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1972/07/10 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 外務委員会 第18号
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1972/07/10 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 外務委員会 第18号

#1
第071回国会 外務委員会 第18号
昭和四十八年七月十日(火曜日)
   午後二時三十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         平島 敏夫君
    理 事
                木内 四郎君
                佐藤 一郎君
                八木 一郎君
                田  英夫君
    委 員         
                岩動 道行君
                矢野  登君
                山本 利壽君
                加藤シヅエ君
                小谷  守君
                羽生 三七君
                森 元治郎君
   国務大臣
       外 務 大 臣  大平 正芳君
   政府委員
       科学技術庁原子
       力局長      成田 壽治君
       外務省条約局外
       務参事官     松永 信雄君
       外務省国際連合
       局長       影井 梅夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        服部比左治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○原子力の非軍事的利用に関する協力のための日
 本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を
 改正する議定書の締結について承認を求めるの
 件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(平島敏夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 現在、本委員会の理事一名が欠員となっておりますので、その補欠選任を行ないます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平島敏夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に八木一郎君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(平島敏夫君) 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。大平外務大臣。
#5
○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 わが国とアメリカ合衆国との間には、昭和四十三年二月二十六日に署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のための協定が締結されていますが、日米両国における原子力の開発及び利用の進展に対処しつつ濃縮ウラン等の核燃料供給に関する両国の協力を維持、拡大するため、政府は、この協定を改正する議定書の締結について昨年八月以来米側と交渉を行ないました結果、その内容について合意をみるに至りました。よって、昭和四十八年三月二十八日にワシントンにおいて、わがほう牛場駐米大使と米側グリーン国務次官補及びレイ原子力委員会委員長との間で、この議定書の署名を行なった次第であります。
 この議定書は、本文七カ条からなっており、そのおもな内容は、一 米国からわが国に移転される濃縮ウランの供給限度量を大幅に引き上げたこと、二 濃縮ウランの供給は、契約の条件等を含め、すべて当事者間で合意されるところにより行なわれることとなること及び三 移転される資材等の非軍事的利用を確保するための保障措置については、国際原子力機関による適用をたてまえとすること等であります。
 この議定書は、わが国が必要とする核燃料の長期にわたる供給を可能にすることにより、今後におけるわが国の原子力の平和的利用の一そうの促進、特に原子力発電の発展に資するものと考える次第であります。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につきましてすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#6
○委員長(平島敏夫君) 引き続き外務省及び科学技術庁より補足説明を順次聴取いたします。松永条約局参事官。
#7
○政府委員(松永信雄君) ただいまの提案理由の説明につき、補足説明をさせていただきます。
 現行の日米原子力協定のもとにおきましては、本年末までにわが国において着工予定の原子力発電炉の燃料として必要な濃縮ウランの供給が確保されておりますが、わが国の原子力発電計画の進展に伴い、明年以降着工予定の発電炉についての燃料手当てを行なうことが必要となってまいりました。よって政府は、米国との間にこのための交渉を行ないましたところ、米側は、一九八〇年代前半には濃縮ウランの世界各国の需要が米国の供給能力を上回ることが予想される状況にあり、わが国が必要とする濃縮ウランの供給を米国が現行協定の方式によって保証する形のままでは供給ワクの拡大には応じ得ないとしたため、協定を改正する必要が生じたものであります。
 かかる背景のもとに、今回の改正議定書が署名された次第でございますが、そのおもな内容につき御説明申し上げます。
 第一に、改正議定書のもとにおきましては、米国からわが国に移転される濃縮ウランの供給限度量を大幅に引き上げ、わが国の原子力委員会の見通しに基づき、現行協定で確保されている量の約三倍に当たる六千万キロワットの発電炉の燃料として使用される濃縮ウランの確保が可能となっております。
 なお、この供給限度量は、わが国に対し、この量までの引き取り義務を課するものではありませんので、このことにより、供給先の多角化あるいはウラン濃縮技術の自主開発は少しも妨げられないこととなっております。
 第二に、改正議定書は、現行協定中の米国から移転される濃縮ウランを使用する個々の発電炉の附表による特定、それらの炉に必要な濃縮ウランの米国による供給保証、供給価格等の規定を削除し、発電炉に必要な濃縮ウランの供給は、当事者間の商業ベースの契約にゆだねることを一般的に規定しております。これは、米側が、わが国とともに米国の濃縮ウランの大口需要者であるユーラトムとの間に最近行なった原子力協定の改正の内容と実質的に同一のものであります。
 第三に、わが国に移転される資材等の非軍事的利用を確保するための保障措置については、現行協定によっても、現実には三者間協定に従い国際原子力機関がこれを行なっておりますが、協定上は米国が第一義的な保障措置の権利を有することとされています。今回の改正においては、米国のこの権利は、国際原子力機関の保障措置が適用されなくなった場合の第二義的なものとし、国際原子力機関による適用をたてまえとすることとしております。さらに、核兵器の不拡散に関する条約にわが国が加入して、同条約にいう保障措置協定を締結する場合には、わが国に対して二重に保障措置が適用されることを避けるため、三者間協定に基づく保障措置が停止されることを規定しております。
 以上でございます。
#8
○委員長(平島敏夫君) 成田原子力局長。
#9
○政府委員(成田壽治君) 原子力政策の面から補足説明させていただきます。
 日本の現在の発電設備容量は、昭和四十五年が五千九百万キロワットであり、昭和五十年には一億一千七百万キロワット、昭和六十年には二億三千六百万キロワットになるものと予想されております。この昭和六十年の二億三千六百万キロワットの電力の内訳でございますが、これはエネルギー調査会等の見通しによりましても大体昭和六十年度の一億三千六百万キロワットのうち、大体二〇%が水力でございます。これは、現在は三〇%ぐらいが水力でありますが、水力資源にはおのずから限界がありまして、絶対値としては横ばいで、比率としては下がっていくという状況でございます。それから火力、これは石油火力が主体でございますが、これが全体の五五%の一億二千七百万キロワットぐらいが火力発電ということになっております。それで残りが原子力発電でありますが、これは昨年の六月に日本の原子力委員会がつくりました見通しによりましても、六千万キロワット、全体二億三千六百万のうちの四分の一、二五%が原子力発電の六千万キロワットということに相なっております。それで、昨年の原子力委員会の見通しによりますと、昭和六十五年度におきましては、全体が三億キロワットの総発電設備に対して、原子力が三三%、三分の一の大体一億キロワットぐらいが原子力、火力が四七%、一億四千万キロワットぐらいという、非常に原子力発電のウエートが高まってまいると、昭和六十年度二五%、昭和六十五年度は三三%、これがまた世界の趨勢でもあると思われます。この電力需要に対しましては、この二億三千六百万、大き過ぎるんじゃないかと、GNPなり経済成長等が鈍化していくとこの絶対値が下がるんじゃないかという意見も出ておりますが、われわれは二億三千六百万キロワットの全体の発電設備が下がっても、これは大体電力の伸び、年率九%以上の伸び率で見ておりますが、しかし、この中で火力発電、石油火力が五五%と見ておるのでありまして、現在OPECの動向、あるいは原油の価格の上昇、あるいは供給制限等を考えますと、五五%の石油による発電がはたして十分可能性があるかどうかというのは非常に問題があると思われるのであります。したがいまして、全体の発電設備が下がるとしても、火力のほうが相当落ち込んで、原子力は二五%、あるいはそれ以上と、ウエートは決して下がらないのじゃないかというふうに見ておるのであります。したがって、原子力発電の六千万キロワットは全体の電力需要が落ちましても、絶対値としては下がらない。ウエートは上がっていくんじゃないかというふうに考えております。それで、昭和六十年度六千万キロワットのこれは大体大部分がPWR、BWRの軽水炉でありまして、この燃料としては濃縮ウランを使うわけでございますが、この濃縮ウランをどこから供給するか、供給を受けるかというのが大きな問題でありまして、燃料の安定確保というのが今後の原子力政策の最重点でございます。それで濃縮ウランというのは、天然ウランとそれから天然ウランを濃縮する濃縮技術と二つに分かれるのでありますが、天然ウラン、ウラン鉱につきましては、現在世界的に百十万トンぐらい埋蔵量が確保されておりまして、大体将来も天然ウランの供給というのは、今後の探鉱技術の開発等によって大体十分確保できるんじゃないかというふうに見られておりまして、日本におきましても、大体九電力会社が天然ウランにつきましては、昭和六十年度ごろまでの所要量について、豪州、カナダ、アメリカ、フランス等から短期、長期の購入契約を結んで、大体今後昭和六十年ごろまでのウラン鉱の手当ては済んでおります。今後、問題としましては、量的な問題はあまりないと思いますが、ただ、石油の場合のOPECのようなウランクラブといいますか、ウランの産出国の間でカルテルを結ぼうという動きもあるやに聞いておりまして、そういう意味の動向には十分注視しないといかぬのでありますが、今後量的な問題としては、天然ウランは十分相当期間にわたって確保見通しはあるというふうに考えております。それで、天然ウランを濃縮工場で濃縮をして濃縮ウランにするわけでございますが、この濃縮ウランをどうやって確保するかというのが、非常に大きな燃料政策の最重点でございまして、現在世界的に見まして、原子力爆弾等の軍事利用工場、軍事のための工場は各主要国にありますが、大体濃縮ウランを商業的に供給できるのはアメリカの原子力委員会だけでありまして、これは現在三工場を、ウラン濃縮工場三工場を米国の原子力委員会が持っておりまして、このいまの年間の能力は一万七千トンぐらい、作業分離量にして一万七千トンの三工場の能力を持っております。将来、近くこの改良工事、設備増強工事を九億ドルほどかけまして、これを二万八千トンの能力へ持っていこうという計画を持っております。そういう事情から見ましても、日本が濃縮ウランを入手できますのは、これは世界的に見てそうでありますが、いまのところ米国の原子力委員会の三工場のみでありまして、したがいまして、日本は将来、昭和六十年に六千万キロワットの軽水炉の発電をやるための濃縮ウランは、原則として能力を持っておるアメリカに依存せざるを得ないという状況にあるわけであります。それで現在はこの日米協定によって、いま日本で発電炉が五基動いておりまして、また、十七基政府の許可をもらって建設中でありますが、この大部分は日米原子力協定によってアメリカのAEC――原子力委員会の三工場からの供給を受けて動いており、また、動く予定であるのであります。しかし、いつまでもアメリカの濃縮ウランだけに依存するのは安定供給上問題があるという日本の原子力委員会の考え方がありまして、将来この濃縮ウランの入手先の多元化をはかるべきであるという考え方をとっております。それで、さしあたっては、日米原子力協定等によってアメリカから濃縮ウランの供給を受けますが、第二段階としまして、アメリカが増強計画をもってしましても、大体一九八二年ごろになりますと世界的に濃縮ウランの能力不足になる、端境期になるわけであります。したがって、一九八二年ごろの端境期に対処しまして、世界各国が国際的な濃縮工場をつくる計画が進められておるのであります。たとえば、一つは一昨年の夏以来フランスが、フランスもガス拡散技術を持っておりまして、このフランスの持っておるガス拡散技術によって、日本あるいはその他ヨーロッパ諸国と共同で濃縮工場をつくらないかという話がありまして、日本も、まだ決してコミットはしておりませんが、第一段階の研究検討会を終わって、いま第二段階に入るかどうかという検討中であります。
 それから第三番目には、イギリス、オランダ、ドイツ、これはアメリカやフランスのガス拡散技術じゃありませんが、もう一つのウラン濃縮をつくるところの遠心分離技術、新しい別な製法でありますが、これによって一九八二、三年ごろにヨーロッパに遠心分離方式による共同濃縮工場をつくる計画が進められておりまして、この調査グループに日本も入らぬかという話がありまして、去年の暮れからこの調査グループに入っておるのであります。それからアメリカと日本、これは昨年のホノルル会談におきましても話が出たのでありますが、アメリカの民間と日本の民間が、アメリカのガス拡散技術によって共同の濃縮工場をつくる計画がいま検討されておりまして、これがアメリカの第四工場を日米間の民間主体によってつくると、これも一九八二年ごろ以降にでき上がる予定でありますが、これについては、日本の代表の機関をつくりまして、非常にまあ真剣な検討を現在行なっておるところであります。それから先月ほど日本原子力産業会議の原子力調査団がソ連を訪問した際に、ソ連側から調査団に対してソ連の濃縮ウランを買わないかと、まあ石を持ってきたら加工してもいいという話がありまして、これはどこの工場でどれだけ能力があるのか、あるいは価格等の条件がどうなるのか、まだ具体的じゃありませんが、そういう話し合いもソ連からなされております。こういういろんな共同で工場をつくる話、あるいは濃縮ウランを買う話も出ておりまして、将来一九八二年、昭和六十年近いころになると、こういう日本も参加した形で共同の濃縮工場をつくると、そういう形の多元化を考えておるのであります。
 それから第三段階の問題としては、やはり外国の技術だけで外国で工場をつくるのに参加するだけではなくて、日本の自主開発による技術によってウラン濃縮工場を日本につくることも検討すべきであるというので、ことしから動力炉・核燃料開発事業団、こういう特殊法人がありますが、そこでナショナルプロジェクトとして重点的に予算を投入しまして、遠心分離法による日本の技術によって濃縮ウラン工場をつくる計画をいま進めておるところであります。これが順調にいきますと昭和六十年ごろに日本で国内に濃縮工場をつくれると、そういう目途で現在技術開発を進めておるのであります。そういう意味におきまして、日本におきましては、さしあたりはアメリカの三工場の能力に依存しないといけないが、将来はアメリカ、フランスその他英国、ドイツ、オランダ等のいろんな形の国際的な計画、これは決して入るというコミットはまだ一つもしておりませんが、いろいろ検討しております。それから最終的にはやはり日本が自主開発によってウラン濃縮工場を、自分の国に工場をつくって、そして拡大していく原子力発電の燃料であるウラン濃縮を安定確保するという、そういう目途で進んでおるのであります。しかし、いまさしあたって必要なのは、商業的に世界的に供給できるのはアメリカの三工場だけでありますので、これを対象にしまして、この協定によってウラン濃縮を確保すると、そして協定にもありますように、原子力委員会が昭和六十年度の発電規模として見込んでおりますところの六千万キロワットの炉に見合う分だけのウラン濃縮がワク、シーリングとして計上になっておりまして、そういう意味では当分のウラン濃縮の安定確保のためのこの協定でありまして、われわれはさしあたってはこの協定によって昭和六十年ごろまでの軽水炉の燃料を確保すると、そして併行しましていろいろ国際的な計画の参加を検討し、また、日本の自主開発によるウラン濃縮工場の建設を検討していく、そういう将来にわたっては多元化をはかっておるのであります。
 以上でございます。
#10
○委員長(平島敏夫君) 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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