましたものは、とりやめることにいたしました。そして四十八年度分につきましては、あとすみやかに第一四半期の発行分について、これは御案内のシ団その他との話し合い等もございますけれども、すみやかにその額をきめることにいたしております。
#46
○竹田四郎君 そうしますと、三千六百億だけではなくて、当初の残を含めてという意味でございますか。補正のときの三千六百億というだけですか。
#47
○国務大臣(愛知揆一君) 三千六百億円の発行をとりやめるということでございます。
#48
○竹田四郎君 そうしますと、いままでは過剰流動性の問題で、むしろ玉がないということで、過剰流動性の吸収というものはなかなかできないんじゃないか、こういう話があったんですが、むしろいまの過剰流動性を吸収していく、まだ私あると思うんですよ。ないとは言えないと思うんですよ。そういう意味では、むしろそれだけ余分に発行をして、過剰流動性を吸収してしまう、吸い上げてしまうという手段にむしろ使うべきだと、残った金は四十八年度で繰り出していけばいいと思うんですけれども、そういうことはできないんですか。私は、むしろそのほうがいいと思うんですが、どうですか。
#49
○国務大臣(愛知揆一君) そういう御意見も、私は、傾聴に値すると思いますけれども、実は四月、五月にひとつ第一四半期に重点を置きまして、相当額の発行ができると思いますので、これで当面の過剰流動性対策の面から申しましても、相当額のものを出せば吸収にある程度役立つと、こう考えております。
#50
○竹田四郎君 そうしますと、まあ発行はやめたとしますと、第一四半期では、大体どのくらいの発行を予定しているわけですか。
#51
○国務大臣(愛知揆一君) 実は、率直に申しまして、ここ二、三日中にきめたいと思っておりますが、大体四月にはそのくらいの額になると思います。それから五月に、またその程度か、あるいは若干それを上回るくらいにいたしたいと思っておりますけれども、これは御案内のように、市中消化ということが原則でございますし、それから、金融状況等を十分にらみ合わせてと考えております。それから、条件の問題もございますもんですから、あとほんの二、三日時間をかしていただければ最終的にきまると思いますが、まず、三千五百億程度は間違いなくいけると思います。
#52
○竹田四郎君 そこは、四月の分は条件はいままでと同じということですか。四月分から条件は変えるということなんですか。どっちですか。
#53
○国務大臣(愛知揆一君) 四月については、おそらく従来と同じ条件になると思います。それらの点については、もう二、三日いたしましたら、確定的にお話し申し上げられると思います。
#54
○竹田四郎君 銀行局長にお尋ねしたいと思うのですが、都市銀行、地方銀行、これの貸倒引当金は、最近の決算状況からいって大体どのくらいになっているのですか。かなり大きな額になっていると思うのですが、どうですか。
#55
○政府委員(吉田太郎一君) いま正確な数字をすぐ調べましてお答えいたしますが、パーセントでございますか、それとも金額でお答えをいたすべきでございましょうか。
#56
○竹田四郎君 金額。
#57
○政府委員(吉田太郎一君) それでは、いましばらくお待ちをいただきたいと思います。
#58
○竹田四郎君 まあ、これはおたくで出している年報、これで見ますと、四十六年度上期で、都市銀行が貸倒引当金は五千二百八億、このくらいになっておるのですね。四十六年度の下期で五千六百六十五億。地方銀行が、四十六年度の上期で二千五百――切り上げまして九億。それから下期で二千六百四十四億。これはおたくの年報の数字を写したわけですから、おそらく間違いないと思いますが、一体、全国都市銀行あるいは地方銀行でこの貸倒引当金を具体的に取りくずしたと、貸し倒れが実際あって取りくずしたというものは、いまの四十六年度上期、下期でどのくらいあったのですか。
#59
○政府委員(吉田太郎一君) 正確な数字は後ほどお答えいたしますが、御承知のように、貸倒準備金を取りくずす場合には、私のほうの検査官がその認定をやっておりまして、それを非常に厳格に運用しておるというのが実情でございます。したがいまして、非常に最終のぎりぎりのところまでは、なかなかその回収努力をさしておるという関係もございまして、非常に少ないというのがこれまでの実情でございます。
#60
○竹田四郎君 まあ、非常に少ないというのですが、これはあとで具体的な数字をひとつ出してみてもらいたいと思います。
 これは確かに、銀行から金を借りるときには担保が非常にやかましいですからね、金を払えなくても決して損はしないようにできているわけですね。また一方、あぶないようなのについてはちゃんと信用保険をかけて銀行は損がいかないようになっているわけですが、この銀行の貸倒引当金への繰り入れ率というのは一体幾らになっておりますか。
#61
○政府委員(高木文雄君) 税法上の繰り入れ率は、千分の十二ということになっております。それはこの四十七年度の税制改正で千分の十五から千分の十二に改めたものでございます。これは税法上引き当てを認められるものでございますので、実際、銀行が引き当てている引き当て割合とは別の数字でございます。
#62
○竹田四郎君 実際にはどのくらいになっているのですか。いまちょっと数字をあれですが、千分のどのくらいになっておりますか。
#63
○政府委員(吉田太郎一君) 経過措置がございまして、千分の十八ということで積んでおるかと思います。いまちょっと確かめまして後刻お答え申し上げます。
#64
○竹田四郎君 どうもたいへんあまり、不確かなばかりの答弁で実は弱るわけですがね。
 大臣、貸倒引当金こんなにたくさん積んでいるわけですね。先ほど申し上げましたように、都市銀行の四十六年度の上期、下期にしても五千億円以上を積んでいるわけですね。そしてて現実には貸し倒れというのは、まあおそらく都市銀行にはないと言ってもいいぐらい少ないだろうと思うのです。地方銀行の小さなところはあり得ると思うのですけれども。そうしてみますと、それほど銀行というのが貸し倒れに対する予防といいますか、防止といういますか、そういうものがかなりよくできているわけですね。それにもかかわらず、他の飲食業や、あるいは一般の小売り、卸とか、それに近い繰り入れ率ということは、私は、少し繰り入れ率が高過ぎるのじゃないかと思うのですよね。もう少し低くしてもだいじょうぶじゃないか、こういうふうに思うわけですが、いつもこういう形で引当金をたくさんに保留をしていくということはどうも納得ができないわけですよ。この辺はもっとぐっと低くしても、実際上の支障はないのじゃないか、こういうように思うのですが、どうでしょうか。
#65
○国務大臣(愛知揆一君) これ、非常にざっくばらんに申しましてなかなかむずかしいところでございまして、やっぱり金融機関というものに対しては、大事な公共的な仕事でもございますし、やはり相当の貸倒準備金というようなものでがっちりやらしておくことが、従来から大蔵省の銀行行政としては必要なことである。そして、銀行検査も御承知のように非常に厳格にやっておりますが、御指摘のように、今日のような状況ならもういいのではないかというお考えも、私わかるような気もいたしますけれども、なかなかここは判断のむずかしいところではないかと思います。御指摘のありましたような点も、私も考えてみますけれども、私としては、この程度のことをやはり続けさせることが必要ではないかと考えております。
#66
○竹田四郎君 銀行でも、たとえば、相互銀行とか、あるいは信用金庫なり、あるいは信用組合とか、そういう小さなところでは、まあそれでも貸し倒れの場面多いと思いますけれどもね、少なくとも相当大きな銀行というのは、そんなに多くやらなくてもいいのじゃないか。しかも、銀行については配当制限もちゃんと課されているわけですね。銀行局長、伺うのですが、都市銀行とか地方銀行の、実際利益の留保額というのは総額どのくらいになりますか。
#67
○政府委員(吉田太郎一君) その前に、先ほどの御質問の数字をお答えさしていただきます。
 四十六年の下期の数字で申し上げますと、貸倒引当金が五千六百六十五億でございます。それから、四十七年の上期が六千百四十七億、これが都市銀行でございます。それから、地方銀行の場合でございますと、四十六年下期が二千六百四十四億、それから、四十七年度上期が二千八百二十八億。以下、相互銀行、信用金庫よろしゅうございますか。
#68
○竹田四郎君 省いていいです。あとで資料でいただきます。
#69
○政府委員(吉田太郎一君) 損益を申し上げます。
 全国銀行で申し上げますと、四十七年度上期四千百四億円が全国銀行でございます。営業純益でございます。
#70
○竹田四郎君 都市と地銀との……。
#71
○政府委員(吉田太郎一君) 都市銀行が二千七億円、地方銀行が千二百八十八億円でございます。
#72
○竹田四郎君 年度だけでも大臣、これだけもうかっているわけですね。その上にわざわざ貸倒引当金というものをまた大きく……。私はそんなに優遇する必要は現実にないんじゃないかと思うんです。確かに全部これをなくしてしまう、ゼロにしてしまうということについては、そこまで私もする必要ないと思うんですけれども、とにかく繰り入れ率をもう少し下げるべきだと私は思うんですよ。おそらく千分の五ぐらいで十分じゃないか。まあ五がいいかどうか、それは検討してもらいたいですが、必ずしも私が言った数字は科学的に検討した数字じゃありませんから、大づかみの数字ですがね。少なくとも千分の十八というのはあまりにも高過ぎるほかの製造業なんかの繰り入れ率というのはそれよりも低いと思うんですよ、銀行よりも。そうなってまいりますと、どうして銀行だけそんなに優遇をしているのか、おそらく正式な税制上はその他の部類で千分の十二ぐらいだと思うんですね。ですから、千分の十八を実質上繰り入れているということでは、私は、どうしても高過ぎると思うんですよ。だから、これは、こういうことをしているから、銀行と、大蔵省の銀行局なり政府とが癒着しているとかなんとか言われると思うんですね。どんどんこの辺から、私は、もう整理をしていっていい時期だと思うんですよ。大蔵大臣も、法人税の税率引き下げ等については、もう四十八年度はそうした準備金とか、引当金だとか、そういうようなものを、租税特別措置の関係をうんと整理をして、実質的には法人税をうんと取るという方向にしているのだ、こういうふうに答弁になったと記憶しておるわけですけれども、そういう意味から言いますれば、この銀行の貸倒引当金なども、私は、もっとずっと減らしていいと思うんですよ。まあ中小の金融機関はこれは若干別だと思いますけれども、これはひとつ十分検討してもらいたいと思うんですよ。これではどうも多過ぎると思うんですよ。先ほど、どうかと思うと言うんですがね、利益はかなり出ているわけですよ。ですから、当然もっと引き下げていいんじゃないかと思う。もう一回ひとつ御答弁いただきたいと思います。
#73
○国務大臣(愛知揆一君) 私が、率直に気持ちをそのまま申し上げたのは、やはり銀行というのは、非常に公共性の強くあるべきものであって、そして一般国民大衆からの預金を受け入れている、預金者の保護ということは、私は、相当徹底して考えていかなければならないと思うわけでございます。同時に、この貸倒準備金というようなものは、一口で言えば、非常の場合に備えるというものであるので、この比率を下げることが、いまやってだいじょうぶかなという気持ちが率直に言っていたしますので、先ほどのようなお答えをしたのでありますけれども、この点に触れて御意見を提起されたということは、私として十分テークノートして考えたいと思います。
#74
○竹田四郎君 これはぜひもう少し常識的にしていただきたい。それでなければ、どうも銀行を過保護しているということになるのではないかと思うんですけれども、もう一つお聞きしたいんですが、その他で、私ずいぶん特別措置法の準備金、引当金等で、もっと徹底的に見直してみなくちゃならぬというのがたくさんあるわけでありますけれども、時間がないから言及できませんが、たとえば、電力会社の渇水準備金ですね、これなんか具体的にどのくらい渇水準備金の累計額があるかというと、たいへんな額になるわけですね。百四十九億ぐらいすでにあるわけですね。これなんかも、火力、水力の最近の現状から見てみますと、水力はわずかに二六%ぐらいですよね。あと火力が七二%、原子力が大体二%弱、こういう電力の発電事情であるわけですから、この渇水準備金なんかについても、私はもう少し整理をされていいんではないか。一つずつこういうふうに洗っていきますと、たいへん四十八年度はそうした準備金、引当金等を通じた特別措置を整理されたとはいうものの、私は、ずいぶんまだ整理をしなくちゃならぬ問題というのはものすごくあると思うんですよ。特に、世の中がこのように企業優先から福祉優先、政府自体もことしは福祉元年だと、こういうふうに言っている時期ですから、この辺の見直しというのが、いまのままではどうにもやっていけないのではないか、正しくないのではないか、税金の不公平というものはこういうところにどんどん出ていると思うんですよ。ですから、もう少しこれはいまこの渇水準備金についても御答弁いただきたいんですけれども、もう少し全体として見直して、直していくということをやってもらわないと困ると思うんですが、いかがですか。
#75
○国務大臣(愛知揆一君) 渇水準備金については、将来十分検討いたしたいと思っております。というのは、水力発電の状況から申しましても、会社によって非常に水力に対するシェアというか、比重が大きいところはもうあまりなくなってきているわけです。そういう点から考えましても、四十九年度には相当見直してまいりたい、こう思っております。
 それから、一般的に特別措置法の関係については、これはもう既得権と見るべきものではないし、慢性的に一ぺんきまったからといってずるずるべったりで延ばすべきものでないことは当然でございますから、情勢の変化と、それから、やはり政策目的の変化ということに対応するように考えていかなきゃならない。しかも、原則的には、特別措置というものはできるだけ少ないほうがいいと、こういう姿勢で、四十九年度の税制改正には臨んでまいりたいと思うわけでございます。
#76
○竹田四郎君 さらに、その特別措置については、また、引き続いてやっていきたいと思いますけれども、私のあげた二つの点だけでも当然考えて、直さなくちゃいかぬということはもう明らかだと思うんですよ。主税局長もひとつその辺を、価格変動準備金を少しいじって、これでよろしゅうございますという、そんなことじゃ、どうにもしょうがないですわ。もう少し真剣になって特別措置を見直して、洗い直してやっていくということを考えてもらわなければ困ると思うんですが、これは今後ひとつそういう点できびしくやっていただくということをお願いをしておきたいと思います。
 その次に、土地の問題に入りたいと思うんですが、建設省で、上場会社の土地の保有状況というのを、去年ですか、調査なさったと思うんですけれども、西武鉄道が所有している土地というのは一体どのくらいありますか。
#77
○説明員(川上幸郎君) お答えいたします。
 建設省におきまして、東証上場第一部及び第二部の千二百九十九社に対しましてアンケート調査を行なったわけでございます。その結果につきましてはまとめておりますが、何ぶんにもこのときに、あくまでアンケートでございますので、個々の内容を漏らさないということになっておりますので、まあ西武鉄道という個別の問題につきましては、ちょっと答弁を御容赦いただきたいというふうに思います。
#78
○竹田四郎君 私の資料ですと、西武鉄道が持っておりますところの決算報告、四十六年九月の決算報告によりますと、四千三百七十三万二千二百四十三平米持っているわけですが、大体そのくらいの数字でございますか。
#79
○説明員(川上幸郎君) ちょっと私手元に資料を持っておりませんので、何ともお答えいたしかねます。
#80
○竹田四郎君 そういうふうに、こう答弁逃げられてしまうと、実に弱るわけですけれども、まあ私鉄の中にしても、あるいは商社その他の上場会社の中にしましても、たとえば、電力会社なんかみたいな大規模な工場用地を持っているところは別でありますが、他の東武鉄道の同期におけるところの所有面積というのは千二百四十二万二千三百三十七平米ですね。おそらく鉄道のキロ数あるいはそれに付随するものというふうに比べてみますと、西武の持っている土地というのは非常に多い。この土地の中には、要するに事業用の土地と、西武鉄道のいわゆる不動産部の持っている土地というものとあると思うんですが、この中で鉄道用の、あるいは事業用の用地というのはどのくらいになっておりますか。これも言えないというんですか。
#81
○説明員(川上幸郎君) どうもまことにお答えしにくい答弁で恐縮でございますが、私どものほうの調査しました結果によりましても、運輸・倉庫・通信業といたしましては三十七社のアンケートのお答えをいただいております。全体の保有面積が三十三万ヘクタールでございますが、このうちに運輸・倉庫・通信業といたしましては、三十七社で一万三千六百七十ヘクタール保有している。このうち事業用資産が五千八百二十三ヘクタール、たなおろし資産は七千八百四十七ヘクタール、こういう数字が出ております。
#82
○竹田四郎君 首都圏における西武鉄道の保有している土地というのはどのくらいありますか。
#83
○説明員(川上幸郎君) 再三で恐縮でございますが、アンケート調査の際におきまして、個々のケースを発表しない、こう申しておりますので、御容赦いただきたいと思います。
#84
○竹田四郎君 それじゃ、私のほうから申し上げたいと思うんですけれども、西武鉄道が首都圏で保有しているところの土地というのは、二千七百八十九万平米、このぐらい持っているわけですね。これがおそらく建設省としては、この首都圏で持っている用地は全部事業用の資産だと考えますか。宅地造成その他の用地だというふうに考えるかどうか。あるいはこの首都圏で取得した用地のうち、大体何年ころおもに取得をしているのか、かなり前から、私は、取得をしているんではないだろうかと思うんですが、どうですか。
#85
○説明員(川上幸郎君) 個別の問題につきましては非常にお答えがやりづろうございますが、全体的に申しますと、相当部分は西武は――民間企業は四十四年以後におきまして取得したと思われます。
 なお、今後は宅地造成はその模様に応じて吐き出していくようになるだろう、このように考えております。
#86
○竹田四郎君 西武鉄道がこれだけの用地を持って、年間に宅地造成その他で売却している用地というのはどのくらいの割合になりますか。今度割合で聞きましょう。
#87
○説明員(川上幸郎君) どうも非常にむずかしい質問ばかりでお答えがしづらくて恐縮でございます。
 ただ、現在、民間デベロッパー等にたよっております部分、建設省におきましては、昭和四十六年から五十年に七万五千ヘクタールの供給を予定いたしておりますが、このうち民間開発によります部分は、半分をこします三万九千ヘクタールを織り込んでおるということでございますので、それをもととしていまいろいろ勘案いたしたいと思います。
#88
○竹田四郎君 どうも答えてくれないんで、これ困るんでね。いま土地の問題というのは、国民の一番関心の的になっているし、今度の税法については、法人の土地税法についてもこれは私は問題あると思うんです。ですから、その辺を明確にしてもらわなければ困ると思うんです。
 もう一つ聞きます。西武鉄道が一年間に供給できる宅地能力というのはどのぐらいになっていますか。
#89
○説明員(川上幸郎君) どうも私のほうも、まことに恐縮でございますが、個別の企業につきましては一々チェックしておらないというような実情でございます。
 なお、民間開発に織り込んでおりますのは、先ほど申しましたように、その公的開発の半分を織り込んでおり、かつデベロッパー業等におきましては、先ほど申しましたものの相当部分を織り込むことになると思います。
 なお、参考までに過去の民間業者によります供給ベースで申しますと、四十四年度におきましては二千八百ヘクタール、四十五年度におきましては三千ヘクタールという数字をチェックいたしておる実情でございます。ただしこれは民間業者全体でございます。
#90
○竹田四郎君 委員長、これひとつお願いしたいんですが、実際西武が、営業キロ、それからその他の施設、こういうものを見ましても、こんなにたくさん土地を保有しているというのはおかしいんですよ。だから、一体いつ西武がその用地を買って、いつそれをデベロップして売ったかということが明確にならないと、土地の譲渡益の問題だってはっきりしないわけですよね。何にも答えられない答えられないということでは――自分たちのほう調べているんですよ。だから、できたらぼくはその点では、いまからでもけっこうですから秘密会なり何なりして、はっきり数字言ってもらいたいと思うんですよ。
#91
○委員長(藤田正明君) 川上君、いま君のほうはアンケートでとったがゆえに、一切公表しないという約束でアンケートでとったから、個別の企業のそういう数字は出さない、こういうことですね。
#92
○説明員(川上幸郎君) そうでございます。
#93
○委員長(藤田正明君) アンケート以外でそういうふうな数字を調査して出すことはできるんですか。
#94
○説明員(川上幸郎君) 私のほうは、西武一社だけを出しますということは、個別企業の問題になりますので、建設省が宅地行政の……。速記をやめていただきたいんですが。
#95
○委員長(藤田正明君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#96
○委員長(藤田正明君) 速記入れて。
#97
○竹田四郎君 たとえば西武鉄道が、これはほかの、建設省の数字では全然ありません、ほかの数字から見ますと、横須賀市で調整区域内で大規模に用地を買っている。これだけでも、これ合計いたしますと、約五百ヘクタールぐらいの、以上の、七百ヘクタールくらいになりますか、そのぐらいのところを現実には十年前に買っているわけですよ。それが現在何ら手をつけられていない。おそらくやがてそれは手をつけるだろうと思います。この十年間の土地のその付近の値上がりから見ますと、もう十倍以上上がっているわけですね。おそらく取得の時期というのは坪当たり千円ぐらいで取得している。いまそれはおそらく宅造して売り出せば葉山の近いところでありますから、もう十何万ということになります。これには譲渡益がかからない。今度の新しいあれにかからないということになります。私は、その辺たいへん不合理だと思うのです。そういう意味で、今度のこの法人の土地の譲渡益にかけるにいたしましても、全体的にもそういう数字が一体何年、四十四年以降に買われたものはどのくらいなのか。四十四年以前に買われたものはどのぐらいなのか。この数字というものを明らかにしなければ意味がないわけですよ。そういう資料をぜひ出してもらいたい。それでなかったら、この新税が有効なのかどうなのかわからないわけです。そういう点は調べられるはずですね。
#98
○説明員(川上幸郎君) 先生のおっしゃいます点を尊重いたしまして、できるだけ資料を集めたいと存じます。
#99
○竹田四郎君 それで、委員長、あと――速記とめて。
#100
○委員長(藤田正明君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#101
○委員長(藤田正明君) 速記入れて。
#102
○戸田菊雄君 これからあさって保有税ないし譲渡税この問題入るわけですけれども、やっぱりこれわからぬといかぬですね、いま竹田委員が言ったように。だから、関係のいわば土地投機、大手いろいろありますが、そういうものはあとでひとつ委員長、理事会でもって相談してもらって、一回やっぱり委員会に呼んでもらって。これが一つ。
 それからもう一つは、資料として西武鉄道の四十四年における土地買い占めがどのくらいあるのか。これははっきりひとつあとで出してもらいたい。
 それから倉庫事業、そういったものがあると思うのですね。それから観光事業、これは大手商社その他相当買い占めをやっているわけですから、そういうものを具体的に、保有量、買い付け年次別、それから分譲明細、分譲地もありますから、住宅にどのくらい提供されているのか。それから、住宅に転用したものはどのくらいあるのか。そういう具体的な内容を関係企業ごとにひとつ提示をしてくださいよ、資料を。
 それから、あとついでですから、大蔵省のほうにも、あさって租税特別措置の関係で今回統廃合で若干整理をした分もありますけれども、むしろ拡充拡大をしている点がありますね、特別措置でも。だから、一つはこの無公害化の生産設備、これ初年度三分の一これからやっていこうというのですが、どういう企業が大体該当になっているのか、これに。十社程度でいいです。
 それから、公害防止施設の特別償却制度、これもやられるようになっていますが、これに対する拡大範囲ですね、事業対象どういうところにおいているのか、この内容について一つ出していただきたい。
 それからもう一つは、公害防止準備金制度、これも対象事業種をひとつ出してもらいたい。どのくらい一体あるのか。金額は大体別途資料でちょっと見ておってわかりますから、事業別に金額別にひとつ出してもらいたい。
 それから工場立地法制定、これの法律に伴って工場の緑地化計画、こういうもので機械装置とか建物、こういうものに対しても廃棄処分の対象事項があるんだけれども、これはどういうものが一体廃棄処分になっているのか、その内容をひとつ提示をしてもらいたい。
 それから、流通の合理化なり良質住宅の供給、こういうことで機械の緊急購入ですね、こういうものに初年度四分の一特別償却をやる、こう言っているんだが、その対象事業はどういうものがあるか、これもひとつ詳細に出してもらいたい。
 それから、製品の安全性確保、これで一定の検査機器について初年度分の三分の一償却、これも一体どういうものなのか、その内容をひとつ出してもらって、さらに、既存の各種の租税特別措置の主として大企業等に向けられたいわゆる引当金、準備金、特別償却、こういうものがありますけれども、資本金一億円未満、一億円以上、十億、五十億、百億と、こうありますが、この内容をできれば十社程度のものをひとつ出してもらう。どのくらい金額においてやられているのか、これもひとつ資料として要求をしておきたいと思うんです。
 以上です。
#103
○政府委員(高木文雄君) ただいま御指摘がありました種々の資料のうち、すぐできるものと、時間がかかるものと、それから、ちょっとできないものと、三つに分かれると思いますが、そのように分けて、あとですぐできるものはすぐ出しますし、それぞれに応じて処理をさしていただきたいと思います。
#104
○委員長(藤田正明君) 後ほどの理事会で、ただいま竹田委員それから、戸田委員から言われた資料に関しましてははかりたいと思います。この午前中の審議の終わり次第理事会を開きますから、その時点で御説明願います。
#105
○竹田四郎君 建設省で出してもらいたいと思うんですが、たとえば、この中で言いますと、横須賀市山中町三番地の百七ヘクタール、これは開発目的宅地。それから、同じく長坂の三百七十二・九ヘクタール、これも宅地。これは全部買ってますね。それから、同じく横須賀市の秋谷の五十九・四ヘクタール、これも買収目的は宅地です。それから、葉山町の堀の内、これが九十七ヘクタール。これも宅地です。それから、大磯町の寺坂、九十九ヘクタール。これも宅地です。こういう宅地を一体いつ開発していつ売るという会社の計画なのか、この点もはっきりしてもらわなければ困るんですよね。いつまでも持たれちゃ困る。その点もひとつ資料として出してください。
#106
○説明員(川上幸郎君) 何度も申しまして恐縮でございますが、個別の企業にどこまで調査し得るかという疑問もございますので、その辺十分検討いたしまして、なお、お答えいたしたいと思います。
#107
○委員長(藤田正明君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#108
○委員長(藤田正明君) 速記入れて。
#109
○国務大臣(愛知揆一君) ちょっとさっき公債のあれをお尋ねがありましたので、一言だけお答えしておきます。
#110
○戸田菊雄君 それじゃちょっと関連して。
 さっき大臣、竹田委員の質問に対し、四十六年度分の三千六百億を打ち切ると、こういうお答えに対して、その打ち切る原因はどういうところにあるんでしょうか。たとえば、自然増収が多く入ったから、財源上余裕ができたということで切っていくのか。その原因は何なのか、ちょっと聞きたい。
#111
○国務大臣(愛知揆一君) その原因は、税収の状況と、それから歳出の状況をにらみ合わせまして、補正予算当時に予定したものはここで打ち切ったほうがよろしいと、こういう考え方でございます。
 それから、四月分は、先ほど申しましたように三千五百億円。それから、五月は、三千八百億円程度出したいと思います。四月分につきましては、条件は先ほど申しましたとおり、それから、五月分につきましては、一両日中にきめて御説明いたしたいと、額だけ三千八百億円程度、こういうふうに考えております。
#112
○戸田菊雄君 自然増収で財源上余裕ができたから公債発行を打ち切りたい、こういうことは、いわゆる自然増収の過小見積もりをやっておったということになりましょう。それとまた一面、経済の変動状況が非常にその点で政府の見通しが誤っておった。非常に昨年は景気状況が思わしくないということできたのですけれども、年度最終になったら、おおむね一〇%以上になっちゃった。従来のパターンとやや同じ状況になって、景気が非常に浮揚した、そういうことが非常に影響するのですけれども、経済見通しと税収見積もりの過小評価、こういうものがそごがあったのじゃないかと思うのですけれども、その辺の見解はどういうようにお考えですか。
#113
○国務大臣(愛知揆一君) 補正予算編成のときに、歳出のほうからいえば、これだけの歳出をぜひ必要とする、歳出の権限をひとつお与えいただきたい。
 歳入のほうは、やはり見積もりとしてはできるだけ手がたくと見たわけでございまして、その差額を公債財源に入れることにしておりまして、同時に、税の見積もりが過小と言われれば過小であった。そして、公債財源の必要がなくなった、それで打ち切りにいたしましたと、それから、同時に、金融政策としてはやはり相当の公債をこの際は出すことが望ましいと考えておるわけでございますけれども、ただいま申しましたように、四十八年度分として四月と五月だけで例をとりましても、七千三百億円というかなりの額が発行されるわけでございますから、いわゆる過剰流動性対策としては、四、五月としてはこれで十分であると、こう思いましたので、四十七年度補正分は取りやめといたしました。
#114
○多田省吾君 最初に、大蔵大臣に物価問題でお尋ねしたいのですが、去る十三日の日銀の発表によりますと、三月度の卸売り物価指数は前月比一・九%、連続十四カ月の高騰を示したわけでございます。また、四十七年度の卸売り物価は年間一一%と暴騰しております。史上最高の二けたの暴騰でございまして、インフレの悪化が非常にすさまじい。これに対して政府の無策をつく声も非常に多いわけです。昔だったらもう二・二六事件の前夜のような姿になったのではないかと、こういう事態でございます。こういうインフレに対してどういう対処のなされ方をしようとしているのか。この卸売り物価の高騰というのは、消費者物価にも波及してくるのは当然でございます。そのほか国鉄運賃、健保料金の値上げ等、公共料金の軒並み値上げを政府は考えているわけでございますけれども、それらの消費者物価の上昇に対して、大蔵大臣としてどのようにこれを回避されようとしているのかまずお伺いしたい。
#115
○国務大臣(愛知揆一君) 物価問題はもう政府としても非常に深い憂慮と懸念を持っておる次第でございまして、先般来一々御承知のところでございますから詳しくは申し上げませんけれども、大蔵省関係だけで申しましても、累次にわたる金融の引き締め、これは相当この段階としては、政府としても大きな決心をして断行いたしましたし、また予算についても、先ほどもいろいろと御批判もいただきましたけれども、年度を通じて適正にこれが支出をいたしたいということで、たとえば、セメントとか、木材とかの需要が直接政府や地方公共団体、あるいは政府関係機関などの需要に急激にまたこれがあらわれてくることを防ぎますために、都会周辺その他の需要に対しては、これを抑制して、年度の後半を意識してそちらのほうに支出を予定するというようなことをやっておるわけでございます。
 まあ、投機抑制その他についての問題は、直接には所管も違いますけれども、全力をあげて対処しておりますことは御承知のとおりでございます。
 そこで、本日も企画庁から発表されたかと思うのでありますけれども、今月に入りましてから、特に、消費者物価の面におきだしては、若干の新しい傾向が出てまいりました。たとえば、前月比で下落した品目が四十九品目、それから前年同月比で下落しております品目が六十四品目、これは四十八年の三月の東京における消費者物価の中で、前月比あるいは前年同月比で下落しているものをあげてみますとこういうことがございます。その中には、生鮮魚介類、野菜、それからとうふ、油あげというような、直接家庭生活に欠くべからざる主食、これに関連するようなものもございまして、今後とも、あらゆる施策を講じてこういう傾向が一般的にわたってまいりますように、全力をあげてまいりたい。
 なお、これもしばしば申し上げておるわけでございますけれども、四十八年度予算は、いま始まったばかりでございますが、物価対策としてはよく迂遠のように言われますけれども、低生産の生鮮食料品の関係、それの合理的な生産の安定と価格の安定、それから、流通の改善、そしてさらに、未端の小売り業者に対する助成というような点については、これから歳出予算も支出がされてくるわけでございますし、物価閣僚会議などにおきましても、こうした予算執行の経過、結果あるいは中間的な報告をとりながら、さらに、こういう措置が適切な効果をあげるようにやっていきたいと、こう考えておるわけでございます。
 それから、卸売り物価の関係について考えてみますと、これは海外の影響といいますか、もう世界をあげてのいま物価高の状況でございますから、輸入の価格というものが、必ずしも日本側の措置だけでは十分な対策が打てないかもしれませんけれども、最近の東京為替市場が落ちついているというようなことにも関連して、輸出が漸次弱含みになってくる。これに反して輸入の伸びは非常に大きくなってきておりますから、こういう点が多少の時間の経過はかかりますけれども、かなりな効果をあげてくると期待をいたしておるわけであります。
 一方、異常とも思われますような、投機的な問題については、証券市場をごらんいただきましても、現状のような状況で、一時のような非常な暴騰ぶりというものは、ずっと下がって、きのうあたりは最近にない低落ぶりでもございますし、こうした証券市場の先見性というようなことから見ましても、相当新しい動きが出てきた、これにひとつ、この状況の上に踏まえて、これからの施策が十分成果をあげるようになれば、これはけっこうなことである、こういうふうに考えて一そうの努力をいたしたいと思っております。
#116
○多田省吾君 十三日夜八時のNHKの教育テレビで、「インフレをどう鎮静するか」と、こういうことで、いろいろ富士銀行副頭取だとか日銀の理事だとか、そういった方々も来られて座談会を行なっていた。朝日新聞の欄なんかにもこれ取り上げられておりますけれども、私も聞きましたものですから、ちょっと質問しますけれども、全国の銀行で二年間に三十兆円もの貸し出しを激増さして、それが投機に回っているんだと、こういう質問に対して、富士銀行の副頭取は、その点の反省はしているけれども、銀行に貸せ貸せと政策を指示したのはだれだろうかと、こういう、責任のがれといいますか、そういうことを言った。そうしたら隣の日銀の理事が、あのときに貸し出しの引き締めをやれば、貿易の黒字増からドルの流入はもっと激化しただろう、日銀としてはそういうことはもうやれないことだ、責任は日銀以外のところの政策のまずさにあった、こういう政府の政策のまずさを指摘しているわけですよね。
 それから、もう一点ですけれども、この前、田中総理が、消費者物価が一年前と比べて東京で九%も上がっている、こういう最大のピンチでございますけれども、田中総理が、何かよい知恵はないかということでいろいろ検討して、田中総理がおっしゃるのには、需給の見通しを誤って、たとえば木材のように一時の三倍も値上がりするような事態を招いても担当者は別のポストに栄転するというばかなことは許されない、所管物資の実情掌握に手抜かりがあって値上げが起きたときは、所管局長に責任をとってもらうと、こういうことをおっしゃっている。非常にことばはりっぱそうに聞こえますけれども、結局これも、総理はじめ各経済閣僚の政策が誤ったためにこういう事態になったのだと、こういう声も強いわけです。ですから、大蔵大臣としては、財政金融、税制の最高責任者です、大臣としては、こういう声に対して、どういう責任を感じておられるのか。だれが見ても、これは政府の政策、この一年、二年来――まあ、大蔵大臣は、この前大蔵大臣になられたのでありますから、その前の責任はないとお答えになるかもしれませんけれども、やはり私は、大蔵大臣の責任もあると思います。その点で、ひとつ、どういう責任を感じておられるのか、御答弁いただきたいと思います。
#117
○国務大臣(愛知揆一君) 与党としては継続的に政治の責任に当たっておりますから、そういう意味で責任を回避するものではございません。ただ、いたずらに責任を感ずるとか感じないということよりも、私は、この実態を直視しまして、それに最善の方策を講ずることに努力することに新たなる責任があると、こういうふうに感じまして、これからの財政金融あるいは税制の運営に遺憾なきを期したい。最大の責任を感じ最大の努力をいたしたいと、こう思っております。
#118
○多田省吾君 先ほど大蔵大臣は、輸出、輸入の問題等おっしゃいましたけれども、卸売り物価あるいは消費者物価の傾向を見ますと、卸売り物価の四十七年度平均上昇率は三・二%、四十六年度の〇・八%下落と比べますと非常な上昇率でございます。これは政府見通しの二・二%高と比べても、それを上回っております。で、四十八年度中の卸売り物価が今後横ばいを示したと仮定しても、四十八年度の平均上昇率は、消費者物価の上昇率は七・一%にはね上がり、政府見通しを二%も大幅に上回る姿になります。そういう実情にかんがみて、いま大臣も、これからの施策で、調査し、また手を打ってやっていくんだというお答えでございましたけれども、その具体的手段でございますけれども、公定歩合の再引き上げとか、あるいは公共事業の大幅翌年度への繰り延べとか、あるいはこれから考えられることとしては、やはり年内の所得税の追加減税あるいは補正予算での大幅減額修正、こういった大きな手段を、蛮勇をふるわない限りは、この最悪事態は免れない、乗り切れないと思いますけれども、大臣はどのような手段を考えておられますか。
#119
○国務大臣(愛知揆一君) ものによっては蛮勇をふるう必要もあろうと思いますけれども、これは蛮勇をふるって勇み足をして国民に御迷惑をかけるというようなことは厳に慎まなければならない。やはり従来の経験に徴して、相当長期的な先見性を持っていかなければならないと思うんです。私は、このごろの新聞やあるいはテレビ、ラジオ等通じての解説等をごらんになりましても、一部には、これだけ引き締めなどをやれば、たとえば、中小企業はもうほんとうに音を上げてしまうではないか、いや、それにはとどまらないで、ことしの後半には非常なデフレ現象が起こるのではないかという声すらも上がっているようなわけでございますから、そういうような点を、あまりにも現実の現象にだけ幻惑されないで、冷静に長期的な観点に立ってやっていくことが、いたずらなる蛮勇というようなことよりは、私は、非常に必要なことではないかと、こう思っております。
#120
○多田省吾君 それでは、着実な手を打っていくということでございますけれども、先ほども若干お述べになりましたが、じゃ、具体的に着実な手として、どういう手段が一番危険性もなく効果的な手段だとお考えですか。
#121
○国務大臣(愛知揆一君) 大蔵省といたしましては、私は、前回の当委員会で申しましたが、陣立ては整った、これはあとは冷静、着実に実行をしてその結果を見守っていくということである、こういうふうに考えます。
#122
○多田省吾君 話は違いますけれども、先ほども質問があったと思いますが、所得税の問題です。所得税制の改正案は通りましたけれども、その後、橋本幹事長が必要経費を拡大するということで、二百万未満は四〇%控除、あるいは二百万から五百万、これは三〇%控除、五百万以上は二〇%控除と、このような案を示しておりますけれども、私は、この前、総理に一律三〇%というのは低額所得者に対してはほとんど効果がなくて、高額所得者のみ減税になるという姿になるじゃないかということで反対しました。また大蔵大臣も、そういうことじゃない、これは一つの例であって、具体的にはそうじゃないんだというような御答弁がございました。ところが、この橋本幹事長のあれは、必要経費三〇%減税を中心にして、二百万以下は四〇%、五百万以上は二〇%、相当これは具体的な提案ですわね。いまの現行制度が、高額所得者に対して六百万円以上は五%と、これすら――この前も共産党の渡辺さんなんかは、四百万を六百万に引き上げたのは、高額所得者に対する大幅減税でけしからぬと、このようにかみついておられた。それなのに、五百万以上は二〇%増額なんて、こんな、高額所得者に対する相当な恩恵です。そして二百万以下は、現在でも三三%程度の減税になっているということから見てそんなに大幅減税じゃない。こういうことでは、私は納得できない。これは――もちろん大臣は、税制調査会にこれから諮問することだから、そう具体なパーセントなんかは諮問に入らないし、これは税制調査会がやることだと、このようにおっしゃるかもしれませんけれども、同じ自民党の幹事長がこのように具体的な案を選挙を前におっしゃっているわけです。こういったことは、私は、実現不可能だと思うのです。大蔵大臣としては、これはやっぱり税制の一番、最高責任者ですから、私は、一言あってしかるべきだと思いますし、やっぱり御自分の意見を言えないということはなかろうと思うのです。五百万以上二〇%控除なんてなれば、それこそ高額所得者は、たとえば、三千万の所得のある人なんかは、三〇%控除なら六百万以上の減税でありますけれども、二〇%以上でもこれは四百万程度の減税になりますよ。これは大き過ぎる。少しぐらいいいかもしれませんけれども、これは大き過ぎます、どう見ても。大蔵大臣はこういった控除額は妥当だと思いますか。あり得ることだと思いますか。どうでしょうか。
#123
○国務大臣(愛知揆一君) 一つの考え方としてはあり得ると思います。しかし、私は、四十九年度の税制については、財政の需要も考え、そして公債財源ということは、まあそのときの経済状況によりますけれども、気持ちとしては、公債依存度はやや控え目にしたい。そして税収入で増大する財政需要、特に、福祉関係等については着実な増加をはかっていきたい。それには、直接税、間接税をどういうふうにしていくか。直接税については、ひとつ法人重課、サラリーマン、国民大衆の減税ということをできるだけ大幅に考えていきたい、こう思っております。で、その控除の度合いをどういうふうにするか、あるいは必要経費というようなものを、具体的な内容を新たに考えるか、いろいろの考え方があろうと思いますが、そういう内容について、四十八年度の税制をお願いしているときに、四十九年度の税制について、四十八年度税制と同じような角度で御審議を、四十九年度に何を考えているかとおっしゃられても、これはだれが大蔵大臣になりましてもそこまでは申し上げられないでしょうというふうに考えておる次第でございます。
#124
○多田省吾君 それなら、総理大臣や橋本幹事長がそう言っておられることも、それ以上にこれはひどいですよ。総理大臣なんかあれじゃないですか、所得税のまだ法案の質疑をやっている最中じゃありませんか、一律三〇%減税、こういうことも考えられるんだというようなこと。だから、質問しているんじゃありませんか。全部それに関連したことじゃありませんか。それは大蔵大臣としては、軽々しくそういったことはおっしゃれないのはよくわかっております。だけれども、やはり基本的な姿勢ぐらいは示してもよろしいのじゃないか。じゃ、総理大臣や橋本幹事長がこういったでたらめなことを、まあ大蔵大臣はあり得ることだとおっしゃっていますから、でたらめじゃないとおっしゃるかもしれませんけれども、こういうことをばんばんおっしゃっているのに、われわれ野党の議員がそれを質問しちゃいけないなんて、そんな法がどこにありますか。質問されたくないならそういうことはおっしゃらないほうがいい。
 それじゃ、この問題、いつまで言っても切りがありませんから、最後にお尋ねしますけれども、大臣としては、抽象的にお尋ねしますが、ほんとうに所得税の大衆減税を、低額所得者に対する減税をはかろうとなさっているのか、それとも高額所得者に対する減税を中心になさろうとしているのか、そのどちらかをひとつお答え願いたいと思う。私は、低額所得者に対する減税ならば、やはり定額控除等を多くして、そして定率控除はなるほど四〇%でも三〇%でもいいでしょう。そうしておけば、やはり百五十万円までの減税、これはできるのですから。しかし、やっぱり高額所得者に対する減税、これはこんな三〇%、二〇%ということではなくて、従来のように、やっぱり一〇%、五%程度にとどめるべきだと、私は思うのです。ですから、私は、抽象的に質問いたしますけれども、大臣どういう基本姿勢でございますか。
#125
○国務大臣(愛知揆一君) 所得税については、私は、最低課税限度を何とかできるだけ引き上げたいと考えております。これが、この国会を通じて、私は、全野党の方々から非常に積極的に、たとえば百五十万円とかいうようなことが御提案になっておりましたが、やはり課税最低限度を現在の百十三万というような程度からできるだけ引き上げることにしたい。しかし、その方法論として、税率や控除をどういうふうに組み合わせるかということについては、さらにいろいろの御意見がこの国会の御審議でも出ておりますから、そういうところも十分参考にし、そしてさらにその道の権威者の方々の御意見を十分徴して、最低限度の引き上げということに結論を持っていきたい。この基本的な考え方は、当然下に減税を厚く、上に減税を薄くということになるのは、私は、当然であると思います。ですから、この前も総理大臣の発言、あるいは総理大臣の気持ちというものを私からもかわってお伝えをして、多少舌足らずのところもあるので、要するに控除額というようなものはできるだけ引き上げていきたいと。これはもちろん下に厚く、上に薄くという気持ちで、高額の所得者まで含めて一律に三〇%などと言っている考え方のようにとられると、それは田中総理の真意ではございませんということをかわって申し上げた次第でございます。
#126
○多田省吾君 まあ大蔵大臣のおっしゃることなら私たちも納得できるわけです。課税最低限をもっと引き上げたい、あるいは低額所得者には厚く、高額所得者には薄くと、こういうお考え、これは当然だと思います。しかし、大臣がそのようにお答えになってから、その後も、政府ではありませんけれども、与党の幹事長がやはり四〇%、三〇%、二〇%というような具体的な税率をあげてラッパを吹かれるということは、どうしても私は納得できないから質問したのです。
 次に大臣は、物価抑制策として公共事業の繰り延べというようなことも考えておられると思いますけれども、ただ、上半期の公共事業の支出を押えて、下半期に集中しようというような年度内調整では効果がない。また地価の高騰あるいはセメントなどの建材不足で昨年の分の事業もこなし切れないのが現状でございます。また一方では、夏場に事業をしなければならないような積雪寒冷地帯の公共事業、これは上半期でも抑制することはできないと思います。また、公共事業の中でも、下水道整備、学校、住宅専門など生活関連整備はこれは繰り延べないようにすべきだと思います。このように事業の繰り延べにもいろいろな問題がありますけれども、こういった問題で実効のあがるような公共事業の契約、具体的な目標、方法というものが明確に計算されているかどうか、ひとつ大臣からお答え願いたい。
#127
○国務大臣(愛知揆一君) これは現在、毎日関係各省、それから、これは地方公共団体をも合め、あるいは政府関係機関も含めてでございますが、数字をあげ、あるいは所要の物資あるいは賃金等の具体的な状況も掌握しながら、予算の執行のスケジュールをいま鋭意検討しておるところでございます。で、これらにつきましては、随時こういうものについては、こういう地方についてはこの程度の着手のスケジュールというようなことが漸次わかってくることになるつもりでおりますけれども、考え方といたしましては、従来からもそうでございますが、寒冷地帯等におきましては、工事施行の難易というようなこともあり、かねがね予算を暦年制にしてもらいたいというくらいの強い要望があるくらいでございますから、寒冷地帯等については、公共事業も原則的に早く着手ができるようにいたしたいと思います。それから、生活関連といいますか、福祉関係、これは予算の御審議のときにもるる申し上げましたとおり、たとえば、財投なども含めまして、従来に比べて、生活環境の整備等について、たとえば、下水道とかごみ処理とか公害関係とか、あるいは青少年のための施設であるとか公園であるとかいったような福祉関係の点は、できるだけ予定どおりにやりたいと考えております。こうして考えてまいりますと、主として大都会あるいはその周辺というところの狭義の公共事業というものは、ある程度順ぐりに後半期のほうに重点を置いたほうがいいのではないかと、こう考えますけれども、しかし一方においてセメントの需給関係あるいはその価格というようなものも相当新しい動きも出てまいりました。木材についても同様でございますから、あるいは物資需給の関係から言えば、さらにまた一ぺんおくらして計画をしても、もう一ぺんもとへ戻してという機動性をやはり失ってはいけないと思います。その辺のところは、せっかく財源もつけて、そして再々膨大だ膨大だという御批判も受けておりますけれども、相当大型の予算でございますから、この財政の立場からすれば、景気の変動に対しても、あるいは物価情勢等についても、相当の大きな影響力を持つはずでございますから、この機動的な運営というものは、直接、間接に物価の好もしい動きにもかなりの影響を持つのではないかと、それを期待しながら、機動的な運営というものをやっていきたいと思います。同時に年度を越えて繰り延べというようなことは全然考えておりません。なぜかならば、予算の編成の当初に申し上げましたように、いろいろの観点から言って、この程度の予算というものは、現在の日本の持っておりますいろいろの問題から言って、たとえば、福祉関係にしても、少ない少ないという御指摘があるくらいでございますから、この予算に盛られたものは、適切に執行していかなければならない。こういう点を一点だけ考えてみましても、年度を越えてというようなことは全然考えておりません。
#128
○多田省吾君 政府は、財政金融政策のほかに、景気調整の第三の手段として、法人税の前納制度とか、あるいは税率操作あるいは企業に対する組税特別措置の改廃等の操作によってインフレーション対策としての税制を大胆に活用していきたいというようなことを一部で検討されているようでありますけれども、この具体的なお考えはどの辺にあるのか、ひとつお答え願いたいと思います。
#129
○国務大臣(愛知揆一君) これも新聞には非常に大々的に報道されたわけでございますけれども、私は、こういう考えでおるわけでございます。こういういわば異常といいますか、こういうときに、どういう論議でも、私は、有効適切と思うような御提案は謙虚にこれを検討をするということは、非常に政府としても必要なことであると思いますから、従来的な感覚からいえばできないことでも、先ほど蛮勇をふるえという御示唆もございましたけれども、従来的な発想だけにとらわれずに、よい御提案であり、かつ実際的にできることであり、効果が十分であると認めることは前向きに検討するという態度を今後とも続けていきたいと思います。そうして検討は十分いたしておりますけれども、たとえば、法人税などにいたしましても、前納ということは一つの手段ではございましょうけれども、その税額の決定ということと関連して見ますと、非常にこれはむずかしいわけでございます。やはりこれは年度内に税制改正でもやりません限りは、ほんとうの効果は発生しないと思います。したがいまして、政府としては、年度内に税制改正というようなことは考えておりませんですから、そういう点から見ては、なかなかいいお考えではあるんだけれども、実際問題としてこれはむずかしい手法である、一口に申せばそういうわけでございますが、そのほかいろいろの点からも検討してみて、興味のある御提案ではあるが、いろいろの点からこれが実行はむずかしい、こういうふうな私の研究の結果でございます。
#130
○多田省吾君 最後に、土地税制に関して若干お尋ねしたいと思います。
 この前の四十四年の分離課税導入の結果、非常に大手法人や不動産業者に大きなぼろもうけがあったわけでございます。四十六年度の所得税を見ましても、土地成金といわれる人たちの実態というものは、確定申告者四百三十七万人、申告総額九兆九千二百八十九億円、そのうち一千万円以上の所得を得て公示されたのは八万人でありますけれども、上位百人までのうち九十五人が土地売却の譲渡益である。国税庁の推計によりますと、全国の確定申告合計額の半分に近い四兆五千億円が土地を売った利益である、前年度に比しても七九%の増加でございます。また、日本生産性本部なんかの、この前発表された資料なんかによりましても、結局こういう土地譲渡の利益が一方に片寄っている結果、小数の最高所得層の平均所得と、一般勤労者の平均勤労所得との格差が、昭和四十一年から四十六年にかけて非常に拡大しておりますね。最高所得者五人の平均所得の、平均賃金との格差、これは約五百倍から二千五百倍、五倍ほど高くなっている。それから、スウェーデンなんかと比べますと、スウェーデンはヨーロッパ一所得水準の高い国でありますけれども、昭和四十六年における最高所得者の申告所得は、日本円に直しますと、約一億五千六百万円、同年のわが国の最高所得者の申告所得は三十八億九千万円、ですから、スウェーデンの最高所得者の二十五倍以上だ。最高所得者二十五人の平均所得で見ましても、スウェーデンが約八千百万円でございます。日本の場合は十億三千九百二十万円、一方昭和四十六年のわが国の勤労者の平均所得はスウェーデンの約半分以下でございます。そして勤労者全体の平均所得に対する最高所得者二十五人の平均所得の倍率は、スウェーデンの約四十倍に対して、わが国は約一千百三十倍、このようにわが国の所得分配の不平等というものが非常に大きく明るみに出ているわけでございます。まあそういった観点から、政府もこれは捨ておけないというので、若干、法人の土地の譲渡益に対する重課制度を創設したわけでございますけれども、私は、これはまだまだこんなものでは効果が少ないと、このように思います。この国税の土地譲渡税では、宅地造成、これは適用除外、宅造して販売する大手業者には影響がない。適用されるのは、値上がり待ちで短期間に土地を保有する個人または弱小不動産業者くらいだと、それでこれは、適用除外となるデベロッパーの優良造成地をどのように規定するかということと相まって、非常に骨抜きになる危険も考えられますけれども、この抜け穴をどのように考えておられるのか。また、適正利潤率を越えて、利益を得たときに限って、譲渡益を課税されることになっておりますけれども、この適正利潤率の基準そのものが大きな問題となってまいりますが、この基準次第で、適用対象が大幅に減少することがないのか。さらに執行体制の面でありますけれども、現在の国税庁の調査がはたして確実に行なわれているのかどうか。不動産売買に伴う脱税の大型化、悪質化が横行している今日、悪質な脱税行為を完全に実態把握できるかどうか、このような疑問が数々ありますけれども、この点についてどのようにお考えになっているのか、ひとつ御意見を承りたい。
#131
○国務大臣(愛知揆一君) まず、一番最初のお尋ねの点は、一つは、四十四年の税制改正に関連していると思います。四十四年の税制の功罪はどうであったかということがよく問題になりますが、私は、やはり功も否定いたしませんが、罪もあったことを率直に認めざるを得ないと思います。そして、その結果が、個人の高額所得者等にあらわれてきたとか、あるいは本来は優良なデベロッパーの手に、土地の所有者からあの税制の関係で土地が放出されて、そして宅地造成等において相当の効果をあげておるものも私はあると思います。ただ、土地の造成や住宅の建築等については、ある程度の月日もかかるような関係もあって、国民的にまだ評価されていない面もあるように思いますが、しかし、投機を対象とする本来の仕事でない法人等の手に急激に移ったというようなことが事実でありますから、それに対して今回の税制は、四十四年の税制の経験に徴し、あるいはこれを補完するという意味でくふうをしたつもりでございます。したがって、土地の保有税とあわせて効果は私は相当期待できるのではないかと思います。ただ、税としては、初めての試みというほどでもございませんでしょうけれども、従来の税制の考え方からはだいぶ離れておりますから、何ぶんにも新しい試みでございますから、税だけに期待されてもなかなか効果は十分ではなかろうと、国土総合開発法その他の基本的な土地政策の展開にこれが補完する作用として働くというふうに考えておるわけでございます。
 それから抜け穴の問題については、やはり税制としては、好ましい宅地その他の造成ができるようにしたいという配慮がございますために、そういう点からいって、適用を除外することがむしろその目的を達成できる道ではないかという考え方がございますわけで、それらの点についても、いろいろの期待も一方にあり、また一方では、こんなことではだめだろうというような御批判もいただいておりますけれども、とにかくしかし、やらせていただきたいというのが率直な考え方でございます。
 それから、適正利潤の問題でございますが、他の商売を――商売というか、企業におきましても適正と思われる利潤までを否定するわけにはいくまい。それから、土地の取得、管理、造成等に相当の費用もがかるわけでございます。いろいろそれらを考え、そして投機目的には乱用されないというところを押えまして、二七%という適正基準というものを関係各省とも十分協議をした上で設定をいたしまして、これを政令で規定いたしたいと、かように考えているわけでございます。
#132
○多田省吾君 じゃ最後に、土地保有税について二、三お尋ねして終わりたいと思います。
 まとめてお尋ねしますけれども、この新規創設の土地保有税、これは市町村税でありますが、その趣旨は、保有税の強化によって持ち越し費用を高める手段を講じ、土地の供給を促進しようと、こういうねらいのようでありますが、課税標準が、土地の取得価格としても、その税率が固定資産税と同じ一・四%ではあまりにも税率が低い。しかも、適用除外規定と相まって持ち越し費用への重圧とはならない。その効果は非常に疑問とすべきでありますけれども、この効果をどのように試算しているのか、これが第一点です。
 それから第二点は、この土地保有税は、四十四年以降取得した土地について課税することにしておりますけれども、この点は、四十四年の分離課税採用後供給された土地に関連したものでありましょうが、現在の固定資産税の課税と合わせてその持ち越しへの圧力は一部にしか及ばない。一般的、普遍的な土地所有に対する管理費用の増大にはつながらないと思いますけれども、この点の効果についての税務当局のお考えを伺いたい。
 それから最後に、保有税が四十九年度から、それから、譲渡税が新法施行後一年経過後として譲渡課税の供給凍結の弱点をカバーしようとしておりますけれども、この期間中に土地投機で取得したものを、税負担の少ないところに移転するなどの措置がとられる懸念はないのかどうか。また法人が、思惑で取得した土地を、赤字の子会社などに移して、法人税分だけのがれるということも考えられるわけだけれども、これはどのようにお考えか。この猶予期間そのものが問題ではないかと思いますが、この点のひとつお考えをお尋ねしたい。
#133
○国務大臣(愛知揆一君) まず、保有税でございますが、これは、初めは土地未利用税というような角度からとらえていこうという意見もだいぶあったわけでございますけれども、未利用ということ自体がむしろ望ましい場合もあるわけでございますし、それから一方からいうと、たとえば、大問題になりましたNHKの所有地などというのがのがれることになります。そのほかいろいろの点から攻めていきまして、結局四十四年一月から取得したもので、 して土地を保有しておっては得にならない、たとえば、金利七%として、それを二割アップにすれば一・四ということになるわけでございますが、そういうところで、できるだけ広くこれをかぶせていこうということに落ちついたわけでございます。
 それから価格は、取得価格でございますから、取得価格については地方税にすればだれがこれを査定するかということになりますが、これについては、従来に例のないことでございますが、税務署ができるだけ協力して取得価格を捕捉をする。そしてそれに対して一・四%の税率を掛ける。そしてこのほうは七月一日から施行いたすわけでございます。
 それからもう一面におきましては、国土総合開発との関連もございますけれども、これはひとつ地方公共団体、市町村の方々にも、より一そう土地問題に関心を深くしていただいて、そしてこれを市町村税にすることがいいのではないかというような配慮も実は加えたわけでございます。
 こういったようないろいろの点から考えまして、地方税として、国税の法人譲渡税と相互補完し合う、そしてこの保有税のほうから追い出し――というと語弊があるんですか、土地を放出をし、それから、法人のほうは、一年間待って、譲渡税のほうは来年度から税率を掛ける、税を徴収するというふうにくふうをいたしたわけでございます。もしお答え漏れがございましたらまた補足さしていただきます。
#134
○委員長(藤田正明君) 午後三時三十分再開とし、暫時休憩いたします。
   午後一時休憩
     ―――――・―――――
   午後三時三十九分開会
#135
○委員長(藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上、二案を便宜一括して議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#136
○栗林卓司君 交際費並びに広告費の課税の問題を中心にして大臣の御見解を伺いたいと思うんですが、まず最初に、今回の御提案で交際費課税が強化されたわけですけれども、今後さらに強化をされていく御予定がございますかどうか、お考えをお伺いしたいと思います。
#137
○国務大臣(愛知揆一君) 率直に申しまして、感覚的にはもう少し強化すべきではないかという御意見もだいぶあるわけでございます。で、そういう御意見に対しては私も謙虚に伺ってまいりたいと思いますけれども、なかなかこの広告課税につきましては、一方においては、まあ、この程度ではないだろうかという意見もありますので、どういうふうに来年度以降やっていいか、さだかな意見はまだ持っておりません。
#138
○栗林卓司君 広告費課税はあとでお伺いすることとして、交際費のことなんですけれども、今後検討するとしても、現在広告費課税というのはワクで考えるというやり方をとっているわけですけれども、このワクで考えるというやり方は、今後とも踏襲しておいでになりますか。
#139
○政府委員(高木文雄君) 現在の交際費の考え方は、おっしゃるようにワクのようになっておりますが、実はその前に、企業が交際費として経理するもので、実は交際費とはとても認められないようなもの、つまり、いわば家事関連費といいますか、そういう性質のもので、したがって、本来ならば基本的に損金性を否認されまして、そうして代表者に対する給与であるとか、交際費を使った重役さんに対する給与であるとかいうかっこうにして、そして、場合によると企業としては損金になるかもしれませんけれども、むしろ法人税でなしに所得税として、給与所得として課税されるべきようなものが本来相当存在をいたしております。で、税法のたてまえでは、それを交際費として経理をして、例のワクの中ではまればよし、飛び出せば飛び出した部分だけ課税するというのではいけないのであって、本来そういうものは交際費としてでなしに、他の処理をすべきものであるにかかわらず、企業からの申告では交際費ということで一括してなっているために、部分的に否認されるだけで終わりになっている部分があるわけでございます。この辺の議論は、あまり詰めた議論が行なわれておりませんで、どうも交際費全体のあり方の問題になっておりますが、私どもとしてはほんとうは、もう少し調査の段階でその区分を明らかにするようなことが、税務調査の段階でされるべきであると思うのでございますが、これまた国税庁、税務署の立場といたしましては、なかなかそれを仕分けることはまたたいへん手間がかかることでございますので、若干その漏れが出てきておるのではないかというふうに考えております。
 ですから、申し上げたいことは、現行制度でもワクだけで処理されているわけじゃなくて、本来交際費であると称しておるが、交際費とは認められない筋のものがあるはずだという分野があるのにそれが見のがされがちであるということを御説明しておきたいと思います。
#140
○栗林卓司君 実態は交際費ではないんだけれども、交際費に計上されているものを税務調査の段階で仕分けをする、そのときの仕分けをする基準というのは、何か明らかにされているんでしょうか。
#141
○政府委員(高木文雄君) 交際費の範囲につきましては、租税特別措置法の六十三条の四項に規定がございまして、「第一項及び第二項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、きょう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。」というふうになっており、そのやや細目にわたる部分は、国税庁の通達等で限界をきめておるわけでございます。で、本来ならば、この交際費の定義に入らないような種類のもの、これをしばしば交際費ということで企業側が経理をしている場合があるということでございます。
#142
○栗林卓司君 この交際費の問題というのは、多分に感情的な議論も入りがちなんですけれども、それが出てくる理由というのは、いま局長お答えになった租税特別措置法六十三条四項、その規定がいろいろ通達で区分されているというお話ですけれども、非常に大まかであり、包括的なきめになっています。そういったものと、外国が交際費について扱っている扱い方とたいへんきわ立って違い過ぎる。
 一つの例を申し上げますと、たとえば、アメリカの例だと、一九六二年に税法が改正になりました。その二百七十四条を見ますと、接待にかかるすべての支出について適切な記録もしくは自己の陳述書を裏づける十分な証拠により証明しないと交際費と認めてくれない。西ドイツその他の例はつけ加えて申し上げませんけれども、そのワクではなくて、個々の内容を厳格に規定をしている。それが現在ないものだから、交際費というと、年々総額がウナギ登りになって、目で見える感じというのは、交際費でゴルフまでしているのかということまでなってしまうわけですけれども、この点について今後の検討課題として、ワクをきびしくするということにとどまらないで、内容について税法の面で明らかにしながら規制をしていく、こういうお考えはございませんか。
#143
○政府委員(高木文雄君) これは大体交際費の概念につきましては、御存じのようにアングロサクソン系のところは、非常にそもそも慣行的に交際費はあまり使いませんし、したがって、税法の上でも、原則として課税というような思想が強いわけでございますが、大陸系の国々では、日本の場合と同じように比較的交際費をよけい使う慣行がありますし、したがって、それを受けて税法の上でも本来的に損金であると、ただ税法上一部否認すると、こういうたてまえをとっているのが大体の姿であると思います。しかし、いずれにいたしましても、そのアングロサクソン系の場合につきましても、また大陸系の場合につきましても、諸外国のほうが、御指摘のように、日本の場合よりはやや明確にきめられているという事実があるわけでございます。
 そこで、それをどういうふうにしたらよろしいかということは、あるいは法律の段階で、あるいは政令もしくはいまの取り扱い通達の段階で、どの段階がよろしいかは別として、より明確にすべきではないかということは確かに御指摘の点があると思います。
 で、前に、現行の法人税等の改正をいたします際に、やはり関連いたしまして、四十二、四十三年の段階であったと思いますが、かなりこの点一ぺん議論したことがございますが、あまりにも多種多様であることが一つと、それから、私どもとしては、実は、現在でも交際費の点につきましては、企業側の経理と、税務側の見方との間に相当開きがございまして、相当その交際費に関して税務調査上いろいろフリクションを起こしております等の関係がございまして、現在の段階では御指摘のようなところまでなかなかきめかねる、またかえってそれが紛争の種になりはしないかというようなことで、今日のようなことになっているわけでございます。
 私どもも、ただし将来の方向としては、おっしゃるようなのが一つの解決の方法であり、単に否認割合を変えるということよりは、本来そこのところの限界を明確にでき得るならば、むしろそのほうが本来的な処理の方法ではないかと考えておるわけでございまして、御指摘の点については、われわれも同じような考え方で臨むのが可能であればよいのではないかと思っております。何とかその点うまい方法を見つけ出したいというふうに考えております。
#144
○栗林卓司君 アングロサクソン系というお話でございましたけれども、米国は先ほど申し上げたとおり、大陸系の西ドイツの場合も厳格な規制をしているということになると、しばしばこの種類の問題というのは徴税手続的にどうなのかということが必ず話題になるわけですけれども、各国それぞれしているということになれば、わが国としても、取り組もうと思えば徴税技術的にも可能である、こう判断してよろしいですか。
#145
○政府委員(高木文雄君) 私どもが最近、法律の上だけでなしに、税務の執行といいますか、申告の段階で各国の交際費がどうなっているかということについて調べを始めておりますが、私ども承知しております限りでは、イギリスあたりでは、企業の経理が、交際費の問題については非常にきちっとしておりまして、かなり税法上の扱いが申告の段階ですでによく守られている実態にあるように思います。ところが、西ドイツの場合まだよくわかりませんが、フランスの場合には、どうも実態は税法と申告なり調査なりの段階に若干乖離があるのではないかと思われる節がございます。それは、非常に交際費の慣行が国々によって違っているからでございまして、日本は――まあ先ほどアングロサクソン系とか申しましたけれども、そのいずれの場合よりも、どうも交際費の慣行か一般的であると、かなりいろんな場合にいろんな形で交際費が使われておるというのが、よその国々よりは幅広く行なわれているようでございます。で、それを規制すべきだということはわかりますが、一面においてまた、その規制のために、何といいますか、納税者と税務官署の間でフリクションが起きると、ぎすぎすした関係か起きると、それがまた税務署というのは、いわばおもしろくないところだというふうに見られる種になっても、またこれは全体の納税思想との関係といいますか、そういう関係からいってもおもしろくないということで、その辺は私どもはなかなか税だけでは言い切れないのであって、一面においては、やはりそういう、何といいますか、世直し運動といいますか、そういうことをお願いしながら、しかし、いずれにしてもいまちょっと本来の目的を達しておりませんから、だんだん是正をはかっていかなきゃならぬというふうに考えるわけでございまして、おっしゃるとおり、法制的に、もう少し整備する方法、それから、執行面でももう少しそれをぴしっと追及していく方法、三番目に、世の中一般のルールといいますか、そういう意味で、あまり乱に流れるような交際費がなくなるような何か指導といいますか、誘導といいますか、風潮ができるということと、その三つを合わしてだんだんよくしていく方向に進まねばならぬというふうに思っております。
#146
○栗林卓司君 いろいろフリクションの問題含めて、徴税面での争いごとを避けようと思うと、全額否認してしまえば一番事は簡単なわけです。
 そこで、西ドイツの場合どうかといいますと、税制改革基本要綱によりますと、一九七四年以降は全額否認する方向だと聞いております。これはほかの国の例ですからとかく申し上げません。
 ただ大臣にお伺いしたいのは、税というのは一面たいへん精緻なむずかしい議論のように見えますけれども、片方では、国民の素朴な気持ちとして、公平感に担保されていないといかぬ。いま局長が言われたように、日本の場合、交際費というのはまとこに異常な使われ方をしております。そのさまざまな面が、使う国民も含めて、国民の目に触れるわけですけれども、そういったものが今後税制のいろんな面で抜本的な改善をしていこう、またしていかざるを得ない局面に立ったいまを考えますと、交際費をどうするかは相当真剣に取り上げていい問題ではないんだろうか。いろいろ御意見があるようですがというにしては、国民とのかかわり合から見ますと大きな問題ではないかと思いますけれども、御見解いかがでしょう。
#147
○国務大臣(愛知揆一君) 一番先におっしゃったことは私も同感なんです。ですから、先ほども私も冒頭に、感覚的に言えば何とかしたいと申したのはそういう点でございます。
 それから、同時に、これは私は政治的にこれ非常に扱いの大事な問題であると思います。というのは、まず交際費というものは本来損金であるべきであると、これいいか悪いかは別としまして、そういう概念が日本にはあるわけでございます。ですから、そういう点からいって、これを七五%を否認するということは、まあこれは相当私としては奮発をしたつもりでございます。それから、徴税技術や何かいろいろなことを考えても、結局現実的にはやはり七五ではまだ低過ぎると、これを上げたほうがいいかどうか。あるいは四百万円ということですね、これにどういうふうに着目したらいいかとということが、私は現実的な政治的アプローチではないかと思います。ですから、今年度の税制改正の際にも、そういう二点から私としてはいろいろ考えまして、まず四百万円ということは据え置いて、否認の比率のほうを七五まで引き上げるというところに結論を置いたわけでございます。精緻な議論を展開し、徴税上いろいろのフリクションを起こすよりは、やはりそういうところが実際的の解決方法じゃないだろうか。せんじ詰めたところは、しからば、今年度はこうやってみましたが、来年度ではもう一歩進めて、いま申しました四百万円と七五%ということをどうするかというほうが手っとり早いんじゃないだろうか、それが国民に感覚的に訴えることができるだろうかどうだろうかというふうに、私としては取り上げたいと考えております。
#148
○栗林卓司君 まあ今後の問題ですから、御検討をお願いしたいと思うんですけれども、私も国民の一人として感じている点を申し上げますと、全体のワクとして縛っていったほうが国民の御納得を得られるのではないかという感じがむしろしないで、高級レストランで食べたら交際費ではないのだという国と、ゴルフをしても交際費なんだという国との違いがまことにきわ立って感じられていることだけ申し上げておきたいと思います。
 時間がありませんので、広告費の課税について、これは現在も対象には国税としてはなっていないわけですけれども、一つお伺いしたいのは、担税力あるいは徴税事務の面で考えて、広告費課税というのは一番問題が少ない費用の一つではないかという気がします。にもかかわらず、長らく広告費課税が課題になりながら、国税の対象になってこなかった、この辺についてはどう考えればよろしんでしょう。
#149
○政府委員(高木文雄君) 広告費はしばしば交際費と並んで議論されるわけでございますが、交際費と最も違います点は、飲食にいたしましても、いろいろの先ほど御指摘のゴルフというようなことにいたしましても、その支出による利益がだれか個人に及ぶと、当該企業の関係者もしくは当該企業と取引のある先方の関係者に飲食なり娯楽なりを通じて何か得るものがあるわけでございますが、広告費の場合には、まあ一般的に、それが知らされるということだけであって、だれか特定の人にメリットが及ぶことがないというのが、広告費と交際費の根本的に違う点でございます。
 それから第二は、広告費に課税する場合に、企業側から非常に異論が出てまいりますのは、たとえば、例をあげて恐縮でございますが、化粧品なら化粧品というように、非常に広告費をよけい使う企業の場合におきまして、ある化粧品業は、広告宣伝を使って物の販売網の拡大をはかるが、他方の企業は、広告をあまりしないで、いわゆるセールスマンを通じて各戸の家庭にまで宣伝に行って売る、つまり販売を促進するのに人件費を使ってやる方法と、広告を使ってやる方法がある。そのどの方法を選んで宣伝をするか、売り込みをするかということは、まあいわば各企業の選択ではないか。その各企業の選択であるはずのところが、広告という媒体を通ずる場合に限って、何か特別の納税を課するということについては、何か販売政策に対する干渉になるのではないかということから、このいまの例で申しますと、化粧品業界の競争関係に結果的に相当な介入を行なうことになるという点が、どうも広告費の課税についての難点ではないかというふうに思うわけでございます。
 なおまた、広告費については、過大広告あるいは過当広告といいますか、非常に広告費をよけい使い過ぎる企業があるではないか、よってもってそれが価格に織り込まれておもしろくないではないかという議論がございますが、この過大広告、過当広告の問題になりますと、これはやはり各種の産業について一律にある程度の率で決めることが非常にむずかしいわけでございますので、これは税法の分野ではできないことではないか、物を売る場合にも、その商品の性質によって、広告費がよけい要るものと、要らないものとございますので、率できめるわけになかなかいかないというような問題があるわけでございまして、まだ他にもございますが、いま言ったような点から、どうもなかなか、こまかく入ってまいりますと、いろいろ問題があるように思うわけでございます。
#150
○栗林卓司君 いまお答えの中で、人件費で――セールスマンですけれども、人件費で売る場合と広告で売る場合と、いわば売る側の選択の問題なんです。そう言われたんですけれども、確かになるほどそういう面もあると思います。ところが、実際に出かけて行って、セールスマンが奥さんいかがですかといって売る場合と、好むと好まざるとにかかわらず新聞をあけたら入ってくる広告、国民の心に与える影響というのは全く同じだろうかというと、実はそこのところが大きく違うから広告をどうするかという議論にほんとうはなってくるんだと思います。まあこれは、今後の研究課題としてお考えいただいていいと思うんですけれども、大臣に――これは国務大臣としての御質問になるかもしれませんけれどもお伺いしたいのは、たとえば、広告というのは、たいへん資源を乱費する多消費型の社会をつくることにずいぶん役立ってきたように思います。これからの日本のあるべき産業社会というものを求めていったときに、広告というのは野放しでいいんだろうか、抑制という意味ではなくて、簡単に言えば紙そのものを含めて資源の多消費であることは事実ですし、専門家に言わせますと、広告の効果というのはお客さま、ユーザーの人たちの心のバランスを破ることによって、消費意欲をわかして商品を買わせる、なるほどそうだろうと思います。ただ、これが、それでもいいんだということにいってまいりますと、一億国民いつまでたっても満足感を味わえないということになります。そうは言っても、大量消費社会だからやむを得ないとは言いながら、野放しでほんとうにいいんだろうか、広告とギャンブル税を一緒にするつもりは毛頭ありませんけれども、何らかの見方というのが必要ではないんだろうか、別に外国の例を持ち出すわけではありませんけれども、スウェーデンでは御案内のように一九七一年に六%から一〇%の税を創設いたしましたし、イタリアでは一九五四年に四%から一二%を創設しております。事の適否は別にして、何らかの問題意識をそこに感じ始めてきたということかもしれないと思うんですけれども、そんな意味で、いろいろ化粧業界の競争関係に介入するという面があるとしても、広告費に対する課税という問題は、真剣に取り組むべき問題になってきたんではないんだろうか、御見解がありましたら伺いたいと思います。
#151
○国務大臣(愛知揆一君) 広告については、その広告を是なりとする論拠に立てば、消費者に選択の範囲を拡大してもらうと、そういう議論をだんだん伸ばしていけば、価格引き下げにも協力できるなと、こういう論拠にもなるわけです。ところが、やはり別の方面から見れば、まあ私は率直に言って、日本は過大広告の国であると、私も個人的に考えます。いろいろの点から弊害が多い。これは物の乱費というだけじゃなくて、精神的にも、あるいは都市、田園を通じての美観という点から申しましても過大であると思います。で、その過大広告の規制は、これは商工行政の指導なり、あるいは立法によって規制すべきものであると、そして、それに照応した税で補完をするという行き方が一番妥当ではないだろうかと考えます。したがって、そういう方向でこれからひとつ検討したいと考えております。
#152
○渡辺武君 私は、事業主報酬制度について質問をしたいと思います。
 最初に伺いたいことは、この事業主報酬というのは一体何かという点であります。つまり、別のことばで言いますと、法人のこの役員に対する報酬のようなものか、それともまた、事業所得を生み出す経費としての事業主の勤労に対する給与もしくは事業主の勤労所得というようなものと考えていいのか、どちらでしょうか。
#153
○政府委員(高木文雄君) 今回御提案いたしております事業主報酬制度は、勤労に対して考慮するという趣旨は全くございませんで、むしろ形式的に、個人企業が商法上の法人にならなくても、商法上の法人の場合と、個人、法人を通じて総合負担を同じくできるような制度にするということでございます。
#154
○渡辺武君 それはわかってるんですよ。だから、その事業主報酬というのは一体どういうものなのかということを伺っているのです。
#155
○政府委員(高木文雄君) 法人にならなくても、事業主が観念上自分の給与をきめたならば、その給与について給与所得控除制度が働くことになり、その残りのものが、法人所得とみなされて法人税金並みの扱いを受けると、こういう仕組みでございまして、これは給与には自分で自分の給与をきめるというのはおかしいわけでございますので、徹底した意味での、本来の意味での給与にはなりませんが、税法上給与扱いをすると、そこで、みなし給与所得というふうな考え方をとっておるわけでございまして、そのこと自体は、それを給与として承認をしたというわけではなくて、給与と同じ税法上の扱いをいたしますということでございます。
#156
○渡辺武君 そうすると、税法上の扱いとしては法人の役員に対する報酬というふうに見ているということですか。
#157
○政府委員(高木文雄君) そのとおりでございます。
#158
○渡辺武君 それでは次にもう一つ伺いたいのですが、税務署は、この過大報酬の場合ですね。いわば一方的な否認権を持っているわけですね。否認された過大報酬については、これはもう修正申告もできないと、その年のうちにですね。それで、いわば自動的にこの二八%というきびしい税率が適用される、こういうことになっているのだと思うのです。それで、これはまあちょっと一言でいえばお手討ち的な感じのする措置だと思うのですよ。だから、納税者はこの点非常に不安に思っているんじゃないかと思うのですが、一体この過大報酬にならない範囲ですね。別のことばで言えば、適正報酬ということばでかりに呼ぶとすれば、その適正報酬のこの基準というものはどういうところにありますか。
#159
○政府委員(高木文雄君) 過大報酬の基準は政令できめることになっておりますが、現在、法人については法人税法施行令六十九条というところで、こういうものは過大報酬にいたしますという規定がございます。この法人税法施行令の過大報酬の規定と全く同様の規定を、所得税の諸法令に入れて規定する予定をいたしております。
 で、そのことの、ただいま御指摘のように、個人の事業主報酬について、過大報酬については一方的に否認をされるというお話がございましたが、実は現在の法人の場合にも、過大報酬については修正申告というような機会がなくて、否認ということで処理されております。で、今回の個人の事業主報酬制度は、商法上の法人にならなくても税法上は法人と全く同じ扱いにするという前提に立っておりますので、現行の法人税の場合と、これまた全く同じ形式をとるということにいたして案がつくられておるわけでございます。
#160
○渡辺武君 どうも法律の条文をそのまま言われるものだから、よくわからぬのですがね。ここに大蔵省からいただいた資料で、「「みなし法人課税」を選択した場合の課税の特例に関する細目」という資料があります。ここに「過大報酬額の意義」ということが書いてあって、過大報酬というものはどういうものかという内容が書いてあると思うのですが、これはその内容をちょっと御説明いただきたいと思うのです。
#161
○政府委員(高木文雄君) 現行の先ほど申し上げました法人税法施行令六十九条におきまして、「内国法人が」「その役員に対して支給した報酬の額が、当該役員の職務内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給料の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する報酬の支給の状況等に照らし、」「相当であると認められる金額をこえる場合」というふうな表現になっております。ただいま申し述べましたような趣旨で、職務の内容とか、他の同種企業とのバランスという点からいって、過大であるかどうかということの判定が行なわれるということでございます。私どもの作成いたしました資料におきます「過大報酬額の意義」というところに書いてあるのも、そういう趣旨でございます。
#162
○渡辺武君 そうしますと、みなし法人課税を――これに書いてありますが、「過大報酬額は、法人の場合と同様に、みなし法人課税を選択した者の事業の種類及び規模、収益の状況」云々と、こう書いてあるんですけれども、法人の場合だったら、これは同じような法人があって、ほかと比べれば大体わかるわけですが、いまは個人事業だ、しかし、法人並みに考えてみると、こういうことになるわけですね。そうすると、個人事業の場合ですね、事業の種類はこれはわかるとして、事業の規模、それから、収益の状況、これは何で判断することになりますか。
#163
○政府委員(高木文雄君) 事業の規模というのは、やはり売り上げの量であるとか、従業員の数であるとか、そういうことからくることになりましょうし、収益の状況というのは、同じ八百屋さんなら八百屋さん、魚屋さんなら魚屋さんでありましても、規模、あるいは取り扱っている商品の種類、つまり、非常に一般的なものを扱っているか、収益率の高いような、いわば高級品的なものを扱っているかというようなことによっても違ってまいりましょう。お店の大きさだとか、あるいは使用人の数だけからでは判定しきれないので、事業のそういう利益率と申しますか、そういうものに影響してくるような扱い品の状況というようなものが関係してくるという意味でございまして、これは個人でありましても、法人でありましても、その点は特に差異がないのではないかというふうにわれわれは考えております。
#164
○渡辺武君 これは、とにかく税務署が判断するわけですからね。ですから、おっしゃるところも確かに考慮の中に入るでしょうけれども、特に、事業の収益の状況あるいは規模というようなことになってまいりますと、事業所得が一番判断の基準になりゃせぬかという感じがしますけれども、どうでしょうか。
#165
○政府委員(高木文雄君) 確かにおっしゃるように、事業所得として、かりに五百万円の事業所得がある企業と、一千万円の事業所得がある企業とでございましたならば、それは、やはり考慮の中の一つの要素として入ってくると思います。たとえば、一千万円の事業所得のある個人事業について、かりに一定額のみなし報酬をきめた。ところが、すぐ近所に五百万円の事業所得の同じような同業種の規模の事業があった。その五百万円のほうの企業が事業主報酬が三百万円であるから、こちらの一千万円のほうのその事業主報酬も三百万円であるべきであるという議論は成り立たないので、比較さるべきほうの事業所得の額が五百万円であるのに、こちらが一千万円であれば、それよりは当然大きい報酬が与えられてしかるべきだという関係にあるということになろうかと思います。
#166
○渡辺武君 そうなりますと、とにかく過大報酬で否認されちゃたまらぬわけですから、納税者のほうは。だから、事業主報酬をそれぞれ算定して出してくるわけでしょうけれども、その際に、事業主報酬の額、これが結局のところ、事業所得の大きいところは、事業主は事業主報酬の額も大きくできる。事業所得の小さいところは事業主報酬の額も低くせざるを得ない。こういうことになろうかと思いますが、どうでしょうか。
#167
○政府委員(高木文雄君) 一般的にはそうだと思いますけれども、それでは、たとえば、ただいま私が例に引きました五百万円と一千万円の関係で、倍、半分の関係にならなきゃならぬということはないわけでございまして、むしろ小さい規模のほうが、事業所得中における事業主報酬の額は、率では今度は高くてしかるべきだ。規模も大きくなればなるほど、代表者の事業主報酬の事業所得中に占める比率では、むしろ下がっていくのが常識だということも言えようかと思います。ですから、小さい企業と大きい企業、事業所得の小さい企業と事業所得の大きい企業とあって、どっちが事業主報酬が大きくて相当であるかといえば、それは事業所得が大きいほうが事業主報酬が大きくてもおかしくはないということは言えると思いますが、それは比例的にふえていくという関係にはまたないということではないかと思います。
#168
○渡辺武君 そうしますと、事業所得の中の率ですね、これは一応別としても、事業主報酬の絶対額、この点を見てみれば、大きい、つまり個人事業主の中でも比較的上層のほうが、たくさんの事業主報酬を計上することができる。こういうことになってまいりますと、この制度というのは、同じ個人事業主の中でも、やっぱり上層のほうにいくに従って有利になってくるということになっているのじゃないかと思いますが、どうですか。
#169
○政府委員(高木文雄君) 本来、個人の事業と法人の事業と比較して、法人の事業のほうがどうも有利ではないか、そこで商法上法人にならなくても、法人並みの扱いをしてほしいということがこの基本にあるわけでございます。
 で、そもそも個人と法人と比べてどっちが有利かということはなかなかむずかしい議論でございますが、所得税は累進税率であり、法人税は比例税率でございますから、
  〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕
個人のほうから見て、法人のほうが有利ではないかというふうにお感じになる方というのは、比較的規模の大きい方のほうが多いわけでございます。法人税率は三〇%――まあ、いろいろの税率がございますが、平均的に二八から三六の間を動いているわけでございますから、それよりも所得税のほうがさらに上の税率まで働いていくという関係がございますので、そういう意味からいきますと、かなり規模の大きい方が従来から、個人なるがゆえに税負担が重くなっていたという関係にある傾向は否安できないわけでございます。ただし、それにもう一つ、地方税でございます事業税と住民税の問題がからんでおりますので、総合負担で見ないとそう簡単には出ませんけれども、傾向としてはおっしゃるような傾向になるかと思います。
#170
○渡辺武君 今度は下のほうをちょっと伺いたいのですが、つまり、同じ個人事業主でも、非常な零細規模の個人事業ですね、こういう場合には、いまの御答弁の中にもありましたけれども、会社になっているというのはほとんど少ないと思うのです。業種は同じでも。しかしながら、非常に零細な個人事業主の場合、それと比べることのできるような法人というのは、これはほとんどないと言って差しつかえないと思うのですね。その場合に、納税者は一体何を基準として事業主報酬をきめたらいいのか。大きいほうは、大体同じ業種の法人を参照にしてきめればきめることができる。そのいわば基準とすべきものが、零細な場合には、この法律からはちょっと考えられないというふうに思うのですけれども、その零細な場合の事業主報酬の構成要素を一体どんなふうに考えておられるのか、これを伺いたい。
#171
○政府委員(高木文雄君) まあ、小さいという場合にもいろいろなものがありますが、全く従業員が一人もいないというような場合ですと、またこれ比較のしようがないわけでございますけれども、従業員を使っておられるというような場合であれば、雇い主は従業員よりも相当高い給料を取ってもおかしくないわけでございますから、従業員に比べて相当程度高い報酬をみずからきめるというようなことがありましても、それはおかしくないというようなのが一つの基準になろうかと思います。
 で、従業員も全くいないというような場合にどうするかという問題があるわけでございますが、実は、そういう非常に小さい規模の事業所得者の場合に、事業主報酬制度をとって、法人税並みの扱いを受けたほうが有利だということは、実は本来はあまりないはずでございます。と申しますのは、比例税率である法人税に比べて、累進税率である所得税の場合には、中小規模の場合には三〇%の実効所得税負担率になることが起こりませんものですから、規模の小さい方については、法人扱いにしてもらったほうが有利だということが起こる余地がない、理論上はそうなるはずでございまして、そういう意味から申しますと、ただいま御質問のように、全く従業員もいないような場合にどうするかということに問題はありますけれども、現実にはそういう場合に事業主報酬制度をとったほうが有利だということにはまたならないのが大部分ではないかと思います。例外的にも、しかし、あるいはいろいろな事情で事業主報酬制度を選択したほうがいいという方は小さい方にはあるかもしれませんが、おそらくそういう場合に、過大報酬の否認というようなことは、現実問題としては起こり得ない、税務署のほうでそういうことをすることはまずまず非常に小さい企業については起こり得ないのではないかと思います。
#172
○渡辺武君 そうしますと、今度のこの事業主報酬制度、これは、大蔵省の説明もありますが、
  〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕
中小企業が記帳をやるように、それを通じて経営の合理化、近代化をはかるというところに大きな目的があるんだということを言っておられますが、しかし、中小企業のほうからしますと、やっぱり税の上で何らかのメリットがなければなかなか記帳しろと言ったって私はしないと思うんですね。特に白色申告をやっている人たちの中には、特にこの零細企業が非常に多いんですよ。それで、まさにこの層こそこれは減税を非常に希望している。それからまた、青色申告の中だって、規模の小さい人たちは、これは非常に強い減税要求を持っていると思うんですね。そうして、その青色申告の中からも、零細な規模の人たちは、これはいわばわれわれが従来から主張しておりますような自家労賃、これと非常に似た要求をしております。これは主税局長御自身よく御存じだと思うんですけれども、とにかく事業主の勤労所得というものを認めて、そうしてこれを経費として落として、これにももちろん所得税はかかりますが、その落とした後に、この事業所得に所得税をかけて、いわば合算したらいいじゃないかと、こういう要求が非常に強いと思うんですね。なぜそういう制度をとらなかったのか――いま伺いますというと、比較的上層のほうだけがこれでは恩典をこうむるということになっちゃうんじゃないでしょうか。
#173
○政府委員(高木文雄君) 現在所得税では十種類の所得区分がございますが、その中の一つとして事業所得があるわけでございまして、その事業所得はいわば資産と勤労との合体をして、こん然一体として得られる所得を事業所得とまあ呼んでおるわけでございます。
 そこで、その事業所得について、ただいまの御指摘のように、一種の勤労性部分を分解をする、自家労賃を分解していくという前提でものを考えるという場合には、それで白青を通じて全部割り切るという考え方をとりますのでありますれば、それは現行所得税の考え方を基本的にやめてしまいまして、全体として事業所得概念をやめてしまって、そしてそれを勤労部分と資産部分に分解をするという考え方に直すということであろうかと思います。それは、所得税としてはかなり基本的な問題でございます。そういうお考えも各方面にあることは承知をいたしておりますが、その資産部分と勤労部分を完全に分解して所得税を組み立てるということでありますれば、これまた一つの研究課題ではございますが、緊急にはなかなか結論を出しがたい問題であろうかと思います。
 今回の措置は、いろいろございます事業主報酬制度御主張、これは事業主報酬制度の御主張というのは、ことばは一つの事業主報酬制度ということでございますが、皆さんがお考えになっていることは、いろいろな種類に分かれておりますが、そのうちの、先ほど申しましたように、商法上の法人にならなくても、税法上法人扱いにせよという御主張を内容といたします事業主報酬制度について一つのお答えを出したということでございまして、ただいま御指摘の面の事業主報酬制度の御主張については、いまもって今日まだ具体的にそれに対するお答えを出し得ないという状況にあるわけでございます。
#174
○渡辺武君 私は、その辺が非常に疑問なんです。かえってこの事業主報酬制度なるものをとって、みなし法人税をかける、実際現実は個人事業であるのに、法人であるかのように仮装して、商法上は個人事業なのに、税法上は法人だというような形をとりますから、だから、まるで読めば読むほどこの法律はわけがわからぬ。これはカモノハシです。鳥だと思えば卵を産まない、形は鳥なのに胎生だと、こういうことになっているんですね、これは。かえって私は、これはいまの所得税体系を根本から混乱さしている、こう思うんです。むしろ自家労賃制度をとって、そして事業主の勤労所得については、これははっきり経費だということにして、所得税をかけていったほうがよっぽどすっきりしている。どこで一体所得税法の根本に触れるのか。どうもその点がわからぬのですけれども、もう一回簡単に、どこが一体根本に触れるのか、御説明いただきたいと思います。
#175
○政府委員(高木文雄君) 現在の所得税では、勤労性所得とその他の所得を区分しているところはどこにもないわけでございます。給与所得控除という制度があるではないかと言われますかもしれませんが、給与所得控除制度というのは、必要経費の概算控除ということから出てきているわけでございまして、サラリーマンは勤労性所得だから、給与所得控除は認められているという形にはなっていないわけでございまして、現在の所得税法は、どこを探しましても、勤労性所得とその他の所得と区分はしてないわけでございます。で、所得税について、基本的に勤労性所得とその他の所得によって何らかの区分をするという立て方も十分考えられ得るところでございますが、そうでありまするならば、現行所得税法を全面的に基本から改めまして、そういう組み立てにしなければならないわけでございます。
 それから、何か事業主報酬制度というのはややこしい、まやかしといいますか、そういうものではないかという御指摘でございますが、そういう意味では、所得税法の基本とは合わないわけでございますので、さればこそ、所得税法を改正するということではなくて、一種の改策論として、特別措置法として一つの中の一条項としてお示しをいたしましたのも、そういう所得税の基本とは関係なく、一応政策として五年間やってみたらどうかという形をとっているのは、そういう意味でございます。
#176
○渡辺武君 同じように、政策的な考えで五年間やるというのだったら、こんな大混乱を生むような措置じゃなくて、しかも、上層のほうだけ有利で、下層のほうはあまり減税にならぬというようなものでなくて、一番重税で苦しんでいる零細企業、ここに恩典があるような措置こそ講ずべきだと思うんですね。私どもこれを計算してみまして、たとえば収入五百万円の個人事業、これは事業所得で二百十万円の規模の場合を考えてみて、この所得に対して四〇%を、これを事業主報酬にした場合、その場合に、今度の新しい措置によって、納税する税額全体は三十六万八千九百円になるんですね。ところが、もしこういう事業主報酬制度にしないで、これを自家労賃で計算するということにしますと、十九万七千二百円の税金で済むんです。これは零細企業にとって――これはたくさんの例私ども計算してございますけれども、時間がないからあまり詳しく申しませんが、その一例をとってみましても、自家労賃制度というのは、零細企業にとっては非常に有利であるということはこれは否定できない事実ですね。
 で、重ねて申しますけれども、この間衆議院の大蔵委員会に参考人として呼ばれた北野さんという先生が「個人企業を法人企業と同じように純粋に一つの企業体と見た場合、事業主が企業体に対して提供した労働の対価というものは、企業体のコストを構成するという考え方が成り立つ」というふうに、学者の方もはっきりとこれは認めておられることなんですね。私はやっぱり大蔵省当局としてこの点にこそ断固として踏み切ったらどうだろうかというふうに思います。重ねてその意図がおありかどうか伺いたいと思います。
#177
○政府委員(高木文雄君) 所得税のたてまえとして勤労性の所得と他の所得と区分していろいろ計算のしかたを変えるということにするという考え方はあり得る考え方であると思います。しかし、それは非常に現在の所得税法のものの基本、たてまえとはスタートのところで違っているわけでございますので、そういう考え方を採用するということにいたします場合には、所得税法の仕組みを全体として変えなければならないと思います。そうかといって、そういう考え方が全く成り立たないというわけではなくて、何か勤労部分とその他の部分とを分けて、そして税法を組み立てるという考え方も、理論的には成り立ち得る考え方であるわけでございまして、いわばこれは、所得税の一つの非常に長期的な、恒久的な研究課題であるとは思っております。しかし、現行制度を前提にして、何か法人と個人とで税負担が総合的に違うのを合わせるくふうはないかということから、今回の制度はスタートしたわけでございますので、ちょっとその制度、目的が違いますところからこういう形をとったわけでございます。
#178
○渡辺武君 時間がきましたので二つ伺う点を一括して申し上げたいと思うんです。
 一つは、事業税との関係ですね、先ほどもちょっとお話かありましたけれども。自治省のほうで、伺いますと、事業税はいままでどおり事業所得についてかけると、こういうことを言っておられるようです。ところが、今度の措置では、その事業所得が二つに分かれちゃって、一つは、これは事業主報酬、これに所得税がかかる、そして残った部分については、これはみなし法人所得としていわば法人税がかかる、単純化して言えばですね、そういう仕組みになっているんですね。で、なぜこんな混乱が出るのか、私はこれは地方自治体としても課税についてたいへんな混乱が出てくるんじゃないかと思うんですが、そういうような混乱が生み出されてくるところに、やはりこの事業主報酬制度というのが、これが合理的でないということをはっきりあらわす一つの指標があると思うんです。これが自家労賃になれば、事は簡単です。だから、その点からしても、この自家労賃制度にすべきじゃないか、また自治省として、この事業税についてどんなふうに混乱を避けようとしておられるのか、その点を伺いたいと思います。
 それからもう一つ、これほどの混乱、税法上も私、やっぱりこれは所得税体系についての大きな混乱を持ち込んできていると思うんですよ。そういうことまであえてしてやる、なぜだろうかということを考えざるを得ない。で、大蔵大臣に伺いたいんですけれども、こんな混乱をあえてして、おそらくこれはまだ帳簿をつけてない白色申告の人たちの、比較的上層の人たち、これにいわば減税という恩典を与えて帳簿をつけさせるということを目的としたものになっていますね。何でこんな記帳を急がせるのか。私はこれは付加価値税制の予備的な措置じゃないか、付加価値税制導入のですね、そういう意図がおありの上でやったんではないかと思いますが、その点どうでしょうか。
 以上二点伺って終わります。
#179
○国務大臣(愛知揆一君) 自治省からも御答弁があると思いますけれども、これは地方税としてどういうふうに考えるかということは、必ずしも事業主報酬制度と、多少従来の扱い方よりは違ったところが出てきても、これは地方税の体系として別個の立場から考えていただいてしかるべきものだと思います。
 それから第二の付加価値税の問題は、私どもとしては、付加価値税移行とか、前提とかいうことで事業主報酬制度を考えたのではございません。いまそう御指摘を受けて、はあ、そういうお考えもあるかなというくらいで、これはもう率直なところでございます。
 事業主報酬制度については、ただいまも主税局長からるるお話しを申し上げたように、いろいろと苦心の結果、こういうやり方をとることが――申し上げると長くなりますが、一面においてはよくいままでも御説明しておりましたけれども、たとえば、同族法人というような、しかも、それの中小の規模のようなところと同じような状況になりつつある、それとの比較考量というようなことも一つの考え方でございましたし、またやはり一面においては、できるだけいろいろの機会に、企業体のあり方、小規模ながらやはりいわゆる奥と店との経理を区分して、合理的な帳簿の整理をするということが望ましいとか、いろいろの点を考えてこういうことを考えついたわけで、しかも、これは前回の委員会でも率直に申し上げたはずでございますけれども、時限立法にして、そして必要とあらば、また必要もできるかもしれませんが、いろいろの御論議の上に立って、さらに改善すべきところがあったらば積極的に改善をしてまいりたいと、そういう配慮が時限立法ということにいたしました配慮の中にもございますことを申し上げておきたいと思います。
#180
○説明員(山崎英顕君) 個人の事業税についてのお尋ねでございますが、個人の事業税といたしましては、事業に対して課する物税としての性格がございますので、必ずしも所得税と同一の課税方法をとらなければならないとは限らないわけでございます。また、事業税には、すでに事業主の勤労部分を概算的に控除する事業主控除制度が設けられているわけでございまして、この事業主控除の引き上げによる税負担の軽減をはかることにいたしまして、事業主報酬制度をあらためて個人事業税に導入する必要はないというふうに考えておる次第でございます。
#181
○野末和彦君 租税特別措置について一、二お聞きしたいと思いますけれども、その前に、前回の続きでもって、サラリーマンの減税のことですけれども、午前中もちょっと問題になりましたけれども、大蔵大臣は、前回私の質問に対して、必要経費というものをいろいろ設けて考えるよりも、ほかの控除でもってそういうものはカバーして、結果的には実質減税になるように課税最低限を引き上げるという、そういう方向でサラリーマン減税を検討するというふうにお答えになったと思うんですね。そうかと思って納得して、それ以前に、新聞に大々的に出ていたことは全部いいかげんだったと、必要経費を三〇%一律になんというのがありましたから、あんなむちゃなことはまさかないだろうと思ったら、そんなことはないというので安心したんですが、またまた新聞に、幹事長の案として出まして、さっきそれも午前中問題になりましたけれども、三段階で必要経費を認めるというやつですね、こういうこと出るとどっちをあてにしていいか、どっちの発言に一体権威を認めていいのかわからなくなるんですが、大蔵大臣、あれもやっぱり幹事長がかってに言ったことで、政府の方針とは全く関係のないということなんですか、あの必要経費三段階控除という問題について。
#182
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたようにそういう考え方もあり得ると思いますけれども、私としては、国会を通して責任者として申し上げているわけでございまして、それは勤労階級、特に、私は、サラリーマンというか国民、大衆的な所得税の軽減をはかりたいと、これを強調しているわけでございます。したがいまして、一律三〇%控除であるとか、あるいは何百万円以上に一つのウエートを設けてそこにも一律控除制をつくるというようなことは、少なくとも税制上、またわれわれの考えていることとは少し違うということは申し上げて差しつかえないと思います。ただ、とにかく個人を中心にする所得税の減税をはかりたいということの意図の表明の中に、人によって、まだ案が固まっておりませんから、できるだけ大額の減税をしたいという中には、そういう考え方もあろう。そうして自民党といたしましても、個人の所得税の軽減をしたいという意図は基本的にわれわれとも合意をしているわけでございますから、その表明の方法、形式、あるいはその話が出ましたときの環境なども考えていただきますと、こちらは国会で公式に申し上げておるわけでございますから、そういう点については十分私が責任をとってまいりたいと思います。
#183
○野末和彦君 そうなると、大臣はここで責任とって公式にはとにかく減税はするんだが、ああいう具体的な案に対しては責任とれないというわけですよね。だけど、新聞にあれだけ出ますと、国民は、大臣はそう思っていると、減税したいと、これは一致しているんだけれども、ああいう必要経費の控除なんというのは、こっちは考えてないんでなんと言われると、その大臣のことばは、この委員会の中だけでは通用しますけれども、一般には、新聞なんかに出ないわけですよ。そうすると、ぼくらから考えれば、大蔵大臣は、結果としては責任のがれで、自民党が何でもできるような錯覚を国民に与えて、最後には、来年実現しなくても、いや私は初めからそんなこと言いませんで、こう通る。そうすると、これ、大臣としても、この際、そういう適当なことを言う幹事長に対して正式に抗議するとか、何か責任のある態度を示さなければ、国民は全然これ、幾ら大臣がここで何をおっしゃってもわからないんですよね。ぼくらも必要経費というものを考えるという行き方はいいと思うんですが、ああいう形になるか、何十%、何段階、これは問題ありますよ。しかし、少なくも大臣は必要経費というものは考えずに、ほかの控除でカバーするという、しかも減税しようという方向では一致しているが、内容が違うと、これ、どうなんですか。大臣、もし責任をとると言うならば、幹事長に対して、まず、こういういいかげんなことを大々的に新聞に言う、その幹事長の姿勢あるいは態度に対して、ほうっておいていいと思いますか。それとも、ここらで、それは間違いだと、大蔵大臣としてはそこまで言ってないんだと正式に訂正するのが当然のことだと――どういうことなんでしょう、ぼくは訂正すべきだと思うんですがね。
#184
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、しかし、あくまで税制というものは、政府が順を追うて検討して成案をつくって国会の御審議を経てこれが結論が出る、そしてどういう扱われ方をするかということはまた別として、何といましましても、ここが国権の最高の機関の場なんでございますから、そうして責任者がそう申しておるのでございますから、これは新聞に出ようが出なかろうが、これは国会を通して国民に対しての責任のあることであると御理解を願いたいと思います。
 それから、党といたしましても、党議をきめて、党の意見として公にいたしますのには、それぞれやはり正式の機関の議を経て公表すべきものである、そういう――先ほども申しましたけれども、環境の中で、あるいは手続を経て発表した公式の見解と私は思いません。しかし、御注意がございましたから、それらの点については、われわれも、与党と政府との関係でございますから、十分御注意のように、誤解の広がらないように善処いたしたいと思います。
#185
○野末和彦君 結局、何かそれ聞いていると、大臣も共犯みたいな気がしますけどね。片一方じゃいろんな調子のいいことを言って、新聞なんかも、首相もこの方針は支持しているからと、いかにも実現するようなことを新聞書いてありますからね、これは新聞記者の主観かもしれませんけれども。そう言えば国民はそのまま信じますからね。大臣が黙っていて。国会できめるのがあたりまえだ、これは当然だと思います。大蔵大臣が税制改正に対して最高の責任を持って、しかも、国会でそれを審議して初めてきまるのはわかっていますが、いかにも自民党が、何でもできるんだという形でああいう誇大広告を出されますと、ぼくは、大蔵大臣としても、いままで黙っているのが、おかしかったと思うんです。善処というのは、どういうふうに善処をなされるか知りませんけれども、とにかくああいうことはこれから出ないように、出る以上は責任を持てる範囲で出すべきだと、大蔵大臣もそういういうふうにしていただきたいと思うんですね。
 で、次へ行きますけれども、租税特別措置ですけど、租税特別措置についての性格とか、このメリット、デメリット、いろいろあると思うんですけれども、特に、この期限がきまっているやつですね、いまの事業主報酬の問題もそうですけれども、時限立法になっているものは、基本的に政策目的が達せられたと判断したらすぐやめるべきと考えておられるのか、それとも、一応何年と限った以上、一応その期間内はそのままにしておくべきと考えておるのか、基本的な方針はどちらですか。
#186
○国務大臣(愛知揆一君) 期限をきめておりますものは、期限を守るのが原則であると思いますが、同時に、前々から申し上げておりますように、期限が来たらば、これは既得権ではないんですから、十分洗い直して改廃をすべきものである、それから、前例としては、期限をきめてあっても、その期限の到来前に改廃あるいは修正したものがあろうかと思いますが、こまかい点はちょっと私も記憶がございませんが、たしかそういう前例もあると思います。
#187
○野末和彦君 前例があると思いますけれども、その場合は、当然政策目的も達せられて、こういう措置は必要ないと、去年で言えば輸出振興の関係でしたか、ありましたね。それと似たようなもので配当の分離選択制ですか、あれについてもぼくはどうもおかしいと思うんですね。これ、一番最初にこの制度が設けられたときの一番大きな理由は何だったんですか。
#188
○政府委員(高木文雄君) 現在の配当所得に対する源泉選択制度は、四十五年の税制改正で採用されたものでございます。これは預金につきましても、そのときに源泉選択制度が採用されまして、五十年までの臨時の措置となっておりますが、その間源泉選択の場合の税率が一五から二〇、二〇から二五というふうに上がることになっておりまして、本年一月一日から二五%になったところでございます。で、その源泉選択制度というのは、原則的にだんだん総合のほうに持っていこうという前提で、従来から完全分離課税でございました。四十年来、分離課税でございましたものを、源泉選択制度を入れて、そうして総合に近づけようという方向でいま制度をそちらのほうへ近づけつつあるというところでございます。
#189
○野末和彦君 そうしますと、これはいわゆる、この租税特別措置の設けられた政策目的ですね、これはいまの説明では十分出てなかったと思うんですけれども、やはりあれですから、貯蓄奨励ということも、その項目の中で入っていますから、これは株式市場育成とか、あるいは団民の貯蓄が資本市場に向かう誘導措置とか、そういうような目的が多かったわけですか。
#190
○政府委員(高木文雄君) 御指摘のとおりでありまして、預金については前から分離課税制度になっているわけですが、預金ということを通じて、産業に対して間接金融を行なうのと、それから、資本を増加して、そしてそれについての、配当についての税制上の考慮を加えることによって、むしろ資本増加を優遇していくのと、いずれの道をとるべきかということが、いわば産業政策として非常に重要な問題でございますが、そこで、絶えず預金の扱いと、配当の扱いについては、相互にどうあるべきかということを検討しなければならないわけでございます。で、預金について従来からいわゆる貯蓄奨励という分類で整理をいたしておりましたので、配当も同様の整理をいたしておりますが、単にそれは貯蓄奨励ということだけではなくて、貯蓄奨励であると同時に、また産業資金の調達方式をどうしていくかということと関連ある問題であると思います。
 なお、先ほど私の説明一ヵ所誤っておりまして、この配当についての源泉選択制度は四五年から採用したように申しましたが、それは誤りでございまして、四十年からでございます。預金について源泉選択制度になりましたのが四十五年からでございまして、その点訂正をさしていただきます。
#191
○野末和彦君 そうしますとね、まあこれは五十年までで、先ほどのお答えでは、期限がきまっているものは、それまで一応守るのが原則だというようなことありましたけれどね。やっぱりもう目的が達せられたと判断したら、やめるものもあるし、またそれが当然税調の答申などにあります租税特別措置に対する姿勢じゃないかと思うわけですね。いまの主税局長のお答えを聞いていても、なぜ五十年までこれがこのままほうっておかれるのかがちょっとわからないんですがね。いまでもやはりあれですか、租税特別措置としてこれがなければならないような事情なんですか、ちょっとその辺わからないのですよ。
#192
○政府委員(高木文雄君) 先ほどちょっと触れましたように、源泉選択の税率は四十八年、四十九年、五十年は二五%でございます。その前は、二年間二〇%であったわけでございますし、さらにその以前は一五%であったわけでございます。税率がこう階段状にだんだん上がっていくことになります。階段状に上がっていきますと、上積み税率二五%というのは、所得税としてはかなり高い税率でございますから、本来ならば、源泉選択をしないで、むしろ総合申告をしたほうが有利な方がだんだん源泉選択税率が高くなればなるほど多くなってくるはずのものでございます。そういう過程を通じて、なるべく多くの方に分離でなしに、総合のほうを選ぶほうが有利だという状況をときを追うてつくり出していこうという仕組みになっているわけでございます。でございますから、この制度は当初から、四十五年以来そういう階段状になっておりますから、階段状のところを途中で直すというのは、いかがなものであろうかと思うわけでございます。ところで、まあ五十年以降どうするかという問題もあるわけですけれども、それはまだ現在のところ、ちょっと予測的に申し上げにくいわけですが、その階段状である以上は、その階段状の登り上がるところまでは予定した制度でやらしていただくほうが制度の安定性としてよろしいのではないかというふうに考えます。
#193
○野末和彦君 制度の安定性といわれますけどね。別にこれはあれでしょう、一部の人しかこの適用は受けないわけで、いまのだんだん総合課税のほうを選ぶほうに持っていくということでしたね。そうだったら、階段を途中でやめて、もういま総合のほうが得だぞと言って、これを廃止したっていいと思うんですよね。まあそれはぼくの考えですけどもね。でも今後取引税が上がりましたね。そうすると、取引税を上げるときに、ここでは株式市場の担税力がついたという話を、担税力がついたからということが出ましたけども、この取引税を検討するときに、当然いまの配当の選択分離制というものが検討されたというふうに思うんですが、やはりこれは税調でも、大蔵省内でも、五十年までは、さっきおっしゃったような理由でほうっておくということで触れなかったのか、それとも一回、ここで途中だが洗い直してみようという動きがあったのか、どちらですか。
#194
○政府委員(高木文雄君) 預金及び配当の源泉選択税率を現状のままで階段状にしておくということについては、率直に申しまして、今回の税制改正にあたりまして、税制調査でこれをやめるとかどうかということで論議をしたことはございません。御案内のように、現在上積み税率で二五%と申しますと、所得に直しますと、三百二十万円をこえたあたりから三百八十万円ぐらいのところが上積み税率二五になっておりますから、株をお持ちの方、したがって、配当をお持ちの方で、もう大部分の方は源泉のほうを選ぶよりは、総合を選んだほうが有利な方が多くなっているはずでございます。残念ながら、しかしながら、どうもやっぱり総合申告をするのはわずらわしいということから、有利、不利に関係なく、不利であっても源泉のほうを選んでおられる方が非常に多い実情でございます。で、漸次このことを、いろいろな機会を通じて多くの方に承知をしていただいて、源泉よりは、総合のほうが有利だということが株主の方々に知られるようになりまして、そういう総合の、したがって、申告の習慣が大勢の方についてきましたならば、またいろいろ制度を考え直す余地があるのだろうと思います。もう少し何にとか総合を選択する方がふえることに全力をあげまして、その上で制度をどこへ安定させるか考えるべきであろうかと思います。
 有価証券取引税については、若干株の譲渡所得の非課税問題との関連においてどう考えるべきかという関連が議論されましたが、この配当との関係は、有作価証券取引税とはあまり直接には関係はないのではないかということから、今回は御指摘の点は検討はいたしておりません。
#195
○野末和彦君 いまので聞くと、おかしんですがね。結局、株を持っている人は源泉よりも総合のほうが有利だということを、何も宣伝しなくたって、この制度を廃止して総合にしなさいと言ったらよほど早いわけですよ、実質的にも。なぜそんな回りくどいことを考えながらこれを存続していくかというのがちょっとわからないんですがね。これはどうなんでしょうかね。やはり階段状になっているからやめられないと、あるいは五十年までときめてあるから、途中でいじくるとやはり制度上の安定性とか、そういうようなものが問題になるわけですね。それで残しているんだと思いますが、しかし、逆に言えば、その株を持っている一部の人たちのために安定性を云々するよりも、これによる不公平感のほうが大きいわけでしょう。これはやっぱり、詳しいことは別として、この一部の資産階級に有利だと、有利な税制だというふうにして一般の大衆は受け取っている、これは、こういう不公平感による納税意欲の減退というか、こちらのほうがよっぽど大きいわけですよね。ですから、ぼくは、こういう国民の不信感とか不公平感というものをまず除くほうが先であって、これをこのまま五十年まで持っていて、結局株を持っている人も、源泉より総合のほうが有利ですと、それをわかってもらうんだなんて言っていることがおかしいと思うんですがね。もし主税局長、そのために総合申告してもらうようにするんだと、それを事あるごとにPRしてということよりも、それはいまもうすぐ廃止すべきだと、そのほうが当然じゃないかと思うんです。
 そこで、まあ時間がなくなっちゃいましたけれども、ぼくは五十年までこれを置いておくことは、メリットはまずなくて、マイナス面のほうが大きいから、来年たまたまいろいろな租税特別措置を全面的に洗い直すということを大臣も方針として打ち出されておりますから、これやはりもう一年前であってもやめて、もうこういう資産階級を優遇するようなものをやめたんだといって、税制改正の姿勢をここできちっと示すほうが、いろいろな点で当然じゃないかとぼくは思うんです。ですから、来年やめるべきで、しかも来年これを検討しないで五十年までほうっておくと、やはり幾ら税調の答申に基づいて総理大臣はじめ大蔵大臣がいつも流動的改廃につとめるとか、あるいは既得権化しないようにとか、何かいつも同じことを繰り返していますがね、あれは結局は口先だけで、実質的な意味はないんじゃないかと、こう思うんです。どうでしょうか、大臣、このいまの配当所得に関する源泉、それから分離、選択制というものに対して来年やめる、あるいはやめるべく検討するというお考えありますか、それともやはり五十年までほうっときますか、どちらですか。
#196
○国務大臣(愛知揆一君) これはやはり五十年ということを決定し、かつ実行中でございますから、原則的には五十年まで続けるべきものである、原則としては。そういうふうに考えますけれども、いろいろ四十九年度の税制については、いままでも基本的な点だけですけれども、申し上げている次第で、意欲的には相当のものをやりたいということを考えております。したがって、いろいろの問題をあわせて検討いたしたい。特に、この件だけについて申し上げるわけではございません。いろいろの御意見を謙虚に伺って対処してまいりたいと思います。
#197
○委員長(藤田正明君) 両案に対する本日の質疑は、この程度といたします。
    ―――――――――――――
#198
○委員長(藤田正明君) 次に、入場税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案、以上、二案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。愛知大蔵大臣。
#199
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま議題となりました入場税法の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 初めに、入場税法の一部を改正する法律案について御説明いたします。
 政府は、今次の税制改正の一環として、最近における入場税負担の現状に顧み、その負担の軽減をはかるため、入場税の減税を行なうほか、所要の規定の整備を行なうこととし、ここにこの法律案を提出した次第でございます。
 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。
 まず、映画、演劇等の一般の興行場への入場について、入場料金が一定金額以下の場合の税率を引き下げることとしております。
 すなわち、現行の入場税の税率は、催しものの種類や入場料金の高低にかかわらず、一律一〇%となっておりますが、映画については一人一回の入場料金が千円以下、演劇、演芸、音楽、スポーツ及び見せものについては一人一回の入場料金が二千円以下の場合の税率を五%に引き下げることとしております。
 次に、入場税の非課税範囲について、その拡大を行なうこととしております。
 すなわち、国が企画して行なう一定の催しものについては、国の芸術、文化行政の一環として行なわれるものであることを考慮して入場税を課さないこととするとともに、教員の引率により団体で興行場へ入場する場合に入場税を課さないこととされている生徒、児童等の範囲に、学校の教育に準ずる教育を行なう施設の児童等を加えることとしております。
 以上のほか、興行場経営者の事務負担を軽減するため、入場税の控除及び特別入場券の検印の制度を合理化する等所要の規定の整備を行なうこととしております。
 次に、物品税法の一部を改正する法律案について御説明いたします。
 政府は、今次の税制改正の一環として、最近における消費の実態、課税物品の取引の状況等に即応するよう物品税負担の軽減合理化をはかるとともに、納税の手続を簡素化する等所要の規定の整備を行なうこととし、ここに物品税法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。
 第一に、税率の引き下げ等につきましては、製造課税で四〇%の税率が適用されている大型モーターボート等の税率を三〇%に、小売り課税で二〇%の税率が適用されている貴石、貴金属製品等の税率を一五%に、それぞれ引き下げることといたしております。
 これにより、物品税の最高税率は、四〇%から三〇%に下がり、税率構造は、四〇%から五%までの六段階が三〇%から五%までの五段階に簡素化されることとなります。
 また、ストーブ、レンジ、電気掃除機等につきましては、それらが手軽な家庭生活用品として広く使用されている実情にもかんがみ、その税率を現行の二〇%から一五%に引き下げることとする等の改正を行なうこととしております。
 第二に、尺八、固型ラムネ、粉末ジュース、包丁研摩機、電気マッチ、パイプ、きせる、デッキゴルフ用具及びマッチ等につきまして、課税の廃止を行なうことといたしております。
 第三に、現行課税物品との負担の権衡をはかるという観点から、セパレート型ルームクーラー、電波調理器、磁気音声再生機用レコード、キャンピングカー及び貴金属メダル等につきまして、新規に課税を行なうことといたしております。
 なお、新規課税にあたっては、必要に応じ暫定的に税率を軽減することにより、負担の激変を緩和することとしております。
 第四に、販売業者証明書制度の創設、二以上の製造場を有する者に対する戻し入れ控除等の合理化、一定の小規模納税者に対する納税申告書の提出期限の特例、未納税、輸出免税等の手続の簡素化等所要の規定の整備を行なうことといたしております。
 以上、入場税法の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、その提案の理由と内容を申し上げました。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
 なお、両法律案は、いずれも本年三月三十一日までに成立するという前提のもとに提案いたしておりましたが、衆議院での議決がおくれましたことに伴い、同院におきまして所要の修正をされておりますので、御報告いたします。
 その概要は次のとおりであります。
 まず、入場税法改正案につきましては、その施行日を「公布の日の翌日」と修正をされております。
 次に、物品税法改正案につきましては、その施行日につき、入場税法改正案と同様の修正をされたほか、販売業者証明書を所持する者の確認等の規定を適用しない期間につき修正を加えられております。
#200
○委員長(藤田正明君) 次に、補足説明を聴取いたします。高木主税局長。
#201
○政府委員(高木文雄君) 入場税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を補足して御説明申し上げます。
 第一に、税率の引き下げであります。現行の税率は、昭和三十七年に一律一〇%に引き下げられて以来今日に至っているものでありますが、今回、映画、演劇等につきましてはその税率を五%に引き下げることとしております。ただ、どのように高額な入場料金のものも一様に軽減の対象とすることは適当でないと考え、高額な入場料金のものにつきましては、従来どおり一〇%の税率で課税することとしております。この場合、映画の入場料金と演劇、音楽等のいわゆるなまものの入場料金との間にはかなりの格差があることを考慮しまして、映画は入場料金千円をこえるもの、演劇、演芸、音楽、スポーツ及び見せものは入場料金二千円をこえるものについて税率を据え置くこととしております。なお、競馬場、競輪場等のギャンブル場につきましては、税率を据え置くこととしております。
 第二に、非課税範囲の拡大であります。従来から文化庁において文化の振興及び普及をはかるため芸術祭の公演等を実施しております。現行法では、文化財保護法によって助成の措置を講ぜられた伝統芸能などの催しものを行なう場合には非課税とされておりますが、今回、芸術祭の主催公演及び移動芸術祭の公演につきましては、伝統芸能以外のものであっても広く非課税となるよう措置し得ることとしております。
 さらに、従来から教員の引率により学校の生徒、児童等が団体で興行場へ入場する場合には非課税としているのでありますが、今回、この児童等の範囲に学校教育に準ずる教育を行なう施設の児童等を追加し、保育所及び教護院の児童等についても非課税とするよう措置し得ることとしております。
 次に、物品税法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 物品税法は昭和四十一年以来、基本的な見直しが行なわれておりませんので、最近における消費の実態等に即応するよう、税負担の軽減合理化と納税手続の簡素化を中心とする改正を行なうこととするものであります。
 第一に、税率の引き下げ等につきまして、ただいま、大臣から御説明申し上げましたが、そのうち特にモーターボート、ヨットの税率改正について御説明いたします。従来大型四〇%、小型一〇%の二つの区分でありましたが、今回新たに中型の区分を設け、大型三〇%、中型一五%、小型一〇%に改めることといたしております。
 第二に、課税廃止物品のうち特にマッチにつきましては、ささいな家庭用品であることを考慮して、今回、課税を廃止することとしているのでありますが、中小企業団体の組織に関する法律に基づく商工組合の調整事業の運用に関連して、廃止の時期を昭和四十九年九月一日からといたしております。
 第三に、新規課税の対象となる物品としては、現行課税物品と競合する物品で、これに課税しないまま放置すると現行課税物品との間に負担のバランスを失なうこととなるものを中心に考慮いたしました。たとえばセパレート型ルームクーラーはウインド型ルームクーラーとの関連を、電波調理器はレンジ、天火との関連を、磁気音声再生機用レコードは蓄音機用レコードとの関連を考慮して新たに課税を行なうことといたしたものであります。
 第四に、納税手続の簡素化等の規定の整備のうち、貴石、貴金属製品類の販売業者証明書制度は、すでに最近数カ年にわたり事実上実施している方式を、今回、法制化するものであります。また、最近における製造場の分散広域化の傾向に対処するため、二以上の製造場を有する者に対する戻し入れ控除等の合理化、小規模納税者の納税手続の簡素化のための納税申告書の三カ月分取りまとめ提出制度の新設等の措置は、いずれもかねてより業界から要望がある物品税事務負担の緩和をはかるためのものであります。
 以上、入場税法の一部を改正する法律案外一法律案の提案理由を補足して説明いたした次第でございます。
#202
○委員長(藤田正明君) 両案に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#203
○委員長(藤田正明君) 次に、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案入場税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案、以上、四案審査のため、次回十九日の委員会において、参考人として、税制調査会会長東畑精一君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#204
○委員長(藤田正明君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
 次回は、十九日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十三分散会
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ソース: 国立国会図書館
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