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1972/02/27 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 法務委員会 第3号
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1972/02/27 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 法務委員会 第3号

#1
第071回国会 法務委員会 第3号
昭和四十八年二月二十七日(火曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         原田  立君
    理 事
                後藤 義隆君
                原 文兵衛君
                佐々木静子君
                白木義一郎君
    委 員
                木島 義夫君
                斎藤 十朗君
                山本敬三郎君
                吉武 恵市君
                鶴園 哲夫君
   国務大臣
       法 務 大 臣  田中伊三次君
   政府委員
       法務大臣官房長  香川 保一君
       法務省矯正局長  長島  敦君
       公安調査庁長官  川井 英良君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (法務行政の基本方針に関する件並びに昭和四
 十八年度法務省及び裁判所関係予算に関する
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(原田立君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 去る二十二日聴取いたしました田中法務大臣の所信及び予算説明等について、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○佐々木静子君 それでは、私からお尋ねいたします。
 昭和四十八年度の法務省予算に関連いたしまして、時間があまりございませんので、簡単に大まかに二点質問さしていただきます。
 まず、この大臣の御就任の所信表明におきましても、犯罪者の待遇及び改善、更生に力を尽くす旨、お述べになっておられるわけでございます。矯正施設の収容者に対して、適切な処遇を講じて、善良な国民として社会に復帰させるということも、非常にむずかしい大切な仕事でございますし、また、現在刑務官の労務過重の現状より考えましても、有能な刑務官の増員が望ましいと思うわけでございます。御説明にもございました刑務所保安業務の整備充実のために、看守百五十七名の増員が四十八年度予定されているそうでございますが、まず根本的に考えなければならないのは、明治時代につくられ、すでに六十年以上経過している古色蒼然たる監獄法を一日も早く改正し、新憲法下にふさわしい、受刑者の人権を明記した新しい法律によらなければならないことは火を見るよりも明らかなことであると思うわけです。監獄法は、法務省で五年越しの改正原案作成作業がようやく今回完成した旨、一流紙によっても報ぜられておりますが、この改正原案がほぼでき上がっているというのは確かなことでございましょうか。また、法制審議会で審議の始まる時期はいつか、また、いつごろ国会に上程されるお見通しか、大臣にお答えをいただきたいと思います。
#4
○国務大臣(田中伊三次君) いろいろ監獄法の改正について御理解をいただきましてありがとうございます。ありのままに申し上げますと、昭和四十二年、先生おことばのとおり改正に着手をしようということで、まず、法務省矯正局内に、局長を中心といたしまして準備の機関を設けまして――役所内の機関でございます。だんだんにやってまいりまして、ただいまではその矯正局内の機関として、第三次の、三回目の草案の草案ができ上がりまして、それをただいま検討をしておりまして、次は、第四次草案が大体ことしの終わりごろまでにはでき上がる見込みでございます。したがって、ただいまでは、局内の準備草案さえいまだ完了しておるという域には達していないという状況でございます。
 大体の見通しという先生のおことばでございますから申し上げますと、本年じゅうに第四次準備草案ができ上がりまして、これができ上がりますと、今度は法務省内の会議にかけまして――いまは矯正局の中でやっておることですが、法務省全体の会議にかけまして、省の草案をつくり上げます。それができ上がりますと、御承知の法制審議会に付議いたしまして、結論をいただきました上で国会に提出する具体的法律案の準備に入る。それができ上がり次第国会に提出するという段階になりますので、まだ国会に提出する時期まではお耳に達する段階に至っていない、こう御承知をいただきたいと思います。
#5
○佐々木静子君 これはいまの御説明で、まだ少し間があるような御答弁のように伺ったのでございますが、実は、法務大臣がおかわりになるごとに、監獄法はいつお出しになるかということを伺っておるのでございますが、そのたびに、いますぐにでも法制審議会にかけるというふうな御答弁をいただいておりまして、実は前々法務大臣の前尾法務大臣からは、一昨年の秋には間違いなく法制審議会に付議できるというお話であり、順番に延びてきておりまして、これはさかのぼって衆議院のほうの委員会の議事録を調べてみますと、数年前からもう、ことしじゅうにかける、かけるというようなことで、延々と延びているようなわけでございますけれども、田中法務大臣は法律の実務家としてもベテランでいらっしゃいますし、また、法務大臣としての御経験も幾たびかおありの方でいらっしゃいますので、ぜひ先生のときに、一刻も早くこの監獄法の改正案を法制審議会にかけていただきたいと思うわけでございます。特に、現在は使っておらないとはおっしゃいますが、この在監者に対して戒具を使用するような規定も残存しておりますし、また七日以内の減食とか、あるいは二カ月以内の軽屏禁あるいは七日以内の重屏禁というような、人間を犬猫以下の扱いをするというふうな規定の現存する監獄法は、これは現行の人権保障している憲法の上でもとても是認できない規定であり、また国際連合の被拘禁者処遇最低基準規則にも明らかに抵触していると思いますので、そのあたりだけでも早急に御改善なさるおつもりが大臣におありかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
#6
○国務大臣(田中伊三次君) いま仰せをいただきました点も改正のための検討の重要な対象となっておるわけでございますが、もう一つ、この監獄法だけの改正を急いでやるということに踏み切れない理由、その大部分の理由は、刑法改正との関連でございます。刑法が御承知のごとく全面的改正の過程に置かれておる。この刑法改正が、本年一ぱいは法制審議会の審議、法制審議会の中の総会、本会議とでも申しますか、法制審議会全体の総会の結論が出ますのが本年一ぱいの見通しでございます。そうしますと、その結論が出ませんと監獄法の改正がきまらない、こういう事情でございますので、本年一ぱいは何としても草案をつくり上げるのに時間がかかるという事情でございます。そこで、そういう刑法改正に伴う、これを受けた監獄法の改正というものを企図いたしておりますのでございますが、その中で、先生が仰せのようなたいへん重要な事柄ではありますが、それらの事柄だけを取り上げて先に改正に踏み切るかということになりますと、なかなか困難な問題がございます。方針といたしましては、刑法全面改正に伴って監獄法の全体の改正を行なう際に、いまおことばのようなことを中に織り込んで改正をしていきたい、それだけ取り上げて一足お先に改正をしていくといういき方はどうも技術的にむずかしいのではないか、こういうふうにただいまのところ思っております。
#7
○佐々木静子君 そうすると、監獄法は部分的改正という方法をとらずに全面改正の方針である、そして法制審議会にかける時期は、大体今年末か来年早々というふうに承っておいてよろしゅうございますか。
#8
○国務大臣(田中伊三次君) 大体おことばのように私も考えております。
#9
○佐々木静子君 それでは、時間がありませんので、次の点に移りたいと思います。
 次に、四十八年度の法務予算に示されている破壊活動調査機能の充実ということについて伺いたいと思います。
 破壊活動調査機能の充実のため公安調査官二十七名が今回増員される御予定になっておりますが、現実に破壊活動調査機能の充実とはどのような仕事をなさるのか、まず、昭和二十七年破壊活動防止法施行以来、公安調査庁長官が破壊的団体規制の手続をとったものが一件でもあるのかないのか、まずその点伺いたいと思います。大臣からお答えいただきたいと思います。
#10
○国務大臣(田中伊三次君) その調査の結果破壊活動と認めたものがあるのかないのかということを申し上げる前に、ちょっと一言、最初のおことばにお答えを申し上げたいと思いますが、二十七名増員になったということは形式的にはおことばのとおりでございます。しかし内容はどういうことかと申しますと、二十七名、実は前内閣時代からの減員方針によりまして削減人員が二十七名ございます。それを削減をしないで従来どおりやっていくということにいたしましたので、削減分が増員になっておりますので、削減をして増員をする、現在員数を維持しておるという、そういう意味の増員でございます。そういうことでございますので、特に二十七名を増員をいたしまして調査の見込み量がふえていくという意味ではございませんということをひとつ御了承いただきたい。
 それから調査の関係につきましては、ここに公安調査庁長官の専門家がおりますので、それからお答えをさすことにいたします。
#11
○政府委員(川井英良君) ただいま大臣から御説明がありましたように、定員の面では実質的には一名の増にもならないわけでございますが、最近の調査対象の状況にかんがみまして、重点的に、多少手を抜いていいほうから手を抜けないほうのほうに回したい、こういうふうなことを考えておりますので、内部のやりくりでもって重点的に間違いないようにやっていきたい、こういうふうに考えております。
#12
○佐々木静子君 大臣並びに長官からの御答弁で御趣旨はよくわかりましたが、先ほどの私の質問の、規制の手続を受けた団体があるのかないのかという点、私の聞いているところではまだ一件もないというふうに聞いているわけでございますが、しからば公安調査庁長官の指定した規制する必要があるかどうかの事前調査をする対象団体でございますね、これは現在幾つあるのか。この点を御答弁いただきたい。
#13
○政府委員(川井英良君) 最初の御質問の、規制を請求したものがあるかないかということにつきましては、御指摘のようにまだ一件もございません。
 それから、ただいま長官の名前におきまして重点的に調査をするということにいわゆる指定しておりますのは、全部合わせて合計十六団体になっております。
#14
○佐々木静子君 それは、これも最近の一流紙の報ずるところによりますと、現在指定されている調査の対象団体が日本共産党のほか八つの過激派左翼集団及び七つの右翼集団というふうに報道されているのでございますが、これはこのとおりでございますか。
#15
○政府委員(川井英良君) 大体そのとおりでございます。左翼、右翼という分け方で分ければそういうことになると思います。
#16
○佐々木静子君 ちょっと、団体の名前をお教えいただきませんと、調査の実態というものが全くわかりませんので、数がわずかでございますから調査対象の団体名をおあげいただきたいと思うわけです。
#17
○政府委員(川井英良君) 従来国会で答弁いたしておりますが、ただいま申し上げますと、これは私のほうで指定をした年月日順に申し上げますが、左翼、右翼という特別な分け方はいたしておりません。
 一番最初にいたしましたのは日本共産党でございます。それからその次にいわゆる朝鮮総連でございます。三番目には護国団でございます。それから四番目には全学連。五番目には共産主義青年同盟、略して共青と称しております。それから六番目には共産同でございます。七番目には大日本愛国党でございます。八番目には大日本愛国青年連盟、九番目が国民同志会、十番目が日本同盟、十一番目が関西護国団、十二番目が日本塾、十三番目が中核派、十四番目が革共同、十五番目が革労協、十六番目が革マル派、こういうことになっております。
#18
○佐々木静子君 これは、時間がございませんですので簡単に大臣に伺いたいと思うのですが、野党の第二党である日本共産党が破防法の対象団体に入っていることにつき、法務大臣はどのようにお考えでございますか。
#19
○国務大臣(田中伊三次君) 私、就任をいたしまして以来、全国各地域よりいわゆる投書的な手紙がたくさん来ております。どういう立場の人がお出しになったかはこれは調べる由もございませんが、手紙がとにかくたくさん来ております。その手紙の中には、これだけ進出してきた、国民の支持を受けてきた共産党を調査の対象としておるということはいかがなものか、これはすみやかに解除すべきではないかという趣旨が大体一致しておるようでございます。そういう文書がたくさん来ております。また別の人々からもそういう趣旨のことを耳にいたしますので、就任早々、ここに来ておりますのは最近長官に任命した者でございますが、前長官時代でございますが、それを招きまして、調査団体の対象として指定をいたしました以後今日まで、共産党について申しますと、約二十年の日子が経過をしておる。その二十年間にわたる調査の実情というものをつぶさに私が直接に聴取をいたしました。そういう聴取をいたしまして、いろいろな報告を受けまして、私の判断をするところをありのままに申し上げますと、今日現段階においては、調査団体としての調査の対象からこれを取りはずす、解除をすると申しますか、それを取りはずす材料が遺憾ながら今日現在においては見当たらぬ、これが結論でございます。したがって、現段階においては公安調査庁は取り消す意思がない、これがその実情でございます。
#20
○佐々木静子君 もう時間がございませんので、もう一点大臣に伺いたいと思いますが、日朝国交正常化も遠からず実現するというふうな世界の大きな歴史の潮流の中にあって、民間交流から政治家の交流というふうに日朝関係も変わってきている。超党派の日朝友好促進議員連盟も誕生して、あるいは日朝文化交流とか、日朝経済交流などの動きも顕著になってきておりますが、その促進のために努力して、日本の多くの国民からも支持を得ている朝鮮総連が、なぜこの調査の対象になっているのか。破壊主義的な過激派集団というふうな呼ばわれ方をするということにつきましては、私ども非常に奇異な感じがするわけでございますが、朝鮮総連をこの調査対象からはずすというお考えはないのですか。明らかにいまの日朝友好の歴史の流れの中にあって、この昭和二十七年ころに指定されたのだと思いますけれども、当時と非常に国際情勢、国内情勢の変わっているおりから、いまなお朝鮮総連をこの調査対象の集団として御指定になっている点、非常に現在の国情に合わないのではないかと考えるわけでございますが、この点につきましての大臣の御所信を承りたいと思うわけでございます。
#21
○国務大臣(田中伊三次君) この朝鮮総連につきましても、現段階におきましては解除をする意向を持っておりません。
#22
○佐々木静子君 この点につきまして、私、いま申し上げたような理由からも、これはぜひ今後の日朝友好のためにも、対象からはずすべきではないかというふうに確信しておりますので、本日は時間がございませんので、質問はこのあたりにさしていただきたいと思いますが、また次の機会に、本件につきましての質問を続行さしていただくことといたしまして、本日は、質問はこのあたりで終わらせていただきたいと思います。
#23
○委員長(原田立君) 本件に対する質疑は本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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