くにさくロゴ
1972/06/07 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 外務委員会 第11号
姉妹サイト
 
1972/06/07 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 外務委員会 第11号

#1
第071回国会 外務委員会 第11号
昭和四十八年六月七日(木曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月六日
   辞任          補欠選任
    星野  力君      加藤  進君
 六月七日
   辞任          補欠選任
    長谷川 仁君      中西 一郎君
    今  春聴君      河本嘉久蔵君
    岩動 道行君      船田  譲君
    加藤  進君      星野  力君
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
   委員長          平島 敏夫君
   理 事
                木内 四郎君
                佐藤 一郎君
                田  英夫君
   委 員
                大竹平八郎君
                河本嘉久蔵君
                杉原 荒太君
                中西 一郎君
                船田  譲君
                八木 一郎君
                矢野  登君
                山本 利壽君
                加藤シヅエ君
                小谷  守君
                羽生 三七君
                森 元治郎君
                渋谷 邦彦君
                松下 正寿君
                加藤  進君
   国務大臣
       外 務 大 臣  大平 正芳君
   政府委員
       外務省中近東ア
       フリカ局長    田中 秀穂君
       外務省経済協力
       局長       御巫 清尚君
       外務省条約局外
       務参事官     松永 信雄君
       外務省国際連合
       局長       影井 梅夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        服部比左治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○千九百七十一年十二月二十日に国際連合総会決
 議第二千八百四十七号(XXVI)によつて採択さ
 れた国際連合憲章の改正の批准について承認を
 求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○アフリカ開発基金を設立する協定の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(平島敏夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 おはかりいたします。
 山本利壽君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(平島敏夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは理事に、木内四郎君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(平島敏夫君) 千九百七十一年十二月二十日に国際連合総会決議第二千八百四十七号(XXVI)によって採択された国際連合憲章の改正の批准について承認を求めるの件
 アフリカ開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)
 以上両件を便宜一括して議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○森元治郎君 きょうは、ただいま議題となりました国連の憲章改正の質問でありますが、重大問題がけさ、きのうの夕刊から出ておりますから、深い質疑はいたしません。ただ、ソビエト側の田中訪ソに対する回答、どんなものだったのだか、新聞でよくはっきりわからなかったので、大臣から伺いたいことと、あわせてこれからどういうふうになさるのか、おおよその腹づもりを、きょうの段階でけっこうですから、それだけ伺って次に進みます。
#7
○国務大臣(大平正芳君) かねてソ連に対しまして、八月下旬に田中総理がブレジネフ書記長の招待にこたえて訪ソいたしたいが御都合はどうでしょうかという照会をいたしておりましたところ、きのうの午前、在日ソ連大使が外務省を訪れまして、ソ連の都合によって、八月下旬はソ連側といたしましては都合が必ずしもよくないので、九月から十月にかけての間でひとつ考え直してくれないかというお話がありました。同時に、ソ連としては、田中訪ソということを非常に重大視いたしておる。それから、日ソ関係の発展ということに期待を寄せておるということをあわせて申し添えるという趣旨のお話がございました。したがって、当方といたしましては、外務省と官邸と目下日程について相談をいたしておるわけでございまして、ソ連側の都合のいい時間帯において田中訪ソができるような日程をいま検討中でございます。まあ遠からずソ連のほうに御返事をしなきゃならぬと考えております。
#8
○森元治郎君 いま大臣、九月から十月、九月一ぱいといううしろのほうの期限も向こうから言ってきておりますか、九から十の間と。
#9
○国務大臣(大平正芳君) 始期が九月で終期が十月にかかっておりましてね、そういう時間帯で。
#10
○森元治郎君 ああそうですか。十月というとちょっと幅が広いですね。それはまたいずれやることにして、それじゃ質問します。
 この国連憲章の、いま議題になっている経済社会理事会の七一年、昭和四十六年二十六回の国連総会で採択されたんですが、これ、日付は何日でしたっけね、期日は。
#11
○政府委員(影井梅夫君) ただいま資料に基づいて調べております。わかり次第御返事申し上げます。――一九七一年十二月二十日でございます。
#12
○森元治郎君 それから今日まで一年半かかったわけですね、この国会提出が約一年三カ月。よその国はだいぶ、たとえば新しく入った中華人民共和国なんかももう批准して寄託してという、もう六十カ国こしているようですね。ほかは非常に早いのは、これはそれぞれ条約にある国連憲章の改正条項に従って、それぞれの憲法上の手続を経て批准書を寄託するわけですね。手続はよその国は早いように思うんだがどうですか。
#13
○政府委員(影井梅夫君) 批准の手続がそれぞれ加盟国各国の憲法上の手続に従って行なわれたということはそのとおりであろうかと思います。それから早い時期に批准をした国はどういう国があるか、一番早いのは私どもの調べでは昨年の三月末にフィンランド、それから同じく昨年の四月十八日にシンガポールが批准しております。しかしながら、現在まで七十三カ国が批准しておりますが、そのうちの過半数はいずれも本年に入ってから批准しているようでございます。
#14
○森元治郎君 日本の場合はわりにおそいんですが、国会対策なのか、何か事務的手続上日本の場合おそいのか。この前の憲章改正のときでもおそいんですよね、国会にかけるのが。もう少し早くこんな事務的なものはかけられないんですか。
#15
○政府委員(影井梅夫君) 一つの理由は、加盟国の動向を確かめるということ、特に憲章改正の要件でございます安保理事会の常任理事国の動向を確かめるということ、その見通しを得たいということが一つの理由でございます。
 それからもう一つの理由は、これは事務的な理由でございますが、憲章改正の認証謄本というものがございますが、これの送付を受けましたのがかなりおくれた。その認証謄本に基づいて正確な議定書の条文を国会に提出しなければならない。その基礎になる認証謄本の送付がかなりおくれた。昨年のたしか三月ごろであったと思いますが、その二つの理由によりまして提出がややおくれたということでございます。
#16
○森元治郎君 認証謄本のことはあまりこまかくてわからないが、あなたがあげた第二点の常任理事国の動きを見るというお話ですね。常任理事国で、いまおっしゃった七十三カ国、きょうまで。その中に常任理事国は中共だけでしょう。いわゆる中華人民共和国だけですね。
#17
○政府委員(影井梅夫君) 先ほど常任理事国の動向と申し上げました理由は、この改正を審議されました段階におきまして、イギリス、フランスはこの改正に反対した。それからソ連はこれに棄権をしたという経緯がございましたので、これらの国の動向をかなり正確に確かめる必要がある、そういう意味におきまして、常任理事国の動向を見きわめていたと申しましたのはそういう理由でございます。現在までにこの常任理事国の批准状況でございますが、これは実は中国、フランス、ソ連――ソ連は六月一日に批准しておりますが、この三カ国が批准を了しております。私ども承知しておりますところでは、イギリスは今月中に、またアメリカ合衆国も一、二カ月のうちには批准するであろうという情報を得ております。
#18
○森元治郎君 こういうようなのは何も審議の経過見たって、けんかしているわけでも何でもない。当然効力発生するだけの批准書の寄託は予想されるんですから、他国の動向なんて見るほどの問題じゃないんじゃないですか、事務的なことで。経済社会理事会の人数をふやすというだけの話で、よその顔を見なくたっていいと思ったら、どんどんやったらいいじゃないですか。ほかの問題と違いますよ、これ。平和と安全に関する問題というのじゃなくて、単なるこれはだれもが賛成して、しかも大きいイギリス、フランス、アメリカ、ソビエトなどというのは大体はこのいまの憲章なんか手つけるのは好きじゃないことはわかりきっているんで、現状維持派なんですから。しかし、それでもこの大国連中はよその国がやるんならあえて反対することもないというので、あとのほうからおそからざる時期にみんな批准しているんですね。だからあなたが特に他国の顔を見るという必要はないと思うんですが、どうですか。
#19
○政府委員(影井梅夫君) 御趣旨のとおりであろうかと思いますけれども、国会に提出いたしまして御審議を求める以上は、この発効が間違いない。効力発生が間違いないということもかなり正確に確かめる必要があろう、そういう考慮から特に常任理事国の動向を見きわめていた次第でございます。
#20
○森元治郎君 石橋たたいて渡らないほどの慎重な外務当局が失態をしていることはあとで御質問申し上げますから、それほどあんたこれっぱかりのものにたいへんなことを言ってて、大体これは私は賛成ですよね。加盟国もふえ、みんなが、アジア・アフリカの国々が経済社会理事会の中へ入って、これはいま安保理事会が開店休業のおりから、国連としては経済社会理事会の活動、なかなか大きなことをやっている。ちょうど国連の前の国際連盟時代でも、この経済社会理事会がいま扱ってるような問題のほうがむしろ活発に動いていった経過から見て、若い国々が参加することは非常にけっこうなことだと思うんです。すみやかにこういうものは批准すべきで、人の顔を見る必要がない。いいと思って賛成したんですから、自分でオーケーしといて、よその人がやらなけりゃそれじゃ私もやらないという、そんなあやふやなものだったら、初めから賛成する必要がない。大臣、そうですね。どうですか大臣、心がまえの問題。
#21
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのことはよく理解できます。また、外交当局といたしまして、一応確かめなけりゃならぬことは確かめるという気持ちにつきましても、あわせて御理解を得たいと思うんでございますが、もっと展望をはっきりさせて、スマートに処理するということにつきましては、仰せのとおりだと思います。
#22
○森元治郎君 まあ原則としてもこれはけっこうだから、あまりこまかい質問は省きますがね。非常におもしろいことを発見したんですよ。きのう一生懸命、あなたから新しくもらった条約集、この新しいほうを忘れていたんですね。そうすると私は、質問しろというものだから一生懸命ちらちらしたら、おかしなことが書いてあるんですな、これ。こっちのほう、三十七年八月印刷、外務省条約局、これをひとつ持っててくださいね。
 そこで、質問しますが、理事会の改正は何回ありましたか。
#23
○政府委員(影井梅夫君) 経済社会理事会の議席は過去に一回、今回が二回目であると承知しております。
#24
○森元治郎君 過去の一回はいつになるんですか。
#25
○政府委員(影井梅夫君) 一九六三年でございます。
#26
○森元治郎君 そうですね。第十八回の総会、ここで憲章改正の初めですね。国連の憲章の改正としてはこれが最初ですね。
#27
○政府委員(影井梅夫君) そうでございます。
#28
○森元治郎君 そこできまったことは、安保理事会理事国の数、十一から十五にふえたわけですね。同じく理事会における決定に必要な賛成投票の数もふやさなければならぬわけですね、理事国が多くなったから。それは七から九と憲章改正でそのときしたわけですね。賛成投票の数を七から九。それと同じ時期に経済社会理事会の理事国の数を十八から二十七、そうして今度二十七から五十四になったわけですよね。そこで、これをいじくっている間におかしなことを見つけたのは、安保理事会の数がこういうふうに変われば、いわゆる第十八章の百九条ですね、国連憲章の改正条項になるわけですね、これから。そうすると、これが変われば、憲章の百九条――憲章再審議のための全体会議の開催を決定する際に、安保理事会において必要とされる賛成投票の数も、いままでは七であったがこれも九にしなければなんないわけですね。安保理事会の理事国をふやすと同時に、理事会の決定に必要な賛成投票の数も七から九にならなきゃならない。そうすれば、当然これを受けて七から九に変わった、この九に変わったという憲章改正も同時に行なわれなければならなかったのですね、このとき。ところが、国連事務局がたるんでいるのか、法律家の集まりみたいな国連、百何十カ国集まってだれも気がつかないというのは、国連のふしぎなことだと思う。この間の事情、どうなんですか。
#29
○政府委員(松永信雄君) いま御指摘がございましたとおり、一九六三年に安保理事会と経済社会理事会の構成国の数を改正いたしました際に、百九条の「七理事国」とございましたものを「九理事国」に、当然そのときに改正すべきであったと、そう存じます。これにつきましては、調査をいたしましたところ、国連事務局のいわば技術的なミスによってその改正を行なわなかったという事態があったように聞いております。したがいまして、それを補正いたしますために、一九六五年に憲章改正の手続がとられまして、百九条の改正によって、現在の憲章におきましては、第百九条の理事国の数は九というふうに改正されております。
#30
○森元治郎君 これは六三年の十八回総会でそういう間が抜けたことがあったので、六五年の二十回の総会でそれを改めて、百九条を改正したわけですよね。
#31
○政府委員(松永信雄君) そのとおりでございます。
#32
○森元治郎君 これは同時にやるべきだったのですね。
#33
○政府委員(松永信雄君) 本来、条理的にはそのとおりでございます。
#34
○森元治郎君 そうすると、六三年十八回で採択されたこの憲章改正は国会の承認を得たわけですね。
#35
○政府委員(松永信雄君) はい。四十年の国会に提出いたしまして御承認をいただいております。
#36
○森元治郎君 そうすると、これはどうなってますか、当然六三年十八回総会で、理事国の増加に伴って――百九条の全体会議の安保理事会の理事国の数、これを増加に見合って百九条を改正したと。二十回総会で採択された改正というものは今国会に提出されましたか。
#37
○政府委員(松永信雄君) 国連憲章の改正につきましては、憲章第百八条の規定によりまして、構成国の三分の二の多数で採択され、かつ、すべての常任理事国を含む加盟国の三分の二によって批准されたときに、すべての国連加盟国に対して効力を発生するという仕組みになっております。この一九六五年に行なわれました憲章改正につきましては、ただいま申し上げましたような事情、すなわちいわば技術的なミスによって改正が見送られたということと、その改正の内容が技術的なものであることによって、私ども日本側といたしましても、その起こる改正については何ら異議がないということを考慮いたしまして、積極的にこれを批准するという手続をとらなかった次第でございます。
#38
○森元治郎君 それはおかしいので、もうこまかい、国会などにかけないでもいいようなこまかいものでも何でも国会にかけるのに、憲章改正という重大問題の必要なる理事国の数が変わった、この採択されたものが、改正案が国会にはかられないというのもおかしい。もちろん国連憲章は必要な条件、加盟国の三分の二、そして安保常任理事国のすべて――総会構成国、国連加盟国の三分の二以上、それらの国々が憲法上の手続によって批准されたときには、すべての、すなわち日本を含めてすべての国際連合加盟国に対して効力を生ずる、黙っていても効力を生ずる。それけっこうだというならば、こんなものを出さなくたっていいじゃないですか。ほとんどの国が賛成し、常任理事国も全部入っている。黙っていたって、このただいま議題となった経済社会理事会の理事国の数をふやすということも、百三十二の加盟国のうち八十八以上越せば効力を発生する、発生したものは加盟国を自動的に拘束する、憲章上。そんなら何も時間をかけてこんなことを論議しなくたっていいじゃないですか、いま松永参事官の御説明ならば。どうなんでしょう。
#39
○政府委員(松永信雄君) 一九六三年に行なわれました安保理事会及び経済社会理事会の構成を変更いたします改正については、国会に提出いたしまして、御審議いただいたわけでございます。今回の改正も経済社会理事会の構成を十八から二十七にふやすという意味におきまして、非常に実質的な憲章改正でございますので、政府といたしましては、その改正につきまして、共同提案をいたしたということからも、これを積極的に批准すべしという方針を決定したわけでございます。一九六五年に行なわれました改正は、先ほど申し上げましたように、一九六三年あるいは今回の一九七一年に行なわれました、採択されました改正に比べてみますと、その内容がきわめて技術的なものであるということから、国会に提出して御審議を仰がなかったということであろうと考えております。
#40
○森元治郎君 どうも少しそれはあとから言いわけのようにとれるので、こういう憲章の改正というものは非常なむずかしい問題で、なかなか改正問題というのは取り扱われないけれども、これに必要な常任理事国の数なんというものは憲章改正の決定的な力を持っているもので、この経済社会理事会の理事国の数をふやすという問題と同等以上の大事なものだと思うのですね。ですから憲法にも、内閣の仕事としては条約を結ぶこと、そうして事前あるいは事後に国会の承認を経るんだというようなことが、これは「時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。」と、こう書いてある。これはもう条約の内容を十分――各国の構成する安保理事会の数ですからね、当然これは見過ごして、単なる技術的な問題ではないと思うんですね。「時宜によっては」というのは、これ英文で書いてあるのを見ると、条件に従ってというような英語になっていますが、私はいまからでもおそくない、この一九六五年第二十回総会で採択された憲章第百九条の改正に関するものは国会に提出するのが妥当だと思う。これごそいままで眠っていてあまり使われなかった事後に国会の承認を必要とするというものにぴたり該当するものだと思うのですがね。大臣どうでしょう。これは技術的な問題じゃないのですよ。国連が大体たるんでいるのに従って、日本政府もぼやっとして、まことにこれ、国連創立二十周年か、前代未聞の間抜けなことだと思うのですね。六三年、十八回でこの安保理事国の数をふやした場合には、同時に関連する百九条の必要なる安保理事国の数を七から九にする改正案が同時にこれは出るべきだったんだよ。それを国連の事務当局もぼやっとしている、参加国もぼやっとしている、日本もまたぼやっとしている。しかるに、影井国連局長は慎重過ぎるみたいな答弁をしているのはおかしいと思う。これはいまからでも国会に出すべきだと思うんです、いまからでも。大臣どうでしょう。
#41
○政府委員(松永信雄君) 先ほど申し上げましたように、当時六三年の際に行なわれるべき改正であったというその文書上のミスという観念をもちまして、私どもとしては特にそれについて積極的な受諾行為をとるまでもないという判断を当時の外務当局としていたしたということであろうと思います。
#42
○森元治郎君 国連は外務省の機関ではないんでね。これは世界の機関であり、日本の機関である。われわれ知らないから、三十七年の八月のをもって、一生懸命読んでいたら、こっち見たらいつの間にか何の断わりもなく、新しいほうの四十七年版には九カ国になっているんだよね。これは説明なしにこんなもの――議員さんみなうちに帰って見てごらんなさい。これあけている人はないと思うんだ。こういう大きな間違いを起こすよ、これは。これは実質問題として、大臣、これはぜひ省内で再検討して、おそくたってかまわないですよ。やはり大きな問題は国会の承認をとらなければならないと思う。小さい問題じゃないと思う。
#43
○政府委員(影井梅夫君) ただいま森先生御指摘のとおりの方法もあるかと思います。
#44
○森元治郎君 あるかじゃないよ。
#45
○政府委員(影井梅夫君) ただ、一九六三年の改正によりまして、安保理の理事国の数をふやす、それに応じて従来七カ国の賛成を九カ国にふやす。憲章の二十三条の規定の改正、これにつきまして国会の御承認を求めた上で批准をした。これは当然条理上安保理の決定に当たっては従来の七カ国の賛成を九カ国にふやすということを条理上含んでいる。それを先ほど松永参事官からも御説明申し上げましたとおりに、これは全くの技術的なミスという理由で……。
#46
○森元治郎君 技術的だから小さいということにはならないんだよ。技術的な大ミスなんだよ。本質をゆるがす技術的なミスなんだ。
#47
○政府委員(影井梅夫君) ただ条理上従来七カ国の賛成とあったところをすべて九カ国と直すべきであった。それはもうそのとおりでございます。ただ、それを全くの見落としという理由でこの百九条についての改正を行なわなかった。条理上と申しますか、解釈上の問題といたしましては、当然そのときに直されてしかるべきものであった……。
#48
○森元治郎君 そう。それを直したんだよ。あとで直したから……。
#49
○政府委員(影井梅夫君) そういう理由でございますので、一九六五年のこの百九条に関する改正については、日本は批准はしなかったということでございます。なお、この一九六五年の改正が、すなわち第百九条の改正でございますが、その効力発生にあたりましては、これは官報に公示をいたしまして、百九条の七カ国とあるのを九カ国と読みかえる趣旨は官報で公示したと記憶しております。
#50
○森元治郎君 官報でできるんなら何でも官報に出しゃいいでしょうよ。条約だってあんた批准を了してから、それから官報に載せるんですよ。官報に出て済むんなら、何も集まって、時間つぶしに集まってやることないですよ、こんなところで。それはもうとても聞けないね、技術的な問題。憲章百九条の改正ですよ。前のやつは憲章第二十三条の改正。これ理事国の数がふえたやつは二十三条。それは賛成投票に必要な七から九というのは二十七条の改正。この憲章の一条一条の改正は、やっぱりこれは国会の承認を、批准に値する、国会に承認を求める内容であると思うんです。これは当然これに付随すべき、当然あのときやるべき問題だったんだが、技術的ミスでやらなかった。それで官報に出しておいたからいいという問題ではない。これは外務省がミスを認めることがつらいので言いわけしておりますが、これは法律家に、あるいは国会の従来の運営から見てもさようなことは許されないんで、何も悪いことじゃないんですから、おそく出したって一向差しつかえない。核拡散防止条約だって調印はしたけれども、まだ批准はしてない。おそくやったって悪くはないんですよ、一向。ですから、これは国連のほうじゃ、にやにやするかも、だいぶおくれましてねというようなこと言うかもしらぬが、一向差しつかえないですよ。おまえのほうのミスでおくれたんだから国会でしかられちゃったといって、あとから出しゃいいんですよ。大臣どうですかね、憲章改正というのは大きいんですよ、改正条項百九条、全体会議というのは。それを国会の承認なしに知らんぷりしておいて、それで条約文にはいつの間にかこっちのやつは九カ国でこっちには七カ国。官報見ろったって、われわれ官報のどこに書いてあるんだか、毎日さがすのも容易じゃないですよ、これね。官報に出ましたから外務委員の皆さまどうぞお読みくださいという御通知もない。これはあらためて私はここでこれ以上追及しませんが、外務省内で御検討してお出しになることが妥当だと思うんです、大臣。もう事務当局はいいよ。
#51
○国務大臣(大平正芳君) せっかく御指摘がございました件につきましては、検討さしていただきます。
#52
○森元治郎君 これはメンツの問題じゃなくて、やっぱり国会に条約に値するものは出して、国会の承認を得るという憲法に明示した慣行を実行することが大事だと思うんです。
 それでは次に移りますが、愛知さんが七〇年の国連総会ですから昭和四十五年の総会あたりから、日本が憲章改正につながるところの常任理事国に立候補するような意図を持って七〇年、七二年、昭和四十五年、昭和四十七年、そういう演説をしている、憲章改正につながる日本が安全保障理事国に立候補するという。去年の二十七回総会では中川さんがかわってやっていますが、これは引き続き自民党政府の伝統的な外交方針と理解していいんですか。
#53
○政府委員(影井梅夫君) ただいま森先生御指摘の愛知元外務大臣の演説、それから昨年の国連総会におきましては、中川首席代表の演説におきまして、理由を述べまして、日本は非常に明確な形ではございませんが、現在の安全保障理事会の常任理事国の構成というものを見直すべきであるということを言っておりますが、その立場は変わっておりません。
#54
○森元治郎君 説明がきわめて簡単ですが、愛知さんの言おうとしたのはもっとあるんじゃないですか。たとえば常任理事国の拡大ですか、そういう拡大もあるし、小さいことでは例の敵国条項ね、あれも削除すべきであるということ。それから大きい観点から見れば、国連というのは一国一票の普遍性をもっとこの際、戦後二十七、八年もたった今日、大きい力を持った五大国がのさばっているような国連ではなくて、もっと各国に力を持たせる、そういうような意味のこと、拒否権の廃止とか制限ということは具体的に名はあげていなかったと思うが、そういうものを含めた愛知さんの、あるいは日本政府の方針だったと思うんですが、違いますか。
#55
○政府委員(影井梅夫君) わが国の考え方は、国連ができましてからすでに四分の一世紀以上を経過いたしまして、その間に加盟国の数もほぼ三倍近い数にふえておる。しかも新たな加盟国、これの大部分は発展途上国であるということで、一九四五年に国連ができましたころに比べまして、客観情勢と申しますか、世界の情勢が非常に変わってきている。また、国連の従来の運営を通じまして、種々手直しを要する点があるのではないか、特に、国連の本来の使命である平和維持機能、これにつきまして見直す必要があるのではないかと。また、その関連におきまして、特に重要な点は安全保障理事会の構成の問題、特に常任理事国の問題、これはもう御高承のとおりに、現在の常任理事国はいずれも軍事大国、核兵器国である。しかも、すべての核兵器国が常任理事国の地位を占めている。これは全体といたしまして、国際的に経済社会発展の重要性というものが増している今日の世界において、こういう姿はあるべき姿ではないように思われると、こういう観点に立ちまして、種々の提案を行なっているわけでございます。一番の重点は平和維持機能、国連の本来の使命である平和維持機能、これの強化をはかりたいということにあるわけでございます。
#56
○森元治郎君 私が伺っているのは、この愛知さんの演説の趣旨、具体的内容はまあ別として、この趣旨は今後とも大平外務大臣は踏襲して、この秋の国連総会でも依然として主張されるのか、さっぱり反響がないからこの辺で願い下げしちまうのか、どうなんですか。
#57
○政府委員(影井梅夫君) 大臣の御答弁に先立ちまして、現在国連においてこの問題がどういう状況になっているかということを簡単に説明申し上げたいと思います。
 この国連憲章改正問題は、昨年の国連総会におきまして議題とされまして、具体的には、第六委員会と申す法律問題を扱う委員会で審議をされたわけでございます。そのときに、この国連憲章の改正の必要性というものは、非常に多数の国によって認められたわけでございますけれども、これを現在直ちに国連で取り上げるか、あるいはもう少し準備的な検討と申しますか、これを経て行なうべきであるという二つの案が出まして、結局あとのほうの考え方が多数を制しました結果、この問題は当分、内部的に検討を加えて、来年の国連総会であらためて取り上げることにしようという状態になっております。したがいまして、国連憲章の改正問題が国連の内部において眠ってしまったということではございませんで、来年の国連総会を目ざしまして、関係国の間で検討を進められているという段階でございます。
#58
○森元治郎君 常任理事国になりたいというのを、唐突として愛知さんが国連でおやりになったが、これは、経済大国になったこのわが日本を無視してほかの国だけではだめですよという、何かそんな点から乗り出したのかなという唐突な感じを受けたんですね。大平さんは、ヤソが使う祝福されたということはをよく好きでお使いになりますね。日本が祝福されてその常任理事国になるようにすることが先で、自分だけなりたいと言ったって、百三十二カ国もあんた東西南北から集まってきているのですから、それでたいていは金をしぼられているのですから、みんな。日本からもうけさしてもらっているのじゃなくて、吸われている。これがためには、やはり日本の国連に対する貢献の度合い、なるほど日本はやったという貢献、それから中南米あるいはアジア・アフリカの諸国、新興国、こういうものを日本の味方につけるやはり工作があって、発言が拍手の応援で活発になるんですね。そうでないと、ソビエトのように、国連憲章の改正なんて断固としていかぬと、このままでいいんだと、あるいはよその常任理事国の中には、問題は国連の目的、原則に従って国連憲章を着実に履行すること、これこそ大事だといったふうな反撃を受けてしまう。発言のおもしを受けるためには、総裁選挙でも同じで、やはり票を集めなければだめですからね。十五、六票ずっと多くしてくれば勝てるので、その工作なしに、きれいごとだけ言って、常任理事国におれをしろと言っても、この旧体制をぶちこわすことはたいへんなことなんですよ。だから私は、これから日本がおのれをむなしゅうして、国連のため、世界平和のため、後進国その他にも十分な援助、協力、こういう体制をつくって初めて、日本も入れなければだめじゃないかという声が出るようにしてからで私はいいと思うのです。ただ憲章改正と言ったって、これは第二次大戦の結果できたものです。運用のいい悪いは別として、第二次大戦の結果できたものであるとするならば、これをひっくり返すには、革命的なアイデアも必要だろうと思うので、あまり常任理事国云々だけが先走らないように、日本の国連協力、世界平和における日本の大きな足跡を残すことが先だと思うのですが、大臣どうでしょう。
#59
○国務大臣(大平正芳君) 従来、本件に対する日本政府のとりましたこと、それから国連の内部における経緯等につきましては、いま事務当局から御説明申し上げたとおりでございます。それからまた、いま森先生から貴重な御意見の開陳がございまして、一々ごもっともと存じます。申すまでもなく、仰せのとおり、本件は、国際世論の熟成と申しますか、また、国連加盟国の十分の理解がなければできないことでございます。また、日本がこれを押し売りがましくやってまいることも決して賢明ではないと思っておるわけでございます。われわれとしては、せっかく掲げられたものを、長期的な道標と心得て、これからしんぼう強く国連強化の観点から、わが国自身の対国連あるいは対世界に対する貢献ということに思いをいたしつつ、長期的な目標にいかにして近づくかということをじみちにやってまいりたいと思います。ただ私、くれぐれも大国主義的な立場に立って押し売りをするというようなことは慎むべきであると思います。
#60
○森元治郎君 大国主義的な押し売りをすべきでないというのは、まことに同感で、ただ五大国のその国連支配の体制に仲間入りするということも一つかもしらぬが、やっぱり一国一票、平等主義、普遍性といいますか、そういういまの五大国常任理事国そのものをくずしてしまうということもまた一法である。同時にやはり国連に対しては、これから東西両独の加盟もありますし、南北朝鮮のオブザーバー問題、あるいは朝鮮問題の審議をさせるのかさせないのかといったような問題、あるいはまたベトナムを一体どうするのか、北ベトナムは国連の介入ということを断固として反対し続けておりますが、これはやはり国連との東南アジアのあの地域における状況とすれば、入っていただくほうがいいんじゃないかなどなど、たくさん問題がある。そういう問題に、やはり日本が大勢を、世界の流れを見つつ大きな政治力で協力してやるということが、日本の地位がおのずから高まってきて、常任理事国にひとつ日本も入れてやってくれという声が出てくるかもしらぬし、あるいはその他の日本の主張を応援してくれるようになるのだと思うので、これは大臣、国連というものは最近開店休業のようですが、中東問題で安保理事会が要請されて開かれる程度で、どうもほかは開店休業あるいは平和と安全の問題が登場しないことはけっこうなことだといえばそれまででありまするが、少しく国連が影が薄いような状況にあるときに、日本は武力を持たないというこのりっぱな立場で、世界正義と国際の平和と安全に動くにはほんとうにかっこうな立場ですから、そういう意味で奮闘してもらいたい。
 最後に、国連大学をちょっと聞きたいんですが、最初国連大学という問題が出て、二、三年、愛知外相当時は、宮城県あたりでも、国連大学をぜひ手前どもにといって全国大騒ぎしたが、だんだん実態がわかってくると、すうっと影が薄くなって、わずかに日本に来るのは国連大学の企画調整をするセンターのような本部である。それに一つ二つの事業、研究所みたいなものの割り当てがあるかもしらぬ。せっかく外務省、文部省その他関係各省が集まって、何とかお金の面で、一説には五億ドル程度くらいの金を出して本部を日本に持ってきたいという運動があるようであります。大蔵省あたりは例によって、金が出る話は何でもこれきらいですから、どんないい話でも何でも金が出るのはきらい。文部省、外務省はこれは出したいというわけで、問題もあるように伺っておりますが、やはり先ほど言った愛知さんが国連の中央舞台に乗り出そうというような気持ち、あるいはこれから国連の加盟国に対して協力し、援助していこうというかまえがあるならば、金銭問題についても十分太い腹をもって対処して、国連本部の誘致をされたほうがいいんじゃないか。それでなければ、ただ国連本部をここに持ってくればいいというのなら私はなくてもいいと思う。近く国連大学本部誘致といいますか、案が閣議の決定を必要とするような事態まで進んできたようなんですが、その間の事情を伺います。
#61
○国務大臣(大平正芳君) 結論から申しますと、まだ閣議決定の段階までは至っていないわけでございます。で、国連大学問題につきまして国連当局と日本政府との間で話し合いが行なわれておる段階でございます。国連側は一定の基金を全世界から集めまして、その基金の生む果実をもってこの大学管轄下の研究施設をサポートする。そしていま御指摘の本部機構というものをどこかの国に置くという仕組みを考えて、日本側にその基金のうち一億ドル程度拠金を期待する旨のお話がありまして、近くそれに対して日本側で返事をしなければならぬ段階でございます。で、文部当局、財政当局、外交当局が集まりまして協議いたしました結果、国連側の要請については真剣に検討いたしましょうという返事をとりあえずいたそうというところまででございまして、このヘッドクォーターがどこに置かれるのかという問題、それから研究施設が当面十数カ所予定されておるようでございますけれども、それがどのようにかたまってまいり、どのように配置されてまいるのか、そのあたりのところはまだ判然といたさないのでありまして、財政当局も含めまして、国連側の要請にこたえて、できるだけ真剣に検討する姿勢にあるというのが今日の状況でございます。
#62
○森元治郎君 あと一問、これは事務当局でけっこうですから。
 どうも国連本部、国連大学誘致誘致ということは新聞記事に大きく、何をやるんだという、何を、たくさん項目ありますよね、新聞によってもいろいろ違いますが、日本で研究する題目の一つとしては東西文化、比較文化といいますか、そういうものを研究しようとか、平和共存とか環境問題をやるとか、ところによっては医療関係をやるんだとか、いろいろ自分のところに研究所が来たらこれをやるんだと、やるんだということがいわれているんだが、日本の場合には誘致することだけ。あと、金のお話、何をやろうとするのか、計画があったらば、決定したらばそれ、決定しなければどんなことをやろうとしているのか、それだけ伺います。
#63
○政府委員(影井梅夫君) 国連大学の本部でないほうの、研究ユニットと呼んでいるほうでございますが、これを日本に誘致する場合に、日本としてどういうことをやれば一番適当であるかということは、現在外務省、文部省その他の関係官庁等集まりまして、また、学者の諸先生の御意見を伺いながら現在、まだ詰めている段階でございます。なるべく早くこの具体的な理念というものをかためたいと思っておりますけれども、現在の指標と申しますか、指導理念といたしまして、国連のほうでは国連大学においては全人類、なかんずく国連及び専門機関の関心事項である人類の生存、開発及び福祉という抽象的な理念でございますが、これを指導理念といたしまして、日本にどういうものを設けるべきかということを、目下鋭意検討中でございます。
#64
○渋谷邦彦君 初めにアフリカ基金のことを伺い、次に国連憲章に関連する問題を若干お尋ねをしたいと思います。
 いままでも、しばしば指摘されてまいりましたように、開発途上国におけるわが国の経済援助というものは、必ずしも受け入れ国にとってみれば信頼に足る、満足すべき状態ではなかったという、そういう評価があったわけであります。とりわけ、アフリカに対しては、その面のあり方というものが非常に顕著ではなかったか、こう思われます。たとえば一九七一年の資料に基づいて申し上げましても、これは二国間条約ということによって援助されたわけでありますが、地域を三つに分けて、アジア地域、ラテンアメリカ、アフリカ、こうなっております中で、アフリカに対する援助というものはきわめて少ない。パーセンテージにいたしましても全体の八・六%、特に政府開発援助につきましては、アジアに対しては九九・三%、圧倒的にアジアが中心である、こういう結論が出ているわけであります。もちろんこれは二国間援助でありますので、今回のアフリカ開発基金とはまた趣を異にするであろうとは思いますけれども、今後先進国家の一員として日本が果たす役割りとしては、当然こうした開発途上国における援助というものは前向きで積極的に取り組まなければならない。いままでもしばしば議論されてきた経緯があるわけでありますが、今回上程されておりますアフリカ基金の問題をめぐりまして、特に確認をしておきたいわけでございますけれども、政府がアフリカに対して今後どのような展望に立って経済協力あるいは経済援助というものを推し進めていくのか、そのビジョンを伺っておきたいと思います。
#65
○政府委員(御巫清尚君) 渋谷先生、御指摘のように、従来日本の対外経済協力、特に政府開発援助といいますものはアジアに集中し過ぎておるということがございまして、これにつきましては、わが国がメンバーになっておりますDAC等におきましても、もう少しこの傾向を改めるべきだという批判もございますので、政府といたしましては、その他の先進国、国際機関等とも協力する意味で、援助の地域的配分にもう少し気をつけるというような努力をすでに開始しております。アフリカ諸国につきましても、借款の供与等につきまして話し合いを進めてきておるわけでございます。しかしながら、アフリカ諸国には、御承知のように、非常に、いわゆる後発開発途上国といわれておるような国がたくさんございますので、経済協力をやります場合にも、そういう点に十分気をつけてやっていかなければなりませんので、慎重を要するということでございます。で、今回のようなアフリカ開発基金というような形ができまして、これを通じて比較的緩和された条件の援助がよけいに出ていくということは、こういう点でも非常に有効なものであるというふうに考えまして、このアフリカ開発基金の設立に大いに積極的に協力をしてまいるというわけでございまして、今後もこの基金を通じ、あるいはまた二国間の努力として、技術協力、それから資金協力の面において積極的にわが国の役割りを果たして、この経済援助の地域的配分ということについても改善をはかってまいりたいと、こういうふうに考える次第でございます。
#66
○渋谷邦彦君 いま言われたことは、アフリカ基金を軸にした将来に対するアフリカ援助と、こういうことだろうと思うんでありますが、ビジョンとなりますと、これは五年、十年、あるいはその先を見通した展望というものを持たなければなりませんでしょうし、これは当然政治的な配慮というものがそれにからんでこなければならない。おそらく政府が開発援助をするにいたしましても、それなりの裏づけというもの、それなりのまた将来に対する構想というものを描きながらアフリカに対する支援を惜しまないと、こうなるんではないかと思うんです。それにはいろいろな今日まで分析されたもろもろの要素、それを踏まえつつ、今後アフリカと日本というものはどうあるべきなのか、また、どう進めていかなければならないのか、経済協力もさることながら、あるいは文化交流、いろいろなもろもろの点があるだろう、そういう総合的な面を踏まえてビジョンということになりますと、当然これは大平さんから伺っておかなければならない、こう思うわけでございます。
#67
○国務大臣(大平正芳君) 御案内のように、わが国は乏しい資源の上に高密度の経済を維持しておる国でございまして、今日までわが国が必要としておりました資源というものは、幸いに商業的手段において調達が可能であったわけでございますが、いま渋谷さんのおっしゃる十年、二十年先の展望を待つまでもなく、この数年間の展望を考えましても、わが国の資源を安定的に確保するということは容易ならぬ仕事になってくるわけでございまして、ひとりアフリカばかりでなく、大きく言えば、グローパリーに資源の安定供給源を分散的に確保してまいるということは当然考えていかなければならぬことだと思います。
 しかしながら、第二といたしまして、これはあくまでも、わが国の都合によって資源保有国を利用する、あるいはエクスプロイトするという立場に立ってはいけないわけでございまして、それぞれの後発開発圏におきましても、みずからの自立計画があるわけでございまして、それを軸にいたしました血みどろの努力が重ねられておるわけでございますので、それを踏まえて、それに協力する意味でわれわれの要求を乗せてまいるというようにやってまいらなければならぬと思うのであります。
 第三に、しからばその場合、世界の国々地域で依然としてやはりわが国に近接した地域、あるいは太平洋周辺というというところが主になることは自然の勢いであろうと思うのであります。アフリカにおきましては、日本と同じような立場にありまするヨーロッパ各国とアフリカとの関係は非常に濃密でございまするし、先日も田さんの御質問にも答えましたように、わが国があそこで主役を演ずるというようなことはとんでもない話だと思うわけでございますけれども、それかといって、アフリカをよけて通るというわけにはいかないと思うのでありまして、アフリカに今日、いまお話がありましたように、より以上の関心を持たなければなりませんし、要すればヨーロッパその他各国と協力した体制も考えなければならぬ、アフリカ基金というようなものもその一つの形のものでございまして、これだけというわけのものではなくて、われわれはほかに可能な方法を編み出していく必要が必ず起こってくるでありましょうし、現にそういうアプローチもあるわけでございますので、そういう意味で、アフリカに対する関心と接触を怠ってはならぬと考えております。
 第四に、なるほどアジア並びに太平洋圏というものは日本にとって圧倒的に重要でございますけれども、そしてそれを減らすどころが、これはますますふやしてまいらなければなりませんけれども、あなたの御指摘になりましたアフリカあるいはラテンアメリカというようなところにつきましても関心も持ち、実のある提携をなし得るだけの必要と、また、それをなし得るだけの力を日本は持ってきたように思うのでありまして、これからは今日までのような姿でなくて、もっと実のある協力関係を打ち立てていくことは不可能ではないと考えておるわけでございまして、そういう方向にじみちな努力を積み重ねてまいりたいと思います。
#68
○渋谷邦彦君 そうしますと、今後ともに日本を中心として考えた場合の開発途上国に対する重点的な援助のあり方というものは、いまおっしゃられたように、太平洋周辺あるいはアジアを中心とする太平洋、これがもう重点である、言うなれば、あとは、ラテンアメリカにしてもアフリカにしても、ヨーロッパ等の関係等もこれあり、おつき合いの程度で進めながら、多少でも資料が枯渇している日本にとってプラスになるような・そういう方向で、今後ともケース・バイ・ケースで進んでいこう、こういうように理解してよろしゅうございますか。
#69
○国務大臣(大平正芳君) 誤解があっては困るのでございますが、第二次的、第三次的に考えるという意味では決してないわけでございまして、なるほど地域全体といたしましては、従来の関係もあり、地理的な条件もあり、輸送その他の条件もございまして、太平洋周辺アジア地域というものが、資源確保をやる場合におきましても、貿易をやる場合におきましても、したがってまた、投資をやる場合におきましても、これが力点になることは当然でございますけれども、ものによりまして、同じ品物を、まず無理をしてでも太平洋アジア地域から確保せなければならぬという筋合いのものでもございませんので、あなたがおっしゃるケース・バイ・ケースで、われわれといたしましては、双方に有利なものを発掘いたしまして、それを経済協力案件にのせてまいるという努力は惜しんではいけないと思います。
#70
○渋谷邦彦君 率直に言いまして、政府としても、将来のアフリカの、先ほどおっしゃった展望等を踏まえつつ、何か期待するものがおありになるか、全く期待できないものなのか、資源という面に集約をしていけば、多少でもそのパイプをつないでおかなければならないとする程度のものなのか、ちょっとことばを変えた言い方をしたかもしれませんけれども。何かをやはり望んでいらっしゃる、何かを期待している、その辺はいかがでしょうか。
#71
○国務大臣(大平正芳君) まあつき合っておこうじゃないかというような、そういう悠長なことはどの地域においてもやっちゃいけないことでございます。貿易の面で申しますと、できるだけ自由に、できるだけ無差別な貿易網を地球上に拡大充実してまいるということがわれわれの基本の方針でございまして、これは地域の差別はないわけでございます。経済協力といたしましても同様でございます。ただ日本の置かれた立場から申しまして、数量的に日本の周辺が圧倒的に優位に立つということはごく自然な趨勢であるということに過ぎないのでありまして、その他の地区は一応おつき合い程度にやっていこうというようなぞんざいな気持は毛頭持っておりません。
#72
○渋谷邦彦君 アフリカ諸国、とりわけブラックアフリカを中心とした地域に限定されると思いますけれども、御承知のとおり、たいへん日本に対する期待が大きいというふうに言われておるそうでございます。先般アフリカ基金調印の際にも、日本が調印した際には非常にわき立った雰囲気があったということも伝えられております。何がしかやはり、おそらく、手前みそで言うわけではありませんけれども、ヨーロッパ以上に日本に対する期待感というものが非常に強いのではないかということを考えた場合、先ほど申し上げましたように、アジア、ラテンアメリカ、アフリカというような援助のシェアがアンバランスであるというこの面を見た場合に、もっと均衡のとれた、おつき合いではないということであるならば、もっと均衡のとれた、もっと実効のある、そういう援助というものができないものであろうかというささやかな疑問が出てくるのでございますけれども、いかがでございましょう。
#73
○政府委員(御巫清尚君) 御指摘のとおり、これまでのアフリカに対しまする援助の実績はなかなか数字がふえてまいっておりませんですが、過去一、二年の間にかなりの国と借款を与える交渉とか、技術援助の拡大とかということに努力を続けてまいっております。現在でもいろいろな国とやっておりますが、なかなか日本というもののやり方に相手がなれないというようなこともあるいはあるのかと思いますが、交渉になかなか時間がかかっておりまして、実効が目に見えてふえてくるというわけにはなかなかまいらないという問題で、実はいろいろ苦慮しておる次第でございますが、だんだんにやっております間に、お互いになれてきて、援助の実績も次第にあがってくるものというふうに期待しておる次第でございます。
    ―――――――――――――
#74
○委員長(平島敏夫君) この際委員の異動について御報告いたします。本日長谷川仁君、今春聴君及び岩動道行君が委員を辞任され、その補欠として中西一郎君、河本嘉久蔵君及び船田譲君が選任されました。
    ―――――――――――――
#75
○渋谷邦彦君 確かにいま言われたように、種族の違い、宗教の違い、いろいろ複雑な障壁となる問題はこれからも目されるだろうと思うんです。それだけにやりにくい、その背景があることは事実でございますが、申すまでもなく最近のアフリカにおける、アフリカと総称しても、先ほど申し上げたように主としてブラックアフリカということに限定されるかと思いますけれども、国民一人あたりの所得なんていうものを世界のレベルに比較してみますと話にならないんですね。よくこれで生活ができているんだなと、これではもう動物的な生活をしているのではないかという、極端な判断も生まれてくるわけですね。そういう意味から、おそらく国連がしきりに南北問題、とりわけ南に対する開発援助、生活環境のレベルアップということをしきりに取り上げて、先進国に対する協力方の要請があるという、今日までのいろいろないきさつがあるわけでございますね。そういったことをいま早急にそういう水準を引き上げるということは、なかなか困難かと思いますけれども、やはり根ざすところは産業が全然これというものがない。したがって、そこに雇用関係も生まれない。ただ、いままでの古い歴史と伝統につちかわれたそういう生活の繰り返しということであるならば、いつまでたってもこの解決は望めないであろう、しかも何百年という長い間侵略を受け、植民地的な支配を受けてきたという歴史もあるわけでありますから、これから立ち上がるということはなかなか困難である。それだけにいまアフリカに対するこのスポットライトが当てられているわけでありますから、日本としても先進国の一員として、その責任において、何とか早い機会に、せめてアフリカの人たちの暮らしの向上に寄与できないものであろうか、その一環として今回のアフリカ基金というものが設定されたということになるでありましょう。けれども、総額からみると、はたしてこれだけの金額で直ちにいま申し上げたようなことが望めるだろうかということになりますと、たいへんこれはむずかしい問題がある。やはりそれと並行して大平さんが衆議院の外務委員会でも申されておりますように、多国間、あるいは二国間、そのときに応じて協定を結びながら開発途上国の援助を惜しまないと、こういう趣旨の御答弁をなさったことはまさにしかりだと思います。そこで、今後特にそういう地域における先ほどもお話があった資源開発の問題、あるいは農林水産業の開発の問題、いろいろあるだろうと思うのです。原始的なやり方をいまだに踏襲しているという地域が相当まだあると想像されます。せめてこうしたものに、多少いままでも日本としてもやってきたでありましょうけれども、もう少し多角的に、総合的にやれないものであろうか、いわゆる技術援助等を通じまして、あるいは施設の供与というものを通じまして、多少でも、一歩でも二歩でも早い時期に、アフリカ地域の人たちが生活が、要するに暮らしが豊かになるという、そういう方向に向けていけないものであろうかという感じが非常に強いわけでございますけれども、そういうことを包括して、総合的に政府としてこれからどんな考え方を持っていらっしゃるか。
#76
○政府委員(御巫清尚君) 渋谷先生の御指摘は、まさにアフリカの諸国の中で言われております後発開発途上国というグループの国がそれに当たるかと思います。全世界で国連とか、DACとかで言っております後発開発途上国の数が二十五カ国ということで登録されておりますが、そのうち十六カ国がアフリカにございます。という、これだけから見ても御指摘のような事態の重要性がわかるわけでございまして、それにつきましてDAC、いわゆる開発援助委員会におきましても、こういった国は援助をしようにもどういうところから助けてやったらいいのかさえもわからない国が多いというので、まず技術協力とかどういうものを発展させたならばその国の生活向上、安定ができるかというところから取りかからなければいけないというようなことが論議されております。したがいまして、日本といたしましても、この努力を続けるにあたっては、やはりそういった面から取りかかっていかなければいけないのではなかろうか。特にまた、日本のように援助の条件が比較的かたい国から見ますと、そういったかたい条件の援助を直ちにこういった国に与えることはとてもかえって悪い結果を生むおそれもございますので、こういう点も注意しながら、技術協力とか小さな規模の無償による協力とか、そういったものからまず始めていって、だんだんに拡大していくというような忍耐強い努力が必要だと見ておりますけれども、現在こういった後発開発途上国に対しましては、こういった考え方で臨んでおるというが実情でございます。アフリカ開発基金ができましても、そこに集まる、現在予想されております資金の量では、あるいはまだまだ足りないのかもしれませんが、御承知のように、第二世銀とかそういうところでも次々と資金の必要に応じて資金を集めてやっておりますので、アフリカ開発基金もだんだんの需要に応じて、また、各国の拠出を求めて拡大していくというような方向をとるものと期待しております。あるいは現在の予想されている集まる金額だけではもちろん不十分かと思いますが、将来長い目でだんだんに努力を重ねていくというところに注目してまいりたいというふうに考えております。
#77
○渋谷邦彦君 いずれにしても相手国の自主的な今後のそうしたいろいろな問題に対する解決というものを、やはり積極的に取り組むということが大前提になるだろうと思いますし、これが第三者的な国がとやかく言うべき筋合いのものではないにしても、まあいま言われたように技術協力する場合にしてもどこから手をつけていいかわからない。それは暗にあれだろうと思うのですね。それだけ受け入れるだけの現在能力がない。その能力がないというのはどういうところに基因するのか。それはまず基本的には教育制度が全然体制的には成り立っていないという面もございましょう、ほとんどが。そういうところにそれなりの新しい知識を吸収する、新しい技術を吸収するというだけの能力を持っていないとするならば、なかなか言うべくして行なわれない。やはり私が多角的と申し上げたのはそういう面からも日本が指導するということになると、ちょっとことばが過ぎるかと思いますけれども、そういう面でのアドバイスができないものだろうかというふうな面も考えられましょう。したがいまして、おそらく今日まで外務省当局としても万般の調査というものが進んでいるんだろうと思うんですけれども、こうした問題が起こるたびごとに指摘されるのではなくして、先ほど冒頭に申し上げたように、今後の展望に立ってのビジョンという問題についてもそれは相当緻密な調査というものを前提にしませんと結論は出ないと私は思うんですね。アフリカに対する、総称的にアフリカと申しましても語弊があると思いますけれども、どういう一体観点に立った調査を現在進め、そしてその調査というものが非常に有効的な今後手を打てるだけの資料として集約されているものなのかどうなのか、その辺の現在の調査関係のあり方というものはどんなふうに進められていらっしゃるのですか。
#78
○政府委員(御巫清尚君) 調査も大体において従来のやり方は、受け取り国側の政府からこういう問題を調査してほしいというような要請を受けて、それに応じて進めておりますので、あるいは渋谷先生が描いておられる総合的ないろんな調査というようなものには適合しないかもしれませんが、たとえばキリマンジャロ周辺の開発計画について調査してほしいとか、海岸の道路の開発について調査してほしいとか、そういうような要請に応じて次々と調査団を出して調査したものもございまして、だんだんにそういうものの積み重ねによって各地の状況も次第にわかってきておりますが、もちろんアフリカといいましても、国の数も多いですし、地域も広いもんですから、なかなか全般的な姿というものがはたしてどういう点にポイントを置いて経済協力をやったらいいかというようなところまで、完全に推定されるまでまとまった調査というのはございませんが、そういう個々の要請に基づくいろんな調査はこれまでにはかなりできておりまして、そういうのが今後だんだんに積み重なって、今後の経済協力に役立っていくかと存じます。
#79
○渋谷邦彦君 調査の方法はいろいろあろうかと思います。たとえば出先の大使館、公使館、総領事館等が中心となってやる場合、あるいは商社がやる場合、もろもろあるだろうと思うのです。先日も問題にいたしましたように、むしろこれからの発展途上国に、途上というそういう名称があるとおり、そういう立場に置かれている国々を調査するということはたいへんな困難とそれから時間がかかるだろうと思うのです。そういう点に眼を開いて考えた場合に、むしろそういうところにこそ在外公館の調査網というものの強化拡充というものをはかるべきではないか。全部とは申しません、アフリカ地域に、それは言うべくしてできないことなんでありますから。しかし、どっか拠点になるべきところがあるはずなんですね。むしろそれが極端な言い方をすればアメリカとか、あるいはヨーロッパにおける大使館あたりと同数ぐらいとはいかないまでも、それに近いぐらいのやはり館員の配置をして、そして最も正確な調査というものが吸い上がってくるというような体制に置くことがぼくは非常に大事じゃないかと思いますが、これはむしろ大臣に聞いたほうがよろしいと思いますね。
#80
○国務大臣(大平正芳君) 開発途上国、とりわけ、後発開発途上国の場合、先ほどもお話がございましたように、自治能力、計画能力自体が乏しいわけでございまするし、先日も森先生からも御指摘がありましたように、まず、モラルが確立していないわけでございますので、現にそこにある政府当局が一応の事態を掌握しておって、そこに相当のデータがあるという状態でございますならば、われわれの出先関係で十分これは吸収し得るわけでございますけれども、その土台がまずないわけでございます。したがって、一番大事なことは、いまお金を出すとか、いろんなプロジェクトを心配する前に、まずそういう人的能力の開発というか、計画能力、行政能力、そういうものをまず身につけるということのための技術援助、それが一番私は大事じゃないかと思うんです。その面については、非常に残念ながら、わが国はこれまで自立経済達成のために血みどろでやってまいりましたので、政府援助の姿でそういうことについては、御説明申し上げましたように、非常に貧困な状態、手薄な状態になっておることは非常に残念で、まず、そういうことで、政府援助による技術援助と申しますか、技術援助の中には、教育とか、いろんな訓練とか、いろんなまあマンパワー自体の開発を目ざしたものを考えていくべきだと思うのでございます。この点は、欧米各国に比べて非常に私は劣っておると思うのであります。しかし、またせっかくそういう人を連れてまいりましても、わが国で十分それが定着しない、あるいは非常な満足感を持ってお帰りいただくというわけにまいりませんで、いろいろ日本の社会との間の摩擦が出て、必ずしも日本にスイートな記憶を持って帰るというような状態にもなっていない。まことに事態は悲観的なんでございます。
 そこで、先ほども政府委員から申しましたように、これは非常にしんぼう強くじみちにやってまいらなければならぬ仕事でございまして、短兵急に速成的な効果を得ようと思っても、これは無理な話だと思うのでございますから、各国のそれぞれの国の事態に応じて、その国のためにまずなって考える。何がプライオリティーとして高いかというような点も考えながら、同時にわがほうの必要も勘案しながら取り組んでまいるという、そして、その過程を通じまして、いろいろ学んだことを生かしてまいるということを積み重ねてまいる以外に道はないのではないか。同時に、国際機関は、しかしながら、アフリカ基金をはじめといたしまして、国連その他等もいろいろあるわけでございますので、そういった点には、われわれとしても応分の協力をしてまいることは当然だと考えます。
#81
○渋谷邦彦君 次に、この協定の内容についてちょっとお尋ねをしておきたいのでありますが、これは、先般も一応問題にされておりますけれども、附属書のAの1項、ここに「原参加者となる資格を有する。」という国々の中に、「アメリカ合衆国及びユーゴースラヴィア」こういうふうに国名が出ておりまして、その次に、「これらの国については、千五百万アメリカ合衆国ドル以上の出資を」云々と、こうあるわけですね。
 それから2項には、「当初出資」の欄において、アメリカはこの表示の中には入ってないわけです。しかも、入ってないところには、それぞれこの各国々の出資の内容が計算単位でしるされている。1項においては、アメリカ合衆国ドルでもって表示されておる。この辺は、どういうふうに理解をしたらいいのかということですがね。
#82
○政府委員(御巫清尚君) 御質問の点は二点に分かれるかと思いますが、第一番目に、この附属書のAの一の中には「アメリカ合衆国」という字が出ておって、2の「当初出資」という中で並んでいる国名の中には、アメリカ合衆国という字がないという点だと思います。
 この点につきましては、アメリカ合衆国がこのアメリカ開発基金の設立のためのいろいろな各国間の協議の際におきまして非常に積極的な態度を示しながら、その後に、あるいはその間におきましてアメリカの国内事情等によりまして、まあそう早い時期に参加することができないような見通しがだんだん強くなってきた。そこで、アメリカ合衆国の、できればとにかく原参加者という形で参加したいという希望と、他方、基金の側でも、アメリカのような当初から積極的にこの基金の成立を希望し、かつまた、できた場合にはかなり大口の寄与をしてもらえるような国を、何とかこの原参加者の形で引きとめたいという双方の希望が合致いたしまして、この附属書のAの一というようなかっこうの規定ができ上がったというふうに理解しております。
 第二点といたしましては、この「アメリカ合衆国ドル」というのが1項の中には出てくる、その他の場面ではすべて計算単位で書かれておるということでございますが、この点につきましては、計算単位というので統一しようという思想で初めからやってまいったわけでございますが、このいまの、先ほど申し上げましたアメリカの事情が変化してまいりました折りに、そういったようなことをどういうふうに規定に入れるかというのにつきまして協議しました際に、米国の提案してきました案などを主として討議しておりまして、こういうような形がそのまま採択されるに至ったというような形でありますが、ただ、ここで一つ、二つ注意しなければいけないことは、当時におきましては、この計算単位と合衆国ドルの単位とが、この協定ができ上がった当時は一致しておったという事態、それからこの「合衆国ドル以上」という規定を設けてあるという点を、やはり注意しておかなければいけないので、アメリカ合衆国としても、このときの考え方としては、この「千五百万アメリカ合衆国ドル以上」を出資するというような、最低はこの額までを出資するというようなことを要件とすることが表明されて、それについて合意が得られたというような関係があるということでございます。
#83
○渋谷邦彦君 わからないでもないのですけれども、一方が計算単位でおそらくここにあえて「アメリカ合衆国ドル」というものを表示したということは、これはアメリカ合衆国だけに適用されると判断できますね。
#84
○政府委員(御巫清尚君) この文面から見ますと、ここに掲げてある国に適用されるようにはなっておりますが、むしろ最初に提案されましたものでは、これがアメリカ合衆国に適用されることを主として頭に置いて書かれたという経緯がございまして、御指摘のような考え方もあるいはできるかと思います。
#85
○渋谷邦彦君 そうしますと、アメリカだけがその例外として認められるというような、暗黙の了解でございますか。
#86
○政府委員(御巫清尚君) 暗黙の了解というところまではありませんで、むしろそういった、アメリカだけがというような規定になることをむしろ避けたいというので、こういう書き方になっておるというふうに了解しております。
#87
○渋谷邦彦君 それはおかしいと思うのですがね。私は、専門家でもありませんけれども、計算単位は通貨の変動いかんにかかわらず、金を単位とした価値の表示でございますね。ところが、米ドルについては、ドルの切り下げというようなものがありまして、実勢というものがどんどんどんどん変わってきている状況に置かれているわけでございますね。こうした矛盾というものは一体どういうふうに理解をするのか。アフリカを除いたほとんどの参加者は、いわゆる計算単位で明確に出資のあり方を表示されている。アメリカだけが例外だというこの辺の矛盾といいますか、非常に割り切れない問題がどうしても残るということを、日本としては一体どういうふうに受けとめたらいいのか。どうしても残りますね、これは。
#88
○政府委員(御巫清尚君) わが国といたしましては、アメリカ合衆国が当初に表明いたしましたような金額を出資してこの基金に参加するということを期待しておるということしか申し上げられないと思うんですが、ここに「千五百万アメリカ合衆国ドル以上」と書いてある規定から読みましても、そういう期待はかなえられるものであろうというふうに存じております。アメリカだけが例外というふうな御指摘でございますが、やはり、アメリカ合衆国も現実に入りますときには、当初出資の額というものを全体の規定に従った計算単位というような表示で、何かきめて入るということが実際上行なわれるのではなかろうかというふうに存じております。
#89
○渋谷邦彦君 そうしますと、アメリカは独自の立場でどのようにでも操作できるという極端な見方も出てまいりますね。千五百万ドル以上というふうに、非常に抽象的なばく然とした取りきめでございましょう。将来三千万ドルになるかもしれない、一億ドルになるかもしれない、あるいはそれ以上の額になるかもしれない。とした場合に、一番ぼくらがおそれることは、またアフリカにおいて、アジアに示したと同じような経済支配というものが行なわれる危険性が出てくるんじゃないかということをおそれるわけです。それは大平さんいかがでしょうか。
#90
○国務大臣(大平正芳君) これはアフリカ基金の立場から見た場合に、できるだけ多くの国が加わってできるだけ潤沢な資金が確保されるということが望ましいことでございます。したがって、いまアメリカが問題になっておりますが、ここに入っていない国もたくさんあるわけでございまして、基金の立場から申しますと、何とか国内事情もいろいろあるようだけれども、アメリカの参加を確保しようという意味でいろいろなくふうがされたのではないかと想像するわけでございます。
 それから第二点としては、日本の立場でございますが、日本はアメリカその他入っておる国、入っていない国、いろいろあるわけでございますけれども、日本の決意で千五百万計算単位というものを決意いたしたわけでございまして、よそさまが入っていないから、よそさまが条件をつけるからわれわれのほうもひとつ条件をつけるかというさもしい気持ちはありません。
 それから第三の問題は、これが一体経済支配に通ずるかという問題でございますが、経済支配に通ずるのでございましたならば、こういうマルチな形は私はとらないだろうと思うのであります。アメリカも強大な国でございますけれども、近来ドルの衰退が示しておるように、手元がだんだん不如意になってきておることも歴然たる事実でございます。したがって、みんなと協力して特定の地域の開発等に当たってまいるという傾向は私はあなたの御指摘される方向と全然反対の方向で、むしろ望ましい方向ではないかと私は判断しております。
#91
○渋谷邦彦君 ただ、出資の額によってボート、投票権が違ってきますね。そうすると、これは将来の仮定でものを申し上げてはいけないかもしれませんけれども、巨額の投資をアメリカがやった場合、相当な発言権が強まるのではないかということを心配するのですが、その点どうですか。
#92
○政府委員(御巫清尚君) この附属書Aの一の規定だけをごらんになれば、「千五百万アメリカ合衆国ドル以上」という字がございますから、先生の御指摘のような、これ以上の相当な額を出してそういったようなことをするということには理論的にはあるいは想像されるかと思いますが、これができました経緯から申しますと、先日の御質問にもお答えしたとおり、アメリカの国内事情といいますのは、最近におきますアメリカ議会の、アメリカ政府の対外援助に対する批判的な傾向というものから、アメリカが政府の要請しておるいろいろなこういう国際機関に対する出資等についての承認がなかなか得られないという内部の実情から発しておるという点から見ますと、実際上は、先生の御心配になるような事態には立ち至らないものではなかろうかというふうに存じております。
#93
○渋谷邦彦君 時間がありませんので、もっと詰めた話ができないことを非常に残念に思うわけでございますけれども、あと二点だけ、これは確認で私は伺っておきたいと思うのですが、将来この原参加者の中には、「ユーゴースラヴィア」を除いたほかに社会主義国家の加盟がないという点が一つございますね。これは将来やはり望ましいんじゃないかということで、それを強力に推進する政府としての用意があるかどうかということが一点。
 それからもう一つは、ソフトローンの条件でございますけれども、世銀や第二世銀のいろいろな例もございます。やはりそれを下回るような最も望ましい、ソフトローンというからには、やはりそれに合致したような条件でもって出すことが望ましいのではないか。この二点はいかがでございましよう。
#94
○政府委員(御巫清尚君) 第一点の社会主義国に対しても積極的に参加を要請すべきではないかということにつきましては、この基金の合意ができます前後に、日本に参りましたアフリカ開発銀行の総裁も私どもに申しておりましたのは、自分たちもこれまで社会主義諸国にいろいろ働きかけをやったけれども、その点についてまだ積極的な回答を得られなかったのははなはだ残念だけれども、今後も努力を続けたいということを申しておりますので、このアフリカ開発銀行の努力に対しまして日本といたしましても協力をして、こういった国が入ってくるように、今後も努力を続けたいというように存じております。
 第二点のソフトローンの条件でございますが、御承知のようにいわゆる第二世銀のソフトローンの条件はきわめて緩和されたものでございますが、アジア開発銀行の場合にはそれよりは少し劣っております。本件の基金につきましては、これが設立されたあとから決定されるということになっておりますので、日本といたしまして、もそういった場合の協議につきましては、できるだけソフトなものになる、これこそまさにアフリカに対する緩助の一番大事な点であるというように認識しておりますので、どういうふうにどこまでいけるかわかりませんが、極力この緩和された条件のものを出せるように協力してまいりたいと思っております。
#95
○渋谷邦彦君 ちょっと恐縮ですが、私の持ち時間も終わっているのですけれども、国連に全然入っておりませんので若干聞かしていただけませんか、よろしゅうございますか――。国連憲章の改正問題についてはもっともっと総合的な面からお尋ねをしたかったわけでございますけれども、きょうはたいへん断片的に二、三伺って終わりにしたいと思うんであります。
 一つは、昨年十二月三十一日で日本は安全保障理事国の任期が切れておりますね。今後理事国にまたなるための働きかけをするのかどうか、先ほども議論がありましたけれども、常任理事国としては核保有国が主体になって形成されていく、これが望ましいことではないという答弁もありました。やはり平和維持機能としての能力をいかんなく発揮するためには、むしろ非核保有国の有力なメンバーである日本も、当然別な角度から、将来にわたる核というものに対しての問題を中心とした世界の安全保障というものを考えていく、そういう役割りがあるんではないかということで、いままでも当委員会を通じてもしばしば繰り返した議論があったわけでございます。一つは理事国にまた立候補するのかどうなのか。それからもう一つは、常任理事国への参加というものが将来可能性があるのかどうなのか。この二点をまず最初に伺っておきたいと思います。
#96
○政府委員(影井梅夫君) 御指摘のように、日本の安全保障理事会理事国としての地位は昨年末で終わったわけでございますが、今後この非常任理事国として立候補する意思、計画があるか、これは御承知のとおりに、非常任理事国は引き続いて再任されることは禁止されておりますので、幾らか間を置かなければならない。それから他方非常任理事国の選出にあたりましては、各地域内で一種の主要国の順番というものがありますことを考慮いたしまして、私どもといたしましては今年と来年を待ちまして、一九七五年、七六年、この二年の任期を目ざしまして、立候補いたすべく、その意思は表明しております。
 それから、日本が安全保障理事会の常位理事国としての地位を占めるべきである、これは先ほど大臣から御答弁がありましたように、日本としては国連のこの平和維持機能に貢献したい。しかしながら、そのためには、日本の立場に対しまして国連加盟国の理解も十分に得なければならないということで、そのための努力は着々として続けていきたいというふうに考えております。
#97
○渋谷邦彦君 今後もこの国連の存在、また国連の働きというものが世界平和維持のために相当のウエートを持つであろうということは想像にかたくないんでありますけれども、少なくとも今日までの経過を振り返ってみますと、はたして国連のその機能というものが、全部とは申しません、平和維持のためのその機能というものが発揮されてきたであろうかというその疑問があるわけですね。二、三年前からもう現在の国連の機能というものを強化するためには現在の組織体制というものも改めるべきではないだろうかというようなことも伝えられたことがございます。
 そこで、いまこうしたこまかい問題に入るわけにいきませんので、総括的に現在の国連機能でもって将来ともに万全を期するというか、間違いなく世界平和維持のための機能というものを十分発揮できる体制に置かれているという判断に立っていらっしゃるのか。それともやはり若干手直しをして、場合によっては国連憲章の改正というそういうところまでいかなければならないだろうという判断に立っているのか。その点はいかがでございましょう。
#98
○国務大臣(大平正芳君) 現在の国連の機能は、先ほど森先生からも御指摘がありましたように、経済社会の分野におきましては相当私は成績を上げていると思うのでございますが、しかし、渋谷先生御指摘の平和維持機能という側面から見た場合、たいへん不満足な状態にあることは隠しようもない事実であろうと思います。国連が大国の方便になったり、あるいは大国がまた国連に非常に冷たくなるというようなことは、そういう意味から好ましい事態ではないわけでございます。しかし、少なくともいま常任理事国を形成している国々が、一致して国連の平和維持機能を第一義的に高めなければならないものであるというような機運が私は高まっているという判断はどうしてもできないわけでございます。われわれといたしましては、それだからといって、国連という、せっかく生み落とされた貴重な人類の資産でございますが、これをそのまま放置しておくというわけにはいかぬだろうと思うのでありまして、国連の平和維持機能が少しでも充実の方向に向くような努力を惜しんではいけないと思うのであります。とりわけそれを支えておる財政状況というようなものは、いま、まことに困った状態にあるわけでございまして、そういう基盤を充実さしてまいるということも合わせてわが国のような中流国家といたしまして十分配慮をしていかなければならぬと思っておるのであります。それがそういう過程を通じまして戦後つくられた国連のいまの組織というようなものが根本的に改正を見まして、現実に即して、しかもきびきびとした活力のある機能の展開がはかられるようにしていくということは、これは容易ならぬ大事業でございまして、国際世論の熟成を見なければなりませんし、それぞれの加盟国の意識がそういうところに高まってまいらなければならぬわけでございますので、当面そういうことは望んでなかなか得られないことだと思うわけでございまして、不断のたゆまざる努力が必要でないか。国連がうまくいけばひとつ一緒にいくが、うまくいかなければ知ったことじゃないというような態度は、少なくとも日本はとっちゃいけないと思うのでありまして、日本の力量に合った協力は惜しむべきでないと考えております。
#99
○委員長(平島敏夫君) 渋谷君、ちょっと、もうできるだけ、なるべく……。
#100
○渋谷邦彦君 もうおしまいです。
 確かに、いま率直に大平さんおっしゃったとおりだと私も思います。財政基盤の問題もそうでございましょうし、それ以外のもろもろの問題が介在していることが今日の国連の機能というものを弱めている。しかし、政府の方針としても国連中心主義をとっている、これは当然望ましい方向であろうと私は思うんです。そこで、今後望むべくしてなかなかたいへんだというふうにおっしゃったことも、これは私も否定はいたしませんけれども、当面多少でも、一歩でも二歩でも前進できる、そういう解決のめど、また、そういう日本側からの助言、そろいうためのコミュニケーションをつくるための場所、そういうことはいろいろスケジュール的にはお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
#101
○国務大臣(大平正芳君) まず財政協力でございますが、この間、事務総長が来日されました機会に、常任理事国等と協力して財政基盤の充実をはかるについて応分の貢献をする用意があるという意思表示を総理大臣からしていただいたわけでございます。それから、いま数十名の国連職員が、わが国の国籍を持った者がおりますけれども、これはわが国の国連参加の姿といたしましてはまだ少ないと思いまするし、とりわけ上級職員が乏しいわけでございまして、もちろん人材を確保せにゃならぬ制約もございますけれども、極力日本人職員の登用という点につきまして国連当局の理解を求めつつあるわけでございまして、先方もそれに対しましては前向きに対処していただいております。これは国連本部ばかりではなく、下部の国連機関通じまして全体の問題でございますけれども、そういう努力をたゆみなくやってまいりたいと思います。
 それから、本部並びに専門機関の活動につきましては、欠かさず建設的な協力をいたしておるつもりでございまして、ますますこれを充実さしてまいりたいと考えております。
#102
○渋谷邦彦君 本日はこの程度でやめておきます。
#103
○委員長(平島敏夫君) 他に御発言もなければ、両件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#104
○委員長(平島敏夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、国際連合憲章改正の批准承認案件の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 千九百七十一年十二月二十日に国際連合総会決議第二千八百四十七号(XXVI)によって採択された国際連合憲章の改正の批准について承認を求めの件を問題に供します。本件に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#105
○委員長(平島敏夫君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
    ―――――――――――――
 次に、アフリカ開発基金設立協定の締結承認案件の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにして順次お述べ願います。
#106
○田英夫君 私は、日本社会党を代表して、このアフリカ開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件に反対の意見を表明いたします。
 反対の理由の第一は、本協定第二条の目的の項に従っても、この基金にはできるだけ多数の国が参加をして、潤沢な資金によって運営されることが経済的にも政治的にも正しい方向であると言わざるを得ません。ところが、本協定への原参加国は、ユーゴスラビアを除くと、すべて西側の諸国に限られております。したがって、中国、ソ連などの社会主義諸国が入っておりませんし、また、フランスも加わっておりません。これら諸国が今後加わっていく道が封じられているわけではありませんけれども、その参加は現実の問題としてきわめて困難ではないかと見られます。このことは、国際社会全体の協力でアフリカの開発に寄与すべきであるという視点から、きわめて重大な問題であると言わざるを得ないと思います。
 第二に、このような基金は純粋の開発援助であるべきであって、基金参加国の利益につながるというべきものではないと思われます。ところが本協定の第十五条四項(a)によって、基金の融資による「資金は、参加国又は構成国の領域内で生産される物品及びそれらの領域から提供される役務をそれらの領域内で調達するためにのみ使用される。」というふうになっておりまして、このことは、第一の反対理由の構成国  原参加国が西側だけに限られているということと結び合わせまして、西側先進国のひもつき援助になる危険性がきわめて高いと言わざるを得ません。特に日本の場合、政府が日本の企業のエコノミックアニマル的な進出を規制する適切な措置を先行させない限り、アフリカの地域においても日本の不評を高める結果になるのではないかと危惧されるのであります。
 第三に、本協定の原参加国から中国、ソ連など社会主義諸国が除外されている一方で、アメリカに対しては過大な優遇が行なわれているということも注目しなければならないと思います。このことは、本協定の背景に問題があると感ぜざるを得ません。
 以上の理由から、私は、このアフリカ開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件に、反対の意見を表明いたします。
#107
○加藤進君 私は、日本共産党を代表して、アフリカ開発基金を設立する協定の締結に反対の態度を表明いたします。
 日本共産党は、平和、中立の原則で、社会体制のいかんを問わず、すべての国と平和五原則に基づく経済、技術、文化交流を進め、社会進歩を目ざす国際連帯の原則により、わが国が発達した工業国として世界の平和と諸民族の独立、全人類の社会進歩のため積極的な経済、技術協力を進めるべきであるということを一貫して主張してまいりました。この立場から、いやしくも、日本の政府による経済技術協力が、大企業の市場、天然資源、安い労働力の確保など経済的侵略活動にレールをしくものであってはならず、ましてアメリカ帝国主義の侵略政策への協力、下請となってはならないと考えるものであります。
 ところで、本協定の第十五条四項(a)では、アフリカ開発基金が融資する「資金は、参加国又は構成国の領域内で生産される物品及びそれらの領域から提供される役務をそれらの領域内で調達するためにのみ使用される。」となっています。このことは、アフリカ諸国が基金の融資を受けて自国の開発にとって有利な物資、役務の調達先を自由に選ぶ権利を奪うものでありまして、実質的には、参加国たる先進国、中でも出資額も多い日本、カナダ、西ドイツなどが調達先の中心となることは明らかであります。本協定は、基金の構成や運営などについて一定の民主的な内容を盛り込んではおりますが、この第十五条の規定は、本協定の本質を示すものであり、平和五原則の立場に反したひもつき協力であるということは明らかであります。
 今日、アジア諸国への日本大企業の進出と、そのもうけ本位の企業活動は、アジア諸国民の間に強い批判と警戒を呼び起こしております。これは日本とアジア諸国民との友好関係を破壊するものであります。政府による対外経済協力はこのような大企業の対外進出にレールを敷き、あと押しをする役割りを果たしてきたのであります。しかるに政府はその政策を根本から改めようとはせず蓄積したドルを活用し、世界的な規模にその対外協力を拡大しようとしております。
 本開発基金は、アフリカ開発援助の名目のもとに多数国間の援助という形をとり、その内容はアフリカ諸国人民の主権を侵害し、大企業のアフリカ進出に道をあけるものといわなければなりません。
 以上の理由により、日本共産党は、アフリカ開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件に反対を表明するものであります。
 以上。
#108
○委員長(平島敏夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終結したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 アフリカ開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#109
○委員長(平島敏夫君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、ただいままでに承認すべきものと決定いたしました両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#110
○委員長(平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト