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1972/06/07 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第20号
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1972/06/07 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第20号

#1
第071回国会 大蔵委員会 第20号
昭和四十八年六月七日(木曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月七日
    辞任         補欠選任
     中西 一郎君     長谷川 仁君
     河本嘉久蔵君     今  春聴君
     船田  譲君     岩動 道行君
     桧垣徳太郎君     斎藤 寿夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
                嶋崎  均君
                土屋 義彦君
                野々山一三君
                多田 省吾君
    委 員
                伊藤 五郎君
                河本嘉久蔵君
                柴田  栄君
                中西 一郎君
                徳永 正利君
                桧垣徳太郎君
                竹田 四郎君
                山崎  昇君
                鈴木 一弘君
                野末 和彦君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       大蔵政務次官   山本敬三郎君
       大蔵省主計局次
       長        吉瀬 維哉君
       大蔵省主税局長  高木 文雄君
       大蔵省銀行局長  吉田太郎一君
       大蔵省国際金融
       局長       林  大造君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○アフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行
 法、信用金庫法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
 〔理事土屋義彦君委員長席に着く〕
#2
○理事(土屋義彦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員長には、所用のため本日の委員会には出席できないとのことでございますので、委託を受けまして私が、委員長の職務を行ないます。
 アフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する法律案、中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案、以上二案を便宜一括して議題とし、前回に引き続きこれより質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次発言を願います。
#3
○竹田四郎君 大蔵委員会がだいぶしばらく聞いておりませんので、当面の金融、財政についても、この際、大蔵大臣に若干お聞きをしておきたいと思いますので、委員長においてよろしくお取り計らいをいただきたいと思います。
 まず、四十七年度の税収でありますが、新聞発表によりますと、予算よりも約六千億余分に徴収されたと、こういうことでありますが、おそらく、今日の経済情勢から見ますと、四十八年度もかなりの税の徴収というものが、予算額よりも上がってくるだろうと、こういうふうに思われるわけでありますが、当初、私ども三千百五十億の減税というのでは、あまりにも小さ過ぎるのではないかというようなことを、当委員会でもかなり強く申し上げたわけではありますけれども、新聞報道等によりますと、田中総理も、減税あるいは法人税の重課、こうしたことを打ち出しているわけでありますけれども、これが新聞の解説によりますと、これは都議選へのバックアップのにおいが非常に強い、こういうお話でありますけれども、この前も、総理が就任の直後には、一兆円減税というのが言われました。それから、予算の編成の前には、五千億減税というふうに言われました。それが最終的には三千百五十億という形で、だんだんとしりつぼみになってきたわけでありますけれども、今回の減税、法人税の重課、これもしりつぼみになっていく可能性というようなものを、新聞は解説の中でいっておるのです。この点についてひとつ担当の大蔵大臣として、どのように実際お考えになっておるのか。確実に御発言どおり四十九年度においてこれを確実に、所得税においては課税最低限を百五十万、それから法人税については税率を四〇%にするという総理の御発言、大体それについては大蔵大臣もその趣旨を了とされているようでありますが、これは確実にやられるのか、アドバルーンとして上げているのか、その辺をはっきりしていただきたいと思います。
#4
○国務大臣(愛知揆一君) 税の問題については、当大蔵委員会でもしばしば私も意見を申し上げているとおりでございまして、来年度は、相当の大規模にわたる税制改正をやりたい、そしてその中では、サラリーマン減税と申しましょうか、勤労大衆の所得税については思い切った減税をやるべきであると考えておるということを申し上げております。
 一方、財政需要のほうの見通し等も考えてみますと、相当やはり税収入に財源を求めなければなりませんから、法人税に対しては重課あるいは特別措置の洗い直しを全面的にやるということは、しばしば申し上げているとおりでございまして、来年度、いまお話もございましたが、総額で幾らということは、財政の単年度の計画のことでもございますから、いま四十八年度がまだ始まったばかりといってもいい時期でございますから、とうてい具体的な数字をあげて申し上げる段階ではございません。しかし、総理とも、これは新聞報道のとおり、非常に重要な問題でございますから、時間の間を見て積極的に意見交換をし、協議いたしておりますが、所得税の減税については、いわゆる標準家計における最低限度を百五十万円に引き上げたい、これを一つのめどに、これからの税制改正を考えていこうということが一つと、それから、法人税については、税率を四〇%ということにひとつ改正の基礎を置きたい、この二つについては完全に合意をいたしておるわけでございます。
 で、これもしばしば申し上げておりますように、例年でございますと、まだずっとおそい時期になりますが、本年度は、来年度の税制改正に政府としても非常な意欲を持っておりますので、数日中に、内閣の税制調査会を開いていただくことにいたしまして、いま申しましたようなことを、ひとつの政府のめどといたしまして、まず、税調の各委員の方々から、自由意見の交換から始めていただいて、だんだんに案の内容に具体性を盛ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。百五十万円最低限度ということになりますれば、これは勤労所得控除のやり方とか、いろいろの組み合わせがございますから、総額でどのくらいの減税になるかというと、これはいろいろの推算ができると思いますけれども、相当これは大幅のものであって、今年度の減税については、先ほどだんだんしりつぼみになったというお話でございますが、地方税を合わせれば純減税は六千億にもなるわけだと思いますが、それはともかくといたしまして、来年度の所得税減税については、三千億、五千億というような程度のものではないと、私は、昨日衆議院の大蔵委員会でも申し上げましたが、従来的な感覚からいえば、あっと思われるぐらいのところまでの減税をやりたいと考えておりますということを申したわけでありますが、まあ、新聞でどういう批評が出ようとも、私どもとしては、十分協議をして、自信を持って、誠意を持って、来年度におきましてはりっぱな税制改正を行ないたいと、かように考えておるわけであります。
#5
○竹田四郎君 発表されたらあっと思うようなたいへんな減税であろうと思うわけですけれども、しかし、お話を聞いていますと、どうもその点がまだ「めど」とかいうようなおことばもありますし、どうも明確さを欠いているような気がするのですが、税制調査会は、この前のお話では、明日開かれるというお話でありました。他の委員会でも、大蔵審議官に御出席を願って聞いた場合には、かなり具体的な討議がそこでされるのだ、こういうようなお話であったわけでありますが、どうもいまお聞きしていますと、決意のほどはわかりますけれども、あまり具体性がまだないというような気がするわけでありますが、もう少しその辺は具体的に申し述べていただいたほうがいいだろうと思うのでありますけれども、そこまでまだ具体的に大蔵当局として話は詰めてないということなんですか、どうなんです。いままでもかなりの委員会において、税金問題の話というのは出ている。国会側としては、もうほとんど相当の部分の議論というのは出尽くした感もある。こういうふうに思うのですが、あしたから開かれるわけでありますけれども、それに対してまだその程度というのは、どうもちょっと、幾らフリートーキングをやるにしても、ある程度の基礎というものがなければ、やはりフリートーキングはできない。そういう意味では、ある程度もう少し具体的なものがきまっているんではないでしょうか。
#6
○国務大臣(愛知揆一君) 明日以降、税制調査会も、それから、財政審議会その他も一斉にお願いをするようにいたしております。先ほど申しましたように、例年よりもずっと日程的には繰り上げてやりたい、それだけに、実質審議の時間も十分にとりたい、と同時に、ひとつ委員の方々からも、十分にひとつ各方面から御主張をお聞かせいただきたいということで、まず、総会を数回開きたい、こういう段取りで考えております。したがって、こまかい数字をあげて、政府側が主導的な立場といいますか、そういうようなことはできるだけ避けたい。私の税調に対するお願いの基本的姿勢はそういうふうに考えております。ことに先ほど申し上げましたように、こまかく各税目等にわたって申し上げるというような段階にはまだ至っておらないわけで、これは結局財政需要をどういうふうに見るか、それをどうさばくかというようなことになりますれば、別途やはり財政計画のほうを進行させていかなきゃなりませんから、その段階を追うて、政府の見通しとか、見解も自然そういうところに御披露していくことになると思います。したがって、最初の段階においては、そんなにこまかい具体的な政府の構想というものをお示しするということは私としては考えておりません。
 その次に、従来もそうではございましたでしょうが、特に、今年の税調に対する政府の態度といたしましては、ただいまお話のとおりであって、税制については、衆参両院を通じて、この国会におきましては、非常に活発な御論議を聞かせていただきました。謙虚にその御意見に私どもも耳を傾けてまいりました。したがって、衆参両院における税についてのいろいろの角度からの御論議は、正確に税調にもこれを反映するようにいたしたいと思いまして、ただ単に形式的に議事録を配付するというようなことではなくて、明確に、明快にサマライズしたような資料もつくりまして、これをすっかり御配付申し上げまして、国会における論議というものが、正確に反映するように御参考にしていただくように出す、こういうかまえ方で始めたいと、かように存じております。
#7
○竹田四郎君 いまの大臣の答弁、おおむねそれは了といたしますけれども、しかし選挙バックの演説だけにしないように、おっしゃられたように、ほんとうにこれほどまでの減税が可能であったかというぐらいの減税、それから同時に法人税の重課、この点もあまり明確でございませんでした。四〇%を改正の基礎にしたいという程度のお話でありますが、これも非常に私不明確な感じがするわけでありますけれども、大蔵原案というものが実際まだ詰められていないという事態であるならばいたしかたないと思いますが、その点はひとついままでの論議を踏まえて、結論を早目に出していただくことを要望しておきたいと思います。
 その次は、第二番目でありますが、ことしの物価の騰貴というものはまさに異常であります。五月の卸売り物価すでに一二%以上という形でありまして、これはおそらく今後消費者物価への影響というものは避けられないと思います。一昨日の日銀総裁のお話でも、物価の安定ということについては自信のない御答弁でありまして、今後もあがっていくだろうというようなお話でありました。金融政策の限界ということにも言及をされたわけでありますが、政府は、まあそうした一つの方法の財政政策の一環として、公共事業の上半期の契約ベース、これをかなり引き下げて、五九.六%という数字にされたわけでありますけれども、あとの分ですね。五九・六%を引いたあとの分というのは、これは下期で全部契約をさせるというのか、あるいは必要に応じては、次年度にそれをある程度の繰り越しもやむを得ないというふうに考えているのか、どうなのか。おそらく今日の物価情勢というものは、私は、ただ単に金融問題や、あるいは外貨の流入ということだけではおそらくないだろうと思う。私ども主張してまいりましたように、四十七年度の補正予算が過大であって、あるいは四十八年度の当初予算も過大である。こうしたことが、今日の景気の過熱を招き、そして物価情勢というものをたいへんきわどい上昇ムードにあおってきた。そしてそうしたものに対する政府の適時適切な政策ということじゃなくして、常に数カ月以上のおくれというものをその政策の中でやってきたというふうに私は思うわけであります。そうした意味では、政府の財政政策というものが、たいへん大きなマイナスをしているというふうに私は考えているわけであります。そうした意味では、四十八年度の予算遂行にあたって、いままでの予算編成当時の考え方、同じ考えで行くべきではない。まあその一つのあらわれが、具体的に政府自体が公共事業の繰り延べ、少なくともいままでの実績から見ますと、たいへん大きな下期への繰り延べということになっていることは、現実に私はそれを示していると思うのです。そうした面について、今後の四十八年度の予算執行に関して、その他の件について、大蔵大臣としてお考えになっている点があるのかないのか、その二点。
 当初の一点は、下期の公共事業、これをそのまま予算どうり執行していくつもりなのかどうか、あるいは繰り越しするかどうか。第二点は、四十八年度予算の執行について、いまの公共事業の繰り延べ以外に何かお考えがあるのか、この二点について伺います。
#8
○国務大臣(愛知揆一君) まず、その第一点でございますけれども、ちょっと全体の環境から一言したいわけでありますが、というのは、たとえば、GNPにおける需要項目を分析してお考えいただきたいと思いますが、政府の固定資本の形成が、四十八年度の考え方としては、一〇・八%、それから、民間の設備投資は、四十八年度で一七・一%となっておりまして、この比率から見ましても、民間設備投資の比率は、相当政府の固定資本の形成よりはウェートが高いわけでございます。さらにその後の状況を見てみますと、GNPの成長率は、非常に見通しよりも上回ると見られますけれども、その上回る原因というものは、民間の設備投資の増加によるところが少なくないのでございます。日本銀行の主要企業の短期経済観測というのがございますけれども、五月の調査で見ますと、全産業で設備投資の伸び率が二二・四%、これは製造業でいうと二六・六%、非製造業で一七・五%、さらに、いわゆる先行指標といわれます機械の受注とか、建設受注の動きから見ますと、民間設備投資につきましては、かなりの盛り上がりが見込まれておるわけでございます。こういう点から考えまして、何としても民間の設備投資が、これからあまり伸び過ぎないようにしてまいりますことが、政策のポイントではないかと思いますから、金融政策については相当きびしいと思われる手を逐次展開してまいりました。三十日の公定歩合の引き上げに続きまして、六月十六日から預金準備率のさらに引き上げを行なうことを五月二十九日に決定して、同時に発表したというのも、そういう配慮からでございます。
 一方、こうした民間設備投資と政府の固定資本の形成とのそもそものウエートの相関関係、それから現在、今後を見通してのバランスというようなことを考えまして、政府の公共事業支出については、全体で五九・六%、これは四十七年度と、まず前年度と比べれば、前年度が七十%をこしておりますから、一四%以上の圧縮になりますし、さらに、福祉国家という方向に指向しているような面につきましては、できるだけ繰り延べをしませんで、他の一般公共事業のほうへ比重をかけておるわけでございますから、いわゆる通常の一般公共事業ということになりますと、五四%程度の繰り延べ契約高ということになります。このところが私は妥当な線であると考えております。したがって、上期は契約べースといいますか、これでいきたいと考えますが、さらに、これは御案内のように、予算の個所づけその他についてはずいぶんきめこまかく、これもことばは練れないかもしれませんが、窓口指導的に関係の所管の省と、主計局が窓口になって、個々に具体的に協議をいたしておりますから、さらに、実際上は繰り延べの高が多くなると、こういうふうに考えますし、またさらに、これは物資の需給その他の状況も見まして、十分これからも注意をしてまいりたいと思います。同時に、一般的に金融やこうした財政の政策の実行に伴って、下期におきましては、相当の安定性が取り戻せると思いますから、現在私は、公共事業費をさらに年度を越えて繰り延べるということは考えておりません。特に、財政主導型と申しますか、財政によって社会資本を充実したいということが基本的な考え方でございますし、これが国民の要請にこたえるゆえんでもあると思いますので、そういう点から考えましても、繰り延べというようなことは考えませんし、いわんや年度内に補正とか実行予算とか、そういうふうなことは考えておりません。
 それから、第二に、それならば予算を執行していく上においての心がまえはどういう心がまえかというような趣旨のお尋ねで第二点はあったと思いますけれども、私は、これもしばしば申し上げることでございますけれども、一般会計の歳出の面でも、物価に関連する予算は相当編成されておりますが、ことに、生鮮食料品の価格の安定、値上がりの防止というようなことは、やはりこれは大衆の生活の上にはもうほんとうに重大なことでございますので、その面に配慮をして、特に都会、あるいはその周辺の生鮮食料の安定供給、価格の安定、流通の改善、それから、末端の消費者と連結しているところの小売り業者の合理化、補助育成というような点にわたりまして、かなりの、私、財政当局としてはくふうをしたつもりでございますが、これは担当のところが、物によって農林省であるとか、またそれらについては都道府県の御協力を得なければならないものが相当たくさんございますから、そういう方面へ政府からも協力をいただいて、何とかしてそういう面で実効のあるようにいたしたい。いたずらに予算が大型だ、インフレだというような抽象的な御論議よりも、具体的にそういう面にひとつできるだけ努力を集中していって、本年度予算の特色を発揮するようにすることが、また充実には必要だと、こういうように私は考えますので、全体を通じて予算を、年度が始まって間もなくであるのに、補正をするとか、編成がえをするということは、私としては全然考えておりません。
#9
○竹田四郎君 いまの大蔵大臣の御説明というのは、今年度の予算だけを見ますと、なるほどもっともだという感じがするわけです。しかし、公共事業の上期の契約ベースを五九・六%ですか、それに落としたというふうにおっしゃっているのですが、しかし、その内容を見てみますと、必ずしも落としていないわけですね。四十七年度の公共事業費総額に対する四十八年度の公共事業費総額の伸びというのは、おそらく三〇%ぐらい伸びているだろうと私は思います。それを五九・六%にしましても、物価の値上がりを計算に入れても、やっぱり上期の契約ベースの規模というものは、おそらく昨年の上期の契約ベースの規模と大体匹敵するわけです。ですから、決して公共事業を落としているということには私はならない。さらに、その内容を当たってまいりますと、たとえば、列島改造関係のものというのは、これはまあ今日の民間需要を引き起こす一番大きな原因に私はなっていると思う。具体的に各項目別に公共事業の内容を洗っていってみますと、そんな減っていないわけですね。たとえば、電電公社の本年度の上期の契約ベースといったら七二%ぐらに考えているわけでしょう。あるいは国鉄にしても、鉄建公団の契約ベースにしても、約六〇%、若干欠けるかもしれませんけれども、そのくらいの契約ベースにしか考えていない。こういうものは金額的に見たら非常に大きいわけです。だから、数字の上においては、なるほど比率の上においては落としているわけでありますけれども、実際上はほとんど落としていない。私は、公共事業繰り延べの内容としてもそう見るのがあたりまえだ。ただ、全体的な数字を見て、去年の七二%の目標に対して五九・六%だから非常に落としたのだと、私はそういうことにはならないと思います。その辺はひとつ大臣も、もう少し具体的な公共事業の内容というものを精査をしてもらわなければならない、こういうふうに思うわけですね。いま国民が一番望んでいるところの公団の住宅関係、こうしたものはもうはるかに落ちている。こういうところで財政主導型の福祉優先の公共事業を進めていくということにはならない。この点はひとつもう少し大蔵大臣、内容をひとつ精査をしていただかなくちゃいけないのではないかということを申し上げておきたいと思います。そういう意味で、相当な財政政策からの景気刺激政策をやめていかなければ、私は、上期の状況というのは相変わらず、幾らかスローダウンするかもしれませんけれども、民間設備投資の方向というものは衰えていかない、こういうふうに思うわけであります。そうした意味で私どもは、当然、あなたがいま四十八年度の予算が発足したばかりだと、なるほど発足したばかりです。しかし、先のことを考えてみれば、四十八年度の予算、特にそうした列島改造関係の大型の工事費の部面というようなものについては、当然縮減をはかっていかなければ、私は、景気は過熱の方向しかいかないだろうと、こういうふうに思うわけでありますが、いまの大蔵大臣のお話ですと、予算の減額補正、そうしたものはやる気はない、こういうふうにおっしゃっていたんですが、それはいまの段階ですか。これはもう少し進んだ段階になれば、もう一回検討し直してみようというような形で、いまは考えていないというのでありますか。もう一切予算の補正、そうした意味での減額補正、そうしたものは一切年度内考えないというふうな立場でおられるのか、どうなのか、その辺を明快にしていただきたい。
#10
○国務大臣(愛知揆一君) 四十八年度予算は、来年三月までの予算でございます。その期間に補正とか減額ということは考えておりません。
 それから、ただいまの内容にわたっての御意見でございますが、これは竹田委員も非常に詳しく御検討いただいたと思いますけれども、たとえば、上半期の契約の見込みで、なるほど多いものもございます。これは比率で申しますと、金額でどうだという御質問がすぐその次返ってくるわけですけれども、まず比率で申し上げますならば、たとえば、上半期の契約べースで八一%の契約をいたしますのは、環境衛生施設整備であります。これは八一%。それから七〇%は、漁港の整備、それから、災害復旧の事業というようなところ、それから、そのほかにもずっと例をあげることができると思いますけれども、端的に申しまして、そういうところにくふうをいたしておるわけでございますし、逆に不要不急とは申しませんけれども、時間的にずれてもよろしいかと相対的に思われますものは、五十%を割っているものも御承知の資料で明確になっております。それから、積雪寒冷地関係などは、事業の気候の影響ということもございますから、これらに対しましては、当初から申し上げておりますように、なるべくこれは施行が順調にいくように、しかし、これらについても、物資の需給関係等を十分に見合わせて、先ほど申しましたように、きめこまかくこの契約のべースの中におきしても、実行上配慮を加えて、繰り延べ得るものについてはさらに繰り延べをするということで、現下の情勢に対応するようにいたしたいと考えておるわけでございます。
#11
○竹田四郎君 私は、その程度のことで、一体これからの物価の騰貴あるいは景気の過熱というようなものを防げるというふうには考えません。これは秋にでもなりまして、またひとつその成果についてお互いに議論をしていってみたいと思いますけれども、私は、どうしてもそうした意味では、四十八年度の減額補正というものを、早期にそういう方針を打ち出して、景気の過熱というものを引き締めていく、財政政策の面からも、私はやっていくべきだと思います。いままでの政府のあり方というのは、どうもそうした問題を金融政策にそのしわ寄せをやっている感じがいたします。金融政策だけでは、いまの景気の過熱というものは、これは防ぎ切れないと思う。そのことは、大企業の手元の流動性が豊富だということであります。これを吸い揚げるということを考えるには、たとえば、法人税の問題にいたしましても、来年を待つということではなしに、もう今年度の臨時国会あたりで、そうした緊急的な対策というものをとっていかなくちゃいかぬ、それでなければ、景気の過熱というものをとても防げるものではない、こういうふうに思うわけでありますけれども、まあその付近は何か意見が違うようでありますけれども、私は、むしろ法人税率の引き上げというようなことは、もう来年度を待つという、そういう余裕というものはおそらくないだろうと思います。まあ通常でいけば、次の通常国会でやるというのが普通のあり方であろうと思いますけれども、景気の異常な過熱の現在では、もっとそれは早くやるべきだ、臨時国会でやるべきだ、こういうふうに思うんですけれども、これは大蔵大臣として、法人税率の四〇%以上への引き上げということは、先ほども申されたわけでありますけれども、それは少なくとも来年の通常国会でやるのか、あるいは秋の臨時国会でやるのか、この辺はどういうふうにお考えですか。
#12
○国務大臣(愛知揆一君) これは、御意見が私の意見と違いますから、繰り返して恐縮ですが、四十八年度予算を減額修正するというようなことは考えておりませんということは、先ほど申し上げたとおりでございます。そのことは、組みかえとかなんとかいうことを前提にしておりませんから、四十八年度の歳入歳出にかかわる減税、増税というものを考えていないということを当然に意味するものでございます。
#13
○竹田四郎君 大蔵省では、最近経済安定法という法律についてかなり検討をしているように漏れ承るわけでありますけれども、そもそも経済安定法というものを出してきたということは、財政の機動的な運用ということにその主眼があるだろうと思います。そうしますと、その経済安定法というようなものを、この国会に出されるのですか。この国会に出されるということになりますと、財政の機動的運用ということを当然考えておる。いまの四十八年度の財政を、そのままにしておくということについての、一つのアンチテーゼとしても、私は問題があろうと思いますけれども、そうしますと、経済安定法というのは出さない、今国会も、臨時国会にも出さないという立場でお考え――だから、さっきのようなお話だと私は思うんですけれども、出すんですか、出さないんですか。
#14
○国務大臣(愛知揆一君) 出すとも出さないともまだきめておりません。同時に、経済安定法というものは、まだ国会に提出いたしておりませんし、政府として提案をきめているわけではございませんから、いま私どもが考えておりますことについて申し上げるのもいかがと思いますけれども、この考え方は、国際的にも国内的にも、これからもいろいろの流動性、複雑性というものがあることと思われますから、新しい政策手段というものをとり得るかまえ方をつくっておいたほうがいいのではなかろうかという趣旨でございまして、かりにこういう法律がこの国会に成立したと、そういう仮定の前提をとって申し上げましても、これをどういう時期に発動するか、またその幅はどうするかということにつきましては、この年度中に発動するということは必ずしも考えていない。ものによりましては、発動することが適当であると思うものも、あるいはあるかもしれませんけれども、そういうわけでございますから、この国会に情勢が許せば御審議をいただきたいと思いますけれども、その実施のタイミングというようなものについては、いずれ国会に提出ができるという状況になりましたならば、中身について十分御審議をいただきたいと思いますけれども、ただ、お断わりいたしておきますが、現在は提案しておりませんし、まだいつ提案をするかどうかということをきめ切っておるわけではございません。
#15
○野々山一三君 関連してちょっと大臣に伺いたいんですけれども、先ほど来の竹田委員の質問の中で、来年の税制の問題に触れられて、まああっというような減税ができるはずですと、こういうたてまえでお答えになった。
 そこで、先ほどの質問に対して、今年度の予算を減税によって減額修正するというようなことは考えていないというお話なんですが、それはそれといたしまして、この間新聞を通してちょっちょっと片りんを見たんですけれども、総理とあなたとの来年の税調に対する考え方を協議されたということが出ていますね。
 それからきのうですか、おとといですか、財界を集めて。パレスホテルであなたと事務次官が、来年度税制に対する考え方を示されたといわれます。そういうところでお示しになった――民間ですからね。そこで私伺いたいのは、その内容は一体何だろうか、その中身についてひとつここで言ってもらうわけにはいきませんかね。よそで言って、国会なんかで言うことはないなんていう、そういう理屈はどこにもないと思うんですね。きわめて単純な言い方でございます。で、私は新聞から見て、法人税を四〇%以上に上げるということがどうも書いてあった。それから、課税最低限を百五十万ということにする。それから、直間比率の問題それから、関税そのものを物価政策上はもっと自由に操作することができるようにすると。それから、租税特別措置についても触れられていたように、新聞を見てああそうかいなということなんでございますが、そこらの――細部にわたってなかなか言えないかもしれません、細部にわたって資料として求めても、なかなかむずかしいかもしれぬということを承知の上で、しかし、私はこの際、質問でもあり、資料として、求めたいという意味で――重ねて繰り返しますけれども、民間団体や外ではこういうふうにいたしますということをおしゃべりになっているようですけれども、国会ではおしゃべりになれぬでしょうか。おしゃべりになれたら、それをついでに資料として出していただきたい。このことをひとつ伺いたい。
#16
○国務大臣(愛知揆一君) 国会でお話をしておるよりも以上のことを言うているつもりは全然ございませんし、事実もそのとおりであると思います。同時に、経済安定法というようなものについて、大蔵省でどんなことを考えているのかということについては、ある程度お話しをしましたけれども、それに対していろいろの意見が出ておる、これは大蔵省としての立案の一つの参考になると、結果において私はそう考えております。
 具体的な問題として興味を覚えられたと私が観察いたしますのは、法人税率は四〇%をもうかけ引きなしに私はやりたいと思います。それから、所得税の減税については、課税最低限を引き上げるということ、それから、各種の勤労控除などについてもできるだけの考慮を払ってみたいと。しかし、結局、課税最低限度を百五十万以上にするということをめどにして、これから大蔵省としても考えていきたいし、経済界の方々にも御協力を願いたいと、このことが一番主眼であったように思います。で、これに対して、徹底的反対であるというようなふうには私は見ませんでした。同時に、歳出部面については、そういった一方において増税をやり、一方においては減税をやるのならば、ますます来年度は社会的感覚にもこたえ得るような歳出予算の編成をしてもらうことを強く要望すると。
 それから、いわゆる経済安定法案というものにつきましては、一つは、公債というものを、政策手段としてもう少し有効に使えるような方法を将来考えるとすれば、安定国債というようなものを出して、そしてこれを、情勢が許せば繰り上げ償還をする以外には、その歳入金というものはブロックするという考え方などはどうであろうかということ。それから、現在のところは預金準備率というものの活用で目的を十分達せられると思うけれども、他の政策手段をもとり得るようにということで考えるならば、貸し出し準備率というものも一つの考え方としてでき得ることであろうかもしれない。しかし、これらはいずれも立法事項でございますから、国会の状況等も十分これから、観察といいますか、十分見通しながら、できるような時期にこういう政策手段がとり得るように、国会で御承認をいただければ、われわれとしてはたいへんけっこうなことであると、こういうふうな応答をいたしました。
 それから関税の問題については、実は、租税法定主義というようなことが、非常に大きな基本的な問題でございますけれども、諸外国の例その他から見ると、これをある期間、そして国会との関係については十分いろいろ配慮をして、たとえば、生活物資、必需物資などについての一時的な関税の減免というようなことが臨機にできるように、将来の問題として、制度として考えていただければ、これまたけっこうなことではなかろうかと。ところが、これに対してはたいした御意見もなかったようでしたけれども、輸出税などというようなことは考えてもらっては困るぞと。これは、現在の状況はともかくとして、基本的に日本は資源も足りないし、これから経済の繁栄を求めていくためには、輸出は罪悪であると、法律でこれをしばるというようなことになると、長い将来を見て、かりに、これが臨時的な立法であり、考え方であるにしても、これは相当な悪影響を将来残すんじゃないだろうかと、この点は、また、かなり強い反響のように私は承知をいたしました。
 全体で、朝八時半から十時まで一時間半でございました。私は二十分ばかり、当委員会などで答弁を申しておりますところの、まあ、何十分の一ぐらいでございましょうか、(笑声)それも取りまとめて申し上げました。あとの四、五十分は、おえら方の御意見の拝聴。そして最後に、いろいろありがとうございました。御意見に対しては、私も、そうもあるかというような御意見を十分拝聴することができました。今後の施策についてはまた大いに勉強いたしましょう。安定法というものは誤解のないようにお願いいたしたいと思いますが、政府として国会提案をきめているわけではございません、そして各省庁とも、これから十分協議をしなければ政府の態度もきまらないものでございますから……。これは大蔵省の取りまとめた一つの考え方でございます。しかし、十分御検討はいただきたい、こう申しまして、経団連にもいろいろ委員会がございますから、それぞれ、税は税の委員会で、あるいは金融財政委員会では、金融財政政策というようなことについて、一つの示唆として受け取って、これに対して賛成、反対あるいはさらにこういうことを検討すればいいということで勉強してあげましょう、こういうことで幕になったわけでございます。
#17
○野々山一三君 率直に申し上げて、大臣、衆参両院の委員会、議会で税全体についていろいろな意見を聞いた、それを取り入れて来年にという方向で対処していきたいというお話でしたね。私どもも、私どもというか、私も、そういう意味では、やはり抜本的な改革ということばを使うと、はでかもしれませんが、そういう時期であろうと。その意味で、大臣が経団連でお話しになった骨子とも言うべきものでありましょう、それをいま述べていただいたんですけれども、私どもの立場からすれば、来年、先ほど申し上げたように、税制全体の体系に及んでまで抜本的な検討を加えるということの必要な時期であるだけに、率直に申し上げると、いま言われたものは記録に残っておりますから、それを柱にいたしますが、なお、事務的に整理されたものもあるでしょう。たとえば、これはこうしたいと考える、これはこう検討したいと思う、これはこう対処したいと思うというようなものもあるでしょうね。そういう区分に分けられるものもあるでしょう。それをひとつ事務当局をして議会へ、委員会へ資料として出していただけませんか。そして、それを私どもも十分検討して、来年及び税調が進行いたします段階でございますから、その際、どうあってほしいという積極的な具体的な提起もいたしたい、そんな気持ちでございますので、要旨でけっこうでございますけれども、資料として出していただけませんでしょうか。
#18
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、まあ練れない考え方ではございますけれども、まあ国会というと、最高のところでございますから、また出し方等について政治的に大きな問題になってもいかがかと思いますが、気持ちとしては喜んで、いわゆる資料というお扱いになるのかどうかわかりませんが、まあひとつ理事会等で御相談いただいて、私自身といたしましては喜んでひとつ、まあ議案というようなことではなくて、あるいは議案になる前提というような意味ではなくて、われわれの考え方を聞いていただくということは喜んでさせていただきたいと思います。また、いろいろと御意見をちょうだいすることは、私どもとしても喜んでさせていただきたいと考えております。
#19
○野々山一三君 大臣のおっしゃることはわかりました。したがって、委員長にもお願いしておきますけれども、しかるべく理事会で相談をして、どのような態様のものを、参考資料になりますか、資料になりますか、そこはむずかしい理屈は言いませんから、率直にこんなようなことを考えているということを出していただく機会をつくっていただきたいと、委員長にもお願いをして、次を進めていただきたいと思います。
 それじゃよろしくどうぞ。
#20
○理事(土屋義彦君) 大蔵大臣よろしゅうございますか。
#21
○国務大臣(愛知揆一君) はい。
#22
○理事(土屋義彦君) ただいまの要望につきましては、理事会において協議をいたします。
#23
○竹田四郎君 今後、経済安定法の骨子になるようなものになるのかどうなのか、それはわかりませんけれども、理事会でやっていただくということで、さらに私もこれは十分ひとつ検討してみたいと思うのですけれども、それはそれとして、少なくとも大蔵省、日本の財政運営をあずかっている大蔵省として、そういう意見が出てきたという点は、私は非常に重大だと思うのです。そのことは、今日の経済情勢と全然別個の問題として完全に抽象化された、空想の世界からこの問題は生まれてきたんではないと思う。現実の財政運営の中から生まれてきたものだと、こういうふうに思うわけです。そういう立場で考えますと、先ほどあなたが、本年度の財政運営あるいは予算の減額補正とか修正というようなものについてはやる気がないと、こう言っていることと、私は、たいへんその考え方が矛盾をしているというふうに思うわけでありますが、この点については私は、今後ひとつさらにお聞きをしたいと思いますけれども。
 今日の物価情勢から考えてみまして、やはり私は一番大きい問題は、公共料金の値上げを政府が認めていくのかいかないのか、政府自体が公共料金を上げる、まあ国鉄運賃の改正法なんというのは、まさに国自体がこうした時期において国鉄運賃を上げるという、いわゆる官許の物価値上げだというふうに思うわけであります。そのほかにもたくさんの物価値上げの問題というか、法案関係というのはあるわけであります。国鉄の財政事情いろいろありましょう。ありましょうけれども、国鉄運賃を上げるということになりますと、全部の物価の値上げにさらに油をかけるというような事態になると思います。おそらく卸売り物価の一二%の対前年同月比の値上がりというものは、今後ますます消費者物価への影響というものを与えていくと思うのです。そうした事情から見れば、国鉄運賃法等の公共料金の値上げというのは、やはりこの値上がりという全体的なムードの中で、やはり水をどこかでぶっかけていく、こうしたことが、どうしても私は必要だと思うのですよ。法案を国会に提出したという政府のメンツはあろうと思うのです。しかし、いまはそういうメンツに私はとらわれている時期じゃないと思う。こうしたいま考えておられるところの公共料金の値上げについて、現在の物価情勢から、大蔵大臣としてどういうふうにお考えになっているのか、お聞きをしておきたいと思います。
#24
○国務大臣(愛知揆一君) 公共料金はできれば引き上げをしたくないということは、だれしも思うことであると思いますけれども、現在御審議を願っている国鉄関係の問題については、もうこれは予算を提出いたしましたときから申し上げておりますように、国鉄については十年にわたって将来再建を講じなければ、ほんとうにこれはたいへんなことになるわけでございますから、国民全体の立場で、国からも相当の財政援助をする。また、国鉄自体でも、相当これはやりにくいことであると思いますが、思い切った再建合理化策をとると。そして、それに対して料金に、利用者の立場からある程度の負担をしていただくと、これも消費者物価等に対する影響度というものを、たとえば〇.四%以下でございますが、最小限度にとどめるように、数回にわたって一五%、しまいは一〇%ということで運賃の引き上げをお願いしているわけでございまして、これはお話のような観点から見れば、たいへん矛盾するようなことと、言われるかもしれませんが、やはりこれは国鉄というこの膨大な、また、国民的な大事業に対しまして、十年がかりで、しかも、これには四回の値上げというような、まあどう考えてみましても、ここにある程度のしわ寄せをしなければならないという観点から、十分に政府としては考え抜いたあげくに御提案をしているわけでございますから、これはメンツというようなことではなくって、政策としてぜひこれは御承認をいただきたいと考えておる次第でございます。
#25
○竹田四郎君 私は、確かにそれは国鉄の財政全体から見れば、考えなくちゃならない点はもちろんありますけれども、政府の見通しが、経済見通しというものが全然ことしは食い違ったわけです。おそらくこんなに食い違った年というのは、少なくとも私の短い経験ですけれどもまあほとんどない。そういう時期にあえて――経済見通しをつくった時期と、今日の時期とは、もう全然見通しが狂ちゃっておるわけです。根底から狂ちゃっているわけです。そういう事態の中で、緊急的に政府みずからこれを取り下げる。そして物価の安定を求めていくということを、勇気を持って私は決断をすべきだろうと思います。しかし、ここで私がそう言って、すぐ大蔵大臣の意見変わるとは思いませんから、これ以上私は申し上げませんけれども、そうした意味で私は、今回の物価騰貴の政府の責任というのは、金融関係の責任以上に、私は重大だと思うんです。そういうものの反省を特に求めたい、このように思うわけであります。その他まだたくさんお聞きしたいことはありますけれども、時間もありませんから、次に移りたいと思います。
 おとといの日銀総裁のお話の中で、中小企業関係に対する金融というのは、ある程度地方の日銀の支店長あるいは財務局長あるいは地方の通産局長、まあこうした方々を入れて、定期的に会合を持っている。その中で、日銀は、各支店長に中小企業問題についての配慮、これは特にするようにというような通達をその支店長会議で各支店長にそのように指示をした、こういうお話を承ったわけでありますけれども、大蔵省としては、中小企業に対する融資の問題についてどういうふうに、財務局長あるいはその下の財務部もあるでしょうし、あるいは金融関係、そうしたものに一体どういうふうな、中小企業金融に対しては、今日の情勢の中で、金融引き締めをやるという段階の中で、具体的にどういう指示を出しているわけですか。
#26
○国務大臣(愛知揆一君) 大体というか、何といいますか、全部といったほうがもっと正確かと思いますが、日銀がとっているそのやり方と全く同じ歩調で大蔵省としてはやっているわけでございます。ただ、財務局あるいは財務部が直接窓口規制をしているわけではございませんから、政府の方針として、日銀が窓口指導において、中小企業に対し、あるいは住宅ローンに対しこうこうすることにしているんだぞということをよく頭に置いて行政指導の実をあげるようにということを、まず財務局長会議で指示をいたしております。そして財務局長は、管下の財務部長にこれを指示をいたしておるわけでございます。それから同時に、日銀支店の所在地におきましては、支店長と財務部長、あるいはところによって違いますが、支店長と財務局長というようなところでがっちり現地としての協議を随時展開をいたしておりますから、こうしたわれわれの考え方というものが末端まで十分浸透しておることと信じております。
#27
○竹田四郎君 大蔵大臣、この間の、おとといの住宅ローン、この関係は銀行局長から、私とやった議論というのはお聞きになったろうと思います。現実には違うんですね。現実には住宅ローンだってなかなか貸してくれない。銀行が貸せるどころか、金利の高い住宅金融の専門の会社のほうにあっせんをするぐらいで、貸すことをがえんじていない。そういうような事態というのがうんと出てきているわけですよ。だから、住宅ローンの伸び率というのも、ここにきてやっぱり下がっております。ちっとも下のほうに徹底していない。ですから、せいぜい住宅ローンでも貸し出しているものはセカンドハウスなり、あるいはどっかへ大きな不要不急な住宅をつくるところには出ている。しかし、実際に住宅に困っている者のところには出ていない。私は、そういう点では、大きな銀行のやり方というのは、全く不遜な態度だと思う。私も、きのうある人に話を聞きました。けっこう日本で名前の通っている銀行が――地主から土地を買ってくれ、もうとても地主が維持できないから土地を買ってくれ、だからひとつ銀行のローンを利用しようとして行けば、おまえ一体おれの銀行にどれだけ預金しているんだ、五十万円預金しています、五十万円なんて預金じゃない、こういうことで、そうした資金というものを拒否しているわけですよ。私は、実際この話を聞いて、実に、金融が緩慢なときには借りてくれ、借りてくれ、お願い申していろいろな、用もないのに訪れて来て、金借りてくれ。今度要るときには、せっかくためた預金も、そんなものは預金として考えるのは間違いなんだ、こういうことで拒否している。中小企業金融でも、私は最近同じだと思うのです。上のほうに聞けば、中小企業に対する金融というのは、特別な配慮をするように、こういう指示が流れているというのに、最近下の企業を歩いて見ますと、もうどこも銀行は金を貸してくれない、こういう事態です。だから、一体大蔵省はどういう指導を銀行に対してしているのか。私は、この間ある極端な例にあいました。金を貸してくれと言ったら、ほかの銀行との取引の預金を全部うちの銀行にまとめてくれなければ、おまえのほうに金を貸せるか貸せないかの検討もしないと、こう言うのです。それが末端銀行の窓口の実態ですよ。私は、きわめてそういう点が銀行に対する指導、大蔵省の指導というものが徹底していないと思うのですけれども、大蔵大臣どう思いますか、現在の事態を。
#28
○国務大臣(愛知揆一君) 住宅ローンの具体的な問題になりますと、私自身もときおり耳にいたしまして関心を深くしておりますから、住宅ローンについては特別のものであるということは、機会あることに私自身といたしましても指示をいたしておるわけでございます。
 計表的に数字をあげて貸し出しの全体の比率の中で住宅ローンがどうなっているかというような点については、一昨日も御説明申し上げたと思いますし、それに御不満であるかと思いますけれども、これは指導の基本方針として、セカンドハウスとか、もうお話のとおり、住宅ローンという名において、実はそういうところに流れ出る傾向があることを阻止しなければならない。これ非常にむずかしいところでございますけれども、そういう点については、随時実績をとり、そして今後の指導のかてにしているわけであります。
 もう一つ問題は、金融引き締めの政策が展開されているときに、一番問題になるのは銀行のビヘービア、その点を御指摘になっている。これはこういうときこそ金融機関のビヘービアというものは、ほんとうに厳粛でなければならない。私はかねがねそう思っておりますから、そういう点については、この上ともあらゆる機会を通して、この国会でこうした具体的な御指摘を受けているこの現状を踏まえまして、さらに一そうの努力をいたします。
#29
○竹田四郎君 時間がありませんから。
 まあそうした点で、もちろん中小零細企業の中でも、いわゆるどうにも放漫経営でしょうがないというのも私はあると思うのですよ。あると思うのですけれども、とにかくいまこれから日本の技術的な発展というものも、いままでの技術を模倣するということから、技術をやっぱり発展させなければならぬ、日本が最先端を切って技術開発をしていかなければならぬという今日であります。しかも、そうした技術、世界的な技術というものは、大体いままで大きな企業からなかなか生まれるものではありません。大部分というものが中小のところから生まれてくるものであるだけに、私は中小企業金融というのも、ただ締めればいい、中小企業に金を貸すとコストが高くなる、回収はどういうふうになるかわからぬというようなことだけで締めていくということは、私は、きわめて金融政策の妥当性を欠いていると思う。いま大臣から御答弁ありましたから、この点はひとつ十分検討していただいて、銀行の末端までやっぱり徹底させてもらう、このことは必要であろうと思います。
 それから、今度のこの法案に関連いたしまして、貸し出しの対象を多くすると、あるいは員外信用組合等におけるところの金庫や信用組合におけるところの員外預金の預け入れというようなことをするように変わらせようということでありますけれども、こういうことをしますと、ますます中小企業に対する、ほんとうに必要なところの金が、まあ信用組合とか信用金庫というのは、そういう小さな企業が利用している一番使いやすい町の金融機関であります。こういうところから、むしろ大きな企業、まあ大企業とは言えないでしょう、企業の規模としては。大きな企業のほうにその金融が流れてしまう。小零細のところに金が流れていかない。こういう事態というものが出てくるんではないか。特に、中小金融機関の資金コストの面から考えてみましても、これは上がりぎみであります。上がりぎみであるということになれば、どうしても大口貸し付け、大口の企業との取引ということに移らざるを得ない、こういうふうに思うわけであります。そうした点については、今度はどういう歯どめをそれに対して考えておられるか、この点をひとつ明確にしておいていただきたい。
#30
○国務大臣(愛知揆一君) まず、ことしの一月の金融制度調査会からも答申を得ております。要旨は、この措置によって、いたずらに融資が大口化することのないように、中小企業に対し融資を均てんさせていくという見地から、今後とも同一人に対する融資限度について、金融限度による指導が行なわれることが肝要である。で、これらの融資対象者の実情その他を勘案して、信用協同組合二億円、信用金庫四億円、相互銀行七億円ないし八億円程度を金額限度として指導していくことが適当と考えておるところでございます。
#31
○竹田四郎君 時間が、言われている時間が大体もうきてしまっておりますので……。
 確かにそういう方針は出した。今度の法案でもそうなっている。ところが、この間の住宅ローンの議論の中でも、金のないやつにたくさん貸すということはできないんだと、これははっきり言われている。やっぱり銀行というのはもうけ主義だ。それは否定できない。こういうことになれば、貸し付け額が多くなれば多くなるほど、資金コストは安くなると思う。銀行の経営の立場からいけば、いま中小金融機関の資金コストは高くなっているわけです。それに対しての歯どめが、はっきりしたものがなければ、利益追求をやるという、これも金融機関のひとつの役割りでありますから、それを一体どのように歯どめをかけていくのか。それでなくても、それがなければますます中小のところへの金融というものはもっともっと困難になっていく。その点をひとつ明確にしてもらわなければ、結局中小企業の金融というものを配慮をすると言いながら、実際は、配慮しない形になってしまう。その辺をひとつもう少し明確にしてくれなければ、せっかくこの法案をつくったという意味が、私はなくなってしまうと、こう思うのです。その点をはっきりひとつ示してください。
#32
○政府委員(吉田太郎一君) いま御指摘のような考え方で、私どももこの法律改正、あるいは法律上の規定がふえたからといって、そこまで貸していいという指導ではございません。むしろその範囲内であっても、いま大臣からお答えいたしましたように、金額を限度とすることで指導をいたしておりまして、そうして、その比率あるいは全体の融資の構成というようなことをにらんでおるわけでございますが、そういう指導ということは今後とも続けていきたい、かように考えております。
#33
○竹田四郎君 どうもその指導、指導といっても、前歴があるわけですよ。先ほど述べたような前歴があるわけですよ。前歴がなければ、それは大蔵省の指導、そのとおり了承するというのですが、前歴があるのですよ。だから、ただそれだけでは、私はちょっとここで安心して引き下がるというわけにはまいらぬわけです。この問題について、具体的にひとつどういうことでそういうふうにさせないか。そういう歯どめの手段というものを、この次までにひとつ私は明確にしてきてもらいたいと思う。私の時間も大体過ぎましたので、この辺でまた次の機会に譲りたいと思いますが、その点を明確にしてきてください。
#34
○鈴木一弘君 最初に、これは大臣に、開発国援助の問題で伺いたいのですが、昨年の四月十四日の国連貿易開発会議、UNCTADの席上で、大蔵大臣が首席代表として御出席をなされました。そこで政府開発援助を、国民総生産の〇・七%にするという、その国際的目標があってきめられてきております。それに対して、その目標を達成するため、最善の努力をするという決意を御披露なさっております。ですが、それから後のいろいろ伝えられるところによると、その目標が一年間たってもまだまだ十分達成されてないように伺っているわけなんですが一その辺の実績をまず報告願いたいと思います。
#35
○国務大臣(愛知揆一君) UNCTADに限らず、最近の国際会議におきまして、日本政府としての意図表明はまさに御指摘のとおりでございます。これは沿革的に申しまして、まあ二段がまえと申しましょうか、年度を切っていつまでに何%やるという意図表明と、それから、目標を意図表明いたしまして、年次を限定せずに、原則的になるべくその方向に向かって努力をするというやり方と、両方ございますが、日本といたしましては、その当時も、関係閣僚会議等の議を経まして、後段の意図表明の方式をすることにいたしたわけでございます。したがって、ただいまのところ、その意図表明に対して、努力が足りないということは言われましょうけれども、約束を違反しているということにはならないと思います。しかし、ながら、政府としては、年度を限ってはいないけれども、意図表明をした以上は、少なくともその実績が数字の上にあらわれるようにいたしたいということで、ずいぶんいろいろ努力をしているわけでございますが、現に〇・二三%ぐらいであったかと思いますが、そこからなかなか前進できない。これは一方において、GNPが国際的に見ましても、非常に速力が早く日本の場合は増加をしているというところにも基本的なことがございますけれども、まだまだ努力をしていかなければなるまいと、かように考えております。
#36
○鈴木一弘君 OECDの調査団が五月に来ております。そのときにわが国の開発援助の実態を調査したということが伝えられております。いま大蔵大臣の答弁にあったように、政府開発援助の割合が、〇・二三%ということで、これが前年度よりもことしのほうが、一昨年よりも、七一年よりも、七二年のほうが落っこっている、〇・二一%というふうに悪くなっている。あるいは無償とか、長期低利の政府借款、贈与こういうものを含めた、いわゆる人員比率という贈与分については、四十六年の六五%から、四十七年が六一%というふうに下がってきているということが指摘されているわけでありますけれども、そういう点で、いま大臣もだいぶ苦しい御答弁のようだったですけれども、UNCTADでもあれだけの大きなことを言っている。そういう点から見ると、これは非常に大きなこれからの政策目標としての努力が通常以上に必要じゃないか。特にOECDでしたかね、八四%以上に人員比率を上げようということが、一九七三年の一月一日以降そうしょうということもきめられてきているようでありますけれども、そういう点で、いま年次の問題ではないというお話があったのですけれども、一体どの辺のところ、GNPが非常に増加をしてきておりますから、その中のパーセンテージを上げていくのはたいへんと思いますけれども、少なくも、〇・二一%くらいの政府開発援助を、〇・七にするのはどの辺のめどが一つあるのか、また、その中で贈与分についても八四%程度まで持っていこうというには、七三年一月一日という目標が定められておりますけれども、それをどういうように――はたして可能なのか可能でないのか、その点くどいようですけれども、もう一度お尋ねいたします。
#37
○国務大臣(愛知揆一君) 政府としてはできるだけ早い機会にその限度に持っていきたいと、そのことは、国際会議でも堂々と意図表明しておるわけでございますから、これを何とかやっていかなければならないわけでありますが、同時に、先進各国もこの点については必ずしも意図表明どうりにはなかなかいっていない。これは多少こちらにもエクスキューズになるかと思いますけれども、一面において、GNPに対する一%という民間援助というか、延べ払いまでも合わせれば、このターゲットというものは、これまたGNPの関係でやや減退ぎみではありますが、どうやらその限度は維持し得ているわけでございますから、今後くふうをこらしまして、前進をいたしたいと考えておりますが、たとえば、インドシナの問題等につきましても、和平ができた以上は、インドシナ全体に対してマルチの援助計画ということであるならば、日本は応分の拠出をしてもいいと考えているわけでございますが、これは多数国間の援助計画というものがまだ進んでいないというようなこともございますし、あるいは国連を通ずる援助計画、あるいはまたそのほかの方法、いろいろ考えられると思いますけれども、そういった考え方がございますものですから、たとえば、第二世銀に対する出資を相当日本としては思い切ってきめていこう、あるいは現に御審議を願っておりますアフリカ開発基金に対しても、日本はいち早く相当額の協力を表明をしたというようなこと、あるいはアジア開銀に対する出資の問題もございますけれども、これらについて、できる限りの協力を惜しまないでいるつもりでございます。
 同時に、この点御指摘いただくのはたいへんありがたいことでありますけれども、何といっても国内的にも、国民的な理解と支援がなければ、なかなか国内の福祉優先というような考え方、あるいは持てる資源は国民に還元すべきであるという考え方をわれわれはとっているものでありますから、それとの調整あるいは予算編成の場合の資金の配分、こういったようなことにからんで、ぜひひとつ国民的な御理解と御協力を与えていただきたい。政府としてもお願いをする立場にあるような次第であります。
#38
○鈴木一弘君 見通しの点がいまの大臣の御答弁にはなかったんですが、努力というようなかっこうだったんですが、これはぜひともDACのいわゆる人員比率八四%というようなことは、各国ともおくれているから、わが国もおくれていいというものじゃないだろうと思うんですね。わが国は急激な伸展をしているだけに、その点ほかの国よりも早く実施ができるようにしてほしいと思いますね、その点はこれはお願いにしておきます。
 次は、税収問題でちょっとお伺いしたいんですが、大蔵省からいただいた四十七年度、四十八年度、四十八年四月末租税及び印紙収入収入額の調べ、こういうものを見ますというと、補正後の予算額に対して、四月末累計の税収等は九兆七千七百億ということで計算をしてみると、約六千三百九十五億円というように自然増収があるわけでありますけれども、この見通しが、この五月末の出納が全部終わるわけでありますが、そのときに一体どのくらいにいまのところ見込まれておりますか、もう五月末終わったろうと思うんですけれども、大体のところおわかりになりませんか。
#39
○政府委員(高木文雄君) 五月の整理が全部終わりましても、非常に大きな数字で動くことはないと思っております。まあ数億くらいのところであろうかと思っております。
#40
○鈴木一弘君 ということは、約七千億円、われわれ野党のほうが、政府のほうがわずかにと言うときに、七千億から七千五百億は自然増収になるだろうと言っていたのが当たってきたわけでありますが、このような状況から見て、それからいま一ついただいた四十八年の四月末の組税及び印紙収入の収入額調べ、この両方見てみると、すでに取引税等は一割あるいは一〇%ですか、それから通行税、入場税、そのほか相続、法人、所得税等も前年度、四十七年度四月末に比べて進捗割合が伸びております。そういうのを見ると、このままでいくと、四十八年もかなり伸びていくというふうにお考えになっているのか、あるいは大蔵省の意見では、こういうようになったのは、四十七年が七千億近くになるというのは、一つには物価が非常に上がったということと、有価証券の取引、そういうようなことや、土地投機、こういうことが原因であったというような感覚があるようなんですけれども、こういう一時的なものという判断なのか、それとも四十八年においても同じように続いていくと、こう見ておられるのか。四月だけを見だのでは続くような感じを受けるわけですけれども、その点いかがお考えですか、見通しは。
#41
○政府委員(高木文雄君) 何ぶん四月だけでございますし、四月の税収の占めるウエートはそれほど高くございませんので、ちょっといまのところ年間の予測を立てることは非常にむずかしいわけでございますが、ただ、まあ四十八年度の税収を見込みました時点に比べまして、経済の基調が、現在の段階は少なくとも非常に強いということは言えると思います。かかって今後の経済の情勢によることでございますから、何ともいま予測がつきませんが、現在時点での成長率は、御存じのように、いわゆる瞬間風速は、経済見通しで見ましたものよりはやや高うございますし、それから、賃金の上昇率も考えておりましたものよりは高いという状況にあるわけでございます。
#42
○鈴木一弘君 そういう点からいくと、これは四十八年、いままでのところではあれですが、じゃ下期等についての見通しは、これは大蔵大臣がさっきおっしゃっていたように、民間設備投資等も伸びているということから、これは間違いなく下期のほうもいくというふうにお考えなんですか、それとも、経済企画庁から出している設備投資動向で見ますというと、四十八年下期は全部設備投資が落ちる見込みになっております。上期に比べて全部下がってきております。下がるという予測がいまできております。そういう点から見ると、その辺をどういう大蔵大臣は判断になっていらっしゃるか。
 それから、先ほどは、年度内減税についてはやらないと、増税、減税ともに行なわないという御答弁がございました。ところが、衆議院の予測委員会で、大臣の答弁では、逆に、前に予算委員会のときには、消費者物価が非常に上がる場合には、年度内減税も考えたいということがあります。いまの見込みでは、むしろ下がって、インフレだけは進むだろうというようなことから、非常に心配をされているわけですけれども、いまのような自然増収の非常に大きい点や、そういう経済の見通しの上から見ても、年度内減税ということばぜひともこれは、物価関連だけは考えなきいけないんじゃないかというように思うんですけれども、その点はいかがでしょう。
#43
○国務大臣(愛知揆一君) 経済見通しとの関連については、ただいま主税局長からもお話し申し上げましたが、現在、たとえば、先般の春闘あるいは一般的な賃金の水準等の動向から考えましても、消費の伸びも、設備投資とあわせて相当高いわけでございます。こういう現状からいたしますれば、私は、衆議院の大蔵委員会で申し上げたのでありますが、純粋に理論的に言えば、むしろ増税ということが考えられるくらいのところであって、しかし、これは日本の実情からいってはふさわしくない、かように存じますから、増税ということはとるべきではない。反面において、所得税減税につきましては、来年度の大きな問題として、それだけにまた意欲を持ってやってまいりたい、こう考えておるわけでございます。
 それから、一方増税のほうでは、法人について増税はどうかというお話もございますが、それはたとえば、過剰流動性の資金を吸収するために、法人の税ということのお考えがその理由づけの一つの大きなものかと思いますけれども、過剰流動性、法人の手元資金の余剰というものについては、やはりこれは、これだけ全面的に展開している金融政策の効果によって、これが吸い揚げられる、なくなるということを期待するのが常道であろうと、こういう考え方をとっているわけでございますし、また、歳出面等においても、当年度内に補正というようなことを考えておりませんものですから、法人の税の引き上げということも、年度中にやることは考えていないということを先ほど来申し上げているところでございます。
#44
○鈴木一弘君 それは大臣わかりますけれどもね、七千億近くの自然増収があったと、これは四十九年に持っていくものでありましょうけれども、そういう点を考えると、それからいま一つは、物価の高騰は、先ほども非常に、瞬間風速が――いま成長率の瞬間風速がありましたけれども、物価についたってこれはもう非常な、瞬間風速以上の高さがあるわけです。すでに御承知のように、五月中旬で御売り物価で一二・一とか、あるいは消費者物価指数が対前年度同月比で一一・六%というような値上がりをしているわけですね。こういう非常に物価が高騰があるということになれば、これはどうしても大臣が衆議院の予算委員会で言明したように、消費者物価が高いときには減税を考えるという、非常にすばらしいことばを吐いたわけですけれども、その点のところは、やはり最後まで、いまからはまだ考えないというんじゃなくて、考えの中に入れておかなきゃいけないんじゃないんですか、そういうような物価に対する対策としての所得税減税というもの、いかがですか。年度内減税。
#45
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、その点は、現状からいたしまして、現在の消費性向が非常に高いようなときに、さらに減税をするという点は、別の観点から見ても、つまり物価の高騰等に対する影響度等から見ましても、この際は、この状況下においては遺憾ながら断行すべきではないと考えておりますが、しかし、来年の四月からは、こういうふうな状況もだんだんおさまると思いますし、そういう状況の上に踏まえて、来年四月からは大幅な減税を実行しようと、こういうふうに考えている次第でございます。
#46
○鈴木一弘君 そこで、物価の問題でちょっとお伺いしておきたいんですが、先ほど申し上げたように、東京都の区部の五月度の消費者物価指数が、対前年度同月比で一一・六%と、これは過去最高の記録ですね。そういう伸びを示した。また、卸売り物価も一二・一%という物価高騰の現状は重々おわかりのことだと思うんでありますけれども、そういったことの対策の一環が、一つは公定歩合の引き上げ、再引き上げということであり、預金準備率の引き上げというような金融政策等にあったと思うんです。ですが、これは日銀総裁が言われているように、物価政策、物価抑制ということが金融政策だけで十分というわけじゃないわけなんです。それだけでできるならば、これは非常に楽なわけでありますけれども、そういうことでないわけです。その点で、いままでも物価対策閣僚会議、そういうところで物価安定対策の七項目が発表になったり、いろいろしているわけでわけでありますけれども、そういうようないろいろな対策、こういうことを一生懸命いままでも打ち出されている、田中総理も、先日の物価対策の閣僚協議会で、金融政策をきめこまかく活用して、引き締めを強化しろとか、過剰流動性の実態を早急に掌握していけとか、減税国債で余剰資金の吸収をはかれとか、公団賃貸住宅を払い下げろとかという指示が出ています。しかしまあ、そういうようなことがいろいろ行なわれたり、言われてても、一向に下がってきてない、一体どういうことでおさまっていかないのか、この点のところをどういうふうに判断しているのですか、そこのところを伺いたいんですが。
#47
○国務大臣(愛知揆一君) 一番私は基本的に考えますのは、ことしの三月から変動為替相場制に移行したと、これは本来は――そうしてその後の状況はごらんのとおりでございまして、一昨年から昨年の上半期まで起こったような、外国為替特別会計を通じて異常な資金のフローが国内に起こった、その額は六兆円余りと言われておりますが、こういうことはもうなくなりました。そしてむしろ、外為会計は引き揚げ超過になってきている。そして国庫と民間の収支関係で見ましても、八月までぐらいには、三兆円をオーバーするような資金不足の状況が想定されておるわけです。そこへもってきて、公定歩合の引き上げ等、預金準備率の第三次引き上げまでやったわけでございますから、これはもうほとんど現時点における金融政策としては、私はぎりぎりのところまでいっている。この効果は、日本経済全体の規模が非常に大きくなっておることと、それから、今日の特徴としては、民間設備投資がまだ依然としてきわめて強調であると、そうして消費もうんと伸びていると、こういうことでございますのと、加えて若干のタイムラグは従来よりかかるなと思いますけれども、この金融政策の効果というものは相当に出てくる。むしろ、率直に申せば、住宅ローンのお話も強く出ておるわけでありますけれども、下期以降がどういうふうな状況になるかということは、常にやはり政府としても先見性を持って配慮していかなければならないと思います。したがいまして、現在の状況からして、金融政策だけにあまり大きなロードをかけるということは、これもいかがかと思うような感じもいたします。
 それから、たとえば竹田さんが――おいでにならなくなりましたが、公共事業費の問題にしても、感覚的に繰り延べろ、繰り延べろというお話もあるけれども、実はこれは大企業だけでなくって、関連する下請等の数量、その扱う事業量というものは膨大なものでございますから、私は、先ほどるる御説明したように、全体の固定資本の形成の比率から、ウェートから申しましても、現下の財政の引き締めは、これまた相当のところまで行っている。しかし、やはり世論や国会の御議論にこたえまして、さらに一そうきめこまかくこれも引き締めをいたします。そうして、情勢を見つつ、やはり緩急よろしきを得るような、常に政策当局としては考えていかなければなるまい、こういうふうに思っているわけでございます。
 そこで、私の立場から申せば、ほかの省に期待するところも多いわけですが、総合的なやはり物価対策というものがもっともっと前進し、効果をあげていただきたい。
 たとえば、生鮮食料品について、先ほど端的に申し上げましたが、これは予算の使い方をうまくやっていただいて、少なくとも東京や大阪の生鮮食料品だけでも、目に見えた効果があがるようにしていただきたいと思います。
 それから、輸入関係で申しますと、不幸にして海外の物価高が、これまたものすごいもんでございますから、本来変動相場制移行に伴って起こるべき輸入価格の下落というものが相殺された点が相当ございますから、思ったほどの効果はありませんけれども、そして物価の指数などにはあらわれるまでにはいっておりませんけれども、たとえば、万年筆でありますとか、若干の機械類等については値下がりが見え始めてまいりました、具体的に。そういったような点も、今後とも輸入価格が、それでも若干下がっているのでありますから、これが消費者に還元するような努力をさらに続けていく。あるいはまた、地価対策もようやく緒についてきているわけでございまして、まだ指標には見当たりませんけれども、若干のよい傾向も出てきつつあるやに想像されるわけです。
 それから、もう一つは、今年初頭あるいは昨年十二月以来、証券市場が非常な暴騰といいますか、活況を呈しておりまして、これも心配の点でございましたけれども、これは御承知のように最近では証券市場のダウでごらんになりましても、ある程度正常の形になってきつつある。こういったような状況をいましばらく政府としても忍耐強く冷静に、現在までとってきましたいろいろの方策の効果のあがるところを十分見きわめてまいりたい。こういうふうに考えておる次第でございます。
#48
○鈴木一弘君 まあ、大臣の答弁を伺ってわかったことは、過剰流動性については解消をして、むしろ八月になれば三兆円ぐらいの資金不足になるであろう。それで、むしろ下期以降の景気がどうなるか。先ほど、私も経企庁の予測を申し上げたんですが、設備投資が下がるという見込みになっておりますので、上期よりも一〇%以上の下落を見ている。そういうことで、金融だけはもうこれ以上締めるわけにはいかないというふうに私は答弁伺ったんですが、といって、だからといって、その財政のほうもまあかまわずいっていいんだろうか。私はそのときに、いまの大臣の答弁で、金融について非常に効果的に対処するというような答弁がありました。それはもう当然のことだと思うんですけれども、財政のほうについては、当初予算のときに、すでにこういう、先ほどの答弁の中では、大型だからといってインフレになるというようなその言い方は困ると、それはおかしいということがございました。しかし、大きかったということが、インフレになっていく引き金を引いたということも間違いないと思う。そういう意味では、下期以降にさらに公共投資の繰り延べをやるということはいまのところ考えておりませんと言っていることは、やはりもうちょっとその辺は考えてよろしいんじゃないですか。私は、そういう点が物価騰貴の一つの大きな引き金になっただけに、政府として公共投資の繰り延べのことについてはもうちょっと考えてもいいんじゃないか。もちろん、中小企業関係のもありますよというお話がありました。しかし、それは一方の金融のほうの引き締めがゆるまれてくれば変わってくるわけですから、そういう点を考えたらば、すべての政策に優先すると田中総理が言って、公共投資を繰り延べをしたわけなんですから、その点から考えると、これは中途はんぱなことではいけないんじゃないかという感じがするのです。セメントについては、とうていこれから以降も間に合わないだろうと言われているのに、またそれがあれば、再び大きな引き金を引くことになるんじゃないか。物価上昇の引き金を引くんじゃないかと考えるんですが、その点でやはり予算の減額修正ということがどうしても必要になるんじゃないかという感じがするんですけれどもいかがですか。
#49
○国務大臣(愛知揆一君) まず、この財政と金融の関係ですけれども、金の面で見れば、財政が金融の、何といいますか、マネーフローに悪影響を及ぼしているということは私はないと、常識的にそう申して間違いないと思いますが、これは国庫と民間の資金収支の状況をごらんいただければ、それがわかっていただけると思いますし、したがって、予算の大型という中には、必ず公債のことが出てくるんですけれども、公債財源を二兆三千四百億円で御承認いただいていることが、こういう点でも私はありがたかったと思っております。つまり、別の意味の滞留する資金を吸収する。それも年度の当初において四、五、六と、上半期にほとんど大部分シンジケートに引き受けてもらうようにしたということは、私はやっぱりよかったことではないかと思います。
 同時に、それで得た資金を、これも常識的な言い方でございますが、公共事業の繰り延べをやるというようなことにいたしましたことが、ポリシーミックスと言えるのではないかと、こういうふうに思っております。
 しかし、同時に、福祉予算という点を考えれば、たとえば、一般会計の歳出で、福祉関係が二兆円こえたというような、これはいまだかってないことでございますが、そして、たとえば、厚生年金については物価のスライド制というところまで思い切ってやっておる。こういうような点や、あるいは物価対策について、やはり一般会計の予算で相当思い切った歳出をしている。こういったような面は、とても削減どころではないんでありますし、それから、福祉関係予算の中でも、やはり国民生活に密着している。あるいは公害対策というようなことを考えましても、公共事業の中身にも相当のくふうがこらされているわけで、生活環境あるいは下水道だとか、あるいは先ほども一例として申し上げましたが、たとえば、末端の漁港などにつきましても、広い意味の民生の安定ということから言って、やはりこれをやたらに繰り延べるということは、現在の国民の要請にこたえるゆえんではないんじゃないだろうか。したがって、環境関係、民生関係などは、公共事業でも繰り延べはできるだけ最小限度にとどめたようなわけでございます。
 しかし、くどいようですけれども、そういった国会での御議論や、あるいは世論と申しますか、社会的感覚にもこたえまして、財政の上におきましても、まあこれは五九%、一般公共事業から言えば五四%程度にしたということは、相当なものなんでございますが、ですから、この金を中心とした面から言えば、相当の程度に政府の施策も思い切ったやり方をやっていると、私はこういうふうに考えております。問題は、特に、公共事業等の場合においては、物資との関係なんです。たとえば、セメントあるいな木材あるいは鋼材その他等ございますが、その辺については、実は地方的な差異もあるようですから、その辺のところをきめこまかく、大蔵省の主計当局としても、関係各省や地方公共団体とも十分御相談をしながら、個所づけというか、予算づけと申しますか、そういうことに、この上ともきめこまかく配慮して、契約率は五十何%であるけれども、ささらにその範囲内において実行を切り詰めていこうということをやっているわけでございます。したがって、物資の対策がますます必要になってくる。そういうところは、十分大蔵省も注目してまいりまして、現在以上に偏重を来たさないように、十分やっていきたいと思います。
#50
○鈴木一弘君 時間もあと十分ぐらいですから、ちょっと、先ほどもありました住宅ローンの問題で私からも伺いたいんですが、特に、消費者金融全体ということで、総需要抑制、物価抑制ということから、消費者金融が引き締めの対象に入って、住宅ローン、それから自動車などの消費財関連ローン、こういうものも強く抑制すると、こういう話があるんですが、その点はいかがなんですか、ちょっとお伺いしたいんですが。
#51
○政府委員(吉田太郎一君) 計数もございますので、私からお答えさしていただきます。
 確かに、総需要抑制ということの主眼は、企業の設備投資を主眼に考えていくということではございますが、何といいましても、日本銀行の調節でございますから、総量を調節していくということの中では、全体の金融機関の貸し出しの増加額を押えていく、こういうことで窓口指導をやっておるわけでございます。ただ、いま御指摘の住宅ローン、あるいは消費者金融につきましては、そういう全体としての貸し出しを規制された個別銀行が、その中では、住宅ローンはできるだけ従来の水準は維持していきたい、こういう計画をつくっておるようでございまして、たとえまして、四月から六月の計画を都市銀行について聴取いたしてみますと、住宅ローンにつきましては、一月から三月の量、千六百億を上回る千六百八十二億ということを出していきたいと、こういう計画を持っておるようでございます。で、その結果、全体の貸し出しの増加額が規制されておる中で、従来の水準を維持していこうということでございますので、その中では、実に一七%というものは、増加額の一七%は住宅ローンに向けていこうと、かような計画になっております。これはほかの企業の設備投資に対する割合から言うと、非常に大きな割合を占めてくることになったわけでございます。
 そういうことで、総量としては、やはり全体の中でがまんしていただくが、その中で、特に、個人向けのローン、住宅ローンについては、こういう水準を維持していこうという努力が加えられておるようでございます。もっとも、もう御承知のように、住宅ローンの需要そのものが、非常にふえておりますので、全体の需要を全部満たすというわけにはいかない事情があるようでございます。したがいまして、別荘でございますとか、セカンドハウスというようなものについては、これを選別していきたいと、こういう融資の方針をとっておるようでございます。
 なお、住宅ローン以外の消費者ローンにつきましては、これはいろいろございます。一番大きいのが自動車の消費者ローンかと存じますが、これについては、大部分が、銀行が直接ローンをするというよりは、むしろ自動車販売会社のローンという形も出ておるわけでございまして、こういうものに対しては、一般の産業向け融資の中で、そういうものに対する融資として、窓口指導の対象になっておるということからいたしますと、やはり企業に対する融資ということと同じような形で、統制といいますか、規制されておると考えていいかと存じます。
#52
○鈴木一弘君 自動車消費者ローンのほうはたいしたことではない、かまわぬけれども。住宅ローンのほうでは、もうちょっと伺いたいのです。
 わが国の都市銀行の総貸し出し残高の中に占める住宅の貸し付け残高というのは、昨年の十二月で二・二%と、こう言われているわけですが、それに対してアメリカの商業銀行の場合は、一五%から二〇%というのが総貸し出し残高中に占める住宅貸し付け残高になっております。そういう点で、わが国の十倍以上が、パーセンテージの上から見ても貸し出しをしている。比較できないほど住宅事情がアメリカは日本よりいいわけでありますが、そういうところでも、これだけの大きな貸し出しをしていて、わが国はその十分の一にしか当たらない。パーセンテージだ。こういう点で、これは銀行融資というものを、貸し出し先ということ、どういう方向に向けていかなければならないかということについての、一つのガイドラインを考えていただかなければならないのじゃないかと思うのですけれども、そういう点、これは大臣いかがお考えでしょうか。
#53
○国務大臣(愛知揆一君) 計数的なことは銀行局長から答えていただいたほうがよろしいと思うのですけれども、私、いま的確に調べた資料ではございませんけれども、日本の場合では、たとえば、住宅金融公庫とか、普通商業銀行以外の施設もあるわけでございますし、それから最近では、住宅金融会社というものがなかなか活発に成績をあげております。そういった面をやはり多面的に拡充していく必要があると思いますが、同時に、御指摘のような点については、今後もくふうをこらしてみたいと思います。
#54
○政府委員(吉田太郎一君) 確かに、御指摘のように、住宅ローンの割合というのは、アメリカあるいは西ドイツと比べまして格段に低うございます。何と申しましても、日本の住宅ローンの歴史が浅く、ようやく四十年代から始まったということが基本的に違うことかと存じます。ヨーロッパあるいはアメリカでございますと、戦前からやはり持ち家という考え方のもとに、いろいろそれに即応した金融機関というものができておるということもあろうかと存じます。そういうことからいたしますと、ただ、四十年代に入りましてから始まりましたわが国の住宅金融の伸び率というのは、非常に高いわけでございまして、それから、金融機関が従来産業金融一本やりであったということに対するやはりこれからの経済の構造あるいは経済社会の変化ということに対応して、そういう経営のあり方を改めていこうという考え方も非常にこのごろは進んでおるわけでございまして、できるだけこういういわば預金者に密着する、預金をした方に利用していただくという形での資金需要にこたえていこうという形で、まず住宅金融というものに一番積極的になっていこうとしておるわけでございますので、年を追って残高に占める割合もふえてまいろうかと存じます。
 先ほど申しましたように、増加額の中で一七%の割合構成を持ってきたというような推移から考えますと、何ぶん数十兆という残高がございますので、その中での割合というものが高くなっていくには、やはり年月が要するかとも存じますが、しかし、必ず着実にこのウェートは高くなっていくものと考えております。同時に、私どもといたしましても、現在金融制度調査会で住宅金融についての疎通の仕組みということについて研究をしておりまして、たとえば、資金化の問題でございますとか、あるいは金利のルールといったところで審議を願っておりまして、秋にはそういう答申をいただき、制度化すべきものは制度化していくという形で、民間金融機関のみならず、全体の金融の中で住宅金融のウエートを高めていきたい、かように考えておるわけでございます。
#55
○鈴木一弘君 大都市に住んでいる借家生活者の人たちのうち、半数以上が自分の家を持ちたいというのですね。その中の大部分が住宅ローン依存でやりたい、こういう考えが非常に大きいわけです。そういうときに、このローンの需要がこれから一そう高まってくるということになっておるわけですが、それだけに、今回、先ほどの答弁に千六百億の、一月から三月までの実績に対して千六百八億ですかというようなことがありましたね。変わらないんではないか、伸び率の中に占めるパーセンテージが一七%あるじゃないかと、変わらぬですけれども、しかし、それではとうてい住宅ローンを要求している庶民の声には応じ切れないのじゃないか。大臣の答弁には、住宅の金融会社というのがあるという話がありましたけれども、これも各銀行が、お金を寄せ集めて安全をとってやっていらっしゃる。ほかのところが七%のときに、住宅金融会社では一割をこえるという利子がかかってくる、こういうこともよくわかっております。そういうことの抜け道みたいなものがあるのもけっこうですけれども、やはりそれより低い金利で貸せると、住宅ローンとして長期低利でやるというワクを広げていくというのがほんとうのこれからあるべき姿だと思うんですね。だから、いまのままですと、答弁だと、置いておけば何とかなるというような感じですけれども、そうではなくしていく必要があるんじゃないか、その点をもう一ぺん伺いたい。
#56
○政府委員(吉田太郎一君) 仰せのように、現在の貸し出しの計画、たとえば、都市銀行だけが千六百億というのは、確かに需要からいいまして少ないと考えております。まあ、現在金融制度調査会で御審議を願っておりますゆえんのものも、住宅金融というのは本質的にやはり非常に件数が多くなり、人手を要するということ、あるいは長期にわたる金融であるというようなところに、一つの特殊性がございまして、そういうことからいたしますと、貸し付けた資金が固定化しないようにというような考え方から、この貸し付け債権をいかにして流動化していくかということが研究の対象になっております。そうすることによって、銀行が、住宅金融に向けられる量をふやしやすくしていくということも、一つの今後の研究課題かと考えております。あるいは政府機関、住宅金融公庫もまた民間金融を補完するものとして、できるだけ庶民の基本的な需要にはこたえていくという点から、金利面でも優遇していくということから、今回の国会におきましても、非常に低い個人住宅向けの金利をお願いしたわけでございます。で、政府機関と、それからそういう民間機関あるいはその流動化資金のほかに、金利のあり方ということも今後の研究の課題かと思います。何ぶん金利でございますので、景気の変動に全然影響されないということではかえって疎通もはかられないわけでございます。その景気の変動に応じて金利がいかに変わるべきかという変わり方についても、何ぶん利用される方が、金融取引になれない方であるだけに、できるだけ消費者保護のたてまえから、そういう金利のルールというようなことも今後研究していきたいと考えております。
 何と申しましても、いま始まったばかりでございます。非常に研究すべきことは多かろうかと存じますが、いま御指摘のような考え方は、私ども全く同感でございますので、努力してみたいと、かように考えております。
#57
○鈴木一弘君 じゃ最後に、これは大蔵大臣、住宅金融の問題やなんかで、「主要金利の国際比較」を大蔵省から私いただいたわけです。日本が公定歩合が五・五でありますが、それに対して住宅関係貸し出し金利が九%です。これは「都銀の十年超」と書いてあります。アメリカが公定歩合が六%に対して、日本より高いのに、体宅関係の貸し出し金利は七・六八、イギリスは七・七五の公定歩合に対して貸し出し金利が八・五です。こういうのを見ますと、西ドイツも八・九三というふうに、一つ一つを見ますと、公定歩合が、概して日本の国よりも高いところでありながら、住宅関係の貸し出し金利が低くなっております。これは考えなければいけないんじゃないかと思うわけです。この点は、大臣どういうふうに今後御指導してくださいますか。私は、ぜひとも少なくもアメリカ並みくらいに下げさせることを考えなければいけないのではないかと、こう思うわけであります。その点についての答弁をいただきたいと思います。
#58
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど銀行局長からも御答弁をいたしましたように、これらの点については、金融制度調査会でも特別に検討してもらっているわけでございますし、さらに、今後におきましても、非常に住宅ローンというものは今日の日本でも重要な問題でございますから、金利が下がるように、できるだけのくふうと、関係機関の協力を求めるようにこの上ともいたしたいと思います。
#59
○政府委員(吉田太郎一君) 御指摘のような事情があろうかと思います。ただ、住宅ローンにつきましては、何と申しましても、長期金利との関係というほうが、どうも諸外国の実情を調べてみましても、関係が密接なようでございまして、長期貸し出し金利とのバランスということで考えていかざるを得ないかと、かように考えております。そういう点では、御指摘のように、ヨーロッパあるいはアメリカといったところの金利は、確かにわが国の金利よりも低いようでございますが、これはこれからさらに研究してまいりたいとは思いますが、手数料というようなものをヨーロッパあるいはアメリカでは取っておると、そのほかに。わが国の場合には、金利一本でやっておるというような事情もあろうかと考えておりますが、しかし、何と言っても、この金利を安くしていくということには全く同感でございますし、長期金利全体の関連の中で、どういうふうにやっていくかということを今後研究してみたいと考えております。
#60
○理事(土屋義彦君) 両案に対する本日の質疑はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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