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1972/07/12 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 外務委員会 第19号
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1972/07/12 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 外務委員会 第19号

#1
第071回国会 外務委員会 第19号
昭和四十八年七月十二日(木曜日)
   午前十時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月十一日
    辞任         補欠選任
     小谷  守君     辻  一彦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         平島 敏夫君
    理 事
                木内 四郎君
                佐藤 一郎君
                八木 一郎君
                田  英夫君
    委 員
                岩動 道行君
                大竹平八郎君
                杉原 荒太君
                山本 利壽君
                加藤シヅエ君
                辻  一彦君
                羽生 三七君
                森 元治郎君
                渋谷 邦彦君
                星野  力君
   国務大臣
       外 務 大 臣  大平 正芳君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       前田佳都男君
   政府委員
       科学技術庁原子
       力局長      成田 壽治君
       外務省条約局外
       務参事官     松永 信雄君
       外務省国際連合
       局長       影井 梅夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        服部比左治君
   説明員
       通商産業大臣官
       房総合エネルギ
       ー政策課長    荒川  英君
       通商産業省公益
       事業局技術長   和田 文夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○原子力の非軍事的利用に関する協力のための日
 本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を
 改正する議定書の締結について承認を求めるの
 件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(平島敏夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十一日小谷守君が委員を辞任され、その補欠として辻一彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(平島敏夫君) 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
 本件につきましては、前回の委員会において趣旨説明及び補足説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○森元治郎君 初めに、この原子力関係の問題はなかなかこれはむずかしいんでしてね、だから丁寧に、しろうとわかりのするように、私は全部これ工学博士のつもりで聞いているわけじゃないんで、間違いがあったらばちゃんと直してもらってやってください。
 初めに、衆議院の経過などを聞いてみますと、大体だれも心配するような点を質問しているわけですね。同じことを触れざるを得ないと思うんですが、簡単にやるつもりです。
 一つは形式の問題で、なぜ国会に出さなかったかということ、これが問題になって応酬が行なわれたわけですが、外務省の説明としては、これは核燃料を――私の言うのは昨年の燃料増ワクに関する交換公文を言っているのですが、これは、われわれには受領の義務はないし、行政取りきめで、政府間の行政取りきめで十分だと思うので出さなかったということでありましたが、さんざん攻撃された末、大平大臣も、お話の経過を聞きながら、事の性質上、せめて国会に御報告すべきものだと思うという答弁があったようですね。
 私は、その御報告ではなくて、やはり国会に正式に提出して承認を求めるというほうがよろしいんじゃないか。そうあるべきじゃないかというたてまえです。その理由は、交換公文というのは、大体予算を伴うものとか立法措置を要するものとか、あるいは政治的に大きな意味を持ったようなものに関する交換公文は国会に出すということに従来なっているわけですね。この三点には間違いないと思うのだが、ともすれば、私らも含めて、第三番目に申し上げた政治問題の大きなものという場合には、とかく安保条約の有名な対外作戦行動に対する交換公文というような、政治的なそういうものに比重がかかっておったのです、法律の取り扱いが。しかし、時代が変わりまして、科学というものが大きく前面に出てくる、経済が出てくるとなると、こういう問題はやはり国会に提出すべきものだ、そして承認を受けるものだと。私は悪く勘ぐれば、とかく原子力問題というのは国会でいじめられ通し、成田君あたりはよほど神経が東北生れで強いからつとまっているが、年じゅういじめられている。そこで、何とかこれを逃げるには、たまたま交換公文に国会に提出するような書き方をしていないことをいいことに、授権されているのだということですっと逃げようとしたのではないかとさえ勘ぐるわけですが、ひとつ大臣、これはどうお考えになりますか。やはり時代は変わり、この種の科学的なもの、国民の生活、権利、義務に非常に影響のあるもの、安定した原子力発電なり原子力というものが、だれもが心配しなくなったという時代なら別だが、いまはもう技術がどんどん変わっていく状態であるときには、やはり小さい核燃料の増ワクの取りきめでああっても、随時国会に出したほうがかえって国民の理解を求める上でよろしいんじゃないかと思います。その点、もう一ぺん伺います。
#5
○国務大臣(大平正芳君) 森委員の御指摘になりました、いわば形式の問題と実体の問題とあると思いますが、実体的に申しますと仰せのとおりでございまして、この種の問題、国民の権利義務、産業経済ばかりでなく、広範な影響を持っておる問題でございまして、そういう認識は私も共通にするものであります。
 それから国会の御審議でございますが、国会はあらゆる角度から御審議をいただかなけりゃならぬわけでございますので、細大漏らさず、いろいろな点について行政府から資料も求められ、十分の解明が期待されるのは当然だと思うのでございます。そういう点は全く御同感でございます。ただ、形式論から申しますと、現行協定の九条で、政府の合意に、国会からゆだねられているという前提に立ちまして、私どもこれまでやってまいったわけでございます。で、それは国会の審議がわずらわしい、国会からいろいろ制肘を受けるのがわずらわしいからとか何とかという意味では決してないんでございまして、そういう立法府と行政府の限界の問題として、これは国会から行政府にゆだねられた問題であるという理解の上に立って今日までやってまいったわけでございまして、行政府と立法府、行政府から立法府の御承認を求める案件がどういう性質のものでなけりゃならぬかという問題は、本件ばかりでなく、広範にいろいろあり得ると思うんでございます。本件につきましては、そのことの是非はともかくとして、そういう理解に立っておったということは、衆議院におきましてもるる御説明申し上げたわけでございます。しかし、実体は御承知のような問題でもございますので、私はこれまで政府が、こういう行政府にゆだねられたことと、そういう理解に立ちましても、御審議を願う場合におきまして、時を移さずこれは御報告しておくべきだったんじゃないかという反省を表明いたしているわけでございまして、今後そういう点につきまして十分気をつけてまいらなけりゃならぬと考えております。で、行政府と立法府の間の限界をどうすべきかというと、事が大きくなりますので、ちょっと私の手に負えない問題でございますが、本件に関する限りは、そういう理解で進んだんだということを御理解いただきたいと思います。
#6
○森元治郎君 ただ、われわれの、政府間の合意というものの、向こうは立法府と行政府が、原子力関係については、AECなどを通じ、上下両院合同委員会などのいろんな角度で、もう十分御了解も得てるんだよね、行政府と立法府というものが、向こうは。そういう機構、政治の仕組みの違いがあるのですよ、向こうは。こっちは行政と立法というのは、原子力に関しては離れているわけですよね。だから一緒になって、一緒に行動している向こうと、立法、行政の離れている日本の場合は違うが、問題の重要性にかんがみて、何らかの、やはり国会の議にかけるという方向、こういうことでひとつ検討してもらいたいと思うのです。かけ方いろいろあるでしょう。あるいは条文の書き方によって、国会に出さざるを得ないような法律形式をとることも必ずしもむずかしくないと思うんで、そういうことは検討してもらいたいと思うのです。どうでしょう。
#7
○国務大臣(大平正芳君) 国会の御審議に御支障がないように十分配慮するということだけではなく、制度的な問題として国会の承認事項というものにすべきじゃないかという御指摘でございます。この問題につきましては、先ほど申しましたように、行政府と立法府の限界をどのようにやってまいるかという、非常に重要な問題でございますので、よく、これは本件ばかりでなく、全体の問題として検討さしていただかにゃいかぬ課題だと思います。
#8
○森元治郎君 それでは燃料供給、アメリカからの濃縮ウランの供給ということは現行協定、五年前の現行協定、そして去年のさらに百六十一を三百三十五という増ワク、そして今度の、三回ワクの変更がきたんですが、もうこういう意味のアメリカ濃縮ウランを買うというような協定、現在の六千万キロワット発電に必要とする濃縮ウランの買い付けでありまするが、もう一回この手のウランのワク拡大ということはもうないと思う。これで終わりと思うんですが、どうでしょうか。これは原子力……。
#9
○政府委員(成田壽治君) 今度の改定案によりまして「六万メガワット又は両当事国政府の間でそれぞれの法律上及び憲法上の手続に従って合意される容量を有する原子炉の核燃料サイクルを維持するために必要な分離作業量をこえてはならない。」と。六千万キロワット、これは原子力委員会が昨年つくりました昭和六十年度の発電規模六千万キロワット、または、及び両国政府で合意される容量ということがありまして、まあ六千万キロワットをこえるような必要があった場合は、現行協定と同じような表現の「又は」以下がありますので、条約上は、この六千万キロワットをこえるための、増量のための行政協定ということも条約上は考えられ得るようになっております。
#10
○森元治郎君 私は、実体的に伺っておるんですがね。いろいろな改良、濃縮の方法も変わり、いろんな新しい型の原子炉もできてくるというのに、またそういう余裕を見た条項を援用して、またアメリカから買うということは、もうちょっと想像されないのじゃないか。これで終わりだと思うんですが、どうですか。
#11
○政府委員(成田壽治君) 昨年の原子力委員会の計画によりますと、昭和六十年度が六千万キロワット、昭和六十五年度が一億キロワットという、ふえる計画になっておりまして、六千万キロワットを――それは昭和六十年度以降の問題だと思いますが、一億にふえる場合には、まあウラン濃縮がそれだけ、軽水炉が主体でありますので、必要になると思います。ただ、昭和六十年度以降になりますと、アメリカの濃縮工場でなくて、あるいは日本も国産化をやるとか、あるいはアメリカ以外の外国との共同計画等の計画も検討されておりますので、その点の世界的な濃縮ウランの生産状況というのがどうなるかという問題にかかって、あるいはこの協定によって、アメリカから供給する道以外の方法も当然考えられると思いますが、しかし、「又は」以下によって増量協定が六千万キロワット以上に――そういうケース、必要性がないということはいえないんじゃないか。これはウラン濃縮の国際的な情勢いかんということにかかっておりますのではっきりしないんでありますが、まあ、考え方としてはそういう場合もあり得るんじゃないかというふうに考えております。
#12
○森元治郎君 そういう場合というのは、アメリカとの濃縮ウランの引き取りはこれで大体終わりでもいけるような情勢になるかもしらぬと、こういうことですか。
#13
○政府委員(成田壽治君) 日本のウラン濃縮の国産の状況あるいはヨーロッパその他各国のウラン濃縮の生産状況によっては、六千万以上にアメリカから買うことがないということも考えられますが、また、あるそういう状況いかんによっては、この日米協定によって六千万をこえる部分の増量協定の必要性もある場合も考えられるというわけでございます。
#14
○森元治郎君 もうこれで終わりだというくらいのぴしっとしたデッドラインを引いてがんばるのも一法だと思うんですがね、まあそれはいい。
 ところで、この現行協定の三十年、前の五年を足して三十五年にしたわけですが、この有効期限はどういうところから割り出したんですか。
#15
○政府委員(成田壽治君) 原子力発電所をつくった場合の耐用年数、これは税法上は非常に少なく見ておりますが、実際は二十五年あるいは三十年という、改修等によってやりますと相当、三十年近く働く可能性もありますので、それで昭和四十三年の現行協定のときは三十年ということを有効期間として考えたわけでございます。それで今度の改定協定は、現行協定による炉二十七基も入っての協定でありますので、その分の五年間の分を含めまして、これからの耐用年数も入れまして三十五年というふうになったわけでございます。
#16
○森元治郎君 そうすると一つの小さい疑問が出てくるんですよね。炉は二十五年、三十年の寿命、その間は、三十年まで壮年期のような活動をする、人体でいえば。壮年期――壮年前期、壮年後期あるいは初老、老人、その二十五年、三十年たって――一体いいところは何年なんですか。
#17
○政府委員(成田壽治君) まあ運転中の改良いかんによって壮年期を相当長引かせることもできますので、ただ物理的なそういう性能というよりも、その間の技術進歩によりまして、新しい、より進んだ技術の炉が入ってくると、そういう相対的な意味でかなり、まあ三十年、二十五年たつと技術的にはおくれた炉ということも考えられると思います。物理的には改修等によって二十五年ぐらいは性能を持たせ得る、二十五年ないし三十年は持たせ得ると思います。
#18
○森元治郎君 そこで一つの質問が出てくるんですが、これからアメリカから燃料の買い付けもやる。原子炉建設が始まる。そして原子炉を着工して、原子炉をつくり始まる。そしてアメリカから燃料を買い込んで、そして完成して運転する。まあ年限はちょっとかかりますね。たとえば、七八年――昭和五十三年にその原子炉つくりを始まる。そうすると五年くらいかかるそうですから、完成は八三年となります。耐用年数を三十年とすれば二十世紀をこして二〇一三年まで、二十五年の原子炉の耐用年数とすれば二〇〇八年まで運転可能であるわけですね。そうすると、この協定の期間というのは二〇〇三年ですから、その後二〇〇八年あるいは二〇二二年までは一体どういうことになるのか、協定はなくなってしまう。二〇〇三年までに全部これはできるわけでもないんでしょうね、これはずっと延び延びになっている。そういうずれはどんなふうに解釈するのですか。
 かりに七十八年、ちょっと大臣聞いてもらいたいのだが、私は昭和と西歴書いてきたのですよ。頭ごちゃごちゃになっちまうんです。一体天皇陛下が昭和七十九年――こういうこともちょっとたいへんなニュースですよ、これは。これはひとつ大臣御相談の上、科学に関する限りは、ことに国際関係が非常に密接な場合、契約でも何でも科学に関する限りは西歴をとったほうがいいと思うんです。原子力長期計画なんという本もありますが、昭和もあれば一九八〇年もある。一々よほど頭のいい人でなければこれは読めないです、こんなものは。これはひとつ別途に御答弁いただくとして、炉をこれからつくっていくのですから、つくってもたもたしているうちには首出してしまうのですよ、二〇〇三年の条約協定期間をはずれてしまうのだがね。一つは八年間オーバーしてしまう。片方は十三年もオーバーしてしまう。これはどういうことになりますか。
#19
○政府委員(成田壽治君) 昭和六十年ごろ稼働して二十五年、三十年もつと相当協定をはみ出す場合も考えられますが、その場合でも軽水炉として十分機能を発揮できる場合は、燃料協定の延長ということも考えられると思いますが、その間どういう技術進歩によって、はたしてその炉を三十年間動かすのが妥当かどうかという将来の問題として考えて結論を出すべき問題だと思います。
#20
○森元治郎君 もうあなたは電力会社からけつはたかれて、六千万、六千万、六千万と、それとることばかり夢中で、先のことはわからないから、二十一世紀まで成田さんに聞いても無理かもしれないが、何か先のほうはぼやんとしているのですよ、この協定をこうやって読んで勉強して感ずることは、電力会社はあっちこっちから首出してきて、成田さんがけつはたかれておたおたしておるような感じが非常ににじみ出るおもしろい協定ですね、これは。
 そこで先へ進んで、いよいよ六千万キロワットを六十年に出力させたい、これに必用な濃縮ウランは約千トンということになりますかね、それを確保することに一生懸命なところですよ。
 それはそれとして、従来の現行協定の附表にある二十七基、これが一体どんなふうに動いているのですか。これがもう全部完成して燃料をちょうだいして動いていて、これで足りなくて今度の協定ができたのじゃなくて、この二十七基そのものがさっぱり動いていないのじゃないか、その現実を教えてください。附表にある、私の手元にあるのは昨年の増ワクのものを持っておるのですが、日本国濃縮ウランの動力用原子炉計画、建設完了、建設中、計画中、その後どういう変化がありますか。この二十七基について建設完了、敦賀、福島第一、美浜第一、これはもうどうなっているのか。建設中のうちで建設完了して、イニシアルコーアに燃料入れて始まったのか、そこらの数字を教えて下さい。
#21
○政府委員(成田壽治君) 現行協定の附表による二十七基のうちで建設完了は、ここにありますように敦賀、福島第一、美浜第一、美浜第二、現在この四基でございます。
 それから建設中がこの附表では十六基になっておりますが、その後、中部電力の浜岡第二号が先月政府の許可が出まして建設に入っております。したがいまして、計画中のうちの二十一番の浜岡第二号が建設中に入っております。
 それから計画中、これは二十二番の福島第II第一号から二十七番の北海道第一号まででありますが、現在政府に申請のありますのは福島第II第一号、東京電力、これだけ、これが現在審査中でございます。したがって、現在の時点のまあ計画中は、この福島第IIから二十七番までの六基でございます。
 それから全体のうちで燃料計画が終わっております燃料の契約済みが十五基、建設完了は当然でありますが、建設中の最初のほうにありますものが十一基燃料契約済みであります。これが現時点の状況であります。ただ、政府の計画を終わりまして、ここで建設中というものでも、たとえば東北電力の女川第一号のように、一昨年許可がおりておりますが、地元等の問題がありまして、建設の進捗率はゼロに近いというものも実際は入っております。
#22
○森元治郎君 この動力用原子炉計画、いまのお話のようなもの、表で下さいとお願いしたんだが、まだ手元にこないんですがね、前にはお願いしてあったんですよ。いまからでもおそくないから、あとで出してもらいたいと思うんです。
 こうやってみると、計画と実際はなかなかうまく進まないで、ここにある建設開始の時期だけはまあ印刷はしているが、現実に建設は思うようにいかない。できて許可申請の段階になっても、地元の反対があってもたもたしている。だからこの二十七基思うとおりに進んでいない現状。そこへもってきて、今度は六千万キロワットに必要な六十年を目当てとして、それだけの電力を出そうとしている。これはたいへんなことだと思うんですね。その燃料の手当てを今度したわけですが、自信のほどはどうなっているんですか。
#23
○政府委員(成田壽治君) まあこの協定のワクの根拠になっておりますところの六千万キロワットの発電規模というのは、昨年原子力委員会が約一年間にわたって専門部会をつくって検討した結果、昭和六十年で六千万キロワット、これは電力エネルギーの需給上から見て、どうしても原子力は六千万キロワット必要であるという考え方から計画ができておるわけでございます。ただ、これを、いま御指摘のように今年中、昭和四十八年中に着工すべき二十七基の炉につきましても、附表に見るとおり、かなり実際はおくれております。これはいろんな理由がありますが、原子炉の安全性に対する不安あるいは温排水等の環境の問題、あるいは原子力発電がその地域の開発にあまりプラスにならないという、地域開発等のメリットがないというそういう問題、いろんな問題がいま起きておりまして、安全環境問題あるいはその他の問題についても政府としてもいろんな力を入れてやっておりますので、われわれは長期的な見通しとしては昭和六十年度、六千万キロワットの達成をぜひ実現したい。しないと、ことに火力発電等、石油を中心としたものについては、原油の手当て等のいろんな供給不安等の問題もありますので、原子力発電の六千万キロワットはエネルギー対策上ぜひ実現したい。そのために安全対策あるいは環境問題、あるいは地域経済との調整の問題、いろんな方策を実施し、また検討中でありまして、われわれとしては昭和六十年度、六千万キロワットの原子力発電の規模はぜひ実現したい。そのためにまた施策を強力に進めたい。そういうふうに考えておりますが、現実的には先ほど言いました事情によって、現時点においてはかなり計画がおくれているということは事実でございます。
#24
○森元治郎君 六千万キロワットは六十年に出したい。出すためにはどういう順序になりますか。出すためには、まず原子炉をつくらなくちゃなりませんね。もちろんアメリカと核燃料のウラン取引の引き取りの契約もしなければならぬ。炉もつくらなければならぬ。どこにつくるか、幾つつくるか、いろいろ問題、これそういう手だてがなければならぬと思う。ところが衆議院での科学技術庁の答弁は、主として成田局長がやっておりましたが、具体的な原子力発電建設計画というものは、これは別個の問題だというので、衆議院ではあまりこの別個の問題を、一番大事なところ抜けちゃっていたような感じがするんですがね。この別個の問題というのは実に大問題な発言だと思うのですがね。六千万出すったって、忍術で出すわけじゃないんだからね。これはこうやってこうやってつくっていって六千万になるとというのに、それは別個の問題ですといってがんとして触れないし、どうした都合かこっちも攻めなかったんですがね。これが私のきょうの質問の焦点なんですよ。どうやって出すんでしょう、あらましの御計画を。
#25
○政府委員(成田壽治君) 昭和六十年度、六千万キロワットというのは、これは日本の電力需要全体の必要から見まして大体二億四千万キロワットの電力設備需要からしまして必要であると。これを水力、火力、原子力に分けまして、原子力はその四分の一の六千万キロワットが必要であるという、これは電力の需給からくるマクロ的な必要規模として六千万キロワットが描かれたわけでございます。この六千万キロワットが具体的にどういう発電所の計画として出てくるかというのは、これは電力会社が具体的な計画をつくって、それによってきまっていく問題でありまして、六千万キロワットの計画を原子力委員会が立てた時点におきまして、どこの会社がどの地点に幾らの発電所をつくるかという具体的な内訳はできていない、そういう意味でございます。したがって、原子力発電所を電力会社がつくる場合は、大体建設期間に五年を要しますので、五年前に政府の許可を取る必要があるわけであります。したがって、政府の安全審査あるいはその前になるところの電調審――電源開発促進法による電調審の開発計画に組み入れば政府の申請の前にやりますので、その大体一年ぐらい前には電調審にその地点の計画として具体化されるおけであります。したがって、六年ぐらい前から具体的な計画として政府にあがってまいるのでありますが、昭和六十年度六千万キロワットは、どの会社がどの地点でどれだけの具体的な計画を持っているかというのは、この六千万キロワットのデータとしてはないということで、これはマクロ的な必要規模でございます。具体的な計画は、稼働の六年前から、政府の電調審等への組み入れあるいは政府に対する許可申請として、具体的な計画をもって、電気事業者の計画としてあがってくるわけでございます。
#26
○森元治郎君 どうもそこのところがわからないのだが、そうすると政府は昭和六十年、六千万キロワット発電に必要な濃縮ウランの賃濃縮を頼んだ、電力会社からこういう、電力会社の原子力の長期計画でこういうところだというので、ただ交渉だけをやったわけですか。何もその他のことは知らないで、発電計画各会社がどんな気持ちを持っているんだか、計画書を見せなければ、これは秘密でもあるでしょうし、いろいろあるが、おおよその話くらい聞いてやっているんじゃないんですか。何も知らないでただやっているんですか、交渉は。
#27
○政府委員(成田壽治君) 原子力委員会の六千万キロワット、これはマクロ的な計算から出ておりますが、ただ別個電気事業が電気会社の長期的な、これは電気連合会とか中央協議会等の、そういう電力会社の団体等による調査もいろいろ、これは各電力会社の企業としての計画、そういうものも、まあこれは政府の計画じゃありませんが、そういうものも電力会社間では持っているようでありまして、これは通産省の問題としてそういうのも一応参考にはしておるようでありますが、六千万キロワットというのは、むしろ原子力委員会の計画としてはマクロ的なエネルギー需給、電力需給から考えた線であります。ただ、電力会社が持っているいろんな計画を見ましても、六千万キロワットというのは決して大き過ぎるとかあるいは小さ過ぎるというものではないという、そういう確認は行なっております。
#28
○森元治郎君 どうもね、これはそれだけの発電するには、各会社の、正式でなくても、ある程度のものはあなたも知っていると思うんだが、へたに出すと、これは原子力発電所ができるんですから、これはもうハチの巣つついたようなことになるというおそれもあると思うんですね。そこらで、あなたらにはこっそり見せているけれども国民には見せない。ただこの協定だけまず通しちまえばあとはといったような様子がここでも見えるんですね。勘ぐりですかね。
#29
○国務大臣(前田佳都男君) この六万メガワットにつきまして、具体的計画との関連という点が明確じゃないじゃないかという御質問だと思います。これは、先刻来成田君からるる御説明をいたしておりまするように、六万メガワットは昭和六十年度における原子力長期開発利用計画における原子力発電の目標でございまして、それについての必要な燃料を確保しようという、セーリングといいますか、それを確保しようというのが今回の改定の協定でございますことは、先生御承知のとおりでございますが、さて、その具体的計画との関連をどうも政府は隠しておるんじゃないかというふうな、まあそういう御指摘かどうかしりませんけれども、そういった意図は全然ございません。この点につきましては、別に具体的な計画というものは、やはり原子炉規制法とか電気事業法とか、それによりまして慎重にいろんな手続を経て、先ほど申しましたような電調審であるとか、あるいは原子炉安全審査会とか、いろいろな手続を経てやりまするので、その間また地元の理解と協力を得られない場合もあったりして、いろいろその関係でなかなか思うとおりに進んでいないことは事実です。しかし、どの地点にどういうふうな発電所を置こうというふうなことは、具体的に現在そういうことはきめていないのでございます。別に隠しておるわけではございません。
#30
○森元治郎君 私は、長官が隠しているというのを言っているんじゃなくて、発電会社、九電力、そういうところでは持っているんだろうが、ただ見せないんだろうと思うし、あるいは見せてもちょっと見せて引っ込めちまう場合もあるだろうし、いろいろ、電力会社は当然六十年に期待されたように発電しようというんですから、計画なしなんということは、これはとうていあり得ない。ただ、あなたが言える立場にないとか、それは電力会社に聞けというなら、ほんとは九電力会社全部ここへすわらしておいてやったほうがよかったんですが、ちょっと時間の都合でやれなかったけれども、これはけしからぬのだよ。どうしても聞きたいんだな、これは。それじゃ成田さん、局長さん、原子力発電でいま六千万キロワット、皆さんしろうとは百万キロワット出力のあるもの、六千万だから六十の原子炉ができるんでしょうと、しかも専門家の方に伺えば、百万キロワットないし百十万キロワットぐらいがちょうどあの軽水炉の場合、実績から見て適当な一番上の大きさじゃなかろうかというようなお話を聞けば百万キロワットが六十もできる、これから。こしらえなければならないんですね。そうですね。これはどんなばかでも算術やりゃすぐ出てくる答えなんですね。六十、そういう計算になりますね。成田さん、それだけ伺います。どうですか。
#31
○政府委員(成田壽治君) 六千万キロワット、大体一基百万としますと六十基ということになります。いま最高が百十七万くらいまでいっておりますが、大体六十基内外という、会社によっては六十万とか八十万より少ないのもありますので、大体そういう見当だろうと思います。
#32
○森元治郎君 そうすると、成田さん、それくらいなものは、やっぱり六十くらいはないと六千万キロワットの電力は出ないということはわかったわけですよ。
 そこでこれは非常にむずかしいんだが、教えてください。これは教えをこいます。これから燃料契約をして、来年末までにAECとの間に各電力会社がそれぞれ契約を結ぶわけですね、それぞれ、一人一人が。それからまた一方、八年前に契約をしてくれというようなこと、ただ口契約じゃなくて、がっちりしていて、頭金までぴしゃっと、三百三十万ドルでしたっけか、そんな頭金もぴしゃっと取る。がんじがらめにしてきて、そしてまた国内では建てるという話があるところで聞けば地元の反対がある、たいへんなてんやわんや、つくりたい、国内対策、アメリカとの契約の交渉、そうしますと、一番早くできる、すべての条件がある地点でよろしいという、たいへんけっこうです、原子力発電なんておっかなくありません、何ぼでも来てくださいなんというところがあるかもしらぬ、万が一。そういうところができたんならすぐこれは金の手当てさえすればできるんですから、一番早くそういういろんな手続、国内手続、総理大臣の許可がおりたり、原子力の審査したり、いろんな原子力規制法による手続だなんだ全部含めて、こまかいことを言ったら時間ありませんから、一番早くできるのはきょうから、四十八年、協定でき上がる、交渉する、そして工場がだんだんできてくる、そこへ燃料を入れる、臨界になる、動きだす、はいこれで発電完成、運転開始、何年、どういう経過で何年かかりましょう、条件がすべてうまくいった場合、すいすいといった場合。それがわからなければだめだ。うまくいった場合。
#33
○政府委員(成田壽治君) 今度の改定協定は、来年以降に着工する炉、来年度以降の着工分のものでありますので、昭和四十九年に着工するというためには建設期間に五、六年かかりますと、稼働が昭和五十四年、五十五年ごろに早いものは稼働ということになると思います。ただそのためには、地元の了解はもちろん、電調審あるいは安全審査会による政府の審査許可が要りますので、それが来年中におりて、そして来年中に着工できるとしても大体昭和五十四年か五年ごろの稼働というふうになると思います。
#34
○森元治郎君 それで契約は、電力会社はこの協定が成立しますと、待ってましたとばかりにアメリカと交渉するのですが、この交渉の手続というのは時間がかからないのですか、かかるのですか。
#35
○政府委員(成田壽治君) アメリカの原子力委員会の新しい濃縮役務基準、ニュークライテリア、これが五月に発効になりまして、それを見ますと、初装荷用の濃縮ウランの濃縮役務契約は、燃料の引き取りの八年前までに契約を締結することというふうになっております。で、濃縮ウラン燃料の引き取りというのは、大体稼働の一年半か二年くらい前につくりますので、その引き取り時期の八年前ということは、稼働の九年から十年くらい前ということになります。したがいまして、今後十年くらい先までの稼働すべき会社が考えている炉については、新しいクライテリアによって早急に納入、新濃縮役務契約による契約を締結せざるを得ない。今度経過規定がありまして、来年の六月までにこういう今後八年前までにやることになりますが、それよりも早いものについては、全部来年の六月までに経過規定によって契約を締結することになっておりますので、この改定協定ができますと、電力会社は早急にAECと交渉を行なって、そうして経過規定の期限である来年六月までに相当なものの濃縮役務契約を新しいクライテリアによって契約を締結し、そうして必要な前払い金も支払うことになると思います。
#36
○森元治郎君 そうすると、この会社とアメリカAECとの交渉手続というのは、国内的なものに関連なしに、向こうへ契約を申し入れて買い付けの約束をすることができるのですね。これには計画書はつけて出さなくてもいいのですか、てまえどもの会社では百万キロワットを二つでこうだこうだといった契約内容は、向こうに一緒に添えて出さなくていいのですか、ただ燃料の取得についての手続だけやるのですか。
#37
○政府委員(成田壽治君) 電力会社が自分の計画によってアメリカの原子力委員会に向こうのきめましたフォームによってコントラクトのドラフトを出して、向こうの審査によってやるわけでありますが、ただこの場合は、為替管理法による契約の許可も必要でありますし、それから協定によって、こういう日米原子力協定によって契約をやりますので、当然協定によるオーソライズドパースンという、オーソライゼーションの手続も必要でありますので、貿易為替管理法の問題あるいは協定の運用の問題として日本政府にもそういう手続はとるたてまえになっております。
#38
○森元治郎君 いや私が聞いているのは、会社が向こうへ契約するときにはてまえどもの会社では、関西電力でございますと、てまえどもじゃ三つつくるつもりでございますと、大きさはどのくらいで、こうでこうでといったようなことは、添付して出さなくていいのかというのです。
#39
○政府委員(成田壽治君) 一応建設の時期、稼働の時期、容量等については添付して出す、会社の案として出すことになります。
#40
○森元治郎君 そうすると、その契約するときには、日本政府がこの会社をオーソライズ、これは軍事的利用なんかするおそれのないりっぱな会社で、こうでございますという、政府はオーソライズするんですよね、一つの会社を。そしていまのお話のあるように、初めていろんな、どういう容量の原子炉であるかどうかということもつけて出すとなれば、その段階では政府は初めて、各会社がどんなことをたくらんでいるのかということは、初めてはっきりするわけですね。そうすると、それまで待っていれば、あなた方は知っているだろうが、それまで待っていれば、それは公表されますね、その段階で。
#41
○政府委員(成田壽治君) それは協定上のオーソライゼーションの手続もありますし、それから為替管理法の問題もありますので、当然どこの会社が何年稼働で、どういう容量の計画を持ってウラン濃縮の購入契約を結ぼうとしているか、それは当然公表いたします。
#42
○森元治郎君 しかし、せっかく電力会社のために政府が代弁者となってアメリカと折衝しているのに、おまえはどんなものをつくるんだかわからないなんて、持ってこいとも言わないっていうのはおかしいと思うんだな、これ。言う、言わないは別ですよ。知っているが言えないと、どうですか、知っているはずでしょう、当然。
#43
○政府委員(成田壽治君) われわれはあんまり、ただ企業別には、いままで地点が入らない東電何号炉、中部電力何号炉と、そういうような計画として会社の計画を持っているようでありまして、具体的にその計画がどの地点につくるか、そういう確定的な計画としては、実際確定もしておらず、またわれわれもそういう形では聞いてないのであります。
#44
○森元治郎君 大体しろうと式に割算すれば、六十基が要ると、九電力があると、平均して六十基を九電力で――電力会社だけ、東海村別にして、電力会社九つで割れば五つかそこらですわな、平均すれば、そういうことになる。
 それから、これは一番大事なことは、環境汚染とかあるいは安全環境の問題は、辻さん、専門家がおられるから譲りますけれども、大体どこに建てるかといったって、海の中へ建てるわけでもないし、どろ沼に建てるわけでもない。まあ地震でがたがたしないとことか、水がたくさんあるとこですね。それからあまり人が住んでいないとこといったようなとこをさがしていくと、だんだんなくなってきて、私は古い調査は知りませんが、常識的な記憶でいくと、そんなような条件にかなうところというのは、海のふちしかないと、日本の。それがだんだん残るところはもう非常に少ない。立地の条件からも建てるところはおよそ自然にきまってくる、その三つの条件から。非常にむずかしいと思う。これは燃料確保のアメリカの手続の問題あとで伺いますけれども、国内の環境の整備から、安全性の確保から、危険な廃棄物の処理だの、輸送だのという問題を考えると、とてもこれは年を追うごとに、公害の問題を国民がようやくだれも真剣に感じ始めたときに、国内にこれから昭和六十年までに六十の丸坊主みたいな原子炉があっちこっちにどさっとできるとは想像されないですね。局長、六十年に六千万キロワットできるような原子炉がほんとにできると思っているんですか。相当ジグザグがあると思うんですね。一つの会社は早くうまくいってできたかもしれぬが、ほかはおそい。そろって六千万目ざして力が、電気出力が出るような施設が一線にそろうということは想像されないんですがね。どの辺に考えておられますか。長期計画はできますよ、学者が集まって、全体から見て二億四千万の二五%は出そうしゃないかと、それは六十年ぐらいがよかろう――よかろうぐらいのことは、それはひまな人は言いますがね。現実政治見たらできると思っていますか、確信を、どうですか。
#45
○政府委員(成田壽治君) 昭和六十年度に六千万、これは九電力が、まあ原子力発電株式会社は十電力でございますが、各社いまのバランスで一斉につくるということでなくて、やはり非常に需要にもでこぼこがありますので、需要の旺盛なところ、しかもサイトの問題がありますので、実現については非常にいろんな問題あると思います。ことに日本は、御指摘のように、ヨーロッパやアメリカのように内陸に原子力発電所をつくるということは非常に可能性は少ない。どうしても海岸地帯ということになると思います。それで、六千万キロワット、これは適当な地域があるとかなり集中化ということも当然考えられると思いますが、それでも適当なサイトが十数カ所日本の海岸線に見つけ得るかどうかという問題、いろんな安全の問題、環境の問題、その他地域開発との関係の問題等、そういう対策を強力に進めることによってわれわれは将来の、いまかなりおくれておりますが、将来の問題としては六千万キロワットが、少なくとも原子力発電そのくらいはつくらないと非常に困る事態になるんで、そういう目標に進むため、実現のために大いに強力な手を打っていかないといけないと、そういう意味では可能性があるというふうに考えております。
#46
○森元治郎君 まあ努力目標ということで、あなた幾ら責めても、あなたばかり責めても何ともならぬが、こんなものはできっこないです。いまおっしゃった、人がいなければいいんだというばかしでない、やっぱり。いま火力発電問題が新聞でだいぶ出ているが、人のたくさん住んでいる近所にやっぱり電力がないと、送電という関係もあるんでしょう。そうなると、ますますこれは私はできないと思う。そこで、こういう疑問がわくんですがね。それを承知で電力会社はただウランの買い占め、賃濃縮だけのワクをそれぞれの会社はうまくとっておこう、保留しておこう、ストックしておこう。しかも今度の協定では、自分が持っていてもよし、なければ隣の電力会社にやってもよし、あるいは第三国にトランスファーすることもかまわないというところがあるところを見ると、もうある会社によっては、少しぐらい頭金を損しても何かこういう権利、ワクだけ自分じゃとっておきたいというのもあるんじゃないかと思うんです。
 それからもう一つ、この電力が、かりに六千万キロワットを出そうという昭和六十年、それから七十年代、八十年の初めにかけて転換炉とか、その炉の改良が、あなた方の資料によっても異常な進歩を示しそうであるし、国産炉も国産炉で濃縮も日本の必要量の何分の一かは出そうだと、あんまりはやって軽水炉なんか買い込んできて、またどこかから空気が漏れたとか水が漏れたとか、突き飛ばされるよりは、うろうろしているうちには新しいまぼろしの原子炉も出てくる。へたにここで、なるほどクラシックであって安定性はあるが、古いものをつくるよりは、よろよろしていて、そしてその点で乗りかえていったほうが得だというのもあるだろうと思うのです。私はひとつ質問の形とすれば、電力会社は必ず飛びついたようにそれぞれアメリカに向かって交渉を開始すると思いますか、日本の電力会社は。
#47
○政府委員(成田壽治君) 新しい濃縮ウランのクライテリアによりますと、初装荷燃料を引き取るのは八年前、したがって、稼働の十年ぐらい前の分を来年の六月までに契約を締結しないといけませんので、私たちは電力会社がおのおのの計画によって来年六月まで相当なものを契約するのではないかというふうに見ております。ただ、会社がそういう計画を持っておっても、地元の反対あるいはいろいろな事情によってその計画ができなくなった場合は、前払い金没収になるとか、そういうことではなくて、お互いに融通ができるということもアメリカ当局もはっきり言っておりますので、そういう面からしましても、かなりのものが来年六月の経過規程の締め切りまでには契約されるものというふうにわれわれは見ております。
#48
○森元治郎君 これは電力会社と一口に言うけれども、みんなこれは違う会社ですから、それぞれ秘密を持ち、自分の会社の配当が大きくなることを望んでいる人たちですからね。融通するといっても、できもしないやつでもたくさん申請するような顔するやつもあるだろうし、いろいろ作戦、これはおもしろい裏話が出てくると思うのだな、対米交渉では。来年六月まで契約しなければもうだめですね、おそくて。あとお願いしますということはできないのですね、燃料くださいということは、賃濃してくださいということはもうできないのですね。
#49
○政府委員(成田壽治君) その場合は引き取りがおくれると、稼働がおくれるということになります。ただ、先ほど言いましたように、融通の原則といいますか、いまあるA電力会社が契約してそれがいろいろな事情でおくれるという場合は、同じような百万キロの炉をB会社がそれを融通してもらえるということは、AECも自分に不当な、損のない限りは自動的に認めるというようなことを言っておりますので、そういう他の同業者からの融通ということは考えられますが、それがない限りは自分の計画が契約してないと引き取り並びに稼働がおくれるということになると思います。
#50
○森元治郎君 これは私は六千万キロワットはとてもできない。できないことをわかっていてなぜやるのだか、そこらまだちょっとにわかに私理解できないのだが、何か燃料の確保だけしたいということだけをあせっているようだが、政府はやはりできないものはできない、わかりますから。建てる場所がさっきおっしゃったように全国でいいところだなと思うのが残されているところは十数カ所で、そこに二つとか三つとか建てるのでしょう。それが簡単に建つか建たないかは常識でわかるのですよね。できないものだったら、私はやはりみんな庶民、原子力科学にうとい一般人、もう少し待ったらというのが一般人の気持ちだと思うのですね。ただし、科学技術は実験を捨てて突然やったってできない。やはり実験の積み重ねですから、実験的な炉を幾つか維持し、徹底した研究を続けることはいいが、商業的なものを、危険性がまだ解明されないものをあせってつくる必要はない。その間は節電などによって六十年に四千キロワットのうちに、ニクソン方式ではないにしても、五%、一〇%の節電というようなことで押えつつ、実現可能な科学技術をよく維持し、発展させる実験のほうには力を入れていって、そうしてあと十五年もすれば、増殖炉もあれば、転換炉もあれば、ウラン濃縮の方式も、現行のガス拡散法よりよいといわれる遠心分離法によるものもできそうだと大体世論はできている。それから核の融合、こういうこともこと十七、八年の間には現実のものとなり得るという、目の前にあるのなら、あせって旧式のアメリカの軽水炉などを買い込んで、独占的な価格でアメリカのウランを長く買い続けていくということは私はとるべきじゃない。じっくりいくべきだというのが一般の人の気持ちなんですよ、これ。どうですか前田大臣、じっくりいく、ただ出力、出力なんてよけいな架空な計算をしないで。
#51
○国務大臣(前田佳都男君) そうあわてないで、じっくりと安全性とか、そういう点を科学的に十分解明をして、しかる後に燃料の確保というふうなものを考えてはどうかというふうな御質問だと思いますが……。
#52
○森元治郎君 いやいや、それだけじゃない。それだけだとつまらないんですよ。私は、やはり原子力開発をどんどんやるんですよ。やりつつ、それも加えてください。これは全部やらないで、安全対策ができてから、さあ、発電しましょうといったってとてもじゃない、間に合わない、そんなことは。やはりやりつつ。
#53
○国務大臣(前田佳都男君) まず、原子力発電につきましては、安全性の確保ということが非常に大事な問題でございますので、現在でもこの安全性の確保ということにつきましては、原子力発電を許可いたしまする場合は、原子炉安全審査会というのにかけまして、その安全性というものを十分確認いたしましてこれを許可しております。また、許可後におきましても、通産省が工事計画の認可であるとか、あるいは使用前検査であるとか、定期検査とか、いろいろ水漏れがあったとか、何が漏れたというふうなことをいわれますけれども、とにもかくにもいろいろ許可後におきましてもその安全性の確保のためには十分な努力をいたしております。
 その他、環境問題が最近非常に大きな問題でございますが、これにつきましても、これまではやはり地元の知事等の意見も聞き、温排水につきましても、環境庁でその排水計画をすみやかにつくってもらうように、実はいまその基準の決定を急いでもらっております。また、具体的には通産省に環境調査もお願いしておると、そうしてそれらのものに基づいて環境問題というものを原子力委員会で判断しているわけでございますが、今後また公聴会制度というようなものを設けて地元の意見も聞くと、なまの声を聞くと、そうしてまた、その意見については関係官庁に調査もしてもらうう。そうしてわれわれの原子力委員会に環境問題のコンサルティンググループというようなものもつくりましてその意見も聞いて、そういう環境問題についてもこれまで以上に非常に積極的に取り組みますので、私は、原子力発電についての理解と協力というものはだんだん得られていくんじゃないかというふうに実は考えております。したがいまして、確かに日本列島のうちで原子力発電の立地に向いたところが少なくなるんではないかという先生の御指摘でございますが、地区によってはスムーズにいっていないところもございますけれども、マクロ的には六千万キロワットというものはやっぱり必要であるというわれわれのその長期計画というものは現在別に変える考え方はございませんで、これに対する燃料の確保というものはどうしても必要であるというわけで今回の原子力協定を実はお願いしておるわけでございます。それと同時に、自主開発と申しましょうか、ATRであるとか、FBRであるとか、それから現在の軽水路についてもその安全性、自主性、技術の開発ということに力を入れておりますし、核融合につきましても、原子力委員会に核融合懇談会というものを設けまして、そうして現在核融合につきましてはもうクリーンエネルギーとして一番期待できると思います。その意味において先生御承知のように、いま核融合につきましてもソビエト、アメリカに比べましては日本の現在の実験段階では一番いいレコードを出しておるようでありまして、その点においてもよその国に負けないようにこれを進めてクリーンエネルギーの確保ということにもあわしていきたいということを考えております。
#54
○森元治郎君 私の申し上げたのがよくおわかりにならないようなんだが、私の言うのはやっぱり原子力私はやるべきであり、立てて、そして新しい炉の研究でも何でもどんどんおやりになることはぜひやらなくちゃならぬ。ただ完全に安全になって、もうだいじょうぶだからこれのんでもいいよというまで待っててやったらいいだろうということを言っているんじゃないんで、ただあせって六千万と言ったって現実問題として六千万を私は達成は不可能である、不可能であるということを十二分に予見されるのに、ただそのときの六十年度の日本全体二億四千万の二五%に当たる六千万は原子力でいくほかない、火力と水力じゃ無理だから計算でいくんだという目標のお話は、それは気持ちとしてはわかるが、そんなことはできないから、それよりはゆっくり私の言ったような方式であと十七、八年もたてば必ずできそうな事態になってきていることはあなた方おわかりだからということを言っているんです。そこで成田さんね、こういうすばらしいものがどんどん十七、八年後にできてきて二十年後に実用化されると、そうすると、かりに電力会社が六十基全部おっ建てる契約をまあアメリカとした、いいのが出てきた、とてもその効率はよろしい、安い、軽くて小さい――まあそういくかどうか私はわからぬけれども、たいへん便利なものができたというときに、効率の悪いものでもまた燃料を買って燃やし続けるのか、そこでそんなものは捨てちまうのか、そういうズレの段階がもう二十年、条約期間三十年のうち二十年にはもう出てくると思うんですね。そのときに、一体、またおれのを補償しろなんて会社のことだからずうずうしいから言い出すだろうと思うんだけれどもね、わかり切っているのに六十こしらえてこれどうします。そういう科学技術の進展といまの計画がおかしくなる事態が二十年後には来ると、二十年、そのときの、いまの軽水炉かりに六十基あったとしたら――六十基なけりゃ出ないんですから、六千万キロワットは出ないんだから、あなたのほうで出したい、希望したい、どうぞ本国会でもすみやかに成立さしてくださいとお願いしておいて、できた、いいものができた、途中で、捨てるか捨てないか、どうします。そんな損なものをたいていることは国民は許しませんよ、それは。高い電力は。もっと安い電力を買いたくなる、そのときにいまつくったやつはどうするんですかと言うんです。まだ寿命は十年なり十五年、七、八年ある。どうします。
#55
○政府委員(成田壽治君) 原子力委員会の長期計画によりますと、昭和六十年度、六千万キロワット、これは全部軽水炉で考えています。昭和六十五年度一億キロワット、このうちでいま動燃事業団がやっておるところのATR、新型転換炉それから高速増殖炉、高速増殖炉は六十五年度以降が主体だと思いますが、ATR、新型転換炉等が、大体一億のうち一割くらいは新型転換炉が入るだろうと、したがってまあ九千万キロワットはその場合でも軽水炉じゃないだろうかという考え方をとっておりまして、軽水炉時代というのは相当続くであろうと、したがって、昭和六十五年度以降になりますと高速増殖炉が入ってきましても軽水炉――非常に電力需要の伸びが大きいものですから、増分の全部ではない、増分のかなりの程度々FBRあるいはATR等によって補いますが、軽水炉については六千万はもちろん六十五年度で九千万ぐらい、あるいは相当増加していって、そしてまあ炉というのはいろんな多元化といいますか、それで軽水炉も、相当高速増殖炉がふえましてもプルトニウム、燃料の関係等もあって軽水炉も存続していく必要が当然あるだろうと思います。ただ御指摘のように非常に経済性において明らかに格差がある場合はそれは配置とかいろんなことを考えますが、いまのところは軽水炉時代というのは昭和六十五年度以降においても相当続いてそうして六十五年度のだんだん――FBR、高速増殖炉のウエートがだんだん高まっていくと、そういう意味でウラン濃縮を使うところの軽水炉というのは相当な期間にわたって続くであろうという考え方をとっております。
#56
○森元治郎君 まあ森さんの言うとおりだなんと言うとこれはぺしゃんこになっちゃうからね。何でこんな法案を出すんだとやっぱり期待を持った御答弁をしないとこれはこの場はしのげないという気持ちはわかるけれどもね。実際問題としてあなた十五年後くらいにそういう時代がもう来るんですね。こういうことを考えるとこのあせるなという私の意味はおわかりになるだろうと思う。できもしないことをしかも。そうして高い目標は掲げると。国内対策のほうはあとで辻さんにおまかせしますが、そういうことをこの協定を見て感じます。
 もう一つ最後に伺いたいのは、いわゆるクライテリア――一つの準拠すべきものですな、これ、濃縮ウランの取引の。私はざあっと読んだのであんまり詳しくは知らぬが、非常にきびしいということはこれはだれが見てもわかるわけですね。この協定の交渉は昨年の初めから始まっていてことしの三月の二十八日にこの協定はでき上がったわけですね。で、アメリカがあのクライテリアを発表したのはことしの二月ですね、ことしの二月。驚いた日本原子力産業会議があまりひどいじゃないか、八年前の契約を四年にしてくれとか泣き言みたいな、ほんとうに気の毒な、陳述書、要望を原子力委員会に出したけれども、聞きおかれたんだかどうか五月に公付されてやっぱり実行されちゃったんですね。一体政府は、交渉の途中にアメリカ側のこういうクライテリアが出るということを察知できなかったのか。その間何をしていたか。もしわかっていれば、相当牽制することもできたと思うんですが、こっちは次元の高い条約交渉をやっている、実態ではひどい目を――アメリカは、当時AECは考えていた――どういう交渉をやっていましたか。
#57
○政府委員(成田壽治君) 新しいクライテリアがまあ二月ごろドラフトとして出まして、日本政府もこれは非常に大きな大問題であるというのでことしの三月に日米原子力会談、東京で行なわれまして、アメリカの原子力委員会等もこちらへ来、日本の原子力委員長、委員会その会談においても強く日本側から要請をしたわけでございます。それからその前後にアメリカの原子力の上院、下院の合同委員会の有力者が日本に、向こうの国会議員が参りまして、その際日本政府とも当時アメリカの合同委員会にかかっておりましたので、そのドラフト、これは日本の原子力発電の推進上非常に大きな問題であるというので、アメリカの国会議員の代表の方にも強くその影響の大きいことを、そして直してもらう点を強く要求したわけでございます。で、その後、日本側の要求によったわけじゃありませんが、アメリカの合同委員会、国会で公聴会をやるというので、アメリカの関係者だけでなくて、日本、ヨーロッパからも参考人として陳述者が行き、日本からも原産の代表の方が行っていろいろ日本側の主張を述べたのでありますが、その結果として、アメリカの原子力委員会の案は、大綱においては変わっておりませんが、実際の運用においては、このクライテリアは、日本だけじゃなくて、当然ヨーロッパあるいはアメリカの消費者とも、内外の顧客の差別は行なわないということもはっきりさせ、また、いろんな発電計画等の変更によって、その後の事情によって、契約を結んだあとにおいても、事情変更の場合は融通を相当考える。日本のワク内においては日本の電力業界同士において融通を考える。いろんな点の運用上の配慮はしてもらいましたが、しかし、クライテリア自体の内容としては、大綱はあまり変わらなかったわけでございます。これは濃縮ウランの供給側であるアメリカ――従来はアメリカ原子力委員会は三工場持っておりますが、稼働率が大体三割か四割以下という状況において供給しておる事態と、今後世界の濃縮ウランの需要がどんどんふえて能力が一ぱいになって、三工場の増強計画も九億ドル近い金を投じてやらぬといかぬという、非常に供給が需要に追いつかないという事態の変更が背景にありまして、アメリカとしては八年前からこのクライテリアによって顧客の契約をとって、そして前払い金をもらって、その金によって、これは内外を問わないのでありますが、設備の増強等に充てていくという考え方からきた基準でありまして、アメリカの電力会社と日本の電力会社を差別はしないということをはっきりうたっておりますので、いたしかたないという結論になっておりますが、その過程においては、アメリカの原子力委員会、あるいはアメリカの合同原子力委員会、国会、その他と非常に強力な交渉は行なったのであります。
#58
○森元治郎君 私は外交当局に伺っているのですが、ワシントン駐在成田科学技術官の答弁みたいな答弁聞いちゃったけれども、外務当局が交渉してて、こんなことは一体知らないのかということを聞いているのです。
#59
○政府委員(影井梅夫君) 日米間でこの改正議定書の交渉を行なっております過程におきましては、このような新契約基準という形のものが出るだろうということは私ども十分に承知しておりませんでした。
#60
○森元治郎君 それを怠慢というのですね。
 一体原子力問題というのは、日本はアメリカにしかたよるほかない。きょう現在は少なくともあそこにたよるほかないのですから、向こうがどう出るかということはやっぱり――あそこには科学技術庁のアタッシェも行っているのでしょう当然然。行っているし、あなた方も注意しなければいかぬと思う。出してみたらば、ちょっと旧濃縮役務契約と新契約を比べてみたって、だいぶこれはきついもんだよね。ひどいもんだ。そういうのを気がつかなかった。二月発表されて驚いた。私がアメリカ大使であそこに行っていたら、交渉待ったといって、待ったをかけるよ。この事情、これなんだ、新しい事態が起きたんで、サインはちょっと延ばしたい。こういうことは私は言えたと思うのですよ、この協定のサインは。それをさっとサインしちゃって、あと泣きごとをいって交渉したら、運用の点でよくめんどうみてあげますから、はあなんて帰ってきてしまったのではだめなんでね。こういうのを、いま成田さんのような話をもっと詰めて、これに対して、いまの点、クライテリアに関する交換公文、あるいは議事録か何かの形でがっしりとして、新クライテリアを牽制する、日本に不利のないように――たとえば問題になっている先着順の問題、早くウランをほしいといってこなければあげませんよといったような、しろうと解釈すれば言えるようないやなこと、あるいは契約がおもしろくなければ燃料をやらないかもしらぬといったような、ストップするかもしらぬということも、ちょっと理屈っぽいけれども、起こり得るような可能性のある解釈のしかたもこれによってできる。非常に詰めなければならぬことがたくさんこのクライテリアには残っているのですよ。だから私は、協定のサインをストップして、これでみっちり議をねって、そうしてクライテリアに関する覚え書きの交換というような形で念を押しておくべきだったと思うのですが、どうですか。
#61
○政府委員(影井梅夫君) 今回の改定交渉の基本になります状況、これはアメリカの濃縮ウラン政策というものに従来に比べまして変更があるという意味におきまして、まあ先方からいろいろ新しい提案があるということ、これは当然前提といたしておりまして、そのような立場に立ちまして、また、わが方といたしましても、検討すべき点は十分検討する。
 それから供給の確保をはかるために必要と思われる事項につきましては、十分に主張してまいったつもりでございます。しかしながら、とにかく一九八〇年代初頭における需給関係というものを念頭におきまして、先方の申し分、これに十分理由があると認められるところは認めたということでございます。
 なお、その過程におきまして、わが方の立場、先ほど原子力局長から説明のありました融通の原則と申しますか、日本側の電力会社相互における譲渡を認めさせるというふうなこと、これは交渉の過程におきましても十分に念を押しておりますし、交渉が終わりました後において、またさらに再確認を求めております。
#62
○森元治郎君 ただいまそういう再確認を求めるといったって、それは裏の話で、やっぱりがっちりした取りきめがないと外国人はだめなんですよ。日本人はまあまあでけっこう話はわかるのですがね、腹でわかるとかいうことばがあるくらいで。外国人は腹じゃないですから、はっきりとこれで取引をやってサインしなければだめなんだから。そういうような、いま成田さんの私に対する答弁、それからあなたのような詰めた話は、やっぱり交渉をストップしておいて、別に新クライテリアに関する覚え書きの交換という形で詰めるくらいのびしっとしたものであるべきだ。外務大臣どうでしょう。もうサインの時期は迫っていても、ちょっと待ってくれということは、言っても一向差しつかえない。業界全部一致して要望書を出して、ほとんどAECの要求には受け入れられないといったような泣きごとめいた陳述しているのですね。これはやっぱり救済してやるのが政府のやるべきことだと思うのですがね。協定のサインはちょっと待て、そうしてこれを詰めよう、詰めたらちょっとメモしておきましょうといって、新クライテリアに関する覚え書きの交換ということをやっておくとびしっとするのですね。どんなものでしょう。
#63
○国務大臣(大平正芳君) 森委員のおっしゃることよく理解できますが、交渉上の立場を考えまして、われわれのほうはまあ安定供給を確保せなければならぬ立場にあるわけでございまして、その場合、仰せのように、わがほうの利益というものを十分踏まえてかからなければならぬわけでございますが、各需要国とわが国と比較した場合、わが国が不当な不利益をこうむるというようなことは絶対に避けにゃいかぬと思いますし、協定自体であいまいさを残さないように十分クリアーにしておいて、あとの運営上問題が起こらぬようにしておくことも御指摘のとおり当然われわれは心がけなければならぬことと思うのであります。ただ、安定供給を確保しなければならないという改定の立場、そういう立場にわれわれはいまおるということだけは万々御理解いただいておると思いますけれども、御了解をいただいておきたいと思います。
#64
○森元治郎君 とにかく私はこれで終わります。終わりますが、やっぱりはっきりすべきことは文書に残して取りかわしておくということが十分大事だと思うんです。これは一つには通産省、外務省、業界、この三者の意見がお互いにタヌキの化かし合いみたいなところもあるんですよね。こっちは商売を念としない国家公務員と、商売一方で何とかうまく泳いでやろうという連中との話がこれはなかなか通じないから、そういう間隙をつかれて、ぽかんとたたかれると思うんですよ。だからそういう場合には、業界にも、うそっぱちばかり言ってないで、ほんとうのことを言うんだぞと、おまえは。ぴしりそれやっておいて対外折衝をやらぬといかぬと思うんです。どうもこれを見ていて、業界と政府というものが、あるときにはくっつき、あるときは利用し、科学技術庁は科学技術に関する間だけぴしっと練っておけばあとは外務省の分野だと言うし、外務省は向こうだと言う。私は保障措置とNPTの保障措置など聞こうと思ったが、やめます、きょうは。また別の機会にします。
 〔委員長退席、理事佐藤一郎君着席〕
#65
○辻一彦君 私は外務委員会でありますから、この条約の内容等については専門的にいろいろ論議があると思いますから、それは別として、今度の日米原子力協定が結ばれて濃縮ウランの供給といいますか、確保がこういう形で進むと、食糧をいま麦も大豆もそれからえさもアメリカに依存をして非常に問題を起こしている。同じように重要な核燃料をアメリカ一辺倒という形でこれで依存するということがどういうことになるのか、そういう問題意識から若干の質疑を行ないたいと思います。
 そこで、いまも森委員からの質問に対して御答弁がありましたが、すでにわが国の原子力産業界、それからアメリカ国内の産業界もそうでありますし、欧州諸国の原子力産業の各界も今度のアメリカのこの改定は非常に苛烈な内容であるということで強く反対をしている。そのために米上下院の合同委員会において三月と四月の二回に公聴会が開かれて、そこへわが国の原産会議の代表が行って、四点について公聴会で意見を陳述をしておりますが、それらの意向が一体どういうように述べられてどのように具体的に反映をしたのか、少しも変わってないのか、四点ほどありますか、それについて、これはひとつ関係当局から御報告をいただきたい。
#66
○政府委員(成田壽治君) ことしの三月、アメリカの上下合同原子力委員会で公聴会が行なわれまして、これに対してアメリカ、ヨーロッパいろいろな関係国の代表が出ましたが、日本からも原子力産業会の代表、これは中部電力の副社長の渡辺さんを出したわけでありますが、出席させまして、日本の実情を強く訴えて、特に次の点について改善を要望したのであります。
 第一点は、日本の現状からしますと、初装荷用の濃縮ウランについては、通常引き取りの四、五年前に確定するのが通例であって、新しいクライテリアによる八年前に契約というのは非常に現実に反するので、八年でなくて四年ぐらいにしてもらいたいという点が第一点であります。
 それから取りかえ燃料については、常時十年間確定しておくべしという新しいクライテリアが出ておりますが、原子力発電所の設計の変更とかあるいは稼働率の変動とか、いろいろその後の事情によって変わる要素がありますので、十年間の確定というのは非常に長過ぎるので、これを短縮してもらいたいという要望をいたしております。
 それから第三点におきましては、これはアメリカの電力会社、米国内外のユーザーを差別しないように、無差別の扱いにしてもらいたい、これが第三点でございます。
 それから初装荷燃料が八年前に契約をしまして、そうして前払い金、三分の一を最初の三年間で前払い金を払うことになっておりますが、この三分の一の前払い金というのは非常に金額も大きいので、これを緩和してもらいたい。
 それから契約の解除の規定がありまして、たとえば十年以上の予告期間を置いて解約した場合は解約料は要りませんが、予告期間が五年未満の場合は濃縮役務料金の七五%を解約料として取る、五年未満の場合には七五%の解約料を取るという、これも非常にある意味では過酷であるので、この緩和をはかってもらいたい等について要望したのであります。
 それで、その後もう一回公聴会がありましたが、この際は文書によって同様な――人は派遣しませんでしたが、同様な要請を出しております。
 それで、その後アメリカの合同委員会から原子力委員会にもドラフトが返りまして、それで原子力委員会でいろいろ検討しましたが、基本的な変更は行なわれなかったのであります。で、先ほど言いましたように、日本の要望等、内外のユーザーの要請をある程度取り入れて、たとえばアメリカの電力会社と外国の電力会社、顧客の間で差別はつけない。あるいは原子炉の設計変更とか稼働率の変動等についてはある程度のフレキシビリティーを、弾力性を持たせるというような、そういう運用上の配慮を十分はっきりさせておりまして、今年の五月に官報告示によって正式に発効させたのであります。それで御指摘のように、非常に従来の濃縮役務のクライテリアに比べると、ユユーザーにとって非常に過酷であるということも言えるのでありますが、先ほど言いましたように、能力が余り過ぎている時代の基準と、需要に対して能力が追いつかない。設備増強、能力増強を金をかけてやっていかないといけないという時代の背景の変更、それからこのクライテリアは日本とかヨーロッパ、外国に対して過酷に扱うのではなくて、アメリカのユーザーも、日本あるいはヨーロッパ、外国のユーザーも同じような差別待遇はしないと、そういう点の解明がありまして、そういう面からいろいろ強いこと政府ベースで、あるいは原子力委員会とアメリカの原子力委員会との交渉、あるいは産業界代表の公聴会による陳述等、いろいろな交渉は行なったんでありますが、大綱においては、アメリカの原子力委員会のドラフトが採用になっている、運用上の配慮は見られましたが、そういう結果になったのであります。
#67
○辻一彦君 要するに、公聴会にも出て要望したけれども、原則はほとんどアメリカは変えなかったということなんですね。
 そこで一番のポイントは、いままでアメリカは濃縮ウランを生産をしてどれだけ供給するかという約束はしておったと、しかし、こちらの受けるほうからいえば、これだけを買い取らなくちゃならないという義務づけがなかったと、これが大きな開きだと思うんですね。今度の改定案によって、八年前に、非常な長期間でありますが、前に契約をして、そして初めてその発電所が動いて、初めての初装荷というか、燃料棒、燃料を入れると、以降十年間買い取りの義務づけが行なわれると、こういうことに大体なるわけですが、これはいままでもこういう方向でいけば、アメリカがいわゆる非自由主義社会といいますか、共産圏というか、社会主義圏を除けば、ほとんど独占的に濃縮ウランを供給しておったという、そういう体制が、八年先に予約をして、そしてそれからあと十年間きめたものを引き取らなくちゃいけないと、こういう中で、ますますアメリカによる核燃料濃縮ウランの独占的な支配体制というか、ある意味においては供給の力ということでありますが、そういう体制が強化をされる、こういうことになると私は思うんですね。現に、三月の上旬に日本の原子力産業会議の大会に各国から見えて、そこの各省の代表がいろんなことを言っておりますが、たとえば、これは原子力産業新聞にずっと出ておりますが、アメリカの原子力委員会のフリードマン国際計画部長、この人は明確に、この新しい基準は将来の濃縮需要を世界的にとらえるとどのぐらいあるかということを把握するということと、新工場建設の資金繰りを容易にすることが目的と、こういうふうに述べておりますね。言うならば、世界における濃縮ウラン需要を把握をして、それに必要なお金を集めるのが目的だと、こういうふうに明確に彼は言っている。これに対して、これはコーツ氏、いわゆるフランス原子力庁の原子力産業応用担当理事補佐、これが来ていろんなのを述べておりますが、その中に、「燃料引取り八年前の契約締結、それが十年間存続するとなれば、将来の西側諸国における濃縮需要分布のパタターンを決めてしまう恐れがあり、他の供給者の市場参画がほとんど不可能になる。将来の西側の配分を定義づける性格をもつ新基準に対し、今後消費者側が下す決定が非常に重要に」なると、こういうようにフランスの原子力庁の代表は指摘をいたしております。
 〔理事佐藤一郎君退席、委員長着席〕
これは言うまでもなく、こういうやり方でやられると、濃縮ウランの自前生産というか、自分でつくり出していこうというそういう計画が非常にあぶなくなり、西側の供給ということが、全部これできめられるんじゃないかというおそれがあるということを明確にフランスは言っておりますね。それからウレンコのいわゆるパリー技術部長、これはイギリス、ドイツ、オランダの三ヵ国による遠心分離機を中心にする濃縮ウランの共同開発計画でありますが、このパリー技術部長は、三国は四年後には遠心分離法が成功すると確信をしており、これが実現化すれば、新しい契約にしばられた電力会社はほぞをかむことになろうと述べて、長期の事前期間をおいて契約しなくちゃならないのは非常に問題があると、こういうふうに、このフランスやあるいはイギリス、オランダ、西ドイツの代表はすでにこの春に問題点を明確に指摘を私はしていると思います。日本の産業界がやはり言ったことも、この陳述書の原稿を見るとたいへん敬語を使ってていねいな陳述をしておりますが、裏にはこういうことを私は考えているのじゃないかと思う。せっかく行くんならこれくらいのことを言えばいいのに、お願いに行くだけでは、せっかく行った公聴会、どうかと思うけれども、とにかく中には私はそういう考えはあると思うんですよ。そこで、現実に出てきたこの原子力協定の中身は、まさにアメリカのフリードマンが言ったように、世界におけるウランの需要を把握をし、それに工場をつくるに必要なお金を集めることが目的だと、ちょっと露骨過ぎるぐらいはっきり言っておりますね。そうすれば、これが私は成立をして、そして拡充されていくとなれば、いわゆる西欧諸国、日本を含めて西側におけるこの濃縮ウラン需要の供給の分布図というものは、アメリカを中心に押えられていくことになるんでないか。従来におけるアメリカの濃縮ウラン支配体制というものがますますこれを通して強化をされると、こう思いますが、これに対してわが政府としてはどういうふうに考えておるのか、これはひとつ科学技術庁長官、それから外務大臣にお伺いいたしたい。
#68
○国務大臣(前田佳都男君) まずこの新しいクライテリアにつきましては、内容が非常にきびしいじゃないかという先刻来の御指摘でございますが、確かにきびしいわけでございます。その点につきましては、本年三月の日米原子力会議におきましても、アメリカからプライス委員長並びにホズマー等が参りましたときにも、私からも相当きびしくこの点についての再検討は要請をいたしました。また、公聴会に原子力産業会議の代表も出て意見を述べたことは、先刻の政府委員から答弁のとおりでございます。しかし、その結果あんまり変わってないじゃないかというふうな先生の御指摘だと思いますが、われわれが主張した点はある程度は私いれておると思います。しかし、何ゆえにこういうふうにアメリカがきびしい姿勢をとるようになったかということは、これまたアメリカの供給能力というものがもう限界に来ておると、何とかしてそれに対する資金集めというか、いま先生のおっしゃったようなそういう意図もあると思います。しかしながら、現在はとにもかくにもアメリカは唯一の濃縮ウランの供給国であるという現段階ということもよくわれわれ考えなくちゃいかぬと思います。したがいまして、クライテリアにつきましても、日本だけではなく、米国の国内の業者並びに外国の業者等も同じようなクライテリアを適用されるということになっておりまして、別に差別はつけていないのでございます。しかし、われわれは何としても核燃料についての自主性を確保しなくちゃいかぬというわけで、国際濃縮計画に参加することの検討もいたしておりますし、また、遠心分離法による国産化の開発にも着手を四十八年からいたしておりますことは、先生も御承知のとおりでありまして、とにかく濃縮ウランの確保ということについては、多角的かつ自主的にこれに対処していきたいという姿勢をますます強めていきたいと、今度のこの改定につきましては、日本だけじゃなくて、やっぱりユーラトムとの間におきましても、米国と同様の協定をしておるということもやっぱりその間の事情を物語っておるのではないかというふうに考えております。
#69
○国務大臣(大平正芳君) いま科学技術庁長官仰せになりましたとおり、現在の状況におきまして、濃縮ウランを商業的ベースで確実に供給できる価値能力を持っておりますのはアメリカだけでございます。このアメリカが現在確かに仰せのように一つの支配体制を確立しておるという評価も、私はそのとおりだと思うんでございます。この場合、わが国のとるべき態度でございますが、わが国といたしまして、この協定を結ばなければならないゆえんのものは、わが国の電力、エネルギーの需給の展望に立ちまして相当程度原子力発電に期待せざるを得ないという状況でございますもので、そういう実需がどうしても見込まなければならないとすれば、それの原料の安定供給を前広に考えておかなければならぬということも、当然の責任であろうと思いまして、いま一番確実に供給能力のあるアメリカと協定を結ぶということが実際的な他にオルターナティブのない実際的な方法ではないかと考えたわけでございます。もっとも先ほど森先生からも御指摘がございましたように、わが国の需要者が不当に不利をこうむるというようなことのないように、公平な扱いを確保するということについては、われわれも十分主張しなければなりませんし、確保しなければならぬと思うんでございますが、現在の状況のもとにおきましては、こういう方法をとる以外に道がないということだけは御理解をいただきたいと思います。
#70
○辻一彦君 まあ私はもう少し道があるように思いますが、それはひとつこれから明らかにしたいと思います。
 いま長官、大臣からの御答弁にありましたが、これは私は日本だけじゃない。さっき英、オランダ、ドイツあるいはフランスのそれぞれの代表的な、国を代表した原子力関係の代表者の意見身ちょっと紹介をしたわけですが、たとえばアメリカのこの提案がなされてこれが強化をされる中で、フランスを中心にガス拡散法をもって欧州で共同工場を設立して濃縮ウランを確保しようという動きがずっとありまして、そして第一次の調査の段階に入っている。ところが、イギリス、オランダはこの第一次調査の段階でここから離脱すると、こういうことを表明していますね。のみならず、しばらくして今度は西ドイツもこのフランスの検討会から脱落すると、こういうふうに報じられているけれども、しかも西ドイツは、報ずるところでは、ある面においてはアメリカのいわゆるドル赤字といいますか、こういうものを支援をするためにアメリカに支援をなるべくするようにしたいと、こういうことで、フランスのこのほうからも脱落をしていくんじゃないかという見方がこの原産新聞にも報ぜられておりますが、これを見ると、日本だけではなしに、私はオランダ、イギリス、西ドイツあるいはフランスにも、アメリカのこういう形で強引に押しつけるやり方によって欧州自体の中に濃縮ウランを自分たちで共同開発をつくっていこうと、そういう体制がくずれつつあると、こういうように私は考えますが、こういう国際的な動きの中で日本も一緒になって、アメリカのこういう少し横車を押すやり方を変えさす力をもっと持っていいのじゃないかと、あの公聴会に行って、美文調で敬語を使ってのお願いをしますぐらいではとてもこれは話にならない。そういう点で一体外務当局が、あるいは科学技術庁がどういうアメリカに対して本格的な、先ほどもお話がありましたが、交渉をやったのか、ひとつ具体的な事実があれば聞かしていただきたい。
#71
○政府委員(成田壽治君) 先ほども言いましたように、この問題については、去年の暮れごろから具体的に八年とかそういう、はっきりしませんが、新しいクライテリアをつくって、そして設備増強のために即応した体制をつくるということは言っておりましたので、二月ごろ具体的な案が出されて、で、当時ちょうどアメリカの合同委員会の有力者プライス委員長、有力者であるホズマー議員等が来まして、日本の政府あるいは原子力委員と懇談の際この点を強く訴えたわけでございます。それでそれに対しては、これはアメリカの濃縮ウランの供給事情の貧困によるもので、日本だけを対象にしたものではない、アメリカのユーザーも同様な事情にあるというようなことも言っておりましたが、何か日本側からそういう意見を言う機会もアメリカの国会としても持ちたいということも言っておったわけでございます。それから半月ぐらいしまして、日米原子力協定の運用についての日本原子力会議会談が東京で行なわれまして、これはアメリカの原子力委員会、日本の原子力委員会、両方の定例会談でありますか、ここにおきましてもこの点を強く訴えたのであります。そしてその後、まあアメリカの合同委員会の代表の方が言うように、国会――アメリカの合同委員会の公聴会が開かれまして、そこで日本の産業界代表が出て行って、そして業界の意見を言ったわけでございます。そういう意味で、それから日本の生産がヨーロッパあるいはアメリカの原子力産業会議でも十分横の連絡もとって、相当政府ベースで、あるいは業界ベースで非常に強力な働きかけをやったことは確かであるわけでございます。その結果は、先ほど言いましたように、大綱においては変わりませんが、まおそういう背景、それから運用上の配慮ということで多少の改善は見ましたが、大綱においては変わらなかったということであります。
 それからちょっと先ほどフランスのガス拡散の開発研究検討会にユーロディフというかっこうでヨーロッパ八カ国が去年の二月から第一段階の検討をやっておったんでありますが、今度第二段階へ入るにあたって、ドイツ、英国、オランダが第二段階には入らなかった。セカンドフェーズには入らないで、第二段階はそれを除いた五カ国だけでこのグループが形成されることになったわけであります。それから一方でオーストラリアとフランスでも、このフランスのガス拡散法による検討会が持たれたんでありますが、オーストラリアもこれは核実験に対するオーストラリア政府の政治的な反対という立場からと聞いておりますが、これも第一段階の途中でこの検討会が中断されております。われわれは英国とドイツとオランダの三カ国がユーロディフの第二フェーズに入らなかったというのは、われわれはむしろ英国、ドイツ、オランダ三カ国で共同で遠心分離法による工場をつくろうと、これが大体一九七五年ごろには共同でまあ二百五十トンぐらいの工場をつくる。そして八〇年ごろには商業的な規模のものをつくろうというその話が三国間で進んだために、 ユーロディフというフランスの技術のほうから出たんではないかと、そういうふうにわれわれは解釈しておりますが、アメリカの新しいクラィテリアの影響でドイツが脱退したというよりは英独オランダの遠心分離法による三国間の協調の動向が非常に具体的に進んだということによって、フランスはセカンドフェーズに入らなかったのじゃないかというふうにわれわれは解釈しております。
#72
○辻一彦君 外務大臣、十二時半に退席されるというので、ちょっといろいろ残念ながら急がなければならないのですけれども、いま科学技術庁から御答弁がありましたが、まず、なるほどことしの春先でしたか、アメリカのプライス委員長か、原子力委員会の代表が見えましたですね、上下院の代表が。われわれも、言うならば、ほんとうはそういう問題についての意見がある、しかし来てくれといって顔を合わしたのは晩のレセプションで、一ぱい飲んだところでそんなきつい話はなかなかできないから、まあこれは外交辞令で別れざるを得なかったけれども、もっと広範に国内の意見を聞いて、アメリカにいろいろな意見があるのだということを反映さす考えがあれば、私はもっと強く言うことは幾らでもできたと思うんですよ。そういう点がなされていないということがありますね。
 それから、いま三カ国の問題ですが、アメリカもガス拡散が中心であるけれども、しかし、遠心分離法にいろいろな形で参画をする、だから欧州の三カ国の計画にもアメリカは企業に参加をしてもいいというように指示をしているんですよ。イギリス、オランダ、ドイツにしても、自分たちは中心は遠心分離法によるけれども、もう一つ、安全のためには、やはりガス拡散というほかの方法によって分散した資源の確保を当然考えるのは私はあたりまえだと思います。そういう意味で参加しておったはずですよ。わが国だってあれですよ、いま遠心分離機のほうに重点を置いても、ガス拡散は原研で研究している、同じ問題だと思いますね。だからそういうガス拡散による濃縮ウランの共同工場に関心を持ち、参加しておったこれら三カ国がやはりここから手を引いていった裏には、このガス拡散による濃縮ウランはアメリカに全面的に依存しようという、それが私はあったからじゃないか。言うならば、アメリカによって十分な供給がなされるから心配せぬでいいということで、私は欧州の中におけるそういう一つの自立しようとする体制が、ある意味ではくずれていっているのではないか。そこで日本の場合ですが、昭和六十年に、お話のように、この六千万キロワット、六十基分、これは異論があって、こういうことをやればまた論議は別ですから、きょうはこれが必要なのか、これを原子力によるかということは別にして論議をしますが、この六千万キロワットに必要なる一千トンの濃縮ウランを全部アメリカに依存をする、これは濃縮ウランの市場を独占的に、さらに支配をしていく体制を強化をするという、そういう方向に私はなってくるのじゃないか、こういう懸念を、どうしても、欧州等の動きから推しても強く持つんですが、これはひとつ外務大臣どうお考えになりますか。こういうところから何か自立する方向をさぐらなければ、食糧も軍事力も全部首の根を外国に押えられておったんでは、しかも、それはなければよそから求めなければならないけれども、安定して分散して求めていくという形によって独立国の自主性といいますか、自立性を確保しなくてはならない、こう思いますが、核燃料の確保についても同じ問題が言えると思いますが、この点いかがですか。
#73
○国務大臣(大平正芳君) 濃縮ウランをアメリカからだけ供給を受けなければならぬとは考えていないわけでございまして、仰せのように、これはもし可能であれば、供給源を分散することも十分考えていいことだと思うのでございますけれども、先ほどからいろいろ科学技術庁のほうからもお話がありましたとおり、ただいまのところ供給数量、供給期間、ある期間安定的にこれだけは引き受けられるというところがどこにもないわけでございますので、アメリカから当面供給を受けるということは私は必要であろうと考えております。その他の供給源につきましても、日本といたしまして、別に縛られているわけじゃございませんので、検討するにやぶさかではございません。
#74
○辻一彦君 いまの御答弁ですが、大体その協定の内容によれば、昭和六十年の六千万キロワット、原子力発電の六十基分をあと十年完全に引き取るという契約になり、三十年にわたって保証されるとすれば、私は日本の原子力発電のほとんどの部分がこれによって供給を受ける形に実質的にはなっていると思うのですね。何億キロまで原子力発電をおやりになるお考えがあるのかしりませんが、長期計画で六十基、六千万キロワットというのが一つのめどとして出されておれば、ほぼこれの必要量は今後三十年、このアメリカの濃縮ウランによって一応その供給源というものが求められる。そうすれば、ほとんどここに重点を置いた形でその供給源が考えられている、こういうふうに私は思うのです。もちろんこれからいま言ったソ連の問題もありますし、幾つもの国がありますから、分散の問題はこれから論議したいと思いますが、現に昭和六十年、六千万キロワット、六十基という原子力委員会の長期計画のめどに必要な燃料というものは、アメリカによって一方的に供給されておる、こういうことになるのじゃないですか、これはいかがですか。
#75
○政府委員(成田壽治君) 六千万キロワットは昭和六十五年における原子力発電というものの全部でございますが、昭和六十年の六千万だけで日本の原子力発電が当然それで頭打ちになるんじゃなくて、原子力委員会の計画によりましても六十五年度は一億キロワット、その後さらにFBR、高速増殖炉等の新しい炉も入ってまいりますが、さらにふえていく。これは日本だけでなくて、アメリカの今度のエネルギー教書その他におきましても、軽水炉以外に、高速増殖炉も含めまして原子力発電に対する期待は大きいわけでございます。しかし、当分この軽水炉時代は続くという考え方に立っておりますので、われわれは六千万キロワットは、決して日本の原子力発電全部がアメリカの燃料に依存するという体制ではない。むしろ非常に伸びが大きい電力需要を考えると、その後のものについては、日本の自主開発あるいはアメリカ以外の、アメリカの原子力委員会の工場以外の濃縮ウランに対する供給多元化ということも当然、それから六千万キロワットに必要な燃料はこれは決してこれを全部買うということではなくて、そこまで買えるという一つのシーリングでありまして、これが具体的な契約を見ないとまたわかりませんが、このうち電力会社がかなりわれわれは早く、安定供給という意味からかなりの契約をすると思いますが、六千万全部これで買うという、むしろ契約できる限度ということ、したがって、六十年度まででもアメリカの原子力委員会の三工場以外の供給源が確保された場合には、原子力委員会の昭和六十年度、六千万のうちの燃料手当ても別のほうから供給受けるということも当然考えられると思っております。
#76
○辻一彦君 去年のちょうど六月八日に科学と外務の連合審査をやって、この問題を、これは日豪原子力協定ですか、このときに伺ったことがありますが、まあ六千万キロワット以上はこれはかなり先の先のそういう計画であって、具体的なものでないという当時の御答弁であったが、一年間で一億とか一億五千万にはっきりしたのかどうか伺いたいけれども、これもやっている時間ないですから、別の機会に譲りますが、そこで十年間契約したら、あと燃料を引き受けるのじゃないですか。六千万キロワットはあとはどこから買ってもいいのだと言われますが、契約をしてあと十年は引き受けるという約束になるのじゃないですか。その辺どうなんですか。
#77
○政府委員(成田壽治君) 取りかえ燃料につきましては、十年間の確定の契約をもって、そして毎年ローリングさせるといいますか、十年ころがっていくわけでございまして、したがって、新しいクライテリアによって契約されるのは初装荷燃料とその後十年間の取りかえ燃料一これは確定されるわけであります。したがって、三十年の協定期間はありますが、実際の購入契約はこの十年間の取りかえ燃料、それが今後ローリングしていくという形になると思います。
#78
○辻一彦君 じゃ外務大臣、しばらくでお立ちになると思いますから、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
 これは、ほんとうはフランスが進めているガス拡散による濃縮ウランの計画にわが国はどう参加をする、どう考えるのか、あるいはイギリス、オランダ、西ドイツがやっている遠心分離法による共同計画にどうタッチをするのか、そういうことをほんとうは論議をした上でお聞きをしたいと思ったのでありますが、まあ十分な論議をする点がございませんが、ちょっと要点だけ伺っておきますが、このフランスの濃縮ウランの拡充計画といいますか、共同工場にわが国はかなり呼びかけを受け、それに参加をするかまえを見せておりますが、一体これはどうなっておるのか。
 それからもう一つは、ドイツ、イギリス、オランダ三国の遠心分離法による共同計画に、これも代表を出して参加をしておりますが、この動きにどう対処しておるのか。ちょっとこのことを二つ簡単に伺った上、外務大臣にお伺いしたい。科学技術庁からどうぞ。
#79
○政府委員(成田壽治君) フランスと日本は、フランスのガス拡散技術を使って共同で工場をつくる、これはまあ決してコミットベースじゃありませんが、技術的な経済的な問題を検討しようというので、去年の三月からことしの四月ごろまで一年間にわたって、六回にわたってスタディグループで検討を行なってまいったわけであります。いま第二段階に入るかどうかという検討を日本としてはやっております。
 それから英、独、蘭の遠心分離法による三国の協調ウレンコ等の構想については、これは全くまだ調査段階ということで、去年の暮れですか、英、独、オランダでございますが、日本もウラン濃縮調査会の名前でこの調査研究会のメンバーとして、これは調査グループでありますので入っております。ただ、遠心分離法については、日本は動力炉事業団による自主開発をいま進めておりますので、まあそれとの関係で、調査段階でプラスになるものもあろうというので入っておるところでございます。
#80
○辻一彦君 そこで、最近の新聞では、ソビエトと原子力協定を結ぶかどうかという問題、あるいは最近調査団が行って、その結果ソビエトから短期あるいは長期にわたる濃縮ウランの供給を受けるとか、こういう話も出ておったというわけでありますが、ソビエトからこの濃縮ウランを短期的あるいは長期的に買い入れるような考え方が一体あるのかどうかが一つですね。
 そして、そういう中で、備蓄というような問題を考えて、ある程度確保しながら自前の日本の濃縮ウランの自主開発というか、自分である程度やっていくような態勢をその時間の余裕をかせぎながらとろうとする考えがあるかどうか。
 まず第一点のソビエトから長期あるいは短期において濃縮ウランを購入する、買い入れる考え方があるかどうか、そしてまた、そういう問題を来たるべき日ソの首脳会談等において持ち出す考えがあるかどうか、この点いかがですか。
#81
○国務大臣(大平正芳君) ソ連からの濃縮ウラン供給を受けるかどうかの問題でございますが、これは先般訪ソいたしました視察団から若干の情報を得ておるわけで、ある程度のことは政府のほうにも判明いたしております。しかし、協定を締結する方針を固めますためには、ソ連側の供給能力、それから供給の条件が不明でございますので、政府としては目下在外公館等を通じましてそういう不明な点を解明するように検討をいたしておるわけでございます。で、総理の訪ソの場合におきましてどうするかということでございますが、そういった調査の結果を待ちまして考えさしていただきたいと思います。
#82
○辻一彦君 まだちょっと時間がありますが、科学技術庁ではソ連の濃縮ウランの供給能力、生産能力、余裕というものをどのぐらいに推定していますか。
#83
○政府委員(成田壽治君) ソ連が平和利用の濃縮ウランどのぐらい能力があるかというのは全然いまわからない。昨年フランスと濃縮委託契約を結んだようでありますが、それは作業分離量で二百五十トンとか非常に少ない量だったというふうに聞いておりますが、どこの工場で、どれだけの能力があって、その他の取引条件についてはかいもくわからない状態でございます。
#84
○辻一彦君 時間ですから、最後に外務大臣に一言お伺いしたいと思います。
 それは、ソ連の供給能力、余力というものはどのくらいあるか、これはなかなかわからぬでしょう。しかし、西ドイツが契約をしてこれを買い入れるという、あるいは各国にいま供給できる余裕があるということをある程度公にしておるのですから、かなりの余裕、そういうものがあるのじゃないかと考えますが、十分な調査をされて、かなりの余裕があるとすればソビエトから短期的にもそういう濃縮ウランを買い入れる考えがあるかそれが一つ。
 それから私はもしそれを買い入れることができれば、備蓄等によってこれを確保しておく、そういうことによって全部を、これから十年とか十数年をアメリカだけにたよらずに済む方法があるのじゃないか、その中で大きな部分をアメリカから購入するということは、これは私はやむを得ないといいますか、当然だろうと思いますが、全面的にたよらなくてもいいのじゃないか。その中でフランスの、あるいはイギリス、オランダ、ドイツ等の三国のこういう国際的な濃縮ウラン共同開発工場の動きを見守り、これらと協力しながら日本の自前の、自主的な濃縮ウランを確保する方法を追求し、実現さしていくべきであると、こう私は考えるのですが、これについての外務大臣の御所見を伺って午前のを終わりたいと思います。
#85
○国務大臣(大平正芳君) 濃縮ウランの供給をアメリカからだけ受けるというような考えはございませんで、可能な限り分散をすることに私どもつとめなければならぬと思いますが、その場合、供給の安定度、能力、条件、そういうものを十分解明してかからなければならぬことは当然のことございまして、そういうものを十分踏まえた上で、それが実行可能でございますならば、いま辻委員があげられましたような原子力政策を今後進めてまいるにつきまして、その供給源を活用していくということは当然考えられてしかるべきことと思うのでございます。また、御指摘のように、技術の自主開発、これはすでに科学技術庁のほうで手を染めておられるわけでございますが、これは精力的にやっていただくことをわれわれも期待いたしておりまするし、また、御指摘の先進技術諸国との協力ということについても十分配慮してまいりたいと思います。
#86
○委員長(平島敏夫君) 森君から資料の要求がありますので。
#87
○森元治郎君 科学技術庁に、アメリカに対する各国の濃縮ウラン申し込み予想量についての資料。これはさんざん痛めつけられてあなた出しましょうという答弁があったようでしたね。もし作成してあるなら私のほうにもほしいということ。
 第二点は、新しい基準による対米契約のモデル申し込み形式というものがあるだろうと思う。所有者はだれだれ、所在地はどこで何という、そういう書き入れる申込書があったなら、必ずあるはずだから各人各人違ってはだめだし、そうすれば何をやろうとするのか一目瞭然だと思うので、それを出してください。
#88
○政府委員(成田壽治君) 資料提出の第一点の件ですが、各国別のアメリカの申し込みというのはは、世界全体の見当くらいで、各国別はちょっとデータとしては出ないと思います。供給能力と世界全体の需要の対比表を出したいと思います。
 それから第二点の新しいクライテリアによる申し込み書ドラフトが電力会社等に来ておりますので、これは早急に出したいと思います。
#89
○委員長(平島敏夫君) 本件に対する午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十八分開会
#90
○委員長(平島敏夫君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#91
○辻一彦君 ちょっと午前中と重複する点が一、二あると思うのですけれども、さっき外務大臣お見えにならぬというので急ぎましたから。
 そこで私は、各国の濃縮ウラン開発といいますか、これに関する若干の動きをお尋ねしたいと思います。
 第一にフランスですが、フランスはガス拡散についていろいろな開発を現在も行なっているし、新しい共同工場を開発しようと、こういう動きにあるわけですが、どのくらいの現在フランスは生産能力を持っているのか、あるいは欧州各国と連絡をしてやっている、それがどういう動きになっているか、この点についてちょっと知らせてください。
#92
○政府委員(成田壽治君) フランスのピエールラットに軍事濃縮工場があるのでありますが、その能力が年間で四百トン、作業分離量にして四百トンといわれてもおりますが、これは軍事利用工場でありますので非常にはっきりしておらないのであります。
 それからそういう軍事利用で持っておるガス拡散の技術を使いましてヨーロッパ八カ国とフランスの技術を使って一九八〇年代に大きな商業の濃縮工場をつくろうではないかという検討会を、先ほど言いましたように去年二月にEURODIFというヨーロッパ八カ国と検討会を持ったわけでございます。これが第一段階が終わりまして第一、段階にいま六月ごろ入るということになりましたが、先ほど言いましたように、西独と英国とオランダがわれわれは彼らの遠心分離法による英、独、オランダの三国間における共同工場をつくるという、そういうほうに本格的に進むという理由で、フランスのFURODIFのグループから第二段階には入らないで、残りの五カ国、これはベルギー、イタリア、スペイン、スウェーデン等でありますが、そういう五カ国でセカンドフェーズにいま入って、まあ当初六千トンないし九千トンぐらいの工場というのをヨーロッパのどこかにつくりたいという検討をやっておりましたが、そういう第二段階に入っております。一方では、これはむしろオーストラリアの安いエネルギー資源を使って豪州で濃縮工場をつくる可能性について、そういう考え方でフランスとオーストラリアの検討が持たれたと思いますが、これがフランスの核実験の実施に対するオーストラリア政府の反対によって第一段階の途中で中断しちゃったというふうに聞いております。
 それから日本とは、去年の三月から日仏のスタディグループをつくって、ことしの四月ごろまで六回にわたっていろいろな検討をやって、第一段階が終わった状況にあります。第二段階に入るかどうかというのは、いまいろいろ検討中ということでございます。
#93
○辻一彦君 経過はわかりましたが、春の原産会議以来フランスから代表の人がかなり何回か見みておりますね。そして日本にも入れというか、一緒にやらないか、こういう働きかけがかなり強かったと思うんですが、その働きかけがかなり強いのか、あるいはそういう中で単に検討中という段階でなしにわが国としてこれに積極的に参加をする考えがあるのかどうか、この二点についていかがですか。
#94
○政府委員(成田壽治君) 働きかけがある意味ではかなり強かったとは言えると思います。というのは、向こうの原子力関係の代表の方も来て、これはまあ第一段階が終わった当然の成り行きだと思いますが、相当日本の第二段階に対する勧誘といいますか、そういう話し合いがだいぶ行なわれたわけであります。で、まあヨーロッパにおきましても西独、英国、オランダ等の脱退といいますか、そういう気配もあったのではないかと思いますが、そういう意味でも大きな消費国である日本が入るかどうかというのは、フランスにとっても非常に大きな問題でもあるし、また、将来設備工場の能力を考える場合にも相当大きなウエートを占めると思います。そういう意味で、日本は現在ペンディソグというかっこうで検討を行なっておるのであります。
#95
○辻一彦君 六月二十四日の読売を見ますと、武藤俊之助原子力委員の談話として、『「日仏共同事業をやめたと正式に決めたわけではないが、事実上実現は不可能になった」と話している。』と、こう出ておりますが、検討しているというような問題じゃなしに、豪州とフランスとの関係からこれがもうほとんどむずかしくなっている段階なのか、この点どうなのか。ここでは日仏の共同事業によるウラン濃縮の共同開発は破算をしたのでがっかりしていると、こういうふうに表現されておりますが、実態は一体どうなっているのですか。
#96
○政府委員(成田壽治君) まあそういう新聞記事があるようですが、決して日本がセカンドフェーズに入ることを断念してやめたということにはなっておらないのであります。で、原子力委員会に国際濃縮計画懇談会というものをつくりまして、これは原子力委員、それから関係業界の代表、あるいは学識経験者等で国際濃縮計画懇談会、これがまあ二カ月に一ぺんぐらいの割合でいろいろ検討を、各省も入りましてやっておりまして、ここでいろいろ議論をして検討しているところでありまして、この懇談会においてフランスのセカンドフェーズに入ることをやめたという決定はもちろんまだいたしておりませんし、検討中ということでございます。
#97
○辻一彦君 こういう問題はあれですか、科学技術庁で検討しているのですか、外務省のほうもこれについてかなりタッチしているのですか、どうなんですか。
#98
○政府委員(成田壽治君) あとで外務省からお答え願いたいと思いますが、この問題は原子力委員会の問題として、委員会、原子力委員、関係業界代表、学識経験者、それから外務省、通産省、科学技術庁の関係局長と、そういうメンバーでやっておりますが、これは原子力委員会の政策面の審議ということでやっておるのであります。この上に外務省としての外交的な判断の問題も当然加わるべき問題でありますので、外務省も入っておるし、また、委員会のある結論が出る前の段階では外務省と国際的な見地からの十分な検討もお願いして、政府の最終決定になるには、そういう手続をとると思います。
#99
○政府委員(影井梅夫君) ただいま原子力局長からお答えのありましたとおりに、外務省からも参加いたしまして、そして主として外交政策的な面の考慮に重点を置きまして審議に参加しているという次第でございます。
#100
○辻一彦君 やはり新聞等を見ますと、濃縮ウランはガス拡散法か遠心分離法かの二つになるのは当然ですが、フランスがガス拡散でやっておって、トロイカというか、欧州三国が遠心分離法をとっている。ガス拡散で協力するとすれば、やっている国はアメリカということになるのですが、これにもかってが、この先どうなるかわからない日仏の共同事業より、かってのわかったアメリカとガス拡散で濃縮ウランの合弁会社をつくったほうがいいと、こういう意見があると聞きますが、またすでに、七月三日の朝日にも日米合弁工場と、こういうことが打ち出されて、政府が首脳会談で協議するというような見出しで出ておりますが、フランスのほうはこのガス拡散では困難だから日米の合弁へ力を入れると、こういう考えになっておるのですか、そういうことはないんですか。
#101
○政府委員(成田壽治君) アメリカとの話も一昨年の秋ごろからありまして、日本としては、日本の原子力委員会としては、アメリカとのスタディグループ、それから日仏の研究を並行して進めてきた状態でございます。ただこれは政府が窓口でなくて、ESCという国際ウラン濃縮事業調査会というそういう機構を持ちまして、そこが日本側の、日仏のスタディグループの窓口でもあり、あるいはアメリカとの検討会の窓口にもなってもらっております。アメリカにつきましては去年のホノルル会談、鶴見・インガソル会談において、日米で共同で米国内で新しい濃縮工場をつくることについていろいろ検討をやろうじゃないかということが鶴見・インガソル申し合わせの一項目にもなっておりまして、これによって日本側はESCが窓口となり、当初アメリカは原子力委員会、これは準備的な打ち合わせ会でありますが、そこと二回ほど事前の打ち合わせをやっております。その後アメリカも、民間に濃縮工場、次の第四工場はやらせるという方針が打ち出ておりまして、いまユニオンカーバイト、ウエスチングハウス、ベクテルというアメリカの三つの会社が共同でこのガス拡散法の研究のグループを持っておりますが、いまそことESCがスタディグループを行なっておる段階であります。したがって、決してアメリカのほうが重点であるからフランスのほうに入るのをやめるとか、そういういまのところは考えでなくて、むしろ並行して進めてきておった。
 それから、将来の需要増を見ますと、アメリカの第四工場が年間一万トンないし九千トンの能力がありましても、世界のウラン濃縮の需要増を見ますと、大体二年か三年でまたそのぐらいの工場が世界的にどこかに必要であるという状況も考えられますし、それからやはり供給源の多元化ということも考えますと、最も経済的な見地から適当なところがあればいろいろなところにそういう濃縮工場というのは将来持たれるようになるんではないだろうかという考え方をとっております。
#102
○辻一彦君 ホノルル会談で申し合わせがあったということは、大体方向としては日米合弁の、いわゆる濃縮ウランの工場をつくると、こういう方向で事態は動いていると考えていいんですか。
#103
○政府委員(成田壽治君) 外務省から正式にお答え願いますが、去年の鶴見・インガソル会談の打ち合わせは決してつくるというコミットベースじゃなくて、つくることについて両国間で研究、スタディグループを発足させよう、そういうたしか内容であったと思います。したがって、フランスも日米も決してコミットベースの話し合いでたくて、つくることの可能性についての技術的、経済的問題の検討会でございます。
#104
○政府委員(影井梅夫君) 昨年の鶴見・インガソル会談の声明の該当部分でございますが、その声明に申しておりますのは、「日米共同の作業グループの早期設置を促進すべく最善の努力を行なうことに意見の一致を見た。」ということでございまして、設置そのものを明確かに約束したものではございません。
#105
○辻一彦君 そこで、この協定によって、中身を見ると百万キロワットについて大体三百三十万ドルの頭金ということは約十億円と、そうすると四十基、前のを入れれば六十基ということですが、納入する頭金は約四百から六百億と、こう見ていいのか、その点どうですか。
#106
○政府委員(成田壽治君) 引き取りの八年前の検討の時期を見込みまして、全部の新しい役務契約をやるとするとそのぐらいの前払い金の支払いになると思います。
#107
○辻一彦君 次に、ガス拡散によるウラン濃縮丁場をつくれば、二十五億ドルとも、二十七億ドルとも、大体七千五百億から八千億ぐらいと、こういわれるわけですが、スタディグループでそういうことを検討しているということでありますが、もし合弁会社なんかをつくるとすれば、どのくらいの資本参加というか、そういう参加を考えておるのか、その点はわかりますか。
#108
○政府委員(成田壽治君) スタディグループ等でいろいろな検討、立地の問題、あるいは技術的な発電、電源をどうするかとか、技術的な検討をやっておりますが、大体、将来九千トン、分離作業容量にして年間九千トン近い規模が適正と考えられていますが、その場合には濃縮工場だけで十五億ドルぐらいが必要なんじゃないかという、ただ、そのほかに十億ドル以上の発電設備も当然隣接してつくらぬといけませんので、合わせますと二十五億以上ということになると思います。ただ、この計画、これも向こうの民間のグループとこちらの民間の団体との検討会でありますので、具体的にどこへつくるか、それから日本が参加する場合にどういう参加形態をとるかという問題、これは全然もちろんきまっておらないのでありまして、それで資本参加、共同で作くるという場合に当然資本参加ということも考えられますが、その場合、全体の建設費のどのくらいを資本金とし、その資本金のうちで日米間がどのくらいシニアを分け持つかということはまだこれからの問題で、全然見当がついておらないのであります。総建設費の一部が資本金となり、一部が借り入れ金という形で資金調達が必要でありますが、その内訳はまだきまっておらないし、また、日本が参加する場合のシェアの割合ももちろん全然きまっておらない状態であります。
#109
○辻一彦君 スタディグループで検討中で具体的にはなかなか答弁としても出ないと思いますが、これは踏み出せば頭金で六百億、それから七千五百億ないし八千億くらいの合弁会社の中身であればかなりな分担ということに私はなると思います、やるとすれば。そうすればウランの確保の必要はありますが、しかし、あまりに特定のところに大きなウェートを置くということは、午前中もちょっと申し上げましたが、大豆、食糧を見ても、首の根を一カ所に押えられれば、やはり核燃料でいろいろ日本が振り回される。こういう懸念も私はあると思う。そういう点でこれは十分検討してもらって、安定した市場の供給源の拡散というか、確保ということは十分考えておいていただきたい、こう思うのです。
 そこでこれと関連してトロイカ方式とかいわれますが、いわゆるドイツ、イギリス、オランダ、三つが遠心分離法でやっておりますね。これは大体言うならば、ガス拡散法が十年の歳月を要し、七、八千億の金がかかる。これに比べて遠心分離法は四年くらいで、その経費は十分の一とか、かなり小さな、電力が十分の一ですか、小さな経費で上がる、こういうことですが、違心分離法をとった場合に採算ベースが合う規模というのは、ドルというか、円に直せばどのくらいの規模を考えればいいのか、この点どうですか。
#110
○政府委員(成田壽治君) 遠心分離法につきましては、御指摘のように、英国、オランダ、ドイツがトロイカ方式によっていま検討をやり、また、パイロットプラントをつくるべくやっております。日本でも御承知のように、動力炉・核燃料開発事業団で四十八年度から国のプロジェクトとして予算を重点的に投入して、大体昭和六十年ごろまでにコマーシャルな工事、濃縮工場をつくりたい、そういう目途で研究開発をやっております。遠心分離法のメリットというのは、御指摘のように、電力代が七分の一ないし十分の一ぐらい、ガス拡散法に比べて少なくて済むということ、日本のように電力料金の高いところでは遠心分離法のほうがベターであるということも言えると思います。それからもう一つのメリットは、ガス拡散法は六千トン以上ぐらいでないとコマーシャルなベースに乗らないといわれておりますが、遠心分離法は段階的に非常に、一挙に六千トンとか九千トンでなくて、段階的に増設していけるという点がメリットといわれております。したがって、日本のように需要が毎年段階的にふえていく場合には、最小の規模を、毎年需要にマッチさせて設備の増強をやっていけるというメリットもいわれておりまして、商業採算に合うのはどのくらいかということは一概に言えないのでありますが、一般的には建設期間が少ない、電力代の、電力費の占める割合が十分の一で少ない。それから需要の増加にマッチして段階的に設備増強ができるというメリットが指摘されておるのであります。
#111
○辻一彦君 そういう点を考えると、日本の実情にかなり合う条件が多いと思うのですが、これもこの春以来代表が三国から見えて、原産の会議にもスライド等を見せて大事なところを見せておりましたが、かなり強く日本のほうにも働きかけがあったと思うのですが、どういう働きかけが行なわれて、それに対してどうこちらのほうは取り組んでおるのか、この辺簡単に知らせてください。
#112
○政府委員(成田壽治君) 日本も動燃を中心にやっておりますが、英、独、オランダのトロイカとの接触も、日本の自主開発のためにも接触する必要があるというので、向こうの研究グループが、ことしの初めごろロンドンで第一回の調査グループの会合がありまして、日本も先ほどのESCの名前でその研究グループに入っております。まだ最初の段階で、調査研究段階でありますので、ESCの形で入っていろいろ研究して、日本の自主開発のプラスになるようにということでありますので入っておりますが、かなり具体的な段階になると機密の問題等も将来出てくる場合もありますし、最初の調査段階については日本も参加して一緒に研究しようということになっております。
#113
○辻一彦君 どれにも頭を突っ込んで調査をやっておるようでありますが、重点の置きどころがどこかにないのですか。たとえばこの場合は、わが国の濃縮ウランの開発方法が遠心分離法に大体重点を置くという方針がきまっているわけですね。そうすれば、ここにもつと強くタッチしていけば、日本の自主開発のためにもプラスの点がかなり大きいと、こういうふうに思われますが、重点をどれかに置いて、ただ平等に頭を適当に突っ込んでいくというのじゃなしに、どこかにポイントを置いた取り組みがあると思うのですが、どこに大体重点を置いているのか、この点どうですか。
#114
○政府委員(成田壽治君) まだ第一回ぐらいの調査グループの集会でありましたので、具体的な話、技術的な話にはまだ入っておらないのであります。それで、あまり技術的な深く入った情報というのは得られないのじゃないかというふうには思っておりますが、一般的な技術的な話あるいは経済的な面の話等の情報は得られると思いますが、日本でいま遠心分離方式の研究を動燃中心にやっておりますが、カスケード試験といいますか、これがカスケードの試験を四十八年から数年間やる必要がありまして、このためのいろいろな基本的な毒性の研究とか、そういう点に重点を動燃事業団としてはこの数年間置いてカスケード試験を重点を置いておりますが、この研究にどれだけトロイカの調査グループの情報が役立つかどうかというのは、いまのところまだ全然はっきりしない。これからいろいろ情報を得て検討したいと思っております。ただ、日本もことしから本格的に取り上げるに至っておりますが、西独等は若干日本より研究も早くやっておりますので、あるいは一年、二年ぐらいの先行している面もあるやに聞いておりますので、そういう面でまた役立つものもあるんではないかと、そのように考えております。
#115
○辻一彦君 じゃそれに関連して、日本の濃縮ウランの自主開発をこれから進めるにあたって、一つは原研でガス拡散の研究をやっておりますね。それからもう一つは、動燃で遠心分離、ここに重点を置いて行なわれておりますが、どういう方向でわが国のウラン濃縮の自主開発をはかろうと考えておるのか、この点について伺います。
#116
○政府委員(成田壽治君) はっきり言いまして、ガス拡散法はアメリカやフランス等、非常に実鷹工場が動いておりまして、日本がこれから研究をやっても追いつけないという事態もありますので、日本としては、これからやるなら遠心分離法に予算を投入してやるほうがベターである。それから先ほど言いました技術的な、電力代が少ないとか、建設期間が短いとか、それから需要にマッチして設備の増大が段階的にはかっていけるというメリットもありまして、日本は遠心分離方式を国の計画としてはとるということを昨年決定したわけであります。で、大体昭和六十年には実用プラントを動かせるという、そういう目途でやっておりまして、六十五年ぐらいになると必要な濃縮ウランの三割ぐらいは、これは単なる目標でありますが、国産で確保できればというようなねらいでやっております。
 それからガス拡散につきましては、先ほど言いましたように、アメリカやフランスもこの方面ですでに実用段階に入っておりますので、これと共同で工場をつくる場合に、日本側が何にも知識がないと非常に共同参加、一緒にやる場合でも不利な状態に置かれると困るので、基礎的な研究はやっておく必要があるんじゃないか、そういう意味で、あまり大きな予算ではありませんが、原研に予算をつけてこの数年間やってきておりまして、そうして基礎的な研究には原研で研究してもらって、そうして将来アメリカあるいはその他の国と共同でガス拡散法の工場をつくる場合には、こちらも相当大事なところは知っているという状態で、そうして不利な条件でない形で参加するための基礎研究をやっているのであります。
#117
○辻一彦君 わが国の場合、自主開発といっても六十年ちょっと先になりますね。したがって、その時期までは一気にはできないですから、やはりいろいろな国との協力がどうしても大事であるし、また、資源の安定した供給確保という、こういう点からも分散をしておく必要があるということは政府当局の答弁でも午前中にもあったわけであります。
 そこで一つは、先ほどからのように、フランスがあり、アメリカがあり、ドイツ、イギリス、オランダというトロイカがあり、それから午前中のようにソ連がある。こういう四つのいわゆる濃縮ウランを現実に供給し得る先があるわけですが、そういうところといまの段階ではスタディグループ、研究会をやっているという段階のようでありますが、私は、いずれ具体的にこのうちのどことどういう協力をするかということをやはり考えていかなくちゃならない時期がくると思うんですね。そういう時期のめどをいつごろに置いているのか。いつまでもこのスタディグループというわけにはいかないと思うのですが、どういう見通しでこれをやっているか、それはいかがですか。
#118
○政府委員(成田壽治君) アメリカの三工場、いま設備増強計画をしておりますが、それをもってしましても一九八二年ごろになりますと世界的に需要に能力が追いつかないという状態が大体見通されております。したがいまして、一九八二年ごろに新しい工場が世界の各地で持たれることが必要になってくるわけでありますが、それに建設期間を考えますと、どうしても来年中には第四の工場、世界的に見まして第四番目の工場の建設というのが、設置の決定がなされる必要があると思います。そういう意味におきましても、日本としては来年の初めごろまでにはこの原子力委員会の国際濃縮計画懇談会、この会合も主としてそういう問題のためにつくられたものでありますので、来年の初めごろまでに、何らかそういう意味の日米共同、あるいはフランス、あるいはその他のいろいろな構想が出てまいると思いますが、まあ来年の中ごろまでにはその決定をする必要があると思っております。
#119
○辻一彦君 来年の初めごろに、原子力委員会としては一応の結論を出す必要があるということでありますが、きょう若干の時間を費やして、二、三の論議をやったわけですが、繰り返すようでありますが、フランス、アメリカ、トロイカ三国、ソビエト、こういうところと日本との関係が私はたいへん大事だと思うんです。どうしても一つのところに片寄るということは、いかなる資源にしてもいろいろな危険がつきまとう。どうしても供給先を分散をし、安定をした形で私は核燃料の確保も考えていくことが当面大事であると思います。そういう点でこれからの市場、供給先の分散、安定した確保について、さらにそういう段階を踏みながら、日本のウラン濃縮についての自主開発について、長官からひとつまとまった考えを伺って終わりたいと思います。
#120
○国務大臣(前田佳都男君) 先刻来、辻先生と私のほうの政府委員との問答を聞いておりましたが、濃縮ウランの供給はほかの資源と同じように多角化する必要があるというふうな御見解でございますが、その点はわれわれもそういう考え方でいろいろ国際濃縮計画等に現在参加をいたしましてスタディをいたしておる。そして、来年の中ごろまでには結論を出したいということはお答えしたとおりでありますが、何にせよ、とにかく自分みずからが開発、国産する、つくるということが一番大事でございます。その意味におきまして、御承知のように、昭和四十八年度におきまして五十二億の予算を計上いたしまして、遠心分離法による開発に、濃縮ウランの国産化の開発に着手をしたわけでございますが、これも六十年度の中ごろには必要とする日本の濃縮ウランの量の約三分の一程度をこの遠心分離法によって確保したいということによりまして、目標のもとに鋭意これに取り組んでおるという次第でございます。
#121
○渋谷邦彦君 私は、これからお尋ねしようと思いますことは、エネルギー資源の確保については、日本の将来を左右する重大な課題であるという観点に立って少しく伺ってまいりたいと思います。
 この問題については、すでに関係各委員会においても議論がなされてきた面もあろうかと思います。そうしたことを十分踏まえながら、まあおさらいをしながら、この際、今後の問題を通じて確認をしてまいりたい、こう思います。
 これは、申すまでもないことでありますけれども、日本は資源国ではない、たいへん宿命的な問題を背負っているわけであります。しかし、一方、エネルギー問題については、年々その需要が増加して供給がもう追いつかない。今後数年後にはおそらくもうはかりしれない、きわめて不安定な状態が到来するのではないかというようなことも専門家筋等通じてしきりに言われているわけです。特にその象徴的な問題は石油でございましょう。とりわけ電力関係の問題については火力から原子力利用と新しい転換を迎えて、わが国においても導入というものが積極的にいま取り組まれようとしているわけであります。しかし、一方においては環境破壊の問題だとか、あるいはその安全性に対する疑惑、これに伴う人命の危機感というようなものがやはり混在して起こってきておりまして、一体こうした矛盾した現象というものをどう調整していかなければならないかという、非常にせっぱ詰まった段階を迎えておることも事実であろう、こう思うわけであります。そこで、今後のそうした調整を一体将来の展望に立ってどう対応していかれるという基本的な考えを持っていららっしゃるのか、これ第一点。
 それから第二点としては、先ほども議論の中にございましたように、昭和六十年には六千万キロワットですか、に原子力発電というものを整備していきたいということがございました。はたしてそれで日本の総需要というものがまかない切れるのかどうなのか。一体その需要とはどういう意味を持つものであるのかという問題が、やはり専門家でないわれわれにとっても常識的にそうしたことが考えられてくるわけであります。今後のそうした総需要という問題について、一体供給の面はどんな過程を経ながら充足をしていくつもりなのか、おそらく現状のままでは供給はとうてい追いつかないのではないだろうか。石油問題にしてもそうでありますし、おそらくこの石油問題を中心にして考えてみた場合でも、相当多量の石油を使うということになれば、この日本列島コンビナートであるとか、それに関連する工場であるとかで埋まってしまう危険性も出てきやしないか。当然そうなれば公害という問題がますます急速度にいま以上の国民のおそれを抱くような方向へ展開しないとは限らない。おそらく原子力発電所についても同じことが言えるわけであります。供給のみを考えて今度は需要の面をどこまでも野放しにしていいかという、こうした問題もわれわれの疑問の中にあるわけです。
 まずこの二つの問題を、今後のエネルギー資源を確保することと同時に、それを利用する内容というものをどういうふうに一体これから考えていったらいいのかという、基本的な問題をまずお伺いしておきたい、こう思います。
#122
○国務大臣(前田佳都男君) 渋谷先生御指摘のように、エネルギー需要と申しましょうか、そのうちにおきましても特に電力の伸び率というものは、平均大体九・五%前後の率をもって伸びておりまして、それに対しまして電力のエネルギー源でありまする石油につきましては、私から御説明するまでもなく、OPECのせいであるとか、あるいはアメリカが輸入国になっておること、あるいは低硫黄の原油というものを求めているということ、また、地球全体に考えましても、資源的にも石油のあとの命数というものはそんなに長くない、いろんな情勢もございますし、その場合におきまして、原子力に対する期待が、クリーソニネルギーというものは、はっきり申し上げていいかどうか疑問でございます、いろんな議論もございますから。けれども原子力に対する期待というものは相当強いものがあると思われるわけでございまして、それに対しまして原子力の供給のほうの面が、エネルギーの供給のほうの面が、石油も含めましてですが、はたして一体全体予定どおり進むのかどうか、昭和六十年度に六千万キロワットの原子力発電というものができるかというふうなお尋ねがあったと思うのでございますが、その点につきましては、いずれにいたしましても原子力については安全性ということが非常に大事な問題でございます。原子力発電所を置きまする場合、地元の方々の理解と協力ということが大前提でございますし、万一事故があったらたいへんだという点から、われわれも安全性の確保ということについては一生懸命に努力をいたしておりますが、それがためには原子炉安全審査会に許可の前にかける、あるいは許可後におきましても電気事業法に基づきまするいろんな検査をいたしておりますが、とにかく安全性ということを考えつついろんな立地等も考えておりまするので、時期的にもそうぱっぱっと早くわりあいいかないという点もございます。また環境問題というものが最近特に大きく取り上げられまして、従来は、地元の声といたしましては、地元の知事の意見を聞くということをやっておりました。さらにまた、温排水問題等につきましても、環境についても、環境庁に環境基準というのをお願いする以外に、具体的にまた通産省にもお願いをいたしまして、環境調査というものを正式に要求して、その報告を求めて、そうして原子力委員会としてそれらのものを総合いたしまして判断を下しておるわけでございますが、さらにまた、渋谷先生御案内のように、公聴会というものも今度原子力委員会で決定をいたしまして、そうして公聴会で地元のなまの声を聞いて、そのなまの声を安全審査とかそういう方面に反映をしたらいいと、しかし、原子力委員会だけではこれまたそれだけのスタッフもおりませんから、やはり環境についても、原子力委員会としても環境についての専門のコンサルティンググループというようなものを置いて、そうしてなかなかそれでも不十分じゃないかというふうないろいろ非難もございますけれども、とにかく一生懸命皆さんの理解と協力のもとに、われわれの長期計画として考えておる目標を推進いたしたいと思って一生懸命にやっておるわけでございます。
 それで、供給のほうはそうして一生懸命にやっておるわけでございますが、その反面、需要のほうを少し考えちゃどうかというわけでございますが、需要のほう、特に一般の電力需要とかそういう需要もわれわれはチェックしていこうという、そういうふうな統制経済的な強い考え方はいまわれわれは持っておりませんけれども、とにかく節電と申しましょうか、相当むだがあるんじゃないか、節電的な、節エネルギー、省エネルギーと申しましょうか、そういう技術を開発する必要もあるんじゃないかということで、実は科学技術行政のあり方としてエネルギーをできるだけ少なくする、省エネルギーの技術の開発ということに実は科学技術の今後のあり方の方針といたしましてきめておりますが、たとえば電気にいたしましても、建築の設計にいたしましても、少しも窓のない設計で、もっと窓をつくって太陽熱を、太陽の光線を取り入れればもっと電気が少なくて済むのじゃないか、あるいはテレビにしても、節電型テレビという、そういうテレビの構造ができるのじゃないかと、そういういろいろな問題もあわせて考えて、とにかくただ供給だけ一本懸命に努力するというのではなくて、少しくわれわれが改善、くふうをこらす余地はないか、エネルギーに対する需要を国家的統制でどうするというような大それたものではなくして、ほんとうに限られた資源でございますから、エネルギー源の節約になるように、もっとくふうしたらどうかということで、これは科学技術行政の方針といたしましてその点を打ち出しておる次第でございます。
#123
○渋谷邦彦君 通産省の調査によりましても、毎年約一〇%の総需要の伸び率があって、大体六十年ぐらいになったときには電力の需要状況が一億一千四百万キロワットアワーですか、それだけ需要がふえるという見込みをお立てになっておるようであります。毎年その一〇%という試算をされた背景はどこにございますか。
#124
○説明員(荒川英君) 昭和六十年に対しましてどのくらいエネルギーが伸びるか、先生のおっしゃる――過去大体一〇%くらい伸びておりましたのですが、今後経済成長率を大体九%程度と仮定いたしまして、それから産業構造上も非常に大きくは変更ないと仮定いたしますと、エネルギー全体としまして私どもの現在の計算では九億から十億キロリッター石油換算で――全エネルギーでございます。それで電気につきましては、その当時の予想でございますと、全エネルギーの大体二八%ぐらい、これが二次エネルギーとして電気になりまして、一億一千五百万キロワットから一億二千ぐらい、二千五、六百でございますか、そのくらいが電気としては要るというふうな数字が出ております。ただこの数字は、先ほど現在の成長率大体九%ぐらいを前提にして、それからもう一つは産業構造が現在とあまり変わらないという前提ではじいております。したがいまして、現在そういいった点についてのやはり国としての態度としてそういうふうでいいかどうか、やはり経済成長率というものをそう高くしていいのかどうか、それからやはりいろいろな資源――エネルギー資源も含めてでございますが、もっとこれを節約してやっていくべきじゃないか、さらに先ほど先生の御指摘の大気汚染とのからみとか、こういったこととのからみを含めますと、現在あります見通し、数字というものを、やはりいま見直さなければいかぬということで、これは総合エネルギー調査会という通産省の機関がございますのですが、ここの場を使いまして現在見直しをいたしております。おそらく相当数量的には少ない、もちろん前申し上げた数字より低い感じのほうにきめられていくだろうと思いますが、まだ検討中でございまして、全体としては現在のところきめてないわけでございます。
#125
○渋谷邦彦君 いまおっしゃられた私の質問に対する答えの中で、平均年間約一〇%の伸び率、これは現在の産業構造現状維持というふうにおっしゃったようにいま私伺ったんですが、経済成長率を全然見込まないでそのくらいの伸び率があるというふうに判断をされていらっしゃるのですか。
#126
○説明員(荒川英君) 今後の成長率、GNPの目通しにつきまして、先ほど申し上げた数字は今後は大体ラウンド九%前後でございます。過去の実績の一〇%ぐらいでございまして、九%くらいという成長率で計算いたしますと、先ほど申し上げたような数字になります。
#127
○渋谷邦彦君 いずれにしても、今後供給のいかんを問わず電力の需要というものは伸びるということ、これは必然的な結果になるだろうと思うのです。そうすると、現状、原子力発電というものには非常に限界がございます。問題点もあります。あるいは政府当局が予想された、計画されたその方針どおりにいくかどうかということになりますと、これまた非常に疑問であります。してみると、その代替といいますか、代替というのはことばがどうかと思いますけれども、やはり当面石油資源にたよらざるを得ないのじゃないかという、そういうわれわれとしては考え方を持つわけであります。しかし、石油資源についても考えてみるとたいへんいま激烈な、資源確保をめぐって日本のみならず、アメリカにおいてもいまエネルギー危機と呼ばれているような状況を考えれば、今後ますます深刻な事態になりはしまいかと、こう思うのです。ところが、けさ中東関係の大使館からの連絡によれば、たいへん楽観的な見通しをしているという、これは公電かどうかわかりませんけれども、そういうニュースが入っておる。そうすると、いままでわれわれが想像してきた、日本というのはたいへんむずかしい立地条件に置かれているために、今後もたいへん苦労しながら、いま申し上げておる石油に限定し場合、困難な道を歩まなければならないのじゃないかというふうに考えられるわけです。そこで、通産省が一応今後石油資源の確保という問題についてはその見通しをどう持っていらしゃるのか。それから、いま私が申し上げた、それは公電ではございませんので、外務省としては出先の機関が情勢分析をしたその結論というものは正しいのかどうなのか、この二点を一応確認しておきたいと思うのです。
#128
○説明員(荒川英君) 石油資源の今後の確保の見通しにつきましては、現在私どもが考えておりますが、いろいろやはり客観情勢が相当流動的な面がございまして、たいへん見通しがつけにくいわけでございます。昭和の五十五年――一九八〇年でございますが、これくらいの時点での現在通産省としての見通しとしましては、需要として四億五千万キロリッター、この程度がやはり必要であろう。それでそのときにおけるやはり世界の総供給でございますが、これは大体五十億キロリッター、これが世界の総供給として出てくる。それに対する日本の需要が先ほど申し上げたような数字でございますが、五十億キロリッターの供給については、やはりいろんな専門家あるいは国際的な機関の見通しによっても決してこれは不当な数字ではない。数字的に見ますと、一応見通しとしては、大体需要としては供給を確保できるというような数字にはなっておるわけでございます。しかし、やはりいろんな不確定要因がございます。先ほど先生御指摘の、やはり中東のいろんな紛争と申しますか、いろんなそういう可能性がございます。それからやはりこれに対するばく大な開発資金がございまして、資源量が、かりに埋蔵量としてはありましても、たいへんな金が要るというものを調達できるか。
 それからもう一つは、やはりアメリカのエネルギー政策が転換をいたしておりまして、石油輸入に踏み切る、特に中東石油輸入というものを相当やはり増大させるというようなふうになってきて、やはり一種の油についての競合状態がございます。さらには、やはり中東諸国がこれから外貨をふやしてまいります場合に、石油販売外貨があまり過剰にふえてまいりますと、やはり資源のリザーブをドルでするより地下の石油資源にしたほうがいいという観点に立ちますと、生産抑制、生産制限という可能性があります。
 こういったようないろんな要素を考えてまいりますと、やはり数字的には一応あるんですが、ほんとうに確実にそれだけの油が取れるかどうかという点については、やはり相当不安な状態が残るということもまた事実でございます。しかし、そういったことに対して直接手を打つということはむずかしいものですから、やはりわれわれとしては安定供給のために自分で開発した油、今後は自主開発から共同開発とか、さらには確保地域を分散するとか、あるいは緊急時のための備蓄量をふやしていくとか、あるいは代替資源、これはすぐには即効性はないわけですが、代替品の開発というようなこと、その他いろんな方策を多角的に使い、最後にはやはり省エネルギー型の産業構造というようなことも含めまして、需給両面で手を打っていく。それを最大限やることによって安定確保をはかる、こういう考えでやらざるを得ないということで現在もやっておるわけでございます。
#129
○国務大臣(大平正芳君) 今週、中東七ヵ国の大使を招集いたしまして東京で大使会議を開いたわけでございますが、中東紛争の問題、石油問題等について、現地のなまの報告を聴取いたしました。その一部が新聞に出たことと思うのでございますが、大まかに申しまして、石油問題には二つの問題があって、一つは、あなたが御指摘になっておるように量の問題、需給がミートするものかどうかというその展望はどうかという問題がございます。もう一つは価格の問題でございます。いま通産省からも御説明がありましたように、供給国側の生産計画というようなものも、将来その国が資源の姿でリザーブしておこうというようなことを考えない限りにおきまして、そんなに大きないまの生産計画に狂いはないのではないか。したがって、世界の石油需要というものを短期的に見ても中期的に見ても、需給はともかく調整がとれるのじゃないか。したがって、石油危機、石油危機という声をあげる実態的な根拠はそういう意味では乏しいのではないか、そういうことはあまり利益にならぬのじゃないかというような判断が一つございます。けれども、アメリカが新規の輸入国として大きく参入してくるという、いま通産省からも御指摘がありましたように、したがって、日本とECと並んで大きな輸入国になるというような展望に立ってまいりますと、当然のこととして産油国側の力が相対的に強くなってくるわけでございまして、テヘラン協定におきましても、ジュネーブ協定におきましても、利潤の分配、価格等につきまして有利な地歩を占めております。当然のこととして、これは価格形成にあたっては安くなるという展望は持てないわけでございまして、相当価格を高くするような方向にくるのではないかということを憂えておるわけでございます。それだけに石油危機、石油危機と言いますことは、かえってその緊張の度合いを高めるわけでございますので、できるだけ冷静に対処してもらいたいというのが、各大使のほぼ一致した勧告でございました。
#130
○渋谷邦彦君 おそらく現地の出先としては、客観的に冷静に事態の推移を見守りながら、そうしたような意見が出るのは当然だろうと私は思うのです。ただ、イランにしてもイラクにしても、あるいはリビア、サウジアラビアにいたしましても、石油の採掘については国家が管理する、そしてまた採掘量も制限がある、あるいは民族的な対立感情があって、いつ紛争にそれが巻き込まれないとも限らないという、そういう情勢下にあって、冷静に考えつつも、そうしたような流動的な中東情勢というものを考えた場合に、はたしていまわれわれが、まあ日本の立場から考えた場合に、要求しているだけのその量というものの確保というもがはたして可能性があるものだろうかという当然疑惑が出てまいります。大平さんは、いま、そういう出先の方々の報告をお聞きになって、なるほどその石油危機ということはかえって刺激を増加するというマイナス面もあるだろうとは思いますけれども、ただ日本としては、もっとそうしたようないろんな情勢を踏まえた上で、やはりいろんな手を打たなければならない問題も知はあろうかと、こういうふうに考えるわけです。はたしてそうしたような現状の行き方で、今後五年、十年という長期展望に立った場合に、原発のおくれ等も十分考えながら、やはり相当期間、石油エネルギーというものにたよらざるを得ないといった場合に、これだけの、ある一定の量というものはどうしても確保しなければならぬということになるわけですので、まあその辺の見通しは、いまおっしゃられたようなことで間違いなく保障されていくものであろうかという疑問がぬぐい切れない、こうなるんでございますが、いかがなものでしょうか。
#131
○国務大臣(大平正芳君) われわれ、当然な石油政策あるいは石油外交と申しますか、の任務は、仰せのように、石油の安定供給を確保する。しかも有利な確保のしかたを考えにやならぬわけでございまして、いま私が前段で申し上げたのは、石油危機、石油危機ということをプレーアップするということは、必ずしもそういう意味からいって賢明でないということを申し上げたので、石油資源の安定確保に手をこまねいておっていいということでは決してないわけでございます。したがって、産油国あるいは消費国、あるいは日本の輸入石油の大宗を扱っておるメジャーとの関係、そういった点につきまして、私どもが非常に精力的に施策し配慮してまいらなければならぬのは当然でございまして、要は一番有利な確保のしかたをどうして考えていくかということでございます。それでわれわれの感じといたしまして、それは必ずしも不可能ではないじゃないか、にっちもさっちもいかぬという事態に追い込まれるのじゃないかということではなくて、道はあるのではないかというように考えております。
#132
○渋谷邦彦君 昨年だったと思うんですが、通産省、科学技術庁、外務省、相次いで「資源問題の展望」という所信を述べられていらっしゃいます。それぞれ表現のニュアンスは違いますけれども、内容的には大体共通した言い方をされているように思うのですが、御参考までに申し上げますと、通産省の場合は、資源産業は一般的にいって採掘から精錬加工まで一貫化していかなくては妙味がないのだから、わが国は資源開発の後進国だから云々などと、気おくれすることなく、積極的に進出して自主開発を進めるべきである。それからまた科学技術庁や外務省等においては、開発途上国のナショナリズムや世界のブロック化の進展、巨大資本による鉱工業資源の独占支配といった現状を重視し、資源保有国との協調を第一に考えよと主張する。まあねらい方、考え方はわかるのですけれども、じゃ、具体的にどうするかという点についてはお触れになっていらっしゃらない。なるほどいま御答弁を通しましても、よくその点は私も理解できると思うのですよ。さて今後実際には石油危機であるかもしれない。わが国にとってもそれは死命を制せられるような大きな問題でありますだけに、いろいろな角度から検討も加えられてはいらっしゃるだろうと思うのですけれども、いま申し上げた中で、これは私も同感だと思うのですね、自主開発を進めるべきであると言い、また、資源保有国との協調を第一に考えなければならないという問題。じゃ具体的にはどうなんだということになるわけでございますが、通産省あたりではその点をどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#133
○説明員(荒川英君) 石油の資源獲得につきましては、いわゆるエネルギー調査会の過去の答申によりまして、昭和六十年において自主開発原油三割、これを確保したいという目標を掲げてやってきておりますが、現在はやはりその数字が四十八年の見通し数字で一二%前後にはなっておりますが、三割にはなっておりません。まあ自主開発原油、いわゆるアラビア石油方式みたいな、いわば日本の会社でもって採掘から開発、獲得というところまでやるような、自主開発体制というものが考えられておったわけでございますが、やはりこのような国際情勢の変化に対応しまして、いわゆる自主開発という中身を、単に日本の会社だけでとってくるということは、もうなかなかできない情勢になっております。最近幾つかの実例がございましたが、やはり国際資本とも協調し、もちろん現地の産油国の政府、あるいは産油国の国策石油会社とも協力したような、そういう形で、いわば協同開発の場、こういうかっこうでの獲得も考えなければいけないというふうに思っております。それからさらに形としまして、いわゆる開発段階から獲得するのでなくて、融資をいたしまして、融資した上で油を買う、融資買油、こういうようなこともまだ日程に上ってきておりませんが、そういうようなことでやはり石油資源を獲得するというようなことも考えております。そういったようないろいろなくふうもして、精神的にはやはり国際協調のもとでこれを獲得するというようなことをやっておるわけでございます。それからあと地域分散みたいなことにつきましては、従来はいろいろな世界各国、中東以外のところでも現にやっておるわけでございますが、なかなか大きく成功しておるというものはまだ出ておりませんが、現在やはりソ連関係のチュメニ油田等の検討、これは現在まだ最終的な結論になっておりませんが、ソ連側と日本の民間当事者との間の話が詰まった段階では、全政府としてこれをどう扱うか、決断するというような運びになるかと思います。そういうような形でいろいろな方面について具体的な動きが出ておると思います。
#134
○国務大臣(前田佳都男君) 私のほうは、ウランのことをお答えしたいと思います。
 昭和六十年度に原子力発電の規模は六千万キロワットの目標でございますが、それらのウラン精鉱といたしまして累積必要量が約十万トンでございます。正確には九万九千トン程度ということになっております。このうちですでに約九万ショートトンはもう契約しておりますので、その点は石油ほど心配はいたしておりませんけれども、その後におきましても海外におきまする探鉱の開発推進ということを考えておりまして、カナダ、アフリカ、オーストラリア等に動燃事業団が探鉱開発の調査をいたしております。そうしてまた、民間企業におきましても、海外探鉱ということをあちこちやっておるようでございまして、民間の海外探鉱につきましては成功払い方式で探鉱融資をいたしているということでございます。そして所要量の三分の一程度は海外開発で自主的に確保いたしたい、そういうように考えております。
#135
○渋谷邦彦君 ちょっと私がいまお尋ねしたことと若干意味合いが違うかと思いますけれども、さらに石油問題に関連して申し上げたいことは、御承知のとおり、戦前は約八〇%をアメリカ依存、まあそれで苦い経験をわれわれは過去において味わっておりますが、現在は九九%を中近東というふうに、シェアが大きく変化してきたわけであります。それだけにこの中近東に対する日本をはじめとする、アメリカにいたしましても、ソ連にいたしましても、各国が競ってこの中近東に着眼をする。そうすると、いままでのこの日本の中東に対する政策というものはいかがなものであったんだろうと、もう一ぺん振り返ってみる必要があるのではないか。今日までしばしばイスラエルとの間におけるアラブ連合諸国との紛争、それに対してはわれわれは、われわれというよりも政府自体は、それを傍観、むしろ静観をしてきた。まあもう少しく穏当な言い方で言えば中立を堅持してきた。しかし、はたしてそうしたようなことが今後許されるものであろうか。とにかく利害が相半ばする、相反する、そうした問題をかかえておりますだけに、日本の今後の中東政策を立てる場合に、従来のような考え方でいいのであろうかというふうに考えられるのですけれども、この点は外務省としてはどんなふうにこれからもお取り組みになっていく御方針なのか。
#136
○国務大臣(大平正芳君) 中東紛争の問題はイスラエル問題がケルンになって起きた問題でございまして、石油が政治の用具になって起こった問題とはわれわれ考えていないわけでございまして、問題は、あなたの御心配は、石油が政治の用具に将来なりはしないかということを御懸念になっておると思うのでございまして、それはごもっともだと思うのでございますが、ただいままでのところそういう徴候は見えないわけでございます。石油の、油田を国有化するというようなラジカルな政策をおとりになっている国ももちろんあるわけでございますけれども、それの実際のマナーを見ておりますと、供給について政治的な片寄った措置を講じておるようにはどうも受け取れないわけでございまして、私どもといたしましては、石油が政治の用具になるというようなことになるとえらいことになると思うのでございまして、そういうことが起こらないように、消費国も産油国も細心周到な配慮をいたしていかなければならぬと考えておりますが、ただいままでのところそういう心配はないと考えております。
#137
○渋谷邦彦君 ただ、私自身が懸念することは、必ずしもイスラエル、アラブ諸国の紛争に関連するのではなくして、先般アフリカ基金の審議がなされたときにも申し上げたつもりでございましたが、特に日本から地理的にかけ離れた地域であるということ、そうしたことでなかなか感覚的にも切迫感というものが起きない。しかし一方においては、後発のいわゆる発展途上国においては、日本のいわゆるその技術協力等をはじめとするあり方というものは非常に手ぬるいという、これはアラブ諸国だとかそういうところで発行しているそういうような資料によっても、しきりにそういうような日本政府に対する非難めいた言々句々が見られることを私は記憶しているわけです。だから、その辺はおそらく否定なさるかもしれませんけれども、やはり実感としてそうしたことをそういうような資料に書くということになれば、これはわれわれとしても一応反省して考え直すべきではないだろうか。そういうような日本と中東を中心とする諸国に対して、はたして従来のようないろいろな協力体制というものでいいのかどうなのか。そういったところに日本に対する信頼感、こうしたものが濃くなるか薄くなるか、それでまた一番われわれがのどから手が出るほどほしい石油の確保についても話し合いというものがうまくいくかどうかということは、やっぱりそういう面からも背景的に考えられていきはしまいかということを私は懸念するわけです。その点はいかがですか。
#138
○国務大臣(大平正芳君) 産油国に対する経済協力の問題でございますが、これは二つに分けて考えなければいかぬと思うのです。一つは、産油国で、原油を輸出して得た外貨が非常に豊富であるけれども、国内の開発資金需要というものがなおそれをオーバーしている。たとえばイランみたいな国でございますが、そういったところにつきましては、資金の供給も含めての経済協力というものを考えてまいらなければならぬし、また、そういうラインで施策をいたしておるわけでございますが、一方、原油の輸出収入が豊富にございまして、資金的には外貨は十分持っていると、そうしてみずからそれをインフラストラクチュアをはじめ、いろいろな文化、教育施設なんかに、非常に精力的にそういうものを整備しておる国もございますし、これからそういうことを計画していく国もございますわけでございますから、そういうところに対しましては、できるだけ技術援助の形で御相談に、向こうの計画を順便に完成するためにお手伝いするというような意味で、技術援助を主にした協力のしかたを考えていくべきじゃないかと考えておるんでございまして、私どもといたしまして、産油国との間についての互恵関係の充実と申しますか、信頼関係を深めてまいりますということにつきましては、御指摘のとおり、十分配慮してまいるつもりでございます。
#139
○渋谷邦彦君 こうして考えてみると、原子力をはじめ、石油エネルギーにいたしましても、長い日本の歴史においてはこれというものの開発がなされないままに、ひとえに外国からの恩恵を一貫して受けてきていると、しかし、日本人の能力を考えた場合に、こうした非常に乏しい環境の中にあって、まだまだしかし世界に寄与できるものがあるのではないかというふうにしろうと並みの考え方が浮かんでくるわけです。何もかもアメリカに依存してみたり、あるいはその他の国に依存しきらなければ、このエネルギー問題をはじめとして、将来ともたいへん不安定な未解決の問題をかかえたまま経過するのではあるまいか。そうしたことを考えた場合に、何とか自力でもって、日本で、あるいはクリーンエネルギーというものを、先ほども問題があったようでありますけれども、そうした開発に、あるいはもうすでに手がけられていらっしゃると思うんですけれども、もしそうだとするならば、現在の機構の中にあって、はたして将来の見通しが立つんだろうかどうか、十分また研究の余地というものはあるのではないだろうか。たとえば水にいたしましても、まあ日本列島を取り巻くものを考えた場合に、無尽蔵というふうに思われるものはまず水でございましょう。あるいは塩水でございましょう。太陽でしょう。こうしたものをとらまえて新しいエネルギーというものの開発というものは進められないものなのかどうなのか、そうした現状について――これはむしろ通産省のほうがよろしゅうございましょうか。
#140
○説明員(和田文夫君) 先生おっしゃいますようないろんな石油、石炭等の現在の中心エネルギーの将来の枯渇等の問題がありますし、それからおっしゃるような、それの利用に伴う環境汚染等の問題もありますので、将来の望ましいエネルギー源といたしましては、他の、おっしゃるような無公害であり、かつまた、豊富に存在するということが必要でございます。こういう観点から、最近世界的に太陽エネルギーでございますとか、地熱のエネルギー、あるいは海流のエネルギー、あるいは水の直接分解等による水素エネルギーの開発利用というものが関心を集めているわけでございまして、通産省におきましても、基礎的な研究として太陽エネルギーあるいは地熱エネルギーを取り上げて、現在研究開発というか、調査といいますか、こういうものを進めているわけでございますが、さらにそういう成果を踏まえまして、いろいろな新しいエネルギーの利用の問題、開発の問題について積極的に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#141
○渋谷邦彦君 確かにいまおっしゃられたように、われわれの願わしいことは無公害のエネルギー、まあこういうところに置かれると思います。原子力にいたしましても、あるいは石油にいたしましても、それぞれの欠点を持っておることは今日いろいろな角度から指摘されておるとおりでありまして、もうすでにアメリカあたりでは、いま私が申し上げたようなことの開発がどんどん進められている。アメリカができることについては、日本としても決して技術水準というものは劣っているとは思えない。可能性は十分秘められているのではないか。ただ私ここで非常に心配になりますことは、もし現在いまの御答弁のように努力をされているという前向きの方向で取り組まれていらっしゃるとするならば、研究体制であるとか、そういうものは万全を期せられた現状であるのかどうなのか、いつもこの問題が何事によらずネックになるんですね。それで、発想はいいんです。発想はいいんですけれども、その集約である一体結論がどうなったのかということがなかなか出にくい場合があります。それには人的な問題もございましょう。お金の問題もございましょう。施設の問題もございましょう。こういったものを総合的に本格的に、今後の日本の将来という、冒頭に申し上げたことを通じて、どういう一体展望に立たれて十年後、二十年後、三十年後、五十年後というぐあいに考えていかなければならない大問題でありますし、当然その辺を踏まえつつ取り組んでいらっしゃるんではないだろうかというんですけれども、私もやっぱりいまの御説明では非常に不安定な要素が多過ぎて、はたして研究開発というものが積極的に推進できるんであろうかと、こう思わざるを得ない。その点はいかがでございましょうか。
#142
○国務大臣(前田佳都男君) ただいま渋谷先生から無公害の、しかも資源として心配のないエネルギー源として海の水等の御指摘がございましたが、私も全く同感でございます。それは結局核融合、クリーンエネルギーといたしまして核融合ということをわれわれ考えるべきじゃないかというわけで、わが国の核融合でございますが、第一期計画は四十四年から四十九年まで二十二億六千万円を計上いたしまして、原子力研究所、理化学研究所、電子技術総合研究所等におきましてこれを進めてまいりました。そうして原子力研究所の東海研究所におきまして、ことしの三月十四日でございますが、一立方センチ当たり約十兆個、電子温度摂氏七百万度の超高温、高密度のプラズマを発生し、一万ガウスの磁場で〇・〇二秒の閉じ込めに実は成功いたしました。このことはわずか〇・〇二秒じゃないかというふうなお考えかと思いますが、これは現在の世界におきます最長の記録でございます。したがいまして、ソ連よりもアメリカよりも実はこの点は進んでおると私は考えております。実は七月九日に科学技術会議を開いたのでございますが、その席におきましても、ちょうど渋谷先生御指摘と同じようなことを私も述べまして、これからこういうふうなクリーンエネルギーの開発に手をつけるべきではないかということもよく述べました。そうして現在わが国が米ソ以上にそういう実験の実績を持っているんだということも私は誇っていいのじゃないかと思います。そういうこともございまして、実は原子力委員会の中で核融合研究開発懇談会というものをつくりまして、それで設置場所、今後の核融合についての運営、組織形態であるとか、あるいは民間とか大学との協力関係とか、そういうようなものを核融合研究開発懇談会で早急にひとつ検討しようじゃないかということで、その具体的内容につきましては、専門家からなりまする分科会を設けまして、これで検討したいというふうに考えております。そうして実はアメリカのプリンストン大学に日本から行っておりました吉川という博士が――これは核融合につきましては世界的に有名な学者でございますが、この吉川博士も日本に帰ってもらいまして、東大の教授兼われわれのほうの研究関係の仕事も、いま兼務というふうな立場においてわれわれの相談に実は乗っていただいておりまして、先生御指摘のような、そういう、何としてもこれはもう、先のことであります、いやもう今世紀末だとかなんとか言うて、そう遠いはるかかなたであるというふうな考えではなくて、これを一刻も早くつくって、これは日本だけのためじゃない、世界のためにもこういうふうなものを開発すべきじゃないかということで張り切って実はやっておるということを御報告いたしたいと思います。
#143
○渋谷邦彦君 そうしますと、近い将来において、いわゆる無公害によるエネルギー源というもについては、十分開発の可能性があると判断してよろしいんでしょうか。
#144
○国務大臣(前田佳都男君) 私、残念ながらしろうとでありまするので、はっきり断言はできませんけれども、その東大の吉川教授、プリンストンから帰りました吉川君ともいろいろ話をいたしましたが、吉川君の話によれば、相当その可能性があるんだということで、もちろんそれがためにはいろんな前提がございますけれども、そういうふうな意見の応答がございました。
#145
○渋谷邦彦君 私は確認をしたわけではありませんので何とも言えませんが、アメリカにおいては、水を実験して、水素と酸素に分離いたしまして、水素を燃料とする研究開発がもうすでに結論の段階に至っているということになりますと、これはもうごく近い将来に実用化の方向へ踏み切れるということが十分予測されるんではないだろうかというような、これはしろうと考えでございますけれども、その点はいかがなんでしょうか。
#146
○説明員(和田文夫君) 私も直接専門ではございませんが、うちの工業技術院のほうで、いま、先生おっしゃいましたような、水を熱分解いたしまして、それを電力システムに利用するとか、あるいは直接動力に利用する、熱に利用する、化学に利用するということを、さっき申し上げました、無公害のエネルギーを豊富にするための開発の一環として、長期的にこれから取り組んでいこうという計画を検討中であるということを聞いております。
#147
○渋谷邦彦君 ついでですので、もう一つ伺っておきたいんですが、地熱利用については、どういういま開発が進んでいるんでしょうか。
#148
○説明員(和田文夫君) 地熱利用につきましては、御承知のように、わが国が温泉国でございまして、しかもいわゆる水力と同じような循環エネルギーで、地熱開発につきましては、諸外国に劣らない基礎的な経験があるわけでございますが、いままで政府としてやりましたことは、過去に、昭和二十五年から四十七年の累計で、地質調査所で、いろんな地熱に関する調査研究等に約一億の金を使いました。それから、今年度から三カ年計画で全国の地熱の基礎調査をやろうということで、今年度の予算はたしか八千万のはずでございましたが、三カ年計画ぐらいで全国の地熱有望地帯の基礎調査をやろうとしております。
 それから現在、先生も先刻御承知でございましょうが、地熱発電所として動いておりますのに、九州で約一万キロ、それから東北で二万キロ、それから現在建設中のものが東北で五万キロと二万キロ、それから九州で五万キロ程度でございまして、こういうものの開発を通じましてもいろいろな研究調査ができまして、全国的な地熱の基礎調査と相まって今後積極的に地熱エネルギーの開発に取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。
#149
○渋谷邦彦君 いまずっと御答弁を伺っておりましてね、水の利用、地熱の利用、太陽の利用、決して遠い将来のことではない。おそらくごく近い将来に実用化の方途が考えられるというような印象を受けるわけです。そうした場合に、いま地熱利用の発電所も何基かもうすでに設定されておる。そうしますと、午前中に森委員が指摘されましたように、そうしたような可能性があるとするならば、いま環境破壊などと騒がれております原子力発電所あるいは火力発電所、こういったものをもっとアジャストしていく必要があるんじゃないだろうか、こう素朴な疑問が出てくるのですがね、その辺の調整はどういうふうに考えたらよろしいでしょうか。
#150
○国務大臣(前田佳都男君) 先ほどもわれわれがお答えいたしましたように、新しいそういうクリーンエネルギーを目ざしましていろんな努力はいたしております。しかし、何ぶん、電力に対する需用というもの、エネルギーに対する需要というものは、先刻政府委員からも御答弁いたしましたように、これは相当熾烈なるものがございまして、その需要をやはり安定してまかなうということが必要である。その意味におきまして、今回の協定で六千メガワットの濃縮ウランの出力増加を確保するということが必要であるというふうに考えて、今回の協定の御審議をお願いしておるわけでございます。
#151
○渋谷邦彦君 おっしゃるその意味は、今後の経済成長というものを前提にされた電力の需用という――これはもちろん今後も経済成長というものははかられていかなければならないと思います。けれども、もうこれも何回も何回も言われておりますように、公害という、この数年来急速に高まってきた問題の解消なしに、はたして、企業を中心とした今後の経済成長に主眼点を置いていいものかどうなのか。常に二律相反するような問題がいまはもう渦を巻いているという状況でございますね。
 せめて、環境問題等をはじめとする公害全般の問題にきちんとした対策がとられて、絶対にもう人命に対しては安心して十分である、心配な点は一つもありませんというそういう立証がなされるのと並行しながらのむしろ企業の発展というものが実際は願わしいんではないだろうか。そうすると、ある一定のその現状なら現状に押えておきますと、電力の需用というものについても、一般家庭が消費する電力というものは、そう急激にふえるものではないと思うのですよね。それは、これから新幹線の問題だとか、あるいはまた新しい工場群の新設だとかというようなことで、おそらく、そういうものを総合してみて、年間の電力需用というものがふえるために、電力危機が叫ばれているというふうに受け取らざるを得ないわけですね。
 その辺を、何とか一線をとにかく引いておいて、五年後にはこうする、十年後にはこうするという、それが加速度的じゃなくて、もっと、いま申し上げたように、くどいようでありますけれども、公害というものがほんとうに根本的に解決されることと並行しながらやっていく必要があるんではないだろうか。ですから、急ぐ必要はないという議論が出るのも私は当然だろうと思うんですよ。私も同じような感じを持ちます。率直に申し上げて。それでもやはり政府としては、あかんとおっしゃいますか。
#152
○国務大臣(前田佳都男君) 公害ということを考えると、産業構造というものを変えたほうがいいんじゃないかということになる、そういう御質問かと思います。したがって、電力需要というものは、原子力需要というものは、原子力に対する発電の要請というものは減ってくるんじゃないかという御質疑かと思いますが、確かにこの公害というものを考えつつ産業構造というものを考えなきゃいけない、それは事実だと思います。しかし、産業構造をいま直ちにこれを再編するという問題は、いまわれわれここで簡単にお答えするものじゃなくて、相当これを慎重に、全体の経済というものを見通して産業構造の再編というふうなものをやるとすれば非常に大問題であると思いますが、とにかく今後におきましては公害というものをいつも考えつつ、公害のないような産業構造にできるだけしていかなければいけないと思います。しかし私は、電力需要というものはだんだんとやっぱりふえていくという、その比率でございますが、相当公害はなくしても電力需要というものは、私は、相当やっぱりふえていくんじゃないか。その場合に、石油よりも、原子力についても、いろいろな放射能の心配とか、いろいろなことは言われまするけれども、私は石油よりも原子力のほうがクリーンエネルギーではないかと思います。その意味におきまして、電力エネルギーに対する、電力のエネルギー源としての役割りというものは、原子力が私は相当重要性を占める。したがって、昭和六十年度に六千万キロワットの必要性というものは、石油のことはいざ知らず、原子力については、私はむしろその点はわりあい重要性を増すんではないかというふうに、我田引水かどうか知りませんけれども、そういうふうに考えております。
#153
○渋谷邦彦君 きょうは、割り当ての時間がもう間もなく切れようとしておりますので、実は本論にこれから入ろうと思ったんです、原子力の問題について。しかし、いま長官おっしゃった点について、アメリカあたりじゃすでに軽水炉の安全性についてもたいへん最近問題視され始まってきている。ああいうこと等も考えますと、はたしてクリーンエネルギーといえる確信があるかどうかという問題は、まだわれわれとしては疑念が残されるということでございます。
 この問題については、次の委員会にあらためて、まだいろいろこれだけ質問を用意してきてございますから、申し上げて、その辺の問題をもう一ぺん明らかにしながら、今後の原子力全般についての政府の考え方をお伺いしてまいりたいと、こう思いますので、本日はこれで時間がまいりましたようでございますので、終了させていただきたいと思います。
#154
○委員長(平島敏夫君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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